1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十五年三月六日(水曜日)午前十時十八分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十七號
昭和十五年三月六日
午前十時開議
第一 昭和十五年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 職員健康保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 作業會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 造幣局東京出張所の廳舎、工場其の他の建物及其の附屬設備の新營擴張に要する經費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 昭和十三年法律第五十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 外國爲替管理法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第八 神宮關係特別都市計畫法案(政府提出) 第一讀會
第九 都市計畫法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 船員保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 船員保險事業の經營に伴ふ關係各會計間の分擔及關渉に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十二 臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十三 臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十四 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十五 臺灣私設鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十六 要塞地蔕法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 獸醫師法等の臨時特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 宇品港域軍事取締法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=0
-
001・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 報〓ヲ致サ
セマス
〔白木書記官朗讀〕
一昨四日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
家畜傳染病豫防法中改正法律案
軍用電氣通信法中改正法律案
牧野法中改正法律案
輸出毛織物取締法案
同日本院ニ於テ議決シタル議員長谷川赳夫
君ニ係ル選擧爭訟ノ判決ハ卽日其ノ謄本ヲ
原告及被告ニ送達セリ
同日本院ニ於テ採擇スルコトヲ議決シタル
霧中大洋ニ於テノ船舶衝突豫防ニ關スル請
願外六件ノ請願ハ各〓意見書ヲ附シ卽日之
ヲ政府ニ送付セリ
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
獸醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案可
決報告書
昭和十三年度歲入歲出總決算、昭和十三
年度度特別會計歲入歲出決算審査報〓
書
昭和十三年度國有財產增減總計算書審査
報〓書
同日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
神宮關係特別都市計書法案
都市計畫法中改正法律案
昨五日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
要塞地帶法中改正法律案可決報〓書
宇品港域軍事取締法中改正法律案可決報
〓書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
船員保險特別會計法案
船員保險事業ノ經營ニ伴フ關係各會計間
ノ分擔及關涉ニ關スル法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律
案
朝鮮事業公債法中改正法律案
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=1
-
002・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 是ヨリ本日
ノ會議ヲ開キマス、日程第一、昭和十五年
度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行
ニ關スル法律案、日程第二、昭和十二年法
律第八十四號中改正法律案、日程第三、職
員健康保險特別會計法案、日程第四、作業
會計法中改正法律案、日程第五、造幣局東
京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ建物及其ノ
附屬設備ノ新營擴張ニ要スル經費ニ關スル
法律案、日程第六、昭和十三年法律第五十
三號中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、是等ノ六案ヲ一括シテ議題ト爲
スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=2
-
003・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、櫻內大藏大臣
〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第一條政府ハ昭和十五年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起
債シ得ル金額ノ外十六億五千五百萬圓
ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲ス
コトヲ得
第二條政府ハ昭和十五年度一般會計歲
出豫算翌年度繰越額ノ財源ニ充ツル爲
他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額ノ外昭
和十六年度ニ於テ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ
依ル公債又ハ借入金ト通ジテ前條ノ制
限額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條前二條ノ規定ニ依ル公債ノ發行
價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合
ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ發
行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案中別紙ノ通
議院法第三十條ニ依リ修正ス
昭和十五年二月十日
內閣總理大臣米內光政
大藏大臣櫻內幸雄
第一條中「十六億五千五百萬圓」ヲ「十七
億千二百十萬圓」ニ修正ス
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
右政府提出本院ニ於テ可決セリ因テ議院
法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「百四億三十萬圓」ヲ「百四十億七千四百
二十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
參照
昭和十二年法律第八十四號ハ支那事變
ニ關スル臨時軍事費支辨ノ爲公債發行
ニ關スル法律ナリ
職員健康保險特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
職員健康保險特別會計法案
職員健康保險特別會計法
第一條職員健康保險事業ヲ經營スル爲
特別會計ヲ設置シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ
歲出ニ充ツ
第二條本會計ニ於テハ保險料、一般會
計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル收
入、借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入
トシ保險給付費、保健施設費、借入金ノ
償還金及利子、一時借入金ノ利子、事
業取扱費、營繕費其ノ他ノ諸費ヲ以テ
其ノ歲出トス
第三條本會計ニ於テ決算上剩餘金ヲ生
ズルトキハ之ヲ積立ツベシ
本會計ノ歲計ニ不足アルトキハ積立金
ヨリ之ヲ補足スベシ
第四條本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル
爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔
ニ於テ借入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ借入ヲ爲スコトヲ得
ル金額ハ保險料ヲ以テ保險給付費及保
健施設費ヲ支辨スルニ不足スル金額ヲ
限度トス
第五條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ル
ベシ
第六條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足
アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借
入ヲ爲シ又ハ國庫餘裕金ヲ繰替使用ス
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金又ハ繰替
金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スベシ
第七條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ保
有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運
用スルコトヲ得
第八條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第九條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
作業會計法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小由松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
作業會計法中改正法律案
作業會計法中左ノ通改正ス
第二條第四項ヲ左ノ如ク改ム
海軍燃料廠据置運轉資本ハ六百萬圓ト
シ漸次一般會計ヨリ繰入ス
附則
本法ハ昭和十五年-度ヨリ之ヲ施行ス
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル法律案
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ
建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル
經費ニ充用スル爲造幣局資金ノ內三百萬
圓ヲ限リ昭和十五年度及昭和十六年度ニ
亙リ一般會計ニ繰入ルルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰入ルベキ金額ノ每年
