1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十四年三月七日(火曜日)
午後一時十七分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第二十一號
昭和十四年三月七日
午後一時開議
質問
一 國民精神總動員運動に關する質問(清瀬一郎君提出)
二 清酒生産制限に關する質問(清寛君提出)
━━━━━━━━━━━━━
第一 輕金屬製造事業法案(政府提出) 第一讀會
第二 映畫法案(政府提出) 第一讀會
第三 花柳病豫防法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 非訟事件手續法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 鑛業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 北海道拓殖銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 金資金特別會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 國境取締法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 軍用資源祕密保護法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 地方鐵道法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 軌道法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━
〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
秋田縣に高等工業學校設置に關する建議案
提出者
中川重春君 信太儀右衞門君
土田莊助君
齒科醫療用器械竝材品の原料配給に關する建議案
提出者 山田順策君
北海道に於ける鐵道速成に關する建議案
提出者
山本厚三君 木下成太郎君
災害防除林施設計畫擴充に關する建議案
提出者
長野綱良君 小山邦太郎君
沖島鎌三君 小串清一君
武田徳三郎君 山川頼三郎君
宮本雄一郎君 助川啓四郎君
國道改修國庫補助の豫約實行に關する建議案
提出者
山田順策君 伊藤東一郎君
片岡恒一君 渡邊玉三郎君
平小鐵道建設促進に關する建議案
提出者 山田六郎君
矢作川上流に調節池築設に關する建議案
提出者
大野一造君 岡本實太郎君
名古屋豐橋間國道改修促進に關する建議案
提出者
大野一造君 岡本實太郎君
茶業國策樹立竝茶業振興に關する建議案
提出者
宮本雄一郎君 井上知治君
石坂繁君 池本甚四郎君
長井源君 坂下仙一郎君
山口忠五郎君 宮崎一君
魚野川改修工事促進に關する建議案
提出者
今成留之助君 佐藤謙之輔君
櫻井奧津間鐵道速成に關する建議案
提出者 松尾四郎君
道路の改良促進に關する建議案
提出者
田中好君 世耕弘一君
佐藤與一君 森幸太郎君
堀内良平君 藤生安太郎君
山田順策君
青年學校用教科書鐵道運賃割引に關する建議案
提出者 長野長廣君
豐永驛日和佐驛間鐵道及同線より大栃を經て土佐山田驛に至る鐵道敷設に關する建議案
提出者 長野長廣君
大杉驛船戸間鐵道敷設に關する建議案
提出者 長野長廣君
國道一號線及指定府縣道鋪裝工事助成に關する建議案
提出者
宮本雄一郎君 春名成章君
山田順策君 山口忠五郎君
山崎釼二君 津倉亀作君
深澤豐太郎君 坂下仙一郎君
太田正孝君 平野光雄君
塩川正藏君 高木粂太郎君
物部川ダム築設に關する建議案
提出者 長野長廣君
高松港修築工事國庫補助に關する建議案
提出者
宮脇長吉君 前川正一君
藤本捨助君
(以上三月六日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
大日本消防協會國庫補助増額に關する質問主意書
提出者 松田正一君
銅の統制に關する質問主意書
提出者 篠原義政君
(以上三月六日提出)
一昨六日平沼内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
内務書記官 町村金五
第七十四囘帝國議會内務省所管事務政府委員被仰付
一昨六日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第二部選出決算委員 小林三郎君
第六部選出決算委員 佐竹晴記君
一昨六日委員長及理事互選の結果左の如し
國際電氣通信株式會社法中改正法律案(政府提出)委員
委員長 植原悦二郎君
理事
岡野龍一君 川副隆君
大本貞太郎君 永田良吉君
職員健康保險法案(政府提出)委員
委員長 紫安新九郎君
理事
中崎俊秀君 成島勇君
小串清一君 泉國三郎君
郵便年金法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 庄晋太郎君
理事
木原七郎君 木村作次郎君
一昨六日議長に於て選定したる委員左の如し
米穀配給統制法案(政府提出)委員
添田敬一郎君 長野綱良君
片岡恒一君 古田喜三太君
三好榮次郎君 原玉重君
高田耘平君 山田六郎君
今成留之助君 信太儀右衞門君
山本粂吉君 福田關次郎君
勝田永吉君 小野寅吉君
田中好君 三善信房君
馬岡次郎君 河野一郎君
吉植庄亮君 小平重吉君
大石倫治君 助川啓四郎君
小山田義孝君 牧野良三君
西川貞一君 國光五郎君
伊東岩男君 石坂繁君
窪井義道君 北勝太郎君
平野力三君 三宅正一君
杉山元治郎君 佐竹晴記君
小山亮君 大石大君
一昨六日に於ける特別委員の異動左の如し
職員健康保險法案(政府提出)委員
辭任紫安新九郎君 補闕眞鍋勝君
國際電氣通信株式會社法中改正法律案(政府提出)委員
辭任永田良吉君 補闕小笠原三九郎君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任岩瀬亮君 補闕葉梨新五郎君
人事調停法案(政府提出)委員
辭任篠原義政君 補闕庄司一郎君
保險業法改正法律案(政府提出)委員
辭任三木武夫君 補闕田川大吉郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=0
-
001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=1
-
002・服部崎市
○服部崎市君 質問一及ビ二ハ後〓シニセ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=2
-
003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=3
-
004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ質問一及ビ二ハ後〓シト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=4
-
005・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第五ヲ繰上
ゲ上程シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=5
-
006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=6
-
007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第五、鑛業法中改正法律案、第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長八角三郞君
第五鑛業法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一鑛業法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月四日
委員長八角三郞
衆議院議長小山松壽殿
〔八角三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=7
-
008・八角三郎
○八角三郞君 只今議題トナリマシタ本案
委員會ノ經過ノ大要竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、本法律案ハ鑛害ノ賠償ニ關スルモ
ノデアリマス、元來鑛業法ハ鑛業ニ關ス
ル基本法規デゴザイマスルガ、鑛害ノ賠償
ニ關シマシテハ何等ノ規定モ置カレテ居ナ
カツタノデアリマス、是ガ爲ニ少カラザル
支障ヲ生ジテ居ツタ實情ニ鑑ミマシテ、本
改正法律案ハ、鑛業權者ノ賠償責任及ビ
其ノ範圍ヲ明確ニシ、特ニ石炭鑛區ノ鑛業
權者ニ付テハ、將來ノ賠償ニ備ヘシメル制
度ヲ立テ、尙ホ鑛害賠償ノ爭議ニ關シ調
停制度ヲ設ケテ、問題ノ圓滿ナル解決ヲ圖
ラウトスルモノデゴザイマス
委員會ハ二月二十五日ヨリ五囘ニ互リ開
會致シマシタガ、質問ノ主ナルモノハ、第
一ハ本法案ニ依ル賠償義務ノ法律的性質如
何及ビ鑛業ニ對シテノミ賠償義務ヲ認メ
ル根據如何、第二ハ自然カガ競合シテ損
害ヲ發生セシメタル場合鑛業權者ニ賠償義
務アリヤ、第三ハ鑛害、特ニ煙害ノ場合ニ
於テハ、損害ノ額ノ算定ハ容易ナラズト考
ヘラルルモ、其ノ算定基準如何、第四ハ本
法案施行前ノ損害ニ付テモ賠償ヲ爲サシム
ルハ行過ギニアラザルカ、第五ハ過去ノ損
害ニ對シ當局ハ國費ヲ以テ復舊ヲ爲ス意思
アリヤ、第六ハ損害ノ賠償ヨリモ損害ノ防
止其ノモノニ徹底的取締ヲ爲スベキニアラ
ザルカ、第七ハ當局ニ於テ鑛業法ノ全般ニ
亙リ改正ノ意思ナキヤ、其ノ他重要鑛物ノ
增產、貧鑛處理、砂金ノ開發、石炭ノ配給
等ニ付キ、適切熱心ナル質疑及ビ希望ガア
リ、有ユル角度ヨリ詳細ニ檢討セラレマシ
ク、之ニ對シ各政府委員ヨリソレ〓〓懇切
ナル答辯ガゴザイマシタガ、其ノ詳細ハ速
記錄ニ依ツテ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマ
ス、以上ニテ質疑ヲ終リ、本案ノ討論ニ入リ
マシタ所、民政黨ヲ代表シテ卯尾田毅太郞君、
政友會ヲ代表シテ大内竹之助君、第一議員倶
樂部ヲ代表シテ長谷長次君、社會大衆黨ヲ
代表シテ川俣〓音君、第二控室ヲ代表シテ
小山亮君、東方會ヲ代表シテ小野謙一君、
何レモ原案ニ贊成ノ旨ヲ述ベラレ、尙ホ其
ノ際各委員ヨリソレ〓〓本案運用ニ關シ適
切ナル希望ヲ附加ヘラレマシテ、次イデ採
決ノ結果滿場一致原案通リ可決セラレマシ
ク、以上御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=8
-
009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=10
-
011・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=11
-
012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=12
-
013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
鑛業法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モゴザイ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=14
-
015・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第六及ビ第七ノ兩
案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審議ヲ進メラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=15
-
016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第六、北海道拓殖銀行法中改正法律案、
日程第七、金資金特別會計法中改正法律案、
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長板谷順
助君
第六北海道拓殖銀行法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第七金資金特別會計法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一北海道拓殖銀行法中改正法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
本法案ハ北海道拓殖銀行ノ特異性ヲ消失
セシムルノ虞アリ依テ政府ハ本行創設ノ
趣旨ニ鑑ミ不動產金融ニ一層ノ力ヲ傾注
スヘク嚴重ニ監督指導シ萬遺憾ナキヲ期
スヘシ
報〓書
一金資金特別會計法中改正法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=17
-
018・板谷順助
○板谷順助君 只今議題トナリマシタル法
案ニ對シマシテ、委員會ノ審議ノ經過竝ニ
結果ヲ御報告申上ゲマス、第一ニ北海道拓
殖銀行法中改正法律案ニ付キマシテ御報告
申上ゲマス、先ヅ法案ノ內容ヲ簡單ニ說明
致シマス、北海道拓殖銀行ハ明治三十二年
北海道開發ノ爲ニ特殊ノ使命ヲ持チ、不動
產金融ヲ根幹トシテ普通銀行業務ヲ併セ營
ムコトヲ任務トシテ生レ出タ所ノ銀行デア
リマシテ、創立ノ當時ハ不動產貸付ニ對ス
ル短期普通貸付ガ五分ノ一デアリマシタモ
ノカ、漸次擴張サレマシテ、現在ハ同額ニ
ナツテ居ルノデアリマス、所ガ政府ガ今囘
改正ノ理由ト致シマシテ、北海道、樺太ノ
經濟產業ノ發展ニ伴ヒ、短期資金ノ需要ガ
增加シテ參リマシタノデ、此ノ制限ヲ全部
撤廢ヲシ、右ニ關スル罰則ヲモ廢止セント
スル案デアリマス、尙又日本勸業銀行法及ビ
農工銀行法ノ例ニ準ジマシテ、年賦貸付ニ
對シ据置年限及ビ中間据置年限ヲ定メ得ル
規定ヲ設ケントスルモノデアリマス
委員會ハ數囘ニ亙リマシテ愼重審議質疑
應答ガ行ハレタノデアリマスルガ、質問ノ主
ナルモノニ付テ〓要ヲ申上ゲマスルナラバ、
第一ニ特殊銀行トシテ不動產年賦貸付ガ根
幹ヲ成シテ居ル、然ルニ長期貸付ガ減少ヲシ、
短期貸付ガ增加シテ居ルノデアルガ、今囘
ノ改正ハ本來ノ使命デアル其ノ目的ニ副ハ
ナイデハナイカ、隨テ短期貸付制限撤廢ノ
結果、長期貸付ハ閑却セラレハシナイカ、
又其ノ場合政府ハ如何ナル法律ニ依ツテ之
ヲ取締ルカ、第二ニ割引手形ニハ何等ノ制
限ハナイガ、預金增加ノ結果、短期貸付ガ
殖エ、隨テ情實的ノ濫貸ガ增シハシナイカ、
將來本來ノ目的デアル所ノ農村不動產ノ長
期金融ノ需要ガ增シテ來タ場合ニ於テ、其
ノ回收ハ困難デハナイカ、第三、制限ハ撤
廢サレ、普通銀行業務ヲ營ム場合、他ノ地方
銀行ノ分野ニ立入リ過ギハシナイカ、又半官
半民ノ特殊銀行ニ統制ヲ加ヘ、無用ノ費用ヲ
省キ、安イ金利ノ金ヲ民間ニ使ハセルコト
ハ出來ナイカ、右ノ質問ニ對シマシテ大藏
大臣竝ニ政府委員ノ答辯ノ〓要ヲ申上ゲマ
スルナラバ、第一ニ對シテ本來ノ使命ハ不
動產金融デアルガ、他ノ產業ガ發達シテ來
レバ、漸次其ノ制限ヲ緩和スルノガ適當ト
考ヘル、此ノ行キ方ガ北海道ノ產業ノ開發
ノ爲ト思フガ、重點ヲ不動產ニ置クコトハ
勿論デアル、隨テ何レニモ偏セズ、普通銀
行業務ヲ一生懸命ニヤラウト云フノデハナ
イ實情ニ卽シタル金融ヲ行ハントスルニ
ハ嚴重ナル監督ノ方法ニ依ツテ行クヨリ
外ニ仕方ガナイト思フ第二ノ答辯ト致シ
マシテハ今囘ノ改正ハ預金增加ノ結果デ
ハナイ、預金增加ニハ自ラ限度ガアル、短期
貸付ニ對シ放漫ニ流レ易イノデアルガ、其
ノ方面ニモ能ク注意シテ遺憾ナキヤウニヤ
ラス方針デアル、又第三ノ質問ニ對シマシ
テハ銀行ノ分野ヲ明ニスルコトニハ全然
同感デアル、此ノ點ニ付テハ十分ニ考ヘル
又一經濟地方ニ於テ澤山ノ銀行ガ竝立シテ
居ルコトハ、基礎ヲ危クスル虞ガアルノデ、
出來ルダケ合併ノ方針ヲ執ツテ來タノデア
ルガ、特殊銀行ハソレ〓〓違ツタ使命ヲ持
ツテ居ルノデアルカラ、只今合併ノ考ハナ
イト云フ御答辯ガアツタノデアリマス
更ニ又事務的ノ主ナル質問ト致シマシテ
ハ第一不動產擔保ノ貸出ニ付テ、鑑定價
格ノ三分ノ二以內トナツテ居ルガ、査定ガ
非常ニ低ク、實際賣買價格ノ三割五六分
程度ニシカ過ギヌ、隨テ豫定ノ開發モ出
來ズ、事業モ進捗セヌガ、是ガ根本的ノ
改善ヲ考ヘテ居ルカ第二、北海道開發
ノ目的ノ爲ニ、現在收入ナクトモ將來開
クベキ見込アル未開ノ土地ニ對シ、此ノ銀
行ヲ活用セシムベキ方法ハナイカ、又現在
北海道ハ石炭ハ勿論、人造石油「パルプ」事
業等國策事業ガ起リツツアルガ、生產擴充
ヲ期スル爲積極的ニ貸出ヲ爲ス考ハナイカ、
三、低利金ノ時代ニ勸銀ニ比較シテ拓銀ハ
利子ガ高イガ、モツト引下ゲサシテハ如何、
右ニ對シマシテ政府當局ノ答辯ノ〓要ヲ申
上ゲマスレバ、一、鑑定價格ノ低イト云フ
コトハ、不動產銀行ニ對スル共通ノ非難デ
アルガ、鑑定方法ニ付デハ十分〓究ヲ進メ
テ居ル、隨テ土地ノ實際ノ狀態ニ卽シタル
方法ヲ執ツテ非難ヲ除キタイト思フ、
第二ノ答辯ト致シマシテハ、拓殖銀行ノ
貸出ハ熟田畑ノミニ限ラズ、或ル程度開墾
シテ居レバ相當ノ貸付ハ致シテ居ルト思フ
ガ、此ノ點ハ篤ト考ヘテ見タイハ又北海道
ニ於ケル天然資源ノ開發ガ盛ニナツタガ、
是等ノモノニ對スル金融ニ付テモ投資スル
考デアル、第三ノ質問ニ對シマシテハ金
利ニ付テハ將來時代ノ要求ニ從ツテ出來ル
ダケ引下ヲ考慮シタイト思ツテ居ル以上
ノ御答辯ガアツタノデアリマス、其ノ他適
切ナル問答モ行ハレテ居リマスルガ、詳細
ハ速記錄ヲ御覽ノ上御諒承願ヒマス
斯クシテ質疑ハ終リ討論ニ入リマシテ
民政黨ヲ代表シテ宇賀四郞君ヨリ希望意見
ヲ述ベラレ、附帶決議ヲシテ原案贊成ノ意
ヲ表明セラレタノデアリマス、卽チ其ノ附
帶決議ハ
本法案ハ北海道拓殖銀行ノ特異性ヲ消失
セシムルノ虞アリ依テ政府ハ本行創設ノ
趣旨ニ鑑ミ不動產金融ニ一層ノ力ヲ傾注
スヘク嚴重ニ監督指導シ萬遺憾ナキヲ期
スヘシ
ト云フ附帶決議デアリマス、次デ政友會ヲ
代表致シマシテ松木弘君、第一議員倶樂部
ヲ代表シテ山崎常吉君、社會大衆黨ヲ代表
シテ塚本重藏君ヨリ、ソレ〓〓希望意見ヲ
述ベテ贊成ノ意ヲ表サレマシテ、採擇ノ結
果總員起立、政府原案竝ニ附帶決議共可決
サレタノデアリマス、尙ホ右附帶決議ニ對
シマシテ入間野政府委員ヨリ政府ノ聲明ガ
アリマシタカラ、之ヲ朗讀致シマス、只今
御決議アリマシタ所ハ政府ニ於キマシテモ
篤ト承リマシタ、就キマシテハ此ノ機會ニ
今後ノ監督方針トシテ、現ニ考ヘテ居リマ
ス所ヲ一應申上ゲテ置キタイト存ジマス、
北海道拓殖銀行ガ不動產銀行業務ヲ其ノ特
質トスルモノデアリマスコトハ、政府ト致
シマシテモ全ク同樣ニ考ヘテ居リマス、從
ヒマシテ今囘法律ヲ改正致シマシテ、短期
貸出ニ對スル制限ヲ撤廢スルコトニ付キマ
シテハ本委員會ニ於テ、本改正ノ結果ハ
將來右ノ如キ本銀行ノ特色ガ失ハルルニ至
ル虞ガアルト云フ不安ヲ持タレテ居ルヤウ
デアリマスガ、其ノ御懸念ハ誠ニ御尤ノコト
ト考ヘルノデアリマス、政府ト致シマシテ
千、今囘短期貸出ニ對スル制限ガ撤廢セラ
ルルニ於キマシテハ將來一層此ノ點ニ關
スル監督ヲ十分ニ致シマシテ、斯ル弊ニ陷
ルコトガ無イヤウニ致シタイ考デアリマス、
而シテ其ノ方法トシテハ常時同行ノ業績
ニ周到ナル注意ヲ拂フコトハ勿論デアリマ
スガ、特ニ此ノ際考ヘテ居リマス方法ト致
シマシテハ、主務大臣ハ御承知ノ通リ現在
デモ監督上必要ナル命令ヲ發シ得ルノデア
リマスカラ、之ニ基キマシテ、同行ニ對シ
其ノ不動產貸出ヲ督勵スル趣旨ニ於テ、例
ヘバ各店舗每ニ不動產貸出ノ申込受理ノ狀
況之ニ對スル貸出實行ノ狀況、拒絕シタ
モノノ狀況、處理未濟ノモノノ狀況等ニ付
テ、定期又ハ隨時ニ詳細ナル報告ヲ爲サシ
メ、之ヲ檢討シテ申込ニ對シ貸出率ノ特ニ低
キ場合、申込金額ニ對シ貸出額ノ特ニ少額ナ
ル場合、貸出著シク遲延セル場合、拒絕セル
モノ特ニ多キ場合、處理ノ特ニ遲延セル場合
等ニ付キマシテハ、特ニ詳細ニ其ノ事由ヲ調査
シ、必要アル場合ニハ實地ニ檢査又ハ調査等
ヲモ厲行スル等ノ方法ニ依リマシテ、本行
ノ特色トスル不動產銀行業務ニ十分力ヲ盡
サシメタイト思フノデアリマス、更ニ他ノ
一面ニ於キマシテハ同行トシテハ短期貸
出ノ資源トナルモノハ預金デアリマスカ
ラ、今後ハ預金ノ取入狀況ニ付キマシテモ
特ニ注意ヲ拂ヒマシテ、不自然ナル預金ノ
取入ヲ行ツテ、不當ニ短期貸出ニ偏スルガ
如キコトノナイヤウ十分監督致シタイ考デ
アリマス、卽チ是ガ爲ニハ今後ハ前述ノ貸
出ノ場合ト同樣ニ特ニ命令致シマシテ、各
店舗每ニ預金ノ增加狀況ニ付テ詳細ナル報
告ヲ爲サシメ、特ニ預金增加ノ著シイモノ
等ニ付キマシテハ、其ノ事由ヲ十分調査シ、
必要ニ應ジテハ實地ニ調査ヲ行フ等ノ方法
ニ依リ、不自然ナル預金ノ增加ニ伴ツテ、
短期貸出ヘ偏倚致シマスコトヲ十分監督致
シタイト考ヘテ居リマス、而シテ不動產貸
出及ビ預金取入ノ兩方面ニ付テ斯ル監督方
法ヲ用フルナラバ、前述ノ如キ將來同行ガ
短期貸出ニノミ走ツテ、同行ノ特質タル不
動產業務ヲ沒却スルガ如キコトハナイモノ
ト考ヘルノデアリマスガ、御決議ノ次第モ
アリマスノデ、今後共十分留意シテ御趣旨
ニ添フヤウ萬全ヲ期シタイト考ヘテ居ル次
第デアリマス、斯ウ云フ聲明ガアツタノデ
アリマス、尙ホ委員會全員ノ希望ト致シマ
シテ、右附帶決議ニ對シ大藏大臣ヨリ直接
本議場ニ於テ聲明アランコトヲ委員長ヨリ
要求致シマス、以上御報告申上ゲマス
次ニ金資金特別會計法中改正法律案ニ對
スル委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲ
マス、金資金ハ現在ノ法律デハ金、國債、產金
振興債劵、及ビ總額二千五百万圓ヲ限り日本
產金振興株式會社ニ運用シ得ルコトト相成
ツテ居ルノデアリマスガ、今囘改正ノ主ナ
ル目的ヲ申上ゲマスレバ、此ノ範圍ヲ擴張
致シマシテ、其ノ他勅令ノ定ムルモノニモ
運用シ得ルコトト致シタイト云フ案デアリ
そく、卽チ其ノ勅令案ノ要綱ハ、一、銀
二日本銀行ニ對スル在外指定預金、三、
日本產金振興株式會社ニ對スル貸付金、四、
大藏省預金部ニ對スル預金、以上ノ目的ニ
對シテ運用セントスルモノデアリマス
委員會ハ數囘ニ亙リ問答ガ行ハレタノデ
アリマスガ、質問ノ主ナルモノヲ申上ゲマ
スレバ金資金特別會計法ハ金ト國債ニ運
用スルコトガ一番ノ根本デアル、然ルニ銀
ニ運用セントスルノハドウ云フ關係デアル
カ、又興業債劵ニ巨額ノ運用ヲシテ居ルガ、
金ノ必要ノ場合ニ金ニ換ヘルコトガ出來ル
ノカ、右ノ質問ニ對シマシテ政府當局ヨ
リ銀ハ金ト一緒ニ產出セラレ、政府ノ買
上地金ニモ金銀混合ノモノガ多イ故ニ、銀ヲ買
フコトハ產金奬勵ノ一助トモナル、又銀ハ國際
貸借ノ上ニ金ト共ニ使用サレテ居ルノデ、
銀買上ハ本資金ノ趣旨ニモ合致スルト思
フ、又興業債劵ノ中ニハ產金方面ニ投資
サレテ居ルモノモ相當ニアリ、只今ハ現金
モ多イカラ、資金運用ニハ事缺カナイト思
フガ、若シ必要アレバ處分シテモ活用スル
積リデアルト答辯サレタノデアリマス、其
ノ他產金政策ニ對シ、多數ノ委員ト商工大
臣竝ニ政府委員トノ間ニ、政府ノ不徹底ナ
ル點ヲ指摘シ、痛烈ナル質疑應答ガ行ハレ
タノデアリマスガ、詳細ハ總テ速記錄ニ依
ツテ御諒承ヲ願ヒマス
斯クテ質問ヲ終リマシテ、別ニ討論ナ
ク採決ノ結果總員起立、全會一致原案通
リ可決サレマシタ、右簡單ナガラ御報告申
上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=18
-
019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 大藏大臣ヨリ發言ヲ
求メラレテ居リマス、之ヲ許シマス-石
渡大藏大臣
〔國務大臣石渡莊太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=19
-
020・石渡莊太郎
○國務大臣(石渡莊太郞君) 只今北海道拓
殖銀行法中改正法律案ニ附帶シテ御決議ノ
アリマシタ所ハ、御尤ノ次第ト存ジマスノ
デ、政府ニ於キマシテハ、今後北海道拓殖
銀行ガ其ノ使命トスル不動產銀行業務ヲ閑
却スルガ如キコトナキヤウ、十分監督指導
致シマシテ、御趣旨ニ副ヒタイ考デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=20
-
021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=22
-
023・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
き、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=23
-
024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=24
-
025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
北海道拓殖銀行法中改正法律案
第二讀會(確定議)
金資金特別會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=25
-
026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=26
-
027・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第八及ビ第
九ノ兩案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審議ヲ
進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=27
-
028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=28
