1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年三月八日（水曜日）午前十時二十九分開議
出席委員左の如し
委員長 添田敬一郎君
理事 長野綱良君 理事 片岡恒一君
理事 古田喜三太君 理事 田中好君
理事 三善信房君 理事 馬岡次郎君
理事 窪井義道君 理事 杉山元治郎君
三好榮次郎君 原玉重君
高田耘平君 今成留之助君
信太儀右衞門君 山本粂吉君
福田關次郎君 小野寅吉君
河野一郎君 吉植庄亮君
大石倫治君 助川啓四郎君
小山田義孝君 牧野良三君
西川貞一君 國光五郎君
伊東岩男君 石坂繁君
北勝太郎君 平野力三君
佐竹晴記君 小山亮君
小野謙一君
同月七日委員大石大君辭任に付其の補闕として小野謙一君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
農林大臣 櫻内幸雄君
出席政府委員左の如し
農林政務次官 松村謙三君
農林省米穀局長 周東英雄君
商工參與官 澤田利吉君
商工省商務局長兼商工省統制局長 新倉利廣君
本日の會議に上りたる議案左の如し
米穀配給統制法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=0
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001・添田敬一郎
○添田委員長 開會ヲ致シマス、是ヨリ質
問ニ移リマス-今成留之助君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=1
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002・今成留之助
○今成委員 本法案ヲ御提案ニナリマシタ
ニ當リマシテ、本會議ニ於テ同僚各位ヨリ
御質問ガアリ、政府モ之ニ御答辯ニナツタ
ノデゴザイマスガ、丁度私ハ請暇中デゴザ
イマシテ、詳細ニ亙ツテ內容ヲ拜承シテ居
ラヌノデゴザイマス、隨テ或ハ旣ニ政府デ
御答辯ニナツテ居ルカモ知レマセヌガ、其
ノ點ヲ御許願ヒマシテ三四ノ點ニ付テ御質
問ヲ申上ゲテ見タイト思ヒマス、本法案ガ
政府ノ手ニ依ツテ愈〓議會ニ提案サレルコ
トガ新聞等ニ現ハレマスト、全國ニ於テ猛
然トシテ此ノ案ニ對スル反對ノ運動ガ始ツ
テ來テ居ルノデゴザイマス、其ノ反對ノ人
人ノ主張ヲ承リマスト、或ハ此ノ法案ノ趣
旨ヲ十分ニ承知セズ致シマシテ、唯徒ニ當
業者ヲ壓迫スル法案ダト云フヤウナ誤解ノ
點モアルヤニ思フノデゴザイマス、此ノ案
ノ提案ノ噂ガ立チマスル際ニ、政府ハ此ノ
案ノ性質內容ニ付テ當業者ニ十分ニ之ヲ內
示ナサイマシテ、斯ノ如キ反對ノナイヤウ
ニ豫防スル御手段ヲ御執リニナツタモノデ
アルカドウカ、曾テ前內閣當時ニ於テ主要
食物デアル所ノ米穀ヲ投機ノ用ニ用ヒテハ
イケナイ、或ハ價格ノ算定ニ當ツテ、生產
者ガ之ニ關與シナイ制度ハイケナイト云フ
ヤウナ所カラ、此ノ案ノ前ニ、政府ノ企圖
致シマシタ米穀ニ關スル統制配給ノ案ガア
ツタノデアリマスガ、之ヲ其ノ儘直チニ現
政府ニ於テ提案スルモノナリトノ誤解モア
ルヤニ存ズルノデアリマス、其ノ點ニ付テ
政府ハドウ云フ風ニシテ、此ノ案ノ提案ニ
付テ、當業者ノ間ニ斯ノ如キ反對ノ起キナ
イヤウナ御處置ヲナサイマシタカドウカヲ、
第一ニ承リタイト思ヒマス、第二ニハ今日ノ
非常時局ニ當リマシテ、現內閣ハ特ニ國民
ノ總親和ヲ標榜サレテ居ル內閣デアリマス、
然ルニ只今申上ゲタヤウニ、全國ニ於テ猛
然ト反對ノ起キルヤウナ案ヲ、此ノ際特ニ
提出シナケレバナラヌ所ノ政府ノ所見、心
構ヘ如何、相剋摩擦ヲ排シテマデモ、此ノ
案ヲ通過セシメナケレバナラヌト云フ重大
ナル理由ガアルカドウカ、サウ云フヤウナ
反對運動ノ起ルヤウナモノデゴザイマシタ
ナラバ、今此ノ際御出シニナラヌデモ、相
當時期ヲ待ツテ、靜ニ此ノ案ノ內容ヲ國民ニ
知ラシメタ後ニ於テ、相剋摩擦ヲ一掃シテ
カラ御提案ニナツタ方ガ、現在ノ時局ニ照
シテ最モ必要ナ方法デハナイカ、現內閣ノ
最モ標榜スル御趣旨デハナイデアリマセウ
カ、此ノ點ニ付テ政府ガ斯ウ云フ時局ニ當
ツテ、特ニ提出シナケレバナラヌト云フ重
大理由ガ-主管大臣ノ御說明ノ中ニモ其
ノ片鱗ハ認メテ居リマスケレドモ、アタハ
ツキリ致シマセヌカラ、此ノ點ヲ明ニシテ
吾々國民ニ安心ヲ與ヘサシテ戴キタイト思
ヒマス第三、點ハ私ハ新潟縣ノ米產地ノ事情
ニ多少通ジテ居ル一人デゴザイマスガ、米
ノ取引ニ付キシマテハ、幾百年來各地ニソ
レゾレ異ツタ事情ガアルト思フノデアリマ
ス、殊ニ米產地デアル新潟縣ノ如キハ、色
色ノ機關ヲ通ジテ之ヲ中央ニ供給サレテ居
ルノデゴザイマス、或ハ在方、地方ニ參リ
マスト、買出商ト云フヤウナモノガ盛ニ活
躍ヲ致シマシテ、サウシテ米ヲ一車ナラ一
車、或ハ馬車ノ一輛ナラ一輛ニ積込ムダケ
買集メマシテ、之ヲ都會地ノ消費地ニ送込
ム、送込ムニ付キマシテモ、其ノ間ニハ仲
買人ト云フモノガアリマシテ、是ガ多少ノ
口錢ヲ取ツテ、之ヲ縣外ノ移出商人ノ手ニ
渡シテヤル、移出商人モ亦之ヲ直チニ消費
者ノ方ニ供給スルノハ、非常ニ不便ガア
リマスカラ、ソコニ仲介業者ト云フモノ
ガアリマシテ、電報一本デ此ノ移出業者ノ
仕事ヲ援ケテ居ル、其ノ仲介業者ハ或ハ市場
仲買人、取引所員、若クハ大卸賣商ニ之ヲ
供給シテ、ソレ〓〓ノ小賣業者ノ配給ニ當
ツテ居ルト云フヤウニ、色々ナ機關ヲ通ジ
マシテ、今日マデ長イ間生產地ニ於テ是等
ノ職業ガ、隨分澤山是ノ爲ニ生活ヲシ、而
モ運搬其ノ他ノ便宜ヲ圖ツテ、口錢ヲ取リ
マシテ、非常ナ利益ヲ得テ居ルヤウナ組織
ニナツテ居ルノデゴザイマスガ、此ノ法案
ヲ御執行ニナリマスト、是等ノ職業ニ從事
シ、祖先以來其ノ業ニ從事シテ居ル者共ノ
商權ニ對シテ、ドウ云フ影響ガ及ブノデア
リマセウカ、命令ノ定ムル所ニ依リ或ハ其
ノ代表者其ノ他ガ市場員トナツテ、其ノ業
ノ幾分ヲ承繼グコトハ出來マスケレドモ、
此ノ法案ニ依リマスレバ、是等ノ者共ニ非
常ナ影響ヲ及ボスヤウナ法案ノヤウニ想像
サレルノデアリマスガ、サウ云フ場合ニ於
テハ政府ハ如何ニシテ是等ヲ救濟シテ戴ケ
ルデアラウカドウカ、此ノ點ヲ第三ニ承リ
タイト思フノデアリマス、次ニ法案ノ內容
ニ付テ二三疑問ヲ明ニシテ置キタイト思フ
ノデアリマス、其ノ第一ハ本件ハ米穀配給
統制案デアリマスケレドモ、法文ノ第二十
九條ヲ拜見致シマスト、麥、大豆其ノ他ノ
雜穀更ニ進ンデハ肥料ニマデ、此ノ法律ヲ
及ボスヤウナ規定ニナツテ居ルノデアリマ
ス、是ハ主要食物デハナイノデアリマシテ、
雜穀ノ中ニハ色々ナ品物ガアルノデゴザイ
マスガ、是等ヲモ統制配給致シマシテ、サ
ウシテ此ノ日本米穀株式會社ノ市場デ取引
サセナケレバナラヌ理由如何、是ハ直チニ
御實行ニナルモノデアルカドウカ、殊ニ日
本ハ肥料ト云フモノニ對シマシテハ、中一
ハ重大ナ影響ヲ及ボスモノガアル、之ヲモ
ヤハリ此ノ法律ニ依ツテ配給統制ヲナサル
ト云フ御趣旨ニ承ルノデアリマスガ、是ハ
如何ニシテ斯ウ云フ仕事ニ從事サセルノデ
ゴザイマセウカ、命令ノ定ムル所ニ依リト
云フノデアリマスカラ、何レ勅令若クハ省
令ヲ發布ニナルデアリマセウケレドモ、此
ノ點ニ付テモウ旣ニ御用意ガアルモノナラ
バ御漏シ願ヒマスレバ、當業者ハ大變ニ安
心スルダラウト思ヒマスカラ、此ノ點ヲ承
リタイト思ヒマス、次ニ此ノ法案ニ業務ノ
監督ハ政府之ヲ爲スト書イテアリマスガ、
此ノ法案ノ內容ヲ拜見致シマスト、其ノ所
管ハ農林省デアルト共ニ、又商工省ニモ重
大ナ影響ヲ及ボスヤウニ考ヘマス、然ルニ
政府ハ其ノ業務ヲ監督スルト云フノデアル
ガ、ドチラデ御監督ニナルノデアルカ、隨
分監督官廳ノ如何ニ依リマシテハ、業者ニ
取リマシテ亦生產者ニ取リマシテ重大ナ影
響ガアルノデアリマシテ、殊ニ兩省デ所管
ナサルト云フコトデアリマスレバ、隨分遲
延致シマシテ、國民ハ非常ナ迷惑ヲスルコ
トガ多イノデアリマス、現在ノヤウナ制度
ニ於キマシテモ、隨分當業者ハ政府ノ指令
認可等ガ遲レマシテ迷惑スル所ヘ以テ來
テ、米ノ如ク極メテ機敏ニ扱ハナケレバナ
ラヌ品物ニ對スル監督等ガ兩省ニ跨ツテ居
ルヤウナコトガアリマスナラバ、益〓其ノ
不便ガ多イト思フノデアリマスガ、之ニ付
テハ兩省デ協議ノ上デ、或ル單一ノ監督機
關ヲ御設ケナニツテ、其處デオヤリニナル
御意思ガアルノデアリマセウカ、サウデナク
テヤハリ從來通リデ農林省ヘモ認可ヲ出
シ、商工省ヘモ認可ヲ出シ、双方デソレ〓〓
立場ガ違ヒマシテ、兩方ノ意見ガ一致スル
マデ待テト云フヤウナ、今日マデノ扱ヒノ
ヤウナコトデゴザイマスナラバ、此ノ點ニ
付テ非常ナ不便ガアルト思フノデアリマス、
此ノ點ニ付テ政府ガ如何ニ此ノ案ノ監督ヲ
爲サル御見込デアルカ、現ニ最近起キマシ
タ所ノ絹織物ノ統制ノ如キハ、アノヤウナ
騷ギヲ起シテ居ル、絹織物ノ價格ヲ統制ス
ルナラバ、其ノ後ロニハ生絲ト云フモノガ
アルコトヲ知ラナケレバナラヌ、生絲
ノ後ロニハ繭ガアル、繭ヲ考ヘレバ生產
者デアル養蠶業者ノ利害ヲ考ヘテ、サ
ウシテ之ヲ統制シテコソ初メテ國民ハ安
心スルニモ拘ラズ、商工省ハソレ等ノ人
人ヲ考慮ニ入レズシテ、突如トシテ絹
織物ノ統制ヲオヤリニナツタ、爲ニ當業者
ガ非常ナ破綻ニ瀕スルヤウナ悲境ニ陷ツタ
ヤウナ狀態ヲ現出シテ居ルノデアリマス、
斯ウ云フヤウナコトハ、政府ニ於テ國民ノ
生活ノ上ニ極メテ深キ關心ヲ以テオヤリニ
ナルナラバ、アノヤウナ突如トシタ絹織物
ノ統制ノ如キハ、爲シ得ル譯ハナイニモ拘
ラズ、商工省ハ單獨ノ立場カラ之ヲ突如ト
シテ御出シニナツタ爲ニ、アノ騒動ヲ起シ
テ居ルノデアリマスガ、左樣ナコトガ屢〓、起
キルヤウデゴザイマスナラバ、折角政府ハ
國民ノ主要食物デアル所ノ米穀ノ配給統制
ヲ期セント欲シマシテモ、遂ニ及バザルヤ
ウニナツテシマツテ、此ノ法案ト云フモノ
ガ結局有名無實ニ歸スルヤウナコトガナイ
カト云フコトヲ、非常ニ憂フルノデアリマ
シテ、此ノ點ニ對シテ政府ハ如何ナル御用
意ガアルカト云フコトヲ承リタイ、次ニ本
法案ニ依ツテ設立致シマシ夕日本米穀株式
會社ノ株式ニ對シマシテハ、第三十四條ニ
配當ノ保證ヲシテオヤリニナルヤウデアリ
マスガ、此ノ配當ノ保證ノ方法ハ從來ノ保
證ト違ヒマシテ、政府ノ所有株ニハ配當シ
ナイデ、優先的ニ先ヅ以テ年六分ダケハ民
間ノ投資ニ對シテ配當ヲシ、其ノ餘剩ガア
レバ政府ノ所有株ニ配當ヲスルト云フヤウ
ナ建前ヲ御取リニナツテ居ルヤウニ見エル
ノデアリマス、併シ全國數十ノ現在ノ取引
所ト云フモノハ、大體ニ於テ此ノ日本米穀
株式會社ノ市場ニ併合サルル機運ニナツテ
居ルノデアリマスガ、相當ノ成績ヲ擧ゲテ
居ル株式會社ノ株主ガ、此ノ日本米穀株式
會社ノ株式ヲ引受クルニ當リマシテ、是ハ
確實ニ實行サレルカドウカト云フコトガ、
將來此ノ運用ノ上ニ重大ナ影響ガアルト思
フノデ御確メシテ置キタイノデアリマスガ、
三千万圓ノ中半分ガ民間出資ニナリマシテ
年六分ノ配當ヲ行フト致シマスレバ、九十
万圓ノ配當ガナケレバナラヌノデアリマス、
總テノ經費ヲ引キマシテ、其ノ殘リノ九十
万圓ト云フ配當ヲスル利益ト云フモノハ、果
シテ現在ノヤウナ狀態ニ於テ之ヲ配當シ得
ル計算若クハ確信ガオアリニナルノデアリ
マセウカ、イヤ、ドウモ當分サウハ行カナ
イト云フノデアリマスルト、此ノ株式ノ引
受ニ大變影響スルト思フノデアリマシテ、
若シ其ノ株式ヲ引受ケナイモノガアリマシ
タナラバドウナルノデアリマセウカ、此ノ
點ハ現在旣存ノ權利ナリト彼等ガ信ジテ居
リマスル米穀取引所ノ株主ニ對シテ、重大
ナル影響ヲ及ボスノデアリマスルガ故ニ、
政府ノ之ニ對スル御計畫、御内容ヲ承ツテ
置キタイノデアリマス、最後ニモウ一點承
リタイノハ、法第二十六條ノ日本米穀株式
會社ノ役員ノ問題デアリマス、昨年ノ議會
ニモ政府ハ幾多ノ制度ヲ御設ケニナツテ、
サウシテ官吏ノ榮進ノ爲、上級官吏ガ罷メ
マシテ民間會社ニ入ルニ付テハ、議會ニハ
隨分喧マシイ問題モ起キタト思フ、而シテ
民間ニ不慣レナ役人ガ天下リ的ニ來テ居リ
マスル爲ニ、隨分各會社デ苦情百出ノ狀態
デアル爲ニ、議會ノ問題ニナツタト思フノ
デアリマスガ、此ノ日本米穀株式會社ノ役
員ハ極メテ重大ナル私ハ職責ダト思フ、民
間ノ事情シ精通シ米穀ノ取引ニモ明ルイ所ノ
本當ノ民間ノ有力者ヲ、御引上ニナルナラ
バ格別デアリマスガ、從來ノヤウナ相當長
ク居ツテ、次ノ人ノ榮進ヲ妨ゲニナルカラ、
何處カニヤルノモ氣ノ毒ダカラ先ヅ政府ノ
息ノ掛ツタ會社ニ、一時凌ギニヤツテ置カ
ウト云フヤウナ態度ガオアリニナルナラバ、
議會ノ問題ニナルコトガアルト云フコトヲ
非常ニ私ハ憂フルノデアリマス、法第二十
六條ノ運用ニ當リマシテ、斯ウ云フ點ニ付
テ政府ハ如何ニ御處置ナサル御意見デアル
カ、斯ウ云フ點ダケヲ伺ツテ置キタイト思
フノデアリマス、先程モ申上ゲマシタヤウ
ニ、十分ニ命令ノ定ムル事項ノ御内示モナ
イノデアリマス、私ハ未ダ十分ナル檢討モ
遂ゲナイノニ質問ノ通〓ヲシマシタ所ガ、
直グ立テト云フノデ立チマシタ次第デアリ
マシテ、隨テ本會議ニ於テ御質問シタ所ニ
重複ニ亙ル點ダケハ、御許シヲ戴キマス、
以上申述べマシタ諸點ニ付テ、政府ヨリ明
確ナル御答辯ヲ願ヒタイト思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=2
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003・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今ノ今成君ノ御質疑ニ
對シテ御答辯申上ゲマス、第一點ハ本法案
ガ提案セラレルコトガ世ノ中ニ傳ハルヤ、
當業者ノ方面ニ於テ非常ニ反對ノ聲ガアツ
タガ、此ノ當業者ノ方面ト如何ナル懇談ヲ
シタカ、又是等ノ人々ニ對シテ何等カノ相
談ヲシタカ、斯ウ云フヤウナ御質疑ノヤウ
デアリマス、本法案ニ付キマシハ、提案致
シマシタ數日以前マデハ具體案ハ決ツテ居
ラナカツタノデアリマス、唯昨年ノ前農林
大臣ガ農林省ニアリマス米穀配給機構委
員會ニ、日本米穀株式會社法案ト云フ法
案ヲ議會ニ提案ヲ致シタイト云フ意味ニ
於テ、諮問ヲサレタノデアリマス、諮問
サレタ案ガ世間ニ傳ツテ居リマシテ、ソ
レヲ目標トシテ種々ナル議論ガ盛ニ行ハ
レタノデアリマス、相當反對贊成兩論ニ
分レテ居ツタヤウナ狀況デアリマス、私
就任以來是等ノ人々ニ對シマシテハ、所謂
反對ト云フ聲ノアル團體ノ人々ニハ、實ハ數
囘其ノ代表者ニ御目ニ懸ツタノデアリマス、
而シテ其ノ反對ノ要點ガ何處ニアルカト云
フ陳情ヲ承リマシタ、併シ斯ウ云フ案ニシ
タラドウデアラウカ、斯ウ云フ風ニシタラ
ドウデアラウカト云フコトノ相談ハ、政府
トシテ致スベキ筋合デアリマセヌノデ、卽
チ是等當業者諸君ガ考へテ居ラレル所ノ要
點ニ付テ、具サニ聽イタノデアリマシテ、中
ニハ數囘ニ亙ツテ意見ヲ徵シタコトモアル
ノデアリマス、其ノ意見ヲ徵シマシタ後ニ
本案ヲ決定致シタ次第デアリマスガ、今日
ニ於キマシテモ或ル一部ニ於テハ本案ノ趣
旨ヲ誤解シテ、反對サレテ居ル方モアルヤニ
モ聽キマスケレドモ、亦熱心ニ御贊成下サル
方ガ多數アルト私ハ信ジテ居ルノデアリマ
ス、卽チ第一點ニ對シマシテノ、事前ニ當
業者ト懇談セシヤ否ヤト云フコトニ付キマ
シテハ、懇談ト云フノデハアリマセヌケレ
ドモ、反對者ノ意見ハ十分ニ之ヲ承ツテ、
而シテ本案ヲ提案シマス材料ニ致シタト云
フコトヲ申上ゲテ御答ト致シマス、第二點
ハ現内閣ハ總親和ヲ標榜シテ居ルノニ拘ラ
ズ、一部ニ斯ノ如キ反對ノアル案ヲ出シテ、
相剋摩擦ヲ起スガ如キ事柄ヲスルト云フコ
トハ、ドウシテモ此ノ案ハ出サナケレバナ
ラヌ特別ナ理由ガアルノデアルカ、斯ウ云フ
御質問ノヤウデアリマス、私モ就任以來此
ノ件ニ付キマシテハ深ク考慮ヲ拂ツタノデ
アリマス、今日ノ如キ時代ニ於テ多少ニテ
モ、一部ニデモ反對ノアルヤウナ案ヲ議會
ニ提案ヲ致シマシテ、而シテ相剋摩擦ト行
カズトモ、種々ナル論爭ノ行ハレルト云フ
コトハ成ベク避ケタイ、斯樣ナル見地ニ於キ
マシテ、可ナリ考慮ヲ拂ツタノデアリマス、
併シナガラ御承知ノ如ク米穀ガ國民生活ノ
主要〓物デアツテ、此ノ米穀ノ配給如何ニ
依ツテハ容易ナラザル事態ガ起ルト云フコ
トハ、申スマデモナイコトデアリマシテ、
平時ニ於テ多年ノ間議會ニ於テ此ノ米穀ノ
