第76回帝国議会　衆議院　昭和十二年法律第九十号中改正法律案（米穀の応急措置に関する件）委員会　第9号　昭和16年2月20日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十六年二月二十日（木曜日）午前十時十八分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　村上國吉君
  　　理事　岡田喜久治君　理事　吉植庄亮君
  　　理事　成島勇君　理事　松浦伊平君
  　　理事　愛野時一郎君
  　　　池田七郎兵衞君　　　石井徳久次君
  　　　　石坂繁君　　小笠原八十美君
  　　　　小串清一君　　　大石大君
  　　　　長野綱良君　　　北勝太郎君
  　　　　小平重吉君　　　坂下仙一郎君
  　　　　須永好君　　　鈴木文治君
  　　　　田中邦治君　　　坪山徳彌君
  　　　　平野力三君　　　松田喜三郎君
  　　　　三善信房君　　　服部岩吉君
  　　　　小畑虎之助君
  同日委員岡田喜久治君辭任に付其の補闕として愛野時一郎君を議長に於て選定せり
  同日理事岡田喜久治君の補闕として愛野時一郎君理事に當選せり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　　農林大臣　石黒忠篤君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　農林次官　井野碩哉君
  　　　　　農林省總務局長　周東英雄君
  　　　　　農林省農政局長　岸良一君
  　　　　　農林省山林局長　井出正孝君
  　　　　　農林省水産局長　平岡梓君
  　　　　　農林省資材部長　重政誠之君
  　　　　　　　農林書記官　岡本直人君
  　　　　　　　馬政局次長　櫛淵〓一君
  　　　　　食糧管理局長官　湯河元威君
  　　　　食糧管理局事務官　石井英之助君
  　　　　　厚生省衞生局長　加藤於莵丸君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　農地開發法案（政府提出）

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• 001・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハ是ヨリ本日ノ會議
  ヲ開キマス-長野君

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• 002・長野綱良

  ○長野(綱)委員　私ハ四項バカリ大臣ニ御
  尋ネ致シタイノデアリマスガ、其ノ前ニ二
  點バカリ政府委員カラ御說明ヲ求メタイノ
  デアリマス、其ノ第一點ハ、昨日石井君ノ
  質問ニ對シテ關聯質問ヲナシマシタ此ノ開
  發營團ノ經理ノコトデアリマス、開發營團
  ハ營利營團デハナイノデアリマスケレドモ、
  兎ニ角六分ノ配當ヲシタリ、債劵ニハ四分
  ノ利子ヲ支拂フト云フコトニナツテ居ルノ
  デアルカラ、經營ヲシテ幾ラカソコニ利益
  ガ擧ラナケレバ其ノ支拂ガ結局出來ナイコ
  トニナル、昨日用排水等ノ工事ニ付テハト
  ントンニ行ケバ宜シイト云フコトデアリマ
  シタガ、サウ云フコトニナルト結局ソコニ
  ハ利益ガ出ナイコトニナル、其ノ利益ノ出
  ナイコトヲアノ營團ガドウシテモヤラナケ
  レバナラヌカ、サウ云フコトデアレバ、從
  來通リニ其ノ地區ノ全體ノ者ニヤラシタ方
  ガ宜イノデハナイカト考ヘルガ、其ノ點ヲ
  明瞭ニシテ戴キタイト思ヒマス

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• 003・岸良一

  ○岸政府委員　大規模ノ地區ノ用排水事業
  ヲ其ノ地區ノ者ニヤラセタラ宜イヂヤナイ
  カ、斯ウ云フ御話デゴザイマス、從來トモ
  三千町步以上ノ大キナモノニナリマスト、
  ヤハリ地元ダケデハ中々困難ガアルヤウデ
  アリマシテ、或ハ資金ヲ調達スルトカ、其
  ノ他色々ナ方面ニ於テ問題ダラウト思ヒマ
  スガ、之ヲ國營デシテ貰ヒタイト云フヤウ
  ナ希望ガ多イノデアリマス、サウ云フヤウ
  ナ點カラ見マシテモ、是等ノ大キナ仕事ハ、
  ヤハリ國營乃至之ニ準ジタヤウナ仕事デ
  シテヤラナケレバイカヌダラウ斯ウ云フ風
  ニ考ヘテ、之ヲ營團デヤラセルヤウニ致シ
  タ譯デアリマス、今ノ經理ノ問題ニ付キマ
  シテハ、只今ノヤウナ仕事ニ付キマシテハ
  營團ノ持ツ費用ハ政府ノ助成ニ依ツタ費用
  ト納付金ニ依ツタモノトニ依ツテ殆ド賄
  ツテ行カウト云フコトニ致シテ居リマス、
  勿論一ツノ經濟トシテ取扱ツテ參ルノデア
  リマスカラ、其ノ間ニ出入ノアルコトハ豫
  期サレルノデアリマスノデ、ソレ等ニ付キ
  マシテハ、ヤハリ他ト補ヒ合ハセテ考ヘテ
  行ク、結局國全體トシテ效果ガ擧ルト云フ
  コトヲ目途トシテ行ケバ宜イノデハナイカ、
  其ノ種別ノ問題、或ハ地域別ノ問題ノミヲ
  以テ考ヘテ行ク譯ニハ行カナイダラウ、營
  團ノ一ツノ大キナ塊リトシテ、サウシテ增
  產ノ最モ經濟的ニ效果ノ擧ルヤウニ骨折レ
  バ宜イデハナイカ、サウ云フ意味ニ於テ其
  ノ部分ニ付テハ昨日御話申上ゲタヤウナ程
  度ニ於テ經理ノ見方ヲ付ケテ行ク、斯ウ云
  フヤウニ考ヘテ居リマス

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• 004・長野綱良

  ○長野(綱)委員　尙ホ念ノ爲ニ御伺ヒシテ
  置キマス、能ク耕地整理ナドニアルコトデ
  アリマスガ、例ヘテ申シマスト、十万圓ノ
  施業ヲヤル、所ガソレヲ隱レタル請負者ヲ
  作ツテ置イテ七万圓デ工事ヲ完成サセル、
  サウシテソレヲ十万圓デ完成サセタ如クシ
  テ、政府ノ六割ノ補助ヲ取リ、民間カラ四
  割ノ賦金ヲ徵收スルト云フコトガ所ニ依ツ
  テハアルノデアリマスガ、此ノ營團ハ左樣
  ナコトハナサラヌノデアリマセウカ、其ノ
  點ヲ確メテ置キマス

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• 005・岸良一

  ○岸政府委員　ソレハモウ絕對ニゴザイマ
  セヌ、御覽ノ通リ政府ガ任命シ、公務員ニ
  準ジテ十分嚴重ナル監督ヲシテ行カウト云
  フノデアリマスカラ、其ノ點ハ絕對ニゴザ
  イマセヌ

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• 006・長野綱良

  ○長野(綱)委員　其ノ點ハ明瞭ニナリマシ
  ク、次ニ勞力ノ問題デゴザイマスガ、昨日
  成島君ノ質問ニ對シテ餘剩勞力ト云フコト
  ヲ申シテ居リマシタガ、アノ大シタ延人員
  ニ達スル餘剩勞力ト云フモノガ私ハ甚ダ疑
  問デアリマス、實ハ私モ小ナイナガラ一ツ
  ヤツテ居ルノデアリマシテ、私共ノ所デハ
  相當人手モ多イ所ト思ツテ居ルノニ、中々
  豫定通リニ出來ナイノデアリマス、工事ガ
  ドウシテモ二年位繰延ベラレテ完成ニ達シ
  ナイヤウナ實際ノ情勢ニアル、斯ウ云フ大
  キナ營團ガ仕事ヲスルト云フコトニナツテ、
  其ノ他方ノ人夫ヲ集メルト云フコトニナ
  リマスト、結局他ノ生產力ヲ殺イデ其處ニ
  持ツテ來ルト云フコトニナリハセヌカ、結
  局他ノ農業生產ニ向ケルベキ勞力ト云フモ
  ノガ、一方ノ賃金ガ好イトカ何トカ云フコ
  トデ其處ニ集マツテ來テ、普通ノ增產ヲヤ
  ラナケレバナラヌ方面ガ薄ライデ、生產力
  ガ減ツテ來ハシナイカ、斯ウ云フ憂ヒガア
  ル、其ノ點ハドウ云フ御見込デアリマスカ

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• 007・岸良一

  ○岸政府委員　勞力ノ問題ニ付テハ昨日成
  島委員ノ御考ヘニ對シマシテ、私共率直ニ
  考ヘテ居ル所ヲ申上ゲタノデアリマス、又
  此ノ線ニ沿ウテ實行ニ移スベク〓究ヲシテ、
  只今地方ノ關係諸官ヲ集メテヤツテ居ルヤ
  ウナ譯デアリマスガ、此ノ大キナ工事ヲ致
  シマシテ、勞力ガ調達出來ルカト云フコト
  ニ付テハ、是ハ地方々々ノ事情ニ依ツテ餘
  程異ナルモノガアルト思フノデアリマス、唯
  私ガ昨日申上ゲマシタヤウニ、多クノ仕事
  ハ大體農閑期ノ勞力ノアル時期ニ於テ計畫
  スル見込デアリマス、隨ヒマシテ昨日モ申
  上ゲマシタヤウニ、現在ノ此ノ工事ニ對ス
  ル勞力、此ノ仕事ニ對スル勞力ノ所要量ト
  云フモノハ、現在全體ノ勞力カラ言ヘバ極
  ク僅カナモノデアリマスノデ、其ノ點ニ付
  テ其ノ關係地域ノ勞力ノ供出ニ付テモ、或
  ハ一部落カラ數名ト云フヤウナコトデ、組
  織的ニ供出シ、尙ホアトノ仕事ニ付テハ共
  同作業其ノ他ニ依ツテ補ヒヲ付ケル、場合ニ
  依ツテハ非常ナ過激デナイモノニ付テハ婦
  人勞働ヲ動員シテヤツテ貰フト云フヤウナ、
  色々ナ方法ヲ考ヘテ參レバ出來ルノデハナ
  イカ、勿論此ノ方面ニ付テハ一面ニ於テ昨
  日申上ゲマシタヤウニ各地域ノ部落等ニ十
  分ノ協力ヲシテ貰ハナケレバナリマセヌカ
  ラ、サウ云フ點ニ付テハ全力ヲ擧ゲテ其ノ
  仕事ニ配慮ヲ願フヤウニシテ、精神的ノ方
  面カラト兩方カラ行ツテ完成ヲスルヤウニ
  シタイ、斯ウ云フヤウニ考へテ居リマス、
  ウント勞力ノ離レタ所デ、例ヘバ開墾ヲヤ
  ルト云ツタヤウナコトニ付テハ、或ハ分村
  的ナ考ヘ方ヲ以テ仕事ニ掛ツテ行ク、斯ウ
  云フヤウナ點モ加味シテ行キタイ、斯ウ云
  フヤウニ考ヘテ居リマス

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• 008・長野綱良

  ○長野(綱)委員　此ノ營團ハ將來十箇年ニ
  亙ツテ大面積ノ開墾又ハ用排水事業ヲ施行
  スルノデアルカラ、其ノ延人員ト云フモノ
  ハ非常ナ數ニ達スルノデアル、先程カラ申
  上ゲマスル通リニ、國內ハドウモ勞力ガ不
  足ヲ致シテ居リマス、ソレデ此ノ際斯ウ云
  フ大事業ヲオヤリニナルナラバ、朝鮮人若
  シクハ山東苦力ヲ入レテヤルコトニシテ、
  其ノ人夫ヲ移動シテ行ツタナラバ、非常ニ
  好ク行クノデハナイカト考ヘマスルガ、サウ
  云フ御計畫ハゴザイマスカ

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• 009・岸良一

  ○岸政府委員　只今ノ所デハ考ヘテ居リマ
  セヌ、出來ルダケ日本ノ農村ノ力ヲ活用シ
  テ、サウシテ此ノ仕事ガ間接的ニ農村ニ潤
  ツテ行クト云フヤウナ兩々相俟ツタ考ヘ方
  デ進ミタイ、非常ナ特別ナ場合ニ付テハ、
  ソレハ或ハ〓究シナケレバナラヌカト思ヒ
  マスガ、差當ツテハソレデナクテモ現在ノ
  狀態デハヤリ得ルデハナイカ、斯ウ云フ風
  ニ考ヘテ進メテ居リマス

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• 010・長野綱良

  ○長野(綱)委員　アト四點大臣ニ對スル質
  問ヲ保留致シマシテ、私是デ打切リマス

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• 011・村上國吉

  ○村上委員長　デハ次ニ小笠原君

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• 012・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　マダ馬政局モ山林局モ
  政府委員ガ御見エニナラナイノデアリマス
  ガ、其ノ前ニ農政局長ニ御尋ネヲ致シマス、
  是ハ同僚議員カラモ色々御質問ガアツタヤ
  ウナコトデアリマスケレドモ、私ハ別ナ觀
  點カラ疑問ノ所ヲ御尋ネシテ置カウト思フ
  ノデアリマス、農地ヲ開發スルト云フコト
  ハ、目下ノ國策上最モ必要デアルコトハ分
  ルノデアリマスガ、唯吾々ハ玆ニ疑ヒヲ持
  ツノハ、現在ノ田畑ヲ初メ其ノ他ノ土地デ
  サヘ肥料難ニ陷ツテ居ルヤウナ譯デアリマ
  ス、農村デハ最上ノ增產ニ向ツテ努力ヲ續
  ケテ居ルヤウナ關係デアリマシテ、如何ナ
  ル上田モ上畑モ、相當ニ土地ガ疲レヲ出シ
  テ居ルノデ、相當ナ施肥ガ要求サレテ居ル
  ヤウナ現實ノ狀況デアリマシテ、現實ノ土
  地ニ於テサヘ相當ノ肥料難ニ陷ツテ居ルヤ
  ウナ譯デアリマス、之ヲ益〓開拓シテサウシ
  テ配肥ヲスルト云フコトハ、相當ノ困難ヲ
  來スデアラウト思フノデアリマス、特ニ私
  ハ此ノ間モ伺ツタヤウニ、自給肥料ノ增產
  計畫ト云フモノハ、マダ徹底シテ居ナイヤ
  ウニ思フノデアリマス、殊ニ化學肥料ノ配
  合等ニ對シマシテハ、其ノ〓究モ至ツテマ
  ダ屆イテ居ラヌヤウニ承ツタノデアリマス、
  此ノ〓究等ハ唯各府縣カラ報告ニ依ル材料ニ
  依ルノミデアツテ、國トシテノ〓究ハマダナ
  イヤニウ思フ、所ガ私能ク考ヘテ見ルニ、各
  府縣ノ各府縣ノ調査ト云フモノハ、各府縣ニ
  於テ申譯的ニ古イ調査ヲ間ニ合セニ御報告
  ニナツテ居ルヤウナ感ガアリマス、何故カ
  ト言ヘバ各府縣ノ農事試驗場ニハ、是ハ縣
  ノ大小ニ依ルコトデアリマセウガ、技師二、
  三名、技手五、六名ガ居ツテ、サウシテ縣
  全體ノ細イ所マデ手ガ屆ク筈ハナイノデア
  リマス、而モ從來出費ノ關係デ色々ト變化ヲ
  來タシテ居ルヤウナコトモアルト思フノデ
  アリマスガ、サウ云フ關係デ中々配肥ノ關
  係モ科學的ノ〓究、殊ニ全肥ト自給肥料ト
  ノ配合ノ關係ハ、餘程重要ナ關係ガアルト
  思フノデアリマス、ソコデ今度ハ農地ノ擴
  張ニ依ツテ各〓改良シテ行クト云フコトニハ、
  何カ大キナ計畫ガナケレバナラヌト思フノ
  デアリマス、其ノ計畫ニ付キマシテ更ニ農
  地開發營團ト云フモノガ、サウ云フコトモ
  ヤハリ其ノ事業ノ一ツトシテ行フ計畫デア
  ルカ、ソレガ今マデ成リ來タリノ別途ノ意
  味デ、肥料ハ之ニ關係ナイト云フコトニナ
  ツテ居ルノデアリマスカ、其ノ點ヲ一ツ伺
  ツテ置キマス、モウ一ツハ同樣ナ意味デ勞
  力關係ヲ伺ヒタイノデアリマス、之ニ對シ
  マシテハ昨日岸サンカラ勞力關係ハ大丈夫
  ダト云フコトニ付テ御說明ガアツタノデア
  リマスガ、私ハ勞力關係デ最モ疑問ヲ持ツ
  ノハ、農民ハ御承知ノ通リ肉食ハシテ居ナ
  イ、魚ノ配給ヲ受ケテヤツト榮養ハ保タレ
  レテ居ルノデアリマス、所ガ今囘ノ魚ノ公
  定價格ノ關係ニ依ツテ、生魚ハ山岳地帶ノ
  農村ニハ殆ド行カナクナツタ、又之ヲ鹽物
  ニスレバ損ヲスルコトニナルカラ、鹽魚モ
  賣ツテ居ナイ、ソレニ持ツテ行ツテ、是一
  食糧管理局ノ關係カモ知レマセヌガ、農民
  ニ對シテマデ飯米ヲ制限シテ居ル今日デア
  ル、農民トカ漁民ニ飯米ヲ制限スルト云フ
  コトハ、勞働力ガ低下スルト云フコトト相
  當大キナ關係ガアルノデアリマスガ、此ノ
  點ノ御調査ガアルノデアリマスカ、一體同
  ジ勞働者デアリマシテモ、都會ノ勞働者デ
  アルナラバ、三食ノ中ノ一囘ハ代用食ニ依
  ツテ相當ノ榮養「カロリー」ヲ攝ルコトガ出
  來ルノデスガ、田舍ハ今ノヤウニ肉ハ食ハ
  ズ、魚ノ配給ハナシ、其ノ上ニ米ノ配給ヲ
  制限サレテ一日三合八勺ト云フコトニナツ
  テ居ル、是デハ一食分シカナイ、農民ハ一
  日七、八合ハ〓ベル、ソレデナケレバ產業
  戰士トシテ第一線ニ活動スルコトハ出來ナ
  イ、サウ云フ關係ガ此ノ勞力ニ大キナ影
  響ヲ及ボシテ來ルノデハナイカト思フノデ
  アリマス、田植トカ、或ハ收穫トカ云フ非
  常ニ忙シイ場合デモ、食糧ヲ制限サレテ來
  ルト云フコトニナレバ、ドウシテモ勞力ト
  云フモノハ低下シテ來ル、隨テ其ノ方面カ
  ラ御〓究ヲナサラナイデ、唯學說等ニ依ツ
  テ〓究スルト云フコトハ誤リノヤウニ考ヘ
  テ居ルノデアリマス、飯米ノ制限ト云フ關
  係デ、サウ云フ方面カラ勞力關係ト云フコ
  トヲ御調査ニナツタコトガアリマスカ、之
  ヲ先ヅ伺ヒマス

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• 013・岸良一

  ○岸政府委員　第一ノ御質問ノ肥料ノ配給
  等ヲ營團ガヤルカト云フ御尋ネデアリマス
  ガ、是ハヤハリ別個ニ從來·アル機關デヤツ
  テ行キタイト思ヒマス、自作農ヲ創定サレ
  レバ、自作農ニ對スル肥料ノ配給ハ從來ノ
  他ノ農村ニ於ケルヤリ方ト同ジデアリマシ
  テ、此ノ農村ノ自給肥料ノ增產計畫ニ付テ
  ハ、資材部長ガ他日御說明サレマスガ、別
  途ニ進メラレテ居リマス、ソレト相俟ツテ
  自給肥料ニ付テハ、小笠原委員御承知ノヤウ
  ニ、自給肥料トシテノ厩肥ノ確保ニ十分骨ヲ折
  ラナケレバナラヌ、是等ニ付テハ過日御注意
  モアリマシタヤウニ、私共十分ニ努メテ參リタ
  イト思ヒマス、勞力ト榮養ノ問題ハ非常ニ御
  尤モナ御注意デ、吾々モ之ヲ考ヘナイデハ
  ナイノデアリマス、又具體的ニ之ニ伴ツテ
  ドノ位ノ食糧ヲ增給スルト云フ細カイコト
  ハ考ヘテ居リマセヌガ、併シ農村全體トシテ
  榮養食品トシテ增給スルト云フコトハ、實行
  ニハ至リマセヌデシタ、嘗テ其ノ供給ト云フ
  コトモ考ヘラレマシタシ、現在蛋白質資源ヲ
  供給スルコトニ付テハ、養鷄ノ分散飼育ヲ
  ヤル計畫ヲ考ヘタリ、又山羊ノ飼育ニ依ツ
  テ農村ニ榮養ヲ供給スルト云フコトヲ考ヘ
  テ居リマス、是等ハ御指摘ノ通リ大切ナ問
  題デアリマスカラ、十分此ノ問題ハ考ヘテ
  參リタイト存ジマス

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• 014・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　農村ノ蛋白質ノ榮養關
  係ノコトヲ御〓究ナサルコトハ能ク分リマ
  シタガ、養鷄事業ノ擴張、山羊ノ乳ナドノ
  御心配モアラレルヤウデアリマスガ、十六
  年度ノ急場ヲドウスルカト云フコトガ最モ
  重大問題デアリマシテ、十六年度ニ於テハ
  飯米ヲ制限シタコトニ依ツテ農民ハ相當ニ
  騷イデ居ル、幸ヒニ屑米ガ餘裕ヲ持タレテ
  居ルカラ間ニ合ツテ居ルガ、農民ノ最下級
  ニ於テハ農繁季ニナルト、持分ガナクナツ
  テ買ハナケレバナラヌ者モ相當ニ多イ、其
  ノ方面ニナルト殆ド活動スルコトガ出來ヌ
  ト云フ狀態ニ立チ至リマス、ソコデ此ノ制
  限ハ今ノ急場ニ對シテ何カ對策ガナケレバ、
  勞力ノ關係ノ農地擴張ト云フコトト睨合ハ
  セテ其ノ對策ニ缺陷アリト思フ、其ノ急場
  ヲ如何ニナサルカト云フコトヲ御伺ヒシタ
  イ

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• 015・岸良一

  ○岸政府委員　是ハドウ云フ御事情カ分リ
  マセヌガ、都市カラ云ヘバ勿論米モアリ、
  麥モアリ、又地方ニ依ツテハ甘藷、馬鈴薯
  等ノ增產モヤツテ居リマスガ、甘藷、馬鈴
  薯ニ付テハ自家用食糧トシテ、豫定付ケテ
  確保セラレテ居ルヤウニ考ヘテ居リマス、
  サウ云フモノヲ繋ギ合ハセテ行キマスナラ
  バ、農村自體ニ付テハ相當ノ量ガ〓ルノデハ
  ナイカ、斯ウ云フ考ヘヲ持ツテ居リマス
  併シ是等ノモノガ量的ニ足リナイ問題デア
  ツテ困難スルト云フコトニナレバ、事業ノ
  施行上又ハ事業ノ施行者トシテモ〓究シテ
  行カナケレバナラヌ、ソレハ場合ニ應ジテ
  對策ヲ考ヘテ居リマス

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• 016・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　此ノ飯米ノ制限ト云フ
  コトハ中々是ハ容易ナラザル問題デアリマ
  スガ、如何ニモ雜穀其ノ他馬鈴薯等ノ補ヒ
  ガ付クダラウト云フ御想像モ、當ルコト
  ト當ラザルコトモアルデセウケレドモ、實
  際ニ於テ能ク御〓究ナサラナイト、是ハ重
  大ナ關係デアリマスガ、此ノ飯米ノ量定ヲ
  決定ナサル場合ニ、都會地ト農村ト區別セ
  ヌデ、一律ニオヤリニナツタヤウニ見受ケ
  ラレテ居ルノデアリマスガ、此ノ關係ハド
  ウナツテ居リマセウカ、三合八勺ナント
  云フモノデハ、迚モ農村トカ漁村トカ云フ
  モノハ堪ヘ切レナイ程度ト思ヒマス、同ジ
  副食物其ノ他雜穀等ノ取混ゼヲ豫想シテ居
  ラレルト致シマシテ兎ニ角根本ヲ成ス所
  ノ飯米ノ量定ト云フモノニ對シテハ都會
  ト農村デハ相當ノ幅ガアルト考ヘテ居リマ
  ス、其ノ點ヲ今カラ御〓究ナサラヌト、是
  ハ春ニナレバ直グ活動ニ着手スル農民ニ對
  シテ、第一精神上ノ不安ガ大キイノデアリ
  やく、其ノ點ノ御〓究ガ出來テ居ルノデア
  リマスカ、御伺ヒ致シマス

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• 017・岸良一

  ○岸政府委員　此ノ問題ハ一寸私取扱ヒ兼
  ネマスガ、是ハ〓糧管理局長カラ別ノ機會
  ニ

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• 018・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　ソレデハ後デ食糧管理
  局長ノ方カラ御調ベニナツテ御答辯ヲ願ヒ
  マン、ソレデハ山林局長サンノ方カラ伺ヒ
  さく、食糧ノ解決問題ニ依ツテ、國策上農
  地ノ開發、空閑地ノ利用等ニ依リマシテ此
  ノ急場ヲ救フト云フコトハ、急速ニ斷行シ
  ナケレバナラヌ問題ダト私ハ思フノデアリ
  ママ、是ガ爲ニ先ヅ家畜ノ飼料等ハドウ
  シテモ食糧ノ爲ニ押サレル狀況ニ立至ルト
  思フノデアリマス、之ニ對シマシテハドウ
  シテモ食糧問題ノ解決ト云フコトハ、各部
  落ニ近接シテ居ル所ノ牧野ガ自然開拓サレ
  ルト云フコトニナルノデアリマシテ、是等
  ハ今囘ノ助成計畫ニ依ツテ見マシテモ、尙
  ホ一層急激ニ擴大サレルト思フノデアリマ
  ス、是ハ牧野法ニ依ツテ一部ハ抑制サレ
  ルトハ思フノデアリマスガ、ドウシテモ今
  囘ノヤウニ食糧問題ガ窮迫シテ參リマス
  ト、食糧ト飼料トノ問題ニナルカラ、比較
  上ドウシテモ指導方面モ〓糧ニ傾ク傾向ガ
  アルノデアリマス、又助成等モ、食糧ノ方
  ハ盛ンニ助成サレルト云フヤウナ狀況ニ立
  至ルト思フノデアリマス、隨テ如何ニ牧野
  法ニ依ツテ保護サレテ居リマシテモ、部落
  ニ近接シテ居ツテ、食糧生產ニ適地デア
  ル所ハ、ドン〓〓其ノ方ニ振向ケラレルト
  云フコトノ狀況ニ、自然是ハ急激ナ進步ヲ
  スルダラウト私ハ想像スルノデアリマス、
  サウナリマスト畜產方面デハ、從來ノ放牧
  地ヲ特ニ耕作地帶ニ不適當ナ山岳地帶ニ求
  メナケレバナラヌト思フノデアリマス、隨テ
  今度ハ山岳地帶ノ國有地ガ一番多イノデア
  リマスカラ、ソレ等ノ開放ニ俟タナケレバ
  ナラヌト思フノデアリマスガ、愈〓斯ウ云フ
  風ニ農地ノ開拓營團等ノ大キナ計畫ガ出來
  マシテ、愈〓農農ノ擴張ニ乘出シ、農閑地ノ
  利用ニ乘出スト、ソレト對蹠的ニ山林局ニ
  於キマシテモ、ヤハリ此ノ畜產ノ方面ニ對
  スル放牧地ト云フ方面ニ、對策上開放ノ準
  備ガナケレバナラヌト思フ、ソレ等ノコト
  ハ畜產局或ハ馬政局ノ方ト御協議ノ上何カ
  御對策ガ樹ツテ居ラレルデアリマセウカ、
  又從來ノ儘ニシテソレダケハ置イテ、時機
  ガ來タナラバ何トカ考ヘテ行クト云フヤウ
  ナ、ノンビリシタヤウナ御考ヘデ居ラレル
  デセウカ、其ノ方面ノ對策ガアレバ承リタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=18

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• 019・井出正孝

  ○井出政府委員　只今小笠原サンカラノ御
  尋ネデゴザイマスルガ、食糧增產問題ニ伴
  ツテ民有ノ從來ノ放牧地、採草地等ガ農地
  化シテ參リマスルニ伴ツテ、畜產ノ飼料資
  源ヲ得ル爲ニ順次山奧ノ國有林內ニ是等ノ
  代リノ放牧地、採草地等ヲ求メルヤウニナ
  ツテ參ルガ、之ニ對シテ何等カ良イ對策ヲ持
  ツテ居ルカト云フ御尋ネノ御趣旨ノヤウニ
  拜聽致シマシタ、之ニ付キマシテハ固ヨリ
  國有林方面ノ行政ト致シマシテモ、斯樣ナ
  事態ニ對處スル爲ニ出來得ル限リ必要ナ畜
  產上ノ放牧採草地ヲ國有林內ニ於テ開放ス
  ルコトニハ、從來モヤツテ參リマシタガ、
  今後一層國有林ノ本來ノ經營、或ハ國土保
  安等ノ點ニ支障ノナイ限リ、積極的ニ是等
  ノ點ニ付テノ考慮ヲ致シテ參リタイト、斯
  樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、殊ニ馬ニ關
  シマシテハ御承知ノヤウニ、一昨年來國有
  林內ノ放牧ノ適地ヲ相當積極的ニ開放致ス
  コトニ考ヘマシテ、關係ノ營林局ト關係ノ
  縣等ヲシテ大規模ナ適地調査ヲ行ハセマシ
  テ、其ノ結果ニ依リマシテ、此ノ適地ヲ着
  着馬ノ增產ニ必要ナル放牧地トシテ開放ヲ
  致シテ參ルコトニ考ヘテ居リマス、之ニ必
  要ナ改良事業ヲ致シマシテ、支障木其ノ他
  ヲ伐採スルト云フ風ナコトナドモ致シテ、
  漸次開放スルヤウニ努メテ居ル譯デアリマ
  ス、是等ノ點ニ付キマシテモ地元方面ノ要
  求ヲ能ク聽キマシテ、本當ニ之ヲ必要トス
  ル方面ニ對シマシテハ、成ルベク速カニ其
  ノ開放ヲ致スヤウニ努メテ參リタイ、斯樣
  ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=19

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• 020・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　御說明デ能ク分リマシ
  タガ、國土保安上支障ノナイ限リ御開放ナ
  サルト云フ御話デアリマス、ソコガ中々面
  倒ナ所デ、見方ニ依ツテハ、山林地帶モ國
  土保安上何處モ皆必要ニ相違ナイノデアリ
  マスルガ、併シナガラ私ハ今窮迫シタ食糧
  問題解決ノ爲ノ對策ヲ今伺ツタノデアリマ
  スガ、是ハ此ノ大キナ對策ガ出ヤウトスル
  以前ニ、兩三年前ノ牧野法制定當時モ問題
  ニナリマシテ、大分大キク開放サレタ牧野
  ニ付テ伺ツタノデアリマスガ、ソレノ實施ニ
  付テハマダ三年ニナリマシテモ牧野等ニモ
  ナラズ、其ノ儘ニシテ置ク所ガ澤山アルノ
  デアリマス、ノミナラズ是ハ私ガ直接當ツ
  タコトデアリマスガ、面積ガ相當ニ廣汎ニ
  亙ツタ所ノ開放ヲスルト云フコトノ御言葉
  ハ得マシタケレドモ、所ガ大森林地帶デ、
  中々木ヲ欲シイ爲ニ開放ヲ望ンダノダラウ
  ナドト言ハレマシテ、甚ダ奇怪ニ感ジタ、山
  林局長ガサウ言フノデス、木ヲ欲シイ爲ニ
  牧野ノ開放ヲ欲シタノダラウト云フ話ハ何
  タル失禮極マル話ダラウ、私共ノ開放ヲ望
  ンダト云フノハ木ガアル處ト云フ條件ヲ
  付ケタノデハナイ、何處デモ宜イカラ、各
  組合、各縣ノ聯合會ニ便利ナ處ノ開放ヲ願
  ウタ譯デス、山林局ノ方デ調査ヲシテ開放
  シタ、サウシテ其處ニ偶〓木ガアルノデ、木
  ガ欲シイ爲ニ君達ハ開放ヲ希望シタノダラ
  ウトハ何タルコトデアル、サウシテ道路ヲ
  付ケルバカリニ十万圓モ掛ケルノデアルガ、
  田舍ノ村トシテハ、ソンナ道路ハ乞食ガ馬
  ヲ貰ツタヤウナモノデ、手ニ負ヘナイ、
  サウ云フモノヲ願ツタノハ是ハ木材ガ目
  的ダラウト云フヤウナコトヲ言ツテ、未ダ
  ニ解決ヲ付ケテ居ナイ、サウシテ今度ハ山
  林局デ其ノ木材ヲ伐採スルノニドレ程掛ル
  カト云フト、十年掛ル、其ノ後ニ何トカシ
  ヨウトハ何タル話デスカ、十年後ニ之ヲ開
  放シタノデハ馬產計畫ト云フモノハドウ
  ナルカ、ソンナコトデ、アナタ方ハ之ヲ開
  放スル目的デ調査ナサレタノデアラウカ、
  私等ハ奇怪ニ考ヘテ居ル、ソレデハ牛馬ノ
  爲ノ放牧地ノ解決デハナイノデアリマス、
  是ハ中々容易ナ問題デハナイト思ヒマス、
  色々御都合モアラレルデセウケレドモ、其
  ノ都合ノ方ヲシツカリ局自體ガソレト對照
  シテ、國土保安ノ上支障ノナイト云フコト
  ニ依ツテ決定シタモノヲ、決定シタ後ニ於
  テ、尙ホ木材關係ガ十年モ掛ルト云フコト
  ニナレバ、アレハ一體本當ニ開放スル目的
  ナノデセウカ、馬政局ノ方カラ餘リ喧シク
  言ハレタ爲ニ、マア兎ニ角名稱ダケハ開放
  ト云フ名稱ヲ付ケテ、實際ハ從事不能ニ陷
  ラシメテモ差支ヘナイト云フヤウナ申譯的
  ナ開放デアルカドウカ分ラナイノデアリマ
  ス、サウ云フノハ全國ニ澤山アルデセウ、
  ダカラ此ノ山林局ノ方カラ御出シニナツタ、
  私ノ要求シタ表ヲ見マスルト、旣ニ契約濟
  ノヤウナコトニモ表ガ出來テ居リマスガ、
  アレハ實際ニ當ツテ見ルトマダ契約ニナツ
  テ居リマセヌ、サウ云フノハ澤山アルノデ
  アリマスガ、是ハ一體アナタ方ノ調査ト實
  際トハドウ云フコトニナツテ居ルカ、其ノ
  點ガ私等ニハ分リマセヌ、ソレガ若シ御分
  リニナルナラバ明確ニシテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=20

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• 021・井出正孝

  ○井出政府委員　只今ノ御尋ネノ點ニ付キ
  マシテハ、地元ノ牧放ヲ希望スル人達ガ木
  ヲ欲スル爲デアルダラウト云フ風ナコトヲ、
  私共申シタコトモ又考ヘタコトモナイ積リ
  デ居リマスガ、或ハ何カノ行違ヒデ左樣ナ
  コトニナツタノカト思ヒマス、私共ト致シ
  マシテハ、只今申上ゲマシタヤウニ、放牧
  適地トシテ調査シ、開放スルコトニナツテ
  居リマスル部分ニ付キマシテハ、出來ルダ
  ケ速カニ地元ノ之ヲ利用スル人等ノ申出モ
  伺ヒマシテ、之ニ對シテ早ク開放ノ出來ル
  ヤウニ致シテ參ル積リデアリマス、整理伐
  ヲ致シマシテ完全ナ牧野ニ致シマスニハ、
  相當ノ年限ガ掛ルヤウナ場合ガ假ニアルト
  致シマシテモ、左樣ナ場合ニ於テハ、取敢
  ズ兎ニ角其處ノ區域ニ付テ放牧セシメルト
  云フ風ナ措置モ速力ニ執ルヤウニト云フコ
  トハ、各關係ノ營林局ニモ申シテ居ルノデ
  アリマシテ、最近モ再々是等ノ點ニ付キマ
  シテハ、馬ノ放牧適地トシテ決マツタ部分
  ニ付テハ地元ノ方面ニモ話ヲシテ、成ベク
  早ク之ヲ利用ノ出來ルヤウニ努メロト云フ
  コトハ申シテ居ルノデアリマス、唯實際問
  題トシテ、其ノ場所ニ付テ地元關係方面デ
  希望ガマダナイト云フ風ナ場所モアルヤウ
  デアリマス、又希望ノアリマス所ニ付キマ
  シテハ、速カニソレ〓〓使用ノ方面ヲ許容
  致シテ居ルノデアリマシテ、ソレガ順次今
  後普及シテ參ルヤウニ、此ノ上トモ一層努
  メテ參ル積リデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=21

