1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十五年三月六日（水曜日）午前十時三十七分開議
出席委員左の如し
小委員長代理 理事 内藤正剛君
成島勇君 飯田助夫君
塚本三君 宮本雄一郎君
上田孝吉君 山川頼三郎君
瀧澤七郎君 小見山七十五郎君
永江一夫君 藤本捨助君
武田徳三郎君
出席國務大臣左の如し
内務大臣 兒玉秀雄君
出席政府委員左の如し
内務省地方局長 挾間茂君
内務書記官 三好重夫君
商工省振興部長 妹川武人君
本日の會議に上りたる議案左の如し
地方税法案（政府提出
地方分與税法案（政府提出）
府縣制中改正法律案（政府提出）
市制中改正法律案（政府提出）
町村制中改正法律案（政府提出）
北海道會法中改正法律案（政府提出）
北海道地方費法中改正法律案（政府提出）
地方分與税分與金特別會計法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=0
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001・内藤正剛
○内藤委員長代理 是ヨリ開會致シマ
ス-小見山君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=1
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002・小見山七十五郎
○小見山委員 先ヅ私ハ地方ノ稅制ト、地方
ノ自治ノ關係ニ付キマシテ政府ノ御所見ヲ
承リタイト思ヒマス、元來地方ノ自治ト云
フモノハ、其ノ地方民ガ自分ノ地方團體ノ
財政ヲ通ジテ其ノ地方ノ產業ナリ、或ハ〓
育文化ナドニ對シマシテ自ラ直接責任ヲ持ツ、
責任ヲ感ズルト云フ所ニ自治ノ發達ガアリ、
自治ノ妙諦ガアルト思フノデアリマス、隨
テ稅制モ無論之ヲ目標トシテ制定サレナケ
レバナラナイノデアリマスルガ、殊ニ我國
ノ自治體ノ特徴ガ玆ニアルト私ハ思ツテ居
リマス、アノ廣イ一眸千里、廣漠タル大陸
ノ國民ガ、動トモスレバ放浪的ノ性格ニ陷
ツテ、自分ノ生レタ土地ニ親シマナイ、自
分ノ〓里ニ對スル愛著ノ念ガ薄クナツテ、
是ガ延イテ彼等ガ愛國心ノ薄イ原因デアル
ト私ハ思ツテ居リマス、我國ハ御承知ノ如
ク地理地勢ノ上カラ見マシテモ、民族ノ歷
史ノ上カラ考ヘマシテモ、祖先以來自分ノ
〓里ニ愛著スルト云フ念ガ非常ニ强イ、是
ガ遂ニ延イテ大ニシテハ烈々タル愛國ノ精
神ニナツテ居ルモノデアラウト私ハ信ジテ
居リマス、此ノ愛〓愛著、自分ノ生レタル土
地自分ノ〓里ノ發達、發展ニ努力スルト云
フコトガ、我國ノ地方町村ノ鞏固ナル發達
ヲ爲シタ原因デアリ、我國ガ今日斯ノ如ク
强大ナル國家トナツタ重大ナル原因ト私ハ
思ツテ居リマス、今囘ノ地方稅制ノ改革案
ヲ拜見致シマスト、事務的、技術的ニハ十
分ニ洗煉サレテ、簡易明白ナル名案ト私ハ
敬服致シテ居リマス、併シナガラ其ノ爲ニ
却テ觀念ニ於キマシテハ、私ガ只今申シマ
シタ我國自治本來ノ精神ニ餘程遠ザカツテ
來テ居ルノデハナイカ、卽チ之ヲ他ノ言葉
デ申シマスト、今囘ノ地方稅制改革ニ依ツ
テ、地方ノ財政的ノ獨立性、自主性ガ大分
失ハレルト云フコトデアリマスガ、今日マ
デ此ノ委員會ニ於キマ、シテ、此ノ問題ニ付
キマシテハ幾度カ質問應答ガ繰返サレテ色々
ノ御說明ガアツタノデアリマスガ、私ハ今尙
ホ釋然タラザルモノガアルノデアリマス成
ベク重複ヲ避ケマシテ、簡單ニ私ノ質疑ヲ此
ノ理由ニ依ツテ進メテ見タイト思ヒマス
先ヅ第一ニ戶數割ノ全廢デアリマス、戶
數割ハ申スマデモナク殆ド原始的ノ稅制
デアリマシテ、之ニハ幾多ノ弊害短所ガア
リ之ヲ此ノ際思切ツテ全廢サレマシタコ
トハ、私共雙手ヲ擧ゲテ贊意ヲ表スル者デ
アリマスケレドモ、其ノ長所デアル所謂負
擔分任ノ精神ガドウナツテ居ルカ、政府ノ
御說明デハ、分與稅ノ制定ト市町村民稅ノ
創設ニ依ツテ、十分此ノ負擔分任制ハ織込
マレテ居ルト云フコトデアリマスガ、併シ
ナガラ三收益稅ガ府縣ナリ、町村ナリニ於
テ附加稅ノ形ニ於テ財源ヲ與ヘラレテ居ル
ト云フ其ノ事ガ旣ニ自主性ヲ相當ニ失ツテ
居ル、殊ニ府縣ニ還付サレル還付稅ニ付キ
マシテ、一應政府ニ取上ゲテ、更ニ又之ヲ
地方道府縣ニ還付スルト云フ、無用ナリト
思ハレル形式ヲ止メテ、直接府縣ガ賦課徵
收シテ宜イデハナイカト云フ、今マデノ委
員各位ノ御質問ニ對シマシテ、色々御答辯
もガアツタノデアリマスガ、御答辯ノ趣旨ヲ
要約致シマスト、配付稅ヲ配付スル資料ト
シテ其ノ地方ノ財政力、負擔力ヲ知ルガ爲
ニ、政府ガ之ヲ自ラ一應徵收スル方ガ便利
デアルト云フノガ一ツデアツタト思ヒマス、
更ニ國稅ノ形ヲ以テ國民ニ課稅スルコトガ
納稅ノ成績ヲ良好ナラシムル、卽チ大藏大
臣ノ所謂莊嚴性ヲ帶ビルト云フノガ第二デ
アツタノデアリマス、ソレカラ次イデハ家屋等
ノ賃貸價格ノ調整ヲナスニ、公平ニシテ、負擔
ノ均衡ヲ得セシムル爲ニハドウシテモ國
家自ラ之ヲ持ツテ居ツタ方ガ宜シイ、此ノ
三ツニ御說明ノ趣旨ガ歸著スルト私ハ拜聽
致シテ居リマス、成程此ノ三ツノ理由トモ
相當御尤モノ理由デアリマス、併シ是ハ地
方ノ財政上ノ自主性、獨立性ヲ犧牲ニシテ、
斯ノ如キ還付ノ形式ヲ執ラネバナラヌ程ノ
重要性ハ無イト私ハ思ツテ居リマス、成程政
府ガ一應家屋稅、營業稅或ハ地租ノ賃貸價
格其ノ他ノ標準ヲ自分ノ役所ノ手許ノ帳
簿ニ一目瞭然タラシムルコトハ絕對ニ必要
デアリマセウ、併シソレハ今日ノ中央官廳
ト道府縣廳トノ間ニ、斯ノ如キ緊密ナル事
務上ノ連絡ガアル際ニ於キマシテハ、、別
政府自ラ左樣ナコトヲナサラヌデモ一定ノ
期間ニ一定ノ形式ヲ以テ各府縣廳カラ之ヲ
報告セシメテ、之ニ依ツテ中央ニ於テ必要
ナル資料ヲ作成サレテ、少シモ不便ノ所ハ
ナイト思フノデアリマス、納稅ノ成績、卽
チ大藏大臣ノ所謂莊嚴味ト云フ如キハ、是
ハ殆ド一顧ノ價値モ無イ、今マデハ地方町
村ニ於ケル役場ノ事務ハ非常ニ堆積致シテ
居リマシテ、眼ノ〓ル程、手モ足モ足ラナイ
程ノ多忙デアルノガ一ツ、モウ一ツハ國民
ノ納稅ニ對スル自覺ガ足ラナカツタノガ第
二ノ理由、斯ウ云フ理由ニ依ツテ納稅ノ成
績ガ擧ラナカツタノデアリマズ、併シ最近
ハ御承知ノ如ク、國民ハ支那事變以來國家
ニ對スル國民ノ義務ト云フコトニ非常ニ大
キナル自覺ヲ致シテ居ル、莊嚴味ガアラウ
ガアルマイガ、納稅スベキモノハ納稅スル、
稅金ハ早ク拂フ、斯ウ云フ風ニ國民ノ自覺
ハ進ンデ參ツテ居リマス、殊ニ是ハ別ニ私
ノ意見ヲ開陳シテ御尋申シタト思フガ、今
日ノ地方町村役場ノ事務ノ敏活ヲ圖ルベキ
相當ノ施設ヲ講ジナケレバ、此ノ頃デハ澁滯
ニ澁滯ヲ重ネテ、地方自治ノ運營ニ一大支
障ガアルト私ハ思ツテ居ル、是ハ他ニ町村
役場ノ事務ヲモツト敏活ニスルヤウナ施設
制度ヲ設ケテ、此ノ點ハ除去シナケレバナ
ラヌ、此ノ第二ノ理由デアル納稅ノ成績ト
云フコトハ、是ハモウ手モナク解除サレル·
モノト私ハ思ツテ居ル、又賃貸價格ノ評價
調整ヲナスノニハ、別ニ國家自ラ稅務署ノ
手ヲ通ジテナサラスデモ、是ハヤハリ府縣
ニ委託ナサレテモ宜シイ、或ハ國家自ラ定
メタル賃貸價格ニ依ツテ府縣ガ之ニ課稅致
シテモチツトモ差支ナイ、私ハ今マデ聽キ
マス所ヲ幾ラ含味致シマシテモ、政府委員
ノ御說明ニ依ツテ、此ノ還付稅ヲ一度政府
ガ中央ニ取上ゲテ、之ヲ再ビ府縣ニ還付ス
ル理由ノ根柢ガ薄弱ニシテ、地方財政上ノ
自主性、獨立性ヲ犧牲ニスルダケニ過ギナ
イト私ハ思ツテ居ルノデアリマス、此ノ點
ニ付キマシテ、唯其ノ場遁レノ事務的ナ御
答辯デナクシテ、ドウシテモ斯ウシナケレ
バナラナイ根柢深イ理由ガアルナラバ、ソ
レヲ先ヅ御示願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=2
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003・挾間茂
○挾間政府委員 今囘ノ稅制ト地方〓體ノ
自治トノ關係ニ付テイ御尋デゴザイマシタ
ガ、今囘稅制ヲ改正スルニ付キマシテ如何
ナル方針デ之ヲ計畫スルカト云フコトニ付
キマシテハ、度々申上ゲタ通リデアリマシ
テ、政府當局ト致シマシテモ、地方團體ガ
各〓其ノ特異性ヲ發揮シテ、サウシテ地方ニ
於ケル自治ノ運營ガ益〓〓振興シテ行クヤウ
ニスルコトハ、自治ニ於ケル根本ノ理想ト
シテ是ハ何處マデモ伸張サセテ行カナケレ
バナラヌト云フコトハ常ニ如何ナル自治
制度ヲ立テル上ニ於テモ、第一ノ目標トシ
テ居ルノデアリマシテ、今囘ノ地方稅制改
正ニ於キマシテモ、其ノ點ニ付キマシテ
ハ、十分留意致シテ居ルノデアリマシテ、
言葉ヲ換ヘテ申シマスト此ノ稅制改正ノ
結果ガ、吾々ノ考ヲ以テシマスレバ、本當
ニ自治ヲ振興スル上ニ十分寄與スルデアラ
ウ、ソレハ第一ニハ此ノ稅制改正ニ依ツテ
地方ノ財源ガ豐富ニナル、第二ニハ財政上
ニ於ケル自主性ガ十分存置セラレル、尙ホ
負擔ノ均衡ガ十分得ラレルト云フコトニ依
リマシテ、自治ハ十分振興スルコトト考ヘ
テ居リマス、唯現在ノ經濟狀態、產業經濟
ノ事情ノ下ニ於キマシテハドウシテモ或
ル形ニ於テ各團體ガ總テノ稅ヲ直接ニ課徵
スルト云フ方法ヲ以テシテハ、資源ノ地域的、跛
行的分布ノ狀態ニアリマス關係ニ於テ、本當ニ
財源ヲ均等ニ各團體ニ付與スルコトガ困難デア
リマスノデ、其ノ手段ト致シマシテ分與稅制ト
云フ一ツノ間接課徵ト申シマスカ、一應國家
ガ地方稅デアルベキ部分ヲ徵收致シマシテ、
之ヲ地方ニ他ノ形ニ於テ分與スルト云フ方
針ヲ執ツタノデアリマス、是ハ現在ノ日本
ノ狀態トシテハ已ムヲ得ザル一ツノ手段デ
アルト思フノデアリマシテ、是ハ決シテ自
治性ヲ地方團體カラ奪フ、或ハ地方自治ヲ
拘東スルト云フヤウナ趣旨ニ出タモノデハ
全クナイノデアリマス、ノミナラズ、此ノ
分與稅ト云フモノハ平年度ニ於キマシテ
三億二千七百万圓ト云フ程度デアリマシテ、
他ノ六割六七分ノ地方財源ト云フモノハ、
所謂獨立財源トシテ地方團體ノ自由ニ任セ
ラレテ居ル、卽チ附加稅ニ於キマシテモ附
加稅ノ課率ノ伸縮ト云フコトハ、地方團體
ノ自由意思ニ保持セシメ、又獨立稅ト致シ
マシテモ從來ヨリモ更ニ方針ヲ改メマシテ、
市町村等ニ於キマシテハ、適當ナル財源ガ
アレバ其ノ稅種ニ付テ獨立稅ノ賦課ヲ認メ
ルト云フ方針ヲ執リ、又目的稅等モ相當範
園ヲ擴張スルコトニ致シテ居リマスノデ、
獨立財源ノ方面ニ於キマシテハ、從來ヨリ
モ更ニ自治ガ伸張シテ參ルト云フ風ニ考ヘ
テ居リマスノデ、第一ノ御質疑ノ稅制ト地
方自治ノ關係ニ於キマシテハ、今囘ノ稅制
ハ卽チ地方自治ラヨリ以上ニ伸張セシムル
理想ノ下ニ組立テタモノデアルト云フ風ニ
考ヘテ居リマスソレカラ第二ニ御尋ニナリ
マシタ是モ此ノ事ニ關聯シテノ問題ト思ヒ
マスガ、三收益稅ヲ還付稅ト附加稅ノ併用
ニシタコトニ付テノ御質疑デゴザイマス、
何故ニ此ノ三稅ヲ一部分國稅トシテ課徴ス
ル所ノ還付稅ノ形ヲ取ツタカト云フ點ニ付
キマシテハ、先日此處デ詳細申上ゲタノデ
アリマシテ、ソレデ御諒解ヲ戴キタイト思
フノデアリマスガ、尙ホ賃貸價格ヲ國ニ於
テ調査決定ヲ致シマシテ、ソレヲ地方稅ト
シテ用ヒテモ差支ナイデハナイカト云フ御
尋モゴザイマシタガ、絕對ニソレガ出來ナ
イコトハナイト思ヒマス、併シナガラソレ
ハ全ク無意味ノコトデゴザイマシテ、國ガ調
査決定ヲシタ賃貸價格ニ基イテ、國ガ課稅
ヲスルト云フノガ稅ノ本體デアルト思ヒマ
ス、サウシテ此ノ點ハ此ノ前申シマシタヤ
ウニ、負擔ノ衡平ヲ期スルト云フ點カラ申
シマシテ、ドウシテモ一部ニハ國稅ニ殘ス
ト云フコトガ課稅標準ノ決定等ノ上カラ申
シマシテ必要デアリマスガ、最モ重要ナ
點ハ負擔ノ衡平ヲ期スルト云フ意味ニ於
テ、一部分ヲ國稅ニ還付稅トシテ殘シタノ
