1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年三月十一日(土曜日)午後三時四十九分開議
出席委員左の如し
委員長 高橋泰雄君
理事 西田郁平君 理事 中野治介君
齋藤直橘君 中崎俊秀君
丸山辨三郎君 一ノ瀬俊民君
山崎常吉君 塚本重藏君
出席政府委員左の如し
内閣恩給局長 平木弘君
法制局參事官 樋貝詮三君
本日の會議に上りたる議案左の如し
恩給法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=0
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001・高橋泰雄
○高橋委員長 是ヨリ開會致シマス、前囘
一應質疑ヲ打切ツタノデアリマスガ、尙ホ
御要求ガアリマスカラ、質疑ヲ續ケルコト
ニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=1
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002・齋藤直橘
○齋藤委員 前會ヲ以テ質疑ヲ打切ラレタ
ノデアリマスケレドモ、本日吾々ノ手許ニ、
全國町村長會長ヨリ、恩給法ノ改正ニ關シ
テ、陳情ガ參ツタノデアリマス、町村長會
長ノ謂フ所ニ依ルト、多年改正ヲ政府ニ要
望シテ居リマシタケレドモ、未ダニ實現ニ
至ラズ、是非此ノ際改正ヲ熱望スルト云フ
意味ノ陳情デアリマス、其ノ陳情ノ要項ハ、
恩給法第十六條第一項第四號ニ依ツテ町村
ノ負擔ニ係ル町村立、町村組合立中等學校
〓員退職一時金ヲ廢止致シマシテ、之ヲ國
庫ヨリ支辨シテ戴キタイ、斯ウ云フコトニ
改正ヲ願フト云フコトデアリマス、其ノ理
由ハ簡單ニ申上ゲマスト、現行恩給法第十
六條ニ依レバ町村立、組合立中等學校〓員
ノ一時賜金ハ最終ニ之ニ俸給ヲ給シタル町
村ノ負擔トスル規定デアリマスケレドモ、
町村立又ハ町村組合立中等學校〓員ハ、必
ズシモ初任ヨリ當該學校ニ在職セル者デハ
アリマセヌ、其ノ多クハ官公立ノ學校ヲ歷
任致シマシテ、町村立或ハ町村組合立ノ學
校ニ赴任シテ來タリ、甚シキハ赴任後僅ニ
數ヶ月ノ在任デ退職スル場合モ決シテ少ク
ナイノデアリマス、斯樣ナ場合ニ當該町村
ニ於テハ、本人旣往ノ在職年數ヲ通算シ
テ、一時恩給ヲ支給スルガ如キコトハ、固
ヨリ不合理ノコトデアリマスト共ニ、町村
ノ到底負擔ニ堪ヘナイ所デアリマス、是ガ
爲ニ町村ノ多クハ雇傭ノ際、豫メ恩給ノ辭
退ヲ約束シテ、其ノ支給ノ義務ヲ免レンコ
トヲ圖ルヤウナ場合モアリマス、斯樣ナ場
合ニハ後日忌ハシキ紛爭ヲ見ルヤウナコト
モアルノデアリマスカラ、ドウカ町村ノ負
擔ヲ全廢致シマシテ、國庫ヨリ支給シテ戴
クコトニ改メテ戴キタイ、斯ウ云フノガ全
國町村長會ノ陳情デアリマシテ、吾々委員
全部ニ此ノ陳情書ガ參ツタノデアリマス、
吾々モ至極其ノ感ヲ同ジウシテ居ル者デア
リマスガ、此ノ際政府ノ所見ヲ伺ヒマスト
共ニ、其ノ實現ヲ希望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=2
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003・樋貝詮三
○梶貝政府委員 此ノ點ニ關シマシテハ、
二ツノ事ガ含マレテ居ルヤウニ存ズルノデ
アリマス、一ツハ分擔ノ關係デアリマスガ、
學校職員ハ外ノ方カラ廻ツテ來テ、恩給年
限ニ達シテ辭メレバ、中等學校デアリマス
ト國庫ガ之ヲ負擔スルコトニナツテ居リマ
スガ、一時金デアレバ俸給ノ出ル所カラ、
其ノ一時恩給ヲ支拂フト云フコトニナツテ
居リマスノデ、其ノ一時恩給ヲ俸給ノ出所
カラ支拂ハシメズシテ、國庫カラ全部支拂
フヤウニシテ欲シイト云フ希望ガ一ツト、
モウ一ツ一時恩給ヲ地方デ拂フトシテ、最
