第76回帝国議会　衆議院　恩給法中改正法律案委員会　第5号　昭和16年2月14日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十六年二月十四日（金曜日）午前十時二十四分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　林平馬君
  　　理事　宮本雄一郎君　理事　森田重次郎君
  　　　樋口善右衞門君　　熊谷五右衞門君
  　　　　庄司一郎君　　　杉山元治郎君
  　　　　曾和義弌君　　　仲井間宗一君
  　　　　服部岩吉君　　　福田悌夫君
  　　　　本田英作君　　　村瀬武男君
  　　　　吉植庄亮君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　文部大臣　橋田邦彦君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　恩給局長　平木弘君
  　　　　　　　　文部次官　菊池豊三郎君
  　　　文部省專門學務局長　永井浩君
  　　　文部省普通學務局長　中野善敦君
  　　　文部省社會教育局長　纐纈彌三君
  　　　　　文部省體育局長　小笠原道生君
  　　　　　　　文部書記官　柴沼直君
  　委員長の許可を得て出席したる者左の如し
  　　　　　　　　　　議員　池田秀雄君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　恩給法中改正法律案（政府提出）
  　義務教育費國庫負擔法中改正法律案（政府提出）
  　小學校令の改正に伴ふ恩給法等の規定の整理に關する法律案（政府提出）

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• 001・林平馬

  ○林委員長　是ヨリ開會致シマス-森田
  君

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• 002・森田重次郎

  ○森田(重)委員　此ノ間小學校〓員ノ優遇
  ノ問題、或ハ師範學校ノ學資支給ニ關スル
  問題等デ文部當局ニ於カレマシテハ非常ナ
  御盡力ノ結果、部分的ナガラ其ノ目的ガ實
  現サレタコトハ、私等トシテ洵ニ感謝ノ念
  ニ堪ヘナイモノガアリマス、隨テ是以上色
  色學校ノ問題等デ御伺ヒスルト云フコトモ
  ドウカト云ツタ風ニ考ヘテ、大體私ハ質問
  ヲ留保致シタイト考へテ居ツタノデアリマ
  スガ、併シ一面考ヘテ見マスルト、斯ウ云
  フ時ニコソ吾々ハ考ヘナケレバナラナイ問
  題ダケハハツキリト再檢討致シテ置キタ
  イ、サウシテ將來ニ備フベキデハナイカ、
  斯ウ云フヤウナ考ヘカラ、大體私ノ觸レテ
  見タイト思フ問題ノ二、一一ニ付テ質疑ヲ致シ
  テ見タイト思フノデアリマス、私ノ質問ハ
  極メテ簡單ニ申上ゲタイト思フノデアリマ
  スカラ、ドウカ時間ノ關係モオアリダサウ
  デアリマスカラ、簡單ニ御答ヘヲ御願ヒ致
  シタイト思ヒマス
  問題ハ相當廣汎ニ亙ツテ居ルノデアリマ
  スルガ、先ヅ第一番ニ御伺ヒ致シタイコト
  ハ、中等〓育ノ養成機關ノ問題デアリマス、
  工業學校、商業學校及ビ中等農學校ノ〓員
  ノ養成機關ハ、例ヘバ商業學校ノ〓員ノ養
  成ハ、高等商業或ハ商科大學等ニ附設サレ
  タ一ツノ養成方法ヲ考ヘラレテオイデニナ
  ルヤウデアリマス、又工業學校ノ先生等モ
  工業大學ニ〓員養成所ト云フヤウナモノヲ
  設ケラレテ、農學校ノ先生等モ亦ソレニ似
  タヤウナ施設ニナツテ居ルヤウデアリマス、
  聞ク所ニ依リマスト實業學校ノ先生ガ非
  常ニ不足ヲ告ゲテ居ルトノコトデアル、更
  ニ今ノハ中等程度ノ先生ノ養成ナノデアリ
  マスガ、一面又高等專門學校程度ノ先生ナ
  ドモ非常ニ不足ヲ〓ゲテ居ルト云ハレル、
  學校ハ設ケタガ、先生ガナイノデ洵ニ困
  ル、斯ウ云フヤウナ話モ聞イテ居ルノデア
  リマス、ソコデ私ノ伺ヒタイノハ、現在ノ
  實業中等〓員ノ養成ノ狀況、ソレカラ專門
  學校程度ノ先生ノ養成ノ方法竝ニ需要ニ應
  ヘラレテ居ル實情、サウ云ツタヤウナモノ
  ヲ第一ニ御伺ヒ致シタイト思ヒマス

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• 003・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　御話ノ中等〓員ノ養成ニ
  付キマシテハ、現在農業ニ付キマシテハ農
  業〓育專門學校、元是ハ大學ノ農學部ニ附
  設サレテ居リマシタモノガ、數年前獨立致
  シマシテ、農業〓育專門學校ト云フモノガ
  出來テ居ル、ソレカラ商業ニ付キマシテハ
  東京商科大學ノ附屬ニナツテ居リマス商業
  〓員養成所、工業ニ付キマシテハ名古屋高
  等工業、橫濱高等工業ニ附設セラレテ居リ
  マスル工業〓員養成所ト云フモノガ設ケラ
  レテ居リマシテ、ソレ〓〓農業、工業、商業
  ノ相當ノ〓員ノ養成ヲ行ツテ居ルノデアリ
  マス、只今御話モゴザイマスヤウニ、近時非
  常ニ工業〓員ノ需要ガ增大致シマシテ、隨
  ヒマシテ一昨年ヨリ臨時ニ熊本高等工業、廣
  島高等工業ニ更ニ工業〓員養成所ヲ附設致
  シマシテ、其ノ增加ヲ圖ツテ居ルノデゴザ
  イマス、又大分以前ニ實施致シマシテ、一頃
  中止ニナツテ居リマシタ所ノ高等工業學校
  ノ生徒ニ學資ヲ補給致シマシテ、サウシテ
  其ノ學資補給制度ニ依リマシテ、卒業ノ曉
  〓員ノ方へ向イテ貰フト云フヤウナ施設モ
  亦復活致シマシテ、其ノ生徒ノ增募モ行ツ
  テ居リマスルヤウナ譯デゴザイマス、現在
  是等ノ施設ニ依リマシテ養成致シテ居リマ
  ス生徒ノ數ハ、十五年十月現在ニ於キマシ
  テ六百二十四人、ソレカラ只今申シマシタ
  學資補給ヲ致シテ居リマス生徒ノ數ハ四百
  三十一人、合セテ約一千人バカリヲサウ云
  フ風ニシテ養成致シテ居リマス、御話ノ通
  リ目下工業界ノ需要等モ非常ニ增大致シテ
  居リマス、隨ヒマシテ此ノ〓員ノ補充ト云
  フコトハ最モ力ヲ致サナケレバナラヌ關係
  ガゴザイマスノデ、今其ノ方面ニ非常ニ力
  ヲ用ヒテ居ルヤウナ次第デアリマス、尙ホ
  高等專門學校等ノサウ云フ方面ノ〓員ニ付
  キマシテハ、是ハ大學ノ其ノ方面ノ生徒ノ
  增募ヲ圖リマシテ、出來ルダケ其ノ方面ニ
  向イテ貰フヤウニ努メツツアル次第デゴザ
  イマス、大體左樣御承知願ヒマス

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• 004・森田重次郎

  ○森田(重)委員　只今ノ次官ノ御說明ニ依
  リマシテ考ヘナケレバナラヌ問題ハ、體體
  先生ヲ養成スルニ、或ル學校ニ附設サレテ
  居ルモノノ中ニ雜然ト-雜然ト云フノハ
  言ヒ過ギカモ知レマセヌガ、唯一通リ入レ
  テ、ソレデ專門ノ知識ヲ授ケテ、一定ノ年
  限修業シテ出テ來ル、サウスルト商科大學
  ナラ商科大學ト云フノハ、ヤハリ學校ノ目的
  ト云フモノガ先生ヲ作ルコトガ目的デハ
  ナイ、高等工業ナリ或ハ工業大學ニ於テモ
  先生ヲ作ルコトガ目的デハナイ、サウスル
  ト唯ソレニ附隨シテ、專門ノ知識ハ十分得
  ラレルカモ知レマセヌガ、先生トシテノ〓
  養ト云フモノヲ果シテ得ラレルカドウカ、
  玆ニ私ハ今文部省ガ執ツテ居ラルル方針ニ
  付テ相當疑ヒヲ持ツノデアリマス、根本ハ、
  先生ト云フモノハ先ヅ〓育的精神、或ハ〓
  育的良心ノ覺把ト云フコトガ中心ニナラナ
  ケレバナラナイ、サウ云フ人格陶冶ガ行ハ
  レテ、其ノ上ニ今ノ專門的知識ト云ツタヤ
  ウナモノナリ或ハ技能ナリト云フモノガ築
  キ上ゲラレタ者デナイト立派ナ先生トハ言
  ヒ得ナイデハナイカト思フ、ドウモ此ノ根
  本的ナ考ヘ方カラ見マスト、文部省ノ今マ
  デ執ツテオイデニナラレタ方法ト云フモノ
  ニ付テハ、私等ハ相當ノ疑ヒヲ持ツ、果シ
  テ文部省ハ、今私ガ述べマシタヤウナ、此
  ノ〓育者ノ人格ヲ中心トスルト云フ目的達
  成ノ方法ヲ今ノ施設ノ上ニドノ程度マデ特別
  ニ取上ゲテオイデニナルノカ、其ノ〓要ニ
  付テ御所見ヲ承リタイノデアリマス

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• 005・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　洵ニ御尤モナ御所見ト伺
  ヒマス、實ハ御話ノヤウニ吾々モ考ヘルノ
  デアリマス、隨ヒマシテ今ノ實業〓員ノ養
  成ニ付キマシテモ、例ヘバ農業〓員養成ニ
  付キマシテハ、從前大學ニ附設シテアリマ
  シタノヲ獨立致シマシテ、サウシテ農業〓
  育專門學校ト云フ獨立ノ卽チ〓員養成ヲ目
  的トシタ所ノ一面ニ於テハ專門的ノ知識
  ト、一面ニ於テハ精神訓練、詰リ〓育者タ
  ルニ必要ナル所ノ資質ヲ啓培スルト云フ意
  味カラ、獨立ノ專門學校ヲ設置セラレタ譯
  ナノデゴザイマス、同樣ノ趣意ヲ以チマシ
  テ、商業〓育ニ於キマシテモ、或ハ工業〓
  育ニ於キマシテモ、同ジ見地カラ考ヘルベ
  キデアルト實ハ吾々モ考ヘテ居リマス、併
  シナガラ此ノ商業〓員養成ニ付キマシテハ、
  現在商科大學ニ附設サレテ居リマスガ、是
  ハ多年ノ歷史ガアリマス、又ソコニ相當ニ
  沿革モ持ツテ居リマス、是等ニ付テモ、如
  何ニスレバ最モ有效ニ成績ガ擧ルカト云ブ
  コトヲ考ヘナケレバナラヌト思ツテ居リマ
  ス、又工業〓員養成ニ付キマシテモ、只今
  私ガ御說明申上ゲタヤウニ、高等工業學校
  ニ附設シテ置イテハ、或ハ徹底シナイヂヤ
  ナイカ、他ノ專門的知識ヲ授ケル上ニ於テ
  ハ宜イカモ知レマセヌケレドモ、〓員ノ養
  成ト云フ點ニ於テハ如何デアラウカト云フ
  コトハ、御說ノ通リ吾々モ考へテ居ルノデ
  ゴザイマス、併シナガラ又一面ニ於キマシ
  テ、偖テ工業〓員ノ養成機關ヲ獨立ニ一ツ
  考ヘマスルト、是ハ一面サウ云フ〓員ノ「ト
  レーニング」ヲスルト同時ニ、ヤハリ專門的
  ノ知識モ授ケナケレバナリマセヌノデ、サ
  ウシマスルト、工業ハ非常ニ分科ガ多イノ
  デアリマス、機械、電氣、土木、建築、應
  用化學、各般ノ色々施設モ講ジナケレバナ
  リマセヌ、サウシマスト莫大ナ規模ト經費
  ヲ要スル譯デアリマス、ソコラノ調和ヲ如
  何ニシタナラバ宜イデアラウカト云フコト
  デ、是ハ御說ノ通リノコトヲ考ヘナガラ其
  ノ方法ニ付テ今非常ニ苦心シテ居リマス、
  又御承知ノヤウニ〓育審議會等ニ於キマシ
  テモ、斯ウ云フ程度ノ〓員養成ニ付テ相當
  ノ御審議ガアリマシテ、御答申モ出テ居リ
  マス、根本的ニ中等〓員ノ養成ハ現狀ノ儘
  デハ不十分デアル、モツト、只今丁度御話
  ニナツタヤウナ趣意ノ徹底ヲ圖ラナケレバ
  ナラヌト云フコトノ答申モ出テ居リマス、
  又更ニ續イテハ、或ハ試補ノ制度ヲ考ヘテ
  ハドウカ、或ハ又所謂再〓育ノ機關ヲ考ヘ
  テハドウカト云フヤウナコトモ色々御答申
  ニナツテ居リマス、是ハ今後師範〓育ノ改
  善等ト相竝ンデ十分一ツ〓究ヲシテ、何等
  カ適當ナ方法ヲ實現スルヤウニ考ヘテ見タ
  イ、マア目下非常ニ〓究ヲ致シテ居ル次第
  デアリマス

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• 006・森田重次郎

  ○森田(重)委員　御苦心ノアル所ハ能ク分
  リマスガ、私ノ今御伺ヒ致シマシタノハ
  今ノ現實ニ卽シテ各專門學校ニ附設セラレ
  テ居ル〓員養成ノ方法中、其ノ〓員ノ人格
  ヲ陶冶スル爲ニ特別ナル御配慮ガアラレル
  ダラウト思フ、其ノ具體的ナル方法等ハ一
  體ドウナサレテ居ルノカ、唯專門ノ知識技
  能ヲ養成スル方々ト同ジニ取扱ハレテ居ル
  ノカ、又別ニ何カ御施設ガアラレルノカ、
  其ノ點ヲ今現實ノ問題トシテ御伺ヒ致シタ
  イ

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• 007・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今申上ゲマシタヤウニ、
  農業〓育專門學校等ノ獨立シタ機關ニ於キ
  マシテハ相當ヤツテ居リマス、商業〓員養
  成所、ソレカラ工業〓員ノ養成所ニ付キマ
  シテハ、一般ノ專門學科以外ニ〓育學、〓
  授法等ノ特別ナ施設ハ致シテ居リマス、併
  シナガラ是ハマダ十分トハ申上ゲラレナイ
  ト思ヒマスケレドモ、〓育學、〓授法ナリ
  〓員ニ相應シイ學科、ソレカラ其ノ訓練ハ
  相當行ツテ居ル譯ナノデゴザイマス、根本
  的ニ考ヘマシタナラバ、マダ十分トハ申上
  ゲラレナイカト思ヒマス

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• 008・森田重次郎

  ○森田(重)委員　ソレデ私ハ一ツ問題ヲ變
  ヘテ御尋ネ致シタイノデス、文理科大學ト云
  フモノガ設ケラレテ居ルノデアリマスルガ、
  一體是ハ帝國大學ノ文、理科ノヤウナモノ
  トハ現狀ニ於テ如何ナル差違ガアルノデア
  ルカサウシテ此ノ學校ガ設ケラレタ目的
  ハ一體何デアルカ、其ノ點ニ付テ簡單デ宜
  シウゴザイマスカラ伺ヒタイ

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• 009・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　文理科大學ガ設ケラレマ
  シタ沿革ニ付テハ、色々ノ事情ガアツタカ
  トモ存ジマスルケレドモ、御承知ノヤウニ
  高等師範ノ〓育ヲモツト深カラシムルト云
  フ意味モ持ツテ居リマシタト考ヘマスルガ、
  〓員ノ素質ヲ更ニ向上スルト云フ見地カラ、
  大學程度ト云フ要求ガアリマシテ、サウ云
  フ見地カラ色々考究セラレタ結果、一般帝
  國大學ト違ツタ意味ニ於テ、文科、理科ヲ
  綜合スル文理科大學ト云フモノガ設置セラ
  レタノデアルト考ヘマス、併シ是ハ帝國大
  學ノ文科ト理科トヲ唯併セタト云フ意味デ
  ナクシテ、其ノ綜合的ナ運用ニ依リマシテ、
  〓員タルベキ者ガ主トシテ此處ニ入ル、サ
  ウシテ一層ソレヲ綜合的ニ素養訓練ヲ深メ
  ルト云フ意味ガ相當之ニ含マレテ設置セラ
  レタモノト私ハ了解致シテ居リマス

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• 010・森田重次郎

  ○森田(重)委員　多分設ケラレタ目的ハ只
  今次官ノ御說明ノヤウデアツタモノト私等
  モ考ヘテ居ルノデアリマス、然ルニ此ノ中
  ニ於テ行ハレテ居ル授業ノ方法ナリ、或ハ
  〓科ノ編成ナリハ若干異ルモノガアツテモ、
  其ノ根本態度ニ於テハ全ク帝國大學ト違フ
  所ガナイ、或ハ此ノ大學ヲ出夕者ガ高等文
  官ノ試驗ノ方向ヘ向イテ行ツテ、サウシテ
  何人カノ人ガソレニ通ルト云フコトガ、非
  常ニ自慢ノ種ニナルト云フ一ツノ空氣ガア
  ルコトモ私ハ仄聞スルノデアリマス、私
  直接調ベタノデハアリマセヌカラ、若シ私
  ノ言ツタコトガ違ツテ居リマスレバ、次官
  カラ御訂正ヲ加ヘテ戴ケバ結構ダト思ヒマ
  ス、サウ云フコトデアルト致シマスト、是
  ハ學校ヲ設立シタ當時ノ目的ト非常ニ背反
  シタ結果ヲ招イテ來ルト私ハ考ヘルノデア
  リマス、ソコニ私ハ文部省ノ態度トシテハ
  餘程毅然タルモノガナケレバナラナイト思
  フ、詰リ私等ノ翹望スル〓育者ノ養成機關
  ハ如何デナケレバナラヌカト云ヒマスト、
  ソレハ中等〓員ナリ或ハ專門學校ノ〓員ナ
  リ、サウ云フモノヲ養成スル根本的ナ道場
  デアルベキデアル、斯ウ云フ考ヘ方ニナツ
  テ貰ハナケレバナラナイト思ヒマス、ソコデ
  先程次官ニ御尋ネ致シマシタ今ノチリ〓〓
  バラ〓〓ナ〓員ノ養成機關、ソコニ日本ノ
  〓育ノ病根ガ潜ンデ居ルト私ハ思フ、モノ
  ヲ覺エサヘスレバ先生ニナレルノダト云フ、
  極メテ簡單ナ考ヘ方ナンデス、ソコニ高等
  〓育ノ〓員養成所ヲ附設シテアル、其ノ取
  扱方法ト云ヘバ、今マデノ制度ト何等變リ
  ガナクヤツテ來テ、師範學校ヲ出テ來タリ
  シタ者ニ授業料ヲ免除スルトカシテ誘致シ
  テ居ル、何モ外ニ〓員ノ養成ト云フ根本的
  ノ施設ヲナサレテオイデニナラナイ、詰リ
  〓員ヲ養成スルト云フ一貫シタ機關ト指導
  原理ト云フモノガ確立シテ居ラナカツタ所ニ、
  文部省ノ師範制度ニ對スル根本的ナ缺陷ガ潛
  ンデ居ルト思フ、之ヲ是正シテ、本當ノ文理
  科大學ト云フモノヲ綜合的ナ〓員ノ養成機關
  ニスル、詰リ商業學校ニアルモノ、工業學校ニア
  ルモノ或ハ農業學校ニアルモノヲ總テ此處ニ
  綜合スル、綜合大學トシテソコニ一ツノ毅然
  タル師ノ道ノ根本道場ヲ確立スル、無論〓員
  ノ待遇問題等モ全面的ニ良クスルト云フコ
  トガ一ツノ條件ニハナリマスケレドモ、併
  シ一貫セル師ノ道ヲ磨ク機關ト云フモノガ
  ナケレバ、日本ノ國ノ師道刷新ト云フモノ
  ハ私ハ行ハレナイト思フ、ソレヲ色々ノ現實
  或ハ豫算ガ巧ク取レナイト云ツタヤウナコ
  トデ、此ノ師ノ道ト云フモノヲマルデ部分
  的ナ技能ナリ、知識ナリノ方へ皆分散サセ
  テシマツテ、其ノ副貳的ノモノニ見テシマフ、
  之ヲ今日ニ於テ是正スルノデナケレバ、私
  ハ日本ノ國ノ根本的ナ精神昂揚ハ出來ナイ
  ト思フ、其ノ點ヲ非常ニ憂ヘルノデス、ソ
  コデ最後ニ其ノ方面ニ對シテ御伺ヒ致シタ
  イノハ、文部省ハ、今ノ〓員養成機關ニ對
  シテ全面的ナ再檢討ヲ加ヘルコトニ依ツテ、
  一貫セル一ツノ〓育機關トシ、今ノ文理科
  大學ノ如キヲ綜合的ナ精神ノ根本道場トシ
  テ、師ノ道ヲ確立スル御考ヘガオアリニナ
  ルカ、或ハ此ノ點ニ對シテ御〓究ナサツテ
  オイデニナルノデアルカ、其ノ點ニ付テ
  ツ御意見ヲ承リタイト思ヒマス

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• 011・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今森田サンノ御述べニ
  ナリマシタ御精神ハ全ク御同感デアリマス
  師道ノ昂揚、是ガ徹底シナケレバ〓育ノ實
  效ハ擧リマセヌ、隨テ〓員養成ト云フ問題
  ハ、刻下喫緊ノ重要ナ問題デアルト考ヘマス、
  隨ヒマシテ先般文部大臣カラモ御話ガゴザ
  イマシタト思ヒマスガ、師範〓育ノ改善ト
  云フ事柄ニ付キマシテハ、續イテ文部省ハ
  一ツ全面的ノ努力ヲ致シタイト考ヘマシテ、
  單ニ地方ノ師範學校ノ問題ノミナラズ、中
  等〓育、更ニ進ンデハ大學〓育等ニ至ルマ
  デ根本的ニ亙ツテ指導方面ノ徹底ヲ如何ニ
  シテ圖ツテ行クノガ最モ實效的デアルカト
  云フコトヲ十分〓究致シタイト考ヘマス、
  サウ云フ場合ニ於キマシテハ、無論文理科
  大學等ハ重要ナル一ツノ施設ト考ヘマス、
  又〓員ノ絕エザル力ト其ノ精神ノ發揮ト云
  フコトヲ期待スル意味ニ於テ、系統的ナ再
  〓育ト云フモノヲ徹底スルニハ、ドウシタ
  ラ宜イカト云フヤウナ、色々ナ角度カラ師
  範〓育ノ改善ト云フコトハ考ヘナケレバナ
  ラヌト思ヒマス、ソコラハ十分〓究致シタ
  イト思ヒマス

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• 012・森田重次郎

  ○森田(重)委員　此ノ點ニ付テハ一ツ眞劍
  ニ文部省ハ立上ランコトヲ切望致シマス、
  之ヲ立テズニ置イテ、何時デモ先生ノ立場
  ヲ繼子扱ヒニスル、サウシテ置イテ一朝魂
  ノ危機ニ臨ムト云フト、今ノヤウナ國民精
  神總動員トカ何トカ云フヤウナ騷ギヲシナ
  ケレバナラヌヤウナ建前ニナルコトハ、私
  ハ日本ノ國體ニ照ラシテ洵ニ遺憾ニ考ヘテ
  居ル者ノ一人デアリマスカラ、特ニ此ノ點
  ハ御願ヒ致シマス
  更ニモウ一ツ、是ハモウ私ハ本會議ニ於
  テモ議論致シテ居リマスシ、前ノ分科會ニ
  於テモ大體ニ於テ御伺ヒ致シマシタカラ、
  極ク簡單ニ御伺ヒ致シタイノデアリマスガ、
  〓育審議會デ答申致シマシタ中學校ノ卒業
  生ヲ三箇年間收容スルコトニ依ツテヤルト
  云フ師範學校制度ノ實行デアリマス、是ハ
  一體何時カラ實行ナサルト云フ御豫定ナノ
  デアリマスルカ、ソレヲ極ク簡單デ宜シウ
  ゴザイマスカラ御伺ヒ致シマス

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• 013・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是ハ實ハ來年度行フ師範
  〓育ノ改善ニ付キマシテ、實施上ノ準備調
  査ヲスル必要ヲ認メマシテ、豫算ニ計上シ、
  御承認ヲ得ツツアル譯ナノデゴザイマスガ、
  ソレハ實ハ出來得レバ來年度一ツ其ノ調査
  ヲ成ベク急ギマシテ、サウシテ其ノ〓育審
  議會ニ於テアア云フ有力ナ御決議ガアリマ
  シタノデ、其ノ決議ノ精神ニ副ツテ之ヲ內
  容付ケテ、肉付ケシテ、實行上ドウ云フ風
  ニシテヤツテ行ツタラ最モ有效ニ行クカト
  云フコトノ行政上竝ニ內容的ノ見透シヲ付
  ケマシテ、若シソレガ早ク間ニ合ヒマシタ
  ナラバ、出來得レバ次ノ年度カラ實施ノ着
  手ニ移リタイト云フヤウナ積リデ今〓究ヲ
  進メツツアル次第デアリマス

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• 014・森田重次郎

  ○森田(重)委員　ソコデモウ一ツ御伺ヒ致
  シタイノデスガ、今次官ノ御說明デアリマ
  スルト〓究調査ヲスルト云フコトデスガ、
  是ハ案ガ旣ニ決定シ、他ノ行政關係等ノ關
  聯等モ明敏ナ文部當局ノ御調査ナラバ極メ
  テ簡單ニ出來ルコトダト私ハ思フ、恐ラク
  私ハ調査スルト云フコトハサウ云フ點デハ
  ナイダラウト思フ、詰リ是ハ何カ知ラヌ文
  部省ニ一ツノ苦悶ガアルト斯ウ思フ、其ノ
  苦悶ヲドウ解決スルカト云フコトニ打突カ
  ツテ、ソレデ恐ラクハ此ノ一年間調査シヨ
  ウト云ツタヤウナ意味ニナツテ居ルノデハ
  ナイカト思フ、其ノ苦悶ト云フモノハ一體
  何デアルカ、調査シナケレバナラナイト云
  フ其ノ必要、其ノ最モ重要ナ點ノ二、三點ヲ
  御伺ヒ致シタイト思ヒマス

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• 015・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是ハ森田サンハモウ十分
  御承知ノコトト存ジマスルガ、現在御承知
  ノヤウニ〓育審議會ノ決議ニ於キマシテハ、
  大體決議ノ大要ノ仕組ハ中學校ヲ卒業シ
  テ三年ノ課程ノ師範學校ヲ設ケルト云フコ
  トデゴザイマス、唯其ノ精神ニ於テハ何等
  異存ハアリマセヌ、正ニモツト早クサウナ
  ケレバナラヌト考ヘテ居リマシタ位デアリ
  マス、ソコデ此ノ中卒三年ト云フ制度ヲ實
  施スルニ當リマシテハ是ガ財政上ドウ云
  フヤウナコトニナツテ行クカ、中央地方ノ
  關係竝ニソレニ伴ウテ卒業生ノ待遇ヲ何處
  マデ上ゲナケレバナラナイカ、ソレカラ市
  町村ノソレカラ影響シテ來ル所ノ財政ノ關
  係ハドウ云フ風ニナルデアラウカ、ソレカ
  ラ又其ノ學校ヲ拵ヘタ場合ニ、入學志願者
  ノ狀況、調節等ハドウ云フ風ニナルデアラウ
  カ、尙ホモツト是ハ技術的ノコトニナルト
  思ヒマスガ、三年ノ課程ニ於テドウ云フ課
  程ヲ拵ヘテ行クノガ最モ有效デアラウカ、
  現ニ來年四月カラ國民學校ノ制度ガ實施セ
  ラレマス、此ノ國民學校ノ制度ト睨合ハシ
  テ、此ノ師範學校ニ於ケル課程ノ編成ヲド
  ウ云フ風ニシタラ宜イカ、ソレカラ實習ノ
  訓練ノ方法ヲドウ云フ風ニシタラ宜イカ、
  ソレカラ其ノ持ツ學校竝ニ附屬學園トノ關
  係ハドウ云フ風ニシタラ宜イカ、ソレカラ
  〓科書ナリ實施方法ナリ色々〓究スベキコ
  トガアリマス、ソレ等ヲ此ノ一年ノ間ニ一
  生懸命ニ〓究シタイ、サウ云フ譯ナンデア
  リマス

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• 016・森田重次郎

  ○森田(重)委員　マア色々ノ方面カラ承リ
  マシタガ、結局私ハ斯ウ思ヒマス、待遇ノ
  問題モ是ハ文部大臣ハ二倍ニシタイト斯ウ
  仰セラレルノデアリマスルケレドモ、恐ラク
  ハ來年度ニ於テハ相當困難ナコトダト私ハ
  思フ、經費ノ問題ハ是ハヤリヤウニ依ツテ
  ハ何トカナルノダト思ヒマスガ、併シ結局
  待遇ノ問題ガ旣ニ釘付ケニナラズトモ、非
  常ニ狹イ範圍ニ局限サレルト云フコトニナ
  レバ、入學者ヲ得ルト云フコトハ果シテ物
  ニナルヤト云フ點ニ恐ラクハ文部省ノ一番
  ノ大キナ苦悶ガアルノデハナイカ、斯ウ私
  ハ思フノデス、是ハ今ノ待遇、例ヘバ十圓
  高クシタ、二十圓高クシタト云フヤウナ方
  法デ、中學校ノ卒業生ヲ二一箇年間〓育ヲ與ヘ
  ルノダト云フヤウナ方法デ入學者ヲ此處ヘ
  吸引スルト云フコトハ殆ド不可能ナコト
  ダト私ハ思フノデス、サウスルト是ハ文部
  省トシテハ假令一年調査シテモ二年調査シ
  テモ、調査ニ依ツテハ此ノ問題ハ解決出來
  テ來ナイト斯ウ私ハ思フノデス、結局ドウ
  スルノデアルカト云フ問題ニナリハセヌカ、
  ソコデ私ハ〓育審議會ノ答申ナルモノニ付
  テ疑問ヲ持ツノデス、ソコデ私ハ次官ニ御
  意見ヲ御伺ヒシタイ、一體〓育審議會ガ此
  ノ案ヲ立案シテ居ツタ當時ノ社會的ノ環境
  ガ何デアツタカ、ソレハ中學校ヲ卒業シタ
  者ノ奉職ノ途ガナイノデス、外ニ奉職ノ途
  ガナイカラ、小學校ノ代用〓員デモ宜イカラ
  是非入レテ吳レト云フヤウナ一ツノ社會的
  環境ニアツタ時ノ立案デアリマス、ソレデ
  アリマスカラ此ノ點ハ沒批判的ニ取上ゲラ
  レテ此ノ制度デ行ツテモ生徒ヲ吸收スルコ
  ト可能ナリト云フ安易ナ一ツノ背景ノ上ニ
  立ツタ案デアルト思フ、併シ今日ノヤウニ
  逆轉シタ好景氣ノ時代ニナリマスト、マルデ是
  ト逆ナ效果ニナツテ來ル、サウスルト此ノ案ト
  云フモノノ根本ニ檢討スベキ問題ガ包藏サレ
  テ居ルモノト考ヘル、ソコデヤハリ是ハ景氣
  トカ不景氣ニ依ツテ師範學校ノ生徒ガ多ク
  ナツタリ少クナツタリスルヤウナ制度ト云フ
  モノハ、日本ノ國家トシテ將來執ルベキ制
  度デナイト云フノガ私ノ考ヘナノデアリマ
  ス、ソコデ結局ドウスルカト云フト、是ハ
  ヤハリ此ノ形ノモノモ存置スル、併シ是ダ
  ケヲ本體ニスルト云フ立テ方デナク、他也
  ヤハリ陸軍アタリデヤツテ居ツタヤウニ、
  一時幼年學校ヲ廢止シテ中學校ヲ卒業シタ
  者ヲ士官學校ニ入レルト云フコトデアツタケ
  レドモ、幼年學校ヲ復活シテヤルヤウニ
  ナツタト同ジヤウニ、ヤハリ舊來ノ一部制
  ト云フヤウナモノデ、今日ノ給費生ノ制度
  ヲ一本立テテ行ク、併シソレバカリデハ國
  庫ノ費用ノ負擔ガ容易デナイデアリマセウ
  カラ、今ノ〓育審議會ノ採ツタヤウナ案モ
  立テテ二本建ニシテ行ク、サウデナイト日
  本ノ師範制度ト云フモノハ景氣不景氣ニ依
  ツテ常ニ變轉スルト云フ危機ニ直面スル場
  合ガ多クナル、今日文部省ガ此ノ案ヲ良シ
  トシテ肯定シナガラ調査ニ名ヲ藉リテ寳行
  ガ出來ナイト云フ苦悶ハ私ハソコカラ出テ
  居ルト思ヒマス、之ニ對シテ次官ハ一體ド
  ウ云フ御考ヘヲ持ツテ居ラレルカ、伺ヒタ
  イ

