1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十五年三月二十四日(日曜日)午前十時二十四分開議
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議事日程 第二十六號
昭和十五年三月二十四日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 木炭需給調節特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 農産物檢査法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 日本輸出農産物株式會社法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 昭和十三年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第六 昭和十三年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第七 昭和十三年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第八 昭和十四年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第九 昭和十四年度豫備金外豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十 昭和十四年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十一 昭和十四年度特別會計豫備金外豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)(衆議院送付) 會議(委員長報告)
第十二 昭和十五年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 職員健康保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 作業會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 造幣局東京出張所の廳舍、工場其の他の建物及其の附屬設備の新營擴張に要する經費に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 昭和十三年法律第五十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 臺灣私設鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 政府出資特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 陸軍航空工廠資金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十四 金資金特別會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十六 樺太鐵道株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十七 樺太地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十八 陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特別會計法及海軍工廠資金會計法の臨時特例に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十九 市町村義務教育費國庫負擔法改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三十 現役小學校教員俸給費國庫負擔法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三十一 職業紹介法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の績(委員長報告)
第三十二 日本肥料株式會社法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三十三 鑛業被害耕地の復舊整理助成に關する請願 會議
第三十四 豫定線三股、上川間鐵道速成の請願 會議
第三十五 豫定線鶴岡、大鳥間鐵道速成の請願 會議
第三十六 東武鐵道東上線買收の請願 會議
第三十七 長門鐵道西市驛より山口縣油谷灣又は仙崎港に至る鐵道敷設の請願 會議
第三十八 北海道札幌市に少年審判所及矯正院設置の請願 會議
第三十九 西日本旱害救濟に關する請願 會議
第四十 總武本線錦糸町驛の操車線路撤去に關する請願 會議
第四十一 國道六號線中の改良工事繼續事業に關する請願 會議
第四十二 東北本線宇都宮、青森間複線敷設の請願 會議
第四十三 工場、鑛山に婦人監督官竝女子勞務係採用に關する請願 會議
第四十四 直江津港を第二種重要港灣編入に關する請願 會議
第四十五 中央本線木曾福島、高山本線久々野兩驛間を鐵道豫定線に編入の請願 會議
第四十六 石狩川治水事業促進に關する請願 會議
第四十七 石狩川架橋に關する請願 會議
第四十八 小樽港三基埠頭築設促進に關する請願 會議
第四十九 北海道高島漁港築設に關する請願 會議
第五十 小樽港臨港工業地域造成に關する請願 會議
第五十一 國民健康保險組合に國庫補助金増額の請願 會議
第五十二 小樽港の鐵道省第二期計畫促進に關する請願 會議
第五十三 北海道雨龍郡沼田村に國有種牡馬種付所設置の請願 會議
第五十四 栃木、茨城兩縣を貫流する田川改修工事國庫補助の請願 會議
第五十五 岩手縣閉伊川上流竝支流改修に關する請願 會議
第五十六 岩手縣盛岡市、横黒線陸中川尻驛間に省營自動車運輸開始の請願 會議
第五十七 岩手縣二戸郡福岡町、九戸郡久慈町間に省營自動車運輸開始の請願 會議
第五十八 江差線江差、瀬棚線瀬棚の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第五十九 造林國策樹立實施に關する請願 會議
第六十 市町村立小學校教員加俸令中改正に關する請願 會議
第六十一 國民學校初等科第一學年より毛筆習字を課するの請願 會議
第六十二 鳥取縣千代川改修區域に關する請願 會議
第六十三 國道四號線中改良の請願 會議
第六十四 高知縣久万川改修に關する請願 會議
第六十五 山口縣玖珂郡柳井町に區裁判所設置の請願 會議
第六十六 二戸區裁判所に專屬の判事を置くの請願 會議
第六十七 豫定線一戸、荒屋間鐵道速成の請願 會議
第六十八 宮崎縣油津港に税關監視署設置の請願 會議
第六十九 福島縣日橋川改修竝水門開閉權に關する請願 會議
第七十 島根縣高津漁港修築の請願 會議
第七十一 北海道函館港に港務部設置の請願 會議
第七十二 鷄卵の適正價格竝養鷄飼料に關する請願 會議
————◇—————発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平頼壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
昨二十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府
提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆
議院ニ通知セリ
恩給法中改正法律案
同日本院ニ於テ採擇スルコトヲ議決シタル
豫定線釜石、盛間鐵道速成ノ請願外二十五
件ノ請願ハ各〓意見書ヲ附シ卽日之ヲ政府
ニ送付セリ
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案可決報告書
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
可決報告書
職員健康保險特別會計法案可決報〓書
作業會計法中改正法律案可決報〓書
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ
建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル
經費ニ關スル法律案可決報〓書
昭和十三年法律第五十三號中改正法律案
可決報〓書
臺灣事業公債法中改正法律案可決報告書
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律
案可決報告書
朝鮮事業公債法中改正法律案可決報〓書
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案可決報
告書
政府出資特別會計法案可決報〓書
陸軍航空工廠資金特別會計法案可決報告
書
金資金特別會計法中改正法律案可決報〓
書
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案
可決報〓書
樺太鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公債
發行ニ關スル法律案可決報〓書
樺太地方鐵道補助法中改正法律案可決報
告書
市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律案
可決報告書
現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改正
法律案可決報告書
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特別
會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時特例
ニ關スル法律案可決報〓書
昭和十三年度第一豫備金支出ノ件、昭和
十三年度特別會計第一豫備金支出ノ件、
昭和十三年度特別會計豫備費支出ノ件、
昭和十四年度第二豫備金支出ノ件、昭和
十四年度豫備金外豫算外支出ノ件、昭和
十四年度特別會計第二豫備金支出ノ件、
昭和十四年度特別會計豫備金外豫算超過
及豫算外支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)可決
報告書
日本肥料株式會社法案可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
木炭需給調節特別會計法案
農產物檢査法案
日本輸出農產物株式會社法案
一昨二十二日議員ヨリ左ノ質問主意書ヲ提出
セリ依テ昨二十三日之ヲ政府ニ轉送セリ
度量衡法改正ニ關スル質問主意書(公爵
島津忠重君外二十七名提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、日程第一、請願委員長報告、
委員長堀田伯爵
〔伯爵堀田正恒君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=2
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003・堀田正恒
○伯爵堀田正恒君 請願委員會ノ第三囘報
告ヲ申上ゲマス、卽チ去ル四日ノ第二囘報
告後ニ於キマスルモノノ御報告デゴザイマ
ス、委員會開會數ハ三囘デ、三月八日ト十
五日ト二十二日デアリマス、分科會開會數
ハ十二囘デアリマス、卽チ第一分科會ハ三
囘三月四日、十一日、十八日、第二分科
會ハ三回、三月五日、十二日、十九日、第
三分科會ハ三囘、三月四日、十一日、十八
日、第四分科會ハ三囘、三月五日、十二日、
十九日デアリマス、請願文書表報〓ハ三囘、
其ノ第六囘報〓ハ三月六日、第七囘報〓ハ
三月十三日、第八囘報〓ハ三月二十日デア
リマス、請願委員會特別報〓ハ三囘デアリ
マシテ、其ノ第四號ハ三月八日、第五號ハ
三月十五日、第六號ハ三月二十二日デアリ
そうく、請願書受領件數百四十六件、右請願
連署人數七千九百七十三名デアリマス、右
百四十六件ト、第二囘報〓ノ際申上ゲマシ
タ中請願文書表未揭載ノモノ十五件トノ合
計百六十一件ノ中、文書表ニ掲載セルモノ
ガ百五十二件、文書表ニ揭載セザルモノガ
九件デアリマス、審査ニ付キマシテハ、右
百五十二件ト、第二囘報告ノ際申上ゲマシ
タ中請願文書表ニ揭載ノ分ニシテ尙審査結
了ニ至ラザルモノニ付愼重審査ノ結果、議
院ノ會議ニ付スベシトスルモノ百六件、議
院ノ會議ニ付スルヲ要セズトスルモノガ五
件デアリマシテ、文書表第四十七號、第八
十九號、第百一號、第百十四號及ビ第百二
十六號デアリマス、以上ノ御報告ト第二囘
迄ノ御報告トノ合計ヲ申上ゲマスルト、委
員會ノ開會數ハ七回、分科會ノ開會數ハ二
十囘、此ノ內第一分科會五囘、第二分科會
五囘、第三分科會六囘、第四分科會四囘デ
アリマス、請願文書表報〓ハ八回、請願委
員會特別報告ガ六囘、請願書受領件數二百
五十七件、請願連署人數八萬九千九百八十
四名、請願文書表ニ揭載ノモノ二百四十八
件、請願文書表ニ未揭載ノモノ九件デアリ
せい、審査ノ結果ハ、議院ノ會議ニ付スベ
シトスルモノ百三十一件、議院ノ會議ニ付
スルヲ要セズトスルモノ七件デゴザイマス、
以上ハ昭和十五年三月二十三日迄ノ御報告
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二、木炭
需給調節特別會計法案、日稈第三、農產物
檢査法案、日程第四、日本輸出農產物株式
會社法案、政府提出、衆議院送付、第一讀
會是等ノ三案ハ之ヲ一括シテ議題ト爲ス
コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、木村大藏政務次官
〔左ノ送付文及法案ハ朗讀ヲ經サ
ルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ做フ〕
木炭需給調節特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二十三日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
木炭需給調節特別會計法案
木炭需給調節特別會計法
第一條木炭ノ需給ノ調節ノ爲政府ノ行
フ木炭ノ買入、賣渡又ハ貯藏ニ關スル
一切ノ歲入歲出ハ之ヲ一般會計ト區分
シ特別會計ヲ設置ス
第二條本會計ニ据置運轉資本ヲ置キ其
ノ金額ハ百萬圓トシ一般會計ヨリ繰入
ルルモノトス
第三條本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル
爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔
ニ於テ借入ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ金
額ハ七百萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四條本會計ニ於テハ木炭ノ賣渡代金、
借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入ト
シ木炭ノ買入代金、木炭ノ買入賣渡貯
藏及運搬ニ關スル諸費、借入金ノ償還
金及利子、一時借入金ノ利子其ノ他諸
費ヲ以テ其ノ歲出トス
第五條本會計ノ歲出額ハ其ノ實際ノ歲
入及据置運轉資本ノ合計額ヲ超過スル
コトヲ得ズ
第六條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ル
ベシ
第七條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足
アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借
入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金ハ當該年
度內ニ之ヲ返還スベシ
第八條本會計ニ於テ決算上過剩ヲ生ジ
タルトキハ之ヲ翌年度ノ歲入ニ繰入ル
ベシ
第九條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第十條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
農產物檢査法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二十三日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
農產物檢査法案
農產物檢査法
第一條米穀其ノ他ノ農產物ニシテ勅令
ヲ以テ指定スルモノハ命令ノ定ムル所
ニ依リ其ノ種別、品位、量目又ハ包裝
ニ付政府ノ行フ檢査ヲ受ケタルモノニ
非ザレバ之ヲ受渡シ又ハ第二號ノ地域
ニ搬入スルコトヲ得ズ但シ左ノ各號ノ
一ニ該當スルモノニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
內地以外ノ地域ニ於テ生產セラレ
タルコト明ナルモノ
二主務大臣ノ指定スル地域內ニ在ル
モノ
三災害ニ因リ檢査ヲ免除セラレタル
モノ
四其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノ
本法ニ於テ受渡トハ賣買其ノ他命令ヲ
以テ定ムル事由ニ因ル授受ヲ謂フ
第二條政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前
條第一項ニ規定スル農產物以外ノ農產
物ノ檢査ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ檢査ヲ行フ農產物ニ
付テハ命令ヲ以テ其ノ檢査ヲ受ケザル
モノノ授受又ハ移動ヲ制限スルコトヲ
得
第三條前二條ノ規定ニ依ル檢査ノ手數
料ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第四條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本
法ニ依ル檢査ヲ受ケタル農產物ニ一定
ノ印章、記號及證票ヲ附ス
前項ノ印章、記號又ハ證票ヲ抹消シ、
除却シ又ハ隱蔽シタル農產物ハ之ヲ本
法ニ依ル檢査ヲ受ケザルモノト看做ス
第五條行政官廳取締上必要アリト認ム
ルトキハ當該官吏又ハ吏員ヲシテ本法
ニ依リ檢査ヲ行フ農產物ノ生產者、取
引業者、倉庫業者、運送業者其ノ他占
有者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ事務所、
營業所、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ其
ノ帳簿書類、農產物其ノ他ノ物件ヲ檢
査セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該官吏又ハ吏員
ハ其ノ身分ヲ證明スル證票ヲ携帶スベ
シ
第六條第一條第一項ノ規定ニ違反シテ
農產物ヲ受渡シ又ハ搬入シタル者ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三
百圓以下ノ罰金ニ處ス
第五條ノ規定ニ依ル當該官吏若ハ
吏員ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ
虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ臨檢檢査
ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
=不正ノ手段ニ依リ檢査ヲ受ケ又ハ
受ケントシタル者
第八條農產物ノ生產者、取引業者、倉
庫業者、運送業者其ノ他占有者ハ其ノ
代理人、戶主、家族、同居者、雇人其
ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ第六條
又ハ前條第二號ノ違反行爲ヲ爲シタル
トキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以
テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第九條第六條及第七條第二號ノ罰則ハ
其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役
其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、
未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ
法定代理人ニ之ヲ適用ス
但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ
有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラ
ズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一條第一項ニ規定スル農產物ニシテ從
前廳府縣令ニ依ル農產物檢査ヲ受ケ道府
縣ノ區域外ニ移出スルコトヲ得ルモノハ
命令ノ定ムル所ニ依リ同項ノ規定ニ依ル
檢査ヲ受ケタルモノト看做ス
農產物檢査ニ關スル廳府縣令ニ依リ前項
ノ農產物ニ附シタル印章、記號及證票ハ
之ヲ第四條ノ印章、記號及證票ト看做ス
日本輸出農產物株式會社法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十五年三月二十三日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
(小字ハ衆議院ノ修正)
日本輸出農產物株式會社法案
日本輸出農產物株式會社法
第一條日本輸出農產物株式會社ハ政府
ノ指定スル農產物(以下指定農產物ト
稱ス)ノ集荷及配給ノ統制ヲ圖ル爲必
要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株
式會社トス
第二條日本輸出農產物株式會社ノ資本
ハ一千萬圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ
之ヲ增加スルコトヲ得
第三條日本輸出農產物株式會社ノ株式
ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣
民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ
業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本
ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國
人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ
之ヲ所有スルコトヲ得
第四條政府ハ五百萬圓ヲ限リ日本輸出
農產物株式會社ニ出資スベシ
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ
株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ
得
第五條日本輸出農產物株式會社ニ非ザ
ルモノハ日本輸出農產物株式會社又ハ
之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲ス
コトヲ得ズ
第六條日本輸出農產物株式會社ニ役員
トシテ社長副社長各一人、理事三人以
上及監事二人以上ヲ置ク
第七條社長ハ日本輸出農產物株式會社
ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定
ムル所ニ依リ日本輸出農產物株式會社
ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本輸出農產物株式會社ノ業務
ヲ監査ス
第八條社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ政府
ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ三
年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ二年トス
輸出農產物ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者
ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本輸出農產
物株式會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主
務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條社長、副社長及理事ハ他ノ職務
又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政
府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第十條日本輸出農產物株式會社ハ左ノ
事業ヲ營ムモノトス
-指定農產物ノ買入及販賣
二指定農產物ノ出荷ニ必要ナル資材
ノ配給
三指定農產物ノ加工ノ委託
四前三號ノ事業ニ附帶スル事業
五其ノ他本會社ノ目的達成上必要ナ
ル事業
日本輸出農產物株式會社前項第四號又
ハ第五號ノ事業ヲ營マントスルトキハ
政府ノ認可ヲ受クベシ
日本輸出農產物株式會社ハ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ノ全部又
ハ一部ヲ廢止シ又ハ休止スルコトヲ得
ズ
第十一條日本輸出農產物株式會社ハ每
營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ
補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立
ツベシ
第十二條日本輸出農產物株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割
合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對
シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
日本輸出農產物株式會社ノ每營業年度
ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府
以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル
株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過ス
ル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル
株式ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超エ利
益配當ヲ爲サントスルトキハ其ノ超過
スル利益金額ハ利益配當ガ總株式ニ付
拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ
達スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式
ノ拂込ミタル株金額及政府ノ所有スル
株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ一ト三
トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第十三條政府ハ日本輸出農產物株式會
社ノ業務ヲ監督ス
第十四條日本輸出農產物株式會社社債
ヲ募集セントスルトキ又ハ借入金ヲ爲
サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベ
シ
第十五條日本輸出農產物株式會社ノ定
款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散
ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレ
バ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十六條日本輸出農產物株式會社ハ每
營業年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可
ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
第十七條政府ハ日本輸出農產物株式會
社ニ對シ指定農產物ノ集荷又ハ配給ノ
統制上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
政府ハ日本輸出農產物株式會社ニ對シ
其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲
サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要
ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第十八條政府ハ日本輸出農產物株式會
社監理官ヲ置キ日本輸出農產物株式會
社ノ業務ヲ監視セシム
日本輸出農產物株式會社監理官ハ何時
ニテモ日本輸出農產物株式會社ノ帳簿
書類、金庫其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコ
トヲ得
日本輸出農產物株式會社監理官必要ト
認ムルトキハ何時ニテモ日本輸出農產
物株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ
計算及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本輸出農產物株式會社監理官ハ株主
總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ
陳述スルコトヲ得
第十九條政府日本輸出農產物株式會社
ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ
基キテ爲ス處分若八定款ニ違反シ又ハ
公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ
取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十條政府ハ日本輸出農產物株式會
社ノ集荷ノ統制上必要アリト認ムルト
キハ指定農產物ノ生產(加工ヲ含ム以
下同ジ)又ハ販賣ヲ爲ス者ニ對シ指定
農產物ノ生產又ハ販賣ニ關シ必要ナル
命令ヲ爲スコトヲ得
政府ハ前項ニ揭グル者ニ對シ其ノ業務
及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシメ又
ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲ス
コトヲ得
第二十一條第十七條第一項又ハ前條第
一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條第二十條第二項ノ規定ニ依
ル報告ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シ
タル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十條第二項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者亦前項ニ同
ジ
第二十三條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第二十一
條又ハ前條第一項ノ違反行爲ヲ爲シタ
ルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮
ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ル
ルコトヲ得ズ
第二十四條第二十一條及第二十二條第
一項ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ
理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執
行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者
ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用
ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力
ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
第二十五條日本輸出農產物株式會社左
ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ
社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長
ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ
理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又
ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ
於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第十條ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ
營ミタルトキ
三第十七條第二項ノ規定ニ依ル命令
又ハ處分ニ違反シタルトキ
第二十六條日本輸出農產物株式會社ノ
社長、副社長又ハ理事第九條ノ規定ニ
違反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處
ス
第二十七條第五條ノ規定ニ違反シタル
者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第二十八條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十九條政府ハ設立委員ヲ命ジ日本
輸出農產物株式會社ノ設立ニ關スル事
務ヲ處理セシム
第三十條設立委員ハ定款ヲ作成シ政府
ノ認可ヲ受クベシ
第三十一條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツ
ベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付
株主ヲ募集スベシ
第三十二條株式申込證ニハ定款認可ノ
年月日竝ニ商法第百七十五條第二項第
二號及第四號乃至第七號ニ規定スル事
項ヲ記載スベシ
第三十三條設立委員株主ノ募集ヲ終リ
タルトキハ株式中込證ヲ政府ニ提出シ
其ノ檢査ヲ受クベシ
第三十四條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂
込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ
遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第三十五條創立總會ニ於テハ第八條ノ
規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行フベ
シ
第三十六條創立總會終結シタルトキハ
設立委員ハ其ノ事務ヲ日本輸出農產物
株式會社社長ニ引渡スベシ
第三十七條商法第百六十七條、第百八
十一條及第百八十五條ノ規定ハ日本輸
出農產物味式會社ノ設立ニハ之ヲ適用
セズ
第三十八條本法施行ノ際現ニ日本輸出
農產物株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ
以テ商號ト爲ス會社ハ本法施行後六月
以內ニ其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第五條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前項
ニ揭グル者ニ適用セズ
〔政府委員木村正義君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=5
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006・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今議題トナリ
マシタ木炭需給調節特別會計法案提出ノ理
由ヲ說明致シマス木炭ノ需給調節ノ爲、
政府ニ於テ行フ木炭ノ買入、賣渡又ハ貯藏
ニ關スル一切ノ歲入歲出ハ、之ヲ一般會計
ト區分シテ經理スルノヲ適當ト認メマスル
處、之ガ爲ニハ特別會計ヲ設置スルノ必要
ガアリマスルノデ、本法律案ヲ提出致シマ
シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速カニ
御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=6
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007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 島田農林大臣
〔國務大臣島田俊雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=7
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008・島田俊雄
○國務大臣(島田俊雄君) 農產物檢査法案
竝ニ日本輸出農產物株式會社法律案ニ付キ
マシテ提案ノ理由ヲ申上ゲタイト存ジマ
ス、先ヅ農產物檢査法案ニ付キマシテ、提案ノ
理由ヲ申上ゲマス、米穀其ノ他ノ農產物檢
査事業ハ、現在各道府縣ニ於キマシテ施行
シテ居リマスル關係上、檢査ノ統一及ビ的
確ヲ期スルコトガ困難ナル實情ニアルノデ
アリマス、從ッテ農產物檢査ノ國營ハ。屢こ
各方面カラ要望ガアリ、帝國議會ニ於キマ
シテモ、其ノ趣旨ニ於ケル決議又ハ建議等
モアッタ次第デアリマス、政府ニ於キマシテ
モ之ヲ實施スルノ方針ヲ以チマシテ、準備
ヲ進メテ參ッタノデアリマスガ、殊ニ最近ニ
於ケル米穀等ニ關スル諸政策運用ノ爲ニ
モ、是非共國營檢査ノ實施ヲ必要トスルニ
至リマシタノデ、此ノ度必要經費ヲ豫算ニ
計上シ、米穀其ノ他ノ重要農產物ニ付國營
檢査ヲ實施スル爲、本法案ヲ提出スルコト
ニ致シタノデアリマス、本法案ノ骨子ト致
シマスル所ハ米穀其ノ他ノ重要農產物ノ
規格ノ統一、取引ノ圓滑ヲ圖ル爲、檢査ノ
公正的確ヲ期スルコトヲ本旨ト致シマシテ、
總テ政府ノ行フ檢査ヲ受ケタルモノニアラ
ザレバ之ヲ受渡シ又ハ主務大臣ノ指定ス
ル地域ニ搬入スルコトヲ得ザルコトトシヨ
ウトスルモノデアリマス、何卒御審議ノ上
御協賛アラムコトヲ御願ヒ申上ゲマス、次
ニ日本輸出農產物株式會社法案ニ付キマシ
テ、提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、現下
ニ於ケル輸出振興ノ重要性ニ鑑ミマシテ
農產物ノ輸出ヲ促進致シマスコトハ、極メ
テ重要ノコトデアリマス、然ルニ最近ニ於
キマシテハ輸出農產物中、特ニ我國ノ特
產品タル除蟲菊、薄荷、豆類、菜種及菜種
油等ニ付キマシテハ國內ニ於ケル集荷ガ
極メテ困難デアリマシテ、輸出ハ勿論、軍
需其ノ他必要ナル方面ヘノ配給ガ、非常ニ
不圓滑ナル狀態ニ在ルノデアリマス、是ハ
一面ニハ、是等農產物ニ對スル各方面ノ需
要ガ增加シタコトニモ因ルト思ハレマスガ、
又一面ニ於キマシテハ、現在ノ國內取引事
情ニ統一ヲ缺イテ居ルコトガ、ヨリ大ナル
原因ヲ成シテ居ルモノト認メラルヽノデア
リマス、從ッテ此ノ際是等農產物ノ集荷ヲ統
制シ、其ノ出廻數量ヲ確保スルコトヲ極メ
テ緊要ト致ス次第デアリマス、以上ノ如キ
理由カラ致シマシテ、是等農產物ノ中樞的
集荷機關トシテ日本輸出農產物株式會社ヲ
設立シマシテ、政府モ之ニ出資致シマシテ、
是等農產物ノ集荷及ビ配給ノ統制上必要ナ
ル事業ヲ行ハシメ、以テ數量ノ確保ヲ圖ル
ト共ニ、之ヲ輸出業者、其ノ他ノ必要ナル
方面ニ圓滑ニ配給致シマス爲、玆ニ本法案
ヲ提出致シタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=8
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009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 質疑ノ御通告ガ
アリマス、此ノ發言ヲ御許シシマス、山隈
康君
〔山隈康君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=9
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010・山隈康
○山隈康君 期日切迫ノ際デアリマスルカ
ラ、極メテ簡單ニ御質疑ヲ申述ベタイト
存ジマス、〓糧問題ニ關シマシテハ政
府ハ種々御計畫ニ相成リ、之ト共ニ節米
運動モ相當近時行渡ッテ居ルヤウデアリマ
ス、此ノ爲ニ米穀〓糧ニ關シ、國民ガ稍ミ
安定ヲ致シマシタコトハ御同慶ニ堪ヘナイ
次第デアリマス、先般ノ私ノ質問ニ對ス
ル大臣ノ御答辯、更ニ其ノ後新聞ノ傳フ
ル所ニ依リマスレバ、政府ハ道府縣知事
ノ希望ニ依リ、政府米トシテ米ヲ買上ゲル
コトガ出來ル、而シテ其ノ買上ゲルモノニ
對シテハ、倉敷、金利ハ政府ガ之ヲ負擔ヲ
スル、斯ウ云フコトヲ承知シテ居ルノデア
リマスルガ、是ハ全ク時宜ニ適シタル御計
畫ナリト存ズルノデアリマス、此ノ道府縣
ガ政府米トシテ買入レマスル其ノ目的ヲ、
今少シク明確ニシタイト存ズルノデアリマ
ス、道府縣知事ノ希望ニ依ッテ政府米トシテ
買上ゲマスルノハ其ノ道府縣ニ最小限度
必要ナル糧〓ヲ確保スル目的ヲ以テ、此ノ
買入ヲ御認ニ相成ルカドウカト云フ點デア
リマス、近時各府縣デハ往々此ノ政府買上
米ニ對シテ疑問ヲ抱イテ居リマス、ソレハ
道府縣知事ノ希望ニ依ッテ、其ノ各道府縣デ
買上ハ致シタモノノ、元來ガ政府米デアル
爲ニ何時ニテモ政府ハ之ヲ引揚ゲル、斯ク
ノ如クスレバ、地方ノ糧食ヲ確保スル途ニ
ハ相成ラヌノデアル、地方ハ更ニソレ〓
ノ計畫ヲ立テテ食糧問題ノ確保ニ努メネバ
ナラヌ、ト云フヤウナ意見ヲ屢〓承ルノデア
リマス、此ノ故ニ政府ノ確タル御說明ヲ拜
聽シタイコトハ第一ハ道府縣ニ於テ最
小限度ニ必要ナル米穀ヲ政府米トシテ買上
ゲ希望ノアルトキハ其ノ必要ノ限度ニ於
テハ御許可ニ相成ルカト云フ點、モウ一ツ
ハ、其ノ政府米トシテ道府縣デ買入レマシ
タル米ハ、政府ノ指定シタル其ノ道府縣ノ
倉庫ニ之ヲ留保シテ、其ノ道府縣ニ必要ナ
ル米穀確保、糧食確保ノ爲ニ、其ノ儘留保
スルコトヲ御認ニナルカドウカト云フ點デ
アリマス、斯クノ如ク致シマスレバ、各道府
縣ハ、其ノ道府縣ニ必要ナル米穀ノ買入ヲ
致シマシテ、サウシテソレヲ地方ニ留保シ
テ、其ノ各地ノ米穀食糧問題ヲ確保致シマ
スレバ、民心ハ安心ヲスルデアラウト存ズ
ルノデアリマス、先般ノ政府ノ御說明モ左
樣ナ趣旨ニ承ッテ居ルノデアリマスルケレ
ドモ、相當之ニ對シテ疑問アリ不安アリ、
更ニ種々ノ畫策ヲ地方デヤッテ居ルカニ承
ルノデアリマス、此ノ際此ノ點ニ對スル政
府ノ御所信ヲ、更ニ御說明ヲ願ヒタイト存
ジマス
〔國務大臣島田俊雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=10
-
011・島田俊雄
○國務大臣(島田俊雄君) 只今ノ山隈君ノ
御質問ニ對シテ御答ヲ申上ゲマス、御質問
中ニ御述ニナリマシタ意味ノ通リニ大體
ヤッテ居ル積リデアリマス、是ハ度々申上ゲ
タカト存ジマスルガ、昨年來ノ米穀事情ニ
依リマシテ、動モスレバ不安ナ氣分ガアリ、
今日デハ餘程其ノ氣分ガ薄ライデ來テ居リ
マシテ、從ッテ殊更ニ米ヲ退藏スルト云フヤ
ウナ傾向モ薄ライデ來タヤウニ感ゼラレマ
スケレドモ、尙或ハ只今御質問中ニ申述べ
ラレタヤウナ意味合ヲ以テ、不必要ト云フ
コトハナイノデアリマスケレドモ、最低限
度ノ必要以上ノモノヲ縣內ニ留メテ置クト
カ云フヤウナ考ヘ方ヲシテ居ル向モアルノ
デアリマス、是等ニ對シマシテ、政府ト致
シマシテハ府縣ニ對シテ割當ヲ凡ソノ見
當ヲ以チマシテ、サウシテ政府米ノ買上ヲ
致シテ居ルノデアリマスガ、其ノ買上ヲ致
シマシタ場合ニ、悉ク之ヲ消費地ニ同時ニ
運ンデ來ル必要ハナイノデアリマス、又其
ノ縣ニ於キマシテモ、一應政府ニ買上ヲ致
シテ居リマシテモ、又縣內ノ需給ノ關係カ
ラ致シマシテ、縣內ニ於テ之ヲ供給シテ行
カネバナラヌヤウナ事情モ起ッテ來ルノデ
アリマス、例ヘバ山口縣ナラ山口縣ニ付テ
申シマスレバ、山口縣ニ於テハ外カラ寧ロ
移入ヲシナケレバナラヌ專情ニアルケレド
