1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十五年三月十九日(火曜日)
午後一時三十四分開議
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議事日程 第二十八號
昭和十五年三月十九日
午後一時開議
質問
一 英國軍艦か淺間丸より獨逸人船客を拉致したる事件に關する質問(清瀬一郎君提出)
二 北海道廳長官の白米卸賣價格指定に關する質問(北勝太郎君提出)
三 官紀振肅に關する質問(曾和義弌君提出)
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第一 昭和十五年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 支那事變に關する一時賜金として交付する爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 外國爲替管理法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 神宮關係特別都市計畫法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 都市計畫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 國民體力管理法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第七 市町村義務教育費國庫負擔法改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 現役小學校教員俸給費國庫負擔法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 職業紹介法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 諸般ノ報〓ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
〓瀨一郞君提出英國軍艦カ淺間丸ヨリ獨
獨人船客ヲ拉致シタル事件ニ關スル質問
ニ對スル答辯書
曾和義式君提出官紀振肅ニ關スル質問ニ
對スル答辯書
英國軍艦カ淺間丸ヨリ獨逸人船客ヲ拉
致シタル事件ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十五年一月二十二日
提出者〓瀨一郎
英國軍艦カ淺間丸ヨリ獨逸人船客ヲ拉
致シタル事件ニ關スル質問主意書
昨二十一日午後零時半日本郵船株式會社
汽船淺間丸カ野島崎沖ヲ航行中突如英國
巡洋艦ニ停船ヲ命セラレ臨檢ヲ受ケタル
後獨逸人乘客二十一名ハ拉致セラレタリ
ト謂フ
ー政府ハ右英國軍艦ノ行爲カ國際公法
ニ合シタルモノナリト考フルヤ一九〇
九年「ロンドン」宣言第四十七條ニハ
「敵國軍ニ編入セラレタル一切ノ人員
ニシテ中立商船內ニ在ル者ハ該船舶ヲ
拿捕スルコトヲ得サル場合ト雖モ之ヲ
俘虜ト爲スコトヲ得」ト在リ然レトモ
獨逸及我カ國ノ如キ徵兵制ヲ布ケル國
ニ於テハ豫後備ノ軍籍ニ在ル者ト雖未
タ召集ヲ受ケサル者ハ軍ニ編入セラレ
タル者ト爲スヘキニ非サルコトハ勿論
ナリ又英國大使館側ノ言明トシテ商船
士官及乘組員ハ之ヲ俘虜ト爲シ得ル如
ク陳述シタリト傳ヘラルルモ海戰ニ於
ケル捕獲權行使ノ制限ニ關スル條約(一
九〇七年)ニ於テモ捕獲シタル商船內
ニ於ケル船長及職員ヲ俘虜ト爲スノ規
則アレトモ中立船內ニ在ルトキハ曾テ
船長又ハ船員ノ經歷アル者ト雖俘虜ト
爲スコトヲ得スト考フ政府ハ英國軍艦
ノ處置ヲ適法ナリト考フルヤ
二コレヨリ先本月十三月我カ海軍省係
官ハ在京英國大使館附武官ニ對シ現ニ
軍籍ニ在ル場合以外ハ之ヲ拉致セサル
ヤウ申出ヲ行ヒ越エテ十五日ニハ重光
駐英大使ヨリ直接英國政府ニ對シ同樣
趣旨ノ申出ヲ爲シタルカ如シ然ルニ英
國側ハ今日ニ至ル迄右交涉ニ對シ何等
ノ囘答ヲ爲サス今囘ノ處置ニ出テタル
モノノ如シ斯ノ如キハ國際禮讓ニ反シ
我カ國ニ對シ非友誼的行爲ナリト考へ
サルヤ政府ノ所見如何
三獨リ今囘ノ事件ノミナラス近時英國
軍艦カ我カ近海ニ出沒シ頻々トシテ我
カ國船舶ニ對シ停船要求其ノ他ノ行爲
ヲ爲スカ如シ斯ノ如キハ帝國ノ威信ヲ
害スル不遜行爲ナリト考ヘサルヤ政府
ノ所見如何
四本件ニ關シ政府ハ如何ナル處置ヲ執
リタルヤ·
右及質問候也
昭和十五年三月十九日
內閣總理大臣米內光政
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員〓瀨一郞君提出英國軍艦カ淺
間丸ヨリ獨逸人船客ヲ拉致シタル事件ニ
關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員〓瀨一郞君提出英國軍艦カ
淺間丸ヨリ獨逸人船客ヲ拉致シタル事
件ニ關スル質問ニ對スル答辯書
帝國政府ハ今次英國軍艦ノ行動ヲ國
際法上適法ナラスト思考ス
英國政府ハ公海ニ於テ平和航海ニ從事
シ居ル中立船舶ヨリ拉致シ得ル敵國人
ノ範圍ニ付テ規定シ居ル「ロンドン」宣
言第四十七條ニ獨得ノ解釋ヲ加ヘ且
「ロンドン」宣言ハ調印國ニ依リ批准セ
ラレ居ラス從テ何等拘束力ナキモノナ
リトシ而シテ平和的航海ニ從事スル中
立船舶ヨリ敵國人ヲ拉致スル慣行ハ國
際法上確立セラレタル原則ナリト主張
シ居レリ併シナカラ帝國政府ノ見解ニ
依レハ「ロンドン」宣言第四十七條ハ英
國側見解ノ如ク解スヘキモノニ非サル
コトハ當時ノ關係書類ニ依ルモ明瞭ニ
シテ又「ロンドン」宣言ハ批准セラレサ
リシト雖モ同宣言カ海戰ニ關スル種々
ノ主義ノ合理的ナル調整及妥協ヲ組成
スルモノナリト認メラレ多數ノ國ニ於
テ其ノ國內法ヲ以テ之ニ遵依シ居ル事
實ニ顧ミ國際法上ノ準則タルヘキモノ
ナリ更ニ若シ英國側主張ノ如ク同宣言
ヲ全然無効ナルモノトセハ寧ロ公海ニ
於テ平和的航海ニ從事スル中立船舶ヨ
リ敵國人ヲ拉致シ得ストスル一般原則
ニ從フヲ要スルモノナリ
帝國政府ハ斯カル理由ヨリシテ英國軍
艦今次ノ行動ハ適法ナラスト思考スル
モノナリ
二、英國政府ハ交戰國人抑留ニ關スル帝
國政府ノ見解ヲ承知シ居ルニモ拘ラス
之ヲ無視シ且帝國領土至近ノ距離ニ於
テ今次ノ如キ行動ヲ執レルハ非友誼的
行爲ナリト思考ス
三、英國軍艦ノ帝國近海ニ行動セル主目
的ハ本邦領域內ニ遁入シ居ル獨國船舶
ノ脫出ニ備ヘ居ルモノト認メラレ之カ
爲疑ハシキ船舶ヲ尋問臨檢スルハ交戰
國軍艦トシテ一般ニ認メラルル權利ナ
ルモ帝國領域ニ甚シク接近シテ帝國船
舶ノ行動ヲ阻碍スルカ如キハ禮讓ニ反
スルモノト思考ス仍テ政府ハ右ノ如キ
場合ニ於テハ其ノ都度注意ヲ喚起シ居
レリ
四、本件ニ關シ政府ノ執リタル處置ハ旣
ニ一一月一日及二月六日本大臣ヨリ帝國
議會ニ報告シタリ
右及答辯候也
昭和十五年三月十九日
外務大臣有田八郞
官紀振肅ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十五年三月十四日
提出者曾和義弌
官紀振肅ニ關スル質問主意書
本議會ニ提出セラレタル會計檢査院ノ昭
和十三年度歲入歳出決算檢査報告ニ依レ
ハ同年度ニ於ケル豫算又ハ法律勅令ニ違
背シタル事項ハ殆ト全各省ニ亙リ總テ四十
八件金額ニ於テ三千五百八十二萬餘圓ノ
巨額ニ上リ外ニ國有財產ノ管理其ノ宜シキ
ヲ得サルモノ一件アリ而シテ之ニ對スル當
局ノ答辯ハ大體ニ於テ其ノ不當不法ナル
コトヲ認メ又然ラサル旨ヲ釋明セルモノ
モ多クハ之ヲ認ムルコトヲ得サル迄ニ理
由薄弱ナルカ如キ如何ニ官紀ノ弛緩セル
カヲ窺フニ足ルヘク斯ノ如キハ單ニ同年
度ノミナラス年々繰返サレツツアリ而モ
此ノ檢出セラレタルモノハ不當不法行爲
ノ全部ニハ非スシテ他ハ〓ネ既ニ何カノ
機會ニ於テ上司等ニ發見セラレテ穩便ニ
解決シタルモノアリ或ハ賠償等ノ責ヲ果キ
スシテ馘首免官サレ何人カカ之カ辻褄ヲ
合セテ漸ク檢察ノ目ヲ免レタルモノアリ
是レ今日官吏ノ間ニ滅私奉公ノ至情殆ト
缺如シ却テ己一個ノ榮達ヲノミ希ヒ其ノ
及ハサルヲ知ルニ至リテハ姑息偷安ニ流
レテ其ノ職ヲ曠ウシ甚シキハ其ノ地位職
掌ヲ利シ機ヲ見テハ奇貨居クヘシトシテ
私腹ヲ肥シ國家公共ヲ害毒セムトスルノ
徒良吏ノ間ニ介在セルニ依ラスムハ非ス
今ヤ時局ニ伴ヒ國家ノ財政頓ニ膨脹シ事
業施設愈複雜多岐トナリ從テ出納件數竝
金額モ數年前ノ比ニアラス彼等不良ノ徒ノ
惡事ヲ爲サムトスル好機到レルモノト謂
フヘシ寔ニ寒心ニ堪ヘサルナリ今ニシテ
厲聲一番戒飭ヲ爲シ之ヲ取締ルノ實ヲ擧
ケスムハ遂ニ悔ユトモ及ハサルヘシ
-政府ハ斯ル惡氣風ノ相當深刻ニ一部
吏僚間ニ浸透セルヲ認ムルヤ
二吏僚間ノ自由主義、功利主義、立身
出世主義ノ弊風芟除ノ爲如何ナル方策
ヲ執ラムトスルカ
三分限令ノ運用宜シキヲ得ル爲ノ如何
ナル用意アリヤ
四官吏身分保障令撤廢ヲ斷行スル意志
アリヤ
五今後豫算ノ執行上斯ル惡事(背任、
橫領、瀆職、收賄等)ヲ根絕スルニ如
何ナル具體的方法ヲ執ラムトスルカ
六各官廳吏員ノ出廳退廳ノ現狀ヲ以テ
服務上總テ適正ナリト思惟スルヤ
七各省各局各課ノ間ニ於テ著シキ事務
繁閑ノ差アルヲ如何ニ是正セムトスルカ
右及質問候也
昭和十五年三月十九日
內閣總理大臣米內光政
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員曾和義弌君提出官紀振〓ニ關
スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員曾和義式君提出官紀振肅ニ
關スル質問ニ對スル答辯書
政府ハ會計檢査院ノ報告ニ鑑ミ今後一層
執務ノ監督ニ意ヲ用ヒ官吏ノ指導訓練ニ
付遺憾ナキヲ期シ度キ考ナリ、尙官吏制
度ニ付テハ愼重考究ノ上善處セントス
右及答辯候也
昭和十五年三月十九日
內閣總理大臣米內光政
大藏大臣櫻內幸雄
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
樺太ニ衆議院議員選擧法施行ニ關スル建
議案
提出者
石坂豐一君沖島錄三君
坂東幸太郞君服部英明君
岡田忠彥君
理容師法案
提出者
內藤正剛君中山福藏君
本田彌市郞君西村金三郞君
所得稅法改正法律案(政府提出)ニ對スル
修正案
提出者
川崎克君小山倉之助君
小笠原三九郞君立川平君
所得稅法改正法律案(政府提出)ニ對スル
修正案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
所得稅法改正法律案(政府提出)ニ對スル
修正案
提出者
藤本捨助君北勝太郞君
法人稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者佐竹晴記君
營業稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
物品稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
遊興飮食稅法案(政府提出)ニ對スル修正
案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
通行稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者佐竹晴記君
入場稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
地方稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者
松永義雄君道家齊一郞君
北勝太郞君
地方稅法案(政府提出)ニ對スル修正案
提出者佐竹晴記君
(以上三月十七日提出)
一去十七日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタル常
任委員左ノ如シ
第三部選出豫算委員小田榮君
第九部選出豫算委員松尾孝之君
一去十七日特別委員理事補關選擧ノ結果左
ノ内)
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提出)
委員
理事伊藤五郞君(理事土屋寛君去
十五日委員辭任ニ付其ノ補關)
理事中田儀直君(理事森幸太郞君
去十五日委員辭任ニ付其ノ補
關
一去十七日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
鑛業法中改正法律案(政府提出)外一件委
員
辭任小柳牧衞君補關川崎末五郞君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提出)
委員
辭任須永好君補闕野溝勝君
辭任岡野龍一君補關長野綱良君
辭任今成留之助君補闕松尾四郞君
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)
外五件委員
辭任矢野庄太郞君補闕池本甚四郞君
日本肥料株式會社法案(政府提出)委員
辭任西川貞一君補闕世耕弘一君
「昨十八日常任委員理事補關選擧ノ結果左
/カツ)
豫算委員
理事板谷順助君(委員增永元也君
昨十八日理事辭任ニ付其ノ補
關
理事西尾末廣君(委員塚本重藏君
昨十八日理事辭任ニ付其ノ補
關
一昨十八日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如
シ
第三部選出
豫算委員山元亀次郞君(小田榮君補
關
第九部選出
豫算委員安藤正純君(松尾孝之君
補關)
昨十八日特別委員理事補關選擧ノ結果左
ノ如シ
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提出)
委員
理事淺井茂猪君(理事中田儀直君
昨十八日委員辭任ニ付其ノ補
關
一昨十八日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如
シ
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提出)
委員
辭任中田儀直君補關淺井茂猪君
辭任山本条吉君補關堀內良平君
日本肥料株式會社法案(政府提出)委員
辭任小平重吉君補闕倉元要一君
一昨十八日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル
左ノ政府提出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ
通牒ヲ受領セリ
(第三號)昭和十四年度歲入歲出總豫算追
加案
(特第二號)昭和十四年度特別會計歲入歲
出豫算追加案
(追第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルベキ
契約ヲ爲スヲ要スル件
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、本日ノ日程ニ揭ゲマシタ質問一及ビ三
ハ何レモ政府ヨリ答辯書ヲ受領致シマシ
タ、仍テ日程ヨリ之ヲ省キマス、尙ホ質問
二ハ、提出者ノ申出ニ依リ之ヲ延期致シマ
ス、〓瀨一郞君ヨリ質問ノ答辯ニ對シ意見
陳述ノ申出ガアリマス、此ノ際之ヲ許シマ
ス-〓瀨一郞君
質問ノ答辯ニ對スル〓瀨一郞君ノ意見
陳述
〔〓瀨一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=2
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003・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 所謂淺間丸事件ニ關シ豫テ
