第75回帝国議会　衆議院　所得税法改正法律案外三十件委員中地方税法案外七件小委員会　第4号　昭和15年3月7日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十五年三月七日（木曜日）午前十時二十九分開議
  　出席委員左の如し
  　　小委員長　小山倉之助君
  　　理事　内藤正剛君　理事　石井徳久次君
  　　理事　西川貞一君
  　　　　長野高一君　　　成島勇君
  　　　　飯田助夫君　　　塚本三君
  　　　　池本甚四郎君　　　宮本雄一郎君
  　　　　山川頼三郎君　　　瀧澤七郎君
  　　小見山七十五郎君　　　永江一夫君
  　　　　青木作雄君　　　藤本捨助君
  　　　　武田徳三郎君
  同日委員塚本三君辭任に付其の補闕として池本甚四郎君を委員長に於て選定せり
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　内務省地方局長　挾間茂君
  　　　　　　　内務書記官　三好重夫君
  　　　　　　　大藏書記官　山田義見君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　地方税法案（政府提出）
  　地方分與税法案（政府提出）
  　府縣制中改正法律案（政府提出）
  　市制中改正法律案（政府提出）
  　町村制中改正法律案（政府提出）
  　北海道會法中改正法律案（政府提出）
  　北海道地方費法中改正法律案（政府提出）
  　地方分與税分與金特別會計法案（政府提出）

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• 001・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ是ヨリ開會致シマ
  ス、昨日ノ質問ニ引續キマシテ小見山君ノ
  御發言ヲ許シマス

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• 002・小見山七十五郎

  ○小見山委員　是カラ主トシテ家屋稅、
  地租及ビ營業收益稅、此ノ三稅ノ附加稅
  ニ付キマシテ御尋シタイト思フノデアリ
  マス、此ノ平年度ノ地方稅ノ收入トシテ
  先達テ來御示ニナリマシタ金額ハ、是八、
  現在ノ地方ノ財政需要ニ應ジタル金額デア
  ラウト思フノデアリマス、此ノ後地方ノ
  財政ガ自然ニ膨脹ヲシテ來ルニハ違ヒナイ
  ノデアリマス、此ノ一般的自然膨脹ノ場
  合三稅ノ增徵ト配付稅ノ配付額ノ增額ト
  ドチラガ先ニ、何レニ重點ヲ置クカト云フ
  コトヲ御伺シタイノデアリマス、府縣或ハ
  町村ノ一地方的或ハ一時的ノ突發的財政需
  要ニ對シマシテハ、收益稅ノ增徵又ハ配付
  稅ノ增額ト云フヤウナ適宜ノ處置ニ付テ先
  般御說明ガアツタノデアリマスガ、私ノ御
  尋シタイノハサウデハナイ、一般的ニ自然
  地方ノ財政ガ膨脹シタ場合ニハ、如何ナル
  方向ニ向ツテ稅ノ增徵ヲスルカ、斯ウ云フ
  コトヲ御尋シタイノデアリマス、地方ノ財
  政ト申シマシテモ其ノ內容ヲ檢討致シマス
  수道府縣市町村各々最近ニ於ケル膨脹ノ
  程度ハ違ツテ居ル、最近ノ統計ヲ見マシテ
  モ、昭和四年ノ道府縣ノ歲入決算額、昭和
  十二年ノ歲入決算額-昭和十三年ノ決算
  額ハマダ御示ニナリマセヌカラ分リマセ
  又、昭和四年ノ道府縣ノ歲入決算額同ジク
  昭和十二年ノ歲入決算額、此ノ九箇年ノ增
  加ノ率ヲ調ベテ見マスト、道府縣ニ於キマ
  シテハ、昭和四年ノ歲入決算五億四千六百
  万圓トナツテ居リマス、是ガ昭和十二年ニ
  ハ八億二千万圓デ、約六割ニ近イ增加ヲ示
  シテ居ル、市ハ昭和四年ノ統計ヲ持合セテ
  居リマセヌノデ、六年カラ比較致シマスト、
  昭和六年ノ市ノ歲入決算額ハ七億四千六百
  万圓、ソレガ昭和十二年ニハ十一億六千五
  百万圓ト云フ數字ニ上ツテ居リマス、殊ニ
  昭和十一年度ハ歲入決算額ニ於テ十六億一
  千三百万圓ト云フ巨額ニ達シテ居リマス、
  是ハ昭和十二年ト對比致シマシテモ五割以
  上ノ增加デアリマス、假ニ昭和十一年ノ決
  算ト對照致シマスト、實ニ二倍以上ノ增加
  ヲ致シテ居ル、之ニ反シテ町村ノ歲入ノ狀
  況ヲ見マスト町村ノ昭和四年ニ於ケル歲
  入決算額ハ五億八千五百万圓デアリマス、
  是ガ昭和十二年ニ至ツテ六億二千九百万
  圓殆ド何等ノ增加ヲ見ナイデ、不動ノ狀
  態ナノデアリマス、是ハ他ニ種々ノ原因モ
  アリマセウガヤハリ經濟財政ノ力ガ中央ニ
  集リ、都市ニ集ル、所謂經濟財政ノ中央集
  權トデモ言フベキ情勢ヲ示スモノデアル、
  町村ニ財政需要ガ起ラナイノハ決シテ爲ス
  ベキ事ガナイノデハナイ、仕事ハ澤山アリ
  マスガ、此ノ仕事ニ應ズベキ稅源ガ行詰ツ
  テ居ルカラデアリマス、左樣ニ地方ノ財政
  ノ中デモ町村ハ、最近約十年間殆ド不動ノ
  儘、釘付ニナツタ財政狀態デアルト私ハ考
  ヘテ居ルノデアリマス、斯樣ニ從來ノ町村
  ノ財政狀態ハ十年間モ釘付ニナツテ居ル、
  比較的稅源ニ窮乏シ財政困難ヲ〓ゲテ居ル
  道府縣ニ於テスラモ、九年間ニ六割ニ近イ
  財政ノ膨脹ヲ示シテ居ル、市ニ至ツテハ二
  倍ニ達シテ居ル、獨リ地方ノ中デ町村ノミ
  ガ十年間不動ノ儘デ居ルト云フコトハ、是
  デハ地方ノ發達ハ出來ナイ、今後此ノ稅制
  改革ノ主眼ハ町村ノ財政ガ此ノ後ドシ〓
  伸張シテモ構ハナイ、町村財政ノ伸張ヲ認
  メナケレバ私ハ地方ノ發達ハ出來ナイト、
  此ノ方面カラ觀察致スノデアリマス、殊
  町村竝ニ府縣モ都市モ此ノ後一般的ニ財政
  需要ガ增加シテ行ツタ時、此ノ一般的自然的
  增加ニ對シマシテ、獨立稅卽チ三收益稅ト配
  付稅トドチラノ方向ニ向ツテ主ニ伸張スル
  ノデアルカ、言フマデモナク地方財政ノ此ノ
  後ノ中心ハ三收益稅ニアルノデアリマス、御
  示ニナツタ統計カラ見マシテモ、大部分ハ
  此ノ三收益稅ガ地方財政ノ重要部分デアリ
  マスガ、ドノ方面ニ向ツテ此ノ自然膨脹ニ
  對シテ重點ヲ置クカ、モウ少シ具體的ニ申
  シマスト、地方ノ財政ガ膨脹スル場合ニ於
  キマシテハ、三收益稅ト配付稅ト竝行シテ
  ドン〓〓伸張セシメルカ、卽チ增率ヲシテ
  行クノカ、或ハ先ヅ三收益稅-營業稅、
  家屋稅、地租、此ノ三稅ノ附加稅ヲ出來得
  ル限リ極度マデ增徵ヲシテ、モウ是レ以上
  ハ取レナイト云フコトニナツタ後ニ配付額
  ヲ增スカ、或ハ配付稅ヲ出來ルダケ增額致
  シテ、其ノ後ニ此ノ三收益稅ヲ增徵スルノ
  カ、私ハ此ノ三ツノ中ノ一ツデアラウト思
  フ、更ニ又當分ハ此ノ配付稅ノ配付率、規定
  ニ依リマスト所得稅、法人稅ノ一割六分五
  厘五毛、遊興飮食稅、入場稅ノ五割、此ノ
  位置ト云フモノハ當分動カサナイモノデア
  ルカ、地方ノ財政狀態如何ニ依ツテハ是ガ
  增率ヲモ爲サルル考デアルカ、是ハドウモ
  大藏大臣デナケレバ責任アル御答辯ハ出來
  ナイト思フガ、順序ノ上カラ御尋致スノデ
  アリマス
  ソレカラモウ一ツ地租、營業稅、家屋稅
  ノ此ノ附加稅ヲ地方ガ增徵スル場合ニ、此
  ノ三ツ、之ヲ竝行シテ、一方ガ二割增徵ス
  レバコチラモ二割、コチラモ二割、三ツ
  同ジ率デ增徵ヲスルノカ、或ハ場合ニ依
  ツテハ地租ノ增徵ノミニ止メテ、他ノモ
  ノハ其ノ儘、或ハ營業收益稅ヲ多ク增率ヲ
  行フト云フ意味ニスルノカ、或ハ三ツ竝行
  シテ同ジ率デ增徵スルノカ、此ノ三ツノ適
  當ナモノヲ其ノ時ノ場合ニ依ツテ增徵スル
  ノカ、此ノ五ツノ場合ヲ豫想サレルノデア
  リマスガ、先ヅ質問ノ順序ト致シマシテ、
  今申上ゲマシタ五ツノ場合、何レニ落著ク
  ノカト云フコトニ付テ御答辯ヲ願ヒタイノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=2

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• 003・挾間茂

  ○挾間政府委員　只今小見山君ノ御尋ノ今
  囘ノ稅制改正後ニ於テノ地方ノ財政計畫ト、
  地方稅ノ彈力性ノ問題ハ非常ニ大切ナ問題
  デゴザイマスカラ、多少詳細ニ此ノ機會ニ
  於テ答辯申上ゲタイト思ヒマス、地方財政
  ノ彈力性ノ問題ハ、先般私カラ申上ゲマシ
  タ通リ、財政上ノ技術的ノ觀念トシマシテハ、
  伸縮力ト伸張力ノ兩方面ヨリ併セテ考ヘタ
  イト思フノデアリマス、伸縮力ノ問題ハ
  是ハ課稅標準ノ制限ニ關係ナク、課率ヲ增
  加又ハ縮小致シマシテ、稅收入ノ增減ヲ圖
  ルト云フ問題デアリマス、ソレカラ伸張性
  ノ問題ハ、是ハ課率ヲ上下セズシテ、課稅
  標準ノ自然ノ增加減少ニ伴ツテ稅收入ガ增
  加シ、又ハ減少スルト云フ問題デアリマス、
  地方財政上ニ於ケル彈力性ノ問題ハ、此ノ
  二ツノ方面カラ見テ參ラナケレバナラヌト
  思フノデアリマシテ、今囘ノ稅制改正ニ於
  キマシテハ、此ノ財政上ノ伸縮性トノ伸張
  性ノ兩者ノ方面ニ於キマシテ、出來得ル限
  リ地方財政ニ對シテ彈力性ヲ與ヘルヤウニ
  考慮致シテ參ツタノデアリマス
  〔委員長退席、內藤委員長代理著席〕
  卽チ伸縮性ノ問題ト致シマシテハ、現在ノ
  此ノ稅制ノ下ニ於キマシテハ、御存ジノヤ
  ウニ、農村方面デハ戶數割ガ伸縮性ノ最モ
  代表的ナモノト考ヘラレテ居ル譯デアリマ
  スガ、是ハ謂ハバ觀念上伸縮力ガアルト云
  フダケノコトデアリマシテ、旣ニ增徵ニ增
  徴ヲ重ネテ居リマスカラ、モウ此ノ上更ニ
  課徵スルト云フコトハ實際問題トシテハ
  困難デアル狀態デアリマス、又都市道府縣
  ノ方面ニ於キマシテハ、營業收益稅、或ハ
  所得稅ノ如キモノノ附加稅ガ、此ノ伸縮性
  ヲ代表シテ居ルモノデアリマスガ、是トテ
  モ實際上ハ、大多數ノ團體ニ於キマシテハ、
  最早伸縮力ガナイ程度ニマデ增徵ヲ加ヘテ
  參ツテ居リマス、詰リ言葉ヲ換ヘテ申シマ
  スト、現在ノ地方財政ノ狀態ニ於キマシテ
  ハ、現行制度ノ下ニ於テハ、最早伸縮力ハ、
  觀念上ハアルケレドモ、實際問題トシテハ
  ナク、行詰ツタ狀態ニアルト見ナケレバナ
  リマセヌ、是ハ小見山サンガ既ニ指摘セラ
  レテ居ル通リデアリマス
  ソレカラ今一ツノ問題デアル伸張力ノ問
  題詰リ此ノ課稅標準ノ自然增加ニ依ル增
  收ノ問題デアリマスガ、是ハ主トシテ所得
  稅、營業收益稅ノ自然增收ノ問題デアツテ、
  是ハ財源ガ地域的ニ偏在シテ居リマス關係
  上、現行制度ノ下ニ於テハ、極メテ地
  域的ニ不均等ナ稅收入ヲ與ヘルコトニ
  ナツテ居リマスノデ、此ノ現行制度ノ
  伸張力ト云フモノハ、地方財政ノ上ニ於
  キマシテ、極メテ好マシカラザル狀態
  ニナツテ居リマスカラ、少クトモ合理的
  ナ伸張力ヲ與ヘル爲ニハ、之ヲ根本的ニ變
  ヘテ行カナケレバナラヌ、斯ウ云フ狀態ニ
  ナツテ居リマス、ソコデ今囘ノ改正案ニ於
  キマシテハ、之ヲ根本的ニ改正ヲ致シマシ
  テ十分ナル伸縮性ト伸張性ヲ與ヘルコト
  ニ致シタ譯デアリマス、ソコデ先ヅ伸縮性
  ノ方ヲ改正案ニ付テ考へテ見マスルト、改
  正案ニ於キマシテハ、從來此ノ制限外課稅
  ヲ致シテ居リマス分ヲモ、全部包含セシメ
  マシテ、今囘ノ課率ヲ作ツテ居ルノデアリ
  やく、隨テ將來之ニ對シテ賦課率ヲ增大ス
  ルト云フコトガ、極メテ容易ニナツテ居リ
  マシテ、伸縮力ハ從來ヨリモ增加致シテ參
  ツテ居リマス
  ソレカラ伸張性ノ問題ニ付キマシテハ營
  業稅及ビ配付稅ニ於テ十分此ノ伸張性ヲ認
  メルコトニナツテ參ツテ居ルノデアリマシ
  テ、之ヲ成ベク事ノ正確ヲ期スル爲ニ、數
  字ニ付テ此ノ機會ニ於テ明瞭ニ申上ゲテ置
  キタイト思ヒマス、卽チ改正前ニ於キマシ
  テノ伸張性ノルア稅種ト致シマシテハ、所
  得稅附加稅ト營業收益稅附加稅ヲ上ゲルコ
  トガ出來ルト思ヒマスガ、之ヲ道府縣市町
  村ヲ通ジテ見マスルト、所得稅附加稅ガ現
  行制度ニ於キマシテハ一億四千七百万圓程
  度ノ收入ガアリマス、又營業收益稅附加稅
  ハ一億三千万圓程度、合計二億七千七百万
  圓、現行制度ニ於キマシテ伸張力ノアル稅
  種ト認メ得ルノデアリマス、改正後ノ稅制
  ニ於キマシテハ配付稅ノ中ノ稅源デアル此
  ノ所得稅及ビ法人稅ガ平年度、ニ於キマシテ
  二億五千八百万圓、ソレカラ新制度ニ於ケ
  ル營業稅ト其ノ附加稅ガ二億九千万圓デア
  リマシテ、合計致シマスト五億四千八百万
  圓ガ道府縣市町村ヲ通ジテノ伸張力ノアル
  稅源ニナル譯デアリマス、詰リ伸張力ノア
  ル稅源トシマスト、現行制度ヨリモ改正案
  ノ方ガ二億七千百万圓、殆ド倍額ニモ相當
  スル伸張力ノアル稅種ガ新稅法ノ下ニ於テ
  選擇セラレテ居ルト云フ結果ニナツテ居ル
  ノデアリマス、假ニ現行制度ニ於ケル戶數
  割ガ伸張力ノアルモノデアルト云フコトヲ
  之ニ加味シテ考ヘマスト、戶數割一億二千
  七百万圓ヲ現行制度ニ於ケル伸張力アル稅
  トシテ加ヘテ見マシテモ、尙ホ改正法ニ依
  ル仲張力ノアル稅ガ一億四千四百万圓程度
  多額ニ見積ラレテ居ルト云フコトニナルノ
  デアリマス、詰リ此ノ伸張力ノアル稅種ガ
  改正法ニ依ル方ガ遙ニ多ク見積ラレテ居ル
  ト云フコトデアリマスノデ、小見山サンガ
  地方團體ノ將來ニ於ケル財政上ノ彈力性ニ
  付テノ御懸念ノ點ハ洵ニ御尤モト思フノデ
  アリマスガ、只今申上ゲマシタヤウナ稅種
  ノ選擇ノ上カラ申シマシテ、十分今囘ノ統
  制ニ於キマシテ御懸念ニナリマシタヤウナ
  點ハ、心配ノナイヤウニ加味シテ構成ヲ致
  シテ居ルノデアリマシテ、其ノ點御諒承ヲ
  御願シタイト思フノデアリマス、ソレカラ
  次ニ御尋ニナリマシタ配付稅ト三收益稅ト
  ヲドウ云フ風ナ按排ヲ以テ將來ノ經費ノ自
  然增加ニ對應スルヤウニシテ行クカト云フ
  御尋デアリマス、配付稅ハ御存ジノヤウニ、
  一定率ヲ以テ國庫ヨリ特別會計ニ收入致シ
  マシテ、法律ノ規定ニ基イテ之ヲ配付致シマ
  ス、非常ニ自然增收ガゴザイマスレバ、
  定率以上ハ之ヲ積立致シマスガ、一定限度
  マデハ、之ヲ全部配付致シマスノデ、是八
  當然地方團體ノ法律上ノ權利トシテ配付セ
  ラレルノデアリマシテ、之ニハ手心ト云フ
  モノハナイ譯デアリマス、尙ホ三收益稅ノ
  問題ニ付キマシテハ、是ハ各地方團體
  ノ自由意思ニ從フコトデアリマシテ、法律
  上當然許サレマシタ道府縣百分ノ百、市町村
  百分ノ二百ト云フ限度ニ於キマシテハ、課
  稅標準ノ自然增加ニ伴ヒマシテ、自然增收
  ガアルコトハ當然デアリマスガ、尙ホ施設
  ヲ更ニ致シタイト云フ團體ニ於キマシテ
  ハ、必要ニ應ジマシテ其ノ賦課率ヲ增加シ、
  而モ團體ノ財政事情上許スベキモノアリト
  認メマスレバ監督官廳ハ之ヲ許可スルノ
  方針デアリマスノデ、是ハ團體ノ施設及ビ
  地方團體ノ實情ニ應ジマシテ、之ヲ許可ス
  ルヤ否ヤト云フコトヲ按排シテ行クコトニ
  ナツテ參ルト思フノデアリマス、ソレカラ
  其ノ場合ニ於テ、此ノ三收益稅ノ課率ハ、各。く
  三收益稅ガ竝行ニ行クモノデアルカ、或八
  各稅ニ付テチグハグニ行ツテモ差支ナイモ
  ノデアルカト云フ御尋デアリマスガ、ソレ
  ハ今囘ノ地方稅法ノ第四十五條ト五十九條
  ニ新シク規定ヲ設ケマシテ、三收益稅ノ課
  率ハ之ヲ同一ニスルト云フコトガ原則ニナ
  ツテ居ルノデアリマス、尙ホ負擔ノ均衡上
  特ニ必要ガアル場合ニ於キマシテハ、監督
  官廳ノ許可ヲ得テ、特別ノ課率ヲ設ケルコ
  トモ出來マスガ、其ノ法律上ノ原則ハ總テ
  是ハ竝行ニスルト云フコトニナツテ居ルノ
  デアリマス

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• 004・小見山七十五郎

  ○小見山委員　地方財政ニ將來相當ノ彈力
  性ヲ與ヘルガ爲ニ、斯樣ナ稅制ヲ工夫サレ
  マシタ點ハ、私ハ實ニ多ト致シマス、確
  御話ノ通リニ、行詰ツタ地方ノ財政ガ此ノ
  新稅制ニ依ツテ、將來相當ノ伸張性ヲ有ス
  ルコトハ、是ハ數字カラ見テモ明カデアリ
  マー、此ノ點敬意ヲ表スル者デアリマス、
  デアリマスカラ、私ノ心配スルヤウナ虞ハ
  ナイト仰シヤルケレドモ、私ハ心配シテ
  御尋ハシテ居ナイ、心配スルコトハ後デ又
  御尋致シマスガ、今マデ御尋シタ點デハ、
  私ハ少シモ心配シテ居ナイノデス、大藏大
  臣デナケレバ當然此ノ事ハ御答辯出來マス
  マイガ、私ハ將來モウ此ノ三收益稅ガ取レ
  ナクナル程度マデ自然ニ財政需要ガ膨脹シ
  ハシナイカ、其ノ時分ニ何時マデモ此ノ配
  付稅トシテ國庫カラ配付サルベキ所得稅、
  法人稅及ビ遊興飮食稅、入場稅ニ對スル所
  ノ率ハ一定不動ノモノデアルカ、地方ノ財
  政狀況如何ニ依ツテハ、是ハ他日更ニ增率
  スルト云フコトヲ豫想シテ此ノ稅制ヲ決メ
  テ居ラレルノデルカ、モウ絕對ニ法人稅、所
  得稅ノ一割六分五五、ソレニ遊興飮食稅、入
  場稅ノ五割、是以上ハ絕對ニ增率シナイノ
  ダト云フコトヲ私ハ前提トシテ御尋シタノ
  デアリマスガ、是ハドウモ內務省ノ方ニ質
  問致スコトハ無理デアリマス、大藏大臣ガ
  國家財政ノ全體カラ、サウ云フコトハ絕對ニ
  出來ナイト御答辯ニナルカ、場合ニ依ツテ
  ハ將來考慮スベキ時期ガアラウト御答辯ニ
  ナルカ、是ハアナタニ御尋シテモ無理ダト
  思ビマス、ソコデソレハ他日大藏大臣ノ
  御出席ヲ待ツテ其ノ機會ニ御尋シタイト思
  ヒマスガ、此ノ課率ガ今仰シヤツタ通リ、
  一定不動ノモノデアルト致シマスルト、若
  シモ地方ノ財政需要ガ少シモ衰ヘナイデ、
  中央ニ於ケル國庫ノ自然的減收ニナツタ場
  合、今デハ三億二千七百万圓カガ此ノ配付稅
  トシテ豫想サレテ居ルノデアリマスガ、其
  ノ親金、稅源デアル法人稅、所得稅ガ自然
  ニ減少スル、遊興飮食稅、入場稅ガ減少ス
  ル其ノ場合ニ、一割六分五五ト五割、此
  ノ率ガ動カナイナラバ、配付額ト云フモノ
  ハ段々減少スルコトハ當然デアル、其ノ場
  合此ノ配付稅ト云フモノハドンナ風ニナル
  カ、地方ノ財政需要ハ衰ヘヌ、寧ロ年々膨脹
  シテ行キ、三收益稅ノ伸張性ハ認メテアツ
  テモ、是モ或ル程度マデ行ツテ、是以上ノ增
  徵ハ實際ニ於テ苛斂誅求ニナル、而モ一番
  融通性ノアル配付稅ガ不幸ニシテ惡イ方ノ
  融通性ヲ現ハシテ、段々本稅ガ減少シテ、一
  定ノ率ニ依ツテ配付サレル金額ハ當然減
  少シテ行ク、是ハアリ得ベキコトデアル、此ノ場
  合ハ一體ドウ云フコトヲ豫想シテ居ラレルノ
  デアルカ、近年ニ於ケル所得稅、法人稅、殊
  ニ遊興飮食稅ノ如キモノノ變化消長ハ非常
  ニ激シイ、景氣ニ依ツテ非常ニ增收ニナリ、
  不景氣ニナツタラ非常ニ減收ニナル、成程
  之ニ伸縮性、彈力性ヲ認メテ居ルト仰シヤ
  ルノデアリマスガ、是ガ從來ノ景氣ノ好イ
  時ノヤウニ、國庫ノ收入ガ增加シテ、自然
  ニ此ノ本稅親金ガ膨レテ行ク間ハ、地方
  ハ一定ノ率ニ依ツテ配付ヲ受ケルコトハ洵
  ニ有難イガ、ソレガマカリ間違ツテ非常ナ
  ル大不景氣、大恐慌ニ際シマシテ、其ノ國
  庫ノ。税收入ニ激減ヲ來シテ、サウシテ是カ
  ラ配付サルベキ配付稅ノ率ハ一定不動デア
  ル斯ウ云フ場合ニ一體ドウスルカ、日本
  全體ハ非常ナ不景氣ノ嵐ガ吹捲ツテモ、非
  常ナ景氣ガ起ツテモ、一七、二年、三年モ
  シテ後ニ地方ノ景氣ニ及ブヤウニ、不景氣
  ガ突然中央、日本全體ニ吹捲ツテモ、其ノ
  不景氣ガ地方ニ浸潤スルノハヤハリ遲イ、
  其ノ間地方ノ財政需要ハ少シモ衰ヘズ、益〓
  膨脹シテ行ク、之ニ一大缺陷ガ將來起リ
  ハセヌカト憂ヘテ居ル、是ガ私ノ心配デア
  ル、此ノ點ニ付キマシテ、大藏大臣ガ居ナ
  イノデ、アナタニ答辯ヲ求メルコトハ甚ダ
  御氣ノ毒デスガ、ドウ云フ御考デアルカ、
  是ダケノ稅制ヲ工夫ナサルニハ其ノ邊ノコ
  トハ十分御考ニナツタ上ノコトデアラウト
  思ヒマス、之ニ對スル御所見ヲ伺フノデア
  リマス

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• 005・挾間茂

  ○挾間政府委員　今囘ノ稅制ニ於ケル配付
  稅ノ稅源デアル所得稅、ソレカラ法人稅、
  遊興飮食稅、入場稅ノ中カラ幾分ヲ割クト
  云フ率ノ問題ニ付キマシテ、所得稅、法人
  稅ニ付テハ一割六分五五、遊興飮食稅、入
  場稅ニ付テハ五割、斯ウ云フコトニナツテ
  居リマス、自然ニ地方ノ財政需要ガドン
  ドン增加シテ參ツテ、サウシテソレニ伴フ財
  政收入ガ是デハ背負ヒ切レヌト云フコトニ
  ナツタ場合ニ、其ノ率ヲドウスルカト云フ
  御尋デゴザイマスガ、大體ノ見透シトシマ
  シテハ財政需要ガ增加シテ來ルト云フノハ、
  是ハ物價指數ノコトモアルデアラウシ、色々
  ヲ關係モアルト思ヒマスガ、ヤハリ此ノ
  課稅標準ト云フモノモソレニ伴ツテ增加シ
  テ來ルト思フノデアリマシテ、只今ノ所デ
  ノ一應ノ考トシテハ此ノ率デ進ンデ行キマ
  シテ、地方團體ノ需要ニ卽應シテ自然增收
  モ增シテ行クデアラウト云フ風ニ考ヘテ居
  ルノデアリマス、併シナガラ是ハ現在ニ於
  テノ一應ノ見込デアリマスカラ、若シ將來
  ニ於テ非常ニ變更ガアツテ、ドウシテモ此
  ノ率デ行ケナイト云フ事態ガ生ジタ時ニハ、
  ソレハ又別箇ノ問題トシテ、率ノ變更ト云
  フヤウナコトモ考ヘナケレバナラヌト思ツ
  テ居リマスケレドモ、是ハ只今ハツキリト
  變ヘルノデアリマスト云フコトハ申上ゲ兼
  ネマスガ、サウ云フ場合モ豫想シナケレバ
  ナラヌカト思ツテ居リマス
  ソレカラ逆ニ稅收入ガ非常ニ減少シテ參
  ツテ、サウシテ地方團體ノ需要ニ此ノ率ヲ
  以テハ卽應スルコトガ出來ナクナツタ場合
  ニドウスルカト云フ點ニ付キマシテハ、此
  ノ稅制ヲ立テル時ニモ、色々大藏當局トモ
  相談ヲシテ居ルコトデアリマス、此ノ稅制
  ヲ立テマシタ時ニ一應考ヘマシタモノトシ
  テハ、十五年度ノ稅收入ヲ十億三千二百万
  圓ト見テ、サウシテ此ノ配付稅ノ率ト云フ
  モノガ出テ來テ居ルノデアリマスカラ、非
  常ニ減少シタト云フ場合ニハ或ル限度ニ
  於テハソレハ借入金等ニ依ツテ賄フコトモ
  出來マスケレドモ、併シドウシテモ是デハ
  動キガ取レナイト云フヤウナ場合ニハ、是
  ハ見込違ヒノ問題デアリマスカラ、此ノ率
  ノ增加ト云フヤウナコトモ考慮シナケレバ
  ナラヌカト思ツテ居ルノデアリマス、其ノ
  點ハ將來ニ於テサウ云フ事態ガ生ジタ場合
  ニハ考慮ヲシナケレバナラヌト考ヘテ居リ
  マス