問題ガ論ゼラレテ、或ハ量ニ於ケル所ノ米
穀統制法トナリ、或ハ量ト代金トニ於ケル
所ノ米穀統制法トナリ、或ハ自治管理法案
トナリ、或ハ臨時措置法案ト云フモノガ今
日出テ居ルヤウナ譯デアリマス、此ノ性質
ニ鑑ミマシテ米穀問題ニ對シテハ、何トシ
テモ速カニ此ノ問題ヲ解決シテ置カナケレ
バ、他日ニナレバ他日ニナル程一層困難ガ
起ツテ來ル、故ニ此ノ機會ニ於テ相當ナル
對策ヲ出シテ、御審議ヲ煩ハスト云フコト
ガ適當ナ方法デハナカラウカ、斯樣ニ信ジ
タノデアリマス、又一面ニ於キマシテハ現
在戰時事態デアリマス、此ノ戰時事態ニ我
ガ忠勇義烈ナル將兵諸士ガ安ンジテ戰地ニ
働イテ下サル一番大事ナ事柄ハ、後願ノ憂
ナクシテ自分ノ同胞親子、是等ノ人ガ安ン
ジテ食ツテ行ケルト云フ問題デアリマスカ
ラ、此ノ根幹ヲ爲ス所ノ米穀ニ付キマシテ
ハ、ドウシテモ確保シナケレバナラヌ、此
ノ米ノ問題デ、米ガナイ、米ガ足ラヌト云
フ風ナコトガ起ツテ來タラ、是ハ容易ナラ
ヌコトデアリマス、斯ウ云フ點ハ誰人モ考
ヘル譯デアリマス、隨ヒマシテ肥料ノ配給ガ
若シ一部ニ偏在ヲシテ、部ニ米ガ不足ヲ來
スト云フガ如キ事柄ガアツタト致シマシタ
ナラバ、是ハ容易ナラザルコトデアリマ
ス、極ク端的ニ申シマスレバ、農村ニ米ガ
山ノ如ク積マレテモ、東京大阪ノ如キ消費
地ニ米ガ來ナイト云フガ如キコトガアリマ
シタナラバ、是ハ大騷ギデアリマス、又地
方ニ於キマシテモ、所謂大キナル所ノ地主
其ノ他ノ人ノ倉庫ニ米ガ積マレテ、是ガ若
シ一般ニ出ナイト云フヤウナコトニナリ。マ
シタナラバ、是モ亦容易ナラヌコトデアリ
マス、米穀商人ノ方々ノ手ニアリマシデモ、
是ガ偏在ヲ致シマシテ一般ニ圓滑ニ配給ガ
出來ヌト云フヤウナコトニナリマシタナラ
バ、是モ深ク考慮シナケレバナラヌコトデ
アリマス、御承知ノ如ク現在ノ日本內地ノ
米ノ生產額ハ、內地外地ヲ通ジテ丁度日本
國民ガ食ツテ行クダケノ米ガ出來テ居ルノ
デアリマシテ、之ニ對シテ若シ何千万石ト
云フ餘裕ガアリマスレバ、幾分偏在致シマ
シテモ、是ハ何等影響ヲ及ボシマセヌケレ
ドモ、恰モ日本ノ現在米穀ノ生產額ト云フ
モノハ、丁度日本國民ガ食フダケデアリマ
ス、卽チ約一億万石米ガ生產サレテ、億
万石ヲ食ツテ行ク、而シテ年々人口ノ增加
ト伴ツテ米ノ需要ハ殖エテ行ク、之ニ對シ
テ農村モ亦其ノ事情ニ應ジテ殖ヤシツツア
リマスケレドモ、今日ノ勞力不足其ノ他色
色ナル各般ノ事由カラ申シマシテ、一部分一
テ數千万石ノ餘地ヲ置クヤウナ計畫ハ容易
ニ立タヌ譯デアリマスカラ、現在生產サレ
ル米ヲ圓滑ニ配給ノ出來ルヤウナ途ヲ開イ
テ置クト云フ事柄ハ喫緊ノ要務デアルト、
斯樣ニ考ヘタノデアリマス、此ノ意味ニ於
テ本案ヲ提出致シマシテ、米穀業者諸君ノ
權益竝ニ向上ヲ意圖スルガ爲ニ、免許制度
ヲ布クト共ニ、之ニ對シテ適正ナル所ノ命
令ノ發シ得ルヤウニ致シテ置イタノデアリ
マン、今一ツハ今日マデ米穀ノ調節機關ト
致シマシテ、米穀取引所ト云フモノガ設ケ
ラレテ居リマスケレドモ、是ガ米穀統制法
ニ依リマシテ、最高最低ノ標準ガ決ツテ以
來、此ノ事業ハ申サバ從來程ノ繁榮ハ致シ
テ居リマセヌ、ノミナラズ米穀取引所ノ取
扱ツテ居リマス所ノ取引ノ狀態ヲ見マスト、
其ノ大部分ガ〓算取引デアリマシテ、所謂
投機ニ利用サレテ居ル所ノ傾キガ相當アル
ノデアリマス、故ニ今日ノ際ニ於テ米穀ノ
問題ヲ解決致スノニハ、ドウシテモ是ハ根
本カラ建直スコトガ必要デアル、卽チ投機
ニ依ツテ調整スルト云フヤウナ方法ヲ改メ
テ、實物ノ取引ニスル必要ガアル、投機ヲ
以テ調整ヲスル場合ニ於テハ、假需要ヤ見
越賣ナドガ起ツテ、急激ニ米價ノ暴騰、暴落
ヲ來シ、非常ナ混亂ガ起ツテ來ル、故ニ實
物取引ヲ主眼トスル市場ヲ設ケル必要ガア
ル、此ノ意味ニ於キマシテ、總テ寶物ノ取
引ヲ主眼トスルモノハ、此ノ日本米穀株式
會社ノ市場ヲ利用致シタイ、斯樣ニ考ヘタ
ノデアリマス是等ノ點ニ付キマシテハ、
米穀取引所法ヲドウ處理スルカト云フ問題
モ、既ニ數年來議會ニ現ハレタ大キナ問題デ
アリマスガ故ニ、此ノ際之ヲ解決致シタイ、
之ヲ廢止シテ、此ノ會社ノ市場ニ代ヘタイ、
斯樣ナ考カラ本案ヲ提出シタ譯デアリマス、
第三ニハ、買取人或ハ仲次人、或ハ地方ノ
斯ウ云フモノノ媒介ヲシテ居ル人々ガ、之ニ
依ツテ失業スルノデハナイカ、是等ノ人ニ
對シテハドウ云フ考ヲ持ツテ居ルカト云フ
御尋デアリマスガ、是ハ今日ノ狀態ト何等
變ラナイノデアリマス、從來米ノ媒介ヲシ
テ居ル人ニ對シテハ其ノ媒介ヲ認メマス、
又米ノ取扱ヲシテ居ル人ニ對シテハ總テ其
ノ取扱ヲ認メマス、隨テ現在ノ此ノ取引機
構ヲ少シモ改メル考ハ持ツテ居ラナイノデ
アリマス、第四ニ、第二十九條ニ麥、大豆其
ノ他ノ雜穀、肥料等ノ賣買ノ問題ガアルガ、
此ノ問題ニ對シテハドウ云フ趣旨デアルカ
ト云フ御意見ノヤウデアリマス、本法案ハ
米穀ヲ主眼ト致シタモノデアリマシテ、麥、
大豆、其ノ他ノ雜穀、肥料ト云フモノ
ハ主眼ト致シテ居リマセヌ、唯茲ニ斯
ウ云フ項目ヲ設ケマシタノハ、現在斯
ノ如キ仕事ヲシテ居ル市場ガ二三アル
ノデアリマス、故ニ暫定的ニ之ヲ繼承致
サナケレバ、從來其ノ市場ニ依ツテヤラレ
テ來タ人々ガ、非常ニオ困リニナルデハナイ
カ、又其ノ仕事ヲ此ノ附帶ノ仕事トシテヤ
ルコトガ、必ズシモ米穀統制ニ惡影嚮ヲ及
ボストハ考ヘマセヌ、米、麥、大豆等モ中々
密接ナ關係ガアリマス、左樣ナ意味デアリ
マシテ、麥、大豆、其ノ他雜穀ニ對シテ、
本法案ニ依ツテ配給ノ統制ヲヤル意味デハ
ナイノデアリマス、單ニ市場ニ附隨シテ、是
等ノ仕事ヲ或ル所ニ於テ爲シ得ルコトヲ附
加ヘタニ過ギマセヌ、肥料ノ問題ニ對シテ
ノ御話ガゴザイマシタガ、肥料ハ統制ヲシ
ナケレバナラヌ品物デアリマス、現在ノ如
キ肥料缺乏ノ時代ニ於テハ、肥料ヲ圓滑、
公正ニ配分スルト云フ事柄ハ、最モ力ヲ入
レナケレバナラヌ仕事デゴザイマス、併シ
ナガラ本法案ニ依ツテソレヲ致サウト云フ
考ハ持ツテ居リマセヌ、現在ニ於キマシテ
千、肥料ノ大半ヲ占メテ居リマス無機質肥
料卽チ硫安、加里、過燐酸、斯ウ云フモ
ノニ付キマシテハ、一ツノ中樞機關ヲ設ケ
マシテ、一元的ニ統制ヲヤラシテ居リマス、
而シテ其ノ配給ニ對シテハ、政府ハ或ルモ
ノハ命令シ、或ルモノハ話合ヒニ依ツテ、
キチント配分ノ出來ルヤウニ致シテ居ルノ
デアリマス、更ニ配合肥料ノ配給ニ付キマ
シテモ、極メテ近イ內ニ統制ヲ實行致シタ
イト考ヘテ居リマシテ、本案ニ依ツテ斯樣
ナコトヲ致サウトハ考へテ居リマセヌ、第五
ニ監督官廳ノ問題ニ對シテノ御意見デゴザ
イマスガ、國家ノ主要食物タル米穀ノ統制ニ
關シマス所管ハ、從來カラ農林省ガヤツテ居
ルノデアリマス、今後モヤハリ農林省ガヤル
コトトナリマスガ、本法案ノ政府ト云フ意
義ハ、或ル特殊ノ-卽チ米穀其ノ他從來
農林省ガ專管ヲシテ居ツタヤウナ品物ニ對
シマシテハ、特殊ト致シマシテ、其ノ他ノ
一般ノモノニ付キマシテハ固ヨリ商工、農
林兩省ノ共管トナルノデアリマス、併シナ
ガラ共管ト云フモノハ弊害ガアツテ、不要
ニ時間ヲ費シ、手數ヲ國民ニ掛ケルノデハ
ナイカト云フ只今ノ今成サンノ御意見ハ、
私共モ其ノ憂ガナイトハ申シマセヌ、隨ヒ
マシテ本案實施ニ當リマシテハ、農林、商工
ガ一丸トナツテ、適切ナル取扱方法ヲ定メ
テ、毫末モ國民ニ迷惑ヲ掛ケザルヤウニ致シ
タイト考ヘテ居ル次第デアリマス、第六ニ
本會社ノ配當問題ノ御話ガアリマシタガ、配
當ノ問題ハ、只今今成君ノ御話ノ通リノコト
ニナツテ居リマス、而シテ此ノ會社ノ配當
ハ、政府ノ所有スル株式ニ對シテ、六分ニ
ナルマデハ配當金ヲ取ラヌト云フ位シカ特
權ガ與ヘテナイガ、ソレデイテ他ノ一般國
民ガ拂込ンダ株式ニ對シテノ配當ハ、六分
ガ確保出來ルカ否カ、斯樣ナ御意見デアリ
さく、是ハ申スマデモナク全國ノ米ノ主流
ハ、殆ド此ノ市場ニ依ツテ動キマス關係上、
從來ノ正米取引市場ノ取扱手數料ヨリ相當
下ゲマシテモ、六分ノ配當ハ出來得ルコト
ト確信致シテ居リマス、何レ是等ノ問題ニ
付キマシテハ、會社ノ收支計算書其ノ他ガ
出ルデアリマセウカラ、之ニ就テ御考究ヲ
願ヒタイト思ヒマスガ、尙ホ更ニ政府ノ所
有致シテ居リマスル米ノ媒介モ、此ノ會社
ガ取扱フコトトナルト思ヒマス、更ニ又臺
灣、朝鮮等ニ於キマシテ、若シ日本內地ニ
對スル米ノ取扱ヲ政府ニ委スト云フガ如キ
コトガ生ジマシタナラバ、當然此ノ會社ガ
取扱ヒ得ルコトトナルノデアリマシテ、此
ノ會社ノ計算ト云フモノガ、決シテ不安定
ノモノデナイト云フコトダケハ私ハ確信致
シテ居リマス、隨ヒマシテ、旣ニ不安定デ
ナイト致シマス以上ハ、此ノ株式ニ應募者
ガナイトハ私ハ考ヘナイノデアリマシテ、
應募者ハ相當ニアリ得ル、斯樣ニ存ジテ居
ルノデアリマス、第七ニ役員ノ問題ノ御話
ガアリマシタガ、役員ニ官吏ノ古手ヲ持ツ
テ來ル、事業ニ慣レナイ者ヲ持ツテ來テ頭
ニ据エテ、ソレニ仕事ヲヤラセルコトハ決
ツテ宜シイコトデハナイ、斯ウ云フ御意見
デアリマス、勿論官吏ノ中ニモ優秀ナ人ガ
居リマス、併シ事業ト云フモノハ自ラ
異ルノデアリマスガ故ニ、事業ニ勘能ナル
人ヲ採用シテ、此ノ會社ヲ經營セシムルコ
トニ付キマシテハ、固ヨリ私ハ同感デアリ
マス、隨ヒマシテ此ノ會社ニ於キマシテハ、
理事長ト副理事長ハ官選ニナツテ居リマス
ケレドモ、他ハ株主總會ニ於テ選擧致スノ
デアリマシテ、適當ナル經驗者ガ出テ來ル
ト考ヘマス、政府ニ於テ任命致シマス役員
ニ付キマシテモ、是モ篤ト〓究ヲ致シマシ
テ、決シテ御心配ニナルヤウナ人ハ推薦致
シタクナイト考ヘテ居リマス、大要御質問
ニ對シテ御答致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=3
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004・今成留之助
○今成委員 只今主管大臣ヨリ詳細ナ御答
辯ヲ得マシテ洵ニ私ト致シマシテハ有難ク
御禮ヲ申上ゲマスガ、尙ホ資料等ニ於キマ
シテ細カイ御質問ヲ政府委員ニ致シマスコ
トヲ留保致シマシテ、本日ノ質問ハ是デ打
切ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=4
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005・澤田利吉
○澤田政府委員 只今農林大臣ヨリ詳細ニ
御答辯ガアツタノデアリマスガ、商工省ノ
立場ヨリ商工省關係ニ付テ御答辯申上ゲマ
ス、此ノ法令ヲ出ス以前ニ於テ當業者ト懇
談シタカト云フ事柄ニ對シマシテハ、商工省
ニ於キマシテモ取引所ノ諸君及ビ正米ノ取
扱ヲサレテ居ル方々ト御會ヒ致シマシタガ、
先程農林大臣ノ仰セラレタト同樣ノ意味ニ
於キマシテ、此ノ關係者ノ方々ノ意見ヲ十
分ニ聽キ、之ニ對シテ政府トシテハ此ノ法
案ヲ出サネバナラナイ事情ヲ十分申上ゲマ
シテ、ソレニ對シテ必ズシモ當業者ノ諸君
ハ滿足サレタイト云フ意味デハアリマセヌ
ガ、或ル人々ハ諒解シ、或ル人々ハソレヲ
以テ尙ホ滿足セザルヤウナ方々モアリマシ
タガ、大體其ノ方々ノ御意見ヲ十分ニ尊重
シテ、此ノ法案ノ制定ニ對シテ意ヲ用ヒマ
シタ、尙ホ先刻御話ノ米穀業者、或ハ仲買
業者等ガ長イ間ノ祖父ノ業ヲ失フト云フ御
話ガアリマシタガ、左樣ナ御話モアリマス
ケレドモ、是ハ最モ考ヘナケレバナラスコ
トデアリヌシテ、隨テ此ノ法案ニ於テ是等
ノ業者ノ認可制ヲシ、或ハ將來是等ノ小賣
業者等ニ至リマシテハ、或ハ組合ヲ結成セ
シメ、或ハ金融ノ途ヲ開ク等、十分ニ斯樣
ナ點ニ留意致シタ次第デアリマシテ、將來
トモ此ノ點ニ對シテハ其ノ法ヲ行フ上ニ於
テ、十分力ヲ盡ス考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=5
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006・添田敬一郎
○添田委員長 河野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=6
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007・河野一郎
○河野委員 質問ヲ致シマスニ先立チマシ
テ、豫メ政府當局ニ御諒承願ツテ置キタイ、
ト申シマスコトハ昨日モ同僚ヨリ議事進行
トシテ述ベラレマシタ通リ、本案ハ內容ガ
非常ニ複雜多岐ニ亙リ、而モ各般ニ亙ツテ
勅令ニ讓ラレテ居リマス部分ガ非常ニ多イ
關係カラ、吾々ト致シマシテモ十分ニ審議
ヲ盡シマス上ニ於テ、餘リニモ日數ガ少イ
ノデアリマス、併シ何トシテモ問題ノ性質
カラ考ヘマシテ、吾々ト致シマシテハ、直
接多數ノ國民ニ利害ノ關係ガアリ、又大局
的ヨリ考ヘマシテモ、農林大臣ノ御所見ノ
通リ、現下ノ時局カラ考ヘテ非常ニ重要ナ
ル法案ナリト考ヘマスノデ、愼重ニ審議ヲ
盡シマス傍ラ、成ベク取急イデ審議ヲ致サ
ナケレバナラヌト考ヘルノデアリマス、其
ノ點ニ於キマシテ政府ニ於キマシテモ速ニ
吾々ノ要求致シマシタ材料ヲ御提出ニナリ
マスト共ニ、關係ノ勅令要綱乃至ハ內容ニ
付テハ、速ニ御提出アランコトヲ御願致シ
タイノデアリマス、尙ホ又本案ノ關係スル
所ハ內地、朝鮮、臺灣滿洲、支那、是等我
ガ圓「ブロック」內ニ於キマスル總テノ食糧
政策ノ根幹ニ關スル問題デアリマスガ故ニ、
是等地方ニ於ケル調査資料等ニ付キマシテ
千、十分御取揃ヘノ上、吾々ノ方ノ要求ニ
副ツテ成ベク食糧政策ニ關スル全般ノ資料
ノ御提出ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
固ヨリ本案ノ內容トセラレル所ハ米穀ノ配
給ノ圓滑、取引ノ公正ト云フ所ニアルノデ
アリマセウケレドモ、之ヲ要スルニ戰時下
ニ於ケル食糧ノ不安ヲナカラシムルカドウ
カ、糧料ノ不安ナク圓滑ナル配給ガ出來ル
カドウカト云フ所ニ繫ツテ居ルト思フノデ
アリマス、隨テ若シモ只今モ大臣ノ御答辯
ニアリマシタ通リニ、十分ナル食糧資源ヲ
確保スルコトガ出來マスナラバ、敢テ本案
ヲ必要トシナイト私ハ思フノデアリマス、
卽チ現行米穀各般ノ法律ニ依ツテ、圓滿ナ
ル米穀政策ノ遂行ハ可能ナリト思フノデア
リマス、卽チ此ノ戰時態勢下ニ於キマシ
テ、米ノ資源確保ガ疑問視セラレル所ニ、本
案發足ノ根據ガアルト思フノデアリマスガ、
此ノ認識ガ間違ツテ居リマスナラバ、
ヨリ御所見ヲ承ツテ御討正ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=7
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008・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今河野君ノ御話ニナリ
マシタ第一點ノ諸材料ハ、成ベク速ニ提出
致スヤウニシタイト思ヒマス、第二點ニ、
若シ米穀ノ增產ガ確立セラレテ、是ガ確保
セラレルナラバ、本案ノヤウナ配給ニ對ス
ル所ノ法案ヲ急グ必要ガナイ、或ハ不必要
ニナルノデハナカラウカト云フ御意見デア
リマシタガ、先刻モ申シマス通リ現在ノ日
本ノ內外地ヲ通ジマシタ所ノ實情ニ於キマ
シテハ、丁度需要スル石數ダケガ現在生產
セラレルノデアリマシテ、其ノ生產ヲ更ニ
玆ニ多額ノ增產計畫ヲ立テテ、增產ヲ致ス
ト云フコトニ假ニ致シマスレバ、之ニ要ス
ル開墾ノ勞力モ相當要シマス、又之ニ對ス
ル相當ノ肥料其ノ他ノ費用モ要スルノデア
リマス、併シ是等ノコトヲ全部打消シテ、
非常ナ增產計畫ヲ立テルト致シマシテモ、
現在ノ實情カラ行キマスト、第一番ニ勞力
ガ足ラナイノデアリマス、又農耕器具等ニ
於キマシテモ、不足ヲ致シテ居ル譯デアリ
マシテ、容易ニ大規模ノ增產計畫ヲ立テル
ト云フ事柄ハ、早急ノ間ニ合ハナイノデア
リマス、ノミナラズ只今御話ノ如ク日滿支
大臣一ヲ通ジテ米穀ノ計畫ヲ立テルト致シマシテ
モ、將來ニ於ケル日本ノ農村ノ人々ノ立場
ヲ考ヘマスト、非常ナル增產ニ依ツテ、米
價ガ大暴落ヲ來ス-今日ハ無論サウ云フ
コトハ急ニハ間ニ合ハナイノデスガ、大暴
落ヲ來スト云フガ如キコトガアツタナラ
バ、是亦農村ニ對スル一ツノ問題トシテ殘
ルノデアリマシテ、此ノ點ヲ常ニ能ク見合
ツテ考ヘナケレバナラヌ所ト考ヘマス、只
今ノ所ト致シマシテハ增產計畫ニ對シテ力
ヲ入レルト云フコトハ、モウ御說ノ通リデ