後ニ辭メタ町村ナドガ全額ヲ負擔セズシ
テ、關係ノ所デ分擔スルト云フコト、其ノ
二ツノ問題ダト思ヒマス、一時恩給ヲ全部
國デ負擔スルト云フコトハ、此ノ種〓員ニ
關スルノミナラズ外ノ公務員一般ヲ通ジテ
考ヘナケレバナラヌコトデアリマス、之ヲ
直チニ國庫カラ全部支拂ヒマセウト申上ゲ
ルコトハ出來ナイノデゴザイマス、ト申シ
マスルノハ、元々此ノ一時恩給ト云フモノ
ハ長イ沿革ヲ持ツテ居リマシテ、明治二
十三年ニ恩給法ガ制定セラレマシタ當時ニ
於キマシテハ、官吏ハ退官賜金ト云フモノ
ヲ貰ツテ居リマス、ソレカラ府縣立ノ學校
ノ職員ナドハ、名前ハ正確ニ記憶シテ居リ
マセヌガ、慥カ一時賜金ト云フノヲ貰ツタ
ト思ヒマス、是ガ恩給法ノ外ニアリ、官吏
ノ方ハ別ニ勅令ガ出デ居リマシタガ、共に
各々俸給ヲ支給スル所ノ團體ノ負擔ト云フコ
トニナツテ居リマシタ、是ハ性質ガ普通ノ恩
給ト違フト云フ譯デ、別ノ法規ニ據ツテ支給サ
レテ居タノデアリマス、ソレヲ大正十二年
ニ恩給法ヲ統一致シマシタ時ニ、是等モ恩
給法ノ中ニ吸收致シマシタ、當時ノ改正ノ
事情ハ、長クナリマスカラ申上ゲマセヌガ、
當時色々ノ事情カラ之ヲ恩給法ノ中ニ吸收
ハ致シマシタモノノ、負擔ノ關係ハ從來通
リ持續スルコトニ致シマシテ、現在ノ恩給
法ガ出來上ツテ居ルヤウナ譯デアリマスガ、
之ヲ年金ノ恩給又ハ年金タル扶助料ナドト
同ジヤウニ、國庫デ一樣ニ負擔スルト云フ
コトハ、國家ノ財政上カラ申シマシテモ
寸困難ナ事情ガアルシ、今申シマシタヤウ
ナ性質論カラ申シマシテモ、餘程ノ疑義ガ
アリマスルノデ、直ニサウ云フコトニモ致
シ兼ネル事情ニアリマス
ソレカラ一時金ノ方ヲ地方々々デ負擔ス
ル場合ニ於キマシテ、其ノ負擔者ガ全部ヲ、
終局的ニ負擔セズニ、關係ノ所デ分擔シタ
ラドウカト云フ問題デアリマスガ、之ニ付
キマシテハ恩給法ノ第十七條ニ所謂分擔ト
云フコトヲ定メテ居リマス、是ハ年金ニ付
キマシテモ、一時金ニ付キマシテモ爲シ得
ルヤウニ法律ノ方デハ規定シテアリマス、
サウシテドンナモノヲドンナ風ニ分擔スル
0
カト云フコトニ付キマシテハ、是ハ勅令ニ
讓ツテ居リマス、其ノ規定ヲ承ケマシテ恩
給法施行令第四條第一項ニ於キマシテ國庫
ノ方カラ分擔シテ行クベキモノヲ決メ、ソ
レカラ末項ニ於キマシテ其ノ規定ヲ逆ニ、
國家或ハ地方ノ自治體同志ノ分擔請求ノ場
合ニ付テ準用スルコトニ致シマシテ、相互
間ニ於テモ分擔ノコトヲ決メテ居ルノデア
リマス、只今御尋ノ點ハ二三年前マデハ、
一時恩給ノ分擔ヲ致シマセヌデ、唯年金ダ
ケニ付テノ分擔ヲ致シテ居リマシタノデ、
其ノ時分ニ於テハ今其處ニ述ベラレテ居ル
ヤウナ現象ガ起リマシタ、初ハ分擔ニ付キ
マシテモ先ヅ試ミニヤル、試ミト申シマシ
テモドノ程度、ドウ云フ方法デ分擔ガ出來
ルカト云フコトニ馴レテ居リマセヌデシタ
モノデスカラ、先ヅ年金ニ付テ試ミテ居ツ
タノデスガ、ソレニ完熟致シマシタ所デ、
今度ハ一時金ニモ之ヲ及ボシマシテ、此ノ
兩三年一時金ノ分擔ヲモ始メテ居ルヤウナ
譯デ、國家ノ方カラモ又國家ニ對シマシテ
モ分擔ノ相互的請求ヲ、今日致シテ居ル譯
デアリマス、自治體同士ニ於キマシテノ分
擔請求モ、只今申上ゲマシタヤウナ規定デ、
丁度國家トノ間ニ、他ノ方ハ分擔ヲ請求シ
得ルヤウナ關係デ、分擔ガ出來ルヤウナコ
トニナツテ居リマス、今ノ町村長會議ノ困
ルト言ハレテ居ル所ハ、大體賄ヒ付イテ居
ルヤウニ考ヘテ居ル譯ナノデアリマス、恐
ラクハ其ノ點ハ少シ前ノ時ノ規定ヲ、其ノ
儘ト考ヘラレテ居ルノデハナイカ知ラント
存ジテ居リマスガ、ソレ以上想像致シマシ
テモ、尙ホ其ノ外ニサウ云フ風ナ、更ニ進
ンデノ問題ガアルノカモ存ジマセヌガ、ド
ウモサウ云フコトハ想像出來マセヌノデ、
恐ラク今ノ規定ガ存在スルコトニ付テ、認
識ガ及ンデ居ラナイ結果ヂヤナイカトモ考
ヘラレマス、デスカラ今ノ規定ガアル結果
