1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十五年二月八日(木曜日)
午後一時二十五分開議
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議事日程 第八號
昭和十五年二月八日
午後一時開議
第一 昭和十五年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辨の爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第三 職員健康保險特別會計法案(政府提出) 第一讀會
第四 作業會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 造幣局東京出張所の廳舍、工場其の他の建物及其の附屬設備の新營擴張に要する經費に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 昭和十三年法律第五十三號中改正法律案(印刷局据置運轉資本補足に關する件)(政府提出) 第一讀會
第七 所得税法改正法律案(政府提出) 第一讀會
第八 法人税法案(政府提出) 第一讀會
第九 特別法人税法案(政府提出) 第一讀會
第十 配當利子特別税法案(政府提出) 第一讀會
第十一 外貨債特別税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 相續税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十三 建築税法案(政府提出) 第一讀會
第十四 鑛區税法案(政府提出) 第一讀會
第十五 臨時利得税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十六 營業税法案(政府提出) 第一讀會
第十七 地租法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十八 酒税法案(政府提出) 第一讀會
第十九 清涼飮料税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十 砂糖消費税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十一 織物消費税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十二 揮發油税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十三 物品税法案(政府提出) 第一讀會
第二十四 遊興飮食税法案(政府提出) 第一讀會
第二十五 取引所税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十六 通行税法案(政府提出) 第一讀會
第二十七 入場税法案(政府提出) 第一讀會
第二十八 印紙税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十九 骨牌税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十 狩獵法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十一 明治四十四年法律第四十五號中改正法律案(砂糖消費税織物消費税等の徴收に關する件)(政府提出) 第一讀會
第三十二 大正九年法律第五十一號中改正法律案(内地臺灣又は樺太より朝鮮に移出する物品の内國税免除に關する件)(政府提出) 第一讀會
第三十三 支那事變特別税法及臨時租税増徴法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三十四 營業收益税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三十五 資本利子税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三十六 法人資本税法廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第三十七 臨時租税措置法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
裁判所構成法改正法律案
提出者
野田文一郎君 作田高太郎君
今成留之助君 池田清秋君
眞鍋勝君 南雲正朔君
高橋義次君 手代木隆吉君
西田郁平君 中山福藏君
菊池良一君 村松久義君
内藤正剛君 松永東君
服部英明君 原玉重君
森田重次郎君 田村秀吉君
岡本實太郎君 牧野賤男君
牧野良三君 名川侃市君
世耕弘一君 津原武君
清瀬一郎君
檢察廳法案
提出者
野田文一郎君 作田高太郎君
今成留之助君 池田清秋君
眞鍋勝君 南雲正朔君
高橋義次君 手代木隆吉君
西田郁平君 中山福藏君
村松久義君 菊池良一君
内藤剛正君 松永東君
服部英明君 原玉重君
森田重次郎君 田村秀吉君
岡本實太郎君 牧野良三君
牧野賤男君 世耕弘一君
津原武君 清瀬一郎君
名川侃市君
昭和十四年農林省令第四十五號改正に關する建議案
提出者 馬岡次郎君
傷痍軍人内地療養者に對し書状葉書に限り無料郵便物取扱規程制定に關する建議案
提出者 馬岡次郎君
(以上二月六日提出)
樽見金澤間鐵道敷設に關する建議案
提出者
箸本太吉君 大野伴睦君
官幣中社赤間宮昇格竝神域擴張に關する建議案
提出者
西川貞一君 國光五郎君
(以上二月七日提出)
一去六日米内内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
司法省刑事局長 黒川渉
第七十五囘帝國議會司法省所管事務政府委員被仰付
一去六日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第九部選出豫算委員 川島正次郎君
第三部選出決算委員 石坂養平君
第三部選出決算委員 北浦圭太郎君
第五部選出懲罰委員 伊禮肇君
一去六日常任委員理事補闕選擧の結果左の如し
懲罰委員
理事 原惣兵衞君(委員簡牛凡夫君去六日理事辭任に付其の補闕)
一去六日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出
豫算委員 増永元也君(田中亮一君補闕)
第九部選出
豫算委員 朴春琴君(江藤源九郎君補闕)
第五部選出
懲罰委員 江原三郎君(高橋泰雄君補闕)
一昨七日米内内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
内務書記官 三好重夫
第七十五囘帝國議會内務省所管事務政府委員被仰付
大藏書記官 池田勇人
同 秋元順朝
第七十五囘帝國議會大藏省所管事務政府委員被仰付
農林事務官 石井英之助
馬政局次長 石本寅三
第七十五囘帝國議會農林省所管事務政府委員被仰付
一昨七日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を左の通變更せり
一二 山口縣第一區選出議員
二九 渡邊泰邦君
三五 田淵豐吉君
一昨七日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第五部選出懲罰委員 田中養達君
一昨七日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第九部選出
豫算委員 小笠原三九郎君(川島正次郎君補闕)
第三部選出
決算委員 高橋泰雄君(石坂養平君補闕)
第三部選出
決算委員 伊禮肇君(北浦圭太郎君補闕)
第五部選出
懲罰委員 田中養達君(伊禮肇君補闕)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、豫算委員長ヨリ本日
本會議中竝ニ爾今本會議中ト雖モ委員會ヲ
開キタイトノ申出ガアリマス、之ヲ許スニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ之ヲ許可致シマス-日程第一乃
至第六ハ便宜上一括議題ト爲スニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第一、昭和十五年度一般會計歲出
ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律
案、日程第二、昭和十二年法律第八十四號
中改正法律案、日程第三、職員健康保險特
別會計法案、日程第四、作業會計法中改正法
律案、日程第五、造幣局東京出張所ノ廳舍、
工場其ノ他ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴
張ニ要スル經費ニ關スル法律案、日程第六、
昭和十三年法律第五十三號中改正法律案、
右六案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマスー
大藏大臣櫻內幸雄君
第昭和十五年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律
案(政府提出)第一讀會
第二昭和十二年法律第八十四號中改
正法律案(支那事變ニ關スル臨時軍
事費支辨ノ爲公債發行ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會
第三職員健康保險特別會計法案政
府提出)第一讀會
第四作業會計法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第五造幣局東京出張所ノ廳舍、工場
其ノ他ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營
擴張ニ要スル經費ニ關スル法律案(政
府提出)第一讀會
第六昭和十三年法律第五十三號中改
正法律案(印刷局据置運轉資本補足
ニ關スル件)(政府提出)第一讀會
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第一條政府ハ昭和十五年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起
債シ得ル金額ノ外十六億五千五百萬圓
ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲ス
コトヲ得
第二條政府ハ昭和十五年度一般會計歲
出豫算翌年度繰越額ノ財源ニ充ツル爲
他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額ノ外昭
和十六年度ニ於テ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ
依ル公債又ハ借入金ト通ジテ前條ノ制
限額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條前二條ノ規定ニ依ル公債ノ發行
價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合
ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ發
行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「百四億三十萬圓」ヲ「百四十億七千四百
二十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
職員健康保險特別會計法案
職員健康保險特別會計法
第一條職員健康保險事業ヲ經營スル爲
特別會計ヲ設置シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ
歲出ニ充ツ
第二條本會計ニ於テハ保險料、一般會
計ヨリノ受入金、積立金ヨリ生ズル收
入借入金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲
入トシ保險給付費、保險施設費、借入
金ノ償還金及利子、一時借入金ノ利子、
事業取扱費、營繕費其ノ他ノ諸費ヲ以
テ其ノ歲出トス
第三條本會計ニ於テ決算上剩餘金ヲ生
ズルトキハ之ヲ積立ツベシ
本會計ノ歲計ニ不足アルトキハ積立金
ヨリ之ヲ補足スベシ
第四條本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル
爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔
ニ於テ借入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ借入ヲ爲スコトヲ得
ル金額ハ保險料ヲ以テ保險給付費及保
健施設費ヲ支辨スルニ不足スル金額ヲ
限度トス
第五條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ルベシ
第六條本會計ニ於テ支拂上現金ニ不足
アルトキハ本會計ノ負擔ニ於テ一時借
入ヲ爲シ又ハ國庫餘裕金ヲ繰替使用ス
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル一時借入金又ハ繰替
金ハ當該年度內ニ之ヲ返還スベシ
第七條本會計ノ積立金ハ國債ヲ以テ保
有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運
用スルコトヲ得
第八條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第九條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
作業會計法中改正法律案
作業會計法中左ノ通改正ス
第二條第四項ヲ左ノ如ク改ム
海軍燃料廠据置運轉資本ハ六百萬圓ト
シ漸次一般會計ヨリ繰入ス
附則
本法ハ昭和十五年度ヨリ之ヲ施行ス
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル法律案
造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他ノ
建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル
經費ニ充用スル爲造幣局資金ノ內三百萬
圓ヲ限リ昭和十五年度及昭和十六年度ニ
亙リ一般會計ニ繰入ルルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ繰入ルベキ金額ノ每年
度歲出豫算ニ於ケル支出殘額ハ遞次之ヲ
翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案
昭和十三年法律第五十三號中左ノ通改正
ス
第一條第一項但書中「四百萬圓」ヲ「七百
萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=3
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004・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案外五件ニ
付提出ノ理由ヲ說明致シマス
先ヅ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案ニ付テ說
明致シマス、昭和十五年度一般會計歲出ノ
財源ト致シマシテ、現行ノ震災善後公債法及
ビ道路公債法ニ依ル公債ヲ發行致シマスル
外歲入ノ不足ヲ補塡スル爲十六億五千五
百万圓ノ公債ノ發行ヲ要スルノデアリマス
ガ、是ガ爲ニハ別ニ起債ノ權能ヲ得ルコト
ガ必要デアリマス、尙ホ從來ノ例ニ依レバ、
昭和十五年度歲出豫算中若干ノ金額ハ翌年
度ヘ繰越サルル結果ニナルデアラウト存ゼ
ラレマスル所、其ノ繰越額ノ財源タル公債
ハ、必ズシモ之ヲ昭和十五年度內ニ於テ發
行スルノ必要ハアリマセヌノデ、之ヲ其ノ
翌年度ニ於テ發行シ得ルコトトスルノヲ適
當ト認メマシテ、本法律案ヲ提出致シマシ
タ次第デアリマス
次ニ昭和十二年法律第八十四號中改正法
律案ニ付テ說明致シマス、支那事變ニ關ス
ル經費ニ付キマシテハ、第七十一囘、第七
十二囘、第七十三囘及ビ第七十四囘ノ各帝
國議會ノ協賛ヲ經マシテ、其ノ財源ニ充ツ
ル爲ノ公債發行ヲ爲シ得ル權能ヲ得テ居ル
ノデアリマスガ、事態ノ推移ニ伴ヒマシテ更ニ
臨事軍事費ノ追加ヲ必要ト致シマスル所、
其ノ所要財源中七億八千六百十餘万圓ニ付
キマシテハ、一般會計及ビ各特別會計ヨリ
ノ繰入金等ヲ以テ充當シ、三十六億七千三
百八十餘万圓ニ付キマシテハ、今日ノ場合、
之ヲ公債財源ニ依ルコトト致シマスル爲、
昭和十二年法律第八十四號中ノ公債發行限
度ヲ增額スル必要ガアリマスノデ、本法律
案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス
次ニ職員健康保險特別會計法案ニ付テ說
明致シマス、職員健康保險法ニ基キマシテ、
政府ノ經營致シマスル職員健康保險事業ニ
關スル歲入歲出ハ、之ヲ一般會計ト區分シ
テ經理スルノヲ適當ト認メマスル所、是ガ
爲ニハ特別會計ヲ設置スルノ必要ガアリマ
スノデ、本法律案ヲ提出致シマシタ次第デ
アリマス
次ニ作業會計法中改正法律案ニ付テ說明
致シマス、海軍燃料廠ニ於ケル事業量ハ近年
著シク增大致シマシタルノミナラズ、同廠
ニ屬スル諸設備ノ整備擴張ニ伴ヒマシテ、同
廠ノ從來ノ据置運轉資本ヲ以テシマシテハ、
到底作業ノ圓滑ナル遂行ヲ期シ得ザルコト
ト相成リマスノデ、其ノ法定額ヲ六百万圓
ニ增額致シマシテ、漸次一般會計ヨリ之ヲ
繰入ルルコトトスルノ必要ガアリマスル
爲本法律案ヲ提出致シマシタ次第デアリ
マス
次ニ造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ
他ノ建物及ビ其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ
要スル經費ニ關スル法律案提出ノ理由ヲ說
明致シマス、補助貨幣ノ需要增加ニ伴ヒマ
シテ、造幣局ノ現在ノ設備能力ニ依リマ
シテハ其ノ需要ヲ充足スルコト困難トナ
ツテ參リマシタノデ是ガ製造能力ノ增大
ヲ圖ル爲、昭和十五年度及ビ昭和十六年度
ニ亙リ、同局東京出張所ニ貨幣製造工場、其
ノ他ヲ新營擴張スルコトト致シタノデアリ
マスガ、其ノ經費ニ充當スル爲、造幣局資
金ノ內三百万圓ヲ拂出シテ、一般會計ニ繰
入ルル等ノ必要ガアリマスノデ、本法律案
ヲ提出致シタ次第デアリマス
最後ニ昭和十三年法律第五十三號中改正
法律案ニ付テ說明致シマス、印刷局ニ於ケ
ル事業量ハ近年著シク增大致シマシタル關
係上、從來ノ据置運轉資本ヲ以テシマシテ
ハ其ノ事業遂行上時ニ困難ヲ伴ヒマス
ルノデ、昭和十三年法律第五十三號ニ規定
スル借入金ノ法定額ヲ七百万圓ニ增額致シ
マシテ、据置運轉資本ニ不足ヲ生ジマシタ
場合ニ、一時補足シ得ルコトトスルノ必要
ガアリマスル爲、本法律案ヲ提出致シマシ
タ次第デアリマス
以上說明致シマシタ各法律案ニ付キマシ
テハ何卒御審議ノ上速ニ協贊ヲ與ヘラレ
ンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=4
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005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=5
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006・服部崎市
○服部崎市君 日程第一乃至第六ノ六案
ハ一括シテ議長指名二十七名ノ委員ニ併
セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=7
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008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
七乃至第三十七ハ便宜上一括議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第七、所得稅法改正法律案、
日程第八、法人稅法案、日程第九、特別法
人稅法案、日程第十、配當利子特別稅法案、
日程第十一、外貨債特別稅法中改正法律案、
日程第十二、相續稅法中改正法律案、日程
第十三、建築稅法案、日程第十四、鑛區稅
法案、日程第十五、臨時利得稅法中改正法
律案、日程第十六、營業稅法案、日程第十
七、地租法中改正法律案、日程第十八、酒
稅法案、日程第十九、〓涼飮料稅法中改正法
律案、日程第二十、砂糖消費稅法中改正法
律案、日程第二十一、織物消費稅法中改正
法律案、日程第二十二、揮發油稅法中改正
法律案、日程第二十三、物品稅法案、日程
第二十四、遊興飮食稅法案、日程第二十五、
取引所稅法中改正法律案、日程第二十六、
通行稅法案、日程第二十七、入場稅法案、
日程第二十八、印紙稅法中改正法律案、日
程第二十九、骨牌稅法中改正法律案、日程
第三十、狩獵法中改正法律案、日程第三十
一、明治四十四年法律第四十五號中改正法
律案、日程第三十二、大正九年法律第五十
一號中改正法律案、日程第三十三、支那事
變特別稅法及臨時租稅增徵法廢止法律案、
日程第三十四、營業收益稅法廢止法律案、
日程第三十五、資本利子稅法廢止法律案、日
程第三十六、法人資本稅法廢止法律案、日
程第三十七、臨時租稅措置法中改正法律案
右三十一案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマ
ス-櫻内大藏大臣
第七所得稅改正法律案(政府提出)
第一讀會
第八法人稅法案(政府提出)第一讀會
第九特別法人稅法案(政府提出)
第一讀會
第十配當利子特別稅法案(政府提出)
第一讀會
第十一外貨債特別稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第十二相續稅法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第十三建築稅法案(政府提出)
第一讀會
第十四鑛區稅法案(政府提出)
第一讀會
第十五臨時利得稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第十六營業稅法案(政府提出)
第一讀會
第十七地租法中改正法律案(政府提
〓第一讀會
第十八酒稅法案(政府提出)第一讀會
第十九〓涼飮料稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第二十砂糖消費稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第二十一織物消費稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第二十二揮發油稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第二十三物品稅法案(政府提出)
第一讀會
第二十四遊興飮食稅法案(政府提出)
第一讀會
第二十五取引所稅法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第二十六通行稅法案(政府提出)
第一讀會
第二十七入場稅法案(政府提出)
第一讀會
第二十八印紙稅法中改正法律案政
府提出)第一讀會
第二十九骨牌稅法中改正法律案政
府提出)第一讀會
第三十狩獵法中改正法律案(政府提
〓第一讀會
第三十一明治四十四年法律第四十五
號中改正法律案(砂糖消費稅織物消
費稅等ノ徵收ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會
第三十二大正九年法律第五十一號中
改正法律案(內地臺灣又ハ樺太ヨリ
朝鮮ニ移出スル物品ノ內國稅免除ニ
關スル件)(政府提出)第一讀會
第三十三支那事變特別稅法及臨時租
稅增徵法廢止法律案(政府提出)
第一讀會
第三十四營業收益稅法廢止法律案
(政府提出)第一讀會
第三十五資本利子稅法廢止法律案
(政府提出)第一讀會
第三十六法人資本稅法廢止法律案
(政府提出)第一讀會
第三十七臨時租稅措置法中改正法律
案(政府提出)第一讀會
所得稅法改正法律案
所得稅法目次
第一章總則
第二章分類所得稅
第三章綜合所得稅
第四章申〓、申請、調査及決定
第五章所得調査委員會
第六章審査、訴願及行政訴訟
第七章徵收
第八章雜則
第九章罰則
所得稅法
第一章總則
第一條本法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一
年以上居所ヲ有スル個人ハ本法ニ依リ
所得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條前條ノ規定ニ該當セザル個人左
ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ所得
ニ付テノミ所得稅ヲ納ムル義務アルモ
ノトス
-本法施行地ニ資產又ハ事業ヲ有ス
ルトキ
二本法施行地ニ於テ公債、社債若ハ
預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益
ノ支拂ヲ受クルトキ
三本法施行地ニ本店又ハ主タル事務
所ヲ有スル法人ヨリ利益若ハ利息ノ
配當又ハ剩餘金ノ分配ヲ受クルトキ
四本法施行地ニ於テ俸給、給料、歲
費費用辨償(月額又ハ年額ヲ以テ
支給スルモノニ限ル以下同ジ)、年金
(郵便年金ヲ除ク以下同ジ)、恩給、
賞與若ハ浪職給與又ハ此等ノ性質ヲ
有スル給與ノ支拂ヲ受クルトキ
第三條法人左ノ各號ノ一ニ該當スルト
キハ其ノ所得ニ付テノミ所得稅ヲ納ム
ル義務アルモノトス
本法施行地ニ於テ公債、社債若ハ
預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益
ノ支拂ヲ受クルトキ
二本法施行地ニ本店又ハ主タル事務
所ヲ有スル法人ヨリ利益若ハ利息ノ
配當又ハ剩餘金ノ分配ヲ受クルトキ
第四條北海道、府縣、市町村其ノ他命
令ヲ以テ指定スル公共團體、神社及民
法第三十四條ノ規定ニ依リ設立シタル
法人ニハ所得稅ヲ課セズ
第五條命令ヲ以テ指定スル重要物產ノ
製造、採掘又ハ採取ヲ業トスル個人ニ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ開業ノ年及其
ノ翌年ヨリ三年間其ノ業務ヨリ生ズル
所得ニ付所得稅ヲ免除ス
第六條信託財產ニ付生ズル所得ニ關シ
テハ其ノ所得ヲ信託ノ利益トシテ享受
スベキ受益者ガ信託財產ヲ有スルモノ
ト看做シテ所得稅ヲ賦課ス但シ本法施
行地ニ於テ信託利益ノ支拂ヲ爲ス合同
運用信託ニ村テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ受益者不特
定ナルトキ又ハ未ダ存在セザルトキハ
委託者又ハ其ノ相續人ヲ以テ受益者ト
看做ス公益信託ノ信託財產ニ付生ズル
所得ニハ所得稅ヲ課セズ
第七條本法ニ於テ合同運用信託トハ信
託會社ノ引受ケタル金錢信託ニシテ共
同セザル多數ノ委託者ノ信託財產ヲ合
同シテ運用スルモノヲ謂フ
第八條左ノ金額ハ之ヲ法人ヨリ受クル
利益ノ配當ト看做シ本法ヲ適用ス
株式ノ消却ニ因リ支拂ヲ受クル金
額又ハ退社若ハ出資ノ減少ニ因リ持
分ノ拂戾トシテ受クル金額ガ其ノ株
式ノ拂込濟金額又ハ出資金額ヲ超過
スル場合ニ於ケル其ノ超過金額
二法人解散シタル場合ニ於テ殘餘財
產ノ分配トシテ株主又ハ社員ノ受ク
ル金額ガ其ノ株式ノ拂込濟金額又ハ
出資金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其
ノ超過金額
三法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合
併ニ因リテ消滅シタル法人ノ株主又
ハ社員ガ合併後存續スル法人又ハ合
併ニ因リテ設立シタル法人ヨリ合併
ニ因リテ取得スル株式ノ拂込濟金額
又ハ出資金額及金錢ノ總額ガ其ノ株
主又ハ社員ノ有シタル株式ノ拂込濟
金額又ハ出資金額ヲ超過スル場合ニ
於ケル其ノ超過金額
第九條所得稅ハ之ヲ分類所得稅及綜合
所得稅ノ二種トス
第二章分類所得稅
第十條分類所得稅ハ左ノ所得ニ付之ヲ
賦課ス
第不動產所得
不動產、不動產上ノ權利又ハ船舶ノ
貸付(永小作權又ハ地上權ノ設定其
ノ他他人ヲシテ不動產、不動產上ノ
權利又ハ船舶ヲ使用セシムル一切ノ
場合ヲ含ム以下同ジ)ニ因ル所得但
シ甲種ノ事業所得ニ屬スルモノヲ除
第二配當利子所得
甲種本法施行地ニ於テ支拂ヲ受ク
ル公債、社債又ハ預金(法人ニ對
スル預金ニ限ル)ノ利子及合同運
用信託ノ利益竝ニ本法施行地ニ本
店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人
ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又
ハ剩餘金ノ分配
乙種營業ニ非ザル貸金ノ利子竝ニ
甲種ニ屬セザル公債、社債又ハ預
金ノ利子、合同運用信託ノ利益及
法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配
當又ハ剩餘金ノ分配
第三事業所得
甲種左ニ揭グル營業ノ所得
-物品販賣業(動植物其ノ他普
通ニ物品ト稱セザルモノノ販賣
ヲ含ム)
二金錢貸付業
三物品貸付業(動植物其ノ他普
通ニ物品ト稱セザルモノノ貸付
ヲ含ム)
四製造業(瓦斯電氣ノ供給、物
品ノ加工修理ヲ含ム)
五運送業(運送取扱ヲ含ム)
六倉庫業
七請負業
八印刷業
九出版業
十寫眞業
十一席貸業
十二旅人宿業
十三料理店業
十四周旋業
十五代理業
十六仲立業
十七問屋業
十八鑛業
十九砂鑛業
二十湯屋業
二十一理髪美容業
二十二其ノ他命令ヲ以テ定ムル
營業
乙種農業、畜產業、水產業等ノ所
得、醫師、辯護士等ノ所得其ノ他
他ノ種目ニ屬セザル總テノ所得
第四勤勞所得
甲種本法施行地ニ於テ支拂ヲ受ク
ル俸給、給料、歲費、費用辨償、
年金、恩給(一時金タル恩給ヲ除ク)
及賞與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給
與但シ命令ヲ以テ定ムル個人ヨリ
支拂ヲ受クルモノヲ除ク
乙種甲種ニ屬セザル俸給、給料、
歲費、費用辨償、年金、恩給(一
時金タル恩給ヲ除ク)及賞與竝ニ
此等ノ性質ヲ有スル給與
第五山林ノ所得
第六退職所得
甲種本法施行地ニ於テ支拂ヲ受ク
ル一時恩給及退職給與竝ニ此等ノ
性質ヲ有スル給與
乙種甲種ニ屬セザル一時恩給及退
職給與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與
第十一條左ノ各號ニ該當スル所得ニハ
分類所得稅ヲ課セズ
軍人及軍屬ノ從軍中ノ俸給、手當
及賞與
二傷痍疾病者ノ恩給竝ニ遺族ノ恩給
及年金
三旅費、學資金及法定扶養料
四郵便貯金ノ利子及命令ヲ以テ定ム
ル當座預金ノ利子
五元本三千圓ヲ超エザル銀行貯蓄預
金產業組合貯金其ノ他命令ヲ以テ
定ムル預金ノ利子
六乙種ノ事業所得中營利ヲ目的トス
ル繼續的行爲ヨリ生ジタルニ非ザル
一時ノ所得
七日本ノ國籍ヲ有セザル者ノ本法施
行地外ニ於ケル資產、營業又ハ職業
ヨリ生ズル所得
前項第五號ノ元本ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ計算ス
第十二條分類所得稅ヲ課スベキ所得ハ
左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ算出ス
一不動產所得ハ前年中ノ總收入金額
ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
二甲種ノ配當利子所得ハ其ノ支拂ヲ
受クベキ金額
三乙種ノ配當利子所得中法人ヨリ受
クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金
ノ分配ハ前年三月一日ヨリ其ノ年二
月末日迄ノ、其ノ他ハ前年中ノ收入
金額(無記名株式ノ配當竝ニ無記名
ノ公債及社債ノ利子ニ付テハ支拂ヲ
受ケタル金額)
四事業所得ハ前年中ノ總收入金額ヨ
リ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
五甲種ノ勤勞所得ハ其ノ支拂ヲ受ク
ベキ金額
六乙種ノ勤勞所得ハ前年中ノ收入金
額
七山林ノ所得ハ前年中ノ總收入金額
ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
八甲種ノ退職所得ハ其ノ支拂ヲ受ク
ベキ金額ヨリ支拂者ヲ異ニスル每ニ
五千圓ヲ控除シタル金額
九乙種ノ退職所得ハ前年中ノ收入金
額ヨリ支拂者ヲ異ニスル每ニ五千圓
ヲ控除シタル金額
所得稅及臨時利得稅ハ前項第一號、第
四號及第七號ノ必要ノ經費ニ之ヲ算入
セズ
營業利得ニ對スル臨時利得稅額ハ當該
臨時利得稅ヲ課セラルベキ年分ノ甲種
ノ事業所得金額ヨリ之ヲ控除ス
所得稅ヲ課スベキ甲種ノ事業所得ト其
ノ他ノ甲種ノ事業所得トヲ有スル場合
ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ控除スベキ
臨時利得稅ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ計算ス
不動產所得、配當利子所得及山林ノ所
得ニ付テハ被相續人ノ所得ハ之ヲ相續
人ノ所得ト看做シ事業所得ニ付テハ相
續シタル資產又ハ事業ハ相續人ガ引續
キ之ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所
得ヲ計算ス
第十三條公債又ハ社債ニ付元本ノ所有
者ニ非ザル者ガ利子ノ支拂ヲ受クルトキ
ハ乙種ノ配當利子所得ノ計算上元本ノ
所有者ガ支拂ヲ受クルモノト看做ス但
シ利子ノ生ズル期間中ニ元本ノ所有者
ニ異動アリタルトキハ最後ノ所有者ヲ
以テ利子ノ支拂ヲ受クル者ト看做ス
第十四條不動產所得ハ百圓ニ滿タザル
トキハ分類所得稅ヲ課セズ
戶主及其ノ同居家族ノ不動產所得ハ之
ヲ合算シ其ノ總額ニ付前項ノ規定ヲ適
用ス戶主ト別居スル二人以上ノ同居家
族ノ不動產所得ニ付亦同ジ
第十五條乙種ノ配當利子所得ハ百圓ニ
滿タザルトキハ分類所得稅ヲ課セズ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之
ヲ準用ス
第十六條甲種ノ勤勞所得ニ付テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ年六百圓ノ割合ニ依
リ給與ノ支給期間ニ應ジテ算出シタル
金額ヲ其ノ給與ヨリ控除ス
同一ノ支拂者ヨリ賞與又ハ賞與ノ性質
ヲ有スル給與ト其ノ他ノ給與トヲ併セ
受クル者ニ在リテハ前項ノ控除ハ先ヅ
賞與及賞與ノ性質ヲ有スル給與以外ノ
給與ニ付之ヲ爲シ不足アルトキハ命令
ノ定ムル所ニ依リ賞與又ハ賞與ノ性質
ヲ有スル給與ニ及ブ
二以上ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ヲ
受クル者ニ付テハ前二項ノ規定ニ依ル
控除ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十七條事業所得及乙種ノ勤勞所得ニ
付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所得
ヨリ左ノ金額ヲ控除ス
-事業所得ニ付テハ四百圓
二乙種ノ勤勞所得ニ付テハ六百圓
事業所得ト乙種ノ勤勞所得トヲ有スル
者ノ事業所得ニ付テハ前項第一號ノ規
定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ但シ乙種ノ
勤勞所得ガ六百圓ニ滿タザルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ四百圓ト乙種ノ勤
勞所得ノ三分ノ二ニ相當スル金額トノ
差額ヲ事業所得ヨリ控除ス
第十八條前年中ニ甲種ノ勤勞所得ニ付
第十六條第一項ノ規定ニ依ル控除ヲ受
ケタル者ノ事業所得又ハ乙種ノ勤勞所
得ニ付テハ前條ノ規定ニ依ル控除ハ之
ヲ爲サズ但シ前年中ニ甲種ノ勤勞所得
ニ付第十六條第一項ノ規定ニ依リ控除
シタル金額ガ六百圓ニ滿タザルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所得ヨリ左
ノ金額ヲ控除ス
事業所得ニ付テハ四百圓ト第十六
條第一項ノ規定ニ依リ控除シタル金
額ノ三分ノ二ニ相當スル金額トノ差
額
二乙種ノ勤勞所得ニ付テハ六百圓ト
第十六條第一項ノ規定ニ依リ控除シ
タル金額トノ差額
三前二號ノ所得ヲ併セ有スルトキハ
其ノ所得ニ付テハ命令ノ定ムル金額
第十九條同居ノ戶主及其ノ家族中二人
以上ノ者ガ事業所得ヲ有スル場合ニ於
テ前二條ノ規定ニ依リ其ノ事業所得ヨ
リ控除スベキ金額ハ總額ニ於テ四百圓
ヲ超ユルコトヲ得ズ戶主ト別居スル二
人上以ノ同居家族ノ事業所得ニ付亦同
前項ノ規定ヲ適用スル場合ニ於テハ前
二條ノ規定ニ依リ控除スベキ金額ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ納稅義務者ノ一人
又ハ數人ノ所得ヨリ之ヲ控除ス
第二十條山林ノ所得ニ付テハ其ノ所得
ヨリ四百圓ヲ控除ス
前條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用
ス
第二十一條分類所得稅ハ左ノ稅率ニ依
リ之ヲ賦課ス
第一不動產所得百分ノ十
第二配當利子所得
甲種
一國債ノ利子百分ノ四
二國債以外ノ公
倩ノ利子百分ノ九
三其ノ他百分ノ十
乙種百分ノ十
第三事業所得
甲種百分ノ八·五
乙種百分ノ七·五
第四勤勞所得百分ノ六
第五山林ノ所得
所得金額ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ
各稅率ヲ適用ス
千六百圓以下ノ金
額百分ノ五
千六百圓ヲ超ユル
金額百分ノ七·五
第六退職所得
所得金額ヲ支拂者ノ異ナル每ニ左ノ
各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
二萬圓以下ノ金額百分ノ六
二萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ十二
十萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ二十五
五十萬圓ヲ超ユル
金額百分ノ四十
銀行貯蓄預金、產業組合貯金其ノ他命
令ヲ以テ定ムル預金ノ利子及產業組合、
工業組合、商業組合等命令ヲ以テ定ム
ル法人ヨリ受クル剩餘金ノ分配ニ付テ
ハ前項中配當利子所得甲種第三號ニ規
定スル稅率百分ノ十ハ之ヲ百分ノ五トス
第十七條又ハ第十八條ノ規定ニ依ル控
除前ノ事業所得ノ金額ガ千圓以下ナル
トキハ第一項中甲種及乙種ノ事業所得
ニ付規定スル稅率百分ノ八·五及百分
ノ七·五ハ各之ヲ百分ノ六トス
戶主及其ノ同居家族ノ事業所得ハ之ヲ
合算シ其ノ總額ニ付前項ノ規定ヲ適用
ス戶主ト別居スル二人以上ノ同居家族
ノ事業所得ニ付亦同ジ
第二十二條第一條ノ規定ニ該當セザル
個人又ハ本法施行地ニ本店若ハ主タル
事務所ヲ有セザル法人ノ甲種ノ配當利
子所得ニ對スル分類所得稅ハ前條ノ規
定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
一國債ノ利子百分ノ九
二國債以外ノ公債ノ
利子百分ノ十四
三前條第二項ニ規定
スル預金ノ利子及
剩餘金ノ分配百分ノ十
四其ノ他百分ノ十五
第一條ノ規定ニ該當セザル個人ノ本法
施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有ス
ル法人ヨリ受クル利益又ハ剩餘金ノ處
分タル賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給
與ニ對スル分類所得稅ハ前條ノ規定ニ拘
ラズ百分ノ十五ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
第二十三條信託會社ガ其ノ引受ケタル
合同運用信託ノ信託財產ニ付納付シタ
ル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所
得稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該合
同運用信託ノ利益ニ對スル分類所得稅
額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ甲種ノ配
當利子所得ニ對スル分類所得稅ハ甲種
ノ配當利子所得ノ計算上當該合同運用
信託ノ利益ニ之ヲ加算ス
第二十四條甲種ノ勤勞所得ニ對スル分
類所得稅ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ年一月一日ノ現在ノ扶養家族一
人ニ付年百五十圓ノ割合ニ依リ給與ノ
支給期間ニ應ジテ算出シタル金額ノ百
分ノ八ニ相當スル金額ヲ分類所得稅額
ヨリ控除ス
同一ノ支拂者ヨリ賞與又ハ賞與ノ性質
ヲ有スル給與ト其ノ他ノ給與トヲ併セ
受クル者ニ在リテハ前項ノ控除ハ先ヅ
賞與及賞與ノ性質ヲ有スル給與以外ノ
給與ニ對スル分類所得稅ニ付之ヲ爲シ
不足アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ對
スル分類所得稅ニ及ブ
二以上ノ支拂者ヨリ甲種ノ勤勞所得ヲ
受クル者ニ付テハ前二項ノ規定ニ依ル
控除ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第一項ノ扶養家族ガ前年中ニ甲種ノ勤
勞所得ヲ有シ又ハ其ノ年分ノ事業所
得、乙種ノ勤勞所得若ハ山林ノ所得ヲ
有スル場合ニ於テ第十六條第一項、第
十七條、第十八條又ハ第二十條第一項
ノ規定ニ依リ此等ノ所得ヨリ控除スル
金額ガ總額ニ於テ百五十圓ヲ超ユルト
キハ其ノ扶養家族ニ付テハ第一項ノ規
定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
第一項ノ扶養家族ニ付第二十五條第一
項ノ規定ニ依ル控除ヲ爲ストキハ其ノ
扶養家族ニ付テハ第一項ノ規定ニ依ル
控除ハ之ヲ爲サズ
甲種ノ勤勞所得ヲ有スル者綜合所得稅
ノ賦課ヲ受クル者ナルトキハ賦課ヲ受
クル年ノ七月一日ヨリ翌年六月三十日
迄ニ受クル給與ニ付テハ第一項ノ規定
ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
第二十五條不動產所得、事業所得、乙
種ノ勤勞所得又ハ山林ノ所得ニ對スル
分類所得稅ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ年一月一日現在ノ扶養家族一
人ニ付百五十圓ノ百分ノ八ニ相當スル
金額ヲ分類所得稅額ヨリ控除ス
前條第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之
ヲ準用ス
第一項ノ扶養家族ニ付前條第一項ノ規
定ニ依ル控除ヲ爲ストキハ其ノ扶養家
族ニ付テハ第一項ノ規定ニ依ル控除ハ
之ヲ爲サズ
戶主及其ノ同居家族ノ分類所得稅ハ之
ヲ合算シ其ノ總額ニ付第一項ノ規定ヲ
適用ス戶主ト別居スル二人以上ノ同居
家族ノ分類所得稅ニ付亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ金額ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ納稅義務者ノ一人
又ハ數人ノ分類所得稅額ヨリ之ヲ控除
ス
第一項ノ所得ヲ有スル者綜合所得稅ノ
賦課ヲ受クル者ナルトキハ同項ノ規定
ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
第二十六條本法ニ於テ扶養家族トハ當
該所得ヲ有スル者ノ同居ノ妻竝ニ同居
ノ戶主及家族中年齡十八歲未滿若ハ六
十歲以上又ハ不具癈疾ノ者ヲ謂フ
前項ニ規定スル不具癈疾者ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十七條第二十四條及第二十五條ノ
規定ハ第二條ノ規定ニ依ル納稅義務者
ニハ之ヲ適用セズ
第三章綜合所得稅
第二十八條綜合所得稅ハ個人ノ總所得
ニ付之ヲ賦課ス但シ第一條ノ規定ニ該
當セザル個人ニ在リテハ本法施行地ニ
於ケル資產又ハ事業ヨリ生ズル所得ニ
付テノミ綜合所得稅ヲ賦課ス
第二十九條左ノ各號ニ該當スル所得ニ
付テハ綜合所得稅ヲ課セズ
一第十一條第一項第一號乃至第五號
及第七號ノ所得
二第三十條第一項第八號ノ所得中營
利ヲ目的トスル繼續的行爲ヨリ生ジ
タルニ非ザル一時ノ所得
三一時恩給及退職給與竝ニ此等ノ性
質ヲ有スル給與
第三十條個人ノ總所得ハ左ノ各號ノ規
定ニ依リ之ヲ算出ス
不動產、不動產上ノ權利又ハ船舶
ノ貸付ニ因ル所得ハ前年中ノ總收入
金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金
額
二本法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル公
債、社債、銀行預金及第二十一條第
二項ニ規定スル預金ノ利子竝ニ命令
ヲ以テ定ムル合同運用信託ノ利益ハ
前年中ノ收入金額(無記名ノ公債及
社債ノ利子ニ付テハ支拂ヲ受ケタル
金額)ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタ
ル金額
三前號以外ノ公債、社債及預金ノ利
子竝ニ合同運用信託ノ利益ハ前年中
ノ收入金額(無記名ノ公債及社債ノ
利子ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)
四營業ニ非ザル貸金ノ利子ハ前年中
ノ收入金額ヨリ其ノ元本ヲ得ルニ要
シタル負債ノ利子ヲ控除シタル金額
五法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配
當又ハ剩餘金ノ分配ハ前年三月一日
ヨリ其ノ年二月末日迄ノ收入金額
(無記名株式ノ配當ニ付テハ支拂ヲ
受ケタル金額)ヨリ其ノ元本ヲ得ルニ
要シタル負債ノ利子ヲ控除シタル金額
六山林ノ所得ハ前年中ノ總收入金額
ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
七俸給、給料、歲費、費用辨償、年金、
恩給及賞與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル
給與ハ前年中ノ收入金額
八前各號以外ノ所得ハ前年中ノ總收
入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル
金額
所得稅及臨時利得稅ハ前項第一號、第
六號及第八號ノ必要ノ經費ニ之ヲ算入
セズ營業利得ニ對スル臨時利得稅額ハ
當該臨時利得稅ヲ課セラルベキ年分ノ
總所得金額ヨリ之ヲ控除ス
第十二條第四項ノ規定ハ前項ノ臨時利
得稅額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第一項第一號乃至第六號ノ所得ニ付テ
ハ被相續人ノ所得ハ之ヲ相續人ノ所得
ト看做シ第八號ノ所得ニ付テハ相續シ
タル資產又ハ事業ハ相續人ガ引續キ之
ヲ有シタルモノト看做シテ其ノ所得ヲ
計算ス
第十三條ノ規定ハ個人ノ總所得ノ計算
ニ付之ヲ準用ス
第三十一條前條ノ規定ニ依リ算出シタ
ル總所得金額一萬圓以下ナルトキハ其
ノ所得中同條第一項第七號ノ所得ニ付
其ノ十分ノ一ヲ控除ス
戶主及其ノ同居家族ノ所得ハ之ヲ合算
シ其ノ總額ニ付前項ノ規定ヲ適用ス戶
主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所
得ニ付亦同ジ
第三十二條總所得金額五千圓以下ナル
トキハ綜合所得稅ヲ課セズ前條ノ規定
ニ依ル控除ヲ爲シタル爲五千圓以下ト
爲リタルトキ亦同ジ
第八條ニ規定スル利益ノ配當、山林ノ
所得及其ノ他ノ所得ハ各之ヲ區分シ其
ノ各所得ニ付前項ノ規定ヲ適用ス
前條第二項ノ規定ハ前二項ノ場合ニ付
之ヲ準用ス
第三十三條綜合所得稅ハ總所得金額ヲ
左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用
シテ之ヲ賦課ス但シ第八條ニ規定スル
利益ノ配當及山林ノ所得ハ各他ノ所得
ト之ヲ區分シ第八條ニ規定スル利益ノ
配當ニ付テハ其ノ所得金額ニ對シ本項
ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ以
テ其ノ稅額トシ山林ノ所得ニ付テハ其
ノ所得ヲ五分シタル金額中千圓ヲ超エ
五千圓以下ノ金額ニ對シテハ百分ノ五
ノ稅率ヲ、五千圓ヲ超ユル金額ニ對シ
テハ本項ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル
金額ヲ五倍シタルモノヲ以テ其ノ稅額
トス
五千圓ヲ超ユル金額百分ノ十
八千圓ヲ超ユル金額百分ノ十五
一萬二千圓ヲ超ユル
金額百分ノ二十
二萬圓ヲ超ユル金額百分ノ二十五
三萬圓ヲ超ユル金額百分ノ三十
五萬圓ヲ超ユル金額百分ノ三十五
八萬圓ヲ超ユル金額百分ノ四十
十二萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ四十五
二十萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ五十
三十萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ五十五
五十萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ六十
八十萬圓ヲ超ユル金
額百分ノ六十五
前項ノ場合ニ於テ戶主及其ノ同居家族
ノ總所得金額ハ之ヲ合算シ其ノ總額ニ
對シ稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ
各其ノ總所得金額ニ按分シテ各其ノ稅
額ヲ定ム戶主ト別居スル二人以上ノ同
居家族ノ總所得金額ニ付亦同ジ
第四章申告、申請、調査及決定
第三十四條不動產所得、乙種ノ配當利
子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、
山林ノ所得若ハ乙種ノ退職所得ニ付分
類所得稅ヲ納ムル義務アル者又ハ個人
ノ總所得ニ付綜合所得稅ヲ納ムル義務
アル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每年三
月十五日迄ニ所得ノ種類及金額其ノ他
必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第二十五條ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケン
トスル者ハ前項ノ申〓ト同時ニ命令ノ
定ムル所ニ依リ其ノ申請書ヲ提出スベ
シ
第三十五條ニ甲種ノ勤勞所得ヲ有スル者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第十六條ノ規
定ニ依ル控除ニ關シ必要ナル事項ヲ政
府ニ申〓スベシ
第二十四條ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケン
トスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
申請書ヲ政府ニ提出スベシ
第三十六條不動產所得、乙種ノ配當利
子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山
林ノ所得及乙種ノ浪職所得ノ金額竝ニ
個人ノ總所得ノ金額ハ所得調査委員會
ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後前項ノ所得ノ決
定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキ
ハ其ノ決定ヲ爲スベカリシ年ノ翌年ヨ
リ三年間ハ仍所得調査委員會ノ調査ニ
依リ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定ス
ルコトヲ得
所得調査委員會閉會後第一項ノ所得ヲ
有スル者納稅義務アルコトヲ申出デ又
ハ納稅義務者所得金額ノ增加アルコト
ヲ申出デタルトキハ前一一項ノ規定ニ拘
ラズ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定ス
納稅義務者第一項ノ規定ニ依ル所得ノ
決定前ニ納稅管理人ノ申告ヲ爲サズシ
テ本法施行地ニ住所及居所ヲ有セザル
ニ至ルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラズ政
府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ所得金
額ヲ決定スルコトヲ得
前四項ノ規定ハ第二十五條ノ規定ニ依
ル控除ニ因リ徵收稅額ナシト認ムル者
ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三十七條五月三十一日迄ニ所得調査
委員會成立セザルトキハ政府ニ於テ所
得金額ヲ決定ス
所得調査委員會開會ノ日ヨリ第五十八
條ノ期間內又ハ五月三十一日迄ニ調査
結了セザルトキハ政府ニ於テ調査未濟
ノ所得金額ヲ決定ス
第三十八條政府ハ所得調査委員會ノ決
議ヲ不當ト認ムルトキハ七日以內ノ期
間ヲ定メ之ヲ再調査ニ付ス仍其ノ決議
ヲ不當ト認ムルトキ又ハ再調査期間內
ニ調査結了セザルトキハ政府ニ於テ所
得金額ヲ決定ス
第三十九條前三條ノ規定ニ依リ所得金
額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅
義務者ニ通知スベシ
本法施行地内ニ住所及居所ヲ有セザル
納稅義務者納稅管理人ノ申告ヲ爲サザ
ルトキハ前項ノ通知ハ公告ヲ以テ之ヲ
爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テ公〓ノ初
日ヨリ七日ヲ經過シタルトキハ其ノ通
知アリタルモノト看做ス
第五章所得調査委員會
第四十條各稅務署所轄內ニ所得調査委
員會ヲ置ク但シ稅務署所轄內ニ在ル市
ニ付テハ命令ヲ以テ特ニ所得調査委員
會ヲ置クコトヲ得
所得調査委員ノ定數ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム但シ定數ノ增減ハ改選期ニ於テス
ルノ外之ヲ爲スコトヲ得ズ
第四十一條所得調査委員ハ各選擧區ニ
於テ之ヲ選擧ス
所得調査委員ヲ選擧スルトキハ同時ニ
之ト同數ノ補缺員ヲ選擧スベシ
第四十二條所得調査委員及補缺員ノ選
擧區域ハ所得調査委員會ヲ置クベキ區
域ニ依リ投票區及開票區ハ市町村ノ區
域ニ依ル但シ市制第六條又ハ第八十二
條第三項ノ規定ニ依リ指定セラレタル
市ニ在リテハ區ノ區域ニ依ル
町村組合ニシテ町村ノ事務ノ全部又ハ
役場事務ヲ共同處理スルモノハ之ヲ一
町村ト看做シ町村制ヲ施行セザル地ニ
於テハ町村ニ準ズベキモノヲ町村ト看
做ス
第四十三條選擧區域内ニ居住シ第三十
六條第一項ノ所得又ハ個人ノ營業ニ付
其ノ年法定ノ期限迄ニ所得金額又ハ純
益金額ノ申〓ヲ爲シ目其ノ決定ヲ受ケ
タル者ニシテ選擧人名簿ニ登錄セラレ
タルモノハ所得調査委員及補缺員ヲ選
擧シ又ハ所得調査委員若ハ補缺員ニ選
擧セラルルコトヲ得但シ左ノ各號ノ一
ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
無能力者
二破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ
經ザル者
四六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレ又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セ
ラレタル者
五六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處
セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行
ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
六第九十四條又ハ第九十五條ノ規定
ニ依リ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ其ノ
刑ノ執行ヲ終リタル後又ハ時效ニ因
ル場合ヲ除クノ外執行ノ免除ヲ受ケ
タル後五年ヲ經ザル者
七第八十八條乃至第九十五條又ハ營
業稅法第三十三條乃至第三十五條ノ
規定ニ依リ罰金又ハ科料ノ刑ニ處セラ
レ其ノ裁判確定ノ後五年ヲ經ザル者
其ノ年分ノ所得金額及純益金額ノ決定
前選擧ヲ行フ場合ニ於テハ前年第三十
六條第一項ノ所得又ハ個人ノ營業ニ付
所得稅又ハ營業稅ヲ納メタルコトヲ以
テ其ノ年所得金額又ハ純益金額ノ決定
ヲ受ケタルモノト看做ス
前二項ノ場合ニ於テ被相續人ニ付爲シ
タル所得金額又ハ純益金額ノ決定ハ之
ヲ相續人ニ付爲シタル所得金額又ハ純
益金額ノ決定ト看做シ被相續人ノ爲シ
