1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
會議
昭和十五年三月十六日(土曜日)午後九時五十三分開議
出席委員左の如し
委員長 堀切善兵衞君
理事 小山倉之助君 理事 濱野徹太郎君
理事 木村淺七君 理事 高橋熊次郎君
理事 小笠原三九郎君 理事 立川平君
理事 佐竹晴記君
長野高一君 高橋壽太郎君
池本甚四郎君 川崎末五郎君
内藤正剛君 長野長廣君
服部英明君 川崎克君
飯田助夫君 渡邊玉三郎君
愛野時一郎君 塚本三君
堀内良平君 石井徳久次君
船田中君 宮本雄一郎君
上田孝吉君 山川頼三郎君
豐田收君 森肇君
田中好君 西川貞一君
瀧澤七郎君 小見山七十五郎君
鈴木英雄君 永江一夫君
松永義雄君 石坂繁君
道家齊一郎君 青木作雄君
藤本捨助君 北勝太郎君
武田徳三郎君
三月十四日委員河野密君辭任に付其の補闕として佐竹晴記君を議長に於て選定せり
同月十六日委員田万清臣君、山本粂吉君、愛野時一郎君、伊藤五郎君及櫻井兵五郎君辭任に付其の補闕として阿部茂夫君、高橋壽太郎君、服部英明君、堀内良平君及愛野時一郎君を議長に於て選定せり
同日理事河野密君の補闕として佐竹晴記君理事に當選せり
出席國務大臣左の如し
大藏大臣 櫻内幸雄君
農林大臣 島田俊雄君
内務大臣 伯爵 兒玉秀雄君
出席政府委員左の如し
内閣書記官長 石渡莊太郎君
企畫院總裁 竹内可吉君
内務政務次官 鶴見祐輔君
内務省地方局長 挾間茂君
内務書記官 三好重夫君
大藏省政務次官 木村正義君
大藏參與官 松田正一君
大藏省主計局長 谷口恒二君
大藏省主務局長 大矢半次郎君
大藏書記官 植木庚子郎君
大藏書記官 氏家武君
大藏書記官 田中豐君
大藏書記官 山田義見君
大藏書記官 池田勇人君
文部省普通學務局長 中野善敦君
本日の會議に上りたる議案左の如し
所得税法改正法律案(政府提出)
法人税法案(政府提出)
特別法人税法案(政府提出)
配當利子特別税法案(政府提出)
外貨債特別税法中改正法律案(政府提出)
相續税法中改正法律案(政府提出)
建築税法案(政府提出)
鑛區税法案(政府提出)
臨時利得税法中改正法律案(政府提出)
營業税法案(政府提出)
地租法中改正法律案(政府提出)
酒税法案(政府提出)
清涼飮料税法中改正法律案(政府提出)
砂糖消費税法中改正法律案(政府提出)
織物消費税法中改正法律案(政府提出)
揮發油税法中改正法律案(政府提出)
物品税法案(政府提出)
遊興飮食税法案(政府提出)
取引所税法中改正法律案(政府提出)
通行税法案(政府提出)
入場税法案(政府提出)
印紙税法中改正法律案(政府提出)
骨牌税法中改正法律案(政府提出)
狩獵法中改正法律案(政府提出)
明治四十四年法律第四十五號中改正法律案(砂糖消費税織物消費税等の徴收に關する件)(政府提出)
大正九年法律第五十一號中改正法律案(内地臺灣又は樺太より朝鮮に移出する物品の内國税免除に關する件)(政府提出)、
支那事變特別税法及臨時租税増徴法廢止法律案(政府提出)
營業收益税法廢止法律案(政府提出)
資本利子税法廢止法律案(政府提出)
法人資本税法廢止法律案(政府提出)
臨時租税措置法中改正法律案(政府提出)
地方税法案(政府提出)
地方分與税法案(政府提出)
府縣制中改正法律案(政府提出)
市制中改正法律案(政府提出)
町村制中改正法律案(政府提出)
北海道會法中改正法律案(政府提出)
北海道地方費法中改正法律案(政府提出)
地方分與税分與金特別會計法案(政府提出)
家屋税法案(政府提出)
所得税法人税内外地關渉法案(政府提出)
昭和十二年法律第九十四號中改正法律案(支那事變の爲從軍したる軍人及軍屬に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する件)(政府提出)
大正十三年法律第六號中改正法律案(外國船舶の所得税等免除に關する件)(政府提出)
アルコール製造事業等に對する所得税等の免除規定の改正に關する法律案(政府提出)
租税法規の改正に伴ふ恩給金庫法等の規定の整理に關する法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=0
-
001・堀切善兵衞
○堀切委員長 ソレデハ是ヨリ開會致シマ
ス、此ノ際御諮リ致スコトガアリマス、理事
河野密君ガ委員ヲ辭任セラレマシタノデ、
理事ノ補關選擧ヲ行ハナケレバナリマセ
又、先例ニ依リ委員長ヨリ指名致シタイト
存ジマス、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=1
-
002・堀切善兵衞
○堀切委員長 ソレデハ佐竹晴記君ヲ指名
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=2
-
003・川崎克
○川崎(克)委員 討論ニ入ル前ニ當リマシ
テ政府ニ確ステ置キタイ點ガ一二アリマス、
御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=3
-
004・堀切善兵衞
○堀切委員長 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=4
-
005・川崎克
○川崎(克)委員 本案ノ審議ニ付テ最モ重要
ナル關係ヲ持ツテ居リマスル相續稅ノ中デ、
豫テ問題ニナツテ居リマス物納ノ制度ヲ認
メルト云フコトデアリマスガ、是ハ豫算モ
ナケレバ又其ノ制度ノ確立モ致シテ居ナイ
ノデアリマスルガ、殆ド委員會ノ大多數ノ
意向ハ物納ノ制度ヲ認ムベシト云フ意見ニ
アルヤウデアリマスガ、之ニ對シテ政府ハ
物納制度ヲ認メルト致シマスナラバ、至急
是等ニ關スル機構ヲ拵ヘナケレバナリマセ
又、差當リ委員會ノヤウナモノヲ御作リニ
ナツテ、之ヲ實現セラレナケレバナラヌト
思フノデアリマスガ、ソレ等ニ付テノ政府
ノ御所信ヲ先ヅ伺ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=5
-
006・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 相續稅ニ關シマシテ物納
ヲ致スコトガ最モ適當デアルト云フ御議論
ガ、當委員會ニ於テ多數アリマシタコトハ能
ク承知シテ居ルノデアリマス、元來此ノ物納
ノ制度ヲ採リマスコトハ今日ノ時代ニ於テ
適切ト存ジマスガ、ソレニ付キマシテハ相
當ノ準備竝ニ〓究ヲ要スルノデアリマシテ、
只今川崎委員ノ御話ノ如ク、政府ニ於キマ
シテモ委員會ヲ設ケテ、其ノ實行ニ關シマ
スル調査ヲ致シ、物納ノ制度ガ實行セラレ
ルヤウニ進メテ行キタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=6
-
007・川崎克
○川崎(克)委員 第二ニ御伺致シタイノ
ハ、飮食遊興稅交付金ノ問題デアリマスガ、
是ハ昨年ノ稅制ノ委員會ニ於テモ、委員會ニ
對シテ政府ハ公約ヲセラレタノデアリマス
ケレドモ、是ガ明文化セラレテ居ナカツタ
爲ニ、實際ニ委員會ノ要望ガ容レラレテナ
カツタコトハ洵ニ遺憾ニ存ズルノデアリマ
シテ、今囘ハ昨年ノヤウナ行違ヒノナイヤ
ウニ、明カニ之ヲ明文ニシテ戴キタイ、卽
チ交付金ハ最低百分ノ一、最高百分ノ三以
內ト云フコトヲ勅令ヲ以テ明記セラレタイ
ノデアリマスガ、之ニ對シテ政府ハ如何ニ
御考ニナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=7
-
008・櫻内幸雄
○櫻內國務大臣 只今ノ問題ニ付キマシテ
ハ、勅令ニ於テ百分ノ一乃至百分ノ三トス
ルト云フ事柄ヲ明記スルヤウニ取計ヒタイ
ト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=8
-
009・川崎克
○川崎(克)委員 内務大臣ニ御伺ヲ申上ゲ
タイコトガ二ツアルノデアリマス、一二八
自動車稅ニ關スル問題デアリマス、今日道
路法第十七條ノ規定ニ依リマシテ、市トシ
テハ相當重イ負擔ニ任ジテ居ルノデアリマ
スガ、是アリマスル爲ニ、府ノ經濟ガ市ノ經
濟ト比較致シマシテ著シク餘裕ノアルヤウ
ナ府ノ經濟ヲ持ツモノニ對シテハ、是ハ當
然市ニ委讓セラルベキ性質ノモノダト思フ
ノデアリマスガ、委讓ガ困難デアリマスレ
バ、自動車稅ノ一部ハ市ニ交付セラルベキ
ガ當然ト思フノデアリマス、其ノ交付ヲス
ルト致シマスナラバ、如何ナル手續ニ
依ツテ之ヲ明確ニセラレマスカ、ソレ
ヲ伺ヒタイノデアリマス
ソレカラモウ一ツハ小學校〓員ノ俸給ノ
給與ヲ、六大都市ニ限ツテ、府縣ヨリ當該
市長ヲ經由シテ爲サシメルト云フ方法ヲ執
ルコトガ最モ必要デアツテ、是ハ當委員會
ニ於テモ、市ガ內申權ヲ持ツテ居ルケレド
モ內申權ハ殆ド空文ニ等シイ觀ガアルト云
フコトヲ繰返シ論議セラレテ、其ノ問題ニ
付テハ當局ニ於テモ大體御認メニナツテ居
ルノデアリマスカラ、之ヲ實際ノ市ノ〓育
行政ノ上ニ效果アラシメヨウトスルナラバ、
府縣カラ當該市長ヲ經由シテ〓員ニ俸給ヲ
支給スルコトガ一番適當ダト思フ、是ハ勅
令ノ形式ヲ以テオヤリ下サルコトガ最モ明
確デアルト思フノデアリマシテ、成タケ斯
ウ云フコトハ勅令ニ依ツテ明確ニシテ置イ
テ、他日ノ紛清ヲナカラシメタイノデアリ
マシ、之ニ對スル-內務大臣ノ御所見ヲ
伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=9
-
010・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 自動車稅ノコトヲ先ニ御
答申上ゲマス、府縣ノ財政ガ市ノ財政ニ比
較致シマシテ特ニ豐富ナルモノガアリマスルナ
ラバ、斯ル府縣ニ付キマシテハ、府縣ノ自動車
稅ノ一部ニ相當スル額ヲ當該市ニ交付スル等、
適當ナル措置ヲ講ジタイト思ツテ居リマス
第二點ニ付テ御答申上ゲマス、府縣ニ於
テ小學校〓員ノ俸給ヲ支給スルニ當リマシ
テハ、六大都市ニ限リ當該市長ヲ經由スル
モノト致スコトニ付キマシデ、之ヲ勅令ニ
於テ規定スルコトニ付キマシテハ、十分ナ
ル考慮ヲ拂ヒタイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=10
-
011・川崎克
○川崎(克)委員 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=11