ハ、具體的ニ申上ゲレバ、斯ウ云フコトニ
ナリマス、府縣ニ勤メテ居ル人ガ町村立ノ
學校ノ方ニ轉任シテ參ル、其處デ年金ノ恩
給ニナラヌ中ニ辭メテ、一時恩給ヲ貰フト
云フヤウナ場合ニ、町村ノ方へ參リマシタ
勤務ノ年數ト、ソレカラ府縣ノ方ニ居ツタ
年數トノソレニ比例致シマシテ、且又俸給
ニ比例シマシテ、府縣ニ居ツタ當時ノ俸給
ト、ソレカラ町村ニ參ツタ所ノ俸給ト、其
ノ兩方ニ比例シテ、分擔スルト云フコトニ
ナツテ居リマス、細カイ所ハ、例ヘバ一年
足ラヌノハドウスルトカ、端下ノ場合ハド
ウ云フ風ニスルト云フヤウナ、細カイコト
ハアリマスケレドモ、大體申上ゲレバ斯ウ
云フコトニナリマス、一時恩給ハ兎ニ角今
ノ例カラスルト、町村ノ方デ先ヅ一應支拂
フコトニナリマス、支拂フケレドモ、府縣
ノ方ニ分擔ヲ請求スルコトガ出來ルト云フ
コトニナリマス、大體其ノ時期デ利息ヲ損
スルト云フヤウナコトハアルカモ知レマセ
ヌケレドモ、サフ云フヤウナ點ハ大シタ問
題デモアリマセヌシ、大體サウ云フヤウナ
コトデ、今私ノ想像シテ居ル所デハ、別
大シタ大キナ不公平ノヤウナコトハナイ積
リデ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=3
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004・中野治介
○中野委員 一應質疑ガ打切ニナリマシタ
後ニ、只今御話ノ案件ト、他ニ東京市瀧野
川區在住ノ有志ヨリ歎願シテ出ラレタ案件
ガゴザイマス、今囘御提案ニナリマシタ案
ハ、現狀ノ事情カラ致シマシテ、御急ギニ
ナルヤウナ次第デアリマスルカラ、此ノ歎
願ノ趣旨ヲ入レテ、改正ニ織込ムカドウカ
ト云フヤウナコトヲ考ヘルコトハ、ドウダ
カト考ヘマスノデ、歎願ノ趣旨ニ基キマシ
テ御當局ノ御意見ヲ御聽キスルコトニ止メ
タイト思フノデアリマス、歎願ノ要領ハ軍
人ニアラザル-是ハ軍屬ニ入リマスルカ
能ク分リマセヌガ、歎願ハ具體的ニナツテ
居リマシテ、事例ハ、陸軍ノ通譯トシテ、
嘗ツテ勤務シタノデアル、ソレガ其ノ職務
ノ爲ニ失明ヲシタノデアリマスルガ、ソレ
等ニ對シテ法ニ依ル恩賞ハナイノデアルカ
ラ、恩給法改正ノ時機ニハ、何トカ處置シ
テ戴キタイト云フノデアリマス、ソレハ大
、
正十二年ノ十月一日恩給法施行前ノ出來事
デゴザイマシテ、自然恩給法ノ恩典ニ浴ス
ルコトガ出來ナイノデアリマス、其ノ後サ
ウシタ事例ノモノハ、恩給法ニ依ツテ恩典
ニ浴シ、其ノ以前ノモノハ事柄ハ同ジデア
ルガ、其ノ恩典ニ浴スルコトガ出來ナイ、
是ハ洵ニ同情ニ堪エナイ、斯ウ云フノデア
リマス、之ニ對シマシテ軍當局ハ、昭和七
年ノ六月十八日付ヲ以テ、其ノ案件ニ對シ
マシテ囘答サレテ居ルノデアリマスルガ、
其ノ囘答ノ要領ハ、其ノ歎願シテ出マシタ
人ニ對シテハ、洵ニ同情ニ堪エナイ、衷心
御同情申上ゲルノダガ、現今ノ恩給法下ニ
アリマシテハ、何トモスルコトガ出來ナイ
ノデアルカラ、今度恩給法改正ノ時機ニ、
然ルベク考慮スルト云フコトデアルノデア
リマス、是ハ官憲ノ御同情アル囘答デアリ
マスルカラ、國民ト致シマシテハ、絕對信
賴ヲ置イテ居ツタダラウ、又置クノガ至當
デアリマスルガ、是等ハ陸軍當局ニ於カレ
マシテモ、其ノ言責ヲ重ンゼラレテ、相當考
慮セラレタカト存ジマスルガ、其ノ點ハド
ウ云フコトニナツテ居リマセウカ、軍部ノ
方ガオ居デニナラヌヤウデアリマシテ、御
出席ノ政府委員ノ方デ、御答辯出來マスナ
ラバ御示シヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=4
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005・樋貝詮三
○樋貝政府委員 陸軍ノ囘答ノ趣旨ハ、私
ハドウ云フ意味ヲ持ツテ居リマスカニ付テ
申上ゲ兼ネル次第デアリマスガ、陸軍ノ通
