1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年二月二十五日(火曜日)午前十時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=0
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001・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 是ヨリ委員會
ヲ開會致シマス、本日ハ日本勸業銀行法中
改正法律案、農行銀行法中改正法律案及北
海道拓殖銀行法中改正法律案ニ付テ御質疑
ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=1
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002・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 日本勸業銀行ノヤウナ
大資本ノ有力銀行ガ、十人以上連帶貸付ノ
制度ヲ、一躍其ノ半數ノ五人以上ヲ以テ足
ルト致シマシタ結果、產組ノ信用組合等ニ
對シマシテ、何カ影響ヲ及スト云フヤウナ
コトハアリマスマイカ、十人ガ五人ニナッタ
ノダカラ、是ハ大資本ノ信用ノアル勸銀ノ
方ヘ行カウト言ッタヤウナ結果ヲ招來スル
虞ガアリハシマイカト云フヤウナコトヲ心
配致ス譯デアリマス、就キマシテハ若シサ
ウ云フコトガアルトスレバ產組トノ關係ガ
面白クナイト云フコトニ相成リマスノデ、
斯ウ言ック今度ノ改正ガ產組ノ信用組合等
トノ間ニ、サウ言ッタ影響ガアリハシマイカ、
其ノ影響ノ有無ト言ッタヤウナコトニ付キ
マシテ、當局ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=2
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003・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫者) 元來此ノ十人連
帶ノ貸出ト制度ト云フモノハ、其ノ創設ノ
趣旨ヲ考ヘテ見マスト云フト、不動產銀行
ニ與ヘラレテ居ル本來ノ機能ヲ謂ハバ側面
カラ促進致シマス爲ニ、中小產者ガ共同ノ
目的ヲ以テ借入ヲ爲ス場合ニ於キマシテハ、
强ヒテ抵當ヲ徵スルコトヲ致シマセヌデ、
無擔保デモ資金ノ融通ヲ爲シ得ルト云フコ
トニ致ジテアルモノト存ゼラレマス、ソレ
デ其ノ本來ノ趣旨ニ於キマシテ、普通銀行
トカ、或ハ信用組合等ノ金融ト違ッテ居ル所
ガアルト存ゼラレルノデアリマス、此ノ連
帶貸付ガ最モ多ク利用セラレテ居リマスノ
ハ肥料資金ノ貸付等ノ場合デアリマシテ、
サウ云フ實際ノ利用ノ狀況カラ考ヘテ見マ
シテモ、勸業銀行等ノ連帶貸ノ利用セラレ
マス範圍ハ、自ラ他ノ金融機關ノ活動分野
ト違ッテ居ルノデアリマシテ、此ノ際十人連
帶ヲ五人連帶ニ改メマシテモ他ノ金融機關
ヲ壓迫スルヤウナ結果ニナルコトハ萬ナイ
モノト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=3
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004・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 只今ノ御說明ニ依リマ
スト、大體肥料資金ノ貸付デアルカラ、產
組ノ方面へ影響ハナイト思フト云フヤウナ
コトデアリマスルカラ安心ハ致シマシタガ、
併シ近年產組ノ方デハ水產業ニ對シマシテ
モ手ヲ伸バシテ居ルヤウデアリマスルガ、
サウ致シマスルト水產金融ニ付テハ影響ガ
アルノヂヤナイカト思ヒマスガ、無イノデ
アリマスカ、其ノ點ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=4
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005・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 水產金融ノ問題
ニ關シマシテハ、水產金融ハ實ハ從來ナカ
ナカ圓滑ニ行ハレマセヌデ、之ヲ圓滑ナラ
シメマスル爲ニ當局ト致シマシテモ各方面
カラ色々ノ施設ヲ講ジテ參ッタノデアリマ
ス、不動產銀行ノ水產金融ヲ便ナラシムル
方法ヲ講ジマスルト共ニ、產業組合中央金
庫ヲ活用致シマシテ、其ノ系統カラモ水產
資金ガ成ルベク便宜豐富ニ出テ來ル方策ヲ
講ジテ參ッタノデアリマシテ、水產金融ノ方
面ニ於キマシテハ寧ロ多々辨ズト云フ狀態
デハナイカト存ゼラレマスルノテ、水產業
者ニ對スル連帶貸ノ制度ヲ此ノ際緩和致シ
マシテモ、之ニ依ッテ產業組合方面ノ事業ヲ
壓迫スルト云フヤウナコトハナク、寧ロ中
小ノ水產業者ノ爲ニハ非常ニ便宜ヲ與ヘル
コトニナリハセヌカト考ヘテ居ル次第デゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=5
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006・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 只今ノ御說明ニ依リマ
シテ、產組ノ金融機關ニ對スル惡影響ハ少
シモナク、寧ロ便宜ヲ與ヘルト云フヤウニ
伺ヒマシタノデ安心ヲ致シマスガ、併シ私
ハ多少其ノ點ニ不安ガアリマスルノデ、此
ノ上トモ產組ノ金融機關トノ關係ニ付テ十
分ノ御心ヲ煩ハシテ置キタイト思ヒマス、
尙從來十人連帶貸ト云フモノハ相當ニ行ハ
レテ居ッタモノデアラウカト思ヒマスガ、此
ノ成績ガ御分ニナッテ居リマシタナラバ、此
ノ期間ナリ、又金額ナリヲ御示ヲ願ヒタイ
ト思ヒマス、又五人連帶貸ト致シマシタ結
果、增加致スコトト思ヒマスガ、其ノ增加
ノ御見込ハドノ程度デゴザイマスカ、ドノ
位デゴザイマスカ御伺致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=6
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007・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 十人連帶貸ノ數
字ヲ申上ゲマス、勸業銀行ニ於キマシテハ、
昭和十五年ノ上期末ニ於キマシテ、口數ニ
致シマシテ一萬三千七百九十一口、金額ニ
致シマシテ千九百八十四萬圓、農工銀行ニ
於キマシテハ、同ジク昭和十五年度上期末
ニ於キマシテ四千九百四十口、金額ニ致シ
マシテ五百三十九萬六千圓、北海道拓殖銀
行ニ於キマシテハ六百六十八口、四百三十
八萬四千圓ニナッテ居リマス、之ニ依ッテ御
分ノヤウニ、金額ニ致シマシテモ相當ノ金
額ヲ貸付ケテ居リマスガ、口數ガ非常ニ多
イノデゴザイマシテ、中小ノ產業者ニ相當
便宜ヲ與ヘテ居ルコトガ窺ハレルト存ズル
ノデアリマス、今後之ヲ五人以上連帶ニ改
メマスコトニ依リマシテ、ドレダケ此ノ貸
付ガ伸ビマスカ、正確ナ計算ハ見込ハ實ハ
立ッテ居ルモノガナイノデアリマスガ、併シ
之ヲ擴張スルコトニ依リマシテ、可ナリ中
小產業者ニ便宜ヲ與ヘ、此ノ連帶貸ガ伸ビ
ル餘地ガアルノデハナイカト考ヘテ居ル次
第デゴザイマス、幾ラ位殖エル見込デアル
カト云フコトニ付テ、ハッキリ申上ゲ兼ネ
マスノハ甚ダ遺憾ニ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=7
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008・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 今囘ノ改正デ此ノ貸付
擔保トシテ漁船ヲモ認メルコトトナッタ譯
デアリマシテ、是ハ水產業貸付ニ對スル一
進步トシテ誠ニ結構デアルト考ヘマス、然
ラバ此ノ漁船ノ程度ハドウ云フコトニナッ
テ居ルノデアリマスカ、御說明ヲ願ヒタイ
ノデアリマス、水產業ノ發達ヲ助長スルト
云フ點カラ致シマシテ、從來ノ漁業權ニ更
ニ漁船ヲモ加ヘテ貸付ノ擔保トシテ認メラ
レタモノデアルト考ヘマス、然ラバ精々其
ノ所謂漁船ノ範圍ヲ廣クシテ、水產金融ヲ
擴充セシムルコトト致スベキモノデアルト
思ヒマスガ、此ノ點ニ付テノ政府ノ御所見
ヲ件セテ伺ヒタイト思ヒマス、尙其ノ漁船
ノ保險ノ特別會計ガ設定セラレタト云フコ
トデアリマスガ、實ハ私不敏デアリマシテ、
其ノ內容ヲ存ジマセヌノデ此ノ機會ニ併セ
テ御說明ヲ煩ハシタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=8
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009・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 一應私カラ御答
ヘ致シマシテ、尙詳シイコトヲ他ノ政府委
員カラ必要ニ應ジマシテ御答へ申上ゲルコ
トニ致シタイト思ヒマス、漁船ヲ新タニ擔
保ニ取リ得ルコトニ致シマシタノデアリマ