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• 017・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　御話ノ點ハ洵ニ重要ナ點
  デアリマス、今御話ノヤウニ社會情勢ノ點
  モ考ヘナケレバナリマセヌ、又〓育審議會
  モ唯机ノ上ノ空疎ナ議論トシテ案ヲ立テタ
  ト云フノデハ決シテナイト思ヒマス、愼重
  審議セラレテ苦心ノ結果今日ノ國民〓育制
  度ノ擴充徹底ヲ圖リ、其ノ有效ナル結果ヲ
  擧ゲンガ爲ニハドウシテモ〓員ノ素質ノ向
  上ヲ圖ラナケレバナラヌト云フ熱心ナ考慮
  ノ下ニ、色々ナ苦心ノ結果、斯ウ云フ答
  申ヲセラレタモノデアルト思ヒマス、唯
  御話ノヤウニ行政上ニ於キマシテハ、社會
  情勢ニ卽應セズシテ、一ツノ理想ニ終ツテ
  シマフヤウナコトデハイケマセヌ、兩々相對
  シテ能ク睨ミヲ付ケテ實效ヲ擧ゲルヤウニ
  行政上ノ圓滑ヲ期シナケレバナラヌト云フ
  コトハ、御話ノ通リ吾々苦心シナケレバナラ
  ヌ所デアルト考ヘマス、只今ノ御話ノ御趣
  意モ多分サウ云フ御趣意デアラウト思ヒマ
  ス、ソコハ卽チ行政上ノ運用ノ點ニ於キマ
  シテ能クソレ等ノ點モ十分睨ンデ檢討シテ
  參リタイ、左樣ニ考ヘテ居リマス

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• 018・森田重次郎

  ○森田(重)委員　併シ此ノ點ハ相當重要ナ
  點ニナツテ來ルト私ハ思ヒマス、無論〓育
  審議會デ審査シタモノハ空疎ナ案ダトハ考
  ヘマセヌ、私モ斯ウ云フ案デ行ケルナラ實
  際ヤリタイト云フ考ヘデスガ、併シ全面的
  ニ考ヘテ、〓育者ノ待遇ヲ今ノヤウナ工合
  ニ放置シテ置イテ、師範學校ダケ斯ウ云フ
  現實カラ離レタ一ツノ案ヲ立テテ見タ所デ、
  ソレハ實現不可能ダト云フコトハ極メテ明
  カナコトデアル、デアルカラ此ノ案ヲ立テ
  タ當時ノ社會的環境ニ立テバ實現可能ノ狀
  況デアツタカラ斯ウ云フ案トナツタノデア
  ル、斯ウ思ヒマス、ソコデ今申上ゲタヤウニ、
  景氣不景氣ニ依ツテ變ルヤウナ制度ヲ取ツ
  テ、其ノ都度又制度ヲ變ヘナケレバナラヌト
  云フヤウナコトデハヤハリ私ハイケナイノ
  ヂヤナイカ、斯ウ云フ私ノ考ヘ方デアル、
  是ハ次官ハ能ク御分リノコトデアラウト思
  ヒマスガ、ズツト前カラノ景氣不景氣ノ狀
  況ト師範學校ノ入學率ノ高低ト云フモノハ
  一ツノ理法ニ合フヤウナ「リズム」ヲ取ツテ居
  ルト云フ點カラ考ヘレバ、此處マデ來タナ
  ラバヤハリ不動ノ方針ヲ立テナケレバナラ
  ヌト思フ、ソコデ此ノ〓育審議會ノ案ニハ
  根本的ニ再檢討ヲ加ヘル必要ガアルト私ハ
  考ヘル、ドウカ是ハ一ツ次官ハ唯オ座ナ
  リト言ヘバ甚ダ失禮デアリマスケレドモ、
  何トカ考ヘマスト云フ程度デナク、是ハ相
  當私ハ決意ヲシナケレバナラナイ問題ダト
  思フ、成ル程〓育審議會ト云フモノハ權威
  ノアル人ヲ網羅シテ居ラレルノデアリマス
  カラ、アナタノ立場カラハドウモ之ニ再檢
  討ヲ加ヘルト云フコトヲ言フト、ソレハド
  ウ云フ譯ダト云フテ責任ヲ追究サレルヤウ
  ナ場面ガ到來スルカモ知レナイケレドモ、
  併シ理法ノアル所如何ナル人ガ〓究シテモ
  再檢討ヲ加ヘル必要ガアルト思フ、今日ノ
  現狀ニ照シテ良イ案ヲ調査ニ名ヲ藉リテ來
  年モ實行出來ナイト云フコトニナツテ居ル
  所カラ考ヘレバ、明カニ是ハ再檢討ヲ加ヘ
  ル必要アリト私ハ認メルヨリ外仕方ガナイ
  ト思フ、此ノ點ニ付テモウ少シ突キ入ツタ
  御考ヘヲ伺ヒタイ、但シ是ハ次官トシテ責
  任ガアルノデ困ルト考ヘラレタナラバ、ア
  ナタ個人ノ考ヘデモ私ハ幸ヒデアルト思ヒ
  マス

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• 019・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　御熱心ナ御說洵ニ御尤モ
  ニ拜承致シマシタ、御話ノ通リ是ハ理想モ
  持タナケレバナリマセヌシ、現實ニ卽シテ
  モ考ヘナケレバナリマセヌガ、其ノ點ハ全
  ク御同感デアリマス、斯樣ナ次第デアリマ
  スカラ、此ノ調査トカ〓究トカハ決シテオ
  座ナリナ〓究調査ト云フ意味デハアリマセ
  又、本當ニソレ等ノ點ヲ十分ニ檢討シテ見
  タイト云フ趣旨ナノデアリマス、ドウゾサ
  ウ云フ風ニ御諒承ヲ願ヒマス

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• 020・森田重次郎

  ○森田(重)委員　今ノ點ニ關聯致シマシテモ
  ウ一點伺ヒタイト思ヒマスガ、實ハ是ハ前
  ニ何遍モ御願ヒシテ置イタノデスガ、ドウ
  モ文部省トシテハヤハリ依然トシテ何トカ
  考ヘマスト云フコトデ行ツテ居ルガ、此ノ
  〓育審議會デ答申シテ居ル案ノヤウニ、之
  ヲ國立トスルコト、專門學校トシテ國立ト
  スルコトガ、ドウシテサウ困難ナノデアル
  カ、此ノ點ニ付テ今マデ幾ラ御願ヒシテモ
  ヤツテ呉レナイノデスガ、何カソコニ大キ
  ナ原因デモアルノデアリマセウカ、ソレヲ一
  ツ伺ヒタイト思ヒマス

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• 021・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是モ今申シマスヤウニ餘
  程綿密ニ各般ノ事情ヲ檢討シテ見マセヌト、
  出來ナイモノヲ是ガ宜イノダト云フヤウナ
  理想ダケ申スノモイケマセヌカラ、サウ云
  フ點等モ十分一ツ本當ニ檢討致シタイト思
  ツテ居リマス、國立ニナレバドウ云フ影響
  ガアルカト云フヤウナ點ニ付テ本當ニ〓究
  シタイト云フ趣意ナノデアリマスカラ、左
  樣御諒承願ヒマス

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• 022・森田重次郎

  ○森田(重)委員　是ハ一ツ十分御檢討ヲ御
  願ヒ致シタイト思フノデアリマス、文部省
  ハ先生ノ待遇問題ヲ非常ニ御考ヘニナツテ
  居ル、事實專門學校ト同ジ程度ノモノヲ中
  等學校ト云フ名稱ヲ與ヘテ居ル、隨テ卒業
  生ノ待遇ハドウカト云フト、ヤハリ中等學
  校ナノダカラ中等學校並ナノダト云フ所カ
  ラ待遇ガ上ツテ來ナイ、是ハ國立專門學校
  ニナルト、ヤハリ專門學校ヲ卒ツタ者ト同
  等ノ待遇ヲ受ケルコトニナル、文部省トシ
  テ一番大事ナコトハ〓員ノ待遇ヲ高メルコ
  トナノデアリマスカラ、其ノ意味ニ於テ私
  ハドウシテモ國立ニ直サナケレバナラヌト
  云フ考ヘヲ强イ意見トシテ持ツテ居ル、
  面財政的ニ考ヘマシテモ、今日師範學校ハ
  地方費ト國家ノ費用トデヤラレテ居ルノデ
  アリマシテ、國立ニナツタカラト云フテ特
  別ナ費用ガ掛ルト云フ筋ノモノデナイト思
  ヒマスカラ、此ノ點ニ付テハ十分御考ヘヲ
  願ヒタイト思ヒマス、之ヲ私ノ希望トシテ
  申上ゲテ置キマス
  ソコデモウ一點、是ハ次官ニ御尋ネシテ
  宜イノカ或ハ他ノ方ニ御尋ネシテ宜イノカ
  見當ガ付キマセヌガ、ドナタデモ宜イカラ
  御答ヘ願ヒタイト思ヒマス、今度國民學校
  制度ト云フモノヲ布カレルコトニナリマシ
  ク、ソコデ舊來ノ小學校ノ方向ト、ソレカ
  ラ今度國民學校ニナツタト云フコトニ付テ
  其ノ根本的ナ理念ハ一體何處ニ相違ガアル
  カ、ソレヲ極メテ簡單デ宜シイカラ一ツ伺
  ヒタイト思ヒマス

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• 023・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是ハ實ハ相當時間ガアツ
  テユツクリ御話申上ゲルト能ク徹底スルカ
  トモ思ヒマスケレドモ、現在ノ小學校ニ於キ
  マシテモ、多年先輩ノ苦心竝ニ其ノ制度ノ沿
  革等カラ徵シマシテ、非常ナ功績ヲ擧ゲテ
  來テ居ラレルト存ジマス、併シ動モスレバ
  途中ニ於テ色々外國ノ思想ノ影響或ハ訓育
  上ニ於テモ色々ナ考ヘニ影響セラレマシテ、
  途中稍〓明瞭ヲ缺クヤウナ憾ミモナキニシモ
  アラズデアリマシタ、今日此ノ國情カラ言
  ヒ、又日本ガ將來世界的ニ發展スルト云フ
  此ノ世界的ノ立場カラ申シマシテ、二種類
  於テハ愈〓日本ノ〓育ヲ本當ニアルベキ姿ニ
  根本的ニ之ヲ明カニシ、而シテ又一面ニ於
  テハ此ノ國民ノ實力ノ基礎的ノ鍊成ヲスル、
  之ヲ極メテ明瞭ニシテ一貫シテ行クコトガ
  必要デアルト云フヤウナ考ヘノ下ニ、〓育
  審議會ニ於テモ種々論議ノ結果、國民學校
  ノ制度ヲ設ケ其ノ精神ヲ一貫シテヤ、ル、卽
  チ皇國ノ道ニ則リマシテ、國民ニ對シテ初
  等普通〓育ヲ施シテ、サウシテ國民ノ基礎
  的鍊成ヲスル、心身學業一體ノ道場トシテ
  其ノ有能ナル機能ヲ發揮シテ行クト云フ建
  前ニ於キマシテ、此ノ國民學校ト云フモノ
  ガ考ヘラレ、ソレヲ明瞭ニシ之ヲ徹底スル
  ト云フコトガ、今日學制ノ根本ヲ成シテ行
  クノデアル、サウ云フ立場ニ於テ謂ハバ〓
  員ヲ初メ此ノ運用ニ當ツテ其ノ世界觀ヲ徹
  底スルト云フ所ニ重點ガ置カレテ居ル、左
  樣ニ考ヘテ居リマス

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• 024・森田重次郎

  ○森田(重)委員　結局斯ウ伺ツテ宜シイノ
  デゴザイマセウカ、卽チ皇國ノ道ト云フモ
  ノガ指導理念ニナル、サウシテ之ニ合フヤ
  ウニ生徒ノ人格ヲ單ナル智的モノデナク、
  統一サレタルモノトシテ鍊成シテ行クノダ、
  斯ウ云フ風ニ御伺ヒシテ宜シウゴザイマセ
  ウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=24

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• 025・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　尙ホソレヲ敷衍シテ申シ
  マスト、色々ト申上ゲルコトモアルノデス
  ガ、皇國ノ道ニ則ツテ、知識技能ヲ一方ニ
  於テ授ケルト共ニ、行的訓練ヲ施シテ、サ
  ウシテ知行一體トシテ人物ヲ鍊成シ、其ノ
  國民的ノ基礎的鍊成ヲナス所トシテ、國民
  學校ヲ置クノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=25

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• 026・森田重次郎

  ○森田(重)委員　ソコデ私ハ斯ウ云フコト
  ヲ實ハ此處デ御尋ネスルノハ果シテ適當カ
  ドウカ分ラナイノデアリマスケレドモ、唯
  相當是ハ考ヘナケレバナラヌ重要ナ問題ダ
  ト思フノデ申上ゲルノデアリマスガ、文部
  省デ此ノ國民學校ノ理念ナルモノヲ〓育者
  ニ先ヅ十分體得セシメナケレバナラヌ、ソ
  コデ色々ノ講習會ノヤウナモノナリ、或
  其ノ他ノ施設ヲナサツテオイデニナリマス、
  所デ此ノ皇國ノ道ト云フノハ、果シテドウ
  云フモノデアルカト云ツタヤウナコトニ付
  テハ、是ハ分ラナイ人ハナイト云ヘバ分ラ
  ナイ人ハナイト言ヒ得ルデアリマセウ、日
  本人ニシテ皇國ノ道ガ分ラナイ者ガアルト云ヘ
  バ、ソレハナイト云ツテ宜イデセウ、宜イデセ
  ウカ、併シ是ハ凡ユル面カラ私ハ檢討スルモノ
  ハ檢討シテ、サウシテ本當ノ身ニ付ク體得ニ
  マデ先生ヲ持ツテ行カナケレバナラナイモノ
  ダト實ハ思フ、然ルニ文部省ガ各所ニ於テ
  講ゼラレテ居タ講習會等ノ實情ヲ見マスト
  云フト三週間トカ四週間トカオヤリニナルノダ
  サウデアリマスガ、其ノ間ドウモ斯ウ云フ
  皇國ノ道等ト云ツタヤウナコトニ付テ色々
  ノ疑點ナリ或ハ〓究致シタイト云ツタヤウ
  ナコトデ、批評ノ爲メノ批評デナク能ク分
  リタイト云フ意味デ十分〓究シタイト云フ
  ヤウナ質疑等ガ行ハレルト云フト、ソレヲ
  唯サウ云フモノハモウ疑フベキモノデハナ
  クテ、唯單ニ信ジテ行ケバ宜イト云ツタヤ
  ウナコトデ抑へ付ケルヤウナ傾向ガアルコ
  トヲ私ハ聞イテ居ルノデアリマス、サウス
  レバ無論先生方ハ默ツテ居ルデセウ、文部
  省カラ行ツテサウ云フコトニスルト云フコ
  トニナレバ、恐ラク默ツテ居ルデセウカ、
  サウ云フヤウナ方法デ果シテ根本理念ノ體
  得ト云フヤウナモノガ一體先生ニ出來ルカ、
  私ハ文部省ノ今マデノヤリ方ニハサウ云フ
  點ニ大キイ缺陷ガアルト思フ、形ト〓念ヲ
  持ツテ行ツテ、サウシテ與ヘル、ソレヲ唯
  其ノ儘デ鵜呑ミニスルヤウナ形デ行カウト
  スレバ、ソレハ〓念化サレル、〓念化サレ
  ル所ニ生命力ノ發刺タル動キト云フモノハ
  アリ得ナイノデアリマス、ソコニ文部省ノ
  ヤル〓育ニ魂ヲ忘レタ枯渴セル形式主義ニ
  墮スル根本原因ガアルト思フ、今日何故國
  民學校ト云フヤウナコトニシナケレバナラ
  ヌノデアルカ、ソレハ云フマデモナク、日
  本民族ガ新シイ世界へ發展シテ行クベキ爲
  ニ殆ド至上命令ト言ツテ宜イ一ツノ要求ガ
  アルカラ、斯ウ云フヤウナ大改革ヲ試ミル
  ノダト思フ、サウスルト此ノ日本ノ根本的
  ナ要請ト云フヤウナモノヲ、先生ガ內カラ
  湧イテ來ル力ヲ以テ把握シ、ソレヲ生徒ニ
  呼ビ掛ケテコソ初メテ國民學校ノ目的ハ達
  シ得ルト思フノデアリマス、ソレヲ舊來ノ
  方法ノヤウニ文部省カラ與ヘラレタヤウナ
  モノヲ唯其ノ儘講習シテ行ケバ宜イト云ツ
  タヤウナ形デ、根本的究明等ニ對シテ本當
  ニ徹底的ナ指導ヲ與ヘナイト云フヤウナ方
  法デアルトスルナラバ、私ハ依然トシテ、
  學校ノ名ハ變ツテモ〓育ノ方針ハ舊ト變ラ
  ナイヤウナコトニ陷ルノデハナイカト云フコ
  トヲ惧レルノデアリマス、斯ウ云フヤウナ
  點ニ付テ文部省ノ當局ハ一體ドウ云フ風ナ
  工合ニ御考ヘニナツテ居リマスカ、是ハ一
  ツ下情上通ノ意味ニ於テ私ハ文部省當局ノ
  サウ云フコトニ對スル御見解ヲ伺ツテ置キ
  タイノデアリマス

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• 027・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今御指摘フ點ハ、若シ
  左樣ナ有樣デアレバ、是ハ吾々ノ期待致シ
  テ居リマス所トハ少シ外レテ居ルト思ヒマ
  ス、御話ノ通リニ斯樣ナ重大ナ意味、精
  神ヲ持ツテ居リマス所ノ世界觀、此ノ點ニ
  餘程ノ力ヲ盡サナケレバ中々徹底シナイカ
  トモ思ヒマス、隨テ其ノ指導講習ニ於キマ
  シテハ餘程意ヲ用ヒナケレバナラナイト
  思ヒマス、昨年急ニ色々施設ヲ致シマシタ
  カラ、講習等ニ於テモ、或ハ其ノヤリ方ニ
  不備ナ點ガアツタカトモ思ヒマス、左樣ナ
  點ハ今後戒メテ、尙ホ今後數年間ハ引續イ
  テ此ノ講習ヲヤツテ參リタイト思ヒマス、
  十分其ノ點ハ意ヲ用ヒマス、御話ノ通リ是
  ハ單ニ抽象的デハイケマセヌ、具體的又實
  踐的ニヤツテ參ラナケレバナラヌト考ヘテ
  居リマス、尙ホ中央地方ノ國民精神文化〓
  究所講習所等ノ長期講習ニ於キマシテ、前
  前カラサウ云フ方面ノ精神訓練ナリ、思想
  ノ徹底ニ努メツツアルノデアリマスケレド
  モ、一層サウ云フ點ハ今後注意シテ參リタ
  イト思ツテ居リマス、御話ノ點ハ全ク御同
  感デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=27

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• 028・林平馬

  ○林委員長　森田君ニ申上ゲマスガ、今日
  ハ質疑ヲ終了シタイト思フノデスレドモ、
  マダ他ノ方モアリマスノデ成ベク御質問ハ
  簡略ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=28

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• 029・曾和義弌

  ○曾和委員　私ハ今ノ森田君ノニ關聯シテ
  一ツ御聽キシタイノデスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=29

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• 030・林平馬

  ○林委員長　次々ト關聯ノ方モアリマスシ、
  大分他ノ方モ殘ツテ居リマスカラ、成ベク
  御出席下サツテ前ノ質問者ノヲ御聞キ下サ
  ルト大變宜シイト思ヒマス、文部當局モ同
  ジヤウナコトヲ御答辯ニナツテ居ラレルコ
  トモ相當アリマスカラ、成ベク御注意ノ上
  御進メ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=30

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• 031・森田重次郎

  ○森田(重)委員　ソレデハ前ニ御答辯下サ
  イマシタコトガアリマスレバ答辯濟ミダト
  云フヤウニ御答ヘ下サレバ私ノ方デハ諒承
  致シマス、私ハ重要ナ「ポイント」ダト思ツ
  テ居ルノデスガ、他ニモ委員會ガアリマシ
  テ此處ノ委員會ニ來ラレナカツタ私ノ責任
  モアルノデ、其ノ點ハ一ツ御諒承ヲ願ヒマ
  ス、ソコデモウ一ツハ統一鍊成ノ方法トシ
  テ〓科ノ統合ト云フヤウナモノヲ文部省デ
  ハ相當强ク御考ヘニナラレテ、綜合的ナモ
  ノニシテ、統一セル姿デ子供等ニ與ヘナケ
  レバナラナイト云フ考ヘデ、此ノ案ヲ御樹
  テニナラレタモノダト私ハ思フ、所ガ一步
  之ヲ誤ルト非常ニ大キナ誤謬ニ陷ルヤウナ
  氣持ガスル、ソレハ何デアルカト云フト、
  例ヘバ行的ナモノガ必要ダ、行的訓練ガ必
  要ダトナルト、直グ勤勞作業ト云フモノニ
  入ツテ行ク、私ハ盛ンニ勤勞作業ト云フモ
  ノガ唱ヘラレテ居タ時代ニ地方ノ學校ヲ廻
  ツテ見マスルト、唯先生ガ何等ノ目的ヲ示
  スコトナク、勞働サヘスレバ宜インダト云
  フヤウナコトデ、劃一的ナ命令ニ依ル勞働
  等ヲサセテ居ル、是デハ行的ナ訓練ニモ、
  綜合統一セル人格ノ統一ト云フコトニモ何
  等資スル所ハナイヤウニ思フ、私ガ憂フル
  ノハ文部省ガ一定ノ案ヲ樹テテ、之ヲ御示
  シニナツテモ、果シテ是ガ文部省ノ豫期シタ
  通リニナルカナラヌカ非常ニ疑フ、恐ラクハ
  ウツカリシテ居リマスルト、先生ノ方デハ統
  一ガ出來マス、〓科ノ統合ノヤウナモノデモ
  先生ノ方ハ一定ノ案ヲチヤント御樹テニナ
  ルデセウ、御樹テニナツテ其ノ通リノ方向
  ニ御進ミニナルデセウ、先生ノ方ハ其ノ方
  向へ御進ミニナルガ、生徒ノ方ハ果シテソ
  レヲサウ云フ統一セル姿ニ於テ受取ルカ受
  取ラナイカト云フコトガ根本ノ問題デア
  ル、是ハ恐ラクハ文部省ノ督學官ガ行ツテ
  學校ヲ調ベマスルト、チヤント統合サレタ
  案ハ樹チマス、帳簿ノ上デハチヤント私ハ
  樹ツト思フ、帳簿ノ上デハ樹チマスガ、樹テ
  タル案ガ生徒ニ果シテ其ノ通リ綜合サレタ
  形デ受取ラレルカ受取ラレナイカ、玆ノ指導
  ヲ一步誤ツタナラバ、私ハ舊態依然トシテ
  元ノ小學校時代ノ〓育ト何等變リノナイモ
  ノガ出來テ來ルト思フ、其ノ根本的ナ指導
  ノ要點ヲ何處ニ一體文部省ハ御置キニナツ
  テ御說明ナサツテオイデニナルノデアル
  カ、詰リサウ云フ誤チニ陷ラセナイ、先生ノ
  方ニハ統一アルモノガ出來ルガ、生徒ノ方
  ガ果シテ其ノ通リニ受取ルカ受取ラナイカ、
  サウスルコトノ爲ニ其ノ指導原理、指導方
  針ノ重要點ヲ一體何處ニ置イテ御示シニ
  ナツテ居ルノデアルカ、其ノ點ヲ一ツ御伺
  ヒ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=31

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• 032・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是ハ或ハ詳シク時間ヲ掛
  ケテ申上ゲマセヌト徹底シナイカモ知レマ
  セヌガ、大體ノ所デ御諒承願ヒタイト思ヒ
  マス、ソレハ森田サンモ御承知ト思ヒマス
  ガ、今ノ〓科ノ統合ノ問題デゴザイマス、
  是ハ今囘ノ改正ノ最モ重要ナル點デアリマ
  ス、隨ヒマシテ今囘國民學校ニ於テ、或ハ
  國民科、理數科、藝能科、實務科等ノ〓科
  ヲ樹テテ、アレニ依ツテ統合シテ、一貫性
  ヲ持タセルト云フ所ニ一番重點ガアルノデ
  アリマス、之ヲドウ云フ風ニ現ハスカト云
  フコトハ、結局是ハ一ツノ〓科書ト、ソレ
  カラ今一ツハ先生ノ指導ノコトデス、〓科
  書ニ於キマシテハ其ノ見地カラ全體ノ〓科
  書編纂ノ根本方針ヲ綜合的方針ニ、ソレカ
  ラ今ノ〓科ノ方デモソレヲ引括メタ方針ヲ
  樹テマシテ、ソレニ依ツテ〓科書ノ編成ヲ
  今ヤツテ居リマス、大體一年二年ノ準備ハ
  今出來ツツアル狀況デゴザイマス、是ハ非
  常ニ苦心ヲ致シテ居リマス、各〓科ノ編修
  官モヘト〓〓ニナル位ニ苦心ヲシテ居リマ
  ス、サウシテ從來動モスレバ各學科目ニ捉
  ハレテ、部分的ナ、何ト云ヒマスカ對立ヲ
  生ジ易カツタ其ノ虞レヲソレヲ悉ク其ノ弊
  害ヲ全部改メ、サウシテ今申シマシタ所ノ
  〓科ノ統合、一體性ガ現ハレテ來ルヤウニ
  ヤル、ソレニハ先ヅ文部省自身ノ〓科書編
  成ノ方針、竝ニ其ノ實ヲソレニ現ハサナケ
  レバナラヌト云フヤウナ譯デ、ソレヲ非常
  ニ努メマシテ-是ハ私、森田先生ノ御尋ネ
  ガアリマシタカラ御參考マデニ申上ゲテ置
  キタイト思ヒマスガ、從來ノ學科目ノヤウ
  ナ〓科書ノ編成ト、非常ニ今度ハ趣ガ違ツ
  テ來ルヤウニ思ヒマス、第一〓科書編纂ノ
  心構ヘガスツカリ違ツテ參リマシタ、是ハ
  私ハヤハリ〓科統合ノ斯ウ云フ定メラレタ
  方針ニ向ツテ皆向ヒツツアルト云フ、現實ナ
  一ツノ例ダト思フノデアリマス、唯森田先
  生ガ今言ハレマシタヤウニ、唯ソレダケデ
  ハイケナイ、之ヲ兒童ニ其ノ儘、其ノ精神
  ガ實踐的ニ移ルヤウニシナケレバナラナ
  イ、是カラノ苦心ハ卽チ先生ノ問題デアリ
  マス、隨ヒマシテ或ハ根本的ニ申シマスナ
  ラバ、師範〓育其ノモノヲ改善シテ臨ムノガ
  順序デアツタカモ知レマセヌケレドモ、、今
  是ハ間ニ合ヒマセヌカラ、セメテ再〓育ニ
  全力ヲ注イデ居ルノデアリマス、サウシテ
  再〓育ニ於キマシテ、講習ニ於キマシテ出
  來ルダケ此ノ精神ヲ發揮スルヤウニ努メテ
  參リタイ、先程御指摘ノ點モアリマシタケ
  レドモ、若シ御指摘ノヤウナ缺點ガアリマ
  シタナラバ其ノ缺點ハ除イテ、新タニサ
  ウ云フ方面ニ重點ヲ置カナケレバナラヌ、
  目下サウ云フ方針デ努力致シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=32

