1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月十四日(火曜日)
午後一時四十一分開議
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議事日程 第二十四號
昭和十四年三月十四日
午後一時開議
質問
一 大日本消防協會國庫補助増額に關する質問(松田正一君提出)
二 銅の統制に關する質問(篠原義政君提出)
三 生命延長に關する質問(南鼎三君提出)
四 小運送業法及日本通運株式會社法實施に關する質問(木檜三四郎君提出)
五 鋼材配給統制に關する質問(中村高一君提出)
六 ビルマに帝國總領事館設置に關する質問(高岡大輔君提出)
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第一 (第一號)昭和十四年度歳入歳出總豫算追加案
第二 (特第一號)昭和十四年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
第三 (追第二號)豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
第四 工業組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 中支那振興株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 健康保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 昭和十三年法律第八十七號中改正法律案(本邦内に於て募集したる外國債の待遇に關する件)(政府提出) 第一讀會
第八 日本産金振興株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 國債整理基金特別會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 明治三十九年法律第三十四號中改正法律案(國債に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 明治四十二年法律第九號中改正法律案(政府に對する保證金其の他の擔保に供したる國債の買入鎖却に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 職員健康保險法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 酪農業調整法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 恩給法中改正法律案(片山哲外二名提出) 第一讀會
第十六 所得税法中改正法律案(塚本重藏君提出) 第一讀會
第十七 健康保險法中改正法律案(三輪壽壯君外二名提出) 第一讀會
第十八 民事訴訟法中改正法律案(牧野賤男君外二名提出) 第一讀會
第十九 理容師法案(山川頼三郎君外四名提出) 第一讀會
第二十 砂鑛法中改正法律案(原玉重君外一名提出) 第一讀會
第二十一 計理士法中改正法律案(中野治介君外二名提出) 第一讀會
第二十二 檢査計理士法案(森田重次郎君外三名提出) 第一讀會
第二十三 裁判所構成法中改正法律案(岡本實太郎君外十二名提出) 第一讀會
第二十四 辯護士法中改正法律案(池田清秋君外一名提出) 第一讀會
第二十五 辯護士法中改正法律案(高橋義次君外八名提出) 第一讀會
第二十六 辯護士法中改正法律案(宮澤清作君外二名提出) 第一讀會
第二十七 愛國航空奬券發行に關する法律案(安藤孝三君外一名提出) 第一讀會
第二十八 家畜傳染病豫防法中改正法律案(伊禮肇君提出) 第一讀會
第二十九 公證人法中改正法律案(中野治介君提出) 第一讀會
第三十 農家世襲財産法案(林平馬君提出) 第一讀會
第三十一 刑事訴訟法中改正法律案(高橋義次君外七名提出) 第一讀會
第三十二 刑事訴訟法中改正法律案(俵孫一君外十七名提出) 第一讀會
第三十三 刑事訴訟法中改正法律案(堀切善兵衞君外二十四名提出) 第一讀會
第三十四 刑事訴訟法中改正法律案(石坂繁君外一名提出) 第一讀會
第三十五 刑事訴訟法中改正法律案(中村高一君外一名提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
中支那振興株式會社法中改正法律案
(以上三月十一日提出)
健康保險法中改正法律案
昭和十三年法律第八十七號中改正法律案(本邦内に於て募集したる外國債の待遇に關する件)
(以上三月十三日提出)
一政府より受領したる答辯書左の如し
清瀬一郎君提出國民精神總動員運動に關する質問に對する答辯書
清寛君提出清酒生産制限に關する質問に對する答辯書
(以上三月十四日受領)
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國民精神總動員運動に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和十四年一月二十八日
提出者 清瀬一郎
國民精神總動員運動に關する質問主意書
戰時に際し國民精神の緊張を保ち寸時と雖も弛緩荒怠なからしむることは實に勝敗の數にも影響する重要事なり今次事變に際し政府は特に豫算を計上し此の事を行はむとし之を文部、内務兩省の所管事項と爲すの外別に國民精神總動員中央聯盟なるものを設け之に巨額の補助金を與へて其の事に從はしめたり然るに不幸にして同聯盟の運動は意の如くならす今や組織及運動方法を新にし其の再起を畫せさるへからさるに至れりと信す茲に於て左の數項を問はむとす
一 右國民精神總動員中央聯盟の運動の失敗したる原因は那邊に在ると考ふるや
二 右聯盟か政府の補助金に依り事務を執行する以上其の會計に付ては政府に於て監督するを當然と考ふ政府は當初より之か監督を爲したりや
い 之を爲したりとせは其の方法如何帳簿上の收支の對照のみに依ては其の眞相を捕捉し難しと考ふ所見如何
ろ 印刷物等の納入に付情實を生し部數の不足を看過せるか爲一部又は一册の價格の自然不當に高きものと爲るの結果を生したりと云ふか如き事實なきや
は 聯盟名義の廣告料の割戻を不正に取得したる者なきや
に 右運動は勤儉力行、堅忍持久を精神とするに拘らす同聯盟の會合か時時料亭等に於て行はるる事實なきや
ほ 一等車を連結せさる路線へ講師を派するに一等旅費を給與すと云ふか如き事實なきや
へ 嘗て右聯盟に在りたる者より同聯盟の會計上に不正ありと爲し當局へ出訴したることなきや
と 此の聯盟加入の有力團體の一に於て報國的運動なりと稱し公衆より集めたる資金を一役員か自己の用に供したるか如き事實なきや
ち 貯金奬勵運動と本運動とは同性質のものなるを以て豫算を別々に計上し重複して補助金を支給するは濫費の因を爲すと考へさるや
り 同聯盟か其の組織の當初に於ては一切衆議院議員の干與を排除し中途一二の理事を囑託したるも而も尚ほ大體に於て政治家の干與を嫌ふの風あるは正當なりと考ふるや
三 政府は前内閣の所謂「國民再組織運動」なるものは之を承繼せさるか如し然れとも何等かの方法に依り國民精神の緊張を求むるの方法を考案せさるに於ては目下帝國議會に提出中の總豫算案中に計上せらるる此の費目は意義不明瞭とならさるへからす仍て政府は右運動の目的を達する爲急速に官民合同の會議を開き其の組織及方法を審議し國家の爲最善の方法を案出するの意思なきや
右及質問候也
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昭和十四年三月十四日
内閣總理大臣 男爵 平沼騏一郎
衆議院議長 小山松壽君
衆議院議員清瀬一郎君提出國民精神總動員運動に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員清瀬一郎君提出國民精神總動員運動に關する質問に對する答辯書
一、國民精神總動員中央聯盟の活動に關しては之に期待せらるる事項範圍等頗る廣汎多岐に亙り其の普及徹底及運用に於て或は十全なりと言ひ難き部面ありたるべきも時局認識の深化、國民の擧國的協力の振起に相當の成果を擧げつつあるものと思料す 更に一段官民一體擧國綜力の活動を期すべく其の機構及運用に就て改善を加へつつあり
二、(い)本聯盟の會計に關しては常に注意を與へ隨時報告を徴し又は關係書類を提出せしめ之が監督をなしつつあり
尚聯盟自體に於ても計理士をして會計状態を精査せしめ之が整備に努めつつあり
(ろ)印刷物の大部分は一定の配布先に部數を定めて其の都度配布し内若干部數を豫備として必要に應じ配布し居るものにして部數の不足を看過したるが如き事實無しと思考す
(は)斯の如き事實なしと思考す
(に)聯盟に於て各種委員會其他會合は比較的多きも其の會合の場所は多く聯盟事務所又は官廳等を用ひ其の他の場所を用ふる場合に於ても聯盟の性質上如何かと思料せらるるが如き場所を使用したる事なしと思考す
(ほ)旅費の支出に關しては官廳の例に準じ居るものにして偶々事務取扱上の不注意と見らるるもの一件ありたる外一般的には斯る取扱ひをなしたること無し
(へ)國民精神總動員中央聯盟内に於て不正事件あるやに付警察當局に於て斯る告發を取扱ひたることなし
(と)本聯盟の加盟團體たる大日本聯合青年團に於て一事務職員が不正の事實ありとし司直の取調を受け起訴せられたる事實あり此の問題は爾後幹部の辭任と共に一段の更生に邁進しつつあり
(ち)貯蓄奬勵の運動は戰時經濟の強化對策として之が奬勵に特に力を致すの必要あるを以て一般精神運動と相俟つて大いに之を強調することとなりたる處之が爲本聯盟の豫算に不足を來すの惧ありしに依り之を補ふ意味に於て獎勵金を交付し其の活動を助成したる次第にして重複するものにはあらずと思考す
(り)本聯盟結成に當りては其の使命に鑑み特に關係大臣より各政黨代表者各位に諒解を求め結成當初より衆議院議員よりも理事として參畫を得居る次第にして之を排除したる等の事なし
三、國民精神總動員運動の今後に就きては事變の進展と内外情勢の動向とを稽へ其の機構竝に方法等を考究し又從來の經驗に徴し各方面の意見等をも參酌し以て時局の重大性に備ふる爲、官民一體の實を擧げ今後更に一段の成果を得るに意を用ひ度
右及答辯候也
昭和十四年三月十四日
内閣總理大臣 男爵 平沼騏一郎
内務大臣 侯爵 木戸幸一
大藏大臣 石渡莊太郎
文部大臣 男爵 荒木貞夫
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清酒生産制限に關する質問主意書
右成規に據り提出候也
昭和十四年二月二十一日
提出者 清寛
清酒生産制限に關する質問主意書
政府は米の節約の爲に清酒生産を制限したりと云ふも酒造用に使用したる米は酒粕、酒精原料、漬物用又は家畜飼料と爲り最後に肥料と爲りて殆と米として有效なる利用能率を發揮し盡せるを以て之か制限は全く其の意義を失ふものと信す仍て以下各項に亙り政府の所見を質さむとす
一 政府か清酒生産制限を一割三分の高度に引上け之を認可したる理由如何
二 政府は自治的統制とも稱すへき酒造組合中央會の申請を認可したるに過きすと稱するも酒造組合は常に酒價の昂騰を企圖する營利的團體に過きさるを以て其の申請は利己的たるを免れさるへく結果は酒價の昂騰を誘致せり政府は其の認可の目的を達成せりと認むるや
三 酒價の昂騰は社會の浪費を防く一策として國策に順應するものなりと認むるや物價低落を欲する政府には矛盾にあらすや
四 年々其の生産限度を動搖せしめて堅實なる斯業の發達を期待し得るや清酒の生産力擴充には人物の養成、工場の 擴大等少くとも五年の歳月を要するものなるに年々之を動搖せしむるに於ては業者の不安少しとせす仍て少くとも數年に渉る統制の必要ありと信す政府の所見如何
五 前年度の清酒の現在殘額を以て生産制限の基準と定めたりと云ふも斯の如きは向ふ一箇年半に渉る世上の景氣不景氣を豫想判定するものにして到底錯誤を免れす政府は其の非を認めさるや
六 全國各地景氣の趨勢に依り其の製造高の消長あるは當然なるに全國一率に昭和十一年度を基準としたる理由を解せす政府の所見如何
七 酒價の動搖に依り業者の損失多きは業者中投機的の製造を爲し桶賣を主とせるものあるに依る若し眞に生産統制に依り酒價の動搖を防かむとせは業者の販賣系統を調節せさるへからす然らされは寧ろ投機的造石を獎勵する結果を招來すへし政府の所見如何
八 况や酒造組合區域毎に之を統制して其の生産權の讓渡し及讓受けに當り組合の承認を求めしめ其の權利移轉の圓滑を阻止する必要何れにありや
九 今囘の制限に依り生産權に價値を生し一年限りの讓渡しに五圓乃至七圓、永久の讓渡しに二十圓乃至二十五圓の價値を生するに至り畢竟生産費の昂騰を來し之を消費大衆に轉化するに至るものなり政府は此の事實に依り將來此の權利價格を保護する覺悟ありや
十 政府は小釀造家を保護せむか爲此の生産制限を實施したりとせは其の結果は生産權に價値を生し却て小釀造家の廢業を餘儀なからしむるものと信せさるや
十一 政府は行政權其の他の發動に依り現在酒價の昂騰を抑制し得へしとするも結果は純益多き大釀造地の銘酒を保護するに止まるにあらすや
十二 政府は酒造組合に補助を與へて各府縣に小試驗場を設立したりと雖も寧ろ政府自ら全國數箇の大試驗場を經營するの優れるにあらすや
十三 政府は酒造組合中央會の組成又は同會の會議表決權の規定に適正を缺くと認めさるや
右及質問候也
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昭和十四年三月十四日
内閣總理大臣 男爵 平沼騏一郎
衆議院議長 小山松壽殿
衆議院議員清寛君提出清酒生産制限に關する質問に對し別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員清寛君提出清酒生産制限に關する質問に對する答辯書
一 昨春以來清酒の藏出高は相當數量の減少を示したり而して當時の諸情勢より見るときは昭和十三酒造年度の藏出高は相當數量の減少を豫想されたるを以て昭和十二洒造年度と同樣の製造を爲すこととするときは大體五十萬石程度の生産過剩となるの情勢にありたり酒造組合中央會に於ては前記の情勢に顧み業者を代表する機關の一致せる意見に依り一割三分の減石を決議し之か認可の申請ありたるを以て之を相當と認めたる次第なり
二 酒造組合中央會の認可申請に對しては前記「一」に述へたるか如き事情を考慮し之を認可したるものにして本統制に依り業者間の不當なる競爭、亂造に基く供給過多に依る酒價の低落動搖は或程度迄防止せられたるものと思料するも不當なる酒價の騰貴を誘致せるものとは認め居らす
三 酒價の騰貴に依り一般物價の騰貴を來すことなき樣諸般の對策を講する必要あるに依り差當り増税の見込其の他に基く價格變動の虞あるを以て三月七日附物品販賣價格取締規則に依る指定物品と爲し三月四日に於ける價格を超ゆることを得さらしめたるか酒類の如きは一概に生活必需品とも云ひ難き點もあり増税實施後の價格に關しては別に適宜の措置を講する豫定なり
四 生産統制を行ふ以上は諸種の經濟情勢を考慮し之に適應する樣生産限度を定むへきものなるを以て年々多少の異動あることは已むを得さるものと認む尚數年に渉り生産限度を確定することは現下の情勢に於ては實行上特に至難のことと認むる次第なり
五 清酒の生産統制を爲すに當りては當時に於ける清酒の藏内現在高其の他諸般の經濟情勢を綜合勘案し生産限度を定むるより外途なかるへしと存し居る次第なり尚其の後の情勢に著しき變化ありて既に定められたる生産限度か著しく不適當なりと認めらるるに至りたる場合に於ては夫々の手續に依り之か改訂を爲し得ることは勿論なり
六 生産統制を爲すに當りては地方的事情を考慮して地方的に差異を設くることは一應の理由なきに非されとも斯くすることは實行上非常の困難を伴ひ却て弊害を惹起するの虞もあり結局互讓的に全國同一年度の製造高を基準とするより外なかるへしと存するも此の點に付ては將來尚考究の見込なり
七 生産統制を行ふ結果は投機的製造も或程度迄防止せられ酒價の動搖は比較的僅少となりたるものと存せらる尚販賣系統を調節するか如きことは相當重大問題なるを以て充分考究の要あるものと認むる次第なり
八 酒造組合より配分を受けたる業者か製造し得る石數を他の業者に讓渡を爲すことは酒類の生産統制を全國一律の方法に依り行ふの餘儀なき結果として或程度已むを得さる所なるへきも他方弊害の伴ふことなきを保し難きを以て弊害防止等の意味に於て酒造組合長の承認を要することに爲し居れるも之か爲に特に讓渡の圓滑を阻害することなき樣留意せしめ居れり
九 現在業者間には配分石數を相當の價格を以て讓渡し居るも現行の生産統制の下に於ては有無相通する手段として或程度已むを得さるものと認めらる然れ共權利讓渡の石數は全石數に比し極めて僅少なるを以て爲に清酒全體の生産費を昂騰せしめ居れりとは認められす
十 清酒の生産統制の結果業者間の不當なる競爭の防止、酒價動搖の減少等を來し小釀造家の受くる利益は相當大なるものありと認めらる假令生産石數の讓渡に價値を生するも之か爲小釀造家の廢業を餘儀なからしむるとは思料し得られす
十一 不當なる酒價の騰貴を抑制するの結果大釀造地の銘酒を保護するとは思料せられす
十二 政府は現在酒造税法第三十五條の三及同法施行規則第四十三條の三に基き税務署長に於て徴税上必要なる設備を爲し又は徴收事務の補助を爲すへきことを命したる酒造組合に對し交付金の交付を爲し居れるも試驗場を設置せしむる爲酒造組合に對し補助金を與へ居らす尚現在政府の設置に係るものとして東京市に釀造試驗所あり又主要釀造地に地方廳の設置に係る釀造試驗場ありて夫々釀造に關する研究指導を行ひ各特質を發揮しつつ釀造技術の改良發達を圖り居るを以て目下の所全国に數個の大試驗場を設置することは考慮し居らす
十三 酒造組合中央會の組成又は同會の會議表決權に關する現行規定は現状に於ては同會の目的達成上特に支障ありとは認められす
右及答辯候也
昭和十四年三月十四日
大藏大臣 石渡莊太郎
商工大臣 八田嘉明
一議員より提出せられたる議案左の如し
刑事訴訟法中改正法律案
提出者
俵孫一君 頼母木桂吉君
永井柳太郎君 齋藤隆夫君
野村嘉六君 大麻唯男君
木檜三四郎君 八並武治君
原夫次郎君 前田房之助君
野田文一郎君 一松定吉君
岡本實次郎君 藤田若水君
手代木隆吉君 作田高太郎君
服部英明君 高橋義次君
刑事訴訟法中改正法律案
提出者
堀切善兵衞君 三土忠造君
濱田國松君 東郷實君
牧野良三君 牧野賤男君
紅露昭君 名川侃市君
芦田均君 宮崎一君
岡田忠彦君 鈴木英雄君
土倉宗明君 宮澤裕君
立川平君 安藤正純君
横川重次君 熊谷直太君
東武君 山本芳治君
大口喜六君 服部岩吉君
若宮貞夫君 宮脇長吉君
松野鶴平君
刑事訴訟法中改正法律案
提出者
石坂繁君 椎尾辨匡君
刑事訴訟法中改正法律案
提出者
中村高一君 田万清臣君
治療師法案
提出者
原夫次郎君 守屋榮夫君
星島二郎君 斯波貞吉君
江羅直三郎君
(以上三月十一日提出)
一昨十三日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
(臨第一號)臨時軍事費豫算追加案
昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案
作業會計法中改正法律案
兌換銀行券整理法中改正法律案
農業再保險特別會計法案
海軍工廠資金會計法中改正法律案
名古屋帝國大學創設に伴ふ帝國大學特別會計及官立大學特別會計の關渉に關する法律案
森林法中改正法律案
林業種苗法案
短期現役小學校教員俸給費國庫負擔法中改正法律案
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
ビルマに帝國總領事館設置に關する質問主意書
提出者 高岡大輔君
(以上三月十一日提出)
一去十一日平沼内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
内務書記官 生悦住求馬
第七十四囘帝國議會内務省所管事務政府委員被仰付
一去十一日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出
決算委員 渡邊玉三郎君(木村淺七君補闕)
一去十一日に於ける特別委員の異動左の如し
輕金屬製造事業法案(政府提出)委員
辭任坪山徳彌君 補闕中田儀直君
青年學校教育費國庫補助法案(政府提出)委員
辭任今成留之助君 補闕森田重次郎君
辭任岡田喜久治君 補闕古島義英君
辭任曾和義弌君 補闕南鼎三君
職員健康保險法案(政府提出)委員
辭任木村淺七君 補闕高木粂太郎君
辭任田川大吉郎君 補闕道家齊一郎君
船舶建造融資補給及損失補償法案(政府提出)委員
辭任古島義英君 補闕高木粂太郎君
昭和十三年法律第六十四號中改正法律案(兌換銀行券の保證發行限度の臨時擴張に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任中田儀直君 補闕小笠原三九郎君
辭任今井新造君 補闕田川大吉郎君
一昨十三日に於ける特別委員の異動左の如し
職員健康保險法案(政府提出)委員
辭任豐田豐吉君 補闕土屋清三郎君
辭任井上良次君 補闕米窪滿亮君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、武智勇記君ヨリ政府提出法律案ノ審議
狀況ニ付キ、議事進行ニ關スル發言ヲ求メ
ラレテ居リマス、此ノ際之ヲ許シマス-
武知勇記君
〔武知勇記君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=1
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002・武知勇記
○武知勇記君 私共ハ今期議會ノ重要性ニ
鑑ミマシテ、議會ヲシテ權威アラシメ、議
事ノ進行ヲ敏活ナラシムルガ爲ニ、開會當
初各派交渉會ニ於キマシテ、正式ニ議事進
捗ニ關スル申合セヲ行ヒ、議院內ニ於ケル
言論行動ヲ調整スルノ方法ヲ講ジタノデア
リマス、同時ニ政府ニ向ヒマシテモ、政府
提出ノ議案ハ成ベク議會ノ會期半バマデニ
提出スルコトヲ[要望致シタノデアリマ
ス、幸ヒ政府ハ此ノ要望ヲ容レラレマシ