譯デ軍ニ從ツテ居ツタヤウナ者ハ、是ハ過
去ノ戰役ニ於キマシテモ澤山アリマシタ
ガ、是ハ色々ナ内容ヲ持ツテ居リマシテ、
專門ニ從軍シテ居ルヤウナ者モアレバ、出
先ニ居ツテ外ノ仕事ヲシテ居ツテ、臨時ニ賴
マレテ通譯スルト云フ程度ノ者モアリマス、
ソレモ義勇的ニ出テ行ク者モアリマスシ、
多少職業ト云フヤウナ色彩ヲ以テ、之ヲヤ
ツテ居ル者モアリマス、種々雜多デアリマ
ス、明治三十七年、御承知ノ日露戰役ノ時、
又前ノ二十八年ノ日〓戰役ノ時モアリマシ
タノデスガ、其ノ時ニ通譯ノ者ニ對シマシ
テ、判任官以上ノ待遇ヲ總テニデアリマセ
ヌガ御與ヘニナルト云フノデ、其ノ待遇ヲ
與ヘラレタ者モアリマス、當時ノ法律ニ於
キマシテハ、無論斯ウ云フ者ハ其ノ本體ガ
軍人デナイシ、又他ノ官吏デモナイト云フ
譯デ、恩給ニナツテ居リマセヌデシタノガ、
只今御擧ゲニナリマシタヤウニ、大正十二
年ノ恩給法制定ノ時ニ、恩給法第二十四條
デ、或ル種ノ待遇職員ニハ--待遇職員ト
申シマスノハ判任官以上ノ官吏ノ待遇ヲ
受ケル職員デ、本來ノ身分カラ言ヘバ官吏
デナイ者デアリマスガ、待遇職員ニハ勅令
デ特ニ列擧シタ場合ニハ、恩給ヲヤルト云
フヤウナコトニナリマシテ、其ノ規定ヲ承
ケタ勅令卽チ恩給法施行令ト申シテ居リマ
スガ、其ノ第十一條ニ「陸軍ノ通譯ニシテ判
任官以上ノ待遇ヲ受クルモノ」ト云フ一項ガ
加ハリマシテ、其ノ勅令デ指定サレタ以後
ノ判任官以上ノ待遇ヲ受ケル專門ノ通譯ダ
ケニ、將來ニ向ツテ恩給ヲ給セラレルヤウ
ニナツタ譯デアリマス、隨テソレ以前ノ分
ハ拔ケテ居ルト云フコトニナル譯デアリマ
ス、此ノ種ノ者ハ他ニモ相當アリマスガ、
問題ハ或ル法ヲ制定シテ、恩給性ヲ認メタ
時ノ前ニ遡ツテ、マダ恩給性ヲ認メナイ時
代ノ者ニ、尙ホ恩給ヲヤルベキカドウカ、法
律解釋論トシテハ、無論ヤルベキモノデナ
イコトハ疑ヒナイノデアリマスガ、立法論
トシテ、サウ云フ者ニマデ其ノ效果ヲ及ボ
スベキカドウカト云フ問題ニナリマスガ、
是ハ相當廣イ範圍ニ影響スル問題デアリマ
シテ、待遇ヲ與ヘラレテ居ル者又與ヘラレ
テナイ者、色々アリマス、朝鮮ニ於テモ同
ジヤウナ職員ナドガアリ、又臺灣デハ元々
官吏デアツタノヲ、日本ノ官吏ニ出來ナイ
カラト云フ譯デ、雇員ト云フ資格ニ全部改
變シタト云フヤウナ事ナドモアリ、又內地
ノ機關ニ於キマシテモ、諸種ノ職員ガアリ
マシテ、今日此處ニ見エテ居リマス議院ノ
速記者ナドニ付キマシテモ、サウ云フヤウ
ナ事例ガアツタノデアリマスガ、サウ云フ
ヤウナ場合ニ在職年數ヲ通算ハシテヤルケ
レドモ、獨立ニハ恩給ラヤラナイト云フヤ
ウナノガ遡及致シマシタノデハ、多クノ例
ガアルノデアリマスガ、獨立ノ過去ノ無資
格時代ノ者ダケデ、恩給ヲヤルト云フ風ニ
立法シタ例ハ殆ドアリマセヌ、殆ドト申シ
マスノハ、極ク少數サウ云フ場合ヲ生ジマ
シタノガ、北海道ノ屯田兵ナドニ、結果ニ
於テ少數アリマシタ、サウ云フヤウナ譯デ、
ソレヲ目的トシテ立法シタノデナシニ、或
ル規定ヲ爲シタ結果トシテ、サウ云フヤウ
ナモノガ起ツテ來タト云フヤウナ程度デア
リマス、サウ云フ者ヲ目指シテ遡及スルト
云フコトニナルト、是ハ今マデ殘サレテ居
ツタ古イ所ヲ掘返シ〓〓スルト云フコトニ
ナリマスノデ、恩給制度トシテ國家ガソコ
マデ行ツタノデハ、負擔ニ堪ヘナイノデハ
ナイカト云フコトヲ恐レル譯デアリマス、
サウ云フヤウナ事情デ、陸軍通譯ニ關シマシ
テモ、過去ノ恩給性ヲ認メラレナイ時代ノ
分ニ付キマシテハ、之ヲ打切ツテ居ルヤウ
ナ次第デアリマス、又只今申シマシタ勅令
デ色々擧ゲラレテ居リマス其ノ待遇職員ハ、
ドノ職員ニ於キマシテモ、非常ニ嚴格ニ、
特ニ勅令デ擧ゲタ其ノ日カラデナケレバ、
恩給性ヲ認メヌ、在職業數ヲ計算シナイト
云フ風ニマデ、嚴格ニ致シテ居ルヤウナ譯
デアリマス、況ヤ其ノ種類ノ者デナイ、ソ
レヨリ前ノ、關係ノ切レタ前ノ制度ノ者ニ、