タル納稅又ハ申〓ハ之ヲ相續人ノ爲シ
タル納稅又ハ申〓ト看做ス
選擧人名簿ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四十四條投票及開票ニ關スル事務ハ
市區町村長之ヲ擔任シ選擧會ニ關スル
事務ハ稅務署長之ヲ擔任ス
第四十二條第二項ノ町村組合ニ付テハ
其ノ組合管理者ヲ町村制ヲ施行セザ
ル地ニ付テハ町村長ニ準ズベキモノヲ
町村長ト看做ス
第四十五條稅務署長ハ所得調査委員及
補缺員ノ選擧期日ヲ定メ之ヲ市區町村
長ニ通知スベシ
市區町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキ
ハ少クトモ選擧期日七日前其ノ旨ヲ公
示スベシ
第四十六條選擧ハ無記名投票ヲ以テ之
マヨン
投票ハ所得調査委員及補缺員ノ各選擧
ニ付一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ
投票所ニ到リ被選擧人各一人ノ氏名ヲ
各別ノ投票用紙ニ記載シテ投票スベシ
投票用紙ハ選擧ノ當日投票所ニ於テ之
ヲ選擧人ニ交付ス
第四十七條市區町村長ハ投票ヲ調査シ
直ニ其ノ結果ヲ稅務署長ニ報告スベシ
第四十八條稅務署長前條ノ報告ヲ受ケ
タルトキハ選擧會ヲ開キ之ヲ調査スベ
第四十九條投票、開票及選擧會ニハ立
會人ヲ立會ハシムベシ
立會人ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第五十條投票ノ多數ヲ得クル者ヲ以テ
當選人トス投票ノ數同ジキトキハ年齡
多キ者ヲ取リ年齡同ジキトキハ抽籤ヲ
以テ之ヲ定ム
所得調査委員ニ當選シタル者同時ニ補
缺員ニ當選スルモ補缺員タルコトヲ得
ズ
第五十一條所得調査委員及補缺員ノ選
擧終了シタルトキハ稅務署長ハ當選人ノ
氏名ヲ公示シ且之ヲ當選人及市區町村
長ニ通知スベシ
市區町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキ
ハ當選人ノ氏名ヲ公示スベシ
第五十二條所得調査委員又ハ補缺員ニ
當選シタル者ハ正當ノ事由ナクシテ之
ヲ辭スルコトヲ得ズ
第五十三條所得調査委員及補缺員ノ任
期ハ選擧期日ノ屬スル月ヨリ四年トス
選擧區域ノ變更ニ因リ其ノ區域內ニ於
ケル第三十六條第一項ノ所得ニ付其ノ
年所得金額ノ決定ヲ受ケタル者及個人
ノ營業ニ付其ノ年純益金額ノ決定ヲ受
ケタル者ノ合計數ニ五分ノ一以上ノ增
減ヲ來シタル場合ニ於テハ所得調査委
員及補缺員ノ任期ハ選擧區域ノ變更ア
リタル月ヲ以テ終了スルモノトス但シ
其ノ選擧區域ノ變更ノ月ガ一月又ハ二
月ナルトキハ三月、四月乃至八月ナル
トキハ九月、十二月ナルトキハ翌年三
月ヲ以テ終了スルモノトス
第四十三條第二項ノ規定ハ其ノ年分ノ
所得金額及純益金額ノ決定前選擧區域
ノ變更アリタル場合ニ付之ヲ準用ス
第五十四條所得調査委員及補缺員ノ改
選ハ前任者ノ任期終了ノ月ノ翌月ニ於
テ之ヲ行フ
第五十五條所得調査委員ニ缺員ヲ生ジ
タルトキハ投票ノ最多數ヲ得タル補缺
員ヨリ順次之ヲ補充シ投票ノ數同ジキ
トキハ年齡多キ者ヲ取リ年齡同ジキト
キハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
所得調査委員ニ缺員ヲ生ジ之ヲ補充ス
ベキ補缺員ナキトキハ所得調査委員ノ
補缺選擧ヲ行フ
第五十六條前條ノ規定ニ依リ所得調査
委員又ハ補缺員ト爲リタル者ハ前任者
ノ殘任期間在任ス
選擧區域ノ變更ニ因リ新ニ選擧セラレ
タル所得調査委員及補缺員ノ任期ハ選
擧區域變更前ニ於ケル所得調査委員及
補缺員ノ選擧期日ノ屬スル月ヨリ四年
ヲ以テ終了ス
第五十七條所得調査委員又ハ補缺員第
四十三條第一項各號ノ一ニ該當スルニ
至リタルトキ、第三十六條第一項ノ所
得ニ對スル所得稅若ハ營業稅ノ何レニ
付テモ納稅義務ヲ有セザルニ至リタル
トキ又ハ其ノ選擧區域內ニ居住セザル
ニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第五十八條所得調査委員會ノ開會日數
ハ三十日以內トシ地方ノ情況ニ依リ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十九條所得調査委員會ハ稅務署長
ノ通知ニ依リ之ヲ開ク
第六十條所得調査委員會ハ每年開會ノ
始ニ於テ所得調査委員中ヨリ會長ヲ選
擧スベシ
第六十一條税務署長ハ每年第三十六條
第一項ノ所得ニ付納稅義務アリト認ム
ル者ノ所得金額ヲ調査シ其ノ調査書ヲ
所得調査委員會ニ送付スベシ
前項ノ規定ハ第二十五條ノ規定ニ依ル
控除ニ因リ徵收稅額ナシト認ムル者ニ
付テハ之ヲ適用セズ
前二項ノ規定ハ第三十六條第二項ノ場
合ニ付之ヲ準用ス
第六十二條所得調査委員會ハ定員ノ過
半數ニ當ル委員出席スルニ非ザレバ決
議ヲ爲スコトヲ得ズ
議事ハ出席員ノ多數ヲ以テ之ヲ決ス可否
同數ナルトキハ會長ノ決スル所ニ依ル
第六十三條所得調査委員ハ自己及自己
ト同一戶籍内ニ在ル者ノ所得ニ關スル
議事ニ與ルコトヲ得ズ
第六十四條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
所得調査委員會ニ出席シ意見ヲ陳述ス
ルコトヲ得
第六十五條所得調査委員ニハ手當及旅
費ヲ給ス
第六十六條所得調査委員ハ自己ノ所屬
スル所得調査委員會ノ調査ニ依リ決定
セラレタル課稅標準額ニ對スル審査ノ
請求、訴願又ハ行政訴訟ニ付納稅義務
者ノ代理ヲ爲シ若ハ其ノ相談ニ應ズル
ヲ以テ業ト爲シ又ハ報酬ヲ得テ此等ノ
事務ヲ行フコトヲ得ズ
第六章審査、訴願及行政訴訟
第六十七條納稅義務者。第三十九條ノ規
定ニ依リ政府ノ通知シタル所得金額ニ
對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル
日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ
政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ
稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第六十八條前條第一項ノ請求アリタル
トキハ所得審査委員會ノ決議ニ依リ政
府ニ於テ之ヲ決定ス
所得審査委員會ハ前條第一項ノ請求ヲ
爲シタル者ニ對シ其ノ所得ニ關スル事
實ヲ質問スルコトヲ得
第三十八條ノ規定ハ所得審査委員會ノ
決議ニ付之ヲ準用ス
第六十九條各稅務監督局所轄內ニ所得
審査委員會ヲ置ク
所得審査委員會ハ左ノ所得審査委員ヲ
以テ之ヲ組織ス
一稅務監督局高等官中ヨリ大藏大臣
ノ命ジタル者三人
二稅務監督局所轄內各府縣又ハ北海
道ニ於テ所得調査委員ノ互選シタル
者府縣ニ在リテハ各一人北海道ニ在
リテハ四人
所得審査委員會、所得審査委員及其ノ
補缺員ニ關スル事項ハ本法ニ定ムルモ
ノヲ除クノ外命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十條所得調査委員ヨリ選擧セラレ
タル所得審査委員ニハ日當及旅費ヲ給
ス
第七十一條第六十八條第一項ノ決定ニ
對シ不服アル者ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第七章徵收
第七十二條甲種ノ配當利子所得、甲種
ノ勤勞所得又ハ甲種ノ退職所得ニ對ス
ル分類所得稅ハ支拂者支拂ノ際之ヲ徵
收シ翌月十日迄ニ政府ニ納付スベシ
第七十三條不動產所得、乙種ノ配當利
子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、
山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ對スル
分類所得稅竝ニ個人ノ總所得ニ對スル
綜合所得稅ハ其ノ年額ヲ四分シ左ノ四
期ニ於テ之ヲ徵收ス但シ納稅義務者納
稅管理人ノ申〓ヲ爲サズシテ本法施行
地ニ住所及居所ヲ有セザルニ至ルトキ
ハ直ニ其ノ所得稅ヲ徴收スルコトヲ得
第一期其ノ年七月一日ヨリ三十一
日限
第二期其ノ年九月一日ヨリ三十日
限
第三期其ノ年十一月一日ヨリ三十
日限
第四期翌年三月一日ヨリ末日限
第七十四條第七十二條ノ規定ニ依リ徵
收スベキ分類所得稅ヲ徵收セザルトキ
又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザル
トキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ支拂者
ヨリ徵收ス
法人解散シタル場合ニ於テ前項ノ規定
三依リ徵收セラルル稅金ヲ納付セズシ
テ殘餘財產ヲ分配シタルトキハ其ノ稅
金ニ付〓算人連帶シテ納稅ノ義務アル
モノトス
第八章雜則
第七十五條納稅義務者災害、失業其ノ
他ノ事由ニ因リ著シク資力ヲ喪失シ納
稅困難ト認ムルトキハ政府ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ所得稅ヲ輕減又ハ免除ス
ルコトヲ得
第七十六條 政府ハ前條ノ規定ニ依リ輕
減又ハ免除セラルル所得稅ニ付輕減又
ハ免除ニ關スル處分ノ確定スルニ至ル
迄稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第七十七條本法施行地ニ於テ利子ノ支
拂ヲ爲スベキ公債又ハ社債ヲ募集シタ
ル者(委託募集ノ場合ハ委託ヲ受ケ募集
シタル者)ハ遲滯ナク其ノ公債又ハ社債
ニ付命令ヲ以テ定ムル事項ヲ記載シタ
ル調書ヲ政府ニ提出スベシ
第七十八條本法施行地ニ於テ無記名ノ
公債、社債又ハ株式ニ付利子又ハ配當
ノ支拂ヲ受クル者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ氏名又ハ名稱、住所其ノ他必要ナ
ル事項ヲ利子又ハ配當ノ支拂ノ取扱者
ニ告知スベシ
利子又ハ配當ノ支拂ノ取扱者ハ前項ノ
告知ヲ爲サシメタル後其ノ支拂ヲ爲ス
ベシ
第七十九條俸給、給料、歲費、費用辨償、
年金、恩給若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ
有スル給與ノ支拂ヲ爲ス者ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ必要ナル事項ヲ政府ニ申
告スベシ
第八十條左ニ揭グル者ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ支拂調書ヲ政府ニ提出スベシ
-俸給、給料、歲費、費用辨償、年
金、恩給若ハ賞與又ハ此等ノ性質ヲ
有スル給與ノ支拂ヲ爲ス者
二公債、社債若ハ預金ノ利子又ハ合
同運用信託ノ利益ノ支拂ヲ爲ス者
三利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ
分配ヲ爲ス法人
合同運用信託以外ノ信託ノ受託者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ各信託ニ付計算書
ヲ政府ニ提出スベシ
第八十一條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
調査上必要アルトキハ納稅義務者又ハ
納稅義務アリト認ムル者ニ質問ヲ爲シ
又ハ其ノ營業ニ關スル帳簿書類其ノ他
ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要
アルトキハ前條第一項又ハ第二項ノ支
拂調書又ハ計算書ヲ提出スル義務アル
者ニ質問ヲ爲シ又ハ之ニ關スル帳簿書
類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第八十二條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
調査上必要アルトキハ納稅義務者若ハ
納稅義務アリト認ムル者ニ金錢若ハ物
品ヲ支拂フノ義務ヲ有スト認ムル者ニ
對シ又ハ納稅義務者若ハ納稅義務アリ
ト認ムル者ヨリ金錢若ハ物品ノ支拂ヲ
受クルノ權利ヲ有スト認ムル者ニ對シ
其ノ金額、數量、價格、支拂期日等ニ
付質問スルコトヲ得
第八十三條政府ハ第七十二條ノ規定ニ
依リ甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得
稅ヲ徵收シタル者及第八十條第一項又
ハ第二項ノ規定ニ依リ支拂調書又ハ計
算書ヲ提出シタル者ニ對シ命令ソ定ム
ル所ニ依リ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第八十四條不動產所得、乙種ノ配當利
子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、
山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ對スル
分類所得稅竝ニ個人ノ總所得ニ對スル
綜合所得稅ハ納稅義務者ノ住所地、住
所ナキトキハ居所地ヲ以テ納稅地トス
但シ住所地以外ニ在ル者ハ申〓シテ居
所地ニ於テ所得稅ヲ納ムルコトヲ得
本法施行地ニ住所及居所ナキ者ハ納稅
地ヲ定メ政府ニ申〓スベシ申〓ナキト
キハ政府其ノ納稅地ヲ指定ス
第八十五條納稅義務者納稅地ニ現住セ
ザルトキハ其ノ所得ノ申告、納稅其ノ
他所得稅ニ關スル一切ノ事項ヲ處理
セシムル爲其ノ地ニ於テ納稅管理人ヲ
定メ政府ニ申告スベシ本法施行地外ニ住
所又ハ居所ヲ移サントスルトキ亦同ジ
第八十六條同族會社ノ行爲又ハ計算ニ
シテ其ノ株主若ハ社員又ハ之ト親族、
使用人、命令ヲ以テ定ムル出資關係ア
ル法人等特殊ノ關係アル者ノ所得ニ付
所得稅逋脫ノ目的アリト認メラルルモ
ノアル場合ニ於テハ其ノ行爲又ハ計算
ニ拘ラズ政府ハ其ノ認ムル所ニ依リ此
等ノ者ノ所得金額ヲ計算スルコトヲ得
前項ノ同族會社トハ法人稅法第十七條
第三項ニ規定スル法人ヲ謂フ
第八十七條北海道、府縣、市町村其ノ
他ノ公共團體ハ所得稅ノ附加稅ヲ課ス
ルコトヲ得ズ
第九章罰則
第八十八條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依
リ所得稅ヲ通脫シタル者ハ其ノ通脫シ
タル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科
料ニ處ス但シ自首シ又ハ稅務署長ニ申
出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ場合ニ於テ第三十六條第一項ノ
所得ニ付所得稅ヲ逋脫シタル者ノ所得
金額ハ同條第二項ノ規定ニ拘ラズ政府
ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徴收
ス
第八十九條第六十六條ノ規定ニ違反シ
タル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十條正當ノ事由ナクシテ第八十條
第一項若ハ第二項ノ規定ニ依リ政府ニ
提出スベキ支拂調書若ハ計算書ヲ提出
セズ又ハ虚僞ノ記載ヲ爲シタル支拂調
書若ハ計算書ヲ提出シタル者ハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第九十一條無記名ノ公債、社債又ハ株
式ニ付利子又ハ配當ノ支拂ヲ受クルニ
際シ第七十八條第一項ニ規定スル事項
ニ付虛僞ノ〓知ヲ爲シタル者及同條第
二項ノ規定ニ違反シ告知ヲ爲サシメズ
シテ支拂ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ
罰金ニ處ス
第九十二條第八十一條ノ規定ニ依ル帳
簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨
ゲ若ハ忌避シ又ハ虚僞ノ記載ヲ爲シタ
ル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第九十三條所得ノ調査又ハ審査ノ事務
ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又
ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事
由ナクシテ漏洩シタルトキハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第九十四條所得調査委員、其ノ補缺員、
所得審査委員又ハ其ノ補缺員ノ選擧ニ
關シ當選ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザ
ル目的ヲ以テ選擧人又ハ選擧運動者ニ
對シ金錢物品其ノ他ノ財產上ノ利益若
ハ公私ノ職務ノ供與ヲ爲シ、饗應接待
ヲ爲シ又ハ其等ノ申込若ハ約束ヲ爲シ
タル者ハ三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ
二千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ供與若ハ饗應接待ヲ受ケ若ハ要
求シ又ハ其等ノ申込ヲ承諾シタル者亦
前項ニ同ジ
前二項ニ規定スル行爲ニ關シ周旋又ハ
勸誘ヲ爲シタル者亦第一項ニ同ジ
第九十五條所得調査委員、其ノ補缺員、
所得審査委員又ハ其ノ補缺員ノ選擧ニ
關シ投票ヲ得又ハ得シメ若ハ得シメザ
ル目的ヲ以テ戶別訪問ヲ爲シ又ハ連續
シテ個個ノ選擧人ニ面接シ若ハ電話ニ
依リ選擧運動ヲ爲シタル者ハ一年以下
ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十六條第八十八條第一項ノ罪ヲ犯
シダル者ニハ刑法第三十八條第三項但
書、第三十九條第二項、第四十條、第
四十一條、第四十八條第二項、第六十
三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
附則
第九十七條本法ハ昭和十五年四月一日
ヨリ之ヲ施行ス
第九十八條不動產所得、乙種ノ配當利
子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、
山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ付テハ
昭和十五年分分類所得稅ヨリ、個人ノ
總所得ニ付テハ昭和十五年分綜合所得
稅ヨリ本法ヲ適用ス
第九十九條法人ノ本法施行前ニ終了シ
タル各事業年度分ノ所得及本法施行前
ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル〓算所得
ニ對スル所得稅竝ニ本法施行前ニ賦課
シ若ハ賦課スベカリシ又ハ徵收シ若ハ
徵收スベカリシ第二種又ハ第三種ノ所
得ニ對スル所得稅ニ關シテハ仍從前ノ
例ニ依ル
第百條第八條ノ規定ハ同條第一一號及第
三號ニ揭グル金額ニシテ本法施行前ニ
於ケル解散又ハ合併ニ因ルモノニハ之
ヲ適用セズ
第百一條左ニ揭グル所得ニ付テハ政府
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十五年分
又ハ昭和十六年分ニ限リ所得稅ヲ輕減
若ハ免除シ又ハ所得金額ノ計算ニ關シ
特例ヲ設クルコトヲ得
-昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六
年一月一日ニ至ル期間引續キ有シタ
ルニ非ザル資產、營業又ハ職業ノ所
得
二昭和十四年一月一日ヨリ昭和十六
年一月一日ニ至ル期間引續キ支給ヲ
受ケタルニ非ザル俸給、給料、歲費、
費用辨償、年金及恩給竝ニ此等ノ性
質ヲ有スル給與
第百二條乙種ノ勤勞所得ニ屬スル賞與
又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ
昭和十四年三月一日以後同年十二月三
十一日迄ノ收入金額ニ限リ昭和十五年
分ノ乙種ノ勤勞所得トシテ之ヲ計算ス
第百三條昭和十四年分ノ第三種所得金
額(同居ノ戶主又ハ家族ノ分トノ合算
額ニ依ル)五千圓ヲ超ユル者ノ本法施
行後昭和十五年七月三十一日迄ニ支拂
ヲ受クル甲種ノ勤勞所得ニ對スル分類
所得稅ニ付テハ第二十四條第一項ノ規
定ニ依ル控除ハ之ヲ爲サズ
第百四條第三十條第一項第二號ノ所得
ニシテ其ノ支拂期ガ本法施行前ニ屬ス
ルモノハ個人ノ總所得トシテ之ヲ計算
セズ
賞與又ハ賞與ノ性質ヲ有スル給與ニ付
テハ昭和十四年三月一日以後同年十二
月三十一日迄ノ收入金額ニ限リ昭和十
五年分ノ個人ノ總所得トシテ之ヲ計算
ス
第百五條貯蓄銀行法第九條第一項ノ規
定ニ依リ貯蓄銀行ノ供託シタル國債ノ
利子ニ對シテハ第二十一條第一項ノ規
定ニ拘ラズ當分ノ內百分ノ三ノ稅率ニ
依リ分類所得稅ヲ賦課ス
第百六條個人ノ總所得中本法施行地ニ
於テ支拂ヲ受クル公債、社債、銀行預
金及第二十一條第二項ニ規定スル預金
ノ利子竝ニ命令ヲ以テ定ムル合同運用
信託ノ利益ニ付テハ當分ノ內納稅義務
者ノ申請ニ依リ他フ所得ト之ヲ區分シ
利子又ハ利益ノ支拂ノ際其ノ利子金額
又ハ利益金額ヲ課稅標準トシ百分ノ十
五ノ稅率ニ依リ其ノ綜合所得稅ヲ賦課
スルコトヲ得
前項ニ規定スル綜合所得稅ハ其ノ利子
又ハ利益支拂ノ際支拂者ニ於テ之ヲ徵
收シ翌月十日迄ニ政府ニ納付スベシ
第七十四條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之
ヲ準用ス
第二十四條第六項又ハ第二十五條第六
項ノ規定ハ第一項ニ規定スルモノノ外
他ニ綜合所得稅ノ賦課ヲ受ケザル者ニ
付テハ之ヲ適用セズ
第百七條信託會社ガ其ノ引受ケタル合
同運用信託ノ信託財產ニ付從前ノ規定
ニ依リ納付シタル第二種ノ所得ニ對ス
ル所得稅額及資本利子稅額ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ當該合同運用信託ノ利益
ニ對スル分類所得稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ第二種ノ
所得ニ對スル所得稅及資本利子稅ハ甲
種ノ配當利子所得ノ計算上當該合同運
用信託ノ利益ニ之ヲ加算ス
第百八條所得調査委員、其ノ補缺員、
所得審査委員及其ノ補缺員ニ關シテハ
昭和十五年七月三十一日迄ハ仍從前ノ
例ニ依ル
第百九條改正前ノ所得稅法第七十四條
乃至第七十六條又ハ營業收益稅法第二
十八條乃至第三十條ノ規定ニ依リ處罰
セラレタル後五年ヲ經ザル者ハ第四十
三條ノ規定ニ拘ラズ所得調査委員及補
缺員ヲ選擧シ又ハ所得調査委員若ハ補
缺員ニ選擧セラルルコトヲ得ズ
所得調査委員又ハ補缺員改正前ノ所得
稅法第七十四條乃至第七十六條又ハ營
業收益稅法第二十八條乃至第三十條ノ
規定ニ依リ處罰セラレタルトキハ其ノ
職ヲ失フ
第百十條昭和十五年ニ限リ第二十四條
第一項及第二十五條第一項ノ規定中一
月一日トアルハ三月一日、第二十四條
第六項ノ規定中七月一日トアルハ八月
一、第三十四條第一項ノ規定中三月
十五日トアルハ四月三十日、第三十七
條ノ規定中五月三十一日トアルハ六月
三十日、第七十三條ノ規定中其ノ年七
月一日ヨリ三十一日限トアルハ其ノ年
八月一日ヨリ三十一日限トス
第百十一條宗〓團體法第三十五條第一
項ノ佛堂ニ對シテハ所得稅ヲ課セズ
法人稅法案
法人稅法
第一條本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人及本法施行地ニ資產
又ハ營業ヲ有スル法人ハ本法ニ依リ法
人稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人ニ對シテハ其ノ所得
及資本ノ全部ニ付法人稅ヲ賦課シ本法
施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セ
ザル法人ニ對シテハ本法施行地ニ於ケ
ル資產又ハ營業ノ所得及之ニ關スル資
本ニ付テノミ法人稅ヲ賦課ス
第三條前條ノ規定ニ依リ法入稅ヲ賦課
スル所得及資本ハ左ニ揭グルモノトス
-各事業年度ノ所得
二〓算所得
三各事業年度ノ資本
第四條本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ所得
ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控
除シタル金額ニ依ル但シ相互保險會社及
會員組織ノ取引所ニ在リテハ各事業年度
ノ剩餘金ニ依ル
法人ガ各事業年度ニ於テ納付シタル又
ハ納付スベキ法人稅及臨時利得稅ハ前
項ノ所得ノ計算土之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ各事業年度開始ノ日前一年以内
ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損
金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ第一項
ノ所得ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保險會社又ハ會員
組織ノ取引所ノ剩餘金ノ計算ニ付之ヲ
準用ス
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ
有セザル法人ノ各事業年度ノ所得ハ本
法施行地ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前
四項ノ規定ニ準ジ計算シタル金額ニ依ル
第五條所得稅法第六條及第七條ノ規定
ハ法人稅ノ賦課ニ付之ヲ準用ス
信託會社ノ各事業年度ノ所得ノ計算ニ
付テハ合同運用信託ニ因ル收入及支出
ハ其ノ總益金及總損金ヨリ各之ヲ控除ス
第六條法人解散シタル場合ニ於テ其ノ殘
餘財產ノ價額ガ解散當時ノ拂込株式金
額又ハ出資金額及積立金額ノ合計金額
ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ以テ
法人ノ〓算所得トス
法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併ニ
因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員
ガ合併後存續スル法人若ハ合併ニ因リ
テ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取得
スル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額及
金錢ノ總額ガ合併ニ因リテ消滅シタル法
人ノ合併當時ノ拂込株式金額又ハ出資
金額及積立金額ノ合計金額ヲ超過スルト
キハ其ノ超過金額ハ之ヲ合併ニ因リテ
消滅ジタル法人ノ〓算所得ト看做ス
第七條本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ資本
ハ各事業年度ノ各月末ニ於ケル拂込株
式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積
立金額ヨリ各月末ニ於ケル繰越〓損金
額ヲ控除シタル金額ノ月割平均額ニ當
該事業年度ノ月數ヲ乘ジタルモノヲ十
二分シテ計算シタル金額ニ依ル
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ
有セザル法人ノ各事業年度ノ資本ハ本
法施行地ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前
項ノ規定ニ準ジ命令ノ定ムル所ニ依リ
計算シタル金額ニ依ル
第八條法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ
合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ
其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ
至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第九條本法ニ於テ積立金額トハ積立金
其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各
事業年度ノ所得中其ノ留保シタル金額
ヲ謂フ
法人稅及臨時所得稅トシテ納付スベキ
金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ
算入セズ
第十條合併後存續スル法人又ハ合併ニ
因リテ設立シタル法入ハ合〓ニ因リテ
消滅シタル法人ノ所得及資本ニ付法人
稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第十一條北海道、府縣、市町村其ノ他
命令ヲ以テ指定スル公共團體、神社及
民法第三十四條ノ規定ニ依リ設立シタ
ル法人ニハ法人稅ヲ課セズ
第十二條命令ヲ以テ指定スル重要物產
ノ製造、採掘又ハ採取ヲ爲ス法人ニハ
命令ノ定ムル所ニ依リ製造、採掘又ハ
採取ノ事業ヲ開始シタル年及其ノ翌年
ヨリ三年間其ノ業務ヨリ生ズル所得ニ
付法人稅ヲ免除ス
第十三條第四條ノ規定ニ依り法人ノ各
事業年度ノ所得ヲ計算スル場合ニ於テ
法人ガ國積ヲ所有スルトキハ國債ノ利
子額中其ノ國債ヲ所有シタル期間ノ利
子額ノ百分ノ七十ニ相當スル金額ヲ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所得ヨリ控除
ス但シ國債ノ利子ガ外貨情特別稅又ハ
配當利子特別稅ヲ課セラルルモノナル
トキハ其ノ控除額ハ其ノ國債ヲ所有シ
タル期間ノ利子額ヨリ其ノ利子額ニ對
スル外貨債特別稅相當額又ハ配當利子
特別稅相當額ヲ控除シタル殘額ノ百分
ノ七十ニ相當スル金額トス
前項ノ規定ハ法人ノ〓算所得ノ計算ニ
付之ヲ準用ス
第十四條法人ノ各事業年度度ノ臨時利
得稅額ハ當該事業年度ノ所得金額ヨリ
之ヲ控除ス
法人稅ヲ課スベキ所得ト其ノ他ノ所得
トヲ有スル法人ノ所得金額ヨリ控除ス
ベキ臨時利得稅額ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ計算ス
第十五條法人ノ〓算期間中ニ於テ生ジ
又ハ合併ニ因リ生ジタル所得ニシテ本
法其ノ他ノ法律ニ依リ法人稅ヲ課セラ
レザルモノノ金額ハ法人ノ〓算所得金
額ヨリ之ヲ控除ス
第十六條法人稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ
賦課ス
各事業年度ノ所得
本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人
所得金額ノ百分ノ十八
本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有セザル法人
所得金額ノ百分ノ二十八
二〓算所得
所得金額ノ百分ノ十八
三各事業年度ノ資本
資本金額ノ千分ノ一·五
法人ガ各事業年度ニ於テ納付シタル所
得稅法第十條ニ規定スル配當利子所得
ニ對スル分類所得稅額ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ當該事業年度ノ所得ニ對スル
法人稅額ヨリ之ヲ控除ス
前項ノ場合ニ於テ控除スベキ所得稅法
第十條ニ規定スル配當利子所得ニ對ス
ル分類所得稅ハ法人ノ所得計算上之ヲ
損金ニ算入セズ
前二項ノ規定ハ〓算所得ニ對スル法人
稅ニ付之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ依リ算出シタル各事業
年度ノ資本ニ對スル法人稅額ガ年十圓
ニ滿タザルトキハ年十圓トス
第四條ノ規定ニ依リ計算シタル所得金
額ナキ法人ノ賞該事業年度ノ資本ニ對
スル法人稅ハ之ヲ免除ス第一項及前項
ノ規定ニ依リ算出シタル各事業年度ノ
資本ニ對スル法人稅額ガ其ノ事業年度
ノ所得金額ヨリ其ノ事業年度ノ所得ニ
對スル法人稅額ヲ控除シタル殘額ヲ超
過スルトキハ其ノ超過額ニ相當スル各事業
年度ノ資本ニ對スル法人稅ニ付亦同ジ
第十七條同族會社ガ各事業年度ニ於テ
留保シタル金額中左ノ各號ノ一ニ該當
スル金額アルトキハ政府ハ其ノ事業年
度ノ所得ヲ年額ニ換算シタル金額中五
萬圓以下ノ金額ニ百分ノ二十、五萬圓
ヲ超ユル金額ニ百分ノ三十、十萬圓ヲ
超ユル金額ニ百分ノ四十、五十萬圓ヲ
超ユル金額ニ百分ノ五十、百萬圓ヲ超
ユル金額ニ百分ノ六十五ヲ乘ジタル合
計金額ノ所得年額ニ對スル割合ヲ求メ
之ヲ稅率トシテ左ノ各號ノ一ニ當該ス
ル金額(各號共ニ該當スル場合ニハ其
ノ多額ナル一方)ニ付適用シテ算出シ
タル稅額ヲ各事業年度ノ所得ニ對スル
法人稅ニ加算スルコトヲ得
一各事業年度ノ所得中留保シタル金
額ガ其ノ事業年度ニ於ケル所得ノ十
分ノ三ニ相當スル金額ヲ超過スルト
キハ其ノ超過金額
二各事業年度ノ所得中留保シタル金
額ヨリ其ノ事業年度ニ於ケル所得ノ
十分ノ一ニ相當スル金額ヲ控除シタ
ル殘額及其ノ事業年度末ニ於ケル積
立金額ノ合計ガ其ノ事業年度末ニ於
ケル拂込株式金額又ハ出資金額ノ二
分ノ一ニ相當スル金額ヲ超過スルト
キハ其ノ超過金額但シ其ノ事業年度
末ニ於ケル積立金額ガ拂込株式金額
又ハ出資金額ノ二分ノ一ヲ超過スル
場合ニ於テハ其ノ超過額ハ之ヲ控除
ス
前項ノ各事業年度ノ所得及所得中留保
シタル金額ハ其ノ事業年度ノ所得及資
本ニ課セラルベキ法人稅額(前項ノ規
定ニ依リ加算スル稅額ヲ含マズ)及第
十四條ノ規定ニ依リ控除スベキ臨時利
得稅額ヲ其ノ事業年度ノ所得及其ノ所
得中留保シタル金額ノ双方ヨリ控除シ
タル殘額ニ依ル
本法ニ於テ同族會社ト稱スルハ株主又
ハ社員ノ一人及之ト親族、使用人、命
令ヲ以テ定ムル出資關係アル法人等特
殊ノ關係アル者ノ株式金額又ハ出資金
額ノ合計ガ其ノ法人ノ株式金額又ハ出
資金額ノ二分ノ一以上ニ相當スル法人
マヨク
第十八條納稅義務アル法人ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ財產日錄、貸借對照表、損
益計算書又ハ〓算若ハ合併ニ關スル計
算書竝ニ第四條乃至第九條ノ規定ニ依
リ計算シタル所得金額及資本金額ノ明
細書ヲ添附シ其ノ所得金額及資本金額
ヲ政府ニ申〓スベシ尙本法施行地ニ本
店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ハ
右ノ外本法施行地ニ於ケル資產又ハ營
業ニ關スル損益ヲ計算シタル所得金額
ノ明細書及本法施行地ニ於ケル資產又
ハ營業ニ關スル資本金額ノ明細書ヲ添
附スベシ
前項ノ規定ハ第一條ニ規定スル法人ニ
法人稅ヲ課スベキ所得又ハ資本ナキ場
合ニ付之ヲ準用ス
第十九條法人ノ所得金額及資本金額ハ
前條ノ申〓ニ依リ、申〓ナキトキ又ハ
申〓ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調
査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第二十條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調
査上必要アルトキハ納稅義務アル法人
又ハ納稅義務アリト認ムル法人ニ質問
ヲ爲シ又ハ其ノ帳簿書類其ノ他ノ物件
ヲ檢査スルコトヲ得
第二十一條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
調査上必要アルトキハ納稅義務アル法
人若ハ納稅義務アリト認ムル法人ニ金
錢若ハ物品ヲ支拂フノ義務ヲ有スト認
ムル者ニ對シ又ハ納稅義務アル法人若
ハ納稅義務アリト認ムル法人ヨリ金錢
若ハ物品ノ支拂ヲ受クルノ權利ヲ有ス
ト認ムル者ニ對シ其ノ金額、數量、價
格、支拂期日等ニ付質問スルコトヲ得
第二十二條第十九條ノ規定ニ依リ法人
ノ所得金額及資本金額ヲ決定シタルト
キ又ハ第十七條ノ規定ニ依リ稅額加算
ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義
務アル法人ニ通知スベシ
第二十三條納稅義務アル法人前條ノ規
定ニ依リ政府ノ通知シタル所得金額、
資本金額又ハ加算稅額ニ對シ異議アル
トキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以
內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請
求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ
稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第二十四條前條第一項ノ請求アリタル
トキハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決
議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第三十八條及第六十八條第二
項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十五條前條第一項ノ決定ニ對シ不
服アル法人ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判
所ニ出訴スルコトヲ得
第二十六條法人稅ハ事業年度每ニ之ヲ
徴收ス但シ〓算所得ニ對スル法人稅ハ
〓算又ハ合併ノ際之ヲ徵收ス
第二十七條法人解散シタル場合ニ於
テ各事業年度ノ所得若ハ資本ニ對ス
ル法人稅又ハ〓算所得ニ對スル法人
稅ヲ納付セズシテ殘餘財產ヲ分配
シタルトキハ其ノ稅金ニ付〓算人連帶
シテ納稅ノ義務アルモノトス
第二十八條同族會社ノ行爲又ハ計算ニ
シテ法人稅通脫ノ目的アリト認メラル
ルモノアル場合ニ於テハ其ノ行爲又ハ
計算ニ拘ラズ政府ハ其ノ認ムル所ニ依
リ所得金額及資本金額ヲ計算スルコト
ヲ得
第二十九條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依
リ法人稅ヲ通脫シタル者ハ其ノ通脫シ
タル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科
料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徴收ス但シ自
首シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其
ノ罪ヲ問ハズ
第三十條第二十條ノ規定ニ依ル帳簿書
類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若
ハ忌避シ又ハ虚僞ノ記載ヲ爲シタル帳
簿書類ヲ呈示シタル者ハ千圓以下ノ罰
金ニ處ス
第三十一條法人ノ所得又ハ資本ノ調査
又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタ
ル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル
祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタル
トキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條第二十九條ノ罪ヲ犯シタル
者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第
三十九條第二項、第四十條、第四十一
條、第四十八條第二項、第六十三條及
第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第三十三條北海道、府縣、市町村其ノ
他ノ公共團體ハ法人稅ノ附加稅ヲ課ス
ルコトヲ得ズ
附則
第三十四條本法ハ昭和十五年四月一日
ヨリ之ヲ施行ス
第三十五條各事業年度ノ所得及資本ニ
對スル法人稅ニ付テハ昭和十五年四月
一日以後終了スル事業年度分ヨリ、〓
算所得ニ對スル法人稅ニ付テハ昭和十
五年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合
併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
第三十六條昭和十五年四月一日ヲ含ム
事業年度ノ直前事業年度分ノ第一種所
得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本稅
及命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附
加稅ニ相當スル租稅ハ之ヲ法人稅ト看
做シ第四條第二項ノ規定ヲ適用ス法人
ガ本法施行前ニ合併ヲ爲シタル場合ニ於
テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ
設立シタル法人ノ合併ノ日ヲ含ム事業年
度ガ本法施行後ニ終了スル場合ニ於ケ
ル合併ニ因リ消滅シタル法人ノ最後ノ
事業年度分ノ第一種所得稅、第一種所
得稅附加稅、法人資本稅及命令ヲ以テ
指定スル第一種所得稅附加稅ニ相當ス
ル租稅竝ニ清算所得ニ對スル第一種所
得稅及第一種所得稅附加稅ニ付亦同ジ
第三十七條昭和十五年四月一日ヲ含ム
事業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年
度分ノ臨時利得稅ハ第四條第二項ノ規
定ニ拘ラズ法人ノ各事業年度ノ所得ノ
計算上之ヲ損金ニ算入ス
第三十八條本法施行後終了スル事業年
度ニ於テ又ハ本法施行後ニ於ケル解散
ニ因ル〓算ノ期間中ニ法人ノ納付シタ
ル第二種ノ所得ニ對スル所得稅額及資
本利子稅額ハ之ヲ所得稅法第十條ニ規
定スル配當利子所得ニ對スル分類所得
稅額ト看做シ第十六條第二項乃至第四
項ノ規定ヲ適用ス
第三十九條本法施行後終了スル事業年
度ニ於テ法人ノ納付シタル鑛產稅額、
特別鑛產稅額又ハ取引所營業稅額ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部
ヲ當該事業年度ノ所得ニ對スル法人稅
額ヨリ控除ス
第四十條法人ガ本法施行後終了スル事
業年度ニ於テ公債及社債利子稅ヲ課セ
ラルル國債ヲ所有スルトキハ其ノ國債
ヲ所有シタル期間分ノ利子額ニ對スル
公債及社債利子稅ヲ配當利子特別稅ト
看做シ第十三條ノ規定ヲ適用ス
第四十一條宗〓團體法第二十二條中
「所得稅」ノ下ニ「及法人稅」ヲ加フ
宗〓團體法第三十五條第一項ノ佛堂ニ
對シテハ法人稅ヲ課セズ
特別法人稅法案
特別法人稅法
第一條本法施行地ニ主タル事務所ヲ有
スル特別ノ法人ハ本法ニ依リ特別法人
稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條本法ニ於テ特別ノ法人トハ左ニ
揭グル法人ヲ謂フ
一產業組合及產業組合聯合會
二商業組合及商業組合聯合會(所屬
ノ組合員、組合又ハ聯合會ヲシテ出
資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)
三工業組合及工業組合聯合會(所屬
ノ組合員、組合又ハ聯合會ヲシテ出
資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)
四貿易組合及貿易組合聯合會(所屬
ノ組合員、組合又ハ聯合會ヲシテ出
資ヲ爲サシメザルモノヲ除ク)
五漁業協同組合及漁業組合聯合會
六蠶絲共同施設組合
七產業組合中央金庫
八商工組合中央金庫
第三條特別法人稅ハ特別ノ法人ノ剩餘
金ニ付之ヲ賦課ス
第四條特別ノ法人ノ剩餘金ハ各事業年
度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金
額ニ依ル
特別ノ法人ガ取扱ヒタル物ノ數量、價
額其ノ他事業ノ分量ニ對シテ配當スベ
キ金額ハ前項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損
金ニ算入ス
特別ノ法人ガ各事業年度ニ於テ納付シ
タル又ハ納付スベキ特別法人稅ハ第一
項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算入セ
ズ
特別ノ法人ノ各事業年度開始前一年以
內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタ
ル損金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ
第一項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算
入ス
前三項ニ規定スルモノノ外第一項ノ剩
餘金ノ計算ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
第五條前條ノ規定ニ依リ特別ノ法人ノ
各事業年度ノ剩餘金ヲ計算スル場合ニ
於テ特別ノ法人ガ國債ヲ所有スルトキ
ハ國債ノ利子額中其ノ國債ヲ所有シタ
ル期間分ノ利子額ノ百分ノ七十ニ相當
スル金額ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
剩餘金ヨリ控除ス
第六條產業組合、商業組合、工業組合、
貿易組合、漁業協同組合及蠶絲共同施
設組合ニハ前條ノ規定ニ依ル控除前ノ
剩餘金額ガ其ノ拂込濟出資金額ニ對シ
年百分ノ三ノ割合ヲ以テ算出シタル金
額ヲ超エザルトキハ特別法人稅ヲ課セ
ズ
前項ノ拂込濟出資金額ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ計算ス
第七條特別ノ法人ガ事業年度中ニ解散
シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ
於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ
合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度
ト看做ス
第八條合併後存續スル特別ノ法人又ハ
合併ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ハ
合併ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ノ
剩餘金ニ付特別法人稅ヲ納ムル義務ア
ルモノトス
分割ニ因リテ設立シタル特別ノ法人ハ
分割ニ因リテ消滅シタル特別ノ法人ノ
剩餘金又ハ分割後存續スル特別ノ法人
ノ分割前ノ剩餘金ニ付分割ニ因リテ設
立シタル他ノ特別ノ法人又ハ分割後存
續スル特別ノ法人ト連帶シテ特別法人
稅ヲ納ムル義務アルモノトス
前二項ノ規定ハ合併若ハ分割後存續ス
ル法人又ハ合併若ハ分割ニ因リテ設立
シタル法人ガ特別ノ法人ニ非ザル場合
ニ付之ヲ準用ス
第九條特別法人稅ノ稅率ハ百分ノ九トス
第十條納稅義務アル特別ノ法人ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ財產目錄、貸借對照
表、損益計算書竝ニ第四條及第六條第
二項ノ規定ニ依リ計算シタル剩餘金額
及拂込濟出資金額ノ明細書ヲ添附シ其
ノ剩餘金ヲ政府ニ申〓スベシ
前項ノ規定ハ特別ノ法人ニ特別法人稅
ヲ課スベキ剩餘金ナキ場合ニ付之ヲ準
用ス
第十一條特別ノ法人ノ剩餘金額ハ前條
ノ申〓ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申〓
ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ
依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第十二條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調
査上必要アルトキハ特別ノ法人ニ質問
ヲ爲シ又ハ其ノ帳簿書類其ノ他ノ物件
ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條第十一條ノ規定ニ依リ特別ノ
法人ノ剩餘金額ヲ決定シタルトキハ政
府ハ之ヲ特別ノ法人ニ通知スベシ
第十四條特別ノ法人前條ノ規定ニ依リ
政府ノ通知シタル剩餘金額ニ對シ異議
アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十
日以内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査
ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ
稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ。
第十五條前條第一項ノ請求アリタルト
キハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決議
ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第三十八條及第六十八條第二
項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十六條前條第一項ノ決定ニ對シ不服
アル特別ノ法人ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政
裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十七條特別法人稅ハ事業年度每ニ之
ヲ徵收ス
第十八條特別ノ法人解散シタル場合ニ
於テ特別法人稅ヲ納付セズシテ殘餘財
產ヲ分配シタルトキハ其ノ稅金ニ付〓
算人連帶シテ納稅ノ義務アルモノトス
第十九條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
特別法人稅ヲ連脫シタル者ハ其ノ通脫
シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ
科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ
自首シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ
其ノ罪ヲ問ハズ
第二十條第十二條ノ規定ニ依ル帳簿書
類其ノ他物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ
忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿
書類ヲ呈示シタル者ハ千圓以下ノ罰金
又ハ科料ニ處ス
第二十一條特別ノ法人ノ剩餘金ノ調査
又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタ
ル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル
祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタル
トキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條第十九條ノ罪ヲ犯シタル者
ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三
十九條第二項、第四十條、第四十一條、
第四十八條第二項、第六十三條及第六
十六條ノ規定ヲ適用セズ
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法ハ昭和十五年四月一日以後終了スル
事業年度分ヨリ之ヲ適用ス
明治四十年法律第二十一號第一條第一項
ニ左ノ一號ヲ加フ
二十特別法人稅
配當利子特別稅法案
配當利子特別稅法
第一條本法施行地ニ本店ヲ有スル法人
ヨリ利益ノ配當ヲ受クル者及本法施行
地ニ於テ公債又ハ社債ノ利子ノ支拂ヲ
受クル者ニハ本法ニ依リ配當利子特別
稅ヲ課ス
第二條配當利子特別稅ハ利益ノ配當又
ハ公債若ハ社債ノ利子ニ付之ヲ賦課ス
第三條利益ノ配當又ハ公債若ハ社債ノ
利子ハ其ノ支拂ヲ受クベキ金額ニ依ル
第四條左ニ揭グル利益ノ配當又ハ公債
若ハ社債ノ利子ニハ配當利子特別稅ヲ
課セズ
-所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ所得
稅ヲ課セラレザル者ノ受クル利益ノ
配當又ハ其ノ所有ニ屬スル公債若ハ
社債ノ利子
二配當率年一割以下ノ利益ノ配當
三利率年四分以下ノ國債ノ利子又ハ
利率年四分五厘以下ノ國債以外ノ公
債若ハ社債ノ利子
四外貨債特別稅法第一條第二項ニ規
定スル外貨債ノ利子
第五條配當利子特別稅ノ稅率左ノ如シ
-利益ノ配當
配當金中配當率年一割ノ割合
ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユ
ル金額ノ百分ノ十五
二公債又ハ社債ノ利子
甲國債
利子金額中利率年四分ノ割合
ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユ
ル金額ノ百分ノ十五
乙國債以外ノ公債又ハ社債
利子金額中利率年四分五厘ノ
割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ
超ユル金額ノ百分ノ十五
第六條配當利子特別稅ハ配當又ハ利子
支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日
迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第七條前條ノ規定ニ依リ徵收スベキ配
當利子特別稅ヲ徵收セザルトキ又ハ其
ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ
國稅徵收ノ例ニ依リ配當又ハ利子ノ支
拂者ヨリ之ヲ徵收ス
第八條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調査
上必要アルトキハ利益ノ配當又ハ公債若
ハ社債ノ利子ノ支拂ヲ受ケ又ハ其ノ支拂
ヲ爲スト認ムル者ニ對シ質問スルコトヲ得
第九條所得稅法第八十六條ノ規定ハ配
當利子特別稅ニ付之ヲ準用ス
第十條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ配
當利子特別稅ヲ通脫シタル者ハ其ノ通
脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又
ハ科料ニ處ス但シ自首シ又ハ稅務署長
ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第十一條配當又ハ利子ノ支拂ヲ爲スト
認ムル者第八條ノ規定ニ依ル稅務署長
又ハ其ノ代理官ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲
サズ又ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十二條第十條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ
刑法第三十八條第三項但書、第三十九
條第二項、第四十條、第四十一條、第
四十八條第二項、第六十三條及第六十
六條ノ規定ヲ適用セズ
第十三條配當利子特別稅ヲ課セラルル
利益ノ配當又ハ公債若ハ社債ノ利子ニ
付所得稅ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利
益配當金額又バ利子金額ヨリ配當利子
特別稅相當額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ
其ノ配當金額又ハ利子金額ト看做ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
支那事變特別稅法ニ依リ利益配當稅又ハ
公債及社債利子稅ヲ課スル利益ノ配當又
ハ公債若ハ社債ノ利子ニ付テハ當該利益
配當稅又ハ公債及社債利子稅ヲ配當利子
特別稅ト看做シ第十三條ノ規定ヲ適用ス
外貨債特別稅法中改正法律案
外貨債特別稅法中左ノ通改正ス
第二條第二項中「第三條ノ二第一項(但書
ヲ除ク)及第二項」ヲ「第六條(第一項但書
ヲ除ク)」ニ改ム
第四條左ニ揭グル利子ニハ外貨債特別
稅ヲ課セズ
所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ所得
稅ヲ課セラレザル者ノ所有ニ屬スル
外貨債ノ利子
二利率年四分以下ノ外貨國債ノ利子
三利率年四分五厘以下ノ外貨國債以
外ノ外貨債ノ利子
四起債者ガ外貨債利子ニ對スル租稅
ヲ負擔スベキ旨ノ約款アル外貨債ノ
利子但シ其ノ約款ガ昭和十二年一月
一日前定メラレタルモノニ限ル
第五條中「利率年五分」ヲ「利率年四分」ニ、
「利率年五分五厘」ヲ「利率年四分五厘」ニ
改ム
第十五條所得稅法第八十四條第一項及
第八十五條竝ニ法人稅法第十條ノ規定
ハ外貨債特別稅ニ付之ヲ準用ス
第十六條第一項ヲ左ノ如ク定ム
法人稅法第十條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、關
東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所
ヲ有スル法人ガ朝鮮、臺灣、關東州、
樺太又ハ法人稅法施行地ニ本店又ハ主
タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ爲シ
タル場合ニ於テ合併後存續スル法人又
ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ法人
稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ
有スル場合ニ付之ヲ準用ス
第十八條中「(第一種所得稅ヲ除ク)又ハ
資本利子稅」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ第二條、第四條及第五條ノ改正規
定ハ支拂期ガ昭和十五年一月一日以後ニ
在ル外貨債ノ利子ニ付之ヲ適用ス
相續稅法中改正法律案
相續稅法中左ノ通改正ス
第五條ノ二本法施行地ニ住所ヲ有スル
者ノ死亡ニ因ル家督相續ニシテ其ノ課
稅價格五萬圓以下ノモノニ付テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ課稅價格ヨリ相續開
始當時ノ被相續人ノ同居家族中年齡十
八歲未滿若ハ六十歲以上又ハ不具癈疾
ノ者一人ニ付千圓ヲ控除ス
本法施行地ニ住所ヲ、有スル者ノ死亡ニ
因ル遺產相續ニシテ其ノ課稅價格三萬
圓以下ノモノニ付テハ命令ノ定ムル所
ニ依リ課稅價格ヨリ相續開始當時被相
續人ノ親權ニ服シ且被相續人ト同居ス
ル子ノ中年齡十八歲未滿又ハ不具癈疾
ノ者一人ニ付千圓ヲ控除ス
前二項ノ規定ニ依リ控除スヘキ金額ハ
課稅價格ヨリ遺贈ノ價額及第三條ノ規
定ニ依リ相續財產ノ價額ニ加ヘタル贈
家督相續
稅
課稅價格相續人カ被相續人
ノ家族タル直系卑
屬ナルトキ
一萬圓以下ノ金額千分ノ十
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ十五
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十五
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ五十
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ七十
十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ九十
十五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百十
二十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百三十
三十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百五十
四十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百七十
五十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百九十
七十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百十
百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百四十
二百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百七十
m
三百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百
五百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百三十
與ノ價額ヲ控除シタル殘額ニ相當スル
金額ヲ超ユルコトナシ
第一項及第二項ニ規定スル不具癈疾者
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條中「相續稅ヲ課セス」ノ下ニ「前條
ノ規定ニ依ル控除ヲ爲シタル爲課稅價格
カ家督相續ニ在リテハ五千圓、遺產相續
ニ在リテハ千圓ニ滿タサルニ至リタルト
キ亦同シ」ヲ加フ
第八條第一項ヲ左ノ如ク改ム
相續稅ハ課稅價格ヲ左ノ各級ニ區分シ
其ノ各區分ニ對シ相續人ノ種類ニ從ヒ
遞次ニ各稅率ヲ適用シテ之ヲ課ス
率
相續人カ被相續人ノ
指定シタル者民法相續人カ民法第九百
第九百八十二條ノ規八十五條ノ規定ニ依
定ニ依リ選定セラレリ選定セラレタル者
タル者、被相續人ノナルトキ
家族タル直系尊屬又
ハ入夫ナルトキ
千分ノ十五千分ノ二十
千分ノ二十千分ノ三十
千分ノ三十千分ノ四十
千分ノ四十千分ノ六十
千分ノ五十千分ノ八十
千分ノ七十千分ノ百
千分ノ九十千分ノ百二十
千分ノ百十千分ノ百五十
千分ノ百三十千分ノ百八十
千分ノ百五十千分ノ二百十
千分ノ百七十千分ノ二百四十
千分ノ百九十千分ノ二百七十
千分ノ二百二十千分ノ三百
千分ノ二百五十千分ノ三百三十
千分ノ二百八十千分ノ三百六十
千分ノ三百十千分ノ三百九十
千分ノ三百四十千分ノ四百二十
千分ノ三百七十千分ノ四百五十
遺產相續
稅
課稅價格相續人カ直系卑屬
ナルトキ
五千圓以下ノ金額千分ノ二十
五千圓ヲ超ユル金額千分ノ三十
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四十
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ五十
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ六十
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ八十
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百二十
十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百五十
十五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百八十
二十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百十
三十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百四十
四十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百七十
五十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百
七十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百三十
百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百七十
二百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百十
三百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百五十
五百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百九十
第十二條ノ三稅務署長又ハ其ノ代理官
ハ調査上必要アルトキハ被相續人、納
稅義務者又ハ納稅義務アリト認ムル者
ニ質問スルコトヲ得
第十二條ノ四ニ第一項トシテ左ノ一項ヲ
加フ
稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要
アルトキハ第十二條ノ一一第一項ノ支拂
調書ヲ提出スル義務アル者ニ質問スル
コトヲ得
第十七條第二項中「前項」ヲ「前二項」ニ改
メ同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
相續稅ヲ課スヘキ相續財產ノ價額中不
動產及不動產ノ上ニ存スル權利竝ニ信
率
相續人カ配偶者又ハ相續人カ其ノ他ノ者
直系尊屬ナルトキナルトキ
千分ノ三十千分ノ四十
千分ノ四十千分ノ六十
千分ノ五十千分ノ八十
千分ノ七十千分ノ百
千分ノ九十千分ノ百二十
千分ノ百十千分ノ百四十
千分ノ百三十千分ノ百六十
千分ノ百五十千分ノ百八十
千分ノ百八十千分ノ二百十
千分ノ二百十千分ノ二百四十
千分ノ二百四十千分ノ二百七十
千分ノ二百七十千分ノ三百
千分ノ三百千分ノ三百三十
千分ノ三百三十千分ノ三百六十
千分ノ三百六十千分ノ三百九十
千分ノ四百千分ノ四百三十
千分ノ四百四十千分ノ四百七十
千分ノ四百八十千分ノ五百十
千分ノ五百二十千分ノ五百五十
託財產タル不動產ノ元本ノ利益ヲ受ク
ヘキ權利ノ價額ノ合計額カ相續財產ノ
價額ノ二分ノ一ヲ超ユルトキハ前項但
書ノ期間ハ之ヲ十年以內トス
第二十三條第二項中「超過スル金額ヲ」ノ
下ニ「第一項又ハ」ヲ、同條第三項中「第一
項」ノ下ニ「又ハ第二項」ヲ加ヘ同條第一
項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ贈與前三年以內ニ同
一人ニ對シ爲シタル贈與(朝鮮、臺灣又
ハ樺太ニ住所ヲ有シタル當時爲シタル
贈與ヲ含ム)ニシテ價額千圓以上ノモ
ノアルトキハ其ノ贈與ノ價額ヲ前項ノ
贈與ノ價額ニ加算シテ得タル金額ニ對
シ第八條ノ稅率ヲ適用シテ算出シタル
金額ヨリ加算シタル贈與ノ價額(二以
上ノ贈與アルトキハ其ノ價額ノ合計
額)ニ對シ同條ノ稅率ヲ適用シテ算出
シタル金額ヲ控除シタル金額ヲ以テ其
ノ稅額トス
第二十四條ノ三第十二條ノ四ノ規定ニ
依ル稅務署長又ハ其ノ代理官ノ質問ニ
對シ答辯ヲ爲サス又ハ虛僞ノ陳述ヲ爲
シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ
處ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前開始シタル相續ニ關シテハ仍
從前ノ例ニ依ル但シ第八條ノ改正規定ハ
隱居ニ因リ開始シタル家督相續ニ在リテ
ハ昭和十五年一月一日以後ニ開始シタル
モノ、第二十三條第一項ニ規定スル贈與
ニ在リテハ同日以後ニ爲シタルモノニ付
之ヲ適用シ第二十三條ノ改正規定ハ同日
以後ニ爲シタル贈與ニ付之ヲ適用ス
建築稅法案
建築稅法
第一條本法施行地ニ於テ左ニ揭グル家
屋ヲ建築(增築及改造ヲ含ム以下同ジ)
シタル者ニハ本法ニ依リ建築稅ヲ課ス
一居住ノ用ニ供スル家屋
二料理店業、席貸業其ノ他之ニ類ス
ル營業ノ用ニ供スル家屋ニシテ命令
ヲ以テ定ムルモノ
三演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物
(相撲、野球、拳圖其ノ他ノ競技ニシ
テ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的ト
スルモノヲ含ム)ノ開催ノ用ニ供ス
ル家屋
第二條建築稅ハ家屋(附屬工作物ヲ含
ム以下同ジ)一構每ニ其ノ建築價額ヲ
標準トシテ之ヲ賦課ス
前項ノ建築價額ノ算定ニ關シテハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
一構ノ家屋ノ一部ガ前條ノ家屋ニ該當
スル場合ニ於テハ其ノ部分ヲ以テ一構
ノ家屋ト看做ス
第三條第一條ニ揭グル家屋ヲ新築シタ
ル者新築竣成後一年以內ニ其ノ家屋ト
一構ト爲ルベキ建築ヲ爲シタル場合ニ
於テハ前後ノ建築ヲ通ジテ一建築ト看
做シ本法ヲ適用ス
前項ノ規定ニ依リ建築稅ヲ課スベキ場
合ニ於テ既ニ建築稅ヲ課シタル部分ア
ルトキハ其ノ建築稅ニ相當スル金額ヲ
建築稅額ヨリ控除ス
第四條建築稅ハ建築價額ヨリ五千圓ヲ
控除シタル金額ノ百分ノ十ニ相當スル
金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第五條左ニ掲グル家屋ヲ建築シタル場
合ニ於テハ建築稅ヲ課セズ
建築價額一萬圓未滿ノ家屋
二公用又ハ公共ノ用ニ供スル爲北海
道府縣、市町村其ノ他命令ヲ以テ
指定スル公共團體ガ建築シタル家屋
三其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第六條左ニ揭グル家屋ヲ建築シタル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ建築
稅ヲ免除ス
災害ニ因リ滅失又ハ損壞シタル家
屋ニ代ヘテ建築シタル家屋
二法令ニ依リ收用又ハ使用セラレタ
ル家屋ニ代ヘテ建築シタル家屋及法
令ニ依ル敷地ノ收用又ハ使用ニ因リ
取毀シタル家屋ニ代ヘテ建築シタル
家屋
三其ノ他命令ヲ以テ定ムル家屋
第七條建築稅ニ付納稅義務アル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ建築價額ヲ政府ニ
申告スベシ
第八條建築價額ハ前條ノ申〓ニ依リ、
申〓ナキトキ又ハ申〓ヲ不相當ト認ム
ルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ
之ヲ決定ス
建築價額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之
ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第九條建築稅ハ建築竣成ノ際之ヲ徵收
ス
第十條建築稅ハ家屋ノ所在地ラ以テ納
稅地トス
納稅義務者納稅地ニ現住セザルトキハ
建築價額ノ申〓、納稅其ノ他建築稅ニ
關スル事項ヲ處理セシムル爲其ノ地ニ
於テ納稅管理人ヲ定メ政府ニ申告スベ
シ
第十一條本法ノ適用ニ付テハ被相續人
ノ爲シタル家屋ノ建築ハ相續人ノ爲シ
タルモノト看做シ合併ニ因リテ消滅シ
タル法人ノ爲シタル家屋ノ建築ハ合併
後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立
シタル法人ノ爲シタルモノト看做ス
第十二條收稅官吏ハ家屋ヲ建築シタル
者建築工事請負人、建築工事管理者
若ハ建築材料供給者ニ對シ質問ヲ爲シ
又ハ家屋、建築ニ關スル帳簿書類其ノ
他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
建築稅ヲ連脫シケル者ハ其ノ通脫シタ
ル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料
ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首
シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ
罪ヲ問ハズ
第十四條第十二條ノ規定ニ依ル收稅官
吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞
ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ百圓以下
ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十五條第十三條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
ハ刑法第三十八條第三項但書、第三十
九條第二項、第四十條、第四十一條、
第四十八條第二項、第六十三條及第六
十六條ノ規定ヲ適用セズ
附則
本法ハ昭和十五年四月一目ヨリ之ヲ施行
ス
第三條第二項ノ規定ノ適用ニ付テハ支那
事變特別稅法ニ依リ課セラレタル建築稅
ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル建築稅ト
看做ス
鑛區稅法案
鑛區稅法
第一條本法施行地ニ在ル鑛區及砂鑛區
ニハ本法ニ依リ鑛區稅ヲ課ス
第二條鑛區稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦
課ス
一試掘鑛區面積千坪每ニ三十錢
二採掘鑛區面積千坪每ニ六十錢
三砂鑛區
河床延長一町每ニ三十錢
河床ニ
非ザル
モノ面積千坪每ニ三十錢
前項ノ場合ニ於テ千坪未滿又ハ一町未
滿ノ端數ハ之ヲ千坪又ハ一町トシテ計
算ス
第三條鑛區稅ハ每年十二月中ニ翌年分
ヲ徵收ス
鑛區又ハ砂鑛區ノ合併又ハ分割ニ因リ
設定セラレタル場合ヲ除クノ外鑛業權
(砂鑛權ヲ含ム以下同ジ)ノ設定又ハ變
更ノ登錄ニ依リ新ニ負擔シ又ハ不足セ
ル鑛區稅ニシテ其ノ登錄ノ年ニ係ルモ
ノハ直ニ之ヲ徵收ス
試掘權ノ存續期間滿了ノ年ニ係ル鑛區
稅及前項ノ規定ニ依リ徵收スベキ鑛區
稅ハ月割ヲ以テ之ヲ計算ス
第四條鑛區稅ハ納期開始ノ時ニ於ケル
鑛業權者(砂鑛權者ヲ含ム以下同ジ)ヨ
リ之ヲ徵收ス共同鑛業權者ハ連帶シテ
納稅ノ義務ヲ負フ
公賣及競賣以外ノ原因ニ因リ鑛業權ノ
移轉アリタル場合ニ於テ未納ニ係ル鑛
區稅アルトキハ新鑛業權者ハ當該鑛區
稅ニ付舊鑛業權者ト連帶シテ納稅ノ義
務ヲ負フ
第五條鑛業權者鑛業代理人(砂鑛業代
理人ヲ含ム以下同ジ)ヲ選任シタルト
キハ其ノ鑛業代理人ハ錆區稅ニ關スル
事項ノ處理ヲ委任セラレタルモノト看
做ス
納稅義務者及鑛業代理人鑛區又ハ砂鑛
區ノ所在地ヲ管轄スル稅務署ノ管轄區
域內ニ現住セザルトキハ鑛區稅ニ關ス
ル事項ヲ處理セシムル爲其ノ地ニ於テ
納稅管理人ヲ定メ政府ニ申告スベシ
附則
第六條本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ
之ヲ施行ス
第七條砂鑛區稅法ハ之ヲ廢止ス但シ昭
和十五年分以前ノ砂鑛區稅及同附加稅
ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第八條鑛業法中左ノ通改正ス
第十三條削除
第四十一條中「鑛業稅」ヲ「鑛區稅」ニ改
ム
第七章削除
第八十一條乃至第八十八條削除
第百一條創除
第九條昭和十五年三月三十一日以前ニ
產出シタル鑛產物ニ對スル鑛產稅及同
附加稅竝ニ昭和十五年分以前ノ鑛區稅
及同附加稅ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
但シ昭和十五年一月一日以後昭和十五
年三月三十一日迄ニ產出シタル鑛產物
ニ對スル鑛產稅ハ昭和十五年六月中ニ
之ヲ徵收ス
第十條北海道、府縣、市町村其ノ他ノ
公共團體ハ昭和十六年度分迄直接鑛業
又ハ砂鑛業ノ用ニ供スル家屋ニ對シ地
方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十一條砂鑛法第二十三條中「第八十
七條乃至第八十九條」ヲ「第八十九條」
三段人
臨時利得稅法中改正法律案
臨時利得稅法中左ノ通改正ス
第三條第一項第二號ヲ左ノ如ク改メ同條
第二項ヲ削ルチ
二所得稅法第四條ニ揭グル營業ニ因
ル個人ノ利得(營業利得ト稱ス以下
同ジ)
第四條法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事
業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ
割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超過ス
ル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ
利得トス
第四條ノ二乃至第四條ノ四ヲ削ル
第五條法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事
業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタ
ル金額ニ依ル但シ相互保險會社及會員
組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ
剰餘金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又
ハ納付スベキ法人稅及臨時利得稅竝ニ
當該事業年度ニ於テ納付シタル分類所
得税ニシテ法人稅法第十六條ノ規定ニ
依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ控除スベキ
モノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ
算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前一年以內
ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル
損金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ現
事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算
入ス
前二項ノ規定ハ相互保險會社又ハ會員
紐織ノ取引所ノ剩餘金ノ計算ニ付之ヲ
準用ス
本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ
有セザル法人ノ利益ハ本法施行地ニ於
ケル資產又ハ營業ニ付前四項ノ規定ニ
準ジ之ヲ計算ス
第五條ノ二法人ガ事業年度中ニ解散シ
又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於
テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合
併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト
看做ス
第五條ノ三所得稅法第六條及第七條ノ
規定ハ臨時利得稅ノ賦課ニ付之ヲ準用
ス
信託會社ノ現事業年度ノ利益ノ計算ニ
付テハ合同運用信託ニ因ル收入及支出
ハ其ノ總益金及總損金ヨリ各之ヲ控除
ス
第六條第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第二項
及第四項ヲ削ル
法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末
ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基
金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以
テ之ヲ計算ス
第七條本法ニ於テ積立金額トハ積立金
其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各
事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額
マヨン
法人稅及臨時利得稅トシテ納付スベキ
金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ
算入セズ
第九條個人ノ利益ガ昭和十一年以前三
年ノ平均利益ヲ超過スル場合ニ於テ其
ノ超過額ヲ營業利得トス
第九條ノ二前條ノ規定ニ依リ營業利得
ヲ計算スル場合ニ於テ昭和十一年以前
三年ノ平均利益ガ七千圓又ハ現年ノ利
益ノ三分ノ一ニ相當スル金額ノ何レカ
多額ナル一方ノ金額ニ達セザルトキハ
其ノ多額ナル一方ノ金額ヲ以テ平均利
益トス
第九條ノ三及第九條ノ四ヲ削ル
第十條個人ノ利益ハ前年中ノ總收入金
額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ
依ル
所得稅及臨時利得稅ハ前項ノ必要ノ經
費ニ之ヲ算入セズ
相續シタル營業ニ付テハ相續人ガ引續
キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ利
益ヲ計算ス
營業ヲ讓渡シ又ハ廢止シタル後相續ノ
開始アリタル場合ニ於テハ被相續人ノ
營業利得ハ相續人ノ營業利得ト看做ス
第十一條個人ノ利益ガ一萬圓未滿ナル
トキハ營業利得ニ對スル臨時利得稅ヲ
課セズ
第十二條營利ヲ目的トセザル法人ニシテ
法人稅法其ノ他ノ法律ニ依リ法人稅ヲ謀
セラレザルモノニハ臨時利得税ヲ課セズ
第十四條法人ノ臨時利得稅ハ法人ノ利
得ヲ左ノ部分ニ區分シ各部分ニ付左ノ
稅率ヲ適用シテ之ヲ斌課ス
利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シ
タル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金
額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乘
ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ
成ル部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ二十五
二利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジ
テ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度
ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ
乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨ
リ成ル部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ四十五
三利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ對シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ
算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成
ル部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ六十五
現事業年度ノ資本金額十萬圓以下ナル
法人ニ限リ前項ニ規定スル稅率百分ノ
二十五ハ之ヲ百分ノ十五トシ同百分ノ
四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トシ同百分
ノ六十五ハ之ヲ百分ノ五十五トス
第十四條ノ二前條ノ規定ニ依リ現事業
年度ノ資本金額ニ乘ズベキ既往事業年
度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三
十一日以前三年內ニ終了シタル事業年
度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ
對スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分
ノ十未滿ナルトキ又ハ法人ノ第一次事
業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終
了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十
トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユル
トキハ之ヲ年百分ノ一一十トス
第五條(第二項及第三項ヲ除ク)乃至第
六條及第七條第一項ノ規定ハ前項ノ平
均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル
昭和十一年十二月三十一日以前三年內
ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本
金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ
於テ當該事業年度ニ於テ納付シタル又
ハ納付スベカリシ第一種所得稅、第
種所得稅附加稅、命令ヲ以テ指定スル
第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅及
臨時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納
付シタル第二種所得稅ニシテ所得稅法
ニ依リ其ノ額ヲ第一種所得稅額ヨリ控
除シタルモノハ當該事業年度ノ利益ノ
計算上之ヲ損金ニ算入セズ
第十四條ノ三前條第一項ノ規定ニ依ル
既往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ
十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年
度ノ資本金額中ニ增加資本金額アルト
キハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ
資本金額中增加資本金額ニ年百分ノ十
ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト增加
資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依
ル既往事業年度ノ平均利益率ニ相當ス
ル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合
計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ對スル
割合ヲ以テ既往事業年度ノ平均利益率
トス
前項ノ增加資本金額トハ現事業年度ノ
資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日
ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年內
ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資
本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ
超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂
フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資
本金額ハ同日ニ於ケル拂込株式金額、
出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ
依リ之ヲ計算ス
第六條第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付
之ヲ準用ス
第十四條ノ四法人合併ヲ爲シタル場合
ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ
因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十
二月三十一日以前三年内ニ終了シタル
事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本
金額竝ニ昭和十一年十二月三十一日ニ
於ケル資本金額ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ之ヲ計算ス
第十四條ノ五個人ノ臨時利得稅ハ左ノ
稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
營業利得利得金額ノ百分ノ三十
讓渡利得利得金額ノ百分ノ二十五
第十六條第一項中「甲種利得又ハ乙種利
得」ヲ「營業利得」ニ改ム
第十七條第一項及第二項中「個人ノ甲種
利得又ハ乙種利得ノ金額」ヲ「營業利得金
額」ニ改ム
第十七條第三項及第十八條中「個人ノ甲
種利得又ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改
ム
第十九條中「第五十條乃至第五十二條」ヲ
「第三十七條、第三十八條及第六十三條」
三段八
第二十二條第二項中「第五十二條及第六
十一條第二項」ヲ「第三十八條及第六十八
條第二項」ニ改ム
第二十三條削除
第二十四條削除
第二十四條ノ二ヲ削ル
第二十五條第二十二條ノ決定ニ對シ不
服アル者ハ訴願ヲ爲シ又ハ行政裁判所
ニ出訴スルコトヲ得
第二十六條第二項中「個人ノ甲種利得又
ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ、「七月一日」
ヲ「八月一日」ニ改ム
第二十七條第二項中「個人ノ甲種利得又
ハ乙種利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
第三十條中「所得稅法第五十七條、第五十
八條、第七十條及第七十二條乃至第七十
三條ノ二」ヲ「所得稅法第三十六條第四
項第三十九條第二項、第七十五條、第
七十六條、第八十一條、第八十二條及第
八十四條乃至第八十六條竝ニ法人稅法第
二十八條」ニ改ム
第三十一條朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺
太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法
人ノ利得ニ付テハ臨時利得稅ヲ課セ
ズ
第八條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、關東州又
ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有ス
ル法人ガ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又
ハ本法施行地ニ本店又ハ主タル事務所
ヲ有スル法人ト合併ヲ爲シタル場合ニ
於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因
リテ設立シタル法人ガ本法施行地ニ本
店又ハ主タル事務所ヲ有スル場合ニ付
之ヲ準用ス
朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ
一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付
テハ命令ノ定ムル所ニ依リ臨時利得稅
ヲ課セズ
第三十二條中「及營業收益稅」ヲ「、法人稅
及營業稅」ニ改ム
附則第二項中「個人ノ甲種利得又ハ乙種
利得」ヲ「營業利得」ニ改ム
附則
第一條本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ
之ヲ施行ス
第二條法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和
十五年四月一日以後ニ終了スル事業年
度分ヨリ、營業利得ニ對スル臨時利得
稅ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適
用ス
第三條昭和十五年四月一日ヲ含ム事業
年度ノ直前事業年度分ノ第一種所得稅、
第一種所得稅附加稅、法人資本稅及命
令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附加
稅ニ相當スル租稅ハ之ヲ法人稅ト看
做シ當該事業年度ニ於テ納付シタル第
二種所得稅及資本利子稅ニシテ法人稅
法第三十八條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法
人稅額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分類
所得稅ト看做シ第五條第二項ノ改正規
定ヲ適用ス
法人ガ本法施行前ニ合併ヲ爲シタル場合
ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ
因リテ設立シタル法人ノ合併ノ日ヲ含
ム事業年度ガ本法施行後ニ終了スル場
合ニ於ケル合併ニ因リ消滅シタル法人
ノ最後ノ事業年度分ノ第一種所得稅、
第一種所得稅附加稅、法人資本稅及命
令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附加稅
ニ相當スル租稅竝ニ〓算所得ニ對スル
第一種所得稅及第一種所得稅附加稅ハ
之ヲ法人稅ト看做シ第五條第二項ノ改
正規定ヲ適用ス
第四條本法施行後終了スル事業年度ニ
於テ納付シタル第二種所得稅及資本利
子稅ニシテ法人税法第二一十八條ノ規定
ニ依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ控除スベ
キモノハ之ヲ分類所得稅ト看做シ第五
條第二項ノ改正規定ヲ適用ス
第五條昭和十五年四月一日ヲ含ム事
業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年度
分ノ臨時利得稅ハ第五條第二項ノ改正
規定ニ拘ラズ法人ノ現事業年度ノ利益
ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第六條昭和十四年一月一日ヨリ昭和十
六年一月一日ニ至ル期間引續キ爲シタ
ルニ非ザル營業ニ因ル個人ノ利得ニ付
テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和
十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ臨時
利得稅ヲ輕減若ハ免除シ又ハ營業利得
金額ノ計算ニ關シ特例ヲ設クルコトヲ
得
第七條第十六條ノ改正規定中三月十五
日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月十五
日トス
營業稅法案
營業稅法
第一條本法施行地ニ本店、支店其ノ他
ノ營業場ヲ有スル營利法人ニハ本法ニ
依リ營業稅ヲ課ス
第二條本法施行地ニ營業場ヲ有シ左ニ
揭グル營業ヲ爲ス個人ニハ本法ニ依リ
營業稅ヲ課ス
物品販賣業(動植物其ノ他普通ニ
物品ト稱セザルモノノ販賣ヲ含ム)
二金錢貸付業
三物品貸付業(動植物其ノ他普通ニ
物品ト稱セザルモノノ貸付ヲ含ム)
四製造業(瓦斯電氣ノ供給、物品ノ
加工修理ヲ含ム)
五運送業(運送取扱ヲ含ム)
六倉庫業
請負業
九八七印刷業
出版業
十寫眞業
十一席貸業
十二旅人宿業
十三料理店業
十四周旋業
十五代理業
十六仲立業
十七問屋業
十八鑛業
十九砂鑛業
二十湯屋業
二十一理髮美容業
二十二其ノ他命令ヲ以テ定ムル、營業
第三條營業稅ハ左ノ純益ニ付之ヲ賦課
ス
-法人
各事業年度ノ純益
〓算純益
二個人
前條ニ揭グル營業ノ純益
第四條法人ノ各事業年度ノ純益ハ各事
業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタ
ル金額ニ依ル法人ガ各事業年度ニ於テ
納付シタル又ハ納付スベキ法人稅及臨
時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納付
シタル分類所得稅ニシテ法人稅法第十
六條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ法人稅額ヨリ
控除スベキモノハ前項ノ純益ノ計算上
之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ各事業年度開始ノ日前一年以內
ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル
損金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ第
一項ノ純益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第五條法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ
合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ
其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ
至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做
ス
第六條所得稅法第六條及第七條ノ規定
ハ營業稅ノ賦課ニ付之ヲ準用ス
信託會社ノ各事業年度ノ純益ノ計算ニ
付テハ合同運用信託ニ因ル收入及支出
ハ其ノ總益金及總損金ヨリ各之ヲ控除
ス
第七條法人解散シタル場合ニ於テ其ノ
殘餘財產ノ價額ガ解散當時ノ拂込株式
金額又ハ出資金額及積立金額ノ合計金
額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ヲ以
テ法人ノ〓算純益トス
法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併ニ
因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員
ガ合併後存續スル法人若ハ合併ニ因リ
テ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取
得スル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額及
金錢ノ總額ガ合併ニ因リテ消滅シタル
法人ノ合併當時ノ拂込株式金額又ハ出
資金額及積立金額ノ合計金額ヲ超過ス
ルトキハ其ノ超過金額ハ之ヲ合併ニ因
リテ消滅シタル法人ノ〓算純益ト看做
ス
法人ノ〓算期間中ニ生ジ又ハ合併ニ因
リ生ジタル純益ニシテ本法其ノ他ノ法
律ニ依リ營業稅ヲ課セラレザルモノノ
金額ハ〓算純益金額ヨリ之ヲ控除ス
第一項又ハ第二項ニ於テ積立金額トハ
積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法
人ノ各事業年度ノ純益中其ノ留保シタ
ル金額ヲ謂フ
法人稅及臨時利得稅トシテ納付スベキ
金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ
算入セズ
第八條合併後存續スル法人又ハ合併ニ
因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ
消滅シタル法人ノ純益ニ付營業稅ヲ納
ムル義務アルモノトス
第九條法人ノ各事業年度分ノ臨時利得
稅額ハ當該事業年度ノ純益金額ヨリ之
ヲ控除ス
營業稅ヲ課スベキ純益ト其ノ他ノ純益
トヲ有スル法人ノ純益金額ヨリ控除ス
ベキ臨時利得稅額ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ計算ス
第十條個人ノ純益ハ前年中ノ總收入金
額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ
依ル
所得稅及臨時利得稅ハ前項ノ必要ノ經
費ニ之ヲ算入セズ
營業利得ニ對スル臨時利得稅額ハ當該
臨時利得稅ヲ課セラルベキ年分ノ純益
金額ヨリ之ヲ控除ス
前條第二項ノ規定ハ營業稅ヲ課スベキ
純益ト其ノ他ノ純益トヲ有スル個人ノ
純益金額ヨリ前項ノ規定ニ依リ控除ス
ベキ臨時利得稅額ノ計算ニ付之ヲ準用
ス
相續シタル營業ニ付テハ相續人ガ引續
キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ純
益ヲ計算ス
第十一條左ニ揭グル營業ノ純益ニハ營
業稅ヲ課セズ
-政府ノ發行スル印紙切手類ノ賣捌
二度量衡ノ製作、修覆又ハ販賣
三新聞紙法ニ依ル新聞紙(一月三囘
以下發行スルモノヲ除ク)ノ出版
四本法施行地外ニ在ル營業場ニ於テ
爲ス營業
五個人ノ自己ノ收穫シタル農產物、
林產物、畜產物若ハ水產物ノ販賣又
ハ之ヲ原料トスル製造但シ特ニ營業
場ヲ設ケテ爲ス販賣又ハ製造ヲ除ク
第十二條命令ヲ以テ指定スル重要物產
ノ製造、採掘又ハ採取ヲ業トスル者ニ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ製造、採掘又
ハ採取ノ事業ヲ開始シタル年及其ノ翌
年ヨリ三年間其ノ營業ヨリ生ズル純益
ニ付營業稅ヲ免除ス
第十三條個人ノ純益金額四百圓ニ滿タ
ザルトキハ營業稅ヲ課セズ
第十四條營業稅ノ稅率ハ百分ノ一·五
トス
法人ガ各事業年度ニ於テ納付シタル地
租額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該事業
年度ノ營業稅額ヨリ之ヲ控除ス
個人ガ其ノ營業用ノ土地ニ付納付シタ
ル地租額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
營業稅額ヨリ之ヲ控除ス
前二項ノ場合ニ於テ控除スベキ地租ハ
純益計算上之ヲ損金又ハ必要經費ニ算
入セズ
第二項及第四項ノ規定ハ法人ノ〓算純
益ニ對スル營業稅ニ付之ヲ準用ス
第十五條納稅義務アル法人ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ純益金額ヲ政府ニ申〓ス
ベシ
第十六條納稅義務アル個人ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ純益
金額ヲ政府ニ申〓スベシ
第十七條法人ノ純益金額ハ第十五條ノ
申告ニ依リ、申〓ナキトキ又ハ申〓ヲ
不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依
リ政府ニ於テ之ヲ決定シ個人ノ純益金
額ハ所得稅法ノ所得調査委員會ノ調査
ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後個人ノ純益金額
ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタル
トキハ其ノ決定ヲ爲スベカリシ年ノ翌
年ヨリ三年間ハ仍所得調査委員會ノ調
査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額ヲ決
定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後個人ノ營業ニ付
納稅義務アルコトヲ申出デ又ハ純益金
額ノ增加アルコトヲ申出デタルトキハ
前二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ其ノ
純益金額ヲ決定ス
納稅義務者營業ヲ讓渡シ又ハ廢止シタ
ル後納稅管理人ノ申〓ヲ爲サズシテ本
法施行地ニ住所又ハ居所ヲ有セザルニ
至ルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラズ政府
ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ純益金額
ヲ決定スルコトヲ得
第十八條稅務署長ハ每年個人ノ營業ニ
付納稅義務アリト認ムル者ノ純益金額
ヲ調査シ其ノ調査書ヲ所得調査委員會
ニ送付スベシ
前項ノ規定ハ前條第二項ノ場合ニ付之
ヲ準用ス
第十九條所得稅法第三十七條、第三十
八條及第六十三條ノ規定ハ純益金額ノ
決議及決定ニ付之ヲ準用ス
第二十條第十七條又ハ前條ノ規定ニ依
リ純益金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ
之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
本法施行地ニ住所及居所ヲ有セザル納
稅義務者營業ヲ讓渡又ハ廢止シタル後
納稅管理人ノ申〓ヲ爲サザルトキハ前
項ノ通知ハ公〓ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ
得此ノ場合ニ於テ公〓ノ初日ヨリ七日
ヲ經過シタルトキハ其ノ通知アリタル
モノト看做ス
第二十一條納稅義務者前條ノ規定ニ依
リ政府ノ通知シタル純益金額ニ對シ異
議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二
十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審
査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ
稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第二十二條前條第一項ノ請求アリタル
トキハ所得稅法ノ所得審査委員會ノ決
議ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得稅法第三十八條及第六十八條第二
項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十三條所得稅法第七十五條及第七
十六條ノ規定ハ營業稅ニ付之ヲ準用ス
第二十四條納稅義務者第二十二條ノ決
定ニ對シ不服アルトキハ訴願ヲ爲シ又
ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十五條法人ノ營業稅ハ事業年度每
ニ之ヲ徵收ス但シ〓算純益ニ對スル營
業稅ハ〓算又ハ合併ノ際之ヲ徵收ス
個人ノ營業稅ハ年額ヲ二分シ左ノ二期
ニ於テ之ヲ徴收ス但シ納稅義務者營業
ヲ讓渡シ又ハ廢止シタル後納稅管理人
ノ申告ヲ爲サズシテ本法施行地ニ住所
及居所ヲ有セザルニ至ルトキハ直ニ其
ノ營業稅ヲ徵收スルコトヲ得
第一期其ノ年八月一日ヨリ三十一日
限
第二期翌年一月一日ヨリ三十一日限
第二十六條法人解散シタル場合ニ於テ
各事業年度ノ純益ニ對スル營業稅又ハ
清算純益ニ對スル營業稅ヲ納付セズシ
テ殘餘財產ヲ分配シタルトキハ其ノ稅
金ニ付〓算人連帶シテ納稅ノ義務アル
モノトス
第二十七條個人ノ營業稅ハ納稅義務者
ノ住所地、住所ナキトキハ主タル營業
場ノ所在地ヲ以テ納稅地トス但シ所得
稅法ノ甲種ノ事業所得ニ付所得稅ヲ納
ムル者ニ在リテハ所得稅ノ納稅地ヲ以
テ營業稅ノ納稅地トス
第二十八條納稅義務者營業ヲ讓渡シ又
ハ廢止シタル後納稅地ニ現住セザルト
キハ其ノ純益ノ申〓、納稅其ノ他營業
稅ニ關スル一切ノ事項ヲ處理セシムル
爲其ノ地ニ於テ納稅管理人ヲ定メ政府
ニ申告スベシ營業ヲ讓渡シ又ハ廢止シ
タル後本法施行地外ニ住所又ハ居所ヲ
移サントスルトキ亦同ジ
第二十九條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ
調査上必要アルトキハ納稅義務者又ハ
納稅義務アリト認ムル者ニ質問ヲ爲シ
又ハ其ノ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査
スルコトヲ得
第三十條稅務署長又ハ其ノ代理官ハ調
査上必要アルトキハ納稅義務者若ハ納
稅義務アリト認ムル者ニ金錢若ハ物品
ヲ支拂フノ義務ヲ有スト認ムル者ニ對
シ又ハ納稅義務者若ハ納稅義務アリト
認ムル者ヨリ金錢若ハ物品ノ支拂ヲ受
クルノ權利ヲ有スト認ムル者ニ對シ其
ノ金額、數量、價格、支拂期日等ニ付
質問スルコトヲ得
第三十一條政府ハ營業者ノ組織スル團
體ニ對シ營業稅ニ關スル事項ヲ諮問ス
ルコトヲ得
前項ノ諮問ヲ受ケタル團體ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ調書ヲ提出スベシ
第三十二條法人稅法第二十八條及所得
稅法第八十六條ノ規定ハ純益金額ノ計
算ニ付之ヲ準用ス
第三十三條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依
リ營業稅ヲ通脫シタル者ハ其ノ通脫シ
タル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科
料ニ處ス但シ自首又ハ稅務署長ニ申出
デタル者ハ其ノ罰ヲ問ハズ
前項ノ場合ニ於テ個人ノ營業ニ付營業
稅ヲ連脫シタル者ノ純益金額ハ第十七
條第二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ之
ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
第三十四條第二十九條ノ規定ニ依ル帳
簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨
ゲ若ハ忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタ
ル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第三十五條純益ノ調査又ハ審査ノ事務
ニ從事シ又ハ從事シタル者ハ其ノ調査
又ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ
事由ナクシテ漏洩シタルトキハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第三十六條第三十三條第一項ノ罪ヲ犯
シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但
書、第三十九條第二項、第四十條、第
四十一條、第四十八條第二項、第六十
三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
附則
第三十七條本法ハ昭和十五年四月一日
ヨリ之ヲ施行ス
第三十八條法人ノ各事業年度ノ純益ニ
對スル營業稅ニ付テハ昭和十五年四月
一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ
〓算純益ニ對スル營業稅ニ付テハ昭和
十五年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ
合併ニ因ル分ヨリ、個人ノ營業稅ニ付
テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適用ス但
シ個人ノ鑛業ノ純益ニ付テハ昭和十六
年分ヨリ之ヲ適用ス
第三十九條昭和十五年四月一日ヲ含ム
事業年度ノ直前專業年度分ノ第一種所
得稅、第一種所得稅附加稅、法人資本
稅及命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅
附加稅ニ相當スル租稅ハ之ヲ法人稅ト
看做シ當該事業年度ニ於テ納付シタル
第二種所得稅及資本利子稅ニシテ法人
稅法第三十八條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ
法人稅額ヨリ控除スベキモノハ之ヲ分
類所得稅ト看做シ第四條第二項ノ規定
ヲ適用ス
法人ガ本法施行前ニ合併ヲ爲シタル場
合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併
ニ因リテ設立シタル法人ノ合併ノ日ヲ
含ム事業年度ガ本法施行後ニ終了スル
場合ニ於ケル合併ニ因リ消滅シタル法
人ノ最後ノ事業年度分ノ第一種所得
税第一種所得稅附加稅、法人資本稅
及命令ヲ以テ指定スル第一種所得稅附
加稅ニ相當スル租稅竝ニ〓算所得ニ對
スル第一種所得稅及第一種所得稅附加
稅ハ之ヲ法人稅ト看做シ第四條第二項
ノ規定ヲ適用ス
第四十條昭和十五年四月一日ヲ含ム事
業年度ノ直前事業年度前ノ各事業年-度
分ノ臨時利得稅ハ第四條第二項ノ規定
ニ拘ラズ法人ノ各事業年度ノ純益ノ計
算上之ヲ損金ニ算入ス
第四十一條本法施行後終了スル事業年
度ニ於テ法人ノ納付シタル第二種ノ所
得ニ對スル所得稅及資本利子稅ニシテ
法人稅法第三十八條ノ規定ニ依リ其ノ
額ヲ法人稅額ヨリ控除スベキモノハ之
ヲ分類所得稅ト看做シ第四條第二項ノ
規定ヲ適用ス
第四十二條本法施行後終了スル事業年
度ニ於テ法人ノ納付シタル鑛產稅額、
特別鑛產稅額又ハ取引所營業稅額ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部
ヲ當該事業年度ノ營業稅額ヨリ控除ス
第四十三條昭和十四年一月一日ヨリ昭
和十六年一月一日ニ至ル期間引續キ爲
シタルニ非ザル個人ノ營業ノ純益ニ付
テハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和
十五年分又ハ昭和十六年分ニ限リ營業
稅ヲ輕減若ハ免除シ又ハ純益金額ノ計
算ニ關シ特例ヲ設クルコトヲ得
第四十四條昭和十五年一月一日以後產
出シタル鑛產物ニ對スル鑛產稅額又ハ
特別鑛產稅額ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
當該鑛業ノ純益ニ對スル昭和十六年分
ノ營業稅額ヨリ之ヲ控除ス
第四十五條第十六條ノ規定中三月十五
日トアルハ昭和十五年ニ限リ四月三十
日トス
第四十六條貯蓄銀行法第二十二條ヲ削
除ス
地租法中改正法律案
地租法中左ノ通改正ス
第二條第三號中「招魂社地」ヲ「護國神社
地」ニ改ム
第十條中「百分ノ三·八」ヲ「百分ノ二」ニ
改ム
第十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
地租ハ每年左ノ納期ニ於テ之ヲ徵收ス
一田租
第一期翌年一月
一日ヨリ三十一
日限年額ノ二分ノ
第二期翌年三月
一日ヨリ三十一
日限年額ノ二分ノ
二其ノ他
第一期其ノ年八
月一日ヨリ三十
一日限年額ノ二分ノ
第二期翌年一月
一日ヨリ三十一
日限年額ノ二分ノ一
第十九條ニ左ノ一項ヲ加フ
宅地又ハ鑛泉地ト爲リタル開拓地ニ付
テハ其ノ情況ニ依リ稅務署長ハ開拓減
租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第二十條ニ左ノ一項ヲ加フ
宅地又ハ鑛泉地ト爲リタル埋立地ニ付
テハ其ノ情況ニ依リ稅務署長ハ埋立免
租年期ヲ短縮スルコトヲ得
第七十三條地租ハ各納稅義務者ニ付同
一市町村内ニ於ケル田ノ賃貸價格ノ合
