1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年二月二十八日(火曜日)
午後二時十五分開議
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議事日程 第十七號
昭和十四年二月二十八日
午後一時開議
質問
一 國民精神總動員運動に關する質問(清瀬一郎君提出)
二 青年教育振興に關する質問(佐藤與一君外一名提出)
三 清酒生産制限に關する質問(清寛君提出)
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第一 酪農業調整法案(政府提出) 第一讀會
第二 明治三十五年法律第四十九號中改正法律案(國勢調査に關する件)政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 花柳病豫防法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 寺院等に無償にて貸付しある國有財産の處分に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 郵便年金法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 短期現役小學校教員俸給費國庫負擔法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 青年禁酒法案(高橋壽太郎君外十三名提出) 第一讀會
第九 恩給法中改正法律案(片山哲君外二名提出) 第一讀會
第十 所得税法中改正法律案(塚本重藏君提出) 第一讀會
第十一 健康保險法中改正法律案(三輪壽壯君外二名提出) 第一讀會
第十二 民事訴訟法中改正法律案(牧野賤男君外二名提出) 第一讀會
第十三 理容師法案(山川頼三郎君外四名提出) 第一讀會
第十四 砂鑛法中改正法律案(原玉重君外一名提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
酪農業調整法案
(以上二月二十五日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
吉野窪川間鐵道速成に關する建議案
提出者
高畠龜太郎君 依光好秋君
宇和島宿毛間鐵道敷設に關する建議案
提出者
高畠龜太郎君 依光好秋君
十文字町鳴子町間鐵道敷設に關する建議案
提出者 大石倫治君
綾川改修に關する建議案
提出者 松浦伊平君
日本海方面に國立水産試驗場分場設置に關する建議案
提出者
青山憲三君 土倉宗明君
相撲道の獎勵及小學校青年學校中等學校正科目に編入に關する建議案
提出者 藤生安太郎君
米の混砂搗精禁止に關する建議案
提出者
深澤吉平君 松浦周太郎君
羽幌漁港修築に關する建議案
提出者
東武君 松浦周太郎君
中部千島開放に關する建議案
提出者
木下成太郎君 東武君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
山本厚三君 手代木隆吉君
一柳仲次郎君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
深澤吉平君
官幣大社札幌神社に明治天皇合祀に關する建議案
提出者
木下成太郎君 山本厚三君
東武君 一柳仲次郎君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
深澤吉平君
北千島漁業開發竝自主的統制に關する建議案
提出者
山本厚三君 木下成太郎君
一柳仲次郎君 東武君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
深澤吉平君
北海道生産力擴充に關する建議案
提出者
山本厚三君 一柳仲次郎君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
東武君 板谷順助君
東條貞君 松尾孝之君
田代正治君 深澤吉平君
木下成太郎君
北海道帝國大學に水産學科及人文科學に關する學部設置に關する建議案
提出者
木下成太郎君 山本厚三君
東武君 一柳仲次郎君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
深澤吉平君
北海道拓殖計畫改訂案樹立促進に關する建議案
提出者
山本厚三君 木下成太郎君
一柳仲次郎君 手代木隆吉君
坂東幸太郎君 大島寅吉君
南雲正朔君 松浦周太郎君
遠山房吉君 東武君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
深澤吉平君
北海道に於ける港灣漁港修築速成に關する建議案
提出者
山本厚三君 木下成太郎君
東武君 一柳仲次郎君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
大島寅吉君 南雲正朔君
松浦周太郎君 遠山房吉君
板谷順助君 東條貞君
松尾孝之君 田代正治君
深澤吉平君
久留米驛より植木を經て熊本驛に至る鐵道敷設に關する建議案
提出者
岡野龍一君 大麻唯男君
無水酒精原料馬鈴薯買入價格引上に關する建議案
提出者
松浦周太郎君 東武君
東條貞君 松尾孝之君
(以上二月二十五日提出)
高知驛宇佐町間鐵道敷設に關する建議案
提出者 依光好秋君
久留米市より山鹿町を經て熊本市に至る鐵道敷設に關する建議案
提出者
増永元也君 野田俊作君
木村正義君
大學專門學校に金屬工學科設置に關する建議案
提出者
瀧澤七郎君 中田儀直君
龜岡茨木間鐵道敷設に關する建議案
提出者
田中好君 曾和義弌君
山川頼三郎君
博覽會法制定に關する建議案
提出者
植原悦二郎君 岡田忠彦君
肥田琢司君
穀物檢査國營に關する建議案
提出者
三善信房君 川島正二郎君
(以上二月二十七日提出)
一去二十五日委員長及理事互選の結果左の如し
宗教團體法案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 安藤正純君
理事
北れい吉君 長井源君
世耕弘一君 立川平君
一去二十五日特別委員理事追加互選の結果左の如し
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
理事 長谷長次君
一去二十五日議長に於て選定したる委員左の如し
保險業法改正法律案(政府提出)委員
寺島權藏君 木村淺七君
八木逸郎君 松田正一君
鶴見祐輔君 篠原陸朗君
服部英明君 田中亮一君
金澤正雄君 西川貞一君
宮澤清作君 大野伴睦君
紅露昭君 田尻生五君
玉野知義君 小池四郎君
中村高一君 三木武夫君
國境取締法案(政府提出)委員
中野邦一君 小林房之助君
百瀬渡君 高橋壽太郎君
中村不二男君 高橋義次君
塚本三君 肥田琢司君
江原三郎君 野口喜一君
松岡俊三君 猪野毛利榮君
原口初太郎君 井上知治君
石坂繁君 陣軍吉君
淺沼稻次郎君 小山亮君
北海道土功組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
坂東幸太郎君 深澤吉平君
松浦周太郎君 遠山房吉君
田代正治君 松尾孝之君
東條貞君 北勝太郎君
杉山元治郎君
一去二十五日に於ける特別委員の異動左の如し
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)委員
辭任鈴木文治君 補闕前川正一君
昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出)外二件委員
辭任野溝勝君 補闕加藤鐐造君
民族優生保護法案(八木逸郎君外一名提出)委員
辭任河合義一君 補闕井上良次君
辭任道家齊一郎君 補闕田川大吉郎君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任森榮藏君 補闕深澤豐太郎君
一昨二十七日平沼内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
陸軍砲兵大佐 中西貞喜
陸軍書記官 日高巳雄
第七十四囘帝國議會陸軍省所管事務政府委員被仰付
一昨二十七日委員長及理事互選の結果左の如し
保險業法改正法律案(政府提出)委員
委員長 田中亮一君
理事
寺島權藏君 木村淺七君
金澤正雄君 西川貞一君
國境取締法案(政府提出)委員
委員長 肥田琢司君
理事
中野邦一君 小林房之助君
江原三郎君 野口喜一君
北海道土功組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 坂東幸太郎君
理事
深澤吉平君 田代正治君
一昨二十七日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
理事 大内竹之助君(理事依光好秋君昨二十七日理事辭任に付其の補闕)
一昨二十七日に於ける特別委員の異動左の如し
北海道土功組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任杉山元治郎君 補闕川俣清音君
國境取締法案(政府提出)委員
辭任淺沼稻次郎君 補闕野溝勝君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任石井徳久次君 補闕中田儀直君
辭任中村三之丞君 補闕森下國雄君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=1
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002・服部崎市
○服部崎市君 質問一ハ後〓シトセラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ質問一ハ後廻シト致シマス-質
間二、靑年〓育振興ニ關スル質問ヲ許可致
シマス-提出者佐藤與一君
二靑年〓育振興ニ關スル質問(佐藤
與一君外一名提出)
靑年〓育振興ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十四年二月十六日
提出者佐藤與
外一名
靑年〓育振興ニ關スル質問主意書
國運進暢ノ源泉ハ〓育ノ尊重ニアリ特ニ
國家永遠ノ將來ヲ思念スル時靑年〓育ハ
瞬時モ忽諸ニ附スヘカラサルヲ痛感スル
モノナリ國家ハ官立大學ニ於テ靑年〓育
ノ爲一人ニ付年額數百圓ヲ費スニ比シ是
等上級學校ニ就學ノ途ナキ都市及農村靑
年ノ〓育ニ對シテハ男子靑年團ノミニ就
イテ之ヲ見ルモ其ノ費ス所極メテ僅少ニ
シテ大日本聯合靑年團ニ對スル補助金ノ
年額ハ十万圓ヲ出テサル狀態ナリ政府ハ
速ニ靑年〓育振興ノ爲此ノ補助金ヲ三百
万圓程度ニ增額スルト共ニ大日本聯合女
子靑年團ニ對スル補助金モ亦之ニ準シテ
增額シ特ニ靑年竝靑年團ノ使命ノ益〓重
大ナルニ鑑ミ靑年〓育振興ヲ以テ重要國
策ノ一ニ加ヘ且ツ之ニ關スル調査機關ヲ
設置スル必要アリト信ス是等ノ點ニ關ス
ル政府ノ所見如何
右及質問候也
〔佐藤與一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=4
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005・佐藤與一
○佐藤與一君 質問第二ノ靑年〓育振興ニ
關スル質問ニ付キマシテ、提出者ノ趣旨ヲ
簡單ニ述べタイト思フノデアリマス、其ノ
前ニ一言申述べタイコトハ、本院ニ於キマ
ス質問ニ對シマシテハ、緊急質問ヲ除キマ
シテ、他ノ一般ノ質問ニ對シマシテハ、政
府ハ常ニ文書ヲ以テ答辯スルニ過ギナカツ
タノデアリマスガ、今囘ヨリ日頭ヲ以テ答
辯セラルルヤウニナリマシタコトハ、議會
振肅ノ爲、議會ノ價値ヲ、重要チラシムル
爲、洵ニ欣快ニ存ズル次第デアリマシテ
(拍手)政府ニ對シテモ感謝ノ意ヲ表明スル
者デアリマス、尙ホ一言申上ゲタイコト
ハ、私ノ質問ハ主意書ニモアリマス通リ、
靑年〓育振興ニ關スル問題デアリマスケレ
ドモ、主トシテ靑年團ニ關係シテ居ルト云
フコトヲ御諒承シテ戴キタイト思フノデゴ
ザイマス
我ガ大日本帝國ガ隆々トシテ其ノ國勢ノ
振興スルコトハ、國民ト共ニ非常ニ欣ブ所
デアリマス、而シテ是ガ爲ニハ最モ多ク政
府當路者竝ニ國民ガ協力一致シテ〓育ニ力
ヲ用ヒンケレバナラヌト考ヘルノデアリマ
ス、卽チ國家興隆ノ源泉ハ〓育ニアル、其
ノ〓育ノ中ニモ、私ハ將來ノ我國ヲシテ益〓
發展セシメンケレバナラヌト云フコトヲ考
ヘマス時ニ、靑年〓育ニ最モ力ヲ注ガンケ
レバナラヌナト思フノデアリマス(拍手)林
內閣ノ時ニ、私ハ林內閣ノ政策、政綱竝ニ
〓育ニ關スル諸問題ト云フ質問主意書ヲ提
出シタノデアリマスガ、其ノ際林內閣總理
大臣兼文部大臣ハ、洵ニ靑年〓育ハ重要デ
アルト云フコトヲ答辯セラレタノデアリマ
ス、重要デアルケレドモ、之ニ關スル調査
ノ機關ヲ設ケルト云フヤウナコトハ尙ホ考
慮センケレバナラナイ、大日本聯合靑年團
其ノ他ニ對スル補助金ハ、財政ノ都合ニ依
ツテ相當考慮センケレバナラヌト云フダケ
ノ御答辯デアリマシテ、果シテ靑年〓育ガ
國家ニソレ程重要ナモノデアルカ否カヲ、
本當ニ認識セラレテ居ツタノデアルカドウ
デアルカヲ怪ンダノデアリマス、若シモ重
要ナモノデアルト致シマスルナラバ、ソレ
相當ノ處置ヲ政府ニ於テ致サレンケレバナ
ラヌト思フノデアリマスガ、現內閣ハ之ニ
對シテ如何ナル御方針ヲ以テ、如何ナル擧
ニ出デラレントスルカヲ御伺シタイノデア
リマス
我國ノ靑年團ノ發達ハ、御承知ノ通リ昔
カラ自然ニ發達シテ來タノデアリマシテ、特
ニ戰爭若クハ事變ヲ一劃期ト致シマシテ、是
ガ仲展シ來ツタノデアリマス、卽チ明治二十
七八年ノ戰役ノ直後ニ於キマシテハ、彼ノ
有名ナル山本瀧之助先生ガ、靑年ト云フモ
ノハ單ニ學校ニ於ケル靑年ダケデハナク、
田舍ニ於テモ、卽チ農村ニ於テモ靑年ガア
ルト云フコトヲ叫バレマシテ、現在アルヤ
ウナ地方靑年團ガ振興スルニ至ツタノデア
リマス、又明治三十七八年ノ戰役以後ニ於
キマシテハ、特ニ靑年團ガ發展致シマシ
テ、明治四十三年ニ於キマシテハ、名古屋市
ニ於テ初メテ第一囘ノ全國ノ靑年團ノ大會ガ
開カレルヤウニナツタノデアリマス、歐洲
大戰役直後ニ於キマシテハ、當時東宮殿下
デ在ハシマシク所ノ今上天皇陛下ヨリ有
難キ御令旨ヲ戴キマシテ、其ノ後或ハ內務、
文部兩省ノ訓令其ノ他ニ依リマシテ、洵
異常ナル發展ヲ來シタコトハ諸君ノ御承知
ノ通リデアリマス、而シテ今次支那事變ノ
後ニ於キマシテハ、如何ニ靑年團ガ發展ス
ルデアラウカト云フコトハ、私共靑年團ニ
關係シテ居ル者ノ囑目シテ之ヲ待望シツツ
アル所デアリマス、國家ト致シマシテ、靑
年團ニ對シマシテハ、旣ニ先刻申上ゲマシ
タ通リ、能ク認識セラレテ居ルガ如クデア
ルノデアリマスガ、靑年團ノ現狀ハ漸次振
興シツツアルノデアリマスケレドモ、尙ホ
私共ノ考ヘテ居ル通リデハナイノデアリマ
ス、農村ニ於ケル靑年ノミデナク、都市モ
含ンデ居ルデアリマセウガ、全國ニ於ケル
只今ノ靑年團ノ組織ハ、マダ之ヲ以テ滿足
スルコトハ出來ナイノデアリマシテ、足ノ
モツト擴大セラレナケレバナラナイト考へ
ルノデアリマス、內務、文部兩省ノ訓令ニ
依リマシテ、二十五歲以下ヲ以テ正團員ト
シテ居ルノデアリマスケレドモ、私ハ此ノ
年齡ノ制限ト云フヤウナモノモ、モツト上
セナケレバナラヌ必要ガアルト考ヘルノデ
アリ、又學校ニ於ケル靑年團員、工場ニ於
ケル靑年團員、在〓軍人會ニ於ケル靑年團
員等ガアリ得ベキデアルト考ヘルノデアリ
マスケレドモ、現時ノ靑年團ノ力ハマダソ
レ程ニ及ンデ居ラヌノデアリマス、之ニ力
ヲ與ヘルニハ、私ハ財政的ノ方面ト法律的
ノ兩方面ニ於キマシテ、財政的ニハ其ノ活
動ノ資ヲ與ヘ、法律的ニハ之ニ法的存在ヲ
認メルコトニ依リマシテ、其ノ靑年團ノ振
興ヲ期シ得ベキモノデアルト考ヘルノデア