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• 022・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　今ノ木ヲ要望スル爲ノ
  申込デアツタラウ云々ト云フコトハ、私ハ
  靑森縣デアリマスガ、靑森縣廳ノ牧野ノ技
  師デ、靑森營林局ノ擔當ヲシテ居ル事務官
  ガ言ハレテ居ル、サウシテ私ガ山林局長ニ
  會ツタ時ニハ木ハ絕對ヤラヌゾト云フヤ
  ウナ話ガアツタ、イヤ木ハ僕ハ要ラヌガ、其
  處デ施設スル木ダケハ貰ハナクチヤナラヌ
  ト云フコトヲ直接會ツタ時話ヲシタ(「營林
  局ダラウ」ト呼ブ者アリ)營林局ト山林局ト
  間違ヘマシタ、營林局デス-サウ云ウ關係
  デアリマシテ、中々アナタ方ノ方針通リ實際直
  接ニ取引スル方デハ圓滿ニ行ツテ居ナイヤ
  ウニ思ハレル、而モ私ノ所ノ組合ナドハ相
  當大キナ組合ナンデアリマスガ、軍馬モ日
  本ノ中デハ比例的ニ一番多ク生產シテ居ル
  場所デアリマス、斯ウ云フ所ヲ開放シテ貰
  ヒタイト云フ私等ノ願ヲ容レテ、共同調
  査ヲシテスツカリ出來タモノヲ、木ガ澤山
  アツテ困ルト云フノデ、未ダニ放牧ダケサ
  セテ吳レト言ツテモ、其ノ契約モ澁ツテ居
  ルト云フ譯デアル、表ヲ見ルト、其ノ土地
  ハ全部契約濟ノヤウニ表ニハ表ハレテ居ル
  ノデアリマス、ドウモ其ノ點ガ私ハ未ダニ
  疑問デアリマス、現在モサウデアリマスガ、
  實際必要ナノカ、木ガナケレバ要ラヌノカ
  ト言ハレタ、私ハ實ニ意外ニ感ジテ居ル、
  其ノ點ヲ御尋ネ致シタイ、是ハ私ノ所ダケ
  デナク、全國的ニ相當アル、今一體木材ノ
  需要ガ多クナツタ爲ニ、アア云フ大森林地
  帶ヲ一旦開放ヲ決メテ見タ、所ガ木材缺乏
  ニ依ツテ惜シクナツテ、向フノ方デ理窟ヲ
  付ケテ、契約不能ニ陷ルニ至ラシメル方
  便トシテ、アア云フコトヲ言ツテ居ルノデ
  ハナイカト私等ハ逆ニ考ヘテ居ルヤウナ次
  第デアリマス、能ク其ノ邊ヲ御調べヲ願ヒ
  タイ
  ソレカラ放牧地ノ關係ハ、馬ノ方デ特ニ
  放牧地ノ開放ヲ餘計シタト云フ御說明ガ今
  アリマシタガ、從來ハ牛馬共ニ放牧地ノ開
  放ヲ願ツテ、共同放牧ヲヤツテ居ルノデア
  リマス、今度之ヲ解決スルト云フコトニナ
  レバ、牛ノ方面ニ對スル放牧地ノ開放ト云
  フコトモ、今後更ニ餘計ナサル御考ヘデア
  リマスカ、國有地ノ開放ハ、牛ノ方ニ對シテ
  ハドウ云フ制度ヲ御置キニナルカ、或ハ又
  牛ノ方ニ對シテハ放牧地ノ開放ヲ考ヘテ居
  ラレヌノデアルカ、其ノ點ヲ簡單ニ御答ヘ
  ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=22

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• 023・井出正孝

  ○井出政府委員　牛ノ爲ノ放牧地ニ付キマ
  シテモ、馬ト略〓同樣ニ、必要ナル適地ニ付
  キマシテハ、極力地元ノ利用ノ爲ニ、之ヲ
  開放スルヤウニ努メテ參リタイ方針デ居リ
  マスガ、馬ノ牧野放牧地開放ノヤウニ、只
  今直チニ大規模ノ適地調査ヲ致シマスカド
  ウカニ付キマシテハ、尙ホ今後能ク事情ヲ
  見マシテ、其ノ必要ガアリマスル場合ニハ
  出來ルダケ地元方面ノ希望ニ副フヤウニ努
  メテ參リタイ積リデ居リマス、ソレカラ先
  程ノ馬產用ノ放牧適地ヲ調査致シテ開放ス
  ルコトニ決定致シマシタ場所ニ付キマシテ
  ハ、重ネテ此ノ席ニ於キマシテ是ハ速カニ
  地元ノ要望ニ應ジマシテ開放スル積リデア
  リマシテ、開放ヲ取止メルト云フヤウナ意
  思ハ持ツテ居リマセヌ、又速カニ之ヲ開放
  シテ行クコトニ付キマシテハ、此ノ上トモ
  關係ノ營林局署ノ方面ニ注意ヲ致ス積リデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=23

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• 024・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　畜產局ト馬政局ノ間ニ
  於テ、牛馬ノ混同放牧ヲ區別スルト云フ方
  針ニ基イテ、山林局ノ方面デモ馬トシテノ
  放牧地ヲ開放サレタヤウデアリマス、ソコ
  デ問題ガ起キルノハ從來放牧シテ居ル限定
  地或ハ放牧地トシテ指定シテ居ル關係ノ
  モノト今度ノ開放地ト隣接シテ居ル所ガ
  全國ニ澤山アルノデアリマス、所ガ何千町
  步トカ何百町步トカ、大キナ廣汎ニ亙ル所
  ヲ、更ニ開放シタ所ト其處ノ區劃ヲスル境界
  デアリマス、此ノ境界ヲ嚴ニシナケレバ折
  角馬ト牛トヲ區別シタト云フ意味ヲナサナ
  クナル、現在馬ノ豫定地デアル場所デアル
  ニモ拘ラズ、相當ニ牛ガ入ツテ居ル、是ハ
  全國的ニ何處デモサウデアル、ソコデ此ノ
  境界ヲスル爲ニハ大キナ計畫ノ牧柵トカ、
  或ハ土壘トカ云フモノヲ必要トスルデアリ
  マセウガ、山岳地帶ニハ土壘ガ不可能デア
  リマス、ドウシテモ牧柵ニ依ラナケレバナ
  ラヌノデアリマス、其ノ場合ニハ山岳地帶
  ニ現在アル木材ヲ利用シナケレバナラヌ、
  斯ウ云フ利用方面トカ、牧舍ヲ建設スル資
  材トカ、其ノ他色々牧畜ノ施設等ニ木材ヲ
  要スルノデアリマスガ、斯ウ云フモノ
  ニ對シテハ速カニ拂下ゲヲシテ、放牧
  地ノ附屬設備ヲ完備セシメルヤウニ進メテ
  行カナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  サウ云フ場合ニハ特別ノ便宜ヲ簡易ニ圖ツ
  テ、其ノ拂下ゲヲナサルト云フコトデナケ
  レバナラヌ、ソレガ營林局カラ木材ノ拂下
  ゲヲ受ケルト云フコトニナルト、ドンナ詰
  ラヌ木一本デモ一年位掛ル、サウスルト一
  年遲レル、其ノ設備ガナケレバ放牧地ヲ如
  何ニ開放シテモ、トテモ實際上ニ執リ行フコ
  トハ出來ナイ、斯ウ云フコトニナルノデア
  リマスガ、是ハ簡易ニ拂下ゲヲシテ解決ス
  レバ宜イト思フノデアリマス、サウ云フコ
  トハ何カ事務的ニ大キナ支障デモアラレル
  ノデアリマセウカ、是ハ地元營林署デ解決
  出來ルト思フノデアリマスガ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=24

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• 025・井出正孝

  ○井出政府委員　只今御述べニナリマシタ
  ヤウナ場合ノ用途ニ要リマス木材ニ付キマ
  シテ、其ノ他元ノ國有林內カラ產出スル木
  材デ之ヲ賄ツテ參ル必要ノアル場合ニ於キ
  マシテハ、必要ナル木材ノ特賣ヲシテ、其
  ノ需要ニ充テテ參ルコトガ出來ルヤウニナ
  ツテ居ル譯デアリマスカラ、左樣ナ場合ニ
  於テハ出來ルダケ希望ニ副フヤウニ努メテ
  參ルヤウニ考慮致シテ宜イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=25

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• 026・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　特賣ノ出來ルト云フコ
  トハ私モ分ツテ居リマス、其ノ手續ガ面倒デ
  一年位掛ル、早イノデ六箇月掛ルノデ、放牧
  期間ガナクナル、三月位ニヤラウト云フノ
  デ拂下ゲヲ願ツテ行ツタ所ガ、ソレガ秋頃
  ニナルト一年放牧ガ出來ナクナル、ソレガ
  一番困ル、其ノ點ハ中々人手モ不足デアリ
  マセウガ、アア云フ澤山ノ木材ノアル所ハ
  速カニ開放シテモ一向差支ヘナイヤウニ思
  フノデアリマス、ソレガ中々手續ガ面倒ダ
  ト云フ點ガアル、營林署アタリモ十里モ十
  五里モアル所ガ澤山アルノデアリマス、如
  何ニ近イ所デモ三里、四里モアルノデアリ
  マスカラ、出張等ニ對スル手續等モ色々ア
  ルノデアリマセウガ、何カ是ハ一箇月カ二箇
  月ノ間ニ解決ガ出來ルト云フ方法ニ御手配
  ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレダケハ希望ヲ
  申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=26

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• 027・村上國吉

  ○村上委員長　小笠原君ニ申上ゲマス、食
  糧管理局長官ハ貴族院ノ方ニ出テ居リマス
  ノデ、後刻出ラレタ時ニ御質問ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス、ソレカラ馬政局長官ハ御病氣
  デ出ラレマセヌ、次長ガ出席サレル筈デア
  ルガ、今連絡中デス、坪山君モ馬政局當局
  ニ對スル質問ハ出ラレタ時ニシテ戴クヤウ
  ニ希望致シマス-次ハ吉植君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=27

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• 028・吉植庄亮

  ○吉植委員　私モ食糧管理局長官ニ質問シ
  タイノデアリマスガ、ソレハ後〓シニ致シ
  やく、此ノ農地開發ニ關シマシテハ此ノ間
  ノ政府當局ノ御答辯ニ依リマシテ、眞先ニ
  先ヅ效果的ノモノカラヤツテ行ク、斯ウ云
  フコトヲ承ツタノデアリマスガ、最モ效果
  的ノモノト云フコトニナリマスト、新タニ
  開墾スルモノダケニ此ノ主義ガ行ハレルノ
  デハナクシテ、〓糧確保ノ全面的ニ亙ツテ
  此ノ方針デ行カレルコトハ勿論デアラウト
  考ヘマス、サウシマスト開墾ヨリモ一番重
  大デアツテ、簡易ニ迅速ニ出來マスコトハ
  用排水幹線水路ト云フヤウナモノノ- 日
  モ早キ竣功ニ依リマシテ、只今マデ早害ヲ
  被ツテ居ツタヤウナ地帶ニ、其ノ災厄カラ
  免レルト云フ方法ヲ執ルコトガ一番早イノ
  デアリマシテ、是ハ昨年一昨年ト引續キマ
  シテ全國ニ亙ツテ此ノ旱害ノ爲ニ、當然豐
  作デアルベキ田面ガ米一粒モ生產サレズシ
  テ終ツテ居リマスモノガ、相當多數アルコ
  トハ御承知ノ通リデアリマス、承リマスト、
  例ヘバ斯樣ナ方面カラノ政府ニ對スル要望
  ガアリマシテモ、其ノ縣ニ於テ未ダ設計ガ
  完備シテ居ナイト云フヤウナコトカラ、是
  ハ來年〓ハシニナルト云フヤウナ所モアル
  ラシイノデアリマスガ、斯樣ナモノハ一日
  モ早ク農林省ノ方カラ縣ニ督促ヲシマシテ、
  順序、形式的ノ手續ニ拘泥シマセヌデ、食
  糧ヲ一日モ早ク確保スル途ニ行クト云フ點
  カラ、何カ特別ノ斯ウ云フ點ニ對シテ處置
  ヲセラレテ、サウシテ本年ハドンナニ早害
  ガ來テモ、絕對ニ田カラ米ガ穫レヌコトノ
  ナイヤウニシテ戴キタイノデアリマスガ、
  如何デゴザイマセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=28

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• 029・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ點御尤モデアリマ
  ス、此ノ度ノ計畫ニ於キマシテモ、豫算ノ
  年度割支出ノ額ト其ノ年度ニ於ケル着手面
  積ト睨合ハセテ、而シテソレヲ具體的ニ實
  施致シマス場所ハ、最モ效果的デ最モ急ヲ
  要スル場所ヲ第一ニ選ビマス、隨テ其ノ際
  ニ於テ必要ト認メマス場所ニ於キマシテハ、
  必ズシモ縣ガ計畫ナリ調査ヲヤツテ來ルノ
  ヲ荏苒待ツテ居ル譯デハアリマセヌ、農林
  省ニ於キマシテモ積極的ニ計畫ヲ進メテ、
  其ノ箇所ニ實行スルモノハ實行スルヤウニ
  進メテ行ク積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=29

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• 030・吉植庄亮

  ○吉植委員　當局ノ御答辯ヲ承リマシテ安
  心ヲ致シマシタガ、ドウカ一ツ是非積極的
  ニヤツテ戴キタウゴザイマス、ソレカラモ
  ウ一ツ御伺ヒ致シタイノハ、只今マデノ用
  排水幹線水路ト云フヤウナモノガ出來マシ
  テ、其ノ出來マシタ所ニ水田ト畑ガ交錯シ
  テ居ルヤウナ狀態ノ所ガアリマス、千葉縣
  ノ小見川ヲ中心ト致シマシタ耕地整理ノ如
  ク、之ヲ畑ヲ崩シテ全部均一ノ田面トシマ
  シテ、二毛作地ニシテヤツテ居リマスガ、
  效果ヲ多大ニ擧ゲテ居ル例モアリマスノデ、
  此ノ事業ヲ何處マデモ積極的ニ日本全國ニ
  進メテ行クト云フコトニナリマスト、今マ
  デノ設備ニ依リマスト、在來ノ揚水程度ヲ
  一尺五寸乃至二尺高メレバ宜シイ譯デアリ
  マスシ、新設ノ地區ニ於キマシテハ、初メ
  カラ一尺五寸乃至二尺揚程ヲ高メルト云フ
  コトデ濟ムノデアリマスカラ、從來農林省
  ノ指導方針ニモ此ノ點ハ織込マレテアルヤ
  ウデアリマスガ、是モ消極的デ、當業者ノ
  方カラ出願ヲシテ來テ初メテ許可ヲシテ助
  成金ヲ交付スルト云フ譯デアリマス、是ハ
  日本全國的ニ見マシテモ趣旨ガ徹底シテ居
  リマセヌシ、又實際先進地區ヲ視察シテ、
  成程尤モダト云フヤウナ實感ヲ抱イテ居ル
  マデニ參ツテ居リマセヌ、ソコデ之ヲ農林
  省ノ方カラ積極的ニ全國ニ向ツテ叫ビ掛ケ
  ルヤウニシテ、食糧增產ニ進ンデ戴キタイ
  ノデアリマスガ、此ノ點ニ關スル御意見ハ
  如何デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=30

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• 031・岸良一

  ○岸政府委員　只今ノ御話ノヤウナ二毛作
  ヲシテ行ケルヤウナ水田ニ付テハ、是ハ
  十分考ヘナケレバナラヌ問題デアリマシ
  テ、無論今度ノ計畫ニ付テモ二毛作ガ出來
  ル所デ、ソレニ對シテ工事ヲシナケレバ今
  實行ガ出來ナイト云フ面積モアリマスノデ、
  其ノ工事モ速急ニヤルト云フコトヲ含メテ
  居リマス、隨テ御指摘ノヤウナ點ニ付テハ
  十分徹底スルヤウニ努メタイ、何レ此ノ議
  會ガ休會ニデモナリマスレバ、關係官ヲ集
  メマシテ其ノ準備ニ掛ルヤウニヤツテ行キ
  タイト考ヘテ居リマス

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• 032・吉植庄亮

  ○吉植委員　ソレカラ今度ノ土地開發營團
  ト云フモノガ出來マシタ際ニハ事業ニ對
  スル助成六割、開墾ニ對シテ六割ノ助成ト
  云フダケノ規定ガアリマシテ、此ノ趣意ガ
  織込マレテ居ルニ止マリマシテ、例ヘバ一
  大集團地區、實例ヲ申シマスト、印旛沼ノ
  如キ其ノ一ツデアリマスガ、此處ニ各個的
  ニ開墾ヲ出願シマシテ行ク時ニハ四割、營
  團ノ方デヤルコトニナルト六割デアリマス
  ガ、併シ彼處ハ夏カラ秋ニ掛ケマシテ水ノ
  溜マル所デアリマシテ、其ノ水害ガ甚ダシ
  イ爲ニ、當然開拓セラルベキ所モ開拓セラ
  レナイデ殘ツテ居ル、此ノ印旛沼ト利根川
  トノ接合點ノ印旛沼聞門アタリニ、一ツノ
  大キナ排水機ヲ据付ケルト云フコトニナリ
  マスト、之ヲ國費ヲ以テ斷行シテ戴クコト
  ニナリマスト、民間ニ於テモ干拓事業ト云
  フモノガ直グニ着手シテ行ケマスコトハ、
  火ヲ睹ルヨリモ明カデアリマス、又沿岸二
  千町步ニ亙ツテ居リマス土地モ、今マデハ
  水害ヲ被ツテ穫レタリ穫レナカツタリシテ
  居ツタ所モ、全部豐作ニナル、其ノ上ニ二
  毛作ガ殆ド全部ト云フテ宜イ程ヤレルコト
  ニナリマス、又印旛沼ノ水田ガ今三千町步
  カアル筈デアリマスカラ、斯ウナリマスト
  此ノ聞門ニ一ツ排水機ヲ國ノ力デ作ツテ戴
  クコトニ依ツテ、合計五千町歩ノ完全水田、
  竝ニ約二千町步ニ近イ所ノ二毛作田ガ出來ル
  ト思ヒマス、サウ云フ風ニ積極的ニ出ラレ
  ル御考ヘハアリマセヌカ、是ハ獨リ印旛沼
  ノミデハアリマセヌデ、全國到ル處ノ沼澤
  地ニ於テハ斯樣ナモノガ實例トシテ擧ゲラ
  レルコトト信ズルノデアリマス、此ノ點ニ
  付テ御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=32

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• 033・岸良一

  ○岸政府委員　沼澤地ノ狀態如何ニ依ツテ
  ハ、中々府縣等ノヤル仕事デハ出來ナイ、
  デアルカラ之ヲ營團ノ仕事トシテ實行スル
  考ヘハナイカト云フヤウナ御質問デアルト
  思ヒマスガ、勿論其ノ面積ガ非常ニ大キク
  ナルト云フ場合デアリマスレバ、是ハ營團
  ノ仕事トシテヤラナケレバナラヌ問題デア
  リマシテ、サウ云フヤウナ計畫ガ競合スル
  場合ニ於テ、ドチラガ有效ニ目的ヲ達スル
  コトガ出來ルカト云フコトニ付テハ、是ハ
  實際ノ問題ニ付テ〓究シナケレバナラヌト
  思ヒマス、今御示シノヤウナコトニ依リマ
  シテ、相當廣大ナル面積ガ直チニ利用出來
  ルト云フ問題デアレバ、ソレ等ハ考ヘナケレ
  バナリマセヌシ、又實際ニ於テ未墾地ヲ澤
  山ノ田畑ニスルト云フタヤウナ場合ニ、唯
  消極的ニ考ヘテ行クト云フコトダケデハ中
  中イカヌト思ヒマスノデ、直チニ調査ヲ進
  メテ積極的ニ之ヲ致シタイ、斯ウ云フヤウ
  ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=33

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• 034・吉植庄亮

  ○吉植委員　私ガ今御尋ネシマシタノハ營
  團デ國家ガヤツテ戴ケバ之ニ越シタコトガ
  ナイノデスガ、所ガ他ノ方ガマダ簡單ニ出
  來ル、政府ガ申サレタヤウニ迅速ニ效果的
  ニヤレル所カラヤルト云フコトニナリマス
  ト、沼澤地アタリハ後〓シニナル、然ルニ
  此ノ營團ノ事業ニハサウ云フコトハナイヤ
  ウニ承ツテ居リマスガ、沼ノ水ノ吐ケ口ニ
  持ツテ行ツテ排水機ヲ据付ケテ、其ノ沼ノ
  周圍ノ洪、水ヲ絕ツト云フ一ツノ事業ヲ國家
  ガヤツテ下サルト、民間デ今度ハヤル、今
  日民間デハソレダケノ力ガナイカラヤレナ
  イガ、サウ云フ設備ヲヤツテ貰フト民間デ
  ドン〓〓ヤリマスカラ、ソレニ依ツテ食糧
  確保ト云フコトニ一步前進スルコトニナル、
  サウ云フ點ニ對シテ政府ハ積極的ニヤルト
  云フ御意見ガアルカドウカ、其ノ點ヲモウ
  一度伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=34

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• 035・岸良一

  ○岸政府委員　特定ノ地域デドウト云フ
  コトハ中々一寸難カシイ問題ニナリマシテ、
  直グ判斷ヲスルト云フコトニハナラナイト
  思ヒマスケレドモ、御示シノヤウナ面積ノ
  相當廣イ所デアリマスシ、多分彼處ハ內務
  省ノ方ノ關係ノ仕事モ行ハレテ居ルヤウナ
  譯デアリマスカラ、ソレ等ト連絡ヲシテ考
  ヘマスレバ、或ハ有效ニ效果ヲ擧ゲ得ルヤ
  ウニナルト考ヘマスノデ、私ノ方デモ一ツ
  豫定トシテ調査シテ見ヨウト思ツテ居リマ
  ス

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• 036・吉植庄亮

  ○吉植委員　農林統計ヲ見マスト、陸稻ガ
  ドウモ反當收穫量ガ非常ニ少イノデアリマ
  ス、陸稻、小麥、大麥、此ノ三ツヲ比ベテ
  見マシテモ最下位ニアリマシテ、其ノ上ニ
  御承知ノ通リ是ハ旱害ニ對シテ非常ニ弱イ
  モノデアリマシテ、年ニ依ツテ豐凶ノ差ガ
  甚ダシク違フノデアリマス、昭和十三年ハ
  一石一斗四升穫レテ居リマスガ、其ノ前年
  ハ僅カ八斗二升四合、昭和九年ハ七斗五升、
  斯ウ云フ風デアリマシテ、之ヲ小麥ノ常ニ
  一石二、三斗乃至一石四斗、大麥ノ一石九斗
  カラ二石穫レテ居リマスノニ比ベマシテ、
  非常ニ差ガ激シイノデアリマス、ソコデ只
  今ハ米穀事情ガ逼迫致シテ居リマシテ、
  粒デモ餘計食糧ヲ穫ラナケレバナラナイ時
  ニ、斯樣ニ早害ガ來ルト七斗デアリ八斗デ
  アルト云フヤウナ收穫量ヨリナイ所ノ陸稻
  ヲ、此ノ儘從來ノ作付反別ヲ保有セシメテ
  行キマスコトハ策ノ得タルモノデナイヤウ
  ニ考ヘルノデアリマスガ、此ノ陸稻ヲ安全
  ナル、雨ガ降リマシテモ照リマシテモ、ソ
  レ程差ガ激シクナイ、又反當收穫量モ多イ
  作物ニ轉換セシメルト云フヤウナコトニ付
  テ、何カ御考ヘハアリマセヌデセウカ

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• 037・岸良一

  ○岸政府委員　陸稻ノ栽培ニ付テ、早害ニ
  弱イモノデアルカラ之ヲ他ニ轉ジサセル考
  ヘハナイカ、斯ウ云フ御話デゴザイマスガ
  是モ年々ノ色々事情モアラウト思ヒマス、
  又米ニ執着ノ强イ農家デアレバ、陸稻デアツ
  テモ米デ食ベラレルト云フコトデアレバ、心
  配ヲシテヤラナケレバナラナイ、是等ニ付
  キマシテハ只今モサウ云フ早害ニ堪へ得ル
  ヤウナ品種ヲ作ツテ行クコトニ努力シテ居
  ル譯デアリマス、全國五箇所ニ新品種ノ試
  驗場ヲ設置シテ、サウシテ優良品種ノ育成
  ニ努メテ居リマス、之ニ付キマシテ米ト同
  樣ニ農林何號ト云フ銘柄ヲ打ツタ品種モ出
  來テ居リマスカラ、サウ云フ品種ヲ作ツテ
  行ツテ、サウ云フモノノ要求セラレテ居ル
  所ニ於テハ收穫ノ擧ルヤウニ努メテ行キタ
  イト考ヘテ居リマス

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• 038・吉植庄亮

  ○吉植委員　先般御發表ニナリマシタ十箇
  年計畫ノ基本數字ハ、米ニ於テ七千百万石
  トナツテ居リマス、是ハ此ノ間ノ御答辯ニ
  依リマシテ大體推察出來ルノデアリマスガ、
  是ハ本年度ノ增產計畫ガ七千百四十四万石
  カニ承ツテ居マスガ、其ノ增產計畫ノ數字
  ヲ基本トシテ七千百万石ト云フコトニ決メ
  タモノト存ジマスガ、其ノ通リデアリマセ
  ウカ

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• 039・岸良一

  ○岸政府委員　大體七千百万石ト云フ數字
  ハ、十五年モ此ノ目標デヤツテ、是ハ色々
  他ノ事情デ實施出來ナカツタノデアリマス
  ガ、其ノ目標ニ達スルヤウニ本年モ計畫ヲ
  立テテヤツテ居リマスノデ、大體其ノ數字
  ト考ヘテ居リマス

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• 040・吉植庄亮

  ○吉植委員　サウシマスト、十五年度ノ增
  產計畫ハ、基本ヲ何千万石ニ置イテ樹テラ
  レタノデアリマスカ、其ノ基本ノ何千万石
  ト云フモノハ過去何年間ノ平均數字デアリ
  マセウカ、其ノ點ヲ承リタイ

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• 041・周東英雄

  ○周東政府委員　一昨年ノ目標ハ、大體過
  去十七、八箇年間ノ實收高ノ平均ヲ見マシ
  テ、ソレニ對シテ耕種改善基準トカ、或バ病
  虫害ノ驅除豫防ト云フヤウナ方法ヲ實施シ
  マシテ、大體ノ生產目標ガ六千七百四十万
  石餘デアリマス、ソレニ更ニ新シク計畫ヲ
  附加ヘマシテ、卽チ病虫害ノ驅除豫防、或
  ハ耕種改善基準ノ徹底ト云フヤウナ、〓作
  年ヤリマシタ各種ノ事柄ヲ擴大充實シテ、
  昨年ノ六千七百四十万石ニ更ニ約三百五十
  万石ヲ加ヘタ七千百万石ト云フ數字ガ、昨
  年ノ增產目標トナツテ居ル譯デアリマス

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• 042・吉植庄亮

  ○吉植委員　サウシマスト、過去十七、八
  箇年ノ平均ノ數字ハ何千万石ニナツテ居リ
  マスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=42

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• 043・周東英雄

  ○周東政府委員　六千三百四十万石餘デア
  リマス

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• 044・吉植庄亮

  ○吉植委員　ソレデ七千百万石ト云フ數字
  ハ分リマシタガ、サウシマスト、今年ノ計
  晝ハ此ノ七千百万石ニ、過般農林大臣ノ御
  話ノアリマシタ二百万石ヲ加ヘタ七千三百
  万石ニナルノカ、或ハ其ノ二百万石ハ七千
  百万石ノ中ニ押込メテ、ヤハリ本年ノ計畫
  ハ七千百四十四万石デアリマスカ、其ノ點
  ヲハツキリ御答辯願ヒタイ

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• 045・周東英雄

  ○周東政府委員　今年ノ目標ハ、此ノ七千
  百万石ニ、臨時ニ簡易水田ノ開發、桑園ノ
  水田轉換ト云フヤウナ面カラ見マシテ、約
  四十万石餘ノ增加計畫ヲ樹テテ居リマス、
  ソレト合ハセテ七千百四十万石餘ニナツテ
  居ツタカト思ヒマス

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• 046・吉植庄亮

  ○吉植委員　是ガ私共ガ常ニ農林當局ノ御
  計畫ニ對シマシテ、非常ニ疑惧ノ念ヲ抱イ
  テ居ル點ナノデアリマス、成程普段ノ年ナ
  ラ是デ宜シイノデアリマスガ、過去十七、
  八年間ノ平均數字ヲ取ツテ六千三百四十万
  石、之ニ色々計畫ヲ樹テマシテ七千百万石
  穫ル、斯ウ云フノデアリマスカラ、大體常
  識的ニ是ハ行ツテ居リマスノデ宜シイノデ
  アリマスガ、戰時〓糧確保ト云フ點ニナリ
  マスト、一體米ト云フモノハ過去十七、八
  年間ノ平均ヲ取ツテ、其ノ平均數量ト云フ
  モノガ必ズ取レルモノデアルカト云フトサ
  ウデハアリマセヌ、是ガ穫レルモノナラ宜シ
  イ、併シ穫レナイ、然ラバドウ云フ數字ガ
  來ルカト申シマスト、過去ニ於テ六千万石
  穫レマシタノハ大正八年ガ初メテデアリマ
  シテ、大正八年ニ六千万石ヲ穫ツテカラ今
  日マデ、六千万石ヲ割リマシタ年ハ合計二
  十三箇年間ニ於テ九囘ゴザイマス、サウシマ
  スト二·四平均年ニ於テ一囘ノ五千万石臺ノ
  凶作ガ參ツテ居リマス、二年乃至三年ニ此
  ノ凶作ハ來テ居リマス、併シ昨年ノ六千万
  石ト云フヤウナモノハ、增產計畫ノナカツ
  タ時代ノ五千七百万石或ハ五千六百万石程
  度ノ收穫ニ準ズベキモノデアルカラ、此ノ
  凶作ガ來タカラ今年ハ安心ダト云フコトモ
  言ハレルヤウデアリマスガ、此ノ凶作ハ二
  年續キニ來ルコトガ頻リニゴザイマス、丁
  度此ノ二十三箇年ニ於テ八箇年カ二箇年連
  續ノ凶作ガ來テ居リマス、サウシテ其ノ凶
  作ト云フノハドウ云フ數字カト申シマスト、
  タツタ一度五千九百万石ガ大正十四年ニア
  リマス、其ノ代リニ昭和九年ニハ五千百万
  石ト云フヒドイ凶作ガ來テ居リマス、此ノ
  二ツヲ除キマスト、アトハ五千四百万石乃
  至五千七百万石ノ凶作ニナツテ居リマスカ
  ラ、斯樣ナ年ガ又本年來ナイトハ何人モ斷
  言出來ナイノデアリマス、サウシテ此ノ基
  本數字ガ六千三百万石トナツテ居リマシテ、
  五千五百万石ノ凶作ガ若シ來マスト、此ノ
  基本數字ニ於テ八百万石ノ掛値ガアルコト
  ニナリマスノデ、戰時食糧政策トシテドウ
  シテモ七千百万石ノ米ヲ確保セネバ相成ラ
  ナイ、石ニ嚙リ付イテモ之ヲ確保セネバ相
  成ラヌト云フコトニナリマスト、此ノ五千五百
  万石程度ヲ押ヘテ、是ヨリモ更ニ增產計畫
  ヲ以テシテ七千百万石穫ル、場合ニ依リマ
  スト、ソレハ七千八百万石獲レルコトニモナ
  リマスガ、穫レレバ宜シイノデアリマシテ、
  斯ウナリマセヌト安心ガナラナイノデアリマ
  ス、其ノ證據ニハ昨年ガ七千百万石ノ增產
  計畫デアリナガラ六千万石シカ穫レナイ、サウ
  シテ戰時〓糧確保ト云フモノガ、足並ガ亂レ
  テ今日ニ來テ居ル、殷鑑遠カラズドコロデハ
  ナイ前年度ニ於テ此ノ苦杯ヲ嘗メテ居リナ
  ガラ本年又再ビ左樣ナ計畫ヲ以テ御安心ニ
  ナツテ居ルコトハ、私共國民トシテ洵ニ寒
  心ニ堪ヘナイノデアリマス、過般議員俱樂
  部ノ決議トナリ、更ニ實行委員ヲ擧ゲテ政
  府當局ニ要望シテ三千万圓ノ豫算增額、第
  二豫備金ノ支出ト云フコトニナツタコトモ、
  斯ウ云フ所カラ出發シテ居リマスノデ、此
  ノ點農林當局ハ初メカラハツキリト五千五
  百万石程度ノ凶作ハ過去ニ於テ是レ〓〓是
  ダケ來テ居ル、ソレダカラ食糧確保ノ案ヲ
  立テルニハ、先ヅ五千五百万石ノ凶作ガ來
  テモ之ヲ克服スルニ足ルダケノ增產計畫ヲ
  立テナケレバナラヌ、ソレニハドウモ豫算
  ガ是デハ足リナイ、技術員ノ俸給增額ハ勿
  論篤農家ニ對スル所ノ手當トカ、或ハ部
  落ノ强化策トカ、肥料ノ大增產トカ、米價
  ニ對スル特別ナル再檢討トカ云フヤウナコ
  トガナケレバ增產ニ相成ラヌト云フコトヲ
  ハツキリサセテ置クト、他ノ閣僚ニ於テモ、
  其ノ點農林當局ノ言ヲ排シテ、大削減ヲ加
  ヘルト云フヤウナコトハ絕對ニナイト吾々
  ハ確信スルノデアリマス、ソコガ悲シイ哉
  農林當局ガ是デ宜シイノダト云フ數字ヲ出
  シテ居ルカラ、ソレデ財政當局ト致シマシ
  テハ常識ヲ以テ斧鉞ヲ加ヘルダケ加ヘルト
  云フコトニナツテ、增產計畫ト云フモノハ
  危殆ニ瀕シテ來タ、斯ウ云フ經緯ニナツテ
  居リマスノデ、是レ以上玄人ノ農林當局ヲ
  前ニシテ餘計ナコトハ申上ゲマセヌ、本年
  ハモウ是カラドウニモ是レ以上豫算モ出マ
  スマイシ、アトハ總力戰ヲ以テ食糧ヲ戰ヒ
  取ルヨリ外ニナイカラ致シ方ガアリマセヌ
  ガ、來年ノ計畫ニ於キマシテハドウカ此ノ
  點ヲハツキリシマシテ、ドンナ事ガアツテ
  モ必ズ穫レルト云フ案ヲ立テテ戴キタイノ
  デアリマス、是ハ私共國民ノ一人ト致シマ
  シテ熱烈ナ要望デアリマス、之ニ付キマシ
  テ一ツ當局ノ御決心ダケヲ承リタイト思ヒ
  マス

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• 047・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ點洵ニ御尤モデア
  リマス、私共今年度ノ計畫ヲ立テル場合ニ
  於キマシテモ、此ノ點ニ付テ相當考慮ヲ運
  ラシテ居ツタ積リデアリマス、御案内ノヤ
  ウニ遠ク大正何年トカノ今御示シノ年ノコ
  トハ勿論、近クヲ申シマシテモ昭和八年ニ
  ハアア云フヤウナ七千百万石近クノ增產モ
  アリマシタケレドモ、昭和九年ニハ五千百
  万石、昭和十年ニハ五千八百万石、近イ所
  ニ於キマシテモ六千万石ヲ割ツタ年ヲ承知
  シテ居ルノデアリマス、然ルニ昭和十一年
  以後十二年、十三年、十四年マデハ大體御承
  知ノ通リ六千万石以上穫レテ、或ル場合ニ
  ハ六千三百万石、或ル場合ニハ六千五百万
  石ト云フヤウナ數字ガ出テ、一昨年ハ六千
  九百万石近クノ數字モ出テ居ツタヤウナ次
  第デアリマシテ、彼此レ見合ハセテ十七、八
  箇年間ノ長イ期間ノ統計ヲ取ツテ、ソコデ
  其ノ平均ノ數量ト云フモノヲ基礎ニシテ、
  其ノ他ノ事實ヲ附加ヘテ見タ譯デアリマス、
  併シナガラ御話ノヤウニ今日ハ決シテ平時
  ノ時代デナク大戰爭ヲヤツテ居ル譯デアリ
  マス、其ノ間ニ處スル勞力ナリ資材ノ不足
  等モアリマスノデ、此ノ過去ノ實績其ノ儘
  ヲ以テ是デ十分滿足ト思ツテ居ナイノデア
  リマス、隨テ本年ノ計畫ヲ立テル場合ニ於
  テハ、凡ユル物的施設ノ外ニ、農林當局ニ
  於キマシテモ農林關係ノ技術員ノ動員、知
  識經驗ノアル篤農家ノ御協力ヲ得、又農民
  ニ對シマシテモ時局ヲ認識シテ戴イテ、眞ニ
  增產ニ御協力ヲ願フト云フヤウナ意味合ニ
  於キマシテ、ソレ等ニ對スル施設モ致シタ
  ヤウナ譯デアリマス、ソレ等ニ對シマシテ
  私共ハ本當ニ凡ユル方面ノ御協力ヲ願ハナ
  ケレバナラヌ、ソレニ對スル施設モ考ヘタ
  譯デアリマスガ、御案内ノヤウニ一應吾々
  ノ努力ガ足ラナカツタカモ知レマセヌガ、
  豫算ノ上ニ付テモ現ハレ方ガ少クテ、不滿
  足ナ點ガアツタコトハ同感ニ存ジテ居リマ
  ス、幸ヒニ衆議院ノ方ノ御決議等ニ依ツテ、
  吾々ノ初メ豫想シテ居ツタ方面ニモ新タニ
  相當額ノ豫算ノ增額ヲ見ルヤノ運ビニモナ
  ツテ居リマス、本年ノ增產ニ關シマシテハ
  農林省ハ部局ヲ超越シ、擧ゲテ增產ノ方面
  ニ向ツテ懸命ノ努力ヲ致シタイト考ヘテ居
  リマスシ、之ニ關シテ農林省内部ニハ〓糧
  增產技術中央本部ヲ設置致シ、部局ヲ超越
  シテソコニ協力ヲシ、更ニ同樣ナ組織ノ下
  ニ、地方廳ニ於テモサウ云フ地方ニ於ケル
  增產中央本部ヲ作ツテ戴クコトノ指令ガ出
  テ居リマス、更ニ郡市町村ニ同樣食糧增產
  ニ關スル指導部ヲ置イテ戴イテ、ソコニ農
  會ノ技術員、篤農家、又農學校等ノ〓職員
  等、凡ユル方面ノ知識經驗ヲ綜合シテ一切
  ノ指導ニ當ツテ貰フヤウニ、ソレニ對シテ
  中央モ地方廳モ協力シテ行キタイ、斯樣ナ
  組織ヲ考ヘ、制度ヲ考ヘテ邁進致シタイト
  云フ決心ヲ致シテ居ル次第デアリマス、御
  諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=47

