1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年二月十六日(木曜日)
午後一時三十七分開議
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議事日程 第十二號
昭和十四年二月十六日
午後一時開議
第一 青年學校教育費國庫補助法案(政府提出) 第一讀會
第二 借地借家臨時處理法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 作業會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 兌換銀行券整理法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 農業再保險特別會計法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 海軍工厰資金會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 人事調停法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 司法書士法中改正法律案(塩川正藏君外一名提出) 第一讀會
第十 司法書士法中改正法律案(中山福藏君外二名提出) 第一讀會
第十一 建築士法案(野村嘉六君外七名提出) 第一讀會
第十二 裁判所構成法改正法律案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
第十三 檢察廳法案(野田文一郎君外二十六名提出) 第一讀會
第十四 行政書士法案(中山福藏君外二名提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
計理士法中改正法律案
提出者
中野治介君 森幸太郎君
田中源三郎君
港灣法制定に關する建議案
提出者 田中好君
一關平泉間國道鋪裝に關する建議案
提出者
松川昌藏君 泉國三郎君
青年禁酒法制定反對に關する建議案
提出者
福井甚三君 武田徳三郎君
服部岩吉君
省線西成線高架改築竝電化促進に關する建議案
提出者
塚本重藏君 井上良次君
田万清臣君
(以上二月十四日提出)
一去十四日に於ける特別委員の異動左の如し
森林法中改正法律案(政府提出)外一件委員
辭任福井甚三君 補闕森榮藏君
辭任久山知之君 補闕稻田直道君
一去十四日議長に於て選定したる委員左の如し
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)委員追加
高田耘平君 古田喜三太君
長野高一君 吉植庄亮君
宮本雄一郎君 小笠原三九郎君
守屋榮夫君 須永好君
三田村武夫君
一昨十五日に於ける特別委員の異動左の如し
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)委員
辭任松尾三藏君 補闕成島勇君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任牧山耕藏君 補闕松尾三藏君
一昨十五日特別委員理事追加互選の結果左の如し
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)委員
理事 守屋榮夫君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=0
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001・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ヨリ會議ヲ開キ
やく、御諮リ致シマス、決算委員長竝ニ軍
用自動車檢査法案、朝鮮事業公債法中改正
法律案、森林法中改正法律案外一件及ビ軍
馬資源保護法案外一件ノ各委員長ヨリ、本
日本會議中委員會ヲ開キタイトノ申出ガア
リマス、何レモ之ヲ許可スルニ御異議アリ
マセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=1
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002・金光庸夫
○副議長(金光庸夫者) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ之ヲ許可致シマス--御報告申
上ゲルコトガアリマス、去ル十三日ノ本院
ノ決議ニ對シ、南支派遣軍司令官ヨリ謝電
ヲ受領致シマシタ、又海軍大臣ヲ經テ、南
支海軍最高指揮官ヨリノ謝電ヲ受領致シマ
シタ、玆ニ之ヲ朗讀致シマス略
今般海南島攻路ニ付キ院議ヲ以テ御鄭重
ナル感謝ノ決議ヲ忝ウシ寔ニ感激ニ堪ヘ
ス早速將兵一同ニ傳達シ銃後ノ熱誠ニ感
奮セシムルト共ニ一層勇奮健鬪堅忍不拔
以テ上聖旨ニ報イ奉リ下國民ノ眞意ニ
副ハムコトヲ期ス派遣將兵一同ニ代リ謹
ミテ感謝ノ意ヲ表ス
南支派遣軍司令官
〔拍手起ル〕
院議ヲ以テ海南島上陸ニ對スル祝電ヲ賜
ハリ感激ノ至ニ堪ヘス將兵一同益〓奮圖
シテ戰果ヲ全ウシ御期待ニ副ハムコトヲ
期シツツアリ
南支海軍最高指揮官
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=2
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003・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 日程第一、靑年學
校〓育費國庫補助法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-文部大臣荒木貞夫君
第靑年學校〓育費國庫補助法案
(政府提出)第一讀會
靑年學校〓育費國庫補助法案
靑年學校〓育費國庫補助法
第一條市町村立靑年學校〓育費ヲ補助
スル爲國庫ハ每年豫算ヲ以テ定ムル金
額ヲ支出ス
第二條前條ノ補助金ハ靑年學校〓員ノ
俸給及手當ニ充テシムル爲之ヲ市町村
ニ交付ス
第三條補助金ノ交付ニ關シ必要ナル規
程ハ主務大臣之ヲ定ム
第四條本法ノ適用ニ付テハ市町村組合
ハ之ヲ市ト看做シ町村組合及町村制ヲ
施行セザル地域ニ於ケル町村又ハ町村組
合ニ準ズベキモノハ之ヲ町村ト看做ス
附則
本法ハ昭和十四年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
實業〓育費國庫補助法第四條但書中反
實業補習學校ニ對シ交付スル補助金」及
同法第七條中「及前條」ヲ削リ同法第六條
ノ二ヲ削ル
〔國務大臣男爵荒木貞夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=3
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004・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 只今議題ト
ナリマシタ靑年學校〓育費國庫補助法案提
出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、靑年學校ハ
男女勤勞靑年ニ對シ普ク〓育ノ機會ヲ與ヘ、
以テ其ノ心身ヲ鍛鍊シ、國防、產業等各般ニ
亙ツテ國力ノ增强ニ資センコトヲ期スル重
要ナル〓育機關デアリマシテ、政府ハ昭和
十四年度ヨリ取敢ズ男子靑年ニ對シ之ヲ義
務〓育ト爲サント致シテ居ルノデアリマス、
仍テ政府ハ靑年學校〓育ノ發達ヲ助成スル
ト共ニ、一面地方財政ノ負擔ヲ緩和スル爲
玆ニ本法案ヲ提出シタ次第デアリマス、尙
ホ實業〓育費國庫補助法中實業補習學校ニ
關係スル部分ハ、本法案ノ成立ニ依リ其ノ必
要ナキニ至リマスノデ、本法案ノ附則ヲ以
テ之ヲ削除セントスル次第デアリマス、何
卒愼重御審議ノ上御協賛アランコトヲ希望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=4
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005・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ノ通〓ガアリ
さく、之ヲ許シマス-坂東幸太郞君
〔坂東幸太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=5
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006・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 只今議題トナリマシタ靑
年學校〓育費國庫補助法案ニ關シマシテ
直接及ビ關聯事項ヲ以下數項ニ亙リマシテ
簡單ニ質疑ヲ致シマス、靑年ハ國家元氣ノ
源泉デアリマス、隨テ國家ノ興廢消長ハ靑
年ノ士氣竝ニ體位ノ振否ニ依ツテ決セラル
ベキ問題デアリマス、皇軍ガ戰場ニ於テ、
天然、機械、人間、其ノ强敵ヲ打破ツテ最
後ノ勝利ヲ收メルト云フコトニ付テハ、其
ノ愛國ノ赤誠ニハ差等ハアリマセヌケレド
モ、比較的身體ノ虛弱ナル者ガ困憊疲勞ノ
程度ノ多イト云フコトハ、爭フコトノ出來
ナイ事實デゴザイマス、獨リ戰場ニ於テノ
ミナラズ平和事業ニ於キマシテモ亦然リデ
ゴザイマス、然ラバ今後我國ガ長期建設事
業ヲ遂行シ、又大陸政策ヲ實行スルニ致シ
マシテモ、國民ノ體位ノ向上ガ根本ノ問題
ナリト考ヘル者デゴザイマス、此ノ見地カ
ラ考ヘマスルナラバ、現在ノ靑年ノ體位ハ
稍〓低下ノ傾向ニアルト云フコトハ、返ス
返スモ殘念千萬ニ考ヘルノデゴザイマス、
ソコデ私ハ是等ノ觀點カラ以下項目ヲ分ケ
テ申上ゲマス
先ヅ第一ニ近時ノ學生ハ聊カ覇氣ヲ失ツ
テ、報恩感謝ノ念ガ薄ク、恭儉ト節制ヲ缺
クヤウナ感ガアルノデアリマス、之ニ對シ
テ政府ハ如何ナル御考ヲ持ツテ居リマスカ
ト云フコトヲ文部大臣ニ御伺致シマス、御
承知ノ通リ現在新宿方面ノ「カフエー」
「バー」或ハ玉突場、若クハ麻雀屋、サウ云フ
方面ヲ見マスルナラバ、其ノ中ノ約七八割
マデハ皆學生ヲ以テ充滿シテ居ルノデアリ
そく、私ハ是等ノ場所ニ學生ノ出入ヲ絕對
禁ゼントスル者デハゴザイマセヌ、併シナ
ガラ其ノ割合ガ七八割デアルト云フニ至リ
マシテハ、其ノ餘リニ大ナルコトニ全ク
驚ヲ喫セザルヲ得ナイノデアリマス、諸君、
我國ノ富ノ程度ニ於キマシテハ、學生ニ樂
ニ學費ヲ送リ得ル所ノ家庭ハ半分モナイデ
アリマセウ、然ラバ半バ以上ノ家庭ハ、金
ヲ借リルトカ或ハ無盡ヲ落ストカ、種々ナ
ル苦心慘憺ヲ凝ラシテ送金スルニ拘ラズ、
其ノ學生ガ「カフエー」、「バー」ニ浸リ、或
麻雀屋ニ入ルト云フヤウナコトヲ爲ス者ガ、
斯ノ如ク多數アルニ至ツテハ、國家ノ前途
慨歎スルニ堪ヘヌモノガアルノデアリマス、
是ハ根本問題ナルガ故ニ、文部大臣ハ十分
ニ御考ノ上、玆ニ振肅ニ關スル所ノ的確ナ
ル御答辯アランコトヲ希望スル者デゴザイ
マス
而シテ現在最モ大キナ問題ハ、中等學校
其ノ他ノ試驗地獄デアル、此ノ試驗地獄ノ
根本ノ其ノ問題ヲ考へテ見マスト、結局官
公私立中等學校ガ少イト云フコトガ、先ヅ
其ノ第一步ヲ成シテ居ルノデアル、御承知
ノ通リ本年度ニ於キマシテモ、府立高等學
校ノ入學者、卽チ中等部ノ入學者ノ割合ハ、
募集人員ニ對シテ十九倍ノ多キニ達シテ居
リマス、市內有數ノ中等學校ハ何レモ四倍
五倍ノ希望者ガアルノデアル、又地方ノ中
等學校ニ於キマシテモ、二倍、三倍、四倍
ハ普通デアル、諸君、此ノ試騒地獄ニ對シ
テ、政府ハ屢〓之ヲ緩和スルト申シマスケレ
ドモ、併シ多數カラ選拔スルカラ、ドウシ
テモ勉强シナケレバ其ノ選ニ入ルコトガ出
來ナイ、隨テ本人ハ言フマデモナク、父兄、
學校、競ツテ豫習ヲヤツテ居ルノデアリマ
ス、此ノ豫習ガ先ヅ第一ニ國民ノ體位低下
ノ原因ヲ成シテ居ルノデアリマス、豫習ヲ
强クヤツタ生徒ノ聲モ其ノ時ハ變リマス、
是ガ卽チ根本ノ國民ノ體位低下ノ原因デア
ルトスルナラバ、先ヅ以テ官公私立ノ中等
學校ノ增設ヲ圖リ、又增級ヲセシムルコト
ガ根本デナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、御承知ノ通リ、現在中等學校ノ數ハ官
公立四百三十八、私立百十七、合計五百五
十五ヲ算シテ居ルノデアリマス、而シテ同
學級數ハ官公立六千二百三十七、私立千二
百九十一、合セテ七千五百二十八、生徒ノ
總數ハ三十三万九百四十八、若シ此ノ際政
府ガ積極的ニ之ヲ助成奬勵ノ途ヲ講ジテ、
現在ノ中等學校ヲ二倍ナリ、少クトモ學級
ヲ五六倍增加スルナラバ、現在ノ試驗地獄
ハ確ニ緩和スルコトガ出來ルモノデアル、
是ハ色々方法モアリマセウガ、兎ニ角此ノ
奬勵ノ途ヲ採ルト云フコトガ、最モ大キナ
問題デナケレバナラヌト思フノデアリマス、
又試ミニ高等女學校ノ方ヲ見マスルナラバ、
卽チ學校數ハ官公立ガ五千六百一、私立ガ
二千九十二、計七千六百九十三デアリマシ
テ、而シテ高等女學校ノ學級數ハ、官公立
ガ五千六百一、又私立ガ二千九十二、合セ
テ七千六百九十三、生徒ノ總數ガ二十六万
三千五百四十四、高等女學校ニ於キマシテ
モヤハリ增設增級ヲ要望サレテ居ルノデア
リマス、是ハ眞面目ニ文部省ニ於キマシテ
モ〓究シテ戴カナケレバナラヌ、此ノ點ニ
關シマシテ文部大臣ノ御意見ヲ御伺致シマ
ス
而シテ又中等學校ノ學科ノ內容等ヲ見
マスルト、此處ニモ再檢討ノ必要ガゴ
ザイマス、卽チ學科ノ編成ノ再檢討ハ、
國民ノ體位低下豫防ノ一ツデハナカラウ
カ、私ハ理想的カモ知レマセヌガ、現在
ノ中等學校ニ於キマシテ、數學ヤ英語等ヲ
本位トスル所ノ學科ノ編成ハドンナモノデ
アラウカ、少クトモ中等學校ニ於キマシテ
ハ體育ヲ十分奬勵スル、又勤勞ト云フコ
トモヤル、中等學校ノ〓師自ラ生徒ヲ率ヰ
テ草取リ位シナケレバナラヌ、其ノヤウニ
體育、勤勞、此ノ方面ヲ十分ニ進メテ參ラ
ナケレバ、到底中等學校ノ生徒ノ體位ノ
向上ト云フコトハ困難デアル、隨テ學科編
成上ノ再檢討、之ニ關シマシテ文部大臣ノ
御意見ヲ御伺シテ置キマス
更ニ靑年學校ハ靑年學校令ヲ改正シテ之
ヲ義務制トシテ、小學校ト同樣ノ補助ヲ爲
シ、又生徒中貧困ナル家庭ニハ相當ナル奬
勵金ヲ與フルト云フコトガ必要デナケレバ
ナラヌ、今文部大臣ノ說明ヲ聽イテ居リマ
スルト、義務制ハ之ヲ實行スルヤウナ意思
ガアルラシイ、御承知ノ通リ現在都會ニ於
ケル靑年學校生徒ノ該當者ノ中ニ於キマシ
テ、生徒タル者ハ三割乃至四割デアル、此
ノヤウナ狀態ニアル、隨テ此ノ義務制ヲ施
行致シマシテモ全部ガ生徒タラナケレバ、
本當ニ靑年學校ノ目的ヲ達スルコトハ出來
ナイト思フノデアリマス、現在ノ豫算ニ出
テ居リマスガ、靑年學校ノ補助金ハ慥カ四
百三十何万圓トアル、又此ノ奬勵金十万圓
トアルノデアリマスガ、斯ウ云フ金額ヲ以
テハ到底全生徒ヲ奬勵スルコトハ出來ナイ
ト思フノデアリマス、靑年學校ハ一面カラ
見マスレバ實業〓育ノ一ツノ形デアル、叉
一面ニ於テハ義務〓育ノ延長デアル、叉
面ニ於テハ軍隊ノ豫備〓育デアル、此ノヤ
ウニ三段ノ重要ナル意味ヲ持ツテ居リマス
以上ハ、國民皆兵主義ニモ適ヒ、又以上申
シマシク三ツノ目的ヲ達成スル爲ニ、思切
ツテ靑年學校補助金ノ增加ヲ決行シナケレ
バナラヌト思フノデゴザイマス
偖テ私ハ國民ノ體位問題ニ關シマシテ、
以下旭川聯隊區司令官宇野通雄大佐カラ提
供サレマシタ材料ヲ茲ニ申上ゲマシテ、十
分ニ之ヲ考ヘテ見タイト思フノデゴザイマ
ス、昭和十三年度同管內受檢總員六千七百
五十四名、右總員ニ對スル體格ノ等位ハ、甲
種ガ四割二厘、第一乙種ガ二割、第二乙種
ガ二割一厘、丙種ガ一割五分一厘、丁種ガ
四分二厘、戊種ガ四厘、其ノ內旭川市受檢
者ノ體格等位ハ左ノ通リデアリマス、卽チ
甲種ガ三割二分九厘、第一乙種ガ二割七分
七厘、第二乙種ガ一割八分九厘、丙種ガ一
割四分四厘、丁種ガ六分、戊種ガ一厘、而
シテ旭川市ノ受檢者ハ郡部ニ比較シテ體格
稍〓不良ノ爲ニ、豫メ甲種、第一、第二乙種
ノ標準ヲ稍〓低下セシ結果、前記ノ「パーセ
ンテージ」ヲ得タノデアリマス、受檢者總
員ニ對スル學歷別人員及ビ甲種合格者ノ割
合ハ、專門學校以上卒業者ハ受檢總員百二
人デ、其ノ甲種ハ僅ニ一割九分六厘、又中
等學校卒業者ハ受檢總員四百九十六人デ、
其ノ甲種ハ二割九分、高等小學校卒業者ハ
受檢總員三千二百六人、其ノ甲種ノ割合ハ
三割九分八厘、尋常小學校卒業者ハ受檢總
員二千七百五十四人デ、甲種ガ四割三分六
厘、尋常小學校中途退學者ハ受檢總員百九
十六人デ、甲種ガ二割四分五厘、斯ウ云フ
ヤウナ數字ガ現ハレテ居ルノデゴザイマス、
詰リ學問ガ進メバ進ム程體格ガ非常ニ下ツ
テ居ルト云フノハ、見逃シ難イ大キナ問題
ト思ヒマス、而シテ又受檢者中靑年學校卒
業者ハ千三百六十七名デアリマシテ、右ノ
靑年學校卒業者ノ體格ノ等位ハ左ノ通リデ
アリマス、甲種ハ五割、第一乙種ハ二割一
分五厘、第二乙種ハ一割八分二厘、丙種ハ
九分一厘、丁種ガ九厘、戊種ガ三厘、而シ
テ受檢總員ノ平均身長及ビ平均體重デアリ
マスガ、ソレハ昭和九年度ニ於キマシテハ
平均身長ハ一米六〇八、十年度ハ一米六〇
六、十一年度ハ一米六〇八、十二年度ハ一
米六〇八、十三年度ハ一米六〇七、又平均
體重ハ昭和九年ハ五五瓩七五九、十年ハ五
五瓩七四三、十一年ハ五五瓩六九七、十二
年ハ五五瓩八二七、十三年ハ五五瓩七五
而シテ健康ノ計數、是ハ體重ト身長ノ
比率デ現ハシタノデアリマスガ、昭和九年
ガ三四·六八、昭和十年ガ三四·七二、昭和十
一年ガ三四·六四、昭和十一一年ガ三四·七二、
昭和十三年ガ三四·六九、是ガ聯隊區司令官
ノ提供シタ材料デアリマス
之ヲ以テ考ヘマスナラバ、各種學問ガ進
メバ進ム程體格ハ益〓低下シテ居ルノデア
ル、諸君、玆ニ〓育上大ナル缺陷ガ存在ス
ルト云フコトヲ發見スルノデアリマス、卽
チ第一ニ於キマシテハ、試驗地獄デ先ヅ體
位低下ノ源泉ヲ作リ、中等學校ニ入學シテ
ハ、其ノ學科ノ編成ニ依リテ體位低下ノ原
因ヲ作リ、又上ニナレバナル程、益〓健康ヲ
害スルヤウナ學科ノ編成ニナツテ居ル、之
ヲ以テ見マスルニ、國民ノ體位向上ヲ圖ラ
ント致シマスナラバ、先ヅ以テ學科ノ編成
カラズツト中等、專門、大學、總テニ亙ツ
テ、根本的ニ改革ヲ加ヘルコト無クンバ、
此ノ體位ノ向上ハ到底望ムコトガ出來ナイ
ト考ヘル者デゴザイマス、諸君、之ヲ要ス
ルニ靑年學校ハ卽チ一面ニ於テ實業〓育、
職業〓育デアリ、又義務〓育ノ一ツデアル
ト同時ニ、又軍隊ノ豫備〓育デアル、之ヲ
十分ニ發展セシメマシテ、サウシテ該當者
ハ全部入學セシメル、言葉ヲ換ヘテ言ヒマ
スナラバ、義務〓育ヲ徹底スルト云フコト
ガ、是ガ刻下ノ最モ大事ナ問題デナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、然ルニ政府ハ
此ノ點ニ對シマシテ、躊躇逡巡致シテ居ル
ノデアル、何ヲ躊躇スルノデアリマセウ
カ、又現在小學校〓員ノ補助ハ慥カ本給ノ
五割何分カニナツテ居リマスニ拘ラズ、靑
年學校ノ〓育ノ補助ハ二割何分シカニナツ
テ居ナイノデアル、私ヲ以テ言ハシムルナ
ラバ、靑年學校ノ費用ナルモノハ、一面カ
ラ申シマスナラバ、一ツノ臨時軍事費デナ
ケレバナラヌ、最モ今多クノ軍人ヲ要スル
秋ニ當リマシテ、此ノ制度ヲ斷行致シマシ
テ、該當者ヲ全部入學セシムル、而シテ靑
年學校入學者ニハ貧困者ガ多イ、隨テ其ノ
人無クンバ生活ガ出來ナイト云フヤウナ家
庭ニ對シマシテハ、相當ナル所ノ補助金、
奬勵金ヲヤルト云フコトヲ以テシナケレバ
ナラヌ、斯ウ云フ意味ニ於キマシテ現在ノ
政府ノ方針ハドウカト思フ點ガアリマスカ
ラ、此ノ點ハ十分自信ヲ以テ文部大臣、厚
生大臣、大藏大臣カラ、詳細ナル御答辯ア
ランコトヲ切望致シマシテ、簡單ナガラ之ヲ
以テ私ノ質問ヲ終ル次第デアリマス(拍手)
〔國務大臣男爵荒木貞夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=6
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007・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 只今ノ坂東
君ノ御質疑ニ御答ヲ致シマス、一寸聽取レ