質問書ヲ提出致シテ置キマシタ、然ル所先
刻政府ヨリ遽々然トシテ書面ヲ以テ御答ニ
ナリマシタ、拜見致シマシテモ、私ノ質疑
ノ趣旨ヲ御取違ヘニナツテ居ル、又此ノ事
ニ付テハ爾來國民ノ疑惑ハ一層深カラント
致シテ居リマスカラ、此ノ答辯書ニ關シ更
ニ意見ヲ開陳致シテ、政府ハ何時ニテモ議
會ニ御發言ノ權利ヲ持ツテ居ラルルノデア
リマスカラ、私ノ申スコトガ間違デアレバ
御是正ヲ願ヒタイ、又積極的ニ國民ノ疑惑
ヲ解クノ御親切ガアルナラバ、私ノ至ラヌ
所ニ付テ補充アランコトヲ豫メ希望致シテ
置キマス、少シ日ガ經チマシタガ故ニ、此
ノ件ノ起リヨリ大體ノ經過ノ〓略ヲ先ヅ申
上ゲテ、次ニ私竝ニ世間ノ疑トスル點ニ及
ビタイト思ヒマス
事ノ起リハ一月九日ト思ヒマス、一月ノ
九日ニ英吉利政府ヨリ我國ニ向ツテ、中立
國ノ船船ノ上ニ交戰國人ガ乘ル場合ニ於テ
ハ、現ニ軍ニ編入セラレザル者ト雖モ、十
八歲以上五十歲マデノ者ハ、英吉利トシテ
ハ之ヲ拉致スルコトガアル旨ノ公式ノ書面
ガ參ツテ居ルノデアリマス、ソレガ一月ノ
九日デアル、之ニ對シ何カ我國ノ武官ヨリ
申出デタ趣デアリマスルケレドモ、是ハ公
式ノ外交折衝ヲ開イタト云フコトニハナツ
テ居リマセヌ、斯ノ如クシテ經過致シマシ
タガ、國民何人モ忘レマセヌ一月ノ二十一
日正午過ニ、野島崎ノ沖デ我國郵船淺間丸
ガ停船ヲ命ゼラレ、乘客タル獨逸人五十名
中二十一名ガ拉致セラレタ、丁度ソレガ報
道セラレマシタノハ、翌二十二日ノ朝デ、
議會再開ノ當日デアツタ、ソコデ私ガ當日
直チニ出シタ質問書ガ是ナノデアリマス、
一月二十二日ノ晩ニハ、外務省ヨリ英吉利
ニ抗議ヲ提出シタ、ソレカラ五日經ツテ、
一月ノ二十七日ニ英吉利カラ囘答ガ來タノ
デアリマス、後ニ分ツタコトデアリマスル
ガ、其ノ全文ハ十三項ヨリ成ツテ居ル、後
ニ政府ガ發表シタ所デアリマスルガ、其ノ
第二項ノ終リニ、併シナガラ英國政府ハ今
次ノ如キ事件ガ、首都ノ間近ニ於テ發生ヲ
見、日本ニ於テ深刻ナル憤激ヲ誘起シタデ
モアラウコトハ、大イニ遺憾トスル旨ノ文
字ガ附記サレテ居ルノデアリマス、是ガ後
ニ私ノ質問ノ要點ニ關係致シマス、ソレガ
一月ノ二十七日、二月ノ一日ニハ、日本カ
ラ英吉利ヘ再通〓ヲ致シマシテ、其ノ劈頭
ニハ英吉利ガ遺憾ノ意ヲ表シタコトハ、
之ヲ諒承スルコトヲ欣幸トスルト云フ旨ヲ
表示シテ居ラレル、是モ後ニ問題ニナリマ
ス、斯クテ議會ハ再開サレマシテ、二月ノ
五日ニ英吉利カラ我國ニ更ニ囘答書樣ノモ
ノヲ寄セテ來マシタソレニハ英吉利ハ
本件ヲ圓滿ニ解決セントスル英國政府ノ願
望ノ證據トシテ、右乘組員中九名ヲ釋放シ
マスト云フコトガ書イテアル五日ノ日ニ
之ヲ握リマシテ、六日ニ有田外務大臣ガ帝
國議會ニ經過ヲ發表サレタ、併シナガラ發
表サレマシタ經過ニ依リマシテモ、其ノ晩
ニ倫敦ト東京ノ同時發表ニ依リマシテモ
日本ガ是カラ交戰國人中軍ニ編入サレタル
者ノ外ニ、編入サレル疑ノアル者ヲモ船ニ
乘セヌト云フコトヲ、英吉利ト協定シタト
云フコトハ現ハレテ居ラヌソコデ疑ガ生
ズル、然ルニ不思議ナコトニハ二月ノ七
日「遞信省告示第二百七十四號」ト云フ〓示
ガ發表サレタ、二月十日ニハ「鐵道省告示
第五十二號」ト云フモノガ發表サレマシタ、
ココデ全國民ハ非常ナル疑ヲ持ツニ至ツタ
ノデアリマス
遞信省ノ〓示ヲ煩ハシイケレドモ、十十
讀ンデ見マス、二月七日「遞信省告示第二百
七十四號、海運統制令第六條ニ依リ昭和十
五年二月五日ヨリ日本ノ運航業者ニ對シ歐
洲交戰國人ノ內軍隊ニ編入セラレ居ル者(其
ノ疑アル者ヲモ含ム)ノ乘船引受ヲ禁止セ
リ昭和十五年二月七日、延信大臣勝正憲」
ソレカラ二月十日ノ鐵道省告示第五十二號
ト云フモノガアル、是モ簡單デアリマスル
カラ讀ンデ見マス、「昭和十五年二月十日ヨ
リ下關釜山間連絡船ニ歐洲交戰國人ノ內軍
隊ニ編入セラレ居ル者(其ノ疑アル者ヲ含
ム)ノ乘船ヲ禁止ス、昭和十五年二月十日、
鐵道大臣松野鶴平」斯ウ云フモノガ出テ居
ルノデス
ソコデ疑問ノ第一ハ、斯ウ云フコトナン
デス、軍ニ編入セラレテ居ル者、其ノ他ニ
其ノ疑アル者、之ヲ日本一般ノ船ハ申スニ
及バズ、關釜連絡船ニ乘セナイ、東京ト京城
ヲ繋グ幹線デアル所ノ關釜連絡船ニ、疑ア
ル者ノ乘船ヲ禁ズル、其ノ事自身ガ旣ニ海
戰法規第八十二條ノ精神ニ反シテ居リマス、
又外務省自身ノ發セラレタ二月一日ノ我方
ノ國際法ノ解釋トモ反シテ居ル、ガデス、
海戰法規ナリ、日本ノ國際公法ノ解釋ニ反
シタ、此ノ二月七日乃至十日ノ遞信省告示、
鐵道省告示、斯ウ云フモノガ一體何カ國內
的ノ必要デ、偶然ニモ淺間丸事件ノ前後ニ
發セラレタノカ、ソレトモ英吉利トノ間ノ
外交交涉ノ結果、斯ウ云フモノヲ日本ガ發
スルト云フコトヲ、英吉利ニ約束ノ上之ヲ
入レタノカ、今支那ト戰爭シテ居ル最中
デアルカラ、何カ國內法條ノ必要ガアツ
テ、關釜連絡船ニ獨逸人ヲ乘セルコトハ
宜シクナイト云ツタヤウナコトガアツ
タノナラ、是ハ別デス、併シ日本ガ名
譽ノ侵害ヲ受ケタト云フ淺間丸事件ノ解決
方法トシテ、更ニ關釜連絡船ニ我國ノ海戰
法規ヲ無視シタ所ノ命令ヲシナケレバナラ
ヌ一札ヲ英吉利ヘ入レタノデアツタラ、國
家ノ威信ヲ失墜スルコト非常ニ大デアリマ
ス(拍手)
ソコデ此ノ問題ヲ〓究スル爲ニハ、色々
ナ〓リクドイ議論ヲスルヨリモ、此ノ一點
ヲ決メレバ此ノ事ハ解決スル、英吉利ノ方
デハ我國ニ不完全デハアルケレドモ遺憾ノ
意ヲ表シタ、一寸我國ヲ揶揄シタヤウナ書
方デアリマス、假定デ、「シユッド·ハブ」
若シ日本ガ憤慨シタノデモアツタナラバ
ソレハオ氣ノ毒ト云ツタヤウナ意味ニモ解
釋出來マスケレドモ、兎モ角モ遺憾「リグ
レット」ト云フ字ハ使ツテアルソコデ問
題ハ是デ分ル、若シモ此ノ遺憾ト云フ文字
ガ、本當ニ外務大臣ガ御發表ノ通リ一月二
十七日「クレーギー」ガ初メテ文書ヲ持ツテ
來タ時ニ、遺憾ト云フ文字ガ初メカラアツ
タノデアルナラバ獨逸人ヲ關釜連絡船ニ
乘セヌト云フコトハ、交換條件デナカツタ
トモ言ヘル、併シナガラ此ノ遺憾ト云フ文
字ガ實際ハ初メニナクシテ、段々交涉シタ
後ニ、後カラ遡及シテ挿入サレタト云フノ
デアツタラ、其ノ交換條件トシテ獨逸人ヲ
乘セナイト云フ文句ヲ、日本ガ入レタト云
フコトニ相成ルノデアリマスカラ、問題ヲ
簡單ニシテ、ソレデ分ルト云フコトニ爭點
ヲ決メル爲ニハ、遺憾ノ意ヲ表スト云フ英
國ノ文字ハ、本當ニ實際ニ一月二十七日ニ
「オリヂナル」ニアツタノカ、ソレトモ其ノ
後或ル時期ニ於テ、三十日又ハ一日ニ於テ
交涉ノ結果、日本モソレデハ斯ウ云フコト
ヲスルカト云ツタヤウナ題ヲ出サレテ、交
涉妥結ノ結果入ツタノデアルカ、斯ウ云フ
風ニ問題ヲ決メテ行キマスト、枝葉ニ散ラ
ナイデ事ガハツキリスル、是ガ私ガ遺憾ノ
意ヲ表スルト云フ文字ハ、本來カラ英吉利
ノ通告文ニアリマシタカ、ソレトモ有田外
相谷次官ノ御交涉ノ結果、後ニ入レルコ
トニナツタノデアリマセウカト云フコトヲ
聽イタノハ、此ノ故ナノデス、形式論ヲス
ル積リデハナイ、問題ノ本質ヲ穿ツガ爲ニ
ハ、之ヲ必要トシタ、ソレニ對シテ有田外
相ハ、二月六日ノ此ノ本會議ノ席土ニ於テ
モ、十日ノ豫算委員會ノ席上ニ於テモ、初
メカラソレハアツタノダト云フ御主張ヲナ
サツテ居ル、貴族院ニ於テ建部氏ガ同ジ問
ヲ起シタ時ニハ、ソレニハ答辯シナイデ、
衆議院デノ質問者ハ、天ニ唾シタト云ツタ
ヤウナ、無禮ナ言ヲ弄サレテ、此ノ答ヲ排
棄サレテ居ル、私ハ法律家デスガ、前ニ遡
及シタカラ、ソレハ文書僞造ダトカ、ソン
ナ小癪ナコトヲ言フノデハアリマセヌヨ、前
ニ遡及スルコトモアリ得ル、交涉ノ都合デ
ハアリ得ルノデス、ケレドモ前ニ遡及シテ、
二十七日カラアツタノカ、或ハ二月一日ニ
初メテ入ツタノカト云フコトハ、關釜連絡
船ニ獨逸人ヲ乘セナイト云フ此ノ約束ハ
交換條件トシテヤラレタカドウカ、日本ノ
國威ガ失墜スルカ否ヤノ岐レ目ニナツテ居
ルノデス、岐路ニ立ツテ居ルノデス、將來
ノ歷史ノ爲ニ、私ハ非常ニ重要ナル一事實
ト思ヒマス、有田外相其ノ他政府ノ責任者
ニシテ若シ確信ガアルナラバ-確信ナシ
ニ場面ヲ修飾スルヤウナ御答ナラバ私
頂戴シマセヌ、本當ニ確信ガアルナラバ
モウ一遍言ツテ御覽ナサイ、私ハドウシテ
モ一月二十七日ニハ、此ノ文字ハナカツタノ
ダト云フコトヲ、今尙ホ信ジテ居リマスル
理由ヲ四五擧ゲテ、更ニ政府ノ所信ヲ質シ
タイ
一月二十七日ニ「クレーギー」ガ囘答ヲ持
ツテ來タノハ、午後ノ二時頃デアツタト思
ヒマス、外相自身御記憶デアリマス、其ノ
晩ノ八時ニ、外相ノ下僚デアル須磨情報部
長ハ、一ツノ談ヲ發表サレテ居ル、本日
ㄱクレーギー」ノ持ツテ來タ囘答文ハ長文ノ
モノデアツタ、併シナガラ法律問題ニ終始
シテ居ル、何等政治上ノ考慮ヲシテ居ラヌ
ト云フコトヲ發表セラレテ居リマス、サウ
スルト其ノ時ニ、須磨情報部長ハ此ノ囘答
書ヲ讀ンデ居ル、長文デアルト云フコトハ、
後カラノ事實ト符合シテ居ル、十三項アリ
きくち而シテ法律問題ニ終始シテ居ルト云
フコトハ卽チ此ノ時ニハ「リグレットㄴ
遺憾ノ意ハ表シテ居ラヌト云フコトヲ、
須磨サンガ言ツテ居ルニ相違ナイヽ若シ一
月二十七日ニ英吉利ガ旣ニ遺憾ノ意ヲ表シ
テ居ツタノデアツタナラバ、國民ノ爲ニ其
ノコトヲ言ハナケレバナラヌ、英吉利カラ
遺憾ノ意ヲ表シテ來タ、不完全ダケレドモ、
ソレダケハ來テ居ルゾト云フコトヲ國民ニ
示サナケレバナラヌノヲ、遺憾ノ意ノ表明
ナシト云フコトデ、却テ國民ヲ刺戟シタ結
果ニナルソンナ無責任ナコトヲサレル情
報部長ハ、私ハナカラウト思フ、是ガ私ノ
疑問ノ一ツデアリマス、玆ニ牽聯シテ此ノ
事實ヲ申上ゲマスルガ、須磨情報部長ノ談
ハ英吉利ニ電報サレテ居ル英國ニ電報サ
レテ、二十八日ノ朝ノ「タイムス」ニ載ツテ
居ル、之ニ依ルト須磨情報部長ハ、英吉利
ノ「ノート」ハ、法律ノ說明ノ外何物ニモア
ラズト云フコトヲ言ツテ居ル「ナッシング·
バット·リーガリステイック·エキスポジショ
ン」斯ウ云フ風ニ英國ニ打電サレテ居リ
さく、揉潰スコトハ出來ナイ、ソコデタ
イムス」ノ記者ハ斯ウ云フコトヲ言ツテ
居ル、日本ハナント言ウテモマダ若イ國柄
デアツテ、其ノ地位ニ付テハ神經過敏ナノ
ダ、斯ウ云フ場合ニ必要ナコトハ、日本人
ノ妄想「オブセッション」ヲ覺シテヤルヤウ
ナ何物カヲ與ヘテヤルノ外ハアルマイト云
フコトヲ批評シテ居ル、若シモ二十七日ニ
遺憾ノ意ヲ表シテ居ツタラ、ソンナ無禮ナ
コトヲ英吉利ノ新聞ガ言フベキ筈ノモノデ
ハナイ、ダカラ遺憾ノ意ハ初カラ表セラレ
テ居ラヌト、此ノ一事デモ私ハ考ヘザルヲ
得ヌノデアリマス
第二ニ、一月二十七日カラ二月六日マデ
十日間、日本ノ國論ハドウデアツタカ、新
聞ト云フ新聞、如何ナル日刊新聞デモ、淺
間丸事件ヲ取上ゲザルモノハナイ、新聞ノ
社說ハ色々アルガ、要スルニ英國陳謝セヨ
ト云フコトデアツテ、私共ハ演說會モ開イ
タ、結局ハ二十一人ヲ取戾セ、英國ヲ陳謝
セシメヨト云ウテ、十日間モ國民ガ英國ニ
陳謝ヲ求メテ居ルノニ、若シ二十七日ニ陳
謝狀ヲ有田サンガ懷ロニ入レテ居ツタト云
フナラバ、是ハ甚ダ職務ニ對シテ相濟マヌ
(拍手)諸君ハサウ言フケレドモ、英國ハ實
ハ不完全ダケレドモ、陳謝ハシテ居ルノダ
ト云フコトヲ、國民ニ發表シナケレバナラ
ヌ筈デアリマス、ソレヲ御發表ニナツテ居
ラヌ、ダカラ二十七日ノ陳謝ハ、アレハ嘘
デアリマセウ、本當ニアツタナラバ、アナ
タハ任務ニ違反シタモノデアル、今日只今
ノ「メール」デ、是亦二月七日附ノ「タイム
ス」ガ到著シマシタ、之ニ依リマスルト、
有田サンモ歸ツテ御覽ヲ願ヒタイ、アナタ
ノコトハ大變褒メテ書イテアリマス、ソレ
ニ依ルト、大體ノ意味デ言ヒマスケレドモ、
此ノ外交ハ常識ニ適ツタコトダ、英吉利ノ
方デ日本ニ深刻ナル憤激ヲ起サシタコトヲ
遺憾ナリト稱ヘタコトハソレガ爲ニ英國
ノ外交ノ弱カツタコトヲ證明スルモノデハ
ナイノダ、何トナレバ、日本ハ其ノ交換條
件トシテ、今後ハ單ニ編入セラレタル者竝
ニ軍ニ編入セラレル疑アル者ヲ、船ニ乘セ
ヌト云フコトヲ約束シテ居ルノダ、斯ノ如
キ約束ガアルコトカラ見レバ、英吉利ノ本
來ノ態度ガ正シカツタト云フコトヲ、日本
ガ承認シテ居ルノデハナイカ、ダカラ遺憾
ト云フ文字ヲ使ツテモ、是ハ何デモナイノ
ダ、斯ウ云フノデス、代價トシテト云フ文
字ハ、「ラテン」語デ「クイッドプロク
オ」ト書イテアリマス、英語デ「サムシン
グ、フォア、サムシング」交換物デス、卽
チ遺憾ト云フ文字ヲ使フ交換物トシテ、代
價トシテ、日本ハ是カラハ交戰國軍人及ビ
軍ニ編入サレタル疑アル者ヲモ、船ニ乘セ
ナイト云フ交換物ヲ出シタノダカラ、其ノ
交換物ノ代價トシテ「レグレット」ト云フ文
字ヲ使ツテモ、別段英吉利ノ國威ハ失墜セ
ヌト云フコトヲ言ツテ居ル、是ハ新聞記事
デス、新聞記事ダカラト云フ御答ガアルカ
分リマセヌケレドモ、玆ニ私ハ文句ガアル、
二月七日ノ朝刊デアル鐵道省ノ告示ヲサ
レタノハ二月十日デアリマス、遞信省ハ同
ジ七日、吾々日本人ハ、マダ此ノ時、二月十
日以前ニハ交戰國人ハ軍ニ編入セラレヌ
デモ、疑アル者サヘモ日本ハ船ニ乘セヌノ
ダト云フコトヲ知ラナイ時ナノダ、其ノ以前
ニ書イテアル新聞デアリマスルガ故ニ、「タ
イムス」ニハ占者ガ居ル譯デモアリマセヌ
(拍手)英國ノ內部カラ漏レタモノデアルト
考ヘザルヲ得ナイ、サウスルトヤハリアナ
タ方ハ、國民ニハ默ツテ居ラレルケレドモ、
吾々ニハ此ノ消息ハ御傳ヘニナラヌケレド
モ、英吉利ニ對シテハドウカ、國民ガ騒グ
カラ遺憾ト云フ文字ヲ何トカ入レテ吳レ、
サウスルト獨逸人ハ軍人デモ疑アル者デモ
之ヲ乘セヌ、日本ノ幹線デアル下關釜山連
絡船ニマデモ之ヲ乘セヌノダカラ、之ヲ入
レテ吳レト云フ內證ノ密約、闇取引ヲアナ
タハナサツテ居ルト云フコトヲ、證明サレ
テ居ルノデアリマス(拍手)私ハ非常ニ明瞭
ナコトト思フ、實ニ殘念ナコトデアリマス、
私ハ所謂消息通デモ何デモナイ、所謂聾棧
敷ニ居ル一人デアリマスルガ、ソレデモ此
ノ事ハ能ク分ル、有田「クレーギー」會見ハ
二十七日ガ第一囘、二十七日ノ會見ノ後デ
ハ公文ハ當分公表セヌト云フコトデアツ
ク、是モ須磨情報部長ノ發表デアリマス、
其ノ時ニ「レグレット」ガアレバ公表サレテ
居ル、當分此ノ公報ハ公表セヌト云フ理由
デ、先ヅ御押ヘニナツテ居ル、第二囘ノ會
見ハ三十日ニナツテ居リマス、三十日ノ會
見後ノ須磨情報部長ノ發表ハ、淺間丸問題
ヲ有ユル角度カラ討議サレテ居ルト云フコ
トデアツタ、第三囘ハ三十一日デアリマシ
タガ、此ノ時ノ須磨情報部長發表ハ、頁ノー
實際的竝ニ政治的考慮ニ依ツテ、約一時間
ニ亙ツテ討議ヲシタ、前後ハ少シアリマス
ケレドモ、要點ヲ言ヒマスト、斯ウ云フコ
トナノデス、卽チ此ノ間ニ英國ト妥結ノ上、
此ノ文字ガ挿入サレダノデハアルマイカ、
神明ニ誓ツテサウデナイト云フコトヲ言ヘ
ルナラ言ツテ御覽ナサイ、必ズサウアルベ
キモノデアリマス、要スルニ先ヅ「レグレッ
ト」條項ノ成立シタ時ヲ押ヘテ、果シテ是ガ
我國ノ國威ニ重大關係ノアル釜山下關航路
ノ乘船禁止、是ト一環ニナツタ、「バラン
ス」シタモノデアルカナイカト云フコトニ付
テ、私ハマダ疑ヲ持ツテ居ル、疑ヲ持ツテ
居ルト言ハンヨリモ、寧ロ政府ブ言明ヲ信
ジナイ、恐ラク全國ノ國民之ヲ信ズル者ハ
ナイト思ヒマス(拍手)有田外相ガ如何ニ辯
明是レ努メラレテモ、英國ノ遺憾ノ文字ガ
二十七日ニ存在セリト云フコトヲ信ズル識
者ハ、日本ニハナイト思ヒマス(拍手)是ガ
疑ノ第一デアリマス
第二ハ、一體釜山下關ノアノ航路ニ、軍
ニ編入セラレタル者又ハ其ノ疑ノアル者ヲ
乘セヌト云フコトハドウ云フ譯ノモノデ
アルカ、ソレハ若シモ乘セタナラバ、英吉
利ガ停船ヲ命ジテ、臨檢ヲシテ、之ヲ拉致
スルコトヲ防グ爲デアリマセウ、サウスル
