1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十四年三月十八日(土曜日)
午後二時十六分開議
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議事日程 第二十六號
昭和十四年三月十八日
午後一時開議
第一 昭和十四年法律第二號中改正法律案(昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第二 映畫法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員の異動左の如し
北海道第五區選出議員遠山房吉君死去せられたり
一政府より提出せられたる議案左の如し
昭和十四年法律第二號中改正法律案(昭和十四年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する件)
(以上三月十七日提出)
一昨十七日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
(第一號)昭和十四年度歳入歳出總豫算追加案
(特第一號)昭和十四年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
(追第二號)豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
鑛業法中改正法律案
青年學校教育費國庫補助法案
一去十六日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第九部選出豫算委員 渡邊泰邦君
一去十六日議長に於て選定したる委員左の如し
昭和十二年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)外五件委員
鈴木憲太郎君 仲井間宗一君
小山邦太郎君 木原七郎君
岡野龍一君 池田清秋君
成島勇君 福井甚三君
宮本雄一郎君 大内竹之助君
小笠原八十美君 森榮藏君
木村作次郎君 井上知治君
井阪豐光君 朴春琴君
菊地養之輔君 三木武夫君
青年禁酒法案(高橋壽太郎君外十三名提出)委員
手代木隆吉君 伊藤東一郎君
長野高一君 仲西三良君
泉國三郎君 山川頼三郎君
淺井茂猪君 中野寅吉君
河合義一君
一去十六日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十三年法律第六十四號中改正法律案(兌換銀行券の保證發行限度の臨時擴張に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任田万清臣君 補闕野溝勝君
輕金屬製造事業法案(政府提出)委員
辭任加藤鐐造君 補闕中村高一君
辭任宇賀四郎君 補闕渡邊玉三郎君
職員健康保險法案(政府提出)委員
辭任米窪滿亮君 補闕塚本重藏君
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案(鐵の輸入税免除に關する件)(政府提出)外一件委員
辭任川副隆君 補闕山田順策君
民族優生保護法案(八木逸郎君外一名提出)委員
辭任斯波貞吉君 補闕清寛君
宗教團體法案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任末松偕一郎君 補闕村瀬武男君
人事調停法案(政府提出)委員
辭任則元卯太郎君 補闕高橋義次君
國際電氣通信株式會社法中改正法律案(政府提出)委員
辭任南雲正朔君 補闕小林房之助君
一昨十七日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第九部選出
豫算委員 木村武雄君(渡邊泰邦君補闕)
一昨十七日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第九部選出
豫算委員 原惣兵衞君
一昨十七日委員長及理事互選の結果左の如し
昭和十二年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)外五件委員
委員長 福井甚三君
理事
鈴木憲太郎君 仲井間宗一君
宮本雄一郎君 大内竹之助君
青年禁酒法案(高橋壽太郎君外十三名提出)委員
委員長 手代木隆吉君
理事
伊藤東一郎君 泉國三郎君
一昨十七日に於ける特別委員の異動左の如し
北海道土功組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
死去遠山房吉君 補闕大島寅吉君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、諸君、議員遠山房吉君ハ昨十七日逝去
セラレマシタ、洵ニ痛惜哀悼ノ至リニ堪ヘ
マセヌ、此ノ際木下成太郞君ヨリ發言ヲ求
メラレテ居リマス、之ヲ許シマス-木下
成太郞君
〔木下成太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=1
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002・木下成太郎
○木下成太郞君 只今議長ヨリ御報告ニ相
成リマシタ故遠山房吉君ニ對シマシテ、院
議ヲ以テ弔詞ヲ贈呈シ、其ノ弔詞ハ之ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出致スノデアリマ
ス、此ノ際諸君ノ御同意ヲ得マシテ、議員
一同ヲ代表シ、玆ニ哀悼ノ意ヲ披瀝致シタ
イト存ジマス
故遠山君ハ明治二年長野縣諏訪郡中洲村
ニ生レラレタノデアリマスガ、志ヲ立テテ
明治三十三年北海道ニ移住ヲ致シ、農業ト
牧畜ニ從事セラレタノデアリマス、壯年ノ
頃ヨリ同君ハ其ノ地方ニ於ケル公共事業ノ
中心幹部トナツテ常ニ勤メラレ、又極メテ
友誼ニ厚イ人デアルト云フコトヲ、私ハ能
ク承知致シテ居ルノデアリマス、明治四十
三年以來道會議員ニ當選セラレルコト四
囘、次デ一昨年卽チ昭和十二年ノ第二十囘
衆議院議員總選擧ニ際シマシテハ多年公
共上ニ盡力セラレシ功勞ニ酬ヒル爲ト、併
セテ其ノ晩年ヲ飾ラシメント欲シマシテ、
十勝國ニ於ケル政民兩黨ノ幹部ノ諸君ガ申
合セヲシテ、ドウカ當選サシタイト云フノ
デ、兩方トモ候補者ヲ立テズニ、遠山君ヲ
北海道ノ第五區ヨリ選バシメテ、本院ノ議
員トナラレタノデアリマス、又君ハ農會ノ
役員トシテ、消防組頭トシテ、或ハ土地水
面評價委員トシテ、其ノ他幾多ノ公職ニ從
事セラレマシテ、地方公共事業ノ爲ニ、又
地方團體ノ爲ニ、多大ノ貢獻ヲ效サレ
殊ニ多年ニ亙リマシテ農事ノ改良及ビ其ノ
實行ニ力ヲ效サレマシテ、其ノ功績蓋シ顯
著ナルモノガアリマス、君ハ資性溫厚ニシ
テ且ツ篤實、而モ刻苦精勵ノ士デアリマシ
テ、稀ニ見ル所ノ立志傳中ノ人材デアリマ
シタ、然ルニ今俄ニ君ノ計音ニ接シ洵ニ痛
惜ノ情ニ堪ヘマセヌ、玆ニ衷心ヨリ謹ンデ
哀悼ノ意ヲ表スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 木下君提出ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ハ可決セラレマシタ-茲ニ
議長ノ手許ニ於テ起草シタル弔詞ヲ朗讀致
シンス
衆議院ハ議員遠山房吉君ノ長逝ヲ哀悼シ
恭シク弔詞ヲ呈ス
此ノ弔詞ノ贈呈方ハ議長ニ於テ取計ヒマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=4
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005・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第二ヲ繰上
ゲ、尙ホ同一委員ニ付託セラレタル政府提
西、著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案ト共ニ一括上程シ、委員長ノ報告ヲ求メ、
其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-日程
第二、映畫法案、著作權ニ關スル仲介業務
ニ關スル法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀
會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長星島二郞君
第二映畫法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一映畫法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十七日
委員長星島二郞
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一政府ハ映畫ノ〓育、宣傳、娛樂、報
道產業等ニ及ボス重要性ニ鑑ミ速ニ
積極的映畫國策ヲ樹立スベシ
二政府ハ速ニ映畫ニ關スル行政機構ヲ
統合刷新シテ其ノ强化ヲ圖ルト共ニ國
立映畫〓究機關ヲ設置スベシ
三政府ハ輸出入映畫ニ付關係各省ノ間
ニ緊密ナル聯絡ヲ圖リ適切ナル一元的
檢閱ヲ爲スベシ
四政府ハ映畫ノ輸出奬勵ノ方策ヲ講ズ
ルト共ニ輸入映畫ニ付關係各省ニ於テ
統一アル方策ヲ講ズベシ
五政府ハ本法ノ施行ニ當リ登錄ニ關シ
遺憾ナキヲ期シ十四歲未滿ノ者ノ觀覽
制限ニ付テハ社會ノ實情ニ反セザルヤ
ウ適當ニ善處スベシ
六政府ハ映畫ノ上映禁止其ノ他ニ關シ
訴願再檢閱等映畫委員會ノ議ヲ經テ適
當ナル方法ヲ考慮スベシ
報〓書
一著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十四年三月十八日
委員長星島二郞
衆議院議長小山松壽殿
〔星島二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=7
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008・星島二郎
○星島二郞君 只今上程致サレマシタ映畫
法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シ
タイト思ヒマス、此ノ法案ノ大要ハ既ニ皆
樣御承知ト存ジマスルガ、其ノ目的トスル
所ハ、此ノ映畫ノ有ユル國家的重要性ニ鑑
ミマシテ、映畫ガ單ニ娛樂ノミデナイ、〓
育、文化、宣傳、「ニュース」、記錄、斯ウ
云ツタヤウナ重要性ニ鑑ミマシテ、映畫ノ
質的向上ト映畫事業ノ健全ナル發達ヲ促シ、
我國ノ文化ノ進展ニ資シタイト云フノガ本
法案ノ目的トスル所デアリマス、其ノ內容
ヲ極ク搔摘ンデ御報告致シマスレバ、第
點ハ映畫ノ製作業及ビ映畫配給業ノ濫立ヲ
防止シテ、其ノ内容充實ヲ圖ル爲ニ之ヲ許
可制度ニ致シタ點デアリマス、其ノ二ハ映
畫製作從業員ノ登錄制度ノ實施デアリマス、
其ノ三ハ良イ映畫ノ出現ヲ促ス爲ニ選奬ノ
制度ヲ設ケタコトデアリマス、其ノ四ハ〓
化宣傳ノ爲ニ所謂文化映畫、或ハ「ニュース」、
サウ云フモノノ上映ヲ命ジテ、興行館ニ之
ヲ强制的ニサセルコトガ出來ル、斯ウ云フ點、
又公益上必要ニ依リマシテハ映畫ノ製作ヤ
配給、調整ニ關シマシテ命令ヲ發シ得ル點、
又本法施行ニ當リマシテハ可ナリノ命令事
項ガ多イノデアリマスルガ、ソレ等ヲ扱フ
爲ニ主務大臣ガ映畫委員會ト云フモノヲ設
ケマシテ、之ニ諮問ヲシテ、サウシテ遺憾
ナキヲ期シタイ、斯ウ云フ點ガ其ノ內容ト
ナツテ居ルノデアリシテ、委員會ハ數囘ニ亙
リマシテ熱心ニ審議ヲ重ネマシタ、極ク詳
シイ點ハ速記錄ヲ御覽願ヒタイト思フノデ
アリマスガ、其ノ委員會ニ於ケル極ク重要
ナ四五ノ點ヲ御耳ニ入レタイト思フノデア
リマス
第一點ハ、本法ハ文化立法カ產業立法
カ、當然是ハ內務大臣、文部大臣ノ所管ニ
屬シテ居リマシテ、文化立法トシテ現ハレ
タノデアルケレドモ、極メテ取締本位デア
ツテ消極的デアル、政府ハモツト此ノ內容
ノ重要性ニ鑑ミテ、モツト積極的ニ此ノ映
畫ニ關スル立法ヲヤラナケレバナラヌガ、
其ノ意思ハナイカ、斯ウ云フ質問ニ對シマ
シテ、當局ハ是ハ問フ人ノ言フ如ク、確
或ル程度消極的ニ見エルカモ知レナイケレ
ドモ、先ヅ從來放任サレテ居ツタ此ノ映畫
事業ニ對シテ取敢ズ「スタート」ヲ切ル點カ
ラ言ツテ、此ノ程度デ結構デ、今後進ンデ
御趣旨ニ副ヒタイト、斯ウ云フ答辯デアリ
マシタ
第二ニ映畫ニ關スル行政機構ヲモツト擴
大强化シナケレバ駄目ヂヤナイカ、今内務省
デ一檢閱官バカリデヤツテ居ルコトデハ、
折角此ノ法律ガ出來テモ駄目デハナイカ、
獨逸ニ於ケル宣傳省ノ如ク、モツト行政機
構ノ上ニ、少クトモ最小限度映畫課ト云フ
モノ、或ハ映畫局ト云ツタヤウナモノヲ設
ケテヤラナケレバ、駄目ヂヤナイカト云フ
ヤウナ質問ニ對シマシテ、當局ニ於キマシ
テモ其ノ必要性ヲ認メ、順次〓究ノ上サウ
云フ風ニアリタイトノ答辯ガアリマシタ
第三ハ檢閱ノ統制デ、是ハ御承知ノ如ク
或ハ大藏省ノ稅關デヤツテ居ル、內務省ハ
上映ニ對シテ檢閱スル、或ハ外務省ガ輸出
ニ對シテロヲ入レルト云ツタヤウナコトニ
ナツテ非常ニ混雜シテ居ルガ、此ノ檢閱ニ
對シテ統制、擴充、サウシテ一元的ニ、殊
ニ輸出映畫ニ對シマシテハ洵ニ殘念ナモノ
ガ外國ニ出テ居ル、今ハ製作ハ非常ニ澤山
サレテ居ルケレドモ、サウ多クノ數量ハ出
テ居ナイケレドモ、其ノ多クノ數量デナ
イ-僅カナモノサヘモ實ニ日本ノ文化ヲ
非常ニ誤解セシムルヤウナモノガ出テ居ル
ガ、是等ヲモツト一元的ニ檢閱シテ、萬遺憾ナ
キヲ期シテハ如何ト云フコトニ對シマシテ、
政府ニ於キマシテハ其ノ趣旨ヲ十分諒トセ
ラレ、一元的ニハ或ハ外務省カラ兼任ノ檢
閱官ガ內務省ニ來テヤルヤウニサレルカ、
或ハ內務省ノ人ガ兼任デ稅關ニ行ツテ檢閱
スルトカ、何カノ方法ヲ以テ之ヲ一元的ニ
ヤリタイモノダトノ御答辯ガアリマシタ、
又政府ハ是程力瘤ヲ入レテ居ルナラバ、音