ナイ所ガアツタノデ、或ハ殘ツテ居リマシ
タナラバ、ドウゾ仰シヤツテ戴ケバ又御答
ヲ致シマス、第一ハ國民體位ノ向上ヲ主題
トサレマシテ、學生ノ今日ノ風紀ニ付キ、
體位向上ノ問題ニ關シテ、第二ハ學生ノ試
驗入學難ノ爲ニ苦シムコトヨリスル體位低
下ノ問題、第三ハ學科內容ニ關シテノ問
題、第四ハ靑年學校ニ關シテノ問題デ、何
レモ體位向上ヲ主トシテ御質疑ノヤウニ伺
ツタノデアリマスガ、學生ノ盛リ場ニ出入
ガ多イト云フコトノ御指摘ハ、一昨日ノ本
會議デ申上ゲマシタヤウニ、洵ニ私モ遺憾
ニ思ウテ居ルノデアリマス、昨年來屢、學校
當局ヲ督勵致シマシテ、〓育方面、訓育方
面、指導方面カラ自覺ヲ促シテ、斯樣ナ方
面ニ對スル一方ニ於テハ風紀ノ取締、他方
ニ於テ體位ノ低下ニ關スル間接ノ問題、或
ハ直接ノ問題ト致シマシテ、督勵ヲ致シテ
居ルノデアリマスガ、今尙ホ其ノ實ガ十分
擧リマセヌコトハ、洵ニ恐縮ヲ致シテ居リ
マイ、今後更ニ學校方面ヲ督勵致シマシ
テ、其ノ向上ヲ圖リタイト期シテ居リマ
ス、第二ノ學生ノ入學難ノ問題デアリマス
ガ、是モ洵ニ今日ノ重大問題デゴザイマシ
テ、體位向上バカリデナク、各方面カラ見
マシテ幾多ノ悲劇ヲ生ム一ツノ問題デアリ
マス、國家ノ問題ト致シマシテモ非常ニ重
要ト考ヘテ居リマス、之ニ關シマシテハ旣
ニ昭和二年ニ訓令ヲ發シテ居リマシテ、此
ノ試驗緩和ニ關スル所ノ手段方法ヲ執リ、
更ニ昭和十二年ニモ、斯樣ナコトニ對シテ
十分ノ檢討ヲ遂ゲタ後ニ訓令ヲ出シテ居ル
ノデアリマスルガ、併シナガラ今尙ホ其ノ
實ガ擧リ得マセヌコトハ、更ニ考究ヲ要スル
コトト存ジマス、而シテ學校增設ノ問題ノ
御指摘ガアツタヤウデアリマスガ、是モ御
尤ノコトデアリマスルガ、斯樣ニ致シマスル時
ニ、地方財政ノ負擔ガ可ナリ重クナルコトト、
又國庫ノ方面ニ於テモ、必ズシモ之ニ對シ
テ直チニ行ヒ得ザル事情等ガアリマスルノ
デ、出來得ル限リ是等ノ緩和方法等ニ付テハ
將來手段ヲ盡ス考ヲ持ツテ居リマス、學科
內容ニ對シマシテハ、只今〓育審議會モ
行ハレテ居リマシテ、盛ニ此ノ事ガ論議セ
ラレテ居リマス、學問カラ更ニ實際ノ方面
ノ問題ニ亙リ、而シテ或ハ勤勞奉仕ノ奬
勵其ノ他實際ニ役立ツ人間トシテ、內容
ヲ改善スルコトニ努力致シテ居リマスノ
デ、是等ノ審議答申等ヲ俟チマシテ十分ニ
〓究ヲ致シマシテ、此ノ點ハ改善ヲ致シタ
イト考ヘテ居リマス、ソレカラ靑年學校ノ
問題ハ、此ノ前ニモ本會議ニ於テ御答辯
申上ゲタノデアリマスルガ、將來ノ我國ノ
中堅層トシテ最モ重要ナ意義ヲ持ツモノデ
アリマスノデ、此ノ方面ニ對シマシテ十分
ノ助成金モ與へ、奬勵金モ與ヘ、又地方ニ於
ケル所ノ惠マレザル英才ヲ此ノ方面カラ摘
出致シマシテ、十分御用ニ立テルコトニ努
力致シタイト考ヘテ居リマス、今年ノ金ハ
甚ダ輕少ナヤウデアリマスルガ、義務制實
施デ十四年度ニ於テ普通科ノ一年ダケヲ實
施致シマスルノデ、其ノ人員ハ約十万人デ
アルノデアリマス、是等ノ人々ニ對シマシ
テ、地方ノ助成金等ヲ合セテ、此ノ程度ニ
於テ今日實施スルヨリ外致シ方ガナイト考
ヘテ居ル次第デアリマスガ、將來ハ斯樣ナ
方面ニ對シマシテ更ニ十分ナ效果ガ擧リ、
地方ニ負擔ヲ掛ケズシテ、此ノ靑年ガ十分
〓育ヲ受ケラレルヤウニ努力シタイト考へ
テ居リマス、一般的ノ體育向上ノ問題ニ付
キマシテハ、旣ニ厚生省ガ設立セラレマシ
テ一般的ノ體位向上ヲ圖ルト相呼應致シ
シマシテ、文部當局ニ於テモ單ニ知的〓
育ヨリ、或ハ畫一〓育ヨリ來リマスル所ノ
學生ヲ苦シメルコトニ付テハ、之ヲ緩和シ
テ、十分ニ是等ノ點ニ付テ效果ノ擧ルヤ
ウニ致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=7
-
008・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 庄司一郞君
〔庄司一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=8
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009・庄司一郎
○庄司一郞君 諸君、私ハ只今上程サレマ
シタル靑年學校〓育費國庫補助法案ニ關シ
マシテ、又同法案ト直接密接不離ナル所ノ
關聯ニゴザイマス事項ニ關シマシテ二三
點努メテ前者坂東サンノ御伺ト重複ヲ避
ケマシテ、簡單ニ文部大臣竝ニ厚生大臣、
軍部大臣等ニ對シテ質問ヲ試ミント欲スル
者デゴザイマス
多年ノ懸案デゴザイマシタ所ノ、全國三
百万ノ勤勞大衆靑年ノ爲ニ、愈〓義務〓育制
度ガ玆ニ確立ヲサレマシテ、向學心ガ如何
ニ燃エテ居ツテモ、學究ノ機會均等ヲ如何
ニ欲シテ居ツテモ、學校ニ入ルコトノ能ハ
ナカツタ農漁山村ノ幾百、幾万ノ靑少年諸
君、或ハ都市ニ於ケル所ノ多クハ中產階級
以下ノ實務勤勞大衆靑年諸君ガ、漸ク其ノ
向學心ヲ滿足シ得ル所ノ義務〓育ノ制度ヲ
與ヘラレタト云フコトハ、洵ニ御同慶ニ堪
ヘナイ次第デゴザイマス、此ノ義務〓育制
度下ニ於テ全國ノ靑少年ガ、此ノ靑年學校
ニ於テ國體ノ明徵ヲ修身公民科ヲ通シテ體
得シ、職業科ヲ通シテ產業關係ノ〓育ヲ受
ヶ、〓練科ヲ通シテ國民皆兵主義ノ體驗ヲ
得ルト云フ、此ノ輝カシイ「スタート」ヲ今
ヤ切ラントスルニ當リマシテ、私ハ荒木文
部大臣ト共ニ、深ク全國大衆靑年ノ前途ヲ
祝福セザルヲ得ナイモノガゴザイマス、併
シナガラ義務〓育ハ唯政府ノ一片ノ勅令ヤ
或ハ法律ノ力ニ依ツテ、容易ニ實現シ得ル
コトノ能ハナイ國家ノ大事業デアルト云フ
コトヲ、吾々ハ痛感シナケレバナラヌノデ
ゴザイマス(拍手)小學校ニ於ケル所ノ義務
〓育ト靑少年ノ義務〓育トノ間ニハ、洵
靑少年ノ義務〓育ト云フモノニハ、幾多ノ
艱難、幾多ノ困難ガ伴ウテ居ルト云フコト
ヲ、吾々ハ深ク考ヘナケレバナラヌノデア
リマス、何トナレバ、靑年學校就學該當年
齡ノ靑少年ノ多クハ、殆ド農村ニ於テハ、
鋤ヲ執リ、或ハ都會ニ於テハ算盤ヲ執リ、
炭坑ニ於テハ石炭ヲ掘ツテ居ル所ノ實務大
衆ノ靑年諸君デアルガ故ニ、小學校ニ於ケ
ル所ノ義務〓育ノ如ク極メテ、簡單ニ、容
易ニ、此ノ義務〓育ヲ實現シ得ルコト
ハ、洵ニ困難ナコトデアルト云フコトヲ
吾々ハ一國ノ文〓ノ府ニアル所ノ文部大臣
ト共ニ深ク其ノ原因ヲ考究シ、ソレニ對シ
適當ナル所ノ善處ヲシナケレバナラヌト云
フコトヲ痛感セザルヲ得ナイノデアリマス
(拍手)卽チ此ノ容易ナラザル、然レドモ國
家最高ノ〓育行政ノ見地ヨリ、我ガ帝國ノ
靑少年ヲシテ今マデ長イ間學究ノ機會均等
ニ惠マレズ、向學心火ノ如ク燃ユルト雖モ
學校ニ入ルコト能ハナカツタ、其ノ生活程
度ノ「レベル」ガ極メテ低イ所ノ環境ニ生立
ツテ參リマシタ所ノ靑少年ニ對シ、徹底的
ナル所ノ、軈テ明日ノ我ガ日本帝國、我ガ
東亞百年ノ大計ヲ雙肩ニ擔ヒ得ル正シイ、
健全ナル、頑健ナル、我ガ國家ヲ背負フ所
ノ靑年ヲ養成セント欲スルニハ、是ハ義務
〓育ニ背ク所ノ雇傭主或ハ保護者等ノアル
場合ニ於テ、徒ニ官僚的ナ强制法ヲ發動シ
テ、彼等雇傭主ナリヲ强制スルコトニ依ツ
テ、決シテ此ノ義務〓育ノ完成ト云フモノ
ハ成就シ得ナイモノデアル、是ニ於テ文部
省ハ十四年度ヨリ愈〓、實施サレル所ノ義務制
度ニ關シテ、全國ノ就學年齡ニ該當スル靑
少年ノ全部ヲ、百マパーセント」ヲ就學セシ
メル爲ニ、如何ナル對策ヲ御持チニナツテ
居ルカト云フ一點ヲ、先ヅ私ノ第一問トシ
テ文部當局ニ御伺ヲ申上ゲル所以デアリマ
ス、全國ノ靑少年ヲ理想的ニ百「パーセン
ト」靑年學校ニ就學セシメントスルニハ
第一ニ帝國〓育會以下系統〓育會ニ靑年〓
育部會ヲ新シク設置スル御意向ヲ持ツテ居
リマセヌデセウカ第二ニハ小學校令ニ依
ル所ノ市町村ノ學務委員制度ト同ジヤウナ
仕組ヲ以テ、靑年學校令ヲ根本的ニ改正ヲ
シ、時代ニ順應シタル所ノ靑年學校令ニ之
ヲ改善シテ、地方市町村ニ靑年學校學務委
員制度ヲ實施スルノ御計畫ト御用意トガ文
部當局ニハゴザイマセヌデセウカ、又地方
町村ノ心アル有志家、有力家ニ依ツテ、靑
年學校後援會ヲ全國一万一千四百ノ市町村
ニ悉ク之ヲ設置セシメテ、靑年學校ヲ援助
後援スル所ノ左樣ナ方途、左樣ナ對策ヲ文
部省ハ御考ニナツテ居ルカドウカト云フコ
トヲ御伺シタイノデアリマス
次ノ私ノ質問ハ、只今日程トシテ吾々ガ
與ヘラレ、只今議題トシテ上程サレテ居リ
マスル此ノ靑年學校義務〓育費國庫補助法
ナル單行法ハ、此ノ補助法ナル法律ノ下ニ
適當ナル所ノ靑年學校〓育費ヲ政府ハ補助
セントスルモノデゴザイマセウガ故ニ、是
ハ無キニ優ル補助法デハゴザイマスルケレ
ドモ、本員ハ靑年學校ノ〓育ヲ完成スル爲
二、此ノ補助法ダケヲ以テシテハ到底滿
足シ能ハナイモノデアリマス、何トナレバ
此ノ補助法ナル所ノ法律ハ、全國一万二千
ノ市町村ニ對シテ何ヲ基準トシ、如何ナル
方法ヲ以テ、或ハ如何ナル程度ノ補助額ヲ
政府ガ市町村ニ交付スルカト云フ、其ノ方
法ノ上ニ於テ、其ノ論據ノ上ニ於テ、市町
村ニ取リマシテハ甚ダ不安定極マル所ノ法律
デアリマス、此ノ補助法ヨリ百尺竿頭更ニ
一步ヲ進メ、百步ヲ進メテ、現行制度トナツ
テ居リマス所ノ小學校義務〓育費國庫負擔
法ノ如ク、市町村ニ取リマシテ絕對間違ヒ
ノナイ、不安ノナイ、安心シ得ル所ノ國家
負擔法ヲ速ニ制定サレル御意圖ヲ、文部省
ハ御持チデアルカドウカト云フコトヲ御伺
申上ゲタイノデアリマス、斯ノ如キコトヲ
質問スル所以ノモノハ、今ヤ全國ノ市町村
ガ市町村會ヲ招集シテ、十四年度ノ豫算編
成ノ眞最中ニアルニ拘ラズ、文部省ガ幾許
ノ補助金ヲ如何ナル方法ニ依ツテ助成スル
カト云フコトガ一向不明デゴザイマスガ故
ニ、現下ニ於ケル市町村會ト云フモノハ、五
里霧中ノ狀態ニ彷徨シテ居ルヤウナ有樣デ
ゴザイマス、故ニ小學校義務〓育費國庫負
擔法ニ依ツテ、八千五百万圓ノ國庫補助金
ヲ小學校〓員俸給ノ約五割トシテ交付シテ居
ルガ如クニ、速ニ靑年學校〓育費國庫負擔法
ト云フモノヲ制定サレマシテ、市町村ニ安心ヲ
與へ、又文部大臣ガ更迭サレマシテモ、將來
文部省ガ大藏省ヨリ豫算ヲ獲得スル場合ニ
於テ、何等不安ノナイ狀態ニ之ヲ法制化シ、制
度化スルコトガ極メテ安心デアルト云フ意
味ニ於テ、此ノ一點ヲ文部大臣ニ御伺申上
ゲル所以デアリマス(拍手)
次ノ質問ハ只今坂東議員ニ依ツテ爲サレ
タ所ノ國庫補助增額ノ緊急問題デアリマス
ガ、是ハ稍〓重複スルガ、故ニ詳細ニ述ベルコ
トヲ憚リマス、旣ニ本院ニ於テ可決確定ヲ
見マシタ來年度靑年學校政府補助金ノ總額
ハ四百三十餘万圓デゴザイマス、全國一万
二千ノ町村ニ對シ、一町村平均ハ三百八十
圓、公立靑年學校、一万六千五百ノ靑年學
校ニ對シテハ一學校平均ニ於テ二百六十圓
ト云フ、極メテ少額ナル國庫補助金デゴザ
イマス、斯樣ナ少額ナル所ノ補助金ヲ以テ
靑年ノ義務的〓育ノ完成ト云フコトハ出來
ナイ、現實ニ靑年〓育ノ第一線部隊長デア
ル所ノ市町村長ト云フモノハ、其ノ〓育ノ
完成ト云フモノヲ到底ナシ得ナイト云フヤ
ウナ實情ニゴザイマス、須ク靑年學校義務
〓育ノ完成年度、卽チ昭和二十年度時代ニ
於テハ、靑年學校〓育費ノ最小限度五割程
度ノ國庫補助ヲ支辨サレル所ノ御意思ガア
ルカナイカ、理想ト致シマシテハ、政府ガ
〓育ノ制度ヲ定メ、政府ガ學校ヲ經營スル
コトガ其ノ原則デナケレバナリマセヌ、然
レドモ、今戰時體制下ニ於テ、徒ニ政府ニ
ノミ市町村ガ依存セント欲スルコトハ、是
亦考ヘ物デアル、故ニ最小限度ニ於テ靑年
學校〓育費ノ總額-最近ニ於テハ全國市
町村ノ總額ト云フモノハ三千四百万圓デア
ルガ、十四年度ハ義務〓育ニ伴ウテ恐ラク
四千万圓程度ノ〓育費支出ヲ餘儀ナクサ
ルルデアラウト思フノデアリマス、此ノ質問
ノ結論トシテ、最小限度五割程度ノ國庫補
助ヲ交付スル所ノ御計畫アリヤ否ヤト云フ
コトヲ御伺申上ゲル次第デアリマス
次ハ私ノ御伺申上ゲル中ノ最モ重要ナル
所ノ質問デゴザイマス、ソレハ只今提案サ
レテ居リマス所ノ法案ノ第三條ニハ「補助金
ノ交付ニ關シ必要ナル規程ハ主務大臣之ヲ
定ム」トゴザイマス、此ノ第三條ニ依リ文部
大臣ガ文部省令ヲ以テ定ムル市町村ニ對ス
ル所ノ補助金交付ノ方法ハ如何ナル方法ヲ
以テナサレントスルモノデアルカ、是ハ全
國ノ市町村ニ取リマシテ最モ重大性ヲ持ツ
テ居ル問題デアリマス、何トナレバ從來郡
部方面、農漁山村方面ニ於テハ、靑年學校
ノ就學率ト云フモノハ九一%ノ好成績ヲ持ツ
テ居ルノデアリマス、然ルニ全國ノ六大都
市及ビ百四十五ノ市部ニ於テハ、靑年學校
生徒ノ就學率ト云フモノハ、極メテ惡成績
デアツタノデアル、恐ラク二〇%程度ヲ超エ
ナイ所ノ惡成績デアツタノデアリマス、然
ルニ今囘靑年學校ノ義務〓育實施ニ伴ウ
テ、六大都市ニ於テハ恐ラク飛躍的ナル所
ノ就學率ヲ見ルト云フコトハ、火ヲ睹ルヨ
リモ極メテ明カナル所ノ事實デアル、之h
反シテ地方農漁山村ト云フモノハ、從來義
務〓育制度ノ時代以前ニ於テモ、極メテ眞
面目ニ九〇%以上ノ就學率ヲ持ツテ居リマ
シタルガ故ニ、今囘法律ノ力ヲ以テ義務制
ガ施行サレマシテモ、町村ニ依ツテハ生徒
ノ增加率ト云フモノハ、或ハ五名或ハ十名
程度ノ町村モ極メテ多イノデアリマス、隨ヒ
マシテ文部省ノ市町村ニ對スル國庫補助金
ハ、靑年學校ノ專任〓員ノ俸給ニ對スル國庫
補助ノ現行制度デゴザイマスガ故ニ、農漁山
村方面ノ靑年學校ノ專任〓員ト云フモノハ
殆ド-絕對ト申上ゲルコトハ出來ナイケ
レドモ、殆ドガ增加率ト云フモノヲ見ルコ
トハ困難デアル、之ニ反シテ六大都市及ビ大
都市方面ニ於テハ、驚クベキ程度ノ專任〓員
ノ大增加ヲ見ルト云フコトハ極メテ當然ノ
理窟デアリマス、果シテ然リトスレバ、今
囘ノ補助法ニ依ツテ政府ガ補助金ヲ與フル、
其ノ合計ニ於テ四百三十餘万圓ノ國庫補助
金ノ大部分ハ、或ハ恐ル、六大都市及ビ大
都市方面ニノミ、補助金ノ偏重ヲ見ルノデ
ハナイカト云フコトヲ憂慮セザルヲ得ナイ
ノデアリマス(拍手)文部大臣ハ最モ公正妥
當ナル見地ニ立タレ、或ハ社會政策的ノ見
地ヨリ、靑年學校ノ〓育費ハ愚カノコト、
小學校ノ〓育費ニサヘモ困ツテ居ル町村ニ
對シ小學校ノ〓員ノ月給ノ不拂町村ガ、東
北六縣ダケデモ數百町村アル、サウ云フヤ
ウナ全國的ノ弱體町村ニ對シテ、努メテ公
正妥當ナル所ノ、大處高處ヨリノ見地ニ立
ツテノ國庫補助金ヲ交付サレル所ノ、補助
規程ト云フモノヲ制定アラレンコトヲ、私
ハ切ニ要望シテ已マナイノデアリマスガ、
文部當局ノ御意見果シテ如何、此ノ問題ニ
對シ如何ナル御對策ヲ抱懐ナサレテ居ルカ、
御伺申上ゲマス
次ノ質問ハ是亦坂東サンノ靑少年ノ體位
向上問題ト重複スルノ虞ガアリマスカラ、
其ノ點ハ努メテ之ヲ「オミット」致シマシ
テ、私ノ文部大臣ニ特ニ御伺シタイ一問ハ、
靑年學校令ニハ、靑年學校ニハ必ズ學校醫
ヲ設置スベシト云フ所ノ命令的ノ規則ガゴ
ザイマス、然ルニ全國一万七千ノ靑年學校
中ニ於テ、學校醫ヲ設置シテ居ル町村ノ數
ト云フモノハ、僅ニ四千八百シカナイノデ
アル、靑少年ノ體位ノ向上ハ、保健衞生的
行政ノ見地ヨリ見テモ極メテ必要デアル、
然ルニ最モ發育旺盛期ナル靑少年ノ體位向
上ノ爲ニ、靑年學校令ニハ學校醫ヲ置クベ
シト云フ御命令ガアルニ拘ラズ、全國一万
七千ノ靑年學校中ニ於テ、學校醫ヲ設置シ
テ居ル町村ノ數ト云フモノガ、僅ニ四千八
百カシナイト云フコトハ、體位向上ノ點カ
ラ考ヘマシテ、文部當局ハ如何ニ御考ニナ
ラレテ居ルカ、農漁山村ノ如何ナル村長ト
雖モ、我村ノ靑年學校ニ學校醫ハ置キタイ
ノデアリマス、文部大臣ノ御命令ガナクト
モ置キタイノデアル、ソレガ設置シ得ナイ
理由ト云フモノハ、要スルニ靑年學校〓育
費ノ捻出ニ困難ヲ感ズル、地方町村ト云フ
モノハソレ程マデニ疲弊困憊ノ狀態ニ陷ツ
テ居ルト云フ、此ノ深刻ナル事實ヲ文部當
局ハハツキリト御認識ヲ戴キタイノデアリ
マス(拍手)
尙ホ靑少年ノ體位ノ向上ノ爲ニ新シイ使
命ヲ課セラレタ所ノ厚生大臣ハ、體位向上、
保健衞生ノ適正ナル對策トシテ、如何ナル
方策ヲ執ラレントスルモノデアルカ、此ノ
一點ヲ御伺申上ゲタイノデアリマス、厚生
省ハ全國ニ保健所ナル衞生役所ヲ設置サレ
テ居リマスガ、此ノ保健所ナルモノハ、靑
少年ノ體位向上ノ方面トハ全ク沒交渉ノ狀
態ニアルト云フコトヲ、本員ハ悲マザルヲ
得ナイノデアリマス、此ノ保健所ヲ更ニ增
設サレ、之ニ對シテ唯單ニ消極的ナ態度ヲ
執ラレズ、モツト積極的ニ、或ハ街頭ニ出
デ、或ハ靑年學校ニ手ヲ出シテ、靑年團員、
靑少年ノ體位向上ノ爲ニ適正妥當ナル所ノ
對策ヲ講ジテ戴キタイト云フ信念ヲ持ツテ
居ルノデアリマスガ、厚生省ハ如何ナル對
策ヲ御持チデアリマセウカ、此ノ一點ヲ御
伺申上ゲタイノデアリマス
最後ニ今一問ハ、厚生省ハ生產ノ擴充、
或ハ熟練工員ノ養成ノ爲ニ、勅令ヲ以テ技
能者養成令ナルモノヲ發布サレテ、滿十四
歲以上十七歲マデノ中堅工員ニ對シテ、
種ノ勞働學校、一種ノ職工學校ヲ設ケラレ
ルヤノ情報ヲ耳ニ致シタノデアリマス、又一
方商工省ハ鑄物或ハ金物、器具、機械方面
ノ工場ニ對シ、訓育所ト云フ名前ノ下ニ、
職工ノ養成所ヲ指導奬勵サレテ、商工省ヨリ
補助金ヲ出サレテ居ル、而シテ其ノ年輩ハ靑年
學校ニ義務的ニ入學シナケレバナラヌ者ト同
一程度ノ年齡ノ靑少年諸君デゴザイマスガ、
文部省ハ此ノ商工省ノ技能者養成所或ハ商
工省ノ訓育所、是等ニ對シ如何ナル融和調
整的ノ態度ヲ執ラレテ居ルカ、如何ナル連結
ト脈絡ヲ御持チニナツテ居ルカト云フコトヲ
御伺申上ゲタイ、私ノ考トシテハ、是等ノ
訓育所或ハ養成所モ、亦靑年學校令ニ基イ
テ、一本建ノ靑年〓育機關デアリタイト云
フ考ヲ持ツテ居ルノデアリマス
以上數項ノ質疑ヲ以テ終ラントスルモノ
デアリマスガ、文部大臣ニ於カレマシテハ、
先程ノ前者ノ質疑ニ對シテモ相當丁寧懇切
ニ抱負經綸ヲ御披瀝ニナリマシテ、私洵ニ
欣快ニ堪ヘナイノデゴザイマス、然レドモ
從來其ノ生活程度ノ「レベル」ガ低ク、經濟
的事情ノ爲ニ學校ニ入リ兼ネル所ノ全國勤
勞大衆ノ靑年〓育ノ爲ニ、ドウカ層一層深
キ理解ト認識ヲ持ツテ、是ガ擴大强化ノ爲
ニ御奮鬪アランコトヲ御願申上ゲタイノデ
アリマス、時間ガ參リマシタカラ、之ヲ以
テ私ノ質疑ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣男爵荒木貞夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=9
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010・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 庄司君ノ極
メテ御熱心ナル靑年學校ノ振興ニ關スル御
意見ハ、過般モ拜承致シマシタ、其ノ折ニ
モ御答ヲ致シタノデアリマスガ、只今重ネ
テ熱烈ナル將來ノ靑年學校振興ニ關シテノ
御質疑ニ對シマシテ、非常ニ多項ニ亙ツテ
居リマスノデ、其ノ要點ヲ約メテ御答致シ
タイト思ヒマス、第一ハ、年年學校ノ根本方
針ヲ基礎トシテ、靑年學校令ノ改正或ハ靑
年學校ノ後援會ト云フヤウナモノニ及ンダ
御質疑ト思ツテ居リマスルガ、靑年學校〓
育ガ、只今モ最後ニ御述ニナリマシタヤウ
ニ、我國ノ劃期的ノ施設デアリマシテ、恐
ラクハ世界中デ第一ノ我國ノ大ナル事業ノ
一ツト存ジマス、隨ヒマシテ中々各方面ニ
亙ツテ關係スル所ガ多イノト、之ニ伴フ經
費等モ可ナリ莫大ナモノガアラウト存ジマ
ス、又一方ニ於テハ國民學校ノ八年義務制
ガアリマシテ、此ノ八年義務制ニ伴ウテ靑
年學校ノ普通科ノ二年ノ整理モ致サナケレ
バナラヌ、是等ノコトガ錯綜致シテ居リマ
スル爲ニ、只今御述ニナリマシタ各種ノ御
要望ヲ直チニ實現スルコトガ困難ナル事情
ニアルト云フコトヲ、ドウゾ御諒承願ヒタ
イト思フノデアリマス、此ノ我國ノ中堅ト
ナルベキ靑年層ノ將來ノ〓育及ビ是等ノ人
物養成ニ付テハ、私ハ必ズ此ノ中カラ我國
ノ最モ有爲ナル人材ガ出ルコトト固ク信ジ
テ居ルノデアリマシテ、又斯クナルヤウニ
此ノ〓育ノ將來ヲ爲スベキデアルト云フコ
トニ付テハ、十分考ヲ持チ、又將來是等ノ
總テニ對シテノ施設モ致シ、同時ニ是等ヲ
負擔スル所ノ地方町村ガ、其ノ爲ニ疲弊ニ
至ラヌコトニ付テモ、大イニ考ヘル必要ガ
アラウト存ジマスルコトハ、御意見ト全ク
同一デアリマス、隨ヒマシテ是等ニ關シテ
ノ種々ノ改正モ行フベキ準備モ持ツテ居リ
そう、又只今申上ゲマシタヤウニ、非常ナ
ル多方面ニ亙ル劃期的ノコトデアリマスノ
デ、玆ニ愼重ナル計畫ヲ要シマスル爲ニ、
先般來色々御不滿ナ點モアツタヤウデアリ
マスケレドモ、此ノ點ハ御諒承ヲ願ヒタイ
