1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月十一日(土曜日)
午後一時三十八分開議
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議事日程 第二十三號
昭和十四年三月十一日
午後一時開議
第一 工業組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 大日本航空株式會社法案(政府提出) 第一讀會
第三 帝國鑛業開發株式會社法案(政府提出) 第一讀會
第四 船員保險法案(政府提出) 第一讀會
第五 青年學校令に依り就學せしめらるべき者の就業時間に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 著作權に關する仲介業務に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第七 昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳の各特別會計に於ける租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰入るることに關する件)(政府提出) 第一讀會
第八 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辨の爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第九 昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十 昭和七年法律第一號中改正法律案(滿洲事件に關する經費支辨の爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第十一 支那事變に關する特別賜金として交付する爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 災害被害者に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十三 登録税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十四 有價證券移轉税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十五 海運組合法案(政府提出) 第一讀會
第十六 造船事業法案(政府提出) 第一讀會
第十七 裁判所構成法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十八 臨時資金調整法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 産金法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 滿洲國に於ける領事官の裁判の廢止に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 借地借家臨時處理法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 公證人法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
帝國鑛業開發株式會社法案
船員保險法案
(以上三月九日提出)
青年學校令に依り就學せしめらるべき者の就業時間に關する法律案
著作權に關する仲介業務に關する法律案
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳の各特別會計に於ける租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰入るることに關する件)
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辨の爲公債發行に關する件)
昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案
昭和七年法律第一號中改正法律案(滿洲事件に關する經費支辨の爲公債發行に關する件)
支那事變に關する特別賜金として交付する爲公債發行に關する法律案
災害被害者に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する法律案
登録税法中改正法律案
有價證券移轉税法中改正法律案
海運組合法案
造船事業法案
昭和十二年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
昭和十二年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
昭和十二年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)
昭和十三年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
昭和十三年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
昭和十三年度特別會計豫備金外に於て豫算超過支出の件(承諾を求むる件)
(以上三月十日提出)
一去九日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮私設鐵道補助法中改正法律案
朝鮮鐵道株式會社所屬金泉慶北安東間鐵道買收の爲公債發行に關する法律案
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)
大正十四年法律第五十一號中改正法律案(關東州の生産に係る物品の輸入税免除等に關する件)
一議員より提出せられたる議案左の如し
一人一囘五圓以上の酒食遊興禁止に關する建議案
提出者
山崎常吉君 鈴木正吾君
縣社狹野神社を官幣社に昇格に關する建議案
提出者 陣軍吉君
新田義貞公及一黨の勤王事蹟に付教科書再檢討に關する建議案
提出者
熊谷五右衞門君 青木精一君
長谷長次君
津大阪兩市間道路の國道編入に關する建議案
提出者
川崎克君 松尾四郎君
田中万逸君 一松定吉君
池本甚四郎君
義務教育上級學童の伊勢大神宮參拜に關する建議案
提出者
手代木隆吉君 一柳仲次郎君
仲井間宗一君
河原田一身田間鐵道敷設に關する建議案
提出者 片岡恒一君
後藤寺上山田間鐵道敷設促進に關する建議案
提出者 松尾三藏君
飛行場設置に關する建議案
提出者
土屋寛君 名川侃市君
永山忠則君 山道襄一君
藤田若水君 古田喜三太君
作田高太郎君 岸田正記君
木原七郎君 宮澤裕君
肥田琢司君 森田福市君
望月圭介君
小學校兒童の齒科診療に關する建議案
提出者
杉山元治郎君 田中養達君
山田順策君
鶴岡大鳥間鐵道敷設に關する建議案
提出者 清水徳太郎君
國道九號線改修促進に關する建議案
提出者
佐藤謙之輔君 今成留之助君
水産時局對策確立に關する建議案
提出者
高木粂太郎君 青山憲三君
森肇君 多田滿長君
西川貞一君 小泉純也君
木下成太郎君 鈴木英雄君
田子一民君 大島寅吉君
岩瀬亮君 小見山七十五郎君
濱地文平君 助川啓四郎君
田中源三郎君 森幸太郎君
喜多壯一郎君 藤生安太郎君
高橋壽太郎君 手代木隆吉君
藤田若水君 長野綱良君
小山倉之助君 山本厚三君
卯尾田毅太郎君 高橋守平君
田中邦治君 愛野時一郎君
小野寅吉君 北れい吉君
豐田豐吉君 寺島權藏君
池田清秋君 杉山元治郎君
村上紋四郎君 大野一造君
庄晋太郎君 小山谷藏君
沖島鎌三君
私立大學總長及教職員待遇に關する建議案
提出者 高橋守平君
東亞指導者養成機關としての大學設立に關する建議案
提出者
木下成太郎君 末松偕一郎君
守屋榮夫君
支那關係醫療機關設置に關する建議案
提出者 田村秀吉君
支那各地に日本語學校設置に關する建議案
提出者 田村秀吉君
檢事局外に獨立せる起訴機關特設に關する建議案
提出者 田村秀吉君
行政裁判制度改善に關する建議案
提出者 田村秀吉君
專門學校程度の窯業教育機關設置に關する建議案
提出者
大野一造君 岡本實太郎君
服部英明君 塚本三君
内藤守正君 渡邊玉三郎君
地方食品卸賣市場法制定に關する建議案
提出者
牧野良三君 手代木隆吉君
岡田喜久治君 片岡恒一君
松尾三藏君 松尾孝之君
鶴惣市君 東條貞君
今井新造君
青年學校義務制確立強化に關する建議案
提出者
樋口善右衞門君 助川啓四郎君
蠶絲業統制に關する建議案
提出者 加藤知正君
葉煙草賠償價格引上に關する建議案
提出者
高田耘平君 多田滿長君
東郷實君 助川啓四郎君
徳佐高森間鐵道敷設速成に關する建議案
提出者 窪井義道君
佐賀縣に高等工業學校設置に關する建議案
提出者
池田秀雄君 中野邦一君
愛野時一郎君 田中亮一君
藤生安太郎君 一ノ瀬俊民君
飼料取締法規制定に關する建議案
提出者 立川平君
大畑港修築に關する建議案
提出者 小笠原八十美君
刑務所看守優遇に關する建議案
提出者 小笠原八十美君
帝國大學肅正に關する建議案
提出者
山道襄一君 末松偕一郎君
東武君 守屋榮夫君
椎尾辨匡君 田子一民君
生田和平君 窪井義道君
東郷實君 簡牛凡夫君
岡野龍一君 青木精一君
河上哲太君 原夫次郎君
長野綱良君 一松定吉君
伊豆富人君
土佐山田驛より徳島縣牟岐線海岸に至る鐵道敷設に關する建議案
提出者
田村秀吉君 紅露昭君
生田和平君 三木武夫君
秋田清君
府縣會議員選擧に無料郵便許可に關する建議案
提出者
須永好君 田原春次君
前川正一君
北九州工業地帶に省線高架線敷設促進に關する建議案
提出者 田原春次君
興信所法制定に關する建議案
提出者
松本治一郎君 田原春次君
伊豆七島に町村制施行に關する建議案
提出者
淺沼稻次郎君 中村高一君
三輪壽壯君 麻生久君
官幣中社英彦山神社昇格に關する建議案
提出者 田原春次君
石炭配給國營に關する建議案
提出者
加藤鐐造君 井上良次君
(以上三月九日提出)
助産師法案
提出者
中野寅吉君 紅露昭君
高岡大輔君
小名濱港第二期修築工事促進に關する建議案
提出者
釘本衞雄君 堀切善兵衞君
助川啓四郎君 山田六郎君
星一君 仲西三良君
阿武隈阿賀兩河川改修工事費追加及施行に關する建議案
提出者
釘本衞雄君 堀切善兵衞君
助川啓四郎君 山田六郎君
星一君 仲西三良君
福島縣に高等工業學校設置に關する建議案
提出者
釘本衞雄君 堀切善兵衞君
山田六郎君 助川啓四郎君
星一君
東洋各地方其の他へ視察議員團派遣に關する建議案
提出者 高橋圓三郎君
徳島縣に於ける阿波藍増産に關する建議案
提出者 紅露昭君
徳島縣に高等水産學校設置に關する建議案
提出者 紅露昭君
徳島高等工業學校の大學昇格に關する建議案
提出者 紅露昭君
橘港修築に關する建議案
提出者 紅露昭君
徳島港臨港鐵道敷設に關する建議案
提出者 紅露昭君
由岐漁港修築に關する建議案
提出者 紅露昭君
徳島市より名西郡山分各村に至る省營自動車運輸開始に關する建議案
提出者 紅露昭君
直江津港修築速成に關する建議案
提出者 丸山辨三郎君
國語のローマ字綴に關する建議案
提出者
芦田均君 宮澤胤勇君
笠井重治君 河野密君
博多港の第一種重要港灣指定に關する建議案
提出者
松本治一郎君 田原春次君
軍事扶助徹底に關する建議案
提出者 松本治一郎君
水上生活者アパート建設に關する建議案
提出者 河野密君
奈良市に高等工業學校設置に關する建議案
提出者 福井甚三君
五條新宮間鐵道速成に關する建議案
提出者
福井甚三君 森榮藏君
世耕弘一君
國道十五號線速成竝鋪裝に關する建議案
提出者
福井甚三君 森榮藏君
野見宿禰公顯彰に關する建議案
提出者
福井甚三君 藤生安太郎君
度量衡制度改正に關する建議案
提出者
東武君 福井甚三君
山道襄一君
徳島縣に四國帝國大學設置に關する建議案
提出者 紅露昭君
小學校教員の待遇改善に關する建議案
提出者
伊藤五郎君 森田重次郎君
釜石盛間鐵道速成に關する建議案
提出者
志賀和多利君 泉國三郎君
乳牛保護助成に關する建議案
提出者 松尾孝之君
農漁山村にゴム靴配給に關する建議案
提出者
小笠原八十美君 泉國三郎君
東播資源開發に關する建議案
提出者 小林絹治君
北九州に大規模の港灣修築に關する建議案
提出者
原口初太郎君 若宮貞夫君
鈴木英雄君 増永元也君
汚水煙害防除に關する建議案
提出者
大野伴睦君 森幸太郎君
伊那三信鳳來寺豐川各地方鐵道國營に關する建議案
提出者
北原阿智之助君 野溝勝君
戰時又は事變に際し應召せられたる者及其の家族の戸籍上優遇に關する建議案
提出者
小泉純也君 岡野龍一君
多田滿長君 西岡竹次郎君
石坂繁君 井上良次君
塚本重藏君 前川正一君
地方議會名譽職の待遇に關する建議案
提出者
小畑虎之助君 池本甚四郎君
長井源君 大野一造君
山本粂吉君
新宮若櫻間鐵道敷設に關する建議案
提出者
小畑虎之助君 田中武雄君
原惣兵衞君 清瀬一郎君
巴川改修に關する建議案
提出者
山田順策君 深澤豐太郎君
平野光雄君 山口忠五郎君
宮本雄一郎君
獸醫科の單科大學設置に關する建議案
提出者
森田重次郎君 伊藤五郎君
工場衞生設備改善及監督強化に關する建議案
提出者
小畑虎之助君 池本甚四郎君
度量衡制度改正に關する建議案
提出者
高田耘平君 村上國吉君
野村嘉六君
關西地方風水害復舊債償還年限延長及同債利子補給繼續に關する建議案
提出者
本田彌市郎君 池本甚四郎君
小畑虎之助君 西田郁平君
汽罐取締令改正に關する建議案
提出者
田中邦治君 小山邦太郎君
水戸市に文科大學設置に關する建議案
提出者
中崎俊秀君 山本粂吉君
豐田豐吉君
乳牛保護助成に關する建議案
提出者 深澤吉平君
徳島港の第二種重要港灣編入に關する建議案
提出者 紅露昭君
鍛冶屋原穴吹驛間鐵道敷設に關する建議案
提出者 三木武夫君
土御門天皇御史蹟指定に關する建議案
提出者 三木武夫君
(以上三月十日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
生命延長に關する質問主意書
提出者 南鼎三君
小運送業法及日本通運株式會社法實施に關する質問主意書
提出者 木檜三四郎君
(以上三月九日提出)
鋼材配給統制に關する質問主意書
提出者 中村高一君
(以上三月十日提出)
一去九日常任委員理事補闕選擧の結果左の如し
決算委員
理事 川俣清音君(委員井上良次君去九日理事辭任に付其の補闕)
一去九日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第九部選出請願委員 池崎忠孝君
一去九日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出)外二件委員
理事 大野一造君(委員宇賀四郎君去八日理事辭任に付其の補闕)
一去九日議長に於て選定したる委員左の如し
昭和十三年法律第六十四號中改正法律案(兌換銀行券の保證發行限度の臨時擴張に關する件)(政府提出)外一件委員
岡崎久次郎君 北原阿智之助君
大野一造君 松尾四郎君
松田正一君 清寛君
宮澤胤勇君 世耕弘一君
坂田道男君 野方次郎君
中田儀直君 武田徳三郎君
南鼎三君 田中亮一君
伊禮肇君 豐田收君
田万清臣君 今井新造君
船舶建造融資補給及損失補償法案(政府提出)委員
野田文一郎君 中川重春君
木原七郎君 山本厚三君
則元卯太郎君 小林房之助君
古島義英君 佐藤洋之助君
田中源三郎君 板谷順助君
濱地文平君 芦田均君
板野友造君 紅露昭君
春名成章君 青木精一君
岡崎憲君 小山亮君
映畫法案(政府提出)委員
福田悌夫君 小泉純也君
鶴見祐輔君 喜多壯一郎君
坂下仙一郎君 小林三郎君
伊藤五郎君 星島二郎君
岩瀬亮君 増永元也君
野口喜一君 江羅直三郎君
木村正義君 牧野良三君
高岡大輔君 赤松克麿君
田原春次君 三木武夫君
一去九日に於ける特別委員の異動左の如し
國際電氣通信株式會社法中改正法律案(政府提出)委員
辭任伊豆富人君 補闕安藤孝三君
辭任犬養健君 補闕永田良吉君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任深澤豐太郎君 補闕宮脇長吉君
職員健康保險法案(政府提出)委員
辭任道家齊一郎君 補闕田川大吉郎君
一昨十日平沼内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
保險院書記官 川村秀文
第七十四囘帝國議會厚生省所管事務政府委員被仰付
一昨十日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第九部選出
請願委員 小田榮君(池崎忠孝君補闕)
一昨十日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第四部選出決算委員 木村淺七君
一昨十日委員長及理事互選の結果左の如し
昭和十三年法律第六十四號中改正法律案(兌換銀行券の保證發行限度の臨時擴張に關する件)(政府提出)外一件委員
委員長 岡崎久次郎君
理事
北原阿智之助君 大野一造君
世耕弘一君 坂田道男君
船舶建造融資補給及損失補償法案(政府提出)委員
委員長 野田文一郎君
理事
中川重春君 木原七郎君
佐藤洋之助君 田中源三郎君
映畫法案(政府提出)委員
委員長 星島二郎君
理事
福田悌夫君 小泉純也君
岩瀬亮君 増永元也君
一昨十日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任田原春次君 補闕加藤鐐造君
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出)委員
辭任成島勇君 補闕北れい吉君
映畫法案(政府提出)委員
辭任牧野良三君 補闕紅露昭君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=1
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002・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第十八ヲ繰上ゲ上
程シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第十八、臨時資金調整法中改正法律
案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
告ヲ求メマス-委員長板谷順助君
第十八臨時資金調整法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一臨時資金調整法中改正法律案(政府提
出
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月九日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=4
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005・板谷順助
○板谷順助君 只今議題トナリマシタル臨
時資金調整法中改正法律案ノ委員會審議ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、先ヅ法
案ノ大要ヲ簡單ニ說明致シマス、今囘改正
ノ第一點ハ、資金ヲ支那事變處理ノ爲ニ緊
要ニシテ必要ナル方面ニ集中スル目的ヲ以
テ、事業設備ノ新設、擴張、又ハ改良ニ關
シ許可ヲ受クベキモノノ範圍ヲ擴張致シマ
シテ、個人及ビ會社以外ノ法人ニモ及ボサ
ントスル案デアリマス、第二點ハ、時局ニ
緊要ナル產業資金ガ增大シテ參リマシタノ
デ、日本興業銀行ガ資金調達力ヲ擴充スル
爲興業債劵ノ發行限度ヲ五億圓ヨリ十億
圓ニ擴張シ、右ニ關スル元本ノ償還及ビ利
息ノ支拂ニ付キマシテ、政府ノ保證限度ヲ
擴張セントスルノ案デアリマス、第三點ハ
事變ニ因ル政府撒布資金ノ吸收ニ資スル爲、
貯蓄債劵ノ發行限度ヲ二億圓ヨリ五億圓ニ
擴張セントスル案デアリマス、委員會ハ數
囘ニ亙リマシテ審議ヲ行ヒマシタガ、委員
ト政府當局トノ間ニ質疑應答ヲ重ネマシタ
ル中、主ナル問題ニ付キマシテ六點ダケ極
メテ簡單ニ〓要ヲ申上ゲマス
第一點ハ、本法ノ適用ヲ受ケル會社ヲ昨
夏資本金五十万圓ヨリ二十万圓ニ引下ゲタ
コトハ低キニ過ギルト思フ、個人ニテモ二
十万圓ノ會社ヲ作ル代リニ、是位ノ資本ヲ
集積シテ仕事ヲスルコトハ容易ト思フガ、
五十万圓ヨリ二十万圓ニ引ゲタ理由如何、
之ニ對シマスル政府ノ答辯ハ、資金調整强
化ノ意味カラ、物資ノ調整ヲ一步進メル必
要ガアツタノデ引下ゲタノデアル、又個人
トシテモ二十万圓ノ資本ヲ集メルニハ、金
融機關ノ手ヲ借リナケレバ必ズシモ容易デ
ナイ、ノミナラズ又事業設備ノ方面ヲモ取
締ル方針デアル、斯ウ云フ御答辯ガアツタ
ノデアリマス、第二點ハ事業設備ヲ廣イ
意味ニ解釋サレテ居ルガ、五万圓以上ノ事
業ニ要スル資金ハ、總テ此ノ資金調整法デ
制限ヲ受ケルト云フコトニナルノカ、之h
對スル政府ノ答辯ハ、此ノ法律ハ資金ト物
資トヲ不急不要ノ方面ニ使フコトヲ抑止ス
ル目的デ出來テ居ルノデアルカラ、不急ノ
モノハ出來ルダケ避ケテ貰ヒタイ、三万圓
以上ハ金融機關カラ借リル場合ハ、其ノ
機關ノ自治的調整ニ依ル、又自己資金
ニ依ル場合ハ、其ノ都度許可ヲ受クルコト
ニナツテ居ルト云フ答辯デアリマス、第三
點ハ、住宅ト營業店舗ヲ兼ネタル場合モ此
ノ適用ノ中ニ含マレテ居ルガ、餘リニ
嚴格ナ規定デアル、ウツカリ知ラズニ
店舗ヲ住宅ノ積リデ建テテ中止ヲ命ゼラル
ルコトトナルガ、此ノ點ハ今少シク狭ク解
釋スベキモノト思フ、殊ニ此ノ法律ノ施行
前ト施行後トノ狀態ニ付テハ誤解ヲ招キ易
イト思フカラ、餘程注意ヲ要スルト思フガ如
何、此ノ質問ニ對スル政府ノ答辯ハ、此ノ
資金調整法ヲ强化スル爲ニハ巳ムヲ得ヌ、
此ノ違反事件ヲ防グ爲ニハ、此ノ法律ヲ廣
ク國民ニ周知セシムル爲ニ、萬全ノ策ヲ講
ジタイト云フ答辯デアリマス、第四點ハ
資金調整法ノ第五條ニハ、此ノ法律ノ手續ハ
總テ日本銀行ニ取扱ハシメルコトニナツテ
居ルノニ、實際ハ更ニ大藏、商工ノ兩官廳
ノ諒解ヲ得ナケレバ許可ニナラヌヤウニナ
ツテ居ル現在ノ狀態デハ日本銀行ニ相當
ニ引掛ツテ居ツテ捗ラヌト云フガ如何、之
ニ對スル政府ノ答辯ハ、日本銀行ハ金融ノ
中心機關デアリ、官廳ヨリハ民間トノ接觸
ガ多イカラ、調整ノ效果ヲ圓滑ニヤリタイ
考カラデアル、尤モ大部分ノ仕事ハ日本銀
行ガ自己ノ判斷ニ依ツテ取扱ツテ居ルガ唯
重要ナル案件ニ付テハ資金審査委員會ニ掛
ヶ、原則トシテハ出來ルダケ十日以內ニ片
付ケタイ心組ミデ、今日ヤツテ居ルノデア
ルト云フ答辯デアリマス、第五點ハ、興業
銀行ノ貸出ハ時局以來非常ニ膨脹シ、現在
ノ資本金ノ二十倍ニモ達シテ居ルガ、將來
銀行ノ基礎ニ影響ヲ來スヤウナコトハナイ
カ、債劵發行限度ノ擴張ヲ漸進的ニヤツテ
ハドウカト云フ質問ニ對シテ、時局以來此
ノ法律ニ依ツテ事業資金トシテ使用サレタ
ル金額ハ、昭和十三年末マデニ合計四十一
億餘万圓デアル、此ノ內金融機關カラノ貸
付ニ依ルモノガ十四億四千六百餘万圓デア
リ、更ニ此ノ内興業銀行ノ貸出ガ四億九千
餘万圓アリ、將來生產擴充ニ伴ツテ資金ノ
需要ガ一段ト增シテ行クト思フガ、此ノ供
給ヲ圓滑ナラシムル爲、此ノ方面ノ金融ハ
經驗ト技能ニ於テ興業銀行ガ重要ナ役割ヲ
爲スコトガ適當ト考ヘル、又銀行ノ現在ノ
營業狀態ハ鞏固デアツテ、政府モ監督シテ
居ルカラ、聊モ懸念ハナイト信ズル、斯ウ
云フ答辯ガアツタノデアリマス、更ニ第六
點ト致シマシテ、投機資金ヲ抑ヘナケレバ
思惑ハ絕エナイ、隨テ物價高モ來シテ居ル
ガ、最近銀行ノ當座預金ガ增加シテ居リ、
此ノ預金ガ多ク投機ニ使用サレテ居ルト思
フガ、之ガ取締方法ハ如何、之ニ對スル政
府ノ答辯ハ、投機ニ因リ物價高ヲ來タシツ
ツアルコトニ付テハ、金融機關ニ對シ嚴重
ニ取締リツツアル、現ニ二月二十七日資金
調整局ニ依賴シ、日銀各支店ヲ通ジテ地方
銀行ニ通牒ヲ發シ、又外ニ地方長官ヲ經テ
通牒ヲ發シテ出來ルダケノ努力ヲ拂ツテ居
ル、斯ウ云フ答辯デアツタノデアリマス
以上ハ問答ノ主ナルモノノ一部デアリマ
スルガ、詳細ハ速記錄ヲ御覽ノ上御諒承ヲ
願ヒマス、斯クシテ質疑ヲ終リマシテ、別
ニ討論ナク、採決ノ結果總員起立、政府原
案通リ可決サレマシタ、以上御報告申上ゲ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=5
-
006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=6
-
007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=7
-
008・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=8
-
009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
臨時資金調整法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=10
-
011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=11
-
012・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第十九ヲ繰上ゲ上
程シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=12
-
013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、日程第
十九、產金法中改正法律案、第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
委員長八角三郞君
第十九產金法中改正法律案(政府提
円第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一產金法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月九日
委員長八角三郞
衆議院議長小山松壽殿
〔八角三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=14
-
015・八角三郎
○八角三郞君 只今議題トナリマシタ本案
委員會ノ經過ノ大要竝ニ結果ヲ御報告申上
ゲマス、本法案ノ改正ノ目的ハ、金ノ集中
ヲ圖リ以テ本邦ノ對外決濟力ノ充實ニ資ス
ル爲、此ノ際民間所在金ノ集中ヲ更ニ徹底
スルノ要アルニ顧ミ、政府ハ必要ナル場合
ユ金地金、金ノ合金、金ヲ主タル材料トス
ル物、又ハ金貨幣ヲ所有スル者ニ對シテ、
之ガ處分ニ付テ禁止若クハ制限ヲ爲シ、又
ハ之ヲ政府若クハ日本銀行、其ノ他政府ノ
指定スル者ニ賣却スベキコトヲ命ジ得ルノ
規定ヲ整ヘントスルモノデアリマス、委員
會ハ前後四囘ニ亙リ極メテ熱心ニ且ツ愼重
ニ審議ヲ重ネ、論議ヲ盡シタノデアリマス
ガ、其ノ質問ノ主ナルモノハ、第一、本案
ノ目的ヲ達スル爲ニハ先ヅ以テ產金奬勵ヲ
爲サザルベカラズ、之ガ達成ノ爲ノ具體的
諸件、第二、下級鑛山技術者ノ養成ト共ニ、
鑛山監督局ニ技術者乃至ハ熟練鑛夫ヲ存置
スル方法ニ關スルモノ、第三、金ノ劃期的
增產ヲ圖ラザルベカラザル現狀ニ於テ、產
金奬勵、金探鑛等ニ關シ是亦劃期的ノ考慮
ヲ拂ハザルベカラザルモノナルガ、是等ニ
對スル方策如何、第四、我國河川ノ狀況ニ鑑
ミ金增產ニハ砂金採取ヲ最モ簡易ナリトスル
ガ、之ニ對スル當局ノ措置如何、第五、我國
國際收支ノ見透シ如何、第六、金密輸出防止
ノ對策如何等デアリマシテ、之ニ對シ大藏、
商工兩省政府委員ヨリ懇切ナル答辯ガアリ
マシタガ、要スルニ我國國際收支ノ現在ニ照
シ、本案ハ極メテ時宜ニ適シタルモノナルモ、
是ト共ニ金ノ增產ニ付テ更ニ徹底的方策ヲ
講ズベシト云フノガ論議ノ中心デアリマシ
タ、詳細ハ速記錄ニ依リ御諒承ヲ願ヒマス、尙
ホ長谷委員ヨリ砂金採取ニ付最モ重要ナル
提議ガアリ、速記ヲ中止シテ政府ト委員ト
ノ間ニ懇談ヲ遂ゲ、政府ヨリハ十分之ヲ〓
究シ、實行ニ移シ得ベキモノハ速ニ實行致
シタイトノ答辯ガアリマシタ、斯クテ質疑
ヲ終リ討論ニ入リ、各黨各派ヲ代表セラル
ル諸君ハ、何レモ原案贊成ノ旨ヲ述ベラレ、
採決ノ結果滿場一致原案通リ可決セラレマ
シタ、以上御報〓致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=15
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016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=16
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017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=17
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018・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=18
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019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
產金法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=20
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021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=21
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022・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第二十乃至
二十二ノ三案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審
議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=22
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023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=23
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024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第二十、滿洲國ニ於ケル領事官ノ裁判
ノ廢止ニ關スル法律案、第二十一、借地借
家臨時處理法中改正法律案、第二十二、公
證人法中改正法律案、右三案ヲ一括シテ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求
メマス-委員長牧野賤男君
第二十滿洲キ於ケル領事官ノ裁判ノ
廢止ニ關スル法律案(政府提出、貴
族院送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十一借地借家臨時處理法中改正
法律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十二公證人法中改正法律案(政
府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一滿洲國ニ於ケル領事官ノ裁判ノ廢止ニ
關スル法律案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月八日
委員長牧野賤男
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一借地借家臨時處理法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月八日
委員長牧野賤男
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一公證人法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十日
委員長牧野賤男
衆議院議長小山松壽殿
〔牧野賤男君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=24
-
025・牧野賤男
○牧野賤男君 政府提出貴族院送付ノ滿洲
國ニ於ケル領事官ノ裁判ノ廢止ニ關スル法
律案、該案ニ關スル委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ昭和十二年十
一月調印セラレマシダ滿洲國ニ於ケル治外
法權ノ撤廢、及ビ南滿洲鐵道附屬地行政權
ノ委讓ニ關スル日本國、滿洲國間ノ條約ニ
依リマシテ、滿洲國ニ於ケル帝國領事官ハ
現ニ繫屬セル民事、刑事非訟事件ニ關シテ
ハ條約實施後ト雖モ引續キ從前ノ通リ領
事官ヲシテ處理セシメ居リマシタ所、今日
ノ情勢ニ於キマシテハ、特ニ領事官ヲシテ
取扱ハシムルノ必要ナキニ至リマシタ爲ニ、
右領事官ノ管轄ヲ有スル是等ノ事務ハ、爾
後之ヲ朝鮮總督府裁判所(間島ニ於ケル刑
事事件一件)又ハ關東法院(民事、刑事事件
ノ本案ナク假差押、假處分十數件アルノミ)
ニ移管セントスル趣旨デアリマス、委員會
ニ於キマシテハ、治外法權撤廢後ノ滿洲國
ノ治安ニ關シ、又領事官ノ取扱ニ係ハル事
件ノ種類、件數、朝鮮ニ於ケル裁判官ノ任
用待遇ニ關シ、及ビ滿洲國ト第三國トノ治
外法權撤廢ニ關スル質問ガアリマシタガ、
別ニ本案ノ内容ニ付テノ疑義ハナイノデア
リマシテ、一見極メテ明瞭デアリマスル爲
ニ、滿場一致ヲ以テ本案ハ可決致シタ次第
デアリマス
次ニ政府提出貴族院送付ノ借地借家臨時
處理法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結
果ニ付テ御報告申上ゲマス、該法案ハ借地
借家臨時處理法附則第三項中「昭和十四年
四月三十日」トアリマスモノヲ「昭和二十三
年四月三十日」ニ改ムルト云フ案デアリマ
ス、卽チ該法律ノ有效期限ヲ十箇年延期ス
ルト云フ法律案デアリマス、關東震災地區
ニ於キマスル假設建築物除却期限ノ延期、
卽チ「バラック」取拂延期ニ伴ヒマシテ、是
ヨリ生ズル所ノ事件ヲ支配スル借地借家臨
時處理法デアリマスカラ、此ノ取拂ガ延期
ニナリマスルト同時ニ、此ノ法律モ延期シ
テ置ク方ガ適當デアルト云フ案デアリマ
ス、委員會ニ於キマシテハ、旣往現在ニ於
キマスル事件ノ狀況ニ付テ相當緻密ナ質問
ガアリマシタガ、案其ノモノニ對シテハ別
段ノ異論モアリマセヌ、卽チ滿場一致ヲ以
テ可決致シタ次第デアリマス
次ニ政府提出、貴族院送付ノ公證人法中
改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ニ付テ
御報告申上ゲマス、御承知ノ通リ商法改正
ノ結果、株式會社及ビ株式合資會社ノ定款
ハ、公證人ノ認證ヲ受クルニアラザレバ、
效力ヲ有シナイコトニナツタノデアリマ
ス、又別ニ有限會社法ガ制定セラレマシ
テ、其ノ定款モ亦同ジク公證人ノ認證ヲ要
スルコトト相成ツタノデアリマス、隨テ公
證人法中ニ是ガ規定ヲ設クベキデアリマシ
タガ、今日マデ其ノ運ビニ至ツテ居ナイノ
デアリマス、然ルニ愈〓改正商法竝ニ有限會
社法ノ實施モ近ヅイテ參ツタノデアリマシ
テ、其ノ欠缺ヲ補フ爲ニ本法案ガ提出セラ
レタノデアリマス、委員會ニ於キマシテ
ハ、種々公證人ノ職務上ニ關スル質問應答
ガアリマシタガ、結局本案ハ滿場一致ヲ以
テ可決致シタ次第デアリマス、此段御報〓
申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=26
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027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第一一讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=27
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028・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
滿洲國ニ於ケル領事官ノ裁判ノ廢止ニ關
