第75回帝国議会　衆議院　所得税法改正法律案外三十件委員中地方税法案外七件小委員会　第6号　昭和15年3月9日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十五年三月九日（土曜日）午前十時三十七分開議
  　出席委員左の如し
  　　小委員長　小山倉之助君
  　　理事　川崎末五郎君　理事　内藤正剛君
  　　理事　石井徳久次君　理事　瀧澤七郎君
  　　　　長野高一君　　　成島勇君
  　　　　池本甚四郎君　　　飯田助夫君
  　　　　塚本三君　　　伊藤五郎君
  　　　　宮本雄一郎君　　　上田孝吉君
  　　　　山川頼三郎君　　　森田福市君
  　　小見山七十五郎君　　　永江一夫君
  　　　　青木作雄君　武田徳三郎君
  同日委員成島勇君及塚本三君辭任に付其の補闕として伊藤五郎君及池本甚四郎君を委員長に於て選定せり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　内務大臣　伯爵　兒玉秀雄君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　内務政務次官　鶴見祐輔君
  　　　　　内務省地方局長　挾間茂君
  　　　　　　　内務書記官　三好重夫君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　地方税法案（政府提出）
  　地方分與税法案（政府提出）
  　府縣制中改正法律案（政府提出）
  　市制中改正法律案（政府提出）
  　町村制中改正法律案（政府提出）
  　北海道會法中改正法律案（政府提出）
  　北海道地方費法中改正法律案（政府提出）
  　地方分與税分與金特別會計法案（政府提出）

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• 001・小山倉之助

  ○小山委員長　是ヨリ開會致シマス、前會
  ニ引續キ宮本君ノ發言ヲ許シマス

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• 002・宮本雄一郎

  ○宮本委員　私ハ疑問ノ要點ダケ申述ベテ
  御答辯ヲ伺ヒタイト思ツテ居リマシタガ、
  其ノ要點ノ意味ガ十分ニ御諒解ガ出來ルヤ
  ウニ申上ゲラレナイヤウナ感ガ致シマス
  ノデ、極メテ簡單ニ自分ノ意見ヲ申述ベマ
  シテ、質問ノ要旨ヲ御諒解願フヤウニ致シ
  タイト考ヘマス、最近內務省ノ自治體ニ關
  スル指導監督ノ御方針ガ、非常ニ從來ヨリ違
  ツテ來タヤウニ考ヘルノデアリマス、此ノ
  地方稅制問題、分與稅問題等ニ付キマシテ、
  他ノ委員ノ方ヨリモ、中央集權ノ嫌ヒガア
  ルト云フヤウナ批評ヲ加ヘテノ御質問モア
  ツタノデアリマスガ、總括的ニ此ノ稅ヲ檢
  討致シマスト、今囘ノ地方稅制改正ニ付キマ
  シテハ、何ト御辯解ニナリマシテモ此ノ方針
  ハ中央集權デアリマス、此ノ制度ハドウ云
  フヤウナ御辯解ガアリマシテモ、中央集權
  デアリマス、斯ノ如ク中央集權的ニ御拵ヘ
  ニナツタ所ノ稅法ヲ今後施行スルニ、左樣
  ナ氣持ヲ以テ施行セラレルニ於テ自治精神
  ヲ沒却セラレヤシナイカ、斯ウ云フ私ハ疑
  問ヲ持ツテ居ル、併シ一應此ノ稅制ヲ認メ
  ルト致シマシテモ、其ノ精神ハ何處マデモ
  自治精神デアリマシテ、自治精神ヲ沒却ス
  ルヤウナコトハ絕對ニ避ケナケレバナラヌ
  ト云フコトハ申上ゲルマデモナイ次第デア
  リマス、故ニ此ノ法律ヲ實施セラレル場合
  ニ於キマシテハ、其ノ運用上ニ於キマシテ
  自治精神ヲ沒却セザルヤウニ其ノ運用ヲシ
  ナケレバナラナイ、斯樣ニ考ヘマス、此ノ
  自治精神ヲ何處ニ置クノカ、軍人ニハ申上
  ゲルマデモナク軍人精神ヲ示サレテアリマ
  ス、自治體ノ公民ニハヤハリ自治精神ガ示
  サレテアルノデアリマス、局長サンハ此ノ
  自治精神等ニ付キマシテハ、私ガ申上ゲル
  マデモナク能ク御承知ノコトデ、私ノ方
  ガ、學校ノ先生ニ色々御伺スルヤウナ立場
  ニ於テ御伺センケレバナラヌヤウナ關係ニ
  考ヘテ居リマスガ、併シ最近ノ監督官廳ト
  シテノ御方針ガ、ドウモ此ノ自治精神ニ反
  スルヤウナ嫌ヒガアツテナラナイノデス、
  此ノ自治精神ハ何ヲ指スカト申シマスト、
  市町村制發布當時ニ示サレマシタ理由書ガ
  アル、此ノ理由書ハ長イモノデアリマス
  ガ、其ノ一節ニ、軍人精神トシテ示サレタ
  ト同ジヤウニ此ノ自治精神ト云フモノガ示
  サレテアルノデアリマス、私共ハ之ヲ尊重
  シテ居ル、是デナケレバナラナイ此ノ自
  治精神ニ依ツテ監督官廳モ監督モシ、指導
  モサレルダラウト常ニ考ヘテ居ツタノデア
  リマスガ、ソレガ段々ニ違ツテ來ルヤウナ
  感ジガ致シマス、又實例ニ於キマシテモ、
  今囘ノ稅制改正ノ如キモ、地方カラ中央ヘ
  取ツテサウシテ之ヲ地方ニ還元スルノデア
  リマスケレドモ、又之ヲ地方ニ與ヘルト云
  フヤウナコトガ旣ニ中央集權デアル、斯ウ
  云フ風ニ考ヘテ居リマス、併シ是ハ實施ニ
  於テ左樣ナコトノナイヤウニ施行センケレ
  バナラナイ、昨日モ內務大臣ニ他ノ委員會
  デ、自治體ノ監督指導ノ御方針ヲ伺ツタノ
  デアリマシテ、之ニ付キマシテ、只今申上
  ゲマシダ自治制度ノ施行當時ニ於ケル其ノ
  理由書、詰リ私ガ自治精神ハ斯ノ如キモノ
  デナケレバナラナイト感ジテ居ル自治精神
  ノ理由書ハ、全文ハ讀上ゲマセヌガ、他ノ
  委員會ニ於キマシテハ委員長ノ承諾ヲ得テ
  速記錄ニ留メテ貰フコトニ致シタノデアリ
  やべ、茲ニハ極メテ其ノ一節ヲ申上ゲマシ
  テ、是ハ御承知ト存ジマスガ、之ヲ深ク御
  承知ノ上デ、之ヲ以テ自治精神トスルト云
  フコトデアリマスレバ、斯ノ如キ立法ニ付
  テハ內務省モ餘程御考ニナツタコトデアラ
  ウト思ヒマスガ、併シ出來マシタ以上ハ、
  今後之ガ實施ノ上ニ於キマシテ自治精神ヲ
  沒却セヌヤウニセンケレバナラナイ、故
  其ノコトヲ申上ゲル以前ニ、委員長ノ御許ヲ
  得テ簡單ニ此ノ理由書ノ一節ヲ玆ニ讀上ゲ
  マス、「維新ノ後政務ヲ集現シテ一ニ之ヲ中央
  ノ政府ニ統ヘ地方官ハ各其ノ職權アリト雖モ
  政府ノ委任ニ依テ代テ事ヲ處スルニ過キス今
  地方ノ制度ヲ改ムルハ卽チ政府ノ事務ヲ地
  方ニ分任シ又人民ヲシテ之ニ參與セシメ以
  テ政府ノ繁雜ヲ省キ併セテ人民ノ本務ヲ盡
  サシメントスルニ在リ而シテ政府ハ政治ノ
  大綱ヲ握リ方針ヲ授ケ國家統御ノ實ヲ擧ク
  ルヲ得可ク人民ハ自治ノ責任ヲ分チ以テ專
  ラ地方ノ公益ヲ計ルノ心ヲ起スニ至ル可シ
  蓋人民參政ノ思想發達スルニ從ヒ之ヲ利用
  シテ地方ノ公事ニ練習セシメ施政ノ難易ヲ
  知ラシメ漸ク國事ニ任スルノ實力ヲ養成セ
  ントス是將來立憲ノ制ニ於テ國家百世ノ基
  礎ヲ立ツルノ根源タリ故ニ分權ノ主義ニ依
  リ行政事務ヲ地方ニ分任シ國民ヲシテ公同
  ノ事務ヲ負擔セシメ以テ自治ノ實ヲ全カラ
  シメントスルニハ技術專門フ職若クハ常識
  トシテ任ス可キ職務ヲ除クノ外〓ネ地方ノ
  人民ヲシテ名譽ノ爲メ無給ニシテ其職ヲ執、
  ラシムルヲ要ス而シテ之ヲ擔任スルハ其地
  方人民ノ義務ト爲ス是國民タル者國ニ盡ス
  ノ本務ニシテ丁壯ノ兵役ニ服スルト原則ヲ
  同クシ更ニ一歩ヲ進ムルモノナリ然レトモ
  人民ヲシテ普ク此義務ヲ帶ハシムルトキハ
  其任又輕シト爲サス故ニ一朝ニシテ此制ヲ
  實行セントスルハ頗ル難事ニ屬スト雖モ其
  目的タル國家永遠ノ計ニ在リテ效果ヲ速成
  ニ期セス漸次參政ノ道ヲ擴張シテ公務ニ練
  熟セシメントスルニ在リ是ヲ以テ力メテ多
  ク地方ノ名望アル者ヲ擧ケテ此任ニ當ラシ
  メ其地位ヲ高クシ待遇ヲ厚クシ無用ノ勞費
  ヲ負ハシメス倦怠ノ念ヲ生セサラシムルト
  キハ漸ク其責任ノ重キヲ知リ參政ノ名譽タ
  ルヲ辨スルニ至ラントス」是ハホンノ理由書
  ノ一節中ノ尙ホ一節デアリマスガ、是ガ私
  共ハ公民トシテ自治體ニ盡サナケレバナラ
  ヌ自治精神デアルト考ヘテ今日マデ參ツタ
  ノデアリマス、此ノ精神カラ行キマスト、
  甚ダシク今囘ノ稅制ハ中央集權デアルト云
  フ感ジガドウモ拔ケナイノデアリマス、併
  シマア之ヲ此ノ場合議論致シマシテモ解決
  ガ着クモノデハナイノデアリマスカラ、之
  ヲ實施スルニ付キマシテ、先刻申上ゲマシ
  タヤウナ方針ヲ御執リヲ願ハナケレバナラ
  ヌト考ヘマス
  ソコデ此ノ法律案ノ內容ニ付キマシテノ
  問題デアリマスガ、昨日モ私ノ質問ノ要旨
  ノ述べ方ガ惡カツタノデ、十分滿足スル御
  答辯ヲ得ナカツタノデアリマスガ、私ハ何
  處マデモ國民トシテ稅ノ負擔ヲスルト云フ
  コトハ收入本位、一家ノ經營ノ上カラ、
  世帶ト致シマシテ納稅義務ヲ盡スト云フコ
  トニ付キマシテノ其ノ稅負擔ノ根本ハ、何
  レノ業態ヲ問ハズ、收入ヲ本位トスルト云
  フ建前ガ最モ均衡ヲ得ルコトデアルト云フ
  確信ヲ持ツテ居ルノデアリマス、各國ノ例
  ヲ引イテ申上ゲル必要ハナカラウト思ヒマ
  スガ、是ハ多クノ自治制度ヲ先ニ布カレマ
  シタ各國ノ稅制制度ヲ御承知ダト存ジマス
  ガ、此處ニ重點ヲ置イテアルト云フコトハ
  申スマデモナイ次第デアリマス、故ニ政府
  ガ國稅ヲ所得稅ニ其ノ體系ヲ執ラレタト云
  フコトハ、是ハ稅ノ根本ノ性質カラ行キマ
  シテ極メテ妥當デアルト考ヘテ居リマス、
  然ルニ今囘ノ改正ニ依リマシテ、所謂地方
  稅、卽チ府縣稅、市町村稅ニ於キマシテー
  尤モ府縣稅ノ獨立稅ノ中ニハ稍〓認メナケレ
  バナラヌト考ヘルモノモアリマス、又町村
  ノ中ニモ、市ニ準ズベキ町ト致シマシテハ、
  此ノ稅ヲ取上ゲテモ差支ナイダラウト考ヘ
  ルモノモアリマスガ、農村自治體ト致シマ
  シテハ今囘ノ獨立稅ハ甚ダ當ヲ得ナイノデ
  アリマス、只今申上ゲマシタ納稅義務者ノ
  稅負擔ノ根本ハ、其ノ業態經營ノ收入ニ本
  位ヲ置クト云スコトデアリマスレバ、尙更
  町村ノ獨立稅ト云フモノハ意義ヲ成サヌノ
  デアリマス、殊ニ畜犬稅デアルトカ、金庫
  稅デアルトカ、扇風機稅デアルトカ云フヤ
  ウナモノハ農村ニハ殆ドナイノデアリマス、
  其ノ課稅スル物件ガアルナイニ拘ラズ、其
  ノ根本ニ於キマシテ甚ダ當ヲ得テ居ラナ
  -
  イ、課稅ノ根本方針ニ違ツテ居ルト云フコ
  トヲ感ズルノデアリマス、然ラバ此ノ場合
  此ノ施行ニ當リマシテ之ヲドウスルカト
  云フ點デアリマス、私ハ今囘ノ農村自治體
  ニ對スル稅制ハ、モウ少シ内務省ニ於キマ
  シテモ御〓究セラレタラウト考ヘテ居ツタ
  ノデアリマスシ、又廣ク其ノ方面ノ町村長
  ノ意見ヲモ徵セラレテ立法セラレルノデハ
  ナイカト考ヘテ居ツタノデアリマスガ、左
  樣ナコトニ至ラナカツタコトニ付キマシテ
  ハ、非常ニ失望シタヤウナ譯デアリマス、此
  ノ町村殊ニ農村關係ノ獨立稅ト致シマシテ
  ハ、金額ハ少イノデアリマスガ、之ヲナゼ
  國稅ノ所得稅免稅點以下ノ町村民ノ所得ヲ
  基準トセナカツタノデアルカ、私ノ質問ノ
  要點ハ斯ウ云フ點デアリマス、此ノ法律ニ
  於テ、之ヲ實施スルニ當ツテ左樣ナルコト
  ガ出來ルカ、今法文ニ示サレマシタ物件稅
  ノ住民稅以外ノモノハ--是ハ該當スルモ
  ノガナケレバ已ムヲ得マセヌガ、自轉車稅
  ノ如キハ若干農村ニアリマス、現在ニ於キ
  マシテハ自轉車ガ農村ニ於ケル交通機關、
  或ハ各種ノ業態ニ必要ナル機關デアルコト
  ハ、他ノ委員ノ方カラ屢〓申上ゲマシタ通
  リデアリマス、是等課稅物件ガ若干アリマ
  スガ、之ヲ全部廢メテ、住民稅ダケハ色々
  ノ御趣旨モアリマスカラ、是ハ存置シナケ
  レバナラヌト思ヒマスガ、其ノ他ノ獨立稅
  ハ全部廢メテ、國稅以外ノ所得ヲ基準トシ
  テ町村稅ヲ賦課スルト云フコトニ、現在ノ
  法律ニ於テ町村ガ獨立稅ヲ設ケル-卽チ
  玆ニ條例ヲ編成スルニ付キマシテ、左樣ナ
  コトガ出來ルカドウカト云フコトヲ伺ヒタ
  イ、尙ホ私ガ此ノ質問ヲ致シマスニ付キマ
  シテ、以上申述べマシタ自治精神ニ關聯ヲ
  致シマシテ、此ノ實施ニ當ツテ之ヲ沒却セ
  ナイヤウニスルニ付テハ斯ウ云フ風ニスル
  ト云フ局長サンノ御所信ヲ御伺シタイ、甚
  ダ長クナリマシタガ、私ガ質問ヲ致ス趣旨
  ハ以上デアリマスルガ、ソレニ付キマシテ
  御答辯ヲ願ヒタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=2

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• 003・挾間茂

  ○挾間政府委員　第一ノ點ハ地方自治ノ監
  督方針及ビ今囘ノ稅制ノ實施上ニ付テノ御
  意見デゴザイマスガ、地方自治體ニ對スル政
  府ノ監督方針ニ付キマシテハ、從來ト現在
  及ビ將來ニ於テ何等變更ハナイモノト思ヒ
  マリ、卽チ政府ノ監督方針ハ主トシテ之ヲ
  事後ノ監督ニ置キ、事前ニ自治ニ干涉スル
  ト云フ態度ヲ執ルコトハ、自治ノ圓滿ナル
  發達ヲ期スル所以デナイト思フノデアリマ
  ス、無論自治體ノ行政ノ運用ガ適當ニ參リ
  マスヤウニ必要ナ指導ヲ致ス、之ヲ監督ト
  申シマスレバ、所謂指導的ノ監督ト云フコ
  トハ或ル程度必要カモ知レナイト思ヒマス
  ガ、大體ノ方針トシマシテハ、〓ネ自治監
  督ハ事後ノ監督ニ依ツテ、ソレガ不適當ナ
  場合デアレバ之ヲ匡正スル、事前ニ於キマ
  シテハ自治ニ對スル干涉ニ亙ルヤウナコト
  ハ全然之ヲ避ケマシテ、專ラ指導ニ重キヲ
  置クト云フコトデ參リタイト思フノデアリ
  マン、是ハ從來ト雖モ、又、將來ニ於キマ
  シテモ、政府ノ方針ニハ變更ハナイコトト
  考ヘマス
  又今囘ノ稅制ニ付テノ御所見デゴザイマ
  スガ、是ハ稅制全體ヲ御覽戴キマスレバ、
  隨分從來ノ規定ニ依リマシテ自治體ノ自由
  ヲ拘束致シテ居リマシタ點ニ付テ、其ノ自
  由ノ範圍ヲ擴張シ、許可、認可ノ整理ヲ致
  シマシテ、各自治體ノ自由ノ活動ヲ廣ク認
  メルヤウニ致シタ點ガアルノデアリマシテ、
  是ハ法文ニ付テ御覽ヲ戴キマスレバ明瞭ニ
  ナルコトト思フノデアリマス、唯分與稅制
  度ハ、國ガ一定ノ財源ヲ一定ノ方法ヲ以テ
  分與スルノデアリマシテ、其ノ意味ニ於キ
  マシテハ國ノ力ガソコニ加ハルノデアリマ
  スガ、是ハ一ツノ方法トシテ已ムヲ得ザル
  コトデアリマシテ、決シテ中央集權ト云フ
  意味ヲ持ツテ居ルノデハナク、之ニ依ツテ
  寧ロ地方財源ノミニ於テ、ヨリ以上ノ自治
  體ノ財政力ヲ擴充シヨウト云フ方針ニ出テ
  居ルノデアリマス、還付稅ニ付テノ御意見モ
  ゴザイマシタケレドモ、是ハ全ク實質上ニ
  於キマシテハ獨立稅タルモノヲ、負擔ノ衡
  平ヲ期スル上ニ於テ斯樣ナ形ヲ採ルト云フ
  ニ過ギナイモノデアリマシテ、凡ソ分與稅
  ノ分與ノ方法等ニ付キマシテモ、法律ヲ以
  テハツキリト規定ヲ致シマシテ、官廳ノ自
  由裁量ト申シマスカ、オ手盛ト云フヤウナ
  コトヲ許サナイヤウニ致シマシテ、ソコニ
  官僚獨善ト云フカ、斯樣ナ分子ノ入ラナイ
  ヤウナコトニ對シマシテハ、出來ルダケノ
  注意ヲ拂ツタ積リデアリマスカラ、只今御
  述ニナリマシタ點ニ付キマシテ、細心ノ注
  意ヲ致シテ居ルト云フコトヲ此ノ機會ニ申
  上ゲテ置キタイト存ジマス
  ソレカラ地方稅ノ本質ト申シマスカ、稅
  ノ主體ノコトニ付テノ御意見デゴザイマシ
  タガ、今囘ノ稅制ニ於キマシテノ體系ト致
  シマシテハ、國稅ガ所得稅ヲ其ノ大宗トシ
  地方稅ハ稅ノ性質ト致シマシテ、國稅ヨリ
  モヨリ地方稅ガ明確ニ分離シタ稅ノ體系ヲ
  採ルコトガ色々ナ意味ニ於テ必要ナコトデ
  アリマスノデ、且ツ地方施設ト稅ノ關係カ
  ラ考ヘマシテ、地方稅ハ其ノ主體ヲ收益稅
  體系ニ持ツテ行クフガ適當デアルト考ヘマ
  シテ、今度ノ稅制ヲ打立テタノデアリマス、
  ソレデ只今御述ニナリマシタ一ニモ收入、
  二ニモ收入ト云フコトニナリマスコトハ
  地方稅トシテハ如何ナモノデアラウカト思
  フノデアリマス、御述ニナリマシタヤウナ
  コトハ、卽チ國稅ト致シマシテハ所得稅ガ
  其ノ主體ニナルト云フ御意見ト全ク一致シ
  テ居ルト思フノデアリマスガ、地方稅トシ
  マシテハヤハリ地方施設ニ依ツテ利益ヲ受
  ケルコトヲ課稅ノ一ツノ對象トシテ考ヘル
  必要ガアルト思フノデアリマシテ、收入ガ
  六百圓以上ノ者デナケレバ、假令車ヲ持ツ
  テ居ツテモ之ニハ課稅ヲシナイ······是ハ各
  市町村ノ自由ニ依ツテソコハ出來ルト思ヒ
  マスケレドモ、課稅物件ト致シマシテハ、
  地方施設ニ依ツテ利益ヲ受ケルト云フコト
  ガ、其ノ課稅ヲ致シマスル本ニナル譯デア
  リマス、隨テ地方稅トシマシテ獨立稅ニ於
  テ認メマスモノハ大體ニ於テ物件稅デアリ
  マスカラ、御述ニナリマシタヤウナコトハ
  主トシテ國稅ニ於テ豫想ヲ致シテ居リマス、
  地方稅ニ付テハ物件稅的ナモノノミガ擧ゲ
  ラレテ居リマスノデ、只今御述ニナリマシ
  タヤウナ御趣旨トハ異ツタ觀點カラ、法律
  ニ列擧シタヤウナ稅制ヲ立テタノデアリマ
  ス、是ハ從來ノ稅制ト何等異ル所ハナイノ
  デアリマス、伹シ市町村民稅ニ付キマシテ
  ハ、其ノ標準ノ取扱等ニ付キマシテハ、所
  得額ト云フヤウナモノヲ標準ニスルコトガ
  出來ル譯デアリマス、此ノ意味ニ於キマシ
  テハ御述ニナリマシタ御趣旨ニ副ウテ課稅
  ガ出來ルコトト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=3

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• 004・宮本雄一郎

  ○宮本委員　私ハ從來ノ戶數割ノ制度ガ、
  是マデノ沿革ニ顧ミマシテ、弊害ヲ生ジタ
  ル自治體モアルカモ知レマセヌガ、其ノ賦
  課ノ方針等ニ於キマシテハ決シテ惡イ制度
  デハナイト考ヘテ居ルノデアリマス、殊ニ
  六割ヲ町村民ノ所得ヲ基準トシ、二割ヲ見
  立割ニ依ル、資產ノ狀況ニ依リ、尙ホ其ノ
  他ノ二割ヲ當分ノ內見立割ニ依ルト云フヤ
  ウニ、現行法ニ依ツテハ改正ヲセラレタノデ
  アリマス、此ノ元ノ沿革ハ御承知ノ如ク縣稅
  ノ戶數割デアリマシテ、縣稅ハ自治體ヲ一
  區域トシテ、其ノ年度ニ要スル戶數割ノ豫算
  ニ依ル一戶平均額ヲドノ町村ニモドノ町村
  ニモ賦課致シタノデアリマス、此ノ賦課ヲ受
  ケマシテ其ノ資產ノ狀況、總テノ點ヲ參酌
  致シマシテ、等級ニ依ツテ之ヲ納稅義務
  者別ニ分賦致シタト云フコトハ御承知ノ通
  リデアリマス、其ノ當時ハ市町村トシテハ
  附加稅デアリマシテ、縣稅ガ戶數割トシテ
  本稅デアツタノデアリマス、其ノ等級ヲ査
  定スルト云フコトガ、自治精神ヲ公民ニ涵
  養スル上ニ於キマシテ非常ニ深長ナル意義
  ガアツタ、是ハ監督官廳トシテ、其ノ後御
  忘レニナツタ結果、其ノ制度ヲ變ヘラレタ
  ノデハナイカト考ヘテ居ルノデアリマスガ、
  町村民或ハ自己ノ生活上ニ於キマシテ、又
  社交上ニ於キマシテ、或ハ婚姻ヲ爲ス等ニ
  於キマシテ、先ヅ出來ルダケ自分ハ戶數割
  等級ノ上ニナランコトヲ一ツノ目的トシテ、
  農村ニ於テハ活動シテ居ル者ガ多カツタノ
  デアリマス、今年ハ其ノ村ノ四等ナリ五等
  ナリノ等級ヲ受ケタケレドモ、段々働イテ
  生活狀態ヲ良クシテ少シデモ等級ノ上ニナ
  ランコトヲ、農村ニ於テハ一ツノ樂ミトシ
  テ働イテ來テ居ル、ソレヲ斯ノ如キ精神ガ
  含マレテ居ル制度ヲ止メマシテ-是ハ又
  其ノ時代ノ考モアルコトダラウト思ヒマス
  ガ、サウシテ現行制度ニナツテ居ル、是·
  私ハ弊害モアルカモ知レマセヌガ、其ノ弊
  害ハ監督ノ方針ニ於テ十分除クコトガ出來
  ル、公民ノ訓練、指導ニ於テ十分除クコト
  ガ出來ルト思フ、必ズシモ惡イ制度デハナ
  イト私ハ考ヘテ居リマス、殊ニ六割ヲ所得
  ニ求メルト云フコトハ非常ニソコニ意義ガ
  アル制度デアリマス、又見立割ニ依リマシ
  テソコニ若干ノ等差ヲ付ケルト云フコトハ、
  自治體ノ公民訓練ノ上ニ於キマシテハ、中々
  勝手ガ强クテ名譽職ヲ嫌フト云フヤウナ者
  モ中ニハアル、サウ云フヤウナ者ニハ見立割
  ニ於テ若干ノ重課ヲスルト云フヤウナ、隣
  保共助ノ精神ヲ尊重セザル者ヲ幾分社會的
  ノ制裁ヲ加ヘルト言ヒマシタラ語弊ガアル
  カモ知レマセヌガ、左樣ナ意味ニ於キマシテ
  自治體ノ公民トシテノ思想ヲドウシテモ訓練
  ニ於テ涵養ガ出來ナイヤウナ者ハ、幾分左樣
  ナ制裁ノ意味ヲ加ヘテ反省ヲセシムルト云フウ
  ヤウナコトガ、地方ニ於キマシテハ隣保共助ノ
  精神ノ生レル一ツノ長イ慣行ニナツテ居ル、
  是ハ全國至ル所ニ左樣ナコトガアルダラウト
  思ヒマス、左樣ナ考デアツテハイケナイト云
  フコトデソコニ隣保共助ノ精神ガ涵養セラ
  ルル、隣リ同士デオ互ニ仲好クセンケレバ
  ナラナイト云フヤウナ自治精神ガソコニ涵
  養セラルルノデアリマス、ソレ等ノ點カラ
  行キマシテ一部ハ見立割デアル、一部ハ所
  得デアルト云フコトハ、非常ニ其ノ建前ハ
  宜シイノデス、恐ラク戶數割ト云フモノハ弊
  害ガアルト云フコトハ何處カラ御聞キニ
  ナツタカ能ク知リマセヌガ、其ノ弊害ヲナ
  サシメナイヤウニ指導監督シテ行ケバ私ハ
  差支ナイト考ヘテ居ルノデアリマス、其ノ
  意味カラ致シマシテ今囘ノ住民稅ハ大體見
  立割ニ依ル、卽チ等級ヲ設ケテ賦課スルモ
  ノデアリマシテ、其ノ他現在ノ所得ニ戶數
  割ヲ賦課スル制度ヲ尊重致シマシテ、此ノ
  制度ノ運用上ニ於キマシテ、物件稅ハ全部
  廢メテシマフ、賦課スル所ノ物件ガアリマ
  シテモ、自轉車等ニ於キマシテモ全然課稅
  ハシナイ、國稅ノ免稅點以下ノ者ヲ調査致
  シマシテ、現在ノ戶數割ノ約六割ト云フヤ
  ウナ程度ヲ一ツノ制限ト致シマシテ、國稅
  以外ノ所得ヲ調査シテ之ニ賦課スルト云フ
  コトガ、稅ノ負擔ノ根本精神ニモ適ヒマス
  シ、住民稅ハ等級ニ依ツテ課ス、其ノ他ノ
  モノハ之ヲ標準トシテ六割程度ノモノヲ所
  得ニ依ツテ、所得稅ト言フカ或ハ所得割ト
  言フカ、從來ノ戶數割ノ六割ヲ賦課シタ方
  針ニ依ツテ-而モ此ノ制度ハ十年以上モ
  ヤツテ居ル、大分事務的ニモ訓練ガ付イテ
  居ルノデアリマスカラ、ココデ國稅ハ營業
  收益稅、所得稅ト云フモノニ一ツノ制限ヲ
  付ケマシテ、國稅トシテ納稅義務ヲ果ス、
  又之ニ府縣稅、町村稅ノ附加稅モ課カルノ
  デアリマス、ソレ以下ノモノモ若干ノ收入
  ヲ標準トシテ、其ノ自治體ニ限リ若干ノ負
  擔ヲスルト云フコトガ、一番公平ニ負擔モ
  行クト思ヒマス、左樣ナコトガ公平ニ行カ
  ナイ、ヤレナイト云フヤウナ所ハ、又ハ是
  改正法ニ依ツテ物件稅ヲ賦課スルト云フコ
  トモ已ムヲ得ナイト思ヒマスガ、其ノ自治
  體ノ經營上全般ニ亙リマシテ其ノ制度ノ方
  ガ宜シイト云フコトデアレバ、此ノ法律ニ
  於テソレガ出來ルカドウカ、勿論是ハ條例
  ヲ拵ヘマシテ監督官廳ノ許可ヲ受ケナケレ
  バナラヌ問題デアリマスガ、住民稅ト此ノ
  所得割ト二本建デ行ク、サウシテ物件稅ハ
  課ケナイ、斯ウ云フヤウナコトガ此ノ法律
  ニ於テ條例ヲ制定スレバ出來ルカドウカ、
  此ノ點モ出來ルナラ出來ル、出來ナイナラ
  出來ナイト云フコトヲ御答辯願ヘレバ結構
  デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=4

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• 005・挾間茂

  ○挾間政府委員　戶數割ニ付キマシテハ色
  色ノ弊害ガアリマスノデ、今囘之ヲ廢止ス
  ルコトニシタノデアリマス、此ノ點ニ付キ
  マシテハ理由等ヲ述ベルコトハ避ケテ置キ
  マスガ、今囘ノ市町村民稅ニ於キマシテ、
  今御述べニナリマシタヤウナ課稅標準ヲ
  所得ニ取ルト云フヤウナコトハ無論各市
  町村ノ自由デ出來ルコトデアリマス、伹シ
  住民稅ヲ課シ且又所得割ヲ取ルト云フコトハ
  是ハ認メラレマセヌガ、市町村民稅ノ課稅標
  準ヲ所得ニ求メルト云フコトハ、各市町村
  ガ課稅標準ヲ如何ニ決定スルカト云フコト
  ガ自由ニナツテ居リマスノデ、其ノ手段ヲ
  取ルコトガ出來ルト思ヒマス
  ソレカラ獨立稅ニ付テ、ソンナモノハ廢
  止シタラドウカト云フ御意見デアリマスガ
  是ハ法律ノ建前トシマシテハ斯ウ云フモノ
  ガ課稅出來ルト云フコトヲ許シテ居ルノデ
  アリマシテ、市町村ノ意思ニ依リマシテ之
  ヲ廢止スル、課稅シナイト云フコトハ自由
  デアリマスカ·ラ、ソコハ市町村ニ於テ適當
  ニ、其ノ財政ノ必要ニ應ジテ處置シテ行ケ
  バ宜シイ問題デアルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=5

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• 006・宮本雄一郎

  ○宮本委員　甚ダ駄目ヲ押スヤウデアリマ
  スガ、極端ナコトヲ申上ゲマスト、市町村
  ノ獨立稅ト云フモノハ-住民稅ハ是ハ差
  支アリマセヌガ、其ノ他ノモノハ、假ニ課
  稅スル物件ガナイトスレバ住民稅以外ハ全
  然收入ガナイ、實例ニハ左樣ナコトハアリ
  マセヌケレドモ、假定シテ議論致シマスレ
  バ左樣ナコトモ考ヘラレル、サウ云フヤウ
  ナ場合ニハ住民稅ト云フモノヲ從來ノ戶數
  割ノ調査ノ資產ノ狀況等ヲ參酌シテ、其ノ
  他ノ國稅以外ノ所得ヲ調査シテ、ソレヲ標準
  トシテ一ツノ制限ヲ設ケテ之ニ課スル、私ハ左
  樣ナ建前ニ於テ市町村稅ハ今囘改正セラレル
  ダラウト思ツテ居ツタ、左樣ナ意見モ內務省ノ
  內ニモ一部アツタノデハナイカ、其ノ程度
  位マデハ〓究ヲセラレテ、進ンダ所ノ新シ
  キ御方針ヲ採ラレルデハナイカト思ツテ居
  ツタノデアリマスガ、左樣ナコトニ行カナ
  カツタト云フコトハマダ〓〓內務省ノ方
  方ガ-失禮デアリマスケレドモ、自治體
  ノ實情ノ御〓究ガ足リナイ、國稅ニ於テハ
  或ル程度ノ制限ヲ付ケテ所得稅ナリ營業稅
  ヲ取ル、是ハマア宜シイ、其ノ制限以下ノモ
  ノニ對シテ或ル制限ヲ付ケテ、物件稅ヲ廢
  メテシマフト云フコトガ一番宜イヂヤナイ
  カト思ヒマス、是ハ御〓究ニナレバ、自轉車
  ニ付テ一臺幾ラト云フヤウナ均一稅ヲ取ル
  ヨリモ、ソレガ私ハ一番理想的デアツテ、
  又實情ニ於キマシテモ一番宜シイト思フ、住
  民稅ハ自ラ制限ガアリマスカラ、此ノ住民
  稅ヲ計上致シマシテ、ソレ以外ノモノハ住
  民稅ノ標準ニ依ツテ制限ヲ六割ナラ六割ト
  云フコトニ決定シテ、ソレガ出來得ルト云
  フコトニ今囘ノ改正案ガ解釋ガ出來マスレ
  バ、左樣ナ運用方法ヲ設ケラレルコトニ付
  キマシテハ、是ハ決シテ出來ナイコトハナ
  イ、極端ニ申シマスレバ、住民稅以外ノ物
  件稅ヲ課ケルモノガナケレバ、住民稅ダケ
  ノ收入シカ獨立收入ハ得ラレナイ、斯ウ云
  フ點カラ御伺致シタ譯デアリマスガ、住民
  稅ヲ課ケレバ所得割ト云フヤウナモノハ出
  來ナイ、是ハ營業稅トカ國稅ニ依ル所ノモ
  ノハ、全然法律ニ據ツテ取扱ヲシテ行クヨ
  リ仕方ガナイ、其ノ免稅點以下ノ者ノ所得
  ヲ、現在戶數割ヲ課ケテ居ルヤウナモノヲ
  調査シテ、之ニ應分ノ、極メテ低イ程度ノ
  モノヲ課ケルト云フコトガ、今囘ノ改正法
  律ノ運用上ニ於テ出來レバ、自治精神ノ運
  用上ニ付キマシテモ、又公民ヲ指導スル點
  ニ付キマシテモ、極メテ妙味アル方法デハ
  ナイカト存ジマス、是ハ意見ノ相違ニナリ
  マスカラ此ノ程度ニ對シテ置キマス
  ソコデ住民稅ニ付キマシテハ屬ニ質問ガ
  出マシテ、私モ皆樣ノ御意見又御答辯ヲ拜聽
  シテ居ツタノデアリマスガ、唯茲ニ一點伺
  ツテ置キタイコトハ、四圓、六圓、八圓ト三階
  級ニ分ケタ趣旨カラ致シマシテ、最高千圓
  ト云フノガ、四圓ノ納稅義務者ノ平均カラ
  行キマスト二百五十戶ニナル、六圓ノ方ハ
  百六十六戶餘ニナリ、八圓ノ方ハ百二十五
  戶ト云フコトニナル、故ニ三階級ニ分ケタ
  趣旨カラ見マスルト、武田サンカラモ斯樣
  ナ質問ガ出タヤウデアリマスガ、四圓ノ二
  百五十戶分ノ千圓ガ妥デデララト云フコ
  トデアレバヤハリ二百五十戶分ト云フ割
  合ヲ六圓ニ適用シ、八圓ニモ適用スルコト
  ガ妥當デハナイノデアリマスカ、サウ致シ
  マセヌト四圓、六圓、八圓ト三階級ニ分ケ
  タ趣旨ガ何處ニアルカ分ラナイト思フ、此
  ノ點如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=6