スガ、從來漁船ハ漁業財團ニ組入レシムル
場合ノ外ハ、擔保トシテ貸付ヲスルコトガ
出來ナイ實情ニアッタノデアリマス、漁船ニ
付キマシテモ、漁船保險組合ニ依ル相互保
險ノ制度ガ實施セラルヽヤウニナリマシテ、
之ヲ擔保トシテ貸付ヲシテモ債權保全上危
險ガナイト認メラレル場合ニハ、之ヲ抵當
ニシテ貸付ケルコトガ水產金融ノ疏通ヲ圖
リマス上ニ於テ最モ適當ト認メテ此ノ改正
ヲ致シタ次第デアリマス、唯抵當權登記ノ關係
上、實際問題ト致シマシテハ、總噸數二十噸
以上、積石數二百石以上ノ漁船ニ限定サレ
ルコトニナラウト存ゼラレマス、是ハ抵當權
ヲ第三者ニ對抗シ得ルモノト致シマス爲ニ
ハ、登記ノ必要ガアルノデアリマスルガ、船
舶ノ登記ハ總噸數二十噸以上又ハ積石數二
百石以上ノモノニ限ラレテ居リマスル關係
デ抵當ト爲シ得ルモノモ是ト同樣ノ範圍ニ
限定セザルヲ得ナイノデゴザイマス、唯將
來ハ例ヘバ船舶登記ノ範圍ヲ擴張スルトカ、
其ノ他何等カノ方法ヲ講ジマシテ、右以外
ノ漁船ヲモ抵當ニシ得ルヤウニ致シマシテ、
水產金融ノ必要ニ、更ニ十分ニ應ジ得ルヤ
ウニ致ス方法ニ付テ〓究シタイト考ヘテ居
ル次第デゴザイマス、漁船保險制度ノ內容
ニ付キマシテハ、農林當局ノ擔當者カラ說
明申上ゲルノガ一番適當カト存ゼラレマス
ノデ、今其ノ方ニ連絡致シマシタカラ、チ
ヨット御待ヲ願ッタ方ガ宜シカラウト思ヒマ
スガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=9
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010・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 ソレハ農林當局カラ伺
フコトニシタイト思ヒマス、結構デゴザイ
マンク。尙御伺ヒシタイノデアリマスガ、從
來漁業權ヲ擔保ト致シマシタ場合ニ、必ズ副
擔保ヲ取ラレルト云フコトガ殆ド常例ニナッ
テ居ルト云フコトデゴザイマスルガ、ソレ
デハ何ノ爲ニ漁業權ノ擔保力ヲ認メタカト
云フコトガ分ラナクナル譯デアリマス、無
意味トナル譯デアリマス、ソレデハ今囘ノ
漁船擔保ニハ副擔保ガ必要ダト云フヤウナ
コトニ相成リマシテハ、折角ノ改正ガ無意
味トナル次第デアリマス、斯クノ如キ副擔
保ヲ取レナイコトニ出來ナイモノデアリマ
セウカ、何カ之ニ對スル對策ト言ヒマスカ、
御考ハナイモノデゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=10
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011・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 御質疑ノ點誠ニ
御尤モデアリマス、性質上比較的危險性ノ
多イ場合ニ於キマシテハ、單一ノ擔保デナ
ク、更ニ何カソレニ添ヘテ他ノ擔保ヲ取ル
ト云フヤウナコトヲ考ヘマスノモ、是レ實
情ガ已ムヲ得ナイ場合ガ相當アルカト存ゼ
ラレルノデアリマス、(〓)ところ漁業權ノ場合
ニ付キマシテハ、法律ノ上ニ於キマシテモ、
之ヲ抵當トシテ貸付ヲ爲ス場合ニハ有價證
劵又ハ不動產ヲ副擔保ニスルコトガ出來ル
ト致シテアル譯デアリマシテ、成ルベク御
趣旨ニ副フヤウニ致サセタイトハ存ジマス
ガ、事柄ノ性質上、單純ニ漁業權ダケト云
フコトガ出來兼ネル場合ガ實際問題トシテ
ハアルト云フコトニナラザルヲ得ナイヂヤ
ナイカト云フコトヲ虞レルノデアリマス、
漁船ニ付キマシテハ、漁船ダケヲ今後擔保
ニ取ルコトガ出來マスルシ、又漁船ヲ漁業
權ノ副擔保ニスルコトガ出來ルト云フコト
ニ致シマシテ、從來ヨリハ大イニ其ノ貸出
ノ擔保ニスルモノノ範圍ヲ擴張致シマシ
テ、水產者ノ便ヲ圖ルコトニ致シタノデア
リマス、チヨット只今私ノ申上ゲマシタコ
トガ間違ッテ居リマシタカラ訂正致シマス、
漁業權ヲ抵當トシテ貸付ヲスル場合ニ有價
證劵又ハ不動產ヲ副擔保ニスルト云フノガ
現在ノ規定デアリマスガ、今私ハ其ノ場合
ニ漁業權ヲ抵當トシテ貸付ヲスル場合ニ漁
船ヲ副擔保ニスルト申上ゲマシタガ、チヨッ
トソレハ間違ヒデアリマシテ、漁船ヲ抵當
トシテ貸付ヲスル場合ニ有價證劵又ハ不動
產ヲ副擔保ニスルコトガ出來ルト云フコト
ニ致シマシタノデ、漁船ヲ抵當トシテ貸付
ヲスル場合ニ於キマシテモ、實際上必要ア
リマス時ニハ有價證劵トカ、不動產トカヲ
副擔保ニ取ルト云フ建前ニシテアル譯デア
リマス、此ノ點ニ付キマシテテハ先程申上
ゲマシタヤウナ趣旨ニ依ッテサウ致シタノ
デアリマスガ、只今ノ御質問ノ趣旨ヲ體シ
マシテ、成ルベク便宜ニ、勿論債權ガ非常
ニ不確實ニナルヤウナコトハ出來マセヌガ、
ソレト調和ヲ保チナガラ成ルベク債務者ノ
便宜ヲ考ヘマシテ、貸出ノ適正ヲ圖ラセル
ヤウニ致シタイト存ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=11
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012・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 只今ノ御說明デハ漁船
ニ對シテモ矢張リ擔保ガ要ルト云フコトニ
ナッテ居ルヤウデゴザイマシテ、其ノ點誠ニ
遺憾ト思ヒマス、漁船ハ固ヨリ物的擔保ナ
ンデアリマスカラ、之ニ副擔保ヲ要セナイ
ヤウナ方法ハ講ゼラレルヤウニ思フノデア
リマスガ、只今ノ政府委員ノ御答辯デハナ
カナカ困難ナヤウニ伺ヒマス、一應了承致
シマスガ、私共ノ希望致シマスヤウニ、漁
船ニ付テハ副擔保ヲ要セナイト云フヤウナ
何等カノ方法ヲバ將來御執リ下サルヤウニ
希望致シテ置キマス、次ニ從來勸銀ニ於キ
マシテハ、物的擔保ヲ偏重シ人的信用ヲ輕
視スルト云フヤウナ傾向ガ相當强イヤウデ
アリマス、然ルニ此ノ改正ニ依リマシテ、
一面漁船ノ擔保ヲ認ムルト共ニ、他面十人
連帶貸ヲ五人連帶貸ト改メラレマシテ、人
的信用ヲ尊重セラルヽト云フコトニ相成ツ
タノデアリマスルカラ、從來ノ物的擔保偏
重、人的信用輕視ガ矢張リ依然强イト云フ
コトデゴザイマスルト、折角ノ此ノ改正モ
效果ガ少イト思フノデアリマス、仍テ之ハ
本改正ヲ活カス爲ニモ、從來ノ勸銀ノ運用
ノ偏重思想ヲ除去スル必要ガアルト考ヘル
ノデアリマスルガ、此ノ點ニ付テノ御所見
ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=12
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013・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 先程カラ段々御
質問ゴザイマシタ、殊ニ勸業銀行ノ從來ノ
營業方面等カラ致シマシテ、將來ニ於テ勸
業銀行ガ貸付ノ方針ニ關スル御質問デアリ
マスルガ、今囘ノ勸業銀行法ノ改正全體ヲ
通ジマシテ、其ノ精神ト致シマスル所ハ、
要スルニ從來勸業銀行ハ不動產銀行トシテ
物的擔保ヲ主トスル建前ノ銀行デアリマシ
タノデ、自然從來ノ營業方針ガ物ニ偏重、
偏傾スルト云フ嫌ガアッタノハ事實デアリ
やっ、是ニ對シマシテ今囘ノ改正ハ其ノ餘
リニ物ニ偏リ過ギタ傾向ヲ矯メルト云フ目
的カラ出タ次第デアリマシテ、先程カラ御
話ノアリマシタ十人連帶ヲ五人連帶ト致シ
マストカ、或ハ擔保物ノ範圍ヲ擴メマシテ
漁業權、漁船、或ハ山林抵當等ニ付キマシ
テモ色々範圍ヲ擴ゲタノデアリマス、ソレ
デ法制ノ上ニ於キマシテ、サウ云ッタ風ニ色
色擔保ノ範圍ヲ擴ゲ、人的擔保ノ途ヲモ開
クト云フコトニ致シタノデアリマスルガ、
要スルニ運用ノ問題デアリマス、從來勸業
銀行ノ營業方針ニ付テ世間往々批評ヲ加ヘ
ラレマスルノハ、餘リニ堅過ギルト云フコ
トデアッタノデアリマス、デ此ノ事ニ付キマ
シテハ最近勸業銀行ノ當局ガ非常ニ反省ヲ
致シマシテ、例ヘバ一番勸銀ノ貸付ニ付キ
マシテ問題ニナリマシタノハ、不動產ノ價
格ノ、其ノ鑑定價格ガ非常ニ辛ク見マシテ、
而モ其ノ鑑定價格ノ何割ニ相當スルモノシ
カ貸サナイ、從ヒマシテ其ノ實際ノ貸付金
額ト云フモノハ、本當ノ擔保物ノ値打ノ半
分ニ足ラナイト云フ結果ニナルト云フコト
ヲヨク世間ニ言ハレテ居ッタノデアリマス、
最近勸業銀行ニ於キマシテハ、此ノ點非常
ニ反省致シマシテ、一昨年カラ從來此ノ勸
業銀行ノ內部ニ於キマシテハ、鑑定部ノ部
員ト云フモノガ一個ノ獨立的ノ存在デアッ
タノデアリマス、ソレデ貸付方ハ一般ノ營
業ノ方デヤルノデアリマスガ、鑑定部ノ人
ノ付ケタ鑑定價格ハ不可侵的ノ建前デヤッ
テ居ッタ結果、兎角實情ニ副ハヌト申シマス
カ融通ノ利カナイ貸付ガ行ハレ勝デアッ
タノデアリマスガ、一昨年カラ大體鑑定部
員ヲ營業ノ中ニ入レマシテ、鑑定部員ガ營
業部ノ一員トシテ鑑定ニ當ル、斯ウ云フ建前
ラ採ルヤウニナッタノデアリマス、從ヒマシ
テ最近ニ於キマシテハ、新シイ貸付ニ付キ
マシテハ、大體鑑定價格ナルモノモ實情ニ
副フヤウニナッタ次第デアリマス、先ヅ勸業
銀行ノ一番大キナ問題デアリマスル所ノ鑑
定價格ノ問題ヲ、一昨年カラ解決シタト云
フコトヲ御諒承願ヒタイト思フノデアリマ
ス、ソレカラ全體ニ最近ニ於キマスル勸業
銀行ノ氣分ガ、尤モ從來ノ法律モ窮屈デアッ
タガ、自分ノヤリ方モ窮屈デアッタト云フコ