同ジヤウニ恩給ヲ認メルト云フヤウナコト
ハ致シテ居リマセヌヤウナ譯デアリマス、
大キナ恩給法ノ建前ト致シマシテ、ドウモ
只今ノ御話ノヤウナ者ヲ採リマシテ、サウ
シテ恩給ヲ認メルト云フコトハ、只今相當
ト考ヘテ居ラナイヤウナ譯デアリマス、ソ
ンナ事情ニナツテ居リマスカラ、御諒承願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=5
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006・中野治介
○中野委員 先程申述ベマシタヤウニ、本
案件自體ハ、急速ヲ要スルヤウデアリマス
カラ、重ネテ論議致シマスコトヲ省略致シ、
唯御願ヒヲ致シマシテ、私ノ質問ヲ終リタ
イノデアリマス、同ジ仕事ノ上ニ於キマシ
テ、軍人ト異ナラナイ境遇ニ於テ、同
ジ國家ニ對スル忠誠ヲ盡シテ、サウシ
テ同ジヤウナ傷痍ヲ受ケタ軍屬ト見ラ
レルヤウナ人ノ、殊ニ斯樣ナ不遇ナ者ニ
對スル恩賞デアリマスカラ、陸軍省ニ是
ハ御願スルノデアリマスガ、陸軍省トシテ、
斯樣ナ責任ノアル書面ニ依ル返事ガ出テ
ノ居ルノデアリマスカラ、唯一片ノ辭令ノ
文書ト違ヒマスノデ、此ノ返事ニ對シマシ
テモ、責任ノアル御處置ニ付テ御〓究ヲ煩
シタイト思フノデアリマス、サウシテ御〓
究ノ結果、萬已ムヲ得ザル事情ガアリマシ
テ、直接其ノ願意ガ容レラレヌト致シマス
レバ、是ハ致シ方アリマセヌガ、大世帶ノ
陸軍省ノコトデアリマスカラ、他ノ方法ニ
依ル處置ガ採レハシナイカトモ考ヘラレル
ノデアリマス、今日ノ國家ノ隆昌ハ、今日
ノ忠誠バカリデゴザイマセヌ、ヤハリ昨日
ノ斯ウシタ忠誠ノ延長ト致シマシテ、今日
アル所以デゴザイマスカラ、更ニ陸軍省ト
致シマシテハ、斯ウシタ法ノ缺陷ニ依ルト
モ見ラレルヤウナ同情スベキ者ニ對シマシ
テハ、更ニ再檢討ヲ下サイマシテ、出來ル
ダケ御同情ノアル處置ヲ賜ハランコトヲ御
願致シマシテ、私ノ質問ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=6
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007・塚本重藏
○塚本委員 私モ一ツ補足質問ヲ許シテ戴
キタイノデアリマス、昨日同僚ノ大石議員
カラモ、此ノ事例ヲ聽イタノデアリマスガ、
私モ一ツノ其ノ事例ヲ知ツテ居リマシテ、
洵ニ同情スベキ境遇ニ在ル者ガアルノデア
リマス、其ノ一ツノ例ヲ申上ゲマスト今次
事變ニ於キマシテ、二十四歲ニナリマスル
戶主ガ召サレマシテ出征致シマシタ、サウ
シテ此ノ出征兵士ハ戰ノ後遂ニ戰死ヲ致シ
タノデアリマシタガ、其ノ家庭ニハ母親ト
六人ノ弟妹ガアツタノデゴザイマス、所ガ
其ノ一人ノ母親ガ間モナク又病死ヲ致シマ
シテ、後ニハ十八歲ヲ頭ニ致シマシテ、六
人ノ弟ト妹ガ遺サレテ居ルノデアリマシテ
之ニ對スル養ヒ人ト云フ者ガナクテ、地方
ノ人々ガ轉タ同情禁ズル能ハズシテ、色々
ノ手段ヲ廻ラシツツアルノデアリマスケレ
ドモ、其ノ處置ニ當惑致シテ居ルヤウナ實
情ガアリマス、勿論此ノ事例ニ對シマシテ
ハ、現行恩給法ハ其ノ手ヲ差伸ベルコトガ
出來ナイノデアリマスシ、又軍事扶助法ニ
依リマシテモ、之ニ溫イ手ヲ伸ベル道ガ開
カレテ居ラナイノデアリマス、唯殘サレテ
居リマスル問題ハ、恩賜財團ノ援護會デア
ルトカ、或ハ地方ニ組織セラレタ銃後奉公
會デアルトカ-勿論其ノ地方ニハマダ銃
後奉公會ノ組織ハナイヤウデアリマス、サ
ウ云フ〓土的ノ組織ニ俟タナケレバチラナ
イヤウナ事情ニ置カレテ居リマス、是ハ現
行ノ恩給法ナリ、軍事扶助法ノ適用ハ受ケ
ルコトハ出來マセヌガ、實際ノ事情ト致シ
マシテハ見ルニ忍ビナイ、轉タ同情ニ堪ヘ
ナイ事情ニ置カレテ居ルノデアリマス、何
トカ今事變ニ武勳ヲ立テテ戰死ヲ致シマシ