計金額ト田以外ノ土地ノ賃貸價格ノ合
計金額トニ依リ各別ニ算出シ之ヲ徵收
ス但シ合計金額ガ五圓ニ滿タザルモノ
ニ付テハ地租ヲ徵收セズ
第八十二條第二項ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ昭和十四年分以前ノ地租ニ關シテ
ハ仍從前ノ例ニ依ル
土地賃貸價格改訂法第四條ノ規定中從前
ノ賃貸價格ニ依ル地租額ノ四倍トアルハ
昭和十五年分地租ニ付テハ從前ノ賃貸價
格ノ百分ノ二ニ相當スル金額ノ四倍トス
酒稅法案
酒稅法目次
第一章總則
第二章製造及販賣ノ免許
第三章酒稅ノ賦課徵收
第一節酒稅ノ種別及課率
第二節酒類造石稅
第三節酒類庫出稅
第四節原料用及輸出向酒類
第五節納稅擔保
第四章雜則
第五章罰則
酒稅法
第一章總則
第一條酒類ニハ本法ニ依リ酒稅ヲ課ス
第二條本法ニ於テ酒類トハアルコール
分一度以上ノ飮料ヲ謂フ但シアルコー
ル專賣法ノ適用ヲ受クルアルコールヲ
除ク
本法ニ於テアルコール分トハ攝氏十五
度ノ時ニ於テ原容量百分中ニ含有スル
〇·七九四七ノ比重ヲ有スルアルコー
ルノ容量ヲ謂フ
第三條酒類ヲ分チテ〓酒、合成〓酒、
濁酒、白酒、味淋、燒酎、麥酒、果實
酒及雜酒トス
第四條本法ニ於テ〓酒トハ左ニ揭グル
モノヲ謂フ
米、米麴及水ヲ原料トシテ醱酵セ
シメ之ヲ濾過シタルモノ
二米、水及命令ヲ以テ定ムル物品ニ
シテ其ノ重量ガ米(麴米ヲ含ム)ノ重
量ヲ超エザルモノヲ原料トシテ醱酵
セシメ之ヲ濾過シタルモノ
〓酒ヲ〓酒粕ニテ粕漉シタルモノハ之
ヲ〓酒ト看做ス
第五條本法ニ於テ合成〓酒トハ左ニ揭
グル酒類ニシテ其ノ香味、色澤其ノ他
ノ性狀ガ〓酒ニ類似スルモノヲ謂フ
清酒ト燒酎又ハアルコールトヲ混
和シテ製造シタルモノ
二〓酒、燒酎又ハアルコールト他ノ
物品トヲ混和シテ製造シタルモノ
第六條本法ニ於テ濁酒トハ左ニ掲グル
モノヲ謂フ
-米、米麴及水ヲ原料トシテ醱酵セ
シメ之ヲ濾過セザルモノ
二米、水及命令ヲ以テ定ムル物品ヲ
原料トシテ醱酵セシメ之ヲ濾過セザ
ルモノ
第七條本法ニ於テ白酒トハ左ニ揭グル
モノヲ謂フ
ー米又ハ米麴ト〓酒、濁酒、味淋、
燒酎又ハアルコールトヲ混和シテ碾
碎シタルモノ
二前號ニ揭グル原料ノ外水ヲ混和シ
テ碾碎シタルモノ
第八條本法ニ於テ味淋トハ左ニ揭グル
モノヲ謂フ
-米及米麴ト燒酎又ハアルコールト
ヲ混和シテ濾過シタルモノ
二前號ニ揭グル原料ノ外味淋、味淋
粕又ハ水ヲ混和シテ濾過シタルモノ
味淋ヲ味淋粕ニテ粕漉シタルモノハ之
ヲ味淋ト看做ス
第九條本法ニ於テ燒酎トハ左ニ揭グル
モノヲ謂フ
〓酒粕、合成〓酒、味淋粕、〓酒
合成〓酒、濁酒、白酒又ハ味淋ヲ蒸
餾シタルモノ
二命令ヲ以テ定ムル物品及水ヲ原料
トシテ醱酵セシメタルモノヲ蒸餾シ
タルモノ
燒酎ヲ蒸餾シタルモノハ之ヲ燒酎ト看做ス
第十條本法ニ於テ麥酒トハ左ニ揭グル
モノヲ謂フ
麥芽、ホップ及水ヲ原料トシテ醱酵
セシメタルモノ
二麥芽、水及命令ヲ以テ定ムル物品
ニシテ其ノ重量ガ麥芽ノ重量ノ十分
ノ五ヲ超エザルモノヲ原料トシテ醱
酵セシメタルモノ
第十一條本法ニ於テ果實酒トハ左ニ揭
グルモノヲ謂フ
-果實ヲ原料トシテ醱酵セシメタル
モノ
二果實ニ命令ノ定ムル所ニ依リ糖類
ヲ加ヘテ醱酵セシメタルモノ
三果實又ハ果實ニ命令ノ定ムル所ニ
依リ糖類ヲ加ヘタルモノニ水又ハ命
令ヲ以テ定ムル除酸劑ヲ加ヘテ醱酵
セシメタルモノ
第十二條本法ニ於テ雜酒トハ〓酒、合
成〓酒、濁酒、白酒、味淋、燒酎、麥
酒及果實酒以外ノ酒類ヲ謂フ
第十三條本法ニ於テ保稅地域トハ關稅
ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
第二章製造及販賣ノ免許
第十四條酒類ヲ製造セントスル者ハ製
造スベキ酒類ノ各種類ニ付製造場一個
所每ニ政府ノ免許ヲ受クベシ
第十五條每酒造年度ニ於テ〓酒及合成
〓酒ハ各三百石、濁酒ハ百石、白酒、
味淋及燒酎ハ各五十石、麥酒ハ一萬石、
雜酒ハ十石以上ヲ製造スル者ニ非ザレ
バ製造ノ免許ヲ與ヘズ但シ〓酒ノ製造
免許ヲ受ケタル者ニハ濁酒、白酒、味
淋又ハ燒酎ニ對スル制限ヲ、燒酎ノ製
造免許ヲ受ケタル者ニハ白酒又ハ味淋
ニ對スル制限ヲ適用セズ
每酒造年度ニ於テ〓酒及合成〓酒ヲ合
計シテ三百石以上製造スル者ニハ前項
ノ規定ニ拘ラズ製造ノ免許ヲ與フルコ
トヲ得
試驗ノ爲ニ製造スル酒類ニ付テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ規定ニ拘ラ
ズ製造ノ免許ヲ與フルコトヲ得
酒造年度トハ其ノ年十月一日ヨリ翌年
九月三十日迄ノ期間ヲ謂フ
第十六條酒母、醪又ハ麴ヲ製造セント
スル者ハ製造場一個所每ニ政府ノ免許
ヲ受クベシ但シ酒類製造ノ免許又ハア
ルコール專賣法ニ依ルアルコール製造
ノ特許、許可若ハ委託ヲ受ケ酒類又ハ
アルコールノ製造場ニ於テ製造スル者
及自己又ハ其ノ家族ノ用ニノミ供スル
麴ヲ製造スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條酒類ノ販賣業(販賣ノ仲介業
ヲ含ム以下同ジ)ヲ爲サントスル者ハ
政府ノ免許ヲ受クベシ但シ酒類製造者
ガ其ノ製造場ニ於テ爲ス販賣業及命令
ヲ以テ定ムル販賣業ニ付テハ此ノ限ニ
在ラズ
前項ノ免許ハ販賣場ヲ有スル者ニ在リ
テハ販賣場一個所每ニ之ヲ受クベシ
第十八條第十四條、第十六條及前條ノ
規定ニ依ル免許ノ申請アリタル場合ニ
於テ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ政
府ハ其ノ免許ヲ與ヘザルコトヲ得
-取締上不適當ト認ムル場所ニ製造
場又ハ販賣場ヲ設ケントスルトキ
二本法ニ違反シ處罰又ハ處分ヲ受ケ
タル者ガ免許ヲ申請シタルトキ
三第二十二條第一項第四號ノ規定ニ
依リ免許ヲ取消サレタル者ガ免許ヲ
申請シタルトキ
四資力不充分ト認メラルル者ガ酒類
ノ製造ノ免許ヲ申請シタルトキ
五酒稅保全ノ爲ニスル製造又ハ販賣
ノ統制上免許ヲ與フルニ不適當ト認
ムルトキ
六前各號ノ外取締上不適當ト認ムル
者ガ免許ヲ申請シタルトキ
第十九條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造
又ハ酒類ノ販賣業ノ免許ヲ受ケタル者
其ノ製造場又ハ販賣場ヲ移轉セントス
ルトキハ政府ノ許可ヲ受クベシ
第二十條酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者
其ノ製造ヲ廢止セントスルトキハ免許
ノ取消ヲ申請スベシ
酒母、醪若ハ麩ノ製造又ハ酒類ノ販賣
業ノ免許ヲ受ケタル者其ノ製造又ハ販
賣業ヲ廢止シタルトキハ其ノ旨ヲ政府
ニ申告スベシ
第二十一條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造業又ハ酒類販賣業ヲ相續シタル者ハ
其ノ製造又ハ販賣業ノ免許ヲ受ケタル
モノト看做ス
第二十二條酒類製造者左ノ各號ノ一ニ
該當スルトキハ政府ハ酒類製造ノ免許
ヲ取消スコトヲ得
-本法ニ違反シ處罰又ハ處分セラレ
タルトキ
二三年以上引續キ酒類ノ製造ヲ爲サ
ザルトキ
三三酒造年度以上引續キ其ノ製造石
數ガ第十五條第一項又ハ第二項ノ制
限石數ニ達セザリシトキ
四第四十三條ノ規定ニ依リ擔保ノ提
供ヲ命ゼラレタル場合ニ於テ其ノ提
供ヲ爲サザルトキ
前項ノ規定ニ依リ免許ヲ取消シタル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ製成
其ノ他必要ノ行爲ヲ繼續セシムルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ仍本法ヲ適用ス
第二十三條酒類製造者ニハ其ノ製造ノ
免許ヲ取消サレタル場合ニ於テモ酒稅
ヲ完納スルニ至ル迄ノ間仍本法ヲ適用
ス
第二十四條第二十二條第一項第一號及
第二號竝ニ第二項ノ規定ハ酒母、醪又
ハ麩ノ製造者ニ付之ヲ準用ス
第二十五條酒類販賣業者左ノ各號ノ一
ニ該當スルトキハ政府ハ酒類販賣業ノ
免許ヲ取消スコトヲ得
-本法ニ違反シ處罰又ハ處分セラレ
タルトキ
二二年以上引續キ酒類ノ販賣ヲ爲サ
ザルトキ
第二十二條第二項ノ規定ハ前項ノ規定第二十六條酒稅ハ之ヲ酒類造石稅及酒
ニ依リ免許ヲ取消サレタル者ニ付之ヲ類庫出稅ノ二種トス
準用ス
第三章酒稅ノ賦課徵收第二十七條各酒類ニ課スベキ酒稅及其
第一節酒稅ノ種別及課率ノ稅率左ノ如シ
〓酒及白酒造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ三圓八十錢ヲ加
フ
庫出稅一石ニ付二十五圓
二合成〓酒造石稅一石ニ付四十八圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ四圓ヲ加フ
庫出稅一石ニ付二十五圓
三濁酒造石稅一石ニ付四十五圓
四味淋造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分二十八度ヲ超ユルトキハアルコ
ール分二十八度ヲ超ユル一度每ニ二圓七十錢
アルフ
庫出稅一石ニ付二十五圓
五燒酎
第一種アルコール分四十五度ヲ超エザルモノ
甲連續式蒸餾機ニ依リ製造シタルモノ
造石稅一石ニ付四十八圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分三十度ヲ超ユル一度每ニ二圓七十錢ヲ加
庫出稅一石ニ付二十五圓
乙其ノ他ノモノ
造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分三十度ヲ超ユル一度每ニ二圓六十錢ヲ加
フ
庫出稅一石ニ付二十五圓
第二種アルコール分四十五度ヲ超ユルモノ
造石稅一石ニ付百五十五圓ニアルコール分四十五度ヲ超ユル
一度每ニ四圓ヲ加ヘタル金額
庫出稅一石ニ付二十五圓
六麥酒庫出稅一石ニ付五十九圓三十錢
七果實酒庫出稅一石ニ付
八雜酒造石稅一石ニ付
庫出稅一石ニ付
第二節酒類造石稅
第二十八條酒類造石稅ハ酒類ノ製造石
數ニ應ジ其ノ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但
シ命令ノ定ムル所ニ依リ〓酒ニ付テハ
製造石數ノ百分ノ七以內、味淋ニ付テ
ハ製造石數ノ百分ノ三以內、燒酎ニ付
テハ製造石數ノ百分ノ二以內ノ滓引減
量又ハ貯藏減量ヲ製造石數ヨリ控除ス
ルコトヲ得
第四條第二項又ハ第八條第二項ノ酒類
ニ付テハ粕漉ニ依リ增加シタル分ノミ
ヲ以テ前項ノ製造石數ト看做ス但シ粕
漉前ノ酒類ノ石數ヲ確知スルコト能ハ
ザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二十九條酒類(麥酒及果實酒ヲ除ク)
ノ製造石數及アルコール分ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ製成ノ時之ヲ査定ス
犯則其ノ他ノ事由ニ因リ前項ノ規定ニ
依リ難キ場合ニ於テハ現在ノ酒類又ハ
證憑物件ニ就キ其ノ製造石數又ハアル
コール分ヲ査定ス
麥酒及果實酒ニ付テハ命令ノ定ムル所
ニ依リ製成ノ時其ノ製造石數ヲ檢定ス
第三十條酒類造石稅ハ左ノ納期ニ於テ
之ヲ徵收ス
〓酒
第一期七月一日ヨリ三十一日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十
日迄ニ査定シタル製造石數ニ對ス
ル稅額ノ四分ノ一
第二期十月一日ヨリ三十一日限
同上
第三期翌年二月一日ヨリ末日限
同上及其ノ年五月一日ヨリ九月三
二十五圓
五十圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ四圓ヲ加フ
三十圓
十日迄ニ査定シタル製造石數ニ對
スル稅額ノ二分ノ一
第四期翌年三月一日ヨリ三十一日
限
前納額ノ殘額
二濁酒、白酒、味淋及燒酎
第一期七月一日ヨリ三十一日限
前年十月一日ヨリ其ノ年四月三十
日迄ニ査定シタル製造石數ニ對ス
ル稅額ノ二分ノ一
第二期十月一日ヨリ三十一日限
同上
第三期翌年二月一日ヨリ末日限
其ノ年五月一日ヨリ九月三十日迄
ニ査定シタル製造石數ニ對スル稅
額
三合成〓酒及雜酒
每月中査定シタル製造石數ニ對スル
稅額ヲ翌月末日限
第三十一條第二十二條第一項ノ規定ニ
依リ酒類製造ノ免許ヲ取消シタル場合
ニ於テハ未納ニ屬スル酒類造石稅ノ全
部又ハ一部ヲ直ニ徵收スルコトヲ得第
四十三條ノ規定ニ依リ擔保ノ提供ヲ命
ゼラレタル場合ニ於テ其ノ提供ヲ爲サ
ザルトキ亦同ジ
第三十二條酒類ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ酒類造石稅ヲ免除スルコトヲ得
但シ製造場外ニ移出シタルモノニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
一亡失シタルトキ
二腐敗其ノ他ノ事由ニ因リ飮用ニ供
シ難キ場合ニ於テ政府ノ承認ヲ受ケ
酒類トシテ飮用スルコト能ハザル處
置ヲ施シ又ハ酒類製造ノ原料ニ供シ
タルトキ
第三十七條第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケ
テ製造場ヨリ移出シタル酒類ガ移出先
ニ到達前又ハ移出先ニ於テ災害其ノ他
已ムヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
酒類造石稅額ニ相當スル金額ヲ交付ス
ルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付金ヲ交付スル場
合ニ於テ當該酒類ニ付納付スベキ酒類
造石稅中未納ニ屬スルモノアルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ稅額ニ相當
スル擔保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得
第三節酒類庫出稅
第三十三條酒類庫出稅ハ製造場ヨリ移
出シタル酒類ノ石數ニ應ジ製造者ヨリ
之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ル酒
類ニ付テハ引取リタル石數ニ應ジ引取
人ヨリ之ヲ徵收ス
第三十四條酒類ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ酒類ヲ製造場ヨリ移
出シタルモノト看做ス
ー製造場ニ於テ飮用セラレタルトキ
二酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル場
合ニ於テ製造場ニ現存スルトキ但シ
命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク
三製造場ニ現存スルモノ公賣若ハ競
賣セラレタルトキ又ハ破產手續ニ於
テ換價セラレタルトキ
第三十五條酒類(濁酒ヲ除ク)ノ製造者
ハ每月製造場ヨリ移出シタル酒類ノ種
類每ニ石數ヲ記載シタル申告書ヲ翌月
十日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ左ノ各
號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ直ニ其
ノ移出シ又ハ移出シタルモノト看做サ
レタル酒類ニ付申〓書ヲ提出スベシ
一酒類製造ノ免許ヲ取消サレタルト
キ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク
二酒類ガ公賣若ハ競賣セラレタルト
キ又ハ破產手續ニ於テ換價セラレタ
ルトキ
酒類(濁酒ヲ除ク)ヲ保稅地域ヨリ引取
ル者ハ引取ノ際前項ニ準ズル申告書ヲ
政府ニ提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ハ移
出又ハ引取ノ石數ヲ決定ス
第三十六條酒類庫出稅ハ每月分ヲ翌月
末日迄ニ納付スベシ但シ第三十三條但
書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付ス
ベシ
前條第一項但書ノ場合ニ於テハ前項ノ
規定ニ拘ラズ直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵
收ス
前項ノ場合ヲ除クノ外命令ノ定ムル所
ニ依リ酒類庫出稅ニ付其ノ稅額ニ相當
スル擔保ヲ提供シタルトキハ一月以內
其ノ稅金ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第三十七條命令ノ定ムル所ニ依リ政府
ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ
移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ
又ハ保稅地域ヨリ引取ル酒類ニ付テハ
第三十三條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先
ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取
先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ酒類ニシテ政府ノ指定シタル
期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラ
レタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製
造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ酒類庫出
稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ
得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付
テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類庫
出稅ヲ免除スルコトヲ得
政府ハ第一項ノ酒類ニ付必要アリト認
ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
酒類庫出稅額ニ相當スル擔保ノ提供ヲ
命ズルコトヲ得
第三十八條製造場ヨリ移出シタル酒類
ヲ同一製造場ニ戾入シ又ハ酒類ヲ製造
場外ヨリ移入シタル場合ニ於テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類ヲ製造場ヨ
リ移出スルモ更ニ酒類庫出稅ノ徵收ヲ
爲サズ但シ前條第一項ニ規定スル政府
ノ承認ヲ受ケテ移出先又ハ引取先ニ移
入シタル酒類ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四節原料用及輸出向酒類
第三十九條命令ノ定ムル所ニ依リ政府
ノ承認ヲ受ケ同一製造場ニ於テ酒類製
造ノ原料ニ供スル爲製造シタル酒類ニ
付テハ其ノ酒類造石稅ヲ免除ス
前項ノ原料用酒類ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ノ承認ヲ受ケタル場合ニ限リ
其ノ用途ヲ變更スルコトヲ得
命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受
ケ第三十七條第一項ノ規定ノ適用ヲ受
ケテ製造場ヨリ移出シタル酒類ヲ移出
先ニ於テ酒類製造ノ原料ニ供シタル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
酒類造石稅額ニ相當スル金額ヲ交付ス
第三十二條第三項ノ規定ハ前項ノ交付
金ヲ交付スル場合ニ付之ヲ準用ス
第四十條前條第一項ノ原料用酒類ガ左
ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ直
ニ其ノ酒類造石稅ヲ徵收ス
-前條第二項ノ規定ニ依リ其ノ用途
ヲ變更シタルトキ
二酒類製造ノ免許ヲ取消サレタル場
合ニ於テ製造場ニ現存スルトキ
三公賣若ハ競賣セラレタルトキ又ハ
破產手續ニ於テ換價セラレタルトキ
第四十一條政府ノ承認ヲ受ケ酒類ヲ輸
出シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ酒類造石稅ヲ免除シ又ハ其ノ稅額
ニ相當スル金額ヲ交付スルコトヲ得
第三十二條第三項ノ規定ハ前項ノ交付
金ヲ交付スル場合ニ村之ヲ準用ス
第四十二條政府ノ承認ヲ受ケ輸出スル
目的ヲ以テ製造場ヨリ移出スル酒類ニ
付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類
庫出稅ヲ免除スルコトヲ得
第三十七條第三項ノ規定ハ前項ノ酒類
ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出
セラレタルコトノ證明ナキモノニ付之
ヲ準用ス
第一項ノ酒類ハ之ヲ內地、朝鮮、豪灣、
樺太若ハ南洋群島ニ於テ消費シ又ハ此
等ノ地域ニ於テ消費スル目的ヲ以テ讓
渡スルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此
ノ限ニ在ラズ
前項ノ承認ヲ受ケタル酒類ニ付テハ直
ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス
第三十七條第四項ノ規定ハ第一項ノ酒
類庫出稅ニ付之ヲ準用ス
第五節納稅擔保
第四十三條政府ハ酒類製造者ニ對シ命
令ノ定ムル所ニ依リ酒類造石稅ニ付擔
保ノ提供ヲ命ズルコトヲ得但シ酒類製
造者政府ノ承認ヲ受ケ納稅ノ擔保トシ
テ酒類造石稅額ニ相當スル價額ノ酒類
ヲ保存スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十四條酒類製造者ノ屬スル酒造組
合ニ於テ納稅ヲ保證シタルトキハ其ノ
各組合員モ亦連帶シテ保證ノ義務ヲ負
フ
第四十五條本法ニ依リ擔保ヲ提供シ又
ハ納稅ノ擔保トシテ酒類ヲ保存シタル
場合ニ於テ納稅義務者期限內ニ稅金ヲ
納付セザルトキハ其ノ擔保物タル金錢
ヲ直ニ稅金ニ充テ、金錢以外ノ擔保物
若ハ納稅ノ擔保トシテ保存スル酒類ヲ
公賣ニ付シテ稅金及公賣ノ費用ニ充テ
又ハ保證人若ハ納稅ヲ保證シタル酒造
組合ノ組合員ヲシテ稅金ヲ納付セシム
第四十六條前條ノ場合ニ於テ擔保物又
ハ納稅ノ擔保トシテ保存スル酒類ノ價
額ガ徴收スベキ稅金及公賣ノ費用ニ充
テ仍不足アリト認ムルトキハ納稅義務
者ノ他ノ財產ニ就キ滯納處分ヲ行フ
納稅義務者ニ對シ滯納處分ヲ執行シタ
ル場合ニ於テ其ノ財產ノ價額ガ徵收ス
ベキ稅金、督促手數料、延滯金及滯納
處分費ニ充テ仍不足アリト認ムルトキ
ハ保證人又ハ納稅ヲ保證シタル酒造組
合ノ組合員ニ對シ滯納處分ヲ行フ
前項ノ保證人又ハ酒造組合ノ組合員ハ
國稅徵收法第三十二條第一項ノ規定ノ
適用ニ付テハ之ヲ滯納者ト看做ス
第四十七條第三十一條又ハ國稅徴收法
第四條ノ一ノ規定ニ依リ酒稅ヲ徴收ス
ル場合ニ於テハ其ノ擔保トシテ酒類ヲ
差押フルコトヲ得
第四十八條酒類製造者ハ第四十三條但
書ノ規定ニ依リ納稅ノ擔保トシテ保存
スル酒類ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移出
スルコトヲ得ズ
第四章雜則
第四十九條酒類製造者ハ製造石數ノ査
定又ハ檢定前ニ於テ其ノ酒類ヲ處分シ
又ハ製造場ヨリ移出スルコトヲ得ズ
第五十條製造石數査定後ニ於テ酒類ニ
種類ノ異ル酒類又ハ水以外ノ物品ヲ混
和シタルトキハ新ニ酒類ヲ製造シタル
モノト看做ス但シ左ニ揭グル場合ハ此
ノ限ニ在ラズ
命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認
ヲ受ケ〓酒ト合成〓酒トヲ混和スル
トキ
二命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認
ヲ受ケ酒類保存ノ爲酒類ニ燒酎若ハ
アルコール又ハ水以外ノ物品ヲ混和
スルトキ
第五十一條酒母又ハ醪ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタル場合ヲ
除クノ外之ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ移
出スルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所
ニ依リ酒類製造者ガ酒類製造ノ用ニ供
スル場合又ハ酒母ヲ政府ノ交付シタル
酒母讓受許可書ヲ有スル者ニ讓渡ス場
合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタ
ル場合ニ於テハ其ノ醪ハ之ヲ濁酒ト看
做シ製造者ヨリ直ニ酒類造石稅ヲ徵收
ス但シ政府ノ承認ヲ受ケ之ニ酒類トシ
テ飮用スルコト能ハザル處置ヲ施シタ
ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第五十二條政府ハ取締上必要アリト認
ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ酒
類酒母、醪又ハ麴ノ製造者ニ對シ製
造又ハ貯藏ノ設備又ハ方法ニ關シ必要
ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第五十三條政府ハ酒稅保全上必要アリ
ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒
類ノ販賣業者ニ對シ製造數量又ハ販賣
ノ數量、價格若ハ方法ニ付必要ナル事
項ヲ命ズルコトヲ得
第五十四條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造者又ハ酒類若ハ麩ノ販賣業者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣
ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第五十五條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造者又ハ酒類ノ販賣業者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ關ス
ル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第五十六條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造者又ハ酒類ノ販賣業者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ使用
スル機械、器具及容器ノ檢定ヲ受クベ
シ
第五十七條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造者又ハ酒類ノ販賣業者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ製造、貯藏又ハ販賣ニ關ス
ル事項ニ付政府ノ檢査又ハ承認ヲ受ク
ベシ
第五十八條收稅官吏ハ酒類、酒母、醪
若ハ麴ノ製造者又ハ酒類若ハ麴ノ販賣
業者ニ對シテ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グ
ル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ取締上必要
ノ處分ヲ爲スコトヲ得
製造者ノ所持スル酒類、酒母、醪
若ハ麴又ハ販賣業者ノ所持スル酒類
若ハ麴
二酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造、〓藏
又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三酒類、酒母、醪又ハ麴ノ製造、貯藏
又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、
器具、容器、原料其ノ他ノ物件
收稅官吏ハ運搬中ノ酒類、酒母、醪又
ハ麴ヲ檢査シ又ハ其ノ出所若ハ到達先
ヲ質問スルコトヲ得
第五十九條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ酒造組合法ニ依リ設立シタル酒造組
合又ハ酒造組合中央會ニ對シ徵稅上必
要ナル設備ヲ爲シ若ハ徵收事務ノ補助
ヲ爲シ又ハ酒稅保全上必要ナル措置ヲ
爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ酒造組合又ハ酒造
組合中央會ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依
リ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第五章罰則
第六十條免許ヲ受ケズシテ酒類ヲ製造
シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處シ其
ノ製造ニ係ル酒類竝ニ其ノ機械、器具
及容器ハ之ヲ沒收ス
前項ノ酒類ニ付テハ直ニ其ノ酒類造石
稅及酒類庫出稅ヲ徵收ス
第六十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ酒類造石稅五倍ニ相當スル罰金ニ處
ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキ
ハ之ヲ二十圓トス
詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類
造石稅ノ免除ヲ得又ハ得ントシタル
者
二詐爲其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類
造石稅ノ免除ヲ得又ハ得ントシタル
者
三詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類
造石稅ニ相當スル金額ノ交付ヲ受ケ
又ハ受ケントシタル者
前項第一號及第二號ノ場合ニ於テハ直
ニ其ノ酒類造石稅ヲ徵收ス
第六十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ酒類庫出稅五倍ニ相當スル罰金ニ處
ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキ
ハ之ヲ二十圓トス
ー詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類
庫出稅ヲ通脫シ又ハ適脫セントシタ
ル者
二詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ酒類
庫出稅ノ免除ヲ得又ハ得ントシタル
者
前項ノ場合ニ於テハ直ニ其ノ酒類庫出
稅ヲ徴收ス
第六十三條第六十一條ノ罰金ト前條ノ
罰金トハ之ヲ併科ス
第六十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十六條ノ規定ニ違反シ免許ヲ受
ケズシテ酒母、醪又ハ麴ヲ製造シタ
ル者
二第十七條ノ規定ニ違反シ免許ヲ受
ケズシテ酒類ノ販賣業ヲ爲シタル者
三第三十五條第一項又ハ第二項ニ規
定スル申〓ヲ怠リ又ハ詐リタル者
四第三十七條第一項ノ規定ニ依リ承
認ヲ受ケテ移出シ又ハ引取リタル酒
類ヲ指定ノ場所ニ移入セザル者
五第三十九修第二項ノ承認ヲ受ケズ
シテ同條第一項ノ原料用酒類ヲ他ノ
用途ニ供シ又ハ之ヲ製造場ヨリ移出
シタル者
六第四十二條第三項ノ承認ヲ受ケズ
シテ同條第一項ノ規定ニ依リ酒類庫
出稅ヲ免除セラレタル酒類ヲ內地、
朝鮮、臺灣、樺太若ハ南洋群島ニ於
テ消費シ又ハ此等ノ地域ニ於テ消費
スル目的ヲ以テ讓渡シタル者
七第四十八條又ハ第四十九條ノ規定
ニ違反シ酒類ヲ處分シ又ハ製造場ヨ
リ移出シタル者
八第五十一條第一項ノ規定ニ違反シ
酒母又ハ醪ヲ處分シ又ハ製造場ヨリ
移出シタル者
九第五十二條又ハ第五十三條ノ規定
ニ依ル政府ノ命令ニ違反シタル者
前項第一號ニ該當スル場合ニ於テハ製
造ニ係ル酒母、醪又ハ麴竝ニ其ノ機械、
器具及容器ハ之ヲ沒收ス
第一項第一號及第八號ノ酒母及醪ハ之
ヲ濁酒ト看做シ製造者ヨリ直ニ酒類造
石稅ヲ徵收ス
第一項第四號及第六號ノ酒類ニ付テハ
直ニ其ノ酒類庫出稅ヲ徵收ス此ノ場合
ニ於テハ第三十七條第三項(第四十二
條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)
ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第一項第五號及第七號ノ酒類ニ付テハ
直ニ其ノ酒類造石稅及酒類庫出稅ヲ徵
收ス
第六十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第五十四條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記
載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シ
タル者
第五十五條ノ規定ニ依ル申〓ヲ怠
リ又ハ詐リタル者
三·第五十六條ノ規定ニ違反シ檢定ヲ
受ケザル機械、器具又ハ容器ヲ使用
シタル者
四第五十七條ノ規定ニ依ル檢査又ハ
承認ヲ受ケザル者
五第五十八條ノ規定ニ依ル收稅官吏
ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞
ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ
拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第六十六條第六十條第一項、第六十一
條第一項、第六十二條第一項又ハ第六
十八條第二項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑
法第三十八條第三項但書、第三十九條
第二項、第四十條、第四十一條、第四
十八條第二項、第六十三條及第六十六
條ノ規定ヲ適用セズ
第六十七條酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製
造者又ハ酒類若ハ麴ノ販賣業者ノ代理
人戶主、家族、同居者、雇人其ノ他
ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯シ
タルトキハ其ノ製造者又ハ販賣業者ヲ
處罰ス
第六十八條本法ヲ施行セザル地ニ於テ
製造シタル酒類ハ其ノ地ニ於テ本法ト
同等以上ノ稅ヲ課スル迄ハ之ヲ本法施
行地ニ移入スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シ酒類ヲ移入シタル
者ハ其ノ移入酒類ニ付第二十七條ノ稅
率ニ依リ算出シタル酒類造石稅及酒類
庫出稅ノ稅額五倍ニ相當スル罰金ニ處
ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキ
ハ之ヲ二十圓トス
前項ノ酒類及其ノ容器ハ之ヲ沒收ス
第六十九條本法ヲ施行セザル地ニ於テ
製造シタル酒母、醪又ハ麴ハ之ヲ本法
施行地ニ移入スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シ酒母、醪又ハ麴ヲ
移入シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處
シ其ノ酒母、醪又ハ麴及其ノ容器ハ之
ヲ沒收ス
附則
第七十條本法ハ昭和十五年四月一日ヨ
リ之ヲ施行ス
第七十一條左ノ法律ハ之ヲ廢止ス
-酒造稅法
酒精及酒精含有飮料稅法
-麥酒稅法
酒母、醪及麩取締法
工業用酒精酒類其ノ他酒精含有飮
料戾稅法
明治三十四年法律第十號
明治四十一年法律第二十四號
明治四十三年法律第六號
第七十二條舊法ニ依リ酒類、酒精ヲ含
有スル飮料、麥酒、酒母、醪又ハ麴ノ
製造ノ免許ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ本法ニ依リ酒類、酒母、醪
又ハ麴ノ製造ノ免許ヲ受ケタルモノト
看做ス
舊法ニ依リ酒類、酒精ヲ含有スル飮料
又ハ麥酒ノ販賣業ノ免許ヲ受ケタル者
ハ本法ニ依リ酒類ノ販賣業ノ免許ヲ受
ケタルモノト看做ス
第七十三條前條第一項ノ規定ニ依ル〓
酒ノ製造者ニハ第十五條第一項及第二
項ノ規定ニ拘ラズ合成〓酒製造ノ免許
ヲ與フルコトヲ得
第七十四條第二十二條第一項第三號ノ
規定ハ昭和十五年十月一日ヨリ開始ス
ル酒造年度以後ノ酒造年度ニ付之ヲ適
用ス
第七十二條第一項ノ規定ニ依ル酒類製
造者ニ對スル第二十二條第一項第三號
ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ制限石數ハ
當分ノ内仍從前ノ例ニ依ル此ノ場合ニ
於テハ前條ノ規定、ニ依リ免許ヲ受ケ製
造シタル合成清酒ノ石數ハ之ヲ〓酒ノ
製造石數ト看做ス
第七十五條舊法ニ依リ賦課シ又ハ賦課
スベカリシ造石稅、出港稅及麥酒稅ニ
關シテハ仍舊法ニ依ル
第三十二條及第四十一條ノ規定ハ前項
ノ規定ニ拘ラズ本法施行前ニ査定ヲ受
ケタル酒類又ハ酒精ヲ含有スル飮料ニ
付之ヲ適用ス此ノ場合ニ於テハ舊法及
臨時租稅增徵法ニ依ル造石稅ハ之ヲ本
法ノ酒類造石稅ト看做ス
第七十六條舊法ニ依リ原料用トシテ檢
定ヲ受ケタル酒類、酒精又ハ酒精ヲ含有
スル飮料ニシテ本法施行ノ際現存スル
モノハ其ノ檢定ノ內容ヲ以テ本法施行
ノ際査定セラレ第三十九條第一項ノ規
定ニ依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除セラレ
タルモノト看做ス
第七十七條本法施行前ニ査定ヲ受ケタ
ル麥酒ノ酒類庫出稅ノ稅率ハ第二十七
條ノ規定ニ拘ラズ一石ニ付二十四圓三
十錢トス
第七十八條酒類ノ製造者又ハ販賣業者
ガ本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以
外ノ場所ニ於テ各種類ヲ通ジ合計十石
以上ノ酒類(濁酒ヲ除ク)ヲ所持スル場
合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其
ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ本法施
行ノ日ニ於テ其ノ酒類ヲ製造場ヨリ移
出シタルモノト看做シ其ノ所持スル酒
類ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ酒類庫出
稅ヲ徴收ス此ノ場合ニ於テハ麥酒ニ付
テハ一石ニ付十四圓三十錢ノ割合ニ依
リ算出シタル金額、其ノ他ノ酒類ニ
付テハ第二十七條ニ規定スル酒類庫出
稅ノ稅率ニ依リ算出シタル金額ト支那
事變特別稅法第三十九條ニ規定スル物
品稅ノ稅率ニ依リ算出シタル金額トノ
差額ヲ以テ其ノ稅額トス
前項ノ製造者又ハ販賣業者ハ其ノ所持
スル酒類ノ種類每ニ石數及貯藏ノ場所
ヲ本法施行後一月以內ニ政府ニ申〓ス
ベシ
第七十九條本法施行ノ際製造場ニ現存
スル酒類ニシテ戾入又ハ移入シタルモ
ノニ付テハ第三十八條ノ規定ニ拘ラズ
酒類庫出稅ヲ徵收ス此ノ場合ニ於テハ
前條第一項後段ノ規定ヲ準用ス
第八十條支那事變特別稅法第四十八條
第一項又ハ第四十九條第一項第二號ノ
規定ノ適用ヲ受ケテ移出シ又ハ引取リ
タル酒類ハ之ヲ第三十七條第一項ノ規
定ノ適用ヲ受ケテ移出シ又ハ引取リタ
ル酒類ト看做シ支那事變特別稅法第五
十條第一項第一號ノ規定ニ依リ物品稅
ヲ免除セラレタル酒類ハ之ヲ第四十二
條第一項ノ規定ニ依リ酒類庫出稅ヲ免
除セラレタル酒類ト看做ス
第八十一條酒造稅法第十三條ノ規定ニ
依リ提供シタル保證物及同法第十四條
ノ規定ニ依リ爲シタル納稅保證ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ之ヲ本法ニ依ル納稅
ノ擔保ト看做ス但シ舊法ニ依ル納稅保
證タルノ效力ヲ妨ゲズ
第八十二條本法施行前舊法及支那事變
特別稅法中酒類ノ物品稅ニ關スル規定
ニ基キ爲シタル申〓、申請、檢定、檢
査承認、認可、命令又ハ監督上ノ處
分ニシテ本法中之ニ相當スル規定アル
モノハ之ヲ本法ニ依リ爲シタル申〓、
申請、檢定、檢査、承認、命令又ハ取
締上ノ處分ト看做ス
第八十三條東京府小笠原島及伊豆七島
ニ於テ製造スル〓酒及燒酎ノ酒稅ハ當
分ノ內左ノ稅率ニ依ル
一酒類造石稅第二十七條ニ規定ス
ル金額ノ三分ノ一
二酒類庫出稅一石ニ付二十圓
前項ノ酒類ハ之ヲ內地ノ他ノ地方、朝
鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ移出ス
ルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シ酒類ヲ移出シタル
者ハ其ノ移出酒類ニ付第二十七條ノ稅
率ニ依リ算出シタル酒類造石稅及酒類
庫出稅ノ合計稅額ト第一項ノ稅率ニ依
リ算出シタル酒類造石稅及酒類庫出稅
ノ合計稅額トノ差額ノ五倍ニ相當スル
罰金ニ處シ其ノ酒類及容器ハ之ヲ沒收
ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキ
ハ之ヲ二十圓トス
第六十六條ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之
第一種アルコール分四十五度ヲ超エザルモノ
一石ニ付
第二種アルコール分四十五度ヲ超ユルモノ
一石ニ付
本法施行前又ハ施行後沖繩縣ニ於テ製
造シタル燒酎ヲ內地ノ他ノ地方、朝鮮、
臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ移出スルト
キハ其ノ燒酎ニ付第二十七條ノ稅率ニ
依リ算出シタル酒類造石稅ノ稅額ト前
項ノ稅率ニ依リ算出シタル酒類造石稅
ノ稅額トノ差額ニ相當スル出港稅ヲ課
ス
樺太酒類出港稅法第三條乃至第十二條
ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第八十五條神社ニ於テ古例ニ依リ明治
十三年以前ヨリ引續キ酒類ヲ製造スル
トキハ一酒造年度ノ製造石數一石以下
ノ場合ニ限リ當分ノ內酒稅ヲ課セズ
第八十六條アルコール專賣法第十七條
中「酒造稅法又ハ酒精及酒精含有飮料
稅法ニ依リ製造免許ヲ」ヲ「酒稅法ニ依
リ酒類製造ノ免許ヲ」ニ、「酒類又ハア
ルコール含有飮料ノ原料」ヲ「酒類製造
ヲ準用ス
第一項ニ規定スル地方ニ於テ製造シタ
ル〓酒及燒酎ニ付第七十八條又ハ第七
十九條ノ規定ヲ適用スル場合ニ於テハ
一石ニ付十圓ノ割合ニ依リ算出シタル
金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第八十四條沖繩縣ニ於テ製造スル燒酎
ノ酒類造石稅ハ當分ノ內左ノ稅率ニ依
ル
三十三圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキハアル
コール分三十度ヲ超ユル一度每ニ二圓十
錢ヲ加フ
百一圓ニアルコール分四十五度ヲ超ユル
一度每ニ二圓八十錢ヲ加ヘタル金額
ノ原料」ニ改ム
第八十七條樺太酒類出港稅法第一條第
一項中「燒酎、酒精及酒精含有飮料」ヲ
「酒稅法ノ燒酎及雜酒」ニ改メ同條第二
項ヲ削ル
第八十八條酒造組合法第、一條中「〓
酒、」ノ下ニ「合成〓酒、」ヲ加フ
第一種分蜜セサル砂糖
甲
モノ竝ニ全部又ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造シタルモノヲ除ク
百斤ニ付
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付
第二種其ノ他ノ砂糖但シ氷砂糖、
甲蔗糖ノ重量全重量ノ百分ノ八十六ヲ超エサルモノ
百斤ニ付
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付
第三種氷砂糖、角砂糖、
百斤ニ付
〓涼飮料稅法中改正法律案
〓涼飮料稅法中左ノ通改正ス
第二條中「七圓」ヲ「八圓五十錢」ニ、「十
圓」ヲ「二十圓」ニ、「三圓」ヲ「六圓」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行ノ際製造場以外ノ場所ニ於テ同
一人ガ五石ヲ超ユル數量ノ第二種ノ〓涼
飮料ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ
以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト
看做シ〓涼飮料稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テ
ハ本法施行ノ日ニ之ヲ製造場外ニ移出シ
タルモノト看做シ五石ヲ超ユル數量ニ付
一石ニ付五圓ノ稅率ニ依リ算出シタル金
額ヲ其ノ稅額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ
之ヲ徵收ス
前項ノ〓涼飮料ノ所持者ハ其ノ所持スル
〓涼飮料ノ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行
後一月以內ニ政府ニ申告スベシ
砂糖消費稅法中改正法律案
砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第一條砂糖、糖蜜及糖水ニハ本法ニ依
リ消費稅ヲ課ス
第二條削除
第三條消費稅ノ稅率左ノ如シ
-砂糖
樽入黑糖及樽入白下糖但シ黑糖及白下糖以外ノ砂糖ニ加工シテ製造シタル
三圓五十錢
五圓八十錢
角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノヲ除ク
六圓三十錢
十圓
棒砂糖其ノ他類似ノモノ
十二圓五十錢
二糖蜜
第一種氷砂糖ヲ製造スルトキニ生スル糖蜜
百斤ニ付
第二種其ノ他ノ糖蜜百斤ニ付
三糖水百斤ニ付
第四條第一項但書中「政府ニ於テ相當ト
認ムル擔保」ヲ「命令ノ定ムル所ニ依リ消
費稅額ニ相當スル擔保」ニ、「六箇月以內」
ヲ「三月以內」ニ改メ同條第三項ヲ削ル
第五條第二項中「其ノ消費稅」ヲ「命令ノ
定ムル所ニ依リ消費稅額」ニ、同條第三項
中「引取後六箇月以內ニ外國ニ輸出セラ
レタルコトノ證明ナキモノハ內地消費
ニ供セラレタルモノト看做シ」ヲ「引取後
六月以内ニ外國ニ輸出セラレタルコトノ
證明ナキモノニ付テハ」ニ改メ同條第四
項中「及第三項」ヲ削ル
第五條ノ二前條第一項ノ砂糖、糖蜜又
ハ糖水ハ之ヲ本法施行地ニ於テ消費シ
又ハ本法施行地ニ於テ消費スル目的ヲ
以テ讓渡スコトヲ得ス但シ政府ノ承認
ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ承認ヲ受ケタル砂糖、糖蜜又
ハ糖水ニ付テハ直ニ其ノ消費稅ヲ徵收
ス
第六條中「前條、第十一條ノ一」ヲ「第五
條、第十一條」コンスタン
第七條第一項中「第十一條ノ一」ヲ「第十
一條」ニ改ム
第九條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ニ規定スル者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ製造又ハ販賣ニ關スル事項ヲ政府
ニ申告スヘシ
消費税ヲ課セラレタル第二種乙ノ砂糖ヲ以
テ製造シタルモノニ在リテハ氷砂糖ハ百斤
ニ付一圓五十錢其ノ他ノモノハ百斤ニ付二
圓五十錢
六圓五十錢
三圓五十錢
八圓四十錢
第十條中「物品ノ製造者」ノ下ニ「ニ對シ
質問ヲ爲シ又ハ其」ヲ加フ
第十一條政府ノ承認ヲ受ケ製造場又ハ
保稅地域ヨリ引取ラルル砂糖、糖蜜又
ハ糖水ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル
モノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ消
費稅ヲ免除ス
砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ製造ノ用ニ
供スルモノ
二アルコールノ製造ノ用ニ供スルモ
三煉乳又ハ外國ニ輸出スル菓子、糖
果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ノ製
造ノ用ニ供スル砂糖
前項ノ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ引取ルト
キハ命令ノ定ムル所ニ依リ消費稅額ニ
相當スル擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
第一項ノ砂糖、糖蜜又ハ糖水ニシテ引
取後六月以內ニ其ノ用途ニ供セラレタ
ルコトノ證明ナキモノニ付テハ直ニ其
ノ消費稅ヲ徵收ス但シ天災其ノ他已ム
コトヲ得サル事由ニ因リ亡失シタルモ
ノニシテ政府ノ承認ヲ受ケタルモノニ
付テハ此ノ限ニ在ラス
第一項第三號ノ規定ノ適用ヲ受ケテ引
取リタル砂糖ヲ使用シテ菓子、糖果其
ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ヲ製造シタ
ル者カ之ヲ政府ノ指定シタル期間內ニ
外國ニ輸出シタルコトヲ證明セサル場
合ニ於テハ製造者ヨリ直ニ其ノ消費稅
ヲ徴收ス前項但書ノ規定ハ此ノ場合ニ
付之ヲ準用ス
第四條第二項ノ規定ハ第二項ノ擔保ニ
付之ヲ準用ス
第十一條ノ一ヲ削ル
第十一條ノ三左ノ各號ノ一ニ該當スル
場合ニ於テハ之ヲ砂糖、糖蜜又ハ糖水
ヲ製造スルモノト看做ス
-砂糖ニ加工シテ其ノ種別ヲ上昇ス
ルトキ
二砂糖、糖蜜又ハ糖水ニ砂糖、糖蜜、
糖水及水以外ノ物品ヲ混和シテ其ノ
數量ヲ增加スルトキ
第十二條命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ
承認ヲ受ケ消費稅ヲ課セラレタル砂
糖糖蜜又ハ糖水ヲ原料トシテ製造シ
タル砂糖(第三種ノ砂糖ヲ除ク)、糖蜜
又ハ糖水ニ付テハ之ヲ製造場ヨリ引取
ルモ消費稅ノ徵收ヲ爲サス
第十二條ノ二消費稅ヲ課セラレタル砂
糖ヲ原料トシテ煉乳ヲ製造シタル者又
ハ消費稅ヲ課セラレタル砂糖ヲ原料ト
シテ製造シタル菓子、糖果其ノ他命令
ヲ以テ定ムル物品ヲ外國ニ輸出シタル
者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ原料
トシテ使用シタル砂糖ニ付課セラレタ
ル消費稅額ニ相當スル金額以下ノ交付
金ヲ交付スルコトヲ得
第十二條ノ三第九條及第十條ノ規定ハ
第十一條第一項第三號ノ規定ノ適用ヲ
受ケテ引取リタル砂糖ヲ原料トスル煉
乳又ハ菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定
ムル物品ノ製造者及前條ノ規定ニ依リ
消費稅額ニ相當スル金額ノ交付ヲ受ク
ル煉乳ノ製造者ニ付之ヲ準用ス
第十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
消費稅五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ
其ノ消費稅ヲ徵收ス但シ罰金額カ二十
圓ニ滿タサルトキハ之ヲ二十圓トス
-政府ニ申告セスシテ砂糖、糖蜜又
ハ糖水ヲ製造シタル者
二第五條ノ二第一項ノ規定ニ違反シ
テ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ消費シ又ハ
消費ノ目的ヲ以テ讓渡シタル者
三第六條又ハ第七條第一項ノ規定ニ
違反シテ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ引取
リ又ハ引渡シ若ハ移出シタル者
四前各號ノ外詐僞其ノ他不正ノ行爲
ニ依リ消費稅ヲ通脫シ又ハ逋脫セム
トシタル者
第十三條ノ一ヲヲル
第十四條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
第十二條ノ二ノ交付金ノ交付ヲ受ケ又
ハ受ケムトシタル者ハ其ノ金額ノ五倍
ニ相當スル罰金ニ處ス但シ罰金額カ二
十圓ニ滿タサルトキハ之ヲ二十圓トス
第十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第八條ノ二ノ規定ニ違反シテ販賣
業又ハ製造業ヲ兼營シタル者
二第九條第一項(第十二條ノ三ニ於
テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依
ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳
簿ヲ隱匿シタル者
三第九條第二項(第十二條ノ三ニ於
テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依
ル申告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
四第十條(第十二條ノ三ニ於テ準用
スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル收稅
官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ
虚僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執
行ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シタル者
第十六條第十三條又ハ第十四條ノ罪ヲ
犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項
但書、第三十九條第二項、第四十條、
第四十一條、第四十八條第二項、第六
十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セス
第十七條中「又ハ第八條ノ二但書ノ場合
ニ於ケル物品ノ製造者」ヲ「、第八條ノ二
但書ノ場合ニ於ケル物品ノ製造者、第十
一條第一項第三號ノ規定ノ適用ヲ受ケテ
引取リタル砂糖ヲ原料トスル煉乳若ハ菓
子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ノ
製造者又ハ第十二條ノ二ノ規定ニ依リ交
付金ノ交付ヲ受クル者」ニ、「製造者又ハ
販賣者」ヲ「製造者、販賣者又ハ交付金ノ
交付ヲ受クル者」ニ改ム
第十七條ノ二本法ニ於テ保稅地域トハ
關稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
第十七條ノ三關稅定率法第七條第十七
號ノ規定ハ第十一條第一項第三號ノ規
定ノ適用ヲ受ケテ引取リタル砂糖ヲ原
料トシテ製造シ又ハ第十二條ノ二ノ規
定ニ依リ交付金ヲ交付セラレタル菓子、
糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル物品ニ對
シテハ之ヲ適用セス
附則
第一條本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ
之ヲ施行ス但シ第十二條ノ二ノ規定ハ
昭和十五年四月三十日以前ノ輸出ニ係
ル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル
物品ニ付テハ之ヲ適用セズ
本法施行前消費稅ヲ課シ又ハ課スベカ
リシ砂糖、糖蜜又ハ糖水ニ付テハ仍從
前ノ例ニ依ル
第二條煉乳原料砂糖戾稅法及輸出菓子
糖果原料砂糖戾稅法ハ之ヲ廢止ス
昭和十五年三月三十一日以前ニ煉乳製
造ノ原料ニ使用シタル砂糖又ハ昭和十
五年四月三十日以前ノ輸出ニ係ル菓子
及糖果ニ付テハ仍舊法ニ依ル
第三條本法施行ノ際製造場又ハ保稅地
域以外ノ場所ニ於テ同一人ガ各種類ヲ通
ジ合計一萬斤以上ノ砂糖、糖蜜又ハ糖
水ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ者ニ於
テ本法施行ノ日ニ之ヲ製造場ヨリ引取
リタルモノト看做シ砂糖消費稅ヲ課ス
此ノ場合ニ於テハ第三條ノ改正稅率ニ
依リ算出シタル金額ト支那事變特別稅
法第九條ニ規定スル稅率ニ依リ算出シ
タル金額トノ差額ヲ以テ其ノ稅額トシ
命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ所持者ハ
其ノ所持スル砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ種
別、數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後一
月以内ニ政府ニ申告スベシ
織物消費稅法中改正法律案
織物消費稅法中左ノ通改正ス
第一條但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ全重量百分中九十五以上ノ綿其ノ
他命令ヲ以テ定ムル原料ヲ以テ組成ス
ル織物ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第一條ノ一ヲ削ル
第二條中「百分ノ九」ヲ「百分ノ十」ニ改ム
第四條第一項、第九條第一項及第十條中
マ稅關又ハ保稅倉庫」ヲ「又ハ保稅地域」
三段人
第十七條中「消費稅四圓未滿ナルトキハ
罰金額ハ」ヲ「罰金額カ二十圓ニ滿タサル
トキハ之ヲ」ニ改メ同條ニ左ノ一號ヲ加
フ
六前各號ノ外詐僞其ノ他不正ノ行爲
ヲ以テ消費稅ヲ通脫シ又ハ通脫セム
トシタルトキ
第十八條中「三圓以上三十圓以下」ヲ「百
圓以下」ニ改ム
第十九條第十七條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
義ハ刑法第三十八條第三項但書、第三十
九條第二項、第四十條、第四十一條、