-
029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第八、國境取締法案、日程第九、軍用
資源祕密保護法案、右兩案ヲ一括シテ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メ
マス-委員長肥田琢司君
第八國境取締法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第九軍用資源祕密保護法案(政府提
出第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一國境取締法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長肥田琢司
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一軍用資源祕密保護法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長肥田琢司
衆議院議長小山松壽殿
〔肥田琢司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=29
-
030・肥田琢司
○肥田琢司君 只今議題トナリマシタ兩法
案ノ委員會ニ於ケル經過竝ニ結果ノ大要ヲ
御報告申上ゲマス
本法案ハ國防軍事上共ニ重要ナノデアリ
マシテ、第一ノ國境取締法案ハ、最近ノ國
際情勢ヨリ見テ、防諜ト公安ノ萬全ヲ期ス
ル爲ニハ、國境ノ出入ヲ嚴重ニ取締ル必要
ガアリ、殊ニ陸接國境方面ニハ、其ノ完璧
ヲ圖ルノ急務ヲ感ジタカラデアリマス、第
二ノ軍用資源祕密保護法案ハ、國情ニ關ス
ル重要ナル祕密ヲ外國ニ知ラレタノデハ
國家總力戰ノ遂行ニ支障ヲ來スノミナラズ、
軍用ノ資源ガ一々外國ニ知ラレテハ軍事
目的達成ノ上ニ非常ニ妨ゲトナルノデアリ
マスカラ、此ノ法律ヲ制定シテ、軍用資源
祕密ノ保護ニ萬全ヲ期スル爲デアリマス
審議ノ内容ハ速記錄ニ依ツテ御承知ヲ願
ヒタイト思ヒマスガ主要ナ一二點ニ付テ
申上ゲマスレバ、軍用資源祕密保護法ニ付
テハ、斯ル法律ニ依ラズトモ軍機保護法、
又ハ國家總動員法ニ依ツテ取締ルコトガ出
來ルノデハナイカト云フ點デアリマシタガ、
之ニ對シテ政府ハ、軍機保護法ハ主トシテ
統帥權ノ問題ニ付テ取締ル目的ニ出發シ、國
家總動員法ニ付テハ外國人「スパイ」ヲ取締
ルコトニ支障ガアルニ依ツテ、此ノ法律ヲ必
要トスル旨ノ答辯ガアリ、更ニ又此ノ法律
ニ依ル命令事項ハ實體法ニ觸レル點ガ多イ
ガ、其ノ內容ヲ示サレタイトノ希望ガアリ、
政府ハ悉ク其ノ命令事項ノ內容ヲ詳細ニ示
サレマシタ、卽チ本委員會ニ於テハ、極メテ
委員ト政府トノ間ニ率直ナ質問應答ガ和ヤ
カニ行ハレマシテ、討論ニ入リヽ滿場一致
原案通リ可決致シマシタ、此段御報〓申上
ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=30
-
031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=31
-
032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=32
-
033・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=33
-
034・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=34
-
035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國境取締法案第二讀會(確定議)
軍用資源祕密保護法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=35
-
036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリ、マ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=36
-
037・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第十及ビ第十一ノ
兩案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=37
-
038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=38
-
039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第十、地方鐵道法中改正法律案、日程
第十一、軌道法中改正法律案、右兩案ヲ一
括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ
報告ヲ求メマス-委員長高見之通君
第十地方鐵道法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
第十一軌道法中改正法律案(政府提
〓第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一地方鐵道法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長高見之通
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一軌道法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月六日
委員長高見之通
衆議院議長小山松壽殿
〔高見之通君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=39
-
040・高見之通
○高見之這君 只今議題トナリマシタル地
方鐵道法中改正法律案竝ニ軌道法中改正法
律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、本改正案ノ要點ノ第一ハ、從來地方
鐵道法、軌道法等ニ依リマシテ、一ツノ特
權ガアツタノデアリマス、拂込前ノ增資ヲ
スル、後配株ノ發行ヲスルト云フコトガ、
線路改良或ハ線路延長ヲスルト云フヤウナ
必要ノ時ニハ、官廳ノ認可ヲ得テ實行スル
コトガ出來テ居ル特權デアツタノデアリマ
ス、然ル所今囘商法ガ改正ニ相成リマシテ、
獨リ鐵道法ニ依ラズ、何人デモ斯樣ノ會社
ノ增資及ビ後配株ガ出來ルコトニ相成ツタ
ノデアリマスルカラシテ、此ノ二ツノ法律
ノ此ノ特權ハ、却テ制限トナルノ憂ガア
ル、故ニ之ヲ削除スルト云フコトガ第一點
デアリマス、第二ハ地方鐵道及ビ軌道ヲ買
收又ハ補償ノ際ニ交付スルノハ、國債證劵
ヲ以テスルノデアリマス、現在ノ規定デハ
五分利公債ヲ發行シテ、之ヲ交付スルト云
フコトニナツテ居ルノデアリマスルガ、今
日ハ五分利公債ト云フモノノ發行ガアリマ
セヌ、法ノ運用上支障ヲ生ズルニ至ツテ居
リマスルカラシテ、之ヲ改正シテ、其ノ都
度發行サレル所ノ國債證劵ヲ以テ交付シ得
ルヤウニ改メタノガ、第二ノ點デアリマス、
第三點ハ地方鐵道業者又ハ軌道業者ニ對シ
マシテ、若シモ公益上ニ必要ノアル場合、
命令ノ範圍內ニ於テ、交通機關發達ノ現狀
ニ鑑ミ、少シク擴張シテ關係交通事業ノ機
關ノ增進ヲ圖ルト云フコトガ第三點デアリ
マい.其ノ他事務簡捷ノ趣意ヲ以チマシテ、
主務大臣ノ職權ノ中ノ營業方面ニ關スル輕
微ナ事項ヲ、鐵道局長ニ委任シ得ルヤウニ、
規定ノ改正ヲ行ツタト云フコトガ第四點デ
アリマス
是等兩案ニ對シマシテ、委員會ニ於キマ
シテハ愼重審議ヲ重ネ、又極メテ適切且ツ
熱心ナル疑質應答ヲ行ツタノデアリマスル
ガ、其ノ論點ノ主ナルモノハ、先ヅ第一ニ
全額拂込前ノ增資ヲ許ス現在ノ規定ヲ削除
シテ、ドンナ目的デデモ增資ガ出來ルト云
フコトニナルト今日ノ地方鐵道若クハ軌
道ハ盛ニ兼業ヲヤツテ居ル、此ノ兼業ノ經
營ヲ自由ニシテ居ルカラシテ、何ゾ圖ラン、
兼業ノ發達ノ爲ニ增資ヲ盛ニスルト云フヤ
ウナコトガ起ルデハナイカ、適當ナル監督
規定ヲ此ノ際ニ存置シテ置ク必要ガナイカ
ト云フ質問ガアリマシタガ、政府當局ニ於
テハ、會計規程其ノ他ノ運用ニ依ツテ弊害
ノ生ジナイヤウ、今後十分監督指導ヲ加へ
ルト云フ方針デアルトノ御答ガアリマシ
ク、第二ニハ本改正ノ結果、買收價格又ハ
補償金額ハ普通ノ公債ヲ以テ渡スノデア
ルカ、ドウナルノデアルカト云フ質問ニ對
シマシテ、買收價格及ビ補償金額ノ算出ニ
關スル規定ノ根本ニ付テハ改正ヲ加ヘテナ
イ爲ニ、大體ニ於テ現在ト大差ハナイガ、
其ノ時々ノ公債ノ時價ノ如何ニ依ツテハ多
少增減ガアル、卽チ現在ノヤウニ五分利公
債ノ時價ガ額面以上ニナツテ居ルヤウナ場
合ハ、本改正案ノ爲ニ多少損ヲスル人モアラ
ウト云フヤウナ御答モアリマシタ、第三ニ
ハ鐵道局長ニ職權ノ一部ヲ委任スルト云フ
コトハ營業官廳ト監督官廳トヲ同一ニス
ルト云フコトノ結果、徒ニ手續ヲ複雜ナラ
シメタリ、或ハ事業者ニ對シテ不都合ナ事
ガ生ズル虞ガ起ラスカドウカト云フ質問ニ
對シマシテ、委任スベキ事項ハ至極輕微
ナ事項デアリ、又之ヲ實施スルニ際シテ、
十分關係ノ向ト連絡ヲ取ツテ弊害ノナイヤ
ウニ考慮スルカラ、御心配御無用デアルト
云フ御答辯デアリマシタ、尙ホ本案ニ關聯
シテ、現下ニ於ケル國有鐵道ノ輸送力ノ不
足ニ對スル所ノ對策、或ハ省營自動車ノ經
營方針、交通調整ニ關スル今後ノ方針、交
通行政ノ統合問題、殊ニ日滿支ニ關スル交
通國策樹立ノ急務ニ關スル熱烈ナル質間ニ
對シマシテハ、前田鐵道大臣ヨリ極メテ眞
劍ナ答辯ガアリマシタ
斯クテ質疑ヲ打切リ討論ニ入リマシタ
ガ、要スルニ本案ハ何レモ主トシテ事務的
ナ改正デアリ、其ノ理由モ質疑應答ニ依ツ
テ十分盡サレテ居ルカラ、別段論議ヲ要ス
ル點ガナイト云フコトデ、民政黨ノ福田悌
夫君、政友會ノ松川昌藏君、第一議員倶樂
部ノ金井正夫君、社會大衆黨ノ阿部茂夫君
ヨリ、ソレ〓〓黨ヲ代表サレマシテ原案ニ
贊成ノ旨御發言ガアリマシタ、尙ホ其ノ際
此ノ六條ノ規定ヲ削除スル結果、兼業ノ方
ニ力ヲ入レルヤウナコトニナツテ、本業ノ
鐵道、軌道業ヲ忽セニスルコトノナイヤウ
ニ、十分考慮相成リタイ、又省營自動車ノ
經營ニ關シテ、關係者連ノ運動ニ依ツテ其
ノ態度ヲ色々ニシテ、時ニ依レバ一旦確定
シタル仕事ヲ躊躇スルヤウナコトガ屢〓アル
カラ、確定セルモノハ斷乎トシテ之ヲ實行
スルヤウニヤツテ貰ヒタイ、又本法ノ改正
ト相俟ツテ、速ニ大都市ノ交通調整ト云フ
コトヲ促進セラレタイ、及ビ鐵道局長ニ監
督權ヲ委任スルト云ラコトハ結構デアルケ
レドモ、地方ノ實情ヲ參酌シテ適切妥當ナ
方法ヲ考慮セラレタイト云フ、最モ適切ナ
ル希望ノ御發言ガアリマシタ、以上ニ依ツ
テ兩法案ハ採決ノ結果可決致シタノデアリ
Wく、右〓略御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=40
-
041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=41
-
042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=42
-
043・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=43
-
044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議チシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=44
-
045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
地方鐵道法中改正法律案
第二讀會(確定議)
軌道法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=45
-
046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程
第一輕金屬製造事業法案ノ第一讀會ヲ開
キマス-八田商工大臣
第輕金屬製造事業法案(政府提出)
第一讀會
輕金屬製造事業法案
輕金屬製造事業法
第一條本法ハ國防ノ整備及產業ノ發達
ヲ期スル爲本邦ニ於ケル輕金屬製造事
業ノ確立ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ輕金屬製造事業ト稱
スルハアルミニウム、(アルミナ又ハマ
グネシウムノ製造ヲ爲ス事業ヲ謂フ
第三條輕金屬製造事業ヲ營マントスル
者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ命令ヲ
以テ定ムル輕金屬製造事業ニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
本法ニ定ムルモノノ外前項ノ許可ニ關
シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締
役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決
權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ
依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限
ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
am 2
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第五條第三條ノ許可ヲ受ケタル會社(輕
金屬製造會社)ハ政府ノ指定スル期間
內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
輕金屬製造會社前二項ノ期間內ニ其ノ
事業ヲ開始セザルトキハ第三條ノ許可
ハ其ノ效力ヲ失フ
第六條輕金屬製造會社其ノ設備ヲ增設
シ又ハ變更セントスルトキハ命令ノ定
ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
第七條輕金屬製造會社政府ノ認可ヲ受
ケ本法施行後五年以内ニ於テ政府ノ指
定スル期間內ニ命令ノ定ムル規模以上
ノ設備ヲ新設シ又ハ增設シタルトキハ
設備完成ノ年及其ノ翌年ヨリ五年間其
ノ新設シ又ハ增設シタル設備ヲ以テ營
ム輕金屬製造事業ニ付所得稅及營業收
益稅ヲ免除ス
前項ノ輕金屬製造會社其ノ設備完成前
其ノ一部ヲ以テ輕金屬製造事業ヲ營ム
場合ニ於テモ其ノ事業ニ付所得稅及營
業收益稅ヲ免除ス但シ前項ノ規定ニ依
ル期間內ニ設備ヲ完成セザルトキハ此
ノ限ニ在ラズ
第八條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所
得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタル輕
金屬製造會社ニハ其ノ免除セラレタル
事業ニ對シ課稅スルコトヲ得ズ但シ特
別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條第七條ノ規定ニ依リ所得稅及營
業收益稅ノ免除ヲ受クベキ事業ヲ繼續
スル者又ハ其ソ事業ヲ繼續スルモノト
認ムベキ事實アル者ハ前事業者ガ第七
條ノ規定ニ依ル所得稅及營業收益稅免
除期間內ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ承繼
ス
第十條輕金屬製造會社其ノ事業ノ爲必
要ナル器具又ハ機械ヲ政府ノ認可ヲ受
ケ輸入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ五
年間命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ヲ免
除ス
第十一條輕金屬製造會社ノ營ム輕金屬
製造事業ハ土地收用法第二條ノ土地ヲ
收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ
同法ヲ適用ス
第十二條輕金屬製造會社ハ事業擴張ノ
場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業
ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金全
額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコ
トヲ得
第十三條輕金屬製造會社ハ政府ノ認可
ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用ニ
充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超エテ
社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總
額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユル
コトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザル
トキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬
スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ
特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要
ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十四條輕金屬製造會社其ノ事業ノ全
部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止
セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ政府ノ許可ヲ受クベシ
輕金屬製造會社ノ合併又ハ解散ノ決議
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十五條輕金屬製造會社ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ニ之ヲ
屆出ヅベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十六條政府ハ輕金屬製造會社ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
政府ハ輕金屬製造會社ニ對シ業務及會
計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ輕金屬製造會社ノ事務
所、營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所
ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿
書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス
證票ヲ携帶セシムベシ
第十七條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ輕金屬製造會社ニ對シアルミニ
ウム、アルミナ又ハマグネシウムノ製
造又ハ販賣ニ關シアルミニウム、アル
ミナ又ハマグネシウムノ需給ノ圓滑又
ハ價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル命令ヲ
爲スコトヲ得
第十八條政府軍事上其ノ他公益上必要
アリト認ムルトキハ輕金屬製造會社ニ
對シ其ノ設備ノ擴張若ハ改良又ハ製造
方法ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十九條政府軍事上必要アリト認ムル
トキハ輕金屬製造會社ニ對シ命令ヲ以
テ定ムルアルミニウム、アルミナ若ハ
マグネシウムノ原料若ハ其ノ製造ニ必
要ナル材料ノ貯藏又ハアルミニウム、
アルミナ若ハマグネシウムノ製造ニ關
スル特殊事項ノ〓究ヲ命ズルコトヲ得
第二十條第十八條又ハ前條ノ規定ニ依
リ爲シタル命令ニ因リ生ジタル損失ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十一條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ政府ノ指定スル原料又ハ製造方法ニ
依ルアルミニウム、アルミナ又ハマグ
ネシウムノ製造ニ關スル〓究又ハ試驗
ヲ爲ス者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ奬
勵金ヲ交付スルコトヲ得
第二十二條政府アルミニウム、アルミ
ナ又ハマグネシウムノ需給ノ圓滑及價
格ノ公正ヲ圖ル爲必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ適當
ト認ムル會社ニ對シ左ノ各號ニ揭グル
事業ノ全部又ハ一部ヲ行フベキコトヲ
命ズルコトヲ得
-アルミニウム又ハマグネシウムノ
買入、販賣、輸出、輸入、移出及移入
二アルミニウム、アルミナ又ハマグ
ネシウムノ原料及其ノ製造ニ必要ナ
ル材料ノ買入、販賣、輸出、輸入、
移出及移入
三其ノ他アルミニウム、アルミナ又
ハマグネシウムノ需給ノ圓滑及價格
ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル專業
第二十三條前條ノ規定ニ依ル命令ヲ受
クルコトヲ得ベキ會社ハ帝國法令ニ依
リ設立シタル株式會社ニシテ其ノ株式
ヲ記名式トシ株主ノ全部ガ政府、公共
團體、帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リ設
立シタル法人ニ屬シ且其ノ資本ノ三分
ノ二以上及議決權ノ三分ノ二以上ガ二
以上ノ輕金屬製造會社ニ屬スルモノニ
限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
ヲ要ス
前條ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者前
二項ノ規定ニ該當セザルニ至リタルト
キハ政府ハ其ノ命令ヲ取消スコトヲ得
第二十四條第二十二條ノ規定ニ依ル命
令ヲ受ケタル會社(受命會社)其ノ命ゼ
ラレタル事業以外ノ事業ヲ行ハントス
ルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ
許可ヲ受クベシ
第二十五條政府ハアルミニウム又ハマ
グネシウムノ製造、輸入又ハ移入ヲ業
トスル者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ製造、輸入又ハ移入ニ係ルアルミ
ニウム又ハマグネシウムヲ受命會社ニ
賣渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十六條受命會社ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケタル價格ニ依
ルニ非ザレバアルミニウム又ハマグネ
シウムノ買入、販賣、輸出、輸入、移
出又ハ移入ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十七條受命會社ノ取締役及監査役
ノ選任及解任、定款ノ變更、利益金ノ
處分、社債ノ募集、合併竝ニ解散ノ決
議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十八條受命會社借入金ヲ爲サント
スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府
ノ許可ヲ受クベシ
第二十九條受命會社ハ其ノ命ゼラレタ
ル事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ業務
規程ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ
變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ業務規程
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十條受命會社ハ其ノ命ゼラレタル
事業ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ事業計
畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變
更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十一條政府ハ受命會社ニ對シ其ノ
命ゼラレタル事業ノ業務及財產ノ狀況
ニ關シ報〓ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ受命會社ニ對シ其ノ命ゼラレタ
ル事業ノ業務及會計ニ關シ監督上必要
ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ受命會社ノ事務所、營業
所、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其ノ命
ゼラレタル事業ニ關シ業務若ハ財產ノ
狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査
セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其
ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十二條政府軍事上其ノ他公益上必