テ、同意ノ旨ノ御囘答ニ接シタノデア
リマス、然ルニ會期三分ノ二ニ達シマスル
モ、卽チ二月二十三日ニ至リマスルモ、僅
ニ政府ヨリ提出セラレマシタ法律案ハ三十
四件ニ過ギナイノデアリマス、增稅三案外
一案ヲ殘シタノミデ全部議了致シマシテ
之ヲ貴族院ニ送付致シマシタコトハ、諸君
御承知ノ通リデアリマス、而モ其ノ間ニハ
吾々ガ審議スベキ案件ガナイ爲ニ、已ムナ
ク本會議ヲ休會致シタコトガ三囘ニ及ンデ
居ルノデアリマス、然ルニ會期三分ノ二
ヲ經過致シマシタル以後ニ於テ、本日マデ
ニ政府ガ本院ニ堤出致シマシタ法律案ハ三
十八件ノ多キヲ算シ、殊ニ三月十日ノ如キ
ハ一日ニシテ十二件ノ法律案ヲ一擧ニ提
出スルガ如キ、病的症狀ヲ呈スルニ至ツテ
居ルノデアリマス、會期將ニ旬日ニシテ盡
キントスル今日、法案斯ノ如ク山積致シテ
居リマスル責ハ、果シテ吾々議員ガ負フベ
キモノデアリマセウカ、其ノ責ハ政府ニア
ルモノデアリマセウカ、本院ハ去ル十一日
ノ如キハ質疑者ヲ整理致シマシテ、其ノ許
シマシタ質問者ニ對シテハ質疑ノ時間ニ制
限ヲスラ加ヘ、法律案十六件、委員長報告
五件、計二十一件ヲ議了致シタノデアリマ
スルガ斯ノ如キ議事進行ノ狀態ハココ
數議會見ルコトノ出來ナイ例デアルノデア
リマス、何故ニ斯ル方法ヲ執ツタカト申シ
マスルト、三月十日ヲ過ギタル提案ハ普
通ノ審議狀態デハ、審議未了ニ陷ルコトハ
火ヲ睹ルヨリモ明デアリマス、併シナガラ
斯ノ如キ所謂「スピード」消化ノ半面ニハ
愼重審議ニ缺クル所ガアルノデアリマシテ、
議員トシテノ職責ヲ完全ニ果ス所以デハア
リマセヌ、帝國議會ニ於キマシテ議案ニ對
シテ愼重審議ヲ致シマスルコトハ、議會ノ機
能ヲ發揮スル所以デアリ、議員トシテモ當
然ノ責務デアルノデアリマス、隨テ政府ニ
於キマシテハ帝國議會ヲ尊重相成リマス
ル以上、貴衆兩院トモ齊シク愼重審議ヲス
ル機會ヲ御與ヘニナラナケレバナラナイノ
デアリマス(拍手)然ルニ只今申上ゲマシタ
ル通リ、會期三分ノ二ヲ過ギテ、其ノ以前
ノ御提案ノ數ヨリモ、更ニ多數ノ議案ヲ御
提出ニナツタノデアリマスルカラ、政府ノ
此ノ提出ノ狀況ハ議會尊重ノ行動ト申上グ
ルコトハ出來ナイノデアリマス只今ハ國
防豫算ノ上程ヲ控ヘテ居リマスルガ爲ニ、
吾々議員ガ本會議場ニ多數出席致シテ居リ
ママ、日頃此ノ議場ノ審議ノ狀態ヲ知ラナ
イ方々ハ衆議院本會議ハ何ソ其ノ缺席者
ノ多キコトヨト歎聲ヲ漏ラスノデアル今
日ノ如キモ國防豫算ヲ控ヘテ居リマスルガ
爲ニ、委員會ヲ休ンデ此ノ席ニ列席シテ居
ル人モアル、又委員會ヲ只今進行シテ居ル
モノモアル、本日開會ノ委員會ヲ全部續行
スルト致シマスレバ、二百十五人ノ議員ハ
特別委員トシデ此ノ席ニ列席スルコトハ出
來ナイノデアツテ本會議日ト指定セラレ
マシタ日デスラ、尙且ツ斯樣ニ多數ノ委員
會ヲ開カナケレバナラナイト云フ此ノ狀態
ハ、全ク政府提案ガ輻湊致シマシテ、議會
末期ニ及ンデ多數ノ法案ヲ一度ニ提案セラ
レタ結果ニ外ナラナイト斷言シテ憚ラナイ
ノデアリマス、本院ハ本日ヲ以チマシテ政
府提案四件ヲ議了委員付託ニスル豫定デア
リマス、尙又委員長報告七件ヲモ今日ハ議
了スル豫定デアリマス、或ル東京ノ大新聞
二、政黨ハ-議會ハ一二月中ニ提出サレ
タ法案五十件中僅ニ八件ヲ成立セシメタノ
ミトアツテハ是ハ又如何ニ心臟ガ强クト
モ威張レタモノデナイト書イテ居リマス、
政府ガ本院ニ提出致サレマシタ法律案ハ今
日マデ總計七十二件デゴザイマシテ、サウシ
テ本日ヲ以テ議了シ、貴族院ニ送ルモノ旣
ニ四十件ノ多キニ及ンデ居リマス、此ノ實
情ガ分ラナイト斯樣ナ批評モ出ルノデアリ
そく、斯ノ如クニシテ吾々ハ審議ニ沒頭致
シテ居リマスガ、尙ホ政府ハ此ノ上更ニ新
ニ法律案ヲ御提出ニナル御意思デアルカド
ウカ承リタイモノデアリマス、尙又平沼總理
大臣ハ貴族院豫算委員會ニ於ケル八條子爵
ノ議事進行ノ發言ニ御答ニナラレテ斯樣ニ
言ハレテ居ル內閣更迭ノ爲ニ提案ノ遲レ
タコトハ事實デアリマスガ、目下衆議院ニ
審議ヲ致シテ居リマスル法案ヲ、急イデ
審議シテ貰ツテ貴族院ニ送ルト云フヤウナ
所謂衆議院ノ審議督促ノ意味ノ御答辯ヲ
ナサレテ居ルノデアリマスガ、私其ハ戰
時國務ノ遂行ト、議會機能ノ圓滑ナル關聯
ヲ保持スルガ爲ニ、只今全力ヲ擧ゲテ議事
ノ進行ニ努力ヲ致シテ居ルノデアリマス、
議長ハ此ノ審議狀態ヲ如何ニ見ラレルカ、
尙又政府ノ之ニ對スル意向ヲモ議長ヲ通
ジテ此ノ際承ツテ置キタイト存ジマス拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=2
-
003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 只今武知君ノ議事進
行ノ御發言ニ對シマシテ御答致シマス、
今期議會ノ議案審議ノ狀態ハ、只今武知君
ノ御述ニナリマシタ通リデアリマシテ、各
派ニ於カレマシテ議事ノ促進ニ付キ非常ニ
努力セラレマシタ結果、例年ニ比シ非常ナ
ル好成績ヲ擧ゲツツアルコトハ、議長ニ於
テモ之ヲ認メテ居ルノデアリマス(拍手)此
ノ際政府ニ御傳ヘ致シマスガ、武知君ノ議
事進行ノ趣旨ハ只今御聽ノ通リデアリマス、
之ニ付テ御發言ガアリマスカ御尋ヲ致シマ
ス
〔國務大臣男爵平沼騏一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=3
-
004・平沼騏一郎
○國務大臣(男爵平沼騏一郞君) 只今議事
進行ニ付テノ御發言ガゴザイマシテ、之二
對シテ私ヨリ茲ニ申上ゲタイコトガゴザイ
マく、今議會ニ於キマシテハ組閣匁々デア
リマシテ、是ガ爲ニ議案ノ提出ガ非常ニ遲
延致シマシタルコトハ洵ニ遺憾ニ存ジテ居
リマス、斯ノ如ク遲延致シマシタルニ拘ラ
ズ、議員各位ニ於カセラレマシテハ、洵
熱心ニ各議案ヲ御審議下サレマシテ、之二
依リマシテ大體順調ニ進捗致シテ居リマス
ルト云フコトハ、政府ニ於キマシテモ能ク
之ヲ認メテ居リマス、願クハ在來ノ御努力
ニ對シマシテ謝意ヲ表シマスルト共ニ、尙
ホ今後十分ナル御努力ヲ願ヒタイト考ヘル
ノデゴザイマス、ドウゾ左樣御諒承ヲ御願
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=4
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005・服部崎市
○服部崎市君 質問一乃至六ハ後〓シトセ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=6
-
007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ質問一乃至六ハ後〓シト致シマ
ス-日程第一乃至第三ハ豫算案デアリマ
スカラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセ
ヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=7
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008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、第一號、昭和十四年度
歲入歲出總豫算追加案、日程第二、特第一
號〓昭和十四年度各特別會計歲入歲出豫算
追加案、日程第三、追第二號、豫算外國庫
ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件、
右三案ヲ一括シテ議題ト致シマス、豫算委
員長ノ報告ヲ求メマス-豫算委員長櫻井
兵五郞君
第(第一號)昭和十四年度歲入歲出
總豫算追加案
第二(特第一號)昭和十四年度各特別
會計歲入歲出豫算追加案
第三(追第二號)豫算外國庫ノ負擔ト
ナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件
報告書
一(第一號)昭和十四年度歲入歲出總豫算
追加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十三日
豫算委員長櫻井兵五郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一(特第一號)昭和十四年度各特別會計歲
入歲出豫算追加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十三日
豫算委員長櫻井兵五郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一(追第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルベ
キ契約ヲ爲スヲ要スル件
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十三日
豫算委員長櫻井兵五郞
衆議院議長小山松壽殿
〔櫻井兵五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=8
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009・櫻井兵五郎
○櫻井兵五郞君 只今議題トナリマシタ追
加豫算案二件及ビ豫算外契約案一件ニ關ス
ル豫算委員會ニ於ケル審査ノ經過ノ〓要竝
ニ結果ヲ御報〓申上ゲタイト存ジマス
本件各案ハ大體ニ於キマシテ何レモ曩ニ
本院ニ於テ議決致シマシタ臨時軍事費豫算
追加臨第一號ニ直接關係ヲ有スルモノ及
ビ陸海軍ノ國防費ニ關スルモノデアリマス、
其ノ中先ヅ昭和十四年度歲入歲出總豫算追
加第一號ハ、歲入歲出共ニ九億一千五十餘
万圓デアリマシテ、是ガ歲入豫算ノ內譯ハ、
普通歲入ニ於テ支那事變特別稅法及ビ臨時
利得稅法ノ改正ニ依ル增加等一億八千六百
十餘万圓、公債金ニ於テ滿洲事件公債及ビ
歲入補塡公債合計七億二千八百餘万圓デア
リマス、次ニ歲出豫算ノ內譯ハ支那事變特
別稅法改正等ニ伴フ徵稅費等ニ要スル經費
百三十餘万圓、國債整理基金繰入金ノ五千
四百三十餘万圓、臨時軍事費特別會計ヘ繰
入ノ增加一億八千三百一一十餘万圓、國防ノ
充實ニ關スル經費ノ增加中陸軍省關係ノ分
ハ大藏省所管ニ計上シタル分ヲ合セマシ
テ四億九千八百七十餘万圓、海軍省關係ノ
分ハ一億七千二百八十餘万圓デアリマス
次ニ特第一號昭和十四年度各特別會計歲
入歲出豫算追加案ハ專賣局其ノ他陸海軍
ノ作業會計等ノ各特別會計ニ關スルモノデ
アリマシテ、右ノ中各外地特別會計ヨリノ
臨時軍事費特別會計ヘノ繰入金ハ昭和十
三年度ト同樣、臨時的增稅ニ依ル歲入ノ增
加額ヨリ徵稅費等ヲ控除シタルモノノ八割
ヲ繰入レントスルモノデアリマシテ、其ノ
金額ノ合計ハ千八十餘万圓デアリマス
又豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ニ關
スル件、追第二號ハ、陸海軍ノ軍需充足上
ノ便宜ヲ得ントスル趣旨ヲ以テ、總額七億
圓ヲ限リ豫算外契約ヲ爲サントスルモノデ
アリマス、以上ガ只今上程セラレテ居リマ
スル所ノ三案ノ大要デアリマス
右三案ハ何レモ去ル三月六日本院ニ提出
セラレタノデアリマスルガ、當日ハ恰モ委
員會ノ開會中デアリマシタノデ、直チニ政
府ノ說明ヲ求メマシテ、臨時軍事費豫算追
加案ト竝行致シマシテ審査ヲ進メ、爾來會
議ヲ重ネマスコト七囘、昨十三日其ノ審査
ヲ終了致シタノデアリマス
今其ノ委員會ニ於ケル質疑應答ノ〓要ヲ
申上ゲマスレバ、質疑ノ第一點ハ今囘
ノ追加豫算ニ依ル國防計畫ハ單ニ旣定
計畫ノ補備修正ニ止マルノカ、ソレトモ亦
既定計畫ヲ超越シタ新國防計畫デアルノカ、
案ノ說明ハ新國防計畫ノヤウニ受取レル
ガ、併シ其ノ內容ノ實際ヲ見レバ、陸軍ノ
內地ニ於ケル計畫ノ如キ、全然補備修正
ノ域ニ止マルト見ラルルモノモ多イ、殊ニ
又陸軍ニ關シテハ其ノ全貌ガ明デナイ、海
軍ノ昭和十九年マデノ改定總金額二十五億
三千三百餘万圓ハ、是ハ新國防計畫ノ全體
デアルカ、若シ全體デアルトスレバ是ガ
完成ノ曉ニハ重ネテ新要求ガナイ筈ト思フ
ガドウデアルカ、是等ノ諸點ヲ十分ニ明ニ
セラレタイト云フノガ質疑ノ要點デアツ
タノデアリマス、之ニ對シマシテ陸軍大臣
ハ單ナル補備修正デハナイ、新ナル計畫
ヲ樹ツル必要ヲ認メタノデアル卽チ昭和
十二年ヨリ十八年ニ亙ル軍備充實計畫ヲ確
定シタル後、日支事變ニ遭遇致シ、其ノ體
驗ニ鑑ミ改善ヲ要スル點ヲ痛感シタルト共
ニ、其ノ後北方ニ於ケル「ソ」聯ノ軍備ノ飛
躍的狀態等ニ照シ、新計畫ヲ必要トシタ次
第デアツテ、繼續的ノモノヲ現ハシタモノ
モアルガ、併シ今玆ニ其ノ全貌ヲ示シ得ナ
イ譯ハ、現ニ支那ト交戰中デアリ、且又〓
究スベキ事項ノ殘サレテ居ルガ爲デアルト
ノ答辯デアリマシタ、又海軍大臣ヨリハ
十二年度ノ第三次計畫ト、今囘卽チ十四年
カラ頭ヲ出シタ第四次計畫ト合セテ一本、
此ノ一本ヲ以テ總テヲ賄ツテ行ク考デア
リ、今後國際情勢ニ變化ナキ限リ、現在ノ
所此ノ一本ヲ以テ賄ヲ付ケル、隨テ之ガ完
成ノ曉ニ於テ、重ネテ新計畫ヲ出ス豫定ヲ
持ツテ居ラヌトノ答デアリマシタ
質疑ノ第二點ハ、國防ノ根本方針ヲ何ニ
置クカ、同時ニ其ノ目標ハ如何デアル、
「ソ」支二正面同時作戰ハ如何ナルコトヲ意
味スルノデアルカ、又海軍ハ二國標準ヲ以
テ目標ト爲スカトノ問ニ對シマシテ、陸軍
大臣ヨリハ「ソ」支二正面同時作戰ト云フコ
トハ能ク他國ニモ例ノアル國防ノ規準ヲ
示シタニ過ギナイノデアル、又我國ノ國防
ノ根本基調ハ、帝國不動ノ方針ヲ遂行スル
ガ爲、今日尙ホ抗日ニ蠢動スル彼ノ蔣政權
ノ徹底的壞滅ト、占領地域ニ於ケル治安ノ
確保、竝ニ近來北方ニ於ケル「ソ」聯ノ飛躍
的軍備ノ脅威ニ對スル我ガ國防ノ安全ヲ期
スルコトガ、其ノ眼點デアルトノ答辯デア
リマシタ、又海軍大臣ヨリハ國際的平和ノ
招來ニ付テハ大イニ外交ノ機能ニ期待ス
ル所デアルガ、サリナガラ現在我國ガ東亞
ノ新秩序建設ヲ以テ使命トシテ邁進ヲ致ス
以上、事ノ實際ニ於テ、國際的摩擦モ亦相
當ニ覺悟ヲセネバナラヌ、隨テ此點ヲ能
ク考慮シテ、國防ノ基調ヲ考ヘテ居ルノデ
アル、又海軍軍備ノ目標ニ二國標準云々ト
云フ言葉ガアリマシタガ、我ガ海軍當局ト
致シマシテハ最大ノ海軍力ヲ有スルモノ
ヲ標準ニ其ノ量ヲ考慮シ、相對的ニ自主的
軍備ヲヤルノデアルトノ答辯デアツタノデ
アリマス、尙又本追加案中ノ滿洲事件費三
億六千九百餘万圓ハ今後モ尙ホ繼續シテ
行クモノデアルカ更ニ是ガ滿洲ヲ通ジテ
ノ所謂新國防計畫ノ一部デアルカトノ問ニ
對シマシテ、陸軍大臣ヨリ大體其ノ通リデ
アリマストノ答辯ガアツタノデアリマス
質疑ノ第三點ハ、此ノ厖大ナル軍事豫算
ノ遂行ノ及ボス所ノ影響ハ各方面ニ亙リ
而モ有ユル意味ニ於テ深刻且ツ重大ナルモ
ノガアル、故ニ政府ハ之ガ施行ニ當ツテハ
特ニ戒心ヲ要スベキデアツテ、極力濫費ヲ
愼ムベキハ勿論、單價切下ノ如キモ是非爲
スベキデアルガ、ソレニハ單價ノ內容ヲナ
ス原料價格ノ引下問題及ビ適正ナル賃銀ノ
構成ヲモ考慮シテ萬遺憾ナキヲ期スベキ
デアル、政府ハ之ニ對シテ具體的方築ガア
ルカトノ問ニ對シマシテ、政府ハ嚴ニ節約
ヲ旨トシ、價格ニ付テモ從來モヤツテハ來
タガ、更ニ此際檢討ヲ加ヘ、十四年度ニ於
テハ諸種ノ方法ニ依リ、十三年度ヨリモ引
下ゲ得ル見込デアル、尙又豫算ノ實行ハ物
資ノ關係トモ睨ミ合セ、決シテ急激ニ無理
ナ事ヲセヌ覺悟デアルトノ答辯デアツタノ
デアリマス
次ニ質疑ノ第四點ハ、豫算消化ノ觀
點ヨリスル各種ノ問題デアリマシテ、
臨時軍事費ヲ合セ九十二億ニ餘ル厖大豫算
ヲ消化シ、且ツ其ノ目的ヲ達成スル政府ノ
確信ハドウデアルカ、軍需ト竝行スベキ生
產力ノ擴充ハドウナツテ居ルカ、日滿支ヲ
通ジテノ物資ノ供給ハ遺憾ナキヲ得ルカ
不足物資ニ關スル輸入力ハドウデアルカ、
輸出貿易振興策ハ如何、產金ノ實際ハドウ
デアル等ノ質疑ニ對シマシテ、政府ハ、通リ
拔ケ勘定五億圓ヲ差引イテモ、八十七億圓
ノ豫算ハ實ニ莫大デアルコトハ申スマデモ
ナイ、サリナガラ生產力擴充モ、戰爭ニ係
ハリナク、日滿ヲ通ジ一昨年來相當充實致
シ、或物ニ付テハ豫想外ニ多額ニ生產ガ出
來ルヤウニナツテ居ルモノモアル又物動
計畫ニ付テモ、一方增產ノモノ、他方「ス
トック」ノ減少等モ見込ミ、昨年ノ如ク中途
デ改訂等ノ無キヤウ、各部門ノ見透シニ付
キ事情ニ卽シテ正確ヲ期スルヤウ努メテ居
ル、輸出貿易ハ昨年ヨリモ增加スル見込デ
アル、輸出品ノ原料ニ對スル配給ハ、軍需
ニ優先スル方針ヲ執ツタト答ヘ、尙ホ生產
力擴充ハ戰爭ガ濟ムト共ニ之ヲ停止スルモ
ノカトノ問ニ對シ、政府ハ軍需ト密接ナル
關係ヲ持ツ生產力擴充計畫ハ、十六年度デ
終了スルモノデナク、更ニ繼續スベキデア
ルトノ答辯ガアツタノデアリマス
質疑ノ第五點ハ、只今議題トナツテ居ル
所ノ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ニ關
スル件ノ中ノ臨時軍事費七億圓ニ關スル點
デアリマシテ、昨年度ニ此ノ契約ガナカツ
タノデアル、然ルニ今度新ニ之ヲ創設シタ
ル理由ハ何デアルカ、又臨時軍事費ニハ年
度ノ區分ガナキ故ニ、此ノ契約ノ必要ナキ
ヤウニモ思ハルル、尙ホ又此ノ七億ニ對ス
ル十四年度ノ物動計畫ハ、如何樣ニ織込マ
レテ居ルカトノ問ニ對シマシテ、政府ハ豫
算ノ實施ニ當ツテ契約權ダケヲ得テ置ケバ、
實際現金支出ハ先デ宜イ場合ガ相當アル、
又此ノ方ガ便利デアルカラ、本豫算外契約
ニ關スル件ヲ提出シタ、尙ホ臨時軍事費ニ
ハ年度ノ區分ハナイガ、併シ其ノ性質上是
ガ豫算ハ、大體議會ノ開會カラ次ノ議會ノ
開會マデノ分ヲ要求スル方ガ妥當デアルト
考ヘラレル、隨テ一會計年度デハアルガ、
豫算要求ニ當ツテハ區分ヲ付ケテ考ヘタ方
ガ宜イト思ウテ、斯樣ナ新シイ創設ヲシタ
次第デアルトノ答辯ガアツタノデアリマス
次ニ質疑ノ第六點ハ今囘ノ事變ニ際シ
テ滿洲國ノ政府ト國民ガ事變上我國ニドレ
位客與シタカトノ問ニ對シマシテ、政府ハ
日滿兩國一體不可分ノ關係ハ、今事變ト共
くニ益〓强化サレマシテ、東亞新秩序ノ建設ニ
努力シ、軍事上ニ於テハ、事變ノ當初滿洲
國軍ガ北支ニ出動シテ我軍ニ協力致シ、又
一方ニ於テハ我國ノ國家總動員態勢ニ相當
協力致シマシテ、恤兵金、國防獻金ノ如キ
六百万圓ニモ上ツテ居ルトノ答辯ガアツタ
ノデアリマス
最後ニ質疑ノ第七點ト致シマシテ、世界
列國中帝國ノ方針ヲ誤解シテ居ルモノガ甚
ダ少クナイ、其ノ誤解ノ一點ハ、日本ガ獨伊
等全體主義國家ト聯携シテ「デモクラシー」
國家ヲ敵視スルモフデアルトノ見解デア
リ、又他ノ誤解ハ日本ハ全ク東洋ニ於テ
文明ノ通義ニ反スル覇道ヲ行ヒ、自己ノミ
ノ利益ヲ圖ルモノデアルトノ見解デアリマ
シテ、我ガ民族ヲ曲解スルモ甚ダシク、不
愉快千萬ノ事柄デアル、卽チ我ガ帝國ノ眞
ノ態度ハ東亞ニ於ケル「コミンテルン」ノ
破壞工作ヲ防止スルコトガ目的デアツテ
此ノ目的ヲ同ジウスルモノハ全體主義國
家タルト「デモクラシー」國家タルトニ區別
アル筈ハナク、其ノ目的ヲ同ジウスル點ニ
於テ、是ト提携スルニモ亦厚薄ハナイ譯デ
アル、又我國ガ東洋ニ付テ破邪顯正ノ劍ヲ
揮ヒツツアルハ崇高ナル我ガ皇道精神ニ
基キ、軈テ眞ノ東洋永遠ノ平和ヲ齎シ、全
東洋ノ利益幸福ノ爲、又全世界ノ眞ノ平和
ニ貢獻スルガ爲デアル、平沼總理大臣ニハ
適當ナル機會ニ於テ堂々ト世界ニ向ツテ、
此ノ帝國ノ根本精神ヲ聲明セラレ、我ガ國
民ノ純潔ナル意思ヲ世界ニ徹底セシメラル
ルノガ、適切ナル處置デアルトノ質疑ニ對
シマシテ、平沼總理大臣ハ今ノ質疑ノ御
趣旨ニハ全然同感デアリマス、此ノ支那事
變ノ始マリマシタ動機ハ洵ニ明瞭デアリマ
ス、根本ノ精神ハ、我國古來渝ラザル國家
ノ大精神ニ基キ、東亞ノ平和秩序ヲ保チ、其
ノ幸福ヲ增進スルコトガ眼目デアリマス、
之ヲ徹底的ニ列國ニ知ラシムル爲、必ズ何
等カノ實行方法ヲ執リマストノ答辯デアツ
タノデアリマス、其ノ他生產擴充ト物價引
下ノ矛盾ノ問題、資源開發、物資節約ニ技
術ノ取入レノ問題、支那ニ於ケル我ガ水路
政策ノ問題、英國ノ援蔣借款ノ問題等ガア
リマシタガ、詳細ノコトハ何卒會議錄ニ依
ツテ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス
最後ニ例ニ依リマシテ政府ヨリ祕密會ノ
要求ガアリマシタ、斯クシテ委員會ハ昨三月
十三日午後質疑ヲ終了致シ、直チニ三案ヲ一
括シテ討議ニ付シ、討論ハ省略セラレテ採決
ニ入リ、原案贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマシ
タ所、起立總員、卽チ全會一致ヲ以テ可決
致サレタノデアリマス、玆ニ御報告ヲ申上
ゲル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ討論ニ入リマ
ス、通〓順ニ依ツテ發言ヲ許シマスー宮
澤胤勇君
〔宮澤胤勇君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=10
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011・宮澤胤勇
○宮澤胤勇君 只今議題トナリマシタ昭和
十四年度一般會計追加軍事費其ノ他ノ案件
ニ付キマシテ、私ハ民政黨ヲ代表致シマシ
テ贊成ノ意見ヲ述ベントスルモノデアリマ
ス、只今委員長ヨリ報〓セラレマシタ如ク
此ノ豫算ノ內容ハ、陸軍省所管ニ於テ四億
九千四百万圓、海軍省所管ニ於テ一億七千
二百万圓、合セテ六億六千六百万圓ノ軍事
費ヲ其ノ實體トスル豫算デアリマシテ、其
ノ他大藏省所管ニ於ケル臨時軍事費繰入金、
又ハ國債整理基金繰入金其ノ他ノモノヲ合
セテ九億一千万圓トナルモノデアリマス、
尙ホ陸軍ノ費用ニ於キマシテ、五年間ニ
億九千餘万圓ノ繼續費ガ附イテ居リマス
海軍省所管ニ於キマシテハ、五年竝ニ六年
計畫ト致シマシテ、十六億九千餘万圓ノ繼
續費ガ附イタ豫算デアリマシテ、固ヨリ其
ノ金額ハ臨時軍事費ノ大ナルモノニ比較致
シマスレバ小サイノデアリマスケレドモ
併シナガラ東亞新秩序ノ建設ノ土臺トモナ
リ、其ノ推進力トモナルベキ國防充實計畫
デアリマシテ、其ノ意義ハ極メテ重大ナル
モノガアルト考ヘルノデアリマス
先ヅ陸軍省所管ノ軍備充實計畫ニ付テ見
マスルニ、御承知ノ如ク昭和十一年「ソ」聯
ノ極東兵備充實ニ對シマシテ、我ガ陸軍ニ
