第75回帝国議会　衆議院　所得税法改正法律案外三十件委員会　第21号　昭和15年3月11日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十五年三月十一日（月曜日）午前十時二十八分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　堀切善兵衞君
  　　理事　小山倉之助君　理事　濱野徹太郎君
  　　理事　木村淺七君　理事　高橋熊次郎君
  　　理事　小笠原三九郎君　理事　立川平君
  　　理事　河野密君
  　　　　長野高一君　　　成島勇君
  　　　　中島彌團次君　　　川崎末五郎君
  　　　　内藤正剛君　　　長野長廣君
  　　　　愛野時一郎君　　　川崎克君
  　　　　飯田助夫君　　　深澤吉平君
  　　　　塚本三君　　　伊藤五郎君
  　　　　船田中君　　　宮本雄一郎君
  　　　　上田孝吉君　　　山川頼三郎君
  　　　　森肇君　　　森田福市君
  　　　　田中好君　　　西川貞一君
  　　　　瀧澤七郎君　小見山七十五郎君
  　　　　田万清臣君　　　松永義雄君
  　　　　永江一夫君　　　石坂繁君
  　　　　青木作雄君　　　藤本捨助君
  　　　　北勝太郎君　　　武田徳三郎君
  同日委員渡邊玉三郎君辭任に付其の補闕として深澤吉平君を議長に於て選定せり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　大藏大臣　櫻内幸雄君
  　　　　　　　　農林大臣　島田俊雄君
  　　　　　　内務大臣　伯爵　兒玉秀雄君
  　　　　　　　　厚生大臣　吉田茂君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　内務省地方局長　挾間茂君
  　　　　　　大藏政務次官　木村正義君
  　　　　　大藏省主税局長　大矢半次郎君
  　　　　　　　大藏書記官　田中豐君
  　　　　　　　大藏書記官　山田義見君
  　　　　　營繕管財局理事　松隈秀雄君
  　　　　　文部省圖書局長　近藤壽治君
  　　　　　　　物價局次長　新倉利廣君
  　　　　　厚生省社會局長　新居善太郎君
  　　　　　厚生省勞働局長　藤原孝夫君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　所得税法改正法律案（政府提出）
  　法人税法案（政府提出）
  　特別法人税法案（政府提出）
  　配當利子特別税法案（政府提出）
  　外貨債特別税法中改正法律案（政府提出）
  　相續税法中改正法律案（政府提出）
  　建築税法案（政府提出）
  　鑛區税法案（政府提出）
  　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　營業税法案（政府提出）
  　地租法中改正法律案（政府提出）
  　酒税法案（政府提出）
  　清涼飮料税法中改正法律案（政府提出）
  　砂糖消費税法中改正法律案（政府提出）
  　織物消費税法中改正法律案（政府提出）
  　揮發油税法中改正法律案（政府提出）
  　物品税法案（政府提出）
  　遊興飮食税法案（政府提出）
  　取引所税法中改正法律案（政府提出）
  　通行税法案（政府提出）
  　入場税法案（政府提出）
  　印紙税法中改正法律案（政府提出）
  　骨牌税法中改正法律案（政府提出）
  　狩獵法中改正法律案（政府提出）
  　明治四十四年法律第四十五號中改正法律案（砂糖消費税織物消費税等の徴收に關する件）（政府提出）
  　大正九年法律第五十一號中改正法律案（内地臺灣又は樺太より朝鮮に移出する物品の内國税免除に關する件）（政府提出）
  　支那事變特別税法及臨時租税増徴法廢止法律案（政府提出）
  　營業收益税法廢止法律案（政府提出）
  　資本利子税法廢止法律案（政府提出）
  　法人資本税法廢止法律案（政府提出）
  　臨時租税措置法中改正法律案（政府提出）
  　家屋税法案（政府提出）
  　所得税法人税内外地關渉法案（政府提出）
  　昭和十二年法律第九十四號中改正法律案（支那事變の爲從軍したる軍人及軍屬に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する件）（政府提出）
  　大正十三年法律第六號中改正法律案（外國船舶の所得税等免除に關する件）（政府提出）
  　アルコール製造事業等に對する所得税等の免除規定の改正に關する法律案（政府提出）
  　租税法規の改正に伴ふ恩給金庫法等の規定の整理に關する法律案（政府提出）

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• 001・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ是ヨリ開會致シマ
  ス-瀧澤君

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• 002・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　簡單ニ伺ヒタイト思ヒマス、
  撞球稅ノコトデアリマスガ、交詢社トカ鐵
  道協會等ノ玉突ニハ課稅サレルノデアリマ
  スカ、ドウナリマスカ

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• 003・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　課稅サレマス

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• 004・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソレデ私申上ゲタイコトハ、
  撞球ノ稅金ガ極メテ少イ所カラ課セラレテ
  居リマス、今マデノ御說明ヲ聽キマスルト、
  大體有產階級ノ者ガ樂シミニヤルヤウニ御
  考ニナツテ居ラレルヤウデアリマスガ、御
  意見ハ其ノ通リデスカ

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• 005・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　別ニ有產階級トハ申シテ
  居リマセヌガ、大體アア云フ所ニ出入リ致
  シマシテ、相當ノ料金ヲ支拂ツテ居ル者ハ、
  多少ノ負擔力アリト見マシテ、課稅致シテ
  居ルヤウナ次第デアリマス

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• 006・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソコデ私御話申上ゲタイコト、
  一面ニ於ケル見方ハ其ノ通リデアラウト思
  ヒマスガ、一面ニ於キマシテハサウデアリ
  マセヌデ、私共ハ此ノ撞球ト云フモノヲ、
  寧ロ奬勵シテ戴カナケレバナラナイヤウニ
  思ツテ居ルノデアリマス、ソレハ現ニ私ト
  致シマシテモ數年前マデハ靑年團ノ爲、又
  職工ノ爲ニ撞球臺ヲ二臺置イテ奬勵シテヤ
  ラシテ居ツタヤウナコトガアリマシタ、ソ
  レガ段々工場ガ狹クナツタカラ、ツイ其ノ
  所ヲ壞シマシテ、今ハ置キマセヌガ、職工
  ナドニ致シマシテモ靑年ナドニ致シマシテ
  モ、夜遊ビニ出ルノヲ、斯ウ云フ所デ愉快
  ニ遊バセルト、惡イ遊ビノ方へ參リマセヌ、
  寧ロ私ハ低額ノモノハ免除シテ貰ツテモ宜
  イ位ニ考ヘテ居ルノデアリマスガ、ソレガ
  活動寫眞其ノ他ハ十九錢以下ハ免稅ニナリ
  マス、撞球ナドハ皆ノ言フ所ニ依リマスト、
  一人一囘平均三十錢位シカ掛ツテ居ナイト
  云フコトデス、活動ニ行キマスト一圓以下
  ハ稅額一割ニナツテ居リマス、私共ハ寧ロ
  活動ヨリモ、斯ウ云フコトヲ工場街邊リデ
  奬勵シヨウト思フノニ、之ヲ二割ニセラシ
  ルト云フコトハ、非常ニ惡イ影響ヲ靑年職
  工其ノ他ニ與ヘハシナイカト思フノデアリ
  マス、是ハ活動トカ安イ芝居ダトカト同ジヤ
  ウニ、三十錢トカ五十錢デアルカラ、之ヲ一
  割ニシテ置イテ戴キタイト云フコトヲ考ヘ
  テ居リマスガ、御意見ハ如何デアリマスカ

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• 007・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　映畫館ナドニ入場スルモ
  ノニ付キマシテハ、十九錢未滿ノ場合ニハ
  課稅シナイコトニシテ居リマスガ、是等映
  畫館等ノ入場料ノ低イ所ニ行ツテ、一部分一
  一遍トカ月ニ一二囘「ニュース」映畫等ヲ見
  ル者ト、撞球ニ行ク者トノ間ニ或ハ多少相
  違ガアルノデナカラウカ、斯ウ云フ風ニ考
  ヘテ居ル次第デゴザイマス

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• 008・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　私ハ實際靑年ヲ率ヰタリ、若
  イ職工ヲ率ヰテ參リマス場合ニ、寧ロ是ハ
  活動ナドヨリモ奬勵シテ戴キタイト思ヲノ
  デアリマスガ、是ハ此ノ程度ニ致シマシテ
  次ニ移リマス
  是ハ、アナタ方ノ御手許ヘモ、市街地信用
  組合ノ陳情書ガ來テ居ルカトモ思ツテ居
  リマスガ、私モ大正十一年、十二年カラ市
  街地信用組合ノ幹事ヲシテ、今日マデ引
  續イテヤツテ居リマス、其ノ見地カラ申シマ
  シテ、今度課稅サレルコトニナリマシタガ、東
  京市ノ信用組合ト云フモノハ、創立當初ハ非
  常ナ低利資金ヲ政府カラモ供給セラレ、ソ
  レヲ貸付ケテ居リマシタ、ソレデモ尙ホ四
  錢ノ日步ヲ取ツテ居ツタノデスケレドモ、
  ソレカラ段々自己資金デ賄ハナケレバナラ
  ヌヤウニナツテ參リマシタ、サウシテ此ノ預
  金ヲ吸收スルコトニ骨ヲ折ツタノデス、其ノ
  苦心ヲ申シマスト、私ハ大正十二年ニ出資
  一万圓デアリマシタノヲ十年ノ間ニ五十万
  三·一貯金ヲ五十万ニシ、政府ノ低利資
  金ヲ五十万ニシ、百五十万ノ貸付ヲシヨウ
  ト思ツテ居ル間ニ、政府ノ方デハ此ノ金ヲ
  貸スコトハ困難ダト云フノデ、地方ヘノミ
  送ラレルヤウニナツタ、ソレデ私ハ自己資
  金ノミニ依ツテ貸付ケルコトニ、主力ヲ注
  ガナケレバナラナイカラ、ソコデ骨ヲ折リ
  マシタケレドモ、五十万圓ノ貯金ヲ集メル
  ノニ十七年掛リマシタ、又私共ノ出資ヲ五
  十万圓ニスルノハヤハリ十七年掛ツテ居
  ルノデアリマス、サウ云フ間ニ事業ヲ經營
  シテ參リマスカラ、例ヘバ市街地信用組合
  一人當リノ貯金金額二百九十圓、普通銀行
  ハ一口當リ二千二百七十三圓ト云フヤウナ
  狀態デゴザイマシテ、而モ貯金ヲ集メルニ
  シテモ、非常ナ努力ヲシテ尙且ツ斯樣ナ狀
  態デアリマス、然ルニ利息ハ國家ノ方針ニ
  於テ安クシテヤラナケレバナラヌ、此ノ三
  千圓以上ノ貯金ニ稅金ヲ課ケルト云フコト
  ハ非常ニ宜クナイト思ヒマス、是ハドウシ
  テモイケナケレバ五千圓以上トシテ戴キタ
  イノデスガ、寧ロ此ノ信用組合貯金ニ對シ
  テハ、免稅シテ戴キタイト思ヒマス、市街
  地ハ斯ノ通リデアリマスケレドモ、全國ノ
  一万二千ノ信用組合加入者四十一万九千
  人、貯金額四百万圓、一人當リ平均十圓六十
  錢ト云フ零碎ノ金ヲ集メテヤツテ居ルモノ
  デアリマスカラ、之ニ稅金ヲ課ケラレルト
  云フコトハ非常ニ酷ノヤウニ思ハレル、ノ
  ミナラズ今日ノ場合、大キナ銀行ニ集中サ
  V、中流銀行ガ潰レタ後ヲヤツテ行クノガ
  信用組合デアリマスカラ、此ノ信用組合ハ
  尙ホ助長ヲサレルヤウナ方法ヲ取ツテ戴カ
  ナケレバ困ルト思ヒマス

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• 009・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　市街地信用組合其ノ他農
  村方面ノ信用組合ノ預金ニ對シマシテハ、
  從來免稅シテ居リマシタガ、是ハ信用組合
  ナルガ爲ニ免稅シテ居ツタノデハナイト思
  フノデアリマシテ、郵便貯金ニ對シテモ免
  稅シテ居リマス、貯蓄銀行ノ貯金ニ對シテ
  モ免稅シテ居ルノデアリマスガ、是ハ大體
  零碎ナ預金ヲ扱フト云フ趣旨ニ出テ居ルモ
  ノト存ズルノデアリマス、併シナガラ近年
  ノ狀況ヲ見マスト、貯蓄銀行方面ニ於キマ
  シテ、相當多額ノ貯金ヲシテ居ルモノモ見
  エマス、又信用組合ニ於キマシテモ農村信
  用組合ハソレ程デハアリマセヌケレドモ、
  市街地信用組合等ニ於キマシテハ、可ナリ
  多額ノ預金ヲシテ居ル者モアルヤウデゴザ
  イマスカラシテ、是等ニ對シマシテ總テ免
  稅スルト云フコトハ、稍〓免免ノ程度ガ行
  過ギル感ガアルノデアリマス、今市街地信
  用組合ノ貯金ノ一人當リノ平均ハ二百九
  十圓ダト云フコトデゴザイマス、又農村信
  用組合ノ方ハ十圓六十錢程度ダト云フコト
  デ、此ノ爲メ免稅程度ヲ三千圓ト致シマシ
  テ、三千圓ヲ超ユル場合ニ於テ、始メテ課
  稅スルト云フコトニ致シマスレバ、一般大
  衆ノ零碎ナ貯金、預金ト云フモノハ大部分
  免稅セラレ、課稅ヲ受ケルモノハ極ク一部
  少數ノ人ニ限ルト思フノデアリマシテ、是
  ハ普通銀行ニ於キマシテ、總テノ預金ニ對
  シマシテ課稅シテ居ルノト均衡ヲ考ヘマシ
  テモ、大體三千圓ヲ超ユル場合ニハ課稅ス
  ルト云フコトガ、寧口負擔ノ均衡ヲ得ルノ
  デハナカラウカト存ズルノデアリマス、但
  シ從來信用組合ノ預金、貯蓄銀行ノ貯金等
  ニ對シマシテハ、免稅シテ居ツタノデアリ
  マスカラ、急激ノ負擔增加モ如何カト存ジ
  マシテ、普通銀行ノ場合ノ約半額程度ノ稅
  率ニ致シテ居ル次第デアリマス

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• 010・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　御趣旨ハ分ツテ居リマスケレ
  ドモ、信用組合運用ノ全體ノ上カラ見マシ
  テ、市街地信用組合ハ非常ニ困難ヲ感ズル、
  ソレハ政府ガ最初四五年ノ間ハ低利資金ヲ
  其ノ當時貸シテ吳レマシタガ、今ハ一錢デ
  モ貸シマセヌ、皆自己資金ニ依ツテ賄ツテ
  居ル、サウシテ東京市ニ於キマシテモ、御承知
  ノ通リ中流銀行ト云フモノハ全部ナクナツ
  テシマツタ、ソレデ大キナ銀行ニ行キマシテ
  モ、金融ノ途ガ容易デナイ、ソコデ信用組合
  ト云フモノヲ發達セシメテ、其ノ信用組合ノ
  金利ヲ成ベク安クサセルコトヲ考ヘテ行カ
  ナケレバ、中小商工業者ノ金融ニ非常ニ困難
  ヲ感ズルノデアリマス、震災當時建テマシタ私
  共ノ組合ハ、日步四錢ヲ取ツテ居リマシタノ
  ガ、漸クニシテ昨年二錢五厘、本年度ノ總會
  ノ決議デ二錢三厘ニシタ、二錢三厘ト致シ
  マシテモ銀行ノ二倍デアリマス、非常ニ高
  ブドウシテ斯ウ高イ金利ヲ中小商工業者
  ハ拂ハナケレバナラナイカ、大キナ人達ハ
  一錢一厘、藤本「ビルブローカー」ノ如キハ
  一錢ノ金利ヲ以テ取扱ツテ居ルノニ、尙ホ
  勉强シテモ二錢三厘ノ金利ノ金ヲ使ハナケ
  レバナラナイト云フコトハ、ドウ云フ譯デ
  アルカ、銀行ハ之ニ金ヲ貸サナイ、信用組
  合ガ若シ銀行ノヤウナコトヲヤツテ居ツタ
  ナラバ、モツト安ク貸シマセウ、兎ニ角銀
  行デハ金ヲ貸サナイ、何處デモ金ヲ貸サナ
  イガ、アノ人ナラバ貸シテヤツタラ是ハ宜イ
  ダラウ、必ズ是デ利益ハ擧ゲラレルダラウ
  ト云フノデ、危險ノ程度ヲ越シテモ、其ノ
  組合員ノ便宜ヲ圖ツテ參リマスル結果、私
  共信用組合ハ、昨年ハアリマセヌガ、一昨
  年マデ凡ソ十箇年ニ亙ツテ、年ニ一万圓ヅ
  ツ缺損金ヲ出シテ、ソレヲ處理シテ居リマ
  スヤウナ狀態デアリマスカラ、課稅ノ方法
  ト致シマシテハ、御說モ一應ノ御理論ト存
  ジマスケレドモ、信用組合ト云フモノヲ生
  カシテ行ツテ、其ノ組合員ノ利益、幸福ヲ圖
  ルト云フ上カラ考ヘテ戴キマスト、此ノ零
  細ナル貯蓄ヲ集メテ、サウシテ三千圓ニナ
  ツテ纏メテ定期貯金ニナツタ時ニ、之ニ課
  稅セラレルト云フコトハ、零細ナル貯蓄ヲ
  シタ者ノ爲ニモ、又組合ノ預金ヲ集メル上
  ニ付テモ、銀行ト同一ノヤウニナリマスカ
  ラ、此ノ資金ハ皆銀行ニ行キマス、銀行ハ
  之ヲ大金持ニ、融通ノ出來ル人ニ一錢一厘
  デ貸シマス、信用組合ハ二錢三厘デ貸シテ
  居ルモノヲ、又二錢五厘ニ上ゲナケレバナ
  ラナイト云フヤウナ風ニモナツテ參リマス
  カラ、此ノ信用組合ノ貯蓄ニ課稅ヲスルト
  云フコトヲ御考慮ヲ戴キタイ、私共ハ又私
  共ノ考ヘ方デ進ンデ行ツテ見タイト思ヒマ
  スケレドモ、其ノ場合ニ於テ十分ノ御考慮
  ヲ戴キタイ、而モ信用組合ハ六分ノ配當ヲ
  許サレテ居リマスケレドモ、東京ニ於テハ
  四分五厘ヲ以テ制限ヲ受ケテ居リマシテ、
  組合員モ決シテ利息ヲ一一錢三厘取ツタガ爲
  二、六分ノ配當ヲスルト云フノデハアリマ
  セヌ、殊ニ御承知ノ通リ信用組合ノ役員ハ、
  專務ヲ除クノ外ハ殆ド名譽職デ、サウシテ
  職員モ他ノ人ヨリハ割合ニ安イ給料デ働イ
  テ居ル、其ノ剩餘金ノ出タモノニ向ツテノ
  課稅デス、此ノ點ハ他ノ人達カラモ御話ガ
  アリマシタカラ、私ハ唯此ノ程度ニ措キマ
  シテ、十分ノ御考慮ヲ戴キタイト云フコト
  ヲ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=10

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• 011・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　東京市內ニ於ケル市街地
  信用組合ノ經營ノ相當困難デアルト云フコ
  トハ、私共モ十分認メテ居リマス、大震災後
  ニ於キマシテ東京市ノ復興ノ爲ニ、政府ガ
  色々助成ノ措置ヲ執ツタノデアリマスガ、
  此ノ場合ニ於キマシテ、東京市內ノ市街地
  信用組合ニ低利資金ノ融通等ニ付キマシテ、
  相當是ガ保護助長ノ途ニ出タノハ仰セノ通.
  リデアリマス、併シナガラ東京、大阪ノ如
  キ大都市ニ於テノ市街地信用組合ノ經營自
  體ガ、ドウモ中々困難ノコトカト存ズルノ
  デアリマスルガ、一面ニ於キマシテ、.最近
  ニ於テハ普通銀行等ニ於キマシテモ、相當
  中小商工業者ニ對スル金融ト云フコトヲ考
  ヘテ居リマシテ、サウシテ地方團體ニ於キ
  マシテモ、之ニ對シテ相當補償制度ヲ採ル
  ト云フ風ニシテ、各種ノ方面カラ中小商工
  業者ノ金融ニ關シテ考慮シテ居ル次第デア
  リマス、私共モ大都市ニ於ケル市街地信用
  組合ノ働キ其ノモノニ對シマシテハ、十分
  ニ認識ヲ持ツテ居ル積リデアリマスルガ、
  唯前ニモ申上ゲマシタ通リ、一口三千圓ヲ
  超エルト致シマスルト云フト、此ノ種ノ貯
  金預金ト致シマシテハ、相當多額ト申シ
  テモ宜イカト存ジマス、一面ニ於テ百分ノ
  五程度ノ稅率デ課稅ヲ受ケマシテモ、稅引
  キノ裕リガ著シク減殺シテ、信用組合ニ預
  金シテ居ル者ガ、其ノ課稅ノ負擔ノ爲ニ、
  之ヲ引出シテ他ノ金融機關ニ持ツテ行クト
  云フ程度ニハ至ラナイデハナカラウカ、先
  ヅ此ノ程度ノ課稅ヲ致スコトガ、貯蓄銀行
  ニ對スル關係等カラ見テモ、此ノ際トシテ
  ハ已ムヲ得ナイコトデハナカラウカ、斯樣
  ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=11

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• 012・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　已ムヲ得ナイト云フ御考ト、
  サウデナイ考ガアルト云フコトダケ申上ゲ
  テ、次ノコトニ移リマス

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• 013・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　瀧澤君、文部省ノ政府委員
  ガ見エラレテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=13

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• 014・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソレデハ丁度宜イ折デスカ
  ラ、斯ウ云フコトヲ文部省ニ御伺致シタイ
  ト思ヒマス、私ハ特ニ今日文部省ノ御出席
  ヲ求メタ理由ハ、昨年マデ增稅ニ次グ增稅
  デ、三箇年引續イテ六億、本年ハソレニモ
  勝ル增稅デアリマス、是ハ幸ニ十二年、十
  三年、十四年ト納稅ノ成績ハ好クナツテ參
  ツテ居リマス、併シナガラ是ハ本當ニ擧國
  一致.戰線ノ勇士ト云フコトヲ考ヘ、而シ
  テ又利益モアリマシタカラ、昨年マデハサ
  ウナツテ參リマシタ、本年ハ此ノ增稅ニ次
  グ增稅、サウシテ尙ホ增稅ヲセラレル先行
  キデアリマスカラ、サウ云フ場合ニ國民ガ
  喜ンデ稅金ヲ納メルヤウニ、常ニ〓育シテ
  行カナケレバナラナイ、斯ウ云フコトヲ考
  ヘテ居リマス、私共ノ小學〓育ヲ受ケタ時
  分ハ、憲法發布モアリマセヌシ、議會モナ
  イ時ノ小學〓育ヲ受ケタノデスカラ、稅金
  ノコトナドヲ小學校デ〓ハツタカ〓ハラナ
  イカ分リマセヌ、併シ吾々ノ小學校ノ〓育
  ノ如キハ、天下國家ト云フコトヲ先ニ頭ニ
  入レラレマスカラ、天下國家ヲ考ヘル時ニ
  ハ、稅金ハ當然出スノダト云フ風ニ考ヘテ
  居リマス、併シ今日サウ云フヤウナ事柄カ
  ラ考ヘテ見マシテ、ドウシテ國民ニ此ノ納
  稅ノ義務ヲ本當ニ果シテ行クコトヲ〓ヘテ
  戴カナケレバナラナイ、コンナヤウナ見地
  カラ私此ノ頃〓科書ヲ見タ所ガ、納稅ニ對
  スル〓へ方ガ、今日ノ場合極メテ幼稚デア
  ルト考ヘタノデアリマス、例ヘバ納稅ノコ
  トニ關シテ、國史ニハ足利尊氏ガ非常ニ稅
  金ヲ苛斂誅求シタト云フコトガ書イテアル
  位ナコトデ、是ハ國史ノ上カラ見テ、足利
  尊氏ヲドウ云フ風ニ見タ關係カラ、斯ウ云
  フ風ニ國史ニ書レテアルカ、文部省ノ考ハ
  分リマセヌガ、其ノ他小學校ノ讀本ヲ此ノ間
  調ベテ見マシタガ、稅金ト云フコトニ關ス
  ル書キ方ガ極メテ少イノデス、尋常小學ノ
  卷五ニ「戰費ノタメニ、稅ハ平時ヨリモ大サ
  ウ多クナリマシタガ、國民ハ喜ンデコレヲ
  負擔シテ、納ヲ怠ル者ナドハアリマセンデ
  シタ」、是ハ日露戰爭當時ノコトヲ書イタノ
  デアリマス、ソレカラモウ一ツ卷四ノ方ニ、
  是パ「ブラジル」カラ歸ツテ來タ人ノ話ダト
  云フノデ外國ノコトデス、「ブラジル」デハ
  「稅ヲ納メル頃ニハ、赤ト白トヲ染分ケタ旗
  ガ、高イ所ニ立チマス、早ク稅ヲ納メルヤ
  ウニトノ注意デスガ、誰モ後レル者ハアリ
  マセン」ト云フヤウナコトデ、一ツノ例トシ
  テ出テ居ル、ソレカラ更ニ昔ノ〓科書ハ、
  アナタ方モ御承知デアリマセウガ、私共ノ
  〓ハツタ時ノ〓科書ニハ實ニ如何ハシイコ
  ト、今日ナレバトテモ大問題ヲ惹起スルヤ
  ウナコトガ、平然トシテ書イテアツタ、私
  共色々〓ヘラレタコトハ忘レテシマツタケ
  レドモハ唯一ツ頭ニ殘ツテ居ル、此處デ申
  上ゲルコトモ如何カト思フコトダケガ印象
  深クサレテ居ルノデスカラ、小國民ノ心ヲ
  通ジテ、納稅ノ義務ニ付テ、本當ニ國體ノ
  尊嚴ヲ保ツ所以ハ納稅ニアル、斯ウ云フコ
  トカラ考ヘマシテ行カナケレバナラヌト私
  共ハ思フ、ソコデ修身書ノ六ニハ「國稅ハ法
  律デキマリ、府縣稅市町村稅ハ法律デ定メ
  ラレタ範圍內デ、ソレ〓〓府縣會市町村會
  ノ議決デキマリマス、我等ハコレラノキマリ
  ニ從ツテ稅金ヲ納メルノデス」唯斯ウ云フコ
  トダケガアルノデス、モウ一ツ私共ハ能ク
  見ルト、納稅ハドウ云フモノデアルカト云
  フコトヲ〓ヘルモノトシテハ漸ク卷七ノ第
  十八ニ「五作ヂイサン」ト云フ話ガタツタ一ツ
  アル、而モ是ハ例話デス、假設ノ人物ヲ借
  リテ來テ收入役ト五作ヂイサンノ一ツノ例
  話ニ過ギナイ、是デハ小國民ノ頭ニピント
  來マセス、何處ノ何縣ノ誰ノ誰兵衞ハ、ドウ
  云フ風ニシテ納稅ヲ能クシタノダ、ソレガ
  爲ニ內務省ガ之ヲ表彰シタトカ、ソレニ木
  杯ヲ賜ツタト云フコトデアツタナラバ、小
  國民ノ頭ニピント來マスケレドモ、是ハ六學
  年ヲ通ジテ七ノ所ニ「五作ヂイサン」ト云フノガ
  唯一ツアルダケデス、斯ウ云フ風ニ全體
  ヲ通ジテ是ダケシカナイノデアリマス、
  唯日露戰爭ノ時ノ納稅ノコトニ關シタ話ガ
  アルダケデアル、旣ニ今日ハ事變後三年、
  四年ニナツテ、サウシテ增稅ニ次グニ增稅
  又增稅、之ヲドウシテモ國民ハ喜ンデ納付
  スルヤウニシテ行カナケレバナラナイト思
  ヒマス、之ヲ私ハ文部省ノ手ヲ借リテ、此
  ノ〓科書ニモツト〓〓日本國體、兵役ノ義
  務ニ次イデ、此ノ納稅ノ義務、其ノ納稅ノ
  義務ト兵役ノ義務ニ付テ、日本ノ國體ヲ有
  ユル方法ニ於テ說明シテアリマスケレドモ、
  此ノ國體ノ尊嚴ヲ保ツテ行ク爲ニ、此ノ納
  稅ニ付テノ書キ方ガ非常ニ少イコトヲ、私
  ハ遺憾ト存ジマス、文部省ノ手ヲ通ジテ、
  モツト此ノ〓科書ニ力ヲ注イデ戴カナケレ
  バナラヌ、殊ニ是カラ吾々ハ本當ニ苦痛ヲ
  嘗メナケレバナラヌ今日ノ狀態デアリマス
  ノデ、サウ云フ考ヲ持ツテ居ルノデアリマ
  ス、文部省ノ御考ハ如何デスカ

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• 015・近藤滋彌

  ○近藤政府委員　御答致シマス、只今ノ瀧
  澤サンノ御意見ハ、洵ニ御尤モナコトト存
  ジテ居ルノデアリマシテ、吾々ノ方ニ於キ
  マシテモ、兵役ノ義務ト同樣ニ國民ノ義務
  トシテ、而モ又益〓國國ヲ進展セシメル吾々
  ノ心構ヘトシテ、是非是ハ十分ニ〓育シテ
  行カナケレバナラヌト云フコトニ對シテハ、
  洵ニ御同感デアリ、其ノ積リデ今後トモヤ
  ツテ行キタイト存ジテ居ルノデアリマス、
  只今御說明ガアリマシタヤウニ、此ノ七ノ卷ト
  云フノハ國語讀本デアリマスガ、是ハ丁度四
  年生ニナル頃ナノデス、其ノ當時ノ子供デ
  アリマスカラ、隨テ國語讀本デハ、サウ云
  フ「五作ヂイサン」ノ話ヲ以テ、納稅ニ對
  スル一ツノ心構ヘヲ與ヘヨウト致シテ居ル
  ノデアリマスガ、其ノ他ニ四年生ニハ修身
  書ノ四ノ「我ガ〓土」ト云フ所デ、サウ云フ
  問題ヲ取扱ハシテ居ルノデアリマス、東上
  尋常小學校修身ノ五ノ卷デ「勤勞」ト云フ
  所ニ、伊豫ノ農夫ノ--是ハ德川時代デア
  リマスガ、租稅ノ問題ヲ擧ゲマシテ、自己
  ノ勤勞、又勤勞ニ依ツテ納稅スルト云フコ
  トガ、如何ニモ尊イコトデアルト云フ積リ
  デ五年生ノ修身書ニハ揭ゲテ居ルノデアリ
  マス、更ニ小學六年ノ國民ノ義務ト云フ所
  デ、先程御話ノアツタヤウナ兵役ト納稅ト
  云フコトガ、二大義務デアルト云フ積リデ
  揭ゲテ居ルノデアリマスガ、更ニ高等小學
  校修身書ノ一ノ卷デ、國憲國法ト云フ所デ、
  租稅ノコトヲ揭ゲテ居ルノデアリマス、國
  語讀本ノ方デハ高等小學校ノ三ノ卷、卽チ
  高等小學二年生ノ所デハ、男女用及ビ農村
  用トモ、第十五課ニ租稅ト云フ題目ヲ置キ
  マシテ、租稅一般ニ付テ記述シテ居ルト云
  フヤウナ態度ヲ執ツテ居ルノデアリマス、
  更ニドウシテモ國民全般ノ基礎〓育デアル
  此ノ小學〓育ニ於テ、斯ウ云フ心得ヲ持タ
  セルエハ、〓員ガヤハリ其ノ心持デ、ソレ
  ニ對スル理解ト云フモノガ深クナイト、其
  ノ效果ガ擧リマセヌカラ、ソコデ師範〓育
  ニ對シテハ、特ニ此ノ點ニ留意ヲ致シマシ
  テ、師範學校デ使ヒマスル「公民」、是ハ文部
  省デ編纂シテ居ルノデアリマスガ、師範公
  民書上ノ卷、詰リ是ハ師範四年生デアリマ
  スガ、四年生デ用ヒルモノニハ、市町村民
  ノ心得ト云フノデ、納稅ニ對スル心得ヲ相
  當詳シク說キ、又是ノ〓師用ニ於テハ、隨
  テ農村子弟バカリデハナク、小學校ノ兒童
  ヲ取扱フ場合ニ、十分此ノ點ニ理解ヲ持ツ
  ヤウニト云フ注意ヲ與ヘテヤツテ居リマス
  ガ、更ニ師範ノ五年生デ用ヒマス公民〓科
  書ノ下ノ卷ト云フモノニ於キマシテハ、ヤ
  ハリ第六課ニ於テ今御話ノヤウナ、斯ウ云
  フ事變ノ時バカリデハナイ、今後本當ニ吾
  吾ガ納稅ト云フコトヲ心持好ク勇ンデヤラ
  ナケレバナラヌト云フコトハ、何トシテモ
  我ガ國體ヲ理解シ、吾々ノ生活ト云フモノ
  ガ、國家町村ニ依存シテ居ル生活カラ出發
  セネバナラヌ、ソレニハ納稅ト云フコトガ、
  ドウ云フ基本ヲ爲スモノデアルカト云フコ
  トニ付テ、相當詳シク書キ、今後ニ對スル心
  構ヲ〓ヘルコトニ努力ヲ致シテ居ルノデア
  リマスガ、明年カラ國民學校ガ實施サレル
  コトデアリマスカラ、一層今後ノ對策トシ
  マシテモ、國運發展ノ根抵ヲ培フ上カラシ
  マシテモ、今御話ノヤウナ御精神ハ十分ニ
  體シテ、一層是ハ深刻ニシテ、唯期日ヲ違
  ヘズニ出ストカ云フコトダケデハナシニ、
  モツト根本的ニ斯ウ云フモノニ對スル認識
  ヲ能ク深メルヤウニ兒童ヲ導イテ行キタ
  イ、新シイ編纂ニ於キマシテハ、其ノ點ヲ
  十分心得テ參リタイ、斯樣ニ存ジテ居リマ
  ス

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• 016・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソコデ尙ホ一ツ御註文ト御相
  談ガアリマス、ソレハ數學ノ〓科書ノ中ニ
  ヤハリ是ト關聯シテ納稅ニ關スルコトガ、
  租稅ノ中ニ十四題、色々ナ例ヲ設ケテ算盤
  ヲ〓ヘテ居リマス、所デ私ノ註文ト云フノ
  ハ、今度稅法ガ改正サレマスレバ、勤勞所
  得卽チ役人サン達或ハ會社員等ハ、三千
  圓取ル人ガ百四十四圓ノ稅金デ濟ム、ソレ
  カラ五千圓取ル局長級ノ人ハ二百六十四圓
  デ濟ム、然ルニ私共ノヤウニ事業ヲシテ働
  イテ居ル工場ノ人デ、二千圓取ル人ハ二百
  五十六圓ノ負擔ヲスル、三千圓取ル人ハ四
  百一圓、五千圓取ル人ハ六百九十一圓ト云
  フ稅金ヲ拂フ、勤勞所得ト事業所得ト斯ウ
  云フ風ナ違ヒガアル、ソコデ工業地帶ノヤ
  ウナ所、或ハ商業地帶ノヤウナ所、或ハ地
  方農村ニ於キマシテ、普通カラ云ヘバ洋服
  ヲ著テ立派ニシテ行ク人ハ安イ稅金デ濟ム
  ノダ、眞黑ニナツテ吾々ノヤウナ家ニ住ン
  デ工場ニ働イテ居ル人ハ高イ稅金ヲ拂フ、
  之ヲ此ノ數學ノ所デ〓へテ貰ヒタイ、然ラ
  ザレバ稅金ヲ納メロ〓〓ト云ツテモ、子供
  ガ家ヘ歸ツテ見テ、勤勞所得ハ八十四圓シ
  カ出サナイガ、オ父サン、家デハ二百五十
  六圓出スノダ、何ト子供ニ說明シテ喜ンデ
  出スト云フコトニ〓へラレマスカ、是ハ一
  ツドウ云フ風ニ御〓ニナルカ文部省圖書局
  長ノ御說明ヲ承リタイ

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• 017・近藤滋彌

  ○近藤政府委員　今御話ニナリマシタヤウ
  ニ、改正稅法ガ愈〓決定サレマシタラ、ソレ
  等ノ點ニ付キマシテモ、能クソレ〓〓關係
  方面ニモ協議ヲシマシテ、十分·····

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• 018・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　是ハ本當ニヤツテ貰ハナケレ
  バ稅金ヲ納メマセヌヨ、洋服ヲ著テ立派ニ
  ヤツテ居ル者ハ稅金ガ安クテ、一方ニハ親
  子デ一生懸命眞黑ニナツテ、工場デ働イテ
  居ル者ハ三倍ノ稅金ダト言ハレタ時、足、
  本當ニ深刻デス
  モウ一ツ是ハ別ナ方面デ、大藏省ノ人ニ
  申上ゲルノデスガ、私ハ圖書局長ニドウシ
  テ之ヲ御直シニナツタカト云フ一ツノ點ヲ
  伺ヒタイ、是ハ昭和九年ニ修正サレテ居ツ
  テ、昨年マデ使ハレタ〓師用卷ノ六、尋常
  小學校修身デ六年生ニ〓ヘル租稅ノ所デ
  ス、「租稅ハ法律ノ定ムル所ニ從ヒテ國民ニ
  賦課セラル、卽チ國稅ハ帝國議會ノ協贊ヲ
  經府縣稅及ビ市町村稅ハ法律ノ定ムル範
  圍內ニ於テソレ〓〓府縣會·市町村會ノ議
  決ヲ經テ之ヲ定ム、而シテ此等ノ議事ニ參
  與スル議員ハ我等ノ選擧セルモノナルガ故
  ニ、租稅ノ規則ヲ定ムルニハ、我等自ラ之
  ニ關與スルモノトイフヲ得ベシ」、洵ニ穩カ
  ニ書イテアル、吾々ガ決メルコトハ國民自
  ラガ決メル、所ガ是ハ昨年斯ウ云フ風ニ訂
  正サレテ居ル、增稅ニ次グニ增稅ノ際ノ十
  四年ノ六月二十九日ニ修正サレタ、最初ハ
  同ジダガ、終ヒハ非常ニ違フ、「租稅ハ法律
  ノ定メル所ニ從ツテ國民ニ賦課サレマス、
  卽チ國稅ハ帝國議會ノ協賛ヲ經、府縣稅及
  ビ市町村稅ハ法律ノ定メル範圍內デ、ソレ
  ゾレ府縣會·市町村會ノ議決ヲ經テ定メラ
  レマス、サウシテ是等ノ議事ニ參與スル議
  員ハ國民ニヨツテ公選サレタ者デアリマス、
  ソレ故租稅ノ賦課ガ公平適正ニ行ハレルコ
  トハ、イフマデモアリマセン」、增稅ニ次グ
  增稅、又更ニ大增稅ヲセントスル、其ノ途
  中ニ斯ウ云フ風ニ改正サレタ、此ノ改正サ
  レタ理由ハ果シテドウ云フ爲デアルカ、御
  考ヲ承リタイ

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• 019・近藤滋彌

  ○近藤政府委員　今ノ御尋デアリマスガ、
  昨年訂正ニナツテ居ルト云フノハ、何モ私
  共ハ斯ウ云フ稅革ノ案ガ出ルコトヲ目シテ
  ヤツタノデモ何デモナイノデアリマシテ、
  前ノ說明ト今度ノ說明ガ、根本的ニ違ツテ
  居ルト云フ譯ノモノデハナイト思ヒマスケ
  レドモ、公平適正ニ行ハレマスト云フノハ
  前ノヤウニ、ヤハリ議員ノ方々ガソレ〓〓府
  縣會及ビ國會ニ於テ之ニ協贊ヲ與ヘラレ
  テ、公平適切ナ法律ガ決マルト云フコトニ、
  基礎ヲ置イテ書イテ居ルノダラウト思ヒマ
  ス、別ニ今御話ノヤウニ、是カラ大キナ稅
  制ノ改革ガアル、其ノ前ニ斯ウ云フモノヲ
  豫防線ニ張ルト云フ心持デ、決シテ書イテ
  居ル譯デハナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=19

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• 020・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　或ハサウ云フ心持デナイカト
  思ヒマスガ、私共ノ見ル所ニ依ルト、官僚
  全體ヲ通ジテ潜在意識ニ是ガアル、ソコデ
  之ヲ通ジテ國民ガ見タナラバ、此ノ增稅ハ
  議員ガ公平適正ニ定メタノデアルト云フ譯
  デアル、サウスルト此ノ怨ヲ買フモノハ議
  員ダケナノダ、本當デスヨ、ソレハ去年訂
  正サレテ居ルノデスヨ、更ニ是ハ大藏當局
  ニ向ツテ言フベキコトナノデスガ、大藏大
  臣ヨリモ事務當局ノ方ガ能ク分ルカラ事務
  當局ニ伺ヒタイ、斯樣ニ〓科書ニハ議員ノ
  責任ヲ最モ重大ニ書イテアル、是ハ書イテ
  ナイト言ツテモ、勿論吾々ノ責任ハ重大デ
  ス、斯ウ云フヤウニ國民ニ〓ヘラレテアル
  吾々デスカラ、此處デ討議ヲ致シマシテ、ア
  ナタ方ガ大藏省ト云フ小サナ省ノ中デ、大
  學ノ秀才ガ相集ツテ之ヲ立案セラレマシテ
  モ、社會ノ實情ニハ頗ル遠ザカツテ居ルモ
  ノガアルカラ、先般モ社會ノ實情ニ卽シテ
  ト言ハレマシタケレドモ、社會ノ實情ニ卽
  シテ居ルノハ吾々議員デアリマスカラ、議
  員ガ申述ベル所ヲ能ク參酌セラレマシテ、
  若シ是等ニ付テ修正ガアルト致シマシタナ
  ラバ、アナタ方ハ之ニ欣然トシテ同意セラ
  レナケレバナラナイト云フコトヲ申上ゲテ
  置キマス、然ラザレバ吾々ダケ責任ヲ負ハ
  サレル此ノ心持ガアナタ方ニナイカラ、吾
  吾議員ノ意思ノ存スル所ヲ無視サレルフデ
  ス、ナゼ無視サレルノデアリマスカ、石鹼、
  齒磨ナドハ國民保健ノ上カラ見テ物品稅ヲ
  課スベカラザルモノデアル、綠茶モサウデ
  アルト云フコトガ昨年三月此處デ論議セラ
  レテ、アナタ方モ同意シテ之ヲ削ツタモノ
  デス、然ルニ數箇月ヲ經ナイ間ニ、アナタ
  方ガ立案サレタモノノ中ニハ、此ノ議會ガ
  イケナイト言ツテ三箇月カ四箇月前ニ除イ
  タモノヲ、又更ニ此處へ御出シニナルト云
  フ如何ニモアナ方ガ實情ニ卽シナイ租稅ノ
  定メ方ヲナサルノデ、若シ此ノ儘行キマス
  ナラバ、昨年ハイケナイトシテ排除シタモ
  ノヲ今年贊成シナケレバ、今日ノ國策ニ副
  ハナイト云フヤウニデモ言ハレタ場合ニハ
  私共ハ非常ニ迷惑ヲ致シマス、公平適正ニ
  私共ハ昨年論議ヲシ、其ノ論議ガ盡サレタ
  上ニ於テ、アナタ方ガ御同意ニナツテ除カレ
  タモノヲ、今年御出シニナルト云フコトハ、
  如何ニモ吾々議員ガ無視サレ、蔑如サレタガ
  如キ感ヲ抱クノデアリマス、而モ此ノ〓科
  書ヲ見レバ、今マデノ書キ方ト違ツテ公平
  適正ニ行ハレルコトハ言フマデモアリマセ
  ヌト、文部省ガ奧書ヲシテアルノデアリマ
  スカラ、今日マデアナタ方ノ立案セラレタ
  中ニハ、隨分無理ガアリ、其ノ無理ヲ私共
  ハ公平適正ノ考ヲ以テ正サナケレバナラナ
  イヤウニ思ヒマスガ、其ノ場合ニ於ケルア
  ナタ方ノ御考ヲ承リマス

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• 021・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　私共ガ此ノ稅制改正案ヲ
  立案スルニ當リマシテハ、勿論此ノ租稅
  ノ生命ハ負擔ノ均衡ヲ得ルト云フコトニア
  ルト固ク信ジテ居リマスノデ、有ユル觀點
  カラ檢討致シマシテ、是ガ負擔ノ均衡ヲ得
  タ案デアルト信ジマシテ提案致シタ次第デ
  アリマス、而シテ從來議會ノ協賛ヲ得テ法
  律ニナツテ成立シタモノモ、議會ニ於テ十
  分御審議ヲ願ツテ、是ガ最モ適切妥當ナル
  案デアルト云フ意味ニ於テ、御協賛ヲ得タ
  モノト信ズル次第デアリマス、ソレデ昨年
  提案シテ議會ニ於テ修正致サレマシタ茶、
  齒磨或ハ石鹼等ニ對スル課稅ヲ再ビ提案シ
  タノハ、如何ニモ議會ノ意思ヲ無視シタモ
  ノデアラウト云フ御趣旨ノ御尋ガゴザイマ
  シタガ、是ハ決シテ左樣デハナイノデアリ
  マシテ、昨年ハ御承知ノ通リ臨時利得稅及
  ビ物品稅等ノ增稅デゴザイマシテ、國稅全
  般ニ亙ル增稅デハナカツタノデアリマス、
  增稅ノ規模モ比較的少ナカツタノデアリマ
  スカ、此ノ度ハ廣ク國民ニ負擔シテ戴カウ
  ト云フ趣旨ニ於キマシテ、所得稅方面ニ於
  テモ隨分課稅最低限ヲ引下ゲタノデアリマ
  ス、消費稅方面ニ於キマシテモ獨リ物品稅
  ノミナラズ、從來何囘カノ增稅ニ當リマシ
  テモ、增稅致サナカツタ織物消費稅ニ對シ
  テモ增稅致シテ居ルノデアリマシテ、サウ
  云フ觀點カラ致シマスレバ、昨年ノ議會ニ
  於テ修正削除セラレマシタ石鹼、齒磨或ハ
  綠茶等ニ付キマシテモ、再檢討ヲ要スルノデ
  ノナカラウカト思フノデアリマス、他ニ一切
  ノ增稅ガナクテ是ノミ出シタトスルナラバ
  正ニ議會ノ御意思ヲ蹂躪シタト言ハレテモ、
  一言ノ申開キガナイト思ヒマスケレドモ、
  他ニ廣汎ノ增稅ガアルノデアリマスカラ、
  ソレト均衡ヲ取ツテ昨年議會ニ於テ修正削
  除セラレマシタ品目ニ付テモ、再檢討ヲ要
  スノルデハナカラウカ、而シテ再檢討致ス
  場合ニ於キマシテモ、昨年議會ニ於テ御審
  議ヲ願ツタ際ニアリマシタ御意見ハ、十分
  ニ尊重致シマシテ、課稅最低限ノ引上、或
  ハ齒磨等ニ於テ潤製齒磨等ハ削除致シテ居
  ルノデアリマシテ、議會ノ御意思ノアル所
  ハ十分尊重致シタ積リデアリマスカラ、其
  ノ點ハ御諒承願ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=21

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• 022・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　只今ノ御答辯ハ御答辯トシテ
  今日ハ伺ツテ置キマスケレドモ、吾々ガ適
  正公平ニ之ヲ修正セントスルニ對スル心構
  ヘヲ伺ツテ置キタイノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=22

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• 023・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ度提案致シタモノハ、
  私共ト致シマシテハ適正公平ヲ得テ居ルト
  思ツテ居リマスカラ、大體是デ御協贊ヲ得
  ラレルノデハナカラウカト存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=23

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• 024・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　洵ニ結構ナ御答辯デアリマス
  カラ、ソレハ其ノ通リニシテ、私共ハ私共
  ノ考ヘ方ヲ以テ進メト云フ御話ト承リマス
  カラ、私共ハ左樣ニ了承致シマス、ソコデ
  文部省ノ方ニ申上ゲマスガ、只今申上ゲタ
  コトハ、ドウカ本當ニ文部大臣ニ御話ヲ戴
  キマシテ、省トシテモ十分ノ御〓究ヲ願ヒ
  マシテ、此ノ納稅ノ話ヲ如何ニ小國民ニ御
  〓下サルカ、適正公平ニ考ヘテ、一ツ〓ヲ
  垂レテ戴キマセヌト、納稅不能者ガ出來テン
  參リマスカラ、其ノ點ヲ恐レルガ爲ニ私ハ
  言フノデス、勤勞所得者ハ三分ノ一ダ、眞
  黑ニナツテ働イテ居ル者ハ三倍ダ、馬鹿馬
  鹿シイ、斯ウ云フ考ヘ方ヲ小國民ニ持タセ
  タナラバ納稅上由々シキ大事ヲ釀スニ至ル
  ト云フコトヲ憂フルノデアリマスカラ、特
  ニ小國民ヲ通ジテ-靑年學校、公民學校
  ト云フノデナク、其ノ點ヲ進ンデ戴キタイ
  ソレカラモウ一ツ御伺シタイコトハ、此ノ
  機會ヲ利用致シマシテ······今國民〓育ガ八
  年ニナル譯デアリマス、ソレカラ地方ノ農
  村ハ能ク存ジマセヌガ、大都市殊ニ東京ナ
  ドニ於キマシテ、旣ニ今日人口ノ增加著シ
  キモノデアリマシテ、折角廢メタ二部〓授ヲ
  復活スルノハ當然ノコトニナツテ居ル、甚
  シキハ三部〓授ヲ致サナケレバナラヌ、而
  シテ又中等學校ニ於テハ數千人就學スルコ
  トガ出來ナイ實情デアリマス、ソコデ小學
  校ヲ建設シヨウ、中學校ヲ建設シヨウト考
  ヘマシテモ、其ノ市其ノ府ニ對シテ大體ニ
  於テ起債ヲ御許ニナリマセヌ、サウシテ或
  ル剩餘金ガアツタラ、ソレデ建築スル、
  斯ウ云フノデス、而モ此ノ生徒ノ方ハ左樣
  デアリ、而シテ之ヲ〓ユル師範學校、是亦
  生徒ガ少イ、校舍ハ建テルコトガ出來ナ
  イ、三部〓授ヲシナケレバナラナイ、學校
  ノ先生ハ足リナインダ、斯ウ云フ時ニ文部
  省ハドウ云フ御考ヲ持ツテ、校舍建設ニ對
  セラレルカドウ云フ御考ヘ方ヲ以テ大藏當
  局ニ御盡力遊バサウトスルノデアルカ、其
  ノ御考ヲ聽キタイ、圖書局長ニ聽クノハ變
  デスガ、併シアナタモ政府委員ダカラ一應
  ノ御答辯アツテ、文部大臣ニ傳ヘテ戴キタ
  イソレ等ノコトヲドウスルト言ツテモ、局
  長トシテアナタハ御答辯ニ多少御困難デゴ
  ザイマセウケレドモ、併シナガラ文部省ハ
  ドンナ考ヲ持ツテ居ル位ハ、平素考ガアル
  ダラウト思ヒマスカラソレヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=24

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• 025・近藤滋彌

  ○近藤政府委員　現在及ビ將來ノ〓育行政
  ニ對スル大キナ問題ニ對シテ、御質問デア
  リマシタガ、御趣旨ノ點ハ勿論大臣ニモ能
  ク御話致シマシテ、萬全ノ策ヲ講ズルヤウ
  ニ致シタイト思ヒマスガ、今ノ御話ノヤウ
  IN
  ニ〓員モ事實足リナイ、或ハ他ニ轉職ヲス
  ルトカ、其ノ他ノ關係デ優秀ナ〓員ガ多數
  得ラレナイト云フコトモ事實デアリマスガ、
  是等ニ對シマシテモ、本年度豫算等ニ於キ
  マシテモ、色々師範學校生徒ノ待遇トカ、或
  ハ小學校〓員ノ年功加俸等ニ對シテ、多少
  デ、モ優遇ノ途ヲ講ジテ戴イテ、優秀者ノ足
  ヲ止メテ置キ、又將來〓育者トナラウト云
  フモノヲ出來ルダケ多ク吸收シタイ、今
  後ハ其ノ方面モ十分ニ努力ヲシテ、優良
  ナル〓育者ヲ作ツテ行キタイト云フコトニ
  努力ヲシテ居ラレルヤウデアリマスシ、尙
  ホ中等學校ニ於テモ、現ニ東京市内デモ數
  千名行キ所ガナイト云フヤウナコトガ新聞
  ニモ出テ居リマスルガ、是モヤハリ相當大
  キテ問題デアラウト思フノデアリマス、隨
  テ無論府常局ニ於テモ本年モ相當新建設ヲ
  サレタヤウデアリマスガ、尙ホ文部省トシ
  マシテモ、府ノ當局。其ノ他ニ於テ御盡力ヲ
  願フト同時ニ、ヤハリ私立中學及ビ私立學
  校ナドニ對シテモ今後十分援助モシテ、是
  等モ同ジ大事ナ日本國民ノ〓養ニ當ツテ貰
  フノデアリマスカラ、出來ルダケ是等ノ助
  長ト云フヤウナコトニモ骨折ツテ、一層斯
  ウ云フコトニ手落ノナイヤウニ致シテ行キ
  ダイト云フコトハ考ヘテ居ラレルヤウデア
  リマスガ、尙ホ御意見ハ大臣マデ申上ゲテ
  一層御考置ヲ願フヤウニ致シタイト思ヒマ
  ス

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• 026・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　尙ホ此ノ機會デアリマスカラ、
  私ノ申上ゲルコトヲ大臣ニ御傳戴キタイ、
  小學校ノ國民〓育ガ八年ニナリマスカラ、
  小學校、中等程度ノ學校ノ建築ニ對シテハ、
  起債ヲ許シテ貰フコトヲ御盡力ヲ戴キタイ、
  是ガ一ツデアリマス、ソレカラ國費ヲ投ジ
  テ私立中等學校ヲ助成セラレルト云フコト
  ガ第二デアリマス、ソレカラ應急ノ策ト致
  シマシテ、今カラ本年收容スル生徒ノ人員
  ヲ、各學級ノ五十ト決メテ居ルモノヲ六十
  トスルトカ、七十トスルトカシテ、此ノ應
  急ノ處置ヲ執ツテ戴キタイ、斯ウ云フ認可
  ヲ申出マシタ學校ニ對シテハ、出來ルダケ
  許可ヲ與ヘテ、此ノ就學難ヲ緩和シテ戴キ
  タイ、此ノ事ヲ大臣ニ御傳ヲ戴キタイト思
  ヒマス

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• 027・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　政府委員ハ唯大臣ニ傳ヘル
  使ヒ番デハナイノデスカラ、責任ヲ以テ御
  答辯ナサラナケレバイケマセヌ

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• 028・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　其ノ御報告ヲ委員長ノ手許マ
  テ.