デアリマス
其ノ次ニ申上ゲテ置キタイト思ヒマスノ
ハ、國稅ニ一部殘スト云フコトハ稅ノ經濟
政策的意味、又社會政策的意味ヲ實現致シ
マス場合ニ於キマシテ、地方稅ニノミ殘ツ
テ居リマシテハ各團體區々ニナリマスノデ、
國稅トシテ一部分存在スルト云フコトガ、
斯樣ナ政策的意味ヲ實現スル場合ニ於テ適
當デアルト思フノデアリマス
ソレカラ租稅ノ、特ニ地租ノ問題デスガ、
沿革上之ヲ國稅ニ殘スコトガ適當デアルト
申シマシタガ、又一面地租ノ如キハ、如何
ナル土地ニ付テモ一應ハ課稅ヲ受ケルト云
フ形ヲ取リマス爲ニハ、國稅トシテ殘スコ
トガ適當デアルカト思ヒマス、又假ニ之ヲ
地方稅ニ致シマス場合ニ於キマシテ、然ラ
バ之ヲ市町村稅ニスルカ、或ハ府縣稅ニス
ルカ、府縣稅ニ致シマスレバ、市町村ハ又
當然附加稅ヲ取ルコトニナルダラウト思ヒ
やっく、結局問題ハ府縣稅トシマシタ場合ニ
於テモ、市町村ノ獨立稅ニアラズト云フ疑
問ガ殘ツテ來ルト思ヒマス、ソレカラ市町
村稅ニ致シマシタ場合ハ、例ヘバソレニ對
スル府縣ガ分賦ヲスルト云フヤウナ特殊ノ
形ヲ執ラナケレバナラヌコトニナルノデア
リマシテ、斯ウ云フ事情ヲ色々綻合シテ考
ヘマスト、一部分國稅ニ殘スト云フコトハ
決シテ地方團體ノ課稅上ニ於ケル自主性ヲ
失ハシメルモノデハナイト思フノデアリマ
シテ、國稅トシテ一部分存置致シマスルケ
レドモ、附加稅トシテハ十分ナル伸縮力ヲ
與ヘテ居リマスシ、又還付稅トシテ全額ガ
地方ニ委讓セラレマスレバ、財源トシテノ
關係ニ於テハ全然地方稅ト同ジ形ニナルノ
デアリマシテ、又吾々ノ見方ト致シマシテ
ハ所謂今囘ノ分與稅ト云フモノハ形ヲ變
ヘタ地方稅デアルト云フヤウニ考ヘテ居リ
マスカラ、此ノ意味ニ於キマシテモ、決シ
テ此ノ三收益稅關係ニ於テ、地方團體ノ自
主性ヲ失ヒ、獨立性ヲ減殺スルト云フコト
ニハナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=3
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004・小見山七十五郎
○小見山委員 大體今日マデノ御答辯ト要
旨ハ少シモ變ツテ居ナイヤウデアリマス
ガ、地方財政ノ自主性ハヤハリ附加稅モ其
ノ獨立性ヲ認メテ居ル、ソレニ市町村民稅
ガアル、又獨立財源モ府縣及ビ市町村ニ委
讓シテ分ケテヤツテアル、目的稅モアルカ
ラ其ノ獨立性、自主性ハ十分保持サレルト
云フ御說明デアリマスガ、是ハドウモ私ハ
此ノ三收益稅ノ附加稅ノ形式其ノモノガ旣
ニ獨立性ヲ多分ニ失ツテ居ルト云フ見解ヲ
持ツテ居ルノガ一ツ、ソレカラ市町村民稅
ハ御承知ノ如ク年額約五千万圓、昭和十三年
度カ十四年度ノ徵稅額ヲ見マシテモ、戶數
割ハ二億圓ヲ超エテ居ル、多分二億一千万
圓デアツタカト記憶シテ居ル、昭和十三年
ノ所謂調定濟額ト云フノヲ合算シテ見マス
下、全國ノ戶數割ハ二億一千万圓ニナツテ
居ルト記憶致シマス、サウスルト五千万圓
ハ二億一千万圓ノ約四分ノ一弱デアリマス、
恐ラク市町村ノミヲ切離シテ考ヘマスト)
計算ハ致シマセヌガ、是ハ町村ノ戶數割ノ
總額ノ五分ノ一ニモ滿タナイノデハナイカ
ト思ツテ居リマス、目的稅ハ全國デ三千万
圓內外デアリマス、是ハ殆ド全體ノ問題ニ
ナラナイ、獨立稅ハ三千万圓ソコ〓〓デ、
是ハ斯ウ云フ自主性、獨立性ヲ表現スベキ
程ノ額デハナイ、目的稅ハ其ノ目的ニ應ジ
テ受益者ガ負擔スル性質ノモノデアリマス
カラ、是ハ自主性ト云フヨリモ-今日マ
デモ斯ウ云フモノハ澤山アル、ドウシテモ
全體的ニ見テ自主性、獨立性ハ確カニ失ハ
レテ居ルト私ハ考ヘテ居ル、是ハ幾ラ申上
ゲマシテモ水掛論デアリマスガ、私共ノ見
ル所デハ今度ノ地方稅ノ改革ハココ二年
ナリ三年ナリヤツテ行ケバ、吾々ガ今日豫
想シテ居ルヤウナ缺點、缺陷ガ必ズ起ツテ
來ル、每年當局ニ於カレテモ、ドウモ此ノ案
デハイケナイ、此ノ部分ヲ訂正シナケレバ
ナラヌ、此ノ部分ヲ修正シナケレバナラヌ
ト言ツテ、數年ナラズシテ此ノ稅制案ニ大
改革ヲ更ニ加ヘナケレバナラナイヤウナ羽
目ニ至ルデアラウト私ハ想像致シテ居ル、
デアリマスカラ、出來ルダケ再檢討ヲ加へ
マシテ、サウ云フ是正スベト缺陷ガアツタ
ナラバ此ノ際是正シテ貰ハナケレバナラヌ
ト云フ考ヲ以テ政府ノ御說明ヲ聽イテ居ル
次第デアリマス、更ニ此ノ三收益稅ノ四分
ノ一ヲ政府ガ一應取上ゲテ、更ニ現地ニ還
付スル、此ノ事ノ目的ヲ色々今モ述ベラレ
マシタガ、要スルニ一番理由ノ中心點ハ負
擔ノ衡平ヲ期スル其ノ爲ニ一部ヲ國稅ト
シテ殘スト云フノガ御說明ノ中心デアリマ
ス、サウシテ各地方ガバラ〓〓ニ凸凹ガ起ラ
ヌヤウニスル、地方的ニモ全國的ニ衡平ヲ
期スルト云フ御趣旨ノヤウニ拜聽致シマス
ガ、是ハ先刻私ガ申シマシタ通リニ、應
之ヲ國稅ニ持ツテ來ナケレバサウシテ衡平
ガ期セラレナイノカ、賃貸價格モ政府ガ定
メテアル、課率モ政府ノ嚴格ナル制限ノ下
ニ定メテアル、私ハ必ズシモ此ノ三收益稅
ヲ地方町村ニ至ルマデ獨立稅トシテ委讓ス
ル必要ハナイト思ツテ居リマス、少クトモ
府縣ニハ國稅トシテ徵收サレタ其ノ稅總額
ノ四分ノ一ヲ其ノ儘現地ニ還付シ、府縣ハ
ソレニ附加稅ヲ取ルノデアルカラ、其ノ取
上ゲタ四分ノ一ヲ現地ハ又道府縣ニ還付ナ
サルノヲ、其ノ儘府縣ニ取ラシテ宜イノデ
ハナイカ、別ニ是ハ少シモ負擔ノ衡平ヲ期
スルト云フ御趣旨ニハ悖ツテ居ナイ、ソコ
ヲドウシテモ一旦取上ゲテ現地ニ還付スル
ト云フ理由ガ私共ハハツキリシナイ、隨テ
此ノ三收益稅ハヤハリ府縣稅トシテ、其ノ
府縣稅ニ對シテ市町村ガ附加稅トシテ課ス
ルト云フコトガ一番適當デハナイカ、是ハ
小サナ町村ニ一々此ノ三收益稅ヲ獨立稅ト
シテ與ヘルコトハ私ハ贊成致シ兼ネル、併
シナガラ今日ノ道府縣ハ事務的ニモ總テノ
點ニ於テ整然ト致シテ居リマスカラ、中央
カラ相當ノ制限ヲ加ヘテ置カレルナラバ
決シテ間違ハ起ラナイト私ハ思ツテ居ルノ
デアル、其ノ點ヲ御聽シテ居ルノデアリマ
ス、詰リ府縣ニ還付スベキモノヲ、初メカ
ラ府縣ニ與ヘテ宜イノデハナイカ、負擔ノ
衡平ヲ期スルガ爲ニハ、賃貸價格ノ評價ハ
國家自ラヤツテ宜シイ、課率モ嚴重ナル制
限ヲ加ヘテ宜シイ、斯ウ申シテ居ルノデア
リマス、モウ一度御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=4
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005・挾間茂
○挾間政府委員 重ネテノ御尋デアリマス
ガ、三收益稅ヲ國稅ニ一部殘シ、之ヲ還付
稅トスルト云フコトノ主タル意味ハ負擔ノ
衡平ト云フコトニアル譯デアリマスガ、其
ノ他ニ二三申述ベマシタコトモ非常ニ大切
ナ點デアルト思ツテ居リマス、ソレカラ委
讓ノ主體ニ付テノ御考ニ付キマシテ地租其
ノ他ヲ府縣ニ委讓シタナラバドウカ、何故
ニ還付稅ノ形ヲ取ルノデアルカト云フ御說
デゴザイマスガ、府縣ニ委讓致シマシテ場
こ合ニ市町村ハヤハリ附加稅ト云フ形ニナラ
ナケレバナラナイト思ヒマス、併シナガラ
元來地方自治ノ本體ト申ツマスカ、基礎的
ノ地方自治ト云フモノハヤハリ是ハ市町村
ニアル譯デアリマス、從來地租委讓ノ問題ガ
論議セラレタ當時ニ於キマシテモ、大體私ノ
記憶ニ依リマスト地租ハ市町村ニ委讓スル、
營業收益稅、卽チ其ノ以前ニ於ケル營業稅
ハ之ヲ府縣ニ委讓スルト云フヤウニ委讓ノ
形ガ色々變ツテ居リマス、是ハ稅ノ性質カ
ラサウ云フ結論ニナツタノデアルト思ヒマ
スケレドモ、大體市町村ト云フモノガ自治
ノ基本的ノ形デアル譯デアリマスカラ、若
シ獨立稅ト云フ形ヲ取ルトスレバ、市町村
ニ委讓スルト云フ方ガ本旨デハナイカト思
フノデアリマス、今囘還付稅ヲ府縣ニ移シ
マシタト云フノハ、財源ノ關係ニ於キマシ
テ府縣ト市町村トガ折半スルト云フノデ、
事務ノ便宜上一万一千有餘ノ市町村ニ分與
スルヨリモ、府縣ニ還付スルコトガ簡單明
瞭デアルト云フノデ、還付稅ハ府縣ニ移ス
ト云フコトニ致シタノデアリマス、若シ獨
立稅ト云フコトニナリマスレバ、私ハ寧ロ
市町村ニ移スト云フコトガ本當デハナイカ
ト思フノデアリマス、サウスルト府縣ニハ
分賦トカ云フヤウナ妙ナ原始的ノ財源ヲ得
ル形ヲ取ラナケレバナラナイコトニナルノ
アリマシテ、適當デハナイヤウニ考ヘルノ
デアリマス、又假ニ府縣ニ委讓スルト云フコ
トニナリマスレバ市町村ハ附加稅主義ニ
ナル譯デアリマシテ、斯樣ニシマシテハ委
讓ト云フコトガ-地方獨立財源ト云フコ
トガ十分說明ガ出來ナクナルノデハナイカ
ト考ヘテ居リマス、又賃貸價格ハ國ニ於テ
決定ヲシ、課率ヲ國ガ定メ、其ノ制限ノ下
ニ於テ地方ガ獨立稅トシテ課スルト云フノ
デハ、實ハ名ノミ獨立稅デアツテ、實質ニ
於テハ自主稅ト云フコトガソレ、ニ依ツテ保
證サレルト云フコトニハナラナイト考ヘル
ノデアリマス、斯ウ云フ理、由カラ致シマシ
テ文字通リノ獨立稅トスルト云フコトヨリ
モ、一部ヲ國稅ニ存置シマシテ、ソレニ依
ツテ保持シ得ル他ノ色々ノ大切ナ問題ヲ併
セ解決シタイト云フノデ此ノ三稅ハ還付稅
ノ形ヲ取ツタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=5
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006・小見山七十五郎
○小見山委員 大分私ノ質問ノ要旨ト食違
ツテ居ルヤウデアリマス、是ハ他ノ言葉デ
申シマスルト、今御話ノ通リ元來此ノ三收
益稅ハ出來ルナラバ町村ニ委讓スルノガ本
當ダ、併シナガラ是ハ技術的ニ、事務的ニ
又幾多ノ不便缺陷ガアリ、弊害モ生ズルカ
ラ、先ヅ國ガ基本ヲ抑ヘテ、ソレニ附加稅
ヲ課スルト云フコトニナツテ居ルト云フ御
說明ト承リマスガ、私ノ申シマスノハ國ガ
其ノ四分ノ一ヲ自ラ徵收シテ府縣ニ還ス、
國ガ三收益稅ヲ謂ハバ統轄シテ居ル)投綱
ヲ打ツテ、其ノ投綱ノ綱ノ目ヲ手綱一本デ
纏メタヤウニシタイト云フノガ御說明ノ趣
旨ト思ヒマス、其ノ手綱ヲ府縣ニ致シマシ
タラドウカ、課率ノ制限、賃貸價格ノ調査
決定ノ如キハ國ガヤラレテ、中央ガヤルベ
キ仕事ヲ府縣ニ代行セシムル、サウシテ其
ノ四分ノ二ヲ府縣稅ニ移シテ、殘リノ四分
ノ二ヲ町村ニ附加稅トシテ課稅サセルト云
フコトデ宜クハナイカ、結局一度取上ゲテ
又原地ノ道府縣ニ還付スル必要ハナイデハ
ナイカ、斯ウ云フノガ私ノ質問ノ趣旨デア
リマスガ、ドウモ能ク徹底シナイヤウデア
リマスケレドモ、是ハ一應此ノ程度ニシテ
置キマシテ私ノ質問ヲ進メマスガ、次ハ市
町村民稅デアリマス、成程戶數割ハ今日
マデハ全ク資產及ビ所得ニ依ツテ戶數割ノ
額ヲ定メテ居リマシタガ、ソレデモ尙ホ幾
多ノ弊害缺陷ガアツタ、ソレニ代ルベキ其
ノ戶數割ノ長所ノ一部ヲ殘スベク、市町村
村民稅ヲ創設サレタコトハ結構ト思ヒマス
ガ、此ノ市町村民稅ハ餘リニ從來ノ弊害-
戶數割ハ何處マデガ其ノ一町村、一都市ノ
最高額デアルカ分ラナイ、或ル町村ノ戶數
割ノ最高額ハ數千圓或ハ一万數千圓ニ達シ、
貧弱ノ村デハ最高ノ人ガ三百圓位ト云フコ
トモアリマスシ、富ノ程度ノ餘リ變ラナイヤ
ウナ二ツノ村デ、一方ノ人ガ最高千圓ヲ納
メテ、隣ノ村ハ同ジヤウナ程度ノ者デ百圓納
メル、斯ウ云フ不公平ガアル、之ヲ是正スル
爲ニ最高ヲ一千圓トシタト云フコトハ非常
ニ結構ナコトデアリマス、併シ是ハ餘リニ
從來ノ弊害ヲ打破スルコトノミヲ目的トシ
テ定メラレタ方法デハナイカ、戶數割ニモ
長所ガアル、而モ其ノ短所デアツタ無制限
ニ課稅スルト云フコトヲ惧レテ、小サク一千圓
ト云フ金額ニ限定サレタ嫌ヒガアリハシナ
イカ、之ヲ例ヲ擧ゲテ申シマスト、或ル小サナ
町村ニ於テ二十万圓、三十万圓ノ資產ヲ持
ツテ居ル人ガ其ノ村ニ於テ第一流ノ富豪デ