ト此ノ遞信省告示ト鐵道省告示ト云フモ
ノガナカツタナラバ、英國ハ一體關釜連絡
船ヲ臨檢拿捕スル權利ノアルコトヲ、公式
ニ御認ニナツタノデアリマスカ、此ノ問題
ノ始マリハ野島崎ノ三十五浬先、是ハ太平
洋デス、ソレデモ臨檢拿捕スルト云フコト
ガ、無禮ノ行ヒデアルト云フコトヲ申シテ、
淺間丸事件ガ起ツタ、野島崎ノ三十五浬先
デモ怪シカラヌノデス、此ノ事柄ヲ能ク考
ヘテ御覽ナサイ、下關釜山ト云フモノハド
ンナモノデスカ、中ニ對馬ガアツテ、此方
ガ對馬海峽向フガ朝鮮海峽、合計シテ其ノ
距離ハ五十里ニモ足リマセヌ、神代カラ此
ノ方大陸ト日本トノ交通路ニ當ツテ居ル、
神功皇后ノ三韓征伐ニモ御通リニナツタ路
デアリマス、日韓併合此ノ方、朝鮮ノ京城ト日
本ノ東京トノ幹線ト云フモノハ、人間ニ譬フ
レバ脊髓骨ノヤウナモノデス、關釜連絡船ト
云フ此ノ道ハ、實ニ日本ノ內水航行權ノ範圍
內デハアリマセヌカ、瀨戶內海モ同ジモノデ
ハアリマセヌカ、ソレハ國際公法上三里ノ外
ハ公海ダト云フ理窟ヲ揑ネレバ、三里ヲ離レ
タ所モアリマセウ、ケレドモ釜山ト下關トノ
間ヲ、一般ノ公海ト同樣ニシテ、日本ノ遞
信省告示、鐵道省告示ガナカツタナラバ、英
吉利ノ艦ガ自由自在ニ日本船ヲ停船シ、臨
檢シ、乘客ヲ拉致スル權限ヲ、アナタ方ハ
一般御認メニナル積リデアリマスカ、ソン
ナ外交ナラバ、シテ戴カヌ方ガ宜イ、野島崎
ノ前ガ惡イト言ヒナガラ、其ノ問題ノ解決
ニ、今度ハ下關釜山間ヲ英吉利ノ蹂躪ニ委セ
ル契約ヲナサルト云フコトハ、苟モ愛國心ア
ル人ノスベキコトデナイト私ハ考ヘル(拍手)
實ニ遺憾ナコトデアル、此ノ問題ノ重要性
ヲ御考ニナリマシテ、斯ノ如キ所ニ英國ノ
拿捕、臨檢等ヲ認メタガ如キ妥結ヲサレタ
コトノ價値判斷、善惡ニ付テ意見ガアルナ
ラバ仰シヤイマセ、洵ニ結構ナコトデアル
ト言ヘルナラバ、仰シヤツテ御覽ナサイ
第三ニ、私ハ少シ國內法ノコトニ付テ鐵
道大臣、遞信大臣ニ御伺シタイ、ソレハ遞
信省ノ〓示ニハ特ニ海運統制令ノ第六條
ガ引用サレテ居リマス、如何ニ遞信省ト
雖モ、法律ノ根據ナクシテ獨逸人ヲ乘セ
ルナト言フコトハ出來ナイ、根據ヲ何ニ
求メタカト云ヘバ、海運統制令ニ求メラレ
テ居ル、海運統制令第六條、是モ簡單デア
リマスカラ讀ンデ見マス「遞信大臣ハ航路若
ハ區域ヲ指定シ若ハ一般的ニ船舶ヲ指定シ
テ航海ヲ禁止シ若ハ制限シ又ハ一般的ニ人
若ハ物ヲ指定シテ其ノ運送ヲ禁止シ若ハ制
限スルコトヲ得」斯ウ云フコトガ海運統制令
デ所管大臣ニ委託サレテ居ル、然ラバ此ノ
海運統制令ハ何處カラ來ルカ、斯ノ如キ人
民ノ自由制限ノ權利ハ何處カラ來ルカト云
くっ、國家總動員法カラ來テ居ル、國家總
動員法ノ第八條ニ「政府ハ戰時ニ際シ國家總
動員上必要アルトキハ」斯ウ云フ命令ガ出セ
ルト云フコトニナツテ居ル、遞信省告示、
鐵道省告示ガ、果シテ國家總動員上必要デ
アツタカドウカ、支那事變ニ牽聯シテ國家
總動員上必要デアツタカドウカ、國家總動
員ノ意味ハ、國家總動員法第一條ニアル、
總動員法第一條ニ依ルト、國防目的達成ノ
爲ニ國ノ全力ヲ最モ有效ニ發揮スルヤウ、
人的及ビ物的資源ヲ統制運用スル爲ニ行フ
ノガ國家總動員法デアル、サウスルト、人
的物的ノ資源ヲ統制スル爲デアツタラ、海
運統制令ガ使ヘマス、能ウ聽イテ下サイ、
人的物的ノ資源ヲ統制スル爲デアツタラ、
アナタハ海運統制令ヲ御使ヒニナルコトガ
出來ル鐵道大臣亦然リ、然ルニ今囘ノ獨
逸人乘船禁止ト云フコトハ、一體人的物的
資源ノ統制上必要デアツタカドウカ、獨逸
人ヲ乘セナカツタラ日本ノ資源ガ殖エル
ノデアリマセウカ軍ニ疑アル交戰國人ヲ
乘セナカツタラ、日本ノ人的資源デモ殖エ
ルノデアリマセウカ、今囘ノ告示ハ是コソ
便乘デアリマス、吾々ガ國家總動員法ヲ此
ノ議會デ審議シテ、行政廳ニ自由制限ノ權
力ヲ與ヘタノハ戰爭ノ爲ニ人的物的ノ資
源ガ必要ダカラ與ヘタ、英吉利ニ降參スル
爲ニ與ヘタノデハアリマセヌ(拍手)是ガ發
令サレル經過ヲ見マシテモ、非常ニ不愉快、
私モ總動員審議會ノ委員ノ末席ヲ汚シテ居
ル、陸運ト海運ノ統制令ハ、ズツト夏ニ之
ヲ審議シテ居ル、併シ御發布ニナラナカツ
タ、日本ノ人的物的資源ガ足ラヌ、殊ニ船
腹ガ足ラヌト云フ時分ニハ、御發布ニナラ
ナカツタ所ガ有田「クレーギー」會談ガ一
囘、二囘、三囘、四囘ト囘ヲ重ネタ二月一日
ニ、海運統制令ヲ御發布ニナツテ、五日、七
日ニ之ヲ御使ヒニナルト云フコトハ、吾々
ガ支那事變ノ爲ニ、人的物的資源ノ充實ヲ
圖ラウトシテ與ヘタ權限ヲ、有田「クレー
ギー」會談ノ結末ヲ糊塗スル爲ニ、御使ヒ
ニナツタモノト言ハレテモ仕方ガナイ(拍
手)政治家ノ政治道德トシテ許スベカラザルコ
トデアリマス、國民ハ戰時中ダカラ遠慮シ
テ居リマスケレドモ、コンナコトヲ度度ヤリマ
スト、總動員法、統制令、政府ノヤリ方ニ付
サイテ、終ヒニハ不平ガ勃發スル、能ウ考ヘナ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=3
-
004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=4
-
005・清瀬一郎
○〓瀨一郞君(續) 歐洲戰爭ノ飛バツチリ
ノ爲ニヤルノデハアリマセヌ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=5
-
006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=6
-
007・清瀬一郎
○〓瀨一郞君(續) マア御聽キナサイ、諸
君、支那事變ガ武力一點張デ行カナイデ、
今ノ方針デ進ム以上ハ、外交ト云フモノハ
非常ニ大切ナコトデアル吾々モ注意シマ
スガ、外務大臣ノ一句一言ハ、影響スル所
非常ニ大デアリマス、況ヤ淺間丸事件ノ影
響ハ、旣ニ相當重大デアリマス、私ハ凡ソ
三ツノ方面ニ影響シテ居ルト思ヒマス
ツハ亞米利加デアル、亞米利加ハ是デ日本
ニ戰意ナシト看テ取ツタ、淺間丸事件ノ妥
結ノ後デアリマシタガ、亞米利加ノ政府ガ
蔣介石ニ二千萬弗ノ金ヲ貸スト云フコトヲ
決メタ、日本ニハ戰意ナシ、日本ニハ是カ
ラ戰フ意思ガナイト云フコトガ分リマシタ
ガ故ニ、亞米利加ハ一ツノ外交方針ヲ決メ
マシタ、支那事變ヲ引延バシテ、歐羅巴事
件ヲ早ク片付ケル、此ノ「イデオロギー」ガ
確立シタノハ、淺間丸事件ノ影響デアリマス、
第二ハ英佛デス、英佛ハ是ガ爲ニ日本與シ
易シトシタ、サレバ佛蘭西ハ三月七日ニハ
盤谷丸ヲ海防デ抑へタ、十四日ニハ西貢丸
ヲ抑ヘタ去ル十六日ニハ英吉利ハa)
ガポール」デ伏見丸ヲ臨檢シマシタハ英佛
ニ對スル影響ハ、ヤハリ淺間丸事件ノ解決ノ
餘波デアリマス
ノ第三ハ支那自身デス、支那ノ民衆自
身デス、支那ノ民衆自身ニ此ノ危機一
髮ノ際ニ、ヤハリ日本ハ英吉利ニハ頭
ガ上ラヌモノデアルト云フ風ナ誤ツタ認識
ヲ與ヘタリトスレバ、是ハ重大問題デアリ
マイ、大凡此ノ三ツノ效果ヲ齎シテ居ルノ
ガ、淺間丸事件デアリマス、私ハ實ニ遺憾
ニ堪ヘヌ、有田外交ト世間デ言ヒマスル
ガ、大體斯ウ云フコトナノデス、英米トノ
關係ヲ調節スル爲ニ、アナタガ心膽ヲ碎イ、
テ居ラレルコトニハ同情スル、ケレドモ其
ノヤリ方ト云フモノハ少シ過ギテ居ル、狎
合ニナツテ居ル言ウテ見マセウカ、昨年
ノ七月ニ東京會談ノ結果、原則協定ト云フ
モノヲ御作リニナツタ、是モ內部ニイザコ
ザガアルト見エテ、日本ノ方面ニ向ツテ
ハ英國ハ支那ニ於ケル現實狀態ヲ認メタ
ノダ、交戰權ノ發動マデモ認メタノダト言
ハヌバカリノ御發表ヲナサツタアノ時ノ
總理大臣平沼サンハソレヲ信ジテ、平沼談
ナルモノヲ發表サレタガ、焉ゾ知ラン英
吉利ノ方デハ、當リ前ノコトヲ當リ前ニ認
メタノデ、日本ノ北支ニ於ケル特殊ノ地位
ナンカ認メタノデハナイト言ヒマシタ、是
ハ英國トノ話合ノ間ニ胡麻化シガアツタカ
ラ、コンナコトニナツタノデアリマス、今
度ノ淺間丸事件デモ其ノ通リナノデス、同
ジ「レグレット」ガ、英吉利ノ方ノ解スルノ
ト日本ノ解スルノト違ヒマス
更ニ私ハ近時甚ダ不愉快ニ感ズルコト
ハ、天津ノ銀問題デアリマス、去ル金曜日
ノタ刊ニハ、谷、「グレーギー」會談ニ依ツテ
天津ノ銀問題ハ解決シタト、東京ノ新聞ハ
大々的ニ報道シタノデアリマス、今新聞ノ
記事ガ統制サレテ居リマスルカラ、マルキ
リソレガサウデナカツタナラバ、報道以前
2층とよ
ニ差止メラレル筈デアリマスカラ、ヤハリ
アノ新聞ノ記事ニ似タヤウナコトハアツタ
ノデス、併シソレニ對シテ「クレーギー」カ
ラ苦情デモ起ツタト見エテ、日曜日ノ新聞
二、此ノ問題ヲ解決スル爲ニハ、更ニ一
ツノ困難ヲ克服シナケレバナラナイト、斯
ウ書イテアル、一ツノ困難ト云フノハ言
フマデモナク蔣介石ノ同意ナノデス、體
日本ト英吉利ガ默ツテ交涉ヲシテ、英國ガ
自分ノ肚デ蔣介石ノ同意ヲ得ルト云フ
ナラバ別デス、初メカラ蔣介石ノ同意
ガ條件デアルヤウナ談判ヲスルト云フ
コトガ間違ツテ居ルノデス、ソレデ英國カ
ラ苦情ガ起ツテ、今ノハ取消シトナツテ居
ル、昨年夏ノ東京會談ノヤリロデモ、
此ノ淺間丸事件ノヤリロデモ、天津ノ銀
問題ノヤリロデモ、必ズシモ日本ハ敵ヲ作
ルコトガ能デハアリマセヌ、私ハ英米ニ
對スル外交ニ付テハ意見ガアリマス)意見
ガアリマスルケレドモ、今日ハソレヲ言フ
ベキ時デハナイ、併シナガラ外交ヲスルニ
付テモ、國民ヲ袖ニシテ、英國ノ一部ノ階
級トノ間ニ一種ノ妥結、闇取引ヲスルト云
フコトガ、有田外交ノ特質デアルト言ハナ
ケレバナラヌ(拍手)是ガ我國···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=7
-
008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 〓瀨君、〓瀨君ニ
言御注意シマス、意見陳述ノ時間ニ付テハ)
旣ニ二十分ヲ經過致シテ居リマス、時間ニ
御留意願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=8
-
009・清瀬一郎
○〓瀨一郞君(續) モウオ終ヒデス-時
間モサウデアリマスガー實ニ國家ノ爲ニ憂
慮ニ堪ヘマセヌガ故ニ、何卒御注意ヲ願ヒ
タイ、私ノ今申シタコトデ間違ツテ居ルコ
トガアレバ、ドウカ此處デ公々然ト仰シヤ
ツテ戴キタイ、アナタハ私ニ對シテ非常ニ
無禮ナコトヲ言ツテ居ラレマスルケレドモ、
私ハ腹ハ立テヌノデス、ソンナ小サナコト
ニ付テ腹ハ立テマセヌ、併シナガラ問題ノ
本質ハ、國家ノ權益ニ非常ニ關係スルコト
デアリマスカラ、私ノ言フコトガ違ツテ居
ルナラバ、政府ハ何時デモ發言ノ權ガアリ
マスカラ、ドウカ堂々ト此處デ仰シヤツテ
蒙ヲ啓イテ戴キタイト思ヒマス(拍手)
(「答辯シロ」ト呼ヒ其ノ他發言スシ者多
シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=9
-
010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=10
-
011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス-
靜肅ニ願ヒマス
(「議長」「答辯シロ」ト呼ヒ其ノ他發言
スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=11
-
012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ······靜肅ニ願
ヒマス、答辯ハアリマセヌ-政府ヨリハ
發言ヲ求メラレテ居リマセヌ-服部君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=12
-
013・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ··(議場
騷然聽取スル能ハズ)···卽チ此ノ際日程
第七乃至第九ノ三案ヲ一括シテ······(議場
騷然聽取スル能ハズ)コトヲ望ミマス
〔離席者多ク議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=13
-
014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 小田君ニ降壇ヲ命ジ
マス-小田君ニ降壇ヲ命ジマス-小田
君ニ退場ヲ命ジマス-退場ヲ命ジマス、
守衞ヲシテ執行セシメマス
(「外務大臣答辯シナイカ」「答辯々々」
ト呼ヒ其ノ他發言スル者多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=14
-
015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス-
靜肅ニ願ヒマス
〔議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=15
-
016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 議長ヨリ一言致シマ
ス-議長ヨリ一言致シマス、質問ニ對ス
ル政府ノ答辯ニ付意見ノ陳述ニ對スル政府
ノ發言ハ自由デアリマス(發言スル者多ク
議場騷然)而シテ尙ホ一言致シマス、而シ
テ此ノ場合外務大臣、遞信大臣、鐵道大臣
ヨリハ發言ヲ求メテ居リマセヌ、(發言スル
者多ク議場騷然)更ニ服部崎市君ヨリ議事
日程變更ノ緊急動議ヲ提出シテ居リマス、
此ノ際日程第七乃至第九ノ三案ヲ一括上程
シ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ムトノ
動議デアリマス、此ノ動議ニ御異議アリマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス(拍手)
(「異議アリ」ト呼ヒ其ノ他發言スル者
多ク議場騷然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=17
-
018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス
〔「異議アリ」「答辯シナサイ」ト呼ヒ其
ノ他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=18
-
019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ガアルナラバ
成規ノ手續ヲ御執リナサイ-此ノ動議ニ
御異議ガアルナラバ成規ノ手續ヲ御執リナ
サイ-御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」「異議アリ」「答辯シナサ
イ」ト呼ヒ其ノ他發言スル者多ク議場
騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=20
-
021・服部崎市
○服部崎市君 此ノ際暫時休憩セラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 暫時休憩致シマス
(拍手)
午後二時三十四分休憩
午後五時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=22
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023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス、休憩前ノ服部君提出ノ日程變