-
012・上田孝吉
○上田委員 只今ノ川崎君ノ質問ニ關聯シ
テ一寸伺ヒタイノデアリマスガ、其ノ一點
ハ小學校〓員ノ俸給費支辨ノ問題デアリマ
ス、是ハ當委員會ニ於テモ、又各派ノ間ニ
於テモ、大體ニ於テ六大都市ニ關スル限リ
ニ於テハ、從來通リ其ヲ市ヨリ俸給ヲ渡ス
コトニスベキモノデアルト云フ意見ニナツ
テ居ツタノデアリマスガ、併シナガラ原案
ヲ修正スルコトガ可ナリ困難ナル色々ナ事
情ガアルト云フコトデ、只今ノ川崎君ノ御
質問ニ對シテ内務大臣ノ御答辯ガアツタノ
デアリマスカラ、其ノ御答辯ノ趣旨ニ依ツ
テ、其ノ御取扱ハ大體ニ於テ小學校〓員俸
給費ト云フモノハ從來通リニ扱フ趣旨デア
ルト云フ意味デアルカドウカ、又同時ニ勅
令ヲ以テ之ヲ御定メニナルト云フコトデア
リマスガ、其ノ勅令ハ、本案ガ施行サレマ
ス日ト跛行シナイヤウニ、所謂凸凹ニナラ
ナイヤウニ、同時ニ行ハレマスヤウナ周到
ナル注意ヲ以テヤツテ戴クト云フコトハ
是ハ申スマデモナイコトデアリマスガ、此
ノ問題ハ重大デアリマスカラ、特ニ私ハ念
ヲ入レテ置キタイト思フノデ御尋スルノデ
アリマス
尙又自動車稅ノ問題ニ付キマシテハ、府
縣ノ財政上餘裕ガアル場合ト云フ只今ノ御
答辯デアリマシタガ、ソレハ大體ニ於テ人
口七十万以上ノ都市ト云フ意味デアリマス
ルカ、如何デアリマスカ、其ノ點モ明ニシ
テ置イテ戴キタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=12
-
013・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 只今川崎君ニ御答申上ゲ
マシタル通リニ、小學校〓員ノ俸級ノ支拂
ハ、六大都市ニ限リマシテ當該市長ヲ經由
スルモノト御諒解ヲ願ヒタイト思フノデア
リマス、是ハ只今御話ノヤウニ、施行上差
支ナイヤウニ勅令ヲ以テ規定スルコトニ致
シマス
ソレカラ第二ノ自動車稅フコトハ、六大
都市ノ問題ト御諒解ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=13
-
014・濱野徹太郎
○濱野委員 兵庫縣及ビ愛知縣ニ於ケル三
部制ノ撤廢ニ付テハ、吾々ハ其ノ圓滿ナル結
果ヲ得ルガ爲、數年間本案ノ實施ノ延期ヲ
致スコトガ最モ適正ナリト信ズルノデアリ
マスルガ、政府ニ於テ此ノ要望ヲ容レラレ
ナイコトハ頗ル遺憾トスル所デアリマス、
就キマシテハ政府原案ガ實施セラレルニ當
リマシテハ、政府ハ最善ノ方策ヲ講ジ、其
ノ善後處置ヲ誤ラザルヤウ努メラルベキモ
ノデアリマシテ、政府ニ於テモ亦度々其ノ
趣意ノ御答辯ガアリマシタガ、此ノ際將來
ノ爲、改メテ政府ノ御所見ヲ承ツテ置キタ
イト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=14
-
015・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 只今御尋ノ通リニ心得テ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=15
-
016・濱野徹太郎
○濱野委員 内務大臣ノ御答辯ハ頗ル簡單
デアリ過ギルト存ジマス、凡ソ大體御考慮
ニナツテ居リマスル數點ニ付テ御明答ヲ承
リタイ、卽チ私達ハ委員會ニ於キマシテ、
度々御聲明ヲ個々ノ場合ニ付テ承ツタノデ
アリマスルガ、此ノ際大凡ノ具體的ノ見解
ニ付テ伺ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=16
-
017・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 御尋ニ關スル具體的ノ方
法ニ付テハ、政府委員ヨリ詳シク御說明ヲ
申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=17
-
018・挾間茂
○挾間政府委員 只今濱野委員ヨリ、三部
制廢止ニ關シマシテノ善後措置ニ付テ、具
體的ノ考慮ヲ運ラシテ居ル點ニ付テ說明ヲ
スルヤウニト云フ御話デゴザイマシタガ、
三部制ヲ廢止スルニ付キマシテ最モ問題ニ
ナリマスル點ハ、現在市部ト郡部ニ於キマス
ル地方債ノ額ガ非常ニ相違致シテ居リマシ
テ、之ヲ將來ニ於テ「バランス」ヲ得セシメル
ト云フコトガ、一番大切ナ問題テアリマス、
之ニ付キマシテハ色々ノ方法ガアルノデア
リマスガ、兵庫縣ト愛知縣トハ自ラ其ノ事
情モ違ヒマスノデ、畫一シタ方法ニ依ルト
云フコトハ困難デアルト思ヒ·マス、只今當
局トシマシテ考慮シ、且ツ地元縣知事ニ於
テモ考究致シテ居リマスル具體的ノ方法ト
シマシテハ、例ヘバ市ノ持ツテ居リマス負
債ヲ、當該縣ニ於キマシテ其ノ幾分ヲ引受
ケマストカ、或ハ市ノ負債ニ對シマシテ縣
ガ相當ノ補給ヲ致シマストカ、或ハ市ノ事
業ニ對シマシテ從來ヨリモ高率ナル補助ヲ
與ヘマストカ、乃至ハ市ノ事業デアツテ、
縣ニ於テ施行スルヲ適當ト認メルヤウナモ
ノガゴザイマスレバ、之ヲ縣ニ引取リ施行
スルト云フ方法モアラウト思ヒマス、尙ホ
將來ノ事業ノ計畫ニ付キマシテハ、市部ト
郡部トノ間ニ於ケル釣合ヲ取リマシテ、相
當起債ノ「バランス」ヲ取ルニ必要ナル事業
ヲ市部ニ於テ經營致シマストカ云フヤウナ
方法ヲ考慮致シテ居ルノデアリマスガ、是
ハ地元ノ市部、郡部ノ希望又ハ事情等モゴ
ザイマスカラ、各方面ノ事情ヲ十分ニ考察
致シマシテ、ソコニ適當ナル成案ヲ得タ
イト思ツテ居リマス、此ノ方法ニ付キマシ
テハ知事ガ中心トナリマシテ、市部側、郡
部側ト大體同數ノ協議委員ノ如キモノヲ設
ケマシテ、ソコデ協議決定スルト云フコト
モ適當デアルト思フノデアリマス、尙ホ之
ニ對シマシテハ、政府當局トシマシテモ出
來得ル限リノ協力又指導ヲ致シマシテ、將
來兵庫縣及ビ愛知縣ニ於ケル縣政ガ、此ノ
爲ニ圓滿ナル發達運用ヲ阻碍スルコトノナ
イヤウニ、出來得ル限リノ力ヲ盡シタイト
考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=18
-
019・濱野徹太郎
○濱野委員 尙ホ一點伺ヒタイト存ジマス、
卽チ神戶市及ビ名古屋市ノ市域ノ擴張ニ付
キマシテハ、積極的ノ援助ヲ與ヘラルルコ
トガ極メテ重要ナル要素デアルト存ジマス
ルガ、此ノ點政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト存
ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=19
-
020・挾間茂
○挾間政府委員 神戶ノ市域ノ擴張ニ付キ
マシテハ、現在ノ市勢カラ考ヘマシテ、此
ノ儘ニアルト云フコトハ市ノ將來ノ發展上
好マシクナイト考へテ居リマス、但シ此ノ
市域ノ擴張ニ付キマシテハ、私カラ申スマ
デモナク、相手方デアル所ノ地方團體ガア
ル譯デアリマスカラ、其ノ方面ノ意向モ十
分ニ參酌シ、ソコニ圓滿ナル諒解ヲ得ナケ
レバ、併合ト云フコトハ決行シ難イコトデ
アルト思フフデアリマシテ、當局ト致シマ
シテハ、其ノ點ニ付キマシテハ十分ナル理
解ヲ持チ、其ノ促進方ニ付テモ考究ヲ致シ
タイト思ツテ居ルノデアリマスガ、何分ニ
モ相手方ガアルコトデアリマスカラ、此處
デハツキリト申上ゲルコトハ出來マセヌ
ガ、御趣旨ノ點ニ付キマシテハ篤ト考慮ヲ
致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=20
-
021・川崎克
○川崎(克)委員 今一言御伺致シタイコト
ヲ落シマシタカラ····生命保險料ノ控除ノ
問題ニ關聯致シマシテ、大藏大臣ニ御伺ヲ
致シタイノデアリマス、社會政策的ノ意味
ヲ持ツテ居リマスル建前カラ、生命保險料
金ヲ課稅額ヨリ控除スベシト云フ意見ヲ吾
吾ハ持ツテ居ルノデアリマス、尙ホ此ノ中
ニハ生命保險ノミデナクシテ、徵兵保險モ
含マルベキモノト理解ヲ致シテ居ルノデア
リマスガ、此ノ點ハ如何デアリマスカ、ハ
ツキリ伺ツテ置キタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=21
-
022・櫻内幸雄
○櫻内國務大臣 只今御話ノ點ハ從來ハ入
ツテ居ラナイノデアリマスガ、今日ノ時局
ニ鑑ミ、特ニ又實際ノ事情カラ見マシテ十
分考慮致シマシテ、ソレヲ含ムヤウニ致シ
タイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=22
-
023・堀切善兵衞
○堀切委員長 ソレデハ是ヨリ本委員會ニ
付託セラレマシタ所得稅法改正法律案外四
十四件ヲ一括議題トシテ討論ニ付シマス、
討論ハ通告順ニ依リ之ヲ許シマス-木村
淺七君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=23
-
024・木村尚達
○木村委員 私ハ本委員會ニ付議セラレテ
居リマスル所得稅法改正法律案外諸案ニ付
キマシテ、民政黨ヲ代表シテ、修正意見ヲ
開陳致シマシテ、其ノ他ハ原案ノ通リ贊成
ノ意ヲ表明セントスル者デアリマス、是等
ノ諸法律案ハ、多年要望セラレマシタ、中
央、地方ヲ通ズル稅制ノ一般的改革ヲ爲ス
方針ノ下ニ、前阿部内閣ニ於テ立案セラレ
マシタモノヲ、現內閣ニ於テ踏襲提出セラ
レタモノデアリマス、此ノ度ノ改正ニ依ツ
テ國稅ニ於テ平年度八億一千四百万圓、昭
和十五年度約六億四百万圓ノ增收ト相成ル
ノデアリマス、併シ是ヨリ地方分與金トシ
テ地方團體ノ財源トシテ交付スベキ金額ヲ
差引キマシテ、國庫收入ノ純增加ハ、平年
度五億一千万圓、初年度約三億七千三百万
圓トナルノデアリマス、隨テ昭和十二年以
來累年增稅ニ加ヘマスノニ斯ノ如キ此ノ度
ノ增稅ヲ爲スモノデアリマスカラ、國氏ノ
負擔ハ著シグ增加致シマシテ、且ツ納稅者
ノ範圍モ小額所得者ニ及ボサザルヲ得ナイ
ノデアリマス、又今囘ノ改正案ニ依リマス
レバ、所得稅、法人稅、臨時利得稅ハ必要經
費トシテ損金ヲ算入スルヲ認メザル外、臨
時利得稅ハ其ノ中ニ現行超過所得稅ヲ整理
統合スルコトニ依リマシテ、著シク稅率ヲ
引上ゲラレマシタノデ、個人及ビ法人ノ負
擔ハ著シク重課セラルルコトト相成ツタノ
デアリマス、又相續稅ハ大體三割ノ增稅ト
ナリマシタ、其ノ他間接國稅デアリマスル