要アリト認ムルトキハ受命會社ニ對シ
販賣先及販賣數量ノ指定其ノ他アルミ
ニウム又ハマグネシウムノ配給ニ關シ
必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十三條政府ハ輕金屬製造會社及受
命會社ヲ除クノ外アルミニウム、ア
ルミナ又ハマグネシウムノ製造、輸
入又ハ移入ヲ爲ス者ニ對シ命令ノ定
ムル所ニ依リ業務又ハ設備ノ狀況ニ關
シ必要ナル事項ヲ屆出デシムルコトヲ
得
第三十四條政府第三條ノ許可、第六條
ノ許可、第十七條ノ命令、第十八條ノ
規定ニ依ル命令、第二十條ノ規定ニ依
ル補償金額ノ決定又ハ第二十二條ノ規
定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ勅
令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外輕
金屬製造事業委員會ノ議ヲ經ベシ
輕金屬製造事業委員會ニ關スル規程ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條輕金屬製造會社本法若ハ本
法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ
爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行
爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ業務ヲ
停止シ若ハ制限シ、第三條ノ許可ヲ取
消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行フ監
査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
受命會社本法若ハ本法ニ基キテ發スル
命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ
又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ
ハ政府ハ第二十二條ノ規定ニ依ル命令
ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務ヲ行
フ監査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
第三十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第三條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケ
ズシテ輕金屬製造事業ヲ營ミタル者
二第二十二條ノ規定ニ依ル命令ニ違
反シタル者
第三十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第六條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケ
ズシテ設備ヲ增設シ又ハ變更シタル
者
第十四條第一項ノ規定ニ違反シ許
可ヲ受ケズシテ事業ノ全部又ハ一部
ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタル者
三第十五條第一項ノ規定ニ違反シテ
事業計畫ノ屆出ヲ爲サズ又ハ屆出デ
タル事業計畫ヲ實施セザル者
四第十五條第二項ノ規定ニ依ル變更
命令ニ違反シ事業計畫ヲ變更セズシ
テ之ヲ實施シタル者
五第十七條乃至第十九條、第二十五
條又ハ第三十二條ノ規定ニ依ル命令
ニ遠反シタル者
六第二十四條ノ規定ニ違反シ許可ヲ
受ケズシテ其ノ命ゼラレタル事業以
外ノ事業ヲ行ヒタル者
七第二十六條ノ規定ニ違反シ認可ヲ
受ケタル價格ニ依ラズシテアルミニ
ウム又ハマグネシウムノ買入、販賣、
輸出、輸入、移出又ハ移入ヲ爲シタ
ル者
八第二十八條ノ規定ニ違反シ許可ヲ
受ケズシテ借入金ヲ爲シタル者
九第二十九條第一項ノ規定ニ依リ認
可ヲ受ケタル業務規程ニ依ラズシテ
業務ヲ行ヒタル者
十第二十九條第二項ノ規定ニ依ル變
更命令ニ違反シ業務規程ヲ變更セズ
シテ之ヲ實施シタル者
十一第三十條第一項ノ規定ニ依リ認
可ヲ受ケタル事業計畫ニ依ラズシテ
事業ヲ行ヒタル者
十二第三十條第二項ノ規定ニ依ル變
更命令ニ違反シ事業計畫ヲ變更セズ
シテ之ヲ實施シタル者
第三十八條第十六條第二項又ハ第三十
一條第二項ノ規定ニ依ル命令又ハ處分
ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處
ス
第三十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十六條第一項又ハ第三十一條第
一項ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ又ハ
虚僞ノ報告ヲ爲シタル者
二第十六條第三項又ハ第三十一條第
三項ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢
査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ
質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ
陳述ヲ爲シタル者
第四十條當該官吏又ハ其ノ職ニ在リタ
ル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ知得シ
タル個人又ハ法人ノ業務上ノ祕密ヲ漏
洩シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下ノ
懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十一條營業者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ第三十六條乃至第三十
八條又ハ第三十九條第一號ノ違反行爲
ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザ
ルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ
得ズ
第四十二條第三十六條乃至第三十八條
及第三十九條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ
法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ
法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年
者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代
理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三條第三十三條ノ規定ニ依ル屆
出ヲ怠リ又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタル者
ハ百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第三條ノ規定ニ依リ許
可ヲ受クベキ輕金屬製造事業ヲ營ム者ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ
之ヲ同條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前項ノ者ニシテ本法施行ノ際現ニ第六條
ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ設備ノ增設
又ハ變更ノ工事中ニ在ルモノハ命令ノ定
ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同條
ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
第三條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ輕
金屬製造事業ヲ營ム爲本法施行ノ際現ニ
其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ之ヲ同
條ノ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
前二項ノ規定ニ該當スル者ノ當該設備ニ
關シテハ第七條及第八條ノ規定ハ之ヲ適
用セズ
〔國務大臣八田嘉明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=46
-
047・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今上程ニ相成
リマシタ輕金屬製造事業法案ニ付キマシテ
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
輕金屬卽チ「アルミニウム」及ビ「マグネ
シウム」ハ共ニ「ジュラルミン」等輕合金ノ
材料トシテ、航空機ノ製造ニ缺クベカラザ
ル資材デアリマシテ、國防ノ整備上極メテ
緊要ナルモノデアリマス、且ツ「アルミニ
ウム」及ビ「マグネシウム」ハ各種ノ機械、器
具裝置ノ材料トシテ、或ハ又銅其ノ
他ノ金屬ノ代用トシテ、單ニ國防上ノミ
ナラズ諸般ノ產業ノ振興上ニモ重要ナル
物資デアリマシテ、今後ノ國防整備ト相俟
ツテ「アルミニウム」及ビ「マグネシウム」ニ
對スル需要ハ、將來益〓增加スベキ趨勢ニア
リマス、然ルニ我國ノ輕金屬製造事業ハ
極メテ最近ニ至ツテ漸ク發生シタモノデア
リマシテ、現在ノ生產能力ニテハ到底需要
ヲ充足シ得ルニ至ラズ、年々海外ヨリ相當
多量ノ輸入ヲ餘儀ナクセラレテ居ル次第デ
アリマス、又單ニ生產數量ガ不足スルノミ
デハナク、生產技術乃至ハ生產品ノ品質ノ
點ニ於テモ、歐米ノ諸國ノ同種事業ニ比シ
マシテ、決シテ優良ナリト言フコトハ出來
マセヌ、事變下ノ國防工業トシテ遺憾ナル
點モ少クナイノデアリマス、曩ニ現內閣ニ
於テ決定シマシタ生產力擴充計畫ニ於キマ
シテモ「アルミニウム」及ビ「マグネシウムㄴ
ハ共ニ重要ナル生產力擴充目標物資トシテ
採上ゲラレマシテ是ガ飛躍的擴充ヲ期ス
ルコトト相成ツタノデアリマスガ、此ノ際
我國ノ輕金屬製造事業ヲ急速ニ發展セシ
メ、之ヲ確立シテ、單ニ國內需要ヲ充ス
ニ止ラズ、戰時ノ軍需資材ヘノ轉換ヲ考慮
シテ、平時相當ノ輸出餘力ヲ有スル程度ニ
マデ到達セシメ、且ツ其ノ生產技術ヲ極力
向上進步セシムルコトハ、刻下ニ於ケル喫
緊ノ要務デアリマス、而シテ是ガ爲ニハ輕
金屬製造事業ニ對シテ、各種ノ保護助成ヲ
與フルト共ニ、適切ナル奬勵策ヲ講ジテ、
生產力ノ擴充ヲ極力促進シ、且ツ必要ナル
指導監督ヲ加ヘテ、其ノ生產技術及ビ經營
ヲ改善向上セシメ、併セテ「アルミニウム」
又ハ「マグネシウム」ノ需給ノ圓滑竝ニ價格
ノ適正ヲ圖ル爲、必要ニ應ジ其ノ全製造事
業者ヲ中心トスル特殊會社ヲシテ、「アルミ
ニウム」又ハ「マグネシウム」ノ共同販賣乃
至配給統制ヲ行ハシメ、之ニ依リマシテ同
時ニ海外ノ同種事業ニ對シ、我國ノ事業ノ
存立ヲ確保セシムルノ要ガアリマス、以上
ガ大體本法案提案ノ理由デアリマス、何卒
御審議ノ上御協賛アランコトヲ御願致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=47
-
048・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-釘本衞雄君
〔釘本衞雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=48
-
049・釘本衞雄
○釘本衞雄君 私ハ只今上程ニ相成リマシ
タ輕金屬製造事業法案ニ付キマシテ、只今商
工大臣ノ提案理由ヲ承ツタノデアリマスガ、
尙ホ了解ニ苦シム點ガ數項アリマスルノ
デ、ソソ等ノ點ヲ擧ゲマシテ政府ノ所信ヲ
質シテ見タイト存ジマス、先ヅ第一ニ政府
ハ本法案ヲ提出スルト云フコトヲ條件ニ致
シマシテ、一二ノ財閥ト相圖ツテ輕金屬國
策ヲ決行セントシタノデアリマシタガ旣
設當業者ノ猛烈ナル反對ニ遭ヒマシテ、其
ノ計畫ヲ抛棄シタト云フ噂ガ專ラアルノデ
アリマスガ、之ニ對シテ商工大臣ハ如何ナ
ル所見ヲ持ツテ居ルカト云フコトヲ御尋シ
タイノデアリマス、第二ハ、政府ハ本法案
ノ實施ニ依ツテ、果シテ所期ノ如キ效果ヲ
擧ゲ得ル自信ガアルカト云フ問題デアリマ
ス、第三ハ、政府ハ本法案ノ完全ナル實施
ト公平ナル運用ヲ期スル上ニ於テ、如何ナ
ル用意ヲ持ツテ居ラレルカト云フコトデア
リマス、第四ハ本法案第二十二條以下ニ
規定シテアル受命會社ニ對スル命令監督ノ
範圍及ビ程度ヲ、今少シ明確ニ法文化シテ
置クノデナケレバ、當業者ニ對シテ無用ノ
不安、危懼ノ感ヲ與ヘ、本法案ノ成績ヲ擧
グル上ニ非常ナル支障ヲ來スノデハナイカ
ト云フ疑問デアリマス、第五ハ政府ハ工場
ノ分布卽チ地理的配置ト云フ問題ニ對シテ、
如何ナル方針ヲ持ツテ居ラレルカト云フコ
トデアリマス
先ヅ第一ノ問題デアリマスガ、此ノ事ニ
付テハ、過日臨時資金調整法案ガ委員會ニ
上ツタ際ニ、同僚ノ議員カラ既ニ質問ガ行
ハ1政府委員カラ否定的ノ答辯ガアツタ
ヤウニ聞イテ居リマス、併シ問題ハ頗ル重
大デアリマスルノデ、サウ簡單ニ片付ケ去
ルベキモノデナイト思フノデアリマス、仍
テ新聞雜誌等ノ上ニ現ハレタ論議報道ヲ蒸
返スヤウナ結果ニナルカモ知レマセスガ
此ノ際本議場ニ此ノ問題ヲ取上ゲマシテ、
改メテ再檢討ヲ加ヘテ見タイト思フノデア
リマス、順序トシテ簡單ニ事ノ經過ヲ述べ
ル必要ガアルノデアリマス、昨年ノ五月頃
デアリマセウカ、電氣事業國家管理法案ガ
通過致シマシタノデ、事業ノ前途ヲ悲觀シ
タ電氣事業關係ノ或ル資本家ト、「アルミニ
ウム」事業ノ頗ル有望ナコトヲ熟知シテ居
ル或ル工業家トガ手ヲ相携ヘマシテ、事業
ノ獨占ヲ計畫シタノデアリマス、既設業者
ガ人知ラヌ莫大ノ利益ニ陶然トシテ、現狀
維持的ノ姑息ナ態度ヲ示シテ居ル間〓ニ乘
ジテ、政府當局ヲ動カシ、旣設會社ノ苦心
ト努力トヲ全然無視シタ法案ヲ作成セシメ
ントシタノデアリマス、卽チ前記二三ノ資
本家ヲ中心トシタ新會社創立ノ段取ヲ進メ
テ、政府ハ黑幕ノ發起者トシテ、株式ノ募集
ニマデ御手傳シタト傳へラレテ居ルノデア
リマス、サウ云フノガ大體問題ノ筋道デア
リマス、然ルニソレト知ツタ既設會社ガ俄
ニ周章狼狽致シマシテ、猛烈ナ反對運動ヲ
起シ、輿論モ亦政府ノ無情ト無理解トヲ責
メテ、官僚獨善主義モ是ニ至ツテ極マレリ
ト云フ風ニ、騷ギガ段々大キクナツテ參ツタ
ノデアリマス、ソコデ元來ガ臆病ナル官僚
連中ハ俄ニ驚イテ、其ノ計畫ヲ少シヅツ
變更シテ參リマシテ、サウシテ當業者ノ反
對ヲ緩和シ、其ノ結果出來上ツタノガ、現
ニ見ルガ如キ八方無礙ノ形態ヲ具ヘテ居ル
此ノ法案ナノデアリマス這般ノ此ノ失敗
ハ一部ノ官僚獨善主義者ニ對シテハ洵ニ好
イ見セシメデアリマシテ、今後ハ大イニ反
省スルデアラウト存ジマスガ、商工大臣ハ
此ノ事實ヲ如何ニ見テ居ラレルカ、ソレヲ
伺ツテ置キタイノデアリマス
ソレハ必ズシモ過ツテ悔イタ政府當局ヲ
飽クマデ追究セントスル趣旨デハナイノデ
アリマス、私ノ第二ノ質問ハソコカラ自然
ニ發生シテ來ルカラデアリマス、本法案ハ
前ニ申述ベマシタ通リ、元々事業上ノ切實
ナ客觀的必要ニ促サレテ生レタモノニアラ
ズ、官僚萬能的ノ思想ノ持主デアリ、且ツ
大流行ノ統制ト云フコトニ維レ日モ足ラナ
イ狀態ニアルオ役人達ト、前ニ申上ゲマシ
タ一三ノ練達堪能ナル實業家トノ合作ニ成
ツタモノデアリマスカラ、ドウシテモ實際ノ
狀態ニハピツタリト來ナイノデアリマス、輕
金屬ト云ヒマシテモ、先程商工大臣カラ御
說明ノアリマシタ如ク、主トシテ「アルミニ
ウム」ニ關スルコトガ問題トナルノデアリ
マスカラ、私ノ申上ゲマスコトモ「アルミ
ニウム」ニノミ關係シタモノト御解釋ヲ願
ツテ置キマス、御承知ノ通リ此ノ「アルミ
ニウム」ガ現在何程ノ產額ガアルカ、サウ
シテ何箇年計畫デドレ程ノ產額ニ達セシメ
ントスルモノデアルカ、、又價格ハドレ位ノ
程度ニマデ引下ゲントスルモノデアルカト
云フコトハ、或ハ機密ニ屬スル事項デアル
カモ知レマセヌカラ、此ノ場合ハ强ヒテ御
尋致シマセヌ、唯私ノ所見ヲ以テスレバ
今日ノ斯業ノ狀態ハ、未ダ統制等ヲ加ヘテ
價格ノ引下ヲ爲ス程度ニ發達シテ居ラヌト
思フノデアリマス、卽チ此ノ場合ハ所謂自
由企業ノ特色ヲ發揮サセテ、產額ヲ增スコ
トニ全力ヲ擧グベキデアルト思フノデアリ
マン、產額ガ或ル程度マデ增加シタ際ニ初
メテ統制ヲ行ツテ、價格ノ引下ヲ爲スト云
フコトガ、至當ノ順序デナイカト存ジマス、
一方ニ特點ヲ與ヘテ保護奬勵ノ途ヲ講ジテ
居リマシテモ、一方ニドレダケ安イ値段デ
賣ラセラレルカ分ラナイト云フヤウナ不安
ガアリマシテハ到底其ノ產額ガ政府所期
ノ如キ程度ニハ達シ得マイト思フノデアリ
マス、故ニ私ハ本法案ノ如ク產額ノ增加ト價
格ノ引下トヲ一擧ニ圖ラントスルガ如キコ
トハ、結局ドチラモ得ナイト云フ結果ニナル
虞ガアルト思フノデアリマス、二兎ヲ追フ者
ハ一兎ヲモ得ズデ、價格ノ引下モ爲スコト
ヲ得ズ、產額ノ增加モ圖ルコトヲ得ナイト
云フコトニナル虞ガ十分ニアルノデアリマ
スガ、政府當局ハ果シテドウ御考ニナツテ
居リマスカ、其ノ點ヲ御聽致シマス
尙ホ私ハ本法案ハ形體上完全無缺ニ近イ
ト思フノデアリマスガ本法案ノ弱點ハ寧
ロ其ノ完全無缺ニ近イ形體ヲ備ヘテ居ル點
ニアルノデナイカト考ヘマス、要スルニ法
律ハ如何ナル場合ニモ死物デアリマスカラ、
其ノ價値ハ之ヲ運用スル其ノ人ノ手腕如何
ニ依ツテ決定スルノデアリマスガ、政府ニ
對シテハ是ガ運用ノ上ニ御留意ノ上ニモ御
留意アランコトヲ切望シテ已マナイ者デア
リマス、尙ホ軍事上ノ必要品ガ輕金屬ダケ
デアリ、又產業貿易上ノ問題ガ輕金屬問題
ノ解決ニ依ツテ全部解決サレルト云フノデ
アリマスルナラバ、本案ノ完全ナル實行モ
或ハ可能デアリマセウガ、國防上必要ナル
資材ハ輕金屬ダケデハアリマセヌシ、又貿
易產業上奬勵ヲ爲ス必要アルモノハ他 1
モ澤山アルノデアリマスカラ、政府ハ本法
案ニ依ツテ資材ノ供給、資金ノ調達、其ノ
他ニ色々ノ便宜ヲ與ヘテ居リマスガ、果シ
テ當業者ノ期待スルガ如ク之ヲ與ヘ得マ
スカドウカ、私ハ疑問トスルノデアリマス、
其ノ點ニ付テモ政府當局者ノ御意見ノアル
所ヲ伺ツテ置キタイノデアリマス
次ハ本案第二十二條以下ニ規定シテアル
受命會社ニ關スル問題デアリマス、受命會
社デアリマスカラ、文字上カラ見マシテモ
明瞭デアル、唯其ノ仕事ハ政府ノ命令監督
ニ依ツテ之ヲ爲スモノデアリマシテ、自主
的ニ決定スルコトハ出來ナイノデアリマス、
隨テ如何ナル程度ノ命令ト監督ヲ受ケルモ
ノカ明瞭デナイカラ、其ノ點ニ非常ナ不安
ガアリマシテ、一方ニ折角保護奬勵ヲ加へ
マシテモ、其ノ不安ト相殺的ノ作用ヲ爲シ
テ、結果ハ結局「ゼロ」ニナルノデナイカト
云フ心配ガアルノデアリマス、此ノ點ニ付
テノ政府當局ノ御所見ヲ伺ツテ置キマス
最後ニ私ハ政府ハ工場ノ分布ト云フコト
ニ對シテ、ドウ云フ御方針ヲ持ツテ居ルカ
ヲ伺ツテ置キタイノデアリマス、如何ナル
工場ニシマシテモ、其ノ位置ヲ決定スルコ
トハ、事業家ノ任意ニ屬スルコトデアリ、マ
シテ、政府ハ餘リソレニ立入ル權能ヲ持ツ
テ居ラナイコトハ無論デアリマス、併シナ
ガラ此ノ「アルミニウム」工業ノ如ク、政府ガ
監督指導ヲ爲スベキ權利ヲ多分ニ保持シテ
居ル事業ニアリマシテハ、相談ニ依ツテハ
政府ノ意思ヲ加ヘテ、幾ラナリト工場ノ分
布ト云フコトヲ適正ニ爲ス餘地ガアルノデ
ハナイカト思フノデアリマス、具體的ニ申上
ゲマスト、邊鄙ノ地方ニハ折角ノ景氣ガ到
來致シマシテモ、何等ノ工場ガ起ヲナイ、
サウシテ大都會ナリ、大都會ノ附近ニノミ工
場ガ集中偏在スル傾向ガアルト云フコト
ハ、此ノ議場デモ屢〓論議サレタ所デアリ
そく、其ノ爲ニ私共ノ東北地方ノ如キハ
今度ノ事變勃發以來各地方ニハ色々ノ事業
ガ興リマシテモ、其ノ恩惠ニ浴スル機會ガ
ナク、是マデアツタ事業ノ擴張ト云フヤウ
ナコトハ少シハアリマシタガ、新シク今度
ノ事變ノ爲ニ事業ガ興ツタト云フ例ハ、宮
城縣ニ唯一ツアルダケデアリマス、是ハ甚
ダ遺憾ノ次第デアリマシテ、現ニ九州ノ鹿
兒島縣、東北ノ福島縣等ニハ、此ノ子っか
ミニウム」事業ヲ起サウトシテ計畫シテ
居ル人ガアルト云フコトデアリマスガ、前
申上ゲマス通リノ色々ノ支障ニ依ツテ、折
角來マシタ其ノ機會ヲ捉ヘルコトガ出來
ズ、殘念ナ結果ニ終ラントシテ居ルノデア
リマスガ政府當局ハ之ニ對シテ適當ノ考
慮ヲ加へ、特殊ノ取扱ヲ爲ス御考ガアルカ
ドウカヲ承ツテ置キタイノデアリマス、殊
ニ八田商工大臣ハ前ノ東北興業株式會社ノ
總裁トシテ、東北ノ事情ニ付テハ能ク御承
知デアルノデアリマスルカラ、其ノ點ニ付
テ御同情アル考慮ヲ煩ハシテ、此ノ際明確
ナル御答辯アランコトヲ御願シテ置ク者デ
アリマス(拍手)
〔國務大臣八田嘉明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=49
-
050・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今釘本君カラ
ノ御尋ニ對シマシテ、大要御答ヲ申上ゲタ
イト思フノデアリマス、昨年「アルミニウ
ム」事業ニ關シテ、新シキ計畫ト旣設ノ計
畫トノ間ニ意見ノ一致シナイ點ガアツタト
云フコトデアルガ、新規事業ニ對シテハ
ドウ云フ風ニ取扱ツテ行クカト云フヤウナ
意味ニ於テ御尋ガアツタノデアリマス、之
ニ對シマシテ本法ノ內容ニ於テ、輕金屬事
業ニ對シマスル許可ノ手續等ニ對シマシテ
ハ御承知ノ通リデアリマスルケレドモ
大體總テ政府ニ於テ決定サレテ居リマス所
ノ、現ニ運用サレテ居リマスル事業法ニ於
テモ、臨時資金調整法ニ於テモ同樣デアリ
マスルケレドモ、事業ノ許可ニ當リマシテ
ハ、特ニ生產擴充ノ目標ニ付キマシテ、果
シテ其ノ事業ノ必要性ガドウ云フ風デアル
カト云フコトニ付テ、第一ニ考ヘナケレバ
ナラヌコトデアリマスルガ、特ニ目下ノ時
局下ニ於キマシテハ、設備ノ資材竝ニ原材
料ノ供給關係ガドンナ風ニナツテ居ルカ
或ハ又特ニ「アルミニウム」「マグネシウムㄴ
等ニハ必要デアリマスル電力供給ノ關係ガ、
ドウナツテ居ルカト云フヤウナコトニ付キ
マシテノ問題、或ハ技術上ノ問題、或ハ「ア
ルミニウム」「「マグネシウム」其ノモノノ原
料ノ獲得ノ能否ト云フヤウナコトニ付キマ
シテ、十分ニ專門的ニ〓究ヲ致シマシタ上
デ、之ニ許可ヲ與ヘルカドウカト云フコト
ニ付テ、總テノ考慮ガ拂ハレル譯デアリマ
ス、昨年既設ノ事業ト新規ノ計畫トノ間ニ、
是等ノ點ニ關シマシテ、或ル見方ニ依リマ
スルト新規ノ事業ヲ多ク計畫シテ行クコト
ガ、我國トシテハ適當デアルト見ル向キト、
既設ノ事業ヲ擴張致シマシテ、之ニ依ツテ
行ク方ガ宜シイト云フヤウナ見方モアツタ
ト存ズルノデアリマス、是等ニ關シマシテ
ハ其ノ後政府當局ニ於キマシテ十分檢討
致シ、更ニ又直接事業家トノ間ニモ協議ヲ
致シマシテ、其ノ後其ノ間ノ大體ノ取扱方
ハ圓滿ニ進メマシテ目下ソレ〓〓新規計
畫竝ニ旣設ノ擴張計畫ニ對シマシテ、許可
ノ手續ヲ執ルヤウニ相成ツテ居ルノデアリ
マス、ソレニ付キマシテハ只今申述ベマシ
タ設備資材、竝ニ原材料ノ需給關係等ヲモ
考慮致シマシテ、各既設ノ企業者竝ニ新規
ノ計畫者カラ見マスレバ、必ズシモ其ノ期
待ニ副ハナイモノモアリマスルケレドモ、
物資ノ十分デナイ點カラ考ヘマシテ、今日
左樣ヲ取扱ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリ
マイフ今後ニ於キマシテモ、大體左樣ナ取
扱ヲ以テ處理シテ參リタイト考ヘテ居ルノ
デアリマス、之ニ關聯シマシテ、政府ハ地理
的ノ配置ニ付テドウ云フ風ニ考ヘルカト云
フコトデアリマスルガ、是ハ過去ニ於キマ
シテモ、我國ノ地域的ナ產業ノ開發ト云フ
コトニ付キマシテハ、十分ナル考慮ヲ拂ツ
テ居ルコトハ御承知ノ通リデアルノデアリ
マス、勿論先程申上ゲタヤウナ、所謂適地
適業ノ原則ト云フコトハ、是ハドウシテモ
條件ノ重要ナル點デアリマスノデ、唯徒ニ
地域的ニノミ考ヘルコトガ出來ナイコトハ
申スマデモナイノデアリマス、其ノ他第二
十二條ノ命令或ハ監督ト云フヤウナコトニ
付キマシテ、其ノ內容ガ十分明瞭デナイト
云フコト、其ノ他ニ付キマシテ御質問ガゴ
ザイマシタケレドモ、是ハ詳細ニ御說明ヲ
要スルコトデアリマスルノデ、委員會ノ機
會ニ讓リタイト存ジマスノデ、御諒承ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=50
-
051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 加藤鐐造君
〔加藤鐐造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=51
-
052・加藤鐐造
○加藤鐐造君 私ハ只今議題トナツテ居リ
マスル法案ニ付キマシテ、二三重要ナル點
ニ關シテ質問ヲ致シテ見タイト考ヘルノデ
ゴザイマス、「アルミニウム」ハ軍需資材ト
致シマシテハ勿論、一般平和產業ノ資材ト
致シマシテモ、將來極メテ重要性ヲ持ツモ
ノデアリマスカラ、其ノ原料及ビ製品ヲ通
ジテ、自給自足ヲ確立スルト云フコトガ
絕對ニ必要デアルト信ズルノデアリマス
我國ノ「アルミニウム」ノ製造ニ付キマシテ
ハココ數年來急速ニ增產計畫ガ進ミマシ
テ、昨年度ノ如キハ實生產高ハ二万瓲近ク
マデ達シマシタ、又約五万瓲ノ生產能力ヲ有
スルニ至ツタノデアリマス、將來ノ增產計畫
モ大體自給自足ヲ目標トシテ進メラレテ居
ルヤウデアリマスガ、勿論是ハ完製品トシ
テノ金屬「アルミニウム」或ハ半製品トシ
テノ「アルミナ」ノ生產ノミデアリマシテ、
其ノ原料ニ付テハ殘念ナガラ殆ド大部分ヲ
海外ニ依存シテ居ルヤウナ狀態デアリマス、
卽チ現在我國ノ「アルミニウム」工業ハ、殆
ド皆「ボーキサイト」ヲ原料トシテ居リマシ
テ、是ハ極ク一部分ガ南洋ノ委任統治區域
カラ供給セラレル以外ハ、大部分ヲ海外ヨ
リ輸入シテ居ルノデアリマズ、「アルミニ
ウム」一瓲ヲ生產スルニハ、四瓲ノ23.