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• 006・小見山七十五郎

  ○小見山委員　多分サウダラウト思ヒマシ
  タ、私ハ此ノ國稅ノ自然增收ニ依ツテ一割
  六分五五及ビ五割、是デハ餘リニ多過ギル、
  地方ノ配付稅トシテハドウモ餘リニ多過ギ
  ルト云フ場合ハ是ハ心配ナイ、此ノ時ハ率
  ヲ減ラセバ宜イ、ソレヨリモ一朝一大恐慌
  ニ襲ハレテ、二年モ三年モ或ハ五年モ不幸
  ナル經濟狀態ニ陷ツタ時ニ、國庫ノ收入ガ一
  年カ二年位ナラアナタノ仰シヤル通リ起債ヲ
  シテ、サウシテ國稅ノ增收ヲ圖ツテ居ツテモ宜
  シイガ、迚モ起債ヤ何カデ間ニ合ハナイ、イツ
  囘復スルカ分ラヌヤウナ數年モ打續ク大不景
  氣ニ我國全體ガ見舞ハレタ時ニハ此ノ率デハ
  イカナイ、當然其ノ時ニハ何等カ考慮サレ
  ナケレバナラヌト思ツテ居ル、一定不動ノ
  モノダトアナタハ仰シヤツタガ、ソレデハ
  イカナイト云フ御考ガアレバ、私ハ此ノ點
  ハソレデ宜イノデアリマス、又明確ナル將
  來ノ見透シニ對スル御答辯ハ、是ハドウシ
  テモ吳レル方ノ大藏大臣デナケレバ、貰フ
  方ノ内務省デハ無理ダト私ハ思ツテ居ル、
  大體今度ノ地方稅ノ改正ハ、先刻モ私ガ申
  上ゲタヤウニ洵ニ良ク出來テ居ル、簡易明
  白デ、サウシテ非常ニ伸張性モアルヤウニ
  見エ、彈力性モアルヤウニ見エマス、併シ
  ドウモ幾多ノ缺陷ガ昨日來申上ゲタ通リ將
  來起リハシナイカ、豫想シナイ缺陷ガ起リ
  ハシナイカ、今度ノ此ノ分與稅法ヲ見マシ
  テモ一番終ヒノ方ニ、附則トシテ澤山長タ
  ラシイ條文ヲ付ケテアル、ソレハ要スルニ
  何カト言ヘバ、昭和十五年度カラ昭和十九
  年度マデノ五箇年ノ間ハ、ドウモ此ノ稅制
  ヲ實施シテ果シテドウナルカ分ラヌ、地方
  ノ財政ガ善クナルカ惡クナルカ、ドウ云フ
  不都合ガ起リ、ドウ云フ缺陷ガ起ルカ分ラ
  ヌカラ、原則トシテハ配付稅ノ如キ道府縣
  ニハ第一種、第二種、大都市ニモ第一種、
  第二種シカナイ、ソレヲ第三種マデ附加ヘ、
  都市及ビ町村ニ於テハ第三種ノ上ニ當分五
  年間ダケ第四種マデ附加ヘテ、マア何トカ
  五年ノ間之ヲ按排シテ見ヨウト云フヤウ
  ナ、アナタ方ガドウシテモ直チニ平年度ノ
  狀態ニ入ルヤウニ計畫ガ出來ナカツタ是ハ
  證據デハナイカ、成程家屋ノ賃貸價格ヲモ
  ウ一遍ヤリ直ス、昭和十五年度、十六年度
  デ更ニ調査ヲシテ、十七年度カラ全國均衡
  ヲ得タ家屋ノ賃貸價格ヲ決メテ之ニ課稅ス
  ル、是ハ當然ノコトデアリマス、二年ノ時
  日ヲ假サヌケレバナリマスマイ、併シ此ノ
  稅制ガ當分此ノ改正ニ依ツテ地方ノ財政ニ
  如何ナル變動ガ起ルカ分ラヌカラ、ソレヲ
  緩和スル爲ニ道府縣ニ第一種、第二種シカ
  ナイノヲ第三種ヲ加へ、都市及ビ町村ニハ
  第三種マデノ配付額ニナツテ居ルノヲ第四
  種配付額ヲ附加ヘテ、サウシテ此ノ五年ノ
  間ニドウナルカ、玆ニ餘裕ヲ付ケテアル、
  是ハ洵ニ御苦心ノ跡ハ察スルガ、是カラ見
  テモアナタ方ガ旣ニ立案當時ニ此ノ稅制ナ
  ルモノヲ此ノ儘完全ニ實行シテハ大キナ缺
  陷ガ起ルト云フコトヲ豫想セラレタモノデ
  アルト私ハ思ツテ居ル、此ノ五年間ノ第一
  種第二種、第三種、或ハ第四種マデ配付
  ノ種類ヲ分ケルト云フコトノ內容ノ御說明
  ヲ見マスルト是ハ時間ガアツタラ御聽シマ
  ス、是ハ事務的ノ御說明ヲ聽クニ過ギマセ
  ヌガ、要スルニ斯ウ云フコトヲ五箇年ノ長
  キニ亙ツテヤル、一七、二年ナラ宜イトシ
  テモ、五箇年ノ長キニ亙ツテ、折角新稅法
  ヲ實施シナガラ五年間ハ瞹昧ナ、模樣ヲ見ル
  ヤウナ、其ノ間ニ何トカナラウト云フヤウ
  ナ稅制ヲ附則ニ於テ補ツテアルト云フコト
  ハ、是ハ非常ニ立派ナ御考、立派ナエ夫デハ
  アルガ、又反面ニハ一大缺陷ガ起リ得ル
  ツノ現ハレト私ハ思ツテ居ルノデアリマス
  ソレデ其ノ事ハソレダケノコトヲ申上ゲマ
  シテ、私ハ次ノ質問ニ移リマス、是ハ一番
  大事ナコトト思フ、此ノ營業稅、地租及ビ
  家屋稅、此ノ三稅ノ最高限度ガハツキリ現
  ハレテ居ナイ、一應ハ町村ニ於テハ本稅ノ
  百分ノ二百、府縣ニ於テハ百分ノ百、詰リ
  四分ノ二ヲ府縣ガ、四分ノ二ヲ町村ガト
  斯ウ一應ナツテ居ル、又非常災害、傳染病
  或ハ學校ノ建築等ノ場合ニ於キマシテハ許
  可ヲ得ズシテ百分ノ二百四十マデハ增徵シ
  テ宜イヤウニナツテ居ル、ソレダケデハナ
  イ、其ノ變更ニ已ムヲ得ザル場合ハ增徵シ
  テモ宜シイ、何處マデ增徵スルカト云フコ
  トハ、先達テ來ノ委員會ニ於テハツキリ御
  示ニナラヌ、是ハ今ノ所デハ無制限ト聽イ
  テ居ル外ハナイ、ドウシテモ茲ニ無制限デ
  ハナク、少クトモ地租、營業稅、家屋稅ノ
  附加稅トシテ納稅者ガ負擔シ得ル最高限度
  ノ負擔力ヲ凡ソ豫想シテ-是ハ時勢ノ變
  化ニ依ツテ、物價ノ高下ニ依ツテ固ヨリ今
  日完全ニ豫想スルコトハ出來マセヌガ、先
  ヅ今日カラ豫想ノ出來ル限リ最高限度ヲ決
  メテ置カナケレバ、茲ニ私ハ地方稅制ノ一
  大缺陷ガ將來起ツテ來ルト思フ、殊ニ地
  方農山漁村ニ於キマシテハ此ノ三稅ノ
  中、營業稅ノ附加稅ハ極ク僅カデアリマ
  ス、假ニ十四年度ノ現行法ノ所謂營業收
  益稅ノ附加稅ヲ見マシテモ、私ノ調ベタ
  所デハ全國デ七千八百万圓バカリニナツ
  テ居ル、其ノ七千八百万圓ノ營業收益稅ノ
  附加稅ノ中デ、道府縣ガ三千二百万圓、市
  ガ三千五百万圓、町村ハ僅ニ千百万圓、全
  體ノ七分ノ一ニモ過ギナイ、是カラ見テモ、
  將來農山漁村ニ於ケル此ノ三收益稅ノ中ノ
  營業稅ノ附加稅ハ殆ド眼中ニ置ク必要ハナ
  イ、歸スル所ハ殘リノ二ツ、是ガドレダケ
  ノ伸張力ヲ持ツテ居ルカ、是ガドレダケノ
  最高限度ノ負擔力ヲ持ツテ居ルカ、玆ニ私
  ハ地方、殊ニ町村ノ財政力ガ此ノ二ツニ集
  中サレルト思フ、私ハ收益稅ト云フ租稅學
  上ノ言葉ノ意味ハ、其ノ方ノ學者デナイカ
  ラ能ク分リマセヌガ、收益稅ハ或ル一定ノ
  收益ヲ生ズルモノガ收益稅ト假定致シマスナ
  ラバ、少クトモ地方農山漁村ニ於ケル家屋
  ハ收益ノ源泉デハアリマセヌ、唯百姓ヤ漁
  師ガ寢泊リスルダケ、雨露ヲ凌グダケノ家、
  別ニ自分ノ家ヲ貸シテ家賃ヲ取ツテ暮スヤ
  ウナ者ハ殆ド居ナイ、卽チ生活ノ根據デア
  ル、雨露ヲ凌グニ足ルダケノ家屋デアリマ
  スカラ、收益ハ鐚一文モ入ツテ來ナイ、殘
  ル所ハ土地デアル、土地ガ果シテソンナニ
  無限ノ伸張力ガアルノデアルカ、私ガ言フ
  マデモナク、日本ノ土地ハ世界デ一番集約
  的ニ耕作サレテ居ル、一反ナラ一反、一「エー
  カー」ナラ一「エーカー」ノ或ル一定ノ面積
  ニ於テ世界最高ノ收穫ラ擧ゲテ居ル、世界
  最高ノ集約農法ヲ行ツテ居ル、成程肥料ノ
  增產ヲ圖ツテ、肥料ヲ澤山供給シ、或ハ栽
  培耕作ノ方法ヲ改良シ、幾多ノ人爲的ノ力
  ニ依ツテ日本ノ農業ヲ發達サセナケレバナ
  ラヌガ、是ハ先ハ知レタモノデアル、現
  在一反ニ七俵カ八俵カ穫レルモノガ、到底
  二十俵モ三十俵モ五十俵モ穫レルヤウニハ
  ナラナイ、日本ノ土地ハ現在ノ世界ニ於テ
  ハ最高限度ノ收益ヲ擧ゲテ居ル、世界最高
  ノ集約農法ヲ行ツテ居ル、是カラ此ノ後澤
  山ノ收益ヲ擧ゲテモ、稅ノ源トシテノ伸張
  力ハ最高限度ガ決ツテ居ル、是カラ考ヘマ
  スト、アナタ方ノ此ノ稅ノ建前ハ、收入ノ
  普遍性ト安定性ハ之ヲ三ツノ收益稅ニ求メ
  テ居リ、彈力性ヲ配付稅ニ求メテ居ルト仰シ
  ヤルガ、彈力性ヲ有スル配付稅ハ、先刻申
  シマシタ通リ彈力ガ膨レル方ノ彈力ハ有難
  イガ、縮ンダ場合ニハ行詰ツテ來ル、ドウ
  シテモ一應ハ一定不動ノ率ト仰シヤル十六·
  五五ヲ、或ハ五割マデ場合ニ依ツテハ增率
  センケレバナラヌ、サウ云フ彈力性ハ甚ダ
  困ル、又此ノ三收益稅ハ確ニ普遍性ト安定
  性ハアリマス、日本到ル處ニ家モアレバ田
  畑モアル、是ハ又誰モ持ツテ行カナイカラ
  安定性モアル、此ノ安定性ト普遍性ハ間違
  ヒガナイガ、其ノ安定性ト普遍性ノ外ニ、
  更ニ伸張力モ之ニ求メルト云フコトガ、ア
  ナタ方ノ稅制ノ建前ノ根本デアル、其ノ伸
  張力タルヤ、今申ス通リ地方農山漁村デハ、
  其ノ伸張力ノアル營業稅ハ殆ド言フニ足ラ
  又、家屋ハ唯自分ノ雨露ヲ凌グニ足ルダケ
  ノモノデ、是ガ收益ノ源泉トハナラナイ、
  地租ハ、日本ノ土地ハ今申ス通リ集約農法
  ニ依ツテ最高限度ノ收益ガ今擧ツテ居ル、
  是レ以上ハ何割增スカノ問題デアル、此ノ
  口
  三ツノ收益稅ガ地方稅ノ中心ニナツテ居ル、
  參考資料ヲ見ルト、是ガ殆ド地方町村ノ稅
  收入ノ中心ニナツテ居ルコトハ申スマデモ
  ナイ、此ノ中心ニナツテ居ル三稅中ノ二ツ
  ノ稅ガ、此ノ後ノ伸張力ガ實際ナイ、最高
  限度ノ負擔モモウ先ガ見エテ居ル、之ヲド
  ウスル、玆ニ此ノ稅制ノ將來ニ恐ルベキ一
  大缺陷ガアリ、大キ穴ガ待ツテ居ル、之ヲ
  ドウナサル積リデアルカ、サウ云フ實際
  ノ狀態ヲ顧ミナイデ、唯立案當時ノ原則一
  本槍デ之ヲ無制限ニ課シテ行ツタラ、是八
  戶數割ドコロデハナイ、非常ナ惡稅ニナツ
  テ來ル、收益稅、所得稅等モアリマスガ、
  他ニ如何ナル有利ナ條件、幾ラ豐富ナ條件
  ガアツテモ、市町村民稅ハ千圓ガ最高限度
  デアル、是モ固ヨリ伸張ハ出來ナイ、地方農
  山漁村ニ於ケル唯二ツノ稅源ガ斯樣ニ將來
  ハモウ分ツテ居ル、大體アナタ方ハ此ノ立
  案當時ニ當ツテ何處マデモ是ハ課ケノルカ、
  無制限デハ是ハ絕對ニイケナイト思フ、
  假ニ百分ノ二百四十、百分ノ三百、百分ノ
  五百ト、斯ウハツキリ決メルコトガ出來ナク
  テモ、何トカソコニ多少ノ融通性ヲ付ケ得ル
  最高限度ヲ茲ニ設ケ得ルト私ハ思ツテ居ル、
  ソレハアナタ方ノ方デ技術的ニ御考ニナ
  レバ分ル、例ヘバ其ノ町村ニ於ケル歲入總
  額或ハ稅收入總額ノ何割以上ニ達スルコト
  ハ出來ナイト云フヤウナコトモ、是ハ一ツ
  ノ方法カモ知レナイ、私ハ最近土地ノ賃貸
  價格ガドンナ風ニニナツテ居ルカ知リマセ
  ヌガ、假ニ一反ノ田ノ賃貸價格ガ六十圓デ
  アツタトスル、其ノ地方ノ財政需要ガ非常
  ニ旺盛ニナツテ、他ニ稅源ハ無イカラ、地
  租ノ附加稅ヲ段々增シテ行ツタトスルト、
  是ガ百分ノ二百、百分ノ三百、百分ノ五百
  トナツタ場合ハ、一反ニ付テ數十圓ノ課稅
  ヲシナケレバナラヌヤウニナリハセヌカト
  思ツテ居ル、現在ノ一反六十圓ノ賃貸價格
  デアレバ、現在ノ地租及ビ其ノ附加稅ハ約
  ソ五圓位ニナツテ居リマス、是ガ段々增シ
  テ行ツテ二倍ニナツタラ十圓、三倍ニナツ
  タラ十五圓、五倍ニナツタラ二十五圓、是
  ハ唯私ガ空想的ニ其ノ率ヲ增スノデハナイ、
  ドウシテモ財政需要ハ增加スル、他ニ稅源
  ハ無イ、配付稅ハ一定不動デモウ率ガ決マ
  ツテ居ル、市町村民稅ハソレ以上取レナイ、
  何ニモ無イ、地方ニ於テ家屋ニサウ澤山課
  ケル譯ニ行カヌカラ、結局又土地ニ集中ス
  ル、集中スレバ百分ノ二百、百分ノ三百、
  百分ノ五百、或ハ百分ノ千ニナルカモ知レ
  ナイ、私ハ恐ルベキ大キナ缺陷ノ穴ガ玆ニ
  出來テ居ルノヂヤナイカト思ツテ居ル、之
  ヲドノ邊マデ伸バスカ、其ノ時ノ地方ノ狀
  況ニ應ジテ監、督官廳ガ課率ノ增加ヲ許可ス
  ルトナツテ居リマスガ、是モ洵ニ危險千萬
  デアル、此處ヲモウ少シ私ハ明確ニシテ置
  カナケレバイカヌト思フ、他ノ點ハ心配ハ
  ナイガ、私ハ此處ガ心配デアル、此處ニ此
  ノ制度ノ一大缺陷ガアルト思フ、之ニ對シ
  テドウ云フ御考デアリマスカ、正直ニ事務
  的デナク、アナタノ御考通リニ御說明願ヒ
  マス

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• 007・挾間茂

  ○挾間政府委員　先ヅ配付稅ノ經過規定ノ
  コトニ付テ御述ニナリマシタガ、是ハ決シ
  テ此ノ制度ニ缺陷ガアルカラデハナイノデ
  アリマシテ、今マデ地方財政ガ各團體每ニ
  非常ニ負擔ノ均衡ヲ失シ、負擔ノ過重ニナ
  ツテ居ル地方團體モアリマス、之ヲ今囘ノ
  稅制改正ニ依ツテ財政ヲ調整スルノデアリ
  マスカラ、ソコニ相當ノ負擔關係竝ニ地方
  財政ニ於テ變動ガ來ルト思フノデアリマス、
  此ノ變動ヲ一擧ニシテ解決シテシマフト云
  フコトハ、各團體カラ見マスト相當ノ激變
  ニナル虞ガアリマスノデ、經過年度ヲ設ケ
  テ其ノ激變ヲ濟崩シ的ニ、經過的ニ變更シ
  テ行ク必要ガアルト思フノデアリマス、是
  ハ常ニ稅制改正ノ時ニ行フ手段デアリマシ
  テ、御存ジノヤウニ地租法改正ノ際ニ於キ
  マシテモ七年間ノ經過年度ヲ設ケテ居リマ
  ス、又我國バカリデナク英吉利ガ交付金制
  度ヲ立テマシタ時ニモ、是ハ五年六年デナ
  ク、モツト長イ十數年ノ經過年度ヲ設ケテ、
  經過的ノ措置ヲ講ジテ居ルヤウナ狀況デア
  リマス、今囘ノ改正ニ於キマシテモ先ヅ五
  箇年ノ經過年度ヲ以テ其ノ不自然ナル狀態
  ヲ、自然ニシテ適正ナル狀態ニ戾ス爲ニ、
  其ノ激變ヲ經過的ニ漸次變ヘテ行カウト云
  フノデ、其ノ經過年度ヲ設ケテ居ルノデア
  リマス、左樣御諒解ヲ願ヒタイト思ヒマス
  ソレカラ三收益稅ノ課率ニ付テ別段法律
  ガ最高限ヲ定メテ居ナイ、是ガ非常ニ地方
  財政ヲ紊亂セシムル本ニナリハシナイカト
  云フ御懸念デアリマシテ、吾々トシテモ三
  收益稅ノ賦課率ニ依ツテ、地方財政ノ伸縮
  性ヲ持タセルト云フコトハ、一面ニ於テ是
  ガ地方財政ノ彈力性ヲ持ツ非常ニ大切ナ點
  デアルト同時ニ、其ノ運用如何ト云フコト
  ガ又一面ニ於キマシテハ非常ニ心配ニナル
  點デアリ、此處ガ同時ニ地方財政ノ妙味デ
  アルトモ考ヘテ居ルノデアリマシテ、其ノ
  意味ニ於キマシテハ、或ル意味ニ於テ御意
  見ニ同感ノ意ヲ表スルノデアリマス、從
  來ノ地方稅制限法ニハ制限率ヲ設ケテ居
  リマシテ、今囘ノ制度ニハ制限率ヲ設ケテ
  居ナイノデアリマス一應百分ノ百、百
  分ノ二百ト致シテ居リマシテ、是レ以上ニ
  於キマシテ何處。マデ取リ得ルカ、ドノ率以
  上ハモウ制限ニ達シタカラ課稅スルコトガ
  出來ナイト云フコトヲ法定致シテ居リマセ
  ヌガ、是ハソコニ地方自治ト云フモノノ一
  ツノ妙味、旨味ヲ現ハシタイト云フコトヲ
  吾々非常ニ考ヘテ居ルノデアリマシテ、又
  一面ニ於キマシテソコニ地方財政上ノ監督
  ノ面白味モアルノデアリマス、元來地方團
  體ノ自治ト云フコトヲ稅制ノ上ニ於テ現ハ
  シマス爲ニハ成ベク團體ノ自主獨往ノ立
  場ニ於テ其ノ必要ナル施設ヲ運營セシメル
  ト云フコトヲ、制度ノ上ニ於テ保障致シタ
  イト思フノデアリマス、其ノ團體ノ負擔ガ
  重イカ輕イカト云フコトハ唯課率ガ高イ
  カ安イカト云フコトダケヲ以テシテハ、之ヲ
  決定スルコトガ出來ナイノデアリマシテ、
  課率ト同時ニ其ノ團體ノ施設ノ善惡良否ト
  云フコトヲ比較シテ見ナケレバナラヌト思
  フ、若シ其ノ團體ノ施設ガ非常ニ進ンデ居
  リマス場合ニハ、假令三收益稅ニ對スル課率
  ガ高クトモ、其處ニアル土地、家屋、營業ト云
  フモノハ、其ノ限度ニ於テ十分利益ヲ享受
  シテ居ルノデアリマスカラ、假ニ課率ガ百
  分ノ百ヲ超エテ居リマシテモ、決シテソレ
  デ不當ナ負擔ヲシテ居ルト云フコトハ言ヘ
  ナイト思ヒマス、併シナガラ施設ヲ十分ニ
  致サズシテ百分ノ百ヲ超エタ稅率ヲ課シテ居
  リ、又市町村ガ百分ノ二百ヲ超エタ課率ヲ
  用ヒテ居ルトシマスレバ、是ハ負擔ガ過重
  デアルト云フコトニナルト思フノデアリマ
  シテ、結局是ハ地方施設ト、其ノ團體ノ賦
  課率トヲ睨ミ合セテ負擔ノ過重ナリヤ適當
  ナリヤト云フコトヲ考ヘテ行カナケレバナラ
  ヌト思フノデアリマス、ソコニ地方自治ノ
  妙味ガアリ、又財政監督ノ上手下手ガアル
  ト思フノデアリマスノデ、今囘ノ制度ニ於
  キマシテハ法制ノ上ニ於テハ最高限ト云フ
  モノハ定メテ居ナイノデアリマス、地方團
  體自身ヲシテ適正ナル賦課率ト云フモノヲ
  考慮セシメタイト考ヘテ居リマス、サウシ
  テ其ノ賦課率ニ付テ若シ法律ニ於テ一應定
  メマシタ賦課率ヲ超エル場合ニ於テハソ
  レガ果シテ其ノ團體ノ施設ト釣合ツテ居ル
  カドウカ、又其ノ負擔ガ適當ナリヤ否ヤト
  云フコトハ、監督官廳ガ十分ニ各方面カラ
  資料ヲ集メ〓究ヲ致シマシテ、ソレニ對シ
  テ許可ヲ與ヘル方針デアルノデアリマス、
  不當ナル課稅ニ付キマシテハ許可ヲ致サナ
  イ、或ハ適當ナル限度ニ更正ヲシテ許可ス
  ルト云フコトニシテ、此ノ三收益稅ノ彈力
  性ト云フモノヲ適當ニ運用シテ行キタイト
  ミ考ヘテ居ルノデアリマス、尙ホ三收益稅ノ
  中デ御話ノ通リ最モ伸張性ヲ持ツテ居リマ
  スノハ營業稅デアリマス、現行法ニ依ル營
  業收益稅附加稅ハ道府縣市町村ヲ通ジマシ
  テ一億三千万圓デアリマスガ、改正法ニ依
  リマスレバ二億九千万圓ノ基礎額ニナリマ
  ス、隨テ其ノ伸縮性ハ今囘ノ改正法ノ方ガ
  餘程强イ稅ニナルト云フコトモ併セテ御考
  ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 008・小見山七十五郎

  ○小見山委員　私ハ營業稅ノ附加稅ガ伸縮
  性ノアルコトハ十分承知シテ居ルノデアリ
  やく、唯其ノ伸張性ノアル營業稅ノ附加稅
  ハ不幸ニシテ地方農山漁村ニ少ク、伸張性
  ノ最モ乏シイ土地ト家屋ガ地方ニアルカラ、
  私ハ地方ノコトヲ考ヘテ心配シテ御尋シタ
  ノデアリマス、又三附加稅ノ最高限度ヲ先
  ヅ一應府縣ニ於テハ百分ノ百、市町村ニ於
  テハ百分ノ二百、更ニ二百四十マデハ法令
  ニ示サレタ場合ニ許可ナクシテ增徵スルコト
  ガ出來ル、其ノ上ハ無制限ダト云フ、其ノ無
  制限ガ困ル、是ガ將來恐ルベキ禍根ニナルト
  私ハ申シタノデアリマスガ、御答辯ノ趣旨ヲ
  要約致シマスト、ソコガ面白インダ、ソコ
  ニ融通性ガアル、果シテ適當ナ施設ヲシテ
  居レバ課率ノ增進モ認メル、不適當ナラバ
  許可ヲシナイ、ソコニ監督上ノ面白味ガア
  ル、斯ウ仰シヤル、成程是ガ完全ニ行ハレル
  ナラバソレモ宜シイ、總テノコトガ監督官
  に自ら
  廳ノ頭ニ依ツテ左右サレテ、地方自治ガ旨
  ク運用サレルナラバ元來法律規則ハ要ラ
  又、ドウシテモ人間ト云フモノニハ色々ナ
  間違ヒガアル、能アリ不能アリ、善アリ惡
  アリ、各種ノ人ガ錯綜シテ社會ヲ構成シテ
  居ル、何ガ故ニ法律ヲ作ルカト云フト、サウ
  云フ人ガ惡イコトガ出來ナイヤウニ作ルノ
  ダカラ法律ハ要ル、アナタノ今ノ御議論
  ハ、官吏、監督官廳ニ萬能性アリト云フコト
  ヲ前提トシテノ御議論ニ過ギヌ、私共ハア
  ナタヲ非常ニ尊敬モシ信用モスルガ、遺憾
  ナガラ日本ノ監督官廳ニ於ケル官吏ハ萬能
  ナリナドト云フ前提ノ下ニ於テ出來タ法律
  ニハ贊成出來ナイ、決シテ萬能デナイ、萬能
  デナイドコロカ、吾々ハ今日此ノ官吏ノ中
  ニ變ナ忌ハシキ、色々ナアルベカラザル風
  說モ聞ク、所謂官僚獨善ノ聲ガ朝野ニ滿チ
  テ居ル、今日之ヲ萬能ナリトシテ、之ヲ前
  提トシタ法律ニハ吾々ハドウシテモ贊成ス
  ルコトガ出來ナイ、今日贊成不贊成ヲ言フノ
  デハアリマセヌガ、之ニハ同意ガ出來ナイ、
  今日ハ昔ノ德川時代ノヤウナ惡代官ガ居ツ
  テ、ウント取ルヤウナコトハアリマズマイ
  ガ、併シサウ云フコトガナイヤウニ此ノ法
  治國ニ於テハ法律ヲ決メテ、少クモ土地及
  ビ家屋ニ對スル課稅ノ最高限ノ見透シ、最
  高限ノ標準ヲ付ケナイデ放置シテ、無制限
  ニ監督官廳ノ認定ニ依ツテ之ヲ定メルト云
  フコトハ、非常ニ危險千萬デアツテ、是ハ
  ドウシテモ最高限ヲ或ル方法デ決メテ置カ
  ナケレバイカヌト思フ、先刻申ス通リ今日
  デハ百分ノ五百トカ、百分ノ三百トカ云フ
  コトヲ決メルノハ困難デアリマセウガ、四
  五年ヤツテ見タ後デナケレバ出來マスマイ
  ガ、併シナガラ何カ先刻申ス通リ、其ノ町
  村團體ノ歲入ノ何割、或ハ稅收入ノ何割ヲ
  超ユベカラズ、コンナ風ニシナケレバ私ハ
  非常ナコトニナルト思フ、之ヲドウスレバ
  宜イカ、何處ニ最高限度ヲ豫想シテ決メテ
  置カナケレバナラヌカト云フ、其ノ程度、
  其ノ方法ハ此ノ後數日ノ間ニ〓究シタイト
  思ツテ居ルガ、アナタノ方デモ御考ニナツ
  テテハドウカ、何カソコニ最高限度ノ目安
  ヲ立テテ置ク必要ガアルト思ヒマス、アレ
  バ何トカソレヲ考慮シテ見ヨウト云フ御考
  ハアリマセヌカ、此ノ點ヲハツキリ伺ヒタ
  イノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=8

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• 009・挾間茂

  ○挾間政府委員　別ニ賦課率ニ制限ヲ設ケ
  ズ、一定ノ監督ノ標準トシテ百分ノ百、百
  分ノ二百ト云フコトヲ規定致シマシタコト
  ハ、私ノ言葉ガ或ハ不十分デアツタカモ知
  レマセヌガ、私ハソコニ地方自治ノ妙味ガ
  アリ、監督ノ善惡良否ガアルト云フヤウニ
  申上ゲタト思フノデアリマス、決シテ之ニ依
  ツテ官僚獨善ト云フコトヲ申上ゲタノデハ
  ナクシテ、監督ノ善惡良否ガソレニ依ツテ
  現ハレルノデアツテ、此ノ規定ハ地方自治
  ノ妙味ヲ十分發揮セシムル積リデアル、詰
  リ地方議會ガ其ノ團體ニ於テドノ程度ノ賦
  課ヲ致シタイカト云フコトヲ、〓體施設ト
  睨ミ合ツテ十分〓究ノ上地方議會ニ於テ議
  決ヲスルト云フコトヲ吾々非常ニ尊重致シ
  マシテ、斯ウ云フ制度ヲ立テタノデアリマ
  ス、最高限ヲ定メルト云フコトニ付テノ御
  心配モ吾々十分拜承スルノデアリマスガ、
  此ノ立テ方ニ依リマシテ十分地方自治ヲ尊
  重シ、又監督官廳ト致シマシテハ、最モ適
  正ナル監督ヲ致シマシテ、地方財政ヲ導キ、
  地方自治ヲ伸張セシメルヤウニ進メテ行キ
  タイト考ヘテ居ルノデアリマス

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• 010・小見山七十五郎

  ○小見山委員　此ノ點ハ幾ラ押問答シテモ
  同ジデアリマスガ、假ニ私ガ村ノ町村民デ
  アリ、アナタガ何處カノ監督官廳ノ長官、假
  ニ府縣知事デアルトスレバ、アナタノヤウ
  ナ立派ナ人ガ居ツテ、サウシテ私ガ斯ウ云
  フ申請ヲシタ場合ニ、自分ノ方ノ村ハソレ
  デ適當ダト云フ話ガ付クカモ知レナイ、併
  シ先刻カラ申シマス通リ、地方ニ於テ各種
  ノ施設ヲ致スノニモ、見樣ニ依ツテハ是ガ
  緊急ノ事業デアルカ、不急ノ事業デアルカ
  異ル、又オ役人ハ其ノ人ノ氣風ニ依ツテ違
  フ、ドウシテモ百分ノ百、百分ノ二百、或
  ハ二百四十、斯ウ云フ課率、ソレ以內ハ構
  ヒマセヌ、ソレ以上ニ今後伸張スベキ場合
  ニ監督官廳ノ監督上ノ面白味ニ依ル、融通
  性ニ依ル、監督官廳ノ認定ノミニ依ツテ之
  ヲ決スルト云フコトハ、私ハドウシテモ承
  服出來ナイ、ドウシテモ之ニハ最高限度ヲ
  決メテ置カネバナラヌト思フ、先刻申ス通
  リハツキリ數字ヲ以テ現ハスコトガ出來
  ナケレバ、玆ニ抽象的ノ一定ノ制限ヲ定メ
  テ置カナケレバナラヌト私ハ思フテ居リマ
  ス、サウ云フ必要ガナイカアルカト云フコ
  トヲ私ハ御尋申シテ居ルノデアリマス、モ
  ウ一度御答ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=10

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• 011・三好榮次郎

  ○三好政府委員　只今ノ問題ニ付キマシテ
  ハ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ戴イタラドウカト
  思フノデアリマス、地方稅ノ働キト言ヒマ
  スカ、之ヲ分ツテ見マスト二ツノ側面カラ
  觀察シナケレバナラヌノデアリマシテ、
  ツハ國民ノ稅負擔タル性質、一ツハ地方財
  源タル性質ヲ持ツテ居ル、斯ウ云フノデア
  リマスガ、若シ地方稅ノ取扱ヲ國民ノ稅負
  擔タル見地カラノミ考ヘマスレバ、負擔ノ
  均衡ト云フコトノミニヤカマシク重點ヲ置
  キマシテ、隨テ地方財源タル側面ノ性質ヲ
  稍〓蹂〓スルト云フ問題ニ相成ルカト思フ
  ノデアリマス、又地方財源タル側面ノミニ
  重點ヲ置イテ考ヘマスト、國民ノ稅負擔タ
  ル側面ト云フモノガ蹂躪サレルト云フコト
  ニ相成ルノデアリマシテ、此ノ兩側面ヲ如
  何ニシテ調和スルカト云フコトガ、地方稅
  制上ノ一ツノ問題デアルト思フノデアリマ
  ス、例ヘバ還付稅附加稅ト云フ形式ニ於テ
  三收益稅ヲ地方ノ財源トスルノハ怪シカラ
  又、是デハ地方財源ノ自主性ハナイデハナ
  イカ、獨立稅ニシタ方ガ宜イデハナイカト
  云フ御意見ガ過日來アルノデアリマスガ、
  是ハ技術的ノ問題ト致シマシテ、賃貸價格
  ノ調査等ヲ個々ノ團體ニ於テヤリマスナラ
  バ、課稅標準ガ不統一ニナリ、負擔ノ不均
  衡ト云フコトガアリマス、隨テ技術的ニ困
  難ナ問題デアリマスカラ、地方財源タル側
  面ヨリモ、寧ロ國民ノ稅負擔タル側面ニ重
  キヲ置イテ、負擔ノ均衡ト云フコトニ重點
  ヲ置イテ還付稅附加稅ノ形式ニシテ、實體
  ヲ地方財源トシテ、獨立稅トシテ扱ツタト
  同ジ效果ヲ擧ゲサセル、斯ウ云フ考デ、還
  付稅附加稅ノ形式ヲ執ルト云フコトガ考ヘ
  ラレルノデアリマス、之ニ依ツテ地方財政
  ノ自主性ト云フモノガ毫モ損ハレナイ、地
  方財政ノ自主性、是ハドウ云フコトカ、吾
  吾ノ考ニ依リマスレバ、地方團體ガ自分ノ
  意思デ稅收入ヲ上下シ得ルト云フコトデア
  リマス、其ノ點ヲ考ヘテ見テ一應サウ云フ
  制度ヲ立テマシタ上デ附加稅ノ課率ヲ上ゲ
  下ゲスルト云フコトハ、是ハ地方團體ノ自
  由意思ニ成ベク任サナケレバナラヌ、是ハ
  言ヒ換ヘレバ國民ノ稅負擔タル見地ヲ比較
  的輕ク見テ、地方財源タル性質ノ方ヲ重ク
  見ル扱ヒデアリマス、ナゼサウ云フ風ニ扱
  フカト言ヘバ、結局是ハ地方自治ニ對スル
  信賴ノ問題ニ歸著スルカト思フノデアリマ
  ス、若シ地方團體ト云フモノガマルデ無茶
  ヲヤルノダ、得手勝手ナコトヲヤルモノダ
  ト云フコトヲ前提ニ致シマスルナラバ、
  定ノ率以上ハ絕對ニ取ラサナイト云フヤウ
  ナ制限ヲ設ケルコトハ、是ハ必要デゴザイ
  マセウ、併シナガラ現在一万數千ノ市町村
  ト云フモノハ、色々非難ハゴザイマスケレ
  ドモ、大多數ハ眞面目ナ團體デアリマス、
  中ニハ少數ノ不都合ナコトヲスル所ハ勿論
  ゴザイマスケレドモ、大多數ハ眞面目ナ團
  體デアリマス、而モ官僚獨善デヤルノデハ
  アリマセヌ、地方自治ノ運營ハチヤント市
  町村會ガアリマシテ、此ノ市町村會ガ議決
  シテヤルノデアリマス、隨テ地方自治ヲ尊
  重シ、議會主義ヲ信賴スル限リニ於キマシ
  テハ、サウ云フモノニ付テ法律デ以テ强制
  的ニ强イ制限ヲ設ケル必要ハナイ、併シナ
  ガラ一面多數ノ團體ノ中ニハ、或ハ無茶ナ
  コトヲヤルモノガ起リマセウ、其ノ無茶ヲ
  如何ニシテ防グカト云フコトハ、法制ニ依
  ツテキチントシタ制限ヲ設ケテ防グト云フ
  問題デナクシテ、ソレハ監督官廳ノ裁量ニ
  依ツテ防止スルト云フ考ヘ方デアリマス、
  サウ云フ考ヘ方デゴザイマスルガ故ニ、獨
  リ此ノ附加稅ノ賦課率ニ付テ最高ノ制限ヲ
  定メナイノミナラズ、獨立稅ニ付キマシテ
  モ、稅種ノ選擇或ハ賦課率ノ盛リ方等ニ付
  テ制限ノ規定ヲ置イテ居ラナイノデアリマ
  ス、要スルニ此ノ問題ハ地方財政ノ自主性
  ヲ如何ニ尊重スルカ、或ハ地方自治ヲ如何
  ニ尊重シ、議會主義ヲ如何ニ信賴スルカト
  云フ問題ノ考ヘ方ニ依ツテ、自ラソコニ定
  マル問題デハナイカ、又サウ云フ風ニ見ナ
  クテハイケナイノデハナイカ、斯樣ニ考ヘ
  テ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=11

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• 012・小見山七十五郎

  ○小見山委員　今ノ御答辯デ、三收益稅ニ
  對スル根本的原則トデモ言ヒマスルカ、ソ
  レガ稍〓分リ掛ケテ來タノデアリマス、私
  ハ今ノ御話ヲ御聽キスルト、地方財政ニ自
  主性、獨立性ヲ認メサセタイ、其ノ自主性
  ヲ認メルニ付テハ還付稅モ、是ハ一ツノ獨
  立稅ト見ネバナラナイ、其ノ附加稅モ尙更
  特殊ノ自主性ヲ帶ビタル獨立稅デアルト云
  フ見地カラ、此ノ三收益稅ニ制限ノナイ、
  其ノ地方ニ卽應シタル伸縮性ヲ持タセルト
  云フ御趣旨ノヤウニ今拜聽致シマシタ、ソ
  レハサウデアリマセウ、又一面カラ見マス
  ルト、今日マデハ戶數割ガ謂ハバ唯一無二
  ノ自主性ノアツタ獨立稅デアツタノデアリ
  マスガ、此ノ戶數割ナルモフハ、唯其ノ人
  ノ所得或ハ其ノ人ノ資產等ヲ目標トシテ、
  餘リハツキリシナイ標準デ、一定ノ課稅標
  準ナクシテ、大部分ハ見立テテ課稅致シテ
  居ツタ、之ニハ弊害ガアルカラ、其ノ戶數
  割ノ長所トモ言フベキモノヲヤハリ之ニモ
  活カス爲ニ、何カソコニ課稅ノ標準ガナケ
  レバナラヌカラ、三收益稅ヲ假ニ課稅ノ標
  準ト定メル、此ノ附加稅ノ增減ニ依ツテ從
  來ノ戶數割ノ有シテ居ツタ獨立性ヲ之ニ持
  タセルト云フコトニ私ハ今聽ギマシタ、ソ
  レハソレデ宜シイ、サウスレバ、此ノ目的
  ハ家屋稅ノヤウナ一定セザル標準ニ基イテ
  課稅スルコトハ、大キナ弊害缺陷ガアルカ
  ラ何カ-何デモ宜イ、幸ヒ此ノ三ツノ收
  益稅ヲ稅ノ據ドコロ、之ヲ稅ノ標準トシテ
  ヤルト云フコトニナリマスト、其ノ意味カ
  ラノ附加稅デアレバ、此ノ稅ノ根源デアル
  土地ノ收益、家屋ノ收益ト云フモノハ度外
  シテ掛ルコトニ理論上ナリハシナイカ、隨
  テ無制限ニ是ノ伸張ヲ認メルト云フコトニ
  歸著スルノデハナイカ、今ノ御說明カラス
  ルト、私ハサウ考ヘラレルノデアリマス、
  卽チモウ一遍繰返シテ申シマスト、唯其ノ
  地方ニ於ケル稅源ヲ一定ノ標準ノナイ所ニ
  戶數割ノヤウニ課稅スルコトハ非常ナ不都
  合ガ起リ、弊害ガ起ルカラ、何デモ宜イ、
  幸ヒ此ノ三ツノ收益稅ヲ一應ノ課稅ノ標準
  トスル、之ヲ據ドコロトシテ、此ノ附加稅
  ヲ伸縮自在ニ賦課スル、隨テ此ノ收益ハ其
  ノ場合問題デナイ、土地カラ擧ル收益ハ問
  題デハナイ、家屋カラ擧ル收益ハ問題デハ
  ナイ、其ノ地方ノ財政事情ニ應ジテ幾ラデ
  モ課ケルト云フコトニ理論上歸著スルト私
  ハ思フ、サウ云フコトニナルノデアリマス
  カ、是ハ理論ノ問題デアリマス