スル法律案第二讀會(確定議)
借地借家臨時處理法中改正法律案
第二讀會(確定議)
公證人法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=30
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031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=31
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032・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第三ヲ繰上
ゲ上程シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=32
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033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=33
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034・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第三、帝國鑛業開發株式會社法案、第
一讀會ヲ開キマス-商工政務次官今井健
彥君
第三帝國鑛業開發株式會社法案(政府
提出)第一讀會
帝國鑛業開發株式會社法案
帝國鑛業開發株式會社法
第一章總則
第一條帝國鑛業開發株式會社ハ重要鑛
物(金鑛及砂金ヲ除ク以下之ニ同ジ)ノ
き
資源ノ開發ヲ促進シ其ノ增產ヲ圖ル爲
必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル
株式會社トス
第二條帝國鑛業開發株式會社ハ其ノ本
店ヲ東京市ニ置ク
帝國鑛業開發株式會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ支店又ハ出張所ヲ設クルコトヲ得
第三條帝國鑛業開發株式會社ノ資本ハ
三千萬圓トシ內千五百萬圓ハ政府ノ出
資トス
帝國鑛業開發株式會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第四條帝國鑛業開發株式會社ノ株式ハ
記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民
又ハ帝國法人ニ限リ之ヲ所有スルコト
ヲ得
第五條帝國鑛業開發株式會社ノ存立期
間ハ設立登記ノ日ヨリ三十年トス但シ政
府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第六條帝國鑛業開發株式會社ニ非ザル
モノハ帝國鑛業開發株式會社又ハ之ニ
類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコト
ヲタル、
第二章役員
第七條帝國鑛業開發株式會社ニ社長副
社長各一人、理事三人以上及監事二人
以上ヲ置ク
第八條社長ハ帝國鑛業開發株式會社ヲ
代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副社長及理事ハ社長ヲ補助シ帝國鑛業
開發株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ帝國鑛業開發株式會社ノ業務ヲ
監査ス
第九條社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ二倍
ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ
命ジ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ
選任シ其ノ任期ヲ二年トス
第十條社長、副社長及理事ハ他ノ職務
又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政
府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第三章營業
第十一條帝國鑛業開發株式會社ハ左ノ
營業ヲ營ムモノトス
-重要鑛物ヲ目的トスル鑛業(砂鑛
業ヲ含ム以下之ニ同ジ)
二重要鑛物ニ關スル鑛床ノ調査
三重要鑛物ヲ目的トスル鑛業ニ對ス
ル技術ニ關スル指導
四重要鑛物ノ賣買又ハ其ノ斡旋
五重要鑛物ヲ目的トスル鑛業又ハ製
鍊業ノ爲必要ナル器具、機械、材料
又ハ設備ノ賣買
六重要鑛物ヲ目的トスル鑛業又ハ製
鍊業ニ對スル資金ノ融通又ハ投資
帝國鑛業開發株式會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ前項ノ事業ノ外本會社ノ目的達成
上必要ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第十二條日本興業銀行ハ前條第一項第
六號ノ事業ニ關シ帝國鑛業開發株式會
社ノ業務ノ一部ヲ代理スルコトヲ得
帝國鑛業開發株式會社日本興業銀行ヲ
シテ業務ノ一部ヲ代理セシメントスル
トキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第四章鑛業開發債劵
第十三條帝國鑛業開發株式會社ハ拂込
ミタル株金額ノ五倍ヲ限リ鑛業開發債
劵ヲ發行スルコトヲ得
鑛業開發債劵ヲ發行スル場合ニ於ケル
株主總會ノ決議ハ資本ノ半額以上ニ當
ル株主出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以
テ之ヲ爲スコトヲ得
第十四條鑛業開發債劵ヲ發行セントス
ル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十五條政府ハ鑛業開發債劵ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ
得
第十六條鑛業開發債劵ハ無記名式トス
但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ因リ記
名式ト爲スコトヲ得
第十七條鑛業開發債劵ノ所有者ハ帝國
鑛業開發株式會社ノ財產ニ付他ノ債權
者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル
權利ヲ有ス
第十八條帝國鑛業開發株式會社ハ社債
借換ノ爲一時第十三條ノ制限ニ依ラ
ズ鑛業開發債劵ヲ發行スルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ發行後一月以內ニ其ノ
社債總額ニ相當スル舊鑛業開發債劵ヲ
償還スベシ
第五章準備金
第十九條帝國鑛業開發株式會社ハ每營
業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補
フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ
且利益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金
額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第六章監督及助成
第二十條政府ハ帝國鑛業開發株式會社
ノ業務ヲ監督ス
第二十一條帝國鑛業開發株式會社借入
金ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ
受クベシ
第二十二條定款ノ變更、利益金ノ處分、
合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十三條帝國鑛業開發株式會社ハ每
營業年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十四條政府ハ帝國鑛業開發株式會
社ノ業務ニ關シ監督上又ハ重要鑛物ノ
增產上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ重要鑛物ノ增產上必
要ナル命令ヲ爲シタルトキハ政府ハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ之ニ因リ生ジタル
損失ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十五條政府ハ帝國鑛業開發株式會
社監理官ヲ置キ帝國鑛業開發株式會社
ノ業務ヲ監視セシム
第二十六條帝國鑛業開發株式會社監理
官ハ何時ニテモ帝國鑛業開發株式會社
ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査
スルコトヲ得
帝國鑛業開發株式會社m理官必要ト認
ムルトキハ何時ニテモ帝國鑛業開發株
式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算
及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
帝國鑛業開發株式會社監理官ハ株主總
會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳
述スルコトヲ得
第二十七條政府帝國鑛業開發株式會社
ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ
基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ
公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ
取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十八條帝國鑛業開發株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對
シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十九條帝國鑛業開發株式會社ノ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割
合ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度
及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ
金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ初營業
年度ヲ除キ每營業年度ニ於テハ政府以
外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株
金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當ス
ル額竝ニ當該營業年度ニ於テ支拂ヒタ
ル鑛業開發債劵及借入金ノ利息額ノ合
計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還
ニ充ツベシ
初營業年度及爾後五年間ニ於ケル配當
シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ
年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ其
ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツ
ベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙
殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看
做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年
度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金
ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益
金ト看做ス
第三十條帝國鑛業開發株式會社ノ每營
業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合
ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ
所有スル株式ニ對シ年百分ノ六ノ割合
ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキハ
其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ總
株式ニ付拂込ミクル株金額ニ對シ均一
ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有
スル株式ノ拂込ミタル株金額又政府ノ
所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對
シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベ
シ
第三十一條帝國鑛業開發株式會社ニハ
命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其ノ
翌年ヨリ十年間其ノ事業ニ付所得稅及
營業收益稅ヲ免除ス
第三十二條北海道、府縣及市町村其ノ
他之ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依
リ所得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタ
ル期間帝國鑛業開發株式會社ノ事業ニ
對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特
別ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七章罰則
第三十三條帝國鑛業開發株式會社左ノ
各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社
長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ
五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理
事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ
理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
-本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ
於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第十一條ノ規定ニ依ラズシテ業務
ヲ營ミタルトキ
三第十三條ノ規定ニ違反シ鑛業開發
債劵ヲ發行シタルトキ
四第十八條ノ規定ニ違反シ鑛業開發
債劵ノ償還ヲ爲サザルトキ
五第二十四條ノ規定ニ基キテ爲シタ
ル命令ニ違反シタルトキ
第三十四條帝國鑛業開發株式會社ノ社
長、副社長又ハ理事第十條ノ規定ニ違
反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十五條第六條ノ規定ニ違反シタル
者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十六條非訟事件手續法第一百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前三條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
第三十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十八條政府ハ設立委員ヲ命ジ帝國
鑛業開發株式會社ノ設立ニ關スル一切
ノ事務ヲ處理セシム
第三十九條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第四十條前條ノ認可アリタルトキハ設
立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツベ
キ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株
主ヲ募集スベシ
第四十一條株式申込證ニハ定款認可ノ
年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第
二號、第四號及第五號ニ規定スル事項
ヲ記載スベシ
第四十二條設立委員株主ノ募集ヲ終リ
タルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出シ
其ノ檢査ヲ受クベシ
第四十三條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂
込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ
遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第四十四條創立總會ニ於テハ第九條ノ
規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ
選任ヲ行フベシ
第四十五條創立總會終結シタルトキハ
設立委員ハ其ノ事務ヲ帝國鑛業開發株
式會社社長ニ引渡スベシ
第四十六條本法施行ノ際帝國鑛業開發
株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ商
號ト爲ス會社ハ本法施行後六月以內ニ
其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第三十五條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ
前項ニ揭グル者ニ適用セズ
第四十七條登錄稅法第六條第一項第十
一號中「又ハ產金振興債劵」ヲ「、產金振
興債劵又ハ鑛業開發債劵」三段人
〔政府委員今井健彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=34
-
035・今井健彦
○政府委員(今井健彥君) 只今議題トナリ
マシタ帝國鑛業開發株式會社法案ノ提案ノ
理由ヲ御說明申上ゲマス、銅、鉛、亞鉛、錫
等ヲ初メ各種ノ所謂重要鑛物ハ、玆ニ事新
シク申述ベルマデモナク、國防上竝ニ產業
上ノ基礎的資材デアリマシテ、隨テ之ガ供
給ヲ確保致シマスルコトハ、國防上竝ニ產
業上極メテ緊要ナル事柄デアリマス、飜ツ
テ我國ニ於ケル是等重要鑛物ノ需給狀態ニ
付テ之ヲ見マスルニ、今次ノ支那事變發生
以來、其ノ需要ノ增加ハ特ニ著シキモノガ
アルノデアリマシテ、是等重要鑛物ノ國內
生產ノ增加ハ、能ク之ニ追隨シ得ザル實情
ニアルノデアリマス、政府ニ於キマシテハ
諸般ノ情勢ニ鑑ミ、昨年第七十三囘帝國議
會ノ御協贊ヲ經マシテ、重要鑛物增產法ヲ
制定施行シ、之ヲ樞軸ト致シマシテ、重要
鑛物ノ增產促進ニ關スル種々ノ方策ヲ實施
シテ居ル次第デアルノデアリマスガ、何分
ニモ之ガ需要ノ增加ハ極メテ急激ナルモノ
デアリマシテ、斯ル實情ニ卽應シ、併セテ
長期建設ノ將來ニ備ヘンガ爲ニハ、更ニ新
ナル增產達成ノ方策ヲ樹立シ、速ニ之ヲ實
施シテ、是等重要鑛物供給ノ增加ニ努ムル
コトガ不可缺ノ要務デアルト認メラルルノ
デアリマス、而シテ是等重要鑛物ノ增產實
現ノ方策ト致シマシテハ、種々考ヘ得ラレル
ノデアリマスルガ、先ヅ第一ニ本邦ニ於ケ
ル是等鑛物資源ノ賦存狀態ヨリ之ヲ見マシ
テ、所謂休眠鑛區ノ積極的開發ヲ促進致シ
マスルト共ニ、低品位鑛石ノ活用ヲ實現致
シマスコトガ、有效且ツ緊要ナル事柄デア
ルト存ズルノデアリマス、今日各鑛山ニ於
キマシテハ、極力其ノ生產力擴充ニ努メツ
ツアルノデアリマシテ、此ノ方面カラ大イ
ニ增產ヲ期待シテ居ルノデアリマスガ、是
ト同時ニ其ノ數ニ於テ極メテ多數ニ上ツテ
居リマスル所謂休眠鑛區ノ活動ヲ促シ、又
多量ニ埋藏セラレテ居リマスル低品位鑛石ノ
利用ヲ圖リマスコトハ、我國ノ實情ト致シ
マシテハ、何トシテモ之ヲ實施シナケレバ
ナラヌコトト考ヘルノデアリマス、又今後
是等ノ不足重要鑛物ノ增產ヲ確保致シテ參
リマスル爲ニハ、鑛物ノ生產上缺クベカラ
ザル具體的ナル探鑛、試錐等ノ鑛床調査ニ
關スル事項ニ付キマシテ、十分力ヲ致スコ
トガ絕對ニ必要デアリマス、卽チ國家ノ施
設ニ竝行シテ探鑛調査等ヲ汎ク行ヒ、以テ
國內鑛物資源ノ遺憾ナキ利用ニ資スルコト
ガ緊要デアルト存ズルノデアリマス、以上
ノ外、當面ノ是等重要鑛物ノ飛躍的ナル需
要增加ニ對處シテ、生產ノ增加ヲ圖ツテ
參リマスガ爲ニハ、鑛石ノ取引條件等ニ
層ノ公明化ヲ期シ、或ハ鑛物增產計畫ノ遂
行上必要テル資金ノ調達ニ便宜ヲ圖リ、其
ノ他特ニ中小鑛山ニ於ケル作業能率ノ向上
ニ努ムル等ノ事柄ヲ、實現致サナケレバナ
ラヌト考ヘルノデアリマス、併シナガラ是
等ノ事業ハ、其ノ性質上何レモ公正ナル國
家的ノ機關ニ依ツテ經營セラレルコトガ必
要デアルノデアリマシテ、之ヲ單ナル民間
ノ企業ニ期待スルコトハ不可能デアルト思
料セラレルノデアリマス、是レ玆ニ新ニ法
律ニ依リ半官半民ノ特殊會社タル帝國鑛業
開發株式會社ヲ設立シテ、是等ノ事業ニ當
ラシメントスル所以デアリマス、卽チ本會
社ノ設立ハ、現在及ビ將來ノ時局ニ於キマ
シテ、最モ緊要ナル銅、鉛亞鉛、錫其
ノ他ノ所謂非鐵金屬ノ增產達成上、必要缺
クベカラザル事柄デアルト信ズルモノデア
リマス、何卒御審議ノ上御協贊アランコト
ヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=35
-
036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=36
-
037・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出昭和十二年
法律第五十七號中改正法律案外一件委員ニ
併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=37
-
038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=38
-
039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=39
-
040・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第五乃至第十四ノ
十案ヲ繰上ゲ上程シ、逐次其ノ審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=40
-
041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=41
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042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第五、靑年學校令ニ依リ就學セシメラ
ルベキ者ノ就業時間ニ關スル法律案、第
讀會ヲ開キマス-廣瀨厚生大臣
第五靑年學校令ニ依リ就學セシメラ
ルベキ者ノ就業時間ニ關スル法律案
(政府提出)第一讀會
靑年學校令ニ依リ就學セシメラルベキ
者ノ就業時間ニ關スル法律案
工場法、鑛業法ニ基キテ發スル命令又ハ
商店法中就業時間數ノ制限ニ關スル規定
ヲ靑年學校令ニ依リ就學セシメラルベキ
者ニシテ十六歲未滿ノモノニ付適用スル
場合ニ於テハ其ノ者ガ履修スベキ義務課
程タル一日ノ〓授及訓練時間ハ之ヲ就業
時間ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=42
-
043・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今議題トナリ
マシタ靑年學校令ニ依リ就學セシメラルベ
キ者ノ就業時間ニ關スル法律案ニ付キマシ
テ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、靑年學
校ノ義務制ハ昭和十四年度ヨリ實施サレル
豫定デアリマス、隨テ工場、鑛山、商店等
ニ働ク者モ、靑年學校ニ就學セシメラルル
コトト相成ルノデアリマス、現在工場、鑛
山又ハ商店ニ働イテ居リマス十六歲未滿ノ
者ニ付テハ、旣ニ工場法、鑛業法ニ基ク命
令、又ハ商店法ニ於テ就業時間ノ制限ヲ設
ケ、年少者ニ對シ特別ノ保護ヲ圖ツテ居ル
ノデアリマス、然ルニ是等ノ者ニ付テ國家
ガ靑年學校ノ就學ヲ義務トシテ命ズル場合
ニ於テ、其ノ者ノ就業時間ニ對シ新ニ制限
ヲ設ケナイト致シマスレバ、勢ヒ是等ノ年少
者ハソレ〓〓ノ法令ニ於テ許サレテ居リマ
ス最長時間ノ勞働ニ加フルニ、更ニ今囘ノ
靑年學校義務制ニ依ル〓育ヲ受クルコトト
ナルノデアリマシテ、其ノ結果ハ明ニ年少
者ニ心身ノ負擔ヲ加重セシメルノデアリマス
一面ニ於テ靑年學校ヲ義務制ト致シマス
所以ハ、社會ノ實務ニ從事スル靑年ノ〓育
ヲ一段ト徹底セシムルコトガ、今日ノ我ガ
國情ニ鑑ミ極メテ緊要ナコトト考ヘラレタ
カラデアリマス、而シテ是ガ〓育ノ效果ヲ
擧ゲマス爲ニハ、就學セシメラルベキ者ニ
對シマシテ、適當ナル保護ヲ與フルノ必要ガ
アルノデアリマス、以上ノヤウナ趣旨カラ、
靑年學校令ニ依リ就學セシメラルベキ者ノ
就業時間ニ新ニ制限ヲ加ヘル必要ヲ認メ、茲
ニ本法案ヲ提出シタ次第デアリマス、本法
案ノ內容ハ、工場法、鑛業法ニ基ク命令、
又ハ商店法ニ於テ定メラレテ居リマス就業
時間數ノ制限ニ關スル規定ヲ、靑年學校令
ニ依リ就學セシメラルベキ者ニシテ、十六
歲未滿ノ者ニ適用スル場合ニ於テハ、靑年
學校ニ於ケル〓授及ビ訓練時間ハ、之ヲ就
業時間ト同一ニ取扱フコトト致シタノデア
リマス、以上ハ本法案ノ〓要デアリマス、
何卒愼重御審議ノ上御協賛アランコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=43
-
044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=44
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045・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出靑年學校〓
育費國庫補助法案委員ニ併セ付託サレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=46
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047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
六、著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案ノ第一讀會ヲ開キマス-木戶內務大臣
第六著作權ニ關スル仲介業務ニ關ス
ル法律案(政府提出)第一讀會
著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案
第一條本法ニ於テ著作權ニ關スル仲介
業務ト稱スルハ著作物ノ出版、翻譯、興
行、放送、映畫化、寫調其ノ他ノ方法
ニ依ル利用ニ關スル契約ニ付著作權者
ノ爲ニ代理又ハ媒介ヲ業トシテ爲スヲ
謂フ
著作權ノ移轉ヲ受ケ他人ノ爲ニ一定ノ
目的ニ從ヒ著作物ヲ管理スルノ行爲ヲ
業トシテ爲スハ之ヲ著作權ニ關スル仲
介業務ト看做ス
前二項ノ著作物ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之
ヲタム
第二條著作權ニ關スル仲介業務ヲ爲サ
ントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業
務ノ範圍及業務執行ノ方法ヲ定メ主務
大臣ノ許可ヲ受クベシ
第三條前條ノ許可ヲ受ケタル者(以下仲
介人ト稱ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ著
作物使用料規程ヲ定メ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
前項ノ認可ノ申請アリタルトキハ主務
大臣ハ其ノ要領ヲ公〓ス
出版ヲ業トスル者ノ組織スル團體、興
行ヲ業トスル者ノ組織スル團體其ノ他
命令ヲ以テ定ムル者ハ前項ノ要領ニ付
公〓ノ日ヨリ一月以內ニ主務大臣ニ意
見ヲ具申スルコトヲ得
主務大臣第一項ノ認可ヲ爲サントスル
トキハ公〓ノ日ヨリ一月ヲ經過シタル
後著作權審査會ニ諮問スベシ前項ノ規
定ニ依リ意見ノ具申アリタルトキハ著
作權審査會ニ之ヲ提出スルコトヲ要ス
第四條仲介人ハ義務ノ範圍又ハ業務執
行ノ方法ヲ變更セントスルトキハ主務
大臣ノ許可ヲ受クベシ
第五條仲介人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
業務報告書及會計報告書ヲ主務大臣ニ
提出スベシ
第六條主務大臣ハ何時ニテモ仲介人ヲ
シテ其ノ業務ニ關スル報告ヲ爲サシメ
又ハ其ノ帳簿書類ヲ提出セシムルコト
ヲ得
第七條主務大臣ハ何時ニテモ當該官吏
ヲシテ仲介人ノ事務所其ノ他ノ場所ニ
臨檢シ其ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査セ
シムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ
身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第八條主務大臣ハ仲介人ノ業務又ハ財
產ノ狀況ニ依リ必要ト認ムルトキハ業
務執行ノ方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他必要
ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第九條仲介人本法若ハ本法ニ基キテ發
スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違
反シタルトキ又ハ其ノ業務ニ關シ公益
ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキハ主務大
臣ハ第二條ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業
務ヲ停止シ若ハ制限スルコトヲ得
第十條第二條ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケ
ズシテ著作權ニ關スル仲介業務ヲ爲シ
タル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條仲介人左ノ各號ノ一ニ該當ス
ルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第二條又ハ第四條ノ規定ニ依リ許
可ヲ受ケタル業務ノ範圍ヲ超エ業務
ヲ爲シタルトキ
二第九條ノ規定ニ依ル業務ノ停止又
ハ制限ニ違反シタルトキ
第十二條仲介人左ノ各號ノ一ニ該當ス
ルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
ー第二條又ハ第四條ノ規定ニ依リ許
可ヲ受ケタル業務ノ執行方法ニ依ラ
ズシテ業務ヲ爲シタルトキ
二第三條第一項ノ規定ニ依リ認可ヲ
受ケタル著作物使用料規程ニ依ラズ
シテ業務ヲ爲シタルトキ
三第五條ノ規定ニ依ル業務報告書若
ハ會計報〓書ヲ提出セズ又ハ之ニ虚
僞ノ記載ヲ爲シタルトキ
四第六條ノ規定ニ依ル報〓ヲ爲サズ
若ハ虛僞ノ報告ヲ爲シ又ハ帳簿書類
ヲ提出セザルトキ
五第八條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タルトキ
第十三條第七條ノ規定ニ依ル臨檢檢査
ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百
圓以下ノ罰金ニ處ス
第十四條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十條乃
至第十二條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキ
ハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デ
ザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコト
ヲ図ヲ
第十五條第十條乃至第十二條ノ罰則ハ
其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ
法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年
者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代
理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ著作權ニ關スル仲介業
務ヲ爲ス者又ハ其ノ業務ヲ承繼シタル者
ハ本法施行ノ日ヨリ三月ヲ限リ第二條ノ
規定ニ拘ラズ其ノ業務ヲ爲スコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ
許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ
對スル許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前
項ニ同ジ
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=47
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048・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 只今上程ニ
ナリマシタ著作權ニ關スル仲介業務ニ關ス
ル法律案ノ提案理由ヲ御說明申上ゲマス
文化ノ發達竝ニ之ガ普及ヲ期スル爲ニ
ハ、著作者ノ權利ヲ尊重スルト共ニ、又著
作物ノ利用ヲ圓滑ナラシメナケレバナラヌ
ノデアリマスガ、從來我國ニ於キマシテ
ハ、著作者ノ權利ヲ尊重スルノ觀念ハ未ダ
尙ホ十分ナラズ、又海外ノ著作物ヲ利用ス
ル上ニモ、地理的關係等ニ因リマシテ、常
ニ不便ヲ感ジテ居ルノ實情デアリマス、政
府ハ此ノ實情ニ鑑ミマシテ、著作物利用ニ
關スル堅實ナル仲介機關ノ發達ヲ促シ、以
テ著作者ノ利益ヲ擁護スルト共ニ、著作物
利用ノ簡易化ヲ圖ルノ必要アリト認メマシ
テ、本案ヲ提出スルコトニ致シマシタ次第
デアリマス、法案ノ趣旨ハ、著作權ニ關ス
ル仲介業務ニ許可制度ヲ設ケ、其ノ業務ノ
執行ニ對シ適正ナル監督ヲ加ヘントスルニ
在ルノデアリマス、何卒御審議ノ上御協賛
アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=49
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050・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出映畫法案委
員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部サンノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
七乃至第十四ハ便宜上一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=52
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053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第七、昭和十三年法律第二十
三號中改正法律案、日程第八、昭和十二年
法律第八十四號中改正法律案、日程第九、
