1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
貸家組合法案（政）
住宅營團法案（政）
醫療保護法案（政）
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委員氏名
委員長 子爵 立見豐丸君
副委員長 男爵 高木喜寛君
侯爵 徳川頼貞君
侯爵 中山輔親君
伯爵 松木宗隆君
子爵 植村家治君
子爵 實吉純郎君
仁井田益太郎君
男爵 前田勇君
田口弼一君
男爵 山川建君
中川望君
長岡隆一郎君
安宅彌吉君
小坂梅吉君
松井貞太郎君
齋藤万壽雄君
岩田三史君
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昭和十六年二月十八日（火曜日）午前十時九分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=0
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001・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) ソレデハ只今
カラ開會致シマス、貸家組合法案外二案ノ
委員會ヲ開キマス、先ヅ政府ノ御說明ヲ顧
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=1
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002・兒玉政介
○政府委員(兒玉政介君) 只今議題ト相成
リマシタ三ツノ法案ニ付テ內容ノ大體ヲ御
說明申上ゲタイト存ジマス、先ヅ第一ニ貸
家組合法案デアリマスガ、本法案ハ大體ニ
於キマシテ類似ノ組合立法デアリマス、商
業組合法ニ傚ッテ立案ヲ致シテアルノデア
リマシテ、以下其ノ主要ナル事項ニ付テ〓
略御說明ヲ申上ゲタイト存ジマス、第一ニ
貸家組合ノ目的ト致シテ居リマスル所ハ
組合員ノ貸家ノ供給ヲ圓滑ナラシメマシテ、
現下ノ住宅難打開ノ爲、貸家投資家トシテ
ノ職分ヲ完ウサセマスト共ニ、貸屋經營ノ
適正化ヲ圖リマシテ、貸家關係ヲ明朗ナラ
シメルト云フ點ニ在ルノデアリマス、第二
三、貸家組合ハ貸家ノ所有者及經營者ヲ
以テ組織スルコトトシ、尙此ノ外新タニ貸
家ノ建設ヲ爲サムトスルモノヲモ組合ニ加
入セシメル途ヲ拓キ、組合ノ共同施設ヲ通
ジテ貸家建設上諸般ノ便益ヲ享受セシメル
コトニ致シタノデアリマス、第三點ハ組合
ノ事業デアリマスガ、其ノ主ナルモノハ
貸家ノ建設及經營ニ關スル共同施設ト、貸
家ノ賃貸條件等ノ貸家經營ニ關スル統制ト
デアリマス、共同施設ト致シマシテハ、例
ヘバ貸家ノ建設及修繕ニ必要ナル土地及資
材ノ共同購入、組合常傭ノ大工ノ設置、家
賃ノ共同取立、貸家幹旋所ノ設置ト云フヤ
ウナコトデアリ、又貸家ノ賃貸條件等ノ統
制ト致シマシテハ、造作ノ修繕費ノ負擔區
分ノ統制、敷金ノ統制ト云フヤウナコトデ
アリマス、尙組合ガ右ニ述べマシタヤウナ
事情ノ內、或モノヲ行フコトニナッテ居ラナ
イト云フヤウナ場合ニ於キマシテ、行政官
廳ガ特ニ必要アリト認メマスレバ、之ヲ行
フコトヲ命ジ得ルコトトシ、又組合ガ貸家
ノ賃貸條件等ノ統制ヲ行ヒマス場合ニ於キ
マシテ、行政官廳ガ特ニ必要アリト認メマ
スレバ、組合員ハ固ヨリノコトデアリマス
ガ、組合員以外ノ者ニモ其ノ統制ニ從フベ
キコトヲ命ジ得ルコトト致シタノデアリマ
ス、第四ニハ、貸家組合ニ對シマシテハ、
所得稅、法人稅及營業稅ヲ免除シマス外、
組合ノ貸家及貸家用地ニ付キマシテ、國稅
ノ登錄稅及地方稅ノ不動產取得稅ニ關シ、必
要ナル減免ヲ行フコトニ致シタノデアリマ
ス、第五點ハ、組合ノ設立ニハ原則トシテ
所定地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル
者ノ過半數ノ同意ヲ要スルノデアリマスガ、
土地ノ情況ニ因リマシテ貸家ノ所有者ガ多
〃、其ノ過半數ノ同意ヲ得ルト云フコトガ
極メテ困難デアル場合、其ノ他特別ノ事情
ガアリマス時ハ、其ノ數ヲ命令ノ定ムル所
ニ依リマシテ減ジ得ルコトト致シタノデア
リマス、以上申述べマシタ以外ノ事項ハ
先程申上ゲマシタヤウニ、大體ニ於キマシ
テ商業組合ノ例ニ傚フコトト致シタノデア
リマシテ、是等ノ各事項ニ付テハ詳細ノ說
明ヲ省略サセテ戴キマス、尙商業組合法ニ
於キマシテハ、御承知ノ如ク、營業ノ統制ヲ
事業トスル統制組合ト云フ制度ヲ設ケ、此
ノ種ノ組合ニ關シテハ所謂强制設立及强制
加入ノ制度ヲ認メテ居ルノデアリマスガ、
貸家組合ニ於キマシテハ、貸家ノ建設及經
營ニ關スル共同施設ヲ行フコトヲ以チマシ
テ、本組合制度設置ノ眼目トシテ居リマス
ノデ、强制設立又ハ强制加入ノ制度ヲ設ケザ
ルコトニ致シタノデアリマス、尙組合ハ共同ノ
目的ヲ達スル爲、聯合會ヲ設ケ得ルノデアリ
マス、最後ニ近年都市ニ於キマシテ諸種ノ事
情ニ因リマシテ、「アパート」ノ類ノ貸室ガ增
加シテ居リマシテ、是等ノ「アパート」、下宿屋
ノ如キ貸室モ住宅政策上重要トナッテ參ッテ
居リマスノデ、是等ノ貸室業者ニ付キマシ
テモ、組合ヲ組織セシメ、貸室ノ建設ヲ增
進シ經營ノ適正ヲ圖ラシムルコトト致シタ
ノデアリマス、而シテ是等ノ貸室ノ場合ハ、
普通ノ貸家ト比較シテ、經營ノ形態、內容
等ニ於テ著シク趣ヲ異ニスルモノガアリマ
スルノデ、貸家組合トハ別個ニ貸室組合ヲ
設ケシムルコトト致シタ次第デアリマス
次ニハ住宅營國法案ノ御說明ヲ申上ゲマス、
此ノ法案ハ大體ニ於キマシテハ庶民金庫法
ニ傚ッテ立案サシタモノデアリマスガ、先ヅ
第一ニ、住宅營團ノ目的トシマス所ハ、勞務
者官公吏、軍人、〓員、會社事務員等ノ
比較的少額ナル所得ヲ有スル者ニ對シテ、
所要ノ住宅ヲ供給スルコトニ在ルノデアリ
マシテ、住宅營團ノ事業計畫ニ於キマシテ
ハ、大體ニ於キマシテ二十坪、十五坪及十
坪ノ三種類ノ規模ノ住宅ヲ建設スル豫定ニ
致シテ居リマス、次ニ住宅營團ノ資本金ハ
一億圓トシテ政府ニ於テ其ノ全額ヲ出資ス
ルコトニ定メタノデアリマスガ、是ハ差當
リ今後五箇年間ニ約三十萬戶ノ住宅ト、其
ノ住宅居住者ノ爲必要ナル各種ノ厚生施設
トヲ建設スルニ要スル資金ノ總額ガ約十一
億圓ニ上ル見込デアリマシテ、其ノ內固定
的ナ用途ニ充テラレマスモノ、卽チ土地ノ
購入費等ト初度調辨費等ヲ加ヘマスト、
億圓見當ト見積ラレマシテ、此ノ額ヲ資本
金額ト定メタ次第デアリマス、政府出資ノ
拂込ハ初年度ニ於キマシテ一一千萬圓デア
リマシテ、爾後每年住宅營團ノ事業計畫ニ
卽應シテ拂込マレルコトニ相成ッテ居リマ
ス、尙先程モ申述ベマシタ如ク、住宅營團
ノ資本ノ大部分ハ、之ニ依リマシテ貸家經
營及各種ノ厚生施設ノ用ニ供シマス敷地ヲ
購入スルコトトナリマス關係上、政府カラ
住宅敷地トシテ適當ナル國有地ノ出資ヲ爲
シ得ルコトト致シマシタガ、初年度ニ於キ
マシテハ、政府カラノ二千萬圓ノ拂込ノ內、
五百萬圓ニ相當スル國有地ノ出資ガアル豫
定ニ相成ッテ居リマス、第三ニハ、住宅營團
ニ對シマシテハ、其ノ公益性ニ鑑ミ所得稅、
法人稅及營業稅ヲ免除致シマス外、國稅ノ
登錄稅及地方稅ノ不動產取得稅ニ關シマシ
テ、必要ナル免稅ヲ爲スコトニ致シタノデ
アリマス、第四ハ、住宅營團ノ役員デアリ
マスガ、此ノ役員ニ關シマシテハ、庶民金
庫ノ場合ト異ナリマシテ、副理事長ト云フ
モノヲ置クコトニ致シタノデアリマスガ、
是ハ本營團ノ事業分量ガ相當ニ大キク、役
職員ノ數モ相當多數ニ上ル見込デアリマス
關係上、理事長ヲ補佐シテ事業ノ圓滑ナル
遂行ヲ期スル爲ニ副理事長ヲ置ク必要アリ
ト認メタノニ因ルモノデアリマス、第五ニ
住宅營團ノ行ヒマス業務ハ第一ニハ住宅ノ
建設及經營デアリマス、住宅營團ハ差當リ
今後五箇年間ニ約三十萬戶ノ住宅ヲ建設ス
ル計畫デアルト云フコトヲ先程申上ゲタノ
デアリマスガ、其ノ中二十坪ノモノ及ビ十
五坪ノモノ合計二十萬戶ハ原則ト致シマシ
テ土地附ノ分讓ノ方式ニ依ッテ、又十坪ノモ
ノ十萬戶ハ原則トシテ賃貸ノ方式ニ依ッテ
經營シテ行ク豫定デアリマス、住宅政策上
竝ニ住宅經營經濟上ノ見地カラ言ヒマシ
テ、又民間ノ貸家投資ヲ抑制シナイヤウニ
トノ考慮カラ致シマシテ、原則トシテ分讓
ノ方法ニ依リ、自分ノ住宅ヲ所有セシムル
方式ヲ採ルコトヲ適當ト認メタ次第デアリ
マス、次ニ本營團ハ住宅ノ建設及經營ノ受
託事業ヲ行フノデアリマス、是ハ例ヘバ工
場等ノ事業主ガ、勞務者住宅ヲ建設シマ
ス場合ニ、其ノ建設ノ委託ヲ受ケ、又其ノ
出來上リマシタ住宅ノ經營ノ委託ヲ受
ケルト云フヤウナ場合デアリマシテ、之二
依リマシテ住宅ノ集團的建設經營ノ妙ヲ發
揮スルヤウニ致シテ參リタイト考ヘテ居リ
マス、又本營團ニ於キマシテハ、一團地ノ
住宅ヲ建設シ又ハ經營シマス場合ニ於テ、
之ニ附帶シテ居住者ノ生活ニ必要ナル各種
ノ厚生施設ヲ建設、經營シマシテ、其ノ福
利增進ヲ圖ラシメルコトニ致シタノデアリ
マス、其ノ他住宅營團ニ於キマシテハ、或
ハ貸家組合等ニ住宅建設ノ爲ノ資金ノ一部
ヲ貸付ケルトカ、或ハ住宅ノ賣買及貸借ノ
仲介ヲ行ヒマストカ、住宅ノ供給竝ニ之ニ
關聯シテ必要ナル事業ヲ行フコトニ致シタ
ノデアリマス、次ニ住宅問題ニ於キマシテ
ハ用地ノ確保ヲ圖ルコトガ、先決ノ重要
問題デアルコトニ鑑ミマシテ、住宅營團ニ
於テ其ノ住宅及厚生施設ノ用ニ供スル土地
ニ付キマシテハ、土地收用法ニ依リ、之ヲ收
用又ハ使用シ得ルコトト致シタノデアリマ
ス、此ノ外住宅營團ノ用地取得ヲ確保シマ
ス方法トシテ、地方公共團體ノ所有地ヲ公
入札ニ依ラズシテ、隨意契約ニ依ッテ住宅營
團ニ讓渡又ハ貸付ケルコトヲ得ルコトト致
シタノデアリマス、第六ニハ資本金ノ十倍
迄住宅債劵ヲ發行シ得ルコトト致シタノデ
アリマシテ、差當リ今後五箇年間ニ資本金
ノ一億圓ト、其ノ十倍迄ノ住宅債劵ノ發行
トニ依リマシテ、其ノ住宅及附帶厚生施設
ノ建設等ノ爲必要ト考へラレル約十一億圓
ヲ賄ッテ行ク計畫ト致シテ居リマス、尙住宅
債劵ニ關シマシテハ、其ノ元本ノ償還及利
息ノ支拂ニ付キマシテ政府ノ保證ヲ受ケ、
之ニ依リマシテ資金調達ノ確保ヲ圖ルコト
ニ致シタノデアリマス、第七ニハ本營團ハ
一定ノ條件ノ下ニ出資者タル政府ニ對シテ
剩餘金ノ配當ヲ爲シ得ルコトヲ定メテ居リ
マスガ、元來住宅營團ノ住宅供給事業ニ依
リマシテ、相當ノ利益ヲ擧ゲ、之ニ依ッテ剩
餘金ノ配當ヲ行フト云フヤウナコトヲ期待
致シマスコトハ、差當リノ所極メテ困難ナ
ルモノト考ヘラレルノデアリマスガ、將來
ニ於キマシテ若シ剩餘金ノ中カラ、損失塡
補ノ爲ノ積立金、職員退職給與積立金等ヲ
控除シテ、尙殘額ノアリマスヤウナ場合ニ
ハ、出資者タル政ニ府剩餘金ノ配當ヲ行ヒ得
ルモノトシタノデアリマス、尤モ其ノ配當
率ニ付キマシテハ、住宅營團ノ事業ノ性質
ニ鑑ミマシテ制限ヲ設ケタノデアリマシテ、
國債ノ利率トノ振合ヲ考慮シテ、最高年三
分五厘ヲ超ユルコトヲ得ナイモノト致シタ
次第デアリマス、最後ニ監督及罰則ニ關シ
マシテハ、何レモ殆ド全部庶民金庫法ニ於ケル
ト同樣ノ事項デアリマスルノデ、說明ヲ省
略サシテ戴キマス、次ハ醫療保護法案ニ付
テ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、時局下
ニ於キマシテハ、庶民層ノ生活確保ニ萬全