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• 013・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御話ノヤウニ制度ダケヲ
  眺メマスレバ、收益如何ニ拘ラズ無限ニ此
  ノ三收益稅ノ附加稅ヲ增率シテ行クト云フ
  形ニ相成ツテ居ル譯デアリマス、併シナガ
  ラソレガ善イカ惡イカト云フ問題ニナリマ
  スナラバ、收益ノ程度ヲ超シマシテ過重ニ
  稅ヲ課ケルコトハ、是ハ宜シクナイト思ヒ
  マス、併シサウ云フ無理ナ負擔ヲ地方團體
  ガヤルカヤラヌカト云フ地方自治ニ對スル
  信賴ノ問題ニナリマスレバ、サウ云フ無理
  ハヤラナイノガ通例デアラウ、斯ウ云フ風
  ニ考ヘテ居ル譯デアリマス、ナゼナラバ從
  來ノ制度ニ於キマシテハ、分與稅制ノ如キ
  モノヲ採用致シテ居リマセヌ關係上、經費
  ハ要ル、ドウシテモ財源ヲ工面シナケレバ
  ナラヌト云フコトニ相成リマスルト、負擔
  上無理ガアリマシテモ、戶數割ニ持ツテ行
  クヨリ外仕樣ガナイト云フコトガアツタト
  思ヒマス、併シナガラ今囘ノ改正案ニ於キ
  マシテハ、普通ノ經費ヲ拂ツテ行クニ付キ
  マシテハ、綜合シタ稅收入ガ大體普通ノ負
  擔程度デヤツテ行ケル、各團體トモサウ云フ
  收入デ賄ガ付クト云フ仕組ニ一應致シテ居
  ルノデアリマス、隨ヒマシテ、三收益稅ノ
  附加稅ヲ高ク取ル場合ハドウ云フ場合カト
  申シマスト、或ハ災害、傳染病等ノ場合ニ
  於キマシテ、增徵致スコトモゴザイマセ
  ウ、併シナガラサウ云フ異例ノモノヲ除キ
  マシテハ、ドウ云フコトデアルカト云フ
  ト、其ノ團體ガ餘所ノ團體ニ比較シテ比較
  的澤山ナ仕事ヲスルト云フ場合ニ相成ル譯
  デアリマス、若シ團體ガ餘所ノ團體ニ比較
  シテ澤山ナ仕事ヲスルト云フコトニナリマ
  スレバ、先程局長モ申上ゲマシタ通リ、其
  ノ團體ノ負擔ハ餘所ノ團體ノ負擔ニ比べ
  テ、少々高クテモ宜シイ、仕事ヲ澤山シテ
  居ル所ガ課率ガ高イ、仕事ヲ少クシテ居ル
  所ガ課率ガ低イト云フコトガ負擔ノ均衡ヲ
  得テ居ルノデアル、斯ウ云フ風ニ考ヘラレ
  ルノデアリマス、今同ノ稅制ノ改正ニ於キ
  マシテハ、要スルニ仕事ヲ澤山スレバ其ノ
  團體ハ負擔ヲ澤山シテ貰ハナケレバヤツテ
  行ケナイ、團體ノ自治ノ方針ニ依リマシテ、
  自分ノ團體ハ稅ハ高クテモ仕事ヲ澤山ヤラ
  ウト云フナラバ、高ク取ルコトモ出來ル、
  又團體ノ自治ノ方針ニ依リマシテ、仕事ハシ
  ナクテモ稅ガ安イ方ガ宜シイト云フ所ハ、仕
  事ヲシナイデ小ヂンマリヤツテ行ケルヤウ
  ニシヨウ、斯ウ云フコトガ狙ヒニナツテ居リ
  マス、隨テ地方自治モ亦サウ云フ行キ方ヲ認
  メマス以上ハ、數字デ見マシタ賦課率ノ間ニ
  ハ食違ヒガ各團體每ニ出テ來マスケレドモ、
  其ノ違ヒハ仕事ト關聯シテ見マスト、均衡
  ヲ得タモノデアル、違ツテ居ル方ガ却ツテ
  均衡ヲ得タモノデアルト云フ制度ニ相成ル
  ノデアリマス、サウ云フ見地カラ眺メマス
  ナラバ制度上一應無制限ニナツテ居リマス
  ケレドモ、サウ無茶ナ負擔ヲ課ケルコトハ
  シナクテ濟ムコトデアルカラ、隨テサウ云
  フ無茶ヲヤルコトハ起ラナイデハナイカ、
  斯ウ云フ風ニ考ヘルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=13

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• 014・小見山七十五郎

  ○小見山委員　私ハ別ニ其ノ地方制度ニ於
  ケル突發的財政需要ノ場合ヲ言ツタノデハ
  ナイ、此ノ後チ年ト共ニ地方ノ財政ハ膨脹
  スル、又膨脹シナケレバ地方デハヤツテ行
  ケナイ、一般的ニ自然的ニ膨脹スル場合ハ
  今豫想シテ居ルヤウナモノデ行クカドウカ
  分ラナイ、今申シタヤウナ收益稅賦課率デ
  ハ足ラナイ、其ノ場合ハドウシテ行クカ、天
  災火災ガ起ルト云フバカリデハナイ或ハ
  一時的ノ大キナ土木事業ヲ起スト云フヤウ
  ナ場合バカリデモナイ、全體的ノ場合ニド
  ウスルカト云フコト御問シタノデアル、併
  シ此ノ善シ惡シハ別トシテ、アナタノ立案
  ノ趣旨ハハツキリ分リマシタ、是ハ言葉ヲ
  換ヘテ言ヘバ戶數割ノ代リデアル、戶數割ト
  云フ一ツノ本尊デハイケナイモノデアル、
  三收益稅ト云フ三ツニ分ケテ、其ノ三ツヲ中
  心トシテ、斯ウ云フモノニシヨウ、彈力性
  ヲ認メヨウ、斯ウ云フコトニナル、サウスル
  ト戶數割ト變ラナイ、是ハ無制限ニ出來ル、
  出來ルガサウハシマイ、斯ウ云フ御說デア
  ルガ、私ハサウスルト思フ、戶數割デスラ
  殆ド無制限ニ課ケテ來タ、無制限ト云ツテ
  モ許可ガナケレバ出來マセヌガ、實際上ノ
  需要ガアレバ監督官廳モ許可シナイ譯ニハ
  行キマセヌカラ、無制限ニ許可シテ行ク、
  此ノ三收益稅モ結局ハ無制限ニナル、非常
  ナ將來苛斂誅求ニナリハシナイカ、苛斂誅
  求ト云ツテモ是ハ別ニ國稅デハナイ、地方
  民ガ自ラ甘ンジテ苛斂誅求ヲ受ケルノデア
  リマスカラ、ソレハ其ノ人ノ自治性、自主
  性ガ其處ニアルト云ヘバサウデアリマス
  ガ、是ハ恐ラク結局ハサウナツテ行ク、
  戶數割ダツテ同ジデス、戶數割ダツテ澤山
  其ノ町村デ仕事ヲスレバ戶數割ガ膨脹シテ、
  各自ノ懷ロカラ稅金ノ出ルコトハ分ツテ居
  リナガラ、今日マデ戶數割ハ膨脹シテ來テ
  居ル、是ハヤハリ少シモ變リハナイ、是ダ
  ケ分レバ私ハ結構デアル、是レ以上ハ意見
  ノ相違デアルカラ、是レ以上ノコトハ後デ
  申上ゲマス、私ノ見ル所デハ今假ニ定メラ
  レタ地租附加稅、家屋稅附加稅トモ、是ハ
  實際昭和十二年、十三年、十四年ノ最近二
  三年ニ比ベテ輕イ、確ニ輕イ、數字カラ見
  マシテモ昭和十三年ノ地租及ビ其ノ附加稅
  ノ調定額ハ一億四千八百万圓、平年度ハ一
  億一千八百万圓デアリマスカラ、是ハ三千
  万圓位マダ餘力ガアル家屋稅及ビ其ノ附
  加稅ガ昭和十三年ハ一億二千三百万圓、今
  度ハ平年度一億五百万圓、是モ一千何百万
  圓カノ餘力ガアル、是ハ最近ノ現行法ニ於
  ケル課稅能力ヲ限度トシテモ、亦率カラ云
  ツテモ、マダ相當ノ事實餘裕ガアルガ、併
  シ此ノ位ノ餘裕ハ直チニ踏破ツテシマフ
  是ダケノ餘裕ヲ見セテ居リマスガ、モウ數
  年ナラズシテ此ノ從來ノ率ハ踏割ル、戶數
  割ノ代リニドン〓〓上ツテ行ク、ソコニ私
  ハ危險ガアルカラ理論上カラ言フト、アナ
  タノ言フノハ明晰デ、學理ニ卽應シタ理論
  デアリマスガ、實際ハ恐ルベキ結果ニナル
  ト思フノデアリマスガ、此ノ點ハ此ノ儘ニ
  シテ置ク方ガ宜イト御考ニナリマスカ、
  セメテ最高限度ダケハ其ノ土地、其ノ家屋
  ノ收益ノ最高限度マデ課ケルカ、或ハ收益
  ノ最高限度ヲ超エテモ宜イト云フヤウニ此
  ノ原則ハ行ケルガ、ソレヲ抛ツテ置イテ宜
  イノカ、モウ一遍ソコノ所ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=14

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• 015・挾間茂

  ○挾間政府委員　度々申上ゲタノデアリマ
  スガ、更ニ附加ヘテ申上ゲタイ、小見山サ
  ンノ御心配ハ、三收益稅ト云フモノガ大體地
  方財政ノ收入ノ全部ヲ「カバー」スルト云フ
  場合デアレバ、モウ全ク御心配ノ通リデア
  ルト思ヒマス、先年此ノ分與稅ヲ考案セズ
  シテ地租、營業稅ヲ地方ニ委讓スルト云フ
  立案ヲ政府ガ致シタコトガアリマス、其ノ
  場合ニ於テノ心配ハ小見山サンガ御心配ニ
  ナリマシタ通リデアリマス、課稅力ノ非常
  ニ弱イ〓體ニ於テハ、財政上ノ必要ニ應ズ
  ル爲ニハドウシテモ此ノ地租、營業稅ト
  云フモノヲ非常ニ高率ニ課ケナケレバ〓體
  ノ財政需要ニ應ズルコトハ出來ナイ、斯ウ
  云フコトニナリマスノデ、貧弱ナル團體ニ於
  テハ益〓負擔ガ過重ニナルト云フ非常ナ缺
  點ガアツタノデアリマスガ、今囘ノ稅制ニ於
  キマシテハ、團體ノ財政需要ニ卽應スル爲ニハ、
  獨立財源ト、一面ニ於テ調整財源トシテノ配
  付稅ガソレニ按排シテアルノデアリマス
  配付稅ハ法人稅ト所得稅ト云フヤウナ有力
  ナル財源ガ配置シテゴザイマスカラ、ソレ
  ニ對スル減收ノ場合ハ、先程申上ゲマシタ
  ヤウニ率ノ變更モ必要ト思ヒマスガ、大體
  ニ於テ此ノ社會情勢ニ於テハ、所得稅、法
  人稅等ハ漸次自然增收ガアルト、斯ウ見得
  ルト思ヒマス、サウシマストソレニ依ツテ
  相當ノ增收ガアリ、地方團體ノ財政需要ニ
  相當卽應スルコトガ出來ルト思フノデアリ
  マス、ソレト此ノ三收益稅ト云フモノガ一
  〓ニ組合ツテ、地方團體ノ財政ヲ經理シテ
  行クコトニナルノデアリマス、更ニ今回ノ
  三收益稅ノ稅率ト云フモノハ現在ノ稅制
  ニ於ケル各課稅ヲ見マシテ、其ノ制限外課
  稅ヲ致シテ居リマスモノトヲ全部含メテノ
  上デ課率ガ定メテアルノデ、言葉ヲ換ヘテ
  申スト、昭和十五年度ニ於テ各團體ガ其ノ
  財政需要ニ應ズル所得稅附加稅ニ致シマシ
  テモ、營業收益稅ノ附加稅ニ致シマシテモ、
  地租、家屋稅、總テ其ノ制限及ビ制限外ノ課
  稅モ包含シタモノヲ以テ財政需要ガ是ダケ
  アル、ソレヲ「カバー」スルノニハ十億三千二
  百万圓デアルト云フノデ、此ノ數字ガ出テ居
  ルノデアリマスカラ、大體ニ於テ昭和十五
  年ニ於テハ十億三千二百万圓ト云フモノガ
  アレバ、ソレデ必要ナル施設ハ全部出來ル、斯
  ウ云フコトガ十分保證出來ル譯デアリマス、
  ソコデソレニ加ヘテ制限外課稅ト申シマス
  カ、此ノ百分ノ百、百分ノ二百ト云フモノ
  ニ對スル超過ヲ課稅スルト云フコトニナリ
  マスレバ、サウ御心配ニナルヤウニ、非常ニ超
  過ヲ致サナイデモ、必要ナル施設ヲ其ノ團體
  ガヤルト云フ場合ニハ、僅少ナル超過ヲ以
  テ十分其ノ財政ノ需要ニ應ズルコトガ出來
  ルト思フノデアリマシテ、是ガ驚異的ナ超
  過ニナルト云フコトハ、吾々此ノ立案ヲ致
  シマシタ計數ノ上カラ考ヘマスト、先ヅ豫
  測スル必要ハナイノデハナイカト云フ風ニ
  考ヘテ居リマスノデ、折角ノ御尋デゴザイ
  マスガ、各稅ニ付キマシテ最高限ヲ法定ス
  ル必要ハナイト云フ風ニ考ヘテ居ルノデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=15

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• 016・小見山七十五郎

  ○小見山委員　其ノ點ハモウ大體趣旨ハ分
  リマシタ、私ハ贊成出來マセヌケレドモ、
  分リマシタ、唯今地方ノ財政ハ此ノ附加稅ノ
  ミデ「カバー」サレテ居ルモノデハナイト云
  フ御話デアリマス、成程此ノ附加稅バカリ
  デハアリマセヌガ、町村ノ例カラ見マシテ
  モ、町村ノ財源トシテ四億九千六百万圓ノ
  內三億七千二百万圓ト云フ驚クベキ重要部
  分ガ附加稅ト獨立稅デアル、獨立稅ト云フ
  モノハ極ク僅カデアルカラ、三億六七千万
  圓ハ附加稅デアル、決シテ全部デハナイガ、
  重要部分デアルト云フコト、ソレカラ十億
  數千万圓ノ現在ノ數字ハ、是ハ明年或ハ明
  後年ノ目前ノ一兩年ノ間ノ數字デアリマシ
  テ、私ハソンナコトデハナイ、ココ三年五
  年、七年十年經ツタ時ニ、自然的膨脹ノ場
  合ハドウデアルカト云フコトデアリマスガ、
  其ノ點ダケハ打切リマス、唯簡單ニ私モウ
  一點御尋シテ置キマス、今度ノ稅制改革ニ
  依ツテ從來行ハレテ居ツタ三部制ノ府縣ニ
  於テ此ノ三部制ナルモノガ撤廢サレルノハ
  當然デアリマス、併シ私共ノ聞ク所、私共
  ノ見ル所デハ、是ハ心ズ相當ノ摩擦混亂ガ
  起ル、之ニ付テハ事前ニ相當ナ工作ヲシ、
  諒解ヲ得、調停ヲシテ居ルノデアルカ、例へ
  バ郡部ニ於テ澤山ノ郡部債ヲ持ツテ居ル、
  市部ハ比較的ニ少イ、或ハ財產ニ於テモ非
  常ナル違ヒガアル、サウ云フモノニ依ツテ
  生ズル紛亂ダケハ是ハ何トカシナケレバナ
  ラヌガ、突如トシテ地方稅制ノ改革ト共ニ
  此ノ三部制ガ廢止サレルナラバ、今殘ツテ
  居ル愛知縣及ビ兵庫縣ハ必ズ相當ノ混亂ガ
  起リ、相當ノ摩擦ヲ生ジ、相當ナル不幸ヲ
  見ルト私ハ思ツテ居リマスガ、之ニ對シテ
  ハ相當ノ用意ト、見透シガ付イテ居ルノデ
  アルカト云フコトヲ御尋シタイノデアリマ
  ス

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• 017・挾間茂

  ○挾間政府委員　三部制廢止ノ問題ハ、此
  ノ稅制改正ニ伴ヒマシテ、先ヅ吾々ハ必然
  的ノ問題デアルト考ヘテ居リマス、ソレデ
  此ノ稅制改正ヲ立案致シマシタ前後カラ、
  此ノ問題ハ話ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、
  實ハ地元ノ縣ノ方デ三部制ノ廢止ニ付キマ
  シテハ、當初反對ノ意向ガゴザイマシテ、
  其ノ熱ガ中々冷メナカツタノデアリマス、
  唯結論ト致シマシテ、今囘ノ分與稅制度ガ
  立テラレテ參リマスト、稅制ノ理論ノ問題
  ト致シマシテ、又此ノ分與稅ノ技術ノ問題
  ノ上カラ考ヘマシテ、此ノ三部制ヲ存置
  スルト云フコトハ結局出來ナイ譯デアリマ
  ス、ソコデ結論トシマシテハ、三部制ハ之
  ヲ廢止スルト云フコトハ必然的ノ問題デア
  ルト思フノデアリマス、併シナガラ然ラバ
  此ノ稅制ヲ施行スル時ニ、無條件ニ三部制
  ヲ廢止シテ宜シイカト云フコトニナリマス
  ト吾々左樣ニハ考ヘテ居ナイノデアリマ
  ス、ト申シマスノハ、今御述ニナリマシタ
  通リ、市部、郡部ト云フモノガ別箇ノ經濟
  的ノ團體トシテ、今財政經理ヲ致シテ居ル
  ノデアリマスカラ、其ノ間各〓事情ガ異ツテ
  居ルノデアリマス、隨テソレヲ一體ノ經濟
  團體ト致シマス爲ニハソコニヤハリ經過
  的ニ適當ナ善後措置ガ必要デアルト考ヘテ
  居リマス、稅制改正ニ伴フ必然ノ結果トシ
  テ、三部制ヲ繼續スルト云フコトハ出來マ
  セヌガ、之ヲ廢止スルニ必要ナル善後措置
  ニ付テハ、政府トシテモ適當ナル手段方法
  ヲ講ジナケレバナラナイ、無論ソレニハ事
  業ノ配分ノ問題モアルト思ヒマス、又市部
  債郡部債ノ善後〓置ノ問題モアルト思ヒ
  マス、其ノ他色々行政的ノ措置ノ問題モア
  ルト考ヘルノデアリマスガ、何レニ致シマ
  シテモ、是等ハ地元ノ縣當局ニ於キマシテ
  適當ナル案ヲ考究ヲシタ上デ、縣會ノ議決ヲ
  經テ決定ヲスルト云フノガ、通常ノ筋道デ
  アルト考ヘテ居ルノデアリマス、ソレニ對シ
  テハ内務當局トシテモ適當ナル案ノ作成ニ付
  テノ協力ヲ致ス考デアリマス、先般内務大
  臣ヨリモ御答ヲ致シマシタ通リ、關係ノ地
  方長官ノ會同ヲ求メマシテ、其ノ話ヲシテ、
  折角今善後措置ニ付テ案ヲ練ツテ居ル所デ
  アリマシテ、其ノ成案ヲ見マシタ上デ、地
  元ニ於テ話合ヲ付ケテ、縣會ノ議決ヲ經テ
  解決ヲ圖ルヤウニシタイト考ヘテ居ルノデ
  アリマス

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• 018・小見山七十五郎

  ○小見山委員　是ハ相當大キナ問題ダト思
  ヒマスカラ、其ノ地元ニ於ケル府縣廳ハ固
  ヨリ、內務省ニ於テ決シテ此ノ爲ニ將來大
  混亂ニ陷レ、地方ノ財政、地方ノ自治制ニ
  摩擦ヲ起サシメナイヤウニ御善處ヲ要望シ
  テ置キマス、私ノ質問ハ是デ打切リマス
  尙ホ大藏大臣ニ對スル分ハ、大藏大臣ノ御
  出席ヲ俟ツテ致スコトニ致シマス

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• 019・内藤正剛

  ○內藤委員長代理　此ノ際石井君カラ關聯
  事項デ御發言ガアルサウデアリマスカラ、
  之ヲ許シマス

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• 020・石井徳久次

  ○石井委員　先程小見山君カラ地方ノ配付
  稅ノ源泉デアル所得稅及ビ法人稅竝ニ入場
  稅及ビ遊興飮食稅ニ於テ不足ヲスル、斯ウ
  云フ時ニハドウスルカト云フヤウナ御質問
  デアツタノデアリマスガ、是ハ私ハ極メテ
  重要ナ問題デアルト考へテ居リマス、之 h
  對シテ先程來局長ノ御答辯デハ、適當ニ考
  慮ヲスルト云フコトノヤウニ聽及ビマシタ
  ガ、此ノ點ヲモウ少シ明瞭ニ御答辯願ツテ
  置キタイト思ヒマス

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• 021・挾間茂

  ○挾間政府委員　只今ノ見込ト致シマシテ
  ハ、所得稅、法人稅等ハ漸次增收ニナツテ
  參ルト一應考ヘテ居リマスガ、併シナガラ
  是ハ將來ノコトデアリマシテ、此處デハツ
  キリト申上ゲルコトハ、無論何人モ出來ナ
  イコトデアルト考ヘマス、併シナガラ是ハ
  地方團體ノ財政經理ノ問題ト、財源トノ問
  題ガ不可分ノ關係ニアルコトデアリマスカ
  ラ、財政收入ト云フモノハ、自然ニ財政膨
  脹ト財政緊縮トニ竝行シテ行クモノデアル
  ト云フコトモ一應ハ考ヘ得ル問題デアリマ
  シテ、若シ自然增收ガ多イ場合ニハ地方
  團體ノ經費モ自然ニ膨脹スルデアラウ、又
  自然減ヲ來ス場合ニハ、團體財政トシテモ
  之ニ伴フ財政緊縮ヲスルト云フノガ筋道デ
  アルト思フノデアリマス、ソコデ玆ニ定メ
  マシタ一定ノ率ト云フモノハ、大體是デ配
  付稅ガ自然減、自然增ヲ致シマスコトガ、
  同時ニ地方團體ノ財政經理ニ其ノ儘反映
  シテ行クモノデアルト、吾々ハ一應左樣ニ
  考ヘテ居ルデノアリマス、併シナガラ其ノ
  場合ドウシテモ減收ガ甚ダシクテ地方團體
  ノ財政收入ニ合ハナイト云フヤウナ場合ニ
  ハ、特別會計法ニ於テ一時ノ借入金ヲシテ、
  其ノ年度ノ配付稅ヲ賄フコトガ出來ルヤウ
  ニナツテ居ルノデアリマス、併シ假ニ數字
  ニ見込違ヒガアツタト云フヤウナ場合ニ於
  キマシテハ、其ノ率ヲ訂正スルト云フヤウ
  ナコトハ當局トシテモ考慮シテ居ルノデア
  リマス

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• 022・石井徳久次

  ○石井委員　大體分ツタヤウニ思ヒマスガ、
  數字ノ見込違ヒガアレバ訂正スル、斯ウ云
  フ御話デアリマシタガ、大體配付稅ノ問題ニ
  關スル限リニ於キマシテハ、假ニ今三億二
  千七百万圓、斯ウ云フヤウニ抑ヘテアルノ
  ガ、ソレニ對シテ一割マデハ之ニ依ツテ增
  額シテ配付シテモ宜イ、或ハ又一割減ルモ
  ノハ辛抱シテ貰フノダ、斯ウ云フコトニナツ
  テ居ルヤウデアリマス、ソレマデノコトハ
  大體豫想サレテ居リマスガ、詰リ三億二千
  七百万圓ニ對スス九〇%シカナイ、九〇%以
  下ニナツタ場合ニハ、結局特別會計ニ於テ借
  金ヲシテソレヲ埋合ハセルノダ、斯ウ云フ
  コトニナルノデゴザイマス、隨テ基本數字
  デアル今ノ三億二千七百万圓ガ、所得稅及
  ビ法人稅ノ百分ノ十六·五五竝ニ入場稅及ビ
  遊興飮食稅ノ百分ノ五十、是デ計算シタ高
  ガ三億二千七百万圓ニ假ニナラヌト云フ場
  合ニハ之ヲ增額スルノダ、斯ウ云フ風ナ
  御話デスネ

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• 023・挾間茂

  ○挾間政府委員　其ノ通リデアリマス

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• 024・石井徳久次

  ○石井委員　大體分リマシタ

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• 025・内藤正剛

  ○内藤委員長代理　ソレデハ是デ一時休憩
  致シマシテ、午後一時カラ再會致シマス
  午後零時十二分休憩
  午後一時三十八分開議

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• 026・小山倉之助

  ○小山委員長　休憩前ニ引續イテ開會致シ
  マス-內藤正剛君

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• 027・内藤正剛

  ○内藤委員　過日來委員會ガ屢〓開會サレ
  テ、各委員諸氏カラ御質問ガアリ、當局カラモ
  懇切丁寧ナ御質問ガアツタノデアリマスガ、
  何時モソレハ先ヅ金ガ要ルコトバカリノ質
  疑應答デアリマシテ、取立テルコトシカナ
  イノデアリマス、非常ナ場合ニ於ケル質疑
  應答ガ拔ケテ居ルノヲ悲シムノデアリマス、
  ソコデ先ヅ大體ニ於テ分與稅ノコトニ付テ
  御尋ヲ致シタイト思フノデアリマスガ、近
  來大キナ都會デハ、例ヘバ神戶デハ水害ガ
  アリマシタシ、靜岡デハ火災ガアリマシタ、
  其ノ他各府縣ニ大キイ災害ガアリマスガ、
  サウ云フ時ニハ各都市ニ於テハ稅外收入ニ依
  ツタモノモ澤山アルノデアリマスガ、朝
  ニシテサウ云フモノガナクナルノデアリマ
  ス、サウ云フ場合ニ處スル方法トシテハ今
  マデノ當局ノ御說明ダケデハ救濟サレナイ
  コトニナラウト思フノデアリマス、サウ云
  フ場合ニ處スル考ヘ方トシテハ今マデノ御
  說明ダケデ足リルデセウカ、其ノ點ヲ御伺
  致シタイト思ヒマス、卽チ稅收入ノ對象ト
  シテ何等稅外收入ニ付テ考慮サレテ居ラナ
  イ、ソレニ付テ大キナ所ハ何トカナルカモ
  知レマセヌガ、餘リ大キクナイ所ハ隨分稅
  外收入ガ何百万、何千万トアル所モアル、
  一朝ニシテサウ云フモノガ烏有ニ歸シテシ
  マフ譯デス、今ノ分與方法デハ一寸困ルノ
  デハナイカ、又過日來ノ御說明カラ見ルト
  平年度六百万圓位、十五年度五百万圓位ニ
  ナツテ居ルモノガアルノデスガ、サウ云フ
  モノヲ假ニ按分シタ所デ、恐ラクハ九牛ノ
  一毛位ニシカ金ガ渡ラヌト思フ、ソレニ對
  スル當局ノ御考ヘ方ヲ一ツ御聽致シタイ

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• 028・挾間茂

  ○挾間政府委員　今囘ノ地方稅制改正ハ稅
  收入ヲ對象トシテ立テタモノデアリマスカ
  ラ、稅外收入ノ問題ハ是ハ別箇ノ問題トシ
  テ、稅制改正ノ對象トハナツテ居ナイノデ
  アリマス、併シナガラ地方團體ノ財政ノ經
  理ト云フ點カラ見マスト、地方財政ヲ監督
  シテ居ル當局トシマシテハ、別箇ノ地方財
  政監督指導ト云フ立場ニ於テ、只今御述ニ
  ナリマシタヤウナ點ハ十分考慮シナケレバ
  ナラヌコトデアラウト思ヒマス、例ヘバ大
  キナ災害ガゴザイマシデ其ノ團體ノ財政ガ
  非常ニ困難ニナツテ參リマシタヤウナ場合
  ニ付テ、一二私共想像致シマス場合ヲ例示
  シテ申上ゲマスト、或ル團體ガ非常ニ大キ
  ナ災害ヲ受ケタ、其ノ爲ニ團體ノ財政經理
  ガ非常ニ困難ニナツテ來タト云フ場合ニ於
  キマシテ、此ノ分與稅制ヲ以テ之ヲ救濟ス
  ルト云フコトガ果シテ適當デアリヤ否ヤト
  云フコトハ其ノ災害ノ限度ニ依ツテ考ヘ
  ナケレバナラヌト思ヒマス、此ノ稅制其ノ
  モノハサウ云フ非常ノ場合ニ付テノ財政救
  濟ト云フヤウナコトハ考慮ノ中ニハ入
  レテナイノデアリマス、無論配付稅ノ
  中ニ第三種配付額ト云フモノガアリマシ
  テ、特別ノ事情ヲ考慮シテソレニ對スル處
  置ヲ講ズルコトニナツテ居リマスケレド
  モ、之ニモ自ラ限度ガアルト思フノデアリ
  W. H.非常ニ大キナ災害ガアリマシタ場
  合、例ヘバ關東地方ノ大震火災ノヤウナコ
  トガアツタト云フヤウナ場合ニ、而モ之ヲ
  今囘ノ稅制自身ニ依ツテ解決スルト云フコ
  トハ是ハ全然不可能ナ場合デアリマシテ、
  斯樣ナ場合ニハ恐ラク特別ノ立法ヲ必要ト
  スルト云フコトニナルノハ、過去ノ實績ニ
  徵シテモ自ラ明カデアルト思ヒマス、併シ
  其ノ程度ニ至ラザル場合ニ於キマシテハ、
  別個ノ意味ニ於テノ財政救濟ノ手段ヲ考慮
  シナケレバナラヌカト思フノデアリマス、
  普通ノ災害程度ノモノニ至リマシテハ、是
  ハ今囘ノ稅制改正ニ依ル分與稅制ノ運用ニ
  依リマシテ救濟ガ出來ルコトニナルト思フ
  ノデアリマス、畢竟是ハ其ノ災害ノ程度、
  其ノ規模ト云フヤウナコトヲ各場合ニ付テ
  考ヘマシテ、政府トシテ對策ヲ考究スベキ
  モノデアルカト思フノデアリマス、尙ホ稅外
  收入ガ非常ニ澤山アツタ場合、其ノ特別會
  計收入ガ一般會計ニ繰入レラレテ居ツタモ
  ノガ繰入ラレナクナルト云フヤウナコトガ
  アリマシタ場合ハドウスルカト云フヤウナ
  コトニ付キマシテハ、是ハ恐ラクサウ云フ
  團體ハ非常ニ稅ノ課率ガ低イ團體デハナイ
  カト思フノデアリマス、其處ニマデ財政上
  ノ救濟ヲ致スト云フコトハ是ハ難カシイノ
  デハナイカト思ツテ居ルノデアリマス、斯
  ル場合ニ於キマシテハ其ノ團體ニ於テ急ヲ
  救フ爲ニ一時ノ起債ヲ致シマシテ其ノ場ヲ
  凌イデ行クト云フコトニセザルヲ得ナイカ
  ト思ヒマス、之ヲ更ニ今囘ノ稅制ヲ適用シ
  テ考ヘマスト、サウ云フコトニナリマシタ
  場合ニハ、恐ラク或ル程度ニ於テ其ノ意味ニ
  於ケル第三種配付額ト云フヤウナモノガゾ
  コニ働イテ來ルノデハナイカト考ヘテ居リ
  マス

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• 029・内藤正剛

  ○內藤委員　最近ノ一ツノ實例トシテハ靜
  岡ノ大火ガ對象ニナルト思ヒマスガ、其ノ
  時分ニハ地方局長トシテハ相當御考慮ニナ
  ツタサウデスガ、大藏省ノ方デハ中々御採
  用ニナラナクテ、ソレガ爲ニ折角御配慮ニ
  ナツタコトガ潰レタト云フ話デアリマス、
  長局ニシテ御諒解ガアツタ事項デモ大藏省
  デ潰レルコトガアルノデスガ、今ノヤウナ
  御考ヘ方デ分與稅ノ過日カラ御示ニナツタ、
  數額デハ、平年度ト云フモノハ極ク微々タ
  ルモノデアリマシテ、ソレヲ全國ニ割ツテ
  行クノデスカラ、第三種デ旨ク取計ヒガ出
  來ナイト思フノデアリマス、サウスレバ今
  マデニ御發表ニナツタ法案ノ中デ、多少修
  正スルヤウナ場合ニ處スル爲ニ、平生バカ
  リ見ル譯ニハ行キマセヌカラ、非常ナ場合
  ニ處スル爲ニ何カ特別ノ規定デモ設ケルト
  云フコトニ付テ政府ハ御考ガアリマスカ、
  ソレハ議員ノ方デ修正スレバ之ニ同意スル
  ト云フヤウナ御考ガアルノデスカ、一寸伺
  ヒョー

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• 030・挾間茂

  ○挾間政府委員　具體的ノ問題ニ付テノ御
  尋デゴザイマスガ、靜岡市ノ今度ノ火災ニ
  付テノ救濟手段ニ付キマシテハ、目下是ハ
  大藏當局ト折衝ヲ致シテ居ルノデアリマス、
  マダ是ガ決定ニ至ツテ居リマセヌ、先程申
  上ゲマシタ例ノ一ツハ、或ル團體ニ於テ其
  ノ團體トシテ非常ニ大キナ災害ガアツタ場
  合ノ方法トシテ、特別立法ニ依ル程度デハ
  ナイガ、別個ノ財政救濟ノ手段ヲ執ル必要
  ガアルノデハナカラカト申上ゲマシタノ
  ハ、只今ノ靜岡市ノ如キ場合ヲ御話致シタ
  ノデアリマス、詰リ今度ノ配付稅ト云フモ
  ノガ豫想シテ居リマシタ限度ヲ超エテノ災
  害ニ付キマシテハ、內務當局トシマシテハ
  別個ノ救濟手段ヲ考慮スベキモノデハナイ
  カト考ヘテ居ルノデゴザイマス、其ノ點ハ
  大藏當局ト折衝ヲ致シテ居リマスノデ、マ
  ダ決定ニ至ツテ居ナイノデゴザイマス、ソ
  レカラ尙ホ具體的ノ問題ニ付テノ御話デゴ
  ザイマシタカラ一應申上ゲテ置キタイト思
  ヒマスガ、靜岡市ノ問題ニ付キマシテハ、
  燒失致シマシタ家屋ニ付テ家屋稅ガ取レマ
  セヌカラ非常ナ歲入缺陷ニナリマス、其ノ
  歲入缺陷ハ御承知ノヤウニ第一種配付額ノ
  單位稅額ト云フモノガ非常ニ低下致シマス
  カラ、第一種配付額ガソレニ伴ツテズツト
  增額セラレテ參リマス、其ノ意味ニ於テ相
  當ノ財政上ノ救濟ガ出來ルコトニナル譯デ
  アリマス、ソレカラ第三種配付額モ是ハ先日
  此ノ委員會デ代表的ニ例示ヲ致シマシタガ、
  災害其ノモノノ救濟ト云フコトハ申上ゲテ
  居リマセヌガ、市町村ノ災害ガ多カツタ場
  合ニ於テ、ソレニ對スル救濟等モ考慮ノ中
  ニ入ルト云フコトヲ申上ゲテ置キマシタガ、
  サウ云フ風ニ致シマシテ第一種配付額、又
  第三種配付額等ニ依ツテ相當救濟ノ手段ガ
  講ゼラレルコトニナツテ居リマスノデ、當
  局ト致シマシテハ此ノ案ヲ以テ十分普通ノ
  程度ノ災害等ニ對シマシテハ、團體ノ財政
  救濟ハ目的ヲ達シ得ルデアラウト思ヒマス
  カラ、此ノ案デ適當デアラウト思ツテ居リ
  やっ、靜岡市ノ問題ニ付キマシテハ、今申
  上ゲマシタヤウナ理由デ別個ノ手段ヲ只今
  考究進行中デゴザイマスノデ、左樣御承知
  ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 031・内藤正剛

  ○内藤委員　今度ハ法文上ノ趣旨ニ付テ伺
  ヒマス、過日他ノ委員カラ自動車稅ニ付
  テ御質問ガアツタノデアリマシテ、其ノ際
  ノ當局ノ御答トシテハ、自動車ハ動ク範圍
  ガ多イカラ、成程市町村稅ニシタ方ガ宜イ
  ト云フ理窟モ通ルコトダケレドモ、是ハ道
  府縣稅ニシタ方ガ宜イ、斯樣ナ御囘答ガア
  ツタノデアリマス、私ハ其ノ際關聯質問ト
  シテ、課率ガ各府縣每ニ異ル場合ニ於テハ、
  車ガアツチヘ動イタリコツチヘ動イタリシ
  テ、稅ノ安イ方へ、安イ方ヘ車ノ籍ヲ移ス
  ト云フコトヲ申上ゲタ所ガ、當局ハソレニ
  對シテ御同意ノ意見デアツテ、成ベクサウ
  シタイガト云フコトデ、他ニ特殊ノ理窟ヲ
  御付ケニナツテ、ヤハリ自分ノ說明ガ宜イ
  ノダ、斯ウ云フヤウニ御說明ニナツタノデ
  アリマスガ、法規ノ上カラ見マスト、市二
  於キマシテハ、道路ノ管理權ハ市長ニ移ツ
  テ居リマスシ、隨テ府縣ガ御世話ナサラヌ
  ノデアリマスカラ、難カシイコトヲ言フノ
  デハアリマセヌガ、一例トシテハ、六大都
  市ノヤウナ道路法第十七條ノ但書ノ規定ニ
  依ツテ指定致シテ居リマスヤウナ市ニ於キ
  マシテハ、特別ニ考慮スル必要ガアルノデ
  ハナカラウカ、サウシテ市內ニ籍ヲ持テバ、
  働ク場所ハ市內デアリマス、ソレハ限定サ
  レル譯デハアリマセヌケレドモ、殊ニ自家
  用ノ如キモノハ、市內ヲ走ルコトガ多イノ
  デアリマシテ、唯郊外ノ宅カラ市內ニ來ル
  道筋ダケヲ市外ヲ走ル譯デアリマスノデ、
  斯ウ云フコトニ付テ色々規定ガアリマスガ、
  例ヘバ、是ハ自動車稅ニ限リマセヌガ、四
  十六條ニ致シマシテモ、或ハ五十八條ニ致シ
  マシテモ、六十一條ニ致シマシテモ、人口
  七十万以上ノ都市ニ付テハ、十分ニ考ヘナ
  ケレバナラヌト云フ人モ出來テ來ルノデア
  リマスガ、此ノ點ニ對シテ當局ノ御再考ノ
  餘地ガアルカドウカ、或ハ將來ソレニ付テ
  再考シテ見タイ、斯ウ云フ御考ガアルカド
  ウカ、或ハ今マデノヤウナ御意見ヲ、如何
  ナル場合ニ於テモ押切ツテ行クベキデアル
  ト云フ御考カドウカ、モウ一遍伺ツテ置キ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=31