アレバ、自然其ノ町村會ハ其ノ人ニ殆ド最
高限度マデ實際ニ於テハ課稅スルデセウ、
二十万圓、三十万圓ノ財產家或ハ十万圓、
十五万圓ノ財產家ニ恐ラク或ル町村ハ最高
千圓ノ課稅ヲスルデセウ、一方大都市ニ於
テ數百万圓、或ハ數千万圓ノ大富豪ガヤハ
リ千圓、斯ウナツテ來ルコトハ甚ダ不合理
デアル、私ハ市町村民稅ノ創設ニハ少シモ
異議ハアリマセヌシ、又一定ノ金額ヲ限度
トシテ課稅スルコトモ同意致シマスガ、千
圓ト云フ最高限ヲ小サク決メタ所ニ將來非
常ナ缺陷ガ起リハシナイカ、弊害ガ發生シ
ハシナイカ、是モヤツテ見ナケレバドウ云
フ風ニナルカ分リマセヌガ、私ノ今想像ス
ル所デハ之ヲ三種類位ニ分ケル、例ヘバ人
口七十万以上ノ大都市ニ於テハ最高限度ヲ
モツト大キクスル、此ノ金額ハ私今此ノ位
ガ丁度適當ダト云フコトハ明言致シ兼ネマ
スガ、假ニ申シマスト七十万以上ノ大都市
ノ所謂市民稅ハ最高限度ヲ一万圓位ニシテ
モ差支ナイ、東京、大阪、神戶、名·古屋ナ
ドデハ從來ノ戶數割ガナクナツテ一万圓ノ
市民稅ヲ拂ツテモ、從來ニ比ベテ少シモ重
クナラナイ、輕イモノデアル、其ノ他所得
稅トカヲ納稅致シマセウガ、數千万圓ノ人
ガ一年ニ一万圓ノ市民稅ヲ從來ノ戶數割ニ
代ツテ拂ツテモ、少シモ其ノ人ニ取ツテ重
イ負擔ニナラヌ、是ハ丁度地方ニ於テ十万
圓カ二十万圓ノ富豪ガ千圓ノ負擔ヲ受ケタ
ヨリモモツト輕イニ違ヒナイ、故ニ最高額
ヲ一万圓位ニシタラドウカ、其ノ次ノ都市
ニ於テハ三千圓內外ニスル、一般町村ニ於
テハ千圓トスル、大都市ハ數百万圓、數千万
圓數億圓ノ大富豪ガアルト同時ニ、其ノ
日ノ生活ニ困ツテ居ル貧民ガ多イ、富ノ程
度ガ甚ダ相違シテ居ル、斯ウ云フ所デハ大
富豪ニハウント上ゲテ、喰フニ喰ハレヌ多
クノ貧民ニハ成ベク稅ノ課カラナイヤウニ、
課ケテモ極ク僅カナ額デ濟ムヤウニスル爲
三、最高額ト云フモノヲドウシテモ上ゲ
ナケレバナラヌ、是ハ常識的ニ考ヘテサウ
ナルト思ヒマス、餘リニ政府ハ從來ノ戶數
割ノ弊害ニ脅エテ最高一千圓ト限定シタ所
ニ將來市町村民稅ガ非常ニ動キノ取レヌ
コトニナリハシナイカト云フ懸念ヲ持ツテ
居ル、此ノ最高額ニ付テハドウナルカ知レ
マセヌガ、場合ニ依ツテハ斯樣ナ趣旨ヲ以
テ私共ハ修正シナケレバナラヌト云フ考ヲ
持ツテ居リマスガ、政府ノ御所見ハ如何デ
アリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=6
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007・挾間茂
○挟間政府委員 市町村民稅ノ性質等ニ付
テハ度々此ノ席デモ申上ゲタ通リデアリマス、
元來市町村民稅ハ輕イ戶數割ト云ヤウニ、戶
數割ヲ變形スル意味カラ出テ居ルノデハア
リマセヌ、隨テ市町村民稅ノ稅質ヲ稅負擔
ヲ主トシテ考ヘテ戴カナイヤウニ御願シタ
イト思ヒマス、國民ノ負擔ト云フ立場カラ
致シマスレバ、實ハ市町村民稅ハ別段之ヲ
設定シナイデモ宜シイ譯デアリマス、國民
負擔ト云フ關係ハ今囘ノ稅制ニ於キマシテ
ハ、度々申上ゲマシタヤウニ、中央地方ヲ
通ジテ國民負擔ノ均衡化ト云コトヲ考ヘ、
其ノ總體ニ於テ立案ヲ致シテ居リマスノデ、
市町村民稅ハサウ云フ意味カラ立脚シテ居
ルノデハナイ譯デアリマス、寧ロ稅ノ本當
ノ精神トスル所ハ、市町村民ガ其ノ市町村
ノ負擔ヲ分任スルト云フ立場カラ起ツテ居
ルモノデアツテ、負擔關係トハ別筒ノ自活
ノ根本精神ニ此ノ稅ノ元ヲ置イテ居ル譯デ
アリマス、ソレ故ニ市町村民稅各納稅者ノ
最高額ト云フ問題ニ付テモ、是ハ各團體ノ
種類ノ相違、大小ニ依リマシテ區別ヲ設ケ
ルト云フコトハ、是ハ此ノ稅ノ本質カラ見
テ適當デナイノデアリマス、如何ナル團體
ニ居住シテ居リマシテモ、其ノ人ガ市町村
民稅ヲドレダケ負擔スルカト云フコトハ、
是ハ一律ニ考ヘルベキモノデアツテ、全國
ヲ通ジテ最高額ヲ決定スベキモノデアル
斯ウ思ヒマス、團體ノ種類ニ依リソレヲ考
慮スルト云フコトハ、結局之ニ依ツテ得ル
收入ガ其ノ團體ノ財政收入ヲ主眼トシテ考
ヘルト云フコトニナルノデアリマシテ、是
ハ市町村民稅ノ性質カラ致シマシテ首肯シ
難イコトデアルト思フノデアリマス、殊ニ
今囘ノ稅制ニ於キマシテ、市町村民稅ハ總
額ヲ五千万圓ト云フコトデ、謂ハバ各市町
村民ガ其ノ市町村ニ於テ團體員トシテノ
會費ヲ納メルト云フ程度ノ意味ヲ持タセテ
居ルモノデアリマスノデ、之ヲ餘リ高ク、
最高ハ一万圓トカ、或ハ中都市ハ三千圓デ
アルトカ云フコトニ致シマスト、是ハ結局
稅負擔總額ノ上カラ云ヒマスト、負擔ノ
過重ヲ來ス虞ガアルト云フコトニナツテ來
ルト思フノデアリマス、ト申シマスノハ、
今囘ノ稅制ト云フモノハ一應地方稅制ヲ白
紙ノ狀態ニ置イテ、中央ト睨合セテ、負擔
ノ均衡ヲ得ルヤウニ課稅ノ課率等ガ定メラ
レテ居リマスノデ、更ニ之ヲ最高一万圓ト
云フ風ニ致シマスコトハ、負擔ノ過重ヲ生
ズル虞ガアリ、又戶數割ノ弊害ヲ此ノ市町
民稅ノ上ニ持チ來スコトニナルノデハナイ
カト思フノデアリマシテ、政府トシマシテ
ハ原案ノ制限ガ最モ適當デアルト思ツテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=7
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008・小見山七十五郎
○小見山委員 今ノ御說明モ一寸私ノ質問
ノ趣旨ヲ間違ヘテ居ラレルヤウニ思フノデ
スガ、私ハ戶數割ニ代ツタノガ此ノ市町村
民稅デアルト思ツテ居リマセヌ、戶數割ノ
中ノ所謂負擔分任主義ト云フ長所ヲ之ニ持
タセテ居ル、國民デアリ、市町村民デアル
以上ハ、自分モ國民ノ一人デアル、自分モ
市町村民ノ一人デアルト云フ自覺ヲ持タセ
ル爲ニ、幾ラデモ課稅スルト云フノガ、此
ノ趣旨デアルコトハ能ク承知致シテ居リマ
ス、又五千万圓ガ二億數千万圓ニ代ル財源デ
アルコトモ承知致シテ居リマス、併シ是ハ
實際ノ問題ト致シマシテハ、必ズ其ノ地方
ニ於キマシテハ、負擔能力ノ大キナ者ニハ
ウント持ツテ行クコトニ落込ンデ行クコト
ハ決ツテ居ル、ソレデアリマスカラ一千圓
ト云フ制限ヲ都鄙共ニスルコトハ、將來甚
ダ不都合ヲ生ズル、ソレカラ又今局長ハ、
一万圓ノ最高限度ヲ決メルト云フト、稅額
ガ非常ニ大キクナル、所謂戶數割同樣ニナ
ツテ、稅額ガ大キクナツテ、此ノ稅ヲ創設
シタ趣旨ニ合ハナイト云フ御說明デアリマ
スガ、私ハ稅ノ總體的數字ハ動カサヌ、七
十万ノ以上都市ニ於テ一人平均八圓、其
ノ他ノ市ガ六圓、町村ガ四圓、是ハ動カサヌ、
此ノ率ハ動カサヌデ、サウシテ最高限度ダ
ケヲ大都市、中都市町村ノ三種類ニ分ケル
コトガ宜クハナイカ、政府ノ初メ此ノ案ヲ
制定サレタ當時ハ、金額ノ多少ハ問ハヌ、
誰デモ相當ノ負擔ヲスル、國民的自覺ヲ與
ヘル、納稅ノ義務ヲ皆ニ負ハセルト云フノ
ガ根本ノ趣旨ト思ヒマスガ、ソレハサウニ
違ヒアリマセヌ、又此ノ千圓デ宜イカモ知レ
マセヌ、併シ之ヲ實際ニ實施スルニ及ンデ
ハ必ズ澤山持ツテ居ル人ニハ澤山稅金ヲ
課ケルコトニナル、其ノ場合ニ貧弱ナル町
村ニ於テモ市町村民稅ハ最高限度ノ千圓ヲ
課稅サレル、數千万圓、數億圓ノ大富豪モ
大都會ニ於テ千圓ダケダ、斯ウナルコトハ
ソコニ非常ニ意外ナル今日想像シナイヤ
ウナ不合理ガ發生スルニ違ヒナイカラ、ソ
レヲ今日防止スル爲ニ、私金額ハ玆ニ固執シ
マセヌガ、セメテ一万圓、三千圓、一千圓
ト云フ位ニシタ方ガ宜クハナイカ、別ニ市
町村民稅ニ於ケル國ノ總額、五千万圓ノ總
額ニモ變更ガナクテヤルコトガ至當デハナ
イカ、サウ云フ意味ナノデス、ソレナラバ
多分御贊成ダラウト思ヒマスガ、如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=8
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009・挾間茂
○挾間政府委員 或ハ議論ニナルカモ知レ
マセヌガ、團體ノ種類ニ隨ヒマシテ最高額
ガ相違スルト云フコトハ、ドウモ此ノ稅ノ
性質カラ見テ、適當デナイト思フノデアリ
いく、例ヘバ東京ニ住ツテ居ル者ガ隣ノ村
ニ行キマスト、非常ナ富豪デアツタ關係デ、
東京ニ居リマスト一万圓納メテ居ツタガ、
隣ノ村ニ行ツタノデ今度ハ千圓ニナルト
云フノハ市町村民稅ノ性質カラ見テドウ
モ適當デナイ、度々申上ゲマスガ、此ノ稅
ハ決シテ之ニ依ツテ國民トシテノ負擔ノ均
衡ヲ得ルト云フコトヲ目的トシテ居ルノデ
ハナクテ、何處マデモ負擔分任ノ精神ヲ普
ク市町村民ノ上ニ現ハシテ行ク、隨テ成ベ
ク多數ノ者ガ小額タリトモ納稅ヲスルト云
フコトニスルノガ、此ノ稅ノ本質デアリマ
スカラ、團體ノ種類ニ依リマシテ、最高額
ガ二三ニナルト云フコトハ適當デナイト考
ヘテ居リマス、尙ホ東京其ノ他大都會ニ於
キマシテハ、無論今日戶數割ノ制度ノ如キ
モノハナイソデアリマシテ、今囘ノ市町村
民稅ノ創設ニ依リマシテ、特ニ斯ウ云フ趣
旨ヲ一般ニ普遍的ニ納稅義務者ノ上ニ現ハ
シテ行カウト云フ考ヲ持ツテ居ル譯デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=9
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010・小見山七十五郎
○小見山委員 ドウモ此ノ稅制ヲ立案ナサ
レタ當時ノ原則ガ、アナタノ頭ニマダコビ
リ付イテ居ツテ、其ノ原則ニ依ツテ具體的
ニ作ラレタ此ノ法案ガ、實地ノ場合ドウ云
フ作用ヲ起スカ、アナタガ豫想シテ居ナカ
ツタドウ云フ副作用ガ起ツテ來ルカト云フ
コトハ、アナタハ今殆ド夢中ニナツテ考ヘ
テ居ナイヤウデアリマス、今私ノ申シマシ
タヤウニ、數千万圓、數億圓ノ大富豪モ千
圓五萬圓カ十万圓ノ地方ノ所謂小富豪モ
千圓ト云フコトハ、必ズソコニ不合理ガ起
ル、又東京市內、大阪市内ニ居ル大富豪ガ、
五千圓カ一万圓ノ市町村民稅ニ恐レテ、隣
ノ郡部ノ町村ニ引越スト云フコトモ是ハ絕
對ニアリマセヌ、今日マデハ其ノ反對ノ現
象ガ頻リニアツタ、例ヘバ貧弱ナル町村ニ
相當大キナ金持ガ居ル、之ニ無茶苦茶ニ戶
數割ヲ課ケル、千圓モ二千圓モ、三千圓モ
四千圓モ課ケラレル、堪ラヌカラ、市ニ行
ツテ家ヲ拵ヘテ、子供ノ〓育ガテラニ一時
寄留ヲシテ、籍ヲ置ク、此ノ二千圓三千圓、
四千圓ノ戶數割ガアレバ、コツチデ子供ヲ
學校ニヤツテ樂ニ食ヘル、斯ウ云フノガ地
方ニハ非常ニ多イ、是マデ地方ノ靑年、或
ハ勞働者知識階級ノ者ガ中央ニ流レルト云
フコトダケガ、吾々ノ眼ニ映ジテ居リマシ
タガ、實際ハ此ノ大ナル戶數割ノ負擔ヲ恐
レテ、其ノ縣ノ市ナリ、或ハ中央ノ市ナリ
ニ住居ヲ移ス人ガ澤山アツタ、大都市ニ於
テ一万圓、普通ノ都市ニ於テ二千圓ヤ三千
圓ノ市民稅ガ課ツタカラト云ツテ、隣ノ郡
部ニ引越スヤウナ人ノ存在ハ齒牙ニ掛ケヌ
デモ宜シイ、數千坪、數万坪ノ大邸宅ニ住
ツテ居ル人ガ、サウ容易ニ自分ノ籍ヲ隣ノ
郡部ノ町村ニ移シテ住フヤウナコトハ絕對
ニシマセヌ、今有ラユル階層ノ人ガ地方カ
ラ中央ニ中央ニト流レテ居ル、是ハ防ガナケ
レバナラナイ、併シナガラ中央ニ居ル人ガ、
假ニ非常ナ金持ガ郡部ノ田舎ニ籍ヲ移シテ
寄留シテ吳レタラ、是ハ却テ有難イカモ知レ
ナイ、此ノ弊害ハ私ハ別ニ恐ルルニ足ラヌ
ト思フ、アナタハ國民ノ義務トシテ、誰デモ
小額ナガラ課稅シナケレバイカヌ、サウ云フ
趣旨デヤツタノダカラ、別ニソンナ甚ダシ
イ差等ヲ設ケテハイケナイト云フ御話デス
ガ、ソレナラ初カラ五十錢ナラ五十錢、一圓
ナラ一圓、平等ニ課ケレバ宜シイ、一圓課ケ
レバ七千万圓ニナル、今日最下級ノ者デアツ
テモ、幾ラ貧乏人デモ、一年ニ一圓ノ稅金ヲ
納メルコトハ苦痛デモアリマスマイ、一箇月
ニ幾ラニナルカ、八錢カ九錢ノ稅金ニシカ