アリマシテ、農林省ニ於キマシテモ、出來
限リ增產計畫ヲ樹テタイト思ツテ、苦心
ヲ致シテ居ルヤウナ譯デアリマシテ、若シ
幸ニ是ガ理想的ニ參リマスナラバ、本法案
ガ假ニアリマシテモ、何モ此ノ法案ニ依ツ
テ何等ノ命令ヲシナイデモ宜シイノデアリ
マス、唯要ハ生產ガ非常ニ增加シナイ、其
ノ場合ニ於テ米穀ガ一部ニ偏在シテハイカ
ヌカラシテ、偏在シナイヤウニ命令ノ發動
ノ出來ルヤウニ致シテ置キタイ、是ガ主眼
デアルノデアリマスカラ、ドウカ左樣御諒
承願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=8
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009・河野一郎
○河野委員 大體ニ私ガ考ヘテ居リマスコ
トハ、只今大臣ノ御話ノ通リニ增產ガ出
來ルカドウカ、增產ヲ實現ヲスルコトガ
獎來ノ農家經營上、果シテ善イカ惡イカ
ト云フヤウナ別ノ議論ハ偖テ置キマシテ、
本法案ニ關スル限リ若シモ庶幾スル所ノ
增產計晝、乃至ハ假ニ食糧政策上必要トス
ル所ノ米穀資源ヲ確保スルコトガ出來ル
ナラバ、本法案ハ敢テ必要トシナイート
申シテハ語弊ガアルカモ知レマセヌケ
レドモ、ナケレバナクテモ宜シイ、大
體從來ノ、又ハ現行ノ米穀各般ノ立法ニ於
テ運營ハ出來ルト云フコトダケハ、私ハ考
へ得ルノデハナカラウカト思フノデアリマ
ス、尙ホ更ニ本案ノ內容トシテ之ヲ考ヘマ
ス際ニ、第五條マデノ-一條、二條、三
條、四條、卽チ日本米穀株式會社ニ關スル
規定、之ヲ中心トシタ取引所關係ノ規定ト、
其ノ四條マデノ一般米商人ニ關スル規定、
乃至ハ米ノ賣買ニ關スル規定ト云フモノト
ヲ、內容的ニ切離シテ考ヘルコトガ出來ル
ト私ハ思フノデアリマス、是ハ全ク同一ノ
法案ノ中ニ含マレテ居リマスケレドモ、是
ハ必ズシモ不可分ノモノトハ考ヘナクテ
宜イノデハナイカト私ハ思フノデアリマ
ス、要スルニ四條マデハ非常特別ナ場合、
政府トシテ只今大臣ノ御示ノヤウニ米ノ
偏在デアルトカ、米價ノ暴騰暴落ニ對シ
テ、立法的ニ行政命令ニ於テ是等ニ對スル
施設ガ出來ルト云フコトハ、卽チ四條マデ
ニ於テ之ヲ爲シ得ルト思フ、日本米穀株
式會社ニ關スル是等ノ規定ハ、要スルニ定
期取引ト云フモノガ餘リニ感心シナイ、又
過去ニ於キマスル米穀統制法、管理法是等
ニ關スル立法ガ、當時ノ因果關係ト申シマ
スカ、サウ云ラ關係カラシテ是等ノ取引所
ヲ救濟シナケレバナラヌ、善後處置ヲ爲サ
ナケレバナラヌト云フコトニ發足シテ、此
ノ日本米穀株式會社ニ關スル規定ト云フモ
ノガ順次發展シテ、此ノ立法ニマデ到ツタ
モフト私ハ諒承スルノデアリマス、隨テ內
容的ニ此ノ政府ノ目的トセラレル所ノ米穀
政策ヲ此ノ非常時下ニ於テドウシテモ政府
トシテ考慮シテ置カナケレバナラヌト云フ
問題ヲ取扱フニハ、是モ私ノ見方ガ餘リニ
極端カモ知レマセヌケレドモ、第四條マデ
ノ立法ガアルナラバ、大臣ノ庶幾セラルル
目的ヲ達スルコトガ可能デアルト私ハ思フ、
食糧政策ニ於テ所謂非常時ガ起ツタ際ニ
ハ政府ノ考ヘテ居ラレルコト、又大臣ノ
憂慮セラレマスルコトハ、是マデノ法律ニ
力ガアルノデアツテ、日本米穀株式會社其
ノモノニハ、サシタル力ハナイ、此ノ會社
ニハサシタル能力ハナイト云フヤウニ、私
ハ極ク大雜把ニ考ヘルノデアリマスガ、此
ノ見方ニ違ヒガアリマスカ、ドウデアリマ
スカ、御所見ヲ伺ツテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=9
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010・櫻内幸雄
○櫻内國務大臣 日本米穀株式會社ニ關ス
ル御所見ニ付キマシテハ、從來サウ云フ風
ナ見方ガ可成リ行ハレテ居ツタヤウニ思ハ
レマスガ、私ノ考ヘマスノハ、卽チ第五條
ニ於キマシテ米穀市場ト云フモノヲ中心ト
シテ考ヘマシテ、サウシテ米穀市場ト云フ
モノハ政府監督ノ下ニ在ル所ノ、日本米穀
株式會社ヲシテヤラシメル、斯ウ云フ建前
ヲ執ツタ譯デアリマス、ソレデ市場ノ必要
ハナイデハナイカト云フ御議論デアリマス
レバ別デアリマスガ、ドウシテモ市場ト云
フモノガアリマセヌト非常ナル多數ノ米穀
商ニ對シマシテ、標準ヲ示ス場所ガ必要デ
アルト云フコトモ一ツノ原因デアリマスガ、
同時ニ此ノ市場ト云フモノガ、總テノ米穀
ヲ取扱ツテ居ル業者ノ目標トナツテ、サウ
シテ圓滿ナル取引關係ガ行ハレルノデハナ
カラウカ、斯ウ思フノデアリマス、又市場
ガ若シ假リニナイト致シマスト、所謂小賣
商人アタリハ問屋サンニ一々行ツテ買ハナ
ケレバナラヌ、併シドノ問屋サンニ行ツテ
宜イカ分ラヌト云フコトモ、起ツテ來ルノ
デアリマス、勿論多年ノ關係ガアリマスカ
ラ市場ニ依ラズトモ自然關係ガ出來マセウ
ケレドモ、甚ダ複雜ニナツテ來ル、又賣リ
マス方カラ言ヒマシテモ、斯ウ云フ市場ガ
アツテ、キチント其ノ市場ト云フモノノ目
標ガ定ツテ居リマスレバ、中間ノ買取人ガ
來マシテモ、安ジテ何等躊躇スル所ナク品
物ヲ賣ルコトガ出來ルノデアリマス、市場
ト云フモノガ配給關係ノ上ニ於テ非常ナ重
要ナ役目ヲ爲スト云フコトハ、恐ク御承認
下サルコトト思フノデアリマシテ、此ノ市
場ト云フモノヲ中心ニ出來ル限リ配給統制
ヲシテ行キタイト思ヒマス、此ノ見地カラ
特ニ日本米穀株式會社ト云フモノヲ設ケテ、
サウシテ政府監督ノ下ニ其ノ業務ヲ行ハシ
メタイ、斯ウ云フコトニ考ヘタ譯デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=10
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011・河野一郎
○河野委員 詳細ノ御尋ハ大臣モ御忙ガシ
イコトト考ヘマスカラ、何レ事務當局ニ對シ
テ伺フコトニ致シマスガ、只今ノ大臣ノ御
話ニ私ノ意見モ同感デアリマスケレドモ、
唯市場ノ有無ト云フコトハ、米穀デアリマス
レバ、現在デモ東京ニハ深川ニモ神田川ニ
モアリマス、此ノ實米市場ダケヲ殘シテ置
クコトニ少シモ差支ナイト思フ、此ノ深川
デモ神田川デモ、實米市場デヤリマスレバ、
玆ニ一般ノ市場價格ト云フモノガ生レル、其
ノ市場價格ヲ中心ニシテ全國ノソレ〓〓ノ取
引ガ生レ、產地ニハ產地ノソレ〓〓ノ相場ガ
出テ來ルト云フコトデアリマスノデ、ソレハ
卽チ日本米穀株式會社ガ市場ヲ開設スルト
云フ市場トハ少シモ違ハナイ、其ノ開設ス
ル市場ノ役割ハ現在ノ實米市場デモ出來ルト
云フヤウニ私ハ思フノデアリマス、併シ是
等ハ若シ御意見ガオアリニナレバ、是ハ議
論ニナリマスカラ、斯ウ云フ忙シイ際ニハ
私ハ申上ゲマセヌ、私ノ所見ダケヲ此ノ機
會ニ申上ゲテ置キマス、要スルニ私ノ認識
ヲ以テ致シマスレバ、何處マデモ現在ノ實
米市場、定期市場ニ付テハ之ヲ止メルナラ
止メル、之ニ對シテ賠償ガ要ルトカ補償ガ
要ルトカ、要ラヌトカ云フ議論ハ私ハシタ
クナイ、是ハ定期市場ガ現在ノ時局上カラ
考ヘテ米穀政策運營上不必要ナラバ止メサ
スガ宜イ、私ハ旣ニ數年前カラ定期市場廢
止論者デアリマス、此ノ前ノ全國ノ各定期
市場ガ更改期ニ來マシタ際ニ、其ノ當時ニ
私ハ商工當局ニ向ツテ、旣ニ此ノ更改期ニ
再認可-期限ノ延長ヲ許サヌガ宜シイ、
ト云フコトヲ私ハ强クノ〓主張シタ一人デ
アリマス、所ガ當時ノ政府ハ之ニ向ツテ更
ニ期限ノ更新ヲセラレマシタ爲ニ、今日斯
ウ云フ風ナ問題ニナツテ居ルト私ハ思フノ
デアリマス、兎ニ角實米市場ヲ中心ニシテ
ヤツテ參リマスナラバ、現行ノ實米市場デ
モ、此ノ日本米穀株式會社ガ經營致シマス
ル實米市場デモ、其ノ間ニ大シタ違ヒハナ
イ、勿論此ノ法律ニ基クモノノ方ガ秩序モ
宜シイシ、整理モ宜シイカモ知レマセヌケ
レドモ、此ノ日本米穀株式會社ニ依ツテ運
營セラレル市場ノ目的ハ、公正ナル市場價
格ヲ作ルト云フコトニアラズシテ、他ニ目
的ガアルダラウト思フ、其ノ他ニ目的トセ
ラレル所ハ、是ハ市場其モノノ目的デハナ
クシテ、米ノ流レノ見方トカ、流レテ行ク筋
合ヲ見ルトカ云フコトデアツテ、是ハ政府
ノ米ニ對スル認識ヲ之ニ依ツテ得タイ、得
ルコトガ出來ルト云フヤウナ效果ハアルカ
モ知レマセヌケレドモ、米穀政策其ノモノ
カラスレバ、米價政策其ノモノカラスレバ、
現在ノ市場價格ニ對シテ適當カ不適當カ、若
シ不適當ノ場合ニハ四條マデノ發動ニ依ツ
テ之ヲ押ヘルコトガ出來ル、米穀ノ偏在ニ
對シテモ四條マデノ發動ニ依ツテ之ヲ押ヘ
ルコトガ出來ル、若シ然ラザレバ他ノ立法
ニ依ツテヤルコトモ出來ルト云フヤウニ、
私ハ考ヘルノデアリマスガ、卽チ斯ク考へ
テ參リマスルト、本案ハ現下ノ我ガ國情ニ
鑑ミテ如何ナル點ニ於テ今議會ニ提案セネ
バナラヌノカ、ドウシテ此ノ議會ニ此ノ法
案ヲ立法シナケレバナラナイカト云フ點ニ
付テ、國家的見地カラ考ヘテ見マスルト、
ドウモ第四條マデノ、卽チ政府ニ是等ノ米
穀商ニ對スル命令權、許可權ト云フモノヲ
得ル所ニ重點ガアツテ、其ノ他ノ點ニ於テ
ハ割合ニ少イノデハナイカ、卽チ何處マデ
モ米ハ日常生活ニナクテハナラヌ必需品デ
アツテ、是ノ數量ガ足リヌトカ足リルトカ
云フコトハ絕對的ノモノダ、如何ニ法律命
令ヲ以テ致シマシタ所ガ、足リヌモノハ足
リヌ、絕對的數字ノ上ニ立ツテ立論スベキ
モノデアツテ、之ヲ些々タル立法ノ上ニ於
テ云々スルコトハ、幾ラカ足シニハナルカ
モ知レマセヌ、邪魔ニハナラヌカモ知レマ
セヌケレドモ、非常ニ消極的ナモノダ、大
臣ガ先程來御述ニナリマスヤウニ、一 部份
偏在スルトカ、言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、
買占デアルトカ賣惜ミデアルトカ云フヤウ
ナモノガ起ルト非常ニ困ル、需給ノ數字ガ
大體ニ於テ一杯ニ行ツテ居ルノデアルカラ、
何處ニデモ澱ミガ出來ルト其ノ爲ニ非常ニ
困ルト云フヤウナ御言葉デアリマスケレド
モ、斯ウ云フコトハ獨リ米ダケデハナイ、
他ノ一般商品總テニ亙ツテ此ノ時局ニ於テ
ハ考ヘナケレバナラヌコトデアリ、殊ニ軍
需資材ノ如キニ付テハ最モ强ク考ヘラレル
點ガアル、必要ダケナイモノガ澤山アル、
サウ云フモノガ澤山アツテサヘモ、別ニ斯
ウ云フ風ナ立法ガナクテモ他ノ一般ノ現行
法ニ於テ、之ヲ取締ル經濟警察其ノ他ノ運
營ニ於テ之ヲヤルコトガ出來ルト云フヤウ
ナ風ニ、私ハ考ヘラレルノデアリマスガ、
此ノ機會ニ甚ダ諄イヤウデアリマスガ、國
家的見地ヨリ立論セラレマシテ、極ク簡單
デ結構デアリマスガ、此ノ法律ガ是ト〓〓
此ノ點ニ於テドウシテモナクテハイカヌノ
ダト云フコトヲ、大臣カラ一ツ承ツテ置キ
タイト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=11
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012・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今ノ御話ノ根幹ノ問題
ニ關シマシテハ、先刻今成君ニ御答ヲ致シ
タ通リデアリマシテ、全ク米穀ノ配給ノ圓
滑ヲ期シテ、サウシテ消費者階級ノ總テニ
食糧品ニ對スル不安ト云フモノヲ一掃スル
ト、一面ニ於キマシテハ、生產者ガ極メテ
便利ニ其ノ生產物ヲ出荷シ得ルヤウニシタ
イ、サウシテ生產者ガ安ンジテ生產ニ從事
スルヤウニ致シタイト云フノガ趣旨デアリ
マシテ、度々申上ゲタ通リデアリマス、正
米市場ヲ以テ十分デハナイカ、ソレト同ジ
コトデハナイカト云フ風ナ御意見デアリマ
スガ、ソレハ御話ノ通リ現在ノ正米市場デ
大體相場モ立チマスシ、又今日相當配給ニ
對シテ貢獻ヲ致シテ居ルコトハ明カデアリ
マシテ、或ル一面カラ見レバ御意見ノ存ス
ル所御尤トモ考ヘマスガ、唯斯ウ云フ場合
ニ於テ全國的ニ統制ヲ致シテ置クト云フ事
柄ハ、最モ必要デアルノデアリマシテ、此
ノ機會ニ於テ全國ヲ一律ニ統制シテ、其ノ
統制シタ一定ノ基準ノ下ニ於テ取引ヲセシ
ムルト云フコトガ最モ適切デアラウト、斯
ウ考ヘルノデアリマス、尙ホハ一點重要ナ
ル事柄ハ、卽チ各〓取引市場ニ於テハ最高最
低ノ値段ヲ決メテ、其ノ最高最低ノ値段ノ
政府デ決メタ所ノ基準ノ範圍內ニ於テ、取
引セシムルト云フ事柄、是ガ可ナリ重大ナ
根幹ヲ成スノデアリマス、卽チ此ノ市場ニ
於キマシテハ國家ガ定メタル所ノ最高最低
ノ範圍內ニ於テ取引セシムルト、斯ウ云フ
コトニナツテ居ルノデアリマシテ、從來ノ
米穀市場トハ玆ニ大イニ趣ヲ異ニシテ居ル
ト、斯樣ニ考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=12
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013・河野一郎
○河野委員 大體御說明ハ諒ト致シマス、
更ニ別ノ方面カラ御尋致シテ見マス、只今
ノ御答辯ノ中ニモアツタノデアリマスケレ
ドモ、尙ホモウ少シ詳シク御述ヲ願ヒタイ
ノデアリマスガ、之ヲ分野ヲ分ケマシテ生
產者卽チ農村ノ側カラ考ヘマシタ時ニ、本
法施行後ニ於テ如何ナル利益ガアルノカ、
農村ニハ此ノ法律ハドウ云フ利益ガアルノ
カ、又ハ、アルカナイカ知リマセヌケレド
モ、ドウ云フ弊害ガ-爲ニナラナイト考
ヘラレル部分ガアルノカ、勿論如何ニ農村
ニ多少ノ弊害ガアリマシテモ、國家的見地
カラヤラナケレバナラヌコトデアレバ、是
ハ我慢シテ甘受シナケレバナラヌコトデア
リマス、ソコデ嚴正ニ考ヘテ、本法案ノ影
響スル所ハ農村ノ立場カラ考ヘタ場合ニ、
如何ナル利害ガアルカト云フコトニ付テ、
御說明ヲ承リタイノデアリマスガ、豫メ私
ノ考ヘ方ヲ申上ゲテ、ソレニ對シテ間違ツ
テ居ル所ヲ御訂正ヲ願フコトニ致シマス、
私ハ本案施行ノ曉ニ於キマシテ、農村ノ側
ト致シマシテハ之ニ依ツテ利益ヲ受ケルト
考ヘラレル點ハ何モナイ、勿論國家的見地
カラ致シマスレバ、只今大臣ノ御述ノ通リ
色々議論ハアルカモ知レマセヌ、一應大臣
ノ御意見ヲ承ツタノデアリマスケレドモ、
私ハ生產者ノ側、卽チ農村ノ側カラ考ヘマ
スルト、本案ガアツテモナクテモ、卽チ現
行米穀政策ニ關スル各種ノ立法ヲ運用セラ
レテ居リマスル限リ、本案ノ施行ト云フモ
ノハ農村ニ對シテ何等喜ブベキ結果ヲ齎ラ
スベキモノデハナイ、更ニ進ンデ申シマス
ナラバ、現在ノ如クニ不公正ニ最高價格ガ
抑ヘラレテ居リマス以上、其ノ最高價格ヲ
嚴守スル、完全ニ之ニ依ツテ抑ヘルト云フ
コトノ影響ヲ受ケテ、寧ロ農村トシテハ最
高價格以上ニ絕對ニ米ヲ賣リ得ヌト云フ非
常ナ强壓性ヲ感ズル、其ノ他-話ガ細カ
クナリマスカラ是ハ事務當局ト何レ機會ヲ
見テ問答致シタイト思フノデアリマスガ、
米穀會社ニ於テ扱フ手數料ノ如キハ僅カノ
モノデアリマス、是ハ微々タルモノデアリ
マスケレドモ、運賃諸掛等ニ於テ現在ヨ
リモ取引ガ複雜ニナリマス關係カラ、寧ロ
生產者ノ手取金ガ少クナルノデハナイカ
ト云フヤウナ各般ノ點カラ考ヘテ、却テ
農村トシテハ-國家的ニハ必要ナ法案
カモ知レマセヌケレドモ、農村獨自ノ立場
カラ考ヘマシテ喜ブベキ法案デハ決シテナ
イ、農村振興ノ役ニ立ツ、農家經濟改善ノ
爲ニ役ニ立ツ法案デハナイ、卽チ之ヲ逆ニ
考ヘマシテ、米價ノ暴落ノ際ニ、一番下値
ヲ之ニ依ツテ儼トシテ抑ヘルト仰シヤルケ
レドモ、是ハ大臣御承知ノ通リ、現行米穀
法ニ於キマシテ最低價格ヲ下廻ラウトスル
ナラバ、幾ラデモ政府ガ買ツテ下サルノデ
アリマスカラ、是程ハツキリシタコトハナ
イ、法律デ下値ヲ抑ヘル以上ニ全部政府ガ
買ツテヤルト云フ法律デアリマスカラ、下
値ニ對シテハ農民ニハ何モ心配ハナイ、所
ガ上値ニ上ラントスル時ハ、今マデノ政府
ノ持米ヲ賣出スダケデハ、時ニ依リ、所ニ
依ツテソレヨリモ高ク賣リ得ル機會ガアリ、
又賣リ得タノデアリマスケレドモ、本法施
行ノ曉ニ於キマシテハ、法ノ上ニ於テ儼ト
シテ取締ラレマス關係カラ、却テ農村ノ側
トシテハ餘リニ有難クナイヤウニ考ヘラレ
ルノデアリマスケレドモ、之ニ對シテ御訂
正ナサル所ガアリマシタナラバ承リタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=13
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014・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 生產者側ノ利益ノ點ハ、