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• 007・三好榮次郎

  ○三好政府委員　市町村民稅ノ最高千圓ノ
  制限ノ問題デゴザイマスガ、是ハ八圓、六
  圓四圓ト分ケテ、團體每ニ所得ノ多イ者
  ガ同ジ割合デ、同ジ數デ居リマスルナラバ
  御說ノヤウナ場合ガ起リマス、此ノ八圓、
  六圓、四圓ト平均ノ制限ニ段階ヲ付ケナケ
  レバナラヌ實體ガ何處ニアルカト云フト
  結局千圓或ハ八百圓ト云フ風ナ高額ナ稅ヲ
  課セラレル人間ガ、大都市、都市等ニ於テ
  ハ澤山居ルト云フコトデゴザイマス、隨ヒ
  マシテ假ニ八圓ヲ取リマス大都市デ千圓ヲ
  課ケラレル者ガ町村ニ比較シマシテ倍居ル
  ト云フコトニナレバ、ヤハリ二百五十ト云
  フ割合ハ同ジニナツテ來ル譯デアリマスカ
  ラ、ソレガ澤山居ルカ居ナイカト云フコト
  ノ認定ノ問題ニナルカト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=7

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• 008・宮本雄一郎

  ○宮本委員　モウ重ネテ申上ゲマセヌガ、
  私ハ左樣ナ意味デアレバ、町村ハ四圓デ大
  都市ハ八圓デアル、此ノ建前カラ行キマス
  ト寧ロ八圓ノ方ガ二百五十戶デアルト云フ
  反對デ行ケバ一應ノトスルコトニナリマス、
  四圓、六圓、八圓ト云フ三階級ニ分ケテ、
  四圓ノ方ガ二百五十戶、八圓ノ方ガ百二十
  五戶、是ガ反對ニナレバ宜シイ、一戶平均額
  ノ四圓ノ方ハ幾分擔稅力ガ平均シテ低イト
  云フコトモ、三階級ニ分ケタ一ツノ理由デア
  ラウト思フ、サウナレバ反對デス、故ニ此ノ
  一戶平均額ノ二百五十戶分負擔スルト云フ
  コトガ明ニナツテ居リマセヌガ、二百五
  十戶分ト云フコトガ、八圓ノ二百五十戶分
  ナラバ若干意味ガアル、何カ是ハ立法當局
  ノ御考違ヒデナイカト思ヒマスガ、是レ以
  上ハ議論ニナリマスカラ此ノ問題ハ此ノ程
  度ニ止メテ置キマス-ソレカラ文部省ノ
  方ハ見エマシタカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=8

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• 009・小山倉之助

  ○小倉委員長　見エテ居リマスカラドウゾ
  願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=9

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• 010・宮本雄一郎

  ○宮本委員　ソレデハ是ハ內務省ト兩方ニ
  關係ヲ持ツテ居リマスカラ、ドチラカラ御
  答辯ヲ願ツテモ宜シイノデス、今囘ノ〓員
  俸給ヲ府縣支辨ニ致シマシタ根本意義ハ何
  處ニアリマスカ、ソレヲ先ニ御伺致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=10

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• 011・挾間茂

  ○挾間政府委員　小學校〓員ノ俸給費ヲ道
  府縣ノ負擔ニ移管致シマスコトハ、〓育上ノ
  理由ト財政上ノ理由ト兩方面ガゴザイマシ
  テ、私ヨリ財政上ノ理由ヲ申上ゲテ置キタ
  イト思ヒマス、御存ジノ通リ〓員俸給ハ町村
  ノ歲出ノ中デ相當ノ部分ヲ占メテ居リマシ
  テ、而モ年々數百万圓ヲ增加スルト云フ膨
  脹ノ非常ニ大キナ經費デアリマス、斯ウ云
  フ經費ヲ財政力ノ弱イ町村ノ支辨ト致シテ
  置クト云フコトハ、將來市町村ノ財政ヲ壓
  迫スルコトニナル、其ノ結果トシテ又町村
  ノ負擔ノ過重ヲ來ス、同時ニ各地域ノ間ニ
  於キマシテ負擔ノ不均衡ヲ來スト云フコト
  ニナル譯デアリマス、斯ウ云フ關係カラ見
  マスト、財政力ノ强イ府縣ノ負擔ニ移シテ
  置キマスコトハ、地方財政ノ跛行狀態ヲ是正
  スルコトガ出來ルノト、ソレカラ一面小學
  校〓育費ト云フモノヲ、是ハ國ノ事務ト地
  方ノ事務ト相關シタ經費ト見ラレルノデア
  リマスカラ、此ノ負擔區分ヲハツキリト致
  シマス爲ニ、國ガ一部分ヲ負擔シ、府縣ガ
  一部分ヲ負擔シ、市町村ガ又一部分ヲ負擔
  スル、斯ウ云フ風ニ負擔區分ヲハツキリスル
  ト云フノガ、今囘小學校〓員俸給費ヲ市町
  村費ヨリ府縣費ニ移シタ財政上ノ理由デア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=11

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• 012・宮本雄一郎

  ○宮本委員　其ノ御答辯デ一層疑問ヲ深ク
  致シタノデアリマスガ、現在〓員俸給費ガ
  一億三千百万圓ト聞イテ居リマス、之ヲ國
  庫ニ於キマシテハ御承知ノ如ク八千五百万
  圓負擔シテ居ル、將來學級ガ每年殖エテ參リ
  マシテ、隨テ〓員數モ殖エルコトハ當然デ
  アリマシテ、每年何百万圓ト云フ程度ニ俸
  給費ガ殖エルコトト存ジマスガ、其ノ增加ニ
  伴ヒ、半額ハ國庫ガ負擔スルノデアリマス
  カラ、是ハ國ノ財政トシテ姑ク措キマシテ、
  其ノ半額ヲ府縣費ニ於テ支出スルト云フ其
  ノ府縣ノ財源ハ、是ハ色々ノ財源ガ綜合セ
  ラレルコトト考ヘマスガ、其ノ增加スルモ
  ノニ對スル府縣ノ財源ヲ此ノ稅法ニ於キマ
  シテ何處ニ目標ヲ持ツテ居ラレルカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=12

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• 013・挾間茂

  ○挟間政府委員　此ノ點ハ屢〓申上ゲテ居
  ルノデアリマスガ、將來ノ稅制ノ持ツ彈力
  性ニ依リマシテ、將來ニ於ケル負擔增ニ對
  應スルト云フコトニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=13

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• 014・宮本雄一郎

  ○宮本委員　私ハ今囘ノ稅法ノ改正ハ、自
  治體ノ財政ガ鞏固デナイカラ、將來之ヲ强
  化スルト云フコトガ一ツノ目的デアル、又
  府縣ニ於キマシテモ左樣ナ意味ガ十分含マ
  レテ居ル、〓員俸給ヲ府縣費ニ於テ半額負
  擔スルト云フコトニ於テハ、將來每年增加
  スルト云フコトハ分リ切ツテ居ル、此ノ分
  リ切ツテ居ルモノモ、府縣ノ財政力ヲ此ノ
  法律ノ改正ニ依ツテ强化シテ差支ナイヤウ
  ニスル、斯ウ云フノナラバ、一步進ンデ府
  縣ノ財政ヲ强化スルト同時ニ、市町村ノ財
  政ヲモ强化スル、此ノ法律ノ改正ヲ今一步
  進メテ其ノ運用ヲ圖リマシテ、サウシテ市
  町村支辨ト云フコトニシテ置イテモ差支ハ
  ナイノデハナイカ、斯ウ云フコトガ言ヘル
  ト考ヘマス、財政關係以外ニ、府縣費デ支
  辨スルコトガ〓員ノ素質モ向上セラレル、
  又現在小學校ノ經營ガ財政關係ニ於テ各町
  村ノ自由ナ立場ニ置カレテアル爲ニ、學級
  ノ編制等モ、或ル町村ニ於テハ七十名以上
  ノ學齡兒童ヲ法定數マデ一學級ニスル、又
  擔稅力ノ豐富ナル町村ニ於テハ七十名ヲ一
  寸超エタ位デモ二學級ニスル、ソコニ小學
  校〓育ノ效果ニ非常ナ不公平ヲ生ズル、故
  ニ左樣ナコトノナイヤウニ劃一的ニ小學校
  〓育ノ監督指導ヲスル、故ニ此ノ〓員俸給ヲ
  府縣費支辨ニスルコトハ左樣ナコトガ目的
  デアルト云フコトデアレバ、一應其ノ意義
  ハ諒解ガ出來マス、地方團體ノ財政力ガ惡
  イカラ、今マデハ財政狀態ガ洵ニ宜クナイ
  カラ、之ヲ强化シテ一層自治體ノ經營ヲ全
  國的ニ指導監督スルト云フナラバ、財政問
  題ハ離レテ居ル、是モ一、ツノ理窟ニナルカモ
  知レマセヌガ、內務大臣モ左樣ナ答辯ヲセ
  ラレテ居ル、〓員俸給ノ支拂ノ出來ナイヤ
  ウナ自治體ガ今マデアツタカラ、サウ云フ
  ヤウナコトヲ無カラシムル爲ニ之ヲ府縣費
  支辨ニスルト云フコトガ主ナル改正ノ意味
  デアレバ、今度ハ府縣ノ財政ヲ强化スルニ
  止マラズ、一步進ンデ自治體ニモモウ少シ
  財源ヲ與ヘルヤウニシテ、之ヲ自治體ノ支
  辨ニスレバ宜イデハナイカ、斯ウ云フ理窟
  モ言ヘルコトニナルト存ジマス、併シ私ハ
  モウ少シ外ニ此ノ〓員俸給ノ府縣費支辨ニ
  シタト云フコトニ付テハ、根本意義ガナケ
  レバナラナイト思フ、是ハ文部省ノ方カラ
  御答辯ヲ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=14

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• 015・中野善敦

  ○中野政府委員　只今地方局長カラ財政上
  ノ理由ヲ述ベラレマシタガ、〓育上ノ理由
  ニ付キマシテ私カラ申上ゲマス、他ノ機會
  ニ於テ文部大臣カラモ度々申述ベラレタト
  思ヒマスガ、尙ホ簡單ニ申上ゲマス、〓育
  上ノ意義ニ付キマシテハ、第一〓員ノ異動
  ヲ行ヒマス場合ハ、御承知ノ通リ府縣知事
  ガ此ノ異動ヲ行フノデアリマスガ、〓員俸
  給ガ市町村ノ豫算ニ計上サレテ居リマスノ
  デ、就中町村ニ於キマシテハ其ノ町村ノ豫
  算ニ拘束セラレマシテ、適材適所主義ガ十
  分ニ發揮出來ナイト云フ點ガ一ツ、ソレカ
  ラ第二ノ點ハ、御承知ノ通リ町村ノ財力ニ
  非常ナ差等ガアリマスノデ、財力ノ豐カナ
  町村ニ勤務シテ居リマス〓員ト、財力ノ裕
  カナラザル町村ニ勤務シテ居リマス〓員ト
  ノ間ニ於キマシテ、非常ナ待遇上ノ差等ガア
  ル、其ノ結果、或ル町村ニ於キマシテ最モ
  優良ナル〓員デアリ、且ツ町村ノ當局トモ
  折合ガ非常ニ宜シイ、小學校〓育以外ニ各
  方面ノ仕事ニモ大イニ努力シテ居ル町村
  デモ永ク居ツテ貰ヒタイ、本人モ永ク其ノ
  町村ニ勤務シタイト云フ者ガ、町村ノ財政
  ニ拘束セラレマシテ非常ニ不利ナコトニナ
  ル、同僚デ他ノ裕カナ町村ニ勤務シテ居リ
  マス者ハドン〓〓俸給ガ上ル、然ルニ其ノ
  〓員ハ何時マデ經ツテモ上ラヌト云フコト
  ニナリマスルト、勢ヒ財政ノ餘裕ノアル町
  村ヘ其ノ〓員ヲ異動セシメナケレバナラナ
  イト云フヤウナコトガ起ルノデアリマシテ、
  其ノ點ハ〓員ニ對シテモ町村ニ對シテモ非
  常ニ遺憾ナコトデアリマスシ、〓育上カラ
  考ヘマシテモ非常ニ遺憾デアル、サウ云フ
  點ガ府縣ノ負擔ニナリマスルト是正サレル
  ト云フコトニナリマス、隨テ町村ノ財政力
  ノ如何ニ拘ラズ、或ハ都會地ニ居リマシテ
  モ山間僻地ニ居リマシテモ、或ル程度マデ
  其ノ待遇ヲ均等ニ爲スコトガ出來ルト云フ
  點デアリマス、モウ一ツ御考ヲ願ヒタイト
  思ヒマスコトハ、假ニ比較的財力ノ裕カナ
  町村ニ勤務シテ居リマスル〓員ニ付キマシ
  テハ、別ニ現在ニ於キマシテモ大シテ不都
  合ハナイト致シマシテモ、御承知ノ通リ非
  常ニ多勢ノ〓員ガ居リマス學校或ハ町村ト、
  極ク少數ノ〓員ノ居リマス學校若クハ町村
  下、假ニ平均給ガ同額デアルト致シマシテ
  モ、人數ノ多イ方ガドウシテモ融通ガ付キ
  マスノデ、比較的高給者ガ置キ得ルト云フ
  現狀デアリマスガ、ソレガ町村カラ更ニ縣
  ヘ廣イ範圍ニ入リマスト、假ニ平均給ヲ現
  狀ヨリモ上ゲマセヌデ現狀ノ儘デアリマシ
  テモ、ソコニ非常ニ融通ノ範圍ガ廣クナル、
  隨テ昇給ノ機會モ多クナル、又比較的高給
  ナル〓員モ置ケルト云フコトニナリマス、
  隨テ從來ノヤウニ尙ホ働キ盛リノ〓員デア
  リナガラ、比較的俸給ガ早ク上ツタ、高給
  ニナツテ居ルト云フ爲ニ退職シナケレバナ
  ラナイト云フヤウナ遺憾ナ事モ避ケ得ルト
  思フノデアリマス、斯ウ云フ風ニナリマス
  ルト、〓員ガ非常ニ現在ノ自分ノ任地ニ就
  キマシテ安心ヲシテ〓育ニ從事スルコト
  ガ出來ル、何トカシテ財力ノ裕カナ町村
  若クハ都市ニ轉任シタイト云フヤウナ氣
  持ガナクナリ、現在ノ地位ニ安ンジテ專
  心シテ〓育ノ事ニ從事スルコトニナリマ
  スルノデ、其ノ〓育上ニ及ボス好イ結果ト
  云フモノハ相當期待シ得ルト思フノデアリ
  マイク。尙ホ先程御述ニナリマシタ俸給不拂
  ト云フヤウナコトモ、是ハ府縣ガ〓員俸給
  ヲ負擔致シマス以上、先ヅ起リ得ナイコト
  ト考ヘマスノデ、〓員ノ生活ノ安定ト申シ
  マスルカ、生活ニ對スル不安ヲ除クト云フ
  コトニモナリマシテ、氣分ガ大イニ明朗闊
  達ニナル、隨テ〓育ニ專心從事スルコトガ
  出來ル、斯ウ云フヤウナ非常ナ利益ガアル、
  斯ウ考ヘルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=15

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• 016・宮本雄一郎

  ○宮本委員　〓員ノ俸給ノ不拂トカ云フヤ
  ウナコトモ御答辯ノ中ニアリマスシ、他ノ
  委員ノ方ノ質問ニ對シマシテモ文部大
  臣、內務大臣カラモ左樣ナコトヲ聞イテ居
  リマスガ、ソレハ何ニモ御答辯ノ意味ヲ成
  サナイ、今囘ノ稅制改正ニ於テ市町村ノ財
  政力ガ薄弱デアルカラ、色々ナ制度ヲ作リ
  マシテ財政力ヲ鞏固ニスルト云フコトデア
  リマスガ、左樣ナコトハ答辯ニナラナイノ
  デス、之ヲ府縣費ニスルト云フコトニ於テ、
  唯昇給ノ途ガ早イトカ、待遇上トカ云フヤ
  ウナ物質上ノ待遇モ必ズシモ不必要デハナ
  イ、是モ無論センケレバナラナイガ、併シ
  ソレ以外ニ〓育ノ效果ヲ如何ニシテ擧ゲル
  カト云フ所ニ根本意義ガナケレバナラナイ
  ト考ヘマス、ドウモ文部省ノ監督ノ方針ハ
  物質ト云フコトヲ先ニセラルルヤウデス
  ガ、寧ロ〓員ノ養成ニ付キマシテハモウ
  少シ精神力ノ涵養ト云フコトニ重キヲ置ク
  ヤウニ、文部省トシテハ御考ヲ願ハナケレ
  バナラヌト思フ、〓員ガ自ラ進ンデ精神力
  ニ重キヲ置カズシテ、ドウシテ兒童ノ精神
  力ヲ涵養スルコトガ出來ルデアラウカ、國
  民精神總動員中央聯盟ノ人々ナドガ地方ニ
  講演ニ參リマシテ、頭髪ヲ長クセズ坊主刈
  デナケレバナラヌト言ツテ講演シマシテモ
  講演者自身頭髪ヲ長クシテ「チック」ヲ付ケ、
  髪ヲ分ケテ居ツタノデハ何ノ效果モナイト
  同樣デアル、學校生徒ニ對シテ日ノ丸辨當
  ヲ持ツテ來ナケレバナラヌト云フ〓員自身
  ガ、汽車通學ヲシテ汽車辨當ヲ買ツテ來テ
  一段高イ所デ食ベナガラ、兒童ニ日ノ丸辨
  當ヲ勸メマシテモ、是ハ先生ノ精神力ガ足
  リナイカラ效果ガナイ、勿論物質モ必要デ
  アルケレドモ、モウ少シ精神力ト云フコト
  ニ重點ヲ置カナケレバナラナイ、無論從來
  〓員俸給ノ不拂ト云フコトモアツタデセ
  ウ、ソレヲナクスルコトノ必要ナコトハ當
  然デアリマスガ、ソレト同時ニ〓職ニ當ル
  者ニモウ少シ精神力ヲ持ツヤウニ御指導願
  ヒタイト思ヒマス、更ニ伺ヒタイコトハ、
  先刻モ申シマシタ通リ現在ハ學校建築ニモ
  財源ガナイ、又學校經營上ニ於テモ學級ヲ
  殖ヤスコトハ出來ナイト云フ町村ガ大分
  アリマシテ、七十人以上、卽チ法定數ノ八
  十名近クヲ一學級編制ニシテアル町村ガ大
  分アルト思フ、ソレガ今度府縣費支辨ニナ
  ルト擔稅力ノアル町村ト同樣ナ學級編制
  ヲ希望スルコトハ當然デアル、校舍ノ設備
  ガナイカラ仕方ガナイヂヤナイカト云フコ
  トニナレバ已ムヲ得マセヌケレドモ、併シ兒
  童ニ對スル〓育ノ效果ヲ均霑ナラシメルト
  云フ點カラスレバ、一學級ノ編制モ、擔稅力
  ノアル町村ダカラト言ツテ三十五名トカ四
  十名ト云フコトデ行ク譯ニハ行カナイト思
  う、斯ウ云フ關係ニ於テハ學級數ガ大分殖
  エルデアリマセウシ、又殖ヤシテ小學校〓
  育ノ均霑ヲ圖ルヤウニ考慮モシナケレバナ
  ラヌコトデアルト思フ、モウ一ツハ財政力
  ノ關係ヨリ致シマシテ代用〓員ヲ使ツテ居
  ル所ガ相當アル、是ハ平均給ガ低イカラ仕
  方ガナイ、所ガ是ガ府縣費支辨ニナリマス
  ト、正〓員ノ配當ヲ要求スル運動ガ非常ニ
  盛ニナルト思ヒマス、之ニ付テハ正〓員ノ
  養成モ大分積極的ニヤツテ居ルデアリマセ
  ウカラ、ソレハ假ニ配當ガ出來ルト致シマ
  シテモ、其ノ半面ニ於キマシテ府縣ノ負擔
  ガ非常ニ是ガ爲ニ增加シハセヌカト思ヒマ
  スガ、是等ノ御調査ハ出來テ居リマスカ、
  又此ノ扱ヲドウ云フヤウニスルカト云フコ
  トニ付テ御意見ヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=16

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• 017・中野善敦

  ○中野政府委員　〓員ノ精神的方面ノコト
  デアリマスガ、是ハ文部大臣ガ度々述ベテ
  居ラレマス、〓員ノ待遇ガ惡イカラモツト
  良クシナケレバイカヌデハナイカト云フヤ
  ウナ御質問ニ對シマシテ、無論待遇ノコト
  モ考ヘナケレバナラ"ヌガ、〓員ハ大イニ精
  神的ニ働カナケレバナラヌト云フコトヲ度
  度述ベラレマシテ、場合ニ依リマシテハ、
  文部大臣ハドウモ精神的ノ事バカリヲ言ツ
  テ居ツテ、物質的ノ事ヲ言ハナイガ、ソレ
  ハ餘リ同情ガナイト言ツテ御叱リヲ受ケタ
  コトモアル位デアリマス、無論只今ノ御話
  ノ通リニ、精神的方面ハ大イニ〓揚セシメ
  ナケレバナラナイト考へテ居リマス、ト同
  時ニ物質的待遇ノ方モ出來ルダケ考ヘナケ
  レバナラヌ、斯ウ云フ意味デ申上ゲタ積リ
  デアリマス
  今ノ〓員俸給ヲ道府縣費ニ移管致シマシ
  テモ、〓室ノ設備等ニ付キマシテハ是ハ
  依然トシテ市町村ノ負擔デアリマスカラ學
  級增加等ニ伴フ建築費、或ハ一學級ノ定員
  ノ問題等ニ付キマシテハヽ町村ノ負擔トシ
  テ殘ル部分ガ多イガ、是ハドウカト云フ御
  尋デアツダノデアリマス、是ハ財政上ノ問
  題ニモ關聯致シマスノデ、私ダケ申上ゲテ
  モドウカト思ヒマスガ、〓員ノ俸給ハ年々
  全國的ニ見マスト數百万圓增加致シテ參リ
  マンク、隨テ將來數百万圓增加致シマス〓員
  ノ俸給ガ、府縣ニ移リマシタナラバ、少ク
  トモ將來ノ市町村ノ負擔ノ加重ト云フコト
  ガ避ケラレル、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、是ハ財政ノ方面ニ付テハ素人ノ文部省
  デ考ヘテ居ルコトデアリマスカラ、若シ間
  違ツテ居リマシタナラバ、內務省ノ方面カ
  ラ御訂正ヲ願ヘバ宜イト思ヒマス、隨テ直
  チニソレダケ餘裕ガ出來ルト言ヘルカドウ
  カ分リマセヌガ、此ノ學級增加ニ伴フ所ノ
  費用、或ハ學校建築ニ要スル所ノ費用ニ付
  キマシテ、直チニ其ノ財源ガ十分ニ浮ンデ
  來ルトハ申セナイデアリマセウケレドモ、
  現在ヨリモ町村ガ樂ニナルデアラウト云フ
  コトヲ、文部省ニ於テハ想像致シテ居ルノ
  デアリマス、隨ヒマシテ現在ハ其ノ町村ノ
  財政力ニ於キマシテ、學校ノ設備等ニ非常
  ナ差等ガアリマス、或ハ學級ノ編制ニ付キ
  マシテモ非常ナ差等ガアル、〓員ノ素質ニ
  付キマシテモ非常ナ差等ガアル、是ガ〓員
  俸給費ノ道府縣費移管ニ依リマシテ、直接
  間接ニ色々好イ影響ヲ齎シマシテ、〓員ノ
  素質ニ付キマシテモ漸次均等化ノ方向ニ向
  ツテ行ク、學校ノ設備ニ付キマシテモ、漸
  次現在ノ惡イ所ガ比較的良クナツテ行クト
  云フヤウナコトヲ期待致シテ居ルノデアリ
  やく、ソレカラ道府縣費ニ〓員ノ俸給ガ移
  管セラレマシタ結果、現在ノ代用〓員ヲ正
  〓員ニ替ヘテ貰ヒタイト云フ希望ガ、町村
  方面カラ府縣當局ニ對シテ爲サレルト云フ
  コトハ只今御說ノ通リ豫想致シテ居リマ
  ス、是ハ無論府縣ノ財政ノ許ス範圍ニ於テ
  爲サレルコトデアリマスガ、文部省ノ立場
  トシテ考ヘマスナラバ、代用〓員ガ漸次正
  〓員ニ替ツテ行クト云フ傾向ハ、非常ニ喜
  バシイ傾向ダト思フノデアリマス、併シナ
  ガラ是ハ府縣ノ財政ニ關係ガアリマスノデ、
  府縣當局ニ於キマシテ其ノ財政ノ許ス範圍
  ニ於キマシテ、漸次〓員ノ素質ヲ改善スル
  ト云フ方法ヲ執ルヨリ外ニナイト思フノデ
  アリマシテ、其ノ爲ニ直チニ府縣ノ財政ガ
  壓迫サレルトカト云フコトハ、是亦文部省
  トシテハ素人デアリマスガ、先ヅナイノデ
  ハナイカ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居リマス
  學級編制ニ付キマシテモ、是ハ只今前段ニ
  御答辯申上ゲマシタ通リニ、直チニ改善サ
  レル、卽チ現在ノ定員ヲ超過シテ居ル所ガ
  直チニ解消スルト云フ風ニハ考ヘマセヌガ、
  併シ漸次ソレガ定員以內ニ收マルト云フヤ
  ウナ方向ニ向ツテ行クノデハナイカ、斯ウ
  云フ風ニ期待致シテ居リマス其ノ理由ハ
  只今申上ゲルヤウニ〓員俸給費ガ道府縣ニ
  移リマスコトハ、是ハ將來ニ對シテ町村財
  政ノ負擔加重ト云フモノヲ除クノデアリマ
  ス、直チニソレニ依ツテ非常ナ餘裕ガ出來
  ルト云フコトハ、或ハ言ヒ過ギカモ知レマセ
  ヌガ、少クトモ餘裕ガ出來ル可能性ガアル、
  斯ウ云フ風ニ考ヘマスノデ、町村ノ財政ニ餘
  裕ガ生ジマシタナラバ、ソレニ依ツテ漸次
  設備ノ改善、隨テ學級ノ增加モ圖リ得ルコ
  トニナルノデハナイカ、斯ウ云フ風ニ考ヘ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=17

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• 018・小山倉之助

  ○小山委員長　一寸御注意申上ゲマスガ、
  此ノ問題ハ度々繰返サレタ問題デアリマス
  カラ、御意見ハ餘リ御加ヘニナラズニ、疑
  問ノ點ダケヲ御質問下サルト大變結構デア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=18

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• 019・宮本雄一郎

  ○宮本委員　御注意ノ點ハ能ク分リマシタ、
  成ベク私ハ意見ヲ申述べナイヤウニシテ、
  質問ヲ致シテ來タ積リデアリマス、少シハ
  意見ヲ申上ゲナイト、質問ノ要旨ガ徹底シ
  マセヌカラ一寸意見ヲ加ヘタノデアリマ
  スガ、モウ是デ終リマス
  今色々御答辯ヲ伺ヒマシタガ、現在財政力
  ノ薄弱ナ町村ニ於キマシテハ、已ムヲ得ズ一學
  級七十名以上ト云フコトニナツテ居リマス
  ガ、是ハ〓育ノ效果ノ上ニ於テ、甚ダ遺憾デア
  リマスケレドモ、財政力ノ關係カラ左樣ナコ
  トヲヤツテ居ル、今度府縣費支辨ニ致シマシ
  テ、負擔區分ヲ、國庫ト府縣トノ間ニ半額ト
  云フコトニセラレテ居ル、ソレニハ斯ウ云フ
  學級編制ノ町村ヲ指導シテ二學級ニサセル
  ト云フコトモ其ノ目的ノ一ツデアルト思フ、
  實際一學級七十名以上ト云フコトデハ如何
  ニモ〓育上ニ於テ不便ガアルシ、隨テ〓育
  ノ效果ニ影響スルト云フコトヲ考ヘラレタ
  ノデ、之ヲ二學級ニサセルベク指導スルト
  云フ建前デ行カナイト、洵ニ此ノ府縣費支
  辨ニシタト云フコトガ意義ヲ成サナイト思
  ヒマス、府縣費支辨ニスルト同時ニ、國民
  〓育ノ效果ヲ擧ゲルト云フ御方針ヲ執ラレ
  ナケレバ、甚ダ從來資力薄弱町村ノ經營上
  ニ於テ、不幸ナル學齡兒童デアルノデアリ
  やく、ソレ故ニ之ヲ不幸デナイヤウニ、國
  民〓育ノ均衡ヲ圖ルト云フコトガ、今囘府
  縣費支辨ニシタト云フコトノ意義デナケレ
  バナラヌト思フノデアリマス、政府ニ於テ
  モ左樣ナ方針デオヤリニナルコトト存ジマ
  スカラ、之ニ付テハ御答辯ヲ願ハナクテモ
  宜シウゴザイマスガ、是非是ハ左樣ナ方針
  ノ下ニ實施セラレルヤウニ、特ニ文部省ト
  シテ御考慮ヲ願ヒマス
  次ニ住民稅ニ付テ一寸聽キ漏ラシマシタ
  カラ此ノ際御聽キシテ置キマス、住民稅ノ
  制限ノコトハ能ク分ツテ居リマスガ、災害
  或ハ傳染病等ノ非常災害ニ依ル所ノ制限外
  ノ課稅ヲスル場合ニハ、住民稅ノ制限ニ付
  テモ同一比率ニ於テ制限外ノ課稅ヲ認メル
  ヤ否ヤト云フコトニ付テ一點伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=19

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• 020・挾間茂

  ○挾間政府委員　住民稅ニ付キマシテハヽ
  制限外課稅ハ全然認メナイ積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=20

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• 021・宮本雄一郎

  ○宮本委員　甚ダ御約束ノ時間ヲ超過致シ
  マシテ申譯アリマセヌガ、一應此ノ程度デ
  質問ヲ打切ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=21

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• 022・小山倉之助

  ○小山委員長　伊藤五郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=22

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• 023・伊藤五郎

  ○伊藤委員　此ノ地方稅制改正ノ根本ノ目
  的トスル所ハ、地方稅負擔ノ均衡ト、地方
  團體財政ノ基礎ヲ確立スルコトニアルヤウ
  デアリマス、其ノ中一番先ニ御質問申上ゲ
  タイコトハ、此ノ地方稅改正案ニ付テ見マ
  スルト、分與稅トシテ地租、家屋稅及ビ營
  業稅ノ三ツノ獨立財源ヲ認メタコトデアリ
  マンカ私ガ先ゾ御伺致シタイノハ一體今日
  地租ト云フモノハ、稅源トシテ最モ弱イモ
  ノデ、之ヲ地方團體ノ獨立財源ニ認メルコ
  トハ、私ハ地方稅源ヲ確保スル所以デハナイ
  ト思フノデアリマス、私ハ國稅タル地租ニ付
  テハ一番疑問ニ思ツテ居ルノデスガ、地租
  ト云フモノハ將來廢止ノ運命ニアルノデハ
  ナイカト思ヒマス、明治ノ初年ニ於テハ地租
  ハ我國ニ於テ財政ノ主ナル財源デアツタケ
  レドモ、今日ハ最早是ハ稅源トシテ一番弱
  イモノニナツテ居リマス、是ハ我國ダケデ
  ハナク、世界ノ各國ニ於テハ悉ク國稅タル
  地租ヲ廢止シテ居ルノデス、英吉利ダケガ稍〓、
  殘ツテ居リマスケレドモ、是モ近イ將來ニ
  於テ地租ヲ廢止スルコトニ相成ツテ居ルサ
  ウデアリマス、將來ドウシテモ沒落過程ニ
  アル地租ヲ地方財源ノ獨立財源ニ持ツテ行
  ツタコトハ、私ハ根本的ニ間違ツテ居ルト
  思フノデアリマス、營業稅ニ付テ見マスト
  營業ハ今日ノ如キ「インフレ」時代ニ於テハ
  或ハ盛ンニヤツテ居ツテ、稅源モ或ル程度
  確保出來ルカモ知レヌト思フノデアリマス
  ケレドモ、「インフレ」景氣ガ逆轉シテ、營
  業ガ萎靡沈滯ニ陷ツタ場合ニ營業者ハ一番
  打撃ヲ受ケテ、其ノ結果稅源ニモ非常ナル
  影響ヲ及ボスモノト思フノデアリマス、家
  屋稅モ亦決シテ善イ財源デハアリマセヌ、
  斯ノ如キ財源ヲ地方ニ持ツテ行ツタコト
  ハ一體ドウ云フ意味デセウカ、或ハソレ
  ハ大藏省ニ壓サレタノデアルカ、內務省ガ
  希望シタノデアルカ、私ハ是ハ將來ノ爲ニ
  洵ニ遺憾ニ思フノデアリマスガ、內務當局
  ノ御意見ヲ承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=23

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• 024・挾間茂

  ○挾間政府委員　私共ハ此ノ地租營業稅ノ
  如キハ最モ强イ財源デアルト思ツテ居リ
  マス、御存ジノ通リ地租、營業稅ヲ地方ニ
  委讓スルコトハ、年來議會デ非常ニ大キナ
  問題トサレマシテ、政府當局モ議會ト共同
  ノ考ヲ持ツテ此ノ問題ヲ〓究シテ、漸ク今
  囘之ヲ全部地方ノ獨立財源トスルコトニ成
  功シタ譯デアリマス、吾々ハ大藏當局ト共
  ニ多大ノ熱意ヲ持ツテ、之ヲ地方ニ委讓ス
  ルコトニ全力ヲ擧ゲテ致シタノデアリマス、
  地方ノ財源トシテ今囘ノ稅制案デハ地租家
  屋稅、營業稅ハ地方稅ノ中樞ヲ成スモノデ
  アツテ、殊ニ營業稅ノ如キハ十億三千万圓
  ノ中二億八千万圓ト云フ大キナ稅源デアリ
  マスカラ、ドウゾ左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=24

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• 025・伊藤五郎

  ○伊藤委員　其ノ考ガ間違ツテ居ルノデ
  ス、地租ト云フモノハ嘗テハ明治ノ初年カ
  ラ日本ノ文化ヲ作ルニ付テ最モ强イ稅源デ
  アリ、日本ノ文化ヲ形成スルニ付テ其ノ土
  臺石トナツタコトハ私モ認メル、ケレドモ今
  日ハ此ノ地租ノ負擔ノ重課ノ爲ニ農村ハ困
  ツテ居ルノデス、農村ガナゼ地租ノ負擔ニ困
  ツテ居ルカト云フト、其ノ割合ヲ調ベレバ
  分ル、農村ハ土地ノ負擔ガ一番多イ、世界
  各國ノ色々ナ例ヲ調ベテ見テモ、地租ハ結
  局將來廢止セラレル運命ニアルト思フノデ
  ス、ソレヲ唯漫然ト現在地租ガ强イカラト
  云ツテ地方稅ニ委讓スルノハイケナイ、勿
  論土地ニ稅金ヲ課ケルノハ取リ易イ、ケレ
  ドモ取リ易イカラト云ツテ漫然ト良イ稅源
  デアルト考ヘテハイカヌ、地租ノ稅源ガ强イ
  ト云フノハ過去ノコトデス、サウシテ世界
  各國ガ之ヲ廢止シテ居ル、是ハ御認メニナ
  ルデセウ、サウ云フ將來廢止ノ運命ニアル地
  租ヲ一番良イ稅源デアルト言ツテ、之ヲ地
  方へ持ツテ行クコトハイカヌデハナイカト
  思ヒマス、恐ラク將來稅制改革ガアル場合
  ニハ地租ハ廢止セラレルト思フ、アナタ方
  ハ大藏當局ノ御考ト違フカドウカ知リマセ
  ヌケレドモ、段々地租ト云フモノハ廢止ノ
  傾向ニアル、調ベテ御覽ナサイ、明治ノ初
  年カラサウナツテ居ル、ソレヲ非常ニ良イ
  財源ダト云ツテ地租ヲ飽クマデモ地方ニ持
  ツテ行クト云フコトハ、考ガ違フノデハナ
  イカ、地租ガ一番良イト云フコトハイカヌ
  ト思フ、私ハ地方負擔ノ均衡ヲ圖ル上ニ
  ハ、將來ヤハリ地租ハ廢止スルト云フ所ニ
  持ツテ行カナケレバナラヌト思フ是ハ日
  本ダケデナク、世界中何處デモサウナノダ
  カラ、世界ノ傾向ニ順應シテ、地租ハ廢止シ
  テ行クベキデハナイカ、其ノ稅ヲ非常ニ良
  イ稅源ダト云フ御答辯ハ間違ツテ居ルノデ
  ハナイカ、營業稅ニ付テモサウデス、嘗テハ
  議會ニ於テサウ云フ要望ガアツタカモ知レ
  ヌケレドモ、ソレハ時代ガ違ツテ居ル、營業稅
  ハ今大變澤山ナ稅額ニ上ツテ居ルケレドモ、
  今ハ景氣ガ好イカラデ、之ヲ土臺トシテ地方ニ
  色々施設ヲシテ置カナケレバナラヌデセウ、
  併シ若シ「インフレ」ガ逆轉シテ、「デフレー
  ション」時代ニナツテ、非常ニ營業稅、激
  減シタ場合ニハ、地方ノ施設ハ施行出來ナ
  イヤウニナリハシナイカト云フ虞ヲ持ツテ
  居ル、ソレヲ現在良イカラ地方ニ持ツテ行
  クト云フノハドウデスカ、斯ウ云フ意味ヲ
  以テ御尋シタノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=25

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• 026・小山倉之助

  ○小山委員長　一寸關聯シマシテ-地租
  ガ各國ニ於テ廢止サレル運命ニアル、サウ云
  フ實例ガアルト云フコトデゴザイマスガ、
  サウ云フ御調査ハ出來テ居リマスカ、全ク
  變ツタ意見ヲ玆ニ伊藤君ガ發表サレタ譯デ
  アリマスガ、私共モ其ノ點ヲ能ク知リタイ
  ノデアリマス、內務省ノ方ノ御取調ハドウ
  デアルカドウカト云フコトヲ付加ヘテ御答
  ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=26

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• 027・挾間茂

  ○挾間政府委員　地租ガ廢止ノ運命ニ各國
  トモアルト云フ御話デゴザイマスガ、地租
  ト云フ同ジ形デアルカドウカト云フコト
  ハ、是ハ別個ノ問題トシマシテ、土地ニ對
  スル課稅ガ漸次廢止ノ傾向ニアリ、又各國
  廢止シテ居ルト云フコトハナイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=27