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• 029・近藤滋彌

  ○近藤政府委員　今ノ御質問ナリ御希望ニ
  對シテハ、責任ヲ以テ大臣マデ申上ゲテ置
  キマス、何レ其ノ內御手許ニ御返事ヲ申上
  ゲルヤウニ致シマス

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• 030・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　其ノ內デナク至急委員長ノ手
  許マデ······ソレデハ文部大臣ニ對スル方ハ
  宜シウゴザイマス、厚生省ハマダ御見エニ
  ナリマセヌカ

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• 031・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ厚生大臣ニ交涉シ
  テ居マスカラ、其ノ間松永君カラ關聯事項
  デ質問ガアルサウデスカラ、此ノ際松永君
  ニ發言ヲ許シテ宜シウゴザイマスカ

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• 032・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　宜シウゴザイマス

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• 033・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ松永君

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• 034・松永義雄

  ○松永委員　成ダケ簡單ニ要領ヲ述ベテ或
  ハ言ヒ足リナイ點モアルカト存ジマセヌガ、
  大藏省デ十分諒解ノ上デ御囘答ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス、第一ニ御聽シタイコトハ、
  今度通貨保證準備引上ノ法律案ガ出ルト云
  フヤウナ御話デアリマシタガ、ソレハ中止
  5:1
  サレタ、其ノ中止サレタ理由ヲ聽キタイノ
  デアリマス

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• 035・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　日本銀行ノ保證準備擴張
  ノ問題カト存ジマス、ソレハ本議會ニハ別
  ニ提案セラレナイヤウニ、私ハ承知シテ居リ
  マスガ、其ノ理由ニ付キマシテハ大藏大臣
  ヨリ御答致シタ方ガ適當カト存ジマス

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• 036・松永義雄

  ○松永委員　ソレデハ更ニ引續イテ御尋致
  シタイノデスガ、假リニ保證準備引上ノ議
  ガ中止セラレルト云フコトニナリマシテ、
  今日ノ膨脹シタル通貨ヲ如何ニ處理スルカ
  ト云フ稅金ノ建前カラノ御答辯トシマシテ、
  大藏大臣カラ過日購買力ノ吸收其ノ例トシ
  マシテ遊興飮食稅及ビ奢侈品稅ヲ取ルノガ
  其ノ一例デアルカノ如ク申述ベラレタノデ
  ゴザイマスガ、購買力ノ吸收ト云フコトノ
  最モ效果ヲ擧ゲル方法トシマシテハ、寧ロ
  金ヲ使ハセル時ニ、金ヲ取ルト云フコトモ一
  ツノ方法デセウガ、其ノ源泉ニ向ツテ購買
  力ヲ吸收シタ方ガ最モ適當デアルト私ハ考
  ヘルノデアリマス、所得稅ニ向ツテ寧ロ增
  徴シテ、サウシテ購買力ノ吸收ヲシタ方ガ
  適當ナリト思フノデスガ、是モ大藏大臣ニ
  御質問シタ方ガ宜イカモ知レマセヌガ、
  主稅局長カラ御答辯願ヘレバ結構デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=36

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• 037・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　大體私共モ同樣ノ考ヲ持
  ツテ居リマス、隨ヒマシテ此ノ度ノ增收モ、
  其ノ大部分ハ所得稅及ビ購買力吸收ノ點カ
  ラ云ツテ、是ト先ヅ同ジ性質ト申上ゲテ宜
  イカトモ思ハレル臨時利得稅ト云フ方面ニ
  重キヲ置キマシテ、間接稅方面ハソレ程强イ
  增稅ハ致シテ居リマセヌ、間接稅ノ方面ニ
  於キマシテモ、遊興飮食稅ノ如キハ相當思
  切ツテ增徵シテ居リマスルガ、是ハヤハリ
  d不急ノ購買力吸收ノ點カラ見テ、ま
  其ノ方面
  ハ高度ニ引上ゲテモ宜イト云フ意見デゴザ
  イマスガ、大體ト致シマシテハ松永サンノ
  仰セノ通リ、所得稅方面ニ重キヲ置クベキ
  モノト、斯ウ云フ風ニ考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=37

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• 038・松永義雄

  ○松永委員　然ラバ御尋致シタイノデス
  ガ、今日ノ膨脹ノ程度ヲ更ニ過大ニスルコト
  ヲ防止スル爲ニハ稅金ノ方面カラ言ヒマ
  スナラバ、今度ノ增稅額ハ五億一千万圓ト
  云フ御話デアリマスガ、將來其ノ程度デ果
  シテ增稅ノ使命トシテ、通貨ノ過大ナル膨
  脹ヲ防止スル所ノ御自信ガアルカドウカト
  云フコトヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=38

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• 039・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　私ハ購買力吸收ノ點カラ
  見ルト、間接稅ヨリモ直接稅ノ方面ニ、增
  徵ノ主眼ヲ置クコトガ適當ト認メルト云フ
  コトハ申上ゲタノデアリマスルガ、併シナガ
  ラ今囘ノ增稅ハ、購買力吸收ヲ主要ナル目
  的トスルモノトハ考へテ居ナイノデアリマ
  シテ、國庫ノ狀況カラ見テ、相當程度增收
  ヲ圖ラナケレバナリマセヌガ、一面ニ於テ
  產業界ニ與フル影響、國民生活ニ及ボス影
  響等モ十分考慮シナケレバナラヌ、斯ウ云
  フ觀點カラ致シマシテ、增稅ノ程度ト之ヲ
  直接稅ニ俟ツカ、間接稅ニ俟ツカト云フ方
  面ヲ、大體ニ於テ決メタノデアリマス、購
  買力吸收ハ先ヅ其ノ副作用程度ノモノト御
  承知置キ願ヒタイ、購買力吸收ヲ主トシテ
  ノ增稅ナレバ、ソンナ五億トカ十億ノ增稅
  デハ、迚モ目的ヲ達シ得ナイカト存ズルノ
  デアリマスガ、左樣ナ見地ニ立ツテ强イ增
  稅ヲ致シマスルト、一面生產力擴充ヲ阻碍
  スル、國民生活ノ破壞ヲ來スト云フコトガ
  ガアルノデアリマスルカラ、增稅ニハ自ラ
  限度ガアル、購買力吸收ニハ資スル所ガア
  ルガ、之ヲ主要ノ目的トスルモノデハナク、
  購買力吸收ノ爲ニハ他ニ貯蓄奬勵トカ、其
  ノ他各種ノ手段ヲ用ヒテ行クベキデアリマ
  シテ、增稅ノ此ノ方面ニ對スル役割ハ、ソ
  レ程多キヲ期待シ得ナイノデハナカラウカ
  ト存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=39

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• 040・松永義雄

  ○松永委員　簡單ニ御質問シマスガ、更に
  獨占價格利得稅ト云フモノヲ設ケタラドウ
  カ、其ノ意味ハ此ノ度ノ石炭ノ增產ニ付テ、
  多額ノ奬勵金ヲ政府カラ交付サレルト云フ
  ノデスガ、通貨膨脹ハ、歐洲戰爭ノ前例モ
  アリマス通リニ、生產力ノ擴充ヲ刺戟スル
  爲ニ、當ヲ得ナイ奬勵金ヲ交付スル場合ノ
  ヤウナ時ニ起ルト云フコトモアツテ、奬勵
  金ノ交付ハ適切妥當ニヤラナケレバナラヌ
  ト云フコトニナルノデゴザイマスガ、今度
  ノ石炭ノ增產ニ關スル石炭ノ價格ニ付テ
  ハ、良イ機械ガアル、或ハ礦質ノ良イ礦山ガ
  アル、サウ云フ大礦山ノ單價ト云フモノ
  ハ、安クシテ而モ尙且ツ利益ヲ擧ゲラレル、
  所ガ惡イ方ノ礦山ハ、惡イ機械ヲ使ツテ居
  ルノデ、費用ヲ餘計掛ケテモ石炭ガ出テ來ナ
  イ、隨テソコニ奬勵金ヲ出シテ增產計畫ヲ
  圖ラレルト云フコトハ、洵ニ結構ナコトデゴ
  ザイマスガ、併シ一面ニ「インフレ」ヲ刺㦸
  スル結果ニナルト云フヤウナ、大藏大臣ノ
  御答辯ガアツタノデゴザイマスガ、サウ云フ
  ヤウナ時、斯ウシタ良イ礦山ヲ持ツテ良イ機
  械ヲ持ツテ增產ヲシテ、尙且ツ儲カルヤウ
  ナ礦山ニ對シテ、獨占的ノ價格ヲ維持シテ、
  尙且ツ利益ヲ擧ゲテ居ルヤウナ礦山ニ對シ
  テ稅金ヲ課ケテ、サウシテ其ノ稅金ヲ奬勵
  金ノ方ヘ〓シテ行ツタナラバ、惡イ礦山ニ
  對シテモ增產計畫ガ出來ルシ、而モ尙ホ惡
  性「インフレ」ヲ刺㦸スルコトナクシテ濟ム
  ト云フ結果ニナルト思ヒマスガ、之ハ礦山ニ
  對シテノミナラズサウ云ツタ工業ニ對シテ
  モ、獨占的ノ價格ニ依ツテ利益ヲ擧ゲテ居
  ルモノニ課稅スル御意思ガアルカナイカ、
  ソレヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=40

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• 041・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　今ノ御說モ一ツノ理由デ
  ハゴザイマスルガ、獨リ鑛山方面ノミニ止
  マラズ、御承知ノ通リ經濟統制ガ漸次强化
  致ザレマシテ、國策ニ依ツテ各會社ノ狀況
  ト云フモノハ、隨分支配サレテ居ルノデア
  リマスカラシテ、斯ウ云フ見方カラ致シマ
  スレバ、獨リ鑛山ノミデナク、全般ニ亙ツ
  テ相當考慮ヲ運サナケレバナラヌコトト存
  ジマス、併シナガラ實際問題ト致シマシテ、
  各會社ニ付キ、各業態ニ付キマシテ、今ノ
  御示ノヤウナ趣旨ニ基キマシテ、課稅スル
  ト云フコトハ、中々困難カト存ズルノデア
  リマスガ、一面ニ於キマシテ臨時利得稅ガ
  アリマシテ、資本ニ對シマシテ一定利廻以
  上ノ利益ヲ納メタ場合ハ、其ノ利益ノ收メ
  方如何ニ依ツテハ、相當强度ノ稅負擔ヲ受
  ケル、斯ウ云フコトニ依リマシテ、大體ニ
  於キマシテ其ノ御趣旨ノ目的ハ達シ得テ居
  ルノデハナカラウカト存ジマス、個々ノ營
  業ニ付キ、或ハ獨占的會社ニ對シマシテノ
  特別ノ課稅ト云フコトハ、相當考究致シテ
  見タノデアリマスケレドモ、マダ適切ナ成
  案ヲ得ナイノデアリマスガ、併シ大體ニ於
  テ臨時利得稅ニ於テ、其ノ目的ヲ達シ得ル
  モノダト云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=41

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• 042・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　全國ノ生命保險金一年ノ支拂
  額ハ、ドノ位ニナツテ居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=42

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• 043・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　取調ベマシテ後程御答致
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=43

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• 044・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソレヲ伺ツタノハ斯ウ云フコ
  トヲ大臣ニ伺ヒタイト思フカラデス、國債
  ノ消化ガ段々鈍ツテ來ルノデ、マア生命保
  險モ積立金ヤ色々國債ヲ買ツテ居リマス
  ガ、此ノ生命保險ノ支拂ノ二割トカ三割ハ、
  國債ヲ以テ支拂フト云フヤウナコトヲ、何カ
  御考ニナツテ保險會社ト御相談ニナツタヤ
  ウナコトガアリマスカ、如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=44

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• 045・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　マダ左樣ナ事柄ガアツタ
  ト云フコトヲ聞イテ居リマセヌノデ、今ノ御
  話ノヤウナ御意見ニ付キマシテハ、高額ノ
  支拂ヲ致ス場合ニ於テ、公債ヲ一部使用シ
  タラドウダト云フ風ナ意見ガアルト云フコ
  トハ聞イテ居リマスガ、其ノ問題ニ對シマシ
  テハマダ何等決ツタコトハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=45

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• 046・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　手許ニアリマスノハ、少
  シ古イ數字デゴザイマスケレドモ、昭和十
  二年ニ於キマシテ一億九千二百万圓程デア
  リマス

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• 047・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　昭和十二年ニ於テ一億九千二
  百万圓ト云フコトデスカラ、假ニ三割國債
  デ拂渡シタトシテモ、相當消化スベキモノ
  ダト云フヤウニ考ヘマス、ソレカラ是ハ御
  考ヘ方ガ如何カト思ヒマスガ、今度勸
  業銀行カラ五億ノ富籤類似ノ債劵ガ發行
  サレルヤウニナツテ居ルノデアリマス
  ガ、寧ロ一圓カ三圓位ノ富籤ヲオヤリニ
  ナツタ方ガ、徹底シテ殷賑工業ダトカ、殷
  賑方面ノ金ヲ吸收スルコトガ出來ヤシナ
  イカ、色々考ヘテ道德的ニ名目ヲ御立テ
  ニナツテ、報國債劵ト言ハレタ所デ、ヤハ
  リ富籤デアルカラ、寧ロ最低度ノモノデ御
  發行ニナツテ、サウシテ當籖者ニハ其ノ中
  ノ五割ハ債劵デ渡ストカ、八割ハ債劵デ渡
  ストカ云フ風ニスレバ、別ニ「インフレ」モ
  起サナイシ、當ツタ所デ浮薄ニハナラヌト
  云フ風ニ考ヘテ居リマスガ、アレヲ五億ト
  云フヤウナコトデナク、徹底シテオヤリニ
  ナルヤウナ御考ニナレマセヌデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=47

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• 048・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今御話ノヤウナ事柄ニ
  付キマシテモ篤ト〓究致シテ見タノデア
  リマスガ、成程零細ナ資金ヲ集メル上ニ於
  キマシテハ、富籤ノ方ガ一時ハ集メラレ易
  イト思ヒマス、併シナガラ富籤デアリマス
  ト、一般大衆ノ中デ應募者ガ出來マスト同
  時ニ、其ノ富籤ニ對シマシテ無理ナ借金ヲ
  シテデモ富籤ヲ買フト云フ風ナ事柄ガ起リ
  易イモノデアリマシテ、其ノ結果意外ナル
  負債ヲシテ、非常ニ困ツテ來ルト云フヤウ
  ナ人ガ出ヌトモ限ラナイノデアリマス、隨
  ヒマシテ此ノ富籤ヲ發行致スト云フコトニ
  付キマシテハ、色々ナ點カラ〓究ヲ致シテ
  見マセヌト、其ノ及ボス所ノ影響ガ非常ニ
  大キイノデアリマシテ、其ノ點ニ付テ未ダ
  富籤ヲ發行スルト云フ風ナ考ニナツテ居ナ
  イ譯デアリマス、今囘議會ニ提案致シマシ
  タ報國債劵モ、一種ノ富籖デハナイカト云
  フ御話デアリマスガ、成程割增金ガ多ク附
  イテ居リマスノデ、見樣ニ依ツテハサウ云
  フ風ニ見エマスケレドモ、併シ是ハ元金ガ
  存在致シテ居リマスノデ、決シテソレニ依
  ツテ資產ヲ無クシテシマフトカ、或ハ全ク
  ソレニ夢中ニナツテ、資產ヲ蕩盡シテシマ
  フトカ云フヤウナ者ハ出ナイモクト思ツテ
  居リマス、今囘五億圓ト云フコトニ致シテ
  居リマスケレドモ、本年度ニ於キマシテハ
  大體二億圓程度ノ募集ヲ致シテ見タイト思
  ツテ居ル譯デアリマシテ、其ノ影響等ヲ
  モ十分考慮致シテ見テ、若シ御話ノヤウナ
  事柄ガ必要デアリト致シマスレバ、更ニ考
  慮致シマスケレドモ、今日ノ所ニ於テハ、先
  ヅ報國債劵ノ如キモノニ依ツテ、サウシテ
  債劵ヲ持タセテ、其ノ持タセタ結果、其ノ
  債劵ヲ保管スルノ途ヲ講ジテ、次第ニ資產
  ヲ作ラセル、牛ニ引カレテ善光寺詣リト云
  フ言葉ガアリマスガ、サウ云フ風ナ意味ニ
  依ツテ次第ニ資產ガ出來マスト、從來何百
  圓ト云フ資產ヲ見タコトモナイ人モ、ソユ
  ニ資產ガ自然ノ裡ニ出來テ來ル、斯ウ云フ
  風ナ所ニ見込ヲ立テテ、報國債劵ヲ發行致
  シタイ、斯ウ云フコトニ致シタノデアリマ
  シテ、富籤トハ少シ性質ガ異ツテ居ルノデ
  アリマス、其ノ當籤者ニ對シテ債劵ヲ渡ス
  ト云フコトニ付キマシテハ、是ハ洵ニ御尤
  モナ御意見デアリマシテ、是ハ報國債劵ニ
  致シマシテモ、當籤者ニ其ノ點ニ付テハ考
  慮ヲ求メルト云フコトニ致シタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=48

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• 049・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　瀧澤君、厚生大臣ガ御見エ
  ニナリマシタガ、貴族院ノ豫算分科會ノ方
  ノ關係デ、早ク退席ナサラナケレバナラヌ
  サウデスカラ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=49

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• 050・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　ソレハ丁度好イ所デアリマス
  カラ、大藏大臣モ一〓ニ御聽キヲ願ツテ結
  構デアリマス、厚生大臣ニ特ニオ出デヲ戴
  キマシタ所以ノモノハ、是ハ他ノ同僚委員
  ヨリ度々御話ノアツタコトデアリマセウガ、
  今度ノ稅法ニ依リマシテ、勤勞所得者ニ對
  シテハ非常ニ課稅ガ少イ、卽チ二千圓ニ對
  シテ八十四圓、三千圓ニ對シテ百四十四圓、
  五千圓ニ對シテ二百六十四圓、斯ウ云フヤ
  ウニナツテ居リマス、併シ事業收益ノ方カ
  ラ見マスト、是ハ控除ヲナイモノトシテ見
  タ場合ニ於キマシテ、二千圓ハ二百五十六
  圓、三千圓ハ四百一圓、五千圓ハ六百九十
  回、斯ウ云フ風ニ勤勞所得ト事業所得ト
  デ稅金ノ差ガ非常ニアルノデアリマス、ソ
  コデ地方ノミナラズ、東京市內ニ於キマシ
  テモ、今マデノ稅金カラ見マスト、營業者
  ニ於キマシテハ、所得稅ヲ出ス人ハ二千圓、
  三千圓程度ノ階級ノ人ガ多イノデアリマス
  ガ、勤勞所得者ト比ベテ、事業所得者ハ主
  人モ働キ、細君モ働キ、子供モ働キ、殊ニ
  工業ニ於キマシテハ親子眞黑ニナツテ働イ
  テ居ル、斯ウ云フ者ハ稅金ガ是ダケ高イノ
  ダ、斯ウ云フ風ニナリマス說明ハ大藏當局
  ヨリ聽イテ居リマス、又其ノ理窟モ一應ア
  リマス、何トナレバ今マデ是等ノ所得者ハ
  凡ソ帳簿ニ依リマセヌデ、腰ダメデ、サウシ
  テ或ハ組合ノ申請デアルトカ、アノ程度ノ
  人ハ此ノ位ダラウトカ、帳簿ガハツキリ致シ
  マセヌカラ、役人或ハ勤人ト云フ風ナ者ニ比
  ベテ算出ガ困難デアル、ソレデマア高イ稅
  金ヲ課ケテモ宜イダラウト云フヤウナコト
  デ、今マデハ宜イ加減ナ所デ、所得調査會ニ
  於テ妥協シテ納稅シテ納稅シテ居ツタコトハ
  事實デアリマスケレドモ、近來ソレガ非常ニ
  ヤカマシクナツテ參リマシテ、往々ニシテ
  苛酷ナル取扱ヲ受ケテ居リマス、サウシテ
  ソレノ發見サレタ場合ニハ、〓ネ誤謬訂正
  ニ依ツテ訂正サレテ、最後ノ爭ヲシナイヤ
  ウニシテ收マリヲ付ケテ行クカラ、大藏省
  ノ方へ向ツテ最後マデ爭フ人ハ少イノデア
  リマス、殊ニ大都市ノ例ナドヲ聽イテ見マ
  シテモ、寄附金ノ場合デスガ、例ヘバ防護
  團ガ出來ル、政府ハ僅カバカリシカ金ヲ吳
  レナイ、サウシテ其ノ防護團ニ出テ手間ヲ
  潰スノハ當然國家ニ對スル義務デアリマ
  セウケレドモ、其ノ外ニ費用ノ殆ド大部分
  ヲ町村自體ガ負擔シテ居ル、或ハ女學校ヲ
  建テヨウトスルト、ソレデハ何處ヘ建テル
  カト云フコトニナルト、先ヅ納稅ヲ調べ
  テ、納稅ノ額ニ依ツテ寄附ヲシテ貰ツテ、
  學校ヲ建テルト云フヤウナ譯デ、ソレガ大
  體ニ於テアノ人ハ月給取ダカラ、寄附金ハ
  勘辨シテ置ケト云フノガ、吾々ノ所ノ氣風
  デアリマス、サウ云フヤウナ稅金以外ノ負
  擔ヲ、事業ヲシテ居ル者ハ取ラレルノデア
  リマスカラ、今度ノ是ハ非常ニ苦痛デアリ
  マス、苦痛デアルケレドモ吾々ハ納メナケ
  レバナラナイト思ヒマスガ、一體此ノ苦痛
  ヲ、ドウシテモ背負ツテ立ツテ行カナケレ
  バナラナイノデセウカ、厚生大臣ノ適正ナ
  ル御判斷ヲ御伺ヒシタイト思ツテ居リマス

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• 051・吉田茂

  ○吉田國務大臣　只今御述ニナリマシタヤ
  ウニ、實際市民生活ノ實情ニ付キマシテハ、
  洵ニ御尤ナ點ガアルト思フノデアリマス、
  本來勤勞所得ト事業所得ト云フモノノ間ニ
  ハ、今御述ニナリマシタヤウナ事情モゴザ
  イマスガ、又一方ハ兎ニ角中小商工業ト云
  フヤウナ分野デアリマシテモ、ソレニ相應
  スル資產ヲ以テ、自ラノ責任デ事業ヲ運營
  シテ居ラレル、一方勤勞所得ト云フノハ自
  分ノ一身ダケデ働イテ居ル、働キノ內容ノ
  違ヒト云フ點カラ勤勞所得ニ對スル稅ト、
  事業所得ニ對スル稅トノ比率ニ違ヒノアリ
  マスルコトハ、是モ或ル程度已ムヲ得ナイ
  ト思ヒマス、、此ノ頃寄附金ノコトナリ、或
  ハ色々出費ガ掛ツテ居ルコトナリ、サウ云
  フ事情ハ御察シ出來ルノデアリマスガ、兩
  者ノ間ニ違ヒガアルト云フコトニ付キマジ
  テハ、ドウモ從前カラモサウデアツタノデ
  アリマスガ、今囘位ノ程度ハ已ムヲ得ナイ
  ノデハナイカ、尙ホ其ノ方面ノ人々ノ社會
  生活ノ上ニ於キマシテノ色々ナ難儀ト云フ
  コトモ、御察シ出來ルノデアリマスガ、是
  ない なに
  ハ稅ノ方トハ別ニ、其ノ問題ニ對スル政治
  行政ノ上ノ改善モ必要デアラウガ、稅ノ上
  デ兩方ノ間ニ、法案ニアリマスヤウナ若干
  ノ違ヒノアリマスコトハ、ドウモ勤勞ト云
  フモノト事業ト云フモノトノ相違カラ見マ
  シテ、已ムヲ得ナイコトデハナイカ、斯樣
  ニ考ヘテ居ル次第デアリマス

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• 052・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　政府ノ大臣デスカラ、サウ云
  フ風ニ御答ニナルノハ當然ダト思ヒマス
  ガ、モウ少シ實情ヲ私ハ兩大臣ニ御聽キヲ
  戴キタイコトハ、今日殊ニ事變ニナリマシ
  テ勤勞所得者ニ對シテハ、アノ人ハ役所ヘ
  勤メルノダ、アノ人ハ會社ニ勤メルノダト云
  フテ、兵隊ノ送迎カラ、防護團ノ團員ニナル
  コトカラ、一切ノコトハ月給ヲ取ツテ居ル
  人ニハ課セナイ、斯樣ナ所モアリマス、役
  所カラ歸ツテ喜ンデ夜デモ顏ヲ出サウト云
  フ人モアリマスケレドモ、大體町內會ニ出
  ル者ハ、事業ヲヤツテ居ル者デアリマシテ
  役人ハ殊ニ出マセヌ、ソレカラ會社ノ社員
  モ出マセヌ、隨テ今日事業者ノ負擔ガ多イ
  ノデアリマス、是ハ實情デアリマス、二千
  圓ト云フ金ハ勤勞所得者ノ二千圓モ、事業
  所得者ノ二千圓モ額ニハ違ヒガアリマセヌ
  ケレドモ、サウ云フ出費ノ爲ニ、今中小工業
  者ノ負擔ト云フモノハ非常ニ多イ、ソレカラ
  此ノ頃大キナ會社ヘ行キマシテ色々ナ話ヲ
  聞クト、昨年カラノ決算ヲ見テモ皆儲カツ
  テ居ルヂヤアリマセヌカト、斯ウ云フ、サ
  ウスルト事業ヲヤツテ居ル者ハ、皆儲カツ
  テ居ルヤウニ思ハレマスガ、是ハ考ヘ方ガ
  違フ、昨年カラ本年ノ初メニ決算報〓ヲス
  ル會社ノ大キナモノハ、皆何年モノ註文ヲ
  受ケテ居リマシテ、昨年ノ品物ナドハ皆儲
  カツテ居リマス、電力ノ制限ヲ受ケタリ、色
  色ナ出費ノ多イノハ今年ニナツテカラデア
  ル、大キナ會社ハサウ云フ風ニナツテ來マ
  スガ、小サナ人達ハ今年ニナツタラ、今マデ
  殷賑產業ダト申サレテ居ル所ノ鐵工業ニ關
  シマシテモ、御承知ノ通リデアリマシテ、
  今年ニ入リマシテ此ノ一月カラ二月マデノ
  配給ト云フモノハ一般民需ニ於キマシテ
  ハ、十二年度ノ二割シカナイノデアリマシ
  テ、サウシテ物價ハ高クナツテ居リ、工場
  ノ出費ハ非常ニ多イ、例ヘバ軍手一ツ純綿
  ナラ二十五錢ガ公定價格デアリマスガ、手
  ニ入ルノハ八十錢、九十錢デアリマス
  〔委員長退席、小笠原委員長代理著席〕
  サウ云フヤウニ帳面ヘ付ケルノモ闇相場
  デ買ツタモノナドハ帳面へ付ケラレマセ
  又、帳面へ付ケレバ引張ラレマス、仕事ヲ
  ヤツテ行ク者ハサウ云フヤウナ苦痛ヲ忍ン
  デヤツテ居リマスカラ、此ノ增稅ニ對シテ
  餘程大藏大臣御考慮ヲ戴キマセヌケレバナ
  リマセヌ、今マデノ二億ノ增稅ニハ堪ヘテ
  堪ヘテ〓〓參リマシタガ、其ノ上ノ六億ノ
  增稅ニナリマスト容易ニ之ヲ納メルコト
  ガ出來ナイ人達ガ、本年度ハ澤山出テ參リ
  やく、サウ云フコトヲ憂フルノデアリマス
  カラ、私ハ此ノ率ニ付テハ相當ノ御考慮ヲ
  戴カナケレバナラナイ
  ソレカラ尙ホ厚生大臣ニ申上ゲマスガ、
  厚生大臣ハ電力ノ爲ニ休業スル其ノ手當
  ハ、六割ヲ工場主ガ支拂フヤウニト云フ御
  奬メデアリマス、殷賑產業ニ屬シテ居ルモ
  ノハ二月ヤ三月之ニ應ジマス、併シ電力不
  足ハ殷賑產業ノミデハアリマセヌ、平和產
  業、小サナ工場モ然リデアリマス、大キナ
  工場デ支拂ツタガ小サイ工場デ支拂ハナイ
  ト云フコトハ出來マセヌ、又電力ノ不足ダ
  カラ六割ノ手當ヲヤルノデアリマスガ、材
  料ガ今マデ十割ノモノガ八割ニナリ五割ニ
  ナリ今度ハ二割ニナツタ、之ニ依ツテ休業
  スル手當ハ一體誰ガ出セバ宜イノデス、世
  ノ中ノ物價モ高クナツテ居リマスカラ、二
  千圓位ノ賣上ガナクテドウシテヤツテ行カ
  レマス、而モ是ニハ高イ稅金ガ掛カル、私
  ハ此ノ點ニ關シテ特ニ御考慮ヲ戴キ、國務
  大臣トシテ厚生大臣ハ能ク大藏大臣ト御相
  談ヲ戴キマシテ、此ノ中小工業者ニ對スル
  課稅ニ對シテハ十分ノ御考慮ヲ戴キマセヌ
  ケレバ、紛糾ノ種ヲ蒔キ、納稅不能者簇出ス
  ル所以ニナルダラウト思ヒマス、併シ又國
  家ガ商工政策ヲ御變へニナツテ、サウシテ
  物ノ値上リヲ策スルヤウナ場合ニナツタラ
  別問題デアリマス、一面ニ於キマシテ低物
  價政策ヲ御執リニナツテ之ヲ抑ヘ付ケラレ
  テ居ル、總テノモノハ今日ノ場合九·一八前
  ヨリズツト高クナツテ居ルノデスカラ、サ
  ウ云フ場合モ考慮セラレマシテ、特ニ厚生
  大臣ハ國務大臣トシテ一ツ大藏大臣トドウ
  カ適當ニ御考ヲ戴キマシテ、此ノ商工業者
  ノ三千圓五千圓程度ノ人達ノ負擔輕減ヲ圖
  ツテ戴キタイト思ツテ、御願スルノデアリ
  マスガ、兩大臣ヨリ御考ヲ御伺シタイノデ
  アリマス

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• 053・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　中小工業者ノ方々ガ今日
  非常ニ窮境ニ立タレテ居ルコトニ付キマシ
  テハ、御說洵ニ御尤モデアリマシテ、御同
  情申上ゲナケレバナラヌト思ヒマス、只今
  電力不足ノ問題等ニ對シマシテノ御尋デゴ
  ザイマスガ、是ハ不時ノ出來事デアリマシ
  テ、左樣ナ場合ニ於テ、特ニ勞働賃銀ノ六
  割ヲ拂フトカ、何割ヲ拂フトカ云フヤウナ
  コトハ、是ハ事業家トシテハ隨分困ラレル
  ち引っ
  コトカト思ヒマス、殊ニ中小工業者ノ方々
  ニ於カレテハ御困リダラウト思ヒマスガ、
  是ハ稅其ノモノトハ變ツタ立場ニ於テ、〓
  究致シテ見マシテ、出來ルダケノ方途ハ講
  ジナケレバナラヌヤウニ考ヘテ居リマス
  ガ、稅其ノモノカラ申シマスト、是ハ平素
  ノ建前カラ考ヘナケレバナラヌコトデアリ
  マシテ、成程先刻御話ノ如ク勤勞所得者ニ
  對シテ少シ率ガ高クナツテ居ル、是ハ今厚
  生大臣モ話サレマシタ通リ、一部所謂企
  業資金ノ活用ニ依リマスコトモ含ンデ居
  リマス、又獨立シタル一個ノ法人トシテ
  普通ノ傭ハレ人、或ハ勞働ニ從事サレル
  方々ト自ラ其處ニ異ツテ居ル點ガアル、斯
  ウ云フ建前デ從來カラモ參ツテ居ルノデア
  リマシテ、今囘モ其ノ建前ヲ執ツテ參ツ
  タノデアリマスガ、御話ノヤウナ事柄ニ
  付キマシテハ、今日色々ナ事柄ニ付キマシ
  テ、中小工業者ノ方々ガ特ニ社會奉仕ニ
  努メ、又今囘ノヤウナ電力饑饉ナドニ對シ
  マシテハ、困難ナ地位ニ立タレテ居ルト云
  フコトハ、私共モ洵ニオ氣ノ毒ニ考ヘテ居
  ルヤウナ次第デアリマス、此ノ問題ニ對シ
  マシテハ、別ニ適當ナル考慮モ拂ハナケレ
  バナラヌコトデアラウト考ヘテ居リマス
  ガ、稅ト致シマシテハ、提案致シマシタ本
  案程度ニ於テ、犧牲ヲ拂ツテ戴キタイ、斯
  樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス

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• 054・吉田茂

  ○𠮷田國務大臣　稅ノコトニ付キマシテハ
  先程モ申上ゲマシタシ、只今大藏大臣ノ御
  說明ノヤウナ取扱ハ、私共洵ニ已ムヲ得ナ
  イ次第ダト考ヘルノデアリマス、實情ニ付
  テ色々御述べニナリマシタコト、是亦一々
  御尤モト存ジマス、中小工業或ハソレ等ノ
  人々ノ居ラレマス下町方面ノ事情ニ御精通
  ノ瀧澤サンノ御話デゴザイマスノデ、洵
  適切ナ御配慮、御心配ト承ツタノデアリマ
  ス、銃後ノ奉仕等ノコトニ付キマシテハ、
  是ハ私共ト致シマシテモ若干關係ノアリマ
  ス立場カラ見テ居リマスガ、勤勞階級ノ人
  人ノ努メト云フコトニ於テ、殊ニ東京ハ若
  干缺クル所ガアルヤウニ考ヘマスガ、ソレ
  ハソレトシテ、ソレ等ノ人々モ銃後ノ奉仕
  ト云フコトニ付テハ事業家同樣、或ハソレ
  以上ニ努メマスヤウニ、今後ハ全體トシテ
  心配セネバナラヌト思フノデアリマス、資
  材不足等ニ御難儀ナサイマス事情モ、十分
  御推察出來ルノデアリマス、尙ホ電力不足
  ニ依ル休業ニ付テノ手當ニ付キマシテハ、
  一般ニ六割位拂ツテ戴イタラドウダラウト
  云フコトヲ奬メマシタコトモ、御質疑ニナ
  リマシタ通リデアリマスガ、是ハ御承知ノ
  通リ、先般洵ニ窮迫シタ場合ニ勞資協力ノ
  實ヲ擧ゲテ戴キタイト云フ趣意デ、臨機ノ
  措置トシテ御奬メヲシタ譯デアリマス、其
  ノ外材料不足ニ依ツテ、仕事ヲ休マナケレ
  バナラヌヤウナ所ガ近來簇出シタト云フ實
  情モ承ツテ居リマス、是ハ事業主ニ取ツテ
  
  モ勞務者ニ取ツテモ、洵ニ難儀ナコトデア
  リマス、ソレ等ニ付キマシテハ、其ノ難儀
  ノ事情ノ厚薄、及ビ實力等ニ依リマシテ、
  今日政府カラ何等御示シヲセズトモ休業ニ
  依ル手當ヲ拂ツテ居ラレル所モアリ、中二
  ハ大分困ツテ居ラレル所モアルヤウニ伺ツ
  テ居リマス、事情ノ程度ガ一律デゴザイマ
  セヌカラ、電力不足ノ場合ト違ヒマシテ、
  之ニドレ位拂ツテ戴イタラ宜カラウカ、或
  ハソレニ對シテ政府デドノ程度ノ心配ヲ致
  シタラ宜カラウカ、中々一律ニハ決メラレ
  マセヌノデ、ソレハ其ノ場合々々ニ應ジテ、
  其ノ工場、其ノ事業ヲ擔當シテ居ラレル方
  ノ、情深イ適當ナ御配慮ニ期待スル以外ニ
  方法ハ只今ノ所デハナカラウト考ヘテ居リ
  マス

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• 055・小笠原三九郎

  ○小笠原委員長代理　厚生大臣ハ貴族院ノ
  分科會デ今討論及ビ採決ニ入ルサウデ、已
  ムヲ得ヌサウデゴザイマスカラ、他ノ機會
  ニ於テ如何デセウカ

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• 056・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　先達テハ凡ソ六割ト言ハレマ
  シタカラ、全部小サナ.工場マデヤツタノデ、
  隨分物議ヲ起シテ居リマシタケレドモ、厚
  生省ノ方針ト云フノデ、又ヤラナケレバ警
  察デ叱ラレルカラト云フノデヤツタノデア
  リマスガ、今後ハサウ濫リニ御示シニナラ
  ナイデ、只今御話ニアリマシタ實情ニ卽ス
  ルヤウニ願ヒタイ、是ダケハ是非御願致シ
  テ置キマス、サモナイト非常ニ困ルノデア
  リマス、モウ少シアリマスケレドモ、大臣
  ガ御急ギデスカラ、大體今ノコトダケヲ申
  上ゲテ置キマス、稅金ノコトニ付テハモウ
  少シ御考置キヲ願ヒタイ、ソレカラ只今大
  藏大臣ノ御答辯ガアリマシタガ、此ノ課率竝
  ニ控除額ト云フヤウナコトニ付キマシテ
  ハ中小工業ニ對シテ相當ノ御考ヲ戴キタ
  イ、兎ニ角私共本當ニ黑クナツテ働イテ居
  ル者ガ、如何ニ苦勞シテ居ルカト云フ實情
  ヲ、御考下サラナケレバナラヌ、私共ト致
  シマシテモ、モウ五時ニハ起キテ居ラナケ
  レバ工場ヲ一廻リ出來ナイ、是ハ吾々バカ
  リデナク、總テ其ノ通リ働イテ居ルノデス、
  サウ云フコトヲ十分御認置キヲ願ヒマス、
  私共ガ尙ホ理事、委員長ヲ通ジテ御相談申
  上ゲル場合ニハ、適正ニ御考慮戴キタイト
  云フコトヲ申上ゲマシテ、私ノ大臣ニ對ス
  ル質問ハ打切ルコトニ致シマス

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• 057・小笠原三九郎

  ○小笠原委員長代理　松永君ガ何カ關聯シ
  テ此ノ際發言ヲ求メラレテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=57

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• 058・松永義雄

  ○松永委員　先程主稅局長カラ大臣ニ讓ラレ
  タ答辯ガゴザイマスガ、其ノ前ニ御伺致シテ
  置キタイ、厚生大臣ニモ共ニ御質問致シタ
  イノデゴザイマスケレドモ、大藏大臣ダケ
  デモ宜シイト存ジマス、增稅ト物價ト言ヒ
  マスカ、ソレカラ國民生活ニ關聯シテ伺ツ
  テ置キマス、ソレハ今度ノ地租ガ國稅及ビ
  市町村稅、府縣稅ヲ加ヘマシテ百分ノ八ニ
  ナツテ、約二割ノ減稅ニナツテ居ルト私ハ
  思ツテ居リマス、所ガ都會地、殊ニ東京、
  大阪等五大都市ニ於ケル土地ノ暴騰ハ實ニ
  驚クベキモノガアルト伺ツテ居リマス、所
  デ九·一八ニ依ツテ物價停止令ガ行ハレマ
  シテ、家賃、地代ト云フモノハ其ノ儘ニナ
  ツテ居ルノデゴザイマスガ、斯ウシテ地租
  ガ下リマスレバ、當然地代モ下ツテ來ナケ
  レバナラヌ、同時ニ又ソレガ家賃ノ方ニ影
  響ヲ來シテ家賃ヲ下ゲテ行カナケレバナラ
  ヌト存ジマスガ、地租ノ減率ニ依リマシテ、
  都會地ニ於キマスル家賃ノ値下ニ對シテ、
  ドウ云フ風ニ御考ニナリマスカ

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• 059・小笠原三九郎

  ○小笠原委員長代理　松永君、アナタノ御
  質問ハ少シ長イヤウデアレバ、大臣モオ急
  ギノヤウデアリマスカラ、今ノ點ダケ御答
  ヲ願ツテ、後ハ午後ニ御願シタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=59

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• 060・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　只今ノ九·一八ノ關係ト、
  地租ノ下ツタ場合ニ於ケル家賃及ビ地代ノ
  關係ノ御意見ノヤウデアリマスガ、此ノ問
  題ニ付キマシテハ、遠カラズ總テ低物價政
  策ニ對スル主義ニ準據致シマシテ、所謂適
  正價格ト云フモノガ出來ルノデアリマスカ
  ラ、若シ他ノ事情ガ何等變ラナカツタ際ニ
  於テ、地租ガ下ツタト云フコトニナリマス
  レバ、ソレダケハ卽チ家賃ヲ下ゲルトカ、或
  ハ借家人ト地主ノ雙方ニ均霑スルトカ、色
  色ナ方法ガアルデアリマセウガ、此ノ問題
  ニ付キマシテハ、總テノ物價ニ對スル適正
  價格決定ノ際ニ於キマシテ、大體ノ方針ガ
  決ルコトト斯樣ニ考ヘテ居リマス、其ノ他
  ノ稅金ノ關係等モゴザイマスノデ、サウ云
  フ事柄モ十分參酌シテ、ソレハ決定サレル
  コトト思ヒマス、ソレカラ先刻私ノ留守ニ日銀
  發行限度擴張ヲ取止メタ理由ハ、ドウデアル
  カト云フ御話デアリマスガ、此ノ問題ハ實ハ
  取止メタト云フニアラズシテ、之ヲ改正致
  サウトシテ〓究シテ居リマシタガ、年々歲
  歲限度ヲ擴張スルト云フ事柄ハ、是ハ餘程
  考慮シタ上デナケレバ實行スベキモノデナ
  イト云フ點ト、出來得ル限リ通貨ノ收縮ヲ
  圖リタイト云フ見地カラ、種々ナル制度ヲ
  講ジマスル際ニ於テ、之ヲ擴張スルト云フ
  コトハ如何ナモノデアルカト云フ點ト、ソ
  レカラ若シ此ノ發行限度ヲ擴張致スト云フ
  ヤウナ場合ニハ、從來ノ制度ト、更ニ之ヲ
  變ヘテ根本的改正ヲ致ス必要ガアルノデハ
  ナイカト云フヤウナ點等ニ付キマシテ、更ニ
  〓究ヲ要スル點ガアリマシタノデ此ノ際ハ
  見合セタ次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=60