於キマシテハ、昭和十二年度ニ於テ七箇年
ニ亙ル計畫ヲ立テマシテ軍備ノ充實ヲ圖ツ
タノデアリマス、其ノ費用ノ內、今年以降
ニ殘サレタモノハ十二億數千万圓アリマシ
テ、之ニ此ノ度ノ一億九千五百万圓ガ加ハ
ル譯デアリマシテ、今年度ニ於キマシテハ
九千四百万圓頭ヲ出シタト云フ次第デアリ
やっ、陸軍ノ計畫ハ海軍ニ比シマシテ、
見小ナルガ如クデアリマスルケレドモ、陸
軍省所管ニ於キマシテハ、此ノ外ニ三億六
千九百万圓ト云フ滿洲事件費ガ、本年度限
リノモノガ出テ居ルノデアリマス、而モ是
ハ明年度カラ凡ソ同額ノ費用ガ繰返シテ要
求セラレルト云フノデアリマスカラ、是亦
五年乃至六年ニ亙ツテ見積リマスト、相當
多額ノモノガ滿洲事件費トシテ現ハレテ來
ルモノト考ヘラレルノデアリマス、尙ホ其
ノ外ニ先般當院デ可決セラレマシタ臨時軍
事費ノ中、其ノ一部分ハヤハリ此ノ所謂「ソㄴ
支二面同時作戰ノ軍備充實計畫ノ中ニ織込
マレル結果トナルベキモノモ、相當ニアル
ト考ヘラレルノデアリマス、陸軍ノ充實計
畫ハ、詰リ一般會計本豫算ニ現ハレタモノ、
及ビ臨時軍事費ノ中ノ一部、及ビ茲ニ議題
トナリマシタ所ノモノノ三ツヲ合セマシテ、
陸軍ノ計畫ト云フモノガ窺ヒ知ラレルノデ
アリマスル、併シナガラ臨時軍事費ニ織込
マレルモノハ、之ヲ正確ニ知ルコトガ出來
マセヌ、殊ニ滿洲事件費ハ臨時費トシテ每
年要求セラレルノデアリマスカラ、海軍ノ
計畫ノ如ク今日ニ於テ其ノ全貌ヲ知ルコト
ガ出來ナイノハ洵ニ遺憾トスル所デアル
ノデアリマス、併シナガラ陸軍ニ於キマシ
テハ只今委員長報告ノ通リ、大體此ノ豫定
ヲ以テ「ソ」支二面同時作戰ノ國防ニ備ヘテ
行ツテ、其ノ全キヲ期スルト云フコトデア
ツタノデアリマス
海軍省所管ノ費用ニ至リマシテハ、御承
知ノ如ク海軍ハ數次ニ亙ル補充計畫ヲシテ
來タノデアリマスガ、第三次補充計畫ハ昭
和十二年度ニ計畫ヲセラレマシテ、其ノ總
額ハ大約十二億圓デアリマシテ、新ニ茲ニ
今日ノ新情勢ノ下ニ十六億九千四百万圓ト
云フモノガ、五年乃至六年ノ計畫ヲ以テ繼
續費トシテ要求ヲセラレ、其ノ中一億七千
二百万圓ガ此處ニ頭ヲ出シタト云フ次第デ
アリマス、海軍ノ國防計畫ハ此ノ新舊合セ
マシタ二十五億圓ト云フモノガ、實ニ今年度
以降ノ繼續費トシテ殘サレルノデアリマス、
海軍ハ之ガ完成ノ曉ニハ、世界ノ最大海軍
國ニ對シ、西太平洋ニ於ケル制海權ヲ確保
シテ、東亞新秩序ノ建設ニ對スル推進力ト
シテノ責任ヲ完ウスルトノコトデアリマシ
テ、此ノ點ニ付キマシテハ海軍ノ計畫ニ
於テ吾々ハ其ノ全貌ヲ知ルコトガ出來タノ
デアリマス
是ニ於キマシテ陸海軍ノ國防費ハ、臨時
軍事費ヲ除キマシテ、陸軍ガ九億八千五百
万圓、海軍ガ八億二千四百万圓、合セテ十
八億九百万圓ト今年ハ相成ツタノデアリマ
ス、昨年ノ是等ノ合計額十二億四千九百万
圓ニ比較致シマシテ、今年ハ五億六千万圓
ト云フモノガ增加スルニ至ツタノデアリマ
ス、而モ此ノ外ニ部隊竝ニ艦船ノ出征ニ伴
ヒマスル費用ガ、臨時軍事費ニ於テ支辨ヲ
セラレテ居リマスルカラ、ソレガ陸軍ニ於テ
一億數千万圓、海軍ニ於テ五千四百万圓ト
云フモノヲ加算致シマスレバ、今日ニ於テ
陸海軍ノ軍事費ト云フモノハ一般會計ニ
於テ二十億圓ヲ超エルト云フ狀態ニ立至ツ
テ居ルノデアリマス、隨テ今年度ノ一般會
計ノ豫算三十六億九千万圓ノ中カラ、通リ
拔ケ勘定トナツテ居リマスル所ノ、三億五
千一百万圓ノ臨時軍事費ヘノ繰入金ヲ除キ
マシテモ三十三億四千万圓、之ニ此ノ六
億六千万圓ヲ合セマシテ四十億圓トナル譯
デアリマスガヽ其ノ中ノ半額五割ハ軍備充
實費ニシテ、總額ノ五割ヲ占ムルニ立至ツ
テ居ルノデアリマス、勿論今日英吉利ニ於
ケル軍備充實、其ノ他歐羅巴、亞米利加等
ニ於ケル軍備充實ノ計畫ニ比較致シマスレ
バ、此ノ金額ハ必ズシモ大デハアリマセヌ、
併シナガラ我國ノ現下ノ財政經濟ノ狀態ニ
於キマシテハ、相當巨額ノ負擔デアルト云
フコトハ是亦政府モ認メテ居ラレル所デ
アリマシテ、殊ニ一般會計ト臨時軍事費ト
ヲ合セマスルト、陸軍ニ於キマシテハ昨
年ノ三十八億圓ニ對シ、今年ハ四十一億圓
トナリ三億圓ヲ增シテ居リマス、海軍ニ
於キマシテハ、昨年ノ十七億二千五百万圓
ニ對シ、十六億三千四百万圓トナリマシテ、
九千餘万圓ヲ減ジテ居リマスケレドモ、併
シナガラ豫備費ニ於テ一億圓ヲ增加シテ居
リマスカラ、結局軍事費總額ハ昨年ノ六十
一億圓ニ對シ、今年ハ六十四億圓トナリマ
シテ、三億圓以上ノ增加ヲ來シテ居ルノデ
アリマス
尙ホ此ノ陸海軍ノ軍備充實計畫ノ外、之
ニ伴フ所ノ生產擴充計畫ト云フモノガアル
ノデアリマス、此ノ生產擴充計畫ハ、軍需
ヲ中心トスル所ノ重工業ヲ目標トシタ、基
礎產業ノ生產擴充ヲ行フモノデアリマシテ、
此ノ生產擴充計畫ハ同時ニ軍備充實ノ一面
ヲ成スモノデアリマス、萬一ノ場合ニ於キ
マシテハ、此ノ生產擴充計畫ガ完成シテ居
レバ、陸海軍當局ニ於テハ國防ノ安全ヲ期
スルコトガ出來、陸海軍ニ於キマシテ國防
ノ責任ヲ全ウスルニハ此ノ生產擴充計畫
ヲ伴フコトヲ必要トセラルルト云フコトデ
アリマシテ、吾々モ亦今日ノ日本ノ狀態ニ
於テ、此ノ生產擴充計畫ノ必要デアリ、是
非トモ之ヲ完成シナケレバナラヌト云フコ
トハ政府ト其ノ見ル所ヲ同ジウスルノデ
アリマス、此ノ生產擴充計畫ガ豫定通リ完
成致シマスレバ-必ズシモ豫定通リ行カ
ナイデモ、假令一二年ハ後レマシテモ是
ガ大體ノ計畫通リ出來上ルト云フコトデア
リマスルナラバ、我國ハ近代的ノ亞米利
加、歐羅巴ニ於ケルト同樣ノ重工業ヲ玆ニ
持ツコトトナリマス、從來我國ノ輕工業本
位デアツタ所ノ生產形態ガ、重工業ヲ加ヘ
マシテ、玆ニ兩翼備ハツタ所ノ新シイ產業
形態ガ出來上ル譯デアリマス、是ハ啻ニ國
防計畫ノ爲ニ必要デアルバカリデナク、
此ノ東洋ノ天地ニ於キマシテ、白人ノ歐米
諸國ニ於ケルト同樣、高級ナル技術ヲ要ス
ル所ノ重工業ノ基礎ガ出來上ルト云フコト
ハ私ハ東洋ニ於ケル諸民族ノ生活ニ對シ
テ一ノ獨立性ヲ與ヘルモノデアルト云フ
意味カラ致シマシテモ、東洋文化ノ爲ニモ、
此ノ生產擴充計畫ト云フモノガ、非常ニ大
キナ意義ヲ持ツテ居ルモノデアルト考ヘテ
居ルノデアリマス(拍手)卽チ陸海軍ノ昭和
十八年ヲ目標トスル所ノ軍備充實ト、昭和
十六七年ヲ目標トスル所ノ生產擴充計畫ト、
相寄ツテ我國ノ國防ハ初メテ現下ノ情勢ニ
對應シ得ルモノデアリマシテ、我黨ガ昨年
大陸國策ヲ中樞トスル革新政策ニ於キマシ
テ、「支那事變ノ成果ヲ收メ、東亞ニ加ヘラ
ルル武力脅威ヲ排除シ、日滿支ノ國防安全
ヲ保障シ、更ニ太平洋ノ平和ヲ確保スルニ
足ル軍備ヲ整備充實シ、以テ新國防體制ヲ
確立スベシ」ト主張致シマシタノモ、全ク
斯ル計畫ノ完成ヲ要望シタ次第デアルノデ
アリマス(拍手)
併シナガラ軍備充實、生產擴充ハ、計畫
ダケデアツテナラナイコトハ申上ゲルマデ
モナイ所デアリマス、正確ニ之ヲ實現スル
コトガ必要デアルト共ニ、是ガ他ノ方面ニ
對スル影響ニ至リマシテハ又深甚ナル所
ノ考慮ガ拂ハレナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、先般本院ニ於テ可決セラレマシ
タ臨時軍事費モ、言フマデモナク是等ノモ
ノト一體トナツテ考察セラルベキモノデア
リマスルガ、其ノ豫算ノ說明ノ際ニ板垣陸
軍大臣ガ「是ガ使用ニ當リマシテハ、其ノ
方法如何ニ依リ影響スル所廣ク且ツ深刻ナ
ルモノアルニ深ク思ヲ致シマシテ、十分ノ
用意ト覺悟トヲ以テ進ム考デゴザイマス」
ト言ハレタノハ當然デアルト思フノデアリ
やっ、私ハ是ニ於テ果シテ政府ニ其ノ十分
ノ用意ト覺悟トガアルカ否カト云フコトニ
對シテハ、聊カ疑ヲ懷ク者デアルノデアリ
マン、軍備充實、生產擴充ノ計畫ヲ急速ニ
實現シヨウト致シマスレバ玆ニ幾多ノ困
難ナル問題ガ起ツテ來ルノデアリマス、其
ノ一二ヲ申上ゲマスレバ、軍需品生產擴充
資材ノ輸入ノ爲ニハ言フマデモナク輸出
原料ノ輸入ハ壓縮セラレマス、民需ハ尙更
ノコトデアリマス、又資金及ビ物ノ統制ニ
依リマシテ、平和產業ノ萎縮、ソレヨリ生
ズル失業、失職、及ビ生活不安ト云フコト
モ考ヘナケレバナラヌノデアリマス、又歲
出ノ大部分ハ公債ニ依存スル次第デアリマ
スルカラ、本年ハ五十七億圓ノ公債ヲ發行
ナサラテケレバナラヌ豫定ニナツテ居ルノ
デアリマスルガ昨年一箇年ニ於テ四十三
億三千万圓ヲ發行シ、三十六億圓ヲ消化シ
タト言ハレルノデアリマスルガ、今年ハ更
ニ之ニ三割以上モ大キナモノトナツテ居ル
ノデアリマスカラ、此ノ點モ亦考慮ノ外ニ
置ク譯ニハ行カナイト思フノデアリマス
更ニ軍需、生產擴充ニ多クノ資材ガ要ル
コトハ勿論デアリマスケレドモ、又銃後ニ
於ケル幾多ノ働キ、或ハ經濟膨脹ノ爲ニ、
日用品其ノ他ノ需要モ段々多クナリマシテ、
而シテ其ノ物ガ足ラナイト云フ現狀ニアル
ノデアリマス、是ニ於テ物價騰貴ノ問題ガ
起ツテ來ルノデアリマス、今日ノ物價問題
ハ公債增發ニ依ル通貨ノ膨脹カラ來ル所ノ
影響ヨリモ、寧ロ物ガ足ラナイト云フ所カ
ラ來ル所ノ物價問題ガ重要性ガアルト考ヘ
ラレルノデアリマス、物價問題ハ私ガ申
述ベルマデモナク、豫算施行ノ點カラ見
テモ、公債消化カラ見マシテモ、亦輸出振
興ノ點カラ致シマシテモ、亦物動計畫ノ圓
滑ナル運行カラ致シマシテモ最モ重要デア
リマシテ、一切ノ經濟政策ハ此ノ物價問
題ガ中心問題デアル我國ノ財政經濟ハ今
日物價問題ノ一點ニ集中セラルベキデアル
ト言ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、若シ一タビ物價政策ニ破綻ヲ來シ、物
價ガ急騰スルヤウナコトニ立至リマスレバ
豫算ノ實行ハ勿論出來マセヌ、公債ノ消化
モ出來ナイ、輸出ハ止マル、國民生活ハ脅
カサレル、隨テ軍備ノ充實モ出來ナクナル
ノデアリマス、無論斯ノ如キ場合ハ出テ來
ナイコトヲ望ムノデアリマスケレドモ、併
シナガラ是ガ絕對ニ出テ來ナイト云フコト
ハ何人モ保證シ能ハザル所デアルト思フ
ノデアリマス、又現ニ來ルベキ素因モボツノ
見エテ居ルノデアリマス、是ニ於テ私ハ政
府ニハ萬一ノ場合ニ於ケル物價政策ニ對ス
ル鐵案ガナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、政府ニ於テハ一ツノ卽效藥ハナイ、色
色ナ手ヲ以テ之ニ對應スルノデアルト云フ
コトヲ言ハレテ居ル、私共モ唯一ツノ卽效
藥ヲ求メルコトノ困難デアルコトハ之ヲ承
知シテ居リマス、併シナガラ色々ノ手ヲ打
ツコトモ宜シイノデアリマスルケレドモ
其ノ色々ノ手ヲ盡ス中ニ、前ニ打ツ手モア
リマセウシ、後ニ打ツ手モアリマセウ、唯
私共ノ心配スルノハ、愈ノ場合ニ至ツテ打
ツベキ手ガ假ニアツタト致シマシテモ、今
ノ政府ノ機構ニ於テ其ノ手ヲ有效適切ニ打
チ得ルヤ否ヤト云フコトニ、多大ノ疑ヲ持
ツテ居ルノデアリマス(拍手)今日問題ノ生
產擴充計畫ニ付キマシテモ、此ノ議場又ハ
豫算總會其ノ他ニ於キマシテ、是ハ一ツノ
ㄱペーパー·プラン」デアル、實行性ヲ缺ク
モノデアルト論難セラレタノデアリマス
餘リニ其ノ計畫ニ無理ガアル爲ニ、其ノ內
容ヲ聽キマシテモ、相互ニ摩擦ガ起ツテ實
現ガ出來ナイノデハナイカ、ソレガ又物價
ニモ直チニ影響ヲ及ボスノデハナイカト云
フコトガ心配セラレテ居ルノデアリマス、
豫算ト此ノ生產擴充トノ間ニハ物動計畫ガ
アツテ、之ヲ調節セラレルノデアリマスル
ケレドモ、生產擴充計畫ニシテ甚ダシイ無
理ガアリマスレバ、物動計畫ニモ狂ヒヲ生
ズル、サウシテ其ノ無理ハ今日吾々ノ眼ノ
前ニ幾多展開セラレテ居ルノデアリマス
例ヘバ一ツノ製鐵所ニ於テ、製鐵ノ熔鑛爐
ノ設備ガ澤山出來タケレドモ、石炭ガナク
テ火ガ入レラレナイ、此ノ場合ニ此ノ熔鑛
爐ニ要スル建築資材ト云フモノハ遊ンデ居
ル、併シ石炭ガ出テ來ナイガ爲ニソレニ火
ガ入ラナイ、ソコニ此ノ生產擴充計畫カラ
物動計畫ニ蹉跌ヲ來シ、鐵ノ生產ニ影響ス
レド、鐵ノ物價ニモ直チニ影響ガ來ル譯デ
アリマシテ、今日此ノ生產擴充計畫ヲ圓滑
ニ行ハルルカ否カト云フコトニ關シマシテ
ハ、物價ニモ影響スル所頗ル大ナルモノガ
アルト思フノデアリマス(拍手)政府ニ於テ
ハ此ノ生產擴充計畫ハ、必ズシモ此ノ計畫
ヲ强行スルモノデハナイ、實情ニ應ジテヤ
ルモノデアルト云フコトハ言ハレテ居ルノ
ノデアリマスケレドモ、若シ之ヲ實情ニ應
ジテスルモノデアルトスルナラバ、私ハ今
日ノ時勢ニ於テハ、假ニ十ノ計畫ヲ立テテ
是ガ六實現出來ルト云フ場合ニ、七ノ計畫
ニ縮メレバ、七全部實現スルト思フノデア
リマス、是ハ計畫ガ大キケレバ思惑モ大キ
クナリ、見込モ大キクナリ、サウシテ摩擦
モ大キクナルカラ、計畫通リニ行カナイト
云フコトニナルノデハナイカト思フノデア
リマス、又斯ノ如キ厖大ナル生產擴充計畫
竝ニ軍備擴充計畫ハ、最早今日政府ノ手ダ
ケデ行ヒ得ナイコトハ言フマデモナイ所デ
アリマス、官民一致協力シナケレバ此ノ實
現ハ期セラレナイノデアリマス、而シテ今
日政府ハ是等ノ計畫ヲ行フニ當ツテ、官民
一致ノ努力ヲ要望スルト言ハレテ居リマス
ルケレドモ、偖テ實際問題トナリマスルト、
民間ノ喙ヲ容レル餘地ハ無クナツテ居ルノ
デアリマス、門戶ハ閉サレテ居ルノデアリ
マス、今日政府ノ委員會或ハ幾多ノ機關ガ
民間トノ連絡ノ爲設ケラレテ居リマスケレ
ドモ、是ハ唯形ダケデアリマシテ、實際民
間ノ意見ヲ採入レルコトハ殆ドナイノデア
リマス、政府ハ此點ヲ指摘サレマスト、物
價委員會ノ功績ヲ述ベテ、物價委員會ガ今
日マデ活動シタコトヲ述ベテ、官民協力ヲ
爲シ得タ證據トシテ居ラレルノデアリマス、
併シナガラ物價委員會ハ我ガ黨ノ小川サン、
政友會ノ大口サント云フヤウナ有力ナ人ガ
之ニ入ツテ、委員長トシテ指導的ノ地位ニ
立ツタカラ效果ヲ擧ゲタノデアリマス、他
ノ委員會ノ如ク政府ノ人々ガ指導的ノ地位
ニ立ツテ、民間ノ人ガ唯其處ニ居竝ブダケ
ノ今日ノ委員會ノ組織デハ官民協力ハ出
來ナイト私ハ思フノデアリマス(拍手)是ニ
於テ政府ハ今日軍備充實、生產擴充其ノ他
ノ計晝ヲ行フニ當ツテ、從來ノ如キ間ニ合
セ主義、行キ當リバツタリヲ止メテ、先ヅ
政府ノ體制ヲ之ニ應ズルヤウニ改メナケレ
バナラヌト私ハ思フノデアリマス、政府ハ
國民ニ向ツテ國家總動員法ヲ發動シ、今日
ノ所謂東亞新秩序ノ建設ニ順應スベキコト
ヲ要求シテ居ラレルノデアリマス、併シナ
ガラ政府ノ機構、政府ノ行政組織ハ何等之
ニ對應スル所ナクシテ、舊態依然タルモノ
ガアルノデアリマス、私ハ是ニ於テ政府ガ
自ラノ機構ヲ、此ノ東亞新秩序ノ建設ニ對
應スベク改メラレルト云フコトデナケレバ
此ノ豫算竝ニ生產擴充ノ效果的結果ヲ擧ゲ
ルコトハ困難デハナイカト考ヘル者デアリ
マス、今日政府竝ニ民間ノ此ノ新シイ事態
ニ卽應スル狀態ヲ見マスルノニ、此ノ新シ
イ段階ニ入リマシテ、政府自ラノ體制ヲ整
ヘルコトヲ忘レテ、外ハ國民ニ對シテノミ
總テ犧牲ト苦痛トヲ要求シテ居ラレルノデ
アリマス、又內ニ於キマシテハ政府ノ行政
機關ノ中ニ於テモ、段々人數ガ殖エテ組織ハ
大キクハナリマスケレドモ、町村自治體ノ如
キ一番下級ノ行政體ハ、一番多クノ犠牲ヲ
拂ツテ居ルノデアリマス(拍手)是等ノ點ヲ
申述ベマスレバ限リノナイコトデアリマス
ケレドモ、時間ガアリマセヌノデ、私ハ此
ノ程度ニ止メマスガ此ノ東亞新秩序ニ卽
應スベキ國防計畫竝ニ生產擴充計畫、是ハ
擧國其ノ遂行ヲ期サネバナリマセヌ、併シ
ナガラ今日ニ於テ最モ是ガ實現ニ對シテ、
其ノ準備トシテ必要トスル所ハ、政府部內
ニ於ケル所ノ先ヅ之ニ對應スベキ行政其ノ
他ノ機構ヲ改革スルコトデアリマシテ、私
ハ此ノ點ニ對シ官吏制度改革ノ一端サヘモ
行ヒ得ナイト云フヤウナ現下ノ有樣ニ於テ
ハ、果シテ其ノ大キナ計畫ヲ實現シ得ルヤ
否ヤト云フコトニ、非常ナ疑問ヲ持ツテ居
ル者デアリマス、私ハ政府ガ此ノ點ニ深ク
心ヲ用ヒラレマシテ、先ヅ政府自ラガ其ノ
體制ヲ改メテ、此ノ軍備充實計畫竝ニ生產
擴充計畫ノ實現ヲ期シ、以テ東亞ノ新秩序
ニ卽應スベキコトヲ要望致シマシテ、本案
ニ對スル贊成ノ意見ヲ述ブル次第デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=11
-
012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小笠原三九郞君
〔小笠原三九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=12
-
013・小笠原三九郎
○小笠原三九郞君 私ハ只今上程セラレタ
ル第一號昭和十四年度歲入歲出總豫算追加
案外二件ニ對シ、立憲政友會ヲ代表シテ贊
成ノ意ヲ表明スル者デアリマス、就テハ此
ノ場合所信ノ一端ヲ申述ベテ、政府ノ注意
ヲ喚起シ、是ガ善處方ヲ要望セントスル者
デアリマス
曩ニ協賛セラレタル昭和十四年度使用見
込ノ臨時軍事費豫算ガ、世間一般ノ豫想、
卽チ恐ラクハ六十億圓、又ハソレ以上ニ及
ブノデハナイカト言ハレテ居ツタ豫想ニ
反シ、四十六億五百万圓ニ止マリ、昨十
三年度分ニ比シマシテ二億四千五百万圓、
卽チ約五%ヲ減少致シマシタコトハ、假令
其ノ金額比率ニ於テハ大ナラザルニモセ
ヨ、世間ニ好感ヲ以テ迎へラレ、且ツ尠カ
ラズ財界ニ安心ヲ與へタノデアリマス、申
スマデモナク國ノ豫算ガ其ノ國力ヲ超エ、
又ハ財界ノ實勢ヲ無視シテ大キク計上セラ
レマシテモ、ソレハ實行ノ出來得ザル机上
ノ案タルニ止マリ、却テ實際的ニハ幾多ノ
摩擦ト弊害トヲ惹起スルノデアリマス、殊
ニ本昭和十四年ハ昨年ニ比ベテ、我國ノ輸
入可能量、國內「ストック」其ノ他ノ經濟事情
ニ可ナリ變化ヲ來シテ居ル場合デモゴザ
イマスルノデ、軍事費豫算ガ如何ニ編成提
出セラレルカハ、吾々國民ノ擧ツテ多大ノ
關心ヲ寄セテ居ツタ所デアツタノデアリマ
ス、然ルニ臨時軍事費ニ於テ多少デモ其ノ
金額ヲ編減シ、又此ノ追加豫算ニ於テモ、
新ニ在滿兵力ノ充備ニ關スル經費等ヲ中心
トセル陸軍ノ四億九千四百万圓、艦船製造
費ヲ中心トセル海軍ノ一億七千二百餘万圓、
合計六億六千七百餘万圓ノ豫算追加ヲ加ヘ
テ、本昭和十四年度ノ總軍事費ハ、曩ニ本
院ニ於テ協賛シタル總豫算分ト合セテ、陸
軍四十一億三千七百餘万圓、海軍十六億三
千八百餘万圓、豫備金六億五千万圓、合計
六十四億二千六百餘万圓ノ巨額ニ達シ、之
ヲ十三年度ノ總軍事費六十億九千六百餘万
圓ニ比ベマスレバ、三億三千餘万圓ノ增加
トハ相成リマシタガ、本年度豫算編成ノ一
ツノ特色トシテ、陸軍五億圓、海軍二億圓、
合計七億圓ノ費額ヲ、豫算外國庫ノ負擔ニ
歸スベキモノト致シマシテ、別箇ノ計算ト
シテ立テラレマシタコトニ依リマシテ、軍
事豫算ノ査定ニ當ツテ、我ガ對外輸入力ト國
內生產力トヲ樞軸トセル所ノ物ノ關係ニ付
テ、相當ノ檢討注意ガ拂ハレタ上デ、此ノ
豫算ガ決定セラレタモノト見ラレル所ヨリ
致シマシテ、內外國人ノ危惧憂慮ヲ一掃致
シ、世人ヲシテ何トナク一脈ノ春風ヲ感ゼ
シムルモノガアルノデアリマス、併シナ
ガラ日本ノ財政經濟ハ近年飛躍的ノ進步
發達ヲ遂ゲテハ居リマスルガ、曾テ滿洲事
件勃發スルニ至ルマデ、二十億圓ノ歲出ニ
眼ヲ瞠ツタ我國ノ豫算ガ漸次膨脹致シ、
昭和十二年支那事變ノ勃發ト共ニ五十五億
圓トナリ翌十三年ニハ一躍八十億圓ヲ超
工、本十四年ニハ更ニ九十億圓ヲ突破スル
ニ至リマシタコトハ、一面我ガ國力ノ旺盛
ヲ物語ルモノデハゴザイマスルガ、餘リニ
モ急進急激ニ過ギマシテ、且ツ斯ル厖大ナ
ル豫算案ガ連年引續イテ居リマスルガ上ニ、
今ヤ事變ハ新ナル段階ニ入リマシテ、是力
ラ先ガ長期建設時代トナリ、將來トモ此ノ
種ノ豫算ガ繼續的性質ヲ有スルト云フコト
デアリマスナラバ、此ノ巨額ノ豫算ノ實施
運用ガ、我ガ財政經濟ト國民生活トニ投掛
ケル影響ノ極メテ深刻ニシテ且ツ輕カラザ
ルモノナルコトハ、蓋シ想像ニ餘リアルモ
ノト存ゼラレルノデアリマス、抑〓事變ニハ
多クノ人ト金ト物トヲ要シ、且ツ其ノ何レ
モガ甚シク不足致シマスルガ故ニ、ソレニ
對スル適當ノ對策ガ最モ强ク要望セラレル
ノデアリマス先ヅ人ニ付テ申シマスレバ、
事變ノ規模ガ大キクナルニ從ツテ多クノ人
ヲ要シ、其ノ結果各方面ニ人手不足ノ現象
ヲ齎シマスルガ、物ノ需要ノ激增ト相俟チ
マシテ、時局產業ノ方面ニ最モ多クノ人ヲ
要スル事情ガ顯著トナツテ參リ、其ノ極職
工ノ爭奪、賃銀ノ暴騰トナリ、延イテ農村
其ノ他ノ方面ニ人的不足ノ狀況ヲ高度化セ
シムルニ至ル等、算フベカラザル所ノ弊害
ガ釀成サレテ來ルノデアリマス、現ニ民間
軍需工場デ法外ニ破格ニ高イ賃銀ヲ支拂フ
者ガアリマスルガ爲ニ、肝腎ノ陸海軍直營
工場ノ勞働者募集難等ノコトヲ耳ニ致シテ
居リ、又民間時局產業ノ給與ガ厚キガ爲ニ
他ノ產業ヲ刺戟又ハ壓迫シ、延イテ生產「コ
スト」ヲ高メ、輸出伸力ノ大イナル障碍ヲ爲
セル事實ヲ目擊スルノデアリマス、然ルニ
今日マ〓政府ガ此ノ問題ニ對シマシテ何等
手ヲ染メテ居ナイト云フコトハ洵ニ遺憾千
萬ニ存ジマス、政府ハ須ク國內勞働力ノ調
整ヲ圖ルト共ニ、適當ナル勞銀ヲ規制シ、
以テ一面勞資ノ協調、事業界ノ平和ニ努メ、
輸出力ノ增强ニ資スルト共ニ、他面國民生
活ノ安定ヲ圖ラレンコトヲ切望シテ已マザ
ル者デアリマス
次ニ金ニ付テ申シマスレバ、最モ必要ナ
ルハ事變費調達ノ最大財源タル公債ノ消化
ニ付テデアリマス、政府ハ是マデノ例ニ依
リマシテ、公債消化ヲ比較的樂觀シテ居ラ
ルルノデハナイカト見ラルル節ガゴザイマ
スケレドモ、十四年度公債發行豫定額ハ五
十七億餘万圓ノ巨額ニ達シ、之ニ前年來繰
越サレタル發行分ヲ加へマスル時ハ、實ニ
七十二億圓ノ巨額ニ達スルノデアリマス、
恐ラク現實ノ發行ハ五十億圓內外デアラウ
ト推測セラレルノデアリマスルガ、本年ノ
公債消化ニハ昨年ト異リタル新ナル困難ノ
加ハリ來ルコトニ注意ヲシテ、是ガ對策ニ
萬遺憾ナキヲ期セラレネバナラナイト存ズ
ル者デゴザイマス、卽チ政府ハ最近政府元
利支拂保證ノ債劵發行權ヲバ驚クベキ程多
額ニ、且ツ大膽ニ御承諾ニナツテ居ルノデ
アリマス、滿洲事變發生以來一ツノ風潮流行
ヲ爲シマシテ、特殊會社ノ新設セラレルモノ
ガ頗ル多數ニ上ボリ、東北振興、同電力、臺灣
拓殖、南洋拓殖、帝國燃料、帝國燃米
日本產金、北支那開發、中支那開發、日本發
送電等實ニ十餘社ノ多キヲ算ヘマシテ、所謂
國策會社ノ氾濫トナツテ居ルノデアリマス、
是等國策會社ノ成績ノ振ハザルコト、古手
官僚ノ收容所タル事實等ニ付キマシテハ、
敢テ玆ニ申述べマセヌガ、是等ノ會社ハ何
レモ資本金ノ三倍乃至五倍ノ債劵發行權ヲ
持ツテ居リマシテ、而モ其ノ大部分ハ政府
ノ元利保證ヲ受ケルコトニナツテ居ルノデ