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• 028・三好榮次郎

  ○三好政府委員　只今ノ地租ノ各國ニ於ケ
  ル取扱ノ狀況ヂアリマスガ、私共ノ取調ベ
  マシタ範圍デハ成程國稅トシテハ是ハゴザ
  イマセヌ、併シナガラ地方稅トシテ或ハ不
  動產稅、或ハ土地稅トシテ取ラナイ國ハ、
  小サイ國ハ分リマセヌガ、强國ノ中デハナ
  イヤウニ記憶致シテ居リマス、又之ヲ廢止
  シナケレバナラヌト云フ議論モ讀ンダコト
  ハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=28

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• 029・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレカラ先程ノ御質疑ニ
  御答致シマスガ、現在ノ景氣ノ好イ時ノ狀
  態デ、營業稅ヲ押ヘ、又廢止ノ運命ニアル
  地租ヲ押ヘルト云フコトハ詰ラヌデハナイ
  カト云フ御意見デアリマスガ、吾々ハ左樣
  ニハ考ヘテ居ナイノデアリマシテ、御存ジ
  ノヤウニ今日マデ國稅ノ中心ハ所得稅デア
  ツテ、ソレニ對シテ地租ト營業收益稅ト云
  フモノガ大切ナ補完稅トシテアルノデアリ
  マシテ、ソレヲ地方ニ移讓スルコトガ地方
  ノ財源ヲ强化スル所以デアルト云フコトハ
  年々主張サレテ居ルコトデアツテ、是ハ決
  シデ今日ニ始マツタ問題デハアリマセヌ
  サウシテ今度ノ稅制改正ニ於キマシテモ、
  今景氣ノ好イ時ニ營業稅ヲ押ヘルト云フノ
  デハナクシテ、收益稅ト致シマシテ土地、
  家屋、營業ト云フモノガ最モ有力ナ稅源デ
  アルト私ハ思ヒマス、果シテ之ヲ除キマシ
  テ然ラバ何ヲ押ヘルカト云フト、此ノ地方
  稅法ヲ御覽戴キマシテモオ分リニナルヤウ
  二、獨立稅トシテハ極ク微細ナモノデアリ
  いっく、他ニ如何ナル稅ヲ取ルカト云フテ考js
  ヘマシテモ、各地方團體ガ稅ヲ漁リニ漁ツ
  テ實ハ滴當ナル稅源ノナイコトハ、伊藤サ
  ンモ十分御承知ヲ戴イテ居ルコトト思フノ
  デアリマシテ、土地、家屋、營業ニ對スル
  稅源ノ如キハ地方財源トシテハ私ハ今日
  ニ於キマシテモ、又將來ニ於キマシテモ有
  力ナ財源デアルト云フコトニハ變リハナイ
  ト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=29

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• 030・伊藤五郎

  ○伊藤委員　是ハ餘リ議論ニナリマスカラ
  是レ以上申上ゲマセヌガ、地租ニ付テハサ
  ウ云フ傾向ニアルノデスカラドウカ御調ヲ
  願ヒタイト思ヒマス、地租ハ將來各國トモ
  ニ廢止ノ運命ニアル、今殘ツテ居ルノハ英
  吉利ダケダト思ヒマス、併シ是モヤハリ近
  キ將來ニ於テ或ル條件附デ廢止スルコトニ
  ナツテ居ル、ソレヲアナタ方ガ知ラナイト
  云フコトハヲカシイデスネ、私ノ是カラ申
  上ゲタイノハ地租ハヤハリ日本ニ於テモ將
  來廢止シナケレバナラヌモノダト思ヒマス、
  別個ノ意味ニ於テ土地ノ或ル收益ニ付テ稅
  金ヲ課ケルト云フノハ別デスガ、土地其ノ
  モノニ課稅スルト云フ取リ方ハ將來廢止シ
  ナケレバナラヌト思フ、地租ヲ廢止シナケ
  レバ、本當ニ地方ノ負擔ノ均衡ハ取レナイ、
  私ハサウ云フ考ヲ持ツテ居ルノデス、私ハ
  將來ハ斯ウ云フ廢止ノ運命ニアル所ノ地租
  ヲ、地方ノ良イ、稅源トシテ持ツテ來タコト
  ハ一寸御考ガ違フノデハナイカト云フ御尋
  ヲシタト思フノデアリマスガ、是ハ議論ニ
  ナリマスカラ、今日之ヲドウセヨト云フ話
  デハナイノデス、各國ノ色々ナコトヲ調べ
  テモ、サウ云フヤウナ傾向ニアルカラシ
  テ一ツ大イニ考究シナケレバナラヌヂヤナ
  イカ、斯ウ言フノデス
  次ニ私ハ之ニ關聯シテ申上ゲタイノハ、配
  付稅トシテ遊興飮食稅ト入場稅ヲ配付稅ノ
  稅源ニ持ツテ行ツタガ、是ハ一體非常ニ考
  ヘ方ガ違フノヂヤナイカト思ヒマス、此ノ
  配付稅ト云フモノハ一番今度ノ地方稅制改
  革ノ眼目デアル、ダカラ配付稅ノ稅源ハ非
  常ニ立派デ相當額ノ配付稅ヲ地方ニ還元シ
  テヤルト云フ風ニヤラナケレバ、今度ノ地
  方稅制改革ノ根本目的ハ達セラレナイ、斯
  ウ云フ大切ナ配付稅ノ稅源トシテ遊興飮食
  稅ト入場稅ヲ持ツテ行ツタコトハ、內務省
  ノ認識不足ダト思フ、何故カト云フト、ア
  ナタ方ハ遊興飮食稅ト云フ名前デ取ルカ知
  ラヌガ、此ノ稅ヲ取ルト云フ目的ハ自肅自
  戒將來ハ遊興飮食ト云フヤウナコトハ廢
  メサセヨウト云フノガ一ツ目的デセウ、戰
  時下ニ於ケル所ノ遊興飮食稅ハ、オ前達ハ
  遊興ナンカシテハイカヌ、自肅自戒シナケ
  レバイケナイト云フ、一種ノ懲罰的ノ意味
  ニ於テモ遊興飮食稅ヲ課スルノデハナイカ
  ト思フ、サウ云フ風ニ將來國民ガ本當ニ自
  肅自戒シテ、殆ド遊興シナイト云フ時代ガ
  或或來ルダラウト思フ、日本ノ將來ハ益〓
  難カシク、國民ガ一層緊張シテ、戰爭目的
  遂行ノ爲ニ擧國一體トナツテ働カネバナラ
  ヌ時ガ來ル、何人モ遊興飮食ト云フヤウナ
  コトハシナイト云フ時代ガ來ナケレバナラ
  又、又サウ云フ時代ガ來ナケレバ聖戰目的
  ノ完全ナル遂行ガ出來ナイヂヤナイカ、今
  日ノヤウニ有ユル階級ノ人々ガ自動車ヲ乘
  廻シテ大ニ遊興ヲヤツテ居ルアノ姿ヲ見テ、
  私ハ此ノ現狀デ行ツタナラバ日本ノ將來ハ
  ドウナルカト云フ考ヲ持ツテ居ル、ダカラ
  私ハイツモ考ヘテ居ル、遊興、飮食稅ナン
  ト云フ名前ハイカヌ、是ハ遊興飮食自肅自
  戒稅ト云フ名前ヲ付ケナケレバナラヌト云
  フノガ私ノ持論デアル、遊興飮食稅ハ懲罰
  デアツテ、遊興飮食ハ自肅自戒ヲシナケレ
  バナラヌト云フ稅目デナケレバナラヌ、斯
  ウ云フ將來ハ日本全國民ガ自肅自戒シテ中
  止ノ運命ニアル遊興飮食稅ヲ、地方ノ配付
  稅ノ稅源トシテ持ツテ來タト云フコトハ、
  內務當局ノ考ガ違フノヂヤナイカト思フ、
  將來私ノ考ヘタヤウナ時代ガ來テ、全國民
  ガ遊興シナイト云フ時ガ來タナラバ、此ノ
  配付稅ハドウナルカ、稅源ガナクナリハシ
  ナイカト思フ、入場稅モサウ云フ意味ニ於
  テ、地方ニ還元スルニハ最モ弱イ稅目デス、
  本當ニ長期戰ガ續イテ、國民ガ本當ニ緊張
  シタ場合、活動ヲ見タリ、芝居ヲ見タリ、
  サウ云フモノニ入ルコトハ本當ニ自肅自戒
  シナケレバナラヌ、サウ云フ時ガ來ル、又來
  ナケレバナラヌ、サウ云フ稅源ヲ配付稅ノ
  最モ大切ナ稅源トシテ玆ニ置イタト云フコ
  トハ間違ツテ居ルト思フ、今日ノヤウナ狀
  態ニ於テハ相當ノ稅收ガアルト思ヒマスガ、
  軈テ近イ將來ニ於テハ遊興飮食稅モ入場稅
  モ、殆ド取レナイト云フ時ガ來ルト思フ、
  サウ云フ時ニナツタナラバ此ノ配付稅ノ稅
  源ガナクナルノデハナイカ、然ラバ其ノ際
  ニ於テドウ云フ方法ヲ以テ地方ニ配付スル
  カ、私ハ之ヲ聽カントスルノデアリマス、
  サウ云フ時代ガ來タナラバ、此ノ配付ヲス
  ル所ノ財源ヲ何處カラ持ツテ來ルカ、、、
  ヲ一ツ私ハドウシテモ究明シテ置カナケレ
  バナラヌ、今度ノ地方稅制改正ニ於ケル最
  モ根本的ノ缺點ガコヽニアル、配付稅ノ稅
  源ガ斯ウ云フ薄弱ナモノデアツテ、是ダケ
  ノ配付稅ノ稅源デハ駄目デアルト云フコト
  ガ根本的ノ缺點デアルト私ハ斷ジテ居ル、
  政府ハ此ノ點ヲドウ御考ニナツテ居ルカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=30

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• 031・挾間茂

  ○挾間政府委員　配付稅ノ稅源ニ付テ色々
  考究シマシタ結果、所得稅、法人稅ノ外ニ遊
  興飮食稅、入場稅ヲ加ヘタノデアリマスガ、
  決シテ遊興飮食稅ガ懲罰的ノ課稅デハナイ
  ト云フコトニ付キマシテハ、他ノ稅制委員
  會ニ於テ大藏當局カラ縷々說明サレテ居ル
  通リデアリマス、奢侈重課ノ目的ヲ持ツテ
  居ルノデアツテ、懲罰課稅デハナイト云フ
  コトハ伊藤サンモ御承知ノ通リダラウト思
  ヒマス、稅源ノ配分ニ付キマシテハ、所得稅、
  法人稅ガ大體配付稅ノ八割、遊興稅ト入場
  稅ヲ加ヘテ、是ガ配付稅ノ二割程度ニナツ
  テ居リマス、政府常局ト致シマシテハ、此ノ
  配分ヲ以テ地方財政ヲ十分調整スルコトガ
  出來ルト考ヘテ居ルノデアリマス、成程御
  述ベニナリマシタ通リ、法人稅、所得稅ニ
  比ベマシテ、安定性ニ多少缺ケテ居ルト云
  フコトハ御話ノ點モ一應ハ吾々モ考ヘマ
  スケレドモ、此ノ點ニ付テハ國稅全體ノ關
  係等モ考慮ヲ致サナケレバナリマセヌシ、
  吾々ノ〓究ヲ致シマシタ結果ハ、今ノ如キ
  振合ニ於テ此ノ四稅ヲ配付稅ノ財源トスル
  コトガ適當デアルト考ヘタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=31

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• 032・伊藤五郎

  ○伊藤委員　ドウモ地方局長サンハ一寸御
  考ガ違ヒハシナイカト思フノデス、私ハ懲
  罰ダケトハ言ハヌノデス、併シ遊興ハ多少懲
  罰スルト云フ意味ガアルデセウ、今日ノ非
  常時下ニ於テ斯ウ云フ稅金ヲ拂フコトハ名
  譽デスカ、餘リ名譽デハナイデセウ、內務
  省ニ於テハ所謂國民精神總動員運動ニ參加
  シテ居ツテ、一面ニ於テ遊興ハ怪シカラヌ、
  贅澤ナ物ヲ食ツテハイカヌ、詰ラナイ活動
  ヤ芝居ヲ觀テハイカヌト言ツテ居ル、之ニ
  ハ吾々モ參加シテ居ル、一面ニ於テハ自肅
  自戒シナケレバナラヌ、遊興スルコトハ今日
  ノ國情ニ於テハ國辱デハナイカト云フ考ヲ
  以テ、堂々タル宣傳ナドヲヤツテ國民精神
  ヲ緊張サセテ居ル、其ノ反面ニハ、此ノ遊
  興飮食稅、入場稅ヲ地方ノ稅源ニ與ヘテ、
  此ノ稅收ガ多カランコトヲ希望シテ居ル、
  是ハ全然チグハグナ、相離反シタ所ノ考デ
  ハナイカト思フノデス、結局內務省自體ニ
  於テモ、將來遊興飮食稅ナドハ少クスルヤ
  ウニシナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  將來國民ガ本當ニ最小限度ノ、萬已ムヲ得
  ザル以外ニハ遊興飮食稅ナドヲ拂フコトハ
  J
  非常ニ不名譽デアルト云フ所マデ徹底シナ
  ケレバ、此ノ國難ヲ突破スルコトハ出來ナ
  イト私ハ思ヒマス、吾々ハサウ云フコトヲ
  願ツテ居ル、內務省ニ於テモ、文部省ニ於
  テモ、總理大臣ニ於テモサウ云フコトヲ願
  ツテ居ル、サウ云フ芳シカラヌ稅源ヲ地方ニ
  還元スルト云フコトガ、抑〓私ハ間違ヒダト
  思フノデス、サウシテ地方ハ此ノ薄弱ナル
  汚イ所ノ稅源ヲ本ニシテ、公共的使命ヲ遂
  行スル爲ニ學校トカ色々ノ施設ヲシナケレ
  バナラヌ、サウ云フ財源ヲ最モ良イ財源トシ
  テ地方ニ配付スルト云フコトハ間違ツテ居
  ルヤウニ思フノデスガ、モウ一度御答辯ヲ
  願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=32

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• 033・挾間茂

  ○挾間政府委員　御述ベニナリマシタヤウ
  ニ、此ノ遊興飮食稅、入場稅等ヲ配付稅ノ
  財源ニ致シマシテ、此ノ稅ノ多カレカシト
  云フコトヲ希望シテ之ヲ入レタノデハ決シ
  テナイノデアリマス、配付稅ノ稅源トシテ
  此ノ稅種ヲ選擇シタト云フコトデアルノデ
  アリマシテ、國民精神總動員其ノ他社會〓
  化ノ立場ニ於テ、遊興ト云フコトガドウナ
  ルカト云フ問題ハ此ノ稅ヲ設定シテ居ル
  ト云フコトトハ別個ノ問題トシテ、國民運
  動トシテ展開シテ行カナケレバナラヌダラ
  ウト思フノデアリマス、稅種ノ選擇ト云フ
  コトニ付キマシテハ、別段此ハ稅ヲ益〓增徵
  シテ行カウ、增額スルデアラウト云フコト
  ヲ見越シテ之ヲ入レタ譯デハアリマセヌノ
  デ、先程申上ゲマシタ通リ、所得稅、法人
  稅ト併セマシテ、此ノ四種ノ稅ヲ配付稅ト
  シテ入レルコトガ、先ヅ現在ノ國稅、地方
  稅ノ全體ノ振合カラ見テ適當デアラウト云
  フノデ選ンダ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=33

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• 034・小山倉之助

  ○小山委員長　伊藤君、御議論ノ御趣旨ハ
  十分政府ニモ徹底シタト認メラレマスカラ、
  ドウゾ簡單ニ御質問ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=34

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• 035・伊藤五郎

  ○伊藤委員　分リマシタ-兎ニ角弱イ稅
  源デアルコトハ私ハ御認メニナルト思ヒマ
  ス、私ハ先ヅソコカラ色々質問シテ行キタ
  イト思ヒマス、然ラバ配付稅ノ財源トナル
  所得稅、法人稅等ニ付テ見ルニ、今日ノ日
  本ノ現狀ニ於テ此ノ所得ハ最高限ニ達シテ
  居ル、收入ガ最高限ニ達シテ居ル當時ニ於
  テハ、所得稅モ、法人稅モ相當ノ稅收ガア
  ルト思フ、併シ是ガ一朝「インフレ」カラ「デ
  フレーション」不景氣ニ逆轉シタ場合ニハ、
  此ノ所得稅、法人稅ノ收入ハ非常ニ少クナ
  ル、其ノ少イ稅收ノ中カラ何分ノ一ヲ地方
  ニ還元スル、ココヲ能ク聽イテ下サイ、今
  日ハ財源、收入ガ相當ニアツテ、其ノ幾分
  ヲ地方ニ配付還元スルカラ、地方ニ於テモ
  仕事ガ出來ルカモ知レナイガ、近キ將來ニ
  於テ「デフレーション」ガ來テ、不景氣ガ來
  タ場合ニ、稅收入ガ、所得稅ニ於テモ、法人
  稅ニ於テモ、又ハ遊興飮食稅ヤ、入場稅ニ
  於テモ、非常ニ少クナルコトヲ豫想シナケ
  レバナラヌ、今日配付シテ居ル所ノ稅源ノ
  三分ノ一ニ減少シタト云フ場合モ想像出來
  ルト思フ、恐ラク近キ將來ニ於テサウ云フ
  コトハアルト思フ、若シ是ガナイト言フナ
  ラバ、是ハ全然獨斷デアツテ、恐ラク日本
  ノ今日ノ景氣ハ最高潮ニ達シテ居ツテ、
  番稅收入ノアル時デアル、其ノ幾分ヲ配付
  稅トシテ配付スル、地方ハ今日ノ景氣ノ好
  イ時代ノ配付稅ヲ財源トシテ色々ナ仕事ヲ
  スルカモ知レナイガ、近キ將來ニ於テ非常
  ニ稅收ガ減ツテ、其ノ配付額モ今日ヨリ三
  分ノ一位ニ減ルト云フヤウナ時代ヲ私ハ想
  像シテ見ナケレバナラヌト思ヒマス、サウ
  云フコトガアツタ場合、一體地方自治團體
  ガ安ンジテ仕事ガ出來ルカ、其ノ他ノ有ユ
  ル公共事業ノ經營ガ出來ルカ、私ハ配付稅
  ノ配付ガ非常ニ少クナツテ、到底仕事ガ出
  來ナイ時代ガ來ルダラウト思フノデアリマ
  ス、私ガ地方稅制改正デ一番心配シテ居ル
  ノハソコデス、サウ云フ御心配ハ一體考ヘ
  タコトモナカツタノデアリマスカ、ソレヲ
  承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=35

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• 036・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ大藏省ト言ハズ、內
  務省ト言ハズ、所得稅、法人稅ハ最モ强イ
  稅デアルト思ヒマス、ソレヲ今囘ノ配付稅
  ノ財源トシテ居ルノデアリマスガ、若シ何
  カ是以外ニヨリ以上適當ナ配付稅ノ財源ガ
  アルト云フコトデアリマスレバ、一ツ御示
  シヲ願ヘレバ大イニ攻究シタイト思ヒマス
  ガ、ドウモナイノデハナイカト思ヒマス、
  私共ハモウ是以上ノ良イ稅、有力ナ稅ハナ
  イト思ツテ居リマスカラ、最モ適當デアル
  ト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=36

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• 037・伊藤五郎

  ○伊藤委員　良イ稅、惡イ稅ノコトバカリ
  聽イテ居ルノデハアリマセヌ、私ハ現在ハ相
  當澤山ノ稅收ガアツテ、其ノ何分ノ幾ツカ
  ヲ地方ニ配付還元スルノダカラ、ソレヲ以
  テ地方ガ色々ノ公共事業ヲヤルコトガ出來
  ルケレドモ、萬一非常ニ稅收ガ少クナツタ
  場合、所得稅ナラ所得稅、遊興飮食稅ナラ
  遊興飮食稅ノ稅收ガ少クナツタ場合ニ、其
  ノ何分ノ幾ツカヲ貰フ所ノ地方ハ非常ニ金
  ガ少クナル、今マデ一万圓使ツタノガ、今
  度ハ五千圓シカ配付ガ來ナカツタト云フコ
  トガアリ得ルト思フ、ソコヲ聽イテ居ルノ
  デス、其ノ五千圓シカ來ナカツタ、サウ云
  フ場合如何ナル方法ヲ以テ地方ノ仕事ヲヤ
  ラセルヤウニスルカ、ソコヲ聽イテ居ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=37

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• 038・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御說ノ如ク營業稅ニ於キ
  マシテモ、所得稅、法人稅ニ於キマシテ、
  モ、景氣變動ノ如何ニ依ツテハ減收ヲ生ズ
  ル時ガ來ルコトハ確カデアリマス、ソレ故
  ニ今囘ノ制度ニ於キマシテハ、配付稅ニ於
  テ地方ノ稅收入ノ安定性ヲ期スル爲ニ、年
  度間ノ調整ヲ行ヒ、自然增收ガ馬鹿ニ多カ
  ツタ年デモ其ノ地方團體ニソレダケヤラ
  又、自然減收ガ相當多額ニアリマシテモ、
  自然增收多カリシ時代ニ溜メテ置イタ金
  デ、其ノ減收ガ直チニ響カヌヤウニスルト
  云フ方法ヲ講ジテ居ルノデアリマス、ソレ
  以外ニ然ラバ方法ガアルカト云フト、ソレ
  以上ハ私共ノ智慧デハ中々出ナイノデアリ
  マシリ、ソコデ三收益稅モ地方稅トシテ適當
  デナイ、又配付稅トシテ所得稅、法人稅モ
  適常デナイ、然ラバ地方稅ヲ如何ナルモノ
  デ構成スルカト云フト」各種ノ稅ノ中デ一
  等優秀ナ稅デ組立テテ居ルノデアリマスガ、
  ソレ以外ニドウ云フ方法デヤレバ宜イカト
  云フコトハ、寧ロ伊藤サンノ御智慧ヲ拜借
  シナケレバナラヌノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=38

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• 039・伊藤五郎

  ○伊藤委員　結局此ノ地方稅制改正法案ト
  云フモノハ、ソコニ於テ非常ニ薄弱ナモノ
  ニナツテ來ル、ダカラ私ノ是カラ言ハント
  スル方法ヲ講ズベキデアツテ、ソレハ結局
  煎ジ詰メテ行ケバ、地方ハ斯ウ云フ浮動性
  ノアル所ノ稅源ニ依ツテハ仕事ガ出來ナイ
  ノデ、結局國家全般ノ力ニ依ツテ、國家ノ
  全財政ニ依ツテ、卽チ一種ノ地方財政調整
  交付金制度ヲ新ニ法案トシテ設ケナケレバ、
  本當ニ地方ノ行詰ツタ現狀ヲ打開スルコト
  ガ出來ナイト思フ、サウ云フ制度ヲ作ルカ
  ドウカ、結局問題ハソコデス、私ハ言ヒマ
  スガ、數年後ニサウ云フ制度ガ必ズ出テ來
  やく、地方ガドウシテモ是デハ色々ナ公共
  事業ガ出來ナイト云フ時代ニナルト、稅源
  モナイ、借金モ出來ナイト云フ場合ニハ、結
  局ヤハリ國家全體ノ責任ニ於テ地方財政調
  整交付金制度ヲ茲ニ確立スル以外ニ方法ガ
  ナイ、吾々議員モ恐ラク其ノ時代ニナレバ
  地方財政調整交付金制度ヲ要求スルダラウ
  ト思フ、サウ云フ場合ニ本當ニドウシテモ
  地方自治團體ガ仕事ガ出來ナイ、如何ナル
  方法ヲ以テモ仕事ガ出來ナイ場合ニハ、國
  家ノ力ニ依ツテ地方財政調整交付金制度、
  或ハ一ツノ救濟金制度ニ依ツテ地方ヲ救濟
  スル以外ニ方法ガナイト思フ、之ヲ私ハ聽
  イテ居リマス、ナゼ斯ウ云フ制度ヲ確立シ
  ナカツタカ、サウスレバ若シ災害ガ生ジ或
  ハ稅源ガ少クトモ、國家ガ或ル一定ノ何億
  圓ト云フ金ヲ出シテ地方ノ振興ヲ圖ルコト
  ガ出來、地方ノ救濟ヲ圖ルコトガ出來テ、
  非常ニ重寳デアルト思ヒマス、ソレニ付テ
  如何ナル御考デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=39

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• 040・挾間茂

  ○挾間政府委員　恐ラク伊藤サンノ御考ハ、
  財政調整交付金ヲ設ケテ定額ニ各團體ニ交
  付スル、斯ウ云フコトダト思ヒマスガ、今
  囘ノ配付稅制ハ、其ノ交付金制度ニ彈力性
  ヲ持タセ、地方財源トシテノ意義ヲ十分加
  味スルト云フコトニ致シテ居ルノデアリマ
  シテ、若シ財政調整交付金制度ヲ三億圓ヨ
  リモ多ク五億、六億ト致シマスレバ、自治
  ト云フモノハ殆ド其ノ形ヲ失ツテシマフト
  云フコトニナルノデアツテ、此ノ委員會デ
  モ非常ニヤカマシク御述ニナツテ居リマス、
  自治ヲ破壞サレルノデハナイカト云フ議論
  ガ益〓强クナルト思フノデアリマス、其ノ意
  味ニ於キマシテ吾々ハ調整交付金制度ヨリ
  モ、分與稅制度ノ方ガ遙ニ地方自治ヲ尊重
  シ、地方ノ獨自ナル財政經理ガ出來ルヤウ
  ニナル、斯ウ云フ風ニ考ヘテ此ノ制度ヲ立
  テタノデゴザ·イマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=40

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• 041・伊藤五郎

  ○伊藤委員　アナタノ言フコトハ分ルノデ
  スガ、例ヘバ斯ウ云フ場合ガアリマス、關
  西ニ非常ナ災害ガアツタ、サウ云フ場合ニ
  ハ關西ナラ關西ニ配付稅ヲ餘計ヤラナケレ
  バナラヌ、ソレハ配付稅カ何カ知リマセヌ
  ガ、兎ニ角何カ餘計ヤラナケレバナラヌ、
  サウスルト其ノ金ダケガ他ノ方面ニ行ク金
  カラ減ルノデハナイカ、ソレヲドウ云フ風
  ニシテ調整スルカ、ソレハ配付稅ダケデハ
  イカヌ、追加豫算ヲ取ルトカ、或ハ救濟費
  ト云フ名目デ取ルカ、サウ云フ風ニシナケ
  レバナラヌノデハナイカ、是デナケレバ配
  付稅ヲ設ケタ根本ノ目的ハ達成シナイノデ
  ハナイカ、之ニ於テハドウ云フ風ナ御考ヲ
  持ツテ居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=41

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• 042・挾間茂

  ○挾間政府委員　能ク分リマシタ、ソレハ
  昨日私此處デ詳シク御話シマシタ、ソレハ
  交付金ノ問題デハゴザイマセヌ、此ノ配付
  稅ハサウ云フ大キナ災害等ガアツタ場合モ
  是デ處理スルト云フノデナク、是ハ程度ノ
  問題ニナルト思ヒマスガ、非常ナ災害ガア
  ツタ場合ハ、特別ノ立法ガ必要デアルト思
  ヒマス、關東ノ大震災ノヤウナ時ハ御存ジ
  ノヤウニ特別ノ立法ヲ以テ國家ガ保護ヲ致
  シテ居リマス、ソレ程デナイ場合ニモ、特
  別ノ財政援助ノ方法ヲ講ジナケレバナラヌ
  ト思ヒマス、普通ノ救濟ノ程度デ濟ムモノ
  デアレバ此ノ配付稅デ行キマスガ其ノ限度
  ヲ超エタモノハ特別ノ立法ナリ、特別ノ救
  濟ノ手段デ、別個ノ方法ヲ以テ國家ガ地方
  財政救濟ヲシナケレバナラヌト云フノデア
  リマス、其ノ點ニ付キマシテハ御話ノコト
  ハ能ク分ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=42

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• 043・伊藤五郎

  ○伊藤委員　ソレデハ實例ヲ申上ゲマス、
  例ヘバ東北ニ昭和七年、八年、九年ニアツ
  タヤウナ、アア云フ冷害ガ再ビアツタ場合、
  アレヲ配付稅ヲ以テドウ云フ風ニ處置シマ
  スカ、アレヲ別個ニ追加豫算カ救濟費カ何
  カデ救濟スルノデアルカ、單ニ配付稅ニ依
  ツテ之ヲ救濟スルト云フ程度ニセラレルカ、
  之ヲ承ツテ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=43

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• 044・三好榮次郎

  ○三好政府委員　冷害ノ程度如何ニ依ル問
  題デアリマスガ、歲入ニ減少ヲ生ジタト云
  フヤウナ時代ニ於キマシテハ、自然配付稅
  デ澤山廻ツテ行キマスガ、其ノ配付稅デ廻
  リマス限度デドウシテモイケナイ、救濟ヲ
  要スルト云フコトニナレバ、別個ニ補助ヲ
  シテ出スヨリ外仕方ガアリマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=44

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• 045・伊藤五郎

  ○伊藤委員　別個ニ救濟スルト云フノデス
  ガ、大體金額ハドノ程度ヲ以テ別個ニ扱ヒ
  マスカ、何千万圓トカ何億圓トカ云フ程度
  ガ分リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=45

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• 046・三好榮次郎

  ○三好政府委員　程度如何ニ依リマシテ數
  字ハ動ク譯デアリマス、是ハ調整交付金制
  度ヲ採リマシテモ、斯ウ云フ問題ガ起ルコ
  トハ同ジデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=46

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• 047・伊藤五郎

  ○伊藤委員　額ハ大體ドノ位ノ程度カ分リ
  マスカ、調整交付金程度デ賄フノデアリマ
  スカ、或ハ何千万圓位カ、例ヘバ靜岡ニ大
  火災ノアツタヤウナ場合ハ配付稅ニ依ツテ
  ヤツテ行クカ、或ハ追加豫算デヤルカ、或
  ハ別個ニ何カノ救濟費デヤルカ、サウ云フ
  コトヲ今言明出來ルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=47

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• 048・三好榮次郎

  ○三好政府委員　被害ノ程度ニ依ルコトデ
  アリマスカラ、ドノ程度ト云フコトハ分リ
  マセヌ、又調整交付金制度ニ於キマシテモ
  ソレハヤハリ分ラナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=48

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• 049・伊藤五郎

  ○伊藤委員　ソレデハ斯ウ云フコトヲ聞キ
  タイ、是マデ地方財政調整交付金-財政
  補給金ノ名デ一億何千万圓ヲ各貧弱町村ニ
  一定ノ補給金ヲ分配シテ居ツタ、地方自治
  團體ハ其ノ補給金ニ依ツテ一定ノ公共事業
  ヲヤツテ居ツタ、サウスルト今度ノ配付稅
  ニ於テハ各地方々々ハ、今マデノ補給金以
  上ノ金ヲ何處ノ市町村モ貰ヘルカドウカ、
  之ヲ一寸御聽キシタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=49

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• 050・三好榮次郎

  ○三好政府委員　大變失禮デアリマスガ、
  現在デハ地方財政調整交付金ト云フモノハ
  ゴザイマセヌ、今アルノハ臨時地方財政補
  給金デゴザイマシテ、此ノ補給金ハ專ラ減
  稅ダケヲサセテ居ルノデアリマス、隨ヒ
  マシテ事業費ニ充テルト云フ意味ニ於テハ
  毫モ支出致シテ居ラナイノデアリマス、是
  ハ今度ノ稅收入ノ總體ニ織込マレテ居リマ
  スカラ、具體的ノ各團體ニ付テドウナリマ
  スカ、稅制ノ根本ガ變リマスカラ分リマセ
  ヌガ、地方稅法ノ施行ニ支障ノナイ程度ニ
  ハ大抵配付稅ガ貰ヘル、斯ウ云フコトニナ
  リマス

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• 051・伊藤五郎

  ○伊藤委員　一寸聽キ損ヒマシタガ、例
  バ「エー」ト云フ町村ガ今マデ財政補給金ヲ
  二千圓貰ツテ居ツタ、現在ノ此ノ配付稅制度
  ニ於テハ少クトモ今マデ貰ツテ居ツタ二千
  圓ヨリモ餘計貰ヘルカ、安心シテ居ラレル
  カ、今マデ通リカト云フコトデス

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• 052・三好榮次郎

  ○三好政府委員　數字ニ付テハ申上ゲ兼ネ
  マス、ナゼナラバ小學校〓員俸給等ヲ移シ
  テ居リマスカラ、戶數割ヲ從前取ツテ居ツ
  タ制度トシテ見レバ、戶數割ヲ少ク取ルコ
  トニナル、隨テ其ノ戶數割ヲ取ルコトヲ前
  提ニシテヤツテ居リマス補給金ハ減ルト云
  フコトニナルノデアリマスガ、安心シテ宜
  イカドウカト云フ問題ハ是ト別個デアリマ
  シテ、從前ノ補給金ヨリハ市町村ハ事業
  費ニ使ヘル程度ニ豐富ナ財源ヲ得ルコトニ
  ナリマスカラ、隨テ安心ト云フコトハ大安
  心シテ居ツテ宜シイヂヤナイカ、斯ウ考ヘ
  マス

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• 053・伊藤五郎

  ○伊東委員　ソレデハ分與稅ニ付テ一ツノ
  委員會ヲ作ルサウデスガ、是ハ定員十六名ニ
  ナツテ居ルサウデス、其ノ中衆議院議員ハ
  何人、貴族院議員ガ何人、官吏ガ何人デア
  ツテ、ソレノ權限ガドウ云フ風ナ權限ニナ
  ツテ居ルカ、之ヲ簡單ニ御知ラセ願ヒタイ

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• 054・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ官制ニ依ツテ決マル
  問題デアリマシテ、十六名デアリマス、其
  ノ割振リヲドウスルカト云フコトハ、官制
  ヲ制定致シマス際ニ決定致シタイト思ツテ
  居リマスガ、大體ハ貴衆兩院議員ト關係各
  省ノ關係官ト云フモノデ組織スル積リデア
  リマス

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• 055・小山倉之助

  ○小山委員長　休憩致シマシテ午後一時半
  ヨリ始メマス
  午後零時三十四分休憩
  午後二時三分開議

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• 056・小山倉之助

  ○小山委員長　是ヨリ開會致シマス-伊
  藤君

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• 057・伊藤五郎

  ○伊藤委員　私ハ配付稅ノ配付ニ付テ御伺
  致シタイト思フノデアリマス、此ノ改正案
  ニ依リマスレバ、配付稅ノ配付ニ付キマシ
  テハ、第一ハ財政力、第二ハ財政需要ニ依
  ツテ、大體分配ヲスルト云フヤウニ承ツテ
  居ルノデアリマスルガ、其ノ後者デアル財
  政需要卽チ人口ノ如何ニ依ツテ其ノ配付稅
  ヲ配付スルト云フコトハ、是ハ餘程考究ヲ
  シナケレバナラナイ大キナ問題デハナイカ
  ト思フノデアリマス、普通ニ考ヘマスルナ
  ラバ、人口ノ多イ所ハ相當財政需要モ多イ
  ヤウニ考ヘラレ易イノデアリマスルケレド
  モ、今日ノ日本ノ人口ノ分布狀態ヨリ見マ
  スルナラバ、人口ノ多イコト必ズシモ財政
  需要ガ多イノデハナイノデアリマス、寧ロ
  人口ノ少イ所ガ財政需要ガ多イト云フヤウ
  ナ逆ノ現象ニナツテ居ルト云フコトヲ、內
  務當局ハ深ク〓究ヲシナケレバナラナイト
  思フノデアリマス、然ラバ農村ト都市トノ
  人口ノ分布狀態ガドウ云フ風ニナツテ居ル
  カト云フコトヲ、一應御說明申上ゲナケレ
  バナラナイト思フノデアリマス、農村ヨリ
  都市ヘノ人口移動ノ結果ハ、當然人口ノ集
  中スル都市ニハ生產年齡ノ人口ガ大デアリ
  マシテ、兒童人ロハ比較的少ク、人口ノ流
  出スル所ノ地方ハ兒童人ロガ大デアツテ、
  生產年齡ノ人ロガ比較的少イノデアリマス、
  此ノ締計ニ依ツテ見マスルト、我國ノ人口
  增加ノ大部分ハ農村ニ於ケル出生ニ因ルモ
  ノデアルノデアリマス、然ルニ其ノ兒童人
  口ノ大部分ハ靑年トナルマデ、農村ニ居リ
  マシテ、然ル後都市ニ移動スルノデアリマ
  ス、都市ハ是等ノ靑年人口ヲ迎ヘルコトニ
  依リ、自然增加以上ニ遙ニ大ナル靑年壯年
  人口ヲ入レルコトニナルノデアリマス、之
  ニ反シテ農村ニハ靑年壯年、人口ガ相當ニ縮
  小シテ、サウシテ新潟縣ノ如キハ殆ド瓢簞
  形ノ人口構成圖ヲ成シテ居ルノデアリマス、
  更ニ此ノ顯著ナル事實ヲ經濟的ニ言フナラ
  バ、農村ハ實數ニ於テ特ニ大ナル出生數ヲ
  有シ、其ノ出生兒童ヲ養育シ少クトモ小學
  校〓育ヲ施シタル上都市ニ送ルノデアリマ
  ス、ソレガ爲大ナル所ノ兒童人口ニ非常ニ
  莫大ナル所ノ〓育費ヲ要スルノデアリマス、
  是ガ爲ニ農村ハ非常ナル負擔ヲ致シテ居ル
  ノデアリマス、換言スルナラバ地方〓育費
  ノ大部分ハ、將來都市ニ於テ働クベキ者ノ
  爲ニ支拂ハレテ居ルノデアリマシテ、宮ハニ
  農村ハ近代都市ニ對スル所ノ養育院化シ、
  又養老院化シテ居ルト言ツテモ、私ハ敢テ
  過言デハナイト思フノデアリマス、此ノ故
  ヲ以テ農村ノ負擔ヲ輕減スルト云フコトカ
  ラ、此ノ配付稅ノ配付ノコトヲ考ヘテ行カ
  ナケレバナラヌト思フノデアリマス、卽チ
  言ヲ換ヘテ言フナラバ、今日ノ農村ニ於テ
  ハ小學兒童ト働クコトノ出來ナイ所ノ老人
  バカリガ揃ツテ居ツテ、其ノ生產年齡ニア
  ル靑年壯年ト云フモノハ殆ド都會ニ集中シ
  テ居ルト云フ事情カラ考ヘテ、配付稅ノ配
  付ヲ考ヘナケレバナラナイト思フノデアリ
  マス、然ルニ何ゾヤ、此ノ配付稅ノ配付ノ
  標準ト云フモノヲ、唯漠然ト入口ノ如何ニ
  依ツテ決定セントスルガ如キハ、洵ニ私ハ
  内務當局ノ認識不足ニ因ルモノデアルト謂
  ハザルヲ得ナイノデアリマス、此ノ法案ハ
  實ニ此ノ意味ニ於テ非常ナ缺點ヲ持ツテ居
  ルト思ヒマスカラ、内務當局ガ此ノ配付稅
  ノ配付ヲ爲スニ當リマシテハ、人口ノ多寡
  ニ依ツテ、配付稅ノ配付ヲ爲スニアラズ
  シテ、寧ロ所謂靑年壯年等働キ得ル所ノ
  能力ノアル人口數ニ逆比例シ、サウシテ
  兒童人口ニ正比例シテ此ノ配付稅ノ配付ヲ
  ナサナカツタナラバ、斷ジテ公平ナル所ノ
  配付デハナイト私ハ思フノデアリマス、
  ナゼ此ノ配付稅ノ配付ヲナスニ當リマシテ
  サウ云フコトニ御氣付ニナラナカツタ
  ノデアルカ、ソレニ加フルニ其ノコトニ依
  ツテ初メテ農村ト都市ノ負擔ノ均衡ヲ圖ル
  コトガ出來ルト思フノデアリマス、其ノ爲
  今私ノ申上ゲマシタヤウナ配付ノ仕方ヲス
  ルナラバ、農村ニ於テハ喜ンデ兒童ヲドシ
  ドシト〓育ヲ致シマシテ、其ノ〓育ヲシタ
  所ノ人々ヲ都市ニ送ツテ、都市ノ生產力ノ
  擴充ノ爲ニ貢獻シ得ルト私ハ思フノデアリ
  マス、斯ノ如キ大キナ眠カラ此ノ配付稅ノ
  配付ヲ〓究シナカツタト云フコトハ、私ハ
  内務當局ノ大ナル認識ノ誤デアラウト考ヘ
  ルノデアリマス、之ニ對スル所ノ內務當局
  ノ御意見ト、是カラ此ノ配付稅ノ配付ヲヤ
  ツテ萬一ニモ不都合ナ場合ハ、私ノ申上ゲ
  マシタヤウナ方法ニ依ツテ、將來此ノ配付
  稅ノ配付ノ仕方ヲ變ヘル御意思ガアルカド
  ウカヲ承リタイト思フノデアリマス