モ、縣內ノ事情カラ言ヒマスト云フト、或
部分ハ政府ニ買上ゲ、又外ノ地方ノ米ヲ入
レテ差支ナイト云フヤウナ事情モアルノデ
アリマシテ、左樣ナ場合ニ、政府ニ於テ買
上ゲル場合ニ、政府米トシテ之ヲ買上ゲテ
貰フ、サウシテ必要ナル場合ニハ馬關トカ
サウ云フヤウナ市街地ノ消費地ニ對シテ之
ヲ流シテ行カネバナラヌト云フ必要ガアル
場合ニハ、ソレニ向ッテ拂下ヲ行ッテ行ク、
斯ウ云フヤウナヤリ方ニナル場合ガアルノ
デアリマスガ、之ヲ政府米トシテ確保致シ
テ居リマセヌト云フト、ソレガ他ノ事情ニ
依ッテ政府ノ知レナイ方面ニ流レテ行キ、動
イテ行クト云フヤウナ事情ガアリマシテ、
全體ノ需給調節ノ上カラソコニ窮屈ヲ來ス
ト云フ虞ガアルノデアリマス、非常ニ米ノ
剩リマス年デアリマスレバ左樣ナ必要モナ
イノデアリマスガ、今年ノ如キ事情ニ於テ、
動モスレバ市街地卽チ治費地ニ於キマシテ
供給ニ不安ヲ感ズルヤウナ虞ノアリマス場
合ニハ政府ニ於テ斯樣テ處置ヲ執ルコト
ガ適當デアルト斯樣ニ考ヘマシテ、從ッテ政
府ガ買上ゲマシタ米ニ付テハ、政府ニ所有權
ガ移リマスカラシテ、所有權ノ移ッタ以後ニ
於キマシテハ、政府ガ倉敷其ノ他ノ費用ヲ
負擔スルコトニナリマスカラ、ソコニ一面
カラ申シマスト云フト、例ヘバ商人ガ或ハ
値上リデモシハセヌカト云フ意味デ米ヲ
持ッテ居リマシテ、買溜ヲシテ居ルト假ニ致
シマシテモ、左樣ナモノニ對シテハ、時期
ヲ經ルニ從ッテ倉敷、金利ト云フモノハ負擔
ヲシナケレバナラヌカラシテ、米價ノ昂騰
ノ見込ガナイト云フコトニナレバ、徒ニ金
利倉敷ヲ拂ッテ之ヲ持ッテ居ルト云フ不利
益ナ狀態ニアリマスカラシテ、自然ニ是ハ
手放シテ行ク、手放シテ行ッタ數量ガ、政府
ノ所有ニ歸シ自由ニ之ガ處分ガ出來テ、需
給ノ調節ガ出來ルヤウナ位置ニ置カレマス
レバ、ソレダケ米穀事情ト云フモノハ政府
カラ見マシテ非常ニ運用ガ易ラカニナル次
第デアリマシテ、之ヲ買上ゲタ米ハ悉ク東
京へ持ッテ來ル、大阪へ持ッテ來ル、消費地
ヘ悉ク運ンデ來ルト云フヤウナ誤解ノアル
向ニ對シマシテハ、其ノ意味ヲ以テ是迄答
辯ヲ致シテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、
其ノ點ハ只今御質問ノ中ニ御述ニナッタヤ
ウナ趣意ヲ以テ實行シテ居ル次第デアリマ
スカラシテ、左樣ニドウゾ御了承ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=11
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012・山隈康
○山隈康君 大體諒承シシマシタ、私ノ質
問ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=12
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013・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
木炭需給調節特別會計法案外二件ノ特別委
員ノ數ヲ十八名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=13
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014・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=14
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015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=15
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016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔石橋書記官朗讀〕
木炭需給調節特別會計法案外二件特別委
員
侯爵井上三郞君侯爵黑田長禮君
伯爵黑木三次君子爵西大路吉光君
子爵河瀨眞君子爵北條雋八君
松井茂君內田重成君
男爵小畑大太郞君男爵前田勇君
男爵山中秀二郞君宮田光雄君
赤池濃君大塚惟精君
中島德太郞君山上岩二君
佐藤助九郞君上野喜左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=16
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017・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、昭和
十三年度第一豫備金支出ノ件、日程第六、
昭和十三年度特別會計第一豫備金支出ノ
件日程第七、昭和十三年度特別會計豫備
費支出ノ件、日程第八、昭和十四年度第二
豫備金支出ノ件、日程第九、昭和十四年度
豫備金外豫算外支出ノ件、日程第十、昭和
十四年度特別會計第二豫備金支出ノ件、日
程第十一、昭和十四年度特別會計豫備金外
豫算超過及豫算外支出ノ件、承諾ヲ求ムル
件、衆議院送付、會議、委員長報告、是等
ノ七件ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長桂公爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣フ〕
昭和十三年度第一豫備金支出ノ件、昭
和十三年度特別會計第一豫備金支出ノ
件、昭和十三年度特別會計豫備費支出
ノ件、昭和十四年度第二豫備金支出ノ
件、昭和十四年度豫備金外豫算外支出
ノ件、昭和十四年度特別會計第二豫備
金支出ノ件、昭和十四年度特別會計豫
備金外豫算超過及豫算外支出ノ件
右承諾スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長公爵桂廣太郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔公爵桂廣太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=18
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019・桂廣太郎
○公爵桂廣太郞君 只今議題トナリマシタ
昭和十三年度第一豫備金支出ノ件外六件、
承諾ヲ求ムル件ノ特別委員會ニ於ケル審査
ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、付託
各件ニ付キマシテハ、過日ノ本會議ニ於テ
說明ガゴザイマシタカラ省略致シタイト存
ジマス、本委員會ハ去ル二十二、二十三ノ
兩日ニ亙リ開會致シマシタ質疑應答ノ主
ナルモノヲ由上ゲマスレバ豫算ニ計上サ
ルベキヤウナ性質ノモノガ、豫備金デ支出
サレテ居ルガ如何ナル譯カ、ト二三ノ委員
ヨリ箇々ノ事項ニ付質問ガゴザイマシタ、
是等ニ對シ政府ハ、ソレ〓〓緊急已ムヲ得
ナカッタ事情ヲ說明サレマシタガ、ソレ等ノ
詳細ハ速記錄ニ依リ御承知願ヒダイト存ジ
マーン、又一時速記ヲ中止シテ懇談的ニ種々
問答ガゴザイマシタ、其ノ大意ハ十四年
度第二豫備金支出ノ中ニハ行政機構ノ整
備費ガ各所ニ亙リ相當ニ多イガ、豫備金ヲ
以テ官吏ヲ增員シ、大キナ行政機構ヲ造ル
ト云フヤウナコトハ成ルベク避ケテ、最小限
度ニ止メルベキデハナイカト云フ質問ニ對
シ、政府ハ、豫算ノ本質ヨリ見レバ出來ル
限リ豫算ニ計上スベキデアリ其ノヤウニ
致シタイノデアルガ、緊急ヲ要スルモノヤ
經驗ノナカッタヤウナモノモ出テ來ルノデ、
其ノヤウナモノハ豫算ニ計上スルコトガ困
難ナ場合ガ多ク、昨年ノ如キハ非常ニ事
務ガ輻輳シタシ、新タニ機構ヲ造リ、或ヘ
從來ノ機構ヲ擴充致スト云フコトガ、ドウ
シテモ避ケ得ラレナカッタヤウナ實情デアリ
マシタノデ、最小限度ニ於テ之ガ支出ヲ認
メルコトニシテ參ッタ旨ノ答辯ガゴザイマシ
タ、次イデ討論ニ入リマシタガ、別段ノ發
言モナク、採決ノ結果付託七件共、全會一
致承諾スベキモノト議決セラレマシタ、簡
單デゴザイマスガ、以上御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、是等ノ七件ヲ一括シテ採決ヲ致シ
マス、是等ノ七件ニ對シ、委員長ノ報告通リ
承諾ヲ與フルコトニ、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=20
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021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナシト認
3.5.発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=21
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022・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第十二、昭
和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲
公債發行ニ關スル法律案、日程第十三、昭
和十二年法律第八十四號中改正法律案、日
程第十四、職員健康保險特別會計法案、日
程第十五、作業會計法中改正法律案、日程
第十六、造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其
ノ他ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル法律案、日程第十七、昭
和十三年法律第五十三號中改正法律案、日
程第十八、豪灣事業公債法中改正法律案、
日程第十九、臺灣官設鐵道用品資金會計法
中改正法律案、日程第二十、朝鮮事業公債
法中改正法律案、日程第二十一臺灣私設
鐵道補助法中改正法律案、日程第二十二、
政府出資特別會計法案、日程第二十三、陸
軍航空工廠資金特別會計法案、日程第二十
四、金資金特別會計法中改正法律案、日程
第二十五、昭和十三年法律第二十三號中改
正法律案、日程第二十六、樺太鐵道株式會
社所屬鐵道買收ノ爲公債發行ニ關スル法律
案、日程第二十七、樺太地方鐵道補助法中
改正法律案、日程第二十八、陸軍作業會計
法、陸軍航空工廠資金特別會計法及海軍工
廠資金會計法ノ臨時特例ニ關スル法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報告、是等ノ十七案ヲ、一括シテ議題
ト爲スコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス委員長西尾子爵
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
職員健康保險特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
作業會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法
律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
政府出資特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方、
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
陸軍航空工廠資金特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
金資金特別會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
樺太鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公
債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長子爵西尾忠方
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵西尾忠方君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=23
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024・西尾忠方
○子爵西尾忠方君 只今議題トナリマシタ
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案外十六件ノ法律
案ノ、特別委員會ノ審議ノ〓要竝ニ其ノ結果
ニ付キマシテ御報告ヲ申上ゲマス、先ヅ日
程第十二、昭和十五年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案、竝ニ
日程第十三、昭和十二年法律第八十四號中
改正法律案ニ付、便宜一括シテ申上ゲマス、
御承知ノ通リ是ハ所謂赤字公債ト臨時軍事
費支辨ノ爲ノ公債發行ニ關スルモノデアリ
マく、昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ト
シテハ、現行ノ震災善後公債法及道路公債
法ニ依リ公債ヲ發行スル外、歲入ノ不足
ヲ補塡スル爲、更ニ公債十七億千二百十萬
圓ヲ起債スルノ必要ニ依ルノデアリマス、
又昭和十二年法律第八十四號ノ改正ハ、臨
時軍事費四十四億六千萬圓ノ追加計上ノ
中、三十六億七千三百九十餘萬圓ヲ公債財
源ニ依リ支辨セムトスルモノデアリマス
委員會ニ於ケル主ナル質疑應答ヲ申上ゲマ
スレバ、一委員ヨリ、公債消化ノ將來ニ
付テ何等カノ方法ヲ講ズル必要ハナイカ、
卽チ國民ヲシテ强制的ニ公債ヲ保有セシム
ルヤウナ方法ヲ執ル必要ハ生ジナイカトノ
御質疑ニ對シマシテ、當局ヨリ、國債消化
ニ付テハ一方ニ預金部ノ引受ガアリ、他
方ニハ日本銀行ノ引受ガアリ、此ノ日本銀
行ノ引受ケタ國債ハ、或ハ郵便局ヨリ賣出
シ或ハ市中ノ金融機關其ノ他ニ賣却セラレ
テ居ルノデアリマス、而シテ事變以來消化
ノ成績ニ依リマスルト、事變發生後、卽チ
昭和十二年下半期ニ發行シタ國債額ハ十三
億デアリマシテ、其ノ消化割合ハ五五「。バ
セント」半ニナッテ居リマス、昭和十三年
中ニ發行シタ國債額ハ十三億三千萬圓デ、
其ノ消化率ハ八七「。パーセント」半ニナッテ
居リマス、更ニ昭和十四年ニ於キマシテハ、
國債發行額五十二億八千餘萬圓デアリマシ
テ、其ノ消化率ハ八九「パーセント」二ト云
フ狀況デアリマス、此ノ事變下ニ於ケル國
債消化トシテハ好成績ト思ハレルノデアリ
マス、更ニ本年ニ入リマシテ、三月十日迄
ニ九億圓ヲ發行シ、九五「パーセント」六ト
云フ消化率ヲ示シテ居ルヤウナ次第デアリ
マスカラ、敢テ强制保有ト云フヤウナ國家
權力ニ依ラズシテ、從來ノ通リ一般國民ノ
理解ト協力トニ依ッテ、國債ハ消化シ得ル確
信ヲ持ッテ居ルトノ御答デアリマシタ、次ニ
今日支那事變下ニ於キマシテ、日滿支經濟
ㄱブロック」ノ建設、生產力擴充、軍備充實ト
云フ三ツノ事柄ハ、ドウシテモ之ヲ遂行シ
テ行カナケレバナラナイノデアリマシテ、
而モ相當長期ニ亙ッテ、是等ヲ維持シテ行カウ
ト云フノデアリマスカラ、現在ノ儘デハ無
理デハナイカ、日本ノ國力ニ應ジテ適當ニ
按配整理スル必要ハナイカト云フ御質疑ニ
對シマシテ、大藏大臣ノ御答ハ、財政上ノ
見地カラ言ヘバ國際上非常ナ變化ガナイ
限リハ、事變ガ更ニ數年繼續シテモ何等心
配スル所ガナイ、唯物資ノ上ニ於テ若干日
本ニテ生產シ得ナイモノガアルカラ、其ノ
必要品ヲ輸入スルダケノ正貨ヲ獲得スル途
ガ付ケバ、事變ガ長期ニ亙ッテモ憂フルニ足
ラナイノデアル、此ノ輸入力ニ付テハ貿易
上輸入品ニ對シテ嚴重ナル統制ヲ加ヘ、
輸出ヲ極力奬勵シ、又一面產金トカ金ノ蒐
集等ト相俟ッテ、必要物資ノ輸入力ヲ維持シ
サヘスレバ一兩年ノ中ニハ生產力モ擴充
セラレ、日滿支間ノ經濟モ綜合的ニ確立セ
ラルヽニ至ルノデアルガ、ソレ迄ノ間ハ、
國民トシテ一大覺悟ヲ以テ進ンデ貰ハナケ
レバナラナイト云フ意味ノ御答デアリマシ
タ、又我ガ國ノ生產狀態ハ、昨秋以來、所
謂縮小再生產ノ過程ニ入ッタトモ見ラルヽ
ノデ現ニ動力、原料等ノ不足ハ、旣ニ企
業收益ヲ減退セシメテ居ル方面モアリ、民
心ノ不安動搖ハ、物資ニ對シ不當ノ買溜、
隱匿ガ行ハレル等、是等ノ影響ヲ受ケテ、
公債ノ消化殊ニ小額公債ノ賣レ行キハ、相當
ニ影響ヲ蒙ッテ居ルヤウニ見ラルヽノデ、
國民ノ貯蓄力ト公債保有ノ限度トノ關係ニ
付テハ、深甚ナル考慮ヲ拂フベキ時期ニ到
達シテ居ルト思ハレルガ、藏相ノ御所見如
何ト云フ御質疑ニ對シマシテ、其ノ御答ハ、
公債消化ノ基礎トナル國民ノ貯蓄ニ付テ
ハ、幸ヒ國民ノ協力ニ依ッテ成績ヲ擧ゲテ居
ルコトハ、甚ダ心强ク感ズルノデアリマス、
昭和十五年度ハ百十億乃至百二十億ノ計畫
ヲ立テテ進ンデ行キマスガ、御話ノヤウナ
經濟界ノ事情ハアリマスカラ、十分ナル努
力ヲ拂ヘバ其ノ目的ハ達シ得ルト思ヒマス、
又物價ニ付テハ、今日物價ヲ抑ヘテ居ルコ
トガ、一面カラ見レバ、生產擴充ヲ阻碍シテ
居ル懸念モアリマスカラ、一日モ早ク、適
正價格ノ決定ニ努力シテ、國民ヲシテ生產
擴充ニ力ヲ盡スヤウニ向ケタイト思フトノ
御答デアリマシタ、次ニ又一委員ヨリ、現
下非常時ニ於テ我ガ國ガ每年多大ノ國費ヲ
要スル際、其ノ財源ヲ主トシテ公債ニ仰グ
ト云フコトハ、現狀トシテ巳ムヲ得ナイ所
デアリマス、幸ヒ今日迄政府ノ御努力ト國
民ノ愛國心ニ依リ、巨額ノ公債モ圓滑ニ消
化セラレタノデアリマスガ、此ノ形勢ハ時
日ノ經過ト共ニ困難トナルコトハ覺悟シナ
ケレバナラナイノデアリマス、ソレニ付テ
最モ必要ナルハ、公債償還ニ關スル政府ノ
將來ノ對策デアラウト存ジマス、勿論目下
如何ニシテ巨額ノ公債ヲ募集スルカト云フ
難問題ニ直面シテ居ル際、其ノ償還整理ノ
コトハ將來ノ問題デアルト云フ論モアリマ
セウガ、財政上深謀遠慮ノ上カラハ巨額
ノ公債ヲ發行スルニ際シテハ自ラ是ガ償
還ニ對スル將來ノ腹案ガナケレバナラヌト
思ヒマス、今囘政府ハ多年ノ懸案デアッタ稅
制ノ改正ヲ爲シ、增稅計畫ヲ立テラレマシ
タノデアリマスカラ、此ノ機會ニ於テ、此
ノ增稅ト相俟ッテ多額ノ公債ノ償還計畫ヲ
樹テラレルニハ、好イ機會ト思フノデアリ
やっく、公債償還ノ將來ノ對策ニ付テ、今囘
ハ未ダ制度ノ上ニ具現ヤラレナカッタコトハ
遺憾ニ存ジマスガ、是モ亦現下ノ情勢上巳
ムヲ得ナイトシテモ、今後長期建設ノ上カ
ラ、更ニ每年巨額ノ國費ヲ要スル上カラ多
大ノ公債ヲ募集スルト云フ狀態ニ於キマシ
テ、之ガ償還ノ方法モ同時ニ竝行シテ立テ
ラレナケレバ、公債ノ消化ノ上ニ憂慮スベ
キ事柄デアリマス國債消化ノ難局ト云フ
コトハ、殆ド我ガ國ノ運命ヲ支配スルモノデ
アルト言ッテモ過言デハナイ位ノ狀態ニナッ
テ居ルト存ジマス、此ノ際之ニ對スル當局
ノ御腹案ナリトモ御示ヲ願ヒタイト云フ御
質疑ニ對シマシテ、大藏大臣ハ、此ノ公債
ノ發行ニ際シテハ、ドウシテモ公債ノ價格
ヲ堅實ニ維持スル上カラ、其ノ償還ニ對ス
ル確固タル方針ヲ立テテ行クコトハ最モ
重要ナルコトト思ヒマス、從來國債ノ元金
償還ノ繰入額ガ萬分ノ百十六ト云フ規定ノ
アリマシタノガ、其ノ三分ノ一ニナッテ居ル
狀態ハ深ク留意シナケレバナラヌコトデア
リマス、今期議會ニ提出シタ豫算ヨリ申セバ、
優ニ此ノ萬分ノ百十六ノ三分ノ一デハナク、
萬分ノ百十六デモ償還シテ餘リアル狀態ニ
ナッテ居ルノデアリマス、今囘ノ增稅ト自然
增收トニ依リ、連年增加シテ行ク恩給トカ
年金トカヲ支辨スルト同時ニ、國債ノ利子
ヲ拂ヒ、而シテ尙相當ノ元金償還ヲ爲スダ
ケノ計畫ハ立ッテ居リマスガ、組閣早々デア
リマシタノデ之ニ對スル具體策ヲ提出シ
得ナカッタコトハ遺憾ニ思フノデアリマス、
次ノ機會ニ於テ成ルベク早ク、此ノ問題ニ
對シ具體的ノ方策ヲ立テテ御協賛ヲ願ヒタ
イト考ヘテ居ルトノ御答辯ガゴザイマシタ、
次ハ日程第十四、職員健康保險特別會計法
案、本案ハ政府ノ經營スル職員ノ健康保險
事業ニ關スル歲入歲出ヲ、一般會計ト區分
シテ特別ノ會計ヲ設置スルガ爲デアリマシ
テ、特ニ玆ニ御報〓ヲ申上ゲル質疑モゴザ
イマセヌデシタ、次ハ日程第十五、作業會
計法中改正法律案、本案ハ作業會計法ノ第
二條第四項ノ改正デアリマシテ、卽チ近年
燃料廠ノ事業ガ增大シテ參リマシタノデ、
据置運轉資本ニ不足ヲ生ジマスノデ從來
ノ二百萬圓ヲ六百萬圓ニ增額スル必要ノ爲
デアリマス、一委員ヨリ海軍ニ於テ油ノ
問題ハ海軍活動ノ中心ヲ成スモノデアル故
ニ、僅カ六百萬圓位ノ運轉資本ノ增額デ差
支ナイノデアルカト云フ問ニ對シ、當局ヨ
リ、燃料廠ガ現在ノ規模デアル限リハ是デ差
支ナイガ、目下事業ノ擴張ヲ計畫中デアルカ
ラ、其ノ進行ニ伴ヒ此ノ金額デハ不足スル
場合ガ數年後ニ來ルコトト考ヘルトノ御答
デアリマシタ、尙本案ニ付キマシテハ、政府ノ要
求ニ依リマシテ祕密會ヲ開キマシテ、海軍大臣
竝ニ說明員ヨリ詳細ナル油ニ關スル御說明
ヲ承ッタノデアリマス、次ハ日程第十六、造幣
局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ建物及
其ノ附屬設備ノ新營擴西、ニ要スル經費ニ關
スル法律案、本案ハ、以上ノ各設備ノ新營
擴張費トシテ造幣局資金ノ中カラ三百萬圓
ヲ、昭和十五年度及ビ昭和十六年度ニ亙
リ、一般會計ニ繰入レムトスルコトデアリ
マシテ、別ニ御報告ヲ申上グル御質疑モゴ
ザイマセヌ、日程第十七、昭和十三年法律
第五十三號中改正法律案、本案ハ、印刷局
ニ於ケル事業ノ增大ニ伴ヒマシテ、据置運
轉資本ノ不足ヲ補フ爲、現在ノ借入金法定
額四百萬圓ヲ七百、萬圓ニ增額スル改正デア
リマス、一委員ヨリ、据置運轉資本ヲ增額
シナイデ、單ニ借入金ダケヲ增額スルト云
フコトハドウ云フ譯デアルカ、尙借入金ノ
返濟方法ニ付テ御質疑ガゴザイマシタ、之
ニ對シ當局カラ、此ノ印刷局ニ於テハ、每
年相當ノ益金ヲ出シテ一般會計ヘ繰入レテ
居ルヤウナ譯デ、年度全體ヲ通ジテハ借入
金ヲ必要トスル收支狀態デハナイノデアリ
マス、唯每年五月頃、前年度ニ於ケル益金
ヲ一般會計ニ一時ニ繰入レル際ニ、一時資
金ノ不足ヲ生ジマスノデ、此ノ借入金ヲ必
要トスルノデアリマス併シ是ハ漸次八月
頃ヨリ半年位ノ間ニ生ズル益金ヲ以テ元利
金ヲ返還スルノデアリマス、而シテ此ノ事
業ガ增シタノハ、兌換銀行劵、公債竝ニ小
額紙幣等ノ印刷デアリマシテ、何レモ事變
ノ影響ニ依ル臨時的ノモノト考ヘラルヽノ
デアリマスカラ、一時借入金ノ增額ヲ以テ
處理シテ居ルト云フ御答辯デアリマシタ、
次ハ便宜上關聯シテ居リマス日程第十八、
第十九、第二十一ノ三案ニ付一括シテ御報
告申上ゲマス、日程第十八、臺灣事業公債
法中改正法律案、本案ハ豪灣總督府特別會
計ニ於ケル既定繼續費鐵道建設費ニ追加シ
タル高雄臨港線及ビ新高港臨港線建設工事
ニ要スル經費九百四十八萬圓、竝ニ既定繼
續費臺北及ビ高雄驛改良費ヲ改稱シテ停車
場改良費トシ、右繼續費ニ追加シタル南部