アリマス、臨時資金調整法ノ改正等ニ依ル
興業債劵十億圓等ヲモ加算致シマスナラバ
恐ラクハ政府元利保證ノ債劵ハ五十億圓ノ
巨額ニ達スルノデハナイカト考ヘマス、是
ハ何レモ國策上巳ムヲ得ザルニ出デタモノ
デアリマシテ、其ノ事情ハ諒トスル者デゴ
ザイマスルガ、今後此ノ種債劵ノ發行ガ現
實化致シテ來テ、相當巨額ニ發行サルルコ
トニナリマスルト、三分六厘ソコ〓〓ノ利
廻ノ公債ヨリモ、四分三四厘ニ付ク所ノ政
府元利保證ノ國策債劵ノ方ガ市場ノ歡迎ス
ル所トナリマシテ、爲ニ公債消化ノ妨害ヲ
爲スガ如キコトハナイカト云フコトヲ憂慮
致ス者デゴザイマス(拍手)ドノ道本年ノ公
債消化ハ昨年ノ如ク容易ニハ參リマセヌ、隨
テ政府ニ於テハ貯蓄ノ奬勵、濫費、特ニ會
社法人等ノ濫費ヲ抑制シ、一般消費節約ノ徹
底等ニ今一段ノ工夫ヲ凝ラサレ、相當思切
ツタ手段方法ヲ講ゼラルルコトガ必要デハ
ナイカト存ジマス、萬一ニモ公債消化難ノ
事態ヲ惹起シマスルナラバ、恐ルベキ惡性
「インフレ」ハ決河ノ勢ヲ以テ襲來スベキガ
故ニ、政府ハ公債消化ニ萬全ヲ期シ、切丁
其ノ善處ヲ要望致ス者デゴザイマス
轉ジテ物ノ方面ヲ見マスルト、物資ノ需
要量ハ豫算ノ膨脹ト生產力擴充計畫ノ進行
ニ依リマシテ、昨年ニ比ベテ可ナリ增加致
シマスニ對シ、物資ノ供給力ハ寧ロ若干減
少スルノデハナイカト觀測セラレルノデア
リマス、卽チ我國物資供給力ノ一ツデアル對
外輸入力ハ、貿易關係、國際收支ノ狀況、爲
替決濟等ノ見地カラ、若干ノ減少ヲ餘儀ナ
クセラレルデゴザイマセウシ、又他ノ一ツ
タル國內生產力ハ、折角擴充計晝ハ御立テニ
ナツテ進メテ居ラレマスケレドモ、未ダ
設備充實ノ爲ノ所要負擔ノ方ガ多イ現狀デ
ゴザイマスルノミナラズ、更ニ國內ノ「ス
トック」ハ著シク減少ヲ致シテ居ルコトハ
掩フベカラザル事實デゴザイマスカラ、昭
和十四年度ニ付キ申シマスルナラバ、物資
需給ノ不均衡ハ昨年ニ比ベマシテ一層顯著
トナリ、物ノ不足ハ益〓甚シキヲ加ヘ、隨テ
一般民需ニ對スル制限ハ愈〓高度トナル外ハ
アルマイカト考ヘル者デアリマス、故ニ我
國ノ現狀ハ如何ニシテ對外輸入力ヲ增加シ、
以テ軍需ノ所要ヲ滿スト共ニ、速ニ日滿支
三國ニ亙ル生產力擴充計畫ヲ完成シテ物
ノ增產ヲ期セナケレバナリマセヌ、而シテ
對外輸入力ノ增加ニハ、國際決濟ニ充テ得
ベキ金ノ增產、引上、銀ノ集中利用等ヲ圖
リ又貿易外ノ受取勘定タル運賃、保險料、
海外投資收入、觀光旅客收入等ノ增加ヲ圖
ラナケレバナラヌコトハ勿論デアリマスル
ガ、何ト申シマシテモ輸出貿易ノ增進ヲ圖
リマスルコトガ、最モ急務デアリ且ツ根本
的ナモノデアリマス、然ルニ本昭和十四年
度ノ貿易狀況ヲ豫想致シテ見マスルト、肝
腎ノ輸出貿易ガ輸出品原材料ノ輸入關係等
ニ依リマシテ、昨年ニ比シ著シキ增加ヲ期
待スルコトガ出來マセヌノミナラズ、貿易
外ノ受取勘定ハドノ一ツヲ捉ヘテ見テモ增
加ノ見込ハナイノデアリマス、又金銀ニ致
シマシテモ、昭和十四年ノ產金額ハ恐ラ
クハ十三年ノ二割見當ノ增產ニ過ギナイ
デアリマセウシ、ソレニ民間ノ金ノ引上、
銀ノ集中等ヲ爲スト致シマシテモ、其ノ金
額ニ多キヲ望ミ難イコトハ明瞭デアリマス
ルカラ、自然我國ノ輸入力ハ昨年ニ比ベマ
シテ若干ノ減少トナルコトハ、免レ難イ所
デハナイカト考ヘルノデアリマス
而シテ此ノ限ラレタル輸入可能力ノ範圍
ニ於キマシテ、物資ノ輸入ヲ爲スノ外ナイ
コトデゴザイマスルカラ、勢ヒ輸入品ニ順
位ヲ定メテ許可スル外ナイコトニナルノデ
アリマス、常識的ニ考ヘテ見マスルト、先
ヅ軍需所要品、生產力擴充ニ要スル建設材
料、其ノ他輸出品ノ原材料ノ三者ヲバ、優
先的ニ取扱フベキデゴザイマスルガ、此ノ
三者スラ其ノ所要額ノ悉クヲ輸入シ得ズシ
テ、前後ノ順序ヲ付ケナケレバナラヌ場合
ト致シマスルナラバ先日企畫院總裁ガ御
言明ニナツタ通リ、事變下今日ノ段階ニ於
テハ輸出品ノ原材料輸入ヲ最モ優先セシ
ムベキモノナルコトハ事理ノ當然デアル
ト信ズルノデアリマス(拍手)軍需品ヲ買入
レマスガ爲ニモ、將又生產力擴充ノ資材ヲ
調辨スルガ爲ニモ、我ガ對外輸入力ヲ增加
スベキ輸出品ノ原材料ヲ優先的ニ取扱フ
コトニ依リマシテ、初メテ能ク其ノ目的達成
ガ出來ルカラデゴザイマス、一月二十六日
ノ豫算總會ニ於キマスル私ノ質問ニ對スル
政府ノ御答辯中ニハ、先刻宮澤君ガ言ハレ
タヤウナ、軍需品ノ爲ニハ壓迫ハ已ムヲ得
ヌト云ツタヤウナ意味ノ、稍、異樣ニ響ク意
見モゴザイマシタガ故ニ、特ニ玆ニ私ハ之
ヲ强調致シテ置ク次第デアリマス、兎ニ角
輸入力ノ增加ニハ輸出貿易ノ振興ガ急務且
ツ根本デアリマスルカラ、政府ハ宜シク貿
易對策ニ付キマシテ、從來ノ官僚的ナ獨善
意識ヲ棄テマシテ、廣ク國內ノ知識經驗家
ニ呼掛ケ、以テ一大貿易對策協議會ヲ組織
シ、民間當業者ト相携ヘテ、最モ實效アル
方法ヲ講ジ、我ガ輸入力ノ增强ニ貢獻シ、
時艱克服ニ努メラレンコトヲ要望シテ已マ
ザル者デゴザイマス(拍手)
生產力ノ擴充計畫ニ付キマシテハ、物動
計畫ト共ニ過日來度々企畫院總裁カラ大要
御話ノ次第モアツタノデアリマスルガ、率
直ニ申上ゲマスルト、如何ニ考ヘテ見マシ
テモ、「ペーパー·プラン」タルノ感ヲ禁ズ
ルコトガ出來ナイノデアリマス(拍手)世上
企畫院案ニ幾分ノ疑ヲ持ツ者ノ少クナ
イノハヽ計畫ハ立ツテ居ツテモ、其ノ
增產ヲ齎スベキ產業ノ基礎其ノモノガ忘レ
ラレテ居リマシテ、理論ニ偏シテ實際ガ無
視セラレテ居ル點ニアルノデアリマス、
今日企畫院ノ計畫ハ國策ノ最大據點ヲ成ス
モノデアリ、萬一ニモ狂ヒガアツタリ、齟
齬等ガアツテハ相成ラヌノデアリマスルシ、
豫定通リニ是非トモ是ハ進捗シテ貰ハナケ
レバナラヌノデアリマスルニ拘ラズ、其ノ
計畫實現ノ爲ノ基礎條件ガ具ツテ居リマセ
又、且ツ其ノ增產計晝ガ如何ニモ急進急激
デアリマシテ、心アル識者ヲシテ憂慮措ク
能ハザラシムルモノガアルノデアリマス、
現在ノ企畫院ガ動モスレバ某々方面ノ理論
的ナ俊才ノミヲ集メテ居ルガ如キ感ガアル
實情ニ對シマシテ、少カラズ私ハ之ヲ遺憾
トシ、何トカシテモツト實際方面トノ接觸
ニ努メ、且ツ出來得ル限リ天下ノ知識、經
驗技術等ヲ吸收利用セラレンコトヲ切望
ニ堪ヘマセヌ(拍手)然ラザレバ如何ニ企畫
院ノ機構ヲ擴大シ、强化致サレマシテモ、
其ノ結果ハ知ルベキノミデアリマス、現在
一部世間デ同院ノ擴大强化ヲ望マザル言說
ノ少クナイノハ主トシテ其ノ邊カラ來テ
居ルノデアリマスルガ故ニ、政府ニ於テハ
深ク思ヲ其處ニ致サレマシテ、同院本來ノ
使命達成ト機能發揮トニ格別ノ留意監督ア
ランコトヲ要望シテ已マザル者デアリマ
ス(拍手)
以上申述ベマシタ如ク、我ガ對外貿易竝
ニ物資輸入力ノ關係ヨリ、本十四年ノ一般
民需ハ一層制限ノ强化ニ逢ヒ、恐ラク國內
消費向ノ原材料輸入ハ、徹底的ニ制限ヲ受
クルノ已ムナキニ至ルベシト考ヘラレルノ
デアリマス、サウ致シマスレバ國內消費商
品ノ缺乏ヲ激成致シマシテ、物價ノ騰貴ハ
必至ノ勢トナツテ來ル虞ガアリマス、而モ
公債ノ增發ニ連レテ、日銀手持高ノ增加モ
避ケラレナイヤウニ思ハレマスシ、延イテ
兌換劵ハ相當ノ增發ヲ餘儀チクセラレ、或
ハ本十四年中ノ平均發行高ハ昨年ニ比シテ
一二割ヲ增加スルノデハナイカト考ヘラレ
ルノデアリマス、此ノ通貨膨脹ノ趨勢ハ
又勢ヒ物價騰貴ヲ招來セズニハ置カナイノ
デアリマス
斯ク一方ニ物資ノ不足ガアリ、他方ニ通
貨ノ增發ガアルノデアリマスカラ、物價ノ
騰貴ハ殆ド不可避的ニモ考ヘラレルノデア
リマシテ、自然之ニ對スル適當ノ對策ガ特
ニ力强ク要望セラレルノデアリマス、實一
此ノ物價對策コソハ現下ノ最モ重要ナル問
題デアリマシテ、財政計畫モ、物動計畫モ、
國民經濟モ、生活問題モ、其ノ他各般ノ前
途ニ影響ヲ致シ、我國ガ果シテ能ク此ノ支
那事變ヲ處理拾收スルコトガ出來ルカ否カ
ノ分岐點ヲ成スモノト言フベキデアリマス
(拍手)此ノ物價對策ニ付キ商工大臣ガ物價
委員會ノ改善擴充ヲ御圖リニナリ、池田成
彬氏ヲ會長ニ推薦シ、組織ノ整備、委員ノ
充實等ヲ圖ラレマシタコトハ洵ニ機宜ノ
御處置デゴザイマシタガ、私ハ此ノ委員會
ノ運用ニ付キマシテ、從來ノ如ク屬僚官吏
ノ手ニ成ル幹事中心主義トセズニ、民間ノ
知識經驗者ニ親シク對策ヲ立案セシムル等、
此ノ委員會ノ效用發揮ニ努メラレンコトヲ、
此ノ場合特ニ御勸メ申上ゲテ置ク者デアリ
マス(拍手)
尙ホ過日ノ生絲問題ニ付テ見ラレル如ク
ニ、農林省ハ資源ヲ統制致シ、商工省ハ製
品ヲ統制スルト云フガ如キ、、現在ノ行政機
構ノ下ニ於キマシテハ徹底シタル物價政
策ノ遂行ハ到底困難ヲ免レザルヤウニ存
ジマス、卽チ生絲ノ場合ニ於キマシテモ、
商工省ハ物價政策ノ見地カラ絲價ノ抑制
ヲ圖ラントシ、農林省デハ養蠶家保護ノ立
場カラ之ニ反對ヲスル、其ノ結果ハドウナ
ルカト云ヘバ、機業家ヲシテ困惑セシメ
養蠶家ヲシテ立往生セシメ、我國現下ノ蠶
絲業ニ對スル根本方針ノ混亂ヲ來スノデアリ
マス、忌憚ナク申シマスルト、今日マデ商工省
ノ執ツテ來ラレタ物價政策ト云フモノハ、是
ハ全面的ノ物價政策デナク、僅ニ生產過程
トシテノ最後ノ配給價格ヲ統制シタルニ過
ギナイ、局部的ノモノガ少クナイノデアリ
マスカラ、國策トシテハ洵ニ不徹底デアリ、
又各方面ニ無用ノ摩擦相剋ヲ惹起シタト考
ヘルノデアリマス、物價政策ト致シマシテ
ハ、原料カラ配給マデノ一貫シタ權限ガ與
ヘラレ、且ツ政府各省間ノ權限ノ對立ヤ、
生產力擴充ニ關スル意見ノ相違等ガアルヤ
ウナコトデハ其ノ效果ハ到底十分ニ之ヲ
期待スルコトガ出來ナイノデアリマス(拍手)
今度物價委員會ノ更生ニ當リマシテ、特上
此ノ點ヲバ首相タル平沼男爵ニ御考慮ノ程
ヲ煩ハスモノデゴザイマス
最近遠カラズ「インフレ」ガ來ルノデハナ
イカ、斯ウ云フヤウナ豫想ガ一般國民ノ腦
裡ヲ支配セントスル傾向アルヤニ見受ケラ
レマス、是ハ洵ニ容易ナラザル由々シキ大
事デアリマス、政府ハ宜シク在來ノ祕密主
義ヲバ一擲シテ、出來得ル限リ實情ト政府
ノ決意ノアル所ヲ國民ニ知ラシムルコトニ
依リマシテ、此ノ傾向ノ未ダ甚ダシカラザ
ル內ニ、是ガ解消ヲ圖ランコトニ努力セラ
レンコトヲ要望致シマス、物價ノ騰貴、闇
取引ノ横行、物資ノ不足、通貨ノ膨脹、大
衆購買力ノ增大等、數へ來レバ火ノ燃付ク
素因ガ悉ク揃ツテ居ルノデアリマスカラ、
政府ニ格別ノ御用意アランコトヲ、此ノ際
特ニ警告致シ置ク次第デアリマス(拍手)
飜ツテ支那事變以來國民各層ノ受ケタ影
響ヲ見マスルト、其ノ間ニ著シキ差等ガア
ルノデアリマス、一方ニハ原材料ヲ手ニ入
レ難キ所カラ、不慣レナル他業ニ轉換ヲ餘
儀ナクセラレ、收入ノ激減セル者、又轉業
スルコトサヘ出來ズシテ僅ニ口ヲ糊スル者、
其ノ他幾多悲慘ナル事例ヲ目睹スル半面ニ、
他方ニハ殷賑產業ト稱セラルル部門ガアツ
テ驚クベキ好景氣ヲ誇リ、其ノ從業者ハ
不釣合ナ給料「ボーナス」配當等ヲ得テ、
謂ハバ榮耀榮華ヲ極メテ、此ノ世ノ春ヲ謳
歌シツツアル事實デアリマス、事變ノ際ニ
ハ此ノ種ノコトハ動モスレバ起リ勝ノ現象
デハゴザイマスガ長期ニナリマスト之ヲ
打捨テテ置ク時ハ、重大ナル社會問題ヲ惹
起ス虞ナシト致シマセヌ(拍手)現ニ各處ニ
於キマシテ吾々ハ何等ノ罪モナク政府ノ政
策ノ御蔭デ十分働クダケノ原料モ材料モ與
ヘラレズ、粥モ啜レヌ程難澁ヲシテ居ルノニ、
彼等ハ政府ノ恩惠デ儲ケ放題ニ儲ケテ、贅
澤三味ヲスルトハ何事デアルカ、國民一般
ガ一樣ニ受ケル苦シミナラバ如何樣ニモ
堪ヘ忍ブケレドモ、斯ル不公平ナ取扱デハ
辛抱ニモ限リガアルト、悲憤慷慨シテ居ル
者ガ少クゴザイマセヌ(拍手)實際サウシタ
不公平ガドレダケ社會ヲ茶毒シ、人心ヲ險
惡ナラシメ、政治ヲ呪咀セシメテ居ルカ分
リマセヌ、平沼首相ハ過日「政治ノ要ハ萬
人ヲシテ其ノ所ヲ得セシムルニ在リ」ト申
サレマシタガ、遺憾ナガラ事變以來物資ノ
統制ガ强化サレルニ連レマシテ、其ノ業ヲ
失ヒ、其ノ所ヲ得ザル者ノ多數ナルニ一驚セ
ザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)總親和ヲ
高調セラレル平沼內閣ニ取リマシテ、今日
此ノ景氣跛行ノ矯正コソハ、刻下喫緊ノ重
要問題ナリト信ジ、速ニ適當ノ對策ヲ講ゼ
ラレンコトヲ要望致ス者デアリマス(拍手)
一體國ヲ擧ゲテ血ミドロノ戰爭ヲシテ居
ル際ニ、殷賑產業ト云フガ如キモノハ全
クアリ得ベカラザル道理デアリマス、況ヤ
ソレガ軍需其ノ他政府關係ノ事業タルニ於
テ、一層然リト申サナケレバナリマセヌ(拍
手)若シモソンナニ儲カルモノデアリマス
ナラバ、當然請負價格ナリ、納入價格ナリ
ノ引下ヲ爲スベキモノデハアリマスマイカ
(拍手)儲ケ過ギル當業者モ宜クハアリマセ
ヌガ、斯樣ニ儲ケサセテ居ル監督者ノ側ニ
モ怠慢ノ責ナシトハ申サレナイト存ジマス
(拍手)特ニ今日ノ我國ノ如ク鐵、石炭、工
作機械等ノ基礎的產業マデガ、非常ナル利
益ヲ得テ居リマスコトハ、是ハ實ニ間違ツ
テ居ルコトト存ジマス、斯クテハ何時マデ
經チマシテモ、我國ニ於ケル生產「コスト」ノ
下ル筈ナク、商品ノ對外輸出力ガ强メラレ
ル時期ハ到來致サナイノデアリマス、現下
ノ我國ニ於ケル輸出貿易ノ重要性ニ想到セ
ラレタナラバ、時局產業、特ニ各種基礎產
業ニ對シ、適當ノ調整ヲ加ヘラレンコトヲ
要望ニ堪ヘマセヌ
加之是ハ政治問題、社會問題ヲ離レテ、
單統ナル經濟問題トシテ考ヘテ見マシテ
モ、餘リニ利益ヲ擧ゲ過ギルコトハ結局
社內社外ノ分配ヲ增加セシメマシテ、生產
原價ヲ高メルコトニナリ、對外競爭力ト他
日ノ反動ニ備ヘル抵抗力ヲ弱メルコトニナ
ルノデアリマスカラ、此ノ點政府ニ於テ格
別ノ注意ヲ拂ハレ、能ク是等業者ヲシテ一
時ノ好景氣ニ醉フコトナク業礎ノ確立ヲ
爲サシムルヤウ、適切ナル方法ニ出デラレ
ンコトヲ要望スルモノデアリマス(拍手)
之ヲ要スルニ、本昭和十四年コソハ、我
國財政經濟上空前ノ大受難期デアルト考ヘ
ラレマス、國費ハ膨脹シ、生產力擴充資金
ノ需要モ增大致シマスルガ、人モ足ラヌシ、
物モ足リマセヌ、通貨ハ自然ニ增加シ、物
價ハ騰貴勝チトナリ景氣ノ跛行性ハ愈く
著シクナル情勢ニ置カレテ居ルノデアリマ
ス、斯ク考ヘテ參リマスルト、昭和十四年
ノ我國財政經濟政策ノ中心ハ、人的資源ノ
調整、勞銀規制ノ確立ト共ニ、第一、輸入
可能量ヲ增大セシムル爲、輸出貿易ノ振興、
貿易外受取勘定ノ增强、現送用量金銀ノ增
產集中利用等ヲ圖ルコト、第二、物資ノ不
足ヲ調整スル爲、生產力擴充計晝ノ促進、
物資統制ノ强化竝ニ改善、消費節約ノ徹底
等ヲ期スルコト、第三、物價ノ騰貴ヲ抑制
シ、且ツ適正價格ノ形成等ニ依リ、能フ限
リ之ヲ低下セシムル爲、物價委員會ノ改組
擴充、物價政策ノ改善强化、各種統制ノ合
理化竝ニ民衆化、闇取引竝ニ買思惑ノ絕對
禁遏、統制違反者ニ對スル追徵金制度ノ創
始必要ニ應ジテハ消費者ニ對スル切符制
度ノ採用ヲ斷行スルコト等デアラウト考ヘ
ルノデゴザイマス、而シテ其ノ何レモガ至
難ノ問題デアルト同時ニ、是ガ根本的解決
ト致シテハ結局軍事費ト、國家財政ト、
國民經濟トノ綜合的調整ヲ圖ルコトニ依ツ
テノミ達成セラレルノデハナイカト考ヘマ
ス(拍手)卽チ今後ノ軍事豫算ハ事變處理ト
國防充實ニ必要ナル金額ヲ計上セネバナラ
ヌコトハ勿論デアリマスルガ、併シ是ガ計
上ニ當リテハ國民經濟ノ伸張ヲ壓迫スル
虞ハナイカ、延イテ對外輸出貿易等ヲ阻碍
シ、民力ヲ弱メ、却テ將來ノ軍事費調達等
ヲ困難ナラシムルガ如キコトナキヤ等ヲ十
分ニ考慮シ、其ノ上ニテ按排決定セラルベ
キモノデアラウト存ズルノデアリマス
輸出貿易ノ增進コソハ國力增進、民力象
徵ノ「バロメーター」デアリ、對外輸入力ヲ
擴大シテ、重要ナル必需物資ヲ獲得スベキ
最大ノ方途デアリ、能ク國民經濟力ニ培ヒ、
長期建設ノ大業ヲ遂行セシムル不可缺ノ要
素デアリマス、隨テ將來軍事費ノ關係ヨ
リ、萬一ニモ輸出貿易ノ增進ニ必要ナル原
材料ノ輸入ヲ制限シ、又窮屈ナラシメ、共
ノ結果輸出減退ヲ招カザルヲ得ザルガ如キ
事象ガ起ラント致シマシタナラバ、其ノ時
コソハ軍事豫算ノ計上ガ限界點ニ到達シタ
ルモノトシテ適宜之ヲ調節セラルベキモ
ノデアラウト考フル次第デアリマス
私共ハ現內閣ヲ信賴シ、現內閣ト協力ス
九段階玆ニ此ノ追加豫算案外二件ニ對シ、
何等ノ削除又ハ修正ヲ爲スコトナク、無條
件ニ贊成致ス者デアリマス、併シ政府ニ於
カセラレテハ今日此ノ厖大ナル國費ノ消
費者タル立場ニ在ルコトヲ十分ニ自覺セラ
V、是ガ使用ニ當リテハ一錢一厘ノ微ト雖
モ之ヲ苟モセズ、其ノ實施運用ヲ公平適正
三ヽ、且ツ苟且ニモ濫費又ハ無駄無效等ノ
使途ナキヨウ最善ノ注意ヲ拂ハレ、以テ今
日多數國民ガ非常ナル困苦缺乏ニ耐ヘテ
孜々營々努力セル事實ニ鑑ミ、速ニ事變目
的ノ達成ニ努メラルルト共ニ、時局拾收ニ
萬違算ナキヲ期シ、斯クシテ出征將兵諸士
ノ盡忠報國ノ尊キ犠牲ト銃後國〓ノ赤誠勞
苦ニ報ヒ冀クハ東洋永遠ノ平和ヲ確立ス
ルニ至ラシメンコトヲ切々要望シテ、私ノ
討論ヲ終ル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 永山忠則君
〔永山忠則君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=14
-
015・永山忠則
○永山忠則君 私ハ第一議員倶樂部ヲ代表
致シマシテ只今議題トナツテ居リマスル
昭和十四年度歲入歲出總豫算追加案外各案
ニ對シマシテ、贊成ノ意見ヲ述ブル者デゴ
ザイマス、日本國民ノ全關心ガ今ヤ支那事
變ノ處理ニ集中シテ、第七十四議會ノ有ユ
ル態度行動ガ國民注視ノ的トナツテ居ルコ
トハ申スマデモアリマセヌ、更ニ此ノ議會
ノ豫算、總テノ法案、總テノ言論ガ、廣ク
世界列强ノ注視ト關心トヲ喚ビ起シテ居ル
ノデアリマス、此ノ秋ニ當リマシテ本院ハ
過般ハ旣ニ一般會計豫算三十六億九千四百
万圓、及ビ臨時軍事費豫算追加四十六億五
百万圓ヲ議決シ、更ニ只今東亞ノ運命ト世
界史ノ動キニ重大ナル影響ヲ持ツ、陸海軍
關係追加豫算ヲ含ム昭和十四年度歲入歲出
總豫算追加九億一千万圓餘、及ビ總額七億
圓ノ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ニ關
スル件ヲ無條件通過セシメルコトハ吾々
ノ念願トスル所デアリ、且ツ滿腔ノ誠意ヲ
披瀝致シマシテ贊成スル者デアリマス、ガ
併シ是等ノ豫算ガ單ニスラ〓〓ト本院ヲ通
過スルノミデアツテハ、全國民ノ赤誠ニ副
フ所以デハナイト思フノデアリマス、此ノ
厖大ナル豫算ガ今後難ナク遂行サレマシテ、
公債モ順調ニ消化サレルシ、サウシテ聖戰
目的ヲ貫徹シ、東亞永遠ノ平和ト世界新秩
序ノ建設トガ出來テコソ、本案通過ノ重大
ナル意義ヲ持ツモノデアルト思フノデアリ
やっ、然ルニ明年度豫算ハ近ク政府ガ更ニ
提出セントスル追加案等一切ヲ合計致シマ
スレバ總額ガ九十四億圓ヲ突破致スノデ
アリマス、今年度ノ八十三億六千万圓ニ比
較シマスト、十億圓以上ノ增加トナリマス、
公債發行モ亦約六十億圓ガ豫定サレテ居リ
マシテ、本年度ノ公債五十六億圓ニ比較シ
マシテ、數億圓ノ增加ガ免レナイノデアリ
やく、加フルニ物資ノ供給狀態ハ、今年度
ハ昨年度ヨリモ「ストック」ノ減少、生產力擴
充ノ强化、長期建設ノ資材要求等ニ依リマ
シテ、一層窮屈ニナルト思フノデアリマ
ス、而モ物價騰貴ハ之ニ拍車ヲ掛ケテ居リ
マシテ、輸出阻止ヲ免レ難イ狀態デアルノ
デアリマス、輸出減退ハ必然的ニ輸入力ヲ
弱メマシテ、物資ノ供給力ハ一層壓迫セラ
レルニアラズヤト憂慮セラレルノデアリマ
ス、物價騰貴ニ應ジマシテ、通貨ノ日銀還
流ハ減少シ、公債消化ニモ不安ガ滿チテ居
ルノデアリマス、故ニ政府ハ本案ノ通過ニ
際シマシテ、特ニ異常ナル決意ヲ以テ國民
ノ精神ヲ强度ニ引締メテ、現在ノ部分的、
局部的、應急的統制ヲ、計畫性ヲ持ツ全面
的統制ト爲シ、舊來ノ個人主義的自由主義
諸機構ヲ公益優先ノ原則ヲ基調トシテ編成
替ヲ爲シ、內外庶政ノ革新ヲ斷行致シテ、
國家總力戰ノ體制ヲ確立シ、以テ本豫算ノ
圓滿ナル運營ヲ圖ルベキデアルト思フノデ
アリマス
先ヅ外交上ヨリ申シマスレバ、第一ニ援
蔣西歐諸國竝ニ其ノ傀儡タル蔣政權ト絕對
ニ妥協苟合的取引ヲ排除スベキコトデアル、
第二ニハ盟邦獨伊其ノ他ノ全體主義國トノ
提携ヲ强化擴大致シマシテ、單ニ精神文化
協定ニ止マラズ、經濟提携、軍事提携ノ積極
的工作ニ出ヅベキデアルト思フノデアリマ
ス、支那事變ノ本質的目的ハ東亞新秩序ノ
建設デアリ東亞舊秩序ノ超棄〓算デアリ
マスカラ、是マデ東亞ノ秩序ヲ腐蝕シ、重
壓シ、脅威シテ來タ西歐列國ノ白色、赤色
帝國主義トハ日本ハ絕對ニ腐レ緣ヲ斷絕ス
ベキデアルト思フノデアリマス、又支那事
變ノ目的ハ東亞カラ一切ノ西歐文化ノ病的
缺陷ヲ排除シ、全體主義協同理想ノ下ニ、
新タナル東亞協同體ヲ建設セントスルモノ
デアリマスカラ、援蔣西歐諸勢力竝ニ其ノ
指導的影響下ニアル抗日蔣政權トノ妥協ハ
絕對ニ想像シ得ナイノデアリマス、更ニ支
那事變ノ本質ハ、東亞新秩序ノ創造デアル
ト同時ニ、世界新秩序ノ建設デアリ、世界
文化再建ノ爲ニ鬪ヒツツアルコトヲ思ヒマ
ス時ニ、我々ハ世界文化戰、思想戰ノ建前
カラ云ツテモ、防共ノ盟邦獨伊其ノ他全體
主義諸國トノ防共提携ヲ强化擴大スベキデ
アルト思フノデアリマス、共產主義ハ防衞
スベキデハナク滅却セシムベキデアリマス、
故ニ防共ノ盟邦ニ對シテハ、單ナル精神的
文化協定以上ニ、經濟防共、軍事防共ノ積
極的工作ヲ爲スベキデアリマス、今ヤ外交
ハ單ナル外交文書ノ交換技術デハナクナリ
マシタ、思想ハ感激ヲ以テ相結ビ、經濟ハ
有無相通ジテ互助連環スベク、相信賴シテ
相互ニ呼應スベキデアリマス、此ノ基礎ナ
クシテ眞ノ外交、眞ノ國際協力ハアリ得ナ
イト信ズルノデアリマス
次ニ國內庶政革新ニ關シマシテ政府ニ要
望致シタイノデアリマス
第一、國民ノ戰爭過程ニ於ケル犧牲均衡
ノ問題デアリマス、我々ハ勿論唯物主義、
階級主義、個人主義ノ立場カラ、此ノ問題
ヲ取上ゲテ居ルノデハアリマセヌ、唯戰爭
成金ノ出現ノ如キ事實、又ハ此ノ傾向ガア
リトスレバ、ソレ自身ガ道義日本ノ最大ノ
恥辱タルコトヲ確信スルカラデアリマス
然ルニ今ヤ都市及ビ殷賑產業部面ニ於テハ、
國民精神ノ緊張ヲ缺キタルモノアルヲ見受
ケ、都市ノ繁盛ニ比シテ農漁山村ノ疲弊其ノ
極ニ達シ、軍需產業ノ殷賑ニ較ベテ平和產業
ノ犠牲中小商工業者ノ困憊ハ甚ダシク、目ヲ
蔽フモノガアルノデアリマス、官吏、銀行、大
會社、將校、〓員ノ應召家族ノ俸給全額給與
ニ依ル銃後生計ハ、農漁山村、中小商工業者、
勤勞階級ノ銃後生活ニ比スベクモナイノデ
アリマス、斯クテ滅私奉公ハ下ニ强ク、犧