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• 058・挾間茂

  ○挾間政府委員　洵ニ御尤モナ御意見デ十
  分拜聽致シタノデアリマス、配付稅ノ配付
  ノ基準ニ付キマシテハ、種々考究致シマシ
  タ結果、斯ウ云フ標準ヲ設ケタノデアリマ
  スガ、只今御述べニナリマシタ地方團體ノ
  住民ノ年齡構成ガ、都市ト農村トデ非常ニ
  違ウテ居ルト云フコトハ十分認メテ居リマ
  ス、唯ソレヲ此ノ稅制ノ上ニ如何ニ現ハス
  カト云フコトニ付キマシテハ、多少吾々ノ
  見ル所ト、伊藤サンノ御考ト違フ點ガアル
  カト思ヒマスガ、大體論ト致シマシテ、私
  ハ大イニ傾聽致シタノデアリマス、唯只今
  御審議ヲ願ツテ居リマス案ト致シマシテハ、
  此ノ配付稅ガ單純ニ人口ノミニ依ツテ居ル
  ノデハナクシテ、一面ニ於テ財政需要ノ標
  準トシテ人口ヲ用ヒマスガ、他ノ一面ニ於キ
  マシテハ財政力ヲ用ヒテ居ルノデアリマス、
  サウシテ財政力ハ、其ノ團體ノ國稅附加稅
  ヲ以テ計算致シマスカラ、其ノ團體ノ稅收
  入ノ力ノ强弱ト云フモノハ之ニ依ツテ明
  瞭ニ現ハレルト思ヒマス、財政需要フ問題
  トシテ人口ヲ用ヒテ居リマスガ、是ハ今御
  述ベニナリマシタ年齡構成ノ上ニ於キマシ
  テモ、寧ロ是デ押ヘルノハ、經費ノ掛カル
  人間ガドレダケ多イカト云フコトヲ押ヘル
  コトガ、此ノ方面ニ於テノ標準トシテハ適
  當デアルト思フノデアリマス、サウシテ其
  ノ意味ニ於キマシテ、此ノ案ニ於テハ割增
  人口ノ方法ヲ用ヒテ居リマス、市町村ニ於
  キマシテハ平均致シマシテ八百ヲ加ヘルト
  カ、尙ホ小學校ノ兒童ノ全市町村ノ平均率
  ヲ超過シテ居ル部分ハ、ソレダケヲ割增人
  ロトシテ加フルト云フコトニシマシテ、成
  ベク財政需要ノ實情ニ應ズルヤウナ手段ヲ
  講ジテ居ルノデアリマス、併シ此ノ財政需
  要ヲ如何ナル標準デ決定スルカト云フコト
  ニ付キマシテハ、尙ホ將來此ノ制度ヲ施行
  致シマシタ上ニ於テ、考究ヲ繼續シナケレ
  バナラナイコトト思フノデアリマシテ、御
  述ニナリマシタ點ハ十分拜聽致シテ、吾々
  ノ〓究ノ對象ニ致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=58

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• 059・伊藤五郎

  ○伊藤委員　大體御話ハ分リマシタノデス
  ガ、ヤハリ私ハ此ノ際一ツ速急ニ配付稅ノ
  配付ノ標準ハ、働キ得ル靑年壯年ト云フ人
  ロガ多ケレバ多イ程、ソレニ逆比例ヲシテ此
  ノ配付ヲスルト云フヤウナ方針ヲ執ツテ行
  クノガ當然デハナイカル思ヒマスカラ、其處
  ニ主力ヲ注イデ御〓究セラレルヤウニ、重
  ネテ御願ヲスルト同時ニ、モウ一度速急ニ
  サウ云フコトヲ御〓究シテ下サルカドウカ
  ヲ御答辯ヲ願ヒタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=59

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• 060・挾間茂

  ○挾間政府委員　其ノ點ハ一寸考ヲ異ニ
  致シテ居リマス、詰リ財政需要ト云フノハド
  レダケ其ノ團體ノ經費ガ必要デアルカト云
  フコトヲ測定スル標準デアリマスカラ、生
  產階級ガ多イカ少イカト云フコトヨリモ、
  團體ニドレダケノ經費ガ必要デアルカト云
  フノデ、經費ノ掛ル階層ト云フモノガ、第
  二種ノ方ノ配當ノ基準トナル問題デアリマ
  ス、生產階級ノ多寡ト云フ問題ハ、結局ハ
  是ハ其ノ團體ノ財政ト申シマスカ、其ノ方
  面ノ問題デゴザイマスカラ、割增人口ヲ計
  算スル場合ニ於キマシテモ、其ノヤウナ意
  味デハ考慮ヲスルコトハ困難カト思フノデ
  アリマス、伊藤サンノ御述ニナリマシタ大
  體ノ趣旨ニ於キマシテハ、私ハ割增人口ヲ
  如何樣ニ見ルカト云フコトヲ十分檢討ヲ加
  ヘテ見タイト考ヘテ居リマス

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• 061・伊藤五郎

  ○伊藤委員　サウスルト此ノ配付稅ノ配
  付ニ付テハ、只今ノ所デハ兒童人口ニ比例
  シテ配付ヲスルト云フ方針ハ依然トシテ變
  ラナイト思フノデアリマスガ、ソレハ如何
  デスカ、兒童人ロガ多ケレバ多イ程、其ノ
  配付稅ヲ餘計配付スルト云フコトハ、是ハ
  間違ヒナイノデスネ

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• 062・挾間茂

  ○挾間政府委員　兒童人口ト云フノハ學齢
  兒童デスカ(伊藤委員「サウデス」ト呼フ)學
  齡兒童ガ平均率ヨリモ多ケレバ多イダケソ
  レガ財政需要ヲ增シテ居ルト云フコトデ配
  付額ガ多額ニナルト云フコトニナツテ參リ
  マス

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• 063・伊藤五郎

  ○伊藤委員　私ハ押問答シマセヌケレドモ、
  結局唯漠然ト人口ヲ標準トシテ配付稅ノ配
  付ヲ爲スト云フコトハ、大イニ考ヘナケレ
  バナラヌ問題ダト思ヒマスカラ、ドウカ人
  口ノ分布狀態、特ニ都市ト農村ノ人口ノ分
  布狀態、ハ、全ク私ガ申上ゲマシタ通リデア
  リマスカラ、此ノ點ニ付テ十分ノ御考慮ア
  ランコトヲ御願申上ゲルノデアリマス、私
  ハ是デ質問ヲ終リマス

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• 064・小山倉之助

  ○小山委員長　森田君-宜シウゴザイマ
  スカ

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• 065・森田福市

  ○森田委員　私ハ大臣ニデス

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• 066・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ次ハ飯田君ニナツ
  テ居リマス

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• 067・飯田助夫

  ○飯田委員　私ノハ極メテ簡單デアリマス
  ガ、實ハ長野君カラ御質問ノアリマシタ地
  方稅ノ配付及ビ分與ニ付テ質疑ヲシタイト
  考ヘテ居ツタノデアリマス、是ハ長野君ニ
  依リマシテ、各方面ノ角度カラ相當突込ン
  デ御質問ニナツテ居リマスガ、是ハマダ速
  記錄ヲ十分讀ンデ居リマセヌカラ、速記錄
  ヲ讀ミマシタ上、更ニ又御質問ヲ申上ゲル
  點モアラウト思フノデアリマス、大體私ノ
  伺ヒマスコトハヤハリ其ノ部分ニ屬シテ居
  ルノデアリマスガ、分與稅法案ノ中ニ、災
  害ニ關スル所ノ規定、制度ヲ設ケルカト云
  フコトデアリマス、分與稅法案ハ、地方財
  政間ノ不均衡ヲ是正スルト云フ目的ヲ主眼
  トシテ居ルノニモ拘ラズ、災害ニ因ル所ノ
  地方財政ノ困難窮乏ニ依ル不均衡ヲ矯正ス
  ル上ニ於テ、甚ダシク缺ケテ居ル所ガアル
  ノデハナイカト思フノデアリマス、御承知
  ノ如ク我國ハ災害頻繁ノ國柄デアリ、震災、
  風水害等ノ災害ガ次カラ次ヘト出テ來ルノ
  デアリマス、然ルニ之ニ對シテ災害地方ハ
  色々ト國體ノ事情ハ違フノデアリマスガ、
  併シナガラ其ノ災害ガ地方團體ニ及ボス所
  ノ影響ト云フモノハ非常ニ多イト云フコト
  ハ私ガ申上ゲルマデモナイノデアリマスガ、
  政府ハ果シテ此ノ點ニ付テ十分ナル御考慮
  ガ拂ハレテ居ルノデアラウカドウカ、地方
  稅法案中、災害地方ニ關スル費用ノ爲ニ制
  限外課稅ヲスルト云フ途ハ認メテアリマス、
  併シ是ダケハ災害ニ基因スル巨額ノ災害債
  ノ重壓ニ呻吟スル所ノ災害地方財政ノ更正
  救濟ニハ役立タナイト思フノデアリマス、
  勿論災害地方ノ住民ハ、所謂禍ヲ轉ジテ福
  ト爲スト云フ更生復興ノ意氣ニハ燃エテ
  立上ツテ居ルノデアリマスカラ、國家ト
  シテモ是ハ勿論國力發展ノ基礎トモナ
  リ其ノ全企畫ニ對シマシテハ國家ガ常
  ニ十分ナル救援ト鼓舞ヲスル方策ガアツテ
  然ルベシト思フノデアリマス、惟フニ分與
  稅一般ノ配付標準デアル所ノ地方團體ノ財
  政事情ヲ人口ニ依ツテ表現セラレテ居ル法
  案ノ精神ハ、一般地方債ニ於テハ團體ガ自
  ラ進ンデ負擔シテ來タモノデアリマスノデ、
  不都合ハナイト言ヘマセウガ、併シナガラ
  天災地變等ニ依リマシテ已ムヲ得ズ災害債
  ヲ起シタ其ノ元利償還ニ付テハ、到底人口
  ニ依ツテ表現セラルルモノデモナイト思フ
  ノデアリマス、仍テ分與稅法案中市町村配
  付稅總額ノ一定ノ割合、例ヘバ一割ヲ控除
  シテ市町村災害ノ元利償還額ニ對シテ分與
  スルノ規定ヲ設ケタラ宜イト考ヘルノデア
  リマスガ、政府當局ノ之ニ對スル御所見ヲ
  承ツテ置キタイ

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• 068・挾間茂

  ○挾間政府委員　配付稅ノ分與ノ基準ニ關
  シテ災害ヲ考慮スルト云フ點ニ付テハ、御
  存ジノ通リ今囘提案致シマシタ配付稅ノ中
  デ、道府縣ノ配付稅ニ付キマシテハ、災害
  債ヲ考慮ニ入レテ居ルノデアリマス、市町
  村ノ災害債ト云フモノハ、府縣ノ災害ニ比
  ベマシテ非常ニ少額デアリマス、此ノ率ヲ見
  マスルト道府縣ハ七割八分餘、市町村ガ一
  割六分餘、卽チ稅收入ニ對シマシテ非常ニ
  率ガ少クナツテ居ルノデアリマス、殊ニ市
  町村ノ方ノ災害土木費ト云フモノハ、其ノ
  認定ノ範圍ガ非常ニ不明確、困難デアリマ
  シテ、多ク復興的ノ色彩ヲ持チ、市町村ノ
  意思ニ依ツテ自由ニナルヤウナモノガゴザ
  イマスカラ、之ヲ配付稅ノ配付ノ基準ニ用
  ユルト云フコトハ權衡上適當デナイト思ヒ
  マスノデ、市町村ニ付キマシテハ配付稅ノ
  配付ノ基準ニハ災害債ト云フモノハ加ヘナ
  カツタノデアリマス、併シ一面ニ於キマシ
  テ第三種配付額ト云フモノヲ設ケテ、特一
  必要ガアル場合ニハソレニ依ツテ財政ノ調
  整ヲ致スコトニナツテ居リマス、尙ホ此ノ
  稅制トシマシテハ財政救濟ト云フコトハ考
  慮ノ中ニ入レテ居リマセヌノデ、其ノ災害
  ニ依ツテ課稅力ガ減ジタト云フヤウナ場合
  三、此ノ配付稅ガソコニ救濟的ノ働キヲ
  爲シテ行クト云フコトニナル譯デアリマス、
  左樣御承知ヲ願ヒマス

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• 069・飯田助夫

  ○飯田委員　大體政府ノ意ノアル所ハ分ツ
  タノデアリマス、併シナガラ地方分與稅法
  案ノ中ニハ只今御述ニナツタヤウニ、道府
  縣ノ財政力算定ノ基準中ニ災害土木費負債
  ノ十五分ノ一ヲ控除スルト云フ規定ガアリ
  マン、又都市配付稅、町村配付稅ノ配付ニ
  付キマシテハ百分ノ五ヲ第三種配付稅トシ
  テ、特別事情アル所ノ中小都市、町村ニ配
  付セラルルノ規定ガアルノデアリマス、災害
  債ノ巨額デアル中小都市町村ハ、特別ノ事
  情アルモノトシテ斟酌セラレル所ノ途ガ開
  ケテ居ルノデアリマス、斯ノ如ク道府縣相
  互間、中小都市相互間、町村相互間ニ於キ
  マシテハ災害債關係ヲ考慮サレル所ノ規定
  ヲ設ケテアルニ拘リマセズ、何ガ故ニ大都
  市ニ限ツテ災害ニ基因スル地方財政ノ不均
  衡ヲ是正調整スル所ノ制度ガ設ケラレナイ
  ノデアリマスカ、公平正義ヲ建前トスル所
  ノ政府ニ於カレマシテハ當然正義觀ヲ以
  テ之ニ對處セラレテ行カナケレバナラナイ
  ト思フノデアリマス、申スマデモナク我國
  ノ歷史上ノ大災害トシテハ關東ノ大震災、
  關西ノ風水害等ガアルガ、是等災害ニ基ク
  地方財政ノ不均衡ノ事實ヲ、政府御當局ハ看
  過セラレテ居ルノデアリマスカドウカ、現
  ニ橫濱市ノ如キハ震災ニ依リマシテ一億八
  千万圓ノ市債ヲ持ツテ居リマシテ、市民一
  人當リノ市債額ハ二百三十圓トナツテ居リ
  マス、而シテ京都市ノ一人當リ五十五圓、
  名古屋市ノ九十二圓、神戶市ノ百十五圓等
  ニ比ベマスト實ニ二倍乃至四倍ノ巨額ニ達
  シテ居ル所ノ狀態ニナツテ居ルノデアリマ
  ス、是ガ爲ニ橫濱市ニ於キマシテハ一切ノ乘
  用車マデ廢シテ、震災ノ爲ニ吏員ノ給與ナ
  ドモ削減シ、實際骨ヲ削リ肉ヲ殺グノ思ヒ
  ヲ致シテ緊縮節約ヲ爲シ、ココ十數年間ソ
  レヲ繼續シテ居ルヤウナ狀態デアリマス、
  是等ハ何レモ其ノ災害ニ因ル所ノ借金拂ノ
  爲ニ忍從シテ居ルノデアリマスガ、併シナ
  ガラサリトテ市ノ課稅力ト云フモノ、市民
  一人當リノ負擔ハ京都、神戶、名古屋ノ是
  等ノ都市ニ決シテ劣ルモノデハナク、六大
  都市ノ中位以上ヲ占メテ居ルノデアリマス、
  橫濱市ノ財政困難ハ課稅力ノ爲デハナク、
  全ク支出ノ非常ニ夥シクソコニ欝積シテ居
  ル所ノモノガアル、其ノ重壓ニ因ルモノデ
  アリマス、隨テ政府案ノ如キ建前デハ、橫濱
  市ノ如キ立場ニアルモノハ全ク救ハレル瀨
  モナイ悲慘ナ狀態ニ追込マレルモノト考ヘ
  ル者デアリマス、仍テ政府ハ法案ノ第十五
  條中道府縣ノ災害土木費負債額ノ十五分ノ
  一ヲ控除スル、規定ト同樣ニ、大都市災害費
  負債額ノ十五分ノ一ヲ控除スル規定ヲ設ク
  ルコトハ、均衡上當然ノコトデアルヤウニ
  考ヘラレルノデアリマスガ、之ニ對スル政
  府ノ御所見ヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=69

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• 070・挾間茂

  ○挾間政府委員　大都市ノ災害ニ對スル起
  債額等ヲ配付稅ノ配付ノ基準ニハ入レテ居
  リマセヌ、併シナガラ是ハ道府縣ニ比較致
  シマスト、此ノ災害ノ起債ノ性質モ非常ニ
  違ヒマシテ、大體大都市ニ於キマシテハ復
  興的ノ色彩ガ濃厚デアリマスノデ、ソレヲ
  配付稅ノ配付ノ基準ニ入レマスコトハ、先
  程申上ゲマシタヤウニ配付稅ノ性質カラ見
  マシテ適當デナイト思フノデアリマス、ソ
  レカラ只今横濱市ニ付テ御述べニナツタノ
  デアリマスガ、先刻御手許ニ差上ゲテ置キ
  マシタヤウニ、此ノ表ヲ御覽ニナリマス
  ト、橫濱市ニ付テ申上ゲマスレバ、改正前ノ
  稅總額ハ五百四十八万餘圓デアリマスガ、
  改正後ノ稅收入ノ見込ハ八百六十万圓ヲ超
  エルヤウナ狀態デアリマシテ、非常ナ稅收
  入ニ於キマシテ樂ニナルノデアリマス、十
  分市ノ財政經理ノ上ニ於キマシテハ、大キ
  ナ-何ト申シマスカ、ヤリ易クナルト云
  フ風ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=70

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• 071・飯田助夫

  ○飯田委員　只今局長サンノ御說ニ依リマ
  スト、横濱市ノ財政狀態ハ今度ノ案ニ依ツ
  テ財政上ヤリ良クナルト云フヤウニ承ルノ
  デアリマス、御承知ノ如ク橫濱市ハ、只今
  申上ゲタヤウニ震災後ノ復興更生ノ爲ニ非
  常ナ努力ヲ拂ヒ、殊ニ工場招致ナドヲ致
  シ、埋立地ノ利用價値ナドニ對シテモ非常
  ナ考慮ヲ拂ヒ、サウシテ工場地ニ對シマシ
  テハ市稅ノ五箇年ノ免除等モ致シマシテ、
  今日ニ於キマシテハ先ヅ以テ我國ニ於キマ
  シテモ有數ナ、工場地帶ヲ造成シテ居ル〓
  デアリマス、此ノ方面カラ年々擧ガル所ノ
  市稅モ約三百万圓ニ近イ市稅ガ擧ツテ來ル
  見込デアリマス、併シナガラ横濱市ハ震災
  ニ依ル所ノ復興資金、卽チ政府ノ保證セラ
  レテ居リマス所ノ米貨公債ノ利拂、是ガ六
  分ト云フコトニナツテ居ル、更ニ爲替差損
  金等ニ依リマシテ、折角造成シ來ツタ所ノ
  工場地帶カラ擧ル市稅ノ殆ド全部ハ、此ノ
  米貨公債ノ差損金及ビ利拂ノ方ニ振向ケネ
  バナラヌコトニナツタ、殊ニ最モ將來伸ビ
  ントスル稅デアル所ノ所得稅ノ如キモ、是
  モ取止メラレルコトニ依リマシテ、非常ニ
  横濱市ハ財政上更ニ困難ニ追込マレルノデ
  ハナイカト思フノデアリマス、是等ニ付テ
  御當局ハ更ニ米貨公債ノ利拂、サウ云フヤ
  ウナコトニ心配ナキヤウニ横濱市ノ財政ヲ
  致スヤウニ御考慮ガアルカドウカ、此ノ點
  ヲ承ツテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=71

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• 072・挾間茂

  ○挾間政府委員　先程簡單ニ申上ゲマシタ
  ガ、ソレデハモウ少シ詳細ニ數字ヲ申上ゲ
  マく、橫濱市ハ改正前ノ稅制ニ依リマスト
  五百四十八万五千圓ノ稅收入ガアルノデア
  リマスガ、之ヲ改正後ノ新稅制ニ依リマス
  ト、獨立稅ト國稅ノ附加稅、ゾレカラ府縣
  附加稅ヲ併セマシテ七百十二万餘圓ニナリ
  マン、之ニ對シマシテ更ニ配付稅ガ百四十
  八万圓アルノデアリマスカラ、八百六十万
  圓、卽チ五百四十八万圓ニ對シテ八百六十
  万圓ノ稅收入ヲ得ルト云フコトニナツテ居
  リマスカラ、三百十數万圓ノ稅收入ガ普通
  稅ニ於テ增加スルノデアリマス、ソレカラ
  都市計畫稅ニ付テノ增收見込額ガ百四十八
  万圓モアルノデアリマシテ、市ノ財政經理
  ニ付キマシテハ、將來ノ見透トシテハ餘程
  樂ニナルト云フコトハ此處デ申上ゲルコト
  ガ出來ルト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=72

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• 073・飯田助夫

  ○飯田委員　私ノ質問ハ更ニ長野君ト關聯
  致シマスカラ、保留致シマシテ又其ノ時ニ
  伺フコトニ致シマス

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• 074・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ武田君、內務大臣
  ノ見エルマデ如何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=74

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• 075・武田徳三郎

  ○武田委員　是マデ地方稅ノ各方面ノ角度
  カラ色々御質問ガゴザイマシテ、私ノ御問
  セントスルコトハ殆ド盡キテ居ルヤウデア
  リマスガ、極ク僅カナ點ニ付テ二一二當局ノ
  御說明ヲ願セタイト思フノデアリマス
  第一ニ分與稅ノ觀念ニ付テ立案者ノ御意
  見ヲ承リタイト思ヒマス、今マデ色々御話
  ヲ承ツテ見ル所ニ依リマシテモ、法案ヲ拜
  見致シタ上カラ見マシテモ、主トシテ地域的
  ノ不均衡ヲ是正スルノガ分與稅、殊ニ配付
  稅ノ主ナル目的デアルカト私ハ了解シテ居
  ル、併シ各方面ノ質問ニ對スル御答辯ヲ承
  ツテ見ルト、單ニ地域的ノ不均衡ヲ是正ス
  ルト云フ意味ノミデモナシニ、地方ノ財政
  ヲ補助スルト云フヤウナ意味デアルカノヤ
  ウノ御答辯ガ屢〓アツタノデアリマス、今ノ飯
  田君ノ質問ニ對スル御答辯ニモソレガ含マレテ
  居ルヤウニ思フノデアリマス、私ハ此ノ觀念ヲ
  明ニシテ置ク必要ガアリハシナイカト思フ、
  地方ノ貧弱町村ヲ援助スルト云フヤウナ意味
  ガ含マレテ居ルト、非常ニ配付ノ方法ナド
  ニ付テモ議論ガ複雜シテ、循環的ノ論議ノ
  ミガ重ナルヤウナコトニナリハシナイカ、
  現ニ今飯田君ノ御話ニモアツタヤウニ、災
  害ガアツタ時ニドウスルカト云フヤウナコ
  トニ對シテ、局長ノ御答辯ハ、ソレハ此處
  デ新シイ稅ト前ノ稅ノ間ニ三百何万圓ト云
  フ差ガアルカラ、ソレデ行ケルダラウデハ
  ナイカト云フヤウナ御答辯、ドウモソレデ
  ハ私ハ甚ダ慊ラヌヤウナ氣ガスル、ソコデ
  二百万圓ナリ三百万圓ノ餘裕ガ假ニアツタ
  ト致シマシテモ、ソレハ災害ヲソレニ依ツ
  テ救濟スルト云フ目的デソレダケノ差ガ出
  來タモノカ、一體分與稅ソレ自身ノ觀念ニ
  サウ云フモノヲ含マシテ居ルノデアルカド
  ウカ、若シソレヲ含マシテ居ルモノトスレ
  バ若シ今飯田君ガ御話シニナツタヨリ以
  上ノ災害ガ橫濱市ニアツタラドウカ、斯ウ
  云フ問題ガ起ルト思フ、ソレデ分與稅ノ性
  質ニ貧弱町村ヲ補助シヨウ、援助シヨウト
  云フヤウナ意味ガ含マレテ居ルモノトスレ
  バ、此ノ分與ノ方法ニ於テ非常ニ違ツタコ
  トデナケレバナラヌシ、又平常ノ「ノーマ
  ル」ノ狀態ニ於テ今日ノ所得ノ分配竝ニ財
  產ノ分配ノ不平均ニ伴ツテ稅收入ガ平均シ
  ナイ、其ノ平均シナイ不均衡ヲ是正スル目
  的デアルトスレバ、自ラ此ノ配付ノ方法ニ
  付テモ違ツテ來ル、サウシテ災害其ノ他ニ
  付テ地方團體ガ窮迫シタ場合ハ、是ハ他ノ
  手段デ國家トシテ救濟スル途ヲ執ラナケレ
  バナラヌト云フコトニナルノデアリマスガ、
  此ノ點ニ付テ地方局長ノ御意見ヲ承リタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=75

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• 076・挾間茂

  ○挾間政府委員　分與稅ノ制度、特ニ其ノ
  中ノ配付稅制ニ付キマシテハ、御述ニナリマ
  シタ各〓體間ノ財政ヲ調整スルト云フコト
  ガ大キナ目的デアリマスガ、同時ニ此ノ稅
  制ニ依リマシテ、各團體ニ對シテ有力ニシ
  テ必要ナル財源ヲ付與スル、斯ウ云フ目的
  ヲ持ツテ居ルノデアリマス、併シソレハ補
  助ヲスルト云フ意味デハナクシテ、必要ナ
  ル財源ヲ付與スルト云フ積リデアリマス
  ソレカラ次ニ御述ニナリマシタ災害ガア
  ツタ場合ニハ、此ノ分與稅ハソレニ對シテ
  如何ナル働キヲ爲スモノデアルカト云フ點
  ニ付キマシテ、此ノ配付稅ノ働キヲ申上ゲ
  マスレバ、是ハ程度ノ問題ニモ關聯スルト
  思ヒマスガ、通常起ル災害等ニ付キマシテ
  ハ、此ノ分與稅ノ制度ニ依ツテ十分働キガ
  爲シ得ルト思フノデアリマス、ト申シマス
  ノハ、其ノ災害ニ依リ地租ガ減少致シマス
  レバソレダケ課稅力ガ減少シマスカラ、第
  一種配付額ノ配付ノ標準ガソレダケ變ツテ
  參リマシテ、交付ノ增額ヲ受ケルコトニナ
  リマス、又火災等デ家屋ガ燒失シマスレバ
  家屋稅ガ取レナクナルト云フノデ、課稅力
  ノ減少ト云フ結果ニナツテ參ルト思ヒ·マス、
  ソレカラ道府縣ニ付キマシテハ、特ニ此ノ
  災害債ト云フモノガ分與稅分與ノ基準ニ加
  ヘラレルノデアリマス、併シ斯樣ナ方法ヲ
  以テシテハ救濟ノ目的ヲ到底達シ得ナイト
  云フヤウナ大キナ災害ガ發生致シマシタ場
  合ニハ、是ハ此ノ分與稅ガ豫想シテ居ル限
  度ヲ超エルモノデアリマスカラ、其ノ際ニ
  於ケル國家トシテ地方團體ノ財政ニ對シテ
  執ルベキ手段ニ付キマシテハ、自ラ又別箇
  ノ財政救濟等ノ方法ヲ考慮シナケレバナラ
  ヌコトニナルノデアラウト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=76

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• 077・武田徳三郎

  ○武田委員　只今地方局長ノ御話ヲ承ツテ
  見マスト、分與稅ニハ地域的ノ不均衡ヲ是
  正スル意味ト、有力ナル財源ヲ地方團體ニ
  與ヘルト云フ二ツノ意味ヲ含ンデ居ルト云
  フ御話デアリマスガ、此ノ是非ハ姑ク措イ
  テ、私ハ地域的ノ不均衡ヲ是正スルト云フ
  コトダケヲ、此ノ分與稅殊ニ配付稅ニ持タ
  スベキモノダト信ジテ居ルノデアリマスル
  ガ、其ノ意見ノ交換ハ別ト致シマシテ、假
  ニ立案者ノ御意向ノヤウナモノト致シマス
  ルト、斯ウ云フ結論ニナリマスカ、山崎
  當ナル稅種ヲ地方團體ニ與ヘヨウトシテ
  有ユル御苦心ヲ重ネテ見ラレタケレド
  干、ドウシテモナイ、詰リ今三收益稅其
  ノ他獨立稅、附加稅ヲ認メラレタ以外ニ
  ハドウシテ見テモ適當ノ稅種ハ見付カ
  ラナイ、仍テ此ノ配付稅ヲ以テ其ノ稅源
  ヲ與ヘル外途ガナイ、斯ウ云フ結論ニナツ
  タト諒解シテ宜シイノデアリマスカ、更シ
  若シ左樣ニ諒解シテ宜イト云フ御返答デア
  リマスレバ、詰リ地方ニ獨立ニ與ヘル稅源
  ハ外ニナイノデ、大體ノ趣旨トシテハ地方
  稅ハ物稅ヲ主トシ、人稅ハ多少ハ加ヘル程
  度ニシタイケレドモ、ドウシテモナイ、ソ
  レデ人稅ノ所得稅竝ニ法人稅ヲ割イテ地方
  ヘ與ヘル、併シナガラ所得稅竝ニ法人稅ノ
  ヤウナ人稅ハ、今日ノ此ノ所得ノ分配ノ不
  公平ニナツテ居ル日本ノ現狀ニ於テハ一地
  方ニ固マリ勝チデアルカラ、之ヲ唯其ノ
  一部ヲ割イテ地方ノ團體ニ與ヘタダケデハ、
  負擔ノ均衡ハ非常ナ相違ヲ來ス、地域的ノ
  負擔ガ非常ナ相違ヲ見ルヤウニナルカラ、
  ソレデ分與ノ名ヲ以テ地方ニ之ヲ與ヘルコ
  トニシタ、要スルニ最早外ニ適當ナ稅種ハ
  ナイカラ、所得稅竝ニ法人稅及ビ遊興飮食
  稅入場稅ノ一部ヲ地方へ與ヘル外途ガナ
  カツタノダ、斯ウ云フ風ニ解シテ宜シイノ
  デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=77

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• 078・挾間茂

  ○挾間政府委員　現在ノ稅制通リ各團體ガ
  全部ヲ直接ニ課徵スルト云フ方法ヲ以テ致
  シマシテハ、今ノ各地方ニ於ケル財源ノ關
  係カラ。致シマシテハ、各團體ニ必要ナル、財
  政收入ヲ得ルノ途ガナイ譯デアリマスノデ、
  其ノ意味ニ於テ一部分ハ間接課徵ノ方法ヲ
  以テ地方ノ財源ヲ補足セシメナケレバナラ
  ナイ狀態ニ、現在ノ實情ガナツテ居ル譯デ
  アリマス、ソコデ配付稅ト云フ制度ヲ設ケ
  タノデアリマシテ、而シテ配付稅ヲ如何ナ
  ル稅種ニ求メルカト云フコトニナリマスト、
  所得稅、法人稅等ノ有力ナル稅種、其ノ外今
  囘ノ提案ヲ致シテ居リマスヤウナ稅種ヲ之
  ニ選擇スルノガ適當デアラウト云フノデ、
  此ノ四種ヲ選ンダ譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=78

