1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
蠶絲業統制法案（政）
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委員氏名
委員長 子爵 八條隆正君
副委員長 男爵 稻田昌植君
公爵 鷹司信輔君
侯爵 四條隆徳君
伯爵 酒井忠正君
子爵 米津政賢君
子爵 柳澤光治君
有吉忠一君
横山助成君
男爵 三須精一君
男爵 肝付兼英君
今井五介君
瀧川儀作君
野村徳七君
吉村友之進君
大澤徳太郎君
片倉兼太郎君
大西虎之介君
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昭和十六年二月二十二日（土曜日）午前十時十五分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=0
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001・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) ソレデハ是ヨ
リ蠶絲業統制法案特別委員會ヲ開會致シマ
ス、先ヅ農林大臣ヨリ法案ノ御說明ヲ願フ
コトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=1
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002・石黒忠篤
○國務大臣(石黑忠篤君) 蠶絲業統制法案
ノ提出理由ニ付キマシテハ、本會議ニ於テ
大體ノ趣旨ヲ申述ベタノデゴザイマスルガ、
玆ニ本案ノ主タル內容ヲ擧ゲマシテ一應御
說明ヲ申上ゲマス、本法案ノ主タル內容ノ
第一ハ、蠶絲類生產計畫ノ設定デゴザイマ
ス從來蠶絲業ハ輸出向生絲ノ生產ヲ目標
ト致シマシテ、之ニ偏シテ居リマスルヤウ
ナ感ガアルノデアリマスガ、今後ノ輸出向
生絲ハ、實際輸出ニ必要ト認ムル一定量ヲ
目標ト致シマスト共ニ、國內生絲ハ實用絹
製品ノ方面ニ用途ヲ擴大致シマシテ、又
繭ノ相當數量ヲ短纖維ト致シマシテ處理致
シマシテ、羊毛、綿ト共ニ使用セシメタイ
ト考ヘテ居ルノデゴザイマス、斯クノ如ク
國內消費ノ充實ニ重點ヲ置キマシテ、政府
ニ於テハ今後内外ノ情勢ノ變化ニ對應致シ
マシテ、ソレニ卽シマシタル蠶絲類ノ用途
別生產計畫ヲ樹立致シマシテ、ソレニ基
イテ生產ノ割當制ノ實施ヲ致シ、場合ニ依
リマシテハ繭纖維ノ使用等ニ關シマシテモ
必要ナル措置ヲ講ズルコトト致シマシテ、
蠶絲ノ生產計畫ノ達成ヲ圖ッテ參ル積リデ
居ルノデゴザイマス、第二ハ日本蠶絲統制
株式會社ノ設立デゴザイマス、蠶絲類計畫
生產ヲ確實ニ實施致シマスルト共ニ、從來
ノヤウナ價格ノ不安定ヲナカラシメ、更に
今後或ハ起リハ致サムカトモ危惧致サレテ
居リマスル場合ニ備ヘマシテ、蠶絲業ヲ眞
ニ安定セシムル爲ニハ鞏固ナル綜合的統
制ノ機構ガ必要デアルノデゴザイマス、是
ガ爲ニ政府ノ半額出資ニ依リマスル日本蠶
絲統制株式會社ト云フモノヲ設立致シマシ
テ、原則トシテ蠶種、繭及ビ生絲ノ一手買
入及ビ賣渡ヲ行ハシメムトスルモノデアリ
そう、之ニ依リマシテ養蠶者、製絲業者等
ノ生產者ニ對シマシテハ、中庸生產費ヲ基
礎ト致シマス價格ニ安定セシメマスト共ニ、
其ノ配給ニ當リマシテハ業者間ノ公平ヲ期
シマシテ、又消費計畫ニ卽シテ必要ナル方
面ニ對シマスル供給ヲ確保致スト云フコト
ニ致シタイト考ヘテ居ルノデアリマス、第
三點ハ、蠶絲類ノ價格ノコトデゴザイマス、
從來ハ專ラ輸出生絲ノ絲價ガ基準トナッテ
居ル關係上、相場ノ變動常ナキ狀態デアッタ
ノデアリマスガ、今後ハ日本蠶絲統制株式
會社ガ其ノ配給ヲ管理致スニ當リマシテ、
其ノ買取價格ハ主トシテ生產費ヲ基準トシ
テ、品位ニ依リ之ヲ定ムルコトト致シマシ
テ、賣渡價格ハ品位又ハ用途ニ應ジテ之ヲ
定メマスト同時ニ、中間取扱業者ノ賣買モ
〓ネ一定ノ手數料主義ニ依ラシムルコトト
致シタイト考ヘテ居ルノデアリマス、第四
點ハ、蠶絲類ノ檢査ニ關スル事項デゴザイ
マス、從來ノ檢査制度ヲ擴充致シマシテ、
原則トシテ繭及生絲ノ總テノ取引ヲ檢定又
ハ檢査ノ成績ニ依ラシムルコトト致スノデ
アリマス、第五點ハ、桑園ニ關スル施設デ
アリマシテ、桑園ニ付キマシテハ、養蠶經
營ノ基礎デアルノミナラズ、農業生產ノ全
體ノ見地カラ致シマシテモ、桑園面積及配
置ノ適正化ヲ圖ッテ參リマスルコトガ必要
デアルト考ヘマスルノデ、今後其ノ新設
擴張ト云フヤウナコトニ對シマシテハ、許
可ニ依ラシムルヤウニ致シタイト存ジテ居
ルノデアリマス、第六ハ、蠶絲委員會ノ設
置デアリマス、政府ガ蠶絲類ノ生產計畫、
價格等、〓絲業統制ニ關シマシテ、非常ニ
重大ナ事項ヲ多々行フノデアリマスルノデ、
是等ヲ定メマスルニ付キマシテハ、各方面
ノ權威者及關係官廳當局者等ヲ以チマシテ
蠶絲委員會ヲ設置ヲ致シテ、之ニ諮問ヲ致
シマシテ、制度ノ運用上遺憾ナキコトヲ期
シタイト云フ考ヲ持ッテ居ルノデゴザイマス
第七點ハ、特別會計法ノ資金ノ充實デゴザ
イマス、政府ハ絲價安定措置ノ萬全ヲ期シ
マスル爲ニ、此ノ際政府ノ生絲操作資金ヲ
增額致シマシテ、絲價安定施設特別會計法
ノ資金七千萬圓ヲ二億五千萬圓ニ增額スル
コトト致シマシタノデアリマス、以上述べマ
シタ所ノ機構ヲ整備致シマシテ、從來屢〓激
變ヲ繰返シテ參リマシタ我ガ國蠶絲業ノ再
編成ヲ致シマシテ、安定シタル價格ト適切
ナル計畫ノ下ニ、蠶絲業關係ノ生產者ヲシ
テ、安ンジテ其ノ業ニ就カシムルト共ニ、
新タニ相當數量ノ繭ヲ短纖維トシテ利用ス
ル方途ヲ確立致シマシテ、國民生活ニ必要
ナル實用的纖維ノ補給ヲ圖リマシテ、以テ
農村經濟ノ最モ重要部面デアリマスル所ノ
蠶絲業ヲシテ永遠ニ安固ナル基礎ノ上ニ立
タシムルヤウニ努メタイト考ヘテ居ルノデ
ゴザイマス、以上ガ大體本案ノ骨子トスル
所デゴザイマス、何卒十分御審議ノ上ニ御
可決戴カムコトヲ希望致ス次第デアリマス、
尙衆議院ニ於キマシテハ提案ノ第二十九條
ノ第四項ト致シマシテ、蠶絲業ヲ監督スル
官廳ノ官吏タリシ者ガ日本蠶絲統制株式會
社ノ役員等ニ就クコトニ關シテ修正ガゴザ
イマシタ、政府ト致シマシテハ、若シ本院
ニ於カレマシテ同樣修正ノ御意見デゴザイ
マスルナラバ、之ニ同意ヲ致シタイト存ズ
ルノデゴザイマス、右大體ノ御說明ヲ申上
ゲマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=2
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003・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 法案ノ審議ニ
入リマス前ニ、蠶絲業、蠶絲政策一般ニ付
テ御質問ガアリマスレバ、此ノ際願ッタ方ガ
宜カラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=3
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004・野村徳七
○野村德七君 只今御說明ニナリマシタ主
要目的ノ中ニ、桑園ノ整理ト云フコトガア
リマシタガ、衆議院ニ於ケル質問應答カラ
拜見シマスト、此ノ桑園整理ノ目的ハ、繭
生產ノ調節ニ重點ガ置カレテ居ルノデアリ
マスカ、或ハ〓糧政策ト云フコトニ重點ガ
置カレテ居ルノデアリマスルノカ、只今伺ヒ
マスト繭生產調節ニ重キヲ置カレテ居ルヤ
ウニ拜聽シタノデアリマス、ソレカラ桑園
整理ト云フコトニナリマシタ場合ニ、ドウ
云フ方法ヲ以テ整理サレルト云フノデアル
カ、餘程是ハ全國的ニ公平ニヤルト云フコ
トデナケレバイカヌシ、又立派ナ桑園ヲ割
合ニ依ッテ整理シテ、不良ナ桑園ヲ現狀ニ置
クト云フヤウナコトデハ、目的ガ達セラレ
ナイヤウニ思フノデアリマス、又速記錄カ
ラ拜見シマスト云フト、桑園ハ整理スルガ
併シ必ズシモ此ノ桑園整理ニ依ッテ繭ハ減
ラナイ、所謂繭ノ改良增產奬勵ニ依ッテ、必
ズシモ減產ヲシナイト云フヤウナ、斯ウ云
フ政府委員ノ御說明デアッタカ或ハ御答辯
デアッタカヲ速記錄デ拜見シタノデアリマ
スガ、スルト重點ハソコニ置カレテモ、
方カラ結果トシテハ必ズシモ是ダケノ桑園
整理ニ依ッテ、此ノ速記錄ニ現レテ居リマス
ル桑園整理ニ依ッテ、必ズシモ繭ノ調節ガ出
來ルトモ解シ得ラレナイノデアリマスガ、
一應ハッキリト其ノ點ガ出來レバ御話願ヒ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=4
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005・石黒忠篤
○國務大臣(石黑忠篤君) 桑園整理ノ點ニ
關シマシテ、只今野村サンノ御質問デアリ
マスガ、桑園ノ中ニ、極メテ桑葉ノ收穫量
ノ多イ良イ桑園ト、比較的荒廢ヲ致シマシ
タ桑園ガアリマスコトハ御承知ノ通リデア
リマシテ、何シロ多年收穫シ得ル作物デア
リマスル爲ニ、年ガ經ッテモ全ク收穫ガナイ
ト云フノデナイ爲ニ、隨分中ニハ古クナッテ
收穫ノ少クナッテ居ルヤウナ桑園ガアルノ
デアリマス、ソレ等ハ平時ニ於キマシテモ
桑園ノ整理ト云フコトヲヤッテ行クベキ部
分ガ相當アルト考ヘルノデアリマス、此ノ
場合ニ於キマシテ特ニサウ云フ整理ト云フ
コトニ付テ考ヘテ居リマスルノハ、サウ云フ場
所ヲ主トシテ考ヘテ居リマスガ、場所トシテ
ハサウ云フ所ニナルノデアリマスルガ、整理ノ