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• 033・森田重次郎

  ○森田(重)委員　時間モ大分經チマシタカ
  ラ私ノ意見ヲ一ツ申上ゲテ御批判ヲ仰ギタ
  イト思ヒマス、ソレハ非常ニ大切ナ點ダト
  思フ、例ヘバ今次官殿ノ御答ヘヲ得マシタ
  內容ニ依リマシテ、先生ヲト仰シヤル、所
  ガ其ノ先生ノ指導ヲ、ドウ云フ點ヲ根本的
  ナル點ダトシテ御指導ナサルノデアリマス
  カ、唯舊來ノ先生ノ再〓育ト云ツタヤウナ
  コトデヤラレテモ、文部省デ御考ヘニナツ
  テ居ルヤウナコトガ果シテ旨ク實現出來ル
  カドウカト云フコトニ付テ、私ハ非常ナ大
  キナ疑ヒヲ持ツテ居リマス、ソコデ隨分日
  本ニモ〓育學說ガ昔カラ現ハレ、又色々ノ
  著書等モアルノデアリマスルガ、實際問題
  トシテ、日本ノ小學校ニ現ハレテ居ルコト
  ハ、ヤハリ〓科統合ノ方法ニ付イテハ先生中
  心主義デス、〓師ヲ中心トシテ、〓師ガ一
  ツノ統合アル案ヲ立テテ、其ノ案ヲ其ノ儘
  生徒ニ移スト云フト、生徒ノ方モ其ノ儘ソ
  レヲ受取ルモノダト云フ先入觀ガ、沒批判
  的ニ今マデノ小學校ニ行ハレテ居ルノデ
  ス、幾ラ先生ノ方デ統合サレタ案ヲ立テテ、
  ソレヲ其ノ通リ生徒ニ〓ヘラレマシテモ、
  生徒ノ方ニハヤハリチリ〓〓バラ〓〓ノ知
  識トシテ入ツテ行クノデス、案ダケハ有機
  的ナ形ニナツタト致シマシテモ、ソレガ果
  シテ生徒自身ノ一ツノ體驗トナルヤウナ形
  デ綜合サレルカト云フト、今マデノヤウナ
  態度ダツタラ、ソレハサレマセヌ、ソコデ
  私ハ思フ、結局是ハ生徒ノ根本的ナ性質ヲ
  捉ヘナケレバナラヌト、ソレハ何デアルカ、
  ソレハ人生ノ根本問題ダト思フノデアリマ
  スガ、私ハ人類ト云フモノハ意志的ナ存在
  ダト云フ一ツノ議論ヲ持ツテ居ルノデアリ
  マン、私ハ意志實在論者デアリマスカラ、
  ソレハ誤ツテ居ルト云フコトナラ違ヒマス
  ガ、私ハサウデアルト信ズル、意志ノ根本
  問題ハ何カト云フト、目的ヲ立テルコトデ
  アル、目的ヲ立テタナラ、ソレヲ實行スル
  ト云フコトデアル、實行シタ後デ失敗ガア
  ルト反省スルコトナンデス、其ノ反省ハ知
  ニナツテ現ハレル、又目的ヲ立テルコトモ
  其ノ通リ、アトハ體力ナリ一切ノ生命力ガ
  其處ニ集合サレテ實行ニ移ツテ行ク、目的
  ノ樹立、實行、自己反省、之ニ依ツテ更ニ
  大キイ過チヲセナイヤウニシテヤツテ行
  クソコニ人生ノ進展ト云フモノガアルモ
  ノダト思フ、是ハ生徒ノ心理ノ動キナンデ
  ス、ソコデ結局之ヲ統合サレタ形デ受ケナケ
  レバナラヌ原理ヲ何處ニ置クカト云フト、生
  徒自身ノ心理ノ動キニ置カナケレバナラ
  又、詰リ生徒白ラヲシテ目的ヲ立テサセル
  ノデアル、生徒自ラノ力デ實行サセルノデ
  アル、生徒ノ力デ自己反省サセル、是ガ人
  生ノ縮圖デモアリマスシ、生徒自ラ斯ウ云
  フ方向ニ進ンデ行クナラバ、假令先生ノ方
  カラ雜然トシタモノヲ與ヘテモ、生徒自ラ
  之ヲ取捨選擇スルコトニ依ツテ、生徒ノ方
  ニハ統合サレタ形トシテ是ガ入リ込ム、斯
  ウ云フノガ一ツノ根本的ナ原則ニナラナケ
  レバナラヌモノダト私ハ思フ、私モ隨分色
  色ノモノヲ〓究シテ、何カシラ是ダト思フ
  モノハナイカ知ラント思ツテ、辿リ着イタ
  モノハサウ云ツタヤウナ結論ダツタノデア
  リマス、是ヲ忘レタラ私ハ駄目ダト思フ、
  サウ云フト是ハ生徒ノ個性中心ノ〓育ニナ
  ツテ、國家的ナ綜合的ナ行ニ入ラナイヂヤ
  ナイカト云フ一ツノ疑問ガ起ルデアリマセ
  ウケレドモ、是ハ併シ綜合的ナ人格トシテ
  ハ一學級ハヤハリ綜合的ナ人格トシテ考
  ヘラレルト思フ、一學級トシテハ共通ノ目
  的ノ下ニ協同シテソコニ徹スルト同時ニ、
  協同體トシテノ一ツノ人格トシテ動イテ行
  ク、ソコニ個人、家庭、部落、一町村、
  ツノ縣、日本國、大東亞、斯ウ云フ人格的
  ナモノニ發展シテ行クモノダト思フ、要ス
  ルニ目的ノ樹立實行、自己反省ト云フ此ノ
  形ハ、個人ニ於テモ綜合的人格體ニ於テモ
  共通ナモノデアツテ、人類ノ行動ト云フモ
  ノハ是ニ依ツテ律セラルベキモノダト云フ
  ノガ、私ノ人生觀デアリマス、之ニ持ツテ
  來ナイト云フト、幾ラ先生ヲ〓育ナサツテ、
  アナタ方ノ方デ〓員ヲ如何ニ立派ニ育成シ
  且〓科ヲ統一サレタモノト致シマシテモ、
  受取ル生徒ノ方トシテハ決シテ纏ツタモノ
  トシテ受取リマセヌ、是ハ私ノ長イ間ノ〓
  育體驗ニ基イタ一ツノ結論デアリマス、
  面カラ見マスト、ソレハ一ツノ議論ニ過ギ
  ナイノデアツテ、他ニ幾ラモ考ヘ方ガアル
  ト云フ議論ガ出テ來ルダラウト思ヒマスガ、
  併シ若シ此ノ點ヲ忘レマスナラバ、文部省
  ガ意圖致シマシタ所ノ皇國ノ民トシテ綜合
  サレタ人格體トシテ、國家ニ身ヲ捧ゲテモ
  尙且ツ動イテ行カウト云フ本當ノ自信ト信
  念トヲ持ツテ居ル人間ト云フモノハ生レテ
  來ナイト思フノデアリマス、此ノ點ニ付テ
  ハ文部省トシテモ相當御考ヘニナツテ居ラ
  ツシヤルダラウト思ヒマスルシ、私ハ又サ
  ウ云フ風ナ順序デ文部次官ニ御伺ヒヲ致シ
  タカツタノデアリマスルケレドモ、時間ヲ
  制限サレテ居リマスノデ、私ノ極メテ短イ
  間ノ經驗デハアリマスルガ、サウ云ツタヤ
  ウナコトニナラナケレバドウシテモイカヌ
  ノヂヤナイカト云フヤウナ考ヘヲ申述べマ
  シテ、之ニ對シテ果シテ文部省ノ御意見ハ
  一致スルノデアルカ或ハ又別ナノデアルカ、
  又是レ以外ニ文部省ハ斯フ云フ方法デヤツ
  テ居ルンダト云フヤウナ、方法等デモアリ
  マスルナラバ、ソレ等ノ點モ併セテ御伺ヒ
  致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=33

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• 034・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今御述べニナリマシタ
  點ハ洵ニ重要ナ點デゴザイマシテ、是ハ又
  餘程ユツクリト時間ヲ掛ケテ、御話モ承リ、
  又御話モ申上ゲナイト或ハ徹シナイ點ガ
  アルカト思ヒマスガ、大體ノ御心持ハ敬意
  ヲ拂ツテ承リマシタ、要スルニ吾々ト致シ
  マシテハ、斯ウ云フ根本的ノ制度ノ改正ニ
  伴ヒマシテ、先ヅ其ノ〓員ノ心構ヘヲ十分
  ニ拵ヘ上ゲルト云フコトガ一番大切デアル
  ト云フコトデ、今一生懸命ニソチラノ方ヘ力
  ヲ入レテ居リマスヤウナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=34

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• 035・森田重次郎

  ○森田(重)委員　マダ御尋ネ致シタイ點モ
  アリマスケレドモ、時間ノ關係デ私ハ省略致
  シマスガ、實際今日マデアツチコツチノ學
  校ヲ暇ガアリサヘスレバ、地方ニ行ツテモ廻
  ツテ見ルノデアリマスガ、非常ニ遺憾ニ堪
  ヘナイノハ日本ノ〓育者ノ間ニハ一ツノ
  囚ハレタル〓育的空氣ト云フモノガアル、
  而モ其ノ根源ハ文部省ニアルト私ハ思フ、
  詰リ何ト言ヒマスカ、文部省型トデモ言ヒ
  マスカ、一ツノ形式ヲチヤント整ヘルト云
  フコトガ中心ニナツテ參リマス、文部省ハ
  ソレ程强ク考ヘテ居ナイカモ知レマセヌケ
  レドモ、ヤハリ監督官ト云フ壓力カラ、下
  ノ方ニハ非常ニ强イ形デ影響シテ行ツテ、
  結局一ツノ〓育ノ型ト云フモノガ出來、潑
  刺タル學校經營ヤ、或ハ〓土ヲ指導スルト
  云フヤウナ程度ノ學校經營ト云フモノハ、殆
  ド日本全體トシテ指ヲ屈スルニ足ラナイ程
  ノ學校シカナイラシク私ニハ見エルノデア
  リマス、是ダケノ俊才ヲ集メタ師範ノ卒業
  生ノ間ニ、文部省カラ與ヘラレタ材料ヲ十
  分ニコナシテ、サウシテ自己獨自ノ見解力
  ラ其ノ土地ニ卽シテ一ツノ案ヲ立テサウシ
  テ社會〓育ノ中心ニナルノダト云フ大キイ
  〓育者ガ生レテ來ナイト云フコトハ、私ハ文
  部省ノ監督ノ方向ト云フヤウナモノニ何力
  知ラ先生ノ自發的ナ創意ト云フモノヲ摘ム
  ヤウナ一ツノ弊害ガアルカラダト思フノデ
  アリマス、幸ヒニシテ今囘文部省ガ、國難ニ
  直面シテ一大決意ヲ以テ國民學校ト云フモ
  ノヲ御拵ヘニナリマシタコトハ、私ノ非常
  ニ敬意ヲ拂ツテ居ル所デアリマスガ、斯ウ
  云フ機會ニコソ舊來ノ型ヲ破ツテ、文部省
  自ラ一ツノ創造的ナ指導者トナツテ〓育者
  ニ呼掛ケ、〓育者モ亦其ノ土地々々ニ卽シ
  タ一ツノ創意ヲ發揮スルト云フヤウナ氣分
  ヲ振興シテ戴キタイト思フ、兎ニ角今囘ノ俸
  給問題ノ解決、或ハ師範學校ノ給費生ノ問
  題等ニ對スル一ツノ動キ方等ニ依ツテモ、先
  生方ハ良イ意味デ非常ニ大キイ「シヨック」
  ヲ受ケテ感奮興起スル所ガアルカノヤウナ
  色々ノ情報ヲ聞クノデアリマス、大臣モ幸
  ヒニシテ舊來ノ型ニ囚ハレナイ、生キタ生
  命力ヲ把持シテ何カヤラウト云ツタヤウナ
  考ヘ方ノヤウデアリマスカラ、此ノ際ニコ
  ソ本當ニ日本的ナ〓育ト云フモノガ各地方
  地方ノ實情ニ卽シテ創造出來ルヤウニ、
  ツ文部省ノ方カラ督勵シテ戴キタイト云フ
  コトヲ私ノ希望トシテ御願ヒ申上ゲルノデ
  アリマス、之ニ付キマシテノ次官ノ御見解
  ヲ御伺ヒ致シマシテ、私ノ質問ヲ打切リタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=35

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• 036・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　大變御熱心ナ御言葉デ傾
  聽致シマシタ、御話ノ通リ〓育ガ活キナケ
  レバナラヌ、戰時中ハ固ヨリ、戰後ノ經營ニ
  於テ吾々〓育部面ニ於テ擔當スル責任ハ非
  常ニ重大ナルコトヲ痛感致シテ居リマス、
  カルガ故ニソレコソ今御話ノアリマシタヤ
  ウナ意味ニ於テ、〓育ガ本當ニ活キナケレ
  バナラヌ、又活カサナケレバナラヌト云フ
  非常ナ熱意ヲ以テ、十分努力致シタイト考
  ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=36

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• 037・曾和義弌

  ○會和委員　一寸關聯シテ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=37

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• 038・林平馬

  ○林委員長　成ベク簡單ニ御願ヒシマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=38

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• 039・曾和義弌

  ○曾和委員　只今國民〓育ニ關スル森田君
  ノ質問ニ對シテ次官カラ色々御答辯ガアリ
  マシタ、私モ大體同感デアリマスガ、尙ホ
  私ノ今ノ考ヘカラ見マスト、大問題ニ付テ
  御答辯デアツタガマダ末梢デアル、モツト
  根本ニ行カナケレバナラヌ、斯ウ云フ考ヘ
  ヲ持ツテ居リマス、ソレハドウ云フ譯デア
  ルカト云フト、先程森田君ハ生命力ト云フヤ
  ウナ言葉ヲ御使ヒニナリマシタガ、私ハ總
  テ〓學ノ問題、或ハ人間生活ト言ヒマスカ、
  總テノ根本問題ハ靈魂ノ問題デアル、漢字
  デ靈ト云ヒ、魂ト云フ、日本デハ靈ト言ヒ
  後ニハ魂ト言フ、此ノ靈魂ト云フ言葉ヲ私
  ハ使ツテ申シマスガ、此ノ靈魂ニ對スル今日
  マデノ〓究ガ足ラナイト思フ、卽チ私ノ見
  解ヲ申上ゲマスト、人間ニハ人間ノ靈魂ガ
  アリ、獸ニハ獸ノ靈魂ガアリ、鳥ニハ鳥ノ
  靈魂ガアル、之ヲ廣ク推擴メテ來マスナラ
  バ、形ノアルモノニハ皆靈魂ガアルト思フ
  其ノ靈魂ニハ弱サト强サガアル、或ハ偏ツ
  タモノト偏ラザルモノガアル、本質ト云フ
  モノハ違フガ、兎ニ角靈魂ト云フモノガア
  ルノデアル、ソコデ人間ニ靈魂ガアルガ、
  殊ニ人間ト言ツテモ同ジ靈魂ヲ持ツテ居ル
  モノデハナイ、ソレハ民族ニ依ツテ違フ、
  卽チ日本人ニハ日本人トシテ通有ナル、大
  體ニ於テ同ジ傾向ヲ持ツタ靈魂ト云フモノ
  ガアルノデアル、而モ其ノ靈魂ト云フモノ
  ハドウ云フ作用ヲ持ツテ居ルカト云フト
  先ヅ人間ニ付テ申シマスト、ヨク物心兩面
  ト云フコトヲ言ヒマスガ、從來精神、物質
  ト二ツニノミ分別サレテ居ツタ、ソレ以上
  考ヘテ居ル人ハナカツタ、私ハ此ノ精神、
  物質ノ奧ニ何ガアルカト云フ靈魂ガアル、
  斯ウ考ヘル、何ガ故デアルカト云フト、大
  體今日ニ於テ精神ト言ヘバ心ノ發動スルコ
  トヲ人ハ主ニ見テ居ル、發動スル心、情ト
  ナリ、意トナリ智トナリ、色々分類ノ仕方
  ハアリマセウガ、兎ニ角凡ユル作用ガ發動
  スル側ノミヲ見テ之ヲ精神ト人ハ言ツテ居
  ルガ、私ノ考ヘ方ハ、靈魂ガアツテ、ソレ
  ガ時間的ニ働ク場合ニハ精神作用ニナル、
  空間的ナ場所ヲ占メル時ニハ肉體トナリ形
  骸トナル、私ハ斯ウ云フ考ヘヲ持ツテ居ル、
  隨テ人ガ死亡シタ時ニハ詰リ肉體ト云フ
  モノカラ靈魂ガ離レルト同時ニ精神作用ガ
  ナクナツテ來ル、例ヘバ今マデ波立ツタ波
  ガ治マツテ、所謂明鏡止水ト言ヒマスカ、
  サウ云フ形ニ治マルノデアツテ、總テノ働
  キハ治マツテシマフ、私ハ斯ウ云フ考ヘ方
  ヲシテ居ル、隨テ其ノ靈魂ヲ鍊成スルト云
  フコトヲ考ヘナケレバナラヌ、卽チ穢ラハ
  シイ考ヘ方ヲ起スノモ、間違ツタ觀察ヲスル
  ノモ、或ハ意思ノ弱イノモ、强イノモ、感情
  ノ歪ンデ居ルノモ、圓イノモ總テ其ノ人ノ
  持ツテ居ル所ノ靈魂ノ本質ニ依ルモノダ、
  隨テ又其ノ靈魂ノ働キノ如何ニ依ツテ肉體
  ト云フモノニ强イモノガアリ、弱イモノガ
  アル、而モソレガ精神方面ニ現ハレルモノ
  ト肉體的ニ現ハレルモノトハ靈魂デ統一サ
  レテ居ル作用デアルカラ、强イ精神ヲ持ツ
  テ居ル者ハ强イ肉體ヲ持ツテ居ル、强イ肉
  體ヲ持ツテ居ル者ハ强イ精神ヲ持ツテ居ル、
  斯ウ云フ考ヘヲ私ハ持ツテ居ル、隨テ靈魂
  ト云フモノニ對スル考ヘ方ト云フモノハ民
  族ニ依ツテモ違フ、此ノ靈魂ニ依ル考ヘ方
  ノ違フコトカラ所謂宗〓ノ違ヒガ生ジテ居
  ル、ソコデ時間モアリマセヌカラ簡單ニ申
  シマスガ、私ハ日本人ノ上代ニ於テ靈魂ニ
  付テ考ヘテ居ツタ考ヘ方ト云フモノハ、科
  學的ニ最モ合理的ナ考へ方デアルト私ハ信
  ジテ居ル、最近或ル會合ニ於テ、私ハ靈魂
  ニ對スル私ノ考ヘ方ヲ二時間バカリ話シタ
  イト思ツテ用意シテ居ルノデアリマスガ、
  結局其ノ意味カラ申シマスト、末カラ色々
  知識ヲ與ヘ、直接ノ事物ニ付テ感ジヲ與ヘ、
  勤勞作業ニ依ツテ意思ノ鍊成ヲスルト同時
  ニ-ソレハ其ノ靈魂ノ働キノ側カラ段々
  ヤツテ來テ居ルノデアルソレト同時ニ根
  本ノ靈魂ヲ直爾ニ强メ、直爾ニ〓クシ、直
  爾ニ素直ナラシメルト云フ作用ガ必要デア
  ル、ソレハ何ニ依ルカト云フト、私ハ其ノ靈
  魂ノ最モ强ク、最モ正シク、最モ〓ク、最
  モ麗シク最モ聖ニシテ偉大ナル靈ニ接スル
  コトデアルト思ツテ居ル、ソレハ何カト云
  フト、先ヅ天照大神樣ヲ拜スルコトデアル、
  尙ホ其ノ他ノ神々ニ付キマシテモ、八百萬
  ノ神々ノ作用、働キ其ノモノハ違ツテ居ツ
  テモ、上代ニ於テ至誠一貫大神業ニ奉仕サ
  レタ所ノ誠ノ光、靈ノ光、强サト云フモノ
  ハ私ハ天日ノ如ク赫々タルモノト思ヒマス

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• 040・林平馬

  ○林委員長　曾和君ニ申上ゲマスガ、質問
  デスカ、質問ナラバ其ノ要旨ヲ簡單ニ願ヒ
  マス

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• 041・曾和義弌

  ○會和委員　ソコデ其ノ靈ニ接スルコトニ
  依ツテ吾々ノ持ツテ居ル小サキ弱キ靈ト云
  フモノガ强メラレ、正シクサレ、〓メラレ
  ルモノダト思フ、此ノ意味カラシテ私ハ甚
  ダ極端ナヤウナコトヲ申シマスケレドモ、
  先年來議會ニ於テモ段々言ツテ居ル通リ、
  今アル所ノ宗〓ト云フモノハ日本ニハ不要
  ナモノダト言フノデス、詰リ彼等ノ靈魂ニ
  對スル考ヘ方ガ違フ、デアリマスカラ私ハ
  少クトモ國民〓育ニ從事サレル所ノ小學校
  ノ先生、今度ノ國民學校ノ先生デアリマス
  ガ、其ノ人達ニ本當ノ敬神ノ思想ヲ養ヒ、
  而モ其ノ〓授ヲサセ、サウシテアノ子供ノ魂
  ノマダ若キ、是ヨリ芽ヲ吹ク時カラ之ヲ習
  ハシテ神ノ聖ニシテ偉大ナル靈ニ依ツテ兒
  童ノ靈魂ヲ〓メ强メ正シテ行クト云フコト
  ガ私ハ最モ根本ダト斯樣ニ思フ、隨ヒマシ
  テ是ハ大問題ニナリマスルガ、寧ロ全國ノ
  日本ノ家庭ニ於テモ、眞ニ敬神ト云フコトデ
  アルナラバ今私ガ申シマシタ觀念ニ依リ
  マスルト、阿彌陀トカ藥師トカ云フモノハ
  現實ニ存在シテ居ナカツタモノデアルカラ
  シテ、ソレニハ靈ガナイト云フ見方ヲシテ
  居ル、其ノ靈ノナイモノヲ姿ヲ作ツテオ祀
  リシテ居ルソコデ私ハ此ノ議會ニモ敬神
  ト崇佛トハ兩立シ得ルヤト云フ質問書ヲ出
  サウト思ツタノデアリマスケレドモ、今
  年ノ議會ハ各方面トモ急ガレテ居ルヤウデ
  アリマスシ、ソレハ書類デ出セバ時間ハ掛
  リマセヌケレドモ、來議會ニシヨウト思ツ
  テ居ルノデスガ、敬神ト崇佛ト兩立スル
  ヤ否ヤ、是ハ絕對ニ信仰シタ者デナケレバ
  分ラナイ、宜イ加減ニ少シ位拜ンデ居ツテハ、
  チツトモ矛盾ハ感ジナイガ或ル一ツノモノ
  ニ自分ノ魂ヲ打込ンデ禮拜シタ時ニ疑ヒヲ
  持ツテ來ル、俺ハ之ニ絕對ノ歸依ヲ捧ゲテ
  禮拜シテ居ルガ、片方ニ祭ツテアルノハド
  ウダラウカト云フコトガ必ズ起ル、所謂一
  心ニナツテ來タ時ニ、始メテ疑問ガ起ル、
  ソコデ、結論ヲ申スト、サウ云フ意味デ私
  ノ考ヘル所デハ各家庭ノ祖先ヲ全部神式デ
  祀ラス、吾々ハ生キテハ天皇ノ忠僕タリ、
  死シテハ神々ノ一番末座ノ末座ノズウツト
  末座ニ列スルノデアル、其ノ一部ニ加ヘテ
  戴クノダ、サウ云フ祭式ト作法トヲ漸次ニ
  作ラセルコトガ私ノ究極ノ意見デアリマスル
  ガ、少クトモ小學校ノ國民〓育ニ當ル先生
  方ニハ、此ノ間私ガ文部大臣ニ聽キマシタ
  ヤウニ、日本ノ神ト佛ト云フモノトノ本質
  ヲ明カニシテ、サウシテ知ラシメテ、最近
  ニ於テモ神社ニ生徒ヲ連レテ參ツテ居リマ
  スルケレドモ、アノ連レテ參ツテ居ル人ハ、
  本當ニ腹ノ底カラ神樣ヲ敬フ考ヘナント云
  フモノハナイ筈デス、私ハ色々出會フ人ニ
  聽クケレドモ、全部分ツテ居ナイ、之ヲ正
  シク指導サレテ、本當ニ神樣ヲ敬ツテ、殊
  ニ各村ニ於テハ氏神樣ヲ拜ムト云フコトヲ
  理解シテ本當ニ小學校ノ先生ガ兒童ヲ導イ
  テ參拜スルコトガ出來ルヤウニナリ、サウ
  シテ生徒マデ自然ニ-何モ頭カラ〓ヘ込
  マナクテモ宜イノダ、本當ニ先生ガ心カラ
  神ノ前デ拜ムナラバ、神ヲ拜ムト云フコト
  ハ生徒ハ自然ニ學ブ、是ハ言葉ノ〓育デハ
  ナイ、ソレヲ本當ニ敬フコトガヨリ本當ノ
  〓育デアルト云フコトヲ考ヘテ居ルノデア
  リマスガ、私ハ文部省ニ於テハ一向サウ云
  フコトヲ今マデ御考ヘニナツテ居ラヌヤウ
  ニ思フ、今後一ツ其ノ方面ニ-是コソ今
  マデヤツテ居ナイノデアリマスルカラ、本當
  ニ劃期的ニ十分努力ヲシテ戴キタイト思フ
  ノデアリマスルガ、若シ之ニ付テフ考へ方
  ヲ聞カシテ戴ケレバ仕合セト思フノデアリ
  マス

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• 042・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　曾和サンカラ、非常ニ高
  尙ナ御話ヲ承リマシタ、是ハ根本ヲ辿ツテ
  參リマスト、非常ニ難カシイ大切ナ問題ダ
  ト思ヒマス、只今國民學校ノ今度ノ制度改
  正等ニ伴フテ、斯ウ云フ見地カラ如何ヤウ
  ニ考ヘテ居ルカト云フヤウナ御話ノヤウデ
  ゴザイマスカラ、其ノ點ヲ簡單ニ申上ゲタイ
  ト思ヒマス
  先程來段々私モ申上ゲ、又森田サンカラ
  モ御話ガアリマシタヤウニ、此ノ色々モノ
  ノ考ヘ方ニ於キマシテモ、是ハ〓育ノ見
  地カラ其ノ取扱ハ非常ニ大切ナ問題ダト
  思ヒマスルガ、詰リ今囘ノ國民學校ノ制
  度ノ行キ方ハ、先程來申上ゲマスルヤウニ、
  〓科ノ内容ニ付テ非常ニ改善ヲ致シマスト
  共ニ、ソレヲ指導實踐、把握サセル方法ニ於
  テ適當ニシテヤル、隨テ目標ハ其ノ運用ニ
  於テモ、抽象的ト云フヨリモ具體的ニト云
  フ所ヲ狙ツテ居リマシテ、隨テ之ヲ端的ニ
  申上ゲマスルナラバ、今度國民學校ノ狙ツ
  テ居リマスル所ノ皇國ノ道ニ則ツテ國民ノ
  基礎的鍊成ヲスルト云フノハ、大臣カラ繰返
  シ御話申上ゲテ居ラレマスヤウニ、眞ノ皇
  國臣民ヲ鍊成スル、日本精神ニ一貫シタ所
  ノ日本臣民ヲ是デ作リ上ゲル、其ノ基礎的
  鍊成ヲスルト云フ建前デ居リマス、隨ヒマ
  シテ之ヲ一貫シテ居リマスモノハ、卽チ此
  ノ社會的、歷史的ノ此ノ地盤ノ上ニ、此ノ
  風土ニ培ハレテ出來上ツテ、三千年來、肇
  國以來鍛ヘ上ゲラレテ來テ居ル所ノ此ノ日
  本精神ヲ基本トシテ、之ニ依ツテ具體的ニ
  子供ノ鍊成ヲ致シテ行ク、是ガ根幹デアル、
  之ヲ總テ一貫シテ行クト云フノガ國民學校
  ノ制度ノ根本精神デアルト云フノデゴザイ
  やく、隨ヒマシテ此ノ〓育上ノ取扱ニ於キ
  マシテモ、只今曾和サンカラ御話ガアリマ
  シタガ、兒童ノ年齡竝ニ心理的ノ精神發達
  ノ狀況ニ順應致シマシテ、國民學校へ入學
  致シマシテカラ一年ノ間ト云フモノハ、マダ
  家庭ト學校生活トガ極メテ繫ガツテ居ル、
  又子供ノ能力ノ發達カラ言ツテモ、能力ガ
  サウ專門的ニ分レテナイ時デアリマスカラ、
  之ヲ素直ニ導イテ參リマスト、ソコデサウ
  云フ方面ノ精神訓練ガ非常ニ順當ニ行ツテ、
  又自然ニ非常ニ能ク行ハレルト云フコトヲ
  〓育上ニ於テモ唱ヘラレテ居ルシ、又實際
  ニ於テモ之ヲサウ云フ風ニ運用シテ行クコ
  トガ必要デアラウト思ヒマス、隨ヒマシテ
  サウ云フ點カラ現實ニ實踐的ニ今ノ御話ノ
  敬神崇祖ト云フ點ヲ、理窟デナクシテ、素
  直ニ實際ニ之ヲ訓練ヲシテ行クト云フコト
  ヲ非常ニ考ヘテ居リマス、サウ云フヤウナ
  譯デゴザイマシテ、御話ノ御趣意ノ點ハ、卽
  チサウ云フ精神訓練ニ徹シタヤリ方ヲ國民
  學校ニ於テヤツテ行クベキヂヤナイカト云
  フ御趣意ノヤウニ承リマシタガ、サウ云フ
  ヤウナ線ニ沿ツテ此ノ制度ノ運用ヲ徹底シ
  テ參リタイ、左樣ニ考ヘテ居リマス

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• 043・曾和義弌

  ○會和委員　モウ一ツ-大體了承致シマ
  シタガ、今次官ハ三千年來鍊成セラレタル
  日本精神ト仰シヤイマシタガ、私ハ甚ダ不
  祥ナコトヲ言フヤウデアリマスケレドモ、
  佛〓渡來以後、殊ニ最澄、空海ガ兩部神道
  ト言ヒマスカ、本地垂迹ノ說ヲ唱ヘテ來タ、
  ソレガ祈願佛〓ニナツテ來タト云フヤウナ
  コト等カラ見テ、此ノ千數百年來ノ歷史ハ
  日本精神ガ蝕マレタ時代ダト私ハ思フ、神
  社佛閣ニ參ツテモ、自己ノ利欲ノミヲ祈ツ
  テ居ル、幕末ニ至ツテ色々志士ガ出マシ
  タケレドモ、一般國民ハ國家ト云フヤウナ
  考ハ殆ドナカツタコトニナツテ居ル、デア
  リマスカラ明治維新ハ建武ノ中興ニ則ラズ、
  所謂神武創業ノ大精神ニ則ツタノハソコニ
  アル、日本精神ノ最モ旺盛ナ時代、ソレハ
  少クトモ私ハ神武創業ノ前後デアラウト思
  フノデアリマス、勿論奈良朝時分ニ於テモ
  尙ホ日本精神ハ旺盛デアツテ、萬葉集ニ殘
  ツテ居ル數々ノ歌ノ中ニハ吾々ノ祖先ノ大
  和魂ノ實ニ美シイ立派ナ歌モアリマスケレ
  ドモ、寧ロ奈良朝時代ハ實ニ張切ツタ日本
  精神、大和魂ガ今ヤ衰ヘントシツツアル時
  期デアル、私ハ斯樣ニ考ヘテ居ル、デアリ
  マスカラシテ私ハ此ノ根本的ノ問題ニ付テ
  今後大イニ文部省ガ國民〓育ノ上ニ御考察
  アランコトヲ偏ニ希望スル者デアリマス、
  之ニハ御答辯ヲ戴カヌデモ宜シウゴザイマ
  スカラ、希望ダケ述ベテ置キマス

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• 044・林平馬

  ○林委員長　ソレデハ丁度十二時ニナリマ
  シタカラ、午前ハ是デ休憩致シマシテ、午
  後一時カラ引續イテ會議ヲ開キタイト思ヒ
  マス、休憩致シマス
  午後零時一分休憩
  午後一時二十分開議