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• 079・武田徳三郎

  ○武田委員　サウシマスト、私ノ今斯樣ニ
  諒解シテ宜シウゴザイマスカト御問シタノ
  ト同ジ意味ニナリマスガ、要スルニ所得稅竝
  ニ法人稅ノ一部、遊興飮食稅、入場稅ノ
  部ヲ地方ニ與ヘルト云フ唯方法ヲ變ヘタノ
  デアル、ソレヲ地方ニ分與スル、丁度三收
  益稅ヲ地方ニ與ヘタ如キト同樣ノ意味ヲ以
  テ地方ニ與ヘテ行ク、唯其ノ徵收、配付ノ
  方法ガ違フノダ、斯樣ニ私ハ諒解シテ宜シ
  イト思ヒマス、併シ其ノ意味デ更ニ伺ヒタ
  イト思ヒマス、其ノ前ニモウ一ツ伺ツテ置
  キタイコトハ三收益稅其ノ他ノ稅以外ニ
  殆ド稅種ハナイ、斯ウ云フ工合ニ御考ニナ
  ツテ居リマスガ、併シ今ノヤウナ觀念カラ
  致シマスルト、私ハ本會議デモ一寸伺ツタ
  ノデアリマスガ、何レノ團體ニモアルトハ
  申上ゲ兼ネマスケレドモ、地方ノ團體ニ最
  モ適當シタ所ノ稅種ハ必ズシモ三收益稅ノ
  ミデハナイ、土地增價稅ノ如キモノモアル
  デハアルマイカ、或ハ間地稅ノ如キモアル
  デハアルマイカ、其ノ他尙ホ數ヘレバ若干
  ノ稅ガアルデアラウト思フ、サウシマシタ
  ラサウ云フモノヲ地方ノ團體ニ與ヘル方針
  ヲ、三收益稅ヲ與ヘルガ如キト同樣ナ構成
  ヲ以テ、先ヅサウ云フ稅ノ構成ヲ新タニ御
  立テニナルノガ順序デハナカラウカ、之ヲ
  此ノ地方團體ノ自由ニ設定スル獨立稅ト認
  メルカ、希望スルモノハ申出デルナラバ、
  ソレヲ審査シ、內務省ガ許可スルト云フノ
  デハ、是ハ申出デル者モアレバ申出デナイ者
  モアルト云フコトニナツテ、是ガ地方ノ稅
  トシテ決ツテ居ラナイ、ヤル所モアレバヤ
  ラヌ所モアルサウスルトソレハ稅收入ハ
  ドレダケアルカト云フコトヲ一應押ヘタト
  言ハレル所ノ十億三千二百万圓ノ計算ニ入
  ラナイ、ソレヲ計算ニ入レズニ置イテ、三
  收益稅ハ幾ラ〓〓、其ノ他ノ獨立稅ハ幾ラ幾
  ラ、アトニ殘ル所ハ三億五千万圓ダカラ、之
  ヲ所得稅竝ニ法人稅、遊興飮食稅等ニ充テヨ
  ウ、斯ウ云フ〓案ヲ立テタト云フコトハ先般來
  屢〓內務大臣モ御話ニナリ、局長モ御話ニナ
  ツタ、サウスルトドウシテモ是ダケシカナイ
  カラ人稅ニ之ヲ求メタノダト云フナラバ、有
  ユル稅種ヲ先ヅ漁ルト言フト言葉ガ惡イノ
  デアルケレドモ、色々檢討シテ御覽ニナツテ、
  地方稅ニ適當ダト云フモノガアリマスナラ
  バ、先ヅソレヲ地方稅トシテ設定スルノガ順
  序デハナカツタカ、斯ウ云フ風ニ私ハ思ハレ
  ルノデアリマス、ソレカラモウ一ツハ、サ
  ウ云フ新稅種ヲ能ク檢討シテ見ルト云フ所
  ノ必要ト同時ニ、現在ノ稅種ハ現在ヨリ以
  上稅ガ取レルカドウカ、モツト率ヲ高クス
  ル餘地ガアルカナイカト云フコトヲ御考ニ
  ナツタカドウカト云フコトヲ考ヘテ見タイ、
  一例ヲ以テ言ヒマスナラバ、營業收益稅ノ
  如キ其ノ附加稅ヲ合セルト、此ノ頃御調べ
  戴イタモノヲ見マスルト、十三年度ニハ一
  億七千万圓、今度ノ改正案ニ依ルト一億五
  千万圓ニナルヤウニ計算ヲ承ツテ居ル、
  又地租ノ如キモ率カラ申シマスレバ、
  現行法デ言ヒマスルナラバ、國稅、地
  方稅、總テヲ寄セマスルト賃貸價格ノ
  一一·四ニナツテ居ル、今度ノ改正案ニ
  依ルト八·〇ニナツテ居ルノデアリマス、
  非常ナ減稅ニナツテ居ルノデアリマス、
  此ノ刻下時局多端ノ際ニ、國民ハ有ユル苦
  痛ヲ忍バナケレバナラヌト云フ此ノ際ニ、
  殊ニ是等ノ稅種ニ對シテソレ程ノ減額ヲシ
  ナケレバナラヌト云フ-是ハ稅ハ輕イ程
  宜イニ相違ナイノデアリマスガ、併シ今日
  ノ狀態デ是程マデ減額シナケレバナラヌト
  云フ必要ニ迫ツテ居ルノデアリマスカ、是
  ハ地方ニ餘裕ガアツテ減額ニナルナラバ吾
  吾ハ非常ニ之ヲ歡迎スルノデアリマス、又
  感謝スルノデアリマスガ、有ユル稅ヲ漁ツ
  テ見テドウモナイ、仕方ナクシテ內務省ノ
  御方針ノ、地方ノ稅ハ成ベク物稅ヲ以テ充テ
  テ、已ムヲ得ナイ場合ニ若干ノ人稅ヲ之ニ
  加ヘヨウト云フ全體ノ構成ニ稍〓反シテモ、
  此ノ現在アル所ノ稅ヨリモ尙ホ少ク徵收シ
  ナケレバナラヌト云フヤウナ稅ノ建テ方ヲ
  御執リニナツタト云フ、其ノ理由ハ何處ニ
  アルカ、隨テ斯樣ナ構成ヲナサツタ結果、
  從來ノ稅ヨリハ今度ノ地方稅ノ人稅ト物稅
  ヲ比較シテ見マスト、人稅ノ方ガ餘計ニナツ
  テ居ル、此ノ點カラ見テモ私ハ內務大臣ノ
  曾テ御聲明ニナツタ地方ノ稅ハ成ベク物稅
  ニシテ、人稅ハ少クスル、人稅ハ國稅ニ充
  テルヤウニスルト云フ御趣旨ニ反シハシナ
  イカ、其ノ點ニ付テ內務當局ノ御意向ヲ
  ツ伺ツテ見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=79

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• 080・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ稅制全體ノ機構ヲ考
  ヘマス場合ニ、土地增價稅、間地稅、庭園
  稅ト云フヤウナモノヲモ考慮ニナゼ加ヘナ
  カツタカト云フ御質問デゴザイマスガ、是
  等ノ稅ハ地租、家屋稅等ト違ヒマシテ全國
  普遍的ノモノデモゴザイマセヌシ、又各地
  方ノ實情ニ應ジテ課稅致スベキモノデアリ
  マスカラ、三收益稅等ト合セテ之ヲ一般ノ財
  源關係ノ總額ノ中ニ加へナカツタノデアリ
  マス、又一面成ベク地方ノ稅ニ餘裕ヲ持タ
  セルト云フ必要モアル譯デアリマスカラ、
  是ハ許可課目トシテ殘シテ置イタ譯デアリ
  マス、ソレカラ此ノ非常時ニ際シテ土地課
  稅營業ニ對スル課稅等ガ非常ニ安クナツ
  テ居ルデハナイカト云フ御意見デアリマス
  ガ、營業稅ニ付キマシテハ、只今御示シニ
  ナリマシタ數字ハ多少計數的ニ違ツテ居リ
  マシテ、平年度ニ於キマシテハ一一億八千万
  圓ト云フ風ニ考ヘテ居リマス、尙ホ地租ニ
  付キマシテハ地租其ノモノハ賃貸價格ノ百
  分ノ八ト云フコトニ致シテ居リマスケレド
  モ、是ハ國稅、地方稅ヲ通ジテ今度ハ負擔
  ノ均衡ヲ得ルヤウニ考ヘナケレバナリマセ
  ヌノデ、地租ノ課率ノミヲ上ゲテ置クト云
  フコトハ負擔公平上不適當デアリマスカラ、
  其ノ兩者ヲ睨ミ合セマシテ、地租ニ付キマ
  シテハ百分ノ八ト云フヤウニ決定ヲ致シタ
  ノデアリマス、ソレカラ物稅、人稅ノ關係
  ニ付テノ御質疑デアリマスガ、物稅ヲ地方
  稅ノ中心ト致シマスト云フコトハ、是ハ獨立
  財源ト致シマシテノ問題デアリマシテ、地
  方ノ獨立財源ト致シマシテハ物稅ヲ中心
  トシテ構成ヲ致シタノデアリマス、配付稅
  ノ財源トシテハ所得稅、法人稅ノ如キモノ
  ヲ主タル財源トシテ用ヒテ居ルノデアリマ
  ス、併シ其ノ比率ニ於キマシテハ物稅ニハ
  相當多額ナモノヲ見込ンデ居ル譯デアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=80

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• 081・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ武田サン、アトノ
  御質問ハ留保サレマシテ、內務大臣ガオ見
  エニナリマシタカラ、長野君ガ內務大臣ニ
  對スル御質問ヲ留保セラレテ居リマスカラ、
  此ノ際之ヲ許シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=81

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• 082・長野高一

  ○長野委員　內務大臣ニ御聽キシタイト存
  ジテ居リマシタコトハ、其ノ後他ノ政府委
  員ノ方ニ依ツテ御答辯ガアリマシタノデ、
  稍〓明瞭致シテ居ルノデアリマスガ、若シ他
  ノ方ノ御都合デ御許ガ願ヘマスナラバ、極
  ク簡單ナコトデアリマスカラ、內務大臣御
  臨席ノ下ニ政府委員ノ方カラ御答辯ヲ願ヒ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=82

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• 083・小山倉之助

  ○小山委員長　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=83

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• 084・長野高一

  ○長野委員　ソレデハ御許ヲ得マシタ、先
  日私ノ質問中市町村民稅ノ關係ニ付キマシ
  テ、後デ速記錄ヲ調ベテ見ルト、尙ホ十分
  意味ガ徹底シナイ點ガアリマスノデ、此ノ
  點ヲ簡單ニ御尋致シマシテ明瞭シテ置キタ
  イト存ジマス、ソレハ市町村民稅課稅ノ客
  體タル納稅義務者ハ、十月一日現在ノ調査
  ヲ以テ押ヘルト言ハレテ居ルノデアリマス
  ガ、此ノ十月一日ハ前年度ノコトヲ指スノ
  デアリマスルカ、乃至ハ當該年度ノコトヲ
  言ハレルノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=84

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• 085・挾間茂

  ○挾間政府委員　勿論當該年度ノ十月一日
  現在ヲ押ヘルノデアリマス

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• 086・長野高一

  ○長野委員　當該年度ト云フコトニナリマ
  スト、ドウシテモ豫算數字ガ超過スルト云
  フコトハ是ハアリ得ルノデアリマス、サウ
  云フコトデアリマスカラデセウ、一昨日地
  方局長ハ、賦課徴收ノ結果、總額ノ數字ヲ超
  過スルコトハ起リ得ルト思ヒマス、斯ウ云
  フ時ニハ手直シヲシテ行キタイ、斯ウ言ツ
  テ居ラレルノデアリマスガ、是ハ殊ニ大都
  市ノ如キ、對象デアル納稅義務者ガ百万モ
  百五十万モアルト云フ場合ハ到底出來得ナ
  イコトト私ハ思フノデアリマスガ、是ガ前
  年度ト云フコトデアリマスルト、是ハモウ
  絕對ニ殖エル筈ハナイノデアリマス、十月
  一日ガ假ニ一万アル、八圓デ八万圓デアリ
  マス而ジテ之ヲ其ノ年度ノ終ニ於キマシ
  テ例ヘバ豫算ヲ組ンデ、翌年三月ニ來年度
  豫算ヲ議決致シマシテモ、實際ハ其ノ間ニ
  時日ヲ經過致シテ居リマスカラ、移動ガア
  リマシテ、此ノ移動ニ依ツテ實際ガ豫算ニ
  缺損ヲ生ジマシテモ、超過スルト云フ虞レ
  ハ絕對ニナイノデアリマス、隨テ是ガ超過
  シタ爲ニ徵稅ガ全部無效ニナルト云フ虞ハ
  ナイノデアリマスガ、併シ只今仰セニナリ
  マシタヤウニ、該當年度ノ實績ト云フコト
  デアリマスト、ドウシテモ今ノ數字ニ狂ヒ
  ガ生ズルト同時ニ、或ハ手直シト云フコト
  モ簡單ニ濟マナイ、實際ニ之ヲ扱フ者ノ立
  場ニナツテ見マスト非常ニ煩雜ナ仕事ニ
  ナルト云フコトヲ心配致シテ居ルノデアリ
  マスガ、尙ホ此ノ點ニ付テ明瞭ニ御答辯戴
  キタイト思ヒマス

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• 087・挾間茂

  ○挾間政府委員　前年度ノ十月一日ヲ押ヘ
  ルト云フコトニナマリスト、前年度ニハ居
  ツタガ當該年度ニハ居ナイト云フヤウナ人
  ガアリ、又前年度ニハ居ナカツタガ今ハ居
  ルト云フヤウナ人ヲ押ヘルコトニナリマシ
  テ、是ハ課稅技術上到底前年度ヲ此ノ市町
  村民稅デ押ヘルト云フコトハ出來ナイコト
  デアリマス、ソコデ當該年度ヲ押へマスト、
  納稅義務者ノ數ニ於テハハツキリト指定出
  來マスガ、例ヘバ千圓課ケル者ガ何人居ル
  ト云フ見込デヤツタ所ガ、ソレガ十月一日
  ニハ數ガ多クナツテ、ソコデ八圓ナラ八圓、
  六圓ナラ六圓ニ納稅義務者ノ總數ヲ乘ジマ
  シタモノノ額ヨリ場合ニ依ツテハ超過シナ
  イトモ限リマセヌ、左樣ナ場合ニハドウシテ
  モ此ノ賦課額ニ變更ヲシテ、八圓平均ヲ超
  過シナイヤウニ、六圓平均ヲ出デナイヤウ
  ニシテ賦課ヲシナケレバナラヌノデ、其ノ
  時ニハモウ一度手數ヲ掛ケナケレバナラヌ
  ト考ヘテ居リマス

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• 088・長野高一

  ○長野委員　是ハ例ヘバ昭和十五年度ノ市
  町村民稅ヲ決定致シマス時ニハ、十四年ノ
  十月一日現在ヲ押ヘテ行ツタ方ガ便利ヂヤ
  ナイデセウカ、假ニ昭和十四年ノ十月一日
  現在ニ、東京市內ニ此ノ課稅ノ客體ガ十万
  アルト致シマシテ、是ガ八圓平均デアリマ
  スルカラ、八十万圓ト云フコトニナルノデ
  アリマス、而シテ是ノ中ニハ千圓モアマセ
  ウ、或ハ一圓モアリマセウ、五十圓モ百圓
  モアリマセウ、兎ニ角總額ニ於キマシテ八
  十万圓ト云フコトデ之ヲ豫算ニ計上シテ、
  市會ノ議決ヲ經ル、然ルニ是ガ三月後卽チ
  昭和十五年ノ四月頃カラ徵稅ガ出來ルノデ
  アリマスガ、併シ四月ニハモウ相當ノ時日
  ヲ經過致シテ居リマスルカラ、實際ニ令書
  ノ送達ノ出來ナイ所モアリマセウ、或ハ徴
  收ノ出來ナイ所モアリマセウガ、是ハ致シ
  方ガナイ、是ハ其ノ者ガ居ラナイノデアリ
  マスルカラ、或ハ何處カデ取ラレルニ違ヒ
  ナイノデス、又同時ニ十月一日後ニ、卽チ
  翌年ノ三月マデニハ他ノ市町村カラドン
  ドン入ツテ來ル人モアリマセウ、之ニ對シ
  テハ課稅ガ出來ナイ、併シ是ハ既ニ其ノ時
  ハ他ノ市町村ニ現存シテ居ルノデアリマス
  ルカラ、他ノ市町村デ徵收セラルベキモ〓
  ガ對象物デアルノデアリマスカラ、其ノ點
  ハ私ハ心配ナイト思ヒマス、斯ウ云フ風ニ
  致シマスナラバ、仰シヤルヤウニ、比較的
  後デ數字ノ狂ヒモ生ゼヌ、又絕對ニ是ハ生
  ジ得ナイ譯ナンデアリマスガ、ドウシテ是
  ハサウ云フ風ナ狂ヒノ生ジ、動モスレバ法
  律上疑義ノアルヤウナ當該年度ヲ押ヘテ課
  稅ノ期日ト云フコトニナサツタノデスカ、
  今一度之ヲ御示シヲ願ヒタイノデアリマス

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• 089・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御心配御尤モト思フノデ
  アリマスガ、何レニシマシテモ前年度ヲ押
  ヘマスコトハ、移動ノ激シイ大都市等ニモ一
  齊ニ適用スル制度デゴザイマスカラ、避ケ
  ナケレバ相成ラヌ、成ベク事實ニ近イ所デ
  押ヘナケレバ相成ラヌト思フノデアリマス、
  ソレナラバ本年ノ十月一日デ本年度ノ稅ヲ
  取ルト云フコトハ困難デアルカト云フ問題
  ニナリマスト、豫算ノ計上額ノ問題ト、實
  際ノ賦課徵收ノ問題ハ別デアリマスカラ、
  長野サンノ仰ツシヤルヤウナヤリ方ヲ、十
  月一日ニ調査シタモノニ付テヤレバソレデ
  宜シイノデアリマシテ、サウ煩雜ナ問題モ
  ナカラウカト思フノデアリマス

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• 090・長野高一

  ○長野委員　サウスルト豫算ヲ餘程內輪ニ
  組マナケレバ超過スル虞ガアル、超過シタ時
  ニハ手直シヲスル、手直シハ中々簡單ニ行カ
  ナイ、結局ソレハゴタ〓〓ガ生ズルト云フ
  コトニナルト思ヒマスガ、併シ是ハ先月カ
  ラ何人モガ質問致シマシテ御答辯ヲ得テ居
  リマスルケレドモ、マダ頭ニ入ラヌ問題デ
  アリマスルカラ、是ハ後日ニ殘スト云フヨ
  リモ、寧ロ間違ヒノナイヤウニ、又能ク徹
  底スルヤウニ、關係下級ノ方面ニ御諭シヲ
  戴ケバ結構ト思ヒマスカラ、此ノ點ニ付テ
  ハ議事ノ進行上質問ヲ打切リタイト存ジマ
  ス
  次ニ市町村ノ特別稅ノ問題デアリマスル
  ガ、御承知ノ通リ、現在何レノ市町村ニ於
  キマシテモ、色々ノ事情及ビ必要カラ幾多
  ノ特別稅ガ現存致シテ居ルコトト信ズルノ
  デアリマスガ、是ハ今囘ノ稅制改革ニ際シ
  テ、府縣稅ニ組替ヘラルル以外ノモノ全部
  ヲ市町村ノ特別稅トシテ其ノ儘存置セシム
  ル御意思ナリヤ否ヤト云フコトヲ伺ヒタイ
  ノデゴザイマス

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• 091・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレハ今度ノ地方稅法ニ
  於キマシテ第六十三條ニ法定致シテ居ルモ
  ノガアリマス、是ハ全部差支アリマセヌ、
  其ノ他ノモノニ付キマシテハ新法ニ依ツテ
  許可ヲ受ケルト云フコトニナルノデアリマ
  ス

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• 092・長野高一

  ○長野委員　第九十一條ニ依リマシテ現在
  市町村ガ旣ニ特別稅トシテ、此ノ指定以外ノ
  モノヲ取ツテ居ル所ガ相當アルト思フノデ
  アリマスガ、是ハ如何デスカ、其ノ儘御認
  メニナルノヂヤナイカト思ヒマスガ、無論
  府縣稅ニ組替ヘラレルモノハ致シ方ガアリ
  マセヌガ、殘リマスモノハ其ノ儘認メラレ
  ルコトガ私ハ穩當ナ方法ヂヤナイカト思フ
  ノデアリマスガ、モウ一度御尋致シマス

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• 093・三好榮次郎

  ○三好政府委員　是ハ精査シテ決定ヲ致シ
  マスガ、大體ノ考ト致シマシテハ、此ノ規
  定ヲ設ケマシタ趣旨ハ長野サンノ仰シヤル
  ヤウナ意味デ指定ヲシタイト云フコトデア
  リマス、唯戶數割類似ノ稅ノ如キモノハ勿
  論指定カラ外シマシテ、大體差支ナカラウ
  ト認メラレル稅ダケヲ指定致ス考デアリマ
  スガ、考ヘ方ハ長野サンノ仰シヤルヤウナ
  趣旨ニ於テ此ノ規定ヲ設ケタ譯デアリマス

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• 094・長野高一

  ○長野委員　政府當局ニ於カレマシテハ、
  先頃ノ稅制委員會ニ於キマシテ、來年度カ
  ラ地方行政連絡委員會ヲ設ケテ、年々歲々
  增加ノ一途ヲ迪リツツアリマスル國政委任
  事務ノ取扱ニ關シテ市町村ノ財政上ノ壓迫
  ヲ緩和シタイ、或ハ自治ノ活動ヲ阻碍スル
  コトノナイヤウニ十分考慮シタイ、斯ウ云
  フ趣旨デ御說明ニナツテ居ルノデアリマス、
  果シテ事實デアリマスレバ、是ハ洵ニ結構
  ナ御企テデアリマシテ、私共一日モ速ニ其
  ノ實現ヲ希望シテ已マヌノデアリマスガ、
  此ノ委員會ノ構成內容及ビ其ノ審議事項ハ
  如何ナルモノデアリマスカ、御示シヲ願ヒ
  タイト存ジマス

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• 095・挾間茂

  ○挾間政府委員　是ハ官制ノ內容ニナリマ
  スノデ、此處デマダハツキリト申上ゲル程
  度ノ腹案ヲ持ツテ居リマセヌガ、大體官廳
  內部ノ組織ニ致シタイト思フノデス、卽チ
  地方行政ニ關係ノアル各省ノ次官ト申シマ
  スカ、局長ト申シマスカ、サウ云フモノヲ
  以テ組織シマシテ、ソシテ地方行政ニ關係
  アル行政各部門ノ事項ニ付テ連絡ヲ執リ、
  審議ヲスル、隨テ御述ニナリマシタ國費、
  地方費ノ負擔區分ノ問題、國ノ事務ヲ地方
  ニ委任スル場合ニ於テドウ云フ風ニスルカ
  ト云フヤウナ事項等ヲ、此ノ機關ニ於テ協
  議シ決定シタイト考へテ居リマス

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• 096・長野高一

  ○長野委員　サウスルト地方ノ下級團體ト
  云フヤウナモノカラハ委員ノ御採リニナラ
  ヌト云フコトデアリマスカ、例ヘバ市町村
  方面カラ御採リニナラヌト云フコトニナリ
  マスカ

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• 097・挾間茂

  ○挾間政府委員　ソレハ必要ガナイト思フ
  ノデアリマシテ、專ラ中央官廳ノ連絡ヲ取
  ルノガ必要デアリマス、今御述ニナリマシ
  タヤウナ地方ノ聲ト云フコトハ、今度地方
  稅制ノ改正ニ伴ヒマシテ監督機構ガ中央地
  方ニ出來マスノデ、其ノ方デ十分聽取ルコ
  トガ出來ルヤウニ考へテ居リマス

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• 098・長野高一

  ○長野委員　本年度カラ自轉車税ガ地方市
  町村ノ財源ニ委讓サレタノデアリマスガ、
  此ノ自轉車稅ハ多年惡稅トシテ其ノ撤廢ガ
  叫バレテ來テ居ルコトハ、旣ニ當局ノ御承知
  ノ通リデアリマス、而モ之ヲ徵稅致シマスル
  其ノ技術ノ方カラ申シマシテモ、異動ノ極
  メテ激シイ洵ニ困難ナモノデアリマスルカ
  ラ、若シ將來地方團體ニ於キマシテ、他也
  代ルベキ稅源若クハ財政上ノ餘裕ガ出來タ
  ト云フヤウナ場合ニハ先ヅ第一ニ之ヲ廢
  止セシムベキモノデアルト私共ハ考ヘルノ
  デアリマスガ、御當局ノ御意向、竝ニサウ
  云フ場合ニハ政府自ラガ之ヲ指導シテ其ノ
  實現ヲ圖ラシメルコトニ御努力ナサル御意
  思アリヤ否ヤト云フコトヲ承ツテ置キタイ
  ト思ヒマス

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• 099・挾間茂

  ○挟間政府委員　自轉車稅ニ付テハ度々御
  意見ガ出テ居リマスガ、今度ノ稅制ニ依リ
  マシテ半額程度ニ減稅ヲ致シマス、唯之ヲ
  存置致シマシタノハ、他ノ舟稅トカ或ハ荷
  車稅トカ云フヤウナモノトノ權衡モアリマ
  スシ、ソレカラ地方ノ施設ノ受益ノ關係モ
  アリマスノデ之ヲ存置致シテ置キマシタ、
  併シ地方ノ實情ニ依ツテ、之ヲ廢止シヨウ
  ト云フ場合ニハ、ソレハ洵ニ結構デアラウ
  ト思ヒマス、唯他ノ稅トノ釣合、受益ノ關
  係等ヲ考慮シテ廢止ノ方針デ進ミマス場合
  三、ソレハ結構ナ態度デアル、斯ウ考へ
  テ居リマス

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• 100・長野高一

  ○長野委員　最後ニ一點伺ヒタイノデアリ
  ハ
  マスガ、制限外課稅ノ問題デアリマスガ、
  法案第六十一條ノ但書ノ中ニ、地租、家屋
  及ビ營業ノ三收益稅ノ市町村附加稅ハ、特
  ニ數項目ヲ擧ゲラレマシテ、本稅ノ百分ノ
  二百ノ制限外ヲ二百四十マデハ不要許可事
  項トシテ認メラレテ居ルノデアリマス、此
  ノ項目ノ中ニハ、先ヅ、小學校ノ營繕費、
  災害應急費竝ニ災害復舊費、傳染病豫防費
  及ビ國營事業費負擔金ニ充ツル爲ニ借入レ
  マシタ負債ノ元利償還ノ爲ニ費用ヲ要スル
  トキ、斯ウ云フ風ニナツテ居ルノデアリマ
  ス、是ガ第一デアリマス、ソレカラ第二ハ、
  災害應急又ハ復舊ノ爲ニ費用ヲ要スルトキ、
  第三ハ、傳染病豫防ノ爲ニ費用ヲ要スルト
  キ、斯ウナツテ居ルノデアリマス、無論此
  ノ第二、第三ハ共ニ臨時突發的ノ事項ノ應
  急措置ノ方法トシテ當然デアリマスルガ、
  併シ之ニ小學校ノ營繕ノ費用ヲ要スル場合
  ヲモ追加スベキモノヂヤナイカト云フ風ニ
  考ヘルノデアリマス、申上ゲルマデモナク、
  現今小學校ノ增築又ハ修築等ノ急ヲ要スル
  モノガ頗ル多イコトハ、先日來此ノ小委員
  會ニ於キマシテノ〓員給ノ問題ニ關スル論
  議ノ中ニモ、極メテ明瞭トナツテ居ルノデ
  アリマシテ、而モ此ノ營繕修築等ノ費用ト、
  法案第六十一條但書第一號ニ規定スル所ノ
  小學校營繕費ニ要シタル借金ノ元利支拂ノ
  費用トハ、何レヲ先ニシ何レヲ後ニスベキ
  カト云フコトニ付テハ全然差違ヲ認メラレ
  ヌコトト私ハ考ヘルノデアリマス、況ンヤ
  都市ノ實情カラ申シマスレバ、小學校ノ營
  繕費ハ一般歲入ト起債ニ依リマシテ、年々
  歲々之ヲ繰返シテ豫算ノ上ニ計上シテヤツ
  テ來テ居ルノデアリマシテ、決シテ一時ニ
  多額ノ借金ヲシテ、之ヲ年々ボツ〓〓支拂
  ツテ行クト云フヤウナ實情ニハ置カレテナ
  イノデアリマス、サウ云フ風ナ生ヤサシイ
  モノデハナイノデアリマスルカラ、私ハヤ
  ハリ此ノ小學校ノ營繕卽チ建築修築等ニ要
  スル費用モ、百分ノ二百四十マデハ不要許
  可事項トシテ御認メニナルコトガ適當デハ
  ナイカト考ヘルノデアリマスルガ、此ノ點
  御說明ヲ戴キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=100

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• 101・挾間茂

  ○挾間政府委員　第一號ハ負債ノ元利償還
  ノ問題デアリマシテ、第二號、第三號ニ揭
  ゲラレマシタモノト一寸性質ヲ異ニシテ居
  リマス、隨テ小學校ノ營繕費ニ付キマシテ
  ハ、二號、三號ノ如キ費用トハ性質ヲ異ニ
  シテ居リマスシ、又借金ノ問題トハ別ニ考
  ヘタイト思ヒマス、隨テ此ノ二號、三號
  ト併セテ小學校ノ營繕費ハ茲ニ揭ゲテ居リ
  マセヌガ、併シナガラ、元來此ノ規定自身
  ガ、此ノ但書ト云フモノハ許可ヲ省略スル
  ト云フ意味デ出來テ居ルノデアリマス、小
  學校ノ營繕費等ニ付キマシテハ、無論必要
  ニ應ジマシテ制限外ノ課稅ヲ、一定率ヲ增
  加シテ課稅スルト云フコトハ承認スル方針
  デアリマス

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• 102・長野高一

  ○長野委員　ソレデハ只今此ノ許可ヲ求メ
  レバ支障ナク承認シテ行クト云フ御意向デ
  アリマスネ-能ク分リマシタ、ソレデハ
  私ノ質問ハ一應是デ打切リマス

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• 103・小山倉之助

  ○小山委員長　飯田君、何カ關聯質問ガア
  ルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=103

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• 104・飯田助夫

  ○飯田委員　今日ハアリマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=104

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• 105・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ武田君

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• 106・武田徳三郎

  ○武田委員　先程御伺シタコトニ付テ更ニ
  御伺致シマス、私ハ內務大臣デナクテモ宜ヽ
  シウゴザイマスカラ、大臣ガ若シ御差支ガ
  アルナラバ、他ノ方ヘオ出デヲ願ツテモ私
  ノ質問ニ關スル限リ差支アリマセヌ、先程
  地方局長ニ尋ネタ點ニ付キマシテ、私ハ此
  ノ分與稅ノ性質ハ、地域的ナ不均衡ヲ是正
  スル目的トシテ初メテ分與稅ノ意味ガアル
  モノト考ヘテ居ルノデアリマスガ、內務當
  局ハ、ソレト强力ナル財源ヲ地方ニ與ヘル
  ト云フ意味モ加ヘテノ立案ダト云フコトデ
  アリマスカラ、其ノ點ハ私ト實ハ見解ヲ異
  ニシテ居ルノデアリマスカラ、其ノ點ハ別
  ト致シマシテ、從來御承知ノ通リ地域的ノ
  不均衡ヲ是正センガ爲ニ、地方財政調整交
  付金ト云フモノハ漸次增額サレマシテ、
  億五千万圓程度ニナツテ居ルト思ヒマス、
  從來地方ノ自治團體ガ地域的ニ負擔ノ甚ダ
  シク不均衡ノアルト云フ聲ハ、ココ一二年
  ニ始ツタコトデハナイノデアリマス、最早
  十數年位此ノ事ハ非常ニ强ク唱ヘラレテ、
  國庫負擔ノ〓育費ノ地方ヘノ交付モ、隨テ
  此ノ調整的ノ意味デ交付サレテ來タコトハ
  申スマデモナイノデアリマス、ソレダケデ
  ハイカヌト云フコトデ、衆議院ガ再三政府
  ニ要望シテ、順次是ハ三四囘ニ亙ツテ增額
  サレテ、今日一億五千万圓近クニナツテ居
  ルノデアリマス、其ノ衆議院ノ要望モ結局
  ハ此ノ程度デ先ヅ宜カラウト云フヤウナ意
  味デ、前々々會デ是ガ決定サレタノデアリ
  マシテ、私ノ知レル限リニ於テハ、此ノ地
  方財政交付金ト義務〓育費ノ國庫負擔ノ調
  整的ノ作用ニ依ツテ、地方ノ地域的不均衡
  ハ稍〓是正サレテ居ルノデハナイカト思ツテ
  居ルノデアリマスガ、內務當局ハマダ此ノ
  程度ノ金額デハ十分ニ是正サレナイト云フ
  御見込デ、此ノ度三億數千万圓ノ金ヲ調整
  交付金トシテ豫定サレタノデアリマスカ、
  果シテサウデアルト致シマスレバ、從來ノ
  地方財政交付金ノ增額ニ對スル內務當局ノ
  態度ト、今度此ノ稅制改正ニ當ツテ俄ニ大
  盤振舞ヲスルヤウナ御心持ニナラレタ內務
  當局ノ態度トハ、甚ダシクソコニ懸隔ガア
  ルノデ、一寸私ハ解シニクイノデアリマス、
  ドウモ私ノ見ル所デハ、稍〓是ハ是デ是正
  サレテ居ルノデハナイカ、故ニ地域的ノ不
  均衡ヲ是正スルト云フ意味デアリマスナラ
  バ是程配付稅ハ多額デナクトモ宜イノデ
  ハナイカ、元來餘リニ此ノ配付稅ヲ多額ニ
  サレテ居ルカラ、地方ノ財政自主權トノ衝
  突ガ甚シクナツテ來ルノデ、今議會ニ於テ
  モ此ノ點ハ最初カラ論議ノ的ニナツテ居ル
  ノデアリマス、金額ガ少ケレバサウ云フ論
  議ハ少イノデアリマス、餘リニソレヲ一足
  飛ビニ、從來一億五千万圓デアツタモノヲ
  三億五千万圓ニモ飛上ル、又義務〓育費國
  庫負擔金ヲ調整財源ト假ニ見マシテモ、二
  億二千万圓位ニ過ギナイノデアリマス、ソ
  レヲ一億圓以上モ俄ニ引上ゲルト云フノハ
  私ハ餘リニ飛ビ過ギハシナイカ、斯樣ニ實
  ハ思フノデアリマス、思フニ內務當局ハ
  財源ガ無イカラ其處へ行ツタノダト云フ結
  論デアラウカト思フノデアリマスケレド
  モ、ドウモ地域的ノ負擔均衡ト云フコトカ
  ラノミ見マスト、少シク餘計飛ビ過ギハシ
  ナイカト云フヤウニ思フノデアリマスガ、
  其ノ點ハ如何デアリマスカ

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• 107・挾間茂

  ○挾間政府委員　今度ノ分與稅ト、只今マ
  デアリマス臨時地方財政補給金トハ全然性
  質ガ違フノデアリマシテ、補給金ハ廢減稅
  以外ニハ使ヒマセヌ、併シナガラ分與稅ハ
  左樣ナ稅ノ輕減ト云フコトヲ目的トシテ居
  ルノデハナクシテ、只今申上ゲマシタヤウ
  ニ、地方團體間ノ負擔ノ均衡ヲ圖リ、又地
  方ノ財源ヲ充足シテヤルト云フコトヲ目的
  ト致シテ居ルモノデアリマス、隨テ一方ニ
  於テ廢減稅以外ニ使ヘナイ臨時補給金ト違
  ツテ、是ハ一般ノ地方費トシテ地方團體ガ
  如何ナル費途ニモ使用シ得ルト云フ特質ヲ
  持ツテ居ルノデアリマシテ、補給金ノ增額
  ト云フヤウナ意味合デ是ガ出來テ居ルノデ
  ナクテ、全ク地方稅制ノ一部トシテ之ヲ考
  ヘテ居ルモノデアリマス、隨ヒマシテ是ハ
  決シテ地方團體ノ自主制ト申シマスカ、地
  方自治ノ手足ヲ縛ルヤウナ考ハ、此ノ分與
  稅制ニハナイノデアリマシテ、之ニ依ツテ
  益〓地方自治ガ十分發達ヲ遂ゲルコトガ出
  來ル譯デアリマス、詰リ稅制全體ガ獨立稅
  ト配付稅ト合ハサレマシテ、地方ニ適當ナ
  ル必要財源ガ各團體ニ付テ得ラレルヤウナ
  構成ヲ致シタ次第デアリマス

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• 108・武田徳三郎

  ○武田委員　其ノ點ハ大體了承致シマシタ、
  然ラバ更ニ進ンデ御伺ヲ致シタイノデアリ
  マスガ、此ノ點ハ先程私ノ質問ニ對スル御
  答辯デ御諒承ヲ願ツテ居ル筈ダト私ハ存ジ
  マスガ、卽チ所得稅竝ニ法人稅ノ一部ヲ分
  與稅ノ財源ト致サレマシタノハ、更ニ遊興飮
  食稅モ其ノ中ニ入ツテ居リマスガ、是ハ其
  ノ稅種ヲ地方稅トシテ與ヘルモノト認メテ
  宜カラウト思ヒマスノデ、其ノ點ハ先程ノ
  御答辯デ私ト同ジ御意見デアルヤウニ私ハ
  了承シテ居ルノデアリマス、唯其ノ徵收配
  付方ノ手段ガ違フト云フダケデ、詰リ所得
  稅法人稅、竝ニ遊興飮食稅ヲ地方稅構成
  ノ一部ニ編込ンデアルト見テ宜カラウト私
  ハ思フノデアリマス、左樣ナ了解ノ下ニ、
  是カラ御伺シテ宜シイノデアリマセウカ、
  念ノ爲ニ其ノ點ヲ今一應確メテ置キマス

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• 109・挾間茂

  ○挾間政府委員　御述ニナリマシタ通リデ
  アリマス

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• 110・武田徳三郎

  ○武田委員　サウ云フ風ナ意味デアルト致
  シマスナラバ、配分ノ基準ニ付テ、私ハ此
  ノ原案ト非常ニ違ツタ考ヲ實ハ持ツテ居ル
  ノデアリマシテ、其ノ點ヲ御伺致シタイト
  思ヒマス、旣ニ所得稅、法人稅竝ニ遊興飮
  食稅ヲ單ニ配付稅ノ財源トシテノ意味ニア
  ラズシテ、是等ノ稅種ヲ地方稅ノ構成ノ
  部ニ入レテ居ルノダト云フ觀念カラ參リマ
  スト、各地方ニ於テ、所得稅ノ對象タル國
  民ノ所得、法人稅ノ對象タル法人ノ所得竝
  ニ資本金、又遊興飮食稅ノ對象タル遊興飮
  食ヲシテ居ル所ノ料理屋其ノ他ノモノガ、
  各地方ニ稍〓均分ニサレテ居ルナラバ、必ズ
  シモ此ノ分與稅ノヤウナ組織ヲ採ラヌデ
  モ、附加稅ノ組織デ差支ナイモノト私ハ思
  フノデアリマス
  〔委員長退席、石井委員長代理著席〕
  是ガ唯均分ニ分布サレテ居ラナイカラ、ソレ
  ニ附加稅ヲ許シタダケデハ負擔ノ不均衡ハ
  是正セラレナイト云フ意味デ、其ノ手段ト
  シテ分與稅ノ組織ヲ設ケラレタモノト思フ
  ノデアリマスガ、其ノ點ハ如何デアリマス
  カ

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• 111・挾間茂

  ○挾間政府委員　所得稅、遊興稅ダケニ
  付テハ御述ニナリマシタ通リデゴザイマス
  ガ、併シナガラソレニ關聯シマシテ、地租、
  家屋稅、營業稅ノ三收益稅ノ財源ノ分布ト
  云フコトヲ併セテ考ヘナケレバナラヌト思
  ヒマス

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• 112・武田徳三郎

  ○武田委員　是ハ私一寸其ノ意味ガ了解ニ
  苦シムノデアリマスガ、三收益稅ハ、之ヲ
  今ノ配付稅ノ性質デ還付稅ニスルト云フノ
  ハ、ソレハ其ノ狀態デ大差ナイ、差支ナイ
  ト云フ御見解カラ還付稅ニサレタモノト私
  ハ思フ、ダカラ若シ所得稅竝ニ法人稅等ノ
  稅ヲ對象物ガ各地方ニ稍,均一ニ分布サレ
  テ居ツテモ、今ノ局長ノ御意見カラスレバ、
  分與稅ノ制度ニシナケレバナラヌト云フ結
  論ニナルノデアリマスガ、ソレハドウデア
  リマスカ

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• 113・挾間茂

  ○挾間政府委員　其ノ點ハ此ノ三收益稅
  ハ、一應獨立ノ財源ト致シマシテ、サウシ
  テ所得稅、法人稅等ヲ配付稅トシタノデア
  リマシテ、是ハ三收益稅ヲ獨立稅ト致シタ
  其ノ建前ノ上ニ於テ、今囘ノ配付稅ノ配付
  ノ基準ヲ定メタノデアリマシテ、全體ヲ睨
  ミ合ツテノ構成ニナツテ居ルノデアリマス