操車場設費及ビ新竹、新營及花蓮港各驛改
良ニ要スル經費六百八十四萬千圓、合計千
六百三十二萬千圓ノ中、千六百萬圓ハ同特
別會計ノ現狀竝ニ其ノ經費ノ性質ニ顧ミマ
シテ之ヲ公債財源ニ依ルコトトシタル
爲臺灣事業公債法ニ依ル公債發行限度ヲ
千六百萬圓ダケ增加スルト云フコトデア
リマス、次ニ日程第十九、臺灣官設鐵道用
品資金會計法中改正法律案ハ、臺灣ニ於ケ
ル官設鐵道事業ノ增大ニ伴ヒマシテ、本資
金ノ不足ヲ生ジマスノデ、其ノ法定額百萬
圓ヲ二百萬圓ニ增額シ、其ノ不足額ハ漸次
臺灣總督府特別會計ヨリ之ヲ繰入レルコト
トスル改正デアリマス、次ニ日程第二十一、
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案、臺灣ニ
於テ本法ニ依リ現ニ補助金ヲ交付シツヽ
アル私設鐵道ハ、臺北鐵道株式會社及ビ臺
中輕鐵株式會社ノ經營ニ屬スル二線デアリ
マス、臺灣ニ於ケル私設鐵道ノ助成上、之
ガ經營ノ實績ニ鑑ミマシテ、其ノ補助期間
ヲ更ニ五箇年間延長シ得ル途ヲ拓クト同時
ニ、尙補助ノ方法ニ付キマシテモ、現下金
利ノ低下ノ趨勢ニ照シ、又內地朝鮮トノ權
衡ヲ考慮シマシテ、此ノ際補助率ハ一率ニ
之ヲ五分トシ、又益金留保率ハ一分ニ改メ
タノデアリマス、而シテ現ニ補助ヲ受ケツ
ツアル鐡道ニ對シマシテハ、所謂旣得權ヲ
尊重シマシテ、現在ノ補助期間滿了ノ日ニ
屬スル營業年度ノ末日迄ハ、從前ノ例ニ依
リ補助スルコトトナッテ居ルノデアリマス、
以上三案ヲ通ジテ申上ゲマスレバ、臺灣ニ
於ケル私設鐵道補助ハ僅カニ十數「キロ」ニ
過ギナイノデアルカラ、是ハ寧ロ買收シタ
方ガ適當デハナイカト云フ御質疑ニ對シマ
シテ、當局ヨリハ、本線ハ國有鐵道ノ代用線
デアリ、且產業方面ニ必要ナル線路デアル
カラ、將來ハ國營トシテ然ルベキモノト思
フガ、今日ハ未ダ其ノ時機ニ到達シテ居ナ
イトノ御答デアリマス、尙臺灣ノ經濟事情
ニ付キマシテ色々御質疑ガゴザイマシタ
ガ、總務長官ヨリ各方面ノ事項ニ亙リマシ
テ、、詳細ナル御說明ガゴザイマシタ、次ハ前
ノ日程ニ戾リマシテ日程第二十、朝鮮事業
公債法中改正法律案ニ付テ申上ゲマス、本
案ハ、朝鮮總督府特別會計ニ於ケル既定繼
續費鐵道建設及改良費、道路修築改良費、
港灣修築改良費及送電施設費ノ追加額等二
億九千百五十餘萬圓中、二億八千六百九十
餘萬圓ニ付キマシテハ、同特別會計歲計ノ
現狀竝ニ其ノ經費ノ性質ニ鑑ミマシテ、之
ヲ公債財源ニ依ルコトト致シマシタル處、
鐵道建設及ビ改良既定額ノ内、公債財源ニ
依ル豫定ナリシモノヲ、普通財源支辨ニ振
替ヘマスルモノ等ガ千七百餘萬圓アリマス
ル爲、差引二億六千九百九十萬圓グケ、現
行ノ朝鮮事業公債法ニ依ル公債ノ發行限度
ヲ增加スルト云フコトデアリマス、一委員
ヨリ致シマシテ、朝鮮ニ於ケル先般ノ早害
ガ、送電施設ニ如何ナル影響ヲ及シタカト
云フ御尋ニ對シマシテ、朝鮮ノ南ハ火力發
電ニ依リ、北鮮ハ主トシテ水力發電ニ依ッテ
居リマスノデ、旱魃ハ南鮮ノ方デアリマシ
タカラ、水力ノ不足ト云フコトハ何等ノ影
響ガナカッタト云フコトデアリマス、此ノ點
內地ト事情ヲ異ニシテ居ルノデアリマスト
ノ御答デアリマシタ、次ニ鴨綠江河口ノ多
獅島ノ工業地帶計畫ニ付テ質疑ガアリマシ
タ、之ニ對シテ當局カラ、多獅島ノ修築ハ
目下餘程進捗シテ參リ、之ニ伴フ工業地帶
モ都市計畫委員會ノ議ヲ經テ)可ナリ廣大
ナル區劃ヲ多獅島及ビ新義州ノ間ニ指定ヲ
ジ、豫定ノ進行ヲシテ居ルト云フコトデア
リマス、其ノ他朝鮮ノ統治方針、或ハ朝鮮
ノ民情等ニ付キマシテ種々御質疑ガアリマ
シタ、之ニ對シ拓務大臣竝ニ政務總監ヨリ
詳細ナル御答辯ヲ得タノデアリマス、次
日程第二十二、政府出資特別會計法案、本
案ハ、特殊會社法等ニ基ク政府ノ出資ハ近
年特ニ增加シ、其ノ現在額ハ一般會計所
屬ノ分十億七千九百餘萬圓、特別會計所屬
ノ分一億千百餘萬圓、其ノ中昭和十四年度
末現在拂込濟豫定額ハ一般會計所屬ノ分
八億三千五百餘萬圓、特別會計所屬ノ分七
千七百餘萬圓デアリマシテ、相當巨額ニ上ツ
テ居リマス處、此ノ際政府出資ノ性質等ニ
鑑ミマシテ、特段ノ定ニ依リ他ノ特別會計
ノ所屬ト致シマスルモノヲ除キ、他ハ總テ
之ヲ統合シ、之ニ關スル歲入歲出ハ他ノ會
計ト區分經理スルヲ適當トシテ規定セラレ
タノデアリマス、一委員ヨリ、本案ハ法文上
出資ナル文字ハ株式ノ買入迄ヲ含ムト解シ
得ルノミナラズ、豫算ヲ見ルト、項ニ出資
金トアリ滿鐵等各會社ヘノ出資額ハ目ニ
揭ゲテアル、是デハ豫算ノ形式上、目以下
ハ流用ガ可能デアル結果、豫算面ニ示サレ
テ居ル金額モ之ヲ流用シテ他ノ會社ノ出資
ニ向ケルコトガ出來ル、又、目ハ追加スル
コトモ出來ルカラ、豫算ニ示サレテナイ會
社ノ株式ノ買入モ出來ルコトニナリ、政府
ニ與ヘル權限ガ廣汎ニ失シ不都合デハナイ
カト云フ御質疑ガゴザイマシテ、政府ガ株
式又ハ持分ヲ取得スルコト、卽チ政府出資
ヲ致シマスニ付テノ根本方針ハ、從來ト變
リガナイノデアリマス、從ヒマシテ御指摘
ノヤウニ、政府ガ豫算ニ示シテアル以外ノ
株式ヲ、豫算ノ流用ニ依リ買入レルガ如キ
コトハ、實際ニ於テハナイト思ヒマス、併
シナガラ豫算ノ形式ガ不適當デアルカラ、
將來之ヲ變更シテ、政府ガ出資セムトスル
各會社ヘノ出資額ハ、目デナク項ニ揭ゲテ、
之ヲ流用ノ出來ナイヤウニシテ、政府ノ考
ヘテ居ルコトト豫算ノ形式トガ、名實共ニ
一致スルヤウニスベシト云フコトニ付テ
ハ御趣旨御尤ニモ存ゼラレマスノデ、將
來ニ於キマシテハ篤ト考慮シテ善處シタイ
トノ御答辯デアリマシタ、次ハ日程二十三、
陸軍航空工廠資金特別會計法案、本案ハ、
近ク設置セラレマス陸軍航空工廠等ニ於
キマシテ、陸軍航空兵器ノ製造修理ノ事業
ヲ經營致シマス處、其ノ事業ノ性質上、之
ニ要スル材料物品ヲ相當期間準備保有スル
ノ必要ガアリマス爲、其ノ資本トシテ五百
萬圓ラ、新タニ陸軍航空工廠資金トシテ置
クコトトシタノデアリマスガ、之ニ關スル
歲入歲出ハ、一般會計ト區分シ特別ニ經理
スル必要ガアルノデ、特別會計ヲ設置ス
ルニ至ッタノデアリマス、之ニ付キマシ
テ特ニ申上ゲル御質疑ハゴザイマセヌ
次ハ日程第二十四、金資金特別會計法中
改正法律案、右ハ現今ハ、金資金特別會
計法第三條ノ規定ニ依リマスレバ金資
金ハ總額五千萬圓ヲ限リ、豫算ノ定ムル所
ニ依リマシテ、之ヲ產金ノ增加ヲ圖ル爲必
要ナル費途ニ使用スルヲ得ルコトト相成ッ
テ居リマスル處、現下ノ時局ニ鑑ミマスル
ニ此ノ金額ノ限度ヲ擴張致シマスルト同
時ニ、金資金ヲ使用シ得ル範圍ヲモ擴張致
シマシテ、金資金總額二億圓ヲ限リ、豫算
ノ定ムル所ニ依リマシテ、之ヲ產金ノ增加
及ビ金ノ集中ヲ圖ル爲、必要ナル費途ニ使
用スルコトヲ得ルコトトシ、以テ產金ノ增
加及ビ金ノ集中ヲ促進シ、國際收支ノ改善
ニ資セムトスル改正デアリマス、之ニ付キ
マシテモ別ニ玆ニ申上ゲル御質疑ハゴザイ
マセヌ、次ニ日程第二十五、昭和十三年法
律第二十三號中改正法律案、是ハ同法第一
條ノ規定ニ依リマシテ、關東局、朝鮮總督
府、臺灣總督府及樺太廳ノ各特別會計ヨリ、
其ノ租稅收入ノ一部ニ相當スル金額ヲ、臨
時軍事費特別會計ニ繰入レルコトニ相成ッテ
居リマスルモノノ外ニ、今囘新タニ關東局
特別會計ニ於ケル外貨債特別稅及揮發油稅、
樺太廳特別會計ニ於ケル營業收益稅、酒造
稅及資本利子稅ノ、各昭和十五年度以降ノ
增徵ニ因ル增收額ノ一部ニ相當スル金額ヲ、
又朝鮮總督府、臺灣總督府及ビ樺太廳ノ各
特別會計ニ於ケル特別法人稅、臺灣總督府
特別會計ニ於ケル配當稅ノ各創設ニ因ル收
入額ノ一部ニ相當スル金額ヲ、每年度豫算
ノ定ムル所ニ依リ臨時軍事費特別會計ニ繰
入ルヽコトト致シマシク處、是ガ會計上ノ
處理ニ關スル改正ヲ必要トスルニ因ルノデ
アリマス、本案ニ付キマシテモ別ニ御質疑
ハゴザイマセヌデシタ、次ニ日程第二十六、
樺太鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公債發
行ニ關スル法律案、本案ハ、當初財政上其
ノ他ノ事情ニ依リ國鐵代行線トシテ敷設セ
ラレマシタ國鐵、東海岸落合驛ヨリ東海岸
ヲ北上シテ敷香ニ至ル延長二百四十五キ〓
ロㄴ五分ノ私設鐵道デアリマスガ、交通竝
ニ拓殖上ノ重要幹線デアリマスノミナラズ
國防上ニ於テモ亦重大ナル使命ヲ有シテ居
リマスノデ、之ヲ國營ニ統一シテ諸設備ノ
改善ヲ圖ルト共ニ、國營鐵道ノ運營系絡整
備ノ必要上等ヨリ、昭和十五年度ニ於テ之
ヲ買收スル必要ヲ認メマシタノデ、之ガ買
收代價トシテ交付スベキ公債ヲ發行シ得ル
コトトスルノ必要ニ依ルノデアリマスヽ委
員會ニ於キマシテ一委員ヨリ買收豫定額
ニ付御尋ガアリマシタ、當局ヨリ之ニ對シ、
建設費ヲ基準トシテ二千三百四十六萬圓ト
見積リ、之ニ對シ假ニ三分五厘ノ公債ヲ發
行交付スルコトトナレバ、公債額面トシテ
二千四百二十九萬圓バカリヲ豫定シテ居ル
トノ御答辯デアリマシタ、其ノ他ハ速記錄
ニ讓リタイト存ジマス、次ハ日程第二十七、
樺太地方鐵道補助法中改正法律案、是ハ樺
太ニ於テ現ニ補助中ノ地方鐵道ハ、樺太鐵
道株式會社ト南權鐵道株式會社ノ二ツノ鐵
道デアリマシテ是等ノ鐵道ニ對スル補助
方法ハ、金利ノ著シク低下シタ現下經濟界
ノ趨勢ニ鑑ミ、又朝鮮及ビ臺灣ノ私設鐵道
補助法トノ均衡ヲモ考慮シテ、此ノ際補助
率及ビ益金留保率ヲ引下グルコトガ適度デ
アルト云フ、理由ヲ以チマシテ、補助率ハ一
率ニ之ヲ五分トシ、又益金留保率ハ之ヲ一
分ト改メタノデアリマス、尙每年ノ補助金
最高額法定ノ制度ヲ改メマシテ、補助額ハ
每年之ヲ豫算ニ於テ定ムルコトト致シタノ
デアリマス、而シテ現ニ補助ヲ受クル鐵道
ニ對シマシテハ、所謂旣得權ヲ尊重シマシ
テ、現在ノ補助期間滿了ノ日ノ屬スル營業
年度ノ末日迄ハ、從前ノ例ニ依リ補助ヲス
ルコトトシタノデアリマス、別ニ委員會ニ
於キマシテハ玆ニ申上ゲル程ノ御質疑ハゴ
ザイマセヌデシタ、最後ニ日程第二十八、
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特別會
計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時特例ニ關
スル法律案ヲ申上ゲマス、本案ハ、今次事
變ニ際シ、陸海軍用兵器等ノ調達竝ニ修理
ヲスルニ必要ナル材料物品ノ一部不足ノ爲
之ガ完成ニ支障ヲ來スガ如キ場合ニハ臨
時應急的措置トシテ、陸軍造兵廠、千住製
絨所、陸軍航空工廠資金又ハ海軍工廠資
金ノ各特別會計ニ屬スル材料物品ニシテ、
融通ヲ爲シ得ルモノハ、當該事業主ニ賣
後ろう、之ガ製造修理ノ圓滑ヲ圖ルノ必
要アル處、是ガ爲ニハ陸軍作業會計法、
陸軍航空工廠資金特別會計法及海軍工
廠資金會計法ノ特例タルベキ法律ヲ制
定スルノ必要ニ依ルノデアリマス別ニ申
上ゲル御質疑モゴザイマセヌデシタ、以上
ハ當委員會ニ付託サレマシタ法案ノ中、十
七件ニ關スル質疑應答ノ〓要ヲ申上ゲタニ
過ギナイノデアリマス、昨日討論ニ入リマ
シタ處、一委員ヨリ御發言ガアリマシタ、
卽チ政府出資特別會計法ニ付テ、政府委員
ノ御說明デハ出資ニ屬スル金迄モ、卽チ生
產的事業ニ投ズル金迄モ、其ノ財源ガ公債
ニ依ル場合ハ、赤字公債ト云フ名稱ノ下ニ
〓括セラルヽコトハ面白クナイト言ハルヽ
ガ、元來出資ト雖モ、國庫ニ餘裕ガアルナ
ラバ普通財源ニ依ルノガ當然デ、其ノ財源
ガナイ場合ナレバコソ、公債ヲ以テ之ニ應
ズルコトハ妨ゲナイノデアッテ、是ハ其ノ時
ノ事情ト性質ニ依ル問題ト思フ、ト云フノ
デアリマスガ、多クノ公債ヲ出シテ置キナ
ガラ、赤字公債ト云フモノガ少キガ如キ感
ヲ與フルコトハ、寧ロ財政上ノ本旨ニ反ス
ルノデハナイカ、此ノ點ガ、此ノ特別會計
組織ノ弊害ノ最モ著シイモノト思フノデア
リマス、以上ノ理由ニ依リ、本法案ニ對シ
テハ其ノ成立ヲ希望シナイノデアリマスガ、
旣ニ豫算モ成立シテ居ルノデ、今更此ノ法
案ヲドウスルコトモ出來ナイノデアリマス
カラ、先ニ政府ガ辯明セラレタ豫算編成上
ノ缺陷ニ付テハ將來御考慮ノ上善處セラル
ルト云フ言明モアリ、又大藏省トシテハ
是等ノコトニ付十分善處セラルヽコトト確
定シマスカラ、其ノ言明ヲ信賴シテ、此ノ
法案ニ對シ消極的デハアルガ贊成ノ意ヲ表
スルノデアリマス、其ノ他ノ法案ニ付テハ
何等異議ナク原案通リ贊成スルト云フヽ警
告的ノ贊成ノ御意見ガ述ベラレタノデアリ
マス、次イデ採決ヲ致シマシタ處、各案共
全會一致ヲ以テ原案通リ可決スベキモノナ
リト議決セラレタノデゴザイマス、甚ダ簡
單デアリマスガ、以上ヲ以テ私ノ御報告ヲ
終リマス、何卒委員會ノ決議通リ御贊成ア
ラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、各案ノ採決ヲ致シマス、各案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=26
-
027・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=27
-
028・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=28
-
029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=29
-
030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=30
-
031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 各案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、各案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=32
-
033・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=33
-
034・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=34
-
035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=36
-
037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 各案ノ第三讀會
ヲ開キマス、各案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=37
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038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=38
-
039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二十九、
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法律
案、日程第三十、現役小學校〓員俸給費國
庫負擔法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報告、是等ノ
兩案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ハ
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=39
-
040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長柳原伯爵
市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長伯爵柳原義光
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改
正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十三日
委員長伯爵柳原義光
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=40
-
041・柳原義光
○伯爵柳原義光君 只今議題ニナリマシタ
市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律案、
現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改正法
律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ、會期切迫
ノ折柄デゴザイマスルガ故ニ、成ルベク簡
單ニ要約シテ御說明ヲ申上ゲタイト存ジマ
スル
〔副議長候爵佐佐木行忠君議長席ニ著
之
委員會ハ都合三囘開キマシタ、二十日ノ午
後ニ第一囘ヲ開キマシテ、其ノ時ニハ正副
委員長ノ選擧ヲ行ヒマシタ、續イテ二十二、
二十三ノ兩日ノ午前及午後ニ亙リマシテ會
議ヲ開キマシタ、兩案ノ提案ノ趣旨ハ、先
般中央地方ヲ通ズル稅制ノ改正ニ當リマシ
テ、財政上竝ニ〓育上ノ必要ヨリ、市町村
立小學校〓員ノ俸給ヲ、市町村ノ負擔カラ
道府縣ノ負擔ニ移スコトニ致シマスルノデ、
從來市町村ニ交付致シテ居リマシタ市町村
立尋常小學校〓員俸給ニ對スル國庫負擔金
ヲ、道府縣ニ交付スルノ必要ヲ生ジマシタ
シ、且又此ノ國庫負擔金ニ付キマシテモ、
八千五百萬、圓ヲ下ラヌ一定額ヲ負擔スルノ
現制ヲ改メマシテ、市町村立尋常小學校〓
員俸給ニ要シマスル經費ノ二分ノ一ノ定率
ヲ以テ負擔ヲスルコトト致シマシタノデ、此
ノ趣旨ニ基キマシテ、市町村義務〓育費國
庫負擔法竝ニ現役小學校〓員俸給費國庫負
擔法ヲ改正致サムトスルノガ、此ノ兩案ヲ
提案セラレタ趣旨デゴザイマスル、委員會
ニハ、主管大臣タル所ノ文部大臣ノ出席ハ勿
論又內務省ノ政府委員モ出席サレマシテ、
其ノ所管ニ關スル事項ノ說明ヲ致サレタノ
デアリマスル、質問ハ、〓育行政ニ關スル
種々多岐多樣ノ質問ガ澤山アツタノデアリ
スル、而シテ中ニハ、直接此ノ兩案其ノモノ
ニハ直接ニハ關係ノ稍〓薄キ事項ニ亙ッテモ、
文政上ノ上カラ見テハ頗ル重要ナル質問ガ
澤山アッタノデアリマスル、卽チ之ヲ半面カ
ラ申シマスレバ、文部省所管ノ行政事項ノ中
デ、美術及美術保存ニ關スルモノトカ、音
學ノ〓育デアルトカ、盲啞〓育デアルトカ、
又ハ宗〓行政ニ關スルコトデアルトカ、及
ビ高等學校以上大學〓育ニ關スル事項ト云
フコトハ質問ニハ何モ出ナカッタノデアリ
マスルガ、其ノ他ノ事柄ハ、文部省所管ノ
行政事項ニ對シテハ大部分質問ガアッタト御
承知ヲ願ヒタイト存ジマスル、其ノ二三ノ
主ナルモノヲ申上ゲマスルト先ヅ此ノ法
案ノ立法ノ形式論デアッタノデアリマスル
是ハ法律ニセズトモ勅令デヤッテモソレデ
宜イデハナイカト云フ質問ガアッタ、ノデアリ
マスル、ソレニ對シテ、是ハ矢張リ法律ニ
致ス方ガ宜シイ、何トナレバ法律ニスレ
バ旣定ノ歲出トナルノデ、非常ニ性質ガ確
實ニナルノデアルト同時ニ、此ノ方ガ議會
ニ拘束セラレルノデ、愼重ニナルノデアル
カラシテ、之ヲ法律ニ致ス方ガ宜シイト云
フ答デアッタノデアリマスル、尙又今後ハ直
接ニ道府縣ガ負擔スルノデ、不拂トカ延滯
トカ云フコトノ憂ガナクナル、斯ウ云フ答
辯デアッタノデアリマスル、又他ノ質問ハ、
小學校〓員ハ國民ノ基礎〓育ヲ掌ル卽チ
國家〓育カラ見テ、國家〓育ノ大本ニ至大
ノ關係ヲ有スル重キ職務デアルノデ、此ノ
〓員ノ優待ヲ、精神的及物質的兩方面ニ於テ、
モット良クスルノガ現時ノ急務デアルト思フガ
如何デアルカト云フ質問ニ對シテ、政府當局曰
ク、其ノ趣旨ニ從フヤウニ篤ト考慮シ、成ル
ベク其ノ實行ヲ期シタイト云フ意味ノ答辯ガ
アッタノデアリマスル、而シテ又此ノ〓員ノ
ノ待遇ヲ向上セシメテ優遇スルコトノ必要
デアルト云フコトハ委員全般ノ最モ强キ
希望デアリマシテ、又最モ强キ主張デアッタ
ノデアリマスル、卽チ此ノ意見ガ最モ熱烈
ニ述ベラレタコトヲ特ニ此ノ際附加ヘテ申
上ゲテ置キマス、更ニ他ノ質問ハ、今後國
策トシテ〓育費ノ全部ヲ國庫ノ負擔トスル
考ナキヤ如何ト云フ質問デアッタノデアリマ
ス、是ハ理想論トシテハ左樣思フガ、未ダ
之ヲ實行スルコトハ少シク出來ナカラウト、
斯ウ云フヤウナ意味ノ答辯ガアッタノデア
リマス、卽チ理想論トシテハ當局ハ之ヲ是
認セラレタノデアリマス、其ノ他澤山ノ質
問ガアッタノデアリマスルガ、一々質問ト答辯
ノ要領ヲ申上ゲルコトハ徒ニ時間ヲ費ヤス
ノミデアリマスルカラ、大體其ノ項目ダケ
ヲ申上ゲテ置キマスカラ、詳細ノコトハ速
記錄ニ依ッテ御覽ヲ願ヒタイト存ジマスル、
卽チ其ノ項目ダケヲ申上ゲマスル、農村ニ
優良ナル〓員ヲ置クノ必要ガアルガソレニ
對スル意見ハ如何ト云フ質問、又國民學校
ノ修學期限ヲ延長シテハドウカト云フ質問、
又其ノ內容刷新ノ必要ガアルト思フガ如何
ト云フ質問モアッタノデアリマス、又國民學
校〓科書編纂ニ關スル質問、又〓科書ノ配
付ヲ全部國費ニスル考アリヤ如何ト云フ質
問、又中等學校入學試驗ニ關スル質問、又
〓員分限令ヲ定メテ其ノ地位ヲ保障スルノ
必要ガアルト思フガ其ノ考アリヤ否ヤト云
ブ質問、又六大都市トソレ以外ノ都市トノ
支拂事務ノ相違ニ關スル質問、又〓育費ノ
負擔ノ半額ヲ文部省ヲ經テ國庫ガ負擔シ、
殘リノ半額ヲ道府縣ガ支拂フト云フ事情デ
アルノデ、是ハ要スルニ何レモ元ハ國庫ヨ
リ出ルノデアルカラシテ、寧ロ全額ヲ國庫
負擔トシタナラバ如何ト云フ質問モアッタ
ノデアリマス、大體マア斯クノ如キ質問ノ
アッタコトヲ其ノ項目ダケヲ擧ゲテ申上ゲマ
スル、而シテ質問ガ終リマシテ討論ニ移リ
マシタ時ニモ、前申上ゲマシタ如キ〓員ノ
爲ニ優遇ヲスルコトガ必要デアルト云フコ
トヲ、各委員ガ最モ熱心ニ力說セラレタノ
デゴザイマス、最後ニ採決ニ際シマシテ、
此ノ兩案ハ法律ノ形式ニセズシテ勅令ニ委
ネタ方ガ宜イト云フ一委員カラ反對ノ意見
ヲ述ベラレタノデゴザイマスル、卽チ此ノ
委員ノ意見ハ否決論者デアッタノデアリマ
ス、其ノ一委員ノ否決論ヲ除イタ外ハ、全
部ノ委員ガ兩案ニ贊成ヲ致サレマシテ、卽
チ多數ヲ以テ兩案共ニ可決シタ次第デゴザ
イマス簡單ナガラ之ヲ以テ私ノ御報告ヲ
終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=41
-
042・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 質疑ノ通〓
ガゴザイマス紀男爵
〔男爵紀俊秀君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=42
-
043・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 會期切迫ノ折柄デアリマ
スカラ極メテ簡單ニ質問ヲ致シマス、此ノ
兩法案ニ對シマシテハ私ハ前年度カラ此
ノ壇上デ其ノ必要ヲ唱ヘテ參リマシタノデ
ス、ソレ故ニ此ノ兩法案ニ對シマシテハ全
然贊成デアリマシテ、寧ロ其ノ遲カリシヲ
憾ムノデアリマス、唯此ノ法案ヲ御出シニ
ナリ又國民學校ノ制度ヲ御改メニナルノ
ナラ、何故モット大事ナモット急ナル問題ヲ