リマス、勿論靑年團振興ノ爲ニハ、色々方
途ガアルデアリマセウケレドモ、其ノ二ツ
ノ仕事ガ最モ緊要ナルモノデアルト考ヘル
ノデアリマス、此ノ點ニ關シマシテ、質問
主意書ニハ書イテアリマセヌノデアリマス
ガ、法的ノ存在ヲ與ヘルト云フコト、卽チ
靑年團ヲ勅令等ニ依リマシテ、靑年團令ト
云フモノヲ發布セラレマシテ、サウシテ恰
モ今囘靑年學校ヲ義務制トセラレタ如ク、
靑年團モ亦義務制トセラレルコトニ對シテ、
文部大臣ハドウ御考ニナツテ居リマスカ、
私ハ現在ノ靑年團ノ團員ト云フモノヲ見マ
ス時ニ、在〓軍人會ニ入ツテ居ル者ハ靑年
團ト殆ド絕緣ノ狀態ニ在ル、靑年學校モ靑
年團ト協力センケレバナラヌト云フコトヲ、
當局ハ御述ニナツテ居ルノデアリマスケレ
ドモ、其ノ協調ガ圓滿ニ行ハレテ居ラヌ狀
況カラ見マスト、ドウシテモ靑年團ニ靑年
團令等ニ依リマシテ、法的ノ存在ヲ與ヘン
ケレバナラヌト考ヘルノデアリマス、御承
知ノ通リ昨年九月ニ於テ大日本聯合靑年團
ハ其ノ第十四囘ノ大會ヲ開キマシテ、之ニハ
秩父宮殿下ガ御台臨遊バサレマシテ、有難
イ御言葉ヲ賜リマシタコトハ、諸君ノ御承
知ノ通リデアリマス、其ノ際ニ於キマシテ
モ、文部大臣カラ現下ノ我國ノ情勢ニ鑑ミ
マシテ、靑年團ハ具體的ニ如何ナルコトヲ
スレバ宜イカト云フ御諮問ガアツタノデア
リマシテ、之ニ對シマシテハドウシテモ靑
年團ニ法的ノ價値ヲ與ヘテ貰ヒタイ、靑年
團令ノ發布ヲ一日モ早クシテ戴キタイト云
フ答申ヲシテ居ルノデアリマス、全國ノ靑
年ハ斯ノ如ク熱烈ニ此ノ團令ノ發布ヲ希望
シテ居ルノデアリマスガ、之ニ對スル文部
大臣ノ決意ハ果シテ如何デアルカ、此ノ團
令ハ早ク發布シテ戴カナケレバ、靑年學校
ガ義務制ニナツテ居ルケレドモ、靑年團ガ
義務制ニナラナイノデアリマスカラ、靑年
團ニ留マル者ハ極ク寥々トシテ、殆ド靑年
團ノ存在ヲ認メルコトガ出來ナイヤウナ事
情ニ在ルコトハ、全國比々トシテ然リト思
フノデアリマス、私ハ一日モ早ク此ノ團令
ヲ發布セラレンコトヲ希望スル次第デアリ
マス
次ニ財的ノ方面カラ見マスト、現在ニ於
テハ十万圓ノ國庫ノ補助ヲ得テ居ルノデア
リマス、是ハ今囘大日本靑年團ト改稱セラ
レル所ノ、大日本聯合靑年團ニ對スル補助
金デアリマス、併シナガラ此ノ補助金ハ果
シテ適當ナル金額デアルカドウカ、私ハ大
日本聯合靑年團ノ當事者ニ承リマスト、大
日本聯合靑年團ガ爲サントスル所ノ仕事ニ
ハ、二百七十万圓ノ金額ヲ要スルト言ウテ
居ルノデアリマスガ、私ハソレ以上尙ホ爲
サネバナラヌ仕事ガ多々アルト考ヘマス、
之ニ對シテハ少クトモ三百万圓程度ノモノ
ヲ國庫カラ支出セラレンケレバナラヌト考
ヘルノデアリマス、況ヤ在〓軍人會ニ對シ
マシテハ、陸軍カラノ補助金ガ多キニ過ギ
ルト申上ゲルノデハアリマセヌケレドモ、相
當金額ノ補助ガアルノト比較致シマシテ、
洵ニ靑年團ニ對スル補助金額ノ少イノヲ遺
憾トスルノデアリマス、文部大臣ハ速ニ此
ノ大日本聯合靑年團、竝ニ一面ニ於テ女子
ノ靑年〓育ヲ主宰シテ居リマス所ノ大日本
女子聯合靑年團ニ對シテモ、相當ノ金額ヲ
補助セラレンコトヲ希望セザルヲ得ナイノ
デアリマス、之ニ對スル文部大臣ノ御所見
ヲモ承リタイノデアリマス
尙ホ時間ガ制限セラレテ居ルノデアリマ
シテ、私ハ此ノ時間ヲ嚴守スル爲ニ、其ノ
他色々ノ問題ガアルノデアリマスケレドモ、
ドレヲ先ニ述ベテ宜イカ分ラヌノデアリマ
スガ、私ハ靑年團ノ爲ニ國家ガ先刻申上ゲ
マスヤウニ、ドウシテモ靑年國ヲ振興セシ
メンケレバナラヌト云フ御考デアリマスナ
ラバ、其ノ他ノ各方面ニ於キマシテモ、靑
年團ノ爲ニ盡シテ戴カナケレバナラヌコト
ガ多々アルヤウニ考へラレルノデアリマス、
文部當局ニ於キマシテ、是等ノ各方面ニ付
テ、如何ナルコトヲ以テ將來ノ靑年團ノ爲
ニ盡シテ下サルカト云フコトニ付テモ併セ
テ御伺シタイノデアリマス、以上御伺致シ
マス(拍手)
〔國務大臣男爵荒木貞夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=5
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006・荒木貞夫
○國務大臣(男爵荒木貞夫君) 佐藤君ノ御
質疑ニ御答致シマス、只今御述ニナリマシ
タ如ク、我國ノ內外ノ情勢、殊ニ世界的ノ
地位及ビ東亞ニ於ケル重大ナ使命等ヲ顧ミ
マシテ、靑年〓育-靑年將來ノ指導ニ對
シテハ、十分ナ力ヲ致ス必要ヲ痛感致シテ
居リマス、之ヲ指導致シマシテ、國民思想
ノ確立、國防力ノ增强、產業ノ强化等ニ對
シテ、十分ノ活動ヲ致スヤウニ當局ト致シ
マシテ努力致スコトガ肝要デアルト云フコ
トヲ、玆ニ開示致ス次第デアリマスガ、其
ノ上靑年學校ノ義務制ガ玆ニ施行致サレマ
シテ、靑年學校ノ義務制ニ依ル靑年ノ將來
ノ活躍ヲ大イニ期待シテ居リマスルノデ、
只今御述ニナリマシタ靑年團ハ靑年學校ト
相竝ンデ、靑年學校ノ方ハ校內ノ一ツノ〓
育トシ、靑年團ハ校外ニ於ケル所ノ一ツノ
運動ト致シマシテ、兩者相俟ツテ靑年ヲシ
テ十分我國ヲ負擔シ得ベキ所ノモノニ致シ
タイト考ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシ
テ之ヲ公的ナ一ツノモノト致シマスルト云
フコトニ付テハ、靑年學校ノ將來ト相合セ
マシテ、兩者一丸トシテ玆ニ一ツ公的ノモ
ノト致スコトガ肝要デハアルマイカト只今
考ヘテ居ル次第デアリマス、隨ヒマシテ是
等ノ補助金ニ付キマシテモ、其ノ間ニ於ケ
ル活躍ニ付テハ十分ノ努力ヲ致シタイト考
ヘテ居リマス、今日ノ補助金ニ於テハ必ズ
シモ豐富トハ申シマセヌガ、財政當局ノ方
面ノ諸種ノ事情モアリマスノデ、是等ト十
分ニ協力致シマシテ、此ノ活躍ヲ期スルヤ
ウニ致シタイト考ヘテ居リマス、更ニ靑年
團ハ過去ニ於ケル發達ノ徑路ニ鑑ミマシテ、
今日更生ノ時機ニ到達致シテ居リアスノデ、
是等ノ更生ノ機運ヲ捉ヘマシテ、靑年男女
兩團ノ活躍ヲ一層有效ナラシメタイト期シ
テ居リマス
尙ホ靑年團方面ニ對シテ將來如何ナルコ
トヲスルカト云フ、非常ニ廣汎ナ御質問デ
アリマシタガ、是等ニ關シテハ過般來屢〓、
委員會等デ申上ゲマシタコトモ御酌取ヲ願
ツテ、之ニ依ツテ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒ
マスルガ、尙ホ十分是等ノ點ニ付テモ考究
ヲ重ネマシテ、御期待ニ副フヤウニ致シタ
イト存ジマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=6
-
007・服部崎市
○服部崎市君 質問三ハ後〓シトセラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=7
-
008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ質問三ハ後〓シト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=9
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010・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第六及ビ第
七ノ兩案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審議ヲ
進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第六、短期現役小學校〓員俸給費國庫
負擔法中改正法律案、日程第七、兵役法中
改正法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
委員長山本厚三君
第六短期現役小學校〓員俸給費國庫
負擔法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第七兵役法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一短期現役小學校〓員俸給費國庫負擔法
中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月二十七日
委員長山本厚三
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年二月二十七日
委員長山本厚三
衆議院議長小山松壽殿
〔山本厚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=12
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013・山本厚三
○山本厚三君 只今上程セラレマシタ一一法
律案ノ委員會ニ付キマシテ御報〓申上ゲマ
ス、本案ノ要旨ハ六項目ニ分レテ居リマシ
テ、何レモ非常ニ重要ナモノト存ジマス、
其ノ第一ハ服役期間ノ改正デアリマシテ、
海軍豫備ニ於テ一箇年、後備ニ於テ二箇年
ノ延長ヲ致スノデアリマス、次ニ陸軍ニ於
キマシテハ第一補充兵役五箇年ノ延長ヲ致
シ、海軍ハ第二補充兵役五箇年ノ延長ヲ致
スコトニナツテ居リマス、第二ハ短期現役
兵制度ヲ此ノ際廢止ヲシテシマハウト云フ
ノデアリマシテ、之ニ伴ヒマシテ國庫負擔法
ノ名前ヲ「短期」ノ二字ヲ削ツテ第一條ノ改
正ヲ致シタノデアリマス、第三ハ在學學生
ノ徴集延期制度ヲ改正致シマシテ、今マデ
二十七歲デアツタモノヲ二十六歲ニ、一箇
年繰上ゲヨウトスルノデアリマスガ、現在
在學中ノ者ハ其ノ儘ト致シテ、改正法ヲ適
用シナイト云フノデアリマス、第四ハ徵兵
順序ノ決定法ノ改正デアリマシテ、是ハ色
色ノ改正ガアリマス、第五ハ召集ニ關ス
ル方法ノ改正デアリマシテ、四點程改正ヲ
セラレテ居リマス、第六ガ滿洲等ノ在外指
定學校ノ範圍ヲ擴張致シテ、重要ナル學校
ニ於ケル日本ノ學生ニ適用スルト云フ改正
デアリマス
此ノ兩案ニ付キマシテ二月十七日以來二
十七日マデ質疑應答ヲ重ネタノデアリマス
ルガ、非常ニ多岐ニ亙ツテ居リマスルガ、
其ノ質疑ノ中最モ重要ト考ヘマス四五ノ點
ニ付テ御報告ヲ申上ゲタイト存ジマス、第
一ハ國防充實ニ關スル件デアリマスルガ其
ノ一ツトシテ將來戰ニ對スル方針計畫ハド
ウデアルカ、多兵主義ニ依ルノデアルカ、
精兵主義ヲ以テ進ム積リデアルカ、之ニ對
シマシテハ陸軍大臣ヨリ何レニモ偏ラナイ
ト云フ御答辯デアリマシタ、第二ハ補充兵
役ヲ五箇年延長シタガ、是ハ精兵主義トハ
行カナイノデハナイカ、ソレヨリハ寧ロ二
十歲ノ徵集年齡ヲ一年繰上ゲテ十九歲、卽
チ靑年學校ヲ卒業シテ直チニ徵集ヲシタナ、
ラバ、其ノ間ニ無駄モナイカラ、一年繰上
ゲテハドウダト云フ。意見ガ相當澤山出マシ
タガ、是亦政府ハ直チニ行フ考ハナイト云
フコトデアリマス、第三ハ軍ガ段々機械化
シテ來ルカラ、服役年限ガ二年デハ短キニ
失シハシナイカ、之ヲ延長スル考ハナイカ
ト云フ、是ハ少シ積極的ナ御意見モ二三出
タノデアリマス、是亦今日其ノ考ハナイト
云フ御答辯、第四ハ兵役ヲ今少シク徹底的
ニ改正ヲシナケレバイケマイ、今囘ノ改正
ハ其ノ一部ノ改正デアルカラ、モツト改正
ヲ徹底的ニシナケレバナルマイト云フ御意
向、第五ハ國民皆兵主義ヲ今少シク徹底シ
ナイト、一部ニハ徵集ノ猶豫デアルトカ、
兵役免除ト云フヤウナ特典ガアルガ、是八
調ベテ見ルト、ドウモ國民皆兵ノ主義ニ反
スルト云フ、强イ御意見モ出タノデアリマ
ス、第六ハ壯丁豫備檢査ヲ行ツタラ宜カラ
ウ、是ハ將來サウ云フコトニナルデアラウ
ト云フヤウナ御答モアリマシタ
第二ニ兵役法ト〓育制度、卽チ學生トノ
關係ニ付テノ質問デアリマスルガ、先ヅ第一
ニ今囘廢止ニナツタ短期兵役法ト云フモノ
ハ、師範學校卒業生ガ五箇月徵集ノ兵役デ
アツタモノヲ、普通ノ二箇年ニ延長シタノ
デアリマシテ、ソレガ爲ニ師範學校入學志
願者ガ減少スルトカ云フノデハアリマスマ
イガ、兎ニ角近來師範學校ノ入學者ガ非常
ニ年々遞減致シテ居ル、ソレニ斯ウ云フ改
正ガアツタ爲ニ、萬一是レ以上減ルト云フ
ヤウナコトガアツタナラバ、靑年學校ハ非
常ニ殖エテ來ルシ、其ノ他ノ小學校モ殖エ
テ來ルノニ、〓員ガ減ルト云フコトハ、是
ハ由々シキ大事デアル、之ニ對シテ如何ナ
ル對策ガアルカト云フ、是ハ相當大キナ質問
デアリマシタ、卽チ之ニ對シテハ〓員ノ優
遇ヲシテ貰ヒタイト云フ希望ガ澤山出タ譯
デアリマス、此ノ〓員ノ減少ト云フコトニ
付キマシテハ、政府ハ二千四百人ノ募集增
加ヲ致シ、之ニ對シテ十万圓ノ地方費補助
ヲシテ、之ヲ何トカ是正シヨウト云フコト
ノ御答辯ガアリマシタガ、其ノ位ノコトデ
ハ中々之ヲ增加スルト云フコト、遞減ヲ防
グト云フコトハ出來マイ、斯ウ云フ意向ガ
多カツタノデアリマス、其ノ二ニハ徵集猶
豫ノ期間ガ一箇年繰上トナツタガ、大學生
ハ現在在學中ノ者ハ宜シイシ、將來モ一年
繰上ゲタダケデアリマスガ、高等學校在學
生ガ卒業シタ場合ニ是ガ進學スルコトガ出
來ナイ、直チニ徵集ニ應ジナケレバナラヌ、
獨リ高等學校ガ左樣ナ扱ヲ受ケルト云フコ
トハ甚ダ困ル、學生ガ中途休學若クハ廢學
ヲスルト云フヤウナコトガアツタラ非常ナ
不幸デアル、又國家ノ損害デアル、斯樣ナ
質問デアリマスルガ、是等ニ對シテハ陸軍、
文部共ニ、何トカシテ其ノ救濟ニ緩和ノ方
法ヲ執リタイト云フダケデアリマシテ、遂
ニ高等學校卒業生ニ對スル是正ノ案ト云フ
モノハ答辯ガ得ラレナカツタノデアリマス
第三ハ兵役法ヲ改正シテモ日本ノ〓育制
度ヲ改正シナケレバ跛行的デアツテ、非常
ニソコニ食違ヒガ起ル、只今ノ高等學校卒
業生ノ如キモ其ノ一ツデアル、故ニ一方ニ
兵役法ヲ改正スルト同時ニ、他方ニ〓育制
度ノ根本的刷新ヲシナケレバ、ツコニ非常
ナル缺陷矛盾ガ起ツテ來ハシナイカ、卽チ
國民學校八年制、師範〓育改革ノ根本策ト
云フモノガ、〓育審議會デ既ニ可決サレテ
答申濟デアルノニ、何故之ヲ直チニ實行ヲ
シナイカ、斯ウ云フコトガ直グニ〓員ノ不
足ト云フヤウナコトニ影響シテ來テ、短期
兵役廢止ト云フコトノ關係ガ、非常ニ重大
ニナツタノデアルカラ、ドウシテモ是ハ相
俟ツテ行カナケレバ相成ラヌト云フ質問デ
アリマス、其ノ他關聯事項ト致シマシテ
ハ、徵兵保險制度ヲ實施シタラドウダ、徵
兵檢査ノ稅金、壯丁稅ナドヲ取ルコトハ陸
軍モ御反對デアルシ、大體贊成スル人ハ少
イガ、其ノ代リニ徵兵保險制度ヲ作ツテ、
只今ヤツテ居ル徵兵保險ノヤウナモノヲ國
營デヤツテ、壯丁ノ家庭ノ困難ヲ救フ、是
ハ大變立派ナ御案ノヤウデ、强イ御質問デ
アリマシタガ、政府ハ直チニ左樣ナコトヲ
行フ考ハナイト云フ御答辯、其ノ二ハ國民
體位向上ト日本ノ人口問題デアリマスルガ、
是モ相當澤山ノ方カラ御質問ガアリマシ
ク、國民體位ハ今ヤ低下ノ狀況ニアルト云
フコトヲ、陸軍大臣モ言明ヲセラレテ居ル
ノデアリマスルガ、段々質問致シマスルト、
低下ト云フ程デモナイ、但シ向上ト云フマ
デニハ行カヌト云フヤウナコトニナリマシ
タガ、事實統計ハ低下シテ居ルヤウデアリ
マス、之ニ對シテ厚生省トモ非常ナ重要ナ
質問ガ交換サレタノデアリマス、又人口ガ
昨年度ハ三十九万人減少致シタ、大體厚生
大臣ノ御答辯ニ依レバ、三四十万人ハ明年
度ニ於テモ減少スルカモ知レヌト云フ御答
辯デアリマス、是ハ實ニ重大ナ問題デアル
ト云フノデ、色々ノ質問ガ交サレタ結果、
國民體位向上ニ付テハ健康管理制度ヲ作ツ
テヤル積リデアル、又人口問題ニ付テハ、
人口〓究所ヲ作ツテ之ノ〓究ヲスル積リデ
アルト云フ答辯デアリマシタ、第三ニ最モ
多カツタノハ銃後施設ノ萬全ヲ期セヨト云
フコトト、戰病死者遺族ヲ特別ニ優遇シナ
ケレバナラヌト云フコトデアリマシタ、其
ノ他色々ナ有意義ナ質問ガアリマシタガ、
遺憾ナガラ之ヲ省略致シマス
唯討論ニ先ダチマシテ、多田滿長君ヨリ
文部大臣ニ對シテ〓育上最モ重大ナル二ツ
ノ質問ガアリ、之ニ對シテ文相ノ御答辯ガ
アリマシタカラ、尙ホ一言申上ゲテ置キタ