度歲出豫算ニ於ケル支出殘額ハ遞次之ヲ
翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案
右政府提出案本院ニ於テ。可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案
昭和十三年法律第五十三號中左ノ通改正
ス
第一條第一項但書中「四百萬圓」ヲ「七百
萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
參照
昭和十三年法律第五十三號ハ印刷局据
置運轉資本補足ニ關スル法律ナリ
〔國務大臣櫻內幸雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=3
-
004・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案外五件ニ
付提出ノ理由ヲ說明致シマス、先ヅ昭和十
五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債
發行ニ關スル法律案ニ付テ說明致シマス、
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ト致シマ
シテ、現行ノ震災善後公債法及道路公債法
ニ依ル公債ヲ發行致シマスル外、歲入ノ不
足ヲ補塡スル爲十六億五千五百萬圓ノ公債
〃
ノ發行ヲ要スルノデアリマスルガ、是ガ爲
ニハ起債ノ權能ヲ得ルコトガ必要デアリマ
ス、尙從來ノ例ニ依レバ、昭和十五年度歲
出豫算中若干ノ金額ハ翌年度ヘ繰越サルヽ
結果ニナルデアラウト存ゼラレマスル處、
其ノ繰越額ノ財源タル公債ハ、必ズシモ之
ヲ昭和十五年度內ニ於テ發行スルノ必要ハ
アリマセヌノデ、之ヲ其ノ翌年度ニ於テ發
行シ得ルコトトスルノヲ適當ト認メマシテ、
本法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、
次ニ昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案ニ付說明致シマス、支那事變ニ關スル經
費ニ付キマシテハ、第七十一囘、第七十二囘、
第七十三囘及ビ第七十四囘ノ各帝國議會ノ
協贊ヲ經マシテ、其ノ財源ニ充ツル爲ノ公債發
行ヲ爲シ得ル權能ヲ得テ居ルノデアリマス
ガ、事態ノ推移ニ伴ヒマシテ、更ニ臨時軍事費
ノ追加ヲ必要ト致シマスル處、其ノ所要財
源中七億八千六百十餘萬圓ニ付キマシテハ、
一般會計及各特別會計ヨリノ繰入金等ヲ以
テ充當シ、三十六億七千三百八十餘萬圓ニ
付キマシテハ、今日ノ場合、之ヲ公債財源
ニ依ルコトト致シマスル爲、昭和十二年法
律第八十四號中ノ公債發行限度ヲ增額スル
必要ガアリマスノデ、本法律案ヲ提出致シ
マシタ次第デアリマス、次ニ職員健康保險
特別會計法案ニ付テ說明致シマス、職員健
康保險法ニ基キマシテ、政府ノ經營致シマ
スル職員健康保險事業ニ關スル歲入歲出ハ、
之ヲ一般會計ト區分シテ經理スルノヲ適當
ト認メマスル處、是ガ爲ニハ特別會計ヲ設
置スルノ必要ガアリマスノデ、本法律案ヲ
提出致シマシタ次第デアリマス、次ニ作業
會計法中改正法律案ニ付テ說明致シマス、
海軍燃料廠ニ於ケル事業量ハ、近年著シク
增大致シマシタルノミナラズ、同廠ニ屬ス
ル諸設備ノ整備擴充ニ伴ヒマシテ、同廠ノ
從來ノ据置運轉資本ヲ以テシマシテハ、到
底作業ノ圓滑ナル遂行ヲ期シ得ザルコトト
相成リマスノデ、其ノ法定額ヲ六百萬圓ニ
增額致シマシテ、漸次一般會計ヨリ之ヲ繰
入ルヽコトトスルノ必要ガアリマスル爲、
本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、次
ニ造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ
建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル經
費ニ關スル法律案ニ付テ說明致シマス、補
助貨幣ノ需要增加ニ伴ヒマシテ、造幣局ノ
現在ノ設備能力ニ依リマシテハ、其ノ需要
ヲ充足スルコト困難トナッテ參リマシタノ
デ、是ガ製造能力ノ增大ヲ圖ル爲、昭和十
五年度及ビ昭和十六年度ニ亙リ、同局東京
出張所ニ貨幣製造工場其ノ他ヲ新營擴張ス
ルコトト致シマシタノデアリマスルガ、其
ノ經費ニ充當スル爲、造幣局資金ノ內三百
萬圓ヲ拂出シテ、一般會計ニ繰入ルヽ等
ノ必要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ
提出致シマシタ次第デアリマス、最後ニ昭
和十三年法律第五十三號中改正法律案ニ付
テ說明致シマス、印刷局ニ於ケル事業量
ハ近年著シク增大致シマシタル關係上、
從來ノ据置運轉資本ヲ以テシマシテハ、其
ノ事業遂行上時ニ困難ヲ伴ヒマスノデ、昭
和十三年法律第五十三號ニ規定スル借入金
ノ法定額ヲ七百萬圓ニ增額致シマシテ、据
置運轉資本ニ不足ヲ生ジマシタ場合ニ一時
補足シ得ルコトトスルノ必要ガアリマス爲
ニ、本法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリ
マス、以上說明致シマシタ各法律案ニ付キ
マシテハ、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ
與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=4
-
005・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案外五件ハ、重要
ナル法案デアリマスガ故ニ、此ノ特別委員
ノ數ヲ十八名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議長
ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=5
-
006・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=6
-
007・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=7
-
008・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔近藤書記官朗讀〕
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案外五件特別
委員
公爵鷹司信輔君侯爵池田宣政君
侯爵久我通顯君伯爵溝口直亮君
子爵梅小路定行君子爵西尾忠方君
子爵綾小路護君塚本〓治君
男爵東〓安君男爵大藏公望君
男爵水谷川忠麿君西野元君
土方久徵君堀啓次郞君
吉村友之進君野村德七君
風間八左衞門君米原章三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=8
-
009・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第七、
外國爲替管理法中改正法律案、政府提出、
第一讀會、櫻內大藏大臣
外國爲替管理法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十五年三月二日
內閣總理大臣米內光政
大藏大臣櫻內幸雄
拓務大臣小磯國昭
外國爲替管理法中改正法律案
外國爲替管理法中左ノ通改正ス
第一條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二通貨若ハ外國通貨ノ輸出若ハ輸
入金地金、金ノ合金若ハ金ヲ主タ
ル材料トスル物ノ輸出又ハ金貨幣ノ
鑄潰若ハ毀傷
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣櫻內幸雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=9
-
010・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ外國爲替管理法中改正法律案ニ付テ
提出ノ理由ヲ說明致シマス、近時海外ニ於
テ本邦銀行劵ノ相場ガ下落致シマシタ結
果、輸出貨物代金ノ決濟又ハ貿易外受取勘
定ノ本邦向送金等ニ際シマシテ、本邦銀行
劵ヲ送付、又ハ携帶輸入スル者ガ增加シ、
本邦外貨資金ノ獲得保全上憂慮スベキ事態
ヲ生ジマシタノデ、其ノ抑制ヲ圖ル爲、外
國爲替管理法ニ基ク大藏省令ニ依リ、昭和
十四年七月一日以降本邦銀行劵ノ輸入ヲ許
可事項ト致シマシタノデアリマスガ、其ノ
法的根據ニ付疑義ヲ挾ム向ガアリマスノデ、
此ノ際外國爲替管理法上ノ根據ヲ明瞭ニ致
シマスルト共ニ、通貨ニ關スル爲替管理法
規ノ整備ヲ期スル爲、本法律案ヲ提出致シ
マシタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速カ
ニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=10
-
011・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御質疑ガナ
ケレバ、本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サ
セマス
〔近藤書記官朗讀〕
外國爲替管理法中改正法律案特別委員
侯爵前田利爲君子爵裏松友光君
子爵牧野康熙君男爵山根健男君
市來乙彥君米山梅吉君
西野嘉右衞門君磯野庸幸君
江口定條君
〔國務大臣櫻內幸雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=11
-
012・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 此ノ際一言訂正
ヲサシテ戴キタイコトガアリマス、卽チ赤
字公債ヲ發行致シマスル第一條中ノ「十六
億五千五百萬圓」トアリマスノヲ、「十七億千
二百十萬圓」ト修正ヲ致シテ戴キタイノデ
アリマス、是ハ追加豫算ガソレダケ增加致
シタノデアリマスカラ、此ノ際之ヲ修正致
シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=12
-
013・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第八、
神宮關係特別都市計畫法案、日程第九、都
市計畫法中改正法律案、政府提出、第一讀
會是等ノ兩案ヲ一括シテ議題トナスコト
ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=13
-
014・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、兒玉內務大臣
神宮關係特別都市計畫法案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十五年三月四日
內閣總理大臣米內光政
內務大臣伯爵兒玉秀雄
神宮關係特別都市計畫法案
神宮關係特別都市計畫法
第一條本法ハ神宮ニ關係アル宇治山田
都市計畫事業ニシテ主務大臣ノ指定ス
ルモノニ之ヲ適用ス
前項ニ規定スル都市計畫事業ハ行政官
廳之ヲ執行ス
第二條前條ニ規定スル都市計畫事業ノ
執行ニ要スル費用ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ關係公共團體ヲシテ其ノ一部ヲ負
擔セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル負擔ニ係ル費用ハ他
ノ法令ノ適用ニ付テハ都市計畫法第六
條第一項ノ規定ニ依リ負擔スル費用ト
ス
第三條土地區劃整理ヲ施行スル場合ニ
於テハ設計及換地處分ニ關スル事項竝
ニ第四條第二項及第五條第一項ノ規定
ニ依ル補償金額ハ土地區劃整理委員會
ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ム