早ク御解決ニナラナカッタト云フコトニ付テ
伺ヒタイノデアリマス、是ハ先日ノ豫算總
會デ相當私ハ御伺ヒ申シタノデアリマス
併シナガラ甚ダ遺憾ナコトハ、文部大臣ノ
御答辯ハ、極メテ失望セシメテ御答辯デア
リマシタノデ、ソレデ其ノ節ニモ、更ニ又
伺フ時機ガアリマシタラ御伺ヲ致シマスト
云フコトデ、其ノ時機ヲ實ハ狙ッテ居ッタノ
デアリマシタガ、豫豫總會ニ於キマシテモ、
亦分科會ニ於キマシテモ、其ノ他ノ機會ニ
於キマシテモ、今日迄遂ニ伺フコトガ出來
ナカッタ、ソレデ此ノ問題ニ付キマシテハ、
ドウシテモ此ノ會期中ニ伺ッテ置カナケレ
バナラヌ、而モ此ノ兩法案ニ密接ナル關係
ヲ持ッテ居ルノデアリマスノデ、此ノ會期切
迫ノ折柄デハアリマスルガ、一言御伺ヲ申
シタイノデアリマス、此ノ國民學校ノ改正
ニ付キマシテ、又此ノ兩法案ノ制定ニ付キ
マシテ、何ヲ忘レテ居ルカト申シマスト、
師範學校ノ〓育制度ノ改正デゴザイマス、
申ス迄モアリマセヌガ、今度ノ國民學校ノ
制度ハ、其ノ內容ニ於キマシテモ殆ド全體之
ヲ改正サレテ居ルノデアリマス、申ス迄モナ
ク是迄ハ分科〓育ヲヤッテ居リマシタノガ、
今度ハ綜合〓育ニナリマシテ、全然是迄ノ〓
育方法ヲ徹底的ニ改正セラレテ居ルノデア
リマス、之ニ依ッテ始メテ國民〓育ト云フモ
ノガ完全ニナリ得ラレルノデアリマス、故ニ
只今迄ハ、六年ノ尋常小學デ〓育セラレタ
モノヲ又更ニ高等小學〓育二年デ復習ヲス
ルト云フ形デアリマシタノガ、今度ノ改正
ニ依リマシテハ六年デヤル〓育ヲ八年デ
始メテ完成スルノデアル只今ハサウデナ
クテ、六年デ完成ヲシテ、更ニ又二年其ノ
上ニ削リヲ掛ケルト云フコトニハナッテ居
リマスケレドモ、之ガ八年デ國民〓育ヲ完
成スルト云フ、斯ウ云フ建前ニナッテ居リマ
スカラ、是ハ大キナ私ハ進步ダト思フノデ
アリマス、是迄ノ弊害デアリマシタ焦燥〓
育乾燥〓育、詰込〓育、サウ云フヤウナ
弊害ガ全ク之ニ依ッテ救ハレルノデアリマ
ス、デアリマスルカラ、今度ノ國民學校ノ
八年制ニナッタト云フコトハ、單リ國民學校
ガ八年ニ延バサレタ、二年延バサレタト云
フ意味デハナクシテ、六年ノ〓育ヲ八年ニ
徐々トシテユックリ子供ノ頭ニ叩キ込ムト
云フコトニナルノデ、是デコソ本當ノ大國
民タル資質ヲ具ヘサス本當ノ〓育ガ、之二
依ッテ出來ルモノト私ハ信ズルモノデアリ
やっ、サウ云フ意味カラ申シマスルト、今
度ノ國民〓育ノ改正ト云フコトハ誠ニ私ハ
結構ナコトト信ズルノデアリマス唯遺憾
ナノハ、與ヘラレルモノノ制度ハ完全ニ改
メラレタ、與ヘラレル所ノ〓育方法ハ之ニ
依ッテ改正セラレテ居ルノニ、ソレヲ活用
シ、ソレヲ〓へコナシ、ソレヲ與ヘル所ノ
人間ノ〓育ニ於テ不完全デアリマシタラ
如何ニ制度ガ立派デアラウト、如何ニ〓育
課程ヲ組替ラレテモ、何等ノ效能ガナイト
云フコトニ相成ルノデアリマス、何等ノ效
能ガナイバカリデナク、其ノ〓育方法ヲ誤
リマシタナレバ、子供ニ刄物ヲ持タシタト
同ジヤウニ實ニ危險千萬ナル〓育ニナルノ
デアリマス全ク是ハ主客顯倒、本末ヲ誤ッ
タ私ハヤリ方ダト存ジマスノデ、何故國民
〓育ノ義務〓育ヲ延長シ、又只今ノヤウナ
兩法案ヲ御制定ニナルノナラ、之ニ先ダッテ
何故ソレヲ〓ヘル所ノ〓員ノ素質ヲ向上
シ、其ノ〓育ヲ振興サセナイノカト云フ
コトニ付テ、私ハ豫算總會デ御伺ヲ致シ
タノデアリマス、ソレニ對シテノ文部大
臣ノ御答ハ、斯ウ云フ御答ヲ得タノデア
リマス、「國民學校制度ノ實施ト相伴ヒマ
シテ、一七分一ハ現在ノ師範學校ノ內容ヲ
改善致シマシテ、其ノ卒業者ガ國民學校ノ
〓育ヲ致ス上ニ遺憾ナカラシメルヤウニ致
スト同時ニ」云々ト、斯ウ云フ御答ト、ソ
レカラ「師範〓育ノ向上ノコト是ハ出來
得ル限リ早ク之ヲ實施致シタイト考ヘテ居
リマス、此處デ今何時カラト云フコトヲハッ
キリ申上ゲルコトハ差控ヘタイト存ジマス
ガ、出來ル限リ早ク之ガ實施ヲ致シタイト
云フ考デ居リマス」ト斯ウ云フ御答ヲ得テ
居ルノデアリマス、ソレノ大意ヲ申上ゲマ
スルト、〓ヘル者ノ〓育ハ相當ニ考ヘテ居
ル、考ヘテ居ルガ、其ノ方法ト云フモノハ、
今ノ師範學校ヲ其ノ儘デ改善シ、ソレダケ
ノ年數デヤッテ行ク積リダト云フヤウナ御
答ナンデアリマス、併シ又一方ニ於テハ師
範〓育ノ改善ト云フコトハ明カニ御認ニ
ナッテ居ルカラ、本格的ニ成ルベク近イ將來
ニ於テ之ヲヤルンダ、ト斯ウ云フヤウナ御
答辯ヲ得テ居ルノデアリマス、一方ニ於テ
ハ今ノ〓育方法ヲ多少變ヘテ、今ノ年限
デ、今ノ師範學校ノ位置デヤッテモ差支ナイ
ト思フト併シナガラ本格的ニヤルト云フ
コトナラ成ルベク早ク之ヲ改正シタイト
斯ウ云フヤウナ御意思デアルノデ、要シテ
申シマスルト、先ヅ改正ト云フコトハオヤ
リニナラヌト云フ意味ニ、私ハ見受ケタノ
デアリマス、前囘ニモ申上ゲマシタヤウニ
此ノ師範〓育ノ改正ト云フモノヲ先キニ爲
サラナケレバナラヌ、與フル者ノ〓育ヲ先
キニ爲サラナケレバナラヌ、御承知ノ通
リ、今度ノ分科〓育ヲ改メテ綜合〓育ニス
ルト云フコトハマダ餘リニ例ノナイ
コトナンデアリマス、實際ノ試驗ヲ餘リ經
テナイ、ソレハ二三校ヤ四五校ニハサ
ウ云フコトハアリマセウケレドモ、殆ドガ
分科〓育デヤッテ居リマスノヲ、今度
ハ綜合〓育ト云フモノニ依ッテヤラナケレ
バナラヌト云フコトニナッテ居ルノデス
現ニ文部省デ、今度綜合〓育ニナルカラ〓
科書ヲ編纂シナケレバナラナイ、其ノ〓科
書ヲ編纂スルノニハドウ云フ方針デヤルカ
ト言ッタラ、綜合〓育ニナルカラ綜合〓育
的ノ〓科書ニシヨウト云フコトデ、オヤリ
ニナッテ見タガ、ソレ等ニ付テノ經驗、ソレ
等ニ付テノ知識ガ御乏シイ爲カ、矢張リ分
科的ノ今度〓科書ヲ作ルヨリ致シ方ガナイ
ト云フコトニナッテ居ル、文部省自體ガ旣ニ
綜合〓育デヤラウト仰シヤリナガラ、其ノ
〓科書ハ分科的〓育デ編纂シナケレバナラ
ヌト云フヤウナ立場ニナッテ居ルノデアリ
マスカラ、若シ只今ノ師範學校ヲ、年數モ
增サナイ、昇格モシナイ、只今ノ師範學校
ノ儘デ改善シテヤルト云フコトニナリマシ
タラ、是ハ到底實行出來得ラレナイト云フ
コトハ、今日ノ編纂サレタ〓科書ニ於テモ
旣ニ其ノ惱ミヲ見テ居ルコトデアリマス、
サウ云フヤウナ意味カラ、是ハドウシテモ
師範學校ノ〓育ノ內容ヲ改正シ、サウシテ
進ンデ之ヲ專門學校ノ程度ニ昇サナケレバ
出來ナイコトナノデアリマス、只今ハ高等
小學カラ師範學校ニ入學シテ、サウシテ卒
業スルト云フコトニナッテ、ソレデ小學校ノ
〓員ヲ得テ居ルノデアリマスケレドモ、今
度ノ綜合〓育、日本ノ兒童ヲシテ悉ク大國
民タル資質ヲ具ヘサシテ、東亞新秩序ノ建
設ニ資スル人間ニスルノニハドウ致シマ
シテモ中等學校ヲ卒業シテ、サウシテ師範
學校ヘ入ッテ、サウシテ相當ノ時日師範〓育
ヲシナケレバナラナイト云フコトハ是ハ
私ガ一個人トシテ申上ゲル迄モナク、〓育
審議會デモソレニ決定シテ居ルノデス、ソ
レナラ何故之ヲ御斷行ニナラナイカト私ハ
申上ゲルノデス、只今ノ文部大臣ハ、甚ダ
惡イ言葉デアリマスケレドモ是迄ノ通リ
スガリノ文部大臣トハ違フノデアリマス、
甚ダ惡イ言葉デアリマスケレドモ氣紛レノ
文部大臣ヂヤナイ、〓育ニ最モ熱心ナル、
〓育行政ニ付テハ最モ精通セラレテ、サウシ
テ長ク〓職ニモ居ラレタ、實ニ〓育界ノ玄
人デアル文部大臣ヲ得テ居ルノデアリマス、
其ノ文部大臣、樞密顧問官ト云フ御重職ヲ
辭シラレテ、一大決心ヲ以テ〓育ノ衡ニ當
ラレルト云フ文部大臣デアル又過日ノ豫
算總會デ米內總理大臣ニ伺ッタ處ガ、米內總
理大臣ハ、全幅ノ信賴ヲ以テ此ノ文部大臣
ニ〓育ノコトハ御委セニナッテ居ルヤウナ
御答辯モ得テ居ルノデゴザイマス、サウシ
テ國民ハドウカト言ヘバ、今迄ノ大臣トハ
違フ、今度コソハ決シテ伴食大臣デモ、通
リスガリノ大臣デモナイ、斯ウ云フヤウナ
立派ナ〓育界ノ元老ヲ文部大臣ニ迎ヘタト
云フノデ、國民悉ク期待シテ居ル、殊ニ只
今申シタ通リ、東亞新秩序ノ建設ニ當タラナ
ケレバナラヌ人間ヲ、御造リニナラナケレ
バナラヌ文部大臣デアリマス、デアリマス
ルカラ、百難ヲ排シテサウシテ此ノ師範〓
育ノ改善ヲ爲サッテ、名實共ニ立派ナ人間ヲ
養成スルノニ、御努メニナラナケレバナラ
ナイノニ、國民〓育ダケハ八年制ニショウ、
完全ニシヨウ、サウシテ師範〓育ハ後廻シ
ニシヨウト云フコトデアルト、先刻カラ申
上ゲタヤウニ全ク首尾顕倒シテ居ル、是デ
宜イト御思ヒニナルカ、甚ダ私ハ疑フノデ
アリマス、失禮ナ言葉デスケレドモ、通リス
ガリノ文部大臣、素人ノ文部大臣ナレバマ
ダ是デモ宜シイ、然ルニ只今申シタヤウナ
文部大臣ガ、ドウシテソレダケノ御決心ヲ爲
サラナイノカト云フコトヲ私ハ疑フノデア
リマス、ソレ故ニ豫算總會デモ伺ヒマシタガ、
只今ノヤウナ答辯ヲ得マシテ私ハ甚ダ失望
シテ居ル、ソレデ私ノ御願ヒスルコトハ
ドウカ能ク御考ヘ下サリ、能ク反省下サリ、
能ク御熟慮下サッテ、サウシテ是デ宜イカト
云フコトヲ伺ヒタイノデス、豫算總會デ御
伺ヒ申上ゲテカラ相當ノ日時ヲ經テ居リマ
スルカラ、餘程御考モ下サッテ居ルコトダラ
ウト思フノデゴザイマス、元來此ノ度ノ國
民學校ノ義務制ノ八年ト云フノハ、是ハ現
內閣ノ獨創デモ何デモナイ、現文部大臣ノ
御考デモ何デモナイ、是ハ長イ間ノ傳統デ
アリマシテ、此ノ議席ニイラッシヤイマスル
平生文部大臣ガ特ニ此ノ問題ヲ提ゲラレ
テ、樞密院ノ相當反對ガアルニモ拘ラズ是
非之ヲ完成シヨウ、ソレニハ職ヲ賭シテ迄
ヤラウト云フヤウナ大決心ノ下ニ、國民學
校八年制ト云フモノヲ御編ミニナッテ、サウ
シテ議會ニ提出サレヨウトシタガ、不幸ニ
シテ内閣ノ變動ノ爲ニ遂ニ此ノ問題ハ暗闇
ヘ投ゲラレテシマッタト云フヤウナ形ニナッ
テ居ル、其ノ後河原田サンナリ又ハ荒木サ
ンナリガ文部大臣ト御ナリニナッテ、是非是
ハ提出シナケレバナラヌ、ソコデ昨年此ノ
問題ニ付テ荒木文相ニ質問シタ時ニ、荒木
文相ハ、來年ノ豫算ニハ必ズ計上シテサウ
シテ之ヲ達成スル積リデアルト云フコトヲ、
此處デ御約束爲サッタ、其ノ志ヲ承ケラレ
テ、河原田文部大臣ガ、之ヲ愈、〓御實行ニ
ナルト云フノデ豫算ニ編成セラレタ其ノ
豫算ニ編成セラレタ其ノ豫算ヲ、ソックリ其
ノ儘今ノ文部大臣ガ踏襲サレテ、今ノ內閣
ガ踏襲シタノデアリマスルカラ、只今申シ
タヤウニ、只今ノ內閣ニ依ッテ、只今ノ文部
大臣ニ依ッテ、之ヲ獨創的ニ御編成爲サッタ
ノデハナイ、前內閣ノ是ハ全ク遺物ナンデ
ス、由來文部省ト云フ所ハドウモ他力本願、
大抵ノ事ハ餘所カラ持チカケラレテ、サウ
シテ改正スルトカ進メラレルトカ云フ形ニ
ナッテ、只今ノ兩案デモ、是迄ニ度々現レナ
ケレバナリマセヌノニ、今日迄現レナカッタ
ト云フコトハ、文部省獨創ノ意見ヲ以ッテ
御出シニナルコトガ出來ナカッタ、始メテ
今度ハ稅制ノ根本的改革、地方稅ノ改正、
國稅ノ改正ガアッタカラ、申セバ大藏省ヤ內
務省ノ突ッ張リガアッタカラ是ガ出セタ、
昨年モ相當私論議シマシタガ、アノ靑年學
校ヲ慌テテ義務制ニナサッタ、何等ノ準備モ
ナイノデ是ハイケナイコトダ、ドウシテモ、
準備ナクシテサウ云フコトヲ爲サッテモ、果
シテ行ヒ得ラレルカドウカト云フコトヲ申
シタノデアリマスルケレドモ、アノ時ニハ
極メテ軍部ノ絕大ナル支持ノ下ニ慌テテ靑
年學校ヲ義務制ニ爲サッタト云フコトモ、是
モ他力本願ナンデス、大抵文部省デ爲サル
コトハ他力本願デス、ソレデ、サウ云フコ
トハアリマスマイガ、長ク文部行政ニ御關
係ニナッテ居ルト、サウ云フ點ニ付テハ、或
ハ小心翼々トシテサウシテ〓育行政ヲ御ヤ
リニナルノカモ知レマセヌケレドモ、固ヨ
リ〓育行政ト云フモノハ、極メテ小心翼々
トシテサウシテ緻密ニ之ヲ考ヘナケレバナ
リマセヌケレドモ、併シ〓育ハ時勢ト伴ハ
ナケレバナリマセヌカラ、ドウシテモ一面
ニ於テハ大膽ニ、一面ニ於テハ英斷ヲ以テ
之ニ當ラナケレバ、到底〓育行政ヲ爲サル
コトガ出來ナイト思フノデアリマス、失禮
ナガラ、若シ之ヲ斷行スルコトガ出來ナカッ
タ、ソレ程ノ御決心ノ下ニ御企テニナッテソ
レガ出來ナカッタト云フコトニナルト、甚
ダ文部大臣ノ資格ニ於テ缺クル所ナキヤヲ
私ハ疑フノデス、ドウゾ此ノ點ヲ能ク御考
ヘ願ヒマシテ、サウシテ是ハドウシテモ將
來ノ大國民ヲ養成スル〓育ヲヤルノダ、東
亞新秩序ノ建設ニ資スル人間ヲ拵ヘルノダ
ト云フコトニ、ドウカ御反省下サレ、サウ
シテ〓育ハ總テノ行政ノ根幹ニナルノダ、
是ガ改正出來ナカッタナラバ總テノ政治ニ
關係スルノダト云フヤウナコト等ニ付テ、
能ク一ツ御考ヲ願ヒタイト思フノデアリマ
ス、ソレハ成ル程師範〓育ヲ向上シテ、サ
ウシテ中等學校ノ卒業者ヲシテ師範學校ヲ
卒業サシテ、サウシテソレヲ專門學校ノ程
度ニスル、ソレカラ出テ來ル〓員ノ待遇
ハ從ッテ中等學校ノ〓員ト同資格ニスル
ト云フヤウナコトニナリマスト、ソレニ要
スル費額ト云フモノハソレハ夥シイノダ、
併シナガラ、ソレダケノ事ハシヨウトシナ
ケレバナラヌ今日ニナッテ居ル、長期建設、
東亞ノ新秩序建設ト云フコトノ爲ニハ、相
當費用ヲ抛ッテデモ、ソレニ注イダナラバ
ソレノ數十倍ノ利益ヲ得ルト云フコトニ
今日ハナッテ居ル、御承知通リ、日本國民ノ
〓育ヲ受ケタ者ノ數ト云フモノハ、殆ド九
割三分迄ハ小學校〓育ノミヲ受ケタ人間
デ、後ノ七分トカ六分ノ人達ガ中等學校カ
ラ大學迄進ンデ居ラレル人ダト思フ、ソレ
ハ大學ノ〓育モ勿論大事デアリマス、ドウ
シテモ大學、專門學校ノ〓育ヲ受ケタ人ハ、
所謂國民ヲ指導スル立場デアリマスカラ、
其ノ指導スル人ノ〓育ハ最モ大事ナコトデ
アリマスケレドモ、ソレト同時ニ、國民全
體ノ素質ヲ良クスルト云フコトヲ考ヘナケ
レバナラヌ、國民全體ヲ良クスルノニハ、
ドウシテモソレヲ〓ヘル〓師ニアルノデア
リマス、如何ニ制度ガ立派デモ、如何ニ課
目ガ立派デモ、ソレヲ〓ヘル〓員ニ於テ缺
クル所アレバ、ドウシテモ死ンダ法律ト云
フモノハソコデ負ケヲ取ルト云フコトハ自
明ノ理ナンデアル、ドウゾ此ノ點ヲ一ツ能
ク御考ヲ願ヒタイ、就キマシテハ、此ノ
程私質問申シタ時ヨリ餘程時日モ經テ居リ
マスカラ、色々御考ガ加ハッテ居ルカモ知レ
マセヌ、致シマスノデ、其ノ點ヲ一ツ伺ヒ
タイ、ドウシテモ是ハ荒木文部大臣ガ昨年
私ニ御約束下サッタヤウニ、來年ハ······今
年ハモウ遲クナッタカラ仕方ガナイ、會期
切迫ノコトデモアルカラ今年ハ追加豫算ハ
出スコトハ出來ヌケレドモ、必ズ來年ノ豫
算ニハ之ヲ計上シテ、サウシテ本末ヲ誤ラ
ヌヤウニシテ、サウシテ東亞新秩序ノ建設
ニ資スル積リデアリマスカドウカ一ツ明
快ニシテ大膽ナル御答辯ヲ得タイト思ヒマ
ス、是ガ私ノ質問ノ要旨デアリマス
〔國務大臣松浦鎭次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=43
-
044・松浦鎭次郎
○國務大臣(松浦鎮次郞君) 紀男爵ノ熱烈
ナル御質問ニ對シマシテ御答ヲ申上ゲマス、
國民學校制度ノ實施ニ伴ヒマシテ、師範〓
育ノ向上ヲ圖リマスコトハ、申ス迄モナク
極メテ必要ナコトデアルノデアリマス、今
囘ハ差當リ現在ノ制度ニ於ケル師範〓育ノ
改善、又現在居リマスル〓員ノ再〓育等ノ
方法ニ依リマシテ、新タニ作ルベキ國民學
校ノ〓授ニ當ラセルト云フ差當リノ方法ヲ
執ッタノデアリマスガ、併シナガラ國民學校
ノ效果ヲ眞ニ擧ゲシメル爲ニハ、本格的ニ
師範學校ノ向上ト云フコトヲ必要ト致スコ
トハ、是ハ紀男爵ノ御述ニナリマシタ通リ
デアリマス、現ニ〓育審議會ニ於キマシテ
モ左樣ナ意味ノ答申モ得テ居ルノデアリ
マス、從ヒマシテ國民學校ノ實施ト云フコ
トノ效果ヲ全カラシメル爲ニ、師範學校ヲ
向上致シマシテ、之ヲ專門學校程度ニ致ス
ト云フコトハ、是ハドウシテモ致サナケレ
バナラヌコトデアリマスノデ、私ハ今後此
ノ目的ニ向ッテ最善ノ努力ヲ致シマシテ、來
年度ノ豫算ニ於キマシテ之ガ必要ナル經
費是ハ道府縣デ經營シテ居ルノデアリマ
スガ、之ニ對シテハ國家カラ相當補助ト云
フコトヲヤラナケレバ出來得ナイコトデア
リマスガ故ニ、此ノ意味ヲ以チマシテ經費
モ計上致スト云フヤウナ意味ヲ以チマシテ
最善ノ努力ヲ致シタイト考ヘテ居ル次第デ
アリマス、ドウゾ此ノ意味ニ於テ御了承ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=44
-
045・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 簡單デスカラ、此ノ席カ
ラ發言ヲ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=45
-
046・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=46
-
047・紀俊秀
○男爵紀俊秀君 只今文部大臣カラノ御答
辯ヲ得マシタガ、依然トシテ私豫算總會デ
御尋ネシマシタ時ノ御答辯ト變リマセヌ、
言フコトハ皆贊成スル併シスルコトハド
ウダカ分ラナイト、斯ウ結局ハソレニ歸スル
ノデス、言フコトハ尤モデアルガ、ドウモ
之ヲ斷行スルコトト云フモノハ、市町村費
ヲ道府縣費ニ移シタリシテ居ルシ、サウ云
フコトハ考ヘテ居ルト、斯ウ仰シヤルノデ
スケレドモ、私ハ適切ニ師範〓育ノ改善ト
云フコトヲ何時御ヤリニナルカト云フコト
ヲ伺ヒタカッタノデス、併シ是レ以上ハ幾ラ
御尋ネシテモ仰シヤルマイト思ヒマスカラ
差控ヘマスガ、ドウカ一ツ議會モ濟ミマシ
タラ御靜養下サッテ、ユックリト此ノ問題ニ
付テ篤ト一ツ御熟考ヲ下サッテ、サウシテ甚
ダ不束デアリマスケレドモ、豫算總會ニ於
テ、又本會議ニ於テ私ノ申述ベマシタル質
問ノ速記錄ヲ能ク御熟讀ヲ下サイマシテ、
サウシテ國家ノ爲ニ、文〓振興ノ爲ニ、東
亞新秩序建設ノ爲ニ、ドウカ一ツ一段ノ御
反省ヲ願ッテ、サウシテ篤ト一ツ御熟考ニナ
リマスルヤウニ、切ニ私ハ熱望シテ私ノ質
問ヲ終ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=47
-
048・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 他ニ御發言
モナケレバ、兩案ノ採決ヲ致シマス、兩案
ノ第二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ御起立
ヲ請ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=48
-
049・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 全會一致ト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=49
-
050・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=50
-
051・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=51
-
052・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=52
-
053・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=53
-
054・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 兩案ノ第二
讀會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部
ヲ問題ニ供シマス、兩案全部、委員長ノ報
告通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=54
-
055・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=55
-
056・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=56
-
057・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=57
-
058・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 西大路子爵
ノ動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=58
-
059・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=59
-
060・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 本案ノ第三
讀會ヲ開キマス兩案全部、第二讀會ノ決
議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=60
-
061・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、午後二時迄休憩ヲ致シマス
午後零時十二分休憩
午後二時九分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=61
-
062・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報告ヲ致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
本日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ直ニ裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ
通知セリ
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
職員健康保險特別會計法案
作業會計法中改正法律案
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ
建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル
經費ニ關スル法律案
昭和十三年法律第五十三號中改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律
案
朝鮮事業公債法中改正法律案
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案
政府出資特別會計法案
陸軍航空工廠資金特別會計法案
金資金特別會計法中改正法律案
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案
樺太鐵道株式會社所屬鐵道買收ノ爲公債
發行ニ關スル法律案
樺太地方鐵道補助法中改正法律案
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特別
會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時特例
ニ關スル法律案
市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律案