更ノ動議ハ撤囘ノ申出ガアリマシタ、之ヲ
許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=23
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024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ之ヲ許可スルニ決シマシタ-此
ノ際服部崎市君ヨリ議事進行ニ關スル發言
ヲ求メラレテ居リマス、之ヲ許シマス-
服部崎市君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=24
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025・服部崎市
○服部崎市君 意見ノ陳述ニ對シテハ政府
ハ答辯セザルコトガ先例デアリマス、〓瀨
君ノ發言ハ外交上重要ナル事項デアリマス
カラ、政府ハ此ノ際所信ヲ明ニセラレルヤ
ウ、議長ニ於テ取計ハレンコトヲ望ミマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 有田外務大臣
〔國務大臣有田八郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=26
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027・有田八郎
○國務大臣(有田八郞君) 淺間丸事件ニ關
シマシテハ、先般〓瀨君カラ質問書ガ提出セ
ラレ、之ニ對シテ政府ハ書面ヲ以テ囘答濟
デアリマス然ルニ先刻〓瀨君カラ意見ノ
陳述ガゴザイマシタガ、意見ノ陳述ニ對シ
テハ政府トシテハ之ニ答ヘザルコトガ先例
デアリマス、此ノ先例ヲ尊重致シマシテ發
言シナカツタノデアリマスルガ、只今議事
進行ノ御意見モアリマスノデ、此ノ際政府
ノ所信ヲ明ニ致シマス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=28
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029・有田八郎
○國務大臣(有田八郞君)(續) 政府ノ外交
ニ關スル方針ハ、旣ニ本院ニ於キマシテ度
度申述ベタ通リデアリマス、要スルニ此ノ
際ハ支那事變ノ解決ニ邁進致シマスルト共
ニ、自主的立場ニ立ツテ、第三國トノ國交
ノ調整ニ當ラントスルノデアリマスルシ、
又歐羅巴ノ情勢ニハ、帝國トシテハ介入セ
ズ、支那事變ノ解決ニ邁進スル、是ガ帝國
政府ノ外交ニ對スル方針デアリマス
〔「答辯ニナラヌヂヤナイカ」「默ツテ聽
ケ」ト呼ヒ其ノ他發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=30
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031・有田八郎
○國務大臣(有田八郞君)(續) 而シテ淺間
丸事件ノ解決モ、一ニ此ノ政府ノ方針ニ則
ツタモノデアリマス、卽チ帝國ノ近海ニ於
テ、英吉利ノ軍艦ガ淺間丸ヲ停船セシメテ、
之ニ乘船ノ獨逸人ノ中カラ二十一名ヲ拉致
致シマシタコトハ、國際法ニ依リマシテモ、
其ノ不當デアルコトハ勿論デアルノデアリ
マスルカラシテ、當時直チニ之ニ對シテ嚴
重ナル抗議ヲ提出致シマスルト共ニ、二十
一名ノ獨逸人ノ返還ヲ要求シタノデアリマ
ス、其ノ後折衝ノ結果、一月二十七日ニ英
吉利政府ハ、其ノ公文ヲ以テ遺憾ノ意ヲ表
シテ來タノデアリマス、而シテ其ノ後ニ二
十一名ノ獨逸人ノ中カラ九名ノ引渡ニ同意
ヲシテ、其ノ引渡ハ旣ニ行ハレタノデアリ
マス、而シテ此ノ淺間丸事件ニ鑑ミマシテ、
帝國政府ニ於キマシテハ自主的立場カラ、
日本船舶ノ航行ノ不安ヲ除去セシメル見地
カラ、交戰國人民ニシテ軍隊ニ編入セラレ
居ル者及ビ其ノ疑アル者ノ帝國船舶ニ乘
船シナイヤウニ取扱ツタノデアリマス、此
ノ帝國政府ノ措置ハ、英吉利政府ト何等ノ
關係ナク、日本ノ自主的ノ立場カラ、其ノ處
置ヲ執ルコトガ、最モ適當ナリト信ジテヤ
ツタノデアリマス、而シテ其ノ殘リノ獨逸
人ノ引渡ニ付テハ、更ニ交涉ヲ繼續致シテ
居ルノデアリマス、二十七日ノ英吉利ノ公
文ノ中ニ、遺憾ノ意ガ表シテナカツタノデ
ハナイカト云フ風ナコトヲ言フ者モアリマ
スルガ、併シナガラ當初カラ其ノ中ニアツ
タト云フコトハ、旣ニ度々本院ニ於ケル機
會ニ於テ言明致シタ所デアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=32
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033・有田八郎
○國務大臣(有田八郞君)(續) 斯ノ如ク淺
間丸事件ノ交渉ハ、總テ日本ノ自主的立場
ニ依ツテ解決ヲ圖ツタモノデアリマス、其
ノ點ヲ明ニ致シテ置キタイト思フノデアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=33
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034・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際日程第七乃至第
九ノ三案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其ノ審議ヲ
進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=34
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035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=35
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036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第七、市町村義務〓育費國庫負擔法改
正法律案、日程第八、現役小學校〓員俸給
費國庫負擔法中改正法律案、日程第九、職
業紹介法中改正法律案、右三案ヲ一括シテ
第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ
求メマス-委員長服部岩吉君
第七市町村義務〓育費國庫負擔法改
正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第八現役小學校〓員俸給費國庫負擔
法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第九職業紹介法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律
案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十五年三月十八日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一靑年學校ノ重要性ニ鑑ミ速ニ義務〓
育費國庫負擔法ヲ制定スヘシ
二町村小學校〓員ノ異動ニ關シテハ當
該町村長ノ意見ヲ徴スヘシ
三地方視學ノ待遇ヲ高メ素質ノ向上ヲ
圖リ〓育行政ヲ完カラシムヘシ
四小學校〓員ヲシテ官僚化ニ陷ラシメ
サル樣最善ノ考慮ヲ拂フヘシ
五小學校養護婦令ヲ速ニ制定スヘシ
報告書
一現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改
正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十五年三月十八日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一靑年學校ノ重要性ニ鑑ミ速ニ義務〓
育費國庫負擔法ヲ制定スヘシ
二町村小學校〓員ノ異動ニ關シテハ當
該町村長ノ意見ヲ徵スヘシ
三地方視學ノ待遇ヲ高メ素質ノ向上ヲ
圖リ〓育行政ヲ完カラシムヘシ
四小學校〓員ヲシテ官僚化ニ陷ラシメ
サル樣最善ノ考慮ヲ拂フヘシ
五小學校養護婦令ヲ速ニ制定スヘシ
報〓書
一職業紹介法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十八日
委員長服部岩吉
衆議院議長小山松壽殿
〔服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=36
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037・服部岩吉
○服部岩吉君 只今上程サレマシタ市町村
義務〓育費國庫負擔法改正法律案外一件委
員會ノ經過竝ニ結果ニ付御報告申上ゲマス
本委員會ハ併託セラレマシタ職業紹介法
中改正法律案モ共ニ致シマシテ、前後十囘
ニ亙リ開催致シマシテ、終始熱心ナル質疑
應答ガ取交ハサレタノデアリマス、旣ニ御
承知ノ如ク、市町村義務〓育費國庫負擔法
改正法律案、竝ニ現役小學校〓員俵給費國
庫負擔法中改正法律案ハ、市町村小學校〓
員俸給ヲ、市町村ノ負擔カラ北海道及ビ府
縣ノ負擔ニ移シ、從來市町村ニ交付サレテ
アリマシタ市町村小學校〓員俸給ノ中、國
庫負擔分ヲ道府縣ニ交付センガ爲ノ改正案
デアリマシテ、尙ホ從來國庫負擔ノ八千五
百万圓ヲ下ラザル一定額ノ現制ヲ改メテ、
市町村立尋常小學校〓員俸給ニ要スル二分
ノ一ノ定率ヲ以テ負擔スルト云フノデアリ
マス
先ヅ市町村義務〓育費國庫負擔法改正ノ
點ヲ申上ゲマスレバ、前ニ申述ベマシタ小
學校〓員ノ俸給ヲ道府縣ノ負擔トシ、且ツ
國庫負擔金ヲ二分ノ一ノ定率ヲ以テ支出ス
ルノ制ヲ採ラレマシタ爲現行法ノ題名ヲ義
務〓育費國庫負擔法ニ改メ、現行第一條及
ビ第二條ヲ整理サレ之ヲ改正法律案第一
條ニ統合規定シ、又現行第三條乃至第
五條ハ、國庫負擔金ノ配分ニ關スル規
定デアリマスガ、定率交付ノ制ヲ採ラ
レタ爲、且ツ道府縣ニ交付セラルルノデ、
之ヲ改正法律案第二條ノ通リ改メ、更
ニ現行第七條第一項ハ國庫負擔金交付
先ニ關スル規定ナノデ、今囘ノ交付先變更
ニ依リ、自然存置ノ必要ナク廢止セラルル
ノデアリマス、又現行第六條及ビ第七條二
項ノ規定ノ趣旨ハ改正案ノ第三條及ビ第
四條ニ存置セラレ、尙ホ現行第三條ノ特別
規定タル昭和七年法律第二號ハ、改正案附
則ニ規定セラレテ居ルノデアリマス
次デ現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中
改正法律案ニ於キマシテモ、前同樣小學校
〓員俸給ガ道府縣ノ負擔ニ移サレル關係、
上字句ノ訂正ヲセラレタモノデアリマス
尙ホ職業紹介法中改正ノ點ハ、現行第七
條ノ規定ヲ削除シ、第十四條中ノ改正ハ、
第七條ノ削除ニ伴フ字句ヲ整理セラレタモ
ノデアリマス、此ノ改正ノ理由ハ、現行ノ
職業紹介法ハ、御承知ノ通リ昭和十三年四
月一日ニ公布セラレ、七月一日カラ實施セ
ラレテ來タノデアリマスガ、今囘ノ支那事
變ノ進展ニ伴ヒマシテ、職業紹介事業ハ專
ラ軍需勞務、生產擴充計畫、產業勞務等、刻
下緊急ナル勞務需給ノ斡旋、竝ニ職業紹介
所ハ國家總動員法ニ基ク所ノ各種ノ勞務規
則ニ關スル事務ヲ管掌スルコトニナリマシ
タ爲ト、及ビ地方財政ノ實情モ考慮セラレ
マシテ、職業紹介所及ビ聯絡委員會ニ關ス
ル費用ノ全部ヲ、國庫ニ於テ負擔セラルル
コトニナツタ結果デアリマス
市町村義務〓育費國庫負擔法改正ノ理由
トセラルル所ハ、今囘中央地方ヲ通ズル稅
制改正ニ伴フ財政上及ビ〓育上ノ二點デア
リマシテ、卽チ市町村立小學校〓員ノ俸給
ヲ、市町村ヨリ道府縣ノ負擔ニ移サレル結
果デアリマス、今囘ノ此ノ改正ハ我ガ義
務〓育制度ノ劃期的ノモノデアリマスカラ、
委員會ニ於ケル所ノ質疑應答中ノ重要ナル
點ト認メマシタモノヲ數點紹介致シ、他、
會議錄ニ就テ御覽ヲ願フコトニ致シタイト
思ヒマス
第一點ハ、政府ハ今囘ノ改正ノ理由ヲ、
中央地方ヲ通ズル稅制ノ改正ト、〓育上ノ
點ニ置カレ居ルガ、義務〓育ハ國民ノ基礎
〓育ト云フ國策上ノ重大問題デアル隨テ
財政上ノ理由ヨリモ、〓育上ノ理由ガ主デ
ナケレバナラヌト思フガ如何トノ問ニ對シ
マシテ、文部大臣ハ、文部省トシテハ小學
校〓員ノ俸給ヲ市町村支辨ニ致シテ置クヨ
リモ、道府縣支辨ニシタ方ガ、〓員ノ異動
配置上カラ、比較的疲弊シタ町村ニモ相當
優良〓員ヲ配置スルコトガ出來、又俸給豫
算ノ爲ニ制限セラレテ、轉出ヲ餘儀ナクサ
レルト云フ不便ト不利ヲ避ケ得ル、又貧弱
ナル町村ガ俸給豫算ニ拘束サレテ、〓員ノ
適正ナル異動配置ガ十分出來ナイコトハ
〓育上非常ナル不利デアリマシテ、之ヲ道
府縣ノ支辨ニ移スコトニ依ツテ缺點ガ除カ
レテ、〓育上ノ效果ヲ擧ゲルコトガ出來ル
カラ、良イ方法ト考ヘ居ルトノ答辯ガアツ
タノデアリマス
第二點ハ、、小學校ノ義務〓育タル國民〓
育ハ、國家ノ義務デアリ、又一面父兄ノ義
務デアル、隨テ政府ハ市町村ヲシテ其ノ經
營ノ任ニ當ラシメ、其ノ經費ハ市町村民ノ
負擔トシテ來タノデアル、最近市町村ノ
財政上ノ關係上、國庫ガ義務トシテ或ル一
定部分ノ經費ヲ負擔シテ、市町村ニ交付
シテ來タガ、是ハ當然デアルト思フガ、
今囘國ト市町村トノ中間自治體タル道府縣
ニ、義務〓育費ヲ負擔セシムルコトハ
其ノ理由ヲ發見スルニ苦シム、固ヨリ知事
ニ小學校〓員ノ任免權ガアリ、監督權ガア
ルカラ、俸給ヲ道府縣ノ支辨ニ移スコトガ
便利ダト云フコトハ理由ハナラナイシ、
殊ニ知事ハ國家ノ機關デアル地方長官デア
ル、此ノ點ニ對スル文部大臣ノ所見如何ト
ノ問ニ對シマシテ、市町村立小學校ノ經營
及ビ維持費用ニ付テハ、今後ト雖モ市町村
自治體ニ於テ負擔スル建前ニハ少シモ從
來トハ變ラナイノデアリマス、道府縣ハ今
日マデモ少シモ關係ガナイト云フ譯デハナ
クテ、現ニ年功加俸ノ如キ、恩給ノ如キモノ
ヲ負擔シテ居ル、小學校〓員ノ養成モヤツ
テ居ルノデアリマス、唯今囘ハ市町村、道府
縣、國庫、此ノ三ツノモノガ分擔シテ參加ス
ルト云フコトハ少シモ差文ナイノデアリ
やっ、又任免權ヲ持ツテ居ル府縣知事ガ、
自治體トシテノ道府縣ノ經濟ヲ一〓ニ管理
シテ居ル所ニ、之ヲ統一セシスルト云フコ
トガ、理窟ノ上カラ言ツテモ、正當デアル
ト申セルノデアルトノ答辯ガアツタノデア
リマス
今回ノ改正ニ依ル府縣支辨ノ〓員俸給ノ
財源ガ、二分ノ一ノ國庫負擔ト、還付稅及ビ
配付稅ヲ付與セラレルノデアレバ之ヲ直
接市町村ニ付與スレバ、今日マデノ如キ〓
員ノ異動配置ノ不便、〓員俸給支拂不能ノ
如キ弊害ハ除キ去ラレテ、從來通リ市町村
ノ支辨デ行ケルノデハナイカトノ問ニ對シ
マシテ、文部大臣ハ、稅制ノ關係ハ內務省
ノ方カラ御聽ヲ願ヒタイ、私共ハ〓員俸給
ヲ道府縣ニ移スコトガ、〓育上有利デアル
ト考ヘテ居リマストノ答辯ガアリマシタ
次ニ人口七十万以上ノ六大都市ノ特異性
ニ鑑ミテ、除外規定ヲ設ケテ、〓員俸給ヲ
市ノ支辨ニ出來ヌカトノ問ニ對シマシテハ、
文部大臣ハ六大都市ニ付テハ、將來都制或
ハ特別市制ガ實施サレタ場合ニハ、自然此
ノ法律ハ改正サレルコトモアリマセウケレ
ドモ、現在ハ除外規定ヲ設クル意圖ヲ有シ
テ居ナイトノ答辯ガアツタノデアリマス
尙ホ此ノ外市町村自治體ト〓職員ガ將來
阻隔ヲ來シハセヌカ、又〓員ノ官僚化スル
憂ハナイカ等ノ應答モアリ、更ニ靑年學校、
國民學校、靑年團、〓員養成、〓員待遇改
善、轉出〓員ノ補充問題、視學制度ノ改善、
現行〓育ノ智德兩面、竝ニ體位向上ヨリスル