キサイト」ヲ要スルノデアリマスカラ、今
後「アルミニウム」增產計畫ノ實現ニ伴ヒマ
シテ、莫大ナ「ボーキサイト」ヲ要スルコト
トナリ、又傳ヘラルルガ如キ程度ノ南洋拓
殖會社ノ「ボーキサイト」增產計畫デハ、勿
論追ツ付カナイノデアリマス、隨テ軍需資
材トシテノ「アルミニウム」ノ重要性ニ鑑ミ
マシテ、此ノ際原料ノ自給自足ノ根本的方
策ヲ樹立スル必要ガアルト信ズルノデアリ
やく、獨逸ハ「アルミニウム」ノ生產ニ於キ
マシテハ米國ニ次イデ世界第二位ヲ占メ
テ居ルノデアリマスガ、併シ其ノ原料ハ殆
ド佛蘭西產ノ「ボーキサイト」ニ求メテ居ツ
タノデアリマス、所ガ最近佛國ガ其ノ輸出
ヲ制限シタ爲ニ、國內粘土ニ原料ヲ求メツ
ツアルト云フコトヲ聞イテ居ルノデアリマ
ス、獨逸ハ世界大戰中ニ原料自給ノ〓究ヲ
盛ニ致シマシテ、國內ノ粘土カラ「アルミ
ニウム」ヲ生產スル技術ガ完成サレテ居ツ
タノデアリマス、ソレデ今囘ノヤウニ原料
封鎖ニ出會ヒマシテモ、極メテ容易ニ轉換
ヲ圖ルコトガ出來ルノデアリマス、我國ニ
於キマシテモ、一朝有事ノ際第三國ヨリノ
「ボーキサイト」輸入ガ杜絕スレバ、我國「ア
ルミニウム」工業ハ非常ナ危機ニ見舞ハレ
隨テ軍事上極メテ由々シイ問題ガ勃發スル
ノデアリマス、現在デハ目前ノ「アルミニ
ウム」增產ニノミ追ハレマシテ、原料自給
ノ問題ハ抛棄サレテ居ル形デアリマスガヽ
是デハ幾ラ「アルミニウム」ノ增產ヲ圖リ、
百万瓲出來ルヤウニナリマシテモ決シテ
安心スルコトガ出來ナイノデアリマス、〓
究サヘ致シマスレバ、原料自給ノ途ハ幾ラ
モアルノデアリマシテ、例ヘバ滿洲及ビ北
支ノ礬土頁岩ニシマシテモ、北支ノ長城粘
土ニ致シマシテモ、「アルミナ」ノ含有量ハ
相當ニアルノデアリマス又朝鮮ニハ相當
良質ノ明礬石ガ豐富ニ存在シテ居ルノデア
リマス、是等圓「ブロック」內ヨリ自給サレル
原料ニ依リマシテ、「アルミニウム」工業ノ
確立ヲ圖ルコトハ、刻下ノ急迫セル國際關
係ニ對應スル所ノ、產業政策ノ大道デアル
ノミデナク、實ニ東亞新秩序建設ノ趣旨ニ
モ合致スル所以デアルト信ズルノデアリマ
ス、國產ノ明礬石ヲ原料トスル方法ハ、「ボー
キサイト」ヲ原料トスル方法ニ比較致シ
マシテ、採算的ニモ非常ニ不利デアル昭
和十年頃カラ明礬法ニ努力シテ來マシタ所
ノ民間ノ某會社ノ如キモ、「ボーキサイト」
ヲ原料トスル後進會社トノ競爭ニ耐ヘ得ズ
シテ、今日デハ明礬法ヲ抛棄シテ居ルヤウ
デアリマス、事實「ボーキサイト」ハ採算ノ
點カラ見マスレバ、自給原料ヨリモ遙カニ
有利デアリマシテ、營利的見地カラノミ考
ヘマスレバ、之ヲ抛棄スルコトハ容易デハ
ナイノデアリマセウケレドモ、長期建設ノ
產業政策ノ見地カラ考ヘマスレバ日滿支
圓「ブロック」內ニ於テ、原料自給確保ノ積
極的方策ヲ樹立スベキデアルト信ズルノデ
アリマス(拍手)サウシテ我國唯一ノ「ボー
キサイト」資源デアル所ノ、南洋ㄱパラオ」
島ノ「ボーキサイト」礦ノ如キハ一朝有
事ノ際ノ爲ニ保存シテ置クベキデアラウト
考ヘルノデアリマス、最近デハ滿洲ノ礬
土頁岩ヲ或ル程度マデ使用スルコト
ニ成功シテ居ル會社モ一二アルノデア
リマスカラシテ、政府ガ根本的方針ヲ立
テマシテ、少シ犧牲ヲ拂ヒマスレバ、決シ
テ不可能ナ問題デハナイノデアルト考ヘル
ノデアリマス、若シ採算本位ノ民間會社ニ
ノミ任セテ置イテハ出來ナイト云フナラバ
政府ハ國策會社ヲ作リマシテ、此ノ製造法
ノ〓究改善ニ努力スベキデアルト考ヘルノ
デアリマス、國策會社ト云フモノハ、斯ウ
云フ目的ノ爲ニコソ必要デアリマシテ、最
近新聞紙ニ傳ヘラレマシタ如キ、旣設營利
會社ト何等異ラザル所ノ民間會社ノ新設ニ、
唯漫然ト獨占的ナ援助ヲ與ヘテ、之ヲ國策
會社ナリト稱スルガ如キハ、是ハ無定見、
無方針モ甚ダシキモノデアルト言ハナケレ
バナリマセヌ(拍手)以上ヲ要約致シマシ
テ、箇條的ニ申上ゲマスレバ、第一、我國
ㄱアルミニウム」工業ハ原料ヲ輸入「ボーキサ
イト」ニ依存スル所ノ生產擴充計畫デ、十
分デアルト考ヘラレルカドウカ、第二、ソ
レトモ圓「ブロック」內ニテ自給シ得ル原料
卽チ明礬石、礬土頁岩、長城粘土等ヨリ「ア
ルミニウム」製造ノ方法ヲ積極的ニ〓究獎
勵シ、原料ヲモ含メタル所ノ本工業ノ自給
自足ヲ確立スル必要ガアルト考ヘラレルカ
ドウカ、若シ然リトスレバ、ソレニ付テハ
如何ナル具體的方策、計畫ヲ持ツテ居ラレ
ルカ、又技術的ナ點ヨリノ見透シハドウデ
アルカ、此ノ點ニ付キマシテハ特ニ企畫院
總裁ノ御意見ヲ承リタイト考ヘルノデアリ
マス、第三、此ノ際原料自給ヲ圖ル爲ノ一
大國策會社ヲ設立シ、當分採算ヲ度外視シ
テ將來ノ自給自足確立ニ邁進スル考ハナ
イカ、其ノ爲ニハ第一ニ電力ノ低廉ナル供
給ヲ必要トスルノデアリマス、ソレハ日本
發送電會社ヲシテ直接配電ニ依ル所ノ特殊
供給ヲ行ハシメレバ容易ニ爲シ得ルノデア
リマスガ、此ノ點ニ付テノ御考ヲ伺ヒタイ
ノデアリマス
以上ハ「アルミニウム」自給生產確保ノ根
本問題ニ付テノ質問デアリマスルガ、最後
ニ私ハ當面ノ「アルミニユウ」增產計畫ノ問
題ニ付テ簡單ニ御尋シタイト考ヘマス、卽
チ增產計晝遂行ニ必要ナ資材、技術者、電
力等ノ問題デアリマス、增產計畫ニ必要ナ
要素ハ勿論金ト物ト人デアリマス、其ノ中金
ノ問題ハ容易ニ解決シ得ルノデアリマスルガ
物ト人トノ問題ハ私ハ極メテ難カシイト考
ヘルノデアリマス(拍手)既ニ發表セラレマ
シタ所ニ依リマスルト、新設ノ輕金屬會社
竝ニ既設各社ノ增產計畫ハ十万瓲ヲ超エテ
居ルノデアリマスガ、此ノ急激ナル增產計
畫ニ伴フ所ノ輸入原料確保ノ見込ハドウデ
アルカ又副原料トシテノ氷晶石、螢石等
千、現在其ノ需要ガ五万瓲ヲ超エテ居ルノ
ニ對シテ、國內生產ハ僅ニ一万瓲ニ過ギナ
イノデアリマス、而モ是ハ殆ド全部中支ヨ
リ仰ガナケレバナラナイノデアリマスガ、
中支方面ヨリノ輸入見込ハドウデアルカ伺
ヒタイ、次ニ增產資材ノ供給ハ極メテ困難
デアルト私ハ考ヘルノデアリマス、此ノ點
ニ付キマシテハ、新聞紙等ニモ政府ノ方針
ガ兎ヤ角ト言ハレテ居リマスルガ、此ノ點
ニ付テノ政府ニ確信ガアルカドウカト云フ
コトヲ伺ヒタイノデアリマス、此ノ點ニ付
キマシテモ企畫院總裁ノ御意見ヲ承ツテ置
キタイノデアリマス
更ニ電力需要ノ增大ハ非常ナモノデアリ
マスルガ、政府ノ企圖スルガ如キ短日月ノ
「アルミニウム」增產計畫ニ對應スル所ノ電
力ノ供給ノ可能デアルカドウカ、之ニ對ス
ル發電所ノ增設ニ付キマシテモ、莫大ナ資材
ヲ要スルノデアリマスガ、此ノ點ニ付テ
ノ計畫ハ立ツテ居ルカドウカ、此ノ點ニ付
キマシテハ遞信大臣ノ御考ヲ伺ツテ置キタ
イノデアリマス
最後ニ增產ニ必要ナ人、卽チ技術者、熟練
工ノ補給デアリマス、此ノ點ハ私ハ最モ困
難ナ問題デアルト考ヘルノデアリマスガ、
此ノ點ニ付テノ政府ノ計畫ガアレバ承ツテ
置キタイ
以上ニ付キマシテ明確ニシテ且ツ詳細ニ
承リタイノデアリマス、若シ以上ノ諸點ニ
付キマシテ、ハツキリシタ見透シガ政府ニ
ナイナラバ、「アルミニウム」ノ厖大ナ「增產
計畫ト云フモノモ、結局ハ畫ニ描イタ餅ニ
ナルノデアリマシテ「アルミニウム」ノ增
產ノ實現コソガ、長期建設達成ノ基礎條件
トナルモノト私ハ考ヘルノデアリマス、其
ノ點ニ付キマシテ政府ノ責任アル御答辯ヲ
得タイト考ヘマシテ、玆ニ質疑ヲ致シタ次
第デアリマス(拍手)
〔國務大臣八田嘉明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=52
-
053・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今御尋ノ第一
ノ「アルミニウム」ノ原料ヲ、現在ドウ云フ
風ニシテ居ルカト云コトニ付キマシテハ
詳シク申上ゲマセヌガ、只今御述ニナツタ
ヤウナ狀態ニアルノデアリマス、ソコデ問
題ニナリマスルノハ、國產原料ニ依ル所ノ
「アルミニウム」工業ノ確立ヲ圖ルコトガ必
要デハナイカト云フコトデアリマスルガ、
洵ニ御尤デアルノデアリマシテ、政府ト致
シマシテハ國產原料ニ依ル「アルミニウ
ム」工業ノ確立ト云フコトニ付キマシテハ、
數年前カラ進ンデ參ツテ居ルノデアリマス、
唯只今御話ノ中ニアリマシタ「ボーキサイ
ト」ノ問題ニ付テハ是ガ僅ニ南洋ノ一部
ニアリマスル以外ニ於テハ、輸入ニ俟タナ
ケレバナラナイノデアリマスカラ、元來申
シマスレバ、輸入品ヲ使ハズニ此ノ工業ヲ
確立シテ行クコトガ最モ望マシイノデアリ
マスケレドモ、先程本案提案ノ理由ノ中ニ
モ述ベマシタル通リ、我國ニ於ケル輕金屬
ノ工業ハ發達其ノ日ガマダ淺ク、國產原料
ノミヲ以テ極メテ優良ナル、國防上必要デ
アル、「アルミニウム」ヲ得ンガ爲ニハマ
ダ相當時日ヲ要シマスルノデ、今日目下ノ
急務ト致シマシテ、一方ニ於テハ國產原料
ニ依ル工業ノ確立ヲ圖リツツ、一方ニ於テ
ハ海外ニ一部ノ原料ヲ仰ギマシテモ、目前
ノ需要ニ對シマシテ、優良ナル製品ヲ得ン
ガ爲ニ、只今兩方竝行デ進ンデ居ルヤウナ
次第デアリマス、隨ヒマシテ今日「ボーキ
サイト」ニ依リマス所ノ企業ヲ强化致シマ
シテモ、過去カラ進ンデ參ツテ居リマス、
日滿、一部ノ支那ニ存在致シマス國產原料
ニ付キマシテハ何處マデモ〓究ヲ進メツ
ツ、又一方ニ於テ目下ノ必要ナル優良品ノ
確保ニモ邁進シテ居ルヤウナ次第デアリマ
ス
次ノ御尋ハ一大國策會社ヲ設ケル考ハナ
イカト云フコトデアリマスガ、是モ本法案
ノ中ニアリマスヤウニ、先ヅ必要ニ應ジマ
シテ、各企業會社ノ合資ニ依ル共同販賣、
配給ノ會社ヲ作ルコトガ、第一步デアルト考
ヘルノデアリマス、將來必要ニ應ジマシテ、
只今御話ノヤウナ國策會社ト云フヤウナモ
ノニ進展スルコトハ、其ノ後ノ狀況ニ於
テ、諸種ノ情勢カラ愼重ニ〓究致シマシテ、
進ンデ參リタイト考へテ居ルノデアリマス、
尙ホ最後ニ資材或ハ原料ニ付テ御話ガゴ
ザイマシタ、仰セノ如ク鐵或ハ銅ノ如キ建
設資材ニ對シマシテハ目下極メテ其ノ供
給ハ十分デハナイノデアリマス、隨ヒマシ
テ之ヲ他ノ條件ト睨ミ合セマシテ、最モ適
當ト思ハレマス企業ニ、段々緩急ヲ圖リ、
配給ヲ致シテ參リタイト考ヘテ居ルノデア
リマス、又原料ニ付テモ只今申上ゲタ如ク
デアリマス
技術者ニ付キマシテハ、是ハ仰セノ如ク
極メテ大切ナル問題デアリマス、一般ノ熟
練工ニ付キマシテハ、此ノ輕金屬事業ニ於
テハサウ澤山ナ熟練エガ要ル譯デハゴザ
イマセヌガ、優良ナル技術者ニ付キマシテ
ハ、洵ニ大切ナル問題デアリマスノデ、當
局ニ於キマシテモ、亦民間企業者ニ於キマ
シテモ、是ガ養成ニ付キマシテハ、今後最
モ力ヲ入レナケレバナラヌ點デアルト考ヘ
テ居ルノデアリマス
又只今計畫ヲ致シテ居リマス輕金屬ノ事
業ニ對シマシテ、必要ナル電力供給ノ問題
ハ政府ニ於キマシテモ既設ノ電力竝ニ今
起ラントシテ居ル電力ニ對シマシテ、ソレ
ゾレノ輕金屬事業ニ對シテ適當ニ按排シ得
ルモノト考ヘテ居ルノデアリマス此ノ點
特ニ重要ナル問題ト考へマスルノデ、當局
ト致シマシテモ民間企業者ト協力致シマシ
テ、最善ヲ盡シタイト考ヘテ居ル次第デア
リマス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=53
-
054・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 輕金屬製造工業
ニ對シマシテ、電力ヲ供給スルコトノ必要
ナルコトハ論ヲ俟タナイノデアリマス、目
下自家發電又ハ電氣事業者カラ、其ノ電力
ヲ豐富ニ供給サセルヤウニ、ソレ〓〓具體
的ニ計畫ヲ進行中デアリマス、尙ホ又國策
會社ノ設立ニ對シマシテハ、遞信省モ相談
ニ與ツテ居ルヤウナ關係カラ致シマシテ、
電力ノ供給ニ付テハ、萬遺憾ナキヲ期シテ
居ルヤウナ次第デアリマス(拍手)
〔政府委員橫山勇君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=54
-
055・横山勇
○政府委員(横山勇君) 生產力擴充計畫ニ
於キマシテハ、技術ノ關係上非常ニ急ギマ
スノデ、主トシテ「ボーキサイト」ヲ原料ニ
スルコトニ考ヘテ居リマスガ、國產若クハ
日滿支「ブロック」內ニ於ケル原料ニ依リマ
スコトハ、頗ル必要デアリマスノデ、將來
ハ出來得ル限リ之ニ依リタイト云フ考ヲ以
チマシテ一部ニ於テハ國產原料、若クハ
滿洲ノ礬土頁岩ニ依ル生產ヲ續行致シマス
ルト共ニ、尙ホ「ボーキサイト」ニ依リマス
工業ヲ行フ所ニ於キマシテモ助成等ヲ行ヒ
マシテ、國產原料若クハ滿洲、北支等ノ原
料ニ依ル〓究ト一部ノ生產ヲヤラセル考デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=55
-
056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=56
-
057・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=57
-
058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=58
-
059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=59
-
060・服部崎市
○服部崎市君 日程第二ハ後〓シトセラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=60
-
061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=61
-
062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二ハ後廻シト致シマス-
日程第三、花柳病豫防法中改正法律案ノ第
一讀會ヲ開キマス-廣瀨厚生大臣
第三花柳病豫防法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
花柳病豫防法中改正法律案
花柳病豫防法中左ノ通改正ス
第二條第二項中「前項ノ規定ニ依リ設置
スル診療所ニ於ケル」ヲ「前二項ノ規定ニ
依ル」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一項
ヲ加フ
前項ノ規定ニ依リ設置スル診療所ニ於テ
ハ前項ニ規定スル者ノ外傳染ノ虞アル
花柳病ニ罹レル者ヲ診療スルコトヲ得
第四條中「第二條第二項及」ノ下ニ「第三
項竝ニ」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=62
-
063・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今上程ニ相成
リマシタ花柳病豫防法中改正法律案ニ付テ
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、本法ハ昭和
二年ニ制定セラレタモノデアリマシテ、時
勢ノ變化ニ應ジテ、花柳病豫防ノ目的ヲ達
成スル上ニ、今日ニ於テハ遺憾ノ點ガアリ
マスノデ、差當リ最モ必要ト致シマス部分
ニ付キマシテ、今囘改正案ヲ提出シマ
シタ次第デアリマス、現行法ニ依ル診
療所ハ、專ラ業態者ニ對スル診療ニ限ラ
レテ居ルノデアリマスガ、花柳病蔓延
ノ實情ニ鑑ミマシテ、診療所ニ於テ業態
者以外ノ者ニ付テモ診療シ得ルヤウニ改正
ヲ致シ、豫防ノ效果ヲ增サントスル次第デア
リマス、以上改正理由ノ〓要ヲ御說明申上
ゲマシタ、御審議ノ上御協賛アランコトヲ
御願スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=63
-
064・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-山田〓君
〔山田〓君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=64
-
065・山田清
○山田〓君 私ノ質問ニ對シテハ、廣瀨厚
生大臣、陸軍大臣、文部大臣、內務大臣、
此ノ四方ニ御答辯ヲ願ヒタイ
只今廣瀨君ノ提案ノ說明ヲ拜聽致シマス
ト、花柳病豫防法案ガ昭和二年四月五日ニ
施行サレタ、所ガ色々ノ都合デ延ビマシテ、
昭和十三年四月二十日ヨリ第二條ノ適用ヲ
行フ、斯ウ云フコトニナツタノデアリマス、
第二條、第三條、第四條ハ一體ドウ云フモ
ノデアルカ、斯ウ云フコトニ付テ簡單ニ考
ヘテ見マスルト、第二條ハ花柳病ヲ豫防ス
ル、其ノ蔓延ヲ防グト云フ爲ニ、政府ハ必
要ナル場合ニハ公共團體若クハ市ニ對シ
テ公設ノ診療所ヲ作ツテ、業態者ヲ診療サ
セルト云フコトデアル、一應御說明申シマ
スガ、業態者ト云フノハ藝妓、女給、酌婦
デアル、併シ此ノ業態者ノ診療ヲ市若クハ
公共團體ヲシテ行ハシムル場合ニハ相當
費用ヲ要スル、此ノ費用ニ對シテ規定シテ
アルノガ第三條デ、此ノ診療所ヲ作ル場合、
建設費ニ對シ或ハ增設ニ對シテハ三分ノ
一乃至ハ六分ノ一ノ費用ヲ補助スル、斯ウ
云フ規定デアル、第四條ハ市若クハ公共團
體ニ對シテ行ハセルノミナラズ、更ニ進ン
デ公私立ノ代用病院ヲシテ之ヲ行ハシムル
ト云フ案デアル、此ノ二條、三條、四條ハ
其ノ施行ノ期日ハ何レモ勅令ヲ以テ之ヲ定
ムルト云フコトノ規定ニナツテ居リマスノ
デ、昭和二年四月五日是ガ施行ヲ見タノデ
アリマスルガ、到頭昭和十三年四月二十日
マデ滿十一箇年間ト云フモノハ、此ノ法案
ガ出マシテモ實際ニ行ツテ居ラナカツタト
云フコトハ一面ニ於テ大藏省ノ財政ノ都
合上デアツタカモ知レマセヌ、併シナガラ
花柳病ニ對スル政府當局竝ニ社會ノ認識ガ、
極メテ重大ニ扱ハレテ居ラナカツタト云フ
證據デアリマシテ、甚ダ遺憾ニ堪ヘナイト
私ハ思フノデアリマス(拍手)隨ヒマシテ此
ノ機會ニ於テ、當議場ヲ通ジテ、花柳病ト
云フモノガ如何ニ國民ニ對シテ、國家ニ對
シテ重要ナル問題デアルカト云フコトニ付
テ、國民ノ再認識ヲ得、更ニ政府ノ認識ヲ
得サシメタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマ
ス
一應花柳病ノ說明ヲ申上ゲマシテ、ソレ
カラ本論ニ入リマス、花柳病豫防法ノ規定
ノ中ニハ黴毒、淋疾、軟性下疳、斯ウ指定
シテアリマス、併シナガラ第四性病ト云フ
モノヲ加ヘナクテハナリマセヌ、黴毒ニ付
テ日本國內ニ於ケル現況ヲ御話申上ゲマス
ト、黴毒ハ花柳病對策ノ中デ最モ重要ナル
モノデアル、日本人ノ一〇%ハ黴毒ヲ認メ
ル日本全國ニ於キマスル血〓反應ヲ調ベ
テ見マシタル其ノ陽性ノ結果ハ、東京市ノ
人ロダケハ黴毒患者デアルト言ウテモ過言
デハナイ、殊ニ血〓上陰性デアルモノモ加
ヘマスト、ソレ以上ノ數ニ上リ、是ハ實數
ニ於テハ實ニ多數デアル、遺傳黴毒ハ大都
市ニ於テドノ位デアルカ、乳兒ノ二乃至四
%學齡期ニ於テ三%ハ遺傳黴毒デアル、
小學兒童ノ約一割ニ遺傳黴毒ヲ認メテ居
ル、更ニ小學校ノ劣等兒童ノ約二割ニ遺傳
黴毒ヲ認メテ居ル、感化院ニ對シテハ二〇
%ノ遺傳黴毒ヲ認メル、此ノ點ハ諸君洵ニ
私ハ重要ダト思フ、劣等兒童ノ二割、不良
