1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年三月二日(木曜日)午前十時五十七分開議
出席委員左の如し
委員長 田中万逸君
理事 池田清秋君 理事 塩川正藏君
理事 深澤吉平君 理事 藤生安太郎君
坂下仙一郎君 篠原陸朗君
小林三郎君 河野一郎君
永山忠則君 小田榮君
野溝勝君
出席政府委員左の如し
農林省畜産局長 岸良一君
本日の會議に上りたる議案左の如し
酪農業調整法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=0
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001・田中萬逸
○田中委員長 是ヨリ開會致シマス、通〓
順ニ依ツテ質問ヲ許シマス-池田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=1
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002・池田清秋
○池田委員 根本的ノ問題トシテ當局ハ酪
農、主トシテ牛乳デアリマスガ、主食品ト
シテノ牛乳問題ヲ如何ニ考ヘテ居ラレルカ
ト云フ點ヲ主トシテ伺ヒタイノデアリマス、
從來我國ニ於テハ畜類ノ肉ヲ食ベルトカ、
乳ヲ飮ムトカト云フコトニ付テハ一種ノ迷
信的罪惡觀念ノ如キモノガアツテ、四ツ足
ノ乳ヲ飮ンデハ神罰ガ恐シイトカ云フヤウ
ナコトデ非常ニ之ヲ遠ザケテ居ツタ傾ガア
ルノデアリマス、併シ是ハ深澤君モ本會議
デ質問サレタヤウデアリマシタガ、主觀的、
迷信的デアツテ、人間ノ主食物トシテ人體
ニ如何ナル榮養價ヲ持ツテ居ルカト云フヤ
ウナ客觀的〓究ノ少イ觀念ダラウト私ハ思
フノデアリマス、併シナガラ人間ハ一種ノ
動物デ、高等動物デアルノデアリマシテ、
人體ノ組織ニ牛乳ノ榮養價ガドンナ關係ニ
アルカト云フコトヲ、主觀的ニ見ナイデ、
客觀的ニ考ヘルコト、人間トシテノ理性的
ノ考デナケレバナラヌト思フノデアリマス、
此ノ意味ニ於テ今マデ牛乳ヲ國民ノ主食物
トシテハ、全ク取扱ツテ居ラレナカツタト
思フノデアリマス、此ノ觀念ヲ根本的ニ直
サウトスルニハ、文部省、厚生省ト連絡ヲ
取ツテ食品ニ對スル之ヲ一ツノ基礎觀念ト
シテ掛ツテ行カナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、今更申スマデモナイコトダト思
フノデアリマスガ、牛乳ガ人體ニ殊ニ幼兒
ニ重大ナル關係ヲ持ツテ居ルト云フコト
ハ、是ハ明瞭ナコトデアルト思フノデアリ
マシテ、其ノ點ニ於テ都會ノ小兒ガ一歲二
歲ニナルマデハ非常ニ榮養ニ富ンデ居ツテ
宜イト云フノハ、近來都會ニ於テハ牛乳ヲ
多ク用ヒルカラデアルト思フノデアリマス、
併シナガラ都會ノ子供ガ四歲五歲ニナリ、
少年ニナリ、靑年ニナルト體質ガ惡クナル
ト云フコトハ、環境其ノ他ノ關係モアルト
思フノデアリマシテ、ソレハ主トシテ食料
ノ關係ニ於テ牛乳ヲ離レルカラト云フ點バ
カリデハナイト思ヒマス、而シテ靑年壯年
ノ體格ガ田舍デ良イト云フコトハ食料ガ粗
食ダカラト云フ意味デナク、粗食物デアツ
テモ適當ナ運動ヲシ、環境ノ空氣ガ宜シイ
カラト云フヤウナ關係ガアルト思フノデア
リマス、斯ウ云フ意味ニ於テ國家トシテハ
主トシテ營養食ノ立場カラ酪農業ヲ盛ニシ、
供給ヲ潤澤ニスルト云フ建前ガ根本的ニ考
ヘラレナケレバナラヌト思フノデアリマス、
此ノ點ニ付テハ一朝一夕ニ之ヲ改メルト云
フコトハ出來ナイト思ヒマスケレドモ、農
林省ガ文部省或ハ厚生省ト連絡ヲ執ラレ
テ、主食品ニ關スル所ノ頭ヲ國民ニ向ツテ
改メサセルト云フコトニ付テ全力ヲ盡サレ
ル必要ガアルト私ハ思フノデアリマス、此
ノ根本觀念ニ對シテ當局ハ如何ナル考ヲ持
ツテ居ラレルカ、厚生省ハ此ノ頃出來タ役
所デアリマスガ、文部省等ニ於テモドンナ
考ヲ持ツテ居ラレルカ、此ノ點ヲ承リタイ
ノデアリマス
更ニソレニ附加ヘテ申上ゲマス、一寸私
調ベタノデアリマスガ、全ク日本人ノ牛乳
ニ對スル觀念ト云フモノハ驚クベキモノガ
アル、英吉利ダトカ、獨逸ダトカ、瑞典ダ
トカ云フヤウナ所デハ、-英吉利ハソレ
程デモナイノデアリマスガ、一箇年一人當
リニ二石カラ二石五斗位ノ牛乳ヲ飮用シテ
居ルト云フコトデアリマス、日本ノハ之ニ
比較シテ見マスト、全ク問題ニナラヌト思
フノデアリマス、極ク最近ノモノデ東京、
大阪ト云フヤウナ所デ平均シテ東京ガ一人
當リ一箇年ノ消費量ガ一升七合、一升八合、
一升九合、明治四十年ニナツテ漸ク一人當リ
一箇年ノ消費量ガ二升トナツテ居ルノデアリ
マス、今日ニ於テハ尙ホソレヨリハ相當ニ進ン
デ居ルト思フノデアリマスガ、斯ウ云フ關
係デハ國民ノ體質ガ良クナラヌト云フコト
ハ是ハ言フマデモナイコトダト思フノデア
リマシテ、此ノ點ニ付テ根本的ノ觀念、卽
チ牛乳ヲ主食物トシテ、榮養價ガドウ云フ
風ニアルカラ此ノ點ヲ改良シナケレバナラ
ヌト云フ所ノ觀念ヲ以テ、厚生省及ビ文部
省等ト牛乳ニ關スル知識ヲ擴メル考ヲ持ツ
テ居ラレルカ、從來ドウ云フ經緯ニ於テ此
ノ主食品トシテノ根本ノ考ヲ持ツテ居ラレ
タカヲ伺ヒタイノデアリマス
ソレカラ次ニハ酪農トシテノ根本觀念デ
アリマスガ、副業トシテト主タル農業トシ
テトノ二ツノ考へ方ガアルト思フノデアリ