イト存ジマス、其ノ一ツハ〓員ノ優遇ヲ急
速ニ實施シナケレバナラヌ、今ノ儘デハド
ウシテモ漸減セザルヲ得ヌ、之ニ對スル文
相ノ答辯ハ、精神的ニハ最モ崇高ナ職務デ
アル、崇敬セラルベキ職務デアルト云フコ
トヲ、一般國民ノ認識ヲ强ウシナケレバナ
ラヌ、又之ニ對シテハ政府ニ於テモ何等カ
表彰ノ方法ヲ講ジタイ、例ヘバ文化章ニ對
スル〓育章ト云フガ如キ方法モ其ノ一デア
ラウト云フコトデアリマシタ、又一方物質
的ニハ給與額支給方法等ニ遺憾ナカラシメ
テ、其ノ尊キ天職ヲ全ウセシメルヤウニ致
シタイ考デアルト云フ答辯デアリマシタ、
第二ハ〓育審議會答申濟デアル所ノ國民學
校八年制、師範學校〓育ノ根本的改革ハ、
長期建設ノ今日最モ喫緊ナコトデアルノ
ニ、ナゼ實現ヲシナイノデアルカ、此ノ追
加豫算ニ直チニ出スベキモノデハナイカ、
若シ出スコトガ出來ナクトモ、昭和十五年
度ニ於テハ必ズ之ヲ實行シテ貰ヒタイ、斯
ウ云フ質問ニ對シテ、文部大臣ハ之ニハ色々
ト各方面ノ關係ガアリ、準備ノ必要ガアル
カラ、追加豫算ヲ出スト云フコトハ至難デ
アルガ、昭和十五年度ニ於テ之ヲ實施シ得
ルヤウニ努力ヲ致シテ、萬全ヲ期シタイト
云フ答辯ガアリマシタ
ソコデ討論ニ入リマシテ、各派代表卽チ
田村、鹽川、前川、今井ノ諸君ヨリ、次ノ
如キ重要ナル希望意見ヲ述ベテ原案贊成ヲ
セラレタノデアリマス、卽チ其ノ要點ヲ簡
單ニ申上ゲレバ、第一ニハ國軍ノ充實ヲ期
サナケレバナラヌ、ソレニハ徵集年齡低下
等兵役法ノ改正ヲシナケレバナルマイ、シ
テ貰ヒタイ、第二ハ軍民一致ト云フコトニ
一層留意シテ貰ヒタイ、第三ハ學制改革ノ
急速實施、卽チ兵役法改正ト步調ヲ合セテ
貰ヒタイ、第四ハ〓員優遇ト此ノ補充對策
ニ遺憾ナカラシメテ貰ヒタイ、第五ハ猶豫
繰上ノ爲ニ學生ガ學業ヲ休止スルヤウナコ
トガアツテハ困ルカラ之ヲ少クシテ貰フ
カ、對策ヲ講ジテ貰ヒタイ、第六ハ體位向
上ノ方策ヲ徹底シテ貰ヒタイ、第七ハ銃後
施設ノ改善充實、第八ハ戰病死者遺族ノ待
遇改善、第九ハ齒科軍醫制ノ實施、第十ハ
兵器改善ノ爲國民ノ產業的技能養成ノ方法
ヲ講ズベシ、第十一ハ人的資源培養ノ爲ニ
農村振興ニ留意アリタシ、右ノ十一箇條ノ
希望意見ヲ皆サンカラ御申述ニナリマシ
テ、贊成ノ意ヲ表セラレタノデアリマス、
仍テ採決ノ結果兩案トモ滿場一致原案通リ
可決致シマシタ次第デアリマス、右御報〓
申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=14
-
015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=15
-
016・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=17
-
018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
短期現役小學校〓員俸給費國庫負擔法
中改正法律案第二讀會(確定議)
兵役法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=18
-
019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程
第一、酪農業調整法案、第一讀會ヲ開キマ
ス-櫻内農林大臣
第酪農業調整法案(政府提出)
第一讀會
酪農業調整法案
酪農業調整法
第一條本法ハ牛乳ノ需給ノ圓滑及取引
ノ公正ヲ圖リ竝ニ牛乳ノ生產業及乳製
品ノ製造業ヲ調整シ以テ畜產ノ健全ナ
ル發達ヲ期スルコトヲ目的トス
第二條行政官廳ノ指定スル地域內ニ於
テ牛乳ノ生產ヲ業トスル者ノ組織スル
法人ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノ牛乳
ノ販賣ニ關スル施設ヲ行フ場合ニ於テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ニ屆
出ヲ爲スベシ
第三條行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ
豫防シ又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト
認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前
條ノ法人ニ對シ牛乳ノ販賣ノ統制ニ關
スル決定ヲ爲スベキコトヲ命ジ又ハ同
條ノ地域內ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トス
ル者ニ對シ同條ノ法人ノ統制ニ關スル
決定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ
得
第四條牛乳ノ販賣ヲ業トシ又ハ乳製品
ノ製造事業ヲ爲ス者行政官廳ノ指定ス
ル地域内ニ於テ牛乳ノ生產ヲ業トスル
者又ハ其ノ組織スル法人ト繼續シテ牛
乳ノ取引ヲ爲サントスルトキハ命令ノ
定ムル所ニ依リ價格、數量其ノ他牛乳
ノ取引ニ關スル事項ニ付行政官廳ノ許
可ヲ受クベシ
行政官廳牛乳ノ取引上ノ弊害ヲ豫防シ
又ハ矯正スル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ前項ノ取引ニ關シ必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第五條勅令ヲ以テ定ムル乳製ロ四ノ製造
事業(製酪業)ヲ爲サントスル者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ工場ノ位置、製品ノ
種類及數量其ノ他其ノ事業ニ關スル事
項ニ付行政官廳ノ許可ヲ受クベシ
第六條前條ノ許可ヲ受ケタル者(製酪業
者)ハ製酪業ノ改良發達及統制ヲ圖ル爲
製酪業者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得テ
定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ
選任シ行政官廳ノ認可ヲ受ケ製酪業組
合ヲ設立スルコトヲ得
第七條製酪業者製酪業組合ヲ設立セザ
ル場合ニ於テ行政官廳特ニ必要アリト
認ムルトキハ製酪業者ニ對シ命令ノ定
ムル所ニ依リ製酪業組合ノ設立ヲ命ズ
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者ハ前條ノ規定ニ從ヒ其ノ設立ニ付テ
行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第八條製酪業組合ハ法人トシ全國ヲ通
ジ一個トス
製酪業組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事
業ヲ營ムコトヲ得ズ
第九條製酪業組合ニハ所得稅及營業收
益稅ヲ課セズ
第十條製酪業組合ハ左ノ事業ヲ行フコ
トヲ得
一乳製品ノ製造、販賣及出荷ニ關ス
ル統制
二乳製品ノ販賣及出荷ニ關スル共同
施設
三乳製品ノ檢査
四製酪業ノ經營ニ必要ナル物ノ供給
五其ノ他組合ノ目的達成上必要ナル
事業
製酪業組合前項第一號ノ事業ヲ行フ場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政
官廳ノ認可ヲ受クベシ
第十一條製酪業組合ハ設立ノ認可アリ
タル時成立ス
製酪業組合ノ設立アリタルトキハ主タ
ル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ
爲スベシ登記シタル事項中ニ變更ヲ生
ジタルトキ亦同ジ
製酪業組合ノ設立又ハ登記シタル事項
ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ之
ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第十二條製酪業組合ノ設立アリタルト
キハ製酪業者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第十三條製酪業組合ハ定款ノ定ムル所
ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ
及過怠金ヲ課スルコトヲ得
第十四條行政官廳必要アリト認ムルト
キハ製酪業組合ノ組合員ニ對シ第十條
第一項第一號ノ統制ニ關スル組合ノ決
定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十五條行政官廳ハ製酪業組合又ハ其
ノ組合員ニ對シ其ノ業務ニ關シ報〓ヲ
爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキ
ハ當該官吏ヲシテ製酪業組合又ハ其ノ
組合員ノ事務所、工場其ノ他ノ場所ニ
臨檢シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セ
シムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ
身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條製酪業組合ノ決議又ハ組合ノ
役員ノ行爲ガ法令、定款若ハ行政官廳
ノ處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害
シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ
行政官廳ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一決議ノ取消
二役員ノ解任
三組合ノ事業ノ停止
四組合ノ解散
第十七條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外製酪業組合ノ設立、登記、管理、解
散〓算其ノ他組合ニ關シ必要ナル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條行政官廳ハ第四條第一項又ハ
第五條ノ許可ヲ受ケタル者ニ對シ許可
ヲ受ケタル事項ニ關シ必要ナル報〓ヲ
爲サシムルコトヲ得
行政官廳監督上必要アリト認ムルトキ
ハ當該官吏ヲシテ前項ニ規定スル者ノ
事務所、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ帳
簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示
ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條第五條ノ規定ニ違反シ許可ヲ
受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ依ラ
ズシテ製酪業ヲ爲シタル者ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第二十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第三條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タル者
二第四條第一項ノ規定ニ違反シ許可
ヲ受ケズ又ハ許可ヲ受ケタル事項ニ
依ラズシテ取引ヲ爲シタル者
三第四條第二項ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シタル者
四第十四條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタル者
第二十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十五條第一項又ハ第十八條第一
項ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ又ハ虛
僞ノ報告ヲ爲シタル者
二第十五條第一項ノ規定ニ依ル命令
又ハ處分ニ違反シタル者
三第十五條第二項又ハ第十八條第二
項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又
ハ忌避シタル者
第二十二條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九
條、第二十條又ハ第二十一條第一號若
ハ第二號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ
其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザ
ルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ
得ズ
第二十三條第十九條、第二十條竝ニ第
二十一條第一號及第二號ノ罰則ハ其
ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其
ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、
未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ
法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關
シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年
者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條左ノ場合ニ於テハ法人ノ理
事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員
ヲ三百圓以下ノ過料ニ處ス
一第二條ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サズ
又ハ虛僞ノ屆出ヲ爲シタルトキ
二第十六條第三號ノ規定ニ依ル處分
ニ違反シ事業ヲ停止セザルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第四條第一項ノ規定ニ
依リ許可ヲ受クベキ取引ヲ爲ス牛乳ノ販
賣ヲ業トシ若ハ乳製品ノ製造事業ヲ爲ス
者若ハ之ヲ承繼シタル者又ハ本法施行ノ
際現ニ第五條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベ
キ製酪業ヲ爲ス者若ハ之ヲ承繼シタル者
ハ本法施行ノ日ヨリ一年ヲ限リ第四條第
一項又ハ第五條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定
ムル所ニ依リ引續キ其ノ取引ヲ爲シ又ハ
其ノ事業ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第四條第
一項又ハ第五條ノ許可ヲ申請シタル場合
ニ於テ其ノ申請ニ對スル許可又ハ不許可
ノ處分ノ日迄亦前項ニ同ジ
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=19
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020・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ酪農業調整法案ノ提案理由ヲ御說明
致シマス、近時我國ノ酪農業ハ長足ノ進步
發達ヲ遂ゲテ參ツタノデアリマシテ、酪農
生產物ハ逐年增加致シマスル國內需要ヲ優
ニ充スノミナラズ、更ニ進ンデ其ノ一部ヲ
煉乳、「バター」等トシテ南洋、歐羅巴等ノ
海外市場ヘ輸出スルニ至ツタノデアリマス