少年ノ二〇%、不良少年ガ或ハ放火ヲ爲シ、
或ハ殺人ヲ行フ、社會ノ治安ヲ維持致ス爲
ニ、警察力ハ之ニ對シテ相當ノ費用及ビ取
扱ヲスル、斯ウ云フ問題ノ爲ニ費用ノ點、精
神上ノ點-社會ニ實害ヲ被ラス爲ニ、如何
ニ是ガ重要デアルカト云フコトハ、此ノ計數
ヲ以テモ分ルコトデアル(拍手)盟邦獨逸ニ
於テハ產婦人科ノ中デ、產婦ノ七乃至九%ニ
黴毒患者ヲ認メテ居ル、流產、早產ノ五三%ハ
黴毒ニ原因スルト言ウテ居ル、黴毒ニ因ル死產
ハ約一〇%、幸ニ正シク生レマシタル正規
分娩デモ、先天黴毒デ十五歲マデニ死亡ス
ル數ハ約二一%、先天黴毒兒ノ三七·八%ニ
於テハ智能發育障碍ヲ認メテ居ル、利口
ナ子供ハ一ツモ出來ナイ、馬鹿バカリ出來
ルノデアル更ニ精神病患者ノ三割ハ黴毒
ニ原因ヲ致シテ居ル、全國精神病院退院患
者ノ二〇%ハ黴毒デアル、腦溢血ノ半分ハ
黴毒デアル、黴毒ニ因リマスル所ノ死亡患
者ハ、結核ノ約六分ノ一ヲ示シテ居ル、斯ウ
考ヘマスルト、結核患者ハ現在日本ニ百万
人東京市ニ於テハ十万人、東京市ニ於テ
死亡スル者年々一万數千人、全國ニ於テ死
亡スル者十万人、卽チ黴毒ニ因ツテ死亡ス
ル者ハ、全國民中一万數千人ノ多數ニ達ス
ルコトヲ考ヘマスルト如何ニ近來科學ガ
進步致シテ、科學戰ノ慘禍ガ激シイト申シ
マシテモ、結核、黴毒ニ因ル死亡ノ慘禍ニ
及バザルコト極メテ遠イト考ヘマス(拍手)
淋病ハ黴毒患者ノ約五倍デアリマス、娼妓
ニ於キマシテハ黴毒患者ノ八倍ニ相當致シマ
ス、若シ夫レ一般婦人科ノ開業醫ヲ訪ネテ
參リマスル婦人病ノ患者ノ大半ハ淋疾デア
リマス-淋疾ニ原因ヲ有スル所ノ病人デ
アリマス、更ニ特ニ注意ヲシテ貰ハナケレ
バナラヌコトハ、不姙症ノ三分ノ二ハ其ノ
原因ハ男子ノ側ニアルノデアリマス、淋疾
ノ蔓延ノ原因ハ-如何ニ政府ガ產メヨ殖
ヤセヨト言ヒマシテモ、人口ノ減少ハ實ニ
此花柳病ニ起因スルト申シテ過言デナイノ
デアリマス、軟性下疳ハ黴毒患者ヨリモ僅
ニ少イ、是ハ餘リ詳シク說明ノ必要モナイ
ト思フノデアリマスガ、第四性病ト云フモ
ノハ何デアルカ、是ハ最近極メテ著シイ傾
向ヲ以テ流行シテ參リマシタ、所謂頑固ナ
ル橫根デアル、所謂石橫根トモ言フベキモ
ノデアル、此ノ結果ハ諸君ガ非常ニ心配シ
テ居リマスル勞働力ノ强調、資源ノ確保ト
勞働力ノ整調ト云フコトヲ、當議場ヲ通ジ
テロヲ極メテ論議ヲ致シテ居リマスルガ、
此ノ第四性病ノ流行ニ依リ、昨今勤勞階級
ノ勞働力ガ極メテ減退ノ一途ヲ迪リツツア
ルコトハ、國家ノ爲ニ痛憤セザルヲ得ヌト
私ハ考ヘテ居リマス(拍手)隨ヒマシテ黴毒
ノ一〇%、淋疾ノ五〇%軟性下疳ノ一〇%、
卽チ國民ノ約七〇%ハ曾テ花柳病ヲ體驗
シ、若クハ現在花柳病ニ罹リツツアルノ實
情デアリマシテ、是レ卽チ人間ノ自惚ト瘡
氣ノナイ者ハナイト云フコトノ證據デアリ
マス(拍手)
殊ニ此ノ花柳病問題ガ如何ニ重要デアル
カト云フコトノ一例ヲ擧ゲテ申シマスル
ト、歷史ヲ繙イテ見マスルト、蒙古ニ於テハ
成吉思汗ノ當時其ノ覇ヲ世界ニ鳴ラシタコ
トハ諸君ノ御承知ノ通リ、然ルニ支那ハ蒙
古ニ對スル政策ト致シテ、喇嘛僧ヲ中心ト
シテ花柳病ノ媒介體ト爲シ、其ノ爲ニ蒙古
ノ國力ハ漸次衰退ノ一途ヲ迪リツツアツテ
今日ニ至ツタルコトハ識者ノ既ニ承知シ
テ居ル所デアリマス、英國ガ植民政策ニ當
ツテ、南洋方面ニ於ケル土人ニ對シテ花柳
病ヲ蔓延セシメテ人口ノ減少ヲ來サシメ、
爲ニ土人ノ人口ハ段々減少致シ、遂ニ土人
ガ亡ビツツアルト云ケ政策ヲ執ツタコトモ
是レ識者ノ論ノ一致シテ居ル所デアリマ
ス、支那ノ國力ノ漸次〓退シタ其ノ根柢ヲ
探リマスルナラバ、極メテ猛毒ナル色々ノ
病源菌ノ「コンミックッス」シタル、混合傳染ノ
猛毒ナル黴毒ノ結果デアルト申シテモ過言
デナイト私ハ思フ、而シテ花柳病蔓延ノ傳
染經過、竝ニ其ノ蔓延ノ社會的因子等ニ付
テ一應御說明申上ゲマス、其ノ傳染ノ經過
ハ勿論不潔ナル性交ニ因ルコトハ勿論デア
リマス、併シ性交ノミデハアリマセヌ、接
吻スルコトモサウデス、オ乳ヲ與ヘルコト
モサウデス、或ハ寢具、手拭等、サウ云フ
間接ノ原因ガアリマスガ、更ニ此ノ社會
的因子ニ付テ考ヘテ見マスルト、第一ニ
經濟狀態、第二ニハ社會ノ秩序、第三ニ
ハ道義ノ觀念、第四ニハ一杯飮ムコトデ
ス、第五ニハ夫婦ノ外ノ性交、マア色々デ
アリマスガ、特ニ此ノ中デ私ハ廣瀨サン
竝ニ政府當局ノ御考ヲ質サナケレバナラ
ヌコトハ、酒飮ミノ八五%ノ其ノ大多數
ハソレニ依ル所ノ良心ノ麻痺ニ依ツテ
花柳病ノ蔓延ノ因子ヲ成ス、如何ニ酒ヲ飮ン
ダ場合ニ道義的觀念ガナクナリツツアル
カ、如何ニ酒ノ場合ニ大膽ニナルカ、良心
ガ麻痺スルカト云フコトニ付テハ、酒ニ對
スル根本的ノ考ヲ確立セナケレバ、法規ヲ
立テナケレバ、如何ニ花柳病豫防法案ヲ提
出致シマシテモ、其ノ根幹ニ政府ノ考ガ觸
レテ居ラヌト云フコトヲ私ハ絕叫シタイト
思フ(拍手)殊ニ道義ノ觀念モ、社會秩序ノ
問題モ、其ノ大ナル原因ハ飮酒ガ因子ニナ
ルコトハ是ハ當然デアル、斯ウ云フ問題ヲ
考ヘテ見マシテ、花柳病蔓延ノ因子ト云フ
モノニ付テハ、大イニ政府モ考ヘナケレバ
ナラヌ、斯ノ如ク花柳病ニ對スル關心ガナ
イト云フコトハ遺憾デアル、是等ノ花柳病
ノ因子ニ付テ、經濟的ニ於テハ下層階級ニ
蔓延スル、世界大戰後ニ於テハ經濟的困難、
社會的秩序ノ混亂、道義觀念ノ動搖ノ爲ニ、
歐洲ニ於テ性病ハ極メテ著シク增加致シマ
シタ、今日本ニ於キマスル藝者、酌婦業態
者ニ於ケル花柳病ノ實際ノ表ヲ持ツテ居リ
マスルガ、是ハ御許ヲ得マシテ速記錄ニ留
メルコトニ致シマス、更ニ日本ノ壯丁檢査
ニ於ケル各府縣別ノ花柳病ノ表モ持ツテ居
リマスルガ、是モ御許ヲ得マシテ速記錄ニ
留メルコトニ致シマス
續イテ本論ニ入リマス、以上ハ花柳病ノ
現況デアリマス、然ラバドウスレバ豫防ノ
目的ヲ達成シ得ルカ、第一ニハ業態者ノ範
圍ヲ決定スル必要ガアル、政府ニ於テハド
ウ考ヘルカ、第二ニハ業態者ニ對シテ强制
的檢診ヲ行ハナケレバナラヌガ、之ニ對シ
テドウ思フカ、第三ニハ國民ニ對シテ健康
登錄ノ必要ガアルト思フガ、之ニ對シテ所
見ハドウデアルカ、第四ハ軍部大臣ニ承リ
タイ、事變下ニ於テ花柳病ノ豫防對策如何、
次ハ事變ニ因ツテ生ズル密淫賣者、詰リ素
人ソレノ取締關係如何、是ハ內務大臣ニ
承リタイ、次ハ文部大臣ニ承リタイノハ關
聯質問デアリマスガ、行過ギタル厚生運動ノ
是正ニ付テ、ソレカラ最後ニ花柳病豫防法
ノ全部改正案ヲ次期議會ニ提出スル考ガア
ルカ、順次此ノ要點ニ付テ質問要旨ヲ申上
ゲマス
業態者ノ範圍ヲ決定セヨト云フノハドウ
デアルカ、業態者トシテ藝妓、女給、酌婦
等ヲ厚生省デハ指スノデアリマスガ、內務
省ニ於テハ藝妓ヲ言ウテ居ル、地方々々ニ
依ツテ皆違フ、是デハイケナイ、業態者ト
云フモノハ藝妓、娼妓、酌婦、宿女、「ダ
ンサー」、給仕婦、斯ウ云フ者ハ社會通念ニ
依ル所ノ接客業者デ、ドウシテモ業態者ト
シテ決定シナケレバナラヌ、更ニ是ハ女バ
カリデハナイ、男ニ對シテモ考ヘナケレバ
イケナイ、例ヘバ遠洋航海ヲ續ケテ居ル所
ノ船乘業者ガ、一度港ニ著キマスルト、求
ムル所ハ何デアルカ、長イ間ノ禁慾ヲ解放
サレタ其ノ刹那ノ春ヲ得ント欲スル其ノ慾
望デアル、是ガ港々ヲ通ジテ花柳病蔓延ノ
素因ヲ成ス、斯ウ云フ者ニ對シテモ、又更
ニ男ノ方デハ幇間、斯ウ云フ者ニ對シテモ、
ドウシテモ是ハ所謂業態者トシテノ範圍ヲ
決定シナケレバ意味ヲ成サナイト私ハ思フ
ガ、之ニ對スル所見如何
强制檢診ハ明治四十三年四月法律第五十
二號施行ノ行政執行法ノ第三條ニ、屢〓、淫淫
賣ヲ爲セル前科者若ハ前科者ニシテ將來爲
スノ虞アルモノニ對シテハ强制檢診ヲ爲ス
ノ規定ガアリマス、併シナガラ現行法規ニ
於キマシテハ强制檢診ノ規定ガアリマセ
又、藝者ニ付テモ、女給ニ付テモ、酌婦ニ
付テモ、强制檢診ヲ爲スト云フコトガ、人
權上極メテ重要ナ問題デアリマシテ、此ノ
點ニ付テハ種々意見モアラウト思ヒマスケ
レドモ、花柳病ノ蔓延ヲ防ギ、是ガ絕滅ヲ
圖ルト云フコトニ付テハドウシテモ是ハ
强制檢診ノ必要ガアル(拍手)隨ヒマシテ政府
ニ於テハ是ガ適當ナ法令ヲ作ツテ强制檢
診ヲ爲ス意思アリヤ否ヤ、第四ハ國民健康
登錄デアル、前段申上ゲマスル通リ、國民
ノ殆ド七〇%ハ嘗テハ花柳病ヲ經驗シ若ク
ハ現在罹ツテ居ル者、更ニ國民ノ中ノ約百万
人ハ結核患者、十万人ハ結核ニ因ツテ倒レ
テ居ルト云フ、此ノ悲慘ナル實情ヲ考ヘル
時ニヾ結核及ビ黴毒ハ實ニ亡國病デアル
之ニ對シテ常時國民ニ戶籍ガアルト同樣ニ
病氣ニ對スル健康デアルト云フコトヲ强制
的ニ登錄ヲセシメル、疱瘡ノ如キハ滅多ニ
ナイ病氣デアリマスルケレドモ、小學校ニ上
ル前ニハドウシテモ種痘ヲサセタト云フ證
明書ヲ附ケルヤウニ、結婚ノ場合ニ於テモ
一目ニシテ國民皆健康ナリト云フ、此ノ健康
登錄ヲ爲スコトハ、現下ノ日本ノ情勢ニ於
テ極メテ必要デアルト思フガ(拍手)之ニ對
シテドウデアルカ
續イテ戰後ニ於ケル-事變下ニ於ケル
花柳病豫防對策ニ付テハ軍ノ方カラ御答
ヲ願ヒタイ、此ノ點ニ付テハ極メテ重要ナ
ル問題デアリマスカラ、暫時ノ間謹聽ヲ願
ヒタイ、一應歐洲ノ大戰當時ノ例モ引證致
シマス、戰後ニ於テ花柳病豫防對策ニ付テ
ハ、今囘追加豫算ニ於テ約六十万圓ノ宣傳
費ヲ取リマシタガ、是ハ二般國民ニ對シ花
柳病ノ知識ヲ普及シ、併セテ其ノ豫防ノ目
的ヲ達スルニアルコトハ言フマデモアリマ
セヌケレドモ、殊ニ出征軍人ノ家庭ニ向ツ
テハ、色々ノ意味ニ於テ花柳病豫防ノ知識
ヲ普及シ、銃後ノ家庭ニ於テ此ノ病氣ノ危
害ヲ成ベク輕クスルト云フ譯デアリマス、
一般的ニ戰爭ノ前ニ於テハ花柳病ハ激增致
シマス、一タビ國ヲ出ルカラニハ生キテハ再
ビ歸ラナイ、品行方正ナ方デアリマシテモ
ヤルノデアリマス、大抵入營直前ニハヤル
ノデアリマス、サウシテ戰地ニ向ツタ時分
ニハバタ〓〓是ハ倒レルノデアリマス、無
理ヲスルカラ倒レルノデアリマス、世界戰
爭ノ當時ニ於テハ、佛蘭西ニ於テ全人口ノ
十分ノ一ノ黴毒患者ガ發生シ、四万人ノ流
產ガアリマシタ、歐洲大戰ノ當時ハ五年モ
掛ツタノデアリマスルカラ、佛蘭西デハ娘
子軍ヲ送リマシテ、神經衰弱ニ罹リツツア
ル所ノ軍隊ニ對シテ慰問ヲヤツタ、佛蘭西
デハ娘子軍ヲ糧食ト考ヘテ居ツタヤウニ考
ヘテ居リマス、殊ニ外國デハ戰爭ノ長引イ
タ場合ニハ一年交代ヲサセマス、隨テ交代
ヲシテ歸ツテ來ル所ノ兵隊ハ、長イ間ノ不
自由ナ禁慾生活カラ解放サレル、殊ニ凱旋
兵士ハ持テル、佛蘭西邊リデハ停車場ニ於
テモウ引張リガ出テ居ル、ドン〓〓引張ル、
持テル、家ヘ歸ルマデニハモウ立派ナ花柳
病ニ罹ツテ、待チ焦レテ居ル所ノ家族ニ之
ヲ感染セシメテ、實ニ驚クベキ所ノ戰時中
ニ於ケル蔓延狀態ヲ來シタコトハ、識者ノ
洵ニ遺憾トシテ居ツタ所デアル、獨逸ノ軍
隊デハ一〇%ハ淋病ニ罹ツタ、黴毒モ非常
ニ多カツタ、斯ウ云フヤウナ譯デアリマシ
テ、是ガ對策ニ付テハ英國デハドウ云フ對
策ヲ講ジタカ、千九百十七年ニハ花柳病豫
防法ヲ法律トシテ定メテ、變ナ腕ノナイイ
ンチキ醫者ニハ之ヲ治療サセナイト云フ方
針ヲ執ツタ、博士ノ免狀バカリ取ツテモ
細菌ヤ或ハ生理學バカリ〓究シテ博士ヲ取
ツテモ實地ニ疎イ所ノ者ハ、看板ヲ揭ゲテ
モ、羊頭ヲ懸ゲテ狗肉ヲ賣ル政策ハイカヌト
云フヤウナ譯デ、花柳病ニ對スル問題ニ對
シテハ英國デハ三年以上花柳病專門ニ〓
究シタル醫者ニアラザレバ看板ヲ揭ゲサセ
ナカツタ、更ニ醫學ヲ修業中ノ者ニ對シテ
モ、專門ノ學問ヲ修メルヤウニ致シマシテ、
其ノ花柳病ノ治療ニ對スル完璧ヲ期シマシ
ク、更ニ第二ニハ花柳病ノ診斷ニ當ツテ
其ノ明確ヲ期シ、治療ノ目的ヲ達スル爲ニ、
開業醫ハ依賴ニ應ジテ無料デ診察ヲシ、無
料デ診療スルノ施設ヲ講ジマシタ、「サルバ
ルサン」ノ無料提呈ヲヤツタ、花柳病ノ危
害ニ付テ極メテ重要デアルト云フコトヲ、
一般公衆ニ宣傳スル方法ヲ執ツタ、米國ニ
於テハ公衆衞生局ニ於テ花柳病豫防法ヲ新
設シタ、該法ノ運用ノ爲ニ相當額ノ費用ヲ
支給シタ、之ヲ四十八聯邦ニ廻付シテ、各
州ニ於ケル花柳病豫防法ノ制定ヲ促進シタ、
佛蘭西ニ於テハ大戰中一般國民ノ花柳病豫
防問題ニ注意ヲ起シタ、千九百十四年ヨリ
千九百十七年ニ至ル間、內務省ト巴里市ノ
警視廳及ビ「セーヌ」縣ハ、其ノ他ノ縣ト協
力シテ花柳病患者ヲ入院治療ヲ受ケサセテ
居ル、千九百十七年ニハ六十五箇所ノ無料
診療所ヲ設置シテ、其ノ後此ノ診療所ヲ增
加シテ居ル、今囘事變發生ニ因リ我ガ日本
ニ於テハ第二條、第三條ヲ適用シマシテ、
東京市ニ於テ二十一箇所、昭和十三年度ニ
於テハ全國ニ九十四箇所、昭和十四年ニ於
テ四十五箇所ノ公立花柳病診療所ヲ作ツテ、
是ガ對策ヲ講ジツツアルノ實情デアリマス
ルガ、是ノミデハ到底滿足シ得ナイト思フ
ノデアリマス
次ニ是ハ文部大臣ニ伺フノデアリマスガ、
其ノ前ニ內務大臣ニ對シ事變ニ因ツテ生ズ
ル密淫賣ノ取締ニ付テ伺ヒタイ、事變ニ因
ツテ失業者ノ出マスルコトハ、是ハ當議會
ニ於テ各議員ノ極メテ心配シタル問題デア
ル、失業者ノ家庭ノ弱キ女ノ陷リ易イ所ノ
道ハ何デアルカト云フト、是ハ闇ノ女デア
ル、現在東京市內ニ於テ、所謂素人ト云フ
密淫賣ガ多數ニアル、一タビ一杯機嫌デ淺
草ノ盛場アタリヲ步キマスト、客引ガ非常
ニ出テ參ル、下谷坂本署管內アタリダケデ
モ、約千數百人ノ素人ト云フモノガアル、
彼等ノ姿ハ實ニ千紫萬紅デアル、各、〓間借
ヲ致シマシテ、萍ノヤウニ次カラ次ト逃ゲ
隱レテヤツテ居ル、殊ニ最近大森方面ニ於
テモ斯ウ云フ者ガ出テ參ツテ居ル、是ハ取
締ハ內務省デアリマス、衞生關係ハ厚生省
デアリマス、(「漫談ハ止メロ」ト呼フ者ア
リ)默レ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=65
-
066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 私語シナイヤウニ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=66
-
067・山田清
○山田〓君(續) 斯ウ云フ重大ナル問題ニ
付テ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=67
-
068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 山田君ニ一寸議長ヨ
リ申上ゲマス、質疑ノ要旨ヲ簡潔ニ御申述
ニナランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=68
-
069・山田清
○山田〓君(續) 斯ウ云フ密淫賣ノ取締ニ
付テ、內務省ハ如何ナル決意ヲ持ツテ居ル
カ、斯ウ云フコトデアリマス
第六ハ行過ギタル厚生運動ノ是正、是ハ
關聯質問デアリマス、今日ノ厚生運動ハ歐
米ノ運動方法ヲ模倣致シマシテ、競技本位
畫一的ノ厚生運動デアツテ、虚弱兒童ニ對
スル所ノ醫者ノ指導ガ缺テ居ル、元來子供
ハサウ色々運動ヲサセナクテモ、健康デア
レバ働クモノデアリマス、餘リ詰込的ニナ
ラナイデ、柔カイ氣持ノ面白イ遊戲ヲヤル
ヤウニシテ、行過ギ運動ヲ是正スルコトガ
最モ必要デアルト思フガ、之ニ對シテ當局
ノ所見如何
次ハ最後ニ花柳病豫防法ノ全部ノ改正ヲ
必要トスルガ、之ニ對シテ政府ノ所見ハド
ウデアルカ、民族ガ興ルコト、民族ガ亡ビ
ルコト、其ノ基礎ハ物資資源及ビ人的資
源ノ確保デアルコトハ申スマデモナイ、物
資資源ハ比較的容易ニ之ヲ求ムルコトガ出
來ルガ、人的資源ノ確保ハ中々一朝一夕ニ
之ヲ求ムルコトハ出來ナイ、殊ニ親ガ、吾々
ガ一生懸命ニナツテ働クト云フコトハ
又東亞ノ事業ヲ建設スルト云フコトモ、吾
吾ノ後ニ續イテ來マス所ノ子孫ノ爲ニ是ハ
ヤツテ居ルノデアル、然ルニ此ノ子孫ノ爲
ニ考ヘテ居リマス所ノ親ガ、知ラナイ裡ニ
子供ヲ殺シツツアル闇カラ闇ニ葬リ、更
ニ是ガ一タビ光明ノ社會ヲ見マシテモ、知
ラナイ間ニ之ヲ殺シ、幸ニ生キテ行キマシ
テモ是ガ低能兒トナリ、或ハ社會ノ犯罪者
トナツテ行ク所ノ素因ハ、知ラザル間ニ親
ガ作ルト云フコトヲ考ヘテ見マス時ニ、實ニ
國家社會ノ大問題デアルト私ハ考ヘル者デ
アル(拍手)今ヤ事變下產業ニ於テ最モ惱ミ
マスルモノハ鋼鐵ノ如キ體力ヲ有スル所
ノ勞働力デアル卓拔セル所ノ頭腦ヲ有ス
ル國民デアル、彼ノ各工場ニ於キマシテ熟
練職工ノ移動ハ決シテ賃銀等ノ待遇ノ問
題ニアラズシテ、實ニ長時間ニ亙ル勞働ニ
耐ヘザルノ爲デアルコトハ勿論デアリマス、
物資資源ノ解決ハ科學ノ發達ニ俟ツ、科學
ノ發達ハ國防經濟問題ヲ解決スル、國家ノ
戰ハ國民總力ノ戰デアル、强健ナル體力、
聰明ナル國民ヲ有スル國家ハ榮エ、然ラザ
ルモノハ滅ブ、今ヤ我ガ國民ノ結核病ハ實
ニ年々數百万ニ近ク、其ノ死亡スル者亦十
數万、花柳病ニ於テハ全國民ノ七〇%ト云
フ數字ヲ示シテ居ル時ニ、如何ナル近代科學
戰ノ慘禍モ到底之ニ及ブコトノナイコトヲ
考ヘル時ニ、又壯丁ノ體位ガ漸次下降ノ傾
向ヲ示シツツアル時ニ、國民保健問題ニ關
シテ、眞劍ニ起タナケレバ、今後吾々國民
體位ノ問題ヲドウスルカト云フコトニ付
テ、實ニ私ハ深憂ニ堪ヘナイト思フノデア
リマス(拍手)此ノ根本問題ノ解決ニ邁進ス
ベキ時デアリマスルガ故ニ、政府ニ於テハ
來議會ニ是ガ根本的改正案ヲ提出スル御考
ガアルカドウカ、以上數點ヲ承リマシテ私
ノ質問ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=69
-
070・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 御答致シマス、
第一業態者ノ範圍ヲ統一スル考ハナイカ、
業態者ト云フ問題ニ付キマシテハ、各地方
ソレ〓〓色々ナ名前ヲ用ヒテ居リ、色々ナ
實情ニアルノデアリマシテ、之ヲ統一スル
ノハ中々困難デアリマス、ソレデ範圍ヲ決
定スルコトモ非常ニ難カシイノデアリマス
ガ、併シ非常ニ明瞭ナモノ、疑ノ餘地ノナ
イモノ、是等ニ對シマシテハ花柳病豫防
上十分ナル處置ヲ講ジテ居リマス、隨テ今
之ガ範圍ヲ統一スルト云フコトハ、容易ニ
申上ゲ兼ネル譯デアリマス、次ニ業態者ニ
對シテ强制診檢ヲ爲スカ、是ハ御話モアツ
タヤウニ、人權上非常ニ色々ナ問題ヲ生ズ
ルノデアリマス、人權上ノ問題ヲ生ゼナイ
方法ヲ以チマシテ、主トシテ自治的ノ方法
ニ依ツテ、實際上ノ效果ヲ擧ゲルト云フ手
段ヲ現ニ執ツテ居リ、尙ホ此ノ方法ヲ以テ
進ム積リデアリマス、次ニ一般國民ノ健康
登錄ノ問題ニ付テノ御質問デアリマスガ、
此ノ問題ハ非常ニ重大ナ問題デアリマスガ
故ニ、現在私共トシテモ此ノ問題ニ付テ〓
究ヲ續ケテ居ル譯デアリマス、ソレカラ次
ニ是ハ陸軍ニ御質問デアリマシタガ、私ノ
方ニモ關係ガアリマスノデ簡單ニ御答シテ
置キマスガ、事變下ニ於ケル豫防對策トシ
テハ、御話ノヤウニ花柳病ノ恐シイコトヲ
十分ニ普及徹底セシムルト云フコトヲ先ヅ
執リマシテ、同時ニ昨年來診療所ヲ增加セ
シメ、又今囘此ノ法律ヲ改正シタノモ、皆
事變下ニ於ケル對策ノ一ツノ手段デアリマ
ス其ノ外召集解除者ニ對シテモ、其ノ再
發ノ場合等ニ對スル處置ヲ、豫算上ニ講ジ
得ルヤウニ相成ツテ居リマス、最後ニ豫防