さい、副業トスル場合ニ於テハ牧場トカ牧
野トカ、サウ云フモノハソレ程デナクテモ
宜シイト思フノデアリマス、主タル農業ト
シテ酪農經營ヲヤラウトスルナラバ、ドウ
シテモ是ハ粗飼料ヲ主食品トスル所ノ牧草
ヲ豐富ニ貯ヘテ居ル牧場、及ビ牧野ガ必要
デアルト思フノデアリマス、併シ牧野ハ必
要ダト申シマシテモ、馬ナドトハ到底比較ニ
ナラヌノデアリマシテ、一頭當リ僅ニ三段
カ四段アレバ宜シイト思フノデアリマス、
我ガ日本トシテハ北海道等ニ於テハ主タル
農業トシテノ經營方法ガ相當ニ講ゼラレテ
居ルト思フノデアリマスガ、併シナガラ土
地ノ凸凹ガ多ク狹イ我ガ日本トシテハ、北海
道以外ニ於テハ副業トシテノ酪農生產ヲス
ルヨリ外ニ方法ハナイト思フノデアリマス、
豫算ノ何レヲ見マシテモ、副業トシテノ農
家ニ對スル粗飼料ノ供給、或ハ飼料ノ關係
ニ付テハ、殆ド見ルニ足ルモノガナイノデ
アリマス、本年度ノ豫算ノ上ヲ見マシテモ、
牛ノ增殖促進施設ト云フノガ八十八万八千
圓カ計上サレテ居ルダケデアリマシテ、其
ノ他ノ種牡牛ニ關スル檢査費トカ何トカ多
少アリマスケレドモ、殆ド見ルニ足ラヌモ
ノデアルト思フノデアリマス、此ノ點ニ付
テ當局ハ副業トシテノ將來ニ重キヲ置カレ
ルカ、主タル酪農生產業ニ重キヲ置カレル
ノデアルカ、兩者合セテノ進步發展ヲ企圖
サレルノダト思フノデアリマスケレドモ、
此ノ點ニ關シテ何レニ重キヲ置カレルノカ、
ドウ云フ方法デ之ヲ發達助長ヲサセテ行カ
ウト考ヘテ居ラレルノデアルカドウカ、之
ヲ御伺致シタイノデアリマス、之ニ附加ヘ
テ申上ゲタイノデアリマスガ、土地ガ狹イ
カラト云ツテ、決シテ悲觀スル必要ハナイ
ト思フノデアリマス、唯之ニ關スル所ノ飼
料ノ關係サヘ少シク考ヲ致スナラバ、決シ
テ悲觀スルコトハナイト私ハ思フノデアリ
そう、土地ノ狹イ日本ノ如キ地形ヲ以テシ
テハ農業ヲ主トシテ副業トシテヤル以外
ニ方法ハナイト云フ悲觀論モアルノデアリ
マスケレドモ、必ズシモ悲觀スル必要ハナ
イト思フノデアリマス、所ニ依ツテ狹イ所
デ氣候ノ關係、地質等ノ關係デ、優秀ナル
牛ヲ澤山出シテ居ツテ、副業ガ轉ジテ將ニ
主タル業務トナラントシツツアル傾向ガア
ルト思フノデアリマス、此ノ點ニ關スル當
局ノ御考ハドウデアルカ、ソレヲ伺ヒタイ
ノデアリマス、更ニ伺ヒタイノハ飼料ニ付
テ當局ハドウ云フ施設ヲサレテ居ルカ、此
ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス、此ノ間本會
議デ深澤君モ一寸聽カレタヤウデアリマシ
タガ、滿洲ノ豆粕其ノ他ノ畜產飼料トシテ
ノ農產物デアルト思フノデアリマスガ、運
送料等ニ付テ非常ニ高ク當リマスノデ、金
ヲ出シテ飼料ヲ買入レテ酪農ヲ副業的ニヤ
ツテ居ルモノハ殆ド缺損ヲシテ居ルノデア
リマス、千葉縣等ニ於テモ牛乳ヲ賣ツテ飼
料ノ代價ヲ差引ケバ一升當リ甚シイ不況時
代ニハ四錢八厘カノ缺損ヲシテ居ルノデ
アリマス、只今ハソレ程デナイト思ヒマ
スケレドモ、尙且ツ乳價ダケダトソレハ
到底收支償ハナイノデアリマス、生產シ
タ所ノ牛乳ヲ、會社組織ニナツテ居ル乳
製品製造業者等ニ叩買ヒサレテシマツテ、
常ニ充ガヒ扶持ヲ食ツテ居ルト云フヤウナ
狀況デアルノデアリマスガ、其ノ原因ハ主
トシテ飼料ガ高イカラ割ニ合ハヌト云フ結
果デアルト思フノデアリ·マス、當局ノ飼料
ニ對スル今マデノ措置ハドンナ措置ヲシテ
居ラレルカ、其ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマ
ス
更ニ伺ヒタイノハ、農林當局トシテハ、
馬ニ付テハ馬政局ト云フ一ツノ局ヲ置カレ
テ居ル位デアリマシテ、其ノ經費ハ非常ニ
大キナモノデアリマスガ、牛ニ付テハサウ
云フ組織ハ殆ド何モ見ルベキモノハナイト
云ウテ宜シイト思フノデアリマス、八十八
万圓ノ牛ノ增殖計畫ノ補助費ヲ除イテハ何
モナイノデアリマスガ、將來牛政局ヲ置ク
トマデハ行カナイトシテモ、最モ人間ノ榮
養食トシテ大事ナ牛乳ノ製造、搾取ニ關ス
ル酪農事業ニ對スル機構ヲ、馬政局ト將來
竝ンデ行クヤウニマデヤラウト云フ心組ヲ
持ツテ居ラレルカドウカ、サウ云フ機構等
ニ付テ御考ガアルナラバ伺ヒタイノデアリ
マス、要スルニ牛ニ對スル我々國民ノ考ガ
幼稚デアツタト云フコト、觀念上牛ニ對ス
ル根本的ノ相違カラ來テ酪農事業ガ進步シ
ナカツタト云フコトニ歸スルト思フノデア
リマス、之ニ付テハ今度出來マシタ酪農法
案ハ生產的方面ニ對シテハ組合等ヲ作ラセ
テ、色々基礎ノ强化ヲ圖ラルルヤウニナツ
テ居ルヤウデアリマスケレドモ、尙ホ〓〓
相當ノ設備ヲシナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、從來ノ設備ニ於テ、牛乳ニ關ス
ル製造ニシロ、販賣ニシロ、機構ハ出來テ
居ラナカツタノデアリマスケレドモ、比較
的資本ヲ相當ニ持ツテ居ル者ニ對スル補助
奬勵等ノ仕組ハ出來テ居ルノデアリマスガ、
副業的ニ牛ヲ飼ツテ居ル生產業者ニ對スル世
話ハ行屆イテ居ラヌト思フノデアリマス、是ハ
大資本ト小資本トノ關係ニ付テ、今マデノ之
ニ關スル法規ヲ考ヘテ見マスト、衞生設備
ノ如キモ非常ニ細カナ點ニ於テ嚴重ナ取締
ヲスルガ爲ニ、小資本家ハ殆ド立ツテ行カ
ナイ狀況デアルニ反シテ、或ハ都會ニ近キ
所ニ於テ、若クハ田舍ニ於テモ相當ノ資本
ヲ持ツテ居ル者ニ對シテハ、比較的此ノ取