現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改正
法律案
本日本院ニ於テ承諾スルコトヲ議決シタル
左ノ政府提出案ハ直ニ之ヲ奏上シ又承諾ス
ルコトヲ議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
昭和十三年度第一豫備金支出ノ件
昭和十三年度特別會計第一豫備金支出ノ
件
昭和十三年度特別會計豫備費支出ノ件
昭和十四年度第二豫備金支出ノ件
昭和十四年度豫備金外豫算外支出ノ件
昭和十四年度特別會計第一一豫備金支出ノ
件
昭和十四年度特別會計豫備金外豫算超過
及豫算外支出ノ件
本日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
損害保險國營再保險法案可決報〓書
商業組合法中改正法律案可決報〓書
損害保險國營再保險特別會計法案可決報
〓書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=62
-
063・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 休憩前ニ引續キ
マシテ會議ヲ開キマス、日程第三十一、職
業紹介法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長
侯爵德川賴貞君
職業紹介法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十二日
委員長侯爵德川賴貞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵德川賴貞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=63
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064・徳川頼貞
○侯爵德川賴貞君 只今議題トナリマシタ
職業紹介法中改正法律案特別委員會ニ於ケ
ル經過竝ニ結果ヲ御報〓申上ゲマス、去ル
二十二日正副委員長ヲ選擧致シマシタ後、
引續キ會議ヲ開キヽ委員諸君ハ愼重ニ審査
ヲ盡サレタノデゴザイマス先ヅ本改正案
ノ委員會ニ於ケル政府ノ說明ノ要旨ヲ申上
ゲマス、本改正ハ支那事變ノ進展ニ伴ヒ、
各種勞務ノ需要ヲ充タス爲、且國家總動員
法ノ勞務規正ニ關スル事務ヲ管掌スルコト
トナリマシタノデ、地方財政ノ實情ヲ考慮
シ、職業紹介所及ビ聯絡委員ニ要スル費用
ノ一部ヲ現ニ地方負擔ト爲セル第七條ヲ削
除シ、之ガ金額ヲ國庫ニ於テ負擔スルモノ
デゴザイマシテ、尙第十四條ノ改正ハ、第
七條ノ創除ニ伴フ字句ノ整理ヲ致シタト云
フコトデゴザイマシタ、次ニ本委員會ニ於
ケル質疑應答ノ〓要ヲ申上ゲマス、一委員カ
ラ、職業組介所及聯絡紹介員ニ關スル費用ノ
地方負擔ヲ廢止シ、國庫ガ負擔スル理由ハ
何處ニアルカト云フ問ニ對シ、職業紹介所
ヲ國營ニスル際ニ豫想シタル以上ニ事務ノ
內容ガ國家的ニナリ、且今囘中央、地方ヲ
通ズル稅制ノ改正ニ依リマシテ、中央、地
方負擔ノ區分ヲ立テル機會ニ於テ、全部ヲ
國庫ニ負擔スルノガ當然デアルト云フ意味
デ、本改正ヲ爲シタト云フ答辯デゴザイマ
シタ、其ノ他職業紹介所ニ依ル就職者ト、
然ラザル就職者ドノ率、及ビ之ガ關係、職
業紹介所職員ノ待遇、職業補導ノ實績等ニ
關シ質疑應答ガゴザイマシタ、斯クシテ討
論ニ移リマシテ、一委員カラ、現在ノ狀況
ニ於テハ勞務ノ分配ヲ宜シク制スルト共
ニ、將來不況ニ依ル失業ノ生ズルヤウナ場
合ニ於テ、営局ハ本法ノ運用上、之ガ萬遺
憾ナキコトヲ期セラレタイナ云フ御意見デ
ゴザイマシタ、討論ヲ終リマシテ採決ノ結
果本案ハ全會一致可決致シマシタ、甚ダ
簡單デゴザイマスガ、詳シイコトハ速記錄
ヲ御覽ヲ願フコトニ致シマシテ、以上御報
告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=64
-
065・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=65
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066・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ハナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=66
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067・植村家治
○子爵植村家治君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=67
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068・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=68
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069・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=69
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070・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=70
-
071・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=71
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072・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=72
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073・植村家治
○子爵植村家治君 直チニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=73
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074・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=74
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075・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=75
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076・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=76
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077・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽者) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=77
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078・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=78
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079・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽壽) 日程第三十二、
日本肥料株式會社法案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長
大隈侯爵
日本肥料株式會社法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十五年三月二十三日
委員長侯爵大隈信常
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵大隈信常君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=79
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080・大隈信常
○侯爵大隈信常君 只今上程セラレマシタ
日本肥料株式會社法案ハ、其ノ目的トスル
所ハ、現下ノ肥料事情ニ鑑ミ、肥料ノ需給
ノ圓滑ト價格ノ公正トヲ圖リマスコトガ一
層緊要デアリマスノデ、玆ニ日本肥料株式
會社ヲ設立致シマシテ、重要肥料ノ配給統
制及供給確保ノ爲、必要ナル事業ヲ行ハシ
メムトスルモノデアルノデゴザイマス、卽チ
日本肥料株式會社ハ、其ノ資本金ヲ五千萬
圓ト致シマシテ、現在ノ日本硫安株式會社
及燐酸肥料配給株式會社ヲ統合致シテ、之
ニ新タナル民間出資ヲ加へ、更ニ政府モ資
本ノ半額ヲ出資致シマシテ設立致スモノデ
アリマス、其ノ事業ハ硫酸「アンモニア」、石
灰窒素、過燐酸石灰、加里鹽、其ノ他ノ重
要肥料ノ一手買取及販賣ヲ致シマスルノ
外、肥料ノ輸移出及輸移入ヲ行ヒ、更ニ肥
料ノ製造、肥料製造工場ノ經營ノ管理、肥
料製造事業ニ對スル投資等ノ、肥料供給確
保上必要ナル事業ヲ行フモノデアリマス、
而シテ本會社ニ對シマジテハ其ノ資金
調達ノ便宜ヲ與フル爲ニ、社債發行ニ付キマ
シテ商法ノ特例ヲ設ケテ、其ノ限度ヲ拂込
株金額ノ五倍迄ト致シマシテ、其ノ元利ノ支
拂ヲ政府ニ於テ保證致シマスル外、政府所
有ノ株式ヲ劣後株ト致シマシテ、民間株式ニ
對スル利益配當ヲ優遇スル等ノ保護特典ヲ
與ヘタモノデアリマス、尙他面是ガ指導監督
ヲ嚴重ニ致シマシテ、事業遂行上重要ナル事
項ニ付キマシテハ政府ノ認可ヲ受ケシム
ル等ノ措置ヲ講ジマシテ、又利益ノ配當ニ
付キマシテモ之ヲ制限スルコトト致シテ居
ルノデゴザイマス、更ニ肥料ノ製造業者、取
扱業者ハ、其ノ製造又ハ取扱ニ係ル肥料ヲ、
本會社ニ對シマシテ賣渡スベキ旨ノ規定ヲ
設ケマシテ、以テ本會社ノ行ヒマスル配給
統制事業ノ遂行ニ遺憾ナキヲ期シテ居ルノ
デゴザイマス、尙現在ノ日本硫安株式會社
ハ一定ノ手續ノ下ニ日本肥料株式會社ト
ナルコトヲ得ルコトト致シマシテ、之ニ伴
ヒ硫酸「アンモニア」增產及ビ配給統制法中
必要ナル改正ヲ行フコトト致シテ居リマス、
而シテ委員會ニ於キマシテハ委員ト政府
トノ質疑應答ガ多々アッタノデアリマスガ、
其ノ委細ハ速記錄ニ讓リマスコトニ致シマ
スガ、只今其ノ主ナルモノ二三ヲ申上ゲマ
スレバ、第一、肥料配給ノ圓滑ヲ圖リマス
三、地方ニ於ケル配給機構ノ單一化、
又ハ配給段階ノ簡易化ヲ考慮スベキデハナ
イカト云フ問ニ對シマシテ、政府ヨリハ
地方ニ於ケル配給機構ヲ一層整備スルコト
ハ必要デアルカラ、肥料配給ノ實情ニ卽シ
テ、更ニ改善ヲ加ヘテ行キタイト云フ答辯
ガアリマシタ、第二ニ、本會社ハ肥料ノ配
給ヲ主トシ肥料ノ製造ヲ從トスルモノデア
ルノカ、或ハ肥料ノ製造ニ對シテモ同等ノ
重點ヲ置クモノデアルカ、若シ肥料ノ製造
ニモ重點ヲ置クモノトスル場合ニ於テハ
將來肥料增產ハ之ヲ專ラ本會社ノ製造事業
ノ經營ニ依リ行ハシムルモノデアルカ否
ヤ、卽チ政府ガ本會社ニ依ッテ行ハムトス
ル肥料增產ノ方針ハ、將來ニ於ケル本邦肥
料製造業ノ發達ニ重大ナル影響ヲ持ツモノ
デアルガ、政府ノ所見如何ト云フ問ニ對シ
マシテ、政府ハ、本會社ハ生產事業及配給
事業雙方ニ重點ヲ置クモノデアリマスガ、
本會社設立後ニ於キマシテモ一般民間企
業ヲ壓迫スルト云フヤウナコトハナク、寧
ロ積極的ニ本會社ノ强大ナル資本、資金調
達ノ特典及國策會社タルノ地位ヲ活用シテ、
資本ノ投資等ニ依ッテ、一般民間企業ノ發達
ヲ促進セシメ、肥料增產ノ實ヲ擧ゲテ行キ
タイト云フコトデゴザイマシタ、第三、本
會社ガ眞ニ國策會社タル所ノ使命ヲ完ウス
ルコトヲ得ル爲ニハ其ノ役職員ノ人選ヲ
適正妥當ナラシメル必要ガアル、兎角何等
其ノ道ニ經歷モナク、唯情實的ニ人選スル
ヤウナ場合モ是迄ナキニシモアラザリシ
コトデアッタガ、斯クノ如キコトハ大イニ愼
シムベキコトデアラウト思フガ、政府ノ所
見如何ト云フヤウナ質問ニ對シマシテ、政
府ハ其ノ御趣旨ニハ全ク同感デアルガ故
二、其ノ人選等ニ付テハ最善ヲ盡シテ行キ
タイト云フ答辯デアリマシタ、第四ニハ
今肥料年度ニ於ケル肥料ノ供給ニ不安ガナ
キヤト云フ點デアリマシテ、之ニ付キマシ
テハ政府ハ、本年春肥ノ時期卽チ一月乃
至七月ノ期間ニ於ケル硫安等ノ統制肥料ニ
付キマシテハ、曩ニ各道府縣ニ割當テタル
モノノ配給ニ付キマシテハ不安ハナイ、又
有機質肥料ニ付キマシテモ、其ノ供給ノ確
保ニ努メマスト共ニ、之ガ配給ノ適正ヲ圖
リタイ、尙自給肥料ノ奬勵モ併セテ努力中
デアリマスト云フ答デゴザイマシタ、斯ク
シテ討論ニ入リマシテ、一委員ヨリ、衆議
院修正條項ノ削除ノ動議ガアリマシタガ、
又他ノ委員ヨリモ其ノ動議ニ反對ノ意見ガ
アリマシテ、採決ニ入リマシテ、其ノ動議
ハ少數ニ依リテ成立セズ、遂ニ衆議院修正
案通リ、多數ヲ以テ本案ハ可決スベキモノ
ト議決シタ次第デゴザイマス、右御報告申
上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=80
-
081・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=81
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082・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=82
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083・植村家治
○子爵植村家治君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=83
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084・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=84
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085・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=85
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086・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=86
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087・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=87
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088・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=88
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089・植村家治
○子爵植村家治君 直チニ本案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=89
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090・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=90
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091・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=91
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092・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=92
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093・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽者) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=93
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094・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=94
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095・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 委員長ヨリ報〓
書ノ提出セラレマシタ損害保險國營再保險
法案、商業組合法中改正法律案、損害保險
國營再保險特別會計法案ヲ、此ノ際議事日
程ニ追加シ、一括シテ議題ト爲シ、第一讀
會ノ續ヲ開キ、委員長ノ報告ヲ煩ハシタイ
ト存ジマス御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=95
-
096・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長松村眞一郞君
損害保險國營再保險法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十四日
委員長松村眞一郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
商業組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十四日
委員長松村眞一郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
損害保險國營再保險特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十五年三月二十四日
委員長松村眞一郞
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔松村眞一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=96
-
097・松村眞一郎
○松村眞一郎君 只今上程セラレマシタ損
害保險國營再保險法案、損害保險國營再保
險特別會計法案、商業組合法中改正法律案、
右三件ノ委員會ノ經過及結果ヲ御報〓申上
ゲマス、損害保險國營再保險法案ト申シマ
スノハ、其ノ目的トスル所、適用ノ範圍ト
スル所、如何ナル場合ニ行ハレルモノデア
ルカト云フコトヲ〓要申上ゲマス、「戰爭其
ノ他ノ變亂ニ際シ保險料ノ〓騰ヲ抑制シ又
ハ保險ノ圓滑ナル引受ヲ確保スル爲必要アリ
ト認ムルトキハ本法ニ依リ保險會社ノ引受
クル損害保險ノ再保險ヲ行フ」ト云フノガ、
一ツノ場合デアリ、一ツノ目的デアリマス、
卽チ戰爭其ノ他變亂ニ際スル場合、サウシ
テ目的トスル所ハ保險料ノ昂騰ヲ抑制シ
保險ノ圓滑ナル引受ヲ確保スルト云フノデ
アリマス、第二ノ場合ハ「戰爭其ノ他ノ變
亂終了後ノ狀況ニ依リ保險會社ノ外國ノ保
險者ニ對スル再保險取引ヲ困難又ハ不適當
トスル事由アル場合ニ於テ政府保險ノ圓滑
ナル引受ヲ確保スル爲特ニ必要アリト認ム
ルトキ」ニ行フト云フノデアリマシテ、戰
爭其ノ他ノ變亂終了後ト云フコトニ、場合
ハナッテ居リマス、目的トスル所ハ、前ノ場
合ハ「保險料ノ〓騰ヲ抑制シ」ト云フコトガ
アリマシタガ、此ノ場合ニ於キマシテハ
「保險ノ圓滑ナル引受ヲ確保スル」ト云フ一
ツノ目的ニナッテ居ルノデアリマス、其ノ損
害保險ノ種類及保險事故ニ關シマシテ、勅
令デ定メルト云フコトニナッテ居リマスガ、
保險ノ種類ハ海上保險ヲ原則トスルコトニ致
シテ居ルノデアリマス、此ノ法律ハ恆久ノ
法律デアリマスケレドモ、再保險ノ引受ヲ
爲ス期間ノ始期及終期ハ、命令ヲ以テ定メ
ルコトニナッテ居リマシテ、五月ノ下旬カラ
開始スルト云フ豫定デアルト云フコトヲ、
政府ハ說明致シテ居ルノデアリマス、損害
保險國營再保險特別會計法案ノ方ハ、國營
再保險ヲ行ヒマスル所ノ歲入歲出ヲ、般
會計ト別ニ會計ヲ致サウト云フノデアリマ
シテ、事業經營ニ伴フ特別會計法案デアリ
さく、以上二件ヲ一括致シマシテ、委員會
ト致シマシテ質疑應答ヲ致シタノデアリマ
ス、其ノ質疑應答ノ主ナルモノニ付テ申上
ゲマス、第一ハ、此ノ保險ヲ經營スルニ當リ
マシテ、國際收支ノ改善ノ爲、爲替政策ノ
爲ニ行フヤウナコトガナイカト云フ質疑デ
アリマス、之ニ對シマシテハ、本案ノ目的
ハ保險料ノ〓騰ヲ抑制スルコトト、保險ノ
圓滿ナル引受ヲ確保スルト云フコトトノ二
ツノ目的デ行フノデアルガ故ニ、國際貸借
ノ改善ト云フコトヲ直接ノ目的トシテ行フ
ノデハナイノデアル、政府ハ一般政策トシ
マシテハ、國際貸借ノ改善ノ爲ニ、成ルベ
ク再保險ハ外國ニ出サヌト云フヤウナ意味
ノ施設ハ、平素カラ行ヒ來ッテ居ルノデアリ
マスケレドモ、ソレハ一般的ノ施設デアッテ、
ソレノ改善ヲ目的トシテ本法案ハ案ヲ作ッタ
ノデハナイト云フ說明デアリマス、第二ノ
點ハ、保險會社トノ關係ニ於キマシテ、國
營再保險補償契約ト云フノヲ締結致シテ居
ルノデアリマシテ、民間ノ二十一會社ガ「プ
ル」ヲ作リマシテ、サウシテ再保險ヲ引受
ケ、依ッテ生ジタ損害ヲ政府ハ千萬圓ヲ限度
トシテ補償スルト云フコトノ契約ヲ致シテ
居ルノデアリマスガ、其ノ行ヒマス所ノ內
容ヲ採ッテ其ノ儘法律化シタモノデアルト云
フ說明デアリマシテ、二十一保險會社ガ、
自力ノ及バザルガ爲ニ政府ニ援助ヲ求メタ
ノデアル、其ノ狀態ヲ其ノ儘引受ケテノ此
度ノ法律案デアリマスルカラ、民間ノ會社
ノ自由ニ保有スル範圍ハ自然ナキコトニナ
ルノデアル、ソレハ損害保險ノ中ノ戰爭危
險ニ依ッテノ問題デアリマスルガ、第二ノ目
的デアリマスル所ノ戰爭其ノ他ノ變亂終了
後ニ於テ、外國ノ保險者ニ對スル再保險ノ
取引ヲ困難又ハ不適當トスル場合ニ於テ民
間トノ關係ハ如何、ト云フ點ニ於キマシテ