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• 061・瀧澤七郎

  ○瀧澤委員　先般特殊飮食店ノ定義ニ付テ
  是ハ實情ニ卽スト云フ御話ガアリマシタカ
  ラ、ソレデ結構デアリマスカラ、此ノ點ハ重
  重御忘レナイヤウニ願ヒタイト思ヒマス、
  卽チ單ニ洋風ナルガ故ニ特殊飮食店ト看做
  サレルコトハ非常ニ困ルト先般申上ゲテ置
  キマシタガ、ソレヲ必ズ御含ミ置キ願ヒタ
  1、ソレカラ實ハ物價騰貴ノ爲ニ、昨年ノ
  五圓ノ飮食稅ヲ七圓ニ引上ゲテ貰ヒタイト
  考ヘテ居ツタ矢先、三圓ニ下ゲルト云フノ
  デ、是モ今日ノ場合已ムヲ得ナイト思ツテ
  居リマス、上ゲテ貰ヒタイ積リノ所ヲ下ゲ
  ラレタノデスカラ、三圓カラ五圓マデノ間
  ノ稅率ハ百分ノ十ニシテ、今マデノ五圓以
  上デアツタ所ノ稅率ヲ以テ、三圓ト五圓ノ
  間ヲ律シテ戴キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=61

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• 062・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　「カフヱー」等ニ對シマシ
  テ、特殊ノ考慮ヲ拂ハナケレバナラヌト云
  フ事柄ニ付キマシテハ、度々御答シテ居ル
  ノデアリマシテ、大體成案ヲ得ツツアル
  斯ウ申上ゲタイト思ヒマス、ソレカラ免稅
  點ヲ五圓カラ三圓ニ引下ゲマシタニ付キマ
  シテ、從來五圓以上ノ分ニ付テハ同率デ差
  支ナイガ、三圓カラ五圓マデノモノハ、新
  シク課稅ニナルノデアルカラシテ、稅率ノ
  差等ヲ設ケタラドウカト云フノモ、一番町
  御考デハゴザイマスケレドモ、實ハ本稅施
  行ノ狀況ヲ見マシテ、花代ト花代以外ノ料
  金ニ付テ、稅率ノ差等ヲ設ケテ居ルコトニ
  付キマシテモ、相當施行上困難ガアルト愬
  ヘル向モアルノデアリマスルガ、之ヲ飮食ダ
  ケ、或ハ花代以外ノ料金ニ付キマシテ、更
  ニ差等ヲ設ケルト云フノハ、實際施行ノ上
  ニ於テ色々紛議ガ起ルノデハナカラウカト
  云フコトヲ密ニ虞レルノデアリマス、大體
  三圓以上カラ課稅スルト云フコトニ致スノ
  デゴザイマスカラ、今日ト雖モ一食三圓以
  上ナラバ相當ノモノガ戴ケル、斯ウ云フ譯
  デアリマスカラ、稅率ニ付テハ一率ニ致シ
  タイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=62

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• 063・小笠原三九郎

  ○小笠原委員長代理　ソレデハ此ノ程度ニ
  止メ、午後ハ一時十五分ヨリ開會致シマス
  午後零時二十分休憩
  午後一時三十五分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=63

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• 064・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ開會致シマス-
  北君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=64

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• 065・北浦圭太郎

  ○北委員　是カラ先ハ實バ大藏大臣ノ答辯
  ヲ得タイト思ツタノデスガ、丁度今御都合ガ
  惡イト云フコトデ已ムヲ得マセヌカラ、先
  ニ進ミマス、第一ニ一昨日ノ私ノ質問ニ對
  シマシテ主稅局長ノ御答辯ニ、產業組合ガ
  原價デ賣ルト、小賣商ガ困ルト云フガ、ソ
  レハ產業組合ノ商品ノ制限等ニ依ル政策デ
  行クベキデアツテト、斯ウ仰セラレテ居ツ
  タノデアリマスガ、是ハ主稅局長ノ全ク獨
  斷的見解デアラウト思フ、何モ目下ノ所左
  樣ナ國策ハ決ツテ居ナイ、現ニ小賣商免許
  制問題モ、ツイ此ノ間カラ起ツテ居リマス
  ガ、是ハ產業組合ヲ除外スルコトニナツタ
  ト云フヤウナコトモ聞イテ居リマス、又例
  ノ中小產業ノ調査委員會、是モ隨分難カシ
  イ問題デ、遂ニ結論ヲ得ナカツタ始末デス、
  斯樣ナ譯デアリマスガ、斯ウ云フ重大問題
  ヲ輕々ニ獨斷デ、假ニ想定ヲ下シテノ御答
  辯ハ、ソレハ私ハ御答辯ニナラヌト思フ、
  飽マデモ現實ニ卽シテ御答辯ヲシテ戴カナ
  ケレバナラヌト云フコトヲ、此ノ際希望シ
  テ置クノデアリマス
  次ニ產業組合ガ市價主義デ賣ル位ナラ
  バ產業組合存立ノ意味ヲ成サヌデハナ
  イカト云フ御答辯モ、私共全ク意外トス
  ル所デアリマス、甚ダ失禮ナ申分デ相濟
  マヌガ、大藏當局ハドウモ產業組合ノコト
  ハ、御分リニナツテ居ラヌヤウナ感ジガ
  シテナラヌノデアリマス、產業組合ハ單ナ
  ル經濟團體デハナイ、是カラ先ノ社會ニ
  於テナクテハナラヌ實ニ麗シイ精神ヲ持
  ツタ相互扶助的ノ精神的團體デアリマス、
  ソコデ農村ノ四種兼營ノ組合ガ、市價主義
  デ賣ツテ購買品ノ利益、否組合ノ小拂金、
  卽チ原價ト市價ノ差額、此ノ組合ノ小拂金
  ヲオ互ノ決議ニ依ツテ、經濟的方面ノ仕事
  デハ、時局ニ應ジタ國策ニ副フ仕事ヲスル、
  色々ナ生產擴充ノ事業ヲスルノデアリマス、
  例ヘバ勞力不足ノ對策トシテハ農民ガ農具
  ヲ共同使用スル設備ヲスル、或ハ輸出農作
  物ノ加工所ヲ設ケテ加エシテ出ス、或ハ良
  イ種牛、種豚ヲ買入レテ利用サセル、或ハ
  鷄ノ產卵所ヲ設ケルトカ、數ヲ言ヘバ限リ
  ガアリマセヌガ、左樣ナ共同事業ノ設備ヲ
  スルノデアリマス、又相互扶助ノ事業トシ
  テハ、貧農ノ生活向上ニ協力スル爲ニ、例へ
  バ自家用醬油ノ製造デアリマス、最モ進步
  シタ設備ヲ致シマシテ、同ジ材料ヲ使ツテ
  デモ、從來ヨリハ良イ醬油ガ出來テ安ク使
  ハセルト云フ仕事、或ハ又田舍ハ醫療設備
  ガ完全デナクテ困ツテ居ルカラ、之ヲ完全
  ニスル、サウ云フ仕事ヲ爲シ、進ンデハ今
  日デハ社會事業トシテノ共濟事業、卽チ火
  災水害、色々ナ想ハザル災害ノアツタ場
  合ニ、斯ウ云フ者ニ見舞救濟ノ方法ヲ講ズ
  ル、或ハ國民健康保險ヲ產業組合ガ代
  行ヲシテ行クトカ、託兒所ヲ作ル、是
  ハ進ンダ所ハ皆ヤツテ居リマス、私共
  ノ組合ノ如キハ辱クモ皇后陛下カラ產業
  組合ノ託兒所ノ仕事ニ對シテ、御下賜金ヲ
  戴イテ居ルノデアリマス、斯ウ云フコ
  トヲヤツテ行クノガ、產業組合ノ當然ノ姿
  ナンデアリマス、卽チ經濟的ニ餘裕ノアル
  人ガ、一寸ノ心掛デ組合ヲ利用シテ吳レルコ
  トニ依ツテ得タ所ノ、所謂小拂金ガ、或
  貧シイ人デモ他ノ商店デ買ツタト思ヘバ同
  ジコトダ、是デオ互ノ相互扶助ノ仕事ガシ
  テ貰ヘルノダト云フヤウナコトデ、何モ不
  平ヲ言ハズニ少シ位高クテモ買ツテ行ク、
  斯ウ云フヤウナ消費團體ノ小拂金、斯ウ云
  フモノデ國家ノ爲ノ、先程申上ゲマシタヤ
  ウナ生產擴充ヤ相互扶助ノ事業、或ハ社會
  事業等ニ使ツテ行クノデアリマス、是ガ本
  當ノ產業組合ノ姿デアリマス、特ニ小賣商
  人ノ關係ナドヲ思ヒ遣ツテ市價主義デ賣
  ルコトガ、何デ產業組合ノ存立ノ意義ヲ成サ
  ヌト思ハレルノデアルカ、-無意義デアルト
  思ハレルノデアリマスカ、是ハ大變解釋ニ
  苦シム所デアルノデアリマス、斯ウ云フヤ
  ウナモノニ課稅ヲシテ、大切ナ生產擴充ノ
  妨ゲヲスル、或ハ同時ニ小賣商ヲ泣カス、
  一擧兩得ト云フコトハアリマスガ、是ハ一
  擧兩損デス、天下ニ是程ノ愚策ハナイト私
  ハ考ヘテ居ルノデアリマスガ、之ニ對シテ
  當局ノ御考ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=65

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• 066・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　私ハ產業組合ハ組合員ノ
  相互扶助的精神ニ依ツテ出來テ居ルモノダ
  ト云フコトハ、洵ニ仰セノ通リダト思フノデ
  アリマス、唯此ノ間御話ノアリマシタノハ、
  原價主義デ組合員ニ賣ルト、中小ノ商工業
  者トノ間ニ相剋摩擦ガ起ルカラ、ソレデ市
  價デ賣ルノダ、サウシテ剩餘金ヲ得テ外ノ
  施設ニ用ヒルノダ、斯ウ云フ御話デアツタ
  ノデアリマスガ、ソレハ私ハ寧ロ購買組合
  等ニ於キマシテハ、組合員ガ個々デ品物ヲ
  購買スルヨリモ、產業組合ニ依ツテ他カラ
  物品ヲ共同ノ力デ買ツテ、サウシテ安ク組
  合員ノ手ニ入ルヤウニスルト云フノガ、產
  業組合本來ノ趣旨デハナカラウカ、ソレヲ
  中小商工業者トノ相剋摩擦ガアルカラ、原
  價主義ニ依ラズ、市價主義ニ依ルノダト云
  フノハ、少シドウモ私共ノ考ト違ツテ居ル、
  若シモ中小商工業者トノ相剋摩擦ヲ避ケナ
  ケレバナラヌト云フナレバ、是ハ產業組合
  ガドウ云フ品物ヲ扱フカト云フヤウナ點ニ
  考慮ヲ拂ツテ、產業組合ノ活動ノ分野ト云
  フモノニ付テ、考究ヲシナケレバナラヌモ
  ノデハナカラウカ、サウ云フ意味ニ於キマ
  シテ、或ハ中小產業調査會等ニ於テモ、相
  當考究セラルベキ問題デアリマセウ、斯ウ
  云フ趣旨ノコトヲ述べテ居タノデアリマス、
  ソレデ原價主義ニ依ラズ市價主義ニ依ツテ、
  相當剩餘金ヲ得テ居ルナラバ、ソコニ一ツ
  ノ擔稅力アリトシテ、此ノ際ノコトデアリ
  マスカラ、或ル程度負擔シテ戴クノハ差支
  ナイノデハナカラウカ、斯ウ云フコトヲ申
  上ゲタノデアリマス、勿論購買組合ガ、他
  ノソレ〓〓組合員ノ爲ニ利益ニナルヤウナ
  事業ヲナサルト云フノハ、是ハ結構ナコト
  デアリマシテ、是ハ醫療組合等ヲ作リマシ
  テ、サウシテ其ノ他ノ方面デ剩餘金ヲ得タモ
  ノヲ、コチラノ方ノ損失ニ充當スルト云フ
  コトニスルノモ、一ツノ結構ナ行キ方ト存
  ジマス、サウ云フ場合ニ於キマシテハ、結
  局一事業年度間ノ剩餘金ト云フモノハ、ソ
  レダケ減ツテ行クノデアリマスカラ、ヤハ
  リ擔稅力ハ其ノヤウニナイト云フコトニナ
  ツテ、今囘ノ案ニ依リ、マシテモ負擔ガ輕減
  サレルカト思フノデアリマス、資產的ニ相
  當ノモノガ殘ツテ行クト云フ場合ニハ、ソ
  コニ或ル程度ノ擔稅力ガアルノダ、斯ウ見
  ルノガ適當デハナカラウカ、斯ウ考ヘテ居
  ル次第デアリマス

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• 067・北浦圭太郎

  ○北委員　是ハ私ニ對スル答辯デハナク、
  此ノ間ノ石井委員ノ質問ニ對スル答辯デス
  ガ、大藏大臣ハ、產業組合ハ營利法人トハ
  違フガ、剩餘金ノ中デハ所謂經濟活動ニ依
  リ得ルモノノ一部ヲ含マレテ居ル、斯ウ言
  ハレテ居ル、又大矢主稅局長ハ、產業組合
  本來ノ精神ニ全ク徹底シテシマヘバ、課稅
  スベキ何物モナイノデアル、斯ウ言ハレテ
  居ル、是ハ非常ニ綺麗ニ行ツタ場合ノ話デ
  ズ、事業ニ應ジテ配當ヲスル以外ノ剩餘金
  ノ性質ヲ考ヘルト、產業組合ノ本質ニ徹底
  シタモノデナイ分子ガ相當ニアル、斯ウ云
  フ二人トモ同ジヤウナコトヲ言ツテ居ラレ
  ルノデアリマスガ、サウシマスト何カ產業組
  合ガ其ノ本來ノ仕事以外ノ仕事ヲシテ居ル
  ト云フ工合ニ御考デナイカ、卽チ諸外國ニ例
  ガアルノデスガ、諸外國ノ產業組合ハ、日本ノ
  產業組合トハ違ツテ、組合員外トノ取引ヲ許
  シテ居ル、是ハサウ言ハレル場合ニ當ツテ居
  リマセウガ、日本デハサウデハナイ、組合員外
  トハ何ノ取引モナイ、ソコデ或ハ產業組合本來
  ノ仕事デナイソレ以外ノ仕事ヲシテ居ルト
  云フコトヲ言ハレテ居ル所ニ、私ハ大變斯ウ
  云フ問題ノ間違ヒガ起ルノデナカラウカ、
  斯ウ思フノデアリマス、又局長ハ曰ク、組
  合員ノ出資ニ對スル配給ハ、見樣ニ依ツテ
  ハ或ハ他ノ方面ニ運用シテ居ル資本ノ利益
  ト見ラレナイ譯モナカラウ、資本ノ利益ト
  全ク同ナダトハ言ハヌガ、ドウシテモ多少
  サウ云フ色彩ガアルカト思フ、斯ウ言ハレ
  テ居ルノデアリマスガ、是ハ吾々ニハ全ク
  分ラナイ、一ツ御答辯ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=67

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• 068・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　產業組合ガ何カ產業組合
  本來ノ趣旨ニ背反シタヤウナ仕事ヲシテ居
  ルノヂヤナイカト解セラレル言葉ガアツタ
  ト云フコトデゴザイマスガ、此ノ點ニ付キ
  マシテハ當時小山委員カラ御尋ガアリマシ
  テ、私ガハツキリ御答シテ置イタ筈デアリ
  マス、又アノ時ニ於キマシテハ、石井委員
  ガ非常ニ產業組合ノ精神的方面ヲ高調致サ
  レマシテ、斯ノ如キ公共的使命ヲ帶ビテ致
  シテ居ルノダ、斯ウ云フモノニ對シテ課稅
  ヲスルノハドウカ、斯ウ云フ御話デアツタ
  ノデアリマスカラ、サウ云フ指導精神デ產
  業組合ヲ導イテ居ラレルノハ洵ニ結構ダ、
  其ノ指導精神ニ徹底シテシマヘバ、恐ラク
  課稅スル何物モ出テ來ナイデアラウ、斯ウ
  云フコトヲ申上ゲタ、併シ現實ノ問題トシ
  テ經濟活動ヲシ、剩餘金ヲ得、出資ニ應ズ
  ル配當モシテ居ル、斯ウ云フ方面モアル、
  是ハ產業組合法カラ見テ決シテ違法ノコト
  ヲヤツテ居ルノデモ何デモナイ、正當ノコ
  トヲヤツテ居ルノデアリマスルガ、石井委
  員ノ非常ニ高調力說セラレマシタ精神的方
  面カラ言ヒマスレバ、多少ソレト幾ラカ相
  距ル所ガアルデハナカラウカ、石井委員ノ
  意見ヲ徹底致シマスレバ、ソレハ事業ノ分
  量ニ應ジテノ剩餘金ノ分配ノミニナルノデ
  ハナカラウカ、斯ウ云フ風ニ考ヘマシテ申
  上ゲタ次第デアリマシテ、決シテ外國デ屢〓、
  問題ニナツテ居ルヤウナ、產業組合ガ組
  合員以外ノ第三者トノ取引マデモ致シマシ
  テ、普通ノ商人ト同ジヤウニ營利的ニ活動
  シテ居ルト云フコトヲ申上ゲタノデハアリ
  マセヌカラ、其ノ點十分御諒承ヲ願ヒタイ
  ト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=68

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• 069・北浦圭太郎

  ○北委員　マダハツキリシマセヌ、私ハ此
  ノ問題ニ付キマシテ理窟メイタコトヲ申ス
  ヨリハ、一ツノ例デ申上ゲルガ宜イト思ヒ
  マシテ、分リ易イ數字ヲ用ヒテ質問ヲシマ
  スガ、玆ニ拂込濟出資金一万圓、貯金ガ一万
  圓ト云フコトカラ成立ツテ居ル產業組合ガ
  アルトスルト、計二万圓ノ金デ之ヲ組合員
  ニ貸付ケテ、其ノ投下資本ノ利益ガ八百圓
  アルト假定シマス、サウスルト損益計算ノ
  益ノ部ニハ八百圓ト出ル、ソレカラ此ノ貯
  金利子ヲ拂ハナケレバナラヌノデスガ、其
  ノ一万圓ノ貯金利子ヲ假ニ三百圓拂ツタト
  シマス、又組合ノ一年中ノ事務經費ガ百圓
  掛ツタトスル、サウスルト合計損失ノ部ニ
  ハ四百圓ト云フモノガ出テ來ル、ソコデ結
  局四百圓ノ剩餘金ガ出テ來ルコトニナルノ
  デアリマス、組合デハ拂込濟出資金ニ對シ
  テ、貯金ト同率ノ配當金約三百圓ト云フモ
  ノヲ引キマス、サウスルト尙ホ殘リガ後百
  圓アル、ソレハ非營利的本質ノ產業組合デ
  tl
  アリマスカラ、之ヲドウシテモ組合員ニ戾
  サナケレバナラヌ、其ノ戾ス場合ニ之ヲ半
  半ニシテ、五十圓ハ貯金者ノ貯金高ニ應ズ
  ル分配、所謂特別配當ト云フモノニナル、
  後ノ殘リハ是ト同ジ率デ出資金ノ配當ニ加
  ハハ合計ドウナルカト云フト貯金者ノ方
  モ、貯金利子ハ特別配當デ三百五十圓貰ヘ
  ル、ソレカラ出資者ノ方モ三百五十圓貰へ
  ル一万圓ヅツ出シ合ツタトシテデアリマ
  ス、斯ウ云フ工合ニナルノデアリマシテ、
  ソコデ產業組合ニハ一厘モ殘ラナイ、所ガ
  此ノ場合特別配當ニシタモノハ課稅ノ對象
  物ニハナラヌガ、一身同體デ同ジク產業組
  合員ニ貸付ケテ、同ジ經濟活動ヲシタ所ノ、
  而モ同ジヤウニ組合員ニ戾ス金デアルニ拘
  ラズ、出資ニ對シテ戾ス方ニハ課稅ヲシナ
  ケレバナラヌ、斯ウ言ハレマスガ、ドウシ
  テモ合點ガ行カナイ、同ジ經濟活動デスヨ、
  ソコデ剩餘金ヲ組合員ノ利用高ニ應ジテ分
  配スル分ハ、是ハ組合ノ利益デハナイカラ
  課稅セヌ、斯ウ言ハレル、然ラザルモノハ
  課稅ノ對象トナリ得ルトセラレル、ソコニ
  無理ガアルト思フ、少々諄イヤウデスガ、
  其ノ組合ガ自己ノ組合員トノ取引カラノミ
  生ジタ組合ノ收入ト云フモノハ、如何ナル
  部分ト雖モ組合員ノ過拂金デアル原價ト時
  價トノ差ノ金デアツテ、組合員ニ全部戾ス
  ベキ金デアル、ソコデ組合自身ノ利益デハ
  アリ得ナイ、サウデナイト云フコトハスツ
  カリ分ルト思フ、ソレヲ購賣高ニ對スル
  配當ニシヨウガ、或ハ準備金ニ繰入レヨウ
  ガ、或ハ其ノ他ノ方面ニ使用サレヨウガ、
  其ノ分配ノ方法ニ依ツテ課稅ノ目的物ニナ
  ツタリ、ナラナカツタリスルヤウナコトハ
  ナイ筈ダト私ハ思フ、之ニ對スル御所見ヲ
  承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=69

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• 070・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　出資ニ應ズル配當ハ、必ズ
  產業組合トシテシナケレバナラヌ性質ノモ
  ノカドウカト云フコトニ付テハ、私ハ一ツ
  ノ疑ヲ持ツテ居ルノデアリマス組合員ガ
  相互扶助ノ精神ニ基キマシテ、各〓應分ノ
  出資ヲシテ、組合事業ヲ營ンデ居ル場合ニ
  於キマシテ、寧ロ剩餘金ヲ得ナイデ、組合
  員ノ爲ニナルコトヲヤルノガ、本來ノ姿ト
  存ズルノデアリマス、ソレヲ剩餘金ヲ得テ
  出資ノ高ニ應ジテ分配スルト致シマスレ
  バ、多少ソコニ資本的ノ分子ガ入ツテ來テ
  居ルデハナカラウカト思ヒマス、是ハ私ガ
  前ニ申上ゲタ通リ、普通ノ營利法人ニ對ス
  ル出資トハ勿論違フケレドモ、併シナガラ
  純粹ノ精神的ノ組合員相互ノ爲ニ、モン·
  切ヲ捧ゲテ活動シテ居ルト云フ風ニモ言ヒ
  切レナイ所ガアル、ソコニ出資ニ對スル配
  當ニ付テ、應分ノ負擔ヲシテ戴イテモ宜イ
  デハナカラウカト云フ分子ガアルデハナカ
  ラウカ、然ルニ一方ニ於テ事業ノ分量ニ應
  ジテ剩餘金ヲ分配スルニ付テハ、步戾シ、ナ
  ケレバナラヌ、普通ノ商人デモ斯ウ云フ步
  戾シハ經費ニ見テ居リマス、況ンヤ是ハ組
  合員ノ爲ニナル仕事ノ分量ニ應ジテ剩餘金
  ヲ分配スルノデアリマスカラ、產業組合本
  來ノ性質カラ見テ、是ハ假令剩餘金ノ分配
  ヲシテモ課稅スベキモノデハナイ、此ノ意
  味ニ於テ出資ニ對スル分配ト、ソレカラ事
  業ニ應ズル分配トハ截然ト區別シテ然ルベ
  キモノデハナカラウカ、斯ウ云フ風ニ考ヘ
  ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=70

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• 071・北浦圭太郎

  ○北委員　配當ハ資本的分子ガアルト言ハ
  レルノデアリマスガ、剩餘金ハ總テ組合員
  ノモノデアル、併シサウ言フト語弊ガアル
  ガ、實ハ積立金モ出資金モ、皆此ノ組合員
  ノ個人々々ノ財產ニナツテ居ル、ダカラ組
  合ニハ一厘モ殘ラナイモノデアル、御承知
  ト思ヒマスガ、產業組合ニハ持分臺帳ト云
  フモノガアリマシテ、組合自身ニハ一厘一
  毛モ殘ラナイト云フコトニナツテ居ル、是
  ハ每年綺麗ニ仕分ケテ居ル、之ヲシモ利得
  アリト云フ工合ニ御考ニナルノカ、例ヘバ
  積立金ヤ準備金ヲスルニ付テ、是ハ誰ソレ
  ノモノデアル、是ハ又誰ソレノモノダ、此
  ノ人ノ持分ハ幾ラト云フ風ニナツテ、全部
  一人々々ノ財產ニナルノデアル、イツ脫退
  シテモ其ノ人ニ渡サナケレバナラヌコトニ
  ナツテ居ル、之ヲシモ產業組合ニ利得ア
  リ、斯ウ云フ風ニ考ヘラレルノデアルカ、
  組合ノ本質ガ根本的ニ非營利ダカラ、剩餘
  金ハ組合自身ノモノデハナク、皆組合員ノ
  小拂金デアルカラ、全部組合員ニ歸屬シテ
  居ル、組合ニ幾ラ金ガアラウガ、ソレハ皆
  組合員ノ一人々々ニ屬シテ居ルノデアリマ
  ス、ソコデ本當ノ意味ニ於ケル組合財產ト
  云フモノハ、一厘モアリマセヌ、所得ナキ
  所利得ナキ所ニハ課稅セヌト、當局ハ屢〓、
  言ツテ居ラレルノデアリマスガ、組合ニ利
  得ト稱スル何モノモナイコトハ、是ハ能ク
  御分リノコトダト思フノデアリマス、此ノ
  點ニ付テノ當局ノ御見解ヲ聽イテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=71

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• 072・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　產業組合法ニ於キマシテ
  モ、組合ノ法人格ヲ認メ、收支計算ヲシテ
  利益ノアルコトヲ認メ、剩餘金モ認メ、是
  ガ分配方法モ規定シテ居ルノデアリマスカ
  ラ、私ハ組合員個人ヲ離レテ、產業組合自體
  ニ利益アリ、剩餘金アリト、斯ウ思ツテ居
  ルノデアリマス、今持分ノ關係ノ御話ガアリマ
  シタガ、サウ云フ意味ノ持分ナラバ合名、合
  資ニアリマス、又株式會社ニモアリマシテ、
  是等ガ退社ヲスル、或ハ株式ノ消却ヲ受ケ
  ルト云フ場合ニハ、全體ニ對スル自分ノ持分
  ノ拂戾シヲ受ケルト云フコトニナリマシテ、
  サウ云フ意味ニ於ケル持分ト云フモノハ
  是ハ產業組合ニモ、ソレカラ合名、合資、
  株式會社ニ於キマシテモ同ジヤウニナルト
  思フノデアリマス、ソレヲ以テ組合ノ利益
  ニアラズ、剩餘金ニアラズト申シマスナラ
  バ、普通ノ營利法人ニ於ケル利益モ、當該
  營利法人ノ利益ニアラズ、社員ノ利益ナリ、
  株主ノ利益ナリ、斯ウ言ハナケレバナラヌ
  カト思ヒマス、法律上獨立ノ人格ヲ持チ、
  個人ト離レタ收支計算ヲ致シ、ソコニ剩餘
  金ガアルト云フノガ明カナル事實ダト思フ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=72

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• 073・北浦圭太郎

  ○北委員　次ハ私ハ組合ノ本質論ニ據ツテ、
  稍〓形式的ノ問デアリマスガ、次ノ問題ノ爲
  ニ必要デアリマスカラ御伺スルノデアリマ
  ス、產業組合法ニ「組合員ノ產業經濟ノ發達」
  トアル、ソコデ斯ウ解釋サレテ居ル、先達テ
  モ法ノ上デハ相互扶助ト云フコトガ現ハレ
  テ居ラヌト云フコトヲ、御話ニナツタコト
  ガアリマスガ、是ハ組合員箇々ノ爲ト云フ
  狹義ノ解釋ヲサレルト、サウナルノデアリ
  マスケレドモ、併シ實ハ組合員對組合ト云
  フ廣義ノ解釋ヲスベキモノデアツテ、ソコ
  ニ組合ノ相互扶助的ノ性質ヲ見出スコトガ
  出來ルコトニナル、狹義ニ解釋スルノト廣
  義ニ解釋スルノトノ違ヒデ、廣義ニ解釋ス
  レバ、法律ノ上ニチヤント相互扶助的ノ性
  質ガ現ハレテ來ル、斯ウ云フコトニナルノ
  デアリマス、例ヘバ逆ニ組合員カラ言フト、
  自分個人トシテハ田舍ノ組合デ買フヨリモ、
  東京デ買ツテ行ツタ方ガ得デアルカモ知レ
  ヌガ、併シ組合員全體ノ爲ダト云フ考カラ、
  下層ノ弱イ人々ノ爲ニ何トカシテヤラナケ
  レバナラヌ、買上高ヲ成ベク大量ニ纏メテ、
  サウシテ安クサセルト云フ意味カラ、少々
  位自分ガ損ガ行ツテモ、共同購入ヲスルノ
  デアリマス、ソコデ組合ノ「モットー」トシ
  テ言ツテ居ルコトハ何デアルカト云フト、
  利ニ依ツテ集ル者ハ利ニ依ツテ去ルノダ、
  是デハイカヌ、相互扶助ノ精神デ集ラナケ
  レバイカヌ、斯ウ云フ工合ニ組合員ヲ指
  導シテ居ルノデアリマシテ、個人的ノ利益
  ノ爲ニヤツテ居ルノデハナイノデアリマス、
  ソコデ此ノ組合員ノ產業經濟ノ發達云々ト
  云フコトハ、ドウシテモ是ハ廣義ニ解釋シ
  テ貰ハナケレバナラヌ、廣義ニ解釋シテ貰
  フト、成程相互扶助的ノ事業ダト云フコト
  ガ、法律ノ上ニモハツキリ現ハレテ來ルト
  思フノデアリマスガ、之ニ對スル見解ヲ承
  リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=73

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• 074・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　其ノ通リ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=74

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• 075・北浦圭太郎

  ○北委員　次ニ相互扶助ト組合ノ事業デ
  ス、殊ニ自分ノ組合員トノミ取引スルモノ
  カラ生ズル組合ノ剩餘金ト云フモノハ、如
  何ナル意味ニ於テモ利潤ト稱スベキ性質ノ
  モノデハナイ、當局ハ相互扶助的產業組合
  ノ事業カラ出來タ所ノ金ヲ配當スルコトヲ、
  營利會社ガ配當スルヤウニ解釋サレテ、妙
  ニ之ヲ氣ニ病ンデ居ラレルヤウデアルノデ
  アリマスガ、積立テル金モ出資ニ對シテ配
  當サレル分モ、一切皆相互扶助ノ爲ノ組合
  ノ事業資金ナリ、或ハ組合員ノ出資金ニ充
  當サレルノデアリマシテ、第一日本ノ狀況
  カラ見ルト、出資ノ口數ハ全國平均一組合
  員ニ對シテマダ二口ニシカナツテ居ラヌ、
  拂込金モ出資金モ、全國平均僅ニ五十圓內
  外ニ過ギヌノデアリマス、日本ノ組合トシ
  テハ是カラ出資ノ增嵩ト、拂込トヲシテ行
  カナケレバナラヌ經濟發展ノ段階ニアル、三
  十口マデ持テルコトニナツテ居ルノニ、マ
  ダ二口シカ持ツテ居ラヌ、ソレヲ相互扶助
  的ノ出資金ニ使ヒ、相互扶助的ノ事業ニ使
  フ爲ニヤツテ行クノデアリマスカラ、隨テ
  配當金ノ全部ガ漸次出資ノ拂込ニ充テラレ
  テ居ル狀況ナンデス、アノ剩餘金ノ處分案
  ヲ御覽ニナツテモ分ルト思フガ、配當金ハ
  總テ悉ク出資ノ拂込ニ充ツト書イテアル、
  隨テ分配ノ形式如何ニ依ツテ、相互扶助ノ
  性質ニ相違ガ來ル筈ガナイ、配當ノ形ハ營
  利會社ニ似テ居ツテモ、全ク性質ガ違フ、
  所謂似テ非ナルモノデ、營利會社ト見方ヲ
  同ジウスベキモノデナイト思フノデアリマ
  スガ、此ノ點ニ對スル當局ノ御考ヲ承リタ
  イ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=75

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• 076・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　剩餘金ヲ出資ニ應ジテ配
  當スル場合ニ、出資ガ未拂込ニナツテ居ル
  場合ニハ、拂込ニ充當スルト云フコトニナ
  ツテ居ルノハ、私共モ承知致シテ居リマス、
  併シナガラ是レアルガ爲ニ出資ニ應ズル配
  當デハナイト言ハレナイト思フノデアリマ
  シテ、出資ガ全額拂込ニナツテ居リマスレ
  バ、其ノ出資ニ對スル配當ト云フノハ各
  組合員ニ行クノデアリマスガ、未拂込ノ存
  シテ居ル場合ニハ、一旦各組合員ニ配當シ
  テ、更ニ之ヲ拂込ニ充當スルト云フ手續ヲ
  省略シタ關係ニ立ツト思フノデアリマシテ、
  ヤハリ出資ニ對スル配當其ノモノノ性質ニ
  ハ違ヒガナイト云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=76

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• 077・北浦圭太郎

  ○北委員　拂込ガ濟ムト又增口ヲサセラレ
  ル、サウシテ又拂込ニ充テテ行クノデアル
  カラ、ソコデ相互扶助的ノ仕事ニ使フコト
  ニナツテ居ル、サウ云フ相互扶助的ノモノ
  ニ課稅スベキデハナイト云フコトヲ、私ハ
  申上ゲタノデアリマス、次ニ組合ハ非營利
  原則ニ依ツテ、組合員ノ利益ヲ圖ルノデア
  ルカラ、個々ノ組合員ノ富力ガ增スノデア
  ル、所謂稅源涵養ノ役目ヲシテ居ル小サイ
  人々モ產業組合ノ活潑ナル活動ニ依ツテ、
  免稅點以上ノ收入ニ達スル、斯ウ云フヤウ
  ナコトニナル、又現在財產ノアル人々モ組
  合ノ活潑ナ活動ニ依ツテ、其ノ人ノ財力ガ
  增ス、ソコデ國家ハ是等ノ者カラ稅金ヲ取
  ルト云フコトニナルノデアツテ、斯ウ云フ
  組合ガドン〓〓出來テ來タラ、國家ノ稅源
  ガ無クナル、國家ガ持テナクナルト云フヤ
  ウナ間違ツタ議論ガアリマスガ、此ノ點ニ
  付テ當局ハドウ考ヘラレルカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=77

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• 078・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　若モ產業組合ニ對シテ、
  此ノ度ノ課稅案ノヤウナモノヲ行ハズ、出
  資ニ對スル配當モ其ノ儘認メテ、組合員ノ
  資產ガ增加シテ行クト云フコトニ致シマス
  しや、仰セノ通リ確ニ稅源涵養ト申シマス
  カ、サウ云フ效果ハアルト思ヒマス、併シ
  是ハ獨リ產業組合員ノミニ限ラズ、中小商
  工業者、或ハ今日時局ノ波ニ乘ツテ居ル會
  社ニ付テモ、同ジヤウナコトガ言ヘルト思
  ヒマス、課稅ノ程度ヲ輕減致シマスト、ソ
  レダケ將來ニ於テ稅ノ負擔能力ガ殖エルト
  云フコトハ是ハ獨リ產業組合ノミナラ
  ズ、總テニ付テ言ハレルコトト存ズルノデ
  アリマシテ、要スルニ國ノ財政ノ狀況ヲ見
  經濟界ノ狀況ヲ見テ、サウシテ一般ガ此ノ
  程度ノ負擔ヲスル場合ニ、產業組合或ハ組
  合員ガ、果シテ此ノ程度ノ負擔ヲシテ差支
  ナイカドウカト云フコトニ歸著スルカト存
  ジマス

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• 079・北浦圭太郎

  ○北委員　大藏當局ハ產業組合ノミナラズ、
  商業組合、工業組合、是等ノモノニ特別法
  人稅ヲ課稅スルコトハ、其ノ發達ヲ阻碍ス
  ルモノト御考ニナラヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=79

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• 080・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　今日ニ於テモ全國產業組
  合一万二千近クアルト思ヒマスガ、其ノ半
  分ハ殆ド剩餘金ヲ擧ゲテ居リマセヌ、剩餘
  金ノ分配ヲシテ居リマセヌ、又此ノ度免稅
  圈內ニ置キマス拂込出資額ニ對シテ、年三
  分未滿ノ剩餘金ヲ擧ゲテ居ル組合モ、相當
  アルノデアリマシテ、隨ツテ產業組合等ノ
  單位組合デ、課稅ニナル分ハ全體ノ中デモ
  左程多クハナイノデアリマシテ、ソレ等ニ
  對シマシテ、此ノ程度ノ負擔ヲスル爲ニ、
  產業組合ノ發達ガ著シク阻碍サレルト云フ
  コトニハ、實ハ考ヘテ居ナイ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=80

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• 081・北浦圭太郎

  ○北委員　此ノ問題ハ頗ル小サイ問題ノヤ
  ウニ見ラレテ居リマスガ、是コソ眞綿ノ中
  ニ針ガ入ツタ程、產業組合ノ發達ノ妨害ニ
  ナルコトデアリマス、ナゼナラバ產業組
  合ニ課稅スルト、自然大藏當局ガ考ヘラレ
  テ居ルヤウニ、原價販賣ニ近クナル、又ハ
  割戾金ニシテ剩餘金ヲ出サナイヤウニナ
  ル、サウナルト組合ノ積立金ハ段々少クナ
  ル、又配當金ガ無クナル爲ニ、將來事業ノ
  擴張ヲヤラウト云フヤウナ場合ニ出資ノ拂
  込ヲサセルコトガ出來ナクナル、出資ヲ持
  ツ人ガナクナル、斯ウ云フヤウナ結果ニナ
  ツテシマフノノアアリマシテ、所謂組合ノ幾
  ラカ殘ツタ金ハ、全部組合員ガ持去ツテシ
  マフ結果ニナツテ、サウシテ組合ノ基礎ガ
  非常ニ薄弱ニナル原因ニナル、オ終ヒニハ
  是ガ爲ニ農村ノ金融恐怖ガ起リハセヌカ、
  澤山貯金シテアルガ、ドウモ產業組合ノ內
  容ニ付テ心配ニナツテ來タカラ、ソコデ引
  出サナケレバナラヌト云フヤウナ問題サヘ
  起リハシナイカ、斯ウ云フ風ニ私共ハ見テ
  居ルノデアリマスガ、當局ハドウ云フ工合
  ニ見テ居ラレマスカ

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• 082・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ度ノ稅負擔ハ剩餘金
  ノ百分ノ九程度デアリマスカラ、私ハ是ガ
  爲ニ著シク產業組合ノ發達ヲ阻害スルト
  カ、或ハ此ノ爲ニ農村ノ金融恐慌マデモ來
  スト云フ風ニハ、實ハ考ヘテ居ナイノデア
  リマス、一面ニ於キマシテ課稅ヲ囘避シヨ
  ウトシテ、原價販賣スルヤウニナルデハナカ
  ラウカト仰セデアリマスガ、或ハ多少サウ
  云フ傾向ガアルカモ知レマセヌガ、大體私
  ハ原價販賣スルノハ、產業組合ノ本來ノ使命
  カラ言ツテ結構ナコトダラウト思フ、隨ヒ
  マシテ組合員ガ安ク品物ヲ手ニ入レレバ、
  ソレダケ支出ガ減ルノデアリマスカラ、組
  合員ノ經濟力ニ及ボス影響ガ、非常ニ結構デ
  アリマシテ、先程將來ノ稅源涵養ニモナル
  ノデハナカラウカト云フ風ナ御話デゴザイ
  マスガ、或ハサウ云フ見方モ出來ルデハナ
  カラウカト存ジマシテ、私ハ是ハ不都合ナ
  コトトモ何トモ考ヘテ居ナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=82

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• 083・北浦圭太郎

  ○北委員　大藏當局ハ之ヲ何デモナイコト
  ノヤウニ思ツテ居ラレルノデアリマスガ、
  影響スル所ガ頗ル大キイ、能ク一ツ御考直
  シヲ願ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
  ス
  次ニ御伺シタイコトハ、日本ノ組合ハ組
  合以外ノ取引ヲ許サヌ、最初カラ法律ガ非
  課稅本位ニ出來テ居ルノデアリマス、今度
  課稅ヲスルト云フナラバ、先ヅ產業組合法
  ヲ同時ニ改正シテ、或ハ商業組合法、工業
  組合法ヲ同時ニ改正シテ、サウシテ產業組
  合ニ課シテ居ル所ノ各種ノ制限ヲ緩和スベ
  キモノデハナイカ、或人ハ評シテ、制限ヲ
  此ノ儘ニシテ課稅ヲスルト云フコトハマ
  ルデ縛ツテ置イテ叩クコトト同ジダ、實ニ
  ヒドイコトダ、斯ウ言ツテ居ルノデアリマ
  スガ、課稅ト同時ニ制限緩和ヲスルト云フ
  コトニ付テ、御考ヲ持ツテ居ラレマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=83

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• 084・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　產業組合本來ノ性質ニ鑑
  ミマシテ、之ヲ普通ノ營利法人ト同率ニ置
  イテ課稅スルノハ、私ハ當ヲ得ナイト思フ
  ノデアリマス、此ノ度ノ產業組合等ニ對スル
  特別法人稅ノ制定ニ依ツテ、ドウシテモ產
  業組合ガ普通ノ營利法人ト同樣ノ經濟行動
  ニ出デナケレバナラヌト云フヤウナコトガ
  アルナラバ、ソレハ考慮シナケレバナラヌ
  ト思フノデアリマスガ、私ハ決シテサウ云
  フコトハナイト思フノデアリマス、外國等
  ニ於ケル課稅ノ例ヲ見マスト、普通ノ營利
  法人ニ對スル課稅ト同樣ノコトヲ致シテ居
  ル向モアルノデアリマシテ、サウ云フ場合
  ニ於キマシテ、北サンノ仰セラレルヤウナ
  コトガ問題ニナルノデアリマスガ、此ノ度
  ニ於キマシテハ、普通ノ營利法人ニ對スル
  法人稅ノヤウナ課稅ハ致シマセヌ、地方團
  體ノ財源タル營業稅ノ課稅モ致サナイノデ
  アリマシテ、產業組合法自體ニ於キマシテ
  ハ、產業組合ノ性質ニ鑑ミマシテ、法人稅、
  營業稅ハ課稅シナイト云フコト、是ガ本則
  ダト思フノデアリマシテ、度々申上ゲマス
  通リ、此ノ度ノ課稅ハ臨時當分ノ間ト云フ
  コトニナツテ居ルノデゴザイマシテ、其ノ
  課稅ノ方法、課稅ノ率、稅ノ建テ方カラ致
  シマシテ、此ノ程度ノ負擔ヲ致シタカラ
  ト申シテ、產業組合ガ從來ノ經營方法ヲ
  全ク放擲シテ、普通ノ營利法人ト同樣ノ經
  濟活動ニ出デナケレバナラヌト云フヤウニ
  ハ、實ハ考ヘテ居ナイ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=84

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• 085・北浦圭太郎

  ○北委員　今ノ御答辯ニ依リマスト、外國
  ノ組合モ皆課稅サレテ居ルヤウニ伺フノデ
  アリマスガ、英國ノ組合ト云ヒ、或ハ獨逸
  ノ組合ト云ヒ、是ハ何レモ自分ノ組合員ノ
  ミトノ取引ニ對シテハ課稅シナイ、ソレハ
  理論的ニハサウデナイ、是ハ本位田サン
  ノ去年出シタ本ニアル、私ハ之ヲ信ジマ
  スガ、サウ言ツテ居ル、組合員外トノ取
  4
  引ニ對シテハ課稅スル、組合員ダケノ
  取引ニ對シテハ課稅シナイ、斯ウ言ツテ居
  ル、是ハ先程言ツタ本位田サンノ書イ
  タ本デアリマスカラ、間違ヒハナイト思
  フ

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• 086・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　英吉利、佛蘭西、獨逸三
  國ノ產業組合ニ對スル課稅ノ狀況ヲ見マシ
  テモ、必ズシモ同一ニハ出テ居ナイノデア
  リマシテ、多少國ニ依リマシテ異ツタ點ガ
  アリマスルガ、組合員ダケノ取引ニ對シテ
  ハ、全然課稅シテ居ナイト云フコトヲ、各
  國ガ一貫シテ居ル譯デハナイト存ジテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=86

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• 087・深澤吉平

  ○深澤委員　關聯事項デ······私ノ組合課稅
  ニ付テ御伺致シタイ點ハ、非課稅ノ產業組
  合ニ對シテ、立法調査會ヲ重ネテ政府ガ課
  稅シナケレバナラヌト云フ基礎ヲ一點御尋
  シマス、續イテソレニ關聯シマシテ、所謂
  課稅非課稅ニ付テ產業組合ニ疑問ヲ持ツテ
  居リマスガ、ソレヲ課稅シナケレバナラヌ
  ト云フ政府ノ所見ヲ先ニ聽キタイ

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• 088・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　產業組合等ハ是等ノ組合
  等ノ本質ニ鑑ミマシテ、普通ノ營利法人ノ
  如キ課稅ハ致スベカラザルモノト考ヘテ居
  リマス、併シナガラ此ノ時局下ニ於キマシ
  テ國民一般ニ負擔ガ漸次重クナツテ來マ
  シタ今日ト致シマシテ、產業組合モ一面ニ
  於キマシテ經濟活動ヲ致シ剩餘金ヲ得、出
  資ニ應ジテ組合員ニ剩餘金ノ分配ヲ致シテ
  居ルト云フノデアリマスカラ、ソコニ多少
  ノ擔稅力アリト認メマシテ、普通ノ營利法
  人トハ全然別個ノ見地ニ立ツテ、或ル程度
  ノ負擔ヲ臨時當分ノ間シテ戴カウ、斯ウ云
  フ趣旨デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=88

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• 089・深澤吉平

  ○深澤委員　政府ノ國民所得ニ於ケル統計
  年鑑ニ於キマシテ、主トシテ產業組合ヲ組
  織スル日、本ノ農業者ハ「パーセンテージ」ニ
  スルト、總人口ノ四〇·五%デアリマス、又
  工業ハ一九·二%デアリ、商業ハ一五·一%
  デアル、サウシテ所得ノ總額カラ見マスト、
  農業者ハ總額ニ對シテ「パーセンテージ」ニ
  シテ一七·七デアリ、工業者ハ四九·二デア
  リ商業者ハ二五·四デアル、此ノ點カラ見
  マスト農業者ハ工業ニ對シマシテハ、何分
  ノ一ノ所得シカ認メ得ナイ、商業ニ對シテ
  モ亦何分ノ一ト云フコトノ觀察ヲ爲シ得ル
  ノデアリマスガ、此ノ課稅ノ改正ヲ爲スニ
  付キマシテ、此ノ所得比例ニ於ケル農業者
  課稅ガ他ニ比シテ重ク、他ハ輕イト云フ帝
  國統計表ヲ引例シマスガ、此ノ大改正稅法
  ノ結果、此ノ均衡ガ農業者ト他ノ工業、商
  業トノ均衡ハドウナルカ政府ノ所見ヲ御伺
  シマス

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• 090・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　今ノ御話ハ國全體トシテ
  農業者ノ所得ト商業者ノ所得、工業者ノ所
  得、斯ウ云フ點カラト存ジマス、課稅ノ所
  得ニナリマスト、是ハ各人ノ所得高ト云フ
  モノハ違ヒマス、農業者ハ比較的大所得者
  ガ少イ、然ルニ商工業者ハ大所得者ガ多イ、
  免稅點ノ關係等ヨリ致シマスルト、此ノ農
  業者、商工業者ヲ全國通計シテノ所得高ト、
  ソレカラ課稅所得高トハ必ズシモ一致シナ
  イノデアリマス、免稅點ノ點デ餘程違ツテ
  來ル、富ノ分配ガ農業者、商業者、工業者
  等ニ依ツテ、ソレ〓〓違ツテ來ルノデアリ
  マスカラ、是ハ課稅上ハ個々ノ所得者ノ負
  擔ガ果シテ農、エ、商ノ三者ニ於テ、均衡
  ヲ得テ居ルカドウカト云フ點著眼シテ決ス
  ベキ問題カト存ジテ居リマス