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債追加發行ニ關ル法律案、日程第十、
昭和七年法律第一號中改正法律案、日程第
十一、支那事變ニ關スル特別賜金トシテ交
付スル爲公債發行ニ關スル法律案、日程第
十二、災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵
收猶豫等ニ關スル法律案、日程第十三、登
錄稅法中改正法律案、日程第十四、有價證
劵移轉稅法中改正法律案、右八案ヲ一括シ
テ第一讀會ヲ開キマス-石渡大藏大臣
第七昭和十三年法律第二十三號中改
正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣
總督府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケ
ル租稅收入ノ一部ニ相當スル金額等
ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルルコ
トニ關スル件)(政府提出)第一讀會
第八昭和十二年法律第八十四號中改
正法律案(支那事變ニ關スル臨時軍事
費支辨ノ爲公債發行ニ關スル件)(政
府提出)第一讀會
第九昭和十四年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關スル
法律案(政府提出)第一讀會
第十昭和七年法律第一號中改正法律
案(滿洲事件ニ關スル經費支辨ノ爲
公債發行ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會
第十一支那事變ニ關スル特別賜金ト
シテ交付スル爲公債發行ニ關スル法
律案(政府提出)第一讀會
第十二災害被害者ニ對スル租稅ノ減
免、徵收猶豫等ニ關スル法律案政
府提出)第一讀會
第十三登錄稅法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第十四有價證券移轉稅法中改正法律
案(政府提出)第一讀會
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案
昭和十三年法律第二十三號中左ノ通改正
ス
第一條關東局、朝鮮總督府、臺灣總督
府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル所得
税法人資本稅、〓涼飮料稅、砂糖消
費稅、取引所稅、出港稅、印紙稅又ハ
臨時利得稅ノ昭和十三年度以降ノ增徵
ニ因ル增收額及利益配當稅、公債及社
債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場
税物品稅、建築稅、遊興飮食稅又ハ
遊興稅ノ創設ニ因ル收入額中勅令ノ定
ムル金額ハ每年度豫算ノ定ムル所ニ依
リ之ヲ當該特別會計ヨリ臨時軍事費特
別會計ニ繰入ルベシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「六十四億七千六百二十萬圓」ヲ「百四億
三十萬圓」三段八
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
政府ハ昭和十四年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金
額ノ外三億六千三百三十萬圓ヲ限リ公債
ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減額
ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前項
ノ制限以外ニ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和七年法律第一號中改正法律案
昭和七年法律第一號中左ノ通改正ス
「十三億八千五百萬圓」ヲ「十七億三千二
百六十萬圓」ゴルム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
支那事變ニ關スル特別賜金トシテ交付
スル爲公債發行ニ關スル法律案
政府ハ支那事變ニ關スル特別賜金トシテ
交付スル爲之ニ必要ナル額ヲ限度トシ公
債ヲ發行スルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收
猶豫等ニ關スル法律案
第一條政府ハ北海道又ハ府縣ノ全部又
ハ一部ニ亘リ震災其ノ他ノ被害甚大ナ
ル災害アリタル場合ニ於テ特ニ必要ア
リト認ムルトキハ災害ニ因ル被害者ノ
納付スベキ國稅及災害ニ因ル被害物件
ニ對シ課セラルベキ國稅ニ付勅令ノ定
ムル所ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除スルコ
トヲ得
第二條政府ハ前條ノ災害アリタル場合
ニ於テ特ニ必要アリト認ムルトキハ災
害ニ因ル被害者ノ納付スベキ國稅ニ付
勅令ノ定ムル所ニ依リ課稅標準ノ決定
又ハ更訂ニ關スル特例ヲ設クルコトヲ
得
第三條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
第一條ノ災害アリタル地方ニ於テ納付
スベキ國稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ
課稅ニ關スル申告及申請竝ニ納期ニ關
スル特例ヲ設クルコトヲ得
第四條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
第一條ノ災害アリタル地方ニ於テ納付
スベキ國稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第五條第一條ノ規定ニ依リ輕減又ハ免
除セラルル國稅ハ法令上ノ納稅資格要
件ニ關シテハ輕減又ハ免除セラレザル
モノト看做ス
前項ノ規定ハ第一條ノ規定ニ依リ國稅
ノ輕減又ハ免除ヲ爲ス災害ニ因リ輕減
又ハ免除セラルル地方稅ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法ハ昭和十三年中ニ生ジタル災害ヨリ
之ヲ適用ス
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第六條第一項第四號ヲ左ノ如ク改ム
四株式會社資本增加
增資拂込株金額千分ノ五
但シ社債ノ轉換ニ因ル資本增加
ノ場合ニ於テハ其ノ社債ニ付第
十一號ノ規定ニ依リ納メタル登
錄稅額ヲ控除ス
同項第七號ヲ左ノ如ク改ム
七株式合資會社資本增加
增資拂込株金額
及財產ヲ目的ト
千分ノ五
スル株金以外ノ
出資ノ價格
但シ社債ノ轉換ニ因ル資本增加
ノ場合ニ於テハ其ノ社債ニ付第
十一號ノ規定ニ依リ納メタル登
錄稅額ヲ控除ス
同項第八號ノ次ニ左ノ一一號ヲ加フ
八ノ二有限會社設立
出資ノ價格千分ノ五
八ノ三有限會社資本增加
增出資ノ價
千分ノ五
格
同項第十一號中「商法第一一百四條ノ拂込」
ヲ「商法第三百三條又ハ其ノ準用規定ニ
依ル拂込」ニバン入
同項第十四號ノ次ニ左ノ四號ヲ加フ
十四ノ二社員ノ業務執行權ノ喪失
每一件金十圓
十四ノ三取締役又ハ監査役ノ職務執
行ノ停止
每一件金十圓
十四ノ四取締役又ハ監査役ノ職務代
行者ノ選任
每一件金十圓
十四ノ五取締役又ハ無限責任社員ノ
職務ヲ行フ監査役ノ選任
每一件金十圓
同項第十五號但書中「商法施行法」ノ下ニ
「又ハ商法中改正法律施行法」ヲ加フ
同項第十六號ノ二ヲ左ノ如ク改ム
十六ノ二會社ノ繼續ノ登記
每一件金十圓
十六ノ三合併ヲ無效トスル判決カ確
定シタル場合ニ於ケル合併ニ因リ消
滅シタル會社ニ付テノ囘復ノ登記
每一件金十圓
十六ノ四會社設立ノ無效又ハ取消
每一件金七圓
同項第十八號ヲ左ノ如ク改ム
十八商法第百二十三條又ハ其ノ準用
規定ニ依ル登記
每一件金二圓
十八ノ二清算人ノ職務執行ノ停止、
其ノ取消又ハ變更
每一件金二圓
十八ノ三〓算人ノ職務代行者ノ選任、
解任又ハ變更
每一件金二圓
十八ノ四〓算人ノ職務ヲ行フ監査役
ノ選任、解任又ハ變更
每一件金二圓
第六條ノ三第一項第四號ノ次ニ左ノ一號
ヲ加フ
四ノ二商法第二十六條第二項ノ登記
每一件金五圓
第十九條ノ三ヲ第十九條ノ四トシ以下第
十九條ノ十二迄ヲ順次一條宛繰下グ
第十九條ノ三會社ノ整理又ハ特別〓算
ニ關シ裁判所ノ囑託ニ因リテ爲ス登記
又ハ登錄ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
商法中改正法律施行法第五十五條ニ規定
スル社債ノ登記ニ付テハ登錄稅法第六條
第一項第十一號ノ改正規定ニ拘ラズ仍從
前ノ例ニ依ル
有價證劵移轉稅法中改正法律案
有價證劵移轉稅法中左ノ通改正ス
第九條中「地方債證劵」ノ上ニ「國債證劵、」
ヲ加フ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣石渡莊太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=53
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054・石渡莊太郎
○國務大臣(石渡莊太郞君) 只今議題トナ
リマシタ諸法律案ニ付キマシテ提出ノ理由
ヲ說明致シマス
先ヅ昭和十三年法律案第一一十三號中改正
法律案ニ付テ說明致シマス、今囘一般會計
ニ於キマシテ臨時軍事費ノ一部ニ充ツル爲
〓涼飮料稅、砂糖消費稅、印紙稅、臨時利
得稅、利益配當稅、公債及ビ社債利子稅、
及ビ物品稅ヲ增徵スルト共ニ、物品稅ノ課
稅範圍ヲ擴張シ、建築稅及ビ遊興飮食稅ヲ
創設スルコトト致シマシテ、目下當院ニ於
テ御審議中デアリマスガ、關東州、朝鮮、
臺灣及ビ樺太廳ニ於キマシテモ、內地ニ於
ケルト同趣旨ノ下ニ、〓ネ右ニ準ジ同種ノ
租稅ノ增徵又ハ課稅範圍ノ擴張ヲ致シマス
ト共ニ、新稅ヲ創設スルコトト致シマシテ、
其ノ收入額ノ一部ニ相當スル金額ヲ、每年
度豫算ノ定ムル所ニ依リ、外地特別會計ヨ
リ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルコトト致シ
マシタル所、之ガ會計上ノ處理ニ關シマシ
テ、昭和十三年法律案第二十三號中改正ヲ
必要ト致シマスルノデ、本法律案ヲ提出致
シマシタ次第デアリマス
次ニ昭和十二年法律第八十四號中改正法
律案ニ付テ說明致シマス、支那事變ニ關ス
ル經費ニ付キマシテハ、第七十一囘、第七
十二囘及ビ第七十三囘ノ各帝國議會ノ協贊
ヲ經マシテ、其ノ財源ニ充ツル爲ノ公債發
行ヲ爲シ得ル權能ヲ得テ居ルノデアリマス
ガ、事態ノ推移ニ伴ヒマシテ、更ニ臨時軍
事費ノ追加ヲ必要ト致シマスル所、其ノ所
要財源中六億八千九十餘万圓ニ付キマシテ
ハ、一般會計及ビ各特別會計ヨリノ繰入金
等ヲ以テ充當シ、三十九億二千四百餘万圓
ニ付キマシテハ、之ヲ公債財源ニ依ルコトト
致シマスル爲、昭和十二年法律第八十四號中
ノ公債發行限度ヲ增額シマシテ、百四億三
十万圓トスル必要ガアリマスノデ、本法律
案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス
次ニ昭和十四年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案ニ付
テ說明致シマス、昭和十四年度歲入歲出總
豫算ニ伴フ一般會計歲入不足ノ補塡ニ付キ
マシテハ、之ニ關スル法律案ヲ今期議會ニ
提出シテアリマスガ、今囘別途提出致シマ
シタ同年度歲入歲出總豫算追加第一號ニ計
上セル經費ノ所要財源ノ總額九億千五十餘
万圓ヨリ、增稅其ノ他ノ普通歲入ヲ以テ充當
スベキ分一億八千二百四十餘万圓ト、滿洲
事件ニ關スル經費支辨ノ爲ノ公債法ニ依ル
公債金ヲ以テ充當スベキ分三億六千四百七
十餘万圓トヲ差引キ致シマシタ殘額、三億
六千三百二十餘万圓ニ付キマシテハ、公債
ニ依ルコトト致シテ居リマスノデ、本法律
案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ昭和七年法律第一號中改正法律案ニ
付テ說明致シマス、昭和十四年度ニ於キマ
シテ、滿洲事件ニ關スル經費トシテ必要ナ
ル金額三億六千九百十餘万圓ヨリ、普通歲入
ヲ以テ支辨スベキ豫定ノ金額四百三十餘万
圓ヲ差引キマシタル殘餘ノ三億六千四百七
十餘万圓ニ付キマシテハ、從來ノ如ク之ヲ
公債財源ニ依ルコトト致シマシタル所、昭
和十二年度ニ於ケル滿洲事件費ニシテ、公
債財源ニ依ルコトト豫定シテ居リマシタ
内、決算上不用ト相成ツタ金額等ガ千七百
十餘万圓アリマスル爲、之ヲ差引致シマシ
テ三億四千七百六十万圓ダケ、現行ノ昭和
七年法律第一號ニ依ル公債ノ發行限度ヲ增
加スル必要ガアリマスノデ、本法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス
次ニ支那事變ニ關スル特別賜金トシテ交
付スル爲公債發行ニ關スル法律案ニ付テ說
明致シマス、支那事變ニ關スル勤務ニ從事
シ、之ガ爲死歿致シマシタル陸海軍軍人、
軍屬等ノ遺族ニ對シマシテ、賜與セラレマ
スル特別賜金ニ付キマシテハ、昭和十三年
八月以降、當該豫算ヲ以テ大藏省預金部又
ハ日本銀行ヨリ公債ヲ買上ゲマシテ、之ヲ
交付スルコトト致シテ參リマシタガ、右ハ
寧ロ交付公債發行ノ方法ニ依ルノヲ適當ト
認メマシテ、之ガ爲ニハ公債發行ニ關スル
法律ノ制定ヲ必要ト致シマスルノデ、本法
律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス
次ニ災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵
集猶豫等ニ關スル法律案ニ付テ說明致シマ
ス、從來相當廣汎ナル地域ニ亙リマシテ、
震災其ノ他ノ被害甚大ナル災害ガアリマシ
タ場合ニ於キマシテハ、其ノ都度法律又ハ
緊急勅令ヲ制定シテ、租稅ノ減免、徵集猶
豫等ヲ行ツテ參ツタノデアリマスガ、從來
ノ如ク災害ノ都度法律等ヲ制定シテ救濟ヲ
致スト云フコトデハ、災害ノ發生致シマシ
タ時日ノ關係等ニ依リマシテ、十分敏速ニ
シテ適切ナル措置ヲ講ジ難イ憾ガアツタノ
デアリマス、隨ヒマシテ此ノ際災害發生ノ
場合ニ對處スル爲ノ根據法ヲ制定致シテ置
キマシテ、被害甚大ナル災害ノ發生致シマ
シタ場合ニ於テハ、命令ノ定ムル所ニ依リ、
直チニ租税上適切ナル救濟措置ヲ講ジ得ル
ヤウニ致シテ置クコトヲ適當ト認メタ次第
デゴザイマシテ、又衆議院ニ於ケル御要望
ニモ副フ所以デアルト考ヘテ居ルノデゴザ
イマス、玆ニ此ノ法律案ヲ提出致シタ次第
デゴザイマス
次ニ登錄稅法中改正法律案ニ付テ說明致
シマス、商事會社其ノ他營利ヲ目的トスル
法人ガ登記ヲ受クルトキハ、御承知ノ通リ
登錄稅法ニ依リマシテ、登錄稅ヲ納ムルコ
トニナツテ居ルノデアリマス、昨年ノ第七
十三囘帝國議會ノ御協賛ヲ經テ公布ニナリ
マシタ商法中改正法律竝ニ有限會社法ニ依
リマシテ、商法上ノ會社ハ從來ヨリ登記スル
事項ガ增加シ、又新ニ認メラレマシタ有限
會社ハ、商法上ノ會社ト略〓同樣ノ登記ヲ
要スルコトニナツタノデアリマス、是等ノ
新ナル登記事項ニ付キマシテハ、從來ノ登
記ニ對スル課稅トノ權衡上、課稅スルコト
ヲ適當ト認メマシテ、本法律案ヲ提出致シ
マシタ次第デアリマス
次ニ有價證劵移轉稅法中改正法律案ニ付
テ說明致シマス、御承知ノ如ク、額面金額
二十圓以下ノ地方債證劵、勸業債劵等ニ付
キマシテハ現在有價證券移轉稅ヲ課セ
ナイコトニナツテ居ルノデアリマスガ、政
府ニ於キマシテハ國債消化ノ一助トシテ、
最近小額面ノ國債ヲ發行スルコトニ致シテ
居リマスノデ、額面金額二十圓以下ノ國債
證劵ノ移轉ニ付キマシテモ、課稅セザルコ
トヲ適當ト認メ、玆ニ此ノ改正法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス
以上八件ノ法律案ニ付キマシテハ、何卒
御審議ノ上速ニ協贊アランコトヲ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=54
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055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=55
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056・服部崎市
○服部崎市君 日程第七乃至第十四ノ八案
ハ、一括シテ政府提出昭和十三年法律第六
十四號中改正法律案外一件委員ニ併セ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=56
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057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=57
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058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=58
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059・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第十七ヲ繰
上ゲ上程シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=59
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060・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=60
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061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メ
そう、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシ
タ-日程第十七、裁判所構成法中改正法
律案、第一讀會ヲ開キマス-司法政務次
官倉元要一君
第十七裁判所構成法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法中左ノ通改正ス
第十四條ノ二中「區裁判所ハ」ノ下ニ「他
ノ法律ニ特別ノ規定アルモノヲ除ク外」
ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=61
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062・倉元要一
○政府委員(倉元要一君) 只今議題トナリ
マシタ裁判所構成法中改正法律案ニ付キマ
シテ、其ノ提案ノ趣旨ヲ御說明申上ゲタイ
ト存ジマス、現行法ニ於キマシテハ、破產
事件ハ總テ區裁判所ノ管轄ト相成ツテ居ル
ノデゴザイマス、然ルニ御承知ノ如ク商法
ノ會社篇ガ改正サレマシタ結果、株式會社
ノ整理又ハ特別〓算ノ手續カラ破算手續ニ
移ツテ行ク場合ガ新ニ認メラレマシタガ、
株式會社ノ整理及ビ特別〓算ニ關スル事件
ハ、其ノ性質ニ鑑ミマシテ、地方裁判所ノ
管轄ニ屬セシムルコトヲ必要トシ、隨テ此
ノ整理又ハ特別〓算ノ手續カラ破產ニ移リ
マシタ場合ニハ、ヤハリ整理又ハ特別〓算
ヲ取扱ヒマシタ當該地方裁判所ノ管轄ト致
サネバナラナイノデアリマス、仍テ現行法
ニ一ツノ例外ヲ認メルコトトナリマシタカ
ラ、其ノ趣旨ノ改正ヲ致サントスルノガ、
卽チ本案デゴザイマス、其ノ詳細ニ付キマ
シテハ他ノ機會ニ十分ニ御說明申上ゲル
積リデアリマスガ、何卒十分御審議ノ上本
案ニ對シ御協賛ヲ與ベラレンコトヲ切望致
ス次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出人事調停法
案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=66
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067・服部崎市
○服部崎市君 日程第一ハ本日ハ審議ヲ延
期セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=68
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069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
二、大日本航空株式會社法案ノ第一讀會ヲ
開キマス-鹽野遞信大臣
第二大日本航空株式會社法案(政府
提出)第一讀會
大日本航空株式會社法案
大日本航空株式會社法
第一章總則
第一條大日本航空株式會社ハ航空輸送
事業ノ振興發展ヲ圖ルヲ目的トスル株
式會社トス
第二條帝國(關東州及南洋群島ヲ含ム
以下同ジ)內各地間ニ於ケル航空輸送
事業及帝國內ニ起點ヲ有スル國際航空
輸送事業ハ大日本航空株式會社ノ外之
ヲ營ムコトヲ得ズ但シ勅令ヲ以テ定ム
ル帝國內各地間ニ於ケル航空輸送事業
ハ此ノ限ニ在ラズ
第三條大日本航空株式會社ノ資本ハ一
億圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增
加スルコトヲ得
第四條政府ハ三千七百二十五萬圓ヲ限
リ大日本航空株式會社ニ出資スベシ
政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目
的ト爲スコトヲ得
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ
株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ
得
第五條大日本航空株式會社ノ株金ノ第
一囘拂込金額ハ株金ノ十分ノ一迄下ル
コトヲ得
政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以テ其ノ所有
スル株式ノ第二囘以後ノ株金拂込ニ充
ツルコトヲ得
第六條大日本航空株式會社ノ株式ハ記
名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又
ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之
ヲ所有スルコトヲ得
第七條大日本航空株式會社ニ非ザルモ
ノハ大日本航空株式會社又ハ之ニ類似
ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得
ズ
第二章役員
第八條大日本航空株式會社ニ總裁副總
裁各一人、理事三人以上及監事二人以
上ヲ置ク
第九條總裁ハ大日本航空株式會社ヲ代
表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ輔佐シ定款ノ定
ムル所ニ從ヒ大日本航空株式會社ノ業
務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
監事ハ大日本航空株式會社ノ業務ヲ監
査ス
第十條總裁及副總裁ハ勅裁ヲ經テ政府
之ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ一一倍ノ候補者ヲ
選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ命ジ其ノ任
期ヲ四年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
第十一條總裁、副總裁及業務ヲ分掌ス
ル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スル
コトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
第三章業務
第十二條大日本航空株式會社ハ航空輸
送事業ノ經營竝ニ航空輸送事業調整ノ
爲ニスル投資、融資及助成ヲ爲スモノ
トス
大日本航空株式會社ハ政府ノ認可ヲ受
ケ前項ノ事業ノ外本會社ノ目的達成上
必要ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第四章準備金及航空事故損失塡
補積立金
第十三條大日本航空株式會社ハ每營業
年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ
爲利益金額ノ百分ノ五以上ヲ積立テ且
利益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金額
ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第十四條大日本航空株式會社ハ每營業
年度ニ航空事故ニ因ル損失ヲ塡補スル
爲命令ノ定ムル金額ヲ積立ツベシ
第五章政府ノ監督及助成
第十五條政府ハ大日本航空株式會社ノ
業務ヲ監督ス
第十六條大日本航空株式會社社債ヲ募
集セントスルトキ又ハ借入金ヲ爲サン
トスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十七條定款ノ變更、利益金ノ處分、
合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十八條大日本航空株式會社ハ每營業
年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受
クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第十九條政府ハ大日本航空株式會社ノ
業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲ス
コトヲ爲
第二十條政府ハ大日本航空株式會社ノ
業務ニ關シ軍事上又ハ事業調整上其ノ
他公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
前項ノ命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令
ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十一條政府ハ大日本航空株式會社
監理官ヲ置キ大日本航空株式會社ノ業
務ヲ監視セシム
第二十二條大日本航空株式會社監理官
ハ何時ニテモ大日本航空株式會社ノ金
庫帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スル
コトヲ得
大日本航空株式會社監理官ハ必要ト認
ムルトキハ何時ニテモ大日本航空株式
會社ニ命ジテ業務ニ關スル諸般ノ計算
及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
大日本航空株式會社監理官ハ株主總會
其ノ他諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳
述スルコトヲ得
第二十三條政府ハ大日本航空株式會社
ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ
基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ
公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ
取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十四條政府ハ定期航空輸送事業ヲ
營マシムル爲大日本航空株式會社ニ對
シ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金額ヲ超エ
ザル範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコ
トヲ得
第二十五條大日本航空株式會社ハ每營
業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ達スル
迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利益ノ配
當ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十六條大日本航空株式會社ノ每營
業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合
ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度及
爾後十年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金
額ヲ補給スベシ但シ其ノ金額ハ政府以
外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株
金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ相當ス
ル額及當該年度ニ於テ支拂ヒタル社債
ノ利息額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還
ニ充ツベシ
第二十七條大日本航空株式會社ノ每營
業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過ス
ル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル
株式ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超エ利
益配當ヲ爲サントスルトキハ其ノ超過
スル利益金額ハ利益配當ガ總株式ニ付
拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ
達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式
ノ拂込金額及政府ノ所有スル株式ノ拂
込金額ニ對シ一ト五トノ割合ヲ以テ之
ヲ配當スベシ
第二十八條大日本航空株式會社ハ商法
ニ規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集ス
ルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタ
ル株金額ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
社債ヲ募集スル場合ニ於ケル株主總會
ノ決議ハ資本ノ半額以上ニ當ル株主出
席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲
スコトヲ得
第二十九條政府ハ大日本航空株式會社
ノ社債ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付
保證スルコトヲ得
第三十條大日本航空株式會社ニハ命令
ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ年及其ノ
翌年ヨリ十年間其ノ事業ニ付所得稅及
營業收益稅ヲ免除ス
第三十一條北海道、府縣及市町村其ノ
他之ニ準ズベキモノハ前條ノ規定ニ依
リ所得稅及營業收益稅ヲ免除セラレタ
ル期間大日本航空株式會社ノ事業ニ對
シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別
ノ事情ニ基キ政府ノ認可ヲ受ケタルト
キハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二條大日本航空株式會社ガ左ノ
事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其
ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス
ー第四條第二項ノ規定ニ依ル政府ノ
出資及第五條第二項ノ規定ニ依ル第
二囘以後ノ株金拂込
拂込株金額又ハ每囘拂込株金額ノ
千分ノ一
二第四條第二項ノ規定ニ依ル政府ノ
出資又ハ第五條第二項ノ規定ニ依ル
第二囘以後ノ株金拂込ニ基ク不動產
又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得
不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三
第三十三條朝鮮、臺灣、關東州、樺太及
南洋群島ニ於ケル大日本航空株式會社ニ
對スル課稅ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六章罰則
第三十四條大日本航空株式會社本法又
ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基
キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ總裁
又ハ總裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副
總裁ヲ百圓以上五千圓以下ノ過料ニ處
ス副總裁又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルト
キハ副總裁又ハ理事ヲ過料ニ處スルコ
ト亦同ジ
第三十五條大日本航空株式會社ノ總
裁、副總裁及業務ヲ分掌スル理事第十
一條ノ規定ニ違反シ他ノ職務又ハ商業
ニ從事シタルトキハ二十圓以上千圓以
下ノ過料ニ處ス
第三十六條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
第三十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十八條昭和十三年十二月一日航空
法第三十六條ノ許可ヲ受ケタル大日本
航空株式會社(以下許可會社ト稱ス)ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ株主總會ノ決議
ヲ以テ大日本航空株式會社ト爲ルコト
ヲ得
前項ノ決議ハ總株主ノ半數以上ニシテ
資本ノ半額以上ニ當ル株主出席シ其ノ
議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ
要ス
許可會社第一項ノ決議ヲ爲シタルトキ
ハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十九條前條ノ認可ヲ爲シタルトキハ
政府ハ設立委員ヲ命ジ許可會社ヲ大日
本航空株式會社ト爲ス爲ニ必要ナル一
切ノ事務ヲ處理セシム
前項ノ設立委員ノ中少クトモ二人ハ許
可會社ノ取締役ノ中ヨリ之ヲ命ズルコ
トヲ要ス
設立委員ノ任命アリタル後ハ取締役ハ
政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ會社ノ
常務ニ屬セザル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第四十條設立委員ハ定款ヲ作成シ政府
ノ認可ヲ受クベシ
政府前項ノ規定ニ依ル認可ヲ爲サント
スルトキハ政府ノ出資ノ目的タル金錢
以外ノ財產ノ價格及之ニ對シテ與フル
株式ノ數ニ付政府航空出資評價委員會
ノ議ヲ經ベシ
政府航空出資評價委員會ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ總株式ヨリ許可會社ノ株式
ニ引當テラルベキ株式及政府ニ割當ツ
ベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付
株主ヲ募集スベシ
第四十二條株式申込證ニハ商法第百二
十六條第二項第二號、第四號及第五號
ニ規定スル事項ノ外定款認可ノ年月日
ヲ記載スベシ
第四十三條設立委員ハ株主ノ募集ヲ終
リタルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出
シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第四十四條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各新株ニ付第一囘ノ
拂込ヲ爲サシムベシ
第四十五條前條ノ拂込アリタルトキハ
設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集ス
ベシ
創立總會ノ決議ハ新株ノ引受人及新株
ノ引受ヲ爲サザル許可會社ノ株主ノ合
計ノ半數以上ニシテ資本ノ半額以上ニ