ヲ期シマスルコトハ極メテ緊要ノコトト存
ズルノデアリマスガ、就中貧困ニシテ生活困難
ナル者ニ對スル醫療保護ノ徹底ヲ圖リマス
コトハ喫緊ノ要務ト考ヘラレルノデアリマ
ス、然ルニ我ガ國現時ノ醫療保護制度トシテ
ハ、救護法及母子保護法等ノ法律ニ依リマス
ルモノノ外、昭和七年以來政府ニ於テ實施シ
テ居リマス時局匡救醫療救護事業、竝ニ地方
公共團體、恩賜財團濟生會其ノ他各種ノ社
會事業團體ニ依ルモノ等ガアリマスガ、凡
ソ貧困ノ爲ニ生活困難ニシテ、醫療又ハ助產
ヲ受クルコト能ハザル者ニ對シテモ普ク保護
ノ徹底サレテ居ナイ憾ミガアルノミナラズ、
其ノ醫療ノ範圍及ビ程度ハ未ダ十分トハ申
シ難ク、又受療ノ手續ニ於キマシテモ、醫
療劵ノ雜多デアルトカ、其ノ他醫療費ノ請
求及支拂方法ノ複雜ナルコト等、遺憾ノ點
ガ多々存スルノデアリマス、而シテ現行各
種醫療保護制度ヲ現狀ノ儘ニシテ置イテ、
單ニ行政的ノ措置ヲ以テスルノミデハ、是
等ノ不備缺陷ヲ是正スルコトハ困難デアル
ト考ヘマシタノデ、玆ニ新タニ醫療保護ニ
關スル法律ヲ制定スルコトトシ、本法案ヲ
提出スルニ至ッタ次第デアリマス、本法案ノ
內容ノ大體ヲ申上ゲマスト、第一ニ本法案ニ
於キマシテハ、現行醫療保護事業ニ付救護
法及母子保護法ニ依ルモノ、時局匡救醫療
救護事業竝ニ地方公共團體、恩賜財團濟生
會其ノ他各種社會事業團體等ニ依ル事業
ヲ總テ吸收統合シマシテ、凡ソ醫療保護事
業ハ總テ此ノ法律ニ依ルコトト致シタノデ
アリマス、第二ニ、醫療保護ヲ行フ事業者
ニ付キマシテハ、市町村及恩賜財團濟生會
ヲ中樞トシ、是等ハ當然事業者タルヲ要ス
ルコトトシ、道府縣及特殊ノ公共團體ハ事
業者タルコトヲ得ルモノトシ、共ノ他ノ者
ハ厚生大臣ノ認可ヲ受ケマシテ事業者タル
コトヲ得ルモノト致シタノデアリマス、第
三ニ、被保護者ノ範圍ニ付キマシテハ救
護法又ハ母子保護法ノ如ク、極メテ小範圍
ノ特殊ノ資格者ノミニ限定スルコトナク、
廣ク貧困ニシテ生活困難ナル者ニ對シテ保
護ヲ及ボスコトト致シタノデアリマス、第
四ニ醫療ノ程度ニ付マシテハ、各種社會保
險制度又ハ共濟組合制度等ニ依ルモノニ準
ズルモノトシ、他面ニ於テハ濫救ノ弊ニ陷
ルコトヲ避クル爲、市町村長ヲシテ被保護
者ノ認定ヲ爲サシムルノ機關トシ、尙方面
委員ヲシテ之ヲ補助セシムルコトト致シタ
ノデアリマス、ソレカラ第五ニハ、厚生大
臣必要アリト認ムルトキハ事業者ニ對シ施
設ノ設置若クハ必要ナル附帶事業ヲ行フコ
トヲ命ジ、又ハ事業者ニ對シ施設及附帶事
業ノ讓渡ニ付協議スルコトヲ命ジ得ルコト
トシテ醫療保護事業ノ整備ニ資シ得ルコト
ト致シタノデアリマス、第六ニハ醫療保護
事業又ハ附帶事業ノ用ニ供スル土地及建物
ニ付キマシテハ、公租公課ヲ免除スルコト
トシ、又事業者ノ負擔シマシタ所定ノ費用ニ
對シマシテハ國庫ハ救護法ノ場合ニ於ケ
ルト同樣ノ補助卒ニテ之ヲ補助スルコトト
致シクノデアリマス、第七ニハ地方長官ハ
其ノ道府縣內ノ醫療保護事業ニ關シ計畫ヲ
樹テテ各事業者ノ發行スベキ醫療劵ニ付、
其ノ數及地域ヲ定メテ割當ヲ爲シ、其ノ他
必要ナル統制及連絡ノ事務ヲ行フコトトシ、
以テ醫療保護事業ノ實效ヲ擧グルニ遺憾
ナカラシムルコトヲ期シタノデアリマス、
尙本法ノ施行ニ要スル經費ハ、昭和十六年
度ノ豫算案ニ計上致シテアリマス、何卒御
審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ
御願ヒヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=2
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003・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) 只今三案ノ御
說明ヲ願ヒマシタガ、住宅營國法案、貸家
組合法案ノ兩案ノ質疑ヲ先ヅ終リマシテ、
ソレガ終リマシテカラ醫療保護法案ノ質疑
ニ移リタイト思ヒマスガ、如何デアリマセ
ウカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=3
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004・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) ソレデハ御異
議ガナケレバ先ヅ最初ハ二法案ニ付テ御質
疑ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=4
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005・仁井田益太郎
○仁井田益太郞君 此ノ貸家組合法ニ依ッ
テ貸家組合ノ成立ヲ促スト云フ御趣意デア
リマスガ、此ノ貸家組合ノ受クル利益ハ、
主トシテ此ノ法律ニ依レバ租稅ノ免除ト云
フコトニナッテ居ルンデアリマスガ、併シ其
ノ代リニ行政官廳ノ監督ヲ受ケ、又ハ干涉
ヲ受クルト云フコトニ相成ルノデアリマス
ガ、殊ニ第四條デ貸家組合ハ行政官廳ノ命
ズル必要ナル事業ヲ行ハナケレバナラヌト
云フコトニナッテ居ル、此ノ第四條ノ所謂事
業ト云フモノハ果シテドウ云フモノデアル
カ、之ヲ伺ッテ置カナイト貸家組合ハドウ
云フコトヲ命ゼラルヽモノデアルカ、元々
貸家組合ナルモノハ私的事業デアッテ、
組合員ノマア共同ノ利益ヲ增進スルト云フ
趣意デアルニ拘ラズ、第四條ノ如キハ如何
ナル事業デアルカ知レマセヌガ、サウ云フ
負擔ヲ命ゼラレルト云フコトハ、是ハマア
相當ナル重荷デアルト見ナケレバナラヌデ
スガ、此ノ貸家組合法ニ依ッテ貸家組合ガ
續々出來ルト云フノデナケレバ、此
ノ際此ノ貸家組合法ト云フモノヲ制定
スル必要ハナイノデアッテ、他ノ民法
上ノ規定ニ依ルトカ、或ハ其ノ他ノ方法
ニ依ッテ貸家組合法ノ狙ッテ居ルヤウナコト
ハ達成シ得ルノデアルト思フノデスガ、勿論
此ノ貸家組合員ニ對シテハ資材ノ配給等ニ
付テハ相當ノ便宜ヲ與へルト云フコトニナ
ルデアラウト思ヒマスガ、此ノ貸家組合法
ニ依ッテ、貸家組合ナルモノガ續々出來ルト
云フ御見込ガアルノデアルカドウカ、私ハ
此ノ貸家組合法ガ制定サレテモ此ノ貸家組
合ナルモノガ續々出來テ、法律ノ豫期スル
ヤウナ結果ヲ生ズルカドウカト云フコトヲ
疑フノデアリマス、政府ハ果シテ此ノ貸家
組合法ニ依ッテ貸家組合ガ續々出來テ、貨家
ノ供給ト云フモノガ圓滑ニナリ、住宅難ヲ
緩和スルノ見込ガアルノカドウデアルカ、
私ハ貸家組合法ノ目的トスル住宅難ヲ緩和
スルト云フ趣意ガ、達成セラレル見込ハナ
イノヂヤナイカト思フノデス、今日迄モ同
潤會共ノ他色々貸家ノ供給ニ關スル色々ノ
團體ガアリマシテ、相當ノ成績ヲ擧ゲテ居
ルノデアリマスガ、貸家組合法ヲ制定シテ、
果シテ從來ヨリモ一層貸家ノ供給ト云フモ
ノガ圓滑ニ出來ルカドウカト云フコトヲ疑ッ
テ居ルノデスガ、本案ヲ制定シテ果シテ所
期ノ目的ヲ達スル見込ガアルカドウカ、其
ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス、殊ニ第四條
ニ付テドウ云フ事業ヲ命ズルモノデアル
カ、ソレデハドンナコトヲ命ゼラレルカ
實ハ分ラヌノデ、第四條ニ於テ、例ヘバ法
律ノ定ムル所ニ依ッテ必要ナル事業ヲ命ズ
ルコトヲ得トカ何トカ云フコトニナッテ居
レバマダシモデスケレドモ、行政官廳ガ獨
自ノ見解ニ依ッテ必要ト認メタ事業ヲ命ズ
ルコトガ出來ルノデアル、斯ウナッテハ貨
家組合トシテハ甚ダ危險ヲル地位ニアルノ
ヂヤナイカト思フノデスガ、詰リ第四條ガ
相當ナ貸家組合ノ出來ル上ニ影響ガアルコ
トト思フノデアリマスカラ、第四條ニ於ケ
ル所謂必要ナル事業ヲ命ズルコトヲ得ルト
云フモノハ、ドウ云フコトヲ命ジ得ルノデ
アリマスカ、行政官廳ガ必要ト認メレバ、
直チニ貸家組合ニ向ッテ其ノ事業ヲ命ズル
コトガ出來ルノデアルカ、多少危險ノ感ナ
キ能ハズト思フノデスガ、或ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リトカ云フ相當ノ制限ヲ加ヘル必
要ガアルノデハナイカ、行政官廳ハ獨自ノ
見解デ必要ナ事業ヲ命ズルト云フコトニナ
ルト、地方々々ニ依ッテ又色々違ヒヲ生ズ
ルコトニナルノデアリマス、統一的ノ考ヘカ
ラ見テモ矢張リ此ノ行政官廳ガ命ジ得ル事
業ハ勅令ノ定ムル所、命令ノ定ムル所トカ
云フヤウニセナイト、貸家組合ヲ作ル者ハ
何ダカドウモ分ラヌト云フコトニナルト思
フノデスガ、其ノ點ヲ伺ヒタイ、先ヅ第一
ニ貸家組合ニ付テ伺ッテ、ソレカラ住宅營團
ニ付テモ伺ヒタイト思フノデスガ、序デヽ
アリマスカラ、貨家營團ニ付テモ政府ノ所
見ヲ伺ヒタイノデスガ、此ノ貸家營團ナル
モノハ住宅難ヲ緩和スルト云フ趣意カラ出
テ居ルコトハ申ス迄モナイノデアリマス、
御說明ニ依ルト二十坪、十五坪、十坪ノ住
宅ヲ造ッテ、二十坪及ビ十五坪ノ住宅ハ土地
ヲ含メテ分讓スル、十坪ハ貸家ニスルノダ
ト云フコトデアリマスガ、今日住宅難ニ際
シテ土地分讓、土地ヲ含メテ分讓スルト云
フヤウナ方法デ、比較的經費ヲ要スルヤリ
方デ住宅難ヲ緩和スルコトガ出來マスカド
ウカ、尙土地付ノ家屋ヲ分讓スルト云フヤ
リ方デハ所有慾ヲ滿足セシムルト云フコト
ハ出來ルデアリマセウ、併シナガラ今日ハ
住宅ヲ所有シタイト云フ所有慾ヲ滿足セシ
ムルヨリハ、先ヅ以テ居所ニ困ルト云フ者
ヲ救濟スルト云フノガ第一意義デナケレバ
ナラヌト思フ、玆ニ土地付ノ住宅ヲ分讓ス
ルト云フヤリ方デハ相當ノ經費ヲ要スルト
思フノデス、國ノ所有スル土地ヲ以テ政府
ガ出資スト云フコトデアリマスガ、ソレデ
ハ足リナイノデ、無論ソレハ買收シテ行カ
ナケレバナラヌ土地モアルダラウト思フ、
斯カル小住宅ヲ造ル爲ニハ相當ノ地面ヲ要
スルノデ、而モ鳥ノ巢箱ノヤウナ住宅ヲ造ッ
テ、サウシテ果シテ其ノ住宅所有者ガ朗カナ
生活ガ出來ルカドウカ、寧ロ斯カル小住宅
ノ集團的存在ト云フモノハ生活ニ餘リ快ク
ナイモノデアルト私ハ考ヘル、十軒カ二十
軒デアレバ或ハ其ノ小住宅ノ集團的存在ハ大
シタコトデナイト思フノデアリマスガ、此ノ
住宅營團ノ狙ッテ居ル所ハ、モット多クノ小
住宅ヲ造ラウト云フコトデアラウト思フ、
殊ニ火災ノ關係トカ、色々ノ點カラ見テ、
ドウモ此ノ小住宅ヲ澤山造ッテ、サウシテ集
團的生活ヲセシムルト云フコトガ、果シテ
宜イカドウカ、サウ云フ點ニ考ヘナケレバ
ナラヌト思フノデス、何ガ故ニ政府ハ住宅
緩和ト云フ現在ノ急務ニ應ズル爲ニ、集〓
的ノ住宅、私ノ言フ集團的住宅ト云フノハ
「アパート」トカサウ云フヤウナモノヲ言フ
ノデアリマスガ、先ヅサウ云フモノニ主力
ヲ注イデ、追ッテハ小住宅ヲ建設シテ分讓ス
ルノガ宜カラウト思フ、最初カラ此ノ小住
宅ヲ造ルト云フ建前デ、此ノ住宅營團ト云
フ事業ヲ經營セシムルト云フ趣意ガ私ニハ諒
解ガ出來ナイ、御承知ノ通リ今日ハ居所ガナ
イ爲ニ結婚ヲ延バサナケレバナラヌト云フ
ヤウナコトデアル、我ガ國ノ人口ノ增加ノ
率ノ高カッタコトハ住宅ヲ得ルニ容易カッタ
ト云フ點ガ非常ニ影響ガアルノデアッテ、
ㄱヨーロッパ」アタリノ生活狀態ニ較ベテ住宅ガ
極ク簡易ナモノデ、住宅ヲ得ルト云フコト
ハ相當ニ容易カッタト云フコトガ、非常ナ影
響ガアルト私ハ信ジテ居ル、殊ニ妻ヲ得テ