樂學校ガアリ、美術學校ガアルナラバ、是
程大衆的ニモ國家的ニモ影響アル映畫ニ關
シテ、文部當局ハ少クトモ映畫ニ關スル〓
究機關ヲ設ケル必要ハナイカ、斯ウ云フ御
質問ガアリマシタガ、之ニ關シマシテ將來
篤ト考慮シ、其ノ實現ヲ期シタイトノ御答
辯ガアリマシタ
次ニ從業者ノ登錄制度デアリマスルガ、
是ハ登錄ノミニ依ツテ素質ノ向上ヲ圖ルコ
トハ出來ナイノデアルケレドモ、併シ之ニ
依ツテ素質ノ向上ヲ圖リタイ、ケレドモ角
ヲ矯メテ牛ヲ殺スヤウナコトガアツテハイ
ケナイト云フ見地カラ、得テシテ斯ウ云フ
業ニ關スル人ニハ非常ニ自由ナ氣持ガ必
要デアル、此ノ登錄ガ甲ノ會社ノ誰某、甲
ノ會社ノ俳優、甲ノ會社ノ「カメラマン」ト、
斯ウ云フ風ニ登錄サレテ、若シ此ノ甲ノ會
社ガ承諾ヲセナカツタナラバ、乙ノ會社ニ
行クコトガ出來ナイト云フコトガアツテハ
非常ナ不自由デアルガ、サウ云フヤウナ意
味ノ登錄デハナイカト言ウタラ、斷然サウ
デハナイ、ソレ等ノ自由ハ十分尊重スル
殊ニ「ニュース·カメラマン」ノ如キハ、一 〓
カラ言ヘバ製作者デアリ、監督者デアリ
製造者デアル、殊ニ新聞記者トシテ戰地ニ
行ツテ居ル、斯ウ云フ人ヲ一「カメラマンㄴ
ト云フ技術ニ限定スルト云フコトハ、遺憾
デハナイカト云フコトニ對シマシテ、サウ
云フコトハ全然ナイ、登錄上ニ付キマシテ
ハ萬遺憾ナキヲ期スルト云フ御答辯デアリ
マシタ
ソレカラ此ノ映畫法ニアリマスル如ク、
十四歲未滿ノ者ノ入場ノ禁止デアリマス、
是ハ現在ノ日本ノ社會ノ實情カラ鑑ミマス
レバ、非常ニ問題ガ多イノデアリマスルガ、
法律ニハ十四歲ト出テ居リマセヌケレドモ、
制限ヲ爲スコトガ出來ルノデアリマスガ、
其ノ制限ニ付テハ大體十四歲未滿ト云フヤ
ウナ政府ノ御意向ガアルノデアリマスルガ、
何レ是ハ映畫委員會ノ議ヲ經テ決セラレル
コトト思ヒマスルケレドモ、一面母親ノ入
場ヲ禁止スル結果ニモナルノデアリマスル
カラ、保護者ガ附イテ行ケバ宜イデハナイ
カト言ツタヤウナコトニ關シマシテ、政府
ハ十分社會ノ實情ヲ鑑ミテ善處シタイトノ
御答辯デアリマシタ
ソレカラ外國映畫ノ輸入制限ニ付テ、是ハ
今同ノ法律デ或ル程度マデ制限サレルコト
ニナツテ居ルノデアルガ、日本映畫ニ刺戟
ヲ與へ、日本映畫ノ發達ヲ圖ル爲ニモ必要
デアルシ、又外國ノ良キ映畫ハ日本ノ文化
ヲ發達サス參考ニナリ、或ハ外國ノ事情ヲ
知ル一ツノ大キナ機關トモナルノデアルカ
ラ、之ニ極端ナル制限ヲ加へル必要ハナイ
デハナイカトノ質問ニ對シマシテ、政府ハ
外國映畫ノ國民的ノ道義ニ及ボス影響ト
國內ノ映畫產業ノ保護ノ立場カラ適當ナル
制限ヲスルノデアツテ、決シテ極端ナル制
限ヲスル積リハナイ、是等ハ映畫委員會ニ
諮問シテ適當ニ決メルモノデアルトノ御答
辯ガアリマシタ
ソレカラ日本映畫ノ輸出振興及ビ大陸進
出ニ付テ促進スル必要ガナイカトノ問ニ對
シマシテ、政府ハ出來ルダケ之ニ對シテ努
力ヲシタイトノ御答辯ガアリマシタ、尙ホ
映畫委員會ノ構成ニ付テハ、得テシテ官僚
化トナル虞ガアル、斯ノ如キ文化立法ニ對
シマシテ、此ノ委員會ニハ廣ク民間ノ衆智
ヲ集メテ萬全ヲ期セラレタイトノ希望的質
問ニ對シマシテハ、政府ハ十分ソレ等ノコ
トヲ考慮スルト、尙ホ其ノ構成ノ方法、人
數等モ委員會デハ例示サレマシタガ、是ハ
煩ヲ省キマシテ速記錄デ御覽ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス、大體ソレ等ノ質疑應答
ガアリ其ノ外映畫製作ニ關シマシテ深夜
業ニ關スル問題、其ノ他ニ付キマシテ適切
ナル御質問ガアリ、又ソレニ對シテ鄭重ナ
ル政府ノ御答辯ガアリマシタガ、ソレ等ハ
速記錄ニ讓リマス
而シテ昨日質問ヲ打切リマシテ直チニ討
論ニ入リマシタ、民政黨ヲ代表シテ福田君、
政友會ノ岩瀨君、第一議員倶樂部ヨリ赤松
君、社大ノ田原君、第二控室ノ三木君等ヨ
リ、ソレ〓〓原案ニ對スル贊成ノ意見ガア
リマシタ、但シ其ノ以前ニ各派委員協議致
シマシテ、各派ノ諒解ノ上ニ一致シタル附
帶決議ヲ附シテ、之ヲ承認スルコトニ決シ
タノデアリマス、今其ノ附帶決議ヲ茲ニ朗
讀致シマス
附帶決議
-政府ハ映畫ノ〓育、宣傳、娛樂、報
道產業等ニ及ボス重要性ニ鑑ミ速ニ
積極的映畫國策ヲ樹立スベシ
二政府ハ速ニ映畫ニ關スル行政機構ヲ
統合刷新シテ其ノ强化ヲ圖ルト共ニ國
立映畫〓究機關ヲ設置スベシ
三政府ハ輸出入映畫ニ付關係各省ノ間
ニ緊密ナル聯絡ヲ圖リ適切ナル一元的
檢閱ヲ爲スベシ
四政府ハ映畫ノ輸出奬勵ノ方策ヲ講ズ
ルト共ニ輸入映畫ニ付關係各省ニ於テ
統一アル方策ヲ講ズベシ
五政府ハ本法ノ施行ニ當リ登錄ニ關シ
遺憾ナキヲ期シ十四歲未滿ノ者ヲ觀覽
制限ニ付テハ社會ノ實情ニ反セザルヤ
ウ適當ニ善處スベシ
六政府ハ映畫ノ上映禁止其ノ他ニ關シ
訴願再檢閱等映畫委員會ノ議ヲ經テ適
當ナル方法ヲ考慮スベシ
此ノ附帶決議ニ對シマシテハ、從來得テシ
テ附帶決議ハ唯聞置クト云ツタヤウナ程度
デ輕ンゼラレルカラ、强イ意味ニ於キマシ
テ此ノ決議ニ對シ、當該大臣ハ本會議ニ
於キマシテ、此ノ決議ニ對シマシテ意思表
示ヲサレタイトノ希望ガアリマシタ、之ヲ
私ヨリ當局ニ御註文申上ゲマス、以上ヲ以
チマシテ映畫法ノ御報告ヲ終リタイト思ヒ
マス
尙ホ本委員會ニ併託サレマシタル著作權
ニ關スル仲介業務ニ關スル法律案ノ委員會
ニ於ケル審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シ
やっ、此ノ法案ハ著作物ノ利用ニ關スル堅
實ナル仲介機關ノ發達ヲ促シ、以テ著作者
ノ利益ヲ擁護スルト共ニ、其ノ著作物利用
ノ簡易化ヲ圖ル爲ニ、著作權ニ關スル仲介
業務ニ付許可制度ヲ設ケ、其ノ業務ノ執行
ニ對シテ適正ナル監督ヲ加ヘントスルコト
ヲ目的トシタノデアリマシテ、委員會ニ於
キマシテハ本法案ノ特殊ナル目的ニ鑑
ミ、豫メ懇談ノ方法ニ依リマシテ、愼重審
議致シマシタ、其ノ內容ガ明瞭トナリマシ
タノデ、質疑應答ニ付キマシテハ特ニ申上
ゲル程ノコトモナク、文化立法ト致シマシ
テ滿場一致ノ贊成ヲ以テ議決致シタ次第デ
アリマス、此段兩案ヲ御報告致シマス拍
手)
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=8
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009・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 政府ハ只今
委員長ノ御述ニナリマシタル附帶決議ノ趣
旨ヲ尊重致シマシテ、映畫行政ノ適正ヲ期
シタイト存ジテ居リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=9
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010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=11
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012・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=13
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014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
映畫法案第二讀會(確定議)
著作權ニ關スル仲介業務ニ關スル法律
案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=14
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015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=15
-
016・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ政府提出、船舶建造融
資補給及損失補償法案、海運組合法案、造
船事業法案ノ三案ヲ一括議題ト爲シ、委員
長ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=17
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018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-船舶
建造融資補給及損失補償法案、海運組合法
案、造船事業法案、右三案ヲ一括シテ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メ
マス-委員長野田文一郞君
船舶建造融資補給及損失補償法案(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
海運組合法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
造船事業法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一船舶建造融資補給及損失補償法案(政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十八日
委員長野田文一郞
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一內外ノ情勢ニ鑑ミ本邦海運伸展ノ根
本方策ヲ講スルコトハ現下喫緊ノ要務
ナリト認ム依テ政府ハ內地外地ノ海事
行政ヲ統一シテ滿支トノ連絡ヲ密接ニ
シ以テ一元的海運國策ヲ樹立スル爲速
ニ適當ノ措置ヲ採ルヘシ
報〓書
一海運組合法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十八日
委員長野田文一郞
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
-內外ノ情勢ニ鑑ミ本邦海運伸展ノ根
本方策ヲ講スルコトハ現下喫緊ノ要務
ナリト認ム依テ政府ハ內地外地ノ海事
行政ヲ統一シテ滿支トノ連絡ヲ密接ニ
シ以テ一元的海運國策ヲ樹立スル爲速
ニ適當ノ措置ヲ採ルヘシ
報告書
一造船事業法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十八日
委員長野田文一郞
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
內外ノ情勢ニ鑑ミ本邦海運仲展ノ根
本方策ヲ講スルコトハ現下喫緊ノ要務
ナリト認ム依テ政府ハ內地外地ノ海事
行政ヲ統一シテ滿支トノ連絡ヲ密接ニ
シ以テ一元的海運國策ヲ樹立スル爲速
ニ適當ノ措置ヲ採ルヘシ
〔野田文一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=18
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019・野田文一郎
○野田文一郞君 船舶建造融資補給及損失
補償法案、造船事業法案、海運組合法案ノ
三案ニ付キマシテ、委員會ノ審査ノ經過竝
ニ結果ヲ御報告申上ゲマス
船舶建造融資補給及損失補償法案ハ去ル
九日委員ヲ指名セラレマシテ、直チニ委員
會ヲ開イタノデアリマス、ソレニ依ツテ委
員長、理事ノ互選ヲ行ヒ、去ル十一日更ニ
造船事業法案、海運組合法案モ同ジ委員ニ
付託セラレマシタカラ、三案ヲ一括シテ審
査ヲ進メマシタ
船舶建造融資補給及損失補償法案ノ〓要
ハ、政府ノ提案理由ニ依リマスレバ、我ガ
海運界ニ於テ多年要望シ來ツタ造船金融ノ
制度ヲ確立シ、業者ヲシテ船舶建造ヲ計畫
的ニ實行セシムルト共ニ、併セテ船價ノ低
減ヲ期シ、以テ本法海運發展ノ根基ヲ確立
セントスルニアルト云フコトデアリマス、
其ノ內容ヲ搔摘ンデ申シマスレバ、償還年
限ヲ十五年以內ニ致シマシテ、船舶建造ノ
資金ヲ低利ヲ以テ貸付ケルノデアリマス、
而シテ場合ニ依リマシテハ政府ノ認可ヲ
受ケル時ニハ、其ノ不足ノ部分ニ付テハ
他ノ擔保ヲ供セシメテ全額ヲ支給スル場合
モアルノデアリマス、尙ホ損失補償ニ付キ
マシテハ金融機關ノ受ケタ損失ノ百分ノ
七ヲ政府ガ補償ヲ致スノデアリマス、而シ
テ其ノ損害ノ額ハ、船舶融資損失審査會ニ
於テ決定ヲスルト云フコトニナツテ居リマ
ス
造船事業法案ハ、造船事業ヲ許可制度ト
致シマシテ、政府ガ之ニ關與ヲ致シテ指導
監督ヲスルト云フコトガ根本ノ規定デアリ
やっ、而シテ造船事業ノ爲ニハ土地ノ使用
又ハ收用、或ハ金融調達ノ便宜ヲ與ヘルト
云フコトモアリマス、更ニ又船舶ノ新造ノ
奬勵、卽チ從來未ダ造ラレタルコトナキ新
ナル船ヲ造ル爲ニ奬勵金ヲ交付シテ、造船
技術ノ進步發達ヲ圖ルト云フコトモアリマ
ス、又推進性能ノ試驗ノ厲行ヲ致スト云フ
ヤウナコトモアリマス、尙ホ造船事業者ノ
組合ノ制度ヲ認メマシテ、自治的ニ業者ヲ
シテ互ニ協力セシメ、政府ノ關與ニ依ツテ
更ニ之ヲ强化スルト云フヤウナコトガ、先
ヅ法案ノ骨子デアリマス
更ニ海運組合法ハ、從來船主協會ト云フ
ヤウナモノデ大體自治的ニヤツテ居リマス
ガ、今日ノ趨勢カラ申シマスレバソレノミ
デハ十分デアリマセヌカラ、海運組合及ビ
組合聯合會ヲ設立セシメルノデアリマス、
實際カラ申セバ、從來ノ船主協會ト云フモ
ノヲ改組スルト云フコトニナルノデアリマ
ス、斯樣ニシテ我國ノ海運政策ニ順應シテ、
運賃トカ、或ハ傭船料トカト云フヤウナモ
ノニ付テ、指導監督ヲスル制度ニスルト云
フコトデアリマス
以上ノ三案ハ何レモ業者一般ノ要望デア
リマシテ、提案ノ趣旨ニハ委員諸君モ最初
ヨリ異論ハナイノデアリマス、唯此ノ三ツ
ノ法案ヲ完全ニ活用シテ其ノ效果アラシム
ル爲ニハ從來ノ一大弊害ヲ根本的ニ刷新
ヲ致サナケレバナラヌ、其ノ弊害トハ何デ