酒稅、砂糖消費稅、織物消費稅、物品稅、
通行稅、入場稅、遊興飮食稅其ノ他ノ諸稅
ニ亙リマシテ大幅ノ稅率引上ヲ斷行スル結
果、國民生活必需品ニモ重課セラルルコト
トナリマシテ、物價ノ一般的騰貴ト相俟チ
マシテ、國民ノ負擔ハ愈、重ク相成ツテ參ル
ノデアリマス、併シナガラ支那事變處理ニ
伴フ新東亞建設ニ要スル莫大ナル經費ト、
國際情勢ノ緊迫化ニ對應スル軍備ノ充實ニ
要スル經費支辨ノ爲ニハ、國民ハ分ニ應ジ
テ其ノ負擔ヲ擔任致シマスルト共ニ、現下
最モ必要トスル生產力擴充、物資消費ノ調
整ニ全幅ノ協力ヲ致サントスルモノデアリ
マス、飜テ政府ノ施設ノ跡ヲ見マスルノニ、
計畫經濟ノ一貫セル統制完カラズ、又業界
ノ實情ニ適應セザルモノガアリマス、却テ
配給ノ不圓滑ハ生產ヲ沈滯セシメマシテ、
爲ニ生產力擴充計畫ニ齟齬ヲ招來致シマシ
ク、殊ニ石炭、電力、肥料等ノ不足ハ國家
緊要ナル產業ニ至大ノ影響ヲ及ボシマシ
テ、爲ニ事業經營ニ支障ヲ來サシメ、殊
中小產業ニ與ヘタル困難ノ甚大ナルモノア
ルハ勿論、物資ノ配給不圓滑ト缺乏ハ、物
價ヲ騰貴セシメ、公定價格ハ空文ニ等シ
ク、闇取引ノ橫行ハ普遍化スルニ至ツ
テ居ルノデアリマス、而シテ一面通貨
ノ膨張ト物資缺乏ニ依ル物價騰貴ハ、因果
的ニ其ノ趨勢ヲ助長セントスルノ傾向ニア
リマシテ、國民生活ニ大ナル脅威ヲ與ヘマ
スルト共ニ、生產費ノ昂騰ハ輸出ヲ阻碍セ
ンコトヲ惧ルルノデアリマシテ、今ヤ一步
誤レバ「インフレーション」ハ惡性化スルコ
ト明カデアリマス、加之既ニ今期議會ヲ通
過致シマシタ百三億ノ厖大ナル豫算ニ加ヘ
テ、尙ホ相當巨額ノ追加豫算ガ提出セラレ
マシテ、之ニ依ツテ政府ノ撒布スル資金ハ、
通貨ノ膨脹ヲ促スコトニ相成ルト存ジマス、又
政府ノ庶幾スル適正價格ノ改訂ニ依ツテ、
或ハ助成金ノ交付ニ依ツテ、生產ノ增加ヲ
圖ツテ以テ需給ノ調整ヲ圖ラント致シテ居
リマスルケレドモ、果シテ能ク其ノ目的ヲ達
ルヤ否ヤス、深憂ニ堪ヘザルモノガアルノ
デアリマス、以上ノ情勢ニ鑑ミマシテ刻下
最モ緊要ナル財政經濟政策ハ、惡性「インフ
レーション」ノ招來ヲ阻止スルコトデアリマ
ス、ソレニハ生產ノ增加、奢侈的消費ノ抑
制、低物價ノ堅持ノ諸對策ヲ完遂スル爲ニ、
購買力ヲ吸收シ、公債ノ消化ト生產資金ノ
蓄積ニ力ヲ致サザルベカラザルハ論ヲ俟タ
ナイ所ト存ジマス、此ノ目的ヲ達シマスル
爲ト、又事變下國家必要經費ノ愈〓く增大ス
ルニ鑑ミマシテ、增稅ヲ斷行スルニ當リマ
シテ稅制改革ヲ敢行シ、國民負擔ノ均衡ヲ
圖リマスルト共ニ、非常時國家ニ奉仕スル
負擔分任ノ精神ニ依ツテ、成ベク多クノ國
民ニ稅ヲ負擔セシムルコトハ、國民ノ齊シ
ク承服セザルベカラザル所デアリマス、併
シナガラ增稅ノ結果、生產ヲ萎縮セシメ、
事業經營ヲ困難ニ陷レマシテ、稅源ヲ涸渴
セシムルガ如キコトナカラシメ、又國民生活ノ維
持ニ不安ナカラシムルコトコソ、政治ノ要
諦デナケレバナルマイト固ク信ズル者デア
リマス、是等ノ觀點カラ、所得稅法其ノ他
ノ諸案ヲ愼重ニ其ノ內容ヲ檢討致シマシテ、
次ノ如キ修正ヲ加ヘマスルコトヲ妥當適切
ナルモノト考ヘルノデアリマス、茲ニ修正
スベキ條項ヲ開陳致シタイト思ヒマス、尙
ホ是等ノ修正意見ハ民政黨及ビ政友會ノ
一致セル意見ナルコトヲ中上ゲテ置キマス、
尙ホ修正條項ヲ申述ベルニ付キマシテ、條
項整理ノ餘裕ガ十分ニナカツタ爲ニ、成文
ニシ難キモノモアルノデアリマシテ、是等
ノ點ニ付キマシテハ委員長ノ手許ニ於テ適
當ニ成文化サレンコトヲ希望シテ置キマス、
尙ホ是等ノ成文トシテノ修正條項中、字句
ノ整理上、字句ノ修正ニ止マル分ハ開陳ス
ルコトヲ省略致シタイト思ヒマス、尙ホ便
宜上修正條項ニ付キマシテハ全部ノ修正條
項ヲ纏メテ申上ゲマセヌデ、一條項每ニ簡
單ニ其ノ說明ヲ加ヘタイト思ヒマス
修正條項
所得稅法改正法律案中左ノ通修正ス
第十二條第一項第一號中「必要ノ經費」ノ
下ニ「(收入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子
ヲ含ム以下同ジ)」ヲ加ヘ同項第四號ニ
左ノ但書ヲ加フ
「但シ水產業ノ所得ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ前三年間每年ノ總收入金額ヨリ必要
ノ經費ヲ控除シタル金額ノ平均ニ依リ算
出シタル金額」
此ノ修正條項ハ、分類所得稅ニ於キマシテ、
不動產ノ所得額ノ計算ニ付キマシテ、必要
經費ノ意味ヲ明瞭ニ致シテ置キマスル爲ニ、
「必要經費」ノ下ニ「收入ヲ得ルニ必要ナル負債
ノ利子ヲ含ム」ト加ヘタノデアリマシテ、「以
下同ジ」ト云フノハ、其ノ他ノ所得ニ對シマ
シテモ同樣ニ取扱フト云フコトデアリマス、
但シ水產業ノ所得ニ付キマツテハ、其ノ收獲
ガ年々豐凶ノ別ニ依リテ大差ガアリマスル
ノデ、前三箇年間ノ總收入金額ヨリ必要經
費ヲ控除シタル金額ト云フコトニ致シタイ
ト思フノデアリマス、次一
第十四條第一項中「百圓」ヲ「二百五十圓」
三國人
是ハ不動產所得ニ對スル免稅點ノ引上ゲデ
アリマス、現下ノ情勢ニ鑑ミマシテ、此ノ
位ニ免稅點ヲ引上ゲルコトノ必要ヲ認メル
ノデアリマス
第十六條第一項中、「六百圓」ヲ「七百二
十圓」ニ改ム
是ハ勤勞所得ノ基礎控除額ノ引上デアリマ
シテ、現在ノ情勢カラ見マシテ、六百圓ノ
控除ノ如キデアリマシテハ、少額ノ勤勞所
得者ノ生活ノ最小限度ヲ維持スルコトモ困
難デアリマスノデ、尙ホ之ヲ引上ゲマシテ、
七百二十圓トスルノ適當ナルヲ考ヘルノデ
アリマス、次ヘ
第十七條及第十八條中、「四百圓」ヲ〓
百圓」ニ、「六百圓」ヲ「七百二十圓」二、
「三分ノ二ニ相等スル金額」ヲ「七·二分ノ
五ニ相當スル金額」ニ改ム
是ハ事業所得基礎控除ノ引上デアリマス、
是モ前條勤勞所得ノ基礎控除引上ノ理由ト
同樣デアリマス、次へ
第十九條及第二十條中「四百回」ヲ「五百
圓」ト改ム
是ハ山林所得ノ基礎控除ノ引上デアリマス、
此ノ理由モ同樣デアリマス、次ニ第二十六
條ノ次ニ左ノ一條ヲ追加致シマス
第二十六條ノ二自己若ハ家族又ハ其ノ
相續人ヲ保險金受取人トスル生命保險
契約フ爲ニ拂込ミタル保險料アルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保險料中年額
二百圓以内ニ於テ命令ヲ以テ定ムル金
額ノ百分ノ六ニ相當スル金額ヲ不動產
所得、事業所得、勤勞所得又ハ山林ノ所
得ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除ス
是ハ新規ノ條項デ生命保險料ノ控除ヲ規定
スルモノデアリマス、生命保險料ノ控除ハ
現行法ニハアルノデアリマスルガ、此ノ度
ノ改正案ニハ此ノ點ヲ削除サレテ居ルノデ
アリマス、此ノ生命保險料ノ問題ニ付キマ
シテハ、我國ノ社會制度ノ點カラモ考ヘマ
シテ、現行法通リ保險料ノ控除ヲ認ムルコ
トノ適正ナルヲ考ヘマシテ、新シク此ノ條
文ヲ挿入致シタイト思フノデアリマス、次
ニ
第三十條第一項中第八號ヲ第九號トシ、
第七號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
八水產業ノ所得ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ前三年間每年ノ總收入金額ヨリ必要
ノ經費ヲ控除除シタル金額ノ平均ニ依
リ算出シタル金額
是ハ御聽キノ通リデ說明スル要ナシト思ヒ
マス、次一
第三十三條第一項中「第八條ニ規定スル
利益ノ配當ニ付テハ其ノ所得金額ニ對シ
本項ノ稅率ヲ適用シ算出シタル金額ヲ以
テ其ノ稅額トシ山林ノ所得ニ付テハ」ヲ
削リ、「其ノ稅額」ヲ「各其ノ稅額」ト改ム
是ハ法人ノ解散合併ニ依ル〓算分配金ノ所
得ニ對スル綜合所得稅ノ負擔緩和ニ關スル
修正ノ條項デアリマス
次ニ配當利子ノ所得ニ對スル課稅方法ノ
取扱方デアリマスガ、是ハマダ成文ニ相成
ツテ居リマセヌ、其ノ條文ハ委員長ノ手許
ニ於テ作成セラレンコトヲ望ミマス、其ノ
條文ノ趣旨ハ、綜合所得稅ノ賦課ヲ受ケザ
ル者ガ法人ヨリ受クル利益若クハ利息ノ配
當又ハ剩餘金ノ分配ニ付テハ、其ノ收入金
額ノ十分ノ一ヲ控除シテ分類所得稅ヲ課ス
ルコト、伹シ分類所得稅ハ一應總テノ配當
等ニ付キ十分ノ一ヲ控除シテ課稅シ、綜合
所得稅ノ賦課ニ際シ相當額ヲ加算シテ課稅
スルノ方法ニ依ルコト、斯ウ云フコトデア
リマシテ、配當利子ノ所得ニ對シマシテハ
從來二割ノ控除ガアツタノデアリマス、今
囘ノ改正案ニ於於キシテハ、元本ヲ得ルニ
必要ナル負債ノ利子ヲ控除スルト云フコト
ガ規定サレテ居ルノデアリマスルガ、小額
ノ所得者等ニ付キマシテハ、負債利子控除申
請ノ手續及ビ其ノ眞否ノ調査ニ付キ煩雜ト
困難ガアリマスルノデ、ソレヲ修正シテ收
入ノ一割ヲ控除致シマシテ課稅スルコトト
シ、綜合所得ヲ受ケル配當利子ノ所得ニ對2
シマシテハ、負債ノ利子ノミヲ控除セント
スルノデアリマス
次ニ法人稅ニ付テ申上ゲマス
法人稅中左ノ通り修正ス
第四條第三項中「一年以內」ヲ「三年以內」
三八人
是ハ法人ノ繰越損金ヲ過去三箇年ニ遡ツテ
計算スル規定デアリマス
次ニ特別法人稅ニ付テ申上ゲマス
第四條第四項中「一年以內」ヲ「三年以内」
ニッティ
第六條中「產業組合、商業組合、〓工業組
合貿易組合、漁業協同組合及蠶絲共同
施設組合ニハ」ヲ「特別ノ法人ノ」ニ改ム
第九條中「百分ノ九」ヲ「百分ノ六」ニ改ム
附則第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
「本法ニ依ル特別法人稅ノ賦課ハ支那事變
終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ終了
スル事業年度分限リトス」
特別法人稅ニ付キ此ノ繰越缺損ノ取扱ニ
付キマシテハ法人ト同樣トスルコトト」剩
餘金年三分以下免稅ハ、原案ニ依リマスレ
バ、單位組合ノミデアツタノデアリマス
ガ、之ヲ全部ノ特別法人ニ及ボシタイ、此
ノ趣旨デアリマス、尙ホ特別法人稅ノ剩餘
金ニ對スル稅率ヲ引下ゲ「百分ノ九」ヲ「百
分ノ六」ト改ムルト云フコトデアリマス、
ソレト特別法人稅ノ如キハ其ノ本質ニ鑑ミ
マシテ、出來ルダケ非課稅ニスルト云フコ
トガ適當デアルノデアリマスガ、此ノ事變
下特別法人稅法ヲ創設スルノ已ムヲ得ヌコ
トモ承認ヲ致スノデアリマス、然シ此ノ稅
ノ如キハ成ベク早ク撤廢スルコトガ望マシ
イコトデアルノデアリマシテ、此ノ稅施行
ノ期限ヲ明確ニスル爲附則ニ新規規定ヲ設