併シナガラ一面從來ノ酪農業ニ關スル制度
ニ付キマシテハ十分ナラザルモノガアリマ
シテ、牛乳生產業者ト乳製品製造業者トノ
間、或ハ當業者相互ノ間ニ於テ徒ラナル摩
擦ヲ惹起シ、爲ニ動モスレバ牛乳ノ需給ノ
圓滑及ビ取引ノ公正ヲ期シ難キ憾ミガア
リ、又乳製品ノ製造販賣ニモ種々支障ヲ生
ジツツアリマシテ、是ガ爲ニ一層伸ビルベ
キ我國酪農業ノ發達ヲ阻碍シテ居ル現狀ニ
アルノデアリマス、隨ヒマシテ是等ノ關係
ヲ調整致シマシテ合理化シ、一層斯業ノ進
展ヲ圖リ、豐富且ツ低廉ナル酪農生產物、
殊ニ輸出向乳製品ノ生產ヲ促進致シマスコ
トハ、農家經濟ノ安定ヲ期スル所以デアリ
マシテ、延イテハ國民體位向上ノ爲ニモ、
亦國際貸借改善ノ爲ニモ洵ニ緊要ト認メラ
レルノデアリマス、右ノ趣旨ニ基キマシテ、
此度酪農業調整法ヲ制定セントスルモノデ
アリマスガ、本案ノ內容ハ、牛乳生產業者
ト乳製品製造業者トノ雙方ニ亙リ團體ヲ整
備シ、其ノ活動ヲ促進致シマスルト共ニ、
之ニ對シ行政官廳ガ適當ナル監督ヲ加ヘマ
シテ、牛乳ノ需給ノ圓滑及ビ取引ノ公正ヲ
圖リ、以テ畜產ノ健全ナル發達ヲ期セント
スルモノデアリマス、幸ニシテ本案ノ成立
ヲ見マスルナラバ、政府ガ從來ヨリ實施シ
テ參リ、又今後新ニ設ケマスル酪農關係ノ
諸施設ト相俟チマシテ、我國酪農業進展ノ
上ニ裨益スル所頗ル大ナルモノガアルト信
ズルノデアリマス、何卒御審議ノ上御協賛
アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=20
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021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-深澤吉平君
〔深澤吉平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=21
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022・深澤吉平
○深澤吉平君 私ハ只今上程ニナリマシタ
酪農業調整法案ニ關聯致シマシテ、以下數
點國務大臣ニ質疑ヲ試ミ、其ノ御所見ヲ求
ムル者デアリマス
平時ト云ハズ、非常事變下ト云ハズ、列
强對峙ノ現代ニ於テ、東亞新體制ノ巨步ヲ
大陸ニ進メシ今日ニ於キマシテハ、五指交
彈ノ力ヲ一擧ニ集中シ、有機體制ノ綜合的
力ヲ以テ此ノ時局ニ對應スルト云フ見地カ
ラ、本案ハ不徹底デハアリマスケレドモ、
無キニ優ルト云フ見地ヨリ致シマシテ、私
ハ可トスルノデアリマス、由來我國ノ農業
問題ハ、經濟ノ推移ト竝行シマシテ、土地
ノ分配、收益分配、又人口ノ過多ノ問題、
是ガ發シテハ都市ノ問題ヲ惹起シテ居ルノ
デアリマス、我國ノ細長キ地理學的位置ヨ
リ見マスト、熱帶地方ニ於ケル農業、亞熱
帶ノ農業、溫帶ノ農業、亞寒帶ノ農業ノ四
ツニ區分致シテ見マスト、酪農ハ溫帶及ビ
亞寒帶ニ接スル地域ニ限定セラレタ農業デ
アリマス、而シテ我國ノ酪農業ノ進出ハ歷
史的ニハ新シキモノデアリマス、酪農ト云
フ文字ガ旣ニ新シク、常識的ニ直グピント
來ナイ文字デアリマス、ケレドモ是ハ海ヲ
越エテ、彼ノ白人ノ農業ハ之ヲ中心トシ
テ、展開シテ居ルノデアリマス、廣イ意味
ニ於キマシテ、彼ノ文明ト東洋文明ヲ比べ
タナラバ、食物ノ上ノ一角度カラ見ルト、彼
ノ文明ハ蛋白質文明デアリ、我レノ文明ハ
五穀ヲ中心トスル炭水化物ノ文明デアル、
其ノ見地ハ、彼等ノ組織科學ヲ生ミ出シ、
我レノ炭水化物文明ハ主觀的文明ヲ生
ミ出シタ、其ノ接觸地點ガ亞細亞ノ何
處ニ是ガ交叉スルカハ、是ハ識者ノ批
判ニ俟ツ所デアリマス、ケレドモ私ハ農業
「ライン」ナルガ故ニ、「ライン」ノ見地カラ國
務大臣ニ現代ノ我ガ農業ヲ如何ニ處理シ、
其ノ上ニ現ハレシ酪農統制ニ對スル所見ヲ
即キタイノガ第一デアリマス、日本ノ國ノ
農業問題ノ根本解決ハ、土地分配ガ至難中
ノ至難デアリマス、世界ニ類例ノナイ過小
農業デアリマス、世界ニ類例ノナイ多クノ
人口ヲ收容スル日本ノ農業デアリマス、而
シテ之ヲ經濟的ニ橫ニ見マスルナラバ、總
所得ト云フモノヲ千ト假ニ致シマスト云フ
ト、僅ニ百七十七ト云フ數字、「パーセンテー
ジ」デ見ルト云フト、四九·五デ分配シテ
居ル、鑛工業ヲ見マスト云フト、人數ハ少
イケレドモ、分配ノ數字ハアノ統計年鑑ガ
示ス通リデアリマス、商業然リデアリマス、
此ノ經濟的ノ困難ナ問題、之ニ對スル世ノ
聲ヲ聽キマスト云フト、ウント働イテ受ケ
ル所ハウント少イ、農業者ノ團體、組合、ソ
レニ對シテハ反產ノ聲ヲ聞ク、唯一ノ賴リ
デアル經濟機構、若シ之ヲ抑ヘ、押込ンダ
ナラバ、多クノ人口ヲ有スル農村ノ經濟ノ
歸結ハ何處ニ行クノデアルカ、商工業モ同
ジ同胞デアル、所得ノ分配ガ高イ低イガア
ルト云ウテモ、之ニ向ツテ私ハ不平ノ聲ヲ
持チマセヌケレドモ、眞理ハ物平カナラザ
レバ鳴ルト云フコトハ能ク昔カラ聞カサレ
マシタ、又上ノ御聖旨ハ、一人トシテ其ノ
處ヲ得ナイ者ガアツテハナラナイト云フコ
トハ、祖先以來吾々ノ血液ノ底ニ流ルル生
命デアリマス、都市ノ人モ自分ノ親カ兄弟、
同ジ血ノ流レルモノデアル、ソレガ今經濟
ノ一點ニ於テ、兩者ガ社會問題ノ名ニ於テ、
農村問題ノ名ニ於テ、オ互ニ妙ナ顏付キ、
歪ンダ顏付、是ハオ互ガ能ク心ニ思ヲ置カ
ナケレバナラヌ、白人ノ社會問題、白人ノ
經濟問題、是ハ彼等ガ昔歷史的ニ王ヲ失ヒ
シ「ルンペン」ノ民ノ、オ互ノ平等ノ見地ニ
立ツ爭デアル、大和民族ニハ三千年來吾等
ノ聖天子、國民、民族ガ同胞トシテ、此ノ
狹イ天地ニ最モ集約的ニ、最モ經濟的ニ、
世界ニ類例ノナイ小地積カラ多クノ富ヲ生
ミ出シテ、勤勞ノ上ニ努力シテ來タ我等ガ、
白人文明ノ底ヲ眺メル時ニ、有色人種ノ血
ガニジンデ居ル、亞細亞ニ於ケルアノ支那
同胞ノ生活苦、「パール·バック」ノ言葉ヲ藉リ
ナクモ、之ヲ思フ時ニ彼ハ必ズ餘所ノ國ノ
問題デハナイ、オ互ガソコニ能ク考ヘレバ
直グ分ル、又遠イ國ノ佛蘭西ノ今ノ姿、又
ソコニ現ハレルアノ噫無情ノ言葉ハ古イケ
レドモ、今尙ホ其ノ解決ガ付カナイ、私、
思ヒマス、彼ヲ他山ノ石トシテ見タ時ニ、
日本ノ農業ヲ如何ニシテ解決スルカ、大學
ノ講義錄ニハアル、所謂日本ノ農業ヲ解決
スルニハ適地面積ト云フモノガアル、如何
ニ耕シタナラバ農家ガ生活致シテ行ケルカ、
ソレハ現在ノ面積ノ倍ヲ超ストシタナラバ、
其ノ人口過剩勞力ガ何處ヘ行クカ、工業ガ
吸收スルカ、無論吸收シ得ヨウ、サスレバ
其ノ工業ノ商品ハ何處ヘ行クカ、現在ノ經
濟的ノ海外ニ於ケル所ノ姿ハドウデアルカ、
狹イ所ノ國防戰線ハ露滿國境カラ支那ニ行
カウ、ケレドモ吾々ノ勤勞ノ產物デアル所
ノ品物ノ交叉スル所ハ、廣義國防ノ範圍デ
アルケレドモ、私ハ思ヒマス、今ノ日本ノ
農業ヲ、國務大臣ハ適地面積ヲ割出シテ、
玆ニ此ノ整理ヲスルニハ如何ナル御考ノ下
ニ之ヲ進メントスルカ(拍手)
其ノ中ヲ引拔キマシテ私ハ今度ハ酪農ノ
問題ニ入ツテ行キマス、我國ノ酪農業ヲシ
テ堅實ナル發達ヲ爲サシメルニハ、酪農業
ノ特殊事情ト云フカ、過去及ビ現在ニ於ケ
ル農業生產者ノ著シキ進步發達ノ事績ニ鑑
ミマシテ、乳製品ノ加工事業ハ營利會社ノ
經營事業ト爲スヨリモ、寧ロ生產者ノ團體
ニ全統制ヲ爲サシメ、總テノ加工事業ヲ經
營セシメル方ガ酪農業ヲシテ安定セシメ、
將來ノ發展ヲ期スル上ニモ、商品ノ價格ノ
公正ヲ期スル上ニモ、其ノ配給ヲ公平圓滑
ナラシムル上ニモ、又品質ノ向上ヲ圖ル上
三···最モ合理的ニシテ且ツ適切ナリト思
惟スルガ、之ニ對スル國務大臣ノ所見如何
統制一元化ノ理論ヨリ考ヘタナラバ、樺
太ヲ除外シタノデハ本案ノ目的ヲ達シ得ナ
イト思フガ、之ニ對スル國務大臣ノ所見如
何
次ニ都會ノ市乳業者ノ單ナル營利觀念ニ
支配セラレ、五年乃至七年ノ飼養能力アル
乳牛ヲモ、所謂一腹搾リニテ屠殺シテ居ル
ガ、是ハ國內資源確保上重大ナル問題ト思
ハレルガ、之ヲ禁止スル意思ナキヤ、所見
如何
五、我國ノ酪農ノ中北海道ハ六七割ニ當
ルノデアル、而シテ本案ハ北海道拓殖計畫
ト重大ナル關係ヲ有スルガ、本案ニ對スル
政府ノ所見モ承ツテ置キタイ
六、乳製品ノ大宗ハ「バター」デアツテ、
是ガ製造ハ純生產者ノ團體デアル北海道酪
農販賣利用組合聯合會、卽チ全道ヲ一丸ト
シタ通稱酪聯ニ於テハ、旣ニ全國ノ八割餘
ヲ生產シ、今ヤ國內ノ需要ヲ充シテ、更に
倫敦市場ニ百万封度以上ノ輸出ヲ爲シテ居
ル、而モ其ノ副產物トシテ「カゼイン」ト乳
糖ガ生產セラレル、「カゼイン」ハ軍需品ト
シテモ亦諸般ノ工業原料トシテモ頗ル重要
物資デアツテ、最近ニ於テ年一千五百万封
度ノ輸入ヲサレテ居ル、乳糖ハ衞生資材ト
シテ、日常醫藥品中必要缺クベカラザルモ
ノデアツテ、是亦最近百万封度ノ輸入ヲ見
テ居ル、且ツ「カゼイン」ヲ原料トスル我國
ノ輸出工業品ハ「ベニヤ」板、「ラクトロイ
ド」、「アート」紙ノ三點ノミ見テモ、年千四
五百万圓ノ輸出ヲ見テ居ル、國際貸借上重
要ナル役割ヲ演ジテ居ル、數年前ヨリ北海
道廳ヲシテ拓殖費ヲ以テ銳意是ガ國產ノ獨
立計畫ヲ施設シツツアルト聞クガ、加速度
的ニ時局ニ鑑ミ、更ニ一段ノ擴張ノ必要爛
頭焦眉ノ急ニ迫ツテ居ル、之ニ對シテ所管
現大臣ノ御所見ヲ承リタイ
更ニ本案實施ニ當リ監督官廳ハ最モ公平
ナル態度ヲ持セネバナラナイ、然ルニ監督
官廳ノ官吏ガ退官以後在官中監督下ニアリ
シ會社ノ重役トシ、又ハ社員トシテ就職ス
ル例ガ多々アリマス、其ノ在官中兎角ノ噂
ヲ耳ニスルガ甚ダ遺憾デアル、之ニ對スル
國務大臣ノ所見如何(拍手)
次ハ家畜飼料問題竝ニ食糧問題ニ付テ、
本問題ト關聯シテ所管大臣ノ御意見ヲ御
伺シテ置キマス、我國ノ食糧ハ米ガ中心
デアル、其ノ米ニ從來混砂米ト稱シテ、
搗粉ヲ入レテ之ヲ搗精シテ居ル、之ヲ經
濟的見地、竝ニ衞生的見地、家畜飼料ノ
見地、糠其ノモノノ食糧トシテノ見地カ
ラ見マスト、有害無益ナル勞作ト、有害無
益ナル資本ト、有害無益ナル取引ニ外ナラ
ナイ、之ヲ國內ニ直チニ禁止スル御意思ガ
アルカドウカ、是ガ理由ハ、昭和八年陸軍
糧秣廠ノ試驗成績ニ依ツテ、榮養、經濟、
搗減リ、其ノ他ニ付テハ明ニナツテ居リマ
ス、又畜產試驗場ノ試驗成績ニ依ツテ明ニ
ナツテ居リマス、更ニ非常事變下ニ於キマ
シテハ食糧、飼料ト云フコトハ、資源確保
ノ上ニ深甚ナル注意ヲ拂ハネバナリマセ
ヌ、アノ糠ト云フモノハ食糧トシテハ非常ニ
貴重ナ榮養分ヲ多量ニ持ツテ居ル、アノ獨
逸ガ世界戰爭ニ敗レタル原因ノ一ハ何處ニ
アツタカト云フコトヲ調ベマスト、軍備ニ
於テ、國民精神ニ於テ負ケハ取ラナイケレ
ドモ、アノ國ハ御承知ノ通リ食糧ガ缺乏ス
ル、「パン」ニ「ポテート」ヲ混ゼテ食ツタ、
尙ホ足ラナイデ蕪ヲ混ゼタ、ソコニ於テ母
親ガ嬰兒ニ與フル乳ニ缺乏シタ、之ガ敗因
ヲ成シタト云フコトガ書イテアリマス、斯樣
ナ見地ヨリ見マシタ時ニ、平時ト云ハズ、
事變ト云ハズ、斯ル有害無益ノコトヲ爲サ
シメルト云フコトハ國ノ資源ノ損耗デア
ル、故ニ速ニ之ヲ實施スルカドウカト云フ
御意見ヲ御伺シタイノデアリマス
最後ニ國家ガ保障スル稅制ノ上ニ、多數
中小菓子製造業者ガ苦痛ト壓迫ニ喘イデ居
ルト云フ奇現象ニ對シテ、國務大臣ノ御所
見ヲ御伺シタイノデアリマス、由來煉乳事
業ニ對シマシテハ國家ハ助長政策ヲ執ツテ
居ル、煉乳ト云フモノハ育兒事業デアルト
云フノデ、保健ノ上、又乳兒ノ健康ノ上カ
ラ非常ニ大事ヲ取リマシテ、此ノ事業ニ對
スル助長政策ハ當然デアリマス、サウシテ
砂糖ニ對シマシテハ戾稅ト申シマシテ、砂
糖ノ稅金ヲ免除シテ、使ツタダケノ砂糖ノ
稅金ダケハ之ヲ企業者ニ戾シテ居ル、其ノ
額ガ一箇年ニ百万圓ニ達シテ居ルノデアリ
やっ、是ハ非常ニ結構ナコトデアリマス、
一方日本ニハ大キナ菓子業者デ煉乳事業ヲ
兼營シテ居ルモノガアル、其ノ結果ト致シ
マシテ、戾稅ニ依ル所ノ砂糖ヲ使用シタ
「コンデンスミルク」ヲ使用シテ菓子ヲ造
ル、其ノ菓子ニ要スル量ハ「パーセンテー
ジ」ヲ見マスト、約四〇%デアリマス、育
兒用ガ四〇%、輸出用ガ二〇%、其ノ結果
自分ガ戾稅ヲ取ツタ「コンデンスミルク」ニ
依ツテ菓子ヲ造ル、他ノ中小菓子製造業者
ハ此ノ會社ニ對立シ得ナイノデアリマス、
之ヲ逆ニ申シマスト、力アル者ニハ助成シ、
力ナキ者ニハ助成シナイト云フ結果ガ現ハ
レテ來ルノデアリマス、營利追求ノ觀念ヲ
持ツ企業家ト致シマシテハ、菓子ガ好景氣
ノ場合ニハ原料品ノ賣止メヲヤル、隨テ更
ニ中小製造業者ハ苦痛ヲ嘗メル、苦痛ヲ嘗
メル中小菓子製造業者ハ數万ノ多キニ及
ブ、資本偉力ニ依ル上ニ更ニ國家ガ助成シ
テ、其ノ結果ガ中小菓子製造業者數万ノ壓
迫ニナルト云フコトハ、立法當時ニ於テハ
豫知セザルコトト思フ、其ノ他乳酸飮料製
造業者ヘノ壓迫モ是亦當然デアリマス、斯
ル悲慘ト斯ル怨嗟ノ聲ハ、數年來喧シキモ
ノガアツタノデアリマス、國務大臣ニ私ガ
御願シタイコトハ、民ノ怨嗟ノ聲、悲慘ノ
聲ト云フモノヲ此ノ耳ニニ聽カズシテ、隻手
ノ音ヲ聽ク耳ヲ持ツテ貰ヒタイノデアリマ
ス(拍手)愬ヘザルニ愬ノ聲ヲ聽クト云フノ
ガ、東洋爲政者ノ採ルベキ心構ヘダト聞イ
テ居リマス(拍手)此ノ法案ノ成立ノ結果斯
ル煉乳會社ノ營業權ヲ保障シ、益〓有利ノ立
場ニ至ラシメ、製造用ノ砂糖戾稅ノ利益ヲ
獨占セシメルト云フヤウナ結果ニ陷ラナイ
カト云フノガ、本員ノ𣏌憂ノ一ツデアリマ
ス、故ニ政府ハ斯ル不合理ヲ徹庭的ニ匡正
シ、恩典ニ浴セザル數万ノ中小菓子製造業
者竝ニ乳酸飮料製造業者ニ均霑セシムルコ
トガ當然デハナイカト信ズルノデアリマス、
之ニ對スル國務大臣ノ御所見ヲ御伺シタイ
ノデアリマス、之ヲ以テ私ノ質問ヲ終リマ
ス(拍手)
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=22
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023・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 深澤君ノ御質問
ニ對シテ御答辯ヲ申上ゲマス、第一ノ御質
問ハ農村經濟ト酪農政策ニ關シテノ御質疑
デアツタト思ヒマス、此度酪農調整法ヲ提
出致シマシタ點ハ、先刻申上ゲマシタ如ク、
從來ハ農村ニ於キマシテ牛乳生產業者ガ多
數アリマス土地ニ於テ、所謂牛酪製品ヲ製
造致シマス所ノ製品會社ガ牛乳ノ生產業者
ガ多イ場合ニ於キマシテハ、往々ニシテ之
ヲ安ク買取ル風ガアツタノデアリマス、又
之ニ反シテ所謂乳製品ヲ造ル業者ガアツ
テ、牛乳ノ生產高ノ少イ土地ニ於テハ、乳
製品ノ製造業者ガ相爭ツテ之ヲ購入致ス結
果、其ノ會社ガ成立ヲ致サズシテ、遂ニソ
レガ潰レルト云フ風ナ結果、雙方トモ迷惑
スルヤウナ狀態モアツタノデアリマス、此
ノ度ハ玆ニ牛乳ヲ生產スル所ノ人ノ一團體
ガアリ、コチラニ乳製品ヲ造ル所ノ業者
ガアル、此ノ業者ヲ雙方調整致シマシテ、
其ノ間ノ價格ノ如キハ、玆ニ酪農協議會
ト云フモノヲ設ケマシテ、相當ナ適當ナル
價格ノ下ニ、其ノ授受ガ圓滿ニ行クヤウニ
致シタイト云フノガ、此ノ法ノ精神デアリ
マシテ、卽チ現在ニ於キマシテハ、牛乳ノ
生產ヲ致シマスル爲ニ乳牛ヲ飼ヒマシテモ、
其ノ値段ガ暴落致ス結果トシテ、ソレガ成
立タナイ場合モアリマス、又乳製品ヲ拵ヘ
ル會社ヲ拵ヘマシテモ、乳牛ガ之ニ伴ハズ
シテ潰レルヤウナ場合モアルノデアリマス、
此ノ雙方ヲ調整シテ、卽チ適當ニ生產ヲ致
シ、適當ニ製造ヲ致シ、以テ共存共榮ノ途
ヲ開キ、一面ニ於テハ國民保健ニ貢獻シ、
一面ニ於テハ國際收支ニ貢獻シタイト云フ
意味合ニ於テ、此ノ法案ヲ提出致シタ譯デ
アリマス、此ノ牛乳生產ガ農家ニ於ケル所
ノ副業ト致シテ、或ハ又專業ト致シテ、重
要ナル役目ヲ致シテ居ルト云フコトハ固ヨ
リデアリマス、今日ノ農村經濟ノ建前カラ
見マスト、先刻深澤君ハ日本ノ國民ガ一人
ニ於テドノ位耕作スルノガ適當デアルカ、
ソレニ對シテ一定ノ方策ヲ持ツテ居ルカト
云フ御尋デアリマスガ、現在御承知ノ如ク
日本ニ於テハ耕地面積約六百八万町步程ア