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• 045・林平馬

  ○林委員長　休憩前ニ引續キ會議ヲ開キマ
  ス、樋口君

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• 046・樋口善右衞門

  ○樋口委員　國民學校ト靑年學校ノ關係ニ
  付テ、色々政府ノ御意見ハ承ツテ居リマス
  ルガ、尙ホ此ノ機會ニ御尋ネシテ御答辯ヲ
  得テ置キタイト思フノデアリマス、旣ニ此
  ノ問題ハ前カラ色々質疑ヲ重ネテ居ルノデ
  ゴザイマシテ、最早其ノ點ニ付テ申上ゲル
  コトハ省略致シマスガ、本年ハ國民學校令
  ガ發令ニナルコトデアリマスノデ、此ノ機
  會ニ色々ナ一般ノ疑義ヲ拂フ上ニ於テ重ネ
  テ念ノ爲ニ御伺ヒスル次第デアリマス、國
  民學校令ト同時ニ靑年學校ノ普通科ノ廢止、
  是ガ十九年カラ二十年ニ掛ケテ廢止セラル
  ルト云フノデアリマスノデ、其ノ點ニ付テ、
  色々其ノ職ニ從事シテ居ル者ガ、ドウ云フ
  風ニナツテ行クカト云フコトヲ案ジテ居ル
  向ガ多イノデゴザイマスカラ申上ゲル譯デ
  アリマスガ、此ノ靑年學校ノ普通科ト申シ
  マシテ、是ハ一ツハ上級學校又ハ高等小學
  ヘ入學ヲセズニ、サウシテ家ノ子供ノ守ヲ
  スルトカ、餘所へ小僧ニ行クトカ云フヤウ
  ナ、家庭ノ事情デ普通科へ入ルノデアリマ
  スガ、是等ハ主トシテ夜學ノ方ノモノデア
  リマスガ、ソレデハナク書間通年ノ靑年普
  通科ヲ持ツテ居ル所デアリマスガ、是ハ屢〓、
  申上ゲテ居リマスケレドモ、旣ニハヤ久
  シキ前カラ、此ノ高等小學ト云フ二箇年ヲ
  アア云フ劃一的、形式的ナル〓育ヲシテ置
  クヨリハ是等ハ直チニ社會へ出テ活動ヲ
  スル所ノ者デアリ、又〓土ニ止マツテ實務
  ニ就ク所ノ者デアルニ依ツテ、是等ニハ先
  ヅ實務ノ〓育ヲ成ベク時間ヲ餘計用ヒテ、
  サウシテ心身ノ修練ヲサセルト云フコトガ、
  非常ニ彼等ノ身體ノ發育ノ上ニモ、高等小
  學ヨリハソチラノ方ガ宜イ、是等ノ如キ、
  〓土ニ止マリ、上ノ學校へ行カヌ者ハ、セ
  メテハ先ヅ以テ身體ヲ丈夫ニシテヤルト云
  フコトガ第一デアリ、サウシテ勤勞ノ訓練
  ヲ十分持タシテヤル、同時ニ又、假令商工
  業ノ徒弟トナルマデモ、農業ノ精神ヲ其ノ
  間ニ十分ニ植付ケテ置クコトガ效果的ダト
  云フノデ、實業補習學校令ニ依ル所ノ公民
  學校トカ或ハ國民學校ト稱シテ、高等小學
  ヲ廢メテ、一町村ヲ一校トシタル所ノ靑年學
  校ト云フヤウナモノニ依ツテ現在マデヤツ
  テ參ツテ、其ノ成果ノ相當認メラレテ居ル
  モノモゴザイマス、現ニ、只今モ御示シ申上
  ゲル如ク、私ノ方ノ靑年學校ガ此ノ寒ノ一
  月二十幾日ト云フニ、數百名ノ者ガ、職員
  ガ眞先ニ立ツテ禊ヲスル、是ハイツノ年デ
  モヤルノデゴザイマス、何處カラ其ノ記事
  ノ載ツテ居ル新聞ヲ送ツタモノダカ、其ノ
  記事ヲ戰地デ第一線ノ將兵ガ見テ、銃後ニ
  於ケル靑年〓育ガ斯クノ如ク勇マシイ勢ヒ
  ヲ以テ、サウシテ心身ノ鍛鍊ヲシテ軈テ是
  等ガ戰地ニ行ツタ時ノ下慣シヲシテ居ルノ
  ダ、斯ウ云フコトヲ新聞デ見テ-今日參
  リマシタ手紙ヲ見テモ、大行山脈ノ所ヲ夜
  間行進ヲシテ行ク時ニ、例ノ零下何度ト云
  フヤウナ寒イ所デ火ヲ燃スコトモ禁ジラ
  V、サウシテ寒サニ耐ヘテ行ツテ、夜ガ明
  ケテ休憩ノ時ニ新聞ヲ擴ゲテ此ノ記事ヲ眺
  メ、我ガ祖國ニ於テハ相當飽食暖衣ヲシテ
  居ルト云フヤウニ思ツテ居ツタガ、斯ノ
  如キ訓練ヲシテ居ルト云フ寫眞ヲ見テ感激
  ヲシテ居ル、學校ノ生徒ガ眞裸デ行ヲナ
  シ、サウシテ其ノ素裸ノ儘デ空閑地ノ開墾
  ニ行クノデゴザイマス、サウシテ馬鈴薯
  ヲ作ル下拵ヘヲスルトカ、或ハ其ノ他ノ準
  備ヲ其ノ勢ヒヲ以テヤツテ行ク、每年サウ
  云フ風ニヤリマスノデ、人手ノ足リナイ家
  ノ田地デモ皆靑年學校ノ生徒ガ作ツテ、何
  十俵ト云フ收穫ヲ擧ゲ、又養蠶家ノ殘シマ
  シタ殘桑ヲ以テ何十貫ト云フ繭ヲ靑年學校
  デ取ツテ居ル、斯ウ云フ風ニ今國策ヲ遵奉
  サセル上カラ行キマシテモ、是等ノ生徒ヲ
  通ジマシテ家庭ニ及ボシ、サウシテ今日窮
  迫シテ居ル食糧ノ增產ノ上ニ努力ヲ拂フ、
  斯ノ如キ精神的ニハ禊ヲナシテ心身ヲ先ヅ
  〓淨ニシ、サウシテ元氣ヲ充實セシメテ、
  心ガ何處トナク健カニナツテ行ク所ニ、日
  本精神ト云フモノモ出來テ行クデアリマセ
  ウシ、同時ニ其ノ元氣ヲ以テ人ノヨウヤラ
  ヌ事マデモヤリ拔イテ行クト云フ風ニ、先
  ヅ實行ヲ中心ニシテ素養ヲ作ツテ行クト云
  フコトハ、今日ノ靑年學校ノ實情ヲ見テ、
  斯ウナクテハナラヌト云フコトヲ私共感ジ
  マシテ、今日マデ設備ト言ヒ、色々ノ方法
  ニ依ツテ努力ヲ盡シテ來タノデアリマス
  是ガ今度國民學校令ニ依ツテ廢止ヲセラレ
  ル、其ノ國民學校ト雖モ、固ヨリ靑年學校
  ノ今日ノ實務、身心修鍊ノ此ノ型ガ、今ノ
  國民學校ノ高等科ノ方ニ重ク用ヒラレルト
  云フヤウニ伺ツテ居リマスルガ、サウ致シ
  マスルト今廢止ヲ受ケマスケレドモ、靑年
  學校ノ行キ方ガヤハリ國民學校デサウ云フ
  風ニヤラレルト云フコトニ付テハ、先ヅ其
  ノ效果ハ-見ナケレバ分ラヌケレドモ、
  政府ノ方デ御〓究ニナツタコトニ依ツテ、
  其ノ實效ノ擧ガルモノト信ジマス、差當リ
  ドチラカト言ヘバ、私共ハ過去ニ於ケル實
  情カラ、靑年〓育ヲ完成スル上カラ見レバ
  ドウシテモ尋常六年ヲ出テ、一ハ上級學校
  ニ行キ、或ハ中等學校ニ行ク、サウシテ一
  方踏止マツテ〓土ニ殘ル者ハ、前ノ高等小
  學ト云フモノノ年齡カラ見マシテモ、旣
  十三、四歲デ、靑年ノ時期ニ達シテ居ル者
  デアリマスカラ、之ヲ靑年〓育ノ基礎トシ
  テ行クト云フコトガ、吾々ノ長イ間ノ經驗
  ニ徵シテ誤ラザルモノト信ジテ居ルノデゴ
  ザイマス、併シナガラ國民學校案ト云フモ
  ノガサウ云フ風ニ今度發令ニナリマシテ、
  ソレニ伴ツテ自然廢止ハセラレルケレド
  モ、其ノ〓育ノ方法ハヤハリ同樣ダト云フ
  ヤウナコトニナリマスルト、靑年學校ノ獨
  立ヲシタル所ノ、高等國民科ト云ヒマスカ、
  斯ウ云フモノヲ同ジ校舍デ〓育ヲシテ行キ
  マスルト靑年學校ノ本科ノ方トノ連絡竝
  ニ〓土ニ適スル〓育ヲヤラセルト云フ上ニ
  於テ、靑年〓育ノ上ニ非常ニ效果的デアル、
  勿論高等國民科ノ二箇年ヲ了ヘレバ、〓土
  ノ靑年學校へ入ルノデゴザイマスカラ、ヤ
  ハリ同一ナル所ノ獨立校舍ニ於テヤルト云
  フコトガ、彼等生徒ノ頭ノ上カラ行キマシ
  テモ、小學校ニ併置セラレテ居ル所ヘ行ク
  ト云フ氣持デナク、一ハ中等學校ニ行ク、
  自分達ハ靑年學校ニ行クンダト云ツテ、新
  シイ靑年學校ヘ行キマスル方ガ、心ニ受ケ
  ル影響カラ行キマシテモ、非常ニ緊張ヲシ
  テ、奬學ノ上ニ其ノ方ガ效果的デアル、斯
  ウ云フ風ニ、過去ノ經驗ニ徵シマセヌデモ
  實情カラ言ツテ、殊ニ農村ナドノ如キニ於
  キマシテハ、一町村ノ者ガ一ツ所ニ集マリ
  マシテ、サウシテ二箇年間晝間其處デオ互
  ニ共ニ〓育ヲ受ケマスレバ、同窓ノ誼ミト
  云フコトガ、延イテハ其ノ町村自治ノ運用
  ニ於テモ、意思ノ疏通ヲ圖ル上ニ於キマシ
  テモ、將來町村ヲ治メテ行ク上ニ非常ニ便
  利デアル、斯ウ云フヤウナ點デ、是ハ私ノ
  方デモ合同シテ同一校舎ニナツテ居ルノデ
  アリマスガ、將來ト雖モ所ニ依リマシテハ
  此ノ方ガ便利デアルトモ考ヘルノデアリマ
  スガ、此ノ點ニ付キマシテ當局ニ於カレマ
  シテ、國民學校令デハドウ云フ風ニナリマ
  スカ知リマセヌガ、靑年學校ノ方ノ立場カ
  ラ申シマスト、靑年學校ニ國民學校ノ高等
  科ヲ併置スルコトヲ認ムル、斯ウ云フ御說
  デアリマスルカ、サウシテ行キマシタ方ガ、
  私共モ全ク靑年〓育ノ完成ノ上カラ言フト
  便利ダト思ヒマスルガ、此ノ際念ノ爲ニ御
  當局ノ御意見ヲ先ヅ以テ御伺ヒ致シタイト
  思ヒマス

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• 047・池田秀雄

  ○池田秀雄君　關聯シテ質問シタイト思ヒ
  マスガ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=47

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• 048・林平馬

  ○林委員長　樋口君、宜シウゴザイマス
  カ-ソレデハ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=48

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• 049・池田秀雄

  ○池田秀雄君　只今樋口委員カラ御質問ニ
  ナリマシタガ、私モ簡單ニ此ノ點ニ付テ御
  伺ヒ致シテ置キマス、我ガ國ノ〓育ガ劃一
  ノ弊ニ陷ツテ居ルト云フコトハ識者ノ定論
  デゴザイマスガ、今囘小學校令ヲ御改正ニナ
  ツテ、サウシテ國民學校令ニナルノデアリ
  マス、所ガ從來各地方ニ於テ高等小學校ヲ
  廢止シテ、サウシテ靑年學校ヲ以テ之ニ充
  テテ居ル所ガ少クナイノデアリマス、佐賀
  縣ノ如キハ昭和五、六年以來縣ノ方針ヲ以
  テ小學校ヲ廢止シテ、靑年學校普通科ト言
  ツテ通年制ノ靑年學校ヲ普及サセテ居リマ
  ス、其ノ結果ハ小學校、高等小學校ヨリモ
  非常ニ實際ニ卽セルヤリ方ニナツテ居リマ
  シテ、高等小學校ヨリモ遙カニ效果的デア
  リ且ツ實際ニ適シテ居ルト云フ狀況デア
  リマス、ソレデ私共ハ當局ガ小學校令ヲ改
  正サレテ、國民學校令トサレルコトニ付テ、
  全的ニ反對ヲ致サウト云フ譯ハアリマセヌ、唯
  實際十年來サウ云フ靑年學校ヲヤツテ居ツ
  テ、而モ成績ガ良好ナル狀態デアリマスレ
  バ、今囘國民學校令ヲ御布キニナツテ、從
  來ノ靑年學校ヲ如何ニ取扱ハレルカト云フ
  コトニ付テ、明確ニ御說明ヲ戴キタイノデ
  ゴザイマス、私共ハ此ノ從來ノ靑年學校ヲ
  活カシテ使ツテ戴キタイト云フノガ質問ノ
  本旨デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=49

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• 050・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今樋口サンカラ、又關
  聯シテ池田サンカラ御熱心ナ御意見ガゴザ
  イマシタ、靑年學校ノ普通科ノ問題ト存ジ
  マスガ、地方ニ依リマシテハ、其ノ普通科
  ヲ全日晝間通年制ト致シマシテ、只今ノ御
  話ニゴザイマシタヤウニ、能ク其ノ〓土ニ
  卽シテ實務的ナ、又實際的ナ所謂劃一ニ囚
  ラハレズ、形式ニ流レズ、靑年ノ實際的心
  身ノ鍛鍊ニ努メテ、非常ニ成績ノ擧ツテ居
  ル學校ガ地方ニアルト云フコトヲ豫テ承ツ
  テモ居リマス、又只今御話ノ點ハ正ニソレ
  等ノ學校ニ付テノ御話ノコトト存ジマス、
  私共モ確カニ只今御話ノゴザイマシタヤウ
  ニ非常ナル成績ヲ擧ゲテ居リ、又適切ナル
  成果ヲ擧ゲテ居ルト云フコトヲ認メルノデ
  ゴザイマス、是ハ其ノ地方ニ於キマシテノ
  先達ノ御方々ノ卓見ニ基キ、又其ノ町村ノ
  當局ノ御方々ノ非常ナル御熱心、又學校ニ
  携ハツテ居ラレマス所ノ校長初メ職員ノ御
  方々ノ非常ナル御苦心ノ結果ト存ズルノデ
  ゴザイマス、是ハヤリ樣ニ依ツテハ中々難
  カシウゴザイマシテ、普通オ座ナリニヤツ
  テハ中々成績ガ擧ラヌノデアリマス、只今
  御話ノアリマシタヤウニ、町村當局ヲ初メ
  學校當局又其ノ地方ノ先達者ガ一緒ニナツ
  テ、サウ云フ〓育ノ實效ヲ擧ゲルコトニ力
  ヲ入レラレルト、只今御話ノアリマシタヤ
  ウナ非常ナ良イ成績ガ擧ルノデアルト云
  フコトハ、吾々モ其ノ通リ考ヘルノデゴザ
  イマス、ソコデ今囘國民學校ノ制度ガ改正
  ニナリマシテ、國民學校ノ高等科ガ內容的
  三つ、又其ノ〓育ノ運用ニ於キマシテモ、
  相當今度ハ改善ヲサレルヤウニナツテ居リ
  マス、高等小學ニ付テ從前カラ一面ニ於テ
  ハ色々御批判モアリマス、只今池田サンノ
  御指摘ニナリマシタ批判モ確カニ吾々モ承
  ツテ居リマス、又是ハ實際上大イニ考ヘナ
  ケレバナラヌ點モ多々アルト思ハレテ居リ
  マス隨ヒマシテ過般〓育審議會等ニ於キ
  マシテモ、十分ソレ等ノ點ヲ檢討審議セラ
  レマシテ、樋口サンノ仰セラレマシタ十三、
  四歲ノ所謂靑年前期ニ該當スル所ノ年齡層ノ
  子弟ノ〓育ハ、劃一的デナクシテ、其ノ地
  方〓土ノ實際ニ卽シテ、形式ニ流レズ、有
  效ナル結果ヲ擧ゲナケレバイケナイト云フ
  見地カラ、種々〓究セラレマシテ、今囘實
  施セラレントシテ居リマス所ノ國民學校ノ
  高等科ハ、其ノ內容ニ於テモ非常ニ伸縮性
  ヲ持ツテ居リマスルシ、又學科等ノ配置等
  ニ於キマシテモ、相當實業科目ヲ課スルヤ
  ウニモナツテ居リマス
  〔委員長退席、宮本委員長代理着席〕
  其ノ運用ニ於テ、丁度御指摘ニナリマシタ
  ヤウナ〓育改善ノ方向ニ向ツテ之ヲ實施致
  シタイ、左樣ニ心組マレテ居ル譯ナノデゴ
  ザイマス、ソコデ只今樋口サンカラ御尋ネ
  ノゴザイマシタ從來ノ町村當局竝ニ地方ノ
  方々ノ非常ナル御努力ニ依ツテ、靑年學校
  ノ普通科ヲ地方ノ狀況ニ依ツテ或ル一箇所
  ニ合同シテ設置致シマシテ、特別ノ校舍ヲ
  拵ヘル、サウシテ先程言ハレルヤウナ〓育
  ノ實ヲ擧ゲテ居ラレル靑年學校ニ於キマシ
  テ、今度ハ國民學校ノ高等科ヲサウ云フ所
  ヘ併置シテ行クコトヲ認メテ貰ヘルカドウ
  カト云フヤウナ御趣意デゴザイマシタガ、
  是ハ地方ノ狀況ニ依ルコトト存ズルノデア
  リマシテ、地方ノ狀況ニシテソレヲ許シ、
  又ソレガ適切デアリ、又相當實績ヲ擧ゲテ
  居ラレルモノトスルナラバ、ソレハ極メテ
  結構ナコトト考ヘマス、サウ云フ風ニシテ
  今後〓育ノ運用ヲヤツテ戴クコトガ出來マ
  スルナラバ、〓育ノ成果ヲ擧ゲル上ニ於テ
  相應シイ、適切ナコトデアラウト私共ハ考
  ヘテ居リマス

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• 051・樋口善右衞門

  ○樋口委員　今御答辯ノ中ニ現ニ獨立ノ校
  舍ヲ持ツテ靑年學校ノ普通科ヲ本科トシテ
  ヤツテ居リマスルモノハ認メルト云フ御話
  デゴザイマシタガ、尙ホ私ハ地方ノ實情ニ
  依リ、又其ノ町村ノ經濟等ニモ是ハ影響ス
  ルコトデゴザイマスガ、將來ト雖モ私ハ靑
  年學校ガ獨立校舍ヲ持ツテ相當ナ成績ヲ擧
  ゲ、其處デ共ニ國民學校高等科ヲ〓育シタ
  方ガ便利デアルト認メラレタ場合ニハヤハ
  リ其ノ併置ハ御認メ下サルノデスカ、ドウデ
  スカ

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• 052・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　サウ云フ場合ニハ併置ヲ
  認メタイト存ジテ居リマス

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• 053・樋口善右衞門

  ○樋口委員　其ノ場合ニ是ハドツチニシテ
  モサウ云フ風ニ併置ヲ致シマスルニ必要ダ
  ト認メマス所ハ何レモ靑年〓育ト云フコト
  ノ實ガ擧リ、又地方ガソレニ關心ヲ持ツ
  テ行ク場合ガ多イト思ヒマスノデ、要ハ靑
  年〓育ト云フコトニ大體主體ヲ置カレテ行
  クモノデアリマスル關係モアリマスルシ、
  其ノ點ヲ私共考ヘマスル時ニ此ノ靑年學校
  ノ校長ヲシテ國民學校校長ヲ兼ネサセル、
  斯ウ云フコトニ當局ノ御話ガアリマスル
  ガ、此ノ點ニ付テ特ニ此ノ際御確答ヲ願ツ
  テ置キタイト存ズルノデアリマス、ナゼナ
  ラバ此ノ場合御承知ノ通リ二人ノ校長ガ出
  來ネバナラヌコトニナリマスガ、其ノ學校
  ノ運用ノ上カラ行キマシテモ、何レカガ兼務
  セナケレバ相成ラヌモノデアリマスルカ、
  ドチラカト言ヘバ斯ウ云フ學校ハ私共ハ靑
  年ヲ主體トスル先程申シマシタヤウニ必要
  アツテノ學校デアルカラ、靑年學校長ヲシ
  テ國民學校高等科ノ學校長ヲ兼ネシムルト
  云フ御說デアリマシテ、ソレハ私昨日伺ヒ
  マシテ承知致シマシタノデゴザイマスガ、此
  ノ機會ニ更ニ御伺ヒ致シタイノデアリマス
  尙ホ次ニ靑年學校ノ〓員ト國民學校高
  等科ノ訓導トハ何レヲ本務ニスル場合デ
  モ、其ノ兼務ヲ認メテ貰ヒタイト思ヒマス、
  是モサウ云フ風ニ御意向ハ承リマシタケレ
  ドモ、重ネテ御伺ヒヲ致ス次第デアリマス、
  斯樣ナ場合ニ於キマシテ資格ニ影響スルコ
  トデゴザイマスガ、現在デモ慥カ國民學校
  令ノ方デモサウダラウト思ヒマスガ、小學
  校ノ方ノ先生ハ無條件デ其ノ儘靑年學校ノ
  〓師トナレル譯デアリマス、靑年學校ノ方
  ノ〓員カラ見ルト、其ノ資格ニ於テ小學校
  ノ方ガ靑年學校ノ〓員ヲスルヤウナ譯ニ行
  キマセヌガ、是等ハヤハリ同樣ニ無條件、
  無試驗檢定ヲ以テ資格ヲ與ヘル、コンナ御
  話デゴザイマシタガ、此ノ點ニ付キマシテ
  モ重ネテ一ツ御答辯ヲ煩ハシタイト存ズル
  ノデアリマス

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• 054・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　國民學校高等科ヲ終了致
  シマスルト靑年學校ノ本科ニ連絡スル譯ナ
  ノデゴザイマス、隨テ此ノ相互ノ〓育ノ連
  繫ト云フ立場カラ考ヘテ見マシテモ、左樣
  ナ熱心ナル又充實シタ〓員ノ學校ニ於テ是
  等ノモノガ併置セラレルト云フコトハ〓
  育ノ效果ヲ擧ゲル上ニ於キマシテモ適當ト
  考ヘマス、隨テサウ云フ場合ニ於テハ此ノ
  併置ヲ認メテ差支ヘナイト考ヘマス、隨ヒ
  マシテサウ云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、
  人的組織ノ關係カラ申シマシテモ、亦〓育
  ノ連繫ト云フ關係カラ申シマシテモ、靑年學
  校ノ校長ヨリ國民學校ノ方ノ高等科ノ校長
  ヲ兼ネシムルト云フコトモ、經濟ノ上カラ申
  シマシテモ、亦〓育ノ連繫ヲ圖ル上カラ申シ
  マシテモ、適當デアラウト考へマス、是人
  無論結構ナコトト存ジマス、又〓員ニ付キ
  マシテモ、靑年學校ノ方ノ〓員ハ無試驗檢
  定等ノ檢定ノ方法ニ依リマシテ資格ハ取リ
  得ルト考ヘマス、又取リ得ル方法、途ヲ開イ
  テ宜カラウト考ヘマス、是等ハ本省ト地方
  廳ト能ク連繫致シマシテ、其ノ實ヲ擧ゲル
  ヤウニ努メタイ、左樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=54

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• 055・池田秀雄

  ○池田秀雄君　一寸私關聯シテ-只今當
  局ノ御答ヘニ併置ノコトハ宜カラウト云フ
  御話デゴザイマスガ、併置ハ私ハ結構ダト
  思ヒマスケレドモ、併置ト云フヤウナコト
  ヲ御認メニナルヨリモ、尙ホ一層靑年學校
  ヲ高等小學校ニ代用スルト云フヤウナ御考
  ヘハ御持チデナイデセウカ如何デセウカ、
  此ノ點ヲ御伺ヒ致シマス

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• 056・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今制度上ノ機構ニ於テ
  考ヘテ居リマスルコトハ、代用ト云フコト
  ハ考ヘテ居リマセヌ、義務ハ義務制ノ見解
  ニ於テ一本ニ致シタイ、無論靑年學校ノ本
  科ハ義務制ニナツテ參リマスガ、今度國民
  學校高等科ノ義務制トソコデ繫ガルヤウ
  ニ、左樣ニ考ヘテ居リマス

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• 057・宮本雄一郎

  ○宮本委員長代理　一寸樋口サンニ御打合
  セシマスガ、大臣ニ御質問ガアルヤウデス
  ガ、幸ヒ大臣御出席デアリマスカラ次官へ
  ノ御質問ハ後廻シニシテ大臣ニ對スル御質
  問ヲ此ノ際如何デスカ

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• 058・樋口善右衞門

  ○樋口委員　私事務上ノコトニ多ク亙ルヤ
  ウデアリマスルカラ、次官カラ御答辯ヲ願
  ヘバ幸ヒダト思ツテ居リマスガ、大臣ノオ
  暇ガナク、他ノ方ニ御忙シイヤウデゴザイ
  マシタラ、私此ノ質問ヲ此ノ儘ニシテ置キ
  マシテ、次ノ方ニ大臣ニ對スル質疑ヲ讓リ
  マス

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• 059・宮本雄一郎

  ○宮本委員長代理　ソレデハ林君

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• 060・林平馬

  ○林(平)委員　國家興隆ノ根本原動力ハ〓
  育デアルコトハ改メテ申スマデモナイコト
  デアリマス、隨テ此ノ委員會ニ於キマシテモ、
  今日マデ數日ニ亙リマシテ、〓育ノ根本ニ
  關スル重要質疑ガ行ハレタ譯デアリマス、
  實ハ私モ根本ニ付テ少シク御尋ネ申上ゲタ
  イト思ツテ居リマシタガ、委員長トシテ委
  員各位ノ御質問ノマダ終ラナイ中ニ質問ス
  ルコトモドウカト思ヒマシテ、差控ヘテ居
  ツタノデゴザイマスガ、大體各位ノ御質問
  モ終ラントスルヤウニナリマシタシ、今日
  デ終了スルヤウナ模樣ニ進ンデ參リマシタ
  モノデアリマスカラ、委員各位ノ御質問漏
  レト思ヒマスル點、或ハ重複ハシマシテモ
  尙ホ確メタイト思ヒマスル點ヲ御質問申上
  ゲテ見タイト思ヒマス
  第一點ハ近衞內閣施政方針ノ第一ニ揭ゲ
  ラレテアル〓育刷新ト云フコトデゴザイマ
  スガ、是ハ他ノ委員カラモ御質問ガアツタヤ
  ウデゴザイマスケレドモ、刷新ト云フノハ
  ドウ云フ形デアツタモノヲドウ云フ形ニ置
  換ヘルノデアラウカト云フ、ソノ簡單明瞭
  ナ具體的ナ內容ヲ承リタイノデゴザイマス、
  小學校ヲ國民學校ニ置換ヘルト云フノハ
  是ハ大キナ變リ方デゴザイマスガ、是ハ現
  內閣ノ仕事デハアリマスケレドモ、何モ新
  シイ施政方針デハナク、旣ニ去ル議會ニ於
  テ決定シタル既定ノ事實デゴザイマスルカ
  ラ、多分刷新ト云フノハ他ノコトデアラウ
  ト思ヒマスガ、其ノ內容ヲ簡單ニ御伺ヒ致
  シマス

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• 061・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　〓育ノ刷新ト云フコトニ
  付キマシテハ色々ナ方面カラノ方策ガア
  ラウト存ズルノデゴザイマスガ、併シ根本
  ニ於キマシテ吾々ガ今考ヘテ居リマス事柄
  ハ、〓育ト云フコトガ從來相當ナ效果ヲ收
  テ居ルノデアリマスケレドモ、其ノ效果ノ
  一面ニ、又長イ間ノ情弊ヲ釀シテ居ル點モ
  アラウカト認メラレルノデアリマス、先ヅ
  其ノ情弊ヲ一掃スルト云フコト、ソレト共
  ニ我ガ國ノ〓育ノ根本方針ガ何デアルカト
  云フ事柄ヲ、唯言葉ニ依ツテデナク、實際
  ニ徹底スルヤウナ方針ニ向ツテ進ム、ト云
  フコトガ〓育ノ刷新ノ目的デアルト考ヘル
  ノデゴザイマス、デアリマスガ故ニ、或ル
  部分ニ於キマシテハ形式ヲ改メナケレバナ
  ラナイ點モアルト思ヒマス、或ルモノニ於
  キマシテハ、從來ノ方針ヲ十分徹底スルヤ
  ウニサセナケレバナラヌコトモアルカト思
  ヒマス
  又從來國ノ〓育ノ方針ト云フコトニ十分
  ナル自覺ヲ持タナイデ、唯〓ヘルト云フコ
  トノ技術ニ終ツテ居ツタカト思ハレルヤウ
  ナ節ガアリマスレバ、左樣ナモノニハ十分
  ニ其ノ自覺ヲ求メテ、本當ノ〓育ヲ實行ス
  ルヤウニサセルト云フヤウナコトモ方法デ
  アラウカト存ジマス、今色々其ノ方面ニ向
  ツテ、改善スベキモノハ改善シ、改革スベ
  キ點ハ改革ヲスル、又其ノ儘ニ置イテ改メ
  ナケレバナラヌモノハ改メルヤウニ、適當
  ナ方策ヲ考慮シツツアルノデゴザイマスガ、
  ソレニ先ダツテノ問題ハ、先ヅ從來明カデ
  アル我ガ國ノ〓育ノ根本方針、卽チ〓育ニ
  關スル御勅語ノ奉戴ト云フコトニ依ツテ、
  實踐的ニ徹底ヲ期スル如キ方向ニ〓育ヲ向
  ハセルト云フコトニ努力ヲ進メタイト考ヘ
  テ居ルノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=61