目的ノ此ノ際ニ於ケル大ナル目的ハ、食糧
生產ノ方面ニ轉換ヲスルト云フコトノ必要
上カラノガ多イノデアリマス、ソレ等ノ見地カ
ラ致シマシテ、又先程私ガ要點ノ說明ニ申上
ゲマシタヤウニ、農業全般ノ見地カラ致シ
マシテ、桑園ノ配置ノ適正化ヲ圖ル、少シ
言葉ガ過ギテ居ルカモ知レマセヌガ、處ニ
依リマシテハ農村デアリマシテ日々食用ニ
致シマス······食ベマス蔬菜ノ漬物ノヤウナ
モノ迄モ、寧ロ大都會カラ買ッテ居ルト云ツ
タヤウナ地方ガアルノデアリマス、サウ云
フヤウナ所ハ無論桑園ノ間ニ間作スルト云ッ
タヤウナコトモゴザイマスガ、可ナリ食糧
生產ニハ轉換ヲ致シテ行ッテ宜イモノモア
ルドウシテモ養蠶ト云フコトハ農家ノ仕
事デアリマシテ、其ノ農家ガ只今ノヤウナ
時ニ食糧ヲ外カラ買ッテ居ルト云フヤウナ
コトハ、出來ルダケ自給ヲ勸メナケレバイ
カヌト斯ウ考ヘマスノデ、ソレ等ノ點カラ考
ヘマシテ、此ノ度ノ桑園ノ整理轉換ト云フ
コトヲ主トシテ考ヘテ居ル次第デアリマス、
尙繭ノ生產ニ聯關致シマシテ詳細ナコトハ、
政府委員蠶絲局長カラ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=5
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006・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 桑園ノ整理ノ趣
旨ニ付キマシテハ大臣カラ申サレノデアリ
マスルガ、整理ヲ致シマシテモ繭ノ生產ニハ
格別變化ガナカラウト云ッタヤウナ事柄ニ
付キマシテハ、大體爾餘ノ面積ニ於キマシ
テ非常ニ桑ノ使ヒ方ヲ、マア儉約シテ使フト
申シマスカ、ソレカラ養蠶ノ飼育等ニ付キ
マシテハ、非常ニ注意ヲシテ飼ッテ參ルト
云フヤウナコトニ致シマシテ、此ノ飼育、
ソレカラ桑園ノ肥培管理等ニ十分力ヲ入レ
マシテ致シマスルナラバ、多少桑園ノ面積
ガ減リマシテモ、繭ノ生產量ニハ格別減少ヲ
來スト云フヤウナコトナシデ行ケルダラウ
ト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、無論
一時的ニハ多少減ルト云フヤウナコトガア
リマシテモ、面積ノ縮小ニ因リマシテ繭ノ
生產額ニ減少ヲ來スト云フコトナシニ行ケ
ルト、斯樣ニ見テ居ルノデアリマシテ、且
又此ノ繭ノ生產額ノ減リマセヌコトニ付キ
マシテ、見方ガアルノデアリマス、寧ロ此
ノ際價格等ノ關係カラ減ジタ方ガ宜イト云
フヤウナ見方モアルノデアリマスガ、今日
纖維ガ非常ニ不足致シテ居リマスルノデ、
此ノ際ハ、色々ト實用向ノ方面ニ此ノ纖維
ヲ向ケルト云フコトヲ考ヘテ參リマスルナ
ラバ、纖維自體トシテハ減シタクナイト、
斯ウ云フヤウナ私共トシテハ考ヲ持ッテ居
ルノデアリマス、斯ウ云フヤウナ關係カラ
致シマシテ、蠶絲ノ政策ト致シマシテハ、
所謂桑園ト食糧トノ關係カラ見テ、面積ヲ
縮小致シ、爾餘ノ面積ニ於テ極力纖維ノ生
產量ニ於テハ現狀ヲ維持シテ行キタイト、
斯樣ヲ考ヘ方デ居ルコトヲ御諒承ヲ願ヒタ
イト思フノデアリマス、ソレカラ桑園許可
制度デゴザイマスガ、〓糧トノ關係カラ致
シマシテ、斯ウ云フ制度ガ出來マスト云フ
ト生產費ガ確保サレルト云フヤウナコト
カラ、或ハ桑園面積ガ漸次增大ヲスルヤウ
ナコトニナリハセヌカト云フ考モ出ルノデ
アリマス、ソレデハ食糧其ノ他等ノ增產ヲ
圖ラナケレバナラナイ此ノ時ニ於キマシテ、
ソレト矛盾スルヤウナ現象、傾向ガアリマ
シテモト存ジマシテ、先ヅ現狀維持ト云フ
考ノ下ニ、新設或ハ擴張ト言ッタヤウナ場
合ニハ之ヲ許可ヲ受ケサセルト云フヤウナ
制度ヲ採ッテ見タイト、斯ウ云フ考ヘ方デ、
桑園ノ今後ノ政策ト申シマスルカ、ト云フ
コトニ付キマシテ、以上申上ゲタヤウナ考
ヘ方デ進ミタイ、斯ウ云フ心組デ居ルノデ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=6
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007・野村徳七
○野村德七君 大體承リマシタノデスガ、
必ズシモ此ノ桑園整理ガ生產ノ調節ト云フ
コトカラ出發シタノデナクシテ、一擧兩得ノ
ヤウナ場合モアル、又食糧政策ノ上カラモ考
ヘラレテ居ルト云フ御話、御尤モダラウト
思ヒマス、一體只今、蠶絲委員會デ決メラレ
タノデスカ千三百五十圓ノ價格維持ト云フ
コトニ依リマスル生產「コスト」カラ割出シマ
シテ、結局農家ノ繭生產ニ對シマスル收入ト
云フモノガ、國民ノ主要食糧デアル米作、
所謂農家ノ二大生產品デアル此ノ米價ト云
フモノト、現在ノ米價ト云フモノト對比致
シマシテ、千三百五十圓ト云フモノヲ基準
トシテ今後割出サレテ行キ、千三百五十圓ヲ
必ズシモ將來ノ値段トハ申シマセヌガ、先
ヅ近キ將來ニ於テ維持サレテ行クベキ千三
百五十圓ヲ標準トシタ農家ノ收入、收入ト
云フヨリモ利得、ソレカラ米作ニ依ル利得
ト云フモノトハ、是ハ全國均一ト云フコト
ハ申シニクイノデアリマスケレドモ、ドチ
ラヲ採ッタ方ガ大體農家トシテハ利益デア
ルカト云フコトニ付テ、政府ハドウ見テ居
ルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=7
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008・吉田清二
○政府委員(言田〓二君) 千三百五十圓ノ
生絲ノ價格維持ノ此ノ政策ト申シマスルカ、
ト云フコトハ是ハ繭値ヲ維持シテヤルト
斯ウ云フヤウナ考ヘ方カラ來テ居ルノデハ
ナイノデアリマシテ、主トシテ外貨ノ獲得、
生絲ヲ輸出致シマシテ外貨ノ獲得ヲ致シマ
スル見地カラ、此ノ程度ノ値頃以下ニ下ゲ
ル必要ハナカラウ、要スルニ海外ヘ、此ノ
程度ヲ底値トシテ出シマスルナラバ、海外
ニ於テモ左程之ヲ購入致スニ困難デナイ、
サウシテマア外貨ノ獲得上向フデ買得ルナ
ラバ、高ク賣リマシテ、多クノ外貨ヲ獲得
シタイ、斯ウ云ッタヤウナ主トシテ海外ヘ
賣込ム上カラ考ヘマシテ、適當ノ値頃ト考
ヘマシテ、千三百五十圓ト云フ値段以下ニ
ハ下ゲマイ、斯ウ云フヤウナコトニ致シテ
居ルノデアリマス、ソレハ値頃カラ申シマ
スト······モウ一ツハ價格ノ安定ト云フコト
ガ極メテ海外ノ需要者ニ、値頃ノ高イ低イ
ト云フコトモアリマスガ、値段ヲ安定サセ
ルト云フコトガ、極メテ必要ナノデゴザイ
やっ、昨年來相當高クナリマシテカラ、反
動的ニ下リ始メマシテ、ソレガ漸次下ッテ參
リマシテ、此ノ儘放置致シテ置キマスト云
フト、餘程下ッテ來ルヤウナ形ニナリマシ
ク、海外ノ消費者モ非常ニ不安ナ狀態ニナ
リマシタ、マア買ッテ宜シイノカ、マダ下ル
ノカト云ッタヤウナコトニ對シテ、非常ナ
不安ガゴザイマシタ、此ノ不安ト云フモノ
ヲ適當ナ所デ止メテ、先キノ値下リナシト
斯ウ云フ安心ヲ與ヘテ、サウシテ十分必要
ナ物ヲ買ッテ貰フ、斯ウ云フヤウナコトニス
ルノニハ、値段ヲ何處迄下ルカ分ラヌト云ッ
タヤウナ情勢ニ對シマシテ、之ヲ安固ナ形
ニスル必要ガアルデアラウ、斯ウ云フ考ヘ
方モアリマシテ、サウシテ然ラバドノ邊ノ
値頃ガ宜カラウカ、斯ウ云ッタ考ヘ方カラ
シテ千三百五十圓以下ニハ下ゲナイ方ガ宜
カラウ、是ハ大體「アメリカ」ノ相場ト致シ
マシテハ一「ポンド」二「ドル」四、五十「セ
ント」程度ノモノデゴザイマシテ、靴下製造
ノ方面カラ申シマシテモ、左程購入致スノ
ニ困難ナ値頃デモナカラウ、斯樣ナコトヲ
考ヘマシテ、千三百五十圓ヲ底値ニシテ落
著カセル、斯ウ云フ考ヘ方デ、所謂絲價維
持ヲ致シテ居ル次第デゴザイマス、從ヒマ
シテ是カラ逆ニ計算致シマス繭値ト申シマ
スト、大體今日、六十五掛乃至七十掛近ク
ノ値頃ニナルト思フノデゴザイマス、是力
ラ養蠶ノ方ノ收入ヲ考ヘテ見マスト云フト、
是ハ米ノ方ト比較致シマスト、簡單ニ比較
スル譯ニモナカ〓〓難カシイモノナノデゴ
ザイマシテ、米トドッチガ割ガ宜イデア
ラウカ、惡イデアラウカト云フコトハ、簡單
ニ私トシテモ言ヒ切レナイ點ガアルノデア
リマス、今後ハ十分色々ナ觀點カラ米作ノ
ヤウナモノト、今千三百五十圓カラ割出シ
マシタ繭値ヲ維持スルモノトシテ、養蠶家
ノ收入トドッチガ割ガ宜シイカト云フコト
ハ、モウ少シ〓究致シテ、色々ナ方面カラ
〓究シテ見ナイト、此ノ比較ノ問題ハ私共
ト致シマシテモ、直チニドッチガ有利デアル
ト云フコトハ、申上ゲ難イト思フノデアリ
マス、唯感ジノ問題ト致シマシテハ、今程
申シマシタ絲價維持ハ上ノ方カラ······上ノ
方ト申シマスカ、生絲ノ外國ヘ出シマス見
地カラ致シテ居リマス關係上、是カラ割出
シマシタ繭値ガ今後ズット維持サレルト云
フコトニナリマスト、感ジト致シマシテハ、
マア比較的養蠶家ノ方ガ有利ヂヤナカラウ
カ、斯ウ云フ感ジハ持ッテ居リマス、併シ是ハ
ハッキリトドウ云フ根據デ有利ナンダト云フ
ヤウナコトヲ、マダハッキリト說明申上ゲル
程ノ確タル材料ヲ持ッテ居リマセヌガ、唯感ジ
ダケハ、サウ云フ感ジヲ持ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=8
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009・野村徳七
○野村德七君 大體了承シマシタ、衆議院
ノ速記錄カラ拜見致シマシテモ、何デモ一
「ポンド」デ專門家ガ居ラレマスケレドモ、
私ハ一向生絲ノコトハ分ラナイノデアリマ
スガ、大體アレデ拜見シタ所ニ依リマスト、