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• 091・深澤吉平

  ○深澤委員　大藏大臣ニ一寸御伺シタイノ
  デスガ、產業組合等非課稅團體ニ對シマス
  ル課稅ノ制度ノ趣旨ハ、時局柄デ剩餘金ガ
  アリ、事業收益ガアルカラ、之ニ賦課スル
  ト云フヤウナ御說明ハ承知致シマシタガ、
  更ニ他ノ委員ノ質問ニ對シテ、商業トノ關
  聯ガアルカラト云フ意味合モ、同僚ニ對スル
  御說明ノ御言葉ノ中ニ含マレテ居リマスガ、
  ソレニ關聯致シマシテ御伺シタイ點ハ、消
  費稅ノ課稅ニ付テ煉乳事業ニ對シマシテハ、
  戾稅ニ依リマシテ消費稅ヲ課ケナイ、或、
  戾スト云フコトデアリマスガ、ソレニ依リ
  マシテ私共ノ心配スル點ハ、消費稅改正ニ
  伴フアノ戾稅ノ趣旨ハ、育兒上國民保健ノ
  上カラ「コンデンスミルク」ニ對シテハ戾稅
  スル、是ハ非常ニ適切ナル立法デアリ、國民
  ハ雙手ヲ擧ゲテ喜ンデ居ル次第デアリマス
  ガ、但シ煉乳ノ內菓子用ニ利用スル「コンデ
  ンスミルク」ト云フモノニモ免稅ニナルカ、
  御承知ノ通リ日本ハ菓子製造業者ハ、四万
  或ハ五万ニ達セントシテ居ル、其ノ方面ハ
  戾稅ノ恩典ニ浴セヌ、一方煉乳事業ヲヤツ
  テ居ル方面ノ菓子製造業者ハ、戾稅ノ恩典
  ニ浴シ、サウシテ小サナ中小ノ菓子製造業
  者ヲ、統制ノ下ニ壓迫スルト云フ結果ガ生
  ズル、之ニ對スル大藏大臣ノ御所見ヲ御伺
  シタイノデアリマス

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• 092・田中豐

  ○田中政府委員　事實ダケ私ガ先ニ御答申
  上ゲマス、御話ノ煉乳ノ製造ノ用ニ供シタ
  砂糖ニ對シテハ、從來戾稅ノ規定ガアツタ
  ノデアリマス、今囘ノ消費稅法ニ於キマシ
  テモ、改正ノ第十一條ニ於キマシテ、同ジ
  ク煉乳ノ製造用ニ供シタ砂糖ニ對シマシテ
  ハ免除又ハ戾稅スルト云フコトヲ設ケテ
  居リマス、但シ此ノ煉乳原料砂糖ヲ戾稅又
  ハ免稅致シマス趣旨ハ、育兒用ノ煉乳、サ
  ウ云ツタナヤウナモノヲ課稅品トスルコト
  ハ適當デナイト云フ趣旨カラ、免稅致シテ
  居リマスケレドモ、御承知ノヤウニ煉乳ハ
  非常ニ高級ノ菓子ニ使ハレ、相當ノ部分ガ
  菓子ノ方ニ使ハレテ居ルヤウナ狀況デアリ
  マスノデ、菓子等ニ使用スル煉乳ノ原料砂
  糖ニ付キマシテハ、免稅スルコトハ必ズシ
  モ適當デナイト云フ趣旨カラ、今囘命令ヲ
  以テ或ル程度煉乳原料砂糖ノ戾稅ヲ、制限
  スルコトニ致シタ譯デアリマス、其ノ實質
  ハ菓子等ニ使用セラレマスモノニ付テ戾稅
  シナイ、斯ウ云フ規定ヲ命令ニ挿入致スコ
  トニナツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=92

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• 093・北浦圭太郎

  ○北委員　大藏大臣ガ見エマシタカラ御伺
  スルノデアリマスガ、私ハ根本問題トシテ
  政府ニ承ツテ置キタイノデアリマス、政府
  ハココラデ先ヅ產業組合ノ頭ヲ押ヘテ、是
  以上發達サセルコトヲ好マヌノデアルカ、
  ソレトモ又益〓之ヲ發達サセテ統制經濟ノ機
  關トシテ、又農村更生ノ機關トシテ、重要
  視シテ行カレル積リデアルカ、是ハ極メテ
  率直ナ所ヲ聽カシテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=93

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• 094・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　產業組合ヲ設ケマシタノ
  ハ、御承知ノ通リ明治三十三年カラデアリ
  マスガ是ハ全ク特殊ノ公共的使命ヲ持ツ
  テ居ルノデアリマシテ、產業組合ノ本來ノ目
  的ト云フモノハ、私ハ今後ト雖モ益〓其ノ發
  達ヲ圖ツテ行クベキモノト考ヘテ居リマス、
  動トモスレバ產業組合ガ非常ニ進出スルカ
  ラ、之ニ對シテドウ斯ウト云ス風ナ疑問ガ
  起リマス、起リマスガ、是ハ產業組合ノ今
  日ノ發達ノ課程ニ於キマシテ、往々ニシテ
  他ノ方面ト摩擦ヲシ易イ事柄ガ起ル場合ガ
  ガアルノデアリマシテ、サウ云フ點カラ左樣
  ナ議論ガ起ツテ來テ屆ルト思ヒマスケレド
  モ、私共ノ考ト致シマシテメ、產業組合本
  來ノ目的ニ向ツテ發達スルコトハ、政府ト
  シテハ助成シテ行クベキモノデアルト、斯
  樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=94

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• 095・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　只今ノ御質疑ノヤウニ、
  ツ簡單明瞭ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=95

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• 096・北浦圭太郎

  ○北委員　大藏大臣ハ、此ノ產業組合ノ課
  稅ニ依ツテ、今後ノ產業組合ノ發達ニ非常
  ニ邪魔ニナル、斯ウ云フ工合ニ考ヘテ居ラ
  レルノデアリマスカ、謂ハバ取ラヌデ濟ム
  ナラバ、ソレハ國家ノ爲ニ取ラヌ方ガ宜イ、
  斯ウ云フ工合ニ御考デアルカ、或ハ極メテ
  少額ノ稅デ勞シテ何等效ガナクテ、是ガ生
  產擴充ノ上ニ、或ハ農村更生ノ上ニ非常ニ
  妨害ニナル、却テ稅金ヲ取ルコトヨリ以上
  ノ、國家ノ爲ニ大キナ損失ガ來ル、斯ウ云
  フ工合ニ御考ニナラヌカ、其ノ點ヲ伺ヒタ
  イ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=96

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• 097・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　今囘ノ特別法人ニ關スル
  課稅ハ、產業組合バカリデナク、商業組合、
  工業組合總テサウ云フ同一性質ヲ持ツテ居
  ル團體ニ對シマシテ、課稅ヲ致スノデアリ
  マスガ、剩餘金ガアツタ場合、卽チ數量ニ
  比例シテ組合員ニ對シテノ割戾ス所ノ金デ
  ナクシテ剩餘金ニ對シテ、剩餘金ガ或ル程
  度ノ高ニ上ツタ場合、卽チ出資金ノ三分以
  上ニナツタ場合ニ於テ、初メテ課稅スルノ
  デアリマシテ、其ノ課稅ガ私ハ大ナル影響
  ヲ與ヘルトハ思ツテ居リマセヌ、併シナガ
  ラ本來ノ性質ハ課稅セザルコトヲ本質ト致
  スノデアリマスガ故ニ、此ノ稅金ハ適當ナ
  時期ニ於テ、減稅其ノ他ノ場合ガ起リマス
  レバ、第一ニ取去ルベキモノデアルト思ヒ
  マス、唯今日ノ際ニ於キマシテハ、所謂特
  別法人ノ如キ性質ヲ持ツテ居ル部分ノ人ス
  ラ、稅ヲ負擔シテ行クベキ時代デアルト云
  フ見地カラ、私ハ是等ノ人々モ諒解ヲシテ
  下サルモノト、斯樣ニ確信シテ居ルノデア
  リマス

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• 098・北浦圭太郎

  ○北委員　大藏大臣ハ時局ニ鑑ミ當分ノ間
  負擔ヲサセル、斯ウ云フ風ニ言ハレルノデ
  アリマスガ、併シ此ノ課稅問題ノ起因、ド
  ウ云フコトデ課稅問題ガ起ツタカト云フコ
  トニ對シテハ、全國ノ農民ハ能ク知ツテ居
  ル、何ノ爲ニ課稅サレタカ、所謂產業組合
  ノ壓迫ダト云フ印象ヲ、スツカリ農民ニ與ヘ
  テシマツテ居ルノデアリマス、此處デ如何
  ニ巧妙ナル御說明ヲナサツテモ、農民ハ之
  ヲ諒解シマセヌ、洵ニ是ハ感情的ニモ面白
  クナイコトハ、現ニ農家ノ間ニ非常ニ惡イ
  氣流ガ流レテ居ル、斯ウ云フ工合ニ見ルノ
  デアリマス、今日產業組合ニ對スルサウ云
  フ壓迫感ヲ與ヘマスト、農民ハ產業組合ニ依
  ツテ生活ニ幾ラカノ明ルミヲ持ツテ來タノデ
  アリマスガ、ソレガサウ云フ工合ニ抑壓サレ
  ルト云フコトニナルト、農民ハ反抗ハシマ
  セヌケレドモ、併シ無抵抗主義ニ農業ヲ棄
  テテ他ノ方ニ轉出スル、今日續々ト轉出シ
  テ居ル、斯ウ云フヤウナコトデアルノデア
  リマシテ、澤山稅金ヲ取レルナラドウカ知
  ラヌガ、極メテ少額ノ金ヲ取ツテ、農民ノ
  頭ヲ尖銳化サセルト云フコトハ、戰時ニ於
  ケル生產擴充ノ上ニモ亦今眼ノ前ニ迫ツテ
  居ル所ノ大切ナ食糧問題ノ米、之ニ非常ニ
  惡イ影響ガアルト思フ、例ヘバ今年ノ米ノ
  問題ニ付テハ米作農家ノ誠意一ツニ俟タ
  ナケレバナラヌ、米作農家ガ自分等ノ米ノ
  消費ノ增大スルコトヲ抑ヘテ、自分ハ芋ヲ
  食ツテモ市場ニ米ヲ出シテヤラウ、此ノ誠
  意之ニ依ツテ米ハ倍ニナル、斯ウ云フヤ
  ウニ大切ナ時ニ、全國的ニ斯ウ云フ惡イ印
  象ヲ與ヘタコトヲ强行シテ行クト云フコト
  ハ、非常ニ危險ダト私ハ思ヒマスガ、大藏
  大臣ノ所見如何

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• 099・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　是ガ農民ニ關係アリマス
  ル產業組合ダケニ、課稅スルト云フノデア
  リマシタラ、サウ云フ疑問モ起リマスガ、商
  業組合デモ工業組合デモ、總テノ同ジ性質ノ
  團體ニ付キマシテモ同一ノ立場ニ於テ課稅ス
  ルノデアリマシテ、ソレモ極メテ金額トシテハ
  極メテ少額ナモノト思ヒマスガ、是ガ今
  御話ノヤウナ風ニ、非常ニ感情ヲ害スル
  程ノ事柄デハナイト、私ハ斯樣ニ考ヘテ居
  リマス、殊ニ現在ノ時局ヲ認識セラレテ居
  ル所ノ多數ノ人ガ、左樣ニ考ヘラレルトハ思
  ヒマセヌガ、私共ハ勿論現在ノ農家ノ人々
  ガ、血ミドロニナツテ、非常ニ國策ニ副ウテ
  御働キニナツテ居ル點ニ付キマシテハ、深ク
  感激致シテ居ルノデアリマスガ、ドノ方面
  ノ國民モ亦等シク働イテ居ルノデアリマス、
  ソレニ對シマシテ少ナカラザル增稅ヲ致ス
  場合デアリマスガ故ニ、ヤハリ產業組合其
  ノ他ニ於キマシテモ、特ニ剩餘金ニ對シテ
  相當ナル利益ガアリマシタ場合ニ於テノミ、
  多少ノ負擔ヲシテ戴クト云フ事柄ハ、左程
  私ハ無理ナモノデハナイト、斯樣ニ考ヘテ
  居ルノデアリマス

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• 100・北浦圭太郎

  ○北委員　大變簡單ニ考ヘテ居ラレルヤウ
  デアリマスガ、旣ニ全國ノ農家ニ對シテハ、
  產業組合ノ壓迫感ト云フ印象ヲ、スツカリ植
  付ケテシマツテ居ルノデアリマシテ、商業
  組合ニモ、工業組合ニモ成程課カルガ、是
  ハ產業組合壓迫ノ爲ニ、サウ云フヤウナ商業
  組合、工業組合ガ御相伴サセラレテ居ル、
  斯ウ云フ工合ニ考ヘテシマツテ居ルト思フ
  ノデアリマシテ、此ノ心理的影響ハ非常ニ
  私ハ大キイモノガアルト思フカラ、モウ一
  遍考へ直シテ貰ハナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、ソレカラ是ハ大藏大臣ニ對ス
  ル質問ノ終リデアリマス、先程政府委員ニ
  モ御伺シタノデアリマスガ、大事ナコトデ
  スカラ、モウ一遍大藏大臣ニ承ツテ置キタ
  イト思ヒマス、產業組合ニ課稅シマスルト、
  自然原價販賣ニ近イコトヲスル、割戾金マ
  デヤツテシマウト云フヤウナコトニナリマ
  シテ、剩餘金ヲ出サヌ、ソコデ組合ノ積立
  金ト云フモノガ少クナル、配當金ガナクナ
  ルカラ、ソコデ出資金ノ拂込モ中々面倒ニ
  ナル、新タニ國策ニ應ジタ生產擴充ノ仕事
  ヲシヨウト思ツテ、事業ヲヤラウトシテ總
  會ヲ開イテ、新タニ又各自ノ懷カラ金ヲ出
  サウト言ツテモ、纏ルコトハナイノデアリ
  マス、ソンナヤウナコトニナリマシテ、產
  業組合ノ基礎ガ段々々々薄弱ニナル、オ終
  ヒニハ私ハ農村ノ金融恐慌サヘ起リハシナ
  イカ、モウ產業組合ハ見込ガナイ、澤山金
  ガ預ケテアルカラ、足許ノ明ルイ中ニ早ク
  引出シテシマハナケレバナラナイト云フコ
  トガ生レ出ルノデハナイカ、斯ウ考ヘルノ
  デアリマスガ、其ノ影響スル所ニ對シテ、
  大藏大臣ハ如何ニ御考ヘニナルカ

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• 101・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　今ノ御話ニ依リマスト、
  總テ組合員ガ利潤ヲ、組合ニ於テ取扱ツタ
  數量ニ依ツテ配分シテシマフ、私ハ農民ノ
  利益ヲ圖ル上ニ於テ配分サレテモ、之ニ對
  シテ政府ガ何トモ云フベキ筋合デモナケレ
  バ、私ハ差支ナイト思フノデアリマス、唯
  御話ノ組合ノ出資金ニ對シテノ、此ノ利潤ガ
  平均三分以上ニナツタナラバ、稅ヲ取ラレ
  ル隨テ三分ニ止メル、斯ウナツテ來ルト、
  ドウモ新タニ仕事ヲスル場合ニ於テ、出資
  金ガ取レヌ、斯ウ云フ御考デアリマスガ、
  私ハ兎ニ角產業組合ニ入ツテ居ツテ、其ノ
  入ツテ居ツタ爲ニ非常ナ利益ガアルト云フ
  コトニナリマスレバ、之ニ對シテ、此ノ組
  合ヲ鞏固ニスルガ爲ニハ、是ガ五分モ、六
  分モ配當ガナケレバ、出資セヌト云フヤウ
  ナ風ニ考ヘル人ハ少ナイト思ヒマス、殊
  三分以上ニナツテ見タ所デ、其ノ稅率タル
  ヤ極メテ少ナイモノデアリマス爲ニ私ハ御
  心配ニナルヤウナ事柄ハ、多少ナイトハ申
  シマセヌガ、御話ニナルヤウナ大キナ影響
  ガアルヤウニ考ヘテ居ナイノデアリマス

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• 102・北浦圭太郎

  ○北委員　農民ハ非常ニ金ノ儲カラヌ仕事
  ヲシテ居ルノデアリマス、實際ノ計算トシ
  マスト、一年中一生懸命ニ働イテモ袷衣一
  枚ヨリ買ヘヌヤウナ計算シカ出テ來ナイ、
  ソレ故昔カラデアリマスガ、金ヲ非常ニ
  出シ澁ルノデアリマス、是ハ吾々ハ農民ニ
  接シテ居ツテ能ク知ツテ居リマスガ、農民心
  理ト云フモノハサウ云フモノデアリマシテ、
  大藏大臣ガ思ハレルヤウナソンナモノデハ
  ナイ、ソンナ氣前ノ好イモノデハナイ、ソコ
  デ今後ノ新シイ事業ヲスル時ニ持出サセル
  ト云フコトハ、非常ニ骨ガ折レルコトニナル
  ト思フノデアリマス、又農民ハヤハリ目前
  ノ利益ヲ見ル、大藏大臣ノ今言ハレルヤウ
  ニ、早ク金ヲ持ツテ歸レバ宜イノデス、サ
  ウシテ安イ物ヲ買ヘルノガ、ソレガ理想ナ
  ノデス、サウ云フ希望ガ多イ、產業組合カラ
  金ヲ持ツテ歸ラウ、持ツテ歸ラウトスル、其
  ノ爲ニ組合ト云フモノノ基礎ガ弱クナツテ
  を有き
  來ル、斯ウ云フ結果ガ出來テ居ルノデアリ
  マス、ソコデ農村ノ指導者ハ、所謂目前ノ
  利益ト云フコトヨリハ、農民ノ困ツテ居ル
  狀況ヲ救フガ爲ニ、ヨリ良キ明日ヲ作ルト云
  フコトヲ「モットー」トシテ居リマス、サウシ
  テ、金ヲ持ツテ歸ラズニ成ルベク殘シテ置
  キ、サウシテ將來オ互ノ生活ノ爲ニ、相互
  扶助ノ爲ニ良イ仕事ヲシテ行カナケレバナ
  ラヌ、斯ウ云フコトニナツテ居ルノデア
  リマシテ、幾ラカ利益ハ薄イガ產業組合ニ付
  テ自分等ノ前途ニ希望ヲ持ツテ居ル、其ノ
  希望ガ細クナルコトニナリマスルノデ、生產
  農民ノ利益ヲ非常ニ細クスル、是ハ非常ニ
  重大ナコトダト思フノデアリマス、恐ラク
  此ノ分デ行ツタナラバ、數年ヲ出デズシテ、
  丁度英國ノ前世紀末ニ於ケル農業ノ、アア
  云フヤウナ急速度ノ頽廢ヲ來シタヤウナ結
  果ガ日本ノ農村ニ現ハレテ來ルノデハナイ
  カ、斯ウ云フコトヲ惧レテ居ルノデアリマ
  スガ、大藏大臣ハ日本ノ農村ノ前途ハ、ソ
  ンナモノデハナイト云フ工合ニ考ヘテ居ル
  カ、現在ノ趨勢ヲドウ見テ居ルカ、其ノ前
  途ニ對シテ如何ナル御見透シヲ持ツテ居リ
  マスカ、ソレヲ承リタイ

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• 103・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　私ハ今日ノ農村ニ對シマ
  シテハ、實ニ農民諸君ノ所得ノ少イ點、又
  農民諸君ガ生活上洵ニ質素ナル生活ヲシテ
  居ルト云フコトニ對シテハ、深ク敬意ヲ
  拂ツテ居リマスス、言ヒヤウニ依リマシ
  テハ、私ハ今ノ農村ト云フモノハ、日本ノ
  中堅デアルト思ツテ居リマス、此ノ農村ト
  云フモノノ前途ニ對シテ、ドウ考ヘテ居ル
  カト云フ御話デアリマスガ、私ハ農家ノ收
  入ノ增加ヲ圖ルコトニ付キマシテハ、格別
  ニ考慮ヲ拂ハナケレバナラヌト思ツテ居リ
  マイク。要スルニ今日ノ都會集中狀態ニ鑑ミ
  マシテ、ヤハリ農村民ノ所得ノ多クナルコ
  トヲ考へマスト同時ニ、農村ニ於テモ娛
  樂的設備、文化的設備モ完成シテ、サウシ
  テ餘リ都會集中主義ニナラヌヤウニ致スコ
  トガ、日本ノ國ノ將來ノ爲ニ極メテ必要ダ
  ト思ツテ居リマス、ソコデ農村發展ニ對シ
  テ有ユル角度カラ、出來ルダケ最大ノ努
  力ヲ致サナケレバナラヌト云フコトニ付キ
  マシテハ、私モ深ク感ジテ居リマス、唯
  只今ノ產業組合特別法人課稅ノ問題ニ付キ
  マシテ、是ハ課稅シタラ宜イカ、セヌガ宜
  イカト云フコトナラバ、課稅セヌ方ガ宜イ
  ノデアリマス、併シナガラ今日ノ狀態カラ
  申シテ、有ユル方面ノ者ガ總テ負擔ヲスル
  場合ニ於テ、一部ノ負擔ニ任ジテ戴クト云
  フコトハ、必ズシモ農村民ノ心理狀態ニ左
  樣ナ影響ヲ與ヘルト、斯樣ニハ考ヘテ居ラ
  ナイノデアリマス

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• 104・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　北君、大藏大臣ニ對シテハ
  宜シウゴザイマスカ-次ハ武田德三郞君
  ノ順序デアリマスガ、其ノ前ニ關聯事項ガ
  アルサウデスカラ、一寸御待チヲ願ツテ、
  深澤君

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• 105・深澤吉平

  ○深澤委員　大藏大臣ニ今一應念ヲ押シタ
  イコトハ、稅制調査會デハ、是ハ非課稅說
  ガアツテ、課スベカラズト云フ意見ガ有力
  デアツタケレドモ、一部面ニ反產思想ノ人
  ガアツテ、組合ニハ課稅シナケレバイケナイ
  ト云フノデ、政府ガ餘儀ナクヤツタト云フヤ
  ウナ考ガ、農村ノ方面ニ傳ツテ居ルノデア
  リマス、更ニ一ツハ課稅スベカラザルモノ
  デアルケレドモ、非常事變下ニ於ケル國民
  ノ務トシテ、當分ノ間ト云フヤウナ政府ノ
  意思ハ、ハツキリト國民ニ傳ツテ居ラナイ、
  此ノ點ヲハツキリサレマシテ、課稅スベカ
  ラザルモノデアルガ、反產思想ノ上カラ課
  稅シタノデアルカドウカ、之ヲハツキリ御
  答辯願ヒタイト思ヒマス

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• 106・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　反產運動ノ結果トカ、反
  產思想ノ問題カラ課ケタト云フコトデハ、絕
  對ゴザイマセヌ

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• 107・松永義雄

  ○松永委員　私モ關聯シテ簡單ニ御質問致
  シタイノデスガ、農村ノ生產物價ト農村ノ
  需要スル物ノ價トガ、「インフレーションㄴ
  ノ場合ニ於テモ、「デフレーション」ノ場合
  ニ於テモ、農村ガ非常ニ損ヲシテ居ルコト
  ハ明カナ事實ニナツテ居ルノデゴザイマス
  ガ、此ノ度增產奬勵ニ付キマシテ、利潤ヲ刺戟
  シナケレバ物ガ出テ來ナイト云フノデ、石炭
  ノ增產ニ對シテ、奬勵金ヲ御與ヘニナルト云
  フ計畫ニナツテ居ルコトヲ聞イテ居ルノデ
  アリマス、所ガ「アルコール」ニ關聯シテ來
  ルノデアリマスガ、甘諸ノ買上値段ト生產
  費ト云フモノハ、多大ノ差ガアリマシテ、
  買上値段ガ生產費ヲ切ツテ居ルト云フ事實
  ガゴザイマシテ、增產ヲ奬勵スル爲ニ利潤
  ヲ刺戟シナケレバナラヌト云フ御趣旨デアル
  ニモ拘ラズ、農民ニ對シテハ損ヲシテモ
  藷ヲ作ラセルト云フヤウナ御命令デ、農會
  ヲ通ジテ割當テラレテ居ルト聞イテ居ルノ
  デアリマス、固ヨリ此ノ戰時下ニ於キマシ
  テハ、國民全部ガ國家ノ爲ニ犠牲ヲ拂ハナ
  ケレバナラヌコトハ言フマデモナイノデゴ
  ザイマスガ、若シ果シテ今ノ藷ノ買上ノ精
  神ガサウ云フ精神デ、若シ假ニ石炭ノ增產
  ヲ御圖リニナル爲ニ奬勵金ヲ與ヘルト云フ
  コトヲ御考ニナルナラバ、斯ウシタ農民ノ
  所得ニ關シテ、物ノ價格ノ相違カラ來ル農
  民ノ疲弊ト云フモノニ對シテ、御考慮ニナ
  ツテ行ク必要ガアルト考ヘルノデアリマス
  ガ、大藏大臣ノ考ヲ承ツテ置キタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=107

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• 108・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　農村ノ物價ノ問題ニ對シ
  マシテハ是ハ餘程注意シナケレバナラヌ
  問題デアリマスガ、石炭ノ增產ニ對シテ助
  成金ヲ出スト云フノナラ、農村ノ生產者ニ
  對シテモ然ルベク取計ラハナケレバナラヌ
  ノデハナイカト云フ御尋デ、是ハ御尤モナ
  コトデアリマス、御承知ノ通リ今日農村ノ
  一番大事ナモノハ何デアルカト云フト、生
  產原價ヲ成ス所ノ要素ノ中デ肥料デアリマ
  ス、此ノ肥料ニ對シテハドウシテモ助成
  シナケレバナラヌト考ヘマシテ、助成ノ方
  法ヲ執ツテ居リマス、卽チ硫安其ノ他ニ付
  キマシテ、製造原價ガ非常ニ高イニモ拘ラ
  ズ、其ノ値段ヲ安ク供給サセル途ヲ講ジテ
  居リマシテ、、其ノ點ニ於テ助成ヲ致シテ居
  ルヤウナ譯デアリマス、又生絲ナドハ非常
  ニ値段ガ高クナツテ居ルノデアリマスガ、
  政府ノ方針ト致シマシテハ、適正物價ガ定
  ツテ、サウシテ總テノ物資ガ圓滑ニ賣買取引
  サレルヤウナコトニナリマスマデノ間助成
  ヲ致シマスモノハ、所謂生活必需品及ビ總
  テノ工業ノ基本トナルベキ仕事ニシテ、此
  ノ際ドウシテモ或値ヲ上ゲルカ、若クハ助
  成ヲスルニアラザレバ、其ノ生產ノ出來
  ナイト云フモノニ對シテノミ實行致シタノ
  デアリマス、其ノ見地カラ致シマシテ、只
  今御質問ニナリマシタ「アルコール」ノ原料
  デアル所ノ甘藷ニ付キマシテハ、御話ノ通
  リデアリマシテ、近ク〓究ヲ致サナケレバ
  ナラヌト考ヘマシテ今此ノ「アルコール」ノ
  原料タル甘諸ニ付キマシテハ、深ク考慮致
  シテ居リマス

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• 109・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ武田君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=109

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• 110・武田徳三郎

  ○武田委員　今同僚諸君ヨリ各種ノ觀點カ
  ラ、適切ナル質問ガ澤山發セラレマシテ、
  當局モ亦熱心ニ御答辯ニ相成ツタノデ、大
  體私ノ伺ハントスル所ハ殆ド盡キテ居ルヤ
  ウニモ思フノデアリマス、併シ其ノ御答辯
  ヲ承リマスルト、甚ダ不滿足ノ點モ少クナ
  イノデアリマシテ、尙ホ逐條的ニ色々承リ
  タイ點モアルノデアリマスルガ、此ノ間貴
  族院カラ此ノ重大法案ヲ成ベク速ニ審議ス
  ルヤウニト云フ要求ガ、政府ニ對シテアツ
  タヤウニ承ツテ居リマスシ、當局モ定メシ
  本案ノ審議ヲ御急ギニナツテ居ルコトダラ
  ウト思ヒマスカラ、政府ニ協力ヲ致ス意味
  ニ於テ、私ハ逐條的ノ質問ヲ差控ヘテ、大
  體ニ於ケル質問ヲ率直ニ申上ゲテ、率直ニ
  御答辯ヲ承ル程度ニ止メテ置キタイト思ヒ
  ママー大藏大臣ハ非常ニ御多忙デセウカ
  ラ、先ヅ大藏大臣ニ二三點ダケ伺ツテ、ア
  トハ主稅局長ナリ、國稅課長カラ御答辯ヲ
  願ヘバ、ソレデ宜シイノデアリマス
  第一ニ御伺シタイコトハ、稅制ノ組立ノ
  コトデアリマス、此ノ度ノ稅制ニ付テハ四
  ツノ目標ヲ御定メニナツテ、其ノ中ニ稅制
  ノ簡易化ト云フコトガアルノデアリマス、
  從來三本建ノ組立ヲ、此ノ目標ニ副ハンガ
  爲ニ二本建ニナツタノデアリマス、一見スル
  所洵ニ複雜ナル稅制ヲ簡單ニスルト云フ意
  味ニ於テ、極メテ適當ノヤウニモ考ヘマス
  ルガ、併シ此ノ時局ニ顧ミマシテ、稅制ヲ
  組立テル上ニ、玆ニ非常ニ矛盾ガ生ジマシ
  テ、當局ノ御苦心モ容易ナラヌコトト思フ
  ノデアリマス、大藏大臣ノ御說明ヲ色々承
  リマスルト、此ノ度ノヤウナ時局ガサウ急
  ニ收マルトモ思ヘナイ、先ヅ此ノ時局ガ當
  分此ノ儘デアルトシテ、恆久的稅制改革ヲ
  シナケレバナラヌト云フ風ニ考ヘタ、斯ウ
  云フ風ニ御說明ニナツテ居リマス、併シナ
  ガラ又一面ノ說明ニ依レバ、支那事變
  ガ終局スルナラバ、サウ大シタ減額ヲ
  見ナイデアラウガ、或ル程度ノ歲入ノ減額
  ヲ見ルコトモアルデアラウト云フ御答辯
  モ、速記錄ヲ拜見スルトアルノデアリマス、
  是ハ寧ロ其ノ御意見ガ私ハ御尤モノコト
  デアツテ、苟モ稅制ノ根本改正ヲ致シマシ
  テ此ノ基本稅制ニ恆久性ヲ持タセヨウト
  云フナラバ、大體ニ於テ假令腰ダメナリト
  雖モ、日本ノ財政ノ將來ニ向ツテ一應ノ見
  透シヲ付ケテ、其ノ見透シノ範圍內ニ於テ、
  如何ナル稅制ヲ執ツタガ宜イカト云フ風ニ
  考ヘルノガ、私ハ順序デハナイカト思ヒマ
  ス、サウ云フ意味カラ考ヘマスレバ、ドウ
  シテモ負擔ノ衡平ト云フコトヲ主トシテ、
  此ノ稅制ノ目標ニ定メナケレバナラヌト云
  フコトハ、是ハ當然デアリマス、併シナガ
  ラ又ノ此戰時體制カラ考ヘマスト、年々五
  十億、六十億ト云フ澤山ノ公債ヲ發行致シ
  マスカラ、本年ノ議會ニモ現ハレマスル通
  リ、又豫算案ノ附帶決議ニ現ハレマスル通
  リ、有ユル人ノ關心ヲ唆ルモノハ「インフレ」
  ノ惡性化ヲ、如何ニシテ阻止スルカト云フ
  コトデ、此ノ點ニ總テノ經濟論ガ集中シテ
  居ルノデアリマス、是ハ當然ノコトデアリ
  マス、戰時體制ガ續ケバ續ク程、此ノ惡性
  ノ「インフレーション」ヲ如何ニシテ調整ス
  ルカト云フコトガ、經濟政策ノ根本ニナル
  コトハ必然デアラウト思フノデアリマス
  隨テ此ノ稅制ノ上ニ於テモ、戰時體制トシ
  テ見ル場合ニ於テハ、ドウシテモ私ハ此ノ
  「インフレ」ノ惡性化ヲ阻止スルト云フコト
  ヲ、税制ニモ相當强ク織込マナケレバナラ
  ヌト思フノデアリマス、是ハ御當局ニ決シ
  テ御異論ガナイコトト思フ、サウシマスル
  ト、私ハドウシテモ稅制ハ一本建ニシナケ
  そう、ソレガ旨ク行カヌヂヤナイカ、詰リ
  「ノーマル」ノ狀態ヲ對象トシタ、サウシテ
  負擔ノ均衡ヲ中心トシタル所ノ基本稅制
  ト此ノ戰時體制ニ於テ「インフレ」ノ惡性
  化ヲ阻止スルコトヲ目的トシタ所ノ臨時稅
  制、斯ウ云フ工合ニ二本建ニスルノガ、私ハ
  最モ宜イノデハナイカト實ハ考ヘルノデア
  リマス、若シ私ノ意見ヲ肯定シテ戴ケルナ
  ラバ、例ヘバ所得稅ノ控除額ノ如キモ、基
  本稅制ト致シマシテハ、今日立案セラレタ
  モノヨリ、控除額ヲ增シ得ルト云フコトモ考
  ヘラレルデアリマセウ、併シナガラチョン
  フレ」阻止フ觀點カラ申シマスナラバ、臨
  時稅制ト致シマシテハ、其ノ控除額ヲモツ
  ト下ゲルト云フコトモ言ヒ得ルト思ヒマス、
  又今度ノ稅制ニ於キマシテハ、物價ノコト
  ヲ考慮サレマシテ、主トシテ所得稅、殊
  直接稅ニ力ヲ入レテ、其ノ增收ノ點ニ於テ
  モ、組織ノ點ニ於テモ、直接稅ニ主ニ力ヲオ
  入レニナツテ居ル、是モ當然デアリマス、併
  シナガラ國民ノ購賣ヲ力吸收シ、ソレニ依ツ
  テ「インフレ」ノ惡性化ヲ阻止シヤウト云フ
  觀點カラ申シマスナラバ、消費稅ヲ增徵サ
  セナケレバナラヌト云フヤウニ考ヘルノデ
  アリマス、現ニ間接稅ト直接稅ノ比較ヲ致
  シマスト、先日戴イタ參考資料ニ依ツテ見マ
  シテモ、歐米ノ立法例ト比較シテ見マシテ、
  我國ガ一番多イ、英吉利ノヤウニ直接稅
  所得稅ヲ中心トシタ國デアツテモ、漸ク
  昨年ニ於テ直接稅ガ全稅收ノ五三%デア
  ルト云フコトハ、參考資料ニ依ツテ明ニ
  ナツテ居ル、昭和十四年度ニ於ケル我國ノ
  直接稅ノ割合ハ五七%ニナツテ居ル、何レ
  ノ點カラ見テモ、私ハ間接税ヲ增徵スルト
  云フコトハ、「インフレ」防止ノ上カラ極メテ
  必要テ事態ニ、今日ハ逢著シテ居ルト思
  フノデアリマス、併シナガラ之ヲ物價ノ
  觀點、國民生活ノ點カラ考ヘマシテ、「ノー
  アインナ狀態ナラバ、出來得ルダケ直
  接稅ニ重點ヲ置クト云フコトガ望マシイコ
  トデアリマス、ソレヲ戰時體制ト致シマ
  シテハ、又ソコニ何等カノ工作ガアルベ
  キデハナイカ、斯ウ云フ色々ナ觀點カラ考
  ヘマシテモ、私ハ一本建ヨリハ二本建ニシ
  テ、恆久體制ト臨時體制ノ二本建ニスルト
  云フコトガ、此ノ時局ニ適合スル爲ニ最モ
  必要デハナイカ、斯樣ニ實ハ考ヘルノデ、
  此ノ點ニ對スル大藏大臣ノ御所見ヲ承リタ
  イノデスガ、併シナガラ斯樣ナ議論ヲ致シ
  マシテモ、最早本案ハ遠カラザル內ニ成立
  ヲシナケレバナラヌ時期ニ達シテ居ルノデ
  アリマスカラ、私ノ今申上ゲルコトヲ、幸
  ヒニ大藏大臣ガ御肯定ニナツテ見タ所ガ、
  是ハ議論倒レニナツテ、此ノ會期中ニ私ノ
  希望スルガ如キ、二本建稅制改造案ガ出來
  ル筈ノモノデハナイノデアリマスカラ、ソ
  コデ私ノ伺ヒタイノハ、幸ヒニ私ノ今申上
  ゲタ考ヲ御肯定ニナリマスナラバ、來ルベ
  キ議會ニ於テ、更ニ二本建ノ意味ニ於テ、今
  日ノ定ツタ稅制ニハ少シモ手ヲ觸レルコト
  ハ要ラヌガ、詰リ臨時增徵的ノ二本建ノ他
  ノ一本ノ稅制ノ追加案ヲ、御出シニナル御
  考ハアリマセウカドウカ、其ノ點ニ向ツテ
  御考慮下サルノ御意思ガアルカドウカト云
  フコトヲ、一ツ伺ツテ見タイノデアリマス2

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• 111・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　一寸武田君ニ此ノ際申シマ
  スガ、來テ戴ク政府委員ハ何處々々デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=111

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• 112・武田徳三郎

  ○武田委員　大藏大臣ニ對シテハアト一ツ
  二ツデ、アトハ主稅局長ト國稅課長ニオ居
  デヲ願ヘバ、ソレデ宜シウゴザイマス

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• 113・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　承知致シマシタ

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• 114・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　武田サンノ御意見ハ、私
  一ツノ御意見トシテ傾聽致ス次第デアリマ
  ス、斯ウ云フ時代デアリマスカラ二本建ト
  シテ、所謂臨時的收入ノアツタモノ、若ク
  ハ所謂物價政策ニ影響ノアリサウナ部分ニ
  對シテ增徵シテ、他ノ方ハ出來ルダケ稅ヲ
  上ゲヌ方針ニ進ンデ行クト云フコトハ、
  ツノ建前ダト私ハ思ヒマス、此ノ度ノ稅制
  ニ付キ、マシテ、大體ニ於テ一本建ニ參ツテ
  居リマスコトハ、全面的ニ見テ、先ヅ餘リ
  ニ稅ノ改正ト云フコトガ度々起ルト云フ事
  柄ハ、決シテ喜ブベキコトデナクシテ、總
  テ國民ガ稅ヲ見合ツテ仕事ヲ致スノデアリ
  マスカラ、少クトモ數年間ハ動カサヌヤウ
  ナ稅ニシタイ、ソレニハ此ノ日本ノ財政ガ
  ドウナツテ行クカト云フコトヲ睨ミマシテ、
  先般モ申上ゲマシタ通リ、ココ數年間ハド
  ウシテモ國費ガ容易ニ減ラナイ、隨ヒマシ
  テ現在ノ狀態ヲ基準トシテ、增稅案ヲ立テ
  タ譯デアリマス、支那事變ガ終了致シマシ
  タ場合ニ於テ、卽チ蔣介石ノ政權ガ潰滅シ
  テ、日本ノ出征ノ兵隊ヲ全部內地ニ呼ビ返
  スコトガ出來ルヤウナ時代ニナリマスレバ、
  是ハ自ラ財政上ニモ變化ヲ起シマスガ、同
  時ニヤハリ新東亞ノ建設ト云フ風ナ大事業
  ガ起リ、又今日ノ國際情勢カラ申シマスナ
  ラバ、更ニ國防ノ充實モ强化シナケレバナ
  ラヌコトガ起リマスノデ、雙方ヲ見合ツテ
  見マスト、中々容易ニ國費ガ減ラナイ、此
  ノ建前ニ於キマシテ此ノ稅ヲ立テタノデア
  リマス、而シテ此ノ增稅案ヲ立テマシタ結
  果是デ支辨ガ出來ルカト云フト、サウデ
  ハナイノデアリマシテ、現在ノ狀態カラ見
  マスト、今囘ノ增稅ノ如キモ僅ニ其ノ一少
  部分ヲ負擔スルニ過ギナイヤウナ狀態デア
  ルノデアリマス、隨ヒマシテ今後支那事變
  ガ假ニ解決致シマシテモ、サウ澤山ノ減稅
  ヲスルトカ云フヤウナ事柄ガ、起ツテ來ル
  トハ考ヘラレナイノデアリマス、併シ經濟
  界ノ發展ニ依ツテ自然增收ガ殖エ、又國費
  ノ出ル方ガ減少シテ來ル、斯ウ云フ場合ニ
  ナリマスレバ、又減稅ヲモ考へ得ル、斯樣
  ニ考ヘマスガ、今日ノ所ニ於テハ大體ニ於
  テ此ノ程度ノ增徵ヲシテ戴カナケレバ、財
  政ノ基礎ハ確立シナイ、斯ウ云フ風ナ見地
  デ、今囘ノ稅制ヲ決メタヤウナ譯デアリマ
  ス、勿論負擔ノ公平ヲ期スル上ニ於キマシ
  テハ、十分注意致シタ積リデアルノデアリ
  やく、ソレカラ今囘ノ議會ニ於テ增稅シタ
  ル上、更ニ次ノ機會ニ於テ臨時的增稅ヲス
  ル考ガアルカドウカ、斯ウ云フ御尋デアリ
  マスガ、此ノ問題ニ付キマシテハ、只今私
  ガ申シマシタ通リ、差當リ此ノ稅ハ餘リイ
  ヂリタクナイ、斯ウ云フ考ヲ持ツテ居ルノ
  デアリマシテ、國際上ノ非常ナ變化ガ起ル
  トカ、經濟上ノ非常ナ變化ガ起ツテ來タト
  カ、特殊ナ事情ガ起リマシタ場合ハ別デア
  リマスガ、今日ノ程度ノ現狀デアリマス以
  上ハ、重ネテノ增稅ハココ數年行ヒタクナ
  イ、又行ハナイト云フ覺悟ヲ以テ進ンデ居
  ル譯デアリマス、ソレカラ「インフレ」防止
  ノ爲ニ、此ノ稅ヲドウ云フ風ニ見テ居ルカ
  ト云フ御話デアリマスガ、是ハ增稅ノ自然
  ノ副作用トシテ、「インフレ」防止ニ效果ヲ
  現ハスコトヲ、私共ハ期待致シテ居ルノデ
  アリマシテ、例ヘバ奢侈品ニ向ツテ增稅ヲ
  多クシタ、又不急不要ナモノニ對シマシテ
  增稅ヲ御願シタ、斯ウ云フ事柄ハ、少クト
  モサウ云フ方面ニ對スル購買慾ト申シマス
  カ、或ハソレニ對スル嗜好ト申シマスカ、
  サウ云フモノヲ多少デモ抑制スルコトガ出
  來ルデハナカラウカ、斯樣ニ信ジタ譯デア
  リマス

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• 115・武田徳三郎

  ○武田委員　大藏大臣ハ私ノ質問ヲ少シク
  誤解シテ御取リニナツテ居ルヤウニ思ヒマ
  ス、私ガ減稅ヲ希望スルヤウナ立場カラ、
  御伺シテ居ルヤウニ御取リニナツテ居ルヤ
  ウデアリマスガ、併シ今申上ゲタ問題ハ、
  之ヲ掘下ゲテ何處マデモ私ノ考ト、大藏
  大臣ノ考ヲ照合ハシテ見ルト云フノニ
  ハ、相當ノ時間ガ要スルノデアリマシテ、
  先程モ申シマシタ通リニ、假ニ私ノ意見ガ
  宜シイト言ツテ御肯定ヲ願ツテ見タ所ガ、
  此ノ稅制案ニ直チニ變化ヲ來スモノデアリ
  マセヌカラ、私ハ多クヲ論議スルコトヲ避
  ケル方ガ時間ノ關係上宜イト思ヒマスノデ、
  之ヲ論ズルコトヲ此ノ程度ニ止メテ置キマ
  スガ、唯私ノ希望ノアル所ヲ誤解ノナイヤ
  ウニ御聽取ヲ願ヒマス、私ハ此ノ度ノ五億
  何千万圓ト云フ增稅ハ決シテ少額ナリトハ
  思ツテ居リマセヌ、併シ「インフレ」防止ト此
  ノ戰時體制ノ今日ニ於テ最モ重要ナリトス
  ル見地カラ申シマスト、是デハ不足ダト云
  フ意見デアリマス、併シナガラ今玆ニ御出
  シニナツテ居ル案、之ヲ增額スルト云フコ
  トハ結局ハ議論ダケデアツテ實際ニハ行ハ
  レナイノデアリマス、最初ニ申シマシタ通
  リニ、此ノ戰時體制ニ對シテ稅ノ組織ヲ二
  本建ニスル方ガ適當デナイカト云フ私ノ考
  ヲ一應申上ゲタノデ、ソレデ增額ヲ致シテ
  「インフレ」ノ惡性化ヲ阻止スルニ役立ツニ
  ハモウ少シノ增稅ヲ斷行スルノ必要ガア
  リハシナイカ、斯ウ云フ見地カラ二本建ガ
  宜イト御肯定下サルナラバ、其ノ臨時的ノ
  增稅ノ二本建ノ一本ヲ、來ルベキ議會ニ御
  提案ニナルト云フ御考ハナイカ、斯ウ云フ
  意味デ申上ゲタノデアリマス、其ノ臨時的
  ノ一本ヲ更ニ御出シニナルト云フコトデア
  リマスナラバ、國民モ此ノ非常時局下ニ苦
  シイノデハアルガ、所謂石ニ嚙リ付イテモ此
  ノ時局ヲ突破シナケレバナラヌト云フ國民
  ノ意氣カラシテ、多少强イト思フ位ナ稅デ
  モ私ハ國民ガ我慢スルデアラウト思フ、之
  ヲ恆久的體制トシテ見ル時ニハ、是ガ負擔
  均衡トカ、財政ニドウ云フ影響ヲ及ボス、
  經濟ニドウ云フ影響ヲ及ボストカ云フ色々
  ナ觀點カラ、中々議論ガ紛糾シテ止マナイ
  ソデアリマスケレドモ、是ハ臨時的增稅ナ
  リト云フコトガ國民ニ明ニナレバ、私ハ國民
  ハ之ニ忍從スルノ覺悟ヲ持ツテ居ル、斯樣ニ
  考ヘマスノミナラズ其ノ結果ト致シマシテ
  「インフレ」ノ惡性化ヲ阻止スル力ガ相當顯
  著デハナイカ、斯ウ云フ考カラ、二本建ノ
  稅制ノ建前ガ此ノ時局ニ對シテ適當デハア
  ルマイカト申上ゲ、同時ニ之ヲ肯定サレル
  ナラ、來ルベキ議會ニ御提案ニナル御意思
  ガアルカドウカト云フコトヲ實ハ申上ゲタ
  ノデアリマス、是ハ是レ以上深ク論議スル
  ノ要ガアリマセヌカラ、私ノ意見ヲ一應申
  上ゲテ御考慮ヲ願フト云フ程度ニ止メテ置
  イテ宜シイト思ヒマス
  ソレカラ其ノ次ニ伺ヒタイコトハドウ
  モ稅ノ組立方ニ於テ、私ノ見解ニ依ルト甚
  ダ矛盾シタ點ガアルヤウニ思フノデアリマ
  ス、是ハ寧ロ主稅局長カラ伺ツタ方ガ宜イ
  カト思ヒマス、稅ノ簡易化ト云フコトニ關
  聯シマスカラ、序ニ主稅局長ノ御意見ヲ伺
  ヒタイノデアリマスガ、此ノ法人稅ト臨時
  利得稅ノ問題デアリマス、臨時利得稅ノ問
  題ニ付キマシテハ、先日民政黨ノ中島君ガ
  大分質問サレタヤウデアリマスガ、併シ其
  ノ時ハ私ノ承ラントスル點ニ觸レテ居ラナ
  カツタノデアリマスカラ、今日二ツヲ一〓
  ニシテ伺ツテ見タイト思ヒマス、法人稅ハ
  御示シニナツテ居ル案ニ依リマスレバ、從
  來ノ第一種所得稅デアリマスガ、其ノ中ニ
  ハ純然タル所得稅ト資本稅ノ二ツノ意味ガ
  含マレテ居ルノデアリマス、是ハ沿革的ニ
  申シマスレバ、御承知ノ通リ馬場財政ノ時
  ニ財產稅ヲ設定サレタ中ニ、此ノ法人ノ資
  本稅モ入ツテ居ル、ソレヲ結城大藏大臣ノ
  時ニ財產稅ヲヤメテ法人ノ資本稅ダケヲ殘
  シテ、是ガ法人資本稅ト云フモノニナツタ
  コトハ御承知ノ通リデアリマス、元來私ハ
  此ノ資本ニ課稅スルト云フノト所得稅ハ本
  質ガ違フト思フ、此ノ本質ノ違フモノヲ一,
  ツノ稅ニ入レラレタト云フコトハドウ云フ
  コトデアルカ、或ハ此ノ法人稅ト云フモノ
  ハ所得稅ノ性質ヲ持ツコトハ適當デナイト
  シテ、從來ズツト前ニアリマシタ營業稅ノ
  ヤウナ觀念デ、一種ノ外形標準ニ依ツテ法
  人ニ對シテハ稅ヲ取ツタ方ガ宜イト云フ觀
  念カラ出タノデアルカ、或ハ何カ所得稅
  ノ補完ノ意味ヲ此ノ資本ノ課稅ニ持タシ
  メタイト云フヤウナ意圖ノ下ニ、此ノ法
  人稅ノ中ニ組入レラレタノデアルカ、ソ
  コガハツキリシナイノデアリマス、所得稅ノ
  性質ヲ持ツモノハ何處マデモ所得稅トシテ
  御建テニナツタ方ガ宜イノデハナイカ、所
  得稅ヲ日本ノ稅ノ中心ニシヨウト云フ建前
  デアリナガラ、今日此ノ重大ナル法人ノ所
  得ト云フモノガ非常ニ澤山ニナツテ居ル場
  合ニ於テ、此ノ所得稅ノ性質ヲ變ヘテ外形
  標準ヲ用ヒテ、一ツノ收益稅ノ如キモノニ
  變更サレルト云フコトハ、稅ノ觀念カラ言
  ウテモ重大ナル變革デハナイカト思フノデ
  アリマス、ドウ云フ譯デ斯樣ナコトヲサレ
  タノカ、單ニ稅ノ簡易化ト云フヤウナ議論
  カラシテハ私ハ成立タヌコトデハナイカ、
  斯樣ニ思ヒマス
  ソレト關聯シマスカラ序ニ伺ヒマスガ、
  臨時利得稅ニ超過所得稅ヲ加ヘラレタコ
  ト、是ハ臨時利得稅ハ其ノ名ノ如ク臨時的
  ノモノデアリ、超過所得稅ハ元來所得稅ニ
  組入レラルベキ性質ノモノデアルコトハ申
  スマデモナイ、其ノ所得稅ニ入ルベキモノ
  ヲ臨時利得稅ノ方ニ入レテ、サウシテ所得
  稅ト相反シタ資本課稅ヲ法人ノ中ニ入レ
  ル、マルデ是ハ思想ノ混亂デハナイカト思
  フノデアリマス、是ハ資本課稅ニ補完的ノ
  意味ヲ持タシメルト云フ意圖カラ、資本課
  稅ノ存立ヲ御認メニナツタトスルナラバ、
  私ハ寧ロ臨時利得稅ノ中ニ資本課稅ヲ入レ
  ルナラ多少ノ意味ガアルト思フ、何トナレ
  バ臨時利得稅ヲ遁レントスル人々ハ、其ノ
  資本ノ增大ニ依ツテ臨時利得稅ヲ逃ゲルコ
  トガ出來ルコトハ明カデアル、サウ云フコ
  トヲヤツテ居ル人ガ澤山アル、サウスレバ
  サウ云フ必要ナラザル所ノ資本ヲ增大シテ
  臨時利得稅ヲ通脫セントスルヤウナ人々ニ
  對シテハ、資本課稅ヲ以テ之ヲ防止スルト
  云フ意味ニ於テ、資本課稅ガ意味ヲ成スノデ
  アリマス、然ルニ之ヲ法人稅ノ方ニ入レテ
  シマヘバ結局ニ於テ同ジ働キヲ爲スト云
  フコトモ言ヘナイコトモナイカモ知レマセ
  ヌガ、體制上、觀念上トシテ私ハ洵ニ意味ノ
  ナイコトデハナイカ、斯樣ニ考ヘマスガ、
  之ヲ一ツ主稅局長カラ御意見ヲ伺ヒタイト
  思ヒマス