檢討等デアリマシテ、周到ナル審査ヲ經テ、
最後ニ稅制委員會ニ於テ、內務大臣ハ人口
七十万以上ノ六大都市ニ對スル〓員俸給ハ、
市ニ交付シテ支給セシメル、又其ノ取扱ニ
付テハ、勅令ノ如キモノヲ考慮スルトノ辯
明ガアツタガ、文部大臣ノ所見如何トノ問
ニ對シ、文部大臣ハ、六大都市ノ〓員俸給
ハ內務大臣ノ答辯ハ、市長ヲ經由シテ之
ヲ支給セシメルト云フノデアルカラ、文部
大臣モ同意デアルトノ答辯ガアリマシテ、
是ニテ質疑ヲ打切ツタノデアリマス
サウシテ討論ニ入リマシテ、民政黨
ヲ代表サレマシテ伊藤東一郎君ヨリ、五
項ノ附帶決議ヲ附ケラレマシテ、原案贊成
ノ意ヲ表サレタノデアリマス、政友會
ヲ代表シテ河上哲太君、又原案ニ贊成ヲ表
シ、五項ノ附帶決議ニモ贊成サレ、政友會
ヲ代表シ庄司一郞君ガ原案竝ニ附帶決議
ニ贊意ヲ表示セラレ、時局同志會ノ木村武
雄君、社大ノ山崎釼二君、第一議員倶樂部
ノ笠井重治君、何レモ同樣原案ニ贊意ヲ表
示セラレテ、サウシテ附帶決議ニモ贊成致
サレタノデアリマス
次イデ採決ニ入リマシテ、市町村義務〓
育〓國庫負擔法改正法律案及ビ現役小學校
〓員俸給費國庫負擔法中改正法律案ノ兩案
ハ、次ノ附帶決議ヲ爲シ、全會一致原案通
リ可決致シマシタ、附帶決議ヲ申上ゲマス
附帶決議
靑年學校ノ重要性ニ鑑ミ速ニ義務〓
育費國庫負擔法ヲ制定スヘシ
二、町村小學校〓員ノ異動ニ關シテハ當
該町村長ノ意見ヲ徵スヘシ
三、地方視學ノ待遇ヲ高メ素質ノ向上ヲ
圖リ〓育行政ヲ完カラシムヘシ
四、小學校〓員ヲシテ官僚化ニ陷ラシメ
サルヤウ最善ノ考慮ヲ拂フヘシ
五、小學校養護婦令ヲ速ニ制定スヘシ
次イデ職業紹介法中改正法律案ニ對シマ
シテモ、同樣ニ熱心ナル論議ガ盡サレマシ
タ結果、討論ヲ省略シテ、全會一致原案通
リ可決サレマシタ、尙ホ詳細ハ速記錄ニ就
テ御覽ヲ願ヒマス、以上御報告ト致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=37
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038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=38
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039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=39
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040・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=40
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041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=41
-
042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
市町村義務〓育費國庫負擔法改正法律
案第三讀會(確定議)
現役小學校〓員俸給費國庫負擔法中改
正法律案第二讀會(確定議)
職業紹介法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
十日、第三讀會ヲ省略シテ、三案トモ委員
長報告通リ可決致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=43
-
044・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、裝蹄
師法案、家畜傳染病豫防法中改正法律案、
牧野法中改正法律案、獸醫師法等ノ臨時特
例ニ關スル法律案、右四案ヲ一括議題ト爲
シ、委員長ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=44
-
045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、裝蹄師
法案、家畜傳染病豫防法中改正法律案、牧
野法中改正法律案、獸醫師法等ノ臨時特例
ニ關スル法律案、右四案ヲ一括シテ第一讀
會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマ
ス委員長小林絹治君
裝蹄師法案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
家畜傳染病豫防法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
牧野法中改正法律案(政府提出、貴族
院送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
獸醫師法ノ臨時特例ニ關スル法律案
政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一裝蹄師法案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長小林絹治
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一家畜傳染病豫防法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長小林絹治
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一牧野法中改正法律案(政府提出、貴族
院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長小林絹治
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一獸醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案
(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長小林絹治
衆議院議長小山松壽殿
〔小林絹治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=46
-
047・小林絹治
○小林絹治君 只今上程ニナツテ居リマス
裝蹄師法案、家畜傳染病豫防法中改正法律
案、牧野法中改正法律案、獸醫師法等ノ臨
時特例ニ關スル法律案ノ委員會ノ經過及ビ
結果ヲ御報告致シマス、委員會ハ三月十三
日ヨリ三月十九日ニ至ルマデ、五囘ニ亙リ
會議ヲ開キ、愼重ニ審議致シタノデアリマ
ス
先ヅ裝蹄師法案ニ付テ申上ゲマス、本案
ノ內容ハ、裝蹄師ノ資格條件ヲ規定シ、裝
蹄師以外ノ者ノ行爲ヲ取締ルコト、是ハ裝
蹄技術ノ巧拙ハ、直チニ馬ノ四肢體軀ニ影
響ガアルカラデアリマス、又法人ノ裝蹄師
會ヲ設立シテ、裝蹄師ノ統制アル活動ヲ圖
ラントスルノデアリマス、現行法ハ明治二
十三年ノ制定ニ係リマシテ、是ガ改正ハ寧
ロ遲キニ失シテ居ツタノデアリマス
次ニ家畜傳染病豫防法中改正法律案ハ、
現行法ニ依ル家畜傳染病ノ種類ノ中ヘ、ダ
一頭錢雛白痢、家禽「ペスト」ノ三種類ヲ
追加スルコトト、傳染病デ斃レタ牛馬羊豚
ノ皮ノ利用ニ關スルコト等ニ改正ヲ加ヘン
トスルモノデアリマス
次ニ獸醫師法ノ臨時特例ニ關スル法律案
ハ、事變ノ影響上、召集等ニ依ル獸醫師ノ
不足ヲ來シテ居ルノニ加ヘマシテ、時局下
ニ於テ必要ナル畜產擴充計畫ノ遂行上、內
外地及ビ大陸ニ於テ、獸醫師ノ需要ガ急激
ニ增加致シマシタ爲ニ、現在ノ獸醫師ノ數
ヲ以テシテハ、此ノ需要ヲ充スコトガ出來
ナイノデ、此ノ實情ニ應ズル爲ニ、臨時的
ノ措置トシテ、新ニ獸醫手ノ制度ヲ設ケン
トスルノデアリマス
終リニ牧野法中改正法律案ニ付テ申上ゲ
マイク、本案ハ馬ノ增產及ビ資質向上ノ爲、
牧野ノ整備擴大ヲ圖ラントスルモノデアリ
マス、案ノ內容ハ大體五ツノ點カラ成ツテ
居リマス、其ノ第一ノ點ハ、牧野特定地ノ
制度ヲ設ケテ、牧野ノ減少ヲ防ガントスル
コトデアリマス、第二ノ點ハ)民有ノ未ダ
利用シテ居ラナイ土地ヲ、牧野トシテ使用
收用シ得ル途ヲ開クコトデアリマス、第三
ノ點ハ、牧野組合ノ機能ヲ擴大シテ、牧野
ノ經營ニ當リ得ルコトト致シ、又總代會ノ
制度ヲ設ケル等ニ依ツテ、牧野組合ノ活動
ヲ促進スルコトデアリマス、第四ノ點ハ
牧野經營ノ積極的指導デアリマシテ、是ガ
爲ニ牧野組合等ニ對シ、必要ニ應ジテ技術
者ノ雇入ヲ政府ニ於テ命ジ、ソレニ付テハ
國庫ノ補助ヲ與ヘル等ノ方策ヲ講ゼントス
ルモノデアリマス、第五ノ點ハ以上ノ如ク民
營牧野ノ整備擴大ニ關スル諸方策ヲ講ズル
外ニ、政府自ラ牧野ヲ經營シテ、有能馬ノ造成
ヲ圖リ、馬政ノ遂行ヲ全カラシメントスルモ
ノデアリマス、質疑應答ノ主ナルモノ二三申
上ゲマス、牧野ノ擴大ヲ圖ツテモ、今後政府
ガ國有林ヲ馬產ノ爲ニ開放スル決意ガナケ
レバ、所期ノ效果ヲ期待スルコトハ出來ナイ
ガ、政府ノ考ハドウカトノ質疑ニ對シマシテ、
政府ハ、國有林及ビ國有未開地中ニ於ケル
牧野ノ適地ニ付テハ、之ヲ開放スル爲ニ調
査ヲシテ居ル、開放ノ出來ル見込デアル、
尙ホ將來ハ混牧林ノ設置ニ付テモ十分考慮
シテ、牧野ノ設定、確保ニ遺憾ナキヲ期ス
ル考デアルトノ答辯ガアリマシタ、次ニ、最
近馬ノ飼料其ノ他ノ諸費用ハ、甚シク騰貴
シテ居ルニ拘ラズ、軍馬、種牡馬ノ買上價
格ハ、之ニ伴ハナイノデアツテ、其ノ爲ニ
農家ハ馬產ニ對スル興味ヲ失ヒ、軍馬資源
確保上憂慮ニ堪ヘザルモノガアルガ、政府
ハ其ノ買上價格ヲ引上グル意思ハナイカ、ト
ノ質疑ニ對シマシテハ、農林當局及ビ陸軍
當局ヨリ、今後其ノ買上價格ニ付テハ十分
考慮致シタイトノ答辯ガアリマシタ、又馬
政計畫遂行ノ爲ニハ、馬產ニ關スル各種ノ
科學的〓究ヲ行フ爲、馬事試驗場設立ノ必
要ガアルト思フガ、政府ニサウ云フ計畫ガ
アルカトノ質疑ニ對シテ、政府ハニ馬ニ關
スル試驗〓究機關設立ガ急務デアル、政府
ハ其ノ計畫ヲ持ツテ居ル、成ベク早イ機會
ニ於テ、之ヲ豫算ニ現ハシタイ考デアルト
ノ御答辯デアリマス
次ニ牧野ノ擴大整備ヲ圖ル爲ニ、一七〇八
於テ農產物ノ增產及ビ薪炭林ノ確保ト矛盾
ヲ來スコトハナイカトノ質疑ニ對シマシテ、
政府ノ御答ハ、牧野ハ原則トシテ農耕地ニ
適シナイ土地ニ設ケラレルモノデアルカラ、
農產物增產トノ間ニ摩擦ノ起ルコトハ少イ
モノト思フ、又薪炭林トノ關係ニ付テハ、
將來薪炭ノ需要增加ガ豫想セラルルノニ鑑
ミ、其ノ生產ノ保續ヲ圖ル爲、施業計畫ヲ立
テテ居ルカラ、其ノ心配ハナイモノト思フ
ノ御答辯ガアリマシタ、尙ホ牧野法ノ運用
ニ當ツテハ牧野委員會ヲ設ケテ民間ノ意
見ヲ尊重シ、各地方ノ實情ニ適スルヤウニ
スルコト、優良ナ草ノ發生ヲ盛ナラシメル
爲牧野ノ火入禁止ハ延燒ヲ防ギ得ル限リ
ニ於テハ、成ベク之ヲ解除スルコト、北海道
ニ於ケル土地ノ使用收用ハ、明治三十年以
前ノ分ニ付テモ考慮スルコト等ヲ言明サレ
マシタ、此ノ外ニモ種々重要ナル質疑應答
ガ行ハレマシタガ、詳細ハ速記錄ニ就テ御
承知願ヒタイト思ヒマス
以上各案トモ採決ノ結果、滿場一致政府
原案通リ可決致シマシタ、右御報告申上ゲ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=47
-
048・小山松壽
○議長(小山松壽君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=49
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050・服部崎市
○服郡崎市君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
裝蹄師法案第二讀會(確定議)
家畜傳染病豫防法中改正法律案
第二讀會(確定議)
牧野法中改正法律案第二讀會(確定議)
獸醫師法等ノ臨時特例ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=52
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053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=53
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054・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、商業
組合法中改正法律案、輸出毛織物取締法案、
損害保險國營再保險特別會計法案、右三案
ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報告ヲ求メ、其
ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=54
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055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=55
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056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、商業組
合法中改正法律案、輸出毛織物取締法案、損
害保險國營再保險特別會計法案、右三案ヲ
一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長
ノ報〓ヲ求メマス-委員長井上知治君
商業組合法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
輸出毛織物取締法案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會ノ續(委員長報〓)
損害保險國營再保險特別會計法案(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一商業組合法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長井上知治
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一輸出毛織物取締法案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長井上知治
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一損害保險國營再保險特別會計法案(政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長井上知治
衆議院議長小山松壽殿
〔井上知治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=56
-
057・井上知治
○井上知治君 只今議題トナリマシタ商業
組合法中改正法律案、輸出毛織物取締法案、
損害保險國營再保險特別會計法案、以上三
案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマ
ス
先ヅ商業組合法中改正法律案ニ付テ申上