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• 114・武田徳三郎

  ○武田委員　配付稅ト獨立稅トヲ御分ケニ
  ナツタノハ、獨立稅ニスベキモノハ獨立稅
  ニシテ差支ナイト云フ御認識ノ上ニナサ
  ツタノデハアリマセヌカ、此ノ配付稅ハ其
  ノ所得ノ對象ガ地域的ニ非常ナ差ガアツ
  テ、其ノ儘ヲ地方ノ自治團體ノ財源ニシタ
  ノデハ、地域的ノ不均衡ガ是正サレナイト
  云フ見地カラ、片方ハ配付稅ニサレタモノ
  ト私ハ思フ、サウデナケレバ理窟ガ合ハナ
  イヤウニト思フノデアリマスガ、其ノ點ハ
  ドウデアリマスカ

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• 115・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御尤モデアリマスガ、是
  ハ只今局長ガ申上ゲマシタ通リ、兩方睨ミ
  合ツテノ問題デアリマシテ、三收益稅ニ於
  キマシテモ、地域的ノ偏在性ハ或ル程度ゴ
  ザイマス、是ハ御承知ノ通リデアリマス、
  之ヲ還付稅附加稅ト云フ形式ヲ採用シテ、
  實質上ニ於テ獨立稅ト同ジ效果ヲ擧ゲルヤ
  ウニ致シマスト、或ル團體ハ相當多額ノ稅
  收入ヲ得ルガ、或ル團體ハ其ノ三收益稅ノ
  稅收入ガ少イト云フ所ガアリマシテ、ソレ
  ノ地均シノ爲ニ、地域的ニ偏在性ノ强イ所
  得稅、法人稅ト云フモノノ一部ヲ更ニ而モ
  兩方嚙ミ合セマシテ、獨立財源トシテノ三
  收益稅ハ收入ガヤハリ凹凸ガアルケレドモ、
  一方モツト凹凸ノセドイモノヲ凹凸ノ儘ニ
  ヤラナイデ、調整的ニ使フ、兩方デ合セテ
  見ルト地均シガ出來ル、斯ウ云フ意味ニ於
  テ配付稅ノ分與ヲヤル、配付稅ノ分與ヲサ
  ウ云フヤウニヤリマスカラ、地域的ニ偏在
  致シテ居リマスル三收益稅ト云フモノヲ獨
  立稅ト同ジヤウナ仕組ニシテ、地方團體ノ
  財源トシテヤツテ行ケル、斯ウ云フヤウニ
  相成ル譯デアリマス

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• 116・武田徳三郎

  ○武田委員　今財政課長ノ御話デ稍、、了解シ
  マシタガ、若シ左樣ナ觀念カラ申シマスト、
  理想的ニ言ヒマスナラバ、三收益稅モ今ノ配
  付稅ト同ジヤウナ組織ニシタ方ガ一番完全
  ニ行クト云フコトニナリハシマセヌカ

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• 117・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御尋ノ通リ唯地均シヲス
  ルト云フダケノ意味デゴザイマスナラバ
  或ハ偏在性ノ强イ地租、家屋稅ニ比ベテ、
  營業收益稅ハ配付稅ニ致シマスレバ地均シ
  ハ完全ニ出來マス、併シナガラソレデハ地
  方財政ノ自主性ト云フモノガ失ハレマスカ
  ラ、自治トノ調和ノ形ニ於キマシテ、一方
  ヲ獨立財源トシテ置イテ、サウシテ最小限
  度ノ地均シヲスル、斯ウ云フコトニ致スノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=117

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• 118・武田徳三郎

  ○武田委員　サウシマスト、モウ一步進メ
  テ伺ハネバナラヌノデアリマスガ、是ハ先
  般小委員會ノ出來ナイ内ニ、ドナタデシタ
  カ、旣ニ質問デソレニ觸レテ居ツタノデア
  リマス、私モ御尤ナ質問ダト思ツテ居ツタ
  ノデアリマスガ、左樣ニ致シマスト、結局
  地均シヲスルコトニ非常ニ力ヲ御入レニナ
  ツタ結果、自治體ノ自主權ト云フモノガ、
  ソレニ犧牲ニナツタヤウナ形ニナラウカト
  思ハレルノデアリマス、何トナレバ、三收
  益稅ノ比較的不足ノ所、卽チ其ノ財力ガ不
  足ト認メラレル所ニハ、逆比例ニ分與稅ヲ
  餘計ヤルト云フコトニナラナケレバ、地均
  シニナラヌノデアリマスカラ、其ノ地均シノ
  意味デ此ノ法案ガ出來テ居ルノデアリマセ
  ウ、サウ致シマスト、其ノ地方ノ自治團體
  ノ創意ヲ働カシ、努力シタ結果、三收益稅
  竝ニ附加稅ガ餘計ニナツタ所ノモノハ、其
  ノ創意ヲ働カシタコトヤ、努力ト云フヤウ
  ナモノノ結果ハ何ニモ認メラレナイデ、自
  動的ニ分與稅ガ減ツテ來ル、働カナイモノ
  ハ餘計貰フ、働クモノハ少ク貰フト云フコ
  トニナツテハ、私ハ地方ノ自治團體ノ自主
  性ト云フモノハ非常ニ害ハレルコトニナリ
  ハシナイカト思フ、ソコノ調和ヲ巧クスル
  コトニ、此ノ稅制ノ構成ノ妙味ガアル、サ
  ウ云フヤウニ稅制ヲ御立テニナラナケレバ
  ナラヌノデハナイカ、何ト云ツテモ今度ノ
  此ノ分與稅ノ新シイ組織ハ、極メテ巧妙ナ
  組織デアリマスルガ、此ノ立テ方如何ニ依
  ツテハ、私ハ地方自治團體トノ自主權ノ衝
  突ハ免レナイト思フノデアリマス、地均シ
  ニ餘リ力ヲ入レルト云フコトニナリマスレ
  バ、ドウシテモ其ノ自治團體ノ自主權ト云
  フモノヲ認メル程度ガ薄クナルド云フコト
  ハ、是ハ已ムヲ得ヌコトダラウト思フ、サ
  ウスルト、是ハ甚シキニ至リマスレバ、-
  種ノ共產思想ニ流レテ行ク危險ガアリハシ
  ナイカ、之ヲ個人ニシテ見テモサウデアリ
  マイク、各地方自治團體ノ自主權ヲ十分ニ認
  メルト云フナラバ、是ハ均分スル筈ガナ
  イ、非常ニ勤勉ナ自治團體モアレバ、又勤
  勉ナラザル自治團體モアリマセウ、自分ノ
  團體ノ文化施設ニ力ヲ入レル團體モアレ
  バ、單ニ經濟發達ニ力ヲ入レル團體モアル、
  ソレヲ各自ノ自治團體ノ自主的ノ自由意思
  デサウ云フ計畫ヲスル所ニ、私ハ自治團體
  ノ自治團體タル所以ガアルノデアルト思フ
  ノデアリマス、現ニ此ノ點ニ付テハ、外ノ
  委員カラモ屢〓質質サレタ時ニ、内務大臣ハ
  明白ニ御答ニナツテ居ル、地方自治團體ニ
  ハ從來ト何等變リハナイ、益〓其ノ基礎ヲ鞏
  固ニシテ、自治團體ノ發達ヲ圖ル積リデ、
  今度ノ此ノ稅制ナドハ決シテ所謂全體主義
  ト申スカ、國家主義ト申スカ、サウ云フ觀
  念カラ出タモノデナイト云フコトヲ屢〓御言
  明ニナツテ居ルケレドモ、之ヲ實施シタ結
  果ハ、私ハサウ云フ結果ニナリハシナイカ
  ト思フ、餘リニ當局ハ地均シニ力ヲ入レ過
  ギテ、地方自治團體ノ自主權ト云フモノニ
  衝突ヲ來シタヤウナコトニナツタノデハア
  ルマイカト私ハ思フノデアリマス、其ノ點
  ハ如何デアリマセウカ

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• 119・挾間茂

  ○挾間政府委員　今囘ノ此ノ稅制ヲ立テル
  ニ付キマシテ、地方自治トノ調和、地方自
  治ノ尊重ト云フコトニ付キマシテハ、十分注
  意ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、寧ロ此ノ
  稅制ニ依リマシテ地方自治團體ノ活動ガ敏
  活ニナリ、活潑ニナルト私共ハ考ヘテ居ル
  ノデアリマス、ト申シマスノハ、多數ノ財
  政貧弱ナ團體ニ於キマシテハ、自分デ獨立
  ノ財源ヲ持ツテ居ルトハ申シマスケレドモ、
  實際是ハ形ノミアツテ、其ノ實ハナイノデ
  アリマシテ、如何ニ腕ヲ揮ハウト致シマシ
  テモ、必要ナル財源ヲ得ナイ、得ルコトガ
  出來ナイト云フノガ現在ノ貧弱ナル地方團
  體ノ財政狀況デアリマス、之ヲ放任致シマ
  シテハ、幾ラ努力致シマシテモ、其ノ團體
  ガ、過重ナル負擔ヲサセマセス限リハ仕事ハ
  出來マセヌ、ソコデソレヲ補足シテ、十分ナ
  ル財源ヲ與ヘルト云フ限度ニ於キマシテ、
  今囘ノ配付稅制度ヲ設ケタノデアリマス、
  隨テ此ノ配付稅ヲ設ケマスノハ、其ノ必要
  ナル限度ニ止メナケレバナリマセヌカラ、
  特ニ三收益稅ノ如キモノハ、各地方團體ノ
  獨立財源トシテ殘シテアルノデアリマシテ
  〔石井委員長代理退席、委員長著席〕
  總計致シマシテ、六割六七分ト云フモノハ
  各地方團體ノ獨立ノ財源デアリマシテ、三
  割三四分ト云フモノガ配付財源調整財源ト
  ナツテ居ルノデアリマスカラ、詰リサウ云
  フ地方團體ノ活動ノ最少限度ノ下積的ノ財
  源トシテ配付稅ガ與ヘラレ、其ノ上ノ六割
  六七分ト云フモノガ團體ノ自由ナル財源ト
  シテ、獨立ノ腕ヲ揮フベキ餘地ニナツテ居
  ル譯デアリマス、殊ニ此ノ稅ノ課率、稅種
  等ニ付キマシテハ、十分自治體ノ自由ヲ認
  メルコトニ致シテアリマスカラ、此ノ稅制
  ハ決シテ地方團體ノ自主權ト云フモノヲ拘
  束スルヤウナ結果ニハ相成ラヌト考ヘテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=119

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• 120・武田徳三郎

  ○武田委員　ソレ以上ハ或ハ意見ノ相違デ
  アルカモ知レマセヌカラ、先ヅ其ノ程度ニ
  致シマシテ、ソレニ關聯シテモウ一ツ伺ツ
  テ見タイノハ、先程私ガ申上ゲマシタヤウ
  =、此ノ配付稅ニ非常ニ金額ヲ多クシタト
  云フコトハ、他ニ適當ナ獨立財源ガナイ結
  果デアルト云フコトハ、是ハ內務當局モ旣
  ニ御認メニナツテ居ル、ソレデ私ノ戶數割
  ト云フモノニ付テ少シク伺ツテ見タイノデ
  アリマス、昨日モ地方局長ノ此ノ民稅ニ付
  テノ御說明ハ、私洵ニ適當ナ御說明トシテ
  承ツテ居リマシタ、卽チ此ノ民稅ハ負擔分
  任ノ從來ノ戶數割ノ長所ヲ採ツタノデアル、
  サウシテ國民負擔ノ均衡ト云フモノハ、民
  稅ヲ離レタ他ノ中央地方稅ニ於テ負擔ノ均
  衡ヲ圖ツタノデアツテ、民稅ハ負擔ノ均衡
  ト云フモノハ考慮ニ入レル必要ハナイノデ
  アル、唯極ク輕イモノヲ、負擔分任ノ性質
  ダケヲ與ヘ、國民ガ地方自治團體ノ構成ノ
  一員ダト云フ自覺ヲ持タセル程度ノモノデ
  アルト云フ御說明ノアツタノデアリマス、
  私ハ一應ノ御說明トシテハ洵ニ御尤モノ次
  第ダト思フノデアリマス、併シナガラソレ故ニ
  從來ノ戶數割ノ長所ヲ棄テナケレバナラヌ
  ト云フ理窟ニハナラヌノデハナイカ、斯ウ云
  フ配付稅ト云フヤウナ稅ニ付テ、地方ノ自主
  權ト衝突スルヤウナ稅種ノ金額ガ餘リ多過ギ
  ル、是ガ少ケレバサウ云フ議論ハ出テ來ナイ、
  成程全體ノ十億三千二百万圓カラ比ベテ見
  マスナラバ、三千五百万圓ト云フモノハ三分ノ
  一程度デアリマセウケレドモ、此ノ中央カ
  ラ地方ニ與ヘル稅ト云フモノヲ受ケル自治
  團體ト致シマシテハ、ドウモ自分ノモノヲ
  自分ガ出シテ使フノト、國庫カラ貰フト云
  フ觀念トハ、何ト說明致シマシテモ、是ハ地
  方ノ自主權ノ觀念トハ、ドウシテモ受ケル
  方ノ人ノ頭ニ相違ガ出來テ來ルノデアリマ
  ス、ソレ故ニ地方ノ自主權ヲ尊重スルト云
  フナラバ、出來得ルダケ此ノ調整ヲ目的ト
  シタ所ノ配付稅ノ金額ヲ少クスルノガ私ハ
  相當デナイカト思フ、若シ此ノ私ノ考ヲ御肯
  定ニナリマスナラバ、其ノ他ノ財源トシテ
  マダ認ムベキモノガ相當ニアリハシナイカ
  ト私ハ思フ、戶數割ノ如キハ、私ハ從來ノ
  戶數割ヲ存置サレテ何等差支ナイ、從來ノ
  戶數割ノ弊害ハ、是ハ殆ド天下ノ輿論ダト
  先達テ內務大臣ハ仰シヤツタガ、成程天下
  ノ輿論ニ相違ナイガ、是ハ稅ノ性質ガ惡イ
  ト云フ意味ノ否定論デハナイ、金額ガ餘リ
  多過ギテ負擔ニ耐ヘナイ、他ハ總テ制限サレ
  テアツテ伸張ノ餘地ガナイノデアルカラ、
  總テ町村ノ必要ノ金ヲ戶數割ニ持ツテ行ツ
  テ、卽チ今日ハ二億何千万圓ト云フモノガ
  戶數割ニナツテ居ル、餘リニ戶數割ガ多イ
  カラ、其ノ弊害ガ今日現ハレテ來テ、殆ド
  天下ノ輿論トシテ戶數割ハ惡稅ナリト云フ
  ヤウナ結論ニナツテ來タノデアリマスルガ、
  詳カニ此ノ戶數割ノ內容ヲ見レバ、其ノ稅
  ソレ自身ガ必ズシモ非常ニ惡イノデハナ
  イ、之ニ相當ナ制限ヲ加ヘマシタナラバ、
  寧ロ今日政府ノ認メラレテ居ル民稅ヨリハ
  稅ノ性質ハ良イノデイハナカト私ハ思フ、
  此ノ民稅ハ何トシテモ負擔分任ノ其ノ長所
  ダケヲ御用ヒニナラントシタ結果、甚シク
  人頭稅的ナモノニナツテ居ルノデアリマス、
  戶數割ハ見立割ノ部分モアリマスケレド
  モ、今日改正サレタ戶數割ニ於キマシテハ、
  所得稅ノ性質ヲ多分ニ帶ビテ居ルノデアリ
  マス、ソレ故ニ私ハ戶數割ト云フモノヲ今
  日現行法デ取ツテ居ル半額位ニ制限ヲ致シ
  マスルナラバ、決シテ內務當局ノ御考ニナル
  ガ如キ惡イ稅デナイ、相當良イ稅デアツ
  テ、其ノ方ニ增サレタダケ、配付稅ノ方カ
  ラ減ズルコトガ出來ルノデハナイカ、斯樣
  ニ私ハ考ヘルノデアリマス、多分內務當局
  ハ、所得稅ガ非常ニ高率ニナツテ居ルノデ
  アルカラ、若シ今日マデノ戶數割ヲ認メル
  ト、事實ニ於テ所得稅ノ附加稅ヲ更ニ設定
  シタト同ジ結果ニナルト云フ風ニ御考ニナ
  ルカモ知レナイ、サウ云フ風ナ御說明ガア
  ツタヤウニ承ツテ居ルノデアリマスガ、然
  ラバ中央地方ヲ見テ其ノ均衡ヲ圖ラウト
  云フ上ニ於テ、若シ眞ニ今日ノ新シク定メ
  ラレマシタル所得稅ガ、國民ノ負擔ノ限度ニ
  ナツテ居ルモノト云フコトデアリマスレバ、
  是ハ已ムヲ得マセヌガ、私ハ限度ニナツテ
  居ルモノトハ思ハナイノデアリマス、見た、
  地方稅トハ關係ガ薄イノデアリマスルケレ
  ドモ、一例ヲ以テ見マスルナラバ、佛蘭西
  ノ所得稅ヲ眞似タル我國ノ今度ノ提案ノ分
  類所得稅ノ如キハ、御承知ノ通リ佛蘭西ハ
  百分ノ十六ヲ課ケテ居ル、我國ハ百分ノ十
  シカ課ケテ居ラヌ、此ノ非常時局ニ當ツテ、
  私ハマダ所得稅ガ決シテ餘裕ガナイモノト
  ハ思ハヌノデアリマス、又其ノ所得率ヲ以
  テヤルコトガ惡イト仰シヤルナラバ、ソレ
  モ私ハ內務常局ノ御說明ト矛盾シタ點ガア
  リハセヌカト思フ、先般地方局長ハ、地方
  民稅ノ分配ヲドウ云フ方法デヤルカト云フ
  同僚ノ質問ニ對シテ、結局ソレハ地方ノ情
  勢デ作ルノデアル、詰リ各人ノ所得ヲ標準
  トシテ定メルコトニナルデアラウト云フ意
  味ノ御說明ガアツタノデアリマス、サウシ
  マスト見樣ニ依ツテハ、民稅モ亦所得稅ノ
  附加稅ノ一種ト認メラレヌコトモナイヤウ
  ニ私ハ考ヘラレルノデアリマス、何レニ致
  シマシテモ、此ノ戶數割ト云フモノヲ存置
  シナイデ民稅ニ變更サレタト云フ理由ニ付
  テ、私ハ十分ニ納得ガ行カヌノデアリマス
  ガ、私ノ今申上ゲタ點ニ付テ御所見ヲ承レレ
  バ幸ト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=120

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• 121・挾間茂

  ○挾間政府委員　戶數割ヲ輕減シテ存置シ
  タラドウデアラウカト云フ御意見デアリマ
  スカ、是ハ私共チ、戶數割ト云フモノガ稅
  其ノモノトシテ惡稅デアルトハ考ヘテ居リ
  マセヌガ、實施ノ結果ハ今日ノヤウナ狀態
  ニナツテ居ルノデアリマス、然ラバソレニ
  對シテ負擔ノ過重ヲ來サナイヤウニ、不合
  理ナ點ヲ是正シテ、長所ダケヲ殘サウト云
  フコトニ考ヘマシテモ、賦課ノ制限、之ヲ
  指導監督スルト云フ方法ニ付キマシテハ、
  到底判然トシタ基準ヲ求メルコトハ困難デ
  アラウト思ヒマス、又之ヲ理想的ニ制限シ
  テ參ルト云フコトニナリマスト、實ハ戶數
  割ガ持ツテ居リマス所ノ長所ヲ抑ヘテ行ク
  ト云フコトニナルノデアリマシテ、結局是
  ハ輕度ノ戶數割ト云フモノヲ存續スルト云
  フコトハ事實不可能デアツテ、假ニ是ガ一
  時的ニ出來ルト致シマシテモ、結局又何年
  カヲ經テ參リマスレバ、元ノ通リニナツテ
  來ルノデハナイカト云フコトモ豫想ニ難ク
  ナイノデアリマシテ、此ノ意味ニ於テ戶數
  割ハ廢止セザルヲ得ナイト思フノデアリマ
  ス、又同時ニ市町村民稅ト戶數割トノ違ヒ
  ヲ色々申上ゲマシタガ、更ニ玆ニ市町村民
  稅ノ性質カラ考ヘマシテ、特ニ之ヲ創設ス
  ルコトガ必要デアルト思ヒマスノハ、戶數
  割ヲ施行セザル市町村ニ於キマシテモ、ヤ
  ハリ市町村民稅ハ創設セナケレバナラヌノ
  デアリマシテ、其ノ意味カラ致シマシテ、
  負擔分任ノ精神ヲ稅制ノ上ニ於テ擴充スル
  爲ニハ、市町村民稅ニ依ル方ガ更ニ適切デ
  アルト考ヘテ居ルノデアリマス、斯ウ云フ
  意味ニ於キマシテ戶數割ヲ廢止シテ、新シ
  ク市町村民稅ヲ設ケタノデアリマス

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• 122・武田徳三郎

  ○武田委員　其ノ點ニ付テモウ少シク伺ヒ
  タイノデアリマスガ、從來戶數割ヲ設ケズ
  シテ、其ノ代リニ所得稅ノ附加稅ヲ東京市
  ノヤウナ大都市ハ取ツテ居ツタノデアリマ
  スガ、私共ノ承知スル所ニ依ルト、大都市
  デ戶數割ヲ取ラナイノハ、徴稅費ガ非常ニ
  殖エテ、手數ガ非常ニ煩雜ナ爲ニヤリ切レ
  ナイカラ之ヲ廢メテ、戶數割デ取ルノヲ所
  得稅ノ附加稅デ取ツテ居ルト云フ風ニ私ハ
  承知シテ居ルノデアリマス、若シソレガ事
  實デアルト致シマスレバ、民稅ニナツテモ
  同ジ結果ニナリハシマセヌカ、先程申上ゲ
  タ通リニ先達テ地方局長ハ、此ノ民稅ノ賦
  課ノ率ヲドウスルカト云フ時ニ、詰リ段階
  ヲ所得ニ依ツテ定ムルノ外ハナカラウ、斯
  ウ云フ條例ヲ作ルコトニ結果ハ相成ルデア
  ラウト云フコトニ御說明ニナツタ、私モド
  ウモ全然之ヲ見立割ニスル譯ニハ行カナイ
  デアリマス、最高ハ決ツテ居ルカラ最高ハ
  ソレト致シマシテ、ドウシテモ最高ト最低
  トノ間ニ-最低ハ此ノ法律デハ決ツテ居
  ラヌノデアリマスカラ、詰リ最高以下ノ民
  稅ノ賦課ノ率ト云フモノハ、ヤハリ所得カ
  何カニ依ツテ決メル外ニ仕方ガナイノデア
  リマス、若シ其ノ所得ニ依ツテ率ヲ決メル
  モノト致シマスナラバ、大都市ニ於テハ今
  日ト少シモ變リハナイノデアリマスガ、其
  ノ實行ニ付テハ非常ナ支障ガアリハシマセ
  ヌカ、此ノ點ハ如何デアリマスカ

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• 123・挾間茂

  ○挾間政府委員　戶數割ノ課稅標準ノ決定
  ハ、御存ジノヤウニ非常ニ複雜ニナツテ居
  リマス、隨テ大都市等ニ於キマシテ之ヲ調
  査決定スルト云フコトハ、調査費ニ非常ニ
  金ガ掛ルノミナラズ、實際問題トシテ調査
  ガ致シ兼ネル事情モアリマスカラ、是ハ大
  都市ニ施行スルコトガ現在ノ實情トシテ出
  來ナイト思フノデアリマス、併シナガラ市
  町村民稅ニ於キマシテハ、戶數割ノヤウナ
  複雜ナ標準ヲ設ケテ居リマセヌノデ、市町
  村ノ實情ニ應ジマシテ簡易適切ナ手段ヲ用
  フレバ宜シイ譯デアリマス、例ヘベ大都市
  ニ於テ所得額ト云フモノヲ用フルト致シマ
  スレバ、是ハ國稅ノ方デ調査決定致シマシ
  タモノヲ用ヒルコトニ依ツテ、簡單ニ決定
  ヲスルコトガ出來ルト思フノデアリマシテ、
  其ノ點ハ戶數割トハ餘程相違スルト考ヘテ
  居リマス

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• 124・小山倉之助

  ○小山委員長　武田サン、此ノ際本會議ニ
  決議案ノ上程セラレル都合ガアリマスカラ、
  大臣ノ居ラレル內ニ、前ニ留保シテ居リマ
  シタ池本君ノ御質問ヲ許シタイト思ヒマス
  ガ、如何デスカ

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• 125・武田徳三郎

  ○武田委員　結構デス

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• 126・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ池本君

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• 127・池本甚四郎

  ○池本委員　大臣ニ御尋致シマスルコトハ、
  是ハ寧ロ稅制上ノ關聯事項デアリマスガ、
  偶〓今日マデニソレガ此ノ委員會ノ席上ニ
  於テ御質問ガ出テ居リマシタノデ、ソ
  レニ關シマシテ御伺致ス譯デアリマス、
  近イ將來ニ地方制度ノ改革案ヲ御提出
  ニナル御意向ト承ツテ居ルノデアリマ
  スガ、ソレヲ事實ト想像致シマシテ、其ノ
  場合ノ御心組ノ一二ニ付キマシテ御伺致シ
  タイノデアリマス、其ノ第一ハ中間機關設置
  如何ニ付キマシテノ御意見デアリマス、過
  般來此ノ委員會ニ於キマシテ、又新聞紙上
  デ拜見致シテ居リマスト、貴族院ニ於キマ
  シテモ、府縣ト町村間ノ中間機關設置ニ御
  贊成ノヤウナ意味フ御答辯ヲ爲シテ居ラレ
  ルヤウニ了承致スノデアリマスガ、此ノ點
  ニ付キマシテ內務大臣如何デゴザイマセウ
  カ、御伺致シタイト思ヒマス

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• 128・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　府縣ト市町村トノ間ニ於
  キマスル何カ中間機關ヲ設ケタ方ガ、執務
  上竝ニ地方ノ事務ノ取扱上便利デハナイカ
  ト云フコトハ可ナリ有力ナ說ト私ハ拜承
  致シテ居ルノデアリマス、郡役所ガ廢サレ
  マシテ以來、國ノ市町村竝ニ府縣トノ間ニ
  取扱ハレマスル事務モ、其ノ分量ニ於テモ
  其ノ質ニ於テモ非常ナル變化ヲ來シツツア
  ルノデアリマス、此ノ際ニ郡役所其ノモノ
  ヲ復活スルノガ宜シウゴザイマスカ、或
  數町村ヲ集メマシタ中間機關ヲ設ケテ其處
  デ綜合シテヤルノガ宜シイノデゴザイマス
  カ、其ノ點ニ付テ今日マデ深キ〓究ヲ遂ゲ
  テ居ル暇ハナカツタノデアリマスルケレド
  モ、要スルニ此ノ間ニ何等カノ機關ヲ置イ
  タ方ガ大體ニ於テ便利デハナイダラウカト
  云フ有力ナル議論ガアルノデアリマス、是
  ハ現在ノ制度ニ向ツテ一大改革ヲ加ヘナケ
  レバナラヌト云フ問題デアリマスルノデ、
  今囘地方制度ヲ改正スル上ニ於キマシテ、
  〓究スベキ所ノ一ツノ大キナ問題デアルト
  考ヘテ居ルノデアリマス、此ノ中間機關設
  置論ニ付キマシテ、私ハ是ハ必ズ置クベキ
  モノナリト云フ斷定ヲ下スダケノ今日〓究
  ガ積ンデ居ル譯デハナイノデアリマスガ、
  其ノ議論ハ有力デモアリ、又常識的ニ考ヘ
  テ見テモ其ノ方ガ宜イデハナイカト云フヤ
  ウナ意向ヲ持ツテ居リマスカラ、近キ將來
  ニ於キマシテ地方團體ノ制度ヲ立テマスル
  際ニ於テハ、重要ナル一ツノ重點トシテ此
  ノ問題ヲ取上ゲテ考ヘテ見タイ、斯ウ云フ
  意味ニ於テ申上ゲテ居ルノデアリマス

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• 129・小山倉之助

  ○小山委員長　池本君、一寸御諮リ致シマ
  スガ、御質問ヲ十分間程度ニ壓縮ヲ願ヒマ
  ス、サウデナイトアト御發言ノ機會ガナカ
  ラウト思ヒマス、大臣ノ御答辯モ左樣ニ御
  願致シマス

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• 130・池本甚四郎

  ○池本委員　只今內相ガ斷定的御贊成ノ意
  ヲ持ツテオ居デニナラヌト云フコトハハツ
  キリ致シタト思ヒマス、仰セノ如クソレガ
  一體ドウ云フ形デドウ云フ性質ノモノデア
  ルカ、ソレニ依ツテモ亦色々考ヘ方ガ違ツ
  テ來ルモノト思ヒマスガ、若シソレガ昔ノ
  郡役所ノヤウナモノデアリマスナラバ、此
  處デ贊否ヲ申ス譯デハアリマセヌガ、御參
  考ノ爲ニ御聽キヲ願ヒマスルナラバ私ハ要
  ラナイカト考ヘテ居ルノデアリマス、其ノ
  理由ハ、旣ニ各種ノ交通機關ガ日ニ月ニ便
  利ニナツテ來テ居リマシテ、地理的ニハ非
  常ニ縮小サレテ居ル、又其ノ機關ノ權限ノ
  如何ニモ依リマスガ、結局私ハ中途半端ナ
  モノニ終ルノデハナイカ、サウ致シマスル
  ト其ノ機關ヲ通ラナケレバナラナイガ爲ニ、
  或ハソレニ中々日數ヲ要スル、或ハ判ノ數
  ガ殖エル、サウシテ中途半端ナ人ニ依ツテ
  ソレガ取扱ハレルノデアリマシテ、徒ニ事
  務ノ進捗ヲ妨ゲル、或ハ能率增進ノ邪魔ニ
  ナルト云フヤウナ、利害ハ無論各〓アリマ
  セウガ、差引私ハ良イ方ガ少ナカラウト考
  ヘルノデ、サウ云フ意見ヲ持ツテ居ル譯デ
  アリマス、ソコデ序ニ御伺シマスガ、然ラ
  バ府縣ト町村トノ間ノ中間機關ト共ニ、又
  道府縣ト國トノ間ノ中間機關ノ設置モ時ニ
  問題ニサレテ居ルヤウデアリマスルガ、此
  ノ設置ノ可否如何ニ付キマシテノ御意見ガ
  アリマスレバ一應承ツテ置キタイト思ヒマ
  ス

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• 131・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　此ノ中間機關ノ問題ニ付
  キマシテハ、只今申上ゲタル通リニ、重要
  ナル一事項トシテ〓究シテ見ヨウト云フノ
  デアリマシテ、之ニ對シテハ確ニ反對ノ御
  意見モアラウト思ヒマス、只今御話ニナリ
  マシタヤウナ意見ヲモ併セ考ヘテ見タイト
  思ウテ居リマス、ソレカラ國ト府縣トノ間
  ノ中間機關ノ問題ニ付テハ、私今マダ何ト
  モ申上ゲル機會ニ達シテ居リマセヌ

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• 132・池本甚四郎

  ○池本委員　私ハ縣ト町村トノ間ノ中間機
  關ト同ジヤウナ意味合ニ、只今ノ此ノ中間機
  關ヲ取ツテ居ルノデアリマス、大體ニ於キマ
  シテハ是モ要ラナイト云フ意見ニナル譯デ
  アリマス、若シソレデモドウデモ必要ダト
  云フヤウナ所モアルカモ分リマセヌ、デアリ
  マスルカラサウ云フヤウナ場合ニハ其ノ地方
  地方ノ特殊ノ事情ニ鑑ミマシテ、全國畫一的
  ニヤルノデハナクシテ、實際ノ其ノ地方ノ
  狀況ニ依ツテ最小ノ必要限度ニ御作リニナ
  ルノデアルナラバ、私ハ又別ノ意味合ニ考
  ヘテ宜イダラウト思フノデアリマス、私
  ノ考ハサウ云フモノデアリマスカラ、唯御
  參考ニ御考置キヲ願ヒタイト思ヒマス、次
  ニハ現在御承知ノ郡デアリマスガ、此ノ取
  扱ニ付キマシテ一ツ是ハ地方ノ爲ニ御考置
  キヲ願ヒタイ、斯ウ思フノデアリマス、ト
  申シマスノハ御承知ノ如ク郡ハ今日法律上
  ノ何デモナイ、地理的或ハ社會的ノ區域デ
  アリマシテ、法律上ノ存在デハナイ、ダガ
  實際ヲ申シマスト御承知ノ如ク是ガ有ユ
  ル產業團體ノ一階段ノ區域ニナツテ居リマ
  ス、其ノ外〓育其ノ他ノ〓化團體、或ハ衞
  生其ノ他ノ團體ノ區域ニナツテ居ル、又法
  制上カラ申シマシテモ、立派ニ例ヘバ道府
  縣會議員ノ選擧區ニナツテ居ル、衆議院議
  員ノ選擧區ノヤハリ基準ニサレテ居ル、警
  察管區ニナツテ居ル、デアリマスカラ立派
  ナ行政上ノ區域ノ實ヲ示シテ居ルノデアリ
  やく、斯ウ云フ實際上團體ノ區域ニナツテ
  居ルノデアリマスカラ、郡ハ一方ニハ生キ
  テ居ル、所ガ一面ニハ法律上ノ取扱ガナイ
  ノデ死ンデ居ルト云フコトニナルノデアリ
  そう、是ハ地方ニモ依リマセウガ、例ヘバ
  地理人情ガ全ク一ツデアル、或ハ大都市ガア
  リマシテ、ソコノ隣接町村ノ編入ヲヤツテ
  小サイ村ガ殘ル、ソレハ隣ノ郡ヘデモ入リ
  タイ、斯樣ナ場合ニドウモ入リヤウガナイ、
  是ハ決シテ惡イ意味デモ何デモナイガ、モ
  ウ一ツニナリタイト云フノデスガ、ナリヤ
  ウガナイ、私共素人デ色々苦心ヲ致シテ考
  ヘタ末、ドウナルカト云フト、例ヘバ郡ハ
  違フガ何處カ隣ノ町村ヘ一旦合併シテ、
  サウシテ其ノ郡ノ名ガ殘シタケレバ瞬間的
  ニソレカラ離レル、サウスルト一ツノ郡ニ
  ナル、サウ云フ面倒ナコトヲシナケレバナ
  ラヌ、又サウシタ方ガ宜イト云フ場合ガア
  ルノデスガ、ドウモ扱ヒ方ガナイノデス、
  是ハ理窟ヤ質問デハナイノデ、寧ロ御願致
  シマス、是ハ生カサズ殺サズト云フコトニ
  ナツテ居リマスノデ、何トカ之ニ付キマシ
  テ地方ノ實際ノ必要上カラ致シマシテ、サ
  ウ云フ場合ノ取扱ノシ易イヤウナ方法ヲ御
  考置キヲ願ヒタイ、ソレハ今日デモ何カ良
  イ方法ガアリマスレバ御示ヲ願ヒタイト
  思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=132

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• 133・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　只今ノ御意見ハ參考トシ
  テ承ツテ置キマシテ、此ノ問題ヲ實際處理
  スル時ニ於テ篤ト考慮ヲ加ヘルコトニ致シ
  タイト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=133

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• 134・池本甚四郎

  ○池本委員　私ハ地方ニ居リマシテ實際ノ
  問題ニブツカツテ、觀切ニシテヤリタイガ
  出來ナイト云フコトニナリマスノデ、ーソ
  能ク御考置キヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレ
  カラ町村吏員ノ優遇トカ、町村吏員ノ待遇
  トカ云フコトガアリマスガ、ソレハ止メニシ
  テ、一寸町村長ノ問題デゴザイマスガ、今
  度ノ事變ノ經過ヲ見マスト、地方ノ町村長
  ハ殆ド不眠不休、皆自分ノ金ヲ捨テテヤツ
  テ居リマスガ、ソレニ付テ今事變ノ表彰ノ
  方法ヲ御考ニナツテ居ルデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=134

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• 135・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　御承知ノ通リ、何トカ表
  彰ノ方法ヲ考ヘタイト目下手續ヲ致シテ居
  ル向モアルノデアリマス、御諒承願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=135

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• 136・池本甚四郎

  ○池本委員　普通ノ方法ナラバ、今日マデ
  ノ事變デモヤツテ居リマスカラ當リ前ノコ
  トデ、ソンナコトハ伺ハナクテモ宜イノデ
  スガ、ソレニ付キマシテ今度ノ事變デハ特
  別ニ從來ヨリハ苦勞ガ多イヤウデスカラ、
  御考ヲ願ヒタイト思フノデス、ソレカラ私
  ハ府縣ノ吏員ノ簡拔登用ト云フ點ヲ考ヘテ
  居ルノデアリマスガ、之ヲ申セバ長クナリ
  マスカラ省イテ置キマス、ソレニ關聯致シ
  マシテ地方長官ノ取扱ナノデス、是ハ昔ハ
  公選論ト云フモノガ唱ヘラレテ居リマシタ
  ガ、ソレト必ズシモ關聯シテ居ルト云フ譯
  デハアリマセヌガ、唯自由任用位ヲオヤリ
  ニナツテハドウカ、或ハソレデイケナイト
  云フナラ、何カ弊害ノ少イヤウナ選擧方法
  ヲ執ツテ、ソレニ對シテ內務大臣ガ認可セ
  ラレルト云フヤウナ方法、斯ウ云フヤウナ
  モノハドウカト思ツテ居ルノデアリマスル
  ガ、一應何カ御考ガアリマスレバ承ツテ置
  キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=136