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• 116・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　武田サンノ御意見御尤モ
  ノ點モアルノデアリマスガ、私共ハ所得
  ニ對スル課稅モ資本ニ對スル課稅モ共ニ法
  人ニ對スル課稅デアリマスカラシテ、之ヲ
  一緒ニシテ置イタ方ガ法人ノ負擔ノ程度ガ
  一見明瞭ニナルカラ適當デアラウト云フ趣
  旨ニ於キマシテ、所得ニ對スル課稅ト資本
  ニ對スル課稅トヲ統合シタ譯デアリマス、
  ソレカラ利得ニ對スル稅ト超過所得ニ對ス
  ル稅トヲ一本ニ統一シマシタノハ、度々申
  シマス通リ兩者トモ資本ニ對スル利廻ヲ見
  テ負擔ノ程度ヲ定メルノデアリマスカラ、
  之ヲ別個ノ法律ニ致シテ置キマスト、從來
  ノ實蹟ニ照シテ見テモ、或ル場合ニハ兩者
  重複シテ負擔ガ苛酷ニナル場合モアリマス
  シ、又其ノ反對ニ負擔ガ輕過ギル場合モ起
  ツテ來ルノデアリマシテ、兩方睨合セテ或
  ル調整規定ヲ必要トスルノデアリマス、斯
  ク致シマスルト、徒ニ稅制ガ複雜ニナリマ
  スカラ、性質ハ相當違フノデアリマスケレ
  ドモ、之ヲ一ツノ稅法ニ統一致シマシテ、
  其ノ統一サレタ稅法ノ下ニ兩者ノ調整ヲ圖
  ツテ負擔ノ適正ヲ期シタイト云フ趣旨デア
  リマシテ、大體理論ヨリハ寧ロ實際ト云フ
  見地ニ立ツテ、斯ウ云フ風ニ致シタ次第デ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=116

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• 117・武田徳三郎

  ○武田委員　或ハサウデアルカ知レマセヌ
  ガ、今度ノ稅ニ於テハ非常ナ御苦心ニナツ
  テ、租稅理論ガ可ナリ一貫シテ居ル點ニ於
  テ敬服致シタノデアリマスガ、最モ重大ニ
  シテ中心ニナル所得稅ニ對シテ、是ガ收益
  稅ノヤウナ形ニナルコトヲ唯便宜ダカラト
  言ツテオヤリニナルコトハ如何カト思フノ
  デアリマス、又若シ資本課稅ヲ必要トスルナ
  ラバ、性質モ觀念モ全然異ルモノデアルナラ
  バ、之ヲ元アツタ通リニ資本課稅トシテ一
  本ノ法律ニナサツテモ、旣ニ三十何件アル
  法律案ニ於テ左樣ナモノガアツテモ少シモ
  差支ナイノデアリマス、主稅局長ハ一ツノ
  收益稅ノヤウナ形ニナルコトヲ御認メニナ
  ルデアリマセウカ、ドウデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=117

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• 118・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　法人稅ノ資本ニ對スル課
  稅ハ、申スマデモナク營利法人ハ資本ヲ基礎
  ニシテ活動シテ居ル、資本ノ集積ソレ自體
  ニ一ツノ擔稅力アリト見テ居ルノデアリマ
  シテ、從來ノ收益稅トモ多少趣ガ違フ點ガ
  アルト云フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=118

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• 119・武田徳三郎

  ○武田委員　租稅理論ニ論及スルヤウナ形
  ニナリマスカラ、餘リ多クヲ論ズルコトヲ
  避ケタイノデアリマスガ、今ノ御議論ハ餘
  リニ論理一貫セヌコトデハアリマセヌカ、
  假令財產稅ヲ設定スルト致シマシテモ財產
  ノ沒收デナイコトハ當然デアリマス、卽チ
  其ノ財產ニ依ツテ其ノ人ノ收益ヲ測量スル
  ニアルコトハ勿論當然デアリマス、併シナ
  ガラサウ云フ外形標準ヲ用ヒルコトニ於テ
  收益稅ト所得稅ノ差ガアルノデアリマス、現ニ
  先程モ申上ゲタヤウナ從來ノ營業稅ガ其ノ
  標本デハアリマセヌカ、然ルニニ形形標準ニ依
  ルト眞ノ所得ガ測量出來ヌト云フコトデ、營
  業稅ノ如キハ元來收益稅デアリマスカラ、或種
  ノ外形標準ヲ用ヒルノハ租稅ノ理論トシテ
  當然デアルト思フニモ拘ラズ、之ヲ撤廢ニ
  ナツタノデアリマス、然ルニソレト同ジ形
  ヲ法人稅ニ用ヒルト云フコトハ、之ヲ若シ
  收益稅デナイト言フナラバ何ガ收益稅デア
  リマセウカ、收益稅ノ觀念ニ付テノ局長ノ
  御意見ハ如何デアルカ知リマセヌガ、從來
  ノ營業稅ノ沿革カラ考ヘマシテモ、此ノ形
  ニ於テスルナラバ私ハ一種ノ收益稅デハナ
  イカト考ヘルノデアリマスガ、租稅理論ニ
  論及スルト大變ナ時間ガ掛リマスカラ一應
  之ヲ申上ゲテ、若シ御答辯ガアルナラバ簡
  單ニ御答辯ヲ承ツテモ宜シイ、何レニシテ
  モ此ノ問題ハ私ハ此ノ程度ニシテ進ミタイ
  ト思ヒマスガ、御答辯下サルナラバ伺ツテ
  モ宜イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=119

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• 120・田中豐

  ○田中政府委員　御話ハ御尤モダト思ヒマ
  ス、唯此ノ所得稅、或ハ之ヲ補完スル意味
  ノ收益稅ト云フ課稅ハ、稅トシテハ個人ニ付
  テハ非常ニ妥當性ガアルノデアリマシテ、
  法人ニ付テハ此ノ所得稅ト收益稅ノ區分ト
  云フコトハ、稅ノ理論カラ申シマシテモ甚
  ダ曖昧デアリマシテ、如何デアルカト云フ
  ヤウナ觀念ガ致シテ居ルノデアリマス、法
  人資本稅ヲ法人稅ニ統合致シマシタ結果、
  法人稅全體ガ收益稅的性質ヲ帶ビナイカト
  云フ御話デアリマスガ、其ノ中ニ御話ノヤ
  ウナ二ツノ違ツタ課稅ヲ取込ンデ居ルノデ
  アリマシテ、所得ニ對スル課稅ハ第一種ノ
  所得ノ性質ヲ帶ビ、資本ニ對スル課稅ハ資
  本課稅ノ性質ヲ帶ビルモノデアツテ、其ノ
  爲ニ法人稅全體ノ形ガドウト云フヤウナコ
  トハ生ジテ來ナイノデアリマス、二ツ併セ
  タノハ實際ノ便宜上ノ問題デアルト考ヘテ
  居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=120

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• 121・武田徳三郎

  ○武田委員　其ノ點ハ今申上ゲタ通リ理論
  ニ亙ルノデ其ノ程度ニ止メマシテ、大藏大
  臣ニ御伺シタイ二三點ダケヲ御質問シタイ
  ト思ヒマス、新聞ニ出テ居ル所ニ依ツテ、
  此ノ度石炭ノ增產計畫ニ關スル補助金、或
  ハ「マッチ」肥料ノ增產ニ對スル補助金等、二
  億圓ノ追加豫算ヲ御提出ニナルヤウニ伺ツ
  テ居リマスガ、是ハ低物價政策ヲ維持スル必
  要上御考ニナツタノデアツテ、私ハ相當ノ
  御計畫デアルト思ツテ居ルノデアリマスガ、
  唯問題ハ其ノ財源デアリマス、低物價政策
  ヲ目的トシテ、石炭其ノ他ノ基礎產業若ク
  ハ國民ノ生活必需品等ノ增產ニ向ツテ補助
  金ヲヤルト致シマスルナラバ、其ノ財源ニ
  付テハ餘程深ク考慮シナケレバ其ノ御趣旨
  ガ徹底シナイト思フ、一面ニ於テ補助金ヲ
  與ヘルコトニ依ツテ生產費ノ昂騰ヲ抑ヘル
  ト同時ニ、若シ之ヲ公債支辨ニ依ツテソレ
  ダケノ通貨ヲ市場ニ放出致シマスナラバ
  ㄱインフレ」ヲ誘發シ、一面ニ於テ物價ヲ抑
  ヘタモノガ他ノ方面カラ物價ノ昂騰ヲ誘フ
  ト云フコトニナツテ、是ハ矛盾スル政策デ
  ハナイカト思フノデアリマス、故ニ補助政
  策ヲ以テ低物價政策ヲ維持シヨウト云フ政
  策上ノ豫算デアリマスナラバ、其ノ財源ヲ
  增稅ニ依ツテ賄フト云フコトデナケレバ理
  論的ニハ一貫致シマセヌシ、又效果ヲ致サ
  ナイデアラウト思ヒマス、或ハ旣ニ五十億、
  六十億ノ公債ヲ出シテ居ルカラ、其ノ上ニ
  二億位ノ公債ヲ出シテモサウ大シテ影響ハ
  ナイト云フ御考デアルカモ知レマセヌ、又
  サウ云フ議論ヲスル人ガアルカモ知レマセ
  ヌガ、是ハ思ハザルノ甚シキモノデアルト
  思ヒマス、初カラ二億ノ赤字公債ヲ出シタ
  ラドウ云フヤウニ影響スルカト云フ議論ト、
  五十億、六十億ト云フ澤山ノモノヲ出シタ
  上ニ更ニ二億出スト云フコトデハ、ソコニ
  非常ナル相違ガアルト云フコトハ多クノ說
  明ヲシナクテモ宜イト思フ、藥ヲ服ム上ニ
  於テ、或ル程度ノ適當ナル分量ノ所ニ一寸
  餘計增スナラバ、其ノ藥ガ藥ニナラヌデ毒
  ニナルト云フコトモアリ得ル、ソレ故ニ單純
  ニ二億ノ赤字公債ガドレダケ「インフレ」ニ
  害ヲ爲スカト云フ問題ト、旣ニ六十億出シ
  タ上ニ更ニ二億ノ公債ヲ出シテ「インフレ」
  ノ惡性化ニ役立ツコトトハ非常ニ相違ガア
  ルト思ヒマスカラ、低物價政策ヲ維持スル
  意味ニ於テノ補助金ノ財源ハドウシテモ增
  稅ニ俟ツコトデナケレバ、政策モ效果的デ
  ナク、又論理モ一貫シナイト思ヒマスガ、
  大藏大臣、此ノ點ニ向ツテ如何ナル御考ト
  如何ナル御決意ガアルデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=121

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• 122・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　武田サンノ御意見ハ私洵
  ニ御尤モダト思ヒマス、斯ウ云フ場合ニ於
  テ國民全般ニ關係ノアル、殊ニ生活必需品
  デアルトカ、基本產業、斯ウ云フモノニ關
  係ノアル品物ニ付テ補助金ヲ出スト云フコ
  トハ、今ヤツテ居ル所デアリマシテ、石炭
  ニ致シマシテモ今日法律案ヲ提出致シテ
  居ルヤウナ譯デアリマス、ソレニ付テ是等
  ニ要スル所ノ財源ハドウスルノカ、斯ウ云
  フ御話デアリマスガ、今囘ハ其ノ財源ハマ
  ダ決定致シテ居リマセヌケレドモ、他ニ適
  當ナル財源ヲ見出スコトノ出來ナイ場合ハ
  公債ニ俟ツ外ハナイト思ヒマス、公債ニ俟
  テバソレダケヤハリ「インフレ」ヲ起スノデ
  ナイカ、斯ウ云フ御話デアリマスガ、成程
  通貨ノ膨脹ハ起シマス、隨テ是ハ避ケナケ
  レバナラヌコトデアルノデアリマシテ、御
  說ノ通リ是ハ增稅ニ俟ツト云フコトガ一番
  宜イノデアリマセウ、併シナガラ此ノ助成
  ガ、之ヲ永續シテ行クト云フモノデアリマス
  ナラバ、是ハ申スマデモナク增稅ニ依ルカ、
  或ハ之ニ依ツテ利益ヲ蒙ツタ方面カラヤハ
  リ稅ヲ取立テルヤウナコトヲ考ヘナケレバ
  ナリマセヌケレドモ、併シ今囘助成ヲ致シ
  マスノハ、要スルニ經濟界ニ於ケル所ノ主
  ナル物資ニ付テ戰時的適正價格ガ公定セラ
  レテ、サウシテ圓滑ナル配給ガ出來、其ノ
  適正ナル價格ノ下ニ生產ガ確保セラレルト
  云フコトニナリマシタ場合ニ於テハ、此ノ
  助成ハ繼續シテ行カナイノデアリマス、卽
  チ言葉ヲ換ヘテ言ヘバ一時的ト申サナケレ
  バナリマセヌ、低物價政策ニ卽應スル爲ニ
  一時的ノ手段トシテ行ヒマス其ノ助成金ニ
  付テハ、之ヲ直チニ增稅ニ俟ツト云フ事柄
  ハ適當デナイヤウニ考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、隨テ今囘ハ斯樣ナル場合ニ於テ適當ナ
  ル財源ガアリマセヌ場合ニ於テハ、勢ヒ公
  債ニ俟タナケレバナラヌト考ヘテ居リマス
  前ニ御話ニナリマシタ增稅スルノ必要ガ
  アツタ場合ニ、臨時的ノ特別ノ增稅ヲスル必
  要ガアルガ、明年出シタラドウデアルカト云
  フ風ナ御話デアリマシタガ、是ハ將來經濟
  上ノ情勢或ハ國際情勢ノ變化等ニ依リマシ
  テ、ドウシテモ增稅ヲシナケレバイカヌト
  云フヤウナ場合ガ起ツタ時ニ於テハ、御說
  ノ通リ或ハ臨時的方面ニ向ツテ增稅スルト
  云フコトガ一番適當デアルト私ハ考ヘテ居
  ルノデアリマシテ、明年此ノ方面ニ向ツテ
  增稅ヲスルト云フ風ナ考ハ持ツテ居リマセ
  ヌケレドモ、只今申スヤウナ場合ガ起ツタ
  時ニ於キマシテハ、武田君ノ御意見ハ十分
  尊重シテ參リタイト考ヘルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=122

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• 123・武田徳三郎

  ○武田委員　今ノ補助金財源ノ問題ニ付テ
  ハ、私ハ先程モ申上ゲテ居ル通リ是ハ入
  ンフレ」ノ惡性化ニ非常ナ影響ガアルト思
  フノデアリマス、之ヲ增稅ニ依ツテ賄フコ
  トガ宜イト云フコトニ向ツテハ大藏大臣モ
  御異議ナイヤウデアリマスルガ、實際問題
  トシテハ、本案ガ通過シテシマツタ後、更
  ニ此ノ財源ヲ增稅ニ求メルト云フコトハ事
  實出來ナイノデアリマス、又政府御自身ト
  シテモ本案ノ審議ニ當ツテ、更ニ一億何千
  万圓ト云フ增稅ヲ此ノ中ヘ繰入レルト云フ
  コトモ事實問題トシテハ出來ナイデアリマ
  セウ、併シ此ノ案ヲ御作リニナル時ニハ、
  勿論今ノ補助ト云フヤウナ御考ハ當局ノ頭
  ニナカツタノデアルカラ已ムヲ得マセヌ
  ガ、何トカシテ公債ニアラザル財源ヲ以テ
  補助金ノ財源ニスルト云フコトニ向ツテ格
  段ノ御工夫ヲ下サラヌト云フト、先程モ申
  上ゲタル通リニ僅カ一億五六千万若クハ二
  億足ラズノ金ダカラ、一時的ダカラト仰シ
  ヤルケレドモ、是ハ惡性「インフレ」化ノ傾
  向ノ最モ甚シイ今日ニ於テハ、其ノ影響ハ
  決シテ尠クナイト思フノデアリマス、已ム
  ヲ得ズンバ私ハ國有財產ノ一部ナリ何ナリ
  拂下ヲナサル方法ヲ執ツテナリトモ、此ノ
  補助金ノ財源ヲ公債ニアラザル他ノ財源デ
  補給スルヤウニ、政府ハ有ユル考案ト努力
  ヲシテ戴クヤウニ希望ヲ申上ゲマシテ、私
  ハ此ノ點ハ打切リマス
  次ニ伺ヒタイコトハ、先日、私ハ小委員
  會ノ方ヘ行ツテ居ツテ此ノ會デハ承ラナカ
  ツタノデスガ、新聞デ見マスト、此ノ度ノ
  物品稅ノ一部若クハ全部ヲ、場合ニ依ツテ
  ハ生產者若クハ配給者ニ負擔セシムルコト
  ガアルト云フヤウナ意味ノ答辯ヲ商工大臣
  ガナサツタヤウニ承知シタノデアリマスガ、
  是ハ如何ニモ亂暴ナコトノヤウニ私ハ思ツ
  テ居リマス、是ハ當委員會デ商工大臣ガサ
  ウ御言明ニナルノニハ、大藏大臣ト御打合
  セガアツテノ上デアリマスカ、或ハ商工大
  臣ダケノ御意見デアリマスカ、大藏大臣モ
  之ニ御同意ノコトデアリマセウカ、ドウモ
  私ハ甚ダ是ハ亂暴ナ御考デハナイカト思フ、
  殊ニ私ハ斯樣ナコトヲ若シ實行ナサルナラ
  バ折角論理的ニ出來タ此ノ度ノ改正案ト
  云フモノハ根本的ニ滅茶々々ニナリハシナ
  イカト思フノデアリマス、卽チ所得稅ヲ中心
  トスル所ノ直接稅ト云フモノハ、此ノ程度ニ
  於テ相當均衡ヲ得タモノナリトノ前提ノ下
  ニ御提案ニナツテ居ルノデアリマス、然ルニ
  消費稅ハ申スマデモナク是ハ消費者ノ負擔
  ニナルベキ性質ノモノヲ、手心ヲ以テ生產者
  竝ニ配給者ニ之ヲ一部若クハ全部負擔セシ
  ムルト云フヤウナコトヲ致シマスナラバ、此ノ
  稅制ノ構成ト云フモノハ私ハ破壞セラレハ
  シナイカト思フ、況ヤ今日ハ適正價格ヲ形
  成シヨウト云フコトガ政府ノ御意圖デアル、
  然ルニ是デハ適正價格モ滅茶々々ニナリハ
  セヌカト思フ、或ルモノハ是ハ利益ガアル
  カラ生產者ニ負擔セシムル、或ルモノハ配
  給者ニ負擔セシメヨウト云フコトヲ、政府
  ノ手心ヲ以テナサルト云フコトニナレバ、
  本當ノ適正價格ト云フモノハ出來ル譯ガナ
  イ、若シサウ云フコトヲナサルナラバ、ド
  ウシテ適正價格ヲ形成ナサルデアラウカト
  云フコトニ付テモ疑ガアルノデアリマスガ、
  何トシテモ此ノ御答辯ハ私ノ腑ニ落チナイ、
  何人モ常識的ニ腑ニ落チナイデハナイカト
  思フノデアリマスガ、大藏大臣ハ之ニ御同
  意デアリマスカ、若シ御同意デアルトスル
  ナラバ、私ガ今申上ゲタコトニ付テ御答辯
  ヲ願ヒタイ、若シ又御不同意デアリマスナ
  ラバ私ハソレ以上追究ハ致サナイノデアリ
  マス

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• 124・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　消費稅ヲ增徵致シタ場合
  ニ於テ、ソレヲ生產者ノ方ニ負擔セシムル
  ト云フ風ナコトヲ商工大臣ガ言ツタサウデ
  アルガ、ソレニ對シテハドウ考ヘルカト云
  フ御尋ト思ヒマスガ、商工大臣ノ申シマシ
  タノハ斯ウ云フ風ニ申シタノデアリマス、
  消費稅ヲ增徵シタ場合ニハ原則トシテト
  云フ言葉ヲ使ツテ居リマスガ、原則トシテ
  ソレハ其ノ物品ノ價格ガ上ゲラレルト云フ
  コトハ當然デアル、併シナガラ例外トシテ
  ハ或ハ稅金ヲ生產者ノ方面ニ於テ一部若
  クハ全部-全部トハ申シマセヌデシタガ、
  例外トシテ生產者ノ方ニ於テ幾分負擔スル
  コトガアルカモ知レヌト申シタノデアリマ
  ス、其ノ點ニ付キマシテハ、私モ全然同感
  デアリマス、消費稅ハ言フマデモナク大衆
  課稅デアリマスノデ、消費稅ノ上ツタダケ
  ハヤハリソレダケ其ノ方面ノ價格ガ上ルノ
  ガ至當デアリマシテ、隨ヒマシテ今囘ノ消
  費稅ヲ課稅致スニ付キマシテモ、主トシテ
  奢侈品若クハ不急ナ品物ニ對シテ多ク增徵
  致シタト云フコトニナツテ居ルノデアリマ
  ス、唯生產方面ニ全然負擔セシムルコトガ
  ナイカト申シマスト、實際ノ例ニ於テモア
  ルノデアリマス、私共モ其ノ點ニ付キマシ
  テハ、若シ現在ノ實情ニ於テ生產者ノ利益
  ガ多クアル會社ニ於キマシテハ、或ル程度、
  全部ナリ一部ナリヲ生產者ニ於テ負擔スル
  ト云フコトモ亦適當デハナイカト思フノデ
  アリマス、此ノ實例ヲ申シマスト、慥カ砂
  糖デアリマシタカ、此ノ前增徵致シマシタ
  時ニハ、全部價格ニ於テハ少シモ變ヘズシ
  テ、サウシテ其ノ消費稅額ダケヲ會社ノ方
  ノ負擔ニシタヤウナ例モアルノデアリマシ
  テ、其ノ點ニ付キマシテハ十分ニ考慮致シ
  テ實行スルコトニ致シタイト思フノデアリ
  マス、詰リ總テノ方面ニ向ツテノ適正價格ガ
  出來テ、利潤ガ最早是以上イカヌト云フ風
  ニ、全部ノ物價ガキチントナツテ居リマス
  際ニ於キマシテハ、消費稅ヲ增徵致シマス
  レバ、消費稅ダケハ値ガ上ル譯デアリマス
  ガ、或ル部分ニ於テ多クノ利潤ヲ持ツテ居
  ル方面ガアツタト致シマスレバ、其ノ利潤
  ヲ割イテ、サウシテ此ノ價格ノ方ヲ安クス
  ルト云フコトモ爲シ得ルコトト考ヘテ居ル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=124

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• 125・武田徳三郎

  ○武田委員　自由經濟ノ場合ニ於テ消費稅
  デアルカラト云ツテ、總テガ消費者ノ負擔
  スルモノデナイ、事實上ニ於テ生產者、若
  クハ配給業者ガ負擔スル場合ノアルト云フ
  コトハ、是ハ勿論承知致シテ居リマス、ソ
  レハ自由經濟ノ場合ニ於テ、經濟ノ自然ノ
  運行デサウナルノハ當然デアルノデアリマ
  スケレドモ、今日ノヤウナ統制經濟ノ相當
  强化サレテ居ル場合ニ於テ、生產者ニ之ヲ
  負擔セシムルカ、消費者ニ之ヲ負擔セシム
  ルカ、配給業者ニ之ヲ負擔セシムルカト云
  フコトハ、政府手心ノ如何ニ依ツテドウ
  ニモナル話デアリマス、若シ單ニ經濟論ト
  シテ自由經濟ガ支障ナク運行シテ居ル場合
  二、大體ノ傾向トシテハ消費稅ハ消費者ガ
  負擔スル、直接稅ハ生產者ガ負擔スルト云
  フ建前ダケヲ仰シヤルト云フナラバ、何モ
  異論ハナイ話デアル、而シテ實際政治ニ於
  テ、商工大臣ガソンナコトハ何モ此處ニ
  於テ御說明ニナル必要ハナイ、特ニサウ
  御言明ニナルト云フノニハ、或物ニ依ツ
  テハ政府ノ權力ヲ以テ生產者ニ負擔サセ
  ル、或ル物ハ配給業者ニ負擔サセルト云フ
  コトノ意圖ガアツテコソ、初メテ論議ノ的
  ニナルノデアリマス、私ハサウ云フコトヲ
  政府ノ手ニ依ツテ勝手ニヤルト云フコトハ
  非常ニ危險ナコトデハナイカト思フ、尤モ
  ソレニハ取除キガアリマス、甚シク獨占價
  格ノモノニ對シテハ政府ガ相當之ニ干涉サ
  レルコトモ適當カモ知レヌ、ソレハ其ノヤ
  ウニ法令ニ依ツテ政府ガ權限ヲ與ヘテ、サ
  ウ云フコトヲヤツタラ宜カラウト思フノデ
  アリマス、獨占價格ニ付テハ獨占價格ヲ制
  スルノ途ガ自ラアルノデアリマス、普通ノ
  經濟ノ運行ニ於テ、政府ノ權力ヲ以テ或ル
  部分ヲ生產者ニ負擔サセ、或ル部分ヲ配給
  業者ニ負擔サセルト云フヤウナコトヲ、行政
  的手段デ以テオヤリニナルト云フコトハ非
  常ニ危險ナコトデ、今日官僚獨善ト云フヤ
  ウナ議論ガ多ク出ルノハサウ云フ點カラ
  デハナイカト私ハ思フノデアリマス、若シ
  單ニ經濟論トシテ、消費稅モ時ニ依ツテハ
  生產者ガ負擔スルコトガアリ得ルト云フナ
  ラバ、私ハ何モ別ニ反對ヲ致シマセヌ、玆
  ニ論議スル必要ハナイト思ヒマス、ソレダ
  ケノコトヲ申上ゲテ、大藏大臣カラ御注意
  ヲ願ヒタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=125

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• 126・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　今ノ武田サンノ御質問ニ
  關聯シテ、大臣ノ御答辯ニ付テ私モ承ツテ置
  キタイト思ヒマス、私ハ簡單率直ニ御尋致
  シマス、途中カラデスガ、今ノ御話ヲ伺ツ
  テ居ルト、今囘ノ稅法ニ於テ砂糖ナリ或ハ
  酒類、是等ニ付テハヤハリ生產者、配給業
  者ニ轉嫁サレル御意思ガアルノデスカ、砂
  糖ナリ酒類ニ關スル增稅差額ハ、消費者ニ
  轉嫁サレルカ、ソレヲハツキリ承ツテ置キ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=126

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• 127・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　先刻來申シテ居リマス通
  リ、原則トシテ消費稅ノ上ツタダケハ、要
  スルニ其ノ價格ガ上ルコトハ已ムヲ得ナイ、
  卽チ上ルモノト斯樣ニ考ヘテ居リマス、ソ
  レカラ砂糖ノ方ニ對シテハ、ドウスルカト
  云フ川崎君ノ御意見デアリマスガ、是ハ所謂
  今度獨占デモアリマセヌケレドモ、獨占的
  事業ニ依ツテ從來相當ナ利潤ヲ擧ゲテ居リ
  マシタ關係上、此ノ以前ノ增稅ノ際ニハ、其
  ノ增稅シタル全額ヲ消費者ニ課セズシテ、
  自分ノ會社ニ於テソレヲ負擔致シテ居リマ
  ス、併シナガラ今囘ノ增稅ニ於テ今マデ生
  產者ニ於テ負擔シテ居ルカラ、今囘モ亦負
  擔セヨト云フ風ナコトハ是ハ中々容易ニ
  行ハレナイコトデアリマシテ、其ノ會社ガ
  非常ナ利益デモ擧ゲテ居リマスレバ、今武
  田サンノ仰セニナル通リ、他ノ方法ニ依ツ
  テ値下セシムルコトモ行ヒマスケレドモ、
  兎ニ角原則ト致シマシテハ、消費稅ノ上ツ
  タダケハ上ゲテ仕方ナイモノト、斯樣ニ考
  ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=127

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• 128・小山倉之助

  ○小山委員　議事進行ニ關シテ發言ヲ許シ
  テ戴キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=128

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• 129・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ議事進行デスカラ
  許シマス-小山君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=129

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• 130・小山倉之助

  ○小山委員　私ハ此ノ委員會ニ於キマシテ
  ハ、質問スル機會ヲ失ツタノデアリマシテ、
  書面ヲ以テ御質問申上ゲマスカラ、之ヲ速
  記錄ニ載セテ戴キタイシ、又之ニ對スル御
  囘答ヲ速記錄ニ載セテ戴キタイト思フノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=130

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• 131・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　之ヲ許可致シマス、一ツ答
  辯モ明ニシテ戴キタイ-川崎君宜シウゴ
  ザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=131

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• 132・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　酒ハドウデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=132

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• 133・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　酒モ今申シタ通リデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=133

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• 134・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　此ノ點ニ付テハ宜シウゴ
  ザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=134

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• 135・北浦圭太郎

  ○北委員　今日ハ內務大臣ガ居ラシツタカ
  ラ、私ノ保留シテ居ル分ヲ此ノ際ニ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=135

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• 136・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　保留シテ居ルノハ心得テ居
  リマス、武田君ハ餘リ長ク掛リマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=136

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• 137・武田徳三郎

  ○武田委員　サウ長クハ掛リマセヌ、アト
  二三點デス、私モ成ベク簡單ニ致シマスカ
  ラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=137

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• 138・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　武田君ハ今日初メテノ質疑
  デスカラ、モウ少シ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=138

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• 139・武田徳三郎

  ○武田委員　ソレデハ大藏大臣ニモウ一ツ
  伺ヒタイコトガアリマス、一昨日ノ委員會
  ノ主稅局長ノ御答辯ノ中ニ減價償却ハ四月
  以後其ノ內規ヲ變ヘル豫定ダガ、マダソレ
  ハ決シテ居ナイ、斯ウ云フ御話デアツタノ
  デアリマスガ、ドウ云フ工合ニ御變へニナ
  ル御見込デアルカ知リマセヌガ、何レ是マ
  デノ御說明ノ御趣旨カラ云ヘバ、生產力
  擴充ヲ援助スルト云フヤウナ意味カラ、或
  ハ或ル事業ニ對シテハ減價償却ノ年限ヲ短
  縮スルト云フヤウナ御意圖デハナイカト、
  私ハ想像致シテ居ルノデアリマス、私ノ伺
  フコトハ或ハ一寸突飛カト御考ニナルカモ
  知リマセヌガ、私自身ハ是ハサウデナイト
  考ヘテ居ルカラ、御尋スルノデアリマスガ、
  實ハ私ハ此ノ戰時體制ニ於キマシテ、減價
  償却ヲ短縮スルト云フコトハ、戰時體制ノ
  意味ニ逆行スルモノデハナイカト云フ意見
  ヲ持ツテ居ルノデアリ、是ハ普通ニ論ゼラ
  レテ居ル所トハ一寸逆デアリマスケレドモ、
  私ハソレガ正シイノデハナイカト思フノデ
  アリマス、戰爭ニ於キマシテ總テノ物資ガ
  十分ノ場合ニハ是ハ議論ハアリマセヌ、併
  シナガラ今日ノ如ク非常ニ物資ガ不足ヲシ
  テ「ストック」モ食ヒ盡シテ居ルト云フ時代
  デアリ、勞働モ普通ノ勞働時間ヨリハ、餘計
  ニ働カネバナラヌト云フ時代デアルノニ、
  機械ダケヲ償却ヲシ長クスルト云フコト
  ハ、機械ニ無理ヲ加ヘル、機械ヲ無理ニ使
  フト同ジ理窟ニナルノデアリマスカラ、機
  械ダケヲ安全ニシテ置カナケレバナラヌト
  云フ理窟ハナイ、機械ハ一個ノ「ストックㄴ
  デアリマス、國家ノ危急切迫ノ場合ハ「ストッ
  クモ食ツテ行クト云フコトハ又已ムヲ
  得ナイ、現ニ今日マデ此ノ二年半ノ間
  ニ-、今日ノ此ノ窮迫ノ經濟ハ、有ル所ノ
  「ストック」ヲ食ツテ來タ結果デアツテ、是
  ハ已ムヲ得ナイ、然ラバ此ノ戰時體制ニ對
  シテハ、私ハ償却年限ヲ寧ロ延バスコト
  ガ、本當ノ筋合デハナイカト思フ、サウシ
  テ戰爭ガ終ヘタ後ニソレヲ取返ス爲ニ償却
  年限ヲ短クスルト云フノナラバ理窟ハ合フ
  ガ、此ノ場合之ヲ短縮スルト云フコトハド
  ウモ私ニハ、ソレハ理論的ニモ實際的ニモ
  私ハ一寸違ウテ居リハシナイカト云フ風ニ
  考ヘルノデ、此ノ點ヲ一ツ伺ヒタイノデア
  リマスルガ、何カ特殊ノ御考ガアルカドウ
  カ知リマセヌケレドモ、一寸其ノ點ニ疑問
  ヲ持ツテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=139

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• 140・櫻内幸雄

  ○櫻内國務大臣　減價償却ニ對シテ、ドウ
  云フ割合デソレヲ見ルカト云フコトニ付キ
  マシテ、之ヲ變ヘタイト云フ意味ハ、今御
  話ノ通リ、減價償却ノ年限ヲ短縮シヨウト
  云フ意味ヲ多分ニ含ンデ居リマス、同時ニ
  從來全然減價償却シテ居ナカツタ所ノ會社
  三つ、多少ソレヲ認メルト云フ考モ含マレ
  テ居ルノデアリマス、ソレデ減價償却ヲ短
  縮スルト云フノハ、何處ニ利益ガアルカト
  申シマスト、會社トシテハ非常ナ利益ガア
  リマス、ナゼナラバ此處ニ十万圓ノ利益ガ
  アツタ、其ノ時ニ於テ、從來ハ其ノ建設資
  金ニ對シテノ五分デアルトカ、或ハ二分デ
  アルトカ之ヲ擴張シテ行ク、ソレヲ三分ナ
  リ、五分ダケノモノ、金額ニシテ十万圓ノ
  中、假ニ五千圓ノ償却ヲシテ居ツテ、一万圓
  許スト云フコトニナリマスト、今マデハ九
  万五千圓ニ對シテ課稅致シタガ、今囘ハ九
  万圓ニ對シテ課稅ヲスルト云フコトニナリ
  マスカラ、稅額ガ減ツテ參リマス、斯樣ナ
  コトヲナゼスルカ、斯ウ申シマスト、今ノ
  御話ノ通リニ償却ヲシテシマツタカラト言
  ツテ、機械ハ捨テルモノデハナイ、機械ハ
  何處マデモ使フノデアリマス、使フカラ償
  却率ト云フモノヲ殖ヤシマス、其ノ爲ニハ
  幾多ノ原因ガアリマスガ、ソレハ新タニ事
  業ヲ起シマス時ニ、今マデ稅務署ガ此ノ工
  場ハ二十箇年償却デナケレバ許サヌト、斯
  ウ言ハレテ居リマスガ、其ノ二十分ノ一ダ
  ケシカ償却ハ認メテ吳レマセヌ、今日ハ戰
  時時代デアリマスカラ、或ル程度特殊ナ仕
  事ニ付テハ、多ク儲カリマセウガ、其ノ儲
  カル金ハ全部稅金ニ取ラレテシマウ、サウ
  シテ三年カ、五年カ、所謂今日ノ重工業ガ全
  ク衰微シタ時ニナリマスト、今度ハ利益ガ
  擧ガリマセヌ、利益ガ擧ガラヌノニ仕事ハ
  全ク出來ヌ、稅金ダケ多ク取ラレルト云フ
  コトニナルノデアリマシテ、仕事ノ繼續ガ出
  來ナイ、斯ウ云フコトニナルノデアリマス、
  ソコデ先ヅ極ク明カナ例ヲ申シマスト、
  戰時工業ノ如キ問題ニ對シマシテ、鐵ノ所
  謂軍需資材ナドヲ造ル工場ヲ設ケマシテ、
  軍需資材ヲ造ツテ、其會社ガ、二十年モ、
  三十年モ現在ノ註文ノ數ダケ註文ガ來レバ
  宜シイケレドモ、斯樣ナルコトハ、今マデ
  ノ實情カラ見テ、三年ナリ、五年ナリノ間
  ハ續キマスガ、或ル年限ニナツテ來マスト
  註文ハ減ツテ來マス、減ツテ來ルト利益
  ガナクナツテ來ル、利益ガナクナツテ來
  ルト會社ノ基礎ガ危ブナクナツテ來ル、故
  ニ儲ツテ居ル時ニ或ル程度會社ノ財產ヲ償
  却シテ置キマセヌト、將來永續ハ致サナイノ
  デアリマス、ソレデ先ヅ償却ヲ多クスルコ
  トヲ認メテヤツテ、サウシテ課稅標準ト云
  フモノヲ、償却ノ金額ヲ引イタ殘リニ課稅
  致ス、斯ウ云フコトノ建前ヲ採ツタノデア
  リマス、ソレカラ今一ツ化學工業等ニ付テ
  見ルニ、是ハ日進月步デアリマシテ、今日
  百万圓掛ケタ工場モ、五年經テバ、其ノ工
  場デ製造シタ品物デハ、原價ガ高クナツテ
  仕事ガ出來ナイ、斯ウ云フヤウナモノガ澤
  山アリマスガ、殊ニ新シイ發明的ノ化學工
  業ニ於テハ、サウ云フコトガ多イノデアリ
  マシテ、サウ云フモノハ最初儲ツテ居ル
  時ニ、極メテ短期間ニ於テ、其ノ財產ヲ償
  却スルト云フコトヲ許シテヤラヌト、其ノ
  仕事ヲヤルモノガナイノデアリマス、又中
  間的ニ申シマスナラバ、例ヘテ言ヘバ今農
  家ニ最モ必要ナル硫安、此ノ硫安ナドモ、
  昭和六年ニ付テ考ヘテ見マスルト、一番良イ
  工場ハ一瓲四十四五圓デ製造シタノデアリ
  マスガ、惡イ工場ハ八十六圓モ掛ツテ居
  ル、ナゼ八十六圓モ掛ルカト云フト、今マ
  デ償却ト云フモノガシテナカツタ爲ニ、次
  第次第ニ古イ機械ニナツテ、新シイ能率的
  ノ機械ト比ベテ其處ニ非常ニ差ガ生ジタ、
  斯ウ云フ譯デアリマシテ、八十六圓ノ方ノ
  工場ハヤリ切レナクナツタ、斯ウ云フ譯デ
  アリマス、今日ハ硫安等ニ付キマシテモ、
  百何十圓ノ「コスト」ガ掛ツテ居リマスカラ、
  現在ノ時代ニ於キマシテハ、殊更デアリマ
  スガ、サウ云フ事情デアリマスノデ、ドウ
  シテモサウ云フヤウナ仕事ハ或ル程度ノ年
  限ノ中ニ、其ノ資本金ノ何分ノ一カハ償却ガ
  出來ナケレバ、其ノ事業ノ永續ガ出來マセ
  ヌノデ、隨ヒマシテ若シ此ノ減價償却ト云
  フモノヲ、相當見テヤルト云フコトニシマ
  セヌケレバ營業ガ繼續出來マセヌ、減價
  償却ヲ多ク見テヤルト、稅金ノ上ニ於テド
  ウ云フ缺點ガアルカト申シマスト、一年間、
  年々ノ差當リ取ル金額ハ少イケレドモ、永
  續シテ取リマスカラ、若シ減價償却ヲシテ、
  財產ガ百万圓ノモノガ十万圓ニナツタモノ
  ト致シマスレバ、其ノ十万圓ニナツテ生ズ
  ル所ノ利益ガ、從來ト同ジコトニナツテ、
  非常ニ大キナ稅金ガ取レルノデアリマシテ、
  先ヅ稅金ヲ平均シテ取ルト云フ上カラ言ツ
  テモ、效果ガアルト思ヒマスシ、又產業ノ
  發達助成ノ上カラ見テモ、此ノ減價償却ト
  云フモノヲ適當ナ所ニ持ツテ行カナケレバ
  相成ラヌト、斯樣ニ考ヘルノデアリマシテ、
  今日ノ如キ所謂重工業ノ發展ヲシツツアル
  場合、又殊ニ化學工業ノ發展シツツアル場
  合ニ於キマシテ、其ノ減價償却ニ付キマシ
  テハ適當ナ償却率ヲ定メテ、サウシテ課稅
  ヲスルノガ適當デアルト思フノデアリマシ
  テ、其ノ課稅ニ依ツテ其ノ年限ガ來レバ、
  之ヲ捨テテシマフ譯デモ何デモナイ、寧ロ
  其ノ時ニナツテ從來通リノ利益ガアリマス
  レバ、ヨリ多クノ利益ガ生レテ來ルノデア
  リマスカラ、玆ニ稅金ヲ課スル所ノ力モ出
  テ來ルノデアリマシテ、此ノ事柄ニ付キマ
  シテハ、特ニ留意シテ、左樣ナ方針デ行ク
  ヤウニ決メタ譯デアリマス

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• 141・武田徳三郎

  ○武田委員　大藏大臣ノ只今ノ御說明ハ御
  尤モナコトデアリマシテ、私ハ其ノ事ヲ承
  知シテ居テ尋ネテ居ルノデアリマス、大臣
  ノ仰シヤルヤウナコトハ、少シク事業ノ實
  際ヲ知ツテ居ル者ハ、承知致シテ居ルノデ
  アリマス、ソレヲ承知致シテ居ツテ尙ホ私
  ハ質問スルノデアリマス、私ノ質問ニハ大
  臣ノ今ノヤウナ議論ハ當ラヌノデアリマス、
  或ハ戰時體制ナルガ故ニ、一面ニ於テハ政
  府ハ償却年限ヲ短クスルト仰シヤルノヲ、
  戰時體制ナルガ故ニ少シ長クスル方ガ宜ク
  ハナイカト、斯ウ考ヘルノデアリマス、ソレ
  ハ無理ガアリマス、勿論戰時體制ニハ機械
  ヲ虐使シテ居ルカラ、本來ノ理論カラ云フ
  ナラバ、償却年限ヲ短縮スルト云フコトガ、
  本筋デアリマセウケレドモ、今ハ國家ガ死
  ヌカ活ルカト云フ場合デアリマス、普通ノ
  所得ダケデハイカナイノデアリマス、「ス
  トック」ヲ、皆食ツテ行カナケレバ此ノ戰爭ガ
  出來ナイト云フ時ニ、機械ノ「ストック」ヲ多
  少食フト云フコトハ、巳ムヲ得ナイデハナイ
  カト私ハ思フノデアリマス、卽チ一面ニ於
  テハ是ハ增稅ヲ意味スルノデアリマス、ソ
  レ故ニ私ハ今日減價償却ヲ長クシテ、他日
  此ノ事變ガ終ヘタ後ニ減價償却ヲ短クシタ
  ラドウカ、其ノ必要ガアルノデハアリマセ
  ヌカト私ハ申シテ居ルノデアリマス、大臣
  ノ今ノヤウナ御說明ハ、是ハモウ當リ前ノ
  コトヲ、當リ前ニ言ツテ居ルト云フ以上ニ
  ナイノデアリマス、私ハ戰時體制ニ應ズル
  ノニハ、サウ云フ逆ナ仕方ヲスル所ノ必要
  ガアルノデハナイカト云フ考カラ、今申シ
  タノデアリマス、併シ之ヲ御認メニナラヌ
  ト云フコトデアレバ、ソレモ是非ナイコト
  デアル、是ハ法律デ決メルコトデハナイノ
  デアリマシテ、手心デ決メルコトデアリマ
  シテ、一應私ノ考ヲ申上ゲテ御意見ヲ承ツ
  タノデアリマス、御意見ガアリマスレバ承
  ツテモ結構デス