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• 062・林平馬

  ○林(平)委員　次ニ御尋ネ致シタイコトハ、
  〓育ノ隆替ハ組織ヲ色々置換ヘルト云フコ
  トヨリモ、〓育者其ノ人ニアルコトハ申ス
  マデモゴザイマセヌ、隨テ〓育者其ノ人ヲ
  作ルコトガ先決問題デアリ、肝要デアルト
  思ヒマス、卽チ師範〓育ノ刷新充實、是ガ
  一番根本デアルコトハ他ノ委員ノ方々ヨリ
  モ繰返シ〓〓申サレタコトデゴザイマスガ、
  師範〓育ノ刷新ヲスル爲ニ師範學校ニ素質
  ノ良イ者ヲ集メテ來ル、〓育ヲ施スベキ其
  ノ相手方ノ生徒ニヨリ良キ者ヲ集メルコト、
  其ノ人材吸收ノ方法、是ハ實ニ面倒ナコト
  デアリ、先程モ他ノ委員カラモソレニ關ス
  ル質問ガアツタノデゴザイマスガ、一番大
  事ナ問題デ又面倒ナ問題デアルト思ヒマス、
  ソレハドウ云フ風ニスレバ宜イカト申シマ
  スト、私ノ考ヘデハ、ヤハリ精神的及ビ經
  濟的ノ優遇法ニ付テ考ヘナクテハナラヌコ
  トダト思フ、寺小屋時代ノ習學塾制度ノ時
  代ニ於テハ優遇トカ待遇ナドトカ云フコト
  ハ審ロ恥辱デアルト考ヘテ居ツタ、サウ云
  フコトヲ毛頭頭ニ置カズニ〓育其ノモノ
  良キ弟子ヲ造リ上ゲルト云フ其ノコトニ非
  常ナ興味ヲ感ジ、使命ヲ感ジデ居ツタ特殊
  ノ方々ニ依ツテ子弟ガ薫陶サレテ來タノデ
  ゴザイマス、隨テ立派ナ人材モ輩出シテ御
  國ノ爲ニモナツタノデゴザイマスガ、今日
  ノヤウナ斯樣ニ數十万ト云フ大量ノ〓育者
  ヲ要スル時代ニ於テハ、ソンナコトハ夢ニ
  モ望ンデハナラナイコトデアリ、望ンデモ
  得ラレヌコトダト思ヒマス、〓育者ハ〓育
  ノ尊イコトヲ自覺シテ、ソレデ滿足セヨト
  押付ケテシマフト云フコトハドウカト思フ、
  〓育者ノ方カラ見レバ、サウ云フヤウナ態
  度ニ出ルコトガ一番肝要ナコトデアリマス
  ケレドモ、政治的方面カラ見テハ、ソレヲ
  要求シテ以テ足レリト考ヘルヤウナコトデ
  ハナラナイト私ハ思ヒマス、ソレデハドウ
  スレバ宜イカト云フコトヲ突詰メテ參リマ
  スト、私ハ三點アリハシナイカト思フ、第
  一ハ〓員ノ生活ノ最低保障制度ヲ確立スル
  コト、之ニハ給料ヲ上ゲテヤルト云フノミ
  デナク、何カ又他ニ方法ガナイモノデアラ
  ウカトモ考ヘマス、例ヘバ互助會ノ規程ナド
  ヲモツト强化シマシテ、サウシテ〓員ノ子
  弟〓育費ナドヲ補給シテヤル方法ナドモ大
  イニアラウト思フ、先達テ庄司委員カラモ
  例ヲ擧ゲテノ御話モゴザイマシタガ、〓員
  ハ人樣ノ子供ガ上級ノ學校ニ行クコトノ御
  相談ニ應ジタリ、御助ケヲシタリシテ居ル
  ケレドモ、自分ノ子供ノ〓育ト云フコトニ
  付テハ、到底思ヒモ寄ラナイト云フ、悲シ
  イ淚グマシイ手紙ヲ先日朗讀サレタノデ
  アリマスガ、普段ノ月給トカ、或ハ退職後
  ノ恩給ト云フモノハ、〓員其ノ人ノ生活ノ
  助ケニハ無論ナツテ居ルノデアリマスケレ
  ドモ、更ニ其ノ子弟ノ〓育費ト云フヤウナ
  餘裕ナドハ生レテ來ナイノデゴザイマス、
  併シ廣イ意味ノ〓員生活ニハ其ノ子弟ノ〓
  育費ヲモ含ムモノダト思ヒマスカラ、何等
  カ給料以外ノ組織ヲ以テ强化シテ、サウ云
  フ方面ヲモ保證シテヤルコトガ大切ダト思
  ヒマス、モウ一點ハ官公立學校ノ〓員俸給
  ハ是ハ全額國庫支辨ニスベキモノダト思ヒ
  そう、ソレハ〓員ノ尊イ職責デアルコトニ
  對スル精神的效果ガ非常ニアル、ドウモ村
  カラ貰ツテ居リマスト村ノ所謂有志トカ何
  トカ云フ人ニ兎角動カサレ勝チデアリ、縣
  費ヲ以テ賄ハレテ居ルト、兎角縣ノサウシ
  タ人々ニ依ツテ地位ヲ動カサレル嫌ヒガ往
  往アルノデゴザイマス、デアリマスカラ〓
  員ノ身分ノ保障ト云フ單ニ經濟上ノ問題バ
  カリデナク、精神的ノ安定ヲ得ル上ニ於テ
  モ、官公立ノ學校〓員ノ俸給ハ全額ヲ國庫
  支辨ニスベキモノデアラウト思ハレマス
  第三點ハ勳章類似ト申シマセウカ、其ノ
  格式ニ於テ動章ト同ジヤウナモノ、特ニ〓
  育章ト云フヤウナモノノ制度ヲ設ケラレ
  テ、〓育者獨特ノ名譽ヲ顯彰スル方法ガ立
  テラレテハドウカト思フ、〓育者ニ限ツテ
  其ノ勳章ガ戴ケル、〓育者ノ名譽ヲ顯彰ス
  ル方法デゴザイマス、ドウモ動章ヲ彼此レ
  考ヘルコトハ、是ハ非常ニ不謹愼ナコトデ
  ゴザイマスケレドモ、極ク打割ツテ申シマ
  スト、學校ノ訓導カラ校長ト三十年モ續ケ
  テ漸ク動八等ヲ戴ク、所ガ一方自分ノ〓へ
  子ハマダ二十五六歲カ三十ニモナラヌ者ガ
  何カノ功勞ニ依ツテ、或ハ役人ニナツテ重
  イ動章ヲ貰フト云フヤウナコトデハ、ドウ
  モ精神的ニ釣合ガ取レナイヤウナ感ジガ致
  シマスカラ、サウ云フ方面ノ人、例ヘバ軍
  人ナラ軍人ニ限リ金鵄勳章ト云フモノガア
  ツテ、何人デモドノヤウナ功勞ガアツテモ
  戴クコトガ出來ナイ制度デゴザイマス、ア
  レト同ジヤウナ意味合ニ〓育家ニ限ツテ戴
  ケルヤウナモノガアレバ、決シテ比較對照
  ニハナラナイノデゴザイマス、サウシテ獨
  特ノ名譽ヲ顯彰シテ行クコトガ出來ルノデ
  アリマスカラ、サウシタヤウナ事モ御考ヘ
  ヲ煩ハス必要ガアルノデハナイカト云フヤ
  ウニ考ヘテ居ルノデゴザイマスガ、大臣ノ
  御所見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=62

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• 063・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　只今色々御高見ヲ拜聽シ
  マシテ、洵ニ同感デアリマス、〓育ノ根源
  ガ師道ノ興隆ニアルト云フコトハ、多年信
  ジテ疑ハナイ所デゴザイマスガ、師道ノ興
  隆ヲ實現化シマスノニハ、一面ニ於テ〓育
  者ガ自ラ白尊シ、又自重スル建前ヲ執ルベ
  キコトハ當然デアリマスケレドモ、其ノヤ
  ウナ心構ヘニ對シマシテ十分ナル條件ヲ滿
  足セシメルヤウナ事柄ガ、吾々ノ努ムベキ
  事柄デアルコトヲ考ヘテ居ルノデゴザイマ
  シテ、生活ノ保障、或ハ地位ノ保障、或、
  功勞ノ表彰ト云フヤウナ事柄ハ、出來ルダ
  ケ御趣旨ノアルヤウナ方向ニ向ツテ進ミタ
  イト、實ハ聊カ計畫又ハ考究シツツアルノ
  デゴザイマスガ、唯色々複雜ナ關係ナドモ
  アリマシテ、唯簡單ニ吾々ノ思フ所ガ直グ
  實施出來ルカドウカハ、色々調査〓究ヲシ
  テ見ナケレバナラヌト存ジマスケレドモ、
  其ノ御趣旨ノアル所ハ十分ニ尊重致シマシ
  テ、又能ク諒承致シマシテ、其ノ方向ヘ努
  力致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=63

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• 064・林平馬

  ○林(平)委員　次ニ伺ヒタイコトハ、是ハ近
  來バカリデハアリマセヌ、長イ間ノコトデゴ
  ザイマスガ、校長競爭ト云フモノガ隨分猛
  烈ニ行ハレテ居ルノデゴザイマス、現在モ
  左樣デゴザイマス、巷間傳フル所ニ依リマ
  スト、現ニ東京市ノ〓育界ニ於テハ、數百人
  ニモ及ブ大不祥事件ガ旣ニ現ハレントスル
  ト云フヤウナコトサヘモ傳ヘラレテ居ルヤ
  ウナ現狀デアリマス、之ニ付テ考ヘテ見マ
  スルト、不正ナル競爭ヲスル者ハ、無論是
  ハ結構ダトハ申サレマセヌ、良クナイニハ
  決マツテ居リマスガ、事ソコニ至ルヤウナ
  社會ノ缺陷ヲ改メルコトナクシテハ、或人
  法規ノ缺陷ヲ改メルコトナクシテ、唯怪我
  人ノミヲ背德漢デアルトカ、非國民デアル
  トカ、非〓育家デアルトカ云フヤウニ貶ム
  コトハ實ニ酷ナル扱ヒデハナイダラウカト
  思ヒマス、卽チ競爭ノ必要ノナイヤウニス
  ルコトガ、當事者ノ心遣ヲ要スル點デアラ
  ウト思フ、ナゼ競爭スルデアラウ、校長ノ
  競爭ヲナゼソンナニ恐ロシクスルデアラウ
  ト申シマスレバ、申上ゲルマデモナク、校長
  ニナレバ奏任官ニナレルトカ、加俸ヲ澤山
  貰ハレルトカ云フヤウナ極ク單純テ事デア
  ルノデハアリマスガ、併シ事實校長ニデモ
  ナツテ、サウシテ奏任官ニナレナイト云フコ
  トデハドウモ面白クナイシ、又〓員ニナツ
  タ以上ハ校長ニナラナイト云フコトモ、ド
  ウモ甚ダ遺憾ニ堪ヘナイカラ、校長ニナレ
  サウナ年限ニ達シタ人達ハ、一日モ早ク運
  動シテナレルモノナラナリタイト云フコト
  ハ、私ハ咎ムベキコトデハナイ、無理カラ
  ヌ恕スベキ事デハナイカト考ヘル程デゴザ
  イマス、ソレデアリマスカラ、此ノ不祥ナ
  出來事ヲナカラシムルコトハ、簡單ニ出來
  ヤウカト思フ、卽チ優秀ナル者ヲ特ニ奏任
  官ニ引上ゲルト云フヤウナ尺度ト云フカ條
  件ト申シマセウカ、ソレヲナクスルコトデ
  アル、一體優秀トハ誰ガ認メルカトナルト、
  上ニ立ツ人ガ認メルノデスカラ、ソコニ運
  動ノ餘地ガタツプリアル譯デアリマス、優
  秀ナドト云フ不明瞭ナ言葉ガアルカラ運動
  ト云フ有效ナ方法ガ生レテ來ル譯デゴザイ
  マスカラ、サウ云フ不明瞭ナ條件ヲ早速取
  去ツテシマフコトガ急務デアル、サモナク
  バサウ云フ不正ナ〓員ヲ幾ラ處理致シマシ
  テモ、何時マデモ後カラ〓〓ト出テ來ルコ
  トハ必至デアリマス、詰リドウシテモ此ノ
  怪シゲナル條件ハ早速取リ去ツテ、サウシ
  テ何年ニ達シタ者ハ奏任官ニスルトカ、何
  年勤メタ者ニハ加俸ヲヤルトカ云フヤウナ
  コトヲ明瞭ニシテ置クナラバ、忌ハシイ〓
  育界ノ怪我人ト云フヤウナ者ハ決シテ出テ
  來ナイノデアル、實ハ文部大臣ハ、オ世辭
  ヲ申上ゲル譯デハゴザイマセヌガ、私ハ長
  イ間議會ニ居リマスガ、アナタノヤウニ吾
  吾ノ希望ヲ率直ニ容レテ下サル大臣ハ初メ
  テデアリマス、從來ハ議會デ大變體裁好イ
  コトヲ答ヘルガ、議會ガ濟ムト兎角食言スル
  風ガ通例デアツタガ、議會中ニ我々國民〓
  育振興議員聯盟ノ希望ヲ早速御容レ下スツ
  タト云フヤウナコトハ、恐ラク是ハ初メテ
  ノ大臣デアラレルト思ヒマス、是ハ何人モ皆
  尊敬ヲ拂ツテ居ル所デアリマス、卽チ當テ
  ニナル方ト云フヤウナ感ジヲ皆ガ持ツテ居
  ルヤウデアリマス、隨テ斯ウシタ不祥ナル
  校長競爭ノ原因排除ニ付キテ申上ゲルノモ
  アナタヲ信賴シテ、斯ウ云フコトモ申上ゲ
  タナラバ、キツトヤツテ戴カレルデアラウ
  ト云フ大ナル希望ヲ持ツテ、諄イコトヲ申
  上ゲルノデゴザイマスガ、洵ニ忌ハシイ校
  長競爭ト云フモノノ根絕スルヤウニ、ドウ
  ゾ怪シ氣ナル條件ヲ早速取除カレンコトヲ
  御願ヒシタイノデアリマスガ、御所見如何
  デゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=64

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• 065・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　校長競爭ト云フ、洵ニ〓
  育界ニ於テ考ヘルスラ、忌ハシイヤウナコ
  トガ現實ニ於テアリマスト云フ事柄ハ、甚
  ダ遺憾千萬ニ存ズルノデアリマス、其ノ原
  因トナルモノハ色々アラウカト存ジマスガ
  結局要スルニ一口ニ言ヘバ、其ノ名譽又物
  質的ノ待遇ノ向上ト云フコトニ歸着スルノ
  デハナイカト思ハレマスガ、併シ今仰セノ
  通リ、其ノヤウナ事情ノ出來ルヤウナ條件
  ヲソコヘ備テ置クコトガ宜シクナイト仰セ
  ラレルコトハ、是ハ全ク御同感デゴザイマ
  ス、唯奏任待遇ニスルトカシナイトカ云フ
  ヤウナ事柄ニナリマスト、又官吏一般ノ身
  分ト云フヤウナモノトノ聯關ニ於キマシテ
  ドウ云フ風ニ取扱ヘルカ、色々是ハ考究シ
  ナケレバナラナイト存ズルノデアリマスガ、
  併シ今度國民學校制度ガ實施サレルヤウナ
  曉ニナリマスト、其ノ邊ノ所ハ大分御趣旨
  ニ副フヤウニ改メラレルカトモ存ジテ居ル
  ノデアリマス、其ノヤウナ原因ヲナクスル
  コトニ如何ナル方策ヲ用フベキカニ付キマ
  シテモ、十分考究ヲ致シマシテ、出來ルダ
  ケ〓育界ノ肅正ヲ期シタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=65

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• 066・林平馬

  ○林(平)委員　日本ノ〓育ハ大臣ノ屢〓御答
  ヘニナツテ居ル所デモ分ルコトデゴザイマス
  ガ、〓育勅語ヲ離レテハ日本ノ〓育ハ成立
  タナイ、サウシテ此ノ〓育勅語ニハ古今ニ通
  ジテ謬ラズ、中外ニ施シテ悖ラザル所ノ大眞
  理ヲ御示シニナツテアラレルノデアリマス、
  デアリマスカラ〓育者ガ此ノ勅語ノ御聖旨
  ニ眞ニ徹底シテ居ルナラバ、國民思想ノ統
  一ナドニ付テ問題ガ起ル筈ハ毛頭ナイト思
  フノデゴザイマス、所ガ何時マデ經ツテモ
  ト申シマセウカ、斯ウ云フ戰時狀態ニ於テ
  尙ホ一層國民思想ガ不統一ニナツテ居ルト
  云フコトハ、色々原因ハアリマセウガ、〓
  育勅語ニ對スル所ノ〓育者ノ理解ガ足リナ
  イ、不徹底ノ結果デハナイダラウカト思フ、
  極ク通俗的ニ申シマスナラバ、國民ハ〓育
  勅語ノ信者デアリ、〓育者ハ僧侶牧師ト云
  フヤウナ形デアル、學校ハ〓會所或ハ信者
  養成所ト云フヤウナモノニナリ、文部省ハ
  實ニ日本〓育總本山デアルト云フヤウナ姿
  ニナラナケレバナラヌモノデアラト思フ、
  然ルニ今日ノ現狀ハサウナツテ居ルヤウニ
  ハ思ハレナイ、卽チ國民ハ信者トシテ不十
  分デアリ、〓育者ハ牧師タル資格ニ缺ケテ
  居ル、文部省亦甚ダサウ申シテハ恐縮シマ
  スガ、學校取締事務所ト云フヤウナ形デ、
  日本〓育ノ總本山デアルト云フ自覺ヲ持ツ
  テ居ルカドウカ疑ハレルヤウナ點ナシトハ
  申上ゲ兼ネルノデアリマス、斯ウ云フヤウ
  ナ狀態ヨリ見ルナラバ日本ニハ眞ノ國民〓
  育ト云フモノハナイノデアル、支離滅裂ト
  申シテハ過ギルカ知レマセヌガ、何ダカバ
  ラバラデアルト云フヤウニ言ハレテモ、辯
  解ノ辭ガナイデハナカラウカト思ヒマス
  デアリマスカラ是ハ私ノ希望デゴザイマス
  ガ、日本〓育ノ總本山デアルト云フヤウナ
  建前ニ文部省ヲシテ貰ヒタイ、サウシテ〓
  育者ハソレ等ノ傳道者デアリ、僧侶デアル
  サウシテ學校ハ今申シタヤウニ信者養成所
  デアルト云フヤウナ一貫シタ血液ガ文部省
  カラズツト國民マデ流レ流レテ居ツタナラ
  バ、少クトモ文部省ハ〓員數十万、學生生
  徒殆ド一千數百万ノ國民ヲ握ツテ居ラレル
  ノデゴザイマスカラ、是ガ恰モ今申シマシ
  タヤウナ總本山ト信徒ノ關係ノヤウニ置キ
  換ヘテ行カレタナラバ、思想統一トカ何ト
  カ云フヤウナ問題ガ時々起ツテ來ルヤウナ
  コトハナイデハナイカト思フノデゴザイマ
  ス、サウ云フヤウナ形ニ置キ換ヘテ本當ノ
  國民〓育振興ニ邁進シテ戴キタイト思ヒマ
  スガ、大臣ノ御所見ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=66

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• 067・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　只今ノ御所見、〓育徹底
  ノ理念ト致シマシテ甚ダ傾聽ニ値スルト存
  ズルノデゴザイマス、唯併シナガラ一面ニ
  於キマシテハ、我ガ國ノ〓育ガ此ノ明治以
  降六、七十年ノ間ニ非常ニ進步ハ致シテ參リ
  マシタケレドモ、其ノ組織、機構等ニ於キ
  マシテマダ十分日本的ナモノニマデ立上ツ
  テ居ナイノデゴザイマス、併シナガラ其ノ
  マダ立上ツテ居ナイト云フ所以ノ根柢ニハ、
  政治ノ姿ガソレニ立上ツテ居ナイ、政治行
  政ノ機構等ガ其ノ相ニ立上ツテ居ナイ點モ
  アツテ、ソレ等ノ影響ヲ受ケテ居ル點モア
  ラウカト思ヒマス、無論從來文部省ガ文〓
  ノ府ナリト言ハレテ居ル所以ノモノハ正
  ニ御說ノ通リダト存ズルノデアリマスケレ
  ドモ、其ノ理念ガ實現サレテ居ナイ事柄ハ
  洵ニ遺憾デアリ、恐縮千萬ニ存ズルノデゴ
  ザイマスノデ、將來我ガ全國民ノ十分ナル
  御支持ヲ得マシテ、其ノヤウナ方向ニ-
  我國ノ〓育ノ方針ハ勿論決マツテ居リマス
  ガ、實際ガ當篏マルヤウニ十分努力致シタ
  イト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=67

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• 068・林平馬

  ○林(平)委員　次ニ赤化問題ニ付テ少シ伺
  ツテ置キタイコトガゴザイマス、近來各地方
  ノ情勢ヲ耳ニスル所ニ依リマスト、可ナリ
  多數ノ共產主義者ガ現ハレテ來テ居ルヤウ
  ニ承ツテ居ルノデゴザイマス、何トシテモ
  非常戰時ノ場合ニ於テ、恐ラク是ヨリ恐ロ
  シイモノハナイデハナイカト思フノデゴザ
  イマス、ドウシテ此ノ赤化思想者ガ出テ來
  ルノデアラウ、考ヘテ見マスルト色々其ノ
  原因ハアルデアリマセウガ、是ハ先日モ他
  ノ委員カラモ御話ガゴザイマシタガ、ッ
  ハ日本精神ト云フモノヲ科學的ニ體系付ケ
  テ居ナイト云フコトダト思フ、ドウシテモ
  若イ人達ハ合理的ナモノヲ持チタイ、合理
  的ナモノヲ持チタクテタマラナイ、飢ヱタ
  ル者ガ食ヲ求メルヤウナ狀態デ居ル所ニ科學
  的ニ日本精神ト云フモノヲ與ヘナイカラ、
  其ノ空腹ヲ滿スコトガ出來ナイ、ソコデ他
  ノ非國體的ナ話デアツテモ、ソレガ合理的
  ニ聞エル時ニハソレヲ採入レト云フコト
  ニナルノハ無理カラヌコトダト私ハ思フ、
  ドウシテモ一日モ早ク作ラナケレバナラヌ
  モノハ、此ノ日本精神ノ科學的體系デアル、
  サウシテ大臣ハ之ヲ樹立スルト云フ心構ヘ
  ニナツテ戴キタイト思フ、外國ノ話ハ聞ク
  十、「ロシヤ」ノ本ハ見ルナト云フヤウナコ
  トデ、見ルナ、聞クナト云フヤウナコトデ
  ハ駄目ダ、向フノ赤イ品物ヨリモ、コチラ
  ノ日本ノ品物ノ方ガ良イデハナイカ、オ前
  ノモノヨリモコチラノモノハ、モツト安ク
  テ、丈夫デ便利ダト云フコトヲ言ハズニ、
  卽チ唯赤イモノヲ買フナト言フダケデナク、
  赤イモノヨリモヨリ遙ニ良イモノデアル
  コトヲ〓ヘテ呉レタナラバ、誰モ買手ハナ
  イ、向フノ物ガ良イヤウニ見エテ、コチラ
  ノ方ガヨリ優ツタ說明ガ出來兼ネルカラ、
  ツイ向フノモノヲ買入レルト云フヤウニナ
  ルノハ、不思議ナコトデハナイト私ハ思フ、
  一體親切ガ足リナイト思フ、靑年ニ對スル
  親切ト言フヨリハ、國民全體ニ對スル親切
  ガ足ラナイノデハナイデセウカ、モツト强
  ク言フナラバ、愛國心ニ缺ケテ居ルカラシ
  テ、當局ノ力ノ入レ方ガ足リナイノデハナ
  イカト思フ、幾ラ赤イモノガ入ツテ來テモ
  恐ロシクナイ、非常ニ良キモノガ日本ノ精
  神トシテアルナラバ、寧ロ逆ニ「ロシヤ」ニ
  デモ「ドイツ」ニデモ、日本精神ヲ輸出スル
  ト云フ、世界的ノ精神ヲ持タナケレバナラ
  ヌ、此ノ世界的精神ヲ持ツト云フコトデナ
  ケレバ、赤ノ防禦ナドト云フコトハ思ヒモ
  寄ラナイ、縛ツテ以テ赤ノ防禦ガ出來ルト
  云フヤウナ簡單ナモノナラ、學問モ要リマ
  セヌ、デアリマスカラ徹底的ナ防禦策、卽
  チ日本精神ヲ科學的ニ體系付ケルト云フコ
  トヲ措イテハ)赤防止ノ策ナシト云フヤウ
  ニ御諒解ヲ願ハレルカドウカ、ソレカラモ
  ウ一ツハ、赤イ〓員ヲ徹底的ニ拂拭シテシ
  マフト云フコトダト思フ、苟モ赤イヤウナ
  思想ヲ持ツテ居ル〓員ハ、〓育界カラ拭ヒ
  取ツテシマフト云フコトヲ、實行シナケレ
  バナラヌト思ヒマス、今日ハ其ノ點ニ於テ
  大イニ缺ケル點ガアルヤウニ思ヒマス、昨
  年大量ノ學生ガ大學ノ門前デ縛ラレタコト
  ハ、大臣モ能ク御承知ノコトデゴザイマセ
  ウガ、私ハ靑年ヲ縛ルト云フコト程、無慈
  悲ナコトハナイト思ヒマス、實ニ純眞ナル
  モノハ靑年學徒デアリマス、其ノ靑年學
  徒ガ何モノカヲ求メントシテ熱心ニ〓究シ
  テ、求メテ得ラレザル所ニ授ケル者ガアツ
  テ、〓授ト云フ人ガ居ツテ、色々納得ノ
  行クヤウナ話ヲスルカラ、ソツクリソレ
  ヲ受取ル譯デゴザイマス、所ガ受取ツテ
  見ルトトンデモナイモノヲ貴樣ハ受取ツ
  タ、ソレハ許シテ置カレヌト云ツテ、門前
  デ縛ルト云フコトハ、何ト云フ「ペテン」屋デ
  アルカ、國立學校ハ「ペテン」屋的事業ヲヤ
  ツテ居ル譯デアル、而モ其ノ父兄ハドウデ
  セウ、戰ヲ切ラシテ手カラ血ヲ滲マセテ、
  碌ナモノモ食ハズ、見ルモノモ見ズ、襤褸
  ヲ纏ツテ、朝夕神佛ニ祈ツテ、山ヤ田畑ヲ
  質ニ入レテ學資ヲ續ケ、自分ノ子弟ノ成功ヲ
  遙カニ祈ツテ居ル、當テニシテ賴ツテ居ル、
  其ノ大事ナ子供ヲ縛リ上ゲルト云フコトヲ
  サレテハ、其ノ父兄ノ心ノ中ハドンナモノ
  デゴザイマセウ、實ニ淚ナクシテハ想像モ
  出來ナイノデゴザイマス、赤化シタ赤ク
  染ツタ所ノ靑年ヲ縛ツテ、染メタ所ノ〓授
  ハ其ノ儘ニシテ置クト云フコトハ、斷ジテ
  許サレナイコトダト思フ、大學〓授ノ中ニ
  赤イ思想ノ者ガドノ位多クアルカト云フコ
  トハ、私ハ實ハ材料ヲ持ツテ居ルノデゴザ
  イマス、若シ斯ク申ス私ノ家カラ、赤イ子
  弟ヲ出シタ場合ニハ、私ハ失禮デスガ、文
  部大臣ニ損害賠償ノ訴へヲ起シマス、何故
  私ノ子供ヲ赤ク染メテ吳レタカト、私ハ損
  害賠償ノ訴ヘヲ起ス積リデ居リマス、子供
  モ赤クナラウトハ考ヘテ居リマセヌ、親ハ
  勿論ノコトデス、然ルニ官立學校ヲ信賴シ
  テ、日本帝國ノ大學ヲ信賴シテ、借金マデ
  シテ入レタ子供ヲ赤ク染メテ、染マツタノ
  ガイケナイト云ツテ、縛ルト云フヤウナ不合
  理ナコトハ、恐ラクアリ得ナイコトダト思
  フ、斷ジテ私ハ損害賠償ヲ要求スル積リデ、
  又シナケレバナラヌトサヘモ考ヘテ居ル程
  デゴザイマス、他ノ父兄モ恐ラク同感デア
  ラウト思フ、斯樣ナコトデゴザイマスカラ、
  ドウシテモ今日赤ニ染マリ得ナイヤウナ狀
  態ニ、學校ヲ置ク必要ガアルト思フ、實ハ
  何處ノ帝國大學ニドウ云フ人ガ、ドウ云フ
  思想ヲ持ツテ居ル、何處ノ商業學校ニハド
  ウ云フ人ガ、ドウ云フコトヲ言ツテ居ルト
  云フヤウナ、相當廣イ範圍ニ數多ク、秋、
  材料ガ手ニ入ツテ居ルノデゴザイマスガ、
  サウ云フコトヲ此處デ申上ゲレバ、或ハ折
  角大臣ガ〓育刷新ノ爲ニ大鉈ヲ振ハレル場
  合ニ却テ寧ロオ邪魔ニナルコトガ、アリハ
  セヌカト云フヤウナコトヲ心遣ヒ致シマシ
  テ、アナタノ刷新ヲナサルト云フ其ノ意氣
  ニ、御加勢申上ゲタイト云フ心持カラ、私
  ハ其ノ材料ヲ此處デ申上ゲルコトヲ遠慮シ
  タイト思ヒマス、併シナガラ事實無數-
  ト申上ゲテハ言過ギマセウガ、多數ノ〓員
  ガ皆赤クナツテ居ルト云フコトダケハ御考
  慮ヲ願ハナケレバナラヌト思ヒマス、私、
  此ノ〓授ヲ整理スル爲ニ、〓育其ノモノガ
  出來ナクナルト云フヤウナコトガアツタト
  スルナラバ、寧ロ日本ノ大學〓育、專門〓
  育ハ數年間中止サレテハドウカト考ヘマス、
  サウシタ方ガ大事ナ可愛イ子供ヲ赤ク染メ
  ナイデ行ケルシ、父兄モ滿足スルデセウ、
  國家モ恐ルベキ「バチルス」ノ頒布ヲ防グコ
  トガ出來マス、殊ニ戰時デモアリマスシ、學
  生ヲ適當ナ所ニ置イテ、重要ナル任務ヲ持
  タセルコトモ出來ルデアリマセウカラ、若
  シモ餘リ其ノ數ガ多カツタナラバ、大學ノ
  〓育ナリ專門學校ノ〓育ナリヲ一時中止ス
  ルダケノ大臣ニ御決心ヲ以テ臨ンデ戴キ
  タイ、吾々モ及バズナガラ全力ヲ擧ゲテ、
  大臣ノ御英斷ニ御加勢ヲ申上ゲタイト思ヒ
  マス、ソレカラ思想バカリデハアリマセヌ、
  怠ケル〓授ガ澤山居リマス、例ヘバ大學デ
  ハ大體始終講義ヲ筆記サセマスガ、其ノ筆
  記ノ材料ナルモノハ、數年前ノ「ノート」ヲ
  持ツテ來テ讀上ゲテ、每年々々相變ラズ筆
  記ヲサセテ居ルヤウナ〓授モ、決シテ少ク
  ナイノデアリマス、サウ云フ者ニ至ツテハ
  是ハ祿盜人トデモ申シテ宜イデハナイカト
  思フヤウナ者モ少クアリマセヌ、而モサウ
  云フ人ニナルト、每週數時間休ンダリ、或
  ハ一箇月ノ中ニ何日モ出テ來ナイ、缺勤ガ
  多イ、中ニハドウモ先生ノ講義ガ十分ニ聽
  ケマセヌノデ答案モ十分ニ書ケマセヌガト
  言フト、イヤ、落第ハサセナイカラ心配ス
  ルナト言ツテ居ル人サヘアルニ至ツテハ是
  ハ實ニ恐ロシイコトデハアリマセヌカ、斯
  樣ナコトヲ考ヘマスト、思想ノ赤イ者及ビ
  〓育ニ不熱心ナ祿盜人ト云フヤウナ性質ノ
  者ハ、斷乎トシテ〓育界ヨリ拂拭スルト云
  フコトヲ御實行願ハナケレバ此ノ日本ヲ如
  何セント申上ゲナケレバナリマセヌ、之ニ
  對スル大臣ノ御所見ヲ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=68