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• 048・吉植庄亮

  ○吉植委員　今周東局長ノ御答辯デ、當局
  ガ大ナル熱意ヲ持ツテ事ニ當ラレテ居リマ
  スコトハ了承致シマシタシ、又其ノ點ハ吾
  吾ガ常ニ感謝シテ居ル所デゴザイマス、併
  シモウ本年ハ致シ方ナイ、後ハ官民一致ノ
  熱意ヲ以テ克服スルヨリ致シ方ナイガ、來
  年度カラハ、今私ガ申上ゲマシタヤウナ點
  ヲ十分ニ考慮ニ入レテ計畫ヲ立テテ戴キタ
  イ、少シ駄目ヲ押スヤウニナリマスガ、唯
  一言附加ヘテ置キタイノデアリマス、丁度
  昨年ノ七月二十日ノ土用入カラ土用明ケマ
  デノ天候ヲ、私ハ新聞紙ノ各地測候所カラ
  ノ報告ヲ取ツテ置イタノデアリマスガ、ソ
  レニ依リマスト、二十日ノ日ハ晴レガ一一十
  二デ、曇リガ十七、其ノ翌日ハ晴レガ十
  八、曇リガ十二、其ノ次ニナリマスト晴レ
  ガ十二、曇リガ二十八、其ノ次ガ晴レガ二
  十七、曇リガ十二、ココラマデハ宜シイノ
  デアリマスガ、ソレカラ崩レ出シマシテ、
  其ノ次ハ晴レガ十七、曇リガ二十一、又十
  七ニ二十一、五ニ二十一、十三ニ二十九、
  八ニ二十一、十ニ十九、十五ニ二十六、コ
  ンナ風ニ曇リ乃至雨ガ多クナツテ來テ居リ
  マス、然ラバ其ノ中ノ晴レハ何處デアルカ
  ト申シマスト、大體ニ於テ關西竝ニ四國、
  九州デゴザイマシテ、關東以北、東北、北
  海道ニ掛ケマシテハ土用ノ初メ二日間、土
  用太郞、次郞ハ晴レガ相當ニアリマシタガ、
  モウ五日目アタリニナリマスト、關東デ晴
  レノ場所ハ東京一ツ東北デハ長野、福島、
  新潟、是ダケヨリアリマセヌ、二十六日ニ
  ナリマスト、晴レハ關東ガ橫濱一ツ、東北
  ハ長野、福井、是ダケデアリマス、二十七
  日ニナリマスト、關東ハ一ツモ晴レタ所ナ
  シ、東北以北ハ札幌ガ一ツアルキリ、其ノ翌
  日ハ前橋ガ關東ニ於テ一ツ、其ノ翌日モ前
  橋ガ一ツ、其ノ翌日ハ東京ト甲府、コンナ工
  合ニナツテ居リマス、後ハ省略致シマスガ、
  殆ド天氣ガ關東、東北ニハナイノデアリマ
  シテ、其ノ上ニ溫度ガ、二十八日-是ハ
  土用最中デアリマスガ、三十度ヲ割リ、ソレ
  カラ今度ハ八月ノ四日アタリニナリマスト、
  二十三度、其ノ前後ガ二十七、八度、極ク
  酷イノハ八月十日ガ十九度、十一日ガ二十
  一度、十二日ガ二十七度、其ノ翌日ガ二十三
  度、其ノ翌日ガ二十六度、斯ウ云フヤウニ低
  溫ニナリマシテ、晴レガナイ、斯ウ云フ譯デ
  アリマスカラ、是デハ當局ノドンナ熱意ガ
  アリマシテモ、國民ノ如何ナル努力ガアリ
  マシテモ、豐作ニナル譯ハナイノデアリマ
  シテ、御天道樣ノ笑顏一ツヲ賴リニスル農
  業ノ本體ガ此ノ氣象ニ能ク現ハレテ居リマ
  ス、斯樣ナ年ガ來マシタカラ、昨年當局ノ
  御努力ガアツタニ拘ラズ、六千万石ヨリ穫
  レナイト云フコトニナツタノデアリマシテ、
  玆ニ基本ガアルノデアリマス、私ガ申上ゲ
  マシタヤウニ、過去ノ統計ニ現ハレタ所ニ
  依レバ、五千万石臺ノ凶作ノ年ガ二年ニ一
  囘乃至三年ニ一囘起ルノデアルカラ、而シ
  テ二年續ケテ來ルコトガ屢〓アルノダカラ、
  之ニ對シテ十分ノ覺悟ヲ決メテ、斯樣ナ天
  候ガ來テモ克服ガ出來ルノダト云フ增產計
  畫ト云フモノハ、今農林當局ガ立テラレテ
  居リマスル倍以上ノモノヲ立テナケレバ安
  心ガ出來ナイ、斯ウ確信シテ居リマスノ
  デ、是ハ來年ノ話ニナリマスガ、是非此ノ
  點ハ來年度ニ於テハ御留意ヲ願ヒタイノデ
  アリマス、ソレカラ私ノ質問ハ、アト食糧
  管理局長官ニ御聽キシタイノデアリマスガ、
  御出席ハアリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=48

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• 049・村上國吉

  ○村上委員長　ソレハ午後ニナラヌト御出
  席ガ出來マセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=49

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• 050・吉植庄亮

  ○吉植委員　サウスルト一應是ダケデ私ノ
  質問ヲ打切ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=50

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• 051・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハ服部君

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• 052・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　私ノ質問ハ農林大臣、内務
  大臣、遞信大臣等ニ御願ヒ致シタイノデア
  リマスガ、其ノ前ニ當リマシテ、一、二御伺
  ヒシテ見タイト思ヒマス、昨日ノ當委員會
  ニ於キマシテ、成島委員ヨリ御尋ネニナリ
  マシタガ、今年ノ開拓事業ニ伴フ勞力ノ關
  係デアリマス、是ハ昨日御說明ガアリマシ
  テ、一應承ツタノデアリマスガ、私ハ其ノ
  點ニ付キマシテ尙ホ極メテ大キナ不安ヲ抱
  クノデアリマス、大體昨日二千二百七十万
  ノ勞力供給對策ガアル、其ノ內容モ大體承
  ツタノデアリマスガ、是ハ要スルニ當局ノ
  机上ノ計畫デアツテ、果シテ此ノ事業ニ着
  手致シマスル場合ニ於テ、此ノ計畫通
  リ勞力ガ供給シ得ラレルカ、此ノ點ガ非常
  ニ大キナ問題デアルト思フノデアリマ
  ス、大體今日ノ農村ニ於キマス所ノ餘剩
  勞力ト申シマスカ、此ノ點ニ付テハ當局ノ
  御考ヘニナツテ居ルヤウナ、所謂餘剩勞力
  ト云フモノガナイノデハナイカト云フ風ニ
  考ヘラレルノデアリマス、御承知ノ通リ、
  今日ハ農產物ノ增產確保ノ爲ニ何レノ農業
  家モ凡ユル努力ヲ致シテ居リマス爲ニ、相
  當此ノ方面ニ勞力ガ使ハレテ居ルノデアリ
  マス、而モ其ノ上事變勃發以來、農村ノ勞
  力ハ、此ノ農作物ノ生產確保ノ以外ニ可ナ
  リ使ハレテ居ルノデアリマス、是ハ申スマ
  デモナク、例ヘバ警防團-警防團ハ現在
  先ヅ戶數カラ申上ゲマスト、五百戶位ノ町
  村デ百人位ノ警防團員ヲ以テ組織致シテ居
  リマス、是ガ今日ハ防空演習ダトカ、或ハ
  警備ダトカサウ云フ方面ニ、事變以前トハ
  違ツテ非常ニ勞力ヲ消費致シテ居リマス、
  最近私ハ自分ノ村カラ之ヲ考察致シテ見マ
  スト、大體警防團員一人當リ一箇年最少限
  度十人位ノ出役ヲ致シテ居リマス、サウ致
  シマスト、大體千人ト云フ者ガ警防團ニ勞
  力ヲ使ハレテ居ル、又何レノ町村デモ同ジ
  デアリマスガ、農村ニ於ケル區長デアルト
  カ、村會議員デアルトカ、或ハ農會ノ評議
  員ダトカ、農會議員トカ、斯ウ云フ職ニ當
  ツテ居リマス人達ハ、ヤハリ此ノ戰時ノ爲
  ニ或ハ出征軍人ノ見送リデアルトカ、或ハ
  入退營者ノ出迎ヘデアルトカ、或ハ又公
  葬-町村葬等ノ爲ニ相當ノ日數マ消費致シ
  テ居リマス、是等モ通算致シテ見マスルナ
  ラバ、此ノ方面ニ使ハレテ居ル勞力ハ大體
  四、五百戶位ノ町村デ、先ヅ千五百人位ノ
  延人員ヲ消費致シテ居ルト思ヒマス、靑年
  團方面ニ付テ考ヘマスト、是亦ヤハリ今申
  上ゲマシタヤウナ戰時關係ノ爲ニ、或ハ出
  征軍人、或ハ入退營者其ノ他ノ見送リ等ノ
  爲ニ、相當ノ勞力ガ消耗サレテ居リマス、
  更ニ婦人ノ方面ニ付テ考ヘテ見マスト、或
  ハ國防婦人會デアルトカ、或ハ愛國婦人會
  デアルトカ、主婦會デアルトカ、色々ナ婦
  人團體ガアリマス、是亦今申上ゲタヤウナ
  活動ニ從事致シテ居リマシテ、勞力ガ戰時
  關係ノ爲ニ此ノ方面ニ相當澤山消費サレテ
  居ル、恐ラク是ハ一箇年間千五百人乃至二
  千人ノ勞力ガ此ノ方面ニ消費サレテ居ル、
  又靑年學校ノ如キハ、特ニ戰時下ニ於キマ
  シテ軍事訓練ガ非常ニヤカマシク言ハレテ
  居ルノデ、其ノ方面ニモヤハリ相當此ノ靑
  年層ノ勞力ガ消耗サレテ居ル、斯ウ云フ關
  係カラ見マスト、今日ノ農村ノ勞力ハ戰前
  ニ於ケル餘剩勞力カラ見マシテ、殆ドサウ
  云フ方面ニ消費サレテ居ルト思ヒマス、更
  ニ又最近ハ軍需工業ガ勃興致シマシテ、其
  ノ方面ニモ相當農村ノ勞力ガ事變前ヨリモ
  多ク吸收サレテ居ル、斯ウ云フ狀態デアリ
  マスカラ、農村ノ餘剩勞力ハ當局ガ机上デ
  御考ヘニナツテ居ル程ニハナイノデハナイ
  カト私ハ考ヘルノデアリマス、ソレデ十五年
  ノ四千六百万人ニ比シテ、本年ハ二千二百
  七十万ノ勞力供給見込ガアル、斯樣ニ御考
  ヘニナツテ居ルノハ、一體ドウ云フ點カラ
  御考ヘニナツテ、此ノ二千二百七十万ト云
  フ餘剩勞力ノ供給力ガアルノカト云フコト
  ガ、私ハ非常ニ疑ハレルノデアリマス、斯
  ウ云フ計畫ノ下ニ今囘ノ改良開墾ノ事業ヲ
  オヤリニナツタナラバ、勞力ノ關係カラ必
  ズヤ蹉跌ヲ來スト思ヒマス、而モ今日ハ是
  等ノ方面カラノ勞力ヲ吸收スルニ付キマシ
  テハ、相當ノ手數ト費用ヲ掛ケナケレバナ
  ラヌ、斯樣ナ點カラ考ヘマスト、當局ハ玆
  ニ一大決心ヲ以テ、此ノ事業完成ノ爲ニ勞
  力ヲ確保セラレルヤウニ努メナケレバナラ
  又、私ハ先ヅ第一ニ、一昨日御話ニナリマ
  シタ此ノ見込ノ供給對策ハドノ點カラ確實
  ニ計畫ニナツタモノカ、其ノ點ヲ御伺ヒ致
  シマスト同時ニ、少クトモ私ハ此ノ事業ヲ
  完成スル爲ニハ、總動員法ニ於ケル勞力ノ
  徵用マデ進ンデ行カナケレバ、到底此ノ事
  業ノ目的ヲ完遂スルコトガ出來ナイ、斯樣
  ニ考ヘマス、隨テ今囘ノ此ノ事業完成ノ爲
  ニハ、總動員法ニ依ル勞力ノ徵用マデナサル
  ル御考ヘガアルカ、無論今囘ノ此ノ事業ハ國
  家的事業デアリ、而モ高度國防國家建設ノ
  爲ノ對策デアル以上ハ、此ノ點マデ私ハ伸
  ビテ行ツテモ宜イノデハナイカト考ヘマス、
  此ノ點ニ付キマシテ當局ノ御意見ヲ承リタ
  イ

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• 053・岸良一

  ○岸政府委員　勞力ノ問題ニ付テハ、昨日
  私共ノ考へ方ヲ申上ゲマシタガ、ソレハド
  ウ云フ點カラサウ云フヤウナ考ヘガ生レテ
  來ルカト云フ御話デアリマス、昨日モ申上
  ゲマシタヤウニ二千二百万人ニ付キマシテ
  ハ、現在十六年度ニ要シマス所ノ六万九千
  人ノ人ヲ、農家ニ於ケル所ノ延勞働力ト比
  ベテ見マスト、一分八厘位ノモノデ、相當
  農家ノ勞働力ニ力ガアルト云フコトガ、其
  ノ數字上ニ於テ示メサレテ居ル、是ハ無論
  內容的ニ見マスト、色々アラウト思ヒマス、
  此ノ事業ノ遂行カラ見マスト、而モ此ノ事
  業ノ大部分ト云フモノヲ農閑期ニヤル、斯
  ウ考ヘテ居リマス、農閑期ノ勞力ノ實情ヲ
  極ク最近ノモノデ調ベテ見マシテモ、非常
  ニ餘力ガアルノデアリマス、恐ラクサウ云
  フヤウナ點ニ於テハ、私ハ心配ガナイト思
  ヒマス、只今ノ御話ガアリマシテ、私尙ホ
  安心致スヤウナ氣ガ致スノデアリマス、ソ
  レハ色々各種ノ仕事ガ是ダケニ農村ニ於テ
  行ハレテ居ル、而モソレニ對シテ各力ガ働
  イテ仕事ヲヤツテ居ルト云フコトハ、私ハ
  マダ此ノ勞力ノ調整ト云フモノガ徹底シテ
  居ラヌ、モツト此ノ點ヲ各方面デ留意シテ、
  サウシテ仕事ノ調整ヲシテ行クト云フコト
  ニナリマスレバ、農村デ進ンデ働イテ戴ク
  力ガマダアルノデハナイカ、私共ノ考ヘテ
  居ツタ二分位ノ力ト云フモノハ立派ニ存在
  シテ居ル、殊ニ農閑期ニハサウ云フモノガ
  働キ得ルノデハナイカト考ヘルノデアリマ
  ス、私共ハ先ヅ是デ凡ユル努力ヲ傾倒シテ
  見レバヤレル、斯ウ云フヤウナ考ヘ方ヲシ
  テ居ルノデアリマス、尙ホ是デ人ガ足リナ
  イデ徵用ヲスルヤウナ爲ニ、總動員法デモ
  使ヒハシナイカ、斯ウ云フコトニ付テハ今
  考ヘテ思リマセヌ、マタ私ハ今ノ餘力ノア
  ル所ノ農村自ラ奮ヒ立ツ力デヤツテ貰フ
  ト云フコトデ、ヤツテ戴カナイト、此ノ仕
  事ハ出來ナイト思ヒマスカラ、私ハサウ云
  フコトヲ考ヘテ思リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=53

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• 054・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　只今私ハ眞ノ農村ノ實情
  ヲ申上ゲマシタ、成程今日ノ今私ノ申上ゲタ
  農村ノ勞力ノ狀況ハ、ソレガ實際ニ遊ンデ
  居ルカト言ヘバ、ソレハ決シテ遊ンデ居ル
  ノデハナクシテ、此ノ戰時下ノ色々ナ關係
  ニ於キマシテ、戰前ニ持ツテ居タ所ノ餘剩
  勞力ト云フモノハ、色々ナ方面ニソレガ働
  イテ居ル、其ノ勞力ヲ此ノ事業方面ニ吸收
  スルコトニ付キマシテハ、普通ノ手段デハ
  中々イケナイト思ヒマス、ソコガ私ハ重大
  ナ問題デアルト思ヒマス、ソレデ普通ノ手
  段デハ、私ハ中々其ノ勞力ヲ吸收スルコト
  ガ出來ナイト思ヒマスカラシテ、場合ニ依
  リマシテハ是等ノ勞力ヲ、所謂總動員法ニ
  依ツテ動員スルト云フ所マデ行カナケレバ
  中々出來ナイダラウ、斯ウ私ハ申上ゲタノ
  デアリマス、今日農村ノ實際カラ見マスト、
  サウ云フ方面ニ婦人ハ婦人、靑年ハ靑年、
  或ハ壯年ノ人達ハ壯年デ、ソレ〓〓ノ立場
  ニ於テ、此ノ戰時下ニ精神的ニ働イテ居ル、
  其ノ方面ノ勞力ヲ此ノ事業ノ方へ持ツテ行
  クノハ、中々骨ガ折レル、又必ズシモ其ノ
  勞力ガ餘ツテ居ルカラ、ソレヲ持ツテ行ク
  ト云フコトハ、是ハロデ理論的ニ申上ゲテ
  千、中々實際的ニハ出來ナイノデス、其ノ
  餘剩勞力ガアルカラソレデ安心シタ、斯フ
  云フヤウナ御話デアリマスケレドモ、實際
  上其ノ勞力ヲ吸收スル譯ニハ中々參リマセ
  又、又ソレヲ實際ニ此ノ方面ニ、農閑期ダ
  カラト云ツテ持ツテ行ケナイ、今日ハ農閑
  期ニサウ云フ銃後ノ色々ナ關係ニ於テ働イ
  テ居ル、農繁期ニ於キマシテハサウ云フヤ
  ウナ銃後奉公ノ爲ノ働キガ出來ナイ、農閑
  期ニ於テサウ云フ方ノ利用ヲヤツテ居ルヤ
  ウデアリマスカラ、其ノ餘剩勞力ガアルカ
  ラト云ツテ、之ヲ全部使フ譯ニハイカナイ、
  斯ウ私ハ申上ゲタノデアリマス
  次ニ今日ノ農村ニ於キマシテハ、工場デ
  アルトカ、或ハ住宅デアルトカ云フモノノ
  見込地以外ニ、遊ンデ居ル所ノ田畑ト云フ
  モノガ相當澤山ニアル、現ニ何レノ町村モ
  同ジダト思ヒマスケレドモ、耕地ナドガ勞
  力ガ非常ニ澤山掛ツテ、山間ノ田地ハ作付
  ガサレズニ、勞力ノ關係ト共ニ遊ンデ居ル
  所ガ多イノデアリマス、少クトモサウ云フ方
  面ノ水田ト云フモノガ、一村當リ一町ト假
  定致シマシテモ、全國ノ一万有餘ノ農村ニ
  於キマシテハ、相當大キナ面積ニナツテ居
  ルノデアリマス、一方開墾ヲ致シマシテ、
  サウシテ增產確保ノ方針ヲ執ラレルコ
  トハ、無論結構デアリマスケレドモ、
  折角苦心慘憺致シマシテ開墾致シテ來タ所
  ノ土地ガ作付セズシテ、其ノ儘遊バシテ居
  ル土地ガ相當アリマスノデ、此ノ土地ヲ何
  トカシテ作付サセルコトガ、當面ノ食糧關
  係ヲ或ル程度マデ補フコトガ出來ルト思フ
  ノデアリマス、大キナ問題モ洵ニ結構デア
  リマスルケレドモ、一町或ハ一町五反ト云
  フヤウナ現ニ作付セズシテ遊ンデ居ル其
  ノ土地ヲ、何トカノ方法ニ依ツテ作付サセ
  ルト云フコトニ、一ツ大キナ力ヲ持ツテ行
  ツテ貰ヒタイ、是ハ百町トカ、二百町トカ、
  一千町步トカ、サウ云フ固マツタモノデア
  リマセヌカラ、當局ノ方ニ於カレマシテモ、
  力ノ入レ應ヘガナイカモ分ラヌト思ヒマス、
  併シナガラ全國カラ之ヲ集メテ見マスト、
  可ナリ大キナ面積ニナルノデアリマス、其
  ノ遊ンデ居ル所ノ原因ハ色々アラウト思ヒ
  やく、或ハ障碍ノ爲ニ、非常ニ勞力ガ澤山
  掛カルカラ、採算上迚モ植付ケテモ駄目ダ、
  或ハ又水利ノ自然ノ變化ニ依リマシテ、水
  ガアツタ所ガ急ニ其ノ水ガ少クナツタ、或
  ハ之ニ僅カバカリノ工費ヲ掛ケレバ、ソレ
  ニ引水ガ出來テ元通リ作付ガ出來ル、或ハ
  野鳥ナドノ被害ガ非常ニ多イカラ、折角ソ
  コニ作付ケシテモ收穫時期ニ野鳥ノ爲ニ荒
  サレテ、收穫ガナクナルシ、手數ガ掛ルノ
  デ作付ヲ休ンデ居ルト云フヤウナ色々ナ原
  因ガアツテ、其ノ面積ハ何レノ町村モ大體
  一町乃至二町位ノモノハサウ云フ原因ニ
  依ツテ植付ガ出來ナイモノガアルト思フノ
  デアリマス、是等ニ何トカ適當ナ作付ノ奬
  勵ナドノ方法ヲ講ジテマリマスレバ、作付
  ガ直チニ出來ルト云フヤウナモノガアルト
  信ズルノデアリマス、私ノ町村其ノモノカ
  ラ考ヘマシテモ、斯ウ云フモノガヤハリ二
  町二步ヤ二町步餘ハ出來ルノデハナイカ、私
  ノ村ノ周圍ノ十箇村位ヲ見マシテモ、ヤハ
  リ同樣ノ結果ニナツテ居ル、斯ウ云フ遊ン
  デ居ル土地ヲ此ノ際活カシテ使フヤウニ、
  適當ナ方法ヲ考ヘテ戴クコトガ、一面大キ
  ナ開發事業ト相俟ツテ、當面ノ食糧問題ノ
  上ニ幾分ノ寄與ヲスルコトガ出來ル、斯樣
  ニ考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ付キマシ
  テ政府ノ御考ヘヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=54

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• 055・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ點ハ何レモ御尤モ
  ナ點デアリマス、最初ノ現在ノ農村ノ實情
  等カラ見テ、本計畫卽チ開發計畫等ノ實行
  ニ付テハ、勞力ガ相當不足スル、ソレニ對
  シテドウ云フ考ヘガアルカト云フ御話ガア
  リマシタ、ソレニ對シマシテ岸政府委員カ
  ラ現在ノ事情、初年度ノ計畫ノ內容等カラ
  見マシテ、差當ツテハ農閑期等ニ於ケル農
  家ノ餘剩ノ勞力ガアルカラ、差當ツテ大丈
  夫デアルト云フコトヲ申上ゲタノデアリマ
  スガ、其ノ通リデアリマス、併シ御話ソヤ
  ウニ刻々ニ變化シテ參リマス農村事情等ヲ
  考ヘマシテ、若シモソコニ何等カノ缺陷ガ
  生ズルヤウナコトガアリマシテハ、本計畫
  ノ遂行上非常ニ支障ニナルノデアリマスカ
  ラ、其ノ場合ヲ豫想致シマシテ實際御示シ
  ノヤウニ、私共ノ方ニ於キマシテモ能ク關
  係當局ト密接ナ連絡ヲ保チツツ、必要ナ場
  合ニ於テハ農村ノ勞力普及ノ爲ニ、勞務動
  員ヲ實施スルト云フコトニ付テ〓究調査ハ
  進メテ居リマス、場合ニ應ジマシテ或ハ勞
  務動員ノ計畫ヲ、總動員法ノ發動ニ依ツテ
  考ヘナケレバナラヌコトガアルカト存ジマ
  スノデ、ソレニ付キマシテハ善處致シタイ
  ト存ジマス
  ソレカラ第二番ノ不耕作ノ田畑ガ、相當
  ニ今日色々ナ原因カラアルノデ、之ニ對シ
  テ適切ナル施設ヲ講ズルコトニ依ツテ生產
  ヲ維持スルコトガ、此ノ大キナ計畫ヲ進メル
  コトト相表裏シテ、今日ノ狀況カラ言フト絕
  對ニ必要デハナイカト云フ御話デアリマス、全
  ク同感デアリマシテ、此ノ方ノ計畫モ、目前ノ
  十六年度ノ增產ノ對策ト致シマシテハ、ヤ
  ハリ既耕地ノ作付ニ付テ萬全ヲ期シ、旣耕
  作ノ土地カラ生產ヲ確保スルト云フコトニ
  付テ、各方面ノ協力ヲ願ツテ行カナケレバ
  ナラヌト存ジテ居ルノデアリマス、ソレニ
  ハ從來戴イタ豫算ノ中デ、勞力ノ不足カラ
  抛棄サレテ居ル分ニ對スル移動勞力ノ施設
  ヲ、今年ハ計畫的ニ之ヲ實行致シタイト思
  ヒマスシ、更ニ不耕作ノ土地ニ付テハ、場
  合ニ依リマシテ二月一日カラ施行サレマシ
  タ農地管理令ノ發動ニ依リマシテ、不耕作
  ノ土地ヲ靑年團、或ハ實行組合等ヲシテ耕
  作セシムル、斯カル場合ニ於テ必要ナル土
  地ノ借賃、肥料代ナドノ補助等モ考ヘテ行
  キタイト思ツテ居リマス、更ニ又最近衆議
  院ノ方ノ御決議ニ基キ、或ル程度金ガ出ル
  コトニナツテ居リマス、是等ノ施設ト併セ
  テ部落ニ集中的ニ或ル種ノ施設ヲ致シテ、
  部落每ニ不耕作ノ土地等ガアリマスレバ、
  其ノ原因々々ニ應ジ、或ハ勞力ノ足ラヌ場
  合ニ於テハ、ソレニ對スル對策ヲ講ズルヤ
  ウナ施設、又ハ肥料ノ足ラヌ場合ニ於テソ
  レニ對スル色々ナ施設、凡ユル方面ニ付キ
  マシテノ十分ナル活動ノ出來ルヤウニ、部
  落ヲ中心トシテ十分活動セシムルヤウニ致
  シタイト考ヘテ居リマス、是等ノコトデ總
  テ滿足ガ行クトハ決シテ思ヒマセヌガ、出
  來ルダケ今ノヤウナ不耕作田畑ヲ作付サセ、
  旣耕地カラノ生產ヲ維持サセルヤウニ、萬
  全ノ努力ヲ致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=55

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• 056・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　兎角地方廳ニ於キマシテ、
  五畝步、一反步ノモノニ對シテハ餘リ眼ヲ
  付ケナイデ自然ニ放任サレテ居ル、之ヲ一
  部落五畝步、或ハ一反步位ノ土地デモ少シ
  手ヲ入レテヤレバ必ズ植付ガ出來得ルモノ
  ト思ヒマス、所ガ僅カニ一反カ二反位ノ程
  度ノモノダカラ餘リ重ク考ヘナイ、此ノ弊
  ガ相當アル、此ノ際五畝步トカ一反步ノ少
  シノモノデモ、之ニ水利ノ便ヲ充ガツテヤ
  ル方法ヲ講ジタリ、或ハ又障碍ヲ除イテヤ
  ルヤウナ費用ヲ少シデモヤツテ貰ヒタイ、
  僅カナ經費ヲ以テ植付ガ出來ルモノデモ、
  其ノ儘放ツテ置ク、或ハ又一年二年植付ガ
  放ツテアル、ソレガ爲ニ極メテ簡單ナ開墾
  モ出來テ居ナイ、是ハ一反步ノモノナラバ
  十圓カソコラデ出來ル、斯ウ云フモノデモ
  費用ガ掛リ勞力ガ掛ルカラ、其ノ儘放任シ
  テアルノガ事實上相當アルノデアリマス、
  デアルカラサウ云フモノヲ活カシテ行クヤ
  ウニシテ戴キタイ、サウデナイト地方廳ナ
  ドデモ、僅カニ一反、二反ノモノダト面倒
  臭イカラ放ツテ置ク、之ヲ何トカ世話ヲシ
  テヤリ、或ハ奬勵金ヲヤリ、或ハ今度ノ決
  議ニ依リマシテ、政府當局ガ御心配ニナツ
  テ居ルサウ云フ點ニ付テモ、斯ウ云フ僅カ
  ナ面積ノモノヲ十分ニ活用サセルヤウナ方
  法ヲ、特ニ私ハ主任會議ガアツタ場合ニ能
  ク話シテ貰ヒタイト思フ、サウデナイト、ド
  ウモオ役人サンノ人達ハ、面倒臭イモノダ
  カラ、サウ云フ小サナ僅カナモノヲ放ツテ
  置クト云フ傾向ガ可ナリ多イノデアリマス、
  私ハ此ノ場合ニ僅カ一畝步デモ、五畝步デ
  モ、一反步デモ、僅カナモノデモ、全國町村
  ガ全部之ヲ活用シテ行クナラバ、大キナ收
  穫ガアルト思フ、此ノ點ニ特ニ私ハ當局ノ
  御留意ヲ願ツテ置キタイ、殊ニ又主任會議
  ノアツタ場合ニハ、是非此ノ主任會議ニ强
  調シテ貰ヒタイ、斯ウ云フコトヲ要望申上
  ゲテ置キタイト思ヒマス、尙ホ私ノ質問
  ハ農林大臣ニ御願ヒシタイト思ヒマス

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• 057・村上國吉

  ○村上委員長　農林大臣ハ午後ニ御出席ニ
  ナリマス、內務大臣其ノ他ハ明日御出席ノ
  豫定デアリマス
  此ノ際御諮リスルコトガアリマス、理事
  ノ岡田喜久治君ガ委員ヲ御辭任ニナリマシ
  タ、隨テ理事ノ補關ヲ要スルコトニナリマ
  シタ、先例ニ依ツテ委員長ヨリ御指名申シ
  テ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕

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• 058・村上國吉

  ○村上委員長　御異議ハアリマセヌカラ、
  愛野時一郞君、是ハ今度委員ニ補關選任サ
  レタノデアリマス、此ノ愛野君ヲ理事ニ御
  指名致シマス、午後ハ一時半ヨリ開會スル
  コトニシテ休憩シマス
  午後零時二十三分休憩
  午後一時三十七分開議

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• 059・村上國吉

  ○村上委員長　休憩前ニ引續キ會議ヲ開キ
  マス、先ヅ小笠原君ニ願ヒマス、ソレハ〓
  糧管理局ノ長官カラ答辯サレル筈デアリマ
  スガ、長官ハ差支ガアリマスノデ、勅任事
  務官ノ石井政府委員ガ見エテ居リマスカラ
  質問ヲヤツテ戴キマス、其ク次ニ吉植君
  ノ質問ヲ御願ヒシマス-先ヅ小笠原君

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• 060・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　ソレデハ〓糧問題ノ關
  係デ更ニ御尋ネ致シマス、農村民ノ勞力ノ減
  少ハ農民ノ〓糧關係ニ依ツテ相當影響ガア
  ルト思フノデアリマス、今日農村ニ對シマ
  シテ、政府ノ方デ或ル限度ニ定メテ飯米ヲ
  配給スルヤウナ方針ニナツテ居ルヤウデア
  リマスガ、御承知ノ通リ目下農村デハ、魚
  ノ關係ハ鹽魚ノミニ依ツテ副食物トシテ攝
  ツテ居ルノデアリマシテ、肉食ナドハ殆ド
  ヤラヌノデアリマス、其ノ鹽魚ハ殆ド今日
  ハ配給ガ出來ナイ狀況ニナツテ居リマス、
  其ノ原因ハドコニアルカト云フト、公定價
  格ニ依ツテ、鹽魚ヲ製造スレバ損ニナルヤ
  ウニナツテ居リマスカラ、其ノ配給ガ出來
  ナイ、鮮魚ニ至ツテハ山岳地帶ノ農村ニハ
  ドウシテモ配給ガ、公定價格ニ依ツテ出來
  ナイノデアル、隨テ穀類ノミニ依ツテ榮養
  ヲ攝ラナケレバナラヌ狀況ニアルノデアリ
  マス、サウ云フ所ニ持ツテ行キマシテ、三
  合八勺ヤ四合ノ米ノ配給ガアツタノデハ
  到底農村民ノ活動力ガ高メラレナイコトハ、
  火ヲ睹ルヨリモ明カデアリマス、ソコデ都
  會ノ勞働者ノヤウナ關係ヲ標準ニ取ツテ、
  全國一律ニ飯米數量ノ系統ヲ一定致シマシ
  タノデハ、都會地ニ於テハドウシテモ三〓
  ニ一囘位ハ副食物ニ依ツテ榮養「カロリーㄴ
  ヲ攝ルコトガ出來ルガ、農村ハソレガ出來
  ヌト云フヤウナ狀況ニアルノデアリマス、
  此ノ數量割當ニ付テハ、都會地方ノ勞働者
  ト農村ノ勞働者ト、是ハ自ラ區別ヲセヌケ
  レバナラヌモノト考ヘマス、特ニ農村ノ活
  動時期ニ到達シヨウトシテ居ル今日ニ於テ
  ハ、急速ニ此ノ問題ヲ解決シナケレバナラ
  ヌト思フノデアリマスガ、農村ヘノ配給數
  量ハ、ヤハリ都會地ト農村トノ區別ナク、
  一律ニ配給ナサル御考ヘデアルカ、又農村
  ノ方ニハ雜穀其ノ他ノ物ヲ相當數量獲得サ
  レテアルモノト豫想シテノ配給デアルカ、
  此ノ點御計畫ヲ詳シク御話シ願ヒタイト思
  ヒマス