法ノ全般的改正ニ付テノ御質問デアリマシ
タガ、是ハ現在ノ改正ハ申上ゲマシタヤウ
ニ非常ニ不十分デアリマス、現在ノ必要已
ムヲ得ザル程度ダケヲ改正致シタノデアリ
マス、是非近イ將來ニ於テ全般ニ亙ツテ本
當ニ徹底シタル改正ヲ致ス積リデ目下調査
ヲ進メテ居リマス
〔政府委員西村茂生君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=70
-
071・西村茂生
○政府委員(西村茂生君) 陸軍大臣ニ答辯
ヲ御要求デアリマシタガ、豫算總會ニ出席
致シテ居リマスカラ私ガ代ツテ御答辯申上
ゲマス、花柳病ニ付キマシテハ、他ノ數多
ノ疾病ヨリ以上ニ人口增殖問題ニ密接ナル
關係ガアルコトハ、只今山田議員ノ御申述
ニナツタ通リデアリマス、軍ト致シマシテ
ハ今囘ノ事變ノ如ク長ク外地ニ駐屯致シ
マシテ內地ニ歸還致シマスル場合ニハ、花
柳病ノ性質上格段ナ注意ヲ拂ツテ居ル次第
デゴザイマシテ、內地ニ歸還致シマス際ニ
ハ、先ヅ以テ戰地ニ於キマシテ各兵ノ身體
檢査ヲ致シマスガ、殊ニ花柳病ニ付キマシ
テハ、之ニ重點ヲ置キマシテ身體檢査ヲ致
シマシテ、而シテ其ノ反應ニ於キマシテ陽
性タルコトヲ發見シマシタ場合ニハ戰地
ノ或ル場所ニ特殊ナ病院ヲ只今設置致シテ
居リマシテ、之ニ全部ヲ收容致シマシテ、
完全ニ治療致シタ者ヲ內地ニ歸還サシテ居
ル次第デゴザイマス、而シテ內地ニ歸還後
ニ於キマシテ再發致シマシタ場合ニハ、再
ビ陸軍病院ニ收容致シマシテ治療致サセテ
居リマス、又退營後ニ於キマシテ〓里ニ於
テ再發致シハセヌカト云フヤウナ者ニ付キ
マシテハ、地方關係當局ト密接ナル連繫ヲ
保チマシテ、深甚ノ注意ヲ拂ツテ之ニ善處
致シテ居ルノデゴザイマス、一言申上ゲテ
置キマスガ陸軍當局ト致シマシテ、今囘
ノ事變ニ花柳病ガ豫想外ニ少イト云フコト
ヲ御耳ニ入レテ置キマス、之ヲ以テ御答ト
致シマス(拍手)
〔政府委員漢那憲和君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=71
-
072・漢那憲和
○政府委員(漢那憲和君) 內務大臣ニ對ス
ル御質問ニ對シテ私カラ御答辯ヲ申上ゲマ
ス、密賣淫婦ノ存在シマスコトハ、國家風
〓ノ上カラデモ、又國民保健ノ上カラデモ
洵ニ好マシカラザルコトデアリマスノデ、
警察當局ト致シマシテハ、不斷其ノ視察取
締ニ留意ヲ致シマスト共ニ、密賣淫及ビ其
ノ媒合容止等ノ事實ガアリマス場合ニハ
直チニ檢擧シテソレ〓〓處罰シ來ツテ居ル
現狀デアリマス、尙ホ將來ニ於テモ國家風
〓ノ刷新ノ上カラ、此ノ取締ヲ嚴重ニ致シ
テ行キタイト考ヘルノデアリマス(拍手)
〔政府委員小柳牧衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=72
-
073・小柳牧衞
○政府委員(小柳牧衞君) 只今ノ御質問中
文部省所管ニ付テノ點ヲ私ヨリ御答致シタ
イト存ジマス、御質問ハ厚生運動ト云フコ
トデアリマシタガ、要ハ學校ニ於テ幼弱兒
童ニ對シテ適正ヲ缺ク所ノ體操ヲ課シテ居
ルデハナイカト云フ御趣旨ノ御質問ト拜
承致シマシタ、文部省ト致シマシテハ常
ニ兒童ノ發育ニ留意ヲ致シマシテ、之ニ適
切ナル體育ヲ施スコトヲ從來ノ趣旨トシテ
居ルノデゴザイマス、併シナガラ往々ニシ
テ畫一主義ニ流レマシテ、其ノ適正ヲ缺ク
ノ憾ミガナイデモアリマセヌカラシテ、昨
年特ニ全國ニ通牒ヲ發シマシテ、其ノ學校
ノ事情ニ依リ最モ適切ナル體操ヲ選擇シ
テ、其ノ實施ヲスルコトヲ進メテ居ルノデ
アリマス、又學校ニ依リマシテハ、特ニ養
護ヲ要スル所ノ學級、養護學級ヲ設ケマシ
テ、健康上特ニ注意ヲ要スル兒童ヲ集メマ
シテ、特別ノ養護ヲ致シテ居ル次第デアリ
マく、斯樣ニ致シマシテ出來得ルダケ兒童
ノ實際ノ狀況ニ照シテ、適切ナル體育ヲ施
ス方針ヲ執ツテ居ルノデゴザイマス、左樣
御諒承ヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=73
-
074・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=74
-
075・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ八木逸郞君外一名提
出民族優生保護法案委員ニ併セ付託サレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=75
-
076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=76
-
077・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四、非訟事件手續法中改正法律案、第一讀
會ヲ開キマス-倉元司法政務次官
第四非訟事件手續法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
非訟事件手續法中改正法律案
非訟事件手續法中左ノ通改正ス
目錄第三編ヲ左ノ如ク改ム
第三編商事非訟事件
第一章會社及ヒ競賣ニ關スル事件
第二章社債ニ關スル事件
第三章會社ノ整理ニ關スル事件
第四章會社ノ〓算ニ關スル事件
第五章商業登記
第一節通則
第二節商號ノ登記
第三節未成年者、妻及ヒ法定代
理人ノ登記
第四節支配人及ヒ會社ノ〓算人
ノ登記
第五節合名會社及ヒ合資會社ノ
登記
第六節株式會社ノ登記
第七節株式合資會社ノ登記
第八節有限會社ノ登記
第九節外國會社ノ登記
第三十七條第百三十六條第一項、第百
三十七條、第百三十八條、第百七十五
條、第百七十六條及ヒ第百七十七條ノ
規定ハ法人ノ〓算人ニ之ヲ準用ス
第七十一條ノ三第一項中「財產目錄及ヒ
信託事務ニ關スル帳簿竝ニ書類」ヲ「財產
目錄竝ニ信託事務ニ關スル帳簿及ヒ書類」
二次
第百十六條中「遺言書ノ提出、開封竝ニ檢
認及ヒ其告知ノ費用」ヲ「遺言書ノ提出、
開封及ヒ檢認竝ニ其〓知ノ費用」二五六
第百二十六條商法第五十八條、第百七
十三條第一項第二項、第百七十八條、
第百八十一條第一項、第二百十四條第
一項但書、第二百三十七條第二項、第
二百五十八條第二項、第二百七十二條、
第二百九十一條第二項、第二百九十四
條、第三百五十三條第一項及ヒ第三百
七十四條第二項、其準用規定、同法第
百五十三條第二項竝ニ有限會社法第八
條第一項但書、第四十五條及ヒ第六十
七條第三項ニ定メタル事件ハ會社ノ本
店所在地ノ地方裁判所ノ管轄トス
商法第百十一條第三項及ヒ其準用規定
ニ定メタル事件ハ合併無效ノ訴ニ關ス
ル第一審ノ受訴裁判所ノ管轄トス
商法第四百八十四條及ヒ其準用規定ニ
定メタル事件ハ閉鎖ヲ命セラルヘキ外
國會社ノ支店ノ所在地ノ地方裁判所ノ
管轄トス
有限會社法第六十條第二項ニ定メタル
事件ハ合併後存續スル會社又ハ合併ニ
因リテ設立スル會社ノ本店所在地ノ地
方裁判所ノ管轄トス
商法第五百二十七條第一項及ヒ第七百
五十七條第一項ニ定メタル事件ハ競賣
ニ付スヘキ物品所在地ノ區裁判所ノ管
轄トス
第百二十七條第二項中「取締役又ハ株主」
ヲ「申請人」ニ改ム
第百二十九條第一項中「商法第百二十四
條第二項」ヲ「商法第百七十三條第二項」
当該人
第百二十九條ノ二中「商法第百九十八條」
ヲ「商法第二百九十四條第一項」ニ改ム
第百二十九條ノ三中「商法第百二十四條
又ハ第百九十八條」ヲ「商法第百七十三條
第一項、第百八十一條第一項、第二百九
十四條第一項又ハ第三百五十三條第一
項」ニ改ム
第百三十條中「商法第百九十八條」ヲ「商
法第二百九十四條」ニ改ム
第百三十一條第一項中「商法第百十一條
第二項」ヲ「商法第百五十三條第二項」ニ、
「同法第百六十條第二項」ヲ「同法第二百
三十七條第二項」ニ改ム
第百三十二條ノ二商法第百七十八條
(同法第三百七十條第一項ニ於テ準用
スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル許可ノ
申請ハ其事由ヲ疏明シ總發起人又ハ總
取締役之ヲ爲スヘシ
前條ノ規定バ前項ノ申請アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ三前條ノ規定ハ商法第
二百十四條第一項但書(同法第三百七
十九條第二項及ヒ第四百十六條第三項
ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ
依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ四商法第二百五十八條
第二項(同法第二百八十條ニ於テ準用
スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル職務代
行者ノ選任ニ關スル裁判ヲ爲ス場合ニ
於テハ裁判所ハ取締役及ヒ監査役ノ陳
述ヲ聽クヘシ
第百二十九條ノ三、第百二十九條ノ四
及ヒ第百三十二條ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十二條ノ五商法第二百七十一條
第一項但書(同法第二百七十二條第二
項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定
ニ依ル許可ノ申請ハ職務代行者之ヲ爲
スヘシ
申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ卽時抗
告ヲ爲スコトヲ得抗〓ノ期間ハ職務代
行者カ裁判ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ之
ヲ起算ス
前項ノ抗〓ハ執行停止ノ效力ヲ有ス
第百三十二條ノ六第百二十九條ノ四、第
百三十二條第一項及ヒ第百三十二條ノ
四第一項ノ規定ハ商法第二百七十二條
(同法第二百八十條ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル職務ノ執行ノ
停止若クハ職務代行者ノ選任又ハ其取
消若クハ變更ニ關スル裁判ヲ爲ス場合
ニ之ヲ準用ス
假處分ニ關スル民事訴訟法ノ規定ハ其
性質ノ許ササルモノヲ除ク外前項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第百三十三條第百三十二條ノ二ノ規定
ハ商法第二百九十一條第二項(同法第
二百九十二條第三項ニ於テ準用スル場
合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル認可ノ申請ニ
付キ之ヲ準用ス
第百三十三條ノ二商法第三百七十四條
第二項ノ規定ニ依ル申請ハ資本ノ增加
ヲ無效トスル判決カ確定シタル日ヨリ
六个月內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
審問ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後ニ非
サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
數個ノ申請事件カ同時ニ繋屬スルトキ
ハ審問及ヒ裁判ハ併合シテ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第一項ノ申請アリタルトキハ裁判所ハ
遲滯ナク其旨ヲ公〓スルコトヲ要ス
前項ノ公〓ハ登記事項ノ公〓ト同一ノ
方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百三十三條ノ三前條第一項ノ申請ニ
對スル裁判ハ總株主ニ對シ其效力ヲ有
ス
第百二十九條第一項、第百二十九條ノ
二、第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二
條ノ五第三項ノ規定ハ前項ノ裁判ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十四條第百二十九條第一項ノ規
定ハ商法第五十八條第一項及ヒ第二項
ノ規定ニ依ル裁判ニ之ヲ準用ス
裁判所ハ裁判ヲ爲ス前利害關係人ノ陳
述ヲ聽キ檢事ノ意見ヲ求ムヘシ
第百三十五條第一項中「會社」ヲ「會社、
利害關係人」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第百三十五條ノ二第百三十三條ノ二第
四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第五十八
條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル解散
命令ノ申請アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ三會社ノ解散ヲ命スル
裁判カ確定シタルトキハ裁判所ハ解散
シタル會社ノ本店及ヒ支店ノ所在地ノ
登記所ニ其登記ノ囑託ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ四第三十九條乃至第四
十條ノ二一、第四十一條第一項第三項、
第四十二條、第六十一條、第六十二條、
第百二十九條ノ三及ヒ第百二十九條ノ
四ノ規定ハ商法第五十八條第三項ノ規
定ニ依リ管理人ノ選任其他會社財產ノ
保全ニ必要ナル處分ヲ爲ス場合ニ之ヲ
準用ス
第四十三條ノ規定ハ前項ノ管理人ニ之
ヲ準用ス
第百三十五條ノ五民事訴訟法第百十條
第一項及ヒ第百十一條乃至第百十六條
ノ規定ハ商法第五十九條ノ規定ニ依リ
テ供スヘキ擔保ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ六會社ノ設立ヲ無效ト
スル判決カ確定シタルトキハ受訴裁判
所ハ會社ノ本店及ヒ支店ノ所在地ノ登
記所ニ其登記ノ囑託ヲ爲スヘシ
登記所カ前項ノ囑託ヲ受ケタルトキハ
會社ノ設立ノ無效ナルコトヲ登記スヘ
シ
第百三十五條ノ七前條ノ規定ハ會社ノ
合併ヲ無效トスル判決カ確定シタル場
合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ八第百二十九條第一
項、第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二
條ノ五第三項ノ規定ハ商法第百十一條
第三項(同法第百四十七條及ヒ第四百
十六條第一項ニ於テ準用スル場合ヲ含
ム)ノ規定ニ依ル裁判ニ付キ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ九第百二十九條乃至第
百三十三條ノ三及ヒ前條ノ規定ハ株式
合資會社ニ之ヲ準用ス
第百二十九條ノ二乃至第百三十二條、
第百三十二條ノ三乃至第百三十二條ノ
六、第百三十三條ノ二乃至第百三十五
條ノ五及ヒ前條ノ規定ハ有限會社ニ之
ヲ準用ス
第百三十四條乃至第百三十五條ノ五ノ
規定ハ外國會社ノ支店ノ閉鎖ヲ命スル
場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十商法第九十一條第一
項但書(同法第百四十七條及ヒ第四百
五十八條第一項ニ於テ準用スル場合ヲ
含ム)ノ豫〓ヲ爲シタル債權者ハ會社
ノ本店所在地ノ地方裁判所ニ持分ノ拂
戾ノ請求權ノ保全ニ關シ必要ナル處分
ヲ爲スコトヲ請求スルコトヲ得
第百二十九條第一項及ヒ第百二十九條
ノ四ノ規定ハ前項ノ申請ニ對スル裁判
ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十一有限會社法第八條
第一項但書ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ
其事由ヲ疏明シ總社員之ヲ爲スヘシ但
會社成立後ノ場合ニ於テハ總取締役之
ヲ爲スヲ以テ足ル
第百三十五條ノ十二有限會社法第六十
條第二項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ合
併ヲ爲ス會社ノ總取締役及ヒ總監査役
之ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ十三前條ノ規定ハ有限
會社法第六十七條第三項ノ規定ニ依ル
認可ノ申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十四第百三十二條ノ規
定ハ前三條ノ申請アリタル場合ニ之ヲ
準用ス
第三編中第二章ヲ第四章トシ第三章ヲ第
五章トス
第二章社債ニ關スル事件
第百三十五條ノ十五商法第三百十二
條、第三百十三條、第三百十四條第二
項、第三百十九條、第三百二十條第三
項、第三百二十五條、第三百三十六條
第一項及ヒ第三百七十六條第三項竝ニ
其準用規定ニ定メタル事件ハ社債ヲ發
行シタル會社ノ本店所在地ノ地方裁判
所ノ管轄トス
第百三十五條ノ十六商法第三百十二條
ノ規定ニ依ル許可、同法第三百十三條
ノ規定ニ依ル解任又ハ同法第三百十四
條第二項ノ規定ニ依ル選任ノ申請ニ付
テハ裁判所ハ利害關係人ノ陳述ヲ聽キ
理由ヲ附シタル決定ヲ以テ裁判ヲ爲ス
ヘシ
申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ不服ヲ
申立ツルコトヲ得ス
申請ヲ認許セサル裁判ニ對シテハ卽時
抗告ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條ノ十七商法第三百十九條
ノ規定ニ依ル許可ノ申請ハ其事由ヲ疏明
シ社債權者集會ノ招集者之ヲ爲スヘシ
前條ノ規定ハ前項ノ申請アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十八第百三十一條及ヒ
第百三十二條ノ規定ハ商法第三百二十
條第三項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ十九商法第三百二十五
條ノ規定ニ依リ決議ノ認可ヲ申請スル
場合ニ於テハ議事錄ヲ提出スルコトヲ
要ス
第百二十九條ノ四、第百三十二條ノ五
第三項及ヒ第百三十五條ノ十六第一項
ノ規定ハ前項ノ申請アリタル場合ニ之
ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十商法第三百三十六
條第一項ノ規定ニ依ル許可ノ申請ハ社
債募集ノ委託ヲ受ケタル會社、代表者
又ハ執行者之ヲ爲スヘシ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ申請アリタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十一第百三十五條ノ
十六ノ規定ハ商法第三百七十六條第三
項(同法第四百十六條第一一項ニ於テ準
用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル期間
