1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十四年三月十三日(月曜日)午前十一時十分開議
出席委員左の如し
委員長 田中万逸君
理事 池田清秋君 理事 藤生安太郎君
理事 深澤吉平君 理事 塩川正藏君
坂下仙一郎君 河野一郎君
松尾孝之君 永山忠則君
北勝太郎君 野溝勝君
小田榮君
出席政府委員左の如し
農林參與官 林讓治君
農林省畜産局長 岸良一君
厚生省衞生局長 林信夫君
本日の會議に上りたる議案左の如し
酪農業調整法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=0
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001・池田清秋
○池田委員長代理 是ヨリ委員會ヲ開キマ
ス-河野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=1
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002・河野一郎
○河野委員 本委員會モ大分各方面ニ亙ツ
テ同僚ヨリ御質問モアツタコトデアリマス
カラ、最後ニ極ク要點ヲ搔摘ンデ御尋ヲ致
シタイノデアリマスカラ、當局ニ於テモ將
來ノ爲ニ御言明ヲ願ヒタイト思ヒマス、先
ヅ第一ハ、酪農事業ガ非常ニ現下ノ我國ノ
事情ニ於テ、特ニ農村ノ振興ノ上ニ於テ重
大ナル問題デアルガ、之ヲ飜ツテ考ヘマス
ノニ、馬產ニ對スル國家的施設-勿論國
防上ノ見地ヨリ色々國家トシテモ考ヘナケ
レバナラヌ點モアルト存ジマスケレドモ、
吾々ノ考ヘルニハ、ドウシテモ馬ヲ一頭飼
フ者ニハ牛モ一頭飼ハセロ、政府トシテハ當
然馬ニ於テ農家ガ負擔スル所ノ負擔ヲ牛ノ
方面ニ於テ稍〓、緩和シタラ宜カラウ、サウサ
スコトガ政府トシテハ當然デハナイカ、其
ノ爲ニハ馬ニ負擔スルト同等ニ、牛ニ對シ
テモ政府ニ於テ適當ナル補助助成ノ政策ヲ
以テ、馬ト牛、卽チ馬ニ配スルニ牛ヲ以テス
ルトカ其ノ他非常ニ有利適切ナル家畜ヲ地
方地方ニ於テ奬勵スルコトガ必要デハナイ
カ、馬ノミニ依ツテ經營スル所ノ農家ハ如
何ニ其ノ經營ノ上ニ於テ遺憾ノ點ガアルカ
ト云フコトハ私ガ玆ニ申上ゲルマデモアリ
マセヌ、是等ノ計算ニ付テハ十分當局ハ御
承知ノ通リデアリマス、隨テ過去ニ於ケル、
又現在ノ農林省ノ豫算ヲ見マシテモ、如何
ニモ馬ニ對スル施設ニ反シテ、牛其ノ他ノ
家畜ニ對スル施設ガ貧弱デアリマス、例ヘ
バ之ヲ昭和十四年度ノ一般豫算ノ中カラ考
ヘテ見マシテモ、牛其ノ他ノ家畜ニ對スル
補助助成ノ政策ニ至ツテハ全ク貧弱デ見ル
ベキモノガアリマセヌ、特ニ本法實施ニ當
ツテ當然問題トナルベキ所ノ牛乳ノ處理ノ
問題、其ノ他共同經營ノ問題等ニ付キマシ
テノ補助費等ニ付テハ非常ニ貧弱デアルコ
トヲ吾々ハ遺憾ニ考ヘルノデアリマス、此
ノ點ハ本日私ハ大臣ノ御出席ヲ願ツテ、大
臣ヨリ確固タル御言明ヲ戴キタイト思ツテ
居ツタノデアリマスケレドモ、遺憾ナガラ
大臣ハドウシテモ御都合ガ出來ヌト云フコ
トデアリマスカラ、此ノ機會ニ林參與官ヨ
リ農林當局トシテノ確固タル御信念ヲ御披
瀝戴キマシテ、明後年昭和十五年度ノ豫算
ノ上ニ於キマシテハ相當思切ツタ施設ヲセ
ラレンコトヲ要望シテ已マナイ者デアリマ
ス、常ニ政府ハ拳固デ物ヲシヨウト考ヘル、
是ハ官僚ノ通弊カモ知レヌ、權力ヲ用ヒレ
バ物ガ出來ルヤウニ考へルノガ官僚ノ通弊
デアル、ドウシテモ先ヅ法律ニ伴フニ補助
助成ノ施設ヲ竝行シテ、出來ルナラバ、例
ハ非常ニ宜シクナイカモ知レマセヌケレド
モ、先ヅ豫防警察ノ方ニ重點ヲ置イテ、然
ル後ニ取締ヲスルト云フコトガ民ニ臨ムニ
當然御役人ノ考ヘナケレバナラヌコトデア
リマス、所ガ法律ヲ先ニ作ツテ後カラ色々
ナコトヲヤラレルト云フヤウナ行キ方ハ妥
當ナ考へ方ヂヤナイ、生產擴充ノ時代ニ於
キマシテ、生產ヲ擴充スルノニ此ノ一本ノ
法律ヲ以テ臨マレルト云フコトハ餘リニモ
冒險デアリマス、偶〓酪農ノ事業ガ今日ノ
農家ノ實情ニ合致致シマスノデ、或ル程度
ノ效果ヲ收メラレルカモ知レマセヌケレド
モ、目的トスル所ハマダ〓〓其ノ程度ノ所
デハアリマセヌ、吾々ハ全國ノ農村ニ少ク
トモ最小限度三百万頭位ノ牛ヲ飼養管理セ
シメルコトヲ希望シテ已マナイ者デアリマ
ス承レバ當局ノ希望ハ一百四五十万頭ト
云フコトデアリマスケレドモ、サウ云フ小
サナ考ヘ方デナシニ、出來レバ一ツノ農家
ニ一頭ノ牛ト云フコトハ最小限度デアリマ
ス、又前段私ガ申上ゲマシタヤウニ、馬
頭ニハ牛一頭ト云フコトヲ必ズ竝行シテ併
養セシメルト云フコトガドウシテモ吾々ノ
將來農村經濟ノ上カラ考ヘナケレバナラヌ
コトデハナイカト思フノデアリマスカラ、
是等ニ間シテ此ノ機會ニ御言明アランコト
ヲ御願スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=2
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003・林信夫
○林政府委員 只今河野議員ノ仰シヤツタ
馬ト牛トノ比較ニ對シマシテハ、總テノ施
設ニ對シテ私自ラモ牛ノ方ガ極メテ輕ク見
ラレテ居ルト云フコトヲ能ク諒承シテ居リ
やっく尙ホ將來ニ付キマシテハ十分考慮致
シマシテ善處致シタイト云フ氣持デアリマ
ス、唯私共乏シキヲ以テ役人ニナツタバカ
リデアリマスカラ、私ト致シマシテハソレ
以上ニ申上ゲルコトハゴザイマセヌガ、只
今アナタノ仰シヤツタ通リ、非常ニ輕イ、
隨テ將來ソコマデハ行カズトモ、成ベクソ
レニ近付クヤウナ方法ヲ執ルヤウニ考慮致
シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=3
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004・河野一郎
○河野委員 ドウカ今林參與官ノ御言明
ニナリマシタコトハ、最大ノ努力ヲ以テ、
御列席ノ畜產局長初メ其ノ他ノ關係官ニ於
カレテ全力ヲ擧ゲテ一ツ本邦畜產界ノ爲ニ
御盡力アランコトヲ御願スル次第デアリマ
ス
更ニ進ンデ此ノ機會ニ御所信ヲ質シテ置
キタイコトハ、先般豫算總會ニ於テモ私ヨ
リ政府當局ニ御願シマシタコトデアリマス
ガ、我國ノ畜產行政ノ關係ノ行政事務ニ於
テ、各省ニ亙ツテ居ル問題ガ非常ニアルノ
デアリマス、是ハ旣ニ當局ニ於テモ御承知
ノ通リデアリマス、是等ノ問題ハ、例ヘテ
申セバ、牛乳ノ處理ニ致シマシテモ、是ガ
縣ノ經濟部デヤツテ居ル所モアレバ警察部
デヤツテ居ル所モアル、中央ノ官署ニ於キ
マシテモ、一部分ハ內務省ノ所管ニナツテ
居ル所モアレバ、他ノ省トノ共管ニナツテ
居ル問題モアル斯ノ如キハ甚ダ事務進捗
ノ上ニ於テ遺憾トスル所デアリマス、特一
斯ノ如キ法律ヲ以テ酪農業ノ統制ヲヤラレ
マス以上ハ、是等ノ問題ニ付テハ此ノ機會
ニ適當ニ一掃セラレルコトガ必要ダト私ハ
思フノデアリマス、此ノ點モ實ハ本日大臣
ニ十分所信ヲ質シタイト思ツタノデアリマ
スガ、此ノ機會ニ當局ニ於テモ、民間ニ向
フニ統制ヲ希望セラレマスル以上ハ、政府
內部ニ於テモ、是等ノ複雜ナル行政ノ煩瑣
ハ此ノ機會ニ一掃セラレルコトガ適當ダト
私ハ考ヘル者デアリマスルガ、ドウカ是モ、
斯ウ云フ時偶〓非常時下ニ於キマシテ、總テ
ノ行政刷新、行政機構ノ改革ト云フ際ニ當
然ナサレナケレバナラヌ問題デアリマスノ
デ、是等ノ點ニ付テモ善處セラレンコトヲ
希望スル者デアリマスガ、此ノ機會ニ一ツ
御所信ヲ承ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=4
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005・林信夫
○林政府委員 只今ノ御質問デアリマスガ、
豫ネテ此ノ問題ヲ出ス上ニ於キマシテモ、
關係省殊ニ厚生省ナドトハ十分連絡ヲ執ツ
テ考慮致シタ積リデアリマス、ソコデ衞生
上ノ問題ニ付キマシテハ、厚生省ノ方ニ御
任セヲ致シ、事業上ノ問題ニ付キマシテハ
農林省ガ關與致シマシテ、今後將來ノ問題
ニ付テハ能ク連絡ヲ執リマシテ、只今ノ河
野議員ノ仰シヤツタ通リ御期待ニ副フヤウ
ニ十分努力ヲ致シタイト考ヘルノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=5
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006・河野一郎
○河野委員 次ニ申上ゲテ御答辯ヲ得タイ
ト考ヘマスコトハ、斯ノ如キ劃期的ナ統制ヲ
行ハントセラレルニ當リマシテハ、是モ先般