只今御說明ノアッタ通リ一「ポンド」カラ一
「ダース」乃至薄物デアルナラバ二十足位ノ
靴下ガ取レルカラ、約一足二十「セント」位
ガ生絲ノ原價デアルト云フヤウナコトヲ言
フテ居ラレルヤウナ委員ガアリマシタガ、
「セント」ナンデモ生絲ガ高クナル、詰リ
原料ガ高クナッテ、結局日本ノ百二十圓位ニ
爲替相場ニ換算スルト、詰リ靴下一足代一
「セント」高ク上ッタ所デ、日本ノ生絲價格
ガ百二十圓程上ル、ソレデスカラ千三百五
十圓ノ生絲ハ靴下一「セント」「アメリカ」デ
上レバ千四百七十圓デモ宜イノダ、先刻農
林大臣ノ御說明ノ中ニモ今迄生絲價格ト云
フモノハ販賣販路ノ重點ヲ外國ニ持ッテ居ッ
タケレドモ、是カラハサウ云フコトハイケ
ナイカラ、此ノ御說明モ所謂三本建ト言ヒ
マスカ、海外向、國內向、ソレカラ外ノ纖
維トノ······合成纖維ノ方ト、所謂新需要ト
云フ生絲科學〓究所デ目下盛ニ〓究シテ居
ラレルト云フ御說明ノアル「セリシン」定著
法デスカ、私一向存ジマセヌデスケレドモ、
サウ云フモノニ依ッテ所謂三本建ニ依ッテ行
カウ、ソレデスカラ、私ハ生絲ノ海外ニ賣
ル値段ハ果シテアノ「パラシュート」ト云フ
モノハ全面的ニ日本ノ生絲ニ依ラナケレバ
ドウシテモイカヌモノデアルト云フコトデ
アルナラバ、是ハ何モ生絲ハ「アメリカ」ヲ
必ズシモ對象トスベキモノデナイ、將來空
軍ノ發達充實ニ依ッテ、日本ノ生絲ト云フモ
ノハ軍用方面ニ恐ラク無限ノ需要ヲ持ッテ
居ルモノカノヤウニ思ヒマス、トスレバ必
ズシモ日本ノ米作ト云フモノノ農家ノ利得
ト睨ミ合ッテ行クベキモノデモナイト思ヒ
てい、自然內地ノ需給ヲ纖維ノ供給ヲ確保
シテ、サウシテ殘リノモノヲ「コントロー
ル」シテ操作シテ、欲スル價デ賣ッテヤッテ
宜イト云フヤウナ位ノ態度デデモ海外ノ價
格ハ上ッテ行クモノデアラウト思ヒマス、併
シ又自然ソレカラ起ッテ來ル輸出ノ方法ト
カ、販賣トカ云フヤウナコトハ別ノ問題デ
私ハ商工省ニ少シ伺ヒタイコトガアルト思
ヒマス、併シ現狀ニ於テハ兎ニ角千三百五
十圓ノ絲價ハ、是ガズット適正價格ニ依リ、
原價計算ニ依リ繭ノ價ト云フモノガ割出サ
レテ來タ場合ニハ、先ヅ大體農家ニハ米ヲ
作ルヨリモ有利デアルト、マア大體言フテ
差支ナイ、斯ウ云フ見地デ居ラレルト云フ
ヤウニ拜聽致シマシタ、サウ致シマスト、
玆ニ桑園整理トカ、又從ツテ釜數ノ整理トカ、
勢ヒ之ニ亦相當ナ執著ヲ持ッテ居ル所謂仲
買人ト申シマスカ、所謂繭ノ集散ヲヤッテ
居ル仲介者ハ相當ノ數量ノヤウニ是ハ拜見
致シマス、斯ウ云フヤウナモノニ對スル失
業對策ナド相當問題ニナリハセヌカト思フ
ノデアリマス、相當之ニ對シテ御考慮モア
リ、御用意モアルト思フノデスガ、一應拜
聽シテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=9
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010・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 統制ヲシテ參リ
マシテ會社デ以テ種繭、ソレニ生絲ト云フ
モノヲ一手買取、一手販賣スルト云フ原則
的ニサウ云フ考ヘ方ニ致シマスト、繭ノ部
門ニ於キマシテモ、生絲ノ部門ニ於キマシ
テモ、之ヲ取扱ッテ居リマシタ中間商人ト云
フモノニハ相當影響ガアルダラウト云フコ
ハト御說ノ通リト考ヘルノデアリマス、併
シ是ハ政府ト致シマシテハ、極力失業ト云ッ
タコトヲサセタクナイ、値段ヲ安クシテ、
無駄排除ト云フヤウナ考ヘ方モ勿論アリマ
スルガ、ソレガ主タル考ヘ方デ······所謂中
間業者等ノ無駄ヲ取リ除イテモ出來ルダケ
モノヲ安ク作ラウト云フ考ヘ方カラ主トシ
テヤッテ居ルコトデハナイノデアリマシテ、
一朝事ガ有ッタ際ニ、蠶絲業ノ全般ノ業者ガ
狼狽シテ蠶絲業ヲ擧ゲテ轉落スルヤウナ心
配ノ全クナイヤウニ、業界ヲ安固ニスルト
云フヤウナコトニ無論考ヘ方ノ中心ガ今ノ
統制ト申シマスルカノ考ヘ方ニアルノデア
リマス、從ヒマシテ從來トモ〓絲業ノ一部
ニ携ハッテ、マア一役買ッテ之ニ從事致シテ
居リマシタ各業者ニ付キマシテハ無論非常
ニ多クノ利益ヲ占メサセルト云フコトハ無
論イケナイコトデアリマスルケレドモ、マ
ア兎ニ角何等カノ職場ヲ持タシテ、サウシテ
飯ヲ食ベテ行ケルト云フ職場ヲ出來得ル限
リ安定ヲ致サセマシテモ保護シテ行キタイ、
サウシテ此ノ制度ノ結果トシテ餘リ失業者
トカ、轉職業者トカ云フモノヲ出シタクナ
イ、斯ウ云フ考方デ、少シ慾張ッタ考ヘ方カ
モ存ジマセヌガ、考ヘ方トシテハサウ云フ
風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、ソコデ繭ノ
商ヲ致シテ居リマスル業者ハ全國ニ五萬バ
カリザットアルノデアリマスルガ、マア斯ウ
云フ人達ニハ或ハ玉繭デアリマスルトカ、
二等繭、三等繭トカ、上繭ノ生絲デアリマ
ストカ、斯ウ云ッタヤウナ繭ノ集荷、或ハ配
給ニ從事スルト云フ途ヲ拓キマシテ、職場
ヲ守ラセルト云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリ
マス、ソレカラ生絲ノ商人ニ付キマシテハ、
是ハ會社ガ一手ニ製絲カラ買取リマシタモ
ノヲ販賣致シマスル場合ニ、結局織物業者
ニ配給致シマスル場合ニ、此ノ生絲ノ商人
ヲ通シテ配給スルト云フコトニ依リマシテ、
其ノ間ニ於テ手數料、マア適正ナ手數料程
度ノモノヲ收得スルコトガ出來ルヤウナ途
ヲ拓クト云フ風ニ致シテ參リタイ、斯樣ニ
ソレ〓〓其ノ業者每ニ適當ナ職場ヲ殘スト
申シマスカ、活用スルト申シマスルカ、途
ヲ拓キマシテ、轉失業者ヲ極力少クシテ行
キタイ、多少窮屈ニハナリマスガ、從來ノ
ヤウニボロイ儲ケトカ云ッタヤウナコトハナ
クナルノデアリマスルガ、適正ナル手數料
程度ノモノハ收得出來ルト云フ風ニ成ルベ
ク進ンデ參リタイ、斯ウ云フ心持デ參ッテ居
ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=10
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011・野村徳七
○野村德七君 是ハナカ〓〓ムヅカシイ問
題ト思ヒマスノデ、相當御考慮ノアルコト
ト存ジマスガ、ソレニ付キマシテ此ノ生絲
ノ生產ノ調節ト云フコトハ、私ハ是ハ紡績
會社ノ少數ノ例カラ考ヘマシテ、甚ダ淺薄
ナ考ヘ方カモ知レマセヌケレドモ、大體釜
數デ整理、調節ガ出來ルモノデハアルマイ
カ、處ガ此ノ速記錄ヲ拜見シマスルト、釜
數デハ能率ガ四百位ノモ五百或ハ七百ノモ
アルト云フコトデアリマスガ、是ハ釜數ノ
上ゲル能率ニモ依リマセウケレドモ、大體
之ヲ相當優秀ナ、或一般的ニ可能ナ優秀ナ
程度迄、技術的ト申シマスルカ、技術的ニ
指導サレレバ釜數ノ整理ニ依レバ大體絲ト
云フモノノ生產ノ增產ガ出來ルヤウニ思ハ
レルノデスガ、ソレハドウ御考ニナッテ居リ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=11
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012・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 御說ノ通リデア
リマシテ、釜數デ無論大體調節ガ出來ルノ
デアリマスガ、唯非常ニ細カク、釜數ヲ五
分減ラシタカラ生絲ノ生產量ガ必ズ五分減
ルト云フコトハ、是ハ他ノ機械工業ノヤウ
ナ風ニハナカ〓〓行カヌノデアリマスガ、
相當釜數ヲ減ラシマスレバ無論製造量ガ減
ルノデアリマス、或ハ現狀ニ於キマシテハ、
製絲業ニ於キマシテハ相當休ミ等モアリマ
スノデ、現在ノ儘ニ於キマシテハ、釜數ダ
ケヲ一割減ラシマシテモ、矢張リ休ヲ少シ
少ク致シマストカ、或ハ質ガ落チテモ少シ
速力ヲ早ク廻シテ早ク生絲ヲ造ルトカ云ッタ
ヤウナコトヲ致シマスルト製造數量ニハ必
ズ釜數ヲ減ラシタカラト言ッテ、其ノ割合ガ
直チニ現ハレルモノデハナイ、所謂ソコニ
何ト申シマスカ、融通性ノモノガアルノデ
ハナイカト思ヒマス、他ノ機械ノヤウニ機械
力ヲ「フル」ニ動カシテ一日ニ何時間廻セバ
幾ラ出來ルト云ッタヤウナ機械設備ト、ソレ
カラ製造能力ガピッタリ合ッテ行クヤウニ、
精密ニハ合致シテ行クモノデハナイノデア
リマスガ、大體論ト致シマシテハ製造ノ量
ガ減ルト云フコトハ、釜數ガ減ルコトニ依ッ
テサウナルノデハナイカト云フコトハ大體
其ノ通リデアルト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=12
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013・野村徳七
○野村德七君 ソレカラ市場ノ問題デアリ
マスガ、此ノ法律ガ出マシテ實施サレマス
ヤウニナリマシテカラ後モ、橫濱、神戶ノ
兩市場ハ、現在ノ儘、アヽ云ウ機構ノ儘デ
置イテ行カレル御積リデアリマスルカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=13
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014・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 此ノ統制ノ結果、
會社ニ於テ生絲ノ一手買取、一手販賣ヲ原
則トシテヤルト云フ方針ヲ執ッテ居ルノデ