牲ノ不均衡ハ益〓く增大致シテ居ルノ感ガア
ルノデアリマス、故ニ政府ハ此ノ犠牲不均
衡ノ是正ニ關シマシテ、第一舊來ノ國民精
神總動員運動ガ單ニ新舊官僚ノ說〓運動
ニ轉落シテ徹底ヲ缺キ、時局ニ惠マレザル
國民大衆層ニノミ强キ精神緊張ヲ喚起シタ
ルニ過ギザル點ニ留意シテ、政府ハ此ノ運
動ヲ全面的ニ再檢討シテ官僚ノ說〓主義
ヲ改メテ、天皇陛下萬歲ヲ叫ンデ戰死スル
日本魂ヲ樞軸トスル職場中心ノ產業、又ハ
農業報國運動、竝ニ組織的計畫性ヲ持ツ消
費節約、貯蓄獎勵、廢品囘收、獻納金等ノ
奉公運動ニ轉換シ、各種團體ヲ總合統一シ
テ運動ノ機能ヲ根本的ニ刷新スベキデアリ
マス
又平和產業、犠牲產業、失業對策ハ舊來
ノ如ク慈善事業的社會行政ノ「イデオロ
ギー」ニ於テ消極的、應急的處置ヲ執ラズ
シテ根本的ニ職業分野ノ再編成、中小商
工業者ノ全面的能率的再組織ニマデ發展シ
テ、國家ノ生產擴充政策ノ一環トシテ、積
極的產業行政ノ範疇ニ於テ十分對策ヲ講ズ
ベキデアリマス、又速ニ中央地方ヲ通ジテ
稅制ノ根本的改革ヲ斷行シ、謂フ所ノ負擔
均衡ト增稅工作ニ萬全ヲ期セラレタイノデ
アリマス、更ニ銃後後援ノ組織化ト積極化
ニハ、最モ徹底的ナル處置ヲ執ラルベキコ
トハ贅言ヲ要セナイノデアリマス
國內革新ノ第二トシテハ、國家革新ノ基
調ヲ成シ、且ツ事變處理上絕對不可缺タル
國家總動員ノ逐次發動ヲ爲スベキコトデア
リマス、卽チ先ヅ第一ニ生產力擴充ノ爲
國家總動員法第八條ヲ發動シテ、重要物產
ノ增產配給ノ圓滑ヲ期シテ、不急不要方面
ニ對スル使用消費ノ抑制ヲ斷行シナクテハ
ナリマセヌ、生產力ノ擴充ニ特ニ重大ナル
關係ヲ持ツモノハ言フ迄モナク金融デアリ
マス、然ルニ今日此ノ金融機構程自由主義其
ノ儘ノモノハナイノデアリマス、ヨリ多ク
ノ利潤ト、ヨリ多クノ安全性トガ、金融機
關ノ最大關心事トナツテ居ルノデアリマス、
預金者保護ト金融機構ノ安定トガ大藏省
ノ金融行政ノ中心トナツテ居ルノデアリマ
ス、斯ウシタ自由主義的體制ノ下ニ、總動員
法第十一條ノ發動ハ骨拔ニサレテ居ルノデ
アリマス、更ニ戰時經濟體制ノ確立ニ關シマシ
テハ、物價統制、貿易管理、配給統制、消費統
制等ノ强化ハ絕對的デナクテハナリマセヌ、
物價給制ハ全面的ニ、而モ積極的ニ行ハルベ
キデアリ、ソレハ正常價格ノ形成ニマデ發展
スベキデアリマス、隨テ家賃、地代、運賃
其ノ他ノ統制ノ必要ナルコト亦言ヲ俟チマ
セヌ、而モ今ヤ物價ハ騰勢ニ次グニ騰勢ヲ以
テシテ、闇取引ハ公然ト隨處ニ橫行シテ居ル
ノデアリマス、重要農產物ノ價格ハ上昇ヲ
抑制サレテ居ルニモ拘リマセズ、其ノ生產
資材タル肥料、飼料、農具、運賃、勞働賃
等ハ驚クベキ昂騰ヲ續ケテ、肥料農具ノ一
部ノ如キハ、市場ニ其ノ姿ヲ沒セント致シ
テ居リマシテ、戰時下日本經濟ノ唯一ノ誇
トサレテ居ル食糧原料ノ自給サヘ、不安ヲ
感ゼラレント致シテ居ルノデアリマス、而
モ尙ホ總動員法第十九條ハ眠ツテ居ルノデ
アリマス、貿易ノ統制ハ殆ド全ク輸出入
品臨時措置法ニ委ネラレテ居リマシテ、總
動員法第九條ハ、第三國貿易ガ五億四千万
圓以上ノ支拂超過ヲ算シテ、日本金政策ノ
重大轉機ニ立ツニ至リマシテモ、尙ホ發動
サレテ居ナイノデアリマス、政府ハ計畫經
濟ノ必要ヲ主張シナガラ、總動員法第十七
條モ十八條モ眠ラセテ居ルノデアリマス
凡ソ國家經濟ノ編成替ニ必要不可缺ナル基
礎工作ハマダ尙ホ多ク未著手デアルノデア
リマス、政府ハ速ニ國家總動員法ヲ逐次發
動シテ、舊來ノ營利採算ヲ第一義トスル資
本主義的生產擴充ハ、最早現段階ノ飛躍的
生產擴充ヲ擔當シ得ザルコトヲ認識シテ、
公益優先ノ原則ヲ樞軸トスル國民的計畫經
濟機構ノ確立ニ邁進スベキデアリマス、總
動員體制ノ確立ニ當リマシテ次ニ考フベキ
コトハ、行政機構ノ改革、官吏制度ノ刷新ヲ
斷行スルコトデアリマスガ、之ニ對シマシ
テハ小笠原及ビ宮澤兩氏ヨリ適切ナル議論
ガアリマシタカラ、私ハ省略致シマス唯
之ニ附隨シテ要望シタイコトハ官吏ノ再
〓育ヲ爲スコトデアリマス、現在ノ官僚ハ
悉ク個人主義的自由主義〓育ヲ受ケ、自由
主義ノ精神ヲ擁護シテ而モ全ク再檢討、
再批判ノ機會ヲ與ヘラレテ居ナイノデアリ
さい、時局ガ重大デアリ官僚ガ大ナル權力
ヲ持ツテ居ルダケニ、此ノ際特ニ官僚ニ新
シイ時局認識ヲ叩込ンデ、再〓育、再訓練ヲ
行ハナクテハナラヌト思フノデアリマス
國內革新ノ第三ハ、政治體制刷新ヲ圖ル
コトデアリマス、政治ハ正義デアリマスガ、
正義ソレ自身ハ力デハナイノデアリマス
讀ムベキ「コーラン」ハ劍ニ依ツテノミ讀マ
サレル、現內閣ガ躍進日本ノ此ノ重大時局
ヲ擔當セントスルナラバ旣成ノ「イデオ
ロギー」ニ腐蝕サレズ、旣成ノ力ニ押潰
サレナイ、純眞ニシテ强力ナル政治的力ヲ
用意セネバナリマセヌ、革新トハ政治ノ性
格ヲ再組織スルコトデアリマス、斷ジテ枝
葉末節ノ統制技術デハアリマセヌ、此ノ政
治的性格ノ刷新コソ、現內閣ニ投付ケラレ
タ最モ大ナル課題デアリマス、今ヤ現在ノ
政治體制ヲ其ノ儘ニシテ置クコトガ、政界
ヲシテ驚クベキ低調ト、悲シムベキ混迷ト
ニ支配セシメテ居ルノデアリマス、支那問
題ハ是ニ於テ實ニ日本ノ國內問題デアリマ
ス、日本ノ國內問題ハ卽チ日本政治ノ低調
ト混迷ノ問題デアリマス、東亞問題解決ノ
立場カラ此ノ政治ノ低調ト混迷ヲ克服シテ、
大和島根ニ皇道ノ理想ヲ高ク揭ゲテ、全日
本ノ隅々マデ一ツノ理想、一ツノ感情ノ下
ニ、積極的ニ躍動スル新政治體制ヲ確立ス
ルコトコソ、緊要事デアルト信ズルノデア
リマス
最後ニ平沼首相ニ特ニ要望シタイコトハ、
庶政革新斷行ノ決意ニ付テデアリマス、革
新ハ支那事變解決ノ最モ緊要ナル條件デア
リマス、故ニ私ハ首相ノ唱道サレル總親和
總努力トハ、全國民ノ總親和總努力ヲ實現
スル爲ニ、有ユル革新ヲ斷行サルル事デア
ルト信ジタイノデアリマス、往年ノ平沼首
相ハ其ノ道ヲ明ニスルコトヲ信念トセラレ
タノデアリマス、日本革新ノ急務ナルコト
ヲ痛感シテ、自ラ率先シテ國本社ヲ結成サ
レタノデアリマス、此ノ平沼首相ガ非常時
日本ノ第一線ニ蹶起サレタノデアルカラ、
日本朝野ハ竊ニ近衞革新「イデオロギー」ノ
實踐强化ヲ期待シタノデアリマス、然ルニ政
府ノ聲明ハ相次イデ發セラレ、相次イデ國
民ヲ失望サセマシタ、總テガ旣成ノモノノ
尊重デアリ、總テガ現狀維持デアリマス
併シ私ハ聰明ナル平沼首相ガ、日本戰時ノ
此ノ時機ニ於テ、東亞再建ノ眞ノ氣魄ト方
策トヲ呈示スルコトヲ忘レラレタトハ想像
シ得ナイノデアリマス、現内閣ガ議會切拔
ケヤ株式相場ノ騰落ニ意ヲ用ヒ過ギテ、國
內革新ヲ爲サズ、個人主義的自由主義諸機
構ヲ、國體ノ本義ニ則ツテ公益優先、滅私
奉公ノ原則ヲ基調トスル新體制ニ編成替ヲ
行ヒ得ナイトシタナラバ、國民ノ相剋摩擦
ハ最モ深刻トナリ、矛盾ノ爆發ガ最モ大規
模ニ起ルコトヲ憂慮スル者デアリマス、其
ノ道ヲ明ニスルハ今デアリマス、首相ハ將
來大規模ノ摩擦ヲ芟除スル爲、當面若干ノ
困難ヲ排シテ思切ツテ國家ノ爲、眞ニ長
期戰ニ備ヘル爲ニ、行政其ノ他庶政ノ革新
ヲ斷行シ、速ニ聖戰目的ヲ達シテ、東亞新
秩序ノ建設ニ邁進サレンコトヲ要望致シマ
シテ、本案ニ贊成致スノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=15
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016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 河野密君
〔河野密君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=16
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017・河野密
○河野密君 私ハ只今議題トナリマシタル
昭和十四年度歲入歲出總豫算追加案外二件
ニ對シマシテ、社會大衆黨ヲ代表シテ簡單ニ
贊成ノ意思ヲ表示セントスル者デアリマス
太平洋上波漸ク高ク、歐洲ノ風雲轉タ
急ヲ告ゲ、極東ノ天地益〓多事ナラントス
ル秋ニ當リマシテ、國防ノ完璧ヲ求ムル
ハ九千万日本國民一人殘ラズノ要望デアル
ト信ズルノデアリマス、私ハ是等ノ要望ヲ
體シテ、此ノ案ニ贊成スルノデアリマスル
ガ、此ノ軍事豫算ハ五箇年若クハ六箇年ノ
計畫ヲ含ムモノデアリ、之ニ依ツテ新國防
計畫ガ樹立セラレ、國防ノ安全感ガ玆ニ與
ヘラレマスルコトハ、國民ト共ニ洵ニ喜ビ
ニ堪ヘナイノデゴザイマス、併シナガラ本
豫算案ノ遂行ニ當リマシテハ生產力ノ擴
充、物動計畫ノ之ニ伴フモノガナケレバナ
ラズ、公債ノ消化、物價騰貴ノ抑制、
日滿支ノ「ブロック」經濟ノ確立、國際收支
ノ適合、貿易ノ振興等ノ問題ガアルノデア
リマシテ、之ヲ支障ナク實現スル爲ニハ
國內諸般ノ改革、殊ニ行政機構ノ改革、
產業組織ノ再編成ハ不可避ナリト信ズルノ
デアリマス、卽チ問題ハ國防計畫其ノモノ
ノ內容ニアラズシテ、之ヲ支障ナク實施シ
得ル爲ノ經濟上ノ諸方策全キヤ否ヤノ點ニ
アリト信ズルノデアリマス(拍手)私ハ此ノ
點ニ於キマシテ經濟上ノ諸方策ニ關シテ、
政府ニ對シテ二三ノ警告ヲ發セントスル者
デアリマス
第一、本豫算案ハ曩ニ協賛ヲ與ヘマシタ一
般會計豫算、臨時軍事費豫算、及ビ次ニ踵
ヲ接シテ提出セラルベキ追加豫算案ト合計
シテ、百億ニ垂ントスル厖大ナ豫算デアル、
所謂百億豫算ヲ形成スル其ノ一部デアリマ
ス、一口ニ百億豫算ト申シマスガ、是ハ我
國ノ財政史上ニ於ケル所ノ未曾有ノコトデ
アリマシテ、之ヲ實行ニ移スニ當ツテハ、
我ガ國民生活ノ上ニ大ナル變化ノ起ルコト
ニ對シテ、政府ハ十分ナル覺悟ヲ持タナケ
レバナラナイト信ズルノデアリマス(拍手)
第二、本年度ノ豫算編成ハ極メテ變則的
デアリマシテ、一般會計豫算、臨時軍事費豫
算本追加豫算案、及ビ次ニ來ルベキ追加
豫算案等、三本建若クハ四本建トナツテ居
ルノデアリマス、當面ノ軍事豫算ニ付テ見
マスモ三本建トナツテ居ルノデアリマス
斯ル厖大ナル追加豫算ヲ提出スルト云フコ
トハ議院法ニ豫算ノ審議期間ガ明記セラ
レテ居ル以上、明ニ常道ニアラズト考ヘル
ノデアリマス(拍手)ケレドモ吾々ハ單ニ形
式ヲ問題トスルノデハゴザイマセヌ、斯ノ
如ク複雜ナル豫算形式ヲ必要トスルニ至ツ
タノハ、現下ノ我國ノ情勢ガ複雜デアリ
之ヲ反映シタモノニ外ナラナイノデアル、
卽チ今日ノ事態ハ戰爭遂行ノ爲ニハ臨時軍
事費豫算ヲ必要トシ、戰後ニ備へ複雜ナル
國際情勢ニ應ズル爲ニハ追加豫算ヲ必要ト
シ、銃後ノ對策ノ完璧ヲ期スル爲ニハ後ニ
來ルベキ第二ノ追加豫算ヲ必要トスルト云
フ、斯ル複雜ナル情勢ニ當面シテ居ルノデ
アリマス、戰時體制ト準戰時體制トヲ同時
ニ實施シ、戰爭ト建設トヲ相竝行シテ行ハ
ナケレバナラヌト云フ、困難ナル我國ノ立
場ヲ反映シテ居ルノガ本豫算ノ編成デアル
ト信ズルノデアル(拍手)隨テ本豫算ノ遂行ニ
當リマシテハ官民一致非常ナル努力ヲ要
スルノデアリマシテ、出來得ル限リ政府ハ
國策ノ大本、經濟計畫ノ實情ヲ率直ニ國民
ニ愬ヘテ、其ノ協力ヲ求メナケレバナラナイ
ト信ズルノデアリマス(拍手)、私ノ見ル所
ヲ以テスルナラバ、日本國民ハ世界ニ其ノ
比ヲ見ザル所ノ優秀ナ民族デアリマス、世
界ノ大勢ノ赴ク所ヲ察知シテ、大局ノ判斷
ヲ誤ルコトナク、常ニ政府ニ協力ヲ惜マザ
ル態度ヲ執ツテ居ルノデアル、今日我國ニ
於テ最モ缺ケテ居ルモノハ政府ノ態度デア
ル、政府自ラ我ガ日本國民ヲ信賴スルコト
ガ薄キ點ニアルト私ハ信ズルノデアリマス
(拍手)政府ハ事態ノ複雜性ニ鑑ミテ、此ノ
點ニ反省スル所ガナケレバナラナイト信ズ
ルノデアリマス
第三、我ガ國運ノ前途ヲ賭スル本年度豫
算ノ遂行ニ當リマシテハ物動計畫ノ之ニ
伴フモノアリヤ否ヤ、生產力擴充ノ之ニ伴
フモノアリヤ否ヤ、公債政策ノ前途如何、
食糧政策、勞働力保持政策ニ果シテ瑕疵ナ
シヤ否ヤト云フコトガ重大ナル問題デアリ
Wく 、世人或ハ申シマス、今日此ノ非常時
局ニ際シマシテ、或ル程度マデ一般大衆ノ
生活ヲ犧牲ニスルコトハ已ムヲ得ナイノデ
アル、私達モ勿論之ニ對シテ其ノ必要ナル
コトヲ認メル者デアリマスケレドモ、戰時、
準戰時ニ當ツテ最モ必要ナルモノハ〓糧政
策デアリ、勞働力ノ保持ノ政策デナケレバ
ナラヌト信ズル者デアリマス、戰時社會政
策ノ實施ガ不可避ナルモノト吾々ガ考ヘル
所以ハ此ノ點ニアル、多クノ人々ガ申シマ
ス如ク、我國ニ於テハ食糧ノ自給ヲ爲スコ
トガ出來ル、食糧政策ニ安全ナル限リニ於
テ惡性「インフレ」ハ起ラズト云フノガ、總
テノ學者ノ一致スル見解デアリマス、大藏
大臣モ亦屢、同ジ見解ヲ豫算總會ニ於テ、
或ハ其ノ他ノ委員會ニ於テ披瀝セラレテ
居ルノデアリマス、シテ見ルナラバ此ノ
〓糧政策ノ確保ナルモノハ今日ニ於ケ
ル重大ナル問題デアル、吾々ハ米ノ增產
計畫ヲ目指ス所ノ農村土地政策ノ改革ヲ主
張スルノハ其ノ故デアル、農具、肥料、飼料
等ノ配給統制ヲシテ、農村生產力派保ノ爲
ニ社會政策ノ卽時實施ヲ要望スル所以モ、
其ノ點ニアルノデアリマス、更ニ勞働ノ生
產力擴充ハ現下ノ緊切ナル重大事デアリマ
ス、熟練工保持ノ問題、勞働時間適正化ノ
問題、靑少年、婦人勞働者ノ保護問題ハ、
緊切ナル重大ナル問題デアリマス、今日十
四時間、十五時間、或ハ無交代ニ三十六時
間連續勞働ト云フガ如キコトガ、軍需殷賑
產業ノ方面ニ於テハ行ハレツツアルノデア
リマスルガ、其ノ結果工場災害ハ年ヲ逐ウ
テ增大シ、勞働强化ニ依ル所ノ一般勞働大
衆ノ體位ノ低下ト云フモノハ、由々シキ大
問題トナリツツアルノデアリマス、吾々ハ
政府ハ此ノ點ニ對シテ深ク留意スル所アリ、
此ノ重大ナル時局ニ對シテ、速ニ勞働國策
ヲ樹立スベキ必要アリト信ズル者デアリマ
ス(拍手)
第四、財政計畫ノ前途ニ付テデアリマス、
新東亞ノ秩序ハ第三國トノ火ノ出ルヤウナ
經濟戰ヲ經過シナケレバナラナイノデアリ
そく、旣ニ諸君ノ御承知ノ如タ、去ル三月
十一日ヲ以テ北支ニ於テハ法幣ノ一般的ナ
ル流通ヲ禁止致シマシタ、是ト相呼應シテ
英國ガ一千萬磅ノ資金ヲ以テ法幣支持ニ乘
出シテ來タ事モ、是亦周知ノ事實デアリマ
ス、今ヤ中國ノ天地ヲ舞臺ト致シマシテ、
法幣ヲ中心トスル日本ト英吉利トノ間ニ於
ケル所ノ經濟戰爭ト云フモノハ、異常ナル力
ヲ以テ鬪ハレツツアルノデアリマス、經濟
戰ノ火蓋ハ旣ニ切ラレタノデアリマス、此
ノ問題ニ對シテハ財政變理ノ任ニ當ル所ノ
大藏大臣ハ特別ナル覺悟ヲ持タナケレバ
ナラナイト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)
大藏大臣ハ單ニ與ヘラレタル豫算ヲ經理ス
ル所ノ經理局長ヤ、會計課長デアツテハナ
ラナイノデアリマス、大藏大臣ノ今日ニ於
ケル任務ト云フモノハ一國ノ國務大臣ト
シテ財政經濟ノ實力ヲ見定メテ、政戰兩略
ノ基礎ニ對シテ財政經濟上ノ重大ナル指針
ヲ與ヘルコトガ、今日ノ大藏大臣ノ任務ナ
リト私ハ信ズルノデアル、外交ヲ以テ財政
ヲ扶ケ、財政ヲ以テ外交ヲ扶ケ、或ハ外交
ト、軍事ト、財政トノ間ニ於ケル緊密ナル
連絡ヲ取ツテ、三者三位一體ノ關係ニ於テ、
此ノ非常時ニ對應スルニアラズンバ、此ノ
重大時局ヲ乘切ルコトハ容易ナルモノデハ
ナイ、國民ノ憂フル所亦實ニ此ノ點ニ存ス
ルコトヲ、私ハ大藏大臣ガ再思三省サレン
コトヲ要望シテ已マナイノデアリマス(拍
手)
第五、本軍事豫算ハ東亞ノ新秩序ヲ建設
シ亞細亞諸民族ヲ歐米ノ桎梏ヨリ解放ス
ベキ使命ヲ持ツ所ノ、我ガ日本トシテハ當
然ニ拂ハネバナラナイ所ノ代償デアリマス、
英國ガ十五億磅ノ軍備擴充計畫ヲ以テ日本
ヲ威嚇シ、米國ガ二百億弗ニ垂ントスル所
ノ國防計畫ヲ以テ太平洋上ニ覇ヲ稱ヘント
スル時ニ當リマシテ、我國ガ此ノ種ノ軍備
擴張計畫ヲ企テルコトハ是ハ當然デアリマ
ス、ケレドモ前ニモ申述べタルガ如ク、
方ニ於テハ四十六億ノ臨時軍事費ヲ支辨
シ、三十七億ノ一般會計豫算ヲ持ツ我國ト
シテ、更ニ本豫算ニ基ク所ノ充實計畫ヲ實
施スルコトハ容易ナルコトデハナイノデア
リマス、隨テ此ノ豫算ノ遂行ニ當リマシテ
ハ、政府ニ於テモ單價ノ切下、軍需民需ノ
跛行是正等、有ユル努力ヲ捧ゲナケレバナ
ラナイト思フノデアリマス、殊ニ當面ノ目
標デアル大陸連絡ノ問題ニ當リマシテハ
細心ナル注意ヲ拂ヒマシテ、萬遺漏ナキヲ
期スル所ノ覺悟ガナケレバナラヌト思フノ
デアリマス、最近興亞院ガ設定ヲ致サレマ
シテ、北支、中支、南支、動モスレババラ
バラニナラントスル所ノ對支經濟、或ハ對
支建設政策ノ間ニ一貫セル統一ノ與ヘラレ
マシタルコトハ、洵ニ欣ビニ堪ヘナイノデ
アリマスガ、吾々ハ更ニ百尺竿頭一步ヲ進
メテ中國ニ新シイ中央政權ヲ樹立シ、日本
ガ此ノ新シイ中央政權ヲ中心ト致シマシテ、
萬事遺漏ナキ所ノ新中國ノ建設ニ向ツテ邁
進セナケレバナラナイト信ズルノデアリマ
ス
第六、本豫算ノ實施ニ伴ツテ國內改革ノ
不可避デアルト云フ點デゴザイマス、陸軍
海軍ノ總豫算ノ遂行ニ當リマシテモ、兩者
緊密ナル連絡ヲ保チ、各省割據ノ弊ヲ改メ、
苟モ冗費ニ涉ル如キモノハ之ヲ排除スル
所ノ覺悟ガナケレバナラナイノデアリマス、
支那事變以來物價ノ趨勢ハ駸々トシテ騰貴
シテ參リマシタ、是ハ今日ニ於ケル大問題
デアルコトハ、先刻來同僚諸君ノ申述ベタ
通リデゴザイマス、而モ此ノ物價騰貴ト相
竝ンデ增稅ノ問題ガゴザイマシテ、國民大
衆ハ物價騰貴ト增稅トデ、少ナカラザル生
活上ノ壓迫ヲ蒙リツツアル所ノ實情デアリ
やく、ケレドモ國民ハ本事變ノ遂行ニ當リ
マシテハ、支那事變ノ意義ニ鑑ミテ、喜ン
デ國家ニ犧牲ヲ拂ハントシツツアルノデア
リマス、增稅五億、五億ノ增稅ノ中、直接
大衆ノ肩ニ懸ル所ノ大衆負擔ハ正ニ二億デ
入地帽子、襯衣、「ハンケチ」砂糖等々、
衣〓住行ノ國民生活ノ基本タル所ノ日用必
需品ニ對シテモ、一割乃至一割五分ノ增稅
ガ課セラレツツアルノデアリマス、珈琲一
杯ニ對シテモ一割ノ課稅ガ課カル、テノ
茶ニモ一割ノ稅金ガ課カル、千本ノ燐寸ニ
モ五錢ノ稅金ガ課カルト云フヤウナ實情ハ
決シテ國民生活ニ取ツテ輕カラザル負擔デ
アルト私ハ信ズルノデアリマス、而モ我國
ノ國民ハ今次聖戰ノ目標ヲ認識シテ、唯々
諾々、默々トシテ國家ニ對シテ御奉公ヲ爲
シツツアルノデゴザイマス、國民ハ覺悟ヲ
決メテ今日二杯ノ飯ヲ一杯ニ減ラシテモ、
今次事變ノ遂行ノ爲ニ國家ニ忠誠ヲ誓ヒツ
ツアルケレドモ、爲政者ハ單ニ國民ノ犠牲
心ニノミ依賴スル所ガアツテハナラナイノ
デアル、國民ガ唯々諾々トシテ、默々トシ
テ國家ニ御奉公スルガ故ニ、晏如トシテ之
ニ賴ツテ居ルト云フコトデハ、政治家ノ任務
ハ盡スコトガ出來ナイノデアリマス、爲政
者ハ國民ノ言ハザル所ノ不平ヲ感知シ、無
聲ノ聲ヲ察知シテ、是等國民大衆ノ生活ニ
對シテ應フル所ノ途ヲ講ジナケレバナラス
ト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)
昭和七年以來我國ニ於テハ廣義國防ノ聲
ガ叫バレタノデアリマスルガ、事變ノ目的
遂行急ヲ〓グルヤ、廣義國防ノ聲ハ何時ノ
間ニカ高閣ニ東ネラレテ、狹義國防ガ之ニ
代ルカノ如キ感ヲ一般ニ與ヘツツアツタ
ケレドモ、事變ガ一應ノ段階ヲ經過シテ、
今ヤ長期建設ノ段階ニ立至ルモノトスルナ
ラバ、私ハ再ビ廣義國防ノ精神ヲ採上ゲテ、
軍備ノ充實ト國民生活ノ安定ト、此ノ兩者
兩々相俟ツテ、此ノ非常時ヲ乘切ル爲ノ根
本的ナル方策ヲ樹立スルコトガ、今日ノ急
務ナリト考ヘルノデアリマス(拍手)
此ノ秋ニ當リマシテ吾々ハ單ナル一片ノ
巷間ノ噂トシテ聞キ過シタイノデアリマス
ルガ、各官省ニ於ケル昨年ノ暮ニ於ケル「ボー
ナス」ノ問題等ガ、巷間ノ噂トシテ上リ
マシタコトハ吾々ノ洵ニ遺憾トスル所デ
アル國民ハ爪デ火ヲ點スヤウニシテ政府
ニ金ヲ投ゲ出シテ居ルノデアル、此ノ政府
ニ投ゲ出シタル金ト云フモノハ內閣諸公
ハ一厘一錢タリトモ、國民ノ汗ト膏トノ血
ノ滲ムヤウナル結晶デアルコトヲ考ヘテ、
苟モ其ノ使途ニ當ツテハ公明正大、國民ト
共ニ憂ヲ共ニスルガ如キ覺悟ヲ以テシナケ
レバナラヌト思フノデアル、然ルニ單ナル
噂ニモセヨ、巷間官省ノ「ボーナス」ト云フ
ガ如キコトガ問題ニナルコトハ、其ノ噂ヲ
聞クグケデモ吾々ハ戰時態勢ノ上ニ洵ニ遺
憾ニ堪ヘザルモノガアルノデアル(拍手)
更ニ私ハ增稅ノ問題ニ絡ンデ中產階級沒
落ノ問題ニ對シテ、政府ノ目ヲ向ケントス
ルモノデアリマス)增稅ハ其ノ最モ影響ス
ル所ハ中小商工業者、中產階級デアル增
稅ハ中產階級ヲ亡ストハ古來東西ニ亙ル所
ノ原則デアリマス、然ルニ今日中小商工業
者、中產階級ノ人々ハ一方ニ於テハ增稅
ノ重壓ヲ受ケ、一方ニ於テハ軍需工業ニ依
ル所ノ壓迫ヲ受ケテ、平和產業ニ於ケル
人々ノ慘狀ハ目ニ餘ルモノガアルノデアリ
マン、先般平沼内閣總理大臣ハ、中產階級
ハ我國ノ中堅ヲ成スガ故ニ、是等ノ人々ノ
生活ヲ安定スルコトハ國步艱難ノ時代ニ
於テ最モ急務デアルト御述ニナツタノデア
ル、私ハ平沼内閣總理大臣ガ單ナル一片ノ
言葉トシテ之ヲ述ベラルルノデナクシテ、
中產階級、最モ悲況ニ置カレテ居ル今日ノ
我國ノ中產階級ニ對シテ、救濟ノ手段ヲ講
ゼラレ、我國ノ社會狀態ヲシテ、ドツシリ
ト根ヲ据エタ所ノ安定性ヲ持タセラルル所
ノ方策ヲ講ゼラレルヤウ、最善ノ努力ヲ爲
サンコトヲ要望シテ已マザル者デアリマス
以上數項ノ點ヲ申述べマシテ、私ハ本豫
算案ニ贊成ヲスル者デアリマスルガ、重ネ
テ申シマス、太平洋上波漸ク高ク、極東ノ
風雲急ヲ〓ゲテ居ル時ニ、私ハ政府諸公ノ
加餐自重ヲ祈ルト共ニ、吾々亦政府ト共ニ
本豫算ノ遂行ニ當ツテハ、萬全ノ協力ヲ惜
シマザルモノデアルト云フコトヲ申述べマ
シテ、簡單ニ本豫算贊成ノ意思ヲ申述ベル
次第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=17
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018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小山亮君
〔小山亮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=18
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019・小山亮
○小山亮君 第二控室ハ本豫算成立ニ當ツ
テ國防ノ完璧ヲ期シ、長期建設計畫ニ違算
ナカラシムル爲ニ、豫算編成及ビ遂行上ノ
政府ノ態度ト決意ニ對シテ批判警告ヲ試ミ
ントスル者デアリマス