豫算總會ニ於テ私ヨリ御願申上ゲタコト
デアリマスガ、全國各地方ノ畜產關係官等
ノ身分ニ付テ相當ナル向上ヲ考ヘテヤル必
要ガアルト思フノデアリマス、是ハ地方ノ
業者ニ折衝致シマス際ニ、一地方ノ技術官
デアルトカ、一地方ノ技師、技手デアツテ、
ソレガ經濟部長ノ監督下、更ニ農務課長ノ
監督下、誰々ノ監督モ受ケナケレバナラヌ
ト云フヤウナコトデハ、到底地方ノ各種ノ
業界ノ代表ヲ監督致シマス上ニ於テ、甚ダ
監督上遺憾ノ點ガ起ツテ來ルト思フノデア
リマス、隨ヒマシテ是等ノ各地方ノ畜產主
任官、是ハ當然畜產課ヲ獨立セシメマシテ
畜產課長トシテ、畜產一般行政ニ付テハ自己
ノ所信ニ於テ堂々ト地方畜產振興ノ爲ニ善
處出來ルヤウニ致シマセヌコトニハ、生產
者ト是等業者トノ間ニ摩擦ガ起リマシタ際
ニ、現在ノヤウナ各府縣ニ居リマスル主任
官ノ程度ヲ以テ致シマシテハ、中々監督上、
又ハ事業遂行上困難ノ點ガ多カラウト思フ
ノデアリマス、而モ私ノ知ル所デハ地方ニ
居リマスル是等ノ畜產主任官ハ相當ノ經驗
モアリ、相當ノ人物ヲ以テ當テラレテ
居リマス、例ヘバ靜岡縣ノ主任官ノ如キ、
是等ノ酪農事業ニ付テハ相當ノ經驗モアレ
バ、相當ノ知識モアル、一方ノ權威ヲ以テ
任ゼラレル人ガ、各府縣ニソレ〓〓配置
サレテ居ルノデアリマス、是等ノ主任官ノ
身分ハ
〔池田委員長代理退席、委員長著席〕
現在ノ如クニ致シテ置キマスコトニ依ツ
テハ、ドウシテモ業者トノ間ニ完全ナル行
政ガ出來ナカラウ、法ハアツテモ法ノ運用
ノ上ニ於テ地方ノ業者カラ、言葉ハ不適當
カモ知レマセヌケレドモ、ナアニアノ技師
ガト云フヤウナコトデ、課長ニ賴メバ
誰ニ賴メバト云フヤウナコトデ、是等ノ技
術者ガ本法運用ノ上ニ於テ威力ガ足リナイ、
斯ウ云フヤウナコトハ理窟ノ上デハナイカ
モ知リマセヌケレドモ、實際ノ上ニ於テ相
當支障ガアルト私ハ思フノデアリマス、當
然當局ニ於キマシテハ是等ノ技術者又ハ地
方畜產課ノ獨立ト云フコトヲ速ニ實行セラ
レルヤウニ、本省ニ於テ萬全ノ努力ヲ拂ハ
レルコトガ適當デアルト思フノデアリマス、
之ニ對スル御所見ヲ質シテ置キタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=6
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007・林信夫
○林政府委員 畜產課ノ獨立ニ付キマシテ
ハ、各府縣ニ依リマシテ、マダ今日畜產課
トシテ出來テ居リマスノハ極ク少數デアリ
マスガ、只今河野議員ノ仰シヤツタ通リ
ニ、生產者ナドト對立シテ行ク上ニ於テ其
ノ必要ヲ十分認メテ居リマス、隨テ將來善
處致シタイト云フ積リデ居ルノデアリマス
ガ、其ノ點ニ付キマシテハ豫算其ノ他ニ關
係スル所デアリマスカラ、只今確然タル御
返答ハ致シ兼マスガ、十分將來其ノ必要ア
リト認メマシテ、考慮致ス積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=7
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008・河野一郎
○河野委員 大變結構ナ御答辯ヲ得マシテ、
定メシ地方ノ主任官モ其ノ政府ノ御決意ニ
對シテ感謝シテ本法運用ノ上ニ萬全ヲ期スル
コトト考ヘマス、而モ斯ノ如キ御言明ガア
レバ、假令其ノ實施ガ一年遲レマシテモ、
又ハ二年遲レマシテモ、地方ノ業者ニ對シ
テ是等ノ主任官初メ、畜產關係官ガ相當ノ權
力ヲ以テ臨ムコトモ出來マスルシ、又其ノ
間ニ於テ自ラ圓滿ナル解決モ期スルコトガ
出來ルヤウニナリマスノデ、本邦畜產界ノ
發展ノ爲慶賀ニ堪ヘナイコトト思ヒマス、
而モ御答辯ハ御答辯ギリト云フコトデナシ
ニ、必ズヤ明年度明後年度ノ、卽チ昭和十
五年度以降ノ豫算ニ於キマシテ、順次是等
ノ主要ナル畜產府縣ニ付テハ其ノ實現ヲ期
スルベク中央當局ニ於テ萬全ヲ期セラレン
コトヲ重ネテ御願ヒ致シマス
次ノ御尋ニ移リマス、斯ノ如ク致シマシ
テ政府ニ於テ我國ノ畜產振興ノ爲ニ、豫算
ノ上ニ於テモ萬全ヲ期スル、ソレカラ又地
方ノ畜產課ノ獨立、主任官ノ身分ノ向上ト
云フヤウナコトニ努力セラレマスルニ伴ヒ
マシテ、更ニ御考慮ヲ願ヒタイコトハ、當
局ノ御意思ヲ此ノ際確定的ニ一ツ御述ベヲ
下サレタイコトハ、現在我國ノ乳牛地帶ト
云フモノハ非常ニ偏在致シテ居リマス、此
ノ偏在致シテ居リマスル原因ガ一體那邊ニ
在ルカ、隨テ其ノ原因ニ基イテ如何ニシテ
今後新興乳牛地帶ヲ建設スルコトニ努力セ
ラレル積リカト云フコトハ、當然考ヘラレ
ナケレバナラヌ問題ダラウト思フ、私ハ此
ノ機會ニ申上ゲルコトハ不適當カモ知レマ
セヌケレドモ、例ヘバ米ノ增產ヲ期スル上
ニ於テ、唯單ニ、漠然ト害蟲驅除ニ依ツテ二
割ノ增產ヲスルトカ、ヤレドウ云フコトヲ
シテ何トカト云フヤウナ、マルデ何ト申
シマスカ、馬鹿々々シクテ吾々ガ想像出來
ヌヤウナ行政ノ仕方デハ、吾々著實ニ農業
ノ振興ヲ期スル者ニハ滿足ハ出來ナイノデ
アリマス、ソレヨリモ我ガ畜產業界ニ於キ
マシテ其ノ原因ガ一體何處ニ在ルカ、今日
マデ發展シテ來タ原因ガ那邊ニ在ルカト云
フ原因ヲ〓究シテ、今後ノ建設地帶ニ於テ
是等ノ點ニ付テ考ヘル必要ガアルト云フコ
トニ留意シ、邁進セラレルコトガ、畜產局
長ノ當然ノ使命デアルト私ハ思フノデアリ
やく、吾々ガ我ガ畜產局長ヲ技術官ヲ以テ
之ニ充ツベシト主張シタノモ此ノ點ニアル
ノデアリマス、從來ノ如クニ事務官ノ局長
デアリマシテハドウシテモ一般ノ行政事務
的ニ取扱ハレマスノデ、畜產ノ如クニ五年
十年ヲ期シテ本當ノ畜產ヲ建設スルト云
フ行政官ハ、ドウシテモ經驗ト、是等ニ對
スル〓究ヲ持ツタ人デナケレバナラヌ、
將來永久我ガ畜產局長ハ技術官ヲ以テ充ツ
ベシト吾々ガ主張スルノハ此ノ點ニ在ルノ
デアリマス、隨テ岸畜產局長ニ於カレマシ
テモ是等ノ吾々民間ノ要望ニ副フベク、又
ハ是等ノ吾々民間ノ要望ヲ滿足セシムベク
十分ナル御努力御決心ヲ以テ今後我ガ各
地方ニ於テ、例ヘバ北海道ノ先進地ニ亞グ
ニ千葉、神奈川、兵庫、靜岡ト云フヤウナ
地帶ヲ三年後五年後ニハ、是等ニ、優ルト
モ劣ラザル地方ヲ各地ニ建設スルコトガ
必要デアルト私ハ思フノデアリマス、是等
ニ付テ一體ドウ云フ用意ガオアリカ、ドウ
云フ決心ヲ以テ御臨ミカ、吾々ハ今マデノ
畜產行政ノヤリ方ニ滿足シテ居ルモノデハ
アリマセヌ、馬ノ下敷ニナツテ、何時デモ
馬ノ添物ニナツテ、恰モ刺身ノツマノヤウ
ナ畜產行政ニ滿足スルモノデハナイノデア
リマス、卽チ馬政局ガ獨立致シマシテ、純
粹ナ畜產局ニナリマシタコトヲ吾々ハ心カ
ラ喜ビマシタ一人デアリマス、併シ馬政局
ガ離レテモ舊態依然タル畜產局デアリマス
ル以上ハ、吾々ハ甚ダ失望スルモノデアリ
そう、モウ旣ニ畜產局ハ分離致シマシテ、
玆ニ相當ノ年月ヲ經過致シテ居ルモノデア
リマスカラ、其ノ間ニ於ケル準備ヲ以テ新
畜產建設ノ爲ニ邁進セラレル時機ニ到達致
シテ居ルト思フノデアリマス、幸ニ時モ好
シ、又陣容ニ於テモ遺憾ナク備ツテ居リマ
スル此ノ情勢ニ於キマシテハ、一ニ岸畜產
局長ノ御決心ニ依ツテ相當ノ期待ガ吾々ハ
得ラレルモノデアルト考ヘルノデアリマス
カラ、此ノ機會ニ其ノ所信ヲ御述ベアラン
コトヲ御願スルモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=8
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009・岸田正記
○岸政府委員 將來ニ於ケル略農業ノ振興
ニ對スル方針ヲ御尋ニナツタノデアリマス、
現在乳牛地帶ト云フモノハ北海道ナリ或ハ
千葉ナリ靜岡ナリニ發達シテ居ルト云フ經
過ハ、一方ニ於テ自然的ノ條件又經濟上ノ
點カラ云ヒマスルト農業立地ノ條件ト云
フモノハ、宜イ所ニ先覺者ガアツテ乳牛ノ
飼育ヲ始メルト云ツタコトガ基ニナリ、ソ
レヲ因子トシテ發達シテ來テ居ルノデアリ
ひゞ、併シ今日ノヤウニ國家的ニ斯ウ云フ
生產ヲドウシテ行クカト云フコトニナリマ
スト、ソレノミデハイケナイト思フノデア
リマス、隨ヒマシテ私共今此ノ計畫ヲ進メ
テ行クニ付キマシテハ、乳牛ノ有スル性能
ヲ十分發揮シ得ルヤウニ進メテ行ツテ、ソ
レガ經濟ニ合ヒ、國家ノ計畫スル目的ニ合
フヤウニ導イテ行カナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、隨ヒマシテ今日ニ於キマシ
テハ將來ノ計畫ニ順應シテ、其ノ生產ヲ擴
充シテ行ク爲ニ十分地方ニ於ケル農業立地
ノ關係ヲ調整致シマシテ、此ノ飼育ガ相當
ナ規模ニマデ伸ビ得ル所ニ重點ヲ置イテ、
之ヲ指導ヲ集中シテ行クト云フ風ニ導イテ
行カナケレバナラヌト思フノデアリマス、