住ム場所スラナイノニ、此ノ小住宅ヲ造ル
ト云フヤウナヤリ方デ、果シテ今日ノ住宅
難ヲ緩和スルコトガ出來ルカドウカ、殊
新シク結婚ヲスル者ガ分讓ノ方法ニ依ッテ
住宅ヲ得ルト云フヤウナコトデ、最初ノ結
婚生活ヲ營ムト云フコトガ考ヘラルヽデア
リマセウカ、差當リ此ノ新シク結婚スル者
ハ兎ニ角「アパート」ノヤウナ小サナ所ニデ
モ住ッテ結婚生活ヲ營マウト云フノガ第一
ニ考ヘル所デアルト思フ、殊ニ二十年先ニ、
此ノ土地ガ自分ノ物ニナルト云フヤウナ前
途遼遠ナ、而モ二十年ノ先ニナッテハドウ
ナルカ分ラナイ、而モ二十年先ニナッテ二
十坪、十五坪ノ小住宅ヲ自分ノ所有ニシヨ
ウト云フヤウナ向上心ノナイ者ハ、マア比
較的私ハ少イダラウト思フ、二十年先ニナッ
テ自分ノ生活モ向上シ、自分ノ地位モ向上
シヨウト云フ者ガ二十年先ヲ豫期シテ此ノ
小住宅ヲ取得スルト云フヤウナ考ヲ持ツデ
アラウカドウカ、今日迄同潤會トカ、其ノ
他ノ團體ガ試ミテ居ルノハ二十年ナドト云
フ長イ期間デハナイ、長クトモ十年位ノモ
ノデアル、二十年先ニナッテ此ノ小住宅或ハ
モウ廢朽ニ近イ小住宅ヲ自分ノ所有ニスル
ト云フヤウナ少シ疎イ考ヲ以テ、此ノ小住
宅ニ住マフト云フヤウナ者ガアルデアラウ
カ、私ハサウ云フ者ハ比較的少イダラウト
思フ、殊ニ何カノ事情ニ依ッテ外ニ移住セネ
バナラヌヤウナ場合ニハ後ノ始末モ大分困
難デアル、成ル程住宅營團デハ之ヲ買收ス
ル、或程度迄自分ノモノニナルノデアリマ
スカラ、サウ云フ希望ノ者ニ對シテハ相當
ノ報償ガ與ヘラルルデアリマセウガ、是ハ
比較的少イノデアル、二十年先ニナッテドウ
ナルカ分ラナイ、子供ガ多クナリ、十五坪
ノ住宅デ足リルカドウカ分ラヌヤウナ者ガ
喜ンデ之ニ應ズルカドウカ、斯ウ云フヤリ
方ガドウデアラウカ、私ハ實ハ斯ウ疑フノ
デアリマス、寧ロ住宅營團デハ差當リ「ア
パート」ノヤウナモノヲドン〓〓造ル、サウ云
フ方針ニ出マスル方ガ宜イト思フ、サウス
レバ土地モ比較的少クテ濟ムノデアル、最
初カラ經費ヲ餘計出シテ造ル所ノ住宅ト云
フモノハ、比較的ニ少イト云フ結果ヲ招來
スルト云フコトハ考へ物デアルト思フノデ
スガ、是等ノ點ヲ一ツ伺ヒタイノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=5
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006・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 只今ノ御質問ニ
御答へ申上ゲマス、第一點ノ貸家組合ノ點
デアリマスガ、貸家組合ヲ作リマシタ理由
ヲ少シ述ベサシテ戴キタイト思ヒマス、大
體日本ノ貸家建築デアリマスガ、事變前ニ
於キマシテハ一年ニ家屋ノ建築數ハ約三十
五萬戶バカリアリマシテ、其ノ中ノ八割五
分ノ三十萬戶ガ大體貸家デアルノデアリマ
ス、其ノ大部分ト云フモノハ民間ノ貸家業
者ト言ヒマスカ、貸家投資家ニ依ッテ建テラ
レテ居ッタノデアリマスガ、事變後色々資材
ノ入手ガ困難ニナリ、又建築費ガ高クナリ
マシタ爲ニ、家ガナカ〓〓出來ナクナッタ
ト云フヤウナコトカラ致シマシテ、從來ノ
貸家業者、貸家投資家ガバラ〓〓デ一人一
人建テル、ソレ等ノ間ニ脈絡統制ガナイト
云フコトハ、斯ウ云フ建築材料ニ致シマシ
テモ、資金ニ致シマシテモ統一サレタ統制
組合ト申シマスカ、ト云フヤウナコトニナッ
テ參リマスト、ドウシテモ不便ナ所ガアリ
きく、斯カル不自由ナ所ガ非常ニ多イノデ
アリマス、ソコニ於キマシテ貸家業者ノ、
何等カ適切ナル組合ヲ作リマシテ、ソレト
建築資材ナリ、或ハ資金ノ方ノ機構ト十分
ナ結ビ付キヲ致シマシテ、ソコニ色々ナ便
宜ヲ供シマスレバ段々ト住宅ガ出來ルヤウ
ニナリヤシナイカ、從來ノ日本ノ貸家ノ建
設ニ與ッテ一番力ノアリマシタモノハ貸家
業者デアリマスカラ、其ノ人達ノ團體ヲ作ッ
テ大イニ協力シテ戴クト云フ積リデ拵ヘラ
レタノデアリマス、ソレデ此ノ貸家組合ニ
對シマスル恩典ト申シマスカ、ト云フモノ
ハ租稅ガ書イテアリマスガ、其ノ外我々ノ
考ト致シマシテハ、十分貸家組合ノ指導ヲ
ヤルト同時ニ、便宜ヲ圖リタイト考ヘテ居
リマス、譬ヘテ言ヒマスト、貸家組合ニ對
シマシテ出來ルダケ、貸家業者デアリマス
カラ、自己資金ヲ以テ貸家ヲ建テル者ガ大
部分ト思ヒマスルガ、モウチヨット金ヲ融通
スレバ、モット餘計ノ貸家ガ出來ヤシナイ
カト云フ場合ニ、資金ヲ融通致シマストカ、
或ハ貸家業者ガ一番困ッテ居リマス點ハ資
材ノ入手難ト云フコトニアルノデアリマス、
サウ云フ點ニ付キマシテ農林、商工當局ト
能ク便宜ヲ圖リマシテ、資材ノ配給ヲ致シ
マスレバ貸家ガ建ツノヂヤナイカト云フヤ
ウナ、サウ云フ資材ノ配給ノ便宜等モ與ヘ
マスシ、又貸家業者ト借リル方ト、色々賃
貸借ノ條件ニ付キマシテ、從來明朗ヲ缺ク
ヤウナ點モアリマスカラ、サウ云フ點ニ付
キマシテ、明朗ヲ期スルト云フコトモ亦必
要デアリマス、ソレカラ色々我々ノ方デ住
宅ノ設計ナリ、資材等ニ付キマシテモ色々
〓究ヲヤッテ居リマス、又住宅營團ガ出來マ
スレバ、サウ云フ點モ十分〓究ヲヤルト思
ヒマスルガ、將來ノ佳宅ハ、非常ニ是ハ國
民ノ生活ノ本據デアリマシテ、重要ナ問題
デアリマス、サウ云フ點ニ付キマシテ、我
我ナリ、又住宅營團ガ持ッテ居リマスル技
術トカ何トカモ、出來ルダケ此ノ貸家組
合ヲ通ジテ應援ヲスルト云フヤウナコトニ
致シマシテ、出來ルダケ伸バシテ行キタイ、
サウ云フコトガ我々ノ努力ニ依ッテ能ク出
來ルカ出來ナイカニ依リマシテ、貸家組合
ガ將來伸ビルカ伸ビナイカト云フコトニナ
ルダラウト思フノデアリマス、尙貨家組合
ガ非常ニ將來出來ル見込ガアルカト云フ御
尋ネデアリマシタガ、實ハ一昨年ノ夏カラ
貸家組合ヲ、申合セ組合ニ依リマシテ、各
地方ニ於キマシテ段々造ルコトヲ勸メテ參ッ
タノデアリマシテ、其ノ後ノ成績ニ依リマ
スト、貸家組合ガ大體全國デ百八十八出來
テ居リマス、ソレカラ「アパート」ノ貸室組
合ガ二十、合計二百八ノ組合ガ旣ニ出來テ
居リマス、此ノ法律ノ出來ルコトヲ非常
ニ希望シテ居ルノデアリマス、旣ニサウ云
フ二百八ノ組合ガ出來テ居リマスルガ、其
ノ外組合ノ出來ナイ所ニ於キマシテハ、出
來ルダケ住宅難ノヒドイ所カラ漸次作ラシ
テ行キタイト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス、私ハ十分貸家組合ハ指導便益ノ
與ヘ次第ニ依リマシテハ發展スルモノヂヤ
ナイカト斯フ云フ風ニ考ヘテ居リマス、ソレ
カラ第四條ノ命令ノ御話ガアッタノデアリ
マスルガ、御尤モナ御意見デアリマシテ、大
體第四條ノ規定ノ致シ方ハ商業組合法ニ、
傚ッタノデアリマシテ、商業組合法ニ於キ
マシテモ、命令ノ定ムル所ニ依リト云フヤ
ウナ條件ハ實ハ入ッテ居ナイノデアリマシ
テ、商業組合法ノ例其ノ儘デアリマス、勿論
第四條デ如何ナルコトモ命ジ得ルカト申上
ゲマスルト、ソレハサウデハナイノデアリ
マシテ、大體第二條ノ組合ノ事業トシテ考
ヘ得ベキコトヲ命令スルノデアリマス、我
我ト致シマシテハ差當リ現在貸家貸間ノ案
內所ト云フモノガアリマスガ、アヽ云フ自
分ノ組合員ノ持ッテ居ル家デ空家ガ出來タヤ
ウナ場合ニ、ソレヲ適當ナ方法デ一般ノ借
リタイ人ニ知ラセルヤウナ、案內ミタヤウ
ナ仕事等ニ付キマシテ命令ヲシヨウト云フ
風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、其ノ組合ノ
目的トスル範圍ヲ脫スルコトハナイト思ヒ
マス、又勿論仕事ヲ命令致シマスレバ、ソ
レニ依リマシテ金モ必要ニナルノデアリマ
シテ、サウ云フコトモアリマシテ、極ク零
碎ナ貸家投資家ニ非常ナ負擔ヲ與ヘルコト
ノナイヤウニ心掛ケテ行カネバナラヌト考
ヘマス、又此ノ貸家組合ニ對シマシテハ豫
算上ノ補助ガアリマシテ、一ツノ貸家組合
ニ對シテ、大體豫算ノ計畫ト致シマシテハ
百圓ノ補助、第二條ノ第三號ニアリマス斡
旋所ノ設置ニ付キマシテハ、一箇所千圓以
內ノ補助金ヲヤルト云フヤウナコトニモナッ
テ居リマシテ、出來ルダケ組合ノ資力ニ應
ジマシテ、適當ニ第四條ヲ活用致シタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス、尙第四條ニ依
リマシテ地方長官ガ貸家組合ニ對シマシテ
命令ヲスル場合ニ於キマシテハ、豫メ厚生
大臣ノ許可ガナケレバ、地方長官モ命令ガ
出來ナイト云フコトニ致ス積リデ居リマス
ノデ、無理ナコトヲ致サヌヤウニ十分努メ
タイト考ヘテ居リマス、次ニ住宅營國ノ問
題デアリマスルガ、差當リ非常ナ住宅拂底
ニナッテ居ルデハテイカ、土地附ノ分讓ト云
フコトハドウデアラウカ、ソレヨリモア
パート」ヲ造ッタラドウデアルカト云フヤウ
ナ御質問デアッタト思ヒマス、大體ノ事業計
畫ト致シマシテハ、先程次官ヨリ御說明申
上ゲマシタ通リ、原則トシテ、マア土地
附分讓ト云フヤウナコトヲ考ヘテ居リマス
ガ、是ハ何モ土地附分讓ト云フコトガ原則
デハナイノデアリマシテ、事業計畫ヲ立テ
マス上ニ於キマシテハ、矢張リソンナ廣イ
土地ヲ直チニ借リ得ルモノデアルカドウカ
ト云フコトハ、非常ニ疑問デアリマス、矢
張リ土地ヲ買ッテ、一應ソレヲ分讓スルト
云フヤウナ計畫ヲ立テネバナラヌノデサウ
云フ風ニシタ譯デアリマス、御言葉ノ中ニ
アリマシタヤウニ實際庶民階級ガ最モ希望
シテ居リマスノハ、土地附ノ住宅デアリマ
シテ、是ハモウ同潤會ノ例等ニ照シ合セテ
モ非常ナ申込ガアリ、希望ガ多イノデアリ
マシテ)又將來其ノ個人ノ經濟カラ申上ゲ
マスレバ、土地ヲ所有サセルト云フコトガ
非常ニ宜イコトデアラウト考ヘマシテ、サ
ウ云フ風ニ致シタノデアリマス、尙建坪ハ
先程申上ゲマシタヤウニ、二十坪、十五坪
デアリマスガ、土地ニ付キマシテハ多少ノ
餘裕ヲ持タセマシテ、將來其ノ住ンデ居ル所
ガ向上發展ヲ致シマスレバ、多少建增シノ餘
裕モ出來ルヤウニ考ヘタイト思ッテ居ルノデ
アリマス、ソレカラサウ云フヤウナ狀況デ
アリマシテ、此ノ建設ガ出來マシタナラバ、
相當私ハ澤山ノ希望者ガアリマシテ、如何
ナル人ヲ住マハセルカト云フコトニ付テハ、
困ル程度ニナリハシナイカト考ヘテ居ルノ
デアリマス、ソレカラ集團的ノ建設ヲセネ
バナラヌト思ヒマスガ、ソレハ色々管理ノ
點カラ言ヒマシテモ、住宅ノ經營管理ノ點
カラ言ヒマシテモ、集團的ノモノガ最モ經
濟的デアリマス、勿論集國的ニ致シマシテ
モ十分保健、衞生或ハ防火防空ノ點モ考ヘ
マシテ、十分設計ヲ致シタイト考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=6
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007・仁井田益太郎
○仁井田益太郞君 「アパート」ノヤウナモ
ノヲ矢張リ同時ニ造ルト云フ御考デアルカ
ドウカ、今ノ同潤會ノ例ナゾニ依ッテ、分讓
ヲ欲スル者ガ相當ニアルト云フコトデアリ
マスガ、是ハアルカモ知レマセヌガ、ソレ
ヨリ一層居所ニ困ルト云フ者ガ非常ニ多イ
ノデスカラ、其ノ者ノ希望ヲ充タスト云フ
ノガ現在ノ、私ハ急務ヂヤナイカト思フ、
家屋ヲ自分ノモノニシタイト云フ希望ヲ滿
足スルヨリハ、先ヅ居所ヲ與ヘルト云フコ
トガ第一ノ要義デナケレバナラヌト思フノ