アルカト申シマスルト、元來今日ノ時代ニ
於テ、海運政策ニ付テ內地外地ガ別ニナツ
テ居ルト云フコトハ海運事業ノ發達ヲ阻
碍スルモノデアル、朝鮮ハ朝鮮總督府、關東
州ハ關東局デヤル、內地ハ遞信省ト云フ風
ニ、內地外地ノ間ニ統一ヲ缺クコトガ今日
ノ最モ大ナル弊害デアル、此ノ根本ニ向ツ
テ改善ヲ加フルニアラザレバ、此ノ三案ガ
成立シテモ恐クハ十分ニ其ノ機能ヲ發揮ス
ルコトガ出來ヌデアラウ、斯ウ云フコトガ
委員ノ共通ノ考ヘ方デアリマシテ、此ノ考
ヘ方ニ基イテ政府當局ニ質疑ヲ致サレタノ
デアリマス、此ノ問題ノ解決ハ遞信省ノミ
ヲ以テ遂行スルコトハ困難デアリマスカ
ラ、之ニ關係ノ各省其ノ他ノ官廳ニ對シテ、
其ノ所信ヲ質スト云フコトガ最モ必要デア
ルト云フノデ、海軍大臣、拓務大臣、興亞
院總務長官、朝鮮總督府政務總監、對滿事
務局次長、是等ノ人ノ出席ヲ求メマシテ、
委員諸君ト熱心ニ質疑應答ヲセラレタノデ
アリマス、國務大臣竝ニ政府委員ノ御答辯
ハ大體ニ於テ質疑者ト其ノ感ヲ同ジウセ
ラレルノデアリマシタ、殊ニ海軍大臣ハ有
力ナル商船隊ノアルト云フコトハ海軍ノ
立場トシテハ最モ望マシイノデアル、優秀
ナル船舶ガ商船隊ヲ作ツテ、一朝有事ノ際
ニ働ヲスルト云フコトハ海軍ノ年來希望
スル所デアル、又日滿支ヲ一體トシタ考へ
方デ、統一セル海運政策ヲ樹立スルト云フ
コトモ、海軍ノ最モ望ム所デアルト云フ答
辯ガアリマシタ、其ノ他ノ國務大臣、政府
委員等ノ答辯モ大體ニ於テ大同小異デアリ
マシテ、何レモ海事行政ヲ統一スル爲ニ協
力スルト云フコトニハ一致ヲ致シタノデア
リマス
次ニ重大ナル問題トシテ質問應答ノアリ
マシタノハ造船能力ノ問題デアリマス
政府ノ答辯ニ依レバ、昭和十四年ニ於テ補
給ラスル額ハ幾ラデアルカト云ヘバ、初年
度ニ於テ九千万圓デアルガ、果シテ政府ノ
期待スルダケノ建造ガ可能デアルカ、現在
ノ實際カラ申セバ、一年間ニ建造シ得ル能
力ヲ標準トシテ、三年ノ間ニ所期ノ船ヲ造
ルコトハ出來ナイノデハナイカ、斯ウ云フ
風ナ質問ニ對シマシテハ、政府ハ今日ノ造
船能力ハ、其ノ全能力ヲ發揮スルニ於テハ、
殆ド之ニ應ズルダケノモノガアルトノコト
デアリマス、唯今日マデ之ヲ十分ニ發揮シ
得ザル所以ハ、主トシテ器材ノ配給ニアル、
此ノ點ニ付テモ昭和十四年度ニハ、ソレ〓〓
ノ關係官廳ト協力ヲシテ、支障ナク供給ヲ
スル手配ヲ致シテ居ルカラ、豫期ノ造船ヲ爲
シ得ルモノデアル、斯ウ云フコトノ答辯デアリ
マシタ、之ニ關聯致シマシテ器材ノ配給ノ問
題ニ付テハ、公開ノ席上ニ於テ答辯ヲスルコ
トガ出來ナイト云フノデ、祕密會ニ於テ其
ノ數量ヲ述ベラレタノデアリマス、併シ祕密
會ノ內容ハ玆ニ述ベルコトヲ差控ヘマス
更ニ委員諸君ノ熱心ニ質疑ヲセラレタコ
トハ船員ノ供給デアリマス、船ハ造ツテモ
今日ノ學校ノ狀態カラ云ヘバ到底其ノ船
ヲ動カスダケノ船員ヲ充實スルコトガ出來
ヌ、之ニ付テ果シテ確信デアルカト云フコト
ノ質疑應答ガ屢〓〓、繰返サレタノデアリマス、
殊ニ今日ノ船員ハ技術等ニ付テノ〓育ハア
ルガ、船員トシテノ道德的ノ〓養ニ於テ頗
ル缺クル所ガアル、斯樣ナ點ニ付テ質疑ガ
繰返サレタノデアリマシタガ、政府ハ大體
ニ於テ所要ノ人員ヲ充タスコトガ出來ルト
信ジテ居ル、船員ノ養成ニ付テハ尙ホ十分
ニ〓究ヲシテ、萬遺漏ナキヲ期シタイト云
フコトノ答辯デアリマシタ、又海運事業ノ
特殊性ニ鑑ミテ海運ニ關スル特別ノ金融
機關ヲ設クル意思ナキヤ、斯ウ云フ問モア
リマシタ、卽チ海運ノ事業ハ、非常ニ好況
ノ時代ガアル半面ニハ大ナル反動モアル、
併シナガラ長イ眼ヲ以テ見ルト、其ノ間ノ
損失ヲ補償シテ結局損失ナキヲ期スルコ
トヲ得ルノデアルガ、若シ金融業者ガ海運
ノ事業ニ十分ノ認識理解ヲ持タズシテ、不
況ニナレバ直チニ囘收ヲ迫ルト云フヤウナ
コトデハ折角有望ナル海運業者ガ其ノ爲
ニ潰サレテシマフト云フヤウナ危險ハナイ
カト云フ質疑ガアリマシタガ、之ニ對シマ
シテ政府ハ、只今ノ所直チニサウ云フコト
ヲヤル考ハ持ツテ居ラヌトノ答辯デアリマ
シタ、又今次ノ支那事變ニ鑑ミテモ、中小
型ノ船ガ非常ニ重大ナル役割ヲ致シタト云
フコトハ顯著ナル事實デアル、今後支那事
變ノ進展ニ伴ヒ、戰爭中ハ勿論、其ノ以後
ニ於テモ、支那沿岸或ハ長江、是等ノ方面
ニ於テ小型ノ船ガ役ニ立ツコトガ非常ニ大
キイノデアル、是等ノ小型ノ船ニ對シテハ
ヤハリ大型船ト同樣ノ援助ヲスル方法デア
ルカト云フ問ニ對シマシテハ、政府ハ小型
船ノ是マデノ働キ、今後ノ使命等ニ付テハ
十分ニ理解ヲ致シテ居ルカラ、·出來ルダケ
ノ援助ヲ與ヘル方針デアル、尙ホ組合ノコ
トニ付キマシテモ、實際ノ事情ニ卽シテ、小
型船等ニ對シテモ大型船ヨリ壓迫ヲ受ケル
ガ如キコトノナイヤウニ注意ヲスルト云フ
コトノ答辯デアリマシタ、ソレカラ對支海
運政策ニ付テノ質疑應答デアリマスガ、支
那ニ對シテ日本ノ海運ガ發展ヲスレバ、其
ノ必然ノ勢トシテ新ナル會社ガ生レルト云
フコトノ運命ニアル、其ノ新ニ生レル會社
ニ付テハ今日如何ナル程度ニ交涉シツツア
ルカ、其ノ內容如何、斯ウ云フコトノ問ガ
アリマシタ、此ノ問題ハ對外的ニモ種々ナ
ル影響ノアル問題デアルカラ、祕密會ニ於
テ答辯ヲスルト云フコトデアリマシタ、祕
密會ニ於テハ或ル程度ノ政府ノ說明ヲ聽イ
タノデアリマスガ、此ノ場合之ヲ申上ゲル
コトハ差控ヘマス
次ハ對支海運國策ヲ完全ニ遂行セントス
ルナラバ、ドウシテモ港ヲ修築シテ掛ラナ
ケレバナラヌ、天津、白河、靑島、蓮雲等
ノ港ハ何レモ規模ガ小サキニ失シ、若クハ
海底ガ淺イ爲ニ大キナ船ヲ著ケルコトハ出
來ヌ、折角多數優良ナル船舶ヲ造ツテモ、
港ノ設備ガ之ニ伴ハナケレバ用ヲ爲サヌ、
此ノ點ハ如何ト云フコトノ問ニ對シマシテ
ハ、政府殊ニ興亞院ニ於キマシテハ、目下
ソレ〓〓技術ノ方面ニ於テ〓究中デアルト
云フコトノ答辯デアリマシタ、其ノ他日本
ガ燃料ニ不足ヲ告ゲテ居ルト云フコトハ公
知ノ事實デアリマスガ、近來秋田地方ニ於
ケル油田ハ相當豐富ナルモノガアル、又日
「ソ」ノ關係カラ考ヘテモ、此ノ方面ノ油田
開發、又更ニ直チニソレヲ船ニ積ム爲ニハ、
相當ノ築港計畫モ必要デアラウト云フヤウ
ナ質問モアリマシタ、或ハ船價償却ノ問題
等モアリマシタガ、是等ノ問題ハ何レモ速
記錄ニ於テ御諒承願ヒタイト存ジマス
本日ヲ以テ質疑ヲ打切リマシテ、討論ニ
入リマシタ所、民政黨ヲ代表シテ木原七郞
君ハ此ノ三ツノ法案ハ何レモ時代ノ要求
ニ應ジタル良案デアル、併シナガラ其ノ運
用ヲ誤ツタナラバ、折角ノ名案モ其ノ效ヲ
奏スルコトハ出來マセヌカラ、十分ニ運用ニ
注意ヲシテ貰ヒタイ、尙ホ物的資材ノ整備ノ
外ニ人的資材ヲ整備スル必要ガアル、卽チ海
員ノ養成ニ最大ノ注意ヲ拂ハネバナラヌ、又
海事行政ノ統一ヲ圖ルコトガ現下ノ急務デア
ルト云フコトノ意見ヲ陳述セラレマシテ、
三案ニ對シテハ下ノ如キ附帶決議ヲ附シテ
原案ニ贊成スルト云フコトノ意見ノ陳述ガ
アリマシタ、其ノ附帶決議ハ
內外ノ情勢ニ鑑ミ本邦海運伸展ノ根本
方策ヲ講スルコトハ現下喫緊ノ要務ナ
リト認ム依テ政府ハ內地外地ノ海事行
政ヲ統一シテ滿支トノ連絡ヲ密接ニシ
以テ一元的海運國策ヲ樹立スル爲速ニ
適當ノ措置ヲ採ルヘシ
之ニ對シマシテ政友會ヲ代表シテ田中源三
郞君ガ大體同樣ノ意見ヲ述ベラレテ、贊成
ノ意ヲ表明セラレタノデアリマス、殊ニ田
中君ハ、今後日本ガ海運政策ニ於テ勝ヲ制
セントスレバ、遠洋航路ニ於ケル配船ノ手
配ニ最善ヲ盡サナケレバナラヌ、此ノ點ニ
十分注意ヲ致サナケレバ、外國トノ對抗ニ
於テ勝ヲ制スルコトガ出來ヌト云フコトヲ
熱心ニ主張セラレマシテ、原案竝ニ附帶決
議ニ贊成ノ意見ヲ述ベラレマシタ、第一議
員倶樂部ヲ代表シテ靑木精一君ガ、同樣ニ
內地外地ノ海事行政ノ統一ノ必要ナルコト
ヲ强調セラレテ、贊成ノ意見ヲ述ベラレマ
シタ、最後ニ社會大衆黨ノ米窪滿亮君モ大
體ニ於テ同樣ノ意見ヲ述ベラレマシタガ
殊ニ海員ノ養成ト云フコトニ對シテハ熱心
ニ强調セラレマシテ、原案竝ニ附帶決議ニ
贊成ノ意見ヲ述ベラレマシタ、採決ノ結果
三案竝ニ附帶決議共滿場一致ヲ以テ可決ヲ
致シマシタ、此段御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松喜君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=20
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021・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=21
-
022・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=22
-
023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=23
-
024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
船舶建造融資補給及損失補償法案
第二讀會(確定議)
海運組合法案第二讀會(確定議)
造船事業法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=24
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025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=25
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026・服部崎市
○服部崎市君 委員會ニ附託セラレタル議
案ノ報告ヲ待ツ爲、暫時休憩セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=26
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027・小山松壽
○議長(小山於壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、暫時休憩致シマス
午後三時七分休憩
午後三時五十四分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス、日程第一、昭和十四年法律第二
號中改正法律案、第一讀會ヲ開キマス-
松村大藏政務次官
第昭和十四年法律第二號中改正法
律案(昭和十四年度一般會計歲出ノ
財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會
昭和十四年法律第二號中改正法律案
昭和十四年法律第二號中左ノ通改正ス
第一條中「七億九千五百八十萬圓」ヲ「九
億八千四百九十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員松村光三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=29
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030・松村光三
○政府委員(松村光三君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十四年法律第二號中改正法律案
提出ノ理由ヲ御說明致シマス、昭和十四年
度一般會計總豫算及ビ同追加豫算第一號ニ
計上致シマシタル歲出ノ財源ニ充ツル爲必
要ナル公債ノ發行ニ付キマシテハ今期議
會ニ於テ既ニ二囘ニ亙リ之ニ關スル法律案
ヲ提出致シタノデアリマスガ、今囘別途提
出ノ第二號追加豫算案ニ計上シテアリマス
ル經費ノ所要財源總額由千二十餘万圓ニ付
キマシテハ、普通歲入及ビ道路公債法ニ依
ル公債金ヲ以テ充當シ、一億八千九百餘万
圓ニ付キマシテハ、今日ノ場合之ヲ歲入補
塡公債ノ財源ニ依ル外アリマセヌノデ、旣
ニ公布セラレマシタル昭和十四年法律第二
號ノ公債發行限度法定額ヲ九億八千四百九
十万圓ニ增額スル爲本法律案ト致シタ次第
デアリマス、何卒御審議ノ上速ニ協ヲ與
ヘラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=30
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031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=31
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032・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出昭和十三年
法律第六十四號中改正法律案外一件委員ニ
併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=32
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033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=33
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034・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=34
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035・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、米穀
配給給制法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ報〓
ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=35
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036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=36
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037・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ、米穀配
給統制法案、第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報告ヲ求メマス-委員長添田敬一
郞君
米穀配給統制法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一米穀配給統制法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報〓候也
昭和十四年三月十八日
委員長添田敬一郞
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字及-ハ委員會修正)
米穀配給統制法案中左ノ通修正ス
特ニ必要アル場合
第四條政府ハ〓米穀ノ買入若ハ賣渡又ハ
其ノ代理若ハ媒介ヲ爲ス者ニ
勅令ノ定ムル所ニ依リニ關スル
對シ。米穀ノ配給統制上必要ナル命令ヲ
爲スコトヲ得
政府必要ト認ムルトキハ何時ニテモ第
一條ノ許可ヲ受ケタル者ニ對シ其ノ業
務ニ關スル諸般ノ報〓ヲ命ジ又ハ其ノ
帳簿物件ヲ檢査スルコトヲ得
第二十七條理事長及副理事長ハ政府之
ヲ命ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ政府
ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四
年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
日本米穀株式會社ヲ監督スル官廳ノ官吏タ
リシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五箇年間日
本米穀株式會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但
シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十九條日本米穀株式會社ハ左ノ事
業ヲ營ムモノトス
-米穀市場ノ開設
二政府ノ委託ニ依ル米穀ノ買入又ハ
賣渡
三前二號ノ事業ニ附帶スル事業
四其ノ他本會社ノ目的達成上必要ナ
ル事業
日本米穀株式會社ハ前項ノ事業ノ外命
令ノ定ムル所ニ依リ米穀市場ノ開設ニ
附帶シ麥、大豆其ノ他ノ雜穀又ハ肥料
ヲ賣買取引スル市場ヲ開設スルコトヲ
得
前項ノ麥、大豆其ノ他ノ雜穀又ハ肥料
ヲ賣買取引スル市場ニ於テハ其ノ賣買
取引ニ付差金ノ授受ニ依リ決濟ヲ爲ス
コトヲ得ズ
前又
日本米穀株式會社第一項第三號若ハ第
四號又ハ第二項ノ事業ヲ營マントスル
トキハ政府ノ認可ヲ受クベシ
日本米穀株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其
ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止シ又ハ休
止スルコトヲ得ズ
第五十條日本米穀株式會社·左ノ各號ノ
一ニ該當スルトキハ理事長又ハ理事長
ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副理事長ヲ
五千圓以下ノ過料ニ處ス副理事長又ハ
理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副理事長
又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
-本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其
ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第二十九條第一項又ハ第二項ノ規
定ニ依ラズシテ業務ヲ營ミタルトキ
三第三十五條ノ規定ニ依ル命令又ハ
處分ニ違反シタルトキ
日本米穀株式會社ノ理事長、副理事長
又ハ理事第二十八條ノ規定ニ違反シタ
ルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
昭和十四年四月一日現ニ第一條
第五十九條第一條ノ規定施行ノ際現ニ
同條ノ許可ヲ受クベキ米穀ノ貿入若ハ
賣渡又ハ其ノ代理若ハ媒介ノ業務ヲ行
フ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ同條ノ規
定施行ノ日ヨリ之ヲ同條ノ許可ヲ受ケ
タル者ト看做ス
〔添田敬一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=37
-
038・添田敬一郎
○添田敬一郞君 只今議題ニナリマシタ米
穀配給締制法案ノ委員會ニ於ケル經過ノ大
要及ビ其ノ結果ヲ御報告申上ゲマス
御承知ノ通リ本法案ハ平時戰時ニ於ケル
食糧問題ノ重要性ニ鑑ミ、米穀ノ圓滑ナル
配給ト適正ナル價格ノ構成ヲ圖ル爲、速ニ是
ガ取引機構ヲ改革シ、投機取引ヲ抑制シ
實需ニ基ク正米取引ヲ原則トスル機構ニ改
ス、併セテ米穀取扱者ノ許可制ヲ布イテ
米穀配給統制ノ體制ヲ整ヘントスルモノデ
アリマシテ今議會ニ於ケル最モ重要ナル
法案ノ一ツデアリマスノデ、委員會ニ於キ
マシテモ會議ヲ重ネマスルコト十一囘ニ亙
リ、委員諸君ヨリ熱心ナル質疑ヲ試ミラレ
タノデアリマス、又政府ニ於キマシテモ、
之ニ對シテ極メテ懇切丁寧ナル應答ガアツ
タノデアリマス
今其ノ質疑應答ノ主ナルモノヲ申上ゲマ
スレバ
第一ニ、時局下ニ於テ本法案ヲ緊急ニ實
施セントスル理由ハ如何ナルモノデアル
カ、殊ニ米穀ノ增產計畫ヲ實行スレバ本
法案ハ其ノ必要ガナイノデハナイカトノ質
問デアリマシタガ、之ニ對シ政府ハ時局
下ニ於テ國民ヲシテ主要糧ニ毫末モ不安ナ
カラシムル爲、米穀ノ增產計畫ヲ樹立シテ
居リマスガ啻ニ生產ノ增加ニ努メルノミ
デハ足ラナイノデアリマシテ、米穀ノ賣買
取引ヲシテ適正ナル價格ニ依ラシムルト共
ニ、米穀ノ偏在其ノ他苟モ米穀ノ配給ニ支
障ヲ生ズルガ如キ事態ヲ惹起セシメザルヤ
ウ、豫メ米穀ノ配給締制ニ關シテモ適切ナ
ル方策ヲ樹立シ、萬遺憾ナキヲ期スル必要
ガアルノデアリマス、是レ卽チ本法案ヲ此
ノ際提案致シタル所以デアルトノ答辯ガア
ツタノデアリマス
第二ニ、時局下ニ於ケル食糧問題ノ重要性
ニ鑑ミテ、本法案ヲ實施スルノ外、米穀ノ
增產ニ關シ徹底的方策ヲ斷行スルノ要ガア
ルト思フガ如何デアルカトノ質問ガアリマ
シタ、此ノ質問ニ對シマシテ政府ハ內外
地ヲ通ズル米穀ノ需給關係ニ支障ヲ生ゼシ
メザルヤウ、內地及ビ外地ヲ一貫シテ米穀
ノ增產計畫ヲ樹立シ、是ガ實行ニ關シ諸般
ノ準備ヲ整へ、萬遺憾ナキヲ期シテ居ルト
ノ答辯ガアリマシタ
第三ニ、本法案ハ米穀專賣制ノ前提デア
ルカ又本法案ヨリモ寧ロ米穀ノ國家管理
又ハ專賣制ヲ實施スルコトガ適當デハナイ
カトノ質問ガアリマシタ、之ニ對シ本法案ハ
米穀ノ配給統制ヲ圖ルコトヲ目的トスルモ
ノデアリマス、而シテ米穀ノ國家管理又ハ
專賣制ハ種々〓究ヲ要スル點ガアリ、現下
ノ情勢ニ於テハ未ダ之ヲ實施スルヲ適當ト
認ムルニ至ツテ居ラナイノデアリマス、併
シナガラ是等ノ制度ニ關シマシテハ、十分
ニ調査〓究ヲ進メテ參ル考デアルトノ答辯
ガアリマシタ
第四ニ本法案ノ實施ニ依リ米穀生產者團
體ト米穀商トノ關係ハ如何ニナルカ、又本
法案ノ實施ニ依リ米穀商ニ失業者ヲ生ズル
虞ハナイカトノ質問、竝ニ中小商業者ノ問
題ハ極メテ重大デアルノミナラズ、現在產
業組合ト商業者ノ間ニ相當深刻ナル相剋
摩擦ガアルノデアリマシテ、政府ハ之ニ對
シ如何ニ考ヘテ居ルカト云フ質問ガアツタ
ノデアリマス、之ニ對シテ政府ハ、本法案
ハ米穀生產者及ビ米穀商等ヲシテ各〓其ノ職
分ニ應ジ米穀政策ニ協力セシメントスルモ
ノデアツテ、其ノ一方ノ擴充又ハ抑制ヲ圖
ラントスルモノデハナイノミナラズ、其ノ
立案ニ當リ兩者ノ調整ニ關シテ意ヲ用ヒテ
居リマスカラ、本法案ニ依ツテ特ニ摩擦相
剋ヲ來ス虞ハナイモノト信ジテ居リマス
又本法案ハ現存ノ米穀配給業者ノ安定ヲ圖
リツツ、米穀ノ配給紛制ニ協力セシメント
スルモノデアルカラ、本法案ノ實施ニ依リ
米穀商ニ失業者ヲ生ズルコトハナイモノト
認メテ居ル、又產業組合ト商業者間ノ摩擦
ヲ避ケルコトハ勿論、其ノ他中小農商業者
ニ關スル問題ハ極メテ重要ナルモノデアル
カラ、政府ハ內閣ニ官民ヲ網羅スル一大調
査機關ヲ設置シテ、十分ナル考究ヲ遂ゲテ
對策ヲ講ジタイトノ答辯ガアツタノデアリ
マス
第五ニ、本法案ト朝鮮米ノ統制トノ關係
ハ如何ニナルカトノ質問ガアリマシタ、之
ニ對シテ政府ハ、朝鮮米ノ統制ニ關シテハ
其ノ內地ニ移入セラレタルモノニ付テハ
本法案ノ運用ニ依リ是ガ配給ノ統制ヲ爲シ
得ルコトトナルノデアリマスガ、朝鮮内ニ
於ケル統制竝ニ內地移入ノ過程ニ關シマシ
テハ本法案ニ對應シテ適切ナル統制方策
ヲ速ニ樹立スル見込デアリマストノ答辯ガ
アツタノデアリマス
第六ニ本法案第四條ノ統制命令ノ發動ノ
場合、其ノ範圍及ビ命令ノ內容ハ如何ナル
モノデアルカトノ質問ガデアリマシタ、之
ニ對シマシテ本條ノ統制命令ハ、非常ノ場
合卽チ米穀ノ偏在等ニ依ツテ、米穀ノ配
給ノ圓滑ヲ著シク阻碍スル虞アル場合ニ於
テ、是ガ發動ヲ見ルモノデアリマス、斯ル
場合ニ於テハ配給ヲ業務トスル者ニ對シ命
令ヲ爲スコトニ依ツテ大體其ノ目的ヲ達
スルコトガ出來ルト考ヘルガ、極端ナル場
合ニハ業者以外ニモ之ヲ及ボシ得ルコトト
致シテ、配給ノ統制上萬全ヲ期シテ居ルノ
デアル、而シテ命令ノ內容ハ時ノ事情、命
令ノ對象等ニ依ツテ異ナリマスノデ、概
ニ之ヲ豫定シ難イノデアリマスガ、例ヘバ
米穀ノ買占、賣惜ノ禁止、販賣價格又ハ販
賣先ノ指定等モ豫想セラレマストノ答辯ガ
アツタノデアリマス
第七ニ、米穀市場ニ於テ延取引及ビ未著
物取引ニ付キ差金決濟ヲ認ムルコトハ
投機ヲ認ムルコトトナツテ、投機ノ抑
制及ビ實米ノ取引ヲ行ハシムルト云フ本案
ノ趣旨ニ反スルモノデハナイカト質問
ガアリマシタ、之ニ對シマシテハ米穀市
場ニ於テハ實米ノ取引ヲ行ハシメントスル
モノデアルガ、、配給ノ圓滑ヲ期スル爲ニハ
相當長期ニ亙ル未著物取引及ビ延取引ヲ認
ムル必要ガアルノデアリマシテ、且ツ是等
長期取引ニ付テハ或ル程度差金ノ授受ニ
依ル決濟ヲ認ムルノ要ガアリマスノデ、是
等ノ取引ノ履行期ニ於ケル決濟ニ限リ、差
金ノ授受ヲ認ムルコトト致シタノデアツ
テ、全ク取引ノ圓滑ヲ圖ル爲、現在ニ於テ
ハ必要ナルモノト考ヘテ居リマストノ答辯
ガアリマシタ
第八ニ、最高價格ヲ標準トシテ米穀ノ取
引價格ヲ抑制スルコトトナレバ增產計畫
ノ實行上支障ヲ生ズル虞ハナイカ、又現在
ノ標準最高價格ハ、物價ノ事情ニ甚シイ變
動ガアツタ場合ニハ、之ヲ變更スル意思ガ
アルカトノ質問ガアリマシタ、之ニ對シ政
府ハ最高價格ノ決定ニ際シテハ米價ヲ
一般物價ト十分ニ調和セシムルヤウ順重ニ
考慮致シタノデアリマスルガ、農業生產ノ
遂行ヲ容易ナラシムル爲ニハ更ニ肥料、
農具等生產資材ノ價格引下ニ努ムル所存デ
アリマス、又一般物價其ノ他ニ著シキ變動
ヲ生ジマシタル際ハ、最高價格ノ改定ニ付
テモ考慮シ得ルノ途ガアルノデアリマスト
ノ答辯ガアリマシタ
第九ニ、日本米穀株式會社ガ米穀市場ニ
附帶シテ雜穀、肥料等ノ市場ヲ開設シ得ル
コトトシタ理由ハ如何ナルモノデアルカト
ノ質問ガアリマシタ、之ニ對シマシテハ
現在正米市場ニ於テハ雜穀、肥料等ノ取引
ヲ爲シテ居ルモノガ若干アリマスガ正米
市場ノ廢トニ伴ヒ是等ノ市場ヲ遽ニ閉鎖セ
シムルコトハ種々支障ヲ生ズル虞ガアリマ
スノデ、之ヲ本會社ニ於テ引續キ行ヒ得ル
コトト致シタノデアリマシテ、將來右市場
ニ依リ積極的ニ雜穀、肥料ノ取扱ヲ爲サシ
メントスルモノデハアリマセヌトノ答辯ガ
アリマシタ
第十ニ、本法案第七條ニ依リ米穀市場ノ
賣買取引ノ價格ハ、米穀統制法ノ最低最高
價格ニ準據シテ定ムル價格ノ範圍內ニ制限
セラルルガ、市場外ニ於ケル取引ニ付テハ
如何ニナルカトノ質問ガアリマシタ、之ノ
對シ本法案ハ實米取引ノ主要ナル部分ヲ米
穀市場ニ於テ行ハシメルモノデアリマスル
ガ故ニ市場外ニ於ケル取引價格ハ大體ニ
於テ米穀市場ノ取引價格ニ從フコトトナリ
マスカラ、市場內ノ取引價格ヲ制限スルコ
トニ依リ、市場外ノ取引價格モ自ラ制限ノ
範圍內ニ止マルモノト考ヘテ居リマス、尙
ホ市場外ニ於ケル所謂闇取引ノ如キモノガ
相當行ハレルヤウナコトガ生ジマシタ場合
ニ、統制命令ノ發動ニ依リ適當ナル措置
ヲ講ジ、遺憾ナキヲ期シタイト考ヘテ居リ
マストノ答辯ガアリマシタ
第十一ニ、取引所ハ本法ヲ以テ之ヲ廢止
スルノデアルカラ、其ノ營業權ハ之ヲ賠償
スベキモノデハナカラウカトノ質問ガアリ
マシタ、之ニ對シ取引所ノ土地、建物等ノ
設備ハ、適當ナル價格ヲ以テ買取リ又其
ノ株主使用人及ビ取引員ニ對シテモ、米穀
會社ノ從業員トシ、又ハ開業、又ハ轉業資
金ノ貸付等、然ルベキ措置ヲ講ジマスノ
デ、現狀ニ於ケル措置トシテハ、此ノ程度
ヲ以テ已ムヲ得ザルモノト認メルトノ答辭
ガアリマシタ
以上ハ委員會ニ於ケル主ナル質疑應答デ
アリマスガ、右ノ外法文ニ付逐條的ニ質疑
應答ガ行ハレタノデアリマスガ、是等ノ詳
細ハ速記錄ニ依ツテ御覽ヲ願フコトト致シ
タイト考ヘマス
最後ニ一般ノ質疑ヲ打切リ討論ニ入ルコ
トニナリマシタガ、討論ニ入ルニ先ダチ委
員長タル私ヨリ次ノヤウナ質問ヲ致シマシタ
第一ニ、第一條ニ依リ許可ヲ受クベキ者
ノ家督相續人ニ付テハ、改メテ第一條ニ依
ル許可ヲ要セザルコトニスルコトガ適當デ
アルト考ヘルガ政府ノ意見如何ト云フニ
對シマシテ、政府ハ御趣旨ニ副フヤウ致シ