勿論其ノ發展ノ過程ニ於テ、或ハ又市乳ノ
ヤウチ形ヲ取ル所モアルデアラウト思ヒマ
スシ、又更ニ進ンデ加工ノ方法ヲ採ル所モ
アルデアリマセウガ、ソレハ其ノ立地ノ廣
サ、大イサ、深サト云フヤウナ所ニ關係ス
ルデアラウト思フノデアリマスガ、サウ云
フ風ニ致シマシテ、堅實ナル基礎ノ下ニ伸
ビテ行クヤウニシテ行キタイ、斯ウ云フ風
ニ考ヘテ居リマス、デ明年度以降ニ於キマ
シテノ生產力擴充ニ於テハ、各種家畜ノ增
殖ヲヤルノデアリマスガ、先程御示シニナ
リマシタ馬トノ關係ニ付テモ、若シ牛ヲ飼
育スルコトニ依ツテ、馬ノ方面ヲ幾ラカデ
モ助ケ得ルト云フヤウナ點ガアリ、サウ云
フヤウナ條件ガ成立スル所ニ付テハ、其ノ
點ヲ十分考慮シテ仕事ヲ起スヤウニヤツテ
行キタイ、斯ウ考ヘテ居リマス、現在ニ於
キマシテ私共ハ其ノ計畫ヲ地方的ニ導クコ
トヲ、ドウ云フ風ニ計畫的ニヤツタラ宜イ
カト云フコトニ付テモ、地方ニ照會ヲシ各
種ノ因子ヲ調査-踏査シテ貰ツテ、ソレ
ニ從ツテ計畫ヲ立ツテ行キタイ、斯ウ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=9
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010・河野一郎
○河野委員 本法ノ施行期日ハ一體何時
頃ニナリマスカ、吾々トシテハ出來
ルナラバ四月一日カラデモ實施シテ戴キタ
イト思フノデアリマス、同時ニ其ノ施行ト
伴ヒマシテ、現在各府縣ト申シマストドウ
カ知レマセヌガ、例ヘバ北海道廳デアリマ
ストカ神奈川縣デアリマストカ、旣ニ酪農
ノ統制ニ對スル道廳令、縣令ト云フヤウナ
モノガ出テ居リマスモノハ、是ハ本法施行
後ニ於テドウ云フ關係ニナリマスカ、ソレ
ニ付テ一ツ御答ヲ願ヒタイト思ヒマス、是
ハ局長デモ參與官デモ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=10
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011・林信夫
○林政府委員 勅令トノ色々ノ關係ガアリ
マスカラ、成ベク早ク出シタイト思ヒマス、
色々地方トノ關係ニ基イテ支障ガナイヤウ
ニ十分調査致シマシテ、成ベク早ク致シタ
イト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=11
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012・河野一郎
○河野委員 地方トノ關係ハドウデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=12
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013・岸田正記
○岸政府委員 地方トノ關係ハ大體建前ニ
於テハサウ打突カルコトハナイト思ヒマス、
勿論是ハ相談致シマシテ、此方ニ合フヤウ
ニヤツテ貰ヒタイ、斯ウ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=13
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014・河野一郎
○河野委員 サウ致シマスト本法施行前
ニ、地方廳令デ實施致シテ居リマスルノハ、
本法ニ基イテ、此ノ運用ニ竝行シテ行クヤ
ウニ變ヘルヤウニ御協議ニナルト諒承シテ
宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=14
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015・岸田正記
○岸政府委員 サウ云フ御解釋ノ通リデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=15
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016・河野一郎
○河野委員 實ハ例ヘテ申シマスレバ、縣
デヤツテ居ルモノハ神奈川縣ダラウト思フ
ノデアリマスガ、神奈川縣ノ實例ヲ見マシ
テモ、玆ニアリマス酪農委員會ノ地方委員
會ヲ作リ、其ノ委員ノ構成云々ト云フヤウナ
コトガ示サレテ居リマスガ、此ノ構成ノ仕
方ト神奈川縣ノ構成ハ違ツテ居リマス、サ
ウ云フヤウナコトハ一體ドウ云フコトニナ
サルカ、是等ハ地方ノ實情ニ依ツテ變へ得
ルコトガアルノカナイノカ、ソレ等ニ付キ
マシテモ餘程愼重ニ取扱ツテ戴キマセヌト、
例ヘテ申シマスレバ酪農地帶ガ數郡ニ分レ
テ居ルト云フ場合ニ、何處ノ郡カラ生產者
ノ代表ヲ出シテ何處ノ郡カラ出サヌト云フ
コトモ困難デゴザイマス、人數ハ五人ト云
フコトニナツテ居リマスガ、五人ニ限定ス
ルコトガ適當カドウカト云フコトモ困難デ
ゴザイマス、斯ウ云ツタ實情ガアリマスノ
デ、ソレ等ノ點ニ付テハ必ズシモ劃一的ナ行
政ノ指導方針ガ正シイトハ私ハ考ヘラレナ
イト思ヒマス、隨テソレ等ニ付テハ地方ノ
實情ヲ十分御斟酌ヲシテ戴キマシテ、萬遺
憾ナキヤウニ願ヒタイト思フノデアリマス、
吳々モ申上ゲテ置キマスガ、施行期日ハ
日モ早カランコトヲ御願致シマス所以ノモ
ノハ、此ノ機會ニ於テ申上ゲナクテモ宜イ
ノデアリマスガ、先程モ畜產局長ニ私的ニ
申上ゲマシタ通リ、本法施行ヲ目前ニシマ
シテ、業者ノ色々策動致シマスモノヲ吾々
ハ見聞致ス者デアリマスガ、是等ノ業者ガ
徒ニ地方ヲ混亂ニ陷レマス結果、地方ノソ
レゾレ畜產組合、其ノ他ノ團體ニ關係致シ
テ居ル者ト致シマシテハ、非常ニ迷惑ヲス
ルノデアリマス、隨テ是等ニ付テハ例ヘバ
施行期日ガ只今御話ノヤウニ多少遲レマスニ
致シマシテモ、其ノ間ニ於テ暫定的ノ當局
ヨリ適當ナル指示ヲ願ヒタイト思フノデア
リマス、卽チ何レ是等ノ業者ハ酪農業組合
ノ組合員ニナルモノト考ヘマスノデ、當局
ニ於カレマシテハ是等ノ業者、購買ヲ致ス者
ニ對シマシテ、斯ノ如キ無理解ナルコトヲ
致シマセヌヤウニ、嚴重ナ一ツ御取締ト申
シマスカ、行政上ノ運用ノ妙ヲ得テ、然ル
ベク善處シテ戴キタイ、吾々ト致シマシテ
ハ今日非常ニソレ等ノ點ニ於テ痛感致シテ
居リマス各種ノ實例ガアルト思フ、偶〓此ノ
機會ニ申上ゲテ一ツ御願致シテ置キタイト
思ヒマスノバ、神奈川縣ニ於キマシテハ本
年ノ二月カラ實ハ牛乳ノ縣營檢査ヲ始メタ
ノデアリマス、二月一日ニ縣營檢査ヲ始メ
マスニ先ダチマシテ、業者ガ非常ニ策動致
シマシテ、相當ノ混亂ヲ見タノデアリマス、
所ガ其ノ當時ニ於キマシテハ斷乎トシテ是
等ヲ抑ヘタノデアリマス、所ガ本法案ガ愈〓
議會ニ提出セラレル、施行期日モ何レ近々
ノ內ニ定マルト云フコトヲ耳ニ致シマシ
タ業者ハ、更ニ前囘トハ變ツテ非常ニ惡辣巧
妙ナル手段ヲ以テ地方ノ生產業者ヲ攪亂シ
テ居ル事實ガアリマスルノデ、是等ハ獨リ
神奈川縣ダケノ問題ニアラズシテ、ソレゾ
レノ地方ニ於テ必ズヤ私ハサウ云フ問題
ガ起リ得ルコトト思フノデアリマス、是ハ業
者ノ無自覺ニ依ツテ起ルト云フ當局ノ御話
デアリマシタケレドモ、併シ無自覺ニシロ、
自覺アツテノコトニシロ、吾々生產者ヲ統
率シテ是等ヲ善導致シテ參リマスル立場ニ
居ル者ト致シテハ、非常ニ迷惑ヲ致ス者デ
アリマスカラ、是等ニ付テハ速ニ善處ゼラ
レンコトヲ他ノ機會ニ御願ヲ致シマシテ、
又局ノ適當ナル此ノ機會ニ所信ヲ御述べ戴
ケレバ結構ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=16
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017・岸田正記
○岸政府委員 只今ノ御話ハ私共甚ダ宜ク
ナイコトダト思ツテ居リマス、此ノ點ニ付
テハ何等カノ形デ注意スル積リデアリマス、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=17
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018・河野一郎
○河野委員 最後ニ一ツ、是モ本法運用後
ニ於ケル當局ノ御所信ヲ質シテ置キタイノ
デアリマスガ、先日モ實ハ申上ゲマシテ、
當局カラ然ルベクト云フ御答辯ヲ戴イタノ
デアリマスルケレドモ、實ハ本法施行後ニ
於キマシテ、當局ノ行政ノ對象ニナリマス
法人ノ關係デアリマス、例ヘバ一郡ヲ單位
ニスル產業組合ヲ作ルコトニ付テ、產業組
合ガドウ云フ風ニ考へルダラウカ、從來ニ
於テハサウ云フモノハ產業組合トシテハ、
同意シ兼ネテ居ツタノガ事實デアリマス、