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• 032・挾間茂

  ○挾間政府委員　六大都市ニ付キマシテハ
  其ノ事情ガ他ノ中小都市ト大イニ變ツテ居
  リマスノデ、法令上特別ノ取扱ヲ致スコト
  ニナツテ居ル分モ相當アルノデアリマス、
  又更ニ進ンデハ制度全體トシテ別個ノ特別
  制度ヲ立テルト云フコトガ必要デアルト云
  フ考モ持ツテ〓究ヲ致シテ居ルノデアリマ
  ス、是ハ先般來大臣竝ニ私ヨリモ度々申上
  ゲタノデアリマス、只今御述ニナリマシタ
  道路ノ管理權ニ付キマシテハ現在道路法
  ニ特例ヲ設ケテ居ルヤウナ譯デアリマスガ、
  此ノ自動車稅ニ付キマシテハ、成程御述ニ
  ナリマシタヤウニ、六大都市ニ車庫ヲ持ツ
  テ居ル者ノ利用範圍ハ六大都市ノ市内ガ大
  部分デアルト云フコトモ言ヘルノデアリマ
  スガ、然ラバ六大都市ニ限ツテ自動車稅ヲ
  市稅ニ移スト云フコトニナリマスト、其ノ
  殘存郡部ニ於ケル自動車ノ問題ヲ解決スル
  コトガ出來ナイノデアリマシテ、隨テドウ
  モ稅制ト致シマシテハ、ヤハリ自動車稅ハ
  府縣稅ニ置ク方ガ適當デハナイカト思フノ
  デアリマス、此ノ前モ申上ゲマシタヤウニ、
  若シ餘程ノ理由ガゴザイマスレバ、是ハ府
  ;
  縣稅ト致シテ居リマシテモ、府縣ノ課稅ヲ
  セザルコトニ致シマシテ-サウスルト其
  ノ府縣ノ課稅セザル稅目ヲ市町村稅トシテ
  賦課スルト云フ方法ヲ執ルコトガ出來ルノ
  デアリマスカラ、實際ノ扱トシテハサウ云
  フ形ヲ取ルコトモ可能デアリマスシ、稅制
  ノ建前トシマシテハ、ヤハリ自動車ト云フ
  モノノ道路ノ利用關係等カラ考ヘマシテ、
  府縣稅ニ致シテ置クノガ適當デアラウト考
  ヘテ居リマス、六大都市ノ特異性ト云フモ
  ノニ付キマシテハ、更ニ別ノ立場カラ特別
  ノ制度等ヲ考究シテ參ルノガ筋道ヂヤナイ
  カト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=32

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• 033・内藤正剛

  ○內藤委員　尙ホ法文ノ二十五條、二十六
  條ニ分與稅ノコトガ書イテアリマス、第二
  十五條ノ第一項ニハ「單位稅額ガ大都市標準
  單位稅額ノ一倍半ヲ超過スル市ニ對シテハ
  第二種配付額ハ之ヲ分與セズ」トアリマシ
  テ、サウ云フコトニナルト分與シナイ金ガ殘
  ツテ行クノデスガ、「前二條ノ規定ニ依ル」
  云々ト直グ後へ承ケテ居リマスカラ、此ノ
  分與セズト云フ金ノ行方ハ何處へ行クノデ
  セウカ、一ツ伺ツテ置キマス

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• 034・三好榮次郎

  ○三好政府委員　只今御尋ノ問題デアリマ
  スガ、是ハ初メカラ分與ノ算盤ニ立テマセ
  ヌカラ、何處ヘモ行キマセヌデ、元ノ額ニ
  殘ツテ居ル譯デアリマス

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• 035・石井徳久次

  ○石井委員　分與稅ノ問題デアリマスガ、
  先程來特別ノ災害ガアツタ場合等ニ對スル
  問題ニ付テ内藤氏カラ御質問ガアリマシタ
  ガ、ソレニ關聯シテ居ル問題デアリマス、
  此ノ第七條ニ「地方財政ノ情況上必要アルト
  キ」、斯ウナツテ居リマスガ、地方財政ノ情
  況上必要アルトキト云フノハ一體ドウ云
  フコトニナツテ居ルノデゴザイマセウカ

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• 036・三好榮次郎

  ○三好政府委員　此ノ七條或ハ八條ニ地
  方財政ノ情況上ト云フ言葉ヲ今御話ノ通
  リ使ツテ居リマスガ、是ハ地方總體ノ財政
  ノ情況上、斯ウ云フ意味デゴザイマス、七
  條ノ場合ヲ申上ゲマスナラバ、例ヘバ今囘
  ノ支那事變ノヤウナ事變ガ起ツタ爲、各團
  體トモ事變費ヲ相當巨額ニ要スル情況デア
  ル、當然法律上決ツテ居ル稅收入、卽チ第
  六條ノ規定ノ適用ノ結果入ル稅收入、サウ
  云フモノデハヤツテ行ケナイダラウ、斯ウ
  云フ見込ノ時ニ增額スル、サウ云フ意味デ
  地方財政ノ情況上ト云フ言葉ヲ使ツテ居ル
  ダケデゴザイマシテ、個々ノ團體ノ財政情
  況ト云フコトハ考慮ニ置カチイ意味デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=36

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• 037・石井徳久次

  ○石井委員　サウシマスト、此ノ地方財政
  ノ情況上ト云フノハ、一般的ノ場合ヲ指シ
  タモノデ、個々ノ市或ハ町村ノ事情ヲ指シ
  タモノデハナイ、斯ウ云フ風ノ御說明デア
  リマス、ソレカラヤハリ第七條ノ中ニ「前條
  ノ規定ニ依リ分與スベキ配付稅ノ額ニ左ノ
  各號ノ一ニ定ムル額ヲ增額スルコトヲ得」
  斯ウナツテ居リマスガ、此ノ增額スルコト
  ガ出來ルト云フ財源ハ、一體何處ニアルノ
  カ、質問致シタイト思ヒマス

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• 038・三好榮次郎

  ○三好政府委員　是ハ第六條ノ第二項ノ規
  定ニ依リマシテ、前年度ニ於ケル分與額ノ
  百分ノ百十ヲ超過スル分與稅ノ額ハ、特別
  會計、ニ於キマシテ積立金トシテ積立テテ行
  ク譯デゴザイマス、其ノ金ガアリマシタモ
  ノヲ七條ニ於テヤツテ居ル、斯ウ云フコト
  ニナルノデアリマス

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• 039・石井徳久次

  ○石井委員　サウシマスト、假ニ地方ノ財
  政ノ情況上極メテ必要ナコトガアルト致シ
  マシテモ、特別會計ノ方ニ餘裕ガナケレバ
  此ノ增配ハ出來ヌ、斯ウ云フコトニナル譯
  デアリマスカ

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• 040・三好榮次郎

  ○三好政府委員　其ノ通リデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=40

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• 041・内藤正剛

  ○內藤委員　地方稅ノ九十一條デ一ツ伺ツ
  テ置キタイ、九十一條ニ依ルト「市制第百六
  十七條第六號又ハ町村制第百四十七條第六
  號ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル特別稅ニシ
  テ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ內務大臣
  及大藏大臣ノ指定スル稅目ニ限リ第六十三
  條第四項ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル獨立
  稅ト看做ス」、斯ウ云フ規定ガアリマスノデ、
  其ノ際ニハ內務大臣及ビ大藏大臣ハ施行ノ
  際現ニ存スルモノハ新ニ指定ヲサレルノデ
  スカ、或ハサウデナクテ從來アルモノハ其
  ノ儘デ行クノデセウカ、詰リ一遍消エテシ
  マツテ、更ニ指定ヲサレルノカ、消エナイ
  デ一旦指定シタノト同ジヤウナ御取扱ガア
  ルモノカ、其ノ法規ノ解釋ヲ伺ヒタイノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=41

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• 042・挾間茂

  ○挾間政府委員　新シク兩大臣ニ於テ指定
  ヲ致スノデアリマス

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• 043・内藤正剛

  ○内藤委員　サウスルト今マデノハ消エル
  モノト心得テ宜イデスネ、一度消エテ新ニ
  指定サレル譯デスネ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=43

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• 044・挾間茂

  ○挾間政府委員　法律ガ變リマスカラ當然
  消エマシテ、新シク指定スルコトニナリマス

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• 045・内藤正剛

  ○内藤委員　是ハ全般ノ議論トシテ伺フノ
  デスガ、規則ノ改正ガアリマスト、府縣ノ
  獨立稅トシテ課稅スベキ稅目デアリマスガ、
  一例ヲ取ツテ言ヘバ、藝妓稅ノ如キモノデ
  ス、斯ウ云フモノハ新シイ規定ガ出來ルマ
  デハ遡ツテ取ルコトハイケナイコトニナル
  ノデスガ、ソレハドウ云フ工合ニナルノデ
  セウカ、一遍消エテシマヒマシテ、政府ノ
  方デ色々ナ準備モアリマセウカラ、準備ス
  ルマデハ兎ニ角取ル方法ガアリマセヌ、此
  ノ案ガ通過スルマデニ-三月マデニ通過
  スルモノトシテ、一ツノ案デモ御成案ガア
  ツテ、通過スレバ直チニ出シテ行クト云フ
  ヤウニ御準備ガ出來テ居リマスカ、準備ガ
  出來テ居ナイトスレバ、切レテシマツテド
  ウスルコトモ出來ナイト思ヒマスガ、其ノ
  御考ヲ一ツ承リタイ

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• 046・三好榮次郎

  ○三好政府委員　只今御尋ノ問題御尤モデ
  ゴザイマスガ、是ハ御手許ニ差上ゲマシタ
  地方稅法案關係命令案要綱ノ最後ノ法案第
  九十六條關係ト云フ項ニ揭ゲテ置キマシタ
  ガ、此ノ新シク出來マス稅法ニ依リマシテ
  地方團體ガ條例ヲ以テ定メナケレバナラナ
  イ事項ニ關シマシテ、從前ノ規定ニ依ツテ
  定メタモノガアリマスレバ、本法ニ牴觸シ
  ナイ限リ本法ニ依ツテ定メタ條例ト見做ス
  ト云フ措置ヲ講ジマスノデ、藝妓稅ノ如キ
  ハ當然其ノ儘古イ條例ガ生キテ取レルト云
  フコトニ相成ル譯デアリマス
  尙ホ一寸立チマシタ序ニ、先程石井サンノ
  質問ニ御答シマシタノガ、不完全デゴザイ
  マシタカラ補足致シテ置キマス、第七條ノ
  增額ノ場合ノ一般的ノ財源ハ積立金デゴザ
  イマスガ、其ノ外ノ場合ガゴザイマス、卽
  チ前々年度ノ額ニ比較シテ今年ノ收入見込
  額ガ多イト云フ風ナ場合ニハ、其ノ差額ヲ
  增額スルト云フコトガ出來ル譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=46

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• 047・内藤正剛

  ○内藤委員　一ツ飛ンデ伺フノデスガ、
  體稅收入ニ付テ何々稅何々稅ト色々アルノ
  デスガ、大藏省或ハ商工省ガ業種別ニ依ツ
  テハ其ノ儘直グ認定シテ疑義ノ挾マヌモノ
  モアリマセウガ、斯ウ云フモノハ如何デセ
  ウカ、私等ノ所ヘ每日々々葉書ガ來ル、全
  國カラ何百枚モ、殆ド机ノ上ニ山ヲ成シテ
  陳情書ガ來テ居ルノデス、ソレハ入場稅ト
  カ、遊興飮食稅ノコトニ關シテノ陳情書デ
  アリマス、持ツテ來テ御目ニ懸ケテモ宜イ
  ノデスガ、澤山來テ居リマス、是ハ地方稅
  ノ方ニ關係シマスカラ申上ゲマスガ、段々
  考ヘテ見ルトドウモ缺陷ガアルノデハナイ
  カト思ハレルノデス、稅ハ今度ノ規定カラ
  行クト從來地方稅デアツタモノヲ國稅ニ移
  管シテ取ツテシマフ譯デアリマス、ソコデ
  大藏省ノ御認定ニナルノハ、內務省ノ御考
  ヘ方ガ基礎ニナツテ大藏省ガ稅ヲ取ル、斯
  ウ云フコトニナル譯デアリマス、ソコデ其
  ノ考ヘ方ニハ內務省關係トスレバ、或ハ地
  方局長デ御答ガ出來ナイカモ分リマセヌガ、
  陳情書ノ中ヲ見ルト、騷イデ居ル人ハ大藏
  省ノ大矢局長ナリ、或ハ其ノ他ノ方ノ御說
  明ガ騒ガレテ居ルノヂヤナイノデス、書面
  ヲ詳シク見マスト、御說明ニ漏レテ居ル、
  例ヘバアノ人々ガ抱イテ居ルヤウナ觀念的
  ノモノデナイ、小サナ所ガ騒ガレテ居ルヤ
  ウニ見エルノデス、其ノ趣旨ハ例ヘバ飮食
  稅デ言ヘバ料理屋ト云フモノニ付テハ、ア
  ノ方々ハ例ヘバ星岡茶寮デアルトカ、或ハ
  錦水デアルトカ云フヤウナモノヲ料理屋ト
  見テ居ルヤウデス、所ガ騒イデ居ル連中ハ
  サウ云フ大キナ所デナク、小サナ料理屋デ
  ス、疊ヲ敷イタ普通ノ料理屋ナリ、或ハ又
  政府當局ガ「カフエー」「バー」ダト言ウテ居
  ラレル所ヲ、他ノ人ハ名前ハサウ云フヤウ
  ナ名前ヲ付ケテハインチキヲヤツテ居ルケ
  レドモ、所謂政府ノ思ツテ居ル「カフエーㄴ
  「バー」ヂヤナイ、ソコデ取締法規ヲ見ルト、
  是ハ內務省關係デ警視廳令デ出テ來テ居
  ル、サウシテ警視廳ガ特殊飮食店ト云フ名
  稱ヲ付ケテ、或ハ當リ前ノ飮食店ト云フ名
  稱ヲ付ケテ居ルノデ、隨テ政府ノ考ヘテ居
  ルノト違ヅテ、唯腰掛デ家族ガ三十錢五十
  錢若クハ一圓位ノ「ランチ」ヲ食ツテ歸
  ルサウ云フ所ニ女ガ居ルトカ、居ラヌト
  カ云フコトデ、洋風デアルトカ洋風デナイ
  トカ云フコトデ、特殊飮食店ト飮食店デナ
  イトノ差別ヲ設ケテ居ラレルヤウデスゝソ
  コニ法案ヲ起草サレル時ノ間違ヒガアルダ
  ラウト思ヒマスノデ、斯ウ云フ事柄ニ付テ
  ハ稅ノ收入ニモ多少ハ影響スルカモ知レマ
  セヌガ、大シタ影響ハナイト思フノデス、
  斯ウ云フ事柄ハ內務省ハ本人ノ營業者ノ意
  思ニ依ツテ、自分ガ料理屋トシテノ取締ヲ
  受ケタイト云フ時ニハ、料理屋トシテノ書
  面ヲ出サセ、或ハ「カフェー」「バー」トシテ
  行キタイト云フ時ニハ「カフェー」「バー」ト
  シテノ書面ヲ出サセル、卽チ營業者ノ意思
  ニ基イテ法規ノ取締ヲ一一三ニシテヤルト云
  フ考ハナイデセウカ、ソレガ決レバ大勢ノ
  相剋摩擦ノ狀態モナクナリマスシ、政府
  當局ノ意圖ノアル所モ達成サレルノデハ
  ナカラウカト思ヒマス、、ソレヲ無暗ヤ
  タラニ勝手ナ役人ノ考へ方デオヤリニナ
  ル、ソレハ敢テ之ニ限リハシマセヌ、外
  ノモノデモサウデスガ、解釋ニ依ツテドウ
  ニモナルヤウナモノヲ、本人ノ意思ヲ考
  ヘテヤラナイデ、政府ノオ役人ガ自分ノ
  「レベル」ノ高イ頭デ、「レベル」ノ高イ所バ
  カリヲ行カレテ、其ノ考ヘ方デ課稅シタリ、
  三圓以下ハ稅金ヲ課サナカツタリ、或ハ五
  錢十錢ノ珈琲ヲ飮ンデモ稅金ヲ取ル、大
  シタ金額デハナイケレドモ、時節柄騒ギガ
  大キイ、ソレデ私共モ陳情々々デ洵ニウル
  サイ、段々私共ガ調ベテ見ルト、成程是ハ
  役人ノ方ガ無理ダト云フコトガ分ル、デス
  カラ是ハ結局地方稅ノ問題ニナツテ來ルノ
  デスガ、國ノ收入トシテ影響ハ餘リナイ、
  影響シナイデ政府ガ呪ハレルコトニナル、サ
  ウ云フコトニ付テ營業者ノ意思ニ基イテ取
  締ヲ異ニシテヤルト云フ御考ヘ方ガ內務省
  ニアルカナイカ、若シ本人ノ意思ニ基イテ
  ヤレバ此ノ問題ハ解決スルト思フ、私ハ料
  理屋デヤリタイト云フ者ハ料理屋デキラセ
  レバ宜シイ、厭ナラ厭デヤラヌデモ宜イ、
  役人ノ分ラヌ頭デ警視廳令ヲドン〓〓出シ
  テ無理ナ取締ヲスル、騷イデ居ルノハ內務
  當局ナリ、大藏當局ガ御說明ナサツテ居ラ
  ツシヤルヤウナ人ガ騒イテ居ルノデハナ
  イ大キナモノハドツチデモ同ジコトダト
  言ツテ居ル、却テ小サイ五十錢一圓ノ飯ヲ
  食ハシテ居ル所ガ騷イデ居ル、ソコデ此ノ
  法規ノ解釋上、自分等ハ地方稅ニ付テハ何
  カ一定ノ飮食稅ト云フ考ヘ方ヲ持ツテ居ル
  ト云フコトヲ、斯ウ云フ機會ニ御釋明ニナ
  ツタラドウデスカ、サウスレバ騒ギモ治マ
  ルデアラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=47

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• 048・挾間茂

  ○挾間政府委員　料理屋「カフェー」「バー」
  等ノ課稅ノ問題デスガ、·營業ノ取締ノ問題
  ト、遊興飮食稅等ノ課稅ノ問題トハ、別ノ
  問題デゴザイマシテ、營業警察ノ方ノ料理
  店ナリ、「カフェー」「バー」ト云フヤウナモ
  ノノ取締ハ、屆出ニ依ツテヤルノデアリマス、
  ソコデ此ノ取締ト課稅ノ問題トハ、別個ノ
  立場デ考ヘナケレバナラヌダラウト思フノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=48

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• 049・内藤正剛

  ○內藤委員　ダカラ私ハ聽イテ居ルノデ
  ス、ソレハ屆出主義デハナク、ヤハリ許可
  主義デス、建築ノ場合デモ料理屋ナラ料理
  屋ノ用途變更ヲシナケレバ警察ガ許サヌ、
  詰リ警察權ノ發動ガアル、警察權ノ發動ガ
  アツテ許可主義デアルナラバ、本人ノ意思
  ニ依ツテ自分ハ此ノ取締ヲ受ケタイ、其ノ
  取締ヲ受ケテ其ノ下ニ稅ヲ拂ヒタイト云フ
  コトニシテヤツタドウデスカ、ソレニハ大
  藏省ト御協議ヲナサラナケレバナラヌ、ア
  ナタノ方ハ警察權ノ發動ニ依ツテ、料理屋
  ハ料理屋、飮食店ハ飮食店ノ取締ヲスル、
  片方ハ料理屋モ飮食店モ別ニ扱ハナイデ稅
  金サヘ取レバ宜イ、ソコニ相剋摩擦ガアル、
  是ハ日本中ニ澤山アルノデスカラ、アナタ
  ノ方デ內務省ノ方針ヲ御決メニナレバ、大
  藏省ノ方ニモ響クノデアリマス、殊ニ茲ニ
  遊興飮食稅トカ、色々書イテアリマスガ、
  片方ノ料理屋ハ免稅點ノ三圓以下ハ稅金ガ
  要ラナイ、片方ハ五錢カラ要ルノデス、失
  禮デスガ大藏省ニシテモ、內務省ニシテモ、
  薄給者ノ人ハサウ云フ所ニ始終オ出デニナ
  ツテ居ル、ダカラ之ヲヤレバ明日カラ五錢
  ノ「コーヒー」ヲ取ツテモ直グヤラレルノデ
  スガ、ソレマデ虐メルノハドウカト思フ、
  ダカラ内務省サヘ肚ヲシツカリシテ下サレ
  バ斯ウ云フ騷ギハナクナル、地方局長サン
  ハ一番內務省デモ偉イ、大臣ヨリモ偉イデ
  ス、大臣ナンカハ翌日デモ迭ルコトガアル
  ガ、アナタハ長ク居ラレル三好サンナン
  カモ長ク居ラレルノデスカラ、アナタ方ノ
  シツカリシタ肚ヲ聽カシテ戴キタイ、サウ
  スレバ大藏省ノ方デモ自然決ツテ來テ、ウ
  ルサイコトモナクナリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=49

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• 050・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハドウモ許可營業トシ
  テ警察取締ノ對象トナルモノト、ソレカラ
  課稅ノ對象トシテ考ヘルモノトハ別ノ立場
  カラ行キマスノデ、ドウモ同樣ニハ行カナ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=50

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• 051・三好榮次郎

  ○三好政府委員　稅ノ方ノ問題ト致シマシ
  テハ命令要綱ニ、慥カ大藏省ノ方カラカ
  フェー」「バー」ト云フ風ニ出シテアル筈デ
  アリマスガ、結局「カフェー」「バー」トハ如
  何ナルモノデアルカト云フコトヲ命令デハ
  ツキリ致シマスナラバ、業者ノ方デモ餘リ
  困ルト云フヤウナ問題ハナイデハナカラウ
  カト思ヒマス、隨ヒマシテ內務省ト致シマ
  シテモ、關係ノアル問題デアリマスカラ、
  「カフーェㄴ」「バー」ト云フモノハ特ニ免稅點
  ヲ設ケズシテ、稅金ヲ取ツテ然ルベキモノ
  デアルト云フシツカリシタ交涉ヲ致シマシ
  テ、特ニ稅ヲサウ云フ趣旨ニ於テ取ルヤウ
  ニ、ハツキリト決メテ貰フヤウニ交涉シタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=51

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• 052・内藤正剛

  ○內藤委員　能ク分リマシタ、是ハウルサ
  イ問題デスカラ、サウ云フコトハ觀念的ニ
  能ク御注意ヲ願ヒマス、今騒ギノアルモノ
  ハ騷ギカラ除クヤウニシテ、サウシテアナ
  タノ仰シヤルヤウニ取ルモノハ取ルヤウニ
  決メテ貰ヒタイノデアリマス、其ノ次ニ少
  サナ問題デアリマスガ、是ハ撞球稅ノコト
  デアリマス、撞球稅モ國稅ニ入ルサウデス
  ガ、是ハ此ノ間ノ御說明カラ行クト金持ガ
  球ヲ撞ク、ソレダカラアア云フ財政ノ豐カ
  ナ者カラ稅金ヲ取ツテモ宜イト云フコトデ
  アリマジタ、殊ニ大矢サンハサウデアツタ
  ノデアリマス、所ガ私ガ調ベテ見ルト成程
  役人ノ方トカ偉イ人ガ行ク所ハ宜イガ、端
  端ノ方ノ撞球屋ナドハ、隨分僅カナ金デ生
  活シテ居ルヤウデアリマス、サウスルト大
  矢サンノ說明ハ間違ツテ居ルト云フコトニ
  ナリマス、ソコデ是ハヤハリ從來ノヤウニ
  第二種ヲ第一種ニ入レテヤツタ方ガ宜シ
  イ、稅法ノ本ヲ讀ンデ見マシタガ隨分ヲカ
  シイト思フ、大弓ナンカノ遊戯場ナドカラ
  ハ取ラナイデ、撞球カラハ取ル、サウスル
  ト撞球ノ方ガ上品ナンデスガ、上品ダカラ
  錢ヲ取ル、下品ナモノカラハ取ラヌト云フ
  コトニナツテ、是ハ變ナ話ダト思ヒマス、
  色々御考モアツタデセウガ、コンナモノハ
  能ク考ヘル必要ガアリマス、ソレカラ十錢
  二十錢ノ活動寫眞ヲ入場稅ノ對象トシテ御
  說明ガアツタノデスガ、活動寫眞ハ成程十
  錢二十錢ノモアリマスガ、大キナ所モアリ
  マス、撞球ハ厚生省ノ方ハヤハリ室內運動
  トシテ、昔ノ撞球ト今ノ撞球トハ違フト云
  フコトヲ言ツテ居ルノデスガ、是ハ第一種
  ニ入レテヤルヤウナ御考ハアリマセヌカ、
  是ハ大シタ稅デハアリマセヌガ、大藏省ノ
  方ガ御見エニナツテ居ルナラ一ツ考ヘテ戴
  キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=52

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• 053・三好榮次郎

  ○三好政府委員　國稅ノ問題デゴザイマス
  ノデ、大藏省ノ方カラ答辯サレルノガ當然
  ト思ヒマスガ、唯入場稅ヲ取リマスモノニ
  付テハ、ヤハリ奢侈的ナモノカラ取ルト云
  フ觀念デ出發致シテ居ルト考ヘラレルノデ
  アリマシテ、例ヘバ麻雀デゴザイマスト
  カ、或ハ「ダンス·ホール」デアルトカ、ソレ
  ト大體撞球モ謂ハバ似タヤウナモノデハナ
  イカ、斯ウ云フ考デ出發シテ居ルト存ズル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=53

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• 054・内藤正剛

  ○内藤委員　此ノ間問題ニナツタ庭園稅、
  間地稅、或ハ土地增價稅デアリマスガ、色
  色ナ都市計畫ニ依ツテ無論受益者負擔ハ取
  ツテ居リマス、併シ其ノ受益者負擔ト云フ
  モノハ間數ガ決ツテ居ツテ、間ロガ幾ラ奧
  行ガ幾ラト決ツテ居ル、ソレ以外ノ者ガ相
  當ノ利益ヲ受ケルノデアリマスガ、サウ云
  フ風ナ者ハ他人ノ褌デ相撲ヲ取ルト云フコ
  トニナリマスカラ、斯ウ云フ土地增價稅ナ
  ンカモ取ルヤウニシタ方ガ宜イト思ヒマス
  ケレドモ、如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=54

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• 055・挾間茂

  ○挾間政府委員　今度市町村ノ獨立稅ヲ監
  督官廳ノ許可ヲ得テ廣ク認メルコトニ致シ
  マシタガ、從來モ特別稅デ色々稅ハ認メテ
  居ツタノデスケレドモ、御述ニナリマシタ
  土地增價稅トカ、間地稅、庭園稅ト云フヤ
  ウナモノニ付テハ地方稅制限法ノ關係ガア
  リマシテ、大體是ハ取ラサナイト云フ方針
  デ今マデ來テ居ツタノデス、今度稅制ヲ改正
  シテ、斯ウ云フ風ナ建前ニナリマシタシ、殊
  ニ今御述ニナリマシタヤウナ色々ノ特別稅
  ニ付キマシテハ、是ハ私取ラシタ方ガ宜イ
  ノヂヤナイカト思フ、唯其ノ課稅ノ方法ニ
  付キマシテハ、初メテ。取ル稅デアルシ、色
  色內容ニ付テ十分檢討ヲ加ヘナケレバナリ
  マセヌガ、課稅ノ方法ガ適當デアル場合ニ
  ハ、是ハ十分ソレヲ認メルヤウナ方針デ詮
  議スルヤウニ將來致シタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=55

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• 056・内藤正剛

  ○內藤委員　ソレデハモツト突進ンデ御尋
  シマスガ、ソレハ道府縣稅デ取ラスト云フ
  御意見デスカ、或ハ市町村稅デ取ラスト云
  フ御意見デスカ、ソレハ何故御聽シマスカ
  ト云フト、市町村稅デ取ラスト、市町村ハ
  ソレニ依ツテ非常ニ違フト思ヒマスノデス
  ガ、例ヘバ私等デ言ヘバ、大阪市內ニ居ル
  人ガ大キナ間地或ハ庭園ヲ持ツテ居ルト云
  フ場合ニ、市町村稅ヲ取ラレルト云フ場合
  ト、或ハ府縣稅ヲ取ラレルト云フノトデハ、
  市ノ財源ガ非常ニ違フ、大キナ金ニナル、
  殊ニ東京アタリデソレヲ比較致シマスト、
  富豪ノ邸宅ガアルノデスカラ、收入ガ非常
  ニ違ヒヤシナイカト思フ、ドチラデ御取リ
  ニナリマスカ

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• 057・挾間茂

  ○挾間政府委員　今度ノ地方稅法ニ依リマ
  スト、府縣ノ獨立稅ハ稅種ヲ限定シマシテ、
  四十八條ニ揭ゲテ居ル稅以外ニハ取ラセナ
  イコトニナツテ居ル、今申上ゲマシタヤウ
  ナ種類ノ稅ハ總テ市町村稅トナリマス、卽
  チ地方稅法ノ六十三條第三項デ「市町村ハ前
  二項ニ揭グルモノノ外別ニ稅目ヲ起シテ獨
  立稅ヲ課スルコトヲ得」此ノ規定デ取ルコト
  ニナリマスカラ、大阪市デアリマスト、大
  阪市ガ市內ノ庭園トカ、或ハ土地增價ニ關
  スル稅トカ、間地稅トカ云フモノヲ課稅ス
  ル權能ヲ與ヘラレルコトニナリマス

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• 058・内藤正剛

  ○内藤委員　實ハ質問スル材料ヲ書イタ書
  面ガアツタガ、何處ヘ行ツタカ分ラヌヤウ
  ニナツテシマツタ、ソレデ二三點マダ大キ
  ナモノガ殘ツテ居ルノデスガ、他ノ時ニ留
  保シテ戴イテ、後デ整理シテ、關聯シテ質
  問サシテ戴クコトニシマス

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• 059・小山倉之助

  ○小山委員長　承知シマシタ、ソレデハ宮
  本君オヤリニナリマスカ、山川サンオヤリ
  ニナリマスカ

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• 060・宮本雄一郎

  ○宮本委員　山川サンガ御見エニナツテ居
  リマスカラ、オ先ヘドウゾ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=60

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• 061・山川頼三郎

  ○山川委員　私ハモウ大抵皆サンカラ御尋
  ニナツテシマヒマシタノデ殆ドナイヤウニ
  ナリマシタガ、米ノ方ニ關心ヲ持ツテ居リ
  マシテ、コツチノ方ヲ一向ニ調ベナイデ居
  リマシタガ、昨日小見山君カラ地方自治ノ
  改正ニ付テ縷々御質問ニナリ、又內務大臣ヨ
  リ詳細ニ亙リ御考ヲ色々ト御答辯ニナツテ
  居リマシタ、大體ニ於キマシテ諒承致シマ
  シタノデゴザイマスルガ、只今町村制ノ法
  律ノ趣旨ト、現在行ハレテ居リマス所ノ町
  村制ノ現狀トニハ相當ノ相違ガ出來テ居ル
  ノデス、ドウ云フヤウナ相違ガ出來テ居ル
  カト云フト、法律ノ上カラ見マシテハ別ニ
  大シタ缺點ハナイノデゴザイマスガ、事實
  ニ於テ非常ニ町村制ノ性質ガ變ツテ來タヤ
  ウニ思ウテ居ル、是ハマルデ稅ト離レタヤ
  ウニ一寸思ハレマスケレドモ、大變大切ナ
  問題デゴザイマスノデ、此ノ機會ニ御話ヲ
  申上ゲテ置イテ、他日ノ町村制御改正ニナ
  ル時ノ御參考ニモナツタラト存ズルノデゴ
  ザイマス、本日モ小見山サンノ質問ニ對シ
  テ地方局長サンカラノ御答辯デゴザイマシ
  タガ、町村ハ善良ナル自治ノ運行ガ出來テ
  居ルモノト見、又今後モ出來得ルモノト見
  テ、總テノコトヲ其ノ町村ノ自治ニ委シテ
  是等ノ按排ヲ行ハシメルノデアルト云フ一
  般論デアツタ、所ガ中々事實ニ於テハサウ
  行ツテ居ラヌ、私モ村長ヲ三期程致シマシ
  タ、今度コチラヘ來マスノニ付テ村長ヲ辭
  メマシタガ、ソレ等ノ經驗カラ考ヘマシテ
  モ、中々妙ナ狀態ニナツテ、村會議員ノヤ
  ル村長ノ選擧ト云フコトガ中々ムズカシク
  ナツテ來タ、各村トモ其ノ趣ガ變ツテ來テ
  居ルノデアリマス、是ハ斯ウ云フ場所デ餘
  リ詳シイコトハ申上ゲラレマセヌガ、是ハ
  一ツ餘程地方ノ現在ノ狀況ヲ詳シク御調ニ
  ナリマシテ、將來ノ市町村制ト云フモノヲ
  御改正ナサル資料ニサレンコトヲ希望スル
  モノデアリマス、其ノ希望ノ一點トシテ申
  上ゲタイノハ、村長ノ選擧デアリマスガ、
  是ハ村會議員ノ選擧ニ俟タズシテ普選ニシ
  タラ宜イ、一村ノ人民ガ皆寄ツテ選擧シタ
  ラ宜イ、是ヨリ外ニ救フ途ガナイカト今思
  ウテ居ルノデス、ソレハ自分ノ郡內ナリ、
  或ハ其ノ他ノ郡ノ狀況ナンカモ實際見テ參
  リマシテ、此ノ國ノ代表デアル代議士デサ
  ヘモ普選ニシテ、各自ガ選擧スル位ナ施設
  ニナツテ居ルノデスカラ、自分ノ直接關係
  ノアル所ノ村ノ長ヲ定メル時ニ、十二人ト
  カ十八人トカ、二十何人ト云フヤウナ少數
  ノ頭デ決メル、ソレモ大多數ナラバ宜イケ
  レドモ、一名ノ爲ニ右ニ行クカ左ニ行クカ
  決マル、其ノ爲ニ村ガ二ツニ分レル、前ニ
  ハ等級制ガアリマシタケレドモ、現在普選
  ニナツテ、妙ナコトガ出來テ居ルノデアリ
  マス、斯ウ云フコトヲ捨テ置キマシタナラ
  バ、他日ドウ云フ所マデ行ツテシマフカ知
  ラント云フヤウナコトヲ案ズルヤウナ次第
  デゴザイマスノデ、是ハ一ツ御考慮ニナリ
  マスコトガ餘程大切ナコトデナイカ知ラン、
  小見山君ノ御話ノ尻ニ是ダケノコトヲ附加
  ヘテ私ハ御話ヲ申上ゲテ置キタイト思ヒマ
  ス
  ソレカラ次ハ具體的ノ御質問ヲ申上ゲタ
  イ、水利權ノ問題デゴザイマスガ、玆ニ載
  セテアリマス地方稅ノ水利權ハ皆目的稅ノ
  所ニダケ作ツテアリマスガ、町村稅ノ方ノ
  目的稅ハ是デ支障ガナイト思ヒマスガ、道
  府縣ノ方ノ水利稅ヲ目的稅ダケニ決メテシ
  マフト云フコトニ致シマシテハ、現在行ハ
  レテ居リマス各府縣ニ支障ノアル場所ガア
  リマセヌカ、縣稅トシテ水利稅ヲ取ツテ居
  ルヤウナ所ハアルト思ヒマスガ、ソレ等ハ
  ドウ云フ風ニナルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=61

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• 062・三好榮次郎

  ○三好政府委員　現在府縣デ例外的ニ取ツ
  テ居ル所モ多少アルカト存ジマスガ、サウ云
  フ所ハ之ニ依リマシテ却テ取リ易クナル、
  從前取ツテ居ラナカツタ所モ此ノハツキリ
  シタ規定ニ依ツテ取リ易クナルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=62

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• 063・山川頼三郎

  ○山川委員　サウスルト目的稅ト云フモノ
  ハドウ云フモノデスカ、都市計畫トカ云フ
  一ツノ事業ノ目的トシテ、サウ云フ一部ノ
  利害關係ノ爲ニ之ヲ地租デ取ルトカ、反別
  デ取ルトカト云フコトガアリマスガ、其ノ
  水利ヲ縣ノ一般的ノ收入ニ取ツテ居ルヽソ
  レハ普通稅ノ意味デ取ツテ居ルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=63