ルノデアリマス、ソレニ對シテ此ノ耕作ニ
從事シテ居ル所ノ戶數ハ、慥カ五百五十何
万戶デアツタト私ハ記憶スルノデアリマス、
而シテ其ノ農家ニ於テドノ位耕作ヲシテ居
ルカト申シマスト、五段步以下ガ三割四分、
一町步以下ガ三割四分、而シテ二町以下ガ
二割何分カデアリマシテ、之ヲ合計スルト
九割一步程ニナリマシテ、アトハ極メテ少
數デアリマス、卽チ農家一戶當リノ耕作面
積ハ約一町步程デアリマスガ、是ハ深澤君
ノ御話ノ如クドノ位ナ耕地ヲ耕作セシメル
コトガ適當デアルカト云フ問題ニ付キマシ
テハ、或ハ山地デアルトカ、或ハ平坦地デ
アルトカ云フヤウナ、色々土地ノ事情ガア
リマスノデ、是ハ今日幾ラ耕作スルノガ適
當デアルカト云フコトハ、容易ニ斷言ハ出
來ナイノデアリマシテ、所々ニ依ツテ自ラ
異ルコトト考ヘルノデアリマス、隨ヒマシ
テ農家經濟ノ上カラ言ツテ、斯ノ如キ副業
ガ發達スルト云フコトハ、最モ喜ブベキコ
トデアリマスガ故ニ、吾々ハ其ノ發達ヲ期
待致シテ居ルノデアリマス
次ニ斯ウ云フ酪農法ノ如キモノヲ設ケズ
ニ自治ニ任シタラドウデアルカ、卽チ北海
道ノ如ク殆ド其ノ八割ニ近イ所ノモノハ一
定ノ生產者團體ガアツテ、而シテ自ラ之ヲ
乳製品ニ致シテ、ソレデ圓滿ニ行ツテ居ル
ノデアルカラ、全國的ニサウシタラ宜カラ
ウデハナイカト云フ御意見デアリマスケレ
ドモ、北海道ノ狀態ハ現在發達シテ居ルノ
デアリマスケレドモ、全國的ニハ今囘提案
ヲ致シマシタヤウナ方法ニ依ツテヤルノガ
適當デアル、斯ウ考ヘタノデアリマス
次ニ樺太ニ於テ何故適用シナイカ、斯ウ
云フ御疑問デアリマシタガ、樺太ニハ本案
ヲ施行シナイト云フ意味デハナイノデアリ
マン.差當リ樺太ヲ除外致シテ居リマスケ
レドモ順次國內ニ於キマシテ整備ガ出來
ルニ從ツテ、是ハ勅令ヲ以テ樺太ニ施行シ
得ルノデアリマス、唯今日現在ト致シマシ
テハ、卽チ國內ノ乳製品者ト樺太ノ牛乳生
產者トノ間ニ連絡ヲ取リマシテ、大シテ不
都合ガナイト斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマ
ス
次ニ乳牛資源ニ付キマシテ、此ノ移動ヲ
防ギ、而シテ一定ノ地方ニ於テ、其ノ資源
ヲ確保スルコトガ必要デハナイカト云フ御
意見デアリマスガ、是ハ指導方針ノ上ニ於
テ、左樣ナル意味ニ於テ指導シテ行キタイ
ト考ヘテ居リマス
更ニ乳製品ニ對スル御意見ガゴザイマシ
タガ、御話ノ如ク「カゼイン」ノ如キハ、所
謂軍需品其ノ他最モ重要ナル品物デアリマ
シテ、今日外國カラノ輸入ニ仰イデ居ルノ
デアリマスガ、是ハ此ノ酪農法ノ結果ト致
シマシテ、又國民全體ガ此ノ事業ニ注目致
ス結果ト致シマシテ、本事業ガ發達致シマ
スレバ、必ズヤ此ノ輸入防遏ニ貢獻致スノ
ミナラズ、所謂輸出資材デアル所ノ2
ヤ」板デアルトカ、或ハ其ノ他ノ問題ニ付
キマシテ少カラズ貢獻ヲ致スノデアリマス
ガ故ニ、吾々ハ之ニ對シテ出來ルダケノ助
成ヲ致シタイト考ヘテ居リマス
第五ニ官吏ヲ民間ノ斯ウ云フ會社ニ使用
スルト云フ風ガアルガ、之ニ對スル意見ハ
ドウデアルカト云フ御話デアリマスガ、此
ノ酪農事業ニ對シマシテハ、現在ノ所ニ於
キマシテハ左樣ナ事實ハアリマセヌ、無イ
ノミナラズ、將來ト雖モ監督官廳ニ居ツタ
者ガ、民間ノ會社ニ對シテ野ニ下ツタ時ニ
行クト云フコトハ、深ク注意シナケレバナ
ラヌコトダト考ヘテ居ルノデアリマス(拍
手)
ソレカラ飼料ノ問題ニ附帶シテ混砂米ノ
問題ニ付テ御話ガアリマシタガ、此ノ問題
ニ付キマシテハ、所謂砂ガアルトカ、其ノ
他ノ物ヲ混ゼテ搗イタ物ハ飼料ニナラナイ、
又色々ノ點カラ考ヘマシテ、無砂搗ノ宜イ
ト云フコトハ私共モ認メマシテ、之ヲ順次
實行致シタイト考ヘテ居リマスガ(拍手)御
承知ノ如ク或ハ搗粉デアルトカ其ノ他ノ關
係色々從來ノ關係ガアリマスノデ、只今
ノ所ハ各縣ニ之ヲ委託シテ、順次其ノ處理
ヲ致サシテ居ル次第デアリマス
最後ニ戾稅ノ問題ガアリマシタ、卽チ五
百斤以上ノ砂糖ヲ入レル場合ニ於キマシテ
ハ免稅ニナツテ居ル、是ハ大キナ事業家ヲ
助ケテ、中小以下ノ菓子商其ノ他ノ業者ニ
對シテハ均霑セシメナイモノデアツテ、不
都合デハナイカト云フ御意見デアリマスガ、
此ノ點ニ付キマシテハ私共モ十分〓究致シ
マシテ、而シテ深澤君ノ御趣旨ニ副ヒタイ
考ヲ持ツテ居ルノデアリマス(拍手)
〔政府委員漢那憲和君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=23
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024・漢那憲和
○政府委員(漢那憲和君) 深澤君ノ御質問
ノ中內務省ニ關係シタコトニ付テ私カラ御
答辯ヲ申上ゲマス、我國ノ酪農業ノ過半ガ
北海道ニ於テ營マレテ居リマスル點カラシ
テ、北海道拓殖計畫ト此ノ酪農業ノ關係ガ、
密接至大ナモノデアルト云フコトハ申スマ
デモアリマセヌ、隨ヒマシテ內務省ト致シ
マシテハ、從來斯業ノ發展ニ對シテ深甚ナ
ル關心ヲ以テ處置シ來ツタノデアリマスル
ガ、只今上程ニナツテ居リマスル法案ノ精
神ハ、北海道拓殖ノ上ニ於テモ非常ニ有益
ナルモノデアルト考ヘテ居ルノデアリマス、
尙ホ將來拓殖計畫ヲ改訂ヲ致シマスル場合
三、此ノ點モ深ク考慮ヲ致シタイト考ヘ
テ居ル次第デアリマス(拍手)
〔政府委員澤田利吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=24
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025・澤田利吉
○政府委員(澤田利吉君) 只今ノ提案ニ對
シテ深澤君ノ御質問中、商工省ニ關スル事
柄ニ付キマシテ私ヨリ答辯申上ゲマス、質
問ノ御趣旨ハ「ミルク」ヲ原料トシテ菓子ノ
製造ヲスル、其ノ實情ハ大キナ資本家ガ、
面ニ於テ「ミルク」ヲ製造シ一面ニ於テ菓子
ノ製造ヲスル結果トシテ、中小工業者ニ十
分ノ原料ガ〓ラナイ、其ノ結果トシテ値段
ヲ一面ニ於テ吊上ゲテ、中小工業者ヲシテ
ソレ等ノ戾稅ノ恩惠ニモ浴サセナイ結果ニ
ナツテ居ルト云フ意味ノ御質問デアツタト
思ヒマス、如何ニモ現在ノ事情ヲ見マスルニ、
輸出ガ非常ニ增進致シ、或ハ又乳兒用ノ「ミ
ルク」ノ賣行ガ非常ニ增加致シテ居リマス結
果トシテ、製菓用ノ「ミルク」ノ品不足ヲ愬
ヘテ居リマス、左樣ナ結果トシテ幾分物價
ガ高クナツテ居リマスルシ、又供給ノ圓滿
ヲ缺イテ居ルト云フ事實ハ之ヲ認メルノデ
アリマス、此ノ對策ト致シマシテハ、農林
省トモ協力シテ原料生產ノ擴充ヲ圖リマシ
テ、而シテ物資ノ圓滿ナル配給ヲスルコト
ト、同時ニ物價ガ上ルト云フコトハ、現下
ノ我國ノ重大ナ問題デアリマスガ、「ミル
ク」ハ御承知ノ重要物資統制法ノ品目ノ中
ニ加ハツテ居ラヌノデアリマスガ、御話ノ
通リ大キナ會社ガ一面ニ於テ菓子ヲ製造
シテ居リマシテ、品不足ヲ生ズルト自分ノ
製造ニ多ク用ヒマシテ、其ノ結果他ノ製造
業者ガ非常ニ困難スルノデアリマスカラ、
斯樣ナ實情ニ付キマシテハ、物資調整ノ精
神ニ基イテ、十分此ノ點ニ對シテ留意セネ
バナラヌト考ヘテ居リマス、物價問題モ亦
同樣デアリマシテ、品不足ヲ好機トシテ物
價ノ吊上等ヲ爲サシムベキモノデハアリマ
セヌノデ、是等ノ點ニ對シマシテモ十分留
意ヲ致シタイト思ヒマス、以上御答致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 野溝勝君
〔野溝勝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=26
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027・野溝勝
○野溝勝君 只今上程ニナリマシタ酪農業
調整法案ニ付キマシテ、三點バカリ質問ヲ
シテ見タイト思ヒマス、第一點ハ榮養ト酪
農業調整法案ニ付テデアリマス、第二點ハ
乳牛生產者ノ地位安定ニ付テデアリマス、
第三點ハ日滿飼料價格政策ノ調整ニ付テデ
アリマス
第一點ハ榮養ト酪農業調整法案ニ付テ質
疑ヲ試ミルコトニ致シマス、日本ハ滿洲事
變以來、今又支那事變以來、益、〓東亞協同體
建設ノ礎石ヲ固メツツアルノデアリマス、
此ノ目的ヲ達成セントスルナラバ、人的資
源ノ充實ガ最モ必要デアリマス、然ル
ニ政府ノ資料、帝國統計年鑑昭和十三年
度ノ表ニ依リマスト、昭和十二年度出生數
ガ二百十八万七百三十四人中、乳兒死亡數
ガ二十三万七百人、約一割カラノ死亡
數ガアルノデアリマス、是ハ洵ニ遺憾ト
スル點デアリマシテ、其ノ原因ヲ探究シテ
見マスト、多ク姙婦ノ榮養不足ニ依ルコト
ガハツキリシテ居ルノデアリマス、尙ホ滿
洲ニ於ケル移民者ノ談デアリマスガ、移民
地ニ於ケル乳兒ノ死亡率ガ非常ニ多イコト
デアリマス、段々其ノ原因ヲ調査シテ見マ
シタ所、同樣ニ母體デアル妊婦ノ榮養不足
ガ原因デアツタノデアリマス、又日本ト各
國ニ於ケル乳兒ノ死亡率、或ハ平均壽命等
ノ統計ヲ參考ニ申上ゲテ質問ノ本論ニ入リ
タイト思ヒマス、各國ノ乳兒ノ死亡率ヲ申
上ゲマス、生產百人ニ付テ一歲未滿ノ死亡
者ガ-是ハ昭和十一年ノ統計デアリマス、
日本ハ一一·七、所謂十一人七ニナツテ居ル
ノデアリマス、米國ハ六、英國ハ六·二、獨
逸ガ六·六、伊太利ガ一〇·一、佛蘭西ガ六·
七デ、日本ノ乳兒ノ死亡率ガ第一位ニナツ
テ居ルノデアリマス、尙ホ各國人ノ平均壽
命ヲ申上ゲマスト、日本ハ四四·八二、英國
ハ五五·六二、佛蘭西ハ五二·一九、獨逸ガ
五九·七五、伊太利ガ五三·七六、以上ノ統
計ニ徵シテ見ルト、是亦日本ガ其ノ平均壽
命ニ於テ最モ短命デアルコトガ玆ニ表示サ
レテ居ルノデアリマス、大體平均壽命ガ短
イ點、乳兒ノ死亡率ガ多イ點、此ノ原因ガ
皆母體姙婦ノ榮養不足ニアルト云フコトガ
發表サレ、具體的ニ示サレテ居ルノデアリ
マく、要スルニ此ノ乳兒ノ死亡率ヲ減ジ、
或ハ平均壽命ヲ相當長期ニ保タセルト云フ
爲ニハ榮養ヲ攝取シナケレバナラヌト云
フ結論ガ生レテ來ル譯デアリマス、今囘上
程ニナリマシタ酪農業調整法案ヲ見マスト、
其ノ第一條ニ畜產ノ健全ナル發達ヲ目的
トスルト云フコトノミヲ强調サレテ居ルノ
デアリマス、勿論畜產ノ發達ナクシテ酪農
事業ノ發展ハナイノデアリマスカラ、此ノ
畜產トノ關係ハ勿論不可分デアルコトハ當
然デアリマス、併シソレト同時ニ保健衞生
トノ有機的關聯ヲ見逃シテハナラナイノデ
アリマス、然ルニ本法案ノ目的中、此ノ保
健衞生トノ有機的關係ヲ見逃シタ點ニ付キ
マシテ、洵ニ吾々ハ遺憾ニ感ズルノデアリ
やく、只今申上ゲマシタ通リ、乳兒死亡ノ
原因ガ榮養不足デアル、其ノ榮養不足ヲ補
フ爲ニ滿洲等ニ於キマシテハ山羊或ハ乳牛
ヲ飼ヒマシテ、乳兒ノ死亡率ノㄱパーセン
テージ」ヲ成ベク防止シヨウト努メタ所ガ、
其ノ結果ニニ於テ非常ナ好成績ヲ得テ居ル
ノデアリマス、外國ニ於テ平均壽命ガ長
ク、或ハ幼兒ノ死亡率ガ日本ヨリ少イト云
フ點ハ、保健衞生ガ行屆イテ居ルカラデア
リマス、結局徹底シタ具體的ナ酪農業調整
法案ノ目的ト云フモノハ、人間ノ保健衞生
施設トノ關係ニ於テ立案シナケレバナラヌ
ト思ヒマス、然ルニ此ノ點ニ付キマシテハ
只今申シマシタ通リ一ツモ觸レテ居ナイ、
保健衞生ニ重大關係ヲ持ツ本法案デアルカ
ラ、特ニ厚生省當局ニ於キマシテハ是ガ活
用ヲ如何ニスルカ、所謂酪農調整法ノ活用
ヲドウ扱フカ、御所見ガアル筈デアルト思
フノデアリマス、其ノ點ニ付キマシテ先ヅ
第一ニ厚生省當局ニ御意見ヲ御聽スル者デ
アリマス
第二八牛乳生產者ノ地位ノ安定デアリマ
ス、本法案ハ內地ノ牛乳ノ價格政策ノミニ
重點ヲ置イテ居ルヤウニ思ハレマス、勿論
內地ノ牛乳ノ價格政策ハ深澤氏ガ申上ゲマ
シタ通リ重要ナ問題デアリマス、併シ此ノ
價格政策モ唯牛乳竝ニ乳製品ノ値ヲ上ゲレ
バ宜イト云フダケデハ、酪農調整法ノ眞實
ノ目的ト云フモノハ達セラレナイト思ヒマ
ス、ナゼナラバ此ノ酪農調整法モ要ハ乳
牛ヲ澤山飼フト云フコトニナラナケレバ、
酪農業界ノ發展ニハナラナイ、牛ヲ多ク飼
ハセルト云フコトハ飼料ヲ廉價配給サセル
ト云フコトデアリマス、政府ノ提案サレマ
シタ法案ニ具體的ナ飼料ノ廉價方針ガ謳ハ
レテ居ラナイ、特ニ百六十一万戶ノ乳酪製
乳業者中八十五万戶マデハ農家デアリマ
ス、此ノ八十五万戶ノ農家ガ年々製乳業
ヲ廢メテ他ノ農業ニ轉換スルト云フコト
ハ、乳牛飼育ガ經濟的ニ合ハナイカラ
デアリマス、今日乳製品或ハ牛乳等ノ生產
ガ行ハレテ居ル方面ハ、是ハ獨占資本家ノ
特約組合ノ形態ヲ成シテ居ル牛乳生產階級
ダケデアリマス、他ノ部面ニ於キマシテハ
段々ト減ツテ居ルノデアリマス、其ノ減ツ
テ居ル理由ハ只今申シマシタ通リ、生產費
ヲ保障サレテ居ラナイカラデアツテ、乳牛
飼育業者ガ此ノ業界カラ離レヨウトスルコ
トハ、是ハ當然ノコトデアリマス、特ニ政
府ニ於キマシテハ酪農調整法ガ將來有望デ
アル如ク言ハレテ居リマス、現在生產額三
千万圓カラアル約一割ガ輸出ニ向ハレテ居
ルト云フコトヲ言ハレテ居リマスケレドモ、
併シ乳牛飼育者ノ保障ナキ所ノ現在ノ酪農
界ト云フモノハ、將來ニ於テ破局性ヲ持ツ
テ居ルト私ハ喝破スル者デアリマス、故 大
當局ニ於キマシテハ其ノ將來ヲ十分留意ス
ルナラバ、所謂乳牛飼育者ニ對シマスル生
活ノ地位ノ保障ト云フコトヲ考ヘテ然ルベ
キモノダト思フノデアリマス、御承知ノ通
リ乳牛ト云フモノハ、三箇年間飼ハナケレ
バ乳牛トナラナイ、普通ノ役牛ト違ヒマシ
テ隨分旨イ〓料ヲ食ハセテ、唯體位ヲ向上
スルトカ體力ヲ維持スルト云フ飼料バカリ
デナクテ、產乳方面ノ飼料モ相當食ハセナ
ケレバナラヌ、特ニ乳牛ト云フモノハ生後
五六週間後マデノ間ニ於ケル飼料ノ配給調
節ノ心配ト云フモノハ竝大抵デハナイ、技
術的ナ工作ガ非常ニ掛カルノデアリマス、
今日ノ百姓ノ困窮ノ狀態カラ見テ此ノ高イ
飼料ヲ十分ニ與ヘルト云フコトガ、果シテ
出來ルカドウカ、斯ウ云フコトヲ考ヘル時
二、本法案ノ第二條カラ第五條マデハ生產
者ヲ壓迫スル如ク吾々ハ見受ケルノデアリ
マス、一體生產者ニ對シマシテ其ノ生產費
ヲ保障スルト云フ點ヲ、何故政府ハ强調シ
テナイノデアリマスカ、生產費ヲ保障スル
ト云フ點ヲ强調スルナラバ、酪農業界ノ發
展ハ火ヲ睹ルヨリ明カト私ハ思フノデアリ
マス、斯樣ナ意味デ政府ニ於テハ乳牛飼育
者ニ對スル生產費ノ保障ニ對シテ、如何ナ
ル御所見ヲ御持合セニナツテ居ルカ承リタ
イト思フノデアリマス
第三點ハ日滿飼料價格政策ノ調整ニ付テ
デアリマス、本法案ノ目的ハ先程モ申シマ
シタ畜產ノ發達ト、所謂乳製品ノ需給ノ圓
滑ヲ圖ルコトヲ目的トサレテ居ルノデアリ
マス、勿論製品ノ需給圓滑ヲ期スルコト
畜產ノ發達ヲ期スルコトハ非常ニ結構デア
リマス、併シ今日ノ如ク飼料ガ暴騰シテ居
ル際ニ、果シテ畜產ノ圓滑ナル發達ヲ期ス
ルコトガ出來ルカドウカ、農家ニ於ケル一
年間ノ生產費中支出部面ノ大半ハ、肥料ニ
次グモノハ飼料デアリマス、肥料ハ農家支
出中ノ二八·七%、飼料ハソレニ次イデ二
三·五%ノ支出ヲ爲シテ居ル次第デアリマ
ス、シテ見ルト最モ畜產ノ發展ニ關係ノア
ルモノハ飼料デアリマス、此ノ飼料ト云フ
モノガ廉價ニ配給セラレザル限リ、如何ナ
ル畜產業デモ發達ハ斷ジテ不可能ダト思ヒ
マス(拍手)然ルニ最近滿洲國ニ於テハ畜產
飼料デアリマス、特ニ配合飼料デアリマス
ル大豆ニ付テ、輸出統制料ヲ徴收スルコト
ヲ發表シテ居ルノデアリマス、吾々ハ甚ダ
遺憾ニ感ジマス、何故カナラバ滿洲ト日本
トノ關係ニ於キマシテハ、經濟上ノ關係ニ
於キマシテモ圓「ブロック」デアリマス、特
ニ日本ハ滿洲國ノ發展ノ爲ニハ非常ナ犠牲
ヲ拂ツテ居ル譯デアリマス、然ルニ滿洲國
ニ於テ經濟提携ヲシテ居ル日本ノ國民生活
ノ安定ヲ傷ケルヤウナ、此ノ輸出統制料ヲ
徵收スルト云フコトハ、最モ吾々ノ不可解
トスル所デアリマス、特ニ對滿事務局ハ其
ノ主務官廳デアル以上、滿洲國ニ對シマシ
テ此ノ方針ニ對シテモ相當斡旋善處ヲサレ
タコトト思フノデアリマスケレドモ、名ガ
「タイマン」ノ結果カ知ラヌケレドモ怠慢
ニ終ツタコトハ私共甚ダ遺憾ニ存ジマス、