土地區劃整理委員會ニ關スル規程ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條土地區劃整理施行ノ爲必要アル
トキハ換地豫定地ヲ指定シ相當ノ期間
ヲ定メテ土地區劃整理施行地區內ニ存
スル建物其ノ他ノ工作物又ハ木石等ノ
所有者ニ對シ其ノ移轉ヲ命ズルコトヲ
得此ノ場合ニ於テハ建物其ノ他ノ工作
物ノ占有者ニ對シ相當ノ期間ヲ定メテ
立退ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ移轉又ハ立退ニ因リテ所有者又
ハ占有者ノ通常受クベキ損失ハ之ヲ補
償ス
第五條土地區劃整理ノ施行ニ因リ土地
區劃整理施行地區內ニ於ケル施行後ノ
宅地ノ總面積ガ施行前ノ宅地ノ總面積
ヨリ一割ヲ超エテ減少スルニ至リタル
トキハ其ノ一割ヲ超ユル部分ニ對シ勅
令ノ定ムル所ニ依リ補償金ヲ交付ス
前項ノ宅地トハ勅令ニ依リ公共ノ用ニ
供スル土地ト定ムルモノ以外ノ土地ヲ
謂フ
第六條耕地整理法第二十五條ノ規定ハ
第四條第二項及前條第一項ノ規定ニ依
ル補償金ニ關シ之ヲ準用ス
第七條耕地整理法第三十條ノ規定ニ依
ル〓算金ヲ納付スベキ義務アル者ニ對
シ同一土地區劃整理施行地區內ニ於テ
第五條第一項ノ規定ニ依ル補償金ヲ交
付スベキ場合ニ於テハ徵收スベキ〓算
金ニ之ヲ充ツルコトヲ得但シ其ノ補償
金ガ同法第二十五條ノ規定ニ依リ供託
スベキモノナルトキハ其ノ補償金ヲ交
付スベキ土地ノ〓算金ニ非ザレバ之ヲ
充ツルコトヲ得ズ
第八條都市計畫法第十三條第一一項ノ規
定ハ本法ニ依ル土地區劃整理ニ之ヲ準
用ス
第九條第四條第二項又ハ第五條第一項
ノ規定ニ依ル補償金額ニ付不服アル者
ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三
月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ
得
第十條都市計畫法第二十五條及第二十
六條ノ規定ハ本法又ハ本法ニ基キテ發
スル命令ニ規定シタル事項ニ付爲シタ
ル處分ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
都市計畫法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十五年三月四日
內閣總理大臣米內光政
內務大臣伯爵兒玉秀雄
都市計畫法中改正法律案
都市計畫法中左ノ通改正ス
第一條中「保安、」ノ下ニ「防空、」ヲ加フ
第十一條ノ二都市計畫トシテ內閣ノ認
可ヲ受ケタル公園、綠地若ハ廣場ノ境域
內又ハ都市計畫トシテ內閣ノ認可ヲ受
ケタル土地區劃整理ノ區域內ニ於ケル
建築物ニ關スル制限ニシテ都市計畫上
必要ナルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條ノ二中「建物アル宅地」ノ下ニ「又
ハ墳墓地」ヲ加フ
第十五條ノ三土地區劃整理ノ施行ニ因
リ道路、廣場、運河、公園其ノ他ノ公
共ノ用ニ供スベキモノト爲リタル土地
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ國又ハ公共團
體ノ所有地ニ之ヲ編入ス
第十六條中「公園」ノ下ニ「、綠地」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=14
-
015・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 只今議題ト
相成リマシタ神宮關係特別都市計畫法案ニ
付キマシテ、其ノ提案理由ノ〓略ヲ御說明
申上ゲマス、神宮ニ關シマスル施設ヲ整備
シ、以テ神宮ノ尊嚴ヲ保持シ、皇國精神ノ
昂揚ニ努メマスルコトハ、國體ノ本義ニ照
シテ極メテ緊要ナルコトト存ズルノデアリ
マス、之ニ關シマシテハ、曩ニ貴衆兩院ヨ
リ建議ヲセラレマシタル次第モアリ、政府
ニ於キマシテハ、神宮關係施設調査會ノ意
見ヲ徵シ、今囘神宮關係施設整備ニ關スル
豫算ヲ提出致シマシテ御審議ヲ願ッテ居ル次
第デアリマズ、右ノ施設中、都市計畫ニ關係
致シマスルモノハ、之ヲ都市計畫事業ト致
シテ内務大臣ニ於テ直接執行致シタイト存
ジマスルノデ、玆ニ本案ヲ提出致シマシタ
次第デアリマス、其ノ内容ノ主ナル點ヲ申
上ゲマスレバ、先ヅ本事業ノ特殊性ニ鑑ミ
マシテ、國ニ於テ直接執行スベキコトヲ明
カニシ
(議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
次ニ本事業ハ、其ノ性質上國ニ於テ費用ヲ
負擔スベキモノト存ジマスルガ、一四、地
元公共團體ト密接ナル關係ガアリマスルノ
デ、其ノ費用ノ一部分ヲ關係公共團體ニ分
擔セシメ得ルノ規定ヲ設ケ、以テ事業執行
ニ付協力セシメムトスル次第デアリマス、又
神宮宮域ノ擴張、參宮道路、廣場等ノ新設擴
張ノ爲ニ、相當多クノ民家ノ移轉ヲ必要ト
致シマスノデ、附近一帶ニ亙リマシテ土地
區劃整理ヲ行ヒ、環境ノ整備ヲ圖リタイト
存ジマスルガ、現行法ニ於キマシテハ、行
政官廳ガ土地區劃整理ヲ施行致シマスル場
合ノ規定ガ不十分ナノデアリマスノデ、之
ヲ補フト共ニ必要ナル規定ヲ設ケタ次第デ
アリマス、次ニ都市計畫法中改正法律案ニ
付キマシテ、其ノ提案ノ理由ノ〓要ヲ御說
明致シタイト思ヒマス、都市計畫法ハ、其
ノ施行以來我ガ國都市ノ構築改善ニ付、相
當ノ實績ヲ收メテ居ルノデアリマスガ、時
勢ノ推移ト過去ノ實績トニ徵シマシテ、改
正ヲ要スル點ガアリマスノデ、茲ニ本案ヲ
提出致シマシタ次第デアリマス、本改正法
律案ノ主ナル事項ヲ申上ゲマスト、先ヅ第
一、航空機ノ來襲ニ因ル禍害ヲ防止又ハ
輕減スル爲、防空的都市計畫ノ具現ニ付特
別ノ考慮ヲ拂フ必要ガアリマスノデ、之ヲ
明カニ致シタ次第デアリマス、第二ニハ、
最近ニ於ケル都市發展ノ情勢ニ照シ、都市
民ノ保健增進竝ニ都市防衞等ニ關シマスル
施設ニ付遺憾ナカラシムルコトガ、最モ緊
要ノコトト信ジマスノデ、新タニ綠地ニ關
スル規定ヲ設ケ、尙公園、廣場等ト共ニ其
ノ實現ヲ容易ナラシムル爲、制限規定ヲ加
ヘタ次第デアリマス、第三ニハ、土地區劃
整理施行ノ實際ニ鑑ミマシテ、其ノ圓滑適
正ヲ期セムトスルモノデアリマシテ、都市
計畫ト致シマシテ決定致シマシタル土地區
劃整理ニ付キマシテハ、其ノ實施ヲ容易ナ
ラシムルコトトシ、更ニ耕地整理法ノ準用
ニ依ル不備ヲ補フガ爲ニ、特別ナ規定ヲ設
ケタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上御協
贊アラムコトヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=15
-
016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 質疑ノ通〓ガア
リマシタ、許可ヲ致シマス、關屋貞三郞君
〔關屋貞三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=16
-
017・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 只今上程ニ相成リマシタ
二案ノ中、都市計畫法中改正案ニ付キマシテ、
極メテ簡單ニ卑見ヲ述べ、政府ノ御答ヲ得
タイト思フノデアリマス、私ハ都市問題ニ
付キマシテ特別ニ〓究ヲ致シテ居ル者デモ
ナイノデアリマスルガ、平素此ノ問題ニ付
テハ相當關心ヲ持チ、殊ニ關東大震火災ノ
際ニ於キマシテ、都市計畫卽チ東京ノ復興
ニ多少關係ヲ致シマシタト云フヤウナコト
カラ致シマシテ、聊カ質疑ヲ試ミタイト思
フノデアリマス、申ス迄モナク現今最大ノ
急務ハ所謂事變ノ處理デアリマシテ、直接
之ニ關係ノナイ問題ニ付キマシテハ、私自
身少クトモ成ルベク發言致シタクナイト考
ヘテ居ルノデアリマスガ、此ノ都市計畫法
ハ矢張リ事變ニ相當關係ヲ持ッテ居ルモノ
ト私ハ思フノデアリマス、現ニ今囘ノ改
正ニ於キマシテモ、防空ト云フモノヲ加
ヘテアルノデアリマス、都市計畫法ノ第
一條ニハ、「交通、衞生、保安、經濟等ニ
關シ」云々、公共ノ安寧福利ヲ增進スル爲
ト云フコトヲ、都市計畫法ノ目的ト致シ
テ居ルノデアリマシテ、從來ハ防空ト云フ
文字ハナカッタノデアリマス、防空法ノ制定
セラレマシタノハ昭和十二年ノ四月デアリ
マシー此ノ防空法ニ依リマシテ、防空及防
空計畫ノドウ云フモノデアルカト云フコト
ガ明カニサレテ居ルノデアリマス、且事變
ハ既ニ三年ニ垂ントシテ居ルヤウナ今日デ
アリマシテ、私ハ率直ニ申シマスルト、此
ノ都市計畫法ニ於テ防空ト云フコトガナカッ
タト云フコトハ不思議デアル、今度ノ改正
ハ誠ニ結構デアリマスケレドモ、是ハ旣ニ
晩キニ失シテ居ルト云フ感ヲ抱クノデアリ
やく、現在ノ都市計畫法ヲ見マスルト、都
市計畫ノ諸條件ト致シマシテ、只今モ申上
ゲマシタガ、交通、衞生、保安、經濟等ト云
フコトニナッテ居リマシテ、今囘更ニ防空ヲ
加ヘタノデアリマスルガ、私ハ是ダケデハ、
尤モ等ト云フ字ガアリマスカラ、此ノ解釋
ハ如何樣ニモ擴ゲルコトハ出來ルト思ヒマ
スルガ、此ノ列記ガ甚ダ不十分デアルト云
フ感ヲ抱クノデアリマス、衞生ト申セバ、
或ハ廣イ意味ニ於テ保健ト云フヤウナコト
ヲ含ムカモ知レマセヌガ、消極的ノ意味デ
ナクシテ、私ハ保健ト云フカ、此ノ頃ノ言
葉デ申シマスレバ、體力ノ向上ト云フカ、
サウ云フ意味ヲ、モウ少シ此ノ都市計畫ノ
條件ノ中ニ入レルベキモノデハナイカト思
フノデアリマス、其ノ他風紀問題、大キナ
都市ニナリマシテハ、風紀ヲ維持スルト云
フコトハナカ〓〓ムツカシイ、又道德ノ頽
廢ト云フモノモアリマス、又思想問題ト云
フモノモ起ルノデアリマシテ、サウ云フ方
面モ此ノ都市計畫ノ中ニ織リ込ンデ考ヘテ
行カナケレバナラヌノデアリマス、卽チ都
市住民ノ生活、廣イ意味ニ於キマシテハ、
一般國民ノ生活ノ向上ト云フコトニナラナ
ケレバナラヌノヂヤナイカ、農村問題スラ
モ矢張リ都市問題ト相表裏スベキモノデア
リマシテ、都市問題ヲ十分ニ解決スルノニ
ハ、矢張リ農村問題ヲ考ヘナケレバナラヌ、
農村問題ヲ本當ニ考ヘテ解決シヨウトスレ
バ、都市問題ヲ眞直グニ解決シテ行カナケ
レバナラヌノデアリマシテ、互ニ表裏シテ
居ルモノデアル、要スルニ都市住民ト云フ
カ、廣イ意味ニ於キマシテハ國民ト申シテ
モ宜イト思ヒマスルガ、此ノ國民ノ精神生
活、及ビ物質卽チ經濟生活ノ兩方面カラ此
ノ都市問題ト云フモノハ考ヘテ行カナケレ
バ本當ニ都市問題ノ完璧ヲ期スルト云フ
コトハ出來ナイデアラウト云フヤウナ感ジ
ヲ持ツノデアリマス、從來ノ考へ方ハ、ドウ
モ斯ウ云フ點ニ於テ、御考ニナッテ居ルニハ
違ヒアリマセヌガ、動モスレバ唯交通トカ
經濟ト云フヤウナコトガ主ニナリマシテ、
此ノ精神生活ト云フヤウナコトハ餘リ考ヘ
ラレナイ、例ヘバ衞生ト云フコト致シマシ
テモ、結局ハ保健ト云フコトニモナルデア
リマセウシ、體力向上ニモナルデアラウト
思フノデアリマスルガ、動モスルト是ガ消
極的ノ意味ヲ持ッテ居ルヤウナ感ヲ持ツノデ
アリマス、デ之ヲ要シマスルノニ國民生活
ノ向上發展ト云フ廣イ意味、卽チ精神生活
及ビ經濟生活、此ノ兩方ヲ含ムノデアリマ
スルガ、其ノ國民生活ノ向上發展ト云フ廣
イ意味ヲ、都市計畫ノ立法又ハ此ノ實施ニ
付キマシテ、更ニ大イニ加味スルノ必要ガ
アルノデハナイカト云フコトヲ政府ニ第一
ニ伺ヒタイノデアリマス、更ニ之ヲ別ノ觀
點カラ寧ロ端的ニ申シマスルト云フト、大
體都市計畫ナルモノハ、大都市ヲ可トスル
カ中都市ヲ可トスルカ、或ハ小都市ヲ可ト
スルカト云フコトモ伺ヒタイノデアリマ
ス、是ハ或ハ理想的ノ問題ニナルカモ知レ
マセヌガ、目指ス所ハ何處ニアルカト云
フコトヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、
斯ウ云フ問題ヲ出シマスルノハ、私共ガ
從來伺ッテ居ル所ニ依リマスルト、動モス
ルト大都市ト云フコトヲ非常ニ誇ニシテ
居ルヤウナ人ガナイデハナイ、人口ガ何
萬アル、何百萬アル、面積ハドレダケデア
ル、世界ノ何番目デアルト云フヤウナコト
ヲ誇リ顏ニ申シテ居ル人モ尠クナイノデア