トヲ氣付キマシテ、自ラサウ云ッタ方面ヲ矯
メ直サウト云フ氣持ニナッテ居ルノデゴザ
イマス、ソコデ先程カラ產業組合トノ關係
ノ御話モゴザイマシタガ、是ハ考ヘ方デア
リマスケレドモ、私共ハ產業組合ガ地方ニ
於テ色々貸付ヲ致シマスガ、勸業銀行ガ
一方ニ於テ五人連帶ト云ッタヤウナ簡易
ナ貸付ヲ致ス、サウ云フ途ガ國內ニ殖エル
ト云フコトハ結構ナコトヂヤナイカト云フ
風ニ考ヘルノデアリマス、一面カラ申シマ
スト、產業組合ハ現在預金ガ非常ニ集リマ
スケレドモ、貸出ハヤラナイ、我々ノ思フ
ヤウニハヤラナイノデアリマス、ソレヲ信
用組合聯合會ニ預ケル、信用組合聯合會ハ
更ニ中央金庫ニ預ケル、サウシテ有價證劵
投資ヲヤルト云フ風デアリマシテ、產業組
合ソレ自體ノ本來ノ目的ハ組合員カラ預ケ
マシタ預金ヲ成ベク組△口員ニ貸付ケテ、サ
ウシテ殆ド餘裕ガナイ、寧ロ政府ノ資金ナ
リ、他ノ資金ヲ借入レテデモ組合員ニ自分
ノ頂ッタ金ノ二倍、三倍ニシテ貸付ヲスルト
云フコトガ理想デアラウト思フノデアリマ
ス、併シ是ハ色々擔保ノ技術トカ、貸付ノ
技術トカ、色々ナ關係モアリマシテ、サウ
簡單ニモ參ラナイト云フコトカラ致シマシ
テ、實情ハ寧ロ有價證劵投資ノ方ガ多イカ
ドウカ知リマセヌガ、相當アルノデアリマ
ス、斯ウ云ッタヤウナ際ニ於キマシテ、勸業
銀行ガ更ニ簡易ナ貸付方法ヲ致スト云フコ
トガ望マシイコトデアル、斯ウ云フ風ニ考
ヘル譯デアリマス、又只今漁業權、又ハ漁
船ニ付テ副擔保ノ問題ノ御話ガゴザイマシ
タガ、是ハ從來ハ副擔保ヲ取ッテ居ッタコト
ハ事實デアリマスガ、只今申上ゲマシタヤ
ウニ勸業銀行ノ當局ノ考ガ段々樂ナ貸付ヲ
シナケレバナラヌ、サウデナイト實情ニ副
ハナイ、自分等ノ使命ヲ果サレナイノダト
云フ氣持ニナッテ居ルノデアリマス、法律
ノ條文モ擔保ヲ徴スルコトヲ得ト云フコト
ニナッテ居ルノデアリマシテ、從ツテ今ノヤ
ウナ氣分デ此ノ法ヲ運用ヲ致シマスニ當リ
マシテハ、擔保ヲ取ラナケレバナラヌヤウ
ナ相手方ノ狀態デアレバ、ソレハ取リマセ
ウ、併シナガラ取ラヌデモ宜イ場合ニ於テ
ハ取ラヌデヤッテ行カウト云フ氣持デ居ル
譯デアリマス、サウ云フ次第デアリマスノ
デ、大體最近ノ勸業銀行ノ人ノ頭ノ置キ
友、考ヘ方ト云フモノハ、只今梅園子爵ノ
御心配ニナルヤウナ點ニ付キマシテハ、餘
程好イ狀態ニナッテ居ルト云フコトヲ申上
ゲテ宜イカト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=13
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014・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 只今ノ大藏次官ノ率直
明截ナ御說明ニ依リマシテ、十分了承致シ
マシタ、寧ロ其ノ御答辯ニ滿足ノ意ヲ表シ
さく、次ニ勸業銀行デハ貸付利率ノ低減ヲ
先年來實行セラレタヤウニ聞イテ居リマス、
現在其ノ貸付ノ金利ハ幾ラニナッテ居ルノ
デアリマセウカ、田畑宅地擔保ノ年賦償
還竝ニ農業、水產、山林方面ヘノ手形割
引、卽チ短期貸付利率ノ其ノ兩者ニ付テ御
說明ヲ願ヒタイト思ヒマス、又北海道拓殖
銀行、農工銀行ニ付テハドウ云フコトニナッ
テ居リマスカ、其ノ點モ併セテ御說明願ヒ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=14
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015・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 貸付利率ノ御尋
デゴザイマスガ、御承知ノヤウニ本來ノ業務
デアリマス長期貸付ニ付テハ、最高步合ヲ
認可致シテ居リマス、其ノ認可利率ヲ主ナ
ルモノニ付テ申上ゲマスト、十六年ノ上期
ノ認可利率ヲ申上ゲマスト云フト、勸業銀
行ニ於キマシテハ、公共團體四分八厘、各
種組合ガ五分三厘デゴザイマス、只今モ問
題ニナリマシタ農工漁業者十人以上連帶ガ
五分六厘、田畑鹽田擔保ガ五分六厘、漁業
財團擔保ガ六分二厘、漁業權擔保ガ六分、
宅地建物ガ六分四厘、工場財團、鐵道軌道
財團、ソレガ六分六厘ト相成ッテ居リマ
ス、農工銀行ニ於キマシテモ是ト殆ド同一
デアリマシテ、唯北海道拓殖銀行ニ付キマ
シテハ、從來北海道ト云フ所ガ內地ト變ッタ
特殊ノ事情ガアリマシテ、他ト比較致シ
マシテ金利ガ幾分高クナッテ居ッタノデアリ
マスガ、之ヲ段々ニ鞘寄致シマシテ、現在
ニ於キマシテハ大體勸銀、農工並ニナッテ來
テ居ルノデゴザイマス、ソレカラ短期貸付
ハ御承知ノヤウニ是ハ餘裕金ノ運用デゴザ
イマシテ、非常ニ長期貸付ノ方トハ性質ヲ
異ニスルモノデアリマスガ、此ノ方ハ要ス
ルニ一般市場ノ金利ニ依ッテ左右セラレル
モノト御承知ヲ願ヒタイノデアリマス、大
體ノ處短期貸付ニ於キマシテハ十五年ノ下
期ノ狀況ヲ見マスト云フト、日步一錢カラ
一錢二厘見當、手形割引ニ付キマシテハ
錢一厘カラ一錢三厘見當ニナッテ居ルト御
承知ヲ願ヒタイノデゴザイマス、此ノ短期
貸付トカ、手形割引トカ申シマスノハ重
ネテ申上ゲマスガ、餘裕金ノ運用デゴザイマ
シテ、別ニ利率ノ認可ト云フヤウナ制度モ
ゴザイマセヌシ、性質上曩ニ申上ゲマシタ
長期ノ貸付トハ別個ノモノデアルト御諒承
ヲ願ヒタイノデゴザイマス、今申上ゲマシ
タ數字ハ十五年ノ下期ノ實績カラ申上ゲタ
數字デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=15
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016・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 梅園子爵ニ申
上ゲマスガ、農林省ノ水產局長ガ今見エテ
居リマスカラ先程ノ御說明ヲ願ッタラドウ
デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=16
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017・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=17
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018・平岡梓
○政府委員(平岡梓君) 漁船保險ノ大體ノ
御話デゴザイマスガ、漁船保險ハ昭和十二
年ニ法律ガ出來マシテ、今日ニ至ッタノデ
アリマシテ、餘リマダ年數ハ經ッテ居リマ
セヌケレドモ、最近一箇年ノ平均ノ損害額
ガ每年二百萬圓デ、其ノ內漁船ノ損害ガ百
三十五萬圓、漁具ノ損害ガ五十五萬圓、其
ノ他ノ損害ガ十萬圓ト云フヤウナ相當ノ數
字デゴザイマシテ、ソレカラ此ノ爲ニ、遭
難ノ爲ニ生命ヲ失ッタ漁業者ガ每年六百人、
七百人モアルト、斯ウ云フヤウナ現狀デゴ
ザイマスノデ、此ノ損害ニ對スル救濟ノ途
ガ今迄殆ドナカッタノデアリマシテ、例ヘバ
遭難致シマシテ、船ガ沈ンデシマッテモ、其
ノ代船ヲ造ル資力モナイト云フヤウナコト
デ、非常ニ困ッテ居ッタノデアリマスガ、漁
船保險ガ出來マシテカラ、サウ云フ點ガ非
常ニ經營上安定ヲ致シマシテ、從來金融上
利便ヲ殆ド受ケテ居リマセヌデシタ所ノ、
漁船ト云フヤウナモノニモ物的信用ガ附ク
ト云フヤウナコトニナリマシテ、漁民ノ爲
ニハ非常ニ好イ施設ダト考ヘテ居リマス、
マダ組合ノ數モ餘リ澤山出來テ居リマセヌ
ケレドモ、大體昨年十一月ノ末ノ成績ヲ見
マスト、ソレデモ漁船ガ二萬三十隻餘之ニ
加入シテ居リマシテ、ソレカラ保險金額モ
四千萬圓ニ上ッテ居リマシテ、段々好イ成績
ヲ擧ゲテ行ク積リデゴザイマス、尙ナカ〓〓
漁民ニハ斯ウ云フコトガ、保險ト云フモノ
ハムツカシイモノデアリマスカラシテ、政
府ト致シマシテモ講習ヲヤッタリ、宣傳ヲシ
タリ、活動寫眞ヲヤッタリ、色々サウ云フコ
トニ依ッテ漁船保險ト云フモノノ趣旨ノ徹
底ヲ圖ツテ居リマシテ、其ノ爲ニ指導員ニ
金ヲヤリマシテ、設立スル時ニ金ヲヤリマ
シテ、又設立後ニモ其ノ業務費ノ一部ヲ補
助シテヤリマス、一生懸命漁民ノ頭ニ入ル
ヤウニ努力シテ居リマス、此ノ爲ニ、話一
前後致シマスガ、政府ハ特別會計ヲ特ニ設
ケマシテ、此ノ漁船保險ヲ作リマシテ、其
ノ元受保險ヲ之ニヤラセマシテ、政府ハ當
然之ニ再保險ヲシテヤルト云フヤウナ普通
ノ例ニ依ッテヤッテ居リマス、大體ノコトダ
ケ申上ゲテ、又御質問ヲ待チマシテ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=18
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019・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 最近農村方面ハ農產物
ノ騰貴等ノ關係カラ致シマシテ、貸付金ノ
償還ガ非常ニ順調ニ行ッテ居ルト云フコトデ
アリマスガ、其ノ貸付金ノ償還、竝ニ借入
金ノ減少ノ狀況ハドンナ風ニナッテ居リマセ
ウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=19