豫算總會ニ現ハレタル政府答辯中、最モ
吾々ノ納得シ得ザルモノハ、政府ノ第三國、
就中英佛ニ對スル所ノ態度デアリマス、世
界ノ平和ハ世界ノ新シキ秩序ノ建設ノ見
ルニアラザレバ斷ジテ永遠ノ平和ハアリ
得ナイノデアル、現狀ノ儘ニ置イテハ到底
世界ノ平和ハ望ミ得ナイ、東亞ノ眞ノ平和
ハ東亞新秩序ノ建設ノ遂行ニ依ツテノミ
初メテ期シ得ラレルモノデアルト信ズルモ
ノデアリマス、新秩序ヲ建設スル所ノ使命
ハ、東亞ノ安定勢力デアリ、文化ノ指導的
勢力デアル所ノ、而モ新秩序ヲ建設シ、之
ヲ維持スル實力ヲ把握スル、日本ノ實力ト、
計畫ト、指導トヲ俟タズシテハ、如何ナル
國ガ、如何ナル力ヲ以テシテモ、爲シ得ザ
ルコトハ餘リニモ明白ナル事柄デアリマス、
然ルニ眞ニ東洋ノ和平ヲ熱望スル我國ニ對
抗スル秩序ナキ、文化ナキ、實力ナキ支
那ニ於ケル抗日勢力ニ、事變當初ヨリ露骨
極マル軍事財政ノ援助ヲ試ミ、蔣政權崩壞
ニ向ヒツツアル今日ニ於テモ、尙ホ更ニ財
政的援助ヲ現實ニ行ヒツツアル所ノ英佛コ
ソ就中英吉利コソ、事變ノ根本的解決
ヲ徒ニ遲延セシメ、東亞諸民族ヲ混亂鬪爭
ノ渦中ニ投ゼントスル所ノ元兇デアルト私
ハ思フノデアリマス(拍手)東亞ノ秩序ハ其
ノ安定勢力タル日本ノ實力ニ俟タズシテハ
秩序ノ維持ハアリ得ナイ、此ノ現實ヲ無視
シテハ更ニ戰禍ト不幸トヲ增大スル以外
ニハ何等ノ效果ヲモ齎シ得ナイコトハ如
何ニ東洋ノ事態ニ暗キ所ノ歐米人ト雖モ
認識セザルヲ得ナイ所ノ現實ノ事實デアル
ト信ズルノデアリマス、北支、中支、南支
ニ於ケル皇軍ノ赫々タル戰勝ノ蔭ニ、如何
ニ努力ヲ傾倒シテ敵國民衆ノ生活ノ安定ニ
努力シ、戰後ノ秩序囘復ニ努力シ、文化的施
設ノ囘復建設ニ有ユル犠牲ヲ惜マズ辛苦シ
ツツアルカハ、此ノ事實ヲ知ル時ニ、世界全
人類ハ驚異感激セザルヲ得ナイデアラウ、此
ノ事實コソ歷史有ツテ以來嘗テ企テラレザ
ル人類相愛ノ眞精神ノ發露デアル、然ルニ此
ノ事實ヲ最モ熟知スル英國ニシテ、尙ホ敗殘
無力ノ蔣政權ヲ驅ツテ更ニ東亞ノ禍亂ヲ
延長セントスル時、平和ヲ愛好スル東亞全
人類ノ共同ノ敵ハ英佛デアルコトヲ、斷々
乎トシテ全世界ニ公表スベシデアル、事變
以來事每ニ我ガ外務省ノ態度ト聲明ハ英
佛ニ對シテハ戰々兢々トシテ、右顧左眄、
只管辯解ノ足ラザルヲ恐ルルガ如キ態度コ
ソ、列國ヲシテ更ニ日本ノ態度ヲ疑ハシム
ルモノデアル、我ガ外交ハ皇軍、陸海軍ノ
行動ト共ニ、一體不變飽クマデ積極的ニ堂々
强硬タルベシデアル、英佛及ビ「ソ」聯ノ
供給スル武器ニ依リ、皇軍ノ忠勇限リナキ
將兵ガ傷キ倒レ、異境ヲ義烈ノ鮮血ニ依ツ
テ染メツツアルコトハ國民一人トシテ之
ヲ知リ、之ヲ憤ラザル者ハアリマセヌ東
京英國大使館前ヲ橫切ル者、眦ヲ決シテ切
齒セザル者ハアリマセヌ、此ノ國民的憤激
ノ聲ヲ何故率直ニ素朴ニ世界ニ向ツテ公表
シ得ナイノデアルカ、聖戰ノ大義ヲ貫徹ス
ル爲ニ、外務大臣ハ一死君國ニ奉ズノル決
意ヲ以テ奮起スベキデアル、外務當局ノ從
來ノ態度コソ、最モ我等ノ痛憤禁ジ得ナイ
モノデアリマス
更ニ豫算ノ編成ト其ノ遂行ニ付テ、特上
一二ノ事實ヲ指摘シテ警告ヲ與ヘタイノデ
アル
第一ハ豫算編成上ノ缺陷デアリマス、去
ル九日支那事變臨時增稅委員會ニ於テ、藤
本議員ノ相續稅ニ關スル質問ニ對シテ、大
藏大臣ハ斯ノ如キ答辯ヲ致シテ居リマス、
「殊ニ我國ノ相續税ニ付テハ、各國ノ例ト比
較致シテ見マスト、眞中ハ相當膨ンデ居ル
ガ、下ト上ノ方ガ安イ、殊ニ下ト上ノ方ガ
安イ、殊ニ下ノ方ガ著シク安ク、上ノ方ハ
多少安イ、中間ガ膨ランデ居ル、斯ウ云フ
ヤウナ結果ニ相成ツテ居ルト思フノデアリ
マス」我國課稅ノ根本ノ矛盾ハ今日ニ始ツ
タモノデナク、從來ヨリ同樣デアリ、今日デ
ハ最モ其ノ甚ダシキヲ極メテ居ルモノデア
ルト私ハ思フ、今日ノ稅制ハ複雜多岐ヲ極
メテ居ツテ、何人ト雖モ其ノ根本ノ建直シ
ヲ要望シナイモノハナイノデアリマス、長
期ノ建設ヲ目標トシ、有史以來ノ大業ヲ貫
徹セントスルニハ、之ニ對應スル中央地方
ヲ通ズル稅制ノ根本的改正ヲ斷行スルコト
ハ、急務中ノ急務デナケレバナラヌノデア
リマス、卽チ此ノ厖大ナル大豫算編成ハ
極メテ無計畫デアツテ、本豫算ノ裏面ニハ
事變ニ因リ最モ利益ヲ獨占シ得ル立場ニ在
ル大財閥ニ對シテハ負擔ト犧牲ハ僅少デ
アツテ、中產階級ニノミ獨リ大ナル負擔ト
犧牲ヲ强ヒツツアルコトハ、大藏大臣ノ自
ラ容認スル所デアリマス、換言スレバ事變
處理ノ大豫算ハ、中產階級ノ大ナル犠牲ニ
依ツテ編成セラレツツアルコトハ、何人モ
否定シ難キ缺陷デアリマス、平沼首相ハ萬
民輔翼ノ政治ヲ理想トセラルルノデアルガ、
萬民輔翼トハ萬民各〓其ノ分ニ應ジテ齊シク
力ヲ捧ゲテ皇業ニ輔翼シ奉ルベキモノト信
ジマス、上ニ輕ク獨リ中間ニノミ重キ負擔
ト犧牲ヲ强フルコトハ首相ノ理想トハ正
ニ逆行スルモノデアル、首相ノ統率スル內
閣ハ、平沼首相ノ信條トハ相背馳スル豫算
編成ヲ行ツテ居ルコトヲ明ニ御記憶願ヒタ
イノデアリマス
第二ハ物資動員計畫中、農產物擴充計畫
ノ障碍ハ、延イテ國防計畫上ニ當然支障ヲ
與フルニ至ル點デアリマス現下ノ我國ノ
窒素工業ノ實情ハ、住友、三井、三菱、澁
澤森等ノ大財閥ノ經營スル十四ノ窒素工
業會社ニ依ツテ、年產額百八十万瓲ノ窒素
肥料ヲ生產シテ居リマスガ、而モ尙ホ生產
不足ノ爲獨逸、英吉利等ヨリ年々約二十万
瓲ノ窒素肥料ヲ輸入補塡スルノ狀況ニアリ
マス、然ルニ事變發生以來、國內生產ノ窒
素肥料ノ幾割ハ當然火藥原料トシテ消耗セ
ラレテ居リマス、而モ其ノ數量ハ次第ニ增
大スルコトモ顯著ナル必然的事實デアリマ
ス、然ルニ一方農村ノ狀況ハヽ農林大臣ノ
答辯ニ依レバ、農家肥料ノ配給不足分ハ農
家ノ自給ニ依リテ補ハレテ居ルガ、事變ト
軍需工業ノ擴大ニ依ツテ、農村ノ勞働力ノ
著シキ減少ハ肥料ノ自給ヲ益〓〓困難ナラ
シメテ居リマス、是ニ於テ窒素工業ノ生產
擴大ハ急務中ノ急務デアルニモ拘ラズ、其
ノ擴大ハ最モ困難ヲ極メテ居リマス、卽チ
窒素工業ノ生產資材タル水力電氣、石炭、
「コークス」等ノ供給不足ト價格ノ暴騰ハ
其ノ生產ヲ妨害シテ居リマス、殊ニ肥料價
格ノ統制セラレタル現在ニ於テハ利潤ヲ
追求スルニ急激ナル是等工業資本家ハ、利
益ノ薄キ肥料製造ヲ囘避シテ、利益潤澤ナ
ル副生產ニ轉向シツツアルコトハ見逃シ得
ザル事デアリマス、又肥料、石灰其ノ他生
產物ノ輸送ニ缺クベカラザル沿海二百噸以
下ノ小型船、機帆船ノ船腹減少ハ運賃ノ
騰貴ト船腹不足トナリ、農家ガ耕地ニ肥料
ヲ必要トスル需要期ニ輸送ガ間ニ合ハズ、
施肥ノ時機ヲ失スルニ至ツテ居リマス、是
等數項ノ理由ハ政府ノ豫期スル生產物擴充
計畫ヲ完全ニ裏切ル結果ヲ招來致シマス、
隨テ國防計畫上ノ支障モ當然豫知セラレ得
ルノデアリマス、此ノ缺陷ヲ除去スル對策ハ
唯一ツ殘サレテ居リマス、卽チ政府ハ直チニ
國防的見地ニ立ツテ、窒素工業ヲ國家ノ管
理經營ニ移スノ英斷ヲ行フベキデアリマス、
徒ニ煩瑣ニシテ複雜極マル所ノ統制ヤ罰則
ニ依ツテ、大衆生活ニ不安ト焦慮ヲ感ゼシ
ムルヨリモ、寧ロ拔本塞源ノ大乘的英斷ヲ
決行スベキデアルト信ジマス、豫算ヲ通ジ
テ看取シ得ル重要ナル缺陷ハ平沼内閣ノ
施政ハ財力權力ヲ有セザル一般國民大衆ニ
對シテハ强硬デアルガ、上層資本家財閥等ノ
如キ權勢ヲ有スル者ニ對シテハ意外ニ恭順
ニシテ寧ロ怯懦ニスラ感ゼラルル點デア
リマス、曠古未曾有ノ事變ニ際會シテ、東
亞永遠ノ和平ノ基礎ヲ建設セントスル歴史
的偉業達成ノ爲ニハ全國民ハ更ニ幾多ノ
艱難ヲ突破スルノ覺悟ヲ要スルハ當然デア
リマス、併シナガラ其ノ爲ニハ飽クマデ全
國民ノ上下貧富ヲ擧ゲテ、其ノ分ニ應ジ等
シク力ヲ君國ニ捧グベキデアリマス、平沼
首相ハ老齡ニシテ尙ホ敢然トシテ大命ニ
應ヘ奉ラントスル心境ハ、君國ノ爲生命
ヲ捧ゲテ最後ノ御奉公ニ依リ、社稷ノ安泰
ヲ期セントスル壯烈ナル覺悟ニ依ルモノデ
アルト信ジマス、然ラバ、我國內外ノ情勢
ハ寸刻ノ躊躇モ許シマセヌ、政治ニ、經濟
ニ、行政ニ、老癈セル諸機構ニ革新ノ「メスㄴ
ヲ加フルコトナクシテ、現狀ノ儘ニ於テハ
最早國運ノ仲張ト國防ノ强化ハ圖リ得マセ
又、革新政策斷行ノ急務ハ必至的ノモノデ
アリマス、卽チ外ニ向ツテハ防共陣營ノ絕
對的强化ヲ圖リ、外交陣營ノ刷新ヲ圖ルベキ
デアリマス、速ニ國家總動員法ノ全面的發
動ヲ斷行スベキデアリマス中央地方全般
ニ亙ル大稅制改革ヲ斷行スベキデアリマス、
豫算ニ計上スルコトナクシテ、而モ公々然
トシテ年々多額ノ剩餘金ノ御手盛配分ヲ爲
シ得ラレルガ如キ所ノ、官僚ノ斬捨御免的
ノ豫算ノ編成方法ハ直チニ改革シ、豫算ヲ明
朗化セシムベキデアリマス、「舊來ノ陋習ヲ
破リ天地ノ公道ニ基クヘシ」ト宣ハセラレ
タル明治大帝ノ御誓文コソ、歷世國民ノ拳
拳服膺スベキ所ノ御聖諭デアリマス、萬古
千秋ニ輝ク此ノ御聖諭ヲ拜スル平沼首相
ハ猛然ト決意ヲ爲スベキ所ノ時機デアル
ト私ハ信ズル、私ハ本豫算遂行ニ當ツテ、
平沼首相ガ此ノ御聖旨ニ對シテ、御聖旨ニ
悖ラザル所ノ態度ヲ執ラレンコトヲ切ニ要
望シ、政府ノ決意ト覺悟ヲ要望シマシテ、
本豫算ニ對シマシテ贊成ノ言葉トスルノデ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=19
-
020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ討論ハ終局致
シマシタ、採決致シマス、三案ノ委員長報
告ハ何レモ可決デアリマス、三案ヲ一括シ
テ委員長報告ノ通リ決スルニ贊成ノ諸君ノ
起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=20
-
021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 仍テ三案共委員長報
〓ノ通リ全會一致可決確定致シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=22
-
023・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第八乃至第十四ノ
七案ヲ繰上ゲ上程シ、逐次其ノ審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=23
-
024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=24
-
025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第八、日本產金振興株式會社法中改正
法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長
ノ報告ヲ求メマス-委員長八角三郞君
第八日本產金振興株式會社法中改正
法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一日本產金振興株式會社法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十一日
委員長八角三郞
衆議院議長小山松壽殿
〔八角三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=25
-
026・八角三郎
○八角三郞君 只今議題トナリマシタ本案
ノ委員會ノ經過ノ大要竝ニ結果ヲ御報告申
上ゲマス、本改正ノ要點ハ、第一ハ政府ガ
日本產金振興株式會社ニ對シ、產金事業ノ
振興上必要ナル命令ヲ爲シタル場合、之二
依ツテ損失ヲ生ジタル時ハ、其ノ損失ヲ政
府ニ於テ補償セントスルモノデアリマス
其ノ第二ハ日本產金振興株式會社ニ對ス
ル補給金ノ限度ヲ擴張セントスルモノデア
リマス、而シテ委員會ハ三月十日及ビ十一
日ノ兩日ニ亙リ開會致シマシタガ委員ヨ
リ日本產金振興株式會社ニ對スル損失補償
ノ限度、損失補償額決定ノ方法等ニ付キ、
適切ナル質疑ガアリマシタル外、日本產金
振興株式會社ノ事業狀況、經營ノ方針等ニ
付テモ質疑ガ行ハレ、更ニ金增產ニ付テハ
今後一層積極的ナル措置ヲ講ズベキ旨ノ熱
心ナル希望ガ述ベラレマシタ、之ニ對シ政
府委員ヨリソレ〓〓懇切ナル答辯ガアリマ
シタガ、其ノ詳細ハ速記錄ニ依リ御諒承ヲ
願ヒタイノデアリマス、次イデ本案ノ討論
ヲ行ヒ、更ニ採決ヲ致シマシタ所、滿場一
致原案通リ可決セラレマシタ、此段御報〓
申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=26
-
027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=27
-
028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=28
-
029・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=29
-
030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=30
-
031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
日本產金振興株式會社法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=31
-
032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)日程第九、恩給
法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長高橋泰
雄君
第九恩給法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一恩給法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十一日
委員長高橋泰雄
衆議院議長小山松壽殿
〔高橋泰雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=32
-
033・高橋泰雄
○高橋泰雄君 只今議題トナリマシタ恩給
法中改正法律案ノ委員會ニ於ケル審議ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、案ノ內容ヲ
簡單ニ申上ゲマスト、第一ハ航空基地ニアリ
マシテ陸上ノ勤務ニ服スル公務員ニ對シマシ、
テモ、航空機ニ乘ツテ戰地ニ赴キマシテ戰務
ニ從事スル公務員ニ對スルト同樣、一月ニ對
シテ三月ノ加算ヲ與ヘントスルノガ本改正
案ノ第一點デアリマス、第二ハ現行法ノ第五點
十九條ノ規定ニ依リマスト、下士以上ノ軍
人著クハ文官ハ一箇月ニ其ノ受クル俸給
ノ百分ノ一若クハ二ニ相當スル金額ヲ國庫
ニ納付スル義務ヲ負擔シテ居ルノデアリマ
スケレドモ、戰時若クハ事變中ニ於キマシ
テハ納金ヲ徴收スルコトガ困難デアル事
情ヨリ致シマシテ、是等ノ公務員ニ對シマ
シテ納金ヲ免除セントスルノガ第二ノ改正
デアリマス、以上ハ本案ノ內容ノ大要デア
リマスガ、委員會ハ四囘ニ亙リマシテ會議
ヲ開キマシテ委員諸君ト政府當局トノ間
ニ愼重ナル質疑應答ヲ重ネマシテ、十分審
議ヲ盡シタノデアリマス
今質疑應答ノ內容ヲ簡單ニ申上ゲマス
ト、第一ハ改正案ニ所謂特殊ノ勤務トハ何
デアルカト云フ質疑デアリマス、之ニ對シ
マシテハ、航空基地ニ於テ爲サレタル戰務
ノ中デ、航空戰鬪ノ爲ノ直接ノ戰務ノミヲ
指スノデアリマシテ、航空基地ニ於テ戰務
ニ服シマシテモ、ソレガ其ノ戰鬪ニ直接關
係ノナイ戰務デアリマス場合ニ於テハ、此
ノ加算ヲ附ケル趣旨デハナイト云フ政府ノ
答辯デアリマシタ、尙ホ會議ヲ祕密會ト致
シマシテ、海軍ノ當局ヨリ所謂特殊ノ戰務
ノ詳細ニ付テ其ノ說明ヲ聽取致シタノデア
リマス續イテ第二ノ質問ハ、軍人ニ對シ
テノミ納金ヲ免除シテ他ノ官吏ト待遇ヲ異
ニ致シマスルト、僅ナ金錢ニ依ツテ軍人ニ
對スル國民ノ敬意ヲ傷ケルヤウナ結果ニナ
リハセヌカト云フ質疑デアリマス、之ニ對
シマシテハ軍人ニ對スル納金ノ免除ハ、元
元現地ニ於テ納金ヲ徵收スルコトノ困難ナ
ル事情ニ依ルモノデアリマシテ、決シテ軍
人ヲ優遇スル目的ニ出デタルモノデハナイ
ノデアルガ、國民ノ間ニ假ニモ軍人ガ金錢
ニ依ツテ働クト云フ誤解ヲ生ズルヤウナコ
トガアツテハイカヌカラ、政府ハ此ノ點ニ
付テ十二分ノ注意ヲ拂フト云フ答辯デアリ
マシタ、ソレカラ第三ノ質疑ハ、戰死者ノ
遺家族ノ間ニ扶助料ヲ繞ツテ色々醜イ葛藤
ヲ生ズルヤウナ虞ハナイカ現在ドウ云フ
狀態ニアルカト云フ質疑ニ對シマシテ、政
府ハ幾度ノ改正ヲ重ネマシタ現行恩給法ノ
下ニ於キマシテハ、斯樣ナ葛藤ハ漸次其ノ
數ヲ減ジテ居ル譯デアルト云フ答辯ガアツ
タノデアリマス、次ノ質疑ハ多數ノ委員諸
君カラ最モ熱心ニ政府ニ對シテ其ノ所信ヲ
質サレタ點デアリマスガ、政府ハ恩給法ノ
全面的改正ヲスル意思ガナイカ、現在ノ日
本ノ國情ハ恩給法ヲ改正スル最モ好適ナ時
機デアルト思フガ、政府ハ恩給法ヲ改正シ
テ、官廳ノ雇員ヲモ併セテ養老年金若クハ
國民年金制トスル意思ハナイカト云フ質疑
デアリマス、此ノ點ニ關シテ政府ハ恩給ト
養老年金及ビ國民年金ト云フモノハ、其ノ
本來性質ヲ異ニシ、其ノ給與ノ目的ヲ異ニ
致スモノデアリマスルガ故ニ、恩給ハ恩給、
國民年金若クハ養老年金ハ國民年金若クハ
養老年金トシテ、各別ニ致シテ其ノ方向ニ
向ツテ進ムベキモノデアツテ、政府ハ今直
チニ恩給法ヲ改正シテ養老年金若クハ國民
年金トスル意思ハナイト云フ答辯デアツタ
次第デアリマス、又官廳ノ雇員ハ其ノ性質
ニ於テ公務員ト多少其ノ趣ヲ異ニ致シテ居
リマスガ故ニ、共濟組合的ニハ考慮スベキ
モノデアルケレドモ、之ヲ恩給法ノ中ニ採
入レル考ハナイト云フ答辯デアリマシタ、
最後ニ府縣立ノ中學校職員カラ市町村立中
學校ニ轉勤シテ來タ〓職員ノ一時恩給ハ、
總テ國庫ニ於テ負擔スルノガ當然デハナイ
カト云フ質疑ニ對シマシテ、政府ハ一時恩
給ノ沿革及ビ財政上ノ關係カラ、直チニ之
ヲ承認スルコトハ出來ナイト云フ答辯デア
リマシタ、又一時恩給ヲ府縣町村トノ間
ニ分擔スルコトニ付テ、大部分ハ現行制度
ノ下ニ於テ十分デアルケレドモ、僅カバ
カリ殘サレタ部分ニ付テハ恩給ニ關スル
一般ノ答辯ニ於テ、之ニ付テ十分〓究考慮
ヲ拂フト云フ答辯ガアツタノデアリマス、是
デ質疑ヲ終リマシテ討論ニ入リ、民政黨ノ
齋藤君、政友會ノ中野君、第一議員倶樂部
ノ山崎君、社會大衆黨ノ塚本君カラ、ソレ
ゾレ各派ヲ代表致シマシテ政府原案ニ贊成
スル旨ノ意見ヲ述ベラレ、採決ノ結果本案
ハ政府原案通り全會一致可決スベキモノト
決定ヲ致シマシタ、此段御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=33
-
034・小山松壽
○議長(小山松喜君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=34
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035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=35
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036・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=36
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037・小山松壽
○議長(小山松喜君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=37
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038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
恩給法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=38
-
039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)日程第十乃至第
十二ハ同一委員ニ付託シタル議案デアリマ
スカラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=39
-
040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十、國債整理基金特別會計
法中改正法律案、日程第十一、明治三十九
年法律第三十四號中改正法律案、日程第十
二、明治四十二年法律第九號中改正法律案、
右三案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長板谷順
助君
第十國債整理基金特別會計法中改正
法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十一明治三十九年法律第三十四號
中改正法律案(國債ニ關スル件)政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十二明治四十二年法律第九號中改
正法律案(政府ニ對スル保證金其ノ
他ノ擔保ニ供シタル國債ノ買入銷却
ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一國債整理基金特別會計法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十三日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案(國債ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一明治四十二年法律第九號中改正法律案
(政府ニ對スル保證金其ノ他ノ擔保ニ
供シタル國債ノ買入銷却ニ關スル件)
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長板谷順助
衆議院議長小山松壽殿
〔板谷順助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=40