特ニ酪農調整法ノ將來ヲ考ヘルトキ、滿洲
國ニ於ケル飼料ノ輸出入關係ハ、日本ノ此
ノ酪農調整法ノ發展ノ上ニ、大キナ影響ヲ
齎スモノダト思ヒマスルガ故ニ、特ニ對滿
事務局ニ於テハ此ノ日滿ノ飼料價格政策ニ
對スル調整ヲ、ドウ調整セントスルカ、御
意見ヲ承リタイト思フノデアリマス、大體
以上ヲ以テ私ノ質問ヲ終ルコトニ致シマス
最後ニ私ハ申上ゲテ置クノデアリマス、
統制モ結構デアリマス、結構デアリマスガ、
今マデノ統制法案ハ福助統制デアリマシテ、
頭バカリ大キクナツテ下ノ方ニ圓滑公平デ
ナイ、所謂血液ノ循環ガ旨ク行ツテナイ、
榮養分ガ行ツテナイ、斯ウ云フヤウデハ國
民全體ノ利益トナル所ノ統制經濟デハナイ、
酪農業調整法案ナドハ是ハ統制政策ノ一ツ
デアリマス、併シ今マデノヤウナ統制政策
デアルト、又是ト同ジヤウニ國民ノ間ニ於
キマシテハ怨嗟ノ的トナルト思ヒマス、ド
ウカサウ云フコトノナイヤウニ、私ハ此ノ
酪農業調整法ヲ實施スルニ當リ、十分考ヘ
テヤツテ貰ハナケレバナラヌト思ヒマス、
甚ダ簡單デアリマスガ、以上申上ゲテ私ノ
質問ヲ終リマス
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=27
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028・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 野溝君ニ御答致
シマス、第一點ハ主トシテ榮養上ノ問題デ
アリマスカラ、多分厚生省ノ當局カラ御答
ガアルト思ヒマスガ、本法案ニ依リマシテ
所謂酪農業ヲ統制致シテ之ヲ監督致シマス
ル一方ニ於テ、農林當局ト致シマシテハ
常ニ厚生省當局ト連絡ヲ取ツテ、其ノ榮養
上ノ問題ニ對シマシテハ、萬遺憾ナキヲ期
シタイト思ツテ居リマス、第二點ノ問題、
卽チ是ガ農家生活ヲ安定スルコトガ出來ル
カ出來ヌカ、斯ウ云フ風ナ御話デアリマス
ガ、此ノ問題ニ付キマシテハ先刻來申上ゲ
マス通リ、卽チ牛乳生產者ニ對シテ安定シ
タル價格デ、卽チ是レ〓〓ノ價格デハ賣レル
ト云フ安心點ヲ與ヘ、又一方ニ於テモ凡ソ
此ノ價格ナラ買ヘルト云フ安心點ヲ與ヘテ、
而シテ雙方相助ケ合ツテ此ノ事業ヲ完成シ
テ、輸出ナリ、國內テリニ對スル所ノ供給
ヲ致スノデアリマスガ故ニ、玆ニ事業上ノ
安定ヲ見ルト云フコトハ、私ハ間違ヒナイ
ト思ヒマス、又其ノ價格ニ付キマシテハ常
ニ酪農協議會ニ於テ協議ヲ致シ、又政府ニ於
テモ適當ナル監督ヲ致シ、傍々之ニ對シテ
相當ナ指導及ビ助成ヲ致ス考デ居リマス、
第三ハ、飼料問題ニ付キマシテノ御意見デ、
所謂飼料ノ問題ハ非常ナ大キナ問題デアツ
テ、日滿支ノ間相通ジテ計畫ヲ立テネバナ
ラヌ、然ルニ滿洲ニ於テ大豆ノ輸出稅ヲ取
ル、是ハ飼料ノ上ニ於テ重大ナル關係ガア
ルノデハナイカト云フ御意見デアリマスガ、
ソレハ御說ノ通リデアリマス、此ノ問題ニ
付キマシテハ御承知ノ通リ、大豆竝ニ豆粕
等ニ於テモ輸出稅ヲ課ケルト云フ風ナ話ガ
アリマシタケレドモ、豆粕ハ御承知ノ通リ
肥料トナリ、又飼料上ニ於テモ最モ重要ナ
ルモノデアリマスルガ故ニ、此ノ方ハ課稅
ヲ致サナイヤウデアリマス、又大豆ノ方ニ
付キマシテハ、多分昨日デアリマスカ、今
日デアリマスカ、向フニ於テ協議ヲ致シテ
居ル譯デアリマシテ、之ニ對シマシテハ甚
ダ遺憾デアリマスノデ、適當ナル交渉ヲ致
シテ居ルヤウナ次第デアリマス、唯國內ニ
於ケル所ノ飼料供給ノ方法ニ付キマシテハ、
種々ナル方策ヲ講ジテ居ルノデアリマシ
テ、自給飼料ノ點ニ付キマシテモ十分助成
ヲ致スノミナラズ、或ハ「サイロ」ノ如キモノ
ヲ設ケマシテ一層之ヲ有效ニ致ス、斯ウ云
フコトモ考ヘテ居リマスガ、尙ホ更ニ各方
面ニ亙リマシテ、十分之ニ對シテ對應スル
ダケノ策ヲ立テタイト考ヘテ居リマス(拍
手)
(國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=28
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029・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 御質問ノ第一ニ
對シテ御答ヲ申上ゲマス、只今榮養問題ト
乳幼兒ノ死亡率等ニ付テ、我國ノ實情ガ甚
ダ惡イ狀態ニアル、此ノ點ニ付テハ洵ニ私
共モ同感ニ存ジテ居ルノデアリマス、隨ヒ
マシテ榮養ノ問題ニ付テ十分ノ注意ヲシナ
ケレバナラヌト云フコトハ、御說ノ通リデ
アリマス、此ノ法律案制定ニ付キマシテ
ハ、只今農林大臣カラ答辯ガアリマシタ通
リ、衞生當局ト致シマシテ厚生省モ十分ニ
關係ヲ致シテ作ツタ譯デアリマス、結局此
ノ運用ニ付テモ、ヤハリ歸スル所保健衞生
ト云フコトヲ決シテ等閑ニスルモノデハア
リマセヌ、十分ノ注意ヲ致シマシテ、御希
望ニ副ヒ得ルヤウニ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ
(「對滿事務局總裁ノ答辯ハドウシタ」
ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=30
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031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 政府ヨリ答辯ハアリ
マセヌ-本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=31
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032・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=32
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033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=33
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034・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二、明治三十五年法律第四十九號中改正法
律案、第一讀會ヲ開キマス-黑崎法制局
長官
第二明治三十五年法律第四十九號中
改正法律案(國勢調査ニ關スル件)(政
府提出、貴族院送付)第一讀會
明治三十五年法律第四十九號中改正法
律案
明治三十五年法律第四十九號中左ノ通改
正ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ニ依ル調査ノ外必要アル
トキハ臨時ニ國勢調査ヲ施行スルコト
ヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員黑崎定三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=34
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035・黒崎定三
○政府委員(黑崎定三君) 只今議題ト相成
リマシタ明治三十五年法律第四十九號中改
正法律案ノ提出理由ヲ申述べマス、此ノ法
律ハ御承知ノ通リ國勢調査ニ關スル法律デ
アリマス、之ニ依リマスレバ國勢調査ハ十
年每ニ一囘、帝國版圖內ニ之ヲ施行致シマ
シテ、尙ホ其ノ中間五年ニ當ル年次ニ於キ
マシテ、簡易ナル調査ヲ行フ旨ノ定メヲ爲シ
テ居ルノデアリマス、然ルニ現時ノ情勢ニ於キ
マシテハ、右ノ如キ一定ノ年次ヲ限定致シマ
シテ國勢調査ヲ行フコトノミデハ、現下緊要ナ
リト考ヘラレマスル國民消費等、國勢ノ基本
ニ關スル事項ニ付テ調査ヲ致シ、以テ緊急
ノ需要ニ應ズルコトガ出來難イノデアリマ
ス、ソレ故ニ現在ノ規定ニ依リマスル年次
ニ拘ラズ、必要ニ應ジマシテ臨時ニ國勢調
査ヲ行ヒ得ルノ途ヲ開ク規定ヲ追加シヨウ
トスルノガ本案デアリマス、何卒御審議ノ
上速ニ御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=35
-
036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-山崎常吉君
〔山崎常吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=36
-
037・山崎常吉
○山崎常吉君 只今提案ニナリマシタ明治
三十五年ノ國勢調査ニ關スル改正法律案ノ
問題デゴザイマス、私ハ此ノ法案ノ改正ニ
贊成スル者デゴザイマス、今マデノ法律ノ
條文ニ依リマスレバ、今法制局長官ガ御話
ニナリマシタ如クニ、十年ニ一囘或ハ五年
ニ一囘、斯ウ云フヤウナ工合ノ規定ニナツ
テ居リマスノデ、斯樣ナ時局下ニ於キシマ
テハ、勿論間ニ合ハナイノハ當然デゴザイ
やく、私ハ此ノ法案ガ此度ノ議會ニ提案セ
ラレマシタノハ、寧ロ遲キニ過ギルト考へ
ルノデゴザイマス、併シナガラ此ノ法案ヲ
改正シタイト云フ理由ノ下ニ、本議會ニ提
案ヲサレマシタ機會ニ、私ハ本案ニ對シテ
御尋致シマス
今マデノ國勢調査ノヤリ方ハ縱ノ一線、
縱ノ調査デアツタ、働カナイ調査デアツタ、
斯樣ナ時局ニ於キマシテハ、縦ノミノ調査
デハイケナイ、横幅廣ク又總テノ機構ニ亙
リマシテノ調査ガ爲サレテ、斯樣ナ時局下
ニ於テ何時如何ナル場合デモ此ノ調査ガ役
立ツヤウナ心構ヘガナケレバナラナイト
思ヒマス、卽チ私ハ本國勢調査法ノ改正ガ
當局カラ要望サレマシタノハ、ソコニ在ル
コトヲ考ヘマスケレドモ、今申上ゲマシタ
ヤウニ、適宜必要ノ場合ニ、何時デモ發動
シテ、縦ニ橫ニ徹底的ニ調査ヲシテ御役ニ
立ツヤウナ工合ノ心構ヘガ必要ダト思ヒマ
スガ、之ニ對シテ當局ハソレダケノ覺悟ヲ
持ツテ此ノ法案ニ對スル改正ヲ要求セラレ
マスヤ否ヤト云フコトヲ、先ヅ御尋致シタ
イト思ヒマス
同時ニ此ノ法案ハ人的資源ニ對スル用意
ノ整備デアルト考ヘマスノデ、此ノ場合發
言ノ御許ヲ戴キマシタ機會ニ、各國務大臣
ニ對シマシテ人的資源擴充ニ對シマシテ、
簡單ナ質問ヲ御許願ヒタイト考ヘマス、
私考ヘマスノニ、本議會程物ノ擴充ノ叫バ
レタコトハ曾テナイコトデアラウト考ヘマ
ス、勿論戰爭ニ勝ツガ爲ニ、事變處理ノ爲
三、徹底的ニ物ノ擴充ヲ圖ラナケレバナ
ラナイト云フコトモ承知シテ居リマス、併
シナガラ物ノ擴充ガソンナニ必要デアルナ
レバ、然ラバ人ニ對シテハドウ云フ覺悟ガ
アルカト云フコトヲ考ヘマス時ニ、遺憾ナ
ガラ私ハ人ノ擴充、人的要素ノ整備ニ對シ
マシテ、十分ノ方針ガ執ラレテ居ラナイコ
トヲ洵ニ遺憾トスル者デゴザイマス、卽
チ物ヲ殖ヤサウト致シマスナレバ、其ノ本
ハ何ト云ヒマシテモ人間デゴザイマス、申
上ゲナクトモ御分リニナツテ居ラレマス如
クニ、我國ハ島國デアツテ、小サイ國ニ今
マデ人間ガアリ過ギタ、何ノ事業ヲ起シマ
シテモ、先ヅ金、場所、機械、建物、之ヲ纏
メマスレバ、人間ハ何處カラデモ需要ヲ滿
タサレタノデゴザイマス、併シナガラ時局
ハ轉〓致シマシテ、先ヅ金ヨリモ、物ヨリ
モ、人ヲ用意シナケレバナラナイ時代ニ變
ツタト思ヒマス、斯樣ニ時代ガ加速度ニ變
ツタニモ拘ラズ、議員ノ諸君ノ中カラ人的
要素擴充ニ對シマス所ノ要求モソレ程爲サ
レテ居ラヌ、又政府モ之ニ對シテ十分ノ用
意ガナカツタコトハ、洵ニ遺憾ト思フ次第
デゴザイマス、故ニソレニ基キマシテ、人
的資源擴充ニ對シマシテ私ガ持ツテ居リマ
スル意見ノ一端ヲ御聽取願ヒマシテ、各大
臣ノ御答ヲ戴キタイ、斯ク考ヘルノデアリ
マス
軍需產業ト平和產業ノ開キガ益〓盛ニナ
リツツアリマスルコトハ、諸君ノ御認メニ
ナル所デアルト考ヘマス、此ノ問題ニ付テ
私ハ內務大臣ニ一應所見ヲ御質シスル次第
デアリマス、卽チ都市ノ工場地帶ヘ行キマ
スレバ、殆ド空地ノ無イ程工場ガ建チ竝ビ、
機械ガ充滿シテ居リマス、農村カラハ
次カラ次ヘト人間ガ募集サレテ居リマス、
機械ヲ入レル家屋ガソンナニ擴張セラレル
ニモ拘ラズ、大切ナ人ヲ入レル家屋ガ其ノ
附近ニ少シモ建タナイ、其ノ爲ニ生產擴充
ニ對シマシテ缺クベカラザル人間ハ、物置
ノヤウナ二階ニギシ詰メデゴザイマス、或
ハ間借リヲスルト云フヤウナ陰慘ナ間借リ
生活ヲシテ居ルノデアリマス、サウシテ其
ノ生活狀態ハドウカト云ヒマスレバ、オ金
ヲ殘サウト云フ結果、實ニ榮養分ノ少イ物
ヲ攝リ、極メテ低イ生活ヲシテ居ルコトハ
諸君御存ジノ通リト思ヒマス、故ニ段々ト
榮養不良ト不衞生ナ狀態ニナリマシテ、或
ハ工場ニ於キマシテハ、長イ時間過度ナ勞
働ヲ致シマス爲ニ、體ヲ休メル暇ハ少シモ
ナイノデゴザイマス、其ノ爲ニ體ハ恰モ鑪
デ鐵ヲ擦ルヤウニ段々ト擦リ減ラサレテ居
ルノガ現狀デアリマス、斯ウ云フ事業家ニ
於キマシテハ、自分ノ會社ノ仕事ヲシテ貰
フノデアルカラ、職工ノ住ムベキ場所ヲ造
ラナケレバナラヌノデアルケレドモ、御存
ジノ如クニ、請負ツタ品物ヲ日限內ニ仕上
ゲル爲ニ、晝夜兼行デ長時間職工ヲ働カセ
テ、生產高ヲ上ゲヨウ〓〓ト焦ツテ居ルヤ
ウナ狀態デアリマスノデ、勿論其ノ働ク從
業員ノ衞生狀態ヲ考ヘテ居ル暇ハナイヤウ
ナ次第デゴザイマス、故ニソレヲ放任シテ
置クコトハ絕對ニ許サルベキコトデナイコ
トハ當局ハ御存ジノコトト思ヒマス、此
ノ點ハ當局ガ御氣付キニナラヌコトハ毛頭
ナイト思ヒマス、御付キニナツテ居ルニモ
拘ラズ、何故ソレヲ放任シテ置クノデアラ
ウカ、此度ノ豫算ニ於テモ、隨分厖大ナル
豫算ガ組立テラレテ居リマスケレドモ、各
省ヲ通ジマシテ人ヲ養成スル人的資源保護
ノ爲ノ施設ガ、少シモ講ゼラレテ居ラヌコ
トヲ御考ニナツテモ分ルト思ヒマス、此ノ
人ノ問題ハ事業家ニ任シテ置クノデハナイ、
人ノ問題ハ國家ノ基ヲ成スモノデゴザイマ
スガ爲ニ、當局ハ之ニ對シテ十分ナ用意ヲ
爲サレナケレバナラヌト思ヒマス、卽チ家
屋ノ問題ニ付キマシテハ、儲カツテ儲カリ
過ギテ居ル所ノ事業家ガアルノデゴザイマ
スカラ、ソレト十分打合セヲ致シマシテ、
工場ガ段々ト擴張セラレルナラバ、其ノ附
近へ勞働者階級ノ入ル所ノ寄宿舍ヲ建テナ
ケレバイカヌト思ヒマス、此ノ點ニ對シマ
シテマグ當局ハ何ノ方法モ執ツテ居リマセ
ヌガ、其ノ點ニ對シマシテ何カ御意見ガア
ラレルカ、此ノ點ヲ伺ツテ置キタイト考ヘ
マス
更ニ進ミマシテ、去ル二十一日ニ臨時增
稅案ガ提案サレマシタ、其ノ增稅案ニ依リ
マスト、二億圓餘ノ增稅案ガ提案サレマシ
タガ、私ハ此ノ中デ斯ウ云フコトヲ考ヘマ
ス、今軍需產業ノ方面ハ事業家カラ從業員
ニ至ルマデ、相當ノ儲ケヲシ、賃銀ヲ得テ
居リマス、ソレガ爲ニ御存ジノ如クニ到ル
處ノ料理店ハ超滿員ノ狀態デゴザイマス、
當局ハ之ニ著眼ヲセラレマシテ、遊興ニ對シ
マスル所ノ增稅案ヲ提案サレテ居リマス、
私ハ斯樣ナ場合ニ左樣ナ遊興稅ヲ課スヨリ
ハ寧ロ五圓以上遊興シテハナラナイト云フ
ヤウナ法律ヲ制定スベキデハナイカ、斯ク
考ヘマス、斯樣ナ問題ニ對シマシテハ、私
ハ常ニオ互、議員自體ガ自制致シマシテ、
五圓以上ノ散財ハシナイヤウニ致シマシテ、
國民ニ範ヲ示スベキデアルト、斯ク考ヘル
ノデゴザイマス、此ノ點ニ對シマシテ遊興
稅ヲ制定スルヨリハ、五圓以上ノ遊興ヲシ
テハナラナイト云フヤウナ考ヲ御持チデナ
イカト云フコトヲ內務大臣ニ御尋スル次第
デゴザイマス
ソレカラ次ニ厚生大臣ニ御尋ヲ致シマス
ガ、結論ヲ先ニ御尋シテ置キマス、乳幼兒
ノ問題ニ對シマシテ御聽シタイト思ヒマス
ガ、同僚野溝君カラノ御質問モゴザイマシ
タガ、私ガ厚生大臣ニ御尋致シマスノハ、
乳幼兒ノ保健局ヲ設置スル考ハナイカ、此
ノ點ヲ御尋致シマス、乳幼兒ノ保健局ノ設
置ニ對シマシテハ、最早是ハ議論ノ餘地ガ
ナイト思ヒマス、我國ノ乳兒ノ死亡率、或
ハ事變ニ因リマス所ノ出產率ノ減退、斯樣
ナ點カラ考ヘマシテ、今生レル所ノ子供ヲ