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• 142・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　武田君ノ御話ハ分リマシ
  タ、ソレハ詰リ戰時下デアルカラ、十年ノ
  償却ノモノナラバ、十五年ナリ、二十年ナ
  リニ延シテ、サウシテ本期ノ利益ヲ多ク計
  上セシメテ、ソレニ課稅シテ差支ナイデハ
  ナイカ、斯ウ云フ御議論ノヤウニ拜聽致シ
  マジタ、ソレモ一ツノヤリ方デアリマセウ、
  詰リ新シク計畫スル仕事ニ對シマシテハ、
  減價償却ノ年限ヲ相當見テヤラナケレバ企
  業ヲ致シマセヌカラ、之ヲ見テヤルガ宜シ
  イ、又重工業デアルトカ、化學工業デアル
  トカ、特別ナドウシテモ償却ヲスルコトヲ
  多クシテ、短期日ニ於テ償却スルコトヲ許
  シテヤラナケレバ、是ハ仕事ガ出來ナイノ
  デアルカラ、ソレハ差支ナイガ、一般ノ仕
  事ニ對シテ其ノ償却年限ヲ增ス、サウスレ
  バ其ノ差當リノ期ニ於テハ利益ガ多ク出テ
  來ルカラ、ソレニ課稅ヲスレバ增收ニナル
  デハナイカ、此ノ點ニ付キマシテハ御話ノ
  通リデアリマス、併シナガラサウ云フ仕事
  ニ付テ考ヘテ見マスルト、今戰時情勢ノ下
  ニ於キマシテハ、サウ云フ仕事ハ多クハ利
  益ガ減ツテ居リマス、今利益ノ多イ殷賑產
  業ノ主ナルモノハ、申スマデモナク重工業
  竝ニ化學工業ノ方面デアリマス、斯ウ云フ
  方面ハ殷賑產業デアリマスガ、俗ニ言フ平
  和產業ノ方面ニ於キマシテハ、仕事ハ減ツ
  テ利益ハ減ツテ居リマス、其ノ利益ガ減ツ
  テ居ル際ニ、更ニ減價償却ノ年限ヲ殖ヤシ
  マスルト、更ニソレハ一層苦境ニ入ルノデ
  アリマシテ、是ハ餘程考慮シナケレバナラ
  ヌノデアリマス、武田サンノ御意見ハ能ク
  分リマシタノデスガ、斯ウ云フ點ニ付キマ
  シテハ愼重ニ考慮ヲ致シマシタ上ニ適當ニ
  致スヤウニシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=142

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• 143・武田徳三郎

  ○武田委員　私ハ大臣ニ御伺スルコトハ其
  ノ程度デアリマス、後ハ局長ナリ國稅課長·
  ナリカラ、御答辯ヲ願ヒタイト思フ三四點
  ガアルノデアリマス、私ハ借入金ノ利子ハ
  總テ控除シナケレバ綜合課稅ノ本質ニ適ハ
  ナイノデハナイカ、斯樣ニ思フノデアリマ
  スガ、此ノ度ハソレハシテ居ナイノデアリ
  そく、ソレハ局長サンノ御意見デハ其ノ所
  得ヲ得ル爲ニ必要ナ借入金ノ利子ニナラザ
  レバ、引クベキ性質ノモノデハナイト云フ
  ヤウデアルノデアリマスガ、或ハ借入金ノ
  利子ヲ引クト云フコトハ徵稅技術上、或ハ
  徵稅費ガ高マル點カラ困難デアルカラヤラ
  ヌト云フノデアリマスカ、ドウ云フ點デアリ
  マセウカ、其ノ點ヲ御伺シタイ.ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=143

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• 144・大矢半次郎

  ○大矢主稅局長　是ハ旣ニ御答シテアルノ
  デアリマスガ
  〔委員長退席、立川委員長代理著席〕
  借入利子ヲ支拂フト云フ意味ニ於テ、擔
  稅能力ヲ減殺スルノハ事實デアリマスカ
  ラ、サウ云フ觀點カラ致シマスルト、負債
  發生ノ原因如何ヲ問ハズ、利子ハ所得カラ
  控除スルノガ適當ダト云フ議論ハ一應成立
  チマスケレドモ、併シナガラ今日ニ於キマ
  シテハ入ツテ來ル收入ヲ全部捕捉シテ居
  ル譯デハナイノデアリマシテ、度々申上ゲ.
  マス通リ、財產ノ處分益ト云フヤウナ一時
  所得ハ、原則トシテ課稅ニナツテ居リマセ
  又、或ハ又自家用住宅ヲ借金デ以テ建テタ
  ト云フヤウナ場合ニ於キマシテモ、其ノ自
  家用住宅ノ利用價額ヲ所得ノ方ニ計算シテ
  居リマセヌ、斯ウ云フ事情デアリマスカラ
  隨テ借入金ノ利子ヲ全額控除スルト云フノ
  ハ、所得全部ヲ課稅ノ中ニ取入レナイ今日
  ト致シマシテハ、適當デハナイト思フノデ
  アリマス

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• 145・武田徳三郎

  ○武田委員　私ハ今ノ御意見ハ分類所得稅
  ナラバ、洵ニ適切ナル御意見ダト思フノデ
  アリマスガ、綜合所得稅ニ取ツテハ、其ノ
  御議論ハ少シク論理一貫セヌ點ガアルノデ
  ハナイカト思ヒマス、元來普通ニ言ヒマスナ
  ラバ、綜合所得稅ト云フモノハ、詰リ其ノ
  人ノ利益ニ應ジテ稅ヲ取ルト云フコトナラ
  バ、綜合所得デナイノデアリマス、分類所
  得稅ダケデ澤山所得ノアツタ者カラハ澤
  山取レバ宜イノダカラ、比例稅デ宜イノデ
  アリマス、其ノ比例稅ノ上ニ綜合所得稅ヲ
  課ケルノハ申スマデモナク御說ニアル通
  リデアリマス、是ハ所謂限界效用說カラ出
  タモノデアル、餘計アル者ハソレダケ餘計
  拂ツタラ宜イト云フコトハ、限界效用說カ
  ラ出タモノデアルト私ハ承知シテ居ルノデ
  アリマス、サウスルト結局其ノ限界效用ナ
  ルモノハ、其ノ人ノ本當ノ支拂能力ヲ見ナ
  ケレバ、私ハ出テ來ナイト思フ、實際ノ支
  拂能力ト云フモノヲ見ナケレバナラヌ、サ
  ウスルト實際上ノ其ノ人ノ支拂能力ヲ見ル
  ト云フコトハ、其ノ人ガ任意ニ支拂フモノ
  ト違ツテ、其ノ人ハ旣ニ借入金ガアツテ、
  不德ノコトヲ爲サヌ以上ハ、其ノ利子ダケ
  ハ支拂ハナケレバナラヌ、實際問題カラ言
  ツテ見マシテモ一万圓ノ收入ノアル人ガ一
  万圓ノ利拂ヲシナケレバナラヌヤウナ人
  ハ、天下決シテ少クナイ、其ノ人ガ全然支
  拂能力ガナクテモ、ソレハ借入金ノ利子ヲ
  控除シナイト云フコトニナツタナラバ、其
  ノ人ハ二年、三年續クナラバ稅ノ爲ニ破產
  シナケレバナラヌト云フコトハ、是ハ一ツ
  ノ說デハナイ、實際ノ上ニモアル、旣ニ限
  界效用說ガ綜合所得ノ累進稅ノ根據デアル
  ナラバ、實際上ノ支拂能力ノコトモ考慮シ
  ナケレバナラヌ、私ハ借入金ノ利子ヲ控除
  スルノハ、徵稅技術上困難デアツテ、徵稅
  費ガ非常ニ掛ルト云フ理由カラ、從來ハソ
  レヲ認メナカツタト承知シテ居ルノデアリ
  マスガ、今ノ局長ノ御意見カラスレバ、サ
  ウデナイヤウニ御話デアリマスガ、私ノ重
  ネテ申上ゲタ意見ニ對シテ、局長ノ御意見
  ヲ伺ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=145

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• 146・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　綜合所得稅ニ於テハ、是
  非借入金ノ利息ヲ控除シテ貰ハナケレバナ
  ラヌト云フ御說デアリマスルガ、一方綜合
  所得稅ナルガ故ニ、其ノ人ニ歸屬スル所得
  ハ、一切之ヲ加ヘナケレバナラヌト云フ議
  論ガ成立チ得ルト思フノデアリマス、併シ
  是ハ前ニモ申上ゲマシタ通リ、今日ノ課稅
  技術ト致シマシテ、到底有ユル其ノ人ニ歸
  屬スル所得ヲ捕へ得ナイト云フヤウナ狀況
  デゴザイマシテ、課稅所得ハ法律デ列擧致
  シテ居リマス、財產ノ處分利益、或ハ株式
  ヲ額面デ引受ケテ何箇月カ持ツテ「プレミ
  アム」ガ付イテ居ルモノヲ、課稅所得ニ見
  テ居リマセヌ、一方ニ於テ又財產ノ處分
  損ト云フノヲ損ニ見テ居リマセヌ、斯ウ云
  フヤウナ狀況ノ場合ニ、獨リ借入金ノ利息
  ハ擔稅能力ヲ減殺スルモノダカラシテ、其
  ノ借入金ノ發生原因如何ヲ問ハズ、總テ之
  ヲ控除シナケレバナラヌト云フ理由ハ、成
  立チ得ナイト思フノデアリマス、原則トシ
  テ武田サンノ仰セノヤウニ進ンデ行クベキ
  デハアリマスケレドモ、我國ノ課稅ノ現段
  階ニ於キマシテハ、ソコマデ進ミ兼ネル、
  此ノ度配當所得ニ於キマシテ、元本取得ニ
  要シタ借入金ノ利息ヲ見ヨウト云フノモ、
  從來見ナカツタノニ一步踏込ンデ行ツテ武
  田サンノ御趣旨ニ近付ク、斯ウ云フ譯デア
  リマシテ、將來ハ其ノヤウニ進ンデ行
  カナケレバナラヌ問題ダト思フノデアリマ
  ス、今日ニ於キマシテモ營業所得、或
  ハ貸室貸屋所得等ニ於キマシテハ、是ハ所
  得ヲ得ルノニ必要ナ借入金ノ利息ヲ經費ニ
  見テ居リマシテ、課稅技術上借入金ノ
  利息ヲ調査スルノガ困難ナルガ故ニ、
  切ノ借入金ノ利息ヲ經費ニ見ルト云フコト
  ヲ致シテ居ナイト云フ譯デハゴザイマセヌ、
  一切ノ入ツテ來ルノヲ課稅所得ニ取入レナ
  イ點モアリ、又處分損ノ如キ負擔力ヲ減殺
  スルモノモ見テ居ナイ今日デアリマスカラ
  シテ、借入金ノ利息ニ付キマシテモ、或ル
  限度ヲ置イテ、其ノ限度以内ニ於テ之ヲ經
  費ニ見ヨウ、斯ウ云フ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=146

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• 147・武田徳三郎

  ○武田委員　今ノ局長ノ御答辯ニハ尙ホ私
  ハ滿足スルコトガ出來マセヌガ、餘リ論議
  ヲ致スノモ時間ノ都合モアリマスルカラ、
  ソレハ其ノ程度デ終ツテ置キマシテ、ソレ
  ト關聯シテ斯ウ云フコトヲ伺ツテ置キマス、
  綜合所得稅ノ對象デアル綜合所得ノ中カ
  ラ、分類所得稅ヲ控除スルト云フコトハ私
  ハ當然ノコトノヤウニ思フノデアリマスル
  ガ、本案ニハサウデナイヤウニアルト私ハ
  記憶シテ居リマス、私ノ考へ違ヒデアリマ
  セウカ、何カ他ニ理由ガアツテ控除シナイ
  コトニナツテ居ルノデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=147

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• 148・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　是モ前ニ二囘程御答シテ
  居ルノデアリマシテ、個人ノ所得稅ニ於キ
  マシテハ、分類所得稅ト綜合所得稅ト兩々
  相俟ツテ、負擔ノ均衡ヲ得ルヤウナ課稅ヲ
  スル、斯ウ云フコトニナツテ居ルノデアリ
  マシテ、理論的ニ何レヲ先ニシテ、何レヲ
  後ニスルト云フ譯デハナイノデアリマス、
  唯分類所得稅ノ中配當利子及ビ勤勞所得ニ
  付キマシテハ、稅金ヲ納メル場合ニ、綜合
  所得稅ヲ納メル前ニ納メル、斯ウ云フコト
  ニナツテ居リマシテ、稅金ヲ納メル時期ガ
  先ニナツテ居ルダケデアリマシテ、配當利
  子所得、勤勞所得ニ於キマシテモ、乙種ノ
  モノニ付キマシテハ、是ハ綜合所得稅ハ同
  時ニ賦課サレ、徵收サレル、斯ウ云フコト
  ニナツテ居ルノデアリマシテ、綜合所得稅
  ヨリモ分類所得稅ノ方ガ先ニ決ツテ、サウ
  シテ綜合所得稅ト云フノハ、其ノ分類所得
  稅ヲ差引イタアトノ所得ニ課稅スルノダト
  云フ建前ニハ出來テ居ナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=148

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• 149・武田徳三郎

  ○武田委員　私ハ更ニ他ノ點ヲモウ少シ伺
  ヒタイノデスガ、是ハ此ノ委員會デモ屢〓
  問題ニナツタノデアリマスルガ、卽チ法人
  ノ計算上、所得稅竝ニ法人稅ヲ損金ニ入レ
  ルカ入レナイカト云フ問題デ、是ハ一番重
  要ナ點デアルト思フノデアリマス、私ハ元
  來此ノ政府案ガ理論的ニ適當デアルト思ツ
  テ居ルノデアリマス、是ハドウシテモ理論
  的ニ損金ニ入レナイデ、利益金カラ支拂フ
  ベキモノト、私ハ信ジテ居ルノデアリマス、
  併シナガラ私ハ他ノ點ニ少シク疑問ガアル
  ノデアリマシテ、其ノ點ヲ伺ヒタイノデア
  リマス、此ノ度政府ノ意向トシマシテハ、
  適正價格ヲ形成スルト云フ方向ニ突進ンデ
  居ルノデアリマス、適正價格ハ勿論總テノ
  物資ニ適用サレルモノデハナイ、若干ノ物
  資ノミニ限ラレテ居ルノデアリマスガ、併
  シ重要ナ物資ニハ適正價格ガ形成サレルコ
  トト思フノデアリマス、其ノ場合ニ、此ノ
  所得稅竝ニ法人稅ヲ損金ニ入レナイデ、利
  益ノ中カラ控除スルト致シマスト、適正價
  格ノ關係ガドウナリマセウカ、事業ノ如何
  ニ依ツテハ、詰リ稅ヲ支拂ハナイ所ノ純益ト
  云フモノハ、必ズシモ一樣ニ行クトハ言ヘ
  ナイノデアリマス、其フ場合ニ利益ノ中カ
  ラ所得稅、法人稅ヲ支拂ハセルト云フ形ニ
  ナリマスト、例ヘバ適正價格ニ付テ、利潤
  率ヲ一割若クハ一割二分ト見タ場合ニ其ノ
  業態如何ニ依ツテ非常ニ困ル者ト、困ラナ
  イ者トガ出來テ來ルト思フ、卽チ稅込デナ
  イ所ノ利益ノ少イ人ガ、割合ニ適正價格ノ
  利益率ガ多クナリ、又元來利益ノ少カルベ
  キ人ハ、損金ノ中カラ稅ヲ引カナイ結果ト
  シテ、其ノ利益ノ中カラ稅ノ引キ方ガ少ク
  ナリマスカラ、利潤率トシテ見ル場合ニ、
  ソレハ多クナルト云フヤウナ矛盾シタ現象
  ガ起キテ來ハシナイカ、斯樣ニ私ハ考ヘル
  ノデアリマスガ、要スルニ此ノ適正價格ヲ
  形成スル場合ニ所得稅竝ニ法人稅ヲ損金ニ
  入レナイト云フコトニ依ツテ、ソコニ何等
  カノ矛盾ガ生ジハシナイカト云フ疑問ヲ、私
  ハ持ツテ居ルノデアリマスガ、其ノ點ニ付
  テ局長ハ如何樣ニ御考デアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=149

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• 150・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　所得稅、臨時利得稅等ヲ
  損金ニ見テ、サウシテ適正價格ヲ決メルト
  云フノハ、私ハ是ハ適當デハナカラウト思
  ツテ居ルノデアリマシテ、臨時利得稅ハ御
  承知ノ通リ利得ノ多イ者程稅ガ多クナリマ
  ス、隨ヒマシテ五割ノ利益ヲ擧ゲテ居ル者
  ヨリモ、十割ノ利益ヲ擧ゲテ居ル者ハ、利得
  稅ヲ餘計支拂フ、サウ云フ者ハ、經費ハ餘
  計掛ルノダカラ、ソレヲ經費ニ見テ適正價
  格ヲ見ルト致シマスト、ドウモ頗ル實際ニ副
  ハナイ適正價格ガ出テ來ルノデハナカラウ
  カト思ヒマス、隨ヒマシテ適正價格ヲ見ル
  場合ニ於テハ、此ノ所得稅、臨時利得稅ヲ
  一應考慮ノ外ニ置イテ、サウシテ或ル適當
  トスル價格ヲ見テ、ソレニ普通ノ業者ノ利
  益步合ヲ然ルベ、キモノト見テ定メルノガ適
  當デアツテ、逆ニ澤山ノ利益ノアル者ガ澤
  山ノ利得稅ヲ納メレバ、-ソレヲ「コスト」ニ
  見テ適正價格ヲ決メヨウトスルト、是ハ循
  環論法ニナツテ、殆ド適正價格ノ出シヤウ
  ガナクナルノデハナカラウカ、斯ウ云フ風
  ニ考ヘテ居リマス、但シ適正利潤ト申シマ
  スカ、之ヲ經費ノヤウニ見テ適正價格ヲ定
  メル場合ト、經費ニ見ナイデ適正價格ヲ見
  ル場合ニ於キマシテハ、多少適正價格ノ決
  メ方ハ違ツテ來マセウケレドモ、ソレハ唯
  形式ダケノコトデゴザイマシテ、實質ニハ
  何等觸レルコトガナイコトカト存ジマス

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• 151・立川平

  ○立川委員長代理　武田君ニ一寸御相談申
  上ゲマスガ、內務大臣ガ御急ギノヤウデス
  カラ、若シマダ長イヤウデシタラ······

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• 152・武田徳三郎

  ○武田委員　私ハモウ一二點デスカラ、モウ
  一寸御待テ下サイ、今ノ御議論ハ、モウ少
  シ色々細ヤカニ論ジテ見ナイト、私ノ誤解
  カ、局長ノ誤解デアルカ、ドウモ其ノ點ハ
  一寸マダ了解致シ兼ネマスガ、是ハ必ズシ
  モ何處マデモ此處デ論究シナクテモ宜イ問
  題カモ知レマセヌカラ、他日ニ讓ルコトニ
  致シマス、ソレカラモウ一ツ伺ツデ置キタ
  イコトハ、稅ノ納期ヲ調整スルト云フコト
  ガ、金融政策上頗ヲ重大デアルト思フフデア
  リマスガ、私ハ其ノ點ニ對シテハ、實ハ此
  ノ法案ガ實行サレマシタ結果、每月ノ稅ノ
  收入ノ振合ガドウナツテ、金融上如何ナル
  支障ヲ來スカドウカト云フヤウナ具體的ノ
  コトハ、調ベテ居ラヌノデアリマス、隨テ
  現在ノ稅ノ納期デ差支ガアルカドウカト云
  フコトヲ、私ニ意見ガアツテ伺フノデハア
  リマセヌガ、稅ノ收入ガ多クナレバナルニ
  從ツテ、納期ノ調整ト云フコトガ適當ニサ
  レナイト云フト、金融的ニ非常ナ影響ヲ來
  スト思フノデアリマスガ、ソレ等ニ向ツテ
  ハ當然大藏當局ハ、深甚ノ考慮ヲ拂ハレタ
  モノトハ思ヒマスケレドモ、ドウデアリマセ
  ウカ、極ク平均ト云フ譯ニハ行キマセヌガ、
  金融上差支ナイヤウニ、サウシテ政府ノ收
  入額ガ各月甚シク異動ノナイヤウテ方向ニ
  考ヘラレテ、適當ナ調整ガ出來テ居リマス
  カドウカ、出來テ居リマシテ、若シ承リ得
  ルナラバ、ソレヲ稍〓具體的ニ承リタイト思
  ヒマス

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• 153・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　洵ニ御尤モナ御尋デゴザ
  イマス、此ノ度ノ稅制改正ニ於キマシテモ、
  納期ノコトハ各種ノ觀點カラ檢討致シマシ
  テ、適當ト認ムル所ニ定メタ次第デアリマ
  シテ、先ヅ納期ヲ定メルニ付キマシテハ、國
  ノ財政收入デアリマスカラ、國庫ノ都合モ一
  ツ見ナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  ソレカラ今度ハ納稅者ノ側カラ見テ、最モ
  納メ易イ工合ニシテ納期ヲ決メナケレバナ
  ラヌ、モウ一ツハ今武田サンノ仰シヤイマ
  シタ金融市場ニ與ヘル影響ト、大體此ノ三
  ツノ方面カラ檢討シナケレバナラヌト思ヒ
  マシテ、色々考究シタノデアリマス、ソレ
  デ國庫收入ノ狀況カラ見マスト、成ベク一
  方ニ偏ラズニ、每月平均的ニ入ツテ來ルコ
  トガ望マシイノデアリマスケレドモ、是ハ
  一方ニ於テ所得稅ノ如キハ、所得調査委員
  會ニ付議シテ決定スル、斯ウ云フヤウナ關
  係上、ドウシアモ七月以前ニ第一期ヲ決メル
  ト云フ譯ニハ行キマセヌ、ソレカラ又納期モ
  從來四度ニナツテ居リマスガ、之ヲ短縮ス
  ル譯ニモ行キマセヌカラ、自ラソコニ限界
  ガ出テ來ル、斯ウ云フ按配デアリマス、ソ
  レカラ酒造稅ノ如キモ、納期ハ四期ニ分レ
  テ居リマスルガ、是モ實際問題トシテ、從
  來ノ納期ヲ繰上ゲルト云フ譯ニモ行キマセ
  ヌノデ、サウ云フ所ニ一ツノ制約ガアルト
  思フノデアリマスガ、國庫收入ノ方面カラ
  言ヘバ、出來ルダケ每月或ハ每四半期ニ適
  當ニ入ツテ來ルノガ望マシイノデアリマス、
  ソレカラ納稅者ノ側カラ致シマスレバ、例
  ヘバ田畑地租ノ如キハ、實際收穫物ガアツ
  テ後支拂フト云フヤウナ工合ニナラナケレバ
  ナラヌト思ヒマス、サウ云フ點モ考慮シタノ
  デアリマス、ソレカラ金融市場カラ見マス
  下、例ヘバ十二月ノ如キハ極力避ケナケレ
  バナラヌ、大體金融市場ノ繁閑ガアルモノ
  デアリマスカラ、各月ノ狀況ヲ見テ、稅以
  外デ金融ガ繁忙スル場合ハ、成ベク稅
  ノ法定納期ハ避ケナケレバナラヌ、斯ウ云
  フ風ニ考ヘタノデアリマスガ、御承知ノ通
  リ此ノ度分類所得稅ノ內、配當利子所
  得稅及ビ勤勞所得ニ對スル稅ハ、源泉デ徴
  收セラレテ每月徵收ニナル、斯ウ云フコト
  デ、其ノ點ハ納稅者ノ側カラ云ツテモ、國
  庫ノ方面カラ言ヒマシテモ、又金融方面カ
  ラ云ツテモ、洵ニ都合ガ好クナツテ來タノ
  デアリマス、ソレデ改正前ト改正後ニ於キ
  マシテハ、法定納期ト隨時納期ト云ツテ居
  リマシテ、納期限ガ豫メ法律デ決ツテナイ
  每月適當ナ時ニ入ツテ來ル稅デアリマスガ、
  隨時納期ノ方ト比ベルト、隨時納期ハ餘程
  殖エテ來テ居ルノデアリマシテ、此ノ點ニ
  於キマシテハ金融市場ニ對スル影響モ餘程
  好クナツテ來テ居ルト思ヒマス、ソレカラ
  法定納期ノ中デ稅ノ大キイノハ、ドウシテ
  モ所得稅ニ於ケル綜合所得稅ト、ソレカラ
  酒稅デアリマスガ、是ハ前ニ申上ゲマシタ
  通リ七月ノ納期ニハドウシテモカチ合フノ
  デ、是ハ如何トモ避ケ難イト思ヒマシテ、
  從來ノ通リニ致シテ置キマシタ、併シ從來
  其ノ外ニ三月デアリマシタカ、是モカチ合
  ツテ居タノデアリマスガ、之ヲカチ合ハヌ
  ヤウニ致シマシテ、相當調節ヲ取ツタノデ
  アリマシテ、從來關西方面デ灘地方ヲ控ヘ
  テ居ル大阪市場ニ於キマシテハ此ノ所得
  稅ノ納期ト酒ノ稅ノ納期トガカチ合フ爲
  ニ、相當サウ云フ場合ノ金融ハ繁忙ヲ極メ
  テ居タノデアリマスガ、今囘其ノ點ヲ考慮
  致シマシテ、適當ニ分ケタノデアリマシテ、
  金融市場ニ對シマシテモ、納期ノ點デ十分
  考慮ヲ拂ツタ積リデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=153

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• 154・武田徳三郎

  ○武田委員　勿論私ハ此ノ增稅ヲサレルニ
  從ツテ、納期ノコトニ付テハ深甚ナ御考慮
  ヲ拂ハレタコトト存ジテ居ツタノデアリマ
  ス、今承レバ相當御苦心ガアツタコトヲ承
  知致シマシタ、併シナガラ一例ヲ取ツテ申
  シマスト、私ハ尙ホ少シ不足ノ點ガアルヤ
  ウニ思ハレルノデアリマス、例ヘバ酒造稅
  ニ付テ、造石稅ト庫出稅トニ今度ナサレテ
  居ルノデアリマスガ、庫出稅ハ申スマデモ
  ナク現行法デハ物品稅ニナツテ居ルノデア
  リマス、之ヲ何故庫出稅ヲ御設ケニナルナ
  ラバ、造石稅ヲ廢シテ庫出稅一本ニサレナ
  イノデアリマセウカ、庫出稅一本ニ致シマ
  スレバ今ノ納期ノ金融關係ト云フモノハ、
  非常ニ都合好クナツテ居ルノデアリマス、
  又業者モ非常ニ都合ガ好イノデアリマス、
  賣上ゲテ金ヲ取ツタモノヲ、翌月政府ニ納
  メルノデアリマスカラ、業者モ非常ニ樂デ
  アリマセウシ、今ノ金融關係カラ申シマシ
  テモ、極ク平均ニバ行キマセヌケレドモ、
  年四期ト云フヨリハ、每月々々此ノ酒ノ稅
  ガ政府ニ納入サレルト云フコトニナレバ、
  金融的ニ見テモ私ハ適當ナコトデハナイ
  カ、旣ニ納期ノコトニ向ツテ今御說明ノ如
  ク御苦心ガアツタト致シマスレバ、私ハ愈〓、
  酒造稅ヲ造石稅ト庫出稅ニ御分ケニナツタ
  ノハドウモ了解出來ナイノデアリマスガ、
  其ノ點ハ如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=154

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• 155・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　酒稅ハ消費稅デゴザイマ
  スカラ、消費稅ノ本質ト致シマシテ、成べ
  ク消費ニ近イ所デ課稅スルノガ宜イト存ジ
  そう、其ノ意味ニ於キマシテハ庫出課稅ノ
  方ガ宜シイノデアリマスケレドモ、御承知
  ノ通リ數年前マデハ業者ノ間ニ於キマシテ
  モ、酒稅ハ全部庫出課稅ニシテ貰ヒタイト
  云フ要望ガ强カツタノデアリマスガ、物品
  稅トシテ酒ニ對スル稅ノ一部ガ施行サレテ
  以來數年ノ經驗ニ依リマシテ、庫出課稅必
  ズシモ業者ニ取ツテモ便利ナモノデモナイ
  ト云フ點ガ段々分ツテ來マシテ、業者ノ方
  ニ於キマシテハ造石稅ト庫出課稅ト併用デ
  ヤツテ貰ヒタイト云フ希望ガ强イノデアリ
  マく、私共モ當分ノ間ハ併用スルノヲ宜シ
  イト認メテ、此ノ度ノヤウナ提案ヲシタノ
  デアリマスルガ、是ハ一遍ニ全部庫出課稅
  ニ變ツテシマヘバ、御說ノ通リ非常ニ業者
  ノ方モ樂デアリ、金融關係カラ言ツテモ宜
  シイノデゴザイマスケレドモ、過渡期ニ於
  キマシテハ例ヘバ酒造期節ニ於キマシテ、
  前酒造年度ノ酒造稅ガ相當殘ツテ居ル場合
  ニ、新酒ガ又出テ行クト云フ場合ハ、新酒
  ニ對スル庫出課稅モ納メナケレバナラヌト
  云フノデ、業者ガ過渡期ニ於テ二ツノ酒造、
  年度分ノ負擔ヲシナケレバナラヌト云フコ
  トガ起ツテ來テ、一時ニ全部庫出課稅ニ移
  スト云フコトモ、業者ノ方面ニ於テハ相當
  苦痛ガアルノデアリマス、又ソレダケ金融
  市場ニ與フル影響ノ面白クナイモノガアル、
  斯ウ云フ點デアリマス、又國庫收入ノ點カ
  ラ行キマシテモ、初年度ハ其ノヤウニシマ
  シテ殖エマスケレドモ、次年度ニ於テハ又
  何千万圓ノ減ガ出テ來ル、斯ウ云フコトガ
  アリマスノデ、過渡期ニ於キマシテ相當ノ
  弊害ガ出テ參リマス、御承知ノ通リ昨年早
  害ニ依リマシテ、酒造用米ノ一大制限ヲ受
  ケマシテ、酒造家方面デモ是ガ激變ニ相當
  困ツテ居ル際デモゴザイマスカ、餘リ過渡
  期ニ混亂ヲ來スヤウナ措置ハ執リタクナ
  イ、斯ウ存ジマス、但シ庫出課稅ニ漸次移
  ツテ行クノハ、是ハ理論上モ實際上モ適當
  ト認メマスノデ、今囘ノ增稅分ハ大部分庫
  出課稅デ增徵スル、斯ウ云フ風ナ建前ヲ執
  ツテ居ルヤウナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=155

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• 156・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　只今武田君ト政府委員ノ
  質疑應答サレテ居ルコトニ付キマシテ、關
  聯シテ私ハ御許シヲ得テ御質疑致シタイト
  思ヒマスケレドモ、審議ノ御都合ニ依ツテ、
  伺ツテ居リマスルト、內務大臣其ノ他ノ方
  ノ御答辯關係ガ御急ギノヤウデスカラ、ソ
  レヲオヤリニナツテカラ後デモ宜シイ、
  二質問スルコトヲ此ノ際御許シ願ヒマス、
  其ノ機會ハ適當ナ機會ニ御願シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=156

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• 157・立川平

  ○立川委員長代理　ソレデハ北君ノ後ニ發
  言ヲ願フコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=157

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• 158・北浦圭太郎

  ○北委員　內務大臣ガ御見エニナツテ居リ
  マスカラ、內務大臣カラ伺ヒマス、國力培
  養上ノ重大問題トシテ私ハ伺フノデアリマ
  スガ、申スマデモナク今日ハ官民極メテ緊
  密ナ協力ヲ要スル時デアリマス、所ガ時局
  ニ便乘シタ官僚ノ獨善的橫暴ガ遂ニ農民ヲ
  憤慨サセマシテ、官民ノ協力ヲ滅茶々々ニ
  シテ居ルノデアリマス、ソレハ戶塚北海道
  長官ガ一部ノ極メテ少數ノ米ノ取扱業者、
  所謂大手ト稱スル僅々數人ノ者、之ニ便宜
  ヲ與ヘル爲ニ、產業組合ニ極端ナ壓迫ヲヤ
  ツテ居ルノデアリマス、此ノ事ハ當議會ノ
  再開劈頭ニ於テ私カラ政府ニ對シテ質問主
  意書ヲ出シテ置イタ通リデアリマシテ、全
  ク一見不當ナ行爲デ農民ヲ壓迫シテ居ルノ
  デアリマス、是ガ爲ニ北海道農民ハ、私ノ
  計算デハ少クトモ一日十万圓內外ノ損失ヲサ
  セラレテ居ル、斯ウ云フ狀況ニナツテ居ル
  ノデアリマス、是ハ申上ゲナイト分ラナイ
  ノデアリマスガ、價格等統制令第十五條竝
  ニ同施行令第十二條ノ明文ニ違背シテ居ル
  ノデアリマシテ、明ナル法規抵觸事項デ、
  事頗ル重大デアルノデアリマス、是ガ爲ニ
  今北海道デハ每日無辜ノ農民ガ拘引サレ、
  處罰サレツツアル、斯ウ云フ狀況デアリマ
  ス、而シテ是ハ長官ノ遵法精神ニ缺クル所
  カラ來タノデアルト云フコトハ是ハ明々
  白々デアリマス、國民ニ範ヲ示スベキ地方
  長官自ラ法ヲ蔑ロニシテ、ドウシテ國ガ治
  マルカ、亂暴極マルコトヲシテ居ルノデア
  リマス、農民ニ多大ノ損失ヲ掛ケ、且ツ之
  ヲ每日泣カシテ居ル、長官ハ自ラ商工省ノ
  指示ヲ受ケタト豪語シテ居ルノデアリマス
  ガ、價格等統制令ニ依ツテ人民ニ〓示スル
  地方長官ガ、同法ノ第十五條ヤ施行令ノ第
  十二條ヲ知ラヌ筈ハナイ、明ニ農林大臣ノ
  權限ニ屬シテ居ルクデアリマス、之ヲ商工
  省ノ指示ヲ受ケタト言ツテシラヲ切ツテ居
  ルノハ、是ハ全ク作爲的ノコトデアツテ、
  斯ウマデシテ百姓ヲイヂメテ損失ヲ與ヘネ
  バナラヌト云フ此ノ心根ガ恕シ難イ、斯ル
  不都合ナ地方長官ノ農民壓迫ニ對シマシテ、
  內務大臣ハ如何ナル處置ヲ執ラレルカ、又
  農民ノ被レル損害ニ對シテ如何ナル御處置
  ヲ爲シテ下サルノデアルカ、之ヲ御伺致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=158

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• 159・兒玉秀雄

  ○兒王國務大臣　只今北海道ニ於キマスル
  官僚獨善ノコトニ付テノ御質問デアルノデア
  リマス、實ハ私今其ノ事實ヲ初メテ承知致
  シマシタノデアリマス、篤ト取調ベルコト
  ニ致シマス、萬一地方長官ガ紊リニ民衆ノ
  不便ヲモ顧ミズ、壓迫的行爲ヲ爲シ、是ガ
  爲ニ損害ヲ與ヘテ居ルヤウナ事實ガアリマ
  シタナラバ、ソレ〓對シテ內務省ト致シマ
  シテハ相當ノ處置ヲ考ヘナケレバナラヌト
  思ウテ居リマス、但シ只今初メテ承ツタル
  事實デゴザイマスノデ、何レ調査ヲ致シマ
  シテ御答ヲ申上ゲタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=159

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• 160・北浦圭太郎

  ○北委員　ドウカ此ノ事ハ極メテ重大ナコ
  トデアリマシテ、今更ニナツテ役所ノ内部
  的工作ナドヲナサルヤウナコトガ若シ萬一
  アツテバイカヌ、北海道ニ於テハ是ハ十數
  囘ニ亙ツテ新聞ガ三段拔、四段拔デ報道シ
  テ居ル問題デアリマス、地方民ハ殆ド曲直ノ判
  斷濟デアリマス、デスカラ姑息ナ解決ヲサレタ
  ナラバ、ソレコソ地方ノ輿論ガ大沸騰致シマ
  シテ、收拾スベカラザルニ至ルコトト考ヘルノ
  デアリマシテ、此ノ事件ニ對シマシテハドウカ
  公明正大ナル處置ヲ執ツテ戴キタイコトヲ
  希望シテ置クノデアリマス
  其ノ次ハ道廳自ラガ昨年ノ十二月、樺
  太ニ對シマシテ三万石ト云フ大量ノ米ノ
  闇取引ヲサシタ、是ハ道廳ガ闇取引ノ常
  習犯デアル所ノ買占團、北海道ニ數人ノ
  買占團ガアルガ、ソレニ石二圓以上ノ高
  値デ取引ヲサセタノミナラズ、當時各產業
  組合ニ對シマシテモ、道廳ノ責任デヤル
  ノダカラト云フ電話ヲ掛ケテ、闇取引ヲ
  サセヨウトシタ事實サヘアルノデアリマ
  ス、御承知ノ如ク米ノ縣外移出ヲスルノ
  ハ、長官ノ許可ガ要ルノデアリマス、其
  ノ許可書ニハ價格ト數量ヲ記載スルコトニ
  ナツテ居ルニ拘ラズ、故ラニ之ヲ記載セズ
  默認ノ形ヲ執ツタノデアリマス、北海道產
  業組合聯合會ニ對シテモサウ云フヤウナ形
  ヲ執ラシテ、默認ノ形ニ於テ御許可相成度
  云々ト云フ書面ヲ出サセテ居ル、斯ウ云フ
  狀況ニナツテ居ルモノト認メルノデアリマ
  ス、是ハ樺太ノ或ル課長ヲ先頭ニ三人ノ買
  付班ガ札幌、小樽ニ來テ買付ヲシタノデア
  リマスガ、私ハ此ノ間其ノ樺太ノ買付班ノ
  人々カラ色々ナコトヲ聽イテ參リマシタガ、
  其ノ仕事ノ最中ニ其ノ課長ハ實ニ小膽ナル
  男デ、闇取引ダト云フノデ遂ニ神經衰弱ヲ
  起シテ、途中デ役ニ立タナクナツテ實ニ困
  ツタ、斯ウ云フコトサヘ聽カサレテ居ルノ
  デアリマスガ、斯ノ如クシテ道廳自ラガ闇
  取引ヲ馴致シテ居ルノデアリマス、是ハ全
  島ニ知レ渡ツテ居ルコトデアルガ、之ニ對
  シマシテ內務大臣ハ如何ナル御處置ヲナサ
  ルノデアルカ、承ツテ見タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=160

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• 161・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　甚ダ自分ノ不明ヲ謝スル
  ノデアリマスケレドモ、其ノ事實モ今初メ
  テ私ハ承ルノデ、篤ト調査致シマシテ之ニ
  善處致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=161

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• 162・北浦圭太郎

  ○北委員　更ニ法ノ解釋カラノ壓迫デアリ
  マス、北海道廳ハ產業組合ノ壓迫ニ付テハ手
  段ヲ選バズ何デモ產業組合ヲ引掛ケヨウ
  トシテ居ルノデアリマシテ、茲ニ私ノ所ニ
  來テ居ル產業組合ノ······(「脫線」ト呼フ者
  アリ)脫線デハアリマセヌ、是ハ道廳ノ指
  圖デ出タノデアリマスガ、「產業組合ガ組合
  員ノ生產物ヲ平均賣トシ或ハ加工販賣ヲ爲
  シ、得タル利益ヲ組合員ニ還元スルコトニ
  依リ公定價格又ハ之ニ準ズベキ價格ヲ超エ
  テ精算スルハ違法ニ非ズ」斯ウ云フ通牒ヲ出
  シテ、後ニナツテ「右ハ道廳內一部係官ノ見
  解ニ依ルモノニシテ司法當局ノ見解ト相違
  シ居リ」ト云フテ各產業組合ヲ片端カラ檢擧
  シテ居ルノデアリマス、去ル四日ノ小樽新
  聞、ソレカラ翌五日ノ北海「タイムス」ニ斯
  ウ書イテアルノデアリマス、一寸讀上ゲテ
  見マス····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=162

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• 163・立川平

  ○立川委員長代理　北君ニ一寸御注意申上
  ゲマスガ、各大臣ハ急イデ居ラレルノデ、
  餘リ其ノ問題ハ本委員會ニ關係ガナイヤウ
  ニ思ヒマスカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=163

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• 164・北浦圭太郎

  ○北委員　重大關係ガアリマス、是デハ稅
  ノ徴收モ何モ出來ナイ、「產業組合ノ經濟統
  制違反事件ハ愈〓、本格的苛烈ヲ加ヘ天降リ式
  ニ全道各產業組合ニ飛火シテ文字通リ火ノ
  手ハ今ヤ燎原ノ火ノ如ク擴大シテ燃エ續ケ
  テ居ル」斯ウ云フコトガ書イテアルノデアリ
  マッ、是ハ美唄ト云フ所カラノ通信デ、新
  聞通信ノ一部デアル、斯ウ云フ狀況ニナツ
  テ居ルノデアリマス、一旦斯ウ云フヤウナ
  指導ヲサセテ置キナガラ後ニ至リマシテ產
  業組合支會ニ先程申シタヤウナ通牒ヲ出シ
  テ檢擧サレテ居ル、道廳係官ノ指導ト雖モ
  其ノ責任ハ長官ニアル、抑〓其ノ責任ノ歸屬
  スル所ハ何處ニアルカ、果シテ產業組合ガ
  負フベキモノデアルカ、大ナル疑問デアル
  ト思ヒマスガ、ソレニシテモ此ノ事ハ法ノ
  解釋上ノ問題デアル、斷ジテ惡質ノモノデ
  ハナイ)サレバコソ一片ノ注意ヲシテ置ケ
  バ、翌日カラ產業組合ハ再ビ犯スコトガナ
  イ問題デアルノデアリマス、先日內務大臣
  ハ此ノ委員會ニ於テ、經濟事犯ハ法ノ不備
  カラ來テ居ル點ガアルカラ穩便ニ取締ヲス
  ル云々ト言ハレタノデアリマスガ
  〔立川委員長代理退席、委員長著席〕
  是コソ其ノ條件ニピツタリ當嵌ツテ居ル問
  題デアルノデアリマス、而モ是ハ後ニ至ツテ私
  ガ農林省產業組合課ニ行ツテ聞イテ見ルト、
  產業組合ガヤルノガ當然デアル、其ノ解釋デ
  何等差支ナイ、警保局トモ旣ニ打合セ濟ミデ
  アル、斯ウ云フコトナノデアリマス、道廳ノ一部
  ノ係官ノ言フ方ガ正シイ、全國府縣ハ全部
  此ノ方法デヤラシテ居ル、北海道ダケソン
  ナコトヲヤラセル必要ハナイ、斯ウ云フ工
  合ニ言ハレテ居ルノデアリマスガ、ドウカ
  内務大臣ハ至急農林省トモ打合セヲ願ヒマ
  シテ、此ノ不當壓迫、每日各組合ヲ引ツ
  張リ付ケテ居ル、之ニ付テ善處シテ戴カナ
  ケレバナラヌノデアリマスガ、之ニ對スル
  御考ヲ承ツテ見タイノデアリマス、斯ウ云
  フヤウナ始末デ、北海道農民ハ戶塚長官ノ
  亂暴極マル壓迫ニ憤慨シテ、昨年十一月ニ
  農村ノ第一線ニ立ツ農事實行組合ノ組合長
  等千數百名ガ一箇所ニ寄リマシテ、此ノ長
  官ノ居ル限リ一切協力セヌト云フ決議ヲシ、
  テ居ル、此ノ事實ヲ內務大臣ハ御知リニナ
  ツテ居ルカドウカ、是モ一ツ承ツテ置キタ
  イノデアリマス、而モ斯ウ云フ決議ガ全國
  各地ニ次カラ次ニ行ハレテ來ルヤウニナル
  ト、道廳ハ非常ニ慌テテ更ニ一層農民ノ直
  接彈壓ヲ始メタノデアリマス、ソレガ爲ニ
  道廳ト農民トノ間ニハ深イ溝ガ出來テシマ
  ヒマシテ、道廳ノ割當工作、生產計畫、斯
  ウ云フモノハ農民ハ一切馬耳東風、先日ノ
  如キハ札幌ニ農村ノ指導者ノ會合ガアツテ、
  ソコニ道廳ノ某技師ガ來タノデアリマスガ、
  ソコデ說明ヲシテ、終ヒニハモウ、少シデ袋
  叩キニナリサウニナツテ歸ツテ行ツタ、是
  ハ戰時下ノ今日ニ於ケル一大痛恨事デアル
  ト思ヒマスガ、官僚ノ横暴ガ折角ノ國民ノ
  協力ヲ妨ゲヨウトシテ居ル、斯ウ云フコト
  ニナツテ居ルノデアリマス、ドウカ生產確
  保竝ニ增稅ニ關係シタ重大問題デアリマス
  カラ、內務大臣ハ此ノ北海道ノ出來事ニ對
  シテドウ云フ風ニナサレル積リデアルカ、
  御意見ヲ承ツテ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=164

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• 165・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　只今ノ問題モ前二問題ト
  聯關シタ問題ノヤウニ拜聽致シマシタ、產
  業組合ニ或ル問題ガ起ツテ居ルコトハ聞及
  ンデ居リマスガ、其ノ內容ニ付テハマダ私
  確ト承知シテ居リマセヌ、三問題トモ篤ト
  調査致シマシテ善處致スコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=165

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• 166・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　北君、農林大臣ハ用事ヲ控
  ヘテ居ラレルサウデスカラ、簡單ニ願ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=166

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• 167・北浦圭太郎

  ○北委員　ソレデハ農林大臣ニ御尋致シマ
  ス、農林大臣ハ產業組合課稅ハ本質上好マ
  シクナイガ、時局柄產業組合ニ是レ位ノ課
  稅ハ已ムヲ得ナイトノ意味ノコトヲ發表サ
  レテ居ルノデアリマス、アナタハ此ノ課稅
  ノ影響ヲ極メテ簡單ニ考ヘテ居ラレルヤウ
  デアリマスガ、吾々產業組合ニ携ツテ居ル
  者カラ申シマスト、其ノ稅額ハ僅少デモ、
  ソレガ非常ニ產業組合ノ發達ヲ阻碍スル、
  謂ハバ眞綿ノ中ニ針ガ入ツテ居ルヤウダ、
  斯ウ云フ危險性ノアルモノダト思ツテ居ル
  ノデアリマス、甚ダ失禮ナ言分デハアリマ
  スガ、農林大臣ハ產業組合ノ員質ヲ知ラヌ
  人々ノ大變間違ツタ一種ノ世間ノ風潮ニ完
  全ニ引摺ラレタ所ノ、皮相ナ先入主ガ尠カ
  ラズ入ツテ居ルノデハナイカト思フノデア
  リマス、今全國ノ農民達ハ此ノ間カラ此ノ
  問題ニ對シテ事モナゲナ農林大臣ノ御言葉
  ニ對シテ、ドウモ島田サンハ產業組合ニ對
  シテ理解ガナイ、冷淡ダト云フコトヲ言ツ
  テ居ルノデアリマス、ソコデ私ハ根本的ナ
  問題トシテ承ツテ置キタイノデアリマスガ、
  農林大臣ハ產業組合ハココラデ頭ヲ抑ヘ
  テ、是レ以上發達サセルコトヲ好マヌノデ
  アリマスカ、ソレトモ又益〓〓達サセテ經
  濟統制機關トシ、或ハ又農村更生ノ機關ト
  シテ重要視サレル御氣持デアルカ、率直ナ
  御答ヲ得タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=167

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• 168・島田俊雄

  ○島田國務大臣　產業組合ガ法ノ精神ニ從
  ヒ、其ノ組合ノ出來タ本旨ニ從ツテ活動
  シ、發達スルコトヲ希望シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=168

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• 169・北浦圭太郎

  ○北委員　ドウモ私ノ質問ニ對スル答辯ト
  シテハ當ツテ居ラナイ、是カラドシ〓〓發
  達サセテ行カレル氣持カ、ドウカト云フ意
  味デ私ハ質問シタノデアリマス
  ソレデハ次ニ伺ヒマスガ、農林大臣ハ產
  業組合ノ課稅ガ、今後ノ發展ニ非常ナ障碍
  ガアルト御考ヘニナラヌカ、爲シ得レバ是
  ハ取ラヌ方ガ宜イ、ソレガ國家ノ爲ニ宜イ
  ト御考ヘニナツテ居ルカ、極メテ少額ナ稅
  ヲ取ル爲ニ非常ニ勞ガ多ク、效ガ少イ、是
  ガ爲ニ產生擴充ヲ阻碍シテ、却テ國家ノ爲
  ニナラヌ。コンナ稅金ヲ取ルコトハ却テ國
  家ノ爲ニナラヌト御考ヘニナラヌダラウ
  カ、ソレヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=169