アリマスガ、海外ヘ出シマスル生絲ノ販賣
部面ニ於キマシテ、會社ノ一手買取、手
販賣ト云フヤリ方ハ、少クトモ色々ト考へ
テ見マスルト逆ナ結果ヲ來シハシナイカ、
要スルニ外貨獲得、輸出振興ト云フ見地カ
ラ見マシテ、適當デナイ結果ヲ來スノデハ
ナイカト云フコトノ懸念ヲ持ッテ居ルノデ
アリマス、業者ヲ安固ナ立場ニ置キ、極メ
テ樂ナ立場ニ置クト云フ一點張リカラ見マ
スレバ、ソレハ會社デ必ズ決マッタダケノモ
ノヲ買取ッテシマウト云フ風ニ致シマスレバ
宜イト云フ風ニモ見エルノデアリマスガ、
之ヲ海外ヘ賣ルト云フコトカラ考ヘテ見マ
スルト、ドウモ一手買取、一手販賣ト云フ
コトニ依ッテ海外へ賣出シマスレバ、外貨ノ
獲得、輸出ノ振興ト云フ上カラ見マシテ適當
デナイノデハナイカ、要スルニウマクハ行カ
ヌ、私共ハ斯樣ナ見方ヲ致シテ居リマシテ、輸
出ノ方面デ、海外ヘ出マスル生絲ノ販賣部
面ニ付キマシテハ、現在通リノ取引方法ニ
依ルノガ宜カラウ、但値段ノ暴騰、暴落ト
云フコトハ、是ハ何トシテモ已ムヲ得ナイ
コトデアリマスカラ、之ニ對シテハ出來得
ル限リ安定ヲセシメマシテ、値幅ヲ決メマ
シテ、一定値以上ニ之ガ上ルコトヲ抑制シ、
又一定値以下ニ下ルヤウナ場合ニハ今致シ
テ居ルト云フヤウナ方法ニ依リマシテ、値
下ヲ防止スルヤウニシテ、ソレデ上下ノ値
幅ヲ縮メルト云フ風ニ致シマシテ、其ノ間
デ相場ヲ調節シテ行クト云フ方法ハ是ハ立
チマスルガ、此ノ取引ノ方法ト致シマシテ
ハ、現在ノ販賣方法ニ依ルノガ一番宜シイ、
斯樣ニ考ヘマスノデアリマシテ、從ヒマシ
テ橫濱、神戶ノ市場ハ、現物ニ致シマシテ
モ〓算ニ致シマシテモ、私共ノ考ヘテ居ル
所デ申シマスレバ、存シ得ルコトニナルモ
ノト見テ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=14
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015・野村徳七
○野村德七君 サウ致シマスト、統制會社
デハ日本ノ生絲ヲ一手デ販賣サレルノデア
リマスルガ、併シナガラ販賣サレテ行ク
價格ト云フモノハ、兩市場ノ日々ニ示ス價
格ニ準據サレルト云フコトニナリマスト、
一定サレテ居ルヤウデアリマスケレドモ
定サレテ居ラナイ、併シ上、下ノ値幅ハ
發表シタヤウニ決メテ居ルカラシテ、上値、
下値ハ是以上ノ高下ハナイカラ、其ノ邊ハ
自由市場デ一應アッテモ差支ナイ、併シ統制
會社ハ一手販賣會社デアルノデアリマスカ
ラ、矢張リ兩市場ヲ睨ミ合ッテ、每日販賣價
格ヲ變ヘテ行クト云フヤウナコトニナリ得
ルヤウニ見エルノデアリマス、兩市場、殊
ニ〓算市場ガ日々動搖シテ居ルト、此ノ値
幅ハ上、下ノ差ガ大キナ幅デアリマス爲ニ、
可ナリ其ノ間ニ高下ノ餘地ヲ存シテ居ル譯
デアリマス、所謂全價格カラ言ヘバ二割何
ボト云フヤウナ變動ヲ許シテ居ル譯デアリ
マスカラ、可ナリソコニムツカシイ問題ガ
出來ハシナイカ、マアソレハ專賣デナイ所
以デアリマスケレドモ、是ヘ一手デ賣ラセ
ルト云フ意味デアリマシテ、專賣ト云フ意
味トハ違フト思フノデアリマスケレドモ、
果シテソレデ宜イモノデアリマセウカ、其
ノ市場ノ操作迄勢ヒ統制會社ガ乘出サナイ
ト云フト、仕事ガ非常ニ困難ニナルト云フ
ヤウナ實情ヲ來スノデハアルマイカト云フ
考ヲ持ツノデアリマス、如何デセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=15
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016・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 此ノ統制會社
ガ、生絲ヲ原則トシテ一手デ買取ル、サウ
シテ其ノ生絲ヲ一手デ販賣致スト申シタノ
デアリマスルガ、此ノ輸出向ノ生絲ニ付キ
マシテハ、會社デハ買ッテ賣ルノデハナイノ
デアリマス、會社デ一手デ買取リ一手販賣
ヲスルノハ、卽チ國內ニ向ケテ販賣スル物
ハ一手デ買取リ、一手販賣ニ致シタイト云
フ考へ方ヲ持ッテ居ルノデアリマスルガ、海
外ニ出シマスル物ハ、會社ニ一手買取ヲ致
シマシテ外國へ賣ルト云フ風ニシナイデ、
現在操業致シテ居リマスル製絲家ガ、自己
ノ計算ニ於テ市場ヘ、現在ノ賣買ノ方式ニ
依リマシテ販賣スル、從ヒマシテ、生絲ノ
販賣部面ニ於キマシテ、輸出向ノ生絲ノ取引
ニ付キマシテハ、會社ノ手ヲ經由シナイ斯
ウ云フコトニ致シタノデアリマス、從ヒマ
シテ一定値ト言ッテモ、其ノ一定値ヲ每日會
社ガ變ヘルノカト云フ御話デアリマシタガ、
此ノ輸出ノ問題ニ付キマシテハ、今申シマ
スヤウナ關係デアリマスカラ、是ハ現狀ノ
形デ相場ガ出來ルノデアリマス、ソレカラ
內地ノ方ニ向ケル生絲ニ付キマシテハ、會
社ガ一定ノ買入値段ヲ決メマシテ、製絲家
カラ買取リマシテ、ソレカラ賣値ヲ決メマ
シテ、其ノ値デ會社ガ賣ッテ行クト云フ風ニ
ナリマスト、國內ノ方ノ絲ノ部面ニ於キマ
シテハ値段ガ一定スル、斯ウ云フコトニナ
ラウト思フノデアリマス、ソレカラ少シ諄イ
ヤウデアリマスガ、輸出ノ方ヲ何ガ故ニ會
社ガ一手買取、一手販賣ヲシナイカ、先程
色々逆ナ結果ニナリハシナイカト云フ懸念
ガアルト申シマシタガ、私共ノ考ヘテ居ル
理由ト致シマシテハ、會社ハ、今日大體七
十萬程度ノ生絲ヲ內外ヲ通ジテ消費サレテ
居ルノデアリマスカラ、之ヲ全部一ツノ會
社ガ買占メマシテモ、是ハ餘程今日ニ於ケ
ル他ノ物資ノ狀況ト違ッテ居ルト思フノデ
アリマス、ト申シマスノハアノ物資ハ、例
ハ適當デナイカモ知レマセヌガ、米ニ致シ
マシテモ炭ニ致シマシテモ、非常ニ需要ガ
多イ、供給量ガ足ラヌコトガ問題デアリマ
シテ、從ヒマシテ斯樣ナモノデアリマス
ルナラバ賣人側ノ欲スル値デ、高クシヨウ
ト思ヘバ高クナルト私ハ思フノデアリマ
ス、殊ニ高クスル場合ニ於キマシテ、高ク
賣ル場合ニ於キマシテ、賣人側ガ決定シ得
ルノデアリマス、處ガ生絲ノ場合ハ、動
トモ致シマスルト供給潤澤過ギルト云フコ
トデ寧ロ惱ンデ居ルト申シテ差支ナイト思
ヒマス、斯樣ノモノヲ會社ガ一手ニ買取リ
マシテ、之ヲ獨リデ販賣致シマス場合、國
內ノ方ハ、或ハ低物價等ノ關係カラ安ク提
供スル必要ガアルデアリマセウカラ、安
クスルト云フコトモ宜シイカト思フノデア
リマスガ、海外ニ出シマスル場合、無論
無闇ニ高ク賣付ケルト云フ考ハ宜シクアリ
マセヌガ、外貨獲得ノ見地カラ、出來得ル
ナラバ、相手ガ買ッテ差支ナイト思ハレル
限リ、マア高イ方ガ宜シイト考ヘマス、ソ
コデサウ云フ考ヘ方デ向フヘ賣リマス場合
ニ、賣人側デ總テ一手ニ持ッテ居リマシテ、
潤澤ト思ハレル程物ヲ抱ヘテ居ル狀態ニ於
テ、高イ値デ果シテ突ッ張ッテ維持シテ行ケ
ルカト云フ點ガ、第一私ノ一ツノ懸念デア
リマス、ツイサウ云フコトニナリマス、向
フノ方ノ買人カラハ足許ヲ見ラレルト云ヒ
マスカ、ト云フヤウナ所カラ、コッチノ言ヒ
値デハ買ハナイ、少シ負ケテ貰ハナケレバ
ナラヌト云フ場合ニナリマスト、今度ハ五
十圓、七十圓ト下ゲテ賣ル、ソコデ下ゲ足
ガ付キマスト又押サレル、斯ウ云フコトニ
ナッテ値段ハヂリ貧ニ下ガラザルヲ得ナイ
ト云フコトニナッテ、斯ウ云フコトニ若シナ
ルト致シマスルト、外貨ノ獲得カラ申シマ
シテ非常ニ不利デアリマス、ソレデハ安定
ドコロデナク、極メテ惡性ノ不安定ト云フ
コトニナリマシテ、會社ガイツ何時値ヲ五
十圓、七十圓下ゲヌトモ限ラヌ、日々ノ相
場デ上リ下リニナッテ居ルナラバ商賣人モ
納得致シマスガ、會社個人ガ今月百圓下ゲ、
來月五十圓下ゲルト云フコトニ致シマシタ
ノデハ、是ハ非常ニ滯貨ノ消費カラ申シマ
スト困ッタ不安定ニナッテ來ハシナイカ、斯
ウ云ッタコトガナケレバ無論結構デアリマ
スガ、今ノ生絲ノヤウナモノニ付キマシテ、
一面ニ於キマシテ外貨獲得ヲ十分シナケレ
バナラヌ大事ナ生絲貿易ノ賣込ノ場合、
手買取一手販賣ト致シマスト、サウ云フヤ
ウナ逆ナ惡イ結果ニ終リハシナイカト云フ
コトヲ非常ニ恐レルノデアリマシテ、ソコ
デ先程申シマシタヤウニ、値幅ヲ抑制致シ
マシテ、暴騰暴落ヲ防止スル方法ヲ講ジマ
スルト共ニ、自然ノ形ニ於テ出來ル相場デ
取引ガ行ハレ、物ガ流レル、斯ウ云フヤリ
方ガ宜シイト、斯樣ニ信ジテ居リマスルノ
デ、輸出生絲ニ付キマシテハ今申シマシタ
ヤウナ販賣方法ニ致シテ行カウト斯樣ニ
私共ハ考ヘテ居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=16
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017・野村徳七
○野村德七君 モウ少シ其ノ點ガ私了解シ
マセヌノデ、考ヘサセテ戴キ、又伺ヒタイ
ト思ヒマスガ、大體私ハ生絲ニ對スル、所
謂國家ガ乘出シテ操作ヲシタト云フコトガ、
今迄成功ノ方ガ非常ニ多カッタト思フ、何デ
モ第一囘ニヤラレタノハ桂內閣時代カト思
ヒマスガ、是ハ生絲業者ノ申請ニ依ッテ、生
絲市場救濟ノ爲ニ政府ガ資金ヲ與ヘテ生絲
ヲ買取リマシテ、結局其ノ後矢張リ囘復シ
マシテ、高値デ處分致シマシテ成功シマシ
ク、其ノ後モ數囘成功シテ居ルト思ヒマス、
政府ハ餘リ生絲ノ操作ニハ過去ノ歷史ガ安
値デ買ッテ高値デズット捌ケテ居ルト云フコ
トデ、可ナリソコニ樂觀的意見ヲ御持ニナ
テ居ッテ、少シサウ云フコトニ對スル用意
ガ、マダ足ラヌノデハナイカト云フ考ガ起ッ
タリスルノデアリマス、ト云フノハ、コン
ナ風ニ國內需要ヲ凡ソドウト云フ風ニ決メ
ラレマスナラバ、國外ニ出ル所ノ數量ハ大
方分ルノデアリマス、サウシテ「ナイロン」ガ