リマス、我々ガ小學校ナドニ參リマシテ、
小學校ノ校長ニ會ヒマシテ、小學校ノ模樣
ヲ聽キマスルト、校長ハ自分ノ學校ノ生徒
數ハ是レ〓〓デアル、千何百人デアル、或
ハ何千人デアル、從ッテ學級ハ何十學級アル、
〓員ハ何十名アルト云フヤウナコトヲ誇リ
顏ニ說明スルコトヲ時々聽クノデアリマス
ルガ、ソレト同ジヤウナ風ニ、此ノ大都市
ト云フコトヲ非常ニ誇トシテ居ルヤウナ人
達ガアルコトヲ少クトモ私ハ頗ル訝カシク
思ッテ居ルノデアリマス、市街ノ繁華ノ一面
ヲ見マシテ、サウシテソレガ國家防衞或ハ
安全ト云フヤウナコトニドウ云フ關係ガア
ルカ、又人口ノ密集ニ伴ヒマシテ、各種ノ
罪惡、風紀、衞生、保健、治安等ニドウ云
フ關係ガアルカト云フコトヲ、餘リ考慮シ
ナイヤウナ人ガナイデモナイノデアリマス、
尤モ都市計畫ヲ立テルニ當リマシテ、現在
旣ニ都市ガアルノデアリマシテ、相當ニ大
キナ都市ガアル、所謂過大都市トモ云フヤ
ウナ大キナ都市モアルノデアリマスルカラ、
善カレ惡カレ是ハ現狀デアルノデアル、從ヒ
マシテ白紙ニ線ヲ引クヤウナ自由ナ計畫ハ
出來ナイト云フコトハ、無論我々モ認メテ
居ルノデアリマシテ、徒ニ中都市、小都市
ヲ推奬スルノデハナイノデアリマスルガ、
唯從來ノ如ク大都市ヲ自然ノ發達ニ委シテ、
サウシテ更ニ是ニ對シテ何等考慮シナイ、
甚ダシキニ至ッテハ益〓マ膨脹スルコトヲ誇
トシテ居ルト云フガ如キハ如何ナモノデア
リマセウカト思フノデアリマス、ドウシテ
モ都市計畫ノ健全ヲ圖ルガ爲ニハ、何等カ
基礎的ノ計畫ヲ立テル必要ガアルデアラウ
ト思フノデアリマス、今囘ノ改正ノ如キモ、
其ノ御趣旨ニ依ッテ其ノ一步ヲ進メタモノ
トハ思フノデアリマスルガ、從來ハ少クト
モサウ云フコトニ付キマシテ、私共ガ考ヘ
テ居ル程ニハ、政府當局者モ或ハ一般ノ方
方モ考ヘテ居ラヌヤウナ氣ガ致スノデアリ
マス、關東大震火災ノ際ニ、復興院ガ出來
マシテ、各省カラ或ハ民間カラモ參與ナリ
委員ナリガ出來テ、評議ヲ致シタノデアリ
マス、私共モ過ッテ其ノ中ノ一人ニナッタノ
デアリマスルガ、其ノ東京ノ復興ノ際ニデ
ス、申上ゲル迄モナク東京ハ帝都デアリ、
且政治都市デアル、サウシテ產業ノ都市デ
モアルノデ、サウ云フヤウナ諸條件ヲ持ッテ
居ル所デアリマスカラ、自ラ是ニ適應スル
所ノ復興ガナケレバナラヌ、復興ノ計畫ガ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、勿論
復興院モ其ノ積リデ計畫ヲ御立テニナッタ
デアラウト思ヒマスルガ、當時ハマダ砲兵
工廠モアリ、或ハ其ノ他例ヘバ大藏省ノ方
ノ關係カラ申シマスルト煙草ノ工場ガ東京
內ニ三箇所モアッタノデアリマス、勿論官立
ノ諸學校モアッタノデアリマス、政府ノ施設
ト致シマシテマダ其ノ外ニモ澤山アッタト
思ヒマスガ、私共ハ當時果シテ砲兵工廠ナ
リ、或ハ煙草專賣局ノ工場ト云フヤウナ
モノガ、東京ノ眞中ニ無クチヤナラヌモ
ノデアルカドウカト云フコトヲ疑ヒマシ
タ、當時ノ政府常局ノ方ニモ御意見ヲ
承ッタノデアリマスルガ、餘リハッキリ
シタ答ヲ得ルコトガ出來ナカッタノデアリマ
ス、其ノ後砲兵工廠ナリ、或ハ陸軍士官學
校ノヤウナモノハ、軍部ノ英斷ニ依リマシ
テ地方ニ移ッタノデアリマスルガ、マダノ
東京デナケレバナラヌト云フヤウナモノ
ガ······東京ニ置カナケレバナラヌトソレ程
ニ思ヘナイモノガ、隨分多イデアラウト思
フノデアリマス、勿論帝國大學ノ如キ、隨分
其ノ當時問題ニナッタヤウデアリマスルガ、
色々ナ沿革モアリ、又經緯モアリ、殊ニ當
時ハ復興ニ對スル經費ヲ非常ニ要シタノデ
アリマスカラ、是等ハ已ムヲ得ナカッタトハ
思ヒマスルガ、到頭現狀ノ儘ニ殘ッテ居ルヤ
ウナ始末デアルノデアリマス、デ要スルニ
私ハ其ノ當時、甚ダ經驗ノ無イ者デハアリ
マシタガ、此ノ復興ト云フコトニ付テ、所
謂都市計畫ト云フヤウナコトニ付テ聊カ疑
ヲ懷キマシテ、何トカ此ノ東京ノ復興、卽
チ帝都デアリ、政治都市デアリ、產業都市
デアル此ノ東京ノ復興ト云フコトニ付テ考
フベキデハナイカト云フヤウナコトヲ思ヒ
マシテ、當時聊カ卑見ヲ述ベタノデアリマ
ス、不幸ニシテ當時ハ復興ニ忙シイノデア
リ、又財政ノ關係モアリ、且又私ノ主張モ
餘リ强クナカッタノニモ因リマセウガ、向
一般ノ其ノ時ニ列席シテ居ル諸君ノ御贊同
ヲ得ナカッタノデアリマスガ、其ノ後、都市
計畫ノ〓究ニ內務省カラ行カレタ方ガ歸ッテ
來ラレマシテ、其ノ當時ノ記錄等ヲ御覽ニ
ナリマシテ、大變私共ノ意見ニ共鳴セラレ
タト云フヤウナコトヲ、後デ聞キマシテ非
常ニ喜ンダコトガアリマスルガ、兎ニ角私
ハ政府ノ方ニ於キマシテモ、民間ノ方ニ色
色註文モアリマセウガ、先ヅ自ラ都市計畫
ノ意義ニ付テ深ク想ヲ致ス必要ガアルト思
フノデアリマス、今日ニ於キマシテモ、此
ノ都會ノ眞中ニ官公私立ノ、初等若シクハ
中等ノ學校ハ別ト致シマシテ、大學ノヤウ
ナモノガ澤山アルト云フコトハ、是ハ或點
ニ於テハ必要デアリ、便利デモアリマスガ、
或點ニ於テハ〓育上如何ナモノデアラウカ
ト云フコトヲ憂フルノデアリマス、又單リ
東京ノミナラズ、各種ノ工場ノヤナウモノ
ガ一ツノ地方ニ集ルト云フコトモ、是ガ果
シテ大局カラ考ヘマシテ適當ナモノデアル
カドウデアラウカ、防空ト云フヤウナコト
カラ考ヘマシタナラバ無諭是ハ不利益デ
アルト云フコトハ何人モ疑ハナイノデアリ
マス、其ノ他前ニ申上ゲマシタ色々ナ諸條
件カラ申シマシテ、私ハ此ノ趨勢ハ必ズシ
モ喜ブベキコトデハナイト思フノデアリマ
ス、其ノ中ノ一ツノ國民體力ノ向上ト云フ
ヤウナコトヲ考ヘマシテモ、工場ガ密集致
シマシテ、サウシテ殆ド日光モ十分當ラヌ
ヤウナ所ニ働キ、又家庭ニ歸リマシテモ殆
ド日光モ空氣モ十分デナイヤウナ所ニ起臥
スルト云フ勞働者ノ體力ト云フモノガ、果
シテドウ云フ風ニ推移シテ行クデアラウカ
ト云フコトヲ考ヘマスルト、私ハ國家ノ爲
ニ深憂ニ堪ヘナイノデアリマス、平時ニア
リマシテモ、戰時ニアリマシテモ國民體力
ノ問題ハ非常ニ必要デアリマシテ、結局
國家ノ隆替ニ關係スルノデアリマス、時
大變經濟的ニ繁榮ヲ致シマシテモ、萬
體力ガ低下致シマシタヤウナ場合ニハ
强兵、强イ兵隊ト云フモノハ到底得ルコ
トハ出來ナイノデアリマシテ、結局心身
共ニ健全デアッテコソ、初メテ眞ノ富國强
兵ガ出來ルモノデアラウト思フノデアリ
やく、斯ウ云フ考カラ申シマスルト、都
市計畫ハ唯內務省ノ方ニバカリ御任セニ
ナッテ居ラナイデ、關係各省ハ勿論、殊ニ軍
部厚生、文部ト云フヤウナ方面ニ於キマ
シテモ、大イニ關心ヲ御持チニナルト云フ
コトガ最モ望マシイコトデアリ、且又ソレ
デナケレバ本當ノ都市計畫ハ出來ナイモノ
ヂヤナイカト云フコトヲ考ヘルノデアリマ
ス、近來國土計畫ト云フ言葉ガ使ハレテ居
ルノデアリマシテ、現ニ企畫院ノ如キハサ
ウ云フ方面ニ於テ御調査ニ著手シテオイデ
ニナルト云フヤウナコトモ承ッテ居ルノデ
アリマス、其ノ目的トスル所ハ、國民生活
ノ向上、卽チ物質的及ビ精神的デナケレバ
ナリマセヌガ、國民生活ノ向上、健康トカ
或ハ健康衞生トカ、文化施設トカ、公共施
設トカ云フヤウナモノモ、無論此ノ中ニ含
ムモノデアラウト思フノデアリマスガ、國
民生活ノ向上、產業ノ發展、言ヒ換ヘレバ
生產力ノ擴充デアラウト思フノデアリマ
ス、ソレカラ國家ノ防衞、國土ノ防衞ト云
フヤウナコトヲ、此ノ國土計畫ノ目的ニ
致シテ居ルヤウデアリマス、又諸外國ニ
於キマシテハ既ニ已ニサウ云フ計畫ヲ立
テラレテ居ルノデアリマシテ、殊ニ「ドイ
ツ」ヤ「ソ」聯等ニ於キマシテハ參考ニナル
コトガ少クナイト云フコトデアリマス、
要スルニ是ハ國家全體ノ上カラ考ヘマシテ、
單ニ一地方ノ地方計畫ト云フコトデナクシ
テ、國土全體カラ考ヘテ一定ノ計畫ヲ立ッテ、
サウシテ或種ノ矢張リ權力ヲ以テ統制ヲ行
ヒ其ノ目的ヲ達成セムトスルモノデアリマ
ス、併シナガラ私ハ、我ガ國ハ「ドイツ」ヤ
「ソ」聯ドハ違フノデアリマスカラ、如何ニ
「ドイツ」アタリノ法制ガ宜ジクアリマシテ
千、直チニ其ノ儘之ヲ以テ我ガ國ニ移スト
云フコトハ出來ナイ、其ノ長所ハ採リ短所
ハ棄テナケレバナラヌト思フノデアリマス、
卽チ我ガ國ノ國情ニ從ヒ、歷史ニ鑑ミ、現
在及ビ將來ノ見透シヲ著ケマシテ、都市其
ノモノニ對シテ、又農村トノ關係モ考慮致
シマシテ、卽チ國家全體ノ考カラ致シマシ
テ、國家國民ノ安全、發展、向上ト云フコ
トニ寄與シテコソ始メテ本當ノ都市ノ計畫
デアラウト思フノデアリマス、之ニ付キマ
シテ內務省ハ勿論、各省、或ハ企畫院等ニ
於キマシテモ段々御考ニナッテ居ルコトト
思ヒマスルガ、私ノ申上ゲマシタコトニ付
キマシテ政府ノ御所見ヲ承リタイト思フノ
デアリマス、實ハ少シバカリ諸外國ノ事例
等モ調ベテ見マシタケレドモ、是ハ私ガ申
上ゲルヨリモ、寧ロ內務省ニ於テ十分ノ御
調ガアルサウデアリマスルシ、私ハ時間ヲ
省略スル爲ニ此ノ事ハ詳シク申上ゲル必要
ハナイト思フノデアリマス、唯私ガ都市計
畫ニ付テ殊ニ玆ニ御注意ヲ願ヒタイノハ、
是ハ勿論政府ニ於テモ御考ニナッテ居ルコ
トデハアラウト思ヒマスルガ、矢張リ此ノ
都市計畫ナルモノハ、地方々々ニ依ッテ其ノ
趣ヲ異ニシテ行ナケレバナラヌノデアル、
例ヘバ東京ハ帝都デアリ、政治都市デア
ル、又產業、經濟、〓育、文化ノ都市デア
ルノデアリマス、大阪ハ主トシテ產業、經
濟ノ都市デアル、京都ハ舊都デアル、又山
紫水明ノ地デアリマシテ、外國カラ觀光客
ガ澤山參ルコトデアリマスカラ、勿論產業、
經濟ヲ度外視スルコトハ出來マセヌケレド
モ、自ラ他ト違ッタ特色ヲ持ッテ居ルノデア
リマス、又地方ノ中小都市ニ致シマシテモ、
或ハ工業中心ノ都市モアリマスルシ、或
農村ヲ周圍ニ持ッテ居リマシテサウシテ其處
ノ物資ノ集散地トナッテ居ル所、或ハ地方文
化ノ中心トナッテ居ルヤウナ都市モアルノ
デアリマシテ、サウ云フ各、特色ガアルノデ
アリマスカラ、サウ云フ各都市ニ付テハ、
適當ナ斟酌ヲ加ヘテ適切ナ計畫ヲシテ戴
カナケレバナラヌト思フノデアリマス、申
上ゲル迄モナク今ヤ長期建設ノ途上ニアリ
マシテ、須ク國本ヲ培ヒ、國力ヲ養ヒ、國
民生活ノ向上發展ヲ期スベキ秋デアルノデ
アリマシテ、都市計畫ノ問題モ、矢張リ
斯ウ云フ點ニ於テ最モ重要ナルモノデアル
ト云フコトヲ私ハ深ク考ヘルノデアリマス、
各方面ニ觸レマシテ極メテ蕪雜ナコトヲ申
上ゲタノデアリマスガ、之ニ付キマシテ政
府ノ御答辯ヲ得タイト思フノデアリマス
〔國務大臣伯爵兒玉秀雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=17
-
018・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 只今關屋君
ヨリ、都市計畫ニ關係致シマシテ帝都復興
當時ニ於キマスル御經驗、竝ニ其ノ後ノ御
〓究ノ結果ト致シマシテ都市計畫法ニ對シ
マスル御意見竝ニ國土計畫ニ觸レマシタル
御高見ヲ拜聽致シマシテ、私ハ大體ニ於テ
同感ノ意ヲ表スルモノデアリマス、近時東
京大阪等大都市ガ無制限ニ膨脹ヲ致シマシ
テ、其ノ結果ト致シマシテ、只今御述ニナ
リマシタル通リ市民ノ保健上ヨリ見マシテ
千、亦風紀上ヨリ見マシテモ、思想上ヨリ
見マシテモ、玆ニ幾多ノ弊害ガ釀サレツヽ
アルノ現狀ハ、玆ニ改メテ申ス迄モナイノ
デアリマスルガ、殊ニ昨今ノ時局ニ適應致
シマシテ、防空上ノ設備ニ付テ缺クル所ノ
アルコトモ亦御說ノ通リデアルノデアリマ
ス、今囘都市計畫法ヲ改正致シマシタル場
合ニ於キマシテ、最モ重キヲ置キマシタル
點ハ、防空ノ施設ト國民保健ノ保持ニアル
ノデアリマス、綠地ヲ設ケテ、從來ノ公園
以外ニ自然的ノ公園ヲ各地ニ設ケマシテ、
一面ニ於テハ防空、一面ニ於テハ市民ノ保
健ノ向上ヲ圖ルト云フ事柄ハ、最モ緊切ナ
コトト考ヘマシテ、今囘都市計畫法ノ改正
ノ一要素ト成シタノデアリマス、而シテ只
今御述ニナリマシタル通リニ、都市計畫法
ノ完璧ヲ期シマスル爲ニハ、單リ保健其ノ
他ノ問題ニ止ラズ、風紀上、思想上、殊
廣義ノ國民生活ノ發展ノ上ニ重キヲ置キマ
シテ、農村ノ問題ヲモ之ガ對象ト致シマシ
テ、之ヲ計畫スルコトハ最モ必要ナルコト
ト感ジテ居ルノデアリマス、而シテ今日ノ
如ク大都市ガドン〓〓發達ヲ致シテ參リマ
シタル場合ニ於キマシテハ、此ノ大都市ニ