何ト致シマシテモ失ハナイヤウナ方策ガ、
考ヘラレナケレバナラナイノデゴザイマス
カラ、乳幼兒保健局ガ出來マシテ、各地ニ
其ノ支局ガ出來、徹底的ノ結果ガ講ゼラレ
ナケレバナラナイト思ヒマスガ、此ノ點ニ
對シマシテ乳幼兒保健局ヲ設置スル意思ア
リヤ否ヤト云フコトヲ御尋致シマス、ソレ
カラ人口問題デゴザイマスガ、今マデ人口
問題〓究所ガ私立デアツタノヲ、此度人口
問題〓究所ヲ政府ガヤルト云フコトヲ過日
新聞デ見マシタガ、此ノ機構ニ對シマシテ
ハドウ云フ御考ヲ持ツテ居ルカト云フヤウ
ナ點ヲ御尋シタイト思ヒマス
〔議長退席、副議長著席〕
更ニ是モ厚生省ノ問題ダト思ヒマスガ、
最近結核病者ノ旺勢ナコトハ、是ハ最早十
分御調査ニナツテ居ルコトト思ヒマス、本年
ノ豫算ニモ三百幾十万圓ノ豫算ガ計上サレ
テ居リマス、是ハ特ニ纖維、紡績工場ニ結核
ガ充滿ヲ致シマシテ、ソレガ更ニ農村ヘ農
村ヘト持ツテ歸リ、農村ノ現在ノ結核ノ狀
態ハドウデアラウカト云フコトガ考ヘラレ
ルノデゴザイマス、之ニ對シマシテ今各纖維
工場デ働イテ居ル所ノ女工サンニ對シマシ
テ、結核豫防ノ方針ガ完璧ヲ期シテ講ゼラレ
ナケレバナラナイト考ヘマス(「ヒヤ〓〓」)
此ノ點ニ對シマシテ、厚生大臣ハドウ云フ
ヤウナ御考ヲ持ツテ居ラレルカ質問致シマ
ス、更ニ私ハ乳兒ノ死亡率ニ付キマシテノ
統計ヲ取ツテ居リマスケレドモ、是ハ只今
野溝君カラ數字的ノ說明ガゴザイマシタノ
デ之ヲ省キマス、厚生省ハ最近各新聞ニ發
表ヲ致シマシテ、「產メヨ增セヨ」ト云フヤ
ウナコトヲ呼ビ掛ケテ居リマス、洵ニ結構
ナコトダト思ヒマスガ、「產メヨ增セヨ」ニ
モウ一ツ「病マスナ育テヨ」ヲ附加ヘナケレ
バイケナイト云フコトヲ考ヘマス、是ハ洵
ニ結構ナコトダト思ヒマスガ、產ンデ育テルニ
ハ產ム母親ニ、ドウ云フ手當ヲスルカト云フ
コトニ付キマシテ、野溝君モ一寸述ベテ居
リマシタガ、私一寸此處ニ新聞ノ切拔キヲ
持ツテ居リマスガ、是ハ東京日日デゴザイマ
シタカ、茶話ト云フ所ニ斯ウ云フ記事ガ載ツ
テ居リマス、產ム母ニ名譽章ヲ與ヘロ-
獨逸ノ例ダサウデゴザイマスガ、獨逸ニ於キ
マシテハ、產ンダ母ニ對シテ名譽章ヲ與ヘ
ル、四人、五人赤チヤンヲ產ンダオ母サン
ニハ「ブロンズ」製ノ徽章ヲ與ヘラレル、或ハ
六人、七人ニハ銀製ノ徽章ヲ與ヘル、八人
以上ニハ金製ノモノガソレ〓〓授與セラレ
ルト云フヤウナコトガ出テ居リマス、洵
人的資源ハ我ガ國家發展ノ爲ニ、絕對的必
要ナモノデゴザイマスノデ、斯樣ナ工合ニ
子供ヲ產ンダオ母サンニ對シマシテハ、何
カ表彰スルト云フヤウナ方法ガ設ケラレナ
ケレバナラナイト思ヒマスガ(拍手)此ノ本
會議ノ席上デ、厚生大臣ノ之ニ對スル所ノ
御意見ヲ伺ツテ置キタイト考ヘマス
次ニ文部大臣ニ簡單ニ御尋致シマス、結
核病患者ハ只今厚生大臣ニ申上ゲマシタ如
クニ、唯巷ノ工場バカリデハナイ、最モ惧
レルノハ小學校ニ此頃蔓延シテ居ル、小學
校兒童ノ胸ヲ冒サレタ子供ハ、殆ド學校全
體ト言ツテモ宜イ程デゴザイマセウ、デ
アルニモ拘ラズ、費用ノ關係上カラ小學校
ニ於キマシテハ、今兒童ノ健康診斷ヲ年ニ
一囘バカリシカ行ツテ居ナイ、而モソレハ
殆ド形式的ノ狀態デゴザイマス、少クトモ
斯樣ナ狀態デゴザイマスノデ、斯樣ニ人ノ
大切ナ時代デゴザイマスカラ、此ノ小學校
於キマス所ノ健康診斷ヲ徹底サセ、月ニ
囘ハドウシテモ行ハナケレバナラナイト思
ヒマス、之ニ對シマシテ確固タル御意見ヲ
御伺シタイト考ヘマス、文部大臣ニ對シマ
シテハ、マダ色々御尋シタイト思ヒマスケ
レドモ、簡單ニ御尋ヲシテ置キマス、又委
員會カ何カノ場合ニ御尋ヲサシテ戴キマス
ソレカラ農林大臣ニ御尋致シマス、結核
患者ガ今マデハ町ニ蔓延シテ居リマシタ
ガ、是ガ段々ト猖獗ヲ極メマシテ、農村へ
農村ヘト入ツテ行キツツアル狀態デアルト
云フコトハ、今簡單ナ言葉デ觸レマシタ
ガ、而モ農村ノ中デモ今マデ最モ健康地帶
デアリマシタ所ノ山奧へ、海岸ヘト云フヤ
ウナ工合ニ、蔓延シテ行ツテ居ルト云フヤ
ウナ統計ヲ最近御聞致シマシタ、今マデハ
町ハ病氣ノ巢デアツタ、併シナガラ田舍へ
入レバ健康體ニナルト云フヤウナ工合ニ考
ヘテ居リマシタケレドモ、現在ハ田舍ノ方
ガ却テ不健康地帶ニナツタト云フヤウナ狀
態デアリマスナラバ、是ハ我ガ國家ニ取ツ
テ大變ナコトニナルト思ヒマス、之ニ對シ
マシテドウ云フ御考ヲ持ツテ居ルノダラウ
カト云フコトヲ私ハ御聽シタイ、最近ノ死亡
率ヲ見マスレバ、人里離レタ山奥へ行ク程
此ノ死亡率ガ多イト云フヤウナ統計ヲ御聞
シタノデゴザイマス、是ハオ醫者サンガ少
イ關係ヤ色々アルト思ヒマスガ、此ノ點ニ
對シマシテ、農村ノコトデゴザイマスノ
デ、農林大臣ノ所見ヲ御質シシタイト思ヒ
マス、人ガ大切ニナサレネバナラナイノニ、
ソンナニ人ガ大切ニ考ヘラレテ居ラナイト
云フコトニ付キマシテ、私ハ簡單ナ調査材
料ヲ御聽取ガ願ヒタイト考ヘマス、ソレハ
今事變ニ當リマシテ、我ガ國產ノ馬ヲ使ツ
テ、支那ノ野デ隨分苦心ヲシテ戰ハレタコ
トヲ御存ジノコトト考ヘマス、我國ノ馬ハ
餘リ大事ニシ過ギタ關係上、支那ノ土地デ
ハ非常ニ苦心ヲシタ、又ソレヲ使用スル所
ノ軍隊モ非常ニ苦心ヲシタト云フコトハ御
存ジノコトト考ヘマス、デアルガ爲ニ此度
ノ議會ニ對シマシテハ、馬政局ガ設ケラレ
マシテ、御存ジノ如クニ軍馬資源保護法ト
云フ法律案ガ出サレテ居リマス、軍馬資源
保護ト致シマシテ、國防上馬ヲ大切ニシヨ
ウト云フ所ノ案デアリマスガ、其ノ豫算ガ
三千万圓餘計上セラレテ居ルノデゴザイマ
ス、所ガ人間ノ體位向上、人的資源ニ要ス
ル費用ト云フモノガ、ドレダケ要請セラレ
テ居ルカト云フコトハ、諸君ノ御存ジノコ
トト考ヘマス、併シナガラ此ノ場合速記錄
ニ殘ス必要上、申上ゲテ置キタイト思ヒマ
ス、統計書ヲ失ヒマシタカラ口頭デ申上ゲ
テ置キマスガ、今マデズツト慣例的ニ續ケテ
來テ居ツタモノ、ソレニ總テヲ入レマシテ、人
ニ對スル所ノ費用ガ五百万圓何ガシシカ計
上セラレテ居リマセヌ、馬ニ對シテハ三千
万圓計上セラレテ居ル、人ニ對シマシテハ
五百万圓シカ計上セラレテ居ラナイ、是ガ
ドノ程度マデ實際體位向上ニ使ハレルカ、
其ノ間ニ大部分ハ人件費ニナルト云フコト
ハ御分リノコトト考ヘマス、斯樣ナ狀態デ
ゴザイマシタナレバ、人的資源ノ確保ハ中々
望マレナイト思ヒマス、厚生大臣ハ、ソ
レハ斯ウダ、其ノ豫算ハ違ヒダト云フヤウ
ナ工合ニ御辯解ナサルカモ分リマセヌケレ
ドモ、唯簡單ナ調査デゴザイマスケレド
モ、私共ガ目ニ當リマスノハ斯樣ナ懸隔ガ
ゴザイマスノデ、少クトモ馬ヲ使フノモ人
間デゴザイマスレバ、國ヲ榮エサセマスノ
モ人間デゴザイマスカラ、人間ニ對スル豫
算ガ相當ニ計上サレネバ、日本ノ將來ガ憂
ヘラレルノデハナイカト云フコトヲ考ヘル
次第デゴザイマス
次ニ(「時間ヲ超過シテ居ルヨ」ト呼フ者
アリ)モウ五分間デゴザイマスノデ暫ク御
辛抱ヲ願ヒマス(「モツトヤレ」「ヤレ〓〓
ト呼フ者アリ)-最後ニ私ハ總理大臣ニ
御意見ヲ御伺シタイト思ヒマス、是ハ眞面
目ナ問題デゴザイマスノデ靜肅ニ御聽取リ
願ヒマス、私ハ、何トシテモ物ノ擴充ノ土
臺ハ人デアル、人ガ多クナケレバ大東亞ノ
建設ハ望マレナイト云フ確信ヲ持ツテ居リ
マスノデ、人ヲ養成スル、體ヲ作ル、頭ヲ
練ル、技術ヲ練ル、智能ヲ養フト云フコトニ
付キマシテハ、是ハ統一シタ所ノ機關ガナ
ケレバナラナイト思ヒマス、所ガ諸君ノ御
存ジノ如クニ、人ニ對スル問題ハ內務省デ
モヤツテ居ル、或ハ文部省デモヤツテ居ル、
勿論厚生省モヤツテ居ル、農林省モ、商
工省モ、拓務省モ、皆バラ〓〓ニ切離サレ
テヤツテ居ルト云フコトハ御存ジノコトト
思ヒマス、斯樣ニバラ〓〓ニ切離サレテ、
各個ニ思ヒ〓〓ノ儘ノコトヲヤツテ居ツ
テ、本當ノ人間ノ養成ガ出來ル譯ガナイト
私ハ斯ク考ヘマス、然ルガ故ニ是ハ平沼首
相ニ御尋スルノデゴザイマス-平沼首相
ハ御見エニナラナイ、御見エニナラナケレ
バ政務官カ、誰カガ御答ニナルカモ分リマ
セヌガ、是ハ政務官デハ滿足ハ出來マセ
ヌ(笑聲)政務官デハ滿足ガ出來マセヌノ
デ、今日御答ヲ願ハズトモ宜シウゴザイマ
スノデ、議長ニ於キマシテ、首相ガ御見エ
ニナツタ場合ニ、適當ナ時機ニ之ニ對スル
御答辯ヲ要求シタイト思ヒマスガ、議長ハ
左樣御取計ヒガ願ヘマセウカ、此ノ點ヲ先
ヅ議長ニ御聽シテ置キタイト思ヒマス、議
長、御答ガ出來マセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=37
-
038・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御希望通リニ取計
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=38
-
039・山崎常吉
○山崎常吉君(續) ドウカ御願シマス、私
ハ自分ノ考ヘルコトヲ此處ニ簡單ニ書イテ
來マシタガ、大要ヲ申上ゲマス、今申上ゲ
マシタ如ク、內務省、厚生省、文部省、農
林省、商工省、拓務省ト云フヤウナ工合
ニ、切レ〓〓ニ人ノ問題ヲ扱ツテ居ツテハ
イケナイ、デアルガ爲ニ、此ノ問題ニ對シ
マシテハ、勞働省ト云フヤウナ獨立シタ所
ノ權威アル一省ヲ設ケ、人的資源ノ養成擴
充ヲスル意思ガナイカドウカト云フコトヲ
首相ニ御尋スル次第デゴザイマス、此ノ問
題ハ首相ガ御見エニナラヌカラ、今日御答
ヲシテ戴キタクナイ
結論ニ入リマス、平沼首相ハ第七十四議
會ノ劈頭ニ於キマシテ、又各委員會ニ於キ
マシテモ、國民ノ總親和ヲ唱ヘテ居リマ
ス、勿論斯樣ナ時期ニ於キマシテ國民ノ總
親和ヲ御考ニナリ、實際國民ガ總親和ヲス
レバ結構デゴザイマスケレドモ、私共ガ實
際社會ノ到ル處ヲ見ル時ニ、國民ノ總親和
ハ出來テナイト云フコトヲ見テ取ルノデゴ
ザイマス、洵ニ遺憾ノ至リデゴザイマス、
是ハ少クトモ國民ノ生活ノ均衡ヲ圖ラネバ
ナラナイノデハナイカ、國民ノ生活ノ均衡
ガ大變亂レテ居ルト云フコトハ、諸君ガ御
覽ニナツテ居ルコトト思ヒマス、卽チ產業
方面ニ於キマシテハ、軍需產業ト平和產業ノ
此ノ鼻突合セテノ睨合ヒハ何ヲ物語ルカ、國
民ニ對シテ儉約セヨ、儉約セヨト言ウテ居ル
ケレドモ、「デパート」ノ賣行ハドウ云フ狀態
デアルカ、而モ「デパート」ノ賣行ハ、狐ノ襟卷
ヤ、絹物ヤ、或ハ床ノ置物ガ、其ノ賣行ノ大部
分ヲ占メテ居ルト云フコトハ、見逃スコトノ
出來ナイ事實デアリマス、一方平和產業ノ方
面ハドウデアルカ、其ノ日ノ高利ノ利拂モ
出來ナイデ困苦シテ居ル狀態デアリマス、
平沼首相ハ國民ノ總親和ヲ唱ヘテ居リマス
ケレドモ、一方デハ彌ガ上ニモ儲ケマス、
一方デハ痩セルガ儘ニ放ツタラカシテ居ル
ト云フ狀態デアリマシタナラバ、總親和ド
コロデハナイ、國民ガ總不和ニナルト云フ
コトヲ考ヘザルヲ得ナイト思ヒマス、此ノ
點ニ付キマシテ私ハ國內革新ヲ議會後ニ實
行ナサルト云ヒマスケレドモ、今ノ內ニ國
內革新ヲ徹底的ニナサルカドウカト云フコ
トヲ、平沼首相ガ御見エニナツタ時ニ御聽
シタイト考ヘマス(拍手)以上甚ダ言ヒ〓シ
ガ下手デアリマシテ、御迷惑デアツタト思
ヒマスガ、此ノ次ニハ十分勉强シテ來マシ
テ、言ヒ〓シヲ上手ニヤリマス(拍手)
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=39
-
040・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 人的資源ノ擴充
ノ問題ニ付テノ御質問、之ニ關シテ私ガ御
答スベキ點ヲ申上ゲマス、人的資源ノ擴充
ニ付テ非常ニ注意シナケレバナラヌト云フ
コトハ、洵ニ御尤デアリマス、此ノ點ニ付キ
マシテハ私共モ最善ノ努力ヲ拂フ積リデア
リマス、先ヅ第一ニ職工ノ住宅問題ニ付テ
御質問デアリマシタ、之ニ付キマシテハ工
場主モソレ〓〓考ヘテ居リマスガ、尙ホ厚
生省ニ於キマシテモ、市町村等ニ低利資金
ヲ供給スルトカ、其ノ他色々ノ方法ヲ以チ
マシテ、職工ノ住宅ノ供給竝ニ寄宿舍ノ供
給等ニ付テハ、ソレ〓〓努力ヲ致シテ居リ
さい、ソレカラ其ノ次ニ乳幼兒保健局ヲ作
ルカト云フ御質問デアリマスガ、只今ノ所
其ノ考ハ持ツテ居リマセヌ、併シ乳幼兒ノ
保護ニ付キマシテハ、豫算上ニモ相當ナ經
費ヲ以テ、其ノ保護ニ付テ出來ル限リノコ
トヲ致スコトニナツテ居リマス、此ノ點ニ
付キマシテハ其ノ死亡率ヲ出來ルダケ少ク
シテ、立派ナ子供ヲ育テルヤウニ努力スル
積リデアリマス、人口問題ノ〓究所ノ機構
ニ付テノ御質問デアリマスガ、之ニ付キマ
シテハ人口ノ數竝ニ質等ニ關スル〓究ヲシ、
尙ホ生產力擴充竝ニ大陸經營ニ關スル我國
ノ人口ヲ、如何ニ指導シテ行クカト云フヤ
ウナ方針ヲ以テ、其ノ機構ヲ作ル積リデアリ
マス、ソレカラ工場ニ於ケル結核ニ付テドウ
スルカ、之ニ付キマシテハ旣ニ工場ニ對シテ
ハ色々ナ衞生規則ヲ設ケタリ、或ハ健康保
險法ノ擴充ヲ致シマシタリ、其ノ外常ニ豫
防施設ヲ奬勵致シマシテ、遺憾ナキヲ期シ
テ居ル積リデアリマス、尙ホ併シ努力ハ致
ス積リデアリマス、ソレカラ子供ノ多イ者
ヲ表彰ヲスルカト云フ御質問デアリマスガ、
之ニ付キマシテハ今其ノ考ヲ持ツテ居リマ
セヌ、併シ將來ノ問題トシテ考究ヲ致シマ
ス、ソレカラ體力向上關係ノ經費ガ少イト
云フノデアリマスガ、是ハマダ十分デハナ
イ點ガアリマス、併シナガラ體力向上ニ付
キマシテハ、今御擧ゲニナツタヤウナ少イ
經費デハナイト私ハ思ヒマス、私共ノ厚生
省グケデモ體力向上ニ使ハレテ居ル金ハ、
非常ニ多イモノダト思ヒマス、是ハ社會行
政衞生行政、豫防行政、各般ニ亙ル行政
ニ要スル經費ハ、皆歸スル所體力向上ノ基
本ヲ成スモノデアリマス、隨ヒマシテ體力
向上ニ付テモ、相當ノ經費ハ計上セラレテ
居ルノデアリマス、私ニ對スル御質問ニ付
テ大體以上御答辯申上ゲマス
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=40
-
041・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 山崎君ノ私ニ對
スル質問ハ、農村ニ於テノ健康者ガ次第ニ
不健康ニナリツツアルガ、之ニ對スル對策
如何ト云フ御話デアリマス、此ノ點ニ付キ
マシテハ各角度カラ調査ヲ致シテ居リマス
ガ、只今之ニ對スル對策ト致シマシテハ、
醫療設備ノ普及徹底、竝ニ體位向上ノ〓育
等ニ力ヲ注イデ居ルノデアリマシテ、更ノ
適宜適當ナル對策ヲ講ジタイト考ヘテ居リ
マス
〔政府委員黑崎定三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=41
-
042・黒崎定三
○政府委員(黑崎定三君) 只今ノ山崎サン
ノ御尋ノ中、此ノ國勢調査ニ關スル法律ハ、
單ニ人口調査ノミニ限ラズ、モツト廣イ範
圍ニ於テ調査スルコトガ必要デハナイカト
云フ趣旨ノ御尋ガアツタノデアリマス、御
尋ノヤウニ此ノ法律ガ明治三十五年ニ衆議
院カラ提出セラレマシタ時ノ、其ノ成立チ
ノ趣旨ハ、單ニ人口統計ノミナラズ、廣ク
國勢ノ基本ニ關スル事項ニ亙ツテ、調査ス
ルコトノ趣旨ガ含マシメラレテ居リマシタ
コトハ、御話ノ通リデアリマス、而モ當時
ノ此ノ法律案ノ委員長ノ報〓ヲ見マシテモ、
國勢ノ基本ニ關スル事項ハ、緩急ヲ圖ツテ
調査ヲ爲スベシト云フノ希望ガ附ケ加ヘラ
レテ居リマス、尙ホ昭和十一年ノ中央統計
委員會ニ於キマシテモ、單ニ人口統計ノミ
ナラズ、農業、工業、商業等ノ事項ニ付キ
マシテモ、國勢ノ基本ニ關スル限リハ、廣
ク調査スベシト云フノ建議ガアリマシタ、
政府ニ於キマシテモ昭和十五年ニ國勢調査、
一般調査ヲ行ヒマスルカラ、其ノ時ニ此ノ
趣旨ヲ採入レマシテ、廣イ範圍ニ於テ調査
ヲ實行シタイト目下〓究中デアリマス、右
御答致シマス
〔政府委員小柳牧衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=42
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043・小柳牧衞
