第74回帝国議会　衆議院　米穀配給統制法案委員会　第8号　昭和14年3月15日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十四年三月十五日（水曜日）午前十時二十分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　添田敬一郎君
  　　理事　長野綱良君　理事　片岡恒一君
  　　理事　古田喜三太君　理事　田中好君
  　　理事　三善信房君　理事　馬岡次郎君
  　　理事　窪井義道君
  　　　　三好榮次郎君　　　山田六郎君
  　　　　今成留之助君　　信太儀右衞門君
  　　　　山本粂吉君　　　福田關次郎君
  　　　　勝田永吉君　　　小野寅吉君
  　　　　河野一郎君　　　吉植庄亮君
  　　　　大石倫治君　　　小山田義孝君
  　　　　牧野良三君　　　西川貞一君
  　　　　伊東岩男君　　　石坂繁君
  　　　　北勝太郎君　　　平野力三君
  　　　　三宅正一君　　　佐竹晴記君
  　　　　小山亮君　　　小野謙一君
  同日委員原玉重君辭任に付其の補闕として村松久義君を議長に於て選定せり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　農林大臣　櫻内幸雄君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　企畫院總裁　青木一男君
  　　　　　　　陸軍參與官　中井川浩君
  　　　　　　陸軍主計中將　石川半三郎君
  　　　　　　海軍主計少將　山本丑之助君
  　　　　　　農林政務次官　松村謙三君
  　　　　　農林省農務局長　小濱八彌君
  　　　　　農林省米穀局長　周東英雄君
  　　　　　　　商工參與官　澤田利吉君
  　　　　商工省商務局長兼商工省統制局長　新倉利廣君
  　　　臨時物資調整局次長　竹内可吉君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　米穀配給統制法案（政府提出）

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• 001・添田敬一郎

  ○添田委員長　是ヨリ會議ヲ開キマス-
  吉植君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=1

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• 002・吉植庄亮

  ○吉植委員　今日私ハ本案ヲ提出ニナツテ
  居リマスル根本ヲ形作ル農林省ノ豫期スル
  ヤウナ米穀ノ穫得ガ出來ルカドウカニ付
  御尋ネシタイ、此ノ問題ハ關聯スル所ガ甚
  ダ大キイノデゴザイマス、之ヲ質シテ置キ
  マセヌト結局本案ノ精神ガ結論ガ付カナ
  イト思ヒマスカラ、御尋スル譯デアリマス、
  農林省ノ本年ノ收穫豫想高ト增產計畫ト兩
  方實現シマスニハ、現狀ヲ以テシテハ甚ダ
  心許ナイト思ヒマスノデ、此ノ事ハ本會議
  デモ質問致シマシタ、單ニ是ハ農林省ダケ
  ニ止メテ御尋ヲ致シマシテモ、結局解決ハ
  付キマセヌ、先ヅ第一ニ企畫院、勞力問題
  ニ及ブト軍部ノ方ノ關係モ生ジテ參リマ
  ス、又農村資材ノ點ニハ商工省ガ重大ナ關
  係ガアリマスノデ、實ハ各關係ノ政府委員
  竝ニ大臣ノ御出席ヲ要求シタ譯デアツタノ
  デアリマス、思ヒマスルノニ氣候ノ關係其
  ノ他ガ普段ト同ジヤウデアリマシテモ、今
  日ノ實狀ヲ以テシマシテハ政府ノ計畫通ニ
  ハナラヌト存ジマス第一農村資材ガ不足デア
  リマス、政府ノ方ノ計畫ハ十分ナツテ居ルカ
  モ知レマセヌガ、農村ニ渡ツテ居リマス農
  村資材ト云フモノガ涸渴狀態ニナツテ居リ
  そう、御承知ノ通リニ勞力モ不足致シテ居
  リマス、元來米ヲ作ルニハ勞力ト農村資材
  ノ潤澤ナル供給ト云フコトガ前提トセラレ
  テ居ルコトハ何人モ知ル所デアリマス、其ノ
  農村資材ガナイ、勞力ガナイト云フノデア
  リマスカラ、此ノ方ヲ餘程徹底的ニ政府ノ
  方デ解決ヲスル決意ト誠意トガオアリニナ
  ラナイト、中々是ノ缺陷ト云フモヲ克服
  スルコトハ出來ナイト私ハ思フ、今ソ現狀
  ハ譬ヘテ見ルト、戰サヲシテ居ツテ、寡兵
  能ク衆ニ當ラシメテ、而モソレニハ彈藥銃
  器ト云フモノガ不足デアル、併シナガラ
  戰ツテ勝テト云フヤウナコトヲ農村ニ命ジ
  テ居ルト云フヤウナ實情デゴザイマス、而
  モ其戰タルヤ此ノ線ガ破レルト日本ノ今日
  ノ地位ト云フモノガ甚シク動搖ヲ受ケル虞
  ノ十分ニアル戰線デゴザイマス、本年ノ米
  作ガ政府ノ豫期スル所ニ遙ニ及バズ、例ヘ
  バ一千万圓以上ノ大減產ニ遭ツタト云フヤ
  ウナコトニナリマスト、一波萬波デアリマ
  シテ、是ガ單ニ農村問題ノミナラズ、日本
  全國ノ有ユル方面ニ影響ヲ及ボシ、隨テ世
  界ニ於ケル所ノ日本ノ地位ト云フモノ
  ガ大影響ヲ蒙ルト云フ、何ト申シマスカ、
  中心問題デアリマス、然ルニ拘ラズ私共ノ
  見ル所ヲ以テスルトドウモ政府全體ノ此ノ
  點ニ關スル御考ガ甚ダ手溫イヤウニ思ウテ
  居ルノデゴザイマス、何故手溫イカト申シ
  マスト、政府ノ方デハ色々ナ物資ニ對シマ
  シテ統制ヲ致シテ居リマス、例ヘバ農村デ
  要ル鐵鋼ニ關シテハ農器具用鐵鋼配給統制
  組合又釘針金ニ關シテハ釘針金鐵線配給統
  制組合、罐詰類ニ關シテハ空罐統制組合、
  農業藥劑ニ關シテハ輸入農藥統制組合、石
  油ニ關シマシテハ石油聯合會ヲ通ジテヤツ
  テ行ク、漁網、「ロープ」ニ關シテハ漁業組
  合ニ糸ヲ配給シテ居ル、產業用護謨製品ニ
  關シテハ、例ヘバ、地下足袋ハ地下足袋工
  業組合ニ任セルト云ツタ工合ニ、有ユル方
  面ニ統制ヲ執リマシテ、配給ノ圓滑ヲ期シテ
  居ラレルノデアリマス、併シ是ガ農村ニ執
  リマシテハ一ツモ有難イコトニナツテ居リ
  マセヌ、ドウ云フコトデ有難イコトニナツ
  テ居ラヌカト申シマスト、例ヘバ鐵鋼配給
  ニ依ツテ吾々ノ方へ鐵ガ來ルコトニハナツ
  テ居リマス、然シ統制ニ依ツテ農器具ガ完
  全ニ配給出來テ居ルカト申シマスト、出來
  テ居リマセヌ、假ニ石油發動機ヲ例ニ取ツ
  テ見マスト、石油發動機ハ半年以上生產ガ
  止マツテ居ル、又秋ニハ當然必要デアル脫
  穀機ガ今日賣止メニナツテ居リマス、又必
  要ナ肥料ガ現狀ニ於テ潤澤ニ農村ニ來テ居
  リマセヌ、計畫ハ來テ居ルヤウニナツテ居
  リマスガ、マダ農村ノ春肥ニハ相當不足ニ
  ナツテ居リマス、之ニ對シテ自給肥料ヲ奬
  勵スル、其ノ自給肥料ニスル草ヲ苅ル鎌ガ
  不足致シテ居リマス、斯ウ云フ風ニ中央ニ
  於ケル統制命令ト云フモノハ完全シテ居ル
  ラシイノデアルガ、此ノ統制命令ニヨリ農
  村ニ現物ガ來ナイ、何故來ナイカ、例ヘバ
  農器具用鐵鋼配給統制組合ト云フモノガア
  リマスガ、農器具用配給統制デハナクシテ
  鐵鋼ノ配給統制ト云フ形ニナツテ居リマス
  丈デ鐵ガ十分ニ參リマセヌ、發動機商ノ方
  ハ、他ノ物ヲ造ツタ方ガ宜イカラ、ソレヲ
  造ル、詰リ統制シ放シデ、終ヒノ方ニ原料
  ガ何處ニ行ツテモ宜イコトニナツテ居ル、
  其ノ上ニ鐵ノ続制ハアツテモ「ボールベア
  リング」トカ、發動機ニ附物ノ「マグネッ
  ト」ト云フ方ノ統制ハアリマセヌ、斯ウ云フ
  ヤウニコチラト、アチラトバラ〓〓ニナツ
  テ居ル、御承知ノ通リ石油發動機ハ「マグ
  ネット」ガナイト活動ヲ開始致シマセヌ、又脫
  穀機ガ賣止メニナツタノハドウカト申シマ
  スト、此ノ原料統制ノ最後ノ締括リガ付イ
  テ居ナイノデ、他ノ方デ高ク賣レルト其ノ
  方ニ原料ガドン〓〓流レテ行クカラ、脫穀
  機ヲ造ラナイ、鎌ニ於テモサウデアル、今
  日農林省ノ增產計畫ト云フモノガ、幾ラ鐘
  太鼓ヲ叩イテヤリマシテモ、此ノ增產竝ニ
  第一囘見越シノ收穫ヲ擧ゲルニ必要ナ斯樣
  ナ物ガ今日農村ニ不足ヲ〓ゲテ居ル、是等
  ガ不足デハ米ハ思フ樣ニ取レル筈ガアリマ
  セヌ、發動機ガ不足スルトドウ云フ結果ニ
  ナルカ申シマスト、幸ニ豐作ノ基ト言ハレ
  ル照込ミガ十分ニ來ルトシタ處デ挿秧期ニ
  ナツタ時ニ石油發動機ガアリマセヌト水ヲ
  汲上ゲルコトガ出來ナイ況シテ石油ガ缺乏
  シテハ尙ホ出來ナイ、是ノ石油ノ問題ニ付
  キマシテモ、石油ハ今日餘ツテ居リマスニ
  モ拘ラズ、農村ニ要リマス石油ハ缺乏シテ
  居ル、ソレハドウ云フ風ニ缺乏シテ居ルカ
  ト申シマスト、石油聯合會ノ方ニ配給ガ參
  ツテ居リマス、サウスルト是ガ農村ニ屆ク
  前ニ圓「ブロック」內ニ於テ、支那滿洲ノ方
  ニ流レテ行クノデアリマス、例ヘバ戰前ニ
  於テコチラデ二罐一箱ノモノガ四圓七十錢
  デアリマシタガ、支那ノ方ニ持ツテ行クト
  八圓ニ賣レル、隨テ內地ニ於テモ八圓ニナ
  ツテ居ル、價格ノ騰貴ノミナラズ、石油ガ
  支那滿洲ニ流込ンデ居リマス結果、發動機
  ニ使フ所ノ石油ガ農村ニ來ナイ、其ノ結果
  ドウナルカト云フト私共ガ唯一ノ賴ミトシ
  テ居リマスル豐年ノ基タル照リ年ガ來タト
  シマシテモ到ル處ニ旱魃ヲ起シマス照込ミ
  ノ年ガ幸ニ來マシテモ、之ヲ逃ガシテ增產
  ガ出來ナイノミナラズ、減產トナル、又不
  幸ニシテ是ガ雨續キニナル、雨續キニナツ
  テ政府ノ見込ンダ所ノ增收計畫ト云フモノ
  ガ刻々ニ破レテ行ク、最後ノ賴ミトシテ、
  セメテ平年作デモ穫ラウトシタ時ニ、雨ガ
  降ル、水ヲ湛ヘル、發動機ニ依ツテ之ヲ排
  水スルコトガ出來ナイト云フコトニナリマ
  スト、政府ノ增產計畫ト云フモノハ根本カ
  ラ打破サレルコトニナル、斯樣ナ狀況ニナ
  ツテ來ル、又釘ヤ針金ト云フモノガ-是
  ハ昨年デアリマシタカ靜岡縣ノ卵デアルト
  カ、靑森縣ノ林檎ト云フヤウナモノノ配給
  ガ、釘、針金ノ不足デ出來ナカツタ、ソコデ
  今釘、針金、鐵線ノ配給要綱ト云フモノガ出
  來テ居リマスガ、ソレヲ商人ハ農村ニ賣リ
  マセヌ、都會地ニドン〓〓是ガ流レ込ンデ
  來テ居リマス、是モ實際ノ話デアリマス、
  又罐詰用ノ空罐ニ致シマシテモ、是モ農村
  ニ缺乏シテ、却テ外ノ方ニドン〓〓流レル、
  ト云フノハ此ノ配給ノ方法ガ、錻力商人ノ手
  ニ材料ガ渡リマシテ、鐵力商人ガ空罐ヲ拵ヘ
  テ農村ニ配給スルト云フコトニナツテ居
  ル、サウシマスト外ノ高値ニ取引出來ル所
  ニ之ヲドン〓〓流シ込ンデシマフ、昨年筍
  ノ罐詰ヲ拵ヘル時ニ、品不足デ空罐ガ來ナ
  イ、筍ハドン〓〓伸ビテシマツテ困ツタト
  云フヤ。ウナ例モアリマス、農業藥劑關係ニ
  シマシテモ、是ハ輸入農業統制組合カラ輪
  入製造加工組合ニ流シ込ムノデアリマス
  ガ、是モ終ヒニハ何處ヘ行ツテモ宜イト云
  フコトニナル、ソコデ採算ノ取レルウント
  賣レル所ニハ流レテ行キマスガ、東北ノヤウ
  ナ所ニハ流レテ行カテイ、農業藥劑ガドレ
  程增產計畫ニ必要カト云フコトハ、農林當
  局モ能ク御承知ノ通リデアリマス、石油ハ
  先ニ申上ゲタ通リデアリマス、漁撈用ノ「ロー
  プ」ナンカニ至リマシテハ、左樣ナコト以
  外ニ品質ヲ業者ガ粗惡ニシテ行キマス、其
  ノ結果折角獲リマシタ網一杯ニ膨上ツテ居
  ル大漁ノ魚ガ、網ノ底ガ破レテ拔ケテシマ
  ツタ、折角釣絲デ釣ツタ魚ガ絲ガ切レテ逃
  ゲテシマツタト云フヤウナコトハ、枚擧ニ
  遑ガナイコトデアリマス、ソレデハ斯樣ナ
  コトハドウ云フ所カラ發生シ來ツタカト申
  シマスト、是ハ農林省ノ本年度ノ米穀政策
  竝ニ增產計畫ニ副フヤウニ、此ノ農產資材
  ノ流シ込ミガ「リンク」シナイ、玆ニ企畫院
  竝ニ商工省ニ向ツテ御尋シナケレバナラヌ
  コトハ、一體全體軍ニ致シマシテモ、軍ガ
  行動ヲ起シテ一ツノ戰爭ヲ開始スル、其ノ
  時ニ之ニ必要ナル資材ト云フモノヲ、其ノ
  軍ノ統率ノ下ニ屬セシメナイデ、他ノ部隊
  長ノ統率ニ之ヲ付ケテ置ク、サウシテ戰ヲ
  セヨ、是デ戰ガ十分出來マセウカ、ドウシ
  テモ本年ハ內地デ米ヲ六千七百万石穫ラナ
  ケレバナラヌ、若シ六千七百万石穫ラナイト
  日本ニ於ケル米ノ對策ガ根本カラ破レル、破
  レテ來ルト先程申シマシタヤウニ一波万波ヲ
  呼ンデ、收拾スベカラザル狀態ニナル虞ガア
  ル、其ノ所謂國策ノ根幹ノ一ツヲ成シテ居
  ル此ノ增產計畫ニ對シマシテ、此ノ物資ヲ
  配給スルニ付テハ、農產資材ダケハ農林省
  ノ管轄ニ屬セシメテ、初メテ是ガ完成スル
  ノデアリマスガ、然ルニ事實ハ之ニ反シ、
  只今申上ゲマシタヤウニ是ハ商工省ノ方ノ
  配給トナツテ居リマシテ、商工省カラ只今
  申上ゲマシタ色々ナ工業組合其ノ他ニ之ヲ
  配給スル、サウ致シマスト鐵ハ工業組合ノ
  方デ之ヲ製品ニシテ賣捌ク、賣捌カウトス
  ル場合ニ側ニ高ク賣レル所ガアルト之ニ賣
  込ム、又同ジ圓「ブロック」ノ中ニ逃込ム所ガ
  澤山アルトソチラニ行ツテシマフ、只今申
  上ゲレヤウナモノガ全部サウ云フ形ニナツ
  テシマツテ農村ニハ來ナイ、ソコデ之ハド
  ウシテモ現狀ノヤウナ配給統制ノ仕方ニシ
  ナイトイケナイモノカ、之ヲ改善スル餘地
  ガナイモノカ、ナイトスレバ、如何ナル理
  由ヲ以テ左樣ナコトガナイノカ、其ノ點ヲ
  一ツ企畫院總裁竝ニ商工當局カラ承リタイ
  ト思フノデアリマス

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• 003・青木一男

  ○靑木政府委員　御答申上ゲマス、食糧ノ
  自給ト云フコトガ、戰時下ノ我國ニ於キマ
  シテ最モ重要視スベキ國策デアルト云フ點
  ニ付テハ全ク同感デアリマス、ソレカラ此
  ノ農業ノ維持、更ニ增產計畫ノ遂行ニ當リ
  マシテ、必要ナ物資ガ伴ハナクテハイケナイ
  ト云フコトモ、是モ論ヲ俟タナイ所デアリ
  さく、今日ノ狀況ニ於キマシテ、又吉植サ
  ンノ御述ベノ如キ色々ナ必要ナ物資ノ配給
  ニ於テ、圓滑ヲ缺イテ居ルト云フコトモ、
  是ハ事實アラウカト思ツテ居ルノデアリマ
  ス、何分ニモ戰時ニ於キマスル重要物資ノ
  需要ガ急激ニ增加致シマシテ、之ニ對スル
  供給力ト云フモノニ制限ガアル、斯ウ云フ
  關係デ各方面ニ不自由ヲ掛ケテ居ルコトハ
  事實デアリマス、ソレカラ同ジ品物ヲ配給
  致スニシテモ其ノ方法ガ慣レテ居ラナイ、
  或ハ制度ガ整ツテ居ラナイト云フ關係上、
  是亦不圓滑ヲ來タシテ居ル原因ヲ作ツテ居
  ルコトモアラウカト思フノデアリマス、併
  シナガラ政府ニ於キマシテモ亦此ノ米穀等
  ノ生產維持增加ニ伴フ物資ノ配給ノ重要性
  ト云フコトハ十分認メテ居リマスノデ、先ヅ
  第一段ニ今御話ノアリマシタヤウナ鐵關係
  ノ農具デアルトカ、或ハ其ノ他各種ノ資材
  ニ付キマシテ割當ヲ決メル場合ニハ出來ル
  ダケ考慮ヲ加へタイト考ヘテ居ルノデアリ
  マス、此ノ重要物資ノ割當ニ付キマシテハ、
  企畫院ハ各省ト協議ヲ致シマシテ、私共ノ
  責任ニ於テ其ノ大體ノ輪廓ヲ決メルノデア
  リマスガ、御承知ノ通リ戰爭中デアリマス
  ノデ、軍需其ノ他ノ非常ニ大量ナ分ヲ取ラ
  レルノデアリマスケレドモ、併シ民需ト致
  シマシテ今申上ゲマシタヤウニ農產維持ニ
  要スル資材ト云フモノハ、是ハ民需ノ中デ
  ハ最モ大切ナモノトシテ出來ルダケノ重點
  ヲ置キタイ、其ノ考へ方デ重要物資ノ割當
  ヲ決メル考デアリマス、ソレガ先ヅ根本デ
  アルト思フノデアリマス、其ノ次ニハ
  今御話ノアリマシタヤウナ配給ノ組織
  運用ノ問題ニナルト思フノデアリマス、
  此ノ方ハ大體各省殊ニ商工省ノ物資調
  整局ヲ中心トシテ、各省ニ御願シテ居ル
  部分ガ多イノデアリマスガ、是モ今マデノ
  所ハ或ハ其ノ制度運用ニ於テ不十分ナ點ガ
  アツタカモ知レマセヌガ、今後ニ於テハ其
  ノ改善ヲ加ヘマシテ、當初割當テタ目的以
  外ヘ其ノ品物ガ流レテ行クト云フヤウナコ
  トノナイヤウニ、一段ト工夫ヲ凝ラシタイ
  ト考ヘテ居リマス、又今御話ノヤウニ外ヘ
  持ツテ行ツテ製造シタリ、或ハ賣レバ高ク
  賣レルカラ、ソレデ初メ割當テタヨリ以外
  ヘ其ノ品物ガ流レテ行クト云フヤウナコト
  ガアツテハ、是ハ統制ノ本旨ニ背キマスノ
  デ、今御話ノヤウナ弊害ノナイヤウニ極力
  關係方面ト相談ヲシテ、改善ヲ加ヘテ行キ
  タイト今考ヘテ居リマス、又今御話ノ例ヘ
  バ圓「ブロック」地域ヘ其ノ値段ノ關係デ行
  クト云フヤウナコトガアツテモ困ルノデア
  リマス、圓「ブロック」ニ對スル物資ノ供給
  ニ付キマシテハ、其ノ見地カラ此ノ政策ヲ
  決メテ行キマスガ、唯値段ノ關係上政府ノ
  豫期シタ以上ニ、斯ウ云フ品物ガ流レテ行
  クト云フヤウナコトガアツテハナラヌト考
  ヘテ居リマス、ソレデ政府部內ノ仕事ノ分
  擔ノ關係デアリマスガ、今申上ゲマシタヤ
  ウニ重要物資ノ割當ト云フ根本ノコトニ付
  キマシテハ、企畫院ガ中心トナツテ各省ノ
  意見、農林省ノ意見モ十分參酌致シマシテ
  決メルノデアリマス、配給ニ付キマシテハ
  是ハ事柄ノ性質上、ヤハリ物資調整局等ガ
  中心トナツテ決メルノガ適當カト考ヘテ居
  リマスガ、此ノ場合ニモ勿論各省ノ意向ヲ
  無視シテヤル譯デハナイノデアリマシテ、
  十分サウ云フ方面ノ要求モ入レテ理想的ノ
  方法ヲ執リタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデアリ
  マス、唯一言申上ゲテ置キタイノハ、當初
  モ申上ゲマシタ如ク、何ト申シマシテモ現
  在ハ品物ノ供給總量ニ比シテ需要ガ多イノ
  デアリマスカラ、ソレデ斯ウ云フ方面ニ如
  何ニ重點ヲ置クト申シマシテモ、今マデノ
  ヤウナ自由ノ時代カラ見ルト、是ハドウシ
  テモ窮屈ニナルト思フノデアリマス、品物
  全體ガ要ルモノデアリマスカラ、ソレデ其
  ノ品物ノ配給等ニ於テ今マデヨリモ工夫ヲ
  考ヘルハ勿論、需要者側ニ於キマシテモ或
  ル程度ノ不自由ヲ忍ンデ戴イテ、極力少イ
  モノデ間ニ合セルヤウナ工夫ヲ願ヒタイ、
  斯ウ云フコトヲ同時ニ御願シテ置キタイト
  思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=3

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• 004・吉植庄亮

  ○吉植委員　只今企書院總裁ノ御答辯ヲ承
  リマシタガ、實ハ割當ハ企畫院ノ仕事デ各
  方面ニ割當テル、斯ウ云フ御言葉デアリマ
  シタガ、ソレニ付テ此處デ企畫院總裁ノ御
  意見ヲ伺ヒタイ、只今企書院ノ方ノ割當ニ
  依ツテ來テ居リマスルモノデ、折角企書院デ
  割當テマシテモ民間ノ農村ノ方ニ十分ニ行
  キマセヌモノニ今モ申上ゲタ鐵鋼ガゴザイ
  マス、是ハ企書院ノ方デオ割當ニナラレル、
  又農村デ今最モ必要ナ勞働著ヲ作ル木綿物
  其ノ他ノ割當、是等ハ企書院ノ方デ割當テ
  テ其割當テハ白紙ノ儘商工省ノ方へ參リマ
  ス、商工省ノ方デハ工業組合ヘ直グニ行ツ
  テシマフ、スルト景氣ノ好イ方へ流レテシ
  マフト云フヤウナコトデ、農村ニ旨ク渡ラナ
  イト云フノガ實情デアリマス、又地下足袋
  ノ如キハ先刻申上ゲマシタガ是ハ特免ノモ
  ノデアリマス、特免ノモノデ割當ニナリマ
  スガ、其ノ割當ハドウナルカト申シマスル
  ト、斯ウ云フ地下足袋ニ用ヒマス護謨ハ運
  動靴ト共通割當ニナツテ居リマス、運動靴
  ノ方ハ都會地ノ方ニ賣レマスカラ高ク賣レ
  ル、然ルニ農村ノ方ハ高クテハ賣レナイ、
  ソコデ此ノ護謨ハ運動靴ノ方ヘドン〓〓行
  ツテ地下足袋ノ方へ來ナイ、斯ウ云フ現狀
  ニナツテ居リマス、序デデアリマスカラ申
  上ゲマスガ此ノ地下足袋ガ幸ニ出來テ農村
  側ニ來タラドウナルカ、是ハ軍需工業ノ方
  ガ景氣ガ好イ、農村ヘ賣ルヨリハ軍需工業
  地ノ景氣ノ好イ方へ賣ツタ方ガ高イノデス
  カラ、折角地下足袋ニナリマシタニモ拘ラ
  ズ製品ガ都會へ流レテシマツテ農村ニハ缺
  乏スル、是ハ實例デゴザイマス、斯ウ云フ
  コトニナツテ居リマス、又鐵ノ方ニシマス
  ト先ヅ商工省ガ道府縣別ノ需要調査ニ基
  イテ査定シ且ツ配給ヲ爲シ、農林省ハ之ヲ
  府縣ニ割當テマス、ソレカラ購入證明書ヲ
  吳レマス、ソレガ需要者ニ渡ツテ其ノ證明
  書ヲ以テ製造配給ガ行ハレル、斯ウ云フヤ
  ヤコシイコトニナツテ居リマス、是モ企畫
  院ノ方カラ純粹ノ農村ノ農產用具トシテ使
  フ所ノ鐵ハ、農林省ノ方ニ御任セスルト云
  フコトニナツテ、農林省ガ之ヲ農村ノ實際
  ノ狀況ニ照シテ發動機ハ幾ラ、除草機ハ幾
  ラ、脫殼機ハ幾ラ、鎌ハ幾ラト云フヤウニ、
  割當テマシテ、工業組合ニ持出シテコチラ
  ノ要求ニ合フ規格ニ於テ造ツテ貰ツテ、之
  ヲ農林省ガ配給スルト云フコトニスレバ不
  便モナイノデアリマスガ、サウデナク只今
  ノ現狀ハ只今申上ゲタヤウナ譯デアリマス、
  然ラバ其ノ結果ハドウ云フ風ニナツテ居ル
  カト云フト此ノ要綱ハ行政方針ヲ示シタ要
  綱デアツテ、民間ニハ强制力ガ殆ドナイ、
  ソコデ原料ハ勿論半製品ノ鐵綱原料デモ地
  金トシテ賣ツテシマツタ方ガ今日得ダカラ
  之ヲ賣ツテシマフ、製造義務ノ負擔ガナイ
  ノダカラ、先程申上ゲタヤウニ脫殼機ハ賣
  止メニナツテ居リマス、是ガ脫殼機用鐵幾
  ラト云フ統制ガ出來テ居リマスト、脫殼機
  ハドウシテモ拵ヘナケレバナラヌガ、ソレ
  ガサウナツテ居リマセヌカラ地金トシテ流
  レルト云フコトニナツテ居リマスカラ、脫
  殼機ハ出來マセヌ、出來マシテモ最高價格
  ノ決定ト云フコトニ囚ハレテ、儲ガ薄クナ
  ルト規格ヲ破壞シテ惡イモノヲ拵ヘマスカ
  ラ直チニ破レテシマフ、隣ニ居ル同僚西川
  議員ノ話ニ依ルト赤ン坊ノ襁褓「カバー」ハ
  今マデノ品ヨリモ耐久力ガ二倍三倍弱クナ
  ツテ居ルト言ハレテ居ルガ是ハ西川君ノ體
  驗デアル、又先刻申上ゲタヤウニ、折角大漁
  ニナツテ悅ンデ漁民達ガ大漁旗ヲ立テテ祝
  ハフトシタ所ガ、網ガ規格デウント下ツテ
  居ツタ爲ニ底ガ拔ケテ魚ガ獲レナクナツテ
  シマツタト云フコトニモナルノデアリマス、
  ドウシテモ此ノ割當又ハ配給統制ト云フコ
  トニ關シテ企畫院總裁モ改善スベキ所ハ改
  善スルト仰シヤイマシタガ、ソコデ承リタ
  イ、企畫院ニ於キマシテハ只今私ガ申上ゲ
  マスヤウニ、農村カラ工業組合ニ配給ニナ
  リマシタ證明書ニ依ツテ註文致シ、農林省
  ガ之ヲ監督シマスレバ、規格ヲ下ゲルト云フ
  ヤウナコトノ防除モ出來ル、ソコデ企畫院ニ
  於テ、純粹ニ農村ニ渡ルベキモノハ其ノ分
  ダケ商工省ノ管理カラ切リ放シテ農林省ノ
  管理ニ任セル、其ノ代リ註文スル時ニハ商
  工省監督ノ下ニ於ケル工業組合ヲ指定シテ
  註文サセル、斯ウ云フヤウナ簡單明瞭ナ途
  デ行キマスルト、私共ノ心配ガ除去出來ル
  ノデゴザイマスガ、之ニ對スル企畫院總裁
  ノ御考ヲ承リタイ

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• 005・青木一男

  ○靑木政府委員　要スルニ御尋ノ通リ當初
  割當テタ方面へ事實品物ガ行クト云フコト
  ガ、眼目デアルヤウニ伺ヒマス、ソレカラ
  又値段ガ高イカラ都會ヘ集ツテ、農村ヘ行
  カナイト云フヤウナコトガアツテモ困ル、
  サウ云フ點ヲ矯正致シマス爲ニ色々現在ノ
  ヤリ方ヲ變ヘル點モアラウカト思ヒマスガ
  各省ガドウ云フ風ニ分擔シテヤルノガ宜シ
  イカ、是ハ御趣旨ニ於テハ、私共モ異存ハ
  アリマセヌカラ、尙ホ關係各省ト協議致シ
  マシテ、一番良イ方法ヲ取ルコトヲ至急〓
  究シテ見タイト思ヒマス、唯具體的ニ今御
  示シノヤウナコトガ一番良イ方法カドウカ
  ト云フコトハ、直チニ御卽答致シ兼ネマス
  ガ、十分關係方面ト協議シテ考慮致ス積リ
  デアリマス

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• 006・吉植庄亮

  ○吉植委員　只今ノ企畫院總裁ノ御言葉デ
  私共ハ愁眉ガ開ケ掛ツタ氣ガシマス、但シ
  此ノ決メガ又各省ノ間ニ於ケル所謂繩張爭
  ヒニナツテ參リマスト、是ハ甚ダ困リマス
  ノデ、商工省カラモ見エテ居ラレマスカラ
  此ノ點特ニ御願シタイノデアリマス、今日
  ノ朝日新聞ヲ見マシテモ其ノコトヲ明ニ書
  イテアリマス、是ハ唯私一人ノ意見デアリ
  マセヌデ、所謂天下ノ定論ニナツテ居ルヤ
  ウデゴザイマス、此ノ記事ニハ、一ツノ事實
  ヲ書イテ、其ノ次ニ「是ハ明ニ繩張リ意識ニ
  發スル各省割據主義ニ起因シテ居ルガ、戰
  時下總テノ國家的活動ニ敏速且ツ集約的ナ
  能率發揮ガ要望サレル際、特ニ舊態依然タ
  ル役人根性ト御役所氣風ハ檢討ノ對象トナ
  ル、斯テ此ノ一事例ヲ取ツテ見テモ問題ハ
  結局」云々ト書イテアリマスガ、是ハモウ天
  下皆悉ク見ル所デアリマス、併シ又考ヘテ
  見ルト一面御尤至極ナ點モ無イコトハナイ
  各省ニ於テ自分ノ繩張リト云フモノヲ固ク
  守ツテ行ク、御互ガ自己ノ責任ヲ十分ニ盡
  シマスカラコソ、今日此ノ大事變ニ際會致
  シマシテモ日本ハビクトモシナイノダ、是
  ガ皆投ゲヤリデアツテ、自分ノ繩張ヲ侵サ
  レ放題ニ放任シテ置イテ宜シイト云フコト
  ニナツタラ、日本ハ斯樣ナ實力發揮ハ出來
  マセヌ、デアリマスカラ私ハソレヲ咎メル
  ノデハナイ、併シドウモ清水次郞長一家ガ
  ドウダトカ、或ハ黑駒勝藏ノ繩張ガドウダ
  トカ、俺ノ繩張ヲ侵シヤガツタラ承知シナ
  イ、斯ウ云フコトニナツタノデハ、是ハ新
  聞ノ示ス通リ甚ダ怪シカラヌコトト思ヒマ
  ス、ツマリ一切ノ自分ノ領分ヲ守ツテヤツ
  テ行クト云フコトモ、國策ノ線ニ沿ウテ行
  ツテ貰ハナイト困ル、然ラバ國策ノ線ハ何
  處ニアルカ、只今私ガ申上ゲマシタヤウニ
  ドウシテモ今年六千七百万石穫ラナイト、
  日本ノ戰時食糧政策ガ根底カラ搖ガサレル
  コトニナルト、農林省ガ發表スルノガ日本
  ノ米穀國策デゴザイマス、此ノ國策ガ確定
  シタル以上ハ、此ノ六千七百万石ヲ飽クマ
  デモ穫ル、石ニ嚙リ付イテモ之ヲ穫ラネバ
  ナラヌト云フ所マデ行カナイト日本ハ危イ、
  此ノ國策ノ線ニ沿ウテ各〓ガ各〓ノ領分ヲ
  守ルノガ宜シイノダガ、此ノ國策ノ線ニ外
  レテ鐵ナラ鐵、木綿ナラ木綿ノ配給ニ當ツ
  テ、是ガ農林省ノ方へ原料資材ガ來ル、左
  樣ニナルト是ハ商工省ノ面目ニ係ハル、又
  商工省ガ管轄致シテ居リマス工業組合、商
  業組合ノ人達ノ發展ヲ希念シテ居ル上ニ於
  テ、其ノ發展ガ氣遣ハレル、是ガ可愛イト
  云フコトデ、單ナル左樣ナ女子的ノ感情、
  愛情ニ囚ハレルト云フヤウナコトガアツテ、
  眞直グニ行クベキ流レヲ外ヘ〓〓ト岐路ニ
  流レシメルト云フコトニナツテハ容易ナラ
  ヌ事デアリマス、此ノ點一ツ商工當局ノ御
  意見ヲ承リタイノデアリマス

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• 007・竹内可吉

  ○竹內政府委員　食糧品ノ供給ガ、他ノ物
  資ノ非常ニ不足勝ナ中ニ於キマシテ、先ヅ
  心配ノ狀態ニナイト云フコトハ、是ハ非常
  ナ强味デアルト思フノデアリマス、隨ヒマ
  シテ其ノ食糧ノ生產ヲ維持シ、更ニ其ノ增
  加ヲ圖リマス爲ニ、私共モ十分ナ關心
  ヲ持ツテ行カナケレバナラヌト云フコ
  トニ於キマシテハ、決シテ其ノ認識ニ
  於テ劣ラナイ積リデ居リマス、現在食
  糧ノ生產ニ必要ナ各種ノ物資ノ配給ニ
  付キマシテモ、相當此ノ方面ニハ重要視致
  シテ居ル積リデゴザイマス、只今縷々御述
  ベニナリマシタコトニ依リマシテ、更ニ
  層認識ヲ深メ得タト云フ感ジガ致シテ居リ
  マン、殊ニ製品ニナリマシテカラ先ニ、其
  ノ品物ガドウ云フ風ニ現實使用サレテ居ル
  カト云フコトニ付キマシテハ、大體私共モ
  今日氣ガ附イテ居ル點ガゴザイマス、只今
  地下足袋ノ例ヲ御述ベニナリマシタガ、サ
  ウ云フコトガアルノデハナイカト云フヤウ
  ナ風ニ、昨今考ヘテ居ルノデアリマス、唯
  之ヲドウ云フ風ニスレバ吾々ノ所期スル目
  的通リニ配給サレルカト云フコトヲ、〓究
  シナケレバナラヌト云フコトガ、一番困難
  デアリ、又大切ナコトト思フノデアリマス、
  唯此ノ問題ハ企畫院總裁モ答ヘラレマシタ
  通リ、何分ニモ物資ガ不足デアリマス、例
  ニ御述べニナリマシタ鐵ニシマシテモ、護
  謨ニ致シマシテモ、綿類ニ致シマシテモ、
  燃料ニ致シマシテモ、不足勝デアリマスノ
  デ、之ヲ實際必要ナ方面ニ廻ハシテ行クト
  云フコトハ、配給ノ統制ヲ一段ト强化スル
  ト云フコトガ、ドウシテモ行ハレナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマス、ソレト同時
  ニ私共配給ノ事務ニ携ツテ居リマス者ガ、
  行屆イタ行政ヲヤルト云フコトガ、ドウシ
  テモ必要ニナツテ來ルノデアリマス、率直
  ニ申上ゲマスガ、何分ニモ經驗ノナイコト
  ヲ實ハ始メマシタ爲ニ、當初ニ於キマシテ
  色々下手ナ點モアツタト思フノデアリマ
  ス、併シ是ハ決シテ繩張ノヤウナ氣持デヤ
  ツタノデハアリマセヌノデ、無經驗ガ思フ
  ヤウニ行カナカツタ點デアルト云フコトヲ、
  御諒承願ハナケレバナラナイト思フノデア
  リマス、商工省ニ於キマシテモ、決シテ商
  工省ノ所管ガドウダ、農林省ノ所管ガドウ
  ダト云フヤウナコトハ、毛頭考ヘテ居ル譯
  デハナイノデアリマス、能ク是ガ問題ニナ
  リマスカラ私共ノ氣持ヲ申上ゲマスガ、自
  分ノ與ヘラレテ居リマス職務ニ忠實ナ餘リ、
  外見上繩張爭ヒデモスルカノ如キ觀ヲ呈ス
  ルコトモアラウト思フノデアリマスガ、是
  ハ極力避ケテ行カナケレバナリマセヌト同
  時ニ、サウ云フ疑ヒヲ受ケルヤウナコトヲ
  先ヅ防グト云フコトガ、ドウシテモ必要ダ
  ト思フノデアリマス、更ニ其ノ上ニ立チマ
  シテ綜合シタ計畫ヲ立ルト云フコトガ、ド
  ウシテモ必要デアリマス、此ノ點ハ今後十
  分留意致シテ行キタイト思ヒマス、ソレデ
  只今御述べニナリマシタ中デ、物ノ値段ガ
  高イト云フコトダケデソチラヘ流レテ行ク、
  是ハ最モ私共ハ最初カラ避ケナケレバナラ
  ナイト考ヘテ居ル點デアリマシテ、今後ニ
  於キマシテモ此ノ點ハ十分氣ヲ付ケマシテ、
  配給ノ統制ヲ一段ト整備スルト云フコトヲ、
  ヤツテ行キタイト考ヘテ居ルノデアリマス、
  食糧問題ノ重要ナコトハ、今後戰爭中ハ勿
  論長期建設ノ時代ニナリマシタナラバ、
  國民體位ノ維持向上ノ上カラ申シマシテ、
  極メテ大切ナコトダト思フノデアリマシテ、
  物資ノ配給ヲ按排致シマス際ニ、是等ノ點
  ニ付テノ關心ヲ怠ルコトハ決シテナイ積リ
  デ居リマスルカラ、其ノ點ハ御安心ヲ願ヒ
  タイノデアリマス、同時ニ最後ニ此ノ機會
  ニ、寧ロ御願ヲ申上ゲテ置キマスガ、物資
  ノ不足ト云フコトハ現實ノコトデアリマス
  ノデ、從來ノヤウニ物ガ足リナイト云フコト
  ニ付キマシテハ是ハ十分御諒承ヲ願ハナケレバ
  ナリマセヌ、唯百ノモノヲ、其ノ使ヒ樣ニ依リマ
  シテハ或ハ是ガ七十ニナリ、五十ニナリマシテ
  モ、百使ツテ居ツタト同ジダケノ效果ヲ擧ゲ
  ルモノモ相當アルト思フノデアリマス、卽チ
  其ノ利用ヲ合理化シ、又節約ニ心掛ケルト
  云フコトガ極メテ大切デアルト思ヒマス、
  是ハ私共ガサウ云フコトヲ申シマスヨリハ、
  直接農村ノ指導ノ任ニ關係シテ居ラレマス
  ル皆サン方ノ御力ニ依リマシテ、サウ云フ
  業者ノ認識ヲ深メテ行クト云フコトガ出來
  マシタナラバ、私共非常ニ仕事ガヤリ宜イ
  ト思フノデアリマス、此ノ點ニ付テ甚ダ恐
  縮デアリマスガ、此ノ機會ニ寧ロ御願ヲ申
  上ゲテ置キタイト思ヒマス