ケタノデアリマス
次ニ相續稅法ニ付キマシテ申上ゲマス
第十條第一項中「五年以內」ヲ「七年以
内」ニ、同條第二項中「七年以內」ヲ「十年
〓〓内」ニ改ム
是ハ現行法ニ依リマスレバ、五年以內ニ相
次イデ相續ガ開始シタ場合ニハ相續稅ガ免
除セラレルト云フノヲ、七年以內トシ、又
七年以內ノ場合ニハ半額免除シテ居ルノヲ
十年以內ト改ムル條項デアリマス
次ニ臨時利得稅ニ付テ申上ゲマス
第十條第一項中「必要ノ經費」ノ下ニ
「(收入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含
ム以下同ジ)」ヲ加フ
第五條第三項中「一年以內」ヲ「三年以內」
二五六人
是ハ條文ノ通リデアリマス、繰越損金ヲ三
箇年以內ニ遡ル規定デアリマス
次ニ營業稅法中ノ修正ノ點ニ付テ申上ゲ
マス
第四條第三項中「一年以内」ヲ「三年以
內」ニ改ム
第十條第一項中「必要ノ經費」ノ下ニ「(收
入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含ム以
「下同ジ)」ヲ加フ
第十一條中「新聞紙(一月三囘以下發行ス
ルモノヲ除ク)ノ」ヲ削ル
是ハ所得稅ニ於ケルト同樣、繰越缺損ノ三
箇年間ノ遡及ヲ認ムルコトト、必要經費ト
シテ負債ノ利子ヲ認メルコトト、新聞紙法
ニ依ル出版物ヲ免稅トシ、雜誌ノ如キモ其
ノ適用ヲ受ケシムルコトデアリマス
次ニ地租法中改正法律案ニ付テ申上ゲマ
ス
地租法第七十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
田畑地租ノ納期開始ノ時ニ於テ納稅義務
者ノ住所地市町村及隣接市町村內ニ於ケ
ル田畑賃貸價格ノ合計金額ガ其ノ同居家
族ノ分ト合算シ二百圓未滿ナルトキハ納
稅義務者ノ申請ニ依リ其ノ田畑ノ當該納
期分地租ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ免
除ス但シ耕作セザル田畑ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ
是ハ從前自作農ニ限ラレテ居リマシタノ
ヲ、小作ニ付シタル耕地ニ付キマシテモ、
二百圓未滿ナルトキハ免除スル規定デアリ
マス
次ニ酒稅法ニ付テ申上ゲマス同法第五條
ヲ
第五條本法ニ於テ合成〓酒トハアルコー
ル、燒酎又ハ〓酒ト他ノ物品トヲ混和シ
テ製造シタル酒類ニシテ其ノ香味、色澤
其ノ他ノ性狀ガ〓酒ニ類似スルモノヲ謂
フ
ト修正致シマス、是ハモウ說明ヲ俟チマセ
又、酒稅法ニ付テハ尙ホ第八十八條ヲ削ル
ノデアリマス、是ハ說明ヲ省略致シマス
次ニ物品稅法案ニ付テ申上ゲマス
物品稅法案中左ノ通修正ス
第一條第一項第一種中「五珊瑚製品」ヲ
in〓瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七
寶製品」ニ改メ、「六琥珀製品」、「七
象牙製品」、「八七寶製品」、「二十一盆
裁盆石及鉢植類」及「二十二愛玩用動
物及同用品」ヲ削リ、順次各號ヲ繰上ゲ
「三十盆栽、盆石及鉢植類」及「三十一
愛玩用動物及同用品」ヲ加フ
同條同項第二種乙類中「二十二化粧石
鹼、シャンプー洗粉及齒磨」ヲ「二十二
シャンプー及洗粉」ニ、「二十三茶、珈琲
及其ノ代用物竝ニココア」ヲ「二十三紅
茶、珈琲及其ノ代用物竝ニココア」ニ改ム
化粧石鹸、齒磨、綠茶ヲ削除スル修正デア
リマス、尙ホ物品稅法第五條中「第十九號」
ヲ「第十六號及第三十號」ニ改メマス
次ニ入場稅ニ付テ申上ゲマス
第三條第一項中「第二種ノ場所入場料
ノ百分ノ二十」ヲ「第二種ノ場所撞球場
入場料ノ百分ノ十其ノ他入場料ノ
百分ノ二十」ニ改ム
尙ホ政府ニ於キマシテハ遊興飮食稅法ノ命
令ニ於キマシテ、從業婦五人以下ノ「カフ
エー」及ビ「バー」ニ於ケル三圓未滿ノ飮食
料金ニ對シテハ課稅セザル旨ノ規定ヲ設ク
ルトノコトデアリマスルカラ、之ヲ條件ト
シテ遊興飮食稅法案ニハ修正ヲ加ヘザルコ
トニ致シマシタ、此ノコトヲ附言シテ置キ
マス
次ニ地方稅法案ニ付キマシテ申上ゲマス
第六十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
市町村民稅ノ納稅義務者一人ニ對スル賦
課額ハ左ノ金額ヲ超エルコトヲ得ズ
人口七十万以上ノ市二千圓
其ノ他ノ市千五百圓
町村千圓
是ハ今囘ノ稅法ノ改正ニ依リマシテ、戶數
割ノ全廢ニ伴フ市町村民稅ノ創設デアルノ
デアリマスルガ、原案ニ於キマシテハ市町
村ヲ通ジマシテ、納稅義務者一人ニ對スル
賦課額ハ千圓トシテ居ツタノデアリマスル
ケレドモ、之ヲ負擔力ノ狀況ニ鑑ミ、又負
擔ノ均衡ノ點カラ考ヘマシテ、斯ク修正ス
ルヲ適當ナリト考ヘルノデアリマス
次ニ地方分與稅ニ付テ申上ゲマス、此ノ
修正ニ付キマシテハ、前段申上ゲマシタ國
稅ニ關スル修正ヲ加ヘマシタ結果、地方分
與稅法中ニ於キマシテモ、數箇條ニ亙ツテ
配付稅ノ額竝ニ率ニ付テ修正ヲ加ヘナケレ
バナリマセヌガ、是ハ計數ノ整備ヲ要シマ
スルノデ、修正ノ成文ハ委員長ノ手許ニ於
テ然ルベク處置セラレンコトヲ御願致シテ
置キマス
以上修正ノ動議ヲ提出致シマス、其ノ他
ハ原案ノ通リ贊成ヲ致シタイト思ヒマス、
終リニ此ノ際附帶決議ト致シマシテ、政友
會民政黨ノ一致シタ附帶決議ヲ開陳致シ
マス
附帶決議
審査請求其ノ他不服ノ申立アリタルト
キハ口頭審問制度ヲ採用シ且ツ速ニ裁
決スベシ
此ノ附帶決議ノ趣旨ヲ辯明致シマス、稅ノ
査定ヲ爲スハ稅務署デアリマス、此ノ場合
動モスレバ調査粗漏ニシテ實情ニ添ハズ、
過酷ナル所得額ノ査定ヲ爲シ、又ハ威壓シ
テ自己ノ査定額ノ承服ヲ强要スルガ如キ其
ノ例ガ乏シクアリマセヌ、爲ニ人民間ニ怨
嗟ノ聲甚シト言フモ過言デナイノデアリマ
ス、尤モ之ガ審査機關トシテ所得調査委員
會ハアリマスルガ、調査員トシテ多數ノ納
稅義務者個々ニ就キ其ノ實情ヲ調査測定ス
ルハ能クスル所ニ非ズト存ズルノデアリマ
ス、故ニ稅務署ヲシテ苛歛誅求ナキヤウニ
實情踏査ヲ爲サシメ、又均衡ヲモ尊重セシ
メテ、怨嗟ノ聲ナキヤウニ努ムベキデアリ
マス、所得稅法ニ依レバ、納稅義務者ガ所
得決定ニ異議アルトキハ不服ノ事由ヲ具シ
審査ノ請求ヲ爲スヲ得トアリ、所得審査委
員會ノ審議ニ付シ、尙ホ其ノ決議ニ不服ア
ル場合ニ於テハ訴願ヲ爲シ、又ハ行政裁判
所ニ出訴スルコトヲ得ル事ニ相成ツテ居リ
マスケレドモ、之ヲ一方的ニ決定スルコト
ナク、審査請求其ノ他不服ノ申立アリタル
トキハ、當人ヲ喚問シテ其ノ理由ヲ十分ニ
陳述セシメ、其ノ實情ニ依ル決定ヲ爲シ、
以テ苛歛誅求ナキヲ期スルコトガ必要デア
リマス、稅法ニ依レバ不服ノ申立アリタル
場合ト雖モ、政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫シナ
イデアリマス、過去ノ實例ニ徵スルトキハ、
訴願等ノ場合ニ於テ審査モ急速ニ執リ行ハ
レズ、荏苒時日ヲ經過スルコトガアリマシテ、
爲ニ納稅者ノ迷惑ト困難ハ測リ知ルベカラ
ザルモノガアルノデアリマス
尙ホ災害、其ノ他正當ナル理由ニ因リ著
シク所得ヲ減失シタル臨時租稅措置法ノ災
害被害者ニ對スル減免、徵收猶豫等ニ關ス
ル法律ニ依ツテ稅ノ減免申請アリタル場合
ハ、成ベク迅速ニ調査ヲ爲シ、是等ノ法ノ
適用ヲ敏速ニシテ救濟ノ方法ヲ執ラレンコ
トヲモ附加ヘテ希望スルモノデアリマス
以上ヲ以チマシテ修正意見ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=24
-
025・堀切善兵衞
○堀切委員長 此ノ際一寸申上ゲマスガ、
尙ホ森君外五人ノ發言ノ通〓ガアリマス、
然ルニ十二時ヲ過ギマスト今日ハ繼續出來
ナイヤウナ譯デ、明日ハ續ケテヤラナケレ
バナリマセヌ、併シ出來得ルナラバ今晩ヤ
ツテシマヒタイト思ヒマスカラ、ドウゾ簡
略ニ御意見ヲ御開陳願ヒタイト思ヒマス-
森君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=25
-
026・森肇
○森委員 私ハ只今木村君ヨリ提出セラレ
マシタル修正案ノ共同提案者ト致シマシテ、
各修正ノ條項ニ對シテモ意見ヲ述ベル筈デ
アリマスガ、只今委員長ノ御注意モアリマ
シタノデ、只今ノ木村君ノ說明及ビ修正案
ソレ自體ニ依ツテ御諒承ヲ願フコトト致シ
マシテ、說明ハ省略致シマス、唯茲ニ私ノ
意見ノ一端ヲ申述ベマシテ、立場ヲ明ニ致
シテ置キタイト思ヒマス、私共ハ我國ニ於
テノ劃期的稅制改革、此ノ大增稅ヲ含ム所ノ
稅制改革各案ヲ審議スルニ當リマシテハ、
第一ニ時局柄デモアリマスルシ、國民ノ生活
ヲ脅威スルガ如キコトガアツテハ相成ラヌ
ト云フコトニ留意ヲ致シテ檢討ヲ致シマシ
タ、又一面ニ於テハ我國特有ノ家族制度ノ
基礎ヲ破却スルヤウナコトガアツテハナラ
ヌト云フコトヲ憂ヘテ居ツタノデアリマス、
又現內閣ノミナラズ、事變以來政府トシテ
支持シテ居ラレル低物價政策ヲ害フガ如キ
コトガアツテハ相成ラヌト云フコトニモ、
留意ヲ致シタノデアリマス、又生產擴充計
畫ヲ傷ツケルガ如キコトガアツテハ相成ラ
ヌト、此ノ點ニモ留意ヲ致シテ檢討ヲ致シ
タノデアリマスガ、前後一箇月ニ餘ル審査
ノ間ニ於テ、質問應答ノ間、政府ヨリ聽取
リマシタル色々ノ答辯等ニ依リマシテモ、遂
ニ昭和十五年度ノ大豫算ニ對シテ、果シテ
信念ヲ持ツテ居ラルルカ否カ、其ノ點ヲ十
分確メ能ハザリシコトヲ遺憾ト致シマス、
又此ノ大增稅ヲ斷行シナケレバナラヌ、ソ
レハドウ云フ理由デ此ノ大增稅ヲ行ツタノ
デアルカト云フ點ニ付テ、十分ニ政府ノ信
念ヲ確メ得ザリシコトヲ遺憾ト致シマス、
唯昨今ノ時節柄、國民ノ購買力ヲ出來ルダ、
ケ吸收シナケレバナラヌト云フコトハ、私
共政府ト同感デアリマス、國民ノ消費ヲ出
來ルダケ規正シテ參リタイト云フ點ニ於テ
モ、政府ト所見ヲ一ニ致シマス、此ノ意味
ニ於テ稅制ニ相當ノ改正ヲ加ヘテ參リマス
ルコトハ、無論必要デアリマスルガ、其ノ
動イテ已マザル情勢ノ上ニ、是程ノ大改革
ヲ企テラレタル所ノ政府ノ態度ニ對シテハ、
寧ロ私共ハ其ノ大膽ニ驚イタデアリマス、
只今申上ゲマシタヤウナ關係ニ於テ、稅制
ニ何カ相當ナ改革ヲ加ヘナケレバナラヌコ
トハ勿論デアリマスルシ、此ノ政府ノ提案
ニ依リマシテ、私共ガ承知致シマシタル租
稅ノ新シキ體系ニ對シマシテハ、私共敏意
ヲ表スルノデアリマス、又一面ニ於テ中央
地方ノ關係ヲ調整致シテ行クト云フ此ノ目