ドノ程度ニ發達シマスカト云フコトハ、情
報デ是モ大〓分ッテ居リマス、「ナイロン」ノ
靴下ト云フモノハ、相當生絲ノ代用トシテ
賣レテ行ク、製造サレテ需要サレテ行ク數
量モ統計デ分ッテ居リマス、ソレデ生絲ハ靴
下ノミナラズ、外ノ方ニモ販路ガ擴ガッテ居
ル、ダカラ大體海外ノ需要ト云フモノハ、
靴下ノ原料代ヲ一錢上ゲタ所デ、日本ノ生
絲ハ千二百圓ト云フコトニナル、デスカラ
ソコニ千三百五十圓ト千七百圓位ノ間ノコ
トハ、靴下一足デ二錢五厘ノ相違デアリマ
ス、靴下一足デ二錢五厘ノ「スペキュレー
ト」スル餘地ハ、「アメリカ」ノ「マーケット」
ニハ何時デモアルト思フ、ソコニ相當ノ牽
制ヲ持ツノデハナイカ、現物、〓算ノ兩市
場ヲ通ジテ現在ノ儘デアリマスト、相當餘
リ遠カラヌ過去ニ於テモ、政府ガ捌イタ後
ニ相當投機ヲヤッテ、生絲ノ値ガ可ナリ大
キク動イタ例ガ、過去ニ於テ見出サレルト
思ヒマス、相當是モムヅカシイ問題デハ
ナイカ、餘程〓算市場ト云フモノニ對スル
御考ガ相當考慮ヲ要スルモノデハナイカ、
ソレト是ハ商工省ニ御尋シタイノデスガ、
必ズ起ッテ來ル問題デスケレドモ、賣手ガ
一本ニナリマスト、之ヲ買ウテ輸出スルト
云フ商賣ハ、所謂統制「ビヂネス」ト云フコ
トニナリ、統制商賣ト云フコトニナル、統
制商賣ト云フコトニナリマスト、今迄持ッテ
居ルヤウナ販賣會社ニシマスト、宣傳機關、
或ハ新ラシイ需要ヲ販賣者自ラガ努力スル
ト云フコトハ第二ニナリマシテ、只生絲ガ
賣レレバ宜イト云フコトニナル、取扱ッテ手
數料ヲ取ルト云フコトニナル、宣傳トカ新
用途ノ〓究ト云フモノハ是ハ科學〓究所
又ハ國家ニ委セテ置ケバ宜イト云フコトニ
ナル、特別國家ノ爲ニ何カ考ヘテ居ル人ガ
アレバイザ知ラズ大體營利會社トシテハ當
然サウ云フ風ニナルベキモノダト思ヒマス、
ソコデ其ノ所謂輸出數量ノ獲得ト云フヤウ
ナ問題ガ起ツテ來ル、輸出數量ヲ餘計扱へ
バ「コンミッション」ガ餘計上ガルト云フコト
ニナル、生絲ガ必ズ此ノ値段デ統制サレテ
行クト、「アメリカ」ノ「マーケット」ニハ非常
ニ旺盛ナ需要ヲ持ッテ居ルト見タナラバ、一
俵デモ餘計扱ハネバ損ダ、デスカラ統制會
社ニ縋ッテ販賣取扱數量ヲ必ズ迫ッテ來ル、
キットサウ云フ問題ガ起ッテ來ルト思ヒマス
ガ、是ハ又商工省關係ノ、貿易ノ關係ノ方
ニ後程伺ッテ見タイト思ヒマスガ、私ハ一應
此ノ邊デ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=17
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018・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 今ノ野村サンノ
御話デゴザイマスガ、輸出向生絲ノ扱ハ、
會社ノ方デ一ツニ纒メテ、輸出業者ニ取扱
ヲ委託スルノデハナイノデアリマス、製絲
家ハ現在澤山アリマスガ、其ノ中デ指定致
シマシタ生絲ノ製造家ニ限リ而モ指定致
シマシタ數量ニ於テ、之ヲ製造家ガ直接橫
濱デ販賣スル、會社ガ一手ニ買取リマシテ、
會社ニ輸出ヲ委託スルト云フ取扱ニハナッテ
居ナイノデアリマス、從ヒマシテ今御話ノ
ヤウナコトハ、輸出生絲ニ付キマシテハ起
リ得ナイノデアリマス、サウ云フコトニス
ルノハ適當デナイ、斯樣ニ考ヘマシテ、輸
出ノ方ノ海外ニ出マス絲ニ付キマシテハ、
製造家タル製絲家ガ自ラ橫濱デ販賣致シ、
從ッテ會社ニ一手デ買取ッテ纒メマシテ、之
ヲ會社デ一手デ海外ニ出スト云フコトニ致
シマスルト、非常ニ取扱數量ヲ外國ニ多ク
シテ吳レト云フヤウナコトヲ賴ミニ來ル、
ト云フヤウナコトガ起ルノデアリマス、サ
ウ云フコトニハナラナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=18
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019・野村徳七
○野村德七君 サウシマスト、生產過程ニ
於テ、旣ニ是ハ輸出生絲デアル、是ハ國內
生絲デアルト云フコトヲ、生產過程ニ於テ
モウ決定サレテ居ルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=19
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020・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 今後ハ、指定致
シマシタ製絲家ニ對シマシテハ、輸出向ノ
生絲ノ製造ニ對シマシテ數量ヲ割當テルノ
デアリマス、サウ致シマシテ、是ハ海外ノ
取引ト云フモノハ百斤ヲ中心ニ致シテ居リ
マスカラ、現在ノヤウナ十六貫ノ形ニサシ
テ、橫濱デ販賣サセル、主トシテソレハ輸
出向ノ絲トシテ橫濱デ販賣サセルコトニ致
シマス、其ノ他ノ生絲ハ、是ハ形カラ言ヒ
マスト現在十貫ト云フ形ノ範圍ニナッテ居
リマス、寧ロ其ノ方ガ便利デアリマスノデ、
初メカラ國用ト云フ方面ニ向ケル生絲ト致
シマシテハ、サウ云フ表裝ヲサセテ取引ヲ
サセルト云フ風ニ、今後ハヤッテ行キタイ
ト思ヒマス、サウ云フ譯デアリマスカラ、
輸出向トシテ割當テラレタ生絲ニ付キマシ
テハ、形ガ違フト云フト、初メカラ海外ニ
向ケル積リデ、ドチラカト申シマスト比較
的優良ナ製造ニ充テルト云フコトデ、初メ
カラ區別ガ出來テ參ルモノト信ジテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=20
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021・瀧川儀作
○瀧川儀作君 政府ガ此ノ生絲政策ヲ樹立
サレルコトハ結構デアリマスガ、私ハ國策
會社ニ付キマシテ純然タル農業デアリ、養
蠶デアリ、又工業ノ範圍デアル製絲業、輸
出商ト云フモノヲ、一ツノ會社ニ一元スル
コトニ付テハ、其ノ運營上餘程困難デナイ
カト云フ疑問ヲ持ッテ居ルノデアリマスガ、
過日來衆議院ニ於ケル速記錄ヲ拜見シマス
ト、政府ト議員トノ間ニ詳細ナ問答ガアリ
マシテ、ハッキリト政府ノ御意圖ノアルコト
ガ分リマシタガ、私ハ政府ノ方針ニ付キマ
シテ疑問ノ點ヲ一ツ二ツ伺ッテ見タイト思
フノデアリマス、生絲ハ輸出ガ其ノ數量ニ
於テ約七割ヲ占メテ居リマシタノデアリマス
ガ、此ノ時局ヲ控ヘテ「アメリカ」ニノミ依
存スルコトハ困難デアルト云フコトハ御同
感デアリマスガ併シナガラ此ノ大キナ輸出業
者ノ事業ノ將來ニ付テ、餘程最善ノ注意ヲ
拂ハレテ居リマスコトハ誠ニ結構デ、輸出業
者モ、問屋モ、一部ノ製絲業者モ餘程安心
ヲシテ居ルヤウニ思ハレルノデアリマス、
此ノ間中ノ衆議院ニ於ケル速記錄ノ問答ニ
依リマスト、私ハ更ニ進ンデ內地ノ一本ノ
値段デ以テ此ノ新會社ガ賣買スルト云フコ
トハ專賣ニ近イヤリ方ニ屬スルト思フノデ
アリマスガ、專賣トナリマスト、當業者ノ
損ヲシナイ程度デ買上ゲナケレバナラナイ
コトニナリマスカラ、養蠶業ノ如キ多數ノ
農民ニ屬スルヤウナ何ニハ是ハ非常ニ結構
ダト思ヒマスガ、製絲業以上ニナリマスト、
損ノ行カナイ値段デ會社ガ買上ゲテ吳レル、
更ニ會社ガ困ッタ場合ニ國家ガ補償ノ地位
ニ立ツト云フコトニナリマスト、安心シテ
粗製濫造ニ流レルト云フ虞ガアルノデアリ
マス、多クハ申上ゲマセヌガ、新シイ事實ガ
「マッチ」業デアル、商工省ニ於テモ「マッチ」ト
云フモノヲ統制シマス爲ニ非常ニ組合ヲ强
化シ、更ニ販賣會社ヲ拵ヘテ、丁度此ノ生
絲ノ國策會社ノヤウナ。モノヲ拵ヘテヤリマ
シタ結果、非常ニ整理ニ困ッタノデアリマス
ガ、粗製濫造ニ流レテ火ノ出ナイヤウナ「マッ
チガ澤山出マシタコトハ今ノ皆サンモ御
承知ノ通リ、現今旣ニ「マッチ」ノ統制會社ガ
出來ル以前ト今トハ品質ノ差等ヲ生ジタ、
斯ウ云フヤウナモノハ全然將來ハ輸出ハ駄
目デアリマス、「マッチ」モ輸出ガ七割八割モ
占メテ居リマシタノデスガ、漸次統制强化
サレルニ從ッテ、外ノ原因モアリマスケレド
モ、輸出ハ全然不成功ニ終ッタ、國內品ニナツ
テシマッタ、會社ハ適當ナ値段デ販賣シテ居
ルノデスカラ損ハ行カナイ、品物ガ惡イ、
惡イト云フ犧牲ヲ國民ガ拂ッテ居ルダケデ
續イテハ居リマスカラ、生絲ノヤウナ大キ
ナ事業ハサウ云フコトニナッテハ大變ナコト
ニナルノデハナイカト思フノデ、委員會デ
十分審議ヲシタ結果、サウ云フ價格ヲ御定
ニナルノデアラウト思フノデアリマスガ、
輸出同樣ニ或範圍ヲ定メテ、或ハ需要ト供
給トノ見合ヒヲ付ケテ、相場ヲ決定促進サ
レルヤウナ風ニシテ行カレルノガ本當デハ
ナイカト思フノデアリマスガ、其ノ懸念ニ
付テ政府ノ御意見ヲ伺ッテ見テ置キタイノ
デ、是ハ根本問題ニナッテ來ルノデス、ソレ
カラ今一ツハ國策會社ハ必ズ之ヲ買上ゲル
ト云フコトニシナイデ、斯ウ云フ時局ヲ控
ヘタリ、或ハ震災ガアッタリシタ場合ニ〓騰
暴落ガアッタノデアリマスカラ、其ノ時ニ矢
張リ國家ガ救濟スル外ナイノデアリマスカ
ラ、或ハ國策會社ニ依ッテ金融ヲ付ケルトカ
何トカノ方法ニ依ッテ急ヲ救フト云フコトニ
ナサッタラドウカ知ラヌト云フノデ、是ハ意
見デアリマスガ、其ノ事ヲ考ヘテ居リマス
ノデ、輸出ニ付テ餘程細心ノ考慮ヲ拂ハレ
テ居リマスカラ非常ニ是ハ結構ダト思ヒマ
スガ、內地ノ方モ一本ノ價格デ以テ買入レ
ルト云フコトニスルト是ハキット品質ガ
低下シテ粗製濫造ニ流レルコトハ是ハ請合
ヒデアリマス、此ノ點ニ付テ御意見ヲ伺ッテ
置キタイノデスガ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=21