タ家族デアツテ、而モ糊口ニ窮シテ居ルト
云フヤウナ窮狀ニ置カレテ居ルノデアリマ
ス、勿論恩給法ヲ改正致シマシテ、廣ク是
等戰死ノ兄弟ニマデ及ボスト云フコトハ、
全ク不可能ナコトト思ヒマスガ、今申上ゲ
マスルヤウナ事例ニ對シマシテハ、卽チ其ノ
遺サレタル兄妹ニ對シテモ、養ヒ人ガナイ
ト云フヤウナ特殊ナ事例ニ對シマシテハ、
何等カノ特例ヲ設ケマシテ、之ヲ救フノ途
ヲ講ジナケレバナラヌノデハナイカ、國家
トシテ當然責任ノアル任務デハナイカト考
ヘラレルノデアリマス、遺憾ナガラ今日ハ
法ノ上デハドウモスルコトガ出來ナイノデ
アリマスガ、謂ハバ是ハ法ノ不備ト申シマ
セウカ、唯一言以テ兄弟ニマデ及ボスコト
ハ出來ナイカラ困ルト言フノデハナク、全
部ノ兄弟ニ及ボスコトハ勿論出來ナイノデ
アルトシテモ、今申上ゲマスルヤウナ特殊ノ
事例ニ對シマシテハ、特殊ナ何等カノ方途ヲ
講ジナケレバナラナイト考ヘルノデアリマ
ス、ソコデ政府ニ於キマシテハ、斯ウ云フ事
例ニ對シテ、何カ過去ニ御考ニナリマシタ
コトガアリマセウカ、又今後サウ云フ事例
ニ對シテ、何等カノ處置ヲ講ジヨウト御考
慮下サルカドウカ、又現在ト致シマシテハ、
最善ノ途ハドウスレバ是等ノ人ガ救ハレル
ノデアリマセウカ、今後私共ノ執ルベキ處
置ニ付テモ、參考トシテ承リタイト思フノ
デアリマス、唯願ヘマスルナレバ、恩給法
ノ中ニ特例ヲ設ケテ、是等ノ人々ニ溫イ手
ヲ差伸ベルヤウニシテ戴キタイト思ヒマス
ルガ、今差當ツテ恩給法ノ改正ガ不可能デ
アルトシマスルナラバ、何等カ玆ニ便宜ナ
方法ヲ設ケラレル必要ガアルノジヤナイカ
ト思ハレマスノデ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=7
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008・樋貝詮三
○樋貝政府委員 只今ノ御尋ノ點洵ニ御尤
デアリマス、一々私等ガ過去ニ於キマシテ
色々考慮ヲ廻ラシマシタコトニ打當ツテ居
リマスノデ、吾々ガ過去ニ考ヘタコトガ、
其ノ當時事實トシテハ起ツテ來チカツタコ
トデハアリマスケレドモ、無駄デナカツタ
ト云フコトヲ考ヘマスト同時ニ、又ソレニ
對シテ事實上色々困難ガアル、隨テヤリ得
ナカツタト云フコトヲ思合ハス譯デアリマ
ス、只今御擧ゲニナリマシタノハ軍人ノ
弟妹デアリマスガ、現在ノ法律デハ、御話
ノ通リドウモヤル途ガナイノデアリマス、
兄弟姉妹ニ對シテ恩給ヲ與ヘル唯一ノ場合
ト申シマスルノハ、公務員ガ死ニマシテ、
他ニ扶助料ヲ貰フ者ガナク、兄弟姉妹ガ何
カ不具又ハ癈疾デアルヤウナ者デアリ、之
ヲ看取ル者モナイ、扶養者モナイト云フヤ
ウナ場合ダケニ限リマシテ、サウ云フ人數
ガ幾人カアレバ其ノ幾人カニ對シテ、大體
恩給ノ一年分位ハ、一人宛ヤルト言ツタヤ
ウナ程度ノ途ガ講ジラレテ居ルダケデアリ
そう、ソレ以上ノコトハ何モ出來ヲイト云
フコトニナルノデアリマスカラ、只今御擧
ゲニナツタヤウナ例デモ、例ヘバ其ノ軍人
ガ死ニマシテ、弟妹ガアリマシテモ、他
扶助料ヲ誰カ既ニ父ナリ母ナリガ、假令短
カクテモ得レバ、法律ノ上デハ只今ノ給付
ヲヤルヤウナコトハ出來ナイコトニナル譯
デアリマス、兄弟姉妹ニ恩給ヲヤルト云フ
所マデ行キマスト、是ハ廣過ギテ困ルト思
ヒマス、今御擧ゲニナツタ事例トスルト、
何トカシテヤリタイト考ヘルノガ自然ノ情
デモアリマスシ、恩給ノ方ト致シマシテモ、
サウ云フ場合ニ救ノ手ヲ假令僅カデモ伸ベ
ルト云フコトモ、十分ニ考ヘラレ得ル譯デ
アリマス、何分ニモ恩給デハ多數ノ場合ヲ
取扱フ必要上、抽象的ニ諸種ノ規定ヲ致シ
マスノデ、個々別々ニ痒イ所ニ手ガ屆クヤ
ウナヤリ方ガ出來マセヌノガ遺憾デアリマ
ス、ソコデ例ヘバ恩給局長ノ手許ニ、年額
ニシテ澤山モ要リマセヌガ、五十万圓ナリ
ノ資金ガ、假ニ恩給全體ノ中カラ許サレル.