申スマデモナク市場デ一定ノ値段ガ決リマ
スト、ソレヲ基準トシテ農村ノ庭先ニ於テ
モ賣買ガセラレルコトニナルノデアリマシ
テ、何處ノ相場ヲ見テドウスルトカ、ドノ
取引ノ市場ノ相場ヲ見テドウスルトカ云フ
コトノ必要ハナク、唯米穀市場ノ相場ヲ見
テ、サウシテ庭先デ商ヒガ出來ルコトニナ
ルノデアリマシテ、安ンジテ取引ガ出來ル
ト私ハ思フノデアリマス、而シテ其ノ取引
關係ガ複雜トナツテ、非常ニ經費ガ增スデ
ハナイカ、斯ウ云フ虞ハナイカト云フ御話
デアリマスガ、私ハ現在ノ機構ト少シモ變
ラヌト思ヒマス、現在ノ機構ヨリ是ガ惡ク
ナルト云フコトニ付キマシテハ、ドウモ首
肯致シ兼ネルノデアリマス、今ノ儘デ今ノ
取引員ガ今ノ市場デ賣ツテ居ルノト、今ノ
米穀取扱業者ガ正米市場デ賣ツテ居ルノト
何等違ヒガナイノデアリマシテ、手數料ノ
差ガアルダケハ、一厘デモ幾ラデモ、極メ
テ少額ナモノデアツテモ、ソレダケノ利益
ハ出テ來ルト思フノデアリマス、不公正ナ
ル最高價格ト云フ御話ガアリマシタガ、是
ハ十分有ユル方面カラ考究シテ、實際ノ適
正ナル最高、最低價格ト云フモノガ決マル
ノデアリマシテ、今日ノ時代ニ於キマシテ
ハ、或ハ色々ナ議論ガアルカト思ヒマスケ
レドモ、此ノ點ハ私ハ別箇ノ問題ダト思ヒ
マス、是ハ公正ナル最高最低ノ値段ガアツテ、
其ノ最高最低ノ値段ニ於テヤルベキコトデ
アツテ、此ノ問題ニ對シマシテ農村ガ非常ニ
迷惑スルコトハ、私ハナイダラウト思ヒマス、
農村ガ本法案ガ出來テ何處ニ非常ナ損ガア
ルカト云フコトニナリマシタナラバ、私其
ノ損ノ點ヲ發見致サナイノデアリマシテ、
寧ロ斯ウ云フヤウニ一元的ニ市場ガ統制サ
レマスト、所謂運輸ノ系統ニ於キマシテモ、
鐵道運賃ナドニ於テ全國的ニ調節サレマス
結果、サウ云フ中間ノ費用ガ減ツテ、其ノ
減ツタダケハ卽チ農村ト消費者ト兩方面ニ
配分セラレルノデハナカラウカ、斯樣ニ思
ツテ居ルノデアリマシテ、此ノ點ニ付キマ
シテハ毫モ生產者ヲ苦シメルモノデナイ、
斯ウ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=14
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015・河野一郎
○河野委員 大臣ト所見ヲ異ニ致シマスコ
トハ甚ダ遺憾デアリマスケレドモ、是ハ私
ノ〓究ガ足ラナイノカ、認識ガ不足ナノカ
知リマセヌガ、何レ機會ヲ見マシテ、事務
當局ト十分問答致シマシタ上ニ、次ノ機會
ニ大臣ニ改メテ御尋スルコトニ致シマス、
唯一點ノ此ノ機會ニ申上ゲテ置キマス事ハ
現在ノ實米市場ニ於ケル價格ト、此ノ米穀
會社ガ出來マシテ其ノ會社ノ運營スル市場
ニ於ケル市場價格ト、農村ノ側カラ見
タ場合ニ、此ノ法案ガ實施セラレルト
一本ノ値段ニナルカラ、安心シテヤレ
ル、今ノヤウニ何處ノ相場、何處ノ相
場ト云フコトガナクナルカラト云フヤウナ
御話ノヤウデアツタノデアリマスガ、私ハ
ソレハ同ジデハナイカト思フ、例ヘバ此ノ
會社ガ經營シマシテモ、大阪ノ正米市場ノ
相場ト、東京ノ正米市場ノ相場トハ必ズシ
モ同値デハアリ得ヌダラウト思フ、是ハ全
國各地ノソレ〓〓ノ地方ニ於テ、正米市場
ヲ如何ニドノ會社ガヤラウガ、一本ノ會社
デヤラウガ、是ハ其ノ地方ニ於ケル米ノ動
キニ依ツテ、相場モ出テ來ルノデアツテ、
最高最低ト云フモノハ、是ハピタツト釘付
ケサレルカモ知レマセヌケレドモ、其ノ中
間ニ於ケル動キト云フモノハ、如何ニ米穀
會社法案ガ一ツノ主體ニ於テ市場ヲ幾ツ開
場シヨウガ、其ノ開場シタ諸市場ガ皆同ジ
ダト云フ譯ニハ行カナイダラウト思フ、尤
モ今日ハ電信電話ノ發達シタ際デアリマス
カラ、昔ノヤウナコトハナイニシマシテモ、
ソレハ現在ノ正米市場デモ同ジデアリマ
ス、其ノ間ニ運賃諸掛ト云フモノノ關係
デ、上廻ル場合モアリ、下廻ル場合モアリ
マスケレドモ、ソレハ米ノ動キ等ニ依ツテ、
違ツテ來ルノデアツテ、是ハ何等米穀市場
ガ日本米穀會社ニ依ツテ經營セラレマシテ
モ、現在ノ正米市場其ノ儘デアツテモ、サ
ウ大シタ問題デハナカラウト思フノデアリ
マシテ、是ハ生產者ノ方デ考へマスレバ、
ソレ〓〓ノ有利ナ方面ニ米屋ガ賣ツテ吳レ
ル、今ノ相場ガ良ササウデアルトカ惡サウ
デアルトカ云フコトヲ生產者ハ考ヘルノデ
アツテ、ソレニ依ツテ農家ガ利益トカ不利
益トカト云フコトハ大シタコトハナカラウ
ト私ハ思フ、唯今言フ通リ、運賃其ノ他ノ
諸掛ノ點ニ付テハ、是ハ遺憾ナガラ大臣ノ
御意見ニハ私ハ承服シ兼ネル、併シ是ハ話
ガ細カクナリマスカラ何レ事務當局者トノ
間ニ十分問答ヲ重ネタイト思ヒマス、次ヘ
配給ヲ受ケル消費者ノ階級カラ考ヘマスレ
バ、此ノ法律施行後ニ於テ一體ドウ云フ利
益ガアルカ、此ノ法律ニ依ツテドウ云フ利
益ガ齎ラサレルカト云フコトニ付テ考ヘテ
見タイノデス、又ソレニ對シテ當局ノ御意
見モ承ツテ見タイノデス、私ガ最高價格ノ
不公正ト云フコトヲ申上ゲタノハ、是ハ少
シ言葉ガ不適當デアツタト考ヘマス、是
大臣御述べノ通リデアツデ、之ニ付テノ議
論ハ別デアリマスカラ、其ノ言葉ニ付テハ
玆ニ謹ンデ訂正致シマス、是ハ國家的見地
カラ公正ニ御決メニナツタノカモ知レマ
セヌガ、吾々農村ノ側ト致シマシテハ不滿
デアルト云フコトヲ申述ベテ訂正致シマ
ス、ソコデ何レニシマシテモ、其ノ最高價
格ナリ最低價格ナリガ、假ニ非常ニ公正ニ
決定サレテ居ルト致シマシテモ、其ノ決定
セラレタ價格ハ、市場デ取引セラレル價格
デアル、市場デ取引セラレル範圍內ノ價格
デアル、所ガ消費者側カラ考ヘマスト、大
臣御述べノヤウニ運賃デアルトカ、其ノ他
ノモノガ無論統制セラレルカラ、其ノ利益
ガ消費者ト生產者ニ分配セラレテ、却テ取
引ノ單一化、簡單化ニ依ツテ、サウ云フ利
益ガアルダラウト云フヤウナ御話デアリマ
スケレドモ、是ハ先程申シタ通リニ別ノ議
論ト致シマシテ、私ハ何處マデモ此ノ法律
其ノモノガ敢テ申シマスレバ、非常立法デ
アル、斯ウ云フ非常時ニハ斯ウ云フモノガ
ナケレバナラヌカラ、ヤツテ置クノダト云
フ所ニ、政府ノ本案立案ノ發足點ガアルダ
ラウト思フ、サウスルト吾々トシテモ、サ
ウ云フ米穀政策ノ上ニ於ケル非常時ノ場合
ヲ考ヘナケレバナラヌ、譬ヘテ申シマスレ
バ、米ノ稍〓圓圓ナル配給ガ困難視サレル場
合ヲ一ツ豫想スル、最高價格ニ釘付ニナツ
テ居ル場合ヲ豫想スル、其ノ際ニ於テ果シ
テ大消費地デアル所ノ東京市民ノ配給ヲ
受ケテ居ル米ノ價ト云フモノハ、ドウ云
フコトニナルダラウカト云フコトヲ一例ヲ
取ツテ考ヘテ見マスト、確ニ大臣ノ御話
ノ通リニ東京ノ此ノ會社ガ經營スル所ノ正
米市場ノ米價ハ、最高價格以上ノ取引ヲ禁
止セラレルノデアリマスカラ、最高價格デ
止マルデアリマセウガ、此ノ市場ヲ經由致
シマシテ問屋カラ小賣ヲ經テ消費者ニ渡ルマ
デノ米價ト云フモノハ、如何ニシテ御
取締ニナルカ、如何ニシテ是ガ配給ヲ受ケ
ルカ、ドウ云フ價格デヤラレルダラウカト
云フコトヲ考ヘマスト寧ロ私ハ消費者ノ
側カラ考ヘマシテモ、憂慮スベキ事態ガ起
ルノデハナイカト思ツテ居ルノデス、東京
ヘ持ツテ行ツタ所ガ最高價格デ決ツテ居
ル、ソレ以上ニハ賣レナイノダ、サウ云フ
コトニナレバ、最高價格デ賣リ得ルー-運
賃諸掛リ、サウ云フ經費ノ一番有利ナ場所
ニ米ヲ持ツテ行ツテ賣向ツテ行キマス、主
要ナル米產地ニ接近シタ所ノ市場ニ向ツ
テ、最モ運賃諸掛リノ安ク付ク所ノ市場ニ
向ツテハ、順次ニ米ハ〓ツテ來マスケレド
モ、米ノ主要ナル產地ヲ近接地ニ持チマセ
ヌ所ノ消費地ハ、最高價格以上ノ取引ハサ
セヌト云フコトニナリマスカラ、一番後デ
ナケレバ米ハ出テ來ヌノデアリマス、是ハ
敢テ面倒ナ理窟ハ申シマセヌガ、其ノ通リ
大臣ハ御承認ニナルト思フ、生產者ノ方カ
ラ申シマスレバ、最高價格以上ノ取引ハサ
セヌト云フノデアリマスカラ、サセヌナラ
バ運賃其ノ他諸掛リノ關係カラ、一番近イ
場所ニ持ツテ行ケバ、生產者ノ手取リガ多
クナルノデアリマスカラ、一番生產地カラ
遠ザカツテ居ル消費地ニハ米ノ出〓リガ惡
クナル、サウスルト其ノ消費地ニ於ケル所
ノ消費階級ハ、米ニ對スル不安ヲ感ズルデ
アラウト云フコトモ、考ヘ得ルト私ハ思フ
ノデアリマス、是ハ政府ノ色々ナ操作モア
リマセウカラ、單ナル豫想ニ終ルカモ知レ
マセヌケレドモ、サウ云フ風ニ吾々國民ト
シテ考ヘ得ル條件ハ、卽チ配給關係、配給
機構ニ入リマシタ場合ニ於テ、ソレガ米屋
ノ色々ナ闇取引其ノ他ニ入ツテ來ルト私ハ
思ツテ居ル、サウ致シマスト之ヲ消費者ノ
側カラ考ヘタ場合ニ、一體ドウ云フ利益ガ
アルカト云フコトニ付テハ、甚ダ私ハ遺憾
ナガラ玆ニ消費者側カラ考ヘテモ、此ノ法
律ガ成程是等ノ點ニ於テ良イノダト云フコ
トハ、發見ニ苦シムノデアツテ、單ニ本法
ノ必要ナ所以ト云フモノハ、國家的見地カ
ラ考ヘテト申シマスルガ、是モ言葉ガ過ギ
ルカモ知レマセヌケレドモ、强ヒテ申セバ
政府ガ米穀生產計畫ニ於テ、乃至ハ我國內
ニ於ケル所ノ食糧資源ノ確保ノ上ニ於テ、
萬一不足ヲ來シマシタ場合ニ於テ、何カ持
ツテ居ラヌト心淋シイ、手淋シイト云フ趣
旨カラ斯ウ云フモノガ入用ナノデハナイカ
ト云フヤウニ、甚ダ失禮ナ申分デアリマス
ケレドモ、考ヘルノデアリマス、是等ニ對
シテモウ一遍重ネテ御意見ヲ承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=15
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016・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 第一ニ私ノ申シマシタア
チコチノ市場ノ取引ノ相場ヲ見テ農村云々
ト云フコトデアリマスガ、ソレハ丁度河野
君ノ御說ノ通リ、市場每ニ相場ガ立ツノデ
アリマシテ、要スルニ市場每ノ相場ヲ標準
トシテ考ヘ、運賃諸掛リヲ考ヘテ農村ガヤ
ルノデアリマシテ、今日ト大シタ相違ハア
リマセヌケレドモ、唯全國的ニ統制サレマ
シタ此ノ會社ニ於テ決定致シマシタ相場ト
云フモノハ、從來ノト違ヒマシテ全國的ニ
大體ニ於テ統制ガ取レルト云フ意味ヲ申上
ゲタノデアリマスガ故ニ、此ノ點ハ私ノ前
ノ言葉ガ足ラヌト思ヒマスカラ、訂正致シ
テ置キマス、ソレカラ消費者階級ノ利益ハ
何處ニアルカト云フ御話デアリマスガ、是
ハ平生ニ於テ是レ〓〓ノ利益ガアルト、サ
ウ取立テテ大キク申上ゲルノデハアリマセ
ヌケレドモ、小サナ點ニ於テハ相當利益ノ
點ガアルト思ヒマス、卽チ此ノ市場ガ出來
マシタ結果ト致シマシテハ、市場ニ行キマ
スレバ、市場ガ特ニ現物ニナリマスレバ、現
在デモ直カニ賣ツテ居リマスケレドモ、此
處ニ於テ安定シタ相場ニ依ツテ買ヘルト云
フ點ガ私ハ利益デアツテ、日々相場ガ假ニ
動搖致シマシテモ、從來ノヤウナ所謂假需要
トカ見越トカ云フモノニ依ツテ、相場ガ動
搖致シマセヌカラ、相場ノ動搖ニ因ル今マ
デノヤウナ動キガナクナル、斯ウ云フ點ガ
利益デアルト思ヒマス、併シ一番大ナル利
益ハ何デアルカト云フト、何トシテモ消費
者トシテ一番困リマスコトハ、米ガ自分ノ
手ニ入リニクイコトデアル、卽チ配給ガ不
圓滑ニナツタ場合ニ於テ、米ガ自分ノ手ニ
入リニクイト云フコトガ一番困ルト思ヒマ
ス、今囘ノ案ガ出來タ結果トシテハ、此ノ配
給ガ徹底的ニ圓滑ニ行ク、必ズ米ノ需要ニ對
シテ事缺カサヌ、自分ノ手ニ米ガ〓ツテ來ル
ト云フ、玆ニ非常ナ安心ガ出來ルデアラウ
き
ト思ヒマス、今日ノ現狀ニ於キマシテハ、
固ヨリ米ノ消費者ガ米ガ足ラヌカラト云ウ
テ騒グ程ノモノデハアリマセヌケレドモ、
將來ノ萬一ノ場合ヲ豫想致シマシタ場合ニ
ハ、米ガ安ンジテ手ニ入ルト云フ事柄ハ、
大ナル利益デアラウト思ヒマス、ソレカラ
今マデハ色々ナ系統デ米ヲ取引サレテ居ツ
タデアリマセウガ、其ノ取引サレテ居ル間
ニ於キマシテモ、玆ニ其ノ統制ガ出來マシ
タ結果ハ、相當ナ配給手數料ト云フモノハ
殆ド公定トハ行キマセヌデモ、自ラ定ツテ
來ルト思ヒマスカラ、或ル部分ノ人々ハ私
ハ利益ヲ受ケルト思ヒマス、ソレカラ米ノ
集散ガ所謂生產地ニ近イ所ニ集ツテ、最高
價格ニ接近シタ場合ニ於テハ、多クノ米ガ
生產地ニ近イ市場ニ集ツテ、他ニ集ラヌノ
デハナイカ、斯ウ云フ風ナ御意見デアリマ
スガ、御承知ノ通リ大阪、東京ヲ中心トシ
テ基準ガ定リマスト、運賃ハ自ラソレカラ
定ツテ行クノデアリマシテ、地方ノ市場ニ
於ケル價格モ之ヲ基準トシテ決定ヲ致スコ
トニナルダラウ、左樣ニ考ヘテ居ルノデア
リマスカラ、其ノ不安ハ私ハナイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=16
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017・河野一郎
○河野委員 今ノ大臣ノ御話デハ、更ニ細
カナ意見ヲ申上ゲテ事務當局ノ意見ヲ質サ
ナケレバナラヌ點ガアリマスノデ、ソレハ
其ノ程度ニ致シテ置キマシテ、大體大臣ノ
所見ヲ伺ヒタイ點ダケ拾ツテ、此ノ機會ニ
伺ツテ置クコトニ致シマス、併シ何レニシ
テモ今マデ大臣ヨリ本案ガ如何ナル見地カ
ラ必要ナノカト云フ點ニ付テハ、色々御述
ベ戴キマシタケレドモ、私トシテハ肯定シ
兼ネル點ノ多イコトヲ甚ダ遺憾ニ思フノデ
アリマス、此ノ機會ニ更ニ伺ツテ置キタイ
ノハ、再三繰返サレマスルヤウニ、米ノ配
給ノ圓滑、不圓滑、現行ノ規定ニ於テハ米
ノ配給ガ不圓滑ニナル虞ガアル、今ノ御話
デハ此ノ法律ヲ使ヘバ配給ガ圓滑ニナルノ
ダ、消費者トシテ、ドウ云フ場合ニモ米ガ
渡ルノダト云フ安心ヲ持テルト云フ話デア
リマスガ、ソレハドウ云フコトニ依ツテサ
ウ云フコトガ豫想出來ルノデアルカ、私ハ
寧ロ此ノ法律ヲ施行スルコトニ依ツテ、先
程申上ゲマシタヤウニ、日本米穀株式會社
ニ依ツテ經營セラレルコトニ依リマシテ、
寧ロ逆ニ色々ナ點カラ主タル消費地ニ米ガ
集リニククナルト云フ考ガスルノデアリマ
ス、併シサウデナク、進ンデ配給ガ圓滑ニ
ナルノダト云フ點ハ、一體ドウ云フ點デ配
給ガ圓滑化サレルノデアリマスカ、一ツ伺
ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=17
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018・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 米穀ノ集散配給ト云フモ
ノハ、現狀ト毫モ變リナイノデアリマス、
私ノ申シマスノハ、一朝偏在スルガ如キ場
合ガアツタナラバ、其ノ偏在ヲ防止スルコ
トガ出來ルト申上ゲタノデアリマシテ、現
狀ニ於キマシテハ此ノ會社ガ出來マシタ結
果トシテ、米穀市場ト云フモノガ全部統制
ヲサレテ、其ノ統制下ニ於テ取引ガ致サレ
ルノデアリマスカラ、從來ノ米穀市場下ニ
於ケル假需要トカ、或ハ思惑トカ、或ハ先
見越ヲシテ空賣スルト云フコトニ依ツテ、
米穀ノ價格ガ動搖セズシテ、卽チ一定シタ
ル範圍內ニ於テ安ンジテ取引ガ出來ル、斯
樣ニ申シタ譯デアリマシテ、其ノ點御諒承
ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=18
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019・河野一郎
○河野委員 質問ヲ進メル上カラ極ク簡單
デ宜シウゴザイマスカラ、此ノ機會ニ御說
明願ツテ置キタイノハ、一體全國ニ何箇所
位市場ヲ持タレル積リデアルカ、而モ其ノ
市場デ扱ヒマス米ノ數ハドウカ、而モ市場
ヲ認可スル基準ト云フモノハドウ云フコト
デ認可スルノカト云フコトヲ、極ク簡單ニ
承ツテ置キタイト思ヒマス、何レ詳シイ質
問ハ後カラ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=19
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020・周東英雄
○周東政府委員 御答申シマス、只今豫想
シテ居リマスノハ大體現〓算取引所若クハ
正米市場ノアリマス、府縣ヲ、大體豫想致シ
テ居リマス、併シ是ハ實施ノ際ニ能ク米穀