デス、成ル程希望者ハソレハアルカモ知レ
マセヌ、大勢ノ者ノ中デアリマスカラ···
併シ差當リハ矢張リ「アパート」式ノモノヲ
造ッテ現在ノ住宅難ヲ緩和スルト云フ所ニ主
力ヲ置イテコソ社會政策トシテ然ルベキデ
アッテ、何モ土地ヲ呉レテ住宅ヲ得タイト云
フ者ノ希望ヲ滿足セシムルト云フヤウナコ
トニ重キヲ置クベキモノデナイト思フ、ソ
レハ別ナ問題デス、土地附ノ住宅ヲ與ヘル
ト云フコトハ、是ハ所有慾ヲ滿足セシムルト
云フコトデアリマス、現在ノ急務ハ社會政
策トシテ居住ヲ與ヘルト云フ點ニアルノダ
カラ、居所ヲ與ヘルト云フ意味ニ於テハ
成ルベク廣ク居所ヲ與ヘルヤウテ方法ヲ採
ラナケレバナラヌ、先ヅ私ハ住宅營團トシ
テハ「アパート」式ノ住宅ラ造ルト云フ所ニ
主力ヲ注グベキモノデアルト思フ、然ラズ
ンバ住宅營團ヲ作ルト云フ趣意ガ立タナイ
イノデ、一億圓モ政府ガ出資シテ、所有慾
ヲ滿足セシムルト云フコトデハ、現在ノ急
務ニ應ズルニ足ラヌト思ヒマス、其ノ所有
慾ヲ滿足セシムルト云フコトト、住宅難ヲ
緩和セシムルト云フコトトハ丸デ別ナ問題
デアル、此ノ住宅營團ハ是ハ社會立法デアッ
テ、是ハ現在ノ住宅難ヲ緩和スルト云フ
コトニ於テコソ、住宅營團法ヲ制定スルト
云フ理由ガアルノダラウト思フ、サウ云フ
意味カラ私ハ住宅營團法ト云フモノヲ施行
スルニ當ッテハ、ドウシテモ主力ヲ「アパー
ト」式ノモノ、或ハ長屋デモ宜シイガ、サウ
云フモノノ建築ニ重キヲ置イテ、徐ニ將來
ハ小住宅ヲ造ルノハ宜イト思フノデスガ、
先ヅ差當リ「アパート」式ノモノヲ造ッテ、住
宅難ヲ速カニ緩和スルト云フコトデナケレ
バ、此ノ住宅營團法ヲ制定シタ理由ハ而モ
政府ガ一億圓ヲ出資シテ、此ノ住宅營團法
ヲ施行スルト云フ理由ガ私ハ乏シイト斯ウ
考ヘマス、是ハモウ意見ニナルカモ知レマ
セヌガ、其ノ「アパート」式ノモノヲ何故造
ルト云フコトヲ最初ニ先ヅ第一ニ計畫セラ
レナイカト云フコトヲ私ハ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=7
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008・兒玉政介
○政府委員(兒玉政介君) 現在ノ時局ト謂
ヒマスカ、住宅對策トシマシテハ實ハ昨年
末ニ閣議ノ決定モアルノデアリマスガ、其
ノ閣議ノ決定ニナッテ居リマス住宅對策ノ內
容ハ色々ナ方面ニ亙ッテ居ルノデアリマシ
テ、大體現在ノ住宅難ト云フモノハ產業經
濟界ノ變化ト申シマスカ、都會ニ工業ガ勃
興シ、都會ニ人ガ集ッテ來ルト、其ノ工業都
市ニ非常ニ澤山ノ人ガ集中スルト云フコト
ガ、モウ一番ノ大キナ問題ナノデアリマス、
ソコデ自ラサウシタ工業ノ勃興ニ伴フ住宅
難ソコデ今囘提案シテアリマス住宅營團
法ノ如キモ、勞務者ト云フコトヲ特ニ例
示的ニ謳ッテアルノデアリマスガ、獨リ
勞務者バカリデハアリマセヌ、ソレニ伴フ
色々ノ庶民ノ住宅難ト云フモノモアルノデ
アリマスガ、一番甚シイノハサウ云フ
方面デアリマシテ、ソレデ之ニ對處スル
一ツノ方法トシテハ、事業ヲ營ム者ハ先ヅ
自分ノ所ニ使フ勞務者ノ住宅ラ成ルベク建
テヽ貰ヒタイト云フコトガ一ツノ眼目デア
リマシテ、其ノ事ハ實ハ對策ノ中ニモアルノ
デアリマシテ、必要ニ應ジテ一定スル勞務
者ヲ使用スル事業者ニ對シテハ、住宅ノ建
築ヲ命ズルト云フヤウナコトモ實ハ從來ニ
於キマシテモ、サウ云フ工場、鑛山等ノ事
業主ニ對シテハ或ハ資金ノ供給デアルトカ、
或ハ資材ノ供給デアルトカ云フ助長ノ方法
ヲ以テヤッテ貰ッテ居ルノデアリマスガ、ナ
カナカ之ガ十分ト云フ譯ニハ行カナイガ、
是ガ一ツノ行キ方、又獨リ民間ノ事業主ダ
ケデナク、官ノ作業廳ニ於テモ同樣ナコト
ガ言ヘルノデアリマシテ、是ハモウ政府ニ
於テ自ラ一ツヤリ得ルヤウニシタイ、更之
其ノ足リナイ所ニ關シマシテハ地方公共團
體ヲシテ、是亦助長的ニ住宅ヲ建テサセテ
居ルト云フヤウナコトヲ從來モヤッテ參ッタ
ノデアリマス、只今社會局長カラモ御說明
申上ゲマシタヤウニ、從來ノ住宅ノ一番根
幹ヲ成スモノハ矢張リ民間ノ小サイ投資ニ
依ル住宅ト云フモノガ一番大キナ部面ヲ占
メテ居ッタ、之ガ大變資材ノ入手難、或ハ資
金ノ入手難、或ハ賃貸條件ヲ履行シテ行ク
色々ナ煩雜ト云フヤウナコトカラ、阻害サ
レテ居ルト云フヤウナコトカラ、斯ウ云フ
組合法ヲ提出シ、更ニ住宅營團ト云フヤウ
ナ特殊ノ法人ヲ設ケテ、一ツ相當規模ノモ
ノヲ建テサセヨウト云フ、斯ウ云フ色々ナ
行キ方ヲシテ居ルノデアリマシテ、只今御
意見ノ如ク、「アパート」ノヤウナ物ヲ建テ
テ早ク入レサセタラ宣シイデハナイカト云
フ點、誠ニ御尤モニ考ヘルノデアリマスガ、
今迄ノ進ンデ居リマス行キ方、又現在考へ
テ居リマス所デハ、獨身者ヲ主トシタ謂ハ
バ「アパート」言ヒマスカ、共同的ナ施設ニ
付テハ、主トシテ是ハ事業主ニ於テヤッテ
貰ヒタイト云フコトヲ考ヘテ居リマシテ、
住宅營團トシテハ大體小サイ獨立シタ世帶
向ノ住宅ヲ一ツ擔當シテ行カウト云フ、斯
ウ云フコトガ一ツノ考ヘ方ナンデアリマス、
住宅營團ガ「アパート」ヲヤッテナラナイト
云フコトハ決シテゴザイマセヌ、或ハ將來
ノ狀況ニ依ッテ只今考ヘテ居ルヤウナコトヲ
變更スルヤウナコトハナイトモ限リマセヌ
ガ、只今ノ進ミ方トシテハ、所謂世帶向ノ
小サナ住宅ヲヤッテ行キタイ、併シ今御示シ
モアリマシタガ、例ヘバ此ノ十坪ノ貸家ヲ
建築スルヤリ方トシテハ、場合ニ依ッテハ
立體的ト云ヒマシテ木造ノ關係デアリマス
カラ、高層ノ建築ト云フ譯ニ參リマセヌケ
レドモ、或ハ二階ノ四戶建ト云ッタナヤウ
方式モ考ヘテ居リマスガ、斯ウ云フ行キ方
ハ或ハ或見方カラ申セバ只今御示シノ「ア
パート」ニ稍〓近付イタヤウナ行キ方ニナラ
ウカトモ考ヘマスガ、高層建築ト云フコト
ニナリマスト、資材ノ關係、或ハ資金ノ關
係斯ウ云フヤウナモノデ相當制限ヲ受ケ
ル都合モアリマスノデ、差當リハ先程來御
說明申上ゲタヤウナ進ミ方ヲシタイト、斯
樣ナ形式ヲ立テテ居ルノデアリマス、同潤
會等ニ於キマシテモ實ハ御承知ノ通リニ、ア
ノ震災直後ニ急ニ應ズル場合ニハ實ニ粗末ナ
「バラック」ヲ建テテ居ッタノデアリマスガ、其
ノ後段々ト落著イテ來マシテ、質的ニ「コ
ンクリート」ノ「アパート」ト云フヤウナモ
ノニ移リ、更ニ其ノ後ノ情勢カラ見マスト、
矢張リ自分ノ城廓ト謂ヒマスカ、自分ノ家
ト云フモノヲ持チタイト云フ希望ヲ比較的
庶民階級ニ於テハ强ク持ッテ居ルト云フ狀
況モアリマスルノデ、最近ニ於キマシテハ
分讓ノ方式ト云フモノヲ盛ンニヤッテ、大
變是ハ歡迎ヲサレテ居ルト云フヤウナコト
デアリマスガ、其ノ經過ヲマア考ヘマスレ
バ、不燃質建築ニ進ムト云フノニハ、時期
ガチヨット只今ノ所デハ不向ヂヤナイカ
ト思フ關係モアリマスシ、今ノ所デハ
丁度其ノ分讓ノ住宅、小住宅ト云フモ
ノニ向ッテ進ンデ〓見ヨウ、但シ極ク小
サイモノニ付キマシテハ貸家式ノ經營
ヲ致シ、マア其ノ建築方式ニ付キマ
シテハ先程申上ゲマシタヤナ、或ハマ
ア長屋······ト云ウテモ變デスガ、集團
的ナ建築ト云フヤウナコトモ實ハ其ノ中
ニハ考ヘテ居ルト、斯ウ云フヤウナ狀態デ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=8
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009・仁井田益太郎
○仁井田益太郞君 極ク簡單ニデスガ··
實ハ分讓デ土地家屋ヲ賣ルト云フ程度ノモノ
三、ソレ程意ヲ用ヒルニ及バナイノデ、
ソレスラモ出來ナイデ、而モ住宅ニ困ッテ居
ル者ガアルノデアリマス、之ヲドウシテモ
救フト云フノガ眼目デナケレバナラヌト考
ヘルノデアリマス、是ハモウ意見ノ相違デ
アリマスカラ、是ダケ述ベテ私ハ私ノ質問
ヲ打切ルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=9
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010・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) チヨット說明ガ
サッキ足リマセヌデシタカラ實情ヲ申上ゲ
テ置キタイト思ヒマスガ、實ハ一昨年カラ=
御說ノヤウニ主トシテマア軍需工場トカ、
生產力擴充ノ工場ニ於キマシテノ勞務者ガ
偏在シタト云フノガ住宅難ノ大キナ原因デ
アリマシテ、從ッテ鑛山工場ノ事業主ニ對シ
マシテ色々便宜ヲ圖リマシテ、勞務者住宅
ノ建設モシテ居ルノデアリマス、ソレデ昨
年暮ノ報告ニ依リマスト、工場主デ其ノ使
用スル勞務者ノ爲ニ建築中ノ世帶向······獨
立ノ家屋モアリマセウシ、長屋モアルノデ
アリマスガ、世帶向住宅ガ約七萬八千位出
來ツヽアルノデアリマス、ソレカラ獨身勞
務者ノ所謂「アパート」式ノ共同宿舍ト謂ヒマ
スカ、ソレガ約十四萬三千六百戶位モ事業
主ノ手ニ依ッテ出來ツヽアルノデアリマス、
資金モ低利資金ヲ四千萬圓バカリ融通シテ
居リマス、更ニ昭和十六年度ノ事業主ノ建
築ニ付キマシテハ、是ハ來年ノ勞務動員計
畫トモ關聯ヲ持チマスカラ、ソレト關聯シ
テ十分ニ造リタイト考ヘテ居リマス、尙其
ノ住宅ノ全體トシテノ考ヲ只今次官カラ申
サレタノデアリマスガ、數字ヲチヨット申
上ゲテ置キマスト、大體我ガ國ニ於キマシ
テハ一年間三十萬戶位ノ住宅ガ新築サレナ
イト云フト、ドウシテモ住宅難ニ陷ル譯デ、
此ノ數年間非常ナマア積ミ重ナッタ不足ト
云フコトガソコニ來テ居ル譯デアリマスガ、
其ノ三十萬戶ノ住宅ヲ造ル爲ニ、大體事業
主ニ對シマシテハ資金、資材ノ世話ヲ致シ
マシテ、二十萬人分ノ獨身者住宅ト謂ヒマ
スカ、「アパート」ト謂ヒマスカ、ソレヲ造ラ
セ、ソレカラ三萬世帶分ノ住宅ヲ事業主ニ
マア造ッテ戴ク、サウ云フノハ主トシテ大キ
ナ事業主ニ造ッテ戴クノデアリマシテ、此ノ
住宅營團ノ狙ッテ居リマスノハ、マア中小ノ
工場ノ勞働者ナリ、一般庶民階級、軍人モ
居リマスシ、役人モ居リマスシ、會社員モ
居リマスシ、色々庶民階級ノ住宅ヲ作リ
タイ、ソレデ僅カ年精々六萬戶デアリマシ
テ、三十萬戶ノ中ノ一部デアリマス、ソレカ
ラ民間デ最近「アパート」ガ出來テ居ルノデ
アリマシテ、此ノ民間人ノ手ニ依ッテ約事變
前ノ半分近クノ十六萬戶位ヲ貸家組合等ノ
手ニ依ッテ作ッテ戴キタイ、全體ヲ照シ合セ
テ見マスト可ナリ「アパート」式ノ家モ立ツ
譯デアリマス、サウ云フ全體ノ關係カラ睨
ミ合セテ、住宅營團ハ先程申シマシタ事業
計畫デ······將來變更スルカ知レマセヌガ、
今ハサウ云フ方針デ進ミタイト考ヘテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=10
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011・安宅彌吉
○安宅彌吉君 此ノ貸家法ト住宅營團ト云
フノハ住宅營團ハ目的ガ勞務者、庶民ト
ナッテ居ル、片方ハ貸家ノ供給ヲ圓滑ナラシ
ムト書イテアル、併シ建物ノ制限ハ兩方ト
モ同ジト了解シテ宜イノデアリマスカ、營
團ノ方ハ二十坪、十五坪、十坪トナッテ居リ
マスガ、此ノ貸家組合法ノ第一條ニ貸家ト
云フモノハ庶民級······マア現在ハ三十坪以
上ノモノハ建テラレヌト云フコトニナッテ