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• 069・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　只今ノ御質問ハ要スルニ
  〓學ノ刷新ト云フコトノ根本ノ一ツノ御方
  針ト拜聽致シタノデゴザイマス、〓學ノ刷
  新殊ニ大學ノ學風ヲ正シク樹立スルト云フ
  コトハ、目下最モ重大ナルコトト考ヘテ居
  ルノデゴザイマシテ、ソレ等ノ點ニ向ツテ
  ハ種々方策ハアラウカト存ジマスケレドモ、
  私ノ力ノ及ブ限リ大學ノ校風ノ刷新樹立ト
  云フコトニ付テハ力ヲ込メテ邁進スル決心
  デ居ルコトダケヲ申上ゲテ御答辯ニ代ヘマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=69

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• 070・林平馬

  ○林(平)委員　私ハ橋田文部大臣ハ必ズ實
  行サレル方デアルト云フ非常ナ信賴ヲ持ツ
  テ居リマスノデ、只今ノ御答辯デ十分ニ滿
  足致ス次第デゴザイマス、ソコデ更ニ御聽
  キ致シタイコトハ、〓育ニ支障ヲ來スヤウ
  ナ政治ヲヤラヌヤウニ、文部省カラ他ノ省
  ニ向ツテモ機會ガアツタラ發言ヲ願ハレル
  カドウカト云フコトデゴザイマス、文〓ノ
  仕事ハ、先程モ申シマシタヤウニ-國家
  ノ根本問題デアリマス、此ノ根本問題ヲ阻
  碍スルヤウナ政治ニ付テハ、十分ニ御註文
  サレルト申シマセウカ、橫槍ヲ入レルト申
  シマセウカ、發言ヲサレテ、文〓ノ擁護ノ
  立場ニ御立チヲ願ヒタイ、ソレハドウシテ
  サウ云フコトヲ聽クカト云ヒマスト、實ハ
  公益優先ト云フコトノ意味ガ私ニハ能ク納
  得出來ナイカラ、之ヲ一ツ御尋ネシタイノ
  デゴザイマス、大政翼贊會ノ指導精神ハ公
  益優先ト言ハレテ居リマス、總理モ左樣ニ
  言ウテ居ラレマス、ドウモ私共ノ頭ニハ此
  ノ公益優先ト云フコトノ意味ガ納得出來兼
  ネテ居ル、色々ト〓究シ、人ニモ聽キ、考
  ヘテモ見タノデゴザイマスガ、マダ十分ニ
  納得出來ナイ、獨リ私バカリヂヤナイ、多
  數ノ國民ニ同ジ感ヲ抱ク者ガ多イノデ、玆
  ニ御尋ネスルノデゴザイマス、一體我ガ國
  ハ總テ公私一體ノ國ダト思フ、忠孝一本ノ
  國デゴザイマス、是ガ日本ノ建前デアル、
  忠ト云フノハ是ハ公ノ德デゴザイマセウ、
  孝ト云フノハ私ノ德デゴザイマセウ、此ノ
  公私兩德ガ表裏一體デゴザイマス、忠孝一
  本デゴザイマス、精神上バカリデナク、經
  濟的ニモサウダト思ヒマス、外國ナドデハ夫
  婦デ亭主ノ財產ト妻ノ財產ト違ツテソコニ
  貧富ノ差ガアル、親子デモ貧富ノ差ガアル、
  兄弟デモアル、一ツ家ノ中ニ貧富ノ差ガア
  ルノガ外國デゴザイマス、恐ラク日本ノ普
  通ノ家庭ナラバ、同ジ屋根ノ下デ、家庭ノ
  中デ夫婦、親子、兄弟ガ貧富ノ差ノアルト
  云フコトハ恐ラク想像ガ付カナイモノデア
  ラウト思フ、一體デゴザイマス、天皇陛下
  ガ襤褸ヲ纏ハレテモ、雨ノ漏ルヤウナ宮殿
  ニ居ラレテモ、百姓ノ富メルヲ見テ「民ノ富
  メルハ朕ノ富メルナリ」ト喜バレ賜フタト
  云フコトハ、外國ニ於テハ想像モ出來ナイ
  コトデアラウト思フ、公私一體デゴザイマ
  ス、鍬ヲ振上ゲテ一生懸命ニ田畑ニ働ク百
  姓ハ、勤勉力行シテ米ノ增產ニ力メルコト
  ハ、單ニ自分ノ生活ヲ安定ニシヨウト云フ
  コトノミデハナイ、ソレガ軈テ御奉公デア
  ルト云フ觀念ニ繫ガツテ居ルノガ日本ノ國
  民ダト私ハ思ヒマス、公共一體デアリマス、
  デアリマスカラ一旦緩急アレバ一切ヲ捧ゲ
  ル、命ト共ニ總テノ物ヲモ捧ゲテ行ケル國
  民デアルシ、又行ケルヤウニ導イテ行カナ
  ケレバナラヌ國體デアルト思フ、公私一體、
  官民一體、總テ一體的ノ國デアツテ、對立的
  ノ國デハナイニモ拘ラズ、日本ニ公私對立ノ
  思想-茲マデハ公益デアルトカ、是カラ
  ハ私益デアルト云フ風ニ、公私對立ノ思想
  ヲ日本ニ植エテ行ツテ果シテ〓育ガ出來ル
  モノデセウカ、〓育上ニ是ガ影響アリヤナ
  シヤ、大キナ問題ダト思ヒマス、又實際政
  府デモ認メテ居ラレルヤウニ、昨年ノ夏頃
  カラ此ノ方各方面ニ於テ生產減退デアルト
  云フコトハ是ハ當局モ認メテ居ラレル、此
  ノ生產減ハ何ニ原因スルデアリマセウカ、
  色々アリマセウガ、ヤハリ公益優先ナドト
  云フ指導精神ガ大イニ國民思想ヲ萎靡サセ
  タ所ニ原因ガアルデハナイカト私ハ思フ、
  果シテ文〓ノ立場カラ公益優先デモ差支ナ
  イモノナリト御認メデアルカドウカヲ伺ツ
  テ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=70

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• 071・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　私ニ於キマシテハ公私一
  體ト云フ御趣旨ニ付テ全ク同感デアリマス、
  ソレニ際シテモ、併シ吾々ハ公私一體デハ
  アルケレドモ、公ト云フコトノ方ヲ先ニ致
  シテ掛カルノガ吾々ノ立場ダト考ヘテ居ル
  ノデアリマス、御上ノ爲デアル、御國ノ爲
  デアルト云フコトニ吾々ガ吾々自ラノ働キ
  ヲ營ンデ居ルト云フコトニナラウカト思ツ
  テ居ルノデアリマシテ、公益優先ト云フコ
  トモ其ノ趣旨ニ私諒解ヲシテ居ルノデゴザ
  イマスガ、其ノ言葉ニ依ツテ色々若シ〓育
  ノ上ニ於テ種々ノ弊害ガ現ハレテ居ルト云
  フ事柄ヲ事實トシテ認メマシタ際ニハ、如
  何ナル事柄ガソレニ依ツテ行ハレタカト云
  フコトヲ十分察知シタ上ニ於テ善處シナケ
  レバナラヌト存ジマス、又一面ニ於キマシ
  テハ只今ノ御發言等ヲ參照致シマシテ、從
  來如何ナル建前ニ於テ-私ハ其ノ意味ニ
  於テ諒解シテ居ルノデアリマスケレドモ、
  其ノ諒解ガ果シテ實際問題ニ携ツテ居ル當
  局ノ方ニ於テ正シイカドウカト云フコトモ
  無論機ヲ見マシテ能ク話合ヒヲシタイト考
  ヘテ居リマス

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• 072・吉植庄亮

  ○吉植委員　一寸關聯シテ·······今ノ問題ニ
  付キマシテハ具體的ノ實例ガアリマス、過
  日モ文部次官ニ申上ゲタノデアリマスガ
  滋賀縣ニ於キマシテ、縣民ニハ砂ヲ入レテ
  搗イタ米ハ毒デアルカラ食ベサセナイ、併
  シ隣リノ京都府ニ之ヲ持出シテ商賣ヲシテ
  金儲ケヲスルノハ宜シイ、ヽ滋賀縣民ノミニ
  限ツテ混砂搗ノ米ヲ食べテハイカヌ、隣リ
  ノ京都府ニ移出致シテ商賣ヲスルノハ宜シ
  イ、斯ウ云フヤウニナツテ居リマス、足に、
  實ニ〓育勅語ヲ顯現シテ行クコトガ〓育ノ
  本旨デアリマス、此ノ根本精神ヲ破ルコト
  ニナリマス、斯樣ナ行政、政治ガ行ハレテ
  居リマス時ニ當ツテハ、今林委員長ガ申サ
  レマシタ通リニ、文〓ノ府ト致シマシテ、
  此ノ〓育勅語ノ博愛衆ニ及ボスト云フ根本
  精神ヲ破壞スル政治ハ取止メテ欲シイト云
  フヤウナコトニ付テ、內務當局マデ御進言
  アツテ然ルベキコトト思フノデアリマスガ、
  サウ云フ點ニ關シマシテハ如何ニ御考ヘデ
  ゴザイマスカ

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• 073・橋田邦彦

  ○橋田國務大臣　米ノ問題ニ付キマシテ、
  又混砂米ガドウデアルカト云フコトニ付キ
  マシテハ、專ラ厚生省方面デ處理シテ居ル
  事項デアラウト存ジマスルガ、恐ラク〓育
  勅語ノ御趣旨ニ反スル如キ事態ガ起ツテ居
  ルト云フコトヲ十分知ラナイデヤツテ居ル
  コトト存ジマス、無論起ツテ居ルコトヲ知
  リナガラヤツテ居ルト私考ヘタクナイノデ
  ゴザイマスガ、其ノ間ノ問題ニ付キマシテ、
  十分御趣旨ノアル所ヲ尊重致シマシテ、關
  係當局ノ方カラ事情ヲ十分ニ聽キ質シタイ
  ト考ヘマス

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• 074・林平馬

  ○林(平)委員　私ハ文部大臣ニマダ御尋ネシ
  タイコトガゴザイマスガ、貴族院ノ方デ御
  迎ヘノヤウデゴザイマスカラ、差控ヘルコ
  トニ致シマス、唯重ネテ御願ヒデゴザイマ
  ○
  スガ、從來文部省ト云フモノガ何ダカ如何
  ニモ伴食ノヤウニ取扱ハレテ來タコトハ甚
  ダ心外デアリ、實ニ遺憾ニ堪ヘマセヌカラ、
  文〓以外ノ各省ニ對シテ、國務大臣トシテ、
  文〓ヲ妨ゲルヤウナ處置ニ對シテハ、敢然ト
  シテ發言モサレ、主張モシテ戴キ、文〓第
  一主義、〓育第一主義ト云フヤウナ建前デ
  邁進サレンコトヲ御願ヒシテ、大臣ニ對ス
  ル質問ハ止メニ致シテ、他ノ政府委員ヨリ
  伺フコトニ致シマス、文部次官ニ御尋ネ致シ
  マスガ、從來小學校〓員ノ慰勞手當、ソ
  レカラ旅費、靑年學校普通科ノ〓諭ノ俸給
  手當ト云フヤウナモノガ市町村支辨ニナツ
  テ居ツタノデゴザイマスガ、サウナルト市
  町村ニ依ツテ非常ニ差額ガ付イテ來ルノデ
  ゴザイマス、隨テ優良ナル所ノ〓員ハ、兎
  角僻陬ノ貧弱ナ町村ヲ厭ヒマシテ、大都市
  ニ集ルヤウナ傾向ニナツテ參ツテ居ルノデ
  アリマス、俸給ハ成程府縣支辨ニナリマシ
  タガ、其ノ他ノ慰勞手當ノヤウナモノハ尙
  ホ市町村支辨ノ部分ガアルノデゴザイマス
  カラ是ハ一ツ俸給ノ市町村支辨ヲ止メタ
  趣旨ニ鑑ミマシテ、是非トモ諸手當、旅費
  等モ一切縣費又ハ國費ノ支辨ニ俸給同樣ニ
  變ヘテ戴キタイト思フノデゴザイマスガ、
  如何デゴザイマスカ

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• 075・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今御指摘ノ小學校〓
  員、靑年學校〓員等ニ對スル手當、給與、旅費
  等ニ關シマシテハ、御話ノ通リ現在町村支
  辨ニナツテ居リマス、是ハ或ル意味ニ於テ
  ハ〓員ノ地方ニ於ケル町村トノ連繫ノ上ニ
  於テノ一ツノ妙味モアルト思フノデアリマ
  ス、又今御指摘ノヤウニ、地方ニ依ツテ非
  常ニ不均衡ヲ生ズルヤウナ場合モアリ勝チ
  デアリマスガ、是ハ又色々其ノ町村ノ財力、
  財源等ノ關係モ相關聯シテ起ツテ來ルコト
  デゴザイマス、府縣市町村等ヲ見渡シテ何等
  カ相當是正ノ方法ハ必要ト吾々モ考ヘテ居
  ルノデアリマスガ、財源等ノ關係モアリマ
  スルカラ、將來適當ノ機會ニ一ツ十分其ノ
  邊ハ考慮致シタイト考ヘマス

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• 076・林平馬

  ○林(平)委員　學校ノ督學官制度、視學官
  制度ト申シマセウカ、サウ云フヤウナ〓學
  ニ對スル監督指導制度デゴザイマスガ、此
  ノ運用ニ付テ片手落ガアルヤウニ思ハレル
  ノデ、一點伺ツテ置キタイ、是ハ府縣ナラ
  バ視學、或ハ中等學校ニスレバ督學官、サ
  ウ云フモノデゴザイマセウガ、サウ云フ視
  學トカ督學官トカ云フ人達ノ目ニ好ク映ツ
  タ者、必ズシモ良〓員デナイ場合ガ相當ア
  ルノデアリマス、詰リ校長ナリ他ノ〓諭、
  〓員、職員、サウ云フ人達ハ上カラ見タ姿ト
  下カラ見タ姿ト大變ニ違フ場合ガアルノデ
  ゴザイマス、或ル〓員ガ非常ニ上ノ方カラ
  ハ良〓員ト思ハレテ居ルニモ拘ラズ、其ノ
  學校ノ同僚カラハ頗ル蔑マレテ居ル人モア
  ル、又生徒ノ間カラ甚ダ不信用ノ者モアル、
  必ズシモ上ノ見ル目ト下ノ見ル目トガ一致
  シナイ場合ガ相當是ハ數多イノデアリマス、
  デアリマスカラ、其ノ見方、此ノ督學官制
  度、視學官制度ノ運用ト云フコトニ付テハ
  餘程御注意ヲ拂ツテ戴カナイト、弊害多ク
  シテ其ノ利少イ場合ガ多イノデゴザイマス、
  ソレヲドウ云フヤウニシタラ宜イカト云フ
  コトハ、今具體的ニ私ノ案モナイノデゴザ
  イマスガ、一面觀察バカリデナク、表面觀
  察バカリデナク、ヤハリ下ノ方カラモ見ル、
  裏面カラ見ルト申シマセウカ、多角的ニ觀
  察ヲサレテ〓員ノ良否ヲ判斷シテ行カレナ
  カツタナラバ、軈テハ其ノ學校ノ校風ヲ壞
  シ、生徒ノ〓育ヲ害スルヤウナ虞ガ、督學
  官制度ノアルガ故ニ、生ズルヤウナ場合ガ
  アルノデゴザイマスカラ、此ノ點ニ御氣付
  キヲ願ツテ置キタイ、是ハドンナ風ニオヤ
  リニナルノデスカ、一寸伺ツテ置キタイノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=76

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• 077・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　督學機關ノ運用ト云フコ
  トハ御指摘ノヤウニ極メテ大キナ影響ヲ
  與ヘルモノデゴザイマシテ、其ノ運用ハ餘
  程巧クヤラナケレバナラナイト考ヘテ居リ
  やっく、隨ヒマシテ等シク視察ヲ致シマスル
  場合ニ於テモ、視察官ガ餘程其ノ眼界ヲ廣
  ク、又所謂眼光紙背ニ徹スルヤウナ明察ヲ
  以テ當リマスルナラバ、其ノ當ヲ得ルト思
  ヒマスルガ、ソコニ色々ナ感情其ノ他ノ事
  情ガ入レバ、却テ督學スルコトニ依ツテノ
  一方ノ弊害モ考ヘナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、サウ云フ點ハ餘程注意致サネ
  バナラヌト考ヘテ居リマス、隨ヒマシテ督
  學ノ方法ニ付キマシテモ、最近ニ於キマシ
  テハ)唯一人ガ視ルト云フコトデナクテ、
  數人ガ綜合シテ、綜合視察ヲスル、只今御
  話ノ多角的ナ見地カラ之ヲ視テ批判シ檢討
  スルト云フヤウナコトモ試ミテ居リマス、
  尙ホ度々日數、手數ヲ掛ケテ親切ニ見ルト
  云フコトモ必要デアラウト思ヒマス、御指
  摘ノ點ハ今後トモ十分注意シテ參リタイト
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=77

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• 078・林平馬

  ○林(平)委員　ソレカラ條文ノ點デスガ、
  改正法律案ノ中ニ、〓員ト云フ言葉ガ消エ
  テナクナツテ居リマス、サウシテ總テ學校
  ノ〓師ニ對シテ職員ト云フ言葉ヲ以テ代表
  サセテ居ルノデアリマスガ、實ハ〓員ト云
  フ言葉デサヘモ何ダカ物足リナイ、〓師ト
  言ヘバ如何ニモ仕事ニ相應シイ言葉ト思ハ
  レマスガ、〓員トシタダケデモ如何ニモ侮
  辱ト言ヒマセウカ、輕ンジタヤウナ感ジヲ
  持ツテ居ツタノデアリマス、然ルニ今囘ハ
  〓員ドコロヂヤナイ、〓員ノ〓ノ字マデモ
  取ツテシマツテ、職員トシタノデアリマス
  ガ、是ハ〓育ヲ尊重スルト云フ意味カラド
  ウカト思ヒマス、近來ハ產婆ナント言フノ
  ハ怪シカラヌヂヤナイカ、是ハ助產師トシ
  ナケレバナラヌ、或ハ代書人ガ怪シカラヌ、
  是ハ司法書士トシナケレバナラヌト云フヤ
  ウニ、ソレ〓〓職業ヲ權威付ケルト申シマ
  セウカ、職業ヲ尊重シテ文字ヲ置換ヘヨウ
  トシテ居リマスガ、此ノ〓權尊重ヲシナケ
  レバナラヌ時ニ於テ、〓員ノ〓ノ字マデ取
  ツテシマツテ職員トシタト云フコトハ、如
  何ニモ〓員ニ對スル尊敬心ノ不足シテ居ル
  コトノ表ハレデモアルカノヤウニ思ハレマ
  スノデ、私ハ此ノ條文ニ對シテ別ニ異見ヲ
  持ツテ居ルモノデハアリマセヌガ、此ノ點
  ハドウ云フ理由デ職員トサレタノデアリマ
  セウカ、御意見ヲ伺ツテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=78

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• 079・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　是ハ只今御指摘ニナリマ
  シタ〓員ヲ尊重シナイト云フヤウナ意味ハ
  毛頭ゴザイマセヌ、唯立法技術的ニ、今囘
  國民學校ノ制度ニ於キマシテ、職制上、職
  員ト云フコトデ〓稱シテ整理サレテ居リマ
  スカラ、サウ云フ法文上ノ定メヲコツチヘ
  援用シテ參リマシテ、サウシテ職員トシタ
  ヤウナ譯デゴザイマス、例ヘバ中等學校等
  ニ於テモ公立學校一般職員ト云ツテ、公立
  學校職員ノ官等等級令トカ或ハ公立學校職
  員ニ關スル一般規定トカ、勅令ニ於テ規定上
  サウ云フ名稱ガ使ハレテ居ル譯デゴザイマ
  ス、職員ト致シマスト廣ク國民學校ノ訓導、
  準訓導、擁護訓導、代用〓員モ含マレル、
  サウ云フ單ニ立法技術上ノ用語デゴザイマ
  ス、精神ニ於テハ〓員ヲ尊重スルト云フコ
  トハ少シモ變リハアリマセヌ、左樣御承知
  ヲ願ヒマス

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• 080・林平馬

  ○林(平)委員　今一點ダケ、恩給局長ニ御
  尋ネシテ置キタイ、近頃官吏デナイ公務員卽
  チ、市町村吏員ヲ見マスト、洵ニ淚グマシ
  イ勤勉努力ヲ續ケテ居リマス、殊ニ戰時ニ
  入ツテカラハ一層左樣デゴザイマス、到底
  日曜、土曜ナドト云フ區別サヘ付ケ兼ネテ
  居ル、無論午後四時ニ退ケルナドト云フコ
  トハ思ヒモ寄ラヌコトデアリマス、而モ報
  酬ハ極メテ少額ナモノデ働イテ居リマス、
  ソレデ仕事ト申シマスト、量ガ多イノミナ
  ラズ其ノ質ニ於テ官吏ノ仕事ト何等違ツテ
  居ラナイ、デスカラ官吏ト公務員トノ差ハ
  何處ニ在ルカト云フト、給料ノ支給ロガ違
  フ一ハ國カラ出テ一ハ市町村カラ出ル
  ソレカラモウ一ツ言フナラバ採用ノ時ノ形
  式トカ資格トカガ違フコトデアリマス、而
  モ仕事ハ今申シマシタヤウニ、公吏ハ官吏
  ノ何倍ニモ當ル努力ヲヤツテ居ルノデアリ
  マシ、私ハ之ニ對シテ公務員ノ俸給ヲ國家
  カラ出シテ吳レト云フヤウナコトヲ申上ゲ
  ルノデハアリマセヌガ、公務員恩給法ト云
  フヤウナモノヲ御考ヘニナル必要ハナイデ
  セウカヲオ尋ネスルノデアリマス、本俸ヲ
  與ヘナイカラソレニ恩給ハ與ヘヤウガナイ
  ト考ヘレバ考ヘラレルケレドモ、本俸ヲ與
  ヘナクテモ公務員ノ恩給法ト云フモノヲ別
  ノ立場カラ考ヘテ見ルコトモ必ズシモ出來
  ナイコトデモナイト思フ、斯ウシタ眞ニ滅
  私奉公其ノ儘ニ勤メテ居ル所ノ公務員ニ對
  シテ、公務員恩給法下云フヤウナモノガア
  ツタナラバ、非常ニ勵ミニモナルデセウシ、
  國トシテモ當然何等カ之ニ報イルベキ途ヲ
  講ズベキデアルト思ヒマスガ、局長ノ御所
  感ヲ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=80

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• 081・平木弘

  ○平木政府委員　只今市町村吏員ノ恩給ノ
  コトニ付キマシテ、恩給法トデモ言フベキ
  モノデ統一支給シタラドウカト云フ御意見
  ト伺ヒマシタ、只今ノ御意見、考ヘ方トシ
  テ私今後色々サウ云フ問題ハ考ヘナケレバ
  ナラヌ問題ヂヤナカラウカト考ヘルノデア
  リマスガ、從來ノ考ヘ方カラ致シマスト、
  恩給ト云フモノハ官吏ニ支給スル、官吏ト
  云フモノハ恩給法ノ公務員ト然ラザルモ
  ノ其ノ公務員ダケニ恩給法ヲ適用スルト
  云フ建前デ從來ヤツテ居リマス關係上、恩
  給局トシテハ從來其ノ方面ニ實ハ餘リ〓究
  ヲ進メテ居リマセヌ、其ノ代リ內務省ノ方
  ニ於キマシテ市町村吏員ノ恩給ノ問題トシ
  テ、内務省ノ方面デ色々〓究ヲ進メラレ、
  或ハ府縣ナドデ其ノ問題ヲ扱ハレテ居ルヤ
  ニ私伺ツテ居ルノデアリマス、併シ之ヲ只
  今御話ニナリマシタヤウナ根本問題トシテ
  一ツ考ヘテ見マスト、成程官吏ハ國ノ仕事
  ヲスル、市町村吏員ハ市町村ノ仕事ヲスル
  ト云フ一應ノ區別ハ付ク譯デアリマスガ、
  只今御話ニナリマシタヤウナ意味ニ於キマ
  スルト云フト實際上其處ニ差ヲ設ケルト
  云フノモ果シテ適當カドウカト云フ問題ハ
  起ラウカト思フノデアリマス、隨ヒマシテ
  現在ノ市町村吏員ノ仕事ノ多忙ナコト、或
  ハ給料ノ低イコト、サウ云フ點カラ考ヘマ
  スレバ此ノ問題ハ將來ドツチニ持ツテ行
  クカ、市町村吏員ダケノ恩給トシテ別ノ系
  統デ〓究シ、之ヲ充實スルヤウニ持ツテ行
  クカ、或ハ官吏ト一〓ニスルヤウナ意味
  デ、更ニ〓究ヲ續ケルカト云フ問題モアリ
  マスルシ、又一面ニ於キマシテ、若シ官吏
  ノ恩給ト統一スルト云フコトニナリマスレ
  バ、是ハ非常ナ大キナ財政上ノ問題モ伴フ
  コトデゴザイマス、極メテ大キイ問題デゴ
  ザイマスカラ、私限リデ玆デ何トモ御答へ
  致シ兼ネルノデゴザイマス、其ノ點ニ付キ
  マシテ更ニ將來〓究シテ見タイ、斯ウ云フ
  風ニ考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=81

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• 082・林平馬

  ○林(平)委員　ドウモ甚ダ長クナツテ濟ミ
  マセヌガ、モウ一點ダケ御尋ネシタイト思
  ヒマス、是ハ他ノ方モ御尋ネニナツタノデ
  スガ、文部次官ニ御尋ネ申上ゲマス、私ノ
  マダ了解出來ナイ點デゴザイマスガ、日本
  學生協會ニ對スル文部省ノ態度デゴザイマ
  ス、何ダカ分ツタヤウナ分ラナイヤウナ風
  ニナツテ居ルノデゴザイマシテ、文部省
  ノ御答ヘニ依リマスト、學生ノ本分ヲ逸脫
  セナイ範圍ニ於テト云フ風ナ意味ニ承ツテ
  居ルノデゴザイマスガ、學生ノ本分ヲ逸脫
  セナイト云フコトハドウモ難カシイ言葉
  ダト私ハ思フノデス、先程文部大臣ニモ申
  上ゲタヤウニ、優秀ナル者ヲ奏任官ニスル
  ト云フコト、此ノ優秀ナト云フコトハ、明
  瞭ノヤウデ實ハ最モ不明瞭ナ言葉デス、ソ
  レデスカラ、ソコニ校長運動ト云フモノノ
  行ハレル原因ガアルノデス、此ノ學生ノ本
  分ヲ逸脫セナイト云フコトモ明瞭ノヤウデ
  極メテ不明瞭ナ言葉デゴザイマスカラ、學
  校ノ方デ逸脫スルト認メタ以上ハ退學ヲサ
  シテシマフ、是ハ實ニ言葉ガ難カシウゴザ
  イマスガ、其ノ逸脫スルトカシナイトカ云
  フ言葉ハ姑ク措キニ致シマシテ、實際問題
  トシテ、日本學生協會ノ今進ミツツアル所
  ハ、率直ニ申シマスト、斷ジテ解散サセテシ
  マフノダト云フ御方針デゴザイマセウカ、
  アノ燃エ上ツテ居ル純心ナル愛國的、精神
  的ノ眞面目ナ運動ハ善導シテ行クト云フ
  コトコソスレ、ソレヲ解散スルト云フヤウ
  ナコトヲスルノデハナイ、况ヤ之ニ關係ス
  ル者ヲ退學サセルトカ、休學サセルト云フ
  ヤウナコトヲスル譯ノモノデナイト云フ風
  ナ御考ヘデゴザイマセウカ、ソコヲハツキ
  リ此ノ際御示シヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=82

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• 083・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　日本學生協會ハ、或ハ御
  承知カト存ジマスルガ、學內ニ於ケル團體
  ヂヤナイノデアリマス、學外ノ團體デゴザ
  イマスカラ、隨テ之ヲ解散ヲ命ジナイトカ
  云フコトハ-直接ノ働キガ他ノ特殊ナ法
  令ニ關係スル部分ガ出テ來レバ別デスケレ
  ドモ、學外團體デスカラ、直チニ學校ノ方
  カラ解散サセル、サウ云フ發動ニ出ルト云
  ●
  フコトハ出來ナイト思ヒマス、唯學生協會
  ニ參加シテ居ラレル所ノ學生ニ對シテ其
  ノ學生ノ修養ナリ、學業訓練ナリハ是ハ
  學校長ガ責任ガアルノデゴザイマスカラ、
  其ノ學生協會ニ參加シテ居ル學生ノ指導ハ
  是ハ學校ニ於テ出來ル譯デゴザイマス、又
  スルノガ當然デアリマス、隨ヒマシテ其ノ
  學生ノ精神的ニ求ムル所、考へ、希望等ハ
  學校ナリ或ハ〓授、生徒主事ナリガ能ク接
  觸シマシテ、其ノ心持ヲ聽イテ、サウシテ
  只今ノ御話ノ善導ト云フコトニ努メルノガ
  當然デアリマシテ、又大イニソレハシナケ
  レバナラヌト思ヒマス、又其ノ場合ニ於テ
  中々純ナル良イ學生モ居ルノデアリマスカ
  ラ、サウ云フ氣持ニ於テ、採ツテ以テ學校
  ノ訓育ノ方デ參考トシ、運用上考ヘテ行ク
  ベキコトハ、是ハ學校自體ガサウ云フ方面
  ヲ學校ノ施設トシテ考へテ參ルノガ當然デ
  アルト考ヘマス、先般モ一寸他ノ方ニ御說
  明申シマシタヤウニ現ニ各學校共大學校、
  專門學校等ニ於キマシテ、學校ノ修鍊體制
  ヲ整ヘ、報國團ヲ結成シテ、學行一體デ擧
  學實踐ノ實ヲ擧ルゲヤウニ目下邁進ツツ
  アルノデアリマス、其ノ精神ニ於テハ、其
  ノ學生協會デ主張セラレテ居ルヤウナ氣持
  デ、學校デ其ノ線ニ沿ウテヤリツツアルコ
  トト考ヘマス、隨ヒマシテサウ云フ點ニ於。
  テハ學生ヲサウ云フ意味ニ於テ能ク善導出
  來ル、又善導スベキデアルト考ヘテ居リマ
  ス、唯ソレヲ其ノ學生ガ學校ニ於テヤリマ
  ス所ノ「デシプリン」ニ對シ、濫リニ自我ヲ主
  張シテ、其ノ修業ノ道ヲ外レテ學業ヲ放擲
  シテ、其ノ「デシプリン」ニ服スルコトガ出
  來ヌト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、是
  ハ指導上ニ於テ餘程考ヘナケレバナラヌ、
  併シサウ云フ場合ニ於キマシテモ、出來ル
  ズケ善導ニ努メナケレバナラヌト思ヒマス、
  併シドウシテモ其ノ善導ノ道ニ服セシメル
  コトガ出來ナイヤウナ場合ニ於テハ、是ハ
  學校ノ規律ヲ保持シテ行キマスル上ニ於テ、
  學生ニ對シテ反省ヲ促スト云フヤウナ方法
  モ場合ニ依ツテハ執ルコトガ起ツテ參ルト
  思フノデアリマス、私等ハ出來ルダケソコ
  ハ善導ノ實ヲ擧ゲテ行キタイ、先生モ決シ
  テ生徒ヲ憎ムモノデハアリマセヌ、又學生
  ノ方カラモ先ヅ先生ヲ信賴シテ掛ツテ、オ
  互ヒニ諒解スレバ話ガ能ク分ルコトト考ヘ
  ママ、サウ云フ風ニシテ擧學實踐ノ實ヲ擧
  ゲテ行キタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=83