標ニ對シテモ、私共ハ贊成ヲ表スルノデア
リマス、斯樣ナ意味ニ於テ、政府ニ依ツテ
確メ得タルモノニ對シテハ遺憾已ム能ハザ
ルモノガアリマスガ、私共ハ忍ンデ此ノ程
度ノ修正ヲ加ヘテ、他ハ政府ノ原案ニ贊成
致スノデアリマス、唯憂フル所ハ、此ノヤ
ウナ稅制ヲ以テ此ノ儘デ進ンデ參リマスナ
ラバ、成ハ近キ將來ニ於テ再ビ增稅ノ已ム
ヲ得ザル事情トモ相成ル、一面地方ニ於テ
ハ種々ノ關係ニ於テ財政ノ紊亂ヲ惹キ起ス
ヤウナコトガアリハセヌカト云フ點ヲ、深
ク憂慮致スノデアリマス、政府ハ宜シク是
等ノ點ニ十分ニ意ヲ留メラレテ、萬一ノ誤
ナキヲ期セラレンコトヲ希望致シマス、私
ハ劈頭ニ申述ベマシタ四ツノ目標ヲ以テ此
ノ案ノ檢討ヲ致シマシテ修正ヲ加ヘマシタ
卽チ基礎控除ノ增額デアリマス、或ハ免稅
點ノ引上デアリマス、或ハ相續稅ニ對スル
修正デアルトカ、或ハ物納ノ希望デアル
トカ、是等ノコトハ要スルニ國民生活ノ
最小限度ヲ確保致シタイ、我國特有ノ家
族制度ヲ完全ニ維持致シテ參リタイ、斯
ウ云フ趣旨ニ外ナラヌノデアリマス、
私ハ同ジヤウナ見解ヨリ致シマシテ、
我國ノ國柄ト致シマシテ殊ニ農漁山村ニ於
ケル家屋稅ノ賃貸價格調査等ニ當リマシテ
ハ、政府トシテ十分ノ意ヲ用ヒラレテ、家
屋ニ對スル國民ノ愛著、住家ニ對スル國民
ノ愛著ト云フコトヲ傷クルコトノナキヤウ
ニ十分留意セラレンコトヲ希望致スノデア
リマス
兎ニ角是ハ非常ノ大改革、非常ノ大增稅
デアリマス、此ノ法ノ運用ヲ若シ誤ルヤウ
ナコトガゴザイマシタナラバ、軈テハ國民
ノ生活ヲ脅威シ、或ハ物價ノ暴騰ヲ惹起シ、
其ノ他經濟界ノ進展ヲ妨グルガ如キ虞ナシ
ト致シマセヌ、生產擴充ノ前途ヲ妨グルガ
如キコトガアツテハ大變デアリマス、ドウ
カ政府ハ此ノ法ノ運用ニ對シテ深ク意ヲ留
メラレテ、殊ニ臨時措置法ノ運用ニ對シテ
ハ有ユル方面ヨリ最善ノ努力ヲ用ヒラレ
ンコトヲ希望シテ止ミマセヌ
尙ホ此ノ增稅案ノ審議ニ當リマシテモ、
何時モノ場合ト同樣ニ苛斂誅求ノ聲ガ絕エ
ナカツタノデアリマスガ、或ハ此ノ苛斂誅求
ク聲ガアルコトヲ見テ常ト爲シテ居ル人ガ
アルカモ知レマセヌケレドモ、常例ノヤウニ
苛斂誅求ガ叫バレマス所ニ、苛斂誅求ノ事實
ガアルコトヲ御忘レニナラヌヤウニ、私ハ政
府ニ御願ヲ致シテ置キタイト思ヒマス、色々
稅務官吏ナドニ付テ非難モアルノデアリマ
スガ、私ハ稅務官吏ノ一々ヲ捉ヘテ考ヘテ
見ル時ニ、左樣ニ能力ノナイ人ダトハ考ヘマ
セヌ、左樣ニ無理ヲ働カウト云フヤウナ存
念デ事ニ當ツテ居ルトモ考ヘヌノデアリ
マスガ、若シ茲ニ苛斂誅求ノ事實ガアルナ
ラバ、其ノ原因ト致シマシテハ政府ノ指令
ニ基ク所ガ少クナイト云フコトヲ認メルノ
デアリマス、ドウカ政府ハ此ノ新稅施行ニ
當ツテハ十分ニ過去ノ事例ニ鑑ミマシテ、
自ラ先ンジテ範ヲ全國ノ稅務官吏ニ示サル
ルト同時ニ、此ノ數多ノ稅務官吏ヲシテ日
日ノ生活ニ安堵セシムルコトガ出來ルヤウ
ニ、出來ルダケノ優遇ト出來ルダケノ慰安
ヲ與ヘテ、彼等ヲシテ自由ニ其ノ手腕ヲ伸
ベシムルヤウニ心ヲ用ヒラレンコトヲ切望
致スノデアリマズ、私ハ玆ニ只今ノ修正案
ニ贊成ノ意ヲ表シ、併セテ其ノ他ノ各案ニ
對シテハ原案ヲ採ルノ意ヲ明ニシテ置キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=26
-
027・堀切善兵衞
○堀切委員長 次ニ田中君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=27
-
028・田中好
○田中委員 私ハ立憲政友會ヲ代表致シマ
シテ、民政黨ノ木村君ガ提議セラレマシタ
吾々ノ共同修正案ニ贊成ヲスル者デゴザイ
やく、今回ノ稅制改革ハ劃期的ノモノデゴ
ザイマスルガ、ココ數十日ノ委員會ニ於ケ
ル質疑應答ノ狀況ニ徵シマスル時ハ、我國
ノ財政政策ノ前途ニ於テ根本的方策ガ立ツ
テ居ルカドウカト云フコトニ付キマシテ、
吾々ハ懸念ヲ抱クノデアリマス、ソレハ政
府ニ於カレテ應答ノ場合ニ明確ナル方針ヲ
示サレナイ結果デアリマシテ、吾々ハ之ヲ
洵ニ遺憾トスルノデゴザイマス、固ヨリ今囘
ノ稅制改革ノ目標トセラレテ居リマスル所
ハ政府自ラ言明セラレテ居リマスルガ如
"、中央地方ヲ通ジテ負擔ノ均衡ヲ圖ルト
云フコト、稅制ノ簡易化ヲ圖ルト云フコト
稅制ト經濟諸政策トノ調和ヲ圖ルコト、稅
ノ增收ト彈力性ヲ得セシメルコトデアルト
云フ御說明デゴザイマシタガ、果シテ此ノ
稅制改革ノ御示ニナリマシタ目標ト本案ト
ヲ見ル時ニドウデアルカト云フコトヲ考ヘ
マスルト、吾々ハ政府ノ言明ヲ全面的ニ支
持スルコトハ出來得ナイノデゴザイマス
經濟諸政策トノ調和ニ付テ考ヘマシテモ、
物價政策ト生產擴充ト矛盾シテ居ルノデハ
ナカラウカト云フコトヲ發見スル虞ガアル、
又納稅範圍ヲ擴張シテ大衆課稅ヲ行ヒマシ
タ結果、國民生活ニ及ボス影響ハ少カラザル
モノガアルト思フノデゴザイマス、又政府ハ
稅ノ彈力性アリト言ハレマスケレドモ、今
後ノ伸張力ハ主トシテ比例稅タル所ノ分類
所得稅ニ求メラルル傾向デアリマスルガ爲
ニ、大衆ノ負擔ヲ重カラシムル所ノ嫌ガア
ルノデゴザイマス、又中央地方ヲ通ズル
負擔ノ均衡ニ付キマシテハ政府ガ努力セ
ラレマシタ跡ニ對シマシテハ、吾々ハ之ヲ多
トスル者デゴザイマス、併シナガラ勤勞所
得ト事業所得トノ間、或ハ配當利子所得ト
不動產所得トノ間ニ於ケル不權衡ハ、十分
ニ調整セラレテ居ナイノヲ吾々ハ遺憾トス
ル次第デゴザイマス、又他方地方稅ニ於テハ
眞ニ劃期的ノ改革デゴザイマシテ、稅制ノ
體系ヲ根本的ニ立直シテ、稅制ヲ簡易且ツ
明白ナラシメラレントスル所ノ其ノ努力ニ
對シマシテハ、吾々ハ十分ノ敬意ヲ拂フノ
デゴザイマス、殊ニ戶數割ノ全廢ハ地方民
多年ノ要望デアツタヤウデゴザイマスガ、
是ガ實現ヲ見マシタコトハ吾々ノ欣快トス
ル所デゴザイマス、然ルニ地方財政ノ自主
性ヲ喪失シテ、爲ニ地方自治權ノ薄弱化ヲ
招來スルヤウナ點ガナイデモゴザイマセ
又、是ハ吾々ガ遺憾トスル所デゴザイマス、
殊ニ地方稅制ノ伸縮性ヲ、戶數割ニ代ヘテ
三收益稅ノ附加稅ノミニ求メラレタト云フ
コトハ將來戶數割制度以上ノ弊害ヲ喚起
スノデハアルマイカ、隨テ地方民ヲシテ重
課ニ苦シマシムル虞ガアルノデハナカラウ
カ、頗ル吾々ハ痛心ニ堪ヘナイ所デゴザイ
そう、カルガ故ニ政府當局ハ其ノ運用ニ注
意セラレ、若シ今日私共ガ憂ヘテ居ルヤウ
ナ事態ヲ見ルニ至リマシタナラバ、直チニ
之ヲ是正セラルベキモノデアルト思フノデ
ゴザイマス、其ノ他都市計畫稅其ノ他ノ稅
目ニ付キマシテモ、不備不滿ノ點ヲ發見スル
コトガ出來得マス、隨ヒマシテ大修正ヲ爲
スベキ筋合デゴザイマスケレドモ、時局ニ
鑑ミ政府ノ歲計ニ甚シイ齟齬ヲ生ゼシメナ
イ範圍ニ止メマシテ修正ヲシタノデゴザイ
マス、仍テ政府ハ吾々ノ意ノ在ル所ヲ體セ
ラレマシテ、本法ノ運用ニ付テ誤ナキヲ期
セラレンコトヲ切望スル次第デゴザイマス
尙ホ最後ニ特ニ注意ヲ喚起シテ置キタイ
コトハ先程ノ御話ニモアリマシタガ如ク、
稅務官吏ノ苛歛誅求ノコトデゴザイマス、
稅務官吏ハ苛歛誅求ヲ以テ己レノ天職トス
ル嫌ヒガアルコトハ、政府當局モ或ハ其ノ
一斑ヲ承認セラレテ居ルコトデアラウト思
ヒマス、併シ是ハ悲シムベキコトデゴザイ
マシテ、國民ガ課稅ニ泣クヤウナ徴稅ノ方
法ハ愼マナケレバナラヌ、國民ガ納稅ヲ理
解致シマシテ、喜ンデ稅ヲ出スヤウナ頭ニ
向ケシムル爲ニ、稅務官吏ヲ指導〓育セラ
レルコトガ最モ肝要ダラウト思ヒマスノ
デ、此ノ點特ニ御考慮ヲ煩シタイト存ズル
ノデゴザイマス
以上只今ノ修正意見ニ同意致シマスト共
ニ、他ノ案ニ關シマシテハ原案ニ贊成ノ意
ヲ表スル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=28
-
029・堀切善兵衞
○堀切委員長 次ニ佐竹君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=29
-
030・佐竹晴記
○佐竹委員 社會大衆黨、時局同志會、第
一議員倶樂部共同ノ修正竝ニ否決ノ意見ヲ
申上ゲタイト考ヘマス
先ヅ所得稅法改正案ノ修正ヲ申上ゲマス、
第十四條第一項不動產、所得ハ「百圓」トアル
ヲ「二百圓」ニ改ム、第十六條第一項甲種勤
勞所得ニ付テハ「年六百圓〓トアルヲ「年
八百圓」ニ改ム、第十七條第一項第一號事
業所得ニ付テハ「四百圓」トアルヲ「六百
圓」トシ、同第二號乙種ノ勤勞所得ニ付テ
ハ「六百圓」トアルヲ「八百圓」ニ、同條
第二項但書中「六百圓」トアルヲ「八百圓」ニ
「四百圓」トアルヲ「六百圓」ニ改ム、第十八
條第一項但書中「六百圓」トアルヲ「八百圓」
ニ、第一號中「四百圓」トアルヲ「六百圓」
ニ、同二號中「六百圓」トアルヲ「八百圓」
ニ改ム、第二十一條第三項中事業所得ノ
金額ガ「千圓以下」トアルヲ「千五百圓以
下」ト改ム、第二十六條ノ次ニ同條ノ二ヲ
追加ス、「第二十六條ノ二自己若ハ同居家
族又ハ其ノ相續人ヲ保險金受取人トスル生
命保險契約ノ爲ニ前年中ニ拂込ミタル保險
料(徵兵保險料ヲ含ム)二百圓ヲ限リ其ノ拂
込ミタル保險料ニ該當スル所得ニ對スル稅
率ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ契約者ノ所得
ニ對スル分類所得稅額ヨリ控除ス、前項ノ
控除ノ方法ハ扶養家族ノ控除方法ニ依ル」
第三十一條ノ次ニ同條ノ二ヲ追加ス、「第三
十一條ノ二第三十條ノ規定ニ依リ算出シ
タル總所得金額ヨリ必要經費トシテ控除セ
ラレザル負債ノ利子ヲ控除ス」第百六條ヲ
削除シ以下條文ヲ順次繰上グルコト、說明
ハ省略ヲ致シマス
入場稅法案ノ修正ヲ申上ゲマス、第三條
第一項中「第二種ノ場所」トアル下ノ「入場
料百分ノ二十」トアルヲ削リ「撞球場入場
料ノ百分ノ十」及「其ノ他入場料ノ百分ノ
二十」ヲ加フ、第四條中一囘「十九錢」トア
ルヲ「二十三錢」ト改ム
次ニ遊興飮食稅法案ノ修正ヲ申上ゲマス、
第三條第一項ヲ左ノ通リ改ム、「遊興飮食ノ
料金ガ一人一囘三圓(但シ命令ヲ以テ定ム
ル料理店ニ付テハ二圓)ニ滿タザル場合ニ
ハ遊興飮食稅ヲ課セズ」同條第一項第三號
ヲ削除ス
次ニ物品稅法案ニ關スル修正ヲ申上ゲマ
ス、第一條第一項第二種乙類第二十二號中
「化粧石鹼」、「齒磨」ヲ削除ス、同二十三號
中「茶、」ヲ削除ス、第六條中「化粧石鹸、」
「、齒磨」ヲ削除ス
營業稅法案ニ關スル修正ヲ申上ゲマス、
第十一條第三號ヲ左ノ通リ改ム111新聞
紙法ニ依ル新聞紙ノ出版」