ナラヌ、一年ニ一圓トシテ七千万圓、アナタ
ノ御趣旨ノヤウナ市町村民稅ナラバ、初メ
カラ一人一圓ト決メタツテサウ大シタコト
ハナイ、併シソレハ不合理デアルカラ、平
均ヲ八圓、六圓、四圓トシテ、最高限度ヲ
餘リ高ク課スルト弊害ガ起ルカラ千圓ニ制
限スルノダト云フ、ソレヲ千圓マデ最高限
度ヲ認メル以上ハ、其ノ千圓ノ最高限度ニ
依ツテ生ズル不合理ハ是ハ是正シナケレバ
ナラヌ、其ノ不合理ハ何デアルカ、大都會
ニ於ケル數千万圓、數億圓ノ金持モ一千圓、
町村ニ於ケル五万、十万ノ地方ノ小地主モ
千圓、是ハ不合理ダカラ、此ノ不合理ハ多
少是正シナケレバナラヌト云フ御考ガ起リ
サウナモノダト思フ、一體甚ダ失禮ナガラ、
最初ノ原則ヲ離レテ、白紙ノ狀態ニナツテ
御考ニナレバ、是ハ常識デ判斷ノ出來ルコ
トデアリマスガ、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=10
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011・挾間茂
○按間政府委員 度々申上ゲル通リ、市町
村民稅ト云フノハ、國民トシテノ負擔ト云
フ問題デハナクシテ、市町村住民ガ市町村
ニ於ケル負擔ヲ分任スルト云フ趣旨ナノデ
アリマス、國民トシテノ負擔ノ問題ハ、是
ハ中央地方ヲ通ズル稅制全般ニ於テ、負擔
ガ適度ニ行クヤウニ、富豪ニハ相當ノ負擔
ヲセシメ、資力ノナイ者ニハ輕イ負擔ニ止
メルト云フコトニスルノデアリマシテ、是
ハ稅制全體ヲ通ジテ考ヘル問題デアツテ、
市町村民稅ハ決シテ國民負擔ト云フ問題デ
ハナクテ、市町村住民トシテ其ノ市町村ノ
負擔ヲ分任スルト云フコトナノデアリマス、
隨テ御話ノヤウニ或ハ全部一人當リ一圓ト
云フコトモ考ヘラレナイ問題デハナイト思
ヒマスガ、ソレハ餘リ畫一的デアルノデ、
輕度ナル差等ヲ付ケルト云フコトヲ考ヘテ
居ル譯デアリマス、併シナガラソレナラバ
其ノ差等ガ大都會デアレバ一万圓デモ宜ク
ハナイカト仰シヤイマスガ、是ハ實ハ程度ガ
千圓カラ一万圓ニ變リマスト云フコトハ、是
ハ非常ナ違ヒデアル譯デアリマス、吾々ノ
考トシテハ成ベク多數ノ人ニ輕イ負擔ニ於
テ、各自ガ市町村ノ負擔ヲ分任スルト云フ
精神ヲ此ノ稅ノ上ニ現ハスト云フノガ本體
デアルノデアリマス、決シテ囚ハレタ考デ
斯ウ云フ制限ヲ固執スル譯デモナイノデア
ツテ、最モ此ノ程度ノ制限ガ適當デアル、
又團體ヲ異ニスルコトニ依ツテ最高額ガ異
ルト云フコトハ此ノ稅ノ本質カラ見テ適.
當デナイト思フノデアリマス、先程例ニ擧
ゲマシタノハ、課稅ノ高イ所カラ低イ所ニ
富豪ガ流レテ行クト云フコトヲ例示的ニ言
ツタノデハナクテ、「エー」市ト「ビー」村ト
ノ間ニ同ジ人ノ負擔ガ、千圓ト一万圓ト云
フ風ニ變ルト云フコトハ適當デナイト云フ
コトノ例トシテ申上ゲタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=11
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012・山川頼三郎
○山川委員 關聯シテ伺ヒタイノデスガ、
今小見山サンカラ段々將來施行後ニ於テ、
ドウ云フ風ニ稅金ガナツテ來ルカト云フコ
トヲ、詳細ニ數度ニ亙ツテ御述ニナリマシ
タガ、マダ當局ハ其ノ事ガ能ク分ラヌヤウ
ニ思フノデアリマス、私ハ只今局長ノ御答
辯ヲ伺ヒマスト、人頭稅ト云フ風ナ意味カ
ラ割出シタ住民稅ノ御說明ノヤウニ聞エル
ノデス、誰モ彼モ人間ハ生キテ居ル者ハ一
圓ヅツ課稅シナケレバナラヌト云フコトカ
ラ御話ニナツテ居ル、ソレト是ト丁度混ゼ
コゼニシテ御答辯ニナツテ居ル、五十錢シ
カ課カラヌ者モアル、九百九十九圓、千圓
マデモ課カル者ガアルト云フコトニナツタ
ナラバ、其ノ村ノ稅金ノ一部ヲ分擔シテ居
ルト云フ精神的ノ意味トハ變ツテ來ルノデ
アリマス、少シ課カル者モアルガ、餘計課
カル者ハ千倍モ課ケルコトモ出來ルト云フ
コトニナルト、ヤハリソレハ財產稅デアル、
力ノ稅金デアル、斯ウ云フコトニナツテ來
ルノデアリマス、ドウ考ヘテ見マシテモ、
只今ノ說明デハピツタリ其ノ意味ガ合ハナ
イト思フ、人頭稅ト其ノ意味ハ變ツテ來ル、
是ハ人頭稅デ、一圓ナラ一圓ヲ最下級トシテ、
サウシテ其ノ意味ニ於テ誰モ彼モ少シヅツ
ダケレドモ持寄ル、是ガ稅ノ目的ノ主體デ
ハナイ、稅ハ他ノ財源ニ依ツテ他ノ力ニ依
ツテ課ケルノデアル、ケレドモ其ノ村ニ住
ヒヲ致シテ居ルト云フ精神的ノ觀念ヨリ稅
ノ分擔ヲ受ケテ居ル、斯ウ云フ精神デ課ケ
ル、斯ウ云フコトノ御說明ガアル、ソレナ
ラバ皆稅ノ大體ハ其ノ力ノ方デ取ツタラ宜
イ、僅ニ其ノ分ダケヲ少シヅツ集メテ見ル、
斯ウ云フノデアレバ宜シイノデス、ソコノ
所ハドウシテモ今ノ小見山君ニ對スル御答
辯デハ私ハ諒解出來ナイノデアリマス、デ
アリマスルカラ、私ハ此ノ都市ノ關係デ八
圓、六圓、四圓ト云フ風ニ御分ケニナツテ
居ル其ノ金額モ別ニ異議ハナイ、ソレカラ
御課ケニナルト云フコトモ異議ハナイケレ
ドモ、千圓ト云フモノヲ置カレルト云フコ
トダケガ、唯邪魔ニナツタリ、或ハソレガ
迷惑ニナル、上ノ者ノ爲ニハ何モ制限ニナ
ラナイデ、片方デハ制限ニナル、迷惑ニナツ
タリ不便ニナツタリスルダケノモノデアル、
デアリマスルカラ、今小見山君ハ千圓ヲ或
ハ五千圓、一万圓ト云フヤウナ風ニ分ケタ
ラドウカ、斯ウ云フ風ニ仰シヤイマスガ、私
ハ寧ロ千圓ヲ取ツテシマツタラソレデ宜イ
ノヂヤナイカ、斯ウ云フ風ニ思フノデアリ
マス、在來戶數割ト云フモノノ弊害ニ長イ
間惱ンデ來タノデアリマス、此ノ戶數割ハ
見立稅デアリマシタケレドモ、凡ソ其ノ財
產ニ合ハシテヤツテ、大變ナ無茶苦茶ナコ
トハシナイ、五倍トカ七倍トカ云フヤウナ
無茶ナコトハシテ居ナイ、マア二倍ニナツ
テ居ルトカ、或ハ少シ無理ヲシテ三倍ニナ
ツテ居ルト云フヤウナ程度ニナツテ居ル所
モソレハアリマスケレドモ、ソレガ七倍ト
カ十倍トカ云フヤウナ無茶ハシテ居ナイ、
ケレドモ今度ノ此ノ稅金ハ、千圓マデハ課
ケテモ宜イノダカラト云ウタラ、ドンナ無
茶デモ私ハ貧弱ナル所ノ町村デアリマシタ
ラ出來ルト思フ、三万圓ヤ五万圓ノ財產家
ガ、一番其ノ村ノ大將デアルト云フヤウナ、
財產ノ平均シタ所ノ村デアリマシタラサウ
云フコトハ必ズ行ヒ易イコトニナツテ來ル、
サウスルト、戶數割ノ弊害ヨリヨリ以上ノ
弊害ガ起ツテ來ル、在來ノ戶數割ノ其ノ弊
害ヲ除カンガ爲ニ拵ヘタ所ノモノデアルカ
ドウカ知ラヌガ、戶數割ハ弊害ガアルカラ
廢メラレテ、サウシテ片方ニ住民ト云フ所
ノ意味ニ於テ御課ケニナツタノデアリマス
ガ、元アツタ所ノ弊害ハ除イタケレドモ、
又所ニ依ツテハツレ以上ノ弊害ニナル所ノ
住民稅ガ出來タト云フコトニナル部分モア
ルト思フ、全體トハ申シマセヌガ、サウ云
フ部分モアルト思フ、デアリマスカラ、ド
ウカソレハ人頭稅ト云フヤウナコトヲ誤ラ
ナイヤウニシテ貰ヒタイ、寧ロ是ハ撤廢サ
レタ方ガ宜イ、私ハサウ云フ風ニ考ヘルノ
デアリマスガ、之ニ對スル御答辯ヲ願ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=12
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013・挾間茂
○挾間政府委員 最高ノ制限ヲ撤廢スルト
云フコトニナリマスト、是ハ山川サンノ御
意見デハ八圓、六圓、四圓ト云フ制限ハ殘
スト云フ御考ダラウト思ヒマスガ、サウスル
ト是ハ此ノ稅ノ本質カラ益〓遠ザカル危險ガ
非常ニ多クナルト思ヒマス、八圓、六圓、
四圓ト云フ各納稅者ノ最高平均額ト云フモ
ノガ限定サレテ居リマシテ、サウシテ各人
ノ納稅スベキ額ニ付テハ何等制限ヲ設ケナ
イト云フコトニナリマスト、ソレハ此ノ稅ガ
成ベク普遍的ニ各市町村民ニ負擔ヲサセル
ト云フ趣旨ヲ沒却スルヤウニナル虞ガ非常ニ
多イト思フノデアリマス、ソレカラ、此ノ稅
ハ決シテ此ノ法律デ直接市町村民ニ賦課サ
レルノデハナクテ、是ハマア全體ノ問題デ
スガ、基本原則ヲ法律ヲ以テ定メテ、サウシ
テ各市町村ガ其ノ市町村ノ意思ニ從ツテ實
際ノ賊課ヲスルノデアリマスカラ、千圓ト
云フモノハ各團體ヲ通ジテノ一應ノ最高限
デアツテ、町村ノ事情ニ應ジマシテ、其ノ
村デハ百圓ノ最高ノ人モアルカモ知レナイ
シ、又他ノ町デハ三百圓ガ最高ノモノニナ
ルカモ知レナイ、ソコハ各市町村ガ自由ニ
定メ得ルノデアリマシテ、而シテ法律トシマ
シテハ餘リニ過重ナル負擔ヲ各人ニセシメ
テ、多數ノ者ガ負擔シナイト云フコトニナ
ルコトヲ避ケル意味ニ於テ最高千圓ト云フ
コトヲ一律ニ決メテ居ルノデアツテ、ドノ
町デモ、ドノ村デモ最高ノモノハ皆千圓マ
デ取ルノダト云フノデナクテ、是ハ一應ノ
制限デアルト云フコトヲ一ツ十分御含ミヲ
願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=13
-
014・山川頼三郎
○山川委員 只今ノ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=14
-
015・内藤正剛
○內藤委員長代理 同ジコトデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=15
-
016・山川頼三郎
○山川委員 同ジコトデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=16
-
017・内藤正剛
○內藤委員長代理 今度ハ短クシテ下サイ、
モウ直キアナタノ順番ガ來マスカラ、アナ
タノ御順位ノ時ニ十分ニヤツテ下サツテ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=17
-
018・山川頼三郎
○山川委員 承知シマシタ、短クヤリマス
-只今ノハ八圓、六圓、四圓ト云フ制限
ト云フモノガアリマスカラソンナニ恐ロシ
イモノヂヤナイノデス、四圓ト云フ所ノ制
限ニ其處ノ住民ノ數ヲ掛ケテ見マシタナラ
バ、金額ノ最高ト云フモノハ決ツテ居ル
ノダカラ、ソンナ恐ロシイモノヂヤナイ
コトニナツテ來ル、唯其ノ掛ケ方ノ等差デ
ス、非常ニソレヲ細カク割ツテ行クノト、
非常ニ粗イ割方ヲスルト云フコトノ區別ガ
アルノデス、ソレデ町村ニ任スノデハアリ
マスケレドモ、其ノ町村其ノモノハソレヲ
定メルノハ村會議議ガ定メル、ソレハ信任
ガアル所ノ村會議員ガ定メルノデアリマス
ガ、近頃其ノ模樣ハ非常ニ變ツテ來テ居ル、
是ハ最近ニ於テ市町村制ヲ改正ニナル-
一寸速記ヲ止メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=18
-
019・内藤正剛
○内藤委員長代理 アナタガ自由ニ速記ヲ
止メロト言ウテハ困リマス、祕密ヲ要スル
コトナラ委員長ガ然ルベクヤリマス、アナ
タノ質疑ハ關聯事項トシテト云フノデスカ
ラ、ソレハ結構デスケレドモ、アナタハ今
度アナタノ順番ノ時ニオヤリニナルノデス
カラ、アナタノ順位ノ時ニウントオヤリニ
ナツタラ宜シイ、人ノ時ニ關聯事項トシテ
ハ簡單ニ願ハナケレバ困リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=19
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020・山川頼三郎
○山川委員 私ノ時モ餘所デヤラレタデス
カラ··(笑聲)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=20
-
021・内藤正剛
○內藤委員長代理 關聯事項デアナタニ他
ノ人ノ順位ヲ取ラレテハ困リマスカラ、是.