ノ事情、米穀ノ移動ノ狀況ト云フヤウナコ
トヲ考慮致シマシテ、多少ノ移動ハアルモ
ノト考ヘマス、ソレカラ御質問ノ第二點、
市場設置ノ許可ヲ致シマス標準ト云フ御話
デアリマスガ、大體此ノ米ノ集散狀況、
ソレカラ需要狀況ト云フヤウナ事柄ガ
基準ニナツテ參リマスノデ、只今申上ゲ
タヤウニ、大體現在出サレテ居リマス市
場ノ設置箇所ニ、一應認メテ行カウト
思ツテ居リマス、ソレカラ數量ノ點ハ、是
ハ私共ノ只今豫想致シテ居リマスル數量ハ
實物市場ヲ置キマス箇所ト、未着物ノ取引
ヲ許シマスル箇所ト、延ノ市場ヲ置キマス
ル場所トニ依ツテ、多少違フト思ヒマス、大
體實物市場ニ於キマシテハ、現在ノ內地ニ
於キマシテノ管外移出米ノ販賣高ガ、約千
四百九十万石位アリマス、是ハ內地ニ於キ
マスル外地米ノ販賣總高ノ約半額位デゴザ
イマス、此ノ外地米ノ管外販賣高ノ約五割
程度、ソレカラ朝鮮米ノ內地移入高約五六
割ソレカラ臺灣米ノ內地移入高ノ大部分
ト云フヤウナモノヲ考ニ置イテ居リマシテ、
大體其ノ總數量ヲ千五百万石ト見テ居リマ
ス、ソレカラ未着物ニ付キマシテハ、是ハ
ヤハリ內地管外米販賣高ノ約半額程度、朝
鮮內地移入高ノ相當部分、臺灣米ノ移入高
ノ約半分位ト云フヤウナモノヲ想定致シマ
シテ、約千四五百万石ト考へテ居リマス、
ソレカラ延ニ於キマシテハ現存ノ取引所ノ
格付〓算取引ノ、最近ノ動キト云フモノヲ
極ク少ク見積リマシテ、約三割程度ヲ見テ
居リマス、約千二三百万石程度ト見テ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=20
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021・河野一郎
○河野委員 豫想サレル數字、例ヘバ約半
額トカ約六七割ト云フモノヲ豫想サレル理
論的根據ト云フモノハ、何カアルノデスカ、
唯大略デサウ言ハレルノデアリマスカ、
ツ御說明願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=21
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022・周東英雄
○周東政府委員 大體實米取引所ニ於キマ
スル取引ノ數量ヲ想定致シマシタノハ、現
在ニ於キマシテノ生產者團體ガ實際大部分
移出米ヲ動カシテ居ル、ソレ等ノ實際ト、
ソレカラ實米市場ニ取引サレテ居リマス問
屋筋ノ實米ノ取扱數量カラ參酌致シマシテ、
大體ノ數量ハ同ジ數量ニナツテ居ル譯デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=22
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023・添田敬一郎
○添田委員長 河野君、十二時過ギマシタ
カラ、午後ニ引續イテオヤリヲ願フコトニ
シタラドウデセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=23
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024・河野一郎
○河野委員 承知致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=24
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025・添田敬一郎
○添田委員長 ソレデハ是デ休憩ヲ致シマ
シテ、午後一時半ヨリ開會スルコトニ致シ
マス
午後零時十一分休憩
午後一時三十八分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=25
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026・添田敬一郎
○添田委員長 午前ニ引續イテ開會致シマ
ス-河野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=26
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027・河野一郎
○河野委員 午前ニ引續イテ御尋ヲ致シマ
スガ、大體午前中モ御尋致シマシタ通リニ、
吾々ノ見方ヲ以テ致シマスルト、本案審議
ノ根本ニ觸レル問題ハ、先ヅ我國ノ現下ノ
戰時態勢ニ於キマシテ、食糧資源ガ十分滿
足ニ確保スルコトガ出來ルヤ否ヤ、萬々一
ニモソレニ付テ不安ノ情勢ヲ招來スルヤウ
ニナリマシタ際ノ、何等カノ準備ヲシテ置
ク必要ガアル、ソレニハ斯ウ云フ法案ガナ
クテハナラヌノデハナカラウカ、ドウカト
云フ所ニ本案ノ重大性ガアルヤウニ考ヘル
コトガ、先ヅ第一デアリマス、第二點ト致
シマシテハ、先日同僚吉植君カラ本會議ニ
於テ御述べニナリマシタ通リニ、米穀政策
ノ理想ト申シマスカ、目標ト申シマスカ、
譬ヘテ申セバ專賣制度ノ問題ニ付テ其ノ過
程的ニ斯ウ云フコトヲ順次行ウテ、此ノ理
想ニ向ツテ進ム、一ツノ過程トシテ斯ウ云
フコトヲヤルコトガ宜カラウカ、ドウダラ
ウカト云フコトニ私ハ考ヘラレルヤウナ氣
持ガスルノデアリマス、ソコデ先ヅ根本論
ト致シマシテ、大臣ニ此ノ二點ニ付テ以下
少シク御尋ヲシテ見タイト思フノデアリマ
ス、卽チ先ヅ第一ノ點デアリマスルガ、食
糧資源確保ト云フ點ニ付テ、私ハ遺憾ナガ
ラ現內閣ノ政策ガ甚ダ不統一デアル、內地、
農林當局ニ於カセラレマシテハ非常ニ此ノ
食糧資源確保竝ニ食糧政策ニ付テ、色々御
懸念ノヤウデアリマスケレドモ、飜ツテ之
ヲ外地ノ朝鮮、臺灣、更ニ又滿洲國、支那
方面ニ於キマスル、先程私ガ申上ゲマシタ
所謂圓「ブロック」內ニ於ケル食糧政策ノ統
制ト云フコトニ付テ、果シテ一致シタ同一
方向ニ向フ所ノ統制ガアリヤ否ヤト云フコ
トニ、非常ナ疑ヲ持ツ者デアリマス、以下順
次之ヲ御尋致シタイノデアリマスケレドモ、
本日ハ是等ノ關係ノ當局モ御見エニナリ
マセヌノデ、大體大臣カラ現內閣ノ方向
ニ付テ一ツ御尋ヲ致シマシテ、適當ナ
機會ニ委員長ノ御計ヒデ、拓務大臣其
ノ他臺灣、朝鮮、更ニ對滿事務局等ノ
當局ニ付テ御尋ヲ致シタイト思フノデア
リマスカラ、其ノ點ハ御諒承ヲ願ツテ置キ
やく、卽チ例ヘバ臺灣ニ於ケル米穀政策ノ
如キハ、本議會ニ提案セラレテ居リマスル
臺灣米ノ移入ニ關スル問題、臺灣ノ獨自ノ
立場ニ立ツタ所ノ產業政策ニ付テ、其ノ內
容又ハ法案ノ是非等ニ付キマシテハ、私此
處デ發言ヲ差控ヘマスケレドモ、唯一言此
ノ法律ガ消極的ニハドウデアラウトモ、積
極的ニ米穀資源ヲ-米ノ增產ヲ意圖シテ
居ルカドウカ、米ノ增產ト云フコトニ付テ
ハ此ノ法律ガ何レノ方向ニ向ツテ居ルカト
云フコトヲ考ヘマスル時ニ、如何ニ論ジテ
モ此ノ法律ガ積極的ニ米ノ增產ヲ意圖シテ
居ルモノデナイト云フコトハ、明カダラウ
ト思フノデアリマス、目的ハ他ニアルノデ
アツテ、米ノ增產ニ目的ヲ置イテ居ラヌ、
更ニ極端ニ申セバ米ノ增產ニ付テハ遺憾ナ
ガラ逆效果ヲ來スヤウナ法律ノ仕組デアル
ヤウニ私ハ考ヘテ居リマス、又朝鮮ニ於テ
モ嘗テ民政黨ノ先輩デアラレル方々ノ御立
テニナリマシタ朝鮮ノ產米增殖計畫、之ヲ
一時米價ノ低落當時ニ於キマシテ稍〓改變
シ、更ニ又之ヲ抑ヘルヤウニシテ來ツテ以
來、今日果シテ朝鮮當局ニ於テ彼ノ產米增
殖計畫ヲ立テラレタ當時ノ意氣組ヲ以テ、
果シテ朝鮮ノ米穀政策ヲ運營シテ居ラレル
ヤ否ヤト云フコトニ付テハ、遺憾ナガラ是
亦吾々ハ左樣相成ツテ居ラヌト云フコトニ
諒承セザルヲ得ヌノデアリマス、更ニ又進
ンデ滿洲ノ問題ニ付テ考ヘマス時ニ、是亦
滿洲ニ於テハ米穀認可制度ヲ取ツテ居ル
ト云フコトデ、此ノ點ニ付テモ米穀資源確
保ノ上カラ申シマスナラバ甚ダ消極的デア
ル、尤モ先程大臣ノ御答辯ニアリマシタヤ
ウニ、米ヲ無暗ニ增產スルト、其ノ結果將
來米價ノ低落ヲ見タ時ニ困ル、米價ノ低落
ニ對スル政策ヲ立テナケレバナラヌヤウニ
ナツタ時ニ、餘リニ奬勵スルト云フコトモ
考ヘモノダト云フ御話モアツタノデアリマ
スケレドモ、此ノ非常時下ニ於キマシテ、
現下ノ戰時態制下ニ於テ、各種ノ產業政策
全般ニ於テ、國家的見地カラ考ヘタ產業政
策ニ發足シテ、吾々ガ此ノ米穀政策ヲ考ヘ
マシタ時ニ、大臣ノ御話ニナリマシタヤウ
二、將來米ガ餘ツテ米ノ値ガ下ツタ時ニ
困ルデナイカト云フヤウナコトヲ考ヘテ居
ル程、コト程左樣ニ現下ノ我國一般產業政
策ハ、悠長ナモノデハナカラウト思フ、萬
萬一ニモ、絕對ニ無ケレバナラヌ米ニ對シ
テ外米ノ輸入デモシナケレバナラヌヤウニ
ナルコトヲ、吾々ハ虞レルコトノ方ガ急デ
ハアルマイカト思フノデアリマス、寧ロ此
ノ法律ニ依ルヨリモ、此ノ方ヲ吾々ハ虞レ
ル、如何ニ此ノ法律ガアツテモ足リヌモノ
ハ足リヌ、勿論大臣ノ御話ノヤウニ、或ハ
配給ヲ圓滑ニスルコトニ依ツテ、數字的ニ
机上ノ計算ニ於テ或ル程度マデ過不足ナク
流スコトハ可能デアルカモ知レマセヌ、併
シ絕對數字ニ於テ足リヌモノハ、何處マデ
行ツテモ足リヌノデアリマス、其ノ足リヌ
ヤウナ場合ガ起ツタ時ニ、此ノ程度ノ法律
デ尙且ツ可能ナリヤ否ヤト云フコトヲ、
吾々ハ甚ダ疑問ニ思フモノデアリマスケレ
ドモ、是等ニ對シテ大臣ノ御所見ハ如何デ
アリマスカ、此ノ機會ニ伺ツテ置キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=27
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028・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今食糧資源確保ノ問題
ニ付テ御質疑ガアリマシテ、此ノ政策ニ對
シテ不統一デアルデハナイカト云フヤウナ
御意見デアリマシタケレドモ、政府ノ今日
採ツテ居リマス方針ハ、從來カラデモアリ
マスケレドモ、大體ニ於テ內地ト外地トノ
生產デ、內地ト外地ノ國民ガ消費シテ行キ
得ル程度ヲ最低標準ト致シマシテ、其ノ以
上ニ多少デモ剩餘ノ出來ル見當ヲ立テテ、
生產計畫ヲ立テテ居ルノデアリマス、先刻
モ今成君ノ御質疑ニ御答致シマシタ通リ、
年々相當ノ人口ノ增加モアリマスノデ、又
消費高モ增加致スノデアリマスカラ、之二
對應シタ策ヲ立テルコトハ勿論デアリマ
ス、殊ニ今御話ノ如ク、現在ノ時局ト致シ
マシテハ、出來ルダケ多クノ米ヲ取ルコト
ノ必要デアルコトハ、固ヨリ御說ノ通リデ
アリマス、若シ是ガ容易ニ玆ニ一千万石デ
モ二千万石デモ多ク增產ノ出來マス見込ガ
立チマスナラバ、河野君ノ御意見ノ通リ本
案ノ如キ法案ノ中デ、要ラナイ條項ガ多少出
來ルダラウト思ヒマスケレドモ、中々左樣
ニ增產計畫ト云フモノハ容易ニ出來ナイノ
デアリマシテ、只今ノ所、內外地ヲ一貫シ
テ此ノ生產確保ニ付キマシテ計畫ヲ立テテ
進ンデ居ルヤウナ次第デアリマスガ、內地
ニ於ケル所ノ生產數量ハ大體ニ於テ本年度
ノ需要ノ趨勢カラ言ヒマスト、十數箇年間
ノ統計ノ數カラ言ヒマスト、六千三百何十
万石トナルデアリマセウ、併シ斯ウ云フコ
トデハイカヌノデアリマシテ、更ニ三百万
石、四百万石ノ增產計畫ヲ立テテ、其ノ實
行ヲ期シタイト思ツテ居ルノデアリマスケ
レドモ、度々申シマス通リ、勞力ガ不足シ
テ居リ、又肥料ノ配給モ中々圓滑ヲ缺ク、馬
モ足ラナイ、種々雜多ナ關係上其ノ生產ヲ
擴充スルコトガ、可ナリ困難デアリマシテ、
此ノ困難ニ對シテハ非常ニ努力シテ居ル譯
デアリマス、隨ヒマシテ臺灣ノ問題ガ今御
話ニ出マシタガ、臺灣ニ於キマシテモ、本
年度十數万石增殖ノ豫定デ居リマシタノヲ、
更ニ私就任以來考フル所ガアリマシテ、其
ノ以外ニドウシテモ五十万石ノ增殖ヲシテ
貰ヒタイト云フ交涉ヲ致シマシテ、大體ニ
於テ其ノ承諾ヲ得テ、進行致スヤウナ順序
ニナツテ居ルノデアリマス、又朝鮮ニ於キ
マシテモ七十万石ノ增殖計畫デアリマシタ
ノヲ、更ニ五十万石以上ノ數量ヲ增加シテ
貰ヒタイト云フノデ、今話合中デアリマス
ガ、是モ大體ニ於テ話合ガ付クト私ハ考ヘ
テ居リマス、總督府ニ於キマシテモ、コチ
ラノ要求ニ應ズル狀態デアリマス、大體ニ
於キマシテ臺灣、朝鮮、內地、此ノ三者ノ
生產計畫ハ先ヅ農林省ニ於テ其ノ方針ヲ立
テマシテ、其ノ立テタ方針ニ基イテ、朝鮮
及ビ臺灣ト協議致シマシテ、其ノ諒解ヲ得
テ計畫ヲ立テルコトニナツテ居ルノデアリ
マス、御話ノ趣旨ニ基イテ、臺灣、朝鮮ニ
於テ更ニ大ナル增產計畫ヲ立テルガ宜シイ
デハナイカ、斯樣ニ御意見ヲ御立テニナ
ルカモ知レマセヌケレドモ、朝鮮ニ於キマ
シテモ今直チニ本年非常ナル增產ヲ致スト
云フ順序ニハナリマセヌノト同時ニ、臺灣
ニ於キマシテモ勿論マダ此ノ上多クノ生產
力ハ持ツテ居リマセウケレドモ、吾々ト致
シマシテハ、臺灣ノ如キ二毛作ノ地ニ對シ
マシテハ、常ニ多少ノ豫備的意味ヲ含マシ
テ置クコトモ、考ヘテ置カナケレバナラヌ
コトデアリマスノデ、今最大限度ノ要求ヲ
シテ、其ノ生產ヲ求メルト云フコトニハナツ
テ居ラヌノデアリマス、併シナガラドノ程
度マデ增產ガ出來ルカト云フコトハ、當中
調査致シテ居リマシテ、一旦緩急ノアル時
ニハ之ニ應ズルダケノ準備ヲ致シタイト考
ヘテ居リマス、滿洲ニ於ケル米ノ生產ノ問
題ハ餘程重大ナ問題デアリマスノミナラズ、
若シ幸ニ玆ニ勞力ノ餘剩ガアリマスナラバ、
本年デモ新ニ土地ヲ開墾シテ、之ニ米ヲ植
付ケテ生產ヲ致シマスレバ、肥料ナドハ比
載的極ク少量デ生產ガ出來ルト思ヒマスノ
デ、是モ考ヘラレナイコトハナイノデアリ
マスケレドモ、滿洲ニ於テ米ノ增產ノ、大
キナ計畫ヲ立テルコトハ、將來ノコトヲモ
深ク考ニ置イテ致サナケレバ相成リマセヌ
ノデ、今日ハマダ其ノ交渉ヲ滿洲國ニ對シ
テハ致シテ居リマセヌ、是ハ企畫院ニ於キ
マシテ日滿支一體ノ計畫ノ中ニ入レテ、其
ノ計畫ヲ實行致スヤウニ致サウト考ヘテ居
ルノデアリマス、只今ノ所私共此ノ米穀生
產ノ問題ニ對シテ、不統制デアルト云フヤ
ウニハ考ヘテ居リマセヌ、雙方ノ間ニ圓滿
ナル協調ヲ見テ、萬遺憾ナキヲ期シタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカラ本法
案ハ專賣ノ過程デハナイカト云フ御質疑デ
アリマスガ、米ヲ專賣ニスルトカ、若クハ
國家ニ於テ一手ニ取扱ツテ、サウシテ米穀
問題ノ眞ノ根本的解決ヲスルト云フ事柄ハ、
是ハ大イニ〓究致スベキ事柄デアリマスケ
レドモ、只今ソレヲ實行致スコトニ付キマ
シテハ、可ナリ多クノ點ニ付テ〓究シナケ
レバナラヌコトガアリマス、隨ヒマシテ私
其ノ問題ニ對シマシテ、玆ニ之ヲドウ取扱
フカト云フコトヲ、未ダ申上グル機會ニ至
ツテ居ラナイノデアリマス、本法案ハ其ノ
專賣制度ノ過程ノ前提トシテ作ツタカト云
フ御話ニ付キマシテハ、ソレハ偶然ニ或點
ニ於キマシテ、其ノ前提トモ看做スベキヤ
ウナ事柄モアリマセウケレドモ、併シ本案
ハ本案ニ依ツテ米穀ノ配給ヲ圓滑ナラシメ、
又公正ナル價格ヲ以テ安ンジテ生產者ニ生
產セシメ、又消費者ニ消費シ得ルヤウニ致
シタイト云フノガ本旨デアリマシテ、此ノ
案ト專賣案トガ繼續的ノ意味ヲ含ンデ居ル
モノデハナイト云フコトヲ、御承知ヲ願ヒ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=28
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029・河野一郎
○河野委員 今ノ專賣ニ關スル御答辯ハ御
答辯トシテ承ツテ置キマスケレドモ、私ノ
考へ方ガ、本案ハ若シヤ其ノ目標トシテ考
ヘラレル一ツノモノトシテ、專賣制度ニ行
ク過程ト云フコトニ於テ、效果ガアルト云
フヤウニ考ヘルノデアツテ、當局ガ考ヘテ
居ラレルカ、居ラレヌカト云フコトハ別デ
アツテ、私ハ恐ラクサウ云フコトヲ考ヘ得
ルノデハナカラウカト云フヤウニ思ツタノ
デアリマス、今大臣御話ノヤウニ、專賣制
度ニ付テハ尙ホ幾多ノ〓究ノ餘地ガアルト
云フコトデアリマスケレドモ、併シ此ノ專
賣制度ニ付キマシテハ、旣ニ御承知ノ通リ、
世上非常ニ多クノ專門的〓究家ガ居リマシ
テ、我黨竝ニ民政黨ノ農政ニ關スル先輩ノ
方々ノ間ニハ、十分ナ檢討ガ重ネラレマシ
テ、旣ニ或ル目標モ定マツテ居ルト云フ程
度ニ至ツテ居ルノデアリマス、其ノ可否竝
ニ運行後ノ諸般ノ點等ニ於テハ、唯議論ノ