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• 061・石井英之助

  ○石井政府委員　只今ノ御尋ネハ農村ノ農
  民ニ對スル米ノ配給數量ト、都市ニ於ケル
  一般ノ配給割當數量トノ關係ニ於テ、農村ノ
  農民ニ對シテ特ニ增量ヲ考フルベキデハナ
  イカ、斯ウ云フ御趣旨ノ御質問ト伺ツタノ
  デアリマスガ、此ノ標準割當ト申シマスカ、
  飯米ノ配給數量ノ割當制度ト云フモノニ付
  キマシテハ、目下厚生省其ノ他關係省ト打
  合セヲ致シマシテ、具體的ナ成案ヲ得ルコ
  トニ現在努力ヲ致シテ居ルノデアリマス、
  農村ノ關係ニ付キマシテハ、保有米ノ制度
  ヲ設ケマシテ、管理制度ヲ實行シテ居リマ
  スコトハ御承知ノ通リデアリマス、此ノ保
  有米ノ算定ヲ致シマス場合ニハ、今申サレ
  マシタ事項ニ觸レテ考慮ヲ致シテ居ルノデ
  アリマス、保有米ノ算定ノ基準ニ付キマシ
  テハ、當時發表ニナツテ居リマスノデ、御
  承知ノコトト考ヘマスガ、現在ノ內地ノ米
  ノ需給關係ノ見透シカラ申シマシテハ、到
  底大キナ數量ノ米ヲ農家ニ保有スルコトヲ
  認メルト云フコトハ、非常ニ困難ナ實情ニ
  アルノデアリマスケレドモ、此ノ保有米ノ
  關係ニ付キマシテハ、出來得ル限リノ餘裕
  ヲ取ツタ基準ヲ設ケルトカ云フコトデ、現
  在御承知ノ通リノ基準ガ決マツテ居ルノデ
  アリマス、是ハ消費者ノ方面ニ流シマスル
  米ノ數量ト比較致シマスレバ、相當ノ餘裕
  ヲ取ツテ考ヘテアルノデアリマス、殊ニ屑
  米ノ關係等モアリマスノデ、出來得ル限リ
  ノ餘裕ヲ取ツタ基準デ進メテ居ルノデアリ
  やっ、隨ヒマシテ一般都會方面ノ消費者ニ
  配給シマスル米ノ數量ノ基準ト云フモノハ、
  保有米ノ基準ヨリモ當然ニ低ク致サナケレ
  バナラヌ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、
  サウシテ消費者方面へノ配給數量ノ割當
  ニ付キマシテ、具體的ニドノ程度ニ決定ヲ
  致スカト云フコトニ相成ルノデアリマスガ、
  此ノ問題ハ榮養ノ方面其ノ他カラ考ヘマシ
  テ、非常ニ困難ナ問題デアルコトハ、御承
  知ノ通リデアリマス、理論的ニ見マスレバ
  單ニ米ノ配給數量ダケノ問題デナク、米麥
  其ノ他ノ主要食物ヲ一括致シマシテ、一人
  頭ノ割當ノ基準數量ヲ決定致スト云フコト
  ニ致シマセヌケレバ、榮養ノ見地カラ考ヘ
  マシテモ、又食糧配給ノ公平ヲ期スル上カ
  ラ云ツテモ、完全ヲ期シ得ナイト云フ實情
  ニアルノデアリマス、併シ現在ノ情勢ニ於
  キマシテ、米以外ノ總テノ主要食糧ヲ一括
  致シマシテ、各人ニ公平ニ一定數量ヲ配
  給致スト云フコトハ到底困難デアリマス
  カラ、差當リノ問題ト致シマシテ、米ダ
  ケニ付テ順次配給ノ割當ヲ實行シテ參ラウ、
  斯ウ云フ段取ニ相成ツテ居ルノデアリマス、
  ソコデ具體的ノ基準數量ノ問題ニナリマス
  ガ、是ハ榮養其ノ他ノ見地カラ考ヘマシテ
  干、理論カラ來タ數量ト云フモノト、ソレ
  カラ一方ニ於キマシテハ、政府或ハ縣ニ
  於テ配給上操作シ得ル米ノ數量ガ、ドノ程
  度ニ達スルカト云フ具體的ノ問題ト睨合ハ
  セテ、決定ヲ致サナケレバナラヌト云フ事
  情ニアルコトハ、御承知ノ通リデアリマス、
  所デ政府ナリ縣ナリノ配給上操作ニ使ヒ得
  ル米ノ數量ト云フモノハ、御承知ノ通リ非
  常ニ窮屈ナ狀態ニ立至ツテ居リマスノデ、
  榮養上ノ見地等カラ理想的ト考ヘラレマス
  基準數量ヲ、必ズ此ノ配給割當ニ當ツテノ
  基準數量ニナシ得ルト云フコトハ斷定ヲ
  致シ兼ネルノデアリマス、ソレデ此ノ際
  ハ各人ガ窮屈ナ數量デ、乏シケレバ乏
  シイナリニ公平ニ消費スルト云フ建前
  デ考ヘテ貰ハネバナラヌト云フ事情モ一
  方ニゴザイマスノデ、其ノ決定ニ付キマ
  シテハ非常ニ困難ヲ感ジ、又愼重ヲ期シ
  テ居ルヤウナ次第ナノデアリマス、差當
  リ農林省ト致シマシテハ、非常ニ人口
  ノ稠密ナ六大都市ヲ一ツノ目標ト致シマシ
  テ、其ノ地域ニ於テ配給ノ割當制度ヲ漸次
  實行シテ參リタイト云フ考ヘデ、各府縣當
  局ト協議ヲ進メテ居ルノデアリマスガ、此
  ノ割當制度ヲ實行致シマスルニ付テハ、先
  ヅ基礎的ナ調査ヲ精細ニ致シテ置キマセヌ
  ト計畫ノ實行上支障ヲ生ズルコトハ申ス
  マデモナイノデアリマス、今其ノ調査ヲ折
  角施行シテ居ルノデアリマスガ、其ノ調
  査ノ完了ヲ待チマシテ、具體的ニ基準數量
  等ヲ決定致シテ之ヲ實行ニ移シタイ、斯樣
  ニ考ヘテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ具
  體的ナ基準數量ヲ取ツテノ御答ヘヲ申上ゲ
  ル所マデ立至ツテ居ラヌノデアリマス、サ
  リ乍ラ農村ノ保有米ト比較ヲ致シマシテ、此
  ノ配給割當制ノ數量ト云フモノハ相當低イ
  モノデアルト云フコトハ、申上ゲテ間違ヒ
  ナイト云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマス、
  都會地ニ於キマシテモ一般ノ俸給生活者等
  ト、工場勞働者ト云フヤウナ相當强度ナ勞
  働ニ從事致シマス者トノ間ニハ、相當ノ差等
  ヲ付ケナケレバナラヌト云フ考ヘデ進ンデ
  居ルノデアリマスガ、其ノ勞働者ニ對シマ
  スル增量ニ付テモ、農村ニ於ケル保有米ノ
  程度ニ餘裕ヲ持タセルト云フヤウナコトハ、
  遺憾ナガラ現在ノ狀態ニ於テハ非常ニ困難
  デハナイカト云フ風ニ考ヘテ居ル次第デア
  リマス、御話ノ點ハ十分御尤モニ拜承致シ
  タノデアリマシテ、今後農村ノ方面ニモ、
  漸次此ノ割當ノ制度ヲ寶行シテ參ラネバナ
  ラヌト云フヤウナ狀勢ニ立至リマシタ場合
  三、其ノ點ヲ十分考慮致シマシテ、其ノ
  割當數量ヲ決メテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ
  居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=61

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• 062・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　今具體的ニ基準數量ヲ
  計畫中ダト云フ御話ガアツタノデアリマス
  ガ、今其ノ計畫ガ進メラレテ居ルナラバ、
  "
  農繁期ニ間ニ合フ計畫ニナツテ居リマスカ、
  是ハ間ニ合ハナイト重大ナコトニナツテ參
  リマス、如何ニモ御話ノ通リ農村デアツテ
  モ、都會地デアツテモ、如何ニモ窮迫シテ居
  ル米穀ノ關係ガアリマスノデ、之ヲ公平ニ
  分配スルト云フコトハ、ソレハ其ノ通リニ
  相違ナイノデアリマス、併シナガラ農村ノ
  方ノ今ノ保有米ノ關係ニ依リ數量ノ限度ヲ
  定メラレタノデハ、其ノ數量ダケデハ本當
  ニ平常ノ食糧ノ關係カラ見マスト、餘程減
  少シテ居ルノデアリマス、幸ヒ丁度今月位
  マデハ農村デハ雜穀トカ、其ノ他ノ屑米ヲ
  所有シテ居リマスカラ、ドウニカ間ニ合ツ
  テ居ルノデアリマス、所ガ保有米ト申シマ
  スケレドモ、農村ニハ保有米モナイ小農階級
  ガ澤山アルノデアリマス、デアリマスカラ
  農繁期ニハソレ等ガ却テ購買シナケレバナラ
  ヌ狀況ニ立至ル、其ノ數モ相當多イノデアリ
  やく、殊ニ農民ノ勞働力ハ、是ハ農產物ノ生
  產擴充ノ基確ヲナスモノデアリマス、此ノ基
  確ニ缺陷ガアルト云フコトハ重大ナ問題デア
  ツテ、此ノ基礎ダケハシツカリ飯米ヲ十分
  ナラシメナイト、勞働力ニ相當ナル影響ガ
  アルト思ハレル、ダカラソレガヤハリ均衡
  ヲ保ツテ、皆ガ我慢シナケレバナラヌト云
  フコトダケハ能ク分ルケレドモ、生產擴充
  ノ基礎ヲナスモノニ對シテハ、相當ナル油
  ヲ注イデ、自由ニ買ヒ得ルヤウニ供給シナ
  ケレバ、私ハイカヌト思フノデアリマス、
  ソレヲ唯一般國民ト同樣ニ我慢シナクテハ
  ナラヌ、勞働者デアルカラ數量ヲ幾ラカ增
  サウト云フ位ノ程度デハ好成績ハ擧ゲラレ
  ナイ、今日ノ生產擴充ノ目的ヲ達シ得ラレ
  ナイト私ハ考ヘマス、隨テ今其ノ計畫ガ立
  ツテ居ナイナラ論議ノ仕樣ガナイガ、此ノ
  計畫ハ急速ニ解決ヲ付ケテ戴キタイト思ヒ
  マス、此ノ點若シ計畫ガ進メラレテアルナ
  ラバ、急速ニ見透シガ付クモノデアルカ、
  ソレトモマダ程遠イモノデアルカト云フコ
  トヲ伺ハヌト、農民ハ安心出來マイト思ヒ
  マス
  モウ一ツ、是ハ局長サンノ關係カドウカ
  存ジマセヌガ、農村ノ魚ノ配給デアリマス、
  今申上ゲタヤウニ、是ハ水產局ノ關係モア
  リマセウガ、日一日ト配給ガ不能ニナツテ
  シマツテ、今私共ノ方デハ、魚ヲ肩ニ擔イ
  デ賣リ步ク商人ガ、一々農村ノ片田舍ヲ廻
  ツテ、雜穀其ノ他ト物々交換ニ依ツテ魚ヲ
  配給シテ居ルノデアリマス、所ガ今囘此ノ
  統制ニ依ツテ、雜穀其ノ他屑米等モ販賣ス
  ルコトガ出來ナイ、卽チ物々交換ガ不能ニ
  ナツタノモ大キナ原因ガアリマス、又鹽魚
  ガ先刻申上ゲタヤウニ、製造元ガ出來ヌト
  云フ關係ガアリマス、ソレカラ鮮魚ノ方ニ
  於キマシテモ、公定ニ依ツテ一步デモ進ム
  ト、ソレダケノ運賃ノ損ガアルト云フ狀況
  デアリマシテ、皆海岸ノ隣接地ニ於テ消化
  サレテ居ルヤウナ狀況デアリマス、斯樣ナ
  譯デ山嶽地帶デハ榮養ト云フコトハ飯米ノ
  關係、魚ノ關係等色々チ關係デ、相當ニ低
  下シテ居ル現狀デアルノデアリマス、此ノ
  對策ニ付テ何カ御考ヘガナケレバナラヌモ
  ノト私ハ考ヘルノデアリマスガ、其ノ方ノ
  御計畫ガアルカドウカ、併セテ御示シヲ願
  ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=62

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• 063・石井英之助

  ○石井政府委員　只今私共ノ方デ計畫ヲ致
  シテ居リマスノハ、先程モ申上ゲマシタヤ
  ウニ、六大都市ヲ中心ニ致シマシテ、其ノ
  六大都市ニ於ケル配給統制割當制ヲ實行ス
  ルト云フコトノ準備ナリ、計畫ナリヲ進メ
  テ居ルノデアリマス、此ノ六大都市以外ノ
  地方ニ於キマシテ、ドノ程度ノ配給割當制
  度ヲ實行致スカト云フコトハ、マダ決定ヲ
  致シテ居ラヌノデアリマス、唯其ノ他ノ府
  縣ニ付キマシテハ、其ノ府縣全體トシテノ
  消費數量ノ標準ヲ決定致シマシテ、〓〓〓
  體ノ消費數量ノ範圍內デ、各府縣ニ於テソ
  レゾレ適宜ト認メル方法ヲ實行シテ居ルト
  云フノガ現狀デアリマス、是ハ昨年ノ五、六
  月頃、十五米穀年度ノ下半期ノ應急的對策
  トシテ、今申上ゲタヤウナコトヲ實行致シ
  タノデアリマス、其ノヤリ方ニ付キマシテ
  ハ、種々意見モアリ、又吾々ト致シマシテ
  モ改善ヲ要スベキ點ガアル、斯樣ニ考ヘテ
  居リマスノデ、昨年ノ五、六月頃ニ決定ヲ致
  シマシタ當該縣ノ全體トシテノ消費數量ノ
  決定ヲ、實情ノ進行ニ伴ヒマシテ、漸次改善
  シテ參リタイ、其ノ爲ノ協議ヲ近ク各府縣
  ト實行致シタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル
  ノデアリマス、隨ヒマシテ六大都市所在ノ
  府縣以外ノ府縣ニ付キマシテハ、一人頭ノ
  基準數量ヲ幾ラニスルト云フヤウナ決定ヲ
  近クスルト云フ計畫ニハ相成ツテ居ラヌノ
  デアリマス、其ノ縣全體トシテノ消費數量
  ノ範圍內デ、如何ナル方法ヲ執ルカト云フ
  コトハ、其ノ縣ニ於テ機宜ノ措置ヲ執ツテ
  貰フト云フコトニ致シマシテ、割當等ノ實
  行ニ際シテハ、具體的ニ協議ヲシテ貰フト
  云フ程度デ、現在ハ進行シテ居ルノデアリ
  さく、併シ漸次米ノ配給統制ガ進行スルニ
  連レマシテ、全國的ニ出來ルダケ公平ヲ期
  シ得ル方法ヲ執ラナケレバナラヌト云フコ
  トハ申ズマデモナイノデアリマス、斯樣ナ
  關係デ考ヘテ居ルノデアリマス、併シ何分
  ニモ非常ニ大量ナモノデアリ、他ノ麥類其
  ノ他ノ需給ノ關係モゴザイマスノデ、全國
  一齊ニ畫一的ナ方法デ消費者ニ對スル配給
  ノ割當ヲ實行スルト云フ所マデハ、中々行
  キ兼ネテ居ルヤウナ實情デアリマス、右御
  答ヘ致シテ置キマス

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• 064・周東英雄

  ○周東政府委員　農村ノ勞働力ノ維持ノ點
  カラ見マシテモ、又保健上ノ問題カラ言ヒ
  マシテモ、〓糧ノ供給ニ關シマシテハ、單
  ニ數量ダケノ問題デナク、榮養上ノ問題ヲ
  相當考ヘナクテハナラヌ、ソレニ付テハ、
  特ニ動物質蛋白ノ給源デアル魚ノ供給ヲ豐
  富ニシナケレバナラヌガ、現在ノヤウナ公
  定價格ノ決メ方デハ、農山村マデハ中々鰮
  ヤ秋刀魚等ガ廻リニクイノデ、ソレ等ニ對
  スル對策ハドウカト云フ御質問ノヤウニ伺
  ヒマシタ、私共モ農山村ニ對シテ、榮養ノ
  給源トシテ魚類ノ配給ガ圓滑ニ行カナケレ
  バナラヌト云フコトニ付テハ、全ク同感デ
  アリマス、之ニ對シマシテハ現在ノ公定價
  格ノ決メ方ニ付テ、ドウモ不備ナ點ガアル
  ト云フヤウナ事柄ハ、色々ナ方面カラ聞カ
  サレテ居ルノデアリマス、丁度御承知ノヤ
  ウニ、一月二十一日カラサウ云フ生鮮〓料
  品等ノ價格問題ニ關シマシテハ、機構ノ調
  整ニ依リマシテ、全部農林省デ今後管轄シ
  テ參ルコトニナツタノデアリマスカラ、只
  今ノ所ソレ等ノ問題ニ付キマシテ、凡ユル
  方面ノ資料ヲ集メ、御意見ヲ伺ヒマシテ、
  魚ノ公定價格ノ問題ニ付キマシテハ愼重ニ
  檢討ヲ加ヘツツアルノデアリマス、唯私共
  考ヘマスノニハ是等ノ問題ハ唯公定價格
  ノ問題ダケデ解決スルノデハナクテ、ドウ
  シテモ配給機構ノ整備ト言ヒマスカ、サウ
  云フコトト關聯シテノ價格ノ決メ方デナイ
  トイケナイノデハナイカ、斯樣ニ考ヘテ居
  リマスノデ、只今農林省內ニ於キマシテ關
  係局-食品局或ハ水產局等ト密接ナ連絡
  ヲ執リマシテ、是等ニ付テ愼重檢討ヲ加ヘ
  ツツアルノデアリマス、若シモソレニ付テ
  缺點ノ點ガアリマスレバ、至急ニ改メルコ
  トニ付キマシテ吝ナルモノデハゴザイマセ
  ヌト云フコトヲ、申上ゲテ置キタイト思ヒ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=64

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• 065・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　次ニ馬政局ノ方ニ御伺
  ヒ致シタイト思ヒマス···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=65

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• 066・村上國吉

  ○村上委員長　一寸待ツテ下サイ-吉植
  君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=66

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• 067・吉植庄亮

  ○吉植委員　政府ガ輸入シテ居リマス外米
  ヲ拂下ゲマス價格ハ幾ラデゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=67

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• 068・石井英之助

  ○石井政府委員　非常ニ具體的ナ御質問デ
  ゴザイマシタガ、此ノ拂下ノ價格ハ、外米
  ノ產地、ソレカラ到着ノ時期、買付ノ時期
  ニ依リマシテ、外米ノ價格ハ現在非常ニ相
  違ヲ致シテ居ルノデアリマス、左樣ナ關係
  ニアリマスルノデ、外米ノ拂下ノ價格ト云
  フモノハ、今日マデ發表ヲ致サズニ參ツテ居
  ルノデアリマス、隨ヒマシテ此ノ際其ノ御
  說明ヲ申上ゲルコトヲ差控ヘマシテ、他ノ
  適當ナル機會ニ申上ゲルコトニ致シタイト
  思フノデアリマス、左樣御諒承ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=68

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• 069・吉植庄亮

  ○吉植委員　時ニ依リマスト二割位デ濟ミ
  マスガ、時ニ依ルト七割モ外米ヲ混ゼタ米
  ヲ國民ハ〓ベテ居リマス、其ノ時ニ一體外
  米ノ價格ガ幾ラデ賣渡サレテ、幾ラデ國民
  ノ口ニ入ルノカト云フ點ガハツキリシテ居
  リマセヌト、政府ガ低米價政策一本槍デ進
  ンデ居リマス此ノ時ニ、是ハ政治問題トシ
  テモ容易ナラナイ問題ト思ヒマスカラ、是
  ハ事務官ニ御聽キシマシテモ出來ナイト云
  フ話デアリマスカラ、大臣ガ御出席ノ時ニ、
  大臣ニ一ツ此ノ點デ政治的解決ヲドウスル
  カト云フコトヲ御願ヒスルコトニシマシテ、
  ソレデハソレハ打切リニシマス、サウシマ
  スト、次ニ此ノ外米ノ入リマス場合、例
  バ或ル場合ニハ七割混ジル、或ル場合ニハ
  二割混ジル、斯ウ云フ際ニ、此ノ販賣價格
  ト云フモノガ、其ノ入ツタ時ノ値段ノ高イ
  時ニハ値段ガ高クナリ、安イ時ニハ安クナ
  ルノデアリマセウカ、或ハ一律一體ニ外米
  價格ト云フモノハ、定マツテ賣買價格ニ割
  込マレルノデアリマセウカ、ドチラデアリ
  マセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=69

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• 070・石井英之助

  ○石井政府委員　是ハ外米ノ拂下價格ハ諸
  種ノ事情ヲ考慮致シマシテ、非常ニ時期的
  ニ變動ヲ致スコトノナイヤウニ、一定ノ價
  格デ拂下ヲ實行致スコトニ致シテ居ルノデ
  アリマス、隨ヒマシテ短期間ニ外米ノ拂下
  價格ヲ變動セシメテ、其ノ爲ニ小賣價格ヲ
  其ノ都度變更スルヤウナコトノナイヤウニ
  ト云フコトデ決定ヲ致シテ、實施ヲ致シテ居
  ルノデアリマス、隨テ外米ノ種類其ノ他ニ
  依リマシテ、時々小賣價格ヲ變更シナケレ
  バナラヌト云フヤウナ必要ノナイヤウニ致
  シテ實行致シテ居ルノデアリマス

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• 071・吉植庄亮

  ○吉植委員　サウシマスト、先程石井政府
  委員カラ御話ノアリマシタ外米ノ價格ハ、
  時ニ依リ產地ニ依リ變動ガアルカラ、斯ウ
  云フモノハ發表シナイコトニナツテ居ルト
  云フコトデアリマシタガ、併シ數字ハ發表
  ニナラナクトモ、常ニ一貫シタ一本ノ線デ
  値段ヲ定メテ拂下ゲテ居ル、或ハ一年間ヲ
  通ジテ一本デ行カナカツタラ、セメテ一年
  間ニ二本カ三本デ拂下ゲテ居ルノダ、斯ウ
  云フヤウニ解釋シテ宜シウゴザイマスカ

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• 072・石井英之助

  ○石井政府委員　御話ノ通リデアリマス、
  唯先程申上ゲマシタコトニ付テ、言葉ノ足
  リマセヌ點ヲ一ツ追加致シテ置キタイト思
  フノデアリマスガ、外米ノ買入價格ハ、先
  程モ申上ゲマシタヤウニ、產地ニ依リ、買
  付ノ時期ニ依リ相當變動ヲ致スノデアリマ
  ス、デアリマスルノデ、コチラデ拂下價格
  ガ幾ラ〓〓デアルト云フヤウナコトガ明瞭
  ニ相成リマスコトハ、結局其ノ產地ニ於ケ
  ル買付其ノ他ニ、直チニ敏感ニ影響シテ行
  クト云フヤウナ關係モアリマスルノデ、ソ
  コデ拂下價格ト云フモノハ從來之ヲ發表ス
  ルコトヲ差控ヘテ參ツテ居ルト云フコトヲ、
  先程モ申上ゲタノデアリマス、時ニ依ルト
  非常ニ之ヲ變動セシムルガ故ニ、發表スル
  コトガ出來ナイノダト云フ意味デハゴザイ
  マセヌカラ、其ノ點ハ左樣ニ御承知置キヲ
  願ヒタイト思フノデアリマス

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• 073・吉植庄亮

  ○吉植委員　サウシマスト、今度例ヘバ內
  地米ニ對シテ五割外米ガ混入ニナツタ際ノ
  市中販賣價格ハ、內地米ノミノ米ニ比較シ
  テドノ位ノ安値ニナツタノデセウカ

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• 074・石井英之助

  ○石井政府委員　外米ト內地米トヲ混入致
  シマシテ賣却スル場合ノ小賣最高價格ハ、
  非常ニ明細ニ混合率ニ依リマシテ決定ヲ致
  シテ居ルノデアリマス、今御尋ネノ、外米
  ノ五割入ツタ場合ニ內地米一本ノモノト比
  較シテドレダケ違フカ、ト云フ御尋ネニ付キ
  マシテハ、後刻調ベマシテ御話ヲ申上ゲル
  コトニ致シマス、只今手許ニ一寸資料ガゴ
  ザイマセヌノデ、取調ベタ上御答ヘヲ致シ
  マス

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• 075・吉植庄亮

  ○吉植委員　米穀會社ガ昨年度ニ於テハド
  ウ云フ實利ヲ擧ゲテ居リマセウカ、臺灣朝
  鮮カラ來マス米ヲ取扱ヒマシタ手數料ハド
  レダケニナツテ居リマセウカ

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• 076・石井英之助

  ○石井政府委員　米穀會社ノ成績ハ昨年度
  ニ於キマシテハ、臺灣米ノ移入數量ト云フ
  モノガ相當ニ減少致シマシタ爲ニ、非常ニ
  困難ヲ致シタノデアリマスガ、其ノ他ノ業
  務ニ於キマシテ稍〓收入ノ殖エタ點モゴザイ
  マシテ、六分ノ配當ヲナシ得ルヤウナ成績
  ヲ擧ゲタノデアリマス、臺灣米ノ取扱數量
  ニ依ル手數料其ノ他ノ關係ニ付キマシテハ、
  是モ甚ダ恐縮デアリマスガ、今具體的ノ數
  字ノ資料ヲ持ツテ參リマセヌノデ、調ベテ
  御答ヘ申上ゲタイト思ヒマス

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• 077・吉植庄亮

  ○吉植委員　是ハ後程御出席ノ農林大臣ニ
  對スル質問ニ關聯シテ居リマスカラ、成ベ
  ク早ク御調ベ願ヒタイノデアリマス、ソレ
  カラ國家管理ヲ施行サレマシテカラ掛リマ
  シタ費用竝ニ豫算トヲ合ハセマシテ、大體
  一年間ドレ位掛ルコトニナツテ居リマセウ
  カ、先般ノ二千何百万圓カノ豫算デ全部ナ
  ノデアリマセウカ

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• 078・石井英之助

  ○石井政府委員　手數料ノ點ハ至急調ベテ
  申上ゲマス、管理制度ノ實施ニ伴ヒマシテ
  ノ必要ナ諸經費ハ、先般申上ゲテ居ル費用
  デ全部ソレデ賄フト云フコトニナツテ居ル
  ノデアリマシテ、アレ以外ノ經費ハ豫算デ
  ハ認メラレテ居ラヌノデアリマス、十六米
  穀年度一杯ノ經費トシテ、アノ程度デ賄ヒ
  ヲ付ケルノデアリマス

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• 079・吉植庄亮

  ○吉植委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

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• 080・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　私ハ馬政局ノ方カラ御
  尋ネ致シマスガ、農地開發營團ノ設定竝ニ
  空閑地ノ利用等ニ依リマシテ、目下急迫セ
  ル食糧問題ヲ解決シヨウト云フコトデ進メラ
  レテ居ルノデアリマスガ、此ノ結果ハ馬ノ
  飼料ト重複スル問題ガ各地ニ出來テ來ルダ
  ラウト思フノデアリマス、假ニ牧野法ニ依
  ツテ育成サレタ土地ガ、畑地竝ニ近接シテ
  居ル開拓地ナドニ依ツテ其ノ方ニ押サレルノ
  デハナイカト思ハレル、又國家ノ要請ニ依ツ
  テサウ云フ風ニ解決スベキデアルト考ヘテ
  居ルノデアリマス、隨テ牧野ノ關係ハ山岳地帶
  ヲ移動シテ來ルコトハ是ハ當然デアラウト
  思フノデアリマス、唯ココニ題題トナルノハ、
  勞力ノ題題モアリマスシ、飼料ノ關係モア
  ル、サウ云フ方面デ愈〓、馬產經濟ト云フモノ
  ガ日一日ト困難ヲ來スコトニナラウト私ハ
  想像スルノデアリマス、殊ニ今日ノ小學校
  〓員ノ增俸問題、臨時手當ト申シマスカ、
  此ノ關係上內務省ノ警察官、其ノ他內務省
  關係ノ役人モ皆增俸セラレル、其ノ他司法
  デモ、農林デモ、一切增俸ヲ見ルニ相違ナ
  イト思フノデアリマス、隨テ地方ノ產業組
  合トカ、或ハ商業組合ノ方面モ增俸ヲ見ナ
  ケレバナラヌコトト思フ、假ニ增俸ノ名目
  デナクトモ「ボーナス」トカ、其ノ他ノ形ニ
  依ツテ增額サレルト思フノデアリマス、是
  ガ馬ノ方ノ技術的ニ關聯スル牧夫等ニモ影
  響ガアリマシテ、益〓困難ヲ加ヘルコトト
  思フノデアリマス、之ニ對處シテ農產物ノ
  方デハ今囘三千万圓ノ助成ヲ政府ノ方デ御
  心配サレタヤウデアリマスガ、馬ノ育成ニ
  對シテ困難ヲ來シテ、中々增產計畫ニ御心
  配ナサレテ居ルニ拘ラズ、今日ノ情勢上巳
  ムヲ得ズ其ノ他ノモノハ色々ノ方面デ增俸
  等ニナツテ居ル、或ハ助成等ノ增額ヲ見テ
  居ルノデアルガ、馬其ノ他ノ畜產ハ取殘サ
  レテ居ル、所デ畜產ノ中デモ一番生產ニ困
  難ヲ來ス馬ダケハ一番此ノ打撃ヲ受ケルコ
  トニナルデアラウト思フノデアリマス、
  ソコデ此ノ對策トシテ何カ立テナケレバナ
  ラヌト思ヒマス、先ヅ馬政局自體ニ於テ、
  今其ノ儘デ解決ヲ付ケルコトヲ急速ニ解決
  スベキダト考ヘテ居リマス、ソコデ私馬ノ
  方ヲヤツテ經驗ヲ持ツテ居リマスガ、先ヅ
  馬政局ニ於テ資質ノ改善、竝ニ經濟問題ヲ
  解決シテ行ク、馬ノ質ヲ改善スルト云フ問
  題ハ何ト云ツテモ種馬ノ良否ト云フコトガ
  第一條件デアルト思フノデアリマス、就中
  種牡馬ノ良質ヲ配合遺傳スルト云フコトガ
  最モ重要ナコトデアリマシテ、馬產經濟ト
  云フ問題カラ云ヒマシテモ、優良種牡馬ヲ
  配合シテ、良質ナ馬ノ生產育成スルコトト
  然ラザルモノヲ生產育成スルコトハ、前者
  ノ方ハ自然的ニ惠マレテ居ルニ比シ、後者
  ノ方ハ勞シテ效ナキ場合ガ多イノデアリマ
  ス、サウ云フ關係デアリマシテ、馬產ノ經
  濟化ハ良質馬ノ生產ガ第一要件ト相成ルト
  思フノデアリマシテ、質ノ改善ニモ、馬ノ
  經濟化ニモ、優良種牡馬ノ配合ヲ第一條件
  トスルト云フコトハ、馬產ニ經驗ノアル方々
  ガ何人モ疑フ餘地ノナイ所デアリマス、
  然ルニ我ガ國ノ軍ニ於テ要求スル所ノ低身
  廣軀四肢强健、斯ウ云フ立派ナ馬ノ種牡馬
  ハ、國ノ所有シテ居ルモノニ何頭アルノデ
  アリマセウカト云フコトヲ檢討スル場合ニ
  於テ、中々種牡馬ト云フモノハサウ良質ノ
  モノヲ獲得スルコトハ困難デアリマシテ、
  此ノ良質馬ノ生產ト云フ方面ニ對シテハ相
  當ノ缺陷ガアルノヂヤナイカト私ハ考ヘテ居
  リマス、今日馬事思想ノ普及トカ馬ノ鍛鍊
  ノ上カラ、競馬等ニ對シテハ最近非常ナ熱
  意ヲ籠メテ居ルヤウデアリマスガ、固ヨリ
  是等ノコトモ必要ニハ相違ナイノデアリマ
  スケレドモ、第一ニ馬政方針ノ改革ト云フ
  問題ニ付テ、優良種牡馬ノ生產育成ニハ
  未ダ尙ホ大キナ缺陷ガアルヤウニ私ハ思フ
  ノデアリマス、今日體幅骨量ニ富ム馬ヲ要
  求シテ居ルノデアリマスガ、是等ハ此ノ前
  ノ議會ニモ申上ゲタノデアリマスガ、單一
  體幅骨量ニ富ム種類ノ馬ト言ヘバ、詰リ「ペ
  ルシュロン」ト申シマスカ、之ヲ配合ニ依ツ
  テ血液混入ヲスル、ソレデ體幅骨量ヲ充ス
  ト云フ所ノ彌縫的ナ傾向ガ多分ニアルノデ
  アリマス、所ガ軍ノ方ニ於テモ、戰地ノ南
  方方面ニ於キマシテモ、「ペル」ノ混血ヲ好マ
  ザル傾向ヲ近時明カニシテ參ツタノデアリ
  マス、又一口ニ軍馬ト申シマシテモ輓馬モ
  駄馬モ乘馬モアリマス、特ニ此ノ乘馬ニア
  リマシテハ「ペル」ノ混血ハ固ヨリ望マナイ
  所デアル、ソコデ唯體幅骨量ニ富ム馬ト云
  フ條件ニ應ゼンガ爲ニ、實際ニ此ノ馬ハ「ペ
  ル」種デアリマシテモ、血統證ニ「ペル」ノ混
  入ノ證明ガナケレバ、之ヲ乘馬トシテモ配
  合スルトカ云フヤウナ傾向モアリマス、是
  ハ何ガ一番原因シテ斯ウ云フコトニナツテ
  居ルカト云ヘバ、ヤハリ馬ノ生產育成ニ此
  ノ方ガ簡易デアリ速成デアル、又國ノ方デ
  之ニ飛ビ付イテ購買スル、斯ウ云フコトニ
  ナツテ居ルノデアリマスカラ、惡イト思ヒナ
  ガラモ急速ニ經濟化スルコトニ向ツテ皆生
  產ヲ急グ結果ガ、斯ウ云フ缺陷ニナツタノ
  デアルト思ヒマス、固ヨリ外國輸入ガ望ミ
  得ナイ今日ニ於テハ、日本特有ノ馬ハ日本
  デ條件附ケラレタ規格ニ依ツテ生產育成ヲ
  シナケレバナラヌト思フノデアリマス、固ヨリ
  ㄱペル」ノヤウナアア云フ體幅デ活動力ノ鈍
  イ馬モ「サラブレット」ノヤウナ速度重點主
  義デ生產スル馬モ、同ジ動物ヲ色々ナ文化
  ノ進展ニ依リマシテ、人工的ニ必要ニ應ジ
  テ改良ヲ加ヘタモノダト私ハ思フノデアリ
  マス、此ノ我ガ國ノ種牡馬ヲ輕種ハ輕種其
  ノモノニ於テ「アングロノルマン」ハ「アン
  グロノルマン」其ノモノニ於テ、其ノモノノ
  體幅骨量ニ富ム馬ヲ完備セシメルコトニ依
  ツテ、初メテ軍ノ要求ニ合致スルト私ハ思
  フノデアリマス、ソレガ餘リニ體幅骨量ノ
  ミヲ見テ、其ノ本當ノ目的ヲ忘レテ居ルヤ
  ウナ感ガスル、餘リニソレニ走リ過ギテ居
  ルヤウナ狀況ナノデアリマス、是ハヨリ以
  上ニ深入リスルトモウ取返シノ付カナイヤ
  ウナ狀況ニナルノデ、今之ニ急速ニ「ブレー
  キ」ヲ掛ケル必要ガアルト思フノデアリ
  ママ、サウシテ此ノ體幅骨量ニ富ム良イ馬
  ヲ、其ノ種類別ニ依ツテ獲得スル〓究機關
  ト云フモノヲ農林省ガ持ツテ居ラヌト私ハ
  考ヘテ居ルノデアリマス、如何ニモ種馬育
  成場トカ牧場ト云フ所デハ、生產モヤリ、
  育成モヤツテ居ルガ、是ハ從來ヤリ來リマ
  シタヤリ方デ、ソレニ何等豫算ノ增額ヲ見
  ズシテ、良イモノガ出來タラ種トシテ取ラ
  ウト云フコトニ過ギナイ、質ノ良ク生レタ
  モノニ對シテ之ニ體幅骨量ヲ加ヘヨウト云
  フ、一步進ンダ努力ガ之ニ備ハツテ居ラヌ
  ト云フコトヲ私ハ遺憾トスル者デアリマス、
  此ノ際飼養管理ノ徹底、育成ノ改善、卽チ
  乘馬運動或ハ輓曳、駄載運動等ニ依リ、體
  幅骨量ノ增强、步樣ノ進步等ヲ圖ルベキ機
  關ヲ設ケテ、徹底セル〓究ニ依ツテ所謂人
  工的ニ理想的ナ種馬ノ生產育成ノ機關ヲ整
  備シナケレバナラヌモノト考ヘテ居ルノデ
  アリマス、此ノ點ハ民間ノ方ニモ多クノ種牡
  馬ヲ是レマデノ通リ將來モ要求スルト云フ
  コトニナリマスト、ヤハリ民間ノ方ニモソ
  レニ向ツテ進ムベキヤウニシ、「ペル」式ニ依
  ツテ體幅骨量ヲ備ヘタモノノミニ購買ノ方
  向ヲ仕向ケルコトナク、實際ニ「アングロ·ノ
  ルマン」或ハ輕種ニ近イ所ノ中間種ニ依ツ
  テ、軍ノ本當ニ要求スル馬ニ合致シタル所
  ノモノノ生產育成ニ努力ヲシテ、其ノ效果
  ヲ現ハシタルモノハ特ニ購買ノ程度ヲ高メ
  テ行ク、或ハ指導方針ヲ何カニ依ツテ設ケ
  テ、其ノ方ニ重點ヲ置キ、其ノ方ニ仕向ケ
  テ、ヤハリ民間ノ方デモ生產育成ヲ圖ルト
  云フコトニナラナケレバナラヌ、民間ハ經
  濟的ニ敏感ニ働キ掛ケルト云フコトハ御承
  知ノ通リデアル、今ノ制度デ唯太イ體幅ト
  云フコトノミヲ考ヘテヤツテ居ルヤウナコ
  トデハ、是ハ今申シタヤウニ相當ニ此ノ方
  面ニ缺陷ガアルト思フノデアリマス、之ヲ
  急ニ改メル爲ニ、種馬ノ完備ニ依ツテ、其
  ノ血液遺傳ニ依リマシテ、生レナガラニシ
  テ良質ニシテ、之ヲ簡易ニ軍馬トシテ整備
  スルヤウナ方法ガ出來ルト云フコトハ、經濟
  的ナ方面カラ申シマシテモ、或ハ質ノ改善
  カラ申シマシテモ、最モ急ヲ要スル問題ダ
  ト私ハ考ヘルノデアリマス、之ニ向ツテ何
  カ斯ウ云フ周圍ノ事情デ、總テノ物價對策ヲ
  餘儀ナクセシメ、俸給ノ增額其ノ他生產物
  ニ對スル助成費ノ增額等ヲ政府ガヤラレル
  ニ對照致シマシテモ、又ソレガナクトモ此
  ノ方面ハ一段ト力ヲ入レラレナケレバナラ
  ヌト考ヘテ居リマス、馬政局ノ御意見ヲ伺
  ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=80