於キマスル弊害ヲ除去致シマシテ、適當ニ
之ヲ計畫ヲ致シ、又中小都市ノ健全ナル發
展ヲ促スト云フコトハ、最モ今日ニ於テ意
ヲ留メナケレバナラヌ點ト考ヘテ居リマス
ノデアリマス、併シ此ノ問題ヲ解決致シマ
スルノニハ、單リ都市計畫法ノミヲ以テ其
ノ目的ヲ達スルコトハ出來ナイノデアリマ
ス、如何ニ致シマシテモ、此ノ大都市及ビ
其ノ周圍ヲ含ミマスル所ノ地方ヲ對象ト致
シマシテ、都市農村ノ人口ノ適切ナル配布、
土地ノ合理的ノ利用、產業ノ適當ナル分
布、竝ニ〓育及思想上ノ問題ヲモ考慮致シ
マシテ、之ヲ綜合的ニ地方的ノ計畫ヲ考ヘ
ナケレバナラヌノデアリマス、此ノ意味ニ
於キマシテ、目下御審議中ノ豫算ノ中ニ於
キマシテ、內務省ト致シマシテ地方計畫確
立ニ關シマスル調査費ヲ計上シテ、目下御
審議ヲ仰ギツヽアルノデアリマス、此ノ都
市計畫法ノ實施ヲ致シマスル上ニ於キマシ
テハ、各般ノ問題ニ聯關ヲ致シマスルガ故
ニ、單リ內務省ノミノ仕事トシテ之ヲ實行
スルコトハ不可能デアリマセウ、各省竝ニ
民間ニ於キマスル有力者ト協議ヲ致シマシ
テ、而シテ此ノ地方計畫ノ調査ヲ致シ、而
シテ一定ノ計晝ヲ立ツルノ必要ガアリト感
ジテ居ルノデアリマス、併シナガラ此ノ地
方計畫ノ完璧ヲ期スル場合ニ於キマシテ
モ、尙一層此ノ問題ヲ擴大シテ、我ガ國全
體ヲ對象トシテ考慮スル必要ガアルノデア
リマス、卽チ只今關屋君ガ述べラレマシタ
ル所ノ國土計畫ヲ玆ニ確立スルノ必要ヲ痛
感スル者デアリマス、都市ノ健全ナル發展
ヲ促ス爲ニハ、都市ヲ中心ト致シマシタル
各般ノ要素ヲ之ニ調整スル必要ガアリマス、
又都市ノ性質、殊ニ歷史的關係、地理的關
係ヲ考ヘマシテ、各〓其ノ特色ヲ發揮スベ
ク計畫スル必要モアリマス、又之ニ伴ヒ
マシテ、一般ニ農村ト都市トノ關係ヲモ整
調スル必要ガアルノデアリマス、是等ノ點
ヲ考慮致シマシテ、國全體ノ計畫、卽チ國
土計畫ヲ立テマスルコトハ、更ニ一層困難
ナル事情ガ玆ニ存在スルノデアリマス、ソ
レ故ニ差當リ地方計畫ヲ以チマシテ、國土
計畫ノ一端ト致シマシテ、之ガ調査ヲ致シ、
而シテ之ガ計畫ヲ立テ、更ニ進ンデ國土計
畫ニ及シタイト政府ニ於テハ考ヘテ居ル次
第デアリマス、只今御話ヲ承リマシタル通
リ、國土計畫ヲスル上ニ於テモ、我ガ國ハ
我ガ國特有ノ事情ガアルノデアルカラ、其
ノ特色ヲ發揮スベク注意シナケレバナラヌ
ト云フ御注意ニ對シテモ、私ハ同感ノ意ヲ
表スル者デアリマス、大體ニ於キマシテ只
今關屋君ノ述ベラレマシタル都市計晝竝ニ
國土計畫ニ對スル御意見ニ對シテハ御同意
ヲ申上ゲタイト思ヒマス
〔政府委員一松定吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=18
-
019・一松定吉
○政府委員(一松定吉君) 只今關屋君ヨ
リ、都市計畫法中改正案ノ提出セラレマシ
タルニ關シマシテ該博ナル御質問ガアリマ
シテ、私共非常ニ參考トスル所ノ多カッタコ
トヲ感謝致スノデアリマスガ、此ノ點ニ關
シマシテハ旣ニ內務大臣カラ十分ナル御答
ガアリマシタノデ、更ニ私ヨリ蛇足ヲ加フ
ルノ必要ハナイト考ヘマスケレドモ、御質
問ノ中ニ、體力向上ト云フ點ニ重點ヲ置カ
レタヤウニ拜聽致シマシタノデ、此ノ點ニ
關シテ少シク所見ヲ申上ゲマシテ御答ト致
シタイノデアリマス、御話ノ如ク都市計畫
法ノ第一條ニハ交通、衞生、保安云々ト云
フ規定ガゴザイマシテ、體力ト云フ點ハ衞
生ト云フ文字ニ含マレテ居ルコトハ勿論デ
ゴザイマスガ、御意見ノ如ク、衞生ト云フ
二字ダケデハドウモ消極的ニ流レテ居ルヤ
ウニアルノデ、今日我ガ國ノ現狀カラ見レ
バ、今一層體力ノ向上發展ヲ圖ル必要ガア
ルデハナイカト云フ御意見ハ尤モノ御意見
デアルト考ヘルノデアリマス、衞生ト云フ
文字デハ幾分消極的ノヤウニ私共モ考ヘテ
居ルノデゴザイマスガ、此ノ都市計畫法ノ
改正案中ニ現レテ〓居リマス公園、綠地、廣
場ノ區域內ニ於テ、斯クノ如キ文字ヲ用ヒ
マシテ、大イニ體力ノ發展ニ貢獻スル
所アラシメ、建築物ノ制限ニ關スル法規ヲ
設定致シマシテ、色々ナ空氣ヲ惡クシタリ
スルガ如キ、例ヘバ帝都ノ本所、深川ニ於
ケル空中ノ煤煙ノ防止トカ、或ハ大阪ニ於
ケル大正區、港區方面ニ於ケル煤煙ノ防止、
空中ノ淨化ト云フガ如キコトモ大イニ考ヘ
ナケレバナラヌコトデアルト私共ハ思ッテ居
ルノデアリマス、此ノ衞生ト云フ文字ダケ
デハドウモ消極的ニ流レテ居ルヤウナ感ジ
ヲ致スノデアリマシテ、此ノ點ニ關シマス
ル御質問ハ御尤デアルト拜承致シマス、何
レ是等ノ點ニ關シマシテハ、關係方面ト十分
ナル折衝ヲ盡シマシテ、萬遺憾ナキヲ期シ
タイト考ヘテ居ル次第デゴザイマス、左樣
御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=19
-
020・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 簡單デゴザイマスカラ、
此ノ席カラ御許ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=20
-
021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=21
-
022・關屋貞三郎
○關屋貞三郞君 只今內務大臣及厚生政務
次官カラ、大體私ノ申上ゲマシタ所ト、政
府ニ於キマシテモ同ジヤウナ御意見デアル
ト云フコトヲ承リマシテ、極メテ滿足致シ
タ次第デアリマス、ドウカ此ノ問題ハ段々
申上ゲマシタヤウナ譯デアリマスカラ、政
府ノ國策ト致シマシテモ十二分ノ御檢討ヲ
願ヒマシテ、殊ニ段々各地方ニ於テ市ニナ
リマスルヤウナ所モ少クナイノデアリマス
ルカラ、サウ云フ方面ニ於キマシテハ適當
ナ御處置ヲ願ヒタイト云フコトヲ申述ベマ
シテ、私ノ質疑ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=22
-
023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ニ御質疑ガナ
ケレバ兩案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サ
セマス
〔佐藤書記官朗讀〕
神宮關係特別都市計畫法案外一件特別委
員
公爵岩倉具榮君關屋貞三郞君
子爵曾我祐邦君河井彌八君
川村竹治君男爵井田磐楠君
男爵山川建君岡田文次君
鈴木幸作君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=23
-
024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十、船員
保險特別會計法案、日程第十一、船員保險
事業ノ經營ニ伴フ關係各會計間ノ分擔及關
涉ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、是等ノ二案ヲ一括致シマシテ議
題ト爲スコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、本村大藏政務次官
船員保險特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
船員保險特別會計法案
船員保險特別會計法
第一條船員保險事業ノ會計ハ之ヲ特別
トシ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充ツ
關東州、朝鮮及臺灣ニ於ケル船員保險
ノ事業ノ歲入歲出竝ニ關東州、朝鮮及
臺灣ニ於テ爲サルル當該地域以外ノ地
域ニ於ケル船員保險ノ事業ノ歲入歲出
ハ前項ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依
リ之ヲ夫々關東局、朝鮮總督府及臺灣
總督府ノ各特別會計ニ所屬セシムルコ
トヲ得
第二條本會計ニ於テハ保險料、一般會
計ヨリノ受入金、關東局、朝鮮總督府
及臺灣總督府ノ各特別會計ヨリノ受入
金積立金ヨリ生ズル收入、借入金及
附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ保險給
付費、關東局、朝鮮總督府及臺灣總督府
ノ各特別會計ヘノ繰入金、借入金ノ償
還金及利子、事業取扱費其ノ他ノ諸費
ヲ以テ其ノ歲出トス
第三條本會計ニ於ケル歲入總額ノ歲出
總額ニ超過スル金額ハ之ヲ積立ツベシ
本會計ノ歲計ニ不足アルトキハ積立金
ヨリ之ヲ補足スベシ
第四條本會計ニ於テ保險給付費竝ニ關
東局、朝鮮總督府及臺灣總督府ノ各特
別會計ニ繰入ルル金額ヲ支辨スル爲必
要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於
テ借入ヲ爲スコトヲ得
第五條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ル
ベシ
第六條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ保
有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運
用スルコトヲ得
第七條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第八條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
船員保險事業ノ經營ニ伴フ關係各會計
間ノ分擔及關涉ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
船員保險事業ノ經營ニ伴フ關係各會計
間ノ分擔及關涉ニ關スル法律案
第一條內地、關東州、朝鮮又ハ臺灣ニ
於ケル船員保險ニ於テ療養ノ給付及傷
病手當金ヲ除クノ外保險給付ヲ爲シタ
ル場合被保險者タリシ者ガ內地、關東
州朝鮮及臺灣ノ中二以上ノ地域ニ於
ケル船員保險ノ被保險者タリシ者ナル
トキハ其ノ保險給付ニ要スル費用ニ付
國庫ノ負擔スル金額ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ一般會計竝ニ關東局、朝鮮總督
府及臺灣總督府ノ各特別會計ニ於テ之
ヲ分擔ス
第二條船員保險特別會計ハ關東局、朝
鮮總督府及臺灣總督府ノ各特別會計ニ
於テ夫々關東州、朝鮮及臺灣ニ於ケル
船員保險ニ付療養ノ給付及傷病手當金
ノ支給ニ要シタル費用ニ相當スル金額
竝ニ其ノ他ノ保險給付ニ要シタル費用
ノ五分ノ四ニ相當スル金額ヲ其ノ各特
別會計ニ繰入ルルコトヲ得關東局、朝
鮮總督府及臺灣總督府ノ各特別會計ノ
勅令ヲ以テ定ムル支出金ノ額ニ相當ス
ル金額ニ付亦同ジ
第三條關東局、朝鮮總督府及臺灣總督
府ノ各特別會計ハ夫々關東州、朝鮮及臺
灣ニ於ケル船員保險ノ保險料ノ調定濟歲
入額ニ相當スル金額、勅令ヲ以テ定ムル
收入ノ額ニ相當スル金額竝ニ船員保險
特別會計ニ於。テ保險給付ニ要シタル費
用ニ關シ第一條ノ規定ニ依リ分擔スベ
キ金額ヲ船員保險特別會計ニ繰入ルル
コトヲ得
關東局、朝鮮總督府及臺灣總督府ノ各
特別會計相互間ニ於テハ當該特別會計
ガ他ノ特別會計テ於テ保險給付ニ要シ
タル費用ニ關シ第一條ノ規定ニ依リ分
擔スベキ金額ヲ其ノ特別會計ニ繰入ル
ルコトヲ得
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員木村正義君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=25
-
026・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今議題トナリ
マシタ船員保險特別會計法案外一件ノ提出
ノ理由ヲ說明致シマス、先ヅ船員保險特別
會計法案ニ付テ申上ゲマス、船員保險法ニ
基キマシテ政府ノ經營致シマスル船員保險
事業ニ關スル歲入歲出ハ、關東局、朝鮮總督
府及臺灣總督府ノ各特別會計ニ屬セシメマ
スルモノヲ除クノ外、之ヲ他ノ會計ト區分
シテ經理スルヲ適當ト認メマスル處、是ガ
爲ニハ特別會計ヲ設置スルノ必要ガアリマ
スノデ、本法律案ヲ提出致シマシタ次第デ
アリマス、次ニ船員保險事業ノ經營ニ伴フ