相違ト云フ程度ニナツテ居ルノデハナカラ
ウカトサヘ私ハ思フノデアリマス、是ハ議
論ニナリマスカラ差控ヘマスケレドモ、ソ
レニ付テハ考ヘテ居ラヌ、此ノ法案ハサウ
云フコトヲ考ヘテヤツテ居ルノデハナクテ、
此ノ法案獨自ノ立場ニ於テ、配給ヲ圓滑ニ
スル爲ニ考ヘテ居ルノデアルト云フコトデ
アリマスレバ、ソシハサウ云フ風ニ諒承シ
テ、吾々ハ此ノ審議ヲ進メテ行カウト思ヒ
マス、敢テ此ノ機會ニ大臣ノ御考、又農林
當局ノ此ノ專賣制度ニ關スル御考ヲ伺フコ
トハ、時間ノ關係上省略致シマス、唯內外
地滿洲等ヲ通ジテノ米穀政策ニ關スル御
答辯ハ、偶〓臺灣ニ付テ又ハ朝鮮ニ付テ、或
種ノ增產ヲ希望セラレテ、ソレニ向ツテ進
ンデ居ルト云フコトデアツテ、私ハ其ノ大
臣ノ御考ヘ方ニ付テハ共鳴スルノデアリマ
スケレドモ、若シモ現下ノ我國ノ國情、米
穀事情ガ米ノ增產ヲ必要トスルト云フコト
ナラバ、更ニ積極的ニ米ノ增產ヲ企圖セラ
レルコトニ依ツテ、相當ノ效果ヲ來シ得ルト
云フヤウニ考ヘマスルシ、最近數箇年間
ノ議會ニ現ハレマシタル所ノ、當局ノ吾々
議員トノ問答ニ於キマシテモ、滿洲ハ別ト
致シマシテ、內外地ヲ打ツテ一丸ト見タ場
合ノ米ノ需給豫想、最近政府ハ之ニ付テ發
表ヲ差控ヘテ居ラレマスケレドモ、二年三
年前ノ議會ニ於テ、當局ガ最近五箇年間、
十箇年間ノ米穀需給豫想ヲ發表セラレマシ
ク、其ノ數字等ニ依ツテ見マシテモ、相當
ノ增產ヲスレバシ得ルト云フコトハ、旣 21
當局ガ吾々ニ示サレテアリマスル通リデア
リマス、唯最近政府ノ意圖セラレマシタコ
トガ、總テ米ノ增產ヲ抑ヘル、例ヘバ曾テ
後藤農林大臣ノ當時ニハ、減反案ノ提唱
サヘ見タ位ニ、米ニ對スル減產ヲ希望セラ
レ、外地ニ於テモ成ベク代作ノ奬勵ヲスル
ト云フコトデ、最近ノ我國ノ米穀事情ト云
フモノハ、成ベク米ノ作付反別ヲ減ストカ、
他ノ方面ニ向ケルコトヲ奬勵シテ參ツタノ
ガ、我國ノ米穀政策デアリマス、ソレヲ一
昨年ノ事變以來、急激ニ米ノ增產ヲスル必
要ガアル、急激ナル消費ノ增加ニ伴ウテ玆
ニ米ノ增產ヲ必要トスルト云フコトニナリ
マシタ以上ハ、先ヅ第一義的ニ考ヘナケレ
バナリマセヌコトハ、全力ヲ擧ゲテノ增產
政策デナケレバナルマイト思フ、所ガ其ノ
增產政策ノ方面ニ於キマシテハ、非常ニ消
極的ダ、大臣カラ臺灣ニ於テ大臣御就任以
來、相當ノ增產ヲ臺灣當局ニ向ツテ要求セ
ラレタト云フ御話デアリマスケレドモ、私
ガ先程述ベマシタ臺灣總督府ガ今議會ニ提
案致シマシタ米ノ法律案ノ如キハ、ドウ見
テモ之ヲ以テ米ヲ增產セシメルニ便利ナ法
律案トハ、考ヘルコトガ出來ナイノデアリ
やっ、臺灣獨自ノ農業政策、產業政策ノ見
地カラ、必要ナル法律案トハ私モ考ヘマス、
併シ米穀政策自身カラ考ヘマシタナラバ、
卽チ米ヲ增產セシメルニ適當ナル法律ナリヤ
否ヤ、我國ノ國策ガ米ノ增產ヲ要求シテ居
ルト云フ現實ノ事實ニ基イテ、米ノミニ付
テ考ヘマシタ場合ニハ、其ノ方向ト一致シ
タ方向ヲ以テ進ンデ居ルカドウカト云フコ
トニ付テハ、私ハ非常ニ疑問ヲ持ツ、此ノ
內容ノ問題ニ付キマシテハ、何レ他日臺灣
當局ニ對シテ、米ノ增產ニ付テ御尋ヲ致シ
テ見タイト考ヘマスノデ、本日ハ農林大臣
ニハ此ノ程度デ差控ヘマスケレドモ、〓
ドウ考ヘテモサウ思ハザルヲ得ヌ、或ハ又
朝鮮ニ付テ考ヘマシテモ、大臣只今御述
ベノ程度ノ數字ハ、朝鮮デ米ヲ作ラウト
シテ可能ナリト考ヘラレル數字デハナカラ
ウト思フ、現在ノ朝鮮ノ作付反別、農業事
情ニ於キマシテ、若シ當局ガ之ニ必要ナル
生產資材、肥料デアリマストカ其ノ他ノ施
設ヲ致シマスルナラバ、更ニ〓〓朝鮮ニ於
テ增產ハ考ヘラレ得ルト思フノデアリマス、
是モ何レ朝鮮當局ト內容ニ亙ツテ、私ハ論
議ヲ進メタイト思フノデアリマスケレド
モ、曾テ朝鮮當局ヨリ吾々議員ニ示サレマ
シタル材料等ニ依リマシテモ、其ノ程度ノ
數字デハナイコトハ明デアリマス、デアリ
マスルカラ之ニ付テモ私ガ申上ゲマシタ通
リ、農林大臣ガ來ルベキ出來秋以後ニ於キ
マスル米穀政策ニ對シテ、色々御苦慮、御苦
心ノ程ハ諒ト致シマスルケレドモ、隨テ此
ノ法案ヲ御提出ニ相成ツタコトハ諒ト致シ
マスケレドモ、ソレニ伴ツタル所ノ外地ニ
於ケル米穀政策ガ、竝行ノ線ヲ步ンデ居ルカ
ドウカ、國策トシテ之ヲ共ニ擔ツテ居ルカ
ドウカト云フコトニ付テハ、疑問ヲ持タザ
ルヲ得ヌノデアリマス、更ニ又滿洲ノ米穀
政策ニ至リマシテハ、大臣只今御述ベノ通
リ、ヤレバヤリ得ルガ、併シ別ノ點カラ考
ヘナケレバナラヌト云フコトデアリマシタ
ガ、私ハ是トテモ問題ハ簡單ダト思フノデ
アリマス、此ノ席デ申上ゲルコトハドウカ
ト考ヘマスケレドモ、又不適當ナラバ委員
長ニ於テ、速記ノ御取消ヲ願ツテモ結構デ
アリマスケレドモ、此ノ非常時日本ニ於テ
食糧資源ガ足リヌノナラバ、必要ナダケ出
來ルダケ滿洲デ作ラシタラドウデスカ、若
シ餘ルヤウニナツタラ止メサシタラドウデ
スカ、日本ノ爲ニ滿洲ガ其ノ程度ノ犠牲ヲ
擔フコトハ當然ダト私ハ思フ、滿洲國存立
ノ爲ニ我ガ農村ノ忠勇ナル子弟ハ、命ヲ賭ケ
テ戰ツテ居ル、「ソ」滿ノ國境ニ惡戰苦鬪シ
テ居ル、此ノ事實ノ前ニハ、必要ナダケノ
米ヲ作ラシ、不必要ニナツタラ止メサセル
ト云フ位ノ問題ハ、微々タル問題デアリマ
ス、些々タル一小事デアリマス、ソレヲ後
ノコトモ考ヘナケレバナラヌカラト云フコ
トハ、餘リニモ手緩イ考ヘ方デハナイカト
私ハ思フ、此ノ點ハ大臣ノ御考ニ付テ私ハ
遺憾ナガラ、御贊成申上ゲルコトハ出來ナ
イノデアリマシテ、外地更ニ又對滿事務局
ノ當局ニ付テ、十分御質シヲ致シタイト思
フ、唯茲ニ農林當局ニ御答辯ヲ願ツテ置キ
タイノハ、我ガ國内ニ於ケル米ノ需給豫想
ハ、一體ドウ云フコトニナツテ居ルカ、當
局ガ本案ヲ必要トスル其ノ立案ノ基礎ニ
ナツテ居リマスル所ノ、最近五箇年間、十
箇年間、要スルニ當局ガ豫想シ得ル米穀需
給豫想ハ、ドウ云フコトニナツテ居ルカ、
一ツ此ノ際御示シヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=29
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030・周東英雄
○周東政府委員 御答ヲ申シマス、將來十
箇年間位ノ需給豫想ト云フ御話デゴザイマ
スガ、是ハ私ノ方デ過去ノ趨勢ニ基キマシ
テ、奬來ヲ豫想致シマシタ數字ハゴザイマ
ス、生產竝ニ消費ニ付キマシテ、一應ノ机
上ノ數字ハ持ツテ居リマスガ、御承知ノヤ
ウニ此ノ米ノ需給ノ狀況ハ、社會上、經濟
上ノ事情ニ依リマシテ、實數ハ可ナリ動ク
場合ガアルト思ヒマスノデ、一應ノ机上ノ
數字ハ持ツテ居リマスガ、是ハ却テ將來十
年モ先ノコトニナリマスト、或ハ樂觀ニ過
ギルト御覽ニナル場合モアリマセウシ、或
ハ悲觀ニ過ギルト云フヤウナ觀方モゴザイ
マシテ、其ノ影響スル所モ可ナリアルト思
ヒマスノデ、是ハ申上ゲナイ方ガ宜イカト
思ツテ居リマス、唯御話ノ十四、十五、十
六ト云フヤウナ極ク最近ノ年ノ問題デゴザ
イマスト、是ハ同樣ニ過去ノ趨勢ニ基キマ
シテ出シマシタ數字ニ、生產ノ方面ニ於キ
マシテハ只今大臣カラ申上ゲマシタヤウ
ニ、時局下ニ對應シテ必要ナ增產ヲ致スベ
キ數字ヲ加ヘル、消費ニ於キマシテハ過去
ノ趨勢カラ出シマシタ數字ニ、特ニ戰時ノ特
殊ノ事情ニ依ツテ增加致シテ居リマスル數
量ヲ、內地ニ於キマシテハ二百万石、朝鮮
ニ於キマシテハ百万石等ノ數字ヲ加ヘマシ
タ消費ノ狀況ノ數字ヲ出シテ、一應推算ヲ
致シテ居リマス、先ヅ此ノ兩三年位ノ數字
デゴザイマスト、實際ト隔タルコトモナカ
ラウカト思ヒマス、數字ハ持ツテ居リマス
カラ、後程表ニシテ差上ゲテモ宜シイカト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=30
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031・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今滿洲ノ農產ヲ、大イ
ニ增產セシメタラ宜イデハナイカト云フ御
話デアリマスガ、此ノ點私モ河野君同樣考
ヘヌデハナカツタノデアリマス、唯先刻申
上ゲマス通リ、早急ニ參リマセヌノト、又
水利ノ關係、其ノ他ニ付キマシテ非常ニ費
用ヲ要スルコトハ勿論デアリマスガ、手數
モ要スルノデアリマス、殊ニ先刻モ御答辯
申上ゲマシタ通リ、之ヲ開墾シ、開發スル
勞力ニ於テ十分デアリマセヌノデ、本年度
ノ計畫トシテ滿洲國ニ米ヲ增產シテ貰ヒタ
イト云フ交涉ハ、マダ致シテ居ラヌヤウナ
譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=31
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032・河野一郎
○河野委員 米ノ需給ノ數字ニ付テハ、速
ニ御提出ヲ願ヒタイト思ヒマス、更ニソレ
ヲ御示ニナリマス際ニ、事務當局トシテ考
へ得ル所ノ生產ノ最大限、ドノ程度マデハ
生產可能ナリヤト云フ數字デアリマス、ソ
レヲ一ツアリマシタナラバ御示ヲ願ヒタイ、
內地ニ於テ生產ヲ可能トシテ豫想シ得ル
最大數字、臺灣、朝鮮同樣ノ數字ヲ御提出
願ヒタイ、特ニ是ハ臺灣、朝鮮ニ於テハ我
國ノ最近ノ米穀政策ノ情勢カラ、多少違ツ
タ方向ニ行ツテ居リマスノデ、相當ニ逆ノ
數字ガ考へ得ルト思フノデアリマス、是等
ニ付テハ速ニ御提出ヲ願ヒタイト思ヒマス、
更ニ大臣ノ只今ノ滿洲ノ御話デアリマスケ
レドモ、是ハ甚ダ失禮ナ申分デアリマスガ、
大臣ノ滿洲ノ米穀政策ニ對スル御認識ガ、
少シク足リナイト申上ゲテハ失禮デスガ、
違ツテ居ルノデナカラウカト思フ、滿洲デ
ハ何處マデモ我ガ國內ト切離シテ、滿洲建
國當時以來ノ我ガ國內ノ米穀情勢ハ、米モ
タレガシテ居ル、寧ロ米ハ餘ルト云フコト
ヲ豫想サレ、米穀政策ニ於テハ滿洲デ作ラ
サヌ方ガ宜シイ、向フデハ自給自足以上ニ
ハヤラサヌガ宜シイト云フ方向ヲ辿ツテ居
リマシタノデ、滿洲ノ米穀政策ノ根本ハ、
何處マデモ滿洲國自身ノ自給自足ト云フ所
ニ置イテ居リマス關係カラ、私ノ了承致シ
テ居リマス所デハ、耕作ニ致シマシテモ免
許制度ヲ執ツテ居ラレルカト聞イテ居リマ
ス、其ノ免許セラレマス根本ノ觀念ト致シ
マシテハ、先ヅ生產費ヲ想定致シマシテ、
石當リ十五圓若クハ十八圓ト云フモノノ生
產費以下デ出來得ル地方ト、何處マデモ金
ヲ目標ニシテ其ノ金額以下デ耕作シ得ル所
ニ免許ヲ與ヘルト云フノト、免許ノ條件ガ
二方面カラ束縛セヲレテ居ル、先ヅ第一ハ
滿洲デ必要ナル數量以上ノモノハ免許シナ
イ、第二ニハ非常ニ安イ生產費デ出來ル場
所、所謂最適地以外ハ免許シナイト云フ兩
方面カラ束縛致シテ居リマスノデ、是ハ內
地其ノ他ノ事情トハ非常ニ事情ガ違ツテ居
ル、併シ平時ニ於テハ確ニ一ツノ行キ方デ
アリマス、吾々モ曾テハ此ノ政策ヲ非常ニ
謳歌シタノデアリマス、サウセラレルコト
ニ双手ヲ擧ゲテ贊成シタノデアリマス、併
シ偶〓時局ハ斯ノ如クニ重大トナリ、我ガ米
穀政策ニ於キマシテモ、其ノ當時ノ情勢ト
違ツテ、ソレヲ許サザル情勢ニ變化致シテ
居リマスコトモ、申上ゲルマデモナイノデ
アリマス、シテ見レバ其ノ當時ニ考ヘタ所
ノ政策ヲ其ノ儘取ツテ以テ繼承シテ參ルコ
トガ、適當ナリヤ否ヤト云フコトハ議論ノ
餘地ハナイト思フノデアリマス、而モ大臣
ハ今直グ急ニヤツテモト云フコトヲ御答辯
ニナリマスケレドモ、私ハサウ云フモノ
デハナイト思フ、奬勵ノ如何ニ依ツテハ是
非是ガナケレバナラヌ、ドウシテモナケレ
バナラヌト云フコトナラバ、ヤリ樣ニ依レ
バ相當出來ルト云フコトヲ私ハ確信スル者
デアリマスガ、之ニ對シ重ネテ御所見ヲ承
ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=32
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033・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 大體只今河野君ノ御話ノ
通リニナツテ居リマスガ、今マデハ御承知
ノ通リ滿洲移民事業ト竝行シテヤツテ居ル
ノデアリマシテ、從來ノ計畫ハ一定ノ計畫
ヲ立テテ、此ノ生產ニ從事シテ居ルヤウナ
譯デアリマス、唯本年急ニ之ヲ非常ニ增加
スルト云フ計畫ヲ立テマシテモ、ソレハ水
利ノ關係、其ノ他先刻來申ス通リ勞力其ノ
他種々ナル關係ニ於テ、急ニ大ナル增產ヲ
見ルト云フコトハ容易ノコトデハナイ、斯
ウ申上ゲタノデアリマス、將來ニ於ケル、
卽チ明年以後ニ於ケル滿洲ノ米ヲドウスル
カト云フ問題ニ付キマシテハ、マダ私只今
玆ニ明言ヲ致ス順序ニナツテ居リマセヌノ
デ、是ハ何レ又適當ノ機會ニ於テ申上ゲタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=33
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034・河野一郎
○河野委員 私ハ甚ダ〓究モ足リナイノデ
アリマスケレドモ、滿洲ノ米穀事情ト云フ
モノハ、今大臣ノ御述べノヤウナコトデハ
ナカマウト思フ、滿洲ノ米作ト云フモノハ移
民事業ト竝行シテト仰シヤイマスケレドモ、
免許スル場合、認可スル場合ニハ移民者ニ
相當ノ考慮ヲシテ、サウ云フコトニナツテ
居ルカモ知レマセヌケレドモ、滿洲國內ニ
於テ從來相當ノ米作地ガアルト、私ハ了承
シテ居ル、移民ニ依ツテ初メテ滿洲國ノ米
作ガ始ツタノデハナイト諒承シテ居リマス、
是ハ私一昨年滿洲ニ參リマシテ、アノ方面
ヲ廻ツテ步イタ時ニ調ベマシタノデモ、サ
ウ云フコトニ相成ツテ居ルヤウニ見テ參ツ
タノデアリマス、今大臣ガ御述ベノヤウニ、
移民政策ト關聯シテ滿洲ノ米穀政策ガアル
ノダト云フコトデハナイト思ヒマス、此ノ
點ハ私ハ間違ヒト思フ、現在ノ事情デモ、
モツト內地デ入用ダカラト言ツテ作ラシテ
宜シイ、餘ツタナラバコツチデ買ウテヤル
ト云フコトニサヘナレバ、ソレダケデ相當
ノ數量ガ滿洲デ出來得ルト思ヒマスガ、是
ハ何レ拓務省關係、對滿事務局關係ノ問題
ニナリマスカラ、唯農林當局トシテ滿洲ノ
米ヲ內地デ必要トスルヤウナ米穀事情ニ我
國ガアルヤ否ヤト云フコトヲ、承ツテ置ケ
バ私ハ宜シイノデアリマシテ、此ノ法律ヲ
必要トスル事程左樣ニ內地ノ米穀事情ハ、
憂慮セラレルヤウナ事情デアレバ、滿洲方
面ニ付テモ相當無理ヲサレテモ宜イヂヤナ
イカ、斯ウ思フノデアリマシテ、明年以後
ハマダ考ヘテ居ナイトカ、明後年以後ノ問
題デアルト云フコトデハナシニ、此ノ法律
案ヲ大臣ガ必要トセラレル事程左樣ニ緊迫
シタ我國ノ米穀〓糧事情デアリマスナラバ、
共々滿洲國ニ於テ之ニ協力サスコトガ卽時
ニ必要デアルト思ヒマス、諒イヤウデアリ
マスケレドモ、モウ一度御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=34
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035・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 滿洲ニ於テ米ノ增產ヲス
ル計畫ヲ立テレバ增產ガ出來ル、此ノ御意
見ニ對シマシテハ私全然同意見デアリマス、
唯增產ノ計畫ヲ立テテ、是ガ數年ニ亙ツテ增
產スルト云フコトハ出來マスケレドモ、今
直チニ滿洲ニ於テ非常ナル增產ガ出來ルカ
ト云ヒマスト、申スマデモナク水田適地ト
云フモノモアリマスシ、先程カラ申シマス
通リ水利ヲ引張ルトカ、其ノ他種々ナル關
係ガアルノミナラズ、勞力ノ上ニ於テモ是
ハ相當〓究スベキモノデアツテ、直グニハ
出テ來ナイノデアル、斯ウ云フコトガ考へ
ラレルノデアリマス、ソレカラ滿洲ニ於テ
滿洲人ヲ使ツテ、將來非常ナ大キナ計畫デ
增產計畫ヲ立テルト云フコトニナリマスト、
其ノ結果ハ日本ノ農民ノ將來ニ、ドウ云フ
コトヲ持來タスカト云フコトモ考ヘナケレ
バナラナイノデアリマス、ソレデ先刻一寸
御尋ニナリマシタガ、日本ニ於ケル最大增
產量ハドウカ、是ハ今後ノ開拓、開墾ノ仕
方ニモ依リマセウシ、又天候ニ因ツテ非常
ニ相違モアルノデアリマシテ、一〓ニハ論
ジラレマセヌケレドモ、數年前ノ如キ大豐
作ニ遭ヒマスト、ソコニ又非常ニ農家ガ困