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• 064・三好榮次郎

  ○三好政府委員　地方稅法案ノ七十七條ニ
  規定致シテ居ルノデアリマスガ、水利權ハ
  府縣ガ行ヒマス水利ニ關スル事業ニ要スル
  費用ニ充ツル爲ニノミ認ムルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=64

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• 065・山川頼三郎

  ○山川委員　サウ致シマスト、ソコデ行ハ
  レル水利事業ノ爲ニ取ルコトガ出來ルト決
  マツテ居ル、ソレダカラソコニハ關係ガナ
  イト言フガ唯現ニ水利ノ關係トシテ是ダケ
  ノ水ヲ使用スル、其ノ使用量ハ凡ソ一年ニ
  四百圓ノ値打ガアルトカ、是ハ千二百圓ノ
  値打ガアルト云ツテ取ツテ居ルノハ、ドウ
  云フ風ニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=65

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• 066・三好榮次郎

  ○三好政府委員　是ハ水利ニ關スル事業ニ
  要スル費用ニ充テル爲其ノ事業ニ依ツテ特
  ニ利益ヲ受ケル土地ニ對シテ課ケル稅デゴ
  ザイマス、御質問ノ點ハ恐ラク水利使用料
  デハナイカト思ヒマスガ、是ハ水ヲ使フ其
  ノ特權料ト云フモノデ取リマスノデ、是ト
  ハ全然無關係デアリマス

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• 067・山川頼三郎

  ○山川委員　サウスルト各府縣デソレヲ取
  ツテ居リマスノハ支障ガナイト云フノデス
  カ、斯ウ云フ法律ガ出來マシテモ、普通稅
  ノ中ニ項目ガ書イテナクテモ宜イノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=67

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• 068・三好榮次郎

  ○三好政府委員　水利使用料ハ全然別個ノ
  モノデゴザイマスカラ、之ヲ設ケルコトニ
  依ツテソチラニ好惡ノ影響ガアルト云フコ
  トハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=68

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• 069・山川頼三郎

  ○山川委員　別個ノ問題デスネ、全然支障
  ナイト云フノデスネ--ソレデ分リマシタ、
  ヅレカラ町村稅ノコトニ付テ先程內藤サン
  カラ色々御尋ガアリマシタガ、此ノ町村稅
  ノ中ノ普通稅ノ賦課額ニハ制限ハナイノデ
  スカ、國稅附加稅、道府縣稅附加稅ニ對ス
  ル制限ト云フモノハナイノデスカ、要ルダ
  ケ町村稅ヲ取ツテモ宜イノデゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=69

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• 070・三好榮次郎

  ○三好政府委員　是ハ市町村民稅ヲ除キマ
  シテハ、何レモ制限ヲ設ケテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=70

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• 071・山川頼三郎

  ○山川委員　サウ致シマスト、此ノ間モ質
  問ガアリマシタガ、此ノ割合ト云フモノヲ
  凡ソ御定メニナツテ居ル、假ニ申シマスト町
  村費ガ一年ニ五万圓ナラ五万圓要ル、三万
  五千圓ナラ三万五千圓要ル其ノ中ドレニ
  何ボ課ケルト云フコトハ自由デアツテ、住
  民稅ニダケ多ク課ケテ、片方ヲ薄クショウ
  ト、サウ云フコトハ其ノ村ノ村會ノ決議デ
  ドンナニデモ勝手ニナルト云フ譯デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=71

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• 072・三好榮次郎

  ○三好政府委員　制度上サウ云フ風ニ相成
  ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=72

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• 073・山川頼三郎

  ○山川委員　ソレハ私ハ隨分村ノ事情ニ依
  ツテ種々ノ無理ガ生ジテ來ヤセンカ知ラン
  ト思フ、是ハ意見ニナリマスケレドモ、今
  日ノ村ノ政治、村會ノ決議ト云フモノガ洵
  ニ善良ナル立派ナル村會議員バカリガ集
  マツテ、私ト云フ觀念ガ少シモナシニ村ノ
  政治ヲスル、サウ云フ村バカリデアリマシ
  タラ宜シイガ、特例モ相當アルノデハナイ
  カ、斯ウ云フ風ニ思フ、ソレガ村長ノ選擧
  ニモ大變ナ影響ヲ及ボシ、又村會議員ノ選
  擧ニモ色々ナコトガ行ハレテ來テ、裏面ニ
  種々ノ策動ガ行ハレテ居ル、之ヲ私心配シ
  テ居ルノデゴザイマスガ、之ニ付テ國ノ方
  ヘハマダサウ云フ趣ハ聽エテ居ラヌノデゴ
  ザイマセウカ、其ノ狀況ニ付テ皆樣方ノ御
  認定ノ程ヲ一ツ承ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=73

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• 074・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御尤モデアリマシテ、制
  度ガ比較的自由ニ出來テ居リマスカラ、
  若シ非常ニ物ガ分ラヌハ或ハ無茶ナ村ニ
  於キマシテハ、必ズシモ感心シナイ稅制
  ヲ打立テルコトガ有リ得ルトモ思ハレマ
  ス、極端ナ例ヲ申上ゲマスレバ、例ヘバ
  自轉車税ニ村稅ノ全部ヲ持ツテ行ツテシ
  マツテ、地租附加稅モ家屋稅モ取ラヌト
  云フヤウナコトモ、制度トシテハ立テ得
  ル建前ニナツテ居リマス、假ニサウ云フコ
  トヲヤツタラドウダト云フコトニナリマス
  レバ、ソンナ無茶ヲヤラナイモノダト云フ
  信用ヲ前提ニシテ制度ヲ立テテ居リマスカ
  ラ、隨テ監督上サウ云フコトヲサセナイヤ
  ウニ是正シテ行ク以外ニ方法ハナイ譯デ
  アリマス、併シ實際問題ト致シマシテハ
  現在ノ稅制ノ下ニ於キマシテモ、財政收入
  ヲ經費支辨ノ必要上已ムヲ得ズ上ゲナケレ
  バナラヌト云フコトデ、是ハ必ズシモ宜イ
  コトデハアリマセヌガ、戶數割ヲ上ゲルコ
  トハ〓ネ致シテ居リマス、事態已ムヲ得ズ
  ヤツテハ居リマスガ、稅ノ組立ノ上カラ致
  シマシテ、稅制ガサウ云フ風ニ出來テ居ル
  カラ無茶ヲヤルト云フコトハ餘リ見受ケナ
  イノデアリマス、若シアリマシタ場合ニハ
  適當ナ場合ヲ捉ヘテ是正サセルコトハ致シ
  テ居ルノデアリマス、是ハ將來ニ於キマシ
  テモ一層留意シナケレバナラヌ問題デアル
  ト思フノデアリマス、殊ニ現行制度ニ比較
  致シマシテ、地方自治ノ尊重ト云フコトニ
  重點ヲ置イテ居リマス關係上、許可、認可
  事項等モ少ク致シテ整理ヲ加ヘテ居ルノデ
  アリマス、或ハ從前ノ制限外課稅制度ヲ廢
  止致シマシテ、標準率ヲ超過シタ課稅モ比
  較的自由ニ出來ルヤウニ致シテ居リマス、
  サウ云フコトヲ考ヘテ見マスト、惡イ村デ
  無茶ナコトヲヤルト云フコトニ付キマシテ
  ハ、一層監督ヲ嚴重ニシナケレバナラヌカ
  ト思フノデアリマスガ、午前ニモ申上ゲマ
  シタガ、一万數千ノ市町村ノ中デ監督上特
  ニ是正ヲ命ジナケレバナラヌ市町村ハサウ
  多クハナイト考ヘテ居ル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=74

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• 075・小山倉之助

  ○小山委員長　大藏省ノ政府委員ガ見エテ
  居リマスカラ此ノ際序ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=75

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• 076・山田義見

  ○山田政府委員　先程「カフエー」「バー」ノ
  御話ガアツタサウデアリマスガ、ソレニ對
  シテ御答致シマス、警察ノ方ノ取締ハ各府
  縣ニ依ツテ違ツテ居リマシテ、例ヘバ同ジ
  業態ニ於キマシテモ、或ル縣デハ之ヲカ
  フエー」ト呼ビ、又或ル縣デハ之ヲ料理店
  ト呼ンデ居ル所ガアルヤウデゴザイマス、
  大藏省ニ於キマシテハ全國同ジヤウナ取扱
  ヲ致シマス關係上、サウ云フ警察ノ名前ニ
  拘リマセズ、其ノ實體ニ著眼シマシテ、吾
  吾ガ「カフエー」ト認メルモノ、例ヘバ先程
  色々言ハレマシタ洋風ノ客室云々、サウ云フ
  實體ニアリマスモノヲ「カフエー」ナリ
  「バー」ナリトシテ取扱ヲ致ス積リデアリマス、
  是ハ獨リ遊興飮食稅ノミデアリマセズ、ヤ
  ハリ現行營業收益稅等ニ於キマシテ、例
  バ東京ノ玉ノ井邊リノ業態、アレヲ或ル府
  縣デハ料理店業態トシテ取扱ツテ居ル所ガ
  アルト思ヒマス(內藤委員「違ヒマス」)又是
  ハズツト前ノコトデアリマスガ、營業稅時
  代ニ同ジ業態ノモノヲ縣ニ依リマシテハ席
  貸業或ハ料理店業トシテ取締ツテ居リマシ
  テモ、稅務署デハ實體ニ著眼シマシテ其ノ
  業態ヲ取扱ツテ居リマシテ、必ズシモ府縣
  ノ方ノ業名トハ一致致シテ居リマセヌカラ
  御話ノヤウナモノナレバ免稅點ナシノ課稅
  ハ致シマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=76

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• 077・内藤正剛

  ○内藤委員　ソレデハサウナルト餘計伺ハ
  ネバナリマセヌ、府縣別ニ各地方長官ノ意
  見意見デ取締法規ガ違フ、ソレハ私モ知ツ
  テ居ル、ソレダカラ騒ギガ大キイノデス、
  大藏省ノ見方デハ定義ガ決マリマスレバ、
  各府縣廳ノ取締ヲ統一サレルト思ヒマス、
  アナタノ方ノ考ヘ方ト、ソレカラ各府縣ノ
  考ヘ方ト違ツテ居リマスカラ、ソレデ今騒
  ギガ大キクナツテ居ルト思フノデアリマス
  ガ、アナタノ方ノ此ノ議會デ聲明サレルノ
  ハソレナラドノ點マデヲ「カフエー」
  「バー」ト言ヒ、ドノ點マデヲ料理屋ト云フカ、
  其ノ定義ヲ此處デ御說明下サタツラドウデ
  スカ、其ノ定義ガ出來ヌト內務省モ御困リ
  ダラウシ、何處デモ困ル、アナタガ御認メ
  ニナツタヤウニ、各府縣違フノデアリマス、
  アナタノ方ハ勝手ニ唯認定々々デ行カウト
  仰シヤルシ、警察ハ警察デ認定ガ違フノデ
  スカラ、一ツ定義ヲ與へタラドウデス、アナ
  タノ定義ガ違ツタラ、間違ツテ居ルト指摘
  致シマス、アナタノ考ヘ方ヲ直サナケレバ
  ナラヌ、アナタノ考へ方ガ宜ケレバ私ハ承
  認致シマス、此處デ定義ヲ與ヘテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=77

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• 078・山田義見

  ○山田政府委員　「カフエー」ㄱバー」ノ定義
  ヲ此處デ今申上ゲル譯ニ行キマセヌガ、命
  令デ詳シク規定スル積リデアリマス、大體
  斯ウ云フ規定ヲ置キマシタノハ、大阪デア
  ルトカ、東京デアルトカ、アア云フ特殊ノ
  業態ノモノヲ指スノデアリマシテ、本當ノ
  田舍ノ方デ普通ノ料理屋ト變ラナイヤウナ
  モノ、サウ云フモノニ對シマシテモ同ジ取
  扱ヲスル積リハゴザイマセヌ、是ハ能ク地
  方ノ狀況ヲ調査致シマシテ、アトデハツキ
  リシタ扱ヒヲスルヤウニシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=78

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• 079・内藤正剛

  ○內藤委員　ソレデハ最後ニ釘ダケ差シテ
  置キマス、ソレハヨク世間ニアリマス、「カ
  フエー」「バー」ノ相當高級ノ金ノ要ル所ハ
  騷イデ居リマセヌ、實際喧マシク全國カラ
  吾々ノ所ニモ陳情ニ來テ居リマスノハ洋
  風ノ設備ヲ以テ五十錢トカ、一圓ノ「ラン
  チ」ヲ食ベサス、若クハ「コーヒー」ヲ飮ン
  デ居ル人ガ二階ニ上ルト、日本間ダカラ、
  稅金ガ掛ラナイ、三圓以下デスカラー-下
  デ腰掛ケテ食ベテ行ク者カラハ稅金ヲ取ル
  雇人モ何モ共通ノモノデス、ソレガ二階ヘ
  上レバ稅金ヲ取ラヌ、下ハ稅金ヲ取ルト云
  フコトハ客ニ言ヘナイ、アナタガ仰シヤル
  ノデドウカト思ツテ見ニ行キマシタ、ッ
  ノ實例ハ、木挽町ノ歌舞伎座ノ橫丁ノ一平
  ト同ジヤウナ設備デ女子ガ酌ヲシテ居ラヌ
  三友ト云フ所ニ默ツテ入リマシタ、アレハ
  銀座ノ一平ト變ラナイ、銀座ノ一平ハ當リ
  前ノ料理店デセウ、ソコハ同ジモノデアル、
  洋風設備デアルガ、オデンヲヤツテ居ルダ
  ケデ、女ハ居ラヌ、サウ云フ所ヲアナタノ
  方デハ特殊飮食店トシテ稅ヲ取ツテ居ル、
  サウ云フ不合理ノモノヲ街ノ眞ン中デ見テ
  來マシタ、場所マデ申上ゲテ置キマス、デ
  スカラ大藏省ノ方デモ課稅ニ付テハ御考ニ
  ナラヌト、內務省モ困ルシ、ソコデ相剋摩
  擦ガ起ルト云フコトヲ申上ゲ置イテ、アナ
  タ方ノ「カフエー」「バー」ニ對スル認識ハ、
  銀座邊リニアル、アアアノ「カフエー」カト云
  フヤウナ大キナ所ハ、ソレハ分ツテ居ル、
  サウ云フ所ハ誰モ騷イデ居ラヌ、騷グノハ、
  五十錢、一圓ノ「ランチ」ヲ腰掛ケテ食ツタ
  リ、「コーヒー」ヲ飮ンデ居ル所ダケデス、
  ダカラ大藏省ノ方モ良イ所バカリヲ見ズニ、
  小サイ所モ見テ、ドウ云フ風ナ所ニ爭ヒガ
  アルカト云フコトヲ見ヌト、課稅ニ付テ大
  キナ爭ヒガ起ル、私共ガアナタ方ニ質問シ
  テ居リマスノハ、自分ノ意思デ、自分ノ所
  ハ「カフエー」「バー」トシテ取締ヲ受ケタ
  イ、自分ノ所ハ料理店トシテ取締ヲ受ケタ
  イト云フモノハソレ〓〓其ノ取締ヲ受ケル
  ヤウニシテヤル、詰リ意思發動デ-學校
  デ〓ヘル本ノ通リ難カシイ言葉デ言ヘバ意
  思發動デ取扱ヲ二三ニシ、課稅標準ヲ二三
  ニサレタラドウデセウカ、ソレニ對スル御
  考如何ト云フコトヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=79

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• 080・山田義見

  ○山田政府委員　今仰セニナリマシタヤウ
  ナモノハ吾々「カフエー」「バー」トシテ課稅
  スル積リハゴザイマセヌ、恐ラク問題ニナ
  ツテ居リマスノハ、吾々ガ課稅ノ對象ニシ
  テ居ラヌモノデアラウト思ヒマス、今御示
  ニナツタモノ、例ヘバ三友トカ云フモノ、
  或ハ洋風ノ設備ヲシテ居ルカモ知レマセヌ
  ケレドモ、サウ云フモノハ名前ガ「カフ
  エー」デアリマシテモ課稅ヲ致サナイ積リ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=80

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• 081・内藤正剛

  ○內藤委員　他ノ問題ニ移リマスガ、最後
  ニ一寸申上ゲテ置キマス、其處ノ店ニ質問
  シタ所ガ、私ノ店ハ特殊飮食店デ取締ヲ受
  ケテ居リマス、「カフエー」「バー」ノ取締デ
  アリマス、洵ニ遺憾デアリマスト言ウテ居
  リマシタ、私モ辯護士ヲヤツテ居リマスカ
  ラ、證據ハ取ツテ置カネバイカヌト思ツテ
  質問致シマシタ、ハツキリ聽キマシタカラ
  申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=81

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• 082・山田義見

  ○山田政府委員　一寸申上ゲマス、先程申
  シマシタ通リ、稅法デ「カフエー」「「バー」ハ
  斯々ノモノト云フコトハ規定致シマセヌカ
  ラ、隨テ「カフエー」「バー」トシテ特殊飮食
  店ノ取扱ヲ受ケテ居リマセウトモ、サウ云
  フ實體ノモノハ實體ニ著眼致シテ課稅ハ致
  シマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=82

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• 083・内藤正剛

  ○內藤委員　要スルニサウ云フ所ハ非常ニ
  不平ヲ言ツテ居リマシタカラ、アナタ方ハ
  サウ云フモノニ付テハ考ヘテヤラナケレバ
  イケナイ、內務省ノ方デハ「カフエー」
  「バー」ト言ツテ居ル、變ナ話デアリマス、アノ
  街ノ眞ン中デサウデアリマス、先程私ノ手
  控デ拔ケテ居リマシタガ、丁度分リマシタ
  カラ申上ゲマス、分與稅法ノ第四十四條ニ
  「本法施行ニ關スル重要事項ニ付政府ノ諮問
  ニ應ズル爲地方分與稅委員會ヲ置ク」「地方
  分與稅委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之
  ヲ定ム」トアリマス、勅令ノ內容ハ言フ譯ニ
  ハ行キマスマイガ、大體此ノ組織サレル委
  員會ノ中ニ、六大都市、一面カラ言ヘバサ
  ウ云フ大キナ所ハ委員ニ入ルノデスカ入ラ
  ヌノデスカ、此ノ委員會ノ組織ガ間題ニナ
  ルノデス、私ハ尙ホ申上ゲテ置キマスガ、
  代議士サンモ偉イカモ知レマセヌガ、代議
  士サンデナク、實際ノ各都市ノ實務家ノ人
  ヲ入レテ上ゲル方ガ本當デハナイカト思ヒ
  マスガ、御考ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=83

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• 084・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ分與稅ノ組織ニ付キ
  マシテハ、此ノ間稅ノ大綱ヲ參考資料トシ
  テ差上ゲテ置イタト思ヒマスガ、是ハ稅制
  調査會デモ色々御意見ガゴザイマシテ、分
  與稅ト云フモノハ動モスルト官廳ノ自由裁
  量ガ非常ニ加ハル虞ガアル、併シナガラ斯
  ウ云フ地方ノ財源ガ官廳ノ自由裁量ニ依ツ
  テ二三ニサレルト云フヤウナコトガアツテ
  モイカヌシ、又地方ノ陳情等ニ依ツテ其ノ
  額ガ二三ニナルヤウナコトガアツテモイカ
  又、是ハ嚴格ニ法デ決マルヤウニスベキモ
  ノデアルト云フコトガ强ク主張セラレマシ
  テ、政府ハソレト全然同感ナノデ、隨テ今
  度御審議ヲ願ツテ居リマス地方分與稅法ト
  云フモノモ、可ナリ難カシイ法律ニナリマ
  シタケレドモ、是ハ稅制調査會ノ御意見ニ大
  體基イタノデアリマシテ、成ベク官廳ノ自由
  裁量ノ出來ナイヤウニ、又地方ノ陳情等ニ
  依ツテ動カナイヤウニ、ガツチリトシタ標
  準デ、地方團體間ニ於ケル實際ノ財政調整
  ガ出來ルヤウニシヨウト云フ趣旨デ分與稅
  ハ出來テ居リマス、ソレ故ニ更ニ今度勅令
  省令等ノ制定ニ付キマシテモ、ヤハリ細カ
  イ技術的ノ問題マデモ皆法規デ定メル積リ
  デアリマス、此ノ分與稅委員會ヲ何故設ケ
  ルカト云フコトニナリマスト、要スルニ議
  會ノ延長トシテ斯ウ云フ委員會ヲ設ケマシ
  テ、議會デ御協賛ヲ願フベキモノデ法律以
  外ノ事項ニ付キマシテハ、此ノ委員會ヲ通
  シテ御審議ヲ願ヒマシテ、其ノ內容ヲ定メ
  ルト云フ趣旨ニナツテ居リマスノデ、都市
  代表トカ、或ハ農村代表トカ、地方代表ト
  カ云フ意味ヲ此ノ委員會ニハ加ヘナイ、謂
  ハバ議會ノ延長ト云フヤウナ意味デ此ノ分
  與稅委員會ト云フモノヲ作ルト云フ趣旨デ
  ゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=84

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• 085・内藤正剛

  ○內藤委員　分リマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=85

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• 086・小山倉之助

  ○小山委員長　山川君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=86

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• 087・山川頼三郎

  ○山川委員　先程御尋申上ゲマシタ此ノ獨
  立稅デアリマスガ、制限ナシデ置イテオキ
  マスト、自轉車ノ如キハ大衆ノ持ツテ居ル
  モノデアルカラ、ソレニ固マル氣遣ヒハナ
  イカ、ソレデ自轉車稅ト云フモノハ廢メニ
  シヨウヂヤナイカ、ソレハ宜カラウ、ソレ
  ハ多クノ人ガ喜ブ、斯ウ云フヤウニスルコ
  トガ出來ルヤウニナル、此ノ間モ小見山サ
  ンノ御質疑ニモゴザイマシタガ、市町村民
  稅ハ千圓一本ダケ置イテオカレル、其ノ外
  ノモノハ各〓其ノ村ノ自由ニ委スト云フコト
  ニナリマスト、從來ノ特別戶數割、アノ法
  律ガ不都合デアルカラト言ウテアレヲ廢シ
  テ、サウシテ此ノ方ニ御改メニナツタノデア
  ルガ、其ノ御改メニナリマシタ方ガ、私ハ
  更ニ危險デハナイカト思フ、若シ假ニ日本
  全國一万何千ノ町村ノ中ノ或ル一部ノ村ガ
  中央マデ聞エテ居ルト云フヤウナモノハ、
  其ノ中ノ寥々タルモノデアリマセウ、ソ
  ンナモノデアリマスカラ、ソンナモノハ知
  レタモノデアルト云フ風ニ思ハレルデセウ
  ガ、サウハ表ニ現ハレテ居ナイノデ、言ウ
  テ居ラヌ所デ隨分無理ノ行ハレテ居ル所ガ
  相當ニアル、又是カラ先モ行ハレルノデハ
  ナイカト思フノデアリマス、ソコデ何モ彼
  モ無制限デ放ツテ置イテ、唯住民稅ノ千圓
  一本ダケヲ置イテオクト、大キナ所デハ役
  ニ立タナイ、千圓ヤソコラノモノハ埃見タ
  イナモノデアルト云フヤウナ所ガ澤山アル、
  ソレカラ又千圓マデハ取レル、是ハ十人ダ
  ケニ課ケテヤラウヂヤナイカ、千圓ヅツ十
  人取ツタラ一万圓取レル、ソレデ財源ハ宜
  イ、何ボマデハ取ラナケレバナラヌト云フ
  コトハアツテモ、何ボ以上ハ取ツテハイカ
  ヌト云フコトハナイカラ、他ノモノニ付テ
  取ルコトハ廢メニシヨウヂヤナイカ、是ガ
  一番人氣ガ好イト云フヤウナコトヲ言フ者ガ
  出來テ來ルト云フコトノ心配ハナイデアリ
  マセウカ、私ハ或村ノ話ヲ聽イテ居リマシ
  タラ、アノ人ハモツト取ツテヤラナケレバ
  ナラヌ、役場ノ原案ハ百圓ト云フ安イモノ
  デアツタガ、ソレヲモウ百圓取ラウヂヤナ
  イカ、ソレハ宜カラウ、ソンナ無茶ナコト
  ヲシテハイカヌト云フ者ガアレバ、吾々ノ
  方ハ十人ノ中七人居ルノダカラ、コツチノ
  言フ通リダト言ツテ取ツテシマツタ、サウ
  シタラ役場ノ方デ其ノ金ノ餘ルモノハドウ
  スルカト云フコトニナルト、ソレヂヤ村
  中ノ頭割ニ三十五錢ヅツ皆減シタラソレ
  デ濟ムヂヤナイカ、ソレヂヤサウシヨウ
  ト云フヤウナコトマデヤツタ村ガアルヽ
  隨分ソンナ所マデ行ツテ居ル、一人ノ者ガ
  其ノ人ト仲ガ惡カツタカラ、敵討ヲシタト
  云フヤウナ話モアル、洵ニ妙ナコトニナツ
  テ來ハセヌカ、ソレカラ考ヘテ見マスルト、
  是ハ凡ソドノ邊マデ取ツテモ宜イト云フコ
  トノ、凡ソノ率ヲ定メルコトハ如何デアリ
  マスカ、府縣會ナドニ於テ何カ一ツノ軌範
  デモ拵ヘテ、凡ソ之ニ據レト云フヤウナモ
  ノヲ拵ヘサセラレル所ノ御積リデアリマセ
  ウカ、全然棒拔デ町村ニ委スト云フ思召デ
  アリマスカ、ソレヲ一寸御伺申上ゲタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=87

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• 088・三好榮次郎

  ○三好政府委員　稅ニ依リマシテハ一定ノ
  標準ト云ヒマスカ、例ヘバ自轉車稅ハ二圓
  以上ハ取ラナイヤウニシロト云フコトヲ、
  本省カラ通牒デ勸告的ニ言ウテヤルト云フ
  コトヲ致シタイト思ヒマス、他ノ稅ニ付キ
  マシテハ、大體從前ノ取リ方デ目安ノ決マ
  ツタモノデアリマス、特別ニ從前ヨリモ變
  ヘテ强イ制限ヲ加ヘルトカ、緩メルトカ云
  フ程ノコトヲスル必要モナカラウカト、斯
  樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=88

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• 089・山川頼三郎

  ○山川委員　先日モ申上ゲマシタ通リ、此
  ノ住民稅ト云フモノノ制限ヲ撤廢スルカ、
  或ハ住民稅ヲ廢止スルコトハ出來マセヌデ
  スカ、住民稅ハナカツタ所デ他ノモノデ十
  分賄ヘル、住民稅ヲ何ガ爲ニ置イタカ、ソ
  レハ納稅シナイ者ガアルト、其ノ村ニ住ン
  デ居ツテ納稅シナイコトハイカヌト云フ唯
  納稅ノ義務ノ觀念ヲ養フガ爲ニ拵ヘルノデ
  アルト言ハレテ居ルケレドモ、五錢デモ稅
  金ナラ、十錢デモ稅金デアル、一人ニ十錢
  ヅツ位ノ稅金ヲ下ノ者ニズツト課ケテ、上
  ノ方デポスツト取ツテシマフト云フコトニ
  ナレバ、是モ大變困ツタコトニナル、サウ
  云フコトハマルキリ棒拔キデ町村ノヤルガ
  儘ニ委シテヤリ、一人カ二人ノ者ノ言フコ
  トニ依ツテ決スルコトニナル心配ガアル、
  ソンナ無茶ハシハセヌト仰シヤルケレド
  モ、相當無茶ガ出來テ居ル、今後モ亦出來
  ルカモ分ラヌ、世ノ中ガサウ云フ風ニナリ
  ツツアル、此處デ御考ニナル程デハナイ、
  割合ニ田舎モ妙ナコトヲヤルヤウニナツテ
  來タノデアリマスカラ、マルキリ棒拔ニ委
  スト云フコトモドウカト思フ、制限ハ工合
  ガ惡イシ、是マデノ戶數割ニ代ツテ此ノ
  住民稅ガ出來タ、是マデノ特別戶數割ハ凡
  ソ收入ノ根據ニ依ラナケレバナラヌ、役場
  ガ提示シタ金額ヨリ四割以上ノ稅ハ課ケラ
  レヌト云フヤウナ內規マデ拵ヘテアツタ、
  役場ガ百圓トシテ居ルノデアツタラ、百四
  十圓マデハ村會デ決メルコトガ出來ルコト
  ニナツテ居ツタカラ、百圓ノ稅金ヲ出シテ
  居ル者カラ二百圓取ルコトハ出來ナイ、ケ
  レドモ、今度ハソンナ制限ハナイカラ、ド
  ウデモナルノデアリマスガ、是ガナカツタ
  ラ廻リガ付カナイト云フコトニナルノデア
  リマスカ、私ハ此ノ稅金ニ對シテハ却テ從
  來ノ特別戶數割ヨリ以上ニ恐レル者デアリ
  マスガ、ドウゾ一ツ之ニ對スル御答辯ヲ願
  ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=89

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• 090・挾間茂

  ○挟間政府委員　ドウモ山川サンノ此ノ稅
  ヲ廢止シタラドウカト仰シヤル意味ガ私十
  分呑込メナイノデアリマス、戶數割ハ惡カ
  ツタト云フコトハ十分御認メニナツテ居ル
  ヤウデアリマス、戶數割ヲ廢止シテ、今度
  ノ市町村民稅ヲ設定スルト云フコトハ決シ
  テ戶數割ノヤウナ非常ナ負擔過重ニナルヤ
  ウナ稅ヲ再ビ此ノ稅制ノ上ニ出サウト云フ
  ノデハナクテ、極メテ輕イ稅デ、而モ市町
  村民ガ普遍的ニ市町村ノ負擔ヲ分任スルト
  云フ趣旨ヲ稅制ノ上ニ現ハシテ行カウト云
  フノガ此ノ市町村民稅デアリマス、今度稅
  制ガ變ツテ參リマシタ結果、配付稅ハ別ト
  シテ、市町村デハ地租、家屋稅、營業稅
  ノ附加稅ト云フモノガ大體主ナ稅種ニナツ
  テ參ル、サウスルト土地ヲ持ツカ、家屋ヲ持
  ツカ、或ハ營業ヲ營ムカ以外ノ人ハ、市町村
  ノ負擔ヲ分任シナイコトニナリマスカラ、
  ソレデハドウモ所謂地方自治ノ根本精神デ
  アル負擔分任ノ精神ト云フモノガ稅制ノ上
  ニ現ハレナイデハナイカト云フノデ、此ノ稅
  ヲ置イタ譯デアリマス、隨テ此ノ市町村民稅
  ト云フモノハ地方自治ノ根本精神ヲ稅ノ上
  ニ現ハスト云フノデ、私共ハ非常ニ大切ナ稅
  ダト考ヘテ居ル、山川サンノ御心配ニナリマ
  ス是ガアルト云フト戶數割ノヤウニ非常ニ
  恐ルベキモノニナリハシナイカト云フコトデ
  スガ、ソレハ決シテナラナイ、度々申上ゲマス
  ヤウニ此ノ稅ハ其ノ團體ニ於テ課稅シ得ル
  最高限度ト云フモノガ定メラレテ居リマス、
  村デ申シマスト納稅者一人當リ四圓以上ハ
  取レナイノデスカラ、納稅者千人ノ村デア
  レバ四千圓以上ハ取レマセヌ、ソレ以上ハ
  取レナイノデス、サウシテ一人ハ千圓以上
  ハ取レナイ、其ノ範圍内ニ於テ各市町村ガ
  各其ノ意思ニ從ツテ適當ナル課稅ヲシテ參
  ル譯デアリマスカラ、負擔ノ過重ニナルト
  云フヤウナ虞ハアリマセヌ、サウシテ是ノ
  ミガ地方稅デハナクテ、地方稅ハ色々ナ稅
  ガ集マツテ地方ノ歲入ノ總體ヲ構成シテ居
  ル譯デアリマスカラ、此ノ稅ガアル爲ニ非
  常ニ地方負擔トシテ恐ルベキモノニナルト
  云フコトハ絕對ニ起ラヌト考ヘマス、サウ
  シテ此ノ稅ノ設ケラレマシタ趣旨ハ今申シ
  マシタヤウナ大キナ眼目ヲ持ツテ居リマス
  ノデ、之ヲ廢止スルト云フヤウナ考ハ特ツ
  テ居ナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=90

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• 091・池本甚四郎

  ○池本委員　只今市町村民稅ニ付キマシテ、
  大體此ノ稅ノ設定ハ負擔分任精神ニ依ルモ
  ノデアルト云フ御話デアリマスガ、ソレハ
  諒承致シマシタ、ソレデハ此ノ稅ニ付キマ
  シテノ衡平ノ觀念ニ付キマシテハドウ云フ
  風ニ御考ニナツテ居ルノデアリマスカ、ソ
  レヲ伺ヒタイ、負擔分任ノ精神サヘアレバ、
  衡平ノ方ハ大體昔カラ言ツテ來テ居ツタ租
  稅ノ方ノ原則デアルガ、ツレハ構ハナイト
  云フノデアリマスカドウデゴザイマスカ、
  一寸承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=91

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• 092・挾間茂

  ○挾間政府委員　負擔分任ノ精神ト云フコ
  トカラ申シマスト、衡平ノ原則ト云フモノ
  ハ或ハ加味シナイデモ宜イカモ知レナイト
  思ヒマス、單純ナ會費ト云フ考デ申シマス
  トソレハ別箇ノ問題デアルト思ヒマスガ、
  稅デアル以上ハソコニ負擔ノ輕重ト云フコ
  トヲ加味シナケレバナラヌト思フノデア
  リマス、隨テ最高千圓ノ限度ニ於キマシテ
  等級ヲ付ケルト申シマスカ、高下ノ別ヲ付
  ケマシテ、適當ナ課稅標準ニ從ツテ納稅額
  ヲ定メテ行クト云フコトニ致シタイト思ヒ
  そう、併シナガラ大キナ國民負擔ト云フ立
  場カラ考ヘマスト、是ハ市町村民稅ノミヲ
  以テ國民負擔ノ均衡ヲ保持スルト云フコト
  ハ、今度ノ稅制ニ於テハ考ヘテ居ナイノデ
  アリマシテ、國民負擔ト云フ大キナ問題ハ
  中央地方ヲ通ズル稅制全般ヲ通ジマシテ、
  ソコニ負擔ノ均衡ヲ得ルヤウニ致シテ居ル
  ノデアリマシテ、市町村民稅ト云フモノハ
  之ニ依ツテ負擔ノ均衡ガ保持セラレテ居ル
  ノデアルト、斯ウ云フコトハ申上ゲ兼ネル
  ト思ヒマス、併シナガラ是ガ稅デアルト云
  フ立場ニ於キマシテハ、輕度ナガラ一千圓
  ヲ最高トシテ、其ノ限度ニ於テ程度ノ相違
  ヲ設ケテ、負擔力ノ上下ニ從ツテ稅額ノ區
  別ヲ付ケテ行クト云フコトニ致シタイト思
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=92