關係各會計間ノ分擔及關涉ニ關スル法律案
ニ付テ說明申上ゲマス、船員保險事業ノ經
營ニ伴ヒマシテ、一般會計竝ニ關東局、朝
鮮總督府及臺灣總督府ノ各特別會計間ニ於
テ、國庫負擔金ノ分擔ヲ爲スノ必要ガアリマ
スルト、關東局、朝鮮總督府及臺灣總督府
ノ各特別會計間ニ於テ、相互ニ繰入金ヲ爲
スノ必要ガアリマスル爲ニ、本法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、以上說明致
シマシタ各法律案ニ付キマシテハ、何卒御
審議ノ上速カニ御協賛アラムコトヲ希望ス
ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=26
-
027・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
船員保險特別會計法案外一件ハ、是亦重要
ナル法案デアリマスルガ故ニ、此ノ特別委
員ノ數ヲ十五名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=27
-
028・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔佐藤書記官朗讀〕
船員保險特別會計法案外一件特別委員
公爵桂廣太郞君侯爵大隈信常君
伯爵德川宗敬君子爵秋元春朝君
子爵松平忠壽君子爵上原七之助君
宇佐美勝夫君田口弼一君
男爵渡邊汀君大橋八郞君
男爵近藤滋彌君男爵深尾隆太郞君
靑木周三君平尾喜一君
栗林德一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十二、臺
灣事業公債法中改正法律案、日程第十三、
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律
案、日程第十四、朝鮮事業公債法中改正法
律案、日程第十五、臺灣私設鐵道補助法中
改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
讀會、是等ノ四案ヲ一括致シマシテ議題ト
爲スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=31
-
032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、木村大藏政務次官
臺灣事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣事業公債法中改正法律案
臺灣事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「一億七千二百九十萬圓」ヲ「一
億八千八百九十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法
律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法
律案
臺灣官設鐵道用品資金會計法中左ノ通改
正ス
第二條臺灣官設鐵道用品資金ハ二百萬
圓トシ漸次臺灣總督府特別會計ヨリ繰
入ス
第三條中「此ノ場合ニ於テハ前金拂竝〓
算渡ヲ爲スコトヲ得」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
朝鮮事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「十億六千六百十萬圓」ヲ「十三
億三千六百萬圓」三段、
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月五日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案
臺灣私設鐵道補助法中左ノ通改正ス
第一條第二項中「五年」ヲ「十年」ニ改ム
第一條ノ二前條ノ補助金ハ每營業年度
ニ於ケル建設費ニ對シ年五分ノ割合ニ
相當スル金額ヲ限度トス但シ每營業年
度ニ於ケル益金力建設費ニ對シ年一分
ノ割合ニ相當スル金額ヲ超ユルトキハ
其ノ超過額ハ之ヲ補助金額ヨリ控除ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ本法
施行ノ際現ニ補助ヲ受クル鐵道ニ對スル
補助ニ付テハ各現在ノ補助期間滿了ノ日
ノ屬スル營業年度ノ末日迄ハ改正規定ニ
拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
〔政府委員木村正義君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=32
-
033・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今議題トナリ
マシタ臺灣事業公債法中改正法律案外二件
ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ說明致シ
マス、先ヅ臺灣事業公債法中改正法律案ニ
付テ申上ゲマス、臺灣總督府特別會計ニ於
ケル旣定繼續費鐵道建設費ニ追加致シマシ
タル高雄港臨港線及新高港臨港線建設工事
ニ要スル經費九百四十八萬圓、竝ニ既定繼
續費臺北及高雄驛改良費ヲ改稱シテ停車場
改良費トシ、右繼續費ニ追加致シマシタル
南部操車場設置費及新竹驛、新營驛及花蓮
港驛改良ニ要スル經費六百八十四萬千圓、
合計千六百三十二萬千圓ノ內、千六百萬圓
ハ同特別會計歲計ノ現情竝ニ其ノ經費ノ性
質ニ顧ミマシテ、之ガ財源ヲ公債ニ依ルコ
トト致シマシタルニ依リ、現行臺灣事業公
債法ノ公債發行限度ヲ增加スルノ必要ガア
リマスノデ、本法律案ヲ提出致シマシタ次
第デアリマス、次ニ臺灣官設鐵道用品資金
會計法中改正法律案ニ付テ說明致シマス、
臺灣ニ於ケル官設鐵道事業ノ增大ニ伴ヒマ
シテ、臺灣官設鐵道用品資金特別會計ニ於
ケル歲入歲出モ亦著シク增加致シマシタル
結果、從來ノ資金額ヲ以テシマシテハ、本
會計本來ノ機能ヲ發揮スルコト困難トナル
ニ至ルノ虞アル狀況ナルニ顧ミマシテ、本
資金ノ法定額ヲ二百萬圓ニ增額致シマスル
等ノ必要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、次ニ朝鮮事
業公債法中改正法律案ニ付テ說明致シマス、
朝鮮總督府特別會計ニ於ケル旣定繼續費鐵
道建設及改良費、道路修築改良費、港灣修築
改良費、及送電施設費ノ追加額等二億九千
百五十餘萬圓中、二億八千六百九十餘萬圓
ニ付キマシテハ、同特別會計ノ現情竝ニ其
ノ經費ノ性質ニ顧ミマシテ、之ガ財源ヲ公
債ニ依ルコトト致シマシタルニ依リ、現行
朝鮮事業公債法ノ公債發行限度ヲ增加スル
ノ必要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ提出
致シマシタ次第デアリマス、以上說明致シマ
シタ各種法律案ニ付キマシテハ、何卒御審
議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望
致シマス
〔男爵阪谷芳郞君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=33
-
034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) マダ政府ノ說明
ガアリマスカラ御待チヲ願ヒマス、小磯拓
務大臣
〔國務大臣小磯國昭君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=34
-
035・小磯國昭
○國務大臣(小磯國昭君) 只今議題トナリ
マシタ臺灣私設鐵道補助法中改正法律案提
出ノ理由ヲ說明致シマス、臺灣ニ於ケル私
設鐵道ニ對シマシテハ、現行法ニ依リマシ
テ該鐵道營業開始ノ日ヨリ二十年迄ハ補助
金ヲ交付シ得ルコトトナッテ居リマス處、現
在補助金ノ交付ヲ受ケツヽアル私設鐵道
中、近ク其ノ補助期間ノ滿了スルモノガア
ルノデアリマスガ、右鐵道ハ未ダ其ノ業績
豫期ノ如ク擧ラズ、仍テ當分ノ間ハ政府ノ
補助金ヲ離レテハ自立シ難イ狀態デアリマス、
而モ此ノ鐵道ハ、臺灣ノ地方開發上重要ナ
ル路線デアリ、且國營代行ノ意義ヲ有シマ
スルノデ、今囘本法ニ必要ナル改正ヲ加ヘ、
之ガ助成ノ爲必要アル場合ニ於テハ現在
ノ補助期間ヲ更ニ五年間延長シ得ルノ途ヲ
開カムト致シタノデアリマス、尙補助方法
ニ付キマシテモ、現下經濟界ノ趨勢ニ鑑ミ
マシテ適當ノ改正ヲ加フルコトト致シマシ
ク、何卒御審議ノ上御協賛アラムコトヲ希
望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 阪谷男爵
〔男爵阪谷芳郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=36
-
037・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 本員ハ此ノ公債法案ニ
付テ唯簡單ナ質問デゴザイマスガ、第一、
第二ノ時ニ御尋ネシヨウト思ッテ、ツイ時機
ヲ逸シテシマヒマシタモノデスカラ、併セ
テ御尋ネスル譯デアリマスガ、今日ハ澤山
ナ公債法案ガ御提出ニナッテ居リマス、此ノ
元利償還ト云フコトニ付テハ、確タル計算
ガ立ッテ居ルノデアラウトハ存ジマスルガ、
念ノ爲ニ一應御確カメ申シテ置キタウゴザ
イマス
〔政府委員木村正義君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=37
-
038・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今阪谷男爵カ
ラ、公債ノ元利償還ニ對スル計畫ノ內容ニ
付テ御尋ネアリマシタガ、此ノ公債發行ガ
年々非常ナ增加ヲ致シテ居ルコトハ御承知
ノ通リデアリマシテ、ソレニ付キマシテハ
國債償還ノ基金ヲ設ケマシテ、其ノ特別會
計ニ於キマシテ之ガ償還ニ對スル計畫ヲ立
テヽ居ル次第デアリマス、本年度ノ國債元
利償還ニ對スル額ハ、私此處デ正確ニ數字
ヲ覺エテ居リマセヌガ、大體八億圓ヲ超エ
テ居ッタノヂヤナイカト思ヒマスケレドモ、
正確デアリマセヌカラ、詳細ノコトハ何レ
又委員會等ニ於キマシテ詳細御說明申上ゲ
ルコトト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=38
-
039・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 公債ノ元利償還ト申ス
コトハ、申ス迄モナク極メテ大切ナコトデ
ゴザイマスカラ、明確ナル計算ヲ示サレル
ヤウニ願ヒタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=39
-
040・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
臺灣事業公債法中改正法律案外三案ハ、關
聯スル所ガアリマスルガ故ニ、昭和十五年
度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行
ニ關スル法律案外五件ノ特別委員ニ併託セ
ラレムコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=40
-
041・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=41
-
042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=42
-
043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=43
-
044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十六、要
塞地帶法中改正法律案、政府提出、第一讀