ノ伸長ノ申請アリタル場合ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ二十二第百三十五條ノ
十六乃至前條ノ規定ハ株式合資會社ニ
之ヲ準用ス
第百三十五條ノ二十三第十五條ノ規定
ハ本章ノ手續ニハ之ヲ適用セス
第三章會社ノ整理ニ關スル事件
第百三十五條ノ二十四會社ノ整理ニ關
スル事件ハ會社ノ本店所在地ノ地方裁
判所ノ管轄トス
第百三十五條ノ二十五會社ノ整理ハ裁
判所ノ監督ニ屬ス
裁判所ハ會社ノ業務ヲ監督スル官廳ニ
對シ意見ヲ求メ又ハ調査ヲ囑託スルコ
トヲ得
前項ノ官廳ハ裁判所ニ對シ意見ヲ述フ
ルコトヲ得
第百三十五條ノ二十六整理開始ノ申請
ヲ爲ス場合ニ於テハ其事由ヲ疏明スル
コトヲ要ス
債權者カ前項ノ申請ヲ爲ス場合ニ於テ
ハ其債權ヲモ疏明スルコトヲ要ス
第百三十五條ノ二十七整理開始ノ申請
ヲ爲ス場合ニ於テハ整理ノ手續ノ費用
トシテ裁判所カ相當ト認ムル金額ノ豫
納アルコトヲ要ス豫納ナキトキハ裁判
所ハ其申請ヲ却下スルコトヲ得
費用ノ豫納ニ關スル裁判ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ二十八裁判所カ職權ヲ
以テ整理ノ開始ヲ命シタルトキハ整理
ノ手續ノ費用ハ假ニ國庫ヨリ之ヲ支辨
ス費用ノ豫納ナキニ拘ラス裁判所カ整
理ノ開始ヲ命シタルトキ及ヒ豫納金カ
不足ナルニ至リタルトキ亦同シ
第百三十五條ノ二十九整理開始ノ命令
アリタル場合ニ於テハ整理ノ手續ノ費
用ハ會社ノ負擔トス
第百三十五條ノ三十整理開始ノ申請ア
リタルトキハ裁判所ハ會社ノ業務ヲ監
督スル官廳ニ其旨ヲ通知スヘシ
第百三十五條ノ三十一整理開始ノ命令
ハ理由ヲ附シタル決定ヲ以テ之ヲ爲ス
ヘシ整理開始ノ申請ヲ却下スル場合亦
同シ
前條ノ規定ハ前項ノ裁判アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ三十二第百三十三條ノ
二第四項及ヒ第五項ノ規定ハ裁判所カ
整理ノ開始ヲ命シタル場合ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ三十三整理開始ノ命令
ニ對シテハ會社ニ限リ卽時抗告ヲ爲ス
コトヲ得
整理開始ノ申請ヲ却下シタル裁判ニ對
シテハ申請人ニ限リ抗〓ヲ爲スコトヲ
得
第百三十五條ノ三十四整理開始ノ命令
ヲ取消ス決定ハ確定ノ後ニ非サレハ其
效力ヲ生セス
第百三十五條ノ三十五登記所カ整理開
始ノ登記ノ囑託ヲ受ケタルトキハ遲滯
ナク其登記ヲ爲スコトヲ要ス但其公〓
ヲ爲スコトヲ要セス
第百三十五條ノ三十六商法第三百八十
三條第一項ノ規定ニ依ル破產手續及ヒ
和議手續ノ中止ノ命令ニ對シテハ不服
ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ三十七商法第三百八十
四條ノ規定ニ依リ競賣手續ノ中止ヲ命
スル場合ニ於テハ裁判所ハ競賣申立人
ノ陳述ヲ聽クコトヲ要ス
前項ノ中止ノ命令ニ對シテハ競賣申立
人ニ限リ卽時抗〓ヲ爲スコトヲ得
第百三十五條ノ三十四ノ規定ハ第一項
ノ中止ノ命令ヲ取消ス決定ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ三十八裁判所カ商法第
三百八十七條第一項ニ揭ケタル處分ヲ
取消シ又ハ變更シタルトキハ會社ノ本
店及ヒ支店ノ所在地ノ登記所ニ其登記
ヲ囑託スルコトヲ要ス
裁判所カ商法第三百八十七條第二項ニ
揭ケタル處分ヲ取消シ又ハ變更シタル
トキハ其登記又ハ登錄ヲ囑託スルコト
フルガ
第百三十五條ノ三十九登記所カ商法第
三百八十七條又ハ前條ノ囑託ヲ受ケタ
ルトキハ遲滯ナク其登記ヲ爲スコトヲ
要ス
前項ノ規定ハ商法第三百八十七條第二。
項又ハ前條第二項ノ規定ニ依ル登錄ノ
囑託アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十第百三十三條ノ三
第四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第三百
八十六條第一項第二號ノ處分ヲ爲シタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十一裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第三號ノ處分ヲ爲
ストキハ同時ニ檢査役ヲ選任スルコト
ヲルチノ
第四十條、第四十條ノ二及ヒ第百二十
八條ノ規定ハ檢査役ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十二前條第二項ノ規
定ハ整理委員ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十三商法第三百九十
二條第三項ノ規定ニ依ル申請ニ付テハ
裁判所ハ取締役及ヒ異議ヲ述ヘタル株
主ノ陳述ヲ聽キ理由ヲ附シタル決定ヲ
以テ裁判ヲ爲スヘシ
前項ノ裁判ハ異議ヲ述ヘタル株主ニ對
シテモ之ヲ告知スルコトヲ要ス
第百二十九條ノ四及ヒ第百三十二條ノ
五第三項ノ規定ハ第一項ノ裁判ニ付キ
之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十四取締役ハ商法第
三百九十三條第一項ノ規定ニ依リ作成
シタル株主表ニ同法第三百九十二條ノ
承認又ハ確定アリタルコトヲ證スル書
面ヲ添附シ之ヲ裁判所ニ提出スルコト
ヲヨハ
株主表及ヒ其添附書類ハ利害關係人ノ
閱覽ニ供スル爲メ之ヲ裁判所ニ備ヘ置
クコトヲ要ス
第百三十五條ノ四十五商法第三百九十
三條第二項ノ規定ニ依ル認可ハ株主表
ニ記載シテ之ヲ爲ス
前項ノ認可ニ對シテハ不服ヲ申立ツル
コトヲ得ス
會社及ヒ株主ハ手數料ヲ納付シテ株主
表ノ抄本ノ交付ヲ申請スルコトヲ得
民事訴訟法第百五十一條第二項ノ規定
ハ株主表ノ抄本ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十六民事訴訟法第六
編ノ規定ハ商法第三百九十三條第三項
ノ强制執行ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ四十七商法第三百八十
六條第一項第五號ノ處分ヲ爲ス場合ニ
於テハ裁判所ハ解任セントスル取締役
又ハ監査役ノ陳述ヲ聽クコトヲ要ス
第百三十五條ノ四十八商法第三百八十
六條第一項第六號ノ處分ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ四十九第百二十九條ノ
四、第百三十二條ノ五第三項及ヒ第百
三十五條ノ十六第一項ノ規定ハ商法第
三百八十六條第一項第七號ノ處分ニ付
キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十商法第三百八十六
條第一項第八號ノ規定ニ依ル査定ヲ申
請スル場合ニ於テハ其原因タル事實ヲ
疏明スルコトヲ要ス
第百三十五條ノ五十一裁判所カ職權ヲ
以テ査定手續ヲ開始スル場合ニ於テハ
其旨ノ決定ヲ爲スヘシ
第百三十五條ノ五十二第百三十五條ノ
十六第一項ノ規定ハ査定ノ裁判及ヒ査
定ノ申請ヲ却下スル裁判ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十三裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第十號ノ處分ヲ爲
ストキハ同時ニ監督員ヲ選任シ同法第
三百九十七條第二項ノ指定ヲ爲スコト
3m2,
裁判所ハ何時ニテモ前項ノ指定ヲ變更
スルコトヲ得
第四十條及ヒ第四十條ノ二ノ規定ハ監
督員ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十四裁判所カ商法第
三百八十六條第一項第十一號ノ處分ヲ
爲ストキハ同時ニ管理人ヲ選任スルコ
トヲ要ス
前條第三項ノ規定ハ管理人ニ之ヲ準用
ス
第百三十五條ノ五十五第百三十三條ノ
二第四項第五項及ヒ第百三十五條ノ三
十ノ規定ハ整理終結ノ決定ヲ爲シタル
場合及ヒ整理開始ノ命令ヲ取消ス決定
カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十六整理終結ノ決定
ニ對シテハ其公〓アリタル日ヨリ二週
間內ニ卽時抗〓ヲ爲スコトヲ得
整理終結ノ決定ハ確定ノ後ニ非サレハ
其效力ヲ生セス
前條ノ規定ハ整理終結ノ決定ヲ取消ス
決定カ確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十七第百三十五條ノ
三十五ノ規定ハ整理終結ノ登記又ハ整理
開始ノ取消ノ登記ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ五十八整理開始ノ命令
ヲ取消ス決定カ確定シタルトキハ裁判
所ハ商法第三百八十七條ノ登記若クハ
登錄又ハ第百三十五條ノ三十八ノ登記
若クハ登錄ノ抹消ヲ囑託スルコトヲ要
ス
前項ノ規定ハ整理終結ノ決定カ確定シ
タル場合ニ之ヲ準用ス但商法第三百八
十六條第一項第五號ノ處分ノ登記ニ付
テハ此限ニ在ラス
第百三十五條ノ三十九ノ規定ハ前二項
ノ規定ニ依ル囑託アリタル場合ニ之ヲ
準用ス
第百三十五條ノ五十九商法第四百一條
第一項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ハ總取
締役又ハ總管理人之ヲ爲スヘシ
前項ノ申請ヲ認許スル裁判ニ對シテハ
不服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十五條ノ六十商法第四百一條第
二項ノ和議事件及ヒ同法第四百二條ノ
破產事件ハ整理ノ開始ヲ命シタル裁判
所ノ管轄トス
第百三十五條ノ六十一一第百三十五條ノ
三十及ヒ第百三十五條ノ五十八第二項
第三項ノ規定ハ商法第四百一條ノ規定
ニ依リ和議手續ノ開始アリタル場合及
ヒ同法第四百二條ノ規定ニ依リ破產ノ
宣〓アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十五條ノ六十二商法第四百一條
ノ規定ニ依リ和議手續ノ開始アリタル
トキハ和議法第十條及ヒ第五十六條ノ
規定ノ適用ニ付テハ整理開始ノ命令ハ
其前ニ和議開始ノ申立ナキトキハ之ヲ
和議開始ノ申立ト看做シ整理ノ爲メニ
生シタル債權及ヒ整理ノ手續ノ費用ハ
之ヲ和議ノ爲メニ生シタル債權及ヒ和
議手續ノ費用ト看做ス
第百三十五條ノ六十三商法第四百二條
ノ規定ニ依リ破產ノ宣告アリタルトキ
ハ破產法第一編ノ規定ノ適用ニ付テハ
整理開始ノ命令ハ其前ニ支拂ノ停止又
ハ破產ノ申立ナキトキハ之ヲ支拂ノ停
止又ハ破產ノ申立ト看做シ整理ノ爲メ
ニ生シタル債權及ヒ整理ノ手續ノ費用
ハ之ヲ財團債權トス
第百三十五條ノ六十四商法第四百三條
ニ於テ準用スル破產法第百六十六條ノ
規定ニ依ル決定ニ對シテハ卽時抗〓ヲ
爲スコトヲ得
第百三十六條合名會社及ヒ合資會社ノ
〓算ニ關スル事件ハ會社ノ本店所在地"
ノ區裁判所ノ管轄トス
株式會社、株式合資會社及ヒ有限會社
ノ〓算ニ關スル事件ハ會社ノ本店所在
地ノ地方裁判所ノ管轄トス銀行又ハ無
盡業若クハ無盡管理業ヲ營ム會社ノ〓
算ノ監督亦同シ
第百三十六條ノ二第百三十五條ノ二十
五ノ規定ハ會社ノ〓算ニ之ヲ準用ス
第百三十七條ノ二第百三十二條ノ四乃
至第百三十二條ノ六ノ規定ハ株式會
社株式合資會社及ヒ有限會社ノ〓算
人ニ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ四裁判所カ商法第百二
十五條第四項又ハ其準用規定ニ依リ鑑
定人ノ選任ヲ爲シタル場合ニ於テハ其
手續ノ費用ハ會社ノ負擔トス呼出及ヒ
訊問ノ費用亦同シ
第百三十八條ノ六第百三十二條第一項
及ヒ第百三十二條ノ二第一項ノ規定ハ
商法第四百二十三條第二項又ハ其準用
規定ニ依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用
ス
第百三十八條ノ七商法第四百二十九條
又ハ其準用規定ニ依ル保存者ノ選任ノ
裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ
得ス
裁判所カ前項ノ選任ヲ爲シタル場合ニ
於テハ其手續ノ費用ハ會社ノ負擔トス
第百三十八條ノ八債權者集會ハ裁判所
之ヲ指揮ス
第百三十一條及ヒ第百三十二條ノ規定
ハ商法第四百三十九條第三項ノ規定ニ
依ル許可ノ申請ニ付キ之ヲ準用ス
債權者集會ヲ招集セントスルトキハ招
集者ハ豫メ其期日及ヒ會議ノ目的タル
事項ヲ裁判所ニ屆出ツルコトヲ要ス
第百三十八條ノ九商法第四百四十一條
第二項ノ規定ニ依ル裁判ニ對シテハ不
服ヲ申立ツルコトヲ得ス
第百三十八條ノ十商法第四百四十四條
第三項及ヒ同法第四百五十條第二項
(同法第四百五十一條ニ於テ準用スル
場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル認可ノ申請
ハ債權者集會ノ招集者之ヲ爲スコトヲ
要ス
第百三十五條ノ十九ノ規定ハ前項ノ申
請ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十一第百三十三條ノ二
第四項及ヒ第五項ノ規定ハ商法第四百
五十條第二項(同法第四百五十一條ニ
於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ認可ヲ爲
シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十二第百三十二條ノ五
第二項及ヒ第三項ノ規定ハ商法第四百
四十五條第二項ノ規定ニ依ル許可ノ裁
判ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十三商法第四百五十五
條ノ規定ニ依リ破產ノ宣告アリタルト
キハ破產法第一編ノ規定ノ適用ニ付テ
ハ特別〓算開始ノ命令ハ其前ニ支拂ノ
停止又ハ破產ノ申立ナキトキハ之ヲ支
拂ノ停止又ハ破產ノ申立ト看做シ特別
〓算ノ爲メニ生シタル債權及ヒ特別〓
算ノ手續ノ費用ハ之ヲ財團債權トス
第百三十八條ノ十四第百三十五條ノ六
十四ノ規定ハ特別〓算ノ場合ニ於ケル
監査委員及ヒ〓算人ニ付キ之ヲ準用ス
第百三十八條ノ十五第百三十五條ノ二
十六乃至第百三十五條ノ三十七、第百
三十五條ノ三十八第二項、第百三十五
條ノ三十九乃至第百三十五條ノ四十
一、第百三十五條ノ四十三乃至第百三
十五條ノ四十六、第百三十五條ノ四十
八乃至第百三十五條ノ五十二、第百三
十五條ノ五十五乃至第百三十五條ノ五
十七、第百三十五條ノ五十八、第百三
十五條ノ六十及ヒ第百三十五條ノ六十
一ノ規定ハ特別〓算ニ關スル事件ニ之
ヲ準用ス
第百三十八條ノ十六本章ノ規定ハ其性
質ノ許ササルモノヲ除ク外商法第四百
八十五條(有限會社法第七十六條ニ於
テ準用スル場合ヲ含ム)ノ〓算ニ之ヲ
準用ス
第百三十九條中「商法」ノ下ニ「及ヒ有限會
社法」ヲ加フ
第百四十條中第十號ヲ第十一號トシ第九
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
十有限會社登記簿
第百四十八條ノ二、第百五十一條第一項
及ヒ第百五十一條ノ二第一項中「商法」ヲ
「商法、有限會社法」ニ改ム
第百六十一條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加
フ
商號讓渡ノ場合ニ在リテハ商法第二十
四條第一項ノ規定ニ該當スルコトヲ證
スル書面ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百六十一條ノ二商法第二十六條第二
項ノ登記ハ讓渡人及ヒ讓受人ノ申請ニ
因リテ之ヲ爲ス
第百六十三條中「商法第二十四條第一項」
ヲ「商法第三十一條」ニ改ム
第百六十六條第一項及ヒ第六十七條第一
項中「商業ヲ營ム場合」ヲ「商法第四條ノ
營業ヲ爲ス場合」出版人
第百六十八條第一項中「商業ヲ營ムコト
ノ許可ヲ爲シタル者」ヲ「商法第四條ノ營
業ヲ爲スコトヲ許可シタル者」ニ改ム
第百七十條第一項中「商業ノ登記ヲ申請
スルトキ」ヲ「商法第五條ノ登記ヲ申請
スルトキ」ニ、「其商業ノ登記」ヲ「同條ノ
登記』ニ改ム
第百七十一條中「商業ヲ營ム場合」ヲ商
法第四條ノ營業ヲ爲ス場合」ニ改ム
第百七十二條第一項中「主人」ヲ「營業
主三段八
第百七十三條第一項第二號ヲ左ノ如ク改
ム
二申請人カ數個ノ商號ヲ以テ數種
ノ營業ヲ爲ストキハ支配人カ代理
スヘキ營業及ヒ其使用スヘキ商號
第百七十四條第一項中「代理權ノ消滅及
ヒ前條第一項第四號ニ揭ケタル事項竝ニ
其變更、消滅ノ登記」ヲ「代理權ノ消滅竝
ニ前條第一項第四號ニ揭ケタル事項及ヒ
其變更、消滅ノ登記」三四人
第百七十五條ノ二業務執行社員又ハ取
締役カ〓算人ト爲リタル場合ノ登記ノ
申請書ニハ其資格ヲ證スル書面ヲ添附
スルコトヲ要ス
第百七十六條中「其選任及ヒ商法第九十
條第二號竝ニ第三號ニ揭ケタル事項ヲ證
スル書面」ヲ「其選任竝ニ商法第百二十三
條第一項第二號及ヒ第三號ニ揭ケタル事
項ヲ證スル書面」コンス
第百七十七條第一項中「商法第九十條」ヲ
「商法第百二十三條第一項」ニ改ム
第百七十七條ノ二第百八十八條ノ二及
ヒ第百八十八條ノ三ノ規定ハ株式會
社株式合資會社及ヒ有限會社ノ〓算
人ノ職務代行者ニ付キ之ヲ準用ス
第百七十九條第二項ヲ左ノ如ク改ム
申請書ヨハ左ノ書類ヲ添附スルコトヲ
要ス
一定款
二社員中ニ未成年者又ハ妻アルト
キハ其社員タルコトニ同意ヲ爲ス
ヘキ者ノ同意ヲ證スル書面
三財產ヲ目的トスル出資ニ付キ履
行ヲ爲シタル部分ヲ證スル書面
第百八十條第三項ヲ左ノ如ク改ム
商法第九十一條第一項ノ規定ニ依リ社
員カ退社シタル場合ニ於ケル變更ノ登
記ノ申請書ミハ差押及ヒ豫〓アリタル
コトヲ證スル書面、出資ノ履行ヲ爲シ
タル場合ニ於ケル變更ノ登記ノ申請書
ニハ其履行アリタルコトヲ證スル書面
ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十條ノ二第百三十五條ノ六ノ規
定ハ商法第八十六條第三項ノ登記ニ之
ヲ準用ス
第百八十一條第三項中「裁判所ノ命令」ヲ
「裁判」ニ改ム
第百八十一條ノ二第百七十九條第一項
ノ規定ハ合名會社ノ繼續ノ登記ニ之ヲ
準用ス
申請書ニハ繼續ノ事由ヲ記載シ且退社
シタル社員アルトキ又ハ新ニ社員ヲ加
入セシメタルトキハ之ヲ證スル書面ヲ
添附スルコトヲ要ス
商法第百三十九條第二項(同法第百四
十二條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ
於テ準用スル同法第九十七條ノ規定ニ
依ル繼續ノ登記ノ申請書ニハ判決ノ謄
本ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百八十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
申請書ニハ商法第百條第一項ノ規定ニ
依ル公〓及ヒ催〓ヲ爲シタルコト、若
シ異議ヲ述ヘタル債權者アルトキハ之