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• 084・林平馬

  ○林(平)委員　文部次官ノ御話ヲ伺ヘバ
  モウ何モ伺フ必要ハナイ、全ク結構ナ御話
  デスガ、實際ハ大ニ違ツテ居ルヤウデアリ
  さく、自我ヲ主張シテ修鍊ノ道ニ外レルヤ
  ウナ者デハ困ル、併シサウ云フ者ヲモ善導
  スルノダ、斯ウ仰シヤル文部次官ノ御話
  ハ、洵ニ結構デゴザイマスガ、自我ヲ主張
  スル所ニ學生ノ妙味ガ私ハアルト思フ、自
  我ダト思ハズニ、ソレヲ大變ナ眞理ダト思
  ツテ居ルノカモ知レマセヌ、ソレヲ主張シ
  テ突ツ掛ツテ來ル所ニ學生ノ妙味ガアル、
  若イ者ガ突ツ掛ツテ來ル所ニ修鍊ト云フモ
  ノガ施サレルノダ、突ツ掛ツテ來ナイヤウ
  ナ者コソ寧ロ〓育ノ手應ヘノナイ生徒デハ
  ナイデセウカ、自我ヲ主張スルヤウナ者コ
  ソ取上ゲテ以テ之ヲ善導スル相手方トシテ
  結構ダ、所ガ今日デハ深ク質問デモスルト、
  ソレヲ封ジテシマフ、唯默ツテ聽イテ居レ
  バ宜イノダト云フヤウナコトガ一般〓授ノ
  風ノヤウデゴザイマス、實ハ私ノ所ニモ專
  門學校ニ行ツテ居ル子供ガアルノデスケレ
  ドモ、近來ハ凡テ官製ニナツテ來テ、以前
  ハ直接校長ノ所ニ行ツテ話ガ出來、親シミ
  ガ出來タノガ、何ダカ遠イモノニナツテシ
  マツタト云フヤウナ感ジデアルト申シテ居
  リマシタ、何デモ彼デモアリノ儘發表出來、
  疑ヒヲ正シテ貰フ所ニ學生ノ明ルイ氣分ト
  云フモノヲ保ツテ行クコトガ出來ル、所ガ
  何時マデモ疑ヒヲ正シテ貰フコトガ出來ナ
  イ而モ聽カント欲スレバ封ジテシマフ
  官製ノ精神運動ガ今マデ成功シナイ原因ハ
  ソコニアル、報國團ト云フ一本ノモノニ纒メ
  テシマツテ學外ノ運動ハ差止メテシマヒ、
  學內ハサウ云フ一ツノ團體ニ纒メテシマツ
  テ質問ハ許サナイ、唯蹤イテ來イト云フダ
  ケデアル、サラバ自信ヲ持ツテ、先ニ
  立ツテ生徒ヲ引張ツテ居ルカト云フトサウ
  デナイ、質問スレバ答ヘナイ、「ノート」ハ
  何年經ツテモ同ジモノシカ持タナイ、サウ
  云フ先生ニドウシテ純眞ナ靑年ガ蹤イテ行
  ケマスカ、官製ノ組織デ生徒ヲ縛ツテ行ク
  ト云フコトハ、私ハ甚ダ宜シクナイコトダ
  ト思フノデアリマス、ドウモ次官ノヤウナ
  立派ナ御考ヘガ各大學專門學校ニハ徹底シ
  テ居ナイノデアリマス、差當リノ問題ハ日
  本學生協會ノ問題デアリマスガ、ソレニ關
  係シタ問題デ、事實今水戶其ノ他デ休學、
  無期停學ニナツテ居ル生徒モアルノデアリ
  マス、是ハ私ノ考ヘデアリマスケレドモ
  餘リニ一本建ニシヨウトシテ、純眞ナ者ヲ
  抑ヘ付ケルヤウナコトヲヤラナイ方ガ宜イ
  ノデハナイカト深ク考ヘマス、次官モ御同
  感ノヤウデアリマスガ、實際ノ學校ノヤリ
  方ハ逆デアリマスカラ、十分御調査ノ上、
  善良ナル靑年ヲシテ誤ラシメザランコトヲ
  切ニ御願ヒ致シマシテ、私ノ質問ヲ終リマ
  ス
  〔宮本委員長代理退席、委員長着席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=84

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• 085・池田秀雄

  ○池田秀雄君　先程私ハ靑年學校ヲ高等小
  學校ニ代用スルノ御考ヘハナイカト云フコ
  トヲ御伺ヒ致シマシタ、所ガ次官ハサウ云
  フ考ヘハナイト云フ御話デゴザイマシタ
  ガ、私ハ現在ノ通年制ノ靑年學校ハ、從來ノ
  高等小學校ノ學科ヲ學習セシメテ、其ノ上
  ニ實科ヲヤラシテ居ルモノデ、之ヲ所謂國
  民學校ノ高等科ニ代用シテ戴イテモ、
  決シテ差支ヘナイモノト思ツテ居リマスル
  ガ、御方針ガサウ云フヤウニ決ツテ居リマ
  スレバ、今此處デ彼此レ申シマセヌ、唯
  實施ハマダ數年後ノコトデゴザイマスカ
  ラ、其ノ點ハ能ク御調ベニナツテ、代用セ
  シメテモ宜イト云フ御見込ガ付キマスレ
  バ、サウ云フヤウナ御取計モ出來ルヤウニ
  御願ヒヲシテ置キマス、私ハ劃一ノ爲メノ
  劃一ニナルコトハ、〓育ノ精神ガ失ハレル
  ト考ヘマスノデ、其ノ點ヲ御願ヒシテ置キ
  マスト同時ニ、モウ一點伺ツテ置キタイ
  三·ハ若シ靑年學校ヲ高等科ニ代用スル
  コトガ出來ナイト云フコトニナリ、尙又併
  置スルコトモシナイト云フ場合ニハ、今日
  ノ實業靑年學校ヲ國民學校ノ高等科ニ引直
  サナケレバナラヌ、其ノ際ニハ最初ノ御答
  辯ニ依リマスレバ、今度ノ國民學校ハ相當
  考ヘテ居ル、靑年學校ノ趣旨モ取入レテ居
  ルト云フヤウナ御話デアリマス、多分サウ
  デアラウト思ヒマスケレドモ、私ハ其ノ條
  文モマダ拜見シタコトガアリマセヌカラ、ド
  ウナツテ居ルカ能ク承知致シマセヌガ、靑年
  學校ヲ國民學校ノ高等科ニ引直シテ見マシ
  テモ、決シテソレハ本當ノ實質的ノ改變ニ
  ナルノデハナイ、實質的ニ今日ノ高等小學
  校ニ還元スルモノデナイ、從來ノ靑年學校ヲ
  其ノ儘生カシテ行キ得ルト云フコトニ、ド
  ウカ御願ヒ致シタイノデアリマス、其ノ點
  ニ付テ御答辯ヲ煩ハシタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=85

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• 086・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　先程私ガ申上ゲマシタ國
  民學校ノ制度實施ニ伴ヒマシテ、國民學校
  ノ高等科ハ昭和十九年度カラ今度義務制ニ
  ナツテ參ルノデゴザイマス、隨ヒマシテ其
  ノ年齡層ニ該當スル十三、四歲ノ少年ハ、將
  來國民學校ノ高等科ニ於テ〓育ヲ受ケルト
  云フコトニナルノデアリマス、ソコデ從來
  此ノ靑年學校ノ普通科、丁度國民學校ノ高
  等科ニ該當スル年齡層ノ少年ハ、將來ハ國
  民學校高等科ニ於テ〓育ヲ受ケル、斯ウ云
  フ建前ニナツテ參リマスカラ、將來靑年學
  校普通科ハ廢止ニナリマシテ、是カラハ國
  民學校ノ高等科ガ十九年度カラ實施セラレ
  ル、斯ウ云フ譯ナノデゴザイマス、併シ今
  丁度御話ガゴザイマシタヤウニ、國民學校
  ノ高等科ハカカルガ故ニ其ノ內容ニ於テモ、
  亦〓育ノ運用ニ於テモ、劃一ヲ避ケテ其ノ
  地方ノ實際ヲ適切ナル〓育ノ運用ヲヤツテ
  參ラナケレバナリマセヌ、サウ云フヤウニ
  伸縮性ヲ持チ得ルヤウニ又學科ノ內容的
  ノ事柄カラ申シマシテモ、例ヘバ實業科等
  ヲ相當時間モ增シ得ルヤウニ致シマシテ、
  言葉ヲ換ヘテ申シマスルナラバ、丁度今日
  靑年學校ノ優良ナ普通科デ刻苦精勵シテ成
  績ヲ擧ゲラレマシタヤウナ其ノ精神實質ヲ
  此處ヘ多分ニ織込ンデ、運用上其ノ效果ヲ
  擧ゲテ參リタイ、サウ云フ積リデ居リマス、
  御趣意ニ副ヒ得ルヤウニ十分努力致シタイ、
  斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=86

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• 087・池田秀雄

  ○池田秀雄君　今一點、只今ノ御答辯デ、
  大分安心シテ參リマシタガ、唯モウ一ツ希
  望ヲ申上ゲテ置キマス、本省アタリノ御方
  針ハ往々ニシテ地方ニハ能ク徹底シナイコ
  トガ多イノデアリマス、又コチラデ私等ノ
  安心スル御答辯ヲ戴イテモ、實際上ニ於テハ
  ソレガ裏切ラレル例ガ多々アルノデゴザイ
  マス、ソレデ何卒此ノ實施ニ當リマシテハ、
  地方廳ニモ明確ナル訓令ヲ與ヘテ戴キタイ、
  サウシテ融通ガ付キマスヤウニ願ヒタイ、
  ドウモ本省カラ知事ニ行キ、知事カラ縣視
  ノ手ニ移レバ、是ガ杓子定規ニナツテ、町
  村ニシテモ、學校當局ニシテモ、常ニ是デ
  縛ラレテ少シモ動キガ取レナイト云フノガ
  今日マデノ實情デゴザイマス、其ノ點ニハ
  十分ノ御用意ヲ御願ヒ致シマシテ、私ハ是
  デ質問ヲ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=87

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• 088・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　私共モ是非今囘ノ國民學
  校制度ノ改善ハ相當大キナ內容ヲ持ツテ居
  ルノデゴザイマスカラ、ソレノ周知徹底ハ
  勿論、運用上ニ於テ本省等デ考ヘテ居ルコ
  トガ十分徹底致シマスルヤウニ、訓令通牒
  ハ勿論、又必要ナル關係官ヲ集メマシテ、
  餘程是ハ會議モ重ネナケレバナラヌト思ツ
  テ居リマスガ、ソレ等ノ點ニ付キマシテハ、
  十分遺漏ノナイヤウニ努メタイト考ヘテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=88

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• 089・林平馬

  ○林委員長　樋口君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=89

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• 090・樋口善右衞門

  ○樋口委員　私實ハ大臣ニ對スル質問ノ關
  係カラ中斷ヲ致シマシタノデスガ、ドウゾ
  御許シヲ願ヒタイト思フノデアリマス
  先程御答辯ヲ戴キマシテ、大體靑年學校ノ
  本科ト普通科ト併置シテ居ル、斯ウ云フ場合
  ニ於テ今度國民學校令ニ依リマシテ、其ノ普
  通科ガ國民學校ノ高等科ニ變リマシテモ
  其ノ靑年學校ノ〓師ハ直チニ國民學校ノ高
  等科ノ〓師タルコトヲ得テ行ク、其ノ場合
  是ガ兼務ヲセラレル、校長初メ職員ガ靑年
  學校ノ者カラ兼務ヲスル、變リハナイト云
  フ風ニ伺ヒマシタガ、昨日モ一寸御伺ヒ致
  シマシタガ、三重縣ノ津市アタリニアリマ
  スル單ニ普通科ダケノ學校ニ於キマシテ、
  現在ノ〓員ガ其ノ儘高等科ノ〓師ニ變ハル、
  斯ウ云フ場合ニハ兼務ト云フコトハ、本科
  ヲ持ツテ居ラヌトスルト兼務ハ出來マセヌ
  ガ、サウ云フ場合ニハヤハリ本科ヲ併置シ
  テ居リマスル所ト同樣ニ、直チニ其ノ國民
  學校高等科ノ校長タリ又職員タリ得ルコト
  ガ出來ルノカ、此ノ點ニ付キマシテモ更ニ
  御明確ナ御答辯ヲ願ツテ置キタイト思ヒマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=90

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• 091・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今ノ御話ノヤウナ場合
  ニ於キマシテモ、晝間通年制ノ相當内容ノ
  籠ツタ普通科デ、校舍〓員等ガ獨立致ジテ
  居ル單置ノ場合ノコトノ御話ト考ヘマスガ、
  ソレガ高等科ノミヲ置ク國民學校、卽チ國
  民高等科ニ變リマシタ場合ニ於キマシテハ、
  ソレ等ノ學校ニ奉職致シテ居リマシタ校長
  職員等ノ其ノ轉換ニ付テモ、先程申シマシ
  タヤウニ、其ノ經歷檢定等ニ依ツテ資格ヲ
  與ヘテ其ノ途ヲ開キタイ、斯樣ニ考ヘテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=91

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• 092・樋口善右衞門

  ○樋口委員　大體是デ、靑年學校ノ普通科
  ノ廢止ニ伴ヒマシテ、ソレニ現ニ從事シテ
  居ル〓員竝ニ今後從事セントスル者ノ、國
  民學校令ノ發令ト共ニ靑年學校ノ普通科ガ
  廢止セラレルノダト云フ、斯ウ云フ不安ハ
  一掃セラレテ來ル、斯ウ云フ點カラ前途ノ
  要望ヲ滿ス上ニ於テ以上ノ御尋ネヲ致シタ
  ノデアリマスガ、御答辯ニ依リマシテ此
  ノ點ハ不要ナキモノト存ジマスガ、尙ホ念
  ノ爲ニ御伺ヒ致シテ置キマス、現在ノ靑年
  學校ノ先生ハ其ノ儘國民學校高等科ノ訓導
  タルコトガ出來マシテ、サウシテ唯變ル所
  ハ、其ノ學校ノ名ガ國民學校高等科ト變ル、
  斯ウ云フヤウナコトニナル譯ダト思ヒマス
  ガ、重ネテ念ノ爲ニ御伺ヒ致シテ置キマス
  ガ、一番ノ問題ハ先程カラ申シマスヤウニ、
  國民學校高等科ノ方ノ訓導ハ其ノ儘無試驗
  デ靑年學校ノ方ヲ兼ネルコトハ出來マスガ、
  靑年學校ノ方ノ〓員ノ方ハソレガ出來ナイ
  ノガ現在ノ規定ニ相成ツテ居ルノデゴザイ
  やっと、先程カラ色々御答辯ヲ伺ヒマシテ此
  ノ點ニ付テハ最早明確ニナツテ居ルトハ思
  ヒマスガ、ヤハリ無條件無試驗檢定、斯ウ
  云フコトニ承知致シマシテ間違ヒナイト思
  ヒマスガ、更ニ重ネテ一言此ノ點ヲ御伺ヒ
  申上ゲルト同時ニ、一體此ノ國民學校令ノ
  發令ト同時ニ、是等ノ規定ヲ御發表戴キマ
  スコトガ出來ルカ、此ノ點ニ付キマシテ共
  ニ御答ヘヲ願ヒタイト思フノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=92

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• 093・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今ノ〓員ノ資格ノ點ニ
  付キマシテハ、無試驗檢定ノ方法ニ依ツテ
  其ノ資格ヲ獲得シ得ルヤウニ途ヲ開クコト
  ニ致シタイト考ヘテ居リマス
  ソレカラ國民學校令竝ニソレガ實施ニ必
  要ナル諸規程ハ凡ソ三月上旬位ニハ總テ公
  布ニナル運ビニナルト考ヘテ居リマス、其
  ノ國民學校令ノ實施ニハ、只今申シマシタ
  ヤウナ〓員檢定ノ取扱等ノコトノ規則モ同
  時ニ定メラレル譯デアリマス、左樣御含ミ
  ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=93

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• 094・樋口善右衞門

  ○樋口委員　ソレカラ御伺ヒ致シマスノハ、
  國民學校令ノ發令ガ十六年度ト相成ツテ來
  ルト云フ御話ヲ伺ヒマシタガ、若シ是ガ現
  在ノ儘デ發令ガナク行キマスト、十五年度
  ミタイニ高等小學校ノ方ハ其ノ職員ノ俸給
  ガ國ト縣トデ全部支給セラレル、靑年學校
  ノ全日晝間通年ノ普通科トシテ高等小學校
  ト同ジコトヲナシ、ソレデ其ノ町村ニハ高
  等小學ガナイト云フ場合デモ、十五年度ニハ
  各府縣トモニ府縣費支辨ヲ非常ニ遲疑逡巡
  シテ其ノ市町村ハ非常ニ困ツタノデアリマ
  スガ、本年ハ此ノ國民學校令ガ發令ニナツ
  テ、現在ノ靑年學校普通科ガ直チニ高等國
  民學校ト云フ風ニ變リマスレバ同樣ナ府
  縣支辨ニナルト存ジマスルガ、十九年デ普
  通科ノ一學年、二十年デ其ノ二年生ニナル
  ト言フ、ソレマデ此ノ普通科ヲ存續シテ行
  クト云フコトガ、其ノ學校ノ〓育ノ上カラ
  言ツタラ寧ロ其ノ方ガ--假令一年ト雖モ
  以前ノ形デ行クコトノ方ガ宜イヤウニ考ヘ
  マシタ場合ニ、左樣存續スルダラウト思ヒ
  マスルガ、其ノ點ニ付テ文部省ハ高等小學
  校卽チ國民學校ノ高等科、是ト同樣ニ靑年
  學校ヲ全日晝間通年ノ此ノ種ノ學校ニシテ、
  國民學校ノ高等科ヲ持タザル市町村ニ對シ
  テノ學校ハ共ニ府縣費ノ支辨ニスルヤウニ、
  省令デアリマスルカ勅令デアリマスカ知ラ
  ヌガ、一ツ同ジ御扱ヒヲ願フヤウニ致シタ
  イ、是ハ全國數百アリマスル所ノ市町村デハ
  昨年以來非常ニ惱マサレタ問題デアリマス
  ルガ、何トカ良イ御扱ヒノ方法ヲ此ノ機會
  ニ特ニ御答ヘヲ願ヒタイト思ヒマスガ、當
  局ノ御所見ヲ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=94

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• 095・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今ノ御尋ネノ點ハ、御
  氣持ニ於テハ吾々モ御同情致スノデゴザイ
  マスガ、唯昨年定マリマシタ〓員ノ俸給ノ
  府縣費支辨等ノ原則ガ勅令ニ依リ、又昨年
  モ議會ニ於テ御論議ノ結果定マツタノデア
  リマスルガ、アレハ一方稅制改正等ト相睨ン
  デ檢討サレタコトデモアリ、府縣市町村等
  ノ財力財源等ヲモ色々睨合ツテアア云フ原
  則ガ定マツテ居ル譯ナノデアリマシテ、ソ
  コニ明示サレテ居リマスルヤウニ、原則ハ小
  學校ニ付テ其ノ原則ガ立テラレテ居ルノデ
  アリマス、ソレヲ靑年學校ニ付テ如何樣ニ
  ヤツテ行クカ、是ハ根本論トシテ將來ハ當
  然考ヘナケレバナラヌ問題デアルト私等モ
  考ヘテ居リマス、靑年學校ノ義務制ガ御承
  知ノヤウニ普通科ニ於テ旣ニ進行シ來年度
  ニ於テ靑年學校ノ本科ノ第一年ガ義務制ニ
  入ツテ來ルノデアリマスルカラ、段々此ノ
  義務制ノ充實ニ伴ヒ、其ノ進行ニ伴ヒマシ
  テ、ソレニ伴フ〓員ノ俸給ハ府縣デ支辨ス
  ル、或ハ又其ノ半分ハ國庫デ之ヲ分擔スル
  ト云フヤウナ、サウ云フ原則的ノコトハ早
  晩考ヘナケレバナラヌ問題ダト思ヒマス
  是ハ色々財源等ノ關係モアリマスシ、ソレ
  カラ又靑年學校ニ付テハマダ義務進行ノ途
  中デモアリ、ソレ等ヲ睨合セマシテ、近ク何
  レカ方針ヲ檢討シテ行キタイト考ヘテ居リ
  やく、只今御指摘ノ問題等モサウ云フ場合
  ニハ原則的ニ考究セラルベキ問題デアラウ
  ト思ヒマス、唯只今ノ御指摘ノ點ハ現在ニ
  於テハ斯ウ云フ風ニ考ヘテ行クノガ先ヅ適
  切ヂヤナイカト考ヘマスノハ、御承知ノヤ
  ウニ靑年學校ニ於キマシテハ、市町村ノ負
  擔ソレニ府縣ハ幾分補助モ致シテ居リマ
  スルガ、國庫ニ於テ義務進行ニ伴ヒ補助金
  ハ年々增額致シツツアリマス、現ニ來年度
  モ增額ヲ致シテ居リマス、是ハ專任〓員ト
  カ、ソレカラ〓員數、專任〓員ノ俸給ノ
  額、ソレカラ生徒數等ニ比例シテ地方ニ配
  分セラレル譯ナノデアリマス、只今御話ノ
  ヤウナ充實シタ優秀ナ靑年學校ノ普通科ニ
  於キマシテハ、隨テ專任〓員ノ俸給モ好シ、
  專任〓員數モ多イ、生徒數モ多イト云フ關
  係カラ補助率ハ相當增シ得ル、補助ハ相當
  率ヲ良ク行キ得ル、左樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=95

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• 096・樋口善右衞門

  ○樋口委員　只今ノ御答辯ニ依リマスル
  ト靑年學校ノ義務制ガ完備スレバ、マア
  何トカサウシナケレバナルマイト云フヤウ
  ナ御話デアリマスルガ、實ハ此ノ問題ハ御
  承知ノ十九年、二十年マデ普通科ヲ持ツテ
  居ル全日晝間通年制ノ市町村デゴザイマシ
  テ、兎ニ角此ノ期間ニ終ルコトデアリマス
  ガ、色々文部省デハ學校ノ系統デサウ云フ
  ヤウナ單一ニ扱ハナケレバイカヌヤウナ風
  デアルカ知ラヌガ、實際私ノ方ノ愛知縣ノ
  如キデモ、三十カ四十アリマシタモノガ、
  高等小學校ノ方ハ縣費デ〓員給ヲ全部拂
  フ、此ノ全日通年デアル普通科ニ高等小學
  ヲ直シタ町村、卽チ高等小學ヲ持ツテ居ラ
  ス所ノ靑年學校、普通科ノ市町村ハ是ハ其
  ノ町村ガ支拂フノダ、縣費カラ支拂ハヌト
  云フ譯デアリマスカラ、先ヅ職員ノ俸給ノ
  問題デ村ノ經濟ノ實情カラ見マスレバ、ソ
  レデハ縣費ヲ貰ハナケレバイカヌト云フコ
  トデ以テ心ナラズモ高等小學ト云フ風ニ看
  板ヲ變ヘテ、結局逆轉シタヤウナ形ニ今ノ
  處ナツテ、三十幾ツト云フモノハ潰レタノ
  デゴザイマス、其處ニ留ツテ居ルモノハ最
  モ靑年〓育ニ關心ヲ持ツテ、何トカサウ云
  フコトハ縣ニ於テモ或ハ本省ニ於テモ、實
  情ヲ見ラレタナラバ分ルコトデアリマスガ
  何レ同樣ノ扱ヒヲ受ケ得ラレルモノダト云
  フヤウナ信念ノ下ニ今日其ノ儘來テ居ルノ
  デゴザイマス、所ガ何トシタコトカ餘所ノ
  高等小學校ニハ其ノ割合デ縣費カラ出ス形
  ニナツテ居ルガ、自分ノ村ノモノハ靑年學
  校ノ普通科デアルカラ町村デ拂ハネバナラ
  ヌ、先ヅ〓育ニ理解ノ薄イ所、況ヤ經濟ノ困
  ル所ハサウナルノハ無理ハアリマセヌガ、其
  ノ場合ニ於テ情ナイコトハ、一町村一校ニシ
  テ靑年學校ヲ全日通年ノ普通科トシマシタ
  村ハ、相當難儀ヲシテ、町村民ニ能ク理解
  セシメテ、此ノ〓育ノ方ガ宜イト云フノデ
  置イタガ今日其ノ學校ニハ縣カラハ〓員給
  ヲ支給セラレヌノデ、之ヲ又元ノ高等小學
  ノ看板ニ變へマス時、當時ノ當局竝ニ學校
  職員等ノ心中ヲ察シマスレバ、曾テハ是ガ
  良イノダト言ツテ說得シタル町村民ニ對シ
  テ、ドノ顏ヲ提ゲテ今日高等小學ニ看板ヲ
  變ヘラレヤウカ、是位情ナク感ジタコトモ
  ナシ、是ガ〓育上ニ及ボス影響モ亦非常ニ
  深刻デアルノデゴザイマス、斯樣ナコトヲ
  考、マスト十九年二十年マデ義務制ト
  シテアリマス全日通年ノ晝間制ノ普通科
  ハ-一方ニ高等小學校ヲ持ツテ居ルナラ
  バ宜シイケレドモ、ソレヲ持ツテ居ラヌニ
  依ツテ、他ノ町村ハ縣費デ拂フガ、靑年學校
  ノ普通科ニシタ方ハ、町村デ拂ハネバナラ
  ヌト云フコトニナルト、何事デモサウデア
  リマスガ、兎ニ角縣ノ奬勵ニ從ヒ或ハサウ
  云フ進ンダコトヲシテ行ク町村ハ、他ノ方
  カラハ常ニ非難ト云フカ、謗リヲ受ケント
  シテ居ルノデゴザイマス、ソレ見ロ、態ヲ
  見ヨト云フヤウナ侮蔑ノ言葉ヲ以テ報イラ
  レル、折角〓育ニ關心ヲ持チ、靑年ノ將來
  ヲ思ツテ、是デナケレバイカヌトシテヤツ
  タ町村ノコトデアリマスカラ、私ハ特ニ一ツ
  御考慮ヲ下サイマシテ、高等小學校ト同樣
  若シクハソレ以上ニ優遇シテ行クヤウー
  靑年ヲ尊重スル國家ノ目的、何事ヲ措イテ
  モ先ヅ靑年、靑年ヨ起テト言ハレル國家ノ
  御方針カラ行キマスレバ、之ニ重キヲ置キ、
  同時ニ其ノ負擔モ、縣竝ニ國家ガ只ノ小學
  校ヨリ以上ニ御扱ヒ下サイマスコトガ、今
  後靑年〓育ヲ完遂スル上ノ御奬勵ニナルコ
  トト存ズルノデアリマスカラ、此ノ點ニ付
  テハ能ク御考慮ヲ煩ハシタイト存ズルノデ
  ゴザイマス
  ソレニ伴ツテ尙ホ一點御伺ヒ致シマス、此
  ノ靑年學校ハ常ニ府縣ノ方カラ輕ンゼラレ
  ルノカ、或ハ國ノ方デ指示ガナイノデアル
  カ、小學校ト違ヒマシテ、卽チ高等小學校
  ハヤハリ靑年學校ノ普通科デアリマスガ、
  其ノ普通科ヲ持ツテ居ル方ハ學校ノ用具、
  資材ノ配給モ普通ノ高等小學校トハ違ツテ
  殆ドナイト言ツテ宜イ位デアリマス、ト云
  フノハ忘レラレテ居ルカトモ思ヒマスガ、苟
  モ文部省ニハ局ガアリ、各府縣ニハ社會〓
  育課モアリ、ソンナ忘レテ居ルヤウナ筈ハ
  ナイガ、運動具其ノ他學校ノ器具用具ノ配
  給ニ付テハ、殆ド無視セラレテ居ル形デゴ
  ザイマス、是ハ實際ヲ御調査下サレバ分リ
  マス、再三再四要求シテ僅カニ一部ヲ配給
  セラレルト云フヤウナ狀態デアルガ、是モ
  已ムヲ得ヌコトトシテ今日マデヤツテ來テ
  居ルソデアリマス、是ハ靑年〓育ヨリ普通
  〓育ニ重キヲ置カレタ結果カ知ラヌガ、私
  共ノ見ル所ニ依ルト各府縣共常ニ繼子扱
  ヒヲ受ケテ、ドチラカト云ヘバ、ドウデモ
  宜イヤウナ風ニセラレテ居ル、小學校ニ附
  隨ノ靑年學校ハ澤山ゴザイマスガ、今後ハ
  ドウカ是等ノ資材ニ付テモ-靑年學校ハ
  何ト云ツテモ實務ノ時間ガ多イノデアリマ
  スカラ、地下足袋ノ如キモ餘計要ルノデア
  リマス、其ノ地下足袋ノ配給ハドウデゴザ
  イマス、其ノ實情ヲ聽ク時ニ、同情スルト云
  フヨリハ寧ロ憤慨ニ堪ヘヌヤウナ現狀デ
  ゴザイマス、此ノ點ハ各府縣共サウデアラ
  ウト思ヒマスノデ、其ノ〓育ノ内容ガ實務
  ニ重キヲ置クダケニ餘計サウ云フモノガ要
  ルノデアリマスカラ、十分ニハ行カヌマデ
  モ、其ノ割合ニ於テ普通ノ小學校ト違ハヌ
  ヤウニ御配慮ヲ煩ハシタイト存ジマス
  ソレカラ今後靑年學校ニ國民學校ノ高等
  科ヲ併置シテ、其ノ兩方ノ先生ノ交流ガ多
  クナルト思ヒマス、左樣ナ場合現在デハ年
  功加俸ノ繼續ハアリマセヌガ、將來ハ其ノ
  繼續ガ出來ルヤウニ變更願ヒタイト思フノ
  デアリマス、其ノ點ニ付テノ御意見ヲ伺ヒ
  タイ