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• 093・池本甚四郎

  ○池本委員　國稅、地方稅ヲ通ジマシテ全
  體的ニ衡平ト云フコトヲ考ヘテ居ル、是ハ
  當然デアリマス、併シナガラ一市町村內ト
  云フ小サイ見地カラ見マスルト、多クノ人
  ハ左樣ニ大キナ眼界カラ衡平不衡平ト云フ
  モノハ見ナイ、ト致シマスト、小サイ市町
  村內ニ於キマスル衡平ガ得ラレナイト云フ
  ト、何時カノ委員會デドナタカカラモ質問ガ
  アツタト思ヒマスガ、ドウモ其處ニ彼此レ
  物議ガ起リ易イ、サウ云フ廣イ立場カラノ
  衡平、不衡平ヲ言フナラバ、從來ノ戶數割
  デ行ク衡平、不衡平ト云ヒマシテモ、ソレ
  ハ國稅ヲ合セテ見ルナラバ、ドウ云フ風ニ
  ナツテ居ルカ分ラナイ、ソレデ出來ルナラ
  バ一ツ〓〓ノ稅ニ付テ衡平、不衡平ヲ決メ
  テ行クナラバ、軈テ其ノ總和ト云フモノハ
  ヤハリ衡平ニナルノダ、ダカラドウシテモ
  ヤハリ此ノ衡平ト云フコトハ失ツテハナラ
  ナイ、斯ウ私ハ考ヘルノデアリマス、併シ
  是ハ又私ノ本當ノ質問ノ番ノ來マシタ時ニ
  詳細ハ申上ゲマスガ、ソレハ暫ク茲ニ預
  ケマシテ、其ノ負擔分任ノ精神デアリマス、
  ドウモ窮極ニ於テ一人ニ付テノ最高額ヲ千
  圓ニ決メテ置カレル、ソレカラ色々考ヘテ見
  マスト、實際上負擔分任ノ精神ヲ實現實行
  出來ルデアラウカドウカト云フヤウナ場合
  ガ起ルノデハナイカト考ヘルノデス、ソレ
  ニ付テ申上ゲマスト、大體戶數割平均一戶
  二十圓ト致シマス、今日町村ノ實情カラ言
  ツテ、少シ金持ト言ハレル人ハ七八百圓納
  メテ居ル、地租ハ一圓デモ一圓五十錢デモ
  アリマス、ソコデ二十圓ノ平均ニ取リマシテ、
  假ニ最高八百圓納メテ居ル人ガアル、最低ヲ
  二圓ノ場合、斯ウ致シマス、戶數割ハ言フマ
  デモナク地方別ニ見マスト、甚ダ不衡平ニナ
  ツテ居リマシタガ、其ノ一市町村内ニ於テ
  ハ私ハ大體ニ於テ衡平ヲ保タレテ來テ居ツ
  タモノト考ヘル、サウスルト、今申シマシタ
  二十圓、八百圓、二圓ト云フノガ、大體是ガ
  一市町村內ニ於ケル衡不ニナツテ居ルダラ
  ウト思フ、ソレデ文句ガナイヤウニ、之ヲ
  町村四圓ノ平均デ抑ヘテ見マスト五分ノ
  ニナリマス、ソレデ「レベル」ヲ下ゲテ參リマ
  スルト、八百圓納メテ居ツタ者ガ百六十圓、
  サウシテ其ノ最低者ハ二圓デアツタノガ四
  十錢ニナルノデス、ソコデ其ノ最低限度ニ
  付キマシテ御考ニナツテ居ルカドウカ、其
  ノ點ヲ先ヅ中間的ニ伺ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=93

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• 094・挾間茂

  ○挾間政府委員　只今ノ御質問御尤モデゴ
  ザイマス、最後ノ御尋ノ市町村民稅ノ最低限
  度ニ付テハ、別ニ之ヲ一圓ニスルトカ、五
  十錢ニスルトカ云フコトハ政府ノ方針トシ
  テハ考ヘテ居リマセヌ、地方ノ自由ニヤラ
  セタイト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=94

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• 095・小山倉之助

  ○小山委員長　池本君ドウデス、關聯質問
  デナク、アナタノ順ノ時ニ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=95

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• 096・池本甚四郎

  ○池本委員　ソレデハ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=96

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• 097・山川頼三郎

  ○山川委員　モウ此ノ事ハ、凡ソ自分ノ考
  ヘタコトヲ申上ゲタ譯デゴザイマスガ、只
  今仰セラレルノモ同ジコトデゴザイマス、
  實際此ノ割合ト云フモノノ限度サヘ決メテ
  置イテ貰ヒマシタラ、是ハ何ボ課ケテモ宜
  イ、是ハ何ボ課ケテモ宜イト云フコトヲ凡
  ソ頭ニ持ツケレドモ、ドレノ分ニドウ取レ
  ト云フコトヲ其ノ村ニ任セテシマフ、自由
  ニナルノデアリマスカラ、私ハ從來ノ稅金ヨ
  リ、小サナ村ヲ考ヘマスト、モウ一ツ不均
  衡ヲ助成シヤシナイカト云フ心配ヲ持ツテ
  居リマスノデ、凡ソ最低モ定メラレマスマ
  イガ、市町村民稅ガ假ニ四圓ト致シマシテ、
  最低一圓ナラ一圓ト定メルトカト云フ位ノ
  コトデモ定メタラドウカト思ツタリスルノ
  デスガ、是マデ村ノ稅金五十錢ト云フヤウ
  ナモノガヤハリアルノデアリマス、全體デ
  一人ニ五十錢位ノモノモアル、ソレ位ノコ
  トニナツテ居ル所ヘ一圓モ課ケラレタラ
  是ハ大變ナ增稅ダト言フヤウナ者モ出來テ
  來ルヤウナコトデアリマスガ、五錢取ツテ
  モ三錢取ツテモ是ハ民稅ト云フコトニナル、
  サウスルト一方デハ千圓マデ取ル、五人ダ
  ケ千圓取ツテ、アト三人ハ三百圓取ルカラ、
  ソレデ村ノ稅金ハ半分、一戶二十圓トシマ
  シタ所デ六百戶アツテ一万二千圓デアリマ
  ス、一万二千圓ヲ特別戶數割デ取ツテ居ツ
  タト云フコトニナリマス、一万二千圓ノ半
  分位ハ是カラデモヨウ取レルト云フコトニ
  ナル、サウシテ自轉車稅ダケハ一ツ此ノ村
  ハ全部省カウヂヤナイカ、是ハ大變ナ人氣
  取ノコトニナツテ、今度ハ僕ガ一ツサウ云
  フ風ニスルカラ、僕ヲ村會議員ニ當選サシ
  テ吳レ、僕ハ斯ウ云フコトヲヤツテ自轉車
  稅ヲ全廢シタト云フヤウナコトニモナルノデ
  アリマシテ、村ノ今日ノ心理ナント云フモ
  ノハ其ノ點ニ行クト中々難カシイモノデゴ
  ザイマスカラ、餘程其ノ點ハ深ク考ヘテ戴
  イテ、何カ之ニ課ケル標準、基準ト云フヤ
  ウナモノヲ作ツテ、府縣廳ノ知事カラ町村
  長ニ有力ナル資料ヲ渡シテヤラヌト非常ニ
  困ルダラウ、ソレハ府縣ノ方カラデモ宜シ
  イシ、國カラデモ宜シイ、凡ソ之ニハドレ
  位課ケルトカ、他ノモノニハドレ位課ケナ
  ケレバイカヌト云フ風ニ、何トカ其ノ標準
  ヲ作ツテ戴カヌト困ルト思ヒマスガ、是ハ
  意見ニナリマスノデ、此ノ位デ私ハ終ルコ
  トニ致シマス、其ノ他先程內藤サンガラモ
  御尋ニナリマシタ入場稅、其ノ他ノコトニ
  付テマダ御伺シタイコトモアリマスガ、是
  此處デハ內務省ノ方へ御伺スルヨリハ本
  會ノ方デ色々伺ツタ方ガ宜イカト思ヒマス、
  私ノ質問ハモウ全部ナクナリマシテ、是位
  ノコトデゴザイマス、又關聯ニ依リマシテ
  人樣ノ分デ思出シマシテ御質問申上ゲルコ
  トハアルカモ知レマセヌケレドモ、當所デ
  ハ是位ノコトニ致シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=97

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• 098・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ池本甚四郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=98

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• 099・池本甚四郎

  ○池本委員　少シ順序ヲ立テテ私ノ方カラ
  御伺スル積リデアリマシタガ、住民稅ノ方
  ヘ飛ンデ參リマシタカラ、其ノ方カラ私ノ
  質問ヲ片付ケテ行キマス、ソコデ先程中途
  ニナリマシタ住民稅ノ衡平ノ點デアリマス、
  負擔分任ノ精神ノ方面カラノコトハ一寸
  除キマシテ、先刻ノ局長ノ御話デハ兎〓
  モ角ニモ此ノ住民稅ダケニ關シテハ特ニ負
  擔ノ衡平ヲ期シ得ナイ、斯ウ云フ場合ガア
  ルト解釋シテ宜シウゴザマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=99

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• 100・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ市町村民稅ダケヲ以
  テ完全ニ負擔ノ均衡ヲ期スルコトハ出來ナ
  イト思ヒマスガ、此ノ稅自身ト致シマシテ
  ハ、千圓ノ最高限度ノ範圍內ニ於キマシテハ、
  負擔ノ狀況ニ應ジタ課稅ヲ爲スヤウニナツ
  テ居ルト思ヒマス、其ノ意味ニ於キマシテ
  ハ負擔ノ衡平ハ期シ得ラレテ居ルト思ヒマ
  ス、併シナガラ其ノ人ノ全體的ノ國民トシ
  テノ負擔ノ均衡ト云フコトハ、國稅ト地方
  稅トヲ通ジテ考ヘナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=100

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• 101・池本甚四郎

  ○池本委員　是ハ私ハ町村ニ付テ言フノデ
  アリマスガ、一人ニ付キマシテノ最高千
  圓、町村デハ平均四圓、ソレガ何ダカ絡ミ
  合セマシテ御考ニナツタノデアリマスカ
  ドウデゴザイマスカ、其ノ點ニ相關的ノ關
  係ガアルノカドウカ御伺シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=101

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• 102・挾間茂

  ○挾間政府委員　大體相關聯シテ居リマス、
  ソレハ市町村民稅ヲ總額ニ於テ五千万圓ト
  云フコトヲ一應抑ヘマシテ、サウシテ各團體
  ニ於テドレダケノ課稅ヲスルカト云フコト
  ヲ定メマス場合ニ、大都市、都市ト農村方
  面、是ハ團體全體トシテノ課稅力ト云フモ
  ノガ自ラ其ノ三種デ區別ガ出來ルデアラウ
  ト思ヒマスノデ、是ハ農村方面ト大都市方
  面トノ資力ト云フモノモ餘程違ヒマスカラ
  明瞭ダラウト思ヒマスガ、サウ云フ風ニ三
  「ブロック」ニ分ケマシテ、サウシテ八圓、
  六圓、四圓、斯ウ云フコトニ致シタノデア
  リマス、ソレハ五千万圓ノ稅收入ヲ得ル爲
  三、此ノ限度ノ最高限ヲ抑ヘルコトニ依
  ツテ五千万圓ノ收入ヲ得ルコトガ出來ル譯
  デアリマス、ソレカラ千圓ヲ抑ヘマシタノ
  モ、大體其ノ意味ヲ以テ最高限ヲ抑ヘルコ
  トニシタノデアリマス

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• 103・池本甚四郎

  ○池本委員　成程現在ノ戶數割總額、尤モ
  今日デハ臨時補給金デ一寸減ラサレテ居リ
  マスカラ、アレヲ本來ノ戶數割ノ總額カラ
  見、サウシテソレガ平均二十圓ソコ〓〓
  ダ、今度ソレガ四圓、サウシマスルト、ソ
  コデ五千万圓、平均額ノ四圓ト狙ハレタ點
  ハ大體ニ於テ其ノ點ニ來ルダラウト思フ、
  ソコデ其ノ千圓ノ點ハ私カラ考ヘマスル
  ト、千圓ト云フ一人ニ付テノ最高限度ヲ此
  處ニ置カレタ點ガドウモヲカシイ、下ヘ掘
  下ゲラレテ來ルト私ハ考ヘル、大體其ノ最
  高限度ニ付テハ考ヘテ居ラナイト仰シヤイ
  マシタガ、併シソレデハ先程申シマシタヤ
  ウニ大體三十錢デモ、四十錢デモ取ラナ
  ケレバナラヌ、斯ウ云フコトニナルノデス
  ガ、實際ノ町村ノ實務カラ考ヘマスルト、
  ソンナモノハ取レハシマセヌ、十圓デモ切
  符一枚ダ、三十錢デモ四十錢デモ切符一枚
  買ハナケレバナラヌ、又サウ云フヤウナモ
  ノハ、ソレハ決ツタ農村デハ大體先祖傳來
  居ル者ガ多イデセウケレドモ、、一寸多イ町
  會ニナツテ來レバ、今日居ツテモ明日居ル
  カ居ラヌカ分ラヌ、又何處ノ隅ニ居ルノ
  カ、居ヅテモ借家住ヒデアルノカ實際分リ
  ハシマセヌ、サウナリマスルト滯納シタラ
  何處へ取リニ行クカ分リハシマセヌカラ、
  實際恐ラク取レナイト云フコトニナルト私
  共思フ、ソレガ少ナケレバ宜シイノデスケ
  レドモ、多イト云フコトニナリマスルト、
  一寸話ハ戾ツテ來マスルケレドモ、負擔分
  任ノ精神カラ言ツテ、大體多勢ノ者カラ取
  レヌヂヤナイカ、三十錢デモ四十錢デモ取
  ルノデナケレバ其處ノ住民全體ニ稅ノ分擔精
  神ヲ喚起サスコトガ出來ナイ、アナタノ方
  カラ御出シニナツタ此ノ統計ヲ見テミマス
  ルト、是ハ十四年十二月ニ發行サレタアナ
  タ方ノ調査デスガ、現在ノ戶數割ノ負擔額
  ヲ階級別ニ調ベタモノヲ見マスルト、全國
  的ニハ總戶數ノ中デ一戶平均額以下ノモ
  ノガ七割四分四厘ニナツテ居ル、サウシテ
  ソレ等ノ人ノ負擔シテ居ル金額ヲ見マスル
  ト二割八分六厘、ダカラ小サイ者ノ數ガ如
  何ニ多イカト云フコトガ、是デ分リマス、
  サウスルト其ノ衡平ノ觀念ヲ貫ヌカウトシ
  マスルトズツト下ノ三十錢、四十錢マデ漁
  ラナケレバナラヌ、ソンナコトハ實際上町
  村事務トシテ殆ド不可能ニ近イヂヤナイ
  カ、ソレナラバ、ソンナモノハ皆廢メニシ
  テシマヘバ、ソコデ其ノ大部分ノ者ニ町村
  住民タルノ名譽心ヲ喚起セシメルト云フ、
  アナタ方ノ立法ノ趣旨デアル負擔分任ノ精
  神ガ實際ニ於テ大多數ノ者ニ行ヘナクナル
  ノデハナイカト思ヒマスガ、其ノ點ハドウ
  デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=103

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• 104・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレハ戶數割デモ同ジコ
  トデアリマシテ、今御話ノヤウニ相當低イ
  モノモ戶數割トシテハ年何期カニ分ケテ課
  ケテ居ルノデアリマシテ、市町村民稅ニ於
  テ初メテサウ云フ問題ガ起ルト云フモノデ
  ハナイノデアリマス、而モ又市町村民稅ト
  シテハ、相當小額ノモノニマデ課稅シテ、
  十分各人ニ負擔分任ノ精神ヲ徹底セシメル
  ヤウニシナケレバナラヌノデアリマスシ、
  是ハ課稅技術上ノ問題トシテハ、從來ト別
  段變リナクヤツテ行ケルモノト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=104

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• 105・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御參考マデニ申上ゲテ置
  キマスガ、現在ノ戶數割デ小額ノモノヲド
  ノ程度マゲ取ツテ居ルカト申スト、最近ノ調
  デハ十錢以下取ツテ居ルモノハ市ガ二十二、
  町ガ百六十一、村ガ千三デ、合計千百八十
  六、十錢以上二十錢以下ガ千四百六十四ト
  云フ譯デアリマシテ、五十錢以下ヲ取ツテ
  居ル市町村ヲ調ベレバ結局六千近ク、詰リ
  半分以上ノ市町村ガ五十錢以下ノ小額ヲ取
  ツテ居リマス、而シテ之ヲ大部分二期乃至
  四期ニ取ツテ居ルノデアリマシテ、市町村
  民稅ハ一期ニ徵收サセル豫定デゴザイマス
  カラ、其ノ四分ノ一ノ額デアツテモ現狀ト
  同ジヤウニナル譯デ、現情ニ比ベテサウ厄
  介サガ增スト云フ問題ハナイノデハナカラ
  ウカト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=105

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• 106・池本甚四郎

  ○池本委員　只今ノ三好君ノ御答辯ノヤウ
  ナ實情デアルナラバ、其ノ點ニ於テハ私大
  體諒承致シマシタ、伹シ其ノ前ノ局長ノ、サ
  ウ云フ觀點カラノ御話デハ分ラナイ、戶數
  割ハ大體ガ當初ノ出發ガヤハリ今日ノ住民稅
  ト同ジヤウナ精神デ、人頭稅的ニ來テ居ツ
  タカモ分リマセヌガ、最近ニアノ戶數割ガ
  イケナイト云フコトデ廢止ニナツタガ、サ
  ウ云フ負擔分任ノ精神ハ何處カヘ行ツテシ
  マツテ、今日ハ稅收目的ノ稅ニナツテ居ル
  ノデセウ、今度ハ稅收ヲ目的トシナイ、住
  民稅ト同ジモノダト云フナラバ變ヘル必要
  ハナイデハナイカ、全然變ツタカラ變ヘタ
  ノデセウ、戶數割カラ違ツタモノヲ捉ヘテ
  來テ、ソレト同ジダト云フ御答辯デハ分ラ
  ナイ、モウ一度御答辯ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=106

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• 107・挾間茂

  ○挾間政府委員　アナタガ課稅技術上ノ問
  題ヲ御尋ニナツタカラ、私ハサウ御話シタ
  ノデアリマスガ、戶數割ハ十錢、二十錢、
  三十錢ト云フヤウニアリマシテ、サウ云フ
  小額ノモノヲ現在デモ課稅致シテ居ルノデ
  アリマスカラ、ソレヲ而モ年何期カニ課稅
  シテ居ル、デスカラ小額ノモノヲ取ルト云
  ツテモ別段課稅技術上困ラヌデアラウ、現
  在デモヤツテ居ルカラ、市町村等モ別段困ラ
  ヌト云フ例示ニ戶數割ヲ申上ゲタノデアリ
  やっく、今度市町村民稅ニナリマシテ、是ガ
  假ニ最低五十錢ニナリ、或ハ町村ニ依ツテ
  ハ三十錢ニナルカモ知レマセヌガ、サウ云
  フヤウナ小額ナモノニナリマシテモ、ソレ
  ヲ課稅スル場合ニハ、從來戶數割ヲ取ツテ
  居ツタ町村ノコトデスカラ、實際ノ賦課ニ
  ハサシタル困難モナク出來ルデアラウト云
  フ、課稅技術上ノ例トシテ戶數割ト比較シ
  テ御話シタノデアリマス、ソコデ市町村民
  稅ノ稅ノ本質トシマシテハ、是ハ決シテ戶
  數割ヲ變更シテ、戶數割ノ一變形トシテ市
  町村民稅ヲ持チ出スト云フ考デハナイノデ
  アリマシテ、戶數割ガ今マデ非常ニ負擔過
  重デアツタ、ソレデ如何ニ變更シテモ之ヲ
  殘スコトハ困難デアルカラ、戶數割ハ全廢
  スル、併シ今度稅ノ體系ガスツカリ變ツテ、
  地租、家屋稅、營業稅ト云フヤウナモノヲ
  獨立稅トシテ地方國體ノ稅ノ中心トスルコ
  トニナリマスト、ソコニ地方團體ノ住民ト
  シテ負擔ヲシナイモノガ澤山出來テ參リマ
  スカラ、是ハ地方自治ノ建前カラ言ツテ面
  白クナイデアラウ、ソコデ市町村民稅ト云
  フ極メテ普遍的ナ納稅義務者ヲ抑ヘタ稅ヲ
  起スコトガ必要デアル、ソコデ市町村民稅
  ヲ起スガ、ソレニ依ツテ非常ニ稅收入ヲ得
  ルト云フ形ヲ取ツテハ、稅ノ性質上負擔ガ
  過重ニナツテ面白クナイデアラウ、ソレ故ニ
  成ベク輕イ稅ニスル、其ノ爲ニハ納稅者一
  人當リ町村デハ四圓、大都市デモ八圓位ニ
  抑ヘナケレバイケナイ、同時ニ負擔力ノアル
  者デモ千圓位ニ抑ヘテ、餘リ多額ナ稅ヲ取
  ルコトノナイヤウニシヨウト云フコトデ、
  稅ノ性質トシテハ、戶數割トハ全ク別個ノ
  立場ニ於テ此ノ市町村民稅ヲ課スル併シ
  ナガラ課稅技術ノ上カラ申シマスト、旣
  戶數割ニ於テモサウ云フ細カイ稅マデモ
  取ル經驗ヲ町村ハ持ツテ居リマスカラ、市町
  村民稅ニ於テモ大ナル困難ヲ感ズルコトナ
  ク徵稅ヲスルコトガ出來ルノデハナイカト
  云フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=107

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• 108・池本甚四郎

  ○池本委員　只今ノ問題デ住民稅ノ本質ガ
  ドウ云フモノデアルカハ大體分リマシタガ
  從來ノ戶數割トハ違ツタ性質ノ稅デアルト
  考ヘルノデゴザイマスガ、念ノ爲ニ伺ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=108

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• 109・挾間茂

  ○挾間政府委員　戶數割トハ出發點ヲ異ニ
  致シテ居リマス、戶數割ガ持ツテ居ル長所
  ハ十分感ジテ居リマス、之ニハ無論缺點モ
  アリマスガ、彈力性ガアルト云フコトハ相
  當ノ長所デアリマス、是ハ他ノ方法、卽チ
  三收益稅ノ伸縮稅デ之ヲ補ヅテ行クコトニ
  シヨウ、又一面ニ於テ戶數割ガ所謂市町村
  ノ負擔分任ノ精神ヲ稅制ノ上ニ現ハシテ居
  ル、之ヲ何等カノ形ニ於テ稅制ノ上ニ殘シ
  テ置カウ、之ニハ市町村民稅ト云フ形ニ於
  テ稅制ニ現ハサウト云フコトデ、市町村民稅
  ヲ起シタノデアリマス、其ノ點カラ致シマス
  ト、全ク共通ナ稅制デアルト言ヘルト思
  ヒマスケレドモ、出發點トシテハサウ云フ
  關係ニ於テ出來タ稅デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=109

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• 110・池本甚四郎

  ○池本委員　サウスルト大體サウ云フヤウ
  ナ課稅方法ハ其ノ地方々々ニ任スド云フコ
  トデアリマスガ、ソレニシテモ大體ドウ
  云フモノヲ標準ニシテ課稅スルカト云フ大
  凡ノ所ガアルダラト思ヒマス、或ハ參考書
  ヲ頂戴シテ居ルカモ分ラナイノデアリマス
  ガ、アナタノ方デハドウ云フモノヲ標準ニ
  シテ課稅ヲサスト云フヤウナ大凡ノモノハ
  ゴザイマセヌカ、承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=110

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• 111・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ成ベク市町村ノ自由
  ニ任セタイト思ツテ居ルノデアリマシテ、
  果シテ通牒等ニ依ツテ示スコトガ適當デア
  ルカドウカト思ツテ居リマスガ、吾々ガ先
  ヅ想像シテ居ルノハ大都市ト農村方面トデ
  ハ餘程違フト思ヒマス、例ヘバ大都市方面
  デハ見立割ニ依ルトカ云フヤウナコトハ困
  難デアリ、結局所得額ニ依ルコトニナルノ
  デハナイカ、又農村方面デハ見立ニ依ル方
  法モ適當デハナイカ、卽チ一ツニハ所得額
  ガ標準ニナル場合モアルデアラウ、又所得
  額ニ依ルトシテモ、ソレデ賦課率ヲ設ケテ
  ヤル場合ガアリ、或ハ等級ヲ設ケテヤル場
  合ガアル、ソレカラ所得額ニ家屋ノ賃貸價
  格ヲ加味シテヤル場合モアルデアラウ、サ
  ウシテソレニ一定ノ等級ヲ設ケテヤル、ソ
  レカラ場合ニ依ツテハ家屋ト宅地ノ賃貸價
  格ヲ標準ニ抑ヘテモ宜カラウ、又戶數割ノ
  如ク資產ノ狀況ヲ抑ヘテモ宜クハナイカ、
  是デ一定ノ係數ヲ作ツテ課稅シテモ宜イ、
  ソレカラ今申上ゲタヤウナ見立ニ依ルトカ
  色々市町村ノ實情ニ應ジテ、今申上ゲタヤ
  ウナモノガ大體抑ヘ得ル一ツノ課稅標準ノ
  取リ方デハナイカト思ツテ居リマスガ、其
  ノ外ニモアレバ、決シテ他ノ方法ニ依ツテ
  ハナラヌト云フコトハナイト思ヒマスガ、
  今一應想像シテ居リマス課稅標準ノ抑ヘ方
  ハサウ云フモノデハナイカト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=111

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• 112・池本甚四郎

  ○池本委員　サウ致シマスト、都市ノ方デ
  ハ所得稅的ニナリ、町村デハ大體人頭税的
  ノモノニナル、サウスルト、同ジ稅デアリ
  マシテ、都市ト町村トノ間ニ稅ノ本質的ノ
  見方ガ何ダカ一貫シナイヤウナ氣ガスルノ
  デアリマス、ソレガ一點ソレカラモウ一ツ
  ハ此ノ戶數割ノ出來夕時ニ、大體見立割
  ガ戶數割ニ付キマシテハ十分ノ二、二割ニ
  ナツテ居ツタカト思ヒマス、ソレガ稅ノ統
  一ト云フ點カラ申シマスト、其ノ見立割ガ
  少イ程大體整備サレルコトニナル、ソレノ
  分量ガ多イ程各地間ニ於ケル不均衡ガ行ハ
  レルコトニナルデアラウト思ヒマス、是ガ一點
  ソレカラ先刻標準ノ一例トシテ御擧ゲニ
  ナリマシタ土地ノ賃貸價格或ハ家屋、サ
  ウ云フヤウナモノヲ標準ニ致シマスト、唯
  サヘ不動產重課ニナル虞ガアツタモノガ、
  又シテモソレガ摑ミ易イカラ不動產重課ノ
  一ツノ原因ニナリハシナイカト思フノデア
  リマス、サウ云フヤウナモノデアルナラバ、
  稅源ハ稅源ト致シマシテ、寧ロ現在ノ戶數
  割ノ方ガ却テ形式ニ於テハハツキリスルノ
  デハナイカ、地方ノ實情ヲ御考ニナルコト
  ハ洵ニ宜シイガ、地方ノ實情ニ應ジタガ爲
  ニ、各地間ニ不均衡ガ起ツテ物議ヲ醸ス、
  戶數割ガ今日四方八方カラ攻擊ノ的トナツ
  テ潰レタ、是ハ其ノ跡ヲ追フヤウナコトニ
  ナリハシナイカト思フノデアリマス、是等
  ノ點ハドウデアリマセウカ
  ソレカラモウ一ツハ只今仰シヤイマシタ
  標準デスガ、ソレハドウ云フ形式カデ御指
  示デモナルヤウナ積リデアリマスカ、ド
  ウデアリマスカ、其ノ點ヲ伺ヒタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=112

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• 113・挾間茂

  ○挾間政府委員　第一ノ御尋ノ各團體ニ依
  リマシテ賦課方法ガ違フコトハドウダラウ
  カト云フ點デゴザイマスガ、市町村民稅ト
  云フモノハ今マデ色々御說明シタヤウナ稅
  デゴザイマスノデ、是ハ色々ノ形ヲ執ツテ
  チツトモ差支ナイモノデアル、斯ウ私ハ考
  ヘテ居リマス
  ソレカラ例ヘバ宅地ノ賃貸價格ヲ抑ヘル、
  或ハ家屋ノ賃貸價格トカ云フヤウナモノヲ
  抑ヘルト、動モスレバ不動產重課ト云フ虞
  ガアルノニ、更ニ二重ニサウ云フ弊害ヲ增
  スコトニナリハシナイカト云フ御尋デアリ
  マスガ、今申上ゲマシタノハ必ズシモ家屋、
  宅地ノ所有者ト云フ意味デ申上ゲタノデハ
  ナイノデアリマスカラ、不動產重課ト云フ
  コトニハナラナイノデアリマシテ、別段今
  御心配ニナリマシタヤウナ點ハ此ノ關係ニ
  於テハ起ラナイト考ヘマス
  ソレカラ此ノ標準ヲ何等カノ形デ地方ニ
  示スカト云フ御話デアリマスガ只今ノ所、
  別ニドウ云フ形デ示スカト云フコトハ考ヘ
  テ居リマセヌガ、其ノ點十分考ヘテ見ヨウ
  ト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=113

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• 114・池本甚四郎

  ○池本委員　只今フト思出シマシタノデ御
  參考ニ申シマスガ、私ノ過日ノ本會議ノ質
  問ニ付キマシテ新潟ノ方ノ某寡婦カラ手紙
  ガ參リマシタ、ソレニ依ツテ今私ガ申シタ
  ノデハアリマセヌガ、圖ラズモアナタガ不
  動產ヲ市町村民稅ノ標準ニシテモ宜イト云
  フコトヲ申サレタノデ申上ゲルノデアリマ
  スガ、ソレヲ丁度此ノ人ガ心配シテ居ルノ
  デス、手紙ニ依ルト此ノ人ハ亡クナツタ主人
  カラ四十圓バカリノ家賃ノ家一ツヲ遺シテ
  貰ツタ、ソレデ全部生計ヲ立テテ居ル、ソレデ
  今度ノ國稅ノ方デ不動產ガ重課サレテ居ル、
  其ノ點ガ縷〓書イテアルノデアリマスガ、
  ソレガ地方稅ニ關シマシテ書イテアルノデ
  ス、一ツ御參考ニ申シマスガ「市町村民稅ガ
  新シク出來ルト云フコトデスガ、ドウ云フ
  ヤウニ課稅サレルノカハツキリ致シマセヌ
  ガ、若シヤ不動產ニ偏ツタ課稅ヲナサリハ
  セヌカト心配デゴザイマス」ト云フヤウナコ
  トヲ言ツテ居リマス、デアリマスカラ一ツ
  ドウ云フ風ニ課稅スルカ、其ノ點ニ付キマ
  シテハ、町村委セトハ言ヒナカラ、アナタ
  ノ方デモ能ク御考置ヲ御願シテ置キタイト
  思ヒマス
  ソコデ一人ニ付テノ最高額デゴザイマス
  ガ、私ハ千圓ト云フノハ今日マデ度々質問
  ガ出タト思ヒマスガ、ドウモ低キニ過ギル
  ノデハナイカト思ヒマス、アナタノ方ハ不
  公平ニナラナイヤウニトカ何トカ云フ御心
  ガアツテ、アナタノ方ニ御考ガアルノデセ
  ウガ、私共ガ考ヘルト、ドウモ千圓デハ低
  過ギル是ハドナタカラカモ質問ガアリマ
  シタガ、一方團體ニ於テハ四圓、六圓、八圓
  ト云フヤウナ階段ヲ認メテ居ラレテ、サウ
  シテ一人ダケニ付テハ、東京ノヤウナ六百
  万人、歐洲ノ小サイ一國ヨリモ大キイ此ノ
  東京市モ、渺タル二百戶、三百戶ノ町村モ同
  ジ千圓デ見ラレルト云フコトハ、私ハドウ
  モオカシイト思フノデス、東京デ市町村民
  稅ヲ實施スル、此處ニ三井、岩崎ガ居ル、
  ソコヘ千圓ポント課ケル富者ノ萬燈ト
  云フコトガアリマスガ、是ハ富者ノ豆号
  ンプ」ミタイナモノデス、一體負擔分任ノ
  精神ヲ加味スルト云フノナラ、チツトハ自
  分ガ荷物ヲ背負ツテヤラウト云フ氣持ガナ
  ケレバ、ソコニ關心ガ向キマセヌ、然ルニ
  コンナ富者ノ豆「ランプ」ミタイナモノヲポ
  ント千圓ダケ課ケルノナラ、吾々ノ埃程ノ
  モノデモナイ、サウ云フヤウニ三井、岩崎
  ニ千圓位ノモノヲ課ケテ、サウシテ負擔分
  任ノ精神ヲ喚起スルノダト云フノハドウモ
  分ラナイ、三井ヤ岩崎ニハソレニ相當シタ
  モノヲ負擔サセタラ宜イ、サウシテモウ少
  シ裕トリヲ持タセルヤウニシタラ宜イ、斯
  ウ私ハ考ヘル、ドウモ日本國民一律ニ一人
  ノ最高額ヲ千圓ト決メルノハ、餘リニ是ハ
  統制ニ過ギテ居ルモノト私ハ思フノデアリ
  マスガ、ドウデゴザイマセウカ、其ノ點ヲ
  一ツ伺ヒタイト思ヒマス

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• 115・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ最高額千圓トスルコ
  トノ可否ニ付テハ、隨分モウ度々此ノ委員
  會デ當局ノ意見ハ申上ゲテ居ル譯デアリマ
  スガ、團體別ニ平均最高八圓、四圓、六圓
  ト定メマシタコトト、ソレカラ各人ノ最高
  納稅額ヲ千圓ト一律ニ定メマシタコトハ、
  全クソレヲ定メマス根據ガ違ツテ居ルノデ
  アリマス、團體別ニ八圓、六圓、四圓ト云
  フ一人ノ平均最高額ヲ抑ヘマシタコトハ、
  是ハ大都市ト都市ト農村ト云フ風ニ我國ノ地
  方團體ヲ資力ノ狀況カラ三階級ニ分ケルノ
  ガ適當デアラウ、團體全體トシテノ負擔力
  カラ考ヘテ見マスト其ノ三階級ニ區別シ
  テ見テ適當デアラウト思フノデアリマスガ、
  併シナガラ個人ノ問題ニ付テ考ヘマスト、是
  ハ其ノ人ガ何レノ團體ニ居住シテ居ルカト
  云フコトニ依ツテ、市町村民稅ヲ納メル稅
  額ニ相違ヲ來スト云フコトハ適當デナイノ
  デハナイカト思フノデアリマス、今御述ニ
  ナリマシタヤウニ三井、三菱ト云フヤウナ
  非常ニ富豪ノ人ハ負擔分任ノ精神ヲ現ハス
  上ニ於テハ東京ニ居レバ一万圓、然ラバ今
  度階級ヲ別ニシテ農村ニ行ケバ千圓、ソレ
  デ本當ニ負擔分任ノ精神ガ現ハレテ居ルカ
  ト云フトサウデハナイ、ヤハリ何億ト云フ
  資產アル人デアレバ如何ナル團體ニ行ツテ
  モ何万圓カノ負擔ヲシナケレバ本當ノ負擔
  分任ノ精神ハ現ハレナイノデハナイカ、ド
  ノ團體ニ居ルカラドレダケノ額ヲ負擔スル
  ノデアルト云フコトデハナクシテ、其ノ人
  ノ資力ヲ應ズルト云フノデアレバ團體ノ區
  別ハソコニハ問題ニナラナイノデハナイカ、
  卽チ各人ニ付テノ最高額ト云フモノハ如何
  ナル團體ニ付テモ同ジヤウニ考ヘテ行クノ
  ガ宜シイノデハナイカト云フコトデ、全國一
  律ニ千圓トシタノデアリマス、千圓ガ適當
  デアルカ否カト云フコトニ付キマシテハ自
  ラ議論ハアルト思ヒマス、或ハ二千圓デナ
  ケレバナラヌ、三千圓ガ宜イト云フコトハ
  自ラ見方ガアルト思ヒマスガ、市町村民稅
  ト云フモノハ大體五千万圓ヲ限度トシテ考
  ヘテ居リマスノデ、先程申上ゲマシタヤウ
  ナ理由デ是ハ一人最高ヲ千圓ト云フコトニ
  シタノデアリマス、又一面之ヲ餘リニ多額
  ニシマスト、再ビ戶數割ノ如キ負擔過重ノ
  弊害ヲ農村方面ニ於テハ起シテ來ルデアラ
  ウト云フヤウナ心配モゴザイマスカラ、ソ
  コデ全國一律ニ千圓ト致シタ譯デアリマ
  ス、サウ云フ關係デ各人ノ最高納稅額ニ付
  キマシテハ千圓ト抑ヘテ居リマスガ、各團
  體ガ其ノ範圍內ニ於テ定メマスカラ、農村
  方面ニ於テハ或ハ事情ニ依ツテ三百圓、
  二百圓ト云フノガ最高ニナルカモ知レマ
  セヌ、或ハ五百圓位デ納マルカモ知レマセ
  又、ソレハ團體ノ事情ニ依ツテ收入ノ關係
  上適當ニ此ノ範圍內ニ於テ條例デ定メレバ
  宜シイコトデアルト思ツテ居リマス