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020・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 申上ゲマス、勸
業銀行ニ付テ申上ゲマスト云フト、例ヘバ
年賦貸付ガ、十三年ノ下期末ニ於キマシテ
九億六千六百七十八萬圓デゴザイマシタガ、
ソレガ其ノ後漸次殘高ガ減少シテ參リマシ
テ、昭和十五年ノ下期末ニ於キマシテハ八
億九千四百餘萬圓トナッテ居リマス、サウ云
フ風ニ農村ノ實情ヲ反映致シマシテ、減少
ノ傾向ヲ辿ッテ來タノデアリマスガ、最近ニ
於キマシテハ、一方ニ於テハ都市方面ノ生
產力擴充關係ニ伴フ資金ノ貸出ノ需要ガ殖
エマシテ、勸業銀行ト致シマシテモ、農村
方面ノ餘力ヲ以チマシテ、其ノ方面ニ大イ
ニ力ヲ注イデ居リマス關係上、十五年ノ上
期末迄ハ貸出ノ全體トシテ段々ニ減少ノ傾
向ヲ迪ッテ來テ居ッタノガ、反對ニ十五年ノ
下期末ニ於キマシテハ、貸出金全體トシテ
ハ增加ノ數字ヲ示スヤウニナッテ參ッテ居リ
マス、要スルニ農村方面ニ於テ資金ノ需要ガ
少クナッタト共ニ、市街地方面ニ於キマシテ
生產力擴充資金ノ貸付ノ方面ガ伸ビテ來テ
居ル、此ノ方面ニ於テ更ニ勸業銀行ノ活動
ヲ促スベキ餘地ガ多クナッテ居ルト云フ傾
向ガ窺ハレルト存ジマス、貸付金全體ニ付
テ申上ゲマスト云フト、昭和十五年ノ下期
末ノ貸付金ノ殘高ハ十二億四千九百餘萬圓
ニ相成ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=20
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021・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 モウ一點伺ヒタイト思
ヒマス、農村ノ不動產擔保ノ金利ハ相當高
ク、之ニ反シテ都會ノ動產擔保ノ金利ハ低
イト云フコトハ、固ヨリ其ノ貸付ノ性質ガ
一方ハ長期デアリ一方ガ短期デアル關係カ
ラ來ルモノデアリマシテ、已ムヲ得ナイノ
デアリマスガ、併シ何トカシテ農村ニ於テ
モ低利ノ金融ノ途ヲ開イテヤルト云フ必要
ハアルト考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ付
キマシテ將來政府ニ於テ御考慮ニ相成ル御
考デアリマセウカ、又之ガ緩和策トシテ何
カ御ヤリニナッテ居ルノデアリマセウカ、御
伺ヒ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=21
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022・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 農村ニ對スル金
利ノ問題デアリマスガ、勸業銀行、農工銀
行北海道拓殖銀行、各〓長期ノ不動產金融
ヲ致シマスル銀行ハ、御承知ノ通リ債劵ヲ
發行致シマシテ、ソレヲ資金ト致シマシテ
貸付ヲ致スノデアリマス、貸付利率ハ結局
此ノ債劵ノ資金原價ガドレダケ掛カルカト
云フコトカラ起ッテ來ル譯デアリマス、從ヒ
マシテ、今日勸業銀行ノ資金ノ「コスト」カラ
見マスルト、少クトモ四分カラ五分ノ間ニ、
取入ノ資金原價ガナッテ居ルノデアリマス、
ソレニ對シマシテ營業費ガ少クトモ一分カ
ラ二分ハ掛カルト見ナケレバナリマセヌ、
從ヒマシテ、之ヲ平均致シマスルト、先ヅ
五分カラ六分ノ程度ニ貸付ヲ致サナケレバ、
銀行トシテ赤ガ出ルト云フ關係ニ相成ル譯
デアリマスデアリマスカラシテ、銀行ド
致シマシテハ、先程銀行局長カラ申上ゲマ
シタ今日ノ利率ト申シマスモノハ寧ロ銀
行トシテハ非常ナ勉强ヲ致シタ利率デアル
ト申サナケレバナラヌト思フノデアリマス、
ト申シマスノハ勸業銀行ハ御存ジノヤウニ
相當積立金ヲ持ッテ居リマス、其ノ積立金ノ
運用ト云フモノガアリマスルカラ、マダ此
ノ程度ノ利率デヤッテ行ケルノデアリマス、
若シ基礎ガ薄弱デアリ、積立金ノ少イ銀行
デアリマシタナラバ、到底今日ノヤウナ貸
付利率デハ貸付ガ出來ナイデアラウト云フ
コトモ考ヘラレルヤウナ次第デアリマス、
デアリマスルカラ、此ノ方面カラ考ヘマス
ルト、此ノ債劵ノ發行利廻リト云フモノガ
低下シナイ限リハ、非常ニ急激ナ不動產銀
行ノ貸付利率ノ低下ト云フコトハ望ミ得ナ
イノヂヤナイカト思フノデアリマス、殊
勸業銀行等デ發行致シテ居リマスル債劵ハ
長期デアリマスカラ、例ヘバ二十年三十年
ト云フ長期デ、出ス時ニ發行シテ居リマス、
從ッテソレヲ償還致シマシテ、新シク發行ス
ルト云フコトハナカ〓〓困難デアリマスル
ノデ、斯ウ云ッタモノガ續ク限リ致シ方ナイ
ト申シマスカ、殊ニ最近ノ實情ニ於キマシ
テハ、斯ウ云ッタヤウナ不動產銀行ノ債劵ノ
借換發行ト云フコトモ政府ノ貯蓄債劵、報
國債劵等ノ發行等ノ關係カラ致シマシテ、
見合セテ居ルヤウナ狀態デアリマスカラ、
相當困難デアラウト思フノデアリマス、ソ
コデ一方ニ於テ斯ウ云ッタヤウ"ナ狀態デア:
リマスルガ、然ラバ現在ノ此ノ不動產銀行
ノ貸付利率ハ都會地ノ貸付利率ト比較シテ
非常ニ高イカト申シマスルト、必ズシモ私
ハサウヂヤナイノヂヤナイカト思フノデア
リマス、極ク一流ノ商業手形デアリマスル
ト、是ハ短期デモアリマスルガ、又非常ニ
金利ガ安イト云フコトモアリマスルケレド
モ、都會地ニ於テ矢張リ不動產ナリ其ノ他
ノ人的信用デ借リマスル場合ニハ、色々ノ
關係カラ致シマシテ、結局ニ於テ相當ノ利
廻ニナルノデアリマス、長期ニ固定シタ貸
付ノ金利トシテ都會地ニ於ケル金利ノ權衡
ガ取レヌ程ニ惡イカト申シマスルト、私ハ
ソレ程ヂヤテイト斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル
譯デアリマス、ノミナラズ一方ニ於キマシ
テハ政府ト致シマシテハ、農村ニ對シマシ
テハ御承知ノヤウニ多額ノ預金部カラノ低
利資金ヲ供給致シテ居リマス、此ノ低利資
金ハ實情ニ依リマシテ、例ヘバ產業組合、
工業組合、商業組合等ヲ通ジテ出シマスモ
ノハ、先ヅ四分程度ニ此ノ組合ヘ流レマシ
テ、組合ノ方デ鞘ヲ取ッテ貸付ヲ致シマスカ
六、其ノ時ニハ相當ノ利率ニハナルト思ヒ
マスガ、少クトモ各組合ニ對シマシテハ四
分以內ノ金利デ行ク譯デアリマス、併シソ
レ以外ニ個人々々ニ對シマシテ非常ニ低利
デ行ク場合モアリマス、例ヘバ農村負債整
理組合ト云フ如キハ、各個人ニ對シテ大體
最終ノ貸付ハ四分二厘デ行クヤウニナッテ
居リマス、サウ云ッタヤウナ譯デ、或ハ其ノ外
ニ於キマシテモ、今度ノ戰爭關係デ出征シマ
シタ遺家族ニ對スル負債整理資金ト云フヤ
ウナモノハ、更ニ四分二厘ヨリモモット安
ク、三分八九厘デ個人ノ手ニ入ルヤウナコト
ヲ考ヘテ居リマス、サウ云ッタヤウナ政府ノ
低利資金ト云フモノヲ一方ニ於テ出シマシ
テ、勸業銀行、農工銀行ノヤウナ銀行カラ
直接出シタノデハ金利ガ高過ギルト云フ部
分ニ對シマシテハ、サウ云ッタ方面カラ別途
ニ低利資金ヲ出シマシテ調和ヲ取ルト云フ
方法ヲ講ジテ居ル譯デアリマスガ、政府ト
致シマシテハ、今後ニ於キマシテモ低利資
金ノ融通ヲ更ニ擴張致シマシテ、實情ニ卽
シタヤウニ按配ヲ致シタイト云フ風ニ考ヘ
テ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=22
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023・西酉乙
○男爵西酉乙君 私ノ觀測ガ誤ッテ居リマ
スカモ知レマセヌケレドモ、近年ノ預金ノ
激增ニ拘ラズ、銀行ノ產業界ニ對スル資金
ノ手許ガ窮屈ナヤウナコトヲ感ズルノデア
リマスケレドモ、此ノ際ニ長期ノ資金ヲ豐
富ニ持ツコトノ出來ル勸業銀行ナドガ、從
來ヨリモ更ニ自由ニ產業界ニ協力サレルヤ
ウナ御改正ハ、大變仕合ナ、時宜ニ適シタ
コトト存ズルノデアリマス、殊ニ水產金融
ニ從來ヨリモ更ニ出サレルコトハ、私達水
產界ニ深イ關係ヲ持ッテ居ル者ノ立場カラ
致シマシテモ、非常ニ仕合セナコトト思ッテ
居ルノデアリマス、此ノ法律ノ改正ノ目的
ヲ達シマス爲ニハ、此ノ法律ノ改正ダケデ
ハ十分デハナイヂヤナイカト思フノデアリ
Pv.6ソレハ內規トカ、定款トカ云フヤウ
ナモノヲ同時ニ改正シテ戴ク必要ガアルト
思ッテ居ルノデアリマスケレドモ、其ノ點ニ
付テ先程次官カラ御話ノ、勸銀ノ內部ニ於
ケル鑑定部ノ職制ノ改革トカ、或ハ其ノ他
ノ內部ノ機構ニ對シテモ、ソレ〓〓改革
ヲシテ居ラレルト云フノデ、非常ニ結構ダ
ト思ヒマスガ、今後共、尤モ私達モ從來關
心ヲ持ッテ居リマスガ、鑑定價格ニ付テハ銀
行ノ經營上、堅實デアル爲ニ、法律デ決メ
ラレマシタ貸付ノ擔保ニ對スル掛ケノ改正
ナドト云フモノハ、此ノ儘ニシテ置キマシ
テ、鑑定ノ基準ヲ過去ノ古イ基準ニ拘泥セ
ズニ、出來ルダケ時價ニ順應シタヤウニ內
部デ改正シテ戴クコトガ必要ダト思ッテ、ソ
レヲ希望シテ置ク次第デアリマス、次ニ勸
業銀行ノ定款ヲ拜見致シマスト、三十一條
ニ「同一ノ借主ニ對シ拂込資本金及諸積立
金ノ合計額ノ百分ノ十ヲ超過シテ貸付ヲ爲
スコトヲ得ズ」ト云フ制限ガゴザイマスケ
レドモ、此ノ勸銀ノヤウナ長イ經營ノ歷史
ト經驗トヲ持チ、今日ノヤウナ良好ナ内容
ヲ持ッテ居ル有力ナ銀行ニ對シテハ、經營當
局者ノ責任ニ於テ、斯ウ云フ制限ハ撤廢シ
テ、モット自由ニ貸付先ノ質ニ重點ヲ置カレ