第四十八條第二項、第六十三條及第六
十六條ノ規定ヲ適用セス
第二十三條中「及第十九條乃至第二十一
條」ヲ「、第二十條及第二十一條」ニ改
ム
第二十四條本法ニ於テ保稅地域トハ關
稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
揮發油稅法中改正法律案
揮發油稅法中左ノ通改正ス
第三條中「十三圓二十錢」ヲ「三十四圓三
十五錢」ニ改ム
第二十三條本法ニ於テ保稅地域トハ關
稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行ノ際揮發油ノ製造者又ハ販賣者
ガ製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ
三キロリットル以上ノ揮發油ヲ所持スル
場合ニ於テハ其ノ者ニ於テ本法施行ノ日
ニ之ヲ製造場ヨリ引取リタルモノト看做
シ昭和十五年五月三十一日限其ノ揮發油
稅ヲ徵收ス此ノ場合ニ於テハ第三條ノ改
正稅率ニ依リ算出シタル稅額ト從前ノ稅
率ニ依リ算出シタル稅額トノ差額ヲ以テ
其ノ稅額トス
揮發油稅法第十四條第二項ノ規定ニ依リ
政府ノ指定シタル物ヲ混和シテ製成シタ
ル揮發油ニ在リテハ其ノ混和シタル鑛油
以外ノ物ノ數量ヲ控除シタルモノヲ以テ
前項ノ揮發油ノ數量トス
第二項ノ揮發油ノ所持者ハ其ノ所持スル
揮發油ノ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後
一月以内ニ政府ニ申告スベシ
物品稅法案
物品稅法
第一條左ニ揭グル物品ニシテ命令ヲ以
テ定ムルモノニハ本法ニ依リ物品稅ヲ
課ス
第一種
甲類
-貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒ
タル製品
二眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
三貴金屬製品又ハ金若ハ白金ヲ
用ヒタル製品
四鼈甲製品
珊瑚製品
琥珀製品
八七六五象牙製品
七寶製品
九毛皮又ハ毛皮製品
十羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル
製品
乙類
十一時計
十二文房具
十三身邊用細貨類
十四化粧用具
十五喫煙用具
十六帽子、枚、鞭及傘
十七鞄及トランク
十八靴及履物
十九書〓及骨董
二十室內裝飾用品
二十一盆栽、盆石及鉢植類
二十二愛玩用動物及同用品
二十三玩具
二十四運動具
二十五照明器具
二十六電氣器具及瓦斯器具
二十七圍碁及將棋用具
二十八家具
二十九漆器、陶磁器及硝子製器
具ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
三十貴金屬ヲ鍍シ又ハ張リタル
製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
三十一皮革製品ニシテ別號ニ揭
ゲザルモノ
三十二織物、メリヤス、レース、
フエルト及同製品竝ニ組物
三十三果物
三十四菓子
第二種
甲類
寫眞機、寫眞引伸機、映寫機、
同部分品及附屬品
二寫眞用ノ乾板、フイルム及感
光紙
三蓄音器及同部分品
四蓄音器用レコード
五樂器、同部分品及附屬品
雙眼鏡及隻眼鏡
七六
銃及同部分品
八藥莢及彈丸
九ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十娛樂用ノモーターボート、ス
カール及ヨット
十一撞球用具
十二ネオン管及同變壓器
十三喫煙用ライター
十四乘用自動車
十五化粧品
乙類
十六ラヂオ聽取機及同部分品
十七受信用眞空管、擴聲用增幅
器及擴聲器
十八扇風機及同部分品
十九煖房用ノ電氣、瓦斯又ハ礦
油ストーブ
二十冷藏器及同部分品
二十一金庫及鋼鐵製家具
二十二化粧石鹼、シャンプー、
洗粉及齒磨
二十三茶、珈琲及其ノ代用物竝
ニココア
二十四嗜好飮料但シ酒類及〓涼
飮料ヲ除ク
第三種
-燐寸
二飴葡萄糖及麥芽糖
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當
スルモノハ之ヲ第二種トシ、甲類及乙
類ニ該當スルモノハ之ヲ甲類トス
第二條物品稅ノ稅率左ノ如シ
第一種
甲類物品ノ價格百分ノ二十
乙類物品ノ價格百分ノ十
集 結
甲類物品ノ價格百分ノ二十
乙類物品ノ價格百分ノ十
第三種
-燐寸千本ニ付五錢
二館葡萄糖及麥芽糖
イ麥芽糖化ノ方法ニ依リ製造シ
タル飴百斤ニ付二圓
ロ其ノ他ノ飴竝ニ葡萄糖及麥芽
糖百斤ニ付二圓五十錢
第三條前條ノ價格ハ第一種ノ物品ニ付
テハ小賣業者ノ販賣價格、第二種ノ物
品ニ付テハ製造場ヨリ移出スル時ノ價
格トス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル第
一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨ
リ稅金ヲ徵收スルモノニ付テハ引取ノ
際ニ於ケル價格トス
前項ノ價格及燐寸ノ本數ノ計算ニ關シ
必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條物品稅ハ第一種ノ物品ニ付テハ
販賣セラレタル物品ノ價格ニ應ジ小賣
業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物ロ四ニ
付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品
ノ價格又ハ數量ニ應ジ製造者ヨリ之ヲ
徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル
物品ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合
ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ價格
又ハ數量ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收
ス
第五條物品稅ハ第一種第十九號ニ揭グ
ル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他
競爭ノ方法ニ依リ賣買セラルル場合ニ
シテ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ之ヲ
課ス
前項ノ場合ニ於テハ其ノ札元又ハ之ニ
準ズベキ者ガ小賣業者トシテ當該物品
ヲ販賣スルモノト看做ス
第六條製造場以外ノ場所ニ於テ販賣ノ
爲化粧品、化粧石鹼、シャンプー洗
粉、齒磨又ハ嗜好飮料ヲ容器ニ充塡シ
又ハ改裝スルトキハ之ヲ化粧品、化粧
石鹼、シャンプー、洗粉、齒磨又ハ嗜
好飮料ノ製造ト看做ス
第七條左ニ揭グル場合ニ於テハ嗜好飮
料飴葡萄糖又ハ麥芽糖ハ之ヲ製造
場ヨリ移出シタルモノト看做ス
嗜好飮料ヲ製造場內ニ於テ飮用シ
タルトキ
二飴葡萄糖又ハ麥芽糖ヲ製造場內
ニ於テ飴、葡萄糖又ハ麥芽糖以外ノ
製品ノ原料トシテ使用シタルトキ
第八條第一種ノ物品ノ小賣業者ハ每月
其ノ販賣シタル物品ニ付其ノ品名每ニ
數量及價格ヲ記載シタル申〓書ヲ、第
二種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場
ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ
數量及價格ヲ記載シタル申告書ヲ、第
三種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場
ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ
數量ヲ記載シタル申告書ヲ翌月十日迄
ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保
稅地域ヨリ引取ル者ハ命令ヲ以テ定ム
ル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ
付前項ニ準ズル申告書ヲ政府ニ提出ス
ベシ
申〓書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第九條小賣業者ガ其ノ販賣シタル第一
種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタ
ル月分以降ノ稅額ヨリ其ノ物品ニ課セ
ラレタル物品稅ニ相當スル金額ヲ控除
ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品
ヲ同一製造場內ニ戾入シタル場合亦同
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ
同一製造場內ニ戾入シタル場合ニ於テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製
造場ヨリ移出スルモ更ニ物品稅ノ徵收
ヲ爲サズ
第十條物品稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ
納付スベシ但シ第四條但書ノ場合ニ於
テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
命令ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三
種ノ物品ニ付物品稅額ニ相當スル擔保
ヲ提供シタルトキハ一月以內物品稅ノ
徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
關稅法第三十四條但書ノ規定ニ依リ保
稅地域ヨリ引取ル物品ニ付テハ第一項
但書ノ規定ニ拘ラズ輸入免許ヲ受ケタ
ル際物品稅ヲ納付スベシ此ノ場合ニ於
テハ引取ノ際其ノ稅金ノ擔保ヲ提供ス
ルコトヲ要ス
第十一條命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ
承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移
入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又
ハ保稅地域ヨリ引取ル第二種又ハ第三
種ノ物品ニ付テハ第四條ノ規定ヲ適用
セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先
ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取
先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル
期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラ
レタルコトノ證期ナキモノニ付テハ製
造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品稅ヲ
徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザ
ル事由ニ依リ滅失シタルモノニ付政府
ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品稅ヲ免除
ス
第十二條命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ
承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅
地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各號ノ
一ニ該當スルモノニ付テハ物品稅ヲ免
除ス
-第二種ノ物品ノ製造ノ用ニ供スル
第二種ノ物品
二飴葡萄糖又ハ麥芽糖ノ製造ノ用
ニ供スル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖
三輸出スル菓子、糖果其ノ他命令ヲ
以テ定ムル物品ノ製造ノ用ニ供スル
飴葡萄糖又ハ麥芽糖
前條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ
政府ノ指定シタル期間內ニ移出先若ハ
引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナ
キモノ又ハ移出先若ハ引取先ニ移入前
其ノ用途ヲ變更セラレタルモノニ付之
ヲ準用ス
第一項ノ物品ヲ移出先又ハ引取先ニ移
入後其ノ用途ヲ變更シタル場合ニ於テ
ハ其ノ場所ヲ以テ製造場ト看做シ移出
先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト
看做ス
第一項第三號ノ規定ニ依リ物品稅ノ免
除ヲ受ケタル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ヲ
使用シテ菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ
定ムル物品ヲ製造シタル者ガ之ヲ政府
ノ指定シタル期間內ニ輸出シタルコト
ヲ證明セザル場合ニ於テハ製造者ヨリ
直ニ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ
他巳ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シ
タルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルト
キハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條左ニ揭グル物品ニ付テハ命令
ノ定ムル所ニ依リ物品稅ヲ免除ス
-輸出スルモノ
二學術〓究用ニ供スルモノ
三其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供
スルモノ
第十一條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニ
シテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出シ
又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ證
明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第十四條物品稅ヲ課セラレタル飴、葡
萄糖又ハ麥芽糖ヲ原料トシテ製造シタ
ル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル
物品ヲ輸出シタルトキハ輸出者ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ原料トシテ
使用シタル飴、葡萄糖又ハ麥芽糖ニ付
課セラレタル物品稅ニ相當スル金額以
下ノ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第十五條第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營マ
ントスル者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品
ヲ製造セントスル者ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ニ申〓ヌベシ其ノ小賣業又
ハ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第十六條第一種、第二種又ハ第三種ノ
物品ノ製造者又ハ販賣者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ
關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小賣業者又ハ第二種若
ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ製造又ハ販賣ニ關シ必
要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第十七條收稅官吏ハ第一種、第二種又
ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ニ
對シ質問ヲ爲シ又ハ左ニ掲グル物件ニ
付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ
爲スコトヲ得
-第一種、第二種又ハ第三種ノ物品
ニシテ製造者又ハ販賣者ノ所持スル
モノ
二第一種、第二種又ハ第三種ノ物品
ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切
ノ帳簿書類
三第一種、第二種又ハ第三種ノ物品
ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建
築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物
件
第十八條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
物品稅ヲ逋脫シ又ハ連脫セントシタル
者ハ其ノ連脫シ又ハ逋脫セントシタル
稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ
其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓
ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八條第一項又ハ第二項ノ規定ニ
依ル申〓ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申〓セズシテ第一種ノ物品
ノ小賣業ヲ營ミ又ハ第一一種若ハ第三
種ノ物品ヲ製造シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ小賣シタル第一種ノ物品又ハ製造
シタル第二種若ハ第三種ノ物品ニ對ス
ル物品稅ヲ徴收ス
第二十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第十六條第一項ノ規定ニ依ル帳簿
ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱
匿シタル者
二第十六條第二項ノ規定ニ依ル申〓
ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三第十七條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ
質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ
陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十一條第十八條ノ罪ヲ犯シタル者
ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三
十九條第二項、第四十條、第四十一條、
第四十八條第二項、第六十三條及第六
十六條ノ規定ヲ適用セズ
第二十二條第一種、第二種又ハ第三種
ノ物品ノ製造者又ハ販賣者フ代理人、
戶主、家族、同居者、雇人其ノ他フ從
業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯シタル
トキハ其ノ製造者又ハ販賣者ヲ處罰ス
第二十三條本法ニ於テ保稅地域トハ關
稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
第二十四條關稅定率法第七條第十七號
ノ規定ハ第十二條第一項第三號ノ規定
ニ依リ物品稅ヲ免除セラレタル飴、葡
萄糖若ハ麥芽糖ヲ原料トシテ製造シ又
ハ第十四條ノ規定ニ依リ交付金ヲ交付
セラレタル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以
テ定ムル物品ニ對シテハ之ヲ適用セズ
第二十五條自己又ハ其ノ家族ノ用ニノ
ミ供スル第二種ノ物品又ハ飴ヲ製造ス
ル者ニハ當該物品ニ付本法ヲ適用セズ
附則
第二十六條本法ハ昭和十五年四月一日
ヨリ之ヲ施行ス但シ第十四條ノ規定ハ
昭和十五年四月三十日以前ノ輸出ニ係
ル菓子、糖果其ノ他命令ヲ以テ定ムル
物品ニ付テハ之ヲ適用セズ
第二十七條第九條ノ適用ニ付テハ支那
事變特別稅法ニ依リ課セラレタル物品
稅ハ之ヲ本法ニ依リ課セラレタル物品
稅ト看做ス
第二十八條支那事變特別稅法第四十八
條第一項、第四十九條第一項又ハ第五
十條第一項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル物
品ハ各第十一條第一項、第十二條第一
項又ハ第十三條第一項ノ規定ノ適用ヲ
受ケタルモノト看做ス
第二十九條支那事變特別稅法第三十八
條ニ揭グル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營
ム者又ハ同第二種若ハ第三種ノ物品ノ
製造ヲ爲ス者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨
ヲ申〓シタルモノハ本法施行ノ日ニ於
テ本法ニ依リ申〓シタルモノト看做ス
第三十條本法施行前ヨリ引續キ左ニ招
グル第一ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又ハ
第二ノ物品ノ製造ヲ爲ス者本法施行後
一月以內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルト
キハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申
告シタルモノト看做ス
第琥珀製品、象牙製品、七寶製品、
盆栽盆石及鉢植類、愛玩用動物及同
用品竝ニ菓子
第二化粧石鹸、齒磨及茶(紅茶ヲ除
セ
第三十一條第一條ニ掲グル第二種又ハ
第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ガ本
法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ
場所ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル物
品ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ
以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者
ト看做シ之ニ物品稅ヲ課ス此ノ場合ニ
於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ
製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ第
一號ノ物品ニ付テハ第一條各號ニ揭グ
ル品名每ニ價格三千圓、飴葡萄糖又
ハ麥芽糖ニ付テハ一萬斤ヲ超ユル部分
ニ付命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品稅
ヲ徵收ス但シ支那事變特別稅法ニ依リ
物品稅ヲ課セラレタル物品ニ付テハ其
ノ課セラレタル稅額ニ相當スル金額ヲ
控除シタル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
-第一條ニ揭グル第二種第一號乃至
第十五號、第二十二號(化粧石鹼及
齒磨ニ限ル)又ハ第二十三號(紅茶
以外ノ茶ニ限ル)ノ物品ニシテ同條
各號ニ揭グル品名每ニ價格三千圓ヲ
超ユルモノ
二飴葡萄糖又ハ麥芽糖ニシテ合計
斤數一萬斤ヲ超ユルモノ
前項ノ製造者又ハ販賣者ハ第二種ノ物
品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量、價格及
貯藏ノ場所、飴葡萄糖又ハ麥芽糖ニ
付テハ其ノ品名每ニ數量及貯藏ノ場所
ヲ本法施行後一月以內ニ政府ニ申〓ス
ベシ
遊興飮食稅法案
遊興飮食稅法
第一條料理店、貸席、旅館其ノ他命令
ヲ以テ定ムル類似ノ場所ニ於ケル遊興
及飮食ニハ本法ニ依リ遊興飮食稅ヲ課
ス
第二條遊興飮食稅ノ稅率ハ遊興飮〓ノ
料金ノ百分ノ十五トス但シ藝妓ノ花代
ニ付テハ料金ノ百分ノ三十トス
前項ノ遊興飮食ノ料金ハ前條ニ規定ス
ル場所ノ經營者ガ遊興又ハ飮食ヲ爲シ
タル者ヨリ其ノ遊興又ハ飮食ニ付領收
スベキ金額ヲ謂フ
遊興飮食ノ料金ノ算定ニ關シテハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第三條遊興飮食ノ料金ガ一人一囘三圓
ニ滿タザル場合ニハ遊興飮食稅ヲ課セ
ズ但シ左ニ揭グル料金ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ
ー藝妓ノ花代及藝妓ノ花代ヲ伴フ遊
興飮食ノ料金
二藝妓ノ花代ニ類スル料金ニシテ命
令ヲ以テ定ムルモノ
三命令ヲ以テ定ムル料理店ニ於ケル
遊興飮食ノ料金
前項ノ一人一囘ノ料金ノ計算ニ關シ必
要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條遊興飮食稅ハ第一條ニ規定スル
場所ノ經營者ヨリ之ヲ徵收ス
第五條第一條ニ規定スル場所ノ經營者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每月分ノ遊興
飮食料金ヲ記載シタル申告書ヲ翌月十
日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ經營ヲ廢
止シタル場合ニ於テハ直ニ之ヲ提出ス
ベシ
申〓書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第六條遊興飮食稅ハ每月分ヲ翌月末日
迄ニ納付スベシ但シ經營ヲ廢止シタル
場合ニ於テハ直ニ之ヲ納付スベシ
第七條第一條ニ規定スル場所ノ經營者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ每月分ノ遊興
飮食料金中其ノ月ニ於テ領收セザルモ
ノニ對スル稅金ヲ其ノ料金ヲ領收シタ
ル月ノ翌月末日迄ニ納付スルコトヲ得
但シ其ノ經營ヲ廢止シタル場合ニ於テ
未ダ納付セザル稅金アルトキハ直ニ之
ヲ納付スベシ
前項ノ規定ニ依リ未ダ稅金ヲ納付セザ
ル料金ニシテ領收スルコト能ハザルニ
至リタルモノニ付テハ命令ノ定ムル所
ニ依リ遊興飮食稅ヲ免除ス
第八條第一條ニ規定スル場所ヲ經營セ
ントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ旨ヲ豫メ政府ニ申告スベシ之ヲ廢止
セントスルトキ亦同ジ
第九條第一條ニ規定スル場所ノ經營者
及經營者ト經營上取引關係アル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル
事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
前項ニ規定スル者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政
府ニ申〓スベシ
第十條收稅官吏ハ前條第一項ニ規定ス
ル者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ
關スル帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第十一條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
遊興飮食稅ヲ通脫シ又ハ逋脫セントシ
タル者ハ其ノ通脫シ又ハ通脫セントシ
タル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ
直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二
十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第五條第一項ノ規定ニ依ル申〓ヲ
怠リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申〓セズシテ第一條ニ規定
スル場所ヲ經營シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ遊興飮食稅ヲ徵收ス
第十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第九條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ
記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿
シタル者
二第九條第二項ノ規定ニ依ル申〓ヲ
怠リ又ハ詐リタル者
三第十條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質
問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳
述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十四條第十一條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
ハ刑法第三十八條第三項但書、第三十
九條第二項、第四十條、第四十一條、
第四十八條第二項、第六十三條及第六
十六條ノ規定ヲ適用セズ
第十五條第一條ニ規定スル場所ノ經營
者又ハ經營者ト經營上取引關係アル者
ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人
其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法
ヲ犯シタルトキハ其ノ經營者又ハ經營
者ト經營上取引關係アル者ヲ處罰ス
第十六條北海道、府縣、市町村其ノ他
ノ公共團體ハ遊興飮食稅ノ課稅標準タ
ル料金ニ對シ地方稅ヲ課スルコトヲ得
ズ
第十七條政府ハ第一條ニ規定スル場所
ノ經營者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅上
必要ナル設備ヲ爲シ又ハ徵收事務ノ補
助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付ス
ルコトヲ得
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
支那事變特別稅法第五十一一條ノ二ニ規定
スル場所ヲ經營スル者ニシテ同法ニ依リ
其ノ旨ヲ申〓シタルモノハ本法施行ノ日
ニ於テ本法ニ依リ申〓シタルモノト看做
ス
支那事變特別稅法第六十二條ノ二第一項
ノ規定ニ依リ爲シタル命令ハ之ヲ第十七
條第一項ノ規定ニ依リ爲シタル命令ト看
做ス
取引所稅法中改正法律案
取引所稅法中左ノ通改正ス
第一條中「百分ノ十五」ヲ「百分ノ十二」
ニ、「取引所營業稅」ヲ「取引所特別稅」ニ
改ム
第三條及第四條中「取引所營業稅」ヲ「取
引所特別稅」ニ改ム
第五條第一項第二種中「萬分ノ一·五」ヲ
「萬分ノ五」ニ、「萬分ノ二·五」ヲ「萬分ノ
七」ニ改ム
第二十二條北海道、府縣、市町村其ノ
他ノ公共團體ハ營業稅ノ附加稅ヲ課ス
ルノ外取引所ノ業務ニ對シ地方稅ヲ課
スルコトヲ得ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行前ニ爲シタル賣買取引ニ基ク賣
買手數料收入金額ニ關シテハ仍從前ノ例
一氏八
通行稅法案
通行稅法
第一條汽車、電車、乘合自動車及汽船
ノ乘客ニハ本法ニ依リ通行稅ヲ課ス
第二條通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課
ス
乘車船區間四十粁以下ナルトキ
等等十錢
二等五錢
乘車船區間八十粁以下ナルトキ
一等二十錢
二等十錢
三等二錢
乘車船區間百二十粁以下ナルトキ
等三十錢
二等十五錢
三等五錢
乘車船區間百六十粁以下ナルトキ
等六十錢
二等三十錢
三等十錢
乘車船區間三百粁以下ナルトキ
等一圓二十錢
二等六十錢
三等二十錢
乘車船區間五百粁以下ナルトキ
一等一圓八十錢
二等九十錢
三等三十錢
乘車船區間八百粁以下ナルトキ
等二圓四十錢
二等一圓二十錢
三等四十錢
乘車船區間八百粁ヲ超ユルトキ
等三圓
二等一圓五十錢
三等五十錢
囘數乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於
テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
囘數二十囘以
下ナルトキ前項稅額ノ五倍
囘數五十囘以
下ナルトキ前項稅額ノ十倍
囘數五十囘ヲ
超ユルトキ前項稅額ノ二十倍
定期乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於
テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
契約期間一月
以內ナルトキ第一項稅額ノ五倍
契約期間三月
以內ナルトキ第一項稅額ノ十倍
契約期間六月
以内ナルトキ第一項稅額ノ二十倍
契約期間六月
ヲ超ユルトキ第一項稅額ノ三十倍
團體乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於
テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
人員五十人以
上ナルトキ第一項稅額ノ五倍
人員百人以下
ナルトキ第一項稅額ノ十倍
人員二百人以
下ナルトキ第一項稅額ノ二十倍
人員二百人ヲ
超ユルトキ第一項稅額ノ三十倍
貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於
テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
一等及二等貸切運賃ノ百分ノ十
三等貸切運賃ノ百分ノ五
前項ノ規定ニ依ル稅額ハ第一項稅額ニ
乘客定員數ヲ乘ジタル金額ヲ超ユルコ
トヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行稅ハ
十二歲未滿ノ乘客ニ付テハ其ノ半額ト
ス
前項ノ稅額ニ十錢ニ滿タザル端數アル
場合ニ於テハ其ノ端數ガ五錢以上ナル
トキハ之ヲ五錢トシ五錢ニ滿タザルト
キハ之ヲ切捨ツ但シ其ノ全額五錢ニ滿
タザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三條急行車船ニ乘車船ノ契約ヲ爲シ
タル場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依ルノ
外急行料金ノ百分ノ十ノ稅率ニ依リ通
行稅ヲ課ス
前條第八項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ
算出シタル稅額ニ付之ヲ準用ス
第四條乘車船區間四十粁以下ノ三等乘
客ニハ通行稅ヲ課セズ但シ前條ノ規定
ニ依ル通行稅ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條陸海軍ノ團體トシテノ乘車船ニ
シテ命令ノ定ムルモノニハ通行稅ヲ課
セズ
第六條左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ
第二條第一項及第四條ノ乘車船區間ノ
粁程ノ計算ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
一往復乘車船又ハ〓遊乘車船ノ契約
ヲ爲シタルトキ
二運賃ガ均一制又ハ區間制ニ依リ定
メラレタルトキ
第七條汽車、電車、乘合自動車又ハ汽
船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等
ニ分タザルモノニ付テハ第二條第一
項、第五項及第四條ノ等級ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム乘客定員數ノ定ナキ車船ニ
付貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ
於ケル第二條第六項ノ乘客定員數ニ付
亦同ジ
第八條通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車
又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營ム者(以下
運輸業者ト稱ス)運賃又ハ急行料金領
收ノ際之ヲ徵收シ翌月末日迄ニ政府ニ
納ムベシ
第九條汽車、電車、乘合自動車又ハ汽
船ニ依ル運輸業ヲ營マントスル者及運
輸業者ニ代リテ乘車船劵ヲ販賣セント
スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨
ヲ豫メ政府ニ申〓スベシ之ヲ廢止セン
トスルトキ亦同ジ
第十條運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ
乘車船劵ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿
ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船
劵ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府
ニ申告スベシ
第十一條第八條ノ規定ニ依リ徵收スベ
キ通行稅ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵
收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅
徵收ノ例ニ依リ之ヲ其ノ徵收義務者ヨ
リ徵收ス
第十二條收稅官吏ハ運輸業者又ハ運輸
業者ニ代リテ乘車船劵ヲ販賣スル者ニ
對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル
帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一第十條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ
記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿
シタル者
二第十條第二項ノ規定ニ依ル申〓ヲ
怠リ又ハ詐リタル者
三前條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問
ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述
ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、
妨ゲ若ハ忌避シタル者
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船劵
ヲ販賣スル者ニシテ支那事變特別稅法第
二十四條又ハ第二十五條第二項ノ規定ニ
依リ申〓シタルモノハ本法施行ノ日ニ於
テ本法ニ依リ申告シタルモノト看做ス
入場稅法案
入場稅法
第一條本法ニ依リ入場稅及特別入場稅
ヲ課ス
第二條入場稅ハ左ニ揭グル第一種ノ場
所ニ入場スル者又ハ第一種ノ場所ノ設
備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物
(相撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニ
シテ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目
的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
二競馬場
三前二號ニ揭グルモノヲ除クノ外
一定ノ催物又ハ設備ヲ爲シ公衆ノ
觀覽又ハ遊戯ニ供スル場所ニシテ
命令ヲ以テ定ムルモノ
第二種
-舞踏場、麻雀場、撞球場
二ゴルフ場、スケート場
第三條入場稅ノ稅率左ノ如シ
第一種ノ場所
入場料ガ一人一囘一圓未滿ナルトキ
入場料ノ百分ノ十
入場料ガ一人一囘一圓以上三圓未滿
ナルトキ入場料ノ百分ノ二十
入場料ガ一人一囘三圓以上ナルトキ
入場料ノ百分ノ三十
囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約
ヲ爲シタルトキ
入場料ノ百分ノ二十
第二種ノ場所入場料ノ百分ノ二十
本法ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ
問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二
種ノ場所ノ設備ヲ利用スル爲ニ支拂フ
ベキ金額ヲ謂フ
前項ノ入場料ノ算定ニ關シテハ命令ヲ
以テ之ヲ定ム
第四條第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一
囘十九錢ニ滿タザル場合ニハ入場稅ヲ
課セズ
前項ノ規定ハ囘數、定期又ハ貸切ニテ
入場ノ契約ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適
用セズ
第五條第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ
於ケル演劇、活動寫眞、演藝、觀物、
競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若
ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種
ノ場所ノ經營者ガ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ入場料又ハ收益ノ總額ヲ慈善事
業其ノ他命令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツ
ル場合ニ於テハ入場稅ヲ免除ス
第六條入場稅ハ第一種ノ催物若ハ設備
ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所
ノ經營者入場料領收ノ際之ヲ徵收シ翌
月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開
設ニ非ザルモノニ付テハ命令ヲ以テ定
ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ
納ムベシ
第七條第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若
ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營セン
トスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
旨ヲ豫メ政府ニ申〓スベシ之ヲ廢止セ
ントスルトキ亦同ジ
第八條第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者
若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關
スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經
營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要
ナル事項ヲ政府ニ申〓スベシ
第九條特別入場稅ハ運動競技ニシテ學
生生徒又ハ該競技ヲ爲スコトヲ業トセ
ザル者ノ行フモノニ付觀覽ノ爲競技場
ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徴スル場合ニ
於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
第十條特別入場稅ノ稅率ハ特別入場料
ノ百分ノ十トス
本法ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タ
ルヲ問ハズ前條ノ競技場ニ入場スル爲
ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
第三條第三項ノ規定ハ特別入場稅ニ付
之ヲ準用ス
第十一條特別入場料ガ一人一回十九錢
ニ滿タザル場合ニハ特別入場稅ヲ課セ
ズ
第四條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付
之ヲ準用ス
第十二條特別入場稅ハ運動競技ノ主催
者特別入場料領收ノ際之ヲ徵收シ競技
終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ命令ヲ
以テ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ
之ヲ政府ニ納ムベシ
第十三條第五條、第七條及第八條ノ規
定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第十四條第六條又ハ第十二條ノ規定ニ
依リ徵收スベキ稅金ヲ徵收セザルトキ
又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザル
トキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ
徵收義務者ヨリ徵收ス
第十五條收稅官吏ハ第一種ノ催物若ハ
設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ
場所ノ經營者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其
ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件
ヲ檢査スルコトヲ得
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用
ス
第十六條政府ニ申告セズシテ第一種ノ
催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第
二種ノ場所ヲ經營シタル者ハ三百圓以
下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ
記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿
シタル者
二第八條第二項ノ規定ニ依ル申〓ヲ
怠リ又ハ詐リタル者
三第十五條第一項ノ規定ニ依ル收稅
官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ
虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執
行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十八條北海道、府縣、市町村其ノ他
ノ公共團體ハ第一種ノ場所ノ入場者又
ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ對シ入
場稅ノ課稅標準タル入場料ヲ標準トシ
テ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
支那事變特別稅法第二十六條ニ規定スル
第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營ス
ル者又ハ第二種ノ場所ヲ經營スル者ニシ
記載金高三圓以下ノモノ
同五圓以下ノモノ
同十圓以下ノモノ
同二十圓以下ノモノ
同三十圓以下ノモノ
六物品切手同五十圓以下ノモノ
同百圓以下ノモノ
同百圓ヲ超ユルモノ
記載金高ナキモノ
第十四條第十一條及前條ノ罪ヲ犯シタ
ル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、
第三十九條第二項、第四十條、第四十
候第四十八條第二項、第六十三條
及第六十六條ノ規定ヲ適用セス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
骨牌稅法中改正法律案
骨牌稅法中左ノ通改正ス
第四條中「三圓」ヲ「五圓」ニ、「五十錢」ヲ
「七十錢」ニ改ム
第六條中「稅關若ハ保稅倉庫」ヲ「保稅地
域」ニ改ム
第十條中「稅關又ハ保稅倉庫」ヲ「保稅地
域」ニ改ム
テ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノハ
本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申〓シタ
ルモノト看做ス
前項ノ規定ハ支那事變特別稅法第三十三
條ニ規定スル運動競技ヲ開催スル者ニシ
テ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノニ
付之ヲ準用ス
印紙稅法中改正法律案
印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項中第二十八號ヲ削リ第六號
ヲ第七號トシ以下第二十七號迄順次一號
ヅツ繰下ゲ第五號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
三錢
十錢
三十錢
六十錢
九十錢
一圓五十錢
三圓
百圓又ハ
其ノ端數
每一三圓
三錢
第十一條中「檢査」ノ下ニ「又ハ質問」ヲ加
フ
第十五條中「脫稅高二十倍ノ金額十圓ニ
達セサルトキハ十圓ノ罰金ニ處ス」ヲ「罰
金額カ二十圓ニ滿タサルトキハ之ヲ二十
圓トス」ニ改ム
第十六條中「五圓以上」及「三圓以上」ヲ削
ル
第十七條中「三圓以上三十圓以下ノ罰金」
ヲ「百圓以下ノ罰金又ハ科料」ニ改ム
第十八條第十一條ノ規定ニ依ル收稅官
吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虚僞
ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ケ若ハ忌避シタル者ハ百圓以下
ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十九條第十四條乃至第十六條及第二
十一條ノ二ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法
第三十八條第三項但書、第三十九條第
二項、第四十條、第四十一條、第四十
八條第二項、第六十三條及第六十六條
ノ規定ヲ適用セス
第二十一條ノ三本法ニ於テ保稅地域ト
ハ關稅法ニ定ムル保稅地域ヲ謂フ
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行ノ際骨牌ノ製造又ハ販賣ヲ爲ス
者ノ所持ニ係ル骨牌ニハ製造又ハ販賣ヲ
爲ス者ニ於テ第四條ノ改正規定ニ依リ相
當印紙ヲ貼用シ又ハ不足印紙ヲ增貼スベ
狩獵法中改正法律案
狩獵法中左ノ通改正ス
第八條第一項ヲ左ノ如ク改ム
狩獵免許ヲ受クル者ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ甲乙各種ニ付左ノ區別ニ從ヒ免
許稅ヲ納ムヘシ
等綜合所得稅ヲ納ムル
者及其ノ家族七十圓
二等一等以外ノ者ニシテ
分類所得稅年額二十
圓以上ヲ納ムルモノ
及其ノ家族四十圓
三等一等及二等以外ノ者十八圓
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行ノ日ヨリ昭和十六年四月十五日
迄ニ狩獵ノ免許ヲ受クル者ニ付テハ昭和
十四年分所得稅二百圓以上ヲ納ムル者及
其ノ家族ヲ以テ第八條ニ規定スル一等ニ
該當スル者、昭和十四年分所得稅ヲ納ム
ル者及其ノ家族ヲ以テ同條ニ規定スル二
等ニ該當スル者、此等ノ者以外ノ者ヲ以
テ同條ニ規定スル三等ニ該當スル者ト看
做シ本法ヲ適用ス
明治四十四年法律第四十五號中改正法
律案
明治四十四年法律第四十五號申左ノ通改
正ス
第一條削除
第二條中「砂糖消費稅法」ノ上ニ「酒稅
法、」ヲ加へ、「支那事變特別稅法又ハ北支
事件特別稅法」ヲ「又ハ物品稅法」ニ改ム
第三條中「砂糖消費稅法」ノ上ニ「酒稅
法、」ヲ、「骨牌稅法、」ノ下ニ「物品稅法、」
ヲ、「砂糖、」ノ上ニ「酒類、」ヲ加ヘ「、支那
事變特別稅法第三十八條ニ揭クル物品又
ハ北支事件特別稅法第二十條ニ揭クル物
品」ヲ「又ハ物品稅法第一條ニ揭クル物
品」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
大正九年法律第五十一號中改正法律案
大正九年法律第五十一號中左ノ通改正ス
「麥酒、酒精、酒精含有飮料、」ヲ削リ「支
那事變特別稅法第三十八條ニ掲クル第二
種ノ物品」ヲ「物品稅法第一條ニ揭クル第
二種ノ物品」ニ改メ「交付金ヲ交付スルコ
トヲ得」ノ下ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ織物及織物製品ノ物品稅ニ付テハ
此ノ限ニ在ラス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
支那事變特別稅法及臨時租稅增徵法廢
止法律案
支那事變特別稅法及臨時租稅增徵法ハ之
ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ昭和十五年三月三十一日以前ニ終
了シタル各事業年度分ノ所得稅、營業收
益稅、法人資本稅及臨時利得稅、法人ノ
昭和十五年三月三十一日以前ニ於ケル解
散又ハ合併ニ因ル〓算所得ニ對スル所得
稅昭和十五年三月三十一日以前ニ開始
シタル相續ニ對スル相續稅、昭和十五年
三月三十一日以前ニ產出シタル鑛產物ニ
對スル鑛產稅及特別鑛產稅、昭和十五年
三月三十一日以前ニ爲シタル賣買取引ニ
基ク賣買手數料收入金額ニ對スル取引所
營業稅、昭和十五年三月三十一日以前ニ
竣成シタル家屋ノ建築稅竝ニ昭和十五年
三月三十一日以前ニ賦課シ若ハ賦課スベ
カリシ又ハ徵收シ若ハ徵收スベカリシ第
二種又ハ第三種ノ所得ニ對スル所得稅、
資本利子稅、酒類ニ對スル造石稅及出港
稅麥酒稅、酒精及酒精含有飮料ニ對
スル造石稅、〓涼飮料稅、砂糖消費稅、
取引稅、印紙稅、利益配當稅、公債及社
債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場稅、
物品稅、遊興飮食稅及個人ノ臨時利得稅
ニ關シテハ仍舊法ニ依ル
臨時租税增徵法第十條ノ規定ハ前項ノ規
定ニ拘ラズ昭和十五年一月一日以後ニ隱
居ニ因リ開始シタル家督相續又ハ同日以
後ニ爲シタル相續稅法第一一十三條第一項
ニ規定スル贈與ニ付テハ之ヲ適用セズ
昭和十五年一月一日以後昭和十五年三月
三十一日迄ニ產出シタル鑛產物ニ對スル
鑛產稅及特別鑛產稅ハ昭和十五年六月中
ニ之ヲ徵收ス
營業收益稅法廢止法律案
營業收益稅法ハ之ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ昭和十五年三月三十一日以前ニ終
了シタル各事業年度分ノ營業收益稅及個
人ノ昭和十四年分以前ノ營業收益稅ニ關
シテハ仍舊法ニ依ル
資本利子稅法廢止法律案
資本利子稅法ハ之ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行前ニ賦課シ若ハ賦課スベカリシ
又ハ徵收シ若ハ徵收スベカリシ資本利子
稅ニ關シテハ仍舊法ニ依ル
法人資本稅法廢止法律案
法人資本税法ハ之ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ昭和十五年三月三十一日以前ニ終
了シタル各事業年度分ノ法人資本稅ニ關
シテハ仍舊法ニ依ル
臨時租稅措置法中改正法律案
臨時租稅措置法中左ノ通改正ス
第一條當分ノ內本法ニ依リ所得稅、法
人稅、田畑地租、營業稅、砂糖消費稅、
織物消費稅ゝ登錄稅及臨時利得稅ヲ輕
減又ハ免除ス
第一條ノ二中「普通所得」ヲ「所得」ニ、「十
分ノ四」ヲ「十分ノ三」ニ、「百分ノ二·四
五」ヲ「百分ノ三·六」ニ、「所得稅」ヲ「法
人稅」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ各事業年度ノ所得及所得中留保
シタル金額ハ其ノ事業年度ノ所得及資
本ニ課セラルベキ法人稅額(前項ノ規
定ニ依リ輕減スル稅額ヲ控除セザルモ
ノニ依ル)及法人稅法第十四條ノ規定
ニ依リ控除スベキ臨時利得稅額ヲ其ノ
事業年度ノ所得及其ノ所得中留保シタ
ル金額ノ双方ヨリ控除シタル殘額ニ依
ル
第一條ノ三第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第
二項中「及營業收益稅」ヲ「、法人稅及營業
稅」三八人