-
041・板谷順助
○板谷順助君 只今議題トナリマシタル國
債整理基金特別會計法中改正法律案外二件
ニ對スル委員會審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報
告申上ゲマス
本改正案ハ三案トモ政府ガ今囘新ニ發行
セントスル割引國債ニ關聯シタモノデアリ
マシテ、卽チ將來巨額ノ國債ヲ發行スル必
要ガアリマスノデ、國債消化ノ一助トシテ、
其ノ一部分ヲ割引ノ方法ニ依ツテ小額公債
ヲ發行シ得ルコトトシ、又他面時局對策上
貯蓄奬勵ノ趣旨ニ基キ、其ノ所有者ニ於テ
國債ノ利子ヲ年々受取ラズシテ貯蓄シ得ル
目的ニ於キマシテ、此ノ法案ノ改正ヲ行ハ
ントスル案デアリマス
委員會ハ數囘ニ亙リ問答ヲ重ネタノデア
リマスガ、其ノ中主ナル點ニ付テ二三簡單
ニ御報告申上ゲマス、第一、利附公債ハ三分
六厘五毛ノ利廻ニナツテ居ルガ、今回発行
ノ割引公債トノ利廻ノ差ハ如何、又郵便貯
金ノ利〓カラ見レバ割ガ好イガ、郵便貯金
ヲ引出シテ來ルノ虞ハナイカ、又公債ハマ
ダ大キナ者ニ多量ニ持タセル方法ガアル、
割引公債ヲ出スニ時期尙早ト思フガ、明年
度ニ於テ中央地方ノ稅制改正ヲ行ヒ、國民
ノ負擔ノ均衡ヲ圖ツテカラ實施シタ方ガ寧
ロ效果的デハナイカ、以上ノ質問ニ對シマ
スル政府當局ノ答辯ノ要旨ヲ申上ゲマスレ
バ、割引公債ニハ稅金ガ課カラヌ、利子ハ
複利ノ三分六厘五毛ノ以下ニ於テ定メル方
針デアル、又額面十圓、二十圓ノ種類及ビ
年限等ノ關係ニ付テ、マダハツキリ決メテ
ハナイガ、假ニ三分五厘ノ複利計算ヲ期限
ヲ十箇年トスレバ、額面十圓ノ公債ヲ七圓
程度デ發行スルコトトナル、又小額公債ハ
今囘新ニ生レ出タ譯デハナイ、郵便貯金カ
ラ乘換ヘル虞ハナイト思フ、又發行額ハ一
應ノ目安ハ二億圓ニ置イテアルガ、情勢及
ビ成績ニ依ツテ徐々ニヤル方針デアツテ、
只今多額ノモノヲ出ス意思デハナイ、又現
在デモ小額公債ハ相當ニ賣レテ居ルガ、將
來八十億圓ヨリ百億圓ノ貯蓄ヲスルニハ、關
係者ト能ク協力シテ出來ルダケ廣ク大衆ヨ
リ募集スル方針デ、今後一般ガ貯蓄スルヤ
ウニ仕向ケナケレバナラヌ、以上ノ意味ニ
於ケル答辯ガアツタノデアリマス、尙ホ詳
細ハ速記錄ヲ御覽ノ上御諒承願ヒタイ、委
員會ハ政府ノ提案ヲ適當ト認メマシテ、採
決ノ結果總員起立、政府原案通リ可決致シ
タ次第デアリマス、以上御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=41
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042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=42
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043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=43
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044・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=44
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045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國債整理基金特別會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
明治三十九年法律第三十四號中改正法
律案(國債ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
明治四十二年法律第九號中改正法律案
(政府ニ對スル保證金其ノ他ノ擔保ニ
供シタル國債ノ買入鉛却ニ關スル件)
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=46
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047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案共委員長
報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第
十三、職員健康保險法案ノ第一讀會ノ續ヲ
開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委
員長眞鍋勝君
第十三職員健康保險法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一職員健康保險法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長眞鍋勝
衆議院議長小山松壽殿
〔眞鍋勝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=47
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048・眞鍋勝
○眞鍋勝君 只今議題トナリマシタ職員健
康保險法案ニ關スル委員會ニ於ケル審議ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、申上ゲ
ルマデモナク本案ハ國民ノ健康ヲ保持增進
シ、國民體位ノ向上ヲ圖リ、以テ前線及ビ
銃後ニ於ケル人的資源ノ充實强化ヲ圖ラン
トスル重要法案デアリマシテ、隨テ各委員
ニ於カレマシテモ熱心且ツ愼重ニ審議セラ
レタノデアリマス、本案ニ付キマシテハ委
員各位ヨリ立法ノ精神、他ノ社會保險トノ
關係、運用ノ方針、醫療機關トノ關係等、詳
細ニ亙ツテ質疑應答ガ重ネラレマシタ外、
社會施設全般ニ關スル熱心ナ質問ガ行ハレ
タノデアリマス、詳細ノ點ハ之ヲ速記錄ニ
讓リマシテ、以下主ナル事項ニ付キ綜合的
ニ御報告申上ゲマス
本法案ガ最モ多ク論議セラレマシタ點ハ、
本案ガ消極退嬰、內容ノ貧弱ト云フ點デア
リマシテ、殊ニ保險制度調査會ニ諮問致シ
マシタ要綱ニ比較シテ、甚ダシク退步シテ
居ルト云フコトデアリマス、先ヅ第一ニ適
用事業ノ範圍ガ著シク縮小サレテ居ル、卽
チ調査會要綱ニ依リマスレバ、事業ノ種類
ヲ物ノ販賣ニ關スル事業外二十八種、其ノ
被保險者ノ〓數ガ七十六万人トアリマシタ
ノニ、本法案ニハ物ノ販賣ニ關スル事業外
四種類トナツテ、被保險者ノ〓數三十八万
人トアリマシテ、正ニ二分ノ一ニ減少サレ
テ居ルノデアリマス、第二ニ適用サルベキ
事業主ガ常時五人以上ヲ使用スルモノヨリ、
常時十人以上ヲ使用スルモノニ改メラレテ
居リマス、第三ニ、療養費ノ支給期間ガ一
年トアツタノガ六箇月ニ短縮サレテ居リマ
ス第四ニ傷病手當金及ビ出產手當金額ガ
百分ノ六十カラ百分ノ五十ニ減額サレ、第
五ニ國庫負擔金ノ支出モ一箇年約百九十万
圓ト云フ當初ノ計畫ヨリ約六十万圓、實際
ハ五十餘万圓ト云フ三分ノ一ニモ足ラザル
減額ヲ見テ居リマス、是ハ畢竟時勢ノ進運
ニ逆行スルモノデアルト思フガ、政府ハ之
ヲ以テ十分ナリト考ヘテ居ルカ、之ヲ改正
スル意思ナキヤト云フ各委員ノ質問ニ對シ
マシテ、政府ハ本案ヲ以テ完全ナルモノデ
アルトハ考ヘテハ居ラヌ、併シ今日ノ狀況
及ビ國庫ノ都合等ヲ考慮シ、現在ニ於テハ
本案ヲ以テ一應滿足スベキモノト考ヘテ居
ルガ、併シ時局ノ推移ニ從ヒ漸ヲ逐ウテ改
善スル積リデアルト云フ趣旨ノ答辯デアリ
マシタ、次ニ本案ハ國、北海道、府縣、町
村等ノ使用人ニ對シテハ適用シナイコトニ
ナツテ居ルガ、ソレハ如何テル理由ニ依ル
ノデアルカト云フ質問ニ對シ、政府ハ是等
ノモノニ對シテハ其ノ勤務關係及ビ生活
事情ニ適合シタ別個ノ制度ヲ考ヘルノガ適
當デアルト云フ答辯ガアツタノデアリマス、
又本案第七十三條ニ依リマスト「國庫ハ勅令
ノ定ムル所ニ依リ每年度豫算ノ範圍內ニ於テ
職員健康保險事業ニ要スル費用ノ一部ヲ負
擔ス」トアルガ、是ハ國庫ノ負擔スル金額ガ
明瞭デナイ、費用ノ一部ト云フノハ如何ナ
ルモノデアルカト云フ質問ガアツタノデア
リマスガ、之ニ對スル政府ノ答辯ハ、費用
ノ一部ト云フノハ事務費ニ相當スル額デア
ルト云フ答辯ガアリマシタ、之ヲ要スルニ
本法案ニ對スル政府ノ態度ハ、總理大臣以
下各政府委員、何レモ終始一貫、徹頭徹尾
本案ヲ以テ決シテ完全ナモノトシテ滿足ス
ルモノデハナイ、漸進的ニ完璧ヲ期シタイ
ト云フ點ニ於テ答辯ガ悉ク一致シテ居リ、
又各委員ニ於キマシテモ、本案ハ原案ニ比
シテ著シク消極的デアツテ、重要案件ガ悉
ク骨拔キニナツテ居ル、隨テ國民ノ要望ニ
一致セズ、徹底的ノ改正ヲ必要トスルガ
併シ無キニハ勝ル、若シ金ガアツタナラバ
政府モヤツタデアラウト云フノガ、全委員
一致ノ觀察デアリマス
以上ノ質疑應答ガ行ハレマシタ後、委員
會ハ討論ニ入リマシテ民政黨ヲ代表シテ
成島勇君、政友會ヲ代表シテ小串精一君、
第一議員倶樂部ヲ代表シテ永山忠則君、社
會大衆黨ヲ代表シテ井上良次君、第二控室
ヲ代表シテ道家齊一郞君ノ諸氏ガ贊成意見
ヲ述ベラレマシタ、採決ノ結果全會一致ヲ
以テ本法案ハ原案通リ可決サレマシタ、以
上委員會ニ於ケル經過竝ニ結果ノ大要ヲ御
報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=49
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050・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=50
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051・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=52
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053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ議案
全部ヲ議題ト致シマス
職員健康保險法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)日程第十四、酪
農業調整法案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長田中万
逸君
第十四酪農業調整法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一酪農業調整法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十三日
委員長田中万逸
衆議院議長小山松壽殿
〔田中万逸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=54
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055・田中萬逸
○田中万逸君 只今議題ニ供セラレマシタ
酪農業調整法案ノ委員會ニ於ケル審議ノ經
過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報告申上ゲマス、本
案ハ近時長足ノ進步ヲ來シツツアル我國酪
農業ノ現狀ニ鑑ミ、牛乳及ビ乳製品ノ需給
ノ圓滑ト取引ノ公正ヲ圖リ、一面製造業者
ノ團體ヲ整備致シ、更ニ事業ノ地域的分布
ヲ適正ナラシメ、斯クシテ我國有畜農業ノ
健全ナル發達ヲ所期スル法案デアリマシテ、
隨テ農家經濟ノ安定ヲ期スル上ニ於テモ、
或ハ又國民體位向上ヲ期スル上ニ於テモ、
更ニ又國際貸借ノ改善ヲ期スル上ニ於テ
モ、頗ル喫緊ナル時代的精神ヲ反映セル重
要ナル法案デアリマス、故ヲ以テ委員會ハ
前後七囘ニ亙リマシテ、極メテ熱心ニ且ツ
愼重ニ審議ヲ致シ、周到ナル質疑ヲ上下致
シタノデアリマス、質疑ノ主要點ハ、生產
者卽チ農家ノ利益擁護ニ關スル件ト、乳價
ノ決定ニ關スル件、此ノ兩點ガ最モ主要ノ
點デアリマシタガ、是等ノコトハ擧ゲテ速
記錄ニ讓リマシテ、玆ニ御報告ヲ省略致シ
やっく、以上ヲ以チマシテ討論ニ入リ、民政
黨ノ池田君、政友會ノ鹽川君、第一議員倶
樂部ノ北君、社會大衆黨ノ野溝君、第二控
室ノ小田君、以上五君ヨリソレ/〓本案ニ
對スル贊成意見ノ開陳ガアリ、斯クテ討論
ハ終結シ、採決ニ入リ、起立總員、全會一
致ヲ以テ原案通リ可決確定致シマシタ、此
段御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=55
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056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=56
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057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=57
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058・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=59
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060・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第一讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
酪農業調整法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=60
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061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ-日程第四、工業組
合法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-
八田商工大臣
第四工業組合法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
工業組合法中改正法律案
工業組合法中左ノ通改正ス
第八條ノ四第八條ノ規定ニ依リ組合ノ
定ムル制限ニ從フベキコトノ命令アリ
タル場合ニ於テ特ニ必要アリト認ムル
トキハ其ノ命令ノ效力ヲ有スル期間ヲ
限リ當該工業組合ノ地區內ニ於テ新ニ
當該工業ヲ營マントスル者及當該工業
ニ屬スル設備ノ擴張ヲ爲サントスル者
ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳
ノ許可ヲ受ケシムルコトヲ得
第二十條ノ三行政官廳監督上特ニ必要
アリト認ムルトキハ第三條第一項第一
號ノ事業經營ニ對スル制限ヲ行フ工業
組合ノ理事又ハ監事ノ選任又ハ解任ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ選任セラレタル理事
又ハ監事ノ解任ハ行政官廳ノ認可ヲ受
クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
特別ノ事情アル場合ニ於テハ行政官廳
ハ第三條第一項第一號ノ事業經營ニ對
スル制限ヲ行フ工業組合ノ定款又ハ第
六條ノ二ノ規程ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第三十三條中「第三十八條ノ規定」ヲ「第
八條ノ四ノ規定及第三十八條ノ規定」ニ
改ム
第三十三條ノ二工業小組合ハ小工業者
ヲ以テ之ヲ組織シ組合員ノ共同ノ利益
增進ヲ圖ルヲ以テ目的トシ組合員ノ工
業ニ關スル共同設備ノ設置、組合員ノ
工業ニ必要ナル物ノ供給、組合員ノ爲
ノ註文ノ引受及組合員ノ製品ノ販賣ヲ
爲スモノトス
前項ノ小工業者ノ範圍ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
工業小組合ハ法人トス
工業小組合ハ第一項ノ事業ノ外組合員
ノ營業ニ關スル指導、〓究、調査其ノ
他組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル施設
ヲ爲スコトヲ得
工業小組合ハ其ノ名稱中ニ工業小組合
ナル文字ヲ用フベシ
第三十三條ノ三工業小組合ノ組合員ノ
總數ハ十人ヲ超エザルヲ以テ例トス
第三十三條ノ四工業小組合ヲ設立セン
トスルトキハ組合員タラントスル者全
員設立者ト爲リ定款其ノ他必要ナル事
項ヲ定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
工業小組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ之ヲ選任ス但
シ組合設立當時ノ理事及監事ハ定款ヲ
以テ之ヲ定ムベシ
第三十三條ノ五組合員タル資格ヲ有ス
ル者ハ組合員ノ四分ノ三以上ノ同意ヲ
得テ工業小組合ニ加入スルコトヲ得
第三十三條ノ六工業小組合ハ當該工業
ニ關スル工業組合ノ組合員タルコトヲ
得
小工業者工業小組合ノ組合員ト爲リタ
ルトキハ當該工業ニ關スル工業組合ノ
組合員タルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情
アル場合ニ於テ行政官廳ノ認可ヲ受ケ
タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
行政官廳必要ト認ムルトキハ工業小組
合ニ對シ當該工業ニ關スル工業組合ニ
加入スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令アリタルトキハ
當該工業小組合ハ當該工業組合ノ組合
員トス
第三十三條ノ七工業小組合ノ定款ニハ
左ノ事項ヲ記載スベシ
-目的
二名稱
三事務所
四組合員タル資格ニ關スル規定及組
合員ノ總數
五組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
六出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
七剩餘金ノ處分及損失分擔ニ關スル
規定
八準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
九組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十事業及其ノ執行ニ關スル規定
十一役員ニ關スル規定
十二會議ニ關スル規定
十三會計ニ關スル規定
十四存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定
メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第三十三條ノ八工業小組合ハ出資ノ第
一囘ノ拂込アリタル後二週間以內ニ各
事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲
スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
-前條第一號乃至第三號、第六號及
第十四號ニ揭ゲタル事項
二出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
三設立認可ノ年月日
四理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第二號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第三十三條ノ九工業小組合ニハ營業收
益稅ヲ課セズ
第三十三條ノ十第四條第二項、第九
條第十五條ノ二、第十七條第一項、
第十八條、第十九條、第二十一條(但
書ヲ除ク)、第二十四條、第二十八條
第一項、第二十八條ノ二、第三十四
條乃至第三十七條及第三十九條乃至第
四十一條、民法第四十五條第二項第三
項、第四十八條、第五十條及第六十
六條、非訟事件手續法第百三十八條、
第百三十八條ノ三、第百四十一條乃
至第百五十一條ノ六、第百五十四條
乃至第百五十八條、第百六十五條、
第百七十五條、第百七十六條及第百七
十八條竝ニ產業組合法第五條、第十一
條第一項、第十二條、第十八條乃至第
二十一條、第二十四條、第二十六條乃
至第三十四條、第三十四條ノ二第一項、
第三十五條、第三十六條、第三十九條
乃至第四十一條、第四十三條乃至第四
十六條、第四十八條、第四十八條ノ二、
第五十一條乃至第五十七條、第六十條、
第六十條ノ二、第六十二條(第一項第
三號及第四號ヲ除ク)、第六十三條第一
項、第六十五條、第六十九條乃至第七
十三條ノ三、第七十四條第一項、第七
十四條ノ二第一項、第七十五條、第九
十六條、第九十七條及第百四條ノ規定
ハ工業小組合ニ付之ヲ準用ス但シ產業
組合法中地方長官又ハ監督官廳トアル
ハ之ヲ行政官廳トス
第三十八條但書中「民法第四十五條第三
項及第四十九條第一項中一週間トアルハ
之ヲ二週間トシ」及「主務大臣、」ヲ削ル
第四十條中「第四條第一一項(第三十三條
ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)」ヲ
「第四條第二項(第三十三條及第三十三條
ノ十ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)」
ごはん
第四十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第八條ノ規定(第三十三條ノ規定
ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)二段一