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• 081・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　只今小笠原サンノ御意見
  ハ極メテ御尤モナコトデゴザイマシテ、私
  共及バズナガラ御意圖ニ副フヤウニ〓究ヲ
  致シテ居ルノデゴザイマス、其ノ中デ良質
  ノ種牡馬ヲ更ニ體幅骨量ヲ富マセルヤウニ
  サセマスニ付キマシテハ、今年カラ少額デ
  ゴザイマスガ、來年度ノ豫算ニ組入レマシ
  テ、更ニ來年度カラ之ヲ增額致シマシテ、
  所謂種馬ノ能力增進施設ト云フモノヲ作ツ
  テ行キタイト考ヘテ居リマス、尙ホ學問的
  ニハ之ヲ〓究スル機關ヲ御承知ノヤウニ馬
  事綜合〓究所ト云フモノヲ作リマシタノデ、
  マダ事業ヲ開始シテハ居リマセヌガ、此處
  ニ於テ根本的ニ良質ノ馬ヲ如何ニシタナラ
  バ體幅骨量ヲ富マスコトガ出來ルカト云フ
  コトニ付テハ將來〓究ヲ致シテ行キタイト
  存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=81

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• 082・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　今日此ノ種牡馬ノ良質
  ノモノガ何故ニ生產ガ鈍ツテ居ルカト云フ
  コトノ重大ナ原因ガアルト私ハ思フノデア
  リマス、種牡馬ノ購買ト云フノハ農林省ノ
  獨占ニ決メラレタノデアリマス、ソコデ價
  格モ自然農林省ノ自由ノ購買ニ公定付ケラ
  レタノデアリマス、其ノ價格ヲ見マスト、
  米ガ非常ニ安價ナ時代-米ガ安イト問題
  ニナツテ居ル今日ノ米價ニ比較シテモ尙ホ
  半分ニモ足ラザル時代ノ十年、二十年前ノ時
  ノ種牡馬ノ農林省ノ購買ト比較ヲ致シマスル
  ト、如何ニモ平均價格ニ於キマシテハ、多
  少ハ增額サレテ居リマス、所ガ今日馬質ハ
  向上致シマシタノデ、下級馬ノ六百圓程度
  ノ種馬ノ購買ト云フノハ如何ニモ千二百圓
  ニ引上ゲラレタノデアルガ、優良ノ候補種
  牡馬ノ購買ニ至ツテハ、十年、二十年前マ
  デハ二歲デ四千圓、四千五百圓ノ馬モ相當
  ニアツタ、況ヤ三歲ニ至ツテハ相當ノ價格
  ニ購買サレタノデアリマス、ソレガ今日ハ
  三歲デスラ最高三千圓ニ抑ヘル、而モ其ノ
  頭數ハ極メテ少數ト云フコトニナヅテ居ル
  ノデアリマシテ、ドウモ優良デアレバアル
  程、進出力ヲ斷タレタ感ガスルノデアリマ
  ス、隨テ宜イ加減ナモノ、ドウニカ種牡馬
  ニナルカナラヌカト云フヤウナ馬ガ馬商ニ
  於テ安價ニ求メラレ、ソレヲドウニカ手當
  スルト、十頭ノ中デ半分位當ル、サウスル
  ト間ニ合フ程度ニ賣ルコトガ出來ルノデ、
  其ノ方ガ經濟的デアルガ、本當ニ優良ナモ
  ノニ力ヲ入レテ、國家ガ種馬トシテ一段ト
  良イ馬ヲ出サウト云フコトニ重點ヲ置カレ
  ルナラバ、相當ナ價格-相當ナ人件費其
  ノ他育成ノ飼料一切ノモノヲ加ヘタ價格デ
  ナケレバ完備シタ馬ハ出來ナイ、出來タ所
  デ、ドンナニ良ク出來テモ一一千五百圓トカ
  三千圓デ抑ヘラレテシマフ、隨テソレヲ出
  來サウト考ヘル者ガナクナツタト云フコト
  ガ原因トナツテ、優良ナ種馬ガ出ナクナツ
  タト云フヤウニ考ヘマス、ドウモ馬產ノ經
  濟化ト云フコトニ對シマシテ、種馬ノ價格
  ヲ上ボセルコトハドウモ馬ノ方ノ經濟化ト
  副ハナイヤウナ關係ヲ言フ人モアルケド
  モ、ソレハ金ト云フモノニケチ〓〓スルコ
  トト、一般馬ニ對スル經濟化ト云フコトト
  矛盾シタ考ヘガアルノヂヤナカラウカト思
  フノデアリマス、ソレ等ヲ混合シテ考ヘル
  ノハ、馬ニ經驗ノナイ方々ノ言フコトデア
  ツテ、種ヲ益〓向上發達セシムルコトニ努
  メテ、優良馬ノヨリ多クノ數ヲ求メルト云
  フコトハ、色々ナ方面ニ於テ是マデ申上ゲ
  タ通リ、良質生產ヲシテ其ノ經濟化ヲスル
  ノダト云フコトニ歸着スルノデアリマス、
  種ノ良質ノモノヲ益〓向上發達セシムルト
  云フコトニ對シマシテハ、此ノ方ニ、モウ
  少シ幅ノアル購買力ヲ持タセナケレバイカ
  ヌト思フ、然ラバ政府ノ方デ馬ノ價格ニ付
  テ認識ガナイカト申シマスルト、現在アナ
  タノ所ノ馬產部長ハ種馬ニ對シテノ經驗
  者此ノ方面ニ對シテノ權威者デアラレル
  ノデアリマス、其ノ方々ハ牝馬ヲ求メルノ
  三五一、全國ニ優良ナ生產ヲ致サセヨウ、
  サウシテ國家ガ之ヲ經營シヨウト云フ場合
  ニ於テ、之ヲ民間、北海道或ハ東北地方ニ
  求メテ、六、七頭ヲ購買スルニ當ツテ、
  頭三千五百圓デ購買シテ居ラレル、ソレダ
  ケノ金ヲ出サナケレバ求メラレナイ、牝馬
  デサヘサウデアリマスガ、牝馬ハ一頭デ一
  頭シカ生マナイ、牡馬ノ方ハ一頭デモ少ク
  トモ五十ヤ七十、八十マデ能率ヲ擧ゲテ居
  ルノデアリマス、其ノ牡馬ヲ買フノニ、數
  ガ多イカラト云フノデ、豫算ノ關係上單價
  ヲ上セルトカ云フコトヲ大藏省ガ聽カヌト
  カ色々ナ理窟ヲ聞イテ居ルノデアリマスガ、
  國家ノ重要生產物ニ對シテ、馬ノ價格ト云
  フコトヲ牝デスラ認識シテ居ルニ拘ラズ
  牡馬ニ對シテハ周圍ノ事情ニ抑ヘラレテ進
  出ガ出來ナイデ居ルト云フコトハ、今日ノ
  馬ノ經濟化ト云フコトニモ、質ノ改善ト云
  フコトニモ、重大ナ影響ガアルト思ヒマス、
  此ノ關係ヲ打破シテ何トカソコニ優良種牡
  馬ヲ獲得スルト云フコトニ施設ヲナサレル
  所ノ御英斷ガナケレバナラヌト思フノデア
  リマス、其ノ御決心ヲ伺ツテ置キタイト思
  ヒマス

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• 083・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　只今ノ御意見モ御尤モデ
  ゴザイマシテ、私共ノ努力ガ足リマセヌ爲
  ニ、大藏省カラ多少ナリトモ增額シテハ居
  リマスガ、御希望ノヤウニ行ツテ居リマセ
  ヌノデ、是ハ今後トモ努力ヲ致ス考ヘデゴ
  ザイマス、尙ホ本當ニ優良ナル種馬ニ對シ
  テハモツト價格ヲ上ゲテ、寧ロ一番低イ方
  ノ馬ニ對シテハ價格ヲ下ゲテモ、上ノ方ニ
  上ゲロト云フ御意見モ御尤モノコトデアリ
  マシテ、私共種馬ニ付キマシテハ眞ニ良イ
  馬デアリマシタナラバ、縱令三千圓ヲ突破
  シヨウトモ其ノ馬相當ノ値段デ買フト云フ
  コトニ、將來努力致シテ行キタイト考ヘテ
  居リマス

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• 084・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　ソレカラ軍ノ要求スル
  體幅骨量ノ馬ヲ、其ノ種類別ニ依ツテ向上
  發達セシムルト云フ育成方法ハ中々-之
  ヲ生後カラ離乳ノ時マデ、四季別ニ應ジテ
  榮養ト運動トノ調和ヲ取ルト云フコトハ中
  中面倒ナ問題デアリマスガ、殊ニ馬ナレバ
  二歲ノ終末カラ三歲ノ秋ニ至ルマデノ間ハ
  最モ發育能率ノ旺盛ナ時デアルノデアリマ
  ス、此ノ場合ニ怠ルト四歲、五歲ニナツテ
  カラ如何ニ濃厚飼料ヲ與ヘテモ、運動ノ調
  和ヲ圖ツテモ發育不能ニ陷ルヤウナ關係ニ
  ナツテ居リマスルノデ、ヤハリ其ノ期間ヲ
  逸シテハナラヌ、斯フ云フコトハ馬ノ生產
  育成ニ當ツテ居ル方々ノ能ク承知シテ居ル
  所デアリマス、又反對ニ其ノ發育能率ノ旺
  盛ナ時期ニ達シナイ中ニ、無暗矢鱈ニ濃厚
  飼料ヲ與ヘテ弊害ヲ伴ハセテ居ルト、其ノ
  發育能率ノ旺盛ナ期間ニ當ツテ十分ナ手當
  ヲ致シマシテモ、却テ取返シノツカナイコ
  トガアルノデアリマス、隨テ時期ヲ失スル
  コトハ重大問題デ、此ノ時期ニ十分手當ヲ
  スルト云フコトニ依ツテ、軍ノ要求スル規
  格ニ當篏ツタ種馬ヲ求メルト云フコトガ最
  モ大切デアラウト私ハ思フノデアリマス、
  ソコデ之ニ一番缺陷ガアルノハ牡ノ方ハ農
  林省デ購買サレテ居ルカラ、國民ガ賣ラン
  ガ爲ニソレニ努力シテ居ル、先刻申上ゲマ
  シタヤウニ簡易ニシテ速成、彌縫的ナ所ニ
  走リ過ギテ居ルト云フコトガ一ツノ缺陷デ
  アリマスガ、兎ニ角ソレニ向ツテ努力シテ
  居ル、牝馬ノ方ハ購買スル人ガナイ、隨ツ
  テ放リツ放シ、成行任セニシテ居リマス、
  牡馬ノ方ハ體格、資質ノ兼ネ備ツタモノガ
  チヨイ〓〓現ハレテ參リマシタケレドモ、
  牝馬ハソコマデ達シテ居ナイ、是ハドウ云
  フ譯カト云フト、發育能率ノ旺盛ノ時ノ手
  當ガ不十分デアルト云フコトニ大キナ缺陷
  ガアルノデアリマス、此ノ良質ナ種馬ヲ求
  メル爲ニハ、牝馬ノ方モ此ノ期間ニ於テ十
  分ナル手當ヲスルト云フコトヲ國家ノ制度
  ニ依ツテ行ハナケレバナラヌト思フノデアリ
  やっ、如何ニモ今囘種馬ノ登錄制度ヲ御設
  ケニナツタヤウデアリマスガ、是ハ洵ニ結
  構ナコトデ當然オヤリニナラナケレバナラ
  ヌノデアリマス、之ニ依ツテ配合其ノ他ノ
  完備モ出來、相當ノ成績ヲ擧ゲ得ラレルト
  思フノデアリマス、併シ是ハ配合ニ依ツテ
  良イモノガ出來タラ、種馬トシテ採入レヨウ
  ト云フ考ヘ方デアリマセウガ、初メカラ良
  イ種馬ヲ拵ヘヨウト云フコトニナレバ、生
  レタモノ其ノモノニ於テ、牝モ牡モ、兩方
  共ニ發育能率ヲ發達セシメルダケノ機關ガ
  ナケレバ、是ハ本當ノ理想的ナ種馬ヲ求ム
  ルコトハ困難デアルト思フノデアリマス
  隨テ牝ノ方ニモ一昨年カ購買シタヤウナ購
  買方法ニ依ツテ、牡馬ノ數マデ行カヌデモ、
  相當ノ數量ヲ購買スル制度ヲ設ケタラドウ
  カ、サウシテヤハリ馬政局ノ方ニ於テ經營
  スル、或ハ民間ノ有力者、卽チ馬ヲ生產育
  成スル者ニ對シテ、十分經驗アル者ニ貸與
  スル制度ヲ設ケテ、サウシテ優秀ナルモノ
  ト優秀ナルモノト配合シテ、更ニ優秀ナル
  種馬ヲ求メヨウト云フコトノ機關ガナケレ
  バ本當ニ戰ニ十分役ニ立ツ馬ヲ拵ヘルコ
  トハ容易ヂヤナイト思フ、現在種馬デスラ
  馬ニ對シテ經驗アル者カラ見ルト、モウ五
  六年先ニハドウ云フ馬ガ出ルノダラウト云
  フ心配ヲサレテ居ルノデアリマスカラ、是
  ハ急速ニ種牡馬ノ改善ガ必要デアラウト思
  フ
  モウ一ツハ購買價格ガ餘リ十分デナイ關
  係モアリマスガ、昨年アタリ滿洲國ニ相當
  良イ候補種牡馬ヲ獲得サレタ、是ハヤハリ
  公設市場デ糶賣サレテ居ル、ソレヲ見マス
  ルト購買ノ豫算ガ不足デアルノデハナイカ
  ト思ハレル、アア云フ立派ナモノヲ多數滿
  洲ニ移動セシメルト云フコトハ、愚圖々々
  シテ居ル中ニ、向フハ自然ノ放牧地ニモ惠
  マレテ居リ、其ノ他飼料等ニモ十分ナル所
  ノ滿洲ニ於テ、アア云フ立派ナ馬ヲ配置サ
  レルナラバ、五、六年ナラズシテ彼地カラ却
  テ種馬ヲ求メルヤウナ逆效果ヲ來スノヂヤ
  ナイカト考ヘテ居ルノデアリマス、何トカ
  シテ是等ノ對策ヲ講ジナケレバ、斯ウ種牡馬
  ノ不足デアル場合ニ、滿洲アタリノ種牝馬
  ノ碌ナモノノナイ所ニ、アア云フ立派ナ種
  牡馬ヲ移動セシメルト云フコトハ洵ニ遺憾
  ニ堪ヘナイノデアリマス、其ノ方ノ對策モ
  立ツテ貰ヒタイト思ヒマスガ、其ノ點ニ付
  テモ伺ツテ置キタイ

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• 085・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　只今ノ御意見御尤モデゴ
  ザイマシテ、特ニ二才及ビ三才ノ發育時ニ
  於ケル種馬ノ體幅骨量ヲ增スト云フ所謂能
  力增進ノ施設ニ付キマシテハ、是モ先程申
  上ゲマシタヤウニ、少イナガラ本年度カラ
  豫算ニ計上致シマシテ、其ノ具體的方法ニ
  付キマシテハ只今〓究中デゴザイマス、次
  ニ滿洲國ニ種馬ヲ多クヤリ過ギル、而モ良
  イ馬ガ行キ過ギタト云フ御意見ニ對シマシ
  テハ、是モ當局トシテ、昨年ハ良イ馬ヲヤ
  リ過ギタト云フ感ジヲ持ツテ居リマス、ソ
  レデ今年ハ此ノ數ヲ減ラシマシテ、日本ノ
  馬產ヲ主ニシテ、滿洲國ヲ從トスル精神ヲ
  何處マデモ徹底シテ行クヤウニ致シテ居リ
  マス

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• 086・村上國吉

  ○村上委員長　小笠原君、出來ルダケ簡潔
  ニ御願ヒ致シマス

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• 087・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　成ベク簡潔ニヤリマス、
  馬政局ノ監督下ニアル所ノ競馬會ノ問題ニ
  付テ簡單ニ御伺ヒ致シマス、競馬ノ方ノ購
  買ト云フノハ、輕種ノ方一本建ニナリマシ10.
  テ、ソレ以外ノモノノ捌キ方ハ今日ナイノ
  デアリマス、然ルニ馬政局ノ方ノ方針ト需
  要ノ關係ハ相反シテ居ルノデアリマシテ、
  此ノ生產ノ奬勵ト云フ方面ト需要ト云フ方
  面ト相反スルコトニ依ツテ、生產者ニ迷惑
  ヲ及ボシテ居ルト云フコトハ、馬產ノ進展
  上非常ナ障碍ニナリマスノデ、競馬ノ方デ
  ハ速度重點主義トシテ購買サレル、體幅骨
  量ニ富ム馬ト云フモノハ、速度ノ點ニ於テ、
  薄ペラナ淺薄ナ馬ニ對シテドウシテモ劣リ
  勝デアリマスガ、其ノ抽籤馬ノ配給ヲ受ケ
  ルノニ困難ダト云フ點カラ、今申上ゲタ速
  度重點主義トカ、「サラブレッド」ノ直接ノ
  配合シタ馬ノミヲ高價デ買フノデアリマス、
  隨テ各地ノ購買前ニ於ケル農林省ノ立會ニ
  於ケル馬ノ供進會ナドデ、一等賞ヲ取ツタ、
  或ハ二等賞ニナツタト云フ馬ハ購買カラ除
  外セラレ、購買ニ至リマシテモ、非常ニ價
  格ガ他ノ四等、五等ト比較シテ低下スル、
  其ノ體幅ナドモ相當狹イ馬ヲ見ルト云フ結
  果ニナリマシテ、全ク政府ノ方針ト矛盾シ
  テ居ルト云フコトニナリマシテ、是ガ大キ
  ナ迷ヒトナツテ居ルノデアリマス、輕馬ノ
  生產ト云フコトハ或ハ馬產ニ大キナ缺陷ヲ
  生ズルノデハナイカト云フ心配ヲ持ツテ居
  ルノデアリマス、是ハ競馬ノ方ニ政府ノ方
  針通リノ番組ノ組織ヲ拵ヘルトカ、或ハ「ア
  ラブ」系ノ抽籤馬ノ制度ヲ設ケルトカ、何
  カノ制度ニ依ツテ、根本カラ立直シテ、方
  針ト云フモノト需要ト云フモノガ一致ヲ致
  シテ行クコトニ致サナケレバナラヌト思フ
  ノデアリマス、之ニ對スル對策ヲ御伺ヒ致
  シマス

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• 088・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　馬政局ト致シマシテハ
  競馬用ノ馬ニ對スル指導方針ト、競馬會ガ
  實際購買シテ居リマスル需要方面ノヤリ方
  ト一致シテ居ル積リデゴザイマスガ、只今
  ノ御意見ノヤウナコトガ實際上ニアルカナ
  イカヲ能ク調ベマシテ、若シ體幅骨量ノナ
  イ唯走ル馬ヲ主眼トシテ競馬會ノ方デ買ツ
  テ居ルト云フヤウナコトガゴザイマスナラ
  が、馬政局ノ指導方針ニ副フヤウニ、競馬
  會ノ方ニ十分指導ヲ致シタイト存ジテ居リ
  マス

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• 089・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　アト簡單ニ二點ダケ伺
  ツテ置キマス、今囘馬ノ價格ガ暴騰スルト
  云フ意味カ、或ハ又馬ノ價格ガ諸物價ニ對
  比シテ高過ギルト云フ意味デアルカ、馬政
  局長官ノ通牒ニ依ツテ、各府縣ノ各市場デ
  販賣サレタ二歲幼駒ニ對シテハ、必ズ賣買
  價格ノ證明書ヲ與ヘルコトト云フ命令ヲ發
  シテ居ツタノデアリマス、アレハ一體馬ノ
  現在ノ取引價格ガ高過ギルト云フ意味デア
  ルノデゴザイマセウカ、又他ニ原因ガアル
  ノデアリマセウカ、其ノ點ヲ一ツ御伺ヒ致
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=89

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• 090・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　馬ノ價格ガ近頃法外ニ上
  リツツアルト云フ傾向ガアリマシタノデ、
  一般ノ低物價政策ニ關聯ヲシマシテ、馬ノ
  生產或ハ增產ヲ阻碍シナイ程度ニ於テ、或
  ル程度ノ價格ヲ決メナケレバナラナイノデ
  ハナイカト云フ意味合カラ、各府縣ノ方ニ
  對シテ餘リニ法外ノ値段ニナラナイヤウニ
  スル一ツノ手段トシテ、通牒ヲ出シタノデ
  ゴザイマシテ、此ノ馬ノ取引價格ニ付キマ
  シテハ、只今〓究中デゴザイマシテ、何レ
  近ク其ノ決定ヲ見ル筈デゴザイマス、其ノ
  間一時馬ノ價格ノ騰貴ヲ防止スル手段トシ
  テ、アア云フ方法ヲ講ジタノデゴザイマス

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• 091・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　馬ノ公定價格ヲ近イ內
  ニ御決メニナルト云フ御話デアリマスガ、
  私ハ實ニ不思議ニ堪ヘナイ疑念ヲ一ツ持ツ
  テ居ルノデアリマス、何カト言ヘバ、體
  今申上ゲタヤウニ、種牡馬ト云フモノハ農
  林省一本デ購買スルト云フコトデ、獨占的
  ニセラレテシマツタ、輕種ト云フノハ、日本
  競馬會ニ於テヤハリ是モ獨占的ニ公定付ケ
  ラレテシマツタ、軍馬購買ハ、是ハアリタ
  ケノ豫算ノ振當ニ依ツテ、此ノ購買ニ協力シ
  テ居ルト云フコトハ御承知ノ通リデアリ
  WV 、滿洲移植馬ニ付テモ同樣デアル、馬
  ノ公定價格ト云フモノハ、馬商モ畜產家モ、
  政府ノ考ヘニ應ジテ成立ツテ居ルノデアリ
  きく、何等玆ニ公定ノ必要ガアルヤウニ思
  ヘナイ、故ラニ公定付ケラレテシマツテ、
  オ終ヒノ生產ノ方ニ影響ガアルノデハナイ
  カト云フ心配ヲ持ツテ居ルノデアリマスガ、
  諸物價トノ對照上、企畫院トノオ附合上斯
  ウ云フ制度ヲ設ケナケレバナラナイコトニ
  ナツタノカモ知リマセヌケレドモ、兎ニ角
  此ノ點ニ對シテハ馬政局ニ於テ相當御心配
  ニナツテ居ラレマセウカラ、間違ヒナイヤ
  ウナ公表ヲサレルデアリマセウガ、併シ一
  方農林省ニ於テ改革出來ル問題ガアルノデ
  アリマス、何故暴騰シタカト云フト、農林
  省ガ暴騰サセタノデ、民間ガ暴騰サセタノ
  デモナイ、何處ニ原因ガアルカト云ヘバ、
  所謂馬ノ購買ニ對シテ、良馬ニ對シテハ百
  二十圓、中間種ニ對シテハ八十圓ノ助成ヲ
  與ヘテ、全國各地ノ團體ニ於テ購買セシメ
  タ、其ノ購買力ガ、靑森トカ、北海道トカ、
  岩手ト云フヤウナ一箇所ニ集中シテ、ソレ
  等ガ糶リ上ゲタ、民間ガ惡イノデモナケレ
  バ馬商ガ惡イノデモナイ、ソレヲ直スノ
  ニハドウスレバ宜イカト云ヘバ、助成ヲヤ
  ツテ居ル農林省ガ一本デ委託ヲ受ケテ購入
  シテ、抽籤ナリ地方別ニ適地ニ適當ナ種類
  ヲ配給スルト云フコトニ努メサヘスレバ、
  決シテ暴騰ニハナラナカツタ、補助金ヲ出
  シテ自由勝手ニ購買ヲサセタカラ、是ガ暴
  騰スル原因ニナツタト深ク感ジテ居ルノデ
  アリマス、此ノ點サヘ直スナラバ、却テ只
  今ノヤウナ公定價格ト云フモノハ-是ハ
  幅ガアツタカラ、ソコマデ行ツタノハ己ム
  ヲ得ナイデセウガ、今ノヤウナ通牒ニ依ツ
  テ、馬產地ニ動搖ヲ來シテ居ルト云フヤウ
  ナコトデ、只今デハ馬ヨリハ比較的經濟的
  ナ牛ニ乘換ヘ、又飼料其ノ他奬勵金ノ關係
  カラ山羊トカ、豚ト云フヤウナ小動物ニ乘
  換ヘルト云フ傾向ガアル、ソレヲ抑ヘルニ
  ハ中々骨ガ折レル、隨テ購買ノ點トカ、暴
  騰ノ點トカ、總テノ點ガ政府自體ニ依ツテ
  改メ得ラレル、サウシテ民間ノ方ニ餘リ大
  キナ刺戟ヲ與ヘナイ政策ヲ御執リニナラナ
  イト駄目ダト思フ、是ハ馬バカリデハナイ、
  總テガサウデアルカモ知レマセヌガ、時一
  馬ハ非常ニ敏感ニ働キ掛ケラレルモノデア
  ルコトハ能ク御承知ノ通リデアリマスカラ、
  此ノ點改善ヲスベキモノハ卽座ニ改善ヲ致
  シマシテ、今日ノ馬產經濟ニ對シテハ生產
  費ヲ割ラザル程度ニヤラナケレバナラヌト
  思フノデアリマス、特ニモウ一ツ申上ゲテ
  置キタイコトハ、最高價格ノ公定價格ヲ定
  メルト同時ニ、最低價格ノ公定ヲシナケレ
  バナラヌト私ハ思フノデアリマス、此ノ點
  御〓究ニナツテ居ルカドウカヲ御發表ガ願
  ヒタイ、ナゼカト言ヒマスト、牝馬ハ民間
  ノ所有ニナツテ居ル、牡馬ハ政府ノ獨占ト
  決マツタ、配合ノ權利モ農林省ノ特權トナ
  ツタ、ダカラ配合ノ權利モ獨占、種牡馬
  モ獨占シタ以上ハ、ソレカラ生產サレタ
  馬ハ、政府ガ責任ヲ以テ生產費ヲ割ラザ
  ル所ノ制度ヲ設ケルコトニ依ツテ、
  增產計畫ガ能率ヲ上ゲルモノダト私ハ思フ
  ノデアリマス、謂ハバ民間ノ畑ニ對シテ、
  植付ハ政府ノ獨占デアル、肥料ノ配給モ政
  府ノ獨權デアル、サウシテ出來タ生產
  物ハ、是ガ偶〓凶作ニ合フトカ、或ハ生產
  不能ニ陷ツタ場合ニ於テハ補償スルノ
  ガ當リ前デアル、ソレガ農作ノ場合ダケ
  公定價格ニ依ツテ購買スル、不作ノ場合ニ
  ハソレハ民間ノ責任デアルト云フコトハ言
  ハレナイト思フ、馬ニ對シテダケ此ノ制度
  ガアルト云フコトハ、餘リニ苛酷ニ過ギル
  ト思ハレルノデアリマス、今日農家ハ今マ
  デノヤウニ愛馬思想ニ依ツテノミ馬ヲ生產
  ヲスルト云フコトハ、段々容易デナクナ
  ツテ來タ、ソレハドウ云フ譯カト言ヘバ
  此ノ經濟ノ激變ニ依ツテ、都會モ田舍モ生
  活費ガ殆ド同一ニナツテ來タ、而モ中小業
  者ノ享樂的ナ傾向ニ依ツテ取引ガ全部現金
  ニナツタ、現金取引ニナツテ、而モ農產物
  ノ賣却ハ金ノ支拂ガ圓滑ヲ缺イテ居ル時デ
  アリマスカラ、直グ金ノ入ル勞働力ノ方ニ移
  動スル者ガ非常ニ多イノデアリマス、隨テ
  馬ノ方モ愛馬心トカ何トカ云フコトハドウ
  シテモ考ヘテ居ラレナイ、其ノ日暮シノ爲
  ニヤハリ經濟化スルコトニ依ツテ算盤ヲ彈
  イテ馬ヲヤルヤウニナツタカラ是ハ今日急
  速ニ打擊ヲ受ケタノデアリマス、隨テ生產
  費ヲ割ルト云フコトハ、ドウシテモ馬產ノ確
  保或ハ之ヲ擴充スルト云フコトノ爲ニハ
  餘程從來トハ考ヘヲ異ニシテ檢討シナケレ
  バナラヌ、故ニ凡ユル角度カラ致シマシテ、
  生產費ヲ割ラザル所ニ最低ノ限度ヲ置カナ
  ケレバナラヌト私ハ考ヘルノデアリマスル
  ガ、其ノ方面ニ對シテノ御對策ヲ伺ヒタイ
  ノデアリマス

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• 092・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　馬ハ殆ド國デ買フモノデ
  アルカラ、馬ノ購買價格ハ決メナイデ宜イデ
  ハナイカト云フ御意見ニ對シマシテハ、國デ
  買ヒマスモノニ付テハ公定價格ハ決メマセ
  又、ソレ以外ノ馬ノ移動ヲ考慮致シマシテ、
  ソレ等ノ一般ノ馬ニ付テノミ公定價格ヲ決
  メルト云フ考ヘデ居リマス、尙ホ此ノ公定
  價格ハ何百圓デアルト云フ決定ハマダ見テ
  居リマセヌガ、只今ノ御意見ノヤウニ生產費
  ヲ割ラナイコトハ絕對條件トシテ居リマス、
  尙ホ更ニ馬ノ飼養者ガ喜ンデ之ヲ生產シ、
  更ニ增產スルヤウニ心掛ケテ價格ヲ決メタ
  イト存ジテ居リマス、最低價格ヲ決メマス
  コトニ付キマシテハ、今ノ一般ノ馬ノ値段カ
  ラ見マシテ、今直チニ最低價格ヲ決メナク
  トモ生產費ヲ割ル心配ハナイト云フ考ヘノ
  下ニ、最低價格ハ今ノ所決メナイ考ヘデ居
  リマス、併シナガラ一般ノ物價ガ非常ナ過
  渡期デアリ、馬ノ値段モ過渡期デアル爲ニ、
  若シ急ニ下落スルヤウナ場合ヲ想像シタ場
  合ニ於テハ、政府ハ機ヲ失セズ此ノ最低價
  格モ決メナケレバナラヌト云フ考ヘダケハ
  持ツテ居ルコトヲ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=92

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• 093・村上國吉

  ○村上委員長　坪山君

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• 094・坪山徳彌

  ○坪山委員　私ハ昨日實ハ他ノ政府委員カ
  ラ伺ツタノデアリマスガ、係リガ違フノデ
  完全ナ答辯ヲ得ラレナカツタノデ改メテ此
  ノ際申上ゲマス、時間ノ關係デ極メテ簡單
  ニ御尋ネヲ致シマス、農村ノ勞力不足ヲ補
  フ爲ニハドウシテモ牛馬ノ如キ大動物ヲ十
  分ニ活用サセル以外ニ途ハナイト思ヒマス、
  之ヲ活用セシムル爲ニハヤハリ牛馬ニ完全
  ナル蹄釘ヲ施ス、所謂鐵沓ヲスル、是レ以
  外ニ途ハナイト思ヒマス、併シ現在ノ如キ
  國際情勢ニ於キマシテ、此ノ蹄釘用ノ鋼材
  竝ニ蹄釘ノ配給等ニ於キマシテ、餘程憂慮
  スベキ現況デアルト思フ、殊ニ蹄釘ノ如キ
  ハ殆ド今日マデ米國ニ依存ヲ致シテ居ル、
  殊ニ米國トノ國際關係ハ御承知ノ通リノ狀
  況デアリマス、若シ一朝ニシテ此ノ蹄釘等
  ニ不足ヲ感ズルヤウナコトガアリマシタナ
  ラバ、全國ノ百何十万頭カノ牛馬ハ完全ナ
  ル働キヲナシ得ナイト思ヒマス、斯ウ云フ
  點ニ付テドンナ準備ガアルカ、決シテ心配
  ハナイノカ、之ヲ一ツ御尋ネ申シ上ゲマス

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• 095・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　蹄釘ノ配給ニ付キマシテ
  ハ、昭和十七年度ヨリ國產品ヲ以テ總テ配
  給ガ出來ルト云フ計畫ヲ只今進メテ居リマ
  シテ、此ノ年ニナレバ十分ノ見込ガ立ツテ
  居リマス、唯ソレマデ今カラ約一年ノ間ガ
  問題ニナリマスノデ、此ノ中繼ノ期間ニ付
  キマシテハ歐洲ノ某國カラ-向フカラ賣
  ルト云フ話モゴザイマスルノデ「シベリヤ」
  經由ノ輸送ノ問題サヘ解決付ケバ、此ノ問
  題モ出來ル可能性ガアルト思ツテ居リマス、
  是等ノ點ニ依リマスコトト、「アメリカ」カ
  ラ現在ハマダ一部ヅツハ輸出致シテ居リマ
  スノデ、是等ノ點、其ノ他內地ノモノニ依
  リマシテ、十六年度ダケハ何トカシテ行ク
  ヤウニ、只今ソレ〓〓愼重ニ〓究中デゴザ
  イマス

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• 096・坪山徳彌

  ○坪山委員　ドウカ出來ルダケ支障ヲ來サ
  ナイヤウニ特段ノ御配慮ヲ願ヒタイト思ヒ
  マス、モウ一點ハ蹄釘ハ他ニ利用ガ出來マ
  セヌカラ、其ノ配給ニ關シテハ問題ハアリ
  マセヌガ、鋼材ノ問題デス、現在ハヤハリ
  農林省ノ配當表ニ依リマシテ府縣ノ鐵鋼組
  合ニ流サレテ居ル、併シ多クノ場合ニ於テ
  府縣ノ鐵鋼組合ハ、之ヲ他ノ資材ニ利用シ
  テ居ル場合ガ少クナイノデゴザイマス、爲
  ニ業者ハ非常ナル困難ヲ感ジツツアル狀態
  デアリマス、昨年裝蹄師法ガ制定サレマシ
  テ、府縣ニモ裝蹄師會ガ出來、又中央ニハ
  日本裝蹄師會ガ生レテ居リマス、寧ロ此ノ
  鋼材ノ配給、詰リ鐵材ノ配給ニ付キマシテ
  ハ、日本裝蹄師會ニ之ヲ取扱ハセマシテ、サ
  ウシテ府縣ノ裝蹄師會ニ流ス、是ガ一番正
  確デアツテ捷徑デハナイカト思ヒマスガ、
  是等ノ配給方法ニ對シテドンナ御考ヘヲ御
  持チデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=96

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• 097・櫛淵せん一

  ○櫛淵政府委員　鐵管ノ配給ニ付キマシテ
  ハ現在ノ機構ハ必ズシモ當局トシマシテ
  モ滿足致シテ居リマセヌ、只今坪山サンノ
  仰セノ通リノ缺陷ガアルコトヲ認メテ居リ
  マス、就キマシテハ只今ノ御意見ノヤウニ、
  日本裝蹄師會ヲシテ之ヲ斡旋サセテヤルト
  云フコトニ付テ、只今〓究ヲ致シテ居リマ
  ス、唯一ツ問題ハ現在鐵管ハ鐵鋼需給統制
  規則ト云フ商工省デ出シマシタ規則ニ依ツ
  テ致シテ居リマス、其ノ規則ニ依リマスト
  日本裝蹄師會ノヤウナモノヲ通ズルコトガ
  出來ナイコトニナツテ居リマスノデ、鐵管
  ニ關スル限リハ只今ノ規則カラ除外ヲシテ
  貰ツテ、サウシテ日本裝蹄師會ニ其ノ配給
  ヲ斡旋サセルヤウニ只今商工省ト交涉中デ
  ゴザイマス、是ガ出來マシタナラバ御希望
  ノ通リニ行クト存ジテ居リマス、尙ホソレ
  ガ出來マス間ニ於キマシテモ、此ノ日本鋼
  材販賣株式會社、是ノ實際ノ實施ノ狀況ヲ出
  來ルダケ改正サセマシテ、現在ノ缺陷ヲ補
  フコトモ關聯シテ〓究ヲ致シテ居リマス

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• 098・坪山徳彌

  ○坪山委員　要スルニ品物ガ眞直グニ早ク
  流レテ、サウシテ業者ガ迷惑ヲシナイ、殊
  ニ現在ノ如キ農村ノ勞力、或ハ產業上ニ於
  テ非常ニ勞力ノ不足ヲ來シテ居ル時代ニ於
  テ、若シ原料ガナクテ完全ナル裝蹄ガ出來
  ナイ、農馬ヲ完全ニ働カスコトガ出來ナイ
  ト云フヤウナコトガアルトスルト、是コソ
  米ノ增產ドコロデハナイ、中々重大問題ヲ
  生ムノデアリマスカラ、ドウカ出來ルダケ
  サウ云フ點ニ付キマシテモ御配慮ヲ願ヒタ
  イト思ヒマス、私馬政局ニ對スル質問ヲ終
  ツタノデスガ、委員長ニ御相談デスガ、實
  ハ外ノ政府委員ニモ質問ガアルノデスガ、
  色々他ノ方モアラウト思フノデ、私實ハ大
  臣ニ質問ガアルノデスガ、寧ロ此ノ際政府
  委員モオイデニナルノデ、私カラ要點ダケ
  申上ゲテ、適當ナ機會ニ御答辯ヲ願フ方ガ
  議事ノ進行上宜シイノデハナイカ、御許シ
  ガアレバ申上ゲタイト思ヒマス··