マシテ、例ヘバ工業財團ノヤウナ大キナ部
面ニ、モット積極的ニ進出貢獻シテ戴イテハ
ドウカト思ッテ居ルノデアリマスルガ、世間
デハ往々勸業銀行ダトカ、北海道拓殖銀行
トカ云フ是等ノモノハ、農林、漁業方面ノ
金融ヲ專ラニスベキモノダト云フヤウニ考
ヘル方モアルヤウデアリマスケレドモ
サウ云フヤウナ觀念的ナ片付ケ方ハ、甚ダ
實情ニ副ハナイノヂヤナイカト思フノデア
リマス、殊ニ國土計畫ノ內容ニ付テハ、私
ハ詳細ニ窺ヒ知ルコトハ出來マセヌノデア
リマスケレドモ、常識カラ申シマシテモ、
工場ヲ地方ニ分散サセルト云フコトハ、常
識上推察出來ルノデアリマスケレドモ、色
色大工場、大工業ガ地方ニ興リマシタ場合
三、是等ノ銀行ノヤウニ全國ニ支店網ヲ
持ッテ居ル銀行ニ依ッテ、工業金融ヲ受ケル
ト云フコトハ非常ニ便利ナ好都合ナコトダト
思フノデアリマスカラ、勸業銀行ノヤウナノ
ハ、工業金融ニ一ツ自由ニ協力シテ戴クコト
ガ非常ニ望マシイコトダト思ッテ居ルノデア
リマス、只今デモ興業銀行ガ工業金融ニ
工場財團ナドニ非常ニ力ヲ入レテ居ラレル
ヤウデアリマスケレドモ、興業銀行デモ、少シ
大キナ工場財團ニナリマスト、「シンヂケー
トレヲ作ッテ、市中ノ銀行ノ協力ヲ得テ居
ラレルヤウデアリマスカラ、サウ云フ點カラ
鑑ミマシテモ、勸業銀行ガ此ノ工場金融ニ
乘リ出サレテモ、興業銀行ト摩擦ヲ生ズル
ト云フヤウナ憂ハ全然ナイノヂヤナイカ、
寧ロ只今ノヤウナ非常ニ發展シテ居リマス
ル日本工業界ノ實情カラ見マスレバ、却テ
歡迎サレルノヂヤナイカト思フノデアリマ
ス、是ハ定款ノ改正トカ、內部ノ規定ノ改
正トカ云フコトハ、銀行自體ノコトデハゴザ
イマセウケレドモ、監督官廳トシテノ大藏
省當局ノ御方針デハ今後共勸業銀行等、是
等ノ銀行ヲシテ工業金融ニ益〓積極的ニ協力
サセルコトニ御贊成デゴザイマセウカ、或
ハ御反對ノ御意見デゴザイマセウカ、其ノ
點ヲ參考ニ伺ッテ置キタイト思フノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=23
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024・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今ノ御質問ハ
誠ニ御尤ナ御質問ダト思フノデアリマスガ、
最初ニ御話ニナリマシタヤウニ、今囘ノ改
正法律案ガ通過致シマスレバ、當然勸業銀
行ト致シマシテハ、此ノ改正法律案ノ限度
ニ於テハ現在ノ定款ノ改正ヲ必要ト致シマ
ス、其ノ際ニ於テ更ニ從來ノ窮屈ナ部分ノ
定款ヲドウ直スカト云フコトガ問題ニナラ
ウト思フノデアリマス、ソコデ今囘ノ勸業
銀行法ノ改正ニ當リマシテ、政府ノ大體ノ
考ヘ方ヲ申上ゲテ置キタイト思フノデアリ
マスルガ、御承知ノヤウニ、臨時資金調整
法ニ於キマシテ、今囘興業債劵ノ限度ヲ十
億カラ二十億ニ致シマシタ、詰リ此ノ事變
ニ際シマシテノ事變金融ト云フモノノ中心
ハ矢張リ興業銀行ヲシテ當ラシメル、從ヒ
マシテ今囘十億圓モノ政府保證ノ興業債劵
ノ增發ヲ豫定致スト云フコトモ、ソコニア
ルノデアリマス、ソコデ勸業銀行ハ今囘ノ
ヤウニ改正ヲ致シマシテ、從來ヨリモ更ニ
一層廣ク此ノ事變金融ニ協力ヲ致ス譯デア
リマスルガ、ソレハ大體ニ於テ農業、林業
水產業、此ノ方面ニ主力ヲ注ギマシテ、而
モ大體ニ於テ興業銀行ノ補完的ナ働キヲ致
サセル、斯フ云フ考デ居ル譯デアリマス
ソコデ興業銀行ト同ジ大キサ、同ジ範圍デ
活動スルト致シマスレバ、例ヘバ臨時資金
調整法ノ改正ノ機會ニ於テ、勸業債劵ニ付
テモ何等カノ規定ヲ設クベキデアルノデア
リマスルガ、只今ノ所デハ勸業銀行ヲシテ
興業銀行ト同ジヤウナ、例ヘバ一ツノ會社
ニ對シテ數千萬圓、一億ニ近イヤウナ貸付
モサセルト云フ考ハゴザイマセヌカ、寧ロ
興業銀行ノ大キナモノヨリモ一段ト小口ト
申シマスカ、比較スレバ小口ニナリマスル
ケレドモ、先ヅ中位ナ、中以下ノ所ヲ狙フ、
斯フ云フコトヲ考ヘテ居ル譯デアリマス、
從ヒマシテ勸業銀行ガ一年間ニ要スル所ノ
資金ト云フモノモ、臨時資金調整法ニ於テ
何等カノ規定ヲ設ケルコトヲ必要トスル程
度ニ差當リハ要ルマイ、斯ウ云フ考ヘ方デ
アリマス、先程御指摘ニナリマシタ、定款
ノ三十一條ニアリマスル拂込資本金及諸積
立金ノ合計額ノ百分ノ十ヲ超過シテ貸付ヲ
爲スコトガ出來ヌト云フ規定ガアルコトハ
事實デゴザイマスガ、現在勸業銀行ノ拂込
資本金ト積立金ノ合計ハ一一億八九千萬圓ア
リマス、從ッテ假ニ百分ノ十ト云フ割合ヲ取
リマシテモ、一ツノ會社ニ對シマシテ二千
八九百萬圓ハ貸付ケ得ル譯デアリマス、其
ノ程度デアリマスレバ先ヅ我々ノ狙ッテ居
ル勸業銀行ノ受持ツベキ役割ト致シマシテ
ハ先ヅ其ノ邊ガ丁度宜イ所ヂヤナイカト
云フ考ヲ持ッテ居リマス、併シナガラ本法改
正ノ結果、尙又今後事變ノ推移ニ依リマシ
テ、勸業銀行ヲシテモット大口ナ貸付ニ當ラ
シメル必要ガアルト云フコトニナリマスレ
バ、更ニ考慮致シマシテ此ノ次ノ改正ノ機
會ニ於テ十分考慮致シタイト思ヒマスルガ、
差當リ今囘ノ提案ノ際ニ、サウ云ッタヤウナ
氣持デ提案ヲ致シタト云フコトヲ御了承願
ヒタイト思ヒマス、尙三十一條ハ定款ノコ
トデゴザイマスカラ、此ノ定款ハ不日何レ
ハ改正シナケレバナラヌ譯デアリマスルカ
ラ、此ノ三十一條ノ定款其ノモノニ付キマ
シテモ、政府ト致シマシテモ〓究ハ致シタ
イト思ヒマス、此ノ儘ニ置クカ、或ハ之ヲ
或程度直スカト云フコトニ付キマシテハ、
尙〓究致シテ置キタイト思フ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=24
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025・西酉乙
○男爵西酉乙君 次官ノ御丁寧ナ御說明デ
能ク分リマシタデスガ、サウ致シマスト只
今ノ御話ノ御方針ノ下ニ、現在ノ制限ノ範
圍ニ於テハ工業金融ニ勸業銀行ヲシテ益〓協
力サセルト云フコトニ付テハ御異存ガナイ
ノデゴザイマセウカ、如何デゴザイマセウ
カ、ト申シマスノハ是モ私ノ觀察ガ誤ッテ居
ルカ知レマセヌガ、色々伺ッテ居リマスル中
ニ、日本ノ工業界ノ機構モ必ズシモ大工場
ダケニ統一シテシマフヤウナ國家ノ御方針
デモナイヤウデアリマスノデ、ソレニ補助
的ニ中以下ノ工業モ成立タセル御方針ノヤ
ウニ最近ハ察セラレルノデアリマスガ、サ
ウ致シマスレバ先程モ申シマシタ國土計畫
ノ關係ヤ何カカラ考ヘマシテモ、地方ニ澤
山中以下ノ工業會社ガ出來ルコトガ想像出
來ルノデゴザイマスケレドモ、ソレ等ニ對
シテ地方ニ支店ヲ持ッテ居リマス勸業銀行
ガ、世間ノ一部デ言ハレテ居リマスルヤウ
二、勸業銀行ハ農林、水產業ダケニ專心ス
ルノダト云フヤウナ考ヘ方ヲ捨テテ、是等
ノ工業部門ヘモ金融上ノ御協力ヲ願ヘレバ
非常ニ宜イノダト思ヒマスケレドモ、其ノ
點ノ御方針モ伺ッテ置ケバ非常ニ參考ニナ
ルト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=25
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026・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 先程御說明申上
ゲマス際ニ其ノ點ハ正ニ申落シマシタノデ
ゴザイマシテ、今囘此ノ財團ノ制限ヲ撤廢
致シマシテ、無制限ニ致シタト云フコトハ、
正ニ此ノ勸業銀行ヲシテ將來工業金融ニモ
乘出サシメルト云フ考デゴザイマス、デ益〓
勤業銀行ガ此ノ方面ニモ出テ貰ヒタイト思
フノデアリマスルガ、御承知ノヤウニ、先
程御指摘ニナリマシタヤウニ、今後此ノ國
土計畫ト云フモノガ段々ト〓究サレマシテ
工場ガ分散スル、其ノ結果ト致シマシテハ
一ツノ單位ノ工場ト云フモノガ、サウ無闇
ニ大キクナイト云ッタヤウナ場合ニ付キマ
シテハ、勸業銀行モ是等ニ對シテ金融ヲ致ス
ニハ最モ適當デハナイカ、ソレハ御承知ノ
ヤウニ興業銀行ハ全國ニ於ケル支店ノ數ガ
非常ニ少イノデアリマスルガ、勸業銀行ハ
御承知ノヤウニ殆ド各府縣ニアルト言ッテ
モ宜イ位ニ支店ノ數ガ多イノデアリマス、
又從來不動產、田畑、土地等ニ對スル造詣
ノ深イ銀行デアリマス、又工業金融ニ付キ
マシテモ從來全然無經驗ト云フ譯デハゴザ
イマセヌ、ソレデ政府ト致シマシテハ、斯
ウ云フヤウナ時代ニ於テ勸業銀行ガ此ノ方
面へ乘出スト云フコトハ、非常ニ適當ナ機
會デアルト斯ウ云フ感ジヲ持ッタ次第デア
リマス、唯其ノ際ニ於キマシテモ金額ニ付
キマシテハ、丁度何ト申シマスカ中以下ト
申シマスカ、非常ニ大キナモノデナイ所ヲ
狙フト云フコトニ致サセルコトニ依ッテ、勸
業銀行ト興業銀行トノ摩擦ト云フコトガナ
クナリマシテ、宜イノデハナイカ、尙是ハ
マダハッキリ決メタ譯デハゴザイマセヌガ、
政府ニ於テ目下〓究シテ居リマスル所ハ、
興業銀行ト勸業銀行トガ共同融資ヲスルト
云フコトモ考ヘ居リマス、サウ致シマスレ
バ兩方ノ銀行デ一ツ會社ニ對スル貸付金額
ガ少クテ濟ム譯デアリマス、サウシテ共同
調査ヲ致シ、サウシテ共同シテ資金ノ融通
ヲ致スト云フコトニナリマスレバ、最モ宜
イデハナイカト云フコトモ考ヘテ居リマシ
テ、成案ガ得ラレタナラバサウ云フコトモ
將來ハヤッテ行キタイト云フコトヲ考ヘテ居
ルヤウナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=26
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027・西酉乙
○男爵西酉乙君 今囘ノ改正ニ付キマシテ
山林抵當ノ貸付金ノ從來ノ定期償還ニ關ス
ル五年ヲ最長二十箇年ニ御改正ニナリマシ
タコトハ、是ハ大變從來ニ較ベテ非常ナ進
步ダト思フノデゴザイマスガ、近頃ノヤウ
ニ木材ガ上ッテ參リマスト、兎角モウ少シ
銀行ガ持ッテ呉レタラアノ山ヲ手放サナイ
デ濟ンダノニト云フヤウナ怨ミ言ヲヨク聞
クノデアリマスケレドモ、マア銀行カラ金
ヲ借リテ居ルト云フ場合ハ兎角勝手ナコト
ヲ言フモノデアリマスカラ、其ノ言葉ダケ
ヲ額面通リ受取ル譯ニ行キマセヌケレドモ、
サウ云フ場合ニ元來勸業銀行ノヤウナモノ
ハ長期ノ資金ヲ持ッテ居ルト云フ所ニ特徵
ガアルノデゴザイマスカラ、出來ルダケ事業
ヲ育成シテ行クト云フ方針ノ下ニ、餘リ整
理ヲ御急ギニナラヌヤウニヤッテ戴クコト
ガ非常ニ仕合セダト思フノデアリマスガ、
今度ノ定期償還ノ年限ヲ大幅ニ延バサレタ
コトハ勿論其ノ御趣旨ニ依ルコトト思ッテ
居リマスガ、私山林ノコトナドハ素人デ全
ク無知識デアリマスガ、日本ノ杉ノ木ナド
モ試伐期ニ入ルノガ三四十年ト云フコト
ヲ聞イテ居リマス、ソレ等ノ點カラ考ヘテ
モ二十箇年ト云フノハ是ハ十分ダト御考ヘ
ノ上ナノデアリマセウカ、或ハ場合ニ依ッテ
ハ之ヲ借換ナドト云フヤウナコトニシテ、
之ヲ延バス餘地モアルモノナンデアリマセ
ウカ、御〓示ヲ願ヒタイト思フノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=27
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028・相田岩夫
○政府委員(相田岩夫君) 二十年デ十分デ
アルカドウカト云フ御尋デゴザイマスガ、
森林金融ニ付キマシテハ、植林ノ時カラ伐
採ノ時迄、全期間ニ付テ資金ノ融通ヲスル
ト云フ、サウ云フ意味ニ於キマシテハ、二
十箇年デハ必ズシモ十分デアルトハ、申セ
ナイト思ヒマス、併シ植林後間モナイ幼齡
林ニ付キマシテハ、十分テ抵當ト認メ難イ
場合モアリマスルノデ、矢張リ植林後或程
度ノ期間ヲ經過シテ山林ヲ對象トスル必要
ガアルト存ゼラレマスルノデ、此ノ點カラ申
シマシテ、先ヅ二十箇年程度ニ之ヲ延長致
シマスレバ、澤山デアラウト、斯ウ考ヘタ
次第デゴザイマス、ソレカラ更ニ借換ハ認
メルカドウカト云フ御話デゴザイマスルガ、
是ハ結局實情ニ應ジテヤルト申上ゲタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=28
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029・西酉乙
○男爵西西乙君 數年前カラ農林、水產方
面ノ地方ノ金融ヲ一元化スルト云フ御趣旨
デアッタヤウニ伺ッテ居リマシタガ、地方ノ
農工銀行ヲ勸銀へ合併サセルト云フヤウナ
傾向ニ承知シテ居リマシタガ、其ノ後勸銀
ヘノ地方農工銀行ノ合併吸收ナドト云フコ
トハ、ドウ云フ經過ニナッテ居リマセウカ、
今デハ幾ツ位マダ殘ッテ居ルノデアリマセウ
カ、ソレヲ伺ヒタイト思ヒマス、サウシテ
其ノ統一一元化ノ方針ニ付テハ、其ノ方針
ヲ御變ニナラナイデ居ルノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=29
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030・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 現在農工銀行デ
殘ッテ居リマスノハ五ツデゴザイマス、現在
殘ッテ居リマスル農工銀行ハ、何レモ相當基
礎確實デアリマシテ、其ノ土地ニ於テ相當
ナ信用ヲ持ッテ、相當ノ働キヲ致シテ居ルノ
デアリマス、政府ト致シマシテハ、是等ノ
農工銀行ヲ勸業銀行へ合併スルコトニ付キ
マシテハ、大體ノ建前ト致シマシテハ、望
マシイコトト思ッテ居リマス、併シ之ヲ是非
急ニ農工銀行方面ノ意思ニ反シテ迄モ、急
イデ之ヲ合併サセルト云フ程ノ必要モ認メ
テ居リマセヌノデ、大體機運ノ熟シタ際ニ
於テ、適當ニ、無理ナク、漸次合併ガ行ハ
レルコトヲ期待シテ居ル譯デアリマス、其
ノ程度ニ一ツ御諒承願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=30
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031・西酉乙
○男爵西酉乙君 只今ノ農工銀行ト勸業銀
行ニ關スル御方針ハ極メテ穩健妥當ナ御方
針ト思フノデアリマスガ、地方ニ對立摩擦
ガ起ラヌヤウニト云フ御意圖ハ依然トシテ
御アリニナルヤウニ伺ヒマシタ、處デ先程
モ次官カラ御話ガゴザイマシタ產業組合中
央金庫トノ關係デゴザイマスケレドモ、先
程ノ御話ヲ伺ヒマスト、產業組合中央金庫
ハ、集メタ資金ヲ他ニ預ケルトカ、或ハ有
價證劵投資ヲシテ、資金ノ運用ヲ圖ッテ、農
村ヘノ貸出ハ兎角消極的デアルト、斯ウ云
フヤウナ狀況デアルカラ、勸業銀行ガ農村
ヘノ貸出ニ進出シテモ別ニ摩擦ヲスルヤウ
ナコトガナイト云フヤウニ伺ヒマシタ、
將來中央金庫ト致シマシテモ、御承知ノヤ
ウニ有價證劵投資ノ利廻モ低クナリマスシ、
他ノ金融機關へノ預金利率モ段々低下シテ
來ルヤウナ狀況デスカラ、何レハ自己ノ計
算上、今迄有價證劵ニ投資シタリ、他ノ金
融機關ヘ預金ヲシテ資金ヲ運用シテ居ッタ
ト云フコトモ、安全トカ自己保存ノ採算上
ニ基因シテ居ルノダト思ヒマスカラ、サウ
ダトスレバ、當然利率ノ比較的高イ農村ヘ
ノ貸付金ノ方ヘ資金ヲ廻スヤウニナリハセ
ヌカト私ハ想像スルノデアリマスガ、サウ
云フヤウナ情勢ガ想像出來ルト致シマスト、
依然トシテ勸業銀行ト農工銀行ト此ノ產業
組合中央金庫トノ分野ガ交錯シテ來ルヤウ
ナ懸念ヲ多分ニ持ッテ居ル、產業組合中央金
庫ト他ノ金融機關トノ關係ハ、產業組合ト
他ノ中小商業部門トノ關係ノヤウニ、私達
ト致シマシテモ非常ニ色々ナ問題ガ起ルコ
トヲ懸念シテ居ル、是等ノ調整ハ現在ノヤ
ウナ非常時局ニ於テハ殊ニ大切ダト思フ
ノデアリマスガ、之ニ對シテドウ云フ御方
針御對策ヲ御持チナノデアリマセウカ、伺
ヘマスレバ伺ッテ置キタイト思フノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=31
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032・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 產業組合ノ問題
ニ付キマシテハ、先程チヨット申上ゲタノ
デゴザイマスルガ、要スルニ產業組合ノ從
來ノ營業ノ仕方ハ、組合員ノ利益ヲ圖ル爲
ニ、成ルベク高イ金利デ金ヲ預リ、サウシ
テソレヲ有利ニ運用致シマシテ、利益ヲ擧
ゲマシテ、組合員ニ對スル配當モ餘計ニ致
シタイト、斯ウ云フ氣持ガ非常ニ働イテ居
ルノデアリマス、從ヒマシテ、例ヘバ銀行
預金ノ金利ノ水準ヲ下ゲルト云フ場合ニ於
キマシテモ、一番下ゲ方ノ遲イノガ產業組
合デアリマス、サウ云ッタ風ニ高イ「コスト」
ノ預金ヲ扱ヒマスカラシテ、之ヲ低利ニ運
用スル譯ニ行カナイ、從ヒマシテ、例ヘバ
今囘ノ場合ニ於テ、各金融機關トモ國債ヲ
第一番ニ持ッテ貰ヒタイト申シマシテモ、
產業組合ハ自分ノ資金「コスト」ノ上カラ云ッ
テ、國債ヲ餘計持チ得ナイノデアリマス、
從ヒマシテ、國債以外ノ社債トカ、場合ニ
依ッテハ株式ヲ持タナケレバ、採算ガ合ハヌ
ト云ッタヤウナ關係デ、先程申上ゲマシタヤ
ウニ、有價證劵ノ投資ヲ行ヒ、又組合員ニ
對スル貸付ト云フモノモ、是モ兎角、詰リ
組合內ニ於テノ貸出ノ際ニ於キマシテハ、
產業組合ノ建前ト致シマシテハ、御承知ノ
ヤウニ每年各組合員ニ對スル貸付限度ト云
フモノヲ決メテ居リマス、サウ云フ一方ニ
於テ制限ガアリマスル所へ、必ズシモ組合
內ニ適當ナ貸付ノ對象トナルベキ人ガ居ナ
イト云フヤウナコトモアリマセウシ、貸付
ノ擔保ニ取ルモノガ非常ニ複雜デアルト云ッ
タヤウナ關係モアッタリ致シマシテ、ナカ
ナカ簡單ニハ金融ガシカネルト云フヤウナ
コトカラシテ、十分ナ貸付ガ行ハレナイモ
ノト見テ居ルノデアリマス、ソコデ此ノ產
業組合ノ中ノ信用組合ト云フモノト、地方
銀行其ノ他不動產銀行トノ間ノ關係ヲドウ
調整シテ行クカト云フコトハ、非常ニ重要
ナ問題デアリマスルト共ニ、極メテ複雜ナ
問題デアリマス、政府ト致シマシテハ年々
此ノ點ニ付テハ考慮ヲ拂ッテ居ルノデアリ
マス、最近ニ於キマスル產業組合ハ、御承知
ノヤウニ農產物ノ生產者トシテノ產業組合
ガ、之ヲ配給ヲ致シ、市場ニ賣出スト云フ場
合ニ於テ、相當ノ運轉資金ヲ要スルト云フ
關係ガアリマシテ、·其ノ方面ニ或程度資金ヲ
使フト云フ傾向ニナッテ居ルノデアリマス、
ソコデ最近段々ト、米ニ付キマシテハ國家管
理ガ行ハレ、其ノ他農產物ニ付キマシテモ、
配給系統ノ變化ト云フモノガ部分的ニ起ッテ
居リマス、此ノ變化ト云フモノガドノ程度
擴ガルト云フコトハ、只今丁度經過的ナ時
代デアリマシテ、大體ノ見透シヲ付ケマス
ノニハ、只今ハ餘リ適當デナイノデゴザイ