ハ御注意ヲ申上ゲテ置キマス、ソレカラ速
記ニ付テハ、アナタガ一寸止メテトカ何ト
カ云フコトハ困リマス、秩序ヲ紊シマスカ
ラ······若シアナタガ速記ヲ止メナケレバナ
ラヌ理由ガアルナラバ、私ノ方ニ言ツテ下
サイ-速記ハ續ケテ貰ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=21
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022・山川頼三郎
○山川委員 分リマシタ-詰リ只令ノ村
會ノ性質ト云フモノハ非常ニ變ツテ來テ居
ル、是ガ爲ニ吾々ノ親戚デモ都會ニ移住シ
テシマツタト云フコトニナツテ來テ居ル、サ
ウスルト大キナ力ノモノハ其ノ方ガ得ダト
云フコトニナツテ行クシ、力ノ小サイ千圓
マデト云フモノハヤハリソコマデ來ルノデ
ス、ドウシテモ下ノ方ニハホンノ五錢カ十
錢課ケテ、上ノ方ノ三人ナラ三人、二人ナ
ラ二人ニ行ツテシマフト云フヤウナ、サウ
云フヤウナ性質ニ殆ドナツテ居ル、是ハ最
近又規則ガ變ルダラウト思ヒマスカラ、其
ノ時ニハ大イニ意見ヲ申上ゲマスガ、ドウ
カ今小見山君ガ言ハレルヤウニ、モウ一ツ
御考直シヲ願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=22
-
023・三好榮次郎
○三好政府委員 局長カラ縷〓、御答辯ニナ
リマシタノデ、同ジコトヲ繰返スコトニナ
ルカト思フノデアリマスガ、國民ノ稅負擔
ノ見地カラシマスナラバ、今囘ノ改正案ニ
於キマシテ、中央地方ヲ通ジテノ稅負擔ノ
均衡ト云フコトハ得ラレルコトニ相成ツテ
居ルノデアリマシテ、此ノ上市町村民稅ト
云フガ如キモノヲ設ケマシテ、ソレヲ併セ
テ負擔關係ヲ適正ニスルト云フ必要ハナイノ
デアリマス、各種ノ國稅地方稅ニ於テ、市
町村民稅ヲ除キマシテ負擔關係ハ適正ニ得
ラレルヤウニ出來テ居ル斯ウ云フ積リナ
ノデアリマス、ニモ拘ラズ市町村民稅ハ何
故ニ設ケルカト申シマスレバ、結局平タク
申シマスト、今度ノ制度ニ相成リマスレバ、市
町村ノ住民デアツテ市町村稅ヲ一文モ納メナ
イト云フ人間ガ多數出ル、是ガ自治ノ上カ
ラ工合ガ惡イノデハナイカ、金持ノ方ノ問
題ニナリマスレバ、或ハ土地ヲ持ツテ居ル
トカ、或ハ家屋ヲ持ツテ居リマスノデ、
其ノ附加稅ノ形ニ於キマシテ市町村ノ負擔
ハ十分ニ分任ヲ致シテ居ルノガ通例デア
リマスガ、サウデナクテ地租附加稅モ、家
屋稅附加稅モ、營業稅附加稅モ一文モ納メ
ナイト云フ階級ガ澤山出ル、是ハ地方自治
ノ上カラ致シマシテ如何ナモノデアラウ
カ、現在ノ戶數割ヲ調ベテ見マスト、實一
六千町村位ノ大キナ町村ハ五十錢以下ト云
フ小額ノ戶數割ヲ徵收致シテ居ルノデアリ
マス、若シ市町村民稅ヲ設ケズ、戶數割ヲ
全廢致シマスナラバ斯ノ如キ多數ノ町村ニ
於キマシテ納稅ヲ市町村ニ對シテ一文モシ
ナイト云フ者ガ多數ニ生ズル、是ハ地方自治
ノ上カラ見テ好マシクナイコトデハナイカ
ト云フコトデ、結局市町村民稅ト云フモノ
ハ、租稅理論ノ上カラハ、或ハ國民ノ負擔
關係ノ上カラハ必ズシモ感心シナイケレド
モ、地方自治ノ立場上、斯ノ如キ無納稅者
ガ出テ來ルト云フコトハ宜クナイ、斯ウ云
フ考デ設ケラレルモノデアリマス、隨ヒマ
シテ無納稅者ガ澤山出來ルト云フコトガ放
ツテ置イテ宜イノカ、或ハ市町村民稅ト云
フ負擔ノ理論、稅ノ理論カラ言ヘバ必ズシ
モ感心シナイ稅ヲ設ケテ、此ノ無納稅者ガ
ナイヤウニスルノガ宜イノカ、此ノ比較ノ
問題デ此ノ稅ノ善イ惡イガ決マルノデアリ
マス、併シナガラ現在ノ地方自治ノ狀況ヲ
眺メマスレバ、稅ハ一文モ納メナイ、併シ
ナガラ選擧權ヲ持チ或ハ其ノ他ノ形ニ於テ
主張ダケハスル、何等責任ハ持タナイト云
フ者ガ多數出ルト云フコトハ是ハ感心シ
ナイコトデハナイカ、斯ウ云フ見地デ有ユ
ルモノガ貧富ニ拘ラズ、必ズ稅金ヲ納メル
ト云フ制度ヲ拵ヘタイト云フノデ設ケルノ
ガ市町村民稅デアリマス、サウ云フ趣旨デ
アリマスカラ、稅ノ理論ノ上カラ致シマス
しど、是ハ必ズ攻撃ガアリ宜クナイ所モ出
テ來ルノデアリマス、若シ稅ノ理論ヨリ致
シマスナラバ相當程度ノ免稅點ヲ設ケルベ
キデアリマス、又最高ノ制限ヲ設ケルベカ
ラザルモノデアルト思フノデアリマスガ、
ソコニサウ云フ趣旨ノ稅デゴザイマスカラ、
免稅點モ公私ノ生活ノ扶助ヲ受ケルト云フ
者ダケヲ除イテ、貧乏ナ者デモ稅金ハ或ル
程度納メサセル、其ノ代リ負擔關係ハ、他
ノ諸稅ヲ通ジテ合理的ニ出來テ居リマスカ
ラ、其ノ上ニ餘リ重ク課ケマスト、今度ハ
餘リニ富ンダ方ノ階級ガ不合理ナ負擔ヲス
ルコトニナリマスカラ、ソコニ餘リ無理ノ
掛ラヌヤウニ制限ヲシナケレバナラヌ、ソ
レガ千圓ガ宜イカ、五百圓ガ宜イカ、二千
圓ガ宜イカ、是ハ結局達觀デゴザイマスガ、
千圓ト致シマスナラバ町村ニ付テ言ヘバ千
圓一人納メル者ガ假リニアツタ、最高ノ千
圓ニ當ル者ガ假リニアツタト致シマスレバ、
實ニ二百五十人カラノ者ガ無稅ニナリ得
ル、餘リ高ク致シマスト、自然又稅金ヲ納
メチイ階級ヲ生ジ得ルコトニナリマスノデ、
餘リ高クハ持ツテ行ケナイ、ソレデバ市ニ
付テハモツト高ク決メタラ宜イデハナイカ
ト云フコトニナリマスガ、實情カラ申シマ
スレバ、千圓ナラ千圓、二千圓ナラ二千圓、
其ノ程度デ止メマスレバ、ソレ以上ノ所ハ、
例ヘバ所得十万圓トカ、二十万圓以上ノ所
ハ皆千圓ト云フコトニナルノデアリマスガ、
ソレハ大都市ダケニ住ンデ居ルカト云フコ
トニナリマスト、是ハ田舍ニモサウ云フ人
ハヤハリ住ンデ居ル、サウスルト先程小見
山サンカラモ御話ガゴザイマシタガ、アツ
チコツチ移動スルト云フ關係デゴザイマセ
ヌデ、假リニ一千万圓ノ所得ノアル金持ガ
東京ニ住ンデ居リマシテモ、或ハ住吉村ニ
住ンデ居リマシデモ、ヤハリ千圓ト云フコ
トデナケレバ合理的ナ制限ニナラヌノヂヤ
ナカラウカ、斯ウ云フ考デ一律ノ制限ニ致
シタヤウナ次第デアリマス、繰返シテ同ジ
コトヲ申上ゲルヤウデゴザイマスガ、御參
考マデニ申上ゲタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=23
-
024・内藤正剛
○内藤委員長代理 小見山君大臣ニ質疑ヲ
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=24
-
025・小見山七十五郎
○小見山委員 今ノ結論ダケヲ申上ゲテ置
キマス、市町村民稅ヲ設ケラレタ趣旨ハ能
ク分ツテ居リマス、稅制改革ノ結果納稅ヲ
全クシナカツタ貧乏ナ者デモ多少ノ稅金ヲ
課ス、サウシテソレニ國民タル資格、地方
民タル資格ヲ與ヘル、是ハ分ツテ居マス、然
ルニソレヲ均一ニスルコトハ不穩當ダカラ、最
高ヲ千圓ニシタト仰シヤル、最高ヲ千圓ト
シナケレバナラヌ事情ガアル限リハ、其ノ
最高ノ千圓ハ五百圓ガ宜イノカ、千圓ガ宜
イノカ、二千圓ガ宜イノカト云フ問題ガ必
ズ起ツテ來ル、而モ私ノ言フ實際ノ問題
トシテハ大富豪ト小富豪ノ間ニ非常ナ不均
衡ヲ生ズル、大體稅ノ本質カラ均衡不均衡
ノ問題ハナイ筈デスケレドモ、苟モ最高千
圓ト決メタ以上ハ必ズ玆ニ稅ノ本質カラ差
違ガアル、サウスレバヤハリ實際ニ應ジテ
大都市或ハ普通ノ都市、町村ニ於テ三段位
ニ分ケタラ宜クハナイカ、一万圓、三千圓、
一千圓ト云フコトハ必ズシモ固執ハ致シマ
セヌガ、必ズソコニ相當ノ差等ヲ付ケル
コトガ本當デハナイカト云フコトヲ私ハ申
上ゲテ置キマス、是ハモウ分リ切ツタ問題
デアリマスカラ次ニ進メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=25
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026・内藤正剛
○內藤委員長代理 十二時半マデノ御豫定
デ内務大臣ニ質疑ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=26
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027・小見山七十五郎
○小見山委員 私内務大臣ニ御尋シタイノ
ハ、殊ニ地方稅制ニ關聯致シテ居ルコトデ
アリマスガ、ドウシテモ大臣カラ直接御聽
シナケレバナラナイト思ヒマスカラ特ニ內
務大臣ニ御出席願ツタ次第デアリマスガ、
元來地方稅ノ改革ト云フノハ、單ニ課稅徵
收ノ上ノ簡易便宜ト云フ、事務的技術的ノコ
ト以外ニ、稅制ガ其ノ地方ノ自治團體ノ運
用機能ニドウ云フ影響ヲ與ヘルカト云フコ
トヲ考ヘナケレバナラヌ、隨テ此ノ稅制ノ
改革案ヲ實施スルト同時ニ、實ハ地方制度
ノ改革モ致スベキデアルト云フコトハ屢〓
本會議以來各位カラ述ベラレテ居ツタノデ
アリマス、私ハ地方ノ自治體ト財政ハ、丁
度國家ノ財政ト國政トガ離ルベカラザル關
係ガアルヤウニ、地方ノ財政ト地方ノ自治
モ亦密接不可分ノ關係ガアルノデアリマス
カラ、先ヅ私ハ地方自治體ニ對スル內務大
臣ノ根本的ナ御所信ヲ此ノ際豫メ御尋申上
ゲタイノデアリマス、簡單ニ露骨ニ申上ゲ
マスト、地方制度ノ改革ト云フコトハ數年
來ノ問題トナツテ居リマスシ、內務大臣モ
是ハ成ルベク速ニ地方制度ノ改革案ヲ提案
シナケレバナラヌト御答辯ニナツテ居リマス
ガ、其ノ根本方針トシテ內務大臣ハ今後地
方團體ノ機能ヲ益〓强化シ地方自治體ヲシ
テ將來益〓〓固固ナル發達ヲサセナケレバナ
ラヌト云フ御信念デアルノデアルカ、是尺
甚ダ分リ切ツタコトノヤウデアリマスガ念
ノ爲ニ御聽シタイ、或ハ又地方自治團體ハ
大事ナモノデアルガ、我國ニ町村制、府縣
制ガ施行セラレテ以來今日マデ約五十年ノ
歷史ヲ顧ルト、ドウモ當時ノ期待ニ反スル
コトガ多ク、弊害百出シ、到底此ノ儘デハ滿
足スベキ地方自治體ノ發達ハ出來ナイカ
ラ、地方自治ハ或ル程度ニ止メ、漸次自治
ノ機能ヲ抑制シ、權限ヲ中央ニ集中シタ方
ガ却テ國家ノ爲地方ノ爲ニ宜クハナイカ、
斯ウ云フ見方モアルガ、此ノ二ツノ何レデ
アルカ、之ヲ先ヅ內務大臣ニ御尋シタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=27
-
028・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 憲政ヲ布カレマシテカラ
今日マデノ立憲政治ノ發達、竝ニ之ニ伴フ
地方自治ノ發達ノ經過ヲ考ヘテ見マシテ、
國力ガ發展シ、人智ガ進ミ、國內ノ事情ガ