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• 008・吉植庄亮

  ○吉植委員　只今ノ御話ヲ承リマシテ、是
  モヤハリ希望ヲ繋グコトガ出來ルコトニナ
  リマシタノヲ、農村ノ爲ニ喜ビマス、唯此
  際申上ゲテ置キタイノハ、農村ハ時局ヲ
  能ク理解致シテ居リマス、政府當局ニ於テ
  何ト言ハレマシテモ、米ノ値段ハ今確ニ安
  イ、自分ナドノ買ヒマスル農產資材ハ高ク、
  周圍全部ノ物價ガ高ク上ツテ居ル中ニ、農
  產物ノミハ値上リガナク、マルデ山ニ圍マ
  レタ中ノ水溜リト云ツタ言葉ガ價格ノ點カ
  ラ見タ農村ノ地位ヲ能ク物語ツテ居リマス、
  理由ハ假令如何ニアラウトモ、米穀ヲ中心
  トシタル農產資材ヲ始メ周圍ノ物價ガ皆上
  ツテシマツタ中ニ獨リ米價ノミハ上ツテ居
  ラナイ、卽チ此ノ異常物價風景ガ能ク物語
  ル農民ノ尊キ犠牲ニ依ツテ、日本ハ低物價
  策ノ國策ヲ遂行シテ居ルノデアルト云フコ
  トヲ、農村民ハ能ク理解シテ居リマス、ソ
  レデアリマスルカラ此ノ點ニ於テ改善ヲ要
  望致シ、アノ點ニ於テ改善ヲ要望致シテ居
  リマシテモ、米價ヲ上ゲロト云フ要望ハ農
  村カラ一ツモ起ツテ居リマセヌ、全農村ガ
  國策ノ線ニ沿ウテ犠牲ニ甘ンジテ國難ニ殉
  ズル志デアリマスカラ、物資ノ缺乏ト云フ
  コトハ百モ覺悟ノ上デゴザイマス、唯其ノ
  缺乏致シマシタ物資ノ流レガ、當然ノ流レヲ
  辿ラズシテ割當制ト配給統制ノ不備ト、營利
  業者ノ營利心ニ依ツテ阻碍サレル、斯樣ナ
  コトニナリマスルト、此ノ尊キ農村ノ犠牲
  ト云フモノハ根柢カラ濁サレル、此ノ尊キ
  犧牲ヲ拂ツテ居ルニ拘ラズ、左樣ナ事ガ公
  公然ト行ハレテ居ルト云フコトガ、農民ノ
  知識ノ中ニ明瞭ニ曝サレ出サレタ曉ハドウ
  ナリマスカ、沈默シツツ犧牲ニ忍ンデ居リ
  マスル反對ニ、其ノ反撥ハ私ハ恐ロシイト
  思ヒマス、此ノ意味ニ於テ企畫院總裁竝ニ
  物資調整局長官ニ、出來ルダケ速ニ此ノ改
  善ニ向ツテ實現ヲ期セラレタイ、斯ウ御願
  シテ置キマスガ、少クトモ是ハ曠日彌久ヲ
  許シマセヌ、企畫院總裁ニ於テハ最近ノ機
  會ニ於テ、如何ナル會合ヲ催ストカ、〓究會
  ヲ催ストカ、如何ナル方法デ何時頃實現ス
  ル積リデアルカ、此ノ點ヲ御伺シタイ、ソ
  レカラ物資調整局次長ニハ、只今ノ御話デ
  心持ハ分リマシタガ、今私ハ肥料ノ點ハモ
  ウ皆サン御承知ノコトト思ヒマスカラ申上
  ゲナカツタ、一番大事ナ肥料ノ點ハ拔カシ
  マシタガ、昨年旣ニ決ツテ居リマスル肥料
  ニ關スル專管問題ト云フモノガ、今マダ宙
  ニ迷ツテ居リマス、是ハドウモ兩省ニ於ケ
  ル所ノ管轄爭ヒ見タヤウナ風ニ私共ニハ見
  エトル一番大事デアリマス、此ノ增產計畫
  中ノ最大根幹デアリマスル肥料、而モ其ノ
  肥料ノ農林省專管ハ當然デアルベキソレガ、
  天下ニ知ラサレテ未ダ實現シテ居ナイ、是
  ハドウ云フ譯ニナツテ居リマセウカ、或八
  アナタノ所管外ニ涉ルコトカモ知レマセヌ
  ガ、一寸之ヲ承ツテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=8

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• 009・青木一男

  ○靑木政府委員　配給機構ノ整備、運用ノ
  改善ニ付キマシテハ、今月中ニ昭和十四年
  度ノ物資動員計畫ガ大體決マルノデアリマ
  シテ、此ノ時ハ各省關係官全部御集リヲ願
  ツテ決メマス、其ノ際ニモ今ノヤウナ問題
  モ出來ルダケ意見ヲ交換シテ、限リアル品
  物ヲ最モ目的ニ副フヤウニ使フ方法ニ付テ
  モ、出來ルダケ〓究ヲ進メタイ、斯ウ考へ
  テ居リマス、併シナガラ其ノ方法ガ具體的
  ニ其ノ時ニ全部決マルカドウカ問題デアリ
  マスノデ、新年度ニナリマシテモサウ云フ
  ヤウナ〓究ハ引續キ私ノ方デモ各省ト協力
  シテ、速ニ改善ノ方策ヲ講ズルヤウニ致シ
  タイト考ヘテ居リマス

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• 010・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今吉植サンカラ肥料專
  管ノ問題ニ付テノ御話デアリマシタガ、是
  ハ既ニ御承知ノ通リ決定致シテ居リマス、
  唯其ノ手續ノ上ニ於キマシテ、事務當局ノ
  間ノ手續ガ完了致スノガ遲レテ居ルト云フ
  コトハ、甚ダ遺憾デアリマスガ、速急ニ是
  ハ取纏メタイト考ヘテ居リマス

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• 011・平野力三

  ○平野委員　關聯シテ企畫院總裁ニ御尋致
  シマス、只今吉植君ニ御答辯ニナリマシタ
  ガ、無論御答辯ガ其ノ儘行ハルレバソレデ
  宜シイト云フコトニナル譯デスガ、實際問
  題トシテ、昨年來吾々ガ企畫院及ビ商工省
  ヘ陳情ヲシタ經驗カラ申シマスト、只今ノ
  御答辯ダケデハ安心出來ヌノデス、ソレデ
  私ノ意見ヲ申シマスト、臨時物資調整局ト
  云フモノガ商工省ノ所管デアルト云フコト
  ガ、間違ツテ居ルト思フノデス、是ハ少ク
  トモ內閣直屬ノ機關デナケレバナラヌ、是
  ガ商工省ノ中ニアツテ商工大臣ノ統制下ニ
  アルト云フコトガ、各省分割等ノ弊ヲ生ズ
  ル、農林大臣ガ商工大臣ニ賴マナケレバ農
  林行政ニ於ケル所ノ必要物資ガ得ラレナイ
  ト云フヤウナ話ハナイト思フ、少クトモ臨
  時物資調整局ト云フモノト、物價調整機關
  ト云フモノハ內閣直屬ニシテ、言ヒ換ヘシ
  バ企畫院ガ直接之ヲヤル、斯ウ云フコトニ
  直チニ御改メヲ願フト云フコトガアリマス
  ナラバ、具體的ニ誠意アルコトデアルト思
  一フノデアリマスガ、是ガ出來ルカドウカ一
  ツ御答辯願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=11

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• 012・青木一男

  ○靑木政府委員　臨時物資調整局ノ機構、
  ソレカラ物價ニ關スル機構ノ所屬ノ問題、
  是ハ私カラハ此ノ際御答辯致シ兼ネマス、
  併シナガラ是ガ商工省ニアリマシテモ、勿
  論商工當局ダケデ斯ウ云フ物資ノ配給其ノ
  他ノ政策ヲ決メル譯デアリマセヌノデ、唯
  先程申上ゲマシタ通リ、配給ニ關スル根本
  ノ方針ハ企畫院ガ其ノ衝ニ當ツテ居リマス
  シ、ソレカラ配給ノ實際ノ運用ニ付キマシ
  テハ是亦商工省ダケデ自由ニ致ス譯デハナ
  イノデアリマス、隨テ商工省ガヤルト云フ
  コトダケデ、必ズシモ豫期ノ目的ヲ達シナ
  イト云フ譯ニハナラナイト思ヒマスガ、機
  構ソレ自體ノ問題ハ私カラハ此ノ際御答致
  シ兼ネマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=12

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• 013・平野力三

  ○平野委員　ソレガ私ハ困ルト思フノデリ
  ス、サウ仰シヤレバ、商工省ダケガ勝手ニ
  シテ居ルト云フコトデナイコトハ分ル、併
  シ實際問題ハ、企畫院ニ行ツテ農業ニ對ス
  ル鐵ト云フモノハ是ダケ必要ダト云フコト
  ヲ話スト、企畫院總裁ハ成程御尤ダ、サウ
  シマセウト言ツタ所デ、實際鐵ヲ貰ヒニ行
  ク所ハ商工省デアル、商工省ノ或ル課長ノ
  所ヘ行ツテ話ヲシナケレバナラヌ、其處ヘ
  行クト又下ノ方へ行ツテ、ソレハ斯ウダ、
  アアダト云フコトニナル、畢竟スルニ商工
  省ニ賴マナケレバ何ニモナラヌノデスカ
  ラ、ソレガイケナイ、若シ企畫院總裁ガ此
  ノ點ニ付テ總裁自身トシテ御答辯出來ナイ
  ナラバ、私ハ委員長ニ御願シテ、敢テ平沼
  内閣總理大臣ノ御答辯ヲ得タイ、問題ハ只
  今吉植君カラ述ベラレタ如ク、全ク重大ナ
  問題デ、今日商工省ノ門前へ行ケバ非常ナ
  モノデス、ソレヲ地方ヘ歸ツテ非常ニ不平
  ヲ言ツテ居ル、皆要領ヲ得ナイ、何故要領
  ヲ得ナイカト言ヘバ、先程吉植君ガ述ベラ
  レタ通リ、此ノ問題ヲ統制シテ眞ニ今日國
  民ノ中ニ捲起ツテ居ル不平ヲ滿足サセルニ
  ハ、内閣直屬ノ機關トシテ十分處理サレナ
  ケレバ、吾々幾ラ商工省ヘ行ツテ賴ンデモ
  埒ガ明カヌ、此ノ點ニ付テ若シ企〓院總裁
  ガ御答辯出來ナイト云フナラバ、內閣總理
  大臣ト、臨時物資調整局ハ內閣ノ直屬ノ機
  關トシテ今後ヤルト云フコトヲ、一ツ御相
  談願ヘナイカドウカ、此ノ點ニ付テ改メテ
  御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=13

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• 014・青木一男

  ○青木政府委員　尙ホ一ツ御意見ヲ伺ツテ
  置キマシテ、十分〓究致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=14

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• 015・平野力三

  ○平野委員　ソレニ對シテ是非總理大臣ト
  御〓究ノ上、出來ヌナラ出來ヌ、出來ルナ
  ラ出來ルト御答辯ヲ願ヒタイ、ソレカラ尙
  ホ一點、只今吉植君ノ說明デ能ク分ツテ居
  ルト思ヒマスガ、企畫院デハ斯ウ云フコト
  ノ〓究ガマダ足ラヌト思ヒマス、工業生產
  ニ付テハ豫算總會ニ於テ十分ナ御說明ガア
  ツテ、企畫院ノ御話ヲ吾々ハ諒トシテ居リ
  マスガ、ドウモ企畫院ハマダ農村問題ニ對
  スル〓究ガ足ラナイト思フ、例ヘバ米ヲ作
  ルニ付テドレダケノ農器具ガ要ルカ、熱
  玆ニ自分ノ〓究ヲ申上ゲマスト、米ヲ作ツ
  テソレガ都會ノ人ノ口ニ入ルマデニハ、二
  十七種類ノ農器具ヲ通ジテ來テ居ル、失禮
  デスケレドモ簡單ニ讀ミマスト、鍬〓
  株切器、碎土器、肥料粉碎機、肥料粉末機、
  肥料配合機、水田中耕除草器、噴霧機、撒
  粉機、「ポンプ」、脫穀機-是ハ人力用ト
  動力用、籾摺機-是モ人力用ト動力用、
  唐箕、扇風機、萬石、縱線選穀器、火力乾燥
  裝置、俵締器、精米機、藁打機、製繩機、
  繩仕上機、製莚機、菰編機、是ダケノモノ
  ガナケレバ米ニナラヌ、無論是ハ其ノ土地、
  其ノ地方ニ依リマシテ、是以上ノ物ヲ使ツ
  テ居ルモノモデアリマス、又是ダケノ物ヲ
  使ハヌデ、多少簡略ニシテ居ルモノモア
  リマスガ、大體是ダケノ經過ヲ經ナケレバ
  米ニ成ラヌ、斯ウ云フモノニ付テノ〓究ガ
  實際ニ出來テ居ナイ、吾々企畫院ニ行ツテ
  見テモ、農器具ナドハ三年位大丈夫ダト云
  フヤウナ考ヲ持ツテ居ラレル、サウ御考ニ
  ナルノモ御尤カモ知レマセヌガ、今日有ユ
  ル生產ニ付テ十分ニ〓究ヲ遂ゲラレル上ニ
  於テハ、是等ニ付テ特ニ御〓究ヲ願ヒタイト
  思ヒマス、モウ一點、護謨ノ話ガ出マシタガ、
  山梨縣ニ於テハ護謨靴ヲ穿イテ田植ニ入リ、
  百姓ヲヤツテ居ル、山梨縣ニハ御承知ノ通
  リ、日本住血吸蟲病ト云フ地方病ガアツテ、
  田圃へ入レバ必ズ罹ル病氣デアル、之ヲ防
  ガウト思ツテモ中々今日ノ學理デハ防ゲナ
  イ、山梨縣ニ於テ多大ノ費用ヲ使ツテヤツ
  テ居ルガドウシテモ防ゲナイ、ソコデ護謨
  靴ヲ穿イテ入ル、此ノ住血吸蟲病ト云フノ
  ハ、皮膚カラ入ツテ、腸ノ壁ニ寄生シテ五
  六年經ツト腹ガ大キクナツテ倒レル、甚ダ
  シイノハ、或ル村ノ學校ノ子供ヲ調ベテ見
  ルト、商人ト大地主ノ息子以外、詰リ耕作農
  民ノ子供ハ八五%之ニ罹ツテ居ツタ例ガア
  ル、現在縣ヲ擧ゲテ非常ニ注意シテ居リマ
  スケレドモ、實際ニ於テ護謨靴ガナイトスレ
  バ此ノ病氣ニ罹ラザルヲ得ナイ、若シ此ノ
  病氣ニ罹ラヌヤウニスレバ米ガ作レナイト
  云フ實情デアリマス、是ハホンノ一例デア
  リマスガ、農民ガ米ヲ作ル上ニ於ケル色々
  ナ苦心ニ付テ御〓究ニナルナラバ、恐ラク
  幾多ノ事例ガアルト思ヒマス、是等ニ付テ
  モ企畫院ニ於テ特別ナ〓究機關ヲ作ラレル
  コトガ必要ダト思フ、唯米ヲ作レ〓〓ト言
  ツテモ作レルモノデハナイ、苟モ增產シヨ
  ウト云フ限リニ於テハ、增產出來ルダケノ十
  分ナル對策ヲ樹テラレタイト云フコトヲ、
  企畫院總裁ニ御願スルト同時ニ、サウ云フ
  コトヲ十分ヤルト云フ御答辯ヲ得テ置キタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=15

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• 016・青木一男

  ○靑木政府委員　企畫院ニ於キマシテモ、
  農產物ノ生產計畫其ノ他農村問題ノ重要性
  ヲ深ク認識シテ、今後ニ於キマシテハ今ヨ
  リモ一層其ノ方面ノ〓究ニ力ヲ注グ、斯ウ
  云フ方針デ只今進メテ居リマス、御趣旨ノ
  通リニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=16

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• 017・西川貞一

  ○西川委員　一寸關聯シマシテ、尙ホ此ノ
  簡單ナ質問ガ終レバ、私ノ保留質問モ同時
  ニ終ルコトニナリマスカラ、二問程御許ヲ
  願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=17

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• 018・添田敬一郎

  ○添田委員長　極ク簡單ニ御願シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=18

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• 019・西川貞一

  ○西川委員　先ヅ企畫院總裁カラ農業用資
  材ノ確保ニ付テ、御心配ヲ戴イテ居ルコト
  ヲ拜聽シタノデアリマスガ、實際ハ企畫院
  ニ於テ割當テラレテ居ルモノガ、完全ニ供
  給サレテ居ナイ、ソレガドウ云フ風ニナツ
  テ居ルカト云フコトニ非常ナ不安ガアリ、
  又其ノ不安ガアル爲ニ價格ノ上ニ於テモ色々
  ナ問題ヲ生ンデ居ルト思フ、企畫院ニ於
  テハ昨年度ノ物資動員計畫ノ全體ノ數字ニ
  付テハ、他ノ機會ニ於テ御發表ニナツタガ、
  凡ソ農林漁業ノ生產資材ニシテ、各品目別ノ
  需要量ガ一體ドレ位アルカ、平年度ニ於ケ
  ル需要量ハドレ位デアツテ、其ノ中生產力
  ニ支障ヲ來サザル範圍ニ於テドノ位節約出
  來ルト見テ居ラレルカ、隨テ絕對必要量ハ
  ドレダケデ、ソレニ付テハ何割ヲ供給サレ
  テ居ルカト云フコトヲ、數字的ニ明ニ示ス
  コトガ、是等ノ不安ヲ一掃シ、又先刻物資
  調整局ノ方ノ御要求ニモアツタヤウニ、凡
  ソ此ノ位ノ必要量ニ對シテ此ノ位ノ供給ガ
  アルト云フコトガ數字的ニ分ルト、ドノ程
  度ノ節約ヲスレバ宜イカト云フ目安ガ付ク
  ノデアリマス、現在デハ努力ヲシテ居ルト
  云フヤウニ抽象的ニハ色々御話ニナリマス
  ガ、果シテドノ品目ニ對シテ何割ノ供給ガ
  確保サレテ居ルカト云フコトハ、明瞭ニナ
  ツテ居リマセヌカラ、節約スル目安ガ付カ
  ナイ、是ハ只今直チニ其ノ數字ヲ御發表戴
  クコトハ或ハ困難カモ知レマセヌガ、適當
  ナ機會ニ其ノ數字ヲ御發表ニナツテ戴キタ
  イト思ヒマス、之ニ付テノ御所見ヲ承リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=19

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• 020・青木一男

  ○青木政府委員　御尤ナ御質問デアリマス
  ガ、物資動員計畫ノ內容ニ亙ル詳細ナ計數
  ハ、發表致サナイコトニ申合セガ出來テ居
  リマスノデ、御註文ノ如キ詳細ナ內譯ハ
  寸申上ゲ兼ネルト思ヒマス

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• 021・西川貞一

  ○西川委員　農業用資材ノ如キハ、數量ニ
  於テハ全體ノ數カラ云フト極メテ僅カデア
  リマスカラ、是ハ大體御發表ニナツタ方ガ、
  農村ノ不安ヲ除クコトニナル、ソレニ付テ
  ハ大體ノ節約ヲスル目安ガ付イテ居ルト思
  ヒマスカラ、是ハ御考直シヲ願ヒタイ、ソ
  レカラモウ一問、私ノ質問ニ對シテ答辯ガ
  保留サレテ居ルコトハ、先刻平野君ガ質問
  サレマシタ臨時物資調整局ト臨時農村對策
  トノ官制上ノ問題デアリマス、隨テソレニ對
  スル總理大臣ノ御答辯ガアレバ、ソレデ宜
  イノデアリマスガ、此ノ際更ニ臨時物資調整
  局當局ニ御伺シテ置キタイノデアリマス、
  商工省ニ於テハ農業用資材ノ問題ニ付キマ
  シテ、農村ノ實情等ヲ能ク御〓究下サツテ
  居ルコトハ、承知シテ居ルノデアリマス、
  併シナガラ全體ニ付テハ色々努力シテ下サ
  ツテモ、實際ニ其ノ內容ガ腹入リサレテ居
  ラレルカドウカ、私ハ商工省ノ現在ノ事務
  ノ狀況カラ考ヘマシテ、一人ノ事務官、
  人ノ課長ノ手ニ於テ非常ニ複雜多岐ニ亙ル
  廣汎ナ問題ヲ、處理サレナケレバナラヌ現
  狀ニ於キマシテ、其ノ一々ニ就テ詳細ニ其
  ノ事情ヲ御諒承ニナツテ、適當ナル措置ヲ
  執ツテ戴クコトハ、人間業デハ出來ナイノ
  デハナイカト思フノデアリマス、私ハ一例
  ヲ取ツテ御聽致シマスガ、農具ノ中デ鋤、
  鍬鎌、此ノ位單純ナモノハナイ、是ハ絕
  對ニ節約ノ出來ナイモノデアル、其ノ鋤、
  鍬鎌ノ中デ一番單純ナ鎌、是ガドノ位必
  要カト云フコトガ數字ノ上ニ出テ居リマス
  ガ、其ノ鎌ニ付キマシテ臨時物資調整局ノ
  方ハ、內外地ヲ通ジテ日本ノ農家ニ何箇ノ
  鎌ガ行クカ、サウシテ其ノ鎌ハ如何ナル方
  面カラ如何ナル機構ニ於テ供給サレテ居ル
  カ、又其ノ所要ノ原料材ハ幾ラ要ルカ、斯
  ウ云フコトハ極メテ單純ナ問題デアリマス
  ガ、其ノ一事ガ能ク御腹入ガ出來テ居リマ
  スカドウカ、此ノ點ニ付テ私ハ御示ヲ願ヒ
  タイト思フ、サウシテ下サルト吾々ハ安心
  スルノデアリマスガ、此ノ鎌ニ付キマシテ
  ドウ云フ風ニ考ヘテ居ラレマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=21

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• 022・竹内可吉

  ○竹内政府委員　只今御尋ノ點ニ付テハ、
  私ノ御答ハ落第ダラウト思ヒマス、私自身
  ハ能ク承知致シテ居リマセヌガ、併シ私ノ
  部下ハ相當〓究ヲ致シテ居ルモノト思ヒマ
  ス、又農村方面ニ付キマシテハ農林省ガ一
  番能ク知ツテ居ラレマス、隨テ農林省ト十
  分ナ連絡ヲ取リマスナラバ、寧ロ私共ガサ
  ウ云フ細カイコトマデ知識ヲ振〓サナイ方
  ガ、却テ圓滑ニ行クノデハナイカ、私ハ斯ウ
  考ヘテ居リマス、同時ニ地方デモ色々事情
  ガ違ヒマスカラ、サウ云フ地方ノ事情ニ卽
  シタ問題ハ、出來ルダケ地方廳デ配分シテ
  貰フ方ガ宜シイノデハナイカ、斯ウ云フヤ
  ウナ氣持デヤツテ居ル次第デゴザイマス、
  地方カラヨクサウ云フヤウナ陳情ニ見エマ
  スガ、其ノ時ニアナタ方ハ縣廳ニ能ク御相
  談ニナツタカト云フコトヲ、實ハ申上ゲル
  ノデアリマス、縣廳ガ其ノ地方ノ事情ヲ篤
  ト承知サレタ其ノ上デ、出來ルコトナラバ
  縣廳ノ人モ一緒ニオ出デナサイ、サウシテ
  吾々ノ認識ノ足ラナイ所ヲ直シテ、戴キタ
  ?、サウ云フ風ニナルコトノ方ガ、寧ロ宜
  イノデハナイカ、斯ウ云フ風ニ私ハ考ヘテ
  居ルノデアリマス

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• 023・西川貞一

  ○西川委員　只今ノ御答辯デアリマスガ、
  サウ云フ風ニ御考下スツテ居ルコトガ、私
  ハ間違フ因ダト思フノデアリマス、サウ云
  フ小サイコトハ部下ノ他ノ方ガ知ツテ居ル
  カラ構ハナイ、斯ウ云フ御考デアリマスト、
  ソコガ私ハ色々間違ヒガ起ル因デハナイ
  カ、又地方廳ノ割當ハ是ハ完全ニ絕對ニ
  行カナイノデアリマス、ソレカラ又地方ノ
  事情ニ依ツテ違フト言ハレルガ、鋤鍬
  鎌ノヤウナ原始的ナ單純ナ農具ハ、地方ノ
  事情ニ付テ變リハアリマセヌ、何町步ニ付
  テ何挺要ル、農家一戶ニ付テ何挺要ルカト
  云フコトハ、全國皆同ジデアル、此ノ鎌ハ
  昔ノ刀劍鍛冶ガ此ノ鎌鍛冶ニ變ツテ來タノ
  デアリマシテ、全國ニ主要產地ガ五六箇所
  アルノデアリマス、此ノ五六箇所ノ主要產
  地ニ於テ約半數ノ鎌ヲ供給スル、ソレカラ
  各地ニ散在シテ居ル野鍛冶ナルモノガ、其
  ノ半數ヲ供給シテ居ル、ソレデ各府縣ニ割
  當テラレマスノハ、各地方ニ散在シテ居ル
  者ニ對シテ三割カ四割ノモノヲ供給シテ居
  ルノデゴザイマスガ、其ノ主タル產地ニハ
  地方ノ割當ガ旨ク行ツテ居ナイ、鐵ノ量カ
  ラ言ヘバ僅ニ二千瓲位ノモノデアル、此ノ
  二千瓲ノ量サヘ割當テテ貰ヘバ、鎌ハ完全
  ニ供給ガ出來マスノニ、現在ハ其ノ三分ノ
  一シカイツテ居リマセヌ爲ニ、鎌ノ足ラナ
  イコトハ是ハ致命的ナ打擊ニナツテ居ル、斯
  ウ云フコトニナツテ居ルノデアリマス、隨テ
  私ハヤハリ色々御心配ヲ戴キマスケレドモ、
  サウ云フコトニマデ次長ニ一反歩ニ何ボ鎌
  ガ行ツテ居ツテ、何ボ供給サレテ居ルカト
  云フコトヲ知ツテ戴クコトハ、人間業デハ
  到底不可能デアリマシテ、答辯ガ落第デア
  リマシテモ、ソレヲ責メルノデハナイノデ
  アリマス、併シヤハリ餅ハ餅屋デ、サウ云
  フ行屆イタ所マデ仕事ヲヤラセル、サウ云
  フ風ニ行政機構ノ上ニモ、官制ノ上ニモ御
  考下サラナケレバ、此ノ問題ハ完全ニ解決
  出來ナイト思ヒマスカラ、ドウカ其ノ點ハ
  能ク御考願ヒタイ、商工省ガ所管的ニ非常
  ニ行屆イタ努力ヲシテ下サツテ居ルコトハ、
  吾々ハ承知シテ居ルノデアリマス、併シナ
  ガラ物ノ機構ト云フモノハ、客觀的ニソレ
  ガ完全ニ行カナイト云フ結果ヲ及ボシテ來
  ルノデアリマシテ、此ノ農具ノ一例ニ付テ
  モ左樣ナ結果ニナツテ居ルノデアリマスカ
  ラ、十分ニ御考慮置キヲ御願致シテ置キマ
  ス、之ヲ以テ私ノ質問ハ、總理大臣ノ答辯
  ガアリマスレバ、其ノ保留質問ト共ニ終ル
  コトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=23

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• 024・北勝太郎

  ○北委員　一寸關聯シテ簡單ニ--物資配
  給ノ實際的方法ニ付テ、物資調整局長ハ大
  變其ノ事ヲ難カシク考へテ居ラレルヤウデ
  アリマスガ、農村ニ物ヲ配給スルコトニ付
  テハ、ドウシテモ之ヲ通ラナケレバナラヌ
  合理的ナ正道ガアル、其ノ正道ガアルノ
  ヲ故ラニ之ヲ避ケテ行カレヨウトスル、
  卽チ定石ヲ外シテ行カレヨウトスル處ニ、
  丁度下手碁ノ考ヘルト同ジヤウニ、大
  變難カシイモノガ出來テ來テ居ルノデ
  アリマス、ソコデ此ノ定石ヲ外サズニ
  不自然ナコトヲシナイ樣ニシテ行クナラバ、
  何モ難カシイコトハナイ、ソコデ定石通リ
  ニ、ドウシテモ通ラナケレバナラヌ道ヲ步ム
  ノダト云フコトヲ考ヘラレレバ、問題ハ解
  決ガ付クノデアリマス、當局ハサウ云フ御
  考ハナイカ、不自然ナコトヲシテ通ルベキ
  道ヲ通ルマイトスルカラ、何時マデ經ツテ
  モ良イ智慧ハ出テ來ナイ、戰爭ガ濟ムマデ
  出テ來ナイ、斯ウ云フ風ニ考ヘマスガ、當
  局ノ之ニ對スル御考ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=24

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• 025・竹内可吉

  ○竹内政府委員　御尋ノ定石ハドウ云フ定
  石デアルカ、一寸私ニハ分リマセヌガ、併
  シ私共ハ唯新シイ石ノ布キ方ヲ强イテ考ヘ
  テ居ル譯デハアリマセヌ、出來ルダケ摩擦
  ヲ少クスル、而モ一方ニ於キマシテ此ノ「ス
  トック」物資ヲ出來ルダケ有效ニ、能率好
  ク配給スル方法ハドウ云フコトデアルカト
  云フコトニ、只管專念シテ居ルノデアリマ
  シテ、强イテ定石ヲ外サウト云フヤウナ意
  味デ、難カシク考ヘテ居ル譯デハゴザイマ
  セヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=25

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• 026・北勝太郎

  ○北委員　結局言ハザルヲ得ナクナツタノ
  デアリマスガ、農村ノ物資配給ハ、產業組
  合ニオヤラシニナリサヘスレバ何デモナイ
  ノデス、之ヲ摩擦々々、相剋々々ト是レバカ
  リヲ恐レテ居ルカラ、結局斯ウ云フコトニ
  ナル、アナタ方ノ御考ハ是レ一ツデス、ソ
  レ一ツサヘ改メルナラバ何デモナイ、ソレ
  ヲ大事ナ生產ニ支障ガ出來ル、根本ノ生產
  ガ減ツテ來ルト云フヤウナコトニシテ置イ
  テ、一體是ハドウナルノデスカ、根本問題
  デアル生產ガ殖エテコソ本當ノ摩擦ハナク
  ナル、本當ノ意味ニ於ケル重大ナル摩擦ハ
  ナクナル、小サイ枝葉末節ノ摩擦ヲ恐レテ、
  サウシテ根本ノ生產ガ減ツタラドウナル
  カ、此ノ點ニ付テ餘リニ目先ノ枝葉末節ノ
  摩擦ニバカリ捉ハレテ居ル、是ガイケナ
  イ、是サヘ直スナラバ譯ハナイ、物ガ足ラ
  ナクトモ少シモ不平ガ起ラズニ、極メテ少
  イモノデモ公平ニ分配ガ出來ルカラ、農民
  ハソレヲ旨ク分ケテ使ツテ行クコトガ出來
  ル、之ヲ一ツ直シタラ宜イ、此ノ考ヲ直サ
  ズニ戰時ノ經濟機構ヲドウシテ旨クヤツテ
  行クコトガ出來マスカ、所謂革新々々ト言
  ツテ居ルケレドモ、此ノ線ニ沿ハズシテ眞
  ノ革新ハ出來ルモノデハナイ、此ノ最小限
  度ノ革新サヘ出來ヌヤウナコトデハ、戰爭
  ノ遂行ハ出來ヌノデハナイカ、私ガ之ヲ力
  說スルノハ極メテ簡單ニ行ク方法ナノデス、
  農業者ニ對シテ組合カラ實際必要ナ數ノ註
  文ヲ取ツテ、其ノ註文ヲ纒メタ上デ全國ニ
  割當テル品物ハ是ダケシカナイ、ソコデ是
  レダケノ品物ヲヤルカラ之ヲ公平ニ使ヘ、
  斯ウナレバ譯ハナイデハアリマセヌカ、ソ
  レヲドウシテモ中間ノ工業者ニ、商業者ニ
  食ハサナケレバナラヌ、其ノ食ハスコトヲ
  先ニシナケレバナラヌカラ農民ニウマク物
  ガ渡ラナイ又農業者ニ配給スルモノハ頗ル
  高イモノニナルノデアリマス、最近ニ於テ
  ハ騰貴率ガ五割七分トカ言ハレテ居リマス
  ガ、七割何分ト云フモノガアル、農業者ニ
  渡ル所ノ品物ハ物價騰貴其ノ他ニ依ツテ斯
  ウ云フ狀況ガ現ハレテ居ル、之ヲ直スベキ
  途ハアルデハアリマセヌカ、ソレヲ御考ニ
  ナラヌデ、小サイ摩擦ヲ恐レタ爲ニ大局的
  ナ肝腎ノ生產ガ減ツタラ國民全體ハドウス
  ルコトモ出來ナイコトニナル、是ハ明ナ事
  實デアリマス、大局ノ前ニハ小サイモノハ
  捨テナケレバナラヌ、是ハ仕樣ガナイ、此
  ノ點ニ付テ其ノ考へ方ヲ直シテ貰ヒサヘス
  レバ農業團體ハ引受ケテ立派ニヤツテ行ク、
  少シモ不平ハ言ハヌ、如何ニ少イ物資デモ
  國家ノ爲ニヤツテ行クト云フ決心ヲ持ツテ
  居ル、サウ云フ決心ヲ持ツテ居ルノデアリ
  やく、ソレヲヤラズニ、殊更ニ唯難シイ橫
  道バカリヲ通ラウトスルガ、ドウシテモ最
  後ハ必ズソコヲ通ラネバナラヌノダ、國民
  ヲ苦シメテ苦シメテ、最後ニハ遂ニソコニ
  落チテ行クトスルナラバ、此處デ物ヲ見
  分ケル所ノ明ガナケレバナラヌ、先見ノ明
  ヲ持ツテ貰ハナケレバナラヌ、此ノ先見ノ
  明ナシニ、最後ニハソコニ落チルニ拘ラ
  ズ、難シイコトバカリヤラレテ置イテ、サ
  ウシテ大事ナ生產ガ減ルト云フコトニナツ
  テハ、大變ダト思ヒマス、ドウカ此ノ點ニ
  付テハ眼ヲ開イテ貰フコトヲ切ニ希望スル
  者デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=26

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• 027・添田敬一郎

  ○添田委員長　吉植君、陸軍大臣、又政府
  委員ノ方ハ、午後都合ヲ成ベク付ケルト云
  フヤウナ話デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=27

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• 028・吉植庄亮

  ○吉植委員　ソレデハソレニ關スル質問ハ
  午後ニ延バシテ、マダモウ少シアリマスカ
  ラ-只今鎌ノ話ガ出マシタガ、大體農村
  ニ於テハ、一戶當リ平均耕作反別一町步トシ
  テ、四挺要リマス、山村アタリデ山ノ下草
  ヲ拂フヤウナ所ハ八挺要ル所モアリ、十挺
  要ル所モアルガ、大體平均シテソレダケ要
  ルノデアリマス、所ガ此ノ間此ノ鎌ノ方ノ
  組合ガ商工省ニ、物資調整局デゴザイマセ
  ウ、ソコニ行ツテ御願ヒシマシタ所ガ、鎌
  ナドト云フモノハ三年カ四年ニ一ツ作レバ
  宜イノダ、ソレデナケレバ先へ繼足シテ補
  修シテ使ツタラ宜イヂヤナイカ、斯ウ云フ
  話ガアツタ、是モ事實話デス、所ガ鎌ト云
  フモノハ補修ガ出來ナイノデアリマス、
  挺使ツタラソレ切リニナル、サウ云フヤウ
  ナモノデアリマシテ、如何ニ此ノ配給方法
  ガ無理デアルカト云フコトヲ、一番ヨリ物
  語ツテ居リマス、農林省ノ方ガ原料ノ配給
  ヲ受ケテヤリマスト農林省ニ行ク、農林省
  ノ中ニハ、オ百姓ガ鎌ガ何挺アツタラ宜イ
  カ、鎌ト云フモノハ修繕シテ使ヘルモノカ
  ドウカト云フコトヲ、知ラナイ者ハ一人モ
  居ナイ筈ナノデアリマス、一切ノモノヲ見
  透スト云フ場合カラ言ツテ、左樣ナ知識ヲ
  持ツタ者ノ方ニ配給ヲ任セルト云フコトガ
  當然デアツテ、私共ノ言ガ正シイカ今ノ政
  府ノヤリ方ガ正シイカ此ノ事ガ一切ヲ物語
  ツテ居リマス、ドウカ只今申シマシタヤウ
  ニ、農村ガ欲シイ物ハ農村ニ與ヘテ貰ヒタ
  イ、私ハ北君ノヤウニ產業組合ニ與ヘロト
  ハ言ヒマセヌ、農村ノ欲シイ物ハ農村ニ與
  ヘテ貰ヒタイ、農村ノ方ノ所管、之ヲ取締
  ツテ行クノガ農林省デアリマス、農林省ヲ
  代表トシテ農村ニ與ヘテ貰ヒタイ、是ガ出
  來ナイカ、是ガ出來ナイト云フコトニナリ
  マスト、農民ハ米價ノ抑壓ニ對シテハ默ツ
  テ居リマスガ、農村ニ直接ニ農具ヲ與ヘロ
  肥料ヲ與ヘロト云フ此ノ聲ヲ更ニ中途ニ於
  テ遮ル者ガアリマシタナラバ農村ハ起チマ
  スゾ、斯樣ナ見易イ道理ノコトヲ行ハズシ
  テ-是ハ何人ト雖モ私ノ聲ヲ、オ前ノ言
  フノハ間違ツテ居ルト言フ者ハナイト思
  フ、假令農民ニアラズトモ、日本國民ニナ
  イト思フ、之ヲ斷行セズシテ、萬一今年凶
  作ガ來タラドウシマスカ、凶作ガ來テ日本
  ノ國策遂行ガ出來ナイト云フコトニナツタ
  ラ、其ノ責任ハ誰ガ負フカ、一官僚、總
  裁ガ之ヲ負ウタ所デ日本ノ全運命ト云フモ
  ノハドウナルカ、是ハ重大問題デアル、私
  ハ大變大キナ聲ヲ出シマシタガ、是ハ農民
  ノ聲デアル、失禮ハ平ニ御許ヲ願ヒタイ、農
  民ハ皆斯樣ニ考ヘテ居ル、考ヘテ居リマス
  ガ、ジツト默ツテ居リマス、序ニ申上ゲテ
  置キマス、昭和五年ニ日本ハ當時ニ於テハ
  未曾有ノ大豐作、六千六百万石ノ大增收ヲ
  見マシタ、サウスルト米ノ値段ハ一俵十三
  圓五十錢カラ八圓五十錢ニ一箇月ノ中ニ轉
  落致シマシタ、ソコデ御承知ノ通リニ、豐
  作飢饉ト云フ年ガ來タ、翌昭和六年ハ前年
  ヨリモ一千万石以上ノ凶作デアリマシタ、
  凶作デアリマシタカラ、農民ハ玆デ米價ノ
  立直リヲ期待致シマシタ、所ガ一俵八圓五
  十錢ニ轉落シマシタ米ガ今度ハ到頭五圓五
  十錢マデ〓落シテ行ツタ、サウシテ農村地
  獄ガ是處カラ出發シタ、サウ致シマスト、
  其ノ當時ノ政府當局ハ何ト申シマシタカ、
  要スルニ、對策ナシ、農民ノ自覺ニ俟ツア
  ルノミト言ツタ、是ハ當時ノ新聞ニ出テ居
  リマス、歷代ノ政府ガ增產增殖ヲ奬勵シ來
  ツタ瑞穗ノ國日本、ソコデ皆ガ增產增殖ヲ
  シテ、開闢以來ノ六千六百万石取ルト、豐
  作飢饉ノ貧乏ニナツタ、翌年ハ努力シマシ
  タガ天候幸セズシテ米ガ取レナイ、サウス
  ルト是ガ五圓五十錢ノ安値ニナツテ貧乏シ
  ク、當時此ノ責任ヲ何人モ取ラナイ、ソコ
  デ私ハ政府ノ言フ通リ農民ガ自覺シタラ農
  村ニ革命ガ來ルノミダ、斯ウ云フコトヲ考
  ヘマシタ、此ノ考ハ私ハ無理ヂヤナイト思
  フ、私ハ當時ノ考ヲ託シタ歌ガアリマスカラ、
  之ヲ聽イテ戴キタイ「田作リラ今日ヲ目覺メテ
  起タン時革命直チニ來タルハ思フ」自覺シナ
  イカラ宜シイ、米ガトレテモ貧乏、米ガ取レ
  ナイデモ貧乏凶年ガ貧乏豐年デモ貧乏ト
  云フコトニナツタラ、何處ニ行クベキヤ、「ク
  オー·バデス」ト云フ小說ガアリマシタガ、農
  民ヨ何處ニ行クト言フ農民ニ自覺セヨト言
  フ自覺シテ行ツタラ、革命ニ行クダケデアリマ
  ス、「田作リラ今日ヲ目覺メテ起タン時革命
  直チニ來ルハ思フ」自覺シナイカラマダ宜イ
  ノデアル、ソコデ私ハモウ一ツ「憤リハゲシク
  湧キテ田作リワレ心アヤウク傾カントス」
  憤リガ激シク湧イテ來テ百姓ノ私ハ心危ウ
  ク傾カントスル、此ノ傾カントスルノハ、
  極端ニ言ヘバ破壞思想ニモナリマセウ、サ
  ウシテ私共ノ此ノ心ハ後ニドウ現ハレマシ
  タカ、國家ニ取リマシテ不祥事件ガ二囘勃
  發シマシタ、此ノ二囘勃發シマシタ不祥事件
  ト云フモノガ、此ノ當時ノ農村ニ對スル對
  策ヲ誤ツタト云フコトニ一本ノ大キナ原因
  ノ線ヲ引イテ居リマスルコトハ、御承知ノ
  通リデアル、農民ト云フモノハ其ノ時ニハ
  默ツテ居ル、是ガ來ルベキ時ニ來リマスル
  ト容易ナラヌモノガアル、農民ハ「暗闇ノ
  牛」デアリマス、ソコデ私切ニ思ヒマスノハ、
  其ノ當時ノ私共ノ憤リハ、是ハ單ニ農民ノ
  ミノ憤リデアツタ、所ガ今日ハサウデハナ
  イ、單ナル日本農民ノ憤リダケデナク、其ノ
  結果スル處ハ日本進展ノ道ヲ阻ムコトニナ
  ルカ如何カノ問題ナノデアル、國家興亡ニ
  關スル問題デアル、小サナ問題デハアリマ
  セヌ、鎌一挺ノ問題ガ國家興亡ニ繫ツテ居
  ル、此ノ點ヲ能クドウカ一ツ、企畫院總裁
  ニ於キマシテモ、商工當局ニ於キマシテモ、
  神ニ祈リツヽ、萬一自分ナンカノヤル配給
  統制方法ガ間違ツタ時ハ、日本ノ進展ノ道
  ヲ阻ム者ハ自分達デアルト云フ堅イ覺悟ノ
  下ニ策ヲ立テラレタイ、此ノ覺悟ノ下ニ一
  日モ早ク此ノ農民ノ言フ缺陷ヲ是正スルヤ
  ウナ途ニ出テ戴キタイ、之ヲ切ニ御願致シ
  マス、大キナ聲ヲ出シマシタコトハ幾重ニ
  モ御詑ビ申上ゲマス、是ハ農民-私自身
  モ農民デゴザイマス、農民ノ聲ノ代表デゴ
  ザイマスカラ、此ノ點ヲ御諒承願ヒタイト
  思ヒマス(拍手)是デ企畫院、商工當局ニ對
  スル質問ハ止メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=28