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• 097・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今承リマシタ靑年學校
  ニ付キマシテノ色々ノ御苦心御努力ニ付キ
  マシテハ洵ニ敬意ヲ拂ツテ伺ツタノデアリ
  やく、又御話ノ通リ靑年〓育ガ國民〓育ト
  相竝ンデ最モ重要ナル〓育上ノ施設デアル
  ト吾々ハ考ヘテ居リマス、カルガ故ニ既ニ
  是ハ義務制ニモナツテ居ルヤウナ譯デアリ
  マスカラ、此ノ時務ノ進行ニ伴ツテ其ノ本
  旨ヲ全ウスルヤウニ十分ノ力ヲ致サナケレ
  バナラヌト云フコトハ御同感デゴザイマス、
  將來尙ホ實施ニ付キマシテ十分調査致シマ
  シテ、不都合ノナイヤウニ〓究致シタイト
  存ジマス、ソレカラ今最後ニ御話ノゴザイ
  マシタ靑年學校ト國民學校ノ先生ノ交流ニ
  伴フ相互年功加俸ノ通算ノ關係デゴザイマ
  スガ、是等ニ付テモ御趣意ニ副ヒ得ルヤウ
  ニ〓究ヲシテ見ヨウト今考ヘテ居ルノデア
  リマス

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• 098・樋口善右衞門

  ○樋口委員　是デ私ノ質問ヲ終リマス

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• 099・林平馬

  ○林委員長　福田君

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• 100・福田悌夫

  ○福田(悌)委員　成ベク簡單ニ具體的ノ
  二、三ノ點ニ付テ御伺致シマス、今囘、靑
  年團、女子靑年團、少年團ガ統合セラレマ
  シテ、大日本靑少年團ガ成立致シタノデア
  リマス、靑年團トカ、〓育會デアリマスト
  カ婦人會デアリマストカ、サウ云フ所謂
  〓育ノ外廓團體ガ事變以來非常ニ活躍致シ
  テ居リマシテ、時局ノ認識ヲ深メ、國體ノ
  本義ニ徹シテ十分施設其ノ他凡ユル方面ニ
  於テ、中々立派ナ成績ヲ擧ゲテ居リマスコ
  トハ私ノ聞ク限リニ於テハ洵ニ感服ノ至リ
  ニ堪ヘナイノデアリマス、今囘更ニ是等ノ
  團體ガ發展的ニ解消ヲ致シマシテ、一層此
  ノ團體ノ本旨ニ副フヤウニ積極的ナ活動ヲ
  營ムヤウニナリマシタコトハ時局ニ鑑ミ
  洵ニ適切ナコトデアルト存ジマス、一昨年
  ノ春ニ於キマシテ、畏クモ靑少年團ニ對シ
  マシテ有難イ勅語ヲ賜ハツタノデアリマス、
  此ノ新シク發足致シマスル大日本靑少年團
  ノ今後ノ活動如何ト云フモノガ此ノ聖旨ノ
  萬一ニ副ヒ奉ルニ付テ至大ノ關係ノアルコ
  トハ申スマデモナイノデアリマシテ、次官
  モ副團長ヲシテ居ラレルノデアリマスカラ、
  之ニ付テハ此ノ際十分ニ御熱意ノアル所ヲ
  御漏ラシヲ願ヒタイト思フノデアリマス
  此ノ今囘新シク組織セラレマシタ團ノ機
  構ニ付キマシテハ、色々ナ觀點カラ見デ批
  判論議スベキ點モ段々アルノデアリマスガ、
  其ノ中デ唯一點ダケ御伺ヒ致シタイト存ジ
  マシ、ソレハ今度ノ組織ハ小學校ト靑年學
  校ノ生徒ガ本位デアリマシテ、此ノ學校ト
  不離一體ノ關係ニ於テヤツテ行クト云フ風
  ニ思ハレルノデアリマスガ、ソレカラ見ル
  ト學校カラ離レマシタ年齡デ申シマスルト、
  二十一歲以後ノ靑年ニ對シテハ一體ドウ云
  フ根本ノ方針デ居ラレルノデアリマセウカ、
  實ハ徵兵ガ濟ミマシタ後ノ靑年ノ從來ノ靑
  年團員トシテノ地位ニ付テハ、色々ナ意見ガ
  アツタノデアリマシテ、是ハ主トシテ町村
  ノ靑年團長、多クハ小學校長デアリマスガ、
  サウ云フ方面カラ聞カサレタコトナンデア
  リマスガ、ドウモ二十歲マデノ團員ハ洵ニ
  氣風ガ宜シイ、併シ徵兵以後ノ靑年ハ頗ル
  扱ヒニクイ、此ノ兩方ヲゴツチヤニシテヤ
  ルコトガ却テ中途半端ナ結果ニナルノデア
  ツテ、二十一歲以後ノ靑年ハ、寧ロ靑年團カ
  ラ分離シテシマツタ方ガ却テ宜イノデハナ
  イカ、私サウ云フコトヲ今マデ屢〓聞カサレ
  タ經驗ガアルノデアリマス、併シ二十一歲カ
  ラ二十五歲マデト云フ年齡ハ、申スマデモ
  ナク當人ト致シマシテモ、國家的ニ考ヘマ
  シテモ頗ル大切ナ時期デアリマス、何等ノ
  修養團體ニ屬スルコトモナク、彼等ガ直チ
  ニ野放シニナルト云フコトハ餘程〓育上考
  ヘナケレバナラナイ問題デアリマス、部落
  會デアリマストカ、軍人分會、警防團トカ
  云フモノガアリマスガ、ソレ等ガ修養團體
  トシテ十分適切デアルトハ申シ兼ネルノデ
  アリマス、斯樣ナ意味カラシテ町村ノ靑年
  團ノ立場カラハ少シ扱ヒニクイ事情ガアツ
  タニモ拘ラズ、他ニ所屬ノ團體ガナイガ故ニ
  已ムヲ得ズ-已ムヲ得ズト言ツテハ少シ
  言ヒ過ギルカモ知レマセヌガ、先ヅ團長ノ
  方デハソレ位ノ積リデ團員トシテ指導シテ
  居ツタヤウナ實情デアリマス、今囘ノ此ノ
  新シイ組織ニ依ツテ見マシテモ、今度ハ又
  一層其ノ點ガ小學校ナリ、靑年學校本位ニ
  ナツテ居リマシテ、學校ヲ離レタ靑年ト云
  フモノガ、靑年團員デアリナガラ本來ノ團
  員デナイヤウナ感ガ致スノデアリマス、學
  校ニ居リマスレバ成規ノ〓育ヲ受ケテ居ル
  間ハ、或ハ事變ガ進行スルニ連レテ、高度
  國防國家建設デアルトカ、大東亞共榮圈ノ
  確立トカト云フヤウナ國策ガ決マレバ、ソ
  レニ連レテ其ノ方向ニ直チニソレヲ向ケル
  ヤウニ指導ガ出來ルノデアリマスガ、學校
  ヲ離レテ居ル靑年ハサウ云フ點ニ於テ洵ニ
  指導土困難ナ事情ガアルノデアリマス、寧
  ロサウ云フ靑年コソ一層或ル團體員トシテ
  ノ關係ヲ密接ナラシメル必要ガアルノデ
  アリマス、二十一歲以上ノ團員ハ幹部ト云
  フコトニナツテ居ルヤウデアリマスガ、幹
  部ト申シマスト、詰リ團員ノ先輩トシテ後
  輩ヲ指導スル、團ノ何等カノ役員ニナルト
  云フコトカト思フノデアリマスガ、〓ノ役
  員ハ極メテ少數デアリマス、役員以外ノソ
  レ等ノ團員ハドウナサルオ積リデアルカ、
  小サナ問題ノヤウデアリマスガ、今度新シ
  ク出來マシタ靑少年團ノ組織ノ上ニ於テ其
  點ガ一寸ハツキリ致シマセヌノデ御伺ヒス
  ル次第デアリマス

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• 101・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　今囘大日本靑少年團ガ組
  織セラレマシタノハ、只今御話ノゴザイマ
  シタヤウニ、一國ノ靑少年ノ指導方針ノ
  元的貫徹ヲ圖ルト云フ意味ト學校〓育トノ
  不離一體性ヲ確保致シマシテ、靑少年ヲ通
  ジテ、又男女ヲ通ジテ一貫シタ訓練體制ヲ
  立テテ行キタイ、斯ウ云フ趣意ノ下ニ從來
  ノ男女靑少年團ノ協力ニ依リマシテ、大日
  本靑少年團ガ新タニ結成セラレタヤウナ譯
  デアリマス、只今御話ノ點ハ其ノ構成員ト
  シテ主トシテ男子ニ付テノ御話ト存ジマス
  ガ、團員ノ年齡ニ於テ十四歲カラ二十歲ト
  云フ區切ガ付イテ居ル、此ノ二十歲ニ區切
  ヲ付ケマシタノハ、只今申シマシタヤウニ
  一面ニ於テハ靑年學校等、學校〓育トノ不
  離一體ノ關係ヲ保チナガラ、一元的ノ指導
  方針ヲ貫徹スルト云フ建前ニ於キマシテ、
  二十歲マデハ兎ニ角靑年トシテ修養訓練ノ
  時代デアル、修養訓練ノ一ツノ團體トシテ其
  ノ趣旨ヲ一貫シテ行ク、斯ウ云フ趣意ヲ以
  チマシテ普通團員トシテハ年齡ヲ二十歲ニ
  限リマシタヤウナ譯デアリマス、併シナガ
  ラ二十一歲以上或ハ二十五歲、地方ニ依リ
  マシテハモツト高イ年齡ノ團員モ加ハツテ
  組織セラレテ居ル所モアリマス、併シ只今
  申シマシタ趣意精神カラシテ、其ノ精神ヲ
  基本ト考ヘマスナラバ、先ヅ修養團體トシ
  テ二十歲ノ年齡層デ一ツノ區切ヲ付ケルト
  云フヤウニ編成サレタノデアリマスガ、然
  ラバ二十一歲以上ノ者ハドウスルカト申シ
  マスト、二十一歳カラ二十五歲マデノ靑年
  ハ幹部又ハ指導者トシテ、サウ云フ意味ニ於
  テ團ノ生活ニ加ハツテ團ノ活動ノ一ツノ有
  力ナ働キ手トナツテ行ク、サウ云フ意味ニ於
  テ二十一歲カラ二十五歲マデノ靑年ヲサウ
  云フ立場デ編成スルト云フコトナノデゴザ
  イマス現在ニ於キマシテモ二十一歲以上
  ノ團員ノ方ノ現實ニ加ハツテ居ラレマスル
  實況カラ申シマスト、大體此ノ實況ト一致
  致シテ居ルヤウニ考ヘテ居ルノデゴザイマ
  ス、併シ中ニハソレニ相應シカラヌモノモ
  間々アルヤウニモ承リマスシ、又地方ノ事
  情ニ依ツテサウ云フ場合モアルカトモ思ヒ
  マスケレドモ、大體ニ於テサウ云フ組織ニ
  於テハ現狀ト一致スルノデハアルマイカ、
  併シナガラ今度ハ其ノ指導精神ニ於テ此ノ
  精神ヲ發揮シテ行クト云フ立場カラ、是等
  ノ人ハ幹部又ハ指導者トシテ入ツテ貰フ
  サウ云フ風ニ向ケテ行キタイ、斯ウ云フ考
  ヘヲ以テ進ミツツアル次第デアリマス

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• 102・福田悌夫

  ○福田(悌)委員　師範〓育ノコトニ付キマ
  シテ先般來段々御話ガアリマシタ、今度一部
  ヲ廢メテ二部ヲ置ク、詰リ中學校ノ卒業生
  ヲ收容スル三年程度ノ專門學校ニナルト云
  フ風ニ〓育審議會デ決定シテ居ルヤウニ承
  ツタノデアリマス、是ハ男子ノ師範學校ノ
  コトデアリマスガ、現在益,焦眉ノ急務デア
  リマスノハ女子〓員ノ養成機關ノ擴充ノ
  問題デハナイカト思フノデアリマス、全國
  的ニハドウ云フ狀況デアリマスルカ私存ジ
  マセヌガ、私ノ〓里山口縣ニ於キマシテハ、
  事變ガ始マリマシタ當座昭和十二年、十三
  年頃ニ於キマシテ、全縣ノ男〓員ト女〓員
  ノ割合ガ五九%ト四一%デアツタノデアリ
  マス、マダ其ノ頃ハ男〓員ガ少シ多カツタ、
  併シ此ノ頃少シ大キナ小學校ニナリマスト、
  先ヅ男女半々位デアリマシテ、稍〓大キナ都
  市ノ小學校ニ於キマシテハ、女〓員ノ方ガ
  六割ヲ超シテ居ルヤウナ狀況デアリマス、
  ソレガ此ノ二、三年ノ中ニ益、女〓員ノ殖エル
  傾向ガ甚ダシクナリマシテ、今デハモウ此
  ノ儘デ參リマスルト、小學校ノ先生ハ女〓
  員ノ方ガ過半數ニナルコトハ必至デアリマ
  ス、サウ致シマスルト、女子〓員ノ養成機
  關ガ洵ニ重要ニナツテ參ルノデアリマシテ、
  女子師範ニ於キマシテモ、男子ノ師範ノ昇
  格ノ如ク、女學校ノ卒業生ヲ本位トシタ專
  門程度ノ〓育機關ガ考ヘラレナケレバナラ
  ヌノデアリマスガ、サウ云フヤウナ御方針
  ガ文部省ノ方ニオアリニナリマスカドウカ、
  ソレカラ序ナガラ斯樣ニ小學校ノ女〓員ガ
  非常ニ殖エテ參リマスルト、女子師範ノ〓
  育方針ガ端的ニ小學校ノ〓育ニ影響シテ參
  ルノデアリマシテ、餘程シツカリシタ〓育
  方針デ參リマセヌト、我ガ國ノ小學校ノ〓
  育ニ非常ナル影響ヲ及ボシテ來ルコトト思
  ヒマス、結局是ハ女ラシイ先生ト言ヒマス
  カ、日本ノ婦道ニ基ク女子師範〓育ガ行ハ
  レナケレバナラナイト思フノデアリマスガ、
  其ノ邊ニ關スル御方針ニ付テモ伺ヒタイト
  思ヒマス

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• 103・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　只今男女ノ〓員ノ割合等
  ニ付テ御指摘ガアリマシタ、ソレハ地方ニ
  依ツテ多少違ヒガアルカトモ思ヒマスル
  ガ、大體ノ全國ノ平均ハ二對一位ノ割ニナ
  ツテ居ルト思ヒマス、女〓員一人ニ男〓員
  二人ト云フヤウナ割合デアリマス、今御指
  摘ニナリマシタノハ餘程女〓員ノ割合ガ多
  イヤウデアリマスガ、地方ニ依ツテハサウ
  云フ所モアリ得ルカト思ヒマス、是ハ割合
  カラ言ツテ餘リ女〓員ノ數ガ殖エルコトハ
  考ヘナケレバナラヌト思ヒマスガ、ヤハリ
  或ル程度ノ限度ニ止メテ置カナケレバナラ
  ナイカト斯樣ニ考ヘマス、ソレカラ師範〓
  育ノ改善ニ付テハ、女子ニ付テモ同樣ニ色
  色〓究致サナケレバナラヌ點ガアルト思ヒ
  マス、殊ニ只今御話ノゴザイマシタ婦德ノ
  涵養、女子ノ特色ヲ發揮スル點ニ於テハ、
  改善ノ案ヲ立テル上ニ於テ、其ノ內容ニ於
  
  テ餘程ソコヲ重點ニ置イテ考ヘナケレバナ
  ラヌト云フコトハ全ク御同感デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=103

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• 104・福田悌夫

  ○福田(悌)委員　去ル紀元節ノ朝、帝都ノ中
  心街ニ於ケル某映畫劇場ノ前デ數万ノ群集
  ガ洵ニ無秩序、無統制ナ現象ヲ示シタコト
  ハ、既ニ新聞紙上ニ於テ御承知ノコトト思
  フノデアリマス、併シ是ハ單ニ市井ノ小問
  題トシテ新聞紙ノ社會面ヲ賑ハスコトデ濟
  マサレル事柄デナイト存ズルノデアリマス、
  今日國家總力戰體制ノ時局下ニ於キマシテ、
  眞ニ遺憾ナル現象ト申サナケレバナラナ
  イ、而モ其ノ大部分ガ靑年男女デアリ、學
  生デアツタト云フコトハ、是ハ深ク考フベ
  キコトト思フノデアリマス、要スルニ是ハ
  我ガ國民道德ニ缺陷ガアリ、社會大衆ノ訓
  練ノ缺如ト申シマスカ、都會生活ノ弱點ヲ
  如實ニ暴露シタモノデアルト思フノデアリ
  マス、是ハ尤モ獨リ觀衆ノ側ダケノ問題デ
  ハナクシテ、或ハ興行者ノ方ノ側ニモ、又
  取締警察ノ側ニモ色々考フベキコトガアラ
  ウト思フノデアリマス、併シ畢竟根本問題
  ハ國民娛樂ニ對スル政府當局ノ考ヘ方ニ俟
  ツモノガ多イト思フノデアリマス、由來我
  ガ國ノ文化政策ハ洵ニ貧困ヲ極メテ居ツタ
  コトハ、是ハ否定スベクモナイノデゴザイ
  マイ、是ガ國民娛樂ニ對スル當局ノ態度ノ
  消極的ニ過ギタコトニ關聯致シマシテ、シ
  ツカリシタ娛樂對策ガ出來テ居ナイ、「スポー
  ツ」ニシマシテモ、音樂ニシマシテモ、是
  ハ風〓刷新ノ上ニ非常ナル關係ノアルコト
  ハ申スマデモナイコトデアリマス、唯娛樂
  政策ヲ立テル上ニ於キマシテ、娛樂文化ノ
  本質ヲ誤ツタリ、又民家カラ遊離スルヤウ
  ナコトハ餘程避ケナケレバナラナイコトデ
  アリマス、國家非常ノ際ニ於キマシテ、殊
  更適切ナ、確乎タル娯樂政策ノ樹立ハ洵ニ
  緊要ナル問題ト存ジマスルガ、此ノ點ニ關
  スル政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=104

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• 105・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　時局下ニ於キマシテ自戒
  自肅宜シキヲ得ナケレバナラナイコトハ當
  然デアリマス、ソレト同時ニ一面ニ於キマ
  シテハ、積極的ニ「スポーツ」音樂、映畫、
  其ノ他一般文化ノ健全ナル發達、其ノ文化
  面ノ眞ニ日本的ニシテ匂ヒノアル、芳醇ナル
  文化ノ創造發展ニ付キマシテハ、常ニ工夫
  ヲ〓ラサナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、
  併シナガラ是ハ又一面ニ於テ中々難カシイ
  仕事デモアリマスルガ、其ノ基礎ヲ培フ意
  味ニ於キマシテ、文化政策ノ根本ニ亙ツテ
  眞ニ健全ナル基礎ヲ持ツタモノヲ拵ヘテ行
  カナケレバナラヌト云フコトハ全ク御同感
  デアリマス、文部省等ニ於キマシテモ、社
  會〓育等ニ於テ色々各方面ノ專門家ヲ御依
  賴シマシテ、委員會等ニ於テ相當案モ練ツ
  テ居リマス、例ヘバ劇、映畫、音樂等ニ付
  テ色々權威アル委員會ヲ設ケテ、相當眞劍
  ニ議セラレテ居ルノデアリマス、一方斯ウ
  云フ時局ノ關係モアリマシテ、直チニ出來
  ナイコトモアリマス、併シ徐ロデハアツテ
  モ常ニ其ノ方面ニハ注意ヲ怠ラズ努メテ居
  ル積リデアリマス、又微力デハアリマスケ
  レドモ、サウ云フ方面ニ向ツテハ〓究ヲ怠
  ラナイ積リデ進ンデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=105

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• 106・福田悌夫

  ○福田(悌)委員　紀元二千六百年奉祝紀念
  事業トシテ神武天皇ノ聖蹟調査委員會ニ依
  ツテ十九箇所ノ聖蹟ガ決定サレタノデアリマ
  スガ、尙ホソレ以外ニ高千穗宮ヲ初メ、調
  査〓究致シテ顯彰スルコトガ將來殘サレテ
  居ル聖蹟ノ傳承地ガ數多クアルノデアリマ
  ス、是ハ極メテ重大ナル事柄デアリマスル
  カラ、非常ニ愼重ナル態度ヲ御執リニナリ
  マシテ、日本書紀、古事記等ノ典據ニ依
  リ又十分價値ノアル長所ノ存スルモノノ
  ミヲ聖蹟トシテ決定サレタコトハ已ムヲ得
  ナイコトト存ズルノデアリマス、併シ其ノ
  選ニ漏レタモノ、或ハ又十分ニ世間ニ知ラ
  レテ居リマセヌガ、關係地方ニ於テ古來ヨ
  リ一ツノ信仰トナツテ居リマスルヤウナ聖
  蹟ニ付テ、今後ソレ等ノ傳承ノ保存顯彰ニ
  努メラレ、サウシテ長ク御聖德ヲ景仰シ奉
  ル國民ノ赤誠ニ應ヘナケレバナラナイト存
  ズルノアリマス、ソレニ付キマシテ私ハ一
  ツノ事例ヲ擧ゲテ政府ノ御所見ヲ伺ヒタ
  イ、ソレハ神武天皇御東征ノ御順路ノ中デ、
  筑紫ノ崗水門カラ安藝ノ埃宮ニ至ル間、此
  ノ間ノ御順路ニ關スルコトデアリマス、此
  ノ點ニ付テハ古事記ニモ日本書紀ニモ何等
  ノ所載ハアリマセヌ、世間ニ於テモ唯一路
  周防灘ヲ東へ進マセラレタヤウニ漠然ト考
  ヘラレテ居リマス、併シナガラ實ハ周防國
  ノ德山灣ノ附近ニ於テ御上陸ニナリマシテ、
  サウシテ陸路ヲ進マセラレ、他ノ若干ノ部
  隊ガ海路ヲ進ミマシテ、海陸竝進シテ安藝
  國ヘ向ハセラレタト云フ風ニ私共ハ拜察致
  シテ居ルノデアリマス、是ハ何モ新シイ推斷
  デモナク、アノ地方ニ於ヰマシテハ古來傳
  承セラレテ居ル事實デアリマシテ、決シテ
  單ナル臆測デハナイノデアリマス、之ヲ裏
  付ケル幾多ノ傳說、遺蹟、記錄、風習ガア
  ノ周防國ノ山河一帶ノ到ル處ニ洵ニ豐富濃
  厚ニ保存セラレテ居リマシテ、二千六百年
  後ノ今日マデ連綿トシテ傳ヘラレテ居ルノ
  デアリマス、由來皇室ヲ尊ビ、祖先ヲ崇敬
  スル念ノ厚イノガ我ガ國民ノ特性デアリマ
  シテ、其ノ發露トシテ畏クモ皇國ノ歷史ヲ
  開カセ給フタ神武天皇ノ御治蹟ヤ、由〓ノ
  アル御聖地ハ之ヲ〓土ノ光榮トシテ子々孫
  孫ニ語リ傳ヘ、或ハ地ヲトシテ天皇ヲ奉祀
  シ、其ノ御聖德ヲ仰慕シ來ツタノデアリマ
  ス、周防灘ニ臨ム一帶ノ土地ニ天皇ノ
  御東征ニ關スル貴重ナル傳說地トシテ天皇
  ヲ奉齋シテ居リマス神社ガ少クナイコト
  ハ、是ハ決シテ偶然ノコトデハナイノデア
  リマス、山口縣ノ東部ヲ占メテ居リマス周
  防國ニ於テ、御東征ニ關シテ今ニ語リ傳へ
  ラレテ居ル場所ノ著シイモノダケデモ實ニ
  十指ニ餘ルハデアリマス、神武天皇ガ御上
  陸ニナリマシタ德山灣附近ノ現在ノ都濃郡
  富岡村ノ〓社神上神社、アノ所在地ニ姑ク
  御滯留ニナリマシタ遺蹟、記錄等モアリマス
  シ、更ニ大體今ノ山陽道ニ沿ツタ東ヘ進マ
  レマシタ、古來崇敬ノ篤イ縣社岩隈八幡宮
  ヲ初メ、神武天皇ニハ御母ノ玉依姫命又ハ
  皇兄三毛入野命ヲ祭神トシテ祀ツテアル神
  社ガ周防國ダケデモ十社ニ達シテ居ルノデ
  アリマス、尙ホ此ノ三毛入野命ノ御神陵ノ
  傳說地等モアルノデアリマス、遠賀川ノ河
  口ノ崗水門カラ埃宮ヲ營マレタト傳ヘラレ
  テ居リマス安藝國ノ府中マデハ百二十浬ア
  リマス、當時ノ非常ニ構造ノ弱イ、船定ノ
  鈍イ船ヲ以テ、恐ラク數千ト云フ大部隊ガ
  分乘シテ、アノ海上ヲ何處ニモ上陸ナサラ
  ナイデ一擧ニ乘切ラレタト考ヘルコトノ方
  ガ寧ロ不當デハナイカト思ハレルノデアリ
  マス、私ハ今ソレ等ノコトニ付テ色々史實
  ヲ穿鑿シヨウトスルノデハアリマセヌ、史
  實ノ考究デアリマスレバ山口師範ノ中山〓
  諭ヲ初メ、篤學ノ士ガ二千六百年ヲ機會ニ
  色々考證ヲ發表サレテ居リマス、神武天皇
  ノ聖蹟〓究ノ權威者デアリマス國分種德氏
  モ最近既ニ其ノ史實ヲ認メラレテ居ルノデ
  アリマスガ、神武天皇ノ御東征ノ御巡路ノ
  一部ニ付テ、世間デ餘リニ知ラレテ居ナイ
  斯樣ナ史實ガアルノデアリマス、全國的ニ
  ハ比較的新シイカモ知レマセヌケレドモ
  私共幼時カラ斯ウ云フ地域ノ實情ニ觸レテ、
  又古老カラ繰返サレテ言ヒ聞カサレテ居リ
  マス天皇ノ御事蹟ニ付キマシテハ、洵.
  崇敬欽仰ノ念ガ深イノデアリマシテ、旣ニ今
  日デハ牢固トシテ拔ケ難イ一ツノ信仰トナ
  ツテ居ルノデアリマス、古事記ヤ日本書紀
  ニ記載サレテ居ルコトハ、是ハ史實トシテ
  非常ニ有力ナル史料デアリマスガ、記載サ
  レテ居ナイト云フコトガソレ等ノ傳承ヲ抹
  殺スルコトニナラナイコトハ勿論デアリマ
  ス、餘リニ文獻ニ偏重シマシテ、民俗的ト
  云ヒマスカ、具體的ト云ヒマスカ、其ノ民
  間ニ傳承サレテ居ル資料、崇敬史實、之ヲ
  輕ンズルコトハ特ニ戒ムベキコトデアルト
  思フノデアリマス、斯樣ナ信仰ノ事實
  ハ十分ニ尊重スベキコトデアリマシテ、
  偶〓、曩ノ紀元二千六百年ノ紀念事業トシテ決
  定ニ漏レタ聖蹟ニ關シテハ今後特ニ留意シ
  テ、決定ニ漏レタト云フコトニ依ツテノ
  惡影響ガナイヤウニシナケレバナラヌコト
  ハ勿論デアリマス、アノ御順路ノ沿線ニ於
  キマシテモ、民間ニ色々ノ奉讚會ト云フヤ
  ウナモノガ出來マシテ、記念碑ヲ建立スル
  トカ、其ノ外顯彰ノ事業ガ計畫サレテ居リ
  マスガ、ドウモ聖蹟紛淆ヲ來スト云フヤウ
  ナ理由デ兎角ソレ等ガ禁止セラレルノデア
  リマス、一片ノ行政手段デ以テ關係地方ノ
  熱烈ナル信仰ヲ抑ヘルト云フヤウナコトハ
  是ハ頗ル考ヘモノヂヤナイカト思フノデア
  リマス、是等ノ聖蹟ハ御聖德ヲ偲ビ奉ル上
  ニ於テモ至大ナル關係ガアルノデアリマス
  カラ、寧ロ進ンデ何等カノ方法ヲ講ジテ之
  ヲ保護尊重スベキデアラウト思フノデアリ
  マス、是ハ獨リ神武天皇ノ場合ノミニ限ル
  コトデハアリマセヌ、歷代天皇ノ聖蹟ノ
  調査保存ニ付テモ同樣デアリマス、此ノ點
  ニ關スル政府ノ御所見ハ如何デアリマセウ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610164X00519410214&spkNum=106

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• 107・菊池豐三郎

  ○菊池政府委員　神武天皇ノ聖蹟ノ調査ニ
  付キマシテハ、御承知ノ通リ我ガ國ノ古典
  トシテ最モ貴重ナ日本書紀、古事記等ニ記
  載セラレテ居リマスル事項、其ノ他重要ナ
  ル文獻及ビ土地ノ狀態ニ付キマシテ御遺跡
  ノ地點地域ヲ推定シ得ラレマスモノヲ聖蹟
  トシテ調査會ニ於テ決定セラレタノデアリ
  ママ、尙ホ價値アル口事、傳說ヲ存シテ居
  リマスモノ等ニ付キマシテモ、聖蹟傳說地
  等ト致シマシテ考慮セラレタノデアリマス、
  各方面ノ權威ノ方々ガ調査委員ニ擧ゲラレ
  マシテ、斯樣ナル文獻、實地ニ付テ愼重ニ
  愼重ヲ重ネテ御〓究ノ結果分リ得ル所ヲ御
  決定ニナツタモノト考ヘマス、只今御話ノ
  點ハ、是等ニ關聯シマシテ地方ノ實際カラ
  地方民心ノ色々ナ影響等ヲ顧慮シテノ御質
  問ト考ヘマス、ソレ等ニ付キマシテハ尙ホ
  篤ト實際ノ取扱ニ付キマシテ、〓究致シタ
  イト考ヘテ居リマス

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• 108・林平馬

  ○林委員長　ソレデハ今日ハ此ノ程度デ散
  會致シマシテ、明日午後一時ヨリ殘ツ夕部
  分ノ御質疑ヲ願フコトニ致シマス
  午後四時四十五分散會

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