當ル者出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以
テ之ヲ爲ス
第四十六條創立總會ニ於テハ第十條ノ
規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ
選任ヲ行フベシ
第四十七條創立總會終結シタルトキハ
設立委員竝ニ許可會社ノ取締役及監査
役ハ各其ノ事務ヲ大日本航空株式會社
總裁ニ引渡スベシ
第四十八條大日本航空株式會社ノ成立
ニ因リ許可會社ハ之ニ吸收セラルルモ
ノトシ許可會社ノ權利義務ハ大日本航
空株式會社ニ於テ之ヲ承繼ス
第四十九條前條ノ規定ニ依リ許可會社
ガ大日本航空株式會社ト爲リタルトキ
ハ所得稅法、營業收益稅法、法人資本
稅法及臨時利得稅法ノ適用ニ關シテハ
許可會社ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタ
ル法人ト看做シ大日本航空株式會社ハ
之ヲ合併ニ因リテ設立シタル法人ト看
做ス
大日本航空株式會社ガ設立ノ登記ヲ受
クルトキハ其ノ拂込株金額中許可會社
ノ拂込株金額ニ相當スル部分ニ付テハ
登錄稅ヲ課セズ大日本航空株式會社ガ
前條ノ規定ニ依リ許可會社ヨリ不動產
又ハ船舶ニ關スル權利ヲ承繼スル場合
ニ於ケル其ノ取得ニ付登記ヲ受クルト
キ亦同ジ
前條ノ規定ニ依ル許可會社ヨリ大日本
航空株式會社ヘノ有價證劵ノ移轉ニ付
テハ有價證劵移轉稅ヲ課セズ
第五十條第三十八條乃至前條ニ規定ス
ルモノヲ除クノ外許可會社ガ大日本航
空株式會社ト爲ル場合ニ於テ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一條第三十八條第一項ノ決議ナ
キ場合又ハ其ノ決議ガ效力ヲ生ゼザル
場合ニ於テハ大日本航空株式會社ノ設
立及開業準備ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二條第二條及第七條ノ規定ハ大
日本航空株式會社ガ成立スル迄之ヲ適
用セズ
第五十三條政府第五條第二項ノ規定ニ
依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ其ノ所有ス
ル株式ノ株金拂込ニ充ツル場合ニ於テ
ハ其ノ財產ノ價格ニ付政府航空出資評
價委員會ノ議ヲ經ベシ
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=69
-
070・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今議題トナリ
マシタ大日本航空株式會社法案ニ付キマシ
テ、其ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲタイト
存ジマス
航空輸送專業ハ航空機ノ急速ナル進步ニ
伴ヒ、交通上及ビ經濟上益、、重要ナル使命ヲ
有スルニ至ツタノデアリマスガ、又之ヲ國
防上ヨリ考ヘマシテモ、極メテ重要ナル意
義ヲ有シテ居ルノデアリマス、歐米ノ列强
ハ世界大戰以來夙ニ是等ノ點ニ著目致シマ
シテ、航空輸送事業ノ發展ヲ國策トシテ採
上ゲ、國內航空路ヲ充實シ、國際航空路ヲ
伸張シ、其ノ勢力ノ培養扶殖ニ努メ來ツタ
ノデアリマス、列强ニ立遲レテ航空輸送事
業ニ著手致シマシタ我國ニ於キマシテハ、
銳意其ノ指導助長ニ努メテ參ツタノデハア
リマスガ、未ダ列强ニ及バザルコト遠ク、
我國ト特ニ密接ナル關係ヲ有シマスル支那、
南洋、太平洋方面ニ於キマシテモ、旣ニ列
强ハ著々ト其ノ地步ヲ固メ、其ノ航空網ハ
我國ヲ包圍スルノ態勢ニアルノデアリマス、
是ニ於キマシテ我ガ國際航空路ノ開設ハ、
政府ノヨリ厚キ保護ノ下ニ官民協力シ、力
ヲ新ニシテ之ニ當ラナケレバ、其ノ實效ヲ
收メ得ナイ狀態ニ置カレテ居リマス、又
方滿洲事變及ビ支那事變以來、我國ノ東亞
ニ於ケル地位ハ愈〓强化セラレ、日滿支ヲ一
體トシタル共榮ノ基礎漸ク堅キヲ加ヘツツ
アルノデアリマスガ、東亞ニ於ケル新秩序
ノ建設ヲ促進シ、經濟上及ビ政治上ニ於ケ
ル互助連環ノ關係ヲ一層鞏固ナラシムルガ
爲ニハ、日滿支三國間ノ航空連絡ノ整備擴
充ヲ圖ルト共ニ、大陸ニ於ケル航空輸送事
業ノ興隆ヲ助成シ、各航空會社間ノ有機的
連繫調整ヲ確保致シマスコトガ緊急ノ要務
ト考フルノデアリマス、政府モ既ニ是等ノ
點ニ留意シ、情勢ノ急需ニ應ジテ、取敢ズ
昨年十二月一日、日本航空輸送株式會社及
ビ國際航空株式會社ヲ統合シ、資本金二千
五百五十万圓ヲ以テ現在ノ大日本航空株式
會社ヲ設立致シタノデアリマス、併シナガラ
航空輸送事業ノ如ク收益性乏シク、而モ國
家的使命ノ重要ナル事業ニアリマシテハ、之
ヲ單ナル民間會社ニ委スルコトナク、須ク
官民協力シテ資本ヲ集中シ、之ニ特別ナル
保護助成ヲ與フルト共ニ、十分ナル指導監
督ヲ加フベキデアリマス、此ノ故ヲ以テ政
府ニ於キマシテハ、今囘新ニ大日本航空株
式會社法ヲ制定シ、現在ノ會社ヲ母體トシ
テ半官半民ノ組織ニ依ル資本金一億圓ノ特
殊會社ヲ設立セシメ、政府ハ之ニ對シテ三
千七百二十五万圓ヲ出資スルト共ニ、補助
金ノ支給、株式配當金ノ補給、社債ノ元利
支拂保證、租稅ノ免除等、特別ノ保護助成
ヲ與ヘ、且ツ之ニ對シテ適切ナル指導監督
ヲ爲スコトトシタ次第デアリマス、以上ガ
今般大日本航空株式會社法案ヲ提案スルコ
トト致シマシタ理由ノ大要デアリマス、何
卒御審議ノ上御協贊ヲ賜ランコトヲ切望シ
テ已マザル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=70
-
071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-永田良吉君
〔永田良吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=71
-
072・永田良吉
○永田良吉君 只今議題トナリマシタ大日
本航空株式會社法案ニ付キマシテ、鹽野遞
信大臣ニ質問致シタイノデアリマスガ、時
間ノ都合上此ノ案ノ內容ニ付キマシテ一二
御尋シタイト思ヒマス
先ヅ第一ニ當法案ノ第七條ニ付キマシテ
御尋致シマスガ、第七條ニ「大日本航空株
式會社ニ非ザルモノハ大日本航空株式會社
又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲ス
コトヲ得ズ」トアリマスルガ、尙ホ其ノ他ニ此
ノ法案ノ中ニハ、他ノ今マデヤツテ居ル民間
會社ハ航空輸送ガ出來ナイヤウナコトニナ
ツテ居リマス、卽チ大阪カラ高松別府線、
或ハ日本海方面、其ノ他伊豆方面トカ、又
土佐ニ行ク線路、此ノ四ツノ會社等ハ、此
ノ大日本航空會社ガ出來マスト、營業ガ出
來ナイコトニナツテ居ルノデアリマス、是
等ハ民間航空ノ進展上ニ大變ナ壓迫ト支障
ヲ來シハセヌカト思フノデアリマス、此ノ
點ヲ遞信大臣ニ第一ニ御尋ヲ致シテ置キマ
ス
次ニ第十條デアリマスガ、第十條ニハ「總
裁及副總裁ハ勅裁ヲ經テ政府之ヲ命ジ其ノ
任期ヲ五年トス」トアリマスガ、遞信大臣
ハ今度ノ大日本航空會社ヲ半官半民デヤツ
テ居ル、斯ウ云フ半官半民ノ會社ニ付テ從
來遞信省ノヤラレタ人事上ノコトニ付テ、私
共ハ色々ト忌ハシイコトヲ聞クノデアリマ
ス、此ノ點ニ付テ御尋ヲシタイト思フノデア
リマスルガ、昨年ノ議會デモ、發送電會社ノ
重役ニ關シテ、遞信省ノ官吏ガ遞信省ヲ辭
メテカラ、五箇年間ハ此ノ會社ニ就職スル
コトヲ許サヌト云フヤウナ決議モアツタヤ
ウニ記憶致シテ居リマス、今囘ノ大日本航
空會社ノ設置ニ當リマシテモ、失禮デスガ、
餘リ航空ニ理解ノナイヤウナ遞信省ノ官吏
上リノ者ヲ、此ノ航空會社ニ持ツテ來テ貰
ツテハ困ル、航空ハ日進月步デ寸秒ヲ爭フ
機敏ナ活動的ナモノデアリマスカラ、サウ
云フ方面ニ官吏ノ古株ヲ持ツテ來テ、今マ
デ監督ノ位置ニアツタ者ガ被監督ノ會社ノ
重役トシテ色々ナコトヲ爲スガ如キハ、
面ニ於テ我ガ民間航空ノ進展上ニ少カラザ
ル暗影ヲ及ボスモノト思フノデアリマス(「ヒ
ヤヒヤ」拍手)此ノ點ニ對シテ鹽野遞信大臣
ハ如何ナル覺悟ヲ有セラレルヤ、私ノ本日
ノ質問ノ重點ハ先ヅ此ノ點デアリマス、如
何ナル立派ナ法案ガ出來テモ、一億圓ノ金
ガアリ、而モ澤山ノ資金ヲ政府カラ出資ヲ
致シ、ソレニ幾多ノ丁寧ナ補助法案、或ハ
利子ヲ補給スルトカ、至レリ盡セリノ法案
ガ之ニハ附隨シテ居ルノデアリマス、先ヅ
言ウテ見マスト、持參金附ノ立派ナオ嫁サ
ンデアルガ、偖テ此ノ大會社ヲ操縱スル首
腦部ノ役人ニ厄介ナ者ガ居ツテハ、確ニ私
ハ下ノ從業員ガ迷惑ヲシテ、上ノ者ガ恩給
ヲ取ツタ上ニ又「ボーナス」ヲ貰フ、サウシ
テノサバリ返ツテ居ツテハ、列國ノ民間航
空ニ遲ルルコト明デアルト思フノデアリマ
ス(拍手)此ノ點ニ付テ鹽野遞信大臣ノ明確
ナル答辯ヲ此ノ機會ニ御伺致シテ置キマス
次ニ本法案ノ第三十九條ニ斯ウ云フ條項
ガアリマス、「前項ノ設立委員ノ中少クトモ
二人ハ許可會社ノ取締役ノ中ヨリ之ヲ命ズ
ルコトヲ要ス」、是ハ大變蟲ノ良イコトト思
フ、今二千五百万圓ノ航空輸送會社ニハ、
私ハ名ハ言ハヌケレドモ、確ニ遞信省カラ
來テ居ル者ガ澤山居ル、是等ガ設立委員ト
云フ名目ノ下ニ居ツテ、サウシテ新シク出
來ントスル會社ノ嫁入會社ニノサバリ返ツ
テ居ツテハ、航空上ノ進展ニ大變ナ支障ガ
アリハシナイカ、私ハ全部惡イトハ言ヒマ
セヌ、偶ニハ偉イ方モ居ラツシヤイマスケ
レドモ、大體監督ノ位置ニアツタ人ガ、其
處ヲ辭メタ以上ハ、一番實務ニ携ハル其ノ
被監督ノ會社ノ重役ナンカニナルト云フコ
トハ、從來此ノ議場ニ於テ幾タビカ唱ヘラ
レタ官吏ノ弊害デアルノデアリマス、殊
航空輸送ノ如キハ、世界ノ中デ日本ガ一番
遲レテ居ルノデアル、遲レテ居ル仕事ヲ進
メナケレバナラヌ會社ニ、頭ノ古イ遲レタ
奴ヲ置イクラ益〓遲レルコトハ分ツテ居ル、
左樣ナ不明ナコトハ、而モ此ノ戰爭ノアル
非常時ニ相應シカラヌコトト思フノデア
リマス、先ニ鹽野遞信大臣ハ民間航空ノ使
命ニ付テ、或ハ經濟上、交通上、國防上ノ
コトヲ仰シヤイマシタガ、現在日本ノ民間
航空ガ左樣ナル貧弱ナモノデアルト云フコ
トヲ自ラ玆ニ辯解シテ居ラレル、然ルニ今
囘ノ事變ヲ見テモ、日本ノ陸海軍ノ空軍ハ
世界ノ脅威トナツテ居リマス、立派ナ働キ
ヲシテ居リマス、然ルニ民間航空ノ現在ノ
輸送狀態ヲ見マスト、洵ニ寒心ニ堪ヘザル
モノガアルノデアリマス、私ハツイ數日前
モ大阪カラ東京ニ乘ツテ參リマシタガ、從
來大阪東京間ニ於テハ一日三囘モ四囘モ飛
ンデ居ツタ、今ハ之ヲ止メテ一日タツタ一一
囘飛ンデ居ル、戰爭ガアル場合ニハ夜モ晝
モ十囘モ、三十囘モ三十六囘モ飛ブベキデ
アル、ソンナコトハシナイデ之ヲ停止シテ
居ル、ナゼソンナコトヲシテ居ルカト役員
ニ聽イテ見ルト、イヤ機材ガアリマセヌト
言フ、飛行機ガナイ航空會社ナンカアルモ
ノカ、今度ノ一億圓ノ會社モ飛行機ノナイ
航空會社デハ私ハ贊成シマセヌ、是等ハ多
ク支那ノ方ノ陸軍ノ補助ニ行ツタモノト思
ヒマスケレドモ、ソレハ國防上皆召集セラ
レルノデアルカラ已ムヲ得ナイ、已ムヲ得
ナイトハ云ヘ、補充ハスベキモノト思フ、
ソレ等ヲ補充シナイデ居ル、而モ滑稽ナコ
トニハ、皆サン御覽下サイ、鐵道案內ト云
フモノガアリマス、其ノ第一頁ニ日本航空
輸送會社ノ輸送系統ノ時間表ガアリマス、
ソシニハ明ニ午前十一時大阪發、午後一時
ニハ東京ニ著クヤウニ、チヤント時間表ガ
載ツテ居ル、私ハ急用ガアツタカラ、ソレ
ヲ汽車ノ中デ見テ、大阪デ飛降リテ飛行場
ニ行ツテ見ルト、豈ニ圖ランヤ飛行機ハ飛
バナイ、大變ナ損害ヲシタ、汽車デ行ケバ
宜カツタノヲ、而モ自動車賃ヲ拂ツテ馬鹿
ヲ見タ、ソレデモ懲リズニ漸ク午時一時ノ
飛行便ニ乘リマシタガ、アア云フ鐵道案内
ノ如キハ、一般民衆ノ燈臺トシテ間違ヒガ
アルベキモノデハナイ、若シ飛行ヲ停止シ
テ居ラレルナラ、ナゼアノ廣〓ヲ御取消ニ
ナラナイカ、甚ダ日本ノ民間航空會社ハ不
親切デアル
〔議長退席、副議長著席〕
之ヲ監督セラレル上ノ人ハ眼ガ見エナイ、
又モウ一ツ怪シカラヌコトガアル、此處ニ
私ハ證據品ヲ持ツテ來テ居リマスカラ、遞
信大臣ハ能ク御覽下サイ、斯ウ云フ日本定
期航空案內ト云フノガ、其處ノ櫻田本〓町
カラモ、亦日本全國ノ航空會社カラ出テ居
ル、是ハ飛行機ニ乘ル人ガ皆貰フ、之ニハ
チヤント大阪ヲ午前十一時ニ出ルト書イテ
アル、書イテ居ツテ、行ツテ見ルト出ナイ、
サウシテアノ飛行場ハ元木津川尻ニアツ
タ、私ハ自動車ニ乘ツタラ運轉手ガ木津川
尻ノ方へ走ツテ行ク、何處へ行クノカト尋
ネルト、イヤ木津川尻ニ飛行場ガアルト言
フ、所ガ行ツテ見ルトナイ、アレハ廢止サ
レテ居ル、第二飛行場ノ伊丹ニ行クノニハ
反對ノ方向ニ走ラナケレバナラヌ、卽チ大
阪ノ運轉手ハ、大阪カラ東京へ行ク飛行機
ガ何處カラ出ルカ分ラナイト云フ狀態デア
ル、斯ウ云フヤウナヲカシナ狀態デ、大阪
ノ驛ニモ東京ノ驛ニモ斯ウ云フ航空案
內ハナイ、タツタ一箇所アルケレドモ、
サウ云フノハ何處ニアルカ分ラナイ、
コンナ貧弱ナコトヲシテ、宣傳ヲシナイ
デ、オ役人ガ上ノ方ニノサバリ返ツテ
居ル、大阪ヘ行ツテ見ルト、タツタ一日ニ
二遍飛ブ爲ニ澤山ナ人ガ遊ンデ居ル、
戰時カ何カ分リハシナイ、私ハ斯ウ云フ狀
態デハ歎キ悲シム者デアリマス、飛ブノヲ
止メタ場合ニハ、チヤント時間表ヲ消スベ
キデアル、斯ウ云フ風ニチヤント筋ガ引張
ツテ明示シテアル、永田良吉ハ決シテ嘘ハ
言ヒマセヌ、嘘ヲ言ツタラ私ハ此處デ腹ヲ
切ル、斯ウ云フノハ遞信大臣ハ眼ガ見エ
又、上司ノ眼ヲ皆欺イテ居ル、又國民ヲモ
欺イテ居ル、斯樣ナ不始末ナ營業法ヲナサ
イマシテ、一億圓ノ會社ヲ作ツテモ駄目デ
アル、詰リ人ヲ得ナケレバ何ニモナラナ
1、宜シク遞信省ハ民間航空ヲ監督セラレ
ル重大責任ガアルカラ、躬ヲ以テ此ノ責ニ
當ラナケレバナラヌ、又其ノ上ニアルベキ
者ハ大〓身ノ程ヲ知ツテ、自分ガ時勢遲レダ
ト思ツタラ、サツサト去ツテシマヘバ宜イ、
新シイ若イ腕ノアル者ヲドシ〓〓引上ゲテ
此ノ衝ニ當ラシメルコトガ、眞ニ日本民間
航空ヲ進展セシムル私ハ捷徑デハナイカト
思フノデアリマス(拍手)尙ホ次ニモウ一ツ
ヲカシナ事ガアル、是モ實際デゴザイマス
カラ、實際論デヤラナケレバイカヌ、オ客
サンニ斯ウ地圖ヲ以テ「コース」ヲ〓ヘテ居
ル、之ヲ飛行機ニ乘ル場合ニ渡ス、私ハ此
ノ「コース」ヲ乘ツテズツト行キマシタラ、
モウ小田原ヲ越エルト、今羽田ノ飛行場ハ
ナイ、羽田ノ飛行場ハ今修繕中デアル、「コン
ドル」ガ來ルノニアノ飛行機ガ羽田デハ飛
ベナイ、陸軍ノ立川ニ引張ツテ行ツタ、立
川カラ東京へ來ルニハ隨分掛リマス、體
東京デモ大阪デモ、斯ウ云フ六百万モ三百
万モアル大都會ニ「ダグラス」ヤ「コンドル」
ノヤウナ優秀ナ飛行機ガ飛ベナイ、私ノ乘
ツテ來タノハ四人乘リノヨチ〓〓スル飛行
機デアリマス、私ハ實ニ怖カツタ、飛行機
ニハ相當體驗ヲ持ツテ居ルケレドモ、恰モ
小サイ坊チヤンニオンブサレテ行クヤウナ
氣持ガシタ、ヅシン〓〓ト落チル、ソシニ
婦人ガ乘ツテ居ツタガ、大分蒼クナツテ居
ツタヤウデアリマス、此ノ間ノ立川ノ時ヨ
リ大分ヒドイ、斯ウ云フ狀態デハイケナイ
カラ、アレ等ハ大阪カラ少クトモ「ダグラス」
ノ十三人乘カ十八人乘位ノ大キナ飛行機ヲ
出サナケレバ嘘デアル、アレハ婦人虐待、
オ客サン虐待デ、アンナ苛酷ナコトヲスル
モノデハナイ、尙ホ又囘數ガヲカシイ、モ
ツト夜間モ出サナケレバナラヌ、戰地ニハ
澤山ノ人ガ行ツテ居ル、ソレニ對シテ〓里
ノ人カラ何カ便リガアリハシナイカト、戰
地ニ行ツテ居ル將兵ハ〓里カラノ便リヲ湯
水ヨリモ待ツテ居ル、サウ云フ便リニ對シ
テハ、モツト日本航空輸送會社ハ頻繁ニ飛
行機ヲ、東京カラ福岡、上海トドシ〓〓支
那內地ニ飛バシテ、郵便物デモ早ク屆ケ
テ、將兵ヲ慰メルヤウニシナケレバナラ
ヌ、サウ云フコトハ日本ノ航空會社ハナサ
ラヌ、戰時ニ際シテ却テ飛行機ハ飛バヌデ、
囘數ヲ減少シテ居ル、斯ウ云フヤウナヲカ
シナコトヲヤツタ所ハ世界中何處ニモナイ
ト私ハ思フ、非常ナル矛盾デアルト思フ、
又「コース」ニシテモ今羽田ニハ行カヌノダ
カラ、行カヌ所ハ線路ヲ明ニ消シテシマヘ
バ宜イ、ソレヲ消サズニ其ノ儘ニオ客サン
ニ配ツテ居ル、是ナンカモ監督ノ人ガ目ガ
利カヌ、不親切ダト云フ證據ナノデアル、
是ハ今度鹽野サンガ監督ノ局ニ當ラレマス
ルカラ、十分斯ウ云フ怠慢ナ者ハドシ〓〓
突飛バシテシマツテ、本當ニ航空ニ理解ノ
アル腕ノアル者ヲ其ノ局ニ當ラセンケレ
バ如何ニ一億ヤ二億ノ會社ヲ作ツテモ、
日本ノ民間航空ハヤハリ足踏狀態デアル、
一面カラ云フト、世界ノ列强ノ物嗤ヒニナ
リハセヌカト思フノデアリマス、此ノ點ヲ
私ハ特ニ遞信大臣ニ申上ゲテ、其ノ御決心
ヲ承リタイト思フノデアリマス
ソレカラモウ一ツ申シテ置キマス、非常
ニ不都合ナコトガアル、今マデ日本ノ民間
航空輸送會社ノ大日本航空輸送會社ハ、最
初遊覽飛行モ多少認メラレテ居ツタ、最近
ハ大阪デモ東京デモ遊覽飛行ハヤラヌ、何
故ヤラヌカト云フト割ガ惡イカラデアル、
政府ノ補助ガ遊覽飛行ニハ少イ、長ク飛べ
バ補助ガ澤山來ル、中々日本航空輸送會社
モ狡イコトヲ考ヘタモノデス、若シ遊覽飛
行ヲヤツテ人ヲ殺スト文句ガ出ルカラ、遊
覽飛行ハヤラヌ、遊覽飛行モヤランケ
レバイカヌ、而モ夜間飛行モヤランケレ
バイカヌノニ、此ノ頃ハ夜間飛行ヲヤ
ラヌ、斯ウ云フ大阪ト東京間ノヤウナ
モノハ夜間飛行モヤラナケレバナラヌ、
日二囘ヤ三囘デハ何ニモナラヌ、少クト
モ三十分、一時間交替ニドシ〓〓飛行機
ヲ出ス、サウシテ料金モ方法ニ依ツテハ今
ノ二十五圓以下ニ下ゲル方法ガアル、オ客
サンガ滿員ダカラト言フガ、行ツテ見レバ
滿員デハナイ、ドウモアノ受付ナンカニハ
橫柄ナ奴ガ居ル、「モダン·ガール」カ何カ知
ラヌガ、飛行機ハ空イテ居ルカト言フト、
モウ滿員デゴザイマスト言フ、折角人ガ乘
ツテヤラウト思ツテ行ツタノニ滿員ダト言
フガ、滿員ヂヤナイ、待ツテ居レバ乘ラヌ
人ガ居ルノダ、一體飛行機ニ乘ル人ハ親ガ
病氣トカナントカ、非常ニ急グ人ガ多イ、
サウ云フ際ニハ隨時大阪カラデモ、東京カ
ラデモ御用立ヲスルヤウナ飛行機ノ用意ガ
ナケレバナラヌ、サウ云フコトモアツテ初
メテ飛行便ノ有難味ガ分ルノデアリマス、
左樣ナコトハ羽田ニモ、大阪ニモ、福岡ニ
モシテナイ、斯ウ云フ人民ニ對シテ不親切
ナ航空會社ハ世界中何處ニモアリマセヌ、
永田モ貧弱ナ者デスガ、世界ヲ一遍〓ツテ
見マシタガ、何處ニモコンナ不親切、不用
意ナ會社ハアリマセヌ、モツト飛行機モ澤
山備ヘテ、飛行士モ餘計ニ養成シテヤレバ、
此ノ位ノコトハ樂ニ出來ル、斯ウ云フコト
ヲヤツテ居ラツシヤラヌノハ、大變遺憾ニ
堪ヘナイト思フノデアリマス、尙ホ色々申
上ゲタイコトガアリマスガ、外ノ方ガ居ラ
レマスカラ、私ハ詳細ハ委員會ノ際ニウン
ト一ツ油搾リヲヤル積リデアリマス、之ヲ
以テ終リマス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=72
-
073・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御答ヲ致シマス、
第一點ハ法第七條ニ關スル點デゴザイマシ
テ、大日本航空會社ト云フ商號ヲ專用スル
點ニ付テ、此ノ地方ノ民間航空會社ト云フ
モノヲ禁ズル方針アリヤ否ヤト云フ御趣意
デアリマシタガ、是ハ大日本航空會社ハ國
內及ビ國際航空路ニ關スル主トシテ幹線ヲ
目的ト致シテ居ルノデアリマシテ、所謂「口
カル」線トシテ地方ノ飛行輸送事業ニ付
キマシテハ、勅令ヲ以チマシテ除外例ヲ置
キ、ヤハリ幾多ノ飛行會社ヲ認メルノデア
リマス、隨テ此ノ國策會社ト致シマシテハ、
其ノ商號ヲ保護シテ居ルト云フコトガ必要
ト考ヘルノデアリマス
第二點ハ法第十條ニ總裁、副總裁ヲ置イ
テアル、是等首腦者ニ對スル人事ニ付テノ
御尋デアリマシタガ、首腦者ノ人事ハ所謂
人ノ問題デアリマシテ、之ニ適スルヤ否ヤ
ト云フ所ニ主眼ヲ置クベキモノト考ヘテ居
リマス、勿論人事ニ付テハ十分ニ考慮致シ
マシテ愼重ニ決スル考デ居リマス、尙ホ現
在ニ於キマシテモ、航空行政ニ付キマシテ
ハ、旣ニ十數年ノ經驗ハアリマスケレドモ、
日進月步ノ此ノ航空事業ニ付キマシテハ、
絕エズ陸海軍ノ專門家ト協議シ、參畫ヲシ
テ貰ツテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、萬
遺憾ナキヲ期シテ居ルノデアリマス
第三點ハ法第三十九條、是ハ大日本航空
會社ヲ設立致シマスルニ付テノ手續ノ規定
ノ一部デゴザイマス、現在同ジ名前デアリ
マスル大日本航空會社ト云フモノガ、昨年
十二月ニ設立シテ現ニ働イテ居ルノデアリ
マス、之ヲ今般本法案ノ成立ヲ見マシタル
際ニ、新ニ大日本航空株式會社ト云フ特殊
ノ會社ヲ拵ヘマシテ、前ノ會社ヲ之ニ吸收
セシメルノデアリマス、ソコデ現在存在ス
ル會社ヲ、同ジ名前デアリマスルカラ、特
許會社ト申シテ法文ニ書イテアルノデアリ
マン、其ノ特許會社カラ創立委員ノ中ニ二
人ノ者ヲ出スト云フコトガアルノデアリマ
ス、ソレハ現在ノ會社カラ此ノ新シク出來
ル國策會社ヘ乘リ移ル關係カラ、現在ノ會
社ノ中カラ二人ヲ入レル、詰リ事務ヲ引
繼グト云フ關係カラ、ドウシテモ必要ナノ
デアリマシテ、決シテ特ニ人事ノ上ニ於キ
マシテ考ガアル譯デハナイノデアリマス、
事務的引繼ノ上ニ於テ、現在居ル役員ヲ二
人採ルコトガ必要デアルト云フコトニナル
ノデアリマス
其ノ次ハ色々我國ノ民間ニ於ケル航空輸
送事業ニ付テノ御注意、又ハ御非難モ多々
伺ヒマシタ、洵ニ遺憾ナガラ未ダ十分ナル
機能ヲ發揮致シテ居リマセヌ、是ハ今次事
變ノ爲ニ多クノ器材ガ其ノ方面ニ使ハレマ
シテ、民間航空輸送事業ノ方ニハ器材ノ不
足ヲ來シ、又人員ノ上ニ於キマシテモ其ノ
感ガアルノデアリマス、之ニ付キマシテハ
此ノ國策會社ヲ起シマシテ、是カラ大イニ
器材ノ整備、人員ノ充實ヲ圖ツテ、サウシ
テ我國ノ民間航空事業ト云フモノヲ擴張シ
ヨウト意圖致シテ居ルヤウナ次第デアリマ
ス、隨テ十四年度ノ豫算ノ上ニ於キマシテ
モ、飛行場ノ擴張トカ、或ハ飛行路ノ設備
ノ擴充ト云フコトニ對シテ、相當ノ豫算ヲ
組ンデ居ルヤウナ次第デアリマス、廣告等
ニ付キマシテハ、尙ホ御注意ニ依リマシテ
十分ニ考慮致スコトニ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=73
-
074・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 笠井重治君
〔笠井重治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=74
-
075・笠井重治
○笠井重治君 只今上程セラレマシタ大日
本航空輸送株式會社法案ニ關シテ質疑ヲ致
シマス前ニ、私ハ民間航空ノ現狀ニ付テ簡
單ニ意見ヲ申上ゲマシテ、然ル後ニ政府ノ
御方針ニ付テ伺ヒタイト思ツテ居リマス
今日マデ我國民間航空ノ進步發達ノ遲々
タルコトハ、國民ト共ニ甚ダ遺憾ニ存ジテ
居ツタ所デアリマス、然ルニ今囘政府ガ現
下ノ世界的情勢ニ鑑ミテ、我ガ帝國航空輸
送事業ノ飛躍的發展ヲ企圖センガ爲ニ、且
又東亞ノ新事態ニ卽應シテ、眞ニ東亞新秩
序建設ノ爲ニ日滿支航空關係ノ連環ヲ一層
緊密ナラシメンガ爲ニ、强力ナル一大國策
會社ヲ創立セントスル計畫ヲ見マシタコト
ハ、國家ノ爲ニ慶賀ノ至リニ堪ヘマセヌ、
本案ニ依ツテ見マスルト、從來ノ大日本航
空輸送株式會社ヲ一億圓ノ特殊會社ト爲シ
テ、政府ハ其ノ資本金ノ三分ノ一ヲ出資シ
テ、他ノ三分ノ二ヲ民間ヨリ募集シ、政府
ハ之ニ對シテ年ニ六分ノ利子ヲ保證スルト
ノコトニナツテ居リマス
抑〓歐米各國ノ航空輸送ノ事業ヲ見マス
ト、歐洲大戰以後顯著ナル發達ヲ見テ居リ
マス、世界大戰中ハ各國ガ空軍ノ充實ニ全
力ヲ傾倒シテ參リマシタガ、戰爭ガ終熄ノ
後ニハ、是等ノ飛行機ヲ民間航空ニ使ヒマ
シタ、而シテ其ノ後ハ各國トモ空軍ノ進步
發達ト竝行シテ民間航空ノ改善ヲ致シテ參
リマシタ、斯ノ如クニシテ民間航空ハ平時
ニ於テハ航空輸送ノ任ニ當リ、一旦緩急ア
ル場合ニハ空軍ノ補足ヲ爲スト云フ計畫ノ
下ニ進行サレテ參リマシタ、而シテ今日ノ
情勢ヲ見マスト、世界各國ハ啻ニ航空輸送
ノミナラズ、航空機ヲ各般ノ事業ニ使ツテ
居リマス、旅客輸送、郵便飛行ハ固ヨリデ
アリマスケレドモ、或ハ貿易、見本ノ運搬、
或ハ貨物ノ運搬、或ハ地質ノ調査、油田、
鑛物其ノ他ノ調査ニ使用シテ居リマス、或
ハ氣象ノ觀測、或ハ海洋上ニ於ケル魚類ノ
棲息ノ狀態等ヲ調査スル爲ニ用ヒテ居リマ
ス、斯ノ如クニシテ航空事業ノ發達ガ文化
ノ進步ニ如何ニ重大ナ關係アルモノデアル
カト云フコトハ、玆ニ論ズル必要ガアリマ
セヌ、卽チ今日ノ民間航空事業ノ發達カラ
見マシテモ、空中ヲ制スル者ハ世界ヲ制服
スルモノデアルコトガ明瞭デアリマス、幸
ニ今次支那事變ニ於ケル我ガ空軍ノ各方面
ニ於ケル活躍ハ、世界各國民ヲ驚歎セシメ
タコトハ、國民ノ齊シク感謝ヲ致シテ居ル
所デアリマス、所ガ今日マデノ我國航空事
業ノ發達シナイ跡ヲ辿ツテ見ルト、只今永
田君ノ言ハレタヤウニ、一方ニハ一部ノ官吏
ノ古手ガ其ノ局ニ當ツテ居ツテ、民間航空
事業ノ機能ヲ發揮シナカツタコトニ基因致
シマシタ、是レ卽チ昭和四年ニ創立セラレ
タル日本航空輸送會社ノ進步發達ヲセザル
原因デアツタト存ジマス、又他ノ原因ハ、
我國ソレ自體ガ或ハ氣象的ニ惠マレテ居ラ
ナイ、或ハ地域ガ狭小デアル故ニ、飛行機
ニ乘ツテ危險ヲ冒シテ行クヨリモ、寧ロ汽
車、汽船デ行ツタ方ガ宜シイ、ト云フヤウ
ナコトノ爲デアツタカモ知レマセヌ、第三
ノ原因ハ、我國ニ於ケル航空事業ニ對スル
技術ノ進步セザル點、及ビ世界的ノ刺㦸ノ
ナイ點、其ノ他一般國民ガ航空知識ノ乏シイ
コトニ原因シテ居リマス、斯樣ナルコトニ依ツテ
我國航空事業ガ進步シナカツタノデアリマス、
所ガ日支事變ニ於テ今日ノ如キ非常ナル日
本航空界ノ進步發展ヲ見マシタ、我國ハ四
面環海デハアリマスルガ、大陸ニ於ケル吾
吾日本國民ノ進步發達ト云フモノハ實ニ大ニ
ナツテ來マシタ、我國ノ將來ハ大陸ニアリ
マス、斯樣ナル情勢ニ於テ、本國ト大陸ト
ヲ結ビ、東京ト新京トヲ結ビ、東京ト北京
トヲ結ビ、東京ト南京、漢口ヲ結ブ爲ニ、迅
速ナル運輸交通ガ必要ニナツテ參リマシタ、
是ニ於テ一方我國陸海軍ノ空軍將士ノ奮
鬪ノ跡ヲ見テ、吾等國民ハ之ニ對シテ感謝
感激ヲ表スルト共ニ、吾等モ齊シク空中ノ
勇士トシテ、民間航空ノ發達ノ爲ニ鬪ハナ
ケレバナラヌト云フコトヲ國民一般ガ考ヘ
ルヤウニナツテ參リマシタ
私ハ昨年歐米各國ヲ約三万「キロ」翔破シ、
今年ハ又中支ニ往復飛行シテ東亞ノ情勢モ
見テ參リマシタガ······(「簡單ニ」ト呼フ者
アリ)質問ハ極メテ簡單デス、其ノ情勢ヲ
見マスルト、我國航空事業ノ發達ガ洵ニ緊
急ナルコトヲ痛感シマシタ、今日ノ我國ノ
航空事業ヲ進步發達セシメント欲セバ、外
國ノ經驗ト其長ヲ採ルベキデアル、而モ今
日器材ノ主要ナルモノハ外國ノモノヲ使ツ
テ居リマスカラ、斯樣ニシテ一刻モ早ク進
步セシメナケレバナリマセヌ
然ラバ世界航空界ノ現狀ヲ見ルナラバ、
英吉利ハ自分ノ領土デアル濠洲或ハ南阿ト
接續スル爲ニ、倫敦カラ「ブリスベーン」ニ二
万三百二十八粁、倫敦カラ阿弗利加ノ「ダー
バシ」マデ一万一千四百四十三粁、之ヲ接
續スル爲ニ「インペリアル·エアーウエース」
會社ト云フモノヲ作ツテ、同會社ハ今日デ
ハ旣ニ五万二千六百六十三粁ニ上ツテ居リ
マス、佛蘭西モ巴里カラ一万一千四百七十
二粁ノ佛領印度支那ノ河內ト結ブ爲ニ「エア
ー·フランス」會社ヲ作リマシタガ、今日ノ
佛蘭西ノ航空路へ旣ニ五万三千三百四十五
粁ニ達シテ居リマス、伊太利ハ「エチオビヤ」
ノ「アヂスアベバ」ト結ブ爲ニ、伊太利ノ航
空界ト云フモノハ非常ニ進步シテ參リマシ
テ、伊太利ノ如キモ旣ニ三万千七八百粁ノ
航空路ヲ持ツテ居リマス、和蘭ニ於テ見ル
ナラバ、和蘭ハ本國ハ極ク狹小ナレドモ、
蘭領印度ニ厖大ナル地域ヲ持ツテ居リマシ
テ「ケー·エル·エム」會社ヲ組織致シマシテ、
今日ハ旣ニ二万六千四百七十二粁ノ航空路
ヲ持ツテ居リマス
之ニ反シテ我國ノ現狀ハドウデアル
カト言フナラバ、國内ニ於テハ或ハ東京
札幌間、或ハ東京新潟間、東京カラ臺灣、
東京新京間、東京大連ト云フモノヲ結付
ケテ、僅ニ一万八百六十八粁ニ達シテ居
ル、今度計畫シテ居リマス所ノ、本年四
月カラ開始スル南洋方面ノ航空路、或ハ
東京天津、又東京北京ニ通ズル航空路ヲ合
セテ、辛ウジテ二万粁ニシカ達シテ居ラヌ
ノデアリマス、故ニ我國ガ大陸ニ雄飛セン
トスルナラバ、先ヅ東亞ニ於ケル航空權ヲ
獲得シテ、東亞諸國ニ通ズル所ノ航空路ヲ
開設セナケレバナラナイ、「ソ」聯邦ニ於テハ
業ニ已ニ七万五百五十粁ノ航空路ヲ持ツテ、
「モスコー」カラ浦鹽マデ每日飛行機ガ通ツ
テ居リマス、吾々ハ此ノ世界航空界ノ現狀
ヲ見テ傍觀坐視スルコトハ出來マセヌ、如
何ニ航空ガ國家ノ進運ニ重大デアルカト云
フコトヲ痛感セザルヲ得ナイノデアリマス、
事變前マデハ南京政府ガ日本ノ要求ヲ容レ
ズシテ、日支航空連絡ニ反對シマシタ、昭
和六年ニ於テ南京政府ガ辛ウジテ我ガ外務
省ノ要求ヲ容レテ、日支間ニ於ケル所ノ航
空條約ガ成立シヤウトシマシガ不幸中絕致
シマシタ、然ルニモ拘ラズ南京政府ハ亞米
利加ノ「パン·アメリカン·エアーウエースL
會社ニ對シテハ四割九分ノ株ヲ持タセテ、
自ラガ五割一分ヲ持ツテ中國航空公司ヲ作
ツタ、又獨逸ノ「ユンケル」會社ヲシテ參
加セシメテ、サウシテ一方ニ於テハ歐亞航
空公司ト云フモノヲ作リ、是等ハ皆非常ニ
成功致シマシタガ、幸ニ今囘ノ事變ニ因ツ
テ我國ノ民間飛行機ガ、東京、福岡ヲ通ジ
テ北京、天津、上海、南京ニ乘込ムコトニ
ナツタノハ、我ガ皇軍ノ健鬪ニ因ルモノト
シテ、深ク感謝セネバナラヌ所デアリマス、
曩ニ北支ニ惠通公司ガ創立セラレテ居リマ
シタガ、今囘大日本航空會社ト連絡スルノ
デハナイカト思ツテ居リマス、之ニ關シテ
鹽野遞相ノ御意見ヲ伺ヒタイト思ツテ居リ
マス
尙ホ續イテ次ノ數項ニ付テ鹽野遞信大臣
ニ對シテ御尋ヲ申上ゲタイト思ヒマス、我
國ハ旣ニ南京、北京マデ航空路ヲ開設致シ
テ居リマス故ニ、百尺竿頭一步ヲ進メテ、
亞細亞ノ各國ト連絡ヲ致スベキデアル、先
ヅ東京盤谷間ノ定期航空路ヲ開始シ、東亞
ニ於テハ日本ガ航空界ノ勇者デアルト云フ
コトヲ、現實ニ證明ヲ致シタイト思フ、斯
樣ニシテ東亞各國ヲ連絡シタル後、更ニ進
ンデ歐亞連絡ノ定期航空路ノ開設ヲ希望致
シマスガ、政府ニ於テハ其ノ意思アリヤ否
や、先年東京朝日新聞社ガ訪歐飛行ヲ爲
シ、最近讀賣新聞社ガ暹羅ニ飛行致シマシ
ク、斯樣ニシテ我ガ國民ノ國際航空界ニ於
ケル技術ヲ世界ニ紹介シテ居リマス故ニ、
今後ハ歐亞連絡定期航空路ヲ開設シテ、東
京伯林、或ハ東京巴里、或ハ東京倫敦ヲ結
付ケル御考ハアリマセヌカ、聞ク所ニ依リ
マスト、旣ニ獨逸ノ「ルフトハンザ」會社等ト
連絡ヲ付ケツツアルト云フコトデアリマス
ガ、此ノ點ハ如何デアリマスカ、遞信大臣
ノ御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス、更ニ進ン
デ現存ノ會社ト連絡スベキデアル、例ヘバ
佛蘭西ノ「エアー·フランス」會社ガ河內マ
デ線路ヲ延長シテ居リマス、或ハ英吉利ノ
「インペリヤル·エアウエース」會社ガ倫敦
香港ニ接續シテ居リマス、或ハ和蘭ノ
K·L·M會社ガ「ヘーグ」カラ「アムステル
ダム」ヲ經テ、盤谷ヨリ「バタヴヰア」ニ達
シテ居リマス、是等ト我國ノ航空路ヲ接續
シテ、直チニ明日カラ歐亞航空ノ連絡ヲ開
始シタラドウカ、若シ其ノ計畫ナシトスレ
バ、政府ハ一日モ早ク斯ウ云フ風ナ計畫ヲ
樹立シ、實行シテ戴キタイコトヲ希望スル
ト共ニ御所見ヲ伺ヒタイ
第二ニ御伺致シマスコトハ、太平洋ノ橫
斷航空開設デアリマス、政府ニ斯ル計畫ガ
オアリニナルカ否ヤ、若シオアリニナラナ
カツタナラバ、直チニ之ヲ計畫シテ戴キタ
イト思ツテ居リマス、現在太平洋ノ情勢ヲ
見マスト、米支間ノ航空路ガ如何ニ今囘ノ
事變ニ重大ナル使命ヲ持ツテ居ルカヲ知リ
やっ、日本ニ對シテハ非常ナル不利ノ働ヲ
爲シ、支那ニ對シテハ非常ニ有利ナル働ヲ
致シマシタ、太平洋ノ情勢ヲ觀察シテ見マ
スナラバ、桑港ヲ出テ橫濱、神戶、上海、
香港ニ至ルニハ、船デ航海スルナラバ快速
船デ二十五日ヲ要シマス、然ルニ「パン·ア
メリカン·エアウエース」會社ノ飛行艇ニ乘
ルト、桑港ヲ出發シテ五日目ニ香港ニ到著
致シマス、去ル三月三日ニ香港ニ到著シタ
七十四人乘リノ巨大飛行艇ボーイング機
ハ、其ノ價格米貨七十万弗、日本金ニスル
ト二百二十五万圓デアツテ、太平洋ヲ一擧
ニ飛ンデ參リマシタ、斯樣ナル情勢ニアリ
マスルカラ、今囘ノ日支事變ニ於テハ、支
那戰線ニ於テ撮影シタル排日活動寫眞ノ
「ネガ」ヲ、是等ノ飛行機ニ積込ンデ亞米利
加ノ「ハリウッド」ニ持ツテ行ツテ現像シテ、
是等映畫ヲ世界ニ配給シテ居リマシタ、以
テ如何ニ我國ニ對スル排日宣傳ガ世界的ニ
徹底シテ居ルカヲ知ルト共ニ、其ノ裏面ニ
テ「パン·アメリカン·エアウエース」ノ飛行
機ガ、其ノ便ヲ援ケテ居リマシタカヲ痛感
致シマシタ、然ルニ日本ハ遺憾ナガラ斯樣
ナル快速力ノ交通便ヲ太平洋ニ持ツテ居リ
マセヌ、故ニ鹽野遞相ニ希望スルコトハ、
我國ノ飛行機ヲ「パン·アメリカン·エアウ
エース」會社ノ線ト「グアム」ニ於テ連絡セ
シメ、東京桑港間ヲ三日間ニテ郵便飛行セ
シムルコトガ出來マスヤウニ、連絡ヲ執ツテ
戴キタイト希望致シマス、此ノ點ニ付テハ
旣ニ我國ニ於テモ그パン·アメリカン·エア
ウエース」トモ昨年來交涉ヲシテ居リマシ
タコトヲ知ツテ居リマス、其ノ後其ノ交涉ガ
ドウナリマシタカ、若シ成立シナカツタナ
ラバドウカ今後是ガ實現セラレマスヤウ
ニ、鹽野遞信大臣ノ御盡力ヲ御願致シマス、
是ガ私ノ質問ノ第二點デアリマス
斯樣ニシテ太平洋ノ橫斷航空路ガ設置セ
ラレ、且ツ歐亞連絡ガ出來マスナラバ、我國ガ
太平洋ノミナラズ、世界ニ於ケル航空路ノ元
締トナルコトガ出來マス、併シ遺憾ナガラ我
國ハ世界ノ航空路カラ外レテ居リマス、米
國デ每月出版スル航空地圖ヲ見マスト、日
本ハ此ノ中ニ載セラレテ居リマセヌ、斯樣
ナル狀態ニアリマスルカラ、ドウカ一刻モ
早ク、國家ノ進運ノ爲ニ、我ガ帝國ノ外交
進展ノ爲ニ、我國ノ世界的雄飛ノ爲ニ、是
非トモ航空事業ノ發達ヲ期シテ戴キタイト
思ツテ居リマス
所ガ之ニ付テ今日マデ我ガ日本ハ聊カ鎖
國的態度ヲ執ツテ參リマシタ、卽チ外國ノ
飛行機ガ日本ニ乘入ヲサレルト、日本ノ要
塞地帶ナドヲ見ラレルカラ、是ハイケナイ
ト云フコトデ反對ノ態度ヲ執ツテ參リマシ
タガ、斯樣ナル考ハ過去ノ考へ方デアリマス、
例ヘバ外國ニ例ヲ取リマスト、伯林カラ倫
敦ニ入リマスノニハ要塞地帶ヲ通リマス、
所ガ要塞地帶ハ飛行機ガ避ケマシテ、ズツ
ト這入ツテ參リマス、斯樣ナコトハ簡單ニ
日本ニ於テモ出來ルト思ツテ居リマス、今
日マデハ我ガ海軍當局ニ於テ斯樣ナ意見ヲ
持ツテ居ツタサウデアリマスケレドモ、先
般私ガ豫算總會ニ於テモ海軍大臣ニ意見ヲ
聽イタ所ガ、海軍省ニ於テモ斯ウ云フコト
ハ改メテ、今後各國ト相互的ノ連絡ヲ取ラ
ナケレバナラヌ、卽チ日本ノ飛行機ガ亞米
利加ノ沿岸ニ乘込ミ、且ツ日本ノ飛行機ガ
巴里ニ行クトナリマスレバ、佛蘭西ノ飛行
機モ東京ニ來イ、亞米利加ノ飛行機モ東京
ニ來イ、斯樣ナ相互關係ヲ作ラナケレバナ
ラヌト思ヒマスガ、此ノ點ニ付テ遞信大臣
ハ如何ヤウニ御考ニナツテ居ラレルカ、是
レ私ノ質問ノ第三點デアリマス(「簡單」ト
呼フ者アリ)アトハ極ク簡單デアリマス、
私ノ質問ハ許サレタル時間內ニ於テ止メマ
スカラ御安心下サイ
次ノ第四點ハ、今囘ノ會社ハ一億圓ノ資
本ヲ持ツテ居リマス、サウシテ大日本航空
株式會社ハ、先程遞信大臣モ言ハシタ通リ
ニ、一億圓ノ資本ヲ有スルコトニナリマス、
現在此ノ會社ハ二千五百五十万圓ノ資本ニ
テ、其ノ中ノ日本航究輸送會社ハ昭和四年
ニ一千五百万圓ノ資本ヲ以テ設立サレマシ
タ、所ガ昨年十月三十一日ニ五百万圓ノ資
本ヲ有スト稱スル國際航空會社ヲ合併シテ、
現物出資ノ下ニ二千五百五十万圓ノ大日本
航空會社ト云フモノヲ設立致シマシタ、今
囘ハ此ノ大日本航空株式會社ヲ一億圓ノ國
策會社ト致スノデアツテ、是ハ洵ニ結構デ
アリマス、所ガ吾々ガ政府當局ニ注意ヲ御
願シタイコトハ、旣ニ永田君ガ指摘サレタ
所ノ點デアリマス、是マデノ會社ハ未ダ內
容ガ完備致シテ居リマセヌ、或ハ技術上ニ
於テモ、或ハ又其ノ商賣ノ運營ニ於キマシ
テモ、民間航空ノ機能ヲ十分ニ發揮ヲ致シ
テ居リマセヌ、斯ルガ故ニ只今永田君
ガ言ハレタヤウナ非難ガ巷間頻々トシ
テ傳ヘラレマス、民間航空會社デアリナ
ガラ、旅客ニ對シテハ不親切デアツテ、
オ前等ガ乘リタイナラバ乘レ、嫌ナラ止セ
ト云フ態度ヲ執ツテ居ル、民間航空會社
デアルカラ、成ベク多クノ旅客ニ滿足ヲ
與ヘテ、其ノ使命ヲ達成セナケレバナラヌ
ノデアリマスガ、遺憾ナガラ今日マデ會社
ノ衝ニ、當ツテ居ル人々ガ、官僚ノ古手ノ方
ガ多數居リマスノデ、彼等ハ是マデノ官吏
トシテノ橫暴ナル態度ヲ改メズニ、ヤハリ
彼等ガ習慣トシテ來タ所ノ橫柄ナル態度ヲ
執ツテ旅客ニ接スルガ故ニ、旅客ハ不滿ヲ
感ゼザルヲ得マセヌ、隨テ會社ガ其ノ任ヲ
完ウシテ居ラナイト云フコトハ、事實ガ之
ヲ證明致シテ居ルノデアリマス、斯ルガ故
ニドウカ今囘此二千五百五十万圓ノ會社ヲ
一億圓ノ國策會社ニ致シマスナラバ、遞信
當局ハ十分此ノ點ニ御注意セラレ、會社ノ
陣容ヲ御整ヘ下サツテ、以テ民間航空會社
ノ使命ヲ貫徹致シマスコトニ御注意アラン
コトヲ希望シマス、卽チ內部ノ人事刷新、
「サービス」ノ改善、利潤ヲ如何ニ配當スル