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• 116・藤本捨助

  ○藤本委員　今ノ問題ニ關聯シテ極メテ簡
  單ニ御尋シタイ思ヒマス、先般來ノ御答辯
  ニ依リマシテ國稅ハ人稅ダ、隨テ應能原則
  ニ依ル、地方稅ハ物稅デアル、隨テ應益ダ
  ト云フヤウナコトヲ拜聽致シマシテ洵ニ御
  尤モダト思ヒマスガ、併シ地方稅デアルカ
  ラ必ズシモ物稅應益ニ限ツタモノデナイト
  思ヒマス、地方稅ニ於キマシテモ應能原則
  ヲ以テ或ハ人稅的ナ稅ガアツテモ然ルベキ
  デアルト思フノデアリマス、此ノ觀點ニ立
  チマシテ今ノ最高限千圓ノ問題ヲ考ヘル
  時、若シ當局ニ於カレマシテ外ノ方デ抑ヘ
  テ居ルカラ千圓デ擔稅力ヲ抑ヘタノダ、斯
  ウ云フ御考ニナルナラバ私何ヲカ言ハンデ
  アリマス、併シ、今ノ御說明ニモアリマシ
  タヤウニ、納稅者ノ納稅額ガ住居スル地域
  ニ依ツテ違フノハイケナイト云フコトモ御
  尤モデアリマセウ、ケレドモ、此ノ千圓ヲ
  モウ少シ增シタ所デ決シテ不在地主、或
  不在家主ガ出來ル程ノ問題デモアリマスマ
  イ、故ニ私ハドウシテモ御提案ノ此ノ千圓
  デハ地方ノ住民ノ擔稅力ヲ抑ヘテ居ルトハ
  考ヘナイノデアリマス、隨テモウ少シ修正
  サレマシテ此ノ點ヲ上ゲルト云フコトハ、私
  ニ言ハシムルナラバ地方稅ニ於キマシテモ、
  擔稅力ヲ抑ヘルト云フ點ニ於テ必要デアリ、
  且又所謂複稅制度ノ妙味ガソコニアルノデ
  ハナイカ、複稅制度ノ妙味カラ言フナラバ、
  若シ擔稅力ガアルナラバ何處デモ抑ヘル、
  隨テ擔稅力ノアル者ニハモウ少シ課ケルノ
  ガ宜イノデハナイカ、ソレガ複稅制度ノ妙
  味デアルト再言シタイノデアリマス、ソレ
  カラ地方ニ豪農或ハ其ノ他ノ不在地主又ハ
  其ノ他ノ者ガアルト云フコトモ考ヘラレマ
  スガ、サウ云ツタ連中ハ所謂隣保共助ナド
  ト云フコトヲ何ヲ通シテヤルカ、ソレハ詰
  リ稅ヲ通シテヤル外ナイノデアリマス、而
  シテソレハ自治ノ本體デモアリ又稅ノ問題
  ニモ關聯ヲ持ツノデアリマス、サウ云フ點
  カラ申シマシテモモウ少シ彼等ニ納メシメ
  タ方ガ大物ノ存在價値ヲ高メルノデハナイ
  カト考ヘル、ダカラ何トシテモ此ノ千圓ト
  云フノハモウ少シ御修正ナサルベキデアル
  ト考ヘマス、更ニ市町村民稅ヲ五千万圓ニ限
  ツタノハ一體ドウ云フ所ニ根據ガアルノデ
  アリマスカ、ソレモ併セテ御答辯願ヒタイ

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• 117・挾間茂

  ○挾間政府委員　地方稅ノ體系ニ御觸レニ
  ナツタ點ニ付テノ當局ノ考ヲ申シマスト、
  地方團體ト稅制ニ付キマシテハ大體地方ノ
  資產ノ收益關係ト云フ點カラ見マシテ收益
  稅體系ガ主ニナルコトガ私ハ適當デアルト
  思ヒマス、併シナガラ其ノ爲ニ人稅ト申シ
  マスカ、所得稅的ノモノガ地方稅ニ存在シ
  テナラヌトハ考ヘマセヌ、私ハ無論サウ云
  フモノガ配置サレテ宜シイモノデアルト思
  ヒマス、唯御存ジノヤウニ現在所得稅體系
  ニ屬スルモノヲ地方稅トシテ設ケマスコト
  ハ事實問題トシテ出來ナイコトニナツテ居
  リマス、ト云フノハ一口ニ申シマスト、サ
  ウ云フモノノ稅源ガ地域的ニ非常ニ偏在致
  シテ居リマスカラ、之ヲ其ノ儘ニ地方稅ノ
  直接課徴ノ稅種トシテ參リマスト、其ノ結
  果ハ地方財政ガ非常ニ不均衡ニナツテ參リ
  やっ、金持デ配當所得等ガ澤山アル人ガ居
  住シテ居リマス土地ニハ、非常ニ所得稅附
  加稅ト云フモノガ入ツテ參リマスカラ、其
  處ノ團體ハ非常ニ財政經理ガ樂デスケレド
  モ、サウ云フ人ノ居ナイ所ハ財源ガ涸渴シ
  テ參リマス、是ガ現在ノ地方財政窮乏ノ原
  因ニナツテ居リマスカラ、隨テ人稅的色彩
  ノアルモノヲ現行制度ノ如キ形ニ於テ地方
  稅ノ財源トスルコトハ、ドウモ實際問題ト
  シテ出來ナイト思ヒマス、サウ云フ意味カ
  ラ致シマシテ今囘ノ稅制改正ヲシタノデア
  リマス、ソレ故ニ配付稅ヲ設ケマシテ三億
  數千万圓ト云フ稅源ヲ、形ヲ變ヘタ地方財
  源トシテ人稅的色彩ヲ持ツ地方稅制ヲ作ツ
  テ居ルノデアリマシテ、私ハ其ノ意味ニ於
  テ物稅、人稅ヲ廢シタ地方稅體系ヲ作ルコ
  トガ今ノ社會情勢ノ下ニ於テハ適切ナル地
  方稅ノ體系デアルト云フ風ニ考ヘテ居ルノ
  デアリマス
  ソレカラ第二ニ御尋ニナリマシタ市町村民
  稅ニ付テ擔稅力ヲ抑ヘテ見タ方ガ宜イデハ
  ナイカト云フ御話デアリマスガ、市町村民
  稅ト擔稅力ノ關係ニ付キマシテハ先刻池本
  サンニ詳細御答致シマシタ通リ、國民負擔
  全體ノ問題ト致シマシテハ、市町村民稅ノ
  ミニ依ツテ擔稅力ヲ抑ヘテ行クコトハ出來
  ナイト思フノデアリマス、擔稅力全體ノ問
  題ハ中央地方ヲ通ジマシテ、負擔ノ均衡ヲ得
  ルヤウニ致サナケレバナラヌコトデアルト
  思フノデアリマス、併シナガラ此ノ稅自身
  ニ付テ考ヘマスト、是モ一種ノ稅デアリマ
  スカラ、稅自身トシマシテハ、其ノ範圍內
  ニ於テ擔稅力ニ應ジ、千圓カラ五十錢トカ、
  一圓トカ云フ限度マデ、階級ニ應ジテノ負
  擔ヲサセルコトニスベキモノデアルト思フ
  ノデアリマス、全體ノ國民負擔トシテハ、
  稅全體デ考慮シテ行カナケレバナラヌコト
  デアルト思フノデアリマス、ソレカラ隣保
  共助ノ精神ト稅總額トノ關係ニ付テノ御尋
  デアリマスガ、是ハ私ハ結局程度ノ問題デ
  アルト思フノデアリマシテ、負擔ヲ分任ス
  ル意味ニ於キマシテハ、此ノ程度ノ課稅デ
  差支ナイモノデアルト思フノデアリマス、
  其ノ意味ニ於キマシテ此ノ制限ヲ設ケタノ
  デアリマス、ソレナラ然ラバ五千万圓ト云
  フモノハドウ云フ所デ抑ヘタノデアルカト
  云フコトデアリマスガ、市町村稅ノ稅總額
  ハ大體五億圓デアリマシテ、其ノ五億圓ノ
  中大體一割ヲ此ノ市町村民稅デ賄フト云フ
  ノデ、五千万圓ト定メタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=117

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• 118・藤本捨助

  ○藤本委員　今ノ體系ニ付テノ御話ハ私諒
  ト致シマスガ、併シ中央稅ヲ人稅、地方稅
  ヲ物稅ニシタト云フ今ノ御說明以外ニ、餘
  リ地方稅ニ人稅ヲ加味致シマスト、國稅ヲ
  ソレガ妨ゲルト云フ點ガアリマス、併シ今
  ノ御答辯ニモアリマシタ如ク、地方稅ニ人
  稅ハアツテモ宜イト云フコトニナレバ、地
  方稅ニ人稅ヲ入レテ何處デ抑ヘルカト云フ
  コトニナツテ來マス、サウスルトソレハ市町
  村民稅ダト私ハ考ヘマス、併シ是ハ僅カ稅
  額五千万圓程度デアリマスカラ、是デ此ノ
  應能原則ヲ完遂スルコトハ不可能デアル、
  併シナガラ尙且少シデモ之ヲ抑ヘテ行クノガ
  複稅制度ノ妙味ダト思フノデアリマス、私ハ
  斯ウ云ツタ考デ御尋シタノデアリマス、併
  シ此ノ點ニ付キマシテハ、御答辯ハ要リマ
  セヌケレドモ、私ノ考ヲ以テ致シマスルナ
  ラバ、五千万圓デハドウシテモ足ラヌ、モ
  ウ少シ考慮ニナルベキデハナイカ、斯ウ思
  フノデアリマス、尙ホ私ノ番ガ來マシタラ
  御尋致シマスガ、成程一割ハ五千万圓ダ、併
  シ結局是ハ語弊ガアルカモ知レマセヌガ、
  今後地方自治體ハ大體充ガヒ扶持ニナリマ
  スノデ、是デハ市町村ガ新ニ事業ヲ起ス場
  合ニ何カ特別ノ財源ヲ持ツテ居ナケレバ出
  來難クナルノデアリマス、ソレヲ還付稅或
  ハ配付稅デ賄ハシメルト云フ御考カモ知レ
  マセヌガ、是ハドウモ固定サレル傾向ガア
  ルト思フノデアリマス、デスカラ何カ地方
  ノ實情ニ卽應スル財源ヲ持ツテ居ルト云フ
  點カラ考ヘマシテ五千万圓ニ限ラレタコト
  ハドウカト思ヒマス、此ノ點ニ付キマシテ
  私ノ順番ノ時ニ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=118

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• 119・池本甚四郎

  ○池本委員　只今藤本君カラ御話ノアリマ
  シタ住民稅ノ最高額ニ付テ一寸伺ツテ置キ
  マス、若シ吾々多數ニ於テ是ハ少イ、モウ
  少シ上ゲタイト云フコトニ決マリマスレバ
  ソレニ付テ御考ニナリマスカ、ドウデゴザ
  イマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=119

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• 120・挾間茂

  ○挾間政府委員　政府ハ之ヲ適當ナル制限
  額デアルト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=120

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• 121・池本甚四郎

  ○池本委員　ソレダカラ案ヲ御出シニナツ
  タデアリマセウガ、吾々ガソレデハイカヌ
  ト云フノデアナタ方ニ御注意申上ゲ、其ノ
  方ガ宜イト言ヘバ、ソレヲ尊重スルト云フ
  コトヲ仰シヤツテ戴キタイ、モウ一應御願
  致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=121

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• 122・挾間茂

  ○挾間政府委員　折角ノ御尋デゴザイマス
  ガ、吾々〓究ニ〓究ヲ盡シタ上デ、此ノ案
  ガ色々ノ關係ニ於テ最モ適當ナ案デアルト
  云フノデ、御審議ヲ願ツテ居ルノデアリマ
  ス、ドウゾ御諒承願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=122

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• 123・池本甚四郎

  ○池本委員　ソレデハ私是レ以上申上ゲマ
  セヌ、併シ多分尊重ハシテ戴ケルモノト思
  ツテ居リマス、住民稅ノコトニ付キマシテ
  ハ大體終リマスガ、是ハ大體現在ノ戶數割
  トハ違フノダ、戶數割ハ人稅、所得稅的ノ
  モノダ、是ハ大體物稅的ノヤウニナル譯デ
  アリマスガ、サウ致シマスト其ノ標準ヲ、
  其ノ點カラモ出來ルダケハツキリサセタ方
  ガ宜イト思フノデアリマス、一ツ此ノ標準
  ト云フ點ニ付キマシテ、先刻モ申シマシタ
  ヤウニ能ク御考置ヲ願ヒタイト思ヒマス、
  ソレカラ私ハ負擔分任精神ヲ此ノ稅ニ依ツ
  テ養フト云フコトニ付テ、暫ク其ノ是非ハ
  度外視シテ、政府ノ原案ノ趣旨ニ依ツテ質
  問ヲ致シタノデアリマス、端的ニ申シマス
  ト私ハ斯ウ云フ精神的ノ訓練ミタイナモノヲ
  稅ニ依ツテスルト云フコトハ、ソレヲ主タ
  ル目的トシテ稅ヲ拵ヘルベキカドウカ、稅
  ハ稅トシテヤハリ私ハ稅收ノ如何ト云フコ
  トヲ第一義トシテ拵ヘルベキモノデ、ソレ
  以外ノモノヲ第一義トシテ稅ヲ拵ヘルコト
  ハイカヌ、ソレハ第二義、第三義的ニシテ
  宜シイ、ソレヲ第一義ニ持ツテ來ルト云フ
  コトハ實ハドウカト思ツテ居ルノデアリマ
  ス、併シソレハ議論デアリマスカラ、ソレ
  ニ付テノ御考ハ伺ヒマセヌ、併シ稅收ヲ目
  的トシナイ稅ガ全國的ニ五千万圓ト抑ヘラ
  レタノデアリマス、今度御改正ニナリマス
  稅制全體ノ關係モアリマスガ、是ハ政府ノ
  方デハ彈力性ガアリト仰セラレル、併シ私
  ハ必ズシモ左樣ニハ思ハナイ、其ノ觀點カ
  ラ考ヘマスト、結局將來市町村財政ノ需要
  ノ必要上、是ガ段々變形シテ、戶數割ニ變
  遷シテシマヒハセヌカト思フノデゴザイマ
  ス、ドウデゴザイマセウカ、其ノ點ヲ一寸
  伺ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=123

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• 124・挾間茂

  ○挾間政府委員　サウ云フ彈力性ノ問題ニ
  付テハ御尋デナカツタト思ヒマスガ、彈力
  性ノ問題ニ付キマシテハ今朝政府ノ信ズル
  所ヲ申上ゲテ置キマシタノデ、ソレデ御諒
  承ヲ願ヒタイト思ヒマス、隨テ私共ハ今度
  ノ稅制ノ改正ニ依ツテ、相當將來ノ財政需
  要ニ卽應スル財政收入ヲ得ルコトガ出來ル
  ト思フ、ソレカラ市町村民稅ト云フノガ將來
  戶數割ノ如キ弊害ヲ繰返スコトニナラナイ
  カト云フ御尋デアリマス、サウ云フコトヲ
  繰返シテハ困ルノデアリマシテ、隨テ此ノ
  方法ハ基本原則ニ於テ嚴重ナ制限ヲ設ケテ
  居リマシテ、決シテサウ云フ弊害ガ起ラナ
  イヤウナ建前ヲ取ツテ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=124

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• 125・池本甚四郎

  ○池本委員　市町村民稅ニ付テハ是デ終リ
  やく、最後ニ伺ヒマスガ、今度國稅ニ付キ
  マシテハ、所得稅ノ免稅點ノ引下ヤ何カニ
  依リマシテ、稍、國民稅的ノ性質ヲ帶ビサセ
  テ參リマシタ、市町村ニ於キマシテハ、市
  町村民稅ヲ拵ヘ上ゲテ、其ノ市町村住民ノ
  負擔分任精神ノ涵養ニ資セラレル、眞中ニ
  アリマス道府縣、之ニ付テモ此ノ三階級ノ
  團體カラ申シマスト、謂ハバ府縣住民稅ト
  云フヤウナモノヲ御拵ヘニナラナカツタ何
  カノ御考ガアルノデアリマスカ、ソレヲ一
  ツ伺ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=125

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• 126・挾間茂

  ○挾間政府委員　御尤モナ御質問デゴザイ
  マス、池本サンモ十分御存ジト思ヒマスガ、
  元來地方自治ノ本體ト云フモノハ市町村ニ
  アル譯デアリマシテ、日本ノ自治制ト云フ
  モノハ沿革カラ申シマスト、大體市町村ガ
  本デアリ、サウシテ郡制ガアリ、府縣制ガ
  アツタ譯デアリマス、其ノ內郡制ガ廢止ニ
  ナリマシテ、府縣制ト市制、町村制ト云フ
  コトニナツテ居リマスガ、元來自治ノ基本
  ト云フモノハ市町村ニアル譯デアリマス、
  ソコデ地方自治ト云フコトガ最モ訓練ヲセ
  ラレ徹底スルノハ私ハ市町村デアルト考ヘ
  テ居リマス、自治ノ機構ノ上カラ申シマシ
  テモ、府縣ト市町村ノ間ニハ非常ナ相違ガ
  アル譯デアリマシテ、今囘ノ稅制ニ於キマ
  シテモ、隨テ市町村ニ付キマシテハ、市町
  村民稅ト云フモノヲ特ニ設ケタノデアリマ
  スガ、府縣ニ付キマシテハ左樣ナ制度ハ設
  ケテ居リマセヌ、是ハ唯稅制ノミナラズ、
  大體自治機構ノ全般ヲ通ジマシテ、府縣制、
  市制、町村制ヲ御覽戴キマスレバ餘程ソコ
  ニ相違ノアルコトヲ御覽戴ケルト考ヘテ居
  ルノデアリマス、其ノ點デ一ツ御承知ヲ願
  ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=126

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• 127・池本甚四郎

  ○池本委員　實ハソコナンデスガ、是ハ內務
  大臣ニ大體御伺シナケレバナラヌ、併シ大
  體アナタヲ內務大臣ノ御代リトシテ一ツ御
  答辯願ヒタイ、態〓大臣ニ來テ戴カナクテモ、
  アナタガ大臣トシテ責任ヲ以テ御答ヲ願ヒ
  タイ、府縣ノ自治ノ本義ト云フコトデスガ、
  往々ニ致シマシテアナタノ仰シヤル通リ自
  治制ハ市町村ニ眼目ヲ置ク、ソコデ府縣ノ
  行政權ハ別トシマシテ、財政權ニ付テハ、
  兩方ニ搾ツタラ宜イノダ、サウシテ小サク
  スレバ宜イノダト云フコトヲ往々ニシテ言
  フ人ガアルノデス、ソコデサウ云フヤウナ
  考ガ多少デモアリマスカ、是ハ此ノ住民稅
  ヲ離レテモ宜シイノデス、一般的デモ宜シ
  ウゴザイマスガ、サウ云フ御考ガ今當局ニ
  於テ御アリカドウカヲ御伺シタイ、私ハ成
  ベクナカラヌコトヲ希望スルノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=127

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• 128・挾間茂

  ○挾間政府委員　御注意モアリマスガ、私
  モサウ考ヘテ居リマス、決シテ色々ナ關係
  ヲ市町村ト國ニ搾リ上ゲテ、サウシテ府縣
  ヲ干物ノヤウニシヨウ、斯ウ云フ考ハ持ツ
  テ居リマセヌ、唯私ガ先程申シマシタノハ
  府縣ノ自治ト云フモノト、市町村ノ自治ト
  云フモノニハ自ラソコニ本質的ノ相違ガア
  ル、私ハ府縣ト云フモノハ元來市町村組合
  ノヤウナモノデアルト思フノデアリマシテ、
  自治ノ段階ガアルト云フコトニ付テハ根本
  的ニ違ツタ考ヲ持ツテ居リマス、府縣ト云
  フモノハ市町村ト云フ基本的ノ自治團體ガ
  アリマシテ、サウ云フ小サイ自治團體ニ於
  テ爲スヲ不適當トスル、又爲シ難キモノデ
  アツテ、而モ國ニ於テ爲スコトヲ適當トセ
  ザル自治事務ガ相當ニアルト思ヒマス、サ
  ウ云フモノヲ行フノガ府縣デアルト思フノ
  デアリマス、隨テ私ハ府縣ノ自治事務ト云
  フモノガ國ニ取上ゲラレルト云フコトニ付テ
  ハ、ソレハ適當デナイト思ツテ居リマス、
  併シナガラ百「パーセント」ノ自治ト云フモ
  ノハヤハリ市町村デアツテ、サウシテ其ノ
  上ニアル所ノ府縣ト云フモノハ基本的ノ市
  町村自治ニ於テ爲スコトヲ不適當トスルモ
  ハ又モツト廣イ意味ニ於テノ自治トシテ
  爲スコトヲ適當トスルモノハ、上級ノ自治
  體トシテノ府縣トシテ爲スベキモノデアル
  ト思フ、ソレハ如何ナル時代ニ於テモ私ハ
  存在スルヤウニ考ヘテ居リマスノデ、今御
  述ニナリマシタヤウニ、兩方カラ搾ツテ無
  クシテシマフト云フコトハ一寸私ハ想像シ
  難イノヂヤナイカト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=128

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• 129・池本甚四郎

  ○池本委員　大變結構デゴザイマスガ、ソ
  コデ分與稅ヲ割リマスト、原地還付ノ分ト、
  ソレカラ調整配付ノ分トゴザイマス、所ガ
  同ジ金ヲ貰フナラソレハ向フカラ貰フヨリ
  自分ノ方ニ元ヲ授ケテ貰ツテ、サウシテ自
  分ノ畑カラ出シタ方ガ宜イ、同ジ大根ヲ貰
  フノデモ、畑ヲ貰ツテソレカラ大根ヲ作ツ
  テ自分ガ穫ツタ方ガ宜イ、他人ノ畑ノ大根
  ヲ其ノ度ニ貰フヨリ、自前ノ方ガ宜イ、其
  ノ點カラ申シマスト、私ハヤハリ調整配付
  ヨリハ、マア地元ノ感情カラ言ヒマスト、
  原地還付ノ方ガ結構ナンデス、府縣ニハ其
  ノ原地還付ノ還付稅ヲ御設ケニナツテ居
  ル、市町村ノ方ハ調整配付一本デ行カレル、
  此ノ點ハ自治權ノ尊重ト云ヒマスカ、其ノ
  點カラ見マスト、府縣ノ方へ自前ノ分量ヲ
  チツトデモ餘計ヤラレタイト云フヤウニ考
  ヘラレルノデスガ、ドウデセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=129

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• 130・挾間茂

  ○挾間政府委員　只今ノ御尋ハ三收益稅ノ
  原地還付ノ問題デアルト思ヒマス、是ハ實
  ハ單純ニ原地還付ノ便宜ノ方法トシテ府縣
  ニ還付スルコトニ致シタノデアリマシテ、
  御話ノ通リ市町村ニ還付シマシテモ、又府
  縣ニ還付シマシテモ、是ハ同ジダト思ヒ
  マス、吾々ノ狙ツテ居リマス所ハ、或ル部
  分ハ國稅トシテ徵收ヲ致シマシテ、サウシ
  テソレヲ其ノ儘ニ地方ニ還元スルト云フ點
  デアリマス、ト申シマスノハ、何故ニ一部
  ヲ國稅ニ殘スカト申シマスト、是ハモウ先
  日來度々申シマシタ色々ノ理由ガアツテ、
  一應或ル部分ハ殘シテ居リマスガ、ソレヲ
  今度國稅カラ地方ニ還元交付シマス場合
  ニ、府縣ニ還元スルガ宜イカ、市町村ニ還
  元スルガ宜イカ、是ハ單純ナ事務ノ便宜デ
  アリマシテ、市町村ニ之ヲ交付スルト云フ
  コトニナリマスト、一万一千有餘ノ交付ノ
  手續ヲ致サナケレバナリマセヌ、是ハ非常
  ニ面倒デアリマス、サウシテ何等是ハ强制
  的ノ意味モナイ、地元デ徵收シタ額ヲ其ノ
  儘與ヘル譯デアリマスカラ、府縣デスレバ
  四十七ノ手續デ濟ム譯デアリマス、隨テサ
  ウ云フ意味カラ府縣ニ還付スルト云フコト
  ニシタノデアリマス、同時ニ附加稅ノ賦課
  率トシマシテハ、府縣ハ百分ノ百デアルガ、
  市町村ハ百分ノ二百、隨テ財源トシマシテ
  ハ府縣ト市町村トガ同額ヲ得ル、斯ウ云フ
  コトニナツテ居リマスノデ、是ハ全然府縣
  ニ自治的ノ力ヲ與ヘテ、市町村ニ少シ酷ニ
  當ツテ居ルト云フノデハナクテ、單純ナ還
  付ノ技術的便宜ノ問題デアア云フ扱ヲ致シ
  タノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=130

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• 131・池本甚四郎

  ○池本委員　ソレデハ此ノ住民稅ニ關シマ
  シテハ是デ一應終リマシテ、私ハ當初申シ
  テ居リマシタ質問ノ順序ニ返リマス、ソコ
  デ今度ノ地方稅改革ノ目標、政府ノ仰シヤ
  ル所ヲ聽キマスト、第一ニハ地方負擔ノ輕
  減第二ニハ地方的負擔ノ不均衡ノ是正、
  第三番目ニハ、彈力性ノ附與、第四番目ニ
  ハ例ノ目的稅、受益者負擔金制度ヲ創設シ
  ク、第五番目ガ國稅ト地方稅トノ負擔區分
  ノ是正、斯ウ云フヤウナ大體五ツノ目標ヲ
  御擧ゲニナツテ居ツタト思ヒマス、ソコデ
  私此ノ點ヲ一寸拾ツテ見マスト、二番目ノ
  地方的不均衡ノ是正、是ハ分與制度ヲ設ケ
  ラレマシタノデ、兎モ角モ此ノ方面カラ其
  ノ目的ハ達成サレタ、第四番目ノ此ノ目的稅
  受益者負擔金制度ノ創定、是ハ私共ガ多年
  希ツテ居ツタモノデ、之ヲ御拵ヘニナリマ
  シタコトハ是ハ大イニ結構デアリマス、第
  五番目ノ國ト地方ノ負擔區分ノ是正ハ、是
  ハマア兎ニ角門口マデハ行カレタガ、マダ
  マダ後ニ殘ツテ居リマス、ダガ兎ニ角〓員
  給ノ定率負擔制ヲ御拵ヘニナツタ、或ハ警
  察費ノ國庫負擔金ノ均整ヲヤラレタト云フ
  ヤウナ點デ門口マデ行ツタガ、兎ニ角三點
  カ五點ノ値打ハアル、ソコデ第一ニ負擔ノ
  輕減ノ意味デスガ、負擔輕減ノ意味ニ付キ
  マシテハ是ハ甚ダ愚問カモ知レマセヌ
  ガ、是ハ地方團體トシテノ負擔ノ輕減ヲ意
  味サレテ居ルノカ、或ハ個々地方民ノ國、
  地方稅ヲ通ジテノ負擔輕減ヲ言ツテ居ラレ
  ルノデアリマセウカ、其ノ點ヲ一ツ中間的
  ニ伺ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=131

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• 132・挾間茂

  ○挾間政府委員　今ノ負擔ノ輕減ノ問題ニ
  付キマシテハ、何レ資料ヲ御要求ニナツテ
  居リマスノデ差上ゲルコトニ致シタイト思
  ツテ居リマスガ、大體總額ニ於テ三億三千
  七百万圓程度ノ輕減ニナルト考ヘテ居リマ
  ス、一寸各稅ニ付テノ稅額ハ宙ニ覺エテ居
  リマセヌガ、例ヘバ地租ニ付キマシテハ課
  率デ申シマスト、賃貸價格百圓ニ付テ今マ
  デガ十三·一一デアツタノガ八ニナリマスト
  カ、或ハ家屋稅ガ九「コンマ」幾ラデアツタノ
  ガ七ニナルトカ云フヤウナコトガアリマシ
  テ、總額ニ於キマシテ、三億三千七百万圓程
  度ニナリマス、何レ各稅ニ付テノ數字ヲ申
  上ゲマスガ、唯一應御含ミ置キヲ願ヒタイ
  ト思ヒマスノハ、今度ノ稅制ハ一應現行制
  度ヲ白紙ノ狀態ニ置イテ、新シク稅制ヲ立
  テマシタノデ、ソツクリソレガ皆減稅ニナ
  ツタト云フコトニハナリマセヌガ、各稅ヲ
  形式的ニ取ツテ見ルト、ドレダケ減稅ニナ
  ルカト云フコトヲ申上ゲマスト、三億三千七
  百万圓ノ減稅ニナツテ居ルト云フコトハ、
  一應申上ゲルコトガ出來ルト思フノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=132

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• 133・池本甚四郎

  ○池本委員　其ノ數字ハ分與金ノ調整配付
  ノ稅トハ違ヒマスネ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=133

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• 134・挾間茂

  ○挾間政府委員　違ヒマス、モウ御手許ニ
  ソレハ御屆ケスルダラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=134

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• 135・池本甚四郎

  ○池本委員　先程仰シヤイマシタ地租ノ輕
  減デスガ、私モ從來國稅ト府縣稅、市町村
  稅ノ制減率ヲ取ツテ見マシタガ、サウスル
  ト從來ノ舊法ニ依リマスト、地租ニ付キマ
  シテハ百分ノ九·四四デアツタト思ヒマス、
  ソレガ改正案ニ依リマスト例ノ百分ノ八ニ
  ナツテ居リマシテ、此ノ點一寸輕減ニナツ
  テ居リマス、所ガ營業稅ノ方デハ現行法ニ
  依リマスト百分ノ五·五二五、是ハ市町村ノ
  制限率デヤツテ居リマス、ソレガ改正案デ
  ハ百分ノ六ニナツテ居ツテ、此ノ點ハ一寸
  殖エテ居リマス、併シソレハ差引色々ナモ
  ノデソレダケ減ルト斯ウ仰シヤツタ、ソレ
  ナラバ負擔輕減ノ方モ大體宜イ譯デスガ、
  ソレガ結局ハ個人ノ負擔ノ輕減ニナルト云
  フ譯デスカ、地方民ノ團體的ノ負擔輕減ニ
  ナルノデスカ、是ハ何ダカ愚問カモ知レマ
  セヌガ御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=135

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• 136・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ大切ナコトデアリマ
  スカラ、モウ少シハツキリト數字ヲ擧ゲテ
  申上ゲテ置キマス、其ノ點ハ改正前後ノ三
  收益稅ダケニ付テ稅率ノ比較ヲ申上ゲテ見
  タイト思ヒマス、地租ニ付キマシテハ現在
  御承知ノヤウニ國稅ハニ一·八、ソレカラ地方
  稅ハ實際ノ賦課率ガ九·三一デゴザイマス、
  ソレデ總計シマシテ現在ノ稅率ハ國稅、地
  方稅ヲ通ジテ十三·一一ニナツテ居リマス、
  改正法ニ依リマスト、賦課率ハ百分ノ八デ、
  之ヲ比較シマスト、地租ニ付キマシテハ稅
  率トシマシテ百分五·一一ノ減稅ニナル譯デ
  アリマス、ソレカラ家屋稅、國稅ハゴザイ
  マセヌガ、地方稅ガ本稅、附加稅ヲ合セマ
  シテ八·三三ニナツテ居リマス、今度ノ改正
  法ニ依ルト百分ノ七デゴザイマスカラ、隨
  テ一·三三ノ減稅ニナル譯デアリマス、營業
  稅ハ國稅ガ二·三八、ソレカラ地方稅ガ三·
  一七ニナツテ居リマスカラ、總計シテ五·五
  五デアリマス、今度ハ六ニナツテ居リマス
  カラ、是ハ少シ增稅ニナリマシテ〇·四五ト
  云フ增ニナリマス、是ハ個人ニ付テ是ダケ
  減稅ニナルノデアリマスガ、營業稅ハ少シ
  增加スルノデアリマス、サウ云フ譯デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=136

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• 137・池本甚四郎

  ○池本委員　將來制限率ノ儘デ行ケバサウ
  云フコトニナリマセウ、其ノ點ハ分リマシ
  タ、ソコデ彈力性ノコトデスガ、是ハ愚問
  ニナルカモ知リマセヌガ、彈力性ヲ付與シ
  ク、是ハ此ノ地方稅制ノ體系上カラ、課稅
  標準自體ノ自然的增減ニ餘力ガアルト云フ
  意味ノ彈力性デスカ、或ハ人工的ニ將來稅
  率ガ引上ゲ易イノダ、其ノ點ニ於テ彈力性
  ガアルト言ハレルノデスカ、是ハドツチノ
  意味デゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=137

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• 138・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレハ兩方ノ意味デス、
  モウ少シ詳シク申シマスト、今度ノ改正案
  ニ依リマスレバ、私ハ常ニ擔稅力ト云フノ
  ヲ稅ノ伸縮力ト伸張力トノ兩方ニ分ケテ話
  シテ居リマス、伸縮力ト云フノハ課率ノ變
  更ニ依ツテ稅ヲ增徵スル力、伸張力ト云フ
  ノハ課稅標準ノ自然增加ニ依ツテ、課率ハ變
  ヘナイデモ自然增收ガ出テ來ル場合、此ノ
  二ツデアリマス、現行制度ヲ考ヘマスト御
  存ジノヤウニ戶數割ハ何處マデモ取レマス、
  ソレデスカラドン〓〓伸縮性ガアルヤウニ
  思ヒマスガ、相當取ツテ居リマスカラ、モ
  ウ實ハ伸縮性ハナイト言ツテ宜イノデス、
  ソレカラ都市·道府縣デハ營業收益稅ナリ、
  所得稅附加稅ノ伸縮性ガアルヤウニ言ツテ
  居リマスガ、隨分制限外課稅ヲ致シマシテ
  實ハ伸縮性ガナイト言ツテモマア宜イカト
  思ヒマス、行詰ツテ居ル、今度ノ稅制ニ依
  リマスト、サウ云フ制限外課稅ヲシテ取ツ
  タ稅總額ヲ抑ヘマシテ、課率ヲ決メテ、ソ
  レガ一定ノ賦課率ニナツテ百分ノ八、七六
  ト云フモノニナツテ居ルノデスカラ、今度
  之ニ對シテ少シデモ增率スルト云フコトニ
  ナレバ、現在ヨリモ餘計ニ稅ガ取ラレルト
  云フノデスカラ、所謂伸縮性カラ申シマシ
  テモ今マデヨリモ餘力ガアルト言フコトガ
  出來ルト思フノデス、ソレカラ一面ノ課稅
  標準ノ增加ニ依ル自然增收ノ問題デスガ、
  是ハ現行制度ニ依リマスト先程藤本サンノ
  御尋ニ申上ゲマシタヤウニ、課稅標準ガ地
  域的ニ非常ニ偏在シテ居リマス、所得稅ノ
  稅源ナンカ地域的ニ偏在致シテ居リマスカ
  ラ、此ノ儘ニシテ置クト云フト、稅源ノナ
  イ所ニハ幾ラ景氣ガ好クナツテモ稅源ガ膨
  脹シテ參リマセヌ、其ノ代リニ殷賑產業等
  ガアル所、或ハ金持ガ多イ所デハドンノ
  稅ガ入ツテ來ル、是デハ地方財政ハ跛行的
  ニナラザルヲ得ナイ、デ是ハ根本的ニ改正
  シナケレバナラヌ、改正案ニ依リマスト營
  業稅ガ全額地方稅ニナリマスカラ、ソレノ
  伸張力ト云フモノハ相當大キクナツテ來ル、
  是ハ大體地域的ニマア伸張力ガ出テ來ル、
  ソレカラ配付稅、是ハ所得稅ト法人稅トガ
  此ノ中ニ入ツテ居リマスカラ、其ノ自然增
  收ト云フモノガ相當ニ增シテ來マスノデ、
  伸張力ガ十分ニ加味サレルダラウ、斯ウ云
  フノデ彈力性ヲ伸縮性ト伸張性ノ兩方カラ
  分ケテ考ヘマシテ、現行制度ノ行詰ツテ居
  ル狀態及ビ跛行的ノ狀態カラ救濟シテ、改
  正案ハ相當ノ彈力性ヲ地方財政ノ上ニ與ヘ
  テ居ル、斯ウ信ジテ居ルノデアリマス、尙
  ホ今朝程モ數字デ申上ゲマシタガ、モウ一
  遍數字ヲ申上ゲマスト、改正前ノ所得稅、
  附加稅ト營業稅收益稅附加稅ヲ合算致シマ
  シテ、道府縣市町村ヲ通ジテ二億七千七百
  万圓、是ガ伸張力ノアル稅デス、改正後ハ
  配付稅ト營業稅、其ノ附加稅トヲ合セマス
  ト五億四千八百万圓、是ガ伸張力ノアル稅
  ニナリマスカラ、總額ニ於テ二億七千百万
  圓ト云フモノガ伸張力ヲ持ツタ地方財源ト
  シテ增加スルト云フコトニナルノデス、戶
  數割ガ假ニ伸張力ガアルト假定シテ其ノ額
  ヲ控除致シマシテモ、尙ホ改正案ノ方ガ一
  億四千四百万圓ダケ伸張性ノアル稅源ガ、
  地方ニヨリ以上付與セラレテ居ルト云フ形
  ニナツテ居ルノデアリマスノデ、計數的ノ
  モノモ附加ヘテ參考ニ申上ゲテ置キタイト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=138