○政府委員(小柳牧衞君) 山崎君ノ質間
中、文部所管事項ニ付キマシテハ私ヨリ御
答致シタイト存ジマス、學校ノ身體檢査ハ
御示ノ通リ定期ハ年一囘ニ相成ツテ居ルノ
デアリマスルガ、最近其ノ檢査方法ハ綿密
愼重ヲ期シマシテ、其ノ結果學校ノ衞生竝
ニ生徒ノ健康ニ貢獻スル所ガ甚ダ多イノデ
アリマス、又學校ニシテ健康ニ注意スルモ
ノニアリマシテハ、或ハ一學期一囘、或ハ
一箇月一囘、身體檢査ヲ行ツテ居ル所モア
リマスルノデ、益〓此ノ趣旨ヲ普及致シタ
イト存ズルノデアリマス、而シテ其ノ結果
胸部疾患ヲ初メ、疾病ノ早期發見ニ貢獻シ、
更ニ早期診斷ニ資シマシテ、學校ノ衞生竝
ニ兒童ノ健康ニ資シタイト存ジテ居ル次第
デアリマス、ドウゾ御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=43
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044・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 塚本重藏君
〔塚本重藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=44
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045・塚本重藏
○塚本重藏君 今囘國勢調査ニ關スル法律
ノ改正ニ依ツテ消費物資ニ關スル「センサ
ス」ヲ行ハントシマスコトハ、洵ニ結構ナコ
トデアリマス、惟ヒマスルニ、此ノ調査ガ
モウ少シ早ク行ハレテ居リマシタナラバ、
一層此ノ調査ガ有意義ニナツテ來タコトト
思フノデアリマス、其ノ遲カリシコトヲ寧
ロ憾ム者デアリマスルガ、此ノ機會ニ於キ
マシテ、此ノ法律案ニ關聯致シマシテ四ツ
ノ質問ヲ致シタイト思フノデアリマス
第一點ハ、消費「センサス」ヲ定期的ニ行
フ意思ハナイカト云フ質問デアリマス、提
案ノ理由書ニ依リマスト、唯臨時ニ此ノ消
費國勢調査ヲ行フト云フコトニナツテ居リ
マスガ、是ハ臨時ニ唯一囘ダケ行ハレルノ
デアルカ、或ハ臨時ニモセヨ數囘繰返シテ
行フノデアルカ、サウ云フ點ガ明瞭デナイ
ノデアリマス、私ハ貴族院ニ於キマスル委
員會ノ記錄等モ精讀シテ見マシタガ、其ノ
點ガ尙ホ明瞭デアリマセヌノデ、此ノ機會
ニ其ノ點ヲ明ニシテ戴キタイト思フノデア
リマス、戰時下ニ於テ國民ノ消費狀況ガド
ウナツテ居ルカト云フコトヲ知ルコトハ、
物資動員計畫ノ上カラモ、消費統制ノ上カ
ラモ、國民生活ノ最低限度ノ必要物資ヲ保
障スルト云フ政策ノ上カラモ、基礎的事實
トシテ必要デアルト思フノデアリマス、同
時ニソレハ單ニ一時期ダケデハナクシテ、
之ヲ定期的ニ繰返スコトニ依ツテ、靜的ナ
狀況ダケニ止マラズ、過去ノ經濟的、政治
的環境ニ於ケル事實ト比較シテ、動的ナ狀
況ヲ知ルコトガ出來ルト思フノデアリマス、
サウシテコソ初メテ此ノ調査ノ意義ヲ一層
有意義ナラシムルコトガ出來ルト思ヒマス、
此ノ意味ニ於テ、政府ハ消費「センサス」ヲ將
來定期的ニ施行スル計畫ヲ持タレテ居ルノ
デアルカ、唯此ノ戰時下ニ於テノミ一時的
ニ臨時ニ行ハレルノデアルカ、私共ハ以上
申上ゲマスヤウニ、出來ルナラバ之ヲ定期
的ニ將來繼續シテ行ツテ貰ヒタイト思フ
ノデゴザイマスガ故ニ、此ノ點ニ付テノ所
見ヲ明ニ伺ヒタイト思フノデアリマス
第二ハ消費「センサス」ノ對象ヲ如何ニ決
定セラレルノデアルカ、是ハ極メテ重要ナ
コトデアルニモ拘リマセズ、貴族院ノ委員會
ニ於キマシテモ、此ノ點ガ未ダ明瞭ニナツ
テ居リマセヌ、國民ノ消費物資ハ殆ド無限
ニ多數デアリマス、政府ハ其ノ消費物資ノ
總テニ付テ之ヲ調査セラレヨウトスルノデ
ハ、恐ラクナカラウト思フノデアリマス、
實際ニハ其ノ總テヲ調査スルト云フコトハ
不可能デアリマスルカラ、或ル一定ノ範圍
ニ止メテ調査ヲセラレルト思フノデゴザイマ
ス、其ノ調査セラレヨウトスル所ノ範圍ガ
餘リ狹クナリマスルト、調査ノ目的ヲ達シ
ナイコトニナリマスカラ、其ノ範圍ヲドノ
程度ニセラレルノデアリマスルカ、調査ノ
品目ノ內容ガ若シ決定シテ居リマスルナラ
バ、其ノ具體的ナ品目ヲ、此ノ機會ニ發表
シテ戴キタイト思フノデアリマス
第三ノ質問ハ、中央統計委員會ノ答申決
議ヲ實施セラレル意思ハナイカト云フ質問
デアリマス、現ニ行ハレテ居リマスル國勢
調査ノ調査項目ハ男女別、年齡、職業、產
業ナド比較的簡單デアリマス、折角十年又
ハ五年目每ニ行ハレマス大規模ノ國勢調査
ニ於キマシテ、之ニ附帶シテ同時ニ、例へ
バ財產ノ種類及ビ金額ヲ調査致シマスルナ
ラバ、玆ニ初メテ正確ナ國富統計ト云フモ
ノガ得ラレルノデアリマス、又所得ノ種類
及ビ其ノ金額ヲ調査致シマスナラバ、ソコ
ニ初メテ正確ナル國民ノ所得統計ガ得ラレ
ルノデアリマス、其ノ他農民ニ付テ言ヒマ
スナラバ、自作、小作農別、耕地面積デア
ルトカ、或ハ其ノ農產物ノ種類及ビ其ノ數
量等ノ調査ガアリマセウ、又工業方面ニ於
キマシテハ、使用機械ノ種類及ビ馬力數、
或ハ生產品目及ビ其ノ生產高ナド必要ナ項
目ガ多々アルト思ブ、ソレ等ノ調査ヲ同時
ニ行フコトガ必要デアルト思フノデアリマ
ス、聞ク所ニ依リマスト、旣ニ中央統計委
員會ニ於キマシテハ、國勢調査ノ其ノ調査
項目ノ中ニ、斯ウシタ農工商ニ關シマスル
經濟的ナ項目ヲ加フベシト云フ答申決議ガ、
行ハレテ居ルト聞イテ居ルノデアリマス、
政府ハ此ノ決議ヲ實施シテハドウカト、此
ノ機會ニ御伺致ス次第デアリマス
第四ノ質問ハ、厚生省ノ中ニ勞働統計局
ヲ設置スル必要ガアルト思ヒマスノデ、此
ノ點ニ關シマスル政府ノ所見ヲ此ノ機會ニ
伺ツテ置キタイト思ヒマス、消費「センサス」
ノ必要デアルト共ニ、國家總動員法ノ中ニ
於キマシテハ、勞働統制ニ關スル多クノ規
制ヲ定メテ居リマス、而シテ今ヤ國家總動
員法ハ全面的ニ發動セラレナケレバナラヌ
所ノ時運ニ到達シテ居ルノデアリマス、卽
チ政府ニ於キマシテモ總動員法ノ第六條ニ
基キマシテ、勞働時間ニ關スル規制、勞働
者爭奪防止ニ關スル規制ト共ニ、標準賃銀
制ヲ發動スル準備ヲ進メラレツツアリマス
ルコトニ依ツテモ、ソレヲ明ニ知ルコトガ
出來ルノデアリマス、申スマデモナク、勞
働賃銀ノ問題ハ、勞働力培養ノ必要ガ叫バ
レテ居ル今日、勞働者ノ生活保護ノ上カラ
ハ固ヨリ、生產力擴充ノ上カラモ、又物價
安定政策ノ上カラモ、貿易對策ノ上カ
ラモ、政府ハ之ヲ從來ノヤウニ放任スル
コトハ最早許サレナイ時期ニナツテ來
テ居ルノデアリマス、然ルニ政府ガ此ノ議
會ノ豫算總會及ビ分科會ニ於キマスル質
疑及ビ赤字公債委員會ニ於キマスル本員
ノ質疑ニ對シテ、答辯セラレマシタコトニ
依ツテ明ニナリマシタ所ノ標準賃銀ノ內容
ハ、僅ニ小學校、中學校ノ卒業者及ビ二十
歲未滿ノ未熟練勞働者ノ初給賃銀ノ標準ヲ、
規制スルト云フニ止ツテ居ルノデアリマ
ス、斯ウ云フ內容ヲ以テ致シマシテハ、
全般的ニ公正妥當ナル賃銀ヲ勞働者ニ得セ
シメテ、其ノ生活ニ安定ヲ與ヘルト云フ目
的ヲ達成スルコトハ、絕對ニ不可能デアル
ト私ハ信ズルモノデアリマス(拍手)從來勞
働賃銀ハ〓ネ雇傭者側ノ專制的ニ、支配的
ニ、一方的ノ意思ニ依ツテ決メラレテ來タ
ノデアリマス、今デモ同ジ地方ニ於キマシ
テ、同ジ程度ノ技術ヲ持チナガラ、同ジ職
業ニ從事シテ居リマスル者デモ、其ノ賃銀
ハ高低ガ甚シク、色々樣々デアリマス、斯ウ
云フ今日ノ賃銀ノ狀態ト云フモノハ、是ハ畢
竟スルニ資本主義產業ノ組織經營ノ當然ノ
結果デアルトハ思ヒマスケレドモ、又一方ニ
我國ニ正確ナ賃銀統計ガナカツタコトモ、其
ノ原因ノ一デアルト云フコトヲ認メナケレ
バナラナイノデアリマス(拍手)今後總動員
法ニ依ツテ、前述ノ三ツノ法令ガ發動セラレ
マスルナラバ、勞働時間ノ制限、勞働者ノ移
動ノ自由ノ制限、是等ニ從ヒマシテ、勢ヒ勞
働條件ハ段々低下シテ行ク虞ガアルノデア
リマス、ソコデ之ヲ防ギマス爲ニモ、更に
又總動員法ヲ發動シテ國策ヲ遂行スル上カ
ラ致シマシテモ、政府ハ進ンデ最低賃銀制
ヲ設ケル必要ガアルト思ヒマス、更ニ進ン
デハ國民登錄竝ニ技術登錄、國營職業紹介
機關ノ積極的ナ活用トニ依リマシテ、地方
的ニ、職業別ニ技術ノ程度ニ應ジ、勤續ノ
年數ニ依リマシテ、綿密ナル標準賃銀ヲ決
定スルヤウニシナケレバナラナイト思フノ
デアリマス、今ヤ其ノ必要ナル時期ニ到達
シテ居ルノデアリマスルケレドモ、是等ニ
關シマスル所ノ十分ナル調査ガ出來テ居リ
マセヌガ爲ニ、恐ラク政府デハ之ヲヤラウ
ト思ヒナガラヤルコトガ出來ナイデ、已ム
ヲ得ズ前申シマシタヤウニ僅ニ小學校、中
學校ノ卒業者、或ハ二十歲未滿ノ不熟練勞
働者ノ初給賃銀ニ對シマスル標準賃銀ヲ決
メルト云フヤウナコトデ、現下ヲ糊塗シ去
ラウトシテ居ルノデハナイノデアリマセウ
カ、ソレデハ到底將來此ノ儘デ推進メテ行
ク譯ニハ行キマセヌ、ドウシテモ一步進ン
デ廣範圍ノ標準賃銀制ト云フモノガ必要ニ
ナツテ來ルノデアリマス、要スルニ今後政
府ガ長期建設遂行ノ爲ニ總動員法ヲ全面的
ニ發動シ、有ユル計畫ヲ遂行スル上ニ於キ
マシテハ、其ノ運用ノ基礎トナルベキ勞働
人員、勞働時間、勞働賃銀、勞働者ノ生計
費等ニ關シマスル基礎的ナ正確テ統計ヲ具
備シナケレバ、到底適切有效ナル勞働統制
ヲ行フコトハ困難デアルト思フノデアリマ
ス、勿論政府關係ニ於キマシテハ內閣統計
局、厚生省、商工省、農林省、遞信省、鐵
道省、ソレ〓〓カラ統計ハ出テ居リマス、
又日本銀行、商工會議所、或ハ各新聞社等
ニ於テモ勞働統計ガ作ラレテ居リマスケレ
ドモ、ソレ等ハ何レモ特殊ノ目的ニ依ツテ
作ラレタモノデアリマシテ、綜合的ナ統一
的ナ觀察ヲ下スコトノ出來ナイノヲ甚ダ遺
憾トスルモノデアリマス、又何レモマダ十分
ナ統計ト云フコトハ出來マセヌカラ、是等
ヲ信賴シテ、以テ政策立案ノ基礎トスルニ
ハ、甚ダ不十分デアルト言ハナケレバナリ
マセヌ、總動員態勢整備ノ爲ニ、勞働統制
ガ極メテ重大ナル意義ヲ持ツニ至リマシタ
今日、政府ハ勞働統計局ヲ設置シテ、以テ
〔副議長退席、議長著席〕
各種ノ勞働統計ヲ作ル必要ガアルト考ヘル
ノデアリマス、此ノ主張ハ日本勞働組合會
議ガ數年前カラ厚生省ニ向ツテ要望シ來ツ
タ所ノ問題デアリマス、現下益〓是ガ實現ノ
緊要ナルコトヲ痛感致シマスノデ、此ノ機
會ニ於キマシテ政府ノ御所見ヲ御尋スル次
第デアリマス
〔政府委員黑崎定三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=45
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046・黒崎定三
○政府委員(黑崎定三君) 塚本サンノ御尋
ニ對シマシテ私カラ御答ヲ致シマス、今囘
行ハントスル此ノ消費「センサス」ハ、定期
的ニ行フ意思ガアルカドウカト云フコトガ
御尋ノ一ツデアツタト思ヒマス、今囘政府
ニ於キマシテ行ハウト致シマス消費-3)
サス」ハ、只今定期的ニ施行スル意思ハ持
ツテ居リマセヌ、サウ云フ積リデハゴザイ
マセヌ、唯必要ガ起リマスレバ、繰返シテ
施行スルコトハアリ得ルノデアリマスガ、
只今ノ所デハ初カラ定期的ニ施行スル意思
ハ持ツテ居リマセヌ、御尋ノ第二ハ此ノ消
費、「センサス」ノ對象ハドウ云フ範圍ニナル
カ、又其ノ調査品目ハドウ云フ範圍カ、斯
ウ云フ御尋デアリマス、政府ノ本年施行シ
ヨウト致シマスル此ノ消費「センサス」ノ目
的ハ、國民全般ニ亙リマシテノ消費事情ヲ
調査シヨウトスルノガ其ノ目的デアリマス、
併シ其ノ調査ノ技術的方法ニナリマスト、
技術的方法ハ販賣機關、物品ノ配給機關デ
アリマス販賣業者ニ付テ、其ノ業者ノ小賣
價格ヲ調査スルノ方法ニ依リマシテ、其ノ
物資ノ國民消費ニ充テラレル高ヲ調ベヨウ、
斯ウ云フ方法ヲ執ラウトシテ居ルノデアリ
やく、尙ホ此ノ調査ノ技術的方法ニ於キマ
シテノ細目ニ付キマシテハ、或ハ自家消費
ニ付テノ調査ハドウスルカト云フヤウナ、
調査方法ニ付テノ問題モゴザイマスガ、餘
リ細カクナリマスカラ、ソレ等ノ點ニ付テ
ハ委員會ニ於テ詳シク御說明ヲ申上ゲルコ
トト致シタイト思ヒマス、尙ホ調査品目ヲ
ドウ云フ範圍ニスルカト云フ點デアリマス
ガ、是ハ實際國民ノ消費生活ニ要スル物資
中カラ、重要ナリト認メマスルモノヲ選定
致シテ定メタイト思ツテ居ルノデアリマス
ガ、只今ノ大體ノ見當ハ、凡ソ百五六十種
ノ品目ニナルカト考ヘテ居リマス、目下ソ
レ等ノ具體的ノ品目ニ付テ選定中デゴザイ
マシテ、一々ノ品目ニ付テハ只今マダ申上
ゲル程度ノ運ビニナツテ居リマセヌ、ソレカ
ラ最後ニ勞働統計局ノ設置、勞働統計整備
ノ必要ニ付テノ御尋ガゴザイマシタガ、御
說ノ如ク諸般ノ勞働統計ヲ整備致シマシテ、
勞働政策ノ基本的統計資料ヲ一層充實致シ
整備スルコトハ、是ハ洵ニ肝要ナコトデア
リマシテ、政府ニ於キマシテモ、是等勞働
統計ノ整備ニ付キマシテハ常ニ留意ヲ致シ、
現ニ内閣統計局ニ於テモ勞働課ヲ設ケテ居
リマシテ、サウシテ勞働行政ニ關係ノアル
厚生省其ノ他ノ關係當局者ト、常ニ十分ナ
ル連絡ヲ取リマシテ、サウシテ勞働統計資
料ノ整備充實ニ盡シツツアル現狀デアリマ
ス、尙ホ不十分ナル點ニ付キマシテハ、銳
意改善ヲ致ス積リデアリマス、唯是ガ爲ニ
勞働統計局ト云フヤウナ局ヲ新設スルカド
ウカト云フ點ニ付キマシテハ、マダ政府ト
致シマシテ具體的ニ申上ゲル意見ガゴザイ
マセヌ、右御答致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=46
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047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=47
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048・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名九名ノ委員
ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=49
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050・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-外務大
臣ヨリ上海ニ於ケル治安ノ維持ニ關シ報〓
ノ爲發言ノ通告ガアリマス、尙ホ之ニ對シ
政府ヨリ祕密會議ヲ要求セラレマシタ、仍
テ是ヨリ會議ノ公開ヲ停メマス、傍聽人ノ
退場ヲ命ジマス
上海ニ於ケル治安ノ維持ニ關スル報告
ノ件
〔午後五時一分祕密會ニ入ル〕
〔午後五時十分祕密會ヲ終ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ公開致
シマス、傍聽人ヲ入場セシメマス-祕密
會ニ於キマシテハ、外務大臣ヨリ上海ニ於
ケル治安ノ維持ニ關シ報告ヲ聽取致シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=51
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052・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=52
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053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後五時十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X01819390228&spkNum=54
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