惑スル位置ニ立ツ場合モアリマスノデ、其
ノ點ヲ見合ハセテ案ヲ立テナケレバナラヌ
ヤウニ考ヘルノデアリマス、滿洲ノ增產ノ
問題ニ付キマシテハ、勿論今此ノ增產ノ必
要ガアルト云フコトニナリマスレバ、是尺、
滿洲國ト協議シテ十分ニ增產ノ計畫ヲ立テ
テ、將來ノ日本ノ食糧不足ニ對シテ心配ガ
ナイヤウニ致スト云フコトハ、勿論致サナ
ケレバナラヌコトト思ヒマス、唯將來ニ於
テ、內地ノ出征將士ガ還ツテ來タ後ノ開墾
ガ十分ニ出來ルヤウニナツタ時ノ、日本ノ米
ノ收穫量ノコトニ付テモ考ヘナケレバナラ
ヌト思ヒマス、有ユル方面ヲ考ヘテ、增產計畫
ヲ立テル必要ガアルト私ハ思フノデアリマス
只今ノ御話ニ依レバ、本法案ハ萬一米ガ足
リナクナツタ場合ヲ主トシテ立テテ居ルガ、
增產計畫ノ如何ニ依ツテハ、ソンナ心配ハ
ナイノデハナイカ、サウ云フ御話デアリマ
スケレドモ、是ハ要スルニ配給ヲ圓滑ニス
ルト云フコトヲ一番主眼トシテ居ルノデア
リマシテ、萬一ノ場合ト云フ事柄ハ、足、
成ベク私共ハ豫想致シタクナイノデアリマ
ス、現在ニ於テ-本年度ニ於テハ申スマ
デモナク、日本ノ需給ノ豫想デハ、少クト
モ九百万石以上、端境期ニ於テ九百二十二
万石ト云フコトデアリマスガ、少クトモ九
百万石以上ノ米ヲ持越スコトニナツテ居リ
マスノデ、配給サヘ宜シキヲ得レバ、少シ
モ私ハ心配ハナイト思ヒマス、唯配給ガ圓
滑ヲ缺イテ偏在スルト云フコトダケヲ惧レ
ルノデアリマス、明年度以後ノコトニ於キ
マシテハ、卽チ明年ノ增產計畫ヲ立テテ、
之ニ向ツテ遺憾ナキヲ期シテ居リマスケレ
ドモ、是モ天候其ノ他ニ付テハ、相當ノ對
策ヲ講ジナケレバナラヌノデアリマシテ、
本年度ニ於テ此ノ法案ニ依ツテ非常發令ヲ
シナケレバナラヌナドト云フヤウナコトヲ
考ヘテ居ル譯デハアリマセヌ、唯前ノ條項
ハ、米穀商人ヲシテ安ンジテ生業ノ出來ル、
卽チ從來ノ商賣ノ安固ヲ圖ルト同時ニ、配
給ノ圓滑ヲ圖ル、サウシテアトハ市場操作
ニツ依テ最高最低ヲ押ヘテ、サウシテ米價
ノ安定ヲ期スル、斯ウ云フ意味ニ於テ作ツ
タノデアリマシテ、今ノ非常立法トシテノ
ミ御考ヘ下サルト云フコトハ、私共ノ考ヘ
トハ少シ違フノデアリマシテ、此ノ點ハ御
諒承願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=35
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036・河野一郎
○河野委員 段々御答辯ヲ戴キマシテ恐入
リマスガ、唯誤解ガアルトイケマセヌカラ、
一言申述ベサシテ戴キタイノハ、滿洲ニ於
ケル問題ナノデアリマス、是ハ私ハ大臣ノ
今ノ御說明ノヤウニ、增產計畫ヲ立テテ、
ソレガ將來內地ノ米價ヲ壓迫スルヤウナコ
トニナルコトモ考ヘナケレバナラヌカラト
云フヤウナ御答辯デアリマシタケレドモ、
私モ將來平時ニ復シマシテ、滿洲ニ增產計
畫ヲ立テル、ソレガ內地ノ米價ヲ壓迫シナ
イト云フコトハ考ヘヌノデアリマス、是八
先程申シマシタ通リニ、數年前ハ卽チ此ノ
事變前ニ於キマシテハ、私ハ滿洲ノ現在ノ
考方ニ贊成シタ一人デアリマスケレドモ、
斯ウ云フ大事變ニ遭遇シ、非常時局ニ直面
致シマシタ今日ニ於テハ、非常時局ノ考方
ヲシナケレバナラヌ建前カラ、滿洲ニ對シ
テサウ云フ政策ヲ取ルコトノ方ガ宜シイノ
デハナイカ、今御話ノヤウニ、端境期ニ九
百數十万石ノ米ガ持越セルト云フコトデア
リマスレバ、又是ハ自ラ別ノ考方ヲ以テ臨
ムノデアリマスケレドモ、先ヅ第一ニ心配
セラレマスノハ、米ガ足リナクナツタ時ニ
非常ニ困ルコトヲ、吾々トシテハ何處マデ
モ懸念致シマスノデ、サウ申上ゲタノデア
リマス、併シサウ云フ事態モ今ソレ程心配
シナイデモ宜シイノダト云フコトニナレ
バ、是ハ又別ノ考方デアリマシテ、差當リ
朝鮮、臺灣等ノ增產動員ニ依ツテ、我ガ國
內ニ於ケル米ノ需給ガ一應考ヘ得ルト云フ
コトナラバ、其ノ程度デ私ハ又米穀政策ニ
付テ考方ヲ進メテ行キタイノデアリマス、
只今手許ニ政府ノ豫想シテ居リマス需給ノ
數字ヲ、マダ頂戴致シマセヌシ、吾々ノ考
方ト政府ノ考方ト多少食違モアルト思ヒマ
スノデ、ソレ等ニ對スル質問ハ後廻シニ致
シマスガ、何處マデモ先程申上ゲマシタヤ
ウニ、斯ウ云フ重大ナ際デアルカラ、此ノ
際ニ立テタ政策ノ影響ガ、後日ニソレガ現
ハレタ際ニ、ソレガ國內ノ農民ヲ壓迫スル
トカ、農民ニ對シ云々ト云フ場合ニハ、
是ハ當然平時ニ於ケル考方ニ於テ考ヘレバ
宜シイノデアツテ、若シ滿洲ニ米ガ澤山出
來過ギルヤウニナツタナラバ、輸入ヲ掛ケ
ルコトモ一ツノ方法デアリマセウシ、更に
又此ノ生產費ノ安イ滿洲ノ米ヲ外國ニ輸出
スルト云フコトモ一ツノ方法デアリマセ
ウ、是ハ我ガ國內ノ米穀政策ノ上カラ、相
當考慮シ得ル問題ガアリマスノデ、將來ノ
コトハ將來ノコトトシテ、今當面トシテ考
ヘル場合ニハ、私ガ今申上ゲタヤウニ御考
ニナルコトガ適當デハナイカト思フノデ
アリマス、併シ是等ノ問題ハ當局ト私トノ
間ニ、數字ノ上ニ於テ多少ノ誤差モアルヤ
ウデアリマスカラ、是ハ數字ヲ頂戴致シマシタ
上デ、御尋ヲスルコトニ致シタイト思ヒマス、
次ニ今大臣ノ御答辯、卽チ此ノ法律ハ非常
時ノ考方ト云フコトヲ非常ニ强ク私ガ申シ
マシタガ、サウデハナイ、ソレモサウアル
カモ知ラヌガ、サウデナシニ考ヘテ居ルノ
ダ、米ノ偏在等ニ付テハ配給ヲ圓滑ニスル
爲ニアルノダ、斯ウ云フコトデアリマスガ、
一ツ玆ニ御尋シマスケレドモ、米ノ偏在ト
云フコトハ一體ドウ云フ場合ニ考へ得ルカ、
今日ノ情勢ニ於テ現行ノ立法ニ於テ、體
米ノ偏在ヲ抑ヘル、取締ルト云フコトガ不
可能カドウカ、ドウ云フ場合ニ米ノ偏在ガ
アルカ、最近、事變以來今日マデノ間ニ於
テ、米ノ偏在ト云フコトハアツタノカドウ
カ私ノ考デハアツタトスレバ、最近農家ニ
於テ多少米ヲ一部持耐ヘ得ル力ノアル者ガ
アル、農村自身ヨリ米ノ出廻リガ惡クナツ
テ居ル者ガアル、ソコニ最近ノ米穀ノ配給
ノ下圓滑ノ原因ガ相當アルノデハナカラウ
カト、私ハ豫想スルノデアリマスケレドモ、
此ノ考方ハ間違ツテ居ルノデアリマスカ、
ドウデアリマスカ、御答願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=36
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037・櫻内幸雄
○櫻内國務大臣 私ハ今日ニ於テ不圓滑ナ
事柄ガアルト云フヤウニハ考ヘテ居リマセ
又、今御話ノ通リノ偏在ハドウ云フ場合ニ
於テ起ツテ來ルカ、斯ウ云フ場合、アア云
フ場合ト云フコトヲ申上ゲルコトハ餘リ好
マシクナイコトデアリマスガ、今一例ニ御
取リニナリマシタ農家ノ人々ノ中デ一部足
ラナカツタ、斯ウ云フコトモアリ得ルデア
リマセウシ、又商人ガ思惑デ倉庫ニ貯メル
場合モアルデアリマセウシ、色々ノ場合ガ
想像シ得ラレルノデアリマシテ、單純ニ斯
ウ云フ場合ト云フコトヲ、今玆ニ一々例示
シテ申上ゲルト云フコトハ、如何カト思ヒ
マスカラ差控ヘマスガ、要シマスルニ萬一
米ガ不足ヲ來シタ場合、若クハ米ガ最高價
格ヲ突破シテ、所謂俗ニ言フ靑天井ト云フ
ヤウナ相場ガ出ルヤウナ場合ヲ想像シテ、
思惑ヲシテ買フ者ガアル、或ハサウ云フヤ
ウナ事柄ヲ豫想シテ、多少デモ藏ヒ込ム者
ガアルト云フヤウナコトガナイトハ限ラナ
イノデアリマス、今日只今米穀ノ配給ガ不圓
滑デアルトカドウデアルトカ云フコトヲ考
^今 此ノ案ヲ作ツタモノデハナクシテ、
要シマスノニ度々申上ゲル通リ、兎ニ角滑
カニ配給ガ出來得レバ、現在ニ於テハ現在
ノ生產サレタ所ノ米ニ依ツテ、國民ハ安ン
ジテ消費シ得ルノデアリマスカラ、其ノ流
シ方ガ圓滑ニ行クヤウニ、サウシテ萬一ノ
場合是ガ停滯シタ時ニ、其ノ停滯ノナイヤ
ウニ致シタイト云フノガ骨子デアリマシテ、
同時ニ一定ノ或ル最高、最低價格ニ非常ナ
激變ノナイヤウニ、或ル程度ニ價格ヲ一定
シテ、サウシテ圓滑ニ流レルヤウニ致シタ
イ、斯ウ云フ意味ニ外ナラナイノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=37
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038・小山田義孝
○小山田委員 河野君ノ質問ニ關聯シテ、
極ク簡單ニ一言御尋致シタイト思ヒマス、
只今大臣ノ御答辯ニ依リマスト、圓滑ナル
配給ヲ期スルト云フコトハ、畢竟スルニ米
ノ偏在ヲ防止スル爲デアルト云フヤウナ御
答辯ニ承知致シタノデアリマスガ、米ノ偏
在ヲ防止スルト云フコトノ意味ハ、是ハ生
產者デアル所ノ農家ガ、米價ノ關係ニ依ツ
テ賣惜ミヲスルト云フヤウナ場合モ、米ノ
偏在ト看做スコトガ出來ルカドウカ、其ノ
點ヲ御伺致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=38
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039・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 農家ノ人々ガ自分ノ食料
トシテ持タレルモノ以外ノ米ハ、是ハドウ
セ賣ラナケレバナラヌト思ヒマス、其ノ米
ヲ多數藏ヒ込ムト云フ場合ニ於テ、若シ需
給ノ關係上、一方ニ於テ非常ニ不足ヲ來ス
ト云フ如キ場合ガアリマスト、ソレハ偏在
ト看做スノ外ナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=39
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040・小山田義孝
○小山田委員 サウシタ場合ニ於キマシテ、
ヤハリ此ノ行政命令ニ依ツテ生產者ノ持米
ニ對シテ、所謂圓滑ナル配給ヲ期スルト云
フ建前ニ於キマシテ、命令ヲ以テ持米ノ賣
却ヲ命ズルコトガアリ得ルコトニナルダラ
ウト承知致シマスガ、其ノ點ハ如何デアリ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=40
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041・櫻内幸雄
○櫻内國務大臣 只今ノヤウナ事柄ハ、假
ニ此ノ法令ガ發動サレルト致シテモ私ハナ
イト考ヘテ居リマス、併シナガラ極端ナ場
合ヲ想像致シマシタ場合ニハ、例ヘテ言ヘ
バ、同ジ農村ニ於テモ甲ノ家ニハ何十俵、
何百俵ト云フ米ガアルノニ、乙ノ家ニハ今
日食フ米ガナイ、斯ウ云フ場合ニ於テハ、
此ノ定メラレタル價格ニ於テ之ヲ賣渡ヲシ
口、配給ヲシロト云フコトハ、命令シ得ル
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=41
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042・小山田義孝
○小山田委員 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=42
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043・河野一郎
○河野委員 一體今ノ命令ハ、例ヘバ具體
的ニ申セバ、地主ナラ地主ガ米ヲ最高價格
マデハ自分ハ賣ラナイト云フノデ持ツテ居
ル、此ノ米ハマダ高クナルダラウシ、自分
モ金ガ差當リ要ラナイト云フノデ持ツテ居
ル者ニ對シテ、具體的ニドノ條文デ、ドノ
命令デ、ドウ云フ時機ニサウ云フコトガ發
セラレルモノカ、發セラレナイモノカ、甚
ダ失禮デスガ、事務當局デ結構デアリマス
カラ御示シ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=43
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044・周東英雄
○周東政府委員 御答致シマスガ、第四條
ノ規定ニ依ルノデゴザイマス、此ノ第四條
ノ命令ハ、勿論必要ガアリマシタ場合ニ於
テ、其ノ賣惜ミ、買占メ、或ハ米穀ノ仕向
地等ニ付キマシテ、必要ナ命令ヲ爲シ得ル
コトト考ヘテ居リマス、併シナガラ其ノ具
體的ノ發動ヲ致サナイカト云フコトハ、
ソレ〓〓ノ場合、ソレ〓〓ノ必要性ニ基イ
テ順次致シテ行ク積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=44
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045・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 一寸補足シテ置キマス
ガ、最高ニナルマデノ間ニ於テ、農家ノ人
ガ最高價格ニナルダラウカラト云ツテ藏ツ
テ置カレタト云フ場合ニハ、私ハ經濟上ノ
原理トシテサウ云フ風ニナツテ來レバ、米
ノ價格ハ最高マデ上ツテ行クモノダラウト
思ヒマス、最高ニナツタ時ニ所謂發動スル
ト云フ場合ガ-是ハ容易ニ發動スベキモ
ノデハナイノデアリマスケレドモ、極端ナ
場合ヲ想像シテ發動ルス場合ガアルトシマ
シテモ、ソレハ何處々々ニドウ賣レトカ、
ドノ方面ニソレヲ販賣シロト云フコトヲ言
フノデアツテ、ソレニ依ツテ從來貯藏シテ
居ル米ガ最高ニ達スル以前ニ於テ、賣惜ミ
ヲシテ居ラレルト云フヤウナ問題ハ起リ得
ナイ、斯ウ私ハ思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=45
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046・河野一郎
○河野委員 內容ニナリマシテ甚ダ失禮デス
ガ此ノ法律ノ第七條ニ依リマスト「米穀市場ノ
賣買取引ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ米穀統制法
第二條ノ最低價格及最高價格ニ準據シテ」
云々ト書イテアリマス、是ハ米穀市場デ取引
スル場合ノ値段ハ、最高、最低ノ價格ヲ斯ウ
云フコトデ決メラレタ範圍內ト云フコトニ
ナツテ居リマスケレドモ、米穀市場以外ニ取
引セラレルモノニ付テハ、一體ドウ。云フコ
トニナルカ、米穀市場以外デ、例ヘバ地方
ノ小賣商ガ賣ル場合ニ、一體ドノ位ノ値段
ガ認メラレルノカ、サウスレバ小賣商ガ自
分デ地主カラ米ヲ買ツテ直グ小賣ニ廻サウ
トスル場合ニ、ドノ位マデノ値段デ買ヒ得
ルカト云フコトニナツテ來マスガ、其ノ點
ハドウ云フコトニナリマスカ、詰リ國內ニ
於テハ米穀市場ニ於テノ値段ハ中央ノ問屋
相場ト云ヒマスカ、所謂市場ノ相場デアリ
そう、其ノ他ニ小賣相場ガアリ色々アルト
思ヒマス、隨テ地方ノ庭先相場ト云フモノ
ハ必ズシモ最高價格デ中央ノ市場デ取引サ
レルモノ以外ニ、其ノ近隣ノ消費地タル都
會ニ直チニ米屋ガ引張ツテ行ツテ白米ニシ
テ賣ルト云フ場合ニハ、是ハ小賣相場デ賣
レルノデアルカラ、或ル程度マデ高ク、買
ヒ得ルト云フコトニナルノデ、只今大臣ガ
申サレマスヤウニ、必ズシモ最高價格以上
ノ取引ト云フモノハアリ得ヌト云フコトハ
ナカラウト私ハ思フ、斯ウ云フ場合ニハ一
體ドウナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=46
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047・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 米穀ノ取扱ノ主流ガ市場
ニ於テ行ハレマシテ、假ニ之ヲ三十五圓ト
假定致シマスト、三十五圓デ東京ノ正米市
場デ賣買致サレルト云フコトニナリマシタ
時ニ、市內ニ於テソレガ非常ナ高イ闇相場
ガ出テ、自由ニ取引ガ出來ルカドウカト考
ヘテ見マシタ時ニ、市場ニ參リマスト其ノ
値段デ買ヘルノデアリマスカラ、自然ニ市
場ニ買ヒニ行クヤウニナリマシテ、其ノ市
場ノ値ヲ飛離レテ高イ値段ハ生ジテ來ナイ
ト思ヒマス、何故ナラバ市場ニ行ケバ其ノ
値段デ買ヘルノデアリマス、デスカラ皆市
場ヘ行ツテ買ツテ、唯其ノ間ニ市場カラ自。
分ノ家へ運ブ運搬賃其ノ他ノ關係ハ、自然
起ツテ來ルデアリマセウケレドモ、大體