カ等、斯樣ナルコトニ付テハ十分ノ御盡力
ヲ願ヒタイ、私カラ見マスナラバ、二千五
百五十万圓ノ會社ヲ一擧ニシテ一億圓ニス
ルト云フコトハ多過ギルト思フ、之ヲ世界
各國ノ例ニ取ツテ見テモ、獨逸ノ「ルフト·
ハンザ」ハ五万九千粁ノ航空路ヲ持ツテ居ル
ガ、其ノ資本金ハ僅ニ二千五百万「ライヒ
スマルク」デアル、亞米利加ノ「パン·アメ
リカン·エアウエース」會社ハ南米及ビ東亞
マデ五万粁ノ航空路ヲ持ツテ居リマスガ、
資本金僅ニ二千万弗デアル、英吉利ノ「イ
ンピリアル·エアウエース」ハ六万粁ノ航空
路ヲ持ツテ居リマスガ、資本金僅ニ百万磅
デアル、故ニ本案ニ依ル會社ノ一億圓ハ多
過ギルト思ヒマスガ、國策會社デアリマスル
カラ敢テ反對ハ致シマセヌ、然ラバ議會ガ
之ニ協賛ヲ與ヘタ上ニ於キマシテハ、政府
ハ十分ニ監督ヲシテ、今日マデノ航空會社
ノヤウニダラシノナイ運營ヲ致サナイヤウ
ニ希望致シマス、此ノ點ニ對シテ遞信大臣
ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス
而シテ次ノ點ハ、只今永田君ガ指摘サレタ
ヤウニ、我國ノ航空業ノ發達シナイ理由
ハ、陸上設備ノ不完全ニ因ルモノデアツテ、
且ツ機關士、操縱士等ノ訓練ノ足ラナイコ
トニ基因スルモノデアリマスカラ、ドウカ
是等ノ點ハ能ク改善ヲ願ヒタイト思ツテ居
リマス、例ヘバ私此ノ間上海ニ飛行往復致
シマシタ、サウシテ一月十七日ニ上海ヲ出
發歸京シヨウト思ヒマシタ所ガ、雨天ニテ
飛行機ハ缺航スルト云フ、十八日ニ再ビ缺
航トナリマシタ、是ガ外國ナラバ、雨ガ降
ラウガ、雪ガ降ラウガ、嵐ニナラウガ、ド
ン〓〓出發致シマス、何故缺航シナケレバ
ナラヌカト云フト、福岡ノ飛行場ニ「ラヂ
オ·ビーコン」ノ設備モナク、「ラヂオ·コ
ンパス」ノ施設モナイ、航空觀測モ困難デ
アル、ソンナコトデ民間航空會社ガ其ノ使
命ヲ達スルコトガ出來マスカ、故ニ此ノ際
我國ノ陸上設備ヲ完璧ニシテ、眞ニ我國ガ
東亞ノ航空界ノ中心デアルト云フコトヲ世
界ニ證明致シタイコトヲ希望シマス、故
以上ノ二點ニ付テハ十分御注意ヲ願ツテ、
サウシテ眞ニ我國民間航空ノ發達ノ爲ニ政
府ノ御盡力ヲ願フ次第デアリマス、尙ホ澤
山御質問モ申上ゲタイノデアリマスルガ、
時間ガアリマセヌカラ、後ハ委員會ニ讓リ
マシテ、本會社ノ設立ニ依ツテ我國ノ民間
航空界ガ一新セラレ、國家有事ノ場合ニハ
眞ニ國防ノ先頭ニ立ツテ働クコトガ出來マ
スヤウニ、御注意アランコトヲ希望致シマ
ス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=75
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076・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 笠井君ニ御答致
シマス、第一、國際航空路ノ開設ニ付テノ
御質問デアリマシタガ、此ノ國際航空路ヲ
擴張致シマスルコトハ洵ニ御同感デアリマ
ス、之ニ付キマシテハ、先ヅ歐洲トノ連絡
航路ヲ開クコト、是モ亦御同感デアリマス、
而シテ外國ノ會社ト連絡ヲ取ツテヤツテハ
ドウト云フ御意見デアリマスガ、是モ御同
感デアリマス、之ニ付キマシテハ政府ハ相
當工夫ト實行トニ著手致シテ居ルノデアリ
マスルガ、マダ之ヲ公表スル時期デハナイ
ノヲ遺憾ト致シマス、太平洋橫斷ノ航路ニ
付キマシテモ、亦之ヲ政府モ希望致シテ居
ルノデアリマスルガ、先ヅ其ノ前提ト致シ
マシテ、御說ノヤウニ「グアム」島ニ於テノ
連絡ヲ圖ツテハ如何ト云フコトモ亦御同感
デアリマス、併シナガラ之ニ付キマシテハ、
事外交ニモ屬シマスカラ、未ダ此處ニ發表
スル譯ニハ參リマセヌ
次ニ本會社ハ資本金ガ一億圓デアツテ、
多過ギルト云フヤウナ御話デアリマスルガ、
現在ニ於テ一千五百五十万圓ノ上ニ七千餘
万圓ノ增資ヲスルコトニナリマス、其ノ中
政府カラ現物出資トシテ五百五十万圓相當
ノ器材ヲ提供致シマス、サウシテ其ノ殘リ
三千餘万圓ノ金ヲ以テ出資ヲシテ參ルト云
フ考デアリマスルガ、其ノ器材ニ依リマシ
テ、此ノ會社ガ活潑ナル活動ヲ開始シ得ル
ト考ヘテ居ルノデアリマス、併シナガラ御
說ノヤウニ航空路ノ設備ノ充實、又乘員ノ
養成ト云フコトガ出來ナケレバ、其ノ器材
ヲモ十分ニ活動サセルコトガ出來マセヌ、
是ニ於テ政府ハ旣ニ昭和十三年度カラ乘員
養成ノ爲ニ設備ヲ致シテ居リマスルコトハ
御承知ノ通リデアリマシテ、尙ホ明年度、
十四年度ニ於キマシテモ、養成所ヲ五箇所
增スコトニ豫算ノ上ニ計上致シタヤウナ次
第デゴザイマス、先ヅ政府ハ此ノ航空輸送
事業ノ仲展發達ノ爲ニ全力ヲ擧ゲテ努力ヲ
致シテ居ルノデアリマシテ、此ノ大キナ會
社ヲ計畫致シタノデアリマスガ、併シナガ
ラ其ノ會社ノ運用ニ付キマシテ、御說ノヤ
ウニ其ノ機構ガ惡ク、人ノ配置ガ不十分デ
アリマス場合ニハ、甚ダ豫期セザル結果ヲ
生ジナイトモ限リマセヌ、隨テ政府ニ於キ
マシテハ御注意ノ通リニ、此ノ點ニ於キマ
シテハ十分ニ注意ヲ致シ、愼重ニ處置致シ
タイト考ヘテ居リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=76
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077・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 冨吉榮二君
〔冨吉榮二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=77
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078・冨吉榮二
○冨吉榮二君 私ハ只今議題トナリマシタ
大日本航空株式會社法案ニ關聯致シマシテ、
航空國策ノ根本問題ニ對シテ、六ツノ質問
ヲ試ミタイト思フノデアリマス、第一ハ航
空國策ニ取ツテ最モ重大ナル人的資源ノ確
保ニ付テ、第二ハ航空工業ノ指導精神ニ付
テ、第三ハ海上航空政策ニ付テ、第四ハ航
空政策ノ基礎タル技術〓育ニ付テ文部當局
ニ御聽シタイ、第五ニ此ノ大日本航空株式
會社ノ指導監督ニ付テ、第六航空輸送事業
ト航空工業トノ一貫作業ニ付テデアル、以
上ノ六點ニ付テ質問ヲ致シマスルガ、民間
ノ航空ガ重大ナルコトハ今更論ズルマデモ
ナク、旣ニ論ジ盡サレタ點デアリマシテ、
此ノ問題ニ付キマシテハ討論終結濟デゴザ
イマス、ソコデ政府ノ是マデ執ツテ來ラレ
タ航空政策ヲ少シク考察シ見マスルナラバ、
此ノ重大ナル世界情勢ト我國ノ地位ニ鑑ミ
テ、所謂航空機ノ製造事業法ナルモノヲ第
七十三議會ニ提案致サレマシタ、又本年度
豫算ニ於キマシテモ、一千四百五十万圓ヲ
十三年度豫算ヨリモ更ニ增額シテ、三千二
百二十五万圓ト云フ多額ノ豫算ヲ要求サレ
テ居ルノデアリマス、更ニ本法ヲ制定致シ
テ、一億圓ノ國策會社ヲ作ツテヤラウトセ
ラルル其ノ政府ノ意圖ニ對シマシテハ、私
共大イニ敬意ヲ表スルノデアリマスルガ、
唯會社ヲ作ツタ、役人ヲ拵ヘタ、航空路ガ
出來タ、ソレダケデハ本當ニ航空ノ發展ハ
望マレナイノデアル、ソレハ要スルニ所謂
畫ニ描イタ牡丹餅ニ終ル、一種ノ「ナンセ
ンス」ニ終ル、ソレデドウシテモ是ハ根本
ノ問題ニ付テノ指導方針ガ確立サレナケレ
バナラヌ、斯ウ云フコトヲ考ヘテ居ルノデ
アリマスルガ、之ヲ曩ニ申上ゲタ六項目ニ
付テ御尋致シタイノデアリマス
卽チ第一點ノ人的資源ノ確保デアリマス
ガ、之ニ付キマシテハ、政府ノ本年度豫算ニ
付テ見マシテモ、相當思切ツタ所謂機乘員ノ
養成ト云フモノヲヤツテ居ラレマス、是ハ洵
ニ結構ナコトデアリマスガ、當局ノ御說明ヲ
承リマスルト、此ノ豫算ノ大要ハ、所謂「パ
イロット」ノ養成デアツテ、氣象ニ關スル〓究
デアルトカ、或ハ先程御話ノアツタ「ラヂ
オ·ビーコン」トカ、或ハ方向探知機ト云フ
ヤウナ、地上設備竝ニ機乘操作ニ關スル專
門的ナ技術家ヲ養成スル、サウ云フ點ガ極
メテ閑却サレテ居ルヤウニ私ハ見受ケラレ
ルノデアリマス、是ガ抑〓最モ重大ナ問題
デアルト思フ、山ノ上ニ落ツコチタリ、海
ノ上ニ落ツコチタリシテ居ツテ、國民ガ航
空機ニ對スル認識ガナイノ、民間ガ航空界
ニ對スル理解ガナイト叱付ケテ居ッタバカリ
デハ、一向航空ノ眞ノ發展ハ望マレナイ、
認識ハ出テ來ナイト思フノデアリマス、政
府ハ眞ニ是等ノ技術員、殊ニ「パイロット」ノ
養成ハ比較的簡單ニ出來マスルケレドモ、
氣象ノ觀測及ビ整備員トシテノ必要ナル技
術員ノ養成ト云フコトハ、極メテ困難ノコ
トナリト私共ハ專門家カラ承ツテ居リマス、
一朝一夕ニ出來ナイ此ノ問題ヲ、今日カラ
十分考ヘテソレヲ實行シナケレバナラヌ、
之ニ對スル當局ノ御所信ヲ承リタイノデア
リマス、ソレニ付テ政府ハ中央〓究所ヲ今
度拵ヘタカラ、ソレデヤツテ行クノダト云
フヤウニ仰シヤルカモ知レマセヌケレドモ、
是ハ當局自ラガ製造技術ト優秀機製作ノ工
業化ヲ圖ル云々ト云フコトヲ書カレテ居リ
マスノデ、今私ガ御尋シタサウシタ「エキ
スパート」ノ養成ニハナリマセヌ、又政府
ハ大學ノ航空科、例ヘバ東京、大阪、九大
或ハ又濱松ノ高等工業學校ノ航空科ヲ以テ
サウ云フ方面ノ技術員ヲ養成スルノダト御
答辯ニナルカモ知レマセヌケレドモ、此處
デハ所謂專門的ナ知識ハ授ケマスケレドモ
マルデ玩具ミタイナ機械ヲ以テシテ、全ク
役ニハ立タナイノデアリマス、此處等ヲ卒
業シタ諸君ハ失禮デアリマスルガ多クハ遞
信省ノ役人ニナツタリ、或ハ軍人ニナツタ
リ、航空會社ノ幹部ニナツタリスルノデア
リマシテ、直接飛行機ヲ操縱スル機乘員ト
シテノ補助機關デアリマス、最モ重大ナル
役割ヲ果ス技術員ニナルヤウナ人物ノ養成
ハ、非常ニ缺ケテ居ルヤウニ思ヒマスルガ
之ニ對スル當局ノ御意見ヲ承リタイ
第二點ト致シマシテハ航空工業ノ指導方
針デアル、卽チ今次ノ事變ニ因リマシテ我
國ノ航空工業ハ、先刻來ノ笠井君ノ御話ニ
モゴザイマシタルガ如ク、非常ニ發展致シ
マシタ、卽チ算盤ノ上ノ勘定ガ採レルト云
フコトデ、中島飛行機ニ致シマシテモ、三菱
重工業ニ致シマシテモ、總テ今日軍需會社ト
シテ相當有力ナ地位ヲ確保致シマシタコト
ハ私共認メマス、サリナガラ私共ガ專門家
ノ御意見ヲ承リマスルト、マダ其ノ機械ノ
眞ノ能力トカ、或ハ耐久力ト云フヤウナ點
ニ於テハ、著シク缺ケテ居ルト云フコトデ
アリマス、是ハ先般モ此ノ議場ニ於キマス
ル軍用自動車ノ檢査法ノ問題ニ於キマシテ、
同僚中村君カラ日本ノ國產自動車ハ駄目ヂ
ヤナイカト云フヤウナ御話ガアリマシタガ
私モサウ聞イテ居ル、直グガタ〓〓ニナツ
テ使ヘナクナツテシマフ、甚ダ見掛ケハ宜
シイガ、實際ノ所ドウモ耐久力ガナイ、斯
ウ云フヤウナコトヲ承ツテ居リマスルガ、
飛行機等ニ於テモソレガ言ヘルノデハナイ
カト思フ、要スルニ近代產業ノ中樞デアリ
マス所ノ是等ノ方面ニ於キマシテ、ナゼソ
レナラバ日本デ作ツタ飛行機モ、自動車ノ
機械モ、ソンナニ惡イカト云フ點ハ、吾々
ガ非常ニ考ヘテ見ナケレバナラヌ點デアル、
ソレハ材料ガ拙イノデアルカト言ヒマスル
ナラバ、勿論ソレモ言ヘマセウ、併シ私ハ
一般的ナ材料ニ付テハ左程缺如シテハ居ナ
イト思フ、私ヲシテ言ハシムレバ、所謂眞
ノ品物ヲ作ル所ノ、先ヅ根本ニナリマスル
精密ナ工作機械ガ日本ニナイト云フコトデ
アルト思フ、モウ一ツハ此ノ技術ニ依ル特
殊材質ガナイト云フコトデアル、ソレカラ
技術ガナイ、技術ガナイト言フト、直チニ
日本ノ所謂熟練エハ駄目デアル、勞働者ハ
駄目デアル、斯ウ決メテシマフ危險ガアリ
マスカラ、一應私ハ御斷リ申上ゲテ置キマ
スルガ、私ノ技術ガナイト言フノハ、決シ
テサウ云フ意味デハナイ、日本人ハ御承知
ノ通リ日本刀ニ致シマシテモ、奈良朝時
代カラ平安朝ニ至リマスル、アノ古美
術ノ方面ニ致シマシテモ、決シテ世界
ニ劣ラザル所ノモノガアリ、非常ニ手
先ノ器用ナ國民デアル、此ノ手先ノ器
用ナ國民デアツテコソ、アノ日本刀ノ如キ
斬レ味ノ宜シイ、而モ耐久力ノアルモノヲ
拵ヘ得タ歷史ヲ持ツテ居ル、ナゼ日本刀ガ
ソレ程宜シイカト云フナラバ、是ハ所謂其
ノ刀エガ打算ヲ超越シ、名利ノ外ニ立ツテ
物ヲ作リ、鍛鍊シタレバコソ、立派ナモノ
ガ出來ルノデアル、然ルニ我國ノ工業ノ全
體ハ御承知ノ如ク所謂營利生產デアル、儲
カルト云フコトガ先ヅ第一義デアル、飛行
機ノ會社ヲ作ル、自動車ノ工場ヲ作ル、先
ヅ儲ケヤウデハナイカ、株ノ配當ハドウス
ルノダ、アアダ斯ウダト云フコトガ一番先
ニ問題ニナルノデアル、ソレデ結局立派ナ
品物ヲ作ラウト云フ點ヨリモ、儲ケルコト
ガ中心ニナルガ故ニ、ソコニ〓究モナケレ
バ-〓究ドコロカ、技術員ニ對シテ十分
ノ休養モ與ヘナイ、而モ先程カラ言ツタ通
リ官僚的ナ幹部ガ頭ヲ抑へ、下ノ者ノ言フ
コトハ全ク聽入レナイデ、恰モ封建時代ニ
於ケル殿樣ノ如キ態度デアル、是デハ本當
ニ技術ガ發達シ、立派ナエ作機械ガ出來ル
筈ハナイノデアリマス、ソコデ私ハドウシ
テモ是等ノ技術ヲ尊重シ、勞働生產制ヲ尊
重セヨト言フノデアルガ、是ハ決シテ私共
單ニ勞働者ガ可哀相ダト思ツテ言フノデハ
ナイ、ドウモ社會大衆黨ノ連中ハ勞働者ニ
媚ヲ賣ルト云フヤウナオ叱リヲ受ケマスケ
レドモ、決シテ私共ハサウ云フヤウナサモ
シイ根性ヤ人道主義ニ立ツテ申上ゲテ居ル
ノデハアリマセヌ、日本ノ工業ヲ進メテ世
界ニ飛躍セシメナケレバナラナイト考ヘル
ガ故ニ、斯ル建前カラ常ニ勞働生產制ノ尊
重ヲ說キ、營利生產ヲ改革シテ行カナケレ
バナラヌト云フコトヲ申上ゲテ居ルノデア
リマス、此ノ意味ニ於テ私ハ政府當局ニ御
尋致シマス、ソコデ此ノ工業ナルモノハ、
決シテ資本家ヲ擁護シタリ、古手官吏ノ隱
居所タラシメルヤウナコトデハナクテ、本
當ニ立派ナ技術ヲ養成セシメテ行ク方へ向
ケナケレバナラヌ、昨年ノ航空機製造事業
株式會社法ヲ見マシテモ、是デハ本當ノシ
ツカリシタ技術ガ生レテ來ナイゾト云フコ
トヲ私ハ斷言致シテ置キマス、ソコデ民間
ニアル一ツノ天才的ナ技術ニ對シテ、政府
ガ之ヲ指導助長シテ、ソレガドンナ小サナ
身分ノ低イ者デアラウト、ソレヲ引上ゲテ、
以テ國策ノ基本トシテノ技術養成ニ當ラシ
メル、斯ウ云フ御考ガアルカナイカ、一體
此ノ航空工業ヲドウ云フ風ニ指導シテ行ク
考デアルカ、會社ヲ作ツテ、作ツタ初メカ
ラ釘付ケニナツテ、ヤレ監督ガドウトカ言
ツテ繩張リ爭ヒヲヤツタリ、或ハ配當ガ少
イト言ツテ喧嘩ヲシタリ、ソンナコトデハ
迚モ航空事業ハ發展スルモノデハナイカ
ラ、宜シクサウ云フ所ニ思ヲ致サレテ、航
空工業ヲ指導シテ戴キタイ
第三ニ海洋航空デアリマス、民間航空ニ
對スル世間多クノ認識ハ、之ヲ軍事航空ノ
隨伴者デアル、軍事航空ノ豫備軍デアル、
斯ウ云フ風ニ考ヘラレテ居ル、隨テ政府ノ
從來ノヤリ方モ、總テ陸海軍ノ指導ガナケ
レバ何モ出來ナカツタ、遞信省ノ航空局ナ
ドト云フモノハ、失禮ナ話デアルガ、ソレ
自體トシテハ何ノ仕事モ出來ナカツタ、私
ハワレデハ駄目ダト思フ、民間航空ハ民間
航空ソレ自體トシテ、獨立シタ氣魄ト獨立
シタ方針トニ依ツテ進マレテ、一朝風雲急
ナル時ニハ、直チニ軍ノ用ニ役立ツト云フ
ヤウナニシナケレバナラヌノデアツテ、軍
ガ是ダケノ要求ヲスルカラ仕方ガナイ、豫
算ヲ出シテ、議會ヲ通過セシメテ、之ヲヤ
ラウト云フヤウナ、マルデ他人ノ禪デ相撲
ヲ取ラウト云フヤウナ考ヘ方ハ斷然間違ヒ
デアル、是ニ於テ航空政策ノ確立ガ必要デ
アルト私ハ思フノデアリマス、世界ヲ通ジ
テ優秀ナル品物デアルトカ、品物ノ値段ガ
安イトカ云フヤウナコトニ依ル自由貿易主
義ガ行詰ツテシマツタコトハ、私ガ言フマ
デモナク、博學ノ諸君ガ能ク御承知ノ通リ
デアリマス、政府亦御承知ノ通リデアリマ
ス、品物ヲ何處ヘデモ勝手ニ持ツテ行ツテ
賣ルト云フヤウナコトハ、決シテ出來ナク
ナツタ、不買同盟ガ起リ、關稅ノ吊上ヲヤ
ツテ日貨ハ排斥サレル、要スルニ現在ノ貿易
政策ハ政治的影響ニ支配セラレテ、自由貿易
主義ハ既ニ最早其ノ範圍ガ著シク縮小セシ
メラレタモノナリト私ハ解釋致シテ居ル、ソコ
デドウシテモ此ノ航空政策ハ所謂經濟的ナ
モノノ上ニ立ツテ來ナケレバナラヌ、ソコデ
我國ノ貿易政策ハ從來ノ如キ饑餓輸出デア
ツテハナラヌ、航空經濟ノ上ニ立ツ協同體
制的ナルモノニナラナケレバナラヌ、例
バ通信、或ハ「サンプル」、貿易業者、視察
員ノ急速ナル輸送ト云フヤウナコトガ、非
常ニ重大ニナツテ來タ、サウ云フ時ニ飛行
機ガナクテ、先程カラ申上ゲタヤウナ狀態
デハ、國家ノ發展ハ望マレナイ、ソコデ一
體政府ハ今後ノ日本ノ航空政策ハ、大陸ノ
ミニ主眼點ヲ置カレル積リデアルカ、勿論
ソレニ付テ御意見トシテハ色々アリマシタ
ガ、此ノ點ニ付テ私ハ日本ノ航空政策トシ
テハ、ドウシテモ海洋航空政策ヲ執ルベキ
デアルト思ヒマス、勿論大陸ニ於ケル航空
ガ重大デアルコトハ私ガ申上ゲナクテモ分
ツテ居リマスガ、由來我國ハ四面海ヲ環ラ
シマシテ、海國日本ノ名ヲ世界ニ轟カシ、
帆船時代カラ汽船ノ時代ニ移リ(「モウ時間
ガナイゾ」ト呼フ者アリ)マダ時間ハアル、
默ツテ聽キナサイ(「無イ」ト呼フ者アリ〕世
界的發展ヲ遂ゲタ、然ラバ何故斯ノ如ク海
運ガ發展致シタカト申シマスナラバ、是ハ
要スルニ我ガ國民ガ常ニ海ニ依ツテ鍛鍊サ
レ、海ノ氣流ヲ知リ、航海術ヲ學ンデ來タ
カラデアリマス、此ノ點ニ於テ私ハ海洋航
空ノ見地ニ立ツテ、現在ノ大學ニ航空科ヲ
置クコトモ一應必要デアリマスガ、ソレヨ
リモツト大事ナコトハ、遞信省ノ管轄ニ屬
スル商船學校ノ中ニ、航空科及ビ航空機關
科ヲ御置キニナルコトガ、最モ適切ナリト
確信致シテ居ルノデアリマスガ、ソレニ對
スル當局ノ御見解ヲ承リタイノデアリマス
更ニ文部當局ニ簡單ニ御伺致シマスガ、
今マデノ〓育方針ハ〓略シテ言フナラバ、
所謂英雄〓育デアリ、英才〓育デアツタ、
卽チ福助〓育デアル、頭ダケ大キクテ足ノ
小サイ〓育デアル(拍手)學校ニ於テモ理論
ノ詰込ミノミデアツテ、實際ニハ何ノ役ニモ
立タナイヤウナ者ヲ造ツテ來タ、斯ウ云フ
コトデハ政府ガ如何ニ鯱立チヲシテモ航空
工業ハ發達致シマセヌ、精密工業ナドハ發
達致シマセヌ、文部大臣ガオ居デニナリマ
スレバ、モツト詳シク承リタカツタノデア
リマスケレドモ、今日ハ御代リノ方デアリ
マスカラ、極メテ簡單ニ御伺致シマス、ソ
コデ日本主義モ宜シイ、精神主義亦結構デ
アル、併シサウシタ神ガカリ的「ロマンチ
シズム」ダケデハ、眞ニ將來ノ科學日本ヲ背
負フ所ノ立派ナ「エキスパート」ハ生レテ來
ナイト思フガ故ニ、ドウシテモ此ノ科學〓
育ニ足ヲ踏出シテ貰ヒタイト思フノデアリ
マーハ、私ハソレニ付テモツト述ベタイノデ
アリマスガ、其處ラ邊デマダ時間ガアルノ
ニ、モウナイト餘リ仰シヤイマスカラ、此
ノ程度デ打切リマス
更ニ航空會社ノ指導監督デアリマスガ、
航空會社ハ先程カラ仰シヤツタヤウニ國策
會社デアリ直グ役人ガ上カラ天降リニ來
ル、是ハモウ討論終結デアリマス、私ハ役
人ノ來ルコト必ズシモ惡イトハ申シマセヌ
ガ、要ハ其ノ役人ヲ以上申上ゲタ最新技術
ヲ持ツ所ノ若キ「エンジニヤー」「インベン
チュアー」ノ意見ヲ能クコナシテ行キ得ル、
眞ノ進步的頭ノ者ヲソコニ据エナケレバナ
ラヌト思フ、是ハ此ノ航空ニ關スル如キ、
日進月步ドコロデハナイ、一分ヲ爭フヤウ
ナ重大ナル問題ノ首腦部ニ、從何位勳何等
ト云フヤウナ偉イ方々ダケデハ、立派ナ國
策ハ生レテ來マセヌ、又六法全書ノ中カラ
拔ケ出テ來タヤウナ法理論バカリデハ航空
國策ハ立チマセヌ、進步モゴザイマセヌ、
ソコデ私ハドウシテモ是等從業員或ハ「エ
キスパート」ノ意見ヲ反映スルヤウニ、法
律的ニモ之ヲ作ラナケレバナラヌト思フガ、
一體今度御出シニナツタ法律ノ第何條ニ、
ソレ等ノ「エキスパート」ノ意見ヲ尊重スル
ヤウナ意味ガ盛ラレテアルノデアルカ、ヤ
ハリ從來通リノ「マンネリズム」ノ中ニ此ノ
會社ヲヤツテ行カウトスルノデアルカ、其
ノ點ニ對スル當局ノ御意見ヲ承リタイノデ
アリマス
最後ニ簡單ニ一言申上ゲル、航空事業ハ
私ガ言フマデモナク、唯輸送事業グケデハ
え
發展致シ兼ネルト思フ、何故ナラバ算盤ガ
採レマセヌ、ソコデ各國モ此ノ會社ニ對シ
テハ多額ノ補助ヲヤツテ居リマスガ、ヨタ
ヨタデ中々獨リ立チガ出來テ居ナイ、當日
政府ノ方ノ補助ニ依ル外航空會社ノ立行ク
道ハナイノデス、ソコデ是レハ突飛ナ考ノ
ヤウデアリマスケレドモ、航空機製造事業
ト輸送事業ト云フモノヲ一ツニシテ、同ジ
會社デヤルヤウニシタナラバ、ドンナモノ
デアラウカト考ヘル、サウスルコトニ依ツ
テソレガ榮養源トナル、一方デ儲ケタモノ
ガ榮養源トナツテコツチニ來ル、現ニ獨逸、
伊太利ニ於テモサウ云フコトヲヤツテ、非
常ニ發展ヲ見ツツアルヤウデアリマスルシ、
英國及ビ佛蘭西ニ於テハ補助政策バカリヲ
執ツテ、國帑ヲ費スコトハ大キイノニモ拘
ラズ、民間航空力モ軍事航空力モ獨伊ニ抑
ヘ付ケラレテアノ「ズデーテン」問題ニ於テ
モ、或ハ墺地利ノ合併ニ於テモ、或ハ又「エ
チオビヤ」ノ戰爭ニ於テモ、何等手出シガ
出來ナカツタト云フノモ、其ノ航空政策ノ
一斑ガ窺ハレルト思フノデアリマス、デア
リマスカラ日本ノ航空事業ヲ眞ニ發達セシ
ムル爲ニハ所謂一〓ニヤラセルト云フコ
トガ必要デアルト思フガ、之ニ對スル御意
見ハ如何デアルカ、御尋致シマス
尙ホ最後ニ一言政府ニ申上ゲテ置キタイ
コトハ、會期ノ三分ノ二ヲ過ギタ今日ニ於
テ、斯ウ云フ重大法案ヲ議會ニ出サレルナ
ドト云フガ如キコトハ、甚ダ怠慢デアツタ
ト考ヘル、甚ダダラシガナイト考ヘルノデ
アリマス、是等ノ點ニモ注意ヲサレマシテ、
委員會等ニ於テモ極メテ詳細ナ資料ヲ早ク
提供サレマシテ、審議促進ニ努力セラレン
コトヲ最後ニ希望致シマス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=78
-
079・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御答致シマス、
航空機乘員ノ養成ニ付キマシテハ、御承知
ノヤウニ十三年度ニ於テ既ニ五箇所ノ地方
養成所ヲ作リ、又一箇所ノ中央養成所ヲ作
ルコトニ運ンデ居リマス、尙ホ進ンデ明年
度卽チ十四年度ニ於テハ、更ニ五箇所ノ地
方養成所ヲ作ルト云フコトニナツテ居リマ
ス、尙ホ今後モ年ヲ逐ウテ增加スルノデア
リマス、此ノ養成所ハ甲種工業學校程度ノ
モノデアリマシテ、其ノ上級生ニ對シテハ
飛行機操縱ノ技術ヲ學バセ、又一面ニ於キ
マシテハ飛行工業技術、卽チ技術員養成ニ
充テルノデアリマス、其ノ高等ナ技術及ビ
航空關係ノ〓究ハ、中央〓究所ニ於テ之ヲ
致スノデアリマス、ソシニ付キマシテハ、
ソレ等ノ養成所ガ卒業生ヲ出スマデニハ相
當ノ日時ガアル關係カラ、目下臨時養成ヲ
ヤツテ居リマス、昨年ニ於テモ臨時養成數
十名ノ者ガ僅カ八箇月ノ練習ニ依ツテ宙返
カラ逆落マデ、何デモ出來ルヤウナ優秀ナ
者モアルノデアリマス
尙ホ「ラヂオ·ビーコン」其ノ他無線通信
關係ニ付キマシテハ、通信ノ關係ニ於テ十
分ニ練習ヲサセテアリマスガ、氣象ノ關係ニ
付キマシテハ、是モ亦豫備知識ハ與ヘマス
ガ、實際ハ文部省ノ方ノ關係ニ於テ考慮下
サルコトト考ヘテ居リマス、技術ノ方面モ
尙ホ民間ニ於ケル「エキスパート」ヲ取入レ
ル考ハナイカト云フ御意見モアリマシタガ、
是ハ固ヨリ國策會社ニ於キマシテモ十分其
ノ點ハ考慮ニ入レテ運營ヲ致スコトト考ヘ
テ居リマスシ、當局ニ於テモ十分監督ヲ致
シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス
海洋ノ航空ヲ發達サセテハドウカト云
フ御意見ハ、洵ニ御同感デアリマシテ、我
國ノヤウナ四面海ヲ以テ環ラシテ居リマス
地位ノ上カラ、南洋ニ、太平洋ニ、或ハ印
度洋ニ航空路ヲ開クト云フ上カラ、必要ナ
コトハ論ガナイノデアリマス
尙ホ御意見ノ中ニ此ノ飛行機ノ製造
業ト輸送業トヲ同ジ會社ガヤツテハ如
何デアルカ、卽チ航空輸送ノ方ハ收益性
ガナイ、補助金ノミニ依ツテ運營サレ
ルモノデアルカラ、製造ノ仕事ヲシテ、其
ノ收益ヲ以テ之ヲ補フト云フ方法ハ如何デ
アルカト云フノハ、一應御尤ノ御意見ト考
ヘマスケレドモ、是ハ別ニ分ケテ置ク方ガ
宜シイト考ヘテ居リマス、ト申シマスノ
ハ、自己ノ造ツタモノハヤハリ自分デ使用
シタクナルノデアリマス、自己ノ會社ニ於
テ優秀機ヲ造ツテ之ヲ使用スル、自己ノ造
ツタモノハ何デモ優秀ダト考ヘル弊モ起リ
易イノデアリマスカラ、製造會社ヲ多數ニ
置キ、其ノ多數ノ製造會社カラ優秀機ヲ選
拔シテ飛行ニ用フルト云フ方ガ宜シイト考
ヘテ居ルナヤウ次第デアリマス、尙ホ詳細
ノコトハ他ノ機會ニ於テ御答ヲ致スコトニ
致シマス(拍手)
〔政府委員小柳〓衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=79
-
080・小柳牧衞
○政府委員(小柳牧衞君) 只今ノ御質問中
文部所管ニ關スル點ニ付キマシテ私ヨリ御
答致シタイト存ジマス、時代ノ進運ニ伴ヒ
マシテ航空科學〓育竝ニ航空技術〓育ノ必
要ナルコトハ申スマデモアリマセヌ、當局
ト致シマシテハ此ノ必要ヲ認メマシテ、去
ル十一年度ヨリ航空〓究所ノ設備ヲ擴充シ、
更ニ又十二年ヨリ各大學竝ニ橫濱高等工業
學校ニ航空科學ヲ擴張致シタノデアリマス、
更ニ又我國ノ航空技術者ノ多クガ、他ノ學
科ノ出身者デアツタト云フ現狀ニ顧ミマシ
テ、之ヲ再〓育スルノ必要ヲ認メマシテ、航
空學ニ關スル講習會等ヲ開催シタノデア
リマス、更ニ又十三年ニハ航空思想ノ普及
發達ヲ圖ル爲ニ、生徒學生ニ此ノ思想ヲ普
及徹底セシムルノ必要ヲ認メマシテ、中等
以上ノ學校〓員ニ對シマシテ「グライダー」
ノ講習ヲ開始政シタノデアリマス、更ニ又
工業學校ノ〓員ニ對シマシテハ、同ジク「ダ
ライダー」ノ製作ノ講習ヲ始メタノデアリ
マく、更ニ又其ノ訓練ノ〓範ノ制定ニ付キ
マシテ目下考究中デアルノデアリマス、要
スルニ我國ノ航空科學竝ニ航空技術〓育ノ
進步發達ヲ念願シテ居ルノデアリマスルガ、
我國ノ世界無比ナル日本精神ニ立脚致シマ
シテ、サウシテ正確ト精密ヲ誇ルベキ我國
ノ科學ヲ進步發達セシムル目的ヲ以テマシ
テ、此ノ點ニ立脚致シマシテ、我國ノ航空
ノ發達ニ寄與スル爲ニ、其ノ〓育方針ヲ定
メテ居ル次第デアリマス、左樣御諒承ヲ願
ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=80
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081・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終了
致シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=81
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082・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出國際電氣通
信株式會社法中改正法律案委員ニ併セ付託
サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=82
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083・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=83
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084・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第四、船員保險法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-厚生大臣廣瀨久忠君
第四船員保險法案(政府提出)
第一讀會
船員保險法案
船員保險法
第一章總則
第一條船員保險ニ於テハ被保險者又ハ
被保險者タリシ者ノ疾病、負傷、老齡、
癈疾、脫退又ハ死亡ニ關シ保險給付ヲ
爲スモノトス
第二條船員保險ハ政府之ヲ管掌ス
第三條本法ニ於テ報酬ト稱スルハ船員
ガ職務執行ノ對償トシテ船舶所有者ヨ
リ受クル給料及之ニ準ズベキモノヲ謂
フ
給料ニ準ズベキモノノ範圍及評價ニ關
シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條報酬ノ額ニ基キ保險料又ハ保險
給付ノ額ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報
酬ニ依リ之ヲ算定ス
標準報酬ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第五條保險料其ノ他本法ニ依ル徴收金
ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル權利及
療養費、傷病手當金、癈疾手當金又ハ
死亡手當金ヲ受クル權利ハ一年ヲ經過
シタルトキ、養老年金、癈疾年金、脫
退手當金又ハ第三十六條、第三十七條、
第四十二條若ハ第四十九條ノ規定ニ依
ル一時金ヲ受クル權利ハ五年ヲ經過シ
タルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ本法
ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外民法
ノ期間ノ計算ニ關スル規定ヲ準用ス
第七條船員保險ニ關スル書類ニハ印紙
稅ヲ課セズ
第八條行政官廳又ハ保險給付ヲ受クベ
キ者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者
ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又
ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求
ムルコトヲ得
第九條行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ被保險者ヲ雇傭スル船舶所有者ヲシ
テ其ノ雇傭スル者ノ異動及報酬ニ關シ
報〓ヲ爲サシメ、文書ヲ提示セシメ其
ノ他船員保險ノ施行ニ必要ナル事務ヲ
行ハシムルコトヲ得
第十條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令中船舶所有者トアルハ船舶共有ノ場
合ニ在リテハ船舶管理人、船舶貸借ノ
場合ニ在リテハ船舶借入人トス
第十一條船舶ガ滅失又ハ沈沒シタル際
現ニ其ノ船舶ニ乘組ム被保險者又ハ其
ノ船舶ニ乘組中被保險者ノ資格ヲ喪失
シ引續キ船舶內ニ在ル者ガ滅失又ハ沈
沒ノ日ヨリ三月間其ノ生死分明ナラザ
ルトキハ本法ノ適用ニ付テハ其ノ期間
滿了ノ日ニ死亡シタルモノト推定ス
船舶ノ存否ガ一月間分明ナラザルトキ
ハ船舶ハ滅失シタルモノト推定ス
第一項ノ規定ハ被保險者又ハ船舶ニ乘
組中被保險者ノ資格ヲ喪失シ引續キ船
舶內ニ在ル者ガ船舶航行中行方不明ト
爲リタル場合ニ於テ三月間生死分明ナ
ラザルトキニ之ヲ準用ス
第十二條保險料ヲ滯納スル者アルトキ
ハ行政官廳ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促
スベシ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合
ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手
數料及延滯金ヲ徵收ス
第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者
其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ他本法
ニ依ル徵收金ヲ納付セザルトキハ行政
官廳ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處
分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者ノ財產ノ在
ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ請求スルコ
トヲ得
前項ノ規定ニ依リ市町村ニ對シ處分ノ
請求ヲ爲シタルトキハ市町村ハ市町村
稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於
テハ行政官廳ハ徵收金額ノ百分ノ四ニ
相當スル金額ヲ當該市町村ニ交付スベ
シ
第十三條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノノ徴收金ニ次ギ他ノ公
課ニ先ツモノトス
第十四條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ニ關スル書類ノ送達ニ付テハ國稅徵
收法第四條ノ七及第四條ノ八ノ規定ヲ
準用ス
第十五條國、北海道、府縣、市町村其
ノ他之ニ準ズベキモノノ所有ニ屬スル
船舶ニ乘組ム船員ニ關シテハ本法ノ適
用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコト
ヲ得
第十六條本法中町村トアルハ町村制ヲ
施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキ
モノトス
第二章被保險者
第十七條船員法第一條ニ規定スル帝國
臣民タル船員ニシテ本法施行地ニ船籍
港ヲ定ムル船舶ニ乘組ムモノハ船員保
險ノ被保險者トス但シ左ニ揭グル者ハ
此ノ限ニ在ラズ
船舶所有者ニ雇傭セラレザル者
二官吏又ハ待遇官吏(俸給給料ヲ受
ケザル者ヲ除ク)
三前二號ニ揭グル者ノ外勅令ヲ以テ
指定スル者
第十八條被保險者ハ船舶ニ乘組ミタル
日、前條各號ノ規定ニ該當セザルニ至
リタル日又ハ日本ノ國籍ヲ取得シタル
日ヨリ其ノ資格ヲ取得ス
第十九條被保險者ハ死亡シタル日、船
舶ニ乘組マザルニ至リタル日、第十七
條各號ノ規定ノ一ニ該當スルニ至リタ
ル日又ハ日本ノ國籍ヲ失ヒタル日ノ翌
日ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス但シ其ノ事實
アリタル日ニ更ニ前條ノ規定ニ該當ス
ルニ至リタルトキハ其ノ日ヨリ其ノ資
格ヲ喪失ス
第二十條十年以上十五年未滿被保險者
タリシ者ガ被保險者タラザルニ至リタ
ル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
繼續シテ被保險者ト爲ルコトヲ得但シ
其ノ者ガ日本ノ國籍ヲ失ヒタルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル被保險者ニ對シテハ
老齡又ハ脫退ニ關スル保險給付ニ限リ
之ヲ爲スモノトス
第二十一條前條ノ規定ニ依ル被保險
者ハ第十七條ノ規定ニ依ル被保險者タ
リシ期間ト前條ノ規定ニ依ル被保險者
タリシ期間トヲ合算シテ十五年ニ達シ
タルトキ其ノ他勅令ヲ以テ定ムル事由
ニ該當スルニ至リタルトキハ其ノ資格
ヲ喪失ス
第十九條ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル被
保險者死亡シタル場合及日本ノ國籍ヲ
失ヒタル場合ニ之ヲ準用ス
第三章保險給付
第一節總則
第二十二條被保險者タリシ期間ハ被保
險者ノ資格ヲ取得シタル月ヨリ之ヲ起
算シ其ノ資格ヲ喪失シタル月ノ前月ヲ
以テ終ル但シ十六日以後ニ於テ被保險
者ノ資格ヲ取得シタルトキハ其ノ月ハ
半月トシテ之ヲ計算ス
十六日以後ニ於テ被保險者ノ資格ヲ喪
失シタルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ其
ノ月ハ半月トシテ之ヲ被保險者タリシ
期間ニ加算ス
被保險者ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ其
ノ資格ヲ取得シタル者ニ對シテ保險給
付ヲ爲ス場合ニ於テハ前後ノ被保險者
タリシ期間ハ之ヲ合算ス但シ脫退手當
金ノ支給ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ
計算ノ基礎ト爲リタル期間ハ之ヲ合算
セズ
前項但書ノ規定ハ第四十九條ノ規定ニ
依リ差額ノ支給ヲ受ケタル場合ニ之ヲ
準用ス
第二十三條第三十六條、第三十七條若
ハ第四十二條ノ規定ニ依ル一時金又ハ
死亡手當金ヲ受クベキ遺族ノ範圍及順
位ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條養老年金及癈疾年金ノ支給
ハ之ヲ支給スベキ事由ノ生ジタル月ノ
翌月ヨリ之ヲ始メ權利消滅ノ月ヲ以テ
終ル
第二十五條政府ハ事故ガ第三者ノ行爲
ニ因リテ生ジタル場合ニ於テ保險給付
ヲ爲シタルトキハ其ノ給付ノ價額ノ限
度ニ於テ保險給付ヲ受クベキ者ガ第三
者ニ對シテ有スル損害賠償請求ノ權利
ヲ取得ス
第二十六條保險給付トシテ支給ヲ受ケ
タル金品ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公
課ヲ課セズ但シ養老年金ニ付テハ此ノ
限ニ在ラズ
第二十七條保險給付ヲ受クル權利ハ之
ヲ讓渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第二節療養ノ給付又傷病手當