段々複雜ニナツテ來ルヤウナ情勢ニ適應致
シマスルノニハ、ドウシテモ國ノ成立チノ細
胞ニ力ヲ付ケテ行カナケレバイカヌ、此ノ
細胞ニ力ヲ付ケナイデ或ハ中途ノ團體、或
ハ中央ニノミ力ヲ盡スト云フコトハ國ノ發
達ノ上カラ私ハ矛盾スルモノデナイカト考
ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ國ノ行
政ノ根幹ヲ成シマスル所ノ地方團體ノ自治
的ノ發達ハ、之ヲ飽クマデモ助長シテ行カ
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、然ラ
バ如何ナル方向ニ向ツテ地方自治ノ發達ヲ
促シテ行ツタラバ便宜カト云フ事柄ヲ考ヘ
テ見マスルト、段々ニ國家ガ法的國家ヨリ
經濟的國家ニ移リツツアル今日ノ情勢ヲ見
マスルナラバ、地方自治ノ經濟的機能ト申
シマスカ、其ノ方面ニ向ツテモ大イニ力ヲ
付ケテ行クコトガ本當ニ地方ノ發達ヲ促
シ、玆ニ地方自治ガ新シイ方面ニ向ツテノ
進展ヲ見ルノデハナイカト考ヘテ居ルノデ
アリマス、之ニ反シ我國ノ國民ハ地方自治
ヲ運用スルノ能力ニ乏シイカラ、出來ルダ
ケ中央集權ヲ基礎トシテ、地方ヲ飽クマデ
モ引張ツテ行カウト云フ方法ガ宜イデハナ
イカト云フ御議論ニ對シマシテハ、私ハ根
本ノ方針トシテ前段ノ方針ヲ執ツテ行キタ
イモノト思フノデアリマス、併シナガラ自
治ノ精神ト申シマシテモ、ドノ點マデ自治
ヲ許シテ行クコトガ國家全體ノ利益デアル
カト云フ事柄ハ、派生的ニ考ヘテ行カナケ
レバナラヌコトデアリマス、卽チ國家ノ機
能ト地方自治トノ調和ヲ圖リマシテ、而シ
テ其ノ宜シキヲ得テ初メテ地方自治ト云フ
モノガ國家ノ進運ニ伴ツテ圓滿ナル發達ヲ
ナスモノナリ、斯ウ實ハ考ヘテ居ルノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=28
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029・小見山七十五郎
○小見山委員 只今ノ內務大臣ノ自治制ニ
對スル根本的ノ御方針ハ私ノ洵ニ滿足スル
所デアリマシテ、私ノ申シマシタ第一段ノ
自治强化ノ方向ニ向ツテ進ムベキハ、是ハ
當然ダラウト思ツテ居リマス、又近來時勢
ノ進運ニ伴ヒマシテ、所謂法律ヅクメノ法
的國家カラ經濟的ノ國家ニ移動シツツアリ、
又地方自治體モ同樣デアルト云フ御說モ同
感デアリマス、之ニ伴ツテ從來ノ缺陷ヲ是
正シ、弊害ヲ防止シ、或ハ新シイ情勢ニ應ズ
ベキ地方制度ノ改革ヲシナクテハナラヌ機
運ガ到達致シテ居ルコトモ是亦事實デアリ
やく、併シ玆ニ私ハ內務大臣ノ僞ラザル御
考ヲ御聽シテ、將來ノ吾々ノ動向ヲ決シタ
イト思フコトハ、此ノ地方制度改革ノ機運
ニ動モスレバ便乘致シマシテ、實際必要以
上ノ改革ヲ試ミ、何ト言ヒマスカ、官僚政
治獨裁政治ト言ヒマスカ、「ファッショ
思想ト言ヒマスカ、サウ云フ官僚獨裁政治
的ノ基礎的工作トシテ、先ヅ國家構成ノ單
位細胞デアル町村ノ權限ヲ、人知レヌ間ニ
漸次縮小シテ其ノ機能ヲ抑制スル、有ユル
權限ヲ中央ニ集中シテ、他日中央官憲ノ意
思ノ儘ニ府縣長官ヲ通ジテ機械的ニ動カシ
得ルコトヲ、唯一ノ目的トスルヤウナ機構
ノ編成替ヲ計畫シテ居ル所ノ一種ノ思想的
ノ傾向ガ、近年私ハ一部ノ者ニアリハシナ
イカト思フ、或ハ政府ノ部內ニモサウ云フ
思想、サウ云フ前提ノ下ニ、先ヅ國家ヲ獨
裁的、專制的、官僚的ノ政治ニ導ク爲ニ、
國家ノ基礎的單位デアル町村ノ權限ヲ中央
ニ握ツテシマツテ、一本ノ絲ヲ引ケバ全國
民ガ機械的ニ踊ルト云フヤウナ機構ノ編成
替ヲ計畫シ、夢ミテ居ル人ガ一部ニハアル
ノヂヤナイカト思フ、今更私ガ申スマデモ
ナク、今我國ハ非常時局ノ渦中ニアル、私
共ノ見ル所デハ、今マデノ日支事變ノ如キ
ハ、是ハ非常時ノ入口デアル、此ノ後十數
年、或ハ數十年ノ長キニ亙ツテ此ノ事變處
理ノ完成、卽チ東亞新秩序ヲ建設スル爲ニ
ハ吾々ハ想像以上ノ大キナ努力、大キナ
覺悟決心ヲ以テ臨マナケレバ、此ノ千古未
曾有ノ大業ヲ完成スルコトハ出來ナイト思
フ、此ノ大業遂行、所謂東亞新秩序建設ノ
原動力デアル我ガ日本、其ノ我國ノ更ニ原
動力タル根柢ハ何ト言ツテモ地方民ニア
ル、文明ハ都會ニ集中シ、文化ハ都會ニ盛
ニナリ、總テノ物質文明ハ都會ニ集中シ
テ、國ノ總力ハ都會ニアルカノ如ク一應
ハ見エマスガ、實際國ノ底力ハ地方民ノ間
ニアル、中央ハ地方ノ此ノ底力ヲ綜合シテ
國家ノ爲ニ之ヲ運用シテ居ルニ過ギヌ、玆
ニ地方制度ノ改革ヲ爲シ、地方稅制ノ改革
ヲ爲スニ當ツテ、誤マツテ此ノ地方町村ノ
民心ヲ萎靡沈滯セシメ、產業〓育ノ發達ヲ
阻碍シ、頭バカリ大キクナツテ手足ハ痩セ
細ルガ如キ政治ヲ爲スコトハ、國家將來ノ
爲ニ絕對ニ爲スベカラザルコトデアツテ、
今アナタノ仰ツシヤツタヤウニ、今後吾々
ハ益〓地方自治體ノ强化發達ヲ計畫シ、其ノ
實現ノ爲ニ努力シナケレバナラスト思フノ
デアリマス、幸ヒ私ト御同感デアルト云フ
內務大臣ノ前提ノ下ニ、アナタノ御立場カラ
斯ウ云フ風ニ地方制度ヲ改革シタイト云フ
具體的ノ御考ハアツテモ、此ノ場合マダ御
發表ハアリマスマイ、併シナガラ旣ニ內相
ニ御就任ニナツタ以上、內務大臣トシテ最
モ大キナ仕事ノ一ツデアル地方制度ノ改革
ハ、內務大臣ニ御就任ノ時カラ或ハ在野ノ
時カラ旣ニ何等カノ御方針御腹案ガナケレ
バナラナイ、此ノ問題ダケハ私ハアナタ自
身ノ頭カラ編出シテ貰ヒタイ、私ハ先刻カ
ラ頻リニ官僚獨裁ト言ツテ居ルガ、アナタ
モ官僚ノ御一人デアルケレドモ、私ノ御見
受ケスル所デハ、官僚ノ中デモ物ノオ分リ
ニナル、垢拔ケノシタ官僚ト思フ、サウ云
フ大官僚デアルアナタノ御意思ヲ一ツ伺ツ
テ見タイ、此ノ頃ノ重要ナル法案ハ、動ト
モスレバ下僚ガ拵ヘテ大臣ニ之ヲ見セテ、
斯ウ云フモノガ今日ノ時勢上必要ダカラ、之
ヲ是非アナタノ力デ閣議ニモ諮リ、議會ヲ
モ通過スルヤウニ努力シテ下サイ、斯ウ云
フ風ニ下僚ガ機械的ニ、技術的ニ所謂机上
ノ「プラン」デ拵ヘ上ゲタ法案ガ、動トモス
レバ是ガ重要法案トナツテ、大臣ノ机ノ前
ヲ素通リシテ議會ニ現ハレル、是ガ又通過
シテ實施サレルト云フヤウナコトヲ私共ハ
間々見受ケル、此ノ地方制度ノ改革ハ-
甚ダ此處ニ內務省ノ下僚ノ方ヲ前ニシテ失
禮デアリマスケレドモ、下僚ノ方ガ技術的
ニ、事務的ニ、學理的ニ作リ上ゲタ其ノ
「プラン」ヲ、其ノ儘アナタガ持ツテ來ルコ
トダケハ是非止メテ戴キタイ、アナタノ頭
カラ根本方針ヲ決メテ、卽チ地方ノ權限ヲ
中央ニ取上ゲテ、地方ノ機能ヲ抑制スルヤ
ウナコトヲシナイデ、地方ノ機能ヲ益〓强
化シテ、地方ノ鞏固ナル發達ヲ圖ル、之ヲ
目標トシテ立案シテ行クノダ斯ウ云フ風ニ
シテ地方制度ノ改革案ヲ御作リナサルコト
ヲ御願スルノデアリマスガ、ソレハ今日ノ
問題デハナイ、近キ將來ノ問題デアリマセ
ウガ、併シナガラ·其ノ根本方針ダケハモウ
旣ニ出來テアナタノ腹ノ中ニナケレバナラ
又、ソレヲ一ツ御聽カセヲ願ヒタイト思フ
ノデアリマス、ソレニハ是ダケデハ何トモ
御話ノ仕樣ガアリマスマイガ、幸ニシテ一
昨年デアリマシタカ、內務省ニ地方局案ナ
ルモノガ出來テ居リマス、サウシテ是ハ全
國ノ町村長會ナドニ諮問ヲ致サレマシテ、
昨年ノ議會ニ將ニ提案サレントシタ、私共
ハアノ要綱ヲ見テ實ニ驚イタ、私共ハアノ
要綱ニハ實際ハ反對デアル、議會ニ於ケル
反對ノ空氣濃厚ナルヲ見テ、アレハ其ノ時
ノ木戶サンガ是モ中々物ノ分ツタ人デ、コ
ンナ所ニコンナ法案ヲ出シテハ拙イカラ、
自分ノ責任ニ於テ引込マシタ、到頭提案ガ
ナカツタカラ、洵ニ國家ノ爲ニ幸福デアリ
マシタ、其ノ地方局案ノ內容ハ今尙ホ私ハ
地方局ニ其ノ儘大事ナ御本尊トシテ殘ツテ
居ルニ違ヒナイト思フ、之ヲ議會ノ空氣ヲ
見自分ノ親玉ノ大臣ニ願ツテ是非通シテ
見タイト云フ御考ハ今尙ホ數年來內務省ノ
机上ニ私ハ殘ツテ居ルト思フ、其ノ案ハ私
ガ玆ニ事新シク申上ゲルマデモナク、色々
私共ノ敬服スベキ點モアリマスガ、一番吾
吾ノ頭ニ殘ツテ居ルノハ町村改革機構ニ、
各種產業團體ノ代表者ヲ入レル、卽チ產業
組合長トカ、農會長、斯ウ云フ主ナル產業
團體ノ代表者ガ其ノ儘町村會議員ニナルト
云フ案、自治功勞者、或ハ名望家、篤農家
ヲ町村長ノ推薦ニ依ツテ特選ヲスル、是ハ
定數ノ三分ノ一デアル、斯ウ云フノガアリ
マス、更ニ又此ノ改革案ニ依レバ町村長ノ
權限ガ相當擴張サレルカラ、此ノ權限ノ擴
張サレタル町村長ハドウ云フコトヲスルカ
分ラヌカラ、之ヲ戒飭スル權限ヲ監督官廳
ニ與ヘル、或ハ小學校長ヲ議事ニ參加サセ
ルトカ、是ハ町村自治制ノ方デアリマスル
ガ、府縣制ノ改革案ノ中ニ於テハ、府縣會
ノ權限ヲ縮小シテ今參事會デヤツテ居ル採
決ノ如キハ、縣會議員タル參事會員及ビ府
縣ノ高等官以外ノ他ノ官廳ノ役人ヲ入レテ、
其ノ解決ヘノ一助タラシメル斯ウ云フコ
トモヤツテ居ル、斯ウ云フコトハ相當考慮
スベキモノモアリマセウガ、是ハ甚シク產
業ト自治トヲ混同シタモノデアル、之ニ對
スル一々ノ批評ハ今其ノ法案ヲ審議シテ居
ルノデハナイカラ申シマセヌガ、假ニ產業
組合長ガ其ノ儘町村會議員ニナレルモノト
シタラ、此ノ產業組合長ノ選擧ハ非常ニ激
烈ナ競爭ガ起リ、幾多ノ弊ノ起ツテ來ルコ
トハ、火ヲ睹ルヨリモ明カデアル、產業組
合長ガ町村會議員タルコトヲ得レバ一石二
鳥デアルガ、必ズ爭ガ起ツテ來ル、詰リ政
治ト產業ハ密接離ルベカラザル關係ガアツ
テ、而モ車ノ兩輪ノ如ク地方デハ竝行シテ
行ツテ居ル、ソレガゴツチヤニナツテ混亂
シテ政爭ノ渦中ニ投ゼラレルト云フコトハ、
非常ニ遺憾デアルト思フ、斯ウ云フコトヲ
アナタハヤツタ方ガ宜イト云フ御考ガアル
ノデアルカ、ソレカラ又更ニ私ハ地方自治
ト地方產業トノ關係ヲドウスレバ宜イカト
云フコトニ付テ、私ハ內務大臣ガ玆ニ、深甚
ノ考慮ヲ拂ツテ置カレル必要ガアルト思フ、
只今御話ノ法的ノ國家カラ段々經濟國家ニ
ナツテ行ク、成程地方モ農村自治、產業自
治ト言ハレル程、法律一點張リ、規則一點張
リデハ自治ハ旨クヤツテ行ケナイ、必ズ地
方ノ發達ハ產業ノ發達ニ據ツテ居リマスカ
ラ、是ハ密接離ルベカラザル關係ニアルコ
トハ當然デアリマスガ、ト云ツテ是ガ一〓
ニナツテハ非常ニ惡イノデアル、飽クマデ
モ政治ト經濟、自治ト地方ノ產業ハ密接デ
ナケレバナラヌ、車ノ兩輪ノ如クデナケレ
バナラヌ、遊離シテハイケナイガ、又ソレ
ト同時ニ地方自治ト產業其ノモノハヤハリ
別デナケレバナリマセヌ、二ツデアツテ而
モソレガ融和シナケレバナラヌ所ニ茲ニ私
ハ重大ナル意義ガアルト思フノデアリマス、