締規定ニ適合スルヤウナ設備ガ出來ルノデ
アリマス、然ルニマルキリ資本ノナイ、米
麥作等ノ農業ノ小作人ニ匹敵スルヤウナ副
業的ノ畜牛業者ニ取ツテハ、全ク之ヲ助長
進步セシムル規定ニハナラヌト思フノデア
リマスガ、之ニ對スル當局ノ御考ハドウデ
アルカ伺ヒタイノデアリマス
更ニ資金ノ不足ニ付テ、一頭カ二頭持ツ
テ居ル、牛ヲ賣ツテシマヘバ、ソレデ借金
ヲ支拂ト云フコトニナルト、全ク其ノ次カ
ラハ經營ガ出來ヌト云フヤウナ狀況ニナル
ノデアリマスガ、斯ウ云フ資金ノ不足ナモ
ノニ對シテ、政府ハ何カ資金ヲ融通シテヤ
ルト云フヤウナ方法ヲ考ヘテ居ラレルカド
ウカ、此ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス、私
共ノ千葉縣ノ如キハ相當ニ良イ牛ガ出テ居
リマス、全國ニ於テハ最モ優秀ダト稱セラ
レテ居ルノデアリマスガ、併シナガラ副業
的ニ飼ツテ居ルノデアリマスカラ、一二頭、
多クテモ十頭トハ持ツテ居ラヌノデアリマ
ス、之ヲ賣ツテシマツテ借金ヲ返スト、其
ノ後ハドウスルコトモ出來ヌト云フ狀況デ
アリマシテ、斯ウ云フ業者ニ對スル金融關
係ニ付テ顧慮スル必要ガアルト思フノデア
リマスガ、當局ノ之ニ對スル御考ハドウデ
アルカ、伺ヒタイノデアリマス
更ニ東京、大阪ノ如キ大都會ヲ控ヘテ居
ル生產業者ハ、汽車等ニ依ツテ生乳ヲ送ツ
テ居ルノデアリマスガ、衞生設備ガ非常ニ
不完全デアルシ、且ツ輸送機關タル汽車ノ
裝置ガ不完全ナ爲ニ、或ハ嚴重ナル取締ガ
アル爲ニ、殆ド此ノ送乳ヲ不可能ナラシム
ルガ如キ傾キガアルト思フノデアリマス、
之ニ對シテ鐵道省ト交涉シテ、送乳機關ノ
設備改善ヲナサルト云フコト、若クハ此ノ
取締ヲ緩和シテ、小資本ノ業者ト雖モ、都
會ニ送乳スルコトガ出來ルヤウナ設備ヲサ
セルト云フコトニ付テ、當局ハ如何ナル
考ヲ持ツテ居ラレルカドウカ、此ノ點ヲ伺
ヒタイノデアリマス
更ニ只今具體的ニ問題トナツテ居ル酪農業
法ノ內客ニ付テ伺ヒタイノデアリマス、此ノ規
定ハ主トシテ牛乳ノ販賣又ハ乳製品ノ價格ノ統
制等ニ付テ重キヲ置カレテ、極ク小サナ牛乳
ノ生產ヲ業トスル者ニ對シテノ保護助成ノ點
ガ少イト云フ傾キガアルヤウニ私ハ思フノデ
アリマスガ、當局ハ此ノ生產業者ヲ保護ス
ル上ニ於テ、此ノ規定ヲ以テ足レリトサレ
ルノデアルカドウカ、其ノ點ヲ伺ヒタイノ
デアリマス、尙ホ此ノ規定ヲ運用スル上ニ
付テ、是ハ〓括的ノ考デアリマスガ、色々
ノ統制命令等ニ業者ハ束縛ヲサレルヤウニ
ナツテ居ツテ、或ル場合ニ於テハ、統制ニ
關スル決定ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ
得ト云フヤウナ規定ニナツテ居ルノデアリ
マスガ、此ノ命令ガ正當デナカツタト云フ
場合ニ、ソレニ對シテ救濟ヲ求ムル方法ガ
何ニモ定メテナイヤウニ思ヒマス、勿論是
ハ沒收ヲスルトカ云フ規定ガナイノデアリ
マスカラ、補償規定等マデ設ケル必要ハナ
イト思フノデアリマスケレドモ、其ノ命令
ガ不當ナ場合ニ於テ何等カ救濟ヲスル方法
ヲ設ケルコトハ出來ナイノデアルカ、サウ
云フ救濟ヲスベキ規定ヲシテモ宜シイト云
フ考ガアルカドウカ、其ノ點ヲ伺ヒタイノ
デアリマス、以上ノ點ニ付テ御答ヲ得タイ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=2
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003・岸田正記
○岸政府委員 池田サンノ御質問ニ對シマ
シテ御答ヲ申上ゲマス、御質問ハ八ツカ九
ツ、非常ニ多數アリマスノデ、一ツ〓〓順
ヲ逐ウテ御答ヲ申上ゲタイト思ヒマス、第
一ノ點ハ牛乳ヲ主食物ノヤウニスル考ハナ
イカ、斯ウ云フヤウナ點デアツタラウト思
フノデアリマス、牛乳ノ性質カラ考ヘマシ
テ、其ノ成分ガ食料トシテ非常ニ貴重ナモ
ノデアルト云フコトハ改メテ申スマデモナ
イノデアリマス、其ノ脂肪ニ含有サレテ居
リマス所ノ「ビタミン」ノ效用、蛋白質ノ效
用ト云フヤウナモノカラ考ヘマシテ、〓料
品中ニ於テ一番優良ナル品質ヲ持ツテ居ル
モノデアリマス、此ノ種ノモノハ我國ノ食
料カラ見マスルト、非常ニ缺ケテ居ルノデ
アリマシテ、我國ノ食料ハ、過日本會議デ
深澤サンノ仰シヤツタヤウニ、炭水化物ヲ
主トシタモノデアルノデアリマス、其ノ中
ニ蛋白質ノ如キハ割合ニ少イ、而モ良質ノ
蛋白質ガ少イト云フ狀態デアリマス、斯ウ
云フヤウナ見地カラ致シマシテ、一般ノ國
民ハ固ヨリ、特ニ若イ所ノ人々ノ爲ニ、之
ヲ一ツノ主要食料ノ中ニ加ヘテ普及セシメ
ルト云フコトハ、極メテ大切ナコトデアル
ノデアリマス、餘程前ノコトデアリマスル
ガ、人口食糧問題ノ時ニ、此ノ點ハ各方面
カラノ專門家ニ依ツテ、內務省ノ衞生局其
ノ他〓糧ノ〓究所等ノ御方モ參畫サレタノ
デアリマスガ、各方面ノ御〓究ニ依ツテ、
此ノ牛乳ニ依ル所ノ日本人ノ榮養改善ニ資
シナケレバナラヌト云フ方針ガ、決議サレ
テ居ルノデアリマス、斯ウ云フヤウナコト
カラ申シマスレバ、私共ハ此ノ普及ニ對シ
テ、現在計畫シテ居リマスルヨリモ、遙ニ
大キナモノヲ企畫シテ進マナケレバナラヌ
ト考ヘテ居ルノデアリマス、是等ニ對シマ
シテハ固ヨリ厚生省等ト十分ニ連絡ヲ取リ
マシテ、此ノ給源デアル所ノ牛乳ヲ、單一二
都市附近ノ搾乳業者バカリデナクシテ、農