併シ斯ノ如ク法律ニ依ツテ統制ヲシヨウト
云フコトニナリマスレバ、其ノ對象トナル
ベキ團體ハ當然必要デアリマシテ、是ハ神
奈川縣ニ於キマシテハ、縣ノ主任官ハ、畜
產組合デオヤリニナツタラ如何カト云フ意
見モ申シテ居リマスケレドモ、吾々考ヘマ
スルニ、ドウシテモ他ニ豚ナリ馬ナリヲ扱
ツテ居リマス產業組合ガ扱フコトハ不適當
デアル、ヤハリ乳牛專門ノ組合員ヲ以テ組
織スル所ノ產業組合組織ニ依ツテ扱フコト
ガ適當ダト思フノデアリマス)隨テ是等ノ
コトガ起リマシタ場合ニ、獨リ是ハ私ガ只
今例ニ申上ゲタ問題ノミナラズ、今後新興
地帶トシテ興リマス地方ニ於キマシテハ、
當然是等ノ問題ガ起ルト考ヘマスノデ、其
ノ場合ニ於テ當局ニ萬遺憾ナキヤウ、豫メ
畜產局ト經濟更生部トノ間ニ、完全ナル連
絡ヲ御取リ置キ下サイマシテ、吾々ノ方カ
ラ出シマシタ書類ガ宙ニ迷フコトノナイヤ
ウニ、此ノ機會ニ特ニ御願致シマス、是モ
實ハ大臣カラ御言明ヲ得テ置イタ方ガ適當
ト考ヘタノデアリマスガ、此ノ機會ニ林參
與官ヨリ代ツテサウ云フコトノナイト云フ
コトヲ、御言明置キヲ願ヒタイト思フノデ
アリマス
尙ホ其ノ問題ト共々ニ關聯致シマスコト
ハ、組合內ニ於キマシテ、又ハ此ノ法人ノ
內部ニ於キマシテ、統制ニ服セザルモノガ
アツタ場合ニハ、統制ニ服スルヤウニ、地
方長官ガ命令ヲ出スコトガ出來ルト云フ規
定ガアリマス、此ノ規定ノ發動ニ當リマシ
テ、地方問題トシテ色々ナ問題ガ起ルコト
ヲ私ハ惧レルノデアリマス、斯ノ如クニ產
業上ノ問題ガ、地方ノ政治問題デアリマス
トカ、例ヘテ申セバ甚ダ申シニクイコトデ
アリマスケレドモ、政黨政派ノ關係ノ問題
ニナルト云フヤウナコトハ、吾々トシテハ
是ハ非常ニ愼シマナケレバナラヌ問題デア
リマス、所ガ地方長官ガ其ノ强制命令權ヲ
發動スル、シナイト云フヤウナコトガ、例
ヘバ地方ニ於テ政治的ニ是ノ善惡ガ論ゼラ
レルト云フヤウナコトノ起リマスコトヲ、
甚ダ遺憾ニ考ヘルモノデアリマスカラ、當
局ニ於テ是レ〓〓ノ場合ニ於テハ、法ノ發
動ヲスベキモノダ、乃至ハスベカラザルモ
ノデアルト云フヤウナコトヲ、豫メ問題ノ
起ラザル以前ニ於テ、或ル程度ノ基準ヲ定
メテ置イテ戴キタイ、斯ウ云フコトハ是ハ
委員會ニ於テ決メルコトダトカ何トカ仰シ
ヤイマシテモ、地方ニ居リマスル縣知事デ
アリマストカ、經濟部長デアリマストカ云
フ者ハ、何ト言ツテモ地方ノ縣會議員サン
トカ其ノ他ノ方々ニモ色々氣兼ヲサレマス、
ソレガモツト深刻ニナリマシテ、政黨政
派ノ問題ニナツテ、一方ハヤレト言フ、
方ハヤルナト云フヤウナコトガ、萬々一ニ
モ是等ノ產業問題ト絡ミ合フト云フヤウ
ナコトガアリマスト、非常ニ吾々トシテハ
遺憾ニ考ヘル問題ガ起ルト思ヒマスノデ、
是等ニ付テハ成ベク萬全ノ注意ヲシテ戴キ
マシテ、中央ニ於テ一ツノ基準ヲ定メテ、
地方長官ニ向ツテ內示ヲシテ置イテ戴キタ
イト云フコトヲ、特ニ此ノ機會ニ御願致シ
どう、本委員會ヲ通ジマシテ甚ダ長時間ヲ
拜借致シマシタコトヲ御詫ヲ申上ゲマシテ、
私ノ質問ハ是ニテ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=18
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019・岸田正記
○岸政府委員 林サンカラ御答辯スレバ宜
イノデアリマスガ、私カラ代リマシテ御答
申上ゲマス、此ノ一郡ヲ區域トスル產業組
合、特殊ノ產業組合ト云フヤウナモノハ、
大體縣カラ農林省ニ認可ヲ申請シテ居ル譯
デアリマス、ソレニ從ツテ認可シテ居ルノ
ガ、例ヘバ北海道ノ酪聯デアルトカ、或
山口地方ニ於ケル產業組合ノ乳ノ搬出ト
カ、或ハ德島ノ乳ノ搬出トカアルノデアリ
やく、隨テソレヲ許シテ居ル以上ハ、方針
トシテ認メテ居ルト云フコトハ言ヘルト思
フノデアリマスケレドモ、養雞組合ノ如ク
原則的ニドウスルト云フコトヲマダヤツテ
アリマセヌカラ、又重ネテソレハ一ツ原則
的ニ定メテ、出テ來タ時ニ支障ノナイヤウ
ニ取運ビタイト考ヘマス、今一ツハ地方長
官ガ處置ヲスル場合ノ基準等ニ付テハ、〓
究シテ成ベク御趣旨ニ副フヤウニヤリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=19
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020・田中萬逸
○田中委員長 坂下君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=20
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021・坂下仙一郎
○坂下委員 私モ大臣ニ御尋シタイト存ジ
テ居リマシタガ、御都合ガ出來ヌト云フコ
トデアリマスノデ、林參與官ニ希望ヲ申上
ゲタリ、又政府ノ所信モ伺ツテ置キタイト
存ジマス、私モ靜岡縣ノ畜產組合ニ關係シ
テ居リマスル關係上、靜岡縣ニ於テ酪農業
者ト製酪業者トノ間ニ、相剋摩擦ヲ繰返シテ
居ツタコトハ事實デアリマシテ、其ノ當時
私共ノ考ト致シマシテハ、此ノ種ノ法律ガ
出來テ、ソレデ調整ヲシテ貰フコトノ方ガ、
却テ酪農業ノ發展上宜イヤウニモ考ヘテ居
ツタノデアリマス、偖テ今囘此ノ調整法ガ
出マシテ、ソコデ公正ナル乳價ノ決定ト云
フコトニ付テ、先囘政府委員ニ繰返シ〓〓
御質問申上ゲタノデアリマスガ、マダ本員
ノ納得シ、安心シ得ル程度ニマデ參リマセ
又、本法ノ運用ニ依リマシテ、中央地方ニ
協議會ガ出來テ、乳價ノ公正ナル値段ヲ協
定セシメルト云フコトデアリマスガ、先般
モ御質問申上ゲタヤウニ、ドウモ公正ナル
値段ヲ出スコトハ相當困難デアル、ソコデ
若シ公正ナル値段ガ出ナイデ、相剋摩擦ヲ
再ビ繰返スコトニナリマスト、本法ニ依ツ
テ製酪業者ニ特權ヲ與へ、獨占セシムルコ
トニナツテ居ルノデアリマスカラ、過去ニ
於ケル自由協定ニ依ル間ノ相剋摩擦トハ違
ツテ、農民ハ國家ヲ怨ムトカ、或ハ政府ヲ
呪フト云フヤウナコトニマデ行クコトヲ私
ハ惧レル、所謂共在共榮ノ實ヲ失フヤウナ
乳價ノ決定ガアリト致シマスレバ、由々シ
キ問題ヲ惹起ス、斯ウ思フノデアリマス、
殊ニ時局下ニ於テ尙更私ハサウ云フコトヲ
心配スルモノデアリマス、近頃ノ農村ニハ
相當不平ガアリ、不滿ガアルコトヲ御認識
ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、農民ハ純
情デアリ、醇朴デアルト御考ニナツテ居ツ
タニ違ヒナイシ、又サウデアツタノデアリ
マスガ、事變勃發以來ノ農村ハ決シテ以前
ノヤウニ唯醇朴デアル、質朴デアル、決シ
テ不平ヤ不滿ハ言フモノデナイト云フヤウ
ニ御考ニナツテ居ルトスレバ、是ハ大變ナ
間違ダト思フ、然ラバ時局下ニ於ケル農村
デハドウ云フ點ニ不平ヲ持ツテ居ルカト申
シマスト、ドウモ農民ニ對スル扱ヒ方ト、
他ノ職業ニ對スル扱ヒ方トニ差別ガアルヤ
ウニ私ハ思フ、農民モ爾ク考ヘテ居ル、マ
ア一例ヲ擧ゲテ申シマスレバ、農產物ノ供
出ヲ割當ル、大麥ノ供出ヲ各農家ニ割當テ
マシテモ、軍部ノ方デハ値段ヲ幾ラ〓〓ト
ハツキリ示サナイ、又金ノ支拂モ何時々々
ト云フコトガハツキリシナイ、サウシテ二
月半若クハ三月經ツテカラ其ノ値段ガ決定
シテ參リマスト、運賃、包裝料、或ハ倉敷、
手數料、積卸、金ニ困ツテ中途ニ內金ヲス
しや、產業組合デ其ノ又利息ト云フヤウナ
モノヲ計算致シマシテ、差引幾ラニナルノ
ダ、値ハ幾ラデアルケレドモ、差引幾ラニ
ナルト言ツテ支拂ツテ居ル、ソレガ又極
メテ安イノデス、ソレデモ此ノ時局下ニ
於ケル供出デアルカラ巳ムヲ得ナイト
シテ、農民ハ今マデ怺ヘテ居ツタ、中ニ
ハ餘リ氣ノ毒ダト言ツテ、町村デ戶數
割カラ其ノ損失ヲ補ツタ所サヘモアルノ
デアリマス、又「ガソリン」ノ原料ニスルト
云フ甘藷ノ供出ニ付テモ、其ノ儘賣レバ十
錢乃至十二錢ニ賣レルモノヲ切乾ニシテ
貫目八錢ニシカ付カナイヤウナコトヲシテ、
供出ダト云ツテ割當テテ無理ヤリニ供出ヲ
命ズル、斯ウ云フコトデス、然ラバ他ノ業
者ニ斯ウ云フコトガアルカ、商工業者ノ方
ニ向ツテ供出ヲ命ジタ、元値ヲ切ツテ出サ
セタト云フ例ガアルカト申シマスト、サウ
云フモノハ斷ジテナイト私ハ思フ、未ダ曾
テ聞イタコトハナイ、ノミナラズ商工業者
ニ對シテハ相當ナ利潤ヲ與ヘテ買上ヲヤツ
テ居ル、斯ウ云フ所ニ非常ナ差別ガアル、
又一面出征者ノ遺家族ニ付キマシテモ、官
吏ニ致シマシテモ、會社ノ從業員、職工等
ニ至ルマデ、皆現職ノ儘俸給ヲ滿足ニ支給
サレテ居ル、所ガ農民ノ子弟ガ召集サレマ
シテモ、之ニ對シテハ、軍事扶助ガアルト
申サレマスカモ知レマセヌケレドモ、軍事扶