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• 029・河野一郎

  ○河野委員　關聯シテ御許シヲ願ヒタイ、
  幸ヒ企畫院、商工省ノ關係ノ方ガ御出席デ
  アリマスカラ御尋ヲ致シマスガ、燐礦石ノ輸
  入ニ付テ、農林大臣ノ段々ノ御援助ニ依リ
  マシテ、幸ニ相當量ノ輸入ヲサレルコトニ
  方針ガ決定シタサウデアリマスガ、其ノ燐
  礦石ノ輸入ガ、外地ト內地トノ分配ヲドウ
  スルカ、又內地ニ於ケル肥料其他工業品原料
  トノ分配方法ヲドウスルカト云フコトガ、
  今以テ決定セズニ、爲ニ此ノ燐礦石ヲ過燐
  酸ニ製造スル方面乃至ハ、過燐酸ニ製造シ
  タモノヲ、ドウ云フ風ニ地方ヘ配給スルカト
  云フ方面ニ於テ、非常ニ迷惑ヲシテ居ルト
  云フコトヲ伺ツテ居リマスケレドモ、サウ
  云フ事實ガアルノデアリマスカ、ドウデア
  リマスカ、吾々ノ考ヘマス所デハ、斯ノ如ク
  ニ原料トシテノ燐礦石ノ輸入量ガ決定致シ
  マシタ以上ハ、當然是ガ內地外地ノ間ニ問
  題ノアラウ筈ハナシ、又內地デ之ヲ工業原
  料ニドウスルカ斯ウスルカト云フコトニ問
  題ノアラウ筈ハナカラウト思ツテ居ルノデ
  アリマスガ如何ニナツテ居リマスカ經過ヲ
  御說明願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=29

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• 030・青木一男

  ○靑木政府委員　燐礦石ノ輸入ニ付キマシ
  テ、特殊ノ便法ヲ講ジマシタノハ、早ク肥
  料ノ用途ニ使フコトガ出來ルヤウニト云フ
  眼目カラ來タノデアリマスカラ、其ノ際ノ
  色々ノ操作ノコトハ私存ジテ居リマセヌガ、
  若シサウ云フ問題ガアルトスレバ、是ハ早
  急ニ決メテ、實際ソレガ肥料ニ使へルヤウ
  ニ運バナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、
  若シサウ云フコトガアリマスレバ、至急問
  題ヲ決定シテ行クヤウニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=30

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• 031・河野一郎

  ○河野委員　商工省ノ關係ノ方モ御見エノ
  ヤウデスガ、一ツ御說明ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=31

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• 032・新倉利廣

  ○新倉政府委員　燐礦石ノ問題ニ付キマシ
  テハ、只今企畫院總裁モ御話ガアリマシタ
  ヤウニ、決定シマシタモノノ、實際ノ使用
  方法ニ付キマシテハ、マダ全部決定シタト
  云フ所マデ行カヌヤウニ私モ承知シテ居リ
  マスガ、至急ニヤラナクテハナラヌト云フ
  意味デ、取急イデ居ルト云フヤウニ思ツテ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=32

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• 033・河野一郎

  ○河野委員　農林大臣ノ御聽取ヲ願ヒマス、
  折角農林大臣ガ努力サレマシテ、閣議デ決
  定セラレマシテ、モウ相當ノ時日ヲ經過シ
  テ居ルノデス、所ガソレガ折角便法的ニ御決
  定ヲ願ヒマシテモ、ソレヲ外地ト內地トノ
  間ニドウ分ケルカト云フコトデ愚圖々々シ
  テ見タリ、又內地デ使用スル燐礦石ヲ、更
  ニ又燐寸ノ原料デアルトカ、其ノ他必要ナ
  工業方面ニドウ使フカト云フ數量ガ決ラナ
  イ、隨テ又其ノ殘ツタ燐礦石ヲ本當ニ過燐
  酸ニ製造スルノニハドウ云フ風ニ其ノ原
  料ガ割當テラレテ、隨テ其ノ出來タ過燐酸ヲ
  ドウ云フ風ニ賣ルヤウニ方法ガ講ゼラレル
  カト云フコトガ、今以テ何等ノ目鼻ガ付カナ
  イト云フコトハ、其ノ怠慢實ニ驚クニ堪ヘル
  モノガアル、議會デ吾々ガ斯ノ如クニ叫ベバ
  コソ多少ハ促進セラレル、サウ云フコトデ
  アツタナラバ、今後議會ノナイ時ハドウ云
  フ風ナ怠慢振ヲ見ルカ分ラヌト思フ、今日
  農村デ一番問題ニナツテ居リマスノハ、肥
  料ノ配給ニ對スル不安デアリマス、今マデ
  農林大臣ガ御努力ニナル前ハ過燐酸ガナイ、
  而モ私ヲシテ言ハシムレバ、企畫院ノ怠慢
  デアル、當然必要ナ燐礦石ヲ三月ノ分マデ
  入レテ四五六月ノ肥料最盛期ニ燐礦石ヲ入
  レナイデ、ブラ〓〓シテ居ルコトハ、農村
  ニ無理解ナ企畫院當局ガアルカラ、斯ウナ
  ツタト思ヒマス、四五六月ニ要ル過燐酸ハ
  當然一二三月ノ燐礦石決定ノ際ニ決定スベ
  キモノデアル、今日持ツテ來タカラ明日農
  村ニ過燐酸ガ行ク譯デハナイ、併シソレモ
  折角ノ御努力ニ依ツテ決リマシタ以上ハ、
  速ニ之ヲ運ンデ貰ヒタイ、農林大臣ノ御努
  力デ新聞ニアノ數字ガ出タダケデモ、農村
  ハ肥料ニ對スル或ル程度ノ不安ガ解消致シ
  マシテ、非常ニ安心シタノデアリマス、所
  ガ其ノ後其ノ割當ガ決ラナイデブラ〓〓シ
  テ居ル、地方ノ肥料商、地方ノ產業組合ノ
  要求ガ中央ニ參リマシテモ、過燐酸製造業
  者ニ幾ラノ燐礦石ガ貰へルカ分ラヌカラ、
  先約ハ出來ナイト云フコトノ爲ニ、再ビ地
  方ニハ燐礦石過燐酸ニ對スル焦燥ノ氣分ガ
  今日アルノデアリマス、每日々々地方カラ
  東京ニ過燐酸ヲ送レ、過燐酸ヲ送レト云フ
  聲ハ相當ノ强イモノガアリマス、然ルニ今
  御答辯ノヤウニ、今以テ決定ガシテ居ラヌ
  ト云フノデハ、其ノ怠慢タルヤ實ニ驚クベキ
  モノガアル、是ハ農林大臣ニモウ一步御努
  力願ヒマシテ、嚴ニ下僚ヲ取締リ鞭撻シテ
  下サイマシテ、速ニ-是等ハ一日アレバ
  決マル、今マデ內地ヘ幾ラヤツタ、外地へ
  幾ラヤツタ、肥料ニ幾ラ使ツタ、又同時ニ
  其ノ製造ハドウ云フ風ニ割當テルカト云フ
  コトニ、多クノ日ヲ要スル必要ハナイ、ソ
  ンナニ難カシイ問題ヂヤナイ、便法デ決メ
  タモノハ便法ニ依ツテ總テ物ヲ決定サレレ
  バ宜シイト思フ、サウシテ御決定ニナレバ
  一兩日乃至ハ幾ラ掛ツテモ一週間モアレバ
  全部出來ル筈ナンデス、ソレガ何等ノ決定
  ヲ見ズシテ今マデブラノ〓サシテ居ル、今
  日此處デ御尋シテモ尙且ツ決定シテ居ラ
  又、折角オヤリニナツテモサウ云フヤウナ
  怠慢ナコトデハ、農民ニ對シテ如何ナル理
  解ガアルカト云フコトヲ疑ハザルヲ得ヌノ
  デアリマス、一人ノ櫻內農林大臣ガ居ルカ
  ラ稍〓吾々ハ之ニ期待スルコトガ出來ル、ア
  トノ屬僚ニ至ツテハ何等恃ムニ足ルモノガ
  ナイ、デアルカラ私ハ此ノ米穀會社法案ノ
  如キモ、色々ト詳細ナ點ニ亙ツテアヽデモ
  ナイ、斯ウデモナイト云フコトヲ駄目ヲ押シ
  テ置カナケレバ、ドウ云フコトデアルカ分ラ
  ナイカラ言フノデアリマス、櫻內サンノ顏
  ヲ見ルト何ダカ御氣ノ毒ニナツテ、早ク法
  案ヲ通サナケレバナラヌヤウナ氣モ起リマ
  スケレドモ、又後口ノ方ヲ見ルト色々言ヒ
  タクナル、嚴ニ御監督アランコトヲ御願ス
  ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=33

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• 034・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　御注意ノ點深ク傾聽致シ
  きっ、唯此ノ際一言申上ゲテ置キタイノ
  ハ、此ノ無機質肥料ノ物動ノ決定ヲ見マシ
  タ際ニ、直チニソレヲ註文サシタノデアリ
  マス、是ハ一刻ヲ爭フコトデアリマスカラ、
  一刻ヲ爭ウテ註文サシテ、順次內地へ入ル
  手配ハ嚴重ニ命令致シマシタ、其ノ參ツタ
  後ノ配給ニ對シマシテ、マダ決定致サナイ
  點ガアルト云フコトノ御話デアリマスガ、
  其ノ點ニ付キマシテハ、至急ニソレ〓〓處
  理致サセマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=34

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• 035・添田敬一郎

  ○添田委員長　吉植君、今陸海軍ノ政府委
  員ノ方ガ見エマシタ、モウ彼此レオ晝デス
  ケレドモ、成ベク此ノ際ニアナタノ質問ヲ
  續ケラレタイト思ヒマス

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• 036・吉植庄亮

  ○吉植委員　丁度今マデ農產資材ノ點ニ關
  スル私ノ御聽キシタイト思ヒマシタコト
  ハ、同僚諸君カラノ關聯質問ニ依ツ
  テ、スツカリ承ルコトガ出來マシタ、
  ソコデ今度ハ米ヲ作リマスノニ、ドウシ
  テモ資材ト勞力ト二ツガ必要デアリマス
  ノデ、勞力ノ點ヲ御伺致シタイ、此ノ勞力
  ハ是モヤハリ農村ノ實情ニ付テ申上ゲナケ
  レバ分リマセヌカラ、少シ時間ヲ拜借シテ
  申上ゲマス、私ノ方ハ關東ノ大洪水ノ爲ニ昨
  年ハ米ガ穫レマセヌ、ソコデ農民達ハドウ
  スルカト申シマスト、是ハ軍需工業其ノ他
  ノ殷賑產業ニ皆走リマシタ、是ハ巳ムニ止
  マレズ命ヲ繫グ必要上サウナリマシタ、所
  ガ其ノ中ニモウ春ニナツテ農村ニ歸ラナケ
  レバナラヌ時ガ來マシテモ、都會ニ於テ
  日二圓、三圓ト云フ高給ヲ取ツテ居リマス
  カラ、農村ニ歸ルコトガイヤニナル、其ノ
  中、縣ノ對策ノ救濟事業ガ起ル、各耕地整
  理組合其ノ他ノ工事ガ起ル、男手ガアリマ
  セヌカラ女ガ之ニ從事シテ居ルト云フヤウ
  ナ狀況デゴザイマス、尤モ是ハ極端ナ例デ
  ハゴザイマスガ、併シ都會附近其ノ他軍需
  工業、殷賑產業ノアリマス附近ニ於キマシ
  テハ、此ノ現象ハ天下到ル處認メラレマス、
  其ノ他大戰ノ後凶作ガ來マス、日〓戰爭、
  日露戰爭ノ翌年ハ凶作デゴザイマシタ、是
  ハ軍當局ノ方モ能ク御承知ノコトデアリマ
  ス、其ノ例ニ依ルト昨年日本ニハ凶作ガ來
  ナケレバナラナカツタ順序デゴザイマスル
  ガ、幸ヒ日本ハ神國デアリマシテ、所謂神
  風ガ吹イテ凶作ニナラナカツタ、世界大戰
  ノ實例ニ依リマシテモ、三年目ニハ凶作ガ
  來テ居ル、又先頃本會議デ私ガ申述ベマシ
  タ通リニ、過去二十箇年間ノ統計ヲ取ツテ
  見マスルト、四箇年ニ一度五千五百万石ト
  云フ凶作ノ年ガ來テ居ル、其ノ點カラ言ウ
  ト、本年ハ神風ノ國デアルカラト云ツテサ
  ウ安心ハ出來ナイ年デアリマス、デアリマ
  スカラ私共ハドンナコトヲシテモ政府ノ所
  期シテ居リマスル米ノ產額ヲ擧ゲナケレバ
  ナラナイト思ヒマスルガ、農村ノ勞働力ガ
  斯樣ナコトニナツテル上ニ、軍馬ノ徵發ニ
  依ツテ又減退サレテ居リマス、先程來軍ノ
  當局ガオ居デニナリマセヌ時ニ問答致シマ
  シタガ、農村ニハ農產資材ガ今不足致シテ
  居リマシテ、將來トモ此ノ不足ヲ克服スル
  見透シガ中々付キマセヌノデ、企畫院總裁
  其ノ他ニモ御願シテ居ツタヤウナ次第デア
  リマス、年〓リガ凶作ラシイ年廻リニナツ
  テ來テ居リマスル其ノ上ニ、農產資材、勞
  力等ガ不足シテ居リマス、ケレドモ自然
  現象ニ因ル凶作ト云フ年ハ日本全部ニ凶作
  ガ襲ツテ來ルモノデナク、北海道、東北等
  ニ冷害ガアル、九州ニ颱風ニ依ル洪水ガア
  ル、關東ニ於テ何ガアルト云フヤウナ工
  合ニ來ルノガ常例デアリマスルガ、勞働力
  ト農產資材ノ缺乏ニ依ル凶作ト云フモノハ
  日本全國押ナベテ來ルノデアリマス、是
  ハ容易ナラナイ問題デアリマシテ、一割減ニ
  ナリマシテモウ六百万石ハ減ツテシマフ、
  一割五分減リマシテモ一千万石ハ飛ンデ
  シマフ、是ハ日本全國津々浦々マデノ遍キ
  凶作デゴザイマスルカラ、容易ナラナイト
  思ヒマス、農林大臣、農林當局モ能ク此ノ
  事ヲ頭ニ入レテ戴キタイ、ソコデ此ノ勞力
  ノ缺乏ガドウ云フ結果ヲ來スカト申シマス
  ト、一番恐ルベキコトハ田植デアリマス、
  私ノ乏シイ經驗ニ依リマスト、能ク照ツタ
  日ニ植エマシタ稻ト、西風ノ吹ク寒イ日ニ
  植エマシタ稻トデハ、同ジ條件ノ下デ一割
  ノ收穫ガ違フト云フコトヲ農村民ハ能ク言
  ウテ居リマス、所ガ田植時分ニナリマスル
  ト、人手ガナイト云フノデ月夜ニモ田ヲ植
  ヱルヤウナコトモアルノデアリマスガ、本
  年ハ月夜ドコロデハナイ、夜ノ十二時ニナ
  ツテモ田ヲ植ヱルヤウナコトニナリハセヌ
  カ、斯ウ云フヤウニナツテ來ルト、是ハド
  ウシテモ何カ玆ニ缺乏シテ居ル勞力ヲ補給
  スルノ途ヲ講ジナケレバ安心ハ出來ナイト
  思ヒマス、尤モ日本ニ於キマスル今日ノ勞
  働力ハ決シテ不足致シテハ居リマセヌ、
  五百六十万戶ノ農家戶數ガ三人ヅツ勞力ヲ
  持ツテ居リマスルカラ、其ノ中二百五十万
  人ガ支那、滿洲或ハ兵營ノ中ニ居ルト假定
  シマシテ、後ノ二百五十万人ガ軍需工業、
  殷賑產業ノ方ニ向ツタト致シマシテモ、マ
  ダ一戶二人以上ノ手間ガ殘ツテ居リマス、此
  ノ田植ト云フモノハドノ位ノ勞力ガ要ルカ
  ト申スニ、ドンナ利ロデナイ者ガ植ヱマシ
  テモ、一反步ハ三人アレバ十分デアリマス、
  所ガ大體農家ニ於キマスル水田ハ內地ニ於
  テ平均六反弱デアリマス、ダカラ十八人ア
  レバ宜シイノデアリマス、デアリマスルカ
  ラ決シテ不足致シテハ居リマセヌガ、只今
  申シマシタヤウナ影響ガ天下到ル所ニアリ
  マス、勞働力ガ偏在致シテ居リマスル結果、
  此ノ季節的ノ田植ニハ足ラナイ勝チニナツ
  テ居ル、此ノ點ニ付テ特ニ農林大臣ニ、モ
  ウ時間ガアリマセヌカラ時間節約ノ意味ニ於
  テ後デユツクリ三十分バカリ時間ヲ拜借シテ
  個人トシテ申上ゲテ置キタイト思ヒマスカ
  ラ、其ノ點ハ省略致シマス、玆デ問題ニナ
  リマスルノハ、大戰當時獨逸、佛蘭西、亞
  米利加アタリデ行ハレマシタ方法ニ依ル勞
  力補給デゴザイマス、獨逸ニ於キマシテハ中
  央勞働紹介所ト云フモノガ出來テ、各地既
  設勞働紹介所間ノ連絡ヲ取リマシテ、又下
  級行政官廳ニ電報デ其ノ農業勞力ノ需給狀
  態ノ調査ヲ命ジテ居リマス、又收穫勞働援
  助ト云フコトヲヤリマシテ、內務省デハ管
  下各官廳ニ收穫勞働者ノ補給盡力ヲ命ジマ
  シタ、ソレカラ是ハ軍事當局ニ特ニ御聽ヲ
  願ヒタイノデスガ、軍事當局ハ農業勞働ニ
  必要ナ勞力、馬車等ヲ農民ニ貸シタ、斯ウ
  ナツテ居リマス、又學生農業勞働ト云フコ
  トモヤツテ居リマス、其ノ上ニ戰時經濟局
  ヲ設置シマシテ、一ツ〓〓ノ縣ニ之ヲ置イ
  テ、郡ニ分局ヲ置キ、其ノ縣ノ局長ハ農業
  ニ精通シタル將校ヲ以テヤラセル、決シテ
  農林省ノ御役人ヲ任ジテ居ルノデハナイ、
  農業ニ精通シタル將校ヲ以テ之ニ充テ、局員
  十名、分局長ハ郡長ヲ以テ之ニ任ジマシテ、
  次長ハ實地農業家ヲ以テ之ニ任ジタ、例ヘ
  バ吉植庄亮ナラ庄亮ヲ郡ノ次長ニ致シタ、
  斯ウ云フコトニナツテ居リマス、是ハ實ニ
  私ハ至レル盡セリノ考ヘ方デアラウト思ヒ
  マス、單ニオ役人ノミヲ以テヤツテハ到底
  駄目ダ、ソレハヤハリ獨逸ノ切羽詰ツタ時
  ニ考ヘ出シタ眞劍ナ、實戰ニ最モ便宜デ效
  果ノアル案デ、是ハ相當參考ニナルモノト
  存ジテ居リマス、其ノ事業ハドウ云フコト
  ヲシタカト申シマスト、農業經營者又ハ勞
  働者ノ配給幹旋ニ際シマシテハ、軍事手段
  ヲ以テ就業セシメテ居ル、モウ立派ナ徹底
  的ナ統制デス、其ノ他勞役、馬匹、機械作
  業用品、配給、耕地ノ無休利用ニ關スル注
  意、作物ノ收穫ニ關スル幹旋-向フニハ
  田植ハアリマセヌガ、此ノ收穫ニ關スル幹
  旋ハ、卽チ私ハ只今申ス季節的勞力デ、日
  本ニ於テハ田植ト收穫ト二ツニナリマス
  ガ、斯ウ云フコトヲ致シテ居リマス、佛蘭
  西デハ婦人ノ農勞援助、是ハ日本デハ婦人
  ハ援助デハナクシテ、中心ニナツテヤツテ居
  リマスカラ、是ハ必要ガアリマセヌ、第二
  ニ兵士ノ農勞援助、其ノ中ニ第一カラ第七
  ニ亙リマシテ兵士ノ農業休暇、兵士ノ農業
  勞働隊組織、穀物牧草ノ收穫期ノ兵士ノ農
  業勞力援助、是ハ獨逸ト同ジデゴザイマス、
  兵役ニ服シテ居リマス農具修繕工、蹄鐵工
  ダトカヲ農村ヘ歸スコト、軍隊駐屯地附近
  ノ兵士ノ耕作、ソレカラ第六ニ戰線附近ノ
  兵隊ノコトガアリマス、是ハ日本ニハアリ
  マセヌ、第七ニハ老齡兵士ノ歸〓許可、斯
  ウ云フコトヲ中心ニシテヤツテ居リマス、
  ヤハリ學生勞働ト云フモノヲモ採入レテ居
  リマス、亞米利加ニ於テモ兵隊サンヲ繰出
  シタコトハアリマセヌガ、ヤハリ學生其ノ
  他ヲシテ實行セシメテ居リマス、私ハ單ニ
  戰線ニ於ケル戰鬪ノミガ戰爭デハアリマセ
  ヌ、今日マデハ幸ニシテ日本ハ所期以上ノ收
  穫ヲ擧ゲマシテ、食糧政策ニ一點ノ綻ビヲ
  生ゼズニ來マシタガ、併シ只今申シマシタ
  ヤウニ、本年ハ全國的ニ瀰漫スル勞力不足
  ト資材不足トノ凶作ニ導カレル運命ニアリ
  マス、其ノ上ニ凶作ノ年廻リニナツテ居リ
  やっ、容易ナラナイ本年ト思ヒマス、是ハ
  一旦サウナツテカラデハ間ニ合ヒマセヌノ
  デ、ドウシテモ今日ニ於テ善處セネバナラ
  ヌト考ヘマス、特ニ私ガ田植ニ付テ申上ゲ
  タイノハ、先程話ガ途中デ外レマシタガ、
  田植ハ手ガ足リナイノダカラ猫ノ手モ借リ
  ルト云フヤウニ無理ヲシテ行ツタノデハ到
  底收穫ハ增シマセヌ、ドウシテモ然ルベキ
  「プラン」ノ後ニシナケレバ、三人デ行ク所
  ヲ二人ニ節約スレバ是ハ必ズ收穫ニ減少ヲ
  來シマス、老練ノ者ガ二人デヤルノト未熟
  ノ者ガ三人デヤルノデハ、ソレハ老練ノ
  者二人ノ方ガ收穫ガアリマスガ、同ジ力
  ヲ持ツテ居ルノニ三人デ行ク所ヲ二人デ
  行ク、サウスルト收穫滅ヲ來シマス、ソ
  レヲ三人ノ所ヲ四人デヤリマスト丁寧ニ
  植ヱマスカラ、唯植ヱル其ノ點グケデ收穫
  ノ增シガ著シイ、例ヘバ深植ニシマシテ
  二寸深ク挿ス、是ハ所ニ依リマスガ、深
  植ニシナケレバナラナイ所ハ特殊ナ所デ、
  後ハ一般ニ淺植ニサレテ收穫ハ增加シマス、
  其ノ證據ニ片方ハ淺植、片方ハ深植ニシテ
  植ヱテ置キマスト、秋ニナツテ收穫ガ一割
  ヤ二割ハ直グ違フ、又寒イ日ヲ構ハズニ無
  理ニ植ヱルト云フコトニナリマスト收穫減
  ヲ來シマス、此ノ田植サヘ完全ニシテ植ヱ
  テ置ケバ、稻作ノ大體ノ勝利ハ天候サヘ順
  調ナラバ來マス、況シテヤ東北地帶ニナリ
  マスト、一週間或ハ五日手ガ足リナイカラ
  植ヱ遲レル、サウナリマスト冷害ニ襲ハレ
  ルコトガアリ、稻熱病ノ襲來ト云フヤウナ
  コトガアリマス、又關東ニ於テモ植遲レ
  ハ惡結果ヲ來スカラ、ヤハリチヤント適期
  ニ植ヱタ方ガ宜イ、斯ウ云フコトニナツテ
  居リマスカラ、私ハ此ノ季節ノ勞働力ト云
  フコトヲ心配シマスノハ玆ニ根據ガアリマ
  ス、此ノ點ニ付テ農林當局ハ只今私ノ申上
  ゲマシタ事ニ付テ如何御考カ、又軍部當局
  トセラレマシテハ、吾々ハ戰鬪ニノミ從事
  シテ居レバ宜シイノダ、農村ノ事ハ農林省ニ
  任セテ置ケバ宜シイノダ、斯ウ云フノデゴ
  ザイマセウカ、ソレトモ何カサウ云フコト
  デアツタナラバ是ハ援助セネバナラナイ、
  斯ウ云フコトデゴザイマセウカ、御答辯ヲ
  御願致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=36

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• 037・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　吉植サンノ洵ニ綿密ナル
  御注意ノ點ハ十分拜承致シマシテ、ソレ等
  ノ點ニ付キマシテハ御趣旨ニ從ツテ極力指
  導致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=37

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• 038・石川三郎

  ○石川政府委員　只今ノ點ハ軍部ト致シマ
  シテモ、米穀ノ生產確保ト云フコトニ付キマ
  シテハ、非常ニ重大視シテ居ル次第デアリ
  やく、殊ニ私ハ軍用糧食ニ付キマシテノ補
  給ノ衝ニ當ツテ居リマスノデ、日本ガ幸ニ
  是マデ食糧資源ニ惱マナイデ安心シテ作戰
  ニ從事シ得ル所ノ事態ニアリマスルコトヲ、
  +
  非常ニ喜ンデ居ルノデアリマス、併シナガ
  ラ常ニ斯ノ如キ豐饒ガ持續スルモノトモ考
  ヘラレマセズ、只今ノ御說明ヲ承リマスト、
  本年ハ心配スベキ年ニ當ツテ居ルト云フ御
  話デアリマシテ、其ノ心配スルヤウナ事態
  ガ起ツテ來ルト云フコトハ、洵ニ憂フベキ
  コトト存ジマス、勿論農林當局ニ於キマシ
  テハ十全ノ御注意ニナリマシテ御努力ニナ
  ルコトト存ジマスガ、軍ニ於キマシテモ決シ
  テ之ヲ等閑視シテ居ル譯デアリマセヌノデ、
  作戰サヘ良ケレバ宜イト云フ考ハ持ツテ居
  リマセヌ、出來ルダケ協力致シマシテ生產
  確保ニ努メタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=38

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• 039・山本粂吉

  ○山本政府委員　海軍ト致シマシテモ只今
  陸軍ノ政府委員ノ申サレマシタ通リ、此ノ
  食糧問題ニ付テハ〓料品ノ大ナル消費者ノ
  一人トシマシテ非常ニ關心ヲ持ツテ居リマ
  ス、今述ベラレマシタ御趣意ニ依リマシテ
  出來ルダケ協力スルト云フコトニ致シタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=39

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• 040・平野力三

  ○平野委員　關聯シテ一寸·······陸軍當局ニ
  極メテ簡單ニ御伺致シタイト思ヒマス、近
  時飛行場及ビ砲兵工廠等ノ設立ニ當リマシ
  テ相當農耕地ガ潰レテ居リマス、此ノ用地
  ノ買收サレテ居リマスル狀態ヲ見マスト、
  大體地方ノ小作官或ハ縣廳等ヲ通ジテ相當
  御苦心ヲ拂ツテ居ラルル點ハ能ク了承スル
  ノデアリマスガ、大體ニ於テ其ノ價格ノ決
  定等ニ當ツテ、軍トシテハ是ダケヨリ豫算
  ガナイノデアルト云フ態度デイツテ居ラル
  ルヤウデアル、固ヨリソレハ其ノ計畫ガサウ
  デアルノデアツテ、萬々已ムヲ得ナイ事情
  ニナル場合ガ多イト思ヒマスケレドモ、地
  方ノ耕地ト云フモノニハ色々ナ地方ノ慣習
  ガアリマシテ、特ニ河原ヲ開墾スル爲ニ十
  年間モ苦心シテ漸ク米ノ穫レルヤウニナツ
  テ來タト云フ時ニ於テハ、是ハ地主ノ
  所有權ト云フモノヨリハ、小作人ガ今マデ
  拂ツテ來タ所ノ小作權ト云フヤウナモノニ
  付テハ、相當ノ代償ガヤハリ拂ハレナケレ
  バナラヌノデス、隨テ其ノ土地ヲ買收サレル
  所ノ態度ノ上ニ於テ相當ニ能ク御考ヘニナ
  ラナケレバナラヌト思フノデアリマスルガ、
  サウ云フ場合ニ於ケル所ノ方法ニ付テ相當
  ニ御苦心ヲ拂ツテ居ラレマスルカドウカ、
  此ノ點ヲ承リタイ、モウ一點ハ、耕地ガ潰
  レマシタ時ニ地主ノ方ハ比較的高イ金ヲ以
  テ買ハレタ場合ニ於テハ、ソレニ依ツテ滿
  足ガ出來マスルガ、小作人ノ方ニ於テハ換
  地ガナケレバドウニモナラヌノデス、無論
  其處ニ工廠ガ出來タカラ其處デ使ツテヤル
  ト云フヤウナ場合モアリマシテ、一部ノ人
  間ハ失業ニハナリマセヌケレドモ、實際問
  題トシテ耕地ガナクナツテドウニモナラヌ、
  サウ云フ場合ニハ軍當局ノ力ニ依ツテ、地
  方ノ他ノ地主或ハ縣廳等ニ御交涉ニナリマ
  スルナラバ、換地ヲ以テ相當ソレ等ノ小作
  人ニ對シテ救濟ヲサレル方法等モ殘ツテ居
  ルノデアリマスルガ、是等ニ對スル所ノ方
  法ト云フモノモ、甚ダ不十分ノヤウニ感ズ
  ルノデアリマスルガ、是等ノ用地買收ニ當
  リマシテ今日實際ハドウ云フヤウニナツテ
  居リマスルカ、又ドウ云フヤウナ御方針デ
  アルカト云フ點ニ付テ、一ツ御說明ヲ願ヘ
  レバ非常ニ結構デアルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=40

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• 041・石川三郎

  ○石川政府委員　御答申上ゲマス、陸軍ガ
  土地ヲ買收致シマスニ付キマシテハ、無論
  豫算ト云フコトニ制セラレルモノデアリマ
  スカラ、豫算以上ニ出ルコトハ出來ヌノデ
  アリマス、併シナガラ其ノ豫算ノ見積ト云
  フコトニナツテ參リマスルガ、是ハ正常價
  格ト云フモノヲ調ベマシテ、サウシテ成ベ
  ク無理ノ行カナイ所ニ落付ケタイト存ジテ
  居ルノデアリマス、殊ニ私ガ考ヘマスノニ、
  賣リタイト云フ所ノモノヲ買フノト、別
  賣リタクモナイノヲ出テ行ツテ之ヲ分ケテ
  貰ヒタイト云フノハ、受身ニ於キマシテ其
  ノ響キ方ガ違フト思ヒマス、隨ヒマシテ餘
  リ安イ價格ヲ付ケテ、サウシテ賣手ニ〓ル
  所ノ者ヲ困ラスト云フコトハ、是ハ愼マナ
  ケレバナラヌコトト存ジテ居ルノデアリ
  さく、私ノ方デ實行致シマシタ事ニ付キマ
  シテハ、會計檢査院ナリ議會ナリニ於テ財
  政監督ヲ受ケルノデアリマス、隨ヒマシテ
  其ノ點ニ付キマシテハ非常ニ注意ヲ致サナ
  ケレバナリマセヌノデ、檢査院方面ニ對シ
  マシテモ、附近ノ賣買價格ダトカ或ハ稅務
  署ノ價格ダトカ云フモノヲ調ベテ、サウシ
  テソレニ對シテ餘リ矛盾ノナイヤウニ努メ
  ナケレバナリマセヌガ、一方ニ於キマシテ
  ハ先程申シマシタヤウニ、賣物ニ提供サレ
  タ物ヲ買フ普通ノ賣買ト違ヒマシテ、チツ
  トモ賣リタクナイモノヲ、コツチノ方へ分
  ケテ貰フト云フコトニ對シマシテハ、多少
  高ク買フト云フコトハ是ハ至當ナコトデハ
  ナイカト考ヘテ居ル次第デアリマス、又百
  姓ニハ土地ト云フモノガ洵ニ大切デアツテ、
  金ト云フモノヲ握ラシタナレバ非常ニ弱イ
  モノデアル、言ヒ方ガ不味イカモ知レマセ
  ヌガ、金ヲ握ラスト云フト直グ使ツテシマ
  ツテ、元ノ杢阿彌ニナツテシマフト云フコト
  ニナリ易イモノダト云フコトモ聞イテ居リ
  マスノデ、是非ソレヲコツチニ買上ゲマス
  レバ、ソレニ對スル所ノ代リノ土地ト云フ
  コトモ、相當考慮セナケレバナラヌト考ヘ
  ルノデアリマス、現ニ先般下志津ノ方ノ演
  習場ヲ擴張致シマシタ時ニ、宇那谷ト云フ
  所ノ部落ヲ移轉シテ貰ハナケレバナラヌト
  云フ問題ガ起リマシタノデ、縣當局トモ交
  涉致シマシテ、代地ヲ獲得スルコトニ付テ
  相當盡力シタトノ報〓ヲ聞イテ居リマスガ、
  成ベク賣渡人ノ被ツタ打擊ハ、各種ノ方法
  ニ依リマシテ最モ少カラシムルト云フコト
  ニ致シタイト云フ考デ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=41

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• 042・平野力三

  ○平野委員　大體御說明ニ依ツテ御誠意ノ
  アル所ハ諒承致シマシタガ、率直ニ申シマ
  スルト、固ヨリ地方ノ農民ハ陸軍ノ工廠ナ
  リ飛行場ナリノ出來ルコトニ付テ、心カラ
  喜ンデ協力ヲスル思想ガアリマスコトハ言
  フマデモアリマセヌ、併シ其ノ結果カラ見
  マスルト、ヤハリ甚ダ經濟ノ結論ノ上ニ於
  テ、遺憾ノ意ヲ表セザルヲ得ナイコトモナ
  キニシモアラズデアリマス、是ハ率直ニ申
  上ゲマスルト)無理モナイコトデアリマス
  ルガ、農村問題等ニ付テ十分ナル〓究ヲ遂
  ゲラレタ方ガ土地ノ買收ニ當ラレルノデハ
  ナイノデアツテ、早クヤラウ、急ガウ、何
  デモ是ダケノ期限ニ是ダケヤラナケレバナ
  ラヌト云フコトガ、中心トナツテ考ヘテ居
  ラレル結果、ドウシテモ無理ガアルコト
  ハ已ムヲ得ナイノデス、併シ實際問題トシ
  テハ、此ノ無理ノナカランコトガ理想デア
  リマスノデ、ドウカ今後用地買收ニ當ラレ
  ル方ハ、相當農村問題等ニ付テ御〓究ニナリ
  マシテ、又其ノ方ガ直グ代ツテ何處カヘ行
  カレテ、前ノ人ニ話シタケレドモ、分ラナ
  カツタト云フヤウナ場合ガ隨分アルノデス
  ガ、漸ク御知リニナツタヤウナ方ガ直グ轉
  任サレルト云フヤウナコトデハナク、一ツサ
  ウ云フ方面ニ關スル「エキスパート」、軍ノ用
  地買收ニ關スル一ツノ專門的知識ヲ持ツテ
  居ラレル方ガオ居デニナルト云フコトモ、
  是ハ當然必要デハナカラウカト云フコトヲ、
  屢〓痛感ヲシタノデアリマシテ、此ノ點ニ付
  テ特ニ軍當局ニ於カレマシテハ、今後十分
  ナル〓究ヲサレンコトヲ希望シ、旁〓米ノ
  增產ト云フコトニ付テモ先程御話ノヤウニ
  御心配ノコトデアルト云フナラバ、當然ノ
  コトデアルト考ヘマスノデ御願ヲシテ置キ
  やく、ソレカラモウ一點、米ノ增產ニ付テ
  ハ固ヨリ農林省ニ御委セデアラウト思ヒマ
  スガ、私ガ思フニ、糧秣本廠等ニ於テハ相
  當米ノ品質デアルトカ、或ハ米ノ增產ニ對
  スル具體的ナ技術デアルトカ云フヤウナ諸
  點ヲ、御〓究ニナツテ然ルベキデハナイカ、
  農林省ハ其ノ道デハアリマスケレドモ、動
  モスレバ農林省ニ於テモ手ノ屆カナイ點ガ
  アルノデ、殊ニ軍用米ト云フモノヲ非常ニ
  大量ニ消費サレル所ノ陸軍トシテハ、米ノ
  增產ニ對スル陸軍自體トシテノ御〓究ガア
  ツテ然ルベキデハナイカ、斯ウ考ヘマス、
  ソコデ具體的ナ私ノ〓究デアリマスガ、是
  ハ農林當局ニ對スル私ノ質問ノ番ガ〓リマ
  セヌノデ、質問ヲシテ居リマセヌガ、先に
  軍當局ニ對スル機會ヲ許サレタカラ申スノ
  デアリマス、日本ニハ水稻以外ニ陸稻ト云
  フモノガアル、此ノ陸稻ト云フモノハ相當
  ノ傾斜面マデ出來テ、水ガナクテモ稔ル、
  尤モ米ノ源泉ヲ遡リマスト、日本ノ米ハ初
  メハ陸稻デハナカツタカ、岡デ出來タモノ
  デハナカツタカ、斯ウ云フ風ニ考ヘラレル
  ノデアリマス、此ノ陸稻ハ榮養價値ニ於テ
  水稻ニ劣ルモノデハナイ、而モ陸稻ノ將來
  ニ於ケル增產計畫ヲ立テマスナラバ五百万
  石、或ハ耕地ノ傾斜面ヲ開墾スルナラバ、
  千万石位ハ出來ル可能性ガアルト云フ算盤
  モ出ルノデアリマスガ、斯ウ云フヤウナ點
  ニ付テ多少ノ御〓究ヲナサツタコトガ軍ト
  シテアリマスカアリマセヌカ、ナイト致シ
  マスレバ相當ナ御〓究ガアツテ然ルベキダ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=42