マス、政府ト致シマシテハ、モウ少シ、農
村ノ生產ト配給トノ機構ガドウ云フ風ニ
ナッテ行クカ、ソレニ依ッテ信用組合ノ資金
ト云フモノガドウ云フ風ニ利用サレテ行ク
カ、ト云フコトヲ見究メタ上デ、ソレト地
方銀行及不動產銀行トノ調和ト云フモノヲ
圖ッテ行キタイ、斯ウ云フ考デ居リマスノデ、
甚ダ明快ナル御答ガ出來ナイノハ殘念デゴ
ザイマスルガ、御了承ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=32
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033・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 他ニ御質疑ハ
ゴザイマセヌカ······日本勸業銀行法中改正
法律案外二件ニ付テノ質疑ハ、是デ終了シ
タモノト認メテ宜シウゴザイマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=33
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034・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 終ッタモノト認
メマス、國民貯蓄組合法案竝ニ國民更生金
庫法案、之ニ付テノ質問ハ昨日終了シタモ
ノト認メテ宜シウゴザイマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=34
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035・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 終了シタモノ
ト認メマス、是ヨリ討論ニ入リマス、御意見
ガゴザイマシタラドウゾ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=35
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036・梅園篤彦
○子爵梅園篇彥君 私ハ只今議題トナッテ
居リマスル所ノ國民貯蓄組合法案外四件ニ
對シマシテ贊成ヲ致ス者デアリマス、此ノ
時局下ニ於ケル國民貯蓄ノ增强ヲ圖ルガ爲
ニ、國民貯蓄組合法ヲ制定スル、或ハ最近
ニ於ケル中小商工業者ノ狀況ニ鑑ミラレマ
シテ、茲ニ國民更生金庫ヲ設ケ、以テ之ガ
轉業又ハ廢業ヲ爲ス者ノ資金竝ニ負債ノ整
理ヲ促進致シマシテ、其ノ更生ヲ圖ルノ要
アルコトハ論ヲ俟チマセヌ、又經濟界ノ情
勢ニ卽應致シマシテ日本勸業銀行、北海道
拓殖銀行及農工銀行法ヲソレ〓〓改正致シ、
其ノ機能ヲ擴充スル必要アルコトモ亦言ヲ
俟チマセヌ、之ヲ要スルニ何レモ時局下ノ
緊迫セル情勢ニ卽應シタルモノデアッテ、眞
ニ機宜ニ適シタル法案ナリト信ジマス、仍
テ私ハ是等ノ五法案ニ贊成ヲ致ス者デアリ
マンク、併シナガラ之ガ實施ニ當マシテハ、
深甚ノ考慮ヲ拂ハレタイノデアリマス、就
中國民更生金庫法ノ運用ニ付テハ、格別ノ
御配慮ヲ願ヒタイノデアリマス、卽チ其ノ
貸付手續ニ付キマシテハ、出來ルダケ之ヲ
敏速簡易化スルコトヲ熱望致シマスルト共
ニ、轉廢業者ノ資產ノ評價ニ付テハ、之ガ
妥當適正ヲ期セラルヽト同時ニ可及的速カ
ニ御決定ヲ願ヒ、以テ其ノ貸付ノ時機ヲ失
セザルヤウ希望致シマシテ、各法案ニ贊成
ヲ致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=36
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037・河原田稼吉
○河原田稼吉君 私モ此ノ提案ニナリマシ
タ各法案ニ贊成ヲスル者デアリマス、唯此
ノ機會ニ國民更生金庫法案ニ對シテ二、三ノ
點ヲ申述ベタイト思ヒマス、國民更生金庫
法案ノ如キ施設ハ、現下ノ非常時局下ニ於
テ極メテ必要ナルモノデアッテ、寧ロ其ノ
實現ガ遲カッタンヂヤナイカト云フ位ニ考
ヘルノデアリマシテ、極メテ適切ナモノト
思フノデアリマス、唯此ノ際御注意ヲ願ヒ
タイコトハ、卽チ其ノ運用ニ付テ十分ノ御
工夫ヲ願ヒタイ、而シテ折角此ノ機能ヲ發
揮スルニ遺憾ノナイヤウニ願ヒタイノデア
リマス、私ガ申ス迄モナク、此ノ國民更生
金庫ノ適用ト云ヒマスカ、其ノ恩惠ヲ受ク
ベキ人々ハ、所謂自分ノ責任、卽チ轉廢業
ト云フコトガ自分ノ責任カラ出タモノト言
ヒ得ナイノヂヤナイカ、卽チ前ノ自由經濟
ノ時代ニ於キマシテハ、轉業トカ廢業ト云
フコトハ、或ハ其ノ人ノ怠慢トカ或ハ其ノ
人個人ノ運不運ト云フヤウナコトニ左右セ
ラルヽコトガ非常ニ多カッタノデアル、然ル
ニ今囘此ノ非常時局下ニ於テハ、所謂經濟
上ノ統制、是ハ私ハ益〓强化サレ、又强化サ
レテ然ルベキコトト思フノデアリマスガ、
統制經濟强化ノ結果トシテ轉廢業ヲセザル
ノ已ムヲ得ザルニ至ッタト云フヤウナ人ハ、
是ハ其ノ人ノ責任ト云フヨリモ、寧ロ國
家或ハ國民全體ガ其ノ責任ヲ分擔シテ宜
イモノヂヤナイカ、斯ウ云フ風ニ思フ位デ
アリマス、又此ノ法案ノ趣旨モ私ハ其處カ
ラ出テ來テ居ルモノト思フノデアリマ
ス、從ヒマシテ、其ノ運用ニ付キマシテ
ハ、只今ノ梅園子爵ガ申サレマシタヤウ
ニ、所謂手續ヲ簡明ニシテ、從來ノヤウナ
色々ナ煩瑣ノ手續ノナイヤウニ成ルベク之
ヲ簡略ニシテ、サウシテ敏速且適切ナ御處
置ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、今囘ノ
法案ハ段々御說明ヲ承リマスト、所謂國
家ノ計畫ニ基ク轉廢業、斯ウ云フ人々ニ
對スル機關デアリマスカラ、是パ私ガ想像
シマスト云フト、法律的ノ强制デハアリマ
セヌケレドモ、事實上ハ强制セラルヽヤウ
ナ立場ニ立ツ人々ニ對スル機關ト思フノデ
アリマスカラ、其ノ點ニ付キマシテハ尙更
御注意ヲ願フノデアリマス、又一方サウ云
フ風デアリマスカラ恐ラク從來アリマシタ
ヤウナ、所謂金融機關ト違ヒマシテ、比較
的簡便ニ行クコトト思ヒマスケレドモ、併
シ此ノ點ニ付キマシテハ十分ナ御注意ヲ願
ヒタイ、唯此ノ機會ニ尙御注意ヲ願ヒタイ
ト思ヒマス事項ハ、只今私ガ諒解シタヤウ
ニ、此ノ機關ハ所謂計畫ニ基ク轉廢業、從
ヒマシテ其ノ人々ノ屬シテ居ル同業組合ト
カ、或ハ商業組合ト云フモノガ、先ヅ第一
ノ決定者ニナルヤウニ思フノデアリマス
言換ヘテ見レバ、同業組合トカ、商業組合
ト云フモノガ指導的立場ニ立ツ、卽チ轉廢
業ノ必要アリヤ否ヤ、其ノ程度如何ト云フ
ヤウナコトヲ決定スルヤウデアリマスカラ、
先ヅ第一ニ······ソレカラ續イテマア資産評
價委員會等ノ手ヲ經マセウガ、兎モ角第一
次ニサウ云フ組合ト云フモノガ指導的ノ立
場ニ立ツノデアリマスカラ、其ノ組合ノ幹
部ト云フヤウナ人々ハ、相當私ハ權限ヲ持
ツヤウナ結果ニナリハシナイカ、從ヒマシ
テ是等ノ組合等ニ對シマシテハ、政府ニ於
テ其ノ指導監督宜シキヲ得ルヤウニシテ、
所謂偏頗ナ處置トカ、或ハ無辜ニ泣クト云
フヤウナコトノナイヤウニ、十分ナ御注意
ヲ願ヒタイト思フノデゴザイマス、ソレカ
ラ此ノ機會ニ更ニ申述ベタイコトハ、所謂
實務ニ當ル下僚ノ人々、窓口ノ當務者ニ對
シテノ御指導宜シキヲ得タイヤウニ思ヒマ
ス、從來ノ統制經濟ニ對スル國民ノ不滿ト
云フコトハ色々アリマセウケレドモ、私共
ノ聽ク所ニ依ルト云フト、寧ロ實際ノ先々、
所謂窓口當務者ニ對スル不平不滿ガ多イヤ
ウニ思ハレル、政府ノ中心ニ立チ、若シク
ハ各官廳ノ中樞ニ立ツ人々ハ、ソレ〓〓廣
ク又深切ニ考ヘラレテ居リマシテモ、ソレ
ガ先々ニ行クト云フト、遂ニ亂雜ニナルト
云フヤウナ所ニ不平不滿ガ基因スル所ガア
ルノデハナイカト思ハレルノデアリマス、殊
ニ今囘ノ轉廢業者ト云フモノハ、所謂國策
ノ結果ト言ヒマスカ、サウ云フ所カラ出テ
來タ人々デアリマスカラ、十分其ノ局ニ當
ル出先ノ人、卽チ先々ノ官廳ノ實際ニ當ル
人或ハ更生金庫ノ實際ノ當務者ト云フヤ
ウナ人ハ、餘程利用ヲシヨウト云フ人ノ立
場ニ立ッテ、本當ニ深切ニ考ヘテヤル、斯ウ
云フ風ニ御指導ヲ願ヒタイト思ヒマス、政
府委員ノヤウナ高級ナ方々ノ所デハ、ソレ
ゾレ如才ナク御考デアリマセウケレドモ、
併シソレガ尙ヨク先々ニ徹底スルヤウニ常
ニ御指導ヲ願ヒタイト思フノデアリマス
尙一ツ附加ヘテ申上ゲタイコトハ、段々御
說明ヲ伺ヒマスト云フト、國民更生金庫法
ノ金庫ノ活用ナリ、利用ヲナシ得ル人々ハ
所謂政府ノ計畫ニ基ク轉廢業者デアリマシ
テ、ソレニ該當セザルモノ、何ト云フカ、
自由轉廢業、斯ウ云フ人々ハ、此ノ金融ノ
便宜ヲ受ケ得ナイヤウデアリマス、同ジク
時局ノ重壓ニ依ッテ轉廢業ヲセザルヲ得ナ
イヤウナ人々デアリマスカラ、其ノ外ノ點
ハ色々御施設ガアルヤウデアリマスガ、金
融ニ關スル限リニ於テハ、聊カ計畫轉廢業
ト自由轉廢業トノ間ニ稍、、均衡ヲ失スルヤノ
嫌モ見受ケラレルノデアリマス、是等ニ付
キマシテハ將來尙政府ニ於テ十分考慮アラ
ムコトヲ希望スルノデアリマス、私ハ終始
此ノ委員會ニ出席ヲ致シマシテ、委員ノ皆
樣ノ段々ノ御意見ヲ伺ッタノデアリマスガ、
委員諸公ニ於カレマシテモ、此ノ國策ノ犠
牲ニナリマスベキ轉廢業者ノ立場ニ對シテ
ハ、深甚ナ同情ヲ御持ニナッテ居ルヤウデア
リマス、又其ノ取扱ニ付テハ大イナル關心
ヲ御持ニナッテ居ルヤウデアリマス、殊ニ此