會ノ續、委員長報告、委員長一條公爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣フ〕
要塞地帶法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月五日
委員長公爵一條實孝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵一條實孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=44
-
045・一條實孝
○公爵一條實孝君 只今議題ニ上リマシタ
要塞地帶法中改正法律案ノ特別委員會ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、委員會ハ
去ル二月二十七日ニ第一囘ノ會合ヲ行ヒマ
シテ、本月一日、二日、四日及ビ五日ノ五
日間ニ亙リマシテ愼重審議ヲ致シタノデア
リマス、委員會ニ於キマシテハ、先ヅ當局
カラ改正案ノ趣旨ニ付キマシテ詳細ナル說
明ガゴザイマシタ、其ノ內容ヲ申上ゲマス
ルト、現行法ハ明治三十二年ノ制定公布ニ
係リ、大正四年ニ一部改正ヲ致シタルノミ
デ今日ニ及ンデ居リマスルガ、爾來兵器資
材ノ飛躍的進步發達等ニ依リマシテ、要塞
ノ戰鬪方式ニ變化ヲ來サシメタコト、又近
時各種ノ諜報手段ハ益〓巧妙トナリマシテ、
要塞ノ戰機保護ハ愈〓困難ヲ加ヘテ參ッタノ
デアリマス、故ニ斯クノ如キ情勢ニ對應ス
ル爲ニ、現行法中主トシテ要塞區域ノ擴
大禁止制限事項ノ增補整理、及ビ罰則ノ
調整ノ三點ニ付キマシテ改正ヲ致サムトス
ルモノデアリマス、委員會ニ於キマシテハ
幾多ノ質問應答ガアッタノデアリマスガ、
其ノ主ナルモノニ付キマシテ申上ゲマス、
第一點ハ、今日ニ於テハ要塞ノ重要性ト云
フモノヨリモ、例ヘバ樺太、(北朝鮮ノ國境
ノ防備其ノ他國防ニ關スル、ヨリ重要ナル
モノニ關スル法規ノ制定ガ必要デハナイ
カ、又昭和八年ニハ宇品港域軍事取締法ノ
制定ガアリ、昭和十二年ニハ軍機保護法ノ
改正ガアリ、又今日ニ於テハ要塞地帶法ノ
改正ガ行ハルヽコトニナッテ居ルガ、斯ク
ノ如ク逐次ニ制定シテ居ルヤウデアルガ、
是等ヲ整理統合シタル法律案ヲ提出スベキ
デハナイカト云フ質問ニ對シマシテ、政府
ヨリハ、御意見ノ如キ趣意カラ樺太、北朝
鮮ニ於キマシテハ昨年國境取締法ガ制定セ
ラレテ居リマス、今囘ノ改正案ハ、軍事上
ノ必要卽チ要塞ノ戰法ノ變化ヲ來シマシタ
コトカラシテ改正致スノモ一ツノ目的デハ
アリマスガ、主トシテ防諜ヲ目的ト致シテ
居ルノデアリマス、而シテ要塞ハ各〓其ノ任
務ヲ持ッテ居リ、中ニハ昔程ニハ重要度ノ
少イモノモアリマスルガ、又一方ニ於キマ
シテハ、要塞地帶ノ中ニ軍事補給等ノ所謂
根基ヲ有スルモノモアリマシテ、其處ヲ外
國人ニ諜取セラレマスルト非常ニ國防上ニ
缺陷ヲ起ス憂ガアルノデアリマスルカラ、
此ノ諜報ヲ防ギタイ、殊ニ此ノ戰爭ノ實行
中ニハ防諜ト云フコトハ極メテ必要デアリ
マスノデ、此ノ必要ニ迫ラレテ改正ヲ致ス
ノデアリマストノ御答ガアリマシタ、次
國防又ハ軍事ニ關スル法規ノ一元的整備ハ
目下〓究中デアリマスガ、相當影響スル範
圍ガ廣ク、種々關係方面ノ話合モ必要デア
リマスノデ、折角〓究中デアルト云フ御答
ガアッタノデアリマス、次ニ防諜ヲ主トス
ル改正ナラバ、外國人ニ對スル禁止制限ニ
新タナル考案ヲ拂フベキデアルガ、改正案
ハ之ニ觸レテ居ラナイノハドウ云フ譯デア
ルカ、又防諜ヲ徹底的ニ行フニハ、軍ト警
察ト民衆トガシックリ合ハナケレバナラ
又、之ニ對シテハドウ考ヘテ居ルカト云フ
ヤウナ質問ニ對シマシテ、政府ハ、本改
正ハ防諜上取敢ズ事變ニ應ズル如キ必要ア
ルモノダケヲ改正致シタト云フ御答ガアッ
タノデアリマス、外國人ニ對スル處置ニ付
キマシテハ、改正案ノ第八條ノ運用ノ如何
ニ依ッテ目的ハ達セラレルモノト考ヘル、
又防諜ニ付キマシテハ、陸軍方面ト內務方
面ト連絡致シマシテ、軍事警察權ノ行使ニ
完全ナル協力ヲ致シタイト考ヘテ居ルト云
フヤウナ御答ガアッタノデアリマス、次ニ要
塞地帶內ニ於テハ、住民ハ能ク規則等ヲ守ッ
テ居ルト思フガ、ソレニモ拘ラズ新タニ轉
嫁罰ノ規定ヲ設クルノハ、法人ノ業務執行者
又ハ事業主ニ對シテ苛酷デハナイカト云フ
意味ノ質問ニ對シマシテ、政府ハ、改正案
ニ規定シタル所ノ行爲ハ、會社等ノ法人又
ハ工場、事業場ノ事業主ガ、事業上爲スモ
ノガ多イノデ、或ハ法人ノ業務執行者又ハ
事業主ガ、罪ヲ從業者ニ嫁シテ免ルヽ虞ナシ
トモ言ヘナイ、又改正案ノ制限事項ハ、或
ハ一般的ニ省令ヲ以テ、又ハ〓示ヲ以テ地
域每ニ解除スルノデアッテ、小規模ノ工事
等ハ許可ヲ要シナイカラ、苛酷ニナルコト
ハナイト思フト云フ答デアッタノデアリマ
ス、次ニ委員外ノ一議員カラモ發言ヲ求メ
ラレマシテ、要塞地帶ヲ擴グルノニ、今迄
ノ「間」ヲ「メートル」ニ改メテ居ルガ、尺貫
法ガ行ハレテ居ルノニ、人民側ノ方カラハ
斯ウ云フ風ニ改正ヲサレテハ不便ニナリハ
シナイカ、又地帶內ニ編入ノ爲、土地所有
權ノ完全ナル行使ヲ制限セラルヽ結果、地
價ノ値下リ、其ノ他財產上ノ損害ヲ生ズル
コトガアリ得ルガ、之ニ對スル賠償ノ規定
ヲ何故ニ定メナカッタカ、尙之ニ付テ他ノ
立法例トノ關係ハドウデアルカト云フヤウ
ナ質問ニ對シマシテ、政府ハ、地帶ハ〓示
ヲ以テ示シ、又地帶ノ區域ヲ示シタ地圖ヲ
村役場等ニ備付ケ、人民ハ是等ニ依ッテ承
知スルノデアルカラ、又尺貫法ヲ「メート
ルニ直シテモ人民ニハ不便ハナイト思
フ、又賠償ニ付テハ、今囘ノ改正ハ戰鬪法
則及兵器性能ノ變化ニ卽應スル爲ニ制限事
項ニ若干ノ追加ヲ爲シタルニ止マッテ、從ツ
テ補償ノ規定ニ付テハ現行法ノ主義ヲ其ノ
儘踏襲シテ、實際特別ニ非常ナル損害ヲ與
ヘルヤウナ場合ニハ、軍ニ於テ軍用地トシ
テ買上ゲル積リデアル、又他ノ立法例トノ
關係ニ付テハ、此ノ種ノ制限、卽チ消極的
ナ不作爲義務ヲ負擔セシムル公用制限ニ付
テハ、補償規定ノナイノガ通例デアルト云
フ御答デアッタノデアリマス、其ノ他色々
ノ質問ガアリマシタガ、ソレ等ハ御手許ニ
配ラレマシタル速記錄ニ依ッテ御承知ヲ願
ヒタイト存ジマス、討論ニ入リマシテカ
ラ、數名ノ委員カラ、此ノ法案ニハ贊意ヲ
表スルガ、斯ウ云フ希望ガアルト云フ希望
ヲ開陳セラレタノガアリマス、其ノ希望ヲ
要約致シマスルト、本改正案ハ時局柄緊要
缺クベカラザルモノト信ズルガ、其ノ目的
ヲ達成スルニハ防諜思想ノ普及徹底ヲ必要
トスル、之ガ爲ニハ國民ニ防諜ノ自覺ヲ促
スヤウニ指導スルノ必要ガアル、又防諜ノ
徹底ヲ期スルニハ、現在ノ法律ノ部分改正
デハ煩雜デ且矛盾ヲ生ジ易イガ故ニ、諸法
規ヲ整理統合シテ、一ツノ統合法律ノ制定
ヲ望ム、尙防諜ノ完璧ヲ期スルニハ、軍事
上ノ祕密ニ關スル軍機保護法、要塞地帶法
等ノ軍事法規ダケデハ不十分デアルカラ、
外交其ノ他內務行政ノ範圍ニ屬スル防諜ニ
關シテモ、此ノ際速カニ立法セラレタイト
云フコト第三ニハ要塞地帶ノ各區ノ幅員
ハ擴大セラレテ居ルガ故ニ、之ガ〓示ヲ爲
スニ付テハ愼重ノ考慮ヲ拂ハレタイ、次ヘ
ハ轉嫁罰ノ運用ニ付テハ、事業主ニ苛酷ニ
ナラヌヤウ十分ナル注意ヲ望ムト云フヤウ
ナ諸點デアリマシタ、討論ヲ終リマシテ採
決ニ入リ、採決ノ結果全會一致ヲ以テ可決
ニ相成ッタル次第デアリマス、以上御報告
ヲ終ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=45
-
046・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=46
-
047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=47
-
048・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=48
-
049・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=49
-
050・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=50
-
051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=51
-
052・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=52
-
053・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=53
-
054・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=54
-
055・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=55
-
056・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ付御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=56
-
057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=57
-
058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=58
-
059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=59
-
060・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十七、獸
醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案、政府
提出、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長
保科子爵
獸醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月四日
委員長子爵保科正昭
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵保科正昭君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=60
-
061・保科正昭
○子爵保科正昭君 只今議題トナリマシタ
獸醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案ノ特
別委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマ
ス、本法律案ハ家畜傳染病豫防法中改正法
律案ノ特別委員會ニ併託ニナッタモノデゴ
ザイマスガ、委員會ハ去ル三月ノ一日及ビ三
月四日ノ兩日ニ亙ッテ開カレマシタ、先ヅ農
林大臣ヨリ提案ノ理由ノ說明ガゴザイマシ
ク、本法律案ノ要旨ヲ大體申上ゲマスト、
事變ニ伴ヒ應召其ノ他ノ理由ニ依リマシテ、
內地ニ於ケル獸醫師ガ著シク不足ヲ告ゲテ
參リマシタ爲ニ、政府ハ一面ニ於キマシテ
高等農林學校ニ於ケル獸醫師ノ養成施設ノ
擴充ヲ行ヒマシタガ、尙之ヲ以テ致シテモ
獸醫師ノ當面ノ不足ヲ補フニ足リマセヌ、
此ノ事態ヲ此ノ儘放任致シテ置キマスルナ
ラバ、銃後ニ於ケル軍馬資源ノ確保、畜產
生產力擴充計畫等ノ上ニ甚ダシキ齟齬ヲ來
ス虞ガアリマスノデ、臨時的措置ト致シマ
シテ、獸醫手ナル制度ヲ設ケマシテ、農學
校ニ於テ一定時間以上獸醫學ヲ修メマシタ
者ナドニ對シテ免許ヲ與ヘ、是等ノ者ガ市
町村畜產組合等ノ團體ノ職員トナル場合ニ
於テ、獸醫師法ノ制限ニ拘ラズ、當該團體
ノ事業タル家畜ノ疾病ノ診療ヲ爲サシメム
トスルノデアリマス、之ニ對シマシテ委員
會ニ於キマシテハ、委員竝ニ特ニ發言ヲ求
メラレマシタ委員外議員ニ於テ種々質疑ガ
アッタノデゴザイマス、其ノ主ナルモノヲ御
紹介申上ゲマスト、先ヅ大正十五年ニ獸醫
師法ガ制定セラレマシテ、其ノ結果獸醫師
タル資格ハ專門學校卒業以上ノ學力アル者
ニ限ラルヽコトニナッタノデゴザイマスガ、
今囘ノ特例ニ依リマシテ、農學校卒業程度