ゲマス、商業組合制度ハ昭和七年ニ創設
セラレ、其後順調ノ發達ヲ遂ゲテ參リマシ
タガ、支那事變以來商業組合ハ物資配給、
物價統制機關トシテ、統制經濟上重要ナル
地位ヲ占ムルニ至リマシタガ、最近ノ中小
商業者ノ實情ハ、現行ノ商業組合制度ヲ利
用シタクテモ利用スル能ハザル多數ノ取
殘サレタル小商業者ガ生ジマシタノデ是
等小商業者ノ救濟更生ヲ圖ルヲ主眼トシマ
シテ、併セテ商業組合ノ物資統制上占ムル
重要性ニ鑑ミマシテ、其ノ監督取締指導ヲ
スルト云フコト、此ノ二點ヲ重點トシテ本
改正法案ガ提出セラレタノデアリマス、質
問ノ要點ヲ申シマスト、第一ハ、現在商業
組合制度ノ外ニ、重要物產同業組合ト云フ
組合制度ガアルガ、此ノ同業組合制度ト商
業組合制度トハ其ノ關係ヲ政府ハ如何ニ
御考ニナツテ居ルカ、第二ハ、商業小組合
制度ノ創設ハ、洵ニ結構デハアルガ、今日
ノ工業小組合制度ノ實情ニ鑑ミル時、果シ
テ此ノ法案ノ狙ツテ居ル目的ヲ達シ得ルヤ
否ヤ、第三ハ、組合ノ監督取締制度ヲ政府
ハ惡用スル虞ハナイカト云フヤウナ點デア
リマシタ、其ノ他生鮮〓料品、銅材、、「タイ
ヤ」地下足袋「カーバイド」其ノ他百般物資
ノ配給統制ニ付テ、各委員ヨリ質疑ガアリ
マシタガ、政府ヨリハ各委員ヲ十分納得セ
シメ、此ノ法案ノ運用ニ依リマシテ、小商
業者ノ救濟ニ大イニ役立テルコトガ出來ル
ト云フヤウナ、ソレ〓〓適切ナル御答辯ガ
アツタノデアリマス、斯クシテ質疑ヲ終リ、
討論ヲ省キ、滿場一致可決セラレマシタ
次ニ輸出毛織物取締法案ニ付テ申上ゲマ
ス、本法律案ハ輸出毛織物ニ對シマシテ
國營檢査ヲヤリ、之ニ合格シタルモノニア
ラザレバ、販賣ノ目的ヲ以テ輸出スルコト
ヲ得ザラシムルト云フ法律案デアリマシテ、
粗惡品ノ輸出ヲ防止シ、海外市場ニ於ケル
聲價ヲ維持シ、更ニ進ンデ品質ノ改善高級
化ヲ促シ、毛織物ノ輸出振興ヲ圖ラントス
ルノガ、本案ノ骨子デアリマスルガ、委員會
ニ於テハ檢査標準、檢査方法、不合格品ノ
處置、原毛獲得、特ニ「リンク」制ニ關スル
事項、海外市場調査、見本蒐集、其他羊毛工
業ノ改善發達竝ニ其ノ輸出振興ニ付テ、各
委員ヨリ適切ナル質問ガアリ、政府當局ヨ
リ懇切ナル御答辯ガアリマシテ、質疑ヲ終
了シ、討論ヲ省キ、一致可決セラレタノデ
アリマス
最後ニ損害保險國營再保險特別會計法案
ニ付テ申上ゲマス、本案ハ先般本院ニ於テ
可決セラレマシタ損害保險國營再保險法ノ
附屬法案デアリマシテ、其ノ資金八千二百
万圓ノ圓滑ナル運用ヲ爲スベシト云フコト
ヲ政府ニ要望シマシテ、質問討論ヲ打切リ、
一致可決セラレマシタ、以上御報告ヲ申上
ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=57
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058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 三案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=59
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060・服部崎市
○服部崎市君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ開
キ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=60
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061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
商業組合法中改正法律案
第二讀會(確定議)
輸出毛織物取締法案第二讀會(確定議)
損害保險國營再保險特別會計法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、三案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、臨時
資金調整法中改正法律案、陸軍作業會計
法、陸軍航空工廠資金特別會計法及海軍工
廠資金會計法ノ臨時特例ニ關スル法律案、
右兩案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報〓ヲ
求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、臨時資
金調整法中改正法律案、陸軍作業會計法、
陸軍航空工廠資金特別會計法及海軍工廠資
金會計法ノ臨時特例ニ關スル法律案、右兩
案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報告ヲ求メマス-委員長紫安新九
郞君
臨時資金調整法中改正法律案(政府提
田第一讀會ノ續(委員長報告)
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一臨時資金調整法中改正法律案(政府提
〓
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
〔紫安新九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=66
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067・紫安新九郎
○紫安新九郞君 只今上程セラレマシタル
臨時資金調整法中改正法律案ニ對シマシ
テ、委員會ノ經過竝ニ其ノ結果ヲ御報〓致
シマス
本案ハ國民大衆ノ一部ニ急激ニ增加シタ
ル過剩購買力ヲ吸收スル爲ニ、新ニ報國債
劵ヲ發行スルト共ニ、從來ノ貯蓄債劵ニ付
テ、割增金ノ限度ヲ引上ゲントスルモノデ
アリマス、報國債劵ハ貯蓄債劵ト同樣、政
府ガ日本勸業銀行ヲシテ、發行セシメントス
ルモノデアリマス、收入ノ限度ハ五億圓ト致
シ、昭和十五年度ニ於テハ、大體二億圓程度
ヲ發行スル見込デアルト、政府ハ申シテ居リ
マス、其ノ發行方法ハ、劵面金額ヲ十圓以下ト
シ、賣出價格ハ劵面金額通リトシ、且ツ利
子ヲ附ケナイコトヲ特色トシテ居ルノデア
リマス、償還期限ハ發行ノ翌年ヨリ十年以
內トシ、每年一囘以上、抽籤ヲ以テ割增金
ヲ附シ得ルコトトシテ居ルノデアリマス、
此ノ割增金ハ、此ノ債劵ノ最モ特徵ノアル
點デアリ、又妙味ノアル所デアリマス、最
高ノ割增金ハ、劵面金額十圓ノ場合ハ一万
圓ノ程度デアリマス、又此ノ債劵ヲ郵便局
又ハ日本勸業銀行ニ保管ヲ委託シ、其ノ保
管委託ノ期間ガ相當長期ニ亙ル場合ニハ、
主務大臣ノ定ムル所ニ依リ、別ニ割增金ヲ
交付スルト云フノデアリマス、尙ホ此ノ債
劵ノ發行ニ依ル收入金ハ、全部之ヲ大藏省
預金部ニ預入レシメ、主トシテ國債ノ消化
ニ之ヲ運用スルト云フノデアリマス、次ヘ
改正ノ第二點ハ、貯蓄債劵ノ割增金ノ限度
ガ、現在賣出價格ノ百五十倍トナツテ居リ
マスノヲ、三百倍ニ引上ゲントスルコトデ
アリマス、委員會ニ於キマシテハ熱心ナ
ル質疑應答ガアリマシテ、全會一致ヲ以テ
之ヲ可決致シマシテゴザイマス
次ニ陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金
特別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時特
例ニ關スル法律案、此ノ案ニ付キマシテ委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ報〓致シマス、是ハ
今次事變ニ際シテ、陸海軍用器等ノ調達竝
ニ修理ノ圓滑ヲ期スル爲ニ、軍需品工場事
業場ニ於テ、陸海軍用兵器等ノ製造、又ハ修
理ヲ爲スニ付、必要ナル材料物品ノ一部不
足ノ爲、是ガ完成ニ支障ヲ來スガ如キ場合
ニ、陸軍造兵廠、千住製絨所、陸軍航空工
廠資金、又ハ海軍工廠資金ノ各特別會計ニ
屬スル材料物品ニシテ、融通ヲ爲シ得ルモ
ノハ當該事業主ニ賣拂ヒマシテ、是ガ製
造修理ノ圓滑ヲ圖ラントスルモノデアリマ
ス、委員會ニ於キマシテハ、全會一致ヲ以
テ之ヲ可決致シマシタ、此ノ段御報〓致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=67
-
068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=68
-
069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=69
-
070・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=70
-
071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=71
-
072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
臨時資金調整法中改正法律案
第二讀會(確定議)
陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=72
-
073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=73
-
074・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際昭和十三年度第
一豫備金支出ノ件、昭和十三年度特別會計
第一豫備金支出ノ件、昭和十三年度特別會
計豫備費支出ノ件、昭和十四年度第二豫備
金支出ノ件、昭和十四年度豫備金外豫算外
支出ノ件、昭和十四年度特別會計第二豫備
金支出ノ件、昭和十四年度特別會計豫備金
外豫算超過及豫算外支出ノ件、右七件ヲ一
括議題ト爲シ、委員長ノ報告ヲ求メ、其ノ
審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=74
-
075・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=75
-
076・小山松壽
○議長(小山松壽君) ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-昭和
十三年度第一豫備金支出ノ件外六件、
ヲ求ムル件ヲ一括シテ議題ト致シマス、
員長ノ報告ヲ求メマス-委員長紫安新九
郞君
昭和十三年度第一豫備金支
出ノ件
昭和十三年度特別會計第一
豫備金支出ノ件
昭和十三年度特別會計豫備
費支出ノ件
昭和十四年度第二豫備金支
出ノ件
昭和十四年度豫備金外豫算
外支出ノ件
昭和十四年度特別會計第二
豫備金支出ノ件
昭和十四年度特別會計豫備
金外豫算超過及豫算外支出
ノ件
報告書
一昭和十三年度第一豫備金支出ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十三年度特別會計第一豫備金支出
ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長
衆議院議長小山松壽殿
御異議ナシト認メマ
承諾
委
(承諾委員
ヲ求長報
ムル
件.〓
紫安新九郞
紫安新九郞
報告書
一昭和十三年度特別會計豫備費支出ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十四年度第二豫備金支出ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十四年度豫備金外豫算外支出ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十四年度特別會計第二豫備金支出
ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十四年度特別會計豫備金外豫算超
過及豫算外支出ノ件
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十五年三月十九日
委員長紫安新九郞
衆議院議長小山松壽殿
〔紫安新九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=76
-
077・紫安新九郎
○紫安新九郞君 只今上程セラレマシタル
昭和十三年度第一豫備金支出外六件ニ對ス
ル委員會ノ經過竝ニ其ノ結果ヲ御報〓致シ
やく、昭和十三年度ニ於テハ一般會計第一
豫備金ヨリ千九百七十五万餘圓、特別會計
第一豫備金ヨリ八百六万餘圓、同豫備費ヨ
リ三千万圓、合計五千七百八十一万餘圓ヲ支
出シテ居リマス、次ニ昭和十四年度ニ於テ
ハ一般會計第二豫備金ヨリ六千万圓、特
別會計第二豫備金ヨリ八百三十八万餘圓、
合計六千八百三十八万餘圓ヲ支出致シテ居
リマス、尙ホ昭和十四年度一般會計豫備金
外ニ於テ、國庫剩餘金ヲ以テ豫算外ノ支出
ヲ致シテ居ルモノガ五百五十四万餘圓、特
別會計豫備金外ニ於テ、其ノ歲入金ヲ以テ
豫算超過ノ支出ヲ致シテ居ルモノガ千四百
二十二万餘圓、國庫剩餘金ヲ以テ豫算外支
出ヲ致シテ居ルモノガ千四百二十六万餘圓
デアリマス、豫備金外支出ノ合計ハ三千四
百三万餘圓デアリマス、以上各案ニ對シテ
委員會ハ全會一致ヲ以テ承認ヲ與フルニ決
シマシタ、此ノ段御報〓致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=77
-
078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 昭和十三年度第一豫
備金支出ノ件外六件ハ承諾ヲ與フルニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=78
-
079・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ七件トモ承諾ヲ與フルニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=79
-
080・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、日本
肥料株式會社法案ヲ議題ト爲シ、委員長ノ
報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=80
-
081・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=81
-
082・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-日
本肥料株式會社法案、第一讀會ノ續ヲ開キ
マヽ、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長
熊谷直太君
日本肥料株式會社法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一日本肥料株式會社法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報〓候也
昭和十五年三月十九日
委員長熊谷直太
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字ハ委員會修正)
日本肥料株式會社法案中左ノ通修正ス
第七條理事長及副理事長ハ政府之ヲ命