タイト云フ答辯ガアリマシタ
第二ニ、讓渡ハ許可ヲ受ケタル者ガ死亡
シ、其ノ相續人ガ業務ヲ行フニ適シナイ爲、
緣故者ニ業務ノ繼承ヲ希望スル場合、特上
許可スルコトニシテ貰ヒタイト云フ希望ニ
對シ、政府ハ許可ニ際シ十分御趣旨ニ副フ
ヤウ致シタイトノ答辯ガアリマシタ
第三ニ、第四條ニ依ル配給統制命令ヲ出
ス場合ニ於テハ、米穀統制委員會ノ議ヲ經
ルコトガ適當デアルト考ヘルガ、政府ノ御
意見如何ト云フニ對シマシテ、政府ハ第四
條ノ規定ニ依ル締制命令ノ發動ニ際シテハ
米穀給制委員會等ノ議ヲ經ルヤウニ致ス積
リデアルトノ答辯ガアリマシタ
第四ニ、第六條ノ勅令ニ關聯シテ新會社
ノ開設スル米穀市場ニ於テハ投機取引ヲ
抑制スル見地ヨリ、延取引ハ之ヲ行ハシメ
ザルコトガ適當ト考ヘルガ、政府ノ御意見
如何ト云フニ對シ、政府ハ延取引ハ出來得
ル限リ避ケタイト思ヒマスガ、現在ノ情勢
ヨリ考ヘマシテ、東京、大阪ノ二箇所ニ之
ヲ許シ、其ノ他二三箇所ニ限リ專門委員會
ヲ開キ、其ノ審議ノ結果ニ依リ決定致シタ
イト思ヒマストノ答辯ガアリマシタ
次ニ討論ニ入リマシテ、民政黨ノ長野綱
良君ヨリ御手許ニ配付致シテアリマス如キ
修正ヲ附シテ、本案ニ對スル贊成ノ意見ガ
アリマシタ、其ノ修正ノ理由ヲ簡單ニ申上
ゲマスレバ、第四條ハ、本條ノ發動ハ國民
ニ重大ナル影響ガアル、仍テ本條ハ特ニ必
要アル場合ニ限リ發動スベキモノナルコトヲ明
ニシ、且ツ其ノ發動ニ付テモ十分愼重ヲ期ス
ル爲、勅令ノ定ムル所ニ依ツテ米穀給制委員
會等ノ議ヲ經ルコトガ適當デアル、斯ウ云フ
見地ヨリ斯ノ如ク修正シタノデアリマス、
第二十七條ハ、監督官廳ノ官吏デアツタ者
ニ對シ、一定年ノ間本會社ノ役員タルコト
ヲ禁ゼンガ爲デアリマス、第二十九條ハ、
麥其ノ他ノ雜穀及ビ肥料ニ付テハ、現在ニ
於テ統制アル配給組織確立ガセラレテアル
ノデアルカラ、更ニ本會社ニ於テ是等ノ物
ヲ取扱フノ要ナキモノト認メタガ爲デアリ
さく、第五十條ハ、第二十九條ノ修正ニ伴
フ結果デアリマス、第五十九條ハ、米取扱
業者ニ對スル許可制ニ關スル第一條施行迄
ノ間ニ於テ、單ニ權利ヲ獲得スルノミノ目
的デ、一時ニ多數ノ新規開業者ノ生ズルコ
トヲ防止センガ爲デアリマス、次ニ政友會
ノ田中好君ヨリモ同樣ナ修正ヲ附シテ本案
ニ對スル贊成意見ガアリマシタ
次ニ第一議員倶樂部ノ北君及ビ社會大衆
黨ノ杉山君ヨリ、左ノ數箇條ノ希望意見ヲ
附シテ本案ニ對スル贊成意見ガアリマシタ、
其ノ希望意見ハ左ノ通リデアリマス、先ヅ
北君ノ希望意見ハ
政府ハ戰時下國民生活安定ノ爲米穀
其ノ他食糧供給確保ニ付キ萬全ヲ期ス
ベシ
二、政府ハ第四條ノ命令ノ發動ニ當リテ
ハ特ニ愼重ナル措置ヲ採ルベシ
三、政府ハ米穀ノ最高最低價格ノ決定ニ
付キテハ他物價ニ比シ其ノ適正ヲ失セ
ザルヤウ最善ヲ期スベシ
四、政府ハ肥料及其ノ他ノ農業生產資材
ノ配給ニ付キ適切敏速ナル方途ヲ講ズ
ベシ
此ノ四箇條デアリマス、又杉山君ノ述ベラ
レタ希望意見ハ次ノ通リデアリマス
本法ハ將來凶作其ノ他ノ事情ニ因リ
食糧ニ窮屈ヲ感ジタル際ノ配給統制機
構トシテハ不十分ナル點アルヲ以テ、
政府ハ速ニ米穀專賣制ヲ實施スルカ、
或ハ其ノ他ノ方法ニ依ル完全ナル米穀
配給機構ヲ立案スベシ
二、本法ハ戰時米穀政策上、重大ナル增
產計畫、配給計畫及ビ消費節約計畫ノ
關聯ヲ缺ケルヲ以テ、政府ハ速ニ米穀
消費節約運動ヲ積極化スベシ
三、本法施行後生ズル取引所員其ノ他ノ
犧牲者ニ對シテハ特ニ適正ナル對策
ヲ確立シ萬遺憾ナキヲ期スベシ
四、政府ハ米穀增產政策ヲ徹底セシムル
爲ニ、生產資材ノ割當ニ付テハ軍需
ト同等ノ重要性ヲ確認シ、其ノ供給ヲ
確保スルト共ニ、配給ニ付テモ生產者
ニ十分行渡ルヤウ其ノ配給機構ノ改善
ヲ期スベシ
五、米穀生產者ニ對シ、豐富ナル肥料割
當ヲ行フ爲ニ、肥料配給統制ノ範圍ヲ有
機質肥料ニマデ擴大シ、其ノ價格ノ暴
騰ヲ抑ヘ、且ツ其ノ配給割當ヲ貧農層
ニマデ普遍スルノ方途ヲ速ニ講ズベシ
六、現下ノ農村勞働力缺乏ノ實情ニ鑑ミ、
勞働力補給調整ノ施設ヲ完備スルト共
ニ農業ノ協同化、機械化、電化等ヲ
促進シ、單位勞働生產性ノ向上ヲ期ス
ベシ
七、低價格ニ依ル增產ヲ必至トスル時局
ノ要望ニ鑑ミ、農家必需品ノ鋏狀價格
差ヲ是正シ、其ノ引下ヲ計ルト共ニ、
不合理ナル農業機構ノ改革ヲ期シ、農
產品ノ生產費切下ヲ徹底セシムル爲ニ、
小作料ノ低減、耕地ノ交換分合等ヲ實
現スル爲ノ土地ノ公益的國家管理ヲ斷
行スベシ
次ニ東方會ノ小野謙一君ヨリモ修正案ニ
同意シ、其ノ他ハ政府原案ニ贊成スル旨ノ
意見ガアリマシタ、討論終結ニ當リ第一議
員倶樂部ノ窪井義道君ヨリ、本案ニ對スル
修正ニ對シ政府ノ意見ヲ求メタルニ對シマ
シテ、政府ニ於キマシテハ、只今直チニ進
ンデ御同意致シ兼ネマスガ、本案ガ兩院ヲ
通過確定致シマシタ場合ハ、十分尊重シタ
イト考ヘテ居ルト云フ答辯ガアリマシタ
而シテ採擇ノ結果ハ長野君ノ修正ヲ可決ス
ルト同時ニ、其ノ他ノ部分ニ付テハ原案通
リ決定ヲシタ次第デアリマス以上經過竝
ニ結果ノ御報告ヲ申上ゲル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=38
-
039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ委員長報告ハ
修正デアリマスカラ、討論ハ便宜上第二讀
會ニ於テ爲スコトト致シマス、本案ノ第二
讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=39
-
040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=40
-
041・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=41
-
042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス-討論ニ入リマス、通
告順ニ依リ發言ヲ許シマス-高田耘平君
米穀配給統制法案第二讀會
〔高田耘平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=43
-
044・高田耘平
○高田耘平君 私立憲民政黨ヲ代表致シマ
シテ、只今委員長ノ報告セシ案ニ贊成ノ意
ヲ表シマス、實ハ私ハ本案ニ贊成ノ理由ヲ
述べ、次ニ本案ニ依ツテ如何ナル影響ヲ各
業態ノ方々ニ及ボスカト云フコトヲ申上ゲ
テ、最後ニ二ツノ希望ヲ申上ゲヨウト存ジ
タノデアリマス、所ガ時間ヲ非常ニ制限ヲ
受ケテ居リマスカラ、本案ニ贊成ノ理由ハ、
最初農林大臣ガ此ノ案提出ノ當時說明シタ
コトニ依ツテ大體分ツテ居リマスカラ、是
ハ全然略シマス、而シテ最モ關係ノアル方
面、此ノ案ヲ施行ニ依ツテ如何ナル影響ガ
各方面ニ及ブカト云フコトヲ、御參考ニ申
上ゲテ見タイト思フノデアリマス
第一ハ生產者、卽チ農民ニ對シテドウ云
フ影響ガ及ブカト云フコト、是ハ其ノ第一
ハ農民ノ代表タル全販聯ガ市場員トシテ其
ノ米ヲ販賣スルコトガ出來マスカラシテ、
其ノ點ニ於テ農民ハ相當ニ自分ノ米ヲ賣ル
上ニ利益ガアルト存ジマス、而シテ斯ウ云
フ說モゴザイマス、此ノ法律ノ爲ニ最高
基準以上ニ農民ガ賣ルコトガ出來ナイカ
ラ、ソレガ爲ニ農民ガ不利益ニナルノヂヤ
ナイカト云フ說ヲ爲ス者モゴザイマス、
併シナガラソレハ假令本法ガナクトモ米穀
統制法ガ運用サレマシテ、政府米ガ相當數
量アル場合ニ於キマシテハ如何ナル場
合ニ於テモ最高基準以上ニ出ナイノデゴザ
イマスルカラ、而シテ農民ハ最低基準ヲ
保護サレテ居ルノデゴザイマスルカラ、
私ハ本法ニ依ツテ最高基準以上ニ賣却ス
ルコトヲ得ザルニ至ツタ所ガ、農民トシテ
敢テ損スル所ハナイト信ジテ居ルノデゴザ
イマス、第三ハ本法ニハアリマセヌガ勅令
ニアル、卽チ販賣組合ガ白米ヲ小賣スルコ
トガ自由ニ出來ナイト云フコトニナルノデ
ゴザイマス、是ハドチラカト言ヘバ、產業
組合ノ或ル意味ニ於テ退步ト見レバ見ラレ
やく、併シナガラ主義トシテハ私ハ贊成ハ
致シマセヌガ、產業組合ガ米ヲ白米ニシテ
小賣スルト云フコト、其ノ事ガ、果シテ組
合トシテ利益ガアルヤ否ヤ(「ノー〓〓」)ト
云フコトニ付テ、深キ疑問ヲ持ツテ居ルノ
デゴザイマス、殊ニ一般ガ免許制ニナル場
合ニ於キマシテハ、此ノ點ハ多少忍ブモ敢
テ農民トシテ左程ノ影響ハナイト信ジマス
(「認識不足ダ」ト呼フ者アリ)更ニ多數ノ小
賣商人ニドウ云フ關係ガアルカト云フコト
ヲ考ヘルト、今度ハ小賣人ガ免許制度ニナ
リ其ノ營業權ヲ確保サレマス、私ハ現在
マデノ小賣營業者ハ、非常ニ安心シテ其ノ
營業ニ從事シ得ルト思ヒマス、加之小賣商
ガ商業組合ヲ組織シテ、其ノ商業組合ガ市
場員トナツテ米ヲ買フコトガ出來ルノデア
リマスカラ、從來ノ問屋或ハ卸賣商ヨリ買
フョリモ、餘程小賣人トシテハ利益ヲ得ル
コトト私ハ固ク信ジマス、然ラバ取引所ノ
株主、或ハ取引員及ビ從業者ハドウ云フ關
係ニナルカト申シマスレバ、取引所ガナク
ナリマスルケレドモ、取引所ノ取引員及ビ
從業者ハ政府ガ之ニ對シテ或ル程度ノ救
濟-ト云フ言葉ハ當リマセヌガ、相當ノ
世話ヲ致シ、生活ノ安定ヲ計リマス、而シテ
又取引所ノ株主ニ對シテハ、而モ六分ノ配
當ノ見込ノアル其ノ株式ノ引受ニ優先權ヲ
與ヘルノデゴザイマス、隨テ米穀統制法施
行以來氣息奄々タル取引所ノ株主ハ、大旱
ニ雲霓ヲ望ムガ如キ感ガアルト存ジマス、
然ラバ問屋及ビ卸賣商ニドウ云フ關係ガア
ルカ、是ハ遺憾ナガラ多少ノ關係ガアルト思
ヒマス、私ハ赤裸々ニ申シマス、多少ノ打擊
ヲ受ケルト思ヒマス、產地仲買人ハドウカ、
是ハ全販聯ガ市場ニ進出シマシタ所ガ、左
程急ニ影響ハナイト思ヒマス、然ラバ消費
者ハドウカト言ヘバ、小賣人ガ生活ノ安定
ヲ得ル、卽チ是ガ爲ニ其ノ營業ニ裕トリガ
出來マスルカラ、不當ノ競爭ニ依ツテ米ヲ
安ク買フヤウナコトハナイカモ知レマセヌ
ガ、間接ニ消費者ニ相當ノ利益ガアリト信
ジマス、加之全販聯ノ市場進出ニ依リマシ
テ、ドウ云フ影響ガ及ブカト申シマスレバ、
市場ニ於テ市場員ガ若シ問屋及ビ卸賣商デ
ノミデアツタ場合ニ於キマシテハ單ニ營
利心ニノミ驅ラレテ、或ハ買煽リ、或ハ又
無闇ニ賣出ス、斯ウ云フヤウナコトヲ致シ
マシテ、米價ノ暴騰暴落ヲナス虞ガアリマ
スケレドモ、全販聯ガ大量ノ米ヲ以テ、サ
ウシテ是等市場員ト對抗スル場合ニ於テ、
私ハ或ル程度ニ於テ米價ノ暴騰暴落ヲ防ギ、
或ル程度ニ於テ米價ノ低下ヲ圖ルコトガ出
來ルト存ジマス、卽チ商賣人モ大體ニ於テ
問屋、卸賣ヲ除クノ外、小賣人モ、消費者
モ、農民モ、此ノ法律ノ施行ニ依ツテ或ル
程度ノ利益ヲ受クルコト極メテ明白デアリ
やっ、如何ナル事ヲ爲スノニモ全然良イコ
トバカリハアリマセヌ、他方ニ於テ多少不
利益ヲ受クルコトノアルコトハ、是ハ何ヲ
ヤツテモ我慢ヲシナケレバナラヌト存ジマ
ス、斯ノ如クニシテ私ハ本法律ニ依ツテ相
當ニ國民生活上安定ヲセシムルコトガ出來、
尙ホ生產者ニ對スル利益モ今後增進スルコ
トガ出來ルト信ズルノデゴザイマス
世上或ハ全販聯ノ進出ニ依ツテ、商賣人
ガ非常ナ惡影響ヲ受クル如キコトヲ唱道ス
ル者モアルヤウデゴザイマスルケレドモ、
私カラ見レバソレハ信ジマセヌ、今現在ノ全販
聯ガ如何ナル程度ニ於テ米ヲ扱ツテ居ルカ
ト云フコトヲ見ルト、先ヅ內地米ノ販賣米ヲ
約三千五百万石ト見マシテ、其ノ中單位產業
組合ガ扱フ數量ガ九百三十万石、而シテ全販
聯ノ扱フ數量ト云フモノ僅ニ三百七十五万石
デゴザイマシテ、總販賣數量三千五百万石ノ
一割强ニ過ギナイノデゴザイマスカラ、大部
分ハ皆商賣人ガ扱ツテ居ルノデゴザイマス、
然ラバ本法實施ニ依ツテ全販聯ノ扱フ米ガ
非常ニ殖エルカト申シマスト、サウ云フコ
トハ何トシテモ想定出來マセヌ、但シ今後
農民ノ經濟的自覺ニ依ツテ、單位產業組合
ガ漸次發展シタ場合ニ於キマシテハ、勿論
全販聯ノ扱フ數量モ殖エルノデゴザイマス、
併シナガラ弱小ナル農民ガ其ノ經濟的利益
ヲ擁護スル爲ニ、自分ノ生產シタル米ヲ之ヲ
成ベク多量ニ集メテ、比較的有利ニ賣ルト云
フ此ノ產業組合ノ事業ヲ、如何ナル政治家
モ如何ナル政黨モ之ヲ抑ヘル勇氣ノアル人
ハナイト信ジマス(拍手)故ニ將來ハ兎モ
角、五年、三年ノ內ニ全販聯ノ非常ナル進
出ヲ見込ムト云フコトハ、私ハ間違ツタ考
デアルト思フノデアリマス、斯ル理由ヲ以
テ此ノ案ニ付テ商賣人ノ一部ガ或ハ恐怖心
ヲ起シ、又各地ヨリ今ニモ米穀業者ガ破產
ニ瀕スルガ如キ態度ヲ以テ、吾々ノ所ヘヨ
ク電報ヤ手紙ヲ寄越スケレドモ、是ハ皆ナ
事實ヲ知ラザル誤ツタ判斷デゴザイマス
(「ノー〓〓」「ヒヤ〓〓」)是故ニ私ハ敢テ相
剋摩擦ヲ起スモノニアラズ、總親和ヲ害ス
ルモノニアラズ、故ニ本案ヲ徹底的ニ支持
スル者デゴザイマス
私ハ此ノ場合政府ニ對シテ一二希望ヲ申
上ゲタイト存ジマス、ソレハ附則第五十三
條「本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以
テ之ヲ定ム」ト云フ規定ガアルノデアリマ
ス、是ハ珍ラシイ規定デアル、斯ウ云フ規
定ガアリマスカラ、第四條ノ發動ノ準備ヲ
早ク政府ガスルコトデゴザイマス、卽チ第
四條ダケハ早ク發動シ得ルノ準備ヲ急ニ進
メラレルコトデアリマス、ト申シマスルノ
ハ政府ノ發表スル所ニ依レバ、九百二十
二万石ノ本年端境期ノ持越ガアリトノ豫想
ガ發表サレテアルヤウデゴザイマスケレド
モ、私ハ昭和十二年及ビ昭和十三年等ニ於
ケル政府ノ見込ミタル消費額ト其ノ實績ト
ニ於テ、相當ノ數字ノ差ガアルコトニ鑑ミ
マシテ、十四年ノ消費額モ亦多少ノ見込違
ガアルノヂヤナイカト懸念シマス、又外地
米ノ移入ニ付キマシテモ、果シテ豫定數量
ノ移入ヲ得ルヤ否ヤト云フコトニ付テ、是
亦深キ疑問ヲ持ツテ居リマス、併シ其ノ數
字ハ特ニ玆ニ申上ゲマセヌ、故ニ若シ本年
ノ氣候ガ米作ニ適セザルヤウナ場合ニ於キ
マシテハ、或ハ恐ル、第四條ノ發動ヲ要ス
ルニアラズヤト心配セザルヲ得ナイノデゴ
ザイマス、是ニ於テ私ハ成ベク早ク第四條
ノ發動ノ出來ル準備ヲ政府ニ用意シテ貰ヒ