助ヲ除ク何モノモナイノデアリマス、其ノ
軍事扶助タルヤ、其ノ日ガ送レナイ、食ハ
レヌト云フヤウナ人ニノミ僅ナ扶助ヲスル
ノデアツテ、官吏或ハ會社ノ從業員、事務
員ト云フヤウナ人達ノ待遇ニ較ベルト、迚
モ比較ニハナラヌ、偶〓扶助ヲスルト申シマ
シテモ、農民デ言ヒマスト一人三十五錢ト
云フヤウナ見積リデアリ、サウシテ六十歲
以上十六歲以下ト、到底生活ノ出來ナイ人
ダケヲ計算シ、中ニ十八九、二十ニナル働
ケル人ガアルトスレバ、其ノ働ク人ノ收入
ヲ差引イテ、其ノ差額ダケヲ支給スルト云フ
ヤウナ辛イ計算ニ依ツテ扶助サレテ居ル、
斯ウ云フコトニ依ツテ農民ハ非常ナ不平不
滿ヲ持ツテ居ルコトヲ御承知願ヒタイ、殊
ニ殷賑產業ニ從事シテ居ル人達ガ、非常ナ
儲ケヲシテ'而モ豪奢ノアラン限リヲ盡シ、
尙ホ其ノ上ニ一方デハ土地ヲ買フ、或ハ貯
蓄ヲスル、斯ウ云フヤウナコトヲ見セ付ケ
ラレテ居ルノデ、非常ナ不平ト不滿ヲ持ツ
テ居ル、又農村ニ關係シテ居ル人々ニ對シ
テハ寄ルト觸ルト此ノ事情ヲ愬ヘルノデア
ル、デ私共御尤デアル、御尤デアルケレド
モ此ノ時局下ニ於テ農村ノ一角カラ不平不
滿ガ出テ、サウシテ銃後ノ結束ガ破レルト云
フコトニナルト大變ダカラ先ヅ戰爭ノ終フ
マデハ隱忍自重シテ吳レ、吾々トシテモ出
來ルダケ農村ノ爲ニ、農民諸君ノ爲ニナル
ヤウニ努力ハスルガ、何レニシテモ戰爭ガ
片付クマデ隱忍自重ガ必要デアル、殊ニ諸
君ノ子弟モ澤山兵隊ニ行ツテ居ルコトデア
ルカラ、若シモ銃後ノ結束ガ紊レルヤウナ
コトガアルナラバ、諸君ノ子弟ニ對シテモ
申譯ガナイカラト云フヤウナコトヲ申シテ
宥メテ居ルヤウナ次第デアリマス、サウ云
フコトガナイニ致シマシテモ世ノ中ノ文化
ハ日ニ增シ向上發展シテ居ルニ拘ラズ、獨リ
農村ダケハ取殘サレテ居ル、十年前モ二十
年前モ、今モ文化ニ惠マレテ居ナイト云フ
コトト、生活ガ安定シテ居ナイト云フコト
ハ是ハ事實デアル、農林當局ニ於キマシテ
モ年々歲々色々ナ法律案ヲ作ツタリ或ハ多
種多樣ナ豫算ヲ取ツテ農村ノ爲ニ、農民ノ爲
ニ御心配下サルコトハ認メテ居リ、又私共
モ多トスルモノデアリマスガ、豫算ヲ取リ、
法律案ヲ作リマシテモ、マア汚ナク言ヘバ
雜草デモ刈取ルヤウチ事柄デ其ノ根幹ニ觸
レテ居ナイ、所謂農村政策ノ根幹ニ觸シタ
大キイ問題ヲ提ゲテ、サウシテ農民ヲモ人竝
ノ生活ラサシテヤラウ、農村モ餘リ公平ヲ
缺カナイヤウニ文化ノ向上發展モサシテヤ
ラウト云フ大キナ考ヘ方ニ依ル政策ヲ御考
ニナツタコトガナイヤウニ思フ、最〓申上
ゲマシタヤウニ農村ニ非常ナ不平モアリ、不
滿モアルコトヲ御認識ニナレバ、此ノ際農
林當局トシテハ大イニ考へナケレバナラヌト
思ヒマス、若シモ此ノ酪農業調整法ガ施行ニ
ナツテ、私ガ心配シテ居リマスヤウナ特權
ヲ與ヘラレタ製酪業者ノ方ニ橫暴ガアリ、共存
共榮ナドヲ考ヘナイト云フヤウナコトニ依ツテ、
多數ノ農民ガ虐ゲラレ、壓迫サレルト云フヤウ
ナコトヲ此ノ際惹キ起シマスレバ、前カラ
持ツテ居リマスル不平ト不滿ガ之ニ合流シ
テ遂ニ由々シキ問題ヲ農村カラ惹キ起スト
云フコトガ必ズシモナイトハ言ヘヌノデア
リマス、サウシタヤウナ事柄ニ付テ農林當
局トシテハ將來ノ農村對策ニ付テ、所謂現
在ノ農村實情ヲ能ク知ツテ、之ヲドウ云フ
風ニ考ヘテ居ラレルカ、先ヅ其ノ所信ヲ
ツ伺ツテ見タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=21
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022・林信夫
○林政府委員 坂下議員ノ御質問ニ御答致
シマス、今日ノ農村ガ他ニ比較致シマシテ、
非常ニ逆境ニ立ツテ居ルト云フコトモ私共
農村ニ育チマシタ者トシテ、坂下サンノ只
今仰ツシヤイマシタ體驗ヲ伺ヒ又御話モ幾
タビカ聞カサレテ居ル點デアリマス、隨テ
此ノ度ノ酪農業調整法案ノ通過致シマシタ
時ハ、十分生產者側ニ對シマシテ考慮致シ、
萬遺漏ナキヤウ期シタイト思ツテ居リマス、
農村ノ問題ニ付キマシテハ其ノ他ニ付キマシ
テモ十分私共自ラモ體驗ヲ致シテ居リマスカ
ラ、其ノ點ハ御諒承願ヒタイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=22
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023・坂下仙一郎
○坂下委員 アクハピント來ルマデニ御答
辯ガナイヤウニ思ヒマスガ、ソレニシテモ
能ク農村ノ實情ヲ御存ジノ林參與官デアル
カラ、諄々シク申シマセヌガ、此ノ際政府
トシテハ農村ニ對スル一大決心ヲ以テ雜草
ヲ刈取ルヤウナ細カイ法律ヤ豫算デナク、
思切ツテ農村ヲ人生ノ地位ニ更生サセルト
云フコトノ大政策ヲ一ツ立テテ戴キタイト
思ヒマス、一例ヲ擧ゲテ言ヘバ、必ズシモ
咄嗟ノ間ニ考ヘタコトデ良イコトトモ存ジ
マセヌガ、大政策ト云ヘバ農業ヲ國營ニス
ルトカ、或ハ此ノ頃流行ノ半官半民ノ國策
會社ヲ拵ヘテ、サウシテ會社デ農業ヲ經營
スルト云フヤウナ、思切ツタ、根幹ニ觸レ
タ革命的ノ政策ヲ立テテ見ルヤウナ御〓究
ガ願ヒタイト思ヒマス、サウシテ繰返スヤ
ウデアリマスガ、農村ハ非常ナ不平ヲ持ツ
テ居ルト云フコトヲ十分御認識ヲ戴キタイ、
此ノ時局ガアリマセヌデモ、國民ノ食糧ヲ
作ルコトヲ擔任シテ居ル農民ガマルデ奴隷
ノヤウナ地位ニ置カレテ、孜々營々ト粗衣
粗食ニ甘ンジテ働イテ居ツテモ、人竝ノ生
活ガ出來ナイト云フコトハ、是ハ無理デア
ル、何トカシテ是ハ經濟機構ヲ變ヘナケレ
バナラヌ、社會制度モ變ヘナケレバナラヌ
ト私共思ツテ居ル、又農民モサウ云フコト
ヲ希望シテ居ル、サウ云フ場合ニ又此ノ時
局デ、最前申上ゲタヤウニ、他ノ人達トハ
トテモ話ニナラナイ差別待遇ヲ受ケテ不平
不滿ヲ持ツテ居ルト云フコトヲ深ク御認識
ヲ戴キタイ、サウシテ此ノ乳價ノ決定ヲ爲
ス場合ニ當リマシテモ、相當御注意ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、私ハ附帶決議ニ致シテ戴
キタイ位ニ思ヒマシタガサウ云フコトデ
ナク、希望ヲ申上ゲタイト思フノデス、斯
ウ云フ意味デス、結局政府ハ中央、地方ノ
協議會ニ於テ乳價ノ決定ヲ爲スニ當リ、牛
乳ノ生產費ト煉乳、粉乳、「バター」等ノ加
工費ヲ精密ニ調査シテ、共存共榮ノ實ヲ擧
ゲシムルヤウニ公正妥當ナル乳價ノ決定ヲ
爲サシムベク最善ノ指導監督ヲ爲シテ欲シ
イ、斯ウ云フ希望デアリマス、若シモ此ノ
希望ヲ裏切ツテ、最前カラ繰返シテ申上ゲ
テ居ルヤウニ、公正ナル乳價ガ出ナイト云
フコトニナツテ、多數ノ農民ガ虐ゲラレル
ト云フヤウナコトニナリマスト、由々シイ
大事ヲ惹起スト云フコトヲ能ク御認識ヲ願
ヒタイト存ジマス、私ノ質問ハ是デ終リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=23
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024・田中萬逸
○田中委員長 質疑ハ終局致シマシタ、是
ヨリ討論ニ入リマス--池田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=24
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025・池田清秋
○池田委員 私ハ本案ノ成立ヲ希望スルモノ
デアリマスガ、併シ本案ヲ根本的ニ討究シテ見
マシテ、基本的ニ遠大ナル政策ノ現ハレガナ
イコトヲ甚ダ遺憾トスルノデアリマス、特ニ當局
ノ御答辯ニ依リマシテモ、斯ノ如キ片鱗ガ
現ハレテ居ラヌコトヲ甚ダ遺憾トスルノデ
アリマス、私ハ質問ノ際ニモ申上ゲタノデア
リマスガ、國民ノ榮養食品トシテノ保護奬
勵ト云フヤウナ見地ニ立ツテ、需給ノ圓滑、
豐富低廉ナル牛乳ヲ供給スルト云フ意思ニ
基イテ居ラナイコトヲ甚グ遺憾トスルノデ
アリマス、時局柄爲替關係カラ輸出ヲ奬勵
サレルト云フ意思ガ當局ノ御答辯ノ中ニモ
現レテ居ルヤウデアリマスガ、私ハ寧ロ左
樣ナコトハ區々タル問題デアルト思フ、
年々百万ヅツ生レル乳兒ガ榮養不良ニシテ
不完全ナ發育ヲ遂ゲル者ガ非常ニ多ク、壯
丁等ノ體格ガ低下シツツアルト云フ傾向ハ
乳兒ノ間ニ意ヲ用ヒテ之ヲ養育シナイコ」
ニ原因スルノデハナイカト思フノデアリマ
え、政府ハ一方ニ於テ非常ニ馬政等ニ力ヲ
入レテ、河野君アタリノ質問ニモアリマシ
タガ、馬ニノミ重キヲ置イテ居ルガ、乳政
局ト云フヤウナ遠大ナ計畫ヲ立テテ良キ榮
養食品ヲ充實セシムルト云フ方途ニ、此ノ
政策ガ出テ居ラヌコトハ甚ダ遺憾デアリマ
ス、此ノ點ヲ基調トシ、法案ガ目途トシテ