ト思フノデアリマス、尙ホ後援會等ノコト
ニ付キマシテモ、出來ルダケ地方ニ諒解ヲ
シテ戴イテ、斯樣ナ會等ノ現出ニ依ツテ、
此ノ成果ヲ擧ゲルヤウ期シタイト云フコト
ヲ考ヘテ居リマス、第二ハ、補助法ヲ負擔
法ニセヌカ、御尤ナ御意見デアリマシテ、
此ノ補助法モ只今申上ゲマシタヤウニ、
非常ニ動イテ居ルノデアリマシテ、隨テ一
定ノ-今年モ僅ニ一年ノ普通科ヲヤルダ
ケデアリマスノデ、數字ガ動キマスル爲
二、未ダ負擔法トシテ確定スル基礎數ヲ得
ルコトガ出來ナイ爲ニ、補助法トシテ行ツ
テ居ルノデアリマシテ、將來是ガ見透シガ
付キマスルナラバ負擔法ニ致シタイト考ヘ
テ居リマス、其ノ次ノ五割ノ補助ヲシテハ
ドウカ、是モ小學校ノ國庫負擔ト同ジ
ヤウニ必要ナコトデアラウト存ジマス
ルガ、財政其ノ他ノ關係カラ、直チニ
此ノ點ヲ御答スルマデニ至ツテ居ラヌコト
ハ洵ニ遺憾ニ存ズルノデアリマスルガ、
當然將來ニ亙ツテハ五割デナク、否、モツト
何カ他ニ方法ガアルノデハナイカト云フコ
トモ考ヘテ見テ居ル次第デアリマス、交付
金ニ關シテ大都市ト町村トノ間ニ於テ不公
平ガ起ラナイカ、是ハ十分ニ注意シテ居リ
マシテ、兩者ノ間ニ不公平ノ起ラヌヤウ手
段方法ヲ執ルベク色々計算モ致シテ居リマ
スルガ、非常ニ細カクナリマスノデ、或人
委員會ニ於テ御答スルコトニ依ツテ御諒承
ヲ願ヒタイト存ジマス、次ハ學校醫ノ問題
デアリマスルガ、是モ仰セノ通リデ、未ダ
甚ダ不十分デアリマス、小學校ノ方スラマ
ダ十分ニ出來テ居リマセヌノデアリマスル
ガ、必ズシモ待ツベキ問題デナイノデアリ
マシテ、是モ將來大イニ考慮致ス大イナル
問題トシテ考ヘテ居ル次第デアリマス、ソ
レカラ技術員養成ノコトニ付キマシテハ
今商工省竝ニ厚生省ニ於テ行ヒマスル所ノ
モノハ臨時的ノ問題デアリマシテ、文部省
デ行ヒマスルモノハ、一ツノ學校〓育トシ
テ基礎付ケネバナラヌモノデアリマスルノ
デ、厚生省竝ニ商工省デ行フモノト多少相
違シテ居ルノデアリマスルガ、靑年層ガ職
業〓育ト云フモノヲ基礎トシテ居リマスル
ノシ、或ハ私立ノ靑年學校等ニ於テ、或八
其ノ附近ニ於テ、靑年學校ト併セテ此ノ點
ヲ行フト云フコトハ結構ナコトデアラウト
思ヒマスルシ、是等ニ對シテハ誤ラザル指
導モ致シマシテ、其ノ目的ヲ達スルヤウニ
致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、以
上ヲ以テ御答ニ致シマス(拍手)
〔政府委員津崎尙武君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=10
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011・津崎尚武
○政府委員(津崎尙武君) 只今庄司君ノ御
問ノ中ノ厚生省ニ屬スル部分ニ付テ御答致
シマス、保健ノコトニ付キマシテ、大體人
口二十万ヲ單位ト致シマシテ保健所ト云フ
モノヲ設置致シテ、サウシテ保健衞生ノ指
導ノ中樞機關トシテヤツテ行ツテ居ルノデ
ゴザイマス、是ハ漸次其ノ數ヲ增シテ、保
健衞生ノ中樞機關トシテ御期待ニ副フヤウ
ニナツテ行ク積リデアリマス、ソレカラ尙
ホ技能者ノ養成ノコトデアリマスガ、只今
モ文部大臣ノ御答ノ通リデ、主トシテ靑年
學校ヲ中心トシテ行クノデアリマスガ、特
殊ナ機械等ニ關スル技術ノコトニ付キマシ
テ、厚生省所管デ其ノ技術者ノ養成ニ關ス
ル施設モ致シテ行キマスケレドモ、ソレハ
御話ノ通リ文部省ヲ中心ニ、靑年學校ヲ中
心ニ、常ニ厚生省デヤルコトモ緊密ナ連絡
ヲ取ツテヤル方針ニナツテ居ルノデゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=11
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012・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 河合義一君
〔河合義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=12
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013・河合義一
○河合義一君 來年度ノ靑年學校〓育義務
制ハ、男子部ニ限ツテ實施サレルノデアリ
マスカラ、私ハ男子靑年學校ニ重點ヲ置キ
マシテ二三ノ質問ヲ致シタイト思フノデア
リマス
先ヅ第一ニ、靑年學校ニ對スル政府ノ根
本方針ニ付テ御伺ヲ致シタイ、靑年學校ハ
工場農村其ノ他ニ於ケル勤勞靑年ノ〓育ニ
當ルモノデアリマシテ、國民〓育ト致シマ
シテハ小學校〓育ニ次グ所ノ大切ナモノデ
アリマス、ソレニモ拘リマセズ、昭和十年
文部省ガ出シマシタ所ノ訓令第二號ニ見マ
スルト、是等靑年男女ハ〓ネ業務ノ餘暇ニ於
テ就學スルモノナルニ付キ、學校ノ組織內容
ハ簡易自由ヲ旨トシ、地方ノ狀況、靑年ノ
境遇ニ適應セシメルト云フコトガアルノデ
アリマス、政府ハ將來ニ於キマシテモヤハ
リ此ノ訓令ヲ活カシマシテ、靑年學校〓育
ヲ單ニ餘暇〓育トシテ、謂ハバ〓育行政ノ
刺身ノツマノヤウナモノトシテ、之ヲヤツ
テ行ク方針デアリマスカ、之ヲ先ヅ私ハ御
伺ヲ致シタイノデアリマス、私ガ甚ダ遺憾
ニ思ヒマスノハ、ドウモ此ノ靑年學校ノ〓
育ハ、文部省ニ取リマシテモ餘リ重要視シ
テ居ナイヤウニ考ヘルノデアリマス、政府
委員ノ席ヲ見マシテモ、私ハ此ノ點ニ付キ
マシテ甚ダ遺憾ニ考ヘザルヲ得ナイノデア
リマス(「ヒヤ〓〓」)又今日徵兵檢査ノ實績
ニ見マシテモ、高等小學校卒業生ノ合
格率ガ最モ其ノ上位ニ在ルノデアリマシテ、
此ノ高等小學ノ卒業生ノ體位及ビ智能ノ點
カラ申シマシテモ、生產力擴充ニ必要ナ職工
ノ智能ト致シマシテハ、高等小學卒業程度
ヲ是非要求シテ居ルノデアリマス、高等小
學卒業程度ノ體力ト智力トハ、有ニル國民
ガ具ヘテ居ラネバナラヌ國家的要求デアル
ノデアリマス、然リト致シマスナラバ、國
家ハ靑年學校〓育ニ對シマシテモ、從來ノ
方針ヲ變更致シマシテ、業務ノ餘暇ニ於テ
デハナク、業務ト竝行致シマシテ、十分ニ
修得シ得ルヤウナ制度ヲ作ルコトガ、是ガ
國家ノ現ニ要求シテ居リマス所ノ要求ニ適
合スルモノト考ヘルノデアリマスガ、文部
大臣ノ所見ハ如何デゴザイマセウカ(拍手)
第二ニ御伺致シタイコトハ、靑年學校ノ
國庫負擔額ニ付テデアリマス、是ハ既ニ同
僚カラ質問ガアリマシタガ、私ノ見ル所ハ
多少觀點ガ違ヒマスカラ、重複スル點ヲ避
ケマシテ質問ヲ致シタイト思ヒマス、靑年
學校〓育ノ內容ヲ擴充スルコトガ國家的要
求デアリマスカラ、私ハ先ヅ國民ニ求ムル
ニ先ダツテ與ヘナクテハナラヌト思フノデ
アリマス、當然其ノ經費ハ全額國庫デ負擔
スルノガ本當デアラウト思フ、全國ヲ通ジ
マシテ町村ノ財政ノ約四割二分ト云フモノ
ガ、旣ニ〓育費ニ充當サレテ居ルノデアリ
マス、此ノ町村ノ財政ト云ヒマスモノハ、
地方財政補給金ノ交付ヲ受ケマシテ、漸ク
世帶ヲヤツテ居ルノガ今日ノ狀態デアリマ
スカラ、此ノ上ニ國家ガ要求シテ居リマス
所ノ要求ニ應ズル爲ニ、靑年學校ノ多額ノ
經費ヲ背負フト云フコトハ、甚ダ出來ニクイ
話ナノデアリマス、又仄聞スル所ニ依リマ
スト、今次ノ支那事變ニ靑年學校出身者ノ
功績ノ目覺マシカツタコト、是ガ一ツデア。
リマス、第二ニハ陸海軍兵器ノ機械化ニ伴
フ軍人智力ノ必要、三ニハ陸海軍戰鬭法ノ
改革ニ伴フ軍人智力ノ必要、四ニハ空軍ノ
緊要ニ伴フ智力ノ必要、五ニハ列國軍備
力、〓育能力ニ對抗スル智力ノ必要、六ニハ
國民體位ノ低下ト靑年體力練磨ノ必要、是
等ノ事項ガ靑年學校〓育ノ內容充實ニ於テ
ノ提案ヲ決定的ナラシメタモノト聞イテ居
ルノデアリマスルガ、果シテ然リト致シマ
スルナラバ、此重大ナル使命ヲ持ツテ居ル
所ノ靑年學校ノ〓育ノ經費ニ關シマシテ
"
ハ、今囘ノ增額ハ-增額デアリマスカラ
大變結構デアリマスケレドモ、ソレデモ全
補助金ヲ合算致シマシテ、靑年學校ガ要シ
テ居リマス經費ノ一割二分位ニシカ當ラナ
イノデアリマス、本年ノ此ノ增額ヲ以テ致
シマシテモ、自治體ガ費シテ居ル所ノ經費
ノ一割ソコ〓〓ニシカナラヌノデアリマス
カラ、政府ハ將來此ノ補助費ヲ增額致シマ、
シテ、全額國庫負擔トスルノガ當然ダラウ
ト思フノデアリマスルガ、之ニ對スル所見
ハ如何デアリマスカ
第三ニハ靑年學校ノ施設ニ付テデアリマ
ス、政府ハ從來餘リ靑年學校ヲ重視シテ
居ナカツタ、其ノ結果ト致シマシテ、靑
年學校ノ施設內容ガ極端ニ貧弱デアルノデ
アリマス、靑年學校ノ施設ノ惡イ點ヲ列擧
致シマスレバ甚ダ數ガ澤山アリマスガ、先
ヅ專用校舍ノ問題デアリマス、大抵ハ小學
校ノ校舍ヲ使ツテ居ルノデアリマスガ、小
サナ子供ノ腰掛ケル椅子ニ腰掛ケマシテ、
小サナ机ヲ使ツテ居ルノデアリマス、此ノ
專用校舍ノ問題ヲ解決シナケレバナラナイ、
又專任〓員素質ノ問題デアリマス、小學校
ノ〓員ニ比較致シマシテ、其ノ素質ガ劣ツ
テ居ルノデアリマス、斯ウ云フ點ニ付キマ
シテノ詳シイ事ハ委員會デ申述ベルコトト
致シマスガ、其ノ他〓員養成ノ問題デアル
トカ、〓科書ノ問題、此ノ〓科書モ未ダ國
定デハナイノデアリマス、地方ノ狀況ニ應
ジテ然ルベクヤツテ置ケト云フノガ文部省
ノ方針デアツタガ、是ハ中々難カシイノデ
アリマス、ソレモ專任〓員ノ素質ガ上等デ
アリマスナラバ出來ルデアリマセウケレド
モ、〓員ノ素質ガ惡イ所ヘ然ルベクヤツテ
置ケト言ツテモ、然ルベクヤレル筈ガナイ
ノデアリマス(拍手)又〓員俸給及ビ榮
達進路ノ問題デアリマス、其ノ他色々
アリマスガ、就中最早是等ノ點ハ放任出
來ナイ問題デアリマスガ、今日ノ自治
體ノ財政ニ於テハ、之ヲ解決スル能力ガ
無イノデアリマス、政府ハ果シテ現在ノ
靑年學校ノ〓育施設ガ完全デアルト御考ニ
ナツテ居ルカドウカ、若シ完全デナイトス
レバ如何ニシテ之ヲ良クスルコトヲ御考ニ
ナツテ居リマスカ、此ノ點ヲ御伺シタイノ
デアリマス
第四ニハ靑年學校ノ生徒ノ就學時間ニ
付テデアリマス、私ノ知ツテ居リマス或ル
町デハ靑年學校ノ生徒ガ百五十人アリマシ
テ、未就學ノ生徒ガ百八十人アルノデアリ
そく、何故靑年學校ニ行カナイカト云フコ
トヲ調ベテ見マスト、主人ノ理解ガ無イ、
斯ウ云フ理由デ行カナイ者ガ最多數デアリ
マス、其ノ次ハ仕事ガ劇シクテ迚モ續カナ
イト云フノガ第二ノ理由デアリマス、文部
省ノ訓令ニアリマスヤウニ、業務ノ餘暇ニ
就學スルト云フノガ靑年學校ノ本旨デアル
ト致シマスレバ、靑年學校ハ勤勞靑年ノ
「オーバーワーク」ヲ奬勵シテ、隨テ靑年ノ
體位ヲ低下セシメル結果トナラザルヲ得ナ
イノデアリマス、政府ハ此ノ點ニ鑑ミマシ
テ靑年學校生徒ノ就業時間ヲ制限スル法案
ヲ提出スルト私ハ聞イテ居リマスガ、果シ
テ提出スルノ御意思ガアルカドウカ、又其
ノ場合生徒ノ就業時間ガ減少致スコトニ依
リマシテ、收入減ヲ來スコトハ當然ノ結果
デアルト思ヒマスガ、政府ハ如何ナル對策
ヲ以テ此ノ問題ヲ解決シヨウトサレテ居ル
ノデアリマスカ、此ノ點モ御伺致シタイ
其ノ次ハ政府ノ方針トシテ、聞ク所ニ依
リマスト、私立靑年學校ノ設置ヲ奬勵サレ
テ居ルト云フコトヲ聞クノデアリマス、此
ノ點ニ付テデアリマスガ、壯丁檢査ノ結果
ナルモノハ、モウ旣ニ同僚諸君モ御述ニナ
リマシタガ、年々體質ガ低下シテ居ル、其
ノ申デモ商店員ト職工トガ一番惡イノデア
リマス、此ノ商店ト工場ニ働イテ居ル壯丁
ノ體位ガ一番劣惡デアルト云フ點カラ考ヘ
テ見マシテモ、私ハ此ノ工場ト商店ニ靑年
學校ノ設置ヲ奬勵スルト云フコトハ、甚ダ
危險デナイカト私ハ考ヘルノデアリマス、
固ヨリ私設ヨリモ公設ノ方ガ宜イト思ヒマ
スガ、唯單ニ政府ハ私設ヲヤラスナラバ、
經費ノ點ニ於テ國家ノ負擔ガ減ズルト云フ
ヤウナ、サウ云フ吝ナ考カラ私設ヲ奬勵ス
ルト云フコトハ如何カト思フノデアリマス
ガ、此ノ點ニ對スル政府ノ御所見ヲ伺ヒタ
イト思フ(拍手)
モウ一ツハ第六點デアリマスガ、是ハ文
部大臣ニモ伺ヒタイシ、又陸軍大臣ニモ御
伺シタイト思フノデアリマス、最モ發育ノ
旺盛期ニアリマス所ノ靑年ノ榮養ニ付テ
ハ、何等カノ方法ヲ以テ完璧ヲ期スル必要
ガアルト思フノデアリマス、ヨク私共ハ古
老カラ聞カサレテ居リ、田舎デヨク聞ク言
葉デアリマスガ、一種子二肥三作リト云フ
コトヲ申シマス、ドウ云フコトカト申シマ
スト、農作物ハ種子ガ一番大事デアル、其
ノ次ハ肥料ガ大事デアツテ、其ノ次ガ作リ
デアル、斯ウ云フノデアリマス、是等ハ農
產物ニ限ルコトデナクシテ人間モ同ジコト
デアル、併シ種ノ問題ハ是ハ日本人デアリ
マスカラ別ニ問題ニナラヌト思ヒマス、甚
ダ良イ種ナノデアリマス、併シナガラドレ
程「ラヂオ」體操ヲヤラセマシテモ、榮養ガ
足リナカツタナレバ、體位ト云フモノハ良
クナラナイノデアリマス、靑年學校ノ趣旨
ニモ謳ハレテ居リマス此ノ國民タル資質ヲ
築上ゲル爲ニハ國費ノ補助ヲ以テ靑年學
校ノ生徒ニ榮養食ヲ給付スルコトガ私ハ宜
イト思フノデアリマス、殊ニ私達ノ主張シ
テ居リマス義務〓育ガ八年制トナリマシタ
曉ニ於テハ靑年學校ノ本科五箇年ニ於キ
マシテ是非榮養食ノ給付制度ヲ確立致シ
マシテ、體位ノ向上ヲ圖ルコトガ最モ機宜
ヲ得タル方法デアルト思フノデアリマスガ
之ニ對シマシテ文部當局及ビ陸軍當局ノ御
意見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、以上
ヲ以チマシテ私ノ質疑ト致ス次第デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=13
-
014・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 小柳文部政務次官
(「文部大臣ハドウシタ」「怠慢デハナイ
カ」其ノ他發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=14
-
015・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 文部大臣ハ只今貴
族院ノ豫算委員會ニ出席中デアリマス
〔政府委員小柳牧衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=15
-
016・小柳牧衞
○政府委員(小柳牧衞君) 只今河合君ヨリ
御質問ノアリマシタ點ニ付キマシテ、私ヨ
リ御答致シタイト存ジマス、第一點ハ靑年
學校ハ一方ニ職業ヲ持ツテ居ル者ガ片手間
ニヤツテ居ルヤウナ情勢ダガ、是ガ果シテ
適切デアルカドウカト云フ御質問ノヤウニ
拜承致シマシタ、御承知ノヤウニ靑年學校
ハ職業ト密接ナル關係係有シ、卽チ生活ト
密接ナル關係ヲ持タセマシテ、サウシテ產
業ニ關スル知識ヲ修得スルト同時ニ、勤勞
ノ精神ヲ養フ點ニ於テ特色ガアルノデアリ
マリー、隨テ普通ノ實業〓育トハ趣ヲ異ニス
ルノデアリマス、一方ニ職業ニ從事シ、其
ノ他ノ時間ニ於キマシテ靑年學校ニ通學ス
ル點ニ最モ重點ガアルノデアリマシテ、將
來モ此ノ方針デ進ミタイト存ズルノデアリ
やく、第二點ハ國民ノ基礎〓育ヲ擴充シテ
通年全日制ニスルノ意思ハナイカト云フ御
質問ノヤウニ拜承致シマシタ、是ハ洵ニ御
尤ニ存ジマスガ、只今ノヤウナ趣旨ノ下ニ
靑年學校ヲ見テ居ルノデアリマスルガ、將
來ハ此ノ點ニ付キマシテモ相當考慮ヲ致シ
タイト存ズルノデアリマス、第三八靑年學
校ヲ全額國庫ノ負擔ニシテ經營セシメテハ
ドウカト云フ御質問ト拜承致シマシタ、是
ハ靑年學校ガ今日ノ靑年ノ約八割ヲ占メテ
居ル現狀ニ鑑ミ、且ツ其ノ重要性ニ顧ミマ
スルト、洵ニ御尤ノ御希望ト存ジマスルガ、
併シ是ハ一面ニ於キマシテハ國ノ財政ノ關
係モ甚ダ多イノデアリマシテ、篤ト考慮ス
ベキモノト存ジテ居ル次第デアリマス、第
四ハ〓科書ニ付テノ御質問デゴザイマシタ
ガ、靑年學校ノ〓科書ハ、卽チ靑年學校ノ
特異性ト致シマシテ、地方ノ狀況一卽スル
コトノ必要ガアリマスノデ、〓科書ノ編成
等ニ於キマシテモ可ナリ多クノ困難ガアル
ノデアリマス、併シナガラ是ハ極メテ重要
ノ問題デアリマスルカラ、今囘ノ義務制ト
共ニ〓科書フ檢定制度ヲ行ツテアルノデア
リマス、尙ホ修身、公民科ニ付キマシテハ、
國定〓科書ヲ編纂スル考デ豫算ヲ計上シテ
居ルノデアリマス、次ハ修業ノ時間ニ付テ
ノ御質問ト拜承致シマシタガ、此ノ點ハ洵
ニ御尤デアリマシテ、當局ニ於キマシテモ
此ノ點ヲ考慮致シマシテ、目下關係部局ト
協議ヲ重ネ、近クソレ〓〓成案ヲ得マシテ
御諮リスルコトニナルダラウト存ジテ居リ
マス、次ハ體位ノ向上ヲ圖ル關係上、靑年
學校生徒ニ對シテ給食制度ヲ採ルノ考ナキ
ヤ否ヤト云フ御質問ト存ジマシタガ、是モ
御尤ニハ存ジマスルガ、御承知ノヤウニ靑
年學校ハ或ハ夜間或ハ職業ノ餘暇ニ通學ス
ルト云フヤウナ關係上、卽チ時間ノ關係上、
給食制度ヲ採用スルコトガ頗ル困難ナ狀況
ニアルト存ズルノデアリマス、併シナガラ
此ノ點ハ御尤ト存ジマスルノデ、尙ホ考慮
致シタイト存ジテ居リマス、ソレカラ靑年學
校ノ〓育ニ從事スル所ノ專任〓員ヲ養成ス
ルコトニ付テノ考ガナイカト云フ御質問デ
ゴザイマス、是モ洵ニ御尤ニ存ジマス、此
ノ重要ナル〓育制度ニ專念スル所ノ〓員ヲ
養成スルコトハ、極メテ急務ト存ズルノデ
アリマシテ、今般此ノ點ニ付キマシテモ、
三十万圓ノ國庫補助ヲ計上致シマシテ、優
良〓員ノ養成ヲ圖ラント致シテ居ル次第デ
アリマス、以上御答ヲ致シマス、(「私立靑
年學校ハドウシタ」ト呼フ者アリ)御答漏シ
致シマシテ洵ニ恐縮ニ存ジマス、モウ一點
ハ、政府ハ私立靑年學校ヲ獎勵スルヤウデ
アルガ、果シテサウ云フ方針デ進ムカドウ
カト云フ御質問ノヤウニ拜承致シマシタ、
御承知ノヤウニ私立靑年學校ハ主トシテ都
市ニアルノデアリマス、言ヒ換ヘレバ工場
ニアルノデアリマスルカラ、自然商工都市ニ
是ガアルノデアリマス、然ルニ靑年學校ノ就
學ノ狀況ヲ見マスルト、農村ニ於テハ極メ
テ良好デアリマスルガ、都市ニ於テハ其ノ
成績ガ甚ダ遺憾デアリマス、殊ニ出席率ニ
於キマシテ一層ノ不十分ヲ考ヘルノデアリ
さく、斯樣ナ點カラ考ヘテ見マスルト、工
場ヲ一ツノ基礎ト致シマシテ、之ニ私立ノ
靑年學校ヲ置クト云フコトハ、其ノ量ヲ增
ス上ニ於キマシテモ、亦出席率ヲ良ク致シ
マシテ〓育ノ成績ヲ擧ゲル上ニ於キマシテ
モ、極メテ必要ト存ズルノデアリマス、隨
テ今日ノ情勢ニ於キマシテハ、之ヲ奬勵ス
ルノ已ムナキモノガアルト存ジテ居リマス
(拍手)
〔政府委員中村明人君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=16
-
017・中村明人
○政府委員(中村明人君) 本日大臣ハ已ム
ヲ得ナイ御用事デ御出席ガ出來ナイノハ洵
ニ遺憾デアリマス、私ガ代リマシテ只今ノ
御質問ニ御答ヲ致シマス(拍手)只今ノ御質
疑ノ要點ハ、靑年ノ體位ガ逐次落チテ行ク
ガ、之ヲ十分ニ榮養ヲ宜シクシテ體力ヲ向
上セネバナラヌ、此ノ點ニ付テ陸軍大臣ハ
如何ニ考ヘテ居ルカ、>
斯ウ云フ御質疑ニ伺
ツテ居リマス、靑年ノ體力向上ガ國防上重
大ナル要素ヲ成スト云フコトハ洵ニ御指
摘ノ通リデアリマシテ、私共ハ及バズナガ
ラ此ノ點ニ重大關心ヲ持ツテ今日マデ來テ
居ル者デアリマス、殊ニ最近遺憾ナガラ壯
丁檢査ノ結果ハ、體力低下ヲ示シテ居ルノ
デアリマス、此ノ見地ニ於キマシテ三百万
ノ勤勞靑年ヲ包含スル、此ノ重大ナル意義
ノアル靑年學校生徒ノ體力向上ト云フコト
ハ、最モ深キ關心ヲ持ツテ居ル者デアリマ
ス、デアリマスカラ、此ノ點ニ付キマシテ
ハ只今ノヤウナ榮養食ヲ與ヘルト云フヤウ
ナコトモ、無論必要デアリマセウガ、尙ホ
一層深ク考ヘテ居リマスルコトハ、是等勤
勞靑年ヲシテ、必要ナル靑年學校ノ課程ガ、
愉快ニ十分ニ受ケ得シムルヤウニ施設ヲス
ルノガ先ヅ以テ必要デハナイカ、卽チ彼等
ハ勤勞靑年デアル、彼等ニ更ニ過重ナ勞力
以上ノ負擔ヲ與ヘテ無理ニヤツタ所デ、其
ノ成果ハ擧ゲ得ナイノデアリマス(拍手)隨
テソレ等ノ點ヲ如何ニ調節ヲシ、如何ニ體
力ヲ十分ニ保持セシメルカト云フコトニ付
キマシテハ、目下關係當局ト密接ニ連繫ヲ
致シマシテ、御希望ニ副フヤウニ、而シテ
立派ナ體力ヲ具ヘタ靑年ヲ造リマシテ、國
家ノ重寄ニ備ヘシメントシテ努力ヲシテ居
リマス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=17
-
018・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ハ是ニテ終了
致シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=18
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019・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=19
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020・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=20
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021・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第二、借地借家臨時處理法中改正法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス-司法政務次官倉元
要一君
第二借地借家臨時處理法中改正法律
案(政府提出、貴族院送付)第一讀會
借地借家臨時處理法中改正法律案
借地借家臨時處理法中左ノ通改正ス
附則第三項中「昭和十四年四月三十日」ヲ
「昭和二十三年四月三十日」ニ改ム
〔政府委員倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=21
-
022・倉元要一
○政府委員(倉元要一君) 只今議題トナリ
マシタ借地借家臨時處理法中改正法律案ノ
提案理由ヲ申上ゲマス、借地借家臨時處理
法ハ大正十二年九月ノ關東震災ニ因リマシ
テ影響ヲ蒙リマシタ、東京横濱兩市ニ於ケ
ル假設建築物及ビ其ノ數地ノ賃貸借、其ノ
他ノ借地借家關係ヲ調整スル爲ニ、有效期
間ヲ大正十八年卽チ昭和四年四月三十日マ
デトシテ制定セラレタノデアリマシタガ
昭和四年法律第七號ヲ以チマシテ、其ノ有
效期間ヲ十箇年延長セラレ、本年四月三十
日ヲ以テ其ノ效力ヲ失フコトトナツテ居ル
ノデアリマス、然ルニ昨年ニナリマシテ普
通ノ假設建築物ノ除却期限ガ更ニ昭和二十
二年八月末日マデ、卽チ九年間延期セラレ
マシタ關係カラ、借地借家臨時處理法モ、
其ノ有效期間ヲ假設建築物ノ除却期間ト同
樣ニ、九年間卽チ昭和二十三年四月三十日
マデ延長スルノ必要ヲ認メマシテヽ此ノ法
案ヲ提出致シマシタ、何卒御審議ノ上速ニ
御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス(拍
手ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=22
-
023・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ノ通〓ガアリ
さく、之ヲ許シマス-中村高一君
〔中村高一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=23
-
024・中村高一
○中村高一君 只今ノ議題ニ關聯ヲ致シマ
シテ、要點ダケヲ申上ゲテ政府ノ御答辯ヲ
得タイト思フフデアリマス、先ヅ第一ハ物
價ノ騰貴ト、借地料竝ニ借家料ニ關シマシ
テデアリマスガ、言換ヘマスナラバ、地代
竝ニ家賃ノ値上ノ防止ニ對シマスル政府ノ
方針ヲ御尋致シタイノデアリマス、今日建
築物ハ非常ニ給制ヲ受ケテ居リマス、更に
軍需工業ノ盛ニナリマシタ爲ニ、住宅ノ拂
底ガ各地ニ起ツテ參リマシテ、其ノ爲ニ借
地料或ハ借家料ガ非常ニ高クナリツツアル
ノデアリマスルガ、一方ニ於キマシテ政府
ハ日用品ノ物價ノ調整ニ付キマシテ色々ノ
方針ヲ定メマシテ、非常ニ嚴重ニ之ヲ統制
ヲ致シテ居ル今日ニ於キマシテ、都會生活
ヲ致シテ居リマス者ノ、最モ其ノ收入ノ大
部分ヲ費シテ居リマスル所ノ家賃ナドニ付
キマシテハ、之ヲ統制ヲシタリ、或ハ之ニ付
テノ値上ヲ防止スルト云フヤウナコトヲシ
ナカツタナラバ、物價ノ統制、日用品ノ價
格ノ調整ト云フヤウナコトノミニ依リマシ
テハ、今日ノ勤勞階級ノ生活ヲ救フコトハ
斷ジテ出來ナイ(拍手)此ノ情勢ニアリマス
ル時ニ當ツテ、日用品デアリマスルナラバ、
消費節約モ出來ルノデアリマスルガ、家賃
ナドハサウ簡單ニ消費節約ナド出來ルモノ
デハナイ、是ハ政府ノ力ニ依ツテ統制ヲス
ルナリ何ナリスルヨリ外ニハ仕方ガナイト
思フノデアリマスルガ、總動員法ノ十九條
ナドヲ見マスルト、賃貸料ニ付テハ必要ナ
ル命令ヲ發スルコトガ出來ルコトニナツテ
居リマスルカラ、此ノ總動員法ノ十九條ニ
依リマシテ何等カノ命令ヲ發スルカ、若ク
ハ時局ニ際會ヲ致シマシテノ臨時ノ立法ヲ
制定スル意思ガアルカドウカヲ一ツ御尋ス
ルノデアリマス(拍手)
第二ハ借地借家法ノ全國的實施ニ對シテ
デアリマス、借地借家法ハ大正十年ニ制定ヲ
セラレマシタノデ、今日丁度十八年經ツテ
居リマス、大正十年當時ノ都會ト今日ノ都
會ノ實情ト云フモノハ非常ニ違ヒ、殊ニ軍
需工業ガ盛ニナツテ參リマシタ地方ナドニ
於キマシテハ、非常ニ違ツテ居ルノデアリ
そう、今日日本全國ノ各地ニ於キマシテ、
借地借家法ヲ全國的ニ實施シテ貰ヒタイト
云フ聲ガ非常ニ多イ、本院ニ於キマシテ
モ曩ニ建議委員會ニ於キマシテ、全國的實
施ヲ爲スベシト云フ議案ガ通過ヲ致シテ居
ルノデアリマスカラ、政府ニ於キマシテモ
此ノ速ナル實施ヲ吾々ハ要求スル意味ニ於
キマシテ、政府ノ御答辯ヲ得タイノデアリ
マス(拍手)
更ニ第三點ハ、是亦借家生活ヲ致シテ居
リマスル人々ニ取リマシテ、極メテ重要デ
アルト思フノデアリマスルガ、是ハ敷金ニ
付テデ、政府ハ借家人ガ公債ヲ以テ敷金ニ
充當スルト云フコトニ對シテ、家主ハ之ヲ
拒ムコトガ出來ナイト云フ風ニスルカ、若
クハ敷金ニ對シテ利子ヲ附スルト云フコト
ガ、吾々ハ當然デアルト思フノデ、此ノ
點ニ付テ政府ノ御所見ヲ承リタイ、東京市
ナドニ於キマシテハ殆ド八割以上ガ
借家人デアリマシテ、假ニ東京市ノ戶數
ヲ百万戶ト致シマシテ、其ノ八割ガ借家
人ト致シマスルナレバ、八十万戶ノ借家人
ガアルノデアリマシテ、一軒ノ家ガ百圓ヅ
ツノ敷金ヲ入レテ居ルト致シマスナラバ
實ニ其ノ金額ハ東京市内ダケニ於キマシテ
八千万圓ニナルノデアリマス、五十圓ト致
シマシテモ四千万圓ト云フ額ニナルノデア
リマスガ、今日デハ何年經チマシテモ、此ノ
莫大ナル金額ニ對シマシテ、一文モ利息ヲ
附ケナイト云フコトハ、甚ダ不當デアリマ
シテ、之ニ對シテハ今日公債ノ消化ノ問題
モ、極メテ政府ノ重大ナル所ノ問題ニナツ
テ居ルノデアリマスルカラ、公債ヲ消化セ
シメル一ツノ方策ト致シマシテモ、此ノ敷
金ハ公債デ差上ゲマスト言ツタトキニ、家
主ハ之ヲ拒ムコトノ出來ナイト云フコト位
ハ、國策ノ上カラ私ハ絕對ニ必要ナリト信
ズルノデアリマスガ、此ノ點ニ對シテノ政
府ノ御所見ヲ承リタイノデアリマス(拍手)
第四點ハ、是ハ內務省關係ノコトデアリ
マスルガ、今日提案ヲセラレテ居リマズル
所ノ借地借家臨時處理法ノ期限ノ延長ハ
東京ト橫濱ニ於キマル所ノ「バラック」建築
物ガ十年間延期ニナリマスルノデ、ソレニ
關スル法律モ十年延長スルノデアリマシテ、
假設建築物ヲ此ノ儘デ十年間延長ヲスルト
云フノデアリマス、一方ニ於テハ御承知ノ
通リ防空法ガ實施ヲセラレマシテ、今日ノ
建築物デハ防空上洵ニ危險デアルカラト云
ツテ、防空法ガ制定ヲセラレテ居ル時ニ當
ツテ、「バラック」假設建築物ヲ十年間延長
ヲシヨウト云フノガ本案デアリマスガ、甚
ダ防空法ノ趣旨ト此ノ「バラック」ノ延長ト
ノ間ニ、私ハ〓違ヒガアルト思ヒマスルノデ、
是ハ防空法關係ノ政府、軍部ノ御所見ヲ承
リタイノデアリマス、內務省ニ於キマシテ
モ來ル四月一日トカカラハ、防空防火ニ對
スル內務省ノ建築取締令ガ出ルト云フコト
デアリマスルガ、此ノ際此ノ臨時立法ニ關
聯ヲ致シマシテ、防空防火ト此ノ法案トノ
關聯ノ上ニ於キマシテ、政府ハ一體如何ナ
ル對策ヲ講ゼラレル御意思ガアルカ、更之
保健衞生ノ上ニ於キマシテモ、私ハ併セテ
內務省ニ御尋ヲ致シマシテ、此ノ四點ダケ
ニ付テ政府ノ明快ナル御所見ヲ承リタイト
思フノデアリマス(拍手)
〔政府委員倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=24
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025・倉元要一
○政府委員(倉元要一君) 中村君ノ御質疑
ニ對シマシテ御答申上ゲマス、第一點ハ地
代家賃ノ値上防止ニ關スル臨時立法ヲ提
出スルノ意向ガアルカナイカ、斯ウ云フ御
尋ノ要旨ダト伺ヒマス、政府ニ於キマシテ
ハ目下ノ所立法ノ用意ヲ致シテ居ルノデハ
ゴザイマセヌガ、此ノ問題ハ此ノ社會情勢
カラ考ヘマシテモ、關係各廳ト篤ト協議ヲ
致シマシタ上デ、先ヅサウ云フ立法ヲスルコ
トガ必要デアルカナイカト云フコトノ考慮
ヲ致シタ上ニ致シタイト思ツテ居リマス、
第二點ハ借地借家法ヲ全國的ニ實施スル意
向ハナイカ、斯ウ云フ御尋ノ御趣旨ト伺ヒ
マス、此ノ御質問ハ御趣旨ニ於テ大變結構
ダト政府モ考ヘテ居リマス、御承知ノ如ク
何分豫算ノ關係ガ伴フ次第デゴザイマスル
カラ、是モ必要ト思ヒマスル所カラ、漸次
實施ヲシテ行キタイト云フ考ヲ政府ハ持ツ
テ居ル次第デアリマス、第三點ニ付キマシ
テハ敷金ヲ公債ヲ以テ之ニ代ユルコトヲ
法制化セヨト云フコトデアリ、又隨テ利子
ニ付キマシテモ、借主タル者ニ返付スルコト
ガ當然ヂヤナイカ、斯ウ云フ御質問ノ要旨
ニ伺ツタノデアリマスガ、此ノ問題ハ當事
者間ノ意思ニ依ツテ之ヲ任ジテ置クト云フ
コトガ、大體ノ建前デナケレバナラヌト思
フノデアリマス、之ヲ法律ヲ以テ一定シテ
制限シテシマフト云フコトニハ、餘程愼重
ニ考慮ヲ拂フベキ餘地ガアルト思ツテ居リ
やっく左樣ニ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス
(拍手)
〔政府委員漢那憲和君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=25
-
026・漢那憲和
○政府委員(漢那憲和君) 只今ノ中村君ノ
御質問ノ中、內務省關係ノコトニ付テ私カ
ラ御答辯ヲ申上ゲマス、家屋建築ガ人間ノ
生活ノ根據デアリマシテ、之ヲ天災地變
其ノ他カラ十分ニ防護シナケレバナラヌ
ト云フコトハ、申ス迄モナイノデアリマ
ス、ソコデ衞生保健、ソレカラ地震火
災サウ云フモノニ關シマシテハ、市街
地建築物法ニ依リマシテ特ニソシ〓〓ノ
制限ヲ設ケテ、其ノ防護ニ當ツテ居ル譯デ
アリマス、ソレカラ防空ニ關シマシテハ、
昨年ノ議會ニ於テ市街地建築物法ヲ改正致
シマシテ、サウシテ特別ノ規定ヲ設クルコ
トニナリマシタガ、是ガ實施ニ當リマシテ、
必要ナル省令ヲ目下內務省ニ於テ準備シツ
ツアルノデアリマシテ、近イ將來ニ之ヲ發
布シタイト思ツテ居ルノデアリマス、ソレ
カラ東京、橫濱等ニ於ケル甲種防火地域内
ノ「バラツク」ハ、昭和二十二年マデ其ノ儘認
メルコトニ致シタノデアリマスルガ、是ハ
防空上甚ダ遺憾デアリマスケレドモ、物資
ノ制限其ノ他ノ關係モアリマシテ延期シタ
次第デアリマス、昭和二十二年マデニ耐震
耐火ノ建物ヲ造ルコトニ致シタノハ、時局
ノ關係デゴザイマス、以上簡單ニ御答申上
ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=26
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027・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終了
致シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=27
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028・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出人事調停法
案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=28
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029・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=29
-
030・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マシ、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第三乃至第七ハ同一委員ニ付託シタル議案
デアリマスカラ、一括議題ト爲スニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=30
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031・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第三、昭和十四年度一般會
計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル
法律案、日程第四、作業會計法中改正法律
案、日程第五、兌換銀行劵整理法中改正法
律案、日程第六、農業再保險特別會計法案、
日程第七、海軍工廠資金會計法中改正法律
案、右五案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
マス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長
板谷順助君
第三昭和十四年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律
案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第四作業會計法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
第五兌換銀行劵整理法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第六農業再保險特別會計法案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
第七海軍工廠資金會計法中改正法律
案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十五日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一作業會計法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十五日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一兌換銀行劵整理法中改正法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十五日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一農業再保險特別會計法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年二月十五日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一海軍工廠資金會計法中改正法律案政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年二月十五日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=31
-
032・板谷順助
○板谷順助君 只今議題トナリマシタ昭和
十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公
債發行ニ關スル法律案外四件ニ對シマスル
委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス
先ヅ順序ト致シマシテ此ノ五法律案ノ內容
ヲ簡單ニ說明致シマス、第一ノ法律案ハ、政
府ニ於キマシテ昭和十四年度一般會計ノ歲
出豫算ノ實行上必要ナル、所謂赤字公債發
行ノ權限ヲ得ントスル法律案デアリマス、
卽チ昭和十四年度一般會計ノ歲出總額三十
六億九千四百六十餘万圓ニ對シ、普通歲入
二十八億百三十餘万圓竝ニ前年度剩餘金八
千四百十餘万圓ヲ充當シテ、尙ホ不足スル
八億九百十餘万圓ハ公債財源ニ依ル必要ガ
アルノデアリマスガ、此ノ中現行ノ公債法
ニ依ツテ調達シ得マスル震災善後公債分四
百四十餘万圓ト、道路公債分八百九十餘万
圓ヲ差引キ、尙ホ七億九千五百八十餘万圓
ヲ調達スル必要ガアリマスルノデ、其ノ不
足金額ノ財源ヲ本法ノ赤字公債ニ依ラント
スルモノデアリマス、尙又若干ノ金額ハ例
年ノ通リ翌年度ニ繰越サレル結果トナリマ
スルノデ、此ノ分ハ翌年度ニ於テ發行シ得
ルヤウニスルコトガ、此ノ法律案ノ骨子デ
アリマス、第二ノ法律案ハ海軍火藥廠ノ
据置運轉資本ハ、從來二百万圓デアリマシ
タガ、近年著シク事業ガ增大致シマシタノ
デ、其ノ資本金ヲ倍額、卽チ四百万圓ニ增
額シテ、作業ノ圓滑ナル遂行ヲ圖ラントス
ル案デアリマス、第三ノ法律案ハ、現在ノ
兌換銀行劵整理法ニ依リマスレバ、整理ノ
結果生ジマシタル利得ハ、其ノ全額ヲ國債
償還基金ニ充ツル爲メ、漸次一般會計カラ
國債整理基金特別會計ニ繰入レルコトニナ
ツテ居ルノデアリマスガ、現下我國ノ財政
ノ現狀カラ見マシテ、此ノ際特別會計ニ入
レルコトヲ止メマシテ、其ノ利得金ハ一般
會計ノ歲出ノ財源トシテ使用セントスルノ
案デアリマス、第四ノ法律案ハ、農業保險
法ニ基キマシテ、他ノ政府經營保險事業ノ
場合ニ於ケルト同樣、之ヲ一般會計ヨリ區
分經理シテ、特別會計ヲ設置セントスル案
デアリマス、第五ノ法律案ハ、現行ノ海
軍工廠資金ハ、同廠資金會計法第二條ノ規
定ニ依ル分二千万圓、及ビ同廠資金臨時
補足ニ關スル法律ニ依ル分三千万圓ト相成
ツテ居ルノデアリマスガ、海軍ノ造船及ビ
造兵ノ工廠ニ於ケル事業量ノ激增ニ伴ヒマ
シテ、本資金ノ法定額ヲ五千万圓ニ增額セ
ントスル案デアリマス
以上ノ法案ニ對シマシテ、委員會ハ一月
三十日ヨリ二月十五日マデ十囘ニ亙リ會議
ヲ開キマシタ、其ノ問多數ノ委員諸君カラ
最モ適切ナル御質疑ガアリマシテ、之ニ對
シ政府側カラ關係大臣及ビ各政府委員ヨリ。
ソレ〓〓懇切ナル御答辯ガアリマシタ、質
問ノ主ナルモノト致シマシテハ、國債消化
ニ關シテ有ユル角度ヨリ最モ多ク質問ガ集
中サレマシテ、卽チ公債消化ノ源泉ヲ成ス
國民所得ノ問題、人的資源確保强化ニ關ス
ル問題、公債償還ノ問題、增稅及ビ利拂ノ
問題、公債引受者ノ分布ノ問題、五分利公
債借換ノ問題、物價ト公債ノ關係等、有益
ナル問答ガ交サレマシタ、就中五分利公債
借換ニ對シテハ、最モ痛烈ナル質疑ガ行ハ
レマシタ、又農業保險ニ對シテハ、重ネテ
雪害、冷害及ビ稻熱病豫防對策及ビ農村ニ
於ケル生產力擴充等ノ重要問題ニ付キ政府
ノ意見ヲ質サレマシタ、其ノ他關聯事項ニ
付キマシテモ、有益ナル質疑應答ガ重ネラ
レマシタガ、大體豫算總會ニ於ケル問題ト
大同小異デアリマシテ、多岐ニ亙ツテ居リ
マスカラ此處ニハ省略シテ置キマス、何卒
詳細ハ速記錄ヲ御覽ノ上御諒承ヲ御願致シ
マス
尙ホ此ノ際特ニ諸君ニ御報告申上ゲタキ
コトハ、此ノ委員會ヲ通ジマシテ、銃後ノ
國民ノ熱誠ノ迸リデアリマス所ノ陸海軍ニ
對スル國防獻金ノ收支ニ付キマシテ詳細ナ
ル發表ガアリマシタ、其ノ內容ニ付キマシ
テハ、旣ニ各機關ニ依ツテ公表サレテ居ル
コトデアリマスカラ、此處ニハ省略致シテ
置キマスガ、其ノ報〓書ニ依リマスレバ、
有效適切ナル用途ニ使用サレテ居リマシテ、
國民ハ將來尙ホ一層銃後ノ護リヲ固メ、滅
私奉公ノ誠ヲ捧ゲラレンコトヲ切望スル次
第デアリマス(拍手)
斯クシテ各委員ノ質疑ヲ終リマシテ、五
案ヲ一括シテ議題ニ供シ、討論ニ入リマシ