ニ於テ、玆ニ主流ノ相場ガ決ツテ居レバ、
ソシヲ標準トシテ賣買サレルト云フコトハ
當然ノコトデアツテ、ソレニ依ツテ場外ニ
於テ闇相場ガサウ自由ニ出來ルモノトハ考
ヘテ居ナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=47
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048・河野一郎
○河野委員 今ノヤウニ大臣ハ表向キ本筋
ダケノコトヲ御考ニナルヤウデアリマスケ
レドモ、而モ是ハ吾々ヨリモ非常ニ經濟界
ノコトニ付テ御經驗ノオアリナ方デアルカ
ラ、吾々ノ考ヘ方ガ間違ツテ居ルノカモ知
レマセヌケレドモ、凡ソ米ノ値段ガ上ツテ
行ク時ニハ、賣手ト買手ニ於テ買手ガ多ク
テ賣手ノ少イ時ニ上ツテ行クノダラウト思
フ、其ノ結果段々最高價格マデ上ツテ來
ル、是ハ正米市場ニ於テモ買手ニ賣手ノ手
ガ合ハナカツタ時ニハ一體ドウナルカ、ソ
レハ最高價格ニ行ク、ソレヲ一方政府ガ最
高價格以上ノ取引ハ許サヌト云フコトニナ
ル、併シ買注文、買要求ノ方ガ多イ、賣要
求ハ少イト云フ所ニ、一方政府ハ取引ヲ認
メヌト云フコトニナツテ來ルト、茲ニ私ハ
問題ガ起リ得ルト思フ、所ガ此ノ市場ヲ離
レテ、例ヘバ秋田ナラ秋田ノ極ク田舍ニ於
キマシテ、其ノ近在ノ取引所ノ出張所ニシ
ロ何ニシロ、指定サレテ居リマセヌ地方ニ
於テ、地主ガ米ヲ持ツテ居ルト云フ場合
ニ、其ノ地主ハ其ノ地方ノ米屋ニ賣レバ米
屋ハソレヲ直チニ白米ニシテ、其ノ附近ノ
小都市ニ分ケルト云フ場合ニハ、是ハ當然
市場ニ於ケル所ノ相場ヲ離レタ小賣相場ト
云フモノガアル筈デス、何時デモ小賣相場
ト云フモノハアル筈デス、サウスレバ中央
ノ問屋ヲ離レテ、詰リ公定相場ヲ離レテ、
ソコニ小賣相場ト云フモノガアルノデスカ
ラ、卸問屋ト云フモノヲ拔キニシテ生產者
カラ消費者ニ參リマス、小賣商ト云フモノ
ガ直接總テ一切ヲ濟マシテ小賣値段デ賣渡
ス場合ガアル、サウ云フ場合ニ必ズ公定價
格以上ノ相場ト云フモノハテ出テ來ルト思
フ、サウスレバ公定價格以上デ少シヅツ賣
レバ賣リ得ルト思フ、極ク少量ノ物ナラバ
公定價格以上ニ賣リ得ルト思フ、其處ニ賣
惜ミト申シタラ言葉ガ當ルカ當ラヌカ知リ
マセヌガ、賣控ヘト云フモノガ起ツテ來ル
ト云フコトモ、私ハ豫想ガ出來ルト思フノ
デアリマス、ソレカラ更ニ序デスカラ伺ツ
テ置キマスガ、東京ノ中央市場ナラバ中央
市場ニ於テモ、賣手買手ノ數量ガ一致スレ
バ宜イケレドモ、一致シナイ場合ガアル、
ケレドモ最高價格以上ノ取引ハ許サレヌノ
デアリマスカラ、買手ガ多クテ賣手ガ少イ
ト云フ時ハ、ソレヲドウ云フ風ニ裁イテ行
クカ、但シ大臣ノ御見解ガサウ云フコトハ
アリ得ヌト云フ御見解ナラバ、是ハ事務當
局ヨリ別ノ機會ニ十分伺ツテ見タイト思ヒ
マスガ、サウ云フ場合ニハ一體ドウ云フヤ
ウニナサイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=48
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049・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 御承知ノ通リ現在ノ生產
高ガ現在ノ消費高ト相對スルモノデアルト
シマスレバ、是ハ圓滑ニ配給サヘスレバ、
キチント參リマス、唯市場ニ於テ最高ノ値
段ニ來タ時ニ、今御話ノ通リ市場外ニ於テ
高ク賣レル方法ガアリマスレバ、ソレハ此
ノ市場外ニ流レル虞ガアルト思フ、市場外
ニ流レル方法ト云フモノハ何處カト云フト、
市場以外ニ於テ此ノ米ノ取引ヲ高ク買フ者
ガ現レルト云フコトデアリマス、斯ノ如キ
場合ニ於テ政府ガドウ云フ處置ヲ執ルカト
云フコトハ、固ヨリ言フマデモナイコトデ
アリマシテ、是ニ於テカ、公定相場ノ發動
ヲ致スト云フコトニナリマス、隨テ此ノ圓
滑ヲ缺クト云フコトハ、私ハナカラウト思
フ、詰リドノ場合ニ於キマシテモ最高價格
ヲ基準トシテ、固ヨリ最高價格ト云フモノ
ハ河野君モ御承知ノ通リ、其ノ情勢ト總テ
ノ條件ニ依ツテ、場合ニ依ツテハ變ヘ得ル
モノデアリマスガ、此ノ決定セラレタ最高
ノ額ヨリ高クハ市場內ニ於テ賣レナイ、市
場外ニ於テモ賣レナイ、卽チ公定價格ノ決
定ニ依ツテ賣レナイ、斯ウ云フコトニナリ
マスレバ、持ツテ居ツテモ倉敷ヤ目減リト云
フ損ガ出ルノデアリマスカラ、賣ラズニ居
ルト云フ氣遣ヒハナイ、又買フ方デハドウ
シテモ要ルモノデアリマスカラ、是ハ買フ
ニ決ツテ居ル、故ニ其ノ間ニ於テ配給ノ調
節ヲ取リサヘスレバ、私ハ圓滿ニ需給ガ行
ハレルモノト思フ、但シ今御心配ニナツテ
居ル通リ、增產計畫ヲ誤ツテ其ノ生產ガ
需要ヨリモ非常ニ少イト云フ場合ニハ、是
ハ無論困難ガ起ツテ來ルノデアリマシテ、
之ニ對スル場合ニ於キマシテハ別ナコトヲ
考ヘケレバナリマセヌケレドモ、大體ニ於
テ平素ハ需給關係ガ付キサヘスレバ、圓滿
ニ調節ガ取レル、斯樣ニ信ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=49
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050・西川貞一
○西川委員 一寸關聯シマシテ、非常ニ重
大ナ點デアリマスノデ、後刻私ノ順位ノ際
ニ深ク御質問致シマスガ、唯米穀局長ノ答
辯ノ中デ、此ノ點ハ是非トモ確メテ置カナ
ケレバナラヌノデアリマスガ、第四條ノ
「配給統制上必要ナル命令」ハ米穀買入若クハ
賣渡又ハ其ノ代理若クハ媒介ヲ爲ス者ニ對
シテ發シ得ルノデアツテ、生產者ニ及バナ
イモノダト思フノデアルガ、若シ賣渡ヲ爲
ス者ト云フ中ニ、生產者ヲ含ムナラバ第一
條モヤハリ賣渡ト云フコトガアルノデアリ
マシテ、米ノ生產者ガ全部政府ノ許可ヲ受
ケナケレバナラヌト云フコトニナリマシテ、
甚ダ不都合ナコトニナルト思フ、此ノ第四
條ノ命令ノ及ビ得ル範圍ニ付テ、正確ナル
御答辯ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=50
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051・周東英雄
○周東政府委員 此ノ第四條ノ命令ノ發動
ニ付キマシテハ、大體ニ於テ配給ヲ業トス
ル者ニ就キマシテ、第一ノ目標ヲ置イテ居
リマス、之ニ依リマシテ大體ノ目的ヲ達シ
得ルカト思ヒマスガ、唯極端ナ場合ヲ想像
致シマシタ場合ニ於キマシテハ、單ニ業ト
シテ買入、賣渡、又ハ其ノ代理等ノコトヲ
スル者ダケニ止ルコトガ出來ナイ場合ガア
ルカト思ヒマシテ、特ニ法文ニ於テ之ヲ爲
ス者ト云フヤウニ書キマシタ、是ハ極端ナ
ル場合ニ於テハ、只今ノヤウナ或ハ地主ナ
リ、サウ云フ者ニ對シテモ出來ルコトヲ豫
想ハ致シテ居リマスガ、併シ大體此ノ法律
ノ目的ハ、配給ヲ業トスル者ニ就テ考ヘテ
居ルノデゴザイマス、唯今御話ノ第一條ト
如何ナル關係ガアルカト云フコトデアリマ
スガ、第一條ノ關係ニ付テハ、特ニソレヲ
繼續的ニ業務トシテ行フ者ト云フヤウナ意
味合ニ於テ、其ノ方ニハ入レテ居ラナイノ
デアリマス、此ノ條文ノ字句ヲ使ヒ分ケテ
居リマス點ハ左樣ナコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=51
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052・窪井義道
○窪井委員 一寸關聯シテ······只今西川君
ガ質問シタコトニ對シテ政府委員ノ答辯ガ
アツタノデアリマスガ、ドウモハツキリ致
サナイノデアリマス、河野君ノ御質問ノ要旨
ハ生產者、所謂農民デアリマスガ、農民ガ
自分ガ値段ノ高低ニ鑑ミテ、藏トカ倉庫ノ
中ニ貯藏シテ居ル米ヲ、政府ガ必要ナ場合
ニ農民カラ一種ノ强制的ニ買上ゲル權利ガ
アルカナイカ、又買上ゲル命令ヲ爲シ得ル
カドウカト云フコトニ付テ、農林大臣ハ爲
シ得ルノダト言フ、サウスルトドノ條文デ
爲スノカト云フコトニナツテ、第四條デ爲
シ得ル、サウスルト四條ノ買入、賣渡又ハ
其ノ代理若クハ媒介ト云フコトハ、ソレヲ
業ト爲ス者ト云フノガ原則デアルト思フ、
ソレデ一般ノ生產者カラ政府ガ米ヲ必要ノ
時ニ全部買上ゲルト云フノハ、是ハ殆ド電
力國家管理案ト同ジ性質ニナリマシテ、法
ノ性質ガ全然變ハルヤウニナリハセヌカ、
一般ノ生產者カラ必要ナ場合ニ政府ガ米ヲ
出セト、言フダケ出ナケレバナラヌト云フ
コトニナルト、此ノ法律ハ一種ノ國家管理
案ノヤウナ形ニナツテ、配給ノ統制其ノ他
ヲ圓滑ナラシメ、其ノ他色々ナ投機ノ目的
ニシナイト云フコトガ、此ノ法案ノ骨子デ
アルノデアツテ、本案ハソレマデ突込ンデ、
オ前ノ所ハ米ガ何俵アルガラ出セト云フコ
トノ權限ハ、本案ニハナイノヂヤナイカ、
又第四條ヲ拜見致シテ見マシテモ、此ノ第
四條ノ賣渡ト云フ文字ガ、生產者ノ意味デ
アルカドウカ、是ハドウシテモ生產者ヂヤ
ナイダラウト思フノデス、サウスルト第
四條ニハ何處ニモサウ云フ生產者カラ米ヲ
政府ガ必要ノアル時ニ買上ゲルト云フヤウ
ナ規定ハナイノデアツテ、別ナ規定ガ設ケ
ラレテアルナライザ知ラズ、ソレデナイト
私ハ本案ハ、政府委員ノ御說明デハ、第
條ト第四條ガ違フヤウニ言ハレタノダガ、
是ハ私ハ違ハナイノダ、法律上ノ解釋カラ
見テモ一條ノ賣渡モ四條ノ賣渡モ同ジダ、
斯ウ私ハ解釋シナケレバナラヌト思フ、サ
ウスルトソレデモ尙ホ政府ハ生產者カラ直
グ買上ゲル利權ヲ持ツト云フコトニナルト、
此ノ法案ノ根本ガ私ハ變ハル意味ニナリハ
セヌカト云フコトヲ考ヘルノデアリマス
ガ、此ノ點ヲハツキリシテ戴キタイト思フ
ノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=52
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053・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 第一條ハ御覽ノ通リ「媒
介ノ業務ヲ行ハントスル者」ト、斯ウ書イ
テアルノデアリマス、第四條ハ「買入若ハ
賣渡又ハ其ノ代理若ハ媒介ヲ爲ス者ニ對シ」
ト書イテアルノデアリマス、卽チ一ハ業務
デアリ、一ハ業務デナク、ソレヲ買入又ハ
賣渡ヲ爲ス者デアリマス、農家ニ於カレテ
其ノ家庭ニ於テ使ハレル米ハ、無論賣渡ス
ベキモノデナイノデアリマスカラ、之ニ對
シテ賣渡ヲシロト云フコトノ命令ハ出來マ
セヌ、又政府ガ買入ヲスルト云フコトハ、
此處ニハ何モナイノデアリマス、唯米ヲ買
入レテ貯メテ居ル者、若クハ米ヲ貯藏シテ
居ル者ニ對シテ、米ヲ賣却スベシ、卽チ餘
ツタ米ヲ貯藏シテ居ル人ニ對シテ、賣却ス
ベシト云フ命令ハ爲シ得ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=53
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054・吉植庄亮
○吉植委員 一寸關聯シテ······農林大臣ハ
河野君ノ質問ニ對スル御答辯ノ中デ、中央
市場デ最高價格以內デ賣買サレテ居リマス
時ニ、市場外ニ於テソレヨリ高イ相場デ賣
買ガ行ハレル筈ハナイ、若シ左樣ナコトニ
ナレバ買ヒタイ人ガ中央市場ニ來テ安イ米
ヲ買フカラ、左樣ナ心配ハナイト仰シヤイ
マシタガ、是ハ机ノ上ノ議論カラ言ヒマス
ト左樣ナリマスガ、實際ハサウハ參リマセ
ヌ、私ノ勘定ニ依リマスト、少クモヤハリ
自分ノ體驗デアリマシテ、自分ノ所在地ヲ
標準トシテ申上ゲマスガ、私ノ所ハ東京カ
ラ約十里デアリマス、勿論其ノ市場ハ東京
ニアリマスガ、サウシマスト私ノ方カラ東
京ニ持出シマス、而モ私ノ所在ハ停車場カ
ラ一里位、是モ普通農村ヲ平均シマシタラ
停車場カラ其ノ家マデ一里デハ距離ガ短カ
過ギルカモ知レマセヌ、モツト多ク一里半
位ノ半徑ヲ豫想スルノガ本當カモ知レマセ
ヌガ、先ヅ一里、サウシマスト之ヲ自宅カ
ラ停車場マデ持出シマスノニ一俵十錢掛カ
リマス、又停車場デ貨車積卸シニ對シテ一
俵二錢掛カル、ソレカラ貨車ニ乘セマシテ
東京ノ「レール」渡シニシマシテモ是ガ八錢
掛カル、合計二十錢掛カル、サウシマスト是
ハ一石五十錢、此ノ一石五十錢ノ經費ヲ
掛ケテ東京ノ中央市場デ私共ガ賣リマス際
三ハ、東京ノ相場ガ例ヘバ三十五圓四十錢
デ、最高價格ニ決定致シマシテモ、三十四
圓九十錢ノ手取ニナリマス、所ガ之ヲ今度
地元デ約一圓近ク高ク賣ル者ガ出マシタ際
二、是ハサウ云フ値段デ買フノハ損デアル
カラ東京市場へ行ツテ買ツテ來イト云ツテ、
東京市場へ買出シニ出マス、サウシマスト
逆ニ是ダケノ經費ガ掛カリマス、私ガ先程
申シマシタヤウニ一俵ニ付テ少クトモ五十
錢掛カル、是ハドウシテモ動カスコトガ出
來ナイ、ソレデスカラ其ノ地元ニ於キマシ
テハ他ノ條件ヲ拔キニシマシテモ、ドウシ
テモ四十錢ヤ五十錢ハ高ク取引ガセラレテ
居ルヤウナ狀態デゴザイマス、是ハアリ得
ルノデゴザイマス、現在モ地方ニ依ツテ今
ノ最高價格ヲ突破致シマシタ賣買ガ、盛此一
行ハレテ居リマス、是ハ實情ヲ御調査ニナ
ルト分リマスガ、斯ウ云フコトガ行ハレル
ノデアリマスカラ、其ノ所謂闇取引ニ對シ
テドウ云フコトニナリマスカ、河野君ノ御
質問ハ斯樣ナ御趣意ト私思ツテ居リマスガ、
之ニ對スル御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=54
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055・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 今吉植君ノ御質疑ノ、例
ヘテ言ヘバ千葉ノ附近ニ於テ、東京ノ最高
價格ガ三十五圓四十錢デアル、三十五圓四
十錢ノ米ヲ買ツテ自分ノ居所へ持ツテ行ク
ト、ソレガ三十五圓九十錢ニナル、ソレヲ
其ノ地方デ買ヘバ三十五圓七十錢デ二十錢
安イモノガ買ヘル、是ハアリ得ルコトダト
思フノデアリマス、是ハドウモ當然アリ得
ルコトデアツテ、ソレハ不法デモ何デモナ
ク、東京ノ市場デ買ツテ「トラツク」ニ積ンデ
持ツテ行ケバ、ヤハリ金ガ掛カリマスカラ、
ソレガ不法ダト言ツテ取締ルベキモノデモ
ナケレバ咎ムベキモノデモナイト思ヒマス、
又逆ニ地方ノ方ガ東京へ持ツテ來テ賣ルト、
三十五圓四十錢デ賣レルケレドモ、五十錢
費用ガ掛カルカヲ、自分ノ所デソレヨリモ
安ク賣ツタ方ガ宜イト云フノデ、三十五圓
四十錢ノ所ガ手取ガ三十四圓九十錢ニナル
カラ、三十五圓デ其ノ土地デ賣ル、斯ウ云
フ事柄ハ私ハアリ得ルト思フ、併シナガラ
其ノ運賃、運搬手數料其ノ他ヲ換算シタ以
上ニナル上値ト云フモノハ、私ハ大體ニ於
テナイダラウ、斯樣ニ信ズルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=55
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056・添田敬一郎
○添田委員長 河野君、一寸御相談シマス
ガ、今日ハ祕密會ガモウ直キニ始マルノデ
ス、ソレカラ農林大臣モ三時カラ貴族院ノ
方ニ行クコトニナツテ居ルサウデアリマス
ガ、アナタノ御質問ハマダ大分長イノデス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=56
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057・河野一郎
○河野委員 マダ長イデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=57
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058・添田敬一郎
○添田委員長 ソレデハ今日ハ是デ散會致
シマス、明日午前十時ヨリ始メマス
午後三時一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00219390308&spkNum=58
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