家ニ於テ生產サレルモノヲ各方面ニ供給シ
テ豐富ニ利用ノ出來ルヤウナ計畫ヲシテ、
今日マデ進ンデ參ツタノデアリマス、是ガ
爲ニハ小サナ農家ガ生產スル少量ノ牛乳ヲ
集メテ、立派ナル所ノ設備ニ於テ生產サレ
ル牛乳ニ等シイヤウナモノヲ作リ出スベク、
牛乳ノ共同處理ト云フモノヲ地方ニ奬勵致
シマシテ、是等ノ奬勵ニ依リマシテ今日マ
デ施設ヲシテ居ル團體ハ、恐ラク九十以上
ヲ數ヘテ居ルコトダラウト思フノデアリマ
ス、之ニ依ツテ所謂農乳ノ都市方面ヘノ進
出モ進メテ參リ、又牛乳及ビ乳製品ノ消費
ニ付キマシテハ、大正十五年以來色々ナ形
ニ於テ、其ノ消費ヲ奬勵シテ居ルノデアリ
さく、是等ノ施設ニ付キマシテハ、勿論將
來トモ衞生方面ト十分ニ連絡ヲ取ツテ進メ
テ行キタイト考ヘテ居ルノデアリマス、外
國ノ狀態ヲ御示シナサツタノデアリマスガ、
其ノ消費ノ量ニ於キマシテハ全ク御示シノ
通リデアリマス、唯〓料ノ形態等カラ致シ
マシテ、歐洲方面ノ量ニ達スルカドウカト
云フコトハ、是ハ中々問題デアラウト思ヒ
マスルガ、漸次其ノ量ヲ增加サシテ行
キマシテ、サウシテ人口食糧問題當時
ニ於テ〓究サレマシタ量程度ニハ
之ヲ進メテ行キタイト考ヘテ居リマス
其ノ次ハ日本ノ酪農ハ副業ト主業ト兩者
ノ形態ニ於テ行ハレテ居ルガ、農林省ハ何
レニ重點ヲ置イテ奬勵ヲサレルカト云フヤ
ウナ御質問デアツタト思フノデアリマス、
我國ノ酪農業ハ勿論我國ノ農業形態ニ合ツ
テ發達シテ行カナケレバナラヌモノデアル
ト考ヘルノデアリマス、隨ヒマシテ歐米ニ
於ケルヤウナ形式トハ、恐ラク異ツタ形デ
進ンデ行クノデアラウト思フノデアリマス、
固ヨリ御話ノ如ク北海道ト內地トヲ比べ
マスルト、北海道ハ一戶當リガ五町步餘ニ
モナツテ居リマスルシ、內地デハ平均一町
步足ラズノ狀態ヲ示シテ居ルノデアリマス
ルカラ、其ノ間必ズ形式ニ相違ガ生レテ來
ルノデアリマス、北海道ニ於キマシテハ御
話ノ如ク、主タル形式ヲ牧畜ニ置イテ居ル
所ガ多々アリマス、併シ何レヲ通ジマシテ
モ私共ハ多年唱道致シテ參リマシタ有畜農
業ノ考、卽チ從來ノ單ニ牛ナラ牛ヲ、乳ヲ
搾ルダケノ道具トシテ取扱ツタト云フコト
カラ脫却致シマシテ、牛ノ機能ヲ農業經營
ノ機能ト渾然一體ニシテ導イテ行ク、卽チ
牛カラ出ル所ノ排泄物ハ、之ヲ農業經營上
ノ肥料トシテ利用スル、餘ル力ハ勞力ニ使
フ、又農業カラ出ル所ノ副生物ハ之ヲ牛馬
ニ食ハシテ完全ニ牛馬ヲ動カス、斯ウ云ツ
タヤウナ考ノ下ニ、其ノ地方ニ於ケル立地
關係デ相違致シマシテ、形態ニ差ヲ考ヘコ
ソスレ、何レモ其ノ考デ進メテ行キタイト
考ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ酪農
ニ付キマシテモ、ヤハリサウ云フ考ノ下ニ
進ンデ行キタイト思フノデアリマスルガ、
內地ハ自然面積モ小サイノデアリマスルノ
デ、北海道ニ於ケル如ク牧草或ハ飼料作物
ヲ中心ニ之ヲ飼育スルト云フコトハ、中々
困難デアルノデアリマス、或ル時期ニ於テ
靑刈大豆、靑刈玉蜀黍等ヲ利用スルコトモ
アラウト思ヒマスガ、他ノ部分ニ於キマシ
テハ農業ノ副產物ヲ有利ニ利用スルト云フ
コトヨリ外ナイト思フノデアリマス、此ノ
利用ガ完全ニ行キマスナラバ、日本ノ農家
ガ現在ノヤウニ規模ガ小サクテモ、乳牛ノ
飼育ニ依ツテ一般有畜農業ノ經營ヲヤツテ
行ケルト思フノデアリマス、此ノ點ニ於キ
マシテ粗飼料ノ供給關係ヲドウスルカト云
フコトニ付キマシテハ、昨年御協賛ヲ戴キ
マシタ自給飼料ノ奬勵規則ニ依リマシテ、
農家ニ「サイロ」ト稱スル粗飼料ノ貯藏倉ヲ
造ラセマシテ、ソレニ芋殼デアルトカ或ハ
蠶ノ蠶下デアルトカ、山野ノ野草デアルト
カ、或ハ極端ナ例ヲ申シマスト、柿澁ヲ取
ツタ殘滓ト云ツタヤウナモノマデモ之ヲ漬
物ニ致シマシテ、サウシテ冬期粗飼料ノナ
イ時ニ利用サセル、元來牛ト云フモノハ粗
飼料ヲ中心ニシテ飼ツテ行クモノデアリマ
スカラ、サウ云フ風ニ粗飼料ヲヤツテ行キ
マスト、割合良質ナル粗飼料ガ得ラレテ行
〃、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、
デアリマスノデ其ノ形態ニ應ジテ今ノヤウ
ナ方法ヲ採ツテ行キタイト考ヘテ居ル次第
デアリマス
其ノ次ハ飼料ニ關スル施設トシテドウ云
フコトヲシテ居ルカ、斯ウ云フ御質問デア
リマスガ、飼料ニ付キマシテハ、昨年先程
申上ゲマシタ自給飼料ノ奬勵ニ依リマシテ、
粗飼料ヲ最モ榮養價値ノアル時ニ之ヲ貯藏
シテ、サウシテ良イ粗飼料ヲ豐富ニ供給サ
セルト云フコトヲヤツテ居リマスルコトガ
一ツデアリマスガ、是ハ一面ニ於キマシテ
現在外國カラ仰イデ居リマスル所ノ濃厚飼
料ノ節約ニモ寄與セントシテヤツテ居ルノ
デアリマス、其ノ他輸入飼料ニ付キマシテハ、
國際收支ノ關係カラ其ノ大部分ヲ滿洲國ニ依
存シナケレバナラヌヤウニ立至リマシタノデ、
其ノ滿洲國ノ供給ヲ中心ニ致シマシテ輸入
飼料ヲ統制シテ、其ノ供給ヲ確實ニシテ行
クト云フコトデ、飼料配給統制法ノ御協賛
ヲ願ヒ、之ニ從ヒマシテ、民間ノ關係者ノ
設立致シマシタ飼料配給會社ヲ指定シテ、
外國飼料ノ一手輸入ト其ノ基本的ノ配給ヲ
ヤラセテ居ル譯デアリマス、其ノ取扱ツテ
居リマスル品目ハ、玉蜀黍、高粱、玉蜀黍ハ
滿洲ト第三外國ノ「ヂャフ」、蘭領印度、「アル
ゼンチンㄴト云フ所カラ參ツテ居リマス、
ソレカラ高粱ハ滿洲ダケカラ參ツテ居リマ