テ、民政黨ヲ代表シテ松尾四郞君、政友會
ヲ代表シテ森幸太郞君、第一議員倶樂部ヲ
代表シテ平野力三君、社會大衆黨ヲ代表シ
テ塚本重藏君、第二控室ヲ代表シテ道家齊
一郞君、東方會ヲ代表シテ靑木作雄君、是
等ノ諸君カラソレ〓〓希望意見ヲ述ベラレ
マシテ、贊成ノ意ヲ表サレタノデアリマス、
採決ノ結果總員起立、全會一致ヲ以テ可決
確定ヲサレマシタ、何卒諸君ニ於カセラレ
マシテモ滿場一致可決確定アランコトヲ希
望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=32
-
033・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 五案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ド呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=33
-
034・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 異議ナシト認メマ
ス、仍テ五案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=34
-
035・服部崎市
○服部崎市君 直チニ五案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=35
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036・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=36
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037・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ五案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
作業會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
兌換銀行劵整理法中改正法律案
第二讀會(確定議)
農業再保險特別會計法案
第二讀會(確定議)
海軍工廠資金會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=37
-
038・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、五案共委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)-
日程第八、人事調停法案ノ第一讀會ノ續ヲ
開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委
員長牧野賤男君
人事調停法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一人事調停法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年二月十五日
委員長牧野賤男
衆議院議長小山松壽殿
〔牧野賤男君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=38
-
039・牧野賤男
○牧野賤男君 人事調停法案ノ委員會ノ經
過竝ニ結果ヲ御報〓致シマス、本法案ハ家
族、親族間、竝ニ一般ニ家庭ノ紛爭事件ニ
付テ、其ノ調停ヲ致スト云フコトガ目的デ
アリマス、隨テ民法ノ親族法、相續法ノ規
定ハ勿論ノコト、又民事訴訟法等ニ規定致
サレテアリマスル事件ニ關スル事柄ハ勿論
ノコト、是等ノ權利關係ヲ有シナイ所ノ紛
爭デアリマシテモ事家庭ニ關スルコトニ
付キマシテハ、廣ク道義ニ本ヅイテ、溫情
ヲ以テ調停セントスルノガ目的デアリマス、
委員會ニ於キマシテハ、本法案ト親族、相
續法トノ關係、早晩改正セラルベキ親族、
相續法ト共ニ、新ニ制定セラルベキ家事審
判所トノ關係、一般裁判所ノ和解トノ關係、
殊ニ憲法上與ヘラレタル裁判官ノ裁判ヲ受
クルノ權利ヲ侵犯スル虞ナキヤ否ヤトノ點、
民法、親族法、相續法、民事訴訟法、恩給
法等ノ改正ト本法案トノ關係、或ハ目下事
變ニ際シマシテ、出征軍人ノ遺家族間ノ家
庭爭議等ニ付テ必要ニ迫ラレテ居ルト云フ
關係上、臨時的立法ト爲スコトガ適當デア
リヤ否ヤトノ點、是等ニ付キマシテ各委員
諸君ヨリ極メテ重要適切ナル多數ノ質問ガ
アツタノデアリマス、之ニ對シマスル政府
ノ說明ハ、本法ノ目的ハ權利義務ノ關係ノ
ミナラズ、親族、家族ニアラザル所ノ、例
ヘバ內緣ノ關係、或ハ古キ本家、分家ノ關
係等、其ノ他權利ニ立脚セザル所ノ家庭ノ
紛爭等ニ付テ、道義ニ本ヅキ溫情ヲ以テ調
停スルモノデアツテ、親族、相續法、家事
審判所等ト兩立致スモノデアル、民法、親
族、相續法ノ改正マデノ中間立法ニモアラ
ズ、又軍人遺家族間ノ頻發スル事件ニ付テ、
最モ緊急ノ必要アルモノデハアリマスルガ、
法ノ性質ハ臨時的ノモノデハナイ、永久的
ノ立法デアリ、又裁判ニ至ルマデノ事件ノ
調停デアリマシテ、殊ニ强制調停ヲ認メテ
居ナイノデアリマスルカラ、憲法上ノ裁判
官ノ裁判ヲ受クルノ權利ヲ剝奪侵犯スルヤ
ウナ虞ハナイト云フコトニ終始一貫致シテ
居リマス、殊ニ出征軍人遺家族間ノ紛爭事
件ニ付テハ甚ダ深刻ナルモノガアリマシテ、
頗ル急速救濟ヲ要スル事情ニ迫ラレテ居ル
ト云フコトデアリマシテ、委員會ハ再三速
記ヲ中止致シマシテ、政府。委員ヨリ其ノ事
情ヲ聽取致シタノデアリマス、其ノ他本法
ノ運用ニ付キ、又調停委員ノ選任等ニ付テ、
或ハ又此ノ法案ノ名稱、條文ノ字句等ニ付
テ、頗ル有益ナル質疑應答ガアツタノデア
リマス、是等ハ何卒速記錄ニ依ツテ御覽ヲ
賜リタイノデアリマス
討論ニ入リマシテ民政黨ノ伊藤五郞君、
政友會ノ山本芳治君、第一議員倶樂部ノ石
坂繁君、社會大衆黨ノ菊地養之輔君、第二
控室ノ田川大吉郞君等ヨリ、ソレ〓〓本案
贊成ノ代表ノ意見ヲ述ベラレタノデアリマ
スルガ、其ノ討論ノ多數ノ希望ト致シテ、
民法、親族、相續法改正案ヲ次期議會ニ提
出スルコト、恩給法ヲ適當ニ改正スルコト、
家事審判所ヲ速ニ設クルノ方法ヲ講ズルコ
ト等ガ擧ゲラレテ居リマス、蓋シ是等法律
ノ不備〓點點ガ、大多數ノ家庭紛爭ヲ發生セ
シムル原因デアルトノ見地カラ、其ノ弊源
ヲ除カントスルノ御趣意デアリマス、斯ク
テ本案ハ愼重審議ノ結果、滿場一致贊成ノ
決議ヲ致シタノデアリマス、司法大臣ハ各
委員諸君ノ御希望ニ付テ、其ノ希望ニ副フヤ
ウニ努力ヲ致スト云フ御挨拶ガアツタノデ
アリマス、斯樣ニ致シテ滿場一致可決ヲ致シ
マシタカラ此段御報告ヲ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=39
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040・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=40
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041・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=41
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042・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=42
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043・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=43
-
044・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
人事調停法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=44
-
045・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ
通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=45
-
046・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出軍用自
動車檢査法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報告
ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス
(「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=46
-
047・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=47
-
048・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、軍用
自動車檢査法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長山本厚
三君
軍用自動車檢査法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一軍用自動車檢査法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年二月十六日
委員長山本厚三
衆議院議長小山松壽殿
〔山本厚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=48
-
049・山本厚三
○山本厚三君 軍用自動車檢査法案ノ委員
會ニ付キマシテ御報〓申上ゲマス、本案ハ
戰時又ハ事變ニ際シマシテ、軍所要ノ自動
車ノ徵發ヲ確實ナラシメル爲ニ、平素ニ於
テ民間「トラック」ノ檢査ヲ行ハントスルモ
ノデアリマス、四日ニ亙リマシテ、山田、
小平、田村、愛野、瀧澤、森田ノ諸君ト政
府トノ間ニ極メテ重要適切ナル質問應答ガ
アリマシタ、又其ノ間ニ委員ハ親シク陸軍
自動車學校ノ實況ヲ視察ヲ致シマスル等愼
重審議ヲ重ネマシタ、今其ノ質疑ノ重ナル
項目ダケヲ申上ゲヨウト存ジマス
第一ハ本案直接ノ質問デアリマスガ、檢
査及ビ徵發ヲ致シマスルニ當ツテ、當業者
ニ迷惑、損害ヲ掛ケルヤウナコトガアツテ
ハ困ル、左樣ナコトノナイヤウニシテ貰ヒ
タイガドウダト云フ質問、又手當ガ非常ニ
少イモノデアリマスルカラ、アノ大キナ「ト
ラック」ヲ半日檢査ニ用ヒテ僅ニ一圓ヨリ
給サナイ、甚ダ不適當デハナイカト云フ質
問、又徵發價格ガ非常ニ不公平デ、場所ニ
依ツテ非常ニ違フト云フヤウナ質問、規格
ガ不統一デアルカラ、戰地ニ之ヲ用ヒテモ
修繕ヲスルノニ非常ニ困難ヲ感ジテ居ルカ
ラ、平時ニ於テ規格ノ統一ヲシナケレバナ
ルマイ、斯樣ナ質問ガアリマシタ、次ニ關
聯事項ト致シマシテハ、自動車行政ガ今日
ハ內務、鐵道、商工、陸軍ト云フヤウニ、
四ツノ省ニ亙ツテ居ツテ、非常ニ其ノ間不
便ナコトガアルカラ、是ハ一ツニ統一シ
ナケレバナルマイト云フ、是ハ各委員カラ
御質問ガアリマシタ、企畫院總裁カラハ
必要ハ認メテ居ルガ中々困難ナコトデアル
カラ、目下交通ニ關スル委員會等デ愼重〓
究中デアルト云フ答辯ガアリマシタ、次ヘ
自動車ノ製造工業ニ付テハ、ドウモ日本デ
數ノ確保ガ出來ナイ、安心ガ出來ナイデハ
ナイカ、此ノ點ニ付テ非常ニ各委員カラ御
質問ガアリマシタ、又製作技術ノ專門化、
性能ノ增進ヲ圖ラナケレバナラヌ、又製造
ノ根本方策ガ立ツテ居ラヌカラ之ヲ立テナ
ケレバナルマイ、又製造事業ノ擴張整理ヲ
シナケレバ、イザト云フ時ニ間ニ合ハヌヤ
ウナコトハナイカ、其ノ次ニハ國產自動車
ノ製造保護奬勵ニ付テノ質問、又「ガソリ
ン」等液體燃料ニ付テノ質問、是ハ相當ニ
關聯的ニ質問サレマシタ、政府カラモ色々
ノ御答辯ガアリマシタ、次ニ省營「バス」ガ
民間ノ事業ヲ壓迫スルト云フ傾向ガ近來甚
シイガ、是ハ怪シカラヌト云フヤウナ御質
問モアリマシタ
大體以上ノヤウナ質問ガアリマシテ、本
日討論ニ入リマシタガ、各派ノ代表者ヨリ
大體次ニ申上ゲルヤウナ御希望ヲ附シテ御
贊成ガアリマシテ、滿場一致ヲ以テ原案ノ
通リ可決ヲ致シマシタ、其ノ希望意見ノ主
ナルモノヲ御紹介シマスルト、第一ニ先程
申シマシタ檢査徵發ヲ公平ニシ、又迷惑ヲ
掛ケナイコトヲ要望スル、第二ハ規格ノ統
一ヲシナケレバナラナイ、第三ニ行政ノ統
一、第四ニ自動車數ノ確保、第五ニ製作技
術ノ專門化、第六ニ省營「バス」ノ民業壓迫
ヲシナイヤウニシテ貰ヒタイ、此ノ六點ノ
希望意見ガアリマシテ、遂ニ本案ハ滿場一
致可決ヲ見タ次第デアリマス、此段御報〓
申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=49
-
050・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=50
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051・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=51
-
052・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=52
-
053・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=53
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054・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マイ、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
軍用自動車檢査法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=54
-
055・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)-日程第
九及ビ第十ハ同種ノ議案デアリマスカラ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=55
-
056・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
ママ、仍テ日程第九、司法書士法中改正法
律案、日程第十、司法書士法中改正法律案、
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス、順
次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-日程第
九提出者鹽川正藏君
第九司法書士法中改正法律案(鹽川
正藏君外一名提出)第一讀會
第十司法書士法中改正法律案(中山
福藏君外二名提出)第一讀會
司法書士法中改正法律案
司法書士法中左ノ通改正ス
第四條司法書士タルニハ檢定委員ノ考
試ヲ受ケ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受
クルコトヲ要ス
前項ノ考試ニ關スル事項ハ司法大臣之
可以上
第十條ノ二司法書士ハ其ノ事務取扱ノ
統一及改善ヲ圖ル爲其ノ所屬地方裁判
所ノ管轄區域每ニ司法書士會ヲ設立ス
ヘソ
第十條ノ三司法書士會ハ會則ヲ設ケ役
員ニ關スル事項、會議ニ關スル事項、
司法書士ノ風紀保持ニ關スル事項其ノ
他會務處理ニ必要ナル事項ヲ規定スヘ
會則ハ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受ク
ヘシ會則ノ變更ニ付亦同シ
第十條ノ四司法書士會ノ組織、權限及
監督ニ關スル事項ハ司法大臣之ヲ定ム
第十條ノ五司法書士ハ其ノ所屬地方裁
判所ノ司法書士會ニ加入シタル後ニ非
サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第十一條中「品位ヲ失墜スヘキ行爲」ノ下
ニ「若ハ司法書士會ノ會則ニ違反シタル
行爲」ヲ加フ
第十二條司法書士ニ非スシテ司法書士
ノ業務ヲ行ヒタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
附則
本法施法ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ司法書士タル者ハ本法
ニ依ル司法書士ト看做ス
各地方裁判所所屬司法書士ハ本法施行ノ
日ヨリ三月內ニ司法書士會設立ノ爲會則
ヲ定メ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受クヘ
シ
第十條ノ五ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ四
月間之ヲ適用セス
司法書士法中改正法律案
司法書士法中左ノ通改正ス
第四條司法書士タルニハ檢定委員ノ考
試ヲ受ケ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受
クルコトヲ要ス
前項ノ考試ニ關スル事項ハ司法大臣之
アルテム
第十條ノ二司法書士ハ其ノ事務取扱ノ
統一及改善ヲ圖ル爲其ノ所屬地方裁判
所每ニ司法書士會ヲ設ケ地方裁判所長
ノ認可ヲ受クヘシ
第十條ノ三司法書士會ハ會則ヲ設ケ役
員ニ關スル事項、會議ニ關スル事項、
司法書士ノ風紀保持ニ關スル事項其ノ
他會務處理ニ必要ナル事項ヲ規定スヘ
シ
會則ハ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受ク
ヘシ會則ノ變更ニ付亦同シ
第十條ノ四司法書士會ノ組織、權限及
監督ニ關スル事項ハ司法大臣之ヲ定ム
第十條ノ五司法書士ハ其ノ所屬地方裁
判所ノ司法書士會ニ加入シタル後ニ非
サレハ其ノ業務ヲ行フコトヲ得ス
第十一條中「品位ヲ失墜スヘキ行爲」ノ
下ニ「若ハ司法書士會ノ會則ニ違反シ
タル行爲」ヲ加フ
第十二條司法書士ニ非スシテ司法書士
ノ業務ヲ行ヒタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ司法書士タル者ハ本法
ニ依ル司法書士ト看做ス
各地方裁判所所屬司法書士ハ本法施行ノ
日ヨリ三月內ニ司法書士會設立ノ爲會則
ヲ定メ所屬地方裁判所長ノ認可ヲ受クヘ
シ
第十條ノ五ノ規定ハ本法施行ノ日ヨリ四
月間之ヲ適用セス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=56
-
057・塩川正藏
○鹽川正藏君 簡單デアリマスカラ議席カ
ラ發言ノ許可ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=57
-
058・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=58
-
059・塩川正藏
○鹽川正藏君 只今議題トナリマシタ司法
書士法中改正ノ件デアリマスルガ、其ノ提
案理由ヲ御說明致シマス、司法書士ハ裁判
所又ハ檢事局ニ提出スル書面ヲ作製スルコ
トヲ任務ト致シテ居ルモノデアリマス、ソ
レ故ニ司法書士ノ適任者ヲ得ルト否トハ
權利ノ消長ニ重大ナ關係ヲ持ツテ居リマス、
又其ノ巧拙ハ利害關係ニ多大ノ影響ヲ及ボ
スモノデアリマス、仍テ司法書士ニ適當ナ
ル人物ヲ採用シテ權利ヲ擁護シ、併セテ司
法書士ノ地位ノ向上發展ヲ助長致シタイ、
斯ウ云フ趣旨カラ本案ヲ提出シタ次第デア
リマス、ドウカ御賛成アランコトヲ希望致
シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=59
-