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022・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 一手ニ生絲ヲ豫
メ決定致シマシタ値段デ買入レルト云フコ
トニ致シマスルト、品質ノ低下ヲ來ス虞
ガアルト云フ御意見ニ對シマシテ、私ハ全
ク同樣ナ感ヲ持ッテ居リマス、先程輸出ノ絲
ヲ會社デ一手買取リヲシ、一手販賣ヲスル
コトヲヤラナイト云フ理由ト致シマシテ、
今ノ點ハ申シマセヌデシタケレドモ、同樣
ナ理由ガアリマスルノデ、輸出絲ニ付キマ
シテハ其ノ點ヲ非常ニ心配ヲ致シテ、ソレ
モ先程申上ゲマシタ一ツノ理由トシテ生絲
ニ付キマシテハ專賣、一手買取リト云フコ
トヲ避ケテ居ルノデアリマス、其ノ理窟ハ
內地ノ方デ處分サレル生絲ニ付テモ同樣デ
アリマシテ、一手デ豫メ決メタ値段デ必
ズ買フノダト云フコトニ決メマスルト、
其ノ檢査ノ結果、豫メ決ッタ品等ノモノサ
ヘ作レバ宜シイト云フヤウナ氣持ニナリマ
スル結果、檢査ニ掛リサヘスレバ必ズ決ツ
タ値デ販賣ガ出來ルト云フコトニナリマス
ルト、ドウシテモ粗製濫造ト迄ハ行カヌカ
モ知レマセヌガ、品質ガ低下スル傾向ヲ取
ルト云フコトヲ恐レテ居ルノデアリマス
唯併シナガラ國內ニ於テ今後消費サレ
ル生絲ニ付キマシテハ考ヘテ見マスレバ、
斯ウ云フ時局柄デモアリ、大體アヽ云フ華
奢ナ、所謂海外ヘ出マスル靴下原料程ノ品
質ニ於テ、ヤカマシイ華奢ナモノト云フヨ
リハ寧ロ大イニ實用向ノ、ドチラカト申
シマスト、太イ實用向ノ生絲ト云フコトニ
主眼ヲ置イテ行クベキデアルト考ヘテ居リ
マス、從ヒマシテ品質ノ問題ニ付キマシテ
ハ海外ヘ出マスモノヨリハ相當私ハ大マ
カナ段階ヲ付ケテモ宜シイヤウナモノト思
フノデアリマス、斯樣ナ關係カラ理窟カラ
申シマスト、瀧川委員ノ述ベタ通リト思フ
ノデアリマスガ、此ノ點海外ヘ出シマスモ
ノト國內デ今後消費スベク生產致シマス
ルモノトノ間ニハ、非常ニ品質ノ上ニ於テ
ハ、片方ハ相當大マカナ品質ノモノデ宜シ
イ、斯樣ニ考ヘマスノデ、一手買取、手
販賣ヲ致シマシテモ、マア我慢ガ出來ルノ
デハナカラウカ、從ヒマシテ多少懸念ハア
ルニ致シマシテモ、是ハサウ云フコトニヤッ
テ其ノ結果、業界ヲ安固ニスルト云フ一方
ノ大キナ利益ガ得ラレルナラバ、會社ガ品
質ノ低下ニ依ッテ抱ヘタ荷物ガ賣リニクヽ
ナルト云フヤウナ點ハ我慢ガ出來ル、斯ウ
云フヤウナ考ヘ方デ、國內ノ方ノ生絲ノ販
賣ニ付キマシテハ、會社デ一手ニ買ッテ一手
ニ賣ルト云フコトヲヤッテ差支ナカラウ、斯
ウ云フ考ヘ方デ致シテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=22
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023・瀧川儀作
○瀧川儀作君 マダ二、三伺ヒタイコトモア
リマスガ、営業者ノ方モオイデナリマスカ
ラ、又改メテ私ハ御伺ヒスルコトニ致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=23
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024・米津政賢
○子爵米津政賢君、 本案ノ審議ニ入リマス
ル前ニ、蠶絲業ノ全體ニ付テ質問ヲ申シマ
ス、一點伺ッテ置キタイノデスガ、支那ノ養
蠶·······今度ノ法案ハ日本ノ養蠶トスレバ劃
期的ナ時勢ニ伴ッタ變革ニナリマスガ、或意
味ニ於テハ非常ニ退却シナケレバナラヌ、或
意味ニ於テハ又國用的ニ自主的ナ產業ニナッ
テ行ク譯デアリマス、其ノ場合ニ輸出ノ方
ガ從來ノ「アメリカ」ト云フ御得意ガ日本カ
ラナクナルトスルト、支那ノ養蠶ガ餘程減ッ
テシマフヤウナコトニナルカドウカ、國ノ
關係カラ行キマスト、日本ハ今嫌ハレ者ダ
カラ、向フデモ買ヒタクナイデセウケレド
モ、支那ト云フ國ニナッタラ向フデハ隨分使
フノヂヤナイカ、ソレカラ戰爭ノ初メノ頃
ニ於キマシテハ、支那ノ養蠶業ト云フモノ
ハドウ云フ風ニナッテ行クカ、アレガ餘リ盛
ニナリマスト、內地ノ〓業ガドウナルカ、
相當心配サレタ問題ラシイ、斯ウナッテ日
本ノ輸出ガ退却シテシマフヤウニナルト、
支那ノ養蠶ノ對外關係ト云フモノハドウ云
フ風ニナッテ行クカ、支那自身ノ養蠶ト云フ
モノヲドウ云フ風ニ持ッテ行ク積リダカ、是
ハサウ云フ方面ヲ考ヘテ出來テ居ルノデス
カ、ソレトモ今焦眉ノ急デ、日本ノ輸出ガ
止ッタト云フ問題カラ、內地ダケノ問題トシ
テ考ヘラレタ法案ナンデスカ、支那トノ見
透シ、日本ノ養蠶ト支那トノ見透シノ關係
ヲ、チヨット歷史的ニ言ッテ戴ケバ尙宜イノ
デスケレドモ、戰爭ノ初メ頃ト今日ト、ド
ウ云フ睨ミ合セデ出來テ居ルノダカ、サウ
云フコトヲ考ヘナカッタノダガ、其ノ邊ノ說
明ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=24
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025・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 海外デノ生絲ノ
市場ヲ確保致シマスル上カラ申シマシテ、
支那絲トノ間ニハ商賣敵ト云ッタヤウ
ナ關係ニナッテ居ルノデゴザイマシテ、
今後ノ輸出ノ問題ニ付キマシテハ、支那絲
トノ關係ハ、米津サンノ仰シヤッタ通リ極
メテ重大ナ問題デアルノデアリマス、農林
省ト致シマシテハ、無論是ハ十分考慮致シ
テ居ルノデアリマス、支那事變ガ起リマシ
テ、直先ニアソコニ華中蠶絲ト云フ會社ヲ
作リマシテ、謂ハバ共存共榮デ、日本ノ生
絲ノ海外ノ「マーケット」ヲ支那絲ガ著シク
蠶食スルト云フヤウナコトニハナラヌヤウ
ニ、御互ニ是ハ共存共榮デ、餘リ自己ノ方
ガ有利ダカラト云ッテ、出過ギテ他ノ方ヲ
抑ヘルト云フヤウナコトニナラヌヤウニト
云フ考ヘ方ノ下ニ、適當ナ聯繫ヲ取リ、適
當ナ方策ヲ立テテ行ク、其ノ機關トシテ華
中蠶絲株式會社ガ出來テ居リマシテ、大體
此ノ會社ニ依リママシテ支那絲ノ統制トカ
云フコトヲ致シテ居ルノデゴザイマス、是
ハ日本ノ方ノ側カラ申シマスレバ、一俵モ
出サヌヤウニスルト云フヤウナコトハ、マ
ア身勝手ナコトヲ申シマスレバ、サウ云フ
風ニナッテ貰ヒタイノデアリマスガ、是ハサ
ウ云フコトハ出來ル筈デハゴザイマセヌ、
要スル處、現在支那絲ハ爲替ノ關係デ非常
ニ有利ナノデアリマス、爲替ノ關係カラ致
シマシテ、支那ノ生絲ハ非常ニ海外ニ出易
イ形ニナッテ居リマスルノデ、自然ノ儘ニ放
置致シテ置キマスレバ、支那絲ノ全部ガ海
外ヘ出テ行ク、ソレガ日本ノ生絲ノ海外ノ
市場ヲ蠶食スルト云フ形ニナルノデアリマ
ス、コヽラノ點ヲ、サウ云フ風ニナラナ
イヤウニ、色々向フノ現地ノ方面ノ當局ト
モ折衝致シテ居リマシテ、先申シマシタヤ
ウナ懸念スル結果ニナラヌヤウニ、能ク連
絡ヲ取リマシテ、調節シテ貰ッテ居ルト云
フコトニ致シテ居ルノデアリマシテ、今後
共斯樣ナ考ヘ方ヲ、嚴重ニ實施出來マスヤ
ウニ、支那側トモ折衝シ、場合ニ依ッテハ取
極メヲ致サナケレバナラヌト考ヘテ居リマ
ス、此ノ制度ハ、無論支那絲迄含メマシテ、
支那ノ絲ヲドウスル斯ウスルト云フコトハ
性質上決メラレマセヌノデ、此ノ制度ノ內
容ハ今申スコトダケニ付テデアリマスガ、
ソレト相竝ンデ、今申シマスヤウナ關係ヲ
調節シテ行クト云フコトハ、別箇ニ常ニ考
ヘテ行カナケレバナラヌコトト存ジテ居ル
ノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=25
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026・米津政賢
○子爵米津政賢君 今伺ヒマシタノハ支那
絲ノ關係デ、大體其ノ御說明デ宜イノデス
ケレドモ、チヨット部分的ニ入ッテ惡イカト
思ヒマスケレドモ、先程モ問題ガ出タカラ
ツイ伺フノデスガ、桑園ノ整理ナンゾノ場
合ニ、今ノヤウニ日本ノ生絲ノコトヲ考ヘ
ルト同時ニ、支那生絲モ考ヘテ行カナケレ
バナラヌ、桑園ヲ整理スルト云フヤウナコ
トガ起リマスト、全國一律ニ何處デモ整理
スルヤウナ腹案デオイデニナルノデスカ、實
ハ何年カ前ニ、米ガ非常ニ餘ッタ時ニ減段ト
云フ問題ガ非常ニヤカマシク言ハレテ居リ
マシタガ、アノ當時減段ト云フコトハ最モ
必要ナ措置デアルヤウニ考ヘラレテ、減段
減段ト云フコトヲ頻リニ言ハレタモノデア
リマスガ、何年カ經ッテ見ルト減段ドコロノ
騷ギデナクナッテ居ルヤウニ思フノデアリ
やっ、養蠶ト云フモノモ、今ノ狀況ダト云
フト成ル程餘程ノ劃期的ナ變革ヲシナケレ
バナラナイケレドモ、先ニナリマスト又
ドウ云フ時代ガ來ヌトモ言ヘナイ、デ結局
ハ當然御承知ダケレドモ養蠶位農村デ
發達シタ產業ハナイ、米ト養蠶ト云フコ
トハ農家ノ二本建ノ、農業經營ノ上ニ於
テハ大ナル部門デスケレドモ、養蠶ハ非常
ナ發達シタ產業デアッテ、詰リ農家ノ產業
トシテハ外ノモノニ較ベラレナイ、之ヲ又
一旦退却シテ又盛返サナケレバナラヌ時代
ガ來タラドウナルカ、デ伺ヒタイノハ、養蠶
ト云フモノハ一旦退却シマシテモ亦再生力ト
言ヒマスカ何ト言ヒマスカ、元ニ戾ス力ハ
割合ニ簡單ナンデスカドウカ、山林ト云フ
ヤウナモノハ濫伐シテシマッタラ何十年間經
タナケレバ材木ハ得ラレマセヌケレドモ、養
蠶ノヤウナモノハ縮小シテモ退却シテモ、盛