ス、其ノ他此ノ二者ヲ混合シタ混合飼料、
更ニ昨年ノ秋ニナリマシテ麩ガ非常ニ〓騰
シテ參リマシタノデ、麩ヲ其ノ品目ニ加へ
テ目下四品目ノ統制ヲ行ツテ居ル譯デアリ
マン、斯ウ云フ風ニシテ居リマスガ、尙ホ
不足ノ飼料ヲ補フ爲ニ內地ニ於ケル玉蜀黍
ノ增產ヲヤルコトモ計畫サレテ居ルノデア
リマス、是ハ昨年カラ五箇年ノ間ニ約八万
瓲程ノ生產ヲスルコトニ計畫ヲサレテ居リ
さく、尙ホ此ノ施設ノ運用ヲ致シテ居リマ
ス外ニ、努メテ民間業者其ノ他ト連絡ヲ致
シマシテ、彼等ガ自肅的ニ價格其ノ他ヲ引
下ゲルヤウニ十分ノ努力ヲシテ居リマス、
是等ニ付キマシテハ最近ニ於キマシテ多少
其ノ反響ガアリマシテ、麩混合飼料等ノ値
下リヲ見ルヤウニナツタ次第デアリマス
次ニ畜牛ニ關スル施設ト云フモノハ馬ニ
比ベテ非常ニ貧弱デアル、之ヲ擴充スルノ
考ハナイカ、斯ウ云フヤウナ御質問デアツ
タト思フノデアリマスガ、牛ニ對シマシテ
ハ從來ハ單ニ畜產試驗場ニ於キマスル所ノ
施設程度デアツタノデアリマスガ、最近ニ
至リマシテ或ハ畜牛ノ登錄ヲ行ヒ、或ハ種
牡牛ノ設置、種牝牛ノ設置ヲ助成スル、或
ハ家畜ノ購入斡旋ニ助成ヲスル、更ニ本年
ハ牛ニ對スル施設トシテ八十八万圓程ノ御
審議ヲ願ツテ居ル次第ナノデアリマス、固
ヨリ是ノミヲ以テ足レリトスルモノデハア
リマセヌケレドモ、私共ハ其ノ生產消費等
ノ經濟關係ヲ考慮シマシテ、順次之ヲ實質
的必要ノアル部分ニ向ツテ押擴メテ行キタ
イト考ヘルノデアリマス、現在ノ機構トシ
マシテハ中央ニ畜產局ガアリマスシ、地方
ニソレ〓〓施設ガアリマスガ、我國ニ於ケ
ルヤウナ小サイ經營ノ畜產ヲシテ效果アラ
シメルニハ是カラ先ニ於キマシテ地方ニ
於ケル所ノ施設ヲ相當充實シテ行ツテ、サ
ウシテ指導ガ十分ニ行渡ルヤウニスル必要
ガアルト考ヘテ居リマスノデ、私ト致シマ
シテハ其ノ方面ニモ十分ニ努メテ行キタイ
ト考ヘテ居リマス
次ニ奬勵助成ノ方面ニ於テ大資本關係ニ
厚イノヂヤナイカ、副業的ノ方ニハドウ云
フ酪農ノ方デシテ居ルカト云ツタヤウナ御
話デアツタラウト思フノデアリマス、之二
付キマシテハ色々私共ノ方デ助成ヲヤツテ
居リマスル中大企業關係、是ハ北海道ノ酪
聯ノ如キモノヲモ、農家ノ共同施設ニ依ル
モノヲモ含ンデ居リマスガ、大キナモノニ
對シマシテハ無論小サイモノニ見ラレナイ
獨自ナ立場ノモノモアリマス、例ヘテ見マ
スレバ、輸出ノ奬勵ニ關スル所ノ事柄デア
ルトカ云フヤウナモノハ、是ハ小サイモノ
デハ出來マセヌノデ、サウ云フモノハ大キ
ナモノニ行ツテ居リマス、又煉乳ニ付キマ
シテハ原料砂糖ノ戾稅ト云フヤウナモノガ
アリマスルガ、其ノ他ノモノデ特ニ大資本
ノ方ニ行ツテ居ルト云フモノハ左程ニハ見
當ラヌノデアリマス、之ニ反シマシテ農家
ノ方ニ對シマシテハ、其ノ金額ハ十分デア
ルトハ申上ゲ兼ネルノデアリマスガ、先程申
上ゲマシタ所ノ牛乳共同施設ノ如キハ相當ニ
貢獻ヲシマシテ、小サイ農家ガ個々別々ニ賣
ルナラバ、或ハ品質ノ低下、或ハ販賣ノ拙劣
トカ云フコトノ爲ニ十分ノ利益ヲ擧ゲ得ナ
カツタノガ、之ニ依ツテ擧ゲ得タト思ウ
テ居ルノデアリマス、其ノ他先程モ申上ゲ
マシタ種牡牛ノ設置種牝牛ノ設置補助、或
ハ牛ノ登錄助成、自給飼料ノ促進施設ト云ツ
タヤウナ方面モ農業方面ニ行渡ツテ居ル譯
デアリマス、尙ホ地方ノ生產者團體ノ販賣
ニ付キマシテハ販賣斡旋ノ經費ニ對シテ、
是モ些少ナガラ助成ヲ致シテ居ルヤウナ譯
デアリマス
其ノ次ハ酪農資金ノ融通ニ付テノ御質
問デアツタト思ヒマス、小サイ農家ガ一頭
ノ牛ヲ買フト云フコトハ、是ハ中々普通ニ
シテハ困難ナコトデアリマス、是等ニ對シ
テ資金融通ノ途ヲ十分ニ付ケルト云フコト
ハ極メテ大切ナノデアリマスルガ、從來ハ
畜產組合ヲ通ジマシテ國庫ノ低利資金融通
ノ途ヲ開イテ居ルノデアリマス、更ニ昨年
ニ於キマシテハ產業組合中央金庫ガ產業組
合ヲ通ジテ牛資金ノ貸出ヲ相當ニヤル計畫
デ進ンデ參ツタノデアリマスガ、是ハマダ
サウ澤山ニ貸出ヲシテ居ラナイ、卽チ利用
ガ思フ程ニ行ツテ居ラヌト云フコトヲ聞イ
テ居リマス、其ノ他此ノ方面ノ資金ヲ尙ホ
他ノ經營方面、例ヘバ飼料ノ獲得ト云ツタ
方面ニモ利用スル途ハナイカト云ツテ、只
今〓究中デアリマス、其ノ次ハ輸送機關ノ
改善ト云フ御話デアツタト思ヒマス、牛乳
ノ輸送ニ付キマシテハ常ニ鐵道省關係ト
連絡ヲ致シマシテ、從來地方ヨリノ色々ノ
陳情ニ對シ努力ヲ致シテ居リマスルガ、此
ノ點ハ將來トモ故障アル事項ニ對シテハ努
力ヲシテ、地方ノ乳ガ消費サレル地方ニ安
全ニ、サウシテ優良ナ形ニ於テ入ツテ來ル
ヤウニシテ行キタイト思フノデアリマス
其ノ次ハ此ノ法令ガ小ナルモノニ對スル
保護助成ガ足リナイノデハナイカ、斯ウ云
フヤウナ御質問デアツタト思フノデアリマ
スガ、此ノ法律ノ考ヘテ居リマスル點モ、
十分此ノ小サイ酪農業者ヲ保護シテ、サウ
シテ從來見ラレタヤウナ取引上ノ缺陷カラ
來ル所ノ影響ニ依ル不利ヲ無カラシムルヤ
ウニシタイト云フコトニ存スルノデアリマ
ス、或ハ形ニ於テギゴチナク見エル所ガア
ルカトモ思ヒマスルガ、此ノ團體ノ統制ヲ
强化スルコトニ依ツテ、生產者ガ極ク適正
ナル値段ニ於テ物ヲ賣ルコトガ出來ルヤウ
ニナリマスルナラバ、小サイ農家ハ安心シ
テ生產ヲシテ行ケルト云フコトニナルノデ
アリマシテ、其ノ適正ナル取引ニ付キマシ
テハ、第四條等ニ於キマシテ之ヲ十分行政
監督ヲシテ行ク、斯ウ云フ考デ居ルノデア