居ルノヲ窺フコトガ出來ナイノヲ甚ダ遺憾
トスルノデアリマス、甚ダ幼稚デアツタノ
デアリマスケレドモ、明治維新ノ當時ニ於
テハ、廢藩置縣、秩祿廢止ニ伴フ失業武士
救激ト云フ目的カラ殖產興業ト云フ一石二
鳥ノ產業制度ヲ確立セラシタ時ノ大久保〓
ノ抱負ノ如キハ勸農、牧畜、開墾政策ガ相
當ノ目途デ立テラレテ居ツタト思フノデア
リマスガ、本法案ニ於テハ斯ノ如キコトヲ
本法提出ノ當初ニ於テモ述ベラレザリシヲ
甚ダ遺憾トスルノデアリマス、私ハ斯ウ云
フ方面カラ言ツテ、モツト厚生省ヤ文部省
デ協調ノ下ニ、根本的ニ國民ノ榮養食ノ國
策ヲ樹立セラレルコトガ必要デアルト思フ
ノデアリマス、斯ウ云フ意味ニ於テ獨逸ヤ
瑞典等ノ一箇年一人當リノ牛乳消費量二石
及ビ二石五斗ニ對シ、東京、大阪ノ消費量
ダケデモ僅ニ二升ヤ三升シカナイ、之ヲ
日ニ割當テレバ、量ヲ計ル所デハナイ、
寸嘗メタ位ニシカ當ツテ居ラヌ、是ガ抑〓子
供ノ內カラ玉ノヤウニ太ツテ、段々良ク育
ツテ行クノト、子供ノ內カラヒネクレテ榮
養不良デ、十歲ヤ十五歲ニナツテカラ意ヲ
用ヒテ完全ナ體格ヲ持ツコトガ出來ナカツ
タト云フ狀況ニナル根本ニ於テノ相違デハ
ナイカト思フノデアリマス、尤モ明治ノ初
メニ於テ榮養食品トシテノ〓究ガアツテ、
明治六年カニ京都府ノ達ガ出テ居リマス
ガ、私調ベテ見タコトガアリマスガ、中々
振ツタ達ガアリマス、牛乳ハ內ヲ養ヒ、石
鹼ハ外ヲ〓クシ、内外應ジテ衞生ニ效アリ
ド云フヤウナ達デアリマス、石鹼デ身體ヲ
〓潔ニシ、牛乳ヲ飮ンデ大ニ榮養ヲ助ケル、
ト云フヤウナ達ヲ京都府ガ出シテ居ルガ、
是ハ大久保卿ノ勸農ノ精神ニ基イテ出シタ
ヤウデ、當時ニ於テスラモ牛乳ハ身體ノ內
部ニ營養素ヲ攝ツテ强健ナル體格ヲ養成ス
ルニアルト言ウテ居ルノデアリマス、併シ
當時ノ國民ノ思想ハ實ニ幼稚ナモノデアツ
テ、病院デモ「ミルク」ヲ供給シテ、是尺
「ミルク」ト云フ藥ダカラ少シヅツ飮メト云
フヤウナコトヲ言フテ居ツタ、國民ノ之ニ
對スル觀念ガ今尙ホ脫ケナイノデ、隨テ爲
替政策等ニ囚ハレタル輸出入ノ均衡等ニ重
キヲ置イテ、國民ノ根本的ノ體質ヲ完全ニ
發達サセルコトト云フニ意ヲ用ヒナイト云
フコトガ抑〓其ノ現ハレデアルト私ハ思フノ
デアリマス、文部省ノ政策トシテモ豫算ヲ
見マスト僅ニ榮養〓究所等ノ設備費ガ少シ
アルダケデアツテ、其ノ豫算ノ如キハヤハ
リ舐メル位シカナイノデアリマス、厚生省
ノ豫算關係ヲ見マスト臨時特別費トシテ四
十五万圓カノ幼乳兒ノ體力向上指導費ト云
フノガ計上サレテ居ルノデアリマス、是ナ
ドモ體力向上ノ講義ヲヤツテ聞カセル、或
ハ幼兒ノ體力向上ノ指導〓育ヲスルト云フ
ヤウナ頭デ四十五万圓ガ計上サレテ居ルノ
ダト思ヒマスガ、是ガ抑、、間違ヒナノデアリマ
ス、五歲カ六歲ノ子供ハ養育スベキモノデア
ツテ、〓育スベキモノデハナイ、尤モ日本ニ
ハ昔カラ胎〓ナドト云フ精神〓育ノ部門ガ
アルノデアリマスガ、〓育ヲスル前ニ先ヅ養
育ヲシナケレバイカヌト思フ、養育ト〓育ヲ
〓育家デスラモゴツチヤニシテ居ルガ如キ
傾ノアルノヲ甚ダ遺憾トスルノデアリマス、
幼兒ハ〓育スベキモノニアラズ、先ヅ養育
スベキモノナリ、榮養素ノ十分アル食品ヲ
幼兒ニ供給スルコト自體ガ眼目デナケレバ
ナラヌノニ、體育向上ノ方面ガ〓育ニ堕ス
ガ如キ傾ノアルコトハ抑〓養育ト〓育トヲ
根本的ニ履キ違ヘテ居ル所カラ來テ居ルノ
デハナイカト私ハ思フノデアリマス、斯ク
考ヘテ來マスト國民ノ體質ノ上ガラザル又
宜ナリト云フベシデアリマス、政府ハ此ノ
點ヲ將來大イニ强調セラレテ、文部省竝ニ
厚生省等ト連絡サレテ、國民ノ榮養食トシテ
之ヲ豐富低廉ニ全體ニ供給スルヤウ努メラ
ンレコトヲ希望セザルヲ得ナイノデアリマ
ス、私ハ本法案ガアルト云フコトハ無キニ
優ル萬々デ、此ノ法案ノ出ルコトノ寧ロ遲
カリシコトヲ憾ムノデアリマス、併シナガ
ラ現ハレタ議案其ノモノヲ見マスト餘リニ
局部的デアリ、餘リニ打算的デアツテ、他
ノ法案ト比較スルト甚ダ貧弱ナルコトヲ遺
憾トスルノデアリマス、日本ニハ廣大ナル
牧野ガナイカラ酪農業ガ發達ヲシナイデハ
ナイカ、非常ニ不經濟デハナイカ、不採算
デハナイカト云フ議論ガアリマスガ、洵ニ
其ノ通リデアルト思ヒマスト、併シサウ云
フモノガナケレバナイヤウニ、持タナケレ
バ持タナイダケノ方法ガアルト思フノデア
リマス、外國人ガ日本ニ來テ日本ハ土地ガ
洵ニ狹イ、耕シテ山巓ニ至ル、以テ貧ナル
ヲ知ルベシト言ツタト云ヒマスガ、耕シテ
山巓ニ至ル以テ精農振リヲ知ルベシト云フ
風ニ之ヲ轉ズルコトガ出來ルト私ハ思フノ
デアリマス、馬ナラバ牧野千里ト云ウテ、
仔馬ノ中カラ曬野ヲ馳驅サセルコトガ必要
デアリマセウ、併シナガラ牛ニ至ツテハ僅
ニ仔牛ノ中ニ驅ケサセル程度ノ運動場ガア
レバ宜イノデアリマス、大キイ牛ニナリマ
スレバ健康ヲ維持スルダケノ或ハ榮養ヲ消
化スルダケノ運動場ガアレバ宜シイト思
フ、牧乳ト農乳ノ異ル所ハ此處ニアルト思
フ、餘リニ過激ナ勞働ヲサセテハ乳ハ能ク
出ナイノデアリマスカラ乳牛ノ運動場ニ要
スル土地ノ如キハサウ廣キヲ要シナイ、隨
テ廣漠タル牧野ヲ設ケテハ經濟的ニ酪農ガ
成立シナイト云フ議論ハ必ズシモ當ラヌト
思フ、廣イ牧野ガアレバ、ソレハ持ツハ持
タヌニ優ルコトガ萬々デアリマスガ、私共
ノ千葉縣ノ如キハ實ニ耕シテ山巓ニ至ル所
デアリマスガ、土質ガ宜シイシ氣候ガ宜シ
イカラ濃厚飼料ヲ安ク手ニ入レルコトガ出
來サヘスレバ決シテ經營ガ成立ツテ行カヌ
コトハナイト思フノデアリマス、本法案ヲ
見マスト、或ハ是ト關係ヲ持ツ法案ヲ見マ
スト、牛馬ヲ通ジテノ牧野法ノ如キハ或ハ
乳牛ノ牧野トシテノ補助奬勵ノ規定デア
リ、又馬ノ牧野ト關聯ヲシテ、牛馬ガ混ツ
テ牧草ヲ採リ運動ヲスル、其ノ牧野奬勵ノ
規定デアルト私ハ思フノデアリマス、是ト
比較ヲシテ所謂濃厚飼料ニ依ツテ狹隘ナル
土地ニ於テ酪農ヲ營ム者ニ對スル保護奬勵
ガ、ドウモ均衡ガ取レナイノデアリマス、
卽チ北海道ノ業者ノ如ク廣キ牧野ヲ持チ、
粗飼料ヲ使ツテ生產ト製酪ト販賣トヲ併セ
營ンデ居ル者ト比較シテ、牧野ヲ持タズ、
高イ〓〓濃厚飼料ヲ買ツテ營ンデ居ル製酪
業者トハ洵ニ均衡ガ取レナイノデアリマス、
本法ハ大體ニ於テ乳價ヲ統一スルト云フ精
神ニ出テ居ルヤウデアリマスガ、之ヲ全國
的ニ統一サレルナラバ、廣キ牧野ヲ持タ
ズ、粗飼料ヲ持タズ、狹イ所デ高イ濃厚飼
料ヲ買ツテ一二頭ヲ持ツテ副業トシテ經營
シテ居ル者ニ對スル保護奬勵ノ途ガ甚ダ不
公平デアリ、甚グ之ニ對シテハ保護ノ少ナ
イコトヲ私ハ遺憾トスルノデアリマスガ、
此ノ點ニ付テハ當事者ハ努メテ此ノ法案ハ
ソレニ對應スル爲ニ出來タノデアルト云フ
コトヲ言ハレテ居ルカラ、私共ハ此ノ當局ノ
言明ヲ信賴シテ居ルノデアリマスケレドモ、ド
ウモ資力ノ少ナイ一頭カ二頭デヤツテ居ル
多數ノ副業者カラ成立ツテ居ル畜產組合ノ如
キハ意見ガ幾ツニモ分レテ、中々統一ガ取レ
ナイノデアリマス、意見ヲ纏メルコトハ中々
困難ナノデアリマス、是ガ爲ニ常ニ叩買ニ
サレテシマツテ、最後ニハ悲慘ナ失敗ニ終
ル者ノ多イコトヲ甚ダ遺憾トスルノデアリ
マス、神奈川縣ノ如キハ市乳ガ大部分ヲ占
メテ居ル、卽チ橫濱、東京ヲ控ヘテ居ルカ
ラ、一升二十二錢、或ハ二十三錢ニ當ルト
云フコトデアルガ、此ノ點ニ付テ距離ニ於
テ餘リ違ハヌ所ノ千葉縣ノ如キハ僅カ十九
錢デ製酪業者ノ叩買ニサレナケレバナラヌ
ト云フコトハ甚ダ悲慘、甚ダ不公平ナル業
者ニ對スル社會情勢デアルト私ハ思フノデ
アリマス、本法案ハ當局ノ言明ニ依リマス
ト斯ノ如キ生產業者ヲ補助スル爲ニ出來タ
モノデアルト申サレテ居ルノデアリマス、
洵ニ其ノ通リデアツテ欲シイト私ハ思ヒマ
ス、アトデソレニ關スル協議會ノ規定ガ出
來ルト云フコトデアリマスガ其ノ內容ヲ伺
ヒマスト、生產業者、販賣業者或ハ製酪業
煮學識ノ經驗ノアル者ト三者ガ此ノ協議
會員ニナツテ乳價ノ決定等ヲサレテ、而モ
地方長官ガ其ノ會長ダト云フコトデアルノ
デアリマス、取引ニ付テハ生產業者ト製酪業
者販賣業者ト任意ニ取引サセラレルト云
フコトデアリマスケレドモ、併シナガラ價
格ノ決定ヲ此ノ協議會ニ依ツテ知事ガ會長
トナツテ決メラレル以上ハ、此ノ協議會デ
決ツタモノハドウシテモ確定不動ト云フヤ
ウナコトニナルト思フノデアリマス、之ニ
對シテ如何ナル結果ニナルカト云フコトハ
箇々ノ小サナ業者ハ多數アツテ、此ノ多數
決ニ依ツテ行クナラバデスケレドモ、代表
者ヲ三分ノ一平均ニ出ズト云フニ至ツテハ
ドウシテモ是ハ力ノ多イ、資本ノ多イ製酪
業者、或ハ販賣業者等ノ會社ニシテヤラレ
ルデハナイカト云フコトヲ今カラ甚ダ杞憂
シテ居ル次第デアルノデアリマス、政府ハ
立法ノ趣旨ニ基イテ此ノ點ヲ努メテ多數ノ
者ノ不利ニ陷ラヌヤウニ法ノ運用ヲ能クシ
テ戴キタイノデアリマス、法ハ死物デアツ