次ニ特別法人稅ハ全部否決デアリマス
次ニ地方稅法案ノ修正ヲ申上ゲマス、第
六十三條第一項中「自轉車稅」「荷車稅」ヲ削
除ス、第六十六條中第一項ヲ左ノ通リ改ム
「市町村民稅ノ納稅義務者一人ニ對スル賦課
額ハ左ノ金額ヲ超ユルコトヲ得ズ人口七
十萬以上ノ市二千圓其ノ他ノ市千五百圓
町村一千圓」
以上ガ社會大衆黨、時局同志會及ビ第一
議員倶樂部ノ修正案及ビ否決意見デアリマ
ス
次イデ社會大衆黨獨自ノ修正案ヲ申上ゲ
マス、法人稅法案ニ關スル修正、第十六條
第一項第一號中「百分ノ十八」トアルヲ「百
分ノ二十」ト改ム
通行稅法案ノ修正ヲ申上ゲマス、第二條
第一項中乘車船區間八十粁以下ナルトキ
「三等二錢」トアルヲ「三等(但シ乘車船區間
五十粁未滿ヲ除ク)二錢」ト改ム
地方稅法案ノ修正ヲ申上ゲマス、第四十
八條中「自動車稅」ノ下ニ「(但シ人口七十萬
以上ノ市ニ定置所ヲ有スル自動車ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ)」ヲ加フ、第六十三條末項
ニ「人口七十萬以上ノ市ニ在リテハ第一項
ニ揭グル獨立稅ノ外自動車稅ヲ課スルコト
ヲ得」ヲ加フ
以上ヲ除クノ外ハ原案贊成デアリマス、
只今申上ゲマシタ修正ノ成文ノ整理ニ付テ
ハ不十分ノ點ガアルカモ分リマセヌノデ、
此ノ點ニ付テハ適當ニ委員長ニ於キマシテ
處理セラレマスルヤウニ御願申上ゲマス
私ハ此ノ際ニ意見ヲ申上ゲタイト考ヘマ
ス、吾々ハ稅制改革ヲ通ジテ日本ノ革新ガ
望マシカツタノデアリマス、稅制ノ改革ハ
算術的ナ負擔均衡ノ遣繰デハゴザイマセヌ、
消極的經濟諸政策トノ調和位デハ滿足出來
ル程度ノモノデハアリマセヌ、稅革ハ高等
數學デナケレバナリマセヌ、積極的革新性
ヲ持ツテ居テコソ、戰時對應ノ稅革ト言ヘ
マセウ、然ルニ今次稅制改革ヲ見ルニ、毫
モ全體國家ヘノ推進ガ見ラレマセヌコトハ、
甚ダ私共遺憾ニ存ズル所デアリマス、今次
事變勃發以來生產力擴充ハ其ノ焦眉ノ急
ヲ告ゲテ居ルノニ拘リマセズ、生產設備ハ
舊態依然タルモノナリト言ハナケレバナリ
マセヌ、昭和五、六年ノ交「デフレ」政策ト
世界不景氣ノ爲ニ工場ハ休ンデ居リマシ
タ、今次事變ニ伴ヒマシテ其ノ工場ガ息ヲ
吹返シタト云フ程度ニ過ギナイノデアリマ
ス、全體トシテノ社會的總資本トシテノ戰
爭經濟ノ新設備ハナイト言ツテ差支ナイ、
固定資本ノ生產設備ノ擴大ハナイノデアリ
やっ、ダカラ其ノ生產擴充ハ悉ク流動資本
ノ增大ニ依ツテ賄ツテ來タト言ツテ差支ナ
イ、流動資本ノ主タルモノハ人件費デアル、
卽チ勞働力ニ依ツテ賄ツテ來タト言ツテ私
ハ敢テ過言デナイト信ズル者デアリマス、
要約スレバ彈丸モ爆藥モ腕デ造ツテ來タト
言ツテ差支ナイノデアリマス、今ヤ我ガ日
本ノ經濟ハ擴大再生產ドコロデハゴザイマ
セヌ、物資ノ不足、資材配給ノ不圓滑ハ極
度ニ達シマシテ、生產ニ計畫性ノナイ結果
縮小再生產へノ行程ニ入ツテ居ルノデアリ
マス、此ノ狀態ノ下ニ於テ稅バカリ增シテ
參リマスナラバ、益〓縮縮再生產ヘノ拍車
ヲ掛ケルコトニ相成ルデアリマセウ、固ヨ
リ戰時經濟ハ增稅ニ依ツテ賄ツテ行カナケ
レバナラナイコトハ當然デアリマスガ、併
シ革新的「イデオロギー」トシテ之ニ向フ所
ノ方法、卽チ國民組織ト云フモノガナカツ
タ時ニハ、增稅ト生產力擴充トハ矛盾撞著
致シマシテ、却テ縮小再生產へ移行セザル
ヲ得ナイノデアリマセウ
獨逸ハ如何ニシテ戰時財政經濟ヲ切廻シ
テ來タカ、卽チ外國ニ在ツタ證劵ヲ原料ニ
換ヘテシマツタ、平和產業ノ犠牲ヲ軍需產
業ノ持別利潤ニ依ツテ「カバー」シテ參ツタ
ノデアリマス、國民生活ハ完全ニ、富メル
者モ貧シキ者モ犧牲ノ均衡ヲ强化スル體制
ニ入ツタノデアリマス、大イニ學ブベキモ
ノデアルト私ハ思フ、ソコデ戰時利潤ニ犠
牲ヲ負ハセマシテ生產設備ノ擴大ヲ圖リ、
以テ勞働生產制ヘノ向上ヲ企圖致シマスコ
トニ依ツテノミ、此ノ非常時局ヲ克服シ得
ルモノデアルト私共ハ信ジマス、稅制改革
ハ此ノ精神ニ副ウテ斷行サルベキデアリ、
日本革新ノ推進力タルベキモノデナクテハ
ナラヌト考ヘマス、ソレデコソ眞ノ戰時體
制ニ相應シキ稅制改革デアルト言ヘルデア
リマセウ、然ルニ今次稅制改革ハ此ノ非常
時局ニ對應致シマスル革新性ヘノ推進力ニ
於テ缺ケテ居リマスルコトハ、私共滿足ス
ルコトノ出來ナイ點デアリマス、然レドモ
旣ニ申上ゲマシタ通リ、戰時經濟ハ增稅ニ
依ツテ賄フベキデアルト云フコトニ付テ
ハ、吾々ノ固ヨリ之ヲ認ムル所デアリ、又
當面ノ問題ト致シマシテ、大體ニ於テ此ノ
稅制改革案ニ贊同スルノ外ナキ狀態デアル
ニ依リマシテ、茲ニ敍上吾々ノ希フ線ニ沿
フ所ノ若干ノ修正ヲ致シマシタ、且ツ吾々
ノ希望ヲ申上ゲマシテ、修正以外ノ部分ハ
原案ノ通リ贊成ノ意ヲ表スル次第デアリマ
ス
唯最後ニ一點、一言致シテ置キタイノハ、
今囘政府ガ愛知縣竝ニ兵庫縣ノ三部制經濟
ヲ廢止シヨウトナサツテ居ラレマスル件デ
アリマス、從來廢止サレマシタ所ノ廣島、
京都ノ如キ、其ノ例ヲ見マスルノニ、三箇
年乃至四箇年ノ猶豫期間ヲ與ヘテ居リマス、
三部制ハ寳施以來六十年ノ歷史ヲ有シ、各
地方ニ各〓、特殊事情ガ內在致シテ居リマシ
テ今日ニ至ツテ居ルノデアリマスルカラ、
何等ノ豫〓モナク、何等ノ猶豫期間モ與ヘ
ルコトナクシテ之ガ廢止ヲ斷行致シマスル
時ニハ、容易ナラヌ問題ガ惹起スルデハナ
イカト憂慮セザルヲ得ナイノデアリマス、
(拍手)例ヘバ兵庫縣ノ如キハ郡部債ガ約七
千万圓、市部制ハ僅ニ一千万圓之ニ對スル
適當ノ整理ヲ爲サシムル猶豫ヲ與ヘズ、今
直チニ、此ノ三部制ヲ廢止致シマセウカ、
郡市ノ利害ハ衝突ヲ致シマシテ、非常ナル
紛糾ヲ惹起スルノデハナイカト憂慮セザル
ヲ得ナイノデアリマス(「官僚獨善ダ」ト呼
フ者アリ)隨テ是ガ廢止ニ付テハ、地方自
治ノ本義ニ依リ、當該地方ヲシテ自治的ニ
圓滿ナル解決策ヲ講ゼシムル爲ニ、相當ノ
猶豫期間ヲ與フベキハ蓋シ當然ナリト思フ
ノデアリマス、然ルニ今囘ニ限リ一片ノ法
令ニ依リ是ガ廢止ヲ斷行シヨウト致シマス
ルコトハ、官僚的獨善ノ弊害ヲ露呈シタル
モノト言ハナケレバナリマセヌ、今後若シ
此ノ問題ニ付キ地元ニ不幸ナル紛爭ヲ惹
起致シマシタ場合ニ於キマシテ、其ノ責任
ハ總テ內務當局ノ負フベキモノデアルト云
フコトヲ特ニ一言致シマシテ私ノ討論ヲ終
リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=30
-
031・堀切善兵衞
○堀切委員長 道家君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=31
-
032・道家齊一郎
○道家委員 私ハ時局同志會ヲ代表致シマ
シテ、只今提案致サレマシタ所得稅法改正
法律案外四十四件ニ對シテ、只今佐竹君ヨ
リ提出致サレマシタ時局同志會、社會大衆
黨第一議員倶樂部ノ共同修正案竝ニ否決
意見ニ贊成ノ意ヲ表シ、更ニ附加ヘテ勅令
案ニ對スル希望ヲ申述べ、更ニ一般的希望
ヲ簡單ニ申上ゲ、而シテ殘餘ノ部分ニ對シ
テハ原案ニ贊成ソ意ヲ表スル者デアリマス、
物品稅中第一條第一種ノ乙類二十二ノ小鳥
ニ對スル勅令案ノ課稅最低限ヲ十圓ニ引上
ゲルコト、是ハ大藏當局ガ能ク御考慮ニナ
ツテ負擔ノ衡平ト云フコトヲ御考ニナツテ
是非修正ヲシテ戴キタイ、次ニ政府ハ本稅
制改革案ガ國民ノ生活ニ重大ナ關係ヲ有ス
ルト云フコトヲ十分ニ考ヘラレテ、物價ニ
シテ先ヅ修正スベキモノガアルナラバ速ニ
修正ヲ加ヘ、其ノ他面物資ノ配給ニ關シテ
一大改革ヲ斷行シテ、國民生活ノ安定ヲ期
セラレンコトヲ希望致ス次第デアリマス、
申スマデモナク國民生活ノ安定ハ聖戰貫徹
ノ根本的必要條件デアルコトヲ繰返シテ置
キマス
次ニ政府ハ本稅制改革案ガ大增稅案ノ內
容ヲ有シ、劃期的ノ改正案デアルト云フコ
トニ顧ミテ、是ガ實施ト竝行的ニ根本的ナ
行政機構ノ改革ヲ斷行シ、事務ノ刷新ヲ圖
リ、吏道ヲ振肅シテ、以テ戰時體制ノ强化
ヲ期セラレタイ
次ニ政府ハ稅務官吏ノ待遇ヲ改善スル爲
ニ必要ナル〓育ヲ施シテ、圓滿ナル人格ト
常識トヲ養成シテ、徵稅上ノ遺憾ナカラシ
ムルコトヲ希望致シマス
次ニ政府ハ本稅制改革案ヲ實施スルニ當
リマシテ、稅務官吏ノ處置言動ニ關シテ特
ニ監督ヲ嚴重ニシテ、徒ニ苛歛誅求ヲ事ト
セズ、補導ニ意ヲ注イデ、以テ徵稅上ノ遺
憾ナキヲ期セラレタイ
次ニ政府ハ不法不當ノ課稅救濟ノ方法ト
シテ、本稅制改正ヲ契機トシテ、速ニ簡易稅
務裁判所ノ設置ヲ斷行セラレタイ
次ニ政府ハ產業組合ノ本質ト使命ニ鑑ミ、
其ノ經營運用ニ是ガ改善ノ實ヲ擧ゲラレタ
イ、又產業組合自體モ深ク思ヒヲ其ノ本質
ニ致シテ、時局ニ對スル使命達成ニ遺憾ナ
キヲ期セラレタイ
次ニ政府ハ相續稅ニ付テ速ニ物納制度ヲ
取入レル方途ヲ講ゼラレタイ
次ニ政府ハ義務〓育費國庫支辨ニ依ル〓
育國策等ノ徹底ヲ圖リ、今次稅制改革ニ依
ツテ大都市〓育ノ低下ト不安ヲ來サザルヤ
ウニ善處セラレタイ
次ニ兵庫縣、愛知縣ノ三部制ノ廢止ニ伴
フ所ノ債務ノ關係ニ付テ、適當ナ方法ヲ講
ゼラレタイ
以上ノ希望條件ヲ申上ゲテ、原案ノ殘餘
ニ對シテ贊成ノ意ヲ表スル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=32
-
033・堀切善兵衞
○堀切委員長 北君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=33
-
034・北浦圭太郎
○北委員 私ハ第一議員倶樂部ヲ代表シテ
修正案ヲ提出シマス、先刻佐竹委員ヨリ述
ベラレタ吾々ノ共同ノ修正事項竝ニ否決事
項ニ付テハ、玆ニ重ネテ申上グルコトヲ避
ケマス、尙ホ他ニ獨自ノ修正意見トシテ、
所得稅法第十一條第一項第五號中「元本三
千圓ヲ超エザル」ノ字句ヲ削除シマス、是
ハ產業組合貯金利子貯蓄預金利子ニ課稅ヲ
爲サザル爲デアリマス、其ノ他ハ總テ原案
ニ贊成致シマス、以下簡單ニ私共ノ意見ヲ
申上ゲタイト思ヒマス
所得稅負債利子控除、是ハ私共ノ强キ主
張デアリマシテ、從來所得稅ハ負債利子ヲ
控除シナカツタ爲ニ、俗ニ不公平稅ト稱セ
ラレテ居タ位デアリマス、卽チ同ジ所得デ
モ負債アルモノト然ラザルモノトハ、其實
收ニ於テ非常ナ違ヒヲ生ジ、從來デサヘモ
場合ニ依ツテハ、之ニ依ツテ其ノ事業ノ死
活ノ岐ルル所トサヘナルコトガ少クナカツ
タノデアリマスガ、ソレガ今囘ノ如ク稅率
ノ高クナツタ時ニ於テハ、負債多キモノハ
到底堪ヘラレナクナルノデアリマシテ、一
朝不景氣ニデモ見舞ハレタナラバ、是等ノ