リマス、此ノ點十分其ノ意味ヲ籠メテ考ヘ
テ作ツテ居ルノデアリ、又運用ニ當リマシ
テモ、十分其ノ點ヲ考慮シテ進ンデ行キタ
イト思フノデアリマス、尙ホ一方ニ於キマ
シテ、先程來申上ゲマシタヤウナ奬勵施設
ノ運用擴充ニ付テモ、此ノ點遺憾ナキヲ期
シテ行キタイト考ヘテ居リマス
其ノ次ハ此ノ規定ノ運用上第三條等ノ統
制規定ガ妥當デナイ時ニ、之ヲ救濟スルノ
規定ガナイヂヤナイカ、斯ウ云フヤウナ御
質問ガアリマシタガ、是ハ此ノ團體ノ統制
モ其ノ團體ノ申請ニ依ツテ之ヲヤツテ行ク
ノデアリマス、此ノ不合理ナ點ハ之ヲ十分
ニ監督スルコトガ出來、尙ホ是ハ法律ニハ
載ツテ居リマセヌガ、豫算ニ於テ御檢討ヲ
願ヒマシタ所ノ販賣統制ノ中ニ、地方ニ協
議會ヲ設ケルコトニナツテ居リマスノデ、
是等ノ點ハ地方ノ協議會ニ於テ十分話合ヒ
ヲシマシテ、從來ノヤウナ一方的ニ決メラ
レルコトノナイヤウニ、公正妥當ナル所ノ
解決ノ付クヤウニヤツテ行ケルコトト考ヘ
テ居リマス、大要御質問ノ點ヲ御答辯申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=3
-
004・池田清秋
○池田委員 主食品トシテ大ニ普及スル意
思ハナイカト云フ御答辯トシテ、縷々述べ
ラレタノデアリマスガ、農林省カラ出テ居
ル資料ニ依ツテ見マシテモ、主トシテ輸出ヤ
何カヲ奬勵スルト云フヤウナ意味ニ見ラレ
ル點ガ多イノデアリマスガ、主食品トシテ、
大ニ國民保健ノ上カラ一般ニ之ヲ食品トシ
テ普及スルト云フコトニ付テハ、全ク其ノ
觀念ガ缺如シテ居ルヤウニ私ハ思フノデア
リマス、元來輸出ト云フモノハ自國ノ國民ノ
衣食住ヲ十分ニ、而モ優良ナルモノヲ供給
シテ、剩ツタナラバ之ヲ輸出スルト云フノ
ガ、輸出トシテノ根本的觀念デアリハシナ
イカト私ハ思フノデアリマスガ、此ノ點ニ
付テ尙ホ一步進ンデ此ノ根本觀念ヲ改メラ
レルコトガ、私ハ必要デハナイカト思フノ
デアリマス
是ト關聯シテデアリマスガ、牛乳ノ配給
ニ付テ、是ハ一寸理想論カモ知レマセヌガ、
私ハ斯ウ云フ考ヲ持ツテ居リマス、郵便ノ
配達トカ或ハ鐵道省ノ配達トカ、色々ノ官
業ノ系統的ノ配給機關ト云フモノハ、地域
ノ關係ニ於テ非常ニ好ク出來テ居ルノデア
リマス、隨テ經費ヲ省イテ非常ニ經濟的ニ
配達ガ出來ル、例ヘバ麴町ナラバ麴町區ニ
一日ニ何石牛乳ヲ必要トスルト云フヤウナ
場合ニ、個々ニ小石川カラモ來ル、本〓カ
ラモ來ル、麻布カラモ來ルト云フヤウニ、
遠クカラ盛ニ競爭シテヤルト云フコトハ、
非常ニ不經濟ト思フ、其處マデ行クコトハ
非常ニ難カシイコトデアルトモ思フガ、苟
モ統制ガ需給ノ圓滑ヲ圖ルト云フ意味ニ於
テ眼目ガ立テラレテ居ルトスルナラバ、現
在ノ狀態ニ於テ犬牙錯綜卽チ入亂レタル配
達狀態ヲ一變シテ之ヲ統制スルト云フコト
ガ、理想デナケレバナラヌト思フノデアリ
マン、小石川ニハ何石、本〓ニハ何石ト是
ガ出來ルナラバ、大變是ハ好イ方法ト私ハ
思フ、併シソレハ理想デアツテ、現實ニ行
フコトハ出來ナイトドナタモ言ハレルノデ
アリマセウガ、併シナガラ玆ニ或ル統制制
度ガ設ケラレテ、業者ニ對シテ色々ナ便利
ガ與ヘラレテ居ル以上ハ、業者モ亦之ニ向
ツテ相當ノ經濟的考慮ヲ拂フト云フコトガ、
必要デハナイカト思フノデアリマス、或ハ
麴町ヲ二ツニ割ツテモ宜シイ、或ハ神田
ヲ三ツニ割ツテモ宜シイガ、玆ニ販賣業者
ガ、此處ト此處ハ此處ト決メテ、御亙ニ之
ヲ融通シ合ツテ行クト云フヤウニ斡旋ヲサ
レルナラバ、現在ノ程度ニ於テモ必ズシモ
不可能デナイト、私ハ思フノデアリマスガ、
サウ云フ御世話ヲオ燒キニナル御考ハ無イ
カドウカヲ伺ヒタイノデアリマス、是ガ郵
便ノヤウニ行クナラバ、非常ニ好イコトデ
アルト思ヒマス、是ハ一ツノ例デアリマス
ケレドモ、極ク手近イ近郊デ生產スル所ノ
牛乳ヲ、生產業者ガ直チニ需要家ニ向ツテ
新鮮ナル牛乳ヲ配達スルコトガ出來ルナラ
バ、生產業者ハ非常ニ高ク賣ルコトガ出來
ル、又需要家ハ新鮮ナル牛乳ヲ安ク買フコ
トガ出來ルト思フノデアリマス、千葉縣畜
產聯合會ノ共同精乳所ガ東葛飾郡法典村ニ
アルサウデアリマスガ、此ノ精乳所ハ土地
高燥ニシテ環境甚ダ宜シク、理想的ノ模範
乳舍デアルト聞イテ居ルノデアリマス、最
新式ノ處理設備ニ依ツテ造ラレタ精乳ハ「ト
ラック」ヲ以テ五十分デ東京ニ輸送ガ出來
ル、其ノ輸送サレタモノハ直ニ共同煉乳
其ノ他ノ販賣、購買、利用組合等ノ手ヲ通
ツテ山ノ手ノ消費組合ニ供給サレテ、非常
ナ便宜ヲ得テ居ル、吾々家庭ニ於テハ今一
合十錢內外ノ乳ヲ買ウテ居ルノデアリマス
ガ、共同販賣組合ノ手ヲ經タ牛乳ハ非常ニ
良クテ而モ一合五錢デ配給サレルト云フコ
トデアリマス、千葉縣アタリデハ一升一一十
五錢ト云フ牛乳ハナイラシイ、房州ノ如キ
ハ十八錢デアツタノガ僅ニ一錢値上シテ十
九錢ニナツダト云フコトデアリマシテ、全
ク生產者ハ牛乳販賣業者ニ利益ヲ壟斷サレ
テ、搾取サレテシマフ、搾取ト云フ言葉ハ
牛乳ノ方カラ來タノデハナイカト私ハ思フ
ノデアリマス(笑聲)若シ出來ルナラバ斯ウ
云フ搾取ヲ廢メテ、郵便配達ノ如ク朝早ク
時間ヲ決メテ、第一配達、第二配達ト云フ
ヤウニズツト配達シテ戴クナラバ、幼兒ニ
取ツテハ非常ニ宜イノデハナイカト思フノ
デアリマス、惡イ統制ダケシテ、良イ綺制
ヲヤラヌト云フコトニナレバ、統制ノ價値
何處ニアリヤト思フノデアリマス、ソコマ
デ進ンデオヤリニナルコトハ、今直チニヤ