タイト云フコトガ私ノ希望ノ一ツデアリマ
ス
希望ノ第二ハ增產ニ付テノ問題デゴザイ
マス、先達吾々ハ決議案ヲ提出致シマシタ、
其ノ結果カドウカ知リマセヌガ、兎モ角モ
其ノ各種ノ生產擴充計畫等ニ最モ深イ關係
ノアル所謂農家實行組合ニ對シテ、私ノ計
算デハゴザイマセヌガ、其ノ問題ニ付テ極
メテ熱心ナル村上國吉君ノ計算ニ依リマス
レド、約千九百万圓ノ金ガ農村ノ部落
實行團體ニ昭和十四年度ニ於テ交付サ
レルコトニナルサウデゴザイマス、私ハ
此ノ點ニ付テ農林大臣及ビ大藏大臣ガ、此
議會ノ院議ヲ重ンジマシテ、部落實行團體
助成ニ付テ相當ノ額ヲ計上シタコトニ付テ
深ク敬意ヲ表シマス、唯併シナガラ遺憾ナ
ルコトハ、物ヲ增產セヨト云フノニ、物ノ
値段ヲ安クシテ置イテ物ヲ增產セヨト云フ
程、是程矛盾ノ甚ダシキモノハアリマセヌ、
私ハ昨年ノ米穀統制委員會ニ於テ其ノ事ヲ
述ベマシタ、所ガ時ノ農林大臣有馬君ハ先
ヅ此ノ際我慢シテ吳レ、併シナガラ一般物
價ガ、卽チ農業資材ガ米價ヨリモ現在高イ
ノデアルガ、之ヲ何トカ引下ゲテ、農民ノ買
フ必要資材ト米價トノ平準ヲ得セシムルヤ
ウ努メルトノ聲明ヲシタノデゴザイマス、所
ガ聲明ヲシタ有馬君ハ何處カヘ行ツテシマ
ツテ當テニナラヌ、是ハ已ムヲ得マセヌ、併
シナガラ此ノ位矛盾シタコトハナイ、吾々
ハ此ノ際物價政策上米價ヲ引上ゲヨトハ申
シマセヌ、併シナガラ肥料ナリ、鐵ナリ
其ノ他有ユル生產資材ガ非常ニ高クナツタ
場合ニ於キマシテ、而シテ一面農產物ノ生
產擴充ヲ圖ル場合ニ於キマシテハ、政府ハ
全力ヲ傾倒シテ有ユル物價ノ低下ヲ圖ルハ
勿論、殊ニ農業生產資材ノ價格ノ低下ニ努
メラレンコトヲ要望スル次第デアリマス、
(拍手)是ナクシテ、貴樣達農產物ヲウント
作レ、併シソレハ安ク賣レ、コンナ馬鹿ナ
コトヲ言ツタツテ出來ル筈ハナイ、私ハ米
價ヲ高クセヨトハ申シマセヌガ、私ハ總理
大臣首メ農林大臣ニ對シ、農用資材引下ニ
努メラレンコトヲ御願シマス、ソレト同時
ニ減產ノ虞アル臺灣米管理ノ如キ計畫ハ
此ノ場合成ベク打切ラレンコトヲ希望スル
次第デアリマス、之ヲ以テ終リトシマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=44
-
045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三善信房君
〔三善信房君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=45
-
046・三善信房
○三善信房君 私ハ立憲政友會ヲ代表致シ
マシテ只今上程サルテアリマスル法案ニ
對シマシテ、委員長ノ報告ニ贊成ヲ致ス者
:デアリマス、玆ニ本案ヲ修正致シマシタ理
由竝ニ其ノ贊成及ビ將來ニ對スル希望ノ一
端ヲ申上ゲテ見タイト思フノデアリマス、
修正シマシタル一點ハ、本案ニ依リマシテ
ハ米穀業者ガ死亡致シマシタル場合ニ、相
續人ガ再ビ許可ヲ受ケナケレバ營業ガ出來
ナイト云フ仕組ニナツテ居ツタノデアリマ
ス、苟モ今マデ營業ヲヤツテ來タ者ガ、其
ノ營業者ガ死亡シタ爲ニ、再ビ許可ヲ受ケ
ナケレバナラヌト云フヤウナコトハ是ハ
餘リニ殘酷ナル取扱ナリト私ハ信ズルノデ
アリマス、隨テ屆出ニ依ツテ直チニ其ノ營
業ヲ爲シ得ルノ途ヲ開イタノデアリマス
是ガ其ノ第一點デアリマス、營業權免許制
度ハ此ノ法案ノ有ツ所ノ唯一ナル重要項目
ノ一ツデアリマスルガ、本法ガ愈〓、實施サル
ルト云フコトヲ見越シマシテ、見越開業ト
云フコトガ行ハルルノデアリマス隨テ業
者ヲ保護スル立場カラ考ヘマスレバ、ドウ
シテモ昭和十四年ノ四月一日ニ現ニ事業ヲ
ヤツテ居ツタ者ニ對シテ、其ノ營業ヲ認ム
ルコトガ本當ニ親切ナル所以ナリト信ズル
者デアリマス(拍手)隨テ其ノ通リニ修正ヲ
致シタノデアリマス、尙ホ米穀ノ配給統制
ニ依ル所ノ其ノ條項ヲ修正致シマシタノハ、
先程高田君カラ申サレマシタ通リニ、政府
ガ特ニ必要ナル場合ニ於テハ、殊ニ米ガ不
足スルト云フ場合ニハ、商人ガ持ツテ居ル
米デモ、或ハ生產者ガ持ツテ居ル米デモ、
總テノ米ニ對シテ或ハ配給上必要ナル所ノ
命令ヲ發シ、或ハ之ヲ賣渡ス所ノ命令モ發
シ得ラルルノデアリマス、併シナガラ斯樣
ナルコトヲ爲ス場合ニ、官僚ノ一方的考デ
ヤルコトハ出來ナイノデアリマシテ、吾々
民間ノ者モ入レタ官民一致シタル委員會ノ
議ラ經テ行フコトガ當然ナリト考ヘマシテ
其ノ事ヲ修正致シタノデアリマス(拍手)
次ニハ肥料及ビ雜穀ノ取扱ヲ削除シタ點
デアリマスガ、此ノ點ハ先程高田君カラ申
サレマシタ通リデアリマシテ、今肥料ニ付
テ、是ハ別ニ單行ノ法律ヲ以テ配給統制ノ
途ヲ講ズベキモノデアツテ、此ノ法案ニ揭
グベキモノデナイト考ヘマシテ、是等ヲ修
正致シタノデアリマス、是ガ私共ノ修正致
シマシタル理由ノ一端デアリマス
食糧問題ハ國民生活上最モ重要ナルモノ
デアリマシテ、特ニ戰時體制下ノ今日ニ於
キマシテハ聊カタリトモ國民生活ニ不安
ヲ與フルヤウナコトガアツテハナラナイノ
デアリマス、本法ハ米ノ價格ノ適正ト配給
ノ圓滑トヲ期シマシテ、生產者ヲシテ安心
シテ米ヲ作ラシメ、消費者ニ對シマシテ食
糧ニ不安ナカラシムルコトガ、其ノ眼目デ
アルノデアリマス、而シテ此ノ目的ヲ達成
致シマスモノハ、生產ノ確保デナケレバナ
ラヌト深ク信ズルノデアリマス、如何ニ價
格ノ公正ト配給ノ圓滑トヲ圖ラウト致シマ
シテモ、生產ガ消費ニ伴ハズシテ、米ガ不
足ヲ生ズルヤウナコトガアリマシタナラバ、
配給ノ圓滑ヲ圖ルコトガ出來ザルノミナラ
ズ、公正ナル價格ヲ維持スルコトハ出來ナ
イノデアリマス、必ズヤソコニ闇取引ガ現
ハレテ參ルト信ズルノデアリマス、現ニ政
府ガ有ユル物資ニ對シマシテ公定價格ヲ決
定致シテ居リマスルケレドモ、ヤハリ其ノ
品物ガ不足致ス爲ニ、闇取引ガ行ハレテ居
ル實情ニ徵シマシテモ、明瞭ナルコトデア
ルト信ズルノデアリマス殊ニ食糧ハ一日
モ國民ニ缺クベカラザル所ノモノデアリマ
スルガ故ニ、玆ニ若シ食糧ニ缺乏ヲ來スヤ
ウナコトガアリマシタナラバ、重大ナル事
態ヲ生ズルモノト信ズルノデアリマス、然
ルニ政府ガ米ノ增產計晝ヲナサルル所ヲ見マ
スルニ、戰時〓糧ニ不安ナキヤウ諸般ノ計
畫ハ立テラレテ居ルヤウデアリマスガ、果
シテ所期ノ增產ガ爲シ得ラレルヤ否ヤ、吾
吾ハ洵ニ憂慮ニ堪ヘザルモノガアリマス、
應召及ビ馬匹ノ徵發ニ因ル所ノ勞働力ノ減
退ハ避クベカラザルモノデアリマシテ、而
モ米ノ價格政策上ノ見地カラ抑制セラレテ
アリマシテ、生產資材トノ價格差ヲ生ジテ
參ツテ居ルノデアリマス、此ノ勞力ハ不足
シ、而モ米價ハ安イ、斯ウ云フ不利ナ條件
ノ下ニ於キマシテ、米ノ生產維持增進ヲ圖
ルニハ、吾々ガ賴リトスルモノハ、肥料ト
農業資材ノ供給ニ俟タナケレバ絕對ニ出來
ヌト思フノデアリマス(拍手)然ルニ肥料ニ
對シマシテハ過燐酸及ビ加里鹽ノ輸入割
當ガ決定セラレマシテ、燐礦石ニ付テ五十
万瓲、加里鹽ニ付キマシテ十六万瓲ノ輸入
割當ガ決定セラレタノデアリマスルガ、今
日ノ施肥ノ時期カラ申シマスレバ、聊カ時
期ヲ失シタカノ感ガアルノデアリマス、其
ノ他國內ニ出來マス所ノ各種ノ肥料モ、豫
期ノ製造ヲ見ルコトハ出來マセヌ、配給上
洵ニ多大ナル支障ヲ來シテ居ルノデアリマ
ス、併シナガラ如何ナル難局ニ直面シテモ、
此ノ難局ヲ打開致シマシテ、吾々ハ農業生
產力ノ維持增進ヲ圖ルニ、唯一時的ノ糊塗
方策ヲ以テ臨ンデハ絕對ニナラヌト思フノ
デアリマス、政府ハ速ニ肥料配給割當ノ制
度ヲ確立セラレテ、茲ニ卽時斷行セラルル
コトガ、肥料問題解決ノ唯一ノ方法ナリト
信ズルノデアリマス(拍手)農業生產資材タ
ル所ノ農器具ノ供給ヲ確保致シマシテ、其
ノ配給ノ適正ヲ期シマスコトハ、刻下最モ
必要ナルコトデアリマス、然ルニ農器具ノ
供給不足ト價格ノ騰貴トハ生產力ノ維持
ニ多大ナル不安ヲ生ジテ居ルノ現狀デアリ
やく、政府ハ速ニ農業經營ニ必要ナル所ノ
物資ニ付キマシテハ嚴密ニドレダケガ必
要デアルカト云フ、其ノ必要量ヲ調査シテ、
是ガ資材ニ付テハ軍需資材ト同樣ニ之ヲ確
保スルコトガ、最モ必要ナルコトデアルト
信ズルノデアリマス(拍手)是ガ爲ニ
原料資材ノ配給統制、機構ノ改善ヲ圖ルコ
トハ政府ニ於テ最モ考究セラルベキモ
ノデアルト信ズルノデアリマス、政府
ハ米穀ノ生產增進ノ爲ニ、地域的ニ種ノ更
新、或ハ溫床ノ設置、病蟲害ノ驅除、是等
ノコトニ依リマシテ段當ノ收穫量ノ增加ヲ
計畫致シテ居ラレマスルガ、長期對策ト致
シマシテハ、土地ノ改良、土地ノ開墾、又
土地ノ交換分合等ニ依リマシテ、內地外地
ヲ一貫シタル所ノ、米穀ノ根本策ヲ速ニ確
立シナケレバナラヌト思フノデアリマス
(拍手)
米價ノ公正ヲ期シマス上ニ付キマシテハ
現在ノ如ク最高三十五圓四十錢、最低二十
九圓九十錢ト云フガ如キデハ一石ニ付テ
實ニ五圓五十錢ノ開キガアリマシテ、最低
値カラ考ヘマスレバ、一割九分ノ範圍ヲ常
ニ米ハ上下致シテ居リマス、此ノ一割九分
ノ範圍ヲ一箇年ノ間ニ上下致スト云フコト
ハ生產者及ビ消費者ニ取リマシテ、餘リ
好マシキコトデアルトハ思ハレナイノデア
リマス、今ヤ主要物價ニ對シマシテモ價格
ノ公定ガセラレテ居リマス、國民ノ主要食
糧タル米ニ對シテモ、其ノ價格ノ公定ヲ爲
スコトハ正ニ當然デナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス(拍手)米價ヲ公定シ且ツ配給
ヲ圓滑ニスルニハ、米ノ專賣ヲ爲スヨリ外
ニナイト私ハ信ズルノデアリマス(拍手)本
案ハ米ノ販賣ニ付テノ許可制度ガ設ケラ
V、或ハ投機思惑ガ抑制セラレ、或ハ配給
統制ガ强化セラレテ參ツタノデアリマス、
吾々ガ年來希望スル所ノ專賣ニ一步ヲ進メ
タモノデアルノデアリマシテ、吾々ハ速ニ
專賣制度ノ施行セラレンコトヲ希望致ス者
デアリマス、本法案ヲ提案セラレマシテ以
來、米穀業者ハ自己ノ營業權ヲ侵害セラル
ルモノナリト致シマシテ、非常ナル不安ニ
驅ラレテ居ツタノデアリマス、勿論生產者
ガ自己ノ生產シタル所ノ米ヲ、生產者ノ團
體ニ依ツテ販賣スルト云フコトハ、是ハ決
シテ無理ナコトデハアリマセヌ、當然是ハ
認メナケレバナラヌ問題ダト思ヒマス、而
シテ又一方米穀商ガ從來生產者ト消費者ノ
間ニ立チマシテ配給機關トシテ社會ノ爲
ニ盡シテ來タ其ノ事實モ、之ヲ認メテヤラ
ナケレバナリマセヌ而モ之ニ依リマシテ
生活ヲ維持シ來ツタ所ノ者ニ對シマシテ、
急激ナル變化ヲ生ジ、生活ヲ脅威サルルヤ
ウナコトガアリマシテハ是ハ大イニ注意
セネバナラヌ問題ダト思ヒマス、農林大臣
ハ此ノ點ニ關シマシテ、先刻委員會ニ於キマ
シテ、中產階級ノ生活安定ヲ主眼トスル根
本對策ヲ確立スルノ要アリトシ、之ニ關ス
ル一大調査機關ヲ設置シ、犠牲產業ニ對ス
ル轉業對策及ビ產業組合對中小商業者間ノ
相剋摩擦ヲ排除スルコトヲ言明セラレタノ
デアリマス、私ハ農林大臣ノ此ノ言ヲ信ジ
マシテ、速ニ調査機關ノ設置ヲ要望スルト
共ニ、現內閣ノ標榜スル所ノ國民總親和ノ
實ヲ擧ゲ、擧國一致以テ此ノ難局ヲ打開ス
ルノ方途ヲ講ゼラレンコトヲ切望致ス者
デアリマス(拍手)以上ノコトヲ申上ゲマシ
テ、本案ニ對シマシテハ委員長ノ報告ニ贊
成ヲ致ス者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=46
-
047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 窪井義道君
〔窪井義道君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=47
-
048・窪井義道
○窪井義道君 私ハ只今上程ニナリマシタ
米穀配給統制法案ニ付キマシテ、第一議員
倶樂部同志ヲ代表致シマシテ、委員長ノ修
正案ニ贊成ノ意ヲ表スル者デアリマス修
正ノ理由ニ付キマシテハ只今三善君ヨリ
御述ニナリマシタノデ、私共ハ之ヲ省略致
シマス、此ノ機會ニ於キマシテ、極メテ簡
單ニ本案ニ贊成ノ理由ヲ述べ、更ニ政府ニ
對シテ數點ノ吾々同志ノ希望意見ヲ述ベタ
イト存ジマス
本案ニ贊成致シマスル第一點ハ、本案ノ
目標ガ米穀配給上强力ナル統制ノ命令權ヲ
持ツテ居ル點デアリマス今日マデ米價其
ノ他米穀ノ配給ニ付キマシテ、各種ノ法律
案ガ本議會ニ於テ審議致サレマシテ出來上
ツタノデアリマスガ、戰爭ガ起リマシテ以
來是等ノ法律ノミヲ以テ致シマシテハ
米穀ノ配給及ビ價格ニ對シテ萬全ヲ期スル
コトガ出來ナイ、就テハ萬一戰爭最中ニ當
リマシテ一朝米穀ノ市場ニ急激ナル變動
ガ參リマシタ場合、申スマデモナク凶作或
ハ米ノ不足ト云フヤウナコトガ起リマシタ
場合ニ、其ノ配給ノ統制ノ圓滑ヲ期スル爲
三、ドウシテモ政府ガ强力ナル力ヲ以テ
統制スルニアラズンバ本當ノ國民ノ生活
ノ安定ヲ期スルコトハ出來ナイノデアリマ
ス、此ノ意味ニ於テ本法ガ寧ロ非常立法ト
申シマセウカ、强力ナル統制力ヲ有シテ居リ
マス點ニ於テ、私共ハ贊意ヲ表スル者デアリ
マス、而シテ此ノ米穀ノ配給法ト相竝ビマシ
テ、今日戰爭シテ居ル最中ニ、食糧政策ノ上
ニ於テ、米穀ガ一方ニ偏在スルト云フコト
ニ對シテ、此ノ法案ノ第四條ノ發動ヲ見ル
時ニ當ツテハ食糧ノ普遍性、米ノ普遍性
ト云フコトヲ實現スル上ニ於テ、非常ナ效果
ガアルト存ズル故デアリマス、本案ハ一旦
飢饉ノ場合ニ賣惜ミ其ノ他ノ貯藏ニ依リ米
ガ偏在スルト云フコトガ非常ナ危險デアル
ト云フコトニ對スル、大キナル救濟的ナ法
案デアルノデアリマス
第二點ハ、申スマデモナク〓算取引ヲ廢
シマシテ、正米取引本位ニシタ點デアリマ
ス、是ハ私ガ申スマデモナク、大臣ノ提案
ノ說明ニモ十分述ベラレテ居ツテ、國民ノ
主食タル米ヲ投機ノ具ニ供スルト云フコト
ニ關シマシテハ思想的ニ見マシテモ、亦
價格ノ適正、配給ノ圓滑ノ上カラ見マシテ
モ、從來ノ方法ニ依ツテハ出來ナイト云フ
點ヲ、政府ハ斷然タル處理ヲ執ツテ之ヲ實
行シタト云フ點ニ付テ、吾々ハ贊意ヲ表ス
ル者デアリマス、併シナガラ私ハ政府ガ是
ダケノ決意ヲ以テ取引所ヲ廢メテ、此ノ法
案ヲ出サレタ以上ハ、更ニ一步ヲ進メテ延
取引其ノ他ニ付テモ、今少シ此ノ精神ヲ徹
底サレタナラバ、更ニ本案ト云フモノガ本