ハ、元々政府ハ民間ノ及バザル所ヲ補フト
云フ趣旨デアリマスルガ故ニ、其ノ場合ト
雖モ、民間業者ガ外國ノ再保險ニ付スルコ
トハ困難デアルト云フ場合、不適當デアル
ト云フ場合ニ於テ、民間ノ事業ヲ援助スル
意味ニ於テ、政府ガ再保險ヲ引受ケルノデ
アルカラ、民間ノ力ヲ以テ且外國再保險ノ範
圍迄喰ヒ入ッテ、政府ノ方デ再保險ヲ引受ケ
ルト云フ考ハナイノデアル、之ヲ要スルニ
全般的ニ申シマシテ、政府ハ民力ノ及バザ
ル所ヲ援助スルト云フ趣旨ニ外ナラナイノ
デアルト云フノデアリマス、從ッテ戰爭危險
ニ關シマスル現時再保險ニ付キマシテハ
原則トシテ全部政府ガ再保險ヲ引受ケルト
云フコトニナッテ居ルノデアリマス、此ノ關
係ニ於キマシテ、民間ノ一部ノ要望トシテ
居リマス自由ノ保有ノ範圍ヲ認メルヲ可ト
スルガ如キ意見モナイノデハナイノデアリ
マスガ、現在ノ制度ヲ其ノ儘襲用スルト云
フ意味ニ於キマシテ、民間全部ノ希望トハ
一致シナイト云フコトニナルト云フ意味ノ
質疑應答デアッダノデアリマス、併シナガラ
本件ニ關シマシテハ、第十二條ノ規定ニ斯
カルコトヲ定メムトスルノデアリマス、「政
府ハ本法ノ再保險事業ノ經營上特ニ必要ア
リト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保
險會社ニ對シ其ノ引受ケタル保險ヲ本法ノ
再保險ニ付スベキコトヲ命ズルコトヲ得」ト
云フ條文ガアリマスル關係カラ、政府ガ再
保險ヲ引受ケタ場合ニ、經營上必要アリト
スレバ民間ノ保險ヲ吸收スルト云フコトニ
出來得ル譯デアルカラ、自然民間ノ事業ヲ
政府ニ餘計ニ吸收スルト云フヤウナコトガ
アリハシナイカト云フ意味ノ質疑應答ガアッ
タノデアリマス、此ノ第十二條ノ規定モ、
戰爭危險ニ付キマシテハ現在ニ於テハ適
用ノ必要ノナイ譯デアリマシテ、全部政府
ニ再保險ヲ當業者ハ委託シテ居ルヤウナ現
狀デアリマスルカラ、此ノ規定ノ適用ハ戰
爭危險ニ付テハ實際ニ起ラナイコトニナル
譯デアリマス、結局スル所、戰爭終了後ニ於テ、
外國ノ保險者ニ再保險ヲスルコトノ困難ナル
場合ニ於テ、政府ガ此ノ規定ニ依リ若シモ行
キ過ギタル命令ヲ致シマシタ場合ニ於キマ
シテハ、民業ヲ或ル意味ニ於テ壓迫スルト云
フヤウナコトニナル譯デアリマスルガ、ソレハ
政府ノ根本的ノ考トシマシテ、飽ク迄モ民
業ノ足ラザル所ヲ補フノデアルト云フ趣旨
ニ立脚シテ居ルコトト、政府ガ再保險ヲ引
受ケマシタ以上ハ、再保險事業ノ經營上必
要ナル或程度ノ分量ハ引受ケマセヌト云フ
ト、事業ノ經營ガ困難デアルコトニナル譯
デアリマスルカラ其ノ事業ノ經營上必要
ナル範圍ニ於テハ之ヲ取入レルト云フ問
題ハ起ル譯デアルト云フ意味ニ於テノ質疑
應答デアッタノデアリマス、次ニ政府ノ再保
險金額ヲ支拂フニ當リマシテノ責ニ任ゼザ
ル場合ニ關スル關係、サウシテ保險料ノ低
減ニ關スル關係、斯ウ云フ方面カラノ質疑
應答ガアッタノデアリマス、是ハ保險會社
ノ方面ノミナラズ、荷主ナリ船會社ナリノ
被保險者ノ方面ヲモ併セテ考ヘマシテノ質
疑ナノデアリマス、其ノ方面カラ質疑ノア
リマシタ點ハ、第五條ニ斯カル規定ガアル
ノデアリマス、政府ハ「左ノ場合ニ於テハ
命令ノ定ムル所ニ依リ再保險金ノ全部又ハ
一部ノ支拂ノ責ニ任ゼズ」ト云フ規定ガア
ルノデアリマス、其ノ中ニ「保險會社ガ法
令上又ハ保險契約上ノ義務ナクシテ塡補ヲ
爲シタルトキ」ト云フ規定ガアルノデアリ
マス義務ナクシテ塡補ヲ爲シタ場合ニ、
政府ガ再保險金ノ全部又ハ一部ヲ支拂ハナ
イト云フコトヲ、法文ノ形式的解釋ニ若シ
泥ミマシテ責任ヲ持タナイト云フ意味ノ支
拂拒絕ヲ致シタ場合ニハ實際保險會社ガ
今日荷主ニ對シ保險金ヲ支拂ッテ居ル狀態
トハ異ッタルコトニナル虞ガアル、保險會社
ガ被保險者ニ保險金ヲ支拂ッテ居リマス場合
二、餘リニ法令ニ拘泥セズシテ實情ニ卽
シテサウシテ保險金ヲ支拂フト云フ商慣習
ガアルノデアリマス、其ノ慣習ヲ尊重スルコ
トニセラレナケレバ、政府ノ再保險關係ノ爲
ニ、被保險者ト保險會社トノ關係ガ從來ト
ハ異ッタルコトニナルノ虞ガアルト云フ意味
ノ質問デアリマス、其ノ點ニ關シマシテハ
政府ハ十分商慣習ヲ尊重スルノデアル義
務ナクシテ支拂フト云フコトハ是ハ出來ナ
イケレドモ、義務アリヤ否ヤト云フコトヲ
考ヘルニ付キマシテハ條文ノ末ニ囚ハレ
ルト云フヤウナ態度デナク商慣習ヲ十分
酌ミ分ケテ、義務アリト認メタ場合ニ於デ
支拂フコトニスルノデアル、サウ云フ譯デ
アリマスルカラ、大體ニ於テ現在ノ狀態ト
ハ異ル所ハナイト考ヘルケレドモ、一ツ問
題トナルノハ義務ナクシテ支拂フト云フ
商慣習ガアル、此ノ點ニ付テ一ツノ區別ヲ
生ズル譯デアリマス、保險會社八實際義務
ハナイト思フケレドモ、將來ノ取引ノコト
モ考ヘテ、營業政策上、後ニ埋メ合セガ付
ク意味ニ於テ拂フト云フ商慣習ガアルノデ
アルソレハ政府ハ拂ハザルコトニナルト
云フ關係ニ於テ、如何デアルカト云フ意味
ノ質疑應答ニナル譯デアリマスルガ、政府
ノ答辯ハ、義務アリヤ否ヤト云フコトニ付
キマシテハ、十分ニ商慣習ヲ尊重シテ政府
ガ支拂フコトニスルノデアルケレドモ、營
業政策上、後ニ於テ入レ合セガ付クト云フ
意味ニ於ケル商慣習、卽チ義務ナキモノヲ
支拂フト云フ商慣習迄ハ、政府トシテハ政府
ノ事業關係トシテ認メルコトハ出來ナイノデ
アルガ、實際上ハ慣習ヲ重ンズル結果、當業者
ノ從來ノ營業關係ニ動搖ヲ加ヘルコトハナイ
ノデアルト云フ意味ノ答辯デアリマシタ、只
今申ジマシタ所ハ、條文ニ付テ申シマスナラバ
第一條ニ於テ、目的範圍ノコトガ論ゼラレ
テ居ルノデアリマシテ、第五條ニ於テ、只
今申シマシタ責任ノ問題ガ規定サレテ居ル
ノデアリマシテ、第十二條ニ於キマシテ
政府ニ民間ノ事業ヲ取入レルト云フ規定ガ
アルノデアリマス、此ノ第十二條ニ付キマシ
テ「勅令ノ定ムル所ニ依リ」トアリマスルノ
デ、其ノ勅令ノ定ムル內容ハ如何ナルモノ
デアルカト云フコトノ質疑ニ對シマシテ、
此ノ勅令ヲ以テ委員會ヲ設ケルノデアル、
サウシテ出來ルダケ民間ノ經驗者ヲ加ヘマ
シテ、サウシテ政府ガ再保險ノ經營上必要
ナリト認ムルモノヲ政府ニ取入レルヤ否ヤ
ト云フコトニ付テ、審議セシメル積リデア
ルト云フ答辯ガアッタノデアリマス、以上ノ
質疑應答ハ大體ノ點ヲ申上ゲタノデアリマ
スルガ、一應ノ質問答辯ヲ終リマシテ、懇
談ニ入ッタノデアリマス、特別委員ノミニ
於キマシテ懇談ヲ致シマシタガ、更ニ商工
大臣ノ出席ヲ求メマシテ、政府ノ意ノ在ル
所ヲ十分ニ聽取致シ、更ニ特別委員ノミヲ
以テ懇談ヲ致シタノデアリマス、懇談ヲ終
リマシテ、委員會ニ於キマシテ更ニ質問ヲ
續行致シタノデアリマスガ、其ノ際一委員
ノ質問ニ對シマシテ、商工大臣ハ斯クノ如
ク答ヘラレタノデアリマス、政府ハ本案ヲ
施行スルニ當リテハ、第五條等ノ關係ニ付
テモ實際ノ業界ニ於ケル從來ノ慣行ヲ重ン
ジ保險ガ圓滑ニ行ハルヽコトニ十分努力致
シマス、ト云フノデアリマス、質疑ヲ終リ
マシテ、討論ニ入リマシテ、一委員カラ贊
成意見ヲ述ベラレルニ當リマシテ、斯クノ
如キ陳述ガアッタノデアリマス、本法ハ運
用宜シキヲ得レバ相當ノ效果ヲ擧ゲ得ルト
考ヘル、運用ヲ誤レバ目的ヲ達シ得ナイノ
ミナラズ反對ニ惡影響ヲ生ズルノ虞ガ多
分ニアル譯デアルカラ、此ノ運用ヲ誤ルノ
危險ノ大ナルコトヲ考ヘラレテ、政府ハ十
分ニ此ノ運用ニ付テ注意ヲセラレタイト云
フノデアリマス、サウシテ三項ヲ揭ゲテ政
府ニ注意ヲサレタノデアリマス、ソレハ第
一條ニアリマスル通リ、本再保險ノ目的
ハ、保險料ノ〓騰抑制ト、圓滑ナル引受確
保ト云フコトガ目的デアルノデアルカラ、
ソレ以外ノモノハ目的トスベキモノデナ
イ、一般財政ノ關係ヨリ、或ハ爲替政策ノ
爲ニ、之ヲ濫用セザルコトハ當然ノコトデ
アル、第二ニ、政府ハ第五條ノ適用、先程
申シマシタ責任ナシト云フ場合ノ規定デア
リマス、第五條ノ適用ニ付テモ斯界ノ慣習
ヲ重ンジ、保險取引ガ圓滑ニ行ハレルコト、
ニ毫モ支障ヲ來サザルヤウ深甚ノ注意ヲ拂
ハレタイ、第三ニ、保險料ノ低下ト云フ點
ニ付キマシテ、元受保險料ヲ定ムル際ニ、
最高限度ヲ定メルト云フヤウナ方法ヲ執ッ
テ、一定ノ保險料ト云フコトデナク、サウ
云フ方法ヲ執リ、又船體保險ノ場合ニモ
期間計算ノ方法ニ依ル保險料ニ致サズシテ、
適當ニ期間計算ノ現在ノ考ヘ方ヲ變ヘルヤ
ウニシテ貰ヒタイト云フノデアリマス、此
ノ點ニ付テ申添ヘタイコトハ、質疑ノ中ニ
之ニ關聯シタコトガアッタノデアリマズ、ソ
レハ戰爭及ビ事變ノ爲ニ、航海ヲ致シマス
所ノ船舶ガ戰爭ノ危險ヲ避ケムガ爲ニ航海
日數ヲ多ク要スル場合ガアル、ソレガ爲ニ、
期間ニ依ッテ保險料ノ定メガシテアル場合
ニ於テ、之ガ爲ニ保險料ガ非常ニ多額ニナ
ルト云フ關係ガアルノデアリマス、戰爭ヲ避
ケムガ爲ニ生ズル損害ヲモ「カバー」スルト
云フ所ノ意味ノ考ヘ方ヲセラレルベキデア
ルト云フ意味カラノ質疑ニ關聯致シテ居ル
ノデアリマス、尙他ノ委員カラ贊成ノ意見
ヲ述ベラレルニ當リマシテ、斯クノ如キ陳
述ガアッタノデアリマス、本法案ハ貿易竝ニ
海運ノ保護ニ付、現下ノ時局ニ於テ之ヲ實
施スルコトハ緊要ト思フノデアリマス、併
シナガラ第一條ノ後段、卽チ戰爭及ビ事變
後ニ於ケル再保險ノ問題デアリマス、此ノ
再保險ヲ引受ケマスニ當リマシテ、極メテ
文字ノ上ニ於テハ廣汎デアリ、且恆久的ニ
再保險ヲ行フコトノ出來ルガ如キ感ヲ與ヘ
テ居ル所モアルフデアルカラ、政府ハ此ノ
條文ノ解釋如何ニ依リマシテハ、尙十二條
ノ適用、卽チ自己ノ事業經營ノ中ニ取入レ
ルト云フ其ノ十二條ノ規定ノ適用ノ如キモ、
解釋如何ニ依リ、政府ノ考ヘ方如何ニ依リ
マシテハ、非常ニ廣クモナルコトニナルノ
デアルカラ、條文ソレ自身ニ付テハ斯クノ
如キ不安ナシトハ言ヘナイノデアリマスル
ガ、政府委員及ビ大臣ノ言明ニ信賴ヲ致ス
ノデアルカラシテ、十分注意セラレテ運用
上遺憾ナキヲ期セラレタイト云フコトヲ申
添ヘラレマシテ、贊成ノ意見ヲ述ベラレタ
ノデアリマス、損害保險國營再保險法案及
ビ同特別會計法案兩案トモ、全會一致採
決ニ於テ可決致シタ次第デアリマス、次ヘ
商業組合法中改正法律案ニ付テ申述べマス、
商業組合法中改正法律案ノ趣旨ト致シマス
所ハ、組合ニ對シマスル監督ヲ强化スルト
云フ點、ソレハ統制ヲ行ッテ居リマスル商
業組合ニ對シマシテノ監督ノ關係デアリマ
スガ、理事及監事ノ選任解任ヲ政府ニ於テ
行フコトガ出來ルト云フコトニ定メテ居ル
ノデアリマス、此ノ點ニ付キマシテハ十分
ニ愼重ニ此ノ事ヲ行ハレタイト云フコトノ
希望ヲ以テノ質問ガアッタノデアリマス、第
二ノ點ハ、商業組合ノ中デ出資ヲ爲サズシ
テ統制ヲ行ッテ居ルモノヲ統制商業組合ト
云フ名稱ヲ附セヨト云フノデアリマス、商
業組合ノ中ニハ、出資ヲ爲シテ仕入、保管、
運搬ト云フガ如キ共同施設ヲ致シテ居ルモ
、且ソレガ第一種デアリマスガ、第二種
ハ其ノ共同施設ト共ニ統制ヲ行ッテ居ル
ト云フモノ、ソレカラ統制ノミヲ行ッテ居
ルモノ、此ノ三種類アル譯デアリマスガ、
其ノ統制ノミヲ行ッテ居ルモノヲ統制商業
組合ト言ハウト云フノデアリマス、之ニ對
シマシテノ質疑應答ニ付キマシテハ統制
ト共同施設トヲ行ッテ居ルモノモ、亦統制商
業組合ト稱シテモ差支ナキヤウナ考ヘ方モ
アルノデアルカラ、必ズシモ統制ノミヲ行
フモノヲ統制商業組合ト稱スルノハ、適切
ナラザルヤノ感ガアルト云フ意味ノ質疑ガ
アッタノデアリマスガ、是ハ統制工業組合ト
云フモノガ、旣ニ法規ノ上ニ認メラレテ居
ルノデアリマスルカラ、ソレニ做ッタト云
フ答辯デアリマシタ、ソレカラ尙質疑應答
ノアリマシタ條項ヲ申上ゲマスガ、此ノ法
案ニ於キマシテハ、商業小組合ト云フモノ
ヲ認メルコトニ致シテ居ルノデアリマス、
商業小組合ト申シマスルノハ、物資及物價
ノ統制ニ付テ、商業組合ガ種々ノ働キヲ致
シテ居リマスニ付キマシテ、小サナ商人ハ
其ノ商業組合ニ加入スルコトヲ致シテ居ラ
ナイノデアリマス、力ガ十分デアリマセヌ
カラ····サウ云フ小サイ商人ヲ十人ヲ超
エザルヲ例ト致シマシテ、商業小組合ト云
フモノヲ組織セラレルコトノ制度ヲ玆ニ立
テテ、其ノ商業小組合ガ一單位トナッテ商
業組合員ニ爲スヤウニシタイト云フコトノ
改正デアリマス、此ノ商業組合ノ範圍ハ如
何ナル所ニ置イテ居ルカト云フ質問ニ對シ
マシテ、資本金三千圓以下ノモノヲ小商人
トシテ考ヘル積リデアル、商法ニ於キマシ
テノ小商人ト申シマスルノハ、二千圓未滿
トナッテ居リマスガ、本法案ニ於キマシテハ
今申シマシタ如キ所ニ標準ヲ置クノデアル
ト云フコトデアリマス、次ニ店舗小商人、
家庭ニ出入致シマス小商人ノ商業信義ノ向
上闇取引ノ防止ニ付テノ質疑應答ガゴザ
イマシタ、尙小組合ハ十人ヲ超エザルヲ例
トシテ設ケルト云フガ如キ小サナ組合デア
リマスルガ、ソレニ理事ヲ置キ監事ヲ置キ
且定款ヲ定メテ、普通ノ法人ヲ組織スルト
同樣ナ形ニ於テ組織致スヤウニナッテ居ル
ノデ、餘リニ煩瑣ニ亙ラザルヤウ、且役員
ニ付テ弊害ノ伴フ點ニ關シ注意ヲセラレタ
イト云フ意味ノ意見ヲ以テノ質問ニ對シマ
シテ、政府ハ、此ノ組合ノ組織ニ付テハ、
商業組合中央會ヲシテ十分ニ斡旋ヲセシメ
ルコトニシ、役員ノ關係ニ付テハ十分ニ注
意スル積リデアルト云フ意味ノ答辯ガアリ
マシタ、尙新シク加ヘムトスル所ノ規定
ハ、商業組合中央會ニ商業組合監査員ト云
フモノヲ置キマシテ、商業組合ニ所屬シテ
居ル組合ノ事業及財產ノ狀況ニ付テ監査事
業ヲ行ハウト云フ、自治監査制度ヲ樹テヨ
ウト云フ規定ヲ設ケムト致スノデアリマス、
現在商業組合中央會ニ加入シテ居リマスモ
ノハ、商業組合全部ノ略、、半數ニ達シテ居ル
ト云フ狀況デアル、全部ノ組合ノ數ハ、五
千六百餘ニナツテ居ルノデアリマスガ、漸
次中央會ニ加入スル數モ殖エル譯デアルカ
ラ、之ニ依ツテ指導的ノ監督ヲ致シ、官廳、
カラ行ヒマス所ノ行政上ノ監督ト相俟ッテ、健
全ナル發達ヲナサシメヨウト云フノデアリ
マス、其ノ他商業組合ニ對シマシテ、全國
的ニ畫一的ニ偏セザルヤウニ指導ヲスルノ
必要アルベシト云フ意味ノ質問、共同施設
ヲ爲スニ當リマシテ問屋ノ事業トノ關係等
ニ付キマシテノ質疑應答ガアッタノデアリマ
スガ、問屋ナル業態ノ存在ニ付キマシテハ、
此ノ中間ノ存在ヲ止メテウマク行カナイヤ
ウナ場合モ考ヘラレルノデアルカラ、實情
ニ卽シテ配給機構ノ段階ヲ整ヘル考デアル
ト云フ意味ノ答辯ガアリマシタ、尙商業組
合員ガ共同仕入ヲ爲スヤウナ場合ニ於テ、
債務不履行ヲ致シテ居ルヤウナ實情ハナイ
カト云フコトノ質疑ニ對シマシテハサウ
シタ事例ハナイヤウニ思ッテ居ルト云フ答
辯デアリマシタ、以上ノ如キ質疑應答ヲ重
ネマシタ後ニ採決ニ入ッタノデアリマスガ、
全會一致可決スルコトニ決定致シマシタ、
以上三案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ申上ゲ
タノデアリマスガ、玆ニ申添ヘテ置キタイ
コトガアルノデアリマス、ソレハ損害保險
國營再保險法案ノ關係ニ於テノ問題デアリ
マスガ、昨年ノ十月以來、政府ガ民間二十
一社ノ海上保險會社ト戰時海上保險補償契
約ト云フモノヲ締結致シテ居ルノデアリマ
スルガ、是ハ豫算外國庫ノ負擔トナルベキ
契約トシテ議會ノ協贊ヲ經テ居ルモノナル
ヤ否ヤト云フ點ニ付テノ問題デアリマス
政府ノ說明致シマス所ハ一千萬圓ノ補償
契約ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、是ハ昭
和十四年度ノ豫算ノ中ニ貿易振興施設費ト
云フモノガ二千萬圓アル、其ノ殘額ト、昭
和十四年度ノ總豫算ニ於キマシテ、
第十一條ノ規定ニ依リ翌年度ニ亙ル契約ヲ
爲スコトヲ得ベキ金額トシテ認メラレテ居
ル四百萬圓ノ中カラ三百餘萬圓ヲ割イテ、
合セテ一千萬圓トシテ此ノ補償契約ニ充テ
タノデアルト云フ意味ノ大藏省ノ政府委員
ノ答辯デアリマシタ、併シナガラ此ノ補償
契約ト云フモノガ、果シテ貿易振興施設費
ノ中ニ包含セラレ得ベキモノナリヤ否ヤト
云フコトニ付キマシテ、疑ガアルト思ハレ
ルノデアリマスルシ、豫算外國庫ノ負擔ト
ナルベキ契約トシテ、議會ノ協賛ヲ經ズシ
テ斯クノ如キ契約ヲ締結シタルニ非ザルヤ
ノ疑義ヲ委員長トシテハ持ツノデアリマス
ケレドモ、質疑應答ダケニ止メマシテ、委
員會ニ付託ノ事項デモゴザイマセヌカラ、
其ノ以上別ニソレニ對シテ決ヲ採ルコトハ
致シマセヌデシタ、一應此ノ點ヲ併セテ御
報告申上ゲテ置キマス、以上報告ヲ終リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=97
-
098・議長(伯爵松平賴壽君)-
○議長(伯爵松平賴壽君)- 別ニ御發言モナ
ケレバ三案ノ採決ヲ致シマス、三案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=98
-
099・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=99
-
100・子爵植村家治君
○子爵植村家治君 直チニ本案ノ第二讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=100
-
101・子爵秋田重季君
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=101
-
102・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=102
-
103・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=103
-
104・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス三案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
會計法一〇議長(伯爵松平賴壽君)御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=104
-
105・子爵植村家治君
○子爵植村家治君 直チニ各案ノ第三讀會
ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=105
-
106・子爵秋田重季君
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=106
-
107・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=107
-
108・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
マメス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=108
-
109・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第三讀會
ヲ開キマス、三案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=109
-
110・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=110
-
111・議長(伯爵松平賴壽君)
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三十三ヨ
リ日程第七十二迄ノ請願、會議
意見書案
鑛業被害耕地ノ復舊整理助成ニ關スル
件
福岡縣嘉穗郡山田町大字上山田千二
百十五番地農松岡運外六名呈出
右ノ請願ハ鑛害ノ賠償責任ハ昭和十四年
鑛業法ノ改正ニ依リ明瞭トナリタルモ同
法ノ實施ニ當リ尙賠償ヲ受ケ得サル耕地
アリ且今期議會ニ提出セラレタル助成施
設亦十分ナラサルヲ以テ速ニ鑛業被害耕
地ノ復舊整理促進ノ爲請願者所案ノ如キ
助成策ヲ樹立シ關係地元農民ノ救濟ト農
業生產力ノ確保增進ヲ圖ラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
豫定線三股、上川間鐵道速成ノ件
北海道旭川市長足立冨外一名呈出
右ノ請願ハ豫定線三股、上川間鐵道ハ沿
線地方ニ於ケル豐富ナル農、林、鑛產資
源ノ開發竝大雪山國立公園ノ觀光上多大
ノ利便アルノミナラズ軍事竝運輸交通上
亦須要ノ線路ナルニ依リ速ニ同豫定線ヲ
工事線ニ編入シ之カ完成ヲ期セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
豫定線鶴岡、大鳥間鐵道速成ノ件
山形縣鶴岡市長熊田周八呈出
右ノ請願ハ豫定線鶴岡、大鳥間鐵道ヲ敷
設スルハ沿線地方ニ於ケル豐富ナル林、
鑛產資源ノ開發竝東北地方振興上寄與ス
ル所尠カラサルニ依リ速ニ之カ實現ヲ圖
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
東武鐵道東上線買收ノ件
埼玉縣川越市長伊達德次郞外二十四
名呈出
右ノ請願ハ東京市池袋ヨリ埼玉縣寄居町
ニ達スル東武鐵道東上線ハ八高線ノ開通
ニヨリ高崎市ヲ經テ裏日本ニ通スル重要
線路トシテ之カ運用ノ適否ハ國防竝產業
上至大ノ影響ヲ及ホシ殊ニ帝都ニ於ケル
通勤圈ノ擴大、工業ノ分散計畫等ニヨリ
愈公益的重要性ヲ帶フルニ至リタルヲ以
テ速ニ同線路ヲ買收シテ其ノ機能ノ完璧
ヲ期セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付
候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
長門鐵道西市驛ヨリ山口縣油谷灣又ハ
仙崎港ニ至ル鐵道敷設ノ件
山口縣下關市長松井信助外三十四名
呈出
右ノ請願ハ山口縣長門鐵道西市驛ヨリ同
縣油谷灣又ハ仙崎港ニ至ル鐵道ヲ敷設ス
ルハ沿線地方ニ於ケル產業ノ發展ニ貢獻
スル所大ナルノミナラス山陰方面ト下關、
九州方面トヲ結ブ捷徑トシテ運輸交通竝
軍事上裨益スル所亦尠カラサルニ依リ速
ニ之カ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ
貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト
議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別
册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣光內光政殿
意見書案
北海道札幌市ニ少年審判所及矯正院設
置ノ件
北海道虻田郡倶知安町南一條西一丁
目一番地農小川原政信呈出
右ノ請願ハ北海道ノ靑少年ハ質朴ニシテ
堅忍持久ノ精神ニ富ムモ環境ニヨリ放膽
的氣風ニ流レ易ク殊ニ鑛山其ノ他ノ殷賑
產業ノ勃興ニ伴ヒ無自覺裡ニ道德ヲ忘却
シ法ヲ犯ス者增加ノ傾向ニ在ルハ甚、遺憾
ナルニ依リ速ニ之カ對策トシテ少年審判
所及矯正院ヲ札幌市ニ設置シ以テ靑少年
犯罪防遏方策ノ完璧ヲ期セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇ス
ヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
西日本早害救濟ニ關スル件