居リマスカラ、片方ハ二十坪十五坪十坪ニ
ナッテ居ルナラバ、其ノ貸家ノ組合ハ三十坪
迄宜イト了解シテ宜イノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=11
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012・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 貸家組合ハ只今
制限ガアリマシテ、三十坪ニナッテ居ル、三
十坪迄如何ナルモノデモ差支ヘナイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=12
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013・安宅彌吉
○安宅彌吉君 中途デスガ、「アパート」ハ
ドウデスカ、現在ノ法律デモ別デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=13
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014・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 「アパート」ハ別
ニナッテ居リマス、ソレカラ住宅營團ニ付キ
マシテハ、只今ノ處事業計畫ニ於キマシテ
ハ二十坪以下ノ所ヲ狙ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=14
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015・安宅彌吉
○安宅彌吉君 ソレカラ第一條ノ經營ノ適
正ト云フノハ、ドウ云フ意味ナンデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=15
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016・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 第一條ノ適正ト
云フ意味ハ此ノ第二條ノ色々ナ事業中カラ
マア拾ヒ出シテ申上ゲマスルト、此ノ一カ
ラ五迄ガ廣イ意味ニ於テノ適正ニナラウカ
ト思ヒマスガ、狹イ意味ニ於キマシテハ、
例ヘバ四號ニアリマスル賃貸條件其ノ他貸
家ノ經營ニ關シマシテ、色々地代家賃統制
令ノ關係モアリマスルシ、合理的ニ經營ヲ
シテ行クヤウニ指導ヲシテ行ク、ソレカラ
二號ニアリマスヤウニ家賃ノ取立等ニ付キ
マシテモ、出來ルダケ、其ノ面倒ガナイヤ
ウニ共同ニ取立ヲスル人ヲ決メマシテヤツ
テ貰ヒマストカ、又修繕ヲ致シマス場合ニ
於キマシテモ、最近ハ修繕用ノ資材トカ或
ハ勞力等ノ點ニ於テ困難デアリマスカラ、
常用ノ大エトカ、決メタ大工ニシテ貰フト
カ、色々サウ云フ點ヲ合理的ニ便宜ニヤリ
マシテ、全體トシテ益〓適正ニヤリタイト云
フヤウナ意味合デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=16
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017・安宅彌吉
○安宅彌吉君 是ハ主トシテ家賃ノ適正ト
云フ意味ガ主要ナモノデハナイノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=17
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018・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 私共ハ必ズシモ
家賃ダケニ考ヘテ居ナイノデアリマス、貸
家ノ經營ノ適正ト云フノハ、非常ニ廣イ意
味ニ於キマシテ、需要供給ノ關係カラ見マ
シテ將來斯ウ云フ點ニ付テ家賃ガ非常ニ下
ガル傾向ガアルカラ、餘リ建テルコトハ見
合ハシタラドウカト云フヤウナ指導モマア
經營ノ主眼點デゴザイマス、今後非常ニ斯
ウ云フ方面ニ金ガ要ルカラ、サウ云フ方面
ニ買ッテ戴キタイト云フコトモ、適正ニ入リ
ヤシナイカ、大キナ意味カラ言ヘバ大キナ
建築ヲスルコトガ今ノ時勢ニ合フカ、需要
供給ノ「バランス」カラ見テドウデアラウカ
ト云フ大キナ指導ヲヤルコトモ適正ト云フ
觀念ニ入ル積リデアリマシテ、サウ云フ意
味合ニ於テノ指導モヤッテ見タイト思ッテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=18
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019・安宅彌吉
○安宅彌吉君 ソレデハ第二條ノ第四項デ
アリマスガ、賃貸條件、是ハ凡ソドノ位ノ
利潤ヲ目安ニシテ政府ハ居ラレルデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=19
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020・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 賃貸條件ト申シ
マスノハ、家賃モ勿論含ムト思ヒマスガ、
其ノ外賃貸契約ノ約款デ定メラレテ居リマ
ス色々ノ、敷金ノ問題モアリマセウシ、又
修繕費ヲドチラデ負擔スルカ負擔區分ノ問
題モアリマセウシ、造作ノ問題モ色々アル
ト思ヒマス、利潤ヲ幾ラニ考ヘテ居ルカト
云フ、御尋デアルノデアリマスガ、其ノ點ハ
地代家賃ノ統制令ニ依リマシテ、現在ドレ
位ノ家賃ガ此ノ時局下ニ於テ妥當デアルカ
ト云フコトハ地代家賃統制令ノ方デ決メラ
レテ居リマスノデ、其ノ方デ動イテ行ク、
斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=20
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021・安宅彌吉
○安宅彌吉君 統制令デハハッキリ利廻リ
ト云フヤウナコトヲ勘定シテ居ラレルカド
ウカ私ハ分リマセヌガ、現在ノ住宅ハ戰前
ニ比較シテ建築費ガ私ハ三倍以上、三倍半
ヂヤナイノカ知ラシト思ッテ居ル、サウシマ
スルト、餘程償却ト云フモノヲ認メナクチ
ヤナラヌ、ソレデ此ノ適正利潤ト云フモノ
ハ丁度戰爭ノ最中ニヤルノデアリマスカラ、
餘程考ヘナケレバナラヌト思ヒマスルガ、
統制令ニ於テハドノ位ノ償却ヲ何年ニ亙ッ
テ許サレルデセウカ、ソレカラ配當ト謂ヒ
マスルカ、ソレニハ制限ガアルノデアリマ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=21
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022・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 地代家賃ノ統制
令ニ於キマシテハ、大體御承知ト思ヒマス
ガ、昨年ノ十月二十日カラ新シク改正ニナツ
タノデアリマスガ、其ノ以前ニ既ニ時代家
賃ガ決ッテ居リマスモノハ、原則トシテ動カ
サナイガ、唯非常ニ高イモノガアリ安イモ
ノガアルト云フ場合ニ於キマシテハ、許可
ヲ受ケテ動カシテ宜シイ、斯ウ云フコトニ
ナッテ居リマス、十月二十日以後ニ新シク建
築サレマシタ家トカ、新シク土地ニ借リマ
シタ地代、或ハ自分ガ住ンデ居ッタモノヲ借
家トシテ新シク人ニ貸シマス場合ノ地代家
賃ニ付キマシテハ大體土地デハ四分二厘
ガ標準ニナッテ居リマス、ソレカラ家賃ニ付
キマシテハ建築價格ノ一定標準ト云フコト
ニナッテ居リマス、從ッテ建築價格ガ二倍三
倍四倍ト高クナリマスレバ、其ノ建築價格
ノ一定ノ割合ト云フコトニナッテ居リマス、
一定割合ト云フコトハドウ云フコトカト申
シマスト、是ハ建築費ガ段々高クナリマス
カラ、矢張リ建築費ニ應ジテ一定ノ割合
ノ家賃ヲ許スト云フコトガ妥當デアリマシ
テ、其ノ割合ヲ決メル上ニ於キマシテ
モ、一方ニ於テハ低物價政策、一方ニ於テハ
國民生活ト云フ點カラ考ヘネバナリマセ
又、又一方ニ於キマシテハ非常ナ住宅難デ
アリ、貸家事業者ガ家ヲ建テナイノモ斯ウ
云フ點ニアルノデアルカラ、時局下許サル
ベキ妥當ナル家賃ト云フモノハ、何處ニ在
ルカト云フコトヲ十分檢討致シマシテ、價
格形成中央委員會ノ答申モ得マシテ決メタ
ノデアリマス、ソレニ依リマスルト、大體家
賃ダケヲ申上ゲマスルガ、家賃ハ建築價格ニ
一定ノ割合ヲ掛ケマシタモノト火災保險料
ト地代ヲ加ヘタモノカラ構成サレテ居ル、
ソレカラ建築價格ニ對スル一定ノ割合ハド
ウ云フ割合デアルカト申シマスト、是ハ普
通ノ住宅「アパート」店舗等ニ依ッテ區別ガ
シテアリマス、又其ノ家ガ木造デアルカ、
或ハ「コンクリート」造リデアルカ、煉瓦造
リデアルカニ依ッテ、矢張リ一定ノ割合ガ違
フノデアリマス、非常ニ使ヒ方ガ亂暴デ永
持チシナイトカ、或ハ家ノ構造ガ木造トカ
煉瓦造リデ耐久性ガアルカニ依ッテモ區別
ガシテアルノデアリマス、大體ノ標準ハ我
我ノ方デ御示シ致シマスガ、此ノ家賃ト云フ
モノハ御承知ノヤウニ色々地方々々ノ慣習、
或ハ色々ノ沿革ニ依リ違フノデアリマスル
カラ、地方長官ガ出來ルダケ建物ノ種類或
ハ地方別ニ應ジテ一定ノ率ヲ決メル、斯ウ
云フコトニナッテ居ルノデアリマス、ソレデ
建築價格ニ對シマシテ一定ノ割合デアリマ
スガ、其ノ割合ニハ建築ノ爲ニ、例ヘバ五千
圓掛カリマシタナラバ、五千圓ニ對シマシテ
一定ノ利率、確カ六分デアリマス、六分ヲ見
テ居リマス、其ノ外木造トカ、種類ニ依リマシ
テ償却年限ガ違ヒマスガ、木造ナラバ二十五
箇年ノ償却年限ヲ認メテ居リマス、家デアリ
マス以上ハ空家ニナルコトモアリマスカラ、
空家ノ危險率モ見テ居リマス、又修繕費モ
見テ居リマス、其ノ外稅金モ見テ居ルノデ
アリマシテ、色々サウ云フモノヲ實際上カ
ラ割出シマシテ、一定ノ割合ヲ決メテ居ル
ノデアリマシテ、東京アタリノ率デ言ヒマ
トス、適正ノ標準ハ建築價格ノ主體建築費
ノ一·一四「パーセント」、是ハ木造デアリマ
ス、一e一四ㄱパーセント」ト云フ標準ヲ認メ
テ居リマス、ソレニ火災保險料ト地代ガ入
リマシテ家賃ヲ形成スル、斯ウ云フコトニ
ナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=22
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023・安宅彌吉
○安宅彌吉君 サウスルト、六分ト云フモノ
ハ決ッテ居リマスガ、建築費ニ六分ヲ乘ジタ
モノ、償却、或ハ空家ニナル場合、火災保
險料ト云フモノヲ含メタモノデ貸シ得ル、
斯ウ云フコトニナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=23
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024・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 六分ノモノヲ認