當ノ畫龍點晴ヲ見タモノト思ウテ、甚ダ遺
憾ニ思ツテ居ル點デアリマス
第三點ハ、今日マデ此ノ米穀ノ取扱其ノ
他ガ自由放任ニ任サレテ居リマシテ、米穀
市場ガ各地ニ散在シテ居リマス、此ノ分散
シテ居ル所ノ米穀ノ取引機關ニ對シマシテ、
政府ハ之ヲ單一化シテ、一本ノ日本米穀
株式會社ト云フモノヲ以テ、有ユル米穀業
者ニハ許可制度ト致シ、又市場員ニ對シテ
ハ政府ハ相當ナ命令權ヲ持ツテ居リマシテ、
此ノ米穀ノ取扱ニ對シマシテ、又取引ニ對
シマシテ、自由放任ニ任サレテ居リマシタ
モノヲ、政府ハ初メテ此ノ法律ニ依ツテ、
單一化シテ統一セラレタト云フ點ニ對シテ、
私共ハ贊意ヲ表スル者デアリマス、是ハ非
常ナ大キナ問題デアリマシテ、其ノ萬一ノ
場合ニ當リマシテ、各地ニ分散致シテ居リ
マスル所ノ市場、各地ノ人々ガ經營致シテ
居リマスル市場トカ、或ハ其ノ他ノ取引所
ト云フヤウナモノガ存在シマスルト、ソレ
ノ統一ト云フコトハ非常ニ困難デアルモノ
ヲ、一ノ米穀會社ヲ作リマシテ、ソレニ監
督セシメ、ソレニ市場ヲ經營セシメルト云
フコトハ、此ノ點ニ對スル多クノ寄與ヲス
ルモノダト思ツテ贊成シテ居ル次第デアリ
マス
第四點ハ、本議場ニ於キマシテモ審議サ
レマシタ臺灣ニ於ケル米穀ノ管理案、又最
近朝鮮ニ於テ生レントシマスル所ノ米穀配
給統制案、及ビ本日上程サレテ居リマスル
所ノ此ノ米穀配給統制法、此ノ三者ガ互ニ
相關聯致シマシテ、因トナリ果トナツテ、
是ガ完全ナル一ツノ政府ノ意思ノ下ニ連繫
サレマスルコトニ依リマシテ、初メテ日本
ノ米穀ニ對スル配給ノ對策ガ立テラレルト
云フ意味ニ於キマシテ、私ハ日本ノ米穀國
策ノ體制ヲ整ヘタト云フ意味ニ於テ本案ニ
贊成スル者デアリマス、以上ノ如キ諸點ガ
吾々ガ本案ニ贊成致シマスル大體ノ理由デ
アリマスガ、私ハ此ノ法案ノミヲ以テ致シ
マシテハ我國ノ米穀政策ヲ解決スルコト
ハ出來ナイト存ズルノデアリマス、ソレハ
先程三善君ガ述ベラレマシタヤウニ、米穀
ノ政策ハ生產、配給、價格、此ノ三ツノ
モノガ三位一體トナツテ妙用ヲ發揮ス
ル所ニ、米穀政策ノ運用ガ存スルノデゴザ
イマシテ、政府ガ此ノ戰爭ニ當リマシ
テ、私共ニ示サレタル所ノ增產計畫、又ハ
米穀生產計畫ト云フモノヲ拜聽致シマ
スルト、政府ハ此ノ事變下ニ於テ樂觀シテ
居ルノデハナイカト云フ印象ヲ、强ク委員
會其ノ他ノ質問ニ依ツテ受ケタノデアリマ
ス、ソレハ先程三善君ガ述ベラレタル如ク
ニ、戰爭ニ因ツテ農村ノ勞働力ノ減少ヲ見
ルコトガ、私ハ詳シイ數字ハ存ジマセヌ
ガ、恐ラク百万、百五十万人ニ及ンデ居ル
ト思フノデアリマス、此ノ百數十万ノ人間
ガ農家カラ離レテ、農作物ノ生產ニ從事ス
ルコトガ出來ナイト云フ大キナル事實、及
ビ先程申サレマシタ肥料其ノ他ノ農村資材
ガ缺乏シテ居ルト云フ此ノ二ツノ點ニ鑑
ミマシテ、寧ロ米作ニ對シテハ減收ヲ見ハ
シナイカト吾々ハ危險ヲ感ズル者デアリマ
ス、然ルニ拘ラズ、政府ハ四百万石ノ增收、
及ビ外地ニ於テ約二百万石ノ增收ヲ計算致
サレマシテ、サウシテ外地ノ朝鮮臺灣カラ
約一千五百万石ヲ移入ヲ致サレマシテ、其
ノ結果增產ト照シ合セテ、本年度ハ約九百
二十万石ノ米ノ持越ヲ見ルヤウナ計算ヲ立
テテ居ラレマスガ、私ハ寧ロ此ノ計畫ハ危
險デハナイカト思フ、私共ハ戰爭ニ當リマ
シテ、敢テ悲觀ヲスル者デハアリマセヌガ、
樂觀ハ禁物デアリマス、今マデノ戰爭ノ例
ヲ見マシテモ、歷史ハ戰爭ト〓糧ト云フコ
トニ對シテ尊イ〓訓ヲ吾々ニ與ヘテ居ルノ
デアリマス、萬一戰時下ニ於テ米ノ不足ヲ
來シ、オ互ガ切符ヲ以テ米ヲ買取ルヤウナ
狀態ニナルコトヲ考ヘテ見マスルト、私ハ
我國ノ米穀政策ノ上ニ於テ、朝鮮、臺灣ヲ
考ヘルト同時ニ、滿洲ヲ考ヘナケレバナラ
ヌデヤナイカ、卽チ米ノ生產ノ地域ヲ今少
シ擴大致シマシテ、滿洲ニマデ今日移民計
畫ヲシテ居ラレル所ノ拓務省ハ百万ノ移
民ヲ爲サラウトスルニ當ツテ、所謂米ノ生
產ニ對シテ今少シ注意ヲ拂ハレ、所謂米ノ
生產ヲ奬勵サレル所ノ屯田兵ノ制度ヲ滿洲
ニ確立セラレタナラバ、所謂米、食糧ト云
フモノニ對シテ、日本人ガ-吾々內地ノ
人ガ非常ニ米ニ對スル彈力性ヲ與ヘル、米
ノ政策ノ上ニ於テ彈力性ヲ與ヘテ、生產地
域ガ非常ニ廣クナルト云フコトハ、我國ノ
米穀政策上ニ於ケル所ノ非常ナル力ヲ添へ
ルノデアルト私ハ確信スル者デアリマス
(拍手)政府ハ此ノ點ニ鑑ミテ、滿洲ニ於ケ
ル所ノ米穀ノ對策ニ對シテ、所謂朝鮮、臺
灣、內地及ビ滿洲ヲ一貫致シタル所ノ政策
ヲ確立セラレンコトヲ希望致スノデアリマ
ス
尙ホ本案ニ對シマシテハ、本案ガ玆ニ上
程サレテ居リマスル條文以外ニ、勅令又ハ
委任命令ニ依ル箇條ガ非常ニ多イノデアリ
やく、此ノ勅令、委任命令ニ依ル場合ハ、
政府ノ自由裁量ニ依ツテ米穀配給、價格其
ノ他ノ點ガ決セラレルコトヲ考ヘマシテ、
政府ハ本法案ヲ實施セラレントスル場合ニ
當ツテハ、此ノ委任命令、勅令ニ對シテハ
深甚ノ注意ヲ拂ツテ戴キタイト思フノデア
リマス、ソレハ本案ヲ通覽致シテ見マスル
ト、本法ニ於ケル所ノ委任命令又ハ勅令ト
云フモノガ十數點ニ亙ツテ居ルノデアリマ
ス、而シテ此ノ勅令及ビ委任命令ガ行ハル
ル上ニ於テ、立法ノ技術ノ上カラ見マシテ
モ甚ダ遺憾ノ點ガ多イ、私ハ此ノ際ニ當リ
マシテ、政府ガ本案ヲ實施セラルルニ對シ
テ、數點ノ希望意見ヲ述ベテ政府ノ注意ヲ
喚起致シタイト存ズルノデアリマス、希望
意見ニ付キマシテハ、只今親切丁寧ナル委
員長カラ、此ノ壇ニ於テ述ベテ戴キマシタ
ノデ、私ハ之ヲ繰返シテ申上ゲル煩瑣ヲ避
ケタイト存ズルノデアリマスガ、唯一點政
府ハ本案實施ニ當リテハ、相剋對立ヲ生ゼ
ザルヤウ注意セラレタイト云フ意見ガ落チ
テ居リマシタノデ、此ノ點ヲ附加致シマシ
テ、私共ハ委員長ノ御報〓ニ贊成ノ意ヲ表
スル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=48
-
049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 佐竹晴記君
〔佐竹晴記君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=49
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050・佐竹晴記
○佐竹晴記君 私ハ社會大衆黨ヲ代表致シ
マシテ、只今ノ委員長報告ニ贊成ノ意ヲ表
スル者デアリマス、併シナガラ吾々ハ本案
ニ付テハ不十分、不徹底ナ點ガ多々アルト
考ヘマスノデ、只今ノ委員長報〓ノ通リ、
吾々ヲ代表シテ杉山氏ヨリ委員會ニ於テ申
上ゲマシタ希望條項ヲ附シテ贊成ヲ致シタ
イト存ズル次第デアリマス
事變以來有ユル物資ニ對スル禁止制限ガ
强行サレテ參リマシタニ拘ラズ、主要食料
品タル米ノ消費ニ付テハ、何等ノ制限ガ加
ヘラレズ、又何等ノ不安ヲ感ズルコトナク
シテ茲ニ至リマシタコトハ、我ガ國土ノ恩
惠デアリ、又農漁村ノ大ナル努力ノ賜デゴ
ザイマシテ、洵ニ心强ク存ズル次第デアリ
やく、サレド暴風、旱天、冷害等ノ爲ニ、
何時生產ノ激減ヲ來スカモ分リマセヌ、ノ
ミナラズ戰時下勞力ノ減退、耕地減少等、
其ノ他ノ事情ニ依リマシテ〓糧缺乏ノ時期
ガ來ナイトハ誰ガ斷言スルコトガ出來マセ
ウ、而シテ本法案ハ是等米穀事情ノ急激ナ
ル變動ニ際會致シマシタ時ニ、國民生活ニ
脅威ヲ與フルコトノナイヤウニ、特ニ今日
ノ時局ニ鑑ミマシテ、長期持久ノ事變下ニ
於ケル米穀ノ生產及ビ供給ノ確保、竝ニ價
格ノ適正ヲ期センガ爲ニ提案サレタモノデ
アリマスルコトハ、農林大臣御說明ノ通リ
デアリマス、然ルニ此ノ趣旨ヨリ致シマス
ナラバ、本案ハ洵ニ不徹底デアルト言ハザ
ルヲ得ナイノデアリマス
先ヅ第一ニ〓算取引ヲ禁止シ、實米取引
ヲ主眼トシ、投機ノ手段ヨリ來リマス米價
ノ動搖、暴騰ノ危險ヲ防止致シマシタコト
ハ洵ニ正當デアルト考ヘマス、併シ尙ホ
限定セラレテ居ルトハ言ヒナガラ、二箇月
間ノ延取引ヲ許シ、投機ノ餘地ヲ存セシメ
マシタコトハ、洵ニ遺憾デアルト存ズル次
第デアリマス(拍手)
次デ半官半民ノ會社デアルトハ言ヒナガ
ラ、日本米穀株式會社ト云フ營利會社ヲシ
テ市場ヲ經營セシムル結果ハ、配當增加ヲ
望ミ、勢ヒ延取引ヲ多クスルト共ニ、株式
ヲ從來ノ市場取引員、卽チ投機業者タリシ
者ニ優先的ニ與ヘマスル結果、是等ノ者ガ
重役トナリ、市場ノ經營ガ自然投機性ヲ帶
ビ、公益性ヲ滅却スル虞ハ免レマイト私ハ
思フノデアリマス、隨ヒマシテ此ノ際投機
性ヲ全然排除シタ一本建ノ公定價格制ヲ確
立致シマシテ、市場ノ經營ハ又國家自ラ之
ニ當ルベキモノデアルト思フノデアリマス
更ニ又我國ノ米穀ハ商品化サレタモノ
ハ全生產額ノ五六%ニ過ギマセヌ、而モ是ガ
集荷方法ニ付テハ何等ノ統一制ガゴザイマ
セヌ、一朝凶作其ノ他米穀ノ需給圓滑ヲ缺
キマシタ時、或ハ賣惜ミヲシ、或ハ賣隱シ
ヲスルコトハ當然デアツテ、之ニ處スル集
荷對策ガ樹立サレテ居ナイト云フコトハ
甚ダ弱點ト言ハザルヲ得ナイノデアリマス、
仍テ全生產米ニ付テ營利性ヲ持タザル農會
ナリ、或ハ市町村ナリ、或ハ產業組合ナリ
ヲシテ、此ノ村ニハドレダケノ米ガアル
又何處ニ何程殘ツテ居ルカト云フコトヲ常
ニ調査セシメマシテ、何時デモ市場ヲ通ジ
テ其ノ配給ガ出來ルヤウナ集荷組織ガ、最
モ必要デアルト私共ハ思フノデアリマス、
是ガ爲ニハ先程既ニ前論者ヨリ申上ゲマシ
タ通リ、米穀ノ專賣制ヲ實施スルノ外ハナ
イト私共ハ思フノデアリマス
次イデ政府ノ米穀政策ハ、常ニ全生產額
ノ五六%ノ商品化サレタ米穀ノミニ付テ、之
ヲ對象ト致シテ考ヘテ居リマスガ、此ノ從
來ノ方針ヲ一擲シ、全生產米ニ對スル消費
節約ノ運動ヲ積極化スベキモノデアルト私
ハ思フノデアリマス(拍手)日露戰爭前後ニ
於ケル一人當リノ消費量ハ、明治三十六年
及ビ三十九年ニハ一人一箇年ニ付九斗內外
デアツタノデアリマスガ、戰爭中ノ三十七
八年ニハ一石一斗カラ一石二斗位ヲ消費致
シテ居リマシテ、其ノ數量ノ激增致シテ居
ルコトハ諸君御承知ノ通リデアリマス、此
ノ狀態デアリマスカラ、此ノ際消費節約ヲ
以テ此ノ長期聖戰時下ニ備フベキデアルト
私共ハ考ヘルノデアリマス、軍隊ガ七分搗
米ヲ採用スルコトニ依リマシテ、實ニ三百
万石ヲ節約シ、其ノ價格實ニ一億圓ヲ突破
致シテ居リマス、剩ヘ脚氣病ヲ克服致シマ
シタ如キ、米穀日本ノ一大誇リデアルニモ
拘ラズ、此ノ世界的發見ガ國民ノ間ニ十分
理解サレテ居ナイト云フコトハ甚ダ遺憾ニ
思フ、吾々ハ是等ヲ考慮シ、一擧兩得ノ消
費節約運動ニ乘出スベキモノデアルト考ヘ
ル次第デアリマス
次ニ本法施行後生ズベキ取引所員其ノ他
犧牲者ニ對シテハ特ニ適當ノ對策ヲ講ズ
ベキデアルコトハ申スマデモアリマセヌ
次イデ米穀政策ノ根本ハ、何ト申シマシ
テモ增產計畫ノ徹底デアリマス、增產計畫
ノ徹底ノ爲ニハ、農產用器具機械竝ニ必要ナ
ル鐵、「ゴム」「ガソリン」ト云フヤウナモノニ
對シマシテ、政府當局ハ軍需品ト同樣重要
性ヲ確認致シマシテ、其ノ需給ノ圓滑ヲ期
スベキデアルト私共ハ考ヘル(拍手)又肥料
ノ配給締制ノ範圍ヲ擴大致シマシテ、有機肥
料ニ付テマデ之ヲ擴大シ、價格ノ暴騰ヲ抑
ヘ、且ツ其ノ配給割當ヲ貧農層ニマデ敷衍
スルノ方策ヲ講ズベキモノデアルト信ズル
者デアリマス(拍手)有機肥料ハ重要肥料フ
地方割當制實施前ノ十一月現在ニ比シマシ
テ、最近ハ何レモ二〇%乃至三〇%ノ騰貴
ヲ示シテ居リマス、ソレヲ更ニ昨年ノ同期
ニ比シマスルナラバ、四〇%ノ騰貴デアリ
マス、有機質肥料ノ値上リハ、ソレダケ農
家ノ損失ニナツタノデアルコトハ申上ゲル
マデモアリマセヌ、仍テ化學肥料ト相竝ン
デ、有機質肥料ノ公正ナル標準價格ヲ決定
シ、豐富低廉ナル配給統制ヲ斷行スベキモ
ノデアルト考ヘル、更ニ事變以來農山村ノ
勞働力ノ減退致シテ居リマスコトハ、前論
者ヨリモ既ニ申上ゲテ居リマシタガ、新潟
縣ニ於キマシテハ、農村カラ五万八千人
ノ男女ガ工場へ吸收サレ、埼玉縣デハ昨年
ノ十二月、全縣下ノ農業勞働移動調査ニ依
リマシテ、四万六千百五人ガ動イテ居リマ
シテ、農家戶數ノ一割三分ガ農業ヲ離レテ
居リマス、漸次農業經營ハ婦人ト老人ニ任
サレヤウトスル狀態デアリマシテ、勢ヒ經
營能率ヲ低下致シテ居リマスルコトハ、是
亦已ムヲ得ナイ所デアリマス、是ニ於テ其
ノ勞働力ノ補給調整ニ萬遺憾ナキヲ期スル
ト同時ニ、農業ノ協同化、機械化、電化ヲ
促進シマシテ、單位勞働生產性ノ向上ニ資
スベキモノデアルト考へルノデアリマス(拍
手)最後ニ低價格ニ依ル增產ヲ必要ト致シ
マスル時ニ、農家必需品ニ對スル鋏狀價格
差ガ、事議以來最近マデニ其ノ約四倍ニ擴
大致シテ、益〓農家經濟ヲ壓迫致シテ居リ
マスルコトハ、洵ニ憂フベキ事柄デアルト
思フノデアリマス、政府ハ物價統制策ヲ一
層强化致シマシテ、農家經濟ノ安定ヲ圖ル
コトガ極メテ緊要デアルト思フ(拍手)ノ
ミナラズ國民生活ノ安定ト國際貸借ノ改善
ノ見地ヨリ致シマシテモ、農產品ノ生產費
切下ゲナケレバナラヌト思フ、由テ以テ生
產擴充ヲ期シナケレバナラヌト、斯樣ニ思
フノデアリマス、是ガ爲ニハ〓騰傾向ニア
リマス所ノ地價、小作料ノ合理的低減ヲ圖
リ、他方耕地ノ交換分合ヲ斷行スベキモノ
デアルト思フ、群馬縣農會ノ調査ニ依リマ
スレバ、耕地ガ分散シテ居リマスコトニ依
ツテ、反當リ畑三十一人、田二十七人ヲ要
シテ居リマス田畑ニ於テ、耕地ノ統一ヲ圖
リマシタ結果、畑ニ付テハ五人、田ニ付テ
ハ六人、卽チ四分ノ一ノ勞力ヲ以テ同一ノ
能力ヲ發揮シテ居リマスコトガ實證サレテ
居ルノデアリマス、斯ノ如キ狀態デゴザイ
マスノデ、其ノ交換分合ヲ實現致シマスト
同時ニ、土地ノ公益的國家管理ヲ斷行スベ
キモノデアルト、斯樣ニ思フノデアリマス
(拍手)吾々ハ此ノ希望ヲ附シテ、本法案ノ
通過ノ上ハ最善ヲ盡シテ、萬遺憾ナク本法
ノ精神ヲ發揮セラレマスヤウニ熱望致シマ
シテ、贊成ノ意ヲ表スル次第デゴザイマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小野謙一君
〔小野謙一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=51