ノ者モ實質的ニ獸醫師ト同樣家畜ノ診療ヲ
爲シ得ルコトニナリマス結果、獸醫技術ノ
低下ヲ來スコトハナイカトノ質問ニ對シマ
シテハ、政府ヨリ獸醫技術ト云フモノニ
付テハ、矢張リ正規ノ獸醫師ニ標準ヲ置イ
テ居ルノデアリマシテ、此ノ點ニ於テハ、
獸醫師法制定ノ精神及ビ方針ヲ變更スル意
思ハ少シモナイノデアルガ、唯時局下ニ於
テ、特ニ農村第一線方面ニ於ケル獸醫技術
者不足ノ實情ニ鑑ミ、臨時ノ措置トシテ當
面ノ問題ダケヲ此ノ度ノ獸醫手ノ制度ヲ以
テ充タシテ行カウトスルノデアッテ、其ノ職
能等ニ於テモ、正規ノ獸醫師トハ區別ヲ設ケ
テ取扱ッテ行クノデアルカラ、全體トシテハ
獸醫技術ノ低下ヲ見ル心配ハナイ見込デア
ルトノ答辯デゴザイマシタ、次ニ政府ハ一
方ニ於テ專門學校ニ於ケル獸醫科ノ擴充ヲ
行ッテ獸醫師ヲ多數養成ニ努メテ居ルノデ
アルガ、其ノ施設ガ完備シタ曉ニハ、ン H
デモ尙獸醫師ガ不足ヲスル見込デアルカ、
卽チ獸醫手ノ制度ハ、此ノ專門學校ノ充實
シナイ間ノ補充ノ爲ノ制度デアルカ、凡ソ
其ノ期間ハドノ位デアルカト云フ質問ガア
リマシタニ付キマシテ、政府ヨリハ、現下
ニ致キマス獸醫師ノ需給關係ヲ推算スルト、
假令現在ノ專門學校ノ施設ガ擴充セラレマ
シテモ、尙當分ハ多數ノ獸醫師ガ不足スル
見込デアッテ、之ニ對シマシテノ補ヒトシテ
今囘ノ獸醫手ノ制度ヲ設ケヨウトスルノデ
アッテ、農業學校ニ於ケル豫定計畫ハ少ク共
十年位ノ期間ヲ必要ト考ヘテ居ルトノ答辯
デゴザイマシタ、其ノ他ノ質疑ニ付キマシ
テハ速記ニ依ッテ何卒御了承ヲ願ヒタイト
存ジマス、以上ノ如キ質疑ヲ重ネ、次イデ
討論ニ移リマシテ、一委員ヨリ本法案ハ時
下ニ於キマシテ適切ナモノト認ムルヲ以テ
贊意ヲ表シマスガ、之ガ實施ニ當リマ
シテハ、獸醫師ト獸醫手トノ混同及ビ獸
醫技術ノ低下ヲ來スコトノナイヤウ政府ニ
於テ留意アリタイ旨ノ希望ガゴザイマシタ、
續イテ採決ニ入リマシテ、全會一致ヲ以テ
原案通リ可決致シマシタ次第デゴザイマス、
簡單ナガラ以上御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=61
-
062・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=62
-
063・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=63
-
064・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=64
-
065・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=65
-
066・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=66
-
067・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=67
-
068・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス御異議ガナケレバ、全部ヲ問題
ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=68
-
069・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=69
-
070・西大路吉光
○子爵(西大路吉光君) 直チニ本案ノ第三
讀會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=70
-
071・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=71
-
072・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=72
-
073・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=73
-
074・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=74
-
075・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=75
-
076・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十八、宇
品港域軍事取締法中改正法律案、政府提出、
第一讀會ノ續、委員長報告、委員長一條公
爵
宇品港域軍事取締法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月五日
委員長公爵一條實孝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵一條實孝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=76
-
077・一條實孝
○公爵一條實孝君 只今議題ニ上リマシタ
宇品港域軍事取締法中改正法律案ノ特別委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓致シマス、本
案ハ要塞地帶法中改正法律案特別委員會ニ
併託致サレタモノノ一ツデアリマス、委員
會ハ三月二日カラ四日及ビ五日ノ三日ノ間
ニ、他ノ法案ト共ニ此ノ法案ニ付テ審議ヲ
致シマシタ、先ヅ當局カラ改正案ノ趣旨ニ
付テ御說明ガアリマシタ、其ノ內容ノ大要
ヲ申上ゲマスルト、本法ハ昭和八年三月制定
セラレタルモノデアリマシテ、本法ニ依リ
マシテ、今次事變ニ於テ數次ノ上陸作戰、
或ハ大陸ニ向フ兵團ノ頻繁ナル移動又ハ兵
力ノ轉用等ニ伴フ船舶輸送業務ノ實施ニ當
リ、多大ノ貢獻アリマシタルコトハ明カナ
所デアリマス、然ルニ今次事變ニ於ケル船
舶輸送ニ關スル幾多ノ經驗、就中、今次事
變ノミナラズ將來戰ニ於テ豫想セラレマス
ル輸送兵員資材ノ著シキ增加、特ニ最近活
潑ノ度ヲ加ヘテ參リマシタル外國ノ對日諜
者ノ活動等ニ鑑ミマスル時ハ、速カニ現行
法ニ所要ノ改正ヲ加へマシテ、今後ノ大陸
ニ對スル兵團ノ輸送、特ニ將來戰ノ遂行ニ
支障ナカラシムルノ要大ナルモノヲ痛感ス
ルノデアリマシテ、其ノ改正ノ第一ハ、厖
大ナル數量ニ上ル輸送船舶ノ碇泊、出入ニ
應ズル港域擴大ノ措置デアリマス、卽チ現
在ノ宇品港域ノ範圍ヲ擴大致シマシテ、又
新タニ北九州ノ伊萬里灣ニ本法ヲ適用セム
トスルモノデアリマス、第二ハ、外國諜者
ニ對スル防諜措置ノ徹底デアリマス、卽チ
現行法ニ定ムル區域ノ範圍ヲ以テ致シマシ
テハ、外國諜者ノ海運地ニ對スル目視偵察、
寫眞偵察等ニ對シ十分ナル祕密ガ保テマセ
ヌノデ、是等ノ行爲ヲ絕對ニ遮斷シ得ル如
ク地域ヲ擴大スルノデアリマス、第三ハ禁
止制限事項ニ付キマシテ、軍事輸送出發基
地ノ輸送業務ニ支障ナカラシムル爲、若干
ノ事項、特ニ海面ニ關スルモノニ付、增補
改正ヲ致シマス、第四ハ、罰則ニ所要ノ改
正ヲ加ヘマスルト共ニ、轉嫁罰ノ必要ヲ感
ジマシテ、之ヲ新タニ規定致シタノデアリマス、
以上ガ改正案ノ要旨デゴザイマス、委員會
ニ於キマスル質問應答ノ主ナルモノヲ申上
ゲマスレバ、宇品モ伊萬里モ共ニ、要塞地
帶ノ區域ヲ少シ擴ゲタナラバ其ノ方ニ入ル
ノヂヤナイカ、然ラバ要塞地帶法ニ依ツテ
措置シ得ルヤウニ出來ルノデアル、斯ウス
レバ宇品ヤ伊萬里ガ陸軍ノ輸送港ノ重點デ
アルト云フヤウナコトヲ部外ニ知ラサズニ
濟ムヂヤナイカ、ト云フヤウナ質問ニ對シ
マシテ、政府ハ、宇品ニハ吳要塞、伊萬里
ニハ長崎要塞ノ第三區又ハ區外ノ區域ガ一
部入ッテ居リマスルガ、要塞地帶法ハ、第
一區カラ第三區、區外ノ區域ト、其ノ區域
ニ從ヒ禁止制限ノ度ヲ弱メテ居リマシテ、
軍事輸送ヲ確保スルニハ、宇品ヲ第一區ト
スルコトヲ要スルノデアリマスルガ、宇品
ハ之ヲ第一區トスルコトガ出來マセヌ、ノ
ミナラズ要塞地帶法ハ、要塞戰備ト防諜ガ
目的デ、其ノ制限ハ主トシテ陸上デアリ、本
法ハ、船舶輸送ト防諜トガ目的デ、其ノ制
限ハ海上ヲ主トスルノデアリマス、、又要塞
ハ要塞司令官ガ管轄シ、宇品ハ陸軍運輸部
長ガ管轄致シテ居リマスノデ、要塞地帶法
ノ外ニ本法制定ノ必要ガアルトノ御答辯ガ
アリマシタ、次ニ陸軍デ船舶輸送ヲスル港
ハ宇品ノ外マダ澤山アルト思フガ、本法ヲ
適用スル港ハ、宇品ト伊萬里ダケデ足ルノ
デアルカ、若シ將來本法ヲ適用スル必要ガ
アリトスレバドウスルノカト云フ御質問ニ
對シマシテ、只今ノ所字品港ト伊萬里灣以
外ノ港ニ付テハ本法ヲ適用セムトスル考ハ
ナイ、萬一其ノ他ノ港ニ本法ノ適用ヲ必要
トスルトキハ、本法ノ改正ヲ致ス積リデア
リマストノ御答ガアッタノデゴザイマス、
尙其ノ他ノ質問ガゴザイマシタガ、是等ハ
速記錄ニ讓リマス、斯クテ質問ヲ終リマシ
テ、討論ニ入リマシテ、數名ノ委員カラ、
此ノ時局柄緊急缺クベカラザルモノデアル
カラ贊意ヲ表スルト云フコトヲ述ベラレマ
シテ、更ニ本法ノ運用、特ニ轉嫁罰ノ運用
ニ付テハ愼重ナル注意ヲ望ムト云フ御意見
ガアリマシタ、討論ヲ終リマシテ採決ニ入
リ、全會一致ヲ以テ可決ニ相成ツタル次第
デゴザイマス、以上御報告ヲ終ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=77
-
078・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ·
第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=78
-
079・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=79
-
080・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=80
-
081・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=81
-
082・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=82
-
083・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=83
-
084・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=84
-
085・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=85
-
086・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=86
-
087・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=87
-
088・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=88
-
089・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=89
-
090・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=90
-
091・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次會ノ議事日程ハ、決定次第彙報
ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午後零時六分散會
貴族院議事速記錄第十六號正誤
頁段行誤正
一五七二二ナカッタアッタ
一六〇〃八大正十七年大正七年発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X01719400306&spkNum=91
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。