行政官廳ノ命令ニ違反シタル者
二販賣ノ目的ヲ以テ前號ノ犯罪ニ係
ル工產品ナルコトヲ知リテ其ノ交付
ヲ受ケタル者
三第八條ノ四ノ規定ニ依ル行政官廳
ノ命令ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ當
該工業ヲ營ミ又ハ設備ノ擴張ヲ爲シ
タル者
前項第一號又ハ第二號ノ場合ニ於テハ
犯人ノ所有シ又ハ所持スル工產品ヲ沒
收スルコトヲ得若シ其ノ全部又ハ一部
ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價
額ヲ追徵スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條第七號、印紙稅法第四
條第一項第十一號竝ニ商工組合中央金庫
法第一條第一項、第七條第一項、第二十
八條第一項第六號及第二十九條第一項第
三號中「工業組合聯合會、」ノ下ニ「工業小
組合、」ヲ加フ
〔國務大臣八田嘉明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=61
-
062・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 工業組合法中改
正法律案提出ノ理由ヲ簡單ニ說明致シマス
工業組合ノ制度ハ大正十四年度創設以來、
漸次發達ヲ遂ゲテ參ツタノデアリマスルガ、
支那事變勃發以來、物資ノ配給機關トシテ
統制經濟土ノ重要ナル地步ヲ占メマシタコ
ト、竝ニ物資統制ニ伴フ中小工業ノ休失業
對策ニ基ク集團的轉樣機關トシテ利用セラ
レテ居リマスルコト等ニ鑑ミマシテ、今囘
本法ノ一部改正ヲ致シタイト考ヘルノデア
リマス、今改正ノ主要ナル點ヲ擧ゲマスレ
バ、第一ニ、工業組合制度ハ中小工業ノ維
持振興ノ爲立案セラレテ居リマスル關係上、
所謂統制組合トシテノ任務ヲ十分ニ發揮ス
ルコトガ出來マスルヤウニナツテ居リマセ
ヌノデ、現非常時下ニ於キマシテ迅速且
ツ公正ニ物資ノ配給ヲ爲シ得ルヤウ、組合
ニ對スル指導及ビ監督ノ規定ヲ整備致シマ
シタルコト、第二ニ共同經營的ナル事業ニ
關シテハ、從來小規模業者ノ工業組合制度
ノ利用ハ兎角不徹底デアリマシタノデ、是
等小規模業者ノ爲ニ、別ニ一箇ノ共同經營
的ナル組合制度ヲ創設致シマシタルコト、
第三ニ生產統制ヲ徹底セシムル爲、統制命
令ヲ發動致シマシタル場合、必要アレバ事
業ノ新設又ハ增設ニ付、許可制度ヲ採リ得
ル途ヲ開キマシタルコト等デアリマス、尙
ホ詳細ハ委員會等ニ於テ申上グルコトニ致
シタイト存ジマス、何卒御審議ノ上速ニ協
贊アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=62
-
063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出輕金屬製造
事業法案委員ニ併セ付託シ、尙ホ委員ノ數
ヲ二十七名ト爲シ、追加ノ委員ハ議長ニ於
テ指名セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第五、
中支那振興株式會社法中改正法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス-柳川興亞院總務長官
第五中支那振興株式會社法中改正法
律案(政府提出)第一讀會
中支那振興株式會社法中改正法律案
中支那振興株式會社法中左ノ通改正ス
第三條ノ二政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以
テ其ノ所有スル株式ノ第一一囘以後ノ株
金拂込ニ充ツルコトヲ得
第三十八條ノ二政府第三條ノ二ノ規定
ニ依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ其ノ所有
スル株式ノ株金拂込ニ充ツル場合ニ於
テハ其ノ財產ノ價格ニ付政府出資財產
評價委員會ノ議ヲ經ベシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員柳川平助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=66
-
067・柳川平助
○政府委員(柳川平助君) 只今議題トナリ
マシタ中支那振興株式會社法中改正法律案
ニ付テ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
曩ニ第七十三囘帝國議會ノ御協賛ヲ經マ
シテ設立セラレマシタ中支那振興株式會社
ニ對シマシテ、政府ハ同會社ノ設立ニ當リ、
中支那振興株式會社法ニ依リ現物出資ヲ行
ツタノデアリマス、然ルニ其ノ後ノ情勢ニ
依リマシテ、更ニ鐵道資材其ノ他相當額ノ
資材ガ現地ニ供出セラレ、之ヲ北支那開發
株式會社ニ對スルト同樣、政府ノ所有スル
株式ノ第二囘以後ノ株金拂込ニ充當スル途
ヲ開クコトガ必要トナリマシタノデ、玆
中支那振興株式會社法中改正法律案ヲ提出
致シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速
ニ御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=68
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069・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=69
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070・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=70
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071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
六、健康保險法中改正法律案ノ第一讀會ヲ
開キマス-廣瀨厚生大臣
第六健康保險法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
健康保險法中改正法律案
健康保險法中左ノ通改正ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險
者ト同一ノ世帶ニ屬シ被保險者ニ依リ
生計ヲ維持スル者(以下世帶員ト稱ス)
ノ疾病又ハ負傷ノ療養ニ要シタル費用
ニ付補給金ヲ支給スルコトヲ得
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第一條第二項ノ補給金ヲ
支給スル場合ニ於テハ世帶員又ハ世帶
員タリシ者ノ戶籍ニ關シ之ヲ準用ス
第九條行政官廳ハ必要アリト認ムルト
キハ被保險者ノ異動及報酬竝ニ保險給
付ノ決定ニ關シ當該官吏ヲシテ被保險
者又ハ被保險者タリシ者ノ勤務場所ニ
就キ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿書
類其ノ他ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十條中「保險官署」ヲ「行政官廳」ニ改ム
第十一條ノ二前條ノ規定ニ依ル督促ヲ
受ケタル者其ノ指定ノ期限迄ニ保險料
其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ納付
セザルトキハ保險者ハ國稅滯納處分ノ
例ニ依リ之ヲ處分シ又ハ滯納者若ハ其
ノ者ノ財產ノ在ル市町村ニ對シ之ガ處
分ヲ請求スルコトヲ得但シ健康保險組
合ガ保險者ナル場合ニ於テ國稅滯納處
分ノ例ニ依リ處分スルコトヲ得ルハ市
町村ニ對シ處分ヲ請求スルモ市町村ガ
其ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内
ニ其ノ處分ニ著手セズ又ハ九十日以內
ニ之ヲ結了セザル場合ニ限ル
前項但書ノ規定ニ依リ健康保險組合ガ
國稅滯納處分ノ例ニ依リ處分ヲ爲ス場
合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クルコ
トヲ要ス
保險者ガ第一項ノ規定ニ依リ市町村ニ
對シ處分ヲ請求シタルトキハ市町村ハ
市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場
合ニ於テハ保險者ハ徵收金額ノ百分ノ
四ヲ當該市町村ニ交付スベシ
第一項及第三項ノ規定ニ於テ町村トア
ルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ
之ニ準ズベキモノトス
第十三條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ臨時ニ使用セラルル者ニシテ勅令
ヲ以テ指定スルモノ、一年ノ報酬千二
百圓ヲ超ユル職員及職員健康保險法第
二十條ノ規定ニ依ル被保險者ハ此ノ限
ニ在ラズ
第十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
職員健康保險法第二十條ノ規定ニ依ル
被保險者ハ同法第二十六條第一項ノ認
可アリタル場合ニ於テハ其ノ認可アリ
タル日ノ翌日ヨリ健康保險ノ被保險者
ノ資格ヲ取得ス
第十八條但書中「前條」ヲ「前條第一項」ニ
改ム
第二十條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ職員健康保險又ハ船員保險ノ被保
險者タル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
前條ノ規定ニ依ル被保險者ハ前條ノ規
定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ヨリ百
八十日ヲ經過シタルトキ、保險料ヲ納
付セズシテ命令ヲ以テ定ムル猶豫期間
ヲ經過シタルトキ第十三條若ハ第十
五條ノ規定ニ依ル被保險者ト爲リタル
トキ又ハ職員健康保險若ハ船員保險ノ
被保險者ト爲リタルトキハ其ノ資格ヲ
喪失ス
第二十三條ノ二保險者ハ事業ニ支障ナ
キ場合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシ
テ保險者ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ
得
保險者ハ其ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求ス
ルコトヲ得
第四十七條ニ左ノ二項ヲ加フ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保
險者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期
間ヲ超エ通ジテ一年ニ至ル迄繼續シテ
療養ノ給付及傷病手當金ノ支給ヲ爲ス
コトヲ得但シ其ノ保險給付ヲ始メタル
日前勅令ノ定ムル期間引續キ被保險者
タリシ者ニ限ル
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザ
ルトキト雖モ療養ノ給付ヲ爲シ得ル期
間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支
給セズ
第五十三條削除
第五十七條ノ二前三條ノ規定ニ拘ラズ
被保險者タリシ者職員健康保險又ハ船
員保險ノ被保險者ト爲リタルトキハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ保險給付ヲ爲サズ
第六十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
被保險者又ハ被保險者タリシ者左ノ各
號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ疾病、
負傷又ハ分娩ニ關シ其ノ期間ニ係ル保
險給付ハ之ヲ爲サズ
陸海軍ニ徵集又ハ召集セラレタル
トキ
二本法施行區域外ニ在ルトキ
三矯正院其ノ他之ニ準ズベキモノニ
入院セシメラレタルトキ
四監獄、留置場又ハ勞役場ニ拘禁又
ハ留置セラレタルトキ
同條第三項中「第四十六條」ノ下ニ「及第
五十一條第二項」ヲ加フ
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
保險者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ
者第一項各號ノ一ニ該當スル場合ト雖
モ第一條第二項ノ補給金ヲ支給スルコ
トヲ妨ゲズ
第六十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第六十九條ノ二第六十條、第六十二條
第一項及第二項、第六十五條竝ニ第六
十七條ノ規定ハ世帶員ニ之ヲ準用ス
第五十五條ノ規定ハ第一條第二項ノ補
給金ニ之ヲ準用ス
第七十六條被保險者第六十二條第一項
各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ
期間保險料ヲ徵收セズ
第八十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第八十五條第三項但書中「罰金ノ言渡ヲ
爲シ」ヲ「過料ニ處シ」ニ改ム
第八十七條正當ノ理由ナクシテ第九條
ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答
辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ
其ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十一條削除
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
分娩ニ關スル保險給付ニシテ第五十三條
ノ改正規定施行ノ日前ニ爲シタルモノ及
同規定施行ノ日ノ前後ニ跨ルモノニ關ス
ル費用ノ分擔ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣廣瀨久忠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=71
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072・廣瀬久忠
○國務大臣(廣瀨久忠君) 只今議題トナリ
マシタ健康保險法中改正法律案ニ付キマシ
テ提案ノ理由ヲ說明致シマス
御承知ノ如ク健康保險法ハ工場鑛山等ニ
使用セラルル者ノ爲ニ、其ノ病弱又ハ負傷
等ニ關シ、療養ノ給付又ハ傷病手當金等ノ
支給ヲ爲シ、以テ是等勞働者其ノ他小額所
得被傭者ノ生活ノ安定ヲ圖リ、勞働力ヲ保
全シ、產業ノ進展ニ寄與スルノ趣旨ヲ以テ
制定セラレタモノデアリマシテ、殊ニ現下
ノ時局ニ際シマシテハ、銃後產業戰線ヲ充
實强化致シマス施設トシテ、益〓其ノ重要
性ヲ痛感サレル次第デアリマスガ、健康保
險實施以來十年餘ノ實績ニ徵シマシテ、是
ガ給付ヲ擴充スルト共ニ、職員健康保險法
案竝ニ船員保險法案ノ提案ニ伴ヒ改正ヲ必
要トスル點ガアリマスノデ、玆ニ本改正法
律案ヲ提出スルニ至ツタ次第デアリマス
卽チ今囘創設ノ職員健康保險及船員保險
ノ制度トノ間ニ於ケル被保險者ノ異動等ニ關
聯致シマシテ、健康保險法中關係規定ヲ整
備改正スルコトト致シテ居リマス、又現行
法ニ於ケル保險給付ハ、被保險者ノ疾病、
負傷、死亡又ハ分娩ニ關スルモノニ限ラレ
テ居ルノデアリマスガ、之ヲ被保險者ノ家
族ノ疾病又ハ負傷ニ關シマシテモ、一定條
件ノ下ニ或ル程度療養費ノ補給ヲ爲シ得ル
ノ途ヲ開キマスト共ニ、傷病ニ關スル保險
給付ノ支給期間ハ從來百八十日デアリマシ
タモノヲ、結核性疾患ニ關シマシテハ一
定條件ノ下ニ之ヲ一年ニ延長スルコトガ出
來ル途ヲ開クコトト致シテ居リマス、何卒
御審議ノ上速ニ御協賛アランコトヲ切望致
ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=72
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073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=73
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074・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出職員健康保
險法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=74
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075・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=75
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076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
七、昭和十三年法律第八十七號中改正法律
案ノ第一讀會ヲ開キマス--松村大藏政務
次官
第七昭和十三年法律第八十七號中改
正法律案(本邦内ニ於テ募集シタル
外國債ノ待遇ニ關スル件(政府提出)
第一讀會
昭和十三年法律第八十七號中改正法律
案
昭和十三年法律第八十七號中左ノ通改正
ス
「納稅ノ擔保」ヲ「政府ニ對スル保證金其
ノ他ノ擔保」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年五月三十一日以前募集シタル
外國債ニハ改正規定ヲ適用セズ
〔政府委員松村光三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=76
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077・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十三年法律第八十七號中改正法
律案提出ノ理由ヲ御說明致シマス、本邦內
ニ於テ募集シタル外國債ニ關シマシテハ
昭和十三年法律第八十七號ニ依リ、命令ヲ
以テ定メタル一定ノ外國債ニ付キマシテ
ハ租稅ノ賦課又ハ納稅ノ擔保ニ關シテノ
ミ國債ト同樣ノ待遇ヲ與ヘテ居リマスル
ガ更ニ其ノ範圍ヲ擴張致シマシテ、政府
ニ對スル保證金其ノ他ノ擔保ノ總テノ場合
ニ關シマシテモ、亦爾今國債ト同樣ノ待遇
ヲ與フルコトトナス爲ニ、該法律中改正ヲ
爲スノ必要ガアリマスノデ、本法律案ヲ提
出致シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速
ニ御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=77
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078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=78
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079・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出昭和十三年
法律第六十四號中改正法律案外一件委員ニ
併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=79
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080・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=80
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081・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=81
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082・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=82
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083・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=83
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084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後五時二分散會
衆議院議事速記錄第二十一號中
正誤
頁段行誤正
四三六二九役人役員
四三八三一五百石五百万石
四三〇四三打衝折衝
四四二一一一一致シク致シタ
四四六三七ドカウドウカ
四五五二二三今米日穀商今日米穀商
ガガ
四六三四三〇在高デハ在高ハ
四六四四六同期周期
四六五一一〇稅產增產
四六八一三向モ何モ
四六九二一一一「シエール」「シエーレ」
衆議院議事速記錄第二十四號中
正誤
頁段行誤正
五三七四四滿洲滿州國
五六八一九寺田市政君寺田市正君
五三二頁四段二十六行目、加藤知正君ノ次ニ左
ノ二名ヲ加フ
石坂養平君
森幸太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02519390314&spkNum=84
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