テ之ヲ運用スルハ人ニ在ルノデアリマス、
如何ニ法ガ良クテモ運用ガ惡ケレバイカヌ
ノデアリマス、官吏獨善等ノ聲ガ喧シイノ
デアリマスガ、私ハ十把一カラゲノ獨善攻
擊論者デハナイノデアリマス、斯ウ云フ意
味ニ於キマシテ本法ハ運用ヲ特ニ生產者ニ
重キヲ置イテ戴キタイト云フコトヲ從來ノ
弊害ニ鑑ミテ高調セザルヲ得ナイノデアリ
マシテ、此ノ小サナ生產業者ノ爲ニ萬全ノ
注意ヲ拂ハレンコトヲ特ニ希望ヲ致ス次第
デアルノデアリマス
要スルニ私ハ本法案ガ出タト云フコトハ
出ナイニ勝ルコト萬々デアリマス、唯出タ
以上ハ此ノ立法ノ精神ニ基イテ其ノ運用ヲ
完全ニシテ戴イテ、益〓國民ノ榮養食品ト
シテノ牛乳ノ價値ヲ發揮スルヤウナ效果ヲ
見ルコトノ一日モ早カランコトヲ希望ス
ルノデアリマス、細カイ點ヲ希望條項ト附
帶決議ヲ作ツテ贊成ヲスルト云フコトヲ私
ハ申上ゲマセヌ、大體ニ於テ此ノ趣旨ニ基
イテ本法案ノ成立スルコトヲ希望スルガ故
ニ我ガ民政黨ヲ代表シテ贊成意見ヲ述ベル
次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=25
-
026・田中萬逸
○田中委員長 鹽川君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=26
-
027・塩川正藏
○鹽川委員 私ハ立憲政友會ヲ代表シマシ
テ本案ニ贊成ノ意ヲ表スル者デアリマス
今日酪農界ノ現狀ヲ一見致シマスルト、
牛乳生產者相互ノ間ニ於キマシテ或ハ又生
產者ト加工業者トノ間ニ摩擦ヲ起シテ、動
トモスルト其ノ間ニ不正ノ手段ヲ弄スルコ
トサヘ起ルノハ世間ニ其ノ例乏シクナイノ
デアリマス、ソレ故ニ之ヲ自然ノ儘ニ放置
スルコトニナリマスト、斯業ノ發展ヲ阻碍
シ遂ニハ萎靡衰退セシムルニ至ルノハ想像
スルニ難クナイノデアリマス、政府ハ是等
ノ事情ヲ考察致シマシテ弊害ノ由ツテ來ル
所ヲ芟除シ、其ノ健全ナル發達ヲ期セン
ガ爲ニ本案ヲ提出セラレタコトハ洵ニ時
宜ヲ得タモノト信ズルノデアリマス、私
ハ本法ガ一日モ早ク實施セラレ、業者ノ期
待ニ副ヒ業界ノ發展ニ效果多カランコトヲ
望ム者デアリマス、此ノ法案ヲ通讀致シマ
シテ其ノ內容ニ於テ四ツノ特徵ガ認メラレ
ルノデアリマス、其ノ一ツハ各府縣ニ酪農
協會ヲ設立致シマシテ生產者ト酪農業者ノ
代表又知識經驗アル者或ハ關係官吏等ガ集
ツテ此ノ團體ヲ組織シ、サウシテ此ノ團體
ニ依ツテ自治的ニ乳價ノ決定或ハ供給關係
等ノ決定ヲ爲サシメテ、價格ノ公正ト需給
ノ圓滑ヲ期シテ居ル、是ガ一ツデアリマス、
次ハ生產者ト製酪業者トノ牛乳取引ニ付テ
總テ地方長官ノ許可ヲ受クルコトトシテ、
之ニ依ツテ不當ナル契約ヲ爲サザルヤウニ
保護ヲ致シテ居ルト思ヒマス、次ノ點ハ製
酪業ヲ爲スニハ農林大臣ノ許可ヲ受ケルコ
トトナツテ居リマス、製酪業者ノ濫立ト云
フコトハ牛乳界ヲ混亂セシメテ居ル最大ノ
原因デアリマスルカラ、之ニ統制ヲ加ヘル
ト云フコトハ最モ必要ナコトト思ヒマス、
次ハ全國ノ酪農界ヲ打ツテ一丸トシタ一組
合ヲ組織セシムルコトデアリマス、蓋シ海
外ニ對シマシテ製酪品ノ發展ヲ圖ルニ强力
ナル團體ヲ作ルハ最モ必要ナコトト信ジマ
ス、以上ノ四ツノ點ガ本法ノ眼目ト認メラ
k、之ニ依ツテ從來ノ弊害ヲ矯正スルコト
ガ出來ルト思フノデアリマス、併シ如何ニ
法律ガ完備シテモ之ヲ運用スルノハ人ニア
ルノデアリマスルカラ、私ハ老婆心カラ致
シマシテ一三ノ注意、希望ヲ申上ゲテ置キ
タイト思フノデアリマス
其ノ第一ハ牛乳生產者ハ多クハ中小農デ
アリマスルカラ、是等ノ人ハ極メテ勤勉デ
アツテ、又醇朴デアリマスル、隨テ是等ノ
人ニ對シマシテハ十分ニ同情心ヲ以テ懇切
丁寧ニ指導誘掖スルト云フコトガ特ニ大切
ト思フノデアリマス、官吏ノ態度ガ高壓的
デアリ獨善的デアツテハ獨リ改善ノ實擧
ラザルノミナラズ、畜產發展ノ障碍ニナル
ト思フノデアリマスルカラ、此ノ點ニ對シテ
十分ナル注意ヲ御願致ス次第デアリマス
第二ハ牛乳生產者ト加工業者トノ間ニ於
テ乳價ノ適正ナル取引ノ行ハレルト云フコ
トガ本法ノ最モ重點ヲ置イテアル所デアリ
やっ、ソレ故ニ乳價ノ決定ニ當リマシテハ
行政官廳ハ諸般ノ條件ヲ精密ニ調査シテ、
何レニモ偏セザル公正ナル立場ニ立ツテ之
ヲ爲スハ當然ノコトデアリマス、萬一何レ
カニ偏頗ナリトノ非難ヲ受クルニ至リマス
レバ、業者ノ信用ヲ失ヒ、本法制定ノ精神
ヲ水泡ニ歸セシムルニ至リマスルカラ、此
ノ點ニ付テ特ニ御注意アランコトヲ望ミマ
ス
第三ハ、製酪品ノ海外輸出ヲ增進シ、國
際收支ノ改善ヲ圖ルハ今日我ガ國策上絕對
必要ナルコトハ勿論デアリマス、併シナガ
ラ只今ノ現狀ニ於テハ、生產原價ヲ割ツテ
輸出ヲ爲シ、延イテハ乳價ニモ影響ヲ及ボ
ス虞ガアリマスカラ、政府ハ此ノ場合ニ於
テ、或ハ助成金ヲ交付スルトカ、或ハ又損
失ノ補償ヲ爲ストカ、何等カ適當ノ處置ヲ
執ラルルヤウニ希望ヲ致ス次第デアリマ
ス、以上ノ希望ヲ附加ヘマシテ本案ニ贊成
ヲ致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=27
-
028・田中萬逸
○田中委員長 北勝太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=28
-
029・北勝太郎
○北委員 私ハ第一議員倶樂部ヲ代表致シ
マシテ原案ニ贊成スルノデアリマスガ、併
シ此ノ場合當局ニ對シマシテ將來本法案ノ
運用上ノコトニ付テ特ニ御注意ヲ願ハネバ
ナラヌト思フコトヲ一一一點申述ベテ置キタ
イト思フノデアリマス
ソレハ牛ノ增殖ノ問題デアリマス、此ノ
牛ガ時局下ノ重要ナ軍需品デアルコトハ申
スマデモナイノデアリマスガ、更ニ國民ノ
必需ノ乳、肉、皮等ノ生產ヲ豐富ニシテ置
カナケレバナラヌ時ニ當ツテ、却テ牛ガド
ンドン減ルト云フ現象、此ノ現象ヲ見マシ
テハ、國家トシテモ此ノ自然ノ趨勢ニ任セ
テ置ク譯ニハ行カヌノデアリマシテ、唯農
家ノ經濟上引合フ所ニダケ飼ハセレバ宜イ
ト云フヤウナ行キ方ヲサセル譯ニハ行カヌ
ノデアリマス、ソレバカリデナク、特ニ農業上
ノ見地カラシマシテモ、所謂農業經營ノ重要
ナ要素デアル所ノ家畜、、特ニ牛デアリマス、家
畜ナクバ肥料ナク、肥料ナクバ農業ナシト
云ツタヤウナ、斯ウ云フヤウナ見地カラ致
シマシテ、ドウシテモ是ハ一般農家ニ飼ハサ
ナケレバナラヌノデ、ソコデ、一般農家ニ
飼ハサナケレバナラヌガ、併シ如何ニ重要
ナ農業上ノ要素ダト雖モ、肝腎ノ乳價ガ生
產費ヲ償ハヌヤウナコトガアリマシテハ、
是ハ却テ農家ガ牛ニ食ハレル、牛ニ養ツテ
貰フノデナシニ、農家ガ牛ニ食ハレルト云
フヤウナコトニナルノデアリマスカラ、ド
ウシテモ各地方々々ソレ〓〓ノ生產費ヲ基
準トシタ乳價ヲ決メサセルト云フコトガ最
モ必要ニナル、統制トハ決シテ劃一的ニノ
ミスルコトニ限ラヌノデアリマス、劃一的
乳價ノ統制ニ依ツテ、所謂新興地帶ニノミ
牛ハ殘ルケレドモ、從來ズツトヤツテ居ツ
タ古イ地帶ニ於キマシテハ、牛ガ姿ヲ沒スル
ト云フヤウナコトニナリマシテハ、先程カ
ラ申シマスヤウナ國家的見地カラシテモ是
ハ抛ツテ置クコトガ出來ナイノデアリマス
カラ、ソコデ今後ノ此ノ乳價問題等ニ付キ
マシテハ、政府當局ハ遺憾ナク指導監督ヲ
セラレマシテ、牛ノ增殖ニ事缺カヌヤウニ
シテ貰ヒタイ、現在ハソレガ爲ニ牛ガ減ツ
テ居ルノデアリマス、種ガナクナツテシマ
ツテハ如何ニ法案ガアツテモ駄目デアリマ
スカラ、此ノ點ニ十分御注意ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス
モウ一ツノ問題ハ、酪農業組合ノ決議權
ノ問題デアリマスガ、是ハ先日モ私ハ本
委員會中ニ何トカ政府ニ具體的ノ方策ヲ
明示シテ貰ヒタイト申上ゲテ置イタノデ
アリマスガ、ソレガ出來ナカツタヤウデ
アリマスケレドモ、勿論先程御話ガアリ
マシタヤウニ、弱小團體ガ强力ナルモノ
ニ虐ゲラレルト云フヤウナコトガアツテ
ハ困ルノデアリマスガ、又半面カラ云ヒマ
スト、餘リニ不自然ナコトガアツテハ困ル、
例ヘバ北海道製酪聯合會ノヤウナ大キナ團
體ガ、所謂弱小團體ノ爲ニ、却テ弱小團體ノ
數ノ方ガ多イ爲ニ、之ニ虐ゲラレルト云フ
ヤウナコトガ起ツテ來テハ困ルノデアリマ
ス、ソコデサウ云フヤウナ不自然ナコトガ
ナイヤウニ一ツシテ戴カナケレバナラヌノ
デアリマシテ、此ノ決議權ノ問題ニ付テハ、
サウ云フヤウナ大キナモノニ對シテハ二個
以上ノ決議權ヲ與ヘルト云フヤウナ方法ヲ
ドウシテモ講ジテ貰ハナケレバイカヌト思
フノデアリマス、此ノ事ニ付テハ色々其ノ
後調ベテ見タノデアリマスガ、或ハ乾麵麵
工業組合、或ハ食料品罐詰工業組合ノ定款、
是等ノ中ニハ二個以上ノ決議權ヲ與ヘテ居