所得稅法第五條、法人稅法第十二條及
營業稅法第十二條ノ規定ニ依リ指定シ
タル物產ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業
ニ付其ノ設備ヲ增設シタル者ニハ命令
ノ定ムル所ニ依リ設備增設ノ年及其ノ
翌年ヨリ三年間其ノ增設シタル設備ニ
依ル物產ノ製造、採掘又ハ採取ノ業務
ヨリ生ズル所得及純益ニ付所得稅、法
人稅及營業稅ヲ免除ス
第一條ノ四中「營業收益稅法ニ依ル純益」
ヲ「法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依
ル純益」ニ改ム
第一條ノ五法人ノ各事業年度ノ所得中
ニ本邦(關東州及南洋群島ヲ含ム)外ニ
於ケル營業ヨリ生ズル所得アルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ營業ヨリ生
ズル所得金額ニ百分ノ四ヲ乘ジテ算出
シタル金額ニ相當スル法人稅ヲ輕減
ス
個人ノ甲種ノ事業所得中ニ本邦(關東
州及南洋群島ヲ含ム)外ニ於ケル營業
ヨリ生ズル所得アルトキハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ營業ヨリ生ズル所得金
額ニ百分ノ二ヲ乘ジテ算出シタル金額
ニ相當スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ六命令ヲ以テ指定スル鑛物又
ハ其ノ鑛產物ヲ產出スル鑛業權者ニハ
命令ノ定ムル所ニ依リ當該鑛業ヨリ生
ズル所得金額ニ百分ノ二ヲ乘ジテ算出
シタル金額ニ相當スル分類所得稅又ハ
法人稅ヲ輕減ス
第一條ノ七事業ノ經營ヲ主タル目的ト
スル同族會社ニシテ命令ヲ以テ定ムル
モノニ對シ法人稅法第十七條ノ規定ヲ
適用スル場合ニ於テハ同條第一項第一
號ニ規定スル割合十分ノ三ハ之ヲ十分
ノ六トシ同項第二號ニ規定スル割合十
分ノ一ハ之ヲ十分ノ四トス
第一條ノ八本法施行地ニ本店又ハ主タ
ル事務所ヲ有スル生命保險會社ノ甲種
ノ配當利子所得ニ付テハ命令ノ定ムル
所ニ依リ昭和十四年十一一月三十一日以
前ヨリ引續キ所有スル株式ニ對スル利
益又ハ利息ノ配當ニ限リ所得稅法第二
十條ニ規定スル稅率百分ノ十ヲ百分ノ
六トシタル場合ノ差減額ニ相當スル分
類所得稅ヲ輕減ス
第六條中「第三種ノ所得金額」ヲ「乙種ノ
事業所得ノ金額」ニ改ム
第七條中「第十四條第一項第六號ノ規定
又同條第三項」ヲ「第十二條第一項第四號
ノ規定及同條第五項」ニ改ム
第八條中「營業收益稅法」ヲ「營業稅法」
ニ、「營業收益稅」ヲ「營業稅」ニ改ム
第九條中「營業收益稅」ヲ「營業稅」ニ、「營
業收益稅額」ヲ「營業稅額」ニ改ム
第十一條及第十二條中「營業收益稅」ヲ
「營業稅」ニ改ム
第十三條中「營業收益稅法第四條第一項」
ヲ「營業稅法第四條」ニ、「同法第六條」ヲ
「同法第十條」ニ、「所得稅法第六條乃至第
八條」ヲ「臨時利得稅法第六條及第七條」
三八人
第十四條乃至第二十條削除
第二十一條政府ノ承認ヲ受ケ命令ヲ以
テ定ムル樽以外ノ容器ニ容レタル黑糖
及白下糖ハ之ヲ砂糖消費稅法第三條第
一種甲ノ砂糖ト看做ス但シ分蜜シタル
モノ黑糖及白下糖以外ノ砂糖ニ加工
シテ製造シタルモノ竝ニ全部又ハ一部
ノ新式機械ニ依リ製造シタルモノハ此
ノ限ニ在ラズ
第二十二條中「織物消費稅法第一條ノ二
ノ規定ニ拘ラズ之ヲ綿織物ト看做ス」ヲ
「織物消費稅法第一條但書ノ織物ト看做
ス」ニ〓ム
第二十三條中「第一條ノ四」ヲ「第一條ノ
八」ニット
第二十三條フ二樺太ニ於テハ本法ノ施
行ニ關シ必要アルトキハ勅令ヲ以テ別
段ノ定ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人稅及法人ノ營業稅ニ付テハ昭和十五
年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨ
リ、個人ノ所得稅及營業稅ニ付テハ昭和
十五年分ヨリ本法ヲ適用ス但シ第一條ノ
六ノ規定中分類所得稅ニ關スルモノハ昭
和十六年分ヨリ之ヲ適用ス
昭和十五年三月三十一日以前ニ產出シタ
ル鑛產物ニ對スル鑛產稅及特別鑛產稅ニ
付テハ仍從前ノ例ニ依ル
前項ノ規定ニ依リ昭和十五年一月一日以
後同年三月三十一日以前ニ產出シタル鑛
物又ハ鑛產物ニ付改正前ノ第十九條ノ規
定ヲ適用スル場合ニ於テハ昭和十二年中
ニ於ケル鑛物又ハ鑛產物ノ產出數量ノ十
二分ノ三ニ相當スル數量ヲ以テ同條ニ規
定スル昭和十二年中ニ於ケル產出數量ト
看做ス
昭和十四年以前ノ田畑地租、昭和十四年
分以前ノ個人ノ營業收益稅及昭和十五年
分以前ノ特別砂鑛區稅ニ付テハ仍從前ノ
例ニ依ル
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=9
-
010・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今議題トナリ
マシタ稅制改正ニ關スル諸法律案、卽チ所得
稅法改正法律案外三十件ノ政府提出ノ法律
案ニ付キマシテ、一括シテ說明ヲ致シタイ
ト存ジマス、中央地方ヲ通ズル稅制ノ一般
的改正ハ、我國多年ノ懸案デアリマシテ
出來得ル限リ早キ機會ニ於テ是ガ實現ヲ見
ルコトハ本議會ニ於テモ屢〓要望セラレ
テ參ツタ所デアリマス、然ルニ昭和十二年
七月今囘ノ事變ガ勃發シ、我國財政經濟ノ
諸事情ニ著シキ變化ヲ生ズルニ至リマシタ
ノデ、暫ク是ガ實行ヲ見合スノ餘儀ナキ事
情ニ相成ツタノデアリマス、併シナガラ今
ヤ事變ハ長期建設ノ段階ニ入リ、之ニ對應
シテ速ニ稅制ヲ整備確立スルノ要アリト認
メラレマスルノデ、政府ニ於キマシテハ曩
ニ稅制ノ根本的改正ヲ斷行スルノ方針ヲ決
定シ、銳意調査立案ニ努メテ參ツタノデア
リマス、申スマデモナク租稅制度ノ改正ハ、
中央地方ノ財政ニ重大ナル關係ガアリマス
ノミナラズ、國民經濟竝ニ國民生活ノ各·方
面ニ密接深甚ノ影響ヲ及ボスモノデアリマ
シテ、國家國民ノ爲ニ洵ニ重大ナル問題デ
アリマス、隨ヒマシテ是ガ具體案ノ作成ニ
當リマシテハ、特ニ愼重ヲ期スルコトトシ、
官民各方面ヨリ成ル稅制調査會ニ諮問シテ
遺憾ナキヲ努メタノデアリマスガ、稅制調
査會ニ於テモ實ニ二十八囘ニ亙リ會議ヲ開
催シテ、十分ニ調査審議ヲ盡シタ後、政府ニ
答申スル所ガアツタノデアリマス、只今議
題トナツテ居リマスル諸法律案ハ、此ノ稅
制調査會ノ答申ニ基キ、、更ニ各般ノ見地ヨ
リ十分ナル檢討ヲ加へ、愼重ナル考慮ヲ廻
ラシタ上デ、前內閣ニ於テ大體立案ヲ了シ
テ居クモノデアリマスガ、現內閣ト致シマ
シテモ其ノ儘之ヲ踏襲スルヲ適當ト認メマ
シテ、玆ニ御協賛ヲ求ムルコトト致シタ次
第デアリマス
今囘ノ稅制改正ハ、曩ニモ申述ベマシタ
如ク、長期建設ノ段階ニ在ル我國現下ノ財政
經濟諸事情ニ卽應スル稅制ヲ整備確立スル
コトニ主眼ヲ置キ、第一ニ中央地方ヲ通ジ
テ負擔ノ均衡ヲ圖ルコト、第二ニ現下緊要
ナル經濟諸政策トノ調和ヲ圖ルコト、第三
ニ收入ノ增加ヲ圖ルト共ニ、彈力性アル稅
制ヲ樹立スルコト、第四ニ稅制ノ簡易化ヲ
圖ルコトノ四ツノ事項ヲ目標トシ、現行國
稅及ビ地方稅制度ノ全般ニ亙リ、根本的ノ
檢討ヲ加ヘテ、有效適切ナル改正ヲ斷行シ、
以テ多年ノ懸案タル諸問題ヲ解決スルト共
ニ新事態ニ卽應スル稅制ヲ確立セントス
ルモノデアリマス
先ヅ負擔ノ均衡ニ關シテデアリマス
ガ、國民ノ負擔力ニ應ジタ課稅ヲ爲スコト
ガ租稅ノ生命デアリマシテ、今囘ノ改正案
ノ作成ニ當リマシテモ、國民ノ負擔力ニ應
ジタ稅制ヲ樹立スルコトニ付キ、最大
ノ苦心ヲ拂ツタノデアリマス、卽チ先ヅ直
接國稅ノ體系ヲ改組シテ、所得稅ヲ分類所
得稅ト綜合所得稅トノ二種ニ區分シテ課稅
スル制度ヲ採用スルコトトシ、分類所得稅
ハ所得ヲ其ノ性質ニ應ジテ數種ニ區分
シ資產所得ニ最モ重ク、勤勞所得ニ輕
ク課稅スルコトニ依リ、各種所得間ノ
負擔ノ均衡ヲ圖ルコトトシ、綜合所得稅ハ
各人ニ付一切ノ所得ヲ綜合シテ、相當程度
以上ノ所得者ニ限リ相當高度ノ累進稅率ヲ
以テ賦課スルコトニ依リ、大所得重課ノ目
的ヲ達シ、以テ所得階級間ノ負擔ノ均衡ヲ
圖ルコトト致シタノデアリマス、又事變ノ
影響等ニ因ル增加利得ニ對シ、臨時利得稅
ヲ增徵シテ事變下ニ於ケル負擔ノ調整ヲ圖
ルト共ニ、間接稅等ニ於テモ成ベク奢侈的
消費、又ハ不急消費ニ重課スルノ方針ヲ採
ルコトト致シマシタ
次ニ地方稅ニ於キマシテモ國費多端ノ折
柄多大ノ犠牲ヲ拂ツテ、從來負擔不均衡ノ
根源ト稱セラレテ居リマシタ戶數割ノ全廢
ヲ斷行スルト共ニ、所得稅ノ附加稅ヲ廢止
シテ、新ニ分與稅制度ヲ採用スルコトニ依
リ、負擔ノ地域的不均衡ヲ是正スルコトト
致シタノデアリマス、其ノ他國稅、地方稅
ノ全般ニ亙リ適切ナル改正ヲ加ヘテ、負擔
ノ衡平ヲ得ルコトニ努メタ次第デアリマス
第二ハ經濟諸政策トノ調和ノ問題デアリ
マス、稅制ガ經濟政策ト緊密ナル調和連繫
ヲ保持スベキハ言フマデモナイコトデアリ
マシテ、特ニ事變下ニ於ケル稅制ノ改正ト
シテハ此ノ點ニ十分ナル考慮ヲ拂フベキ
モノト考ヘルノデアリマス、仍テ今囘ノ改
正ニ於テハ、增稅額ノ決定竝ニ配分、企業ニ
對スル課稅、配當利子ニ對スル課稅、間接
稅ノ課稅物件ノ選擇等ニ關聯シテ、現下緊
要ナル生產ノ增加、貯蓄ノ奬勵、低物價ノ
堅持等ノ諸政策ノ遂行ニ支障ナカラシムル
ヤウ十分ノ考慮ヲ致シマシタ外、此ノ際ノ
臨時特別ノ措置トシテ、適當ナル方策ヲ講
ズルコトト致シテ居ルノデアリマス
第三ハ增收竝ニ稅制ノ彈力性ノ問題デア
リマス、御承知ノ如ク、昭和十二年度以來
每年增稅ガ行ハレテ參ツタノデアリマスガ、
現下內外ノ情勢、我國財政ノ現狀及ビ將來
等ニ照シテ考ヘマスレバ、今後ニ於テモ事
費價$國防費其ノ他一般經濟費ヲ通ジ、相
當長期ニ亙リ多額ノ經費ヲ必要トスルノ實
情ニアルノデアリマシテ、此ノ際稅制ノ改
正ニ當リ、相當額ノ增稅ヲ行フコトハ、必
要ニシテ已ムヲ得ザル措置デアルト信ズル
ノデアリマス、仍テ一面ニ於テハ事變費等
ノ支出ニ基ク國民所得ノ增加、購買力吸收
ノ必要性等ヲ考フルト共ニ、戰時經濟ノ運
行、國民生活ノ安定等ニ及ボス影響ヲ十分
ニ考慮シツツ、此ノ際平年度大體五億圓程
度ノ增收ヲ圖ルコトトシ、各稅ニ亙リ、ソ
レゾレ適當ト認ムル增徵ヲ行フコトト致シ
タノデアリマス、尙ホ我國財政ノ將來ニ照
シマスレバ、此ノ際相當ノ增收ヲ圖ルノ外、
能ク將來ノ財政需要ニ應ジ、容易ニ伸縮シ
得ル稅制ヲ樹立シテ置クコトノ必要緊切ナ
ルモノアリト認メマシタノデ、所得稅制度
ノ根本的改正其ノ他ノ方策ヲ講ジ、出來得
ル限リ稅制ニ彈力性ヲ附與スルコトト致シ
タ次第デアリマス
最後ニ稅制ノ簡易化デアリマスガ、御承
知ノ如ク最近ノ數年間、每年增稅等ニ關ス
ル臨時立法ヲ重ネテ參リマシタ結果、各種
ノ法規ガ重複競合シ、極メテ複雜ナル稅制
ト相成ツテ居ルノデアリマス、而シテ是等
ノ臨時增徵又ハ新稅モ、今後相當長期ニ亙
リ存續スルノ已ムナキ事情ニアリト認メラ
レマスノデ、此ノ際是等ノ各種ノ法規ヲ整
理結合致シマシテ、簡易且ツ平明ナル稅制
ノ樹立ニ努メタ次第デアリマス
次ニ改正ノ內容ニ付說明致シタイト存ジ
やっ、今囘ノ稅制改正ニ於キマシテ其ノ樞
軸ヲ成スモノハ、現行直接國稅ノ體系ヲ改組
シテ、新ニ分類所得稅及ビ綜合所得稅ヲ併
用スル體系ヲ採用シタコトデアリマス、御
承知ノ如ク、現行直接國稅ノ體系ハ所得稅
ヲ中樞トシ、地租、營業收益稅及ビ資本利
子稅ノ三收益稅ヲ以テ、之ヲ補完スルノ方
法ニ依ツテ居ルノデアリマスガ、同ジク收
益稅タル家屋稅ハ地方稅ト致シテ居リマス
ル爲、體系整備ノ點カラ見テモ、負擔均衡
ノ上カラ考ヘテモ、遺憾ナ點ガ多イノデア
リマス、仍テ此ノ際家屋稅ヲ國稅ニ移管シテ
收益稅制度ヲ整備スルコトモ、一應考ヘラ
レル譯デアリマスガ、元來收益稅ハ所得稅
ノ補完稅デアリマシテ、之ニ多額ノ收入ヲ
期待スルコトハ困難デアリマスノデ、將來
額ノ財源ヲ求メヨウトスレバ直接稅ニ於
キマシテハ結局所得稅ニ依ルノ外ナキモノ
ト信ズルノデアリマス、然ルニ現行ノ所得
稅ハ最近數次ノ臨時的增徵ヲ重ネマシタ結
果、著シク其ノ伸張力ヲ喪失シテ居リマス
ノミナラズ、負擔ノ普遍化ノ點ニ於テモ缺
クル所ガ少クナイノデアリマス、仍テ此ノ
際トシテハ現行所得稅制度ニ根本的ノ改正
ヲ加へ、現在ノ如キ累進稅率ノ外ニ、新
比例稅率ヲ導入シテ、稅制ニ大ナル彈力性
ヲ附與スルノ外、成ベク多クノ國民ヲシテ
所得稅ヲ負擔セシムルト共ニ、出來得ル限
リ源泉ニ於テ課稅シテ、納稅ノ簡易化ヲ期
スル必要ガアルト思フノデアリマス、而シ
テ斯クノ如ク所得稅ノ比例稅率ヲ採用シ、所
得ノ種類ニ應ジテ源泉ニ於テ課稅スルコト
ト致シマスルト所得ノ種類每ニ稅率、免
稅點ヲ異ナラシメ、以テ資產所得ニ重課ス
ルコトニ依リマシテ、所得稅ノ中ニ收益稅
ノ機能ヲモ織込ムコトガ出來ルト思フノデ
アリマス、卽チ負擔ノ均衡及ビ普遍化ヲ圖
リ、稅制ニ彈力性ヲ附與スルト共ニ、是ガ
簡易化ヲ期スル爲ニハ、此ノ際直接國稅ノ體
系ヲ改組シテ、分類所得稅ト綜合所得稅ト
ヲ併用スルコトトシ、收益稅制度ハ之ヲ廢
止スルヲ適當ト認メタ次第デアリマス、尙
ホ地租、家屋稅及ビ營業稅ハ、地方國體ノ
諸施設トノ聯關モ密接ニシテ元々、應益課
稅ノ性質ヲ有スルモノデアリマスカラ、此ノ
機會ニ於テ是等ノ諸稅ハ之ヲ地方ノ財源ト
シテ、地方財政ノ確立ニモ資スルコトト致
シタ次第デアリマス
先ヅ所得稅制度ノ改正ニ付說明致シマス、
今囘新ニ設クルコトト致シマシタ分類所得
稅ハ、所得ヲ其ノ性質ニ依ツテ大體不動產
所得、配當利子所得、事業所得、勤勞所得、
山林ノ所得及ビ退職所得ノ六種ニ區分シ、
其ノ各〓ノ種類ニ應ジテ稅率、免稅點、控除、
課稅方法等ヲ異ナラシメ、以テ各種所得間
ノ負擔ノ均衡ヲ圖ルト共ニ、課稅方法ノ適
正、簡易化ヲ期スルコトト致シタノデアリ
やく、先ヅ其ノ稅率ハ財政ノ必要ニ應ジテ
伸縮ヲ容易ナラシムル爲、比例稅率ト致シ
タノデアリマスガ、資產所得タル不動產所
得ト配當利子所得ニ付テハ、各種所得中最
モ重キ百分ノ十ノ稅率ニ依ルコトトシ、之
ニ次イデ資產勤勞共働ノ所得タル營業所得
ニ付テハ百分ノ八·五、營業以外ノ事業所得
ニ付テハ百分ノ七·五トシ、負擔力ノ最モ少
キ勤勞所得ニ付テハ、最モ輕キ百分ノ六ノ
稅率ニ依ルコトト致シタノデアリマス
次ニ不動產所得ト配當利子所得ニ付テハ、
其ノ資產所得タル性質ニ顧ミ、源泉課稅ヲ
爲スモノニ付テハ、免稅點ヲ設ケズ、賦課
決定ニ依リ課稅スルモノニ付テハ徵稅ノ便
宜上百圓ノ免稅點ヲ設クルコトト致シマシ
タ、而シテ勤勞所得ト專業所得ニ付キマシ
テハ所得ヨリソレ〓〓六百圓又ハ四百圓
ノ基礎控除ヲ爲スコトト致シマシテ、極ク
少額ノ所得ニ免稅ヲスルト共ニ、分類所得
稅ノ負擔ヲシテ累進的ナモノタラシメ、以
テ比較的少額ナ所得者ニ對スル負擔ヲ、緩
和スルコトト致シタノデアリマス、次ニ扶
養家族多キ者ノ負擔ヲ緩和スルコトハ、負
擔ノ衡平ノ上カラ見テモ、亦人口政策ノ見
地カラ考ヘテモ、此ノ際適當ナコトト認メ
ラレマスノデ、扶養控除ノ制度ヲ大イニ擴
充スルコトトシ、扶養家族ノ控除ヲ認ムル
範圍ヲ擴張スルト共ニ、扶養家族一人當リ
ノ控除額ヲ著シク增額スルコトト致シテ居
ルノデアリマス、次ニ分類所得稅ノ徵稅方
法トシテハ、出來ル限リ源泉課稅ノ方法ヲ採
用スルコトトシ、以テ納稅ノ簡易化ヲ期ス
ルコトト致シマシタ、卽チ配當利子所得ニ
付源泉課稅ニ依ルコトト致シマシタ外、新
ニ俸給、給料、賞與等ノ勤勞所得ニ付テモ、
源泉課稅ノ方法ヲ採用スルコトト致シタノ
デアリマス、尙ホ山林ノ所得ト退職所得ハ、
其ノ他ノ所得ト餘程性質ヲ異ニスルモノガ
アリマスノデ、之ヲ他ノ所得ト區分シ、ソ
レゾレ其ノ性質ニ應ジテ適當ナル稅率、基
礎控除等ヲ採用シテ居ルノデアリマス
次ハ綜合所得稅デアリマス、分類所得稅
ハ比例稅率ニ依ルノデアリマスカラ、是ノ
ミヲ以テシテハ所得ノ大小ニ因ル負擔力ノ
差異ニ應ズル課稅ヲ缺クコトトナリマスノ
デ、別ニ各人ニ付總テノ所得ヲ綜合シテ、
相當額以上ノ所得者ニ限リ累進稅率ヲ以テ
課稅スルコトトシ、所得階級間ノ負擔ノ均
衡ヲ圖ル必要ガアルト思フノデアリマス
仍テ大體現行第三種所得稅ノ例ニ依リマシ
テ、綜合所得稅ヲ設ケ、五千圓以上ノ所得
者ニ限リ五千圓ヲ超ユル·部分ノ所得ニ對
シ、百分ノ十乃至百分ノ六十五ノ超過累進
稅率ニ依リ課稅スルコトト致シマシタ、而
シテ現行ノ第三種所得稅ニ比シ、改正致シ
マシタ事項中主ナルモノニ付テ說明致シマ
スルニ、先ヅ第一ニ公社債、銀行預金ノ利
子等ニ付テモ綜合課稅ノ建前ヲ採用スルコ
トト致シタ點デアリマス御承知ノ如ク是
等ノ所得ニ對シテハ、現行制度ニ於キマシ
テハ第二種所得稅トシテ、比例稅率ニ依ル
源泉課稅ノミヲ行ツテ居ルノデアリマスガ、
負擔ノ均衡ヲ圖リ、彈力性アル稅制ヲ樹立
スル等ノ見地ヨリ、つ。是等ノ所得ニ付テモ此
ノ際綜合課稅ヲ行ヒ、累進稅率ニ依リ課稅
スルコトト致シタ次第デアリマス唯多年
ノ制度ヲ變更致シマスルコトデアリマスノ
デ、綜合ニ際シテモ所得金額ノ四割ヲ控除
シテ課稅スルコトト致シマシタ外、尙ホ
當分ノ中、納稅義務者ノ申請アル場合ニハ
綜合課稅ニ代ヘ百分ノ十五ノ稅率ニ依リ
源泉課稅スルノ途ヲ講ズルコトトシ、成ベ
ク急激ナル變化ヲ避クルコトニ依ツテ、事
變下緊要ナル金融諸政策ノ遂行ニ支障ヲ來
サザルヤウ、萬全ノ留意ヲ致シタ次第デア
リマス
第二ニハ配當所得ノ計算方法ヲ變更シタ
コトデアリマス、卽チ現行第三種所得稅
ニ於キマシテハ配當所得ニ付テハ其ノ
二割ヲ控除シテ課稅スルコトト致シテ居ル
ノデアリマスガ、一律ニ二割ノ控除ヲ爲ス
コトハ、負債ニ依ツテ株式等ヲ取得シタル
者ト、然ラザル者トノ間ニ負擔ノ均衡ヲ缺
クコトニナリマスノデ相當高度ノ累進稅
率ニ依ツテ課稅致シマスル綜合所得稅ニ於
テハ二割ノ控除ヲ廢止シテ株式等ノ取得
ニ要シタル負債ノ利子ヲ控除スルコトト致
シタ次第デアリマス、其ノ他法人ヨリ受クル
〓算分配金ノ課稅方法、勤勞所得ノ控除、
所得ノ計算方法等ニ付テモ、現行第三種所
得稅ニ對シ、ソレ〓〓適當ト認ムル變更ヲ
加フルコトト致シテ居リマスガ、是等ニ付
テノ說明ハ更ニ別ノ機會ニ讓リタイト存ジ
マス
次ハ法人稅デアリマス、元來法人ハ個人
ト其ノ性質ヲ餘程異ニシ、個人ノ場合ニ於
ケルガ如ク所得ノ種類及ビ大小ニ應ジテ課
稅ヲ異ニスル等ノ必要モナイト思ハレマス
ノデ、所得稅ハ原則トシテ個人ニ付テノミ
課稅スルコトトシ、法人ニ付テハ別ニ法人
稅ヲ創設シテ、現行第一種所得稅及ビ法人
資本稅ヲ一括シテ課稅スルコトト致シタノ
デアリマス、而シテ其ノ稅率ハ、產業ニ對
スル影響等ヲ十分考慮スルト共ニ、所得計
算方法ノ改正等ヲ併セ考ヘテ、一般法人ノ
所得ニ付テハ百分ノ十八ト致シ、資本ニ付
テハ現行千分ノ一·二ヲ千分ノ一·五ニ引上
グルコトト致シタノデアリマス
次ニ法人所得ノ計算上現行ニ比シ二ツノ
點ニ於テ改正ヲ加フルコトト致シマシタ、
其ノ第一點ハ稅金ノ控除ニ關シテデアリマ
ス、御承知ノ如ク現行第一種所得稅ニ於キ
マシテハ、所得ノ計算上所得稅、臨時利得
稅等ヲ損金トスルコトト相成ツテ居ルノデ
アリマスルガ、斯ノ如キ計算方法ニ依リマ
スルト、法人ノ負擔關係ガ至極明朗ヲ缺クノ
ミナラズ、相當高クナツタ稅率ノ下ニ於テ
ハ、稅負擔ノ爲ニ利益ノ著シキ波動ヲ生ズ
ルヤウナ場合ヲ生ジマスノデ、此際法人租
稅負擔ノ適正、明確ヲ期スル爲、所得ノ計算
上法人稅ハ之ヲ損金トシテ控除セザルコトニ
改メタノデアリマス、尤モ臨時利得稅ハ其ノ性
質ニ顧ミ、先ヅ之ヲ納付セシメタ後法人稅ヲ
賦課スベキモノト認メラレマスノデ、各事業年
度ノ利益カラ其ノ利益ニ對シ課セラルベキ
臨時利得稅額ヲ控除シタル殘額ヲ課稅所得
トシテ、之ニ法人稅ヲ賦課スルコトト致シマ
シタ
法人所得計算方法ニ關スル改正ノ第二點
ハ缺損金ノ繰越控除ヲ認メタコトデアリ
マス、卽チ現行稅法ニ於キマシテハ、法人
ノ所得ハ各事業年度每ニ打切リ計算スルコ
トニナツテ居ルノデアリマスルガ、法人企
業ノ實情ニ十分應ジ難キ場合モアリマスノ
デ、此ノ際右ノ原則ニ或ル程度ノ例外ヲ設
ケ、前一年內ニ生ジタ缺損金ハ現事業年度ノ
利益ト通算シテ所得ヲ計算スルコトト致シ
タノデアリマス、尙ホ法人ノ受クル配當利
子所得ニ付キマシテハ、其ノ性質、徵稅技
術等ニ顧ミ、個人ト同ジク源泉ニ於テ分類
所得稅ヲ賦課スルコトト致シテ居ルノデア
リマスルガ、負擔ノ重複ヲ避クル爲、其ノ
稅額ハ之ヲ法人稅額ヨリ控除スルコトト致
シテ居リマス、法人稅ハ以上ノ外大體現行
ノ第一種所得稅及ビ法人資本稅ノ例ニ依ル
コトト致シテ居リマス
次ニ現行臨時利得稅ハ、利得ヲ甲種及ビ
乙種ニ分チ、ソレ〓〓基準年度、稅率等ヲ
異ニシテ課稅ヲ致シマスノミナラズ、一 四
法人ニ付テハ高率ノ利益ニ對シテ課稅ヲス
ル超過所得稅モアリマシテ、極メテ複雜ナ
制度トナツテ居リマスノデ、此ノ際課稅ノ
適正簡明ヲ期スル爲、臨時利得稅ヲ改組シ
テ、昭和四、五、六年ト云フ古キ年度ヲ基
準年度トスル甲種利得ノ制度ハ之ヲ廢止ス
ルト共ニ、超過所得稅ヲ之ニ統合シテ課稅
スルコトト致シタノデアリマス、又法人ノ
利益ノ計算ニ付キマシテハ、法人稅ニ於ケ
ルト同樣ノ趣旨ニ依リ、法人稅及ビ臨時利
得稅ハ之ヲ損金トシテ控除セザルコトニ改
メタノデアリマス、而シテ法人ノ利益中資
本金額ノ年一割ヲ超ユル金額及ビ事變前三
年間ノ利益率ヲ超ユル金額ヲ利得トシテ之
ニ對シ百分ノ二十五乃至百分ノ六十五ノ稅
率ニ依リ賦課スルコトト致シ、以テ事變ノ
影響等ニ因リ利益ノ增大シタル產業部門ニ
對シ重課シテ、事變下ニ於ケル負擔ノ調整
ヲ圖ルコトト致シタノデアリマス
次ニ個人ノ營業利得ニ對スル臨時利得稅
ニ付キマシテハ、法人ニ於ケルト同樣、甲
種利得ノ制度ハ之ヲ廢止シ、尙ホ別ニ新規
ノ營業者等ノ負擔ヲ緩和スル措置ヲ講ズル
ト共ニ、其ノ稅率ヲ多少引上グルコトト致
シタノデアリマス
次ニ產業組合、商業組合、工業組合等ノ
特別ノ法人ニ對シテハ各種ノ租稅ヲ免除
シテ居ルノデアリマスガ、一般國民負擔ノ
增加ニ伴ヒ、時局ニ顧ミ當分ノ內應分ノ負
擔ヲ爲サシムルヲ適當ト認メラレマスノデ、
此ノ際特別法人稅ヲ創設シテ、是等ノ法人
ノ剩餘金ニ對シ、一般法人ノ半額程度、卽
チ百分ノ九ノ稅率ニ依リ課稅スルコトト致
シタノデアリマス
次ニ現在ノ利益配當稅ト公債及ビ社債利
子稅トハ之ヲ統合シテ、配當利子特別稅ト
シテ課稅スルコトト致シタノデアリマスガ、
從來ノ利益配當稅ニ付キマシテハ、分類所
得稅ノ創設ニ伴ヒ、配當金中配當率年一割
以下ノ分ニ對スル課稅ハ之ヲ廢止スルコト
ト致シタノデアリマス、又外貨債特別稅ニ
付キマシテモ、課稅限度タル利率ヲ引下グ
ルト共ニ、內地居住者ノ所有ニ屬スル在外
證劵ニ付テモ課稅スルコトト致シタノデア
リマス
次ハ相續稅デアリマス、御承知ノ如ク相
續稅ニ付キマシテハ、昭和十二年臨時租稅
增徵法ニ依リ相當ノ增徵ヲ致シタノデアリ
マスガ、一般國民負擔ヲ增加セシムルノ餘
儀ナキ事情ニアリマス此ノ際トシテハ、相
續稅ニ付テモ增徵ヲ行フヲ適當ト認メマシ
テ、總稅額ニ於テ三割程度ノ增收ヲ圖ルコ
トト致シ、尙ホ是ト共ニ新ニ家族控除ノ制
度ヲ認メルコトニ依リマシテ、小資產ノ負
擔增加ヲ緩和スルコトト致シタノデアリマ
ス
次ニ建築稅ニ付テハ法規整理ノ爲之ヲ單
行法ニ規定致シマシタ
次ニ鑛業稅ノ改正デアリマス、御承知ノ如ク
現行制度ニ於テハ、鑛業ニ付キマシテハ、營業收
益稅ヲ課セズシテ、鑛產物ニ對シ鑛產稅又ハ特
別鑛產稅ヲ賦課スルノ制度ト相成ツテ居リマ
スガ、所得稅制度ノ改組、營業稅ノ創設等ニ伴
ヒマシテ、此ノ際鑛產稅ノ制度ヲ廢止シ、鑛業
ニ對シテモ一般ノ營業ト同ジク是等ノ租稅ヲ賦
課スルコトニ改メ、以テ其ノ負擔ノ適正ヲ
圖ルコトト致シマシタ、併シナガラ鑛業ニ
對スル特別ノ課稅トシテ、現行鑛區稅及ビ
砂鑛區稅ハ之ヲ存置スルコトト致シ、法
規ノ整理上新ニ鑛區稅法ヲ制定スルコトト
致シテ居ルノデアリマス
又取引所稅中取引所營業稅ニ付キマシテ
ハ直接稅體系ノ改組、地方稅制度ノ改正
等ニ伴ヒマシテ、取引所ノ營業ニ付テ
モ、一般ノ例ニ依リ法人稅及ビ營業稅ヲ賦
課スルコトト致シ、從來ノ取引所營業稅
ハ之ヲ取引所特別稅ト改稱スルト共ニ、
稅率ヲ改正シテ、取引所ニ對スル所ノ特權
料的ナ課稅トシテ存置スルコトト致シタ次
第デアリマス
以上大體直接國稅ノ改正ニ付申上ゲタノ
デアリマスガ、次ニ間接國稅ノ改正ノ〓要
ニ付說明致シマス
間接稅ニ付キマシテモ、此ノ際國庫收入
ノ增加ヲ圖ルト共ニ、消費ノ抑制等ニ資ス
ル趣旨ニ依リマシテ、各稅ニ亙リ相當ノ增
徵ヲ行フコトト致シタノデアリマスルガ、
一面戰時國民生活ノ確保、物價政策トノ調
和等ノ觀點ヨリ、課稅物件ノ選擇、各稅ノ
增徵割合等ニ付十分ノ考慮ヲ致シタノデア
リマス、卽チ主トシテ奢侈的消費又ハ此ノ
際トシテハ不急ト認メラルル消費ノ負擔ヲ
增加スルノ方針ヲ執リ、生活必需品、原料
品等ニ對スル課稅ハ出來得ル限リ之ヲ避ク
ルコトトシ、以テ間接稅ノ增徵ニ依リ國民
ノ生活ヲ不當ニ壓迫シ、或ハ一般物價騰貴
ノ機運ヲ促進セシムル等ノコトナキヤウ、
萬全ノ注意ヲ怠ラナカツタノデアリマス
先ヅ酒稅デアリマスガ、現在酒類ノ課稅
ニ關シマシテハ、多數ノ法規ガ存在シ、複
雜ヲ極メテ居リマスノデ、此ノ際稅制ノ簡
易化ヲ圖ル爲、是等ノ諸法規ヲ單一稅法ニ統
一シテ、新ニ酒稅法ヲ制定スルコトト致シ
タノデアリマス、又課稅ノ方法トシマシテ
ハ最近ニ於ケル業界ノ實情等ニ顧ミ、原
則トシテ造石稅制度ト庫出稅制度トヲ併用
致スト共ニ、此ノ際總稅額ニ於テ大體三割
程度ノ增徵ヲ行フコトトシ、各酒類ニ付負
擔ノ均衡ニ留意シツツソレ〓〓適當ナル
稅率ヲ定メタル次第デアリマス
次ニ〓涼飮料稅ニ付キマシテハ、其ノ課
稅物件中第一種玉「ラムネ」ハ比較的負擔力
ノ少キ方面ノ消費ニ屬スト認メラレマスノ
デ、之ニ付テハ增徵セザルコトトシ、其ノ
他ノモノ、、卽チ「サイダー」「「シトロン」「「ソー
タ水等ニ付キマシテ大體三割程度ノ增徵
ヲ行フコトト致シタノデアリマス
次ハ砂糖消費稅デアリマス、砂糖ハ必ズ
シモ贅澤品トハ申上ゲ難イト思フノデアリ
マスガ、其ノ消費ノ實情等ニ顧ミ、尙ホ增
徵ノ餘地アリト認メラレマスノデ、今囘ノ
改正ニ於テハ總稅額ニ於テ大體二割程度ノ
增徵ヲ行フコトト致シタノデアリマス、又
砂糖消費稅ハ多年色相ニ依ル區分ニ從ヒ
課稅シテ參ツタノデアリマスガ、今囘之ヲ
製造方法ニ依リ區分課稅スル制度ニ改メ
テ糖業ノ現狀ニ卽應セシムルト共ニ其
ノ將來ノ改良發達ニ資スルコトト致シタ次
第デアリマス
織物消費税ニ付キマシテハ、昭和六年
相當ノ輕減ガ行ハレテ以來、最近數次ノ增
稅ニモ拘ラズ、是ガ增稅ハ見合サレテ參ツ
タノデアリマスガ、今囘更ニ各稅ニ亙リ相
當ノ增稅ヲ行フコトニ致シマシタノデ是
等トノ權衡ヲモ考慮シ、本稅ニ付テモ輕微
ナル增稅ヲ行フヲ適當ト認メ、其ノ稅率從
價百分ノ丸ヲ百分ノ十ニ引上グルト共ニ、
非課稅織物ノ範圍ヲ多少縮少スルコトト致
シタノデアリマス
又揮發油稅ニ付キマシテモ、昭和十二年
創設以來一「ガロン」ニ付五錢ノ稅率ヲ据置
イテ參ツタノデアリマスガ、此ノ際國庫收入
ノ增加ヲ圖ルト共ニ、燃料國策ノ遂行ニ資
スル趣旨ニ依リ、一「ガロン」ニ付八錢ノ引
上ゲヲ行ヒ、合計十三錢ノ稅率ニ改メント
スルモノデアリマス
次ハ物品稅デアリマス、御承知ノ如ク物
品稅ハ主トシテ奢侈的性質ヲ有スト認メラ
ルル物品、又ハ其ノ消費ガ負擔力ヲ示スト
認メラルル物品ニ對シ課稅スルノ趣旨ニ依
リ、昭和十二年八月創設セラレ、其後每年
課稅範圍ヲ擴張セラレテ來タノデアリマス
ガ、此ノ際奢侈的消費ニ重課スルノ趣旨ニ
依リ、其ノ課稅物品中奢侈的性質ノ濃厚ナ
リト認メラルル貴金屬製品等ノ第一種甲類
ノ物品竝ニ寫眞機、蓄音器等ノ第二種甲類
ノ物品ニ對スル稅率ヲ、從價百分ノ十五ヨ
リ百分ノ二十ニ引上グルコトト致シタノデ
アリマス、而シテ課稅範圍ノ擴張ハ、物價
政策トノ調和等ヲ考慮シテ、之ヲ最小限度
ニ止ムルコトト致シ、補足的ナ意味ニ於テ
象牙製品、琥珀製品、七寶製品、一定價格
以上ノ菓子、愛玩用動物、盆栽及ビ鉢植
類、高級ノ化粧石鹼、煉齒磨及ビ水齒磨、
高級ノ綠茶等ヲソレ〓〓適當ナル種別ニ追
加シテ物品稅ヲ課スルコトト致シテ居リ
マン、而シテ第三種ノ物品中飴、葡萄糖及
ビ麥芽糖ニ付キマシテハ砂糖消費稅ノ增
徵トノ權衡ヲモ考慮シテ、其ノ稅率ヲ若干
引上グルコトト致シタノデアリマス
次ニ遊興飮食稅ハ昨年ノ議會ニ於テ御協
贊ヲ得、同年四月ヨリ之ヲ實施シテ參ツテ
居ルノデアリマスガ、最近此ノ種ノ消費
ハ增大ノ傾向ニアリマシテ、此ノ際之ニ對
スル課稅ヲ相當大幅ニ增徵シテ、此ノ種消
費ノ抑制ニ資スルト共ニ、收入ノ增加ヲ圖
ルコトハ極メテ妥當ナ措置ト信ジマスルガ
故ニ、其ノ稅率ヲ五割程度引上ゲマスト共
ニ免稅點ノ撤廢又ハ引下ゲヲ行フコトト
致シタノデアリマス
次ハ入場税デアリマス、劇場、活動寫眞
館競馬場等ノ入場者又ハ舞踏場、コ m
フ」場等ノ設備利用者ニ對シ、相當ノ增稅
ヲ行フコトハ事變下ノ此ノ際適當ナ措置
ト認メラレマスノデ、入場稅ニ付テモ稅率
ノ改正及ビ免稅點ノ引下ゲヲ行フコトト致
シテ居リマス
次ニ物品切手ニ對スル印紙稅ハ法規整理
上之ヲ印紙稅法中ニ規定致シマシタ
又通行稅ニ付キマシテハ一般ニ增稅ヲ
行ヒマスル際、本稅ニ付テモ相當程度ノ增
徵ヲ行ヒ國庫收入ノ增加ヲ圖ルコトト致シ
マシタ、卽チ其ノ稅率ヲ相當引上グルト共
ニ、課稅範圍ヲ擴張スルコトト致シテ居ル
ノデアリマス
次ニ取引所稅中取引所ニ付キマシテモ尙
ホ增徴ノ餘地アリト認メラレマスノデ、株
式ノ賣買取引ニ對スル稅率ニ付相當程度
ノ增徵ヲ行フコトト致シ、尙ホ其ノ他、骨
牌稅及狩獵免許稅ニ付キマシテモ、最近數
次ノ增稅ノ際是ガ稅率ノ引上ゲヲ行ハナカ
ツタ等ノ點モ考慮致シマシテ、此ノ際增徵
ヲ行フヲ適當ト認メ、相當程度稅率ノ引上
ヲ行フコトト致シテ居ル次第デアリマス
尙ホ以上ノ改正ノ外臨時租稅措置法ノ改
正ニ付說明致シタイト存ジマス曩ニ申
述ベマシタルガ如ク、稅制ノ改正ト經濟諸
政策トノ調和ニ關シマシテハ增稅額ノ決
定、企業ニ對スル課稅、配當利子所得ニ對
スル課稅、間接稅課稅物件ノ選擇等ニ關聯
シテ十分ノ考慮ヲ拂ツタ次第デアリマスガ
此ノ際生產力ノ擴充、其ノ他事變下經濟諸
政策ノ遂行ニ資スル爲臨時租稅措置法ヲ改
正シテ、租稅上必要ナル措置ヲ講ズルコト
ト致シマシタ、其ノ第一ハ法人ガ其ノ留保
所得ヲ以テ生產設備ノ擴張、國債ノ保有等
ニ運用シタ場合ニ於ケル課稅輕減ノ制度
ヲ、相當擴張シタコトデアリマス、第二ニ此
ノ際海外企業ノ發展ヲ圖リマスルコトハ
最モ必要ナコトト認メラレマスノデ、海外
企業ヨリ生ズル所得ニ付キマシテ、法人稅
及ビ分類所得稅ノ稅率ヲ、ツレ〓〓適當ニ
輕减スルコトト致シテ居リマス、第三ハ重
要鑛物ヲ目的トスル鑛業ニ對スル課稅ノ輕
減叉ハ免除デアリマス、重要鑛物ノ增產ヲ
圖ルコトハ、時局ニ鑑ミ緊要ナルコトト認
メラルルノデアリマスガ、鑛業ニ對スル課
稅制度ノ改正ニ伴ヒ、負擔ノ增加ヲ來ス方
面モアリマスノデ、臨時租稅措置法ノ改正
ニ依リ、分類所得稅及ビ法人稅ノ稅率ヲ或
ル程度輕減スルコトト致シテ居ルノデアリ
マス又新ニ重要鑛物ノ採掘ヲ開始シタ者
ニ對シテハ其ノ開始ノ時ヨリ一定年間所
得稅、法人稅及ビ營業稅ヲ免除スルノ途ヲ
開クコトト致シマシタ、第四ハ事業會社ニ
對スル加算稅ノ適用ヲ緩和シ、產業ノ發展
ニ支障ナカラシムルコトト致シタ點デアリ
やく、第五ニ株式ノ配當ニ對スル分類所得
稅ノ源泉課稅ニ伴ヒ、生命保險會社ハ其ノ
經營上相當ノ影響ヲ受クルコトトナリマス
ノデ事變下ニ於ケル保險業ノ實情ヲモ考
慮シ、生命保險會社ノ所有スル株式ノ配當
行、一定條件ノ下ニ分類所得稅ノ稅率ヲ
輕減シテ、是ガ負擔增加ヲ緩和スルコトト
致シタ次第デアリマス
以上ハ國稅各稅ノ改正ノ〓要ニ關スル說
明デアリマス、地方稅ノ改正ニ付キマシテ
ハ近ク之ニ關スル法案上程ノ際ニ、內務
大臣ヨリ詳細說明ノアルコトト存ジマス
ガ此ノ機會ニ於テ簡單ニ說明致シマスル
ニ、地方稅制ノ改正ニ當リマシテハ、地方
稅負擔ノ均衡ト地方財政ノ基礎ノ確立等
ヲ目標ト致シマシテ、地方稅制ノ根幹ニ一一
ツノ重要ナル改正ヲ行ハントスルモノデア
リマス其ノ一ハ直接國稅體系ノ改組ト關
聯致シマシテ、地租、家屋稅及ビ營業稅ノ如
キ物稅ヲ以テ地方團體ノ獨立財源ノ中心ト
シ、地方稅ヲシテ應益課稅ノ原則ニ適合ス
ル稅種ニ依存セシムルコトト致シタ點デア
リマス、唯課稅ノ方法ト致シマシテハ負
擔ノ均衡ヲ期スル等ノ理由ニ依リマシテ、
是等諸稅ノ一部ハ之ヲ國ニ於テ徵收シ、基
ノ收入ヲ還付稅、分與金トシテ是ガ徵收地
タル府縣ニ還付スルコトトシ、又地方團體ハ
之ニ相當額ノ附加稅ヲ賦課スルコトト致シテ
居ルノデアリマス、而シテ此ノ改正ニ伴ヒ
マシテ、國稅タル地租ニ付、其ノ稅率、納期
等ニ付テ適當ナル改正ヲ行ヒマスルト共ニ、
新ニ營業稅法ヲ制定スルコトト致シマシタ、
營業稅ハ大體現行營業收益稅ノ例ニ依ルコ
トト致シテ。居ルノデアリマスガ課稅種目
ヲ追加スル等、多少ノ改正ヲ加フルコトニ
致シテ居リマス、又家屋稅ニ付キマシテハ
近ク之ニ關スル法案ヲ提出シテ御協賛ヲ求
ムル見込デアリマスガ、國稅ト致シマシテ
ハ昭和十七年度ヨリ之ヲ實施スル方針ニ
依ルコトトシ、差當リ昭和十五、十六ノ兩年
度ニ於テ、家屋賃貸價格ノ調査ヲ行フ豫定
デアリマス、地方稅制ノ改正ニ關スル第二
ノ點ハ地方稅制ニ分與稅制度ヲ取入レタ
コトデアリマス、卽チ地方財源ノ地域的偏
在ヲ調整スルト共ニ一面地方自治トノ調
和ヲ考慮ニ入レテ、新ニ分與稅制度ヲ採用
スルコトトシ、曩ニ申述ベマシタ還付稅ノ
外、所得稅、法人稅、入場稅及ビ遊興飮食稅
ノ各一部ヲ以テ配付稅分與金トシテ、各地方
〓體ニ對シ、調整的ニ交付スルコトト致シ
タノデアリマス、而シテ此ノ分與稅制度
ノ創設ト共ニ、戶數割及ビ所得稅附加稅ハ
之ヲ廢止シ、市町村民稅ヲ認ムルコトト致
シマシタ外、雜種稅、市町村特別稅等ニ付
キマシテモ、ソレ〓〓適當ト認ムル整理改
正ヲ加ヘテ、負擔ノ均衡ヲ圖ルコトト致シ
テ居ルノデアリマス
以上中央及ビ地方ヲ通ズル稅制ノ一般的
改正ニ付、其ノ〓要ヲ說明致シタノデアリ
マスガ、國稅ノ改正ニ依リマシテ一般會
計ニ於テ平年度約七億一千五百万圓、昭和
十五年度約五億二千八百万圓ノ增收ト相成
ル見込デアリマス、而シテ此ノ外ニ地方分
與稅分與金特別會計ノ歲入ニ所屬セシムル
コトト致シマシタ地租ト營業稅ノ收入見込
額ガ、平年度九千八百餘万圓、昭和十五年
度七千六百餘万圓アリマスノデ、是等ヲ通
ズル一切ノ國稅トシテハ、平年度約八億一
千四百万圓、昭和十五年度約六億四百万圓
ノ增收ト相成ル見込デアリマス併シナガ
ラ一面地方稅ノ改廢ニ伴ヒ、地方分與稅分
與金トシテ地方團體ニ交付スル金額等ガ、
從來ノ臨時地方財政補給金ノ外ニ平年度大
體三億三百餘万圓、初年度大體二億三千百
餘万圓ダケ增加スルコトトナツテ居リマス
ノデ差引國庫收入ノ純增加ハ、平年度約
五億一千万圓、初年度約三億七千三百万圓
ト相成ル見込デアリマス
以上稅制改正ニ關スル諸法案ノ〓要ヲ
說明致シタ次第デアリマス、更ニ詳細ノ點
ニ付テハ適當ノ機會ニ於テ說明致シタイト
存ジマスガ今囘ノ稅制改正ハ先ニモ申
述べマシタ如ク、負擔ノ均衡、財政基礎ノ
强化、經濟諸政策トノ調和、稅制ノ簡易化ヲ
目標トシテ長期建設ノ段階ニ在ル我國財
政經濟ノ諸事情ニ卽應スル稅制ヲ、整備確
立セントスルモノデアリマシテ、本案ハ幾
多國策ノ遂行ニモ密接ナル關係アル重要法
案ト存ズル次第デアリマス、希クハ愼重御
審議ヲ盡サレ、速ニ御協贊ヲ與ヘラレンコ
トヲ切望シテ巳マナイ次第デアリマス(拍
手ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス順次之ヲ許シマス--小山倉之助君
〔小山倉之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=11
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012・小山倉之助
○小山倉之助君 玆ニ上程ニナリマシタ所
得稅法中改正法律案外三十件ニ對シマシテ
質疑ヲ試ミタイト存ジマス
昭和十二年議會ガ臨時租稅增徵法案ニ
贊成ヲ致シマシタ時ニ、附帶決議トシテ、
中央地方ヲ通ジ根本的稅制改革ヲ爲スベキ
コトヲ要望シタノデアリマシタガ、政府ハ
由來銳意是ガ調査〓究ヲ進メマシテ此ノ議
會ニ上程スルニ至リマシタコトハ大藏當
局ノ其ノ勞ヲ多トシナケレバナリマセヌ、
今囘ノ改正案ハ正ニ劃期的デアルト言ハレ
テ居リマス其ノ增稅額ノ厖大ナル點カラ
見マシテモ、正ニ未曾有デアリマス、併シ
國民ガ陸海空ノ第一線ニ立テル將兵諸士ノ
絕大ナル勞苦ト犠牲ニ顧ミマスレバ喜ンデ
之ヲ忍ブベキデアリマス、唯日本ハ現在支
那ト戰ツテ居ルノデアル、戰時中デアリマ
ス、戰爭ハ尙ホ長期ニ亙ルカモ知レナイ、
國民ハ之ヲ覺悟シナケレバナリマセヌ、而
シテ戰ツテ居ルノハ獨リ支那バカリデハナ
イ「ソ」聯トノ關係、英米兩國トノ關係モ亦
十分考慮ノ中ニ入レテ置カナケレバナリマ
セヌ、戰鬪或ハ戰爭ヲ豫想シナイト致シマ
シテモ、國際間ノ事態ノ變化ニ順應シテ國
民ノ覺悟ヲ決メテ置ク必要ガアルノデアリ
マス、斯ル重大ナル危局ニ方ツテ、國民ノ
心構ヘモ其ノ基礎ノ上ニ立タナケレバナラ
ヌノデアリマス、國民ノ國費ヲ負擔スル程
度竝ニ覺悟モ亦其ノ基礎ノ上ニ置カナケレ
バナラヌノデアリマス、此ノ點ヨリ見マシ
タナラバ、今囘ノ改正案ハ果シテ其ノ基礎
ノ上ニ立ツテ居ルモノデアルカ否カ換言
致シマスレバ、此ノ改正案ハ複雜怪奇ナル
現在ノ國際情勢ヲ眼中ニ置イテ立テラレタ
ル所謂戰時體制デアルヤ否ヤ、此ノ點ニ付
キマシテ政府ノ先ヅ御所見ヲ伺ヒタイノデ
アリマス
今囘ノ稅制改革ハ結城藏相以來既ニ數度
ニ亙ツテ八億万圓ノ增稅ヲ爲シタ其ノ後ヲ
受ケテ、只今大藏大臣ヨリ御報告ノアリマ
シタ通リ中央地方ヲ通ジテ八億二千万圓
ニ達シ、中央ニ於キマシテハ平年度ニ於テ
五億一千万圓ヲ計上シテ居リマス、決シテ輕
シトハ致シマセヌ、改正案ノ四大目標ノ一
ツデアリマスル所ノ增稅ノ目標ハ略〓達成セ
ラレルト言ツテモ差支ナイノデアリマス
35元/收益稅ヲ以テ補法人ス從來
北海道日酒店有限公司大阪府中心
所得稅ニ於キマシテハ分
類所得稅ト綜合所得稅ヲ併課スルコトトナ
シ分類所得稅ヲ不動產、配當利子所得、
事業所得及ビ勤勞所得トニ區分シ、負擔力
ニ應ジテ比例稅率ヲ課スルコトト爲シ、地
方ニ於キマシテハ地租及ビ營業稅ノ如キ收
益稅ハ地方分與稅ト爲シ、國家ヨリノ分與
稅制度及ビ國稅ニ對スル附加稅制度ヲ設ケ
マシテ、所謂構成體系ハ整備致シマシタガ、
形態ノ整備ノミヲ以テ果シテ戰時體制成レ
リト云フコトガ出來ルカドウカ、苟モ戰時
體制ノ下ニ於キマシテハ國民ハ總テ國費ヲ
負擔セネバナリマセヌ、富メル者モ富マザ
ル者モ、地位ノ高キ者モ亦然ラザル者モ、
齊シク兵役ニ入ツテ第一線ニ奮鬪スルガ如
ク、其ノ犧牲ヲ共ニスルガ如ク、戰費ノ負
擔ヲ覺悟スベキデアリマス、卽チ戰時體制
下ニ於キマシテハ稅ノ普遍化ニ重點ヲ置
カナケレバナラヌ、此ノ點ヨリ見マシタナ
ラバ從來ノ如ク所得稅ト間接稅トノ比率如
何ト云フ如キ問題ハ平時ニ於ケル理論鬪
爭ニ委スベキモノデアリマシテ、現在戰ツ
テ居ル、現在戰爭中デアル此ノ時代ニ於ケ
ル稅制ヲ樹立スルニ當リマシテハ普遍的
ニ徵稅ヲ敢行スル趣旨ニ出ヅルコトガ必要
デアルト存ズルノデアリマスヽ隨テ增稅ノ
規模モ範圍モ、出來ルダケ廣イ範圍ニ之ヲ
求メルコトヲ忘レテハ相成リマセヌ、此ノ
意味カラ申シマシテ、例ヘバ物品稅ノ如キ
ハ、元來奢侈品ニ課稅スルコトヲ目的トシタ
ノデアリマシタガ、追々日常必需品ニモ及ボ
シテ參ツタ以上ハ、更ニ其ノ範圍ラ擴張スルニ
遲疑スベキデハナイト存ズルノデアリマス、勿
論國民ノ擔稅力ニ對シテ明確ナル認識ヲ持タ
ナケレバナリマセヌ擔稅力ガアルカラト
云ツテモ其ノ程度ヲ定メナケレバナリマセ
又、徵レルト云フコトト徵ツテハナラヌト
云フコトノ其ノ限界ハ、自ラ國家經濟諸政策
トノ調和ニアリマス、或ハ公債消化ノ問題、金
融ノ問題「インフレーション」防遏ノ問題、物
價ノ問題、或ハ戰爭遂行ノ爲ニ生產力擴充
企圖スル更ニ國民生活ノ最小限度ヲ保障
シナケレバナラヌ、其ノ他ノ諸政策ト睨ミ
合ハセテ其ノ限度ヲ定メルコトヲ忘レテハ
相成ラヌノデアリマス政府ハ今囘ノ改正
案ノ四大目標ノ一ツト致シマシテ、經濟諸
政策トノ調和ヲ圖ルト云フコトヲ標榜シテ
居リマス、一體經濟諸政策トハ何デアルカ、
私ガ只今申上ゲタ範圍ニ止マルノデアルカ、
更ニ重要ナル政策ガアルカ否カ、先ヅ經濟
諸政策トハ何デアルカト云フコトヲ承リタ
イノデアリマス、政府ハ惡性「インフレー
ション」防止ヲ强調シテ居リマスガ、之ヲ
未然ニ防遏致シマスルコトハ經濟政策ノ
最モ重要ナル所デアリマス、此ノ政策ト致
シマシテハ通貨ノ收縮、購買力ノ制限ト相
俟ツテ增稅モ亦一ツノ重大ナル役割ヲ爲
スモノデアリマス、併シナガラ增稅ヲ以テ
致シマシテモ國民ノ負擔力ニハ自ラ限度
ガアル、今日ノ如ク莫大ナル國庫資金ノ放
出セラルルニ於キマシテハ、到底物價騰貴
ヲ免レル譯ニハ參リマセヌ、政府ノ企圖ス
ル增稅額ガ國稅ニ於テ前申上ゲマシタル通
リ巨額ニ達シテ居リマシテモ、果シテ此ノ
增稅額ヲ以テ致シマシテ「インフレーショ
ン」ヲ未然ニ防遏シ得ルカドウカト云フコ
トハ中々困難ナル問題デアラウト存ズル
ノデアリマス恐ラクハ政府ノ撒布金旣ニ
莫大ナル額ニ達シ、尙ホ增加セントスル目
下ノ趨勢ニ於キマシテハ今囘企圖スル所
ノ倍額ヲ以テシテモ、三倍ノ額ヲ以テ致シマ
シテモ、尙且ツ「インフレーション」防過ニ
ハ私ハ困難デアルト思フノデアリマス、政
府ハ「インフレーション」防遏ニ付キマシテ
ハ別ニ其ノ方策ヲ立テナケレバナリマセヌ、
然ラバ「インフレーション」防遏ニ付キマシ
テハ政府ハ國民ノ擔稅力ニ誤タザル認識
ヲ以テ善處シナケレバナラヌ、此ノ認識ガ
誤リマシタナラバ、由々シキ大事ヲ惹キ起
スコトヲ豫想シナケレバナリマセヌ、政府
ハ之ニ對シテ如何ナル對策ヲ持ツテ居リマ
スルカ此ノ點ヲ御伺致シタイノデアリマ
ス、又生產力擴充政策ハ經濟諸政策ノ最モ
重大ナルモノノ一ツデアル、然ラバ稅制改
革ノ目標ハ、其ノ政策ト緊密ナル調和ヲ圖
リ、產業資本ノ點ニ付テ十分考慮シナケレ
バナリマセヌ、卽チ此ノ調和ヲ圖ルニハ產
業資本ノ集中ヲ容易ナラシメナケレバナラ
又、是ハ生產力ヲ擴充スル所以デアリ、生
產力ノ擴充ニ依ツテ國防ヲ充實シ、輸出產
業ヲ振興シ、物資缺乏ヨリ生ズル所ノ物價
騰貴ノ問題モ緩和スルコトガ出來ルノデア
リマス隨テ現在ノ如ク外國ト戰ツテ居ル
際ニハ生產力擴充ニ最モ重點ヲ置カナケ
レバナラヌノデアリマス、然ルニ生產力擴
充ノ原動力デアル所ノ產業資本ニ對スル租
稅ノ改正案ハ如何デアルカ、私ハ此ノ點ニ
付テ數點政府ノ御所見ヲ伺ヒタイノデアリ
マス
先ヅ第一ニ株式配當所得二割控除ヲ廢止
シ、株式所得ノ負債ノ利子ヲ控除スルコト
ニ改メマシタノハ產業投資ヲ逡巡セシム
ル結果ヲ生ジナイデアラウカ、近來法人課
稅ガ著シク急增致シマシテ、配當制限モ實
施サレマシタ上ニ、配當所得ノ二割控除モ
廢止サレルト云フコトニナリマシタナラバ、
產業資本ヲ壓迫シ、產業界ニ深刻ナル衝動
ヲ與ヘルコトニナラナイデアラウカ利子
ヲ控除スルト云フモ、株式取得ノ爲ノ負債
ナリヤ否ヤ立證モ困難デアリ其ノ間ニハ
論爭モ起リ、圓滿ナル運用ヲ期シ難イノデ
ハナイカ、元來負債利子ニ付テハ利子ノ受
取人ガ之ニ對シテ所得稅ヲ拂フノデアリマ
スカラ、利子支拂人ノ所得額ヨリ利子全部
ヲ控除シ、其ノ殘ニ課稅スルコトガ至當デ
ハナイカ、負債ノ利子全部ヲ控除スルノ簡
單明瞭ナルニ如カナイデハナイカ、之ニ對
スル政府ノ所見如何
法人超過所得ニ對スル課稅ヲ臨時利得稅
中ニ包含サセマシタノハ如何ニモ租稅ノ
簡易化ヲ圖ツタヤウニ見エマスルガヽ實ハ
之ニ依ツテ急激ナル增稅トナルノデアリマ
ス、現行稅率ニ依リマスルト、純益一割ヲ超
エル場合ニハ附加稅ヲモ加ヘテ六·〇八%デ
アリマス、然ルニ改正案ニ依リマスルト、純益
一割ヲ超エル場合ニハ二割五分ト飛躍シテ居
ル六分强ガ二割五分ト飛躍シテ居リマス、
純益二割ヲ超エルモノハ一割五分二厘ノモノ
ガ四割五分ニ飛躍シテ居リマス、純益三割
ヲ超エルモノガ六割五分デアリマス、斯ノ
如キハ課稅ノ一大飛躍デアツテ、增收ニ急
ニシテ、保護育成ヲ顧ミズ、其ノ根ヲ枯ラシテ
綠葉ノ茂ランコトヲ求ムルノ類デアリマス、
元來資本ニ對スル利益ノ大キイモノニ對シ
テ超過所得稅ヲ課シマスルコトハ米國ノ
稅制ニ見ルノデアリマス、ソレデモ尙ホ資
本ニ對スル純益一割カラ一割五分ノ金額ニ
對シマシテハ僅ニ六%、一割五分ヲ超エルモ
ノニ對シテ尙ホ一割二分ニ過ギナイノデア
リマス、我國ノ稅率ニ比較シテ軒輊甚シキ
モノト言ハナケレバナリマセヌ、元來超過所
得ハ時局ノ關係ニ依ル臨時利得トハ全然異
ナルモノデアツテ、時局ニ關係ナク、多クハ
經營ノ努力ニ依ツテ生ジタル利潤デアリマス、
然ルニ之ヲ臨時利得稅ノ如ク時局ニ依ツテ
受ケタル利益ニ課スル稅ニ包含セシメテ
俄ニ比類ナキ高率ニ飛躍セシメマスコトハ
事業ヲ抑壓スルモノデアツテ、新事業ノ如
ク積立金少キモノニアリマシテハ特ニ影
響極メテ多ク、企業心ヲ萎縮セシメ、產業
進展ヲ阻止スルコトヲ惧レルノデアリマス、
一體超過利得稅ト云フノハ「エクセス·プロ
フイット·タックス」デアツテ、投下資本ニ對
シテ餘計ニ儲ケタ際ニ課スルモノデアル
臨時利得稅ハ「ウォーア·プロフイット·タッ
クス」デアル戰爭ノオ蔭デ得タル利益ヲ
目標トスル謂ハバ軍需工業ヲ觀念トスル
ノデアリマス、隨テ兩者ハ截然區別スベキ
性質ノモノデアリマスルガ、之ヲ混同シ、
併合スルヲ以テ課稅率ガ飛躍スルノデアリ
マシー、政府ハ尙ホ產業振興、生產力擴充ヲ
企圖スルト言フノデアルカ
次ハ法人ニ對スル重課デアリマス、法人
ハ事業管理上又ハ經營上子會社ニ投資シ、
子會社ハ又孫會社ニ投資シテ居リマスコト
ハ近來企業ノ形態デアツテ、其ノ法人ハ同
族會社デアルト、大衆「コンツェルン」タルト
ヲ問ハナイノデアリマス、歐米ニ於テハ經
濟上ノ發達ノ經過ニ見テ、其ノ存在ヲ是認
シ、是ガ適正ナル課稅方針ヲ樹立シテ居リ
W. 1.卽チ同一資本ニ對シテハ二重課稅ヲ
爲スコトハ道理上不都合デアルカラ、努メ
テ二重課稅ヲ避ケ、以テ產業ノ振興ヲ圖ツ
テ居ルノデアリマス、米國ニ於キマシテハ
子會社ノ配當ヨリ八割五分ヲ控除シ、其ノ
殘餘ニ課稅シテ居ル獨逸ニ於テハ資本金
ノ四分ノ一以上ヲ投資シタルモノニ對シマ
シテハ其ノ配當ニハ課稅ヲ致シマセヌ
故ニ政府ハ法人ニシテ一定ノ割合ノ投資ヲ
爲シタル場合ニハ其ノ配當所得ヲ、若干
程度ニ對シテノミ課稅スルト云フ方針ヲ執
ル意思ハナイカ否カ
課稅標準計算法ノ變更ニ依ル增稅ニ關シ
テ質疑ヲ試ミマス、改正案ニ於キマシテハ、
從來其ノ事業年度ニ納入シタル所得稅其ノ
他ノ租稅ヲ損金ニ算入セズト改メタノデア
リマス、是ガ爲ニ其稅額ダケハ所得及ビ利
益ヲ增加シタコトニナリ、從來ノ稅額ニ比
シマシテ多キハ五割六割ノ增徵ヲ見ルニ
至ルモノガアリマス、政府ハ之ニ關シ、種
種ナル理由ヲ附ケテ居リマスルガ其ノ急
激ナル增徵ナルコトハ之ヲ認メテ是ガ緩
和策ヲ講ジテ居ルト云フコトヲ漏レ聞イテ
居リマスルガ、恐ラクハ英米ノ制度ヲ採用
シタノデアリマセウガ若シ英米ノ制度ヲ
採用シテ理義一貫ヲ期スルナラバ、何故ニ
英米ノ如ク重役ノ報酬賞與モ亦之ヲ經費
ト見テ所得カラ差引イテ、其ノ殘餘ニ對シ
テ課稅シナイノデアラウカ、輸出振興モ亦
政府ノ所謂諸政策ノ一ツデアリマセウ、稅
制ヨリ見テ、海外ノ事業及ビ輸出貿易、外
國間ノ貿易ノ收益ニ對シマシテハ外國ニ
於テ既ニ課稅セラレテ居ルノデアリマスル
カラ、二重課稅ヲ避ケテ其ノ發達助長ヲ圖
ルコトガ目下ノ急務デハナイカ、大藏大臣
ハ是ガ爲ニ非常ナル緩和ヲスルヤウニ申サ
レタノデアリマスルガ、今日ハ僅ニ營業收益稅
ヲ課セナイノミデ、超過所得稅モ更ニ戰時利
得稅ヲモ課シテ居ルノデアリマス、戰爭中日本
ノ貿易ハ最モ苦境ニ立ツテ居ル、其ノ苦境ニ
立チナガラ而モ力戰奮鬪、外國ニ於テ働キ、利
益ヲ獲得シタルモノニ對シテ、戰時利益ヲ
目標トスル所ノ臨時利得稅ヲ課スルガ如キ
ハ、多クノ國策會社ニ對シテ輕ク課稅スル
主義ヲ採ツテ居ル、所謂輕課主義ヲ採ツテ
居ル其ノ政策ト、相矛盾スル稅制デハナイカ
ト言ハザルヲ得マセヌ、海外事業輸、出貿易、
外國間ノ貿易ニ於テ收益ヲ得マスルコトハ、ソ
レダケ我國ノ輸入力ヲ增加スルモノデアツ
テ、石油デモ鐵デモ、棉花デモ、ソレダケ多ク
買フコトガ出來、戰爭遂行ニモ國內物資ノ
補給ニモ大イニ役立ツ譯デアリマス、然ラ
くバ益〓海外事業ト外國間ノ貿易ヲ保護助長
スル爲ニ課稅ヲ緩和シ、寧ロ其ノ收益ヲ以
テ更ニ海外ニ發展セシメ、外貨獲得ニ其ノ
全力ヲ傾注セシムベキデハナイカ、是等ノ
點ニ付キマシテハ商工大臣ノ御意見モ御伺
致シタイノデアリマス
地方稅制ノ改正ニ付テ質疑ヲ試ミマス、
第一ニ今囘ノ改正ニ依ル財政的中央集權ハ
地方自治ヲ破壞スルノ虞ハナイカ今囘ノ
改正案ニ於キマシテハ國家ヨリノ分與稅制
度ト國稅ニ對スル附加税制度ヲ採ツタノ
デアリマスガヽ第一ノ分與稅ハ地方財政調
整交付金ノ根本的改正ヲ目指シタモノデア
リマシテ國稅ノ一部ヲ交付スル分ガ大體
三億五千万圓デ、國稅トシテ徴收シタル地
租營業稅、家屋稅ヲ徴收原地へ還元スル
分ハ大體一億五千万圓、合計四億八千万圓
ニ上ルト言ハレテ居リマス、而シテ更ニ國
稅ノ附加稅ハ大體四億一千万圓、是等ノ數
字ニ付テ過チナクンバ實ニ八億九千万圓ニ
達シ地方稅收入總額ノ八割五分以上ニ當
リ地方團體ニ於ケル課稅權ハ僅ニ二割五
分內外ノ範圍ニ縮小セラルル結果ニ相成ル
ノデアリマス、地方ハ其ノ獨立稅ヲ以テ
致シマシテハ何事モ出來ナイ微弱ナル
モノトナルノデアル政府ハ一方地方財政
調整交付金制度ヲ以テ、地方財政ノ根幹ヲ
握ツテ地方ニ臨ミ、一方地方委讓ニ等シイ地
租營業稅、家屋稅ヲ國稅ト爲シ、收稅額全部
ヲ地方團體ニ與ヘルコトト致シマシテ地
方財政ヲ左右スル立場ニ立ツタノデアツテ、
財政的中央集權ノ實權ヲ握ツタノデアリマス
〔「宜イヂヤナイカ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小田君ニ御注意致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=13
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014・小山倉之助
○小山倉之助君(續) 隨テ財政權ハ地方ヨ
リ奪ハレテ全然中央ニ集中セラレントシテ
居リマス、政治ノ中央集權ト相伴ウテ、地
方財政ノ中央集權ヲ完全ニ掌握スルコトト
ナツタノデアリマス、財政權ヲ失ツタナラ
バ地方自治體ハ全然藻脫ノ殼ニナツタト同
然デアリマズ、勿論中央集權主義ヲ一〓ニ
排斥スルモノデハアリマセヌガ、地方自治
精神ヲ發達セシムルコトヲ閑却シテハ相成
リマセヌ。若シ中央集權主義ヲ以テ地方ノ
特殊事情ガ顧ミラレナイデ、畫一政策ガ强
行セラレマシタナラバ、或ル意味ニ於キマ
シテハ自治ノ破壞トナルコトヲ惧ルルノデ
アリマス、此ノ制度ハ地方財政膨脹ヲ制約
スルコトガ出來マシテモ地方團體ノ積極
的活動ヲ阻止スルコトトナルノデアリマス
政府ハ如何ニシテ圓滿ナル自治ノ發達ヲ期
セントスルカ、此ノ點ニ付テ所見ヲ御伺致
シマス
第二ニ地方團體ハ其ノ特殊事情ニ依リマ
シテ積極的活動ヲ爲サント致シマシテモ、
縮小セラレタル獨立稅ニ於キマシテハ中々
困難デアリマスルカラ、益〓此ノ獨立稅ヲ目
標トシテ重課ヲ圖ラントスル傾向ヲ生ジハ
シナイカ斯ノ如クシテ地方ノ負擔ヲ增加
スルコトハナイデアラウカ、政府ハ地方獨
立稅ノ範圍ヲ縮小シタルニ拘ラズ地方ハ
其ノ特殊事情カラ積極的活動ヲ進ンデ爲サ
ネバナラヌ場合ニ付キマシテハ已ムヲ得
ズ雜種稅及ビ市町村特別稅ノ徵收ニ全力ヲ
集中スルノデアリマセウ政府ハ是等ノ兩
稅ニ對シテモ大斧鉞ヲ加ヘ是ガ整理ヲ行
フト云フコトヲ聲明シテ居リマスガ地方
ノ實情ニ卽シタル施設ヲ抑壓致シマスレバ
却テ弊害ヲ釀シ、地方自治ノ發達ヲ阻碍ス
ル結果ニ陷ラナイトハ限リマセヌ而シテ
是ガ整理調整ヲ敢テ爲セバ地方團體ハ目
的稅ノ徵收ニ走ツテ行ク、政府ハ目的稅制
度ノ整備擴充ヲ企圖シテ居ル卽チ第一ニ
ハ主トシテ都市ヲ對象トシテ都市計畫特別
稅ヲ整備擴充スルコト、第二ニハ主トシテ農
村ヲ對象トシテ共同施設ノ爲、目的稅ノ賦
課ヲ認メルコト、而シテ目的制度ト同一趣旨ノ
受益者分擔金制度ヲ創設セシメントシテ居ル、
是等ハ固ヨリ趣旨ト致シマシテハ排斥スベ
キデハアリマセヌ、奬勵シナケレバナラヌ
場合モアリマス、又理論トシテモ納得ガ出
來ルノデアリマス、併シ地方ニ於テ都市計
畫ノ爲ノ特別稅、共同施設ノ爲ノ目的稅、
受益者ノ負擔ノ爲ニ高率ナル稅金ニ苦シム
者ガ多タ其ノ負擔ノ過重ノ爲ニ共同施設
ヲ呪フ者サヘアルノデアリマス、ソレガ地
方ニ於テ全般ニ均霑セズ、一部ノ者ノ利益
ノ爲ニ薄ク恩澤ニ浴スル者ノ過重ナル負擔
トナルヤウナ場合ニ於キマシテハ是カラ
生ズル不平不滿モ少クナイノデアリマス、
而シテ此ノ制度ノ爲ニ地方費ガ增嵩シテ行
ク是ガ爲ニ地方稅ガ又更ニ增徵サレテ來
ルコトガ非常ニ多イノデアリマス、政府ノ
之ニ對スル對策竝ニ所見ハ如何デアリマス
カ
次ニ稅制ノ改革ニ當リ特ニ政府ノ留意ヲ
促スベキ二三ノ點ニ付テ質疑ヲ試ミタイト
存ジマス、近時原料ノ缺乏、電力又ハ石炭
ノ不足ニ依ツテ產業界ハ普遍的ニ所謂及バ
ザル所ナク、達セザル所ナク、徹底的ナ打
擊ヲ蒙リ、萎靡沈滯ニ陷リ洵ニ憂慮ニ堪ヘ
ザルモノガアリマス斯ノ如キ事態ノ下ニ
法人及ビ個人ノ事業收入ハ、非常ナル減少
ヲ來スモノト思ハレマスルガ政府ハ斯ル
事態ニ於テ果シテ豫期ノ收入ヲ擧ゲ得ルト
スルカ、豫期ノ收入ヲ擧ゲ得ナイト致シマ
スレバ、自然政府ノ財政計畫ニモ影響スル
コトト思ヒマス此ノ點ニ對スル政府ノ所
見如何デアリマスカ若シ政府ガ强ヒテ豫
期ノ收入ヲ擧ゲントスルヤウナコトガアリ
マスレバ、過去ノ實蹟ヲ基礎トシテ現實ニ
受ケタ打擊ノ深度ト範圍ヲ無視シテ下級
稅務官吏ノ增徵心理ニ放任シテ苛〓誅求ガ起
リマシタナラバ國民怨嗟ノ聲起リ產業
界ニ不測ノ不祥事ヲ惹起セヌトモ限ラナイ
ノデアリマス、政府ハ此ノ實情ニ顧ミテ如
何ナル對策ヲ講ゼントスルカ、御所見ヲ御
伺致シマス
更ニ近時組合又ハ特殊會社ノ增加ハ、國
家ノ稅源ヲ縮小スルコトガナイデアラウカ、
日本ハ今ヤ伊太利トハ別ノ意味ノ組合國家
ニ變形シツツアルカノ觀ガアリマス、各省
競ウテ組合制度ヲ採用シテ年々增加シテ居
ル、組合ハ租稅ヲ負擔セヌコトヲ原則トシ、
課稅セラレテモ所謂輕課主義テアリマス
而シテ又各省競ウテ給制會社ヲ創設シ其
ノ管下ニ其ノ數ノ多カランコトヲ誇ルガ如
キ傾キガアリ、官吏ガ出デテ其ノ會社ノ幹
部タル者漸ク激增シテ來タノデアリマス
而シテ是等ノ會社ハ租稅ノ一部ヲ負擔致シ
マセヌ、固ヨリ其ノ生ズルヤ皆特殊ノ理由
又ハ目的ノ存スルモノデ、一〓ニ排斥スル
コトハ出來マセヌガ國民ノ未ダ著手セザ
ル或ハ著手スルコト能ハザル大事業又ハ
特殊ノ事業ニ對シテ新ニ資本ト技術ト經
驗ヲ以テ之ニ當ルノデアリマスルナラバ
國民モ之ヲ認ムルニ吝ナルモノデハデアリ
マセヌガ、其ノ多クハ國民ノ既ニ經營苦心ノ
結果ノ事業ヲ合同シテ會社ヲ創設シ組合
ヲ組成スルノデアツテ是等ノ會社、組合
ガ增加スレバスル程、ソレダケ稅源ガ縮小
シテ參ルノデアリマス(拍手)此ノ國費多端
インター或ル稅額ヲ目標ト致シマシテ增稅
Cathedral一方ニ於テハ輕課又ハ免稅主
義ヲ採用シテ居リマスレバ殘餘ノ民間個
人又ハ會社法人ガ重課セラルルノ結果ニ陷
ルノデアリマシテ私ガ最初ニ戰時財政ノ
稅制改革ニ於キマシテハ普遍性ヲ期セヨ
ト叫ンダ所以モ玆ニ存スルノデアリマスル
カラ、政府ハ特ニ此ノ點ニ付テ御留意アラ
ンコトヲ希望致シマス
第三ハ、私ハ總理大臣ニモ御意見ヲ伺ヒ
タイノデアリマスルガ統制ト課稅ハ國家
社會主義ニ誘導スル二大手段デアルトハ
歐米社會主義者ガ說イテ居ル所デアリマス、
統制ヲ强化スレバ產業ヲ國家管理ニ導クコ
トハ容易デア、ル租稅ヲ重課スレバ產業家
ハヤリ切レナクナルカラ、產業ヲ抛棄スル
ノ已ムナキニ至ルデアラウ、其ノ時期ヲ待
ツテ社會主義ヲ實行スルノデアルト言ツテ
居ルノデアリマス、日本ノ識者ハ愛國者
ハ今日ノ統制ヲ以テ意識的ニ社會主義ヲ
實行センガ爲ニ實施シテ居ルトハ斷ジテ考
ヘマセヌ、併シ一部ノ極端ナル人々ハ益ミ
統制ノ强化ガ社會主義的傾向ニ向ハンコト
ヲ希望シテ居ルカモ知レナイ、今日ノ增稅
ハ勿論社會主義ヲ實行セントスル過渡的行
動デナイコトハ固ク信ジテ疑ハナイノデ
アリマス、併シ一部ノ論者ハ產業ノ奉還ヲ
主張シ、全面的ニ國家社會主義ノ實施ヲ希
望スル者ノ多イコトモ亦現實ノ事實デアリ
マス(「ヒヤ〓〓」拍手)社會主義ヨリ共產主
義我ガ國體〓、相容レザル主義又ハ政策
官民協同シテ之ヲ防止シナケレバナラ
ヌ事變以來特ニ注意ヲ喚起スルノ必要ヲ
感ズルノデアリマス今日ノ統制ハ國家ノ
喫緊ノ必要カラ生ジテ居ルノデアツテ、是
ガ爲ニ國家總動員法ノ下ニ統制ガ實施セラ
レ、今後益2强化ヲ見ルコトモ皆國家ノ必要
カラ起ツテ居ルノデアル、其ノ締制ノ强化
ヲ奇貨トシテ此ノ趨勢ニ便乘シテ我國
ト相容レザル思想、政策ガ我ガ國策ノ中
ニ滲透シ來ルコトヲ防止スルコト能ハズン
バ由々シキ大事デアリマス、必要ノ前ニハ
或ハ國家管理モ斷行シナケレバナラナイ場
合ガアリマセウ、唯之ニ便乘シテ國家社會
主義ニ、一步前進セシメントスル一部ノ人々
ノ存在スルコト是等ノ進出ヲ防止致シマ
スルコトハ赤化防止ノ一ツノ手段デアル
ト云フコトヲ私ハ考へルノデアリマス担 日
手)私ガ政府ニ對シテ特ニ赤化防止ニ關シ
留意セラレンコトヲ希望シテ已マナイノハ、
實ニ是ハ此ノ機會ニ乘ジテ赤化ノ滲透ヲ憂
フル爲デアリマス
私ハ國際競爭ノ激甚ナル現代ニ於キマ
シテハ經濟戰ニ於テ勝利ヲ占メ得ル經
濟的戰鬪力ノ確保ノ必要ヲ痛感シテ居リ
マス、又一方ニ於テハ國民ヲ富裕ニシ、
貧者ナカラシメタイ、又國民生活ノ安定
ト、其ノ向上ヲ期シツツ國際競爭ニ勝利
ヲ占メタイ、然ルニ稅制ノ上カラ見マス
ルナラバ、國際競爭上必要ナル經濟的戰
鬪力ヲ殺グノ虞ハナイデアラウカ、之ヲ相
續稅カラ見マシテモ、或者ハ納稅ノ爲ニ財
產ヲ處分シテ、納稅致シマスルト、其ノ稅
額ダケヲ取戾スニ實ニ一一十五年、殆ド人生
ノ半バヲ要スルト言ハレテ居リマス、三代
ニシテ家產ガ傾クト言ハレテ居ル或ル意
味カラ申シマスルト、將來日本ニハ「H.p.