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• 099・村上國吉

  ○村上委員長　ドウゾソレハ後ニシテ下サ
  イ、少シコチラノ計畫ニ混雜ヲ來スコトモ
  困リマスカラ······大臣ハ三時ニ出席サレル
  筈デアリマシタガ、マダ御見エニナリマセ
  又、デアリマスカラ一般質問ヲモウ少シ進
  メルコトニ致シマス-小串〓一君

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• 100・小串清一

  ○小串委員　大分色々ナ御質問ガアツタノ
  デ、私ノ伺ハウト思ツタコトデ既ニ御答へ
  ヲ得テ居ルコトニ付テ御伺ヒスルノハイカ
  ヌデスカラ、私ハ簡單ニ一一、三ノ多分皆サン
  カラ御聽キニナラヌヤウナコトヲ御伺ヒシ
  ヨウト思ヒマス
  第一ニ御尋ネシタイト思ヒマスノハ、今
  度ノ農地開發營團ニ依ツテ田畑ヲ作ラレル、
  其ノ作ラレタ田畑ガ先ダツテノ平野君ノ御
  尋ネノ時ニ、平均價格ガ一體ドノ位ニ付ク
  カト云フコトニ付テ田ガ三百七十圓、畑ガ
  百九十圓、固ヨリ各地方ノ狀況ニ依リ、又
  其ノ土地ノ地積トノ關係ニ依ツテ相違ハア
  ルケレドモ、其ノ邊ヲ目標トスルト云フコ
  トデアリマシタガ、私ハ現在ノ農村ハ是ガ
  卽チ增產ヲ障碍シテ居ル最大ノ原因ト思フ
  ノデスガ、田ヨリモ畑ノ方ガ値打ノアルノ
  ガ多イノデス、稀ニ磽确ナ何モ出來ナイヤ
  ウナ荒地ハ是ハ別デアリマスデケレドモ、
  收益ノ點カラ考ヘテ見ルト田ノ收益ヨリモ
  畑ノ收益ノ方ガ多イ、是ハ屢〓皆サンガ言ツ
  テ居ルコトデアリマスガ、例ヘバ畑ハ夏芋
  ヲ作ツタダケデモ直グニ二百圓近イ收入ガ
  アル、サウ良クナイ畑デモ百七八十圓ハ現
  在ノ價格ニ依ツテ收入ガアル、田ハ百圓以
  上收入ヲ得ルコトハ容易デナイ、隨テ斯樣
  ナ豫定ガ出來ルカドウカ、最近自作農ノ創
  設ニ付テ神奈川縣デ政府カラ割當テラレマ
  シタ自作農ノ金ヲ、小作者ニ分配シテ自作
  農ヲ作ラセヨウトシテ非常ナ苦心ヲシタノ
  デアリマス、殆ド田ト云フモノハ畑ノヤウ
  ナ豫定ノ價格デ得ラレナイ、得ラレナイガ
  故ニ田ハホンノ僅カ持タセタダケデ、自
  作農十何戶作ラセタノハ殆ド田ノ地方デ
  アツテ畑ヲ與ヘタニ過ギナイ、ダカラ此
  ノ邊ノ狀態ヲ今囘ノ大計晝デドウ見ラレテ
  居ルノデアリマセウカ、地方ニ依ツテ是
  ハ色々違ヒマセウガ、大體是ハ畑ガ百
  九十圓、田ガ三百七十圓ト云フヤウナ漠然
  タル考ヘ方デハドウデアリマセウカ、寧口
  畑ノ方ガ値打ガアルヤウニ考ヘラレルノデ
  スガ、斯ウ云フヤウナ點ガ十分ナ御調ベガ
  出來テ居ルカドウカ、又農林省ノヤウナ高
  イ所カラ全國ヲ見渡ス時ニ、畑ト田ノ收益
  狀況ト云フヤウナコトニ付テ、唯傳統的ニ
  田ハ畑ヨリ値打が高イノダト云フ御考ヘダ
  ト、今ノ農村ノ經濟狀態ト作物ノ收益ノ形
  カラ行ケバ非常ニ違ツテ居ルノデハナイカ
  ト思ヒマスノデ、其ノ邊ノ御所見ヲ伺ヒタ
  イト思ヒマス

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• 101・周東英雄

  ○周東政府委員　大體田ノ賣却代金、畑ノ
  賣物代金ノ平均的ナモノヲ申上ゲマシタノ
  ハ漠然ト決メタノデハゴザイマセヌノデ、
  大體昭和元年カラ昭和十四年マデノ十四年
  間ノ調査ニ依ツテノ田畑ノ賣買價格ノ最低
  ト最高トヲ睨合ハセマシテ、其ノ平均價格
  ヲ見マシテ、ソレ等ノ平均價格ヨリモ稍〓安
  ク考ヘタノデアリマス、實際ノ賣買事例ヲ
  取リマシテソレヨリモ安ク見タ譯デゴザイ
  やく、一應標準ハソコニ置イタ譯デゴザイ
  マス

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• 102・小串清一

  ○小串委員　所ガ今マデ自由經濟時代ニ於
  ケルサウ云フ平均ヲ以テ此ノ計算ヲナサツ
  タ所ニ、私ハ非常ナ間違ガアルノヂヤナイ
  カト思フ、此ノ土地ノ價格デ今後注意スベ
  キコトハ、此ノ統制經濟ニナツテ國ガ計畫
  的ニ總テノ物價モ決メルト云フ事柄カラ致
  シマシテ、只今マデノサウ云フ標準ハ標準
  ニナラヌノヂヤナイカ、是ハ一ツノ例デア
  リマスガ、神奈川縣アタリデ野方耕地方ト
  申シマシテ、田地ノ非常ニ多イオ米ヲ作ル
  コトガ專問デアツテ、燃料ニモ不足シテ藁
  デ飯ヲ炊クト云フヤウナ地方ハ、昔ハ二毛
  作地モ其ノ中ニハ相當アルシ、皆富裕ナ農
  家ガ多カツタ、所ガ今日ハ其ノ當時野方ト
  稱シタ相模原邊ノ畑ハ、所謂小麥ヤ大麥ヲ
  作リ或ハ甘藷ヲ作ルヤウナコトデ、其ノ收
  益ガ非常ニ少カツタ爲ニ農村ガ割合ニ惠マ
  レテ居ナカツタノガ、現今デハ田圃ノ多イ
  地方ノ農民ハ寧ロ非常ニ生活ガ苦シクナツ
  テ居ル、隨テ田ヲ厭ヤガル反對ニ野方ト
  申シマス畑地ノ方ノ百姓ハ懷ロガ好クナツ
  テ居ル、此ノ頃又養蠶デドウナルカ分リマ
  セヌガ、前カラ養蠶ノヤウナモノガアツテ
  サウナツテ居ルノデアリマスカラ、此ノ開
  發ノ考ヘ方ヲ、將來又サウ云フ田ノ收益ヲ
  非常ニ多ク見ルヤウナ風ノ、例ヘバ米價ヲ非
  常ニ高クスルトカ何トカ云フ考ガアレバ別
  デアリマスケレドモ、今囘ノ低物價政策ト
  凡ユル、政府ノ統制經濟ニ移ツテ行ク此ノ戰
  時ノ狀態カラ行キマスト、私ハサウ云フ考
  ヘ方デハ、此ノ開發營團若シクハ開墾其ノ
  他ノ目的ガ、非常ニ計畫ト實際ト翻齬シテ
  來ルヂヤナイカト云フ點ヲ頻リニ考ヘテ居
  ルノデアリマスガ、今承リマシタヤウナ既
  往何年間ノ平均ト云フヤウナコトデ、果シ
  テ斯ウ云フ大キナ事業ヲ是カラヤツテ行ク
  ノニ見込ガ立テラレルカドウカ、是ガ非常
  ニ心配デアリマスノデ、尙ホ此ノ點ニ付テ
  愼重ナ御〓究ガ必要ヂヤナイカ、斯ウ私ハ
  思ヒマスノデスガ、如何デセウカ

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• 103・周東英雄

  ○周東政府委員　其ノ點ハ洵ニ御尤モナ御
  意見デアリマス、私共ノ方ハ一應ノ標準ヲ
  出シマスニ付キマシテ、只今申上ゲマシタ
  實際ノ賣買事例ヲ取リマシテ、ソレヨリモ
  自作農創定等ノシ易イヤウニ大體二割方位
  安イ所ヲ目安ニ置イテ決メテ居リマス、併
  シ御話ノヤウニ是ガ實際ノ賣買關係ニナリ
  マスト、所ニ依ツテ或ハ相當懸隔ガアルダ
  ラウト思ヒマス、其ノ際ニ於キマシテハ御
  趣旨ニ依リマシテ、實行ニ當リマシテ愼重
  ニ注意ヲ致シタイト思ヒマス、御話ノヤウ
  ニ動モスレバ畑作物ノ方ガ値ガ好イ爲ニ、
  畑ノ方ノ價格ガ上リ勝チデアルト云フコト
  ニ付テハ私共ノ方モ非常ニ憂慮致シテ居リ
  やっ、是ハ田畑ノ價格ニ付キマシテハ、二
  月一日カラ施行致シマシタ農地價格ノ統制
  令ニ依ツテ不當ニ上ツテ行クコトヲ抑制致
  シマスル一面、農產物ノ價格等ニ付テモ愼
  重ニ檢討シテ行カネバナラヌト斯樣ニ考ヘ
  テ居リマス

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• 104・小串清一

  ○小串委員　丁度價格ノ話ガ出マシタノ
  デ、農產物ノ價格ノコトニ付テ少シ御尋ネ
  シタイト思ヒマス、同僚ノ方カラモ既ニ價
  格ノ問題ハ色々御尋ネガアツタヤウデスガ、
  私ハ他ノ觀點カラモウ一度伺ツテ見タイト
  思ヒマス、一體此ノ食糧其ノ他重要農產
  物ノ價格ノ決定ハ、從來商工省ノ手ニアツ
  タモノガ農林省ニ統一サレタコトハ非常ニ
  結構ナコトデアツテ、私共非常ニ喜ンデ居
  ル譯デアリマス、併シ從來公定價格ト云フ
  モノヲ決メルニ當ツテハ、極力「インフレ」ヲ
  防止スルト云フ考ヘ方デアリ、又實際ニ於
  デ公定價格若シクハ停止價格、協定價格ト云
  フモノガ「インフレーション」ヲ豫防スルニ
  相當役立ツテ居ツタト云フコトモ私共十分
  認メテ居リマスガ、併シ又同時ニサウ云フ
  價格ノ決定ガ正鵠ヲ得ナイ爲ニ、非常ニ生產
  ヲ妨害シテ居ル、卽チ農林省ガ一昨年カラ
  昨年ニ掛ケテ增產計畫ヲ御立テニナツテ居
  ルガ、ソレガ實際ハ全然相違シテ減產ニ陷ツ
  タト云フコトハ、天候其ノ他ニ依ツテ起ツ
  テ居ル米ノヤウナ問題モアリマスケレドモ、
  併シ價格ノ點ガ非常ニ之ヲ支配シテ居ツタ
  ト云フコトヲ私ハ信ズル者デアリマス、ソ
  レデ此ノ間カラ大問題ニナツタ米價ト他ノ
  物價トノ關係ニ付テハ、申上ゲルマデモナ
  ク如何ニ不均衡デアリ、如何ニ不當デアル
  カト云フコトハ分リ切ツテ居リマスガ、是
  ハ政治的ノ政策モアリ、彼此レ申スコトハ
  アリマセヌ、併シ日常ノ問題デ、例ヘバ畜
  產物ノヤウナモノデモ、價格ノ爲ニ非常ニ
  生產ガ激減シテ居ル、馬ハマダ公定價格ハ
  決マツテ居リマセヌ、牛ノヤウナモノハ一
  方ニ於テ飼料ハ高クナツタガ、サウマダ變
  化ハナク、殊ニ一方牛乳ノヤウナモノハ今
  非常ニ需要ガアル爲ニドウヤラ維持シテ居
  ル、增加力ハナイガ維持シテ居リマス、併
  シ豚ノヤウナモノハ飼料ガ非常ニ高クナツ
  テ居ルニモ拘ラズ、其ノ價格ノ決定ガ無理
  ナ爲ニドン〓〓生產ガ減ジテ行ク、是ハ今ノ
  價格ノ決定ノ仕方、商工省ノ今マデノ考ヘ
  方ヲ根本的ニ改メナケレバイカヌ、卽チ農
  林省ハ今マデノ決定ヲ根本的ニ改メテ戴キ
  タイ、私ノ一番考ヘテ居ルコトハ、公定價
  格ト云フモノハ或ル基準ヲ定メタラ、餘リ
  細カイコトヲ決メナイ方ガ宜イノデハナイ
  カ、例ヘバ豚ノ肉ノ方デ申シマスト、豚ノ
  庭先相場ト云フモノハ百匁三十錢デアリマ
  ス、ソレヲ百姓ノ家カラ百匁二十七錢デ買
  ツテ來マス、是ガ運賃ヲ拂ツテ都市ニ參リ
  マシテ肉ニナルト、骨付肉、所謂枝肉ハ四
  十六錢ニナル、ソレカラ之ヲ肉トシテ小賣
  スル場合ニハ一等肉ガ一圓、二等九十錢、
  三等七十錢、斯ウ云フコトニナツテ居リマ
  ス、是ハ昨年ノ暮デアリマスガ、商工省ニ
  行ツテドウシテコンナ偏頗ナ價格ヲ決メタ
  カト言ツテ、ソレ〓〓卸、小賣ノ關係トカ
  何トカ云フモノヲ聽イタラ說明モアリマシ
  タガ、全ク事實ヲ裏切ツテ居ル、ト云フノ
  ハ百姓ガ賣ル豚ハ百匁二十七錢デアツテ、
  飼料其ノ他ノ關係カラ言ツテ一箇月ノ飼料
  代ト肉ノ殖エテ行クノヲ比較シテ見ルト、
  肉ノ方ガ三貫目殖エテ九圓ニナレバ、飼料
  ハドウシテモ十二圓掛ルト云フ狀態ニナツ
  テ居ル、ダカラ農家ハ豚ヲ飼ツテハ合ハヌ
  カラ成タケ豚ハ止メルヤウニナル、一方又
  サウ云フコトデ枝肉ノ價格ニ非常ニ無理ガ
  アルカラ、商人ガ其ノ値デ豚ヲ買ツテ來ル
  ト、一頭デ二十圓、三十圓儲カル、公定價格
  ヲ決メラレタ爲ニ豚ノ肉ヲ扱フ商人ハ、コ
  コ半年以上非常ニ得ヲシテ居ル譯デアリマ
  ス、ソレガ爲ニ今度ハ豚肉ヲ原料トスル所
  ノ國策上陸海軍ノ糧食ニモナツテ居ル所
  ノ「ハム」ノ如キ、モノハ殆ド生產ガ半分以下、
  三分ノ一位シカ今日本デ生產シテ居ナイ、
  豚其ノモノモ神奈川縣ダケノ例ヲ取ツテ申
  シマシテモ、調ベテ見ルト八万頭アツタ豚
  ガ、只今ハ四万頭バカリシカナイ、是ハヒ
  ドイ激減デス、是ハ一ツハ飼料ガ人間ノ食
  物ト同ジデアル爲ニ、飼料獲得難ト云フコ
  トモアリマス、斯ウ云フ場合デモ、小賣値
  段ダケ決メテ、アトノ價格ハイツソ餘リ干
  涉シナイナラバ私ハ斯ウ云フコトハナイノ
  ヂヤナイカト思フ、ソレハ斯ウ云フ例モア
  リマス、例ヘバ甘藷ノヤウナモノデモ、此
  ノ頃市中ニ甘藷ガアリマセヌ、都會ニハ生
  ノ芋ハナイ、必ズ煮テアルカ蒸カシテアル、
  ト云フノハ蒸カシタモノハ加工品ト稱シテ
  價格ガ非常ニ好イ、生ノ芋ヲ買ハウトシテ
  〓、八百屋ガ生デ賣ツテハ合ハヌカラ皆蒸
  カシテシマフ、魚ナドハ、現ニ私ハ經驗ヲ
  シタガ、烏賊ナンカハ此ノ二三日生烏賊ハ
  ナイ、魚屋ガ來タカラ烏賊ガ食ベタイガ生
  烏賊ハナイカト言ツタラ、今ハ生ノ烏賊ハ
  アリマセヌ、烏賊ヲ捕ヘタラソレヲ茹デ
  ル、茹デルト云フト加工品ト稱シテ値段ガ
  五割ダケ高クナル、唯茹デタダケデ五割高
  クナルノデス、斯ウ云フヤウナコトハ價格
  ヲ決定スルニ當ツテ、商工省ノ方々ガサウ
  云フ實際ヲ餘リ細カニ想像ナサルカライケ
  ナイ、或ル一定ノ基準價格ヲ作ツタラ、ア
  トハ餘リクダララヌ干涉ヲシナイ方ガ宜イ
  ノデハナイカ、サウ云フ干涉ノ結果トシテ、
  總テノ生產力ヲ增强シヨウト云フノニ實際
  ハ非常ニ減ジテ居ル、現ニ農產食糧品デ各
  府縣ニ割當テタモノモ、天候ニ支配サレテ
  其ノ通リ行カナイモノモアリマスケレドモ、
  斯ウ云ツタ價格、若シクハ統制ノ方法、若
  シクハ配給ノ方法ガ當ヲ得ナカツタ爲ニ激
  減ヲシテ居ルヤウナモノモ澤山ゴザイマス、
  殊ニ斯ウ云フコトハ、急ヲ要スルコトデア
  リマスカラ、コンナ偏頗ナモノガ一ツデモ
  見付カツタラ、一刻モ早ク變ヘテ行クト云
  フヤウニ農林省ニ御願ヒシタイト思ヒマス、
  之ニ對スル御考ヘヲ一ツ承ツテ置キマス

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• 105・周東英雄

  ○周東政府委員　時局下ニ於テ生產力ノ減
  退ヲ來サヌヤウニシ、且ツ一般大衆ノ生活
  ヲ脅威セヌヤウニ必需物資等ノ價格ヲ決メ
  テ行キマスコトニ付キマシテハ、從來サウ
  云フコトガナカツタダケニ非常ナ骨折デア
  リマス、難カシイコトデアルコトハ御承知
  ノ通リデアリマス、從來〓糧品等ニ關シマ
  スル價格ノ公定等ハ、主トシテ商工省ノ管
  轄デアリマシテ、商工省デオヤリニナツテ
  居ツタノデアリマスガ、吾々ハヨクマアア
  スコマデ苦シイ困難ナ仕事ヲオヤリニナツ
  タモノダト實ハ內々恐縮シテ居ル譯デアリ
  さゝ、併シ何樣初メテノ事柄ニ付テ價格ノ
  公定ヲ致シタコトデアリマスルシ、或ハ色
  色ノ場合ニ御非難ヲ受ケルヤウナ點モアル
  カトモ存ジマス、此ノ度生鮮〓料品等ニ關
  スル價格ノ公定關係ニ付キマシテノ所管ガ
  農林省ニ參ツタノデアリマスルガ、上司カ
  ラモ此ノ際能ク各方面ノ御意見ヲ承ツテ檢
  討スルヤウニト云フコトニモナツテ居リマ
  スシ、能ク御趣旨ヲ體シマシテ〓究致シマ
  シテ、若シソコニ缺陷ガアリマスレバ早速
  之ヲ改訂シテ行クト云フコトニ付キマシテ
  ハ、私共ノ方ハ全ク御意見ノ通リヤツテ行
  キタイト思ツテ居リマス、唯從來ノ價格公
  定ト云フモノガ、唯價格ダケ決メレバ宜イ
  ト云フ形デナク、ヤハリ其ノモノ〓〓ニ付
  テノ配給機構ト密接ナル關係ヲ保チツツ價
  格ヲ決メテ行クコトガ必要デアラウ、斯ウ云
  フ風ニ考ヘテ居リマス、ソレ等ニ付キマシ
  テモ關係各局部ト連絡致シマシテ、能ク檢
  討シテ其ノ方面ニ向ケテ行キタイト思ツテ
  居リマス

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• 106・小串清一

  ○小串委員　只今ノ御考ヘハ無論サウナケ
  レバナラヌコトデアリマスガ、今私ノ申シ
  マシタ通リ、價格ノ決定ハ、餘リ細カイ所
  マデ入リ込ンデヤルコトガ、當ヲ失スル原
  因デアルト云フコトト、モウ一ツハ、從來
  ハ商工省デアルナラバ、商工省ニ出入スル
  商人アタリノコトヲ參考ニサレテ居リ、實
  際ノ生產者デアルトカ、各方面ノ關係者ノ實
  際ヲ御調ベニナラヌ、是ハ中々手モ要ルシ、
  暇モ要ツテサウモ行カヌデセウガ、サウ云
  ツタヤウナ注意ガ足ラヌ點ガアルノデハナ
  イカ、今仰シヤルヤウニ配給關係ハ無論非
  常ニ必要デアリマス、近來價格ヲ全國的ニ
  同ジ値段ニシテ置クト云フコトモヲカシナ
  話デ、是ハ運賃其ノ他ノモノヲ加除シテ、
  地方ニ依ツテ相當價格ヲ變ヘテ行カナケレ
  バナラヌ、然ルニ全國的ニ均一値段ニスル
  ト云フコトニナルカラ、生產者ハ成ベク費
  用ノ掛ラヌ地方デ處分シテ居ル、遠クヘ持
  ツテ行ケバ、運賃ヲ自分デ背負ヒ込マナケ
  レバナラヌト云フヤウナコトガ今盛ンニア
  ルノデアリマスカラ、サウ云フコトヲ御決
  メニナルニハ-殊ニ農林省デ今後オヤリ
  ニナルニハ農業生產者方面ノ意見ヲ十分
  ニ御採リニナルコトガ必要デアル、今マデ
  商工省ノヤラレタヤウナ、役所ニ出入スル
  商工業者ノ大キナ問屋トカ、其ノ他ノ連中
  ノ意見ダケデ決メテ居ツタト云フコトニ餘
  程缺陷ガアツタノデハナイカト私ハ思フ、
  モウ一ツハ、二度言フヤウデスガ、役所ト
  シテ一旦決メタモノヲ直スト云フコトハ役
  所ノ面目ニ係ハルト云フヤウナコトデ、ソ
  レヲオヤリニナラヌノガアル、是ハ實例ヲ
  擧ゲルトオ役所ニ惡イカラ申シマセヌガ、
  或ル縣デ特殊ノ品物ニ對シテ値段ガ分ラナ
  イカラ役所ニ御聽合セヲシタ所ガ-是ハ
  農林省ノ關係デスガ、此處デハ唯例トシテ
  申シテ置キマセウ-是ハ斯ウ云フ部類ニ
  屬スルモノダト云フコトデ其ノ値段ヲ決メ
  ラレタノデ、縣デハサウヤツタ、所ガソレ
  ハ當業者ニ聽クト全然反對ダ、一寸變ツタ
  品物ダモノデスカラ間違ヘラレタノデスガ、
  ソレデ早速行ツテ、斯ウ云フ譯ダカラ困ル
  ト言フトソレデハ改メテ地方長官カラ書
  面ヲ出シテ吳レ、サウ言ハレタカラ直グ直
  スト云フコトハ困ルト云フノデ、往復ニ三
  箇月程掛ツタト云フ、餘リ是ハ實情ハ申シ
  マセヌガ、サウ云フコトハ斯ウ云フ時代ニ
  ハ面目ニ囚ハレズニ、是ハ實際間違ツタノ
  デスカラ、間違ツテ決裁ニナツタコトデモ
  直グ直シテ貰ツテ一向差支ナイノデハナイ
  カ、斯ウ思フノデアリマス、詰リ値段ヲ決
  メルノニ色々ノ關係者ノ意見ヲ成ベク綜合
  シテ戴クコト、ソレカラ値段ヲ餘リ細カニ
  決メルコトハドウカ、大局カラ見テ、斯ウ
  ヤツタ方ガ生產ニモ宜イ、配給ニモ適當ダ
  ト思フ點デ決メテ戴クコトト、今ノヤウナ
  無理ナ價格ノ決定ノアツタモノハ、假令面
  目ハドウデモ一刻モ早ク直ス、斯ウ云フヤ
  ウナコトヲ考ヘテ居リマスガ、ソレモ尙ホ
  一ツ役所ノ方へ御考ヘヲ承ツテ置キタイ

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• 107・周東英雄

  ○周東政府委員　只今申シマシタヤウニ私
  共ノ方デ只今愼重ニ檢討致シテ居リマス、
  若シモソコニ缺點ノアリマスモノニ付キマ
  シテハ、御話ノ通リ私共面目トカ云フコト
  
  ニ囚ハレナイデ、國民全般ノ爲ニ本當ニ能
  ク行ケバ宜シイノデアリマスカラ、至急改
  メルヤウニ致シタイト存ジテ居リマス、唯價
  格ノ問題ニ付キマシテ、決メ方ガ細カイト
  云フ御話ヲ從來隨分聞クノデアリマスガ、
  是ハ結局決メル方モ、又決メラレル方モ、
  一般消費者モ、オ互ヒガ皆公定價格ニ關ス」
  ル精神ヲ段々理解シテ戴クト云フコトモ一
  ツ必要デアラウト存ジマス、役所ノ方デ折
  角決メテモ、其ノ穴トカ、拔ケ道ガアレバ、
  又ソレヲ利用シテ潜ツテ行クト云フヤウナ
  方法モアリマスノデ、勢ヒ役所方面デ考ヘ
  マストサウ云フ潜ラレルコトハ厭ヤデス
  シ、潛ラレテ來ルト、アア云フ缺點ガアル
  デハナイカト云フヤウナコトヲ言ハレルノ
  モ厭ヤダシ、ツイ細カクナリガチナ所モア
  ラウト存ジマス、是等ハ各方面ガ公定價格
  ノ必要ト云フコトヲ能ク諒解シテ戴イテ、
  與ニ倶ニ協力シテ戴クト云フ形デナケレバ
  ナラヌト存ジマス、其ノ方面ニ於キマシテ
  モ、若シモ誤リガアリマスレバ、決シテ面目
  ナドニ囚ハレズ、直スヤウニヤツテ行キタ
  イト考ヘテ居リマス

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• 108・小串清一

  ○小串委員　此ノ間カラ肥料ニ付テノ質問
  ニ對シテ、重政サンアタリハ大變樂觀的ナ
  御答ヘガアルノデアリマスガ、實際春肥ナ
  ドノ手當ハ十分ニ行ツテ居リマスカ、春肥
  ハモウ相當間ニ合ハナケレバナラヌト思ヒ
  マンク、其ノ春肥ノ配給ニ付テ少シ承リタイ
  ト思フノデスガ、若シ何デシタラ後デモ宜
  シウゴザイマス

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• 109・周東英雄

  ○周東委員　春肥ニ對スル對策ハ昨年ヨリ
  モ惡クハナラヌ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、詳
  シイコトハ資材部長ガ參リマシテカラ御答
  ヘ申上ゲタ方ガ宜カラウト思ヒマス

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• 110・小串清一

  ○小串委員　ソレデハ肥料フ點ハ後程承リ
  やく、次ニ今囘ノ食糧增產ノ計畫案ハ、農
  林省モ非常ナ奮發デアリ、政府モ開墾其ノ
  他農業關係者ノ增員等、結構ナコトデアリ
  マスガ、早害トカ、水害トカ、或ハ病蟲害
  ト云フヤウナ方面ニ餘程御注意ガ必要デナ
  カラウカ、此ノ點ニ付テハ吉植サンカラ大
  分御話ガアリマシタガ、現ニ一昨年ハ北九
  州及ビ中國ノ大旱害ガアリ、之ニ對シテ慥
  カ七千万圓カ、幾ラカノ費用モ支出サレタ
  ヤウニ承ツテ居ルノデアリマス、アレナド
  モ無論其ノ對策ガ實行サレタモノハマダ一
  部分デハナイカト思ツテ居リマス、又昨年
  ハ關東方面ニ早害ガアリマシテ、現ニ農業
  保險ヲ實施シタ所ガ保險料モ拂フコトガ出
  來ナイデ、多少政府デ御心配ヲ願ツタヤウ
  ナコトニナツテ居ルノデアリマス、是等ノ
  地方ガ本年ノ冬分カラ今マデノ雨量其ノ他
  カラ考ヘマシテ、本年ハ非常ナ早魃ガ來ル
  ノデハナイカ、此ノ長期計畫ノ大キナ豫算
  ヲ執行サレルコトハ、是ハ無論宜シイノデ
  スケレドモ、差當ツテ本年アタリ或ハ旱魃
  ガ來ハシナイカ、又是ハ場所ニ依リマスガ、
  冬期ノ如ク照ツタ爲ニ、夏ニ非常ナ雨量ガ
  アツテ、一昨年ノ神戶アタリノ水害ノヤウ
  ナコトモ考ヘナケレバナラヌ、水害ノ方ハ
  寧ロ一部分デアルガ、ドウモ心配ナノハ
  地ノ中マデ割レ切ツテ居ル今日ノ狀態デ、
  現ニ千葉方面ナドモ本年ハ非常ナ旱魃デア
  ル、私ノ縣ナドハ少イト申シテモ作付不能
  ノ土地ガ可ナリアル、ソレ等ノ土地ニ只今
  色々ナモノヲ播付ケタリ、或ハ生エテ居ル
  ノモアリマスケレドモ、是ハ一ツ餘程本省
  デ御考ヘニナツテ、此ノ增產ノ一刻ヲ爭フ
  急務ノ時ニ、サウカト言ツテ是等ノ土地ヲ
  掘起シテ馬鈴薯ヲ植エテモ、非常ニ雨ガ
  降ツテ馬鈴薯ガ腐ツテシマフト云フコトニ
  ナツテモ困ル、是ハ速カニ御考ヘニナツテ
  適當ナ方策ヲ御執リニナルコトガ必要デア
  ル、卽チ是等ノ豫算ガ議決ニナレバ、今ノ
  ヤウナ急ヲ要シ、而モソレガ適當ニ水ヲ與
  レバ立派ニ米ガ穫レル所、或ハ又水ヲ排除
  スル方法ガアレバ、熟田デアリマスカラ、
  直グニ役立ツト云フモノニ向ツテ全力ヲ擧
  ゲル必要ガアリハシナイカ、サウ云フコト
  ニ付テノ御注意ガ此ノ豫算ノ中ニドウ云フ
  風ニナツテ居ルカ、安心ノ爲ニ伺ヒタイト
  思ヒマス

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• 111・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ點ニ付キマシテハ、
  今年ハ特ニ早害等ニ付キマシテ心配ノ點ガ
  多イノデアリマス、ソコデ今日ヨリ早害ヲ
  豫想サレルヤウナ箇所等ニ付キマシテハ、
  水利ノ調整ヲドウ云フ風ニシテ行クカト云
  フヤウナ事柄ニ付キマシテ豫メ既ニ調査ヲ始
  メテ居リマス、又病蟲害ノ問題ニ致シマシテ
  モ、豫算ノ中ニ浮塵子、稻熱病等ノ發生ヲ、
  未發ノ內ニ豫見シ得ルヤウナ施設ヲ講ズル
  モノモ一部入ツテ居ツタト思ヒマス、御話ノ
  ヤウニ、十日早クソレガ發見サレレバ、災
  害ハ半分以下デ濟ミ得ルトカ云フヤウナ實
  例ガ多々アルノデアリマス、昨年ノ北海道ノ
  稻熱病ノ發生狀況、九州ニ於ケル浮塵子ノ
  發生狀況ニ對シマシテハ、事前ニ相當防止シ
  得タデアラウト云フヤウナコトモ考ヘラレル
  節ガ多々アリマス、ソコデ未發ノ內ニ之ヲ豫
  知スル施設ヲ考ヘテ居リマス、又今年ハ斯ウ
  云フ年デアリマスカラ、御心配ノヤウナ旱
  害ガアツタ場合ニ、「ポンプ」等ニ依リ水ヲ揚
  ゲテ行ク場合ニ於ケル動力關係ニ對スル施
  設、或ハ病蟲害ガ不幸ニシテ發生シタ後ニ
  於ケル撲滅ニ對スル對策ニ付テモ豫メ十分
  用意シテ置カナクテハナルマイト考ヘマシ
  テ、目下ソレ等ニ付キマシテモ特別ニ企畫
  院商工省ト連絡ヲ取リマシテ豫備的ナ石
  油重油等ノ準備ヲ致シタイト考ヘ、目下
  交涉中デアリマス

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• 112・小串清一

  ○小串委員　只今ノ御話ヲ承ツテ大分安心
  シテ居ルノデアリマスガ、サウ云ツタヤウ
  ナ根本的計畫以外ニ、現在田畑ノ荒レタル
  モノ、或ハ旱害ヲ被ツタヤウナモノヲ復舊
  スルニ付テノ豫算ハ此ノ中ニ入ツテ居ルノ
  デスカ、又其ノ豫想面積ハドレ位デスカ