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• 043・石川三郎

  ○石川政府委員　只今ノ御質問デアリマス
  ガ、米ニ付キマシテハ其ノ方ニ携ツテ居ル
  所ノ者ハ、相當深刻ナル〓究ヲ致シテ居ル
  ノデアリマス、大正ノ終リカト思ヒマシタ
  ガ、人口食糧問題ガ起リマシタニ付キマシ
  テ、詰リ人ガ殖エルシ米ノ產額ガ少イト云
  フノデ、非常ニ政府當局其ノ他國民一般ニ
  於キマシテ心配致シタ時ガゴザイマスガ、
  其ノ時ニ陸軍デハ糧友會ト云フモノヲ設立
  致シマシテ、時ノ經理局長ガ委員ヲナサレ
  テ居リマシタ、ソレニ對シマシテ相當ノ資
  料ヲ提供シ、爾來今日ニ至ルマデ糧友會ハ
  食糧問題ニ付キマシテ〓究致シマシテ、
  部國民ヲ啓發スル役ニモ立ツテ居ルノデ
  アリマス、此ノ糧友會ト云フノハ主トシ
  テ陸軍ノ者ガ其ノ衝ニ當リマシテ、其ノ他
  政府殊ニ農林當局、或ハ又民間ノ其ノ方
  面ニ知識經驗趣味ヲ持タレテ居ル者ヲ網
  羅シテ、糧友會ト云フモノヲヤツテ居ルノデ
  アリマスガ、ソレニ携ツテ居リマス所ノ
  陸軍ノ者ハ-尤モ海軍モ之ニ入ツテ居リ
  マスガ、非常ニ〓究ヲ致シテ居ルノデアリ
  やく、昨年カラ財團法人ニナリマシタガ、
  ヤハリ陸軍ト密接ナ聯携ヲ執リ、尙ホ陸軍
  カラモ中ニ入ツテ居リマシテ、食糧問題ニ
  付キマシテハ大イニ眞劍味ヲ以チマシテ、
  〓究ニ携ツテ居ルノデアリマス、サウ云
  フ風ナ次第モゴザイマスシ、糧秣當局ニ於
  キマシテハ唯出來タモノヲ買ヘバ宜シイト
  云フ風ナコトデナクテ、相當組織的ニ〓究
  ヲ致シテ居ル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=43

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• 044・石坂繁

  ○石坂委員　軍用施設ノ敷地買收ノ問題ニ
  付キマシテ、只今平野君ト石川局長トノ間ノ
  質疑應答ニ依リマシテ、軍當局ノ御態度ハ
  能ク諒承致シマシタ、サウシテ買收ノ場合
  ニソレヲ希望スル場合ト然ラザル場合ハ、
  事情ヲ異ニスルカラ、斟酌シナケレバナラ
  ヌト云フ御趣旨ハ御尤デアリマス、然ルニ
  從來ノ買收ノ狀況ヲ見マスト、相當小作人
  ニシテ殆ド全部ノ小作地ガ買收サレルト云
  フヤウナ運命ニアツタ人モ、可ナリアルヤ
  ウデアリマシテ、其ノ場合ニ於テ是ガ普通
  ノ會社ト云フヤウナモノデアリマシタナラ
  バ、所謂作離料ト云フモノガ可ナリ問題ト
  ナツテ參リマス、斯ウ云フ氣ノ毒ナ狀態デ
  アルノデアリマスガ、サウ云フ場合ニ從來
  ノ御取扱ハ直接地主對軍當局トノ關係デア
  リマシテ、小作人ハ其ノ關係カラ除外サレ
  テ居ルノデハナイカト思ツテ居リマス、勿
  論軍當局ハ、其ノ土地代金ノ中ニハ作離料
  モ含メテノ代金ヲ拂ツテ居ルノダ、或ハ斯
  ウ云フヤウナ御辯解デアルカモ分リマセヌ
  ガ、事實ハ左樣デナイ場合ガ可ナリアルデ
  ハナイカト思ツテ居リマス、隨ヒマシテ、
  將來買收サレル關係モ可ナリ多カラウト思
  ツテ居リマスガ、左樣ナ場合ニ於キマシテ
  ハ直接地主ニ對スル土地代金ト、其ノ外
  ニ小作人ニ對スル作離料ト云フヤウナ關係
  ハ直接地主デナシニ、直接小作人ニ對シ
  テ處置サレルト云フコトガ、私ハ適當デナ
  イカト思フノデアリマス、サウ致シマセヌ
  ト、小作人對地主トノ間ニ、後日ニ色々ナ
  紛議ガ殘ルヤウデアリマスカラ、其ノ點ニ
  關スル御意見ノ存スル所ヲ、委員長ノ御注
  意モアリマシタカラ、簡單ニ結論的ノコト
  デ宜シウゴザイマスカラ、御答ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=44

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• 045・石川三郎

  ○石川政府委員　土地ヲ買收致シマスル時
  ニ、其ノ値段ヲ決メル上ニ付キマシテ、買
  手ノ方ハ大抵ハ餘リ高クナイ正常價格デ買
  ヒタイ、賣リ手ハ成ベク高ク賣リタイ、殊
  ニ其ノ間ニ或ル者ガ介在致シマス時ニ、非
  常ニ買却申出ノ價格ガ增加スルノデアリマ
  ス、是ハ立場ガ違ヒマスノデ已ムヲ得マセ
  スカ、ソコデ妥協ノ付ク所ニ參ツテ行クノ
  デアリマスガ、是マデハ仰セノ如ク、小作
  人ニ對スルモノモ含メマシテ、地主ニ代價
  ヲ拂ツテ來タヤウナ狀況デアリマス、併シ
  ナガラ段々只今仰セニナラレタヤウナコト
  ヲ耳ニスルコトモゴザイマスノデ、將來ハ
  一ツサウ云フ點モ考慮シテ見タイト思ツテ
  居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=45

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• 046・石坂繁

  ○石坂委員　時間ガアリマセヌカラ多ク中
  シマセヌガ、是非其ノ點ハ宜シク御〓究ト、
  御善處ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=46

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• 047・河野一郎

  ○河野委員　此ノ際一寸材料ノ要求ヲ致シ
  マス、會期モアリマセヌノデ速ニ提出ヲ願
  ヒタイノデアリマスガ、最近新聞デ拜見シ
  マスト、朝鮮ニ今囘審議シテ居リマス法案
  ノ中ニアル米穀會社ト同樣ナモノヲ、作ラ
  レルコトニナツテ、其ノ追加豫算ヲ五十万
  圓カ九十万圓カヲ、今囘要求サレルト云フ
  コトデアリマスガ、是ハ本案審議ノ上ニ非
  常ニ重大ナ關係ガアリマスコトハ、申スマ
  デモナイ、ソコデ之ニ關スル要綱、目論見書
  ト同時ニ、從來朝鮮ノ各米穀取引所ノ取扱
  ツテ居リマシタ數字、乃至ハ內地ト朝鮮トノ
  間ニ於テ取引サレテ居リマシタ實情、是等
  ニ關スル資料ヲ速ニ御提出アランコトヲ御
  願致シマス、是ダケデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=47

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• 048・添田敬一郎

  ○添田委員長　休憩致シマス、午後二時カ
  ラ再開致シマス
  午後零時二十六分休憩
  午後二時十分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=48

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• 049・添田敬一郎

  ○添田委員長　午前ニ引續キ會議ヲ開キマ
  ス-吉植君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=49

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• 050・吉植庄亮

  ○吉植委員　私ハマダ生產勞働力ノ問題ト
  カ、或ハ農林省ニ米ニ關スル一切ノ調査機
  關ヲ設置シテ戴ク問題トカアリマスガ、時
  問ガ掛カリマスカラ、先程申上ゲマシタヤ
  ウニ、後デ大臣ニ個人トシテ御會ヒシテ申
  上ゲルコトニシテ、是ハ省略致シマス、唯一
  點、先程ノ私ノ質問ニ對シマシテ軍當局ハ誠
  意ヲ以テ協力スルト仰シヤツテ居リマスカ
  ラ、農林大臣ニ於テ季節勞働力缺乏ニ當リ
  マシテハ、然ルベク御決意ニナツテ、協力サ
  レルト云フコトヲ軍トモ御交涉下サツテ、
  田植時或ハ收穫時ニ於テ農村勞働力ニ混
  亂ヲ來シ、或ハ勞働力ノ偏在ヲ來スト云フ
  ヤウナコトノナイヤウ、折角御配慮御願致
  シタウゴザイマス、此ノ點ニ付テ御答辯ヲ
  御願シテ私ノ質問ハ之ヲ以テ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=50

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• 051・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今吉植君ノ御希望ノ點
  ニ付テハ陸軍、文部省等トモ十分ニ話合ヒ
  マシテ、勞働力ノ調整ニ付キマシテハ萬遺
  憾ナキヲ期シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=51

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• 052・添田敬一郎

  ○添田委員長　小野君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=52

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• 053・小野謙一

  ○小野(謙)委員　私ハ只今マデ本委員會ニ
  於キマシテハ終始同僚諸君ト政府當局トノ
  質疑應答ヲ拜聽シタノデアリマスガ、唯本
  案ノ本會議上程ノ際ニハ、私請暇歸省中デア
  リマシタノデ、其ノ質疑應答ノ詳細ヲ拜聽
  シ得ナカツタノデアリマスカラ、此ノ點ハ
  速記錄デ承知致シタノデアリマス、本法案
  ニハ一面多少ノ革新的ナモノガアルカト思
  ヒマスト、他面ニハ現狀維持的ナ色彩ガ多
  分ニ濃厚デゴザイマシテ、眞ニ本法ノ一貫
  シタル思想的ナ流ヲ認ムルコトハ頗ル困難
  デアリマス、本法案ノ本質ハ旣ニ然リデア
  リマスガ、形式ノ上カラ見マシテモ、第一
  條カラ第四條マデハ米穀統制法デアルヤウ
  デアリマスガ、第五條以下ハ日本米穀株式
  會社法ト見テ宜シカラウト思フノデアリマ
  ス、左樣ニ本案ハ二ツノモノヲ一ツニシタ
  ト云フ感ジヲ-私ハ法律ニ關シマシテハ
  素人デアリマスガ、サウ云フ感ジナキニシ
  モアラズデアリマス、殊ニ第三條ノ如キハ
  罰則規定トシテ、普通ノ法律デアルナラバ
  一番後ニ置イテ宜シイノデアリマスガ、本
  法ニ於キマシテハ實體的規定ノ中ニ入レテ
  居ルノデアリマス、此ノ點カラ見マシテ
  モ、世間デ前者ノ米穀統制法ニ屬スル分ハ
  櫻內案デアリ、後者ノ日本米穀株式會社法
  ニ屬スル分ハ有馬案デアルト言フ所以デア
  ラウト私ハ思フノデアリマス、卽チ斯樣ニ
  本法ハ繼ギ剝ギナ存在デアルト申サナケレ
  バナリマセヌ、只今マデ拜聽シマシタ質疑
  ノ中ニハ、本案ノ如キ不徹底ナル法案ヲ提
  出スル位デアルナラバ、寧ロ米穀ニ關スル
  現行諸法規ノ運用ニ依ツテ統制ノ强化ヲ期
  スル方ガマダシモマシダトサヘ批評サレタ
  諸君モアルノデアリマス、ソレ程本案ハ議
  論ガ多イノデアリマス、私ハ米穀取扱業者
  ノ反對モ聽イタノデアリマスガ、本案ニ依
  ツテ吾々ハ多年ノ生業ヲ奪ハレル、當局ハ
  業者ノ免許ニ依ツテ業者ノ安定ヲ圖ルト說
  明シテ居ルガ、是ハ安定ニアラズシテ拘束
  デアリ、壓迫デアル、然ルニ一方產業組合
  ハ政府ノ强力ナル保護助成ノ下ニ自由ニ生
  產ヨリ消費ニ至ルマデ進出セントシテ居ル
  ノデアルカラ、吾々ハ結局死滅スル外ハナ
  イト云フノデアリマス、然ラバ產業組合ノ
  方デハ十分御滿足ニナツテ居ルカト思ヒマ
  スト、前日北君カラノ御質問ヲ拜聽シタノデ
  アリマスガ、產業組合ニモ非常ニ不滿ガア
  ルヤウデアリマス、產業組合ニモ不評デア
  リ且ツ米穀取扱業者ヨリハ彼等ノ生業ヲ
  奪フ無類ノ惡法デアルト叫ブ程ノ本案デア
  リマス、果シテ然ラバ剩ス所ハ世上議論ノア
  リマス既設米穀取引所ノ救濟ノミト言ハナ
  ケレバナリマセヌ、農林大臣ハ先般北君ノ
  御質問ニ答ヘマシテ、產業組合ニモ支持者
  ガアリ、米穀取扱業者ニモ贊成者ガアルト
  仰セラレタノデアリマスガ、多數カ少數カ
  ヲ別問題トスルナラバ、如何ナル場合ニモ
  支持者ガアルコトハ當然ダト思ハレルノデ
  アリマス、又兎角迎合ノ方面ノ意見ノミ
  ガ上ニ屆クモノデアリマス、併シナガラ
  苦勞人デアラレ、下情ニ能ク御通ジニナツ
  テ居ル農林大臣デアルカラ、本案ニ對シテ
  多數ノ反對意見ノアルコトハヨモヤ御承知
  ナイ筈ハナイト思フ、而モ此ノ反對ハ單ナ
  ル誤解ト云フ辯明ハ當ラナイ、然ラバ此ノ
  反對ハ何處カラ來ルカ、其ノ原因ハ何處ニ
  在ルカト申スナラバ、農林大臣ハ各方面ノ
  相剋摩擦ヲ緩和スルニ急ナルノ餘リ、平沼
  內閣ノ總親和主義ヲ此ノ法案ニモ取入レヨ
  ウトシタ爲ニ、却テ極メテ不徹底ナル、
  貫シナイ、主義ノ無イ、例ヘテ言フナラバ
  木ニ竹ヲ接イダヤウナ本案ヲ提出スルノ已
  ムナキニ至ツタノデアルマイカト思フノデ
  アリマス、農林大臣ハ生產者、米穀取扱業
  者消費者ノ三本建デ行クノダト有ユル機
  會ニ仰セラレテ居リマス、洵ニ御尤ノヤウ
  ニ聞エルノデアリマス、併シ本案提出ノ目
  的ヲ達成セシメヨウトスルナラバ、何處カ
  ニ犧牲者ガ出ルノデハナイカト私ハ思フ、
  農相ノ言ハレルヤウニ三方旨ク行カヌ所ニ
  本案ニ對スル不平不滿ガ勃發シテ居ルノデ
  ハナイデセウカ、私ハソコニ本案ノ無理ガ
  アルノダト思フノデアリマス、眞ニ一部ノ
  犧牲ガ已ムヲ得ナイトスルナラバ其ノ點ヲ
  ハツキリシタ方ガ宜イノデハナイカト考ヘ
  ルノデアリマス、併シ政府ハ一度本法デヤツ
  テ見ヨウ、サウシテ實績ヲ見タ上デ來年度
  ニ惡イ所ヲ改正スレバ宜イヂヤナイカ、斯
  ウ云フ思召デアルカモ知レマセヌ、昨年ノ
  議會デ協賛ヲ經マシタ諸法案ノ中デ此ノ議
  會ニ改正案ノ出テ居ル法律ハ澤山アルノデ
  アリマス、サウ云フ拙速ヲ尊ンデ先ヅヤツ
  テ見テ、ソレカラ改正シテモ宜イデハナイ
  カ、斯ウ云フ御考デ本案ヲ出サレタノデア
  リマスカ、先ヅ農相ノ御所見ヲ伺ヒタイト
  思ヒマス

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• 054・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　小野君ノ御意見ハ第一條
  カラ第四條マデガ櫻內案デ以後ガ有馬案
  デ、ソレヲ纒メテヤツタモノデハナイカ、
  又米穀商ニ許可ヲ與ヘテ居ルケレドモ、許
  可ト云フコトデハナクシテ拘束スルモノデ
  ハナイカ、又米穀商ノ方ニ於テモ非常ニ多
  數ノ反對ガアリ、又產業組合ノ方ニ於テモ
  反對ガアル、故ニ是ハ不徹底ナ案デアルガ、
  兎ニ角取敢ズ之ヲ實行シテ、他日之ヲ改正
  スル意思デモ持ツテ居ルノカ、斯ウ云フヤ
  ウナ御質疑ノヤウデアリマスガ、私ハ明ニ
  申上ゲテ置キマス、本法案ハ公正ナル米價
  ヲ取極メマスコトト、ソレカラ圓滑ナル配
  給ヲ致シマスコトト、此ノ法案ニ依ツテ國
  民ノ生活必需品ガ確保サレ、生產業者モ亦
  一定ノ目標ニ依ツテ生產シ得ルト云フコト、
  斯ウ云フコトニ目標ヲ置イタノデアリマシ
  テ、是ハ度々申上ゲタ通リデアリマス、第
  五條以下ガ統制法ニアラズシテ會社法デア
  ルト云フ風ナ話デアリマスガ、第一條カラ
  第四條マデノ、米穀配給統制ノ必要上市場
  ヲ設ケマス、其ノ市場ヲ日本米穀株式會社
  ニ取扱ハシメル、斯ウ云フ意味デアリマシ
  テ、ソレハ私ハ一貫シタ趣旨デアルト思ヒ
  マス、眼目ヲ市場法ニ重キヲ置キマシタノ
  ハ、從來米穀取引ノ目標トナツテ居ツタ米
  穀取引所ハ、投機取引ガ殆ド其ノ主ナルモ
  ノヲ占メテ居リマシテ、米穀統制法ニ基ク
  最高最低ノ價格ト云フ一ツノ枷ハアリマス
  ケレドモ、其ノ間ニ於ケル動搖ハ實需性ニ
  基カズシテ、投機性ニ基イテ居ツタ點ガア
  ルノデアリマシテ、卽チ本法ニ依ツテ實需
  ヲ基準トシテ價格ノ公定ヲ期シタイ、此ノ
  價格ノ公定ヲ期シテ、而シテ第一條カラ第
  四條ノ條項ニ依リマシテ配給ヲ圓滑ニ致サ
  ウト云フ意味デアリマス、固ヨリ各方面ニ
  於テ贊否色々御議論モアリマセウケレドモ、
  吾々ハ全ク公正ナル立場カラ斯ク致スコト
  ガ今日最モ喫緊ノコトデアルト信ジテ提案
  致シタ譯デアリマシテ、之ヲ明年取換ヘル
  トカ、ドウスルトカ云フ考ハ今日持ツテ居
  リマセヌ、併シナガラ時代ノ變化、世ノ中
  ノ進步ニ依リマシテ、尙ホヨリ以上ノ方法
  ガ見出サレテ參リマシタ場合ニハ、何モ之
  ヲ永續的ニ存置シナケレバナラヌト云フ考
  ハナイノデアリマシテ、此ノ改正ヲ致スト
  云フコトモ亦アリ得ルカモ知レマセヌケレ
  ドモ、ソレハ今日豫期セザル所デアリマシ
  テ、今日ハ此ノ法案ニ依ツテ配給ガ出來ル
  モノト信ジテ、斯樣ニ提案致シタ次第デア
  リマス

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• 055・小野謙一

  ○小野(謙)委員　只今ノ農林大臣ノ御說明
  ニハ未ダ滿足スル者デハアリマセヌガ、ソレ
  以上ハ議論ニ亙リマスノデ、私ハ次ノ質問
  ニ移リタイト思ヒマス、本法ノ實施ニ當ツ
  テ從來ノ〓算市場ニ見ルガ如キ投機ヲ根絕
  スル御方針デアルト思ヒマスト、又一方ニ
  ハ〓算市場ノ妙味ヲ一部採入レテ限月取引
  ヲ許ス、サウシテ未著物ハ中間ノ決濟ニ、
  先物取引ニハ最終ノ決濟期日ニ於テノミデ
  ハアリマセウガ、實米デナク差金ノ決濟ヲ
  許可スルコトニナツテ居リマスガ、斯ノ如
  キハ本法ノ特色デアル投機行爲ノ抑制ヲ明
  ニ破壞スルモノデアツテ、一大矛盾ト申サ
  ナケレバナリマセヌ、然ルニ農相ノ御說明
  ハ如何ニモ巧妙デアルガ爲ニ、至極此ノ點
  ハアツサリト片付ケテ居ラレルヤウデアリ
  マスガ、私ノ尙ホ承服シ得ザル所デアリマ
  ス、當局ノ御說明ニナリマシタ米穀取扱業
  務收入ノ內譯カラ見マシテモ、又取扱數量
  ノ步合カラ見マシテモ、取引所ノ本質的正
  米ノ取引ヨリモ寧ロ此ノ方面ニ興味ト取組
  〓實數ガ集中サレルノデハナイカト云フコ
  トハ想像スルニ難クナイノデアリマス、此
  ノ投機ノ問題ニ付キマシテハ先般小平君ノ
  質問ニ對シテ松村政務次官カラ極メテ正直
  ナ御答ガアツタノデアリマス、此ノ松村政
  務次官ト從來ノ局長ノ御答辯トノ間ニ吾々
  ハハツキリシタ喰違ヒガアルト考ヘタノデ
  アリマス、特ニ此ノ點ニ關シテ次官カラ米
  穀局長ノ答辯トノ間ニ喰違ヒナシトノ辯明
  ヲサレタノデアリマスガ、私共ハ勿論之ニ
  承服スル者デハナイノデアリマス、又商工
  省商務局長モ、需給ノ圓滿ヲ期スル爲ニハ
  投機モ亦已ムヲ得ナイ、多少投機ヲ認メタ
  方ガ寧ロ需給ノ圓滑ヲ期スルコトガ出來ル
  ノデハナイカト云フ意味ノコトヲ仰シヤツ
  テ居ルノデアリマシテ、愈〓此ノ拔道ノ正體
  ガ明瞭トナテツ居ルノデアリマス、政府ハ
  需給ノ圓滑ト云フ極メテ巧イ言葉ヲ使ツテ
  居リマスガ、私ハ之ニ依ツテ會社ノ利潤ガ
  擧ゲラレ、取引員ノ商賣ガ繁昌スルノダト
  思フノデアリマス、需給ノ圓滑ト取組石數
  ノ增加トハ同ジ物體ヲ單ニ表裏カラ見タダ
  ケノモノデアルト信ズルノデアリマス、政
  府ハ自ラ標榜サレタ投機抑制ノ看板ヲ塗替
  ヘテモ、尙ホ斯ル拔道ヲ作ラナケレバ市場
  又ハ取引員ガ成立タナイト御考デアルカ、
  伺ツテ置キタイノデアリマス

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• 056・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　投機抑制ヲ主眼トシテ居
  ルニモ拘ラズ、本法案ノ中ニ未著物取引ヲ
  認メ、延取引ヲ認メテ居ルト云フコトハ、
  卽チ拔道デハナイカト云フ風ナ御尋ノヤウ
  デアリマス、私ガ說明致シマスマデモナク、
  未著物取引ハ、最初ニ賣ツタ人ハ必ズ品物
  ヲ渡サナケレバナラナイノデアリマス、而
  シテ最後ニ買ツタ人ハ必ズ實物ヲ受取ラナ
  ケレバナラナイノデアリマス、故ニ最初賣
  買ノ成立チマシタ場合ニ、例ヘバ茨城縣ノ
  何等米ヲ何石賣買シタト云フコトニナレバ、
  賣ツタ人ハ其ノ茨城縣ノ何等米ヲ必ズ渡
  サナケレバナラヌノデアリマス、隨テ買ヒ
  マシタ人モ其ノ時ニハ必ズ受取ル覺悟ヲ持
  ツテ、又受取ラナケレバナラヌ義務ヲ背負
  ツテ取引致スノデアリマス、故ニ其ノ間ニ
  於テ投機性ノ意味ハナイノデアリマス、唯
  其ノ未著物ノ到著スルマデノ間ニ於テ、之
  ヲ他ノ第三者ニ賣リ、其ノ第三者ガ直接買
  ツタ人ニ代ツテ受取ル、斯ウ云フコトニナ
  ルト云フコトハ、極ク分リ易ク申シマスレ
  バ、玆ニ茨城米ヲ百石買ツタ人ガ、汽車ノ著
  クマデニ、其ノ米ヲ五十石ダケ自分ノ店ニ
  引取ルコトニシテ、五十石ハ他ノ人ニ賣ツ
  タ、卽チ品物ガ著イテカラ他ニ賣ルヨリハ、
  品物ノ著カヌ內ニ賣ツテ置イテ、汽車ノ著
  イタ時ニ直ニ其ノ汽車カラ其ノ方ヘ渡ス方
  ガ便利デアルノデアリマシテ、中間ニ於テ
  其ノ中五十石ナリ三十石ナリ、場合ニ依ツ
  テハ二十石賣ツテモ、ソレハ差支ナイノデ
  アリマス、實際ニ於テ必ズ米ノ受渡ヲスル
  ト云フ意味ニ於テ取引サレルノデアリマシ
  テ、而モ其ノ期間ハ十五日間デアリマスガ
  故ニ、此ノ間ニ於テ相場ノ上リ下リヲ見テ
  モ、必ズ其ノ間ニ受取ラナケレバナラヌ米
  ヲ投機ノ材料ニハ使ヒ得ナイノデアリマ
  ス故ニ未著物取引ニ於テハ、最初ニ賣ツ
  タ人ハ必ズ現物ヲ出シ、次ノ人モ現物ヲ受
  取ル覺悟デ買ヒマス、サウシテ其ノ買ツタ
  米ヲ汽車ガ著キマスマデノ間ニ於テ他ニ轉
  賣ヲスル、サウシテ買ツタ人ガ必ズ之ヲ受取
  ル、斯ウ云フノデアリマスカラ、未著物
  取引ニ於テ毫末モ投機ハ起ラヌノデアリ
  マス、唯御話ノ延取引ノ問題ニナリマス
  ト、期間ガ二箇月デアリマス、故ニ所謂
  投機ガ行ハレルノデハナイカト仰セラレ
  ルノデアリマセウガ、是ハ從來ノ〓算取
  引ト云フモノハ御承知ノ通リ一本建ノ米穀
  ノ價格デアツテ、サウシテ賣ツタリ買ツタ
  リ致シマシテ、渡ス時ノ米ハドノ米デモ構
  ハナイ、日本全國ドノ米デアツテモ構ハナ
  イ、是ハ格差ト云フモノガアツテ、格差ノ
  勘定ヲスレバ宜イ、サウシテ三箇月ノ長イ
  期間デアリマスカラ、其ノ間ニ買ツタリ賣
  ツタリヲシテ、今日買ツタ人ガ明日其ノ米
  ガ上レバソレヲ賣拂ツテ、明後日ハ其ノ差
  金ダケハ直グニ金ガ受取レル、斯ウ云フ譯
  デアリマスカラ、勢ヒ投機ガ多クナル、然
  ルニ此ノ度ノ延取引ハ銘柄取引デアツテ、
  卽チ何處ソコノ米、靑森縣ナラ靑森縣ノ何等
  米ト云フモノデ取引ヲ致スノデアリマシテ、
  ソレモ相對的ニ話合ツテ決メルノデアリマ
  スガ故ニ、之ヲ思惑スルト云フコトハ容易
  ニ行ハレナイノデアリマス、其ノ間ニ於テ
  多少ノ思惑ト云フモノガ假ニアツタト致シ
  マシテモ、ソレハ今東京ニ何處ノ米ガ非常
  ニ少イ、此ノ米ハ東京デ需要ガ多イケレド
  モ、東京ノ現在ノ倉庫米ガ少イカラ、是八、
  ナイガ、自分ノ取引縣カラ取寄セレバ、播
  州米ナラ播州米、靑森ノ方ナラ靑森ノ方ノ
  米ガ必ズ直グ買取レル、故ニ之ヲ賣ル、斯
  ウ云フ調節ガ取リ得ルノデアリマシテ、其
  ノ調節ノ取レルト云フコトガ、投機ニ當ル、
  斯ウ仰セラレレバ別デアリマスケレドモ、
  兎ニ角此ノ延取引ト云フモノガ相當ナ調節
  機關ヲ爲スト云フコトダケハ明カデアリマ
  ス、殊ニ又今言フ通リ、轉賣、買戾ト云フ
  モノハテンデ許シテ居ラヌノデアリマスガ
  故ニ、例ヘバ今日百石ヲ買ツタ、又假ニソ
  レガ儲カツテ賣ツタ、斯ウ云フヤウナ場合
  ガアルト假定致シマシテモ、其ノ賣買ノ差
  金ト云フモノハ從來ノ如ク差金決濟ハ許サ
  ナイノデアリマス、要シマスノニ今月ノ月
  末受渡ノモノナラバ今月ノ月末受渡ノ際ニ
  於テ雙方ノ限月ノ色々市場員ノ間ノ取引關
  係ヲ交換シテ、サウシテ決濟ヲ致スノデア
  リマシテ、中間ニ於テ是ガ決濟ヲ致サナイ
  ノデアリマス、隨テ之ヲ投機ノ具ニ使フト
  云フコトハ容易デアリマセヌ、況ヤ公定ノ
  最高最低ノ間ニ於テ取引致スノデアリマシ
  テ、其ノ最高最低ノ間ニカツチリ縛ラレル
  ノデアリマスガ故ニ、是亦投機ノ目的トシ
  テハ甚ダ少イノデアリマス、要スルニマダ
  決定シタモノデハナイノデアリマスガ、
  延取引ト云フモノヲ認メヨウト云フ考ヲ持
  ツテ居リマスノハ、少クトモ此ノ米ノ取引
  ニ對シテハ調節ヲスル機關ガ必要デアルト
  云フ意味ニ於テ之ヲ認メタノデアリマシテ、
  投機ヲ認メテヤツタ譯デハアリマセヌ、併
  シ此ノ機關ニ於テ投機ヲ目論ム人ガアルカ
  ナイカト云フコトニナリマスレバ、或ハナ
  イトハ私斷言致シマセヌケレドモ、ソレハ
  中々其ノ投機ノ目的物トシテハ不適當ナモ
  ノニナツタト云フコトダケハ言ヒ得ルト考
  ヘルノデアリマシテ、私ハ今後ハ必ズ此ノ
  實物ノ動キニ依ツテ相場ト云フモノガ決定
  サレルト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス

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• 057・小野謙一

  ○小野(謙)委員　農林大臣ノ御說明ノ前半
  ハ首肯サレルノデアリマスガ、唯ト云フ後
  カラハ私ハマダ承服シ得ナイ點ガアルノデ
  アリマス、米穀局長カラ此ノ間カラ度々承
  ツタノデアリマスガ、銘柄取引デアル、又
  組合セ銘柄取引デアルカラ投機行爲ハナイ
  ノダト云フヤウナ御答辯ヲナサイマシタガ、
  農林大臣ノ御答辯モ大體ニ於テサウ云フノ
  デアリマセウカ、是ハ農林大臣ノ御言葉ノ
  中ニモ、今マデノ限月取引、〓算取引ノ
  部ヲ取入レタ、斯ウ云フヤウナコトヲ承ツ
  タヤウニモ記憶致シマスシ、商工省ノ局長
  カラハ、先刻申上ゲタヤウナ需給ノ圓滑ノ
  爲ニハ投機モ亦巳ムヲ得ナイデアラウト云
  フヤウナ意味ノ御話ヲ伺ツテ居ルノデアリ
  マスカラ、其ノ點ニ付テ私ハ答辯ノ食
  違ヒガアル、又ソコニ裏道ガ拵ヘラレテ
  居ルノダ、斯ウ云フ疑問ヲ起シテ申上ゲ
  タノデアリマス、勿論此ノ取引所ノ實情
  ハ、私ヨリモ農林大臣ノ方ガ遙ニ詳シイノ
  デアリマス、私ハ素人デアリマスカラ存ジ
  マセヌガ、アスコニ集ル人達ノ心理ハ吾々
  ノ常識デハ判斷ノ出來ナイ格別ナモノガア
  リマシテ、現在ノ〓算取引デアリマシタナ
  ラバ、現ニアスコニ注文ヲ出シテ來ル人ハ、
  每日損デモ幾ラカ玉ガ建ツテ居ラヌト、其
  ノ晩眠レヌト云フ人ガ澤山アルノダサウデ
  アリマシテ、今度ノ未著物取引ハ投機ノ餘
  地ガナイト申サレマスガ、十五日デアツテ
  干、途中ノ轉賣ヲ許サレルト云フコトナラ
  バ、ソコニ乘ズル餘地ガアルノデハナイカ、
  又限月取引デアリマスレバ、三月ヲ二月ニ
  致シマシテモ、勿論市場員デナケレバ出來
  ナイノデアリマスケレドモ、今度ノ市場員
  ト云フモノハ、アスコノ生活ヲシタ人又資
  力アル人デナケレバナラヌノデアリマスカ
  ラ、無論從來ノ正米デモ、〓算取引ノ方デ
  モ、大手ナルモノガ、アスコデ實際ノ取引員
  トシテ從事サレルノデアラウト私ハ思フノ
  デアリマシテ、ソコニ差金取引ノ行ハレル
  餘地ガアルノデハナカラウカ、斯ウ云フ心
  配ヲ持ツテ居リマス、ソコデ政府ハサウデ
  ハナイ、實際ハ出來ナイ、併シ尙ホ且ツ之
  ヲ濫用スル傾向ガアルナラバ、直ニ帳簿ノ
  檢査デモシテ、實際ニ投機取引ガ二度三度
  繼續シテ行ハレルナラバ、直ニソコニ監督
  權ノ發動ヲ見マシテ、オ前方ノ心配スル點
  ハナイ、斯ウ云フヤウナ意味ニ承知シテ宜
  シイノデアリマセウカ、承ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=57

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• 058・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　若シ取引ノ規則ニ違反シ
  タ者ガアルナラバ、ソレハ嚴重ニ罰スルノ
  デアリマス、今御話ノヤウナ事柄ニ付キマ
  シテハ、其ノ實際ニ卽シナケレバ斷言ガ出
  來ナイノデアリマス、眞實五十石買ツテ、
  其ノ次ノ日ニ或ル商人ニ、米穀ヲ取扱ツテ
  居ル所ニ、二十石轉賣シタ、ソシガ罪ニナ
  ルト云フコトハナイノデアリマシテ、要シ
  マスルノニ、實際ノ空賣買ヲヤツテ、差金
  決濟ヲヤルト云フヤウニナリマスレバ、ソ
  レハ勿論嚴重ニ取締ル考デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=58

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• 059・小野謙一

  ○小野(謙)委員　重ネテ伺ハナケレバナラ
  ヌノデアリマスガ、原則トシテ、投機ノ抑
  制ダ、斯ウ說明ヲナサツテ居ルノデアリマ
  ス、先刻申上ゲタヤウニ、本法案ガ投機ノ
  根絕ヲ表看板ニシタ所ニ革新的ナモノガア
  ルト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、然ルニ
  唯ト云フ御說明ノ後段ニナツテ、ソレハ餘
  地ガナイカラ、心配ガナイカラト仰シヤイ
  マスケレドモ、其ノ裏ニ未著物取引、限月
  取引ニ差金取引ヲ許スト云フコトハ拔道ダ
  ト先程申上ゲマシタガ、單ニ是ハ主義ノ上
  カラ見マシテモ、一種ノ矛盾デアル、斯樣
  ニ解釋セザルヲ得ナイノデアリマス、併シ
  ナガラ取引所ノ運營ノ上カラ考ヘテ見マシ
  テモ、斯ウ云フコトガ許サレマスナラバ、
  實米ノ取引ノ本質トハ逆ニ、現物又ハ差金
  取引ノ方ニ集中サレル弊ガ十分アルデハナ
  イカト心配スルノデアリマス、是ハ人情ノ
  機微ト申シマセウカ、從來アスコニ生活シ
  タ人ノ心理ト申シマセウカ、當然サウ云フ
  方向ニ走ル傾向ガ見ラレルノデアリマス、
  若シ政府ハ之ヲ取締ルカラ心配ガナイト云
  フノデアルナラバ政府ハサウ云フモノヲ許
  シテ置イテ初メカラ陷穽ヲ設ケテ關係者ノ
  投機心ヲ誘導スルヤウナ虞ナシトシナイノ
  デアリマス、更ニ又之ニ依ツテ取引所ノ繁
  榮ヲ所期スル目的デアルトスルナラバ、政
  府自ラ投機行爲ヲ承認スルモノデアツテ、
  本法案ノ精神ヲ破壞スルモノナリト斷ズル
  ノ外ハナイノデアリマス、前ニ申上ゲマシ
  タヤウニ農林大臣ノ方ハ私ヨリモ遙ニ取引
  所ノコトニハ御詳シイノデアリマスルガ、
  人間ノ投機心ト云フモノハ私ノ見解デハ、
  所有慾ヲ核心トシタ所ノ爭鬪心ノ發露デア
  ツテ、一種ノ本能デアル、私ハ斯樣ニ解シ
  テ居リマス、更ニ後天的ノ慣行、習性ガ之
  習
  ニ加味サレテ居ルノデアリマスカラ、今日
  行ハレテ居リマス所ノアノ〓算市場ニ於
  ケル俗ニ表ト云フ取引ハ、ドウ云フコト
  ニナツテ居ルカ、アレハ合百トカ申シマス
  カ、法律デハ明ニ賭博行爲トシテ禁止サレ
  テ居ルノデアリマスガ、決シテ長年ニ亙ツ
  テ絕滅シナイバカリデナシニ、今日市場ノ
  大勢ヲサヘ支配スル實情ニアルト云フコト
  ヲ聞クノデアリマス、誰ガ胴元デヤツテ居
  ルノカ分リマセヌガ、又誰ト誰トガ取組ン
  デ居ルノカ分リマセヌガ、每日幾萬ト云フ
  取引ガ暗々裡ニ少シノ間違ヒモナシニ行ハ
  レテ居ルサウデアリマス、全クアノ土地デ
  ナケレバ出來ナイコトデアリマシテ、アレ
  コソ全クノ闇取引デアルト私ハ申シタイノ
  デアリマス、サウ云フ雰圍氣ノ中ニ生活シ
  テ居ル者ガ、如何ニ投機抑制ノ表看板ヲ揭
  ゲマシテモ、少シデモ餘地ヲ與ヘマシテ拔
  道ヲ拵ヘテ置キマシタナラバ、ソコニ投機
  心ノ生ジマスルコトハ私ハ當然ノ歸結デハ
  ナイカト思フノデアリマス、私ハ農林大臣
  ノ御答ヲ伺ヒマシテモ、尙ホ了解セザルモ
  ノガアルノハ其ノ點デアルノデアリマス、
  先般北委員カラモ此ノ點ニ對シテハ猛烈ナ
  ル反對ガアツタヤウデアリマスガ、私ノ
  寸算盤ヲ置イテ見マシタ所ニ依リマスト、
  現ニ政府ガ先般御示ニナリマシタ手數料ヲ
  割ツテ見マシテモ、實物取引高ハ一千四百
  六十万石デアリマス、未著物取引ハ一千百
  四十万石デアリマス、延取引ノ方ハ千二百
  六十万石トナツテ居リマス、之ヲ未著物ト
  延取引トヲ合算シマスレバ二千四百万石ニ
  ナルノデアリマシテ、現物ノ取扱高ニ比較
  シマシテ約二倍ノ多キニ達スルノデアリマ
  ス、而モ未著物ト延取引ハ全國ノ各取引所ニ
  -三十箇所カ四十箇所カ存ジマセヌガ、
  全國ニ出來マス取引所ニ普遍的ニ許サレルモ
  ノデハナイト私ハ思ヒマス、恐ラク東京大
  阪ノヤウナ特定ノ市場ニ限ルモノデアツタ
  トシタナラバ、如何ニ此ノ取引ガアトノ兩
  者ノ方ニ集中サレルカト云フコトハ、政府
  自ラ承認スルト私ハ言ハナケレバナラヌト
  思フノデアリマス、政府ノ御示ニナツタ數
  字ヲ割ッテ見レバ、直グ出ルノデアリマス、
  私ノ申上グル所ノ投機抑制ノ看板ヲ政府自
  ラ破壞スルモノナリト言フノハ、此ノ點ヲ
  指シテ私ハ申上ゲルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=59