福岡縣田川郡伊田町福岡縣田川郡農
會長林田春次郞外六名呈出
三重縣津市三重縣農會長小林嘉平治
外八名呈出
山口縣熊毛郡田布施町山口縣熊毛郡
農會長國光五郞外百五十三名呈出
福岡縣三井郡北野町福岡縣三井郡農
會長川崎八二外十四名呈出
奈良市奈良縣農會長中山愷男外六十
六名呈出
岡山縣都窪郡妹尾町岡山縣都窪郡妹
尾町農會長正保千代藏外五名呈出
福岡縣宗像郡赤間町福岡縣宗像郡赤
間町農會長石松治三郞外十八名呈出
香川縣大川郡志度町香川縣大川郡農
會長廣瀨小三郞外百三十六名呈出
鳥取縣岩美郡浦富町鳥取縣岩美郡農
會長西尾善孝外百五十一名呈出
島根縣簽川郡今市町島根縣簸川郡農
會長石橋正彥外十三名呈出
奈良縣宇陀郡松山町奈良縣宇陀郡松
山町農會長都司太右衞門外十三名呈
出
岡山市岡山縣農會長星島義兵衞外四
十五名呈出
右ノ請願ハ昭和十四年西日本一帶ヲ襲ヘ
ル旱魃ハ其ノ被害激甚ニシテ農村ノ窮狀
言語ニ絕スルモノアリ政府ハ曩ニ之カ應
急對策ヲ講セラレタルモ未十分ナラサル
ニ依リ速ニ罹災農民ノ救濟、農業生產計
畫ノ遂行等ノ緊急對策ハ勿論斯ル大早害
ヲ防止スルニ足ル恆久的施設ヲ講シ以テ
農村民ヲシテ其ノ堵ニ安セシメラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
總武本線錦糸町驛ノ操車線路撤去ニ關
スル件
東京市本所區綠町三丁目九番地平民
商小栗鐵朗外十五名呈出
右ノ請願ハ東京市本所區錦糸町三丁目二
番地先ノ總武本線錦糸町驛操車線路ハ深
川區猿江町ヨリ本所區押上町ニ至ル所謂
四ツ目通ヲ橫斷セル線路ニシテ交通速斷
ノ囘數多キニ加ヘ其ノ時間長キ爲一般交
通上不便大ナルノミナラズ物資輸送ノ不
圓滑ヲ來タシ產業發展上甚遺憾ナルヲ以
テ速ニ同線路ヲ撤去シ若シ之カ不能ノ場
合ハ線路下ニ地下道ヲ開設セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
國道六號線中ノ改良工事繼續事業ニ關
スル件
福島縣平市長靑沼鋒太郞外十二名呈
出
右ノ請願ハ國道六號線中福島縣石城郡勿
來町ヨリ雙葉郡久之濱町ニ至ル道路ハ曩
ニ單年度事業トシテ一部ノ改良工事ヲ施
行セラレタルモ之カ沿線ニハ豐富ナル物
資ヲ擁スルノミナラズ近時軍需工業等ノ
發展ニ伴ヒ交通量愈激增シ路面ノ破損著
シキモノアルニ依リ昭和十五年度以後ニ
於テハ繼續事業トシテ其ノ改良ヲ圖ラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
東北本線宇都宮、靑森間複線敷設ノ件
福島縣郡山市長村井八郞呈出
右ノ請願ハ東北本線宇都宮、靑森間ハ近
時東北地方ニ於ケル各種商工業ノ勃興ニ
伴ヒ物資ノ集散、旅客ノ來往繁劇トナリ
タルニ拘ラス今尙單線ニシテ舊態依然タ
ルモノアルハ運輸交通竝產業上甚遺憾ナ
ルニ依リ速ニ之カ區間ニ複線ヲ敷設セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
工場、鑛山ニ婦人監督官竝女子勞務係
採用ニ關スル件
東京市四谷區尾張町五番地母性保護
聯盟內平民千本木道子外一名呈出
右ノ請願ノ近時生產力擴充ハ爲工場、鑛山
就中重工業方面ニ就勞スル女子益增加ノ
傾向アルニ鑑ミ速ニ直接女子勞務者ノ監
督保護指導ニ當ル相當數ノ婦人ノ工場竝
鑛山監督官ヲ任用スルト共ニ女子勞務者
ヲ使傭スル工場鑛山ニハ必ス女子勞務係
ヲ採用スルヤウ之カ方針ヲ確立シ其ノ養
成機關ヲ設ケ以テ母性保護ニ遺憾ナキヲ
期セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
直江津港ヲ第二種重要港灣編入ニ關ス
ル件
新潟縣中頸城郡直江津町長土肥善三
外七名呈出
右ノ請願ハ新潟縣中頸城郡直江津港ハ日
本海沿岸ニ於ケル要港ニシテ近時各種工
業勃興ニ伴ヒ貨物ノ呑吐逐年增加シ產業
竝國防上益重要性ヲ加ヘタルニ拘ラス港
灣ノ設備不完全ニシテ船舶ノ出入、荷役
ノ能率ヲ阻害シツツアルハ甚遺憾ナルニ
依リ速ニ同港ヲ第二種重要港灣ニ編入ス
ルト共ニ修築工事ヲ實施セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇ス
ヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五
條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
中央本線木曾福島、高山本線久々野兩
驛間ヲ鐵道豫定線ニ編入ノ件
長野縣西筑摩郡福島町長佐藤正太外
五名呈出
右ノ請願ハ中央本線木曾福島驛ヨリ長野
縣三岳、開田、岐阜縣高根、朝日ノ四箇
村ヲ經テ高山本線久々野驛ニ至ル鐵道ヲ
敷設スルハ沿線地方ニ於ケル林、鑛畜
產等ノ資源開發上資スル所大ナルノミナ
ラス信濃、飛驒ヲ連絡スル捷徑ニシテ且
御嶽登山ノ要路ニ當リ交通上亦須要ナル
ニ依リ之カ區間ヲ鐵道敷設法豫定線ニ編
入セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
石狩川治水事業促進ニ關スル件
北海道樺戶郡新十津川村長東英治外
五名呈出
右ノ請願ハ石狩川本支流ノ治水施設ハ北
海道ニ於ケル拓殖竝產業進展ノ重要基幹
ナルニ拘ラス之カ施工ハ今尙一部分ナル
爲水禍年歲絕エス沿岸地方ノ打擊多大ナ
ルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ請願者所案ノ
如ク同川本支流2治水工事ヲ完成セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
石狩川架橋ニ關スル件
北海道空知郡岩見澤町長高柳廣藏外
三名呈出
右ノ請願ハ北海道樺戶郡月形村ハ石狩川
ノ右岸ニ位シ對岸空知郡美唄町、北村ト
經濟上密接ノ關係ヲ有シ且相互ノ交通頻
繁ナルニ拘ラス未橋梁ノ架設ナク年來不
安不便ナル渡船ニ依ルノ外ナキハ同地方
開發上遺憾ナルヲ以テ準地方費道厚田、
岩見澤停車場線ト町村道峯延、月形港船
場線ノ交叉點ニシテ石狩川治水計畫ニ依
ル新川切替ノ位置ニ橋梁ヲ架設セラレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ廳意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
小樽港三基埠頭築設促進ニ關スル件
北海道小樽市長河原直孝呈出
右ノ請願ハ小樽港ノ三基埠頭築設工事ハ
曩ニ北海道第二期拓殖計畫ノ下ニ昭和十
年度ヨリ同十六年度ニ至ル繼續事業トシ
テ著手セラレタルニ拘ラス未第三號埠頭
ノ著工ヲ見サルハ同港ノ機能發揮上遺憾
ナルノミナラス同道ノ資源開發竝產業、
貿易ノ進展上影響スル所少カラサルニ依
リ速ニ之カ工事ニ著手シ計晝年度內ニ竣
功セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
北海道高島漁港築設ニ關スル件
北海道小樽市長河原直孝呈出
右ノ請願ハ北海道小樽港ノ港界線內ニ在
ル高島港ハ古來同道ニ於ケル沿岸竝沖合
漁業ノ根據地トシテ樞要ノ地位ヲ占ムル
ニ拘ラス今尙施設トシテ何等見ルヘキモ
ノナキノミナラス從來漁船ノ碇繫ニ利用
シ來レル小樽港モ近時飛躍的進展ニ伴ヒ
港內狹隘ヲ感スルニ至リ爲ニ漁船ハ其ノ
據點ヲ失ヒ斯業者ノ困窮多大ナルニ依リ
高島港ヲ北海道第二期拓殖計畫ニ編入シ
速ニ漁港施設ヲ實施セラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ
依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
小樽港臨港工業地域造成ニ關スル件
北海道小樽市長河原直孝外三十九名
呈出
右ノ請願ハ小樽港南防波堤ニ接續シテ港
外朝里村地先公有水面ノ埋築及防波堤ノ
築設ヲ爲スハ同港現時ノ情勢ニ鑑ミ緊要
ナルノミナラス工業ニ最必要ナル原料
燃料、勞力、交通等ニ於テ比類ナキ好條
件ヲ具備セル小樽市ニ工業地帶ヲ造成ス
ルニ最適ノ對策ナルニ依リ速ニ之カ事業
ヲ北海道拓殖計畫ニ編入シ國費ヲ以テ速
ニ施工セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
國民健康保險組合ニ國庫補助金增額ノ
件
北海道雨龍郡沼田村北海道雨龍郡沼
田村國民健康保險組合理事長板東德
次郞外十名呈出
右ノ請願ハ國民健康保險組合ニ對スル國
庫補助金ハ極メテ少額ナルノミナラス組
合事業年度ノ進行ト共ニ遞減セラルルヤ
ニ聞ク斯クテハ到底之カ圓滑ナル運營期
シ難キノミナラス延テハ大多數未設置町
村ノ組合設立ニ支障ヲ生スルニ依リ同組
合(代行法人ヲ含ム)ニ對スル補助金ハ事業
年度ニヨリ遞減スルコトナク且金額ハ少
クトモ現在ノ倍額以上ニ爲スト共ニ北海
道ニ對シテハ其ノ特殊事情ニ鑑ミ格別ノ
考慮ヲ拂ハレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
小樽港ノ鐵道省第二期計畫促進ニ關ス
ル件
北海道小樽市長河原直孝呈出
右ノ請願ハ北海道ハ近時工、鑛業ノ振興
著シク殊ニ石炭ノ增產計畫顯著ニシテ之
カ輸送施設ノ完備ハ喫緊事ナルニ依リ小
樽港ニ於ケル鐵道省第二期計畫ハ速ニ完
成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
北海道雨龍郡沼田村ニ國有種牡馬種付
所設置ノ件
北海道雨龍郡沼田村長板東德次郞外
三名呈出
右ノ請願ハ北海道雨龍郡沼田、北龍、秩
父別及多度志ノ四箇村ハ近時政府馬產計
畫ノ實施方針ニ順應シ優良蕃殖牝馬ノ飼
育熱勃興ト共ニ軍用供出馬ノ代馬トシテ
轉入ノ牝馬漸增セルニ拘ラス今尙距離遠
キ深川種付所ヲ利用セサルヘカラサル爲
料金高率ナル民間管理種牡馬ノ種付頭數
遙ニ多數ヲ占メ住民ノ不利不便少カラサ
ルニ依リ速ニ之等四箇村ノ中心沼田村ニ
國有種牡馬種付所ヲ設置シ以テ產馬ノ改
良發達ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
栃木、茨城兩縣ヲ貫流スル田川改修工
事國庫補助ノ件
栃木縣宇都宮市長落合慶四郞外十名
呈出
右ノ請願ハ栃木縣河內郡中部ヲ貫流セル
田川ハ茨城縣結城町ヲ經テ鬼怒川ニ注ク
河川ナルモ沿岸殆ト無堤ノ狀態ナル爲一
朝豪雨ニ際會セハ忽チ出水シ耕地ノ崩壞
相次テ生シ土砂堆積シテ河床ヲ嵩メ濁流
氾濫シテ人畜、農作物、家屋等ノ被害少
カラス而モ同川ニ於ケル灌漑用水ハ當ニ
涸渴シテ引用難ニ陷レルハ甚遺憾ナルニ
依リ速ニ之カ改修ニ對シ國庫補助ノ途ヲ
講セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
岩手縣閉伊川上流竝支流改修ニ關スル
件
岩手縣下閉伊郡宮古町長菊池長右エ
門外三名呈出
右ノ請願ハ岩手縣宮古港ニ注ク閉伊川ノ
上流及其ノ支流長澤川、近內川ハ急流ナ
ル爲一朝豪雨ニ際會セハ忽チ流域一帶ニ
氾濫シテ土砂ヲ流出スルニヨリ之カ改修
ヲ爲スニ非サレハ下流及宮古港ノ改修ヲ
シテ其ノ效果ヲ失ハシムルニ至ルヲ以テ
速ニ之カ改修計畫ヲ樹立實施スルト共ニ
閉伊川改修既定計畫年度ノ繰上ケヲ圖ラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
岩手縣盛岡市、横黑線陸中川尻驛間ニ
省營自動車運輸開始ノ件
岩手縣盛岡市長見坊田霞雄外六名呈
出
右ノ請願ハ岩手縣盛岡市ヨリ岩手郡本
宮、太田、御所ノ各村及和賀郡澤內、湯
田ノ兩村ヲ經テ橫黑線陸中川尻驛ニ至ル
間ニ省營自動車ノ運輸ヲ開始スルハ沿線
地方ニ於ケル豐富ナル農、林鑛產資源
ノ開發上貢獻スル所多大ナルノミナラス
遊覽、觀光上ノ利便亦尠カラサルニ依リ
速ニ之カ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
岩手縣二戶郡福岡町、九戶郡久慈町間
ニ省營自動車運輸開始ノ件
岩手縣九戶郡輕米町長畠澤熊太郞外
十名呈出
右ノ請願ハ岩手縣二戶郡福岡町ヨリ同郡
金田一、晴山、輕米ノ諸町村ヲ經テ九戶
郡久慈町ニ至ル間ニ省營自動車ノ運輸ヲ
開始スルハ沿線地方ニ於ケル豐富ナル
農林鑛產資源ノ開發上資スル所大ナ
ルノミナラス運輸交通上亦利便尠カラサ
ルニ依リ速ニ之ヲ實現セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ額意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
江差線江差、瀨棚線瀨棚ノ兩驛間鐵道
敷設ノ件
北海道檜山郡上ノ國村字上ノ國百九
十八番地漁業長谷川喜一郞外二千四
百八十六名呈出
右ノ請願ハ江差線江差驛ヨリ瀨棚線瀨棚
驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿線地方ニ於
ケル豐富ナル農、林鑛水產等ノ資源
開發上資スル所大ナルノミナラス交通竝
國防上亦重要ナルニ依リ速ニ之ヲ實現セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米内光政殿
意見書案
造林國策樹立實施ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會頭男爵束久世秀雄呈出
右ノ請願ハ我國ニ於ケル木材ハ近年產業
ノ進展就中纖維工業ノ發展ニ伴ヒ需要著
シク增加セルノミナラス山村ノ疲弊困憊
ト林道開設ノ不備、森林金融ノ不振等ヨ
リ甚シク植伐ノ均衡ヲ失シツツアルハ甚
遺憾ナルニ依リ速ニ帝國全經濟領域ヲ一
貫セル木材需給計畫ニ對應スヘキ造林國
策ヲ樹立實施シ以テ木材資源ノ保續、增
殖ト國土ノ保安トニ資セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別冊及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
市町村立小學校〓員加俸令中改正ニ關
スル件
島根縣通摩郡大濱村大字飯原四百九
十六番地平民吉田直方呈出
右ノ請願ハ市町村立小學校〓員加俸令第
三條ノ規定ハ公立學校職員加俸令ニ比シ
差等アル爲公立學校ヨリ市町村立小學校
ニ轉シタル場合ハ之カ恩典ニ浴セス支給
額低減セラルルノ不合理アル、ニ依リ速ニ
同令第三條ヲ改正シ公立學校職員ト同樣
ニ優遇セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
國民學校初等科第一學年ヨリ毛筆習字
ヲ課スルノ件
東京市大森區新井宿一丁目二千三百
十五番地伯爵〓浦奎吾外三十名呈出
右ノ請願ハ習字ハ情操ノ陶冶精神ノ修練
上缺クヘカラサル學科ニシテ國民學校初
等科ノ時ヨリ之カ學習ヲ爲サシムルハ克
ク膽大心小ノ工夫ヲ體得シ創作ノ念ヲ養
成スルト共ニ靜的沈着ノ眞勇ヲ培養セシ
ムル所以ナルニ依リ初等科第一學年ヨリ
毛筆習字ヲ課シ尙書方ナル名稱ヲ廢セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
鳥取縣千代川改修區域ニ關スル件
鳥取縣八頭郡河原町長谷口好藏外一
名呈出
右ノ請願ハ鳥取縣千代川ハ曩ニ一部ノ改
修工事ヲ施行セラレタルモ未改修區域タ
ル八頭郡河原町大字稻常及同郡國英村大
字片山ハ洪水每ニ激甚ナル慘禍ヲ蒙ルノ
ミナラス對岸ニ堅固ナル堤防築造サレタ
ル結果從來ヨリ更ニ水禍ノ危險增大シ住
民ノ不安甚シキヲ以テ速ニ兩部落ヲ千代
川改修區域ニ編入セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
國道四號線中改良ノ件
岩手縣二戶郡福岡町長川嶋一郞外二
名呈出
右ノ請願ハ國道四號線中岩手縣二戶郡石
切所村ヨリ福岡町、爾薩體村ヲ經テ金田
一村ニ至ル道路ハ逐年交通頻繁トナリ且
省營自動車全通ノ曉ニハ愈交通量增大ス
ルニ依リ速ニ該道路ノ鋪裝工事ヲ施行セ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
高知縣久万川改修ニ關スル件
高知市長川淵洽馬呈出
右ノ請願ハ高知縣久万川ハ高知市ノ北郊
ヲ貫流シ灌漑、排水竝水運上重要河川ナ
ルニ拘ラス其ノ流路屈曲狹小而モ護岸堤
防脆弱ナル爲屢決潰溢流シテ其ノ及ホス
損害激甚ナルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ之
カ改修ヲ圖リ以テ產業ノ發展ニ資セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
山口縣玖珂郡柳井町ニ區裁判所設置ノ
件
山口縣玖珂郡柳井町長小田周一呈出
右ノ請願ハ山口縣玖珂郡柳井町ニ在リシ
區裁判所ハ曩ニ廢止セラレ爲ニ同郡西南
部各町村及大島郡下各町村、熊毛郡一部
町村ハ岩國區裁判所ノ管轄區域トナリタ
ルヲ以テ住民ノ不利不便少カラサルニ依
リ恰當ノ地柳井町ニ區裁判所ヲ復活設置
セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
二戶區裁判所ニ專屬ノ判事ヲ置クノ件
岩手縣二戶郡福岡町長川嶋一郞呈出
右ノ請願ハ二戶區裁判所ハ昭和六年以降
專屬ノ判事ナク盛岡地方裁判所ヨリ每月
數囘出張執務スル爲事務ノ遷延ヲ來スノ
ミナラス其ノ圓滑ヲ缺キ地方民ノ不利不
便少カラサルニ依リ同區裁判所ニ專屬ノ
判事ヲ置カレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
豫定線一戶、荒屋間鐵道速成ノ件
岩手縣二戶郡一戶町長熊谷平太右衞
門外五名呈出
右ノ請願ハ豫定線一戶、荒屋間鐵道ヲ速
成スルハ沿線地方ノ開發上貢獻スル所大
ナルノミナラス太平洋方面ト日本海方面
トノ聯絡竝軍事上亦須要ナルニ依リ速ニ
之ヲ敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及
送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
宮崎縣油津港ニ稅關監視署設置ノ件
宮崎縣南那珂郡油津町長森迫熊市呈
出
右ノ請願ハ宮崎縣南那珂郡油津港ハ同縣
南海岸ニ於ケル海陸運輸ノ要衝ニシテ近
時物資ノ輸移出激增セルノミナラス大型
船舶ノ接岸荷役可能ナル岸壁工事中ニシ
テ之カ完成ノ曉ハ運輸機能上劃期的躍進
ヲ見ルニ至ルヘキヲ以テ速ニ關稅監視署
ヲ設置シ輸出ノ圓滑增進ト地方產業ノ開
發ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
福島縣日橋川改修竝水門開閉權ニ關ス
ル件
福島縣耶麻郡鹽川町長佐藤登外七名
呈出
右ノ請願ハ福島縣猪苗代湖ニ源ヲ發スル
日橋川ハ會津盆地ニ於ケル重要河川ナル
モ之カ水禍激甚ニシテ改修ヲ所望スルコ
ト切ナルモノアリ近時同湖ノ湖面低下工
事施行セラルルヤニ聞クヲ以テ同川ノ改
修ハ之カ低下工事ト同時ニ施行シ且十六
橋水門ノ開閉權ヲ一水利組合ニ委スルハ
甚遺憾ナルニ依リ之カ管理ヲ國家ニ還元
セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
島根縣高津漁港修築ノ件
島根縣美濃郡高津町長中島匡彌外二
十名呈出
一右ノ請願ハ島根縣美濃郡高津漁港ハ沿岸
ニ好漁場ヲ控フルノミナラス朝鮮近海ノ
大漁場ニ對シ最短距離ニ位シ且後方一帶
ニハ近時諸工業ノ勃興ヲ見ルニ至リ同港
施設ノ整備ヲ要望スルコト切ナルニ拘ラ
ス今尙自然ノ河口ヲ利用スルニ過キサル
爲船舶ノ出入碇泊上不利不便少カラサルニ
依リ速ニ之カ修築工事ヲ實施セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿
意見書案
北海道函館港ニ港務部設置ノ件
北海道函館市長齋藤與一郞呈出
右ノ請願ハ北海道函館港ハ國際通商上ノ
重要地點ニシテ其ノ發展逐年著シキニ拘
ラス港內ノ整備之ニ伴ハサル爲保安、衞
生、檢疫上ノ不便延テハ荷役運搬ノ不圓
滑ヲ招來シ港灣ノ能率ヲ低下スルコト甚
シキハ遺憾ナルノミナラス時局下防諜關
係竝外國船舶出入ノ監視ハ喫緊ノ要務ナ
ルニ依リ速ニ同港ニ港務部ヲ設置セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト決議致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣米內光政殿
意見書案
鷄卵ノ適正價格竝養鶏飼料ニ關スル件
横濱市神奈川區菅田町一一千九百五十
四番地養鷄業齋藤虎松外一名呈出
右ノ請願ハ養鷄業ハ農業經營、國家經濟、
國民體位向上等ノ見地ヨリ輕視スヘカラ
サル重要產業ナルニ拘ラス近時養鷄飼料
ノ配給圓滑ヲ缺クト共ニ品質ノ低下、價
格ノ〓騰ヲ來シ又卵價ハ諸物價〓騰ノ實
情ニ副ハサルモノアリ爲ニ斯業ノ經營至
難ナルニ至リタルハ甚遺憾ナルニ依リ速
ニ卵價ハ其特質ニ鑑ミ適正價格ニ改ムル
ト共ニ養鷄飼料ニ付テハ請願者所案ノ如
キ應急的措置ヲ講セラレタシトノ旨趣ニ
シテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモ
ノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依
リ別册及送付候也
昭和十五年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣米內光政殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=111
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112・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ、
請願委員長ノ報告通リ採擇スルコトニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=112
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113・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=113
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114・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御報告ヲ致シマス
コトガゴザイマス、只今內閣總理大臣ヨリ、
本月二十六日迄二日間、帝國議會會期延長
ヲ命ゼラルヽ旨ノ詔勅ヲ傳達サレマシタ、
是ニテ本日ノ議事ハ全部終了致シマシタ、
明日ハ午前十時ヨリ開會致シマス議事日
程ハ彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、是ニ
テ散會ヲ致シマス
午後三時十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007503242X02619400324&spkNum=114
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