返スト云フコトハ相當ニ出來ルノダカドウ
カ、結局話ガ混亂シマシタケレドモ、桑園
ノ整理ナドヤル場合ニハ全國一律ニ唯減
スノカ、農業經營ノ狀態ト云フモノハ此ノ
長イ日本ノ國デハ色々違フノデスカラ、養
蠶ヲ廢メテ宜イ地方、「ブロック」モアラウ
シ、ソレカラ養蠶ヲ廢メルト外ノ代用作物
ガ出來難イ方面モアル、サウ云フコトヲ考
慮シテ萬遍ナイ整理ヲヤルノカ、計畫的ナ
整理ヲヤルノカ、ソレカラ養蠶ト云フモノ
ハ假ニ退却シテモ再生力ト云フモノハ强イ
ト云フ御見込デテリマセウカ、之ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=26
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027・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 最近計畫致シテ
居リマスル桑園ノ轉作問題ハ、先程大臣カ
ラ其ノ趣旨ヲ御說明ニナリマシタ通リ、食
糧ノ確保ト云フコトカラ、桑園ヲ轉作サセ
タイト云フノデ致シテ居ルノデアリマス、
蠶絲ノ政策カラ纖維ノ供結ヲ調節シテ、サ
ウシテ價格ヲ維持シヨウト云ッタヤウナ考
く々、マア言ヒ換ヘレバ蠶絲ノ政策トシテ
減少サセル目的デ桑園ヲ整理シテ居ルノデ
ハナイノデアリマス、從ヒマシテ此ノ桑園
ノ整理ニ當リマシテ、全國一律ニ、各縣デ
桑園面積ニ一割ナラ一割ヲ掛ケタ面積ヲ、
各縣ニ割當テテ減段サセルト云フヤウナヤ
リ方ニハ致シテ居リマセヌ、ソレハ〓糧增
產ノ目的カラ、後作ニ適地デアルカドウカ
ト云フコトヲ考ヘナケレバナリマセヌノデ、
結局陸稻デゴザイマスルトカ、大麥デゴ
ザイマスルトカ、藷デアリマスルトカ云ッ
タヤウナコトヲ、多ク考ヘテ居ルノデアリ
マスガ、出來ルナラ水田ニ變へ得ラレル所
ナラバ水田ニ變ヘサセルト云フヤウナコト
モ考ヘテ居リマスル爲ニ、後ノ結果ガ擧リ
マスル趣意ニ適フヤウニ、結果ノ擧リマス
ルヤウナ風ニ、桑園ノ面積ヲ轉作サセテ行
カナケレバナラヌ、從ヒマシテ非常ニ桑園
面積ノ多イ縣デアリマシテモ、食糧作物ヲ
植エサシテ見テモドウモ餘リ結果ガ擧リサ
ウモナイ桑園ニ對シマシテハ、桑園ノ面積
ガ多クテモ減段サセナイ、桑園ノ面積ガ少
クテモ、非常ニ食糧ノ關係カラ申シマシテ、
後作ノ關係カラ言ッテ效果ノアル所ニ割當
テルト云フヤウナ、ヤリ方ニナッテ居ルノ
デアリマス、ソレカラ桑園ハ今減シテモ直
グニ復活スルダラウカト云フ點デアリマス
ガ、是ハ私米津サント同樣ナ考デアリマシテ
ナカ〓〓困難ダト思ヒマス、桑園ハ先ヅ四
年、五年位經タナケレバ一人前ノ桑園ニハ
ナラヌト見ナケレバナリマセヌ、從ヒマシ
テ少シ纖維デモ入用ダト云フコトニナリマ
シテ、今後桑園ヲ植ヱサセヨウト致シマシ
テモ、ナカ〓〓四年五年ノ先ノ見透シガド
ウナルカ、養蠶家トシテモナカ〓〓一人前
ニナッタ時分ニ又要ラクナルノヂヤナカラ
ウカト云ッタヤウナ事柄、是ハ一旦引拔イタ
桑園ヲ又元ヘ戾セト云ッタヤウナコトヲ言ッ
テモ私ハ困難ダト思ヒマス、從ヒマシテ蠶
絲ノ政策ト致シマシテハ、餘程愼重ニ考ヘ
マシテ、最後ノ手段トシテ若シモ減少スル
必要ガアルナラバ、蠶絲ノ政策トシテハ桑
ヲ拔カセルノハ最後ノ手段ダト云フ風ニ私
ハ考ヘテ居ルノデゴザイマス、併シ今度ノ
ハ已ムヲ得ナイ食糧ノ關係カラ致シマシテ、
已ムヲ得ナイ轉作ト云フコトニナッテ居ル
ノデゴザイマスコトヲ御了承ヲ願ヒタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=27
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028・野村徳七
○野村德七君 今支那ノ問題ガアリマシタ
ノデ私商工省ノ方ニ伺ヒタイト思ッタノデ
スケレドモ、此ノ際質間サシテ戴キマスガ、
私ハ斯ウ云フ風ナ統制法案ガ出來マスト、將
來支那ノ蠶絲ノ發達ト云フコトニ對シテハ
一層重大ナ考慮ヲ必要ト思フノデス、大體
蠶絲ト云フモノハ一體何處ガ先輩カト云フ
コトニナルト、無論支那ガ先輩ト思フ、唯
色々ナ技術ニ於テ遲レタ、併シ大體農業ヲ
基本ニシテ半バ加工サレテ行クモノデスカ
ラ、指導ハ割合ニ樂ナモノデアッテ、日本生
絲ノ標準迄持ッテ來ルノハソンナニ苦心ヲ
要シナイノヂヤナイカト思フ、而モ今後北
支以南全部共榮圈ト云フコトニナリマシテ、
桑ノ栽培ニ最モ良イ土地ガ尠カラズアル、
支那ニ向ッテ〓宣撫班ガナサレテ居ルヤウ
ナ養蠶ノ奬勵モアッタリシテ參リマスト云
フト此ノ支那ノ蠶絲業ト云フモノハ恐
ラク今後數年ノ間ニ非常ナ發達ヲスルモノ
デハナイカ、之ニ對シテ貿易業者ハ目ヲ著
ケヌト云フコトハ決シテアリマセヌ、必ズ
是ハ貿易業者ノ活躍スル大ナル戰場トシテ
殘サレテ居ルト云フコトトナッテ、貿易業者
ハ其ノ改善指導ニ努力スルノミナラズ、其
ノ宣傳用途ナドニモ今日ハ努力シテ居リマ
ス、貿易會社、販賣會社ト云フモノノ努力
ハ今日ハナカ〓〓唯品物ヲ扱フト云フ程度
デハナイノデアリマス、唯品物ヲ扱フト云
フコトニナルト、統制「ビヂネス」ト云フ言葉
モ出來テ居ルガ、サウ云フモノヲ一方ニ眺
メ、サウシテ一方ニ蠶絲業ト云フモノハ
大體支那ガ師匠デアッタト云フコトカラ考
ヘタリ、割合ニ簡易ナ工業デアルト云フ點
カラ考ヘマシテ、而モ之ヲ共榮圈ノ中ニ入
レテ行カウト云フ時ニ、サウシテ此ノ法案
ヲ讀ミマス時ニ、私共ハ將來ニ非常ニ大キ
ナ危懼ヲ懷クノデアリマス、只今ノ御答ニ
依リマスト云フト、此ノ統制法案ノ趣旨ハ
支那ニモ全部徹底サスモノデアル、斯ウ
云フ御答辯ノヤウデアリマシタ、衆議院デ
モ大體サウ云フ風ニ御答ニナッテ居ルヤウ
ニ拜聽スルノデアリマスガ、果シテ可能デア
リマセウカドウカ、其ノ際ニハナカ〓〓非
常ナ大キナ資本ヲ要スルノミナラズ大體斯
ウ云フ統制ノ完全ニ行クト云フコトハ需要
ガ生產ヲ超過シタ場合ト、是ハ私ダケノ考
デ、理論通リデハナイケレドモ、成功スル
コトハ多ク消費ヨリ需要ガ多イ場合ニ、
統制經濟ハ成功スルノデアリマスガ、併シ
「オーバープロダクト」シタ場合ニハ困難ガ
起ッテ來ル、現ニ其ノ例ガアリマス、ソレハ
必ズシモ計畫經濟デモ統制經濟デモアリマ
セヌケレドモ、「ブラジル」デハ「コーヒー」
ヲ燒イタリ、輸出稅ヲ課シタリシテ、處分
シタト云フヤウナ例ガマザ〓〓ト其處ニア
リマスシ、此ノ統制ガ自分ノ力ヲ省ミテ及
ブ範圍ナラバ宜イケレドモ、此ノ統制ノ及
ブ力ノ範圍ガ、自分ヲ省ミテ力一パイ、若
シクハ及バナイ程度ニ來タ時分ニハ、其處
ニ大キナ破綻ニナルト思フノデアリマス、
今ノ輸出狀況カラ見マシタラ、少シモ心配
ハアリマセヌ、アノ位ノモノヲドウカシテ
行カウト云フコトハ少シモ心配ハナイト思
ヒマス、日本ガ聖戰ノ大目的ガ相當ニ達成
サレル場合ニ、日本ノ生絲對策ト云フモノ
ハ又復大キナ轉換期ニ直面スルノデハナイ
カ、其ノ一步トシテ之ヲ見マスト、轉換期
ノ第一步ヲ步ンデ居ルモノトシテ見マスト、
我々モ大イニ考慮ノ餘地ガアルト思ヒマス、
少シ意見ニ亙リマスケレドモ、政府ノ見解
ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=28
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029・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 統制ハ需要ガ多
クテ、供給ガ少イ場合ニ多ク行ハレテ然ル
ベキダト云フ御話デゴザイマスガ、全ク私
共モ同樣ノ感ジヲ持ッテ居ルノデアリマ
ス、ソレハ品物ガ少イ、非常ニ需要ガ多
イソレデ自然ノ儘ニ放置致シテ置イタノ
デハ、金ノアル方面ニ値段構ハズニ物ガ
集ッテシマツテ、金ノナイ方面デハ物ガ得
ラレヌト云フヤウニ、物ノ配給ガ不均衡ニ
ナッテ行ク虞ガアリマスカラ、其ノ配給、
供給ヲ公正ニスルト云フ見地カラ、多ク斯
樣ナ場合ニハサウ云フ趣旨デ統制ガ行
ハレル場合モ多イダラウト思フノデアリ
やく、又行ハルベキモノダト思フノデアリ
マスガ、此フ蠶絲ノ方ノ統制ハ其ノ點カラ
申シマスト全ク御說ノヤウナ逆ノヤウナ形
ニナッテ居ルノデアリマス、從ヒマシテ是ハ
今申シマシタヤウナ趣旨カラ、ト申シマス
ヨリハ、是ハ少シ別ナ所ニ趣意ガアルト考
ヘテ居ルノデアリマス、ソレハ要スルニ、
此ノ蠶絲ガ今日ノ國際情勢カラ見マシテ、
非常ナ全面的ノ脅威ヲ受ケテ居ルヤウナ事
態ニナッテ居リマス、從ヒマシテ此ノ各業者
ヲ安心サセテ、サウシテ事業ニ從事サセル
ト云フ所ニ寧ロ統制ト申シマスカ、サウ云
フ所ニ覘ヒガアルノデアリマス、物ガ足リ
ナイノデ、之ヲ分ケテヤルヤウニ一手買取
ヲスル、一手ノ販賣ヲスル、サウシテ公平
ニ消費者ニ分ケルト云ッタヨリハ、生產ノ狀
態ヲ安固ニシヨウ、要スルニ今日迄ハ日本
ノ蠶絲業ハ輸出絲ニ體ノ重ミヲ全部委カセ
テ居ッタヤウナ形ニナッテ居リマス、從ヒマ
シテ「アメリカ」デ何カ事ガ起キルト絲ノ
前途ニ付テ何カ心配ナコトガ僅カデモアル
ト云フコトニナリマスト、横濱、神戶ノ相
場ト云フモノガ非常ナ動搖ヲ起ス、其ノ動
搖ガ業界三千ノ蠶絲業者全體ニ皆暗イ影ヲ
落シ狼狽サセル、ソレガ直チニ二百萬戶ノ
養蠶家ニ波及シマシテ、是モ動搖スル、更
ニ蠶種屋カラ申シマスト種代ガ十分ニ取
レナイト云ッタヤウナコトニナリマシテ、非
常ニ海外トノ問題ノ如何ニ依リマシテ、蠶
絲界ノ隅カラ隅迄直チニ混亂動搖ヲ惹起ス
狀態ニ來テ居ルノデアリマス、是ハ非常ニ
今日ノヤウナ緊迫シタ情勢ニ於キマシテ、
蠶絲業ト云フモノハ日夜不安ノ心持デ居ラ