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• 060・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　小野サンハ能ク經濟上ノ
  事情ヲ十分御承知デアラウト思ヒマスガ、
  米ノ賣買ハ可ナリ品物自身ガ重イモノデア
  リマシテ、ソレヲ動カス度ニ非常ナ費用ヲ
  要シマス、船カラ陸ノ倉ヘ揚ゲルダケデモ
  一俵二錢ヤ幾ラノ金ハ掛カルノデアリマシ
  テ、ソレガ揚ゲタリ卸シタリスルト云フコ
  トニナルト、中々費用ガ掛リマス、故ニ例
  ヘバ何處々々ノ米ヲ今日五百石買ツタト云
  フ人ハ、是ハヤハリ相當ノ大手デアリマス、
  此ノ人ノ品物ガ例ヘバ東北ノ米ヲ買ツテ秋
  葉原マデ來テ、秋葉原カラ市場ノ附近ノ倉
  庫ニ入レテ、其處カラ又アチコチノ買手ノ
  米屋ノ倉庫ニ送ルト云フヤウナコトヲ致シ
  マシタナラバ、ソレハ費用ガ掛ツテ仕樣ノ
  ナイモノデス、卽チ是ニ於テ未著物ノマダ
  著カナイイツ何日神田川デアルトカ、深川
  デアルトカ若クハ秋葉原デアルトカ飯田橋
  デアルトカニ著ク米ヲ買ヒマシタ時ニ、其
  ノ著イタ所カラ直チニ需要家ノ所ヘ五十石
  ナリ百石ナリ「トラック」ナリ何ナリデ、直
  グニ運ビ込ムト云フコトガ、ソコニ非常ニ
  費用ガ省ケルノデアリマス、商人ハ申スマ
  デモナク一厘一錢ト雖モ細カイ所ニ注意シ
  テ居ルノデアリマスガ故ニ、市場デ賣買致
  シマシテモ實際ノ品物ハ汽車ナラバ停車
  場カラ直グニ引取ル、斯ウ云フ關係ニナリ
  マスカラ、大キナ商人ガ茲ニ千石買ツタ、
  ソレデ十五日ノ內ニ著クト云フ場合ニ、其
  ノ千石ノ中デ彼處ニ二百石、コツチニ百石賣
  ツテ、サウシテ停車場へ來タラ此ノ米ヲ其
  ノ方面ニ直グ流シテ行クト云フ事柄ガ便利
  ナノデアリマス、私ハ未著物ノ取引ト云フモノ
  ガ相當行ハレルト云フコトハ當リ前ノコトデ
  アツテ、又サウスルコトガ卽チ一般ノ消費
  者ニ利益トナリ、生產者ニモ中間ノ費用ヲ
  少クシテ賣リ得ルコトデアルト斯樣ニ思フ
  ノデアリマス、延取引ノ關係ハ是モ殆ドソ
  レト類似致シテ居リマスガ、是ハ其ノ間ニ
  於テ相當ノ期間ガアルノデアリマシテ、或
  ハ之ニ依ツテ自分ノ取引店カラ米ヲアツチ
  コツチカラ集メテ、サウシテ賣ルトカドウ
  スルトカ云フ關係ガアリマスノデ、此ノ數
  字ガ多クナルト云フコトハ當リ前デアリマ
  ス、ソレデ此ノ延取引ガ投機取引トナルト
  斯ウ云フ仰セデアリマスガ、現在〓算取引
  デ今日證據金ヲ納メテ明日直グニ勝負ヲシ
  テ、其ノ差金ヲ明後日受取レル所ノ所謂〓
  算取引、殆ド其ノ大部分ハ投機取引ト言ツ
  テ宜シイデアリマセウ、數字カラ申セバ一
  番盛ンナ時ニハ年ニ二億万石カラノ〓算取
  引ガアツタ、現在デモ、十三年度ニ於テ慥カ
  四千二百万石ノ取引ガアツタ、然ルニ實際
  ノ實米ノ取引ト云フモノハ其ノ一%半カ二
  %位ナモノデアリマス、其ノ多クハ要スルニ
  投機取引ニ使ハレタトモ言ヘル、ソレガ全
  部投機取引ニ使ハレタト云フコトハ言ヘマ
  セヌケレドモ、大部分ガ使ハレテ居ツタト
  言ヘル、サウ云フ元二億万石カラアツタモ
  ノガ、今ノ最高最低ガ決メラレテ、今日窮
  屈ニナリマシタ結果、其ノコトニ依ツテス
  ラ四千二百万石ニ減ツテ居ル、況ヤ是ガ月
  ガ二箇月減リ、サウシテ今マデハ一本建ノ
  唯買ツタ賣ツタト云フコトデ出來タカラ、
  日本全國何處ノ米デモ持ツテ來テヤレタモ
  ノガ、今度ハ銘柄デアレバ何縣ノ何米ト云
  フコトニ限ラレ、組合セ銘柄ナラバ組合セ
  銘柄ノ米デナケレバ取引ガ出來ナイ、斯ウ
  云フコトデアリマスガ故ニ、是ハ從來ノモ
  ノト較ベテ私ハ天地霄壤ノ違ヒガアルト思
  ヒマシテ、到底是ハ投機ノ目的トスルニ足
  ラヌト私ハ思フノデアリマス、多少小野サ
  ント意見ガ異ナルカ知レマセヌガ、私ハ之
  ニ依ツテ投機取引ガ出來ヤウトハ考ヘテ居
  ラナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=60

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• 061・小野謙一

  ○小野(謙)委員　農林大臣ノ御答ヲ伺ツテ
  見マスト、現在ノ〓算取引ト比較致シマシテ、
  天地霄壤ノ差ガアルト云フコトデアリマス
  ガ、ソレハ私モ承知シテ居ルノデアリマス、
  併シナガラ政府ハ表看板トシテ投機ノ抑制
  ヲ提案ノ理由ニハツキリト謳ツテ居ルノデ
  アリマスカラ、ソレナラバ私ハ餘地ヲ殘シ
  テ置クト云フコトハ却テイカヌノデハナイ
  カ、其ノ投機ノ生ズル餘地ヲナクシテ置イ
  タ方ガ宜イノデハナイカ、斯ウ云フノデア
  リマシテ、私何モ現在ノ取引制度ニ比較シ
  テノコトデハナイ、今度ノハ無論九牛ノ一
  毛カ知レマセヌ、ソレハ農林大臣ノ仰シヤ
  ル通リダト思ヒマスケレドモ、此ノ全國ノ
  何十箇所ニ出來マス取引所ガ、全部デ取扱
  ヒマス所ノ正米ノ取引高ト、東京、大阪ノ
  ヤウナ特殊ナ取引所デ取扱ヒマス所ノ此ノ
  延若クハ未著物ノ石數ノ差ガ餘リニ多イノ
  デアリマス、ソコニ私ハ若干ノ疑問ヲ持チ
  マシテ投機ノ乘ズル餘地ガアルノヂヤナイ
  カ、斯樣ニ申上ゲテ居ルノデアリマシテ、
  若シ私ノ見解ニシテ誤リガナイトスルナラ
  バ、政府ハ未著物ニモ延取引ニモ斷乎差金
  ノ取引ヲ禁止スルカ、又ハ限月取引ヲ止メ
  テ未著物ノ期間ヲ若干延長シテ是ガ最終受
  渡シ期ニ於テモ差金ノ授受ヲ禁止スルノ意
  思ナキヤ否ヤヲ承ツテ見タイノデアリマス
  ガ、此ノ點ハ見解ノ相違ノヤウニナツテ居
  リマスガ、恐ラク農林大臣ト雖モ未著物ハ
  ドウカ知リマセヌガ、先物ノ投機ノ餘地ガ
  ナイト云フコトハ私ハ斷言ガ出來マイト思
  フノデアリマス、唯現在ノ制度ト銘柄等級
  別取引トソレカラ組合セ銘柄等級別ノ取引
  ト斯ウ云フ風ニ何處々々ノ米ヲ賣買ヒス
  ルンダカラ餘地ハナイ、斯ウ仰シヤイマス
  ケレドモ、私ハ當局ノ御說明通リニ行クモ
  ノカドウカト云フコトニ大變疑問ヲ持ツテ
  居ルノデアリマス、其ノ點ヲ只今申上ゲマ
  シタ差金取引ヲ禁止スルカ、又ハ限月取引
  ヲ止メ、未著物ノ期間ヲ多少延長セシメ、
  是ガ最終受渡シ期ニ於テモ差金ノ授受ヲ禁
  止スルノ意思ナキヤ否ヤ、今ノハ延取引ハ
  十五日、ソレカラ限月ハ二月ト、斯ウナリ
  マシタケレドモ、形ノ上ニ於テハ三月ニ分
  レテ居リマシタノヲ、十五日ニ一ツ切ツテ、
  アト中物、先物ト、斯ウ云フ風ニ見エルノ
  デアリマスカラ、其ノ點ヲハツキリシテ置
  キタイト思ヒマス

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• 062・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　度々申上ゲマス通リ此ノ
  延取引ノ式ニ依リマスト、間ニ於テ轉買買戾
  シノ出來ヌト云フコトガ投機ノ出來ナイ主
  ナル事柄デス(小野委員「現在ニ比較シテデ
  ナシニ御話ヲ願ヒタイ」)私ハ銘柄取引ト云
  フモノガ極ク手短ニ申上ゲルナラバ、假ニ私
  ガ靑森縣出身デアツテ、靑森縣ノ米ヲ賣リ
  タイト思ヒマシテ、靑森縣ノ何等米ヲ賣リ
  タイガト言ツテ誰方カ他ノ市場員ニ賣ル、
  サウ致シマスト脇ノ米ヲ以テ代用スルコト
  ガ出來ナイノデアリマスガ故ニ、靑森縣ノ
  米ヲ買フト云フ人デナケレバソレニハ能ウ
  買ヒ付ケナイノデアリマス、隨ヒマシテ何
  處ノ米デモ持ツテ行ツテ今マデノヤウニ取
  引ノ出來ルノト違ヒマシテ、極メテ限定サ
  レテ、實際ソレヲ買フ考デナクチヤ一寸買
  ヘヌ位ナモノダラウト思ヒマス、況ンヤ其
  ノ間ニ於テ差金ノ決濟ヲ許サナクテ、所謂
  其ノ品物ノ取引サレル最終デナケレバ幾人
  轉々シテモ其ノ人達カラ總テ其ノ度ニ證據
  金ヲ取ルノデアリマシテ、今マデノヤウニ
  今日一石何圓カノ證據金ヲ付ケテ明日ハ其
  ノ玉ヲ外セバ直グ差金ガ取レルト云フヤウ
  ナモノデハナイノデアリマスカラ、私ハ投
  機取引ガ絕滅スルトハ斷言出來ナイカモ知
  レマセヌガ、大部分抑制セラレルト云フコ
  トダケハ間違ヒナイト確信シテ居ルノデア
  リマス

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• 063・小野謙一

  ○小野(謙)委員　サウスルト反對ニ伺ツテ見
  マスガ、最終ノ差金ノ取引ヲ許シタト云フ
  ノハドウ云フ譯デアリマスカ

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• 064・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　先刻カラ申ス通リ未著物
  取引ト同ジデス、例ヘバアナタガ大問屋デ
  米ヲ千石御買ヒニナツタ、サウシテアナタ
  ノ手下ニ從來カラ取引シテ居ル中位ナ米穀
  取扱業者ガアツタ、ソレニアナタガ千石買ツ
  タ米ヲ百石ヅツ分ケテヤツタ、斯ウ云フ時
  ニドウシテモアナタハ一遍米ヲ自分ノ倉庫
  ニ受取ツテ、ソレヲ今度ハ其ノ人々ニ別々
  ニ分ケ與ヘルナント云フコトニナツタナラ
  バ、ソレハ二重ニナツテ、手數ガ掛ツテ、
  運賃カラ言ツテモ何處カラ言ツテモ引合フ
  モノデハナイ、ダカラ直接ニ停車場カラ渡
  スト同ジ意味デ-ソレハ未著物デアリマ
  ガス、ソレト同ジ意味ニ於テ今度ハアナタ
  カラ買ツタ人ガ又他ノ人ニ賣ツタ、ソレデ
  其ノ人ガ又他ノ人ニ賣ツタト假定致シマシ
  テモ、其ノ品物ノ受渡シノ付クマデノ間ニ
  於テハ所謂差金ノ決濟ト云フモノヲ許サナ
  イノデアリマス、ソレデアリマスカラ其
  ノ最終ノ期末ニ於テ渡スベキ米ハ渡シ、受
  取ルベキモノハ受取ル、サウシテソコデ初
  メテ決濟ガ出來ルノデアリマシテ、從來ノ
  〓算市場トハマルデ違ツタ市場ニナルト私
  ハ斯樣ニ考ヘルノデアリマス

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• 065・小野謙一

  ○小野(謙)委員　其ノ點ハ議論ニナリマシ
  テ、問答シテモ仕方ガアリマセヌカラ、次
  ノ點ニ移リマスガ、次ニ私ノ伺ヒタイコト
  ハ、產業組合ガ賣方トシテ市場員ニナリ得
  ル制度デアリマス、政府ハ本法ヲ投機抑制、
  投機絕對禁止ノ一本槍デ行クナラバ格別デ
  アリマスガ、サウデナイ限リ產業組合モ亦
  投機行爲ヲ爲スモノニアラズトハ斷ジ得ナ
  イノデアリマス、之ヲ防止セントスルナラ
  バ、產業組合ヲ市場員ニ加ヘザルカ、市場
  員トナルナラバ是ガ取締ヲドウスルノカト
  云フコトヲ伺ツテ見タイノデアリマス、
  先般北委員カラ產業組合ハ決シテ投機ハヤ
  ラナイ、其ノ理由トシテ產業組合ノ役員ハ
  旦那デハナイ、番頭デアル、隨テ投機
  ニ依ツテ、金ヲ儲ケテモ金ノヤリ場ガ
  ナイノダ、斯ウ云フ御話ガアツタヤウ
  デアリマスガ、私ハサウハ考ヘラレナ
  イ、ヤハリ途ガ開ケテ居レバ投機ヲヤ
  ル場合ガアルト想像シタ方ガ妥當デアラ
  ウト思フノデアリマシテ、ソレハ單ニ私ノ
  想像バカリデハナイ、是ハ產業組合ガ繭ヲ
  拵ヘテ、組合デ絲ヲ取ツテ、絲トシテ產業
  組合ガ賣ツタ場合、投機ヲヤツテ儲ケタ場
  合ハ役員ハ何處ニモヤリ場ガナイト仰シヤ
  ルガ、役員ガ取ル、損シタ場合ニハ組合員
  ニ轉嫁シテ居ル事實ガアリマス、私ハソレ
  ヲ心配スルカラ是等ノ投機抑制ノ問題ト關
  聯シテ產業組合ノ役員モ神樣デハナイ、ヤ
  ハリ人間トシテ考ヘタ方ガ實際的ヂヤナイ
  カト考ヘマシテ、一本槍デ行ク制度ノ方
  ガ宜イ、又監督モ、ソレヲ許サナケレバナ
  ラヌ必要ガアルナラバ、ドウ云フ風ニ投機
  ヲ抑制シテ、ドウ云フ風ニ監督スル御考デ
  アルカ、其ノ點ヲ伺ツテ置キタイト思ヒマ
  ス

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• 066・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　販賣組合ガ此ノ市場ニ於
  テ賣リマスノハ、度々申上ゲマス通リ所謂農
  村ノ人々カラ委託セラレタ米ヲ賣ルノデア
  リマシテ、ソレガ投機ノ目的ニナルトハ私
  考ヘマセヌ、又產業組合、卽チ販賣組合ガ
  投機ヲ致スヤウナ行動ガアリマスレバ、是
  ハ自ラ取締ル規則ガアルノデアリマシテ、
  嚴重ニ取締リ得ルノデアリマシテ、其ノ點
  ハ御心配ハナイト思ヒマス

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• 067・小野謙一

  ○小野(謙)委員　サウ云フコトヲ伺ヒマシ
  テ、心配ガナイト仰シヤレバ、產業組合法
  カ何カデ間違ガアレバ取締ルカラ心配ナイ
  ト云フコトデ安心スルノデアリマス、最後
  ニモウ一點、是ハ若干關聯シテ居リマスカ
  ラ伺ヒタイノデアリマスガ、先般ノ決算委
  員會デモウ一遍農林大臣ガ出テオ出デニナ
  ツテ私ノ質問ニ御答スルト云フ御約束ダツ
  タノデアリマスガ、アノ際伺ヒタイト思ツ
  テ居ツタノデスガ、實ハ春肥ノ配給ノコト
  ガ度々此ノ席デ御話ガ出タノデアリマス、
  春肥ノ配給ノ問題ニ關シマシテ農林大臣ノ
  御努力ハ私共トシテ感謝致スノデアリマス、
  其ノ後私ハ〓里ニ歸リマシテ直接農民ニ聞
  イテ見タノデアリマスガ、農林大臣ガ折角
  御心配下サイマシタ所ノ春肥ノ配給ハ、農
  民ノ手ニ配給サレル時期ハ何時ダラウカ、
  斯ウ云フコトヲ非常ニ懸念シテ居ルノデア
  リマス、御承知デモアリマセウガ、私ノ〓
  里デハ降雪期、殊ニ雪ノ固ツテ居リマス時
  ニ二月頃ニ堆肥ヲ田ニ橇デ配ルノデアリマ
  ス、サウシテ雪ガ消エマシテ金肥ヲ入レル
  コトニナルノデアリマスガ、ソレハ四月ノ
  末カラ五月ノ初メニ加里ヤ過燐酸ヲ入レタ
  イ、其ノ頃マデニ手ニ入レバ非常ニ都合ガ
  好イ、殊ニ是ハ農林大臣モ御承知デアリマ
  セウガ、決算委員會デ松山君カラ今年ハ北
  氷洋ノ氣溫ノ關係カラ、冷害ノ心配ガ非常
  ニアルノデハナイカト云フ御注意ガアツタ
  ノデアリマズガ、ソレデアレバアル程今年
  ハ吾々方面ノ稻作ニ警戒ヲ要スルモノガア
  ルト思ヒマス、昨年ノ例ヲ申上ゲテ見マス
  ト、昨年ハ靑森縣方面デハ春カラ初夏ニ掛
  ケマシテ非常ニ天候ガ不順デアツタノデア
  リマス、殊ニ私共ノ方面デハヤマセト云フ
  モノガ吹イテ居リマシテ、是ガ長引ケバ到
  底米作ハ出來ナイトマデ心配ヲサレタノデ
  アリマスガ、幸ニ土用ニ入ツテカラ見直シ
  マシテ、非常ナ暑サガ續キマシタ爲ニ、昨
  年ノ作ハ良カツタノデアリマス、ソレハ早
  蒔デ本田移植ノ時機ガ早カツタノガ好カツ
  タノト、肥料ヲ多分ニヤツタノガ好カツタ
  ノデアリマス、サウ云フ實情デアリマシテ、
  施肥ノ時機ヲ失シテハ大變ダト云フコトヲ
  心配シテ居リマス爲ニ、私ハ此ノ機會ニ於
  テ、農林大臣ニ折角御手配ヲ願ツタ春肥ノ
  配給ガドノ時機ニ百姓ノ手ニ渡ルカト云フ
  コトヲ御伺致シマスト共ニ、配給ノ系統ハ、
  產業組合ニ入ツテ居ラナイモノガ澤山アル
  カラ、產業組合ト商業組合ノ一一本建デ行ク
  ト伺ツテ居ルノデアリマスガ、此ノ點ヲハ
  ツキリ伺ツテ、私ノ農林大臣ニ對スル質疑
  ハ終リタイト思ヒマス

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• 068・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　肥料ノ問題デアリマスガ
  豫テカラ申上ゲマス通リ、七月マデノ無機
  物肥料ノ手當ハ付イタノデアリマス、今御
  話ノ如ク東北地方ニ於キマシテハ、速ニ肥料
  ヲ施サナケレバナラヌト云フコトハ洵ニ御
  尤デアリマシテ、豫テ承ツテ居ル所デアリ
  マン、ソレデ四月以後ノ所謂春肥ノ此ノ度
  取極メタ肥料以外ノ分モ、實ハ船ノ都合デ
  四五日到著ノ遲レタ品物モアリマス、最近
  四五日ノ內ニ到著ヲ致ス筈デアリマス、其
  ノ到著次第、一番早ク施肥ヲシナケレバナ
  ラヌ方面ニ、直チニ配給ヲ致ス手配ヲ今日
  カラ致シテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、
  出來ル限リ速ニ配給ヲ終ルヤウニ到著以前
  カラ準備ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=68

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• 069・河野一郎

  ○河野委員　一寸今ノ加里ノ問題ニ關聯シ
  テ御發言ヲ御許願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=69

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• 070・添田敬一郎

  ○添田委員長　河野君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=70

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• 071・河野一郎

  ○河野委員　先日私ハ加里ノ配給系統ガ非
  常ニ亂脈デアルト云フコトヲ申上ゲテ、大
  臣ニ御警告ヲ申上ゲタノデアリマスガ、其
  ノ後其ノ方ノ御調査ハシテ下サツタノデゴ
  ザイマセウカ、ドウデゴザイマセウカ、ト
  同時ニ此ノ機會ニ、現在ノ加里ノ配給機關
  ハ現狀ヲ以テ御滿足デアルカドウカ、現在
  ノヤウナ加里ノ配給系統ヲ通ジテ配給シテ
  置クコトデ宜シイカドウカニ付テ、御所見
  ヲ質シテ見タイト思フノデアリマス、今小
  野サンカラモ御話ノヤウニ、加里ハ非常ニ
  不足デアル、同時ニ農林省ノ最近ノ御計畫
  ニ依リマシテモ、例ヘテ申セバ甘藷ノ如キ
  ハ、加里ナシニハ、絕對ニ出來ナイノデア
  リマス、所ガ甘藷ヲ無水「アルコール」其ノ
  他ノ關係カラ非常ナ增產ヲスルコトヲ要望
  シテ居ラレル、之ニ付テハ無水「アルコー
  ル」ノ原料トシテ甘藷ヲ作ラセル、此ノ增
  產計畫ト配給ノ關係ハ兩々相俟ツテ行カナ
  ケレバナラヌ、隨テ加里ノ配給ハ國策上色
  色ナ方面カラ是ガ施設ヲ必要トスルモノデ
  アリマス、其ノ點カラ參リマシテモ現在ノ
  如クニ單ナル數箇店ノ指定商人ニ此ノ配給
  ヲ任シテ置クコトガ妥當デアルカドウカ、
  加燐酸、窒素等ニ於ケルヤウナ國策會社ニ
  依ツテ公平ニ之ヲ配給スル、而モ政府ノ監
  督下ニ於テ指示通リニ配給スルコトガ必要
  デアツテ、問題ガ小サイカラ宜シイノダト
  云フコトニハナルマイト思フ、少ケレバ少
  イ程之ヲ確實ニ屆クヤウニシナケレバナル
  マイト思フ、所ガ御承知ノ通リニ加里ハ日
  本加里會社ト云ヒマスカ、外國ノ「シンヂ
  ケート」ノ日本ノ代理店ノヤウナモノガ日
  本ニ來テ居ツテ、其ノ店ガ特約店ニ渡ス、
  其ノ數箇店ノ特約店ガ、何縣ハ何處ノ特約
  店ノ配給機關、何縣ハ何處ノ特約店ガ配給
  スルト云フコトニソレ/〓分擔シテ居ルト
  云フコトデアリマスノデ、是ハ實ハ我國ノ
  物動計畫ノ關係カラ行キマシテモ、一般クノー
  物動計畫ヲ非常ニ祕密ニシテ居ラレル反面
  ニ於テ、加里ノ如クニ絕對ニ外國ニ依存シ
  ナケレバナラヌヤウナモノヲ、全ク外國人
  ノ算盤ノ中デ配給サレテ居ルト云フコトニ
  ナレバ、總テ加里ニ關スル限リ、日本ノ物
  動計畫ハ全部外國人ニ分ツテシマフト云フ
  コトガ果シテ妥當カドウカ、此ノ點ニモ實
  ハ私ハ非常ニ疑問ヲ持ツテ居リマス、是等
  ノ點カラ參リマシテモ、速ニ加里ニ關シマ
  シテ特定ナ配給機關ヲ作ツテ、ソレニ基イ
  テ政府ノ適當ナル指導ノ下ニ、誤リナキ配
  給ヲスルコトガ必要ダト私ハ思フノデアリ
  マス、是等ニ付テ農林大臣ハドウ云フ風ナ
  御考デアリマスカ、先日申上ゲタ點ニ對ス
  ル調査ト、又之ニ對スル前後處置、共ニ此
  ノ機會ニ御伺シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=71

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• 072・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　先日河野君カラ抽象的ナ
  御注意ガアリマシタノデ、共ノ內容ハ此ノ
  席デ承ラナカツタノデアリマスケレドモ、
  萬一ニモ左樣ナコトガアツテハナラヌト思
  ヒマシテ、直チニ各方面ニ於テ調査ヲ命ジ
  マシタ、マダ私ソレ等ニ對シテドウ云フ處
  分ヲスルト云フ點ニハ參ツテ居リマセヌケ
  レドモ、要シマスルノニ配合肥料ト一括シ
  テ、加里ノ販賣ヲ利用シテ穩カナラヌ取引
  ヲシテ居ル者ガアルカノヤウナ御意見デア
  リマシタ、其ノ點ニ付キマシテハ今嚴重ニ
  取調ベテ居リマス、若シ左樣ナ不都合ナコ
  トガ事實デアルト致シマシタナラバ、之二
  對スル適當ナ措置ヲ致サナケレバナラヌト
  思ツテ居リマス、早急ニヤルベキコトデアリ
  マスケレドモ、ココ數日ノコトデアリマシテ、
  未ダ其ノ調査ガ完了致シテ居ラヌノデアリ
  マシテ、此ノ際ドウ云フ始末ヲスルカト云
  フコトハ申上ゲ兼マスケレドモ、適當ナル
  處置ヲ執リタイト思ヒマス、加里ノ問題ニ
  付キマシテハ御話ノ如ク、今外國人ノ會社
  ニ於テヤツテ居ルノデアリマシテ、之ヲ此
  ノ儘ニシテ置クガ宜シイカ、又他ニ適當ナ
  配給機構ヲ設クルガ宜シイカト云フコトニ
  付キマシテ、私河野君ノ御意見ノアル所ニ
  對シテ、決シテ異議ヲ持ツ者デハアリマセ
  ヌ、併シナガラ今日加里會社ハ政府ノ指示
  ニ從ツテ、配給ノ任ニ當ツテ居ルノデアリ
  マシテ、此ノ現狀ニ於テ不都合ナコトガ起
  ルトハ考ヘテ居リマセヌノデ、十分之ニ對
  シテハ注意ヲ拂ツテ、萬間違ヒナイコトヲ
  期シマスルト同時ニ、更ニ進ンデ今ノ御話
  ノ點ニ付キマシテモ、至急ニ考究ヲ致シタ
  イト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=72

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• 073・河野一郎

  ○河野委員　面倒デスカラ私カラ實情ヲ申
  上ゲマセウ、サウシテ速ニ處分シテ戴キタ
  イ

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• 074・添田敬一郎

  ○添田委員長　農林大臣ハ只今豫算ノ方ヘ
  追加豫算ノ說明ニ行カナケレバナラヌサウ
  デスカラ、歸ツテカラニシテハ如何デスカ

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• 075・河野一郎

  ○河野委員　大臣ノ居ラレル所デ申上ゲナ
  ケレバ工合ガ惡イカラ、サウ致シマセウ

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• 076・添田敬一郎

  ○添田委員長　デハ小野君

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• 077・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレデハ事務當局ニ伺ヒ
  マス點ヲ二三伺ツテ見タイト思ヒマス、是
  ハ本會議ニ於ケル眞鍋君ノ質疑中ニアツタ
  コトデアリマスルガ、新會社竝ニ市場員ノ
  手數料ト現在ノ配給機構改革ニ依ル手數料
  トノ比較ヲ伺ヒタイノデアリマス、眞鍋君
  ハ本會議ノ質疑ニ於テ「本會社ニ依リテ中間
  手數料ノ支拂ハルルモノハ、〓算シテ石ニ
  付キ一圓五十錢ト思ヒマス、今マデノ機構
  ヲ改革シテ統一シテヤルトスレバ、凡ソ七
  十錢デ濟ンデ居リマス」トアルノデアリマ
  スガ、之ニ對シマシテ、農林大臣其ノ他ノ
  政府委員カラハツキリトシタ御答ガナカツ
  タ、此ノ數字ヲ肯定モシナケレバ否定モシ
  ナカツタヤウニ、私ノ調ベタ所ニ依ルト思
  ハレルノデアリマス、尤モ局長其ノ他カラ
  市場手數料ト云フヤウナモノノ數字ハ私共
  伺ツテ承知シテ居ルノデアリマスケレド
  モ、此ノ眞鍋君ノ計算ハ會社ノ配當ヲ裏ノ
  方カラ推算シテ、斯ウ云フ數字ガ出タノダ
  ト云フヤウナ御話デゴザイマシタガ、此ノ
  數字ニ對シテハ當局ハドウ云フ御考ヲ持ツ
  テ居ラレマセウカ、御否定ニナリマセウカ

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• 078・周東英雄

  ○周東政府委員　今度ノ會社ノ市場ニ於キ
  マシテハ其ノ市場ニ齎サレマスル米ニ付
  キ、其ノ之ヲ齎シマスル機構ニ付キマシテ
  ハ特ニ整理スルト云フヤウナコトニナツテ
  居リマセヌ、隨ヒマシテ其ノ關係ニ於キマ
  シテハ從來ノ取引通リデアリマス、唯此ノ
  會社ニ關スル限リニ於キマシテハ、先日モ
  申上ゲマシタヤウニ、市場ニ於ケル手數料
  ト云フモノハ實物市場ニ於キマシテ四厘、
  ソレカラ延取引モ各〓安イ手數料ヲ決メテ居
  リマス、隨ヒマシテ其ノ外ノ問題ト致シマ
  シテハ其ノ市場員ニ委託シテ貰フ手數料ノ
  問題ガ如何ニナルカト云フ問題デアリマス、
  ソレニ付キマシテハ今御話ノ樣ニ一圓五十
  錢モ掛ルトハ私共考ヘテ居リマセヌ、是ハ
  非常ニ安イ手數料ニナルト思フ、殊ニ實物
  市場ニ於キマシテハ御說明ヲ申上ゲマシタ
  ヤウニ、生產者等ガ或ハ直接ニ市場員ニ向
  ツテ賣ルコトガ出來マスルシ、又小賣商ハ
  直接市場員カラ買ヒ得ルノデアリマス、其
  ノ間ニ於テ特ニ委託ヲシナケレバ買ヘナイ
  モノデモナク、委託ヲシナケレバ賣レナイモ
  ノデモナイノデアリマスルカラ、實物市場
  ニ於ケル委託手數料ト云フモノハ今度ノ市
  場ニ於テハ出テ來ナイノデハナイカト思フ
  ノデアリマス、延取引、未著物取引ノ市場等
  ニ於キマシテハ勿論市場員以外ノ者ガ直接
  市場ニ出テ參リマセヌノデ、委託ノ場合ガ
  起ルカトモ思ヒマスケレドモ、之ニ付キマ
  シテモ、只今御話ノヤウナ一圓五十錢ト云
  フヤウナコトハ絕對ニ考ヘテ居リマセヌ、
  ドウ云フ計算ニナツテ居リマスカ私共モ承
  知シテ居リマセヌ、是等ニ付キマシテモ現
  在ノ市場等ニヤツテ居リマス實例、或ハ實
  際ニ各生產團體等ニ委託シテヤツテ居リマ
  ス手數料ト云フモノヲ參照致シマシテ、出
  來ルダケ本會社ノ目的ニ副フヤウニ低率ナ
  委託手數料ヲ決メル積リデゴザイマス

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• 079・小野謙一

  ○小野(謙)委員　諒承シタノデアリマスガ、
  此ノ計算ハ私ノ計算デハナイノデスガ、眞
  鍋君ニドウ云フ計算ダラウカト聞イテ見タ
  所ガ、六分乃至八分ノ配當ヲ會社ガスル、
  其ノ會社ノ利潤ヲ裏ノ方カラ計算スルト是
  ダケノ手數料ニナルノデアル、隨テ是レ〓〓
  ダケノ手數料ハ消費者ニ轉嫁サレルノダト
  云フコトデアツタ、之ヲ御認メニナルカ、
  ナラヌカ、是ハ非常ニ重大ナ問題デアリマ
  シテ、一寸見ルト小問題ノヤウデアリマス
  ガ、本案ニ對スル贊否ヲ決スル上ニ於テ殆
  ド根本ニナルノヂヤナイカト云フ考ヲ持ツ
  テ居リマスノデ、ハツキリ否定スルナラバ
  否定スル、ドンナニ會社ガ儲ケテモコンナ
  數字ハ出テ來ナイト云フコトサヘ承レバ宜
  イノデアリマス、只今マデノ政府ノ御說明
  ニ依リマスト、此ノ米穀年度ニ於ケル殘存
  米ハ九百二三十万石トノ御說明デゴザイマ
  シタガ、此ノ政府ノ計算シテ居ル殘存米ノ
  中ニハ地方ニ於ケル〓倉ノ在米ヲモ含ン
  デ居ルノデアリマセウカ、如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=79

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• 080・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ通リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=80

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• 081・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレカラ次ニ本法案ノ出
  方ガ非常ニ遲カツタト思フノデアリマスガ、
  本委員會ニ於テモ極メテ愼重ニ審議シテ居
  ルガ亦急イデ居ルヤウデアリマスガ、假
  本法案ガ貴衆兩院ヲ通過スレバ結構デアリ
  マスケレドモ、餘リ會期モアリマセヌノデ、
  或ハ貴族院ニ參リマシテ萬一是ガ審議未了
  ニナツタ場合ヲ想像シテ見マスト、其ノ際
  ニ於ケル臺灣米ノ販賣價格ノコトハ政府ハ
  ドウ云フ風ニ考ヘテ居リマセウカ、別ニ是
  ハ法律ニ依ラナイデ單純ナル手續デ別ナ機
  關ガ出來ル、斯ウ云フ風ニ承知シテ宜シウ
  ゴザイマセウカ

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• 082・周東英雄

  ○周東政府委員　非常ニ會期ガ切迫シテ居
  リマスルノデ、只今ノヤウナ御心配ヲ戴イ
  タ譯デアリマスガ、私共ハ出來ルダケ御協
  贊ヲ戴キマシテ成立スルコトヲ祈ツテ居リ
  さく、併シ萬ガ一御話ノヤウナ場合ガ出來
  タ時ニ於キマシテハ、是ハ臺灣總督府及ビ
  拓務省ト能ク合議ノ上、別箇ニ此ノ取扱ヲ
  致ス機關ヲ作ルコトニナツテ居リマス

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• 083・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレカラ是ハ御尋スルマ
  デモナイコトカモ存ジマセヌガ、私ハ素人
  ダカラ伺フノデアリマスケレドモ、此ノ延
  取引ノ方法ヲドウナサルノデアリマセウカ、
  先物ハ一月限、二月限ト云フ風ニ、月末取
  引ニナサルノデアリマスカ、ソレトモ賣買
  契約ヲシタ時カラ三十日トカ、六十日ト云
  フ風ニ受渡ヲヤラセルノデアリマスカ、其
  ノ點ヲ伺ツテ置キマス

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• 084・周東英雄

  ○周東政府委員　此ノ點ニ付キマシテハ色
  色御話ノヤウナ心配ノ點モアリマスルノデ、
  能ク〓究ヲ致シテ決メタイトハ思ツテ居リ
  マスガ、只今ノ所限月ヲ立テナイ方ガ宜イ
  ヂヤナイカ、斯樣ニ考ヘマス

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• 085・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレデハマダ其ノ方法ガ
  ハツキリシテ居ナイト承知シテ宜シイノデ
  アリマスカ

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• 086・周東英雄

  ○周東政府委員　大體限月ヲ立テナイデ行
  クト云フヤウナ方針ニ決メテ居リマスガ、
  尙ホ實施ノ時マデニ色々經驗ノアル方等ヲ
  入レマシテ、實際ニ副フヤウニシテ行キタ
  イト思ヒマス

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• 087・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレカラ是ハ今大臣ガ豫
  算總會ニ參リマシテ御說明ニナル點ダト思
  フノデアリマスガ、慥カ今日ノ新聞デ見タ
  ノデスガ、農林省所管ノ追加豫算ハ產業奬
  勵費二百九十三万三十圓、臨時農村對策施
  設費一千四百八十二万一千圓、災害其ノ他
  ノ施設費一千百十四万一千圓トナツテ居リ
  マスガ、此ノ內容ノ御說明ヲ此處デ伺ヒタ
  イト思ヒマス

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• 088・添田敬一郎

  ○添田委員長　ソレハ豫算總會ノ方デドウ
  デスカ

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• 089・小野謙一

  ○小野(謙)委員　此處デ聽イテモ無駄ハナ
  イデセウ

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• 090・松村謙三

  ○松村政府委員　ソレデハ極メテ簡單ニ要
  領ダケ御答申上ゲテ置キマス、今度ノ追加
  豫算ノ總計ハ只今御示シニナツテ居リマス
  通リニ大體二千九百万圓デアリマス、其ノ
  中災害其ノ他施設費ノ增加ト云フノガ約一
  千百万圓アル譯デアリマス、隨ヒマシテ其
  ノ他ノ生產擴充等ニ廻リマス金ハ約千八百
  万圓弱デアリマス、其ノ內譯ヲ申上ゲマス
  ト、農林水產物增產確保ノ施設ニ關スル經
  費ガ一千五百五十万圓、農業勞働力補給調
  整施設ニ關スル經費ガ八十三万八千圓、肥
  料ノ資源開發奬勵ニ關スル經費ガ六十三万
  六千圓、飼料ノ自給促進奬勵費ノ增加ガ六
  十六万圓、大キナノハ大體サウ云フヤウナ
  所ノモノデアリマス、之ヲ他ノ方ハ略シマ
  スガ、農林水產物增產確保ニ關スル經費ノ
  內譯ヲ申上ゲマスト、主要食糧農產物增產
  確保ニ要スル資金ガ六百七十万圓、繭ノ增
  產確保ニ要スル經費ガ四百八十万圓、「アル
  コール」ノ原料ニ要スル經費ガ百四万六千
  圓木炭ノ增產ニ關スル經費ガ百七十八万
  圓、沿岸漁獲物增產施設ニ要スル經費ガ五
  十五万七千圓、北洋ノ鰊及ビ支那海ノ漁場
  開發ニ關スル經費ガ五十三万圓、大體斯ウ
  云フヤウナ所デアリマス、ソコデ此ノ豫算
  ノ仕組ハ出來得ル限リ、議會ノ御趣旨モア
  リマシタカラ、農村ノ最前線ノ實行組合ヘ
  金ガ〓ルヤウナ仕組ヲ致シマシテ、其ノ上
  ノ經費ハ出來ルダケ節約シテ、大キナ部分
  ヲソレニ〓シタイ、斯ウ云フ仕組ヲ致シテ
  居リマス、隨ヒマシテ詳シイ計算ハ致シテ
  居リマセヌケレドモ、農村ノ方面へ亙リマ
  スル金ハ此ノ豫算ダケデモ最前線ヘ一千万
  圓以上參ルコトト思ヒマス、更ニ既ニ成立シ
  タ豫算等ヲ加ヘマスト、其ノ方面へ廻ル金ハ
  更ニ增加致スコトト思ヒマス、ソレダケ申
  上ゲテ置キマス

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• 091・小野謙一

  ○小野(謙)委員　先刻一寸局長ニ伺ツタ取
  引ノ方法ニ付テモウ一點伺ツテ見タイト思
  ヒマスガ、今度ノ正米ノ取引ハ現在ノ正米
  取引ノヤウナ風ニ相場ガ決ルノデアリマセ
  ウカ、ソレカラ延取引ハ相對賣買ダカラ、
  銘柄等級等ノ如何ニ依ツテ賣買ノ相場ガ幾
  ツモ立ツ、斯ウ云フヤウナ風ニ承知シテ宜
  シイノデゴザイマスカ、モウ決ツテ居ルナ
  ラバ其ノ方法ヲ御說明ヲ願ツテ置キタイト
  思ヒマス

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• 092・周東英雄

  ○周東政府委員　大體實米ノ取引市場ニ於
  キマシテハ、市場ノ大小ニ依リマシテ多少
  違ヒマスガ、取引ノ範圍等ハ二十五俵單位
  ト云フヤウナ程度ニ決メマス、ソレカラ相
  對賣買ノ方法、銘柄等級別、ソレカラ大體
  其ノ市場ニ於キマシテ賣方若クハ買方ニナ
  ル者ハ必ズシモ市場員デナクテモ宜シイ、
  ソレカラ受渡場所ニ付キマシテハ大體今ノ
  正米ト同ジヤウニ會社ノ指定シマスル地域
  ニ於ケル受渡場所デ受渡サレル、決濟ハ約定
  ノ期限ニ於テ現品ト代金ノ授受ヲ爲スモノ
  トシ、差金決濟ハ之ヲ認メヌコトニ實物市
  場デハ考ヘテ居リマス、ソレカラ延ノ方ニ
  於キマシテハ賣方、買方共ニ市場員ニ限ル、
  ソレカラ賣買單位ニ付キマシテハ是ハ自ラ
  現物市場トハ違ヒマシテ、相當ノ大キイ額
  ガ單位ニナルコトニナツテ居リマス、ソレ
  カラ御話ノヤウニ銘柄等級別又ハ組合セ銘
  柄ト云フ關係ニナリマスノデ、御話ノヤウ
  ニ相場ハ各銘柄別ニ出來上ルト思ヒマス、
  受渡場所ハヤハリ現物ト同樣ニ會社ノ指定
  セル地域ニ於ケル受渡場所デ致シマス、大
  體サウ云フ風ナコトデアリマス