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• 137・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　曾テ一時公選ト云フヤウ
  ナ議論ガアリマシタケレドモ、今日ニ於テ
  ハ大體其ノ議論ハ唱ヘラレナイヤウニ思ヒ
  マイク。併シ是ハ或ル時代ニ於キマシテ一ツ
  考ヘナケレバナラヌ方法デアラウト思ヒ
  やっ、ソレカラ自由任用ノ問題デアリマス、
  是ハ一般官吏ノ問題等ノ時ニ考ヘラレル問
  題デアリマスガ、大體ニ於テ地方長官ハ自
  由任用ノ範圍ノ外ニ置イテ宜イノヂヤナイ
  カ、原則的ニ斯ウ云フヤウニ考ヘテ居ルノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=137

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• 138・池本甚四郎

  ○池本委員　色々申上ゲタイコトモアリマ
  スガ、時間ガナイヤウデスカラ私ハ是デ御
  遠慮申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=138

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• 139・小山倉之助

  ○小山委員長　ソレデハ本會議ノ決議案終
  了後ニ繼續シタイト思ヒマスカラ、暫時休
  憩ヲ致シマス
  午後四時十分休憩
  午後五時四十分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=139

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• 140・小山倉之助

  ○小山委員長　是ヨリ開會致シマス、休憩
  前ニ引續キ質疑ヲ繼續致シマス-武田君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=140

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• 141・武田徳三郎

  ○武田委員　私ハ議事進行ノ便宜上、先ヅ
  私ノ意見ヲ申上ゲテ、ソレカラ當局ノ御意
  見ヲ承ル方ガ非常ニ時間ガ簡單ニ行クト思
  ビマスカラ、左樣ナ方法ヲ執リタイト存ジ
  マント、此ノ度ノ地方稅ノ改正ノ中心ハ、分
  與稅配付稅ト、戶數割ヲ廢シテ民稅ヲ新タ
  ニ設ケラレタ點ダト思フノデアリマス、先
  程ノ質問ニモ申上ゲマシタガ、私ハ是ハ餘
  程掘下ゲテ論議ヲシテ見ル必要ガアルト思
  フノデアリマスケレドモ、左樣ニ致シマス
  コトハ非常ニ時間ヲ取リマスノミナラズ、
  他ノ委員諸君ノ御質問ニモ御迷惑ヲ掛ケル
  コトト考ヘマスカラ、斯樣ニ致シタナラバ
  本案ニ現ハレテ居ル矛盾ヲ多少ナリトモ是
  正スルコトガ出來ルノデハアルマイカト云
  フ私ノ意見ヲ申上ゲテ、當局ノ御意見ヲ承
  ハレバ、一擧ニシテ其ノ問題ハハツキリス
  ルカト思フノデアリマス、私ハ此ノ分與稅
  ノ中配付稅ノ額ヲ定メルノハ、當局ノ御說
  明ノ如ク、各地方團體ノ稅收入ヲ凡ソ十億
  三千二百万圓ト限定シテ、サウシテ三收益
  稅其ノ他ノ收入ヲ先ヅ定メテ、其ノ不足分
  ヲ總テ分與稅ニ充テルト云フ組織ハ、稅ノ
  組立テノ上ニ於テ考ガ間違ツテ居ルノデハ
  ナイカト云フ風ニ思フノデアリマス、元來
  分與稅ノ、殊ニ配付稅ノ性質ハ、地方團體ノ
  地域的是正ヲ中心トスルモノデアリマスル
  カラ、如何ナル程度ノ配付稅ガアツタナラ
  バ、今日ノ實狀ニ卽シテ地方自治體ノ地域
  的均衡ノ是正ガ出來ルカト云フコトヲ先ヅ
  定メテ、サウシテ分與稅ヲ決メテ、其ノ不
  足分ヲ何レノ稅デ如何樣ニ取立テルカト云
  フコトヲ定メルノガ本筋デハナイカ、斯樣
  ニ私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、丁度政府
  ノ御立案ト逆ノ行キ方ニ行クノガ本筋デハ
  ナイカト斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス
  ソレトモウ一ツハ、餘リニ地域的ノ均衡ト
  云フコトニ力ヲ入レテ、配付稅ニ多クノ金額
  ヲ課スルト云フコトハドウ考ヘテモ地方
  自治團體ノ自主性ト衛突スル程度ガ多クナ
  ル出來得ベクンバ地域的負擔ノ均衡ヲ是
  正スル最小限度ニ於テ其ノ配付稅ノ金額ヲ
  定メルコトハ、自治團體ト配付稅トノ調整
  ヲ圖ル捷徑デナイカト、斯樣ニ實ハ考ヘテ
  居ル者デアリマス、ソレデ先程モ一寸其ノ
  點ニ觸レタノデアリマスルガ、今日旣ニ
  億五千万圓ノ財政補給金ト云フモノガアリ
  マスルシ、ソレト此ノ〓育費ノ八千五百
  万圓ト云フ限定シタ數字デ、稍〓地方ノ負
  擔ノ均衡ノ是正ガ實現シテ居ルノデハナイ
  カト私ハ見テ居ルノデアリマス、ソレデ
  其ノ限度ニ於テ、卽チ現在ノ限度ニ於テ分
  與稅ヲ決メテ、而シテ其ノ殘リヲ獨立稅
  竝ニ附加稅ニ於テ之ヲ課スルト云フ方法ヲ
  講ジテハドウデアラウカト考ヘルノデアリ
  マス、更ニ若シ今日ノ政府ノ立案セラレテ
  居ル獨立稅竝ニ附加稅ダケデアトノ不足分
  ガ賄ヒ切レヌト云フコトデアリマスルナラ
  バ、政府ノ立案セラレテ居ル所ノ民稅ヲモ
  ウ少シ其ノ額ヲ增シテモ差支ナイノデハナ
  イカ、先程モ申上ゲタ通リ、戶數割ハ必ズ
  シモ稅ノ性質カラ言ツテ惡イ稅デハナイ、
  斯ウ云フコトヲ私ガ申上ゲタラ、地方局長
  ハ其ノ點ニ向ツテハ私ノ意見ト御同感ノ意
  味ヲ御答辯ニナツタノデアリマス、今日五
  千万圓ヲ一億圓ニ增額サレテモ、決シテサ
  ウ大キナ故障ハナイノデハナイカ、實際ニ
  言ウナラバ私ハ戶數割ヲ存置シテ、之ニ適
  當ナル是正ヲ加ヘタ方ガ宜イト思フノデア
  リマスケレドモ、旣ニ此ノ立案ガ出來タ以
  上ハ、根本的ニ之ヲ變ヘルト云フコトハ實
  際問題トシテハ甚ダ遠ザカル虞ガアリマス
  カラ、私ハ民稅ヲ倍額位ニ致サレマシタナ
  ラバ、ソレデ適當ナ、私ノ申上ゲルヤウナ
  希望ニ副ウタ地方稅ノ組織ガ出來ルノデハ
  アルマイカ、斯樣ニ考ヘルノデアリマス、
  ソレガ第一デアリマス
  ソレカラモウ一ツハ配付稅ノ配付ノ率ノ
  コトデアリマス、是ハ政府ノ御說明ニ依リ
  マスト、一面ニ於テハ地方團體ノ財政要求
  ニ應ジ、一面ニ於テハ地方團體ノ財政力ニ應
  ズル、斯ウ云フ御話デ、一寸聞クト如何ニ
  モ御尤モノヤウデハアリマスケレドモ、ド
  ウモ詳シク此ノ法案ヲ見マスト、其ノ御趣
  意ニハ必ズシモ副ウテ居ナイ、三收益稅ヲ
  以テ地方團體ノ財政力ヲ測量スルト云フコ
  トハ甚ダ實際ニ遠ザカツテハ居ナイカト思
  フノデアリマス、何トナレバ今日ノ地方財
  政殊ニ大都市等ニ於キマシテハ、稅ヨリ
  ハ稅外收入ノ方ガ多クチツテ居ルノデアリ
  やく、殊ニ公營事業ヲシテ居ルヤウナ大都
  市ニ於テハ、是ハ相當有力ナル財源ニナツ
  テ居ルノデアリマスカラ、眞ニ地方團體ノ
  財政力ヲ測量スルト申シマスナラバ、收益
  稅ノ三稅ノミヲ以テ其ノ團體ノ收益力ヲ測
  ルト云フコトハ、實際ニ甚ダ遠ザカツタ問
  題ニナリハシナイカト私ハ考ヘル、現ニ民
  稅ノ如キハ政府ノ御意見デハ是ハ一種ノ團
  體ノ會費ミタヤウナ心持デ、所謂負擔分任
  ノ精神ヲ採入レルモノダト仰シヤルケレド
  モ、兎ニ角此ノ五千万圓ト云フモノハ、各
  團體ニ依ツテ種々ナル相違シタ數字ニ於テ
  現レルノデアリマスカラ、是ガ一ツノ其ノ
  地方團體ノ財政力ヲ測量スル-大キナ
  ル部分デハナイケレドモ、-或ル程度ノ
  部分デアルコトハ事實デアリマス、ノミナ
  ラズ三收益稅ト云フモノデ必ズシモ地方團
  體ノ眞ノ財政力ヲ測量シ得ルトハ言ヒ得ナ
  イト私ハ思フ、何トナレバ此ノ三收益稅ハ、
  申スマデモナク農業所得ト營業所得ト、家
  屋ノ所得ダケヲ標準ニシテ、而モソレハ總
  收入ヲ目的トシタモノデアリマシテ、家屋
  ト地租ハ總收入デアルニ拘ラズ、營業稅ハ
  純益ヲ標準トシタモノデアリマシテ、其ノ
  間ニモ非常ニ稅ノ性質ノ違ツテ居ル點ガア
  リマス、ノミナラズ此ノ三收益稅ノ外ニ、國
  民所得ト云フ點カラ申シマスナラバ勤勞所
  得、竝ニ利子所得ト云フモノモ考ヘテ見ナケ
  レバナラヌノデアリマス、然ルニソレハ此
  ノ所得稅ニハアリマスケレドモ、地方稅
  トシテハ是等ノ點ハ何等考慮ヲ加ヘテ居
  ラレナイノデアリマス、ソレ故ニ此ノ三收
  益稅ノミヲ以テ地方團體ノ財政力ヲ測ルト
  云フコトハ、ドウモ實際ニ遠ザカル嫌ヒガ
  アリハスマイカト云フコトガ其ノ次ノ問題
  デアリマス
  第三ノ問題ハ、私ハ先刻ノ質問ノ中ニモ
  申述ベタル如ク、此ノ配付稅ト云フモノハ
  地域的ニ其ノ稅ノ對象ガ、卽チ國民ノ所得
  ガ衡平ニ分配サレテ居ナイカラ、之ヲ直チ
  ニ地方稅ニスルコトハ出來ナイカラ、一度
  國稅トシテ取ツテ、其ノ幾分ヲ地方ニ分與
  シテ、之ヲ或ル標準ニ依ツテ分ケテ地域的
  ノ負擔ノ均衡ヲ圖ラウト云フ趣旨ニ出タノ
  デアツテ、是ガ若シ其ノ稅ノ對象タル所得ガ
  各地方的ニ稍〓均分ニ分布サレテ居リマスル
  ナラバ、左樣ナ手數ヲセズシテ直チニ附加
  稅デ宜イ筈デアルノデアリマス、此ノ點モ
  地方局長ハ私ノ問ニ御同意ニナツテ居ルノ
  デアリマス、ソレ故ニ私ハ此ノ所得稅竝ニ
  法人稅及ビ分與稅ノ財源ニナルモノヲ、之
  ヲ附加稅ヲ課スルト同樣ナ結果ニナリサヘ
  スレバ此ノ稅ノ目的ハ達スルノデハナイ
  カ、斯樣ニ私ハ考ヘル、サウスルニハドウ
  スレバ宜イカト言ヘバ、是ハ人口ニ割當テ
  テ-全國ノ三收益稅ノ稅額ヲ日本ノ全人
  口ニ割當テテ、其ノ一人當リノ標準率ヲ
  出シマシテ、ソレニ依ツテ各町村ノ戶數ニ
  掛ケタモノデ宜イ筈ダト思フノデアリマ
  ス、勿論先程長野君デシタカ、ドナタカノ質
  問ニ對シマシテ、唯人口ト申シテモ、人口
  ノ內容ニ色々變化ガアルカラ、之ニ對シテ
  ハ割增人口ヲ加ヘルト云フ局長ノ御意見モ
  アツテ、是ハ私モ御尤ト思ヒマスルカラ、
  此ノ分賦ノ際ニ於テハ、一人當リノ平均率ヲ
  割增人口ヲ加ヘタモノニ掛ケレバソレデ宜
  イコトニナリハシナイカ、左樣ニ致シマス
  しょう丁度此ノ所得稅竝ニ法人稅、遊興飮
  食稅ノ如キモノハ、各地方ニ稍〓、均分ニ分
  配サレタモノニ附加稅ヲ加ヘタト同ジ結果
  ニナルデアラウト私ハ考ヘマス、斯樣ニ致
  シマスレバ、地方ノ稅收入竝ニ其ノ彈力
  性ニ於テハ此ノ御立案ト何等變ル所ハナク
  シテ、而モ地方ノ自治權トノ調和ガ餘程ヨ
  ク取レルノデハナイカト實ハ考ヘルフデア
  リマス、此ノ點ニ對シテ當局ノ御意見ヲ承
  レバ私ノ質問ノ趣旨ガハツキリ致スト思ヒ
  マス

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• 142・挾間茂

  ○挾間政府委員　種々ナル點ニ付テノ御質
  疑デゴザイマス、順次御答致シマス、第
  ノ御尋ノ配付稅ト三收益稅ノ關係ニ付キマ
  シテハ、是ハ配付稅ヲ主ニスル、或ハ三收益
  稅ヲ主ニスルト云フ意味デハナイノデアリ
  マシテ、今度ノ稅制ヲ立テマスニ付キマシ
  テハ、獨立財源ト地方調整財源ト睨ミ合セ
  マシテ、六割七分ト三割三分ト云フヤウナ
  率ヲ以テ、適度ニ地方財政ノ調整ヲ行フト
  同時ニ、一面地方自治體ノ財政的ノ獨立、
  自主ノ立場ヲ確保シヨウト云フ意味ヲ以チ
  マシテ、此ノ割合ヲ定メタモノデアリマス、
  無論此ノ點ニ付キマシテハ國ノ稅收入トノ
  負擔關係等モゴザイマスノデ、左樣ナ複雜
  ナル關係ヲ考慮致シマシテ、只今提案致シ
  テ居リマスヤウナ割合ニ、調整財源ト獨立
  財源トヲ定メテ居ル譯デアリマシテ、配付
  稅ノ方ハ、獨立稅ヲ一應見積ツテ其ノ殘リ
  ヲ此ノ方デ賄フト云フコトニ致シタノデハ
  ナイノデアリマス、又從來ノ小學校〓員給
  ノ國庫負擔、臨時財政補給金ヲ以テ大體負
  擔ノ均衡ガ取ラレテ居ルカラ、其ノ程度デ
  宜クハナイカ、斯ウ云フ御話デアリマスガ、
  元來配付稅ト云フモノハ先程申上ゲマシタ
  ヤウニ、地方ノ地域的負擔ノ不均衡ヲ均衡化
  スルト云フ一面ニ於キマシテ、地方團體ニ對
  シマシテ必要ナル財源ヲ充足セシメルト云
  フコトヲ目的トシテ居ルノデアリマス、小
  學校〓員給ノ國庫負擔及ビ臨時、財政補給
  金ハ何レモ其ノ目的ハ異ツテ居リマシテ、
  財政補給金ノ如キハ廢減稅ヲ主トシテ居ル
  ノデアリマス、假ニ是ガ其ノ意味ニ於テ財
  政調整ヲ致シテ居ルト致シマシテモ、此ノ
  額ヲ以テシテハ吾々ノ希望致シマスヤウナ
  地方ノ負擔均衡ヲ得ル程度ニ至ツテ居リマ
  セヌノデ、今囘ノ如キ額ニ於テ配付稅ヲ決
  定シタ譯デアリマス、更ニ市町村民稅ヲ增
  額シテ倍額ニシタラドウカト云フ御意見デ
  アリマスガ、是ハ元來賦課方法ガ極メテ素
  朴簡易ナヤリ方ニ致シテ居ルノデアリマシ
  テ、此ノ額ヲ一億圓ニ增シ、更ニ增額スル
  ト云フコトニナリマスト、是ハ負擔ノ不均
  衡ト云フコトガ自然ノ結果トシテ現レテ參
  リマスノデ、度々申上ゲマシタヤウナ稅ノ
  性質カラ申シマシテ、成ベク輕イ稅金ニシ
  テ、而モ普遍的ニ各市町村住民ニ賦課サレ
  ルヤウニ致シタイ考ヲ持ツテ居リマスカラ、
  之ヲ增額スルコトハ適當デナイト考ヘテ居
  リマス
  ソレカラ次ノ問題ハ分與稅配付稅ノ分與
  ノ標準ト致シマシテ、稅外收入ノ問題ヲ何
  故考慮シナイカト云フ御意見デアリマス
  ガ、稅外收入ハ負擔ノ均衡ノ問題ト致シマ
  シテハ考慮ノ外ニ置クノガ適當デアルト
  思ヒマス、又大都市等ニ於キマス公營
  事業ガ、一般財政ヲ援助シテ居リマス程
  度ト云フモノハ、左程大ナルモノデハナ
  イノデアリマシテ、殊ニ公營事業ノ本質
  カラ申シマシテ、之ニ非常ナル收益的性質
  ヲ認メルト云フコトニ付キマシテハ、
  公營事業ノ本質カラ見マシテモ相當考慮ノ
  餘地ガアルト考ヘルノデ、何レニ致シマシ
  テモ課稅力ヲ測定致シマス標準トシテハ
  ヤハリ國稅附加稅ト云フモノヲ主トシテ對
  象トスルノガ適當デアルト考ヘルノデアリ
  やく、尙ホ此ノ三收益稅ヲ算定致シマス標
  準ニ用ヒマシタノハ、此ノ三稅ノ課稅力ガ
  各團體ニ於テ凹凸ニナツテ居ルコトヲ、此
  ノ配付稅ニ依ツテ地均シヲスルト云フコト
  ヲモ意味シテ居ルノデアリマス、ソコデ所
  得稅ハ何故加ヘナイカト云フ御尋デアリマ
  スガ、是ハ地方稅デハアリマセヌカラ、之
  ヲ地方財源ノ問題トシテ考慮ニ加ヘルコト
  ハ出來ナイト考ヘテ居リマス
  最後ノ御意見ノ配付稅ヲ配付スルニ付テ
  所得稅一人當リノ額ヲ算出シテ、是ノミニ
  依ツテ配付稅ヲ配付シタラドウカト云フ御
  意見デアリマスガ、御趣旨ノヤウナ點ハ今
  囘ノ配付ノ標準ノ第二ニ御話ノ通リノ方法
  ガ揭ゲラレテアルノデ、之ニ依ツテ御意見
  ノ點ハ十分到達出來ルト思ヒマス、第一ノ
  點ニ國稅ノ附加稅ヲ單位稅額ト致シマシテ
  標準ニ用ヒテ居リマスノハ、此ノ三收益稅
  ノ凹凸ニナツテ居ル關係ヲ、此ノ配付稅ニ
  依ツテ出來得ル限リ調整シ、地方團體ニ對
  シテ適當ナル財源ヲ與ヘルト云フ意味ヲ以
  テ、第一種配付額ノ標準ニ致シテ居ルノデ
  アリマス、御希望ノ點ハ十分此ノ方針ニ依ツ
  テ到達セラレルコトニナツテ居ルト見テ居ル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=142

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• 143・武田徳三郎

  ○武田委員　多少私ノ誤解モアリマシタガ、
  只今ノ御說デ稍、了解致シマシタ、併シ今
  日マデノ御說明ハ、三稅ニ依ツテ各地方團體
  ノ財政力ヲ測リ、財政力フ少イ所ニハ逆比
  例ニ配付稅ヲヤルト云フ今日マデ御說明デ
  アツタノデアリマス、ツレデ私ハ地方ノ財
  政力ヲ測定スルノニハ、三收益稅ノミデ測
  量スルコトハ誤ツテ居リハシナイカ、其
  ノ他ノ獨立稅モアリマスシ、稅外收入モア
  ル、ノミナラズ此ノ地方ノ財政力ハ、今地
  方局長ハ私ノ申シタコトヲ多少誤解サレテ
  居ルヤウニ思ヒマスガ、所得稅ヲナゼ入レ
  ナイカト云フコトヲ私ハ申シタノデハナイ
  ノデアリマス、卽チ地方ノ財政力ヲ測ルニハ、
  地方ノ國民ノ所得モ測ラナケレバナラヌ、是ハ
  三收益稅ニ依ツテモ測ラレマスガ、其ノ外ニ
  モ利子ノ所得或ハ勤勞所得モアルノデアリ
  やく、是等ニ付テハ國稅ハアリマスケレド
  モ、地方稅ハ之ニ當ルモノガナイノデアリ
  マスカラ、本當ノ意味ニ於テ地方ノ財政力
  ヲ測ルノニハ、此ノ三收益稅ダケデハ公
  平ナ地方ノ團體ノ財政力ヲ測ルコトハ出來
  ナイ、斯ウ云フヤウニ私ハ申シタノデアリ
  マイ、併シ今ノ御說明ニ依ルト、稍〓私ハ了
  解シタト申スノハ、從來ノ說明ト違ツテ居
  ル、詰リ三收益稅ソレ自身ニ凹凸ガアル、
  ソレデ其ノ三收益稅ヲソレダケニシテ置イ
  テハ、地方ノ不均衡ハ非常ニ甚シクナルカ
  ラ、配付稅ノ一部ヲ三收益稅ノ凹凸ヲ直ス
  ヤウニ向ケル、斯ウ云フ御說明デアリマス
  ト、私ノ今日マデノ考ト大分違ツテ、ソレモ
  一ツノ見解トシテ了解ヲ致シタ、斯ウ云フ
  コトヲ申上ゲルノデアリマス、併シ私ハ直
  チニソレニ贊意ヲ表スルコトハ出來マセヌ
  ガ、今日マデ私ガ政府ノ御意見トシテ考ヘ
  テ居リマシタノトハ其ノ點ハ大分違ツテ、
  稍〓政府ノ御考ガ論理的デアルヤウニ思ヒ
  マスカラ、其ノ點ハ其ノ程度ニ止メテ置キ
  タイト存ジマス
  ソレカラモウ一點ダケ御伺シタイト思ヒ
  マイク、是ハ私ハ本會議ノ時モ申上ゲテ大臣
  カラ御說明ガアツタノデアリマスガ、委任
  事務ノ經費ノコトデアリマス、是ハ先程長
  野君デシタカノ御質問ノ中ニモアツタノデ
  アリマシテ、政府ノ御意見デハ、ソレハ或
  種ノ委員會ト申シマスカ、サウ云フ地方ノ
  財政ノ連絡機關ノヤウナモノヲ作ツテ、ソ
  レデ何等カ調整ヲ御圖リニナルヤウナ御考
  デアルト云フコトヲ承ツテ、其ノ點ニ付テ
  相當ナ考慮ヲ寄セテ居ラルルト云フ政府ノ
  御誠意ハ之ヲ認メルコトガ出來ルノデアリ
  マス、併シ私ハ根本ニ遡ツテ、今日ノ地方財
  政ノ增加スル原因ハ何デアルカト云ヘバ
  大部分ニ義務〓育費ト委任事務費デアルコ
  トハ明瞭デアリマス、故ニ適當ナル財源ヲ
  地方團體ニ與ヘテ、地方團體ノ財政力ヲ豐
  ニスルト云フナラバ、ドウシテモ此ノ稅制
  改正ノ前提トシテ委任事務費ヲドウスルカ
  ト云フコトヲ御決定ニナラナケレバナラヌ、
  斯ウ私ハ考ヘテ居ルノデアリマシテ、本會
  議ニ於テ其ノ御質問ヲ申上ゲタラ、內務大
  臣モ其ノ趣旨ハ諒トシテ、ソレ故ニ此ノ度
  其ノ中ノ最モ大キナル所ノ義務〓育費ト、
  連帶支辨金、是等ニ向ツテ國家ノ委任事務
  ノ分界ヲ玆ニ定メタノデアル、斯ウ云フ御
  答辯デアツタ、是ハ洵ニ結構デアリマス、
  併シ旣ニソレマデ御考ニナリマシタナラバ、
  何故ニモウ一步進メテ、此ノ委任事務費ノ
  經費ニ向ツテ國家ガドウ云フ方法デ負擔ス
  ルカト云フコトヲ、一般的ニ御決メニナラ
  ナカツタノデアラウカト思フ、私ハ是ハサ
  ウ困難ナコトデハナイト思フノデアリマス、
  現ニ政府ノ御配付ニナツ夕參考資料ヲ拜見
  シテモ、委任事務費ノ中デ國政事務タル性
  質ヲ特ニ濃厚ニ帶ベルモノト云フノガ府縣
  ニ於テ二億圓、市町村ニ於テ約五億圓アル
  ト云フコトノ參考資料ヲ戴イテ居ルノデア
  リマス、是等ニ付テ最モ濃厚ナモノハドウ
  云フ程度ニ於テ之ヲ分ケルカト云フ根本ノ
  基準ヲ定メタル法令ヲ御出シニナレバソ
  レデ宜イ筈デアルト思ヒマス、政府ハ現ニ
  如何ナル國家ノ事業ヲ御計畫ニナツテモ、之
  ニ伴フ經費ハ必ズ其ノ法案ト共ニ帝國議會
  ニ御出シニナルデハアリマセヌカ、然ラバ
  同ジク國家ノ事務ヲ地方團體ニ命ズル場合
  ニ、其ノ財源ヲ如何ニスルカト云フコトヲ、
  其ノ命令ト共ニ考慮セヌト云フ筈ハナイノ
  デアリマス、詰リ純然タル國家ノ事務ハ勿
  論ノコト所謂濃厚ナ國家ノ委任事務ニ向
  ツテハドウスルト云フ、事務ノ性質ソレ自
  身ニ依ツテドウ云フ工合ニ國家ガ之ヲ負擔
  スルカト云フコトヲ、根本原則トシテ其ノ
  基準ヲ法律ニ依ツテ御定メニナツテ置ケバ、
  必ズシモ一々-義務〓育費ノ如ク、若ク
  ハ警察ノ連帶支辨金ノ如ク一々御定メニナ
  ルコトモ一ツノ方法デアリマセウ、併シナ
  ガラ全體ノ基準ヲ御定メニナツテ置ケバ
  自ラ之ヲ解決スル途ガアルノデハナカラウ
  カ、少クトモ此ノ委任事務費ノ經費ヲドウ
  スルカト云フコトノ前提タルベキモノヲ御
  定メニナラズシテ、地方稅制ノ改正ヲ行ツ
  タト云フコトハ、私ハ根本ニ於テ誤ツテ居
  リハシナイカ、又地方ノ自治團體ノ財源ニ
  向ツテ深キ考慮ヲ加ヘラレレバ加ヘラレル
  程、ドウシテモ此ノ問題ヲ先ヅ以テ解決シ
  テ置カナケレバナラヌノデアラウト思フノ
  デアリマス、是ハ其ノ金額ガ餘リ大キクナ
  ケレバ、ソレハ便宜上或ハ今ノヤウナ連絡
  機關ヲ御作リニナツテ、サウシテ調整ノ途
  ヲ御圖リニナルノモ一ツノ行キ方デアリマ
  セウ、ケレドモ今日ノ委任事務費ハ非常
  ニ多イノデアリマス、而モ統制經濟ガ益〓强
  化サレル今日ノ狀態ニ於キマシテ、委任事
  務費ハ非常ニ殖エル傾向ニナツテ居リマス、
  然ルニ之ヲ放擲シテ、地方制度ノ財政ノ體
  制ヲ御作リニナツテモ、後カラ〓〓崩レテ
  行キハシナイカ、先日來屢〓將來ノ稅制ノ彈
  力性ニ付テ同僚諸君カラ御質問ニナツテ居
  リマスガ、此ノ問題ガ解決シナケレバ、私
  ハドウシテモ地方自治團體ノ財政ノ安固ヲ
  圖ルコトハ不可能デハナイカト深ク考ヘテ
  居ルノデアリマス、此ノ點ニ於テ何故ニ此
  ノ委任事務費ノ財源ヲ考慮セズ、之ヲ如何
  樣ナ方法デ國家ト地方團體ニ於テ分擔スル
  カト云フ分界ヲ定メズシテ、此ノ案ヲ御立
  テニナツタカト云フコトヲ承リタイノデア
  リマス、是ハ私ハ必ズシモ政治的ナ意味ニ
  於テ承ルノデハアリマセヌカラ、寧ロ地方
  局長カラ之ヲ御立案ニナツタ時ノ御精神ヲ
  承レバ宜シイノデアリマス、ドウゾ地方局
  長カラ御說明ヲ承ルコトガ出來レバ便宜カ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=143

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• 144・兒玉秀雄

  ○兒玉國務大臣　先程地方稅制ノ組立方ニ
  付テノ御意見ヲ拜聽シタノデアリマス、私
  ハ御意見ヲ拜聽致シマシテ、實ハ一ツノ新
  シイ御考ヘ方デアルト考ヘテ拜聽致シテ居
  ツタノデアリマス、而シテ今囘提案ヲ致シマ
  シタ立テ方トハ其ノ行キ途ガ稍〓、異ツテ居ル
  コトハ明白デアリマスケレドモ、御話ニナツ
  タ立テ方モ一ツノ組織アル系統的ノ御考ノ
  ヤウニ私ハ拜聽致シタノデアリマス、併シ
  只今地方局長ヨリ、御說明中上ゲマシタ
  通リニ今囘提出致シマシタル稅制
  改正モ一貫シタル方式ニ依リマシテ、國稅
  地方稅ヲ通ジテ稅制改正ノ目的ヲ達成スル
  爲ニ組織致シマシタノデアリマスルカラ、
  其ノ點ヲ篤ト御諒承ヲ願ヒタイト思ツテ居
  ルノデアリマス、サウシテ只今改メテ御質
  問ニナリマシタ件ニ付テハ、私ヨリハ地方
  局長ノ方ガ明瞭ニ御答ガ出來ルカト思ヒマ
  ス、ドウゾ御聽取ヲ願ヒタウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=144

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• 145・挾間茂

  ○挾間政府委員　今只委任事務ト地方財政
  ノ關係ニ付テ御述ニナリマシタコトハ、政
  府當局トシテモ全ク同感ノ意ヲ表スルノデ
  アリマス、地方財政ノ問題トシマシテ大キ
  ナ問題ハ、ヤハリ地方稅制ト一面ニ於キ
  マシテハ國費地方費ノ負擔區分ノ問題、又
  委任事務ノ整理ノ問題デアルト思プノデア
  リマス、唯此ノ委任事務ノ整理及ビ國費地
  方費ノ負擔區分ノ問題ハ、各省ニ亙ル非常
  ニ大キナ問題デアリマス、又委任事務トハ
  申シマスガ、是ハ此ノ前ニモ此ノ委員會デ
  申上ゲマシタト思ヒマスガ、ソレハ畢竟ドノ
  程度ガ國費事務デ、ドノ程度ガ地方ノ事務
  デアルト云フコトノ限界區分ト云フコトガ
  非常ニ困難デアリマス、又其ノ限度ニ於キ
  マシテ、ヤハリソレハ地方ノ事務デアリマ
  スノデ、負擔區分ハ其ノ限度ニ從ツテ幾分
  ガ國費デアリ、幾分ガ地方費デ負擔スベキ
  モノデアルカト云フコトヲ定メテ參ラナケ
  レバナラヌト思フノデアリマス、ソコデ稅
  制改正ノ際ニ於キマシテモ、此ノ問題ハ隨
  分論議致シタノデアリマス、稅制調査會デ
  モ熱烈ナル御意見ガ出マシテ、ソレニ付テ
  此ノ度解決シマシタモノハ、警察費ノ問題、
  或ハ〓員給ノ問題、職業紹介法ニ依ル地方負
  擔ノ問題トカ云フ大キナ問題ハ解決致シタ
  ノデアリマスケレドモ、尙ホ其ノ他ニモ相
  當殘ツテ居ルト思ヒマス、ソレカラ吾々ノ
  懸念シマス所ハ、將來ニ於ケル此ノ問題デ
  アルト思フノデアリマス、是ハ併シナガラ
  御話ノヤウニ、〓括的ニ、一般的ニ、何分
  ノ一ガ國費デアリ、何分ノ一ガ地方費デア
  ルト云フコトハ決メ兼ネル問題デアリマシ
  テ、個々ノ問題、個々ノ事務ニ付テ、其ノ
  負擔割合、負擔區分ヲ定メテ參ラナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマシテ、是ハ將來ニ
  於テハ、政府トシテハ個々ノ問題ニ亙ツテ
  十分〓究ヲシ、負擔區分ヲ決定致サネバナ
  ラヌト考ヘテ居リマス、今囘地方行政連絡
  委員會ヲ設ケルコトニナリマシタノモ、其
  ノ點ガ非常ニ大切ナ動機ニナツテ居ルノデ
  アリマシテ、御述ニナリマシタヤウナ問題
  ニ付キマシテモ、此ノ委員會デ關係各廳ノ
  者ガオ互ニ意見ノ交換ヲシテ、負擔區分ノ
  是正ニ付テ適當ナル標準ヲ定メルト云フコ
  トニ進ンデ參リタイト思ツテ居ルノデアリ
  マス、斯樣ナ考ヲ持ツテ居ル次第デアリマ
  シテ、只今ノ委任事務費ノ問題ニ付キマシ
  テハ、政府トシテモ大ニ御意見ハ諒承致シ
  マシテ、考究ヲ進メテ參リタイト思ツテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=145

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• 146・武田徳三郎

  ○武田委員　尙ホ此ノ點ニ付テ一寸伺ツテ
  置キタイノデスガ、今ノ地方局長ノ御意見
  デハ、其ノ點ハ非常ナ關心ヲ持ツテ居テ、
  順次ニ各委任事務費ノ限界-國庫ノ負擔
  ト地方負擔トノ限度ヲ定メルト云フ御話デ
  アリマシタガ、サウ云フ御方針ダト云フコ
  トダケデハイカヌ、是ハサウユツクリシテ
  居ル問題デハテイト思フノデアリマス、先
  程モ申上ゲル通リ、統制經濟ハ益〓强化シナ
  ケレバナラヌト云フ今日ニ於キマシテハ、
  委任事務費ト云フモノハ、私ハ非常ニ殖エ
  テ來ルト思フノデアリマス、最早今日ニナ
  ツテ議會デソレヲ論議シマシテモ、此ノ案
  ニ向ツテ吾々ノ態度ヲ決メナケレバナラヌ
  コトハ一兩日ニ迫ツテ居リマス、幾ラ論議
  ヲシテ見テモ仕方ノナ話デアル、私ハドウ
  シテモ是ハ此ノ立案ノ前ニ當ツテ御決定ニ
  ナルベキ筈ノモノト思ヒマス、ケレドモ、
  左樣ナ論議ヲ幾ラ重ネテモ仕樣ガアリマセ
  ヌカラ、之ヲドウ云フ方法デ何時マデニ御
  定メニナル見込デアルノデアリマスカ、是
  ハ餘程御考下サツテ早ク御決メ願ヒタイ、
  地方ノ財政ノ安固ヲ圖ルコトハ懸ツテ此ノ
  點ニアルノヂヤナイカト私ハ思フノデアリ
  マス、元來地方ノ財源ト云フモノハ、斯樣
  ナ國費ノ非常ニ增ス場合ニ於テ、地方ノ財
  源ニ適當ナモノガサウアル筈ガナイ、一個
  人ニ於テモサウデアリマス、自分ノ財產ガ
  ナケレバ、其ノ生活費ヲ下ゲルヨリ仕方ガ
  ナイノデアリマス、財產ノアル程度、自分
  ノ創意ヲ以テ色々ナ計畫ヲシ得ル程度ニ
  於テ、自分ノ生活ヲ向上スルコトヲ圖ラ
  ナケレバナラヌノデアリマス、然ルニ此
  ノ生活ノ向上ガ、自主的ノ考デナクシテ他
  ノ意思ニ依ツテ生活ヲ向上シナケレバナ
  ラヌヤウニ順次ニ仕向ケラレテ來ルト云
  フコトデハ、其ノ一個人ハ立行カヌ、
  地方團體ト雖モ之ニ變ルコトハナイノデア
  リマス、之ヲ御決定ニナラズシテ地方財政
  ノ安固ヲ圖ルコトハ、ソレコソ木ニ緣ツテ
  魚ヲ求ムルノ類デアツテ、到底ソレハ不可
  能ノ事デアルト思フノデアリマス、私ハ之
  ヲ一般的ノ原則トシテ其ノ區分ヲ定ムルコ
  トハ出來ルト思ヒマスケレドモ、地方局長
  ハソレハ出來ナイト仰シヤル、サウ云フ水
  掛論ヲ致シテモ仕樣ガアリマセヌガ、然ラ
  バ現ニ玆ニ御定メニナツテ居ル國稅事務タ
  ル性質ヲ殊ニ濃厚ニ帶ベルモノハ相當澤山
  數ガアリマスガ、ドウ云フ方法ニ依ツテ、
  ドウ云フ事務ヲ目標トシテ御定メニナル御
  腹案デアリマスルカ、ソレヲ一ツ承ツテ置
  キタイト思ヒマス