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052・小野謙一
○小野謙一君 私ハ東方會ヲ代表致シマシ
テ、只今議題ト相成ツテ居リマスル米穀配
給統制法案ニ對シマシテ、委員長ノ報告ニ贊
成ノ意ヲ表スル者デアリマス、申上ゲルマデモ
ナク本法案ハ我國食糧政策ノ根幹トモ申ス
ベキ法案デアリマシテ、唯法案自體ガ日本國
民ノ主要食糧タル米穀ノ配給ヲ圓滑ニスルノ
ミナラズ、一方ニ於テハ生產者タル農民ノ農業
經營ヲ安定化シ、他方ニ於テハ消費大衆ノ
食糧不安ヲ一掃スルト云フ、理想的目的ヲ
持ツ點ヲ重大視シナケレバナリマセヌ
今ヤ事變ハ長期持久ノ時期ニ入リツツア
リマス、此ノ秋ニ當リ政府ハ戰時米穀政策
ヲ確立シ、米穀事情ノ急激ナル變動ニ備ヘ、
以テ絕對ニ國民ノ生活ヲ脅威セシムル如キ
コトナキヲ期スル爲、米穀生產及ビ配給ヲ·/
確保シ、且ツ價格ノ適正ヲ期スルガ爲ニ本
案ヲ提出シタト申サレテ居リマス、而シテ
政府ハ此ノ目的ヲ貫徹センガ爲ニ、取引機
構ヲ改革シ、從來投機取引ニ逸脫シタル弊
害ヲ抑制シテ、實需ニ基ク正米取引ヲ原則
トスル機構ヲ確立シ、併セテ米穀取扱業者
ノ許可制ヲ布キ、米穀配給統制ノ體制ヲ整
から、食糧問題ノ解決ニ當ラントスルノ決
意ヲ示シテ居ルノデアリマスガ、而モ正米
取引ヲ原則トシナガラ、東京、大阪ノ如キ
特定ノ市場ニハ、未著物及ビ延取引ヲ許シ、
其ノ一部ニ尙ホ差金決濟ヲ認ムルコトハ
政府自ラ投機行爲ヲ承認スルモノデアツテ、
本法ノ精神ヲ破壞スルノ虞ナシトハ言ハレ
ナイノデアリマス、私ノ調査致シマシタル
所ニ依リマスルト、內地生產米中其ノ販賣
米ハ三千五百万石、內縣外移出米ハ千五百
万石デアリ、其ノ內東京、大阪、名古屋、
福岡ノ如キ主要都市ニ集荷スル數量ハ、若
干ノ朝鮮米ヲ入レマシテ一千二三百万石デ
アリマス、假リニ全國市場ノ取扱數量ヲ移
動米ノ五割ト見マスレバ約千七百五十万
石デアリマス、然ルニ政府ノ提示シタル會
社ノ米穀取扱收入ヨリ推算致シマスナラ
バ正米取引高ハ一千四百六十万石、未著
物ハ一千百四十万石、延取引ハ一千二百六
十万石トナリマシテ、未著物ト延取引トヲ
合算スル時ハ、實ニ二千四百万石ニ上リ、
正米取引高ニ比較シテ稍,其ノ二倍ニ近カ
ラントシテ居ルノデアリマス、又三者ヲ合
計スレバ三千八百万石トナリ、市場ヲ通ジ
テ流レル米ノ推定數量ニ比較シテ、優ニ二
千數百万石ノ超過トナルノデアリマス、更
ニ從來東京、大阪、名古屋、福岡等ノ主要
都市ニ集荷シタル所ノ一千二三百万石ノ米
ニ比較シマスレバ、殆ド其ノ三倍ニ近カラ
ントスルノデアリマス、斯ル多數ノ未著物
又ハ延取引トシテノ米ガ、東京、大阪ノ如
キ特定市場ニ於テ取引サレル實情デアリマ
スカラ、何人モ投機取引ノ公行ヲ否定シ得
ナイノデアリマス、私ハ本法案ノ一大眼目
トシテ、政府ガ投機抑壓ノ爲ニ出シマシタ
法律案ガ、投機ノ具ニ供セラルル虞アリマ
スルコトニ多大ノ遺憾ヲ感ズル者デアリマ
ス(拍手)政府ハ生產確保ノ應急對策ト致シ
マシテ、農林水產食糧ノ生產ヲ增進奬勵スル
ガ爲ニ、特ニ此ノ際一千五百万圓餘ヲ據出致
シマシテ、生產ノ第一線ニ活躍スル部落團
體ヲ助成激勵スルノ各種ノ施設ヲ行ハント
シツヽアルノデアリマス、私ハ固ヨリ此ノ
種政府ノ意圖ヲ諒トスル者デゴザイマスガ、
折角ノ政府ノ增產計晝モ、先刻此ノ壇上ニ
於テ申サレマシタヤウニ、價格ノ抑制政策
トノ點ニ一大矛盾ヲ感ズルノヲ遺憾ト思フ
ノデアリマス、政府ハ宜シク是ガ解決ニ向
ツテ一段ノ努力ヲ要スルモノアリト信ジ
さく、事變下ニ於ケル統制經濟政策トシテ
ノ低物價ハ、極メテ有意義ナルコトハ言フ
マデモゴザイマセヌ、特ニ低物價政策ヲ國
民ノ主要食糧タル米價ニ先ヅ實施セントス
ル政府ノ意圖モ、亦之ヲ諒承セザルヲ得ナ
イノデアリマスガ、農林水產物ノ增產ヲ確
保セントスル秋ニ於キマシテ、是等ノ生產
ニノミ獨リ低物價主義ヲ强制セントスルノハ
吾等ノ斷ジテ承服シ能ハザル所デアリマス、
吾等ハ敢テ低物價政策ニ反對スル者デハアリマ
セヌガ、全國民ノ協力ニ依リテ此ノ時艱ヲ克
服シ、東亞新態勢ヲ確立スルノ秋ニ際シマシ
テハ、勿論均等ナル國民ノ犠牲ヲ必要トス
ルモノデアリマス、隨テ黴底的低物價政策
トシテ、農山水產生產力ノ源泉タル肥料)
農器具、漁具、油其ノ他生產資材及ビ農
山漁村生活ノ必要品タル工業生產品ニ對シ
テ、配給確保ト所謂適正ナル價格、卽チ低
物價政策ノ徹底ヲ要求スルモノデアリマス
(拍手)吾等ハ此ノ際應急的對策ト併セマシ
テ、更ニ生產確保ノ根本的政策タル土地間
題ノ解決ニ對スル、其ノ最モ合理的ナル全
耕地ノ自作農化ニ向ツテ、政府ノ一大決意
ヲ促サントスルモノデアリマス、更ニ增產
ト同時ニ吾等ノ屢〓主張スル所ノ消費ノ合理
化ニ對シテモ速ニ國策ヲ樹立シテ、其ノ實
踐ヲ要望シテ已ミマセヌ、本案ハ農林商工
兩省ノ共管デアリマス、隨テ其ノ實施ニ當
リマシテハ、特ニ注意ヲ要スルモノハ、米
穀生產國體ト米穀取扱業者トノ活動分野ヲ
如何ニシテ調整スベキカノ點ニアリマス、
政府ハ委員諸君トノ質疑應答ニ於テ、其ノ
共存共榮ヲ高唱致シマシタガ、斯ノ如キ重
大問題ハ決シテ一片ノ口頭禪ヲ以テ、單純
ニ容易ニ解決サルルモノデハナイト信ズル
ノデアリマス、幸ヒ此ノ間ノ問題ヲ全面的
ニ調整シ、解決シ、以テ全國民ノ總親和ト
萬民輔翼ノ實現トヲ期スルガ爲ニ、政府ハ
平沼首相ヲ首班トスル一大調査機關設置ノ
計畫ヲ明示致サレマシタノデ、本案ニ對シ
尙ホ幾多ノ不滿ヲ藏スルモノデアリマス
ガ、暫ク政府ノ言明ニ信賴致シマシテ贊成
ノ意ヲ表スル者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=52
-
053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ討論ハ終局致
シマシタ、採決致シマス、本案ノ委員長報
告ニ係ル修正ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
ス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=54
-
055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 仍テ委員長ノ報告ニ
係ル修正ハ全會一致ヲ以テ可決致シマシ
タ-其ノ他ハ原案ノ通リ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=55
-
056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ其ノ他ハ原案ノ通リ決シマシタ
(拍手)是ニテ本案ノ第二讀會ハ終了致シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=56
-
057・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第三讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=57
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058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第三讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
米穀統制配給法案第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=59
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060・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、本案ハ第二讀會ノ議決ノ通リ確定致
シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=60
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061・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、工業
組合法中改正法律案ヲ議題ト爲シ、委員長
ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ、工業組
合法中改正法律案、第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-理事葉梨
新五郞君
工業組合法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一工業組合法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十四年三月十八日
理事葉梨新五郞
衆議院議長小山松壽殿
〔葉梨新五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=63
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064・葉梨新五郎
○葉梨新五郞君 只今上程サレマシタ工業
組合法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結
果ヲ簡單ニ御報告致シマス
委員會ハ三月十六日、十七日及ビ本日ノ
三日ニ亙リ會議ヲ開キマシテ審議ヲ致シマ
シタ、本法案ノ骨子ト致シマスル所ハ、第一
ニ小規模ナルモノ、卽チ弱小ナル工業者ノ
爲ニ一ツノ小組合制度ヲ創設シマシテ、是
等業者ノ營業ノ維持振興ヲ圖ラントスルコ
トガ第一點デアリマス、第二ハ統制ノ確保
ヲ圖ル爲ニ、工業組合法第八條ノ規定ニ於
ケル所謂統制命令ノ發令アリタル場合ニ、
特ニ必要ガアレバ其ノ組合ノ地區內ニ於テ
當該工業ノ新設又ハ設備擴張ニ對シテ、行
政官廳ノ許可制度ヲ採リ得ル途ヲ拓クコト
ガ第二點デアリマス、第三ハ物資ノ配給等
ノ事業ヲ行フ工業組合ニ對スル監督指導ノ
規定ヲ整備スルコトデアリマシテ、此ノ三
點ガ本組合法中改正法律案ノ要點ナノデア
リマス
本法案ハ時局ニ鑑ミマシテ最モ重要ナル
內容ヲ含ンデ居リマスル爲ニ、各委員ノ質
疑ハ最モ熱心且ツ詳細ニ亙ツテ繼續セラレ
タノデアリマス、質疑ノ主ナルモノハ渡邊
玉三郞君、瀧澤七郞君、木村淺七君、鹽川
正藏君、原玉重君、中村高一君、長谷長次
君、樋口善右衞門君、牧野良三君、中田儀
直君、阿部茂夫君等デアリマシテ、詳細ハ
速記錄ニ依リ御承知ヲ願ヒマス
本日午後四時十分ニ質疑ヲ終了致シマシ
テ討論ニ入リマシテ、立憲民政黨ヲ代表致
シマシテ卯尾田毅太郞君ハ、本案ノ內容タ
ル工業小組合制度ハ、現行ノ工業組合制度
ノ足ラザル所ヲ補ヒ、休業、失業者等ニ對
スル對策ニ資スル所アルモノナルコト、及
ビ監督規定ハ濫用ニ陷ラザルヤウニ留意ス
ベシトノ旨ヲ述ベテ、贊意ヲ表セラレタノ
デアリマス、立憲政友會ヲ代表致シマシ
テ中田儀直君ハ役員ノ選任ニ關スル規定
ニ付テ、政府ハ之ヲ濫用スルノ弊ニ陷ルコ
トナキヤウ言明セラレタシトノ意見ヲ附シ
テ、同樣贊意ヲ表セラレタノデアリマス、第
一議員倶樂部ヲ代表致シマシテ長谷長次君
ハ、監督規定ノ濫用ニ陷ラザルコト、及ビ
小組合ニ對スル助成ニ付キ遺憾ナキヲ期セ
ラレタキコトヲ述べラレ、是亦贊成ヲセラ
レタノデアリマス、社會大衆黨ヲ代表致シ
マシテ阿部茂夫君ハ、小組合ニ對スル金融
ノ助成、小組合ニ對スル指導助成ノ適正、
又物資配給ニ付テノ萬全ノ策ヲ講ゼラレタ
キ旨等ノ三點ヲ述ベラレテ、本案ニ贊成ヲ
セラレタノデアリマス、次イデ今井商工政
務次官ヨリ發言ノ要求ガアリマシテ、役員
ノ選任解任ニ關スル規定ノ運用ニ付テハ、
濫用ニ陷ラザルヤウ特ニ留意スベキ旨ヲ政
府ヲ代表致シマシテ言明セラレマシタノデ
アリマス、是ニテ討論ヲ終結致シマシテ、
本案ノ處置ヲ諮リマシタ所、採決ノ結果ハ
滿場一致可決致シタノデアリマス、此段御
報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=66
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067・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=68
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069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
工業組合法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=69
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070・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)議事日程ハ議
了シマシタ、次會ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御
通知致シマス、本日ハ是ニテ〓會致シマス
午後五時五十二分散會
衆議院議事速記錄第二十四號中
正誤
頁段行誤正
五三四二一應召召集
衆議院議事速記錄第二十六號中
正誤
頁段行誤正
六〇四四四中野君在上海中野
君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413242X02719390318&spkNum=70
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