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• 170・島田俊雄

  ○島田國務大臣　產業組合課稅ノ問題ニ付
  キマシテハ、先般此ノ公開ノ席上ニ於テ、
  石井委員ノ御尋ニ對シテ御答致シマシタ通
  リ、政府ト致シマシテ、此ノ稅制ノ改革ノ場
  合ニ於テ、他ノ特別法人ニ對シテモ課稅ス
  ルト云フ場合デアリマスカラ是ハ已ムヲ得
  ナイ、斯樣ニ考ヘテ原案ニ贊意ヲ表シテ、
  提案ニ同意シタ次第デアリマス、稅ト云フ
  全體カラ申シマスレバ、是ハ擔稅者ノ立場
  カラ言ヘバ、稅ガ少イ方ガ宜イ、課ケラレ
  ヌ方ガ宜イ、是ハ產業組合バカリデハアリ
  マセヌ、今囘ノヤウナ大規模ノ增稅、所謂
  稅ノ改革ヲヤル場合ニ、他ノ同種類ノ特別
  法人ニ對シテモ稅ヲ課ケル、斯ウ云フ建前
  デ行ク場合ニ於テハ、是ハ已ムヲ得ナイ、
  臨時ノ處置トシテ已ムヲ得ナイ、斯ウ云フ
  風ナ考ヲ持ツテ居ル次第デアリマシテ、產
  業組合自體ガ課稅ノ目標トシテ適當デア
  ル、不適當デアルト云フ議論ハ姑ク超越シ
  テ、此ノ時局ニ於テ已ムヲ得ナイ、斯樣ナ
  考ヲ持ツテ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=170

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• 171・北浦圭太郎

  ○北委員　今私ガ御問シテ居ルノハサウ云
  フ意味デハナイ、課稅スル爲ニ產業組合ノ
  發達ヲ阻碍サレル、ソレガ稅金ヲ取ルヨリ
  モ國家ニ取ツテハ爲ニナラヌデハナイカ、
  是ハ比較論デアル、ドウ見テ居ラレルカ、
  御伺致シタイ

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• 172・島田俊雄

  ○島田國務大臣　私ハ帝國ノ法制ノ下ニ於
  テ產業組合ヲ組織シテ居ル日本國民ハ斯
  樣ナ場合ニ於テ左樣ナ犠牲ヲ拂フコトハ巳
  ムヲ得ナイモノデアル、ソレガ爲ニ產業組
  合ノ發達ヲ阻碍スルコトガアルトカ、或ハ
  仕事ヲシナイ、サウ云フヤウニハ人心ハ動
  イテ行カナイト考ヘテ居リマス

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• 173・北浦圭太郎

  ○北委員　產業組合ニ課稅スルト、自然原
  價販賣ニ近イコトヲヤルヤウニナツテシマ
  フ、割戾金ヲシテシマフ、ソコデ剩餘金ハ
  出ナイヤウニナルカラ、組合ノ積立金ガ少
  クナル、又配當金ガナクナルカラ、隨テ出
  資ノ拂込ニ充當スル金ガナクナル、百姓ハ
  金ヲ出シ澁ルト云フコトニナリマシテ、出
  資ノ充實、或ハ將來新シイ建設的事業ヲヤ
  ル場合ニ非常ナ障碍ガアル、ソコデ出資ガ
  充實セズ、或ハ積立金ガ少クナツテ、產業
  組合ノ基礎ガ薄弱ニナル、サウ云フコトガ
  原因ニナツテ、オ終ヒニハ農村ニ金融恐慌
  サヘ起リハシナイカト吾々ハ憂慮シテ居ル、
  之ニ對シテ農林大臣ハ如何ニ御考デアルカ
  伺ヒタイ

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• 174・島田俊雄

  ○島田國務大臣　北君ノヤウニ論ジマスト、
  サウ云フヤウナ結論ニモ達スルカモ知レヌ
  ト思ヒマスケレドモ、政府ハソレ程問題ガ
  深刻ナモノトハ考ヘテ居リマセヌ、產業
  組合ヲ組織シテ居ル人々モ農村ノ爲ニ皆努
  力シ、農村ノ爲ニヤツテ居ルノデアリマス
  カラ、是ハ理論的ニ言ヘバ色々ニ言ヘマス
  ケレドモ、此ノ際トシテハ巳ムヲ得ナイ、
  殊ニ當分ノ內ヤルト云フノデアリマスカ
  ラ、萬巳ムヲ得ナイ、斯ウ云フ風ニ思ツテ
  居ル、私ノ已ムヲ得ナイモノト考ヘテ居ルト
  云フ政府ノ意思ニ付テ御諒承ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=174

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• 175・北浦圭太郎

  ○北委員　私ハ更ニ角度ヲ變ヘテ、政治的
  方面カラ此ノ問題ヲ伺ツテ置キタイト思フ
  ノデアリマス、農林大臣ハ當分ノ間應分ノ
  負擔ヲスルノダカラ、是レ位ノコトハ差支
  ナイノダト云フヤウニ考ヘテ居ラレルガ、
  如何ニ遲鈍ナ農民ト雖モ、此ノ問題ノ起ツ
  タ前後ノ事情カラ、何人モ農林大臣ノ御說
  明ヲマトモニ受取ル者ハ一人モアリマセ
  ヌ、業ニ已ニ是ハ產業組合ノ壓迫デアルト
  云フヤウナ印象ヲ全國ノ農民ニスツカリ植
  付ケテシマツテ居ルノデアリマス、如何ニ
  島田農相ガ巧妙ナル御說明ヲ以テ致シマシ
  テモ、之ヲ覆スコトハ出來ナイノデアリマ
  ス、今更ドウスルコトモ出來ナイノデアツ
  テ、感情的ニ洵ニ面白カラヌ結果ガ生ジ
  テ、各地農民ノ間ニハ一種ノ惡氣流ガ流レ
  テ居ルノデアリマス、斯ウ云フ農民ノ抑壓
  感ニ對シテ、今日ノ農民ハ決シテ反抗ハ致
  シマセヌ、併シ全ク無抵抗主義ニ農業ヲ
  見棄テテドシ〓〓他ニ轉出シテ居ル、ソレ
  ハヒドイ勢ヒデアリマス、北海道ノ土地ノ
  荒廢ハヒドイ、斯ウ云フヤウナ狀況ニナツ
  テ居ルノデアリマス、ソレモ政府ノ豫期ス
  ル所ノ澤山ノ稅金ガ取レルナラバマダシモ、
  サウデナク餘リ稅金モ取レズ、而モ此ノ食
  糧問題ノ洵ニ大切ナル今日、農民ガコンナ
  考ヲ持ツコトハ國家ニ取ツテハ非常ナ大損
  失デアルト考ヘルノデアリマス、折モ折、
  目前ニ迫ツテ居ル食糧問題ノ重大危機ヲ前
  ニシテ、食糧ノ大本ヲ握ツテ居ル農民ノ感
  情ヲ害スルコトガ如何ニ不利ニナリ、危險
  デアルカト云フコトニ付テハ、多クヲ述べ
  ル必要ハナイノデアリマス、私ハ此ノ間モ
  申上ゲタノデアリマスガ、米作農民ハ藷ヲ
  食ツテモ米ヲ市場ニ出荷シテヤラウト云フ、
  此ノ誠意一ツアリサペスレバ、今年ノ米ノ
  問題ハ解決ガ付クノデアリマス、自分ノ消
  費ヲ節約シテ出ス、斯ウ云フ非常ニ大キイ
  關係ニアルノデアリマシテ、爲政者ガ此ノ
  點ニ關シテ、其ノ影響スル所ニ付テ今ノヤウナ
  考デアルトスルナラバ、ソレハ迂濶千萬デ
  アル、ドウカ斯ウ云フ問題ニ付テハ此ノ課
  稅問題ノ農民ニ對スル影響ヲ考ヘテ戴キタ
  イ、議論ハ沸騰シテ居リマス、私ハ電報ヲ
  見タガ、北海道ハヒドク大シタ事ニナツテ
  居ルノデアリマス、玆ニ誠意ヲ缺イテハナ
  ラヌト思フノデアリマスガ、此ノ點ニ關ス
  ル農林大臣ノ御考ヲ承ツテ置キタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=175

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• 176・島田俊雄

  ○島田國務大臣　私ハ屢〓御咎ヲシテ居リマ
  スガ、北君ニ申上ゲテ置キタイ、此ノ稅ノ委
  員會ノ經過ニ於テ此ノ特別法人課稅ノ問題
  ガ如何樣ナ扱ニナルカ、其ノ點ニ付テハマ
  ダ豫想ヲスルコトハ出來マセヌケレドモ、
  假ニ原案ガ通過ヲスルト云フコトニナリマ
  シテモ、只今熱心ノ餘リニ北君ガ述ベラレ
  テ居ルヤウニ、農民ガ農作ヲ離レルトカ云
  フヤウナ意味ニ此ノ事ヲ導イテ行カナイデ、
  非常時局ノ下ニ於テ已ムヲ得ナイコトデア
  ルカラト云フ意味ヲ以テ能ク農民ヲ指導セ
  ラレ、御諭シニナツテ、產業組合亦其ノ意
  味ヲ以テ農民ヲ指導シテ、農作ニ影響セザ
  ルヤウニ、只今ノ御話ノ、熱意ヲ以テスレ
  バ本年ノ米作差支ナシト言ハレル其ノ意味
  ヲ農民ニ植付ケテ戴クヤウニ御指導アラン
  コトヲ切ニ希望致シマス

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• 177・北浦圭太郎

  ○北委員　サウ言ハレルケレドモ、日本ノ
  農民ハ纔ニ是デ生活ノ途ヲ見付ケ出シテ居
  ルノデス、其ノ生活ノ途ヲ見付ケ出シテ居
  ルコトヲ阻マレルコトニナルカラ、農民ハ
  意氣沮喪シテ轉出スルノハ當然デアリマス、
  ドウカ此ノ點ニ付テハモウ一步考へ直シテ
  戴キタイト思フノデアリマスガ、序ニ此處デ
  伺ツテ置キタイノハ、日本ノ農業ハ氣候ニ
  惠マレテ居ルケレドモ、土地ガ狹隘デアル
  爲ニ獨立農業ノ形ヲシテ居ラヌ、謂ハバ半
  獨立農業デアルト云フコトニナツテ居ルノ
  デアリマシテ、-先程モ申シマシタヤウニ產
  業組合ナシニハ立ツテ行ケナイノデアリマ
  ス、然ルニ課稅其ノ他ニ依ツテ其ノ發達ヲ
  阻止シテ、小農ヲシテ前途ニ光明ヲ失ハシ
  メ、意氣ヲ沮喪セシムルコトハ、生產ニ惡
  影響ヲ與ヘ、離村ニ拍車ヲ掛ケテ、前世紀
  ニ於テ英國ノ農村ガ急速度デ退步シタト同
  樣ナコトガ近イ將來日本國內ノ農業情勢ト
  シテ現ハレテ來ルノデハナイカト云フコト
  ヲ私ハ非常ニ心配シテ居ルノデアリマスガ、
  此ノ點ニ對シマシテ日本ノ農業ノ將來ニ付
  テ農林大臣ハ如何ニ考ヘ、如何ナル見透シ
  ヲサレテ居ルカ、又土地ガ狹イカラ、内地
  ノ農民ハ減少スルノガ理想ダト言プヤウナ
  人モナイデハナイノデアリマスガ、是ハ實
  ニ國ヲ誤ルモノデアル、氣候ニ惠マレテ居
  ルカラ半獨立農業デモ生活ノ方途サヘアレ
  バ國內ニ農民ノ多イコトハ、國家構成上、
  國防上極メテ大事ナルコトデアルト思フノ
  デアリマスガ、此ノ點ニ關シマシテ農林大
  臣ノ御考ヲ承ツテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=177

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• 178・島田俊雄

  ○島田國務大臣　段々ノ御議論ノ點ニ付キ
  マシテハ謹ンデ拜聽致シマシタ、又農村ノ
  經營ニ付キマシテハ是ハ重要ナ問題デアル、
  日本ノ農業ノ將來ニ付テハ御意見ノ通リ愼
  重ニ考ヘテ、此ノ農業ヲ基礎トシテ國ヲ立
  テテ行クト云フ大キナ建前カラ進ンデ行ク
  ベキモノデアルト考ヘテ居ル次第デアリマ
  ス、其ノ點ニ付テハ聊カモ注意ヲ怠リ或ハ
  考ヲ外ラスヤウナコトハシナイ積リデ居リ
  マスカラ、ドウゾ左樣ニ御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=178

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• 179・北浦圭太郎

  ○北委員　次ハ產業組合ノ米ノ販賣ニ付テ
  伺ヒタイノデアリマスガ、農林大臣ハ豫算總
  會ニ於テ松村代議士ノ質問ニ答ヘテ、米ニ關
  スル限リ主務大臣ハ農林大臣デアルト明示
  サレテ居リマス、又價格等統制令第十五條
  第一項第一號デ、農林水產物ノ生產者及ビ
  其ノ組織スル法人ノ販賣スル農林水產物ノ價
  格ニ關スル事項ハ農林大臣ガ之ヲ定メルコ
  トニナツテ居ルノデアリマス、產業組合ノ
  白米ノ卸賣價格モ農林大臣ノ權限デアルニ
  ハ間違ヒナイノデアリマス、其ノ證據ニハ
  昨年ノ十一月六日ニ農林省商工省告示第九
  號トシテ、「内地水稻粳白米ノ銘柄及等級竝最
  高販賣價格ハ左ノ通リ定ム」云々トシテ農林
  大臣ノ名前デ出サレテ居ルノデアリマス、
  此ノ主務大臣ガ農林大臣デアルコトニ間違
  ヒナイノデアリマス、ソコデ此ノ白米ノ卸
  賣價格、農林水產物生產者ノ團體ノ卸賣價
  格ニ付キマシテモ、農林大臣ノ權限デアル
  ニ間違ヒナイト私ハ思フノデアリマスガ、
  其ノ點ヲ一ツ伺ツテ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=179

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• 180・島田俊雄

  ○島田國務大臣　只今御示ノ法規ニ關スル
  事柄ハ、自分モ詳細ニ條文ヲ調ベテ見タ上
  デ別ノ機會ニ御答致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=180

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• 181・北浦圭太郎

  ○北委員　私ハ此此點ニ付テ農林省ノ態度
  ニ洵ニ不滿デアル、此ノ間米ノ委員會ニ於テ
  此ノ問題ニ付テハ善處スル、北海道長官ガ
  惡イカラ取消命令ヲ出サスノダト云フコト
  マデ言ツテ、サウシテ諒解ヲ求メテ、ドウ
  カ突込ンダ質問ヲシテ吳レルナト云フコト
  デ、吾々ノ同志農村議員ハ質問シナカツタ
  ノデアリマス、ソレニ私ガ質問書ヲ出シテ
  カラ既ニ五十日デスガ、未ダニサウ云フヤ
  ウナ、今頃調査シテト云フヤウナ御答辯ハ、
  議會ヲ愚弄シ侮辱スルモ甚シキモノデアル
  ト思フノデアリマス、果シテ左樣ナ無責任
  ナル答辯ヲシテ居ラレテ宜イノカ、斯ウ云フ
  重大ナル問題ニ付テハ一ツシツカリシタ御
  意見ヲ知ラシテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=181

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• 182・島田俊雄

  ○島田國務大臣　北君ノ質問主意書ニ對シ
  テ答辯書ハ既ニ出シテアリマス(北委員「出
  テ居リマセヌ」)卽チ北海道廳ニ照會中デア
  ルカラ、其ノ照會ニ對スル囘答ヲ得タ上デ
  處置スルト云フ答辯書ハ出シテ居ルノデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=182

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• 183・北浦圭太郎

  ○北委員　ソレハ大變ナ御間違ヒデアリマ
  シテ、マダ出テ居リマセヌ、先程議事課カ
  ラ、マダ答辯書ハ出マセヌガ、明日ノ議事日
  程ニ載セテ置キマセウカト言ツテ來マシタ
  カラ、載セテ置キナサイト言ツテアルノデ
  アリマシテ、農林大臣ガサウ云フコトヲ御
  話ニナルノハ大變ナ御間違ヒデアル、ソレ
  ハツイ先刻私ノ所ニ諒解ヲ求メニ來タノデ
  ス、ソレハ大變ナ御間違ヒデス
  其ノ次ハ北海道ニ於ケル產業組合ノ委託
  品、加工品ニ對スル販賣價格ニ關シテデア
  リマスガ、是ハ文書ガ申上ゲマス「產業組
  合ガ組合員ノ生產物ヲ平均賣トシ、或ハ加工
  販賣ヲ爲シ得タル利益ヲ組合員ニ還元スル
  コトニ依リ公定價格又ハ之ニ準ズベキ價格
  ヲ超エテ精算スルハ違法ニ非ズ」斯ウ云フ通
  牒ガ出テ居ツタノデアリマスガ、後ニナツ
  テ、右ハ道廳内一部係官ノ見解ニ依ルモノ
  デ、司法當局ノ見解ト違フト云フノデ、先
  程モ申シマシタヤウニ各產業組合ハ片ツ端
  カラ檢擧サレテ居ルノデアリマス、私ノ所
  ニハ澤山ナ電報ガ來テ居ルノデアリマスガ、
  其ノ電報ノ中ニ斯ウ云フノガアル「組合ノ
  職員ハ恐怖シテ皆退職希望、全面的ニ事業
  停止ノ外ナシ、速急政治的解決ヲ望ム」是
  ハ內地ハ全部適法ニヤラシテ居ルノニ、北
  海道ダケハヤラセナイ、斯ウ云フ問題ニ對
  シマシテ、北海道ダケソンナ繼子扱ヒヲ農
  林省ガナサルコトハナイト思フカラ、此ノ
  席上デハツキリシタコトヲ答ヘテ戴キマシ
  テ、此ノ結果ヲ私ハ北海道へ直グ知ラシテ
  ヤラウト思フ、サウスルト明日カラ引張ラ
  レル人達ハナクナル、組合ノ販賣帳簿ヲ全
  部持ツテ行ツテ仕事ヲサセヌ、斯ウ云フ結
  果ガ起ツテ居ルノデアリマスカラ、此ノ問
  題ニ對シテモドウカ一ツ明白ナル御答辯ヲ
  願ヒマス、ソレカラ先程ノ御尋ニ對シテモ
  ハツキリシタ御答辯ガナイ、唯申譯的ナ御
  答辯ヲナサツテ居ルガ、此ノ問題ノ爲ニ百'
  姓ハ每日引張ラレル、一日十万圓ヅツノ損
  ヲサセラレテ居ル、此ノ非常時ノ大事ナ時
  ニ百姓ヲソンナニ繼子扱ヒシテ居ルノニ、
  農林大臣ハ知ラン顏ヲシテ居ル、役人ノ體
  面ヲ繕ツテ居ル、ソンナ馬鹿ナコトガア
  ツテハ斷ジテイカヌト思フノデアリマシテ、
  此ノ點ハ遠慮ナサラズニハツキリシテ貰ヒ
  タイ、四十幾日、五十日近クニナツテ調査
  中、ソンナ馬鹿ナコトヲ言ハズニ、ドウカ
  ハツキリシテ貰ヒタイ、農林大臣ガ其ノ位
  ノコトヲヤラレヌヤウナコトデハ農民ハ信
  賴シマセヌ、ドウカハツキリシテ戴キタイ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=183

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• 184・島田俊雄

  ○島田國務大臣　北君ノ御話ノ問題ヲ農林
  大臣トシテ聞イタノハ餘程後デアリマスカ
  ラ、取調ベテ處置ヲスル、斯ウ云フコトヲ
  申上ゲテ居ルノデアリマス、マダ取調ヲ終
  ツテ居ラヌ、報告モ得テ居リマセヌカラ、ソ
  レ等ノ詳細ノ報〓ヲ得タ上デ處置ヲスベキ
  モノデアレバ處置ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=184

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• 185・北浦圭太郎

  ○北委員　議會モ將ニ濟マウトシテ居ル、
  ドウカサウ云フ躊躇逡巡ナサラズニ、ッ
  ハツキリシタ國民ニ對シテ誠意ノアル政治
  ノヤリ方ヲシテ戴クコトヲ希望シテ置キマ
  ス

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• 186・島田俊雄

  ○島田國務大臣　北君ノ躊躇送巡ト云フコ
  トデアリマスガ、農林大臣ハ躊躇逡巡シテ
  居ルノデアリマセヌ、判斷ヲ致スベキ材料
  ガ手ニナイカラシテ判斷ヲシナイ、斯ウ云
  フ譯デアリマスカラ、躊躇逡巡シテ居ルノ
  デナイト云フコトダケハ御諒承願ヒタイト
  思ヒマス

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• 187・北浦圭太郎

  ○北委員　或ハ一寸言葉ガ惡カツタカモ知
  レマセヌガ、併シ是ハ大臣トシテデナシニ、
  米穀鳥長或ハ米穀局ノ課長、是等ノ人達ニ
  對シテハ私ハ確ニ覺エテ居リマスガ、一月ノ
  二十三日ニ北海道廳ノ〓示ヲ持ツテ來テ、
  斯ウナツテ居ルガドウカト言ツタ所ガ、ソ
  レハ大變イカヌ、不都合ナ事ヲヤツテ居ル、
  早速寫サシテ吳レ、直グニ道廳ニ照會シテ
  ヤルカラ、斯ウ云フコトデ私ハ寫サシタ、
  所ガ道廳長官ハ直チニ北海道ノ鈴木調整事
  務官ヲ呼ンダ、北海道ノ新聞ニハ、北ガ斯
  ウ云フ質問ヲ出シタガ、二三日中ニ答辯ス
  ルト書イテ居ツタノデアリマス、サウ云フ
  狀況デ、ソレ以來ズツト折衝シテ居ル、ア
  ナタノ部下デアル米穀局長トモ折衝シテ居
  ル、是ハ道廳ノ長官ガ惡イト言ツテシマヘ
  バソレ切リダケレドモ、ソコハ役所同士、
  役人同士ダカラ、中々サウモ行カナイト大
  變苦心シテ居ル、大臣ハ近頃御聞キニナツ
  タト言ヒマスケレドモ、農林省ノ役人ハ疾
  クニ知ツテ居ルシ、此ノ問題ハ米ノ委員會
  ニ於テモ質問ニナツテ居ル、ツイ此ノ間モ
  私ハ本會議ニ於テ詳細ニ申上ゲテ居ル、農
  林大臣ハ能ク知ツテ居ラレル、ドウカ一ツ
  誠意ノアル行キ方ヲシテ戴キマシテ、農民
  ガ成程ト農林大臣ニ信賴スルヤウニシテ行
  ツテ貰ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
  シテ、重ネテ御願ヲ申上ゲテ置ク次第デア
  リマス、私ノ農林大臣ニ對スル質問ハ是デ
  終リマス

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• 188・深澤吉平

  ○深澤委員　關聯シテ簡單ニ伺ヒマス、白
  米ノ價格決定ハ現ニ商工省ニ於テ所管シテ
  居リマスガ、ソレハ農林省ハ如何ニ御取扱
  ニナリマスカ

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• 189・島田俊雄

  ○島田國務大臣　是ハ物價委員會ノ關係デ
  白米ノ價格ヲ決メテ居ルヤウニ考ヘマス
  ガ、是ハ只今北君ニモ御答致シマシタヤウ
  ニ省令其ノ他ノ細カイ規定ハ私ハ一應調
  ベマシテ、又他ノ機會ニ御答致シマス

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• 190・北浦圭太郎

  ○北委員　商工大臣ハオ見エニナツテ居リ
  マセヌカヲ、物價局次長ニ御質問申上ゲル
  コトニシマス、政府ハ時局ヲ乘切ルノニ國
  家ノ總力ヲ擧ゲテ進ム、擧國一體デ進ム、
  斯ウ云フ說明ヲ始終サレテ居ルノデアリマ
  ス、ソレハ當然ノコトデアリマスガ、併シ
  國民ノ聽カントスル所ハソンナ抽象論デハ
  ナイ、其ノ具體策ハドウサレルノカ、之ヲ
  聽キタイ、現在ノヤウニ正シイ者ハ一步モ
  前進ガ出來ナイ、不正ナ者ノミ跳梁シテ金
  儲ケヲシテ居ル、或ハ汗水ヲ流シテ物ノ生
  產ニ從フ者ハ頭ヲ押ヘラレ、其ノ人々ノ正
  シイ道理アル要求ヤ理論ニ對シマシテモ、
  百姓ニ勝手ナコトヲ言ハシテハナラヌト取
  上ゲナイ、懷ロ手ヲシテ何カウマイ儲ケヲ
  シヨウト云フ者ヤ、何等生產ヲセズニ僞善
  的生活ヲシテ居ル者ヲ增長サシテ居ル、コ
  ンナコトデハ國民ハ一體ニナツテ進メナ
  イ、コンナ仕組デハイカヌ、此ノ仕組、機
  構ヲ先ヅ何トカシテ、國民ガ眞ニ一體ニナ
  ツテ行ケルコトニスルノガ先決問題デアル
  ト思フノデアリマス、大藏大臣ニモ此ノ間
  私ハ斯ウ云フ意味ノコトヲ言ツタラ、ソレ
  ハサウダケレドモ、ソレハ理想デ中々ヤレ
  ヌノダ、斯ウ云フ意味ノコトモ言ハレタノ
  デアリマスガ、コンナコトガ斷乎トシテヤ
  レヌヤウナコトデハ擧國一體ハ難カシイ、
  生產ノ擴充或ハ低物價政策ナドハ抛棄スル
  ヨリ外ナイノデアリマス、何等根幹ニ觸レ
  タ政策ガ執レナイデ、唯膏藥貼リノ一時凌
  ギノ政策デハ、長期戰ノ體制ト云フモノハ
  出來上ツテ來ナイノデアリマス、擧國一體
  デ進ムト云フコトハ何時マデモ出來ナイ、
  斯ウ私ハ信ジ切ツテ居ルノデアリマスガ、
  之ニ對シテ商工省當局ハ如何ニ御考ニナツ
  テ居ルカ、承リタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=190

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• 191・新倉利廣

  ○新倉政府委員　今日ノ戰時經濟ヲ運行シ
  テ參リマスノニ、國民ガ官ト言ハズ民ト言
  ハズ擧國一致デ參ラナケレバナラヌト云フ
  コトハ全ク御說ノ通リト思ヒマス、隨ヒマ
  シテ吾々價格ノ問題等ヲ扱ヒマス際ニ於キ
  マシテモ、生產者ハ生產者ニ於テ適正ナル
  價格ヲ得、又配給業者ハ配給業者ノ立場ニ
  於テ適正價格ヲ得テ、サウシテ出來ルダケ
  低廉ニ消費者ニ渡スト云フコトヲ目標トシ
  テ進ンデ居ル次第デアリマス、唯今日物資
  ガ非常ニ不足シテ參リマスノデ、單ニ價格
  ノ問題ノミトシテ扱ヒマシテモ、實際ニ物
  資ノ需給ガ巧ク行キマセヌト正シイ取引ガ
  出來マセヌデ、其ノ爲ニ闇取引ガ行ハレテ
  參リマスコトモ十分承知シテ居リマス、隨
  ヒマシテ今日價格ヲ決メマス際ニハ、物ノ
  需給ト併セ考ヘテ、生產方面ハドウ云フ風
  ニスルカ、配給方面ハドウスルカ、消費方
  面ハドウスルカト云フコトガ一體トナツテ、
  價格政策ヲ進メテ行カナケレバナラヌ、單
  ニ價格ノ問題トシテ扱ハズニ、物ノ生產、
  配給、消費、斯ウ云フ相常廣イ範圍ヲ併セ
  考ヘテヤツテ行ク、斯ウ云フヤリ方ヲヤツ
  テ居リマス、隨ヒマシテ其ノ問生產者モ、
  配給者モ、消費者モ、相協力シテ今日ノ戰
  時經濟ヲ乘切ツテ行クコトニ遺憾ナキヤウ
  ニ致シタイト思ツテ居リマス、今日ノ實情
  ニ於キマシテモ、必ズシモ有ユル方面ガ完
  全ニ行ツテ居ルトハ考ヘマセヌカラ、今後
  スベキ事ガ可ナリ澤山アルト云フコトハ
  北君ノ仰シヤル通リデアリマス

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• 192・北浦圭太郎

  ○北委員　ソレデハ配給機構ノ問題ニ付テ
  御伺致シマスガ、此ノ間商工大臣ハ、低物
  價政策ト生產擴充ノ兩全ヲ期スルガ爲ニ、配
  給機構ノ整理改善ヲスル意圖ガアル、ト云フ
  コトヲ言明サレテ居ルノデアリマスガ、殊
  ニ先日此ノ委員會ニ於テ、板谷委員カラ、
  產業組合ト中小商業者ノ摩擦排除ノ爲ニ、
  商工大臣ハ一ツ捨身ニナツテヤツテ貰ヒタ
  イト云フ言葉ガ出タ時ニ、商工大臣ハ全
  ク同感デアル、一ツ捨身ニナツテヤリマス
  ト云フ意味ノコトヲ言ハレタノデアリマス
  ガ、是モソンナ抽象論デナシニ、具體的ニ
  ドウサレルノカ、之ヲ聽イテ置カナケレバ
  安心ガ出來ナイノデアリマス、商相ガ其ノ
  捨身ニナツテヤラレル場合ニ、低物價ト、
  低物價デ生產ヲ擴充スル方法、所謂全ク氷
  炭相容レザルモノノ兩全ヲ期スル爲ニハ、
  ドウシテモ生產本位デ行カナケレバナラヌ、
  中間利潤ヲ多クシテハ生產ノ維持ガ出來ヌ
  ト云フコトハモウ分リ切ツタコトデアリマ
  ス、先日此ノ委員會デ渡邊委員ガ工業者ノ
  立場カラ申サレタ通リノコトハ、是ハ農業
  者ニモスツカリ當嵌ルノデアリマス、卽チ
  現在生產者ノ利益ガ割合ニ少クテ、配給業
  者ノ利益ガ比較的多イ、消費者ニ渡ス最高
  價格ノ頭ヲ抑ヘラレテ居ル今日デアリマス
  カラ、自然配給業者ノ利潤ト云フモノハ生
  產者ノ利益ノ中ニ喰ヒ込ンデ、サウシテ生
  產費ガ償ハナクナリ、生產ガ減ツテ行クノ
  ダ、斯ウ云フコトヲ言ハレテ居ルノデアリ
  マスガ、全ク其ノ通リデアリマス、ソコデ
  配給機構ノ整備ニ當ツテハ、個人的營利主
  義ノ所謂商業者ヲ基調トスルカ、共同的ノ
  非營利主義ノ卽チ產業組合、工業組合ト云
  フヤウナ組織ヲ基調トスルカ、一體ドツチ
  ヲ基調トスルカ、之ヲ承リタイ、配給ニ對
  シテ營利主義ヲ採用スルコトハ、前ニ申シ
  タ通リ、中間利潤ノ爲ニ生產者ノ利益ニ
  喰ヒ込ムバカリデアリマシテ、營利主義デ
  ハ、今日ノ如ク物ノ足ラナイ、金ノ餘ル時ニ
  於テハ、法デ如何ニ取締ツテモ是ハ制シ切レ
  ナイノデアリマス、ヨク斯ウ云フコトヲ言
  ツテ居ル、恰度鰻ヲ〓簞デ押ヘルヤウ
  ナモノデ、ズル〓〓ト拔ケテ行ク、幾ラデ
  モ方法ハアルト商人ノ言ウテ居ル、ドンナ
  法律ガ出テモ幾ラデモ方法ハアル、ソレハ
  サウデセウ、人間ノヤルコトニ更ニ人間ノ
  智慧ヲ加ヘテ行クノデアリマスカラ、其處
  ニ必ズ方法ガアル、斯ウ云フコトデアリマ
  ス、ソコデ配給機構ダケハ營利主義ノ採用
  ハイカヌ、斯ウ云フ工合ニ私共ハ考ヘルノ
  デアリマス、商工省トシテハ所謂中間利潤
  ヲ詰メルニハドウシテモ過剩ナ配給業者
  ヲ減少スル、是ガ先決問題デアリマス、商
  工省ハ物價問題ト商人ノ救濟問題トハ、是
  ハ別箇ニ御取扱ニナラナケレバナラヌ
  私ハ斯ウ云フ風ニ考ヘルノデアリマス
  其ノ爲ニ商業者ニ迷惑ヲ掛ケテハイカヌ
  カラ、ドン〓〓轉業資金等ヲ貸シテヤツ
  六、サウシテ本當ノ生產方面ニ向ケル、
  今日人ガ足ラヌ人ガ足ラヌト言ウテ居ル
  一方ニハ、配給業者ハ過剩デ困ル、配給
  業者ハ二百五十万人アルノデスゾ、ソレ
  ハ過剩デ困ル、是ガ戰時體制デアリマスカ
  此ノ大變ニ餘ツテ居ル者ヲ生產方面ニ向ケ
  ナケレバナラヌ、是ガ出來ナクテドウシテ
  長期戰ガ出來ルノデアリマスカ、是ハドウ
  シテモ切離シテ行カナケレバナラヌ、ソレ
  ヲシナイモノダカラ、肝腎要ノ生產者ガ生
  產費ガ償ハナイデ、生產者ノ方ガ轉業シテ
  居ル、餘ツタ配給業者ガ轉業シナイデ、必
  要ナ生產業者ガ轉業シテ居ル、斯ウ云フ姿
  ニナツテ、戰時態勢ハ全ク逆立ヲシテ步イ
  テ居ル、斯ウ云フ風ニ私共ハ思フ、ダカラ
  此ノ配給機構ニ對シマシテハヽドウシテモ
  非營利主義デ行カナケレバナラヌ、ソコデ
  特別法人稅ノ如キハ、產業組合、商業組
  合工業組合、此ノ何レニモ課ケルコトハ
  イカヌ、何等課ケルベキモノデハナイ、是
  ハ非營利主義ヲ執ツテ行ツテ、之ヲ發達サ
  セナケレバナラヌ、ソンナ時ニ課稅ヲシテ
  發達ヲ阻止シテ行カウト云フコトハ、逆立ニ
  モウ一ツ何カ掛ケテヤルヤウナモノデアリ
  やく、所謂薪ニ油ヲ掛ケルヤウナ行キ方ヲ
  シテ居ルノデアリマス、是デハ幾ラヤツテ
  モ駄目デアリマス、アナタ方ハ愈〓行ク所マ
  デ行カナケレバ氣ガ付カナイ、愈〓行ク所マ
  デ行ツテドウニモ斯ウニモナラヌ時ニナツ
  テ所謂臍ヲ嚙ム所ノ悔ヲ殘スコトニナルト
  私ハ明言シテ置ク、ソコデ是ハドウシテモ
  サウ云フヤウナ非營利主義ノ配給機構デシ
  ツカリヤラスコトニシナケレバナラヌ、是
  ハ勿論一遍ニハ出來ナイ、一遍ニヤツテハ
  大變ナコトデスカラ一遍ニヤレトハ言ハヌ
  ガ、漸次サウ云フ基調デ進ム、斯ウ云フ風
  ニナツテ來ナケレバ、戰時體制下ニ於ケル
  所ノ配給機構ノ整備ハ出來ナイ、アナタ方
  ハ色々ナコトヲ考ヘテ配給業者ヲ手數料式
  ニスルトカ何トカ言フガ、ソレハ出來ハシ
  ナイ、物ガ足ラナクナツタラ方法ガ無イ、物
  ノ餘ル時、物ノ十分ニアル時、或ハ一杯々々
  ニ渡シテマダ少シ餘ル時ハ出來ルガ、今
  日ノヤウニ物ガ足ラナクナツタノデハ全然
  駄目デアル、ソレハ不可能デス、コンナコト
  デハアナタ方ハ國家ニ申譯ナイデハナイカ
  ト思フノデアリマスガ、此ノ點ニ對スル御
  所見ヲ承リタイ

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• 193・新倉利廣

  ○新倉政府委員　今日、物資ノ不足シテ居
  リマス現狀カラ見テ、配給機構ニ付テ相當
  考ヘナケレバナラヌト云フコトハ仰セノ通
  リデアリマス、併シナガラ一面ニ於テ、配
  給業者ニハ配給業者トシテノ機能ガア
  リマスカラ、其ノ機能ヲ最モ合理的ニ發揮
  サセルト云フコトモ亦必要デアラウカト思
  フノデアリマス、今日配給機構ガ漸次物ニ
  依ツテ變リツツアルト云フコトモ承知シテ
  居リマスケレドモ、全然配給機構ヲ無ク
  シテシマフガ宜イト云フヤウナ考ヘ方ハ私
  共ハシテ居リマセヌ、又配給業者ノ利潤ト
  申シマスカ、或ハ手數料ト申シマスカ、サ
  ウ云フモノト生產業者ノ利潤トノ間ニ於
  テ、配給業者ニ特ニ厚ク、生產業者ニ特ニ薄
  クスルト云フヤウナコトハ考ヘテ居リマセ
  ヌ、唯問題ハ配給機關ヲ如何ニ合理化スル
  カト云フ點ニアルカト思ヒマス、是ハ物ニ
  依リマシテ相當違フノデアリマシテ、極ク
  簡單ニ申シマスレバ、生鮮食料品ノヤウナ
  場合ト、非常ニ長期ノ貯藏ニ耐ヘルヤウナ
  場合、或ハ大量ニ集リマスモノト、非常ニ
  少量デ分散シテ居リマス場合、斯ウ云フヤ
  ウニ色々ノ物資ソレ〓〓ノ實情ニ付テ併セ
  考ヘテ、配給機構ノ合理化ヲ圖リマセヌ
  ト、唯一樣ニドウ斯ウスルト云フコトハ出
  來ナカラウト思ヒマス、要ハソレ〓〓ノ物
  資ノ實情ニ於テ中間ノ配給機構モ出來ルダ
  ケ合理化シテ行クト云フコトガ必要ダト、
  斯樣ニ考ヘマス

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• 194・北浦圭太郎

  ○北委員　ドウモ私ノ質問ニ對スル御答ハ
  그ピント」ガ合ウテ居ラヌノデアリマス、配
  給業者ヲ無クセヨト云フノデハナイ、ソン
  ナコトハ一遍ニ出來ルモノデハナイ、何レ
  ヲ基調ニスルカ、營利ト非營利トドチラヲ
  基調ニスルカ、斯ウ言ツテ居ルノデアリマ
  スガ、今ノ御答辯デハ私ノ質問ニ當嵌ラナ
  イノデアリマス、ソレカラ又商工省當局ト
  シテ商業組合、工業組合等ニモ課稅スルコ
  トガ差支ナイト見テ居ラレルカドウカ、是
  モ一ツ承リタイ

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• 195・新倉利廣

  ○新倉政府委員　北サンノ營利非營利ト言
  ハレルコトハヽ實ハ私共能ク分ラナイノデ
  アリマスガ、要スルニ吾々ト致シマシテ
  ハ生產者ハ生產者トシテ適正ナル利潤ヲ
  得、配給業者ハ配給業者ノソレ〓〓ノ機能
  ニ應ジテ、適正ナル口錢ナリ經費ヲ得ルト
  云フコトハ當然デアル、ソレヲ營利ト云フ
  カ非營利ト云フカ、是ハ或ハ言葉ノ爭ト云
  フコトニナルカトモ思ヒマス、要スルニ生
  產者モ配給業者モ適正ナル經費及ビ利潤ヲ
  得テ行ク、サウ云フコトニ依ツテ此ノ戰時
  經濟ヲ國民一體トナツテ乘切ルト云フコト
  ガ必要ダ、斯樣ニ考ヘテ居リマス
  尙ホ次ノ工業組合、商業組合等ノ特別法
  人課稅ノ點ニ付キマシテハ、今日ノ財政ノ
  現狀ニ於テソレモ已ムヲ得ナイコトト考へ
  テ居リマス

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• 196・北浦圭太郎

  ○北委員　商工省ガ營利非營利ガ分ラナイ
  トハトンデモナイ話デス、營利ハ商人ガ自
  分ノ儲ヲ得ヨウトシテヤツタ居ル、ソレガ
  營利デセウ、非營利トハ產業組合、工業組
  合等ガヤツテ居ルヤウニ組合員自身ガ扱ツ
  テ居ツテ、自分ハ一文モ利益ヲ取ラナイ、
  全部組合ニ任セテ置イテ消費者ニ安イ物ヲ
  供給スル、是ハ自分ト云フモノノ儲ハ取ラ
  ナイノデアル、此ノ營利非營利ガ今日マデ
  分ツテ居ナカツタトハ私ハ本當ニ啞然タラ
  ザルヲ得ナイ、ソンナ人ガ物價局ヲ操縱シ
  テ居ラルルコトハ實ニ驚キ入ツタコトデア
  リマス、ケレドモソンナコトヲ言ツテモ仕
  樣ガナイカラ次ノ問題ニ移リマス
  次ハ近頃商工省ハ統制品ヲ商業組合ニバ
  カリ取扱ハセテ居ル、マア肥料ナドハ別デ
  スケレドモ、其ノ他ノ統制品ハ商業組合バ
  カリニ扱ハセテ居ル、是ハ產業組合ニ渡サ
  ナイ、斯ウ云フコトニナルノデアリマス、
  サウスルト、是ハ農村ニ起ツテ居ル現象ナ
  ンデスガ、犬糞的ニ商人ガ此ノ際產業組合
  ヲイヂメテヤレ、苦シマセテヤレト尠カラ
  ズヤツテ居ルノデス、產業組合員ガ買ヒニ
  行クト絕對ニ賣ラヌ、產業組合ニ配給品ガ
  ナイコトハ分ツテ居ルノニ、アナタ方ハ產
  業組合員ダカラ產業組合ニ行ツテオ買ヒナ
  サイ、吾々ノ所デハ賣リマセヌ、斯ウ言ツ
  テ賣ラナイ、切符ヲ持ツテ行ツテモソレハ
  後〓シニシテシマフ、ナイ〓〓ト言ツテ中々
  渡サナイ、石油ノ如キハ去年サウダツタ、
  北海道廳ハ澤山ノ切符ヲ出シタ、所ガナイ
  ナイト云ツテ渡サナイ、十月分ノ切符ヲ渡
  シタ、ソレカラ切符ノ數量ト石油ノ量トヲ
  調ベテ見ルト半分ニモ行ツテ居ナイ、斯ウ
  云フ現象ガ起ツテ居ル、ナイ〓〓ト云ツテ
  渡サナイ、或ハ渡スニシテモ後廻シニス
  ル、二度モ三度モ足ヲ運バセテ、サウシテ非
  常ナ時間ノ浪費ヲサセ、手數ヲ掛ケサセテ
  ヤツト渡ス、ソコデ產業組合ノ人達ハ非常
  ニ憤慨シテ、マルデ吾々ヲ人間扱セヌカラ
  怪シカラヌ、コンナ奴等カラハモウ買ツテ
  ヤラヌ、吾々ハ〓ハヌデモ宜イト云フヤウ
  ナコトデ怒ツテ、忌々シクテ仕樣ガナイト
  云フコトデ各所カラ吾々ノ方ニ陳情ニ來テ
  居ルノデアリマス、斯ウ云フヤウナ狀況ヲ
  當局ハ知ツテ居ラルルカドウカ、切符制度
  ヲヤレバ旨ク行クモノダト斯ウ考ヘラレタ
  ラ大變ダ、ソンナコトデ旨ク行キハセヌ、
  故意ニヤレバドンナコトデモ出來ル、產業
  組合員ハ非常ニ苦シメラレテ居ル、サウ云
  フコトヲ御氣付ニナツテ居ルカ、事實知ツ
  テ居ラレルカドウカ、之ヲ一ツ承ツテ置キ
  タイノデアリマス、ソレト同時ニ今後ハド
  ウ云フ配給ヲサレルカ、サウ云フヤウナ不
  都合ナコトヲヤル者ニ對シテ配給スルカド
  ウカ、斯ウ云フ點モ承ツテ置キタイト思フ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=196

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• 197・新倉利廣

  ○新倉政府委員　物資ノ配給ニ關シマシテ、
  產業組合ト商工組合其ノ他トノ間ニ種々ナ
  ル問題ノアルコトハ、旣ニ支那事變前カラ
  ノ問題デモアリマスシ、又事變後物資ノ統
  制ガ行ハレテカラ相當激シクナリツツア
  ルコトモ承知シテ居リマス、此ノ問題ニ付
  キマシテハ、今日ノ現情ニ於テ國民ノ中ニ
  コチラハ產業組合、ソチラハ工業組合或ハ
  商業組合ト云フヤウナ形ニ於テ相爭フト云
  フコトハ洵ニ遺憾ニ存ジテ、吾々ト致シマ
  シテモ何等カ適切ナル解決ヲスルヤウニ致
  シテ參リタイト考ヘテ居ル次第デアリマス、
  今ノ具體的ノ御話ノ如ク、商人ガ產業組合
  ノ者ニ賣ラナイト云フコトモ一二聞イテ知
  ツテ居リマス、知ツテ居リマスガ、サウ云
  フ個々ノ末梢的ナ點ダケヲ全部直スト云フ
  コトモ中々實ハ難カシイノデ、要ハ產業組
  合ト中小ノ商工業者トノ間ハドウ云フ風ニ
  ヤツテ居ルカト云フ根本ニ觸レテ、是ハ出
  來ルダケ速ニ解決シナケレバイケナイ問題
  デアルト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=197

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• 198・北浦圭太郎

  ○北委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=198

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• 199・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ川崎君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=199

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• 200・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　私ハモウ極メテ簡單ニ御
  尋致シタイト思ヒマス、唯一事項ニ殆ド限
  ツテ居リマスガ、委員長ニ御願シマスコトハ、
  私ハ前カラ出テ居リマセヌデシタカラ、或
  ハ重複シテ居ル所ガアルカモ知レマセヌカ
  ラ、旣ニ前ニアレバ···

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• 201・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　イヤ、ソレハ各人皆重複ノ
  コトモアリマスカラドウゾ