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• 093・小野謙一

  ○小野(謙)委員　サウスルト市場ニ於ケ
  ル正米ノ値段ハ日ニ一遍立チマスカ、又銘
  柄等級ニ依ツテ違フ部分ハ無論アリマセウ
  ガ、日ニ一囘ハ御發表ニナル譯デスカ

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• 094・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノヤウニ銘柄別ニ每
  日出テ參ラウト思ヒマス

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• 095・小野謙一

  ○小野(謙)委員　午前、午後デナシニ、日
  ニ一囘ダケデスカ

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• 096・周東英雄

  ○周東政府委員　大體一囘デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=96

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• 097・小野謙一

  ○小野(謙)委員　ソレカラ私ハ法律ハ素人デ
  アリマスガ、條文ニ付テ若干伺ツテ見タイト
  思ヒマス、先程繼ギハギノ法律ダト私ハ申
  上ゲタノデアリマスガ、此ノ十七條ニ「賠償
  ノ責ニ任ズルコトヲ得」トアリマスガ、ドウ
  云フ場合ニハ賠償スルシ、ドウ云フ場合ニ
  ハ賠償シナクトモ宜イト云フノデアリマス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=97

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• 098・周東英雄

  ○周東政府委員　是ハ指導上監督上ハ賠償
  ノ責ニ任ゼサセルヤウニ定款ヲ書カセル積
  リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=98

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• 099・小野謙一

  ○小野(謙)委員　私ハ此ノ二十九條ハ二十
  一條ノ次ノ二十二條ニナルベキガ當然デハナ
  イカト思フ、又二十一條ノ中ニ包含シテシ
  マツテモ宜イノデハナイカト思ヒマスガ、
  斯ウ別ニ離シテ置イタ所ニ、立法技術ト申
  シマスカ、何カ特別ノ事情ガアツタノデア
  リマス

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• 100・周東英雄

  ○周東政府委員　ソレハ二十一條ハ會社ノ
  目的ヲ書キマシタ、二十九條ハ其ノ範圍ニ
  於キマシテ事業ト云フモノヲ限定シテ書イ
  タノデアリマス

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• 101・小野謙一

  ○小野(謙)委員　次ニ今度ノ米ノ免許制度
  ニ付キマシテ-現在ノ配給機構內ニ於ケ
  ル從業員ハ、免許制度ノ下ニ於キマシテハ、
  ヤハリ賃銀勞働者ニ轉落シテシマフ、現在
  ノ制度デ參リマスナラバ、將來暖簾ヲ分ケ
  テ貰ツテ獨立スル希望ガアリマスガ、今度
  ノ免許制度ニナリマシタナラバ、サウ云フ
  コトモ出來ナイト云フ風ニ考ヘラレルノデ
  アリマスガ、政府ハ是レ位ノ犠牲ハ此ク新
  シイ配給機構ヲ作ル上ニ於テ已ムヲ得ナイ
  ト云フ風ニ御考デアリマスカ、之ニ多少何
  カシテヤルト云フ御考ハアルノデアリマス
  カ

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• 102・周東英雄

  ○周東政府委員　其ノ點ハ第一條ノ許可制
  ヲ設ケタ趣旨カラ致シマシテ、何處マデモ
  考ヘテ行キタイト思ヒマス、隨ヒマシテ新
  ニ免許致ス場合ニ其ノ地方ニ於ケル配給事
  情、米ノ數、米ノ流レト云フモノヲ斟酌致シ
  マシテ、是レ以上殖ヤスコトノ不適當ナ場
  合ハ或ハ御話ノヤウニ許可シナイ場合モア
  リマセウ、併シナガラサウ云フ風ナ事情ガ
  ナケレバ、之ヲ許可致シテ參ル譯デアリマ
  ス、サウ云フ風ナ場合ニ今ノ從業員ト云フ
  ヤウナ經驗ノアル者ハ、ソレガ一ツノ有利
  ナ事情トシテ、考慮ノ中ニ入レラレルト思
  ヒマス

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• 103・小野謙一

  ○小野(謙)委員　此ノ間戴イタ目論見書ヲ
  拜見シマスト、アノ中ニハ買收費、修繕費
  竝ニ諸施設費ト云フモノガ八百五十万圓カ
  載ツテ居リマスガ、其ノ內譯ヲ伺ツテ見タ
  イト思ヒマス、頂戴シタ資料ニ依リマスト、
  現在米ノ賣買ニ直接使用スル取引所ノ現在
  ノ土地建物其ノ他ノ財產ハ、四百三十六万
  一千圓ト計算シテ居ルヤウデアリマスガ、
  其ノ殘餘ノ修繕費トカ諸施設費等ノ分ガ餘
  リニ大キイヤウニ考ヘラレルノデ、其ノ内
  容ヲ御說明願ヒタイト思ヒマス

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• 104・周東英雄

  ○周東政府委員　其ノ點ハ差上ゲマシタ資
  料ノ中ニモアルト思ヒマスガ、其ノ中ニハ
  ツキリ區別ノ出來ルモノト、出來ナイモノ
  トアリマス、例ヘバ新潟トカ京都ノヤウナ
  所ハ、ハツキリ區別ガ出來ナイ爲ニ、ソレ
  ダケ別ニナツテ居ルノデ計算ニ乘ラナイ、
  サウ云フ風ナモノヲ考ヘ合セマスト、必ズ
  シモ帳簿價額ノ四百三十六万圓ダケデハ實際
  問題トシテハムヅカシイ場合ガ出テ來ルノ
  デハナイカト思ツテ居リマス、併シナガラ
  八百五十万圓アルノデアリマスカラ、之ヲ以
  テ全部買取リマシテ、或ハ修繕ヲ要スルモ
  ノモアリマセウシ、又更ニ施設ヲシナケレ
  バナラヌモノモアリマスノデ、サウ云フ費
  用モ全部含メテ居ル譯デアリマス、具體的
  ニ買取リマス額ハマダハツキリ分リマセヌ

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• 105・小野謙一

  ○小野(謙)委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=105

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• 106・添田敬一郎

  ○添田委員長　河野君、此ノ際先程保留サ
  レタ點ノ御質問ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=106

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• 107・河野一郎

  ○河野委員　先程申上ゲマシタヤウニ是ハ
  緊急ヲ要スル問題デアリマスガ、當局ノ御
  調査ガマダ出來ナイヤウデアリマスカラ、
  斯ウ云フ席デ具體的ニ私カラ名前ヲ言ハヌ
  方ガ宜カラウト考ヘマシテ、實ハ差控ヘテ
  居タノデアリマス、併シ是モ全國農民ノ爲
  トアレバ已ムヲ得マセヌノデ、此ノ機會ニ
  惡イモノハ惡イト云フコトヲ全部明ニシテ
  眞相ヲ申上ゲマス、先日私ガ申上ゲマシタノ
  ハ深川ノ鈴鹿商店デアリマス、是ハ大臣御
  承知ノ通リ我國ノ肥料界ヲ代表シテ政府ノ
  肥料政策ニ參與シテ居ル有力ナ人デス、此
  ノ鈴鹿君ガ他ノ二店ト共ニ、三店デ關東ニ
  於ケル加里ノ配給ヲヤツテ居リマス、而モ
  其ノ配給先ハ千葉縣、茨城縣ト云フヤウナ
  相當廣範圍ニ亙ツテノ配給權ヲ持ツテ居リ
  マス、加里會社モ此ノ鈴鹿商店ヲ通ジテ其
  ノ品物ヲ各縣ノ問屋ニ廻ハシテ居ルノデ
  アリマス、然ルニ鈴鹿商店ハ農林省デ指定
  セラレテ居ル所ノ加里ノ公定價格ヲ上廻ツ
  テ、茨城縣ノ問屋ニ卸シタ、ソコデ茨城縣
  ノ問屋モ其ノ公定價格ヨリ上廻ツタ價格
  デ、之ヲ直ニ下賣店ニ廻シタ、サウシテ
  ソレガ農家ノ手ニ〓ツタ、所ガ先日申上ゲ
  マシタ通リニ、公定價格ノ決マツテ居ルモ
  ノヲ元賣捌デアル所ノ中央ノ指定店ガ、ソ
  レヲ上廻ツタ價格デ茨城縣ニ賣ツタノデア
  リマスカラ、茨城縣デハ非常ニ不審ニ思ツ
  タ、ソコデソレハドウ云フ譯ダラウカト云
  フノデ、段々喧シクナツテ、此處ニ政府當
  局モオ居デデアリマスガ、其ノ間ノコトハ
  政府委員モ御承知ノ筈デアリマスガ、茨城
  縣カラモ政府ノ方へ御相談ニ見エタ筈デス、
  ソコデソレハ怪カラヌト云フ譯デ、政府ノ
  方カラ喧シク叱言ヲ喰ツテ、鈴鹿商店ハ茨
  城縣ノ卸問屋ニ對シテ公定價格ヲ上廻ツタ
  ダケノ差額ヲ戾シタ、所ガ茨城縣ノ卸問屋
  モ公定價格ヲ上廻ツタ値デ既ニ下賣店ニ賣
  ツテシマツテ居ツタカラ、ソレヲ貰ツテ刑
  務所ニ入レラレルノデハ大變ダト云フノデ、
  其ノ差額ヲ貰フノヲ斷ツタ、ソコデ先日私
  ガ申上ゲタ通リノ事實ガアルノデス、モウ
  一ツ更ニ別ノ事實ガアルガ、是亦同樣ニ鈴
  鹿商店ノ例デアリマス、是ハサウ云フ風ナ
  被害ヲ受ケタ千葉縣ノ肥料店カラ、農林省
  ニ陳情書ヲ出シテ吳レト云フコトデ、私ノ
  手許ニ來テ居リマス、是ハマダ先日申上ゲ
  タヤウニ鈴鹿商店ガ配合肥料取扱ヲシナイ
  爲ニ加里ヲ〓シテ吳レナイ、其ノ爲ニ自分
  ハ統制ニナル前ニハ是々ノ加里ヲ扱ツテ居
  ツタケレドモ、昨年二月以降幾ラ賴ンデモ
  鈴鹿カラハ加里ヲ全然廻シテ吳レテイ、ド
  ウ云フ譯デサウナノカト云フコトノ喧シイ
  苦情ガ來テ居リマス、斯ウ云フヤウナコト
  ハ極ク小量ノ加里ノ配給デモ、最モ圓滑ニ
  ヤラナケレバナラヌ際ニ、好キ好ミヲシテ
  此ノ商店ニハ〓スガ此ノ商店ニハ賣ラナイ、
  此ノ縣ニハ〓スガ公定價格ヲ上廻ツタ價格
  デ配給スル、尤モ政府デハ是ト是ト是ニヤ
  ラセルト云フコトデ關東デハ此ノ三店ニ決
  メテアル、此ノ中ノ一店ガサウ云フ風ナ不
  正ナコトヲシテ居ツテ、ドウシテ一體公正
  ナル肥料ノ配給ガ出來マセウカ、事ハ簡單
  ナヤウデアリマスケレドモ、非常ニ重大デ
  アリマス、斯ウ云フモノヲ見逃シテ居ル、
  其ノ事實ハ儼然トシテハツキリシテ居ルニ
  拘ラズ、當局ガ尙且ツサウ云フ店ニ配給ノ
  元賣捌ヲヤラシテ置クト云フコトハ、吾々
  ハ甚ダ怪訝ニ堪ヘヌノデアリマス、他ニ適
  當ナ店ガナイナライザ知ラズ、又ナケレバ
  全部產業組合ニ廻スガ宜シイ、又肥料商ニ
  附シマシテモ、中央ノ他ノ肥料商カラ行ク
  ナラバ、何モ此ノ店ヲ通ジナクテモヤレル
  途ハ澤山アル筈デアリマス、更ニ又申上ゲ
  マスナラバ、此處ニ商工省ノ當局モオ居デ
  ニナリマスケレドモ、鈴鹿君ガ別ニヤツテ
  居リマス全國肥料商聯合會-全肥商聯ヲ
  通ジテ配給スルコトモ出來ル、他ノ過燐酸
  デアリマストカ、硫安ノ如キハ全肥商聯デ
  配給シロ、配給シロト云フコトヲ商工省當
  局ハ喧シク言ウテ居ラレル、商務局長モソ
  レハ御存ジノ筈デアリマシテ、過燐酸ヤ硫
  安ハ、全肥商聯ヲ通ジテ配給セヨト云フコ
  トヲ要求シテ置キナガラ、加里ハ斯ノ如キ
  不正ナコトヲスル男ニ配給サセテ置クノハ
  何故カ、吾々ハ甚ダ怪訝ニ堪ヘナイ、斯ウ
  云フ事實ガアツテモ、亦一方ノ硫安ヤ過燐
  酸ハ全肥商聯ニヤレ〓〓ト言ツテ主張サレ
  ナガラ、加里ハ斯ウ云フ不正ノ事實ノアル
  者カラ取上ゲナイデ、斯樣ニ依然トシテヤ
  ラシテ置クコトハ、何カ裏ニハ裏ガアルノ
  デハナイカト思ハレテモ仕方ガナカラウト
  思フ、辯明ノ餘地ハナカラウト思フ、此ノ
  事實ハ昨日ヤ今日アツタ事實デハナイ、
  一箇月二箇月前ニアツタ事實デハナイ、
  其ノ後モ引續イテ色々ノ方面カラ色々
  ノ「デマ」ガ飛ンデ居ル、今日非常ニ貴
  重ナル肥料、其ノ肥料ノ配給ニ當ツテ
  斯ノ如キ不正不德漢ノ居リマスルコトハ、
  甚ダ吾々ハ遺憾ニ堪ヘヌノデアリマス、斯
  ノ如キ者ガ居リマスルカラ肥料商ハ不正ダ、
  肥料商ハ惡イト云フコトデ、全國ノ肥料商
  ガ迷惑スルコトハ洵ニ甚大デアリマス、如
  何ニ商工省ト雖モ惡イ者ハドン〓〓處分サ
  レルガ宜シイ、唯味噌モ糞モ一緒ニシテ商
  人保護ヲスルダケガ商工省ノ建前ダト云フ
  ヤウナコトヲ考ヘラレルコトハ、眞面目ナ
  肥料商ガ甚ダ迷惑ニ思フノデアリマス、此
  ノ事實ヲ私ガ此ノ場ニ於テ指摘致シマシタ
  以上ハ、速ニ之ニ對スル適當ナル善後處置
  ヲ講ゼラレンコトヲ私ハ要望スル者デアリ
  マス、大臣ノ御所見ヲ御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=107

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• 108・小濱八彌

  ○小濱政府委員　過去ノ經過ヲ申上ゲマス、
  御承知ノ通リ加里ハ歐洲ノ「シンヂケートㄴ
  ガ一手ニ日本ニ入レテ居リマス、其ノ入レ
  ル取扱店トシテ日本加里株式會社ガ出來テ
  居リマス、其ノ日本加里株式會社ハ歐洲ノ
  「シンヂケート」ノ販賣店ノヤウナ形ニナツテ
  居リマスガソレガ日本ニ加里ヲ一手ニ供給致
  シテ居リマス、ソレデ從來ハ加里ヲ賣リ擴
  ゲヤウト云フ關係ニ立ツテ居ツタト考ヘテ
  居リマス、隨ヒマシテ代金ノ取立ニ責任ヲ
  負ハセルト云フヤウナ意味モアツタト考ヘ
  マスガ、數箇ノ特約店ヲ決メマシテ、其ノ
  特約店ハ更ニ各業府縣ニ第二次ノ特約店ト
  云フモノヲ置イテアリマス、ソレデ加里ノ
  價格ハ幾ラデ入レルカト云フコトハ加里會
  社ガ內地ニ持ツテ參リマス時ニ報〓ヲ取ツ
  テ居リマス、ソコデ加里會社ノ決メタ販賣
  價格ニハ、第一次及ビ第二次ノ特約店ニ於
  ケル手數料ヲ含メテ價格ヲ決メテ居リマス、
  隨ヒマシテ加里會社ノ定メタ價格ト云フモ
  ノハ第二次ノ特約店ニ於テ賣ル最後ノ價格
  ヲ指シテ居ル譯デアリマス、ソレデ只今御
  指摘ニナリマシタ鈴鹿商店ナルモノガ、茨
  城縣下ニ第二次ノ特約店ニ賣ルニ當リマシ
  テ、其ノ價格ヨリモ高ク賣ツテ居ルト云フ
  コトノ事實ガアツタ譯デアリマス、其ノ事
  ヲ聞キマシテ、加里會社ノ方ニ、ソレハ能
  タ監督ヲシナケレバイカヌヂヤナイカト云フ
  コトヲ申シテ置キマシタ、ソレデ加里會社ノ方
  ハ鈴鹿商店ニ向ヒマシテ、自分ノ方ノ決メタ
  價格ト云フモノハ第二次特約店ノ手數料ヲ
  含ンデ居ル筈ダ、然ルニアナタノ店デ賣ツ
  タモノハソレヨリモ高クナツテ居ル、其ノ
  高クナツテ居ルモノダケバ返シテ貰ヒタイ
  ト云フコトヲ交涉ヲ致シタヤウデアリマス、
  ソレデ鈴鹿商店デハ第二次ノ特約店ノ手ニ
  マダ荷ガアリマシテ、農家ニ配給シテ居ラ
  ヌ部分ニ付キマシテハ、幾分返シタヤウデ
  アリマス、旣ニ第二次特約店カラ農家ニ配
  給濟ノモノニ付キマシテハ、個々ノ農家ヲ
  訪ネテ差金ヲ返シテ〓ルト云フ譯ニハ參ラ
  ヌモノガアルト云フノデ、是ダケノモノハ
  返ス譯ニハ行キマセヌデシタ、ソレハ日本
  加里會社デ然ルベク處分願ヒタトイ云フノ
  デ、加里會社ノ方ニ其ノ差額ノモノヲ持ツ
  テ參ツタノデアリマス、ソレデ加里會社ハ
  肥料課ノ方ニ參リマシテ、斯ウ云フコトデ
  アリマスガ、是ハ一體ドウシマセウカ、ト
  云フ相談ヲ受ケタノデアリマス、ソレデ個
  個ニ賣リマシタ農家ニ一々返ス譯ニハ行カ
  ヌト云フ點ニ付テハ、是ハ仕樣ガナイ部分
  ガアル、就テハ是ハ茨城縣當局ト相談シヤ
  ウト云フノデ、茨城縣當局ト相談ヲ致シマ
  シタ、是ハ茨城縣ニ於キマシテ農家ノ利益
  ニナルヤウニソレヲ使ツテ貰ヒタイ、斯ウ
  言ツテ茨城縣ノ當局ト話ヲ致シマシタ、縣
  當局デハ、ソレデハ其ノ通リ使フヤウニ致
  シマセウト云フノデ、加里會社ガ茨城縣ニ
  ソレヲ寄附ヲ致シマシタ、サウシテ茨城縣
  デ農家ノ利益ニナルヤウニ之ヲ使フ、其ノ
  價格ハ千何百圓デアツタト思ツテ居リマス、
  サウ云フコトニ致シタノガ過去ノ一ツノ事
  實デゴザイマス、サウシテ加里會社ハ
  從來內地ニ加里ヲ賣リマス一手賣店ト
  シテノ作用ヲ致シテ居リマシタガ物資
  ガ段々窮屈ニナリマシテ、國內ニ於ケ
  ル加里ノ配給ノ統制ヲヤラナケレバイ
  カヌト云フコトニナリマスト、此ノ加里會
  社ヲ通ジマシテ國內ニ於ケル加里ノ配給ノ
  統制ヲ執ツテ行クト云フコトニ相成ル譯デ
  ゴザイマス、加里ヲ輸入致シマス場合ニハ許
  可ヲ受ケサセルコトニシ、且ツ輸入致シマ
  シタモノハ、何處々々ニドウ云フ風ニ是ハ
  配給スル積リダト云フコトニ付テノ政府ノ許可
  ヲ受ケサセルコトニ致シテ居リマス、隨ヒ
  マシテ加里ガ入ツタモノニ付テハコチラノ
  方デ、何縣ニ幾ラ〓〓、何縣ニ幾ラ〓〓ト
  云フ風ニ配給ヲシテ貰ヒタイト云フヤウナ
  御話合ヲ致ス譯デアリマス、左樣ニシテ其
  ノ縣デ消費セラレルベク仕向ケテ、特約店
  ニ賣ラセル譯デアリマス其ノ特約店ガ甲ノ
  縣ニ向ケラレテ居ルモノヲ乙ノ縣ニ向ケテ
  見タリ致シマスノデハ、配給ノ實ヲ擧ゲル
  譯ニハ參リマセヌカラ、加里會社ヲ喚ビマ
  シテ、加里會社ガ政府ノ加里ノ配給統制ニ完
  全ニ協力シテ貰ヒタイ、アナタノ方デ政府
  ノ意ヲ體シテ配給ノ統制ガ出來ナイト云フ
  コトデアルナラバ、別途ニ加里ノ配給ニ關
  スル機關ヲ玆ニ作ラナクテハナラヌト云フ
  コトニナルカモ知レヌ、併シ加里會社ガ政
  府ノ趣旨ヲ體シテ、地方ニ偏在スルコトノナ
  イヤウニ、配給ガ出來ルト云フコトニナルナ
  ラバ、暫ラク中樞機關トシテアナタノ方ニ
  御任セ致シテモ宜シイト云フコトニナルノ
  デアリマスガ、其ノ點ハドウデスカト云フ
  コトヲ念ヲ押シマシタラ、政府ノ趣旨ヲ體
  シテ御命令ニ從ツテ配給ヲ致シマス、斯ウ
  云フコトデアツタノデアリマス、ソレデ其
  ノ點ヲ能ク話ヲシマシテ、從來加里會社カ
  ラ特約店ニ頒チ、特約店カラ更ニ第二次特
  約店ニ頒ツ場合ニ於キマシテ、各々ノ縣ニ
  幾ラト云フ風ニ、計畫ヲサレテ居ル通リニ
  配給ヲシナイト云フヤウナコトガアレバ、
  是ハ別箇ノ方法ヲ考ヘナケレバイカヌ、ソ
  レカラ又從來決メラレテ居ル價格、卽チ配
  給手數料ヲ含ンダル價格以上ニ賣ルト云フ
  コトニナルト、是モ一ツ別箇ニ配給機關ヲ
  考ヘナクテハナラヌヤウナコトニナルカモ
  知レナイ、其ノ點ニ付テハ十分ニ一ツ監督
  ヲシテ貫ヒタイト云フノデ、加里會社ニ對
  シマシテ特約店ニ對スル加里鹽ノ配給ニ當
  ツテ地方ニ於ケル所定ノ取引價格厲行其ノ
  他ニ關シ、重ネテ嚴重警告セラレルコトハ
  勿論、特定道府縣ニ仕向ケラレタル商品ハ、
  當該道府縣以外ノ地方ニ販賣セラレルコト
  ノナイヤウニ、適當ノ條件ヲ付スル等ノ方
  法ヲ講ジテ、場合ニ依ツタナラバ、違反シ
  タ者ニ付テハ將來ハ取引ヲシナイト云フヤ
  ウナ條件ヲモ附ケテ、嚴重ニ監督ヲシテ貰
  ヒタイ、斯ウ云フコトヲ加里會社ニ重ネテ
  警告ヲ致シマシタ、斯ウ云フ風ニ加里會社
  ニ警告ヲシテ、加里會社モサウスルト言ツ
  テ居ルカラ、各地方長官ニ於カレマシテモ
  加里ノ配給ニ付テハ其ノ旨ヲ能ク御諒承願
  ツテ、管下ニ於ケル加里配給ニ付テ間違ツ
  タコトノナイヤウニ監督ヲシテ貰ヒタイ、
  斯ウ云フコトヲ各地方長官ニモ通牒ヲ致シ
  テ居ル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=108

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• 109・河野一郎

  ○河野委員　御答辯ヲ伺ヒマスト、中々旨
  ク仰シヤイマスケレドモ、サウ云フ馬鹿々々
  シイ答辯ト云フモノハ私ハアルモノデハ
  ナイト思フ、指摘スレバ簡單デス、體體
  此ノ鈴鹿ハ茨城縣ニ賣ツタ値段ト他ノ配給
  區域ニ賣ツタ値段ト同値段デ賣ツタカドウ
  カ、善意ノ間違ヒデ茨城縣ニ高ク賣ツタ、
  第二次配給手數料ノ入ツテ居ルコトヲ知ラ
  ナイデ賣ツタカノ如キ御答辯デアル、善意
  ノ間違ヒナラバ私ハ敢テ咎メルノデハナ
  イ、今農務局長ノ御答辯ニ依リマスト、ソレ
  ハ善意ノ間違ヒダ、第二次配給手數料ノ入
  ツテ居ルコトヲ知ラナイデ茨城縣ニ賣ツタ
  ノダ、所ガソレハ偶〓日本加里ノ方デ第二次
  配給手數料ヲ入レテ居ルノダカラ、ソレダ
  ケ高過ギタ、間違ヒダト云フコトデソレヲ
  返シニ行ツタト云フノナラバ、私ハ此處デ
  農林大臣マデ煩ハシテ大キナ聲ヲ出シテ言
  フ筈ハナイ、何モ惡イ事ヲシナイ者ヤ善意
  デ間違ヘタ人ヲ惡口雜言スルヤウナコトハ
  私ハシナイ、今アナタノ御答辯ヲ聽ケバ、
  鈴鹿ニ關スル限リ、鈴鹿ハ茨城縣ダケガ配給
  地域デハナイノダカラ、外ヘモ皆サウ云フ
  間違ヲシテ居ルノナラ、成程是ハ間違ヒダ
  ト云フ風ニ善意ニ取ル、茨城縣ダケサウ云フ
  間違ヲシテ居ルノガイケナイト思フ、左樣ニ
  隙ガアレバインチキヤ胡麻化シヲヤルト云
  フ事實ハ歴々トシテ居ル、マサカ農林當局
  デモソレ程人ガ好イ譯デハナカラウト思フ、
  又國策ニ順應シテ政府ガ最小限度ノ肥料
  ヲ輸入シテ配給ヲスルト云フ以上ハ、今御
  示ノヤウナ條件ハ最初カラ附ケラレナケレ
  バナラヌ筈デス、特定ノ商人ニ配給ヲサセ
  ル以上ハ、是レ〓〓ハ非常ニ必要ナル資源
  デアル、シテ見レバ其ノ配給ニ付テ萬々過
  チガアツテハ相成ラヌト云フ譯デ、民間ノ
  會社ニ任ス以上ハ、其ノ配給ノ監督ニ付テ
  最初カラ今御示ノヤウナコトヲヤラナケレ
  バナラヌ筈ダ、ソレガナカツタトスレバ怠
  慢モ甚ダシイモノデアル、又同時ニサウ云
  フ當局ノ監督ガナク、御示ガナクテモ、自
  分ガ國策ニ順應シテ其ノ重要ナ業務ヲ果ス
  以上ハ、斯樣ナ間違ガアツテハナラヌト考
  ヘル筈デアル、加之、間違ガアツテカラ後
  三、一、ウロ〓〓ト農林省ニドウシヨウカト
  相談ニ行ツタ所ガ何トカ彼トカ相談ヲ受ケ
  タ農林省モ、ドウシタラ宜イカ非常ニ困ツ
  テ、成ベク此地方ヘ寄ツテ吳レルナト云
  ウテ、茨城縣ノ縣廳ニ持ツテ行ツタト云
  フコトデアル、餘リ話ガ馬鹿々々シ過ギ
  ル、ソレヲ此ノ場ニ至ツテマダ辯護サレ
  ルト云フコトハ、私ハ斷ジテ許セヌト思フ、
  アナタ方自身御考ヘニナツテ、サウ云フ辯
  護ガマシイコトハ仰シヤラヌ方ガ宜カラウ、
  素人ガ聞イテ居ツテモ分ルコトデス、熱
  餘リ言フト深刻ニナリ過ギルカラ、此ノ程
  度ニシテ置キマスケレドモ、サウ云フヤウ
  ナ答辯ハナサラヌ方ガ宜カラウト思フ、ソ
  レデハ茨城縣ノ方ニ賣ツタ賣ラナイト云フ
  話ハドウ言ツテ御答辯ニナル、是ハ儼然タ
  ル事實ガアル、而モ尙且ツ加里ノ配給ハ不
  正不公平ガナイト言フナラバ、全國カラ材
  料ヲ集メテ此處へ持出シテモ宜イ、ソレデ
  モ尙ホ當局ニ於テハ加里ノ配給ハ適當ニセ
  ラレテ居ルト言ハレル確信ガオ有リニナリ
  マスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=109

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• 110・小濱八彌

  ○小濱政府委員　別ニ辯解ヲ申ス譯デハア
  リマセヌガ、唯一言、私ハ善意デ誤ツテヤツ
  タト云フ風ニ御答申シタ積リハゴザイマセヌ、
  鈴鹿商店ガ茨城縣下ニ高ク賣リマシタノハ
  販賣手數料ガ入ツテ居ルコトヲ知ラナイデ
  ヤツタト云フ風ニ申上ゲタ積リハゴザイマ
  セヌ、是ハ明ニ知ツテヤツタモノト思ヒマ
  ス、ソレデ加里會社ノ方カラ鈴鹿商店ノ方
  ニ掛合ヒマシテ、鈴鹿商店ハ怪シカラヌデ
  ハナイカ、其ノ差額ノモノハ決濟ヲシロ、
  斯ウ云フコトヲ加里會社ノ方カラ申渡シマ
  シテ、第二次特約店ニ對シテ返セルモノハ
  返シ、返セナイモノニ付テハ、是ダケノ返
  セマセヌ分ハ加里會社ニ提供致シマスト言
  ツテ提供致シタノデゴザイマシテ、私ハ手
  數料ガ入ツテ居ルト云フコトヲ知ラナイデ
  ヤツタト云フ意味デ申シテ居ルノデハナイ
  ノデアリマス、鈴鹿商店ノ此ノ違反ニ付テ
  ハ決シテ善意デアルトハ思ツテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=110

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• 111・河野一郎

  ○河野委員　善意デナイナラバ、一體サウ
  云フ闇取引ノヤウナコトヲヤルヤウナ男ヲ
  ドウシテ其ノ後モ引續イテ特約店ニシテオ
  置キニナルカ、サウ云フコトヲヤツテモ、
  ソレデモ尙且ツサウ云フヤウナ者ヲ斯ウ云
  フ統制ノ時代ニ中心ノ配給系統ニ入レテ置
  イテ、一遍ハ間違ツタケレドモ、是カラハ
  間違ハヌカラ宜イ、是カラハ間違ハヌ、是
  カラハ間違ハヌト云フヤウナコトデ何デモ
  ヤルナラバ、何處ニモ犯罪ト云フモノハナ
  イ筈ダ、斯ウ云フコトヲ私ガ先程申上ゲタ
  ヤウナ間違ノアツタ者ニヤラレテ置カヌデ
  モ宜シイデハナイカ、一遍デモ間違ツタ男
  ハ止メサセタラドウダ、斯ウ云フ統制ノ時代
  デ、誰デモ品物ガナクテ困ツテ居ル時代ダ
  カラ、サウ云フ困ツテ居ルノニ乘ジテ金儲
  ケヲスルヤウナ不德義ナ男、背德ノ男ニ、
  ソレデモ政府ガ配給ヲヤラシテ置クコトハ
  宜シクナカラウ、斯ウ云フコトヲ私ハ申上
  ゲテ居ル、是レ以上申上ゲヌデモ、大臣ハ
  此ノ問答ヲ御聽キニナツテオ居デニナレバ、
  アトハ爲スベキコトハ當然決ツテ居ルト思
  フ、大臣ニ速ニ善處セラレンコトヲ御願致
  シマシテ、私ハ餘リ諄クナリマスカラ此ノ
  邊デ止メテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=111

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• 112・添田敬一郎

  ○添田委員長　大石君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=112

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• 113・大石倫治

  ○大石委員　私ハ農林大臣ニ御尋ヲシタイ
  ノデゴザイマスガ、本米穀配給統制法案ヲ
  拜見シ、又大臣ノ本會議ニ於ケル說明、且
  ツ質問ニ對スル御答辯ヲ拜聽シ、又數日間
  ニ亙ル各委員諸君ノ熱心ナル質問ニ對シテ、
  是亦丁寧懇切ナル御說明ヲナサツテ居ラレ
  ルノデアリマスガ、私ハ不幸ニシテ每日此
  ノ委員會ニ出席スルコトガ出來ナカツタノ
  デアリマシテ、直接伺ツタ所モアリ、又速
  記錄ニ依ツテ拜見致シタ所モアルノデアリ
  マス、ソコデ或ハ私ノ思ヒ違ヒモナイデハナ
  イト思ヒマスケレドモ、サウ云フ質問應答、
  或ハ御說明ヲズツト綜合シテ見マシテ、本
  案提出ノ必須條件、寧ロ何故ニ斯樣ナ時代
  ニ斯樣ナ案ヲ出サネバナラナカツタカト云
  フ根本的ノ理由ヲ、私ハ認メ兼ネテ居ルコ
  トヲ遺憾ト致ス者デアリマス、本案提出ノ
  理由トセラレマシテハ「平時戰時ニ於ケル食
  糧問題ノ重要性ニ鑑ミ米穀ノ圓滑ナル配給
  ト適正ナル價格ノ構成ヲ圖ル爲」斯ウ言ツテ
  居ルノデアリマスガ、此ノ法案ニ依ツテ此
  ノ目的ヲ完全ニ達成ヲセラルルカ否カニ非
  常ナ疑問ガ起ルバカリデハゴザイマセヌ、
  我國殆ド千數百年ニ亙ル長イ經驗ト、其ノ
  他色々ナ關係ヲ持ツテ今日ニ至リマシタル
  所ノ配給機關、其ノ配給機關ヲ現在施行シ
  テ居ル所ノ米穀ニ關スル諸法律、或ハ規
  則或ハ勅令、命令、斯樣ナモノヲ十分ニ
  發動致シマシタナラバ、態、本法案ヲ成立セ
  シメテ配給ヲ圓滑ニシ、價格ノ適正ヲ圖ラ
  ルルマデモナク、完全ニ配給ノ圓滑ヲ圖リ
  適正ナ價格ノ構成ヲ爲シ得ルト信ズルノデ
  アリマス、平沼内閣ガ組閣ノ當初ニ一番强
  ク國民ニ呼掛ケラレタモノハ、申スマデモ
  ナク國民ノ總親和デアリマス、卽チ國内ニ
  於ケル所ノ一切ノ相剋摩擦ヲ解消シテ、全
  クノ國民ノ物心兩面總動員、總力ヲ一致發
  動シテ東亞ノ再建設ニ當ラルルト云フコト
  ヲ言ツテ居ラレルノデアリマス、隨テ政治
  上ニ現ハレル所、政府ノ施設ニ關スル所、
  何レモ此ノ大方針ニ基イテ施設セラレネバ
  ナラヌモノデアルト信ズルノデアリマス、
  然ルニ米穀ノ取扱ニ關シマシテハ、數年來
  或ハ政府ト商人ノ間ニ兎角摩擦相剋ヲ避ク
  ルコトガ出來ナイ歷史ヲ持ツテ今日ニ至ツ
  タ譯デアリマス、先年米穀自治管理法案ガ
  議會ニ現ハレマシタ最初ノ時ニハ、全國米
  穀業者ヲ初メ、非常ナ多數ノ反對ガアリ、
  議會ニ反映ヲ致シマシテ
  〔委員長退席、田中委員長代理著席〕
  遂ニ審議未了ニ終リ、後改メテ調和ヲ圖ラ
  V、再提出ヲセラレテ、辛ウジテ通過ヲ致
  シタ、今囘モ此ノ法案ヲ提出スル以前ニ當
  リマシテ、國內ニ相當ノ强キ反對ノ意見ガ
  アリ、政府當局、聰明ナル農林大臣モ其ノ
  事ハ能ク知ツテ居ラレタ筈デアリマス、曩
  ニ前內閣ニ於テ案ヲ作ラレルニ當リマシテ
  ハ現在議會ニ提出セラレタモノトハ餘程
  趣ヲ異ニシテ居ツタト思ヒマス、名前ハ圓
  滑ナル配給ヲシ、適正ナル價格ノ構成ニア
  ルトハ申シナガラ、實質ハ此ノ米穀統制法
  デアルトカ、或ハ米穀自治管理法デアルト
  カ、種々ナル所ノモノガ近年矢繼早ニ提出
  セラレマシタルコトニ依リマシテ、或ハ米
  穀業者、或ハ米穀取引所、或ハ其ノ取引ニ
  從事致シテ居リマスル所ノ取引員、ソレ等
  ノ打擊、ソレ等ノ窮境ニ陷リツツアリマス
  ルコトハ認メラレルノデアリマス、是等ノ
  者ヲ救濟セネバナラヌト云フ事實モ其ノ間
  ニ存在シテ居ル、隨テ廢止セラルベキ取引
  所ニ對シテ、相當ノ賠償ヲ行ハネバナラヌ
  ト云フコトガ認メラレル、其ノ建前ニ依ツ
  テ、日本米穀株式會社法案トシテ提案セラ
  ルベキ運命デアリマシタモノヲ、此ノ國內
  ニ於ケル反對、相剋摩擦、ソレヲ幾ラカデ
  モ調和セラレントシテ、ソレ等ノ賠償ニ關
  スル總テヲ除キ、サウシテ名前ハ米穀配給
  統制法トシテ御出シニナラレタノデアル、
  而モ此ノ法律ノ施行運用ニ當ツテモ、效果
  效力ヲ豫想致シテ見マスルト、何等ノ權威
  何等ノ效果ガ擧ラナイデナイカ、唯徒ニ相
  剋摩擦ヲ釀成スルニ終リハシナイカト云フ
  感ヲ懷クノデアリマス、寧ロ此ノ際農林大
  臣ハ審議未了等ニ終ルコトモゴザイマスマ
  ア、ソレ〓〓ノ御確信モアルコトトハ存ジ
  マスガ、更ニ再檢討ナサル御意見ヲ御持チ
  ニナラヌカ、之ヲ御伺致シタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=113