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• 113・周東英雄

  ○周東政府委員　是ハ間違ツテ居レバ後デ
  訂正致シマスガ、大體一万五千町步位ニ對
  スルコトヲ考ヘテ居ツタト思ヒマス

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• 114・小串清一

  ○小串委員　實ハソンナコトデハ迚モ仕方
  ガナイト思ヒマス、一昨年ノ關西ノ早害、
  昨年ノ關東ノ早害-昨年ハ關東バカリデ
  ハナカツタカモ知レナイガ、千葉縣アタリ
  一縣ダケデモ慥カ此ノ位ニナツテ居ルト思
  フ、今年モサウアルト云フ譯デハナイガ、
  多少融通性ヲ持タシテ、恆久的ノ問題トシ
  テ、場合ニ依ツテハドウシテモ食糧ヲ或ル
  程度獲得シテ、外米依存ヲ滅却シナケレバ
  ナラヌノデスカラ、サウ云フ點ハ餘程御考
  ヘニナル必要ガアリハシナイカト考ヘマス
  ガ、兎ニ角是ハ一番大事ナコトデハナイカ
  ト思ヒマス、又當局モ御考ヘニナツテ居ラ
  ツシヤルコトヲ聞イテ安心シテハ居リマス
  ガ、尙ホサウ云フ希望ヲ述ベテ置キマス
  次ニ農林團體ノ統合ヲ此ノ時局切迫ノ際
  相剋摩擦ヲ防グ意味ニ於テ御中止ニナツタ
  コトハ、豫算委員會其ノ他ノ大臣ノ答辯デ
  モヤラナイ、總動員法デ無理ニヤルト云フ
  ヤウナコトモヤラナイ、成ベク協調シテ今
  マデバラ〓〓ニナツテ居ツタモノヲ纒メル
  ヤウニ機宜ノ處置ヲ執ツテ見タイト云フヤ
  ウナ意味ノ大臣ノ御言明ハ屢〓聽聽テテリリ
  スガ、私ハ所管省トシテ玆ニ御考ヘニナラ
  ナケレバナラヌ問題ダト思フノハ、近頃農
  業報國ノ意味ニ於テ凡ユル團體ガ動キ出シ
  タコトハ非常ニ良イコトダトハ思ヒマスケ
  レドモ、例ヘバ大政翼贊會ガ農業報國推進
  隊ヲヤツテ、之ヲ推進機關トシテ一村ニ
  人ヅツサウ云フ靑年ヲ作ツテ、ソレガ他ノ
  何十人ノ靑年ヲ纒メテ行カウト云フ是ハ良
  イコトデス、併シナガラ近頃ソレト同ジヤ
  ウニ農業協同體建設聯盟ト云フヤウナモノ
  ヲ產業組合デ指示シテ居ラレルラシイガ、
  相當ノ金ヲ使ツテ實際活動シテ居ル、地方
  ニ依ルト、ソレ等ノ若イ人達ノ大會デ隨分
  不穩ナ演說モアリ、政治的ニ、丁度政黨ノ
  院外團ガ色々ノ決議ヲスルト同ジヤウナ形
  ガ近縣ニモアルヤウデアル、中ニハ眞面目
  ニ農會其ノ他ノ團體ト聯携シテヤツテ居ル
  モノモアリマスガ、是ハ一ツノ團體トシテ
  起ツテ居リマス、ソレカラ厚生省ノ方デモ
  ヤハリ靑年ヲ指導シテ色々ナ活動ヲサセル、
  或ハ學生ヲ動員シテヤル、是ハ無論善イコ
  トデスガ、例ハ擧ゲルトマダ澤山アリマス
  ガ、サウ云ツタ團體ガニヨキ〓〓憂國ノ爲
  ニ出ル、是ハ結構ノヤウデアルガ、私ハ是等
  ノ團體ガ本當ニ鍬ヲ持チ、本當ニ第一線ニ立
  ツテ動クト云フヨリモ、唯掛聲ヲシテ集ツ
  テ騷グト云フヤウナコトガ多イヤウニ思
  フ、今日マデ農業團體ノ部門ガ餘リニ細カ
  ク分レタ爲ニ統合ヲ要スル、殊ニ戰時國防國
  家建設ノ爲ニ協力態勢ヲ整ヘル必要ガ起ツ
  テ來タ其ノ際ニ、ヤハリサウ云フ意味デハ
  アルガ、サウ云ツタ靑年層ニ呼掛ケル所ノ
  團體ガ各、「ブロック」ヲ作ツテ、產業組合
  ノ陣營ニ依ルモノモアレバ、或ハ他ノ〓化
  團體ノ陣營ニ依ルモノモアリ、色々アツ
  テ、ソレガ農村ニ一時ニ入リ込ンデ來テ、
  ソレ等ノ連絡ガ思フヤウニ行カナイ、バラ
  バラニナツテ居ル爲ニ、農村ガ〓糧增產ノ
  一點ニ全力ヲ擧ゲテ總動員ヲシテ行カウト
  云フ時ニ、却テ逆ニ摩擦ヲ起シテ居ルト云
  フヤウナコトヲ近頃見掛ケテ居リマス、
  體食糧增產ノ爲ニ人的資源ヲ運用スルコト
  ハ農林省ガ中心ニナラナケレバナラヌ、假
  ニ保健衞生ノ上カラ厚生省ガ動キ、或ハ內
  務省ガ町村監督ノ上カラ動キ、或ハ又民間
  團體デハ、產業組合ト云フヤウナ大キナ經
  濟團體ガ動キ出スト云フコトモ惡イコトデ
  ハナイガ、其ノ中心ハ〓糧增產ニ關スル限
  リ農林省ガ中心トナツテ、今度御決メニナツ
  タ農業技術員若シクハ篤農家、凡ユル者ヲ
  統一動員致シマシテ、サウシテ之ニ依ツテ
  ヤル、色々ナ會ヲ作ツテ、ソレ〓〓〓長ダ
  ノ理事ダノト云フ役員ヲ作ツテ、オ互ヒニ
  別々ノ所ニ集ツテハ色々ナコトヲヤル、私
  ハ或ル程度マデ農林省トシテハ〓糧增產ニ
  關スル限リハ、是ハ農林省ノ持場ダ、農會
  ナラ農會ノ技術員或ハ畜產技術員ト云フ者
  ハ農林省ガ監督シテ、是等ガ中心トナツテ
  農村ノ篤農家若シクハ農業者ヲ指導シテ行
  ク、農業靑年ヲ之ニ動カシテ行クト云フ確
  固タル信念ガナクテハナラヌ、私ガサウ申
  スト何デスケレドモ、寧ロ農會ノヤウナモ
  ノヲ中心トシテ之ニ統合サセテ行ク、若シ
  モ斯カル指導團體ト申シマスカ、指導ニ立
  ツ者ガ凡ユル所ニ濫立シテ居ル有樣ヲ農林
  省デ默認シテ居ラレルト、是ハ大變ナ害ニ
  ナルンヂヤナイカ、斯ウ云フコトヲ切實ニ
  感ジテ居リマス、實ハ是ハ大臣ニ御考ヘヲ
  伺ハウト思ツタノデスケレドモ、無論大臣
  ノナサルコトハアナタ方ガ決メルコトガ多
  イノダカラ、アナタ方ノ考ヘガ斯ウ云フ所
  ニ及ンデ來テ居ル、現在サウ云フ弊ヲ起シ
  ツツアルト云フ點ニ付テ、ドウ云フ御考ヘ
  デアリマスカト云フコトヲ承ツテ置キタイ

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• 115・周東英雄

  ○周東政府委員　御話ノ點ニ付テ全ク私共
  モ同感デアリマス、食糧增產ト云フコトニ
  對シマシテハ、其ノ計畫ハ勿論ノコト、其
  ノ計畫ニ副ウテ如何ナル形ニ人ヲ動カスカ、
  動員スルカフト云フヤウナ關係ニ於キマシ
  テハ、農林省ガ中心ニナツテ各方面トモ連
  絡協調シ、各方面ノソレ〓〓ノ持場々々ニ
  於テ農林省ノ計畫ニ協力シテ戴クノデアル
  ト云フヤウナ方向ニ進ンデ行カナケレバナ
  ラヌ、斯樣ニ存ジテ居リマス、御話ノヤウ
  ニ最近或ハ二、三ノ方面ニ於テ、食糧增產ト
  云フ事柄ニ對シマシテ、憂國ノ至誠カラ出
  ルコトデハアリマセウガ、別々ニ色々ナ會
  合ガ催サレテ居ルト云フコトニ付キマシテ
  ハ遺憾ニ考ヘテ居リマス、併シソレ等ノ
  事柄ニ關シマシテ農林省トシテハ、團體ニ
  對シマシテハ農會、產業組合ト、其ノ間
  ニ密接ナ連絡ヲ執ラセテ、一本ニシテ農業
  報國ノ爲ニ動イテ貰フヤウニ仕向ケテ行ク
  積リデアリマス、更ニ大政翼贊會ノ運動ニ
  關シマシテモ、農林省ハ連絡シテ、農林省
  ノヤラントスル增產計畫ニ對シテ、外廓的
  ニ是ノ援助協力ヲ求メルト云フヤウナコト
  ニシテ、努メテ連絡ヲ執ツテ居リマスカラ、
  御諒承ヲ御願ヒシタイト思ヒマス

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• 116・小串清一

  ○小串委員　是ハ私ハ非常ニ憂慮シテ居リ
  マスノデスガ、大政翼贊會ノ團體モ宜イノ
  デス、併シ私ハヤハリ中心ヲ置カナケレバナ
  ラヌト思フ、農林省ガ中心ニナルト云フコ
  トハ-農林省ノ配下ニアル所ノ團體トシ
  テハ、生產ニ從事スルモノハ私ハ農會ガ一
  番大キナ團體ヂヤナイカト思フ、ソユデ系
  統農會ナラ系統農會ヲ中心トシテ、之ニ上
  カラキツチリト命令ヲ出シテ、ソレノ外廓
  團體ト云フモノハ、或ル程度ソレト連絡シ
  テ、其ノ指導ヲ受ケル、產業組合ハ非常ナ
  ル有力ナモノデスケレドモ、是ハ生產ト言
  フヨリ寧ロ配給ニ重キヲ置クベキモノデア
  リ、農家ノ金融ニ重キヲ置クベキモノデア
  ルカラ、兩方ガ一致シナケレバ駄目デアリマ
  ス、玆ニ中心ヲ一ツ置カナクテハナラヌ、
  ドレモ皆同ジヤウナモノダト云フ形デ、ア
  ツチハアツチ、コツチハコツチトナツタン
  ヂヤ駄目ヂヤナイカ、是ハ今非常ナ大問題ト
  思ヒマスカラ、實ハ大臣閣下ニモ御取次ヲ
  願ヒ、之ニ付テノアナタ方ノ御考ヘモモウ
  一應伺ツテ置キタイ

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• 117・周東英雄

  ○周東政府委員　農林省ノ增產計畫ノ一ツ
  トシテ、其ノ實行方法トシテハ御話ノヤウ
  ニ農會ト云フモノガ大體中心ニナツテ居リ
  〒いく、午前中モドナタカノ御質問ニ對シテ
  御答ヘシタカト思ヒマスガ、此ノ際農林省
  ヒ
  ニ於キマシテ食糧增產技術中央本部ト云フ
  モノガ出來テ、ソコニ部局ヲ統一シテ各擔
  當ヲ決メテ精進シテ居リマスガ、地方廳ニ
  於テモ同樣ノモノヲ置ク、其ノ下ニ於キマ
  シテハ郡農會ガ中心トナツテソコニ增產
  本部ヲ置ク、更ニ下ツテハ町村農會ガ中心
  ニナツテ指導本部ヲ置イテ指導ニ當ル、斯
  ウ云フ行キ方ニナツテ居リマス、ソレ等ノ
  事柄ヲ實踐ニ移ス前提トシテ、一月ニ於キ
  マシテハ御承知ノヤウニ郡農會技術員、縣
  農會技術員ヲ東京ニ集メテ、增產ノ必要性
  及ビ協力ヲ求メ、最近ニ於キマシテハ町村
  農會ノ技術員等ニ對シテ增產ノ必要性ト協
  力ヲ求メル爲ニ地方々々ニ於テ協議會ヲ催
  シテ行クト云フ段取ニナツテ居リマスカラ、
  大體御趣旨ノヤウニ、增產ニ對スル指導ノ
  中心ハ、系統農會ニアルト云フコトニ御承
  知ヲ願ツテ宜カラウト思ヒマス

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• 118・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　只今小串君ノ質問ニ對シ
  テ當局ノ御答辯ガアツタノデアリマスガ、
  ドウモ當局ノ只今御答辯ニナツタヤウナ行
  キ方ヲ實ハシテ居ラヌ、殊ニ翼贊會ガ過日
  來食糧增產運動ニ出掛ケテ參リマシテ、農林
  省ノ方ト連絡ガアツテヤツテ居ラレルノカ
  ドウカ知リマセヌガ、此ノ間モ近畿ノ方へ
  參リマシタガ、其ノ時ニハ地方支部ノ「リー
  ダー」トカ、或ハ協力會議ノ者トカ、婦人
  會ノ役員トカ、斯ウ云フヤウナ者ヲ大阪
  ニ集メテ、サウシテ食糧增產ニ對スル運動
  ヲヤツテ居ル、其ノ時ニハ無論縣カラハ經
  濟部長カ何カ出席シタ、所ガ從來此ノ食糧
  增產ノ第一線ニ立ツテ指導奬勵ノ任ニ當ツ
  テ居ツタ所ノ縣農會トカ、或ハ郡農會ダト
  カ、或ハ町村農會ダトカ、或ハ產業組合ト
  カ、斯ウ云フモノヲ全部拔キニシテ豫メ既
  設ノサウ云フ團體ヲ「オミット」シテシマツ
  テ、サウシテ翼贊會ガ何等サウ云フモノニ
  關係ナカツタモノヲ寄セテヤツテ居ル、斯
  ウ云フコトハ一體運動其ノモノガ惡クナク
  テモ、系統ガ皆違フト云フコトハ變ナモノ
  ニナツテ來ル、翼贊會ハ政府ト表裏一體デ
  アルト云フコトヲ標榜シテ居ルケレドモ
  事實ハ政府ト表裏一體ノ行動ヲ執ツテ居ラ
  又、斯ウ云フコトヲ農林當局ガ默ツテ見テ
  居ラレル、默認シテ居ラレルト是ハ大變ナ
  問題ニナル、ダカラ政府ト表裏一體ナラバ
  此ノ翼贊會ヲ農林省ガ指導シテ、此ノ方針
  デ行ケト云フ位ノヤリ方ヲヤツテ宜イト思
  フ、然ルニ農林省ノ方針モ聞イテ居ラヌカ
  ラ知リマセヌケレドモ、地方ニ出テ行クト
  云フト、サウ云フヤウニ全ク農會關係ノ指
  導機關、奬勵機關ト云フモノヲ「オミット」シ
  テシマツテ、小學校ノ〓員トカ、或ハ婦人
  會ノ役員トカ、斯ウ云フモノデヤツテ居ル
  ト云フノガ事實デアル、是デ果シテ今後ノ
  大增產運動ヲ本當ニ乘切ツテ行ケルカドウ
  カ、運動ノ方法、命令ハ一途ニ出テ規則正
  シクヤツテ行クコトガ一番效果的ダト思フ、
  現ニ其ノ事實ガ各方面ニ現ハレテ居ル、其
  ノ點ハ特ニ注意ヲシテ貰ヒタイ、サウシテ
  今後ノ運動ノ態勢ヲ整ヘテ出發シテ貰ヒタ
  イ、是ハ小串君カラ御話ニナツタヤウニ、
  寧ロ大臣ニ意見ヲ申上ゲテ御決意ヲ願フベ
  キダト思ヒマスガ、小串君カラ今御話ガ出
  タ翼贊會ノ一事例デアリマスノデ、一ツ御
  參考ニシテ、今後ハ十分ノ態勢ヲ整ヘテ戴キ
  タイト云フコトヲ希望シテ置キマス

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• 119・村上國吉

  ○村上委員長　委員長カラモ政府委員ニ希
  望シテ置キマス、只今ノ小串君ト服部君カ
  ラ言ハレタ點、之ニ付テハ意見ノ要旨ヲ大
  臣ニ御傳へ下サツテ、適當ノ機會ニ大臣カ
  ラ其ノ方針ヲ此ノ委員會ニ示サレルヤウニ
  致シテ戴イタ方ガ宜イト思ヒマスカラ、此
  ノ希望ヲ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=119

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• 120・小串清一

  ○小串委員　肥料ニ付テハ同僚カラ色々御
  尋ネガアツテ既ニ御答へガアツタノデアリ
  マスガ、私ハ肥料ニ付テモウ少シ狀況ヲ承
  リタイト思フ、增產計畫ノ根本ヲ成スモノ
  ハ肥料デアリマシテ、其ノ肥料ハ、硫安ニ
  於テハ昨年ヨリモ二十万「トン」位餘計ニ見
  ルコトガ出來ル、加里ト燐酸ハサウハ行カナ
  イト云フコトデアリマシタガ、最近肥料ヲ扱
  ツテ居ル東京ノ相當ノ會社ノ連中ニ會ツテ、
  今年ノ肥料ハドウダト言ツテ色々聽イテ
  見タ所ガ、駄目デス、硫安ハサア昨年ヨリ
  多クテ八万「トン」出來タラ先ヅ關ノ山デセ
  ウ、加里ハ去年マデノ使ヒ殘リガアルガ、
  「ドイツ」カラ「シベリア」ヲ通ツテ來ルト云
  フノモマア話ダケデ駄目ラシイ、ソレデハ
  非常ニ必要ナ燐酸ハドウカ、ト言フト是
  モ非常ナ遠方カラ來ル、朝鮮其ノ他デハ殆
  ド礦石ヲ御採リニナラヌシ、南洋方面デモ
  十分デナイト云フノデ、ドウモ非常ナ悲觀
  論ヲ聞イテ居ルノデアリマス、ソレデ此ノ
  春肥ナンカハドンナ風ニ手當ヲサレテ居ル
  ノカ、ナイモノヲ出セト言ツタ所デ政府デ
  モ出シヤウガナイデセウガ、硫安、窒素肥
  料ノ如キハ軍需工業ト非常ニ密接ナ關係ノ
  アルモノデアリマスケレドモ、何トカシテ
  出來得ル限リ相當窒素肥料ヲ殖シテ貰ヒタ
  イ、ソレカラ都市ノ糞尿ノ問題モ、今少シモ
  解決サレナイデ海ニ捨テタリ流シテ居ル、
  斯ウ云フコトモ何トカシナケレバナラナイ、
  又ドウシテモヤラナケレバナラヌ、自給肥
  料ナンカニ付テモ、更ニ一層、學校トカ色々
  今マデ考ヘラレテ居ル勞力ヲ動員シテマデ
  ヤル、兎ニ角肥料ト云フモノハ生產確保ノ
  上ニ最モ大ナル關係ガアリマスガ、此處デ
  今マデ承ツタ點、其ノ他周圍ノ狀況カラ考
  ヘマスト、甚ダ不安ニ堪ヘナイノデアリマ
  シテ、之ニ對スル當局ノ手配、考ヘト、若
  シ差支ヘナケレバコンナ風ニナツテ居ルト
  云フ樣子ヲ承レバ結構デスガ、兎ニ角モウ
  少シ私共ノ安心出來ル程度ノ御答ヘヲ仰ギ
  タイト思フノデアリマス

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• 121・重政誠之

  ○重政政府委員　最近ノ肥料ノ情勢ニ付キ
  マジテハ、豫算總會ノ祕密會デ企畫院總裁
  ガ物動ノ說明ヲセラレタ後ニ、農林大臣カ
  ラ詳細ニ御說明ニナツタ所デ御承知ヲ願ヒ
  タイト思フノデアリマス、只今小串サンカ
  ラ非常ニ心配デアルト云フ御話ガアリマシ
  タガ、勿論物ニ依ツテハ樂觀ヲ許サナイモ
  ノモアリマスケレドモ、少クトモ此ノ春肥
  トシテ旣ニ割當ヲ致シマシタ化學肥料ニ付
  テハ、先ヅ現在ノ所御安心ヲ願ヒタイト考
  ヘルノデアリマス、硫安ニ付キマシテ只今
  モ御話ガアリマシタガ、前肥料年度ニ比べ
  テ此ノ肥料年度ニ於キマシテハ、吾々ハ增
  產數量ヲ七万「トン」餘リト豫定致シテ居ツ
  タノデアリマスルガ、一月末ノ本肥料年度
  ノ半年間ノ總計ニ於キマシテ、旣ニソレダ
  ケノ吾々ノ豫定ヲ超エテ增產ガ出來テ居ル
  實績デアリマス、是ハ關係各官廳ノ非常ニ
  熱心ナル協調ニ依ルコトハ勿論デアリマス
  ケレドモ、同時ニ製造家諸君竝ニ第一線ノ
  工場ニ働イテ居ル技術家諸君ノ、職域ニ應
  ジテノ非常ナル御奉公ノ賜モノデアルト喜
  ンデ居ルヤウナ次第デアリマス、隨テ只今
  申上ゲマスヤウニ、硫安ニ付キマシテハ現
  在ノ所、此ノ春肥ニ付テハ配給ノ豫定ノ完
  遂ガ出來ルコトト考ヘテ居ルノデアリマス、
  尙ホ他ノ機會ニモ申上ゲタノデアリマスガ、
  此ノ際重ネテ申上ゲテ置キタイコトハ、此
  ノ春肥ニ於キマシテハ、適期配給ガ前年ノ
  同期ニ比シテ非常ニ改善ヲ致サレルト云フ
  コトデアリマス、硫安ニ於キマシテモ、本
  年ノ一月乃至四月ニ配給ヲ致シマス數量ハ
  大體前肥料年度ノ同期ニ比べマシテ六万
  「トン」餘リノ增加デアリマス、石灰窒素ニ
  付キマシテモ、此一、四月ニ配リマスモノ
  ハ、前年ノ同期ニ比スレバ、一万九千〓ト
  ン」約二万「トン」モ多イト云フ實情デアリ
  き く、過燐酸石灰ニ付テモ同樣ノコトガ言
  ハレルノデアリマシテ、適期配給ノ改善ハ
  相當期待ガ出來ルト考ヘテ居ル次第デアリ
  そう、石灰窒素ニ付キマシテハ前肥料
  年度ニ比ベマシテ、約三万「トン」ノ增產ガ
  出來ルト見込ンデ居ルノデアリマス、之一
  付キマシテハ更ニ一段ト增產ヲ進メルベ
  ク、今色々努力ヲ致シテ居ルヤウナ譯デア
  リマス、過燐酸石灰ニ於キマシテハ國際
  情勢ノ變化ニ伴ヒマシテ、我ガ國デ消費ヲ
  スル原料ノ相當ナル部分ガ、外國資源ニ依
  存致シテ居リマス關係上、是ガ一面ニ於テ
  消費ノ節約ヲヤルト同時ニ、外國燐礦石ノ
  入手ヲ急グト云フ方法ヲ現在講ジテ居ルヤ
  ウナ次第デアリマス、サウ云フ關係カラ致
  シマシテ、過燐酸石灰ニ付キマシテハ前年
  度ニ比シテ十三万「トン」程度ノ節約ヲ致ス
  コトニ考ヘテ居リマス、併シ是ハ一面ニ於
  キマシテハ、勿論地方ニモ依ルコトデアリ
  マスガ、燐酸ノ供給過多ト云フコトガ屢〓述
  ベラレテ思ツタコトモ考慮致シマシテ、各
  地方別ニ其ノ土性ニ鑑ミテ、現在割當ヲ致
  シテ是ガ配給ヲ實行シテ居ルト云フ次第デ
  アリマス、只今非常ニ御心配ノヤウナ御話
  ガアリマシタケレドモ、是ハドウ云フ方面
  カラ御聽及ビカ知リマセヌガ、大體私ガ只
  今申上ゲタヤウナ事情デアリマスノデ、御
  諒承ヲ願ヒタイト考へマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=121

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• 122・村上國吉

  ○村上委員長　小串君宜シウゴザイマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=122

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• 123・小串清一

  ○小串委員　大體宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=123

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• 124・村上國吉

  ○村上委員長　大臣ガモウ十分モスレバ此
  處ヘ出得ル見込デアリマス、休憩スルノモ
  ドウカト思フノデ、坪山君、其ノ豫テ仰シ
  ヤツテ居ツタコトヲ、今政府委員ニ能ク聽
  取ツテ置イテ貰ツテ、ソレカラ大臣カラ適
  當ナ機會ニ御答辯ヲ得ラレルヤウニ、ーツ
  御運ビヲシテ吳レマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=124

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• 125・坪山徳彌

  ○坪山委員　結構デス

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• 126・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハ坪山君

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• 127・坪山徳彌

  ○坪山委員　其ノ一ツハ食糧問題ニ對シテ、
  殊ニ米麥ニ對シテ適當ナル價格政策ヲ施ス
  カ、或ハ助成ノ方法ヲ講ズルニアラズンバ
  現在ノヤウナ狀態デ行ツタナラバ、必ズヤ
  私ハ〓糧問題ニ行詰リヲ生ジテ、或ル力、
  或ハ法律ノ力ト言ヒマセウカ、或ル力ニ依
  ツテ計畫生產ヲシナケレバナラヌヤウナ場
  ガ出來ルノデハナカラウカト思ヒマスガ、
  之ニ對シテノ御考ヘヲ承リタイノデアリマ
  ス
  第二ハ今度第二豫備金カラ增產計畫ノ爲
  ニ三千万圓カ御出シニナルト云フコトガ內々
  決マツタト云フコトヲ承ツテ居リマスガ、
  其ノ中ニハヤハリ同ジヤウナ働キヲシテ居
  ル養蠶ノ技術員ニ對シテモ、同一ナ待遇ガ
  出來ルコトニナリマセウカ、是ガ第二點デ
  アリマス
  第三ニハ今日各府縣ニ農事試驗場ガアリ
  さく、又東京ニハ西ケ原農事試驗場ガアリ
  マスガ、一面ニハ勿論開墾或ハ改良工事等
  ヲ施シテ積極的ニヤルコトモ必要デアリマ
  セウガ、又一面ニハ品種ノ改良、或ハ肥培
  管理ノ方法ニ依ツテ增產ヲ圖ルト云フコト
  モ、極メテ必要ナルコトデアラウト考ヘル
  ノデアリマス、然ルニ現在ノヤウナ府縣ニ
  アル農事試驗場デハ私ハ極端ニ言フナラ
  バマア無イヨリハマシダト云フ位ニ考ヘ
  テ居ル、先程馬政局ノ次長ノ御話モアリマ
  シタガ、馬ニ對シテサヘモ、今年新ニ栃木
  縣ニ馬事綜合〓究所、而モ大規模ナ馬事綜
  合〓究所ノ計畫ガ着手サレテ居ルヤウナ現
  狀デアリマス、サウ云フコトデアルカラ、
  食糧問題、殊ニ米麥ノ問題等ニ付テハ、而
  モ此ノ大規模ナル試驗場ノ設置ヲ見テ、又
  地方ニ「ブロック」的ナ農事試驗場ヲ作ツテ、
  サウシテ積極的ニ調査〓究ヲスルト云フコ
  トガ必要ナ事項デナイカ
  次ニハ苟モ增產ニ携ハル者、殊ニ農林省
  關係ノ者ハ、身ヲ以テ範ヲ示スト云フ眞劍
  味ガ斯ウ云フ際ニハ必要ダト思フ、殊ニ米
  麥ニ對シテ非常ナル不安ヲ感ジテ居ル際ニ
  於テ、私ハ少クトモ自分ノ晝食-或ハ物
  嗤ヒニナルカモ知レマセヌガ、晝飯辨當、
  是等ハ少クトモ自分ノ家カラ持出ス、サウ
  シテ他ノ省ニマデ其ノ範ヲ示ス、或ハ他ノ
  國民全體ニ其ノ範ヲ示スト云フ眞劍味ガア
  ツテ然ルベキダト思フ、殊ニ配給等ノ問題
  ニ付キマシテモ、不公平ナ點ガアルノデハ
  ナイカ、自分ハ或ル一定量ノ配給ヲ受ケル、
  然ルニ自分ハ辨當ダケハ餘所ノモノヲ食フ
  ト云フコトニナリマスレバ、餘所デ辨當ヲ
  食ヒ得ナイ者ニ對シテ、配給ノ數量ニ於テ
  不公平ナル問題ガアルノデハナイカト思フ
  ノデス、ヤハリ農林省ガ率先シテ此ノ際ニ
  必ズ辨當ハ自分ノ家デ作ツタモノヲ持タシ
  テ、腰辨ノ本領ヲ發揮スル、或ハ他省ニマ
  デ及ボシ或ハ大會社ニマデソレヲ及ボスト
  云フ、サウ云フ點ニ於テ、而モ建築物ノ非
  常ニ不足シテ居ル時代ニ建築ガ出來ル、又
  是等ノ勞力ヲ他ノ方面ニ相當還元スルコト
  ガ必要デアラウト思フノデアリマス、是等
  ノ點ニ對スル御考ヘ最後ニモウ一點伺ヒタ
  イノハ、日本ノ農家ノ勞働服裝ホド複雜ナ
  モノハナイト思フ、地方ニ依ツテ非常ニ多
  種多樣ニナツテ居リマス、婦人ノ作業服ニ
  於テ殊ニ然リデアルト思ヒマスガ、是ハモ
  ウ少シ改善〓究ヲ致シタナラバ餘程統一シ
  タ、モウ少シ働キ宜イヤウナ服裝ガ出來ル
  ノデハナイカト思フノデアリマスガ、是等
  ノ點ニ對シテノ御考ヘヲ承リタイト思ヒマ
  ス、以上ダケ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=127

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• 128・村上國吉

  ○村上委員長　デハ此ノ儘デ數分間休憩致
  シマス、ドウゾ席ヲ離レナイヤウニ御願ヒ
  致シマス
  午後四時七分休憩
  午後四時十四分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=128

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• 129・村上國吉

  ○村上委員長　休憩前ニ引續イテ會議ヲ開
  キマス、是ヨリ農林大臣ニ對スル質疑ニ入
  ルコトニ致シマス、今日中ニ農林大臣ニ對
  スル質疑ヲ、一應終了シタイト思ヒマスカ
  ラ、甚ダオヤリニクイコトデアラウトハ存
  ジマスガ、先程ノ理事諸君ノ御申合セヲ尊
  重スルコトニシテ、大臣ノ答辯トモ併セテ
  一人二十分以內、ソレデ一ツ進行スルコト
  ニ致シタイト存ジマス、ドウゾ左樣ニ御諒
  承ヲ願ヒマス、先ヅ須永好君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=129

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• 130・須永好

  ○須永委員　私ハ本會議ニ於ケル質問ノ繼
  續ト致シマシテ、第一番ニ農林大臣カラ
  差當リ昭和十六年度ノ增產計畫ガ實現セラ
  V、而モ本法案ニ依ル農地營〓ノ事業モ出
  來而モ今日マデ勞力不足ノ爲ニ相當荒廢
  地ヲ生ジ、或ハ勞力不足ノ爲ニ滿足ナ收穫
  ノ得ラレナカツタ部分ヲ、十分ナ收穫ノ得
  ラレルガ如クニナスベキ、重大ナ勞務ニ對
  スル所ノ計畫ヲ具體的ニ承リタイノデス
  次ニ承リタイコトハ、農民ガ一タビ土地
  カラ離レテ、卽チ農業ヲ廢メテシマヒマス
  ト、是ハモウ再ビ百姓ニ歸ルト云フコトハ、
  容易デハナイノデアリマス、今ハ百姓カラ
  出タ人ガ多イト思ヒマスガ、中小商工階級
  ニ對スル轉業ノ問題等ガ起ツテ參リマシテ
  モ、歸農セシムルト云フコトハ非常ニ困難
  デアリマス、百姓ガ外ノ商賣ニ轉業スルコ
  トハ、恐ラク相當ナ食糧ヲ持チ、或ハ其ノ
  他ノモノヲ持ツテ、ソチラニ轉業シテ行ク
  ノデアリマスカラ、差當リモノニ困ラズシ
  テ、サウシテ新シイ商賣ノ方ハ、努力如何
  ニ依リマシテハ、其ノ日カラデモ收入ガア
  ルト云フ仕事ニ移ツテ行クノデアリマスカ
  ラ、是ハ容易ナノデアリマスガ、外ノ商賣
  カラ農業ニ移ツテ來ルト云フコトニナリマ
  スト、是ハ肥料ヲ買ヒ、或ハ其ノ他ノ器具
  ヲ買フトカシテ、一生懸命努力ヲシテ行キ
  マシテモ、一箇年間乃至半年位經チマセヌ
  ト何ノ收入モ見ラレナイ、斯ウ云フ形ニ
  ナツテ居ルノデアリマスカラ、日本ノ農村
  カラ百姓ガ一寸土地ヲ離レル傾向ガ現ハレ
  テ來タ時ハ、旣ニモウ重大ナ時デアリマス、
  私ハ昨今農村ノ實情ヲ見マシテ、モウ四十
  ヲ超シタ人ハ百姓ヲヤツテ居リマスガ、恐
  ラク四十前ノ人、特ニ二十四、五ノ人ハ、
  ソレガ其ノ農家ヲ繼グベキ長男デアリマシテ
  モ、特ニ小作農等ニ於キマシテハ、皆ソレ
  ガ他ノ商賣ニ轉ジテ行ク、斯ウ云フ傾向ガ
  近頃非常ニ顯著デアリマシテ、差當リ農家
  戶數ガ何戶アルカト云フコトハ、マダ統計
  ノ上ニ現ハレテ來ナイカモ知レマセヌガ、
  五年ナリ十年ナリ經ツテ參リマスト、四十
  ヲ超エテ居ル親父サン達ハ、愈〓農業ノ作
  業ニ從フコトガ出來ナクナル、而モ若イ者
  ハ他ノ商賣デモウ生活シテ居ル、斯ウ云フ
  コトガ段々現ハレテ參リマシテ、近キ將來
  ニ非常ニ農家戶數ガ減ル、斯ウ云フ危險サ
  ヘモ考ヘラレルノデアリマス、併シ前ニモ
  言タツヤウニ、サウ云フコトガ現ハレテ來
  テ遽カニ是デハ大變ダト言ツテモ、中々
  歸スコトハ出來ナイ、ソコデ吾々ハサウ云
  フ傾向ノ現ハレナイ內ニ、百姓ガドウシテ
  モ土地ニ着イテ、此處デ何時マデモ土地ヲ
  耕ヤシテ、百姓ヲスルノダト云フ方法ヲ講
  ジテヤリマセヌト、日本ノ現狀ニ於テハ非
  常ニ將來ガ案ゼラレルモノガアリマスノデ、
  吾々ハ農地制度ノ改革ヲ主張シマシテ、今
  日ノ各層農家ノ中デ、兎ニ角牧穫ノ半分ヲ
  納メナケレバナラヌト云フ、一番割ノ惡イ
  條件ニ置カレテ居リマス所ノ百姓、而モ是
  ガ他ノ商賣ニ轉業シヨウト云フコトニナリ
  マスト、土地ヲ持タナイ百姓デアリマスカ
  ラ、土地ヲ棄テテ他ノ方ニ行クコトハ是
  ハ非常ニ易イコトデアリマスガ、土地ヲ持
  ツテ居ル者ハ、假令相當ナ〓育ヲ受ケ、或
  ハ他ノ商賣ニ轉ズル上ニ好イ條作ヲ持ツテ
  居ル人デモ、自分ノ土地ヲ耕サズニ、他ノ
  職ニ轉ズルト云フコトハ出來マセヌカラ、
  土地ヲ作ツテ吳レル者ガアル內ハ、他ノ商
  賣ヲヤツテ居ツテモ、結局自分ノ土地ガア
  ル者ハ、自分ノ土地ヲ耕サナケレバナ
  ラヌト云フ責任モアリマス、所ガ小作人ハ
  ソコヘ行クト、土地ヲ棄テテ行クコト
  ニ何等支障ガナイ、斯ウ云フコトニナリ
  マスト、サウ云フ傾向ガ非常ニ顯著ニナツ
  テ來ルノデアリマス、此ノ小作農ヲシテ早
  ク、自分ノ作ツテ居ル土地ハ自分ノモノダ、
  子孫ニ至ルマデ此ノ狀態ニ於ケル百姓ガ
  ヤツテ行ケルノダト云フ立場ニ置クコト
  ガ、私ハ目下相當考慮サレナケレバナラナ
  イコトデハナイカ、斯ウ考ヘマシテ、當日
  農地制度ノ改革ヲ主張シテ居ル者デアリマ
  スガ、先頃ノ本會議ニ於ケル私ノ質問ニ對
  シマシテ、農林大臣ハサウ云フコトハ必要
  ダカラ考慮スル、サウシテ自作農等ヲドシ
  ドシ作ツテ行クヤウニシタイト云フ御答辯
  ガアツタ、ノデアリマス、此ノ自作農ヲドシ
  ドシ作ツテ行クト云フコトモ、今日マデノ
  實績カラ見マスト、今問題ニナツテ居ル農
  村カラ離レテ行ク此ノ傾向ヲ、十分補フニ
  足ルダケノ自作農創設ガ出來ルカト申シマ
  スト是ハ出來ナイト思フノデアリマス、
  ソコデ若シ自作農創設デ行クトスルナラ
  バ、自作農創設ヲモウ一段强化スル必要ガ
  生ズルノデハナイカ、其ノ爲ニハモウ少シ何
  等カ變ツタ方法ヲ考究シテモ、自作農ヲ
  ドシ〓〓作レルヤウニシナケレバナラヌノ
  デハナイカト私ハ考へルノデアリマス、農
  林大臣モ其ノ點ニ付テ御同意下スツタノデ
  アリマスガ、自作農ヲ作ルト云フコトニ付
  テ、何等カ新シイ構想ガアリマスカ、今マ
  デ通リノ方法デ、今マデヤツテ居ツタヤウ
  ナ出來ナリノ程度デ行クト云フダケノコト
  デアリマスカ、此ノ點農林大臣カラ伺ヒタ
  イノデアリマス
  尙ホソレニ附加ヘテ御尋ネ致シタイト思
  フノデアリマスガ、自作農ヲ若シ作ツテ、
  斯ウ云フ傾向ニ付テ其ノ對策ガ講ゼラレル
  ト云フコトデアリマスト、二月一日カラ實
  施サレマシタ農地等價格統制令ノ問題ト、
  自作農創設トノ問題ニ於テ、非常ニ行違ヒ
  ヲ生ジハシナイカ、自作農創設ノ場合ニ於
  テ、政府ハ一定ノ買取土地ノ價格ノ基準ヲ
  決メテアル、成程是ハ御尤モナ話デアリマ
  シテ、其ノ土地ヲ買取ツタ者ガ、唯需要供
  給ノ關係デ糶上ゲラレタル價格デ買取ツテ
  見テモ、引合ハナケレバ又失フコトヲ生ズ
  ルノデアリマスカラ、其ノ價格ガ一定ノ努
  力ヲスレバ濟崩シガシテ行ケル價格ノモノ
  デナケレバ、折角作ツタ自作農ガ又滅ビル
  ト云フ結果ヲ生ズルノデアリマスカラ、ア
  ノ基準ヲ作ラレタト云フコトハ、非常ニ結
  構ナコトダト思フノデアリマス、併シナガ
  ラ今度出來マシタ農地等統制令ニ依リマス
  ト、農地價格ノ決定ノ方法ガ、自作農創設
  ト同ジ基準ニ依ツテナサレテ、土地ハ自作
  農トシテ賣渡基準ニ依ツテ賣ラレル以外ニ、
  ソレヨリ高ク賣ルコトハ出來ナイノデアル
  カラ、ドウシテモソレト同ジコトニ行クノ
  ダト云フコトニナリマスレバ、賣買ハ非常
  ニ樂ニ行クト思ヒマスガ、最高最低價格ノ
  決定ニ止マリマスト、是ハ米ノ値段ニ於テ
  モ最近金ヲ物ニ換ヘヨウト云フ傾向ノ强イ
  今日ニ於キマシテハ、最低價格ハ全ク決メ
  テ置クダケデアツテ、何時モ最高價格ニ支
  配サレテ居ル、此ノ傾向ハ土地ニ於テモ同
  ジダト思フノデアリマス、若シ自作農ヲドシ
  ドシ拵ヘテ、農村カラ農民ガ離レル傾向ヲ
  抑ヘテ行カウト云フノデアリマスレバ、自
  作農ガ出來易イ土地ノ價格ト云フモノヲ考
  慮シナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  農地價格統制令ニ依リマスルト、ソレハサウ
  デナク、最高最低ノ價格ノ決定デアリ、其
  ノ最高價格ノ土地ハ、自作農ニ適應スル價
  格ヨリモ、遙カニ高イモノニナツテ行ク傾
  向ガアルノデハナイカト考ヘルノデアリマ
  ス、是等ニ對スル農林大臣ノ御考ヘヲ承リ
  タイト思フノデアリマス、尙ホ御聽キシタ
  イコトモアリマスルガ、時間ヲ制限サレテ
  居リマシテ、大臣ノ答辯ノ時間モ殘サナケ
  レバナラヌノデ、私ノ質問ハ此ノ程度ニシ
  テ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=130