ジ其ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ選擧シタル候補
者中ヨリ政府之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年
トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
肥料業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其
ノ職ヲ退キタル後五年間日本肥料株式會社
ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於
テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ
在ラズ
附帶決議
一政府ハ速ニ肥料ノ國家管理ヲ斷行ス
ベシ
二政府ハ主要農產物ノ生產ニ對シ他ノ
總テノ物資ニ優先シテ各種肥料ノ供給
ヲ確保スベシ
三政府ハ中央地方ヲ通ジ各種肥料配給
機構ヲ整備シ敏速且圓滑ナル配給ニ遺
憾ナキヲ期スベシ
四政府ハ有機質肥料ノ供給及價格ノ適
正ニ付更ニ徹底ヲ期スベシ
五政府ハ速ニ飼料ノ配給ヲ圓滑ニシ家
畜ノ增產ヲ圖リ自給肥料ヲ奬勵スベシ
〔熊谷直太君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=82
-
083・熊谷直太
○熊谷直太君 只今上程セラレマシタ日本
肥料株式會社法案ニ付キマシテ、委員會ニ
於ケル審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲ
やっと、本法案ハ現下ニ於ケル肥料對策ト致
シマシテ、極メテ緊要ナル法案デアリマス、
委員會ニ於キマシテハ之ヲ開會スルコト
十一囘、委員各位終始熱心ナル審議ガ行ハ
レタノデアリマス、本法案ノ目的ト致シマ
スル所ハ、現下ノ肥料事情ニ鑑ミマスル時
ハ肥料ノ需給ノ圓滑ト價格ノ公正トヲ圖
ルコトガ一層緊要デアリマスノデ、玆ニ日
本肥料株式會社ヲ設立致シマシテ、重要肥
料ノ配給統制及ビ供給確保ヲ爲ス爲ニ必
要ナル事業ヲ爲サシメントスルニアルノデ
アリマス、卽チ日本肥料株式會社ハ、其ノ
資本金トシテ五千万圓、現存ノ日本硫安株
式會社及ビ燐酸肥、料配給株式會社ヲ統合致
シマシテ、之ニ新ナル民間出資ヲ加ヘテ、
更ニ政府ニ資本ノ半額ヲ出資セシメテ設立
致スモノデアリマシテ、其ノ事業ト致シマ
スル所ハ、硫酸「アンモニア」、石灰窒素、
過燐酸石灰、加里鹽、其ノ他重要肥料ノ一
手買取販賣ヲ致シマスルノ外ニ、肥料ノ輸
移出及ビ輸移入ヲ行ヒ、、更ニ肥料ノ製造、
肥料製造工場ノ經營ノ管理、製造事業ニ對
スル投資等、肥料ノ供給確保上必要ナル有
ユル行爲ヲ行フモノデアリマス、而シテ本
會社ニ對シマシテハ、其ノ資金調達ノ便宜
ヲ得セシメマスル爲ニ、社債發行ニ付キマ
シテハ、商法ノ特例ヲ設ケマシテ、其ノ限
度ヲ拂込株金額ノ五倍ト致シマシテ、其ノ
元利ノ支拂ヲ政府ニ於テ保證致シマスル外
ニ、政府所有ノ株式ヲ劣後株ト致シマシテ、
民間株式ニ對スル利益配當ヲ優遇スル等ノ
保護特典ヲ與ヘタノデアリマス、又他面ニ
ハ是ガ指導監督ヲ嚴重ニ致シマシテ、事業
遂行上重要ナル事項ニ付キマシテハ政
府ノ認可ヲ受ケシムル等ノ措置ヲ講ジマス、
又利益ノ配當ニ付キマシテモ、之ヲ制限ス
ルコトト致シテ居ルノデアリマス、更ニ肥
料ノ製造業者、取扱業者ハ、其ノ製造又ハ
取扱ニ係リマスル肥料ヲ、本會社ニ對シテ
賣渡スベキ旨ノ規定ヲ設ケマシテ、以テ本
會社ノ行ヒマスル所ノ配給統制事業ノ遂行
ニ、遺憾ナキコトヲ期シテ居ルノデアリマス、
本法制定ノ趣旨ニ付キマシテハ、委員各位
ハ何レモ贊意ヲ表シタノデアリマスルガ、
本法案ノ重要性ノ爲ニ、政府當局トノ間ニ
非常ニ熱心ナル質疑應答ガ重ネラレタノデ
アリマス、卽チ各委員ハ全部質疑ヲ試ミ、
政府之ニ對シテ應答スルト云フ狀態デアツ
タノデアリマス其ノ詳細ノ點ニ付キマシ
テハ、中々長ク掛リマスカラ、一々御報〓
申上ゲル譯ニ參リマセヌノデ、速記錄ニ依
ツテ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス、併シ其
ノ重要ナル二三ノ點ニ付キマシテ、茲ニ御
報告申上ゲテ置キタイト思ヒマス
ソレハ第一ニハ、肥料ノ配給ノ圓滑ヲ圖
ル爲ニハ本法案ニ依リマシテ、中樞配給
機構ヲ整備統合スルノミデハ不十分デアル、
地方ニ於ケル所ノ配給機構ノ一元化、又ハ
配給設備ノ簡易化ヲ圖ルベキデハナイカト
云フ質問ガアツタノデアリマス、之ニ對シ
テ政府ハ、地方ニ於キマスル配給機構ヲ一
層整備致シ、又ハ簡易化スルコトハ贊成デ
アルカラ、肥料配給ノ實情ニ卽シマシテ、
善處シタイト云フ所ノ答辯ガアツタノデア
リマス
第二ニハ、本會社ニ依ル肥料增產ノ具體
的方法如何、又本法案ニ依ツテ爲シ得ル肥
料製造工場ノ經營ノ管理ハ之ヲ更ニ强化
シタルモノトスルノ要ハナイカ、卽チ肥料
製造工場ノ合同ヲ圖ルノ意思ハナイカドウ
カト云フ點デアリマス、之ニ對シマシテ政
府ハ、肥料ノ供給確保ニ付キマシテハ、本
會社ノ爲ス肥料製造事業ニ對スル投資、肥
料ノ製造、肥料製造工場ノ經營ノ管理等ノ
方法ニ依ルノ外、更ニ肥料ノ供給確保ニ關
スル他ノ法令及ビ諸施設ノ運用實施ニ依ツ
テ、之ヲ行ツテ參リタイト云フ答辯デアツ
タノデアリマス
第三八今、明肥料年度ニ於ケル肥料、
殊ニ硫安ノ供給ニ不安ナキヤト云フ點デア
リマス、是ハ洵ニ重大ナル點デアリマス
此ノ點ニ對シマシテハ、政府ハ、今年度ニ
於ケル硫安等ノ統制肥料ニ付キマシテハ
曩ニ地方ニ割當テタルモノノ配給ニ付テハ
不安ハナイ、、大豆油粕ニ付テハ現在マデ
ニ相當數量ノ輸入ヲ見タガ、尙ホ今後極力
滿洲ヨリノ輸入等ニ依リ、供給ノ確保ヲ圖
ルト共ニ、是ガ配給ノ適正ヲ圖リタイ、又
魚粕ノ供給增加ニモ一層努力スルノ外、他
ノ雜粕ノ供給及ビ配給ノ統制、自給肥料ノ
奬勵等ヲモ併セテ努力中デアル更ニ明年
度以降ニ於ケル硫安等ノ供給ニ付キマシテ
ハ、出來ルダケノ措置ヲ講ジテ居ルガ之
ニ併セテ肥料ノ消費ヲ合理化シ、又之ヲ調
整シテ、肥料ノ需給ニ不安ナカラシメタイ
ト云フ答辯デアツタノデアリマス、其ノ他
數多ノ質問ガアリマシタガ、是ハ略シテ置
キマス
次ニ討論ニ入リマシテ、民政黨ノ山田君
ヨリ修正案ヲ提出サレタノデアリマス、是
ト同時ニ又附帶決議ヲ申出デラレタノデア
リマスガ、玆ニ修正セラレマシタ所ノ修正
案ト附帶決議ヲ朗讀致シマス
第七條第四項トシテ左ノ一項ヲ加フ
肥料業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ
其ノ職ヲ退キタル後五年間日本肥料株式
會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務大
臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
是ハ御承知ノ通リ國策會社ニ付テハ、議院
ノ殆ド慣例トモ言ツテ宜イ位デアリマスガ、
一昨々年アタリカラ、此ノ條項ヲ法律ヲ以
テ入レルコトニシテアリマス、其ノ例ニ傚
ヒマシテ、此ノ修正案ガ出タ譯デアリマス、
次ニ附帶決議ヲ朗讀致シマス
附帶決議
-政府ハ速ニ肥料ノ國家管理ヲ斷行ス
ベシ
二政府ハ主要農產物ノ生產ニ對シ他ノ
總テノ物資ニ優先シテ各種肥料ノ供給
ヲ確保スベシ
三政府ハ中央地方ヲ通ジ各種肥料配給
機構ヲ整備シ敏速且圓滑ナル配給ニ遺
憾ナキヲ期スベシ
四政府ハ有機質肥料ノ供給及價格ノ適
正ニ付更ニ徹底ヲ期スベシ
五政府ハ速ニ飼料ノ配給ヲ圓滑ニシ家
畜ノ增產ヲ圖リ自給肥料ヲ奬勵スベシ
斯ウ云フ五ツノ附帶決議デアリマス、山田
委員ハ是等修正案及ビ附帶決議ヲ提出シ、
同時ニ原案ニ贊意ヲ表シ、小平委員、河野
委員、野溝委員、石坂委員、各〓其ノ黨ヲ代
表セラレマシテ、只今申上ゲマシタ附帶決
議竝ニ修正案、及ビ修正セラ、レマシタ以外
ノ原案ニ付テ、贊成ノ意ヲ表セラレタノデ
アリマス、之ヲ起立ニ諮ヒマシタ所、滿場
一致本案ヲ可決シタノデアリマス、右委員
會ノ結果ヲ御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=83
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084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=84
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085・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=85
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086・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=86
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087・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=87
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088・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第一讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
日本肥料株式會社法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=88
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089・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第一及ビ
第二ハ便宜上一括議題ト爲スニ御異議アリ
マセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=89
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090・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程第一、昭和十五年度一般會計
歲出ノ財源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關ス
ル法律案、日程第二、支那事變ニ關スル一
時賜金トシテ交付スル爲公債發行ニ關スル
法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キ
マス-木村大藏政務次官
第一昭和十五年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關スル
法律案(政府提出)第一讀會
第二支那事變ニ關スル一時賜金トシ
テ交付スル爲公債發行ニ關スル法律
案(政府提出)第一讀會
昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案
政府ハ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金
額ノ外一億七千七百七十萬圓ヲ限リ公債
ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減額
ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前項
ノ制限以外ニ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
支那事變ニ關スル一時賜金トシテ交付
スル爲公債發行ニ關スル法律案
第一條支那事變ニ關スル一時賜金トシ
テ交付スル爲政府ハ昭和十五年度分ト
シテ額面一億六千四百二十萬圓ヲ限リ
公債ヲ發行スルコトヲ得
第二條前條ノ規定ニ依リ發行スル公債
ハ之ヲ登錄國債トス
前項ノ公債ニ對シテハ證劵ヲ發行シ本
劵ヲ記名式トシ附屬利札ヲ無記名式ト
ス
第三條第一條ノ規定ニ依リ發行スル公
債ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ於テ
買入ルル場合ヲ除クノ外之ヲ讓渡シ又
ハ擔保ニ供スルコトヲ得ズ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員木村正義君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=90
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091・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案外一
件ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ說明致
シマス
先ヅ昭和十五年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案ニ付
說明致シマス、昭和十五年度歲入歳出總豫算
及ビ同年度歲入歲出總豫算ノ追加第一號ニ
伴フ一般會計歲入不足ノ補塡ニ付キマシテ
ハ、之ニ關スル法律案ヲ今期議會ニ提出シ
テアリマスガ、今囘別途提出致シマシタ同
年度歲入歳出總豫算追加第二號ニ計上セル
經費ノ所要財源總額二億千六百六十餘万圓
ヨリ普通歲入及ビ前年度剩餘金ヲ以テ充
當スベキ分三千八百三十餘万圓ト、道路公
債法ニ依ル公債金ヲ以テ充當スベキ分六十
餘万圓トヲ差引キタル殘額一億七千七百七
十万餘圓ニ付キマシテハ、今日ノ場合之ヲ
公債ニ依ルノ外アリマセヌノデ、本法律案
ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ支那事變ニ關スル一時賜金トシテ交
付スル爲公債發行ニ關スル法律案提出ノ理
由ヲ說明致シマス、今囘ノ支那事變ニ關シ
功勞アリタル陸海軍軍人其ノ他ニ對スル行
賞ハ、昭和十五年度以降緩急ノ順序ヲ考慮
シ實行セラルルコトトナリマシタル所、是
等功績アル者ニ對シテハ、滿洲事變其ノ他ノ
戰役事變ノ例ニ準ジ、一時賜金ヲ賜與セラ
ルルコトト考ヘラレマスルガ、此ノ賜金ハ
公債證書ヲ以テ交付スルコトト致シマスル
爲昭和十五年度分トシテ總額一億六千四
百二十万圓ダケ起債ノ權能ヲ得ル必要ガア
リマス、尙ホ本公債ハ其ノ性質ニ顧ミ、受
賞者ヲシテ永ク保有セシムル爲、之ヲ登錄
國債トシ、之ニ對シ特別ナル證劵ヲ發行ス
ルコトトシ、且ツ我國現下ノ財政經濟事情
ニ鑑ミ之ヲ政府ニ於テ買上グル場合ノ外、
讓渡又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ザルコトト
致シタイト存ジマシテ、玆ニ本法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上速ニ協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=91
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092・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=92