ル例ガアル、今朝程新聞ヲ見タ所ガ、海員組
合ダト思ヒマシタガ、此ノ海員組合ニ付テ
モ、其ノ力ニ應ジテ二個以上ノ決議權ヲ與
ヘテ居ル實例ガアルノデアリマス、斯ウ云
フヤウナコトヲ一ツ參酌シテ戴キマシテ、
少數弱小者ノ無理ガ通ル、所謂國際聯盟ニ
於テ日本ガドウシテモ居タタマルコトガ出
來ナクナツタ、弱小國ノ數ニ依ツテ虐メラ
レテ居タタマルコトガ出來ナクナツタ、ア
ア云フヤウナコトガナイヤウニ此ノ酪農組
合ノ決變權ニ付テ十分注意ヲ拂ツテ戴キタ
イ、兩方共無理ガ行カヌヤウニシテ戴キタ
イ、是ダケノコトヲ希望致シマシテ原案ニ
贊成致ス者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=29
-
030・田中萬逸
○田中委員長 野溝君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=30
-
031・野溝勝
○野溝委員 私ハ社會大衆黨ヲ代表致シマ
シテ本法ニ對スル贊成意見ヲ申上ゲテ見タ
イト思ヒマス、私ハ數點希望ヲ述ベテ贊成
ノ意見ニ代ヘタイト思ヒマス、第一點ハ、
本法實施運用ノ場合ハ生產飼育者ノ地位ノ
安定ヲ嚴守サレタイコト、第二點ハ、日滿
支酪農業ノ調整ヲ考慮サレルコト、第三點
ハ指導機關タル畜產組合ヲ强化確立スル
コト、第四點ハ乳價乳量ハ原則トシテ生產
飼育者ノ意思ヲ尊重シテ決定サレタキコ
ト、第五ハ、本法ハ國民保健トノ關聯ニ於
テ運用サレタキコト、以上五點ヲ特ニ要望
致シ、社會大衆黨ヲ代表スル贊成意見トス
ル次第デアリマス
最後ニ一點、是ハ希望ト申シマスカ、本
法實施ニ當リマシテ參考資料トナリマスカ
ラ一應申上ゲテ、置キタイト思フノデアリマ
ス、昨日ノ新聞デ御承知ダト思ヒマスガ、
十日ニ露西亞デハ第十八囘ノ「コミンテル
ン」ノ大會ガアツタノデアリマス、其ノ大會ガ
アツタ際「スターリン」ハ三時間ニ亙ル大演
說ヲ爲シタ、其ノ大演說中特ニ注目スベキ一
點ガアツタノデアリマス、其ノ一點ハ農業ト
牧畜ニ關スル所謂計畫方針デアリマス、計
畫方針ト申シマセウカ、具體的ナ一ツノ方
針ガ發表サレタノデアリマス、其ノ發表ノ
內容ヲ申上ゲマスルト、農業ト牧畜業ヲ此
ノ三年乃至四年間ニ次ノ如ク發展セシメナ
ケレバナラヌ、穀物生產額ヲ八十億封度、
加工農產物ヲ年平均三〇%乃至三五%、養
豚ヲ二倍、有角家畜ト言ツテ居リマスケレ
ドモ、是ハ牛ノコトヲ指シテ居ルノデアリ
マス、之ヲ四〇%、馬ヲ三五%、ソレ〓〓
增加セシメネバナラヌト云フコトヲ言ツテ
居ルノデアリマス、吾々ハ之ヲ他山ノ石ト
シテ、我國ト致シマシテハ十分考ヘナケレ
バナラヌ問題デアルト考ヘル次第デアリマ
ス、本法ハ勿論時局ノ反映シタ法案デアリ
マセウケレドモ、其ノ本質トスル所ハ、私
ハ時局ガ事變中デアラウトナカラウト、當
然此ノ法案ハ出來ナケレバナラナイモノダ
ト云フコトヲ痛感シテ居ルノデアリマス、
特ニ人類ノ文化的施設ガ段々ト確立シテ來
ルニ從ツテ、吾々ノ生命ト云フヤウナモノ
ガ非常ニ大切ニナツテ來ル、本會議ニ於キ
マシテモ各國ノ平均壽命ト其ノ內容ニ付キ
マシテ私ハ質問シテ置イタノデアリマスガ、
日本ハ全世界ト比較致シマシテ最低ニ位シ
テ居ルノデアリマス、洵ニ憂慮スベキコト
デアリマシテ、其ノ原因ガ榮養不足ニア
ル、特ニ乳兒ノ死亡率ノ多イコトニ付キマ
シテハ、池田君ガ申サレマシタ通リ、全ク
極端ニヒドイノデアリマス、斯樣ナ狀態デ
アリマスカラ、特ニ榮養分ノ補充ト申シマ
セウカ、人間ノ榮養分トシテ最モ效果ノア
ルモノハ、私ハ手ツ取早イ話ガ此ノ牛乳デ
アルト思フノデアリマス、斯ル點カラ見
マシテモ製乳業ト云フモノハ發達セシメナ
ケレバナラヌ重要ナ條件トナツテ居ル次第
デアリマス、ドウカ政府ニ於カレマシテ
モ、諄クハ申上ゲマセヌガ、其ノ點ヲモ十
分考慮サレマシテ、本法ノ精神ヲ活カシテ
戴キタイト思フ次第デアリマス、簡單デア
リマスガ、以上申上ゲマシテ、社會大衆黨
ノ贊成意見トスル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=31
-
032・田中萬逸
○田中委員長 小田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=32
-
033・小田榮
○小田委員 私ハ本案ニ對シテ贊成スル者
デアリマス、ソレニ付テ二三點希望ヲ申述
ベマス、先日モ質問ノ際ニ觸レタコトデア
リマスガ、本案ガ農民生活ノ安定ト云フコ
トヲ度外視シテノモノデナイト云フコトハ存
ジテ居リマス、ソレト共ニ現在ハ戰時下デ
アル、此ノ戰時下ニアル國民トシテハ、何
ハ措イテモ先ヅ勝タレケレバナラヌ、勝ツ爲
ニハ戰爭ニ勝ツ所ノ力ヲ持タナケレバナラ
又、其ノ戰爭ニ勝ツ爲ニ現在生產力ノ確保
竝ニ擴充ト云フコトハ、之ハ絕對事デアル、
ソレニ拘ラズ無制限トハ言ヘナイケレ
ドモ、無制限ニ近イ狀態ニ於テ農村ノ畜力
ガ減退シツツアル、市場ニ於テ屠殺サ
レタ精肉ガ市民ノ食卓ニ上セラレテ居ル、
之ヲ徒ニ市民ノ自意識ニ依ツテ消費スル
ト云フヤウナ漫然トシタ態度ヲ以テシテ
果シテ生產力ノ確保、農村畜力ノ保持ト
云フコトガ得ラレルデアラウカト云フコト
ニ對シテ私ハ非常ニ大キナ疑問ヲ持ツノデ
アリマス、併シナガラ一面ニ於テ其ノ生牛
ヲ屠殺セシメ其ノコトニ依ツテ農家經濟ノ
幾分ノ足シニシテ居ル農民ノアルコトヲ知
ルノデアリマス、其ノ精肉ノ消費制限ニ對
シテノ方策ハ如何デアルカト云フコトモ亦
疑問トスル所デアリマス、精肉ニ對スル役
牛又ハ乳牛ノ屠殺ヲ制限シテ生產勞力ヲ確
保スル、其ノ爲ニハ農家ニ對シテ適當ノ補
助施設ヲ講ズベキデアルト云フコトハ考ヘ
ラレルノデアリマス、又斯クスルコトニ依
ツテサラデダニ不足ヲ告ゲツツアル所ノ肥
料對策モ稍〓可能ニナルト思フノデアリマ
ス、私ハ此ノ場合ニ於テ農政一般ヲ見テ、
農家ガ其ノ生命トスル所ノ肥料ノ入手難ニ
陷ツテ居ルコトハ重大ナ問題ダト考ヘル、
政府ガ此ノ民族ヲ擧ゲテノ生產戰爭ニ當ツ
テ居ル場合ニ、其ノ農民ノ生命デアル所ノ、
武器デアル所ノ肥料ヲ提供シナイト云フコ
トハ是ハ重大ナ責任問題ダト考ヘル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=33
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034・田中萬逸
○田中委員長 小田君、御發言中デアリマ
スガ、時間モ切迫シテ居ルコトデアリマス
ノデ、成ベク一ツ簡潔ニ此ノ問題ニ觸レタ
討論ヲ御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=34
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035・小田榮
○小田委員 乳牛ニシテモ或ハ精牛ニシテ
モ、現在ニ於テ成ベク屠殺スルコトヲ制限
スルナラバ、ソレダケ自家堆肥ト云フモノ
ハ確保サレルノデアル、ソレニ現在農村ニ
於テハ、是ハ沖繩ニ於テデモアリマスガ、
肥料ノ手當ガ遲レタ、配給ガ遲レタ爲ニ春
期ノ施肥ガ出來ナイト云フ狀態ニ置カレテ
居ル、農村ハ軍事要員ハ應召サレテ、其ノ
上ニ自由氣儘ニ幾ラデモ肉牛ヲ屠殺サセ
ル、サウシテ市民ノ要求ニ應ジサセル、其
ノ上ニ尙ホ肥料ノ配給ガ不徹底ダ、此ノ問
題ハ單ニ畜產ノ部門ノミデナクシテ、農林
省ハイマ少シ眞劍ニ御考ヘ願ハテケレバナ
ラヌコトダト考ヘルノデアリマス、此ノ事
ヲ一言申述ベマシテ私ハ本案ニ對シテ贊成
ヲ致ス者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=35
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036・田中萬逸
○田中委員長 討論ハ終局サレマシタ、是
ヨリ採決ニ入リマス、本案ニ御贊成ノ諸君
ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=36
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037・田中萬逸
○田中委員長 起立總員、仍テ本案ハ可決
サレマシタ(拍手)、玆ニ諸君ノ連日ノ御精
勵ヲ感謝致シマシテ、本委員會ヲ閉ヅルコ
トニ致シマス
午後零時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007413675X00719390313&spkNum=37
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