モノガアリトスルナラバ、ソレデ法ノ認メ
テ居ル所ヲ或ハ超エテ、特別ノ內規ヲ置キ
マシテ、サウ云フ特別ノ事情アル者ニダケ
給與ヲスルトカ云フヤウナ途モアリ得ルト
思フノデアリマス、先年モ其ノ點ニ付キマ
シテハ、實ハ考慮モ致シタコトモアルノデ
スガ、恩給法ガ成立スルマデノ過程ニ於キマ
シテ、其ノ方法ハ認メラレマセヌデシタノ
デ、現在ノ恩給法ニハサウ云フコトガ現ハ
レテ居リマセヌ、是モ見方ニ依リマシテハ、
恩給裁定官廳ガ專斷ヲヤリハシナイカト云
フヤウナコトモ考ヘラレマスノデ、其ノ方
ノ懸念カラ之ヲ認メルコトガ出來ヌト云フ
ノモ、一ヅノ理窟ハアルト思ヒマス、ダガ
非常ニ公平ニ非常ニ能クモノヲ見透シテ、ソ
レヲ運用シテ參レバ弊害モナク、而モサウ云
フヤウナ場合ヲ救ヒ得ルト云フヤウナコト
ニナルトハ存ジマスガ、遺憾ナガラ今直ニ
サウ云フヤウナ方法ヲ、實現シ得ルダラウ
ト云フ風ナ見透シモ付キマセヌ、ソコデ只
今アル方法ヲズツト通觀致シマシテ、何ガ
考ヘラレルカト云フコトデスガ、社會的ニ
色々ナ救ヒノ手ヲ以テ行クト云フコトハ、
當然考ヘラレルコトデアリマスガ、制度的
ニ何力救ヒノ手ヲト云フコトヲ考ヘマシ
テアレヤ是ヤト現在存在シテ居ル制度ニ
付テ考ヘテ見マシテ、ドウモ遺憾ナガラ是
ナラバト思フヤウナ適切ナモノガ考ヘラレ
マセヌ、尙ホサウ云フヤウナ銃後ノ救濟ニ
付テハ、厚生省方面ナドデモ相當心配モ致
シテ居ルヤウナ譯デアリマスカラ、今ノヤ
ウナ事例ニ對シマシテ、尙ホ厚生省ナドノ
方面ノ發動ヲ-是ハ十分ニ出來ルカドウ
カハ存ジマセヌケレドモ、若シ出來ルナラ
バサウ云フヤウナ發動ヲシテ貰フヤウニ私
等ノ方カラモ申傳ヘルコトニ致シタイト考
ヘテ居リマス、ソンナヤウナ譯デ甚ダ心許
ナイ答辯デゴザイマスケレドモ、現狀トシ
テハ其ノ程度以上ニ申上ゲラレナイコト
ヲ、御諒承願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=8
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009・塚本重藏
○塚本委員 斯ウ云フ事例ニ對シテモ既ニ
過去ニ於テ當局デハ御氣付ノ上、何等カノ處
置ヲ講ジヨウト試ミラレ、腹案ヲ立テラレ
タコトアルヲ聞キマシタガ、唯其ノ事ガ實
現シテ居ラナイノヲ、甚ダ遺憾ト致シマス、
恩給法ノ改正ヲ俟タナケレバソレヲスルコ
トガ出來ナイノナラバ、今御答辯ノヤウナ
コトガ、此ノ際現實ノ問題トシテ起ツテ居
ルノデアリマスカラ、之ヲ何等カノ方法デ
實現スルヤウニ御助力ヲ願ヒ、現實社會ニ
サウ云フ人々ノアルコトヲ十分ニ御認識賜
リマシテ、之ニ溫キ救ヒト云フヨリ、寧ロ
國民ノ義務トシテ、當然ソレ等ノ弟妹ヲ成
人サセナケレバナラヌト思ヒマスカラ、十
分ナル努力ヲシ、厚生省其ノ他關係アル各
省トモ連絡ヲ取ラレマシテ、萬全ノ策ヲ講
ゼラレンコトヲ切ニ御願申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=9
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010・高橋泰雄
○高橋委員長 ソレデハ以上ヲ以チマシテ
本案ニ對スル質疑ハ終了致シマシタ、直チ
ニ討論ニ移リマス-齋藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=10
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011・齋藤直橘
○齋藤委員 私ハ民政黨ヲ代表シテ、本改
正案ニ贊成致シマス、此ノ際簡單ニ希望ト
シテ申上ゲテ置キタイコトハ、各委員カラ
申サレマシタ通リ、一ツ此ノ恩給法ノ改正
ヲ斷行シテ戴キタイ、其ノ改正ハ申スマデ
モナク財政ニ關係ノアルコトデアリマシテ、
ソコニ惱ミガアルト思ヒマス、政府モ幾多
改正シタイ點ハ御〓究ニナツテ居ルト思ヒ
てい、又吾々モ恩給法ヲ改正シテ、廣ク恩
給制度ノ普及ヲ致シタイノデアリマスケレ
ドモ、奈何セン、所謂財源ノ點ニ至ルト容
易ナラザルモノガアルト思フノデアリマス、
サリナガラ今囘ノ日支事變ハ恩給法改正ノ
絕好ノ機會デアリマス、若シ此ノ際改正ヲ
躊躇シテ、凱旋シテ參ル所ノ幾多ノ將兵、
又幾多ノ戰死者ノ遺族、其ノ他事變關係者
ニ不滿ヲ與ヘルヤウナコトガアリマシタナ
ラバ、是ハ將來國家ノ爲ニ由々シキ大事デ
アルト思ヒマス、ドウカ此ノ絕好ノ機會ヲ
捉ヘラレマシテ、恩給法ノ全體ニ亙ツテ、改
正ノ案ヲオ作リニナリ、成ベク近キ機會ニ
於テ議會ノ協賛ヲ求メラレンコトヲ切望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=11
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012・高橋泰雄
○高橋委員長 中野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=12
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013・中野治介
○中野委員 政友會ヲ代表シテ改正案ニ贊