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093・服部崎市
○服部崎市君 日程第一及ビ第二ノ兩案ハ
一括シテ政府提出、昭和十五年度一般會計
歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法
律案外五件委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=93
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094・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=94
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095・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
三、外國爲替管理法中改正法律案、第一讀
會ヲ開キマス-木村大藏政務次官
第三外國爲替管理法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
外國爲替管理法中改正法律案
外國爲替管理法中左ノ通改正ス
第一條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二通貨若ハ外國通貨ノ輸出若ハ輸
入金地金、金ノ合金若ハ金ヲ主タ
ル材料トスル物ノ輸出又ハ金貨幣ノ
鑄潰若ハ毀傷
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員木村正義君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=95
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096・木村正義
○政府委員(木村正義君) 只今議題トナリ
マシタ外國爲替管理法中改正法律案ニ付テ
提出ノ理由ヲ說明致シマス、近時海外ニ於
テ本邦銀行劵ノ相場ガ下落致シマシタ結
果輸出貨物代金ノ決濟又ハ貿易外受取勘
定ノ本邦向送金等ニ際シマシテ、本邦銀行
劵ヲ送付又ハ携帶輸入スルモノガ增加シ、
本邦外貨資金ノ獲得保全上憂慮スベキ事態
ヲ生ジマシタノデ、其ノ抑制ヲ圖ル爲、外
國爲替管理法ニ基ク大藏省令ニ依リ、昭和
十四年七月一日以降、本邦銀行劵ノ輸入ヲ
許可事項ト致シタノデアリマスガ、其ノ法
的根據ニ付疑義ヲ挾ム向キガアリマスノデ、
此ノ際外國爲替管理法上ノ根據ヲ明瞭ニ致
シマスト共ニ、通貨ニ關スル爲替管理法規
ノ整備ヲ期スル爲、本法律案ヲ提出致シマ
シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速ニ
協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス拍
手発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=96
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097・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=97
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098・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十五
年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發
行ニ關スル法律案外五件委員ニ併セ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=98
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099・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=99
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100・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四及ビ第五ハ、便宜上一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=100
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101・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第四、神宮關係特別都市計畫法案、
日程第五、都市計畫法中改正法律案、右兩
案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-兒玉
內務大臣
第四神宮關係特別都市計畫法案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
第五都市計畫法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
神宮關係特別都市計畫法案
神宮關係特別都市計畫法
第一條本法ハ神宮ニ關係アル宇治山田
都市計畫事業ニシテ主務大臣ノ指定ス
ルモノニ之ヲ適用ス
前項ニ規定スル都市計畫事業ハ行政官
廳之ヲ執行ス
第二條前條ニ規定スル都市計畫事業ノ
執行ニ要スル費用ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ關係公共團體ヲシテ其ノ一部ヲ負
擔セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル負擔ニ係ル費用ハ他
ノ法令ノ適用ニ付テハ都市計畫法第六條
第一項ノ規定ニ依リ負擔スル費用トス
第三條土地區劃整理ヲ施行スル場合ニ
於テハ設計及換地處分ニ關スル事項竝
ニ第四條第二項及第五條第一項ノ規定
ニ依ル補償金額ハ土地區劃整理委員會
ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ム
土地區劃整理委員會ニ關スル規程ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條土地區劃整理施行ノ爲必要アル
トキハ換地豫定地ヲ指定シ相當ノ期間
ヲ定メテ土地區劃整理施行地區內ニ存
スル建物其ノ他ノ工作物又ハ木石等ノ
所有者ニ對シ其ノ移轉ヲ命ズルコトヲ
得此ノ場合ニ於テハ建物其ノ他ノ工作
物ノ占有者ニ對シ相當ノ期間ヲ定メテ
立退ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ移轉又ハ立退ニ因リテ所有者又
ハ占有者ノ通常受クベキ損失ハ之ヲ補
償ス
第五條土地區劃整理ノ施行ニ因リ土地
區劃整理施行地區內ニ於ケル施行後ノ
宅地ノ總面積ガ施行前ノ宅地ノ總面積
ヨリ一割ヲ超エテ減少スルニ至リタル
トキハ其ノ一割ヲ超ユル部分ニ對シ勅
令ノ定ムル所ニ依リ補償金ヲ交付ス
前項ノ宅地トハ勅令ニ依リ公共ノ用ニ
供スル土地ト定ムルモノ以外ノ土地ヲ
謂フ
第六條耕地整理法第二十五條ノ規定ハ
第四條第二項及前條第一項ノ規定ニ依
ル補償金ニ關シ之ヲ準用ス
第七條耕地整理法第三十條ノ規定ニ依
ル〓算金ヲ納付スベキ義務アル者ニ對
シ同一土地區劃整理施行地區內ニ於テ
第五條第一項ノ規定ニ依ル補償金ヲ交
付スベキ場合ニ於テハ徵收スベキ〓算
金ニ之ヲ充ツルコトヲ得但シ其ノ補償
金ガ同法第二十五條ノ規定ニ依リ供託
スベキモノナルトキハ其ノ補償金ヲ交
付スベキ土地ノ〓算金ニ非ザレバ之ヲ
充ツルコトヲ得ズ
第八條都市計畫法第十三條第一一項ノ規
定ハ本法ニ依ル土地區劃整理ニ之ヲ準
用ス
第九條第四條第二項又ハ第五條第一項
ノ規定ニ依ル補償金額ニ付不服アル者
ハ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三
月以內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ
得
第十條都市計畫法第二十五條及第二十
六條ノ規定ハ本法又ハ本法ニ基キテ發
スル命令ニ規定シタル事項ニ付爲シタ
ル處分ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
都市計畫法中改正法律案
都市計畫法中左ノ通改正ス
第一條中「保安、」ノ下ニ「防空、」ヲ加フ
第十一條ノ二都市計畫トシテ內閣ノ認
可ヲ受ケタル公園、綠地若ハ廣場ノ境
域內又ハ都市計畫トシテ內閣ノ認可ヲ
受ケタル土地區劃整理ノ區域內ニ於ケ
ル建築物ニ關スル制限ニシテ都市計畫
上必要ナルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條ノ二中「建物アル宅地」ノ下ニ
「又ハ墳墓地」ヲ加フ
第十五條ノ三土地區劃整理ノ施行ニ因
リ道路、廣場、運河、公園其ノ他ノ公
共ノ用。供スベキモノト爲リタル土地
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ國又ハ公共團
體ノ所有地ニ之ヲ編入ス
第十六條中「公園」ノ下ニ「、綠地」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣伯爵兒玉秀雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=101
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102・兒玉秀雄
○國務大臣(伯爵兒玉秀雄君) 只今議題ト
相成リマシタ神宮關係特別都市計畫法案ニ
付キマシテ、其ノ提案理由ノ〓略ヲ御說明
申上ゲマス、神宮ニ關スル施設ヲ整備シ、
以テ神宮ノ〓嚴ヲ保持シ、皇國精神ノ昂揚
ニ努メマスルコトハ國體ノ本義ニ照シ、
極メテ緊要ナルコトト存ズルノデアリマス、
之ニ關シマシテハ曩ニ貴衆兩院ヨリ建議
セラレマシタル次第モアリ、政府ニ於キマシ
テハ、神宮關係施設調査會ノ意見ヲ徵シ、今
囘之ニ關スル豫算ヲ提出致シマシテ、旣上
本議會ノ御協賛ヲ得夕次第デアリマス、而
シテ右ノ施設中、都市計畫ニ關スルモノハ、
之ヲ都市計畫事業トシテ、內務大臣ニ於テ
直接執行スルノ必要ヲ認メ、玆ニ本案ヲ提
出シタ次第デアリマス
其ノ內容ノ主ナル點ヲ申上ゲマスレバ
先ヅ本事業ノ特殊性ニ鑑ミマシテ、國ニ於テ
直接執行スベキコトヲ明ニシ、次ニ本事業ハ
其ノ性質上國ニ於テ費用ヲ負擔スベキモノ
ト存ジマスガ、一面其ノ費用ノ一部ヲ關係公
共團體ニ分擔セシメ得ルノ規定ヲ設ケ、以
テ事業執行ニ付協力セシメントスル次第デ
アリマス、又神宮宮域ノ擴張、參宮道路、廣場
等ノ新設、擴張ノ爲、相當多クノ民家ノ移轉
ヲ必要ト致シマスルノデ、附近一帶ニ亙リ土地
區畫整理ヲ行ヒ、環境ノ整備ヲ圖リタイト
存ジマスルガ、現行法ニ於キマシテハ、其
ノ規定ガ不十分デアリマスノデ、之ヲ補フ
ト共ニ、必要ナル規定ヲ設ケタ次第デアリ
マス
次ニ都市計畫法中改正法律案ニ付キマシ
テ、其ノ提案理由ノ〓略ヲ御說明致シマス、
都市計畫法ハ、其ノ施行以來我國都市ノ構
築改善ニ付、相當ノ實績ヲ收メテ居ルノ
デアリマスガ、時勢ノ推移ト過去ノ實績ト
ニ徵シマシテ、改正ヲ要スル點ガアリマス
ノデ、玆ニ本案ヲ提出致シマシタ次第デア
リマス
本改正法律案ノ主ナル事項ヲ申上ゲマス
下、先ヅ第一ハ航空機ノ來襲ニ依ル禍害
ヲ防止シ、又ハ輕減スル爲、防空的都市計
畫ノ具現ニ付特別ノ考慮ヲ拂フ必要ガアリ
マスノデ、之ヲ明ニ致シタ次第デアリマス、
第二ハ、最近ニ於ケル都市發展ノ情勢ニ照
シ、都市民ノ保健增進、竝ニ都市ノ防衞等
ニ關スル施設ニ付、遺憾ナカラシムルコト
ハ最モ緊要ノコトト信ジマスノデ、新ニ綠
地ニ關スル規定ヲ設ケ、尙ホ公園、廣場等
ト共ニ其ノ實現ヲ容易ナラシムル爲、制限
規定ヲ加ヘタ次第デアリマス、第三ハ土
地區劃整理施行ノ實際ニ鑑ミ、其ノ圓滑適
正ヲ期セントスルモノデアリマス、是レ本
案ヲ提出シタル所以デアリマス、仍テ右二
法案ニ付何卒御審議ノ上御協賛アランコト
ヲ希望スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=102
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103・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=103
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104・服部崎市
○服部崎市君 日程第四及ビ第五ノ兩案
ハ一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付託
サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=104
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105・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=105
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106・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=106
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107・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、明二
十日定刻ヨリ本會議ヲ開クコトトシ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=107
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108・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=108
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109・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議メ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ
是ニテ散會致シマス
午後六時三十九分散會
衆議院議事速記錄第二十六號
中正誤
頁段行誤正
六二一二三〇歲入四十八億歲入四十八億
四百万圓三千六百万圓
六二一二三〇-三一歳出四十八億歲出四十八億
四千四百万圓八千二百万圓発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007513242X02919400319&spkNum=109
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