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• 131・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　第一ノ十六年度ノ增產モ
  ヤリ、農地ノ開發モヤリ、又荒地ヲ生ゼヌ
  ヤウニスルト云フコトニ付テノ勞力ト云フ
  モノハ、非常ニ大キイモノニナルガ、ソレ
  ニ付テノ具體的計畫ヲ聽キタイト云フ御話
  デアリマス、開發計畫モヤリ、增產モヤル
  ト云フコトニ付テ、非常ニ勞力ガ要リマス
  コトハ屢〓、御論議ノ通リデアリマス、開發
  計畫等ニ對シマシテハ、具體的ノ案ハ局
  長カラ申上ゲマシタコトト存ジマスカラ
  ソレニ讓リ、荒廢地ヲ生ゼヌヤウニスル
  ト云フコトニ付テノ點ハ、是ハドウモ勞力
  ニ付テ具體的計畫ヲ持ツト云フコトハ難シ
  イノデアリマス、是ハ申上ゲルコトハ非常
  ニ困難ダト存ジマス、凡ユル手段ヲ盡シマ
  シテ、左樣ナ荒地ノ出來ヌヤウニ努メマス
  ト云フコトヲ申上ゲル以外ニ、具體的計畫
  ヲ申上ゲル譯ニハ參リマセヌ
  ソレカラ第二點ノ、農民ノ土地ヲ離レルト
  云フコトニ關シマシテハ、御說ノ通リニ、
  非常ニ是ハ憂慮ヲ致サナケレバナラヌ點デ
  アリマシテ、十分ニ考慮ヲ致シ、施策ヲ致
  サナケレバナラヌト考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、其ノ中ノ有力ナル方法ト致シマシテ、御
  指摘ノ土地ト密接ナル關係ヲ生ゼシメルヤ
  ウニ、小作人ト云フ一番轉業ノシ易イ、
  足ヲ土地所有ト云フコトニ付ケテ居ラヌ
  モノガ轉業シ易イ、之ヲ成ベク土地ト結
  付ケルヤウニ所有關係ヲ持タシメルト云フ
  コトハ、是ハ御說ノヤウニ非常ニ大事ダト
  思フノデアリマス、ソレニ關シマシテ自作
  農創設ノ方法ガアルガ、從來ノ自作農創設
  ノ方法デハ、左樣ナコトハ十分ニ行クト
  ハ考ヘラレナイガ、何カ具體的ノ方法ヲ考
  ヘテ居ルカ、斯ウ云フ御尋ネデアリマス、
  此ノ點ニ關シマシテハ、只今マダ農林省ト
  シテ、斯樣ナ案ヲ持ツテ居ルト云フ段ニ至
  ツテ居リマセヌ、併シ私ト致シマシテハ
  此ノ點ニ關シマシテハ洵ニ重大デアルカラ、
  將來施策ヲ進メテ參リタイト云フ意見ヲ持
  ツテ居リマス、ソレデ此ノ點ニ關シマシテ
  考ヘナケレバナラヌノハ、一ツニハ量ノ問
  題デアリ一ツニハ質ノ問題デアルト考へ
  ルノデアリマス、從來ノ自作農創定ノ方法
  ニ關シマシテハ、量的ニ是デハ規模ガ小サ
  クテイケナイノデハナイカ、斯ウ云フ御不
  滿ガアルノダラウト考ヘルノデアリマス、
  農村ニ於ケル農業勞力、殊ニ自作地ニ對シ
  マスル自作農ノ勞力ト云フモノハ、非常ニ
  品質ノ良イ勞力デアリマスノデ、之ヲ十分
  ニ保留致スト云フコトハ、何ヨリモ必要ナ
  コトデアルト考ヘテ居ルノデアリマス、故
  ニ御指摘ノヤウナ他ノ業ニ走リ易イ狀態ニ
  ナリマシタ場合ニ於キマシテハ、之ヲ相當
  ノ量ニ於テ擴大致シテ計畫ヲ致スト云フコ
  トハ、非常ニ必要ダト考ヘルノデアリマス、
  其ノ點ニ關シマシテ十分ニ考案ヲ盡シテ行
  キタイト考ヘテ居リマス、モウ一點ハ質ノ
  問題デアツテ、從來ノ自作農創定ノ制度ト
  云フモノガ、御承知ノ通リニ是ハ自作農創
  定ト云フコトヲ、第一次ノ目的トシテヤツ
  テ居ルノデハナクシテ、同時ニ小作爭議ノ
  解決ノ方法ト云フコトヲ、等分ノ重サニ於
  テ考ヘテ出發ヲ致シマシタ、極メテ小サナ
  案ナノデアリマス、量ニ於テ小サイト同時
  二、隨ヒマシテ制度モ決定的ノ制度ニナツ
  テ居リマセヌ、端的ニ申上ゲマスレバ尻ガ
  結バレテ居ラナイ、之ヲ法制的ニ尻ヲ結ブ
  ヤウニスルト云フコトヲ考慮ニ入レマシテ、
  考ヘテ行カナケレバナラヌト思フノデアリ
  さい、「ドイツ」ニ於キマシテ世襲農地ト云
  フヤウナコトガ、此ノ頃新シイ「ナチス」政
  府ノ方策トシテ擧ゲラレテ居リマス、只今
  世襲農地ト申シテ居ルモノハ、二十年バカ
  リ前ニ一遍家產制度トシテ各國ニ唱ヘラレ
  タコトガアルノデアリマス、外國ニ於テ餘
  リ是ガ行ハレテ居ラナカツタノハ、何時カ
  モ申上ゲタヤウニ、收支均分ノ制度ガ行ハ
  レテ居ルガ爲ニ、餘リニ利用ガ出來ナカツ
  タト云フ狀態デアリマス、此ノ點ニ於キマ
  シテ、日本ハ大體ニ於テ長子相續ノ國デア
  リマシテ、所ニ依リマシテハ末子相續ト云
  フ特殊ノ慣行ノアル地方モ、長野縣等ニ於
  テアルヤウデアリマスガ、兎ニ角モ一子相
  續ノ所デアリマスガ故ニ、此ノ點ニ關シマ
  シテハ、十分ニ相續關係ニ於テハ素質ガア
  ル國ダト私ハ思ツテ居ル、此ノ制度ヲ設ケ
  マスト、農民ノ土地制度ト致シマシテハ、
  玆ニ極メテ我ガ國情ニ合ツタモノガ出來ル
  ダラウト私ハ考ヘテ居リマス、併シ色々ノ
  點ニ於テ十分ノ〓究ヲ致サナケレバナラヌノ
  デアリマスカラ、私ガ一個ノ意見トシテサ
  ウ云フ考ヘヲ持ツテ居ルト云フコトダケニ、
  御承知置キヲ願ヒタイト存ジマス
  第三點ノ自作農ヲ作ルトスルナラバ、農
  地價格ノ統制令等ノ關係ニ於テ矛盾ヲ生ズ
  ルヤウニ考ヘル、自作農創定施設ノ奬勵ニ
  揭ゲテ居ル所ノ農地價格ノ基準ヲ定メテ居
  ルコトハ宜シイガ、最近ノ農地價格統制令
  ノ方ハ、最高價格デアルト雖モ、其ノ決メ
  方ガソレト違ツテ居ルカラ、自作農創定ノ
  爲ニ於テハ妨ゲニナリハセヌカト云フ御質
  問デアリマス、此ノ點ハ見方ニ依ツテハ左
  樣ニ考ヘラレルノデアリマスガ、是ハ只今
  ノ九〓一八關係ト致シマシテ、凡ユルモノノ
  價格ヲ定メナケレバナラヌ關係上出テ參リ
  マシタコトデアリマシテ、何處デモ私共ハ
  最高價格ト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノデアリ
  マス、特別ニ國ガ援助ヲ致シマシテ、玆
  自作農創定ト云フ積極的施設ヲ執リマス以
  上ハ、曩ニ省令ヲ以テ示シテアリマスヤウ
  ナ、少クトモアア云フヤウナ算式ニ從フ價
  格ニアラザレバイケナイ、斯ウ考ヘテ居リ
  マスカラ、此ノ制度ヲドウ云フ風ニ將來擴
  充シテ參ルカト云フコトニ關聯シマシテ、
  ヤハリ其ノ點ハ特別ノ考慮ヲ拂ツテ行カナ
  ケレバナラヌト考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=131

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• 132・村上國吉

  ○村上委員長　石坂君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=132

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• 133・石坂繁

  ○石坂(繁)委員　私ノ第一ニ御伺ヒ致シタ
  イト存ジマシタノハ、農地制度ノ根本方策
  ニ付テデアリマスガ、其ノ點ニ關聯致シマ
  シテハ只今須永君ノ御質疑ニ對シマシテ、
  大臣ト致サレマシテハ重要ナ問題デアルカ
  ラ、種々施策ヲ試ミナケレバナラヌ、斯
  ウ云フ御答辯ガアツタノデアリマシテ、其
  ノ點ニ關シマシテハ私ハ自作農創設ヲ根幹
  トスル、サウシテ其ノ方法ト致シマシテ國
  家ガ不在地主、或ハ一定限度以上ノ地主ノ
  耕地ヲ買上ゲル、サウシテソレデ自作農創
  設ヲスルト云フ趣旨ニ於テノ農地國有ノ意
  見ヲ持ツテ居ル、斯ウ云フコトヲ申上ゲル
  コトニ止メマシテ、其ノ點ハ多ク論ジナイ
  コトニ致シマス
  第二ノ問題ハ、此ノ農地開發營團ガ管
  理致シマス土地ノ經營ノ方法ニ付テデア
  リマス、是ハ條文五十條及ビ五十八條ニ
  依リマシテモ、農地開發營團ハ此ノ農地
  ヲ管理スル、サウシテ勅令事項ニ依リマ
  シテモ、ソレヲ小作ニ付スル場合ガアル、
  斯ウ云フ風ナコトガ謳ツテアルノデアリマ
  シテ、隨テ將來ニ於キマシテハ、農地開發
  營團自體ガ開發シタル農地ヲ小作ニ付スル
  場合ガアリ得ルノデアリマス、其ノ場合ニ
  於ケル小作ノ方法ト云フモノヲ、ドウ云フ
  風ニ御立テニナル考ヘデアルカ、言葉ヲ換
  ヘテ申シマスナラバ、從來ノ賃貸小作ノ普
  通ノ形同樣ノコトデオヤリニナル積リカ、
  私共ノ意見ヲ以テ致シマスルナラバ、日本
  農業ノ大キナ惱ミハ、從來小作料ガ高過ギ
  タト云フコトナノデアリマス、料金ニ於テ
  一毛作ノ所デモ高イ所ハ五割二、三分、二
  毛作ノ所デ五割七、八分モ小作米ヲ拂ハナ
  ケレバナラヌ、而モ其ノ小作米ハ再ビ農業
  生產過程ニ向ツテ還元致シテ參リマセヌ、
  サウ云フ所ニ日本ノ小作制度ト云フモノノ
  大キナ改革ノ目標ヲ置カナケレバナラヌト
  思フノデアリマスガ、斯樣ナ方法ニ於テノ
  分益小作制、斯ウ云フ方向ニ營團管理ノ田
  畑ヲ小作ニ付スル場合ニ御進ミニナルヤウ
  ナ御考ヘハナイデアリマセウカ、是ガ第二
  點デアリマス
  第三點トシマシテ小作制度ノ調整ニ付
  テデアリマス、日本農業ニ於テハ農業經
  營ノ根幹タル農地ノ價格ガ高過ギルト云
  フコト、日本ノ小作料ガ高過ギルト云フ
  コト、斯ウ云フヤウナコトハ日本農業ノ根
  本問題トシテ考ヘ直シ、小作制度ノ立法ヲ
  シ直サナケレバナラヌト云フ考ヘヲ持ツテ
  居リマスルガ、今後ノ小作制度ノ根本調整
  ニ付テ、農林大臣ノ御所見ヲ承リタイノデ
  アリマス、ソレニ關聯致シマシテ世間ニ實
  際賣買讓渡サレテ居ル開墾權、或ハ小作權
  ト云フヤウナモノハ、現行ノ法律デハ認メ
  ラレテ居リマセヌケレドモ、實際ノ取引上、
  相當價格ヲ持ツテ居ル地方ガアルノデアリ
  マシテ、サウ云フモノニ對シマシテ立法的
  ニ之ヲ確實ニシ、保護スル方法ノ必要ヲ感
  ジテ居ルノデアリマス、其ノ點モ併セテ小
  作制度ノ調整ト云フ一項ヲ擧ゲテ御伺ヒヲ
  致シマス
  第四番目ハ日本農業經營ノ一ツノ新シ
  イ方向ト致シマシテ、高原地及ビ高冷地
  ガ、全國ヲ調べマスト約五百万町歩モア
  ルヤウニ聞キ及ンデ居ルノデアリマスガ、本
  法ニ依ル開發ト是等ノ高原地方竝ニ高冷地
  帶ノ開發トノ關係デアリマシテ、私共ノ所
  見ヲ以テ致シマスナラバ、食糧自給强化ノ
  爲ニ本法ノ營團ガ田畑ヲ開墾致シマスコト
  ハ固ヨリ必要デアリマスガ、同時ニ高原地
  友、高冷地方ヲ開墾致シマシテ、餌料其ノ
  他是等ノ地方ニ適當スル作物ヲ植ヱマシテ
  サウジテ畜產或ハ酪農ト云フヤウナモノヲ
  勸メマスルコトハ國民ノ保健衞生ノ上カラ
  申シマシテモ極メテ必要デアラウト考ヘル
  ノデアリマスルカラ、之ニ關スル大臣ノ御
  所見如何ト云フ點デアリマス
  次ニ永小作權ノ處置ノ問題、是ハ御承知
  ノ通リニ民法施行法ニ依リマシテ民法施行
  後五十年ヲ經過致シテ一年ノ中ニ地主ガソ
  レヲ消滅サセルコトモ出來レバ、更ニ一年
  ノ中ニ小作人ガ代償ヲ拂ツテ買取ルコトニ
  ナツテ居ルノデアリマス、然ルニ昭和十五
  年二月現在ノ調査ニ依リマシテモ、舊慣永
  小作權關係市町村百三十一、六千百五十二
  町步ニ及ンデ居リマス、永小作權者ハ一万
  三千百六十四人ノ多キニ及ンデ居リマシ
  テ、全國的ニ及ンデ居ル、其ノ區域ハ、高
  知、熊本、茨城、愛知、石川等ノ各府縣ニ亙ツ
  テ居ルノデアリマシテ、而モ民法施行後第
  五十年ト云フノハモウ軈テ參ルノデアリマ
  スカラ、今日農林當局ト致サレマシテハ、
  此ノ永小作ノ消滅、或ハ其ノ後ノ問題ニ付
  テノ適當ナル御立案ガアツテ然ルベキコト
  デアラウト思フノデアリマス
  ソレカラ最後ニ入會原野ノ問題デアリマス、
  是ハ各地方ニ隨分澤山アリマスガ、舊藩時代
  カラ其ノ緣故關係ノ部落ガ入會ヒマシテ、放
  牧或ハ秣採取等ヲヤツテ居ツタ原野ガアル
  ノデアリマスガ、ソレガ明治初年ノ地租改正
  ニ依リマシテ官有地編入ト同時ニ入會權ハ
  消滅シテ居ルト云フコトニ大審院ハ判例ヲ
  取ツテ動キマセヌ、併シ實際ハ其ノ地方ニ
  入會ツテ牛馬ノ放牧モ致シテ居リマスレ
  バ、秣採取等モヤツテ居ル地方ガ澤山アル
  ノデアリマス、ソレガ問題ニナリマスルト、
  裁判所ハ大審院ノ判例ヲ執ツテ動キマセヌ
  爲ニ、從來入會地帶デアルト思ツテ居ツタ
  其ノ地方ノ農家ト云フモノハ、牛馬ノ放牧
  モ出來ナケレバ秣採取モ出來ナイト云フ結
  果ニ陷ルコトガアルノデアリマス、是ハ今
  日ノ農村生活カラ申シマスレバ、非常ニ氣
  ノ毒デアリマス、裁判所モ氣ノ毒ニ思ツテ
  居リマス、隨テ是等ノ往年舊慣ニ依ツテ入
  會ヲ致シテ居リマシタ原野ニ對シマシテハ、
  其ノ大審院ノ判例ヲ改替スルヤウナ他ノ立
  法ナリ其ノ他ノ方法ニ依リマシテ、其ノ地
  方ノ農家ヲ保護スル必要アリト考ヘルノデ
  アリマスガ、此ノ點ニ關シマシテ御意見ヲ
  伺ヒタイノデアリマス
  言葉ハ盡シマセヌガ、大體ノ要點ダケハ
  申上ゲマシタノデアリマシテ、御答辯ヲ願
  ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=133

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• 134・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　農地制度ニ關シマシテハ
  旣ニ申上ゲタノデ宜シイト云フコトニ致シ
  マシテ、第二ノ開發營國ノ經營方針ニ關シ
  マシテ、小作ニ付スルト云フ場合モアルヤ
  ウニ思フガ、サウ云フ場合ニ於テ分益小作.
  ト云フヤウナコトニ付テ考ヘナイカト云フ
  御尋ネデアリマス、農地開發營團ハ、先日
  來申上ゲテ居ル通リ、多分ニ公共的意義ヲ
  持ツテ居ルモノデアリマシテ、私法人トハ
  申シナガラ、略〓政府ノ土地開發事業ノ代行
  機關ト云フ風ナ氣持デ居ルノデアリマス、
  ソコデ此ノ開發ヲ致シマシタ土地ハ大體ニ
  於テ自作農地ト致シマシテ、適當ナル農民
  諸君ニ處理シテ行キタイト云フ考ヘデ居ル
  ノデアリマスガ、時ト所ニ依リマシテハ
  直チニソレニ出來ナイ場合ガアルノデアリ
  マン、サウ云フ場合ニ於キマシテハ之ヲヤ
  ハリ小作管理ト云フヤウナコトニ致シマス
  場合ガ生ジナイトハ限ラナイノデアリマス
  ガ、ソレハ多クノ場合ハ經過的ノ場合ダラ
  ウト考ヘマス、隨ヒマシテ其ノ經過的ノ
  取扱ニ適スルヤウナ方法ヲ以チマシテ之
  ヲ小作ニ付シタイト云フ考ヘヲ持ツテ居
  ルノデアリマス、是等ニ關シマシテハ
  營團ニ於キマシテ、其ノ爲ニ非常ナ食込
  ミニナルト云フヤウナコトハ採ル譯ニモ
  參リマスマイガ、ソレニ依ツテ小作料ヲ
  儲ケルト云フヤウナ土地會社的ノ考ヘハ
  決シテ持タセナイ積リデ居ルノデアリマ
  ス、或ハ分益小作ト云フ御考ヘハドウ云フ
  コトデゴザイマスルカ、分益小作ニモ色々
  種類ガアリマシテ、謂ハバ刈分小作モ或ル
  意味ニ於ケル分益小作デアリマス、サウ云フ
  ヤウナ進マナイ、寧ロ改善ヲシテ行カナケレ
  バナラヌヤウナモノハ、是ハ無論採ルコトハ
  出來マセヌガ、進ンダ意味ノ小作制度ト云フ
  モノヲ試ミニヤラセテ見ルト云フコトモ一ツ
  ノ方法デアラウト思ヒマスケレドモ、併シ前
  ニ申上ゲマシタヤウニ、大體ニ開發地ノ處
  理ハ自作農創設ト云フ風ニ向ケテ參リタイ
  ト考ヘマスルカラ、此處デ小作地管理ノ模
  範制度ヲ實行シテ行クト云ツタヤウナコト
  ハ先ヅ餘リヤル場合ガ生ジナイノデハナカ
  ラウカト考ヘマス、隨テ此ノ小作制度ト致
  シマシテハ、期限ト云フヤウナモノニ於テ
  相當長期ナモノガ同ジ小作制度ナラバ宜シ
  イト思フノデアリマスガ、サウ云フ長期ノ
  モノヲ營團ガ設定ヲ致シテヤルト云フヤウ
  ナコトハ先ヅナカラウト考ヘルノデアリマ
  ス、過渡的ニヤリマスノデ、自作農創定ト
  云フコトニ充テ得ルモノデアルナラバ、小
  作ヲ出來ルダケ早イ機會ニ於テ自作農ニ變
  ヘテ行ク、斯ウ云フヤリ方デ參リタイト云
  フ考ヲ持ツテ居リマス
  ソレカラ第三ノ小作制度ノ根本的調整ニ
  關シテドウ考ヘルカト云フコトデアリマス
  ガ、我ガ國ノ小作制度ニ關シマシテハ、非
  常ニ沿革的ノモノデアリ、難カシイ問題デ
  アリマスノデ、屢〓調査會等モ設ケラレ、調
  ベヲ進メテ居ル譯デアリマス、法案等モ出
  來テ議會ニ提出サレタコトモアルノデアリ
  やく、此ノ點ハ自作農地制度ヲ擴大改善シ
  テ參リマシテモ、ヤハリ相當ノ大キイ場面
  ガ小作農地トシテ存在シナケレバナラヌ實
  情ニアルト考ヘルノデアリマス、ソレニ對
  シマシテ小作關係ヲ改善ヲ致シテ行クト云
  フコトハ無論重大ナ問題トシテ考ヘテ居リ
  マスカラ、此ノ制度ノ調整ト云フコトニ關
  シマシテモ私ハ十分重キヲ置イテ將來進メ
  テ參リタイト考ヘテ居リマス、其ノ際ニ小
  作權等ヲドウ扱フカト云フ問題ハ無論第一
  ニ重要ナ問題ニナツテ參ルノデアリマス、
  自作農制度ト聯關ヲ致シマシテ極メテ重要
  ナ問題デアルト考ヘマスルノデ、ソレ等ハ
  十分ニ練リマシテ、調査モ遺漏ノナイヤウ
  ニ致シテ參リタイト考ヘテ居リマス
  ソレカラ第四ノ高冷地帶ニ關シマスル開
  發經營ヲ開發營團ニ於テヤルヤウニシタラ
  ドウカト云フ御說デコザイマス、其ノ通リ
  ダト考ヘルノデアリマス、高冷地帶ノ開發
  ト云フコトハ實ハ今マデ餘リ手ヲ付ケラ
  レテナカツタ、私共政府外ニ居リマシテ、
  色々政府ノ援助等モ得マシテ、近年四千尺
  近イ所ヲ開發致シテ見タノデアリマス、十
  分ニ見込ガアルコトヲ實驗シテ居ルノデア
  リマス、ソレ等ノ事情カラ致シマシテモ、
  是ハ將來開發ノ目的ト致シマシテ十分ニ利
  用ヲ致シテ參リタイト考ヘテ居リマス、其
  ノ利用ノ方式ト致シマシテハ、比較的大キ
  イ農業ノ經營ニ向ケ、有畜農業ト云フヤウ
  ナコトニ向ケテ行カナケレバナラヌ、斯ウ
  考ヘテ居リマス、開發營團ノ計畫ノ中ニ於
  キマシテモ、一部分ハ當初ノ計畫ニ於テ高
  冷地ヲ入レテ開發ヲ致ス計畫ノ中ニ入レテ
  アリマス、左樣御承知ヲ願ヒタイ
  ソレカラ永小作權ノ問題デアリマスガ、
  御話ノ通リ民法施行法ノ規定ニ依リマシテ、
  施行後五十年ヲ以テ地主ガ先ヅ買取權ノ執
  行ヲスルコトガ出來ル、一年內ニ於テ買取
  ラナカツタ場合ニ於テハ次ノ一年內ニ於テ
  永小作者ガ買取ルベシ、コチラノ方ハ義務
  ニナツテ規定ヲサレテ居ル、此ノコトガ洵
  ニ法規ノ取扱トシテ當ヲ失シテ居ルト云フ
  コトハ、民法施行法制定ノ當時カラ議論ガ
  アツタ所デアリマス、是ノ處理ニ關シマシ
  テハ、屢〓農林省デモ〓究ヲ致シ、又議會ニ
  於テモ問題ニナツタ所デアリマス、而シテ民
  法施行五十年ト云フコトモ近々參リマスヤ
  ウナ次第デアリマスノデ、農林省ト致シマ
  シテハ、御承知ノ通リニ小作關係ノ調停ノ
  手段ヲ以チマシテ、自作農創定ノ制度ヲ利
  用致シマシテ、相當廣イ面積ヲ德島、大阪、
  和歌山ノ間ト云フヤウナ所ニ於キマシテ、
  永小作地ノ自作農地化ヲ圖リマシテ、其ノ
  爲ニ可ナリ大キイ面積ノ問題ガ解消ヲ致シ
  タヤウナ次第デアリマス、今後モサウ云フ
  ヤウナ點ニ力ヲ入レマシテ、此ノ問題ノ
  事實上ノ解消ヲ致シテ行クノガ、ーノ)
  大キナ處理方法ダラウト考ヘテ居ルノデア
  リマス、之ヲ制度的ニドウ處理スルカト云フ
  コトハ、是ハ色々御議論モゴザイマセウシ、
  又色々難カシイ點ガアルノデアリマス、何
  トカ善處シナケレバナラヌト云フコトヲ考
  ヘテ居リマスガ、御話ノヤウニ農林省トシ
  マシテハ調査ヲ致シマシテ、實情ヲ明カニ
  シテ居ルト云フヤウナ次第デアリマス、〓
  數ノ統計ハオ手許ニ配ツテアルヤウナ譯デ
  アリマス、斯ウ云フ細カイ關係ニ付キマシ
  テハ、マダ調査ノ綜合的結果ヲ得テ居リマ
  セヌノデ、ソレヲ得マシタ上ニ善處致シタ
  イト考ヘテ居リマス
  入會原野ノ點ニ付キマシテハ、是亦我ガ
  國ノ從來ノ慣行法上非常ニ難カシイ問題
  デアルト同時ニ、重要ナ問題デアリマ
  ス、大審院ノ判例等ハ明治ノ過渡時代ノ
  事情上已ムヲ得ナカツタコトト考ヘマス
  ガ、事實ノ關係ニ於キマシテ善處致シタ
  イト考ヘテ居リマス、是等ノ入會關係ハ
  今日必ズシモ今御指摘ノヤウナ關係バカ
  リデナク、入會町村ノ多イ爲ニ、オ互ニ制
  約シテ利用ガ完全ニ出來テナイト云フ地方
  ガ非常ニ餘計アル、ソレハ適當ニ分割等ヲ
  致シマシテ-併シソレハ個人分割ニシナ
  イヤウニシテ、農耕及ビ放牧等ニ十分ニ土
  地利用ヲ圖ルヤウニシテ參リタイト云フ考
  ヘヲ持ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=134

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• 135・石坂繁

  ○石坂(繁)委員　私ノ先ニ分益小作ト申シ
  マシタノハ、刈分小作等ヲ意味シタノデハ
  ナイ、例ヘバ地主ノ方デ種子ヲ與ヘ或ハ機
  械ヲ購入シマシテ、共同的ナ作業ヲスルト
  云フ趣旨ニ於テ進步シタ意味ノ分益小作ヲ
  申上ゲタノデアリマス、一言此ノ點ヲ釋明
  致シテ置キマスガ、併シ御答辯ノ趣旨ハ能
  ク了承致シマシタ、時間ノ都合モアリマス
  カラ是デ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=135

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• 136・村上國吉

  ○村上委員長　長野君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=136

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• 137・長野綱良

  ○長野(綱)委員　時間ノ制限ガゴザイマス
  カラ極メテ簡單ニ質問申上ゲマス、食糧ノ
  增產ニ付キマシテハ耕地ノ擴張、耕地ノ改
  良、其ノ他奬勵宜シキヲ得テ初メテ其ノ目
  的ヲ達スルノデアリマス、私ハ專ラ此ノ奬
  勵ノ方面ニ付テ御尋ネシテ見タイト考ヘル
  ノデアリマス
  第一番ニ農業試驗場ニ付テ御尋ネ申上ゲ
  タイト思ヒマス、農學校ノ所在地又ハ農業
  試驗場ノアル地方ニ參ツテ見マスト、部分
  的ニ農業ハ非常ニ發達ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、例ヘバ稻作デアルトカ或ハ麥作デ
  アルトカ云フヤウニ部分的ニハ非常ニ發達
  シテ居ルノデアリマスガ、農家トシテ綜合
  シタル農業經營ト云フコトニ付テハ其ノコ
  トガ實現サレテ居ナイノデアリマス、是一
  私ハ甚ダ遺憾デアリマス、ソコデ大體府縣
  デ見マスルト、先ヅ中農ト言ヘバ田ヲ五反、
  畑ヲ七反トカ、田ヲ一町、畑ヲ五反持ツテ
  居ルノガ大體中農トナルト思フノデアリマ
  ス、ソレデアリマスカラ農事試驗場ニ長期
  講習生ヲ入レル場合ニ於テハ、其ノ地方ノ
  單位ニナル農家ノ經營ト云フコトヲ主體ト
  シタ長期講習生ヲ入レテ、ソコデ一年間或
  ハ二年間練習サセテ、ソレガ自分ノ生家ニ
  歸ツテ經營ヲヤルト云フコトニナルト、本
  當ニ農業ガ理想的ニ行クノヂヤナイカト考
  ヘルノデアリマス、將來サウ云フヤウニ指
  導方法ヲ改メテ行ク意思ガアルカナイカ、
  大臣ノ御意見ヲ伺ヒタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=137

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• 138・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　御指摘ノ點ハ御話ノ通リ
  ト考ヘルノデアリマス、農事試驗場ト云フ
  モノハ從來名ノ現ハシテ居リマス通リ、
  農事試驗ト云フモノニ重キヲ置イタノデア
  リマス、從來ノ制度ト致シマシテハ、ソレ
  ト竝ンデ地方農事講習所ト云フモノヲ置キ
  得ルコトトナリ、所ニ依リマシテハ是ガ同
  ジ所ニ併置サレテ居ル事情デアリマスガ、
  試驗場ト云フモノガ主ニナリ、隨テ個々ノ
  農業生產技術ノ試驗〓究、及ビ其ノ應用ニ
  依ル技術的發達ト云フモノヲ持チ來シテ居
  ル次第デアリマス、此處デ經營ノ方面マデ
  亙ツテ、全部ヲ指導サセルト云フ仕組ニ
  ノツツ居居ラナカツタノデアリマス、之ヲ
  將來サウ云フ風ニスルヤウニ注意ヲシタ
  ラ宜カラウト云フ御指摘ハ、正ニ其ノ點
  ガ缺ケテ居ツタノデアリマスガ、之ヲ試
  驗場デヤルカ、或ハ御話ノヤウニ地方所在
  ノ中農ノ、農事ニ練達ノ家ヲ選ビマシ
  テ、ソレニ講習生ヲ起居セシムルト云
  フヤウナ方法デヤツテ行クカト云フコトガ
  問題デアリマシテ、若シ後者ヲ採ルトスル
  ナラバ、ソレハ試驗場ニ依ル經營ノ習得デ
  ハナクシテ、試驗場ニ於テ技術ヲ學ブト同
  時ニ、經營ハ寄寓シテ居ル所ノ農家ノ主人
  ノヤリ方ヲ學ブト云フヤリ方デ行カウト云
  フコトダラウト考ヘルノデアリマス、私ハ
  此ノ點ハ非常ニ御着眼ガ結構ダト思フノ
  デアリマス、日本ノ農業ノ經營ヲ改善シテ
  行クノニドウシタラ宜イカト云フ問題ガ餘
  程前デアリマシタガ、問題トナリマシタ時
  ニ、之ヲ官廳若シクハ地方廳ノ試驗場ノ一
  部分ト致シ、或ハ特設ノ經濟農場ト云ツタ
  ヤウナモノヲ設ケテヤルト云フコトガ、ド
  ウモヤツテ見タケレドモ、ソレ程ノ效力ヲ
  生ジナカツタ沿革ヲ持ツテ居ルノデアリマ
  ス、ソレハドウシテモ經營ノ結果ガ善クテ
  モ惡クテモ經營主ニ歸屬スルト云フヤウ
  ナ、本當ノ息ノ入ツタヤリ方ト云フモノガ
  出テ來ナケレバ、經營ハ意味ガナイ、ソレ
  ガ官等ガ定マリ、俸給ノ定マツテ居ル者ガ
  時間ヲ決メテ上廳カラ出テ來タト云フヤウ
  ナコトデハ、技術ノ方ノ〓究ハ出來マスケ
  レドモ、經營ノ指導ト云フ譯ニハ行カナイ
  ト云フヤウナコトカラ、其ノ結果ハ一、二ノ
  縣デアリマシタケレドモ、良クナカツタヤ
  ウデアリマス、ソレデ先年日本ノ農業經營
  ノ改善ノ〓究ヲヤリマスル時ニモ、帝國農
  會ニ委囑ヲ致シマシテ、サウシテ實際ノ農
  家ニ經營改善ノ案ヲ立テテ貰ヒマシテ、熟
  達ノ人々ニ委員會ヲ組織シテ貰ツテ、ソレ
  ニ依ツテ改善方針ヲ求メテ、改善ノ方法ニ
  付テ便宜ヲ與ヘテヤツテ行クト云フ方法ヲ
  執リマシテ、試驗場ニハソレヲ委託ヲシナ
  イト云フ方針デ參ツテ來テ居ルヤウナ次第
  デアリマス、ドウシテモ生命ノ入ツタ經營
  ト云フコトニナラヌト、本當ノ指導ガ出來
  ナイト考ヘマスノデ、其ノ點ニ關シマシテ
  長野サンノ御指摘ノ如ク其ノ地方デ中農ト
  見ラレル實際ノ經營ノ所ニ起居セシメテ、
  經營上ノ、知識ヲ修得セシムルト云フコト
  ハ、講習生ニ對スル施設トシマシテハ、洵ニ
  結構ナコトダト考ヘルノデアリマス、農事
  試驗場ノ試驗方針モ此ノ頃ハ稍〓廣クナリマ
  シテ、其ノ地方ノ農業ノ一年中ノ作物ノ組
  合セ、勞力ノ分配、土地使用ノ合理化ノ爲
  ノ輪作ト云フヤウナコトヲ考ヘテ、農事技
  術ノ改良ノ方針ヲ指導シテ行クト云フ方面
  ニハ一步進ミマシテ、最近其ノ方針ガ改マ
  ツテ來タヤウニ思ヒマス、此ノ點ハ非常ニ
  結構ダト思ヒマスガ、ソレガ卽チ經營ノ指
  導ニナルカト申シマスト、マダ足リヌ所ガ
  アルト思フノデ、其ノ點ハ御指摘ノヤウナ
  方法ニ依ラナケレバ本當ノコトハ出來ナイ
  カト考ヘテ居リマス

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• 139・長野綱良

  ○長野(綱)委員　ソレハ其ノ程度ニ止メマ
  シテ、次ニ奬勵方法デアリマスガ、是マデ
  行ハレタ增產方法ノ奬勵ハ色々アツタト思
  フノデアリマスガ、色々ニ區分シテ助成金
  ヲ與ヘテ居ル、勿論ソレガ相當ノ效果ハア
  リマシタケレドモ、今マデノ奬勵ノ仕方デ
  ハ、農民ガ下カラ湧立ツテ來テ其ノ奬勵ニ共
  鳴シテ、多收穫ヲ擧ゲルト云フヤウナ所ニ、
  農民精神ガ〓揚シテ來ナイ、此ノ頃委員
  諸君カラ部落ニ十圓與ヘルト云フヤウナ案
  ガ出テ居リマスルガ、是モ惡イコトデハア
  リマセヌ、併シソレデハ本當ニ農民ノ息ガ
  下カラ湧イテ來ナイ、ソコデ是ハ一ツ此ノ
  際御改メニナツタラドウカト思フ、私ハ斯
  ウ云フ風ニシタラバ農民ガ湧イテ來ルダラ
  ウト思フ、ソレハ部落ヲ單位ニシテ其ノ部
  落ニ對シテ-大體各府縣デアレバ五箇年
  間ノ平年作ト云フモノガアルカラ、其ノ平
  年作以上作ツタ者ニ對シテハ其ノ年何ボ
  ノ奬勵金ヲ與ヘルト斯ウ出タラ宜イト思フ、
  米ヲ七千百万石ト云フコトデアレバ、之ヲ
  各府縣ニ割當テテ見マスルト、直グニ其ノ
  府縣ノ割當平均額ト云フモノガ出ルノデア
  ルカラ、其ノ平均額以上作ツタ部落ニ對シ
  テハ、先ヅ反二十圓ノ金ヲヤル、サウシマス
  ト大〓部落ハ十五軒カ二十軒ノ部落デアリマ
  スカラ、其處ニハ假ニ五町アル、十町アルト
  致シマスレバ、五町アレバ千