メマシテ、ソレニ償却費デアリマス、ソレ
カラ修繕費デアリマス、ソレカラ管理費ガ
要リマス、ソレカラ空家損失ノ補償金、先
程申上ゲマシタヤツデアリマス、ソレカラ
色々ナ稅金ノ引當テノ爲ノ費用トカ、サウ
云フモノヲ一切入レマシテ標準率ヲ出シタ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=24
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025・安宅彌吉
○安宅彌吉君 少シ分リ兼ネルノデアリマ
スガ、結局組合員ノ所得ガ幾ラニナリ得ル
ト云フ御考ヘ方デアリマスカ、家賃ノ決メ
方ハ今仰シヤッタヤウナコトデ決メラレル、
サウスルト差引經營者ノ貰ヘルモノハ六分
ニナルト云フコトノ意味ナンデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=25
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026・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 大體ノ標準ハ今
ノヤウナ色々ナモノヲ含メテ標準ハ決ッテ
居リマスガ、各地方々々ノ家賃ノ決メ方
ハ、其ノ標準ニ基キマシテ地方長官ガ一定
ノ率ヲ決メテ居リマス、例ヘバ、貸家建築
費ノ高イ所デアレバ一分ヲ遙カニ越シテ居
ル所モアリマセウシ、又從來ノ慣行デ安ケ
レバ一分ヲ割ッテ居ル所モアリマセウガ、其
ノ率ヲ掛合ハシタモノガ、詰リ一切ノ其ノ
人ノ收入、斯ウ云フコトニナル譯デゴザイ
マシテ、各地方々々ニ依ッテ金額ガソレ〓〓
違フノデアリマシテ、チヨット一〓ニドレ位
ノ儲ケニナルカト云フコトハ申上ゲ兼ネル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=26
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027・安宅彌吉
○安宅彌吉君 此ノ營團ノ方ニハ出資者ニ
對シ年三分五厘ノ率ヲ超エルコトヲ得ズ、
斯ウナッテ居ルヤウデアリマス、サウスルト、
結局各地方總テ三分五厘ヲ超エルコトヲ得
ズ、斯ウナル譯デスネ、サウシマスト貸家
組合ノ方ハ各地方ノ狀況ニ依ッテ各〓、貸ス人
ノ組合員ノ所得ハ違ッテ來ルト云フコトニ
ナル、或ハ最高限ガ何分ヲ超エルコトヲ得
ズ、斯ウ云フコトニナルノヂヤナイデセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=27
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028・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 住宅營團ノ方ハ
出資金ニ對シマシテハ、若シ剩餘金ガアレ
バ、國債ノ利廻ノ三分五厘ヲ限度ト致シマ
シテ配當ガ出來ルト、斯ウ云フコトニナッテ
居リマス、外ノ十億圓ハ是ハ住宅債劵ガ發
行致シマスカラ、其ノ方ノ利廻ノ利率ハド
ウナリマスカ、三分五厘、四分二厘、四分
三厘ニナルカ分リマセヌガ、其ノ限度デアラ
ウト思ヒマス、其ノ住宅營團ノ方ハ······
貸家組合ノ方ハ先程申上ゲマシタヤウニ、
地方長官ガ厚生省ノ標準ニ基キマシテ決メ
マシタ、告示デ決メマシタモノヲ各建築費
ニ掛合ハセマシテ、ソレニ火災保險料ト地
代ヲ寄セタチノガ家賃ニナル、斯ウ云フコ
トニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=28
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029・安宅彌吉
○安宅彌吉君 今公債ノ利息ヲ基準ニサレ
タト云フ御話デスネ、營團ノ方ハ公
債ノ利息ガ將來ニ變ッテ來ル、或ハ下ルカモ
知レマセヌガ、或ハ公債ノ利子ガ上ルト云
フコトガアルカモ知レマセヌガ、上ッテモ、
住宅營團ハ三分五厘ト云フ今日ノ公債ノ利
率ヲ永遠ニ超エルコトヲ得ナイ、斯ウ云フ
コトニナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=29
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030・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 此ノ住宅營團ノ
三分五厘ト云ヒマスノハ、政府出資金ノ
億圓ニ對シテ、若シ剩餘金ガアリマスレバ、
三分五厘迄ハ配當シヨウト云フノデアリマ
ス、併シ先程御說明申上ゲマシタヤウニ、
住宅營團ヲ經營致シマス上ニ於テ、出來ル
ダケ家ヲ安クシナケレバナラヌノデアリマ
スルシ、又危險準備ノ爲ノ積立金モ必要デ
アリマス、又職員モ相當居リマスノデ、職
員ノ退職ノ場合ノ積立金モシナケレバナリ
マセヌ、サウシテ殘リガアリマスレバ、現
在ノ國債ノ利子ノ三分五厘迄ハ政府ニ配當
スルコトガアラウ、斯ウ云フコトヲ決メタ
ノデアリマシテ、當分ノ處三分五厘ヲ變更
スルヤウナ考ヘハ持ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=30
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031・安宅彌吉
○安宅彌吉君 此ノ貸家組合法ノ第一條ノ
第三項デアリマスガ、「貸家及貸家ノ所有者
ニ非ズシテ」ト云フノハ、貸家所有者及ビ貸
家ノ所有者ニ非ズシテト云フ意味デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=31
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032・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 貸家ノ所有者ト、
「貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ經營ヲ爲ス
者」デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=32
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033・安宅彌吉
○安宅彌吉君 脫漏シテ居ルノデスカ、第
三項ハ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=33
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034・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 第三項デアリマ
スカ······ソレハ第四項ニナリマス、第四項
ハ貸家ノ經營ヲ爲ス者ノ範圍ヲ命令デ定メ
ルノデゴザイマス、「貸家ノ所有者ニ非ズシ
テ貸家ノ經營ヲ爲ス者ノ範圍」ヲ定メルノデ
ゴザイマス、貸家ノ所有者ハ當然範圍ヲ定
メル必要ハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=34
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035・安宅彌吉
○安宅彌吉君 前ノノニハ「貸家ノ所有者及
貸家ノ所有者ニ非ズシテ」ト分ケテアリマ
スガ、末項ニハ「貸家及貸家ノ所有者ニ非ズ
シテ」ト云フノデ脫漏シテ居リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=35
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036・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 脫漏シテ居リマ
セヌ、貸家ノ範圍ト「貨家ノ所有者ニ非ズシ
テ貸家ノ經營ヲ爲ス者」ノ範圍ヲ第四項デ
ハッキリ定メタイト云フノデ斯ウ書キマシ
タノデゴザイマス、貸家ノ所有者ニ付テハ、
別ニ意義ヲ定メル必要ガアリマセヌノデ、
是デ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=36
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037・安宅彌吉
○安宅彌吉君 マダ讀ンデ居リマセヌノデ
現在ノ所デハ是デ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=37
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038・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) 外ニ御質問ゴ
ザイマヌセカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=38
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039・松木宗隆
○伯爵松木宗隆君 貸家ノ方デスガ、此ノ
案ニ於テ國ノ目的トスル所ハ、國民ガ住
ムニ家ナク、ト云フヤウナ悲慘ナ狀態、ソ
レヲ打破シタイト云フノガ立法ノ趣意ラシ
インデスナ、其ノ意味カラ言ヘバ、極ク抽
象的ニ申セバ、其ノ貸家業者ト云フ者ハ供
給ヲ圓滑ナラシムル爲ニ努力シナケレバナ
ラヌ建前ニアルノデスカラ、或ハ用語ガ惡
イカモ知レマセヌケレドモ、或ハ國ノ目的
ニ對シテハ、强制ヲ以テヤッテモ宜イト云フ
ヤウナ、主觀的ナ考ヘガ出マスガ、併シサウ
云フコトハ只今感ジニ過ギナイ、今日貸家
業ト云フモノニ對シテ、組合ヲ作ラセルト
云フ以上ハ、組合ハ出來ルダケ一面ニ於テ
任意的ニ組合トスルヤウニ圖ラハナケレバ
ナラヌ、半面ハサウナッテ居ル、ソコデ業者
ト云フモノハ、何ガ主眼デアルカト申セバ
ソレハ所有者又ハ經營者、何レモ利害ガ問
題デアル、ソコデ組合法ニ依ルト資金トカ、
資材トカ、技術トカ、其ノ他色々ノ點ニ於
テ、便宜ヲ與ヘラレテ居ルノデ、業者ニ取ッ
テハ只今伺フ所デハ、何等ソコニ害スル所
ハナイ、寧ロ利スル所ガ多イノデ、只今御
質問ガアリマシタ抽象的ニ第四條ノヤウナ、
如何ナルコトデモ必要ニ應ジテ命ズル、ト
云フヤウナチヨット私モ疑問ヲ持ッタノデス
ガ、併シ段々ノ御說明ニ依リマシテ、四條
ノ解釋ハ私トシテハ了解致シマシタ、サウ
スルト、業者ハ利スル所アッテ害スル所
ナイヤウニ、强制トカ任意トカ、サウ云フ用
語ヲ離レテ、サウシテ自然ニ水ノ流レル如
ク此ノ組合ヲ組織シナケレバナラヌト云フ
コトニ至ルト思フノデアリマス、政府ノ御
說明ニ依ッテモ其ノ見込ハアルト云フコト
デアリマスガ、併シナガラ誠ニ法案ノ技術
ニ付テ素人デスカラ、見込ガ十分アッテ、御
確信モアルト信ジマスガ、併シ今日ハ其ノ
住宅難ト云フモメハ、焦眉ノ差迫ッタ問題
デアッテ、今國民ガ住ムニ家ナクト云フ狀態