フェラー」モ「カーネーギー」モ「フォードL
モ出來ナイ、斯樣ナ經濟的戰士ハ出來得ナ
1、之ヲ未然ニ阻止スルノデハナイカト疑
テハ〓ノ高イ相續格ヲ切手取扱いまし方法又一方ニ於
家族制度ヲ保持スルコトモ困難デアルト思
フノデアリマス、伊太利ノ「ムッソリニ」デサ
ヘモ、相續稅ノ重壓ハ家族制度ヲ破壞スルモ
ノデアリ、社會主義的財產ノ沒收デアルト叫
ンデ居ル(「嘘ヲ言ヘ」ト呼フ者アリ)社會主
義的財產ノ沒收デアルト叫ンデ居リマス
我國ノ如グ家族制度ヲ基礎トスル國家ニ於
キマシテハ之ヲ保護スルコトニ萬全ヲ期
セナケレバナリマセヌ、故ニ相續稅ニ於キ
マシテハ物納ヲ認メ、或ハ納期期間ヲ延長
スル等、相當ノ緩和策ヲ採ルベキデハナイ
カ又今囘ノ改正ニ當リマシテモ、高率課
稅ガ實施セラレルコトトナリマシテ、例へ
バ現行法ニ於テハ所得稅ト臨時利得稅トヲ
合シテ最高限度ガ設ケラレテアリマシタモ
ノガ、個人ニ對シテハ五割五分ガ最高限度
デアツタノヲ、今度ハ其ノ最高限度モ取ツ
テシマツタ、法人モ個人モ皆限度ハナクナ
ツタ、我ガ所得稅ハ英米獨佛ノ何レニ比較
致シマシテモ、何レヨリモ高率ノモノトナ
ツテ居リマス、高額ノ收入者ノ擔稅力ノ殆
ド極度マデ課稅スルコトハ、社會主義者ナ
ラバ喜ブデアリマセウガ、國ノ國際的戰鬪
力ヲ殺グコトハ著シイノデアリマス政府
ハ此ノ點ニ關シ特ニ留意スベキデアルト思
フノデアリマス、政府ノ所見如何、總理大
臣ニ此ノ赤化ノ問題ニ付テ御意見ヲ伺ヒマ
ス
第四ニハ產業資本ニ對スル重課ハ、資本
ヲ外地竝ニ滿洲ニ逃避セシメルコトハナイ
デアラウカ、今ヤ日本ノ國策ハ大陸政策ガ
中樞トナツテ來マシタ、中樞トナツタカラ
ト云ツテ、基本產業ヲ大陸ニ移スコトニハ
ナリマセヌ、基礎產業ヲ內地ニ發達振興セ
シメ、粗工業ヲ外地ニ確立シ、原料ヲ仰グ
コトヲ以テ理想ト致シマス、各國ノ對外政
策ハ皆此ノ方針ヲ執ツテ居ル、然ルニ我國ニ
於キマシテハ重工業、精密工業又ハ化學
工業等ノ重要產業ヲ朝鮮滿洲ニ移サントス
ル傾向ガアリマス勿論是ニハ電力ノ豐富
低廉ナルト、又原料關係ニ依ルコトモアリ
マス、重工業、精密工業ハ原料ノ關係ヨリモ、
寧ロ相關聯スル各種工業、特ニ化學機械工業
ノ發達ト技術熟練工ノ如キ人的要素ヲ持ツコ
トガ必要デアリマス、之ヲ朝鮮、支那、滿
洲ニ散漫ニ獨立サセマスコトハ、合理的經營
トハ言ヒ得ナイノデアリマス、特ニ滿洲ノ如
キハ重工業ニ集中セントシテ却テ必ズシ
モ良結果ヲ生マナイノデアル而モ獨立國
家タル滿洲國ハ經濟的ニ力ヲ得レバ政治的
ニ力ヲ得ルコトニナル、其ノ內地ニ對スル
進出モ近來顯著ナル事實トナツテ來タ、若
シ日本內地ノ諸工業ガ重稅ニ過酷使セラ
V、資本技術竝ニ經營本體ガ滿洲ニ去ルコ
トトナリマシタナラバ內地ハ益、≧是ガ爲
ニ貧困化シ、滿洲ノ勢威益〓强大トナリ、日
本ノ政治ヲ滿洲ガ支配スル時機ナシト致シ
マセヌ、斯ノ如キハ奧州ノ豪傑ガ權威ヲ恣
ニシテ關東ヲ狙ヒ、關東ノ豪傑ガ中原ヲ抑
ヘノ、昔ノ封建時代ヲ彷彿セシムルコトナ
シト致シマセヌ之ヲ防グノ方法ハ、内地、
外地、滿洲ニ於ケル課稅ノ合理化ヲ圖ルニ
アリマス租稅ガ極端ニ高率トナリマスレ
バ、滔々トシテ產業ハ外地ニ逃避スルコト
ヲ阻止スルコトハ不可能トナリマス內地
ニ產業ガ萎靡シ、外地滿洲ニ於テ產業ガ殷
賑ヲ來スコトハ何ノ爲ノ大陸政策デアル
カ(拍手)國民トシテ大イナル疑ヲ持タザル
ヲ得マセヌ、總理大臣ノ之ニ對スル御所見
ヲ御伺致シタイト存ジマス、私ハ大體之ヲ
以テ質問ヲ終リマス
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=14
-
015・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 小山君ノ私ニ對
スル質疑ニ御答辯申上ゲマス
今囘ノ稅制改革ガ戰時體制ニ卽應シテ居
ルカドウカト云フノガ第一點ノ御尋デアツ
タト思ヒマス、卽チ今日ノ如キ非常時局ニ
於テハ我ガ一線ノ將士ノ狀態モ心ニ入レ
テ、日本ノ國民ノ總テガ稅ノ負擔ヲ致シテ
進ンデ行クト云フ風ニマデ行カナケレバナ
ラヌ、此ノ點ニ付テ今囘ノ稅制改正ガ不徹
底デハナイカト云フヤウナ御意見ノヤウニ
拜聽致シタノデアリマス、長期建設ノ段階
ニアリマス所ノ日本ノ現狀ニ於テ、御說ノ
如ク我國民ガ總テ一體トナツテ此ノ難關ヲ
突破シテ行クト云フ見地カラ、此ノ國費ノ
負擔ヲ全國民ガ負フト云フ事柄ハ是ハ國
民ノ齊シク希望シテ居ル所デアルト同時
ニ、又左樣ニ爲サナケレバナラヌコトデア
リマス、併シナガラ一面ニ於テ國民ノ生活
安定ヲ顧慮シナケレバナリマセヌ、又經濟
界ノ現勢ヲモ考ニ入レナケレバナリマセ
又、此ノ見地カラ致シマシテ、今囘ノ稅制
改正ニハ篤ト考慮ヲ拂ツタ譯デアリマシテ、
從來所得稅ヲ負擔シテ居リマシタ國民ハ約
百八十八万人程度デアリマシタノガ、今囘
ノ改正ニ依リマシテ三百八十五万人ニ增加
致シタノデアリマス卽チ稅ノ負擔者ノ數
ガソレダケ非常ニ殖エテ參ツタノデアリマ
ス、ノミナラズ國民一般ノ負擔ト相成ルベ
キ所ノ消費稅ノ方面ニ於テモ直接國稅ト
相竝行シテ非常ナル增加ヲ致シテ居ルノデ
アリマシテ、是卽チ國民全體ガ其ノ負擔ニ
任ズルト云フ結果ニ相成ルト考ヘマス
次ニ經濟諸政策トノ調和ノ問題ニ對シテ
御尋デアリマシタガ、增稅ヲ致シマス際ニ
最モ注意ヲ致サナケレバナラヌ點ハ、申ス
マデモナク經濟財政ニ及ボス影響デアリマ
ス、此ノ點ニ付キマシテハ政府トシテハ特
ニ留意ヲ致シタ次第デアリマスガ、第一ニ
小山君ノ御話ニナリマシタ所謂株式ヲ所有
スル者ガ、ソレニ依ツテ借財シタル利子ヲ
引クト云フ程度ニ止メズシテ總テノ負債
ニ對スル利子ヲ引イタラドウデアラウカト
云フ御意見モアツタヤウデアリマスガ、稅
法ノ建前上利益ヲ生ム所ノ財產ニ對シテ
ソレニ要スル所ノ失費ハ之ヲ差引クト云フ
コトヲ認メマスケレドモ、ソレノ觀念ヲ離
レタモノノ負債ノ利子ハ引カヌト云フ建前
ヲ採ツタノデアリマス、之ヲ一例ニシテ申
シマスレバ、株劵ヲ所有スル、卽チ其ノ事
業ヲ經營スル爲ニ株ヲ持ツ、其ノ株ヲ持ツ
爲ニ要スル所ノ借金ノ利子ハ是ハ丁度營
業者ノ借金ニ對スル所ノ利子ト同ジデアリ
マスカラ、是ハ差引ク、併シナガラ堂々タ
ル邸宅ニ住ンデ、其ノ邸宅ニ住ム爲ニ家ヲ
抵當ニ置イタリ、或ハサウ云フ事業ニ關係
ノナイ、卽チ課稅ノ對象トナルベキ所得ト關
係ノナイ方面ノ借財ノ利子ヲ控除スルコト
ハ認メナイ、斯ウ云フ見地ニ立ツタノデア
リマス、而シテ何ガ故ニ從來二割控除シタ
モノヲ廢止シテサウシテ借財ノ利子ヲ引
イタカト申シマスト、御承知ノ如ク日本ノ
從來ノ經濟界ノ實情カラ申シマスト、總テ
ノ事業ヲ致ス者ガ必ズシモ金持デハナイノ
デアリマス、現在事業ハ澤山アリマスガ
其ノ事業ノ或ル大キナ部分ハ總テ仕事ヲ致
ス人ガヤツテ居ルノデアリマシテ其ノ事
業ヲ營ム人ハ一面ニ於テ將來ノ見透シヲ付
ケテ借財ヲシテ事業ヲ營ンデ居ルノデアリ
マ 然ルニ今囘ノ如キ累進課稅ニ依ツテ
大キナ稅金ヲ取ラレル場合ニ於テ、株式ヲ
以テ仕事ヲシテ居ル人ガ、今ノ稅金ノ現狀
ノ儘デ取ラレルト致シマシタナラバモウ
到底仕事ヲ致スコトガ出來マセヌ、卽チ稅
ト銀行ノ利子、之ニ依ツテ不足ヲ致スノデ
アリマスカラ、利益率ガ七分ヤ八分ノ事業
ト云フモノハ全然成立タナクナリマス卽
チ日本ノ現狀ニ於テハ資本家ト事業家トハ
自ラ違フ所ガアルノデアリマシテ日本ノ
事業界ノ發展ヲ期シマスル上カラ言ヘバ
其ノ事業ニ投ジタ資本金ニ對スル所ノ利息
ダケハ引イテヤラナケレバ、新ニ事業ニ對
シテ働ク人ガナイコトニナルノデアリマス
カラ此ノ見地カラ申シマシテ、一面ニ於
テ株式配當ノ所得ニ依ル收入ノ二割ヲ減ズ
ルト云フコトヲ全廢致シテ、而シテ株式ヲ
持ツコトニ要スル所ノ銀行ノ利子ヲ引クト
云フ事柄ハ取モ直サズ日本ノ事業界ノ發
展ヲ期スル一因トモナルモノト私ハ考ヘル
ノデアリマス、又此ノ度ノ增稅ガ非常ニ高率
ナ增稅デアツテ、總テノ事業家ヲ萎縮セシ
ムルモノデアルヽ斯樣ナル狀態ニ於テハ到
底事業ヲ營ム者ガ起ツテ來ナイ、斯樣ナル
御見解デアリマスガ、此ノ度ノ增稅ノ根本
ノ趣旨ハ一割以下ノ利益ノ場合ニ於テハ
比較的負擔ヲ少クシ、一割以上ノ利益クア
ツタ場合、若クハ既往ノ基準年度ニ比シ利
益ガ殖エタ場合、卽チ利益ノ多クナツタ人
ニ比較的大ナル負擔ヲ拂ツテ貰イタイト云
フ見地デ稅法ヲ改正シタノデアリマシテ、
私ハ是等ノ人々ガ今日國家危急ノ際ニ於テ
臨時利得稅ヲ多ク御負擔下サルト云フ事柄
ハ進ンデサルベキ事柄ト思フ、一割以上
ノ利益ヲ收メタ場合ニ於テ稅額ガ多クナツ
タカラト云ツテゝソレハ經濟界ニモ大ナル
影響ヲ及ボスガ如キコトナク又負擔セラレ
ル方モ甘ンジテ之ニ任ジテ下サルト私ハ信
ズルノデアリマス
生產擴充計畫トノ關係ニ付テ御話ガゴザ
イマシタガ、私ハ此ノ生產擴充ト云フ上ニ
於テ、今日ノ時代ニ於テハ自由主義經濟ノ
時代ノ如ク、幾ラデモドンナ多クノ利益
デモ其ノ仕事ニ對シテ得ラレルダケ得ル
ト云フ事柄ハ間違ツテ居ルノデアツテ、大
體ニ於テ日本ノ今日ノ現狀カラ申セバ、六
朱トカ七朱トカ、八朱トカ云フ程度ノ配當
ノ出來ル企業ガアツタナラバソレハ企業
ガ起リ得ル性質ノモノデアルト私ハ思ヒマ
ス、故ニ是等ノ一番企業ノ目標トナル所ノ、
七朱力八朱トカ云フモノノ配當ノ部類ニ屬
スルモノニ對シテ重稅ヲ課セナケレバ、私
ハ此ノ企業熱ト云フモノハ左樣ニ衰へルモ
ノダトハ思ヒマセヌ此ノ點ニ付キマシテ
今囘ハ臨時措置ノ上ニ於テ、從來ハ、昨年
ハ非常ニ損ガ立ツタ、今年利益ガアツタト
云フ場合ニ、昨年ノ損ハ認メズシテ、今年
ノ利益ダケ課稅ヲ致シテ居リマスガ、今回
ハサウ云フ點ニ付キマシテハ、前期ノ損ヲ
埋メテ行クト云フコトヲ認メテ居ルノデア
リマス、又新タナル企業ニ對シマシテモ
モノニ依リマシテハ開業以來何箇年間ト云
フモノヲ免稅ノ特典ヲ與ヘテ居リマス、ソ
レ等ノ點ニ付キマシテハ總テ遺憾ノナイヤ
ウニ十分ニ注意ヲ致シテ居ルノデアリマス
增稅ニ依ツテ「インフレ」防止ト云フコトガ
出來ヌデハナイカト云フ風ナ話デアリマシ
タガ、固ヨリ增稅ダケガ「インフレーション」
防止ニ對シテノ働キヲ爲ス全部デハアリマ
セヌ、卽チ現在非常ナル利益ガアツテソ
レガ購買力トナツテ物價騰貴ヲ招グト云フ
ヤウナ事柄ガアリマスノデ多ク儲カツタ
方面ニ向ツテ多クノ稅金ヲ取ルト云フ事柄
ハ取モ直サズ購買力ノ吸收トナルト思フ
ノデアリマス
法人ニ對シテノ重課ノ問題デアリマスガ、
從來法人ニ課シマシタ所ノ稅額ニ對シマシ
テ相當ノ增稅ニナツテ居リマス增稅ニナ
ツテ居リマスガ、是ハ全般的ニ或ル程度ノ
負擔ヲシテ貰フノガ當然デアルノデアリマ
シテ此ノ點ニ付キマシテハ私少シモ議論
ハナイト思ヒマス、唯今御話ノ會社ノ支拂
ヒマス所ノ稅額ヲ損金ノ中ニナゼ組入レナ
イカ、是ハ從來ハ一會社ニ於テ百万圓ノ利
益ガアツタ而シテソレニ對シテ十万圓ノ
稅金ヲ拂ツタ、斯ウ云フ場合ニ於テ、利益
ノ計算ハ支出ノ部類ニ其ノ稅金ヲ認メテ來
タノデアリマスヽ併シナガラ是ハ能ク御考
ヲ願ヒマスト間違ツタ計算方法デアルノデ
アリマス、卽チ利益處分ノ部類ニ稅金ト云
フモノヲ書出スノガ當リ前デアツテ、本期
ニ於テ百万圓ノ利益ガアツタ、其ノ百万圓
ノ中カラ積立金ヲ十万圓スル、利益配當ヲ
幾ラスルソコデ稅金ヲ幾ラ拂フ、斯ウ云
フ風ニ致スノガ至當ナヤリ方デアリマシテ、
從來ノ其ノ際ニ稅金ヲ想定シテ、其ノ想定
シタル稅金ヲ損金ノ中ニ計上スルト云フ事
柄ハ是ハ少シク間違ツテ居ルノデナカラ
ウカト思フノデアリマス卽チ利益配當ト
同ジヤウナ建前ニ於テ稅金ヲ出スコトガ至
當デアルノデアリマス、若シサウデナクシ
テ從來ノ例ニ依ツテ課稅致スト致シマスナ
ラバ今後是等ノ稅金ガ非常ナ巨額ニナル
場合ニ於キマシテ、稅額ト云フモノガ甚ダ
減少シテ參リマス、減少シテ參レバ率ヲ變·
レバ宜シイデハナイカト云フ御議論モ立
チマセウガ、ドウシテモ條理ノ上カラ、所
謂利益金ノ處分ノ中ニ此ノ稅額ト云フモノ
ヲ入レルノガ適當ナリト致シテ、此ノ改正
ヲ行フコトト致シタ譯デアリマス、其ノ事
柄ガ法人ノ發達、卽チ會社ノ事業ノ發達ニ
影響スルトハ私共ハ考へナイノデアリマス
地方ノ自治制度ニ關スル問題ガゴザイマ
シタガ、此ノ問題ハ內務大臣カラ御答辯ガ
アルサウデアリマスカラ私ハ之ヲ省キマス
其ノ次ニ今日ノ經濟界ノ實情ニ於テ電力
ガ足リタイ、燃料ガ足リナイ、有ユル事業
界ガ非常ナル困憊ニ陷ツテ居ルガ、今日ノ
現狀ヲ以テシタナラバ稅收入ノ根幹ニ間違
ヲ起シハシナイカ、洵ニ御尤モノ御懸念デ
アリマス、併シナガラ政府ト致シマシテハ、
此ノ電力ノ不足、燃料ノ不足、之ニ對シテ
有ユル努力ヲ拂ツテ之ヲ救濟ヲシナケレバ、
單ニ稅ノ上ノミナラズ我ガ產業界ノ爲ニ
モ是ハドウシテモ爲サナケレバナラヌコト
ト致シマシテ、ソレ〓〓ノ手配ヲ致シテ
最早準備ヲ致シテ居ルノデアリマスカラ
假ニ此ノ電力ノ不足等ガ多少影響ヲ致シタ
ト致シマシテモ、ソレガ稅牧入ノ根幹ニ大
ナル變動ヲ來シテ、根柢ヲ搖ガスガ如キコ
トハナイト固ク確信スルノデアリマス
特殊會社ノ問題ニ對シテノ御話デゴザイ
マシタガ、特殊會社ハ國策會社ガ頻々トシ
テ起リマス關係上、或ル程度特殊ノ取扱ヲ
致シテ居リマス、併シナガラ特殊會社ノ大
部分ト云フモノハ、現在六朱內外ノ配當ヲ基
準ト致スノデアリマシテ、此ノ特殊會社ヲ
無暗ヤタラニ起スベキ問題デモアリマセ
ズ又此ノ會社ノ利潤ガ非常ニ大キクナル
ト云フヤウナ場合ハ是ハ又特別ニ考ヘラ
レル場合デアリマシテ、特殊會社ニ依ツテ
總テノ產業ガドウナルトカ斯ウナルトカ云
フヤウナコトハ決シテナイト思ヒマス殊
ニ今囘ノ稅制改革ニ當リマシテ、元來ナラ
バ課稅ノ標準ニナラヌ所ノ特別法人ニ對シ
テモ卽チ產業組合、商業組合、工業組合
等ニ對シマシテモ、兎ニ角普通ノ會社ノ負
擔スル所ノ負擔ノ半額程度ノ負擔ヲシテ戴
クヤウニ考ヘテ居ルノデアリマシテ是ガ
非常ナ大キナ關係ヲ持ツトハ考ヘテ居ナイ
ノデアリマス
相續稅ノ問題ニ對シテ御話ガゴザイマシ
タガ、此ノ相續稅ノ問題ニ付キマシテハ、
洵ニ御說ノ如キ事情ガ私ハナイトハ思ヒマ
セヌ隨ヒマシテ此ノ相續稅ノ稅金ヲ納付
スル場合ニ於テハ相當ノ年限ノ間年賦拂
ニ致シマストカ之ニ對シテ種々ナル緩和
ノ方法ヲ執ツテ居リマスノミナラズ、三年
トカ五年トカノ間ニ相續ガ再ビ起ルト云フ
場合ニ於テハ免稅又ハ減稅ノ方法ヲ執ツ
テ居ルノデアリマシテ是ガ直チニ日本ノ
家族制度ヲ破壞スルトハ考ヘナイノデアリ
マス
外地及ビ滿洲ニ向ケテ日本ノ資本ガ流出
スルウヤニナリハシナイカ、日本ノ內地ハ
重稅ヲ課シテ居ル、滿洲ニ於テハサウデナ
イ此ノ場合ニ於テ內地ノ企業ガ滿洲ニ移
ルデハナイカト云フ風ナ御疑念ガアリマス
ガ、滿洲ト日本ノ間ハ御承知ノ如キ極メテ
密接ナル關係デアルノデアリマシテ日滿
雙方ノ間ニ於テ、此ノ經濟計畫ト云フモノ
ニ付テハ總テ打合セテヤツテ居リマス、隨
ヒマシテ、滿洲ト日本トノ間ニ於テ、日本
ノ企業ガ滿洲ニ奪ハレルト云フヤウナ事柄
ハ將來起リ得ナイト思ヒマス、是等ノ點
ニ付キマシテハ十分愼重ニ〓究ヲシテ
之ニ對處致シタイト考へルノデアリマス
其ノ他總理大臣ニ對スル御質問ガアリマ
シタガ是ハ總理大臣カラ御答ガアルト思
ヒマスカラ、私ハ之ヲ以テ答辯ト致シマス
(拍手)
〔國務大臣伯爵兒玉秀雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=15
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016・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 小山君カラ
地方稅ノコトニ付テ御質問ガゴザイマシタ
ガ、此ノ地方稅ニ關シマスル諸法規ハ不日
提案御審議ヲ願フ筈デアリマスノデ詳シ
クハ其ノ際ニ申上ゲタイト思ツテ居リマス
ガ取敢ズ御質問ニ對シテ御答辯致シタイ
ト思ヒマス
第一ノ御質問ハ地方稅ノ改正ニ付テハ
餘リ財政ガ中央集中主義ニ傾クガ故ニ地
方自治ヲ破壞スルノ虞ナキヤト云フ御質問
デアルノデアリマス、今日ノ如ク地方財政
ガ甚ダ地域的ニ偏在シテ居リマシテ、現行
制度ノ儘ニ置キマシテハ、財政的ニ地方團
體ノ基礎ヲ確立スルコトガ困難デアルノデ
アリマス、之ヲ改正ヲ致シマシテ、地方財政
ヲ調整シマスル爲ニハ、地方分與稅ノ制度ヲ
設クルコトニ致シタノデアリマスガ、此ノ地方
分與稅制度ト共ニ、地方ノ獨立財源ト致シマ
シテ、地租、家屋稅及ビ營業稅ノ如キ强力ナ
ル地方財源ヲ與ヘルコトニ致シマシタノ
デ地方自治ノ精神ヲ破壞スルノ虞ハナイ
ト考ヘテ居リマスノミナラズ、分與稅制度
ノ設置ニ依リマシテ、財政窮乏ノ地方團體
ハンガールズール〓ノ活動一盒、活潑コナス
ルコトト信ジテ居リマス
次ニ地方財政ノ縮小ノ結果ハ、却テ惡稅
ヲ起シテ地方ノ負擔ヲ過重ナラシムルデハ
ナイカト云フ御質問デアルノデアリマス、
今囘ノ地方稅改正ノ內容ハ、地方ノ負擔ノ
均衡ヲ圖リ地方財政ノ基礎ヲ確立スルコ
トニアルノデアリマスガ今囘地方獨立稅
ト致シマシテハ只今申上ゲマスル地租、
家屋稅、營業稅等ヲ中樞トシテアリマスノ
デ、現在行ハレテアリマス所ノ雜種稅ノ如
キハ之ヲ整理スル方針デアルノデアリマ
ス、卽チ府縣稅ニ於キマシテハ從來所謂
惡稅ト言ハレタルモノノ整理ヲ相當シテ居
リマス加之市町村稅ニ於キマシテモ主
要ナルモノハ之ヲ法律ニ指定シ、其ノ他ノ
モノニ付キマシテハ許可ヲ受クルコトニ相
成リマスノデ、決シテ茲ニ御心配ノ如キ負
擔過重ノ虞ハナイト考ヘテ居リマス
最後ニ目的稅ノ設置ハ負擔ノ過重ヲ來ス
ノ虞ナキヤト云フ御質問デゴザイマス、目
的稅ノ中ニハ都市計畫稅ハ府縣稅市町
村稅ヲ通ジマシテ、大體現行ノ稅率同樣ニ
致シテ置ク積リデアリマスカラ、之ニ依ツ
テ負擔ノ過重ハ生ジナイ筈デアリマス又
其ノ他水利事業共同施設等ニ對シマシテ
モ、目的稅ヲ認ムルノ方針デゴザイマスル
ガ、是ハ受益ノ限度ニ應ジマシテ其ノ範圍
ヲ限定シマスガ故ニ、是亦負擔ノ過重ヲ來
スノ虞ナイモノト考へテ居リマス
〔國務大臣米內光政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=16
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017・米内光政
○國務大臣(米內光政君) 第一ノ御質問ハ
增稅ト社會主義ノ問題デアリマス、今囘ノ
稅制ノ改正ガ社會主義ニ走ルヤウニ考ヘル
者ガナイカト云フ御尋デアリマスルガ私
ハ左樣ニハ考ヘテ居リマセヌ、第二ハ滿洲
ノ稅制トノ負擔ノ御議論デアリマシタガ、
御心配ノヤウナコトハ決シテ起ラヌト信ジ
テ居リマス
〔國務大臣藤原銀次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=17
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018・藤原銀次郎
○國務大臣(藤原銀次郞君) 小山君ニ御答
ヲ申上ゲマス、私只今豫算總會ニ出席致シ
テ居リマシタノデ、御質問ノ御趣旨ヲ詳細
ニ拜聽致シマスルコトヲ得マセヌデゴザイ
マシタコトハ、洵ニ遺憾トスル所デゴザイ
マスガ、私ニ對シテ御尋ニ相成リマシタ點
ハ、法人ニ對スル此ノ度ノ稅制改正ノ結果
ガ、產業資本ヲ壓迫シテ生產擴充ヲ阻碍ス
ルト思フガ其ノ心配ハナイカ、商工大臣
トシテ之ニ對スル所見ハドウデアルカ、斯
ウ云フ御尋ノヤウニ承リマシタ、此點ハ只
今大藏大臣ヨリ御答ヲ申上ゲタト同ジ考ヲ
私モ持ツテ居リマス、元々今囘ノ稅制ノ改
正ニ付キマシテハ、大藏商工兩省ニ於キマ
シテ十分ニ連絡ヲ取リマシテ、稅ノ目的ヲ
達スルト共ニ商工ノ發達ヲ阻碍スルコト
ノナイヤウニ、生產擴充ヲ防ゲルコトノナ
イヤウニト云フヤウナコトニ付テ十分ノ注意
ヲ拂ヒマシテ然ル後ニ立案致シマシタモ
ノデゴザイマス、其ノ上ニ私ハ此ノ稅制改
正ノ結果、生產ヲ壓迫シテ政府ノ今ノ生產
擴充ヲ阻碍スル憂ハナイト存ジマスガ假
ニ多少其ノ憂ガアツタト致シマシテモ今
日ノ我國ノ財政上カラ申シマスレバ、ドウ
シテモ此ノ稅制ノ改正ト云フモノハ斷行
セザルヲ得ナイ現狀デアルト信ジテ居リマ
ス、ソレ故ニ私商工當局ト致シマシテハ
此ノ際成ベク速ニ石炭電力ト云フヤウナモ
ノノ供給ヲモウ少シ豐富ニ致シマシテ、其
ノ上ニ又資材ノ供給トカ、統制經濟ノ運用
トカ云フヤウチ諸般ノ政策ニ付テ意ヲ用ヒ
マシテ、我國ノ產業ニ成ベク影響ヲ與ヘナ
イヤウニ、生產擴充ノ目的ヲ達スルヤウニ
努力致シタイト存ジマス、之ヲ以テ御答ト
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=18
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019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小笠原三九郞君
〔小笠原三九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=19
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020・小笠原三九郎
○小笠原三九郞君 私ハ只今上程セラレマ
シタ租稅各案ニ對シテ重要ナル諸點ヲ質問
セントスル者デアリマス、御答辯ハ內閣總
理大臣、大藏大臣竝ニ商工大臣ヨリ御願致
シタイノデアリマスルカラ、其ノ席ニ御留
リアランコトヲ要請致シテ置キマス
日本ノ稅制ハ事變前ニ於テハ餘リ其ノ改
正ヲ見ナカツタノデアリマスルガ、昭和十
年岡田內閣ニ於ケル臨時利得稅ノ增徵ニ端
〓ヲ發シマシテ昭和十二年林內閣ニ於ケ
ル增稅三億五千八百万圓、昭和十三年近衞
內閣ニ依ル增稅三億一千四百万圓、昭和十
四年平沼內閣ニ依ル增稅二億圓等、我ガ國
民ハ最近兩三年間矢繼早ニ、而モ可ナリニ
重イ租稅ノ增徵壓迫ヲ受ケテ居ルノデアリ
マン、ソコヘ今囘ノ此ノ大增稅案デアリマ
ス、其ノ規模ニ於テ前代未聞ナルノミナラ
ズ、劃時代的ノ稅制改革タルニ於テ前古全
ク其ノ比ヲ見ザルモノデアリマス、ソレダ
ケニ此ノ稅制ガ內包シテ居ル問題ハ少クナ
ク、吾々國民ト致シマシテハ考ヘサセラレ
ル點ガ實ニ多々アルノデアリマシテ、一方
カラ見マスルナラバ、斯ウ云フ時代デアレ
バコソ、政府ニ於テモ思切ツテ此ノ稅制案
ヲ御提出ガ出來タノデアルガ、他方カラ見
ルナラバ、此ノ時代ニ於テ之ヲ御提出ニ相
成ツタ政府ノ御意圖ニ付テハ國民トシテ
十分ニ之ヲ問ヒ質サザルヲ得ナイノデアリ
マス
先ヅ最初ニ御尋申上グタイノハ現米內
内閣ハ前阿部内閣ノ稅制案ヲバ其ノ儘ニ、
何等ノ修正ヲ爲スコトナク御提出ニ相成ツ
テ居ルノデアリマスルガ、櫻內藏相ハ之ヲ
其ノ儘デ宜シイト御考ニナツテ居ルカドウ
カ、此ノ點デアリマス、勿論御提出ニナツ
テ居ル以上、大體ハ是デ宜シイト御考ニナ
ツテ居ルコトハ明瞭デアリマスルガマサ
カ此ノ全體其ノ儘デ完璧デアルト御考ニナ
ツテ居ル譯合デモアルマイト考ヘルノデア
リマス、若シ此ノ儘デ宜シイト云フナラバ、
櫻內藏相ハ靑木前藏相以外一步モ出ナイ
ト云フコトニナリ、藏相ノ御閱歷カラ見テ
モ、又民政黨員トシテノ在野時代ノ御主張
ニ對シマシテモ如何カト考ヘザルヲ得ナ
イノデアリマス、隨テ櫻內藏相ニ於テハ
此ノ稅制案ニ對シテ相當ノ修正ハ當然デア
ルト御考ニナツテ居ルコトト思フノデアリ
マスルガ、御所見ハ如何デアリマセウカ
私共ハ審議決定ノ心含ミトモ致シタイカラ、
率直ニ御答辯ヲ願ヒタイト存ズルノデアリ
マス
次ニ私共ハ事變下ニ於ケル政府ノ諸政策
ハ、總テ事變對策ニ綜合集中セラルベキモノ
デアルト考ヘマス、而シテドノ政策モ他ノ
諸政策ト關聯シ、脈絡相連ナルモノデアル
カラソコニ政策ノ一貫性ガナケレバナラ
ヌト信ジマス卽チ平時デアルナラバ政策
相互間ノ多少ノチグハグハ之ヲ寛容シ得マ
スル場合モ、此ノ事變下ニ於キマシテハ斷
ジテ許サルベキデハアリマセヌ、此ノ稅制
案ニ致シマシテモ過去ノ稅制案ハ國庫ノ
增收ガ其ノ主眼目デアリ國ノ財政ニ寄與
サヘスレバソレデ宜カツタノデアリマセウ
ガ、今日ノ場合ニ於ケル增稅ナリ、稅制改
革ナリハ、國庫增收ト云フコト以外ニ
ソレガ事變目的ノ達成ニ至大ナル貢獻ヲ爲
スモノデナケレバナラヌト信ジマス、而シテ
事變ノ現段階ニ於キマシテハ此ノ國家目
的達成ノ劈頭ニ來ルモノハ實ニ支那事變ノ
處理デアリ、國民生活ノ安定ニアリマスル
コトハ旣ニ米內首相ガ屢〓御言明ニ相成
ツタ通リデアリマス、果シテ然ラバ此ノ際
ニ於ケル稅制案ハ、ソレ等二箇ノ目的ニ對
シマシテ副フ爲ニ、第一ニ巨額ニ上ル事變
財政ノ運用ヲバ確保スルニ足ル增收ヲ目標
トスベキハ固ヨリ、第二ニ目下最モ必要ト
セラレテ居ル生產擴充ヲ促進スルカ少ク
トモ之ヲ妨ゲザルコト竝ニ第三ト致シマ
シテ戰時諸政策、就中事變下ノ最モ重要政
策タル物價政策ニ照應シ、合致スルモノデ
ナケレバナラナイト存ジマス(拍手)今囘御
提出ノ稅制改革ハソレ等政府ノ政策ニ付テ
如何ニ役立ツノデアリマスルカ、柄鑿相容
レザルガ如キ矛盾撞著ハナイノデアルカ、
以下七點ニ分チテ御尋ヲ申上ゲタイト存ジ
マス第一點、若シ本稅制改革ノ主タル目標
ガ、我ガ戰時財政ノ運用ヲ確保スルト云フ
點ニアルナラバ或人ガ言フガ如クニ、增
稅額ハ或ハ此ノ程度デハ不十分デアルト云
フコトガ言ヒ得ラレルカモ分リマセヌ、最
近ニ於ケル日本銀行公債手持高ノ增加ト
通貨膨脹ノ趨勢トニ鑑ミマスルナラバ、今
日マデノ巨額ナル公債ノ連續的發行ハ、戰
時財政運用ノ見地ヨリ申シマスレバ或ハ
避クベキモノデアリ、隨テ餘リニ多クヲ公
債財源ニ依存スルト云フコトハ無理デアリ
マシテ、其ノ無理ヲ敢テ致シマスレバ公債
ノ不消化ヲ招イテ、通貨「インフレーションL
ヲ惹起スルニ至リマスルコトハ是ハ覩易キ
道理デアリマス、ソレナラバトテ、又餘リニ
多クヲ租稅ニ求メント致シマスル時ハ、經濟
界ヲ萎縮沈滯セシメマシテ、租稅財源ヲ涸渴
セシムルコトトナリ、却テ戰時財政ノ基礎
ヲ危クスルニ至ルノデアリマス、ソコデ御
伺申上ゲタイノハ一體政府ハ今日ノ我ガ
財政狀態ニ於テ、大凡幾許ヲ公債財源ニ依
リ、幾許ヲ租稅收入ニ依ルノヲ適當ト認メ
テ居ラルルノデアルカ、最早是レ以上ハ公
債財源ニ依リ難シトセラルルノデアルカ
租稅ハモツト增徵スルコトガ出來ルト御考
ニナツテ居ルノデアルカ、ソレトモ公債ニ
依ルノモ無理デアリ租稅モ增徵ヲ困難ト
スルカラ、結局或ル程度歲出豫算ヲ壓縮切
詰メル外ナイト考ヘテ居ラルルノデアルカ、
是等ノ點ニ付テハツキリト御所見ヲ承リタ
イト存ジマス(拍手)
第二點、更ニ御伺申上ゲタイノハ、政府
ハ今囘ノ增稅收入ノ標準ヲバ何レノ點ニ置
カレタカト云フ點デアリマス、是マデノ增
稅ハ林內閣ノ所謂結城增稅ニ致シマシテ
モ、近衞內閣ノ賀屋增稅ニ致シマシテモ
或ハ平沼内閣ノ石渡增稅ニ致シマシテモ
大體其ノ年度ノ公債發行豫定額ノ利拂ガ標
準トセラレテ居ツタヤウニ見受ケルノデア
リマス、或ハソレハ偶然ノ暗合デアルカモ
分リマセヌガ、結果的ニ見ルト、大體左樣
ニ相成ツテ居ルノデアリマス、然ルニ今回
ノ增稅額ハ十五年度分ダケデ六億圓ヲ超過
シ、ソレニ加フルニ租稅ノ一種トモ見ルベ
キ煙草及ビ「アルコール」賣渡價格引上ニ依
ル專賣局益金ノ增加等モアリマシテ、十五
年度ノ公債發行豫定額ノ利拂ヲ超ユルコト
遙ニ大ナルモノガアルノデアリマス、或、
是ハ公債增發分ノ利拂ヲ目標ニハシテ居ル
ノデアルガ、餘リ頻繁ニ稅制、稅率ヲ變更
スル譯ニモ行カナイカラ、日本ノ現時ノ歲
出豫算ノ趨向ヲ參酌致シテ、數年先ノ將來
ヲモ見込ンダモノデデモアルノデアリマス
カ或ハ又現在ノ我ガ國民所得ニ標準ヲ置
カレテ此ノ程度ヲ以テ國民所得相當ト御
認メニナツテデモ居ラレルノデアリマセウ
カ此ノ際政府ハ今日ノ我ガ國民所得ヲ如
何樣ニ見テ居ラレルノデアルカハツキリ
ト御伺致シテ置キタイト存ジマス、本稅制
案檢討ノ基礎トモナルベキモノデゴザイマ
スルカラ)數字ヲ以テ明確ニ御示ガ願ヒタ
イ(拍手)或ハ臨時軍事費卽チ今囘ノ支那事
變費ニ對スル割合、比率デモ標準トセラレ
タノデアリマセウカ、若シソレナラバドノ
程度ノ割合ヲ適當ナリト御考ニナツテ居ル
ノデアルカ前囘世界大戰ノ實例ニ徵シマ
スルト戰費ニ對スル租稅ノ割合ハ英吉
利ノ約二割ヲ最高ト致シマシテ獨逸ガ六
分、佛蘭西其ノ他ハソレ以下トナツテ居ル
ノデアリマス然ルニ我國ハ單ニ事變費ニ
對スル增稅割合ダケヲ申シマシテモ、昭和
十二年コソ二分六厘ノ低率デアリマシタ
ガ十三年ニハ七分ヲ超シ、十四年ニハ-
割三分四厘トナリ本十五年ハ恐ラクハ二
割ヲ超スデアラウト思ハレルノデアリマス、
吾々國民ハ此ノ租稅ノ一點カラ見マシテ
モ、他國ニ優レタル愛國ノ赤誠ヲ捧ゲテ居
ル譯合デアリマスルガ、一體政府ハ何「ㄱパー
セントㄴヲ相當トシ、何그パーセント」マ
デ增稅收入ヲ高メ得ルト御考ニナツテ居ル
ノデアルカ、此ノ點ヲ御伺致シタイ、世間
デハ、今度ノ稅制ニ彈力性ガ附與シテアル
ノハ此ノ稅制ノ上ニ立ツテ來ル年モ來ル
く年モ益ス增稅スル政府ノ方針デハナイカト、
危惧ノ念ヲ抱イテ居ルノデアリマス、明確
ナル政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト存ジマス、
聞ク所ニ依リマスルト政府ノ一部ニハ增
稅ニ依ツテ國民ノ購買力ヲ奪ヘバ國ノ財政
ハ健全トナリ惡性「インフレーション」ヲ
防ギ得ルト考ヘテ居ラレル方ガアルトノコ
トデアリマスルガ總理大臣、大藏大臣及
ビ商工大臣ハ、此ノ點ニ付テ如何ニ御考ニ
ナツテ居リマスルカ、申スマデモナク事變
下ニ於キマシテハ經濟界ノ活況コソ租稅
增收唯一ノ根源デアリマシテ、經濟界ノ活
況ナキ所ニ租稅收入ノ增加ハ全然期待スル
コトガ出來ナイノデアリマスルガ政府ハ左
樣ニハ御考ニナツテ居ラナイカドウカ、此
ノ點ヲ御伺致シタイ
第三點、本稅制案ハ現下特ニ必要ヲ痛感
セラレテ居リマスル生產擴充ヲ阻碍シ、所
要物資ノ供給ヲ減退セシムルコトハアリマ
セヌカ、此ノ點ヲ御伺致スモノデアリマス、
申上グルマデモナク各種企業ニ對スル租稅
負擔ヲ加重致シマスレバ一方ニ生產ニ必
要ナル資本ノ蓄積ヲ阻碍致シマスルシ、他
方ニ利潤率ヘノ壓迫トナリマシテ、生產過
程ヲ粗放化シ、社內分配ヲ增加サセマシテ、
其ノ極、勞働能率ハ低下スルシ、生產「コ
スト」ハ高マルシ、生產障碍トナルコトハ
覩易キ道理デアルト考ヘルノデアリマス、
斯クシテ生產ノ減少、對外競爭力ノ不振ト
ナリ、供給力ノ增大ニ依ツテ圖ラントスル
需給ノ調整ヲ困難ナラシメ、延イテ物價對
策ヲ破綻セシメテ輸出貿易ノ伸張輸入
能力ノ增强ハ得テ期スベカラザルコトトナ
ルト考ヘルノデアリマスガ、此ノ點ニ付テ
政府ノ所信ハ如何デアリマセウカ、御承知
ノ通リ各種ノ企業ハ法人稅ノミデモ實ニ百
分ノ二十ト云フガ如キ高率デアリ、而モ
此ノ稅金ハ經費ト看做サヌト云フ苛酷
ニ近イ取扱ヲ受ケルコトニナツテ居ル
ノデアリマスガ、之ニ付テハ只今小山君
ニ對シテ藏相ノ御辯明ノ次第モアリマ
シタケレドモ、少クトモ之ヲ以テ生產
擴充ニ惡影響ヲ及ボスモノニアラズト
言フガ如キハ、强辯モ甚シキモノナリト言ハ
ザルヲ得ナイト考ヘマス(拍手)既ニ現在ハ總
動員法第十一條ノ發動ヲ見テ、配當制限等ガ
現實ニ行ハレテ居ルノデアリマスルカラ、
會社ノ內ニ保留セラレテ居ル利益金ハ之ヲ
生產擴充ニ使用スルカ、或ハ政府ノ指定
スル公社債ヲ引受ケルカ、要スルニ國策
ノ命ズル所ニ從ツテ其ノ保留利益ヲ使用
スルヨリ外ナイノニ、ソレマデ取上ゲテ
シマツテ生產擴充ヲ不可能ナラシムルガ如
キ增稅案ハ、生產擴充ガ刻下喫緊ノ急務ト
セラレテ居ル情勢ニ鑑ミマシテ、果シテ妥
當ナリト言ヒ得ルデアリマセウカ、ソレト
モ政府ハ、本稅制案ヲ以テ左マデ生產擴充
ニ惡影響ハナイト御考トナツテ居ルカドウ
カ此ノ點ヲ餘リ輕ク御考ニナリマスト
由々シキ事態ヲ惹起スデアラウト考ヘマス、
此ノ點多年日本ノ實業界ニ御雄飛ニナツタ
「ベテラン」商工大臣藤原サンノ率直ナル御
答辯ヲ願ヒタイト存ジマス
第四點、次ニ本稅制改革ハ戰時諸政策、
就中政府ガ組閣以來高調シテ居ル所謂低物
價政策ニ背馳スルモノノヤウニ考ヘマスル
ガ、政府ノ御所見ハ如何デアリマセウカ、
私ハ政府現在ノ物價政策ヲ宜シイトハ考ヘ
テ居リマセヌ、否必ズヤ近ク修正改訂セラ
ルベキモノデアルト考ヘテ居リマス、是マ
デノ政府當局ノヤウニ觀念的ナ低物價政策
ニ囚ハレテ居ツテハ遠カラズ其ノ行詰リ
ヲ來スベキハ火ヲ睹ルヨリモ明カデアリマ
ス(拍手)否遠カラズデハナイ、旣ニ石炭、
木炭、ㄱセメント」肥料、飼料、「マッチ」