人々ハ急「スピード」デ奈落ノ底ニ突落サル
ルコトニナリマス、一方政府ハ今囘株式所
得ノ爲ニ要シタ負債利子ハ控除スルコトヲ
建前ニ致シテ居ルノデアリマスカラ、同時
ニ一般所得稅ニ付テモ負債利子ヲ控除スル
コトハ、負擔ノ衡平ノ上カラ當然ノ事デア
リマスカラ、眞ニ吾々ノ意ノアル所ヲ諒セ
ラレ、實行ノ上ニ此ノ趣旨ニ合致スルヤウ
運用シテ、戴キタイト云フコトヲ申上ゲテ
置キマス
其ノ次ハ、從來ノ第二種所得ノ綜合課稅
ニ代ヘ、申請アル場合ハ分類所得ノ源泉課
稅ニスルト云フコトハ、多額ノ所得者ガ累
進課稅ヲ免ルルコトニナルノデ、上ニ輕ク
下ニ重クナル負擔ノ衡平ノ趣旨ニ合セヌモ
ノトシテ反對スルノデアリマス
次ハ特別法人稅ノ否決デアリマス、稅額
ハ極メテ僅少デモ、課稅ニ依ツテ是等組合
ハ著シク其ノ發達ヲ阻碍セラルルノデアリマ
シテ、恰モ眞綿ノ中ニ針ヲ包ムガ如キ危險ガ
アル、元來是等法人ヲ課稅スルコトハ、理論的
ニモ大キナ缺陷ガアル、ソレハ、一、非營利ヲ
本質トスル是等組合ノ剩餘金ハ、事實組合
員ノ組合ニ對スル過拂金デアルカラ、ソレハ
總テ組合員ニ歸屬スベキモノデ、組合自身ハ
利益ト稱スベキ何物モナイ、隨テ利得ナク
所得ナキ所ニ課稅セズトノ原則ニ照シ、課
稅ノ對象物ト爲スベキデナイ、二、組合事
業ハ相互扶助的事業デアリマシテ、而モ自
分ノ組合員トノミ取引スルコトニ依ツテ生
ジタ組合ノ剩餘金ハ、利益ト稱スベキ性質
ノモノデハナイ、假令之ヲ組合員ニ配當シ
テモ、ソレガ又總テ相互扶助ノ事業ニ其ノ
儘用ヒラルルノデアリマスカラ、相互扶助
事業ノ神聖不可侵ノ原則ニ照シ課稅スベキ
モノデハナイ、斯ウ云フノデアリマス、三、
組合事業ハ自己ノ組合員トノミノ取引ニ限
ラレ、而モ組合ト組合員トハ全ク一體ノモ
ノデアル、元來利潤トハ一人ノ者ガ他ノ者
カラ抽出シタル剩餘ヲ云フノデ、何人ト雖
モ自分自身カラ利潤ヲ抽出シ得ナイモノデ
アリマス、之ヲ利潤ト認メテ特別法人稅ヲ
課セントスルハ根本的ニ誤リデアリマス、
四、日本ノ產業組合法ハ非課稅ヲ原則ニ出
來テ居ルノデアツテ、隨テ各種ノ制限ガサレ
テ居ルノデアリマス、若シ之ニ課稅ヲスル
ト云フコトデアルナラバ、此ノ制限ヲ解カ
ナケレバナラヌ、ソレニ課稅スルト云フナ
ラバ、縛ツテ置イテ毆ルト云フヤウナ結果
ニナリマスカラ、サウ云フコトヲヤツテハ
イカヌ、斯ウ考ヘルノデアリマス、更ニ之
ヲ政治的角度ヨリ見テ、政府當局ハ當分ノ
間產業組合モ應分ノ負擔ヲ云々ト云フヤウ
ニ說明サレテ居ルガ、如何ニ物事ニ遲鈍ナ
ル農民ト雖モ、此ノ問題ノ起ツタ前後ノ事
情關係カラ、已ニ業ニ能ク存ジテ居ルノデ
アリマシテ、是ハ產組ノ抑壓ダトノ印象ヲ
深ク與ヘテシマツテ居ルノデアリマス、又
事實サウデアルノデ、今更之ヲ打消シ得ナ
イ程度ニナツテ居リマス、是ハ感情的ニモ
洵ニ面白カラヌ結果ヲ生ジテ居ルノデアリ
マス、斯ウシタ抑壓感ニ對シ今日ノ農民ハ
決シテ反抗ハセヌガ、全ク無抵抗主義ニ農
業ヲ見棄テテ、他ニドン〓〓轉出シテ居ル、
日本ノ農業ハ完全ナ獨立農業ニナツテ居リ
マセヌ、半獨立農業-半バ獨立農業ト云
フ仕組デアリマシテ、產業組合ナシニハ立
ツテ行ケマセヌ、不利ナ農業モ僅カニ產業
組合ニ望ミヲ繫ギ、玆ニ一縷ノ光ヲ見出サ
ウトシタノデアルガ、今之ヲヘシ折ラルル
ノデアルカラ、斯ウシタ結果ノ生ズルノハ
必然的ノコトデアル、食糧問題等ノ洵ニ大
切ナ時期ニ、是ハ取返シノ付カヌコトニナ
ルト思フノデアリマス、或ハ此ノ結果ハ前
世紀ニ於ケル英國農業ノ急速ナル頽敗ヲ來
セル二ノ舞ヲ來スノデハナイカト云フ風ニ
考ヘテ居ルノデアリマス、又課稅ヲスルト、
產組ハ自然原價販賣トナリ、又今日ノ如ク
役職員ノ全ク犠牲的薄給ニ依ツテ、無理ニ
剩餘金ヲ作ルト云フ樣ナコトガナクナルカ
ラ、隨テ準備金積立金等モ出來ズ、出資モ
充實出來ヌコトトナリ、自然組合ノ基礎ハ
益〓、薄弱トナル爲ニ、國策ニ應ズル生產擴充
モ出來ズ、同時ニ原價販賣ノ結果小賣商人
ガ泣カネバナラヌコトニナル、斯ウ云フ點
カラシテ、特別法人稅ハ課スベカラズト云
フ强イ主張ヲ持ツノデアリマス、更ニ產組
貯金利子課稅ハ貯金ヲ他ニ逃避サセル虞ガ
アル、斯ウ云フ次第デアリマシテ、此ノ產
業組合貯金課稅ニ對シマシテモ反對スルノ
デアリマス
今ヤ國家ノ總力ヲ發揮セシメンガ爲、營
利追及ヲ基調トスル自由主義的經濟體制ヲ
是正シ、眞ニ一體トナツテ進ムベキ國民的協
力ヲ可能ニスル新經濟體制樹立ノ急務ナル
時、全ク是ト逆行セントスルガ如キ舊キ陣
營ノ人々ガ未ダ舊夢カラ覺メズシテ、今度
ノ修正ナルモノハ全體ヲ通ジテ著シク資
本家本位、都會本位ノ修正ニ傾キ、且
ツ納稅者ノ選擇ニ依ツテ多額ノ所得者
ガ累進課稅ヲ免レルト云フヤウナ原案ニ手
ヲ染メルコトガ出來ナカツタノミナラズ、
都市ノ言分ハソレ〓〓ニ取入レナガラ、農
村ノ熱心ナル要望デアリ、無產者ノ切實ナ
ル聲デアル特別法人稅ニハ、一顧ヲモ與ヘ
ナカツタト言ツテモ過言デナイ位ニ之ヲ蹂
躪シ去ツタコトニ對シテハ、吾々ハ一般大
衆ト共ニ永ク忘レントシテ忘ルルコトヲ得
ザル一大痛恨事デアルコトヲ强ク申上ゲマ
シテ、吾々ノ修正案ニ贊成シ、政民三派ノ
修正案ニ反對スルモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=34
-
035・堀切善兵衞
○堀切委員長 是ニテ討論ハ終局致シマシ
ク、仍テ只今ヨリ採決致シマス、採決ハ御
手許ニ配付シテアリマス順序ニ依ツテ之ヲ
行フコトト致シマス
先ヅ第一ニ所得稅法改正法律案ニ付キ採
決致シマス、先ヅ第一議員倶樂部ノ單獨ノ
修正案、卽チ本法第十一條ノ修正動議ニ付
キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=35
-
036・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正動
議ハ否決セラレマシタ-次ニ社會大衆黨、
時局同志會、第一議員倶樂部共同ノ修正案
ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=36
-
037・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
ハ否決セラレマシタ-次ニ立憲民政黨、
立憲政友會共同ノ修正案ニ付キ贊成ノ諸君
ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=37
-
038・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ此ノ修正案
ハ決定致シマシタ-最後ニ只今修正議決
致シマシタ以外ノ部分ニ付キ原案通リ決ス
ルニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=38
-
039・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議ナシト認メマス、仍
テ修正以外ノ部分ハ原案通リ可決致シマシ
タ
次ニ法人稅法案ニ付キ採決致シマス、先
ヅ社會大衆黨提出ノ本法第十六條ノ修正動
議ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ望ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=39
-
040・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正動
議ハ否決セラレマシタ-次ニ民政黨、政
友會ノ共同修正案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ望
ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=40
-
041・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立者多數、仍テ此ノ修正
案ハ決定致シマシタ-其ノ他ハ原案通リ
決スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=41
-
042・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議ナシト認メマス、仍
テ修正以外ノ部分ハ、原案通リ可決致シマ
シタ
第三ニ特別法人稅法案ニ付キ採決致シマ
ス、民政黨、政友會共同提案ニ係ル修正動
議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ望ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=42
-
043・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ此ノ修正動
議ハ可決致シマシタ-次ニ本案ノ修正ノ
部分ヲ除キタル部分ヲ原案ノ通リ決スルニ
贊成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=43
-
044・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ修正ヲ除キ
タル部分ハ原案通リ可決致シマシタ
次ニ營業稅法案ニ付テ採決致シマス、先ヅ
社會大衆黨、時局同志會、第一議員倶樂部、
共同修正案ニ付テ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メ
マス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=44
-
045・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
ハ否決セラレマシタ-民政黨、政友會ノ
共同修正案ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メ
マス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=45
-
046・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ此ノ修正案