060・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 日程第十ハ提出者
ヨリ趣旨辯明省略ノ申出ガアリマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=60
-
061・服部崎市
○服部崎市君 日程第九及ビ第十ノ兩案
ハ、一括シテ政府提出人事調停法案委員ニ
併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=61
-
062・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=62
-
063・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マン、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十一、建築士法案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者星
島二郞君
第十一建築士法案(野村嘉六君外七
名提出)第一讀會
建築士法案
建築士法
第一條建築士ハ建築士ノ稱號ヲ用ヒテ
當事者ノ委囑ニ因リ建築ニ關スル設
計、工事監督、調査又ハ鑑定ヲ業トス
ルモノトス
第二條左ノ條件ヲ具フル者ハ建築士タ
ル資格ヲ有ス
-帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ
私法上ノ能力者タルコト
二建築士試驗ニ合格シ一年六月以上
建築ノ設計監督ニ關スル實務修習ヲ
了ヘタルコト
前項第二號ノ建築士試驗及實務修習ニ
關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前
條第一項第二號ノ規定ニ拘ラス建築士
タル資格ヲ有ス
-建築學ヲ修メタル工學博士
二帝國大學、大學令ニ依ル大學、專
門學校令ニ依ル專門學校又ハ主務大
臣ニ於テ之ト同等以上ト認ムル學校
ニ於テ建築ニ關スル諸學科ヲ修メ定
規ノ課業ヲ卒ヘタル者ニシテ一年以
上建築ノ設計監督ニ關スル實務ニ從
事シタル者
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ建
築士タル資格ヲ有セス
-禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但
シ二年未滿ノ懲役又ハ禁鋼ニ處セラ
レタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ又ハ
其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタ
ル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者
ハ此ノ限ニ在ラス
二前號ニ該當スル者ヲ除クノ外第十
三條又ハ第十四條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處
セラレタル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又
ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リ
クル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル
者ハ此ノ限ニ在ラス
三破產者ニシテ復權ヲ得サル者
四建築士ノ業務ノ停止ノ期間中其ノ
業務ヲ廢止シ未タ其ノ期間ノ經過セ
サル者
五建築士ノ業務ノ禁止ノ處分ヲ受ケ
タル者但シ其ノ處分ヲ受ケタル日ヨ
リ起算シ三年ヲ經過シ主務大臣ニ於
テ改悛ノ情顯著ナリト認メタル者ハ
此ノ限ニ在ラス
第五條建築士タラムトスル者ハ建築士
登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
建築士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六條建築士ノ登錄ヲ受ケムトスル者
ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納村スヘシ
第七條建築士ハ誠實公正ニ其ノ業務ヲ
行フヘシ
第八條建築士ハ其ノ業務ニ關シ委囑者
以外ノ者ヨリ贈與其ノ他ノ利益ヲ受ク
ルコトヲ得ス
第九條建築士ハ自ラ左ノ營業ヲ爲シ又
ハ左ノ營業ヲ爲ス者ノ使用人タルコト
乙酸、
一建築土木ニ關スル請負業
二建築材料ニ關スル商工業
三土地家屋ニ關スル代理業
第十條建築士ハ主務大臣ノ監督ニ屬ス
第十一條建築士本法ノ規定ニ違反シタ
ルトキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲ヲ爲
シタルトキハ主務大臣ハ建築士懲戒委
員會ノ議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ
得
建築士懲戒委員會ニ關スル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條建築士ノ懲戒處分ハ左ノ四種
トス
一譴責
二千圓以下ノ過料
三一年以内建築士ノ業務ノ停止
四建築士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セサルトキハ
主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十三條建築士又ハ建築士タリシ者故
ナク其ノ業務上知得クル事項ニシテ委
囑者ニ必要ナル祕密ヲ漏泄シタルトキ
ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金
三座六人
前項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
第十四條建築士タル資格ヲ有セスシテ
建築士ノ稱號ヲ用ヒ建築士ノ業務ヲ行
ヒタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十五條建築士タル資格ヲ有スルモ其
ノ登錄ヲ受ケスシテ建築士ノ稱號ヲ用
ヒ建築士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ十圓以
上二百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六
號布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ處セ
ラレクル者ハ二年ノ懲役又ハ禁鋼以上ノ
刑ニ處セラレタル者ト看做ス
本法施行ノ際迄引續キ一年以上建築ニ關
ズル設計監督ノ業務又ハ職務ニ從事シタ
ル者ハ本法施行ノ日ヨリ一年以內ニ出願
シタルトキニ限リ第二條第一項第二號ノ
規定ニ拘ラス建築士試驗委員ノ銓衡ヲ經
テ建築士タルコトヲ得
帝國大學、大學令ニ依ル大學、專門學校
令ニ依ル專門學校又ハ主務大臣ニ於テ之
ト同等以上ト認ムル學校ニ於テ土木ニ關
スル諸學科ヲ修メ定規ノ課業ヲ卒ヘタル
者ニシテ引續キ三年以上建築ノ設計監督
ニ關スル業務又ハ職務ニ從事シタル者ハ
本汝施行ノ日ヨリ五年以內ニ出願シタル
トキニ限リ第二條第一項第二號ノ規定ニ
拘ラス建築士試驗委員ノ銓衡ヲ經テ建築
士タルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=63
-
064・星島二郎
○星島二郞君 極メテ簡單デアリマスカラ、
此ノ席ヨリ發言ヲ許可セラレンコトヲ御願
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=64
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065・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=65
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066・星島二郎
○星島二郞君 本案ハ旣ニ度々當議會ニ現
ハレタ問題デアリマシテ、通過シタコトモ
亦再三アルノデアリマス、要スルニ國民生
活ノ非常ニ重要ナル部分デアル建築ヲ、最
近又建築取締法ガ强化セラレ、是ガ中々素
人デハ巧ク行カナイ、ソコデ設計監督其ノ
他ニ付キマシテ適當ナ〓養ト技能ト經驗ヲ
有スル者ヲ建築士ト認定シテ、ソレニヤラ
セヨウト云フノガ提案ノ趣旨デゴザイマス、
ドウゾ御贊成アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=66
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067・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出人事調停法
案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=67
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068・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=68
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069・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日
程第十二及ビ第十三ハ提出者ガ同一デアリ
マスカラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=69
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070・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第十二、裁判所構成法改正法
律案、日程第十三、檢察廳法案、右兩案ヲ一
括シテ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨
辯明ヲ許シマス-提出者野田文一郞君
第十二裁判所構成法改正法律案野
田文一郞君外二十六名提出)
第一讀會
第十三檢察廳法案(野田文一郞君外
二十六名提出)第一讀會
裁判所構成法改正法律案
裁判所構成法
第一章總則
第一條裁判所ハ民事及刑事ヲ裁判ス
第二條裁判所ハ區裁判所、地方裁判所、
控訴院及大審院トス
司法事務上必要アルトキハ法律ヲ以テ
或ル地方裁判所ヲ民事ノミヲ管轄スル
裁判所又ハ刑事ノミヲ管轄スル裁判所
ト爲スコトヲ得
第三條裁判所ニ判事ヲ置ク
第四條裁判ニ關スル職務ノ執行ニ付テ
ハ判事ハ獨立ノ地位ヲ有ス
第五條區裁判所ニ於テハ判事單獨ニテ
裁判ヲ爲ス
地方裁判所ニ於テハ三人ノ判事、控訴
院ニ於テハ五人ノ判事、大審院ニ於テ
ハ七人ノ判事ヲ以テ組織シタル部ニ於
テ合議ニ依リ裁判ヲ爲ス
第六條裁判所ノ設置及管轄區域ハ別ニ
法律ヲ以テ之ヲ定ム
第七條裁判所ニ於テハ國語ヲ用フ
第八條司法年度ハ一月一日ニ始マリ十
二月三十一日ニ終ル
第九條裁判所ノ事務章程ハ司法大臣之
フルガ
大審院ハ自ラ事務章程ヲ定ム
第二章區裁判所
第十條區裁判所ハ民事訴訟ニ於テ左ノ
事件ニ付管轄權ヲ有ス
一千圓ヲ超過セサル金額又ハ價額千
圓ヲ超過セサルモノニ關スル事件ニ
二價額ニ拘ラス左ノ事件
イ住家其ノ他ノ建物ノ賃貸借關係
ニ基ク事件
ロ占有ノミニ關スル事件
反訴ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラス訴訟
法ノ定ムル所ニ依リ管轄權ヲ有ス
第十一條區裁判所ハ刑事訴訟ニ於テ左
ノ事件ニ付管轄權ヲ有ス但シ豫審ヲ經
タルモノ及特ニ大審院ノ管轄ニ屬セシ
メタルモノハ此ノ限ニ在ラス
一拘留又ハ科料ニ該ル罪ノ事件
二短期一年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ該
ル罪ヲ除ク外有期ノ懲役若ハ禁鋼又
ハ罰金ニ該ル罪ノ事件
第十二條區裁判所ハ破產事件ニ付管轄
權ヲ有ス
第十三條區裁判所ハ法律ニ別段ノ定ア
ル場合ヲ除ク外非訟事件ニ付管轄權ヲ
有ス
非訟事件中登記事務ハ錄事ヲシテ之ヲ
取扱ハシムルコトヲ得
第十四條區裁判所ノ權限及權限行使ノ
方法ハ本法ニ規定スルモノノ外訴訟法
其ノ他ノ法律ノ定ムル所ニ依ル
第十五條司法大臣ハ區裁判所ノ事務ノ
一部ヲ同一地方裁判所ノ管轄區域内ノ
他ノ區裁判所ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
第十六條司法大臣ハ區裁判所ノ事務ノ
一部ヲ取扱ハシムル爲區裁判所出張所
ヲ設置スルコトヲ得
第十七條判事二人以上ヲ置キタル區裁
判所ニ於テハ司法大臣ハ其ノ一人ヲ監
督判事トス
第十八條監督判事又ハ判事一人ノ區裁
判所ニ於テハ其ノ判事ハ其ノ廳ノ行政
事務ヲ掌ル
監督判事差支アルトキハ他ノ判事席次
ノ順序ニ依リ之ヲ代理ス
判事一人ノ區裁判所ニ於テ其ノ判事差
支アルトキハ裁判事務ノ代理ヲ爲ス判
事之ヲ代理ス
第十九條區裁判所ノ事務ハ各判事ニ分
配ス
第二十條判事差支アルトキハ其ノ區裁
判所又ハ他ノ區裁判所判事之ヲ代理ス
第二十一條區裁判所ニ於ケル事務分配
及代理順序ハ地方裁判所長每年豫メ之
マルチノ
第二十二條司法大臣ハ區裁判所カ事務
ヲ取扱フコトヲ得サル事由ヲ生シクル
場合ニ於テハ地方裁判所長ノ每年豫メ
定メタル順序ニ依リ他ノ區裁判所ヲシ
テ代リテ之ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第二十三條事務ノ分配ハ司法年度中之
ヲ變更セス但シ判事事務分擔著シク不
均衡ト爲リタル場合又ハ轉職、退職、
疾病其ノ他ノ事故ニ因リ引續キ差支ヲ
生シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十四條區裁判所判事差支ノ爲或ル
事件ヲ取扱フコトヲ得ス裁判所ノ判事
中其ノ代理ヲ爲シ得ヘキ者ナキ場合ニ
於テ其ノ事件緊急ナリト認ムルトキハ
地方裁判所長ハ地方裁判所判事ニ其ノ
代理ヲ命スルコトヲ得
第三章地方裁判所
第二十五條地方裁判所ハ民事訴訟ニ於
テ左ノ事件ニ村管轄權ヲ有ス
-第一審トシテ
區裁判所ノ管轄ニ屬スルモノヲ除キ
其ノ他ノ事件
二第二審トシテ
イ區裁判所ノ判決ニ對スル控訴
ロ區裁判所ノ決定及命令ニ對スル
抗〓
第二十六條地方裁判所ハ刑事訴訟ニ於
テ左ノ事件ニ付管轄權ヲ有ス
-第一審トシテ
區裁判所ノ管轄ニ屬スルモノ及特ニ
大審院ノ管轄ニ屬セシメタルモノヲ
除キ其ノ他ノ事件
二第二審トシテ
イ區裁判所ノ判決ニ對スル控訴
ロ大審院ノ管轄ニ屬スルモノヲ除
ク外區裁判所ノ決定命令ニ對スル
抗告
第二十七條地方裁判所ハ非訟事件ニ關
スル區裁判所ノ決定及命令ニ對スル抗
告ニ付管轄權ヲ有ス
第二十八條地方裁判所ニ一又ハ二以上
ノ民事部及刑事部ヲ置ク、
部ノ數ハ司法大臣之ヲ定ム
第二十九條地方裁判所ニ所長ヲ置ク
部ニ部長ヲ置ク
第三十條所長ハ部長ト爲リ且其ノ廳ノ
行政事務ヲ、部長ハ裁判長ト爲リ部ノ
行政事務ヲ掌ル
第三十一條所長差支アルトキハ席次ノ
順序ニ依リ部長之ヲ代理ス
部長差支アルトキハ席次ノ順序ニ依リ
部員之ヲ代理ス
第三十二條豫審事務ヲ取扱フヘキ判事
ハ司法大臣之ヲ命ス
第三十三條地方裁判所ノ事務ハ之ヲ各
部各豫審判事及其ノ他ノ各判事ニ分配
ス各部長、部員ノ配置及所長、部長、
部員差支アル場合ニ於ケル代理ノ順序
ハ部長及上席判事ト協議シテ所長每年
豫メ之ヲ定ム
第三十四條地方裁判所判事差支ノ爲或
ル事件ヲ取扱フコトヲ得ス且其ノ廳ノ
判事中代理ヲ爲シ得ヘキ者ナキ場合ニ
於テ所長ハ其ノ管轄區域內ノ區裁判所判
事又ハ豫備判事ニ其ノ代理ヲ命スルコ
トヲ得但シ豫備判事ハ各部一人ニ限ル
前項ノ場合ニ於テ緊急ノ必要アリト認
ムルトキハ控訴院長ハ管轄區域内ノ他
ノ地方裁判所判事ヲシテ豫審事務ヲ取
扱ハシムルコトヲ得
第三十五條民事地方裁判所及刑事地方
裁判所アル場合ニ於テ裁判事務上必要
アリト認ムルトキハ控訴院長ハ民事地
方裁判所又ハ刑事地方裁判所ノ判事ニ
其ノ管轄區域ヲ同シクスル刑事地方裁
判所又ハ民事地方裁判所ノ判事ノ代理
ヲ命スルコトヲ得
第三十六條第十四條及第二十三條ノ規
定ハ地方裁判所ニ之ヲ準用ス
第三十七條司法大臣ハ地方裁判所ノ事
務ノ一部ヲ取扱ハシムル爲支部ヲ設置
スルコトヲ得
支部ノ上席ノ部長又ハ上席ノ判事ハ支
部ノ行政事務ヲ掌ル
上席ノ部長又ハ上席ノ判事差支アル場
合ニ之ヲ代理スヘキ者ハ司法大臣ノ定
ムル所ニ依ル
第四章控訴院
第三十八條控訴院ハ左ノ事件ニ付管轄
權ヲ有ス
-地方裁判所ノ第一審判決ニ對スル
控訴
二大審院ノ管轄ニ屬スルモノヲ除ク
外地方裁判所ノ第一審トシテ爲シタ
ル決定及命令ニ對スル抗告
第三十九條控訴院ニ院長ヲ置ク
部ニ部長ヲ置ク
第四十條院長ハ部長ト爲リ且其ノ廳ノ
行政事務ヲ掌ル
部長ハ裁判長ト爲リ其ノ部ノ行政事務
マルナ
第四十一條院長ハ判事差支ノ爲或ル事
件ヲ取扱フコトヲ得ス且其ノ廳ノ判事
中代理ヲ爲シ得ヘキ者ナキ場合ニ於テ
其ノ事件緊急ナリト認ムルトキハ管轄
區域內ノ地方裁判所判事ニ其ノ代理ヲ
命スルコトヲ得但シ豫備判事ニ之ヲ命
スルコトヲ得ス
第四十二條第十四條、第二十三條、第
二十八條、第三十一條及第三十三條ノ
規定ハ控訴院ニ之ヲ準用ス
第五章大審院
第四十三條大審院ハ左ノ事件ニ付管轄
權ヲ有ス
-終審トシテ
イ上〓
ロ地方裁判所ノ第二審トシテ爲シ
タル決定及命令竝控訴院ノ決定及
命令ニ對スル抗〓
ハ地方裁判所又ハ區裁判所ノ爲シ
タル上〓棄却ノ決定ニ對スル抗〓
二第一審ニシテ終審トシテ、
刑法第七十三條、第七十五條、第七
十七條乃至第七十九條及第八十一條
乃至第八十九條ノ罪竝治安維持法第
一條第一項ノ罪及其ノ未遂ノ罪ノ事
件
第四十四條大審院ニ院長ヲ置ク
部ニ部長ヲ置ク
第四十五條院長ハ部長ト爲リ且其ノ廳
ノ行政事務ヲ掌ル
部長ハ裁判長ト爲リ其ノ部ノ行政事務
ヲルを
第四十六條院長ハ判事差支ノ爲或ル事
件ヲ取扱フコトヲ得ス且其ノ廳ノ判事
中代理ヲ爲シ得ヘキ者ナキ場合ニ於テ
事件緊急ナリト認ムルトキハ控訴院ノ
判事ニ其ノ代理ヲ命スルコトヲ得
第四十七條法律上ノ點ニ付爲シタル大
審院ノ裁判ハ當該事件ノ裁判ニ付裁判
所ヲ覊束ス
第四十八條大審院ニ於テ法律上ノ點ニ
付前ニ爲シタル裁判ト異ル裁判ヲ爲サ
ントスルトキハ事件ノ性質ニ從ヒ民事
若ハ刑事ノ總部又ハ民事及刑事ノ總部
ヲ聯合シタル部ニ於テ審判ヲ爲ス
聯合審判ハ當該事件ヲ擔任スル部ノ請
求ニ因リ院長之ヲ命ス
第四十九條聯合部ハ相當ト認ムルトキ
ハ當該法律上ノ點ニ限リ裁判ヲ爲スコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ聯合審判ノ請
求ヲ爲シタル部ニ於テ事件ヲ完結ス
第五十條聯合部ノ審判ハ聯合部ノ判事
三分ノ二以上關與シテ之ヲ爲ス
前項ノ場合ニ於テハ聯合部ノ判事中席
次最モ高キ者ヲ部長トス但シ院長ニ自
ラ部長ト爲ルコトヲ得
第五十一條院長ハ第一審ニシテ終審タ
ルヘキ刑事ノ事件ニ付其ノ廳ノ判事ニ
豫審ヲ命ス但シ便宜ニ依リ他ノ裁判所
ノ判事ニ豫審ヲ命スルコトヲ得
第五十二條第十四條、第二十三條、第
二十八條、第三十一條及第三十三條ノ
規定ハ大審院ニ之ヲ準用ス
第六章判事
第五十三條判事ハ三年以上辯護士トシ
テ實務ニ從事シタル者ヨリ之ヲ任ス
第五十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ判事ニ任セラルルコトヲ得ス
一禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二破產ノ宣告ヲ受ケ復權セサル者
三懲戒處分ニ因リ免官セラレタル者
又ハ辯護士法ニ依リ除名セラレタル
者
第五十五條新ニ判事ニ任セラレタル者
ハ一時豫備判事トシテ地方裁判所ニ勤
務セシムルコトヲ得
第五十六條判事ハ終身官トシ親任、勅
任又ハ奏任トス
第五十七條大審院長ハ親任判事ヲ以テ
之ヲ親補ス
控訴院長、大審院部長及地方裁判所長
ハ司法大臣ノ上奏ニ因リ勅任判事ヲ以