等幾多ノ物資ニ其ノ破綻ヲ暴露シツツアル
現狀デハゴザイマセヌカ此ノ事ハ他ノ機
會ニ詳カニ御尋ヲスル積リデアリマスカラ、
玆ニ省キマスルガ、政府ハ今回ノ稅制案ヲ
以テ格別物價ニ影響スル所ナシトデモ御考
ニナツテ居ルノカドウカ物品稅ノヤウナ
賣上稅ノ增徵、通行稅、建築稅等ノ如キ流
通稅系統ノ增徵、各種消費稅系統ノ增稅
ハ、結局ソレガ物價騰貴ノ原因ヲ成シ、政
府ノ標榜スル低物價政策ニ背反スルモノト
御考ニナツテハ居ラヌカドウカ、或ハソレ
等ハ生活必需品デハナイ、事變下ニ於テ國
民ヲ緊張サセ、消費節約ヲ爲サシムル上カ
ラモ若干ノ增稅ハ當然ナリトノ論モアルデ
アリマセウ、一ツノ理窟ガナイトハ申シマ
セヌガ、酒煙草ノ如キ嗜好品デスラ、國
民日常ノ實際生活トハ密接不可分ノ關係ニ
アリマスルノミナラズ、總テノ物資、總テ
ノ物價ハオ互ニ關聯性ヲ持チ、又ハソレ/
ニ因果關係ヲ結バレテ居ルノデアリマシ
テ獨リ其ノ物ダケノ値上リニ止マラナイ
コトハ多ク申スマデモナイコトト存ジマ
ス、一隅ヲ擧ゲレバ他ノ三隅自ラ擧ガルモ
ノ比々皆然リト申サナケレバナリマセヌ
(拍手)加之前ニ申述べタ通リ、現在ノ企業
經營ニ對スル租稅負擔ノ重課ハ勢ヒ生產費
ヲ高メ、物價高ヲ招來セズニハ置カナイデ
アラウト考ヘマスルガ、政府ノ御所見ハ如
何デアリマセウ、或ハ政府ニ於テハ此ノ程
度ノ增稅ナラバ、政府ハ適正價格ノ形成ヲ
以テ對處シテ行クカラ左マデ物價ニ影響ス
ル筈ハナイト申サレルカモ分リマセヌガ、
ソレナラバ適正價格トハ何デアルカ吾
吾國民ハ物價トハ消費者ガ通貨ヲ以テ現
實ニ買入レ得ル物ノ價格ダト考ヘテ居ルノ
デアリマスルガ政府ハ需給關係ヲ棚ノ上
ニ上ゲテ、單ニ生產費等カラ割出シタ價格
ヲ適正價格デアルトシ、動モスレバ表ニ載
セ「リスト」ニ加ヘタ政府ノ公定價格ヲバ
物價ナリト御考ニナツテ居ルノデハアリマ
セヌカ、私ハ敢テ御尋ヲスル、吾々國民ガ
今日公定價格デ買入レ得ル物資ガ何處ニド
レダケアルト言フノデアルカ(拍手)吾々ガ
今日要リモセヌ灰ヲ買ハナケレバ炭ヲ買フ
コトガ出來ナイ米ヲ賣ラナケレバ肥料ヲ
賣ツテ吳レナイト云フ狀態ヲ何ト見テ居ラ
レルノデアルカ、吾々ハ何時マデ此ノ表面
バカリ形式バカリノ物價政策ニ從ツテ行
カナケレバナラヌノデアルカ(拍手)世間デ
ハ物價委員會等ニ實際行ハレモシナイ公
定價格ヲ作ラセテ自ラ慰メテ居ルアノ不誠
意ヲバ餘リニモ高價ナ官僚的ノ遊〓ナ
リト嘲笑シ、且ツ憤慨シテ居ルヤウニ聞イ
テ居ル(拍手)彼ノ物價委員會ノ如キモ是マ
デ爲シ來ツタ過誤ニ顧ミテ、根本的ニ組織
ヲ變ヘ新シク出直サスノガ宜シイノデアル
(拍手)今日ノ物價騰貴ハ、對外爲替ノ下落、
輸入原材料ノ騰貴等カラモ來テ居リ、股賑
產業ノ好景氣、通貨ノ增發等カラモ來テ居
ルガ、主トシテハ物ノ不足カラ來テ居ルノ
デアル此ノ需給ノ不圓滑ニ原因スル物價
騰貴ヲバ生產費ヤ手數料等カラ割出シタ
適正價格デ匡救セントシタ所デ、ソレガ何
ノ效果ガアルデアリマ。セウカ(拍手)私ハ此
ノ稅制案ニシテモ、セメテ物價ヲ刺戟、衝
動セヌ程度ニ之ヲ修正シ、今日此ノ際ハ增
產第一主義デ所要物資ノ生產擴充ニ一路邁
進スベキモノデアルト考ヘマスルガ、政府
ノ御所見ハ如何(拍手)
第五點、次ニ今度ノ稅制案ニ依リマスル
ト生產的ニ利用セル資本ノ所得ヨリモ
生產目的以外ノ投資、卽チ利子所得ナドニ
輕ク課稅シ、又財產ヲ運用シテ收入ヲ得レ
バ段々負擔ガ重クナルニ對シ、其ノ財產ヲ
遊バセテ享樂用トシテ無收益ノ狀態ニ置ケ
バ租稅ヲ免レ得ルコトニナツテ居ルガ如キ
ハ全ク資產ノ享樂的使用ヲ奬メルモ同然
デアツテ、思ハザルモ甚シキモノナリト考ヘ
マス(拍手)政府ハ近時書畫、骨董、寶石類ノ
法外ノ値上リ等ヲ何ト見テ居ラレルノデア
ルカ、御所見ヲ承リタイト存ジマス
第六點、次ニ本稅制案ハ負擔ノ均衡ヲ圖
ルヲ目的トシテ居ルト云シテ、只今モ縷〓御
述ニナリマシタガ、果シテ本稅制案ハ其ノ
點ニ遺憾ナイノデアルカドウカ、事變下ニ
於テハ事變ニ依ツテ受ケル影響ガ一樣デハア
リマセヌ、一方ニ殷賑產業ト稱セラルル部
門ガアツテ、法外ノ收入、給料、「ボーナス」、
配當等ヲ得テ、此ノ世ノ春ヲ謳歌シテ居ル
者ノアル反面ニハ、他方ニ原材料ノ入手難、
統制ノ强壓、取扱商品ノ激減等ニ依リマシ
テ、或ハ轉失業ヲ餘儀ナクセラレ、或ハ收
入ノ減少ヲ來ス等、氣ノ毒ナ人々ガ決シテ
少クナイノデアリマス、特ニ是マデノ統制
經濟ニ於テハ、大資本家、大企業家ニ厚ク
シテ、中小業者ニ薄キ嫌ガ最モ多カツタノ
デアリマス隨テ租稅負擔ノ均衡公正ヲ得
マスルコトハ社會的ニ見テ極メテ重大ナ
ル意義ヲ持ツテ居ルノデアリマス(拍手)然
ルニ此ノ稅制案ヲ見マスルト、分類所得稅
分類所得稅デ六七百圓ヤソコラノ下級勤
勞所得者ガ、四五千圓ノ高給者ト同率ノ
所得稅ヲ賦課セラレテ居ル果シテ是ガ
公平ナリト言ヒ得ルデアリマセウカ又
農業者ト農業者以外トノ課稅ノ不均衡ハ
依然トシテ十分ニ是正サレテ居ラナイノ
デアル特ニ四百圓以上ノ事業所得、六
百圓以上ノ勤勞所得、卽チ極メテ僅少ノ收
入シカナイ者ニマデ課稅セル反面ニ、年々
數万圓ノ利子收入ヲ受ケテ居ル金持ニ對シ
テハ源泉課稅ト綜合課稅トノ自由ナル選
擇ヲ許シテ居ルガ、餘リニモ御都合主義デ
公平ヲ〓イテ居ルコトハナイカ(拍手)是モ
原案ニハ綜合課稅トシテアツタモノヲ、金
融業者ノ要請ニ動カサレテ之ヲ變更シ、爲
ニ一千五百万圓カラノ國庫減收ヲ招クニ至
ツタト聞イテ居ル何十万圓、何百万圓ノ
公社債、預貯金ヲ持ツ人々ニ對シテ、厚キ
コト斯ノ如クデアル何故ニ少額所得者ニ
對シテ今少シク親切ト同情ヲ寄セナイノデ
アルカ(拍手)此ノ稅制改革案ハ、平沼內
閣ノ其處ニ居ラレル石渡元藏相ノ草案ニ
係ルモノヲ骨子トシテ居ル、大體ニ於テ良
ク整ヒ良ク出來テ居ツテ敬服ニ堪ヘナイ
ガドウモ高級官吏ナドニハ頗ル都合ガ宜
シイガ、下級官吏其ノ他ニ洵ニ思ヒヤリノ
足ラヌ、點ガ多イノデアリマス(拍手)特ニ
少額ノ事業所得者ナドニ對シマシテハ
少カラズ實情ガ無視セラレテ居リマスル
ヤノ感ガ深イノデアリマス而モ其ノ後
ニ於テ、起案當時トハ四圍ノ事情ヤ物價
情勢等ガ著シク異ツテ參ツテ居ルノデアリ
ママ、事業所得ニ四百圓、勤勞所得ニ六百
圓ノ控除ハ認メテハアルガ、今日日常用品
ノ値上リ、生活費ノ昂騰等ニ鑑ミルナラバ
是等ノ控除金額ハ實情ヨリ餘リニモ遠ザ
カリ過ギテ居リハセヌカ、四百圓、六百
圓ト言ヘバ一箇月僅々三十三圓ト五十圓
トデアリマスルゾ、若シ石渡元藏相ヲシテ
之ヲ今日起案セシムルナラバ少クトモ前
者事業所得ニ六百圓、後者勤勞所得ニ八百
圓ノ控除ハ盛ラレタコトデアラウト考ヘル
ノデアリマス、如何ニモ租稅ノ普遍化ハ喜
ブベキコトデゴザイマスルガ、其處ニモ自
ラナル限度ガアリマス、政府ハ昨今ノ世態
ニ對處シテ之ヲ改ムルノ御意思ガナイカド
ウカ、御伺申シタイ
第七點、次ニ相續稅ニ付テモ一言ダケ御
尋申上ゲテ置キタイ、最近歐米ノ稅制ニ倣
ツテ、相續稅重課ノ傾向ガアリ多少ノ理
由ヲ認ムルモノデアリマスルガ、今度ノ稅
制案ノ如クニ急進過激ナモノヲ見マスルト、
是ガ果シテ家族制度ヲ尊重シ、之ヲ基本ト
スル日本ノ國風ニ反スルコトハナイカドウ
カト云フ疑ヲ持タザルヲ得ナイノデアリマ
ス、祖先ヲ敬ウテ其ノ祭祀ヲ絕タズ、何事
モ家本位デ行ク所ニ日本ノ世界ニ冠絕セル
美風良俗ガ保タレテ居ルノデアリマス然
ルニ今度ノ稅法ニ依レバ、恐ラク相續ヲ二
囘モスレバ三代目ニハ家ニ傳フベキ何物
モ無クナツテシマフデアラウト考ヘル私
ハ斯樣ナ急進的ナ歐米思想的ナ相續稅ノ重
課ハ日本的稅制ノ立場ヨリ見テ考慮ヲ要
スベキモノナリト考ヘルガ、政府ノ御所見
ハ如何デアリマセウ、更ニ相續稅ニ物納制
ヲ加味スルコトニ致シマセヌト、實際相續
ノ大部分ヲ占メマスル不動產ノ如キハ。是
ガ處分上ノ困難甚シク、强ヒテ之ヲ賣却セ
ントスレバ、税務署査定額ノ二分ノ一三
分ノ一ニモ足ラヌ場合ヲ生ジマスルシ、又
流通性ヲ缺イテ居ル小會社ノ株式證劵ノ如
キモノハ全然換價ノ方法ガナイ場合ヲモ
性ズルノデアリマス、年賦ノ制ヲ
ルカラ云々ト言ハレルケレドモ、是位分今好好
シク實情ヲ御覽ニナルト宜シイ、私ハ相續
財產ヲ現金同樣ニ考ヘテ居ル點ニ根本的ノ
誤リガアルノデハナイカト考ヘル政府ハ
須ク實情ニ卽シテ、物納制ヲ採用セラルベ
キモノデアルト考へルガ左樣ノ御意思ガ
ナイカドウカ、此ノ點ヲ御伺致シマス
其ノ他地方分與稅ノ制度ガ、地方自治ノ
觀念ヨリシテ至當デアルカドウカ等ノ點ニ
付キマシテモ御尋致シタイ點ガアルノデア
リマスルガ之ヲ委員會ニ讓リマシテ、最
後ニ米內首相ニ御伺申上ゲテ置キタイコト
ガアルノデアリマス、政府ハ過日來屢〓、一 口
一錢ト雖モ之ヲ尊重シテ苟モセザル旨ヲ御
述ニナツテ居ル、固ヨリ左樣ナクテハ相成
ラスノデアリマスガ、現在見受ケル所ノ官
吏ノ氾濫、局課ノ增設事務ノ澁滯、無能
率ノ擴大等々年々膨脹ヲ續ケテ殆ド止マ
ル所ヲ知ラヌ財政計畫ヲ見セ付ケラレテハ、
國民ハ果シテ政府ノ言明ヲ其ノ儘ニ受取ル
コトガ出來ルデアリマセウカ(拍手)篤ト御
考ヲ願ヒタイノデアリマス或ル人ハ若
シ政府ニシテ政府ガ國民ニ要請セル戰時
意識ノ十分ノ一デモ政府自ラ之ヲ持ツテ居
ツテ其ノ實行ニ努メルナラバ增稅案ノ如
キハ恐ラク半減シテモ尙ホ餘リアルベシト
云フコトヲ言ツテ居リマス(拍手)豫算ニシ
テカラガ、其ノ不要額ハ昭和十二年度二億
四千万圓、十三年度三億四千万圓ノ巨額ニ
達シ、十四年度モ恐ラクハソレ以上ニ上ル
デアラウト思ハレマス、率直ニ申上ゲマスト、
今日國民ノ大部分ハ租稅ノ非常ナル重壓
ニ苦シンデ居ルノデアリマシテ、殆ド堪
フベカラザルヲ堪ヘテ居ルト云フノガ僞
ラザル實情デアルト思フノデアリマス
試ニ御考ヲ願ヒタイ、租稅收入ノ豫算
ハ昭和九年度八億四千三百万圓、十年
度八億九千九百万圓、十一年度九億二千
三百万圓デアツタモノガ、事變勃發ノ十二
年度ニハ十三億七千五百万圓ニ激增シ爾
來相次グ增稅ニ依リマシテ十三年度ニハ十
八億五千万圓、十四年度ニハ二十二億四千
五百万圓ト增加致シテ居リ、本十五年度ニ
ハ此ノ大增稅案ニ依リマシテ一躍三十一億
四千七百万圓ノ巨額ガ計上セラレテ居ルノ
デアリマス勿論堪へ得テ餘リアルモノモ
相當アリマセウケレドモ納稅義務ヲ果ス
ニ汲々タル者ノ少カラザルベキコトハ否ム
コトノ出來ナイ事實デアルト存ジマス、私
ハ政府ニ於テ此ノ增稅案ヲ提出シテ國民ニ
協賛ヲ求メラルル以上ハ、政府ニ於テモ何
カ一大決意ト覺悟トヲ御持チニナツテ居ナ
ケレバナラヌト考ヘル(拍手)卽チ過日來屢〓、
當議場デモ問題トナツタ官吏制度ノ根本的
改革ヲ斷行セラルルハ勿論、誓ツテ行政整
理ヲ斷行シ、全閣僚ノ一致協力ニ依ツテ行
政機構ヲ簡易ナモノニシ、能率的ナモノニ
シ、合理的ニ冗務ト冗費トヲ節約セラレタ
イト云フコトデアリマス(拍手)之ニ對スル
總理大臣ノ御決意ト御覺悟トヲ御伺致シマ
シテ私ハ質問ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣櫻內幸雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=20
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021・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 小笠原君ノ私ニ
對スル御質問ニ對シテ御答辯申上ゲマス、
今囘ノ如キ大增稅案ヲ現在ノ重大ナル時局
ニ於テ提案スルト云フコトニ付テハヽ十分
愼重ニ〓究ヲシナケレバナラヌノデアル
ガ、前內閣ニ於テ定メタル所ノ本案ヲ其ノ
儘踏襲シテ出スト云フ事柄ハ適當デナイト
思フガ、ソレニ對シテ私ガ之ヲ修正スル考
ガアルカナイカ、斯ウ云フ風ナ御質問デア
ツタト思ヒマス、先刻來提案ノ理由ニ於テ
モ申述ベマシタ如ク、本案ハ多年ノ問題デ
アリマシテ、各方面ノ權威者ヲ網羅シタル
所ノ稅制調査會ニ於キマシテモ、實ニ二十
八囘ノ多キニ亙ツテ調査會ヲ開イテ決定シ
タモノデアリマシテ、私ト致シマシテハ今
日ノ事態ニ於テ此ノ增稅案ハ適當ナルモノ
トシテ提案ヲ致シタノデアリマスカラ、之
ニ對シテ只今修正スルト云フガ如キハ毛頭
持ツテ居リマセヌ、將來經濟界ノ事情ノ變
化ニ依リマシテ修正ヲサレルガ如キコトガ
アルヤモ存ジマセヌガ、今日現在ニ於テ此
ノ改正案ハ適當ナルモノト考ヘテ居ルノデ
アリマス
次ニ彈力性アルト云フ言葉ノ裏面ニハ
更ニ增稅スルノデハナカラウカ、今日ノ增
稅案ノ以外ニ更ニ增稅ヲ意味スルノデハナ
イカト云フ風ナ御質疑ノヤウデアリマスガ
現在ノ此ノ情勢カラ見マスルト、差當リ之
ヲ更ニ增稅スルノ必要ヲ私ハ認メナイト思
ヒマス、併シナガラ今日ノ如キ重大ナル時
局デアリマスカラ、將來ニ於テドウ云フ風
ニ處理シテ行カナケレバナラヌカト云フコ
トハ今直チニ之ヲ明言スルコトハ出來ナ
イノデアリマス
次ニ今回ノ增稅ハ國庫ノ增收以外ニ事變
處理ニ對應シテ考ヘナケレバナラヌモノデ
アルガ、ソレニ對シテ如何ナル考慮ヲ拂ツ
タノデアルカ、生產擴充ヲ妨ゲルモノデハ
ナイカ、低物價政策ニ背馳スルモノデハナ
イカト云フ御質疑デアリマスガ、生產擴充
ノ上ニ於テ此ノ程度ノ增稅ガ如何ナル影響
ヲ及ボスカト云フコトニ付キマシテハ十
分〓究シナケレバナラヌコトデアリマシテ、
相當ノ考慮ヲ拂ツタノデアリマス、卽チ此
ノ度ノ增稅ハ主トシテ多額ノ利得ノアル人
ニ對シテ多クヲ課ケルコトニナツタノデア
リマシテ、大體ニ於テ一割程度ノ收益ヲ收
メル事業ニ對シテハ比較的負擔ガ少イノデ
アリマス、卽チ生產擴張ニ對シテ妨ゲトナ
ラザルヤウニ注意ヲ致シタノデアリマス、
殊ニ留保所得ニ關シテデアリマスガ、留保
所得ガ生產擴充ニ使ハレル場合等ニ於キマ
シテハ相當ナル減稅等モ考慮致シタノデ
アリマス、隨ヒマシテ今囘ノ增稅案ガ、我
ガ生產擴充ヲ阻止スルガ如キ結果ハ萬ナイ
ト考ヘテ居リマス
物價政策ニ背馳セザルヤ否ヤ、固ヨリ此
ノ增稅ノ結果ト致シマシテ、增稅ニ依ツテ
「コスト」ノ上ルモノノアルコトハ認メナケレ
バナリマセヌ、併シナガラ此ノ物價政策ニ付
キマシテハ十分ナル注意ヲ拂ヒマシテ國
民生活ノ上ニナクテナラヌト云フガ如キ物
品ニ對シテハ此ノ增稅ト云フモノヲ極メ
テ輕微ニ致シテ居ルノデアリマス、隨テ國
民生活ニ關シテ重大ナル關係ガナイト考ヘ
マスノミナラズ、物價ノ〓騰ト云フモノヲ
防グ上ニ於テハ寧ロ一般ニ非常ナル利益
ヲ儲ケテ撒布セラレタル金ガ或ル程度吸
收セラレテ購買力ノ減少スルト云フ點ニ
於テ幾分カ低物價政策ニ貢獻スル點ガア
ルデハナカラウカト思ツテ居ルノデアリマ
ス
前後致シマシタガ、戰時財政ヲ確保スル
上ニ於テ現在ノ增稅額ガ不十分デナイカ
又公債ニ依存シテ居ルガ、比ノ公債依存ト
云フモノニ無理ガナイカ、F.時財政ヲ確保
スル上ニ於テ、其ノ幾分ヲ公債財源ニ俟チ、
其ノ幾分ヲ增稅ニ俟タントスルノデアルカ、
斯ウ云フ御質疑ガ一番最初ニアツクト思ヒ
マスガ、現在ノ財政狀態カラ申シマシテ、
若シ出來マスルナラバ出來ルダケ多クヲ國
民負擔ニ俟ツテ之ヲ支辨シテ行クコトガ一
番宜イノデアリマス、歐洲大戰ノ例ヲ御引
キニナリマシタガ、歐洲大戰當時ニ於ケル
英吉利ハ實ニ一割八分デアリマシタカヲ增
稅ニ俟ツテ居リマス、亞米利加ハ二割三分
デアリマシタカヲ增稅ニ俟ツテ居リマス
併シナガラ日本ノ今日ノ財政經濟ノ事情カ
ラ見マシテ、到底多クノ負擔ヲ稅ニ依ツテ
致スト云フコトハ容易デアリセヌノデ、日
本ノ經濟界ニ影響ヲ及ボサザル程度ニ於テ
增稅ヲ致シマシテ、他ハ公債ニ俟ツト云フ
外ナイノデアリマス、唯公債ト今囘ノ增稅
ガドウ云フ關係ヲ持ツカ今マデハ公債ヲ
發行シタ利子ヲ目標ト致シテ居ルヤウデア
ツタガ、今囘ノ增稅ハ其ノ利子ドコロデハ
ナイ、非常ニ巨額デアルガ、ドウ云フ目標
ヲ持ツテ居ルノデアルカト云フ御尋デアリ
さく、是ハ今申上ゲル通リ、若シ事變ノ見
透シガ付キマスナラバ、或ハ發行シタル公
債ノ利子ト、之ヲ償還スル所ノ金額ダケヲ
增稅ニ俟ツト云フコトガ一番適當ナコトデ
アリマセウ、併シナガラ今日ノ事變ハ未
ダ前途此ノ程度ニ於テ此ノ事變ガ濟ムト云
フ確タル見透シガ付イテ居ナイノデアリマ
ス、隨ヒマシテ現在ノ日本ノ財政計畫ト致
シマシテハ出來ル限リ國民ノ負擔ニ於テ
ヤツテ、其ノ足ラザル所ハ其ノ金額ガ假ニ
多クトモ公債財源ニ俟ツノ外ハ方法ハナ
イノデアリマス、卽チ或ル適當ノ時期ニ於
テ、此ノ財政ト云フモノニ對シマシテハ前
途ヲ見透シテ財政計畫ガ確立セラルルト思
ヒマスガ今日ト致シマシテハ日本ノ經濟
財政ヲ鞏固ニ致ス上カラ申シマスナラバ
利拂ハ增稅ニ俟ツト云フコトガ一番適當デ
アリマス今囘ノ增稅ハ其ノ利拂以上ニ達
シテ居リマス、併シナガラ此ノ增稅ノ目標
ハ公債ノ利拂ヲ目標ト致シタモノデハアリ
マセヌ又公債ノ利拂及ビ其ノ償還ヲ目標
ト致シテ現在ノ八億万圓ト云フモノガ計上
サレタノデハアリマセヌ、唯是ハ日本ノ現
在ノ國力ガ是ダケノ負擔ハ爲シ得ルト云フ
見地カラ決定致シタモノデアリマシテ、偶
然ニ一致シタ場合ガアルナラバ、ソレハ要
スルニ偶然ノ適合デアリマス、年々彈力性
ヲ利用シテ增稅スルノデハナイカト云フガ
如キ事柄ハ、今日ハ絕對ニナイト申上ゲル
ノ外ナイノデアリマス
生產擴充ニ對シテ阻碍ヲスルデハナイカ
ト云フ御話デアリマシタ、是ハ先刻モ小山
君ノ質問ニ對シテ申上ゲタ如ク、有ユル臨
時措置ノ點ニ於キマシテ、生產擴充ニ阻碍
ヲ及ボサザルヤウニ致シテ居ルノデアリマ
ス
低物價政策ニ背馳スルデハナイカト云フ
問題ニ付キマシテハ是ハ多分商工大臣ガ
御答ニナルデアラウト思ヒマスカラ、秋、
省略致シマス
今囘ノ增稅ニ付テ寶石デアルトカ、骨董
デアルトカ云フモノニ對シテ見逃シテ居ル
ノハ是ハ卽チ資產家階級ニ對シテ厚イデ
ハナイカ、此ノ點ニ付キマシテハ現在ニ
於テモソレ等ノモノニ付キマシテ稅金ヲ
課シテ居ル點ガゴザイマスガ、財產稅ヲ創
設スルト云フコトニ付キマシテハ幾多ノ
難カシイ點ガアルノデアリマシテ、是ハ大
イニ考究ヲ致ス必要ガアルト思ヒマシテ
今囘ハ提案致サナカツタノデアリマス
又今囘ノ增稅ガ大資產家ニ薄クシテ、小
資本家卽チ中小商工業者ニ對シテ少シ苛酷
デハナイカ、卽チ勤勞所得ニ對シテ六百圓
ヲ基準トシ、又事業所得ニ對シテ四百圓ノ
控除額ヲ決メタ是ハ甚ダ苛酷デハナイカ
ト云フ點デアリマスガ、先刻來申シマス通
リ、今日ノ事變ニ對シテハ總テ國民全體ガ
其ノ負擔ニ任ズルト云フ覺悟ヲ以テ進ンデ
行キタイノデアリマシテ、此ノ六百圓若ク
ハ四百圓ト云フ點ニ付キマシテハ或ハソ
レガ最小限度デアルヤウニ思ハレマスケレ
ドモ、一面カラ申セバ家族ノ控除率ト云フ
モノヲ廣ク擴充致シタノデアリマス、斯ウ
云フ點ニ於キマシテ此ノ點ハ緩和出來ルト
考ヘルノデアリマス
次ニ相續稅ノ問題ニ付キマシテハ先刻
モ申上ゲマシタ通リ所謂納稅ノ年限ノ上ニ
於キマシテ相當ノ手心ヲ加ヘテ居リマス、
又極メテ短イ期間、卽チ三年トカ五年トカ
云フ期間ニ於テ再ビ相續ノ問題ガ起ツタ場
合ニ於テハ免稅若クハ減稅ノ方法ヲ講ジ
テ居ルノデアリマス、物納ニ付キマシテハ
是ハ大イニ議論ノアル所デアリマシテ出
來得レバ或ル程度物納ヲ認メルコトガ必要
ト思ヒマスケレドモ、之ヲ實行致シマスコ
トハ技術上ニ於テモ手數ノ上ニ於テモ容
易デアリマセヌノデ今囘ハ物納ト云フコ
トハ認メナカツタ次第デアリマス(拍手)
(國務大臣藤原銀次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=21
-
022・藤原銀次郎
○國務大臣(藤原銀次郞君) 小笠原君ニ御
答ヲ申上ゲマス偶、〓豫算總會ニ出席シ
テ居リマシテ、御質問ノ趣旨ヲ詳細ニ拜聽
致スコトガ出來マセヌデシタコトヲ洵ニ遺
憾ト致シマス、御質問ノ趣旨ハ、第一ニ今
囘ノ增稅ハ產業ノ資金ヲ壓迫スルヤウナ虞
ガナイカト云フコトデゴザイマシタ是ハ
御質問ノ通リ增稅ダケ、ソレダケ產業ノ資
金ニナルベキモノガ稅ノ收入ニナリマス
ルカラ、全然產業資金ヲ壓迫シナイトハ申上
ゲラレマセヌ、幾分ノ壓迫ヲ加ヘルト云フ
コトハ已ムヲ得ナイト存ジマス併シナガ
ラ明年度ノ豫算ハ百億圓以上ニ上ツテ居リ
マシテ、多額ナ資金ガ撒布セラレマシテ、
其ノ結果明年度ニ於テモ百何十億ト云フヤ
ウナ貯蓄ガ出來ルト存ジテ居リマス、サウ
云フ譯デアリマシテ、產業資金ト云フモノ
ハサウ云フ方面カラ吸收シテ參リマスカラ、
此ノ增稅ノ爲ニ直チニ我國ノ產業ノ資金ヲ
壓迫スルトハ考ヘラレマセヌ、斯ウ云フコ
トノ作用ニ依ツテ「インフレーション」ヲ防
止シテ自然的ニ若干ノ調節ガ出來ルノデ
ハナカラウカト存ジマシテ、私ハ是ハ產業
上ニ却テ好イ結果ヲ來スノデハナカラウカ
ト考ヘテ居リマス
其ノ次ニ低物價政策ノ遂行上、此ノ增稅ハ
惡イ影響ヲ及ボシハシナイカ、言換ヘレバ間
接稅等ニ於キマシテ課セラレタ增稅ダケ物價
ヲ騰貴セシメルヤウナコトニナツテ、低物價政
策ニ惡イ影響ヲ及ボスノデハナカラウカ、斯
ウ云フ御趣意ノ御質問ト思ヒマスガ、是モ一
面ニ於テハサウ云フモノモゴザイマセウ、
增稅ダケ値段ヲ引上ゲナケレバナラヌト云
フヤウナモノモアリマセウガ、同時ニ又大
藏大臣カラ御說明ノアリマシタ通リニ遊
興稅トカ其ノ外ノ奢侈稅トカ云フヤウナ
比較的國民生活ニ直接ノ影響ノナイ方面ニ
稅ヲ課シマシテ、サウシテ此ノ國民ノ消費
ヲ節約セシメル、消費ヲ收縮セシメルト云
フヤウナ影響ガアリマシテ、其ノ結果國民
生活ニ必要ナル物ノ物價ノ騰貴ヲ防グト云
フ作用ヲ爲スコトト存ジマスソレ故ニ此
ノ稅法ノ改正ニ於キマシテ、多分大藏大臣
カラ縷々御說明ガアツタト存ジマスガ、國
民生活ニ直接ノ關係ヲ及ボスヤウナ物ニ對
シテハ稅ノ引上ヲ加減シテ居リマスルカ
ラ、旁〓以テ低物價政策ニ大イナル影響ガ
ナイト信ジテ居リマス
其ノ次ニ政府ハ現下ノ適正價格デ賣買セ
ラレテ居ルト思フカ、色々ナ商品ガ適正價
格デ、卽チ政府ノ公定價格デ賣買セラレテ居
ルト思ツテ居ルカ、斯ウ云フ御質問デアリ
マスガ、此ノ點ニ付キマシテハ御承知ノ通
リ此ノ適正價格、卽チ公定價格ガ實情ニ副
ハナイモノガアルト云フコトニ付テハ御
質問ノ通リデゴザイマス、是ハ政府ノ洵ニ
遺憾トスル所デアリマスガ、私ト致シマシ
テハ至急是等ノ適正價格ニ再檢討ヲ加ヘマ
シテ、成ベク早ク-全體ニ亙ツテ一齊ニ、
一律ニ之ヲ施行スルト云フコトハ困難デゴ
ザイマスカラ、一ツ宛ノ商品カラ片付ケテ
參リ、適正價格ト云フモノヲ實行シテ參リ
マシテ、サウシテ是カラ先ニ決定致シタ所
ノ適正價格ハ、之ニ依ツテ斷然固ク實行セ
ラレルヤウニ致シタイト思ツテ努力ヲ致シ
テ居リマス
次ニ中央物價委員ニ付テ政府ハドウ云フ
風ニ考ヘテ居ルカ、斯ウ云フ御質問デゴザ
イマスガ、是ハ只今ニナリマシテ考ヘテ見
マスレバ中央物價委員ノ組織ハ此ノ儘ニ
シテ置クコトハ不適當ダト存ジマスカラ、
是ハ改組致シタイト存ジマシテ只今色々
〓究ヲ致シテ居ル所デアリマス(拍手)
〔國務大臣米內光政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=22
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023・米内光政
○國務大臣(米內光政君) 今囘ノ稅增ハ金
額ニ於テ大キイノデアリマスガ、國民ハ斯
ル際デアリマスルカラ、國家ノ爲ニ負擔ノ
增加ヲ辭スルモノデナイト存ジマス、此ノ
國民ノ覺悟ヲ承知致シテ居ルノデアリマス
カラ、政府ニ於キマシテハ事變處理其ノ他
國政ノ運用ニ關シマシテ一段ト決心ヲ固
メ、更ニ努力セントスル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=23
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024・小笠原三九郎
○小笠原三九郞君 簡單デアリマスカラ當
席ヨリ發言ノ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=24
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025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=25
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026・小笠原三九郎
○小笠原三九郞君 御答辯ノ中ニ藏相ノ御
答辯ハ甚ダ不十分デアリ或ハ要點ヲ外
レ或ハ誤解セラレタ點ガアルノデハナイ
カト思ヒマシテ、甚ダ遺憾ニ存ジマスガ
特ニ私ガ戰時財政運用ノ爲ニ此ノ程度デハ
增稅ガ足ラヌノデハナイカト言ウタヤウニ
只今申サレマシタガソレハ全クノ誤解デ
アリマス私ハ一貫シテ租稅ハ多過ギルト
云フコトヲ申シタノデアリマス、其ノ點誤
解ナキヤウ一言致シマシテ、其ノ他御答辯
ノ不十分ナル諸點ニ付テハ、他ノ機會ニ之
ヲ質問セントスル者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=26
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027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 企畫院總裁ヨリ物資
動員等ノ〓略ニ付テ說明ノ爲發言ノ通〓ガ
アリマス、尙ホ之ニ對シ政府ヨリ祕密會議
ヲ要求セラレマシタ、仍テ是ヨリ會議ノ公
開ヲ停メマス、傍聽人ノ退場ヲ命ジマス
Y
物資動員等ノ〓略ノ說明ニ關スル件
〔午後四時四十五分祕密會ニ入ル〕
〔午後五時二十一分祕密會ヲ終ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ公開致
シマス、傍聽人ヲ入場セシメマスー祕密
會議ニ於キマシテハ企畫院總裁ヨリ物資
動員等ノ〓略ニ付テ說明ヲ聽取致シマシタ
ガ尙ホ明日詳細ニ說明ヲ求メルコトト決
シマシタ-此ノ際三土君ノ發言ヲ許シマ
ス
〔拍手起リ發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三土君ハ議事進行ノ
發言ヲ求メラレテ居リマスカラ之ヲ許シマ
ス(拍手)
〔三土忠造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=29
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030・三土忠造
○三土忠造君 物動計畫ニ付テ祕密會ヲ開
イテデモ詳細ニ說明セラレルヤウニト云フ
コトハ、豫算委員會デ起ツタ問題デアリマ
シノ、卽チ民政黨ノ中島君ノ質疑ニ於テ、
物動計畫ト豫算トノ關係ニ付テ幾多質問
ヲセラレマシタケレドモ、物動計畫ニ付テ
近日政府ガ機會ヲ見テ說明スルト云フコト
デアリマシタ爲ニ中島君ノ質問ニ對スル
御答辯ガハツキリシナイノデアリマス、ソ
コデ委員長ガ取計ヒマシテ、成ベク早ク此
ノ問題ヲ說明シタラ宜カラウソレマデ中
島君ノ此ノ物動計畫ト豫算ニ關聯スル質問
ハ保留サレタガ宜カラウト云フ風ニ取計ツ
タノデアリマス政府ニ於キマシテモ快ク
承諾サレテ、今日午後、本議場ニ於テハ稅
法ノ重大ナ議案ガアリマスルケレドモ、豫
算委員會ニ於テ之ト竝行シテ祕密會ヲ開イ
テ政府ガ說明スルト云フコトデアツタノデ
アリマス、然ルニ昭和十五年度ノ豫算ハ實
ニ厖大ナル豫算デアリマシテ果シテ此ノ
豫算ガ實行シ得ラレルヤ否ヤト云フコト
ハ各議員ノ頭ニ描イテ居ラレル疑惑デア
ルト思フノデアリマス(拍手)卽チ金ノ調達
ガ出來マシテモ物資ガ果シテ之ニ伴フヤ
否ヤト云フコトガ本豫算ヲ吾々ガ審議ス
ル上ノ中心問題デアリマス、ソコデ重大問
題デアリマスカラ各議員ガ是亦御聽ニナリ
タイ(「ヒヤ〓〓」)ソコデ稅法ト云フ重大ナ
法律案ト、此ノ物資動員計畫ト兩方ヲ一〓
ニ竝行スルコトハ之ヲ聽キタイト言フ議
員ニハ困ルカラ、寧ロ本議場ニ於テ稅法ノ
議事ノ進行ノ或ル程度ニ於テ之ヲ挿ンデ
全員本議場デ聽キタイト云フ御要求デアリ
マシタカラ、私ハ此ノ交涉ニ應ジタノデア
リマス、豫算委員會トシテノ豫定ヲ變更シ
テヽ本議場ニ於テ祕密會ヲ開イテ總員ガ一
度ニ聽ク機會ヲ作ルト云フコトガ最モ宜カ
ラウト思ツテ承諾シタノデアリマス、而シ
テ私ノ見ル所デハ前段申上ゲタヤウナ次
第デアリマスカラ、政府ニ於キマシテ祕密
會ヲ開キマス以上ハ、相當立入ツテ事實ヲ
餘程明ニスルニ足ルダケノ御說明ガアルモ
ノト吾々ハ期待致シタノデアリマス(拍手)
何モ吾々ハ鐵ノドレ程、或ハ石油ノドレ程
ヲ海軍ニ使フトカ陸軍ニ使フトカト云フ
コトヲ聽クノデハナイノデアリマス、國防
上ノ祕密デモ何デモナイ、產業全體ノ上ノ
問題デアリ、同時ニ又豫算ノ遂行可能ナリ
ヤ否ヤト云フ問題デアリマス、故ニ具體的
ニ相當詳細ニ說明サレルコトヲ期待致シタ
ノデアリマス、然ルニ只今企畫院總裁ノ說
明ヲ承ツテ居リマスルト、アノ位ナ說明ナ
ラバ何モ祕密會ヲ開ク必要ハナイト思フ
(拍手)是等ハ豫算ノ審議ニ當リマシテ餘程
重大關係ガアルノデアリマス卽チ本年ノ
豫算ハ只今申上ゲル通リ金ハドウニカナ
ルカモ知レマセヌケレドモ、果シテ物ガ
伴フヤ否ヤト云フコトガ豫算ニ對シテ
吾々ノ態度ヲ決メル中心問題ナノデアリマ
スカラ、今少シク政府ガ胸襟ヲ披イテ事
實ヲ事實トシテ吾々ガ諒解ガ出來ルダケ
ノ程度ニ御說明アルコトヲ希望致スノデア
リマス(拍手)餘リニ祕密々々デ是程ノ事
サヘモ言ヘヌト云フコトデ、ドウシテ此ノ
重大ナル時局ヲ切拔ケルコトガ出來ルノデ
アリマスカ吾々ハ此ノ點ヲ心配スルノデ
アリマス祕密主義ニモ程ガアルト思フノ
デアリマス、故ニ能ク吾々ノ心理狀態竝ニ
豫算ト物資トノ關係一般產業トノ重大關
係ニ付キマシテ總理大臣首メ政府ニ於キ
マシテ十分御考慮下サイマシテ明日改メ
テ說明ヲ聽クト云フコトニ只今決定致シマ
シタガ其ノ際ニ於テ詳細ニ說明セラレン
コトヲ希望致シマス(拍手)而シテ此處デ若
シ祕密會ガ續ケラレマスナラバ、引續イテ
吾々ハ豫算委員會ニ於テ、其ノ說明サレタ
コトニ付テ尙ホ立入ツテ御質問スルコトヲ
申上ゲテ置キマス、卽チ政府ニ今少シク
吾々ガオ互ニ滿足ガ出來ル程度ニ、虛心坦
懷ニ、此ノ時局ヲ與ニ倶ニ擔當スルト云フ
御方針ノ下ニ說明セラレタイト云フコトヲ
希望致シテ置ク次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=30
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031・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ質疑ヲ延期シ、明九
日定刻ヨリ特ニ本會議ヲ開キ之ヲ繼續スル
コトトシ、本日ハ是ニテ散會セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=32
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033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ
是ニテ散會致シマス
午後五時三十三分散會
衆議院議事速記錄第八號中正
誤
頁段行誤正
三Illan事業事變
三三二一一ノミハノミデハ
一一三五現衆現象
一九初メテ初メテノ
一一一四二對テ對シテ
三二謂ハレデ謂ハレテ
四一一三四意思トカ意思ト力
九九九九九九九九九八八八八八八八四二三緊縮緊肅
九八七七六六四一一八六六四四基確基礎
二一一不安除去不安ヲ除去
一七月二十七日七月二十六日
一一三巧利的功利的
二六丈六文、
三二七刮然豁然
三一八-一九桂冠挂冠
四一向フカヲ向フカラ
100二四五七一採メ決テ集メテ
100一裁決
一○二採決裁決
101四四三四一四四三三四太洋大洋
101一五新官方實ニ遺憾ニ
一〇六三テ併シ
一〇八七整竝ニ」
一〇八二多養生會養正會
一〇九二lam時ノ當時ノ
一〇九五五サレマスルサレマスルヤ
一〇·九一一四三一落目落日
一三一-一一「ポスター」)「ポスター」
一三二〇〇有スル有ユル
一一二二九補弼輔弼
一三四一九當初以來當初以來ノ
一一三二→愼ンデ謹ソデ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X00919400208&spkNum=33
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