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• 114・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今大石サンカラ總親和
  ノ時代ニ於テ物議ノアル本案ヲ提出シテ、
  而モ本案ガ十分徹底シタル案デナイカラ、
  更ニ再檢討スル意思ガアルカナイカト云フ
  風ナ御尋デアリマスガ、私ハ入閣ノ初メニ
  當リマシテ、前大臣カラ日本米穀株式會社
  法案ノ原案ト云フモノニ付キマシテ、話ヲ
  承ツタノデアリマス、併シナガラ當時既ニ
  世ノ中ニ問題トナツテ居リマシテ、相當問
  題ガアルヤウデアリマシタ、故ニ私自身ト
  致シマシテハ、若シ本案ヲ出サズシテ適當
  ナル對策ガアリマセウナラバ、本案ノ提出
  ハモウ一年〓究シテ見タイ、只今大石サン
  ノ御話ノ如キ考ヲ持ツタノデアリマス、而
  シテ靜ニ〓究ヲ致シテ見マシタ結果、若シ
  本案ヲ提出致サナイ場合ニ於テ、果シテ日
  本ノ米穀政策遂行ニ於テ遺憾ナキヲ得ルヤ
  否ヤ、斯ノ如キコトヲ豫想シテハ相成リマ
  セヌケレドモ、一朝本年ノ米作ノ不作ガ豫
  想セラルルヤウナ狀態ガ起ツテ、米價ノ激
  變ガ起ルト云フ風ナ狀態ガ起ツタナラバ、
  如何樣ニナルデアラウカ、又此ノ儘ニ放置シ
  テ置イテ、果シテ米穀ノ圓滑ガ期シ得ルデア
  ラウカドウデアラウカ、可ナリ私ハ冷靜ニ〓
  究ヲ致シタノデアリマス、其ノ結果、ドウ
  シテモ一面ニ於テ米穀ノ生產增加ヲ確保致
  スコトガ必要デアルト云フコトヲ確信致シ
  マスト同時ニ、米穀ノ配給ヲ圓滑ナラシム
  ルコトハ、絕對的必要デアルト云フ信急ヲ
  得タノデアリマス、故ニ本案ニ對シマシテ
  ハ、米穀業者ノ一部ニ於テモ有力ナル反對ガ
  アリマシタ、又私ガ非賠償主義ニ依ツテ取
  引所ヲ措置致スト云フコトノ意見ガ世間ニ
  漏レマスヤ、取引所側カラモ猛然トシテ反
  對ガ起リマシタ、併シナガラ私自身ノ見地
  カラ言フト、國家ニハ代ヘラレナイ、日本
  全國民ノ生活ヲ安固ニスル、此ノ見地カラ
  致シテ、ドウシテモ米穀ノ圓滑ナル配給ヲ
  期サナケレバナラナイ、豫テカラ申上ゲマ
  ス通リ、本年ノ米穀ノ現在ノ需給關係ハ、
  一月ニナツテノ報〓ニ依リマスト、豫想致
  シマシタヨリハ百七十餘万石增加ヲ致シマ
  シテ、今日ハ九百二十二万石端境期ニ於テ
  繰越シ得ルト云フ實情ニナツテ居リマスケ
  レドモ、併シ是ガ万一一部ニ偏在スル、是
  ガ普遍的ニ配給ヲ圓滑ニサレテ居ルナラバ
  何等消費上差支アリマセヌケレドモ、一部
  ニ偏在致シタトキニ、現在ノ法律機構ニ於
  テハ何トモ出來ナイノデアリマス、勿論左
  樣ナ場合ニ於テ、總動員ノ發動モ豫想サレ
  ルノデアリマセウ、併シナガラ非常ナ多數
  ノ人ガ今日米穀ヲ取扱ツテ居ル、所有シテ
  居ル此ノ場合ニ於テ、全國一齊ニ徵兵命令ト
  云フガ如キモノガ出ルト云フコトニナリマ
  シタラ、是ハ容易ナラヌ騷動デアリマス、ソ
  レヨリハ總テノ人ガ米價ニ對スル所ノ目標
  ガキチント定ツテ居ツテ、サウシテ日本國
  現在ノ米穀ノ在高、米穀ノ需給關係ガ明瞭
  ニナツテ居リマシテ、少シモ不安ガナイト
  云フコトニナツテ居リマスルナラバ、玆ニ
  圓滑ナル所ノ配給ガ出來ル、斯ウ考ヘタノデ
  アリマス、卽チ現在ノ米穀取引ノ中樞機關
  ト申スノハ如何カト存ジマスガ、世間デ以
  テ目標ト致シテ居ル所ノ米穀取引所ノ今日
  ノ取引狀態ヲ見マスト、私カラ言フト甚ダ失
  禮デアリマスケレドモ、投機取引ガ主眼ト
  ナツテ居リマス、若シ從來ノ日本ノ米穀政
  策ノ上カラ申シマスナラバ、大石サンモ御
  承知ノ如ク、最高最低ガ決マツテ居ツテ、
  最高ニナツタ場合ニ於テハ政府ハ自分ノ持
  米ヲ賣出ス、先ヅ第一是ダケデ押へ得ルデ
  アリマセウ、若シソレガ尙ホ不足ノ場合ニ於
  テハ、外國米ヲ買ツテ補給ヲ致スト云フコト
  モ補出來得ルノデアリマス、故ニ假ニ一部ニ
  偏在シテ居リマシテモ、政府トシテ此ノ米
  穀ノ配給ヲドウナリ斯ウナリ補ツテ行ク、
  消費者ニ迷惑ヲ掛ケズニ行クト云フコトノ
  方法ハ執リ得ルノデアリマス、併シナガラ
  現在ノ狀態ニ於キマシテ、若シ政府ノ米ヲ
  賣出シテモ最高ノ價格ト云フモノガ押ヘラ
  レナカツタ、斯ウ云フ場合ニ於テドウナル
  カ、此ノ場合ヲ考ヘマシタ時ニ、深ク注意
  ヲ致サナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  而モ尙ホ眞ニ日本國內ニ於ケル米ガ足ラズ
  シテ、更ニ突破シテ行クト云フコトデアル
  ナラバ、是ハ政府ハ如何ナル方法ヲ講ジマ
  シテモ外國カラ購入シテ之ヲ補給シナケレ
  バナリマセヌ、今日ト致シマシテハ國際貸
  借ノ關係上外國カラ米穀ヲ入レテ補充スル
  ト云フコトハ、可ナリ國トシテハ困ルコト
  デアリマスケレドモ、生活必需品デアリマ
  ス故ニ、例ヘバ代用品ヲ用ヒテ之ヲ補フ、
  或ハ補ヒ得ザル部分ニ付テハドウシテモ買
  ツテ入レナケレバナラヌノデアリマス、然
  ルニ國內ノ需給關係ハ、米ハアル、
  〔田中委員長代理退席、委員長著席〕
  アルノデアリマスカラ其ノ配給ガ圓滑ニ行
  キサヘスレバ宜シイノデアル、玆ニ於テ米
  穀ノ配給ヲ圓滑ニシテ米ノ偏在ヲ防グト云
  フコトガ一ツト、ソレカラ所謂投機取引ニ依
  ル所ノ目標ノ價格デナクシテ、實需ニ基ク
  所ノ價格、之ヲ拵ヘルト云フ事柄ガ、此ノ
  米穀問題解決ノ上ニ於テ最モ必要デアツテ、
  是ハ生產者トシテモ、亦消費者トシテモ、
  此ノ實需ニ基ク所ノ公正ナル價格ト云フモ
  ノヲ拵ヘルト云フコトガ最モ必要デアル、
  斯樣ニ考ヘマシテ卽チ第五條以下、市場ヲ
  設ケテ、サウシテ實需ニ基ク取引ニ依ツテ
  公正ナル價格ヲ拵ヘルト云フコトヲ主眼ト
  致シマシテ拵ヘマシタ、同時ニ全般ノ米穀
  業者ヲシテ安ンジテ其ノ業ニ從事セシムル
  ト共ニ、又國家ノ締制ノ下ニ置イテ、當
  其ノ指導ノ下ニ置イテ、一朝非常ノ場合ニ
  於テ配給ヲ爲シ得ルダケノ順序ヲ取ツテ置
  ク必要ガアツタノデアリマシテ、第一條カ
  ラ第四條ニ至ルマデノ條項ヲ加ヘタノデア
  リマス、唯本法案ニ依ツテ市場ガ設ケラレ
  タ、其ノ市場ガ日本米穀統制株式會社ノ管
  理ニ屬シマシテ、其ノ結果トシテ取引所ガ
  廢止セラレルト云フコトニナリマス故ニ、
  取引所ノ廢止ニ對シテ適當ナル措置ヲ執ル
  ノ必要ガアツテ、本法案ニ書イタヤウナ措
  置ヲ執ツタノデアリマス、此ノ法案ニ付テ
  ハドウカ私ノ微意ノアル所ヲ御諒承下サツ
  テ御審議ヲ煩ハシタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=114

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• 115・大石倫治

  ○大石委員　農林大臣ノ誠意ノアル御答辯
  ニ對シテ敢テ私ハ彼此レ申シタクナイノデ
  アリマス、折角ノ御說明デアリマスケレド
  モ、私ハ本案ヲ以テ大臣ノ理想トセラル、
  所ノ、一朝豫想シテモナラヌト云フヤウナ
  場合ガアツテ、米ガ國內ニ在リナガラ一方
  ニ偏在シテ、需給ノ關係ガ圓滿ヲ缺イタト
  云フ時ノ爲ニ本法案ヲ提案セラレタト云フ
  御意見デアリマスガ、然ラバ何故ニ一步進
  ンデ米ノ專賣、政府管理ヲオヤリニナラナ
  イカ、唯國策會社ヲ設ケテソレ等ニ御任セ
  ニナルヤウナ御方針ヲ採ラレタカ、又今日
  マデ米穀取引所ノヤツテ來タ取引ハ、總テ
  米ノ取引ヲ擔當シテ居ツタモノデハナクシ
  テ、其ノ一部分ヲ擔當シテ居ツタニ過ギナ
  イ、唯一ツノ公定相場ト云フヤウナ價格ヲ
  造ルガ主デアリマシタ、近來ノ取引所ノ機
  能ト云フモノハ米穀統制法ガ實施セラレ、
  自治管理法ガ實施セラレテ以來、其ノ圓滑
  ナル發揮ガ出來得ナイデ、年々萎靡不振ノ
  狀態ニ陷ツテ參ツタコトハ言フマデモナイ
  コトデアリマス、而モ全國ノ米ノ大部分ヲ
  扱ツテ居リマスノハ、所謂全國ニ散在致シマ
  ス所ノ米穀業者、或ハ卸賣業、或ハ小賣商人
  デアル、ソレ等ノ者ガ大部分ノモノヲ扱ツ
  テ居ツタノデアリマス、然ルニ唯取引所ヲ
  對象トシテ總テノ日本ニ於ケル所ノ配給機
  關ガ代表セラレタ如キノ御考ハ、少々私ノ
  考ト違フ點デアルト思フノデアリマス、左
  樣ナ非常ノ場合ニ際會スル御考ヲ以テ之ヲ
  御造リニナルナラバ、寧ロ此ノ際政府專賣
  ニセラレテ宜イ筈デアル、米ノ專賣ハ長年
  唱ヘラレテ居ル所デアリ、朝野ニ於テ〓究
  ヲセラレテ居ル所デアリマス、此ノ會社ノ
  機能ハ市場ヲ中心トシテ、實米取引ヲ原則
  トシテ、ソレニ未著物ノ十五日間ノ延ヲ認
  メ、又一部ノ延取引ヲ認メテ居ル、斯ウ云
  フノデアリマシテ、法ノ建前ハ實米ノ取引
  ヲ原則トシテ居ルコトハ勿論デアリマス、
  然ルニ市場外ニ於テ自由ニ賣買ガ出來ル、
  又其ノ市場ニ於テ全國ノ米ノ配給ガ圓滑ニ
  ヤレルト云フ程ノ機能ヲ持ツモノデハナイ、
  唯法律ノ中ニ命令ヲ以テ、或ハ勅令ヲ以テ、
  此ノ偏在ヲ防ギ得ル機能ノ出來マスコト
  ハ、法律ノ力ニ依ルモノデアラウトハ思フ
  ノデアリマスケレドモ、併シナガラ左樣ノ
  非常ノ場合ニ於キマシテ極端ナ賣惜ミヲシ
  タリ、極端ナ密藏同樣ノ隱シダテヲスルト
  云フヤウナ國民ハ、我國ニハ餘リ居ナイデ
  ハナカラウカ、殊ニ統制法、自治管理法ガ
  實施セラレマシテ以來、米ノ價格ノ移動ガ
  幅ガ少クナツテ居リマス、此ノ法律ガナカ
  ツタ時代ニ於ケル取引ト云フモノハ、確ニ
  一時間二時間ノ爭ニ依ツテ非常ナ價格ノ變
  動ヲ來シ、投機的關係ヲ生ジテ居ツタノデ
  アリマス、ケレドモ近年取引所ニ於キマシ
  テモ、亦全國ノ米穀ノ取扱業者間ニ於キマ
  シテモ、値幅ト云フモノハ非常ニ接近ヲシ
  マシテ、殆ド投機的取引ト云フモノノ跡ヲ
  絕ツタト申シテモ差支ナイ今日デアリマス、
  サウ云フヤウナ値幅ノナイ時ニ於キマシテ
  ハ、假令多少ノ凶作ガアリマシテモ、左樣ナ
  一方ニ偏在シテ、需給ヲ圓滑ヲ阻碍スルト
  云フ程度ニハ至ラナイダラウト思フ、サウ
  云フ場合ニ於キマシテコソ、此ノ米穀ニ關
  スル法律バカリデナク、色々ナ法律ガ出來
  テ居ルノデアリマスルカラ、是等ヲ發動致
  シマシテモ、決シテ徵發等ノ非常手段ニ依
  ラナクテモ、出來得ルコトト思フノデアリ
  マス、然ルニ只今此ノ法律案ヲ御出シニナ
  リマシタノデ、全國ノ米穀業者ハ、或ハ東
  京ニ、或ハ地方ニ大會ヲ開イテ反對ヲ致シ
  テ居ル、取引所關係ノ者モ亦非賠償方針ニ
  非常ナ反對ヲ致シテ居ル、此ノ業者ト雖モ
  ヤハリ日本國民デアリ、又我國ニ於ケル所
  ノ配給機關トシテ、賣買機關トシテ相當ニ
  國家ニ貢獻ヲシ、殊ニ近年値幅ガ少クナリ
  マシテ以來、其ノ利潤、其ノ手數料ト云フ
  ヤウナモノモ、極メテ少額ニナツテ參ツテ
  居ルノデアリマス、是等ヲ犠牲ニシテモ國
  家ニハ換ヘラレナイト云フ程度ノモノニハ
  ナツテ居ラヌデハナイカト思フノデアリマ
  ス、併シ非賠償主義ガ取引所ノ非常ナ猛然
  タル反對ヲ起シタガ、近來ハ治マツテ居ル、
  ソレハ名目ニ於キマシテ非賠償デアリマシ
  テモ、實質ニ於テハ一種ノ賠償ヲ或ハ何處
  カニ潜メテ居ルノデハナイカト、彼等ガ安
  心シテ居ル爲デアリマス、サウ云フ點ニ付
  キマシテ大臣ハ寧ロ此ノ議會ニ於ケル言論、
  或ハ院內ニ於ケル空氣等ヲ御察シナサイマ
  シテ、此ノ際寧ロ潔ヨク再檢討ニ出ラレタ
  ラ如何デアラウト重ネテ御尋ヲ致シタイ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=115

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• 116・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　大石サンノ御意見デアリ
  マスケレドモ、私ハ少シク見方ガ異ツテ居
  ルノデアリマス、不圓滑ニナツタ時ニドノ
  法律ヲ適用シテ宜シイノカ、自分ニ今日デ
  ハ見出シ得ナイノデアリマス、ソレカラ取
  引所ノ方ガ治マツタヤウナ傾キガアルノ
  ハ、何等カ賠償ヲ云々ト云フ御話デアリマス
  ガ、是ハ要スルニ取引所ノ財產ヲ此處デ買フ、
  是ガ此ノ市場ニ於テ利用サレルト云フノデ
  アツテ、而モ其ノ價格ハ正當ナル官民デ拵ヘ
  タ委員會ニ於テ審議サレルノデアリマシテ、唯
  此ノ會社ノ株劵ヲ優先シテ、任意ニ持チ得ルト
  云フコトガ特權デアルノデアリマス、ソレ
  ハ此ノ市場ノ出來マス結果ナクナルノデア
  リマスルガ故ニ、其ノ株式ヲ優先的ニ持ツ
  コトヲ認メルト云フヤウナ事柄ハ、適當ナ
  ル措置デアラウト思ツテ居リマス、其ノ以外
  ニ從業員ノ始末ノ問題ガアリマスケレドモ、
  是ハ私ハ或ル程度社會的ニ見ナケレバナラ
  ヌ事柄デアルト思ヒマス、ソレカラ御承知
  ノ如ク値幅ガ狹クナツタ結果、現在取引所
  ノ取引ノ減ツタト云フコトハ事實デアリマ
  ス、併シナガラ兎ニ角依然トシテ一年間
  ニ、昨年ハ非常ニ減ツテ居リマス、四千何
  百万石カデアツタト思ヒマスガ、其ノ前年
  ハ八千四百万石、其ノ以前ニハ約一億万石
  位ナ取引ヲ致シテ居ツタノデアリマシテ、
  ソレガ要スルニ〓算市場ノ取引ガ大部分ヲ
  含マレテ居ルノデアリマス、是ガ今日所謂
  標準ノ相場、卽チ米價ヲ決メル目標ニナツ
  テ居リマスガ、ドウモ是ダケノ取引ガ出來
  マシテモ、實際ニ實米ノ受渡シノ出來マス
  コトハ、市場ニ於テハ僅ニ其ノ二%ニハ滿タ
  ナイ、斯ウ云フ風ナ空賣買ヲ基礎トシテ米
  價ノ目標ヲ定メルト云フコトハ、何トシテ
  モ私ハ適當デナイト思フノデアリマス、ソレ
  カラ今度ノ此ノ市場ニ入レマス所ノモノハ、
  取引所ノ市場バカリデナク、正米市場ヲ總
  テ入レルノデアリマシテ、此ノ正米市場ハ
  確ニ實際ノ現物ヲ授受致シテ居ルノデアリ
  そう、現在ニ於テモ七八百万俵ハ取扱ツテ
  居ル實狀デアリマス、是等ヲ綜合シテ一ツ
  ノ市場ニ入レテ、サウシテ統制アル組織ノ
  下ニ取引ヲ爲サシメテ、實物ヲ基準トシタ
  ル、適當、適正ナル價格ヲ決メルト云フ事
  柄ハ、私ハ最モ必要ノ事柄ダト思フノデア
  リマス、ソレニ加ヘテ先刻來申シマス通リ、
  全國ノ米ヲ取扱ツテ居ル人ニ對シテ、之二
  許可ヲ致シ、之ヲ統制シテ行ク、指導シテ
  行ク、斯ウ云フ事柄ハ配給統制ノ上ニ於テ
  非常ニ利便ガアル、斯樣ニ固ク信ズルノデ
  アリマス、今大石サンノ言ハレル、若シサ
  ウ云フ事ヲスルナラバ專賣ニシタラドウカ、
  是ハ御意見ノ一ツトシテ、私モ相當其ノ御
  意見ニ對シテハ尊敬致スノデアリマス、私
  自身モ可ナリ從來カラ其ノ問題ニ對シマシ
  テ〓究ヲ致シタコトモアリマスガ、中々是
  ハ大事業デアリマシテ、可ナリ尙ホ〓究ノ
  殘サレテ居ル點ガアルノデアリマシテ、私
  今日ソレガ今直チニ行ハナケレバナラヌ適
  當ナ方策デアルト云フマデノ、斷案ヲ持ツ
  ニ至ツテ居ラヌノデアリマシテ、取敢ヘズ
  ハ此ノ本案ニ依ツテ、私ハ米穀ノ圓滑ナル
  配給ガ期シ得ル、又公正ナル價格ガ之ニ依
  ツテ作リ得ル、斯樣ニ信ジテ出シタヤウナ
  譯デアリマシテ、ドウカ其ノ點御諒承下サ
  ツテ、具サニ御審議ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 117・大石倫治

  ○大石委員　段々ノ御話デアリマスガ、取
  引所ノ取引シテ居リマスル石數ハ、固ヨリ是
  ハ空米取引ガ主デアリマシテ、實際ノ實物取
  引ハ其ノ二%トカ或ハ二〇%位ノモノニナツ
  テ居ルデアリマセウ、併シ今ノ御話デ承リマ
  スルト、全國ノ米穀業者ニ對シテモ、安心
  シテ業務ニ從事スル方途ヲ援ケルト云フ御
  話ガ繰返サレテ居ルノデアリマス、然ルニ
  本案ガ一度社會ニ發表セラレマスト、全國
  ノ米穀業者ガ東京ニ二囘大會ヲ開キ、又其
  ノ後各地方三十數府縣ニ亙ツテ大會ヲ開イ
  テ、本案ニ對シテ絕對反對ヲ標榜致シテ居
  ルノデアリマス、大臣ノ御說ノ如ク、米穀
  業者ガ安ンジテ己ノ業務ニ從事シテ居ラレ
  ルヤウニ此ノ法案ヲ御提案下サレタトスル
  ナラバ、何故ニ左樣ナ猛烈ナ反對ガアツタ
  ノデアリマスカ、其ノ御觀測ニ付テ御伺致
  シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=117

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• 118・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　私ハ其ノ反對者ノ方々ニ
  モ實ハ數囘御目ニ掛ツタノデアリマス、其ノ
  方々ノ御意見ヲモ具サニ拜聽致シマシタ、
  小賣業者ノ諸君ハ其ノ中ニハ居リマセヌ、
  其ノ主タル反對ヲサレテ居ル方ハ問屋業ヲ
  營マレテ居ル方ガ多イヤウデアリマス、又
  卸賣ニ關係サレテ居ル方モアリマス、而シ
  テ其ノ人々ノ言ハレル所ハ澤山ノ論點ハア
  リマセヌ、唯產業組合ガ市場ニ入ツテ來レ
  バ產業組合ノ方ハドン/〓發達シテ、自
  分達ノ取引ノ領域ヲ奪ハレテ、自分等ノ取
  引ガ少クナル、斯ウ云フヤウナ御意見デア
  リマス、其ノ以外ニハ殆ド是ト云フ理由ハ
  ナカツタノデアリマス、ソレガ一番主ナル
  反對ノ理由デアリマス、併シナガラ假リニ
  之ニ販賣組合ト云フモノヲ加入セシメナイ
  ト假定致シマスレバ、モウ何モ米穀商人ノ
  方ニハ全然反對サレル點ハ殘ラナイノデア
  リマス、併シ靜ニ考ヘテ見マスト、產業組
  合ノ方々ガ、卽チ販賣組合ガ農村ノ人カラ
  米ヲ賣ルコトヲ委託サレテ、其ノ委託サレ
  タ人ガ東京ナリ其ノ他ノ市場ヘ來テ、其ノ
  委託サレタ米ヲ賣ル、此ノ場合ニ現在ノ機
  構カラ申シマスト、米穀商ニ賣ラウガ又小
  賣ヲシヨウガ又取引ノ市場員ニ賣ラウガ、
  賣ルコトニ付テハ隨意デアル、隨テ若シ假
  リニ此ノ販賣組合ノ人ヲ此ノ市場ニ入レヌ
  ト致シマシテモ、其ノ市場員ノ一人ト取引
  ヲ致スコトニ依ツテ、サウシテ其ノ市場員
  ノ手ヲ經テ賣レバ自由ニ賣レルノデアリマ
  ス、唯間ニ一人ノ手ヲ經ルカ、自分ガ入ツ
  テヂカニ賣ルカト云フコトダケノ違ヒニ過
  ギナイノデアリマス、而シテ理論ノ上カラ
  申シマシテモ、農村ノ人々ガ所謂聯合シテ
  自分ノ持米ヲ賣ルノニ、東京ナリ大阪へ出
  テ來テ、或ル特殊ナ方面ヨリホカ賣レヌト
  云フ理論ハ成立タヌノデアリマス、玆ニ所
  謂全國的ニ統制ヲシタル市場ガ出來タナラ
  バ、其ノ市場デ賣得ルト云フコトガ原則デナ
  ケレバナラヌト私ハ思フノデアリマス、故
  ニ此ノ販賣組合ハ賣リ一方デ、賣買ト云フ
  コトハ出來ナイノデアリマス、委託サレタ
  所ノ米ヲ其ノ市場デ賣ルト云フコトダケヲ
  認メタノデアリマス、同時ニ市內ノ消費者
  ノ團體ガ出來マシテモ、ソレガ入レバ買フ
  一方、然ラバ賣ル一方ト買フ一方トノ二ツノ
  モノガアリサヘスレバ、米穀商人ハ其ノ商
  賣ヲ全部奪ハレテシマフデハナイカ、是一
  普通ノ見方デアリマス、實際カラ申スト-
  手近イコトデ申セバ、ドンナ仕事デモ仲介
  ノ人ガ入ツテ、雙方ノ間ヲ取持ツテ、サウ
  シテ其ノ調節ヲ取ルト云フコトガ從來ノア
  リ來リデアリマス、是ガ商人ノ仕事デアリ
  きく、卽チ生產者ハ如何ナル場合ニ於テモ
  商人ノ手ヲ經ナケレバ賣レナイ、消費者ハ
  如何ナル場合ニ於テモ商人ノ手ヲ經ナケレ
  バ買ヘナイ、斯ウ云フ事柄ハ今日規定サレ
  ナイノデアリマシテ、消費者ガ直接生產者カ
  ラモ買ヒ得ルノデアリマス、併シナガラ生
  產者ヨリ直接ニ買フヨリモ、中間ニ立ツテ
  居ル人ガ之ヲ取纒メ、又調節シテ賣買ヲス
  ルト云フ事柄ガ一番重寶デアツテ、又是ガ
  社會上ノ通念ト申シマスカ、經濟上ノ自然
  ノ流レデアリマス、故ニ賣ト買ト而シテ賣買
  自由ニ出來ル、而モ米穀取扱業者ハ、現在
  ニ於テハ全國ニ對シテ七割以上ノ集荷機構
  ヲ持ツテ居リ、强大ナル力ヲ持ツテ居ル人々
  デアリマス、此ノ强大ナル力ヲ持ツテ居リ、
  集荷機構ヲ持ツテ居ル米穀商人ガ、其ノ間
  ニ立ツテ賣買ノ斡旋世話ヲ燒クト云フコト
  デ、此ノ仕事ガ成立タヌトハ私ハ思ヒマセ
  又、必ズ成立ツト思ヒマス、殊ニ正米市場
  カラ申シマスト、從來ノ米穀取引ノ市場ト
  云フモノガナクナルノデアリマス、成程一
  億万石ト云フヤウナ〓算取引ハ消エマスケ
  レドモ、-小賣ニハ關係アリマセヌガ、
  兎モ角モ二百万石、三百万石ト云フヤウナ
  實際ノ實米ノ取引ヲシテ居ツタ取引所ト云
  フモノノ、從來ノ〓算取引ガナクナツテ、
  正米市場ニ合同サレルノデアリマスカラ、
  ソレダケノ取扱數量ガ殖エルノデアリマ
  ス、隨ヒマシテ、調節シテ行クコトニ依ツ
  テ私ハ何等ノ摩擦ガナクシテ行クト思ヒマ
  ス、併シナガラ米穀取扱業者ノ方ガ、ドウ
  シテモ從來ノ所謂永イ間ノ慣習ニ囚ハレ
  テ、サウシテ澤山ノ段階ヲ經テ、其ノ間ニ
  於テ所謂中間ノ費用ガ多ク掛ルヤウナコト
  ガアリマスルナラバ、是ハ競爭上負ケル
  カモ知レナイガ、今日ノ實體ニ於テ、
  今日ノ實情ニ毫末ノ變化ガナイノデアリマ
  シテ、唯販賣組合ガ市場員ニナツタ、卽チ
  從來間接ニ市場員ヲ經タノガ、直接ニナツ
  タト云フダケノ違ヒデアツテ、外ニ差異ガ
  ナイノデアリマス、ノミナラズ此ノ會社ト
  致シマシテハ、從來サウ云フ取扱業者ガ可
  ナリ困難ヲサレタ點ニ付テ、相當便宜ヲ與
  ヘル方法モアルノデアリマシテ、私ハ少シ
  モ其ノ點ニ對シテ大ナル影響ガナイ、斯樣
  ニ確信シテ居ル次第デアリマス

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• 119・大石倫治

  ○大石委員　私ハ米穀業者ガ全國的ニ猛烈
  ナル反對ヲ致シテ居ル點ハ、御話ノ產業組
  合ノ進出、是モ一ツノ反對ノ大キナ理由デ
  アルト考ヘテ居リマス、併シ私ハ產業組合、
  所謂販賣組合ガ市場員トナツテ惡イト云フ
  考ハ持ツテ居ラヌノデアリマス、只今大臣
  ノ御話ノ如ク、生產者ノ委託ヲ受ケテ生產
  者ニ代ツテ賣方ニ廻ツテ行ク、是ハ我國ノ
  產業組合ノ實情、生產者農村ノ實體カラ考
  ヘマシテ、是ハ餘リ反對スベキ大ナル理由
  ニハナラヌ、唯米穀業者ガ產業組合ノ進出
  ヲ何故左樣ニ反對シ阻止スルカ、露骨ニ申
  セバ、產業組合ガ近來餘リ出過ギテ居ルト
  云フ點ニアリハシナイカ、私ハ常ニ申シテ
  居ル、產業組合ハ生產者、農村ノ多數ノ國
  民ヲ保護シ、利益ヲシテ居ルモノデアリマ
  スルカラ、其ノ發達ヲ助長セシムルコトガ國
  家トシテモ吾々トシテモ爲サネバナラヌ筋
  合ノモノデアルト思ヒマス、併シナガラ一
  方產業組合ニ偏シテ、商賣人ヲ兎角無視シ、
  或ハ虐待スルト云フ傾向ガ聊カデモアリマス
  ルナラバ、ソレハ宜シクナイ、斯樣ナ觀察ヲ
  持ツテ居ルノデアリマス、殊ニ日本ノ產業
  組合ノ起源ヲ考ヘテ見マシテモ、外國ニ於
  ケル此ノ種ノ組合ハ、歷史的ニ又ソレ〓〓
  其ノ社會組織ノ上カラ、或ハ國民ノ間ニ於
  テ其ノ必要ニ迫ラレテ自然ニ發達シテ、今
  日ノ完成ヲ見テ居ル、隨テ國民及ビ社會人
  ガ直接之ヲ利用シ、之ヲ指導シ、其ノ中心
  ヲ成シテ今日ニ至ツテ居ルノデアリマス、
  飜テ我國ニ於ケル產業組合ハドウシテ出來
  タカト云フト、左樣ニ自治的ニ發達シテ今
  日ニ至ツタモノデハナイ、天降リ式ニ、上
  ノ方カラ指導ヲシテ漸ク今日ニ辿リ著イタ
  ノデアル、然レドモ全國悉ク完全ナル組合
  ニナツテ居ルカ、可ナリ經營難澁ノモノモ
  アリ嘗テハ是ガ爲ニ地方民ガ非常ニ迷惑
  ヲシタ實績モアル、寧ロ東北地方ニ於キマ
  シテハ、產業組合組織ノ當時、數年間ト
  申スカ十數年間ト申スカ、非常ナ多數ノ人
  ガ迷惑シテ、產業組合ガ經營困難ニ陷ツタ
  コトガ屢〓アル、何故サウナルカ、組織其ノ
  モノハ宜シイノデアリマスルケレドモ、日
  本ノハ下カラ段々養成セラレテ、サウシテ
  自治的ニ發達シテ來タモノデハナイ、上ノ
  方カラ天降リ式ニ指導的ニ出テ來タモノデ
  アリマスルカラ、下ノ受ケル方ニ準備ガナ
  イ、準備ノナイ所ヘ持ツテ來テ、唯指導ダ
  ケシテヤラレマスルカラ、其ノ經營ヲ誤ツ
  タリ、或ハ組合員ハ金ヲ借リル爲ニ組合員
  ニナツタリ、貸倒レニナツタリ、非常ナ經
  營難ニ陷ツテ、地方ノ疲弊ノ一因ヲ成シタ
  實例ガ決シテ珍シクナイ、斯樣ナ關係ニ依
  ツテ日本ノ產業組合ト云フモノハ、兎モ角
  今日ハ缺クベカラザル重要ナルモノトシテ
  存在ヲシテ居ルノデアリマスルケレドモ、
  尙ホ外國ノソレノ如ク、下ノ方カラ完全ニ
  組上ゲラレテ出來上ツタモノデハアリマセ
  ヌカラ、常ニ指導ノ位置ニアル人ハ此ノ點
  ヲ能ク辨ヘテ、歷史ノ古イ、所謂各種ノ業
  者ト相剋摩擦ノナイヤウニ、調節ヲ圖ツテ
  行カネバナラヌモノデアルト思フノデアリ
  マス、然ルニ近年產業組合ハ色々ナ方面ニ
  進出ヲシマシテ、嘗テハ政治的ニマデ進出
  ヲ致サント致シテ居ル、或ル中央ノ有力ナ
  ル指導者ハ選擧ノ時分ニ祕密命令ヲ全國ニ
  發シテ、サウシテ反產運動ノ者ヲ當選サセ
  テハナラヌト云フヤウナコトデモヤツタカ
  ノ噂ヲ聞イタノデアリマス、事實ハ兎モ角
  ト致シマシテ、其ノ空氣ハ確ニアツタ、サウ
  云フ工合デ獨リ米バカリデハアリマセヌ、或
  ハ製藥モシテ居ル、何モシテ居ル、何デモカ
  デモ皆此ノ產業組合ヲ中心トシテ總テノモ
  〓
  ノヲヤラウト云フヤウナ傾向ガ尙ホ今日殘
  ツテ居ル、一方業者ハ店舗ヲ持チ、相當ノ
  者ヲ雇入レテ營業ヲシテ、一切ノ國稅地方稅
  ヲ負擔シテヤツテ居ル、一方產業組合ハ稅
  金ヲ免除セラレテ、更ニ國家ノ助成ヲ受ケ、
  或ハソレ〓〓地方ノ補助ヲ受ケテ居ル、人
  件費デアルトカ、或ハ直接開接ノ色々ナ便
  宜ヲ與ヘラレテ居ルノデアリマス、一方無
  稅ニシテ國家ノ助成保護ヲ受ケ、地方ノ助
  成保護ヲ受ケテ居ル所ノモノト、店舗ヲ持
  チ營業稅其ノ他有ユル稅金ヲ負擔シテ行ク
  モノト同ジ立場ニ立タセテ、競爭ヲ爲サシ
  メマシタナラバ、必スヤ一方ガ不振ニ陷リ、
  一方ノミ榮エルト云フコトハ當然デアル、
  此ノ出過ギルコトハ互ニ戒メネバナラヌ、
  吾々ハ產業組合ノ發達完成ヲ熱望シテ居リ
  マスルト同時ニ、他面ニ於キマシテ業者
  ヲシテヤハリ安ンジテ其ノ業ニアルヤウニ、
  國家的ノ保護ヲ加ヘネバナラヌモノト思ツ
  テ居ルノデアリマス、斯ウ云フ觀點カラ見
  マシテ、此ノ度ノ產業組合ニ市場員ノ資格ヲ
  與ヘラレテ取引ニ參加セシメルコトハ、大
  臣ノ理想トセラレル程度ニ止マリ、其ノ分
  限ヲ守リ、其ノ分ニ安ンジテ行カレルナラ
  バ、是ハ非常ナ弊害モナク、又業者ガ左程
  血眼ニナツテ、マルデ犬猿モ啻ナラザルヤ
  ウナ態度ヲ執ルニモ及バナイデハナイカト
  思フ、其ノ分ヲ越エル虞ガ多分ニアルカラ、
  其ノ點ニ付テ業者ハ非常ニ憂慮ヲ致シテ居
  ルノデアラウト思フノデアリマス、此ノ點
  ニ付キマシテ、是等ノ反對ニ對シテ大臣ハ
  如何ナル方法ヲ以テ是等業者ト產業組合法
  トノ調節融和ヲ御圖リニナル御方針デアリ
  マスカ、單リ此ノ米穀業者バカリデハナイ、
  是ハ各種ノ方面ニサウ云フコトヲ見出スノデ
  アリマスカラ、實ニ國家ノ爲ニ斯樣ナコト
  ハ宜シクナイト思フノデアリマス、セメテ
  此ノ法案ニ付キマシテノ大臣ノ御方針ヲ伺
  ツテ置キマス

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• 120・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　產業組合ノ進出ト云フ問
  題ハ、相當古クカラ起ツテ居ル問題デアリ
  マシテ、世ノ中ニ反產運動ト云フ聲ヲタビ
  タビ聞クノデアリマス、私共產業組合ヲ監
  督シテ居ル立場ノ者ト致シマシテハ、此ノ
  聲ニ相當耳ヲ藉シテ、此ノ問題ニ付テハ常
  ニ注意ヲ拂ツテ居ル譯デアリマス、私共ハ
  產業組合本來ノ目的ニ付テ、圓滿ナル發達
  ヲ熱望致シテ居ル者デアリマス、併シナガラ
  產業組合ノヤリ方ガ、若シ萬ガ一ニモ規則ニ
  外レル、卽チ其ノ精神ニ外レタ行動ガアル
  ト云フ場合ニ於テハ、是ハ勿論取締ル考デ
  アリマス、今大石君ノ言ハレタ如ク、產業
  組合ハ今日非常ナ力ヲ持ツテ居リマスノデ、
  農村ニ於ケル所ノ一大團體ガ此ノ目的以外
  ニ於テ政治運動ニ關與シテ、之ヲ基調トシ
  テ政治運動ニ乘出スト云フガ如キコトハ、
  斷ジテ許スベカラザル所デアリマス、勿論
  產業組合ノ實際ノ實務ニ當ツテ居ラレル方
  方ハ有力ナル方モ多數居ラルルノデアリマ
  シテ、ソレ等ノ人々ガ或ハ政友會、或ハ民政
  黨或ハ社會大衆黨トカ、其ノ他ノ黨派ニ
  御關係ニナツテ居ル方ハ多數アルト思ヒマ
  ス、併シナガラソレハ何等責メル所デハア
  リマセヌケレドモ、產業組合ノ名ニ於テ、
  又產業組合ノ團體トシテ政治運動ニ參加ス
  ルト云フコトハ默過スルコトノ出來ナイ所
  デアリマス、此ノ點ニ付キマシテ若シ左樣
  ナコトガアリト致シマスナラバ、私ハ嚴ニ
  之ニ對シテ取締ヲ致ス考デアリマス、而シ
  テ販賣組合ガ市場ニ入ツテ之ヲドウ云フ風
  ニ取締ルカト云フ話デアリマスガ、此ノ點
  ニ付キマシテハ本來ノ目的ニ依ツテ、卽チ
  是モ政府委員カラ度々申上ゲマシタ通リ
  月別ニ順序宜ク之ヲ販賣シテ行クコトニ付
  キマシテハ、是ハ勿論ノコトデアリマスガ、
  是ガ其ノ力ニ依ツテ一遍ニ多量ノ賣出ヲ致
  ストカ或ハドウスルトカ云フヤウナ事柄ニ
  付キマシテハ、十分ニ注意ヲ致ス考デアリ
  さい、固ヨリ賣買ハ許サナイノデアリマス
  カラ、之ヲ大イニ買ツタリ賣ツタリスルト
  云フガ如キ行動ガアリマシタナラバ、是ハ
  直チニ止メルコトハ當然デアルト思フノデ
  アリマス

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• 121・大石倫治

  ○大石委員　產業組合ノコトニ關シマシテ
  ハ、大體公正ナル態度ヲ以テ常ニ其ノ調
  和取締ヲ御圖リ下サルナラバ、ソレハサ
  ウ大シタコトハナイト私ハ思フノデアリマ
  スガ、唯賣方ノ一方ト云フ場合デモ、色
  色ナ不法行爲モアリマスマイケレドモ、餘
  リ進出モ分ガ過ギタリ、互ニ分ヲ侵シタリ
  越エタリスルヤウナコトノナイヤウニシテ
  戴キタイコトヲ希望シテ居ルノデ、アリマ
  ス、米穀業者ノ反對致スノハ獨リ產業組合
  ノ進出ニ對スルバカリデナク、其ノ他ニモ
  色々ノ理由ヲ持ツテ居ルノデハナイカト思
  フ、第一ハ此ノ度ノ配給統制ノ方針ハ市場主
  義ニ據ツテ居ル、市場ニ依ツテ總テヲ解決
  シテ行クト云フ方針ニアラレルヤウデアリ
  マスガ、此ノ市場中心主義ト云フヤウナコ
  トモ業者ノ反對ヲ致シテ居ル一ツデアラウ
  ト思フノデアリマス、我國ニ於キマシテハ
  自然取引ノ必要ニ迫ラレテ市場ト云フモノ
  ガ各地ニ開設ヲセラレ、此ノ米穀統制法、自
  治管理法等ノアリマセヌ時代ニ於キマシテ
  ハ、可ナリ全國ニ正米取引市場ト云フモノガ
  設ケラレテ、ソレ〓〓機能ヲ發揮シテ居ツタ
  ノデアリマス、山形縣ノ酒田ノ市場ノ如キ
  モ全國ノ模範トセラレタル時代モアル程デ
  アリマス、然ルニ近年市場ハ段々ト衰微致
  シマシテ、正米取引ト云フモノハ影響ヲ薄
  ク致シマシテ、今日殘ツテ居リマスルモノ
  ハ僅ニ東京ノ深川、神田川ノ二市場ト、鹿
  兒島縣ノ一市場ダケヲ殘スノミデアツテ、
  殆ド此ノ市場取引ト云フモノガ時代カラ葬
  ラレントシテ居ル形ヲ持ツテ居ル、此ノ時
  ニ當ツテ政府ガ市場ヲ中心トシテ總テノ配
  給價格ノ圓滑適正ヲ圖ラントスルコトハ、
  少々時代遲レデアリ、其ノ目的ヲ達成スル
  ニ甚ダ不完全ナモノデアリハシナイカト云
  フ考ヲ持ツ者デアリマス、此ノ點ニ付キマ
  スル大臣ノ御考ヲ承リタイ

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• 122・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　大石サンノ御話ノ、成程
  酒田ナドハ從來盛ニヤツテ居リマシテ、ツ
  イ最近五箇年程ニ見マシテモ、昭和九年ニ
  ハ六十万石ノ賣買ヲ致シテ居ツタノデアリ
  やっく、ソレデ昨年度ニ於キマシテハ三十三
  万七千石ニ減ツテ居リマス、併シナガラ今
  囘ノ市場ハ單ニ從來ノ清算取引バカリヲ主
  眼ト致シタノデハナクシテ、正米市場モ〓
  算取引モ、有ユル市場ヲ全部綜合統一致シ
  テ行クノデアリマシテ、私ハ現在目標トサ
  レテ居ル總テノ市場ガ茲ニ統一サレル結果
  トナリマスノデアリマスガ故ニ、卽チ正當
  ナル價格ヲ定メルベキ所ノ標準ハ之ニ依ツ
  テ決マルト斯樣ニ考ヘテ居リマス