ルコトハ難カシイカモ知レマセヌガ、少ク
トモ販賣業者ヲ說キ付ケテ世話燒キヲシテ、
神田、本〓ヤ品川ノ奧カラ麩町マデ配達ス
ルト云フコトノナイヤウ經濟的配給方法ト
申シマセウカ、現在ノ制度デ郵便配達式ニ
出來ナイナラバ、セメテ其ノ位ナコトハ
オヤリニナレナイモノカ、ソコマデ行クナ
ラバ、牛乳ヲ主食品トシテ幼兒ノ保健衞生
ニ遺憾ナキヲ期スルコトガ出來ルノデハナ
イカト思ヒマス、是ハ少シ理想ニ走ルカモ
知レマセヌガ、ソレニ近キ斡旋ヲナサル考
ハナイカ伺ツテ見タイノデアリマス
次ニ主業カ副業カノ問題デ御答ニナリマ
シタ所ノ北海道ノ如ク酪農專門ニ、貯藏倉
庫ヲ設ケ或ハ漬物ニシテ御蓄メニナルト云
フコトハ、集團的經營方法ニ依ツテ初メテ
出來ルノデアリマシテ、是ハ良キ保存方法
デアルトハ思ヒマスガ、千葉縣ヤ靜岡縣邊
リノ飛離レタ個々ノ農家ニ對シテ、此ノ方
法ガ一軒々々旨ク行クカドウカ疑問ガアリ
ハシナイカト思ヒマス、貯藏倉庫マデ一々
取リニ行カナケレバナラヌト云フヤウナ缺
點モアルノデアリマスガ、サウ云フコトハ
臨時費デ一囘サウ云フ設備ヲスレバアトハ
構ハヌト云フナラバ別デアリマスガ、經常
費トシテサウ云フ補助費ガアルナラバ、點
點遠ク離レタ所ニ作ラレルヨリモ農家ニ對
シテハ部落々々ニソレニ相當スル補助金ヲ
與ヘテ、小サナモノヲ勝手ニ自主的ニ作ラ
セルヤウナ御考ハアリマセヌカ、集團的大
農組織ノ牛酪業者ニ付テハ設備ガ行屆イテ
居ルカ知レマセヌケレドモ、サウスルノデ
ナケレバ個々ノモノニ付テハ行屆カナイ憾
ミガアリハシナイカト思フノデアリマス、
サウ云フ飛離レタ個々ノ小サイ業者ニ對シ
テハ面倒デハアリマセウケレドモ、何トカ
サウ云フ補助奬勵ヲナサル御考ハナイカト
云フコトヲ重ネテ伺ヒタイノデアリマス
最後ニ不當處分ニ對シテ何カ救濟方法ハ
ナイカト云フコトニ付テノ御答トシテ、協
議會ト云フモノガ出來テ居テ片手落ノコト
ハシナイカラ宜カラウト云フコトデアリマ
ス、是ハ一應御尤ナ御答辯デアリマスケレ
ドモ、其ノ協議員ト云フノハ天降リ式ノ者
ガ多イト思ヒマスガ、此ノ協議員ノ選出方
法ハドウ云フ風ニナツテ居ルノデアリマス
カ、農家ノ生產業者カラ何人、販賣業者カ
ラ何人ト云フヤウナ標準デモアルノデアリ
マスカ、今ノ協議員ハ御上ノ御指圖ニ依ツ
テ出來ル勅選議員的ノモノデアリマシテ、
或ハ資本家等ノ御機嫌ヲ伺フヤウナ御用委
員ガ多イノデハナイカト思フノデアリマス
ガ、サウ云フ協議員ナラバ、幾ラ出來タ所
デ、小前ノ者ニハ餘リ效能ガナイノデハナ
イカト思ヒマス、其ノ勅選議員的ナ御上ノ
命令ニ依ツテ出來ル協議員ガ、地方長官ナ
リ、或ハ行政官廳ノ不當處分ニ對シテ之ヲ
匡正スル權能ヲ持ツテ居ルト思ハレルナラ
バ、是ハ大キナオ間違ヒダト思ヒマス、又
此ノ協議員ノ素質如何ニ依リマシテハ、全
ク有名無實ニ終リハシナイカト考ヘルノデ
アリマスガ、之ヲ有名無實ナラシメザル組
織ニナツテ居ルカドウカ、此ノ點ヲ御伺ヒ
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=4
-
005・岸田正記
○岸政府委員 御質問ノ第一ノ問題ハ、此
ノ計畫ハ輸出ニ重點ヲ置イテ居ルヤウデ、
國民榮養トシテ考究スルコトヲ閑却シテ居
ルノデハナイカト云フヤウナ點ニアツタト
思フノデアリマスガ、此ノ牛乳ノ生產ノ計
畫ニ於テ第一ニ重點ヲ置イテ居リマスノ
ハ、精乳トシテ利用スルト云フ點ニアルノ
デアリマス、是ハ國民ノ榮養ノ上カラ云ツ
テ其ノ方ニ事ハ缺カセヌト考ヘテ居ルノデ
アリマスガ、他面現在ノ日本ノ國際收支ノ
關係カラ言ヒマスト、少シデモ輸出ヲシテ、
サウシテ外貨ヲ獲得スルヤウナコトヲ色々
ノ角度カラ〓究シナケレバナラヌト考ヘマ
スノデ、其ノ計畫ヲ加ヘテ私共ハ增殖モヤ
リ、指導モシテ行クト云フ考デ居ルノデア
リマシテ、其ノ點ニ於テハ決シテ御心配ハ
ナイト考ヘテ居ルノデアリマス
ソレカラ配給機構ノ問題ニ付テ、ソレヲ
改善スルト云フ御話ハ、是ハ恐ラク都市
ニ於ケル市乳ノ配給ノ改善デアルト考ヘ
テ居ルノデアリマスガ、是等ニ付キマシ
テハ從來共東京ニアツテハ警視廳其ノ他
ト連絡ヲ取ツテ、私ノ方モ出來ルダケ協
力致シテ居ルノデアリマス、此ノ改
善ト申シマスノハ、衞生方面ノ問題モ非常
ニ關係シテ居リマスシ、又中小商業ヘノ影
響モアリマスノデ、簡單ニ手ヲ著ケル譯ニ
ハ行カナイト思ヒマス、此ノ點愼重ニ考慮
〓究ヲシテ行キタイト考ヘテ居ルノデアリ
マス、私共ト致シマシテハ兎ニ角都市ニ對シ
テ不自由ノナイ數量ヲ供給スルヤウニ生產
ノ計畫ヲ立テ、サウシテ其ノ方面ニ對スル
第一次ノ配給ヲ圓滑ニヤツテ行キタイ、斯
ウ云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、農家
ノ乳ノ都市ニ對スル進出モ之ニ考ヲ置イタ
ノデアリマシテ、先程モ申上ゲマシタヤウ
ナ牛乳ノ共同處理施設ノ奬勵ト申シマスル
ノハ、農家ガ一戶々々持ツテ來ルト云フコ
トハイケナイガ、纒メテ衞生的ノ見地カラ見
デ適當ナ處理ヲシテ之ヲ持ツテ來ル、サウ
スルナラバ十分ニ大キナ牧場ガ經營シ、大
キナ牧場ガ出スト同ジヤウナ效果ヲ擧ゲ得
ルト云フ風·ニ考ヘタカラデアリマス、現在
ニ於キマシテモ、先程御話ニナリマシタ千
葉縣ノ精乳所ノ牛乳トカ、或ハ東京府下ノ
多摩ニアリマス所ノ產業組合ノ牛乳デアリ