テ之ヲ補シ其ノ他ノ判事ノ職ハ勅任判
事又ハ奏任判事ヲ以テ司法大臣之ヲ補
ス
第五十八條五年以上判事タル者ニ非サ
レハ控訴院判事ニ補セラルルコトヲ得
ス
第五十九條十年以上判事タル者ニ非サ
レハ大審院判事ニ補セラルルコトヲ得
ス
第六十條判事タル資格ヲ有スル者ニシ
テ左ニ揭クルモノノ在職ハ前二條ノ適
用ニ付テハ之ヲ判事ノ在職ト看做ス
-朝鮮總督府判事
二臺灣總督府法院判官
三關東廳法院判官
四南洋廳判事
五實務ニ從事スル辯護士
六帝國大學令又ハ大學令ニ依ル大學
ニ於テ民事又ハ刑事ニ關スル法律學
ノ〓授ヲ擔任スル〓授、助〓授又ハ
專任〓員
七行政裁判所長官及行政裁判所評定
官
八司法次官、司法省各局長及司法書
記官
九訴訟事件及非訟事件ニ關スル事務
竝登記事務ニ從事スル領事官
第六十一條判事ハ在職中左ノ諸件ヲ爲
スコトヲ得ス
一公然政事ニ關係スルコト
二政黨ノ黨員又ハ政社ノ社員ト爲ル
コト
三帝國議會ノ議員又ハ道府縣市町村
ノ議會ノ議員トナルコト
四行政事務ニ關スル公務ヲ兼ヌルコト
五商業ヲ營ミ又ハ營利ヲ目的トスル
法人ノ役員ト爲ルコト
第六十二條司法事務上必要アルトキハ
司法大臣ハ控訴院又ハ大審院ノ總會ノ
決議ニ依リ判事ニ轉職ヲ命スルコトヲ
得
第六十三條判事身體又ハ精神ノ衰弱ニ
因リ職務ヲ執ルコト能ハサルニ至リタ
ルトキハ控訴院又ハ大審院ノ總會ノ決
議ニ依リ之ニ退職ヲ命スルコトヲ得
疾病其ノ他已ムコトヲ得サル事由アル
場合ニ於テハ本人ノ願ニ依リ前項ノ規
定ニ拘ラス之ニ退職ヲ命スルコトヲ得
第六十四條前二條ノ總會ニ關スル事項
ハ司法大臣之ヲ定ム
第六十五條法律ヲ以テ裁判所ノ組織ヲ
變更シ又ハ之ヲ廢シタル場合ニ於テ其
ノ判事ヲ補スヘキ關位ナキトキハ司法
大臣ハ之ニ俸給ノ半額ヲ給シテ闕位ヲ
待タシム
第六十六條判事禁錮以上ノ刑ニ處セラ
レタルトキハ其ノ官ヲ失フ
第六十七條判事ハ第六十二條ノ規定ニ
依ルノ外懲戒ノ處分ニ因ルニ非サレハ
其ノ意ニ反シテ轉官、轉職又ハ免官セ
ラルルコトナシ
前項ノ規定ハ豫備判事ニ對シ勤務スヘ
キ裁判所ノ變更ヲ命スルコトヲ妨ケス
第六十八條判事ニ對シ懲戒訴追又ハ刑
事訴追ヲ始メタル爲法律上職務ヲ執ラ
シムルコト能ハサル期間內ハ俸給ノ三
分ノ一ヲ減ス
第六十九條判事ノ席次ハ司法大臣之ヲ
定ム
第七章錄事及通譯官吏
第七十條裁判所ニ錄事ヲ置ク錄事ハ奏
任又ハ判任トス
錄事ハ民事及刑事ノ審理ニ關スル準
備、法廷ノ立會、調書ノ作成、記錄ノ
整理保管其ノ他法令ノ定ムル事務ヲ取
扱フ
錄事ハ前項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ裁判
所ニ於ケル諸般ノ事務ヲ取扱フ
第七十一條地方裁判所及錄事二人以上
ヲ置キタル區裁判所ニュm督錄事、控訴
院及大審院ニ錄事長ヲ置ク
錄事ノ職ハ司法大臣之ヲ補ス
監督錄事及錄事長ハ上官ノ命ヲ受ケ錄
事ノ事務ヲ監督ス
第七十二條裁判所ニ通譯官及通譯吏ヲ
置クコトヲ得
通譯官ハ奏任、通譯吏ハ判任トス
通譯官及通譯吏ノ職ハ司法大臣之ヲ補
ス
第八章開延
第七十二條開延ハ裁判所又ハ支部ニ於
テ之ヲ爲ス
事務ノ處理上必要ナル事情アルトキハ
司法大臣ノ許可ヲ受ケ管轄區域內ノ一
定ノ場所ニ於テ開廷ヲ爲スコトヲ得
第七十四條開廷中秩序ノ維持及審判ノ
指揮ハ裁判長ニ屬ス
第七十五條開延ハ定數ノ判事列席シテ
之ヲ爲ス但シ裁判所ノ長ハ裁判長ノ請
求ニ因リ補充判事ヲ命スルコトヲ得
補充判事ハ審判ニ立會ヒ判事差支アル
トキ之ニ代ルモノトス
第七十六條安寧秩序又ハ風俗ヲ害スル
ノ虞アルトキハ裁判所ハ決定ヲ以テ對
審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得
第七十七條對審ノ公開ヲ停ムルノ決定
ハ理由ヲ開示シテ之ヲ言渡スヘシ
第七十八條判決ノ言渡ハ之ヲ公開ス但
シ理由ニ付テハ安寧秩序又ハ風俗ヲ害
スルノ虞アルトキハ裁判所ハ決定ヲ以
テ公開ヲ停ムルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ前條ノ規定ヲ準用ス
第七十九條公開ヲ停メタルトキト雖裁
判長ハ相當ト認ムル者ノ入廷ヲ許スコ
トヲ得
第八十條裁判長ハ未成年者、裁判所ノ
威儀ニ適セサル風體ヲ爲ス者其ノ他秩
序維持ニ害アリト認ムル者ノ入廷ヲ禁
シ又ハ之ヲ退廷セシムルコトヲ得
第八十一條裁判長ハ法廷ノ秩序維持ノ
爲必要ト認ムルトキハ開廷中審判ヲ妨
ケ又ハ不當ノ行狀ヲ爲ス者ヲ閉廷迄留
置スルコトヲ得
裁判所ハ決定ヲ以テ前項ノ違反者ヲ五
百圓以下ノ過料又ハ五日以內ノ勾置ニ
處スルコトヲ得
留置命令及其ノ理由ハ之ヲ訴訟記錄ニ
記載スヘシ
第八十二條過料又ハ勾置ヲ命スル裁判
ニ對シテハ該事件ノ手續ニ從ヒ卽時抗
告ヲ爲スコトヲ得
勾置ニ付テハ勾留ニ關スル規定ヲ準用ス
第八十三條第八十一條ノ場合ニ於テ其
ノ行爲刑ヲ科スヘキモノナルトキ及法
廷ニ於テ僞證其ノ他ノ犯罪アリタルト
キハ裁判長ハ事實ヲ明確ニシテ事件ヲ
檢事ニ送致スヘシ此ノ場合ニ於テ必要
アルトキハ裁判長ハ違反者ノ逮捕ヲ命
スルコトヲ得
第八十四條第七十四條及第七十六條乃
至前條ノ規定ハ區裁判所判事、豫審判
事及受命判事ノ審判ニ之ヲ準用ス但シ
裁判長ノ權限ハ審判ヲ爲シタル判事之
マリフ
第八十五條豫審判事又ハ受命判事ノ爲
シタル過料又ハ勾置ノ裁判ニ對シテハ
二日以内ニ判事所屬ノ裁判所ニ異議ノ
申立ヲ爲スコトヲ得
抗告ハ異議ニ付テノ裁判ニ對シテ之ヲ
爲スコトヲ得
第八十六條法廷ニ於テハ審判ニ關與ス
ル判事、檢事、錄事及辯護士ハ一定ノ
制服ヲ着ス
第九章合議
第八十七條裁判ノ合議ハ裁判長之ヲ開
キ且之ヲ整理ス
合議ハ之ヲ公行セス
合議ノ〓末竝各判事ノ意見及多少ノ數
ニ付テハ嚴ニ祕密ヲ守ルヘシ
第八十八條合議ニ於テハ席次低キ判事
ヨリ順次意見ヲ陳述シ裁判長ヲ終トス
判事ハ意見ノ陳述ヲ拒ムコトヲ得ス
第八十九條裁判ハ過半數ノ意見ニ依ル
數額ニ付判事ノ意見三說以上ニ分レ何
レモ過半數ニ達セサルトキハ過半數ニ
達スル迄多額ノ意見ヨリ順次寡額ニ合
算ス
刑事ニ付意見三說以上ニ分レ何レモ過
半數ニ達セサルトキハ過半數ニ達スル
迄被告人ニ不利ナル意見ヨリ順次利益
ナル意見ニ合算ス
第十章司法行政ノ監督
第九十條司法大臣ハ裁判所ヲ監督ス
大審院長、控訴院長及地方裁判所長ハ
各其ノ廳及管轄區域內ノ下級裁判所ヲ
監督ス
區裁判所ノ監督判事又ハ一人ノ判事ハ
其ノ廳ヲ監督ス
第九十一條司法大臣及監督權アル判事
ハ不適當ナル事務取扱ニ關シテ注意ヲ
爲シ且職務ノ內外ヲ問ハス地位ニ不相
應ナル行狀ニ對シテ諭告ヲ爲スコトヲ
得但シ處分前當該官吏ヲシテ辯明ヲ爲
サシムヘシ
第九十二條前條ノ規定ハ法令ニ依ル懲
戒ノ事由アル場合ニハ之ニ適用セス
第九十三條本章ノ規定ニ依ル監督權ノ
行使ハ事件ノ裁判ニ關スル判事ノ職務
ノ實行ニ影響ヲ及ホスコトナシ
第九十四條司法事務取扱ノ延滯又ハ不
適當ナル事務取扱ニ對シテハ利害關係
人ハ司法大臣又ハ監督權アル判事ニ之
ヲ申告スルコトヲ得
附則
第九十五條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第九十六條裁判所構成法施行條例ハ之
8歳以
第九十七條本法施行前裁判所ノ受理シ
タル訴訟ノ管轄ニ付テハ從前ノ規定ニ
依ル但シ本法ニ依リ其ノ裁判所ノ管轄
ニ屬スルモノハ此ノ限ニ在ラス
第九十八條本法施行前ニ聯合審判ヲ命
シタル事件ノ聯合審判ニ付テハ仍從前
ノ規定ニ依ル
第九十九條本法施行ノ際現ニ從前ノ規
定ニ依ル判事ノ資格ヲ有スル者ハ本法
施行後ト雖仍其ノ資格ヲ有ス大審院判
事又ハ控訴院判事ニ補セラルル資格ニ
付亦同シ
第百條舊刑法ノ重罪ノ刑又ハ禁錮ニ處
セラレタル者ハ第五十四條ノ規定ノ適
用ニ付テハ之ヲ禁錮以上ノ刑ニ處セラ
レタルモノト看做ス
第百一條本法施行ノ際現ニ從前ノ規定
ニ依リ裁判所書記タル資格ヲ有スル者
ハ本法施行後ト雖仍裁判所錄事タル資
格ヲ有ス
第百二條本法施行前從前ノ規定ニ依リ
罰金又ハ拘留ニ處スヘキ行爲ヲ爲シタ
ル者ニシテ本法施行ノ際未タ其ノ裁判
ヲ受ケサルモノハ本法ニ依リ處罰ス但
シ過料ノ額バ從前ノ規定ニ依ル額ヲ超
ユルコトヲ得ス
第百三條本法施行前從前ノ規定ニ依リ
爲シタル罰金又ハ拘留ノ裁判及陳述禁
止處分ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
第百四條本法施行ノ際現ニ裁判所勤務
ノ裁判所書記又ハ書記長ハ別ニ辭令ヲ
用ヒス同官等俸給ヲ以テ裁判所錄事ニ
任セラレ各其ノ現ニ勤務スル裁判所ノ
錄事又ハ錄事長ニ補セラレタルモノト
ス
第百五條違警罪卽决例、明治三十二年
法律第七十號及刑事交涉法ハ本法ノ爲
ニ變更ヲ受クルコトナシ
第百六條他ノ法令中裁判所勤務ノ裁判
所書記ニ關スル規定ハ之ヲ裁判所錄事
ニ關スル規定トシ裁判所書記長ニ關ス
ル規定ハ之ヲ裁判所錄事長ニ關スル規
定トス
第百七條裁判所勤務ノ裁判所書記ノ職
務上ノ行爲ハ之ヲ裁判所錄事ノ職務上
ノ行爲ト看做ス
檢察廳法案
檢察廳法
第一條檢察廳ハ區檢察廳、地方檢察廳、
檢察院及總檢察院トス
司法大臣ハ地方檢察廳ノ事務ノ一部ヲ
取扱ハシムル爲支廳ヲ設置スルコトヲ
得
第二條檢察廳ニ檢事ヲ置ク
第三條檢事ハ公訴ヲ實行シ、裁判ノ執
行ヲ指揮シ其ノ他公益上必要ナル事項
ニ付法令ノ定ムル職權ヲ行フ
第四條區檢察廳ノ檢事ハ區裁判所ノ管
轄ニ屬スル事項、地方檢察廳ノ檢事ハ
地方裁判所ノ管轄ニ屬スル事項、檢察
院ノ檢事ハ控訴院ノ管轄ニ屬スル事項、
總檢察院ノ檢事ハ大審院ノ管轄ニ屬ス
ル事項ニ付其ノ職務ヲ行フ
第五條總檢察院ニ檢事總長、檢察院ニ
檢事長、地方檢察廳ニ檢事正ヲ置ク
檢事二人以上ヲ置キタル區檢察廳ニ於
テハ其ノ一人ヲ首席檢事トス
第六條檢事總長ハ總檢察院ノ長、檢事
長ハ檢察院ノ長、檢事正ハ地方檢察廳
ノ長ト爲リ各其ノ廳ノ行政事務ヲ掌ル
支廳ノ上席ノ檢事、首席檢事又ハ檢事
一人ノ支廳若ハ區檢察廳ニ於テハ其ノ
檢事ハ檢事正ノ命ヲ承ケ其ノ廳ノ行政
事務ヲ掌ル
第七條檢察廳ノ設置及管轄區域ハ別ニ
法律ヲ以テ之ヲ定ム
第八條檢事ハ左ニ揭グル者ヨリ之ヲ任
ズ
一三年以上辯護士トシテ實務ニ從事
シタル者
二判事及判事タル資格ヲ有スル朝鮮
總督府判事及朝鮮總督府檢事
第九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ檢
事ニ任ゼラルルコトヲ得ズ
一禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二破產ノ宣告ヲ受ケ復權セザル者
三懲戒ノ處分ニ因リ免官セラレタル
者又ハ辯護士法ニ依リ除名セラレタ
ル者
第十條檢事ハ親任、勅任又ハ奏任トス
檢事總長ハ親任檢事ヲ以テ之ヲ親補ス
檢事長ハ司法大臣ノ上奏ニ因リ勅任檢
事ヲ以テ之ヲ補シ其ノ他ノ檢事ノ職ハ
勅任檢事及奏任檢事ヲ以テ司法大臣之
乙酸
第十一條新ニ檢事ニ任ゼラレタル者ハ
一時豫備檢事トシテ區檢察廳又ハ地方
檢察廳ニ勤務セシムルコトヲ得
第十二條檢事總長年齡六十五年、其ノ
他ノ檢事ノ職ニ在ル者年齡六十三年ニ
達シタルトキハ退職トス但シ司法大臣
ハ三年以內ノ期限ヲ定メ仍在職セシム
ルコトヲ得
第十三條檢事身體又ハ精神ノ衰弱ニ因
リ職務ヲ執ルコト能ハザルニ至リタル
トキハ總檢察院ノ總會ノ決議ニ依リ之
ニ退職ヲ命ズルコトヲ得
疾病其ノ他已ムコトヲ得ザル事由アル
場合ニ於テハ本人ノ願ニ依リ前項ノ規
定ニ拘ラズ之ニ退職ヲ命ズルコトヲ得
第一項ノ總會ニ關スル事項ハ司法大臣
之ヲ定ム
第十四條法律ヲ以テ檢察廳ノ組織ヲ變
更シ又ハ之ヲ廢シタル場合ニ於テ其ノ
檢事ヲ補スベキ關位ナキトキハ司法大
臣ハ之ニ俸給ノ半額ヲ給シテ關位ヲ待
タシム
第十五條檢事禁錮以上ノ刑ニ處セラレ
タルトキハ其ノ官ヲ失フ
第十六條檢事ハ懲戒ノ處分ニ因ルニ非
ザレバ其ノ意ニ反シテ轉官又ハ免官セ
ラルルコトナシ
檢事ノ懲戒ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ
之ヲ定ム
第十七條檢事ニ對シ懲戒訴追又ハ刑事
訴追ヲ始メタル爲法律上職務ヲ執ラシ
ムルコト能ハザル期間內ハ俸給ノ三分
ノ一ヲ減ズ
第十八條檢察廳ニ錄事ヲ置ク
錄事ハ奏任又ハ判任トス
錄事ハ書類ノ作成、記錄ノ整理保管其
ノ他法令ノ定ムル事務ヲ取扱フ
錄事ハ前項ノ外上官ノ指揮ヲ承ケ檢察
廳ニ於ケル諸般ノ事務ヲ取扱フ
第十九條地方檢察廳及錄事二人以上ヲ
置キタル區檢察廳ニ首席錄事、檢察院
及總檢察院ニ錄事長ヲ置ク
錄事ノ職ハ司法大臣之ヲ補ス
首席錄事及錄事長ハ上官ノ命ヲ承ケ錄
事ノ事務ヲ監督ス
第二十條檢察廳ニ通譯官及通譯吏ヲ置
クコトヲ得
通譯官ハ奏任、通譯吏ハ判任トス
通譯官及通譯吏ノ職ハ司法大臣之ヲ補
ス
第二十一條司法大臣ハ公訴ノ實行ニ付
檢事ヲ指揮ス
檢事總長以外ノ檢事ニ對スル指揮ハ
檢事總長ヲ經由シテ之ヲ爲ス但シ緊急
ノ必要アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ指揮ヲ爲シタル
トキハ司法大臣ハ檢事總長ニ其ノ指揮
ヲ爲シタル事項ヲ通告ス
第二十二條檢事總長、檢事長及檢事正
ハ公訴ノ實行ニ付各其ノ廳及管轄區域
內ノ檢察廳ノ檢事ヲ指揮ス
檢事總長、檢事長及檢事正ハ公訴ノ實
行ニ付各其ノ廳及管轄區域內ノ檢察廳
ニ於テ或ル檢事ノ取扱フベキ事務ヲ自
ラ取扱ヒ又ハ之ヲ他ノ檢事ニ移スコト
ヲ得
第二十三條檢事ハ犯罪ノ搜査其ノ他職
務ノ執行ニ付司法警察官吏ヲ指揮ス
第二十四條司法大臣ハ檢察廳ヲ監督ス
第二十五條檢事總長、檢事長及檢事正
ハ各其ノ廳及管轄區域內ノ檢察廳ヲ監
督ス·
區檢察廳ノ首席檢事又ハ一人ノ檢事ハ
其ノ廳ヲ監督ス
第二十六條檢事總長、檢事長及檢事正
ハ各其ノ廳ノ檢事ヲシテ監督事務ノ
部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第二十七條檢事總長、檢事長、檢事正、
支廳ノ上席ノ檢事又ハ首席檢事差支
アルトキハ各其ノ廳ノ檢事席次ノ順序
ニ依リ之ヲ代理ス
檢事一人ノ支廳又ハ區檢察廳ノ檢事差
支アルトキハ其ノ廳ヲ監督スル檢事正
ハ其ノ職務ヲ代理スベキ者ヲ命ズ
檢事ノ席次ハ司法大臣之ヲ定ム
第二十八條司法警察官及司法警察官ノ
職務ヲ行フ者ニ對スル監督ハ前四條ノ
例ニ依ル
第二十九條檢察廳ノ事務取扱ノ延滯又
ハ不適當ナル執務若ハ處分ニ對シテハ利
害關係人ハ直近上級ノ監督官廳ニ抗〓
ヲ爲スコトヲ得但シ裁判所ニ於テ取消
又ハ變更ヲ命ズルコトヲ得ル檢事ノ處
分ハ此ノ限ニ在ラズ
抗〓ハ原檢察廳ヲ經由シテ書面ヲ以テ
之ヲ爲スベシ
第三十條抗告ニ對スル處分ハ抗〓申立
人ニ通知スベシ
第三十一條檢察廳ノ事務章程ハ司法大
臣之ヲ定ム
附則
第三十二條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十三條區檢察廳ノ檢事ノ職務ハ當
分ノ內司法警察官又ハ其ノ職務ヲ行フ
者ヲシテ之ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第三十四條本法施行ノ際現ニ從前ノ規
定ニ依リ檢事タル資格ヲ有スル者ハ本
法施行後ト雖仍其ノ資格ヲ有ス
第三十五條從前ノ檢事局ハ第八條ノ適
用ニ付テハ之ヲ檢察廳ト看做ス
第三十六條舊刑法ノ重罪ノ刑又ハ禁錮
ニ處セラレタル者ハ第九條ノ適用ニ付
テハ之ヲ禁鋼以上ノ刑ニ處セラレタル
モノト看做ス
第三十七條本法施行ノ際現ニ從前ノ規
定ニ依リ裁判所書記タル資格ヲ有スル
者ハ本法施行後ト雖仍檢察廳錄事タル
資格ヲ有ス
第三十八條本法施行ノ際現ニ檢事ノ職
ニ在ル者ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ同官等俸
給ヲ以テ檢事ニ任ゼラレタルモノトシ
各區裁判所檢事局ノ檢事ハ當該區檢察
廳ノ檢事ニ、各地方裁判所檢事局ノ檢
事又ハ栓專正ハ當該地方檢察廳ノ檢事
又ハ檢事正ニ、各控訴院檢事局ノ檢事
又ハ檢事長ハ當該檢察院ノ檢事又ハ檢
事長ニ、大審院檢事局ノ檢事又ハ檢事
總長ハ總檢察院ノ檢事又ハ檢事總長ニ
補セラレタルモノトス
本法施行ノ際現ニ休職中ノ檢事又ハ退
職檢事タル者ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ各休
職又ハ退職ノ儘檢事ニ任ゼラレタルモ
ノトス
第三十九條本法施行ノ際現ニ檢事局勤
務ノ裁判所書記ハ別ニ辭令ヲ用ヒズ同
俸給ヲ以テ檢察廳錄事ニ任ゼラレタル
モノトシ各區裁判所檢事局勤務ノ書記
ハ當該區檢察廳ノ錄事ニ、各地方裁判
所檢事局勤務ノ書記ハ當該地方檢察廳
ノ錄事ニ、各控訴院檢事局勤務ノ書記
ハ當該檢察廳ノ錄事ニ、太審院檢事局
勤務ノ書記ハ總檢察院ノ錄事ニ補セラ
レタルモノトス
第四十條本法施行前區裁判所檢事局ニ
於テ受理シタル事件ハ其ノ地ノ區檢察
廳ニ於テ之ヲ處理ス
本法施行前地方裁判所檢事局ニ於テ受
理シタル事件ハ其ノ地ノ地方檢察廳ニ
於テ之ヲ處理シ地方裁判所支部檢事局
ニ於テ受理シタル事件ハ其ノ地ノ地方
檢察廳支廳ニ於テ之ヲ處理ス
本法施行前控訴院檢事局ニ於テ受理シ
タル事件ハ其ノ地ノ檢察院ニ於テ之ヲ
處理ス
本法施行前大審院檢事局ニ於テ受理シ
タル事件ハ總檢察院ニ於テ之ヲ處理ス
第四十一條他ノ法令中檢事局ニ關スル
規定ハ之ヲ檢察廳ニ關スル規定トス
他ノ法令中區裁判所檢事局ニ關スル規定
ハ之ヲ區檢察廳ニ關スル規定トシ地方
裁判所檢事局又ハ地方裁判所支部檢事
局ニ關スル規定ハ之ヲ地方檢察廳又ハ
其ノ支廳ニ關スル規定トシ控訴院檢事
局ニ關スル規定ハ之ヲ檢察院ニ關スル
規定トシ大審院檢事局ニ關スル規定ハ
之ヲ總檢察院ニ關スル規定トス
第四十二條他ノ法令中區裁判所ノ檢事
ニ關スル規定ハ之ヲ區檢察廳ノ檢事ニ
關スル規定トシ地方裁判所ノ檢事又ハ
檢事正ニ關スル規定ハ之ヲ地方檢察廳
ノ檢事又ハ檢事正ニ關スル規定トシ地
方裁判所支部ノ檢事ニ關スル規定ハ之
ヲ地方檢察支廳ノ檢事ニ關スル規定ト
シ控訴院ノ檢事又ハ檢事長ニ關スル規
定ハ之ヲ檢察院ノ檢事又ハ檢事長ニ關
スル規定トシ大審院ノ檢事又ハ檢事總
長ニ關スル規定ハ之ヲ總檢察院ノ檢事
又ハ檢事總長ニ關スル規定トス
第四十三條他ノ法令中第一審裁判所、
上訴裁判所、控訴裁判所、上告裁判所
又ハ管轄裁判所ノ檢事ニ關スル規定ハ
之ヲ各當該裁判所ノ管轄ニ屬スル事項
ニ付職務ヲ行フ檢察廳ノ檢事ニ關スル
規定トス
他ノ法令中裁判ヲ爲シタル裁判所ノ檢
事ニ關スル規定ハ之ヲ其ノ裁判所ノ管
轄ニ屬スル事項ニ付職務ヲ行フ檢察廳
ノ檢事ニ關スル規定トス
第四十四條他ノ法令中檢事所屬ノ裁判
所ニ關スル規定ハ之ヲ當該檢事ノ職務
ヲ行フベキ事項ニ付管轄權ヲ有スル裁
判所ニ關スル規定トス
第四十五條他ノ法令中檢事局勤務ノ裁
判所書記ニ關スル規定ハ之ヲ檢察廳錄
事ニ關スル規定トス
第四十六條從前ノ檢事又ハ檢事局勤務
ノ裁判所書記ノ職務上ノ行爲ハ各之ヲ
檢事又ハ檢察廳錄事ノ職務上ノ行爲ト
看做ス
〔野田文一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=70
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071・野田文一郎
○野田文一郞君 此ノ兩案ハ前議會ニモ本
院ヲ滿場一致ヲ以テ通過致シタ案デアリマ
ス、今囘提出致シマシタノモ全然內容ガ同
一デアリマスルカラ、極メテ簡單ニ提案ノ
理由ヲ說明ヲ致シマス、此ノ案ハ我國ノ五
十年ノ歷史ヲ有スル司法制度ニ一大改革ヲ
加ヘントスルモノデアリマスルカラ、其ノ
重要ナルコトハ申スマデモゴザイマセヌ、
現在ノ司法制度ハ明治二十三年ニ憲法實施
ニ伴ツテ制定セラレタ制度デアリマシテ
此ノ制度ハ其ノ當時ノ權威者ガ苦心ヲ致シ
テ作ラレタモノデアリマスルカラ、頗ル良
ク出來テ居ルノデアリマス、爾來時々改正
モ致シマシタガ、多クハ改惡デアツテ、本
當ノ改正ニハナツテ居リマセヌ、此ノ司法
制度ハ此ノヤウニシテ憲法實施ノ當時ニハ
頗ル重大視セラレタノデアリマスルガ、今
日ハ司法問題ト云ヘバ、兎角閑却ヲセラレ
テ、之ヲ輕ンゼラルル傾向ガアルノデアリ
マく、現ニ我國ノ司法制度ニ一大改革ヲ加
ヘントスル此ノ重要法案ノ審議ニ當ツテ、
所管大臣ノ司法大臣スラモ姿ヲ見セナイ
(「ヒヤ〓〓」)ドウ云フコトカト聽クト、省
議ヲ開イテ居ルト云フコトデアリマス、司
法省ノ一省議ガ重イカ、議會ニ於テ司法制
度ヲ根本カラ改革セントスルガ如キ審議ガ
重キカ、斯樣ナ態度デアリマスルカラ、司法
省自ラガ司法問題ニ付テ甚ダ冷淡デアル、