金
第二十八條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ノ疾病又ハ負傷ニ關シテハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ療養ノ給付ヲ爲ス但シ
被保險者ノ資格喪失前ノ疾病又ハ負傷
ニ因リ發シタル疾病ヲ除クノ外被保險
者ノ資格喪失後ニ發シタル疾病又ハ負
傷ニ關シテハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ報酬年額千八百圓ヲ超ユ
ル船舶職員、被保險者ノ資格喪失當時
報酬年額千八百圓ヲ超ユル船舶職員タ
リシ者及勅令ヲ以テ指定スル者ノ疾病
又ハ負傷ニハ之ヲ適用セズ
第一項ノ場合ニ於テ療養上必要アリト
認ムルトキハ被保險者又ハ被保險者タ
リシ者ヲ診療所ニ收容スルコトヲ得
第二十九條療養ノ給付ヲ爲スコト困難
ナル場合又ハ被保險者若ハ被保險者タ
リシ者ノ申請アリタル場合ニ於テハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ療養ノ給付ニ代ヘ
テ療養費ヲ支給スルコトヲ得
第三十條被保險者タリシ者左ノ各號ノ
一ニ該當スル場合ニ於テ療養ノ爲勞務
ニ服スルコト能ハザルトキハ其ノ期間
傷病手當金トシテ一日ニ付被保險者ノ
資格喪失當時ノ報酬日額ノ百分ノ六十
ニ相當スル金額ヲ支給ス
-療養ノ給付ヲ受クルトキ
二船員法第十七條又ハ第一一十九條ノ
規定ニ依リ船舶所有者ヨリ疾病又ハ
負傷ニ關シ扶助ヲ受クルトキ
第二十八條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第三十一條診療所ニ收容シタル被保險
者タリシ者ニ對シテ支給スベキ傷病手
當金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ減額
スルコトヲ得
第三十二條療養ノ給付及傷病手當金ノ
支給ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ
發シタル疾病ニ付其ノ保險給付ヲ始メ
タル日ヨリ起算シ六月ヲ經過シタルト
キハ之ヲ爲サズ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ命
令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ超エ
尙六月以内繼續シテ療養ノ給付及傷病
手當金ノ支給ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ
保險給付ヲ始メタル日前勅令ノ定ムル
期間引續キ被保險者タリシ者ニ限ル
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザ
ルトキト雖モ療養ノ給付ヲ爲シ得ル期
間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支
給セズ
第三十三條船員法第十七條又ハ第二十
九條ノ規定ニ依リ船舶所有者ヨリ扶助
又ハ手當ノ支給ヲ受クル被保險者又ハ
被保險者タリシ者ノ疾病又ハ負傷ニ關
シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ受ク
ルコトヲ得ベキ期間經過後療養ノ給付
又ハ傷病手當金ノ支給ヲ開始ス
第三節養老年金
第三十四條十五年以上被保險者タリシ
者ガ其ノ資格ヲ喪失シタル後五十歲ヲ
超エタルトキ又ハ五十歲ヲ超エ其ノ資
格ヲ喪失シタルトキハ其ノ者ノ死亡ニ
至ル迄養老年金ヲ支給ス
第三十五條養老年金ノ額ハ被保險者タ
リシ期間十五年以上十六年未滿ニ對シ
被保險者タリシ全期間ノ平均報酬年額
ノ百分ノ二十五ニ相當スル金額トシ被
保險者タリシ期間十五年以上一年ヲ增
ス每ニ其ノ一年ニ對シ被保險者タリシ
全期間ノ平均報酬年額ノ百分ノ一ニ相
當スル金額ヲ加ヘタル金額トス
被保險者タリシ期間四十年ヲ超ユル者
ニ支給スベキ養老年金ノ額ハ之ヲ被保
險者タリシ期間四十年トシテ計算ス
第三十六條養老年金ノ支給ヲ受クル者
ガ死亡シタル場合ニ於テ既ニ支給ヲ受ケ
タル養老年金ノ總額ガ養老年金ノ五年
分ニ相當スル金額ニ滿タザルトキハ其ノ
差額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第三十七條十五年以上被保險者タリシ
者ガ養老年金ノ支給ヲ受クルコトナク
シテ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ガ
支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養老年
金ノ五年分ニ相當スル金額ヲ一時金ト
シテ其ノ遺族ニ支給ス
第三十八條傷病手當金又ハ船員法第十
七條若ハ第二十九條ノ規定ニ依リ船舶
所有者ヨリ手當ノ支給ヲ受クル者ニハ
命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ受クルコト
ヲ得ベキ期間養老年金ノ支給ヲ停止ス
第三十九條養老年金ノ支給ヲ受クル者
被保險者ト爲リタルトキハ其ノ月ヨリ
養老年金ノ支給ヲ停止ス
前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ支給ヲ停
止セラレタル被保險者ガ其ノ資格ヲ喪
失シタル場合ニ於テハ前後ノ被保險者
タリシ期間ヲ合算シテ養老年金ノ額ヲ
改定ス
前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ額ヲ改定
スル場合ニ於テ其ノ額ガ從前ノ養老年
金ノ額ヨリ少キトキハ從前ノ養老年金
ノ額ヲ以テ改定養老年金ノ額トス
第四節癈疾年金及癈疾手當金
第四十條被保險者ノ資格喪失前六年間
ニ三年以上被保險者タリシ者ノ資格喪
失前ニ發シタル疾病又ハ負傷及之ニ因
リ發シタル疾病ガ勅令ノ定ムル期間內
ニ治癒シタル場合又ハ治癒セザルモ其
ノ期間ヲ經過シタル場合ニ於テ勅令ノ
定ムル程度ノ癈疾ノ狀態ニ在ル者ニハ
其ノ程度ニ應ジ其ノ者ノ死亡ニ至ル迄
癈疾年金ヲ支給シ又ハ一時金トシテ癈
疾手當金ヲ支給ス
第四十一條癈疾年金ノ額ハ被保險者タ
リシ全期間ノ平均報酬年額ノ百分ノ二
十五ニ相當スル金額トシ被保險者タリ
シ期間十五年以上一年ヲ增ス每ニ其ノ
一年ニ對シ被保險者タリシ全期間ノ平
均報酬年額ノ百分ノ一ニ相當スル金額
ヲ加ヘタル金額トス
第三十五條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
癈疾手當金ノ額ハ被保險者タリシ全期
間ノ平均報酬月額ノ七月分ニ相當スル
金額トス
第四十二條癈疾年金ノ支給ヲ受クル者
ガ死亡シタル場合ニ於テハ左ノ區別ニ
依ル金額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支
給ス
-被保險者タリシ期間ガ十五年未滿
ナル場合ニ於テ既ニ支給ヲ受ケタル
癈疾年金ノ總額ガ被保險者ノ資格喪
失ノ際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリ
シ脫退手當金及被保險者タリシ全期
間ノ平均報酬月額ノ七月分ノ合算額
(被保險者タリシ全期間ノ平均報酬
月額ノ十三月分ヲ超ユルトキハ十三
月分ニ止ム)ニ相當スル金額ニ滿タ
ザルトキハ其ノ差額
二被保險者タリシ期間ガ十五年以上
ナル場合ニ於テ既ニ支給ヲ受ケタル
癈疾年金ノ總額ガ癈疾年金ノ五年分
ニ相當スル金額ニ滿タザルトキハ其
ノ差額
第四十三條養老年金及癈疾年金ヲ受ク
ル權利ヲ有スル者ニハ命令ノ定ムル所
ニ依リ其ノ一ヲ支給ス
第四十四條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ガ癈疾年金ヲ受クル程度ノ癈疾
ノ狀態ニ該當セザルニ至リタルトキハ
爾後癈疾年金ヲ支給セズ
第四十五條養老年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ニハ癈疾手當金ヲ支給セズ
第五節脫退手當金
第四十六條三年以上十五年未滿被保險
者タリシ者ガ死亡シタルトキ又ハ其ノ
資格ヲ喪失シタル後更ニ被保險者ト爲
ルコトナクシテ一年六月ヲ經過シタル
トキハ脫退手當金ヲ支給ス但シ其ノ者
ガ癈疾手當金ヲ受クル權利ヲ有スルト
キハ一年六月ヲ經過セザル場合ト雖モ
之ヲ支給ス
第四十七條脫退手當金ノ額ハ左ノ區別
ニ依ル但シ癈疾手當金ノ支給ヲ受クル
者ニ支給スベキ額ハ癈疾手當金ノ額ト
合算シテ被保險者タリシ全期間ノ平均
報酬月額ノ十三月分ニ相當スル金額ヲ
超ユルコトヲ得ズ
被保險者タリシ期間三年以上四年
未滿ナル者ニ對シテハ被保險者タリ
シ全期間ノ平均報酬月額ノ一月半分
ニ相當スル金額
二被保險者タリシ期間四年以上九年
未滿ナル者ニ對シテハ其ノ期間三年
以上一年ヲ增ス每ニ前號ノ金額ニ被
保險者タリシ全期間ノ平均報酬月額
ノ半月分ニ相當スル金額ヲ加ベタル
金額
三被保險者タリシ期間九年以上ナル
者ニ對シテハ其ノ期間八年以上一年
ヲ增ス每ニ前號ノ規定ニ依リ其ノ期
間八年以上九年未滿ノ者ノ支給ヲ受
クベキ金額ニ被保險者タリシ全期間
ノ平均報酬月額ノ一月分ニ相當スル
金額ヲ加ヘタル金額
第四十八條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ニハ脫退手當金ヲ支給セズ
第四十九條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ガ第四十四條ノ規定ニ依リ癈疾
年金ノ支給ヲ受ケザルニ至リタル場合
ニ於テ既ニ支給ヲ受ケタル癈疾年金ノ
總額ガ其ノ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失
シタル際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリ
シ脫退手當金ノ額ニ滿タザルトキハ其
ノ差額ヲ支給ス
第六節死亡手當金
第五十條·左ノ各號ノ一ニ該當スル場合
ニ於テ被保險者又ハ被保險者タリシ者
ガ三年以上被保險者タリシトキハ其ノ
遺族ニ對シ被保險者タリシ全期間ノ平
均報酬月額ノ三月分ニ相當スル死亡手
當ヲ支給ス但シ其ノ金額ガ百圓ニ滿タ
ザルトキハ之ヲ百圓トス
-被保險者ガ死亡シタルトキ
二被保險者タリシ者ガ其ノ資格喪失
後三月以內ニ死亡シタルトキ
三被保險者タリシ者ニシテ療養ノ給
付ヲ受クルモノガ死亡シタルトキ
第七節保險給付ノ制限
第五十一條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ自己ノ故意ノ犯罪行爲ニ因リ又
ハ故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ療
養ノ給付又ハ傷病手當金、癈疾年金、
癈疾手當金若ハ死亡手當金ノ支給ヲ爲
サズ
第三十六條、第三十七條若ハ第四十二
條ノ規定ニ依ル一時金又ハ死亡手當金
ノ支給ヲ受クベキ者ガ被保險者又ハ被
保險者タリシ者ヲ故意ニ死ニ致シタル
トキハ其ノ者ニ對シテハ支給ヲ爲サズ
此ノ場合ニ於テ後順位者アルトキハ其
ノ者ニ支給ヲ爲ス
第五十二條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ圖爭、泥醉若ハ著シキ不行跡ニ
因リ、故意ニ危害豫防ニ關スル業務上
ノ監督者ノ指揮ニ從ハザルニ因リ又ハ
正當ノ理由ナクシテ療養ニ關スル指揮
ニ從ハザルニ因リ事故ヲ生ゼシメタル
トキハ傷病手當金、癈疾年金又ハ癈疾
手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セザルコ
トヲ得
第五十三條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ
於テハ其ノ期間療養ノ給付又ハ傷病手
當金ノ支給ヲ爲サズ但シ命令ヲ以テ定
ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一陸海軍ニ徵集又ハ召集セラレタル
トキ
二本法施行地外ニ在ルトキ
三船舶內ニ在ルトキ
四矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ
入院セシメラレタルトキ
五監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又
ハ留置セラレタルトキ
六健康保險又ハ職員健康保險ニ於テ
之ニ相當スル保險給付ヲ受クルトキ
他ノ法令ニ依リ國又ハ公共團體ノ負擔
ニ於テ診療所ニ收容セラレタル者ニ對
シテハ療養ノ給付ヲ爲サズ
第三十一條ノ規定ハ前項ニ揭グル者ニ
之ヲ準用ス
第五十四條正當ノ理由ナクシテ療養ニ
關スル指揮ニ從ハザル者ニ對シテハ傷
病手當金ノ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第五十五條詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ依
リ保險給付ヲ受ケ又ハ受ケントシタル
者ニ對シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ期
間ヲ定メ保險給付ノ全部又ハ一部ヲ爲
サザルコトヲ得
第五十六條療養ノ給付又ハ傷病手當金
若ハ癈疾年金ノ支給ヲ受クル者ニ付必
要アリト認ムルトキハ診斷ヲ行フコト
ヲ得
正當ノ理由ナクシテ前項ノ診斷ヲ受ケ
ザル者ニ對シテハ療養ノ給付ノ全部若
ハ一部又ハ傷病手當金、癈疾年金若ハ
癈疾手當金ノ全部若ハ一部ノ支給ヲ爲
サザルコトヲ得
第五十七條養老年金又ハ癈疾年金ヲ受
クル者ニ付必要アリト認ムルトキハ其
ノ身分關係ノ異動及癈疾狀態ノ繼續ノ
有無ニ關シ其ノ者ヲシテ必要ナル書類
ヲ提出セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ書類ヲ提出セザル者
ニ對シテハ養老年金又ハ癈疾年金ノ支
給ヲ一時差止ムルコトヲ得
第四章費用ノ負擔
第五十八條國庫ハ療養ノ給付及傷病手
當金ヲ除クノ外保險給付ニ要スル費用
ノ五分ノ一ヲ負擔ス
國庫ハ前項ニ規定スル費用ノ外每年度
豫算ノ範圍內ニ於テ船員保險事業ノ事
務ノ執行ニ要スル費用ヲ負擔ス
第五十九條政府ハ船員保險事業ニ要ス
ル費用ニ充ツル爲保險料ヲ徵收ス
保險料ノ算定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六十條被保險者及被保險者ヲ雇傭ス
ル船舶所有者ハ各保險料額ノ二分ノ一
ヲ負擔ス但シ第二十條ノ規定ニ依ル被
保險者ハ其ノ全額ヲ負擔ス
第六十一條船舶所有者ハ其ノ雇傭スル
被保險者ノ負擔スベキ保險料ヲ納付ス
ル義務フ負フ但シ第二十條ノ規定ニ依
ル被保險者ノ負擔スル保險料ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
第六十二條船舶所有者ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ納付スベキ
保險料ヲ被保險者ニ支拂フベキ報酬ヨ
リ控除スルコトヲ得
第五章審査ノ請求、訴願及訴訟
第六十三條保險給付ニ關スル決定ニ不
服アル者ハ第一次船員保險審査會ニ審
査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキハ
第二次船員保險審査會ニ審査ヲ請求シ
其ノ決定ニ不服アルトキハ通常裁判所
ニ訴ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第六十四條保險料其ノ他本法ニ依ル徵
收金ノ賦課若ハ徵收ノ處分又ハ第十二
條ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ主
務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第六十五條保險料其ノ他本法ニ依ル徴
收金ノ賦課又ハ徵收ノ處分ニ關シ訴願
ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ第二
次船員保險審査會ノ審査ヲ經テ裁決ヲ
爲スベシ
第六十六條本法ニ規定スルモノノ外船
員保險審査會ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十七條審査ノ請求、訴ノ提起又ハ
訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分ノ通知
又ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三
十日以內ニ之ヲ爲スベシ、此ノ場合ニ
於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八條
第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民
事訴訟法第百五十八條第二項及第百五
十九條ノ規定ヲ準用ス
第六章罰則
第六十八條第九條ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シ報〓ヲ爲サズ、虚僞ノ報告ヲ爲
シ又ハ文書ノ提示ヲ爲サザル者ハ百圓
以下ノ罰金ニ處ス
第六十九條船舶所有者ハ其ノ代理人、
戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從
業者ガ其ノ業務ニ關シ前條ノ違反行爲
ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザ
ルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ
得ズ
第七十條第六十八條ノ罰則ハ其ノ者ガ
法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ
法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年
者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代
理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
第七章雜則
第七十一條本法ヲ朝鮮又ハ臺灣ニ施行
スル場合ニ於テ必要ナル規定ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第七十二條關東州船員令ニ依ル船員タ
リシ者ガ被保險者ト爲リタル場合又ハ
被保險者タリシ者ガ關東州船員令ニ依
ル船員ト爲リタル場合ノ保險給付ニ關
シテハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコト
ヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ保險給付及費用ノ負擔
ニ關スル規定竝ニ其ノ他ノ規定ニ付各別
ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
勅令ヲ以テ指定スル日前十五年間ニ於テ
第十七條ノ規定ニ依ル被保險者ト爲ルベ
キ資格ヲ有スル船員トシテ五年以上船舶
ニ乘組ミタル者ガ四十五歲ヲ超エ被保險
者ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ於テ同日前
十五年間ニ於テ船舶ニ乘組ミタル期間ト
被保險者タリシ期間トヲ合算シ十五年以
上ニ達スルモ十五年以上被保險者タリシ
者ニ非ザルトキハ其ノ者ニ對スル脫退手
當金ノ支給條件及其ノ額ニ付テハ第四十
六條及第四十七條ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ
以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=84
-
085・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今議題トナリ
マシタ船員保險法案ノ提出ノ理由ヲ說明致
シマス、抑〓海運業ハ產業ノ發展、資源ノ
開發、貿易ノ隆昌、國際收支ノ改善等ノ諸
點ヨリ觀察致シマシテ、我ガ國力ノ仲張上
重要ナル地位ヲ占ムルバカリデナク、朝
有事ニ際シマシテハ、四面環海ノ我國ニ於
テハ重大ナル軍事的任務ニ服スルモノデ
アリマシテ、之ヲ國防上ノ見地ヨリ致シマ
シテモ、其ノ重要性ガ一層認識セラレルノ
デアリマス、海運業ノ發展ヲ期スル爲ニハ、
重要航路ノ開拓、優秀船舶ノ保持ヲ必要ト
スルコト勿論デアリマスガ、更ニ之ガ運行
ノ衝ニ當ルベキ船員ニ優秀ナル者ヲ得テ、
永ク安ンジテ其ノ職務ニ精勵セシムルコト
ガ、最モ緊要デアルト確信スル次第デアリ
マス
然ルニ船員生活ノ實際ニ付テ見マスルニ、
其ノ不自由ナル海上生活ニ依ル精神上又ハ
經濟上ノ苦痛及ビ退職後ニ於ケル生活不安
等陸上勤務者ニ見ルコトノ出來ナイ幾多
ノ不利不便ヲ伴フコトヲ免レナイノデアリ
そう、隨テ動モスレバ陸上勤務ノ職業ニ轉
向セントスル傾向ヲ示シテ居ルノデアリマ
ス、斯ノ如キ現象ハ我國海運業ノ隆昌ヲ期
スル上ニ於テ、洵ニ遺憾ニ堪ナイ所デア
リマシテ、斯ル見地ヨリ致シマシテ、以上
述べマシタ如キ船員生活ニ於ケル不安ヲ除
去スルニ必要ナル國家的保護施設ノ整備ヲ
圖リ、以テ船員ヲシテ其ノ職務ニ專念セシ
ムルヤウニ致シマスルコトハ、海運政策上
ヨリ見マシテモ、將又現下ノ時局ニ鑑ミマ
シテモ、寔ニ急務デアルト言ハナケレバナ
ラナイノデアリマス
以上ノ理由ニ依リマシテ、今囘政府ハ船
員ノ老後ニ於ケル生活ノ安定ヲ圖リ、優秀
ナル船員ヲシテ安ンジテ永ク其ノ職務ニ從
事セシメ、併セテ其ノ疾病傷痍竝ニ癈疾ニ對
スル保護ヲナス爲、船員保險法案ヲ立案シ
タ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速ニ御
協賛アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=85
-
086・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ノ通〓ガアリ
マス、之ヲ許シマス-米窪滿亮君
〔米窪滿亮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=86
-
087・米窪滿亮
○米窪滿亮君 我ガ日本ハ海國デアリマス、
畏多イ話デアリマスガ、皇孫ガ天ノ磐船ニ
御乘リニナツテ降臨ナサレマシタ時カラ、
海ト船トハ大和民族ニ取ツテ離ルベカラザ
ル關係ニアルノデアリマス、然ルニ今日我
國ニ於テ、甚ダ殘念デハアリマスルガ、朝
野ノ各方面ニ於テ海事思想ノ普及ガ極メテ
足ラナイ、隨テ只今上程サレタ法案ニ對シ
マシテモ、吾々ノ立場カラ見マシテ、認識
不足或ハ誤解ノアルコトヲ遺憾トスル次第
デアリマシテ、私ハ許サレタル時間內ニ於
キマシテ、其ノ主ナル點ニ付テ質問ヲ致シマ
シテ、詳シイコトハ他ノ機會ニ讓リタイト思
ヒマスカラ、少シク御〓聽ヲ願ヒタイト思ヒ
マス
第一ノ質疑ハ、本案ヲ提出シタ厚生大臣
ニ對シマシテ、此ノ法案ハ勿論其ノ性質カ
ラ見マシテ、社會政策的ナ意味カラ御出シ
ニナツタコトニ於テハ、何等疑ナキ所デア
リマスルガ、同時ニ船員ノ特殊性ト云フコ
トカラ考ヘル時ニ、是ハ海運國策ノ立場カ
ラ出サレタ意味ガ多分ニ含マレテ居ルト思
フノデアリマガドウデアルカ、此ノ點デ
アリマス、此ノ質問ヲスルニ當リマシテ、
聊カ海員ノ特殊性ニ付テ御尋シタイト思フ
ノデアリマス、海員ハ御承知ノ通リ船ニ乘
ツテ居ルカラ海員デアリマス、陸上ニ居ツ
テハ海員ト云フ資格ハ殆ドナイト言ウテ差
支ナイノデアリマシテ、卽チ人間ガ生活シ
得ナイ、人間ノ生活ノ本義カラ云ツテ、生
活シ得ザル所ニ生活シテ居ルコトガ海員ノ
特殊性ノ第一デアリマス、次ニ海員ハ女房
子供ヲ携ヘテ船ニハ乘レナイノデアリマ
ス、卽チ人倫ノ常態デアル家族カラ離レ
テ、單身船ニ乘ツテ居ルト云フ其ノ生活
ガ、海員ノ特殊性デアリマス、私十數年海
員ヲシタ經驗ヲ持ツテ居ルノデアリマスル
ガ、子供ガ生レテ船カラ寫眞ヲ送リマスル
ト、是ハ親父デアルト云フコトハ分リマス、
所ガ船ガ港ニ歸ツテ來マシテ家庭ニ行キマ
スト、子供ハビツクリシテ是ハ俺ノ親父デ
ナイト言ウテ、中々抱カレヨウトシナイノ
デアリマス、玆ニ所謂海員タル所ノ使命ノ
裏ニ潛ンデ居ル所ノ人生ノ悲哀ガアルノデ
アリマス(拍手)海員ハ船ニ乘ツテ居リマス、
唯船ニ乘ツテ遊ンデ居ルノハ是ハ船客デア
リマシテ、海員ハ勞働ヲシテ居ルノデア
リマス、勞働ヲシテ居ル海員ガ船ニ乘ツテ
居ルト云フコトハ、卽チ住ンデ居ル所ト仕
事ヲスル所ガ同ジ場所ニアルト云フコトデ
アリマス、陸上ノ勞働者デアレバ工場へ行
ツテ一日八時間乃至十時間働イテ、偖テ其
ノ後ハ許サレタル自分ノ自由ノ時間デアリ
マス、所ガ海員ハ船ニ乘ツテ居ルカラ、ソ
コニ勞働時間ハアリマスルガ、イツ何時時
化ガ來ルカ分ラヌ、イツ何時非常時ガ起ツ
テ來ルカ分ラヌ、船ハ常ニ動搖シテ居ル、
海ノ上ニ漂ツテ居ルカラ、イツ何時デモ、
寢テ居ル時デモ起サレテ、船舶及ビ積荷ノ
保護ヲシナケレバナラナイト云フ立場ニア
ル、是ガ陸上ノ勞働者ト違フ所ノ海員ノ特
殊性デアリマス、斯ウ云フ點カラ考ヘマス
ト、陸上ノ勞働者ニハ工場法アリ、其ノ
他災害補償ニ關スル規定等ガアリマスル
ガ、海員ニ於テハ唯僅ニ明治三十何年カニ
制定サレ、昨年改正サレタ船員法一ツアル
ノミデアリマス、而モ此ノ船員法ハ現ニ各
種ノ場合ヲ規定シテ居リマスケレドモ、先
程申上ゲタヤウナ海員ノ生活ハ、此ノ船員
法ヲ文字通リニ適用サレルコトガ出來ナイ
ト云フ狀態ニアリマス、一方海員ハ所謂無
官ノ外交使節デアリマス、卽チ或ル場合ニ
於テハ一國ヲ代表シテ、海外ニ於テ我ガ國
民ノ爲ニ國民使節ノ役ヲ盡スデアラウ重大
ナル任務ヲ與ヘラレテ居ル、ソレハ船舶ガ
日本ヲ離レテ外國ノ港ニ出入スルト云フ必
然性カラ、當然海員ガ國民ヲ代表シ得ル立
場ニ立ツテ居ルノデアル、以テ如何ニ海員
ガ重大ナル國民的使節ヲ帶ビテ居ルカト云
フコトハ之ヲ以テモ分ルト思フ、更ニ經濟
的ノ問題カラ云ヒマスト、今日海外收支ノ
「バランス」ガ非常ニ重要ニ見ラレテ、其ノ
必要ガ叫バレテ居リマスガ、海員ハ卽チ海
運ノ原動力デアリマシテ、今日ノ如ク工業
國デアル日本ガ、ソレニ要スル原料ヲ海外
カラ持ツテ來ルニハ、ドウシテモ船ニ依ラ
ザルヲ得ナイ、世界ノ資材ノ移動量カラ云
ヒマシテモ、其ノ八割マデハ船舶ニ依ルノ
デアリマス、隨テ海國日本ガ工業ニ必要ナ
ル原料ヲ海外カラ船舶ヲ以テ運ンデ來ルコ
トハ、私ガ多ク言フ必要ハナイ、而モ一方
ニ於テ海外收支ノ「バランス」ヲ取ル爲ニ、
我國ノ工業ニ依ツテ拵ヘタル製品ヲ海外ヘ
持ツテ行ク、是亦同樣ニ船舶ニ依ラザルヲ
得ナイ、斯ウ考ヘテ見マスルト、海員ガ原
動力ヲ爲シテ居ル海運產業ノ國策上ノ重要
性ハ私ガ言フマデモナイノデ而モ此ノ貿易
外ノ收入、卽チ運賃其ノ他ト云フヤウナモ
ノハ、一年ノ金ノ產出額二億八千万圓ト殆
ド匹敵スル位ニナツテ居ルノデアリマシテ、
是レ一ニ海員ガ犠牲的ナ努力ヲシテ居ルコ
トノ賜デアリマス、更ニ今日日支事變ガ起
リ、更ニ遡レバ滿洲事變ノ時カラデアリマ
スカ、是ハ軍機ノ祕密ニ屬シマスルカラ、
私此處デ明言ハ出來マセヌガ、相當多數ノ
船舶ガ公用船ニ徵用サレマシテ、所謂彈雨
槍林ノ間ニ出入シマシテ、敵前上陸ノ折ニ
ハ、兵隊ハ愈〓船ガ向フノ岸ニ著クマデハ
船ノ中ニ隱レテ居レル、而モ海員ハ將兵ヲ
上陸セシメル時ニハ、船長ハ「ブリッヂ」ニ
立チ、其ノ他ノ船員ハ或ハ「フオックスル」
ニ立チ、或ハ持場々々ニ立ツテ、身ヲ敵彈
ノ中ニ曝シテ働イテ居ル關係上、非常ナル
犧牲者ヲ出シテ居リマス、其ノ數何百名ニ
達シテ居リマス、以テ如何ニ船員ガ今度ノ
事變ニ於テ非常ナ貢獻ヲシテ居ルカト云フ
コトガ是デ分ル、東亞永遠ノ平和ガ一朝ニ
シテ來ルト云フ豫想ハ出來マセヌ、隨テ船
員ガ公用船乘組員トナツテ我ガ軍國ノ爲ニ
奉ズルト云フ機會ハ、尙ホ未來ニ亙ツテ相
當續ケラレルモノト吾々ハ覺悟シテ居リマ
ス、此ノ一點ダケヲ以テ見テモ、大正十一
年以來海員ガ每年々々要望シテ居ツタ船員
保險法ガ、漸ク本日茲ニ出テ來タト云フコ
トハ、旣ニ遲キニ過ギルノデハナイカト云
フコトヲ私共ハ考ヘル(拍手)而モ船員ハ船
員トシテノミ成功シ得ル〓育ヲ受ケテ居リ
マス、隨テ船員ガ船ヲ離レルト、俗ニ言フ
所謂陸ニ上ツタ河童デアリマシテ、中々他
ノ職業ニ轉ズルト云フ融通ガ利カナイノデ
アリマス、陸ニ上ツタ船員、程取リ柄ノナイ
者ハナイノデアリマス、是ハ其ノ〓育或ハ
多年ノ經驗訓練ト云フモノガ、海上ダケニ
限ラレテ居ルト云フ現實ガ、斯ノ如キ結果
ヲ招クノデアリマス、併シナガラ海運產業
ヲ以テ立國シテ居ル日本カラ見テハ海員
ガ陸上ニ轉業スルコトハ好マシクナイコト
デアリマス、卽チ優秀ナル海員ヲ成ベク陸
上ニ轉業セシメナイデ、之ヲ保持スルト云
フコトガ今日最大ノ急務デアリマス、船員
保險法ハ恐ラク此ノ一點ノミカラ見テモ、
重要ナル立案ノ動機ガ其處ニアルト考ヘル
ノデアリマス、以上ノ見地カラ、此ノ船員
保險法ナルモノハ單ニ社會政策的ナ意味デ
ナシニ、以上申上ゲタ各點カラ見テ、優秀
ナル船員ヲ保持シ、優秀ナル船舶ヲ操縱セ
シメル爲ニ必要デアル、彼ノ「ロイド·ジ
ヨージ」ハ世界大戰ノ時ニ、此ノ大戰ニ勝ツ
條件トシテ、第一ニ船デアル、第二ニモ船
デアル、第三ニモ船デアルト喝破シタノデ
アリマスルガ、全世界ニ亙ツテ植民地ヲ持
ツテ居ル英國ノ總理大臣トシテ、此ノ言葉
アルコトハ當然デアリマス、併シナガラ優
秀船ハ或バ半年或ハ一年デ出來マスガ、優
秀ナル船員ハ半年ヤ一年ヤ二年ヤ三年デ速
成ハ出來ナイノデアリマス、此ノ優秀ナル
船員ヲ保持シ、且ツ彼等ヲ鼓舞激勵スル爲
ニ、此ノ船員保險法ナルモノガ生レテ來タ
ト思フノデアリマスルガ、厚生大臣ノ御意
見ヲ伺ヒマス
第二ノ質疑ハ、第一條ノ保險給付ノ行爲
ニ於テ家族ニ對スル給付ヲ省イタ理由ヲ御
伺シタイ、家族ノ給付ハ先程申上ゲマシタ
船員ノ生活環境、條件、サウ云フコトカラ
言ツテ、家族ニ其ノ給付ヲ及ボスベキモノ、
少クトモ療養ノ給付位ハ及ボスベキモノデ
アルト考ヘマスガ、厚生大臣ハドウ云フ御
考ヲ持ツテ居リマスカ
第三ノ質疑ハ極メテ重大ナル質疑デアリ
マス、是ハ敢テ海員ノ立場カラノミデナク、
船舶所有者ノ立場カラモ極メテ重要デアリ
マス、本法ニ於テハ第十七條ニ於キマシテ、
此ノ保險法ニ包含サレル被保險者ハ、本法
ノ施行地ニ船籍ヲ有スル船舶ノ乘組員ト云
フコトニ規定シテアリマス、本法ノ施行地
ハ茲ニ明確ニハ現ハレテ居リマセヌガ、
吾々ノ解釋スル所デ申シマスルナラバ、所
謂內地デアツテ、臺灣、朝鮮及ビ關東州ハ之
ニ含マレテ居ラナイト考ヘテ居ルノデアリ
マス、幸ニ含マレテ居ルナラバ洵ニ結構デ
アリマスルガ、第七十一條、第七十二條ノ
規定ヲ見マスルト、含マレテ居ラナイト解
釋スベキガ當然ダト思フノデアリマス、此
ノ點ニ付テ厚生大臣ハドウ御考デアルカ、
更ニ若シ含マレテ居ラナイモノトスルナラ
バ、本法ノ施行ハ昭和十五年デアリマシテ、
一年間ノ準備期間ガアルノデアリマスカラ、
此ノ準備期間ノ間ニ於テ、拓務省或ハ對滿
事務局、或ハ其ノ他ノ關係省ト御相談ニナ
ツテ、此ノ船員保險法一本建ヲ以テ、是等
ノ所謂外地ニ船籍ヲ有スル船舶ノ乘組員ニ
モ適用スルモノデアルカドウカ、之ヲ厚生
大臣ニ御伺シマス(拍手)元來日本ノ行政ニ
於テ極メテ遺憾デアルト云フ點ハ、內地外
地ノ行政機構ガ區々デアツテ一貫シテ居ラ
ナイ、今日日滿支ノ經濟「ブロック」ガ唱ヘラ
レ、所謂東亞協同體ナルモノガ必要トセラ
レテ居ルニモ拘ラズ、サウ云フ事業ヲ運用
スル所ノ所謂行政機關ハ皆割據主義デアリ
マス(「ヒヤ〓〓」)一ツノ船員法デモ、日本
ニ船員法ガアル、臺灣ニモ船員令ガアル、
朝鮮ニモ船員令ガアル、關東州ニモ船員令
ガアル、而モ其ノ內容ハ餘リ變リガナイ、
然レドモ關東州ニ船籍ヲ有ツテ居ル船ノ所
有者ハ、日本ノ船員法デ縛ラレズシテ、關
東州ノ船員令デ縛ラレル、是ハ何故デアル
カト云フト、役人ガ其ノ繩張リヲ固執シテ、
各〓行政機關ヲ握ツテ離サナイ(「ヒヤ〓〓ㄴ
拍手)此ノ點ニ付テ私年來其ノ弊害ヲ愬ヘ、
至急此ノ弊害ヲ改正スル爲ニ關係各省ハ協
議スベシト言ツテ居ルノデアリマスガ、未
ダニ其ノ實ガ擧ツテ居ラナイ、此ノ行政機
構ノ改革ガ出來ズシテ何ノ日滿「ブロック」
ガ實現スルカ、何ノ東亞協同體ガ實現スル
カト叫バザルヲ得ナイ、此ノ點ニ付テ拓務
大臣ガオ居デニナラナケレバ、拓務省ノ政
府委員及ビ對滿事務局ハドウ云フ御考ヲ持
ツテ居ルカ、少クトモ船員保險法ニ對シテ
ハ運用上ドウ云フ御意見ヲ持チ、ドウ云フ
準備ヲ持ツテ居ルカ、竝ニ其ノ點ニ付テ
遞信當局ニモ伺ヒタイト思フノデアリマス、
是ハ私ハ決シテ理論ノ上カラ言フノデハア
リマセヌ、之ヲヤラナケレバ關東州ニ船籍
ヲ有スル船主ハ、保險料ヲ納メル義務カラ
解放サレル、自分等ノ持ツテ居ル船ノ船員
ハ被保險者ニナラナイカラ、被保險者ノ納
メルト同額ノ保險料ヲ納ムベキ船主ノ義務
カラ解放サレル、隨テ此ノ船ヲ運航スル採
算カラシテ非常ニ有利ニナルノデアリマス
カラ、關東州ニ船籍ヲ持ツ所ノ船主ハ、內
地ニ船籍ヲ持ツテ居ル船主ニ對シテ經濟的
ニ有利ナ立場ニ立ツ、又一方船員カラ見マ
スト、昨日マデ內地ノ船籍ノ船ニ乘ツテ居
ツテ保險料ヲ納メル、而モモウ少シ經テバ
養老年金ガ附ク、モウ少シ經テバ癈疾年金
ガ附ク、ソレガ今日關東州船籍ノ船ニ乘ル、
ソレガ爲一朝ニシテ無駄ニナル、船員ハ
所謂移動性ガアリマスカラ、今マデ內地ニ
船籍ヲ持ツ船ニ乘ツテ居ツタ時ニ掛ケタモ
ノハ掛ケ損ニナツテ、何ノ保險給付ノ
補償モナイト云フコトニナル、所謂優
秀ナ船員ヲ保持スル目的ノ爲ニ立案シ
タ所ノ本法ノ精神ヲ阻碍スルコト極メテ大
ナリト思ヒマス、此ノ點ニ付キマシテ厚生
大臣、拓務大臣、對滿事務局、遞信大臣
ノ御意意ヲ伺ヒタイト思ヒマス
第四ノ質疑ハ、本法ノ第二十八條ノ二項
ニ於キマシテ、標準報酬年額千八百圓以上
ノ高級船員ヲ療養給付及ビ傷害手當金カラ
之ヲ除外シタル理由ヲ厚生大臣ニ伺ヒタイ
第五ノ質疑ハ、保險制度調査會ニ於キマ
シテハ、療養ノ給付及ビ傷病手當金ハ、船
員法ノ規定ニ依ツテ、船主ガ支出スベキ期
限ガ終ツテカラ、一年間之ヲ見ルト云フコ
トニナツテ居ルノヲ、本法ニ依ツテハ六箇
月ニナツテ居リマス、其ノ理由ヲ厚生大臣
ニ御尋ヲ致シマス
第六ノ質疑ハ、本法第五十八條ニ依リマ
シテ、保險制度調査會ニ於テハ、長期給付
ニ對シテ國庫ノ負擔金三分ノ一トナツテ居
ツタノヲ、本法ニ依リマスト五分ノ一ニナ
ツテ居リマス、其ノ理由ヲ御伺シタイ
第七ノ質疑ハ、船員ガ先程申上ゲタ生活
狀態及ビ過激ナ勞働等ノ關係カラ、非常ニ
年ヲ取リ易イノデアリマス、陸上ニ於テハ
五十歲ニ於テ尙ホ働ケルノニ、船員ハ四十
五歲デ働ケナイ、是ハ私此處ニ浩瀚ナル統
計ヲ持ツテ居リマスガ、時間ガアリマセヌ
カラ委員會ニ讓リマシテ、統計ハ發表致シ
マセヌガ、少クトモ船員ノ平均壽命ハ非常
ニ低イ、此ノ點カラ言ヒマシテ、本法ニ五
十歲トナツテ居ルノヲ、四十五歲ニ切下ゲ
ル御意思ガアルカナイカ
第八ノ質疑ハ、本法ヲ運用スル上ニ於テ、
遞信省トノ關係、卽チ遞信省ノ協力ト提携
ヲ求メル御意思デアルカドウカ、此ノ點ハ
本法第九條ニ於キマシテ、行政官廳ハ船舶
所有者ニ對シテ各種ノ情報ヲ提供スベキコ
トヲ命令シ、其ノ命令ヲ怠リタル者ハ第六
十八條ニ依ツテ罰金百圓ヲ課スト云フコト
ニナツテ居リマス、然ルニ遞信省所屬ノ各地
ニ於ケル遞信局ノ海事部ニ於キマシテハ、
此ノ船員保險ヲ運用スル爲ニ必要デアル所
ノ雇入、雇止、或ハ何丸ニ何某ガ何年乘ツ
テ居ツタト云フ資料ハ常ニ集ツテ居ル、此
ノ遞信省ノ遞信局ノ海事部ニ情報ヲ求ムレ
バ卽座ニ集マルノデアリマスガ、之ヲ避ケ
ルガ如クニ私解釋シテ居リマスガ、避ケザ
レバ洵ニ結構デアルガ、卽チ二重、三重ノ
手間ヲ臣民ニ取ラセズニ、斯ノ如キ機關ヲ
利用サレル御意思デアルカドウカ厚生大臣
ニ御伺シタイ、尙ホ此ノ點ニ付テハ遞信大
臣ハ之ニ御協力サレル御考デアルカドウカ
ト云フコトヲ御尋シタイト思フノデアリマ
ス
以上甚ダ簡單デアリマスガ、八點ニ亙リ
マシテ船員保險法ノ質疑ヲ致シタ譯デアリ
マス、何卒御明快ナル御答辯ヲ賜リタイト
思ヒマス
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=87
-
088・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 御答ヲ致シマ
ス、第一ニ此ノ船員保險ノ制度ヲ設ケタ趣
旨デアリマスガ、之ニ付キマシテハ御話ノヤ
ウニ、海員ノ我國ニ非常ニ必要ナルモノデ
アルコト、竝ニ其ノ特殊ノ性質ヲ持ツテ居
ルコト、十分ニ之ヲ認メマシテ、唯單ニ社
會政策的ノ見地バカリデナク、海運國策ト
云フ點ニモ非常ニ重キヲ置イテ此ノ制度ヲ
設ケタ譯デアリマス、ソレカラ次ニ醫療給
付ニ關スル御質問デアリマシタガ、之ヲ家
族マデナゼ及ボサナイカト云ヲ御質問デア
リマスガ、是ハ本制度ニ於キマジテハ、最