具體的ニ言フト產業團體ハ決シテ地方ニ於
テ是ハ政治團體デアルコトハ出來マセヌ、
產業組合ガ地方ノ政治ニ直接關與スルコト
ハ出來ナイガ、動モスレバ此ノ產業團體ガ
政治團體ニナラウトスルヤウナ傾向ガ私ハ
見ラレルト思フ、地方ニ於キマシテハ決シ
テ此ノ產業團體、殊ニ產業組合ノ如キ、或
ハ農會ノ如キ、或ハ漁業共同組合ノ如キ、此
ノ地方ノ町村ノ自治體トハ少シモ摩擦ガア
リマセヌ、私ハ今日ノ產業組合ノ如キハ全國
ニ產業組合ハ到ル所普及シテ居リマスガ、此
ノ產業組合ハ現在ノ所デハ其ノ組合ノ本來
ノ使命、機能ヲ活用發揮スルガ爲ニ、今發達ノ
途上ニアル大事ナ時デアル、迚モ地方ノ政治
ニ關與シテ騒イデ居ルベキ時デハナイ、併
シナガラドウモ地方ハ實ニ純理一點張リデ
產業ト政治ハ儼然トシテ決定サレ、其ノ間
ニ混同ヲ見ズ、而モ兩立シテ遊離セズ、立
派ニヤツテ行ケル狀態デアル、今後益〓發
達スルト思ヒマスルガ、併シ遺憾ナガラ動
モスレバ中央ニ於キマシテハ、此ノ產業組
合ヲ一種ノ政治團體タラシメントスルヤウ
ナ、遠大ナル計畫ガ中央ノ首腦者ノ間ニ
アルノデハナイカト云フ噂ガサレテ居ル、
之ヲハツキリ申シマスト、今囘ノ產業組合
ノ共濟會ガ保險事業ヲ經營スルト云フコト
デ大キナ問題ニナツテ居ル、アノ問題ノ如
キハ、表面ハ成程產業組合ノ役職員ガ二十
五万人居ルガ、月給ガ安クテ生活ガ困ルカ
ラ、斯ウ云フ救濟策ヲ作ツテ役職員ニ與ヘ
ルト云フコトハ、是ハ其ノ役職員ノ生活ヲ
助ケ、且ツ產業組合ガ保險ノ募集、其ノ他
ニ從事スレバ成績モ擧ルト云フヤウナ當然
ノ理由デアラウト思ヒマスガ、併シナガラ
ソレハ表面ノ理由デアツテ、其ノ裏面、ハハ
又全國ノ產業組合ヲ自分ノ政治的進出ノ踏
臺、足場ニセントシテ斯ウ云フ計畫ヲシタノ
デハナカラウカト云フ臆測ヲスル者ガアル、
私ハ萬一斯樣ナコトニ立至ルナラバ、地方
制度ノ改革ノ如キ、地方ノ自治ノ發達ノ如
キハ根柢カラ覆サレテシマフ、產業團體ハ
政治團體ニナリ惡弊百出シ、地方ノ自治モ
產業ノ發達モ滅茶苦茶ニナルト私ハ憂慮致
シテ居リマス、所ガモウ私ハ此ノ議會ガ濟
ンダラ直グ著手サレルト思ヒマスガ、地方
制度ノ改革、速ニ改革スベキ機運ニ迫ツテ
居ル地方制度ノ改革ヲ爲スニ當ツテハ、先
ヅ私ガ斯樣ニ申上ゲルコトヲ腹ノ底ニ置カ
レマシテ、之ニ十分ノ御考慮ヲ拂ツテ、將
來ノ惡弊ノ源デアルヤウナ地方制度ガ出來
テイヤウニ、地方制度本來ノ使命ヲ達成シ、
本來ノ面目ヲ發揮シ得ルヤウナ地方制度改
革案ヲ、此ノ趣旨ニ依ツテ大方針ヲ定メテ
下僚ニ勸メラレタイト云フコトヲ希望スル
ノデアリマス、ソレデ具體的ニハ言ヘマセ
ヌデセウガ、大體ノ内務大臣トシテノ腹藏
s
ナキ、僞ラザル根本方針ヲ私ニ御聽カセ下
サランコトヲ、私ハ此ノ際特ニ御願スル者
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=29
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030・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 只今立憲政治ニ觸レマシ
タ御議論ヨリ、地方制度問題ニ至リマシテ
色々ト御高見ヲ拜聽致シマシタ、洵ニ有難
ク存ズル次第デアリマス、御述ニナリマシタ
通リニ、今日ノ政治改革ト申シマスモノヲ
豫想シテ居ル人ノ中ニハ、或ハ「フアッショL
的ノ氣分ヲ濃厚ニ織込マナケレバナラヌト
云フヤウナ考ヲ持ツテ居ル人ガアルヤニ思
フノデアリマスルケレドモ、私ハ飽クマデ
モ今日ノ我國ノ政治形態ト致シマシテハ
憲法ニ基キマスル立憲政治ノ發展ヲ期セナ
ケレバナラヌト、斯ウ考ヘテ居ルノデアリ
マス、隨テ地方制度ヲ檢討スル上ニ於キマ
シテモ同樣ノ精神ヲ以チマシテ、其ノ地方
制度ノ改革ハ地方ニ十分ナル資力ト力トヲ
持ツテ、サウシテ圓滿ナ地方行政ノ運用ガ
出來マスルヤウニ考ヘナケレバナラヌト思
ツテ居ルノデアリマス、卽チ地方制度改正
ノ根本ノ方針ハ、自治ノ精神ヲ飽クマデモ
擴充スルト同時ニ、時代ニ適應スベク其ノ
運用ノ滑カナランコトヲ期スル點ヲ根本ト
致シマシテ、茲ニ地方制度ハ確立シナケレ
バナラヌ、斯ウ思ツテ居ルノデアリマス、
其ノ點ハ曩ニ申上ゲタ通リデアルノデアリ
マス、然ラバ地方制度全體ヲ定メル上ニ於
テドウ云フ方針ヲ具體的ニ執ルデアラウ
カ、此ノ御質問ニ對シテ實ハ今日マダ明確
ニ御答申上ゲルダケノ見當ガ私ニ出來テ居
ラヌノデアリマス、出來テ居レバ無論此ノ
稅制ニ伴ヒマシテ地方制度ノ一部分タリト
モ御審議ヲ仰グベク、努力シナケレバナラ
ヌノデアリマスケレドモ、今日只今マデ內
務省ヲ中心ト致シマシテ〓究致シ、或ハ委
員會ノ決議トナツテ居リマスル所ニ對シテ、
如何ニ之ヲ取計ラウベキヤト云フ私ノ自信
的ノ、所謂肚カラ出タ所ノ意見ヲ申上ゲル
マデニ、實ハ達シテ居ナイノデアリマス、幸ニ
只今此ノ點ニ觸レテ有益ナル御說ヲ拜聽致
シマシタノデ、私ト致シマシテモ御意見ノ
アル所ヲ參酌致シマシテ、近キ將來ニ於テ此
ノ問題ヲ檢討スル上ニ於キマスル有力ナル
資料ニ供シテ、而シテ私ノ信念ニ觸レテ誤
ラザル法制ヲ立テルコトニ努力シタイト思
ヒマス、甚ダ遺憾デアリマスケレドモ、其
ノ點ニ付テドウ云フ考ヲ持ツテ居ルカト云
フ事柄ヲ、具體的ニ申上ゲルマデノ機會ニ
到達シテ居ラヌト云フコトヲ御諒承願ヒマ
シテ、暫ラクノ間時間ヲ御猶豫願ヒタイ、
斯ウ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=30
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031・小見山七十五郎
○小見山委員 大體根本御方針ニ對シマシ
テハ、私ハ內務大臣ノ御考ニ洵ニ滿足ヲ致
シテ居リマス、又ソレ以上ノ御答辯ハ今日
御困難デアラウト云フコトモ想像シテ居リ
マスガ、重ネテ申上ゲマス、ドウカ是ハ虚
心坦懷ニアナタ御自身ノ肚カラ大綱ヲ立テ
テ戴キタイ、ソレカラ又尙ホ一ツ、是ハ失
禮デアリマスガ、從來ノ案ニ囚ハレナイヤ
ウニ、アナタノ下僚ノ人達ノ御意見、固ヨ
リ尊重ナサル必要アルニ違ヒナイガ、是ハ
相當御考慮ヲ希望スル、町村ノ人々ノ立場
カラ考ヘテ、取捨スベキモノデアラウト思
フ、私ハ更ニ他日機會ガアリマシタナラバ、
此ノ問題ニ付キマシテハ十分私ノ私見ヲ大
臣ニ申上ゲテ見タイ、此ノ點ニ關シテハ唯
將來ノ御善處ヲ要望致シテ置キマス
次ニ是ハ小サイ問題ニナリマスガ、町村
吏員ノ問題デアリマス、私ハ町村長ヲヤツ
タ經驗モアリマスガ、ドウモ最近地方ノ町
村ノ事務ガ非常ニ澁滯ヲ來シテ、敏活ヲ缺
イテ居ル、是ハ何故デアルカ、色々原因モ
アリマスガ、兎ニ角中央ナリ或ハ府縣廳ナ
リカラ、何カ調査報告ヲ命ズル、中々府縣
ニ集ツテ來ナイ、場合ニ依ツテハオ前ノ村
ニ斯ウ云フ扶助ヲ受ケル希望者ガアレバ、
農林省カラ斯ウ云フ、內務省カラ斯ウ云フ
通牒ガ來テ居ルカラ、扶助ヲシテヤルト云
フヤウナコトヲ言ツテヤツテモ、ソレニ對
シテ扶助ノ申請ヲスルナリ、或ハ其ノ地方
民ニ對シテサウ云フ必要ガナイカト云フコ
トヲ能ク話シテ、時機ヲ逸シナイヤウニ扶
助ノ申請ヲスルヤウナ事スラモ遲レ勝チデ
アル、全ク町村事務ハ或ル意味ニ於テハ混
亂ノ狀態デアル、唯國家ノ重大時デアリマ
スカラ、兵事事務ダケハ總テニ優先シテ處
理シテ居ルガ、其ノ他ノモノハ非常ニ澁滯シ
テ居ル、其ノ原因ハ何デアルカ、別ニ是ハ
町村吏員ノ責任ノミデハナイ、第一ハ、先
日國家事務ノ委任ニ關スル書類ヲ戴キマシ
ガ、アレヲ見テ分ルノデアリマスガ、國家
ノ事務モ、町村自身ノ仕事ノ數倍ノ仕事ヲ
委任サレテ居ル、此ノ事務ニ忙殺サレル、
ソレカラモウ一ツハ、一番重要ナ原因ハ人
ガ足ラナイ、何故足ラナイカ、今日アナタ
方ガ內務省デ下ノ方ノ役人ヲ入レルニシテ
モ、府縣廳デ商工課ニ何人要ル、農務課ニ
何人要ルト云ツテモ、中々人ガ集ラナイ、
況ヤ地方ニハ人ガ少イ、其ノ原因ハ何デア
ルカ、是ハ要スルニ町村吏員ニ對スル待
遇ガ餘リニ菲薄ナ爲デアリマス、物價ハ上
ツテ居ル、然ルニ町村役場ノ書記ノ平均俸
給ガ幾ラニナツテ居ルカ私知リマセヌガ、
凡ソ三十圓カ四十圓ノモノデアリマス、ソ
レガ從來ノ二倍、三倍、四倍ノ仕事ヲ机ノ
上ニ山ト積ンデスル、中々手ガ屆カヌ、新
シク人ヲ採用セントスレバ、皆其ノ薄給ノ
所ヘ行カナイデ、相當優遇サレル所ニ行ツ
テシマフ、都會ニ行ク、知識的ニモする
テリ」階級ナル者ハ、町村ニ殆ド存在シテ
居ナイ、是ガ爲ニ役場ノ吏員ノ採用ニ當ツ
テモ非常ナ困難ヲ〓ゲテ居ル、ドウシテモ
是ハ何トカシナケレバイケナイ、大體町村
長ノ俸給ガ非常ニ安イト思フ名譽職ニ澤
山ノ俸給ヲヤル必要ハナイト言ハレルカモ
知レヌガ、今日ノ町村長ハ昔ノ名譽職ノヤ
ウナモノデハナイ、旦那サンガ町村長ニナ
ツテ、一週間ニ二度カ三度町村役場ニ來テ
歸ルヤウナコトトハ違フ、朝カラ晩マデ働
イテ居ル、是ニハ相當ナ報酬ヲヤ」ラナケレ
バナラヌ、況ヤ其ノ部下ノ仕事ヲシテ居ル
町村吏員ニハ、優待ノ途ヲ講ジナケレバナ
ラヌ、唯幾分補助ヲスルトカ何トカ云フヤ
ウナ輕微ナコトデナク、所謂負擔區分トカ
何トカ、ソンナ方カラ或ル一種ノ法律規則
制度ヲ茲ニ擴充シテ、國家ノ官吏、府縣ノ
官吏ノ一種ノ延長、連續的ノ性格ヲ持タシ
テヤラナケレバ、將來幾ラ地方制度ヲ改革
シテモ、自治運營ノ上ニ一大支障ヲ來スト
私ハ考ヘテ居リマス、斯ウ云フコトハ專門
家デアラレル地方局長ハ)定メシ御〓究モ
アラウシ、腹案モアラウト思ヒマス、是八、
絕對ニ必要ナコトデアリマス、ヤラナケレ
バ行詰ツテシマフ、之ニ對シテドウ云フ御
考デアリマスカ、是ハ大臣デナクテモ、地
方局長カラデモ宜シウゴザイマス、御答辯
ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=31
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032・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 地方事務ノ繁劇竝ニ地方
吏員ノ待遇ノ改善、是ハ私ハ全然御同感ヲ
表シタイト思ヒマス、丁度市町村ガ國ノ政
治ノ單位ヲ成シテ居ルモノデアリマスカラ、
獨リ委任事務、固有事務ガ殖エテ居ルノミ
ナラズ、昨今ノヤウナ時勢ニナリマスルト、
各省ガ皆自分ノモノノ如ク考ヘマシテ、非
常ニ面倒ナ調査ヲ言付ケル、此ノ調査ニハ