ナケレバナラヌヤウナ狀態デアリマスノデ、
是カラ一ツ出來ル限リ各業者ヲ隔離サセテ、
安心ノ出來ルヤウニシテ行キタイ斯ウ云
フ所ガ此ノ統制ノ狙ヒ所デゴザイマス、從
ヒマシテ輸出生絲ノ相場ガ、上ル下ルト云
フコトニ因ッテ、此ノ蠶絲業ニ關係致シマ
ス種屋迄直チニ波及スルヤウナ、斯ウ云フ
狀態モ漸次隔離シテ行キマシテ、種屋ハ種
屋デ會社ヲ相手ニ致シマシテ註文ヲ受ケテ、
チヤント豫メ決ッタ値デ造ッタモノハ、必ズ
指定サレタ數量ダケヲ造レバ、豫メ決ッタ値
デ會社ハ必ズ買ッテ吳レル、「アメリカ」ガ絲
ヲ買ハウガ買フマイガ、自分ガ造ッタ種ヲ兎
ニ角會社デ一手ニ買ッテ吳レルノダカラ、モ
ウ其ノ心配ハナイト、斯ウ云フコトニスル
コト、養蠶家ハ養蠶家デ、繭ヲ計畫ヲシテ
造ッタダケノモノハ兎モ角、今年ハ兎モ角、造ッ
タモノハ必ズ此ノ會社ニ一定ノ豫メ決メラレ
タ値段デ賣レル、「アメリカ」ト事ガ起キテモ、
養蠶家ハソンナコトニ、繭ガ賣レルダラウ
カ賣レヌダラウカト云フヤウナコトノ心配
ナシニ、繭ヲ造ッテ然ルベシ、製絲家ト致シ
マシテモ、大體國內ノ生絲ヲ造ルコトヲ豫
メ決メラレテ居ル製絲家ニ付キマシテハ、豫
メ決メタ値デ兎モ角一應會社デ買ッテ吳レ
ル、「アメリカ」ト事ガ起キテモチットモ··
來年、再來年ノ先ヘ行ケバ或ハ是ハドウ
云フコトニナルカモ分ラヌガ、兎モ角今ヤッ
テ居ル仕事ニハ心配ハナイノダ、斯ウ云フ
ヤウニ、海外トノ緊迫狀態カラ日夜不安狀
態ニ、隅々ノ業者迄モ不安狀態ニナッテ居ル
コトヲ隔離シタイ、ソレデ此ノ會社ハ從ッテ
是等ノ生產物ニ付テノ買相手ニ、總テノ業
者ノ間ヘ入ッテ防波堤ミタヤウナ形ニナリ
マシテ、サウシテ少クトモ其ノ間ハソレ
ゾレノ生產費ヲ基準トシテ、適正利潤ヲ入
レタ値ト云フモノヲ確保シテヤッテ行キ
マシテ、從來ノヤウニ非常ニ値上リデボロ
イ儲ケヲスルト云フコトハナイガ、少ク
トモマア安心シテ飯ヲ食ベテ行ケルト云
フ位ナ所デ、、安心シテ仕事ガ出來ルト云
フ仕組ヲ立テタイ、斯ウ云フノガ此ノ統
制ノ狙ヒ所デアルコトヲ一ツ御了承願ヒ
タイノデアリマス、ソレカラ支那絲トノ關
係ノ心配ノ問題ハ、御說ノ通リナンデ
アリマシテ、是ハ將來ヲ考ヘスマルト云フ
下、非常ニ蠶絲業トシテハ色々心配ヲシナ
ケレバナラヌ間題ト思ヒマス、ソレデ自然
ノ儘ニ放置シテ置クベキデハナイ、從ヒマ
シテ色々ト先程申シマシタヤウニ共存共榮
ト申シマスルカ、物資ノ調整ヲ······蠶絲業
ノ調整ヲ、今後共有ラユル機會ニ、有ラユ
ル方法ヲ講ジマシテヤッテ參リマシテ、支那
ノ蠶絲業ガ遽ニ勃興シテ日本ノ蠶絲業ニ對
シテ非常ナ打擊ニナルト云フヤウナコトニ
ナラヌヤウニ、色々ト苦心ヲ致シテ居ルノ
デアリマス、是ハ色々考ヘテ居ルコトハア
リマスルガ、露骨ニ申シマスルト如何ト思
フヤウナコトモアリマスルガ、兎モ角有ラ
ユル機會ニ、有ラユル方法ヲ以テ共存共榮
ノ考ヘ方デ調整ヲ圖ッテ行キタイ、斯ウ云フ
風ニ考ヘテ居ルコトダケヲ申上ゲテ置ク次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=29
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030・有吉忠一
○有吉忠一君 チヨット御伺ヒ致シマス、
般ノ蠶絲行政ニ關スル質問ハ、尙今日バカ
リデナク今後モ御續行ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=30
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031・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) マダ御質問ガ
アレバ續行致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=31
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032・有吉忠一
○有吉忠一君 ソレヂヤモウ時間モ迫ッテ
來マシタカラ、此ノ次ニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=32
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033・野村徳七
○野村徳七君 私ハ一向素人デ生絲ノコト
ハ分リマセヌノデアリマスガ、今日大分資
料ヲ戴キマシタガ、戴ケルモノナラ、「セリ
シン」定著ト云フコトヲ言ハレテ居リマスガ、
所謂此ノ混織ニ織ル現品デスネ、サウ云フ
ヤウナモノガ、蠶絲科學〓究所デスカ、又
御關係ノ御支配下ニアル〓究所トカ、何カ
我々ニ見セテ戴クモノガアリマスレバ、サ
ウ云フモノカラ所謂今後內地ニ特別ノ繭ヲ
造ッテ、ソレニ振向ケテ行カウト云フ方針デ
スナ、其ノ現レ、只今ドンナ〓究ノ過程ニ
アルカト云フヤウナコトヲ、實際ニ於テ拜
見スルコトガ出來マスレバ、大變私共後學
ニモナリマスシ、參考ニモナルト思ヒマス
ガ、サウ云フ參考資料ガ少々デモ宜シイデ
スガ、見セテ戴クコトガ出來レバ仕合セト
思フノデスガ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=33
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034・今井五介
○今井五介君 私チヨット耳ヲ患ッテ居ッテ、
本日ノ皆サンノ應答ノ御話ガハッキリシナ
イ所ガアリマスガ、今日ノ速記ハ次ノ委員
會ニ戴ケルヤウニ至急御願ヒシタイト思ッ
テ居リマスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=34
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035・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 其ノ御希望ハ
事務局ノ方ヘ傳ヘマスガ、何分速記モ相當
混ミ合ッテ居ルコトダラウト思フノデアリ
マシテ、果シテ御希望通リウマイ工合ニ出
來マスカドウカ、餘程困難ナコトヂヤナイ
カト想像致シマスガ、出來ル限リ早ク印刷シ
テ貰フコトニ事務局ノ方ヘ通ジテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=35
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036・吉田清二
○政府委員(吉田〓二君) 野村委員ノ仰セ
ニナリマシタノハ、現物ヲ見タイト云フノ
デゴザイマスカ、ソレハ御取計ラヒ致シタイ
ト思ヒマス、持ッテ參リマシテ御目ニ掛ケ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=36
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037・野村徳七
○野村徳七君 甚ダ御手數デゴザイマスガ、
何故サウ云フ御願ヲシマスカト申シマスト、
所謂短纖維ニ仕向ケラレテ混織サレテ行ク
繭ハ、幾ラカ何ト言ヒマスカ繭ノ性質ガ違
フ、違フモノデ宜イノダ、併シ其ノ繭ノ生
產費ハ餘リ安クナイ繭デアル、ト云フヤウ
ナコトヲ伺ヒマスノデ、サウ云フモノヲ摑
いつ、實際ノモノヲ見テ御說明ヲ伺フト、
我々モ大變參考ニナリマス、ノミナラズ支
那絲ヲ指導シテ行クニモ、餘リ支那絲ヲ優
良ニセズトモ、支那絲ソレ自體ガソンナモノ
ニ向イテ行ノヂヤナイカ、斯ウ云フヤウナ
考モチヨットシマスノデ、甚ダ御迷惑ナガラ、
現品ヲ委員會ニ御示シ願フト云フコトハナ
イコトダラウト思ヒマスケレドモ、発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=37
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038・八條隆正
○委員長(子爵八條隆正君) 尙申上ゲテ置
キマスガ、參考資料ヲ大分配付サレマシ
タガ、未ダ委員諸君ニ於キマシテ色々御希
望ガアリマシタナラバ、御思ヒ付ノ材料ヲ
此ノ際御申出下サイマスト、丁度明日ハ日曜
デモアリマスシ、其ノ間ニ作ッテ戴クト大變
好都合カト思ヒマスカラ、若シ何カ御希望
ノ材料ヲ御要求ニナリマスナラバ、御申出
ヲ願ッタラ宜カラウト思ヒマス、ソレデハ今
日ハ此ノ程度ニ止メテ、次會ハ明後二十四
日午前十時ニ開會ヲ致スコトニ致シマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午前十一時五十九分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵八條隆正君
副委員長男爵稻田昌植君
委員
侯爵四條隆德君
伯爵酒井忠正君
子爵米津政賢君
子爵柳澤光治君
有吉忠一君
橫山助成君
男爵三須精一君
今井五介君
瀧川儀作君
野村德七君
吉村友之進君
大澤德太郞君
片倉兼太郞君
大西虎之介君
國務大臣
農林大臣石黑忠篤君
政府委員
農林省蠶絲局長吉田〓二君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007601219X00119410222&spkNum=38
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