ヲ憂ヘテノ立案トシテナラバ、何等カ玆ニ
段々ト見込ガアッテ、自然ニモウ組合ガ出來
上ルト云フヤウナコトハ、少シ緩カニ思フ、
ソコデ何トカモウ少シ當業者ヲ介スルコト
ナクシテ、サウシテ早ク其ノ組合ガ國內ニ
於テ完成セラレルヤウニ促進スルト云フヤ
ウナ意味ノ御趣意デ、玆ニ何カ一ツ御考ヘガ
法條ノ上ニ現レマセヌノデセウカ、ドウデ
セウカ、甚ダ素人デ、立法上ノ技術ハ存ジ
マセヌガ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=39
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040・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 貸家組合ヲ作リ
マシテ、出來ルダケ時局ニ應ジテ家ヲ作ッ
テ戴キタイト云フコトヲ念願致シマシテ此
ノ法規ヲ作ッタノデアリマス、實際問題ト致
シマシテハ先程チヨット申上ゲマシタヤウ
ニ、各縣ニ於キマシテソレノ〓貸家組合ヲ
段々作ラシテ居リマシテ、其ノ數モ相當上ッ
テ居リマス、此ノ法律ガ出マシテ······是ハ
實ハ貸家業者ハ非常ニ希望シテ居リマス、
此ノ法律ガ出マシテ色々ト我々ガ資金ノ世
話ナリ、其ノ他住宅ノ設計指導、其ノ他資
材ノ供給等ニ付キマシテ便利ヲ圖ッテ、干涉
シテ行キマスレバ相當出來ヤシナイカト考
ヘテ居ル譯デアリマス、尙其ノ上ニ極ク僅
カデアリマスケレドモ、貸家組合ニ對シテ
ハ十一萬五千圓バカリノ補助豫算ヲ組ンデ
居ル譯デアリマス、サウ云フ補助ノ方法等
ト相俟チマシテ、尙住宅營團ガ出來マスレ
バ、住宅營團ノ事業ノ中ニ資金ノ貸付ト云
フコトガアリマシテ、貸家組合ニ對シテ資
金ノ貸付ヲスルコトヲ實ハ目論ンデ居ル譯
デアリマス、サウ云フコトデヤッテ行キマス
レバ、敢テ他ノ方法、例ヘバ强制ト云フヤ
ウナ方法、强制設立ト謂ヒマスカ、命令設
立ト云フヤウナ方法ヲ用ヒヌデモ相當進展
シテ行キハシナイカト考ヘマス、實ハ御言
葉ノ點ニ付キマシテハ、斯ウ云フ時局デア
リマスカラ、强制設立或ハ命令設立等ノコ
トモ色々ト〓究ヲ致シタノデアリマスガ、
法制上此ノ出資トカ云フヤウナ組合ニ、負
擔ヲ伴フモノニ付キマシテハ命令デ組合ヲ
作ラセルト云フヤウナ前例等ハ餘リナイヤ
ウデアリマシテ、一先ヅ此ノ方法デ極力努
力シテ見マシテ、尙希望ノヤウニ行ケナイ
ヤウナ組合ニ於テハ又別途ノ方法ヲ考ヘマ
シテモ遲クハナイト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=40
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041・實吉純郎
○子爵實吉純郞君 貸家組合法案ヲ見マス
ト組合員ニ對シテ色々利便ヲ與ヘルヤウ
ニシテ、サウシテ其ノ組合ガ澤山ニ出來ル
ヤウニ奬勵サレテ居リマスガ、其ノ事業ノ
中ニ衞生ニ關シテモ貸家ノ狀態ガ、唯造ラ
レテ可ナリヒドイノガアルヤウニ見エル、
今迄ノ例デハ此ノ貸家ナドニ衞生的ノ設備
ト云フモノガ不完全ノ爲ニ、傳染病ノ傳播
ヲサレタ場合ガアリマス、サウ云フヤウナ
點ヲ矢張リ組合法ノ制定ノ時ニ事業ノ中ニ
ハッキリ御出シニナッタラドウカ、其ノ點ヲ
一ツ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=41
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042・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 只今御尋ノ事項
ハハッキリトハ書イテアリマセヌガ、第二條
ノ第一項ノ第五號ニ「貸家ノ建設及經營ニ
關スル指導、〓究、調査其ノ他組合ノ目的ヲ
達スルニ必要ナル事業」ト云フノガアリマス、
實ハ厚生省ニ於キマシテモ色々ナ見地、保
健衞生ノ見地モアリマス、又內務省トノ密
接ナル關係ノ下ニ防空上ノコトモ考ヘナケ
レバナラヌ、防空、防火ノコトモ考ヘナケ
レバナラヌガ、色々ノ點カラ將來ノ日本ノ
住宅建設ノ指導方針ヲ如何ニスルカト云フ
コトハ大キナ問題デアラウト思ヒマス、住
宅營團モ實ハ相當ノ職能、單ニ住宅ノ供給
ヲスルト云フコトダケデナクテ、將來日本
ノ農村ナリ、漁村ナリ、市街地ノ住宅ガ如
何ニアラネバナラヌカ、國民住宅ノ模範ト
謂ヒマスカ、サウ云フ設計モ致シマシテ、
此ノ組合ト云フモノト密接ナル連絡ノ下ニ、
單ニ衞生トカ保健トカ云フモノデナク、防
空防火ニ有ラユル見地カラ指導ヲシテ行
カナケレバナラヌノデ、御言葉ノヤウニヤッ
テ行ク積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=42
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043・山川建
○男爵山川建君 一ツダケ私ハ今日伺ツテ
置キタイト思フノデアリマスガ、此ノ住
宅營團ノ仕事ノ內容ヲ見マスト、住宅建設
ノ爲ノ資金ノ一部ヲ貸付ケルトカ、或住宅
ノ賣買貸借ノ仲介ヲスルトカ云フヤウナ仕
事ガアルヤウニ先程御說明ガアッタ譯デア
リマス、是ハ申ス迄モナク貸付賣買ノ仲介
トカ云フコトエナリマスト信託業ニ類似
シタ仕事ニナルト思フノデアリマス、又目
的ハ一部ニ限ラレテ居リマシテモ、貸付事
業ヲヤルコトニナリマスト、銀行ノ仕事ノ一
部ヲ行フヤウニ考ヘラレルノデアリマスガ、
私此ノ方面ノコトハ全ク素人デ能ク分リマ
セヌノデ伺フノデアリマスガ、主務大臣ハ
此ノ住宅營團ニ付キマシテハ厚生大臣ト思
フノデアリマスガ、斯ウ云フヤウナ仕事ノ
性質上、大藏大臣或ハ商工大臣ノ住宅營團
ニ關與ナサル範圍、權限ト云フヤウナコト
ニ付キマシテ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=43
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044・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 御尤ナ御尋デア
リマシテ、住宅營團ノ主務大臣ハ厚生大臣
ダケニ實ハシテ居ルノデアリマスガ、只今
御話ガアリマシタ資金ノ貸付ノ問題等ニ付
キマシテハ、出來ルダケ大藏省ト密接ナ連
絡ヲ取ッテヤッテ行キタイト考ヘテ居リマス、
特ニ住宅營團ノ問題ハ其ノ問題ダケデナク
テ、總テノ此ノ資金ノ問題カラ、住宅債劵
ノ發行ノ問題、ソレカラ建築致シマス色々
ナ物資ノ關係デ、大藏省、企畫院、商工省、
或ハ農林省ト非常ナル關係ガアルノデアリ
さく、ソレ等ノ官廳トハ十分連絡ヲ取ッテ
行キタイト考ヘテ居リマス、主務大臣ハ厚
生大臣ダケニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=44
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045・山川建
○男爵山川建君 サウ致シマスト、住宅營
團法ノ三十七條ニアリマス、「主務大臣ハ特
ニ住宅營團監理官ヲ置キ住宅營團ノ業務ヲ
監視セシム」ト云フ、此ノ住宅營團監理官ト
云フ官吏ハ、是ハ矢張リ厚生省ノ中ニアリ
マスガ、只今御說明ノアリマシタヤウニ、
實質上大藏省、或ハ企畫院、或ハ商工省ト
連絡ヲ御取リニナルノデアリマスレバ、法
令上サウ云フヤウナ方面トノ連絡、或ハ業
務ノ一部ノ監督ト云フヤウナコトハナイ譯
デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=45
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046・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 關係各省トハ實
質上十分連絡ヲ取ッテ行キタイト考ヘテ居
リマス、三十七條ノ御尋ノ點ハ、厚生省內
ノ役人ヲ以テスルト云フコトニ只今ノ所考
ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=46
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047・中川望
○中川望君 マダ十分讀ンデ居ラヌノデ、能
ク分ラヌノデ御伺ヒスル譯デアリマス、此
ノ住宅營團ト云フモノハ一ツノモノデアッ
テ、サウシテ全國的ナ是ハ働キヲスルモノ
ダラウト思フノデアリマス、サウナリマス
ト、地方ノ關係ハドウ云フ風ニ組織ニナッテ
ヤッテ參ルノデアリマセウカ、又全國的ニ一
齊ニ仕事ヲ始メテ行クコトニナルノデアリ
マセウカ、先ヅ其ノ點ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=47
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048・熊谷憲一
○政府委員(熊谷憲一君) 御答ヘ申上ゲマ
ス、大體ノ住宅營團ノ仕組ヲ申上ゲマスト、
東京ニ本部ヲ置キマシテ、各地ニ住宅事務
所、所謂支部ト申シマスカ、其ノ支部ヲ作
ルノデアリマス、住宅事務所ヲ置キマスノ
ハ大體東京、名古屋、大阪、北九州ト仙臺
ト五箇所ノ豫定デアリマス、之ヲ一ツノ住
宅營團ニ纏メマシタノハ、資材ノ點カラ、
又資金ノ點カラ見マシテ、矢張リ一元的ニ
一ツノ營團デ統制シタ方ガ宜イト考ヘテ、
ツノ營團ニシタ譯デアリマスケレドモ、住
宅事務所ト申シマスカ、ソレハ支部ニ於キ
マシテソレ〓〓大キナ事業ヲヤッテ居リマ
スカラ、支部ノ權限ハ相當强クナッテ居リ
マシテ、支部限リデ相當ノ仕事ヲヤッテ行
ケルヤウニシテ行キタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=48
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049・田口弼一
○田口弼一君 今日住宅ノ不足ハモウ事
實デアリマシテ、其ノ建設ノ必要ハ非常
ニ痛感シテ居ルノデアリマスガ、最近中
小商工業者其ノ他ノ失業者ガ大分澤山出
來テ居ルヤウデアリマス、ソレカラサウ
云フ者ニ歸農ヲ大分奬メテ居ル事實ヲ承
知致シタノデアリマシテ、最近農林省ア
タリノ御計畫ニ依リマスト、來年ハ大部
米ノ增產計畫等ガ考ヘラレテ居ッテ、歸
農者ヲ澤山出サウ、殊ニ米ノ計畫ノ如キハ
新聞ノ傳フル所ニ依リマスルト、本年ノ
收穫高ニ對シテ來年ハ一千百萬石ト云フ增
產ヲ目途トシテヤッテ居ラレルト云フヤウ
ナコトデアリマス、今日ノ農家ハモウ御承
知ノ通リニ手不足デアル時デアルカラ、ソ
レニ開墾デアルトカ其ノ他ヲヤラセルト云
フコトニナレバ、ドウシテモ失業者其ノ他
ガ農村ニ歸リマシテ、農業ニ從事スルト云
フヤウナコトニシナケレバ、增產計畫ガナ
カナカ立タナイノダラウト思ヒマス、假
一千百萬石ノ米ヲ作ルト云フコトニナリマ
スト、一反假ニ二石、ソレダケ穫レルカド
ウカ知リマセヌガ、假ニ二石穫レテモ、五
百五十萬反、デアリマスカラシテ之ヲ一戶
ガ五反半ダケ作ルコトニシテモ、百萬ノ人
ガ要ルヤウナ勘定ニナルノデアリマスガ、
サウスルト、ソレハ都會ニ居リマス人ヲ結