餘程困ツテ居ルラシイト云フ實情ニ、私ハ
同情ヲ表シテ居ルノデアリマス、何トカシ
テ中央カラ行キマスル所ノ調査事項、是等
ニ付テモモウ少シ統制ノアル、簡易ナル方
法ヲ以テシタナラバ地方ノ吏員トシテハ
助カル點ガアルノデハナイダラウカト云フ
風ニ實ハ考ヘテ居リマスルノデ、獨リ固有
事務ナリ國ノ委任事務ナリノ點ヲ考ヘル
ノミナラズ、何ノ考慮モナシニ、市町村ヘ
言ツタナラバ、都合ノ好イ調査報〓ガ出來
ルダラウト思ウテ、二重ニモ三重ニモ同ジ
ヤウナ、似寄ツタムヅカシイ調査ガ地方ノ
方ヘ廻ツテ來ル、ソレヲ急イデヤレ、急イ
デヤレト言ハレルノデ、町村ノ仕事ハ棚ニ
上ゲテモ、其ノ方ニ努力シナケレバナラヌト
云フ窮狀ハ、全ク市町村ノ罪ニアルニアラズ
シテ、中央ニ於テ何トカ考ヘナケレバナラヌ
點ガアル、是ハ事務上ノ問題ニ於テ御話ノ
通リニ甚ダ惡イコトデアル、改善ヲシナケ
レバナラヌト考ヘテ居リマス、ソレハ別ト
致シマシテ、地方吏員ノ優遇ソ途、卽チ今日
ノ生活保障ノ關係カラ見マシテモ、、之ヲ何
トカシナケレバナラヌ、斯ウ云フ風ニ實ハ
考ヘテ居ルノデアリマス、是ハ一面ニ於テ
今囘ノ稅制ノ改正ト致シマシテ、配付稅等
ノ關係ニ於キマシテ、幾ラカ玆ニ町村ニ餘
裕ヲ生ジ、其ノ餘裕ヲ生ジタ結果ガ、部
ニハ施設ノ方ニモ參リマセウガ、一面ニ於
テハ待遇ノ方ニモ參ルノデハナイカ、斯ウ
云フ風ニ期待シテ居ルノデアリマス、而シ
テ現實ノ問題ト致シマシテ、其ノ點ヲ幾ラ
カナリトモ除去シテ行キタイト云フ考カ
ラ、町村補充ノ助成費ヲ十四年度ニ於テハ
二百万圓、十五年度ニ於テハ五百七十万圓
支出スルコトニナツテ居リマスノデ、兎モ
角モ各町村ニ一人ヅツノ手助ケヲスルト云
フ金ガ見込ンデアルノデアリマス、又町村
吏員ノ互助組合ノ補助ト致シマシテ、十五
年度ニ百万圓程ノ豫算ガ見積ツテアリマスガ、
之ニ依ツテ退職ノ時ニ幾ラカノ優遇ノ途ヲ
開クト云フ事柄モ、現ニ考ヘテ居ル所デア
リマス、併シナガラ之ニ依ツテ直チニ地方
吏員ノ優遇ノ途ガ講ゼラレタトハ、私ハ考
ヘテ居ラナイ者デアリマス、此ノ點ニ付テ
ハ一般下級官吏ト共ニ、將來トモ考ヘナケ
レバナラヌ大キナ問題ト、斯ウ心得テ居ル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=32
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033・小見山七十五郎
○小見山委員 ソレカラ配付稅ノ問題デス
ガ、是ハ平年度一箇年三億一一千七百万圓ノ
中、六割二分ハ府縣、三割八分ハ市町村ト
云フコトニナツテ居リマス、所ガ市町村ノ
分トシテ一億四千二百六十万圓デアリマス
ガ、大都市ニモ分ケテヤル其ノ金額ガ分ツ
テ居リマスレバ一寸御伺致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=33
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034・挾間茂
○挾間政府委員 是ハ全部御手許ニ差上ゲ
マシタ表ノ中ニモ出テ居ルト思ヒマスガ、
寸此處デ申シマスト大都市ノ方ニ千二百
万圓、都市ニ千四百万圓、町村ノ配付稅ガ
九千八百万圓、合計一億二千四百万圓ト云
フコトニナツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=34
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035・小見山七十五郎
○小見山委員 一寸一點ダケ御伺致シマス、
配付稅ハ所得稅、法人稅ノ一割六分五厘五
毛、ソレニ遊興飮食稅、入場稅ノ五割トナ
ツテ居リマスガ、是ハ所得稅、法人稅、遊
興飮食稅、入場稅ト、斯樣ニ各種ノ稅ヲ併
合サシタ方ガ、地方ノ稅收入ノ上ニ安定ガア
ルト云フヤウナ御考デアルカ、之ヲ私ハ御
伺シタイ、ソレカラ其ノ次ニ、言フマデモ
ナク遊興飮食稅、入場稅ノ如キハ非常ニ安
定性ガナイ、來年度ハ一億數千万圓近クノ
豫算トナツテ居リマスガ、是ガ一朝不景氣
ニナツタラ一億數千万圓ノ遊興飮食稅ハ、三
千万圓カ四千万圓ニ低減サレルカモ知レナ
イ、而モ是ハ地方的ニ關聯性ガ薄イ、政
府カラ示サレタ表ニ依リマシテモ、昨年
ノ四月カラ十一月マデノ遊興飮食稅、入
場稅ノ總額ノ中、六大都市所在ノ府縣及
ビ福岡縣、此ノ七府縣デ六割以上ヲ占メ
テ居ツテ、地方ニ於ケル關聯性ガ薄イ、
而モ薄イノミナラズ、日本ニハ何時ナシ時
突發的ニ不景氣ガ來ルカモ知レナイ、或八
又一億四五千万圓ノ豫算ガ、自然增收ニナ
ツテ二億圓ニナルカモ知レナイ、ソレト同
樣ニ三千万圓カ五千万圓ニ落込ムカモ知レ
ナイ、斯樣ニ安定性ノ少ナイモノヲナゼ配
付稅ノ稅源ト致サレタカ、私ハ手取リ早ク
申シマスト、斯樣ナモノヲ除ケテ寧ロ所得
稅法人稅ノ一本建ノ方ガ宜イノデハナイ
カト思フ、若シ此ノ一億數千万圓ノ遊興飮
食稅、入場稅ガ五千万圓ニナツタ地方ハド
ウスルカ、第一内務省ガ御困リデハナイカ
ト思フ、ソレデ私ガ玆ニ〓算致シテ見マス
ト、本年度十五年度ノ所得稅、法人稅ノ合
計額ハ十五億五千七百万圓カニナツテ居リ
やっ、此ノ一割六分五厘五毛ハ二億五千七
百圓、ソレカラ遊興飮食稅、入場稅ガ一億四
千万圓ニ近イ、其ノ半分ガ七千万圓デ、合セ
テ三億二千七百万圓デアリマス、ソコデ此ノ
遊興飮食稅、入場稅ヲ配付稅ノ稅源トシナ
イデ、所得稅ト法人稅一本建ニスル、サウ
シマスト今申上ゲタ一割六分五厘ト五割ヲ
合計致シマレバ、二割一分カ二分ニナリマ
ス、是ハ二割一分デモ二分デモ宜シイガ、
所得稅、法人稅ノ合計額ノ二割一分トシテ
丁度三億二千七百万圓ニナリマス、ダカラ
斯ウシタ方ガ將來ノ爲ニ宜イノデハナイ
カ、又稅ノ性質カラ斯ウスベキモノデハナ
イカト思フ、斯ウ致サレタ方ガ地方ノ財源
ノ安定性ノ上カラモ當然デアリ、地方民ノ
上カラモサウスルコトガ當然デアル、是ガ
本當デハナイカト思フ、一本建ニスルノガ
宜イ、是ハ動カスベカラザル信念ヲ私ハ持
ツテ居リマス、何ト仰シヤツテモ是ダケハ
サウシナケレバナラヌト思ツテ居リマス
ガ之ニ對スル政府ノ御意見ヲ承ツテ置キ
タイ、萬一サウ云フ修正案ガ出マシタナラ
バ、ドウ云フ御意見デアルカ、是非私ハ御
同意シテ貰ヒタイト思ツテ居リマス、是ハ
大藏大臣、內務大臣御列席ノ所デ質問シタ
イト思ヒマシタガ、一應當局トシテノ御意
見ヲ伺ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=35
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036・挾間茂
○挾間政府委員 此ノ配付稅ノ財源ヲ何ニ
求メルカト云フコトニ付テハ、色々〓究ヲ
致シタノデアリマスガ、先ヅ今囘ノ地方稅
ハ獨立財源ニ於テハ、主トシテ物稅ヲ中心
トスルト云フコトニナツテ居リマスカラ、
配付稅ノ方ニ於テハ之ヲ人稅的方面ニ求メ
ルト云フコトガ、地方ノ財源ノ振合カラ見
テ適當デアルト考ヘラレルノデアリマス、
同時ニ所得稅、法人稅ノ如キ極メテ伸張性
ノ强イ稅種デアルカラ、是等ノ稅ニ配付稅
ノ基礎ヲ求メルト云フコトガ合理的デアル
ト思ピマス、御述ニナリマシタ御意見ニ付
テハ吾々モ同感ノ點モアルノデアリマス、
併シ配付稅ノ財源ヲ全部所得稅、法人稅ニ
求メルト云フコトニナリマスルト是ハ一
面ニ於テ國庫ノ財政收入ノ關係ニ付テモ考
慮ヲ致サナケレバナラナイノデ、無論遊興
飮食稅トカ、或ハ入場稅ト云フモノハ景
氣ニ從ツテ非常ニ安定性ノ乏シイモノデア
ル、此ノ點ニ於テ是ガ配付稅ノ財源ニナル
ト云フコトニ付キマシテ、或ル程度ノ疑念
ヲ持ツテ居ル譯デアリマス、併シ此ノ配付
稅ヲドウ云フ風ニ切盛リヲスルカト云フコ
トヲ國ノ全體ノ財政トノ關係ニ於テ考ヘマ
スト、獨リ之ヲ所得稅、法人稅ト云フモノ
ノミニ求メルト云フコトニ付キマシテハ、
色々國庫財政ノ關係等モアリマシテ、考慮
シナケレバナラナイ點ガゴザイマス關係
上今囘ノ如ク主タル財源トシマシテハ所
得稅、法人稅、サウシテ之ニ配スルニ遊興
飮食稅、入場稅ヲ加味スルト云フコトニ致
シタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=36
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037・小見山七十五郎
○小見山委員 大體分リマシタ、要スルニ
內務當局ト致サレテハ、斯樣ナ安定性ノナ
イ遊興飮食稅、入場稅ト云フヤウナモノヲ
配付稅ノ財源ニ持ツテ來ルト云フコトヨリ
モ、所得稅、法人稅ノ如キモノダケデ一本
建デ行ツタ方ガ宜シイノデアルケレドモ、
國家ノ財政全體ノ見地カラシテ已ムヲ得ナ
イト云フ御見解ト思ツテ居リマス、內務省
ニ於カレテハ遊興飮食稅、入場稅ヲ廢止サ
レテ、是ガ一本建ニチツテモ決シテ御苦シ
クハナイ、ソレハ却テ都合ガ好イト御考デ
ハナイカト解釋致シテ居リマス、ソレニ對
シテ御答辯ハナクテモ宜イノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=37
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038・兒玉秀雄
○兒玉國務大臣 其ノ點ハ强ク反對ノ意思
ヲ表シテ置カナケレバナラヌノデアリマス、
只今局長ヨリ申上ゲマシタ通リニ、配付稅
ノ財源ヲ主トシテ所得稅竝ニ法人稅ニ求
メ、之ニ配スルニ遊興飮食稅竝ニ入場稅ヲ
以テシタト云フ事柄ハ、此ノ配付稅制度ヲ
執リマス土ニ於テ、國ノ財政ト睨合セマシ
テ最善ノ方法ナリト信ジテ居ルノデアリマ
ス、其ノ點ヲハツキリ申上ゲタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=38
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039・内藤正剛
○內藤委員長代理 本日ハ席ノ都合モアリ
マスカラ、此ノ程度ニシテ、明日ハ午前十
時ヨリ續行致シマス、是ニテ散會致シマス
午後零時四十三分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00319400306&spkNum=39
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