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• 202・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　先程武田サンノ御質問ニ
  關聯致シテ御尋致シタイト申シテ置イタノ
  デアリマスガ、ソレハ主トシテ酒稅ニ關シテ
  デアリマス、之ニ付テ一二御伺致シテ置キ
  タイノハ言フマデモナク昨年アタリカラ
  酒ノ造石ハ非常ニ制限サレテ參ツタノデア
  リマス、而モ其ノ需要ハ容易ニ減ジナイノ
  デアリマス、是ニ於テ酒飢饉ガ起キテ居ル
  コトハ私ガ言フマデチナイノデアリマス、
  隨ヒマシテ近時市井ニ於テ販賣サレル酒ニ
  於キマシテモ、飮用スル酒ニ於キマシテモ、
  餘程酒ガ薄マツテ來テ居リマス、此ノ加水
  サレテ居ルモノヲ、大藏當局デドウ云フ風
  ニ御取締ニナツテ居ルカ、サウ云フモノハ
  相當程度割水ト云フカ、加水サレテ居ツテ、
  而モ酒精度ハ普通ヨリモ殆ド半分以下ニナ
  ツテ居ル、而シテ其ノ酒ガ所謂公定相場ト
  言ヒマスルカ、公定價格デ販賣サレテ居
  ル、其ノ中ニハ勿論酒稅モ含マレテ居ルガ、
  是ガ果シテ割水サレテモ、ソレダケノ稅ガ
  販賣業者ナリ製造者ナリデ納メテ居ルナラ
  宜イノデスガ、事實ニ於テハ吾等消費者カ
  ラ云ヘバ何トモ言ハナイデ兎ニ角代價トシ
  テ拂ツテ居ル、其ノ中ニハ稅モ含マレテ居
  ル、是ガ或ハ販賣業者或ハ製造業者ノ手ニ
  入ツテ、政府ノ方ニハ稅トシテハ入ラズニ
  今ノヤウナ狀態デ割水ヲサレテ居ルノデア
  リマス、是ハ一ツノ問題デアリマス、是等
  ニ付テドウ云フ風ニ取締ツテ居ルノデアリ
  マスカ、又將來ドウ云フ風ニ取締ラレルカ
  御尋致シタイ、是ガ第一點
  尙ホ斯ウ云フ風ニ現在ニ於テ酒飢饉ニ
  ナツテ居リマスガ、今後大藏省ハ廣イ意味
  ニ於テ酒ノ需給ニ付テハドウ云フ御見透シ
  ヲ持ツテ居ラレルカ、又計畫ヲ持ツテ居ラ
  レルカ、之ヲ伺ヒタイノガ第二點
  次ニ細カクナリマスガ第三點トシマシテ
  ハ玆ニ一ツノ問題ガアルト思フノデス
  今囘所謂新式〓酒ト云フモノニ付キ
  マシテ、從來トハ違ツテ〓酒ト燒酎又ハ
  「アルコール」ヲ混和シタモノヲ之ヲ合成
  〓酒トシテ第一號デ認メラレテ居ル、
  言フマデモナク〓酒ヲ基礎ニシテ之
  ニ燒酎或ハ「アルコール」ヲ混和シテ製造
  致ス方法ハ從來モアツタノデス、私ガ申上
  ゲルマデモナク此ノ方法ニ依ル所謂新〓酒
  ト言ヒマスルカ、今囘ノ法律ニ依ル合成〓
  酒ト云フモノハ〓ネ是ハ企業的ニ實際ニ
  於テ失敗シテ參ツタフデアツテ、現在ニ於
  テハ新式〓酒ト云フノハ自ラソコニ一定ノ
  社會通念ガアリマシテ、今囘ノ法案ニ依ル
  第一號ノ如キハ、殆ド從來ノ社會通念カラ
  申シマスレバ新式〓酒ノ中ニ入レテ居ナイ
  モノデアル、殊ニ之ヲ企業形態カラ申シマ
  スト、合理的企業カラ申シマスレバ、斯ウ
  云フモノハ實際存在シテ居ナカツタ、是等
  ヲ新ニ第一號ニ加ヘラレタ其ノ理由如何、
  ソレヲ伺ヒタイノガ第三點デアリマス
  尙ホ隨テ斯ウ云フモノヲ認メルガ爲ニ、
  此ノ造石ニ於キマシテハ、〓酒竝ミニ合成
  〓酒ニ於テモ各三百石マデヲ御許シニナツ
  テ居ルガ、果シテ是ガ現在適當デアルカド
  ウカ、私ハ多大ノ疑ヲ持ツテ居ルノデアリ
  マス、ソレニ付テノ御見解ヲ伺ヒタイ、是
  ガ第四點デアリマス
  今囘ノヤウニ〓酒ト合成〓酒ト殆ド斯ウ
  云フヤウニ取扱ハレタニ拘ラズ、此ノ〓酒
  ト合成〓酒トノ稅率ニ付キマシテハ依然ト
  シテ差違ガアル、成程前ナラバ酒精度二十
  三度平均ヲ目途ニ致シテ居ツタガ、今度ハ
  ソレヲ二十度ニ變ヘタ以上ハ、而モ同樣ノ
  取扱ヲシテ居ル以上ハ、ヤハリ稅率ニ於テ
  モ同樣ニスルノガ然ルベキデアル、而モ之
  ニ差等ヲ設ケラレタ其ノ根據理由如何、是
  ガ第五點デアリマス
  尙ホ滓引減量ニ於キマシテハ、〓酒其ノ
  他燒酎ニ於テハ之ヲ認メテ居リマスガ、率
  ハ違ヒマスガ、合成〓酒ニ於テ全然之ヲ認
  メテ居ナイ、其ノ理由如何、是ガ第六點デ
  アリマス
  第七點ト致シマシテハ從來ノ酒造組合ノ
  方ニ付キマシテハ、是ハ入レテナカツタ、
  今囘新ニ之ヲヤハリ同樣ノ、一ツノ酒造組
  合トシテ之ヲ統制シテ行カウト御考ニナツ
  テ居ル、其ノ理由如何、是ガ第七點デアリ
  マス、私ハ理由ヲ申シマセヌガ、是等ノ點
  ニ付テ一應御伺シタイ

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• 203・田中豐

  ○田中政府委員　第一ハ加水ノ點デアリマ
  スガ、是ハ御承知ノヤウニ稅法上カラ行キ
  マスレバ、造石稅ニ付キマシテハ造石高ニ
  應ジテ課稅致シマスカラ、ソレガ市場ニ出
  マシテドウ加水サレヨウガ、稅法上ノ取締
  ノ必要ハ本來ノ目的カラ言ヘバナイト思ヒ
  そう、ソレカラ庫出稅ニ致シマシテモ、製
  造場內ニ於キマシテノ加水ニハ課稅致シマ
  スガ、製造場ヲ一タビ出マシテカラハ、是
  ハ製造場ヲ出ル時ノ石數ニ依ツテ課稅致シ
  マスカラ、是亦市場ヲ出マシテカラノ加水ニ
  ハ、稅ヲ取ルト云フ唯單ニ其ノ目的カラ言
  六く、加水ニ對シテ何等ノ取締ヲ必要トシ
  ナイト考ヘマス、隨テ稅ヲ取ルコトヲ主眼
  トシマス酒稅法ニ於キマシテハ、此ノ加水
  ニ付テハ何等取締ヲ加ヘズ、自由ト云フコ
  トニ致シテ居ル譯デアリマスガ、唯御話ノ
  ヤウニ市場ヘ出マシテカラ水ヲ加ヘテ非常
  ニ薄イ酒ニナルト云フコトニ付キマシテハ、0
  是ハ衞生上ノ見地ナリ、或ハ公定價格ノ決
  ツテ居ルノニ量ヲ多クシテ、其ノ公定價格
  ヲ潜ルト云フコトニナツテハ、公定價格違
  反ノ見地ヨリ取締ルベキモノデアルト考ヘ
  Wayソレ等ヲ考ヘマシテ、稅ヲ取ルコト
  ヲ建前トスル酒稅法ニ於テ、此ノ取締ヲ致
  スト云フコトハ聊カ行過ギデハナイカト考
  ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス
  ソレカラ酒ガ非常ニ不足シテ居ル、是等
  ノ對策如何ト云フ問題ガ第二點デアリマス
  ガ、是ハ御承知ノヤウニ米ノ需給ト云フ、
  國民ノ最モ需要ノアル食糧ニ關スル需給政
  策カラ、已ムヲ得ズ酒ニ付キマシテ相當ノ
  減石ヲ致ス譯デアリマスガ、併シ是ハ已ム
  ヲ得ナイコトト致シマシテモ、市場ニ於ケ
  ル酒ノ供給量ガ非常ニ少ク、其ノ爲ニ色々
  ナ弊害ヲ起スト云フコトモ十分考ヘラレマ
  スノデ、出來ル限リノ對策ヲ講ジマシテ、
  其ノ供給量ヲ多クスルト云フコトニ付テハ
  考慮中デアルコトハ、屢〓大臣カラ此ノ委員
  會ニ於テモ申述ベタ通リデアリマス
  其ノ次ニ第五條第一號ニ所謂「〓酒ト燒
  酎又ハアルコールトヲ混和シテ製造シタル
  モノ」ニ付テデアリマスガ、斯ウ云フ製造
  方法ハ合成〓酒トシテハ旣ニ失敗ノ歷史ガ
  アツタ、迚モ斯ウ云フモノデハ駄目デハナイ
  カ、サウ云フモノヲ新シク合成〓酒トシテ
  認メルノハ不穩當デハナイカト云フ御話デ
  ゴザイマスガ、此ノ一號、二號何レニ致シ
  マシテモ、是ダケデハ〓酒ト同樣ノ品質ヲ
  持ツタ酒ハ出來ナイノデアリマスカラ、是
  等ハ色々加工致シマシテ造ルノデアリマシ
  テ、此ノ一號、二號ニ揭ゲマシタノハ本當
  ノ合成〓酒原料ノ骨組ヲ揭ゲタニ過ギナイ
  ノデアリマス、唯御話ハ極ク大規模ノ工場
  組織ヲ持ツテヤル合成〓酒ノミヲ認メテ、
  小規模ノ製造業者ガ原始的ナ方法デキル
  合成溝酒ハ認メナクテモ宜イト云フ御意見
  デアルカトモ解釋致シマスガ、、酒ノ對策
  ト致シマシテ今後サウ云フ方面ノ米ヲ使
  ハナイ〓酒ヲ多クスルト云フ趣旨カラモ、
  從來ノ製造業者ガ極ク原始的ナ製造方法ニ
  依ツテ〓酒ニ似タ、〓酒ノ代用タルベキ酒
  ヲ造ルト云フコトモ好マシイノデアリマシ
  テ、サウ云フ途ヲ此ノ際開イテ置ク、是一
  將來ノ食糧政策カラ考ヘマシテモ、必要ナ
  コトト考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス
  其ノ次ニハ合成〓酒ト〓酒ノ稅額ノ問題
  デアリマス、其ノ間ノ差違ヲ認メル必要ガ
  ナイデハナイカト云フ御話デゴザイマスガ、
  御承知ノヤウニ今囘ハ〓酒モ合成〓酒モ二
  十度ヲ以テ一應區切リマシテ、ソレ以下ノ
  モノニ對シテ一石幾ラ、ソレヲ超エレバ
  度每ニ幾ラト云フヤウナ構成ヲ採ツテ居リ
  やく、又二十度ニ致シマスト御承知ノヤウ
  ニ從來ノ清酒ハ二十度マデ出來ルモノハ稀
  デアリマシテ、大體十六度乃至十八度ト云
  フコトニナリマス、併シ合成〓酒ノ方ハ各
  種ノ原料ヲ以テ合成ノ方法デ造リマス關係
  上、二十度一パイノモノヲ造リ得ル關係ガ
  アリマス、ソレ等ノ割水ノ點、其ノ他ヲ考
  慮致シマシテ、造石稅ト庫出稅トヲ合セマ
  シテ、〓酒ニ付テハ七十圓、合成〓酒ニ付
  テハ七十三圓、一石ニ付三圓程度ノ差ガア
  リマスガ、只今申シタ「アルコール」度數、
  其ノ他ノ關係カラ考慮スレバ、是デ十分權
  衡ヲ得テ居ルモノト考ヘマス
  ソレカラ其ノ次ハ滓引減量ノコトダト思
  ヒマスガ、例ヘバ〓酒ニ付テハ滓引減量ハ
  或ル程度認メル、併シ合成〓酒ニ付テハ認
  メナイノハ不合理デハナイカト云フ御尋デ
  アリマスガ、〓酒ハ御承知ノヤウニ製造致
  シマシテカラ庫出スルマデニ相當ノ期間ガ
  アリマス、又色々ナ操作ヲヤリマス、其ノ
  爲ニ數量ガ減ルト云フコトガアリマシテ、
  其ノ必要上滓引トカ或ハ貯藏減量ヲ加ヘナ
  ケレバナリマセヌノデスガ、合成〓酒ニ付
  キマシテハ、製造致シマシテ査定ヲ受ケテ
  カラ、賣出スマデニサウ云フ減量ガ生ズル
  ト云フヤウナ期間ガ非常ニ短イ譯デアリマ
  シテ、事實ニ於テサウ云フ減量ハ生ジテ居
  ナイノデアリマスカラ、是ハ認メル必要ハ
  ナイト考ヘテ居リマス、尙ホ此ノ稅率ノ七
  十圓、先程申シマシタ七十圓ハ、滓引減量
  ガアルヤウナ點ヲモ十分計算ニ入レマシテ
  均衡ヲ取ツテ居ルヤウナ次第デアリマス
  次ニ〓酒ト合成〓酒トヲ合セテ三百石ナ
  ラ免除スル、是ハ宜クナイデハナイカト云フ
  御話ガアリマシタガ、是ハ先程申シマシタ
  ヤウナ理由デアリマシテ、卽チ將來米ノミニ
  依ツテ酒ヲ造ルト云フコトガ出來ナイ場合
  ガ相當ニ想像サレマスカラ、合成清酒ニ依
  ツテ幾分カソレヲ補ツテ行クベキ必要ガア
  ルダラウト思フノデアリマス、其ノ際ニ合
  成〓酒ヲ新シイ資本ニ依リ、新シイ企業
  ニノミ任シテ行クコトニ依ツテモ、酒ノ供
  給量ハ不足致シマセヌガ、全國一千ニ餘ル
  從來ノ〓酒製造業者ノ問題モ考ヘナケレバ
  ナリマセヌ、又サウ云フ新シイ企業ニ依ツ
  テ供給面ヲ殖ヤス一面ニ於テ、此ノ從來ノ〓
  洒製造者ガサウ云フ方面ニ轉換ヲシテ行
  クト云フコトモ考ヘル必要ガアルト思ヒマ
  ス、左樣ナ觀點カラ轉換シ易イヤウナ方策
  ヲ今囘講ジタヤウナ譯デアリマス
  ソレカラ最後ニ酒造組合ノ問題デアリマ
  スガ、之ニ付キマシテハ只今申シタヤウナ、
  從來ノ酒造家ガ合成清酒ヲ造ルコトヲ認メ
  マスノデ、一ツノ組合ノ中ニ合成〓酒ト〓
  酒ト二ツノモノヲ造ル組合ガ出來テ來ルノ
  デハナカラウカト思ヒマス、新シイ非常ニ
  大キナ資本家ト、在來ノ〓酒製造者ト云フ
  モノガ組合ヲ別ニ作ルコトモ亦出來ルノデ
  アリマス、組合ノ構成其ノ他ニ付キマシテ
  ハ從來ト別ニ變リハナイ斯樣ニ考ヘテ居リ
  マス

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• 204・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　一應當局ノ御意見ノアル、
  所ハ伺ヒマシタガ、私ハ此處デ討論スルノデ
  ハアリマセヌカラ、是レ以上申上ゲマセヌ、
  併シナガラ御意見ノ所ハ大藏大臣ニ御注意
  ヲ申シテ置キマス、今國稅課長ノ御話ニナ
  リマシタコトハ、是ハ机ノ上デ御考ニナツ
  タノデハ成程一應御趣旨ハ通ルヤウデアリ
  マスルガ、例ヘバ一例ヲ言ヘバ合成清酒ヲ
  拵ヘルニ付キマシテ、唯混ゼタラソレデ直
  グ出來ル、「バー」ノ「スタンド」デ「カクテ
  ル」ヲ拵ヘテ賣ルヤウナ調子ニハ參ラナイ
  コトハ御承知ト思ヒマスガ、ヤハリ〓酒ヲ
  使ヒマシテモ、之ニ燒酎ナリ「アルコールㄴ
  ヲ混和シテ是ダケデハイカヌ、相當他ニ操
  作ガ要ルト云フコトハ御承知デセウ、サウ
  云フ操作ヲ致シマシテ、所謂熟成シタ合成
  〓酒ヲ拵ヘルニハ相當ノ期間ヲ要スル、隨
  テ其ノ操作ノ間ニ於テ、滓引トハ敢テ申シ
  マセヌ、相當ノ減量ヲスルト云フコトハ事實
  ニ於テ私ハ認メナケレバナラヌト思フ、サ
  ウ云フ點モ御考ニナラナクテハナラヌト私
  ハ思フ、尙ホ假ニ合成酒ヲ三百石拵ヘルトス
  レバ、其ノ原料タル「アルコール」ガ幾ラ要ル
  カト云フコトハ私ガ申上ゲズトモ御承知デセ
  ウ、少クトモ五十石內外ノ「アルコール」ガ要
  ル五十石ノ「アルコール」ト云フト相當大
  キナモノデアリマセウガ、此ノ「アルコール」ヲ
  製造スルニ付キマシテ、從來ノ〓酒ヲ釀造ス
  ル、ヤウナ方法設備デハ行クモノデハナイ、
  ヤハリ「アルコール」ヲ製造スルニ付テモ、
  ソレノ釀造設備、蒸溜設備ガ要ルコトハ申ス
  マデモナイ、然ラバ現在ノ企業單位トシテ、
  五十石位ノモノヲ製造スルコトガ經濟的合
  理的ニ出來ルカト云フコトハ言フマデモゴ
  ザイマセヌ、少クトモ現在日本ノ無水酒精
  ヲ製造スル企業單位トシテハ、四万石乃至
  五六万石、理想カラ言ヘバ十万石ノ企業單
  位デヤラナケレバ、合理的經濟的ニヤレナ
  イト云フヤウニ現在言ハレツツアル、又現
  在企業ヲ經營シテサウ云フ實績ヲ擧ゲテ居
  ルモノヲ、銘々ガ五十石ノ「アルコール」ヲ
  拵ヘテ、サウシテ合成酒ヲ拵ヘルト云フコ
  トハ出來ヌコトハナイデセウガ、現在資材
  ガ不足シテ居ル、實際サウ云フ設備ガ出來
  ルカドウカト云フト容日勿ニ出來ルモノデナ
  イト思フ、實際ニサウ云フコトハ出來ルモノ
  デハナイ、假ニ資材ガ許サレテモ、サウ云
  フヤウナ企業規模ガ果シテ合理的デアリ經
  濟的デアルカ、是亦私ハ合理的デモナケレ
  バ經濟的デモナイコトヲ斷言シテ憚ラナイ、
  然ラバ此フ酒精ヲ何處カラ供給ヲ受ケルカ
  ト云フト、「アルコール」ハ大體專賣ニナツ
  テ居ル、專賣局ニ於テ小規模ノ酒造家ガ合
  成酒ヲ拵ヘル時ニ最大五十石、ソレヲ一々
  供給サレテ十分ノ餘力ガアルノカ、若シサウ
  デナクテ銘々原料ノ「アルコール」ヲ拵ヘル
  ト云フコトナラバ、今言ツタヤウニ極メテ
  不合理デアツテ不經濟デアル、是等ヲドウ
  云フヤウニ御考ニナツテ居ルカ、又是ダケ
  ノ「アルコール」ヲ各自ガヤルトスレバ、現
  在ノ製造能力ニ於テ全國的ニ言ツテモ、個
  人カラ言ツテモ、政府ノ工場設備カラ言ツ
  テモ、容易ニ供給シ得ルカドウカ、机上デ
  ハ一應筋ハ通ルガ、果シテ行クカドウカ疑
  問デアルト思フ
  ソレカラ尙ホ大藏大臣ニ伺ツテ置キマス
  ルガ、現在ノ〓酒ニ付テノ酒飢饉ヲ緩和ス
  ル意味ニ於テ、現在市井ニ於テ割水ガ行ハ
  レテ非常ニ薄マツテ居ル、酒ノ取締ニ付テ成
  程大藏省ノ稅法ノ取締カラ言ヘバ、ソレデ
  濟ムヤウナ御話デアリマスケレドモ、此ノ
  狀態ハ大藏大臣ハ國務大臣トシテドウ御考
  ニナリマスルカ、今ノアナタノ主管サレテ居
  ル大藏當局ノ御答辯デ十分ト御考ニナツテ
  居リマスカドウカ、ソレヲ伺ツテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=204

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• 205・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　今ノ御話ノ僅カナ酒ヲ造
  ツテ居ル所、合成酒ヲ造ツテ居ル所ガ、五
  十石ヤ六十石ノ「アルコール」ヲ造ル設備ヲ
  新ニ拵ヘルト云フヤウナコトハ、是ハ決シ
  テ適當デハナイノデアリマシテ、衞生上ノ
  關係カラ言ヒマシテモ、有ユル點カラ考ヘ
  テ、「アルコール」ヲヤハリ買ハセテヤツテ
  居ルヤウナ狀況デアリマス、今御話ノ點ニ
  付キマシテハ、政府ト致シマシテモ考慮致
  スベキ點ガアルト思ヒマスガ、併シ現實ノ
  狀態ニ於テ大ナル支障ハナイヤウニ考ヘマ
  ス、ケレドモ此ノ際ニ於テサウ云フ大キナ
  工場ヲ拵ヘルトカ、或ハ政府ノ工場ヲ一パ
  イニ使フトカ、色々ナヤリ方モアルデアリ
  マセウガ、稅法トシテノ建前カラ致シマシ
  テハ、別ニ差支ナイヤウニ考ヘマス、併シ
  尙ホ此ノ問題ニ付キマシテハ、考究致ス考
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=205

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• 206・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　今ノ大藏大臣ノ御答辯デ
  ハマダ私ピント來ナイノデス、各自ガ五十石
  位ノ少量ノ「アルコール」ヲ製造スル設備ヲ
  設ケテヤルト云フコトガ、果シテ經濟的合
  理的ニヤレルモノカドウカ、又資材ガアル
  カドウカ、而モソレヲ御出シニナル御意思
  ガアルカドウカ、ソレガナケレバ此ノ五十
  石ノ供給ヲドウサレルカト云フコトヲ私ハ
  聽イテ居ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=206

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• 207・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　五十石位ノ製造工場ヲ拵
  ヘテヤラセルト云フ考ハナイ、他ノ「アル
  コール」製造業者カラ買ハセテヤル、斯ウ
  云フ意味デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=207

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• 208・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　他ノ方カラ買ハスト云フ
  ノデスカ、專賣局ノ方カラ供給シテヤルト
  云フノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=208

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• 209・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　他ノ方カラ買ハセル積リ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=209

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• 210・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　今度ハ政府委員ニ御尋シマ
  ス、此ノ第五條ノ第一號「〓酒ト燒酎又ハア
  ルコールトヲ混和シテ製造シタルモノ」是
  ハ純然タル〓酒ト燒酎又ハ「アルコール」ヲ
  混和スルダケデアツテ、之ニ水ヲ加ヘルコ
  トハイケナイト云フヤウニ解釋スベキモノ
  デスカ、如何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=210

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• 211・田中豐

  ○田中政府委員　第二號ノ方デハ水ヲ加へ
  テモ差支ナイコトニナツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=211

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• 212・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　ソレハドウ云フ譯デス
  カ、是ハ條文ダケ讀ンダラ〓酒ト燒酎又ハ
  「アルコール」ヲ混和シテ製造シタルモノ、
  水ハ此處ニ入ツテ居ナイデセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=212

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• 213・田中豐

  ○田中政府委員　水ニ付キマシテハ第二號
  ニ規定シテ居リマスカラ、第一號ニハ其ノ
  規定ハ必要トシナイモノト考ヘテ居リマス、
  アトデモ申シマスケレドモ、製造シタ後デ
  水ヲ混和スルコトモ自由ナノデアリマスカ
  ラ、例ヘバ釀造酒ノ混和ナドニ付キマシテ
  ハ、必ズ水ガ入ルコトハ要件デアリマスノ
  デ、第四條等ニハ水ヲ規定致シテ居リマス、
  第五條ノ合成〓酒ニ付キマシテハ、水ヲ入
  レテモ宜シイシ、入レナクテモ出來ルモノ
  デアリマシテ、水ニ付キマシテハ稅法ヲ通
  ジテ混和ヲ認ムル場合、混和ト然ラザル場
  合ヲ判然ト規定シテ居リマス、第一號ニ付
  テハ水ハ入レナクテモ斯ウ云フ酒ハ出來
  ル、斯樣ナ趣旨カラ水ニ付キマシテハ規定
  ヲ致シテ居ナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=213

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• 214・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　モウ是デ止メマスガ、要
  スルニ解釋ハ、水ハ何ボ入レテモ構ハヌト
  云フノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=214

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• 215・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　第一號ノ方ハ水ハ入ツテ
  居リマセヌガ、第二號ノ「他ノ物品ト混和
  シテ製造シタルモノ」ト云フ他ノ物品ニハ
  水モ入ツテ居リマス、出來夕品物ガ〓酒ニ
  類似シテ居レバ、合成酒ニナル、斯ウ云フ
  譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=215

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• 216・川崎末五郎

  ○川崎(末)委員　ソレダカラヲカシイ、第
  二號ニハチヤント他ノ物品ト云フ逃道ガア
  ツテ水ヲ加ヘルト云フコトニナツテ居ル、
  サウ云フ論理カラ言ヘバ第一號ノ合成酒ハ
  「〓酒ト燒酎又ハアルコールトヲ混和シテ
  製造シタルモノ」トナツテ居ルガ、之ニモ
  水ヲ加ヘルト云フコトヲ入レタラ宜イデハ
  ナイカト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=216

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• 217・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　第一號ノ方ハ水ヲ加ヘナ
  イ場合デアリマス、併シ第一號ノミ合成酒
  デハアリマセヌ、第二號ノ方ノモノデモ合
  成酒デアリマスカラ、第二號ニ依ツテ水ヲ
  加ヘテモ合成酒ガ出來ル、斯ウ云フ譯デア
  リマス、水ヲ加ヘルノヲ禁止シテ居ル譯デ
  ハアリマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=217

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• 218・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　マア水掛論ト云フヤウナコ
  トニシテ······(笑聲)ソレデハ深澤君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=218

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• 219・深澤吉平

  ○深澤委員　私ハ北君ノ質問ニ關聯シマシ
  テ商工省ノ方デスガ、マダ御見エニナラナ
  イノデスガ、御見エニナラナケレバ留保シ
  テ置キマス

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• 220・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ長野君、此ノ間オ
  ヤリニナツタノデスカラ、願クバ簡單ニ殘
  ツタ分ヲ御質問願ヒマス

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• 221・長野長廣

  ○長野(長)委員　私ハ先ヅ大藏大臣ニ御答
  辯ヲ御願シタイト思ヒマス、先般鑛業法ノ
  委員會ニ於キマシテ、商工大臣カラハ一應
  御意見ヲ承ツタノデアリマスルガ、我國ノ
  財政ノ根本ニ關係スル間題デモアリマスル
  シ、更ニ鑛區稅ノ全般ヲ眺メテ見マシテモ、
  是ハ相當ニ深刻ナ關係ガアルト思ヒマスカ
  六、玆ニ御尋ヲ申上ゲタイト思ヒマス、ソ
  レハ我國ノ金ノ生產量デアリマス、昨年ノ
  議會ニ於キマシテモ、產金政策ノ擴充ニ付
  テ、豫算竝ニ新シキ機關ノ擴充創設ト云フ
  コトガ相當出來タノデアリマス、然ルニ事
  實ニ於テハ、本年ハ昨年ヨリモ金ガ減產シ
  テ居ルト云フコトハ商工大臣ノ言明セラレ
  タ所デアリマス、私ハ其ノ狀態ニ付テ、私
  ノ知ツテ居ル範圍ノコトヲ此處デ申上ゲル
  コトハ控ヘマス、控ヘダ方ガ宜イト思ヒマ
  スカラ控ヘマスガ、玆ニ最モ重大ナコトハ、
  此ノ產金ニ從事シテ居ル所ノ業者デアリマ
  ス、殊ニ中小ノ產金業者デアリマス、是ガ
  昨今甚ダ振ハナイト云フコトガ此ノ減產ノ
  原因ノ一ツデアリマス、ソレカラ今一ツハ
  相當ニ密輸ガ行ハレテ居ル、現在ノ產金制
  度ト云フモノノ缺陷カラシマシテ、隨分外
  國ニ金ガ流レテ居ル、是ハ想像シ得ラレル
  コトデアルガ、事實當局ノ方デモ摘發ヲセ
  ラレテ居ルヤウデアリマス、併シマダ摘發
  シ得ザルモノガ澤山アリマス、ソコデ此ノ
  際產金ニ關スル制度ヲ再檢討スル必要ガア
  リハシナイカト思フノデアリマシテ、私ハ
  此ノ際產金廳トデモ言ヒマスルカ、產金ヲ
  特ニ所管スル所ノ官廳ヲ大藏省ナリ、內閣
  直屬デモ宜イデセウガ、適當ナ所ニ作リマ
  シテ、サウシテ是等ノ缺陷ヲ芟除スルト云
  フコトガ必要ヂヤナイカト思ヒマス、ソコ
  デ現在大藏省ニ於キマシテハ、造幣局ニ於
  テ金ノ精製ヲ無料デヤツテ居リマス、大藏
  省ニハ頗ル關係ガ深イコトデアリマスシ、
  更ニ金ノ國家的施設ニ付テハ、商工省ノミ
  ナラズ、大藏省モ深刻ナ關係ヲ持タレテ居
  リマス、是等ノ見地カラ、殊ニ大藏大臣ト
  セラレテハ、產金機關ノ創設ニ依ツテ、我
  國ノ憂フベキ此ノ產金ノ減退ヲナクシテ、
  大增產ヲセラレルヤウニスル必要ガアリハ
  シナイカト思ヒマス、ナゼ私ガ產金廳ノ必
  要ヲ力說スルカト申シマスト、現在中小ノ
  鑛業者ハ、皆鑛石ヲ三四ノ財閥ノ持ツテ居
  リマス所ノ製鍊所ニ賣ツテ居ルノデア
  リマス、所ガ「ガソリン」ハ高イ、各般ノ運
  賃ハ高イ、或ハ鐵道輸送ガ困難デアルト云
  フコトノ爲ニ、莫大ナル損失ヲシテ居ル、
  ソレガ一ツデアリマス、ソレカラ今一ツハ、
  中小ノ鑛業者ノ賣鑛シタルモノ、或ハ製鍊
  ヲ委託シタルモノ、之ヲ先ヅ分析スルノデ
  アリマスケレドモ、其ノ分析ノ際ニ於テ、
  業者ニ於テハ納稅シ兼ネル實情ガアルト云
  フコトヲ聞クノデアリマス、是ハ具體的ニ
  申上ゲマセヌ、ソレカラ今一ツハ、製錬料
  ト云フモノガ高イノデアリマス、隨ヒマシ
  テ以上申上ゲタ理由ニ依ツテ、中小鑛業者
  ノ經濟的現狀ト云フモノハ實ニ憂慮スベキ
  モノデアリマス、或ハ商工省ノ補助金、或
  ハ產金會社ノ金融等ヲ以テシマシテモ、中
  小ノ產金業者ニシテ仕事ヲ始メテ泣カナイ
  者ハ恐ラクナイト思ヒマス、サウ云フ狀態
  デアル、斯ノ如ク各種ノ機關ガ大擴充ヲセ
  ラレタニモ拘ラズ、尙ホ金ノ增產ガナイ、
  而モ我國ノ金ノ埋藏量ハ實ニ世界ニ誇ルベ
  キモノデアルト云フコトハ、學者ノ發表ニ
  依ツテモ、又實情ヲ眺メテ見テモ吾々ハ肯
  定シ得ルノデアリマス、就キマシテハ此ノ
  際政府ハ產金廳ヲ設ケ、サウシテ此ノ產金
  廳デ製鍊ヲヤルコト、恰モ農家ガ煙草ヲ作
  ツテ、大藏省ガ煙草ヲ製造シテ居ルト同樣
  ニ、大藏省自體ガ現在ヤツテ居ル金精製ノ
  事業ヲ擴充致シマシテ、無料デ製鍊ヲスル、
  サウ云フコトニシマスルト、出來タ金ハ逃ゲ
  ナイ、政府ガ持ツテ居ルノデアルカラ絕對
  ニ逃ゲル虞ハアリマセヌ、ト同時ニ中小ノ產
  金業者ガ安心シテ委託スルコトガ出來、又
  其ノ經濟的ノ採算ト云フモノモ隨分合フ譯
  デアリマシテ、玆ニ產金ニ關スル所ノ根本
  的ナ缺陷ガ是正サレルニ至ルノデハナイカ
  ト思フノデアリマス、論ヲ爲ス者ハ、殊ニ
  商工大臣ノ如キハ成程ソレハ必要ダカラ
  〓究シテ見マセウトハ仰セラレマシタケレ
  ドモ、併シ日本產金會社モアルカラト斯ウ
  云フ御話デス、ケレドモ日本產金會社ト云
  フモノハ、アレハ半官半民デアリマシテ、
  而モ會社ノ內容、組織ト云フモノ、及ビ人
  的組織ト云フモノハ、國家ノ財的生命トモ
  謂フベキ金ノ生產ニ當ルト云フコトニ付テ
  ハ是ハマダ堅牢性ガ乏シイト私ハ思フ、
  又中小ノ鑛業者ガ決シテ之ニ全幅ノ信賴ヲ
  爲シ得ナイ現狀デアリマス、就キマシテハ
  國家ハ此ノ際思ヒ切ツテ此ノ國營ヲヤル御
  考ハナイカ、全國ノ一万何千ト云フ鑛區ノ
  開發ニ付テハ、一般ノ業者ニヤラセル、サウ
  シテ製鍊ダケ、或ハ新シキ發明等ガアツテ、
  送鑛等ニ付テモ國營ガ出來得ルヤウニナレ
  バ、ソレモ一緒デ宜シウゴザイマスガ、サ
  ウ云フ風ニシテ茲ニ拔本的ナ對策ヲ練ラレ
  テ實行セラルル必要ガアリハシナイカト思
  フノデスガ、之ニ付テ大藏當局ノ御答辯ヲ
  願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=221

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• 222・櫻内幸雄

  ○櫻內國務大臣　產金ノ大切ナコトハ御話
  ノ通リデアリマス、然ルニ此ノ增產計畫ガ
  所期ノ如ク成績ヲ得テ居ナイト云フ事柄ニ
  付キマシテハ、是ハ餘程ノ決心ヲ以テ、今
  マデノヤリ方ヲ變ヘテ、サウシテ增產ノ方
  法ヲ講ジナケレバイカヌト思ツテ居リマス、
  其ノ點ニ付キマシテハ今長野君ノ言ハレル
  通リデアリマス、ソレニ付テ、國營製鍊所
  ヲ設ケルトカ、其ノ他ノ設備ヲシテ、而シ
  テ今日ノ金ノ增產上ニ於ケル所ノ支障ヲ除
  去シテハドウデアルカト云フ風ナ御意見デ
  アリマスガ、昨今金ノ增產ニ付キマシテハ
  色々ナ意見ガ出テ居リマス、卽チ金ノ買上
  價格ヲ上ゲタラドウデアルカト云フヤウナ
  說モアリマス、或ハ又サウデナクシテ、增
  產計畫ニ對スル奬勵金ヲ更ニ殖ヤシテヤツ
  タラドウカト云フヤウナ說モ出テ居リマス
  ガ、御承知ノ如ク增產ニ付キマシテハ、單
  ニ價格問題バカリデハ成功スルモノデハナ
  イノデアリマシテ、御說ノ通リ色々ナ方面
  ニ對シテノ施設ガナケレバ相成ラヌト存ジ
  テ居リマス、政府ガ一番考ヘテ居リマスノ
  ハ、申スマデモナク採鑛ノ費用ヲ安クスル
  問題、ソレニ電力ノ供給トカ、鑿岩機デアル
  トカ、或ハ砂金デアリマスレバ「ドレッ
  ジャー」ノ關係デアルトカ、或ハ又ソレヲ運
  搬シマス勞力ノ關係トカ、所謂勞力ト資材
  ノ兩方面カラ之ヲ援助シテ出スヤウニシナ
  ケレバナラヌト云フノデ、其ノ方面ニ非常
  ニ力ヲ入レテ居ル譯デアリマス、隨ヒマシ
  テ、今御話ノ精錬ノヤウナ問題モ、確ニ
  ツノ考ヘナケレバナラヌ所デアリマスノデ、
  此ノ點ニ付キマシテモ考慮ヲ致シタイト考
  ヘテ居リマス、ヤハリ其ノ鑛石ノ出ル附近
  等ヲ見テ適當ナ設備ヲシテ行カナケレバナ
  ラヌコトニナリマスケレドモ、御承知ノ通
  リ今日ハ資材モ少イノデアリマシテ、ソル
  ヲ設備スルノニハ、又其ノ設備ヲスルニ付
  テ相當ノ金ヲ掛ケテ行カナケレバナラナ
  イ、殊ニ國內ノモノバカリデナク、外國カ
  ラノ輸入ニ俟タナケレバナラヌモノモアリ
  マスノデ、彼此レ睨合セマシテ、今此ノ問
  題ニ對スル對策ヲ講ジテ居リマス、是ハ
  奬勵金其ノ他ノ問題デアリマスト、議會ノ
  協賛ヲ經ナケレバナリマセヌガ、サウデナ
  クシテ他ニ適當ナ方法ガアラウト思ツテ居
  リマス
  御話ノ精鍊ノ問題ヲ國ニ於テ取扱フト云
  フコトニ付キマシテハ、是ハ商工大臣ハド
  ウ御答申上ゲタカ知リマセヌケレドモ、十
  分ニ〓究シナケレバナラヌ點デアリマシテ、
  極メテ速ニ此ノ問題ニ對シマシテハ、十分
  考究致シマシテ、其ノ結果ニ依ツテ適當ナ
  措置ヲ執リタイト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=222

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• 223・長野長廣

  ○長野(長)委員　今一ツダケ別ナ問題デ御
  伺致シマス、ソレハ今度ノ改正所得稅法案
  ニ於キマシテ、個人ノ所得稅ニ對スル經過
  救濟ノ點デ、具體的事例ニ付テ御尋申シタ
  イノデアリマス、所得稅法案ニ於テ、第十
  二條第四號ノ規定ヲ見マスルト、「事業所得
  ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控
  除シタル金額」トアルノデアリマス、ソレデ
  前年度ノ詰リ實蹟所得稅ニ課稅スルト解釋
  シテ居ルノデアリマスガ、例ヘバ昭和十四
  年ノ十二月末ニ事業ヲ廢メタ場合、昭和十
  四年度ノ課稅ニ付テ考へテ見マスト、現行
  法デハ、十四年度ノ事業所得ニ對スル課稅
  ハ十三年ノ實蹟所得ヲ計算シテ、十四年
  度ニ推定ヲシテ課稅ヲシテ居ルノデアリマ
  ス、故ニ十四年度ノ分ハ既ニ十四年ノ納稅
  デ納メテ居ル、卽チ十四年度ニ課稅ヲセラ
  レテ居ルノデアリマス、然ルニ十四年末カ
  ラ廢業シタ場合、若シ十五年度ニ於テ前年
  度ノ實蹟所得、卽チ十四年度ノ實蹟所得ニ
  課稅スルトシマスト、十四年度分ガダブ
  ル、ダブルト云フ言葉ハ惡イカモ知レマ
  セヌガ、二度拂フヤウナ形ニナルノデアリ
  シーハ、斯ル場合ニ於テモ十五年度ニ於テ課
  稅スルノデアルカ、又ハ十五年度ニ於テハ、
  モウ十四年度分ニ相當スル稅金ハ全然課稅
  ヲセヌノデアルカ、此ノ點ニ付キマシテ、
  第百一條ノ規定ト關聯シテ、政府委員ノ方
  カラ具體的ノ說明ヲシテ戴キタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=223

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• 224・田中豐

  ○田中政府委員　今度ノ改正所得稅法案ニ
  依リマシテ、例ヘバ營業所得、御指摘ニナ
  リマシタ事業所得ナドノ分類所得稅ニ於テ
  ハ第十二條ニ規定シテアリマスガ、綜合所
  得稅ニ於テモ同ジヤウナ規定ガ第三十條ニ
  アリマス、原則トシテ總テ前年ノ實蹟ニ依
  ルコトニ相成ツテ居リマス、其ノ結果御說
  明ノ昨年十二月ニ其ノ營業ヲ全然廢メテシ
  マツタト云フヤウナモノニ付キマシテハ、
  此ノ規定其ノ儘デ行キマスト、本年ノ課稅
  ニ當リマシテハ廢業マデノ實蹟ニ對シテ
  課稅シナクテハナラヌコトニナリマスガ、
  御話ノヤウニ、從來ノ所得稅法ニ依レバ、
  サウ云フモノニハ本年ハ課稅シナクテモ宜
  カツタト云フノデ、此ノ過渡的ナ移リ變リ
  ニ對シテ、從來ニ比シテ非常ニ酷ニナルノ
  デ、其ノ救濟規定ヲ第百一條ニ設ケタノデ
  アリマス、此ノ第百一條ニ依ツテ、命令デ
  定メテ色々ナ場合ノ救濟規定ヲ設ケル譯デ
  アリマスガ、御說明ノヤウニ、昨年末ニ營
  業ヲ廢メテシマツテ、本年何モヤツテ居ナ
  イト云フヤウナ者ニ對シマシテハ、是ハ本
  年ハ課稅致サナイコトニ相成ル譯デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=224

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• 225・長野長廣

  ○長野(長)委員　能ク分リマシタ、ソレカ
  ラ若シ十四年ノ末ニ廢メマシタ時ニ、其ノ
  個人經營ヲ法人經營ニ變更シタ場合、其ノ
  場合ニ於テ其ノ個人ノ課稅ニ付テハ如何ナ
  ルコトニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=225

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• 226・田中豐

  ○田中政府委員　從來サウ云フヤウナ場合
  ニ於キマシテハ、先程申上ゲタヤウニ、單
  純ニ廢業シタ場合ニハ課稅シナイ、併シ法
  人ニナツタ場合ニハ、昨年ノ決定額ヨリモ
  非常ニ昨年ノ實蹟ガ殖エテ居リマスト、法
  人ニナツテモソレヲ追加決定シ得ルヤウナ
  規定ガアリマシタガ、今囘ハソレヲ廢止致
  シテ居リマス、隨テ先程御說明申上ゲタヤ
  ウニ、全然廢業シタモノト同樣ニ課稅致サ
  ナイト云フコトニナレバ、ソコガ非常ニ從
  來ヨリ不合理ニナリマスカラ、サウ云フモ
  ノニ付テハ、增差額ニ對シテ適當ニ課稅ス
  ル、斯ウ云フ方法ヲ講ジタイト考ヘテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=226

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• 227・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　是デ一應各派質問ガ終了シ
  タモノト認メマス、ソレデ明日ハヤハリ午
  前十時ヨリ開會シマシテ、各黨各派ノ態度
  ヲ決定スルニ對シテ必要ナル質疑ヲ各派代
  表者カラ願フコトニ、致シタイト思ヒマスガ、
  ソレデ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=227

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• 228・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ左樣ニ致シマシ
  テ-深澤君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=228

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• 229・深澤吉平

  ○深澤委員　私ハ先程ノ北委員ノ質問ニ關
  聯シテデアリマスガ、北委員ノ質問ノ中、
  組合ノコトニ關聯シ、北海道ノ農家ガ一日
  十万圓ヅツノ損ヲシテ居ルト云フヤウナ言
  葉ガアリマシタガ、ソレニ引續キマシテ、
  白米ノ小賣價格ニ付テ商工當局ニ簡單ニ御
  伺致シマス、率直ニ御答辯願ヒタイト思ヒ
  マス、先ヅ白米小賣價格ノ決定ハ、現ニ商
  工省ニ於テ主管スルモノデアルカドウカ、
  若シサウデアルトスルナラバ、白米ニ關ス
  ル產地「レール」渡シ價格ニ關シテハ、商工
  省トシテドウ云フ扱ヲシテ居ラレルカ、之
  ニ對スル御答辯ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=229

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• 230・新倉利廣

  ○新倉政府委員　白米ノ小賣價格ニ付キマ
  シテハ、商工大臣ノ主管ト致シマシテ、事
  實上農林省ト協議シテヤルト云フ扱ヲ致シ
  テ居リマス、ト云フノハ、農產物ノ生產者
  ノ價格ト、更ニ販賣者ノ價格ト云フモノハ
  兩省協議シテ行カヌト、此ノ間ノ連絡ガ不
  十分ニナリマスカラ、生產者ノ價格ニ付テ
  ハ農林大臣ガ主管シ、販賣者ノ價格ニ付テ
  ハ商工省デ主管スルケレドモ、農林省ト協
  力シテヤラウ、斯ウ云フコトニ致シテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=230

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• 231・深澤吉平

  ○深澤委員　ソコデ疑問ニナリマスノハ、
  十五條ノ一ニ、農林水產物ニ對スル主管ハ
  農林大臣ト明記サレテアリマスガ、之ニ關
  聯シテノ疑問ハ、加工賃モ農林大臣ガ決メ
  ル、其ノ次ニ一ツノ關聯事項トシテハ、價格
  等統制令施行規則十八條デ「米穀其ノ他ノ穀
  物ノ籾摺賃及乾燥賃」ハ農林大臣ガ決メルト
  限定シテアリマスガ、之ニ對スル疑問ト云
  フノハ、先程北君ノ質問ノ中ニ、地方長官
  ガ卸賣價格マデ決メル、是ガ一ツノ越權行
  爲デハナイカト云フ質問デアリマシタガ、
  私ノ尋ネル所ハ、小賣價格ヲ商工省デ決メ
  ルナラバ、例ヘバ產地カラ「レール」渡シノ
  場合モ、ヤハリ商工省所管ニ屬スルカ、斯
  ウ云フ質問デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=231

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• 232・新倉利廣

  ○新倉政府委員　具體的ニ北海道ノ產地
  「レール」價格ガドウ云フ價格デアルカト云
  フ點ニ、多少疑問ガアルヤウデアリマス、之
  ヲ卸賣價格ト見ルノカ、白米ノ價格デアル
  カラ白米ノ小賣價格ノ一部ニナルカト云フ
  ヤウナ點ニ付キマシテ、解釋ガハツキリシ
  ナイ點ガドウモアルヤウデアリマス、假期
  白米ノ小賣價格ト致シマスレバ、商工省デ
  決メルモフノ中ニ入ルト考ヘテ宜イカト思
  ヒマス、今ノ產地「レール」渡シ價格ガ白米
  ノ小賣價格ニナルカト云フ點ニ疑義ガアリ
  マシテ、ハツキリ御答辯申上ゲルマデニ行
  ツテ居ナイ實情デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=232

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• 233・立川平

  ○立川委員　此ノ機會ニ具體的ノ問題デ、
  物價局次長ニ一寸御尋ヲシタイ點ガ一ツア
  リマス、神戶ニ穀肥取引所ト云フモノガア
  リマス、其處デ雜穀ノ相場ガ立テラレテ居
  リマスガ、此處デ公定相場ヲ無視サレタ相
  場ガ立ツテ居ル、私ハ玆ニ一ツシカ材料ヲ
  持ツテ居リマセヌガ、小豆ノ小賣ノ公定價
  格ガ二十二圓六十錢ト云フモノヲ、四月限受
  渡ノ先物ガ二十六圓五十錢、大納言赤小豆
  ト云フノガ、卸二十六圓五十錢ト云フノガ、
  同ジク四月限受渡ノモノガ二十九圓ト云フ
  相場ガ立テラレテ居リマス、是ハ公認ノ取
  引所デアルノデスガ、公認ノ取引所デ公々然
  ト所謂闇相場ガ立ツテ居ルト云フコトハ、
  甚ダ面白クナイト思フノデアリマスガ、御
  承知デアリマスレバドウ云フ譯カ、御承知
  デナケレバ至急取調ノ上、適當ニ御處置ヲ
  願ヒイタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=233

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• 234・新倉利廣

  ○新倉政府委員　是ハ法律的ニ申上ゲマス
  ト、取引所ニ於ケル取引ハ九·一八カラ除
  外シテ居リマス、隨テ今御話ノ穀肥ノ取引
  所ノヤウニ、法律ラ以テ認メラレタル取引所
  ニ於ケル取引ハ、法律的ニハ差支ナイコトニ
  ナツテ居リマス、併シ是ハ實際問題トナリ
  マスト、取引所ノ價格ト取引所外ノ現物ノ
  取引ノ價格ト違フト云フ問題ガアリマス、
  之ヲ實際ニドウ云フ風ニ調和スルカト云フ
  コトニ付キマシテハ、今〓究ヲ進メテ居リ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=234

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• 235・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ主稅局長カラ、此
  ノ間ノ私ノ質問ニ對シ、此ノ際ニ一寸答辯
  致シテ置キタイト云フコトデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=235

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• 236・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ間委員長カラ、昨年
  ノ圓「ブロック」ノ貿易ハ約十二億圓ノ輸
  出超過トナルガ、其ノ資金關係ハドウナツ
  テ居ルカト云フ御尋デアリマス、昨年圓「ブ
  ロック」ニ對スル出超約十二億圓ノ中、約
  九億圓ハ滿洲國關係デアリマシテ、是ハ同
  年中ニ於テハ我國ノ對滿投資ト大體同ジ關
  係ニナツテ居ルノデアリマス、支那ニ對ス
  ル出超ハ約三億圓デアリマスガ、一方支那
  ニ對シマシテハ軍事費、開發資金ノ供給其
  ノ他ニ依リマシテ、相當多額ノ貿易外ノ支
  拂ガアルノデアリマシテ、此ノ貿易外ノ支
  拂勘定ハ、前ニ述ベマシタ輸出超過ニ依ツ
  テハマダ相殺シ切レナイヤウナ狀態ニアル
  ノデアリマス、大體左樣デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=236

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• 237・堀切善兵衞

  ○堀切委員長　ソレデハ今日ハ是デ散會致
  シマス
  午後六時五分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02119400311&spkNum=237

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