冷淡デアリマスルカラ、憲法上ニハ司法機
關ト云フモノハ立法、行政ニ對立シテ重要
ナル地位ヲ占メテ居ルノデアリマスルガ
兎角司法部ノ方ハ何モカモ遲レ勝チデス、
司法部ノ人ハドチラカト言ヘバ、率直ニ申
セバ、他ノ部分ニ比シテ著シタ遲レテ居ル
コトハ爭フベカラザル事實デアル(拍手)斯
樣ナ態度デハ勢ヒ遲レザルヲ得ヌ、同ジ所ニ
膠著ヲシテシマツテ居ルノデス、ソコデ人
權蹂躙問題ノ如キコトガ起ル、明治、大正、
昭和ト續イテ、憲法實施後裁判所制度ガ出
來テカラ五十年ノ今日ニ於テ、尙ホ人權蹂
躪ガ議會ノ問題トナルガ如キコトハ、實ニ
國家ノ恥辱デアルト私ハ信ズル(拍手)畢竟
是ハ司法部ノ人々ガ先ヅ眼ヲ覺サナケレバ
ナラヌノデアリマス、人權蹂躙ト云フコト
ハ、世間デ喧シク論ゼラレルシ、此ノ議場
ニ於テモ屢〓問題ニナリマシタ、其ノ事件ニ
付テ玆ニ逐一申上ゲルコトハ之ヲ省略ヲ致
シマスルガ、憲法ニ於テ與ヘラレタル人民
ノ權利ヲ、法規ヲ遵奉シナケレバナラヌ官
憲ガ法規ヲ無視シ、行政執行法ヲ濫用シテ
人ヲ拘禁シテ置イテ、或ハ又合法的ニ拷問
ヲヤリマス、勾留シテ置イテ自白ヲシナケ
レバ、何時マデ掛ルカ分ラヌト云フヤウナ
コトヲ言ツテ威ス、左樣ナコトヲシテ人權
蹂躪ハ人權蹂躪ダケデ濟マナイ、人權蹂〓
ハ一ツノ手段デアツテ、目的ハ自白ヲ强要
スルニアル、自白ヲ强要シテドウスルカ、
其ノ自白ハ軈テ有力ナル證據トナツテ、裁
判上ヲレヲ採用セラルルコトニナル、詳シ
イコトハ申上ゲマセヌケレドモ、實際ノ現
狀カラ申スト、司法警察官若クハ檢事ノ前
デ自白ヲ餘儀ナクセラレマスルト、ソレガ
豫審ニ廻ル、豫審ニ廻ツタ時ニハ、豫審判
事ハ公平ニ被〓ノ利益ノ爲ニモ證據ヲ集メ
テ吳レルデアラウ、申立モ十分聽イテ吳レ
ルデアラウト期待ヲシテ行キマスト、何ゾ
知ラン、サウハ參ラナイ、何處マデモ司法
警察官ヤ檢事ニ爲シタ自白ヲ、其ノ通リ壺
ニ嵌メルマデハ訊問ヲヤリ拔イテシマフ、
ドウシテモ自白ヲシナケレバ、今日ハ調書
ガ取レナイカラモウ一遍考ヘロ、斯ウ云フ
コトヲヤリマスカラ、結局豫審ニ移ツタ時
ニハ、檢事ト豫審判事トガ步調ヲ一ニシテ、
二人檢事ガ現ハレテ來タト云フヤウナ狀態
ニナル、斯ノ如クニシテ、前ニハ色々ナ脅
迫ヤ壓迫ニ依ツテ不實ノ自白ヲシタガ、今
度ハソレヲ聽イテ貰ヘルト思ツタラ、ソレ
モ聽イテ貰ヘナイ、サウシテソレハ大同小
異ノ形ニ於テ豫審調書ト云フモノニ書カレ
やく、一タビ豫審調書ニ書カレマスト、公
判ニ行ツテヨク〓〓ノ有力ナル反證ガ出ナ
イ限リハ、其ノ嘘ノ自白ガ證據力ヲ持ツコ
トニナル、世間ノ注目ヲ惹イテ無罪ニナリ
マシタ事件ハ、反證ヲ擧ゲタカラ宜シイケ
レドモ、反證ヲ擧ゲ得ザル時ニハ、ソレガ證
據トナツテ寃罪ニ泣ク吾等ノ同胞ノアルト
云フコトヲ認識シナケレバナラヌ(拍手)コ
コガ重大ナノデアリマス、人權蹂躪其ノ事ハ
一時的デアルトモ言ヘル、議會ノ問題トモ
ナリマス、併シナガラ司法裁判ニ對シテハ
輔弼ノ責ヲ負フ者ハナイ、憲法五十七條ニ
依ツテ獨立ノ機關タル裁判所ガ司法權ヲ行
使スルノデアル、天皇ノ委任ニ依ツテ
天皇ノ有セラレル司法權ヲ行使スルノデアリ
マスルカラ、議會ノ監督モソレニ及バテイ、遂
ニ泣寢入リニ終ラザルヲ得ヌノデアリマス
カラ、此ノ重大ナル恐ルベキ結果ヲ生ズル
ト云フコトヲ考ヘナケレバナリマセヌ、併
シ多クハ人權蹂躙其ノモノニ對スル非難ハ
アリマスガ、然ラバドウスレバ此ノ人權蹂
躪ガナクナルカ、之ヲ根絕スルノ方策如何
ト云フコトニ付テハ、比較的〓究ヲセラレ
ザル傾向ガアル、私ハ常ニ之ヲ悲シムノデ
アリマス、ソレデ今申上ゲル通リ、人權蹂
躪ハ自白ヲ强要スル手段デアリマスカラ、
其ノ自白ト云フモノガ或ル程度ニ於テ取上
ゲラレナイコトニスルノ外ハナイ、ナゼ然
ラバ自白ヲ强要スルカト云フト、結局檢事
ノ勢力ト云フモノガ强大デアル、檢事ノ勢
力ガ强大デアリマスルカラ、我國ノ現在ノ
豫審ト云フモノハ、事實ニ於テハ檢事局ニ
附置セラレテ居ルト同樣デアリマス、是ハ
モウ何人モ異論ノナイ所デアル、ソコデ司
法權ノ獨立ヲ强化スルノ外ハナイ、卽チ檢
事ノ勢力ヲ抑ヘテ、天皇ノ名ニ於テ裁判ス
ルト云フ、其ノ判事ノ地位ヲ强化シテヤル
ノ外ハナイ、是ガ人權蹂躪ニ對スル根本對
策デアツテ、我國ノ司法ノ威信ヲ高メ、國
民ガ安ンジテ憲法ニ於テ保障セラレタル權
利ヲ完全ニ享有シ得ルコトニスルノ途デア
ルト考ヘマス、此ノ改正案ニハ、第一ガ檢
事局ト裁判所トノ分離、第二ハ大審院長ノ
監督權ノ權限ノ擴張、第三ハ審級制度ノ合
理化、第四ハ法曹ノ一元化、第五ハ判事ト
檢事トノ人事交流ノ廢止、斯ウ云フコトガ
アリマスルガ、要スルニ檢事ノ勢力ヲ抑ヘ
テ司法權ノ獨立ヲ强化スルコトニ依ツテ
其ノ目的ヲ達セントスルノデアリマス、凡
ソ天下一人トシテ其ノ處ヲ得ザル者ナシト
云フ社會ヲ現出スルコトガ、政治家ノ最高
ノ理想デアリマセウ、國民中一人トシテ寃
罪ニ泣ク民ナカラシムルコトヲ期スルコト
ガ吾々ノ責任デアリマス、畏多クモ數年前、
多分十月一日カト記憶ヲ致シマスルガ、
天皇陛下ハ裁判所ニ行幸ニナツタコトガアリ
さく、如何ニ陛下ガ司法ト云フコトニ對
シテ叡慮ヲ御注ギ遊バシテ居ルカト云フコ
トヲ拜察シ得ル、此ノ聖旨ヲ奉體スル意味
ニ於キマシテモ、吾々ハ司法制度ト云フモ
ノヲ完備シテ、眞ニ立憲政治ノ實ヲ擧ゲル
ト云フコトガ今日ノ急務デアルト信ジテ、
此兩案ヲ提出シタ所以デアリマス、何卒御
贊成アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=71
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072・服部崎市
○服部崎市君 日程第十二及ビ第十三ノ兩
案ハ、一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付
託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=72
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073・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=73
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074・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=74
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075・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ政府提出、朝鮮事業公
債法中改正法律案、朝鮮私設鐵道補助法中
改正法律案及ビ朝鮮鐵道株式會社所屬金泉
慶北安東間鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル
法律案ノ三案ヲ一括シテ議題ト爲シ、委員
長ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=75
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076・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=76
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077・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、朝鮮
事業公債法中改正法律案、朝鮮私設鐵道補
助法中改正法律案、朝鮮鐵道株式會社所屬
金泉慶北安東間鐵道買收ノ爲公債發行ニ關
スル法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長菊池良一君
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案政
府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
円
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十六日
委員長菊池良
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案(政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十六日
委員長菊池良
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月十六日
委員長菊池良
衆議院議長小山松壽殿
〔菊池良一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=77
-
078・菊池良一
○菊池良一君 只今議題トナリマシタ朝鮮
事業公債法中改正法律案、朝鮮私設鐵道補
助法中改正法律案、朝鮮鐵道株式會社所屬
金泉慶北安東間鐵道買收ノ爲公債發行ニ關
スル法律案、此ノ三案ニ付キマシテ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、朝鮮事業
公債法中改正法律案ハ一月三十一日、他ノ
二案ハ二月七日本委員會ニ付託セラレマシ
ク、爾來本日マデ六囘ニ亙リマシテ政府ノ
說明ヲ聽キ、質疑應答ヲ重ネタノデアリマ
ス、其主ナル質問ハ、朝鮮私設鐵道ノ補助
法ノ改正ハ、朝鮮ニ於ケル交通機關助長策ト
シテ餘リニ消極的ナ手段デアル、財政的見
地ヨリ見ルモ、此ノ際速ニ買收ノ計畫ヲ立
テ實行スルヲ穩當ト思フガ如何デアルカ、
又朝鮮ノ私設鐵道ハ運賃ガ高ク、一般產業
ノ障碍ニナルカラ速ニ買收ノ計畫ヲ立ツベ
キデアル、私設鐵道ノ買收ニ關シ一定ノ方
針ガアルカドウカ、又補助年限滿了前ニ成
ベク買收ヲ決行セラレタイ、又日本、朝鮮、
滿洲ノ連絡ニ付テ、道路、港灣、鐵道等交
通施設ニ遺憾ノ點ガ甚ダ多イト云フコト
又自動車路線ト鐵道トガ竝行シテ、鐵道ニ
對シ惡影響ヲ與ヘテ居ナイカト云フ質問、
又羅津港ト〓津港トヲ對立セシメテ居ル其
ノ趣旨ハ何デアルカ、又旣往ノ年度ニ於ケ
ル公債支辨事業ノ内容ハ如何デアルカ、、又
公債利拂竝ニ償還ノ計畫ハドウカ、朝鮮ノ
施設ガ內地其ノ他ニ比シテ非常ニ遲レテ居
ル現狀ニ鑑ミテ、財政ノ許ス限リ各種ノ施
設ヲ進メラレタイ、又茂山鐵鑛開發上如何
ナル施設ヲ爲シテ居ルカ、又私鐵ノ茂山線
ノ改良ハ何時頃竣エスルノデアルカ、斯ウ
云フヤウナ主ナル質問ガアツタノデアリマ
又、サウシテ委員ノ森下國雄君、田中好君、
粟山博君、松岡俊三君、松尾三藏君、松山
常次郞君、木村正義君、小田榮君、其ノ他
ノ諸君カラ最モ熱心ニ質疑ヲセラレマシテ、
政府當局ハ又親切ナル答辯ヲシテ吳レタノ
デアリマス、其ノ中最モ熱心ニ各委員カラ
主張セラレタルコトハ朝鮮私設鐵道デアツ
テ、朝鮮ノ開發上重要ナル鐵道ハ成ベク速
ニ政府ニ於テ買收スルコトヲ希望スルト云
フコトデアツタノデアリマス、是等ノ點ハ
質問ノ重要ナルモノデアリマシテ、之ニ對
シテ委員ノ熱誠ナル御論議ガアリ、又政府
當局ノ親切ナル答辯ガアツタノデアリマシ
テ、其ノ内容ニ付テハ速記錄ニ就テ御諒承
ヲ願ヒマス、斯クテ今十六日討論ニ入リマ
シテ、採決ノ結果滿場一致三案トモ可決致
シマシタ、以上御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=78
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079・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 三案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=79
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080・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=80
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081・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=81
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082・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=82
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083・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
Wく、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
朝鮮事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
第二讀會(確定議)
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間
鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=83
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084・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ三案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)-
日程第十四、行政書士法案ノ第一讀會ヲ開
キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者一松定吉君
第十四行政書士法案(中山福藏君外
二名提出)第一讀會
行政書士法案
行政書士法
第一條本法ニ於テ行政書士ト稱スルハ
他ノ法令ニ依ラスシテ他人ノ囑託ヲ受
ケ官公署ニ提出スヘキ書類其ノ他權利
義務又ハ事實證明ニ關スル書類ノ作製
ヲ爲スヲ業トスル者ヲ謂フ
第二條行政書士ハ左ノ條件ヲ具フルコ
トヲ要ス
-帝國臣民ニシテ民法上ノ能力者タ
ルコト
二中等學校卒業以上ノ學力ヲ有スル
者ニシテ行政書士試驗ニ合格シタル
コト
行政書士試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ行
政書士タル資格ヲ有セス
-禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三行政書士ノ業務禁止ノ處分ヲ受ケ
タル者
第四條行政書士ハ行政書士名簿ニ登錄
セラルルコトヲ要ス
第五條行政書士ハ地方長官ノ血督ヲ受
第六條行政書士ハ地方長官ノ定ムル報
酬ヲ受ク
第七條行政書士ハ相當ノ事由アルニ非
サレハ囑託ヲ拒ムコトヲ得ス
第八條行政書士業務上ノ義務ニ違反シ
タルトキハ地方長官ハ內務大臣ノ認可
ヲ受ケ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
-業務ノ停止
二業務ノ禁止
三百圓以下ノ過料
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ過料ノ處分ニ付之ヲ準用ス
第九條行政書士ハ道府縣每ニ行政書士
會ヲ設立スヘシ
第十條行政書士會ニ關スル規定ハ內務
大臣之ヲ定ム
第十一條行政書士ハ行政書士會ニ加入
シタル後ニ非サレハ業務ヲ行フコトヲ
得ス
第十二條行政書士タル資格ヲ有セスシ
テ行政書士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ六月
以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處
ス
第十三條行政書士タルノ資格ヲ有スル
モ其ノ登錄ヲ受ケスシテ行政書士ノ業
務ヲ行ヒタル者ハ二十圓以上二百圓以
下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
現在ノ代書人ハ本法施行ノ日ヨリ三月以
內ニ行政書士名簿ニ登錄ヲ出願シタルト
キハ試驗ヲ要セスシテ行政書士タルコト
ヲ得
大正九年十一月二十五日內務省令第四十
號代書人規則ハ本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢
止ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=84
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085・一松定吉
○一松定吉君 簡單デアリマスカラ自席カ
ラノ發言ヲ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=85
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086・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=86
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087・一松定吉
○一松定吉君 本法案ハ曩ニ當院ニ於キマ
シテ審議ヲ經マシタコトノアル法案デアリ
マイク御承知ノ如ク司法書士法案ガ前囘竝
ニ今囘モ提出セラレマシテ御審議ヲ經テ居
ルノデアリマスルガ、ソレト對立狀態ニア
ル所ノ、全國ニ數万ノ人數ヲ擁シテ居ル行
政代書人ガ、大正九年ノ制定ニ係リマスル
代書人取締規則ノ支配ヲ受ケテ居ルノデア
リマスガ、ソレハ進步シタル時勢ノ今日ニ
於テ實情ニ適シナイモノガ多々アルノデゴ
ザイマス、故ニソレ等ノ缺點ヲ補正致シマ
シテ、是等ノ人々ヲ保護助成シ、以テ向上
發展ヲ圖ラシメルコトハ、最モ機宜ニ適シ
タル處置デアルト考へマシテ、本法案ヲ提
出致シタ次第デゴザイマス、何卒愼重御審
議ノ上御贊成アランコトヲ御願致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=87
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088・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出人事調停法
案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=88
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089・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=89
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090・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ
議事日程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事日
程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後四時十六分散會
衆議院議事速記錄第十一號中正誤
一七六頁一段八行野口喜一君ノ次ニ田中好君ヲ
加フ
衆議院議事速記錄第十二號中正誤
頁段行誤正
二一五一四三百万梱ガ八千三百甲ガ八千
万梱ニナツタ甲ニナツタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01319390216&spkNum=90
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