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• 123・大石倫治

  ○大石委員　市場ノ取引ニ依ツテ此ノ目的
  ガ達セラレルコトト然ラザルコトトハ、私
  共意見ガ違フノデアリマス、唯意見ノ相違
  デ議論ニナツテハ仕方ガアリマセヌカラ其
  ノ點ハ深ク論ジマセヌ、唯正米市場ヲ中心
  トシテ配給ノ圓滑ヲ圖ル、或ハ價格ノ適正
  ヲ期スルト云フコトハ、私共ノ見ル所ニ依ツ
  テハサウハ行クマイト思フ、大臣ハ此ノ度ノ
  米穀會社ノ市場ニ於テ公正價格ヲ決メルト
  仰セラレテ居リマスガ、其ノ價格ハ此ノ配
  給統制法案ニ依リマスルト、最低價格ト最
  高價格ノ範圍內ニ於テノミ定メラレルノデ
  アリマス、此ノ最高價格モ最低價格モ政府
  ノ力ニ依ツテ、所謂生產費其ノ他ノ資料ニ
  依ツテ生レテ來ル公定ノ價格、其ノ範圍內
  ニ於テノミ利用ガ出來マシテ、範圍外ニ出
  ルコトハ出來ナイ、斯ウ云フ法律ニ强制力
  ヲ持タセル、此ノ强制力ニ依ツテ或ル價格
  ハ生レテ行キマセウケレドモ、ソレハ本當
  ノ自然ノ價格ニ一致シタ公正ナル價格デア
  ルカ、法律力ノ要ル公正價格デアルカト云フ
  コトニ一ツノ疑ヲ持ツノデアリマス、他ノ
  委員諸君カラ最高價格ノ生レタ場合ニ於テ
  モ、取引ノ取計ヒニ付テ屢、御尋ガアツタヤ
  ウデアリマスカラ、繰返ス必要モナイノデ
  アリマスガ、是ハ本當ニ生產者、消費者、
  其ノ間ノ利害得失カラ考ヘマシタナラバ、
  必ズシモ此ノ最高價格、最低價格ヲ以テ、
  强制力ヲ以テ抑ヘテ置クト云フコトガ利益
  デアルカ、幸福デアルカ、私ハ一利一害デ
  アラウト思フ、生產者ハ成ベク價格ノ高イ
  コトヲ欲スルノデアリマス、消費者ハ成ベ
  ク價格ノ安キコトヲ欲スルノデアリマス、
  然レドモ米ノ需給關係ハ左樣ナ生產者ト消
  費者ノ理想通リニハ參ラナイ、非常ナ差額
  ヲ生ジ、變動ヲ來シテ、遂ニ政府ハ米穀統
  制法デアルトカ、自治管理法デアルトカ云
  フモノヲ作ラネバナラヌ情勢ニナツテ、長
  年米穀ノ調整ヲ圖ツテ居リマシテ、非常ナ
  國帑ヲ費シ、非常ニ骨ヲ折リマシタガ、其
  ノ效果ハ至ツテ薄カツタ、此ノ二ツノ法律
  ガ實施セラレマシテ以來、價格ノ變動ハ兎
  ニ角少クナツタノデアリマスケレドモ、併
  シナガラ生產者ノ欲スル價格、消費者ノ欲
  スル價格ト云フモノハ、政府ノ定メラレタ
  ル價格ニ依ツテ滿足ガ出來ルカ出來ナイカ、
  一旦豐作デ非常ニ米ガ上リマスト最低値段
  ヲ割ルノデアリマス、又凶作、冷害等ノ不
  作ガ參リマシテ米ガ不足ニナリマスト、最
  高値段ヲ上廻ルト云フヤウナコトガ屢〓アル
  ノデアリマス、併シ其ノ價格ヲ統制ニ依ツ
  テ抑ヘラレレバ、消費者ハ安イ米ヲ食フコ
  トガ出來ナイ、米ガ足ラナクナツテ生產者
  ハ收入ヲ多ク欲スル時、其ノ價格ヨリハ高
  ク賣ルコトガ出來ナイ、固ヨリ國民ノ一番
  必要ナル食糧品デアリマスカラ、其ノ價格
  ノ變動ハ決シテ好マシイモノデハアリマセ
  ヌ、成ベクソレハ安定ヲシテ、生產者ニハ
  生產費ヲ補ウテ餘リアリ、消費者ニハ生活
  上ノ不安ヲ除イテ適正ナル米ヲ食ハシテ貰
  フ、サウ云フ點ガ必要デスケレドモ、今日
  マデ政府ノ執リ來ツタ所ノ米ニ對スル態度
  ヲ見マスト、甚ダ遺憾ナガラ一貫シタル大
  方針、根據ト云フモノヲ見出スコトガ出來
  ナイ、昭和七年ニ米ハ非常ナ豐作デアリマ
  シタ、內地デ六千六百万石米ガ穫レタ、蓬
  萊米、朝鮮米モ相當ノモノガ穫レタ、其ノ
  時ニ農林省内ニ於テハドウ云フ意見ガアツ
  タカ、減反案サヘモ唱ヘラレタノデアリマ
  ス、米ヲ持テ餘シテ減反ヲ唱導セラレタガ、
  輿論ニ笑ハレテ遂ニソレヲ止メタ、然ルニ
  外地ニ於ケル取扱ハドウナツタカ、朝鮮ニ
  於テハ從來水田ノ開拓ニ國費ヲ投ジテ奬勵
  シタ、所ガ其ノ助成ヲ俄ニ中止シタ、棉花
  ヲ植エルトカ、或ハ他ノ作物ヲ作ラセル、
  臺灣ニ於テモ同樣耕作制限ヲ加ヘマシテ、
  或ハ甘蔗トカ、サウ云フモノノ栽培ヲ爲サ
  シメルト云フ工合ニ、有ユル方面ニ努メテ
  米ノ減收ヲ圖ラレタ、所ガ其ノ翌年ノ昭和
  八年ニハ、東北、北海道ニハ大冷害ガアリ、
  或ハ全國的ニ旱害、水害等デ米ノ減收ガア
  リマシテ、俄ニ又騒ギ出シタ、近年ニ至リ
  マシテハ支那事變ノ勃發ニ伴ツテ米ノ消費
  ガ自然增加ヲシテ來テ居ル、ソコデ又一面
  ニ於テハ收穫ノ增產ヲ圖ラネバナラヌト云
  フコトニナリマシテ、全ク猫ノ眼ノ變ルヤ
  ウナ方針ガ農林省ニ於テ繰返サレテ居ルノ
  デアリマス、昭和八年ノ議會ニ於キマシテ
  ハ、四十有餘年間繼續シ來ツタ所ノ開墾助
  成ト云フモノヲ一遍デ打切ツテ、一文モ助
  成金ヲ置カナイト云フヤウナ方針ヲ執リ、其
  ノ後昨年マデ殆ド開墾助成ト云フモノニ對
  シテハ無視セラレテ居ツタ、唯〓耕地課ノ
  役人方ハ、全ク仕事ガナクナリマスカラ、
  ヤレ用排水改良デアルトカ、ヤレ小開墾助
  成デアルトカ、或ハ國營開墾デアルトカ云
  フヤウナ色々ナル仕事ヲ工夫セラレ、新機
  軸ヲ出シテ連續シテ來タノデアリマス、ケ
  レドモ昨年私ハ農林省ニ向ツテ過去十箇年
  ノ潰地竝ニ開墾地ノ統計ヲ求メタノデアリ
  マスガ、其ノ統計ガ昨年遂ニ不完全ナモノ
  ヲ提出セラレタ、十箇年間ノ統計ハナカツ
  タ、先般資料ヲ請求シテ、農林統計、或、
  其ノ潰地、開墾地等ニ於ケル過去十箇年間
  ノモノヲ求メマシタガ、遂ニ農林統計ガナ
  イト云フ御斷リデ、マダサウ云フ材料ニ接
  シテ居ラナイ、ケレドモ昨年頂戴シタ不完
  全ナル調ニ依リマスルト、年々ノ潰地ニ對
  シテ開墾セラレテ居ル所ノ耕地ト云フモノ
  ハ八分ノ一、時トシテハ十分ノ一ニ過ギナイ
  年ガアル、近年殊ニ色々ナル軍需工業、軍
  事施設、其ノ他色々ナモノガ最近ニ於テ各
  地ニ興サレマシテ、更ニ耕地ト云フモノハ
  最近著シク減ツテ居ルト思フノデアリ
  マス、而モ農林省ハ之ニ對シテノ開墾
  計畫ト云フモノハ餘リ立テテ居ラヌ、昨年
  私ハ豫算委員會ニ於キマシテ、潰地ト此ノ開
  墾トノ面積比較ヲ以テ、何ガ故ニ斯樣ナ緩
  漫ナコトヲシテ居ルカト云フコトヲ責メマ
  シタ所ガ、其ノ委員會ノ質問ガ效イタ譯デ
  アルカドウカ分リマセヌガ、議會ノ最早終
  ラントスル時ニ、突如トシテ五千町步ノ開
  墾助成、ココ數年來少シモナカツタ開墾助
  成ノ追加豫算ヲ出サレタ、今マデハ、非常
  ニ制限セラレタル面積、小開墾ト云フヤウ
  ナ極ク制限セラレタルモノノミニハ助成ヲ與
  ヘテ居リマシタケレドモ、一般的ナ開墾地、
  大面積ノモニ對シマシテハ、全然昭和八年
  以來ナカツタノデアリマス、ソレガ昨年ニ
  ナツテ初メテ五千町步ノ助成ガ出來タ、本
  年亦助成ガ漸ク計上セラレタ、斯樣ナ狀態
  デアリマシテ、農林省ノ此ノ食糧ニ對スル、
  殊ニ米ニ對スル所ノ觀念ハ、農務局ト米
  穀局全ク相反スルヤウナ時ガアリ、全ク他
  人ノヤウナ立場ニ立ツテ居ル所ガアリマシ
  テ、少シモ農林省トシテノ米ニ對スル根本
  方針ト云フモノハ、一貫シテ居ラヌト云フ
  コトヲ感ズル、斯樣ナ建前デ、其ノ時〓〓
  ニ必要デアルカラ斯ウ云フ法律ヲ作リ、其
  ノ時〓〓ニ必要デアルカラ斯ウ云フコトヲ
  シテヤルト云フ風デアル、四百万石ノ增產
  ヲ今頃目覺メテヤツテ居ル、何ト情ケナイ
  コトヂヤナイカト思フ、私共昭和八年ノ議
  會ニ於キマシテ之ヲ强調致シダ、所ガ今ニ
  ナツテ騷ギ出シテ居ル、米ガ少シ餘ルト持
  テ餘シ、少シ少イト騷ギ出ス、是ダケノ最
  高最低ノ價格ニ對シテ米ハ段々ト高クナリ、
  供給ガ不圓滑ニナラントスル虞ガアル、最
  高値段ハ少シモ動カサナイ、最低値段ヲ二
  割增加シテ居ル、斯樣ナ有樣デアリマシテ
  ハ、假令斯樣ヲ法律案ガ成立ヲシテ運用セ
  ラレマシテモ、何時マデ是ガ續クカ、ドノ
  程度マデ效果ヲ收メルカ、全ク迷ハザルヲ
  得ナイ、軈テ數年ナラズシテ今度ハ專賣ニ
  ナラナケレバナラヌト云フコトガ、目ノア
  タリ見エルヤウナ氣ガ致スノデアリマス、
  此ノ半端ナ法案ヲ固執セラレルヨリ、一歩
  進ンデ根本的ノ所謂拔本塞源的ノ方針ニ出
  ラレンコトヲ希望スルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=123

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• 124・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　大石サンノ一番最初ニ御
  述ベニナツタ價格ノ公正ヲ期スルト云フ點
  ニ付キマシテハ、固ヨリ第七條ノ最高最低
  ノ範圍內ニ於テノコトデアリマス、最高最
  低ノ値段ヲ決メルコトハ米穀統制法ニ依ツ
  テ御承知ノ通リ、種々ナル權威者ノ下ニ於
  テ一定ノ基準ノ下ニ決メラレル次第デアリ
  マシテ、私ハ之ニ依ツテ大體ノ間違ヒナ
  イ最高最低ヲ定メラレルト、斯樣ニ考ヘ
  ルノデアリマス、米穀政策ガ始終變ハ
  ル、故ニ拔本塞源ノ專賣法ヲ出スガ宜イ
  ヂヤナイカ、斯ウ云フ御議論ニ對シマシ
  テハ、先刻來申ス通リ此ノ問題ニ對シテ
  ハ決シテ之ヲ疎カニ考ヘルモノデハア
  リマセヌ、十分敬意ヲ表シテ〓究ヲ致
  シタイト思ヒマスケレドモ、マダ今日マデ
  結論ニ至ツテ居ナイト云フコトヲ申上ゲル
  ノ外ハナイノデアリマス、御承知ノ通リ米
  ノ問題ハ實ニ昔カラノ問題デアリマシテ、
  議會ノ問題トシテ現ハレマシテカラ今日マ
  デ三十年間、殆ド每年議會ノ問題ニナツテ
  居ルノデアリマス、大正十年デアリマシタ
  カ、米ノ問題ガ山本農商務大臣ノ時ニ初メ
  テ米穀法ト云フモノガ出來テ、卽チ量ノ統
  制ト云フコトヲ致シマシタ、引續イテ今日
  ノ米穀統制法ガ出來テ價格ト量ノ兩方ヲ統
  制スル法律ガ出來マシタ、引續イテ自治管
  理法ト云フモノガ出來上ツタノデアリマス、
  而モソレデ滿足デアリマセヌノデ、玆ニ此
  ノ度ノヤウナ案ヲ提案ヲ致スコトニナリマ
  シタガ、併シナガラ本案ハ米穀統制法ニ代
  ヘルト云フ意味デハナイノデアリマシテ、
  單ニ米穀ノ配給統制ヲ之ニ依ツテヤツテ、
  公正適正ナル價格ヲ產ミ出サウ、斯ウ云フ
  意味ニ外ナラヌノデアリマスカラ、是ハ御
  諒承ヲ願ヒタイト思フ、潰地開墾云々ト云
  フ御話ガアリマシタガ、是ハ大體ノ數字ガ
  分ツテ居リマスノデ、若シ御必要デアリマ
  スレバ政府委員カラ御答辯ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=124

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• 125・大石倫治

  ○大石委員　此ノ度ノ法案ノ建前ヲ拜見致
  シマスト、所謂配給ノ圓滑、價格ノ適正ナ
  ル構成ニアルノデアリマスガ、御說明ヲ伺
  ヒ、又其ノ法ノ建前ヲ見マスト、米ガ剩ツ
  タ時ハドウスルカト云フ問題ハ稍〓閑却セ
  ラレ、米ガ不足シタラドウスルカト云フ所
  ニ非常ニ重キヲ置イテ居ルヤウニ思ヒマス、
  殊ニ四年或ハ五年目ニ來ル所ノ凶作不作ト
  云フヤウナモノヲ考ヘネバナラヌ、共ノ凶
  作不作ノヤウナ場合ニ於テ米ガ一方ニ偏在
  シテ、配給ノ圓滑ヲ缺クヤウナコトガアツ
  テハ相成ラヌト云フ所ニ、重點ガアルヤウ
  ニ思フノデアリマス、左樣ナ建前デハナイ
  ノデアリマセウカ、法ハサウ見エルノデア
  リマスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=125

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• 126・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　要シマスルニ米ノ偏在ガ
  アリマスト、玆ニ配給ノ不圓滑ヲ來シ、非常
  ニ困ツタ問題ガ起リマスノデ米ノ偏在ト云
  フモノヲ防グト云フコトハ、此ノ法案ノ重
  大ナル理由ノ一ツデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=126

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• 127・大石倫治

  ○大石委員　是ハ御承知カモ知レマセヌ
  ガ、近キ過去ニ於キマシテハ米ガ餘ツテ、
  非常ニ生產者ガ困ル、國家モ困ルト云フコ
  トデ持テ餘サレタコトモアルノデアリマス
  ガ、サウ云フヤウナ過剩米ノ生ジマシタ場
  合ニ於ケル此ノ會社ノ運用ハ、ドノ程度ノ
  效果ガアルト御認メニナルノデアリマセウ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=127

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• 128・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　是ハ申スマデモナク最低
  價格ニ依ツテ制限セラレルノデアリマシ
  テ、最低價格ヲ切ルヤウナ場合ガアリマシ
  タナラバ、政府ガ無制限ニ買上ゲルト云フ
  コトニナルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=128

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• 129・大石倫治

  ○大石委員　此ノ法案ノ效果ハ獨リ內地ダ
  ケノ統制ヲ爲スバカリデハ、其ノ效果ハ甚
  ダ薄イト思フ、所謂外地トノ關係ガ最モ緊
  密ナル連鎖關係ヲ持ツテ居ラネバナラヌト
  思フ、先般灣米問題ニ付キマシテハ相當論
  議セラレテ衆議院ヲ通過シテ居リマスガ、
  此ノ建前ハ灣米ト密接ナ關係ガアルト思フ
  ノデアリマスガ、其ノ扱ビニ依リマスル會
  社ノ收益デアルトカ、或ハ手數料トデモ申
  シマセウカ、サウ云フヤウナ關係ハドウナ
  ツテ居リマセウカ、又朝鮮トノ關係ハドウ
  ナツテ居リマセウカ

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• 130・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　固ヨリ米穀政策ハ內地外
  地ヲ一貫シテ立テテ居リマス、卽チ少クト
  モ內地外地ヲ通ジテ現在ノ需要ニ應ズルダ
  ケノ生產ヲ致サナケレバナラヌト云フ建前
  ニ於テ、計畫ヲ立テテ居ルノデアリマス、
  是ハ度々此ノ席デ申上ゲマシタカラ省略ヲ
  致シマスガ、臺灣米ノ取扱ニ關シマシテ
  ハ若シ臺灣ニ於ケル移出米ガ、今日法案
  ニ出テ居ルヤウナ特別會計ガ出來マシテ、
  臺灣總督府ニ於テ之ヲ一手ニ取扱フコトニ
  ナリマシテ、內地ニ移入スル米ガアリマシ
  タ場合ハ、是ハ此ノ會社ニ取扱ハセル積リ
  デアリマス、現在ノ內地ニ向ツテ移入スル
  數量ハ凡ソ五百万石見當デアリマスガ、若
  シ必要デアリマスレバ政府委員カラソレニ
  對シテ御答致サセマス、臺灣米ノ生產高ハ
  約一千万石見當デアリマスガ、其ノ中デ約
  半分ガ向フデ消費サレマシテ、半分ガ-四
  百七十何万石デ少シ差ハアリマスガ、約
  半分ガ此方ニ移入サレルノデアリマス、朝
  鮮ノ方ハ二千四五百万石ノ生產ヲ致ス譯デ
  アリマシテ、內地ニ入レルノハ約一千万石
  ト云フ見當デアリマス、是ハヤハリ年々ニ
  依ツテ違ヒマスノデ、自ラ相違ガ起ツテ參
  リマス、此ノ方ニ付キマシテハマダ向フニ
  於テ、之ヲ總督府ニ於テ一手ニ取扱フトカ
  ナントカト云フ方法ハ立ツテ居ナイノデア
  リマス、最近ニ至リマシテ本法案ト同一趣
  旨ノ目的ニ於テ、米穀會社ガ出來ルヤニ承
  ツテ居リマスガ、マダ決定ハ致シテ居ラヌ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=130

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• 131・大石倫治

  ○大石委員　外地ハ只今ノ御話ノ通リデア
  リマス、更ニ滿洲支那ノ關係ハドウナツ
  テ居ルカ、所謂此ノ案ノ統制力ト云フカ、
  效果ト申スモノハ、ドウシテモ日滿支一體
  ノ緊密ナル連絡協調ヲ保ツ所ニ、初メテ其
  ノ效果ガアルト思フノデアリマス、其ノ點
  ニ付テ伺ヒタイ

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• 132・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　固ヨリ將來ノ日本ノ米穀
  需給政策ニ付キマシテハ、日滿支ヲ見合ツ
  テ計畫ヲ立テナケレバナラヌト思ヒマス、
  現在ニ於キマシテハ滿洲ニ於テハマダ滿洲
  ノ自分ノ使用スル量ヲ生產致シテ居リマセ
  ヌ、併ナガラ是ハ許可制度ニナツテ居リマ
  シテ、是ハ指導ノ如何ニ依リマシテハ相當
  數ノ生產ヲ致シ得ルト考ヘマス、支那ニ於
  ケル所ノ生產ニ付テハ、未ダ十分ナル計畫
  ガ立ツテ居リマセヌガ、是ハ興亞院及ビ企
  畫院ニ於キマシテ、一定ノ計畫ヲ立テマシ
  テ、ヤハリ內地ノ農林省ト協調ヲ保ツテ將
  來ノ計畫ヲ立テルコトトナツテ居ルノデア
  リマス、又朝鮮臺灣ニ於キマシテモ、今後
  年々增加シテ、移入シテ貰フト云フ案モ、申
  スマデモナク之ヲ立テテ居ルノデアリマス、
  先刻朝鮮カラ一千万石移入スルト申シマシ
  タガ、現在八百四五十万石位ヲ見込ンデ居
  リマスカラ、一寸訂正シテ置キマス

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• 133・大石倫治

  ○大石委員　サウ致シマスルト、朝鮮臺灣
  ハ此ノ間ノ問題デ略〓明瞭ニナツタヤウニ思
  ヒマスガ、朝鮮滿洲、ソレカラ支那ト云フ
  コトニ對シテハ具體的ノ關係ハ明瞭ニナツ
  テ居ラヌノデアリマシテ、マダ興亞院ト企
  畫院トニ於テ計畫中ノモノト承知シテ宜シ
  イノデゴザイマスカ

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• 134・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　滿洲ソレカラ支那ニ於キ
  マシテハ御話ノ通リデアリマス、朝鮮ニ於
  キマシテハ大體ノ計畫ハ立ツテ居リマス、
  居リマスガ只今申シマシタ通リ、多少ノ相
  違ハ起ツテ來ルデセウ、本年度ノ如キモ約
  七十万石ノ增產ヲ朝鮮カラ仰グ、考デ居リマ
  シタケレドモ、私考ヘル所ガアリマシテ、
  更ニ五十万石ノ增產ヲ希望シテ本年百二十
  万石ヲ增產シテ、朝鮮カラ入レルト云フ計
  畫ヲ立テテ居ル譯デアリマス、隨ヒマシテ
  年ニ依リマシテ多少ノ相違ハアリマスケレ
  ドモ、大體綜合的ニ計畫ヲ立テテ居リマ
  ス、ソレハドウ云フ譯カト申シマスト、朝
  鮮デモ臺灣デモ方法ニ依ツテハ、マダ非常
  ニ生產增加ノ方法ハアルト思ヒマス、思ヒマ
  スケレドモ、先刻大石君ガ御述ノ如ク、旣
  ニ米ノ大洪水ガ來ツテ非常ニ困ツタ時代モ
  アリマスシ、殊ニ出征將士ガ農村ニ歸ツ
  テ來タ時ニ、此ノ人等ハ又生產ニ從事シ
  テ戴クノデアリマスガ、其ノ人達ノ生產シ
  タ米ガ非常ニ暴落スルト云フヤウナコトガ
  アツテハ相成ラヌノデ、有ユル方面ヲ見合
  ヒマシテ、サウシテ今計畫ヲ立テテ居ル譯
  デアリマス

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• 135・大石倫治

  ○大石委員　此ノ度御立テニナリマシタ四
  百万石ノ增收ニ對シテノ計畫ト、ソレカラ
  滿洲ノコトハ今ノ御話ノ通リマダ決定シテ
  居ラヌノデスガ、朝鮮ニ於テモ先年水田米
  作ノ奬勵ヲ朝鮮總督府ガ中止致シタノデア
  リマス、然ルニ此ノ度ハ七十万石ノ增產ヲ
  計畫セラレタ、是ハ朝鮮總督府ノ方ニ伺ヘ
  バ宜シイノデアリマスガ、多分農林省トシ
  テモ連絡ガアラレルノデアリマスカラ、朝
  鮮ノ大體ノ方針ハ御分リニナルト思フノデ
  アリマス、此ノ七十万石ト云フノハ、在來
  ノ水田ノ增收ヲ以テ充テルノデアリマス
  カ、新ニ水田ヲ擴張スルノデアリマスカ、
  他ノ奬勵方法デモ講ゼラレルノデアリマス
  カ、又內地ノ四百万石增產ニ關スル內容ヲ
  伺ヒタイ

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• 136・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　內地ニ於ケル增產ニ對ス
  ル方策ハ、是ハ度々申上ゲテ居リマス所ノ
  各種各樣ノ施設ヲ致シタ上ニ、農村ノ總力
  ノ總發動ヲ求メル爲ニ、各部落團體トモ活
  動促進ヲ希望致シマシテ、之ニ對シテ奬勵
  金ヲ出ス、其ノ他ノ手段ニ依ツテ凡ソ案ガ
  立ツテ居リマス、是モ度々說明致シマシタ
  カラ、ソレハ省略致シマス、後ハ政府委員
  カラ申上ゲマス

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• 137・周東英雄

  ○周東政府委員　朝鮮ニ於キマシテモ七十
  万石增產計畫ニ付キマシテハ、大體反當リ
  ノ收量ノ增加ト云フコトヲ目的トシテノ計
  畫デゴザイマス、大體內地ノ計畫ト同樣ナ
  計畫デ以テ進ムト云フコトニナツテ居リマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=137

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• 138・大石倫治

  ○大石委員　是ハ私ハ速記錄ニ依ツテ御說
  明ヲモウ少シ知リタイト思ツタノデアリマ
  スガ、全部讀ムコトガ出來ナカツタノデ、
  度々御說明ガアツタサウデアリマスカラ、
  重複シタコトヲ御尋スルカモ知レマセヌ
  ガ、內地ニ於ケル增產計畫ハ色々ノ方法手
  段ガアルト申サレマシタガ、之ニ付テ政府
  委員ヨリモウ少シ詳細ナ御說明ヲ承リ
  タイ

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• 139・周東英雄

  ○周東政府委員　內地ノ增產計畫ハ今申シ
  マシタヤウニ、大體反當リ收量ノ增加ヲ差
  當ツテ急ニヤルト云フノガ計畫ノ內容デア
  リマシテ、其ノ主ナモノハ地域別ニ耕種改
  善基準ノ設定ヲ致シマシテ、其ノ實施ノ促
  進ヲナサシムル爲ニ必要ナ助成金ヲ交付致
  シマス、卽チ各地方ニ部ヲ設ケマシテ、其
  ノ地方ノ氣候、土質、稻作慣行ト云フヤウ
  ナモノニ依リマシテ、適當ナ耕種改善ノ基
  準ヲ設定致サセマシテ、ソレヲ指導シテ參
  ルト云フノガ一ツ、ソレカラモウ一ツハ寒
  冷地帶、主トシテ東北、北海道ノ方デ施設
  致スノデアリマスガ、水稻ノ育苗施設ノ奬
  勵ヲ致ス譯デアリマス、溫床苗代ノ設置ヲ
  致シマシテ、早ク苗ヲ育テテ、冷害ニ罹ラヌ
  ヤウニ早ク植付ヲ致スト云フコトデアリマ
  ス、ソレカラ第三番目ハ病蟲害ノ防除奬勵
  デアリマシテ、稻熱病デアルトカ、螟蟲ト
  カ、泥負蟲ト云フヤウナモノニ依リマシ
  テ、從來得ラルベクシテ失ハレマシタ米穀
  ノ減損ヲ防止致シマス爲ニ、藥劑、油類、
  强力ナ噴霧器等ノ購入費ニ對シマシテ、助
  成ヲ致スト云フ計畫デゴザイマス、ソレカ
  ラ第四番ニハ是等ヲ一括致シマシテ增產ニ
  關スル一齊運動、實地指導講習講話ト云フ
  ヤウナコトヲ行ヒマスコトニ依ツテ、所期
  ノ目的ヲ達成シタイト云フノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=139

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• 140・大石倫治

  ○大石委員　只今ノ計畫ハ此ノ頂戴シテ居
  ル資料ニアルヤウナ御說明ノヤウデアリマ
  ス、此ノ資料ヲ見テモ餘リニ姑息ナモノト
  思ツテ居リマスガ、其ノ方法手段モ一ツノ
  增收手段ニ相違ナイノデアリマス、例ヘバ
  指導奬勵シヨウトシテモ、今ハ人的缺乏ヲ
  シテ居ル、尙ホ或ハ增產計畫ヲ圖リマシテ
  モ肥料ノ供給圓滑ヲ缺イテ居ル、或ハ農具
  ノ供給等ガ不圓滑デアル、畜力ノ不足ヲ來
  シテ居ル、石油其ノ他燃料等ノ不足ヲ來シ
  テ居ル、色々ナル增產ヲ妨ゲルヤウナモノ
  ガ澤山存在シテ居ルノデアリマス、我國ノ
  農家一戶當リノ耕地面積ト云フモノハ、非
  常ニ少量デアリマシテ、農村ノ經營上困
  ル、勿論事變ノ爲ニ勞力不足ヲ致シテ居ル
  時デアリマスルカラ、無暗ニ農地ヲ擴張致
  シマシテモ其ノ勞力ハドウスルカト云フヤ
  ウナコトモアリマセウガ、耕地サヘアレバ
  勞力ト云フモノハ自ラ增スノデアリマス、
  耕地ガ狹イト云フコトハ日本ノ農村ニ於ケ
  ル非常ナ不幸デアリマス、寧ロ此ノ際新規
  耕地、所謂開墾ト云フヤウナモノヲ奬勵シ
  テ、作付反別ヲ多クシテ行クト云フヤウナ
  根本的ノ御精神ヲ御執リニナル御考ガアリ
  マセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=140

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• 141・小濱八彌

  ○小濱政府委員　耕地ノ擴張ニ依リマスル
  增產ノ計畫デアリマスルガ、是ハ一ツノ方
  法デゴザイマス、農產物ノ增產ヲ考ヘマス
  ルニ當リマシテ、耕地ノ擴張ニ依ルコトノ
  必要ナルコトハ勿論デアルト思ヒマス、唯
  本年度直グニ四百万石ノ增收ヲ期セント致
  シマスルニ當リマシテハ、耕地擴張ノ手段
  ニ依リマスルコトハ、本年度ノ間ニ合ハナ
  イノデゴザイマス、本年度ニ於キマシテハ
  反當リ收量ノ增加ニ依ツテ四百万石ノ增收
  ヲ期シタイ、而シテソレノ方法トシマシテ
  ハ地域別ニ耕種ノ方法ヲ定メマシテ、ソレ
  ヲ指導徹底スルコトニ依ツテ反當リノ收量
  ヲ增加シタイト云フ所ニ重點ヲ置ク、病害
  蟲ノ防除、苗ノ育テヲ丈夫ニスルト云フヤ
  ウナ事柄等ヲ加味致シマシテ、差當ツテ本
  年度ハ四百万石ノ增收ヲ期シタイ、斯樣ニ
  考ヘテ」居ル譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=141

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• 142・大石倫治

  ○大石委員　不足ヲ補フ點ニ付キマシテノ
  御說明ハ、只今マデ色々伺ツタノデアリマ
  スガ、過剩米ノ生ジタ場合ニ對シテノ大臣
  ノ御答辯ハ、ドウモ徹底致サヌノデアリマ
  ス、過剩米ノ出マシタ場合、所謂增產計畫
  ガ非常ニ當ツタ、臺灣ガ增收ヲ來ス、朝鮮
  ニ於テモ亦豐作ニ依ツテ增收ヲ來シ、內地
  移出ノ石數ガ殖エル、內地ニ於キマシテモ
  不作ダト豫想セラレタル年ガ豐作ニナツ
  タ、一面ニ於キマシテハ或ル關係ニ依ツテ
  需要量ガ減ツテ來ルト云フヤウナ時ガ、餘
  リ遠カラザル將來ニアルダラウト考ヘルノ
  デアリマス、サウ云フ場合ニ於キマシテ
  ハ、俄ニ米價ガ下落致シテ所謂最低價格ヲ
  割ル、自治管理法ノ發動ニ依ツテソレ等ノ
  救濟ヲナサル、或ハ政府ノ買上ニ依ツテ調
  節ヲスルト云フヤウナ方法モゴザイマセウ
  ケレドモ、サウ云フ場合ニ於ケル米價ノ下
  落ト云フモノハ、非常ニ農民ニ打擊ヲ與ヘ
  ル虞ガアルノデアリマス、ソレニ對スル對
  策ハ御立テニナツテ居ルノデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=142

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• 143・周東英雄

  ○周東政府委員　是ハ御話ノヤウニ、先ヅ
  第一ニ左樣ナ場合ニ於キマシテハ自治管理
  法ノ發動ニ依リマシテ、過剩米穀ノ自治的
  管理ヲ致サセマシテ、之ニ對シテ、金利、
  保管料、或ハ古米格ニ依ル損失ト云フヤウ
  ナモノニ付キマシテハ、補助致シマス、斯ノ
  如キ方法ニ依リマシテモ更ニ非常ニ澤山出
  來テ下落スルト云フヤウナ狀態デゴザイマ
  スレバ、御承知ノヤウニ最高價格デ幾ラデ
  モ無制限ニ政府ハ買フ義務ヲ持ツテ居リマ
  スカラ、之ニ依ツテ對策ガ立テラレテ行ク
  モノト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=143

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• 144・大石倫治

  ○大石委員　今マデハ大體ノ方針ニ付テ伺
  ヒマシタガ、案ノ關係ニ付テ二三伺ツテ置
  キタイト思ヒマス、本法ノ第八條竝ニ十五
  條ニ、市場員ハ其ノ市場ニ限リ賣買取引ヲ
  限定スルト云フノデアリマスガ、此ノ命令
  ノ方ノ事項ニモ見エマセヌガ、他ノ市場員
  ト他ノ市場員トノ取引ニ關シテハ、ドウ云
  フ扱ニナルノデゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=144

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• 145・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ他ノ市場ノ市場員
  トノ取引ノ點デゴザイマス、他ノ市場ノ市
  場員トノ取引ニ付キマシテハ、是ハ制限ガ
  ナイノデアリマス、市場ニ依ラズシテ取扱
  ヒ得ル場合トシテ、此ノ但書ノ方デソレハ
  認メル積リデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=145

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• 146・大石倫治

  ○大石委員　次ハ從來慣習ト申シマスカ、
  永イ間ノ利害ノ關係カラ、大部分ノ實米ノ
  取引ハ「レール」渡ト云フコトニナツテ扱ハ
  レテ居リマス、「レール」渡ト云フノハ賣ル
  者モ買フ者モ大變便宜デ又經費ノ上ニ於テ
  モ手數ノ上ニ於テモ餘程利益デアルト考ヘ
  ルノデアリマス、此ノ度ノ市場法ニ依ツテ
  實米ノ取引ヲスルコトニナリマスト、所謂
  「レール」渡ト云フヤウナモノガ自然ナクナ
  ルト思フノデアリマス、此ノ點ハ如何デゴ
  ザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413118X00819390315&spkNum=146

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• 147・周東英雄

  ○周東政府委員　此ノ點ハ從來ト同ジデゴ
  ザイマス、受渡ノ方法ニ付キマシテハ、特
  ニ制限ハ致サヌ積リデゴザイマス

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• 148・大石倫治

  ○大石委員　併シ米穀株式會社ガ出來マス
  ルト、其ノ取引セラルル米ハ一旦倉庫ニ入
  レラレルコトニナルデアリマセウ、倉庫内
  ニ入レラレルコトニナリマスルナラバ、隨
  テ運輸力ノ無駄デアルトカ、手數ノ煩雜ヲ
  來シ、隨テ費用ノ累加ヲ來スデハナイカト
  思フノデアリマス、ドノ程度ノ倉庫入等ヲ
  ヤルノデアリマスカ

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• 149・周東英雄

  ○周東政府委員　市場ニ關聯致シマシテ、
  受渡ダケハ定メタイト思ツテ居リマスガ、
  必ズシモ市場ノ倉庫へ持ツテ來テ一旦保管
  シタモノデナケレバ、取引出來ナイト云フ
  ヤウナ方法ハ採ラナイノデアリマス、受渡
  ハ決メマシタ受渡トシテ、任意ニ受渡ガ出
  來ルノデアリマス

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• 150・大石倫治

  ○大石委員　此ノ法案ニハ白米ノ小賣業ハ
  含ンデ居ラナイ、殊ニ產業組合其ノ他ニ於
  キマシテモ小賣商ハ含ンデ居ラナイ、主ト
  シテ仲介問屋、卸商ト云フヤウナコトニナ
  ツテ居リマスガ、白米ヲ以テ取引スル場
  合、今マデノ質問應答中ニ於テモ、米穀ノ
  加工販賣ハ之ヲ成ベク制限ヲシテ監督ヲ致
  サレルト云フヤウナ御話ガアツタヤウニ承
  ツテ居ルノデアリマスガ、此ノ小賣ト卸賣
  トノ區別ハ、直接需要家ニ賣捌クモノハ小
  賣、又商人ニ賣ルノハ卸賣ト云フヤウナ普
  通ノ解釋ヲ持ツテ居ルデゴザイマセウガ、
  併シ大量需要者ガアリマスルト、或ハ何十
  石、或ハ何百石ト云フヤウナモノモ賣買ガ
  出來ルノデアリマス、サウ云フヤウナ場合
  ニ於キマシテ加工米ノ販賣ヲドウ云フ風ニ
  取扱ハシメル御見込デアリマスカ

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• 151・周東英雄

  ○周東政府委員　此ノ第一條ノ關係ニ於キ
  マシテ販賣組合等ノ行ヒマスル個々ノ家庭
  ヘノ直接ノ白米ノ賣買ニ付キマシテハ、是
  ハ第一條ニ依リマシテ許可ヲ將來受ケサセ
  テ行キタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、隨ヒ
  マシテ相當ニ多額ノ白米ヲ小賣トカ或ハ卸賣
  商ノ委託ニ依リマシテ、精白致シマシテ賣
  却スル場合ハ、是ハ第一條ノ許可ノ對象カ
  ラハ別ニナルノデアリマス、問題ハ何處マ
  デモ販賣組合ガ個々ノ家庭ヘ直接白米ヲ賣
  リマス場合ニ於キマシテハ、其ノ地方ニ於
  ケル白米商等ノ關係等ヲ考ヘマシテ、許可
  ノ關係ヲ考ヘテ行ク、斯ウ云フコトニ致シ
  テ居ル譯デアリマス

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• 152・大石倫治

  ○大石委員　併シナガラ所謂闇取引ト申シ
  マスカ、脫法行爲ト申シマスカ、取締ノ眼
  ヲ盜ンデサウ云フヤウナ色々ノ取引ガ行ハ
  レナイトモ限ラヌノデアリマス、例ヘバ販
  賣組合ハ個々ノ家庭ダケヘノ供給ヲスル、
  所ガ或ハ團體トカ或ハ會社トカ云フヤウナ
  集團ノ需要ニ應ズルト云フヤウナ場合ニハ
  車積、或ハ何百石、何十石ト云フヤウナモ
  ノヲ需メラレル場合ガアルト思ヒマス、サ
  ウ云フヤウナモノハ販賣組合デモ何デモ構
  ハヌデ扱ハシメルコトニナルノデアリマス
  カ

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• 153・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ通リデアリマス

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• 154・大石倫治

  ○大石委員　尙ホ最後ニ御伺シタイコトハ
  納稅ニ關スルコトデアリマスガ、產業組合
  ガ商行爲ヲスルコトハ禁ジテ居ル、サウ云
  フコトハサセナイト云フコトニナツテ居ル
  ノデアリマス、此ノ度ノ法案ニ依ツテ市場
  員ノ資格ヲ與ヘラレマスナラバ、ヤハリ一
  種ノ商行爲ト同ジヤウナコトニナルノデア
  リマス、唯委託ヲ受ケタモノヲ賣ルト云フ
  ダケニ止マレバ宜シイノデアリマスガ、色
  色ソレ以上ノコトヲヤル場合ガナイトモ限
  ラヌト思ヒマス、其ノ他業者或ハ取引員ト
  云フヤウナ者ノ間ニ於キマシテモ、多少斯
  ウ云フヤウナコトガ行ハレル虞ガナシトハ
  限ラヌノデアリマス、一方業者ニハ納稅ノ
  義務ガアリマスシ、一方同ジヤウナ商賣ヲ
  シテモ產業組合ニハ納稅ノ義務ガナイノデ
  アリマスカラ、是等ニ對シテモ特別ノ御考
  ハアリマセヌデスカ

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• 155・周東英雄

  ○周東政府委員　是ハ產業組合ノ根本ノ問
  題デアリマスルガ、只今ノ所產業組合ガ共
  同販賣ヲスル、サウ云フモノニ付テノ免稅
  ノ關係ニ付キマシテ、直チニ之ヲ廢止スル
  ト云フ考ハ持ツテ居リマセヌ

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• 156・大石倫治

  ○大石委員　大體私ノ質問ハ是デ終リマシ
  タ

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• 157・添田敬一郎

  ○添田委員長　ソレデハ本日ハ是デ散會ヲ
  致シマス、明日午前十時開會ヲ致シマス
  午後五時四十六分散會
  衆議院米穀配給統制法案委員會
  議錄第五囘中正誤
  頁段行誤正
  三一四五松山委員杉山委員

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