意ヲ表シマス、理由ハ只今齋藤君ガ御述べ
ニナリマシタト同樣デアリマスカラ、是ハ省
略致シマスガ、唯一ツ附加ヘテ希望申上ゲ
タイノハ、金額ニ於テモ莫大ナル額ニ上ツ
テ居リマスシ、恩給ヲ受ケル者ノ數ニ於テ
モ莫大ナル數ニナツテ居ルノデアリマスカ
ラ、之ヲ取扱フ仕事ノ相當繁劇デアルト云
フコトハ想像セラレマス、各省ニハソレ〓〓
恩給ニ關係ヲ持ツ方ガ居ラレ、又各地方
廳ニモオ居デニナリマス、其ノ仕事ハ要ス
ルニ恩給法乃至恩給ニ關スル法規ヲ基準
トシテヤルノデアリマスガ、只今ノ恩給法
ナリ恩給關係ノ法規ヲ見テモ、中々其ノ解
釋ハ難カシイノデアリマス、此ノ恩典ノ金
ヲ戴ク基本ニナツテ居ル法規ノ解釋ガ難カ
シウゴザイマシテ、意見ガソレ〓〓起ルト
云フヤウナコトハ、餘リ好マシクナイコト
デアリマスカラ、將來之ヲ改正ニナル時ニ
ハ、今少シ誰ニモ分ルヤウニ、立法技術ノ
上ニ一段ノ御努力ヲ拂ハレンコトヲ御願シ
テ贊成致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=13
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014・高橋泰雄
○高橋委員長 山崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=14
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015・山崎常吉
○山崎委員 現在ノ恩給法ノ缺陷ハ各委員
カラ色々指摘セラレタト思ヒマス、時局ノ
現狀ニ鑑ミマシテ、改革スベキハ改革スル
ト云フヤウナ工合ニ御進ミヲ願ヒマシテ、
本案ニ贊成致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=15
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016・高橋泰雄
○高橋委員長 塚本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=16
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017・塚本重藏
○塚本委員 私モ社會大衆黨ヲ代表シテ、
今囘政府ガ提案セラレマシタ恩給法ノ改正
案ニ對シテハ、贊意ヲ表スル者デアリマス
ガ、齋藤委員カラモ近キ將來ニ出來ルダケ
早ク恩給法ノ根本的改正ヲシロト云フ要望
ガアリマシタ、私モ同感デアリマシテ、其
ノ點ニ付テ尙ホ少シ具體的ニ申上ゲテ置キ
タイト思ヒマス、要スルニソレハ先日ノ私
ノ質問ニ依ツテ盡キテ居リマスガ、財政ノ
方面カラシテハ、高額ノ受恩給者ニ付テハ、
恩給ノ給與ヲ始メマス年齡ヲ-今日四十
歲未滿ノ者ニ付テハ一部ノ停止ガアルガ、
之ヲ五十歲或ハ五十五歲マデ引上ゲテ、
部ノ停止デハナク、高額ノ受恩給者ニ對シ
テハ、其ノ全額マデ停止ヲスルト云フ風ニ
シテハドウカ、更ニ又其ノ高額受恩給者ガ
一定以上ノ財產收入アル者、或ハ民間會社、
諸團體等ニ就職シマシテ俸給ヲ受クル者等
ニ對シマシテハ、是亦一定ノ條件ヲ設ケマ
シテ、恩給ノ一部又ハ全部ヲ停止スルト云
フ方法ニ依ツテ、ソレヲ强化スル手段ヲ講
ズルコトガ、一ツノ方法デハナイカト思ヒ
Vく、サウ云フ風ニ致シマシテ、他面ニハ
恩給法ニ浴シマスル者ノ範圍ヲ漸次擴張シ
テ行クト云フヤウニ、努メテ貰ヒタイノデ
アリマス、軍方面ニ於キマシテハ、今日ノ軍
屬デアルトカ、或ハ各官省等ニ於キマスル
雇員等ニマデモ、此ノ恩給法ノ適用ヲ及ボ
スト云フ風ニ改メルヤウニ進メテ戴キタイ
ノデアリマス、更ニ私ノ質問ニ依リマシテ、
是ハ恩給法トハ別個ニ考ヘルベキコトデア
ルト、御答ニナツタノデアリマスルガ、
般國民ニ對シマシテモ、何等カ是ト均衡ヲ
保チ得ルヤウナ一ツノ制度、例ヘバ國民年
金養老年金デアルトカ云フ制度ヲ立テラ
レルコトガ、今日ノヤウナ總國力戰、總親
和ノ必要ニ迫ラレテ居ル、而モ是ガ長期ニ
亙ルト云フコトヲ考ヘマスル時ニ、一層其
ノ必要ヲ痛感スルフデアリマスカラ、此ノ
點ニ對シマシテモ銳意〓究ヲ進メラレテ、
其ノ實現ニ御協力セラレンコトヲ切望シテ、
贊成ヲ致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=17
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018・高橋泰雄
○高橋委員長 採決致シマス、本案ハ原案
通リ可決スルコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=18
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019・高橋泰雄
○高橋委員長 御異議ガナケレバ本案ハ原
案通リ可決スベキモノト決定致シマシタ、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413334X00519390311&spkNum=19
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