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• 147・挾間茂

  ○挾間政府委員　國費地方費ノ負擔區分ノ
  問題ハ、非常ナ大切ナ問題デアリマスト同
  時ニ、最モ根本ノ問題デアルコトハ私ハ度々
  申上ゲタ所デアリマシテ、只今御手許ニ
  差上ゲテ居リマス現在ノ各種ノ事務ニ付テ
  テノ負擔狀況ヲ調ベマスト、大體其ノヤウニ
  ナルト思フノデアリマス、是モ一應ノ調デ
  ゴザイマスガ、然ラバソレヲ何時如何ニシ
  テ負擔區分ヲ是正スルカト云フコトニナリ
  マスト、是ハ旣ニ旣成ノ一ツノ負擔關係ガ
  出來上ツテ居リマス、御覽ノ通リ義務〓育
  費ノ問題ニシマシテモ、警察費連帶支辨金
  ノ問題ニシマシテモ、過去何年カ〓究ヲ繼
  續シテ漸ク今度實現シタヤウナ狀況デアリ
  マスノデ、玆ニ申上ゲル程度ト致シマシテ
  ハ、出來得ルダケ努力ヲシテ、區分ノ是正
  ニ進ンデ行キタイ、斯ウ申上ゲルヨリ外ハ
  ナイト思ヒマス、併シナガラ將來ノ問題ニ
  付キマシテハ、先程申上ゲマシタヤウナ委
  員會等ニ依リマシテ、十分負擔關係ヲ事務
  的ニ合理的ニシテ參リタイト思フノデアリ
  マシテ、一二ノ例ヲ申上ゲマスト、今囘此
  ノ議會ニ提案ニナツテ居リマス法律ニシマ
  シテモ、例ヘバ國民體力管理法乃至優生法
  ノ如キモノニ於キマシテモ、地方費ノ負擔
  ヲ掛ケナイヤウニ致シマシテ施行スル方法
  ヲ執ツテ居ルノデアリマス、ソレ〓〓必要
  ナル國費ヲ要求ヲ致シテ居ルノデアリマス
  シ、又法律ニ依ラズシテ、最近色々勅令等
  デ事務ヲ委任シマス場合ニ於キマシテモ、
  出來得ル限リ合理的ナル國費ノ負擔モ致シ
  テ、其ノ事務ヲ市町村ニ致サシメルヤウナ
  手段ヲ執ツテ居ルノデアリマシテ、將來ノ
  問題ニ付キマシテハ、斯樣ナル手段方法ニ
  依リ、又既成ノ問題ニ付キマシテモ出來ル
  ダケノ努力ヲ致シタイ、斯ウ考ヘマス

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• 148・武田徳三郎

  ○武田委員　此ノ問題ハ其ノ程度ニ止メテ
  置キタイト存ジマス、尙ホ序ニモウ一ツ伺
  ツテ置キタイコトハ、委任事務ノ限界ヲ定
  メルト云フコトニ關聯致シマシテ、今日ハ
  地方ノ各種團體、若クハ地方自治團體ニ對
  シテモ相當ナ國庫ノ補助ガ段々殖エテ居ル
  ノデアリマスルガ、ソレト今ノ委任事務ノ
  改革ノコトニ向ツテ銳意方法ヲ講ジテオ出
  デニナルト同時ニ、地方ノ補助費ヲ整理ス
  ルコトハ當分困難デアルト云フ御見込デア
  リマスルカ、或ハ又之ニ向ツテモ相當思切
  ツタ整理ヲ加ヘルト云フ御見込デアリマス
  カ、其ノ點ヲ一ツ伺ツテ置キタイト存ジマ
  ス

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• 149・挾間茂

  ○〓間政府委員　是ハ色々ナ中央官廳ニ關
  係ノアル問題ダト思ヒマスガ、此處デ私カ
  ラ申上ゲルノハ負擔區分ニ關係ヲ持チマス
  ヤウナ問題ニ付キマシテハ、成ルベクソレ
  ガ合理的ニ按配セラレルヤウニ、補助費ノ
  問題モ整理シ、增額スベキモノハ增額スル、
  減額スベキモノハ減額スルト云フ方針デ進
  ンデ行キタイト思ヒマス、其ノ他ノ補助費
  ノ問題ニ付キマシテハ、是ハ各省、其ノ他
  大藏當局ニ於ケル財政ノ關係ニナリマスノ
  デ、此處デ私ヨリハツキリト申上ゲ兼ネマ
  スルガ、負擔區分ニ關聯スル問題ニ付キマ
  シテハ、今申上ゲマシタヤウナ方針デ進ン
  デ行キタイト思ツテ居リマス

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• 150・武田徳三郎

  ○武田委員　私尙ホ細カナ點ガ二三アルノ
  デアリマスルケレドモ、他ノ諸君ノ御都合
  モアリマセウカラ、私ハ是デ打切ルコトニ
  致シマズ

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• 151・小山倉之助

  ○小山委員長　長野君、ドノ位掛リマスカ

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• 152・長野高一

  ○長野委員　十五分間位デスガ-私ノ分
  デ殘ツテ居リマス分與稅ノコトヲ御尋シテ
  全部ヲオ終ヒニ致シマス、政府ハ今囘ノ分
  與稅法ノ實施ニ依リマシテ、地方團體ノ財
  政ノ調整ヲ圖ラウトシテ居ラレルノデアリ
  マスルガ、是ハ趣旨ニ於テ至極贊成ノ點デ
  アリマス、併シナガラ此ノ分與稅法ハ極メ
  テ複雜デアリマシテ、法案ヲ一讀致シマシ
  テモ中々難解ナ點ガ多イノデゴザイマス、
  ソコデ私共ノ臆測カモ存ジマセヌガ、斯樣ナ
  難解ノ法文ヲ御立テニナルニ付キマモテハ、
  其ノ裏ニ何カノ根據ニ基イテオヤリニナツ
  タト云フコトガ實ハ想像サレルノデアリマ
  ス、ソレハ何デアルカト申シマスルト、卽
  チ地方ノ各團體ニ例ヘバ配分サレル其ノ數
  字ト云フヤウナモノガ、豫メ當局ニ於カレ
  テハモウ豫想ガ出來テ居ルノダト思ハレル、
  斯樣ナ難解ナ法文ヲ御示シニナリマシテハ、
  一方。審議ノ便ノ上カラ其ノ豫想サレテ居ル
  數字ヲ御示ニナルコトガ、私ハ議事ノ進行
  ノ上カラ申シマシテモ、極メテ適切ナル方法
  デアリ、親切ナルヤリ方デアルト存ジマシ
  テ、先日來屢〓之ヲ要求シタノデアリマシ
  タガ、幸ニ昨日頃ニ至リマシテ漸ク其ノ一
  部分ヲ御示ニナリマシタノデ、私共ガ考ヘ
  テ居リマシタ或ル程度ノ不安モ一掃サレタ
  ノデアリマス、又心配致シテ居リマシタ所
  ガ一片ノ杞憂ニ過ギナイト云フコトモ玆ニ
  分ツタノデアリマス、併シ尙ホ其ノ點ニ付
  キマシテ二三御伺致シマシテ、自分ノ不明
  ノ點ヲハツキリサシタイト考ヘテ居リマス、
  卽チ第十條ノ規定ニ於キマシテ、配付稅ハ
  道府縣ト市町村ノ配分割合ハ百分ノ六十二
  ト百分ノ三十八ト云フコトニナツテ居ルノ
  デゴザイマス、然ルニ第四十九條ノ規定ニ於
  キマシテハ、昭和十五年度ハ府縣ガ百分
  ノ六十四、町村ガ百分ノ三十六、ソレカラ
  又翌年卽チ十六年度ニ於キマシテハ府縣ガ
  百分ノ六十五、市町村ガ百分ノ三十五ト云
  フコトニナツテ居リマシテ、市町村方面カ
  ラ申シマスルト、其ノ配分率ガ著シク減額
  サレテ居ルノデアリマス、併シナガラ是ハ
  計算上ノ結果斯ウ云フコトニナルノデアツ
  テ、何等政策的ノ意味ヲ含ンデ居ラヌト云
  フコトニ解釋ヲシテ宜シイノデアリマスカ、
  其ノ點ヲ御伺シタイノデアリマス

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• 153・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ分與稅法案ハ非常ニ
  法文ガ複雜ニナツテ居リマスケレドモ、理
  論トシテハ簡單ナノデアリマス、計數的ノ
  コトヲ條文ニ現スト致シマスト、ドウシテ
  モ斯ウ云フ風ニ複雜ニナルノデアリマス、
  豫想ノ數字ハ實ハ各町村。ニ付テハ出來ナイ
  ノデ、六大都市ノ數字ヲ本日差上ゲマシタ
  ケレドモ、是モ大體ノ見込デ、實際ニ算盤
  ヲ當ツテ見マスト、多少ノ算盤ノ狂ヒガ出
  テ來ルカトモ存ジマス、ソレカラ第四十九
  條デ經過的ニ率ヲ變ヘテ居リマス、六十二
  ヲ六十四ニシ、又六十五ニ致シテ居リマス
  ノハ、十五、十六兩年度ハ平年度化シタ額
  デナイノデアリマシテ、言葉ヲ換ヘテ申シ
  マスト、十五、十六年ハ舊稅法ニ依ル過年度
  收入ガ一億九千万圓バカリアルノデアリマ
  ス、ソレガ府縣ト市町村トニ入ツテ參リマ
  ス、此ノ過年度收入額ノ相違ガアリマスノ
  デ、之ヲ數字的ニ算盤ヲ彈キマスト斯ウ云
  フ數字ニナル譯デアリマシテ、玆ニハ何モ
  政策的ナ意味モ何モナイ、是デ平年度ニ於
  ケル六十二ト三十八ト云フ數字ニピツタリ
  合フ譯デアリマス

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• 154・長野高一

  ○長野委員　極メテ明白ナ御答辯ヲ戴キマ
  シテ非常ニ有難ウゴザイマシタ、次ニ御尋
  致シタイ點ハ第五十六條ノ規定デアリマス
  ガ、本法案ヲ通覽致シマスルニ、配付稅ノ
  分與方法ト致シマシテハ、先ヅ財政事情ノ
  共通シタ所ノ地方團體ヲ一括致シマシテ、
  道府縣、大都市、都市、町村ノ四「ブロック」
  ニ區分ヲシマシテ、各「ブロック」每ニ配付
  稅額ヲ算出決定スル仕組ニナツテ居ルノデ
  アリマス、然ル所第五十六條ノ經過規定ニ
  依リマシテ、折角各「ブロック」每ニ算出決
  定シタモノヲ、更ニ打壞シテ他ノ「ブロツ
  〃ニ融通セシムルト云フコトニナツテ居
  ルノデアリマス、而モ是ハ慥カ五箇年ノ長
  期ニ亙ルモノト存ジテ居リマスルガ、サウ
  云フコトニナルト折角ノ「ブロック」每ニ額
  ヲ算出スル仕組ニナツテ居ル根本精神ヲ、
  自ラ破壞スルト云フコトニナルノデアリ
  マシテ、此ノ點ハ聊カ自家撞著ニ陷ルノ
  デハナイカト云フ感ガアルノデアリマス、
  若シ當局ノ言ハレマス通リ、之ニ依ツテ或
  ル方面ノ歲入ノ激減ヲ防ガントスルト云フ
  コトデアリマスナラバ、是ハ地方分與金特
  別會計法ニ依リマシテ借入金ヲ以テ之ヲ一
  時補塡シテ、其ノ補塡額ハ總額ニ於テ制限
  ヲ加ヘテ置クト云フヤウナ方法モアルノヂ
  ヤナイカト考ヘルノデアリマス、此ノ點ハ
  先頃ノ此ノ委員會ニ於テ私關聯質問トシテ
  御尋シタノデアリマスガ、十分ナル御答辯
  ヲ得マセヌデシタカラ御尋スル次第デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=154

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• 155・挾間茂

  ○挾間政府委員　此ノ第五十六條、第五十
  七條ハ三「ブロック」ニ對スル割當ノ經過規
  定デアリマスガ、是ハ實ハ第五十九條以下
  ニ於キマシテ各大都市、各中小都市、ソレ
  カラ各町村ニ於テ經過的ノ負擔ノ激減緩和
  ノ暫定措置ヲ致シマス必要上、此ノ三7
  ロック」ニ對シテ配付スベ配付稅ノ額ニ付
  キマシテモ、其ノ年度間ノ經過的調整ヲ致
  シテ置カナケレバナリマセヌノデ、此ノ規
  定ヲ設ケテアル次第デアリマス

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• 156・長野高一

  ○長野委員　只今ノ問題ニ付キマシテハ、
  何ト申シマスルカ、考ヘ方ノ相違ト申シマ
  スルカ、十分ニ諒解致シ兼ネルノデアリマ
  スガ、議事ノ進行上次ノ問題ニ移リタイト
  思ヒマス
  最後ニ御尋致シタイト存ジマスルコトハ、
  卽チ第六十二條ノ規定デアリマスガ、此ノ
  乘率ノ問題ハ此ノ案ニ依リマスルト、昭和
  十五年度カラ十九年度ニ至ル五箇年ノ長キ
  ニ亙リマシテ、每年度百分ノ五ノ開キヲ以
  テ、舊稅額ニ對スル增收額ヲ標準トシテ改
  正後ニ於ケル稅收入ヲ抑ヘントシテ居ルヤ
  ウニ見受ケラレルノデアリマス、卽チ百分
  ノ五以上ノ增收ガアリマシタ場合ニハ、其
  ノ超過シタ所ノ額ノ三分ノ二ハソレ〓〓配
  付額カラ減額サレルト云フ風ニ解釋致シテ
  宜シイデアリマセウカ、此ノ點御說明ヲ求
  メマス

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• 157・三好榮次郎

  ○三好政府委員　失禮デスガ、一寸聽キ漏
  ラシマシタガ···

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• 158・長野高一

  ○長野委員　此ノ第六十二條ノ乘率ノ問題
  デアリマス、是ハ此處ニモ出テ居リマスル
  通リ、昭和十五年度カラ十九年度ノ五箇年
  間ニ於キマシテ-是ハマア經過規定デア
  リマセウガ、每年度百分ノ五開キト云フコ
  トニナツテ居リマス、是ハ要スルニ自然增
  收ヲ見越シテ斯ウ云フ風ニ揭ゲラレタノデ
  ハナイト云フ風ニ考ヘルノデアリマスガ、サ
  ウデナイデセウカ、更ニ若シ是ガ百分ノ五ヲ
  超過致シマシタ場合ハ、卽チ增收ガアツタ
  場合ニハ、其ノ增收分ノ三分ノ二ヲソレ〓〓
  配付額カラ減額ヲスル、卽チ之ヲ何處カ外
  ニ持ツテ行クノデハナイカ、增收ノアツタ
  分カラ外ニ取上ゲテ持ツテ行クノデハナイ
  カト云フ風ニ解釋サレ易イノデアリマスガ、
  實際ノ眞意ハサウ云フ所ニアルノデアリマ
  スカ、御尋致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=158

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• 159・三好榮次郎

  ○三好政府委員　第六十二條ノ制限ノ問題
  ハ、第六十三條ト併セテ實ハ御覽ヲ願ヒタ
  イノデアリマス、第六十二條ニ於テ制限ヲ
  致シマスノハ、此ノ率ニ段階ヲ付ケテ居リ
  マスガ、自然增收ヲ抑ヘル意味デハゴザイ
  マセヌ、稅制ノ改正ニ依リマシテ增收ノア
  リマス所ノ增收分ヲ或ル限度ニ於テ制限シ
  テ行ク、ソレヲ五箇年間ニ段々濟シ崩シニ
  制限シテ行ク、斯ウ云フ趣旨デアリマス、
  其ノ制限ニ依リマシテ出マシタ額ハ、第六
  十三條ニ依リマシテ減收ヲ生ズル團體ニ持
  ツテ行ツテ、第六十三條ノ一一項ノ規定ニ依リ
  マシテ、ソレニ餘リマス金ハ又元ニ還リマ
  シテ、人口ニ按分シテ分ケルト云フヤウニ
  複雜ニ相成ツテ居リマスガ、兎ニ角稅制改
  正ニ依リマシテ稅收入ガ急激ニ殖エルト云
  フコトヲ第六十二條デ制限スル、而シテ制
  限ニ依ツテ出マシタモノハ一應第六十三條
  ノ規定ニ依ツテ減收ノ極端ニ來ル團體ニ割
  當テル、殘リマシタモノハ一般原則デ再分
  與スル、斯ウ云フ風ニ致シテ居ル譯デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=159

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• 160・長野高一

  ○長野委員　只今ノ御說明デ稍〓了解ガ出
  來タノデアリマス、サウ致シマスト、此ノ
  百分ノ五ノ開キト云フモノハ自然增收デハ
  ナイ、斯ウ云フコトデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=160

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• 161・三好榮次郎

  ○三好政府委員　趣旨トシマシテハ自然增
  收ヲ抑ヘル趣旨デハゴザイマセヌ、稅制改
  正ニ依ル增收ヲ抑ヘル、斯ウ云フ意味デア
  リマス、其ノ抑ヘ方ハ每年百分ノ五ヅツ緩
  メテ行ク、斯ウ云フコトニ相成ルノデアリ
  ママ、併シナガラ自然增收ガゴザイマスレ
  バ、自然此ノ規定ニ依リマシテ其ノ限度ニ
  於テ抑ヘラレルト云フ結果ニ相成リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=161

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• 162・長野高一

  ○長野委員　結局御話ヲ聽イテ見マスルト、
  自然增收ヲ抑ヘルト云フコトニナルト思ヒ
  マイク更ニ自然增收ナリ此ノ稅制改革ニ依
  ツテ著シク增收ノアル場所カラ之ヲ取上ゲ
  テ少イ所ニ配分スル、是ハ非常ニ趣旨ニ於
  テ結構デアリマスガ、サウ致シマスト現在
  ノ實情ヲ多少無視シタト云フ嫌ヒモアルカ
  ニ思ハレルノデアリマス、ト申シマスルノ
  ハ旣ニ當局ニ於テモ能ク御承知ノ通リデ
  アリマスルガ、一體全國平均ノ自然增收率
  ト云フモノハドレ位ニナツテ居リマス
  カ、昨日モ私ガ喧シグ御要求致シマシタケ
  レドモ、御答辯ガナカツタノデアリマスル
  カラソレヲ知ルコトガ出來マセヌガ、併シ
  大都市ニ於ケル自然增收ハ、ソレ〓〓財務
  當局ノ發表スル數字ニ依リマスルト、約一
  割前後ト云フコトニナツテ居ルノデアリマ
  スルカラ、少クトモ六大都市ニ於キマシテ
  ハ百分ノ五デ抑ヘラレルト云フコトハ聊カ
  迷惑デアル、更ニ御承知ノ通リ大都市ニ於
  テハ地方ノ農村ト違ヒマシテ、或ハ銃後ノ
  施設ニ致シマシテモ、或ハ傳染病ノ關係施
  設ニ致シマシテモ、小學校費ニ致シマシテ
  モソレ〓〓臨時ニ所謂追加豫算ノ財源ヲ必
  要トスル事業ガ多々アルノデアリマスルカ
  ラ、是ハ畫一的ニ百分ノ五デ御抑ヘニナル
  トソコニ無理ガアルノデハナイカ、サウ云
  フ現地ニ於テ相當收入ノアル所ハ、自然ノ
  儘ニシテ相當ノ額ヲ御認メニナルコトガ實
  際ニ適應シタモノデナイカト云フ考ヲ持ツ
  ノデアリマス、此ノ點ヲ最後ニ一ツ伺ヒマ
  ス

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• 163・三好榮次郎

  ○三好政府委員　是ハ此ノ限度ニ於キマシ
  テ制限ヲ致スノデハゴザイマセヌデ、之ヲ
  超エマシタモノノ三分ノ二ノ額ヲ制限ヲ致
  シテ居ルノデゴザイマスカラ、隨ヒマシテ自
  然增收ヲ十トカ十五ノ程度ニ抑ヘルト云フ
  程度ニハ相成ラヌト云フコトヲ一ツ御考ヲ
  願ヒタイノデアリマス、ソレカラモウ一ツ
  御考ヲ願ハナケレバナリマセヌ問題ハ、此
  ノ舊稅額トハ何デアルカト申シマスト、第六
  十四條ノ規定ニ依リマシテ昭和十三年度ニ
  於ケル稅額ヲ押ヘテ居リマス、隨ヒマシテ
  第六十二條デハ比較的制限ヲ受ケマス代リ
  二、第六十三條デ減收ヲ來ス所ヘ持ツテ行
  ク金ガ比較的少クナル、其ノ結果第六十三
  條ノ二項デモウ一遍人口割ニ再分與スル額
  ガ相當出テ來ル見込デゴザイマス、其ノヤ
  ウニ兩方ノ規定ヲ併セテ適用シマシタ結果
  ハ第六十二條ノ規定ノ表面カラノミ來ル
  結果トハ大分違ツタモノニ相成ルト想像致
  スノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=163

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• 164・長野高一

  ○長野委員　サウ云フコトデアリマルト、
  必ズシモ將來實際問題トシマシテ、自然增
  收ノ多イ場所ニ於キマシテハ此ノ百分ノ五
  ノ規定、卽チ第六十二條デ抑ヘラレルノデ
  ハナイト云フ風ニ考ヘテ宜シイデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=164

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• 165・三好榮次郎

  ○三好政府委員　具體的ニ算盤ヲ當ツテ見
  マセヌト、只今ノ御尋ハハツキリシタ結論
  ヲ得難イノデアリマスガ、唯規定ノ上カラ
  見マスト結局配付稅額ノ澤山行ク團體、六
  大都市ナラバ京都トカ橫濱トカサウ云フ所
  ガ、配付稅ニ於テ比較的經過年度强イ制限
  ヲ受ケル、サウ云フコトガ考ヘラレルノデ
  アリマス、隨ヒマシテ獨立財源ニ於ケル自
  然增收ガ之ニ依ツテヒドク抑ヘラレルト云
  フコトハ勿論起ラナイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=165

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• 166・長野高一

  ○長野委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=166

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• 167・小山倉之助

  ○小山委員長　靑木君ガ關聯シテ質問ヲ要
  求シテ居リマスカラ之ヲ許シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=167

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• 168・青木一男

  ○靑木委員　只今ノ質問ニ關聯シテ御伺致
  シマスガ、今御質問ニナリマシタ經過規定
  ノ中デ、新稅額トカ舊稅額トアリマスガ、
  新稅額ト云フノハ前ノ單位稅額ト云フ分ハ
  其ノ縣デ徵收スル、或ハ其ノ市町村デ徵收
  スルモノデハナクテ、百分ノ百乃至ハ百分
  ノ二百ヲ以テヤル譯デアルガ、併シナガラ
  經過規定デハ、新稅額ト云フモノガドウ云
  フモノデアルカト云フコトハ規定シテナイ
  ヤウニ思ヒマスガ、新稅額トハ一體ドウ云
  フモノヲ指スノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=168

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• 169・三好榮次郎

  ○三好政府委員　單位稅額ノ計算ニ付キマ
  シテハ、個々ノ團體ノ課稅力ノ測定デゴザ
  イマスカラ、實際ニ取ツテ居リマス稅額ト
  ハ無關係ニ算定ヲ致シマセヌト不公平ヲ生
  ジマス、隨ヒマシテサウ云フ規定ニ致シテ
  居ルノデアリマス、此ノ新稅額ト舊稅額ノ
  問題ニ付キマシテハ、是ハ單位稅額ノ算定
  ト異ナリマシテ、各種ノ獨立稅等モ加算致
  スノデアリマス、三收益稅ノ附加稅ニ付テ
  ハ、制限率或ハ標準率ニ依ツテ算定致ス積
  リデアリマス、ソレハ命令ニ依リマシテ其
  ノ內容ヲ規定致スノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=169

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• 170・青木一男

  ○靑木委員　此ノ新稅額ト舊稅額ヲ今命令
  ニ依ツテ規定スルト云ハレルガ、其ノ命令
  ニ依ルト云フコトハ、何處カ條文ニ現ハシ
  テアルノデゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=170

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• 171・三好榮次郎

  ○三好政府委員　方々ニアリマスガ、例へ
  バ大都市ノ配付稅ニ付テ申シマスト、第六
  十四條ノ二項ニ規定ヲ致シテ居リマス

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• 172・青木一男

  ○靑木委員　サウシマストソレニ關聯シテ
  又御伺シテ見タイト思ヒマスガ、此ノ度十
  億三千二百万圓ト云フ總額ヲ決メラレマシ
  タ計算ヲ見マスト、此ノ還附稅竝ニ地方ノ
  附加稅ハ限度マデ、卽チ府縣ハ百分ノ百、
  市町村ハ百分ノ二百、大體ソレニ相當スル
  位ノ金額ハ計算サレテ居ルヤウニ思ヒマス、
  併シ百分ノ百竝ニ百分ノ二百ト云フコトハ
  制限デアリマシテ、別段ソレダケ全部各團
  體ガ取ラナケレバナラヌト云フモノデハナ
  イ、所ガ今囘ノ計算ハ之ヲ最高限マデ取ツ
  タ場合ヲ豫想シテ、計算ヲ立テテ居ラレル
  ヤウニ思フノデアリマス、サウシテ其ノ計
  算ハ自然增收ト云フモノヲ見込ンデ立テテ
  居ラレル、自然增收ヲ見込ンダ結果十億三
  千二百万圓ニナルト云フ御見込デアリマス、
  所ガ此ノ經過規定ヲ見マスト舊稅額ヨリ
  割以上ニナルソレ等ノ分ハ一應取上ゲ
  テ、舊稅額ニ足リナイモノニ廻スト云フコ
  トニナツテ居リマス、サウスルト或ル團體
  ガ今度ノ新稅額ニ於テ、百分ノ百乃至ハ百分
  ノ一一百取ラナイヤウナモノガ出來ル、少ク
  トモ百分ノ九十、百分ノ百五十ト云フヤウ
  ナ比率ヲ以テヤツテ行クモノガ出來マシタ
  場合ニハ、其ノ團體ハ成程稅外收入ガ多
  て其ノ他又今囘ノ稅ノ改正ニ依リマシテ、
  非常ニ惠マレタ團體デアルガ故ニ、ソレ
  ダケ取ル必要ガナイト云フコトニ依ツテ、
  ソレダケ取ラナイト云フコトニナリマス
  ト-今囘ノ總稅ヲ押ヘラレタモノハ、大體
  今申上ゲタヤウニ自然增收ヲ見込ンデヤツ
  テ居ラレマスノデ、ソレダケヲ各團體ガ減
  ラシテ參リマスト、ドレカノ惠マレタ團體
  ダケガズツト減ツテ來ルト云フコトニナリ
  マス、サウスルト結局全團體ノ總計額ヲ算
  盤ニ入レテ見マスト、十億三千二百万圓ニ
  ハナラナイノデハナイカ、サウシマスト成
  程配付稅ヲ行フ上ニ於キマシハ、前ニ申シ
  マシタヤウニ單位稅額ヲ實際ニ賦課シテ居
  ル所ノ附加稅ニ依ラズシテ、百分ノ百乃至
  百分ノ二百ニ依ツテヤツテ居ルノデアルカ
  ラ、配付稅ヲ行フ上ニ於テハ其ノ團體ガ
  ドレ位ノ附加稅ヲ課スルカドウカト云フコ
  トハ問題デハナイガ、併シナガラ全各團體
  ノ總稅收入ヲ合計致シマスト、今マデ當局
  ノ說明セラレマシタ十億三千二百万圓ヨリ
  幾許カ減少スル、卽チ惠マレタ團體ハ減
  少シテモチツトモ痛苦ヲ覺エナイ、併シ結
  局ハソレダケ減ル、サウシテソレガ減少シ
  テモ良イ〓體ハ宜イガ、總額ガ丁度自然增
  收ニ堪ヘルダケノ經費トシテ政府ガ押ヘラ
  レタ十億三千二百万圓ハ、賦課シテ十分ニ
  シテ必要ナル數字デハアリマスケレドモ、
  併シナガラ實際ニ稅收入トシテ現ハレルモ
  ノハ、ソレヨリカ幾許カ減少シタモノニナ
  リハシナイカ、殊ニ今日配付セラレマシタ
  數字ヲ見マシテモ、六大都市ノ如キハ可ナ
  リ惠マレタ數字ニナツテ居ル、是等ニ致シ
  マシテモ或ハ附加稅ノ最高限ヲ課スルカド
  ウカト云フコトハ、是ハソレ〓〓ノ團體ニ於
  テ考ヘラレルコトダラウト思ヒマス、サウシ
  マスト今言フヤウニ數字ノ上ニ於テ、一團
  體ニ五百万圓位ノ差ガ出テ來ルコトハイト
  易イコトデアリマス、之ヲズツト合計致シ
  マスト十億三千二百万圓ハ、或ハ五千万圓
  或ハ一億圓マデ位ノ差ガ出テ來ルカドウカ
  分リマセヌガ、相當ノ數字ガ出テ來ルダラ
  ウト考ヘラレマス、サウスルトソレハ貧弱
  ナル方面ニ流レテ行ク、其ノ分與稅ニ依ツ
  テ受クル所ノモノハ、計算ニ於テハ增減ハ
  アリマセヌケレドモ、政府ノ思ハレタヤウ
  ニ總額ガ十億三千二百万圓ニハナラナイヤ
  ウナ結果ニナルト云フコトデ、何處カ思ツ
  タヨリモ滿足シナイ所ガ出テ來ルノデハナ
  イカト云フコトガ想像サレマスガ、此ノ點
  ハ如何デアリマス

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• 173・三好榮次郎

  ○三好政府委員　十億三千二百万ト云フ數
  字ハ、實ハ改正後ニ於テ取リマス稅額トハ
  事實多少違フト思ヒマス、是ハ還付稅ノ關
  係デ違フト思ヒマスガ、混亂ヲ防ギマス爲
  ニ十億三千二百万圓ト云フモノハ改正ノ對
  象トナル數字デアルト致シマシテ、其ノ數
  字ハドウ云フ意味ヲ持ツテ居ルカト申シマ
  スト、地方稅ノ改正ノ目標トナリ對象トナ
  ル數字トシテ、全國總體ニ付テ定メマシタ
  數字デアリマス、隨ヒマシテ稅制改正ノ計
  畫ト致シマシテハ三收益稅附加稅ハ百分
  ノ百或ハ百分ノ二百取ルモノト云フ前提
  ノ下ニ、十億三千二百万圓ノ算盤ニ合ハシテ
  居リマス、併シナガラ現實ニ各團體ガ昭和
  十五年度ニ十億三千二百万圓取ラナケレバ
  ナラヌト云フ意味デ決メタモノデハゴザイ
  マセヌカラ、現實ニ此ノ地方稅制ガ運用サ
  V、各團體ガ條例ニ依ツテ自己ノ團體ノ稅
  制ヲ組立テルト云フ結果ハ、或ハ十億三千
  二百万圓ヲ超エルコトガアルカモ知レマセ
  又、同時ニ又此ノ十億三千一一百万圓ヲ割ル
  コトガアルカモ知レマセヌ、是ハ此ノ十億
  三千二百万ト云フ數字ヲ定メマシタコトト
  ハ無關係ナル問題デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=173

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• 174・青木一男

  ○靑木委員　大體御說明ハ了解致シマシタ
  ガ、各團體ガ十億三千二百万圓ヲ是非トモ
  必要トシテ計上スルカドウカト云フコトガ
  分ラナイコトハ尤モデアリマスガ、私ノ懸
  念致シマスコトハ十分ナ團體ハ幾ラカ減
  ル、併シナガラ不足スル所ノ團體ニ交付セ
  ラレルモノガ、十分ニ行カナイ結果ニナル
  ノデハナイカ、卽チ改正案ニ依ツテ惠マレ
  タル團體ガ、最高限マデ附加稅ヲ課シナイ
  ト云フ結果生ジタ其ノ差額程、其ノ團體ダ
  ケガ差控ヘタフデハナクシテ、實ハソレガ
  總額的ニ見ルナラバ、惠マレザル團體ニ取
  ツテハソレダケ財政上ノ壓迫ヲ意味スルモ
  ノニナルノヂヤナイカ、卽チ經過規定ニ於
  テ百分ノ八十以下ニナル、或ハ百分ノ九十
  以下ニナルモノニ對シテハ之ヲ補充スルト
  云フ規定ガアリマスケレドモ、併シソレハ
  不足シタ分ヲ全部ヤルト云フノデハナクシ
  テ、ソレヲ基準トシテ按分比例的ニ之ヲ補
  充シテヤルノダト云フコトニナルノデ、結
  論ニ於テハ只今申シマスヤウニ總額ニ於テ
  幾許カ足リナイ、若シ仰シヤルヤウニ十億
  三千二百万圓ヨリ超過スルヤウナ結果ニナ
  ツタ場合ニ、ソレガ惠マレタル都市ガ百分
  ノ百マデ取ツテ大イニ施設ヲスベシト云フ
  コトニ依ツテ十億三千一一百万圓ニナツタノ
  ナラバ宜イケレドモ、サウデナイ、惠マレ
  ザル團體ガ是ヂヤ足リナイカラト云フノデ
  早速百分百以上ノ、詰リ制限以上ノ課率ヲ
  課スルコトヲ許可ヲ御願シテ、ソレニ依ツ
  テ漸ク其ノ不足額ヲ滿シタト云フヤウナ結
  果ニナルヤウナ憂ハナイカト云フコトヲ御
  伺シタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=174

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• 175・三好榮次郎

  ○三好政府委員　御尤モデゴザイマス、是
  ハ稅制全體ニ付テノ考ガ斯ウ云フ風ニ致シ
  テ居ルノデアリマス、卽チ各團體トモ通常
  ノ人並ノ經理ヲ致シマスルナラバ、三收益
  稅ニ付テ言ヘバ百分ノ百、百分ノ二百ト云
  フ程度ノ附加稅ヲ徴收スレバヤツテ行
  ケルヤウニスル、併シナガラ地方自治
  ヲ認メマス以上ハ、或ル團體ニ於テハ多少
  負擔ハ高クテモ仕事ヲ澤山ヤツタ方ガ宜
  イ、或ハ仕事ハ少クテモ宜イカラ負擔ガ輕
  イ方ガ宜イト云フ風ナ、自治ノ方針ヲ
  立テル團體ガアリ得ル譯デアリマス、
  過去ニ於テモ現ニサウ云フ風ニ相成ツテ居
  ルノデアリマス、隨ヒマシテサウ云フ團體
  ニ於キマシテハ百分ノ百或ハ百分ノ二百ト
  云フ標準率ヲ超エテ高イ稅ヲ取ル團體、或
  ハソレヨリモ少イ稅デ濟ム團體、サウ云フ
  モノガ置カレルト云フコトニナラナケレバ、
  負擔ノ衡平ハ却テ期セラレナイノデアリマ
  ス、隨ヒマシテ御心配ニナツテ居リマスヤ
  ウナ此ノ改正案施行ニ依ツテ減收ヲ來スト
  云フ風ナ所ハドウ云フ所デアルカト云フト、
  從前比較的施設ヲ多ク致シテ居リマシテ、
  稅金ガ割ニ高クナツテ居ルト云フ所ニ相成
  ルカト思フノデアリマス、サウ云フ團體ニ
  於キマシテハ此ノ案ガ施行サレマシテモ、
  餘所ヨリハ幾ラカ高イ稅ヲ取ツテ賄ヒヲ付
  ケテ行クト云フ風ニ致サナケレバ相成ラヌ
  ノデアリマシテ、サウナルコトガ却テ負擔
  ノ均衡ヲ期スル所以デアル、斯ウ云フヤウ
  ニ考ヘルノデアリマスガ、サウ云フ風ニナ
  ツテ居ルカドウカト云フコトニ付テハハ
  ツキリシタ表ガ出來テ居ラナイノデアリマ
  スカラ申上ゲニクイノデアリマスガ、六大
  都市ノ表ヲオ目ニ掛ケマシタガ、是等カラ
  多少御判斷下サイマシテモ、或ル程度サウ
  云フコトガ現ハレテ居ルト云フコトニナル
  ト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=175

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• 176・青木一男

  ○青木委員　只今ノ御答辯ニ依リマスト、
  結局政府ガ百分ノ百竝ニ百分ノ二百ヲ府縣
  竝ニ市町村ノ最高限度、ソレ以上ハ許可ヲ
  要スルト云フコトニセラレマシタコトハ、
  ソレヲ制限トシタノデナクシテ、ソレガ丁
  度標準デアル、大體ニ於テ百分ノ百竝ニ百
  分ノ二百ヲ中心點トシテ、全國ノ團體ガ或
  ハ上ニ或ハ下ニナルノデアル、ダカラ其ノ
  標準ヨリ以上ニ取ルヤウナモノハ許可ヲ要
  スルガ、併シ標準ヨリ以上ニナツタカラト
  云ツテ決シテソレハ不都合ナモノデアル、
  負擔ノ均衡ヲ害スルモノデアルトハ決シテ
  考ヘテ居ラナイ、卽チ百分ノ百、百分ノ二百
  ハ其ノ「レベル」デアツテ、ソレヲ中心トシ
  テ上下スベキモノデアルト云フ所ノ御見解
  カラ拵ヘラレタモノデアルト云フヤウニ承
  リマシタガ、ソレデ間違ヒアリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=176

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• 177・三好榮次郎

  ○三好政府委員　其ノ通リデアリマス、第
  四十六條或ハ第六十一條ノ規定ヲ御覽下サ
  イマスト、是ハ制限トカ、或ハ超エテハイ
  ケナイト云フ文句ハ使ツテゴザイマセヌ、之
  ヲ超エル時ハ許可ヲ受ケロト云フコトニ致
  シテアルノデアリマシテ、是ハ現行ノ制限
  外課稅制度ノ整備擴充ヲシタ、サウシテ此
  ノ三收益稅ノ附加稅ヲ地方ノ獨立財源ノ中
  心ニシ、之ニ依ツテ財政ノ自主性ト云フモノ
  ヲ持タセヨウ、伸縮性ヲ持タセヨウ、斯ウ
  云フ考カラ出テ居ルノデアリマシテ、全ク
  御覽ノ通リニ出來テ居ルノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=177

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• 178・小山倉之助

  ○小山委員長　本日ハ是ニテ散會致シマス、
  明後日ハ午前十時ヨリ開會致シマス
  午後七時散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007511582X00619400309&spkNum=178