ハ決定致シマシタ-殘餘ノ部分ニ付キ原
案通リ決スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=46
-
047・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議ナシト認メマス、仍
テ條正ヲ除キタル部分ハ原案通リ可決致シ
チョン
次ニ物品稅法案ニ付キ採決致シマス、民
政黨、政友會ノ共同修正案ト、社會大衆黨、
時局同志會、第一議員倶樂部ノ共同修正案
トニハ共通ノ部分ガアリマス、卽チ化粧石
鹼及ビ齒磨ヲ削除スル點デアリマス、此ノ
點ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=47
-
048・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立總員、仍テ此ノ點ハ決
定致シマシタ-社會大衆黨、時局同志會、
第一議員倶樂部ノ共同修正案中、共通ナラ
ザル部分ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマ
ス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=48
-
049・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
ハ否決セラレマシター-民政黨、政友會ノ
共同修正案中他ノ修正案ト共通ナラザル部
分ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=49
-
050・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ此ノ點ハ決
定致シマシタ-次ニ修正案ヲ除ク部分ノ
原案ニ付テハ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=50
-
051・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議ナシト認メマス、仍
テ修正案ヲ除ク部分ノ原案ハ可決致シマシ
タ
入場稅法案ニ付キ採決致シマス、民政黨、
政友會ノ共同修正案ト、社會大衆黨、時局
同志會、第一議員倶樂部ノ共同修正案中ニ
ハ共通ノ點ガアリマス、卽チ撞球場ノ入場
料ニ對スル課稅ヲ百分ノ十トシ其ノ他ヲ百
分ノ二十トスル點デアリマス、此ノ點ニ付
キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=51
-
052・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立總員、仍テ此ノ點ハ決
定致シマシタ-次ニ社會大衆黨、時局同
志會、第一議員倶樂部ノ共同修正案中先ノ
共通部分ヲ除キタル部分ニ贊成ノ諸君ノ起
立ヲ望ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=52
-
053・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ部分ハ
否決セラレマシタ-先ニ決定致シマシタ
共通部分ノ修正ヲ除キタル、殘餘ノ部分ニ
付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=53
-
054・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ修正ヲ除キ
タル殘餘ノ部分ハ原案通リ可決致シマシタ
次ニ地方稅法案ニ付テ採決致シマス、民
政黨、政友會ノ共同修正案ト、社會大衆黨、
時局同志會、第一議員倶樂部ノ共同修正案
中ニハ共通ノ點ガアリマス、卽チ市町村民
稅ノ最高賦課額ヲ、人口七十万以上ノ市ニ
アリテハ二千圓、其ノ他ノ市ニアリテハ千
五百圓、町村ニアリテハ千圓ト爲ス點デア
リマス、此ノ點ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ
望ミマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=54
-
055・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立總員、仍テ此ノ點ハ決
定致シマシタ-次ニ社會大衆黨、時局同
志會、第一議員倶樂部ノ共同修正案、他ノ修
正案ト共通ナラザル部分ニ贊成ノ諸君ノ起
立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=55
-
056・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ點ハ否
決セラレマシタ-次ニ社會大衆黨單獨ノ
修正案ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=56
-
057・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
モ否決セラレマシタ-次ニ先程決定致シ
マシタ共通部分ノ修正ヲ除キタル部分ニ付
キ原案通リ決スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求
メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=57
-
058・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ修正案ヲ除
キタル部分ハ原案通リ可決致シマシタ
次ニ相續稅法中改正法律案、臨時利得稅
法中改正法律案、地租法中改正法律案、酒
稅法案及ビ地方分與稅法案、以上五案ヲ一
括シテ採決致シマス、民政黨、政友會ノ共
同提案ニ係ル修正動議ニ贊成ノ諸君ノ起立
ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=58
-
059・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ只今ノ修正
動議ハ可決致シマシタ-各案中修正部分
ヲ除キタル部分ニ付テハ原案通リ決スルニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=59
-
060・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議アリマセヌカラ只今
ノ修正ヲ除キタル部分ハ原案通リ可決致シ
マンク
次ハ遊興飮食稅法案ニ付キ採決致シマス、
社會大衆黨、時局同志會、第一議員倶樂部
ノ共同修正案ニ付キ贊成ノ諸君ノ起立ヲ望
ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=60
-
061・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
ハ否決セラレマシタ-本案ヲ原案通リ決
スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=61
-
062・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立多數、仍テ本案ハ原案
通リ可決致シマシタ
次ニ通行稅法案ニ付キ採決致シマス、社
會大衆黨提出ノ修正動議ニ贊成ノ諸君ノ起
立ヲ望ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=62
-
063・堀切善兵衞
○堀切委員長 起立少數、仍テ此ノ修正案
ハ否決サレマシタ-本案ヲ原案通リ可決
スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ望ミマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=63
-
064・堀切善兵衞
○堀切委長員 起立多數、仍テ本案ハ原案
通リ可決致シマシタ
次ニ配當利子特別稅法案、外貨債特別稅
法中改正法律案、建築稅法案、鑛區稅法案、
〓涼飮料稅法中改正法律案、砂糖消費稅法
中改正法律案、織物消費稅法中改正法律案、
揮發油稅法中改正法律案、取引所稅法中改
正法律案、印紙稅法中改正法律案、骨牌稅
法中改正法律案、狩獵法中改正法律案、明
治四十四年法律第四十五號中改正法律案、
大正九年法律第五十一號中改正法律案、支
那事變特別稅法及臨時租稅增徵法廢止法律
案、營業收益稅法廢止法律案、資本利子稅
法廢止法律案、法人資本稅法廢止法律案、
臨時租稅措置法中改正法律案、府縣制中改
正法律案、市制中改正法律案、町村制中改
正法律案、北海道會法中改正法律案、北海
道地方費法中改正法律案、地方分與稅分與
金特別會計法案、家屋稅法案、所得稅法人
稅內外地關涉法案、昭和十二年法律第九十
四號中改正法律案、大正十三年法律第六號
中改正法律案、アルコール製造事業ニ對ス
ル所得稅等ノ免除規定ノ改正ニ關スル法律
案及ビ租稅法規ノ改正ニ伴フ恩給金庫法等
ノ規定ノ整理ニ關スル法律案ノ三十一件ヲ
一括シテ採決致シマス、各案トモ原案ノ通
リ決スルニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=64
-
065・堀切善兵衞
○堀切委員長 御異議ガナケレバ各案トモ
原案ノ通リ可決致シマシタ
是ニテ本委員會ニ付託セラレマシタ稅制
改革ニ伴フ法律案四十五件ノ議事ハ終了致
シマシタ(拍手起ル)
終ニ連日ノ諸君ノ御精勤ニ對シ深ク敬意
ヲ表シ、尙ホ此ノ委員會中ノ委員長ノ御無
禮ヲ深ク謝シマス、之ヲ以テ散會致シマス
(拍手)
午後十一時五十一分散會
衆議院所得稅法改正法律案外
三十件委員會議錄第二十一囘
中正誤
頁段行誤正
五三七三一一免除免許
五三七三二〇千七千発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511581X02319400316&spkNum=65
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。