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• 139・池本甚四郎

  ○池本委員　色々御說明ヲ受ケマシタガ、
  ソコデマア私ノザツトシタ見方ヲ一應申上
  ゲテ見マスト、大體戶數割、是ハ主トシテ
  町村財政ノコトニナリマセウガ、此ノ戶數
  割ガ廢止ニナツタ、是ハ成程只今ノ仰セニ
  ナリマシタヤウニ事實モウ此ノ上ノ伸張性
  ハナカラウカト思ヒマスガ、兎モ角伸縮自
  在ノモノデアツタ、ソレヲオ廢メニナツタ、
  其ノ次ハ市町村民稅、是ハ稅收ヲ目的トシ
  テ居ラレナイノデ、稅收ヲ目的トシテ居ラ
  レナイモノヲ作リ上ゲテ代リ財源ニシタ、
  第三番目ニハ所得稅ノ附加稅ヲオ廢メニナツ
  タソレニ代リマスノガ三收益稅ノ還付デ
  アリマスガ、是ハ斯ウ見タライケナイノデ
  スカ、地租、ソレカラ家屋稅、是ハモウ限
  ラレタモノデ、ドウモ是ニハ彈力性トカ、
  伸張性トカ云フモノハナイ、私ハ斯ウ思フ
  ノデス、營業稅デスガ、營業稅ダツテソレ
  ハ都市的ニ考ヘレバ成程伸ビル餘地ガアル
  カモ分リマセヌケレドモ、ドウモ町村ニア
  ルヤウナ營業稅ト云フモノハ知レテ居ル、
  ダカラシテ是モ伸ビナイ、此ノ三收益稅ニ付
  テノ原地還付、是ハドウモ伸張力ガナイト
  思フ、殘ル所ハ新ニ加ハツタノハ何カト云
  フト、是ハ町村ノ方デ申シテ居ルノデスカ
  ラ左樣ニ御承知願ヒマス、府縣カラ或ル種
  ノ雜種稅ヲオ分ケニナツタ、ソレハ分ケテ
  貰ツタ、是ハ新ナ稅源デス、其ノ外ニ特定
  臨時的ナ目的デ受益者負擔金制度ヲ御設ケ
  ニナツタ、是ダケデス、新シク加ハツタノ
  ハ--サウスルトドウモ甚ダ心細イ、ダ
  カラ足ラヌモノハ分與稅デヤルンヂヤナ
  イカ、斯ウ云フコトニナルダラウト思フ、
  ソコデ分與稅デスガ、氣前ヨクドン〓〓ト
  言フダケ貰フノナラバ大變結構ナノデスガ、
  是ハ何ダカ摺ツタ揉ンダ、殊ニ其ノ出先ノ
  大藏省ノ稅務署ノ役人アタリガセセコマシ
  イコトヲ言ヤシマセヌカ、吳レナケバド
  ウモ窮屈ニナツテシマフ、十億何千万圓
  ノ總稅收中三億三四千万圓、三割五四分ト
  云フモノハ兎ニ角オ情ケ、是ハマア半抱ヘ、
  又三割五分抱ヘ、頂戴米ト云フヤウナ譯
  デス(笑聲)ダカラ是ハ氣前ヨク吳レマスカ、
  ドウデスカ、ソレハキチント規則通リト仰
  シヤルデセウガ、法ハ運用ニアルノデ、幾
  ラ法デキツチリト決メラレテモ運用ニアル
  ンダカラ、一ツ氣前ヨク吳レマスカ、ドウ
  デスカ、ソレヲ一ツ·····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=139

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• 140・挾間茂

  ○挾間政府委員　今御述ニナリマシタ初メ
  ノ點デスガ、是ハ御述ニナリマシタヤウニ
  地租、家屋稅ニ付テ賃貸價格ガ餘リサウド
  ンドン變ルモノデハゴザイマセヌ、隨テ先
  程申上ゲマシタ伸張力ト云フモノハ是ハ餘
  リアリマセヌ、併シナガラ團體ガ色々ナ仕
  事ヲスル場合ニ課率ヲ增減スルト云フコト
  ハ是ハ必要ナ限度デ出來ルノデスカラ、
  其ノ意味ニ於テ團體財政トシテハ伸縮性ヲ
  無論持ツテ居ル、ソレカラ營業稅ノ問題ハ、
  是ハ景氣ニ依リマシテ動キハアリマスガ、
  伸張力ハアル譯デス、サウシテ斯ウ云フ稅
  收入ノナイヤウナ所ハ卽チ課稅力ガ非常ニ
  乏シイ所デスカラ、ソコニハ配付稅ガ行ク
  譯デス、配付稅ガ大藏省ノ稅務官吏ノ手ニ
  依ツテドウ斯ウト云フ御尋デスガ、ソレハ
  モウ全クサウ云フコトハナイノデ、法律デ
  御覽ノヤウニ所得稅、法人稅ノ一割六分五
  厘五毛ト云フモノハモウ法律デ當然來ルシ、
  ソレカラ遊興飮食稅、入場稅ノ五割ト云フ
  モノガ當然參リマシテ、ソレガ平年度ニ於
  テ三億二千七百万圓ト云フ額ニナル、是八、
  課稅力ト財政事情トヲ標準トシテ配分セラ
  レル譯ナノデ、其ノ配分ノ方法ハ法律デガ
  ツチリト定ツテ居リマシテ、殆ド官廳ノ自
  由裁量ノ餘地ハナイ、況シテ財源ノ收入
  ニ付テハ大藏當局ガ手心デ自由ト云フコト
  ハ全然出來ナイ譯デアリマス、ソシカラ今
  ノ課稅力ノ弱イ所ニハ、課稅力ノ弱イ程度
  ニ逆比例シテ第一種配付額ト云フモノガ餘
  計行クコトニナルノヂ、今マデ困ツテ居ツ
  タ所ハ非常ニ此ノ稅制ニ依ツテ財政經理上
  樂ニナルト云フコトハ玆デ保證シテ申上ゲ
  テ宜イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=140

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• 141・小山倉之助

  ○小山委員長　池本君、一寸御相談申上ゲ
  マスガ、今日ハ本會議ノ關係上、アト十分
  カ十五分デ終了シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00419400307&spkNum=141

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• 142・池本甚四郎

  ○池本委員　ソレデハ十五分程度デ打切ル
  ヤウニ致シマス-御說明ノ如クアランコ
  トヲ切望致シテ置キマス、所デ一言申シテ
  置キマスガ、先程三億何千万圓地方ノ爲ニ
  輕減ニナルト仰シヤル、所ガ只今地租家屋
  稅ニ付テハ、ドウカスルト將來必要ノ爲ニ
  課率ヲ引上ゲレバ伸ビル、斯ウ云フヤウナ
  御話ガアツタ、サウスルト三億何千万圓ト
  云フモノハ其ノ場合ニハ割引シテ考ヘナケ
  レバナラヌト思ヒマス、ダカラサウスルト
  三億何千万圓ヲ永久ニ至ルマデナドト、サ
  ウ自慢タラシクモ言ヘナイ、斯ウ云フコト
  ヲ一寸申上ゲテ置キマス、其ノヤウニ感ジ
  マシタ

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• 143・挾間茂

  ○挟間政府委員　ソレハ賦課率トシテハサ
  ウナツテ居リマス、併シソレヲ增率スル場
  合ニハソレハ施設ヲ宜クスルノデスカラ、
  施設ト課率ヲ睨ミ合サナケレバナリマセヌ
  カラ、ソレダケ申上ゲマス

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• 144・池本甚四郎

  ○池本委員　ソコデ分與稅ノ問題デスガ、
  今度出マシタ三億三四千万圓ノ分與稅ノ額
  デゴザイマスネ、是モマダ調整配付ノ稅デ
  ス、アレハ差當ツテノ地方財政需要ニ適應
  スルモノト思ハレルノデスガ、將來ノ地方
  財政膨脹ニ應ズル用意ニ付テ御考慮ナサツ
  テ居ルノデアリマセウカ、此ノ點カラ申シ
  マスルト、或ハ是ハ參考書ガ出テ居ルノカ
  モ分リマセヌガ、若シ出テ居ラナケレバ一
  ツ此ノ資料ヲ頂戴致シタイト思フノデアリ
  マスガ、最近、出來レバ十箇年位ノ地方財
  政ノ膨脹ノ趨勢、ソレカラ此ノ財源ニナツ
  テ居リマスル所得稅、法人稅、遊興飮食稅、
  ソレカラ入場稅、サウ云フモノノ自然增收
  ノ趨勢ト其ノ對照的ナ數字ヲ一ツ御示ヲ願
  ヒタイト思フノデゴザイマスガ、ドウデゴ
  ザイマセウカ

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• 145・挾間茂

  ○挾間政府委員　三億二千七百万圓ト云フ
  ノハ詰リ昭和十五年度ニ於ケル現行制度ノ
  稅制ノ下ニ於テ幾ラノ稅收入ガアルカ、ソ
  レヲ計算シタ結果十億二一千二百万圓ト云フ
  數字ガ出マシタ、ソレヲ基準トシテ調整財
  源三億二千七百万圓ト云フ平年度ノ數字ガ
  出タ譯デゴザイマス、ソレガ基準ニナツテ
  居ル譯デスガ、ソレカラノ後年度ニ於ケル
  問題ハ、先程申上ゲマシタ稅ノ伸張力、所
  得稅、法人稅等ノ自然增收ガアリマスカラ、
  ソレニ依ツテ段々財政收入ガ動イテ來ルト
  思ヒマス、尙ホ地方財政ノ膨脹ノ狀況等ニ
  付キマシテハ財政課長カラ一寸御話申上ゲ
  マス

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• 146・三好榮次郎

  ○三好政府委員　池本サンノ御希望ノ數字
  ニ或ハピタツト參リマセヌガ、御手許ニ差
  上ゲマシタ要求ノ資料デ御配付申シマシタ
  モノノ中ニ五箇年間ノ歲入歲出ノ決算ノ比
  較表ガ出テ居リマスカラ、ソレデ御覽ヲ願
  ヘレバ幸デアリマス

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• 147・池本甚四郎

  ○池本委員　ソコデ將來ノ地方財政上收入
  不足ガ出來タ場合、其ノ時ノ處置ヲドウ云
  フ風ニ致サレマスカ、卽チ分與稅ヲ增加ス
  ル方法ヲ取ラレマスカ、又其ノ分與稅增加
  ト申シマシテモ、分與稅ノ配付額ヲ增サレ
  マスカ、或ハ其ノ還付稅ノ稅率ヲ增スヤウ
  ニセラレマスカ如何、分與稅ノ增加ニ依ル
  ノデナケレバ、他ノ地方稅種ノ引上ヲ想像
  シテ居ラレマスカ、或ハ又分與稅ノ稅源ガ
  足リナイト云フヤウナ場合ニハ、他ノ稅種
  ヲ此ノ分與稅ノ財源ニ持ツテ來ラレルヤウ
  ナ場合モアリマセウカ、此ノ點ヲ伺ヒタイ
  ト思セマス

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• 148・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ地方團體ノ施設ト地
  方ノ財源ト云フモノトハ大體睨ミ合ツテ出
  サナケレバナラヌト思ヒマス、財政收入ガ
  自然ニ減少スル時ニハ、國ノミナラズ地方
  團體モ財政緊縮ノ方針デ行カナケレバナラ
  ヌト思フノデアリマス、非常ナ變動ガ起ラ
  ナイ場合ハ別ト致シマシテ、只今マデノ見
  透シトシマシテハ、此ノ稅制ノ下ニ於キマ
  シテ地方ノ財政需要ト云フモノハ十分充足
  サレテ行クト考ヘテ居ルノデアリマス、ト
  申シマスノハ此ノ十億三千二百万圓ト云フ
  モノヲ抑ヘマシタノハ、最近非常ニ莫大ナ
  自然增收ガ此ノ數年間アリマスガ、其ノ自
  然增收ヲ見越シマシテ、其ノ稅總額ヲ抑ヘ
  テ十億三千二百万圓ト云フモノヲ使ツテ居
  ルノデアリマスカラ、ソレダケノ稅ガ收入
  アルト云フヤウニシテ三億二千七百万圓ト
  云フ配付稅ガ定メラレテ居リマスノデ、大
  體ノ見透シトシマシテハ、之ニ依ツテ地方
  團體ノ財政經理ハ支障ナク行ケルト、斯ウ
  云フ風ニ考ヘテ居リマス

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• 149・池本甚四郎

  ○池本委員　御承知ノヤウニ町村ニハ基本
  財產ト云フモノガゴザイマス、是ハ政府ノ
  方デ御奬勵ニナツテ居ル、又基本財產蓄積
  條例ナント云フモノヲ拵ヘマシテ、年々ノ
  收入ノ中カラ基本財產へ蓄積シテ居ルモノ
  ガ多イノデゴザイマス、サウ云フ風ニ財產ヲ
  段々蓄メテ居ル、ソコヘ調整配付稅ヲ戴クノ
  デスガ、一方ニ財產ガアリ、又ソコノ方ヘ
  段々蓄メテ行キナガラ、コツチカラ頂戴ス
  ルノハドウモ何ダカヲカシイヤウニ思ハレ
  ル又貰フ方モ一寸氣兼ネデアル、サウ云
  フ思ヲサセズニ別個ニ御考ニツテ戴ケマス
  カ、ドウデゴザイマセウカ

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• 150・挾間茂

  ○挟間政府委員　ソレハ全然別ノ問題デゴ
  ザイマス、詰リ配付稅ト云フノハ、三ツ
  割增人ロデ分ケマス、一ツハ國稅附加稅ノ
  額ガ基準ニナリマス、今ノ御話ハ稅外收入
  ノ問題デ、又基本財產ノ問題デアリマス、
  全然此ノ配付稅ノ基準トハ關係ガナイノデ
  スカラ、左樣御承知ヲ願ヒマス

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• 151・池本甚四郎

  ○池本委員　私モ左樣ニ思ツテ居リマシタ
  ケレドモ、念ノ爲ニ一寸伺ツテ置イタ譯デ
  アリマス、次ハ目的稅ニ參リマス、目的稅
  ヲ起シ得ベキ事業ノ種類範圍デアリマスガ、
  ソレハ水利事業其ノ他土地ノ利益トナルベ
  キ事業、斯ウアルノデス、ソレデ朧ゲナガ
  ラ此ノ目的ハ限定サレテ居ルコトハ承知出
  來マスガ、昨日カ一昨日カノ御質問ニモア
  リマシタヤウニ、地方ノ町村デ一番費用ノ
  掛リマスノハ、是ハ年々歲々起ルモノデハ
  アリマセヌガ、併シ起ツタ場合ニドカント
  應ヘルノハ學校トカ役場ノ建築デアリマ
  ス、サウ云フモノハ目的稅ハ起シ得ナイノ
  デゴザイマセウカ、如何デスカ

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• 152・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレハ此處ニ擧ゲテゴザ
  イマスヤウニ、七十九條ノ共同作業場、共
  同倉庫、共同集荷場、是ハ例示デゴザイマ
  スガ、大體此ノ種類ノモノデゴザイマシテ、
  今御述ニナリマシタヤウナモノハ此ノ範圍
  ニハ入ラナイノデゴザイマス

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• 153・池本甚四郎

  ○池本委員　サウスルト此ノ目的稅ト云フ
  モノハ、大體小サイ事業ヲ目標ニスル、斯
  ウ云フ御趣旨デゴザイマスカ

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• 154・挾間茂

  ○挾間政府委員　小サイ事業ト申シマス
  カ、共同ニ利用スル目的ヲ以テ經營スル施
  設ヲ對象トシタイト思ツテ居リマス

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• 155・池本甚四郎

  ○池本委員　受益者負擔金制ノコトデ一寸
  伺ヒタイト思ヒマス、是ハ大體個人ヲ目標
  トサレテ居リマセウネ、ソレナラバ地方ノ
  實情カラ考ヘマスト、此ノ受益者負擔金ヲ
  取リマス場合ニ、個人々々カラ取ルヨリモ、
  團體カラ取ル方ガ取リ宜イ場合ガアルノデ
  ス、個人カラノ受益者負擔金徵收モ宜シイ
  ガ、或ハ團體ニ賦課スルト云フヤウナ點ニ
  付テ御考ハゴザイマセヌデセウカ

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• 156・挾間茂

  ○挾間政府委員　受益者分擔金ノ制度ハ從
  來モアツタノデゴザイマスガ、將來ノ制度
  ヲ地方稅制ニ於テ擴張シタノデゴザイマシ
  テ、從來トモヤハリ個人ヲ對象ト致シテ居
  リマス、ソレデ只今御述ニナリマシタヤウ
  ナ部落ヲ人格的ニ見マシテ、ソレニ對シテ
  分擔金ヲ課スルト云フコトハ、現行制度ノ
  下ニ於テハ考ヘテ居リマセヌ

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• 157・池本甚四郎

  ○池本委員　是ハ何トカ出來レバ一ツ便宜
  ノ爲ニ御考下サル方ガ結構ト思ヒマス、其
  ノ方ガ實際圓滑的ニ取レルコトガアラウト
  思ヒマス、三好サン京都ニ居リマシタ時ニ
  御存ジダラウト思ヒマスガ、機會ガアレバ
  御考置ヲ願ヒタイト思ヒマス、其ノ次ハ不
  在地主ノ課稅デゴザイマス、是ハ無理カト
  思フノデゴザイマスガ、一ツ御伺シテ見タ
  イト思ヒマス、何トカ之ニ不均一賦課ガ考
  ヘラレナイモノデセウカ、是ハ決シテ私ハ
  イヂメルト云フヤウナ意味ヂヤナイノデゴ
  ザイマス、併シ第一ニ考ヘマスノハ地方
  稅ハ應益主義ヲ主ニスル、第二ニハ社會政
  策的ノ意味ヲ加ヘル、第三ニハ地方ノ實際
  ノ實情ヲ考ヘル、ソレデ私ハ不在地主ハド
  ノ位アルカ調ベテ見タノデス、無論小サイ
  區域デス、私ハ京都府ノ久世郡ト云フ茶ノ
  名所ノ宇治ノ近所デスガ、ソコノ郡農會ヲ
  使ツテ調ベサシタノガス、一局部ノコトデ
  スガ、是モ他山ノ石トシテ御覽ヲ願ヒタイ、
  此ノ郡內ノ總段別ガ二千九百四十二町歩、
  其ノ所有戶數ガ三千百五十八、其ノ中デ當
  該町村及ビ遠ク離レタ土地ニ居ル地主ノ所
  有スルモノガ千三百十二町步アル、其ノ割
  合ハ總段別ノ中四割四分六厘、其ノ所有ス
  ル戶數ハ千三百九十三戶デ、四割七分二厘、
  所ガ隣リヤ近所ノ町村カラノ地主ヲ除イ
  テ、本當ノ都市カラノ地主、是ダケヲ取ツ
  テ見マスト、四百四十八町步、一割五分一
  厘、所有者戶數デ六百三十七戶、二割一厘、
  斯ウナツテ居リマス、是ハ相當持ツテ居ル
  ノデス、所ガ地方ノ施設ヲシマス時ニ斯ウ
  云フ不在地主ガ一番邪魔ニナルヤウナコト
  ガアル、一體吾々ハ日頃町村ニ居リマシテ
  色々ノ世話ヲスル、ソレヲ遠イ所カラ高見
  ノ見物ヲシテ居ツテ、其ノ同ジダケノ利益
  ヲ得テ居ル、サウシテイザ公共事業ヲヤル
  場合ニハ、土地デモ買收スル場合ニハ摺ツ
  タ揉ンダト文句ヲ言フ人々ガアル、ソレデ
  私ハ社會政策的ノ意味デ、地方ノ實情ヲ應
  益主義カラ考ヘテ、何トカ出來ルナラバ
  イヂメル意味ヂヤナイガ、今御話申上ゲタ
  ヤウナコトカラ見ルナラバ、正當ナ理由ニ
  依ツテ何トカソコニ不均一賦課ガ出來ナイ
  ダラウカト考ヘマス、ドウモ私ハ從來、捉へ
  テヤラウト思ツタガ、現在ノ法制上デハド
  ウシテモ捉ヘラレナイ、其ノ點何トカ御考
  ガ出來ナイデセウカ

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• 158・挾間茂

  ○挾間政府委員　御尤モノ御尋ダト思フノ
  デアリマスガ、不在地主ノ中ニ吾々ハ二通
  リノモノガアルト考ヘテ居リマス、ニハ、
  他市町村ノ者ガ其ノ市町村デ土地ヲ持ツテ
  居ル、唯ソレダケノ意味ノ不在地主デアリ
  マス、一ツハ所謂不在地主デアリマシテ、
  從前家屋敷ヲ持ツテ居ツタケレドモ、色々
  ナ事情デ引越シテ、後ハ管理人カ何カニ任
  シテ、都會ナラ都會ニ出テ生活ヲシテ居ルト
  云フ意味ノモノデアリマス、御述ニナリマ
  シタノハ或ハ第一ノ方ノ不在地主デアラウ
  カト思フノデアリマス、若シサウデゴザイ
  マスナラバ、其ノ不在地主ノ土地ガ或ル施
  設ニ依リマシテ特ニ利益ヲ受ケル、其ノ町
  村內ノ地主ガ持ツテ居リマス土地ヨリモ、
  特ニ利益ヲ受ケルト云フヤウナ事實ガアリ
  マスレバ格別、サウデナイ場合ニ於キマシ
  テハ、例ヘバ御話ニナリマシタヤウナ意味
  合ノモノデアリマスナラバ、不均一課稅ヲ
  認メルト云フコトハ、ドウモ出來兼ネルノ
  デハナイカト考ヘルノデアリマス、併シナ
  ガラ後ノ方ノ意味ノ不在地主、卽チ家屋敷
  ヲ國ニ殘シテ居ルガ、併シ本人ハ住ンデ居
  ラヌト云フ意味ノ不在地主デゴザイマスナ
  ラバ、是ハ其ノ村トノ緣故ト言ヒマスカ、
  繫ガリガモツト深イヤウニ考ヘマスノデ·
  市町村民稅ヲ今囘設ケマスニ對シテ從前戶數
  割ハ課ケ得ラレナカツタノデアリマスガ、
  市町村民稅ハ課ケ得ル、斯ウ云フ建前ニ致
  シタノデアリマス

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• 159・池本甚四郎

  ○池本委員　挾間サンニ致シマシテモ地方
  自治制ノ「オーソリチー」デアリマスシ、,三
  好サンハ「エキスパート」デアリマスカラ、
  一ツ何トカ次ノ委員會マデニ是モ御考慮ニ
  入レテ戴イテ、旨ク一ツ摑メルヤウニ御考
  置ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソコデ其ノ次ニ
  是ハ出マシタカラ走リマスガ、例ノ土地增
  價稅、或ハ間地稅、或ハ庭園稅、廣告稅、
  斯ウ云フヤウナ地方稅、是ハ私ハ拵ヘル方
  ガ宜イト思フノデス、ソコデ地方ニ希望ガ
  アツテ、申出レバ-成ベク許可スル方針ダト
  云フコトデゴザイマシタガ、是ハ大變結構
  デスカラモウ質問ハ致シマセヌ、其ノ中間
  地稅デゴザイマスガ、是ハ斯ウ云フ時局カ
  ラ考ヘテモ、斯ウ云フコトガアルノデス、
  何ノカンノト申シテ居リマシテモ、地方ニ
  ヤハリ土地ガ遊ンデ居ルノデアリマス、遊
  ンデ居ルカラ無收益デ、ソコニ課稅スルノ
  ハ酷ダト云フ風ニモ考ヘラレマス、特ニ私
  ハ不動產、土地ニ對スル重課ハ嫌ヒナノデ
  スガ、併シ是ハ刺戟スル意味ニ於キマシテ
  稅ヲチツト課ケテ見ル、サウスルトソコデ
  其ノ土地ヲ生產的ニ利用シヨウト云フ工合
  ニナルノデゴザイマスカラ、サウ云フ意味
  ニ於テ私ハ間地稅ト云フモノハ一見酷ノヤ
  ウニ見エマシテモ、此ノ時局カラ見マシテ農
  產物增產ノ上カラモ宜イト思ヒマスノデ、
  窘メル意味デハナクテ可愛ガル意味ニ於テ
  宜イト思ヒマスカラ、一ツ申請デモアリマ
  スレバ精々許シテ戴キタイト御願致シタイ
  ト思ヒマス、是デ私ハ委員長ノ御指示モア
  リマスカラ大體終リマスガ、ソコデ關聯事
  項ヲ一二申上ゲマス、國ト地方負擔區分ヲ
  更ニ整備シテ戴キタイ、是ハモウ先刻申上
  ゲマシタ通リデ、尙ホ一層御考慮ヲ願ハナ
  ケレバナラヌ、其ノ次ニハ部落費、町會費、
  各種團體費ノ調整デス、是モ出マシタカラ
  多ク申シマセヌ、此ノ事ハ團體ノ統合ガ先
  決デス、是ハ迚モドウモナラヌ、一方ニ壞
  シテハ一方ニ御拵ヘニナルノハオ役人サン
  デス、農林省ト內務省ガ寄ツテタカツテ拵
  ヘル、ソコニ厚生省モ手傳フト云フ譯デス、
  是ハ大體地方ニ任シテ放ツテ置ケバソンナ
  ニ出來ナイモノヲ、役人サンノ方カラ拵ヘ
  サセラレルノガ多イ、サウシテ御尤モ〓〓
  ト言ツテ居ラレル、是ハシツカリト御考下
  サラヌトイカヌ、殊ニ先年町村制ノ改正ヲ
  ヤツテ團體ノ統合ヲヤラウト云フ、是ハ內
  務省ノ方カラヤラウト言ツタ所ガ農林省ノ
  方カラ横槍ガ出タ、皆繩張リ爭ヒデアル、
  愚圖々々スレバ內務省ノ方ニ取ラレルノダ
  ト言ツテ、其ノ時ハ農林省ガ頑張ツテ聞カ
  ナイノダト云フコトガアリマス、其ノ時ハ
  內務省ハ宜シイ、內務省モ宜イコトバカリ
  デハアリマセヌ、內閣ノ直屬ノ人事局ヲ拵
  ヘヨウト思ヘバ、繩張リデ拵ヘサセナカツ
  タ、サウ云フコトハイカヌ、是ハ一ツ官廳
  ガ率先シテ團體ノ統合ヲ圖ツテ貰フ、サウ
  スルト其ノ費用ガ自然的ニ統合セラレルカ
  ラ宜シイ、ソコデソレニクツ付イテノ寄附
  金デス、寄附金モ此ノ間カラ色々話ガアリ
  マシタ、局長ハ默ツテ聞イテ居ルトウマイ
  コトヲ言ツテ居ラレル、是ハ地方カラノ希
  望モアツテ、サウシテ持ツテ來ル、斯ウ云
  フ、サウカト云フト一ツハ無暗ニ地方デ取
  合スルト困ルカラ、ソレヲ「ブレーキ」用ニサ
  ウ云フモノヲ寄附金ヲサシテ見ル、斯ウ云
  フコトヲ言ツテ居ラレル、マア「ブレーキ」
  用ノハ是ハ實際アリマスケレドモ、サウ云
  フ場合ニ受益者負擔金制度ヲ今後採用スル
  ヤウニスレバ宜イト思フ、コンナ譯ノ分
  ラヌモノニ寄附金ミタイナモノヲヤルコト
  ハイケマセヌ、ソレカラ持ツテ來ルモノガ
  從來アルト言ツテモ、ソンナモノハ初メカラ
  率先シテ持ツテ來ルヤウナ者ハアリマセヌ、
  ソンチ顏色ヲ見セルカラソコニ出テ來ル、
  デスカラ是モ成ベクナイヤウニ十分ニ願ヒ
  タイ、殊ニ寄附金ニ付テ最モイケナイト思
  ヒマスノハ、臨時的ノ寄附ハ宜シイデス
  ガ、經常的ノ寄附ヲ取ルノハ是ハ甚ダ怪シ
  カラヌ、ソレハ警察ガ多イ、私等ニモ地
  方ノ署長サンカラ持ツテ來マスガ、署長サ
  ンガ可哀相デスカラ、ソレハ言ヘナイノデ
  ス、署長サンハ警察部長ノ顏色ヲ見テ居ル、
  ダカラソンナ人ニ叱言ヲ言フノデハアリマ
  セヌガ、是ハ精々國ニ持ツテ行ツテ一遍言
  ハナケレバナラヌ、ソレデ署長ガ自動車ヲ
  買フ、署ガ自動車ヲ買フ、「オートバイ」ヲ
  買ハシテ又自動車ヲ買フ、自動車ハ買ツタ
  ガ、油モ修繕費モナイカラ、自動車ハ動キ
  マセヌ、ソコデ油代ダノ修繕費ダノヲ色々
  ナ名前デ會員組織デ拵ヘルノデス、此ノ臨
  時的ナ費用ハ是ハ私ハ地方ニ於テ言ハウト
  思ツテモ氣ノ毒ダカラ言ヘナイノデス、ダ
  カラ私ハ出シテ居ル、出シテ置イテ此處ニ
  持ツテ來テ一ツ言フノデス、警察デ直グニ
  持ツテ行クノハ遊廓デアルトカ、或ハ散髮
  屋デアルトカ、料理屋デアルトカ、サウ云
  フ所ニ持ツテ行ク、此ノ間モ現ニ私ガ歸ツ
  タラ、時局ニ名ヲ藉ツテ國粹精神ノ振興ダ
  トカ云ツテ相撲ノ支持ヲシテ居ル、相撲ノ
  善イ惡イハ別ダケレドモ、是ハ私ノ府トハ
  申シマセヌ、餘計ダラウガ、何々警防協會、
  何々銃後奉公會ト云ツテ札ヲ賣リ步イテ居
  ルノデス、ソンナコトハ惡イ、サウシテ主
  催ハ何々顏役ト書イテアル、是ハ臨時ノ寄
  附デスガ、寄附ニ付テハドウカ一ツ宜シク
  御願致シマス
  ソレカラモウ一ツ、中央地方間ノ豫算ノ
  連絡緊密化ヲ圖ルコトデス、是ハ國ト地方
  トノ豫算ガチグハグニナツテ居ル、其ノ最
  モ著シイノハ土木費ノ補助ナンカデス、道
  路改修ノ國カラノ補助金、是ガ地方ノ豫算
  ヲ見テミマスト、何々國道改修ヲヤルデセ
  ウ、ソレハ何箇年繼續事業ニナツテ居ルノ
  デス、ソレデ年々ソレニ付テノ國庫ノ補助
  金ガ年度割ニ出テ居リマス、地方ノ豫算ハ
  繼置事業ニナツテ居ル、國ノ内務省ノ豫算
  ハ-是ハ內務省ニ最モ多イノデスガ、內
  務省ノ方ハ一年切リノ豫算ニナツテ居ル、
  ソコデチグハグニナツテ居ルノデス、是ダ
  ケ國カラノ補助ガアルンダ、斯ウ云フテ協
  贊シマスト、ヒドイノハ一割モ五分モ來ナ
  イ、橋ノ補助費ガアルデセウ、橋ガ墜チタ時
  分ニ直シタノガマダチビ〓〓來テ居ルノデ
  ス、ソレガ地方財政紊亂ノ一ツノ大キナ原
  因デス、ダカラ是ハ突進ンデハ、地方ト國
  トデ豫算ノ形式ノ改革ニマデナルカモ分ラ
  ヌガ、モツト連絡ヲ能ク執ツテ貰ヒタイ、
  地方ガ繼續費ニナツテ居ルナラバ國モ繼續
  費ニスル、サウ云フ風ニ地方ト國トノ豫算
  ノ連絡緊密化ヲ圖ツテ貰フコトヲ一ツ宜シ
  ク御願致シマス
  ソレカラ最後ニ一寸伺ヒマスガ、此ノ間
  內務大臣ガ地方ノ行政監督機關デスカ財政
  監督機關デスカ、ドチラカ私ハ聽漏シタガ、
  監督機關ヲ設置セラレル、ソレヲ考慮中ダ
  ト言ツテ居ラレタ、サウ云フ監査機關ヲ設
  ケル、ソコデ伺ヒマス、是ハ內務大臣代リ
  ニ伺フ、府縣參事會會計檢査制度廢止ト云
  フコトガ往々ニシテ傳へラレテ居リマスガ、
  是ト關聯シテ御考ニナツテ居ルノデアリマ
  スカ、居ラナイノデアリマスカ、ドウデス
  カ、此ノ點ヲ一ツ伺ヒタイ

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• 160・挾間茂

  ○挾間政府委員　第一ノ地方ノ團體ノ統合
  ノ問題ハ、私ハ池本サンノ御述ニナリマシ
  タ點ニ付テ極メテ同感デアリマス、唯是ハ
  各團體ノ色々ナ沿革モアリ、決シテ繩張リ
  爭ヒト云フ意味デナク、相當困難デアリマ
  スノデ、吾々ノ方針トシテハ成ルベク統合
  出來ルモノハ統合ヲシ、困難ナモノニ付テ
  ハ最大限度ノ連絡協調ヲ執ツテ行キタイト云
  フ方針デ進ミタイト思ヒマス、何ト申シマ
  シテモ地方ノ經濟生活ト云フモノヲ除外シ
  テハ町村自治ト云フモノハ本當ニ藻拔ノ殼
  ノヤウナモノデアリマスカラ、御述ナニリ
  マシタ點ニ付キマシテハ出來ルダケサウ云
  フ方針デ行キタイト思ヒマス
  ソレカラ寄附金ノコトニ付テハ是亦私ハ
  同感ノ意ヲ表シマス、御述ニナリマシタ點
  ハ警察當局トモ十分話合ヲ致シタイト思ヒ
  マス
  ソレカラ中央ト地方ノ豫算ノ問題ハ是亦
  私ハ極メテ同感ノ意ヲ表シマス私モ地方ノ
  長官ヲ致シマシテ斯ウ云フコトニハ何囘モ
  遭遇致シテ居リマス、殊ニ土木豫算ニ付テ
  ハサウ云フ實例ガアリマス、唯吾々ノ希望
  トシテハ斯ウ云フ時ニハ豫算外ノ契約デモ
  スルコトガ適當デハナイカト思ツテ居リマ
  スガ、國ノ豫算ノ傳統的ナヤリ方トシテ斯
  ウ云フコトニナツテ居リマスノデ、此處デ私
  ガ約束致シマシテモ是ハ全ク無力ナ者ガ希
  望ヲ述ベル程度デゴザイマスノデ、御希望
  ヲ十分承ツテ大臣ニ御傳スルヤウニ致シタ
  イト思ヒマス
  ソレカラ監査機構ハ實ハ今御述ニナリマ
  シタヤウナ參事會ノ會計檢査ト關聯シ
  テ-ソレカラ起ツタ問題デハナイノデアリ
  マシテ是ハ全ク今度ノ稅制改正ヲ機會ニ現
  在地方局ニ監査課ト云フノガアルノデス
  ガ、此ノ稅制改正ノ結果分與稅ト云フ大キ、
  ナモノガ出來マスカラ、此ノ關係ニ於テハ
  ドウシテモ地方ノ行財政ヲ徹底的ニ監査シ、
  使途ニ付テモ十分ナ指導ヲ致サナケレバナ
  ラヌト云フコトデ、此ノ監査機構ヲ作ツタ
  ノデアリマス、隨テ大臣ガ申シマシタノハ
  サウ云フ意味カラ出來ルモノデ、中央ニ設
  ケマス監査機構、地方ニ設ケマス監査機構、
  是デ府縣市町村ヲ行政、財政兩方面カラ十
  分監査ヲ致シマス、大體是ハ自己監査ヲ主
  ト致シマスガ、間違ヒノナイヤウナ適正ナ
  財政經理ヲ致サセタイ、又行政ノ運用ヲ見
  テ行キタイ、斯ウ云フ積リデアリマス

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• 161・池本甚四郎

  ○池本委員　モウ二ツアルノデスケレドモ、
  是ハ內務大臣ニ御聽シタイト思ヒマスノデ、
  後日何カノ機會ニ一寸挾ンデ戴クコトヲ御
  願申上ゲマシテ、私ノ質問ヲ打切リマス

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• 162・小山倉之助

  ○小山委員長　內務大臣ニ對スル御質問ハ
  留保シテ置キマス-ソレデハ今日ハ是デ
  散會ヲ致シマス、明日ハ午前十時ヨリ開會
  致シマス
  午後五時五分散會

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