局農村ニ歸シテ、ソレヲ充用サセナケレバ
出來ナイト云フヤウナコトニナルノデアリ
マスガ、最近餘程失業者ニ歸農スルコトヲ
勸メテ居リ、東京アタリデモ大分失業者ガ
出テ來ルノヂヤナイカト思ヒマス、サウ云
フ失業者ハドノ方面ニ行キマスカ知リマセ
ヌガ、假ニ農業ノ方面ニヤルトカ、或ハ他
ノ方面ニ轉業サシテヤレバ、是モ東京ニ居
レバ同ジコトデアリマスガ、東京ナリ大阪
ナリノ都會ヲ去ルト云フコトニナリマスレ
バ、相當ノ人ガ去ルコトニナル譯デアリマ
ス、ソコデ今日ノ住宅ガ大分緩和サレルノ
ヂヤナイカト思ヒマスガ、サウ云フ點ニ付
テハ何カ多少ノ御調ガゴザイマセウカ、其
ノ點ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=49
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050・兒玉政介
○政府委員(兒玉政介君) 中小商工業者ノ
轉業ノ見透シト云フヤウナモノハ、誠ニム
ヅカシイ問題デアリマスガ、併シ只今大體
ノ見方トシマシテハ一面ニ資材ノ不足ト云
フヤウナコトカラ、整理ヲシナケレバナラ
ナイト云フモノガアリマス半面ニハ、又非
常ニ勞力ヲ要求シテ居ル方面モアリマスノ
デ、大體カラ申シマスレバ、現在ノ狀態ニ
於テハマダ勞力ノ方ガ不足デアルト云フヤ
ウナ狀況ニアルノデアリマシテ、將來ニ於
キマシテモ、勞務ノ轉換ト謂ヒマスカ、適
正ノ配置ト謂ヒマスカ、サウ云フ行キ方デ、
全ク業ガナクテ困ルト云フ者ハサウ澤山ナ
シニ濟ムノヂヤナイカ、又濟マセタイ、斯
樣ニ考ヘテ居ルノデアリマスガ、丁度事變
ノ始マリマシタ直後、昭和十二年ノ末ニハ
三十七萬位ノ失業者ガ出サウデアル、失業ノ
虞レアル者ヲ入レマシテ三十七萬位ト云フ
ヤウナ狀態デ、其ノ爲ニ政府ニ失業對策部、
又商工省ニモ轉業對策部ト云フヤウナモノ
ヲ拵ヘ、更ニ之ヲ轉換サセル爲ニ、職業輔
導所ト云フモノヲ大規模ニ拵ヘマシテ、對
策ヲ可ナリ愼重ニ講ジタノデアリマスガ、
丁度此ノ時ガ半面ニ於テ勞力不足ト云フモ
ノヲ愬ヘル時局產業ト云フモノガ盛ニ興リ
マシタ關係デ、到頭其ノ方へ殆ド吸收サレ
テ行キマシテ、昨年ノ中頃デゴザイマシタ
カ、三萬餘リ、殆ドヨク〓〓ノ人デナケレ
バ失業スルト云フ狀態デハナイト云フコト
ニナッタノデアリマス、最近ニ於テ七·七
禁令、又外交轉換ニ伴フ色々ナ關係デ、多
少現實ノ失業者ト云フモノガ殖エテ居ルヤ
ウデアリマス、昨年ノ暮アタリデ十一一一萬
ト報〓ヲサレテ居リマス、是ハ非常ニ正確
ナモノトハ申上ゲ兼ネマスガ、サウ云フ狀
態デアリマス、ソレデハ是ガドウシテ居ルカト
云フト、端カラ必要ナ產業ニ吸收ヲサレテ
參リマスルノデ、ズット是ガ加算シテ殖エ
テ行クト云フ狀態デモゴザイマセヌ、サウ
云フ狀態ヲ考ヘ併セマスルト、非常ニ此ノ
歸農スル者ノ爲ニ、都市ニ空家ガ殖エルト
云フヤウナコトニハナカ〓〓相成ラヌノデ
ハナイカト云フヤウニ考ヘルノデアリマス
ガ、大體東京ノ狀態ヲ申シマスレバ、昭和
十一年所謂戰前カラ昨年アタリ迄ニ人口ノ
殖エタ割合ヲ申セバ約五十萬、世帶數ニシマ
シテ十萬世帶殖エテ居ルノデアリマスガ、
家ノ殖エタ純增ガ、建ツノモアリマスガ壞
スノモアルト云フヤウナコトデ、差引イタ
モノガ三萬餘、之ニ現實ニアル貸家ガドレ
位デアルカト云フト、八千位ト云フヤウナ
譯デ、普通ノ狀態デ言ヒマスト、大〓空家
ノ狀態ガ五「パーセント」乃至四つパーセン
ト」ヲ下ッテ來ルト住宅難ト云フ狀態ト謂ハ
ルルノデアリマスガ、現在ノ狀態ニ於テ東
京アタリデスト、〇·六幾ツト云フヤウナ狀
態デ、非常ニ逼迫ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、更ニ是ガ此ノ附近デモ川崎デアルトカ、
或ハ群馬縣ノ太田デアルトカ、或ハ吳デア
ルトカ云フヤウナ所ニナリマスルト、是ハ
モウ言語道斷デアリマシテ、吳ノ如キハ最
近實ハ海軍ノ大規模ノ徵用ガアリマシタノ
デ、丁度兵隊ガ出動スル際ニ各民家ニ分宿
スルヤウニ、職工ヲ各家庭ニ割當テテ分宿
ヲサセルト云フヤウナ程度ニ迄ナッテ居ルノ
デアリマシテ、今度ノ住宅營團ニ依ル家ヲ
建テル所ト申シマスノハ、區域ハ全國ニ
ナッテ居リマスケレドモ、大體先程社會局長
カラモ申上ゲマシタヤウニ、サウシタ工場
關係デ非常ニ住宅ノ逼迫シテ居ル所ト云フ
コトニ相成ルト思ヒマスノデ、此ノ方面ニ
關スル限リニ於テハ、ナカ〓〓住宅難ハ緩
和サレルト云フヤウナコトニハ相成ラヌノ
ヂヤナイカト、斯ウ云フヤウニマア考ヘテ
居ルノデアリマスガ、マダ〓〓此ノ程度デ
ハナカ〓〓住宅難ハ當分緩和サレルコトハ
容易デナイト云フヤウナ觀測ヲマア致シテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=50
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051・田口弼一
○田口弼一君 最近彼ノ、是ハモウ御承知
ノ通リ、東京市ト警視廳ノ名前ニ依ッテ避難
調査表ト云フヤウナモノガ我々ノ所ニモ屆
イタノデアリマスガ、是等ヲ見マスト、年寄
子供ナンカ避難シロト云フヤウナ點カラ見
テ、何カ事ガアレバ、爆擊デモサレルト云
フヤウナ事柄ヲ心配サレテ、アヽ云フ調査
ヲ御取リニナッタノデハナイカト思フ、サウ
スルト我ガ國ニ於テモ、マアサウ云フコト
ガ有リ得ルト云フコトガ想像セラレル譯デ
アリマスガ、サウナルト軍需工業ヲ初メト
シテ、工場ノ密集シテ居ルト云フコトハ非
常ナ危險ナ狀態ニ曝サレルコトデアラウト
思ッテ居ルノデアリマス、將來工場ノ分散ノ
方法ダトカ云フヤウナコトガ色々計畫ガナ
ケレバナラヌ、又アルコトダラウト思ッテ居
リマスガ、サウ云フコトニナリマスト、今
東京市竝ニ東京ニ接觸シタ川崎トカ、サウ
云フ所ニ工場ガ澤山アリマスガ、將來ドウ
ナルカ、サウ云フコトモ將來考ヘナケレバ
ナラヌト思ウテ居リマスガ、サウ云フコト
ニ關聯シテ、此ノ住宅地ノ選定ト云フコト
ガ考ヘラレナケレバ、今土地ヲ選定シテ住
宅地ヲ作ッタガ、其ノ工場ガ段々分散シテシ
マッテ諸所方々ニ持ッテ行ッタト云フコトニナ
リマスト、其ノ建築ガ全ク無駄ニナルヤウ
ナコトニナル土地ノ選定ト云フヤウナコト
モ一ツ重要ナ問題ニナルシ、斯ウ云フコト
ニ付テハ何カ相當其ノ關係ノ方ト何カ御交
涉デモアリ、又サウ云フコトヲ考ヘテ居ル
ノデアリマセウカ、其ノ點ヲチヨット御伺
ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=51
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052・兒玉政介
○政府委員(兒玉政介君) 極メテ御尤ナ御
氣附キナノデアリマスガ、全體的ニ工場ノ
分散ト申シマスカ、國土計畫、地方計畫ヲ
ト云フコトヲ立テナケレバナラヌト云フコ
トハ各方面ニ論ゼラレテ居ル所デアリマシ
テ、現ニ是等ノ國土計畫、地方計畫ニ付キ
マシテハ、企畫院、內務省等ニ於テモ折角
考究中デアリマスガ、住宅關係ニ於キマシ
テモ、是ハ對應シテ考ヘテ行カナケレバナ
ラヌト云フ點ハ、全ク御意見ノ通リダト存
ズルノデアリマス、昨年末閣議ニ於テ決定
サレマシダ住宅對策要綱ニ於キマシテモ、
其ノ根本ノ方針トシマシテハ、住宅對策ハ
產業立地、人口分布竝ニ土地ノ配分ノ綜合
的調整ヲ根幹トシテ計畫ヲヤッテ行カナケレ
バナラヌト云フコトモ、實ハ根本ノ方針ト
シテ歌ハレテ居ルノデアリマスシ、又其ノ
內容ニ於キマシテモ、先程モ論ゼラレマシ
タヤウニ、單リ保健衞生バカリデナイ、防
空防火ノ觀點カラ適當ナ方途ヲ講ジナケ
レバナラヌト云フコトデ、其ノ方策ノ中ニ
歌ハレテ居ルノデアリマスカラ、從ッテ工場
ガ地方ニ分散スルト云フヤウナ場合ハドウ
ナルカト云フ點モ、大イニ考ヘナケレバ
ナラス點ト存ジテ居リマス、ソコデ民間ノ
住宅營團ノ住宅ヲ建テル上ニ於キマシテ敷
地ヲ選定スルト云フコトニ付テハ、餘程サ
ウ云フ點、保健衞生、防空、防火ト云フコ
ト、又交通ノ關係ト云フ、色々ナ點ヲ考ヘ
合セネバナラナイト存ジテ居リマス、ナカ
ナカサウナレバ、或ハ川崎ト云フヤウナ所
デ、直グ工場ノ附近ニ土地ヲ得ヨウト云ウ
テモ容易ニ得ラレル筈モゴザイマセヌ、サ
レバト云ウテ、餘リ遠ケレバ交通ノ關係等
ニ支障ガアルト云フコトデ、此ノ敷地ノ選
定ト云フコトハ、是カラ事業執行ノ上ニ於
テ非常ニ困難ナ點デアルト今カラ存ジテ居
ルノデアリマスガ、畢竟出來ル限リ只今御
示ノヤウナ觀點ニ立チマシテ、敷地ノ選定
或ハ住宅ノ建設ト云フヤウナコトヲ考ヘテ
行カナケレバナラヌカト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=52
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053・中川望
○中川望君 只今ノ田口君ノ御質問ニ關聯
シテ居ルコトデアリマスガ、是ハ厚生省直
接御管轄デナイカ知レマセヌガ、私ハ住
宅ノ根本問題ハ工場ト云フモノニ非常ナ
關係ヲ持ッテ居ルト存ジマスノデ、前年來商
工省ニ於テハ此ノ工場ノ統制ノコトニ付テ
御考ニナッテ居ルヤウニ伺ッテ居ルノデアリ
マスガ、是ガドウ云フ風ニ働イテ居リマス
カ、詰リ工場設置ガ都會ヲ目指シテ、其ノ
周圍ニ無制限ニ出來ルト云フコトニナルト
住宅ノ問題ヲ如何ニ解決スルカト云フコト
ハ到底非常ニ至難ナ問題デアル、其ノ工
場設置ノ統制ニ付テドウ云フヤウナ處置ガ
講ゼラレテ居ルカト云フコトヲ適當ナ機會
ニ御示シ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=53
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054・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) 本日ハ此ノ程
度デ散會致シマシテ、明日午前十時カラ開
會致シタイト思ヒマスガ、如何ナモノデゴ
ザイマセウカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=54
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055・立見豐丸
○委員長(子爵立見豐丸君) 御異議ナケレ
バ、左樣ニ致シマス
午後零時八分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵立見豐丸君
副委員長男爵高木喜寛君
委員
侯爵德川賴貞君
侯爵中山輔親君
伯爵松木宗隆君
子爵植村家治君
子爵實吉純郞君
仁井田益太郞君
男爵前田勇君
田口弼一君
男爵山川建君
中川望君
長岡隆一郞君
安宅彌吉君
小坂梅吉君
齋藤万壽雄君
政府委員
厚生次官兒玉政介君
厚生省社會局長熊谷憲一君
厚生書記官高橋敏雄君
同中島賢藏君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007602145X00119410218&spkNum=55
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