ニ對シ辨濟ヲ爲シ若クハ擔保ヲ供シ又
ハ信託ヲ爲シタルコトヲ證スル書面ヲ
添附スルコトヲ要ス
商法第四百十一條(同法第四百五十八
條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)
ノ場合ニ於テハ合併契約書ヲ併セテ添
附スルコトヲ要ス
第百八十二條ノ三中「第百七十九條第二
項竝ニ第百八十二條第二項ニ揭ケタル書
類及ヒ商法第四十四條ノ三第二項ノ規定
ニ依リテ選任セラレタル者ノ資格ヲ證ス
ル書面」ヲ「第百七十九條第二項及ヒ第百
八十二條第二項ニ揭ケタル書類竝ニ設立
委員ノ資格ヲ證スル書面」ニ改ム
第百八十四條削除
第百八十四條ノ二第百三十五條ノ六ノ
規定ハ合名會社ノ設立ノ取消ノ判決カ
確定シタル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十四條ノ三中「第百八十二條」ヲ
「第百八十二條第一項」ニ改ム
第百八十四條ノ四中「商法第八十三條ノ
三又ハ第八十三條ノ四」ヲ「商法第百十四
條」三郎人
第百八十五條第一項中「商法第百十八條
第二項」ヲ「商法第百六十二條第三項」ニ
改ム
第百八十五條ノ二中「商法第百十八條ノ
二」ヲ「商法第百六十三條」ニ改ム
第百八十七條第二項第七號中「決議錄」ヲ
「議事錄」ニ改メ同項ニ左ノ一號ヲ加フ
八株金ノ拂込ヲ取扱ヒタル銀行又ハ
信託會社ノ拂込金ノ保管ニ關スル
證明書
第百八十八條第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改ム
第百八十八條ノ二第百三十五條ノ六ノ
規定ハ商法第二百五十八條第二項同
法第二百八十條ニ於テ準用スル場合ヲ
含ム)及ヒ第二百七十條第三項(同法第
二百七十二條第二項及ヒ第二百八十條
ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ニ定メタ
ル登記ニ之ヲ準用ス
前條第三項ノ規定ハ前項ノ登記アリタ
ル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十八條ノ三商法第二百七十六條
第二項ノ登記ハ總取締役ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ取締役及ヒ監査役ノ協議ヲ
證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第百八十八條第三項ノ規定ハ第一項ノ
登記アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第百八十九條第三號中「商法第二百十四
條」ヲ「商法第三百五十四條」ニ、同條第
四號中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ改メ同條ニ
左ノ一號ヲ加フ
五株金ノ拂込ヲ取扱ヒタル銀行又
ハ信託會社ノ拂込金ノ保管ニ關ス
ル證明書
第百八十九條ノ二商法第三百六十三條
第一項及ヒ第三百六十九條第一項ニ定
メタル登記ノ申請書ニハ株式又ハ社債
ノ轉換ノ請求書ヲ添附スルコトヲ要ス
第百九十條第一項中「決議錄」ヲ「議事錄」
二段六人
第百九十一條第二項第四號中「商法第二
百四條」ヲ「商法第三百三條」ニ、同項第五
號中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ改メ同項ニ左
ノ一號ヲ加フ
六社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社
アルトキハ其委託ヲ證スル書面
第百九十三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
會社ノ解散ノ登記ノ申請書ニハ解散ノ
事由ヲ記載シ且會社カ株主總會ノ決議
ニ因リテ解散シタルトキハ株主總會ノ
議事錄、合併ニ因リテ解散シタルトキ
ハ合併契約書及ヒ株主總會ノ議事錄、
營業全部ノ讓渡ニ因リテ解散シタルト
キハ其讓渡ヲ證スル書面ヲ添附スルコ
トヲ要ス
同條第三項中「裁判所ノ命令」ヲ「裁判」ニ
改ム
第百九十三條ノ二株式會社カ合併ニ因
ル變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ
其事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコ
トヲ要ス
-合併契約書
二株式ノ割當及ヒ引受ヲ證スル書
面
三第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
四第百八十九條第三號ニ揭ケタル
書類
五合併ニ關スル株主總會ノ議事錄
商法第四百十四條第二項ノ場合ニ於テ
ハ前項ノ申請書ニ社債承繼ノ旨ヲ記載
シ合併ニ因リテ消滅スル會社ノ社債ニ
關スル登記簿ノ抄本ヲ併セテ添附スル
コトヲ要ス
第百九十三條ノ三株式會社カ合併ニ因
ル設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ
其事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコ
トヲ要ス
-合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第百八十七條第二項ニ揭ケタル
書類
四設立委員ノ資格ヲ證スル書面
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第百九十四條株式會社ノ繼續ノ登記ヲ
申請スルニハ申請書ニ繼續ノ事由ヲ記
載シ株主總會ノ議事錄ヲ添附スルコト
ヲ変更
第百九十四條ノ二乃至第百九十四條ノ五
マルジ
第百九十五條ニ資本ノ增加及ヒ減少、株
式ノ轉換ニ依ル株式ノ數ノ增減、社債
ノ轉換ニ依ル資本ノ增加及ヒ社債ノ減
少、解散、合併ニ因ル變更及ヒ設立竝
ニ繼續ノ登記ハ總取締役及ヒ總監査役
ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第百九十五條ノ二第百九十三條第一項
第二項及セ前條ノ規定ハ株式會社ノ組
織變更ニ因ル解散ノ登記ノ申請ヲ爲ス
場合ニ之ヲ準用ス
第百九十五條ノ三株式會社ノ組織ヲ變
更シ有限會社ト爲シタル場合ニ於ケル
設立ノ登記ハ有限會社ノ總取締役及ヒ
總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書セハ組織變更ノ事由ヲ記載シ左
ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
ー定款
二「第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三會社ニ現存スル純財產額ヲ證ス
ル書面
四社債ノ償還ヲ完了シタルコトヲ
證スル書面
五組織變更ニ關スル株主總會ノ議
事錄
第百九十五條ノ四第百三十五條ノ六ノ
規定ハ商法第二百五十條(同法第百八
十條第三項、第二百五十二條、第二百
五十三條第二項及ヒ第四百十三條第三
項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)竝ニ同
法第三百七十二條及ヒ第三百八十條第
三項ニ於テ準用スル同法第百三十七條
ニ定メタル登記ニ之ヲ準用ス
第百九十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
創立總會カ定款ノ變更ヲ決議シタル場
合ニ於テハ商法第四百六十四條ノ無限
責任社員ノ一致アリタルコトヲ證スル
書面ヲ併セテ添附スルコトヲ要ス
第百九十七條第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改ム
第百九十八條ニ左ノ二項ヲ加フ
第百八十九條ノ二及ヒ第百九十六條第
一項ノ規定ハ株式ノ轉換ニ依ル株式ノ
數ノ增減又ハ社債ノ轉換ニ依ル資本ノ
增加及ヒ社債ノ減少ノ登記ノ申請ヲ爲
ス場合ニ之ヲ準用ス
第百九十四條及ヒ第百九十六條第一項
ノ規定ハ株式合資會社ノ繼續ノ登記ノ
申請ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百條第二項乃至第四項ヲ左ノ如ク改
ム
第百九十三條ノ規定ハ株式合資會社ノ
解散ノ登記ニ付キ之ヲ準用ス
第二百條ノ二第二項中「決議錄」ヲ「議事
錄」ニ改メ「及ヒ第百八十二條第二項ニ揭
ケタル書類」ヲ削ル
第二百一條第一項中「設立シタル」ヲ削リ
第二項中「決議錄」ヲ「議事錄」ニ、第三項
中「商法第二百四十七條」ヲ「商法第四百
七十條」ニ改ム
第二百一條ノ二中「第百九十五條ノ二」ヲ
「第百九十五條ノ四」ニ改メ同條ヲ第二百
一條ノ三トス
第二百一條ノ二商法第四百七十一條ノ
規定ニ依リテ會社ヲ繼續スル場合ニ於
ケル設立ノ登記ハ總社員ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ定
款ヲ添附スルコトヲ要ス
第三編第三章(改正後ノ第五章)中第八節
ヲ第九節トシ第二百一條ノ三ノ次ニ左ノ
一節ヲ加フ
第八節有限會社ノ登記
第二百一條ノ四有限會社ノ設立ノ登記
ハ總取締役及ヒ總監査役ノ申請ニ因リ
テ之ヲ爲ス
申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スルゴトヲ
要ス
-定款
二出資全額ノ拂込又ハ現物出資ノ
目的タル財產全部ノ給付アリタル
ゴトヲ證スル書面
三有限會社法第十一條(同法第三
十三條第二項ニ於テ準用スル場合
ヲ含ム)ノ社員總會ノ議事錄
第二百一條ノ五有限會社ノ資本增加ノ
登記ノ申請書ニハ左ノ書類ヲ添附スル
コトヲ要ス
ー出資ノ引受ヲ證スル書面
二出資全額ノ拂込又ハ現物出資ノ
目的タル財產全部ノ給付アリタル
コトヲ證スル書面
三資本ノ增加ニ關スル社員總會ノ7
議事錄
第二百一條ノ六第百九十條ノ規定ハ有
限會社ノ資本減少ノ登記ノ申請ヲ爲ス
場合ニ之ヲ準用ス
第二百一條ノ七第百九十三條ノ規定ハ
有限會社ノ解散ノ登記ニ付キ之ヲ準用
ス
第二百一條ノ八有限會社カ合併ニ因ル
變更ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ其
事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコト
ヲルス
-合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第二百一條ノ五第一號及ヒ第二
號ニ揭ケタル書類
四合併ニ關スル社員總會ノ議事錄
前項ノ場合ニ於テ合併ヲ爲ス會社ノ
方カ株式會社ナルトキハ其社債ノ償還
ヲ完了シタルコトヲ證スル書面ヲ併セ
テ添附スルコトヲ要ス
第二百一條ノ九有限會社カ合併ニ因ル
設立ノ登記ヲ申請スルニハ申請書ニ其
事由ヲ記載シ左ノ書類ヲ添附スルコト
ヲルメ
〓合併契約書
二第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
三第二百一條ノ四第一號及ヒ第二
號ニ揭ケタル書類
四有限會社法第六十二條ニ揭ケタ
ル社員總會ノ議事錄
五設立委員ノ資格ヲ證スル書面
前條第二項ノ規定ハ合併ヲ爲ス會社ノ
一方カ株式會社ナル場合ニ之ヲ準用ス
第二百一條ノ十第百九十四條ノ規定ハ
有限會社ノ繼續ノ登記ノ申請ヲ爲ス場
合ニ之ヲ準用ス
新ニ社員ヲ加入セシメタルトキハ之ヲ
證スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
有限會社法第七十五條第一項ノ準用ス
ル商法第九十七條ノ規定ニ依ル繼續ノ
登記ノ申請書ニハ判決ノ謄本ヲ併セテ
添附スルコトヲ要ス
第二百一條ノ十一資本ノ增加及ヒ減
少、解散、合併ニ因ル變更及ヒ設立竝
ニ繼續ノ登記ハ總取締役及ヒ總監査役
ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
第二百一條ノ十二有限會社ノ組織ヲ變
更シ株式會社ト爲シタル場合ニ於ケル
設立ノ登記ハ株式會社ノ總取締役及ヒ
總監査役ノ申請ニ因リテ之ヲ爲ス
申請書ニハ組織變更ノ事由ヲ記載シ左
ノ書類ヲ添附スルコトヲ要ス
一定款
二株式ノ引受ヲ證スル書面
三第百八十二條第二項ニ揭ケタル
書類
四會社ニ現存スル純財產額ヲ證ス
ル書面
五組織變更ニ關スル社員總會ノ議
事錄
第二百一條ノ十三第百八十四條ノ二、
第百八十八條乃至第百八十八條ノ三、
第百九十五條ノ二及ヒ第百九十五條ノ
四ノ規定ハ有限會社ニ之ヲ準用ス
第二百五條外國會社ノ支店カ裁判ニ因
リテ閉鎖セラレタルトキハ登記所ハ裁
判所ノ囑託ニ因リテ其登記ヲ爲スヘシ
第二百六條過料事件ハ他ノ法令ニ別段
ノ定アル場合ヲ除ク外過料ニ處セラル
ヘキ者ノ住所地ノ地方裁判所ノ管轄ト
ス
第二百八條ノ二裁判所ハ相當ト認ムル
トキハ當事者ノ陳述ヲ聽カスシテ過料
ノ裁判ヲ爲スコトヲ得
當事者及ヒ檢事ハ前項ノ裁判ノ告知ヲ
受ケタル日ヨリ一週間內ニ異議ノ申立
ヲ爲スコトヲ得前項ノ裁判ハ異議ノ申
立ニ依リテ其效力ヲ失フ
異議ノ申立アリタルトキハ裁判所ハ當
事者ノ陳述ヲ聽キタル上更ニ裁判ヲ爲
スヘシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ裁判所ノ受理シタル事件ニ
ハ從前ノ規定ヲ適用ス
商法中改正法律施行令ニ依リ同法第一
條ニ於テ謂フ舊法ヲ適用スベキ場合ニ付
テハ從前ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有ス他ノ
法令ノ適用上從前ノ規定ヲ適用スベキト
キ及他ノ法令中非訟事件手續法ヲ準用スル
場合ニ於テ改正規定ニ依ルコト能ハザル
トキ亦同ジ
本法施行ノ際現ニ他ノ法令ニ於テ第二百
六條乃至第二百八條ノ規定ヲ準用スル場
合ニ於テハ本法ニ依ル第二百六條ノ規定ノ
改正ニ拘ラズ第二百八條ノ二ノ規定ハ適
用セラルルコトナシ但シ當該法令ガ本法
施行後第二百六條乃至第二百八條ノ規定
ノ準用ヲ止メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
非訟事件手續法中改正法律案
(小字及-ハ貴族院修正)
非訟事件手續法中改正法律案中貴族院
修正ノ箇所左ノ如シ
第百三十八條ノ十五第百三十五條ノ二
十六乃至第百三十五條ノ三十七、第百
三十五條ノ三十八第二項、第百三十五
條ノ三十九乃至第百三十五條ノ四十一、
第百三十五條ノ四十三乃至第百三十五
條ノ四十六、第百三十五條ノ四十八乃至
第百三十五條ノ五十二、第百三十五條
ノ五十五乃至第百三十五條ノ五十七、
第百三十五條ノ五十八、第百三十五條
ノ六十及ヒ第百三十五條ノ六十一ノ規
定ハ特別〓算ニ關スル事件ニ之ヲ準用
ス
第二百一條ノ二中「第百九十五條ノ二」ヲ
〓第百八十條ノ二、第百八十八條ノ二、第百八
「〓第百九十五條ノ四」ニ改メ同條ヲ第二
十八條ノ三及ヒ
百一條ノ三トス
〔政府委員倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=77
-
078・倉元要一
○政府委員(倉元要一君) 只今議題トナリ
マシタ非訟事件手續法中改正法律案ニ付キ
マシテ、其ノ提案ノ趣旨ヲ御說明申上ゲタ
イト存ジマス
去ル第七十三回帝國議會ニ於テ御協賛ヲ
經マシタ商法中改正法律、商法中改正法律
施行法及ビ有限會社法ノ三法律ハ、既ニ昨年
四月中ソレ〓〓公布セラレマシテ、目下銳
意其ノ施行ノ準備ニ當ツテ居ルノデアリマ
スガ、御承知ノ如ク今囘ノ商法改正ハ商法總
則編及ビ會社編ニ付テデアリマシテ、會社、
殊ニ株式會社ノ制度ニ對シマシテハ根本的
ノ改正ガ加ヘラレ、之ヲ現行法ト比較致シ
マスルト、殆ド其ノ面目ヲ一新致シタノデ
アリマス、而シテ此ノ改正商法ノ一特色ハ、
裁判所ノ關與スベキ事項ガ著シク增加シタ
點デゴザイマシテ、其ノ大部分ハ非訟事件
トシテ處理セラレルノデアリマス、又有限
會社法ハ有限會社ナル新シイ會社形態ヲ認
メタモノデアリマシテ、之ニ關スル種々ノ
手續規定及ビ其ノ登記ニ關スル規定ヲ新設
スル必要ガアルノデアリマス、本案ハ右ノ
趣旨ヲ以テ、商法ノ改正及ビ有限會社法ノ
制定ニ伴ヒ、非訟事件手續法中ニ必要缺ク
ベカラザル規定ノ新設ト改正ヲ試ミ、之二
關聯シテ過料ノ裁判等ニ付キ一二必要ナル
改正ヲ附加シタモノデアリマシテ、其ノ詳
細ニ付キマシテハ、他ノ機會ニ十分ニ御說
明申上ゲル積リデアリマスルガ、何卒十分
御審議ノ上本案ニ對シ御協賛ヲ與ヘラレン
コトヲ切望致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=78
-
079・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=79
-
080・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出人事調停法
案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=80
-
081・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=81
-
082・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=82
-
083・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ハ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=83
-
084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=84
-
085・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ
議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本
日ハ是ニテ散會致シマス
午後三時四十八分散會
衆議院議事速記錄第九號中正誤
一三一頁二段七行目西岡竹次郞君ノ次ニ左ノ十
四名ヲ加フ
大麻唯男君木村正義君
池田秀雄君三善信房君
中野邦一君川副隆君
太田理一君則元卯太郞君
一ノ瀨俊民君中村不二男君
佐保畢雄君牧山耕藏君
增永元也君野田俊作君
衆議院議事速記錄第二十號中正誤
頁段行誤正
四一一一二設置設立
四一一三一二-一三支給セス支給セズ
衆議院議事速記錄第二十一號中
正誤
頁段行誤正
四二八三一非ザルモ非ザル者
ノ
四三〇二四取消シ、取消、
四三一四一七之ノ此ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02219390307&spkNum=85
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。