ノ運用ニ付テハ適切敏速ノ措置ト云フコト
ニ付テ皆樣方ガ御希望ヲ持ッテ居ラレルヤ
ウニ、甚ダ僭越ナガラ拜察スルノデアリマ
スノデ、此ノ機會ニ於テ是等ノ點ニ付テ政
府當局ノ御所見ヲ一ツ御開陳ヲ願ッテ置キ
タイト思ヒマス、私ハ本案ニ贊成スル者デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=37
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038・三島通陽
○子爵三島通陽君 私モ此ノ五法案ニ贊成
ヲスル者デゴザイマス、而シテ此ノ更生金
庫法案ニ付キマシテ一點意見ヲ申述ベタイ
ト存ジマス、只今河原田サン梅園サンカラ
モ縷々御意見ヲ御述ニナリマシタガ、此ノ
點ニ付キマシテハ私共モ全然御同感デアリ
マスガ、尙此ノ國民更生金庫ガ金融ヲシテ
カラ先キノ轉廢業者ニ對シテ本金庫モ亦厚
生省、特ニ職業指導所、勤勞訓練所ノ御指
導聲援ト云フヤウナモノヲ併セテ御願ヲ致
シタイト思フノデアリマス、金ヲ貸シテシ
マッテ、ソレデ貸シ放シダト云フノデナク、
是カラ更生ヲシテ新シイ途ヲ開拓シテ行ク
ト云フ人ハナカ〓〓骨ガ折レルコトト思ヒ
マンク、十中八九迄ハナカ〓〓金モ償還ガ出
來ナイ人ガ多イノデハナイカト思ハレマス、
併シ中ニハ勇敢ニ新シイ途ヲ切開カレテ、
サウシテ金モ早ク償還出來ルト云フヤウナ
人ガアルダラウト思ヒマス、又アッテ欲シイ
ノデアリマス、サウ云フヤウナ人ニ對シテ
ハ相當何カ奬勵金デモヤルトカ、又金ノ方
ハ與ヘテ貰ヘレバ尙宜イケレドモ、或ハ表
彰ヲスルトカ、色々ナ方法ガ考ヘラレ得ル
ダラウト思ヒマス、私ハ玆ニ具體的ナ斯ウ
シロアヽシロト云フコトハ申シマセヌ、唯
何等カノサウ云フコトモ考ヘテ宜イノヂヤ
ナイカ、例ヘバ勸業銀行邊リカラ借リタ金
ヲ早ク返ス場合ニハ違約金ヲ取ラレル、併
シ此ノ金庫カラ金ヲ借リタ場合ハ早ク返セ
タ場合ニハ御褒美ガ貰へルト云フヤウナコ
トガアッテモ宜イノヂヤナイカ、併シ其ノ方
法ハ私ハ此處デドウ云フ方法ト云フコトハ
申サナイノデアリマスガ、何等カノサウ云
フ方法ヲ考ヘテ奬勵スル、サウ云フ人ヲ大
イニ稱揚ヲシテ宣傳ヲスルト云フコトガ、
又次ニ來ルベキ轉廢業者ニ大キナ勇氣ヲ與
ヘルノデハナカラウカ、希望ヲ與ヘルノデ
ハナカラウカト云フコトガ考ヘラレル、又
職業指導所勤勞訓練所ヲ出テカラ先キノ此
ノ實際社會ニ活動シテ居ル戰士、或意味
デ開拓士ト云フヤウナ人ニ對シテ、其ノ絲
ガ何時迄モ切レナイヤウニ厚生省等ニ於キ
マシテ十分御指導聲援ヲシテ戴キタイト云
フコトヲ申述ベテ、此ノ法案全部ニ贊成ヲ
致ス者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=38
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039・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今梅園子爵、
河原田委員、三島子爵御三方カラ何レモ有
益ナル御意見ノ御開陳ガアリマシテ、政府
當局ト致シマシテモ誠ニ御意見ニ付キマシ
テハ、深甚ナル敬意ヲ拂ヒマスルト共ニ、
御同感ニ存ズル點ガ少クナイノデゴザイマ
ス、卽チ更生金庫ノ運用ニ當リマシテ、貸
出ヲ出來ルダケ簡易敏速ナラシメヨト云フ
點ニ付キマシテハ、政府ト致シマシテハ、
夙ニ其ノ點ハ考慮ヲ致シテ居ッタ所デアリマ
シテ、今囘法律案ノ提出前ニ於キマシテモ、
取敢ズ昨年ノ秋、財團法人國民更生金庫ヲ
設立致シマシテ、昨年ノ十二月ニ二千萬圓
ヲ限ッテ、此ノ資金運用令ニ基ク融資命令
ヲ旣ニ發シテアルノデアリマスルガ、是ト
申シマスノモ、何時デモ融資ノ必要ガアリ
マスル際ニハ金庫ヲシテ機會ヲ逸セズシ
テ貸出ガ出來ルト云フ者慮カラ出デタ次第
デアリマス、今囘本法律案ガ通過致シマシ
テ、法律ニ基ク更生金庫ガ出來マシタ後ニ
於キマシテモ、此ノ考へ方ハ益〓之ヲ持續致
シマシテ、出來ルダケ貸出ニ際シマシテハ
簡易敏速ニシタイト存ジテ居ル次第デアリ
マス、次ニ、組合幹部、詰リ轉廢業者ヲ包
容シテ居リマスル所ノ、組合ノ幹部ニ對シ
マスル指導ヲ、政府ノ方デ然ルベク偏頗ノ
ナイヤウニ致スヤウニト云フ御注意モ誠ニ
御尤デゴザイマシテ、斯ウ云ッタヤウナコト
ニ付キマシテハ、今後此ノ重大ナル轉廢業
問題ノ解決ニ際シマシテハ、最モ注意ヲ拂
ハナケレバナラヌ點ダト考ヘル次第デアリ
マス、御注意ノ點ハ十分政府ニ於テモ尊重
致シタイト思ッテ居ル次第デアリマス、次
二、窓口事務ヲ取扱フ人間ニ對シテ、十分
ナル指導ヲ致シ、深切丁寧ヲ期セヨト云フ
御注意デゴザイマスルガ、是モ誠ニ御尤デ
ゴザイマス、此ノ點モ誠ニ今後ニ於テハ必
要ナコトト存ズルノデアリマス、此ノ點ニ
付キマシテハ二三年前カラ庶民金庫ヲ設
立致シマシテ、相當小口ノ薄資階級ノ人達
ニ對スル金融ヲ行ッテ居ルノデアリマスルガ、
此金庫ノ運營ニ當リマシテモ、政府ト致シ
マシテハ同樣ノ點ヲ考慮致シマシテ、出來ルダ
ケ窓口事務ニ付テハ深切丁寧ヲ期スルヤウ
ニト云フコトヲ期待シ、希望モ致シタノデア
リマスルガ、幸ヒ只今迄ノ所デハ大體大キナ御
非難モナク、庶民金庫ガ營業ヲ致シテ居ルノ
デアリマス、更生金庫ノ營業ニ付キマシテモ、
斯ウ云ック經驗ヲ十分生カシマシテ、十分金
庫ノ利用者ニ不滿ナカラシメタイト存ジテ
居ル次第デアリマス、次ニ、此ノ自由轉廢
業者ニ對スル施設ニ付キマシテモ、政府ニ
於テ相當考慮スルヤウニト云フ御話デゴザ
イマスガ、此ノ點ニ付キマシテハ、事變以
來政府ガ低利資金ヲ、轉業資金ト云フモノ
ヲ出シテ居ルノデゴザイマス、是ハ相當ノ
成績ヲ擧ゲテ居リマシテ、商業組合、工業
組合ハ勿論ノコト一般ノ個人ニ付キマシ
テモ、轉業ヲ必要トスル者ニ對シマシテハ、
低利資金ヲ現在供給致シマシテ、旣ニ實績
ノ上ニ於テ數千萬圓ノ融通ヲ致シテ居リマ
ス、唯問題ハ、是ハ事變以來ノ轉業者ニ對
スル貸付デアリマシテ、廢業者、今囘ハ廢
業者モ入ル譯デアリマスルガ、廢業者ニ對
スル施設ト云フモノガ、之ニハ入ッテ居ナイ
ノデアリマスルガ、御注意モアリマスルノ
デ、今後是等政府ノ低利資金ノ供給ニ當リ
マシテ廢業者ヲモ含メルト云フ方向デ今後
〓究ヲ致シタイト思ッテ居リマス、尙其ノ他
ニ付キマシテモ、今後更ニ〓究ヲ重ネマシ
テ、適當ナル對策ヲ講ジタイト存ズル次第
デアリマス、次ニ、轉廢業者ニ資金ヲ融通
シタ後ニ於テノ施設ト云フモノニ付テモ、
政府ハ十分注意ヲシナケレバイカヌト云フ
御意見デゴザイマス、是モ誠ニ御尤デアリ
マシテ、昨日モ申上ゲマシタヤウニ、金庫
ノ資金融通ノ事務ニ付キマシテハ、大藏省
ガ專ラ當リマスルガ、轉廢業者ノ轉業シ廢
業シタ後ノコトニ付キマシテハ、豫テカラ
其ノ方面ノ仕事ニ練達シテ居リマスル厚生
省ニ、十分ナ考慮ヲ拂ッテ貰フコトニ打合セ
テアル譯デアリマスルガ、今後ニ於キマシ
テモ、更ニ政府部內ニ於キマシテ十分密接
ナ連絡ヲ取リマシテ、御意見ノヤウニ致シ
タイト思ヒマス、尙金庫ノ資金融通ノ際ニ
於キマシテモ、只今御指摘ノヤウナ、非常
ニ成績ノ好イ償還ヲ致スト云フヤウナ場合
ニ、何等カ施設ヲ致スト云フコトモ、貸出
ノ方法ヲ決メマス際ニ於テ、何等カ考慮ガ
出來ルカト思ヒマス、サウ云フ點ニ付キマ
シテハ、貸出條件等ヲ決定致シマス際ニ於
テ、相當ノ〓究ヲ致シテ實行致シテ參リタ
イト存ズル次第デアリマス、要シマスルニ、
只今御三方ノ御意見ハ何レモ御尤ナ御意見
デアリマシテ、政府ト致シマシテモ、十分
是等ノ諸點ニ注意ヲ致シテ、萬遺憾ナカラ
シメタイト存ズル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=39
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040・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 之デ討論ハ終
結致シマシタ、國民貯蓄組合法案外四件ヲ
一括シテ採決致シタイト思ヒマス、是等五
案ハ可決スベキモノトシテ御異存ゴザイマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=40
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041・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 御異議ナイモ
ノト認メマス、是デ散會致シマス
午後零時七分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵堀田正恒君
副委員長男爵松平外與麿君
委員
侯爵前田利爲君
子爵梅園篤彥君
子爵三島通陽君
子爵由利正通君
宇佐美勝夫君
河原田稼吉君
男爵加藤成之君
男爵西酉乙君
大塚惟精君
岩元達一君
政府委員
大藏次官廣瀨豐作君
大藏書記官坂口芳久君
同山際正道君
國民貯蓄奬勵局次長栗原修君
農林省水產局長平岡梓君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601042X00319410225&spkNum=41
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