モ主ナル點ハ養老年金デアル、癈疾年金デ
アルト云フヤウナ、海員ノ特殊性ニ重キヲ
置イテ居リマスノデ、此ノ際ハ家族ノ醫療
給付ハ之ヲ致サナイコトニ致シマシタ、將
來ノ運用ヲ待ツテ又〓究ヲ致シタイト思ヒ
マス
ソレカラ其ノ次ニ內地外地ノ關係ニ付テ
ノ御質問デアリマス、此ノ點ニ付キマシテ
ハ外地ノ當局ト十分ニ協議ヲ重ネマシテ、
臺灣朝鮮ニ本法ヲ適用スル考デ居ルノデ
アリマス、關東州ニ付テハ、是ハ租借地ノコ
トデモアリマスルノデ、本法ト內容ヲ同ウ
スル所ノ勅令ヲ出シマシテ、運用上ニ支障
ノナイヤウニ、內外衝突ノ起ラナイヤウニ
致ス積リデ居リマス、ソレカラ其ノ次ニ高
級船員ニ對スル療養ノ給付ヲ廢メテ居ル、
是ハ年收千八百圓以上ノ者ニ付キマシテハ、
社會保險ノ對象トスルノハ如何カト思ヒマ
ス、是ハ自ラ療養ヲシテ貰フト云フ積リデ
除イタ譯デアリマス
次ニ社會保險調査會ニ於ケル長期給付ニ
對スル國庫ノ負擔金ガ多カツタガ、今囘ハ
五分ノ一ニナツテ居ルノデハナイカト云フ
コトデアリマスガ、是ハ國ノ財政其ノ他、他
ノ方面トノ色々ノ權衡等モ考慮シマシテ、
先ヅ五分ノ一ガ適當デアルト判斷ヲ致シタ
譯デアリマス
次ニ養老年金ノ開始時期ニ付テ、政府案
ハ五十歳ヲ以テ開始時期ト致シテ居リマス、
之ヲ四十五歲ニ引下ゲル考ハナイカト斯ウ
申サレタノデアリマスガ、是ハヤハリ政府
案ノ如ク五十歲ガ適當デアルト思ヒマス、
四十五歲ニ引下ゲルノハ早過ギルト吾々ハ
考ヘルノデアリマス
最後ニ本法ノ運用ニ付テノ遞信省トノ關
係デアリマスガ、是ハモウ遞信省トハ密接
ナル連絡ヲ取リ、十分ニ行政上ノ關聯ヲ持
ツテ施行セナケレバナラヌト思ツテ居リマ
ス、サウ致シマシテ民間ニ迷惑ノ掛ラナイ
ヤウニ、十分ナ連絡ヲ取ツテ圓滿ナル施行
ヲ致ス積リデアリマス
〔「療養給付ノ問題ハドウシタ」ト呼フ
者アリ〕
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=88
-
089・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 私ニ對シテ御尋
ノ點ハ二點デアリマシタ、最後ノ御尋デア
リマシタ本法實施ニ當ツテ之ニ協力スルヤ
否ヤト云フ點ニ付キマシテハ、固ヨリ必要
ナル事項ニ付キマシテハ遞信省ニ於キマシ
テモ十分ニ協力致ス積リデアリマス、又他
ノ一點デアリマスル內地外地ノ海運行政ノ
統一ノ問題デアリマスルガ、此ノ問題ニ付キ
マシテハ、統一スベシトノ强キ要望ハ屢〓承
ル所デアリマスガ、政府部內ニ於キマシテ
モ色々議論ガアリマシテ、從來此ノ問題ニ
付テハ種々〓究ヲ重ネ、又之ニ對シテ努力
致シテ居ルノデアリマスガ、將來篤ト考慮
ヲ致シタイト考ヘテ居リマス
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=89
-
090・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 御答ヲ一ツ落シ
マシタカラ附加ヘテ置キマス、療養ノ給付
ニ關シマシテ、短期給付ヲ六箇月ニシタノ
ハドウ云フ譯カト云フ御質問デアリマシタ、
是ハ他ノ社會保險ニ於ケル給付トノ權衡上
此ノ保險ニ於キマシテモ六箇月ト致シタ譯
デアリマス、併シ特定ノ疾病ニ付キマシテ
ハ、一年マデモ延長シ得ルト云フ途ヲ開イ
テ居ルノデアリマス
〔政府委員寺田市正君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=90
-
091・寺田市正
○政府委員(寺田市政君) 拓務大臣ニ對ス
ル御質問ニ一應私ヨリ御答辯ヲ申上ゲマス、
本法ノ施行地トシマシテハ、米窪君ノ御見
解ノ通リ直チニ朝鮮及ビ臺灣ハ含マレテ居
ラナイノデアリマスケレドモ、本法ノ性質
ニ鑑ミマシテ、勅令ヲ以テ之ヲ朝鮮及ビ臺
灣ニ施行スルノデアリマス、本法ノ施行ト
同時ニ之ヲ實施致シマシテ、此ノ制度ノ完
璧ヲ期シタイ所存デゴザイマス、御諒承ヲ
願ヒマス
〔政府委員原邦道君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=91
-
092・原邦道
○政府委員(原邦道君) 關東州ニ於キマス
ル關係ハ、只今厚生大臣カラ御述ノ通リデ
アリマシテ、勅令ヲ以テ是ト同ジ內容ノ規
定ヲ致シマス、隨ヒマシテ御心配ノ關東州
內地ノ汽船會社船員ガ、不平等ナ取扱ニナ
ラヌヤウニ致ス考デアリマスカラ、左樣御
承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=92
-
093・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終了
致シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=93
-
094・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出職員健康保
險法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=94
-
095・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=95
-
096・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
さく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十五及ビ第十六ハ便宜上一括議題ト爲ス
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=96
-
097・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マイク、仍テ日程第十五、海運組合法案、日
程第十六、造船事業法案、右兩案ヲ一括シ
テ第一讀會ヲ開キマス-遞信大臣鹽野季
彥君
第十五海運組合法案(政府提出)
第一讀會
第十六造船事業法案(政府提出)
第一讀會
海運組合法案
海運組合法
第一條本法ニ於テ海運業トハ左ニ揭グ
ル事業ヲ謂フ
-船舶ニ依リ人又ハ物ヲ運送スル事
業
二船舶ノ貸渡(期間傭船ヲ含ム)ヲ爲
ス事業
三船舶ニ依ル人若ハ物ノ運送ニ關ス
ル仲立業又ハ船舶ノ貸渡(期間傭船
ヲ含ム)若ハ賣買ニ關スル仲立業
前項ノ船舶ニハ官廳又ハ公署ノ所有ニ
屬スル船舶、漁船其ノ他勅令ヲ以テ定
ムル船舶ヲ包含セズ
第二條海運業者ハ其ノ事業ノ健全ナル
發達ヲ圖ル爲海運組合ヲ設立スルコト
ヲ得
海運組合ハ法人トス
第三條海運組合ノ組合員タルコトヲ得
ル海運業者ハ內地ニ住所又ハ本店若ハ
主タル事務所ヲ有スル者トス
海運組合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ政府ノ
認可ヲ受ケ外地ニ住所又ハ本店若ハ主
タル事務所ヲ有スル海運業者ヲ組合員
ト爲スコトヲ得
第四條海運組合ハ左ノ事業ヲ行フコト
ヲ得
一組合員ノ事業ノ爲ニスル共同施設
二組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三組合員間ニ於ケル事業ニ關スル紛
爭ノ解決ノ斡旋
四組合員ノ事業ニ關スル證明及鑑定
五組合員ノ事業ニ關スル指導、〓究
及調査
六前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ目
的ヲ達スルニ必要ナル事業
海運組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業
ヲ行フコトヲ得ズ
第五條海運組合ハ定款ノ定ムル所ニ依
リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ過怠
金ヲ課スルコトヲ得
第六條海運組合ヲ設立セントスルトキ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合ノ組
合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ
二以上ヲ以テ創立總會ヲ開キ定款其ノ
他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ
有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ル
コト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由ア
ルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ
開クコトヲ得
第七條創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同
意ヲ以テ之ヲ爲ス
第八條設立同意者ハ創立總會ニ於テ代
理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ
要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業
務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人
ト爲スコトヲ得
第九條海運業ノ統制ヲ圖ル爲特ニ必要
アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ハ豫メ組合員タルベキ資格ヲ
定メ其ノ資格ヲ有スル者ニ對シ海運組
合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ海運組合ノ設立ヲ命
ゼラレタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル
事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ指定ス
ル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ
以テ之ヲ爲ス
第十條前條第二項ノ規定ニ依ル認可申
請アリタル場合ニ於テ定款其ノ他必要
ナル事項ニシテ著シク不相當ト認ムル
モノアルトキハ政府ハ之ニ變更ヲ加ヘ
テ認可ヲ爲スコトヲ得
前條第二項ノ規定ニ依ル認可申請ナキ
トキハ政府ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ
關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十一條海運組合ハ設立ノ認可アリタ
ル時又ハ前條第二項ノ規定ニ依リ定款
ノ作成アリタル時成立ス
第十二條第九條第一項又ハ第十條第二
項ノ規定ニ依ル海運組合成立シタルト
キハ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ハ
其ノ組合ノ組合員トス
第十三條政府第十條第二項ノ規定ニ依
リ定款ヲ作成シタルトキハ海運組合ノ
理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク組合員總會ヲ招
集スベシ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ收
支豫算及經費ノ分賦收入方法ヲ議決ス
ベシ
第十四條政府ハ海運業ノ統制ヲ圖ル爲
必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タル
資格ヲ有スル者ヲシテ海運組合ノ組合
員タラシムルコトヲ得
第十五條海運組合ノ定款ニハ左ノ事項
ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四組合員タル資格ニ關スル規定
五組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
六役員ニ關スル規定
七事業ノ執行ニ關スル規定
八會議ニ關スル規定
九組合員ノ權利義務及經費ノ分擔ニ
關スル規定
十會計及財產ニ關スル規定
十一存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定
メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第十六條海運組合ニハ理事及監事ヲ置
クベシ
理事及監事ノ選任及解任ハ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザルバ其ノ效力ヲ生ゼズ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テ
ハ監事組合ヲ代表ス
理事缺ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行
フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ
得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ
假理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシム
ルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定
ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第十七條左ニ揭グル事項ハ總會ノ議決
ヲ經ベシ
-定款ノ變更
二收支豫算及經費ノ分賦收入方法
三業務報告及收支決算ノ承認
四第二十條第一項ノ規程ノ制定及變
更
五海運組合聯合會ノ設立、加入及脫
退
六解散
前項第一號、第四號及第六號ニ揭グル
事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非
ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十八條組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ
議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依
リ一人ニ付二個以上ノ議決權ヲ有セシ
ムルコトヲ得
第十九條總會ノ議決ハ定款ノ定ムル所
ニ依リ出席シタル組合員ノ議決權ノ過
半數ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第十七條第一
項第一號、第二號及第四號乃至第六號
ニ揭グル事項ノ議決ハ總組合員ノ半數
以上ニシテ議決權總數ノ半數以上ニ當
ル組合員出席シ其ノ議決權ノ三分ノ二
以上ノ多數ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十條海運組合ハ組合員間ニ於ケル
事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ關
スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運組
合ニ對シ前項ノ規程ノ變更ヲ命ズルコ
トヲ得
第二十一條海運業ノ經營ニ關スル弊害
ヲ豫防シ若ハ矯正ズル爲又ハ其ノ健全
ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルト
キハ政府ハ海運組合ニ對シ必要ナル事
業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二條海運業ノ經營ニ關スル弊害
ヲ豫防シ若ハ矯正スル爲又ハ其ノ健全
ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルト
キハ政府ハ海運組合ノ組合員ニ對シ又
ハ組合員及組合員ニ非ザルモ組合員タ
ル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合ノ統
制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十三條政府ハ必要アリト認ムルト
キハ海運組合ニ對シ業務ニ關スル報〓
ヲ爲サシメ、業務執行又ハ財產ノ狀況
ヲ檢査シ、定款、收支豫算又ハ經費ノ
分賦收入方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督
上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲ス
コトヲ得
第二十四條海運組合ノ事業ノ繼續ヲ困
難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ
法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタ
ルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞
アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ處分ヲ
爲スコトヲ得
一總會ノ決議ノ取消
二役員ノ解任
三事業ノ停止
四解散
第二十五條海運組合ハ左ノ事由ニ因リ
テ解散ス
-存立ノ期間ノ滿了其ノ他定款ニ定
メタル事由ノ發生
二總會ノ決議
三破產
四政府ノ解散命令
第二十六條海運組合ハ其ノ共同ノ目的
ヲ達スル爲海運組合聯合會ヲ設立スル
コトヲ得
海運組合聯合會ハ他ノ海運組合聯合會
又ハ海運組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達ス
ル爲更ニ海運組合聯合會ヲ設立スルコ
トヲ得
海運組合聯合會ハ法人トス
第二十七條海運組合聯合會ヲ設立セン
トスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ會
員タルベキ資格ヲ有スル組合又ハ聯合
會ノ中會員タラントスル者ニ於テ選任
シタル創立委員ヲ以テ、第二十九條ニ
於テ準用スル第九條第一項ノ規定ニ依
リ海運組合聯合會ノ設立ヲ命ゼラレタ
ルトキハ其ノ組合及聯合會ニ於テ選任
シタル創立委員ヲ以テ命令ノ定ムル所
ニ依リ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必
要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ
認可ヲ受クベシ
第二十八條創立委員會ニ於ケル議決及
役員ノ選任ハ創立委員總數ノ三分ノ二
以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第八條ノ規定ハ創立委員ニ付之ヲ準用
ス
第二十九條ニ於テ準用スル第九條第一
項ノ規定ニ依ル海運組合聯合會ニ付テ
ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ創立委員會ニ
於ケル議決及役員ノ選任ハ出席シタル
創立委員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ
之ヲ爲ス
第二十九條第四條、第五條、第九條第
一項及第十條乃至第二十五條ノ規定ハ
海運組合聯合會ニ付之ヲ準用ス
第三十條海運組合及海運組合聯合會ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコト
ファミナ
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第三十一條海運組合及海運組合聯合會
ノ〓算ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十二條海運組合及海運組合聯合會
ニハ所得稅及營業收益稅ヲ課セズ
第三十三條民法第五十一條第二項、第
五十二條第二項、第五十四條、第五十
五條、第五十九條第三號第四號、第六
十條乃至第六十四條及第六十六條ノ規
定ハ海運組合及海運組合聯合會ニ付之
ヲ準用ス但シ民法第六十二條中五日ト
アルハ之ヲ十日トス
第三十四條第二十二條ノ規定ニ依ル政
府ノ命令ニ違反シタル者ハ二千圓以下
ノ罰金ニ處ス
海運業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、
雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ
前項ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己
ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰
ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十五條前條ノ罰則ハ海運業者ガ法
人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法
人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者
又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理
人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者
ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十六條海運組合又ハ海運組合聯合
會ノ理事、監事又ハ〓算人其ノ職務ニ
關シ賄賂ヲ收受シ要求シ又ハ約束シタ
ルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ不
正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サ
ザルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徴ス
本條ノ罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
第三十七條前條第一項ニ揭グル者ニ賄
賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者
ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第三十八條左ノ場合ニ於テハ海運組合
又ハ海運組合聯合會ノ理事又ハ監事ヲ
五百圓以下ノ過料ニ處ス
-官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ
爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二本法ニ依リ政府ノ徵スル報告ヲ爲
サズ又ハ檢査ヲ拒ミ其ノ他政府ノ命
令又ハ處分ニ從ハザルトキ
三本法ニ依ル總會ノ招集ヲ怠リタル
トキ
四本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置
カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベ
キ事項ヲ記載セザルトキ
第三十九條第三十條及第三十一條ノ規
定ニ基キテ發スル勅令ニ於テハ之ニ違
反シタル者ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得
第四十條非訟事件手續法第二百六條乃
至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ
付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條第七號中「又ハ肥料製
造業組合」ノ上ニ「、海運組合、海運組合聯
合會」ヲ、「又ハ重要肥料業統制法」ノ上
ニ「、海運組合法」ヲ加フ
造船事業法案
造船事業法
第一條本法ニ於テ造船事業トハ命令ノ
定ムル設備ヲ備フル者ノ爲ス船舶ノ製
造又ハ修繕ノ事業ヲ謂フ
前項ノ事業ヲ營ム者ノ爲ス船體、船舶
用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ
附屬品ノ製造又ハ修繕ハ之ヲ其ノ事業
ノ一部ト看做ス
第二條造船事業ヲ營マントスル者ハ政
府ノ許可ヲ受クベシ
第三條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得ベ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社又ハ有限會社ニシテ其ノ株主又ハ
社員ノ半數以上、取締役半數以上、資本
ノ半額以上及議決權ノ過半數ガ帝國臣
民又ハ帝國法令ニ依リ設立シタル法人
ニ屬スルモノニ限ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
ヲル大
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第四條第二條ノ許可ヲ受ケタル會社(以
下造船會社ト稱ス)ハ政府ノ指定スル
期間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
造船會社前二項ノ期間內ニ其ノ事業ヲ
開始セザルトキハ第二條ノ許可ハ其ノ
效力ヲ失フ
第五條造船會社其ノ事業ノ全部又ハ
部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止セントス
ルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ
許可ヲ受クベシ
造船會社ノ合併又ハ解散ノ決議ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第六條造船事業ハ土地收用法第二條ノ
土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事
業トシ同法ヲ適用ス
第七條造船會社ハ其ノ事業ニ屬スル設
備ノ償却ニ充ツル爲勅令ノ定ムル所ニ
依リ每決算期ノ利益ノ一部ヲ積立ツベ
シ
第八條株式會社タル造船會社ハ政府ノ
認可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費
用ニ充ツル爲商法ニ規定スル制限ヲ超
エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債
ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超
ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル純財產額ガ拂込ミタル株金額ニ滿タ
ザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
舊社債償還ノ爲ニスル社債ノ募集ニ付
テハ其ノ舊社債ノ額ハ社債ノ總額中ニ
之ヲ算入セズ此ノ場合ニ於テハ拂込ノ
期日、若シ數囘ニ分チテ拂込ヲ爲サシ
ムルトキハ第一囘拂込ノ期日ヨリ六月
以內ニ舊社債ヲ償還スルコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬
スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ
特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必要
ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條造船會社本邦ニ於テ未ダ製造セ
ラレタルコトナキ船體、船舶用機關若
ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ノ
製造ヲ爲ス場合ニ於テハ政府ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ豫算ノ範圍內ニ於テ之
ニ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第十條政府ハ造船會社ニ對シ命令ノ定
ムル所ニ依リ船體、船舶用機關若ハ艤
裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ニハ本
邦ニ於テ製造セラレタル物ヲ使用スベ
キコトヲ命ズルコトヲ得
第十一條政府ハ造船事業ノ維持ヲ圖ル
爲必要アリト認ムルトキハ船舶ノ製造
ヲ爲ス造船會社又ハ船舶ノ製造ノ注文
ヲ爲ス者ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ
豫算ノ範圍內ニ於テ助成金ヲ交付スル
コトヲ得
第十二條政府ハ船體、船舶用機關若ハ
艤裝品又ハ其ノ部分品若ハ附屬品ニ付
其ノ規格ヲ定ムルコトヲ得船舶及船舶
用材料ニ付亦同ジ
造船會社ハ前項ノ規定ニ依リ規格ヲ定
メタルモノニ付テハ命令ノ定ムル場合
ヲ除クノ外規格ニ適合スルモノニ非ザ
レバ之ヲ製造シ又ハ船舶ニ使用スルコ
トヲ得ズ
第十三條政府ハ造船會社ニ對シ其ノ製
造セントスル船舶ニ付命令ノ定ムル推
進性能試驗ヲ受クベキコトヲ命ズルコ
トヲ得
第十四條政府ハ公益上必要アリト認ム
ルトキハ造船會社ニ對シ船舶、船體、
船舶用機機若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品
若ハ附屬品ニ付製造若ハ販賣ノ價格又
ハ修繕料ノ變更ヲ命ジ又ハ此等ノ物ノ
供給ニ關シ必要ナル事項ヲ命ズルコト
ヲ得
第十五條政府ハ公益上必要アリト認ム
ルトキハ造船會社ニ對シ左ノ各號ニ揭
グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一設備ノ新設、增設又ハ改良
二政府ノ指定スル船舶、船體、船舶
用機關若ハ艤裝品又ハ其ノ部分品若
ハ附屬品ノ製造又ハ修繕
三船舶ニ關スル特殊事項ノ〓究又ハ
特殊設備ノ施設
前項ノ命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令
ノ定ムル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍ニ於テ
之ヲ爲スコトヲ要ス
第十六條政府ハ第十二條第一項ノ規格
ノ決定、第十四條若ハ前條第一項第一
號ノ命令又ハ前條第二項ノ補償金額ノ
決定ヲ爲サントスルトキハ勅令ニ別段
ノ規定アル場合ヲ除クノ外造船事業委
員會ノ議ヲ經ベシ
造船事業委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第十七條造船會社ハ其ノ事業ノ改良發
達ヲ圖ル爲造船組合ヲ設立スルコトヲ
得
造船組合ハ法人トス
第十八條造船組合ハ左ノ事業ヲ行フコ
トヲ得
-組合員ノ事業ニ必要ナル物ノ取得、
保有及供給竝ニ組合員ノ事業ノ爲ニ
スル共同施設
二組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三組合員ノ事業ニ關スル指導、〓究
及調査
四前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ目
的ヲ達スルニ必要ナル事業
造船組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業
ヲ行フコトヲ得ズ
第十九條造船組合ハ定款ノ定ムル所ニ
依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ過
怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十條造船組合ヲ設立セントスルト
キハ豫メ地區ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ
組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分
ノ二以上ヲ以テ創立總會ヲ開キ定款其
ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ
政府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ
有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ル
コト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由ア
ルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ
開クコトヲ得
造船組合ハ第一項ノ認可アリタル時成
立ス
第二十一條造船組合ノ定款ニハ左ノ事
項ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三地區
四事務所ノ所在地
五組合員タル資格ニ關スル規定
六組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七役員ニ關スル規定
八事業ノ執行ニ關スル規定
九會議ニ關スル規定
十組合員ノ出資及責任ニ關スル規定
+一組合員ノ權利義務及經費ノ分擔
ニ關スル規定
十二會計及財產ニ關スル規定
十三存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定
メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第二十二條造船組合ニハ理事及監事ヲ
置クベシ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テ
ハ監事組合ヲ代表ス
理事缺ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行
フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ
得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ
假理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシム
ルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定
ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十三條左ニ揭グル事項ハ總會ノ議
決ヲ經ベシ
一定款ノ變更
二收支豫算及經費ノ分賦收入方法
三業務報告及收入決算ノ承認
四第二十八條第一項ノ規程ノ制定及
變更
五造船組合聯合會ノ設立、加入及脫
退
六役員ノ選任及解任
七合併及解散
前項第一號、第四號、第六號及第七號
ニ揭グル事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受
クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十四條組合員ハ總會ニ於テ各一個
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ
依リ一人ニ付二個以上ノ議決權ヲ有セ
シムルコトヲ得
第二十五條總會ノ議決ハ定款ノ定ムル
所ニ依リ出席シタル組合員ノ議決權ノ
過半數ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第二十三條
第一項第一號、第二號、第四號、第五號
及第七號ニ揭グル事項ノ議決ハ總組合
員ノ半數以上ニシテ議決權總數ノ半數
以上ニ當ル組合員出席シ其ノ議決權ノ
三分ノ二以上ノ多數ヲ以テ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第二十六條組合員ハ出資一口以上ヲ有
スベシ
組合員ノ有スベキ出資口數ハ五十口ヲ
超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事由アル
トキハ定款ノ定ムル所ニ依リ之ヲ增加
スルコトヲ得
第二十七條組合員ノ責任ハ第十九條ノ
規定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ
限度トス
造船組合ハ定款ニ依リ組合財產ヲ以テ
其ノ債務ヲ完濟スルコト能ハザル場合
ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ出資ノ外一
定ノ金額ヲ限度トシテ組合ノ債權者ニ
對シ責任ヲ負擔スルモノト爲スコトヲ
得
第二十八條造船組合ハ組合員間ニ於ケ
ル事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ
關スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ造船組
合ニ對シ前項ノ規程ノ變更ヲ命ズルコ
トヲ得
第二十九條造船事業ノ健全ナル發達ヲ
圖ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ
造船組合ニ對シ必要ナル事業ヲ行フベ
キコトヲ命ズルコトヲ得
第三十條造船事業ノ健全ナル發達ヲ圖
ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ造
船組合ノ組合員ニ對シ其ノ組合ノ統制
ニ從フベキコトヲ命ジ又ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タ
ル資格ヲ有スル者ヲシテ其ノ組合ノ組
合員タラシムルコトヲ得
第三十一條政府ハ必要アリト認ムルト
キハ造船組合ニ對シ定款、收支豫算又
ハ經費ノ分賦收入方法ノ變更ヲ命ズル
コトヲ得
第三十二條造船組合ノ事業ノ繼續ヲ困
難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ
法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタ
ルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞
アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ處分ヲ
爲スコトヲ得
-總會ノ決議ノ取消
二役員ノ解任
三事業ノ停止
四解散
第三十三條造船組合ハ左ノ事由ニ因リ
テ解散ス
存立ノ期間ノ滿了其ノ他定款ニ定
メタル事由ノ發生
二總會ノ決議
三合併
四破產
五政府ノ解散命令
第三十四條造船組合ハ其ノ共同ノ目的
ヲ達スル爲造船組合聯合會ヲ設立スル
コトヲ得
造船組合聯合會ハ他ノ造船組合聯合會
又ハ造船組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達ス
ル爲更ニ造船組合聯合會ヲ設立スルコ
トヲ得
造船組合聯合會ハ法人トス
第三十五條造船組合聯合會ヲ設立セン
トスルトキハ會員タルベキ資格ヲ有ス
ル組合又ハ聯合會ノ中會員タラントス
ル者ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ
創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル
事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ
受クベシ
第三十六條第十八條、第十九條、第二
十條第三項、第二十一條乃至第三十三
條ノ規定ハ造船組合聯合會ニ付之ヲ準
用ス
第三十七條造船組合及造船組合聯合會
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第三十八條造船組合及造船組合聯合會
ニハ所得稅及營業收益稅ヲ課セズ
第三十九條民法第五十一條第二項、第
五十二條第二項、第五十四條、第五十五
修、第五十九條第三號第四號、第六十
條乃至第六十四條及第六十六條ノ規定
ハ造船組合及造船組合聯合會ニ付之ヲ
準用ス
第四十條本法ニ規定スルモノノ外造船
組合及造船組合聯合會ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條政府ハ造船會社、造船組合
又ハ造船組合聯合會ヲシテ業務及財產ノ
狀況ニ關シ報告ヲ爲サシムルコトヲ得
政府ハ造船會社、造船組合又ハ造船組
合聯合會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督
上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲ス
コトヲ得
第四十二條本法ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ、船舶、船舶用機關又ハ艤裝品ノ製造
又ハ修繕ヲ爲ス事業ニシテ第一條ノ造
船事業ニ屬セザルモノニ付之ヲ準用ス
第四十三條第二條ノ規定ニ違反シ許可
ヲ受ケズシテ造船事業ヲ營ミタル者ハ
五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十四條造船會社左ノ各號ノ一ニ該
當スルトキハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第五條第一項ノ規定ニ違反シ事業
ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタルトキ
二第十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
本邦ニ於テ製造セラレタルニ非ザル
物ヲ使用シタルトキ
三第十二條第二項ノ規定ニ違反シ規
格ニ適合セザルモノヲ製造シ又ハ船
舶ニ使用シタルトキ
四第十四條又ハ第十五條第一項ノ規
定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
五第三十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シ組合ノ統制ニ從ハザルトキ
第四十五條造船會社左ノ各號ノ一ニ該
當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第四十一條第一項ノ規定ニ依ル報
告ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタ
ルトキ
二第四十一條第二項ノ規定ニ依ル命
令又ハ處分ニ違反シタルトキ
第四十六條造船事業ヲ營ム者ハ其ノ代
理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業
者ガ其ノ業務ニ關シ第四十三條乃至前
條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
第四十七條第四十三條乃至第四十五條
ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、
取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル
役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルト
キハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ
營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス
ル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十八條造船組合又ハ造船組合聯合
會ノ理事、監事又ハ〓算人其ノ職務ニ
關シ賄賂ヲ收受シ、要求シ又ハ約束シ
タルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ
不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲
サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
本條ノ罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
第四十九條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタ
ル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下
ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第五十條造船會社左ノ各號ノ一ニ該當
スルトキハ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ
監査役ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
-第七條ノ規定ニ違反シ準備金ノ積
立ヲ爲サズ又ハ之ヲ同條ニ規定スル
以外ノ目的ニ使用シタルトキ
二第八條ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集
シ又ハ舊社債ノ償還ヲ爲サザルトキ
第五十一條左ノ場合ニ於テハ造船組合
又ハ造船組合聯合會ノ理事又ハ監事ヲ
五百圓以下ノ過料ニ處ス
-官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ
爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二本法ニ依リ政府ノ徴ズル報〓ヲ爲
サズ又ハ本法ニ依ル政府ノ命令若ハ
處分ニ從ハザルトキ
三本法ニ依ル總會ノ招集ヲ怠リタル
トキ
四本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置
カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベ
キ事項ヲ記載セザルトキ
第五十二條第三十七條及第四十條ノ規
定ニ基キテ發スル勅令ニ於テハ之ニ違
反シタル者ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得
第五十三條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ第五十條乃至
前條ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但
シ第三條中有限會社ニ關スル規定ハ有限
會社法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際現ニ造船事業ヲ營ム者又ハ
其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ本法施行ノ日
ヨリ一年ヲ限リ第二條ノ規定ニ拘ラズ其
ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前項ニ揭グル者前項ノ期間內ニ第二條ノ
許可ヲ申請シタル場合ニ於テ其ノ申請ニ
對シ許可又ハ不許可ノ處分ノ日迄亦前項
Far
登錄稅法第十九條第七號中「貿易組合中
央會」ノ下ニ「、造船組合、造船組合聯合
會」ヲ、「貿易組合法」ノ下ニ「、造船事業
法」ヲ加フ
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=97
-
098・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 只今議題トナ
リマシタ海運組合法案及ビ造船事業法案提
案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、我國海運竝
ニ造船事業ガ、經濟上ニ於キマシテモ將又
國防上ニ於キマシテモ、極メテ重要ナル使
命ヲ有シ、其ノ消長ガ國運ノ隆替ニ至大ノ
關係ヲ有スルコトハ、玆ニ申上グルマデモ
ナイ所デアリマス、政府ハ夙ニ此ノ點ニ留
意致シマシテ、之ガ振興ニ努メ來ツタノデ
アリマスガ、幸ニシテ斯業ハ逐年著シキ進
步發達ヲ遂ゲ、今ヤ我國ハ名實共ニ世界ニ
於ケル有數ノ海運國タル地位ヲ確立致シテ
居ル次第デアリマス、然ルニ今次事變ニ伴
フ內外諸情勢ノ推移ニ鑑ミマスル時ハ、我
ガ國運ノ進展ニ順應シテ、更ニ益〓斯業ノ充
實强化ヲ圖ルノ緊要ナルヲ痛感スルノデア
リマス、卽チ速ニ優秀船舶ノ建造ヲ促進シ
テ、我ガ航權ノ伸張ヲ圖ラシムルト共ニ、
海上交通運輸ヲ適正ニ調整シ、諸般ノ產業
政策遂行上遺憾ナキヲ期セシムルノ必要ガ
アルノデアリマス、之ガ爲先ヅ海運業者ヲ
シテ鞏固ニシテ規律アル組合機構ヲ整備セ
シメ、事變下ニ於ケル業界ノ指導竝ニ統制
ニ協力セシムルト共ニ、其ノ團結力ニ依リ
濶達ナル對外的發展ヲ遂ゲシムルヤウ努メ
シムルト共ニ、他面造船事業ニ付キマシテ
ハ、適切ナル保護監督ヲ加ヘテ、事業經營
ノ基礎ヲ强靱ナラシメ、能フ限リ優秀經濟
船ヲ低廉ニ供給セシムルヤウ指導スルコト
ハ、極メテ緊要デアルト思料セラレルノデ
アリマス、仍テ是等ノ方策ノ實現ヲ期スル
爲、玆ニ海運組合法案竝ニ造船事業法案ヲ
提出シタ次第デアリマス、何卒御案議ノ上
速ニ御協賛アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=98
-
099・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ノ通〓ガアリ
マス、順次之ヲ許シマス-小林房之助君
〔小林房之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=99
-
100・小林房之助
○小林房之助君 私ハ只今ノ議題ニ關聯致
シマシテ、海運政策ニ付テ四五點ニ亙ツテ
質疑ヲ致シタト思フデアリマス、事變ニ際
シテ國家ニ徵用致シマシタル船舶ノ配船運
航ニ關シテハ、圓滑ニ之ガ運用ヲ圖ツテ、
徒ニ船腹ヲ遊バセテ置クト云フコトガアツ
テハナラヌノデアリマス、若シ船腹ヲ遊バ
セテ置クガ如キ餘裕ガアリマシタナラバ、
國內生產ノ擴充上必要ナル各種ノ原材料ノ
整備ヲ考慮シテ、之ガ輸送ニ協力セシムル
ト云フコトガナケレバナラヌノデアリマス、
サウデナケレバ或ハ之ヲ外國航路ニ引上ゲ
テ、國際貸借ニ稗益スルト云フダケノ
心構ヘヲ必要トスルノデアリマス、又
埠頭ノ利用困難ノ爲、當業者ガ停滯貨
物ノ處置ニ困難ヲ致シテ居ルコトハ、
吾々ノ屢〓耳ニスル所デアリマス、當局ハ徵
用船ノ配船運航ノ狀態竝ニ埠頭ノ狀況ニ鑑
ミテ、今後ノ配船運航及ビ埠頭利用ノ巧
妙ヲ期シ、最モ經濟的ニ働カシムル爲ニ、
海運經營ノ上ニ於テ最モ困難ト致シマスル
配船及ビ埠頭ノ活用ヲ、何等經驗ノナキ官
憲ノ手ヨリ民間ノ經驗アル權威者ノ手ニ委
ネル必要ガアルト思フノデアリマス(拍手)
政府ハ百万噸船舶ノ運航ニ民間有能ノ士ヲ
擢用シテ、其ノ縱橫ノ手腕ヲ發揮セシムル
意思ガアルカドウカ、之ニ對スル政府ノ所
見ヲ何ヒタイノデアリマス
第二ハ支那ニ對スル海運國策會社ノ設立
ハ、ドウ云フヤウニナツテ居リマスカ、支那
沿岸、長江一帶ニ亙ツテ日本ノ航權ヲ確立
スル爲ニハ現在日支ノ間ヲ運營シテ居ル
船會社ノ航路全部ヲ統一調整シタル、强力
ナル海運國策會社ノ活躍ニ期待致サナケレ
バナラヌノデアリマス(拍手)然ルニ對支海
運國策會社ノ計畫內容ハ商船、郵船等ノ
內地ニ根據ヲ有シテ居リマス九會社ノ支那
航路ヲ併合統一スルノミデアリマシテ、大
連汽船ノ如キ、朝鮮郵船ノ如キ、外地ニ根
據ヲ有シテ居ルモノハ之ヲ除外シテ居ルノ
デアリマス、若シ斯ノ如キ計畫ニ依ツテ海
運國策會社ガ設立セラレマシタル場合ハ、
此ノ國策會社ノ航路ト、此ノ國策會社ニ統
一サレナカツク大連汽船、朝鮮郵船ノ航路
トハ當然玆ニ竝行航路トシテ競爭致サナ
ケレバナラヌコトニナルノデアリマス、無
用ノ競爭ガ玆ニ惹起サレル結果ニナルノデ
アリマス、何故ニ大連汽船ト朝鮮郵船トハ
國策會社ニ併合統一サルルコトニ反對スル
ノデアリマスカ、關東軍ハ大連汽船ノ之ニ
併合サレルコトニ何故ニ反對スルノデアリ
マスカ、朝鮮總督府ハ何故ニ朝鮮郵船ノ之
ニ統合セラレルコトニ反對スルノデアリマ
スカ、私ハ其ノ詳細ニ付テハ委員會ニ於テ
御尋致シタイト思ヒマスガ、若シ之ニ反對
スル考ヘ方ガ割據主義的思想ニ基イテ居ル
モノデアルト致シマスナラバ、海運國策遂
行上大ナル障碍ト言ハネバナラヌノデアリ
マス(拍手)斯クシテ支那ニ對スル海運國策
會社ハ未ダ出來ナイ、若シ出來上リマシテ
モ、支那ノ航路ノ全體的統一ノナイ不具ナ
ル國策會社ガ設立セラレテ、併行航路ガ互
ニ牆ニ鬪グノ醜態ヲ暴露致シマスナラバ、是
ハ實ニ經濟的海上制覇ノ癌腫デアリマシテ、
何ノ日ニカ航權仲張ノ實ヲ擧ゲルコトガ出
來マセウカ、更ニ又滿鐵系統ニ於テハ大
同ノ石炭、龍煙ノ鐵鑛或ハ鹽等ノ運輸ヲ目
標ト致シマシテ、別個ニ海運會社ヲ計畫シ
テ居ルト云フコトデアリマス、或ハ又北支
交通會社ハ鐵道ノ經營カラ觸手ヲ延バシテ、
天津、白河ノ艀ヲ統制セントシテ居ルヤウ
デアリマス、艀モ滿鐵ノ計畫モ、共ニ海運
國策會社ガ設立セラレタ場合ハ、當然本質
上之ニ統制セラレナケレバナラヌモノト考
ヘルノデアリマス、今日ハ拙速ヲ尊ビマ
ス、監督權ガ何處ニアラウガ、其ノ所在ノ如
キ官僚繩張リ爭ヒノ閑葛藤デアリマシテ、
吾々ハサウ云フヤウナ閑葛藤ニ累ハサレル
程悠長ナ時代ニ今日居ラナイノデアリマス
(拍手)政府ハ愚圖々々シテハイケナイ、早
ク致サナケレバチラヌノデアリマス、有力
ナル外國ノ海運、殊ニ英國ハ虎視耽々トシ
テ、我ガ日本ノ間隙ニ乘ゼント致シテ居
ルノデアリマス、政府ハ斷乎トシテ國策ノ
大乘的見地ニ立ツテ、速ニ是等ノ亂脈ヲ
調整シテ、支那ノ航路ヲ打ツテ一丸トシタ
ル對支海運國策會社ノ設立ヲ促進致サナ
ケレバナリマセヌ(拍手)以上諸點ニ對スル
政府ノ所信竝ニ具體策ハ如何デアリマスカ
第三點ハ揚子江ハ何時頃開放セラルル御
見込デアリマスカ、揚子江ガ開放セラレマ
シタ暁ニ於テ、此ノ長江筋ニ配船サルベキ
小型船ハ漸クニシテ三十隻程度位デアラウ
ト云フコトハ、或ル專門家ノ推定デアリマ
ス、萬一斯ノ如キ小規模ナルモノデアツタ
ナラバ、揚子江上ニ於ケル日本ノ商船ト云
フモノハ寥々デアツテ、「ユニオンヂャック」
ノ旗ノミガ長江ニ飜ツテ橫行躙步スルト云
フ結果ニ相成リマスナラバ、是レ日本ノ航
權ノ喪失デアリ、幾多ノ尊キ犧牲ヲ拂ウテ
今邁進シツツアル新秩序ノ建設モ、終ニ黃
梁一炊ノ夢ニ過ギナイノデアリマス(拍手)
由來我國海運ノ支那沿岸及ビ內河方面ニ於
ケル實力ハ振ツテ居リマセヌ、僅ニ事變前
十万噸內外ニ過ギナカツタノデアリマス、
今次事變ニ因リマシテ五十万噸ノ支那海運
ハ閉息壞滅致シマシタケレドモ、四十万噸
ノ此ノ方面ニ活動致シテ居リマシタ英國ノ
船舶ハ、長江航行ノ停止ト支那沿岸封鎖ニ
依ツテ非常ナル苦境ニアリマスガ、是等支
那方面ニ於ケル英國ノ航權ハ、百年ニ亙ル
經營ニ依ツテ築キ上ゲラレタル歷史的ノ權
益デアリマシテ、長江筋ガ一タビ一般商船
ニ開放サレタル場合ハ、之ヲ契機ト致シテ
英國汽船ガ目覺シキ活動ヲ開始スルコトハ
當然ノ事柄デアリマス、我國ガ事變前ノ如
キ劣勢デナイ優勢ナル大海運態勢ヲ今ニ於
テ整ヘテ、以テ英國海運ノ陣營ニ對應シテ、
國策推進ノ動脈タラシメナケレバ相成ラヌ
ノデアリマス、政府ハ東亞洋上ニ於ケル我
ガ航權ヲ確保スル成算ガアリマスカ、其ノ
抱懷スル具體策ハ如何デアリマスカ、政府
ノ所信ヲ伺ヒタイノデアリマス(拍手)
第四ハ日本海ニ於ケル航路ノ統一デアリ
マリ、日本海ニ於ケル航路モ亦未ダ統一サ
レテ居リマセヌ、日本海海運會社ノ設立ハ
如何相成ツテ居ルノデアリマスカ、日本海
航路ノ統一ヲ圖リ、日滿ノ連絡ヲ一層緊密
ニスルコトハ、今日特ニ急ナルモノガアル
ノデアリマス、然ルニ朝鮮總督府ハ朝鮮郵
船ノ「ローカルライン」ノ除外ヲ主張致シ
テ居ルノデアリマスガ、ソレト共ニ又ソレ
ヨリモ滿洲國側ガ日本、滿洲ト半々ノ出資
ヲシテ、共同經營ヲ爲サントスル主張ガ會
社設立ヲ遲延セシメテ居ル原因デアリマス、
何故ニ日本ハ滿洲國ト共同シテ海運ヲ經營
セナケレバナラヌノデアリマスカ、私ハ其
ノ必要ナシト思フ、若シ其ノ必要アリトセ
バ其ノ理由ヲ承リタイ、日本海ノ航權ハ日
本之ヲ獨占シテ居レバ宜シイノデアリマス、
滿洲國ハ未ダ海運ヲ經營スルノ域ニ達シテ
居リマセヌ、滿洲國ハ日本ノ海運ニ依存シ
テ居レバソレデ宜シイノデアリマス、ソレ
ガ却テ滿洲ノ爲デアリ、日本ノ爲デアリマ
ス、然ルヲ相應シカラザル滿洲國ノ主張ニ
累ハサレテ、日本海運會社ノ設立ヲ遷延シ
ツツアルコトハ、國策ノ遂行上甚ダ遺憾至
極ノコトト言ハナケレバナリマセヌ、政府
ハ今後滿洲國ノ主張ニ囚ハレズ、滿洲國ハ
日本海運ニ依存スレバ可ナリトノ建前ヲ以
テ、急速ニ日本單獨デ日本海航路統一ノ海
運會社ノ設立ヲ促進スル意思ガアリマスカ、
明快ナル御答辯ヲ求メマス、島帝國タル日
本ハ海運ヲ離レテ生命ハアリマセヌ、海運
ヲ閑却シテ日滿支ノ協同體ハ存在致サナイ
ノデアリマス、今ヤ五百万噸以上ノ船舶ヲ
擁シ、兩三年ナラズシテ七百万噸ニモ達セ
ントスル勢力ヲ保有シテ居ル我ガ海運ハ、
假令其ノ噸數ニ於テハ米國ニ讓ルト雖モ、
實力ニ於テハ米國ヲ凌イデ、英國海運トノ
桔抗爭覇ハ愈〓深刻トナルベキ運命ニアルノ
ミナラズ、全世界ノ海洋ニ進出スベキ必然
的使命ハ、現實ニ各國トノ海運爭覇ヲ招來
セナケレバナラヌノデアリマス、而モ國際
收支ノ改善及ビ物資輸入力增大ノ必要ヲ痛
感セラルル最近ノ狀態ニアリマシテハ、近
キ將來三億圓ニモ上ルベキ外貨獲得ノ手段
トシテ、一層重大ナル任務ヲ有スル我ガ海運
ノ發展躍進ノ爲ニ、現在ノ管船局ヲ擴大强
化シテ、政府自ラ强力ナル統制機構ノ上ニ
立チタル內外地ヲ通ズル海運行政ノ徹底的
統一ト、海運國策ノ一元的强化ヲ期スルノ
必要アリト信ズルノデアリマス(拍手)今日
ノ狀態ノ如ク日本ノ役人ガ滿洲ニ行ケバ滿
洲ダケノコトヲ考へ、朝鮮ニ行ケバ朝鮮ノ
局部ニ立テ籠リ、支那ニ行ケバ支那ノ現地
的立場ニ膠著シ、出先ニ於テ別箇ノ海運政
策ヲ考へ、而モ之ヲ固執シテ、中央ニ於テ
立案シタル政策ト相剋ヲ生ジ、枘鑿相容レ
ズ、爲ニ中央政府ノ指揮命令ハ行ハレズ、
國策ノ遂行ニ齟齬ヲ來シツツアルハ、國家
ノ大局ヨリ見テ其ノ損失極メテ大デアリマス
(拍手)自己至上主義或ハ現地至上主義トモ
申シマスカ、我執ニ囚ハレタル一ツノ「セク
ショナリズム」ニ拘泥シテ、日、滿、支三國間ノ
綜合的大計畫ニ考慮ヲ拂ハズ、大乘的識見
ニ缺如セルハ甚ダ遺憾至極デアリマス、洵
ニ日本經濟ノ國際的地位ノ縮圖ノ觀アル海
運業ノ積極的躍進ノ爲ニ、若シ管船局ヲ擴
大强化シテ、政策統一ノ萬全ヲ期スル措置
ヲ御執リニナラナイ場合ハ、是等ノ偏見獨
善ノ弊害ヲ一掃シテ明朗ナル海運政策ヲ展
開セラルル爲如何ナル方策ヲ御執リニナル
御考デアリマスカ、ソレハ單ニ海運ニ關ス
ルダケノ問題デハアリマセヌ、之ニ對スル
政府ノ所信ヲ伺ヒタイノデアリマス、以上
ノ質疑ニ對シ明快ナル御答辯ヲ望ム次第デ
アリマス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=100
-
101・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御質問ノ第二點
デアリマスル對支海運會社ノ設立ノ問題、
又第三點デアリマスル長江開放後ノ配船等
ノ問題ニ付キマシテハ、色々影響スル所モ
ゴザイマスルカラ、此ノ席ニ於テ御答ヲス
ルコトヲ差控ヘマシテ、委員會ニ於テ詳シ
ク申上ゲタイト存ジマス、第四ノ日本海航
路ノ統制强化ニ付キマシテハ、昨年來關係廳
間ニ於テ審議ヲ致シマシタ結果、最近略〓意
見ノ合致ヲ見マシテ、近ク新會社ノ設立ニ
著手スル運ビニ至リマシタ、第五ノ管船局
機構ノ擴大强化ニ關スル御質疑ニ對シマシ
テハ、大體ニ於テ洵ニ御同感ノ點デゴザイ
マッハ、今後事情ノ許ス限リ御趣意ノ如ク努
力ヲ拂ヒマス、又內地外地海運行政ノ統一
ト云フ問題ニ付キマシテモ、出來得ル限リ
之ヲ實現致シタイト考へテ居ルヤウナ次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=101
-
102・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 中川重春君
〔中川重春君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=102
-
103・中川重春
○中川重春君 只今議題トナツテ居リマス
ル造船事業法案、海運組合法案、竝ニ之ニ關
聯セル船舶建造資金補償ニ關シマシテ、政府
ノ所見ヲ御伺致シタイノデアリマス、政
府ハ近年我國海運ノ顯著ナル發展ニ伴ヒマ
シテ、優秀商船隊ヲ急速ニ整備スルノ緊切
ナルヲ認メ、曩ニ諸般ノ方策ヲ實施致シマ
シテ是ガ實現ニ努メ、更ニ最近ニ於テハ東
亞ノ新情勢ニ對應シテ一段ノ船腹擴充ヲ圖
リ、我國ニ於ケル海運ヲシテ國力ノ充實强
化ニ順應セシムル爲ニ極メテ緊要ナリトノ
見地ヨリ、造船事業、海運業組合竝ニ海事
金融ニ關スル此ノ法律案ヲ提出セラレタリ
ト信ズルモノデアリマスルガ、就中船舶金
融ニ關スル我國ノ施設ハ、歐米ノ各國ニ比
較致シマシテ甚ダシク其ノ整備ヲ缺キ、世
界ニ大飛躍シツツアル海運日本ノ伸展ニ相
伴ハザル憾ガアリマスルノミナラズ、國際
市場ニ於ケル諸外國船トノ拮抗上、我ガ船
舶ハ常ニ極メテ困難ナル條件ノ下ニ運營ス
ルノ已ムヲ得ザル狀況ニ在ルノデアリマシ
テ、船舶ノ建造ニ關スル低利且ツ潤澤ナル
資金ノ供與ヲ得ントスルコトハ、當業者多
年ノ切ナル希望デアツタノデアリマス、然
ルニ此度提案セラレマシタ法律案ヲ通觀致
シマスルト、種々ナル點ニ於テ多クノ缺陷
ヲ發見スルモノデアリマス、詳シイコトハ
委員會ニ讓リマシテ、其ノ最モ重要ナリト
信ズル三四ノ點ニ關シマシテ、政府ノ親切
ナル御答辯ヲ得タイノデアリマス
先ヅ最初ニ御尋シタイコトハ、其ノ運航
資金ノ問題デアリマス、申スマデモナク長
期戰下ノ今日、我國財政ヲシテ彈力アラシ
ムル爲ニ、種々ナル方策ガ講ゼラレテ居ル
ノデアリマスルガ、其ノ最モ緊要ナルコト
ハ、卽チ海外正貨ヲ獲得スルニアリト信ズ
ルモノデアリマス、海外正貨ノ獲得ニ際シ
マシテハ、最モ捷徑ニシテ效果的ナルハ遠
洋航路ノ配船デアリマス、現下此ノ未曾有
ノ難局ニ直面セル我國財政ヲ打開スル爲ニ
ハ、朝野ヲ擧ゲテ努力シツツアルノデアリ
マスルガ、私ハ此ノ遠洋航路ノ配船ヲ奬勵
シテ海外貿易ヲ盛ナラシメ、海外正貨ヲ獲
得スルコトガ、最モ重大ナル先決問題ナリ
ト存ズルノデアリマス、然ルニ政府ノ提案
ヲ見マスルト、此ノ重大ナル遠洋航路ノ配
船ニ關シテ、緊急缺クベカラザル運航資金
ノ前貸制度ガ、此ノ法案ノ何レニモ見當ラ
ナイノデアリマス、政府ハ海外貿易ノ振興
ニ關シ、又遠洋航路ノ助成ニ關シマシテ、
果シテ熱意ヲ以テ此法案ノ通過ヲ圖ラント
スルノデアリマスルカ、然ラバ何故ニ其ノ
最モ必要ナル運航資金ノ前貸制度ヲ本案ヨ
リ除外セラレタノデアリマスルカ、此ノ點
ニ關スル政府ノ所見ヲ御伺致シタイノデア
リマス
次ニ御尋致シタイコトハ、船舶金融ニ關
シテ政府ハ如何ナル取扱ヲセラルルヤト云
フコトデアリマス、新造船ヲ造ル會社ハ多
クハ大會社デアル、具體的ニ申セバ日本郵
船會社、大阪商船會社、國際汽船會社等、
從來船舶建造資金ノ融通ヲ利用シテ居ルモ
ノハ何レモ是等ノ大會社デアリマス、
然ルニ是等ノ大會社ハ社債ノ發行ニ依リ、
或ハ又株式ノ增資ニ依リ、資金ヲ得ルニ
ハ聊モ困ラナイノデアリマス、而モ大會社
ノ多クハ每年興業銀行ヲ通ジテ利子補給
ノ適用ヲ受ケテ居ルノデアリマス、恐ラク
此ノ法案ガ此ノ儘デ通過セリト假定致シ
マシタナラバ、其ノ利用者ハ、是迄ノ遞信
省ノヤリ方デハ實際金ニ困ツテ苦シンデ
居ル人々ニアラズシテ、是等ノ大會社ノミ
ガ利用スルト云フ結果ニナリハセヌカト思
フノデアリマス(拍手)然ルニ船舶金融ニ關
シテ最モ困難ニ當面致シテ居リマスルモノ
ハ、平素是等ノ恩惠ヲ蒙ラザル小會社、小
船主デアリマス、是等ノ小船主ハ信用ガ薄
イノデアリマシテ、隨テ銀行トシテハ信用
ト擔保ニ重キヲ置キマスルガ故ニ、小會社、
小船主ハ事實上是ガ適用ヲ受ケナイノガ現
在ノ實情デアリマス、政府ハ此點ニ關シテ
如何ニ之ヲ運用セラレントスルノデアリマ
スルカ、殊ニ現下我國ノ海運界ノ發展ニ對
シテハ、新人ノ出現ニ期待スル所大ナルモ
ノガアルノデアリマス、第二、第三ノ岩崎
彌太郞ノ現ハレンコトヲ希望シテ居ルモノ
デアリマス、隨テ之ニ對スル新ナル道ヲ開
キ、政府ハ大ニ新人ノ活動ヲ助成スルニア
ラズンバ、本法制定ノ根本精神ハ半バ失ハ
レタルモノト言ハナケレバナラヌノデアリ
そく、政府ハ今次支那事變ニ當リ、我ガ大
陸軍ノ大陸輸送ニ關シ、一隻ノ外國船ノ力
モ借リズシテ、遂ニ戰局ヲ徹底的ニ有利ニ
導キタルハ、無論大會社ノ努力モ認メマス
ルガ、又其ノ背後ニ常ニ政府ヨリ迫害セラ
レ、冷眼視セラレ、一金ノ補助モ得ズシテ
獨力奮鬪シツツ、遂ニ我國ヲシテ世界第三
位ノ海運國タラシムルニ與ツテ貢獻致シタ
ル、卽チ是等ノ小會社、小船主ノ結合セル
力ノ最モ大ナルモノデアルコトヲ、政府當
局ハ深ク認識セラレマシテ、是等ノ保護助
成ニ全力ヲ盡スコトハ、政府ノ當然ナル責
任デアリ、又義務ナリト信ズルモノデアリ
マスルガ(拍手)此ノ點ニ關スル政府ノ御所
見如何デアリマスルカ、御伺致シタイノデア
リマス、卽チ政府ハ總動員法第一一條ノ趣旨
ニ基キマシテ、船舶金融法案ニ於テ、本事
業ノ必要性ト海外正貨獲得ノ國家的大局ヨ
リ、是等ノ小船主ニ對シテハ擔保無クトモ
貸出シ出來ルヤウ、對人信用ヲ擴張スル意
思ガナイノデアリマスルカ、此ノ點御伺致
シタイノデアリマス
次ニ此ノ法案ハ新造船ノミニ對シテ金融
スルト云フ案デアリマスルガ、政府ハ現在
運航シテ居ル船舶ニ對シテモ、其ノ必要ア
ルモノニ對シテハ、之ヲ適用スル御意思ガナ
イノデアリマスルカ、卽チ是モ前ニ述べマ
シタ如ク、海運國策ノ趣旨ヲ貫ク意味ニ於
キマシテモ、亦本法ノ根本趣旨カラ申シマ
シテモ、運航船舶ニ對スル金融ヲ考ヘテヤ
ルト云フコトハ、必然ノ問題ト思フノデア
リマスルガ、之ニ對スル政府ノ御所見ヲ承
リタイノデアリマス
次ニ造船事業法ニ關スル問題デアリマス
ルガ、我國造船技術ハ英米其ノ他各國何レ
ノ海運國ヨリモ優レテ居ルノデアリマシテ、
決シテ遜色ナイモノデアルト云フコトヲ私
ハ固ク信ズルノデアリマス、今後本法ノ制
定ニ依リマシテ、國內造船業ガ安定シ、健
全ナル發達ヲ遂グルモノデアルト云フコト
ヲ信ズル者デアリマス、唯此ノ法案ヲ見マ
スルト、第十二條以下ニ於テ船舶ノ規格ヲ
定メタモノガアルノデアリマスルガ、是ハ
如何ナル意味デアリマスルカ、聞ク所ニ
依リマスレバ、政府ハ標準型船ニ付テ大體
ノ成案ガアルト云フコトデアリマシテ、旣ニ
二三ノ新聞ニモ現ハレテ居ルノデアリマス、
卽チ二千噸型、二千五百噸型、六千噸型、
九千噸型ノ遠洋近海四種類ニ分レテ居ル
ヤウデアリマスルガ、私ハ此ノ標準型船ト
云フコトハ、結局造船技術ノ退步ヲ招キハ
シナイカ、斯ウ憂ヘテ居ル者デアリマス、
申上ゲルマデモナク標準型船ハ經濟的ニハ
有利デアリ、造船所トシテハ非常ニ助カル
ノデアリマスケレドモ、技術ノ方面ヨリ申
シマスレバ、例ヘバ遠洋航路ニ使用スル所
ノ貨物船九千噸型ハ、標準型ニ依リマスル
ト速力十四浬ヲ標準トシテ造ツテ居ルノデ
アリマス、然ルニ現在紐育又ハ歐洲航路デ
ハ十六七浬ノ速力デ走ツテ居ル、卽チ此ノ
優秀船ニ依ツテ外國船ト競爭致シマシテ、
優秀ナル成績ヲ擧ゲテ居ルノデアリマス、
然ルニ今後此ノ標準型船デ建造セラルルコ
トニナリマスルト、卽チ退步スルコトトナ
リマシテ、對外競爭力ヲ減ズルノミナラズ、
今後我國ハ進步セル船舶ガ出來ナイコトニ
ハナラナイノデアルカ、此ノ點ニ關シテ政
府ノ御答辯ヲ煩ハシタイノデアリマス、私
ハ此ノ規格ノ統一、卽チ標準型船ノ設定ハ、
經濟的ニハ宜シイト思フノデアリマスケレ
ドモ、技術的ニ又質的ニハ缺陷アリト信ズ
ルノデアリマシテ、今後我國造船業ノ健全
ナル發達ヲ切望スル爲ニ御伺致シテ置キタ
イノデアリマス
最後ニ海運組合法ニ關シテ一言御尋ヲ致
シタイノデアリマス、本法ノ制定ニ依リマ
シテ海運業者ハ强制的ニ加入セラルルコト
ニナルノデアリマスルカラ、此ノ際一言御
伺致シタイノデアリマスルガ、第十八條ニ
「一人ニ付二個以上ノ議決權」トアリマスル
ガ、以上トハ如何ナル意味デアリマスルカ、
此ノ案ノ通リデアリマスルト、大會社ガ數
人集リマスレバ過半數ヲ占メルコトニナル
ノデアリマシテ、多數橫暴ノ弊ニ陷ルコト
ニナルノデアリマスルガ、政府ハ此ノ點ニ
對シテ如何ナル御所見ヲ持ツテ居ラレマス
ルカ、其ノ他色々御伺致シタイコトガアル
ノデアリマスルケレドモ、時間ガアリマセ
ヌノデ、是デ私ノ質問ハ終リマス(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=103
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104・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御答致シマス、
第一點ノ運航資金ノ前貸制度ニ付キマシテ
ハ、只今ノ所其ノ必要ハ認メテ居ルノデア
リマスガ、事變ノ爲ニ近海ニ澤山ノ船腹ヲ
集メル必要ガアル際デアリマスカラ、今後
適當ノ時期ニナリマシタナラバ、運航資金
ノ前貸制度ニ付テモ考慮致シタイト考ヘテ
居ルノデアリマス
第二點ノ船舶金融ノ實情ニ付キマシテ
ハ、大會社ニ限ラズ廣ク中小船主ニ對シテ
金融シツツアル現狀デアリマスガ、更ニ今
後ニ於キマシテハ、船舶ノ大キサニ付テモ、
大型船ノミナラズ、中小型船ニ對シテモ金
融スルコトニ致シタイト考ヘテ居リマス
第三點ノ旣存ノ船舶ニ對スル金融ニ付キ
マシテハ、曩ニ提案致シテアリマス船舶金
融ニ關スル法律案ガアリマシテ、旣存ノ船
舶ヲ抵當トシテ新船建造ノ資金ニ致サセ、
且ツ其ノ全額マデ貸付ケ得ルコトニ致シタ
ノデアリマス、將來之ヲ擴張スルカ否カニ
付キマシテハ〓究スルコトニ致シマスガ、
無擔保デ小船主ニ貸付ヲ爲スベキカ否カニ
付キマシテハ、是ハ考究ヲ要スル點ガ多々
アルト考ヘマスカラ、篤ト調査スルコトニ
致シタイト存ジマス
第四點ノ船舶ノ規格ヲ統一スル點ニ付テ
ノ御質疑デアリマシタガ、目下遞信當局ニ
於キマシテ考ヘテ居ル所ハ、不定期ノ貨物
船ニ付テ數種ノ標準型ヲ定メマシテ、船舶
建造上ノ據ルベキ標準ヲ示シタモノデアリ
マス、勿論遞信省ト致シマシテ、ドノ船ヲモ皆
一樣ニ同一ナ型ニシロト云フコトハ不合理
デアルト云フコトヲ存ジテ居リマス、唯前申シ
マシタ不定期ノ貨物船ノヤウナモノニ付キ
マシテハ標準型ヲ示シタ方ガ、其ノ建造ノ
上ニ安價ニシテ便利デハナイカト云フコトヲ
考ヘテ居ルノデアリマス、勿論此ノ標準型
ハ永久ニ變ヘナイト云フ趣意ノモノデハア
リマセヌ、將來新シキ技術ヲ採入レマシテ
之ヲ改正致シテ行クコトハ、是非致サナケ
レバナラナイノデアリマス、隨テ此ノ規格
統一ノ爲ニ技術ノ進步ヲ阻碍スルト云フヤ
ウナコトガアツテハナラヌト考ヘテ居リマ
スカラ、今後ニ於キマシテモ、技術的ニ優
秀ノモノタラシメルコトニ大イニ努力スル
考デ居リマス
最後ニ海運組合ノ議決權ガ一人ニ付キ二
個以上トアルガ、ドウ云フ規定デアルノカ
ト云フ御尋デアリマシタガ、現在ノ狀態ニ
於テハ、極メテ大キナ船主モアリマス、又
極メテ小ナル船主モアリマス、我國海運ノ
實情ニ鑑ミマシテ、斯樣ニ規定スルコトガ
適當デアルト認メマシタ爲デアリマス、是
ガ運用ニ當リマシテハ、固ヨリ大船主又ハ
小船主ノ何レニ對シテモ、正當ナル意思ガ、
反映シテ適當ニ處置セラレルヤウニ指導監
督ヲ致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=104
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105・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終了
致シマシタ-各案ノ審査ヲ付託スベキ委
員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=105
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106・服部崎市
○服部崎市君 日程第十五及ビ第十六ノ兩
案ハ一括シテ政府提出船舶建造融資補給及
損失補償法案委員ニ併セ付託セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=106
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107・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=107
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108・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-是ニ
テ本日ノ議事日程ハ終了致シマシタ、次會
ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午後五時二十一分散會
衆議院議事速記錄第二十三號中
正誤
頁段行誤正
五〇〇四二五-二六皇太后宮皇太后宮
太夫大夫
五〇九四一二二約二倍約十倍
五〇九四三約二割約三倍三
割発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02419390311&spkNum=108
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