マストカ、或ハ群馬縣ノ牛乳デアリマスト
カ、ヤハリサウ云フ形デ東京ノ所謂「ミル
ク·プラント」業者ノ手ニ入ツテ配給サレテ
居ルノデアリマス、ソレカラ後ノ工程ト云
フモノハ東京市內ニ於ケル所ノ搾乳業者ノ
乳ガ配給サレルト同ジ形ヲ取ツテ進ンデ參
ルノデアリマス、其ノ次ハ飼料ニ關スル御
質問デアリマスガ、私共ノ奬勵致シマスル所
ノ飼料ノ貯藏窖、是ハ「サイロ」ト言ツテ居
リマスガ、是ハ仰シヤル通リ小サイモノデ
アリマシテ、約千貫ノ容量ヲ有スルモノヲ
目標トシテ、大體各農家ニ一ツヅツ作ツテ
行ク、頭數ニ於テ一ツナリ或ハ其ノ倍ノ容
量ナリノモノヲ作ツテ行ク、サウシテ自分
ノ所デ出來タモノヲアスコデ貯藏スルト云
フ形デ行キタイト考へテ居リマス、デアリ
マスルカラ御話ノヤウナ風ニ助成ヲシテ行
ク考デアリマス、其ノ次ニ協議會ノ協議員
ノ選出ニ付キマシテハ、是ハ官選デアルカ
ラ御用ヲ勤メルダケヂヤナイカト云フヤウ
ナ御話モアリマスルガ、私共ハ左樣ニ考へ
テ居ラナイノデアリマシテ、是ハ生產者團
體或ハ加工業者ノ代表、ソレニ知識經驗ノ
アル、第三者トシテ客觀的ニ物ヲ見テ戴ケ
ル人、ソレカラ地方ニ於ケル官吏等ガ加ハ
ツテ地方ノ協議會ガ出來、中央ニアツテモ
同樣ノ考ノ下ニ選ンデ行クト云フ考デ居ル
ノデアリマス、細カイ數等ニ付テハマダ具
體的ニ出來テ居ルモノハアリマセヌガ、サ
ウ云フ考デ參リマスノデ、兩者各〓ノ立場
カラ見タモノト第三者カラ見タモノトニ依
ツテ大體妥當ノモノガ得ラレルト考ヘテ居
ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=5
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006・池田清秋
○池田委員 最後ノ不當處分ニ對スル救濟
策ニ付テハ、森林法其ノ他ノ法規ニ於テ
モ、主トシテ權利ガ不當ニ抑壓サレルト云
フ風ナ場合ガ必ズシモ無キニアラズト思フ
ノデアリマス、此ノ場合ニ於テ中央官廳、
農林省ノ不當施設ニ對シテハ行政訴訟カ何
カノ途ガアレバ別デスガ、我國ノ行政訴訟
ハ列擧主義デアツテ、何々何々ハ行政訴訟
ヲ起シ得ルトアルカラ、ソコマデハ行カナ
イマデモ、地方官廳ノ不當ナ處分ニ對シテ
ハ、其ノ官廳ヲ通シテ上級官廳ニ異議ノ申
立ヲスルトカ何トカ救濟方法ハアルト思フ
ノデアリマス、森林法ノ場合ニ於テモ此ノ處
分ニ對シテハ其ノ省ヲ經テ上級官廳ニ救濟
ヲ求メル一ツノ規定ヲ入レタノデアリマス
ガ、本法第三條ト第四條ハ地方官廳ト中央
官廳トニ關スル規定デナイカト思フノデア
リマスケレドモ、少クトモ地方官廳ノ不當
ナ處分ニ對シテ吾々泣寢入ヲシナケレバナ
ラヌト云フコトハ餘リニ業者ニ對スル壓迫
デハナイカト思フ、サウ云フコトガナケレ
バ宜シイノデアリマスガ、若シアツタ場合
ドウスルカト云フコトニ付テハ、省令デモ
宜シイ、サウ云フ方法ヲ設ケラレル考ハナ
イカ、併シソコマデ決メル規定ハナイヂヤ
ナイカト云フ御考デアルノカドウカ、是一
一應協議會ガ地方官廳ト組ンデ、自分ノ都
合ノ好イヤウナコトヲヤツタトカ或ハ輸出
業者、大資本業者ノ御先棒ヲ擔イダト云フ
ヤウナ場合ニ、之ニ關シテ何等カノ救濟便
宜規定デモアツタ方ガ私ハ宜カラウト思フ
ノデアリマスガ、其ノ點ヲ附加ヘテ承ツテ
見タイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=6
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007・岸田正記
○岸政府委員 固ヨリ斯ウ云フ根本ノ考ハ
私共ハ協力ニ依ツテ進ンデ行キタイト考ヘテ
居ルノデアリマス、サウ云フ點モ無論考ヘ
テハ居リマシタケレドモ、此ノ點ハ十分ニ
折合ツテ行ケルモノト考ヘテ居リマス、尙
ホ此ノ決定ニ付キマシテハ、無論中央ニ於
ケル協議會等ニ於キマシテモ、サウ云フヤ
ウナ方針ヲ取上ゲテ、サウシテ行政方面ノ
監督ニ依ツテ或ル程度マデハ、サウ云フヤ
ウニナツタ場合ニ於テハ之ヲ抑ヘテ行ケ
ル、是正サセテ行ケルデアラウト考ヘテ、サ
ウ云フ方面ノ努力ニ依ツテ圓滿ニ進ンデ行
キタイト考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=7
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008・池田清秋
○池田委員 尙ホ本日ハ他省ノ關係ノ方々
ガオ居デゴザイマセヌカラ、私ハ此ノ程度
デ打切リマシテ、他省ノ大臣等ガオ出ニナ
ツタ場合ニ、腑ニ落チナイ點ヲ御尋スルコ
トニシテ、留保シテ置キタイト思フノデア
リマス、本日ノ質問ハ私ハ是ダケデ終リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=8
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009・田中萬逸
○田中委員長 本日ハ是ニテ散會致シマス、
明後日午前十時カラ開會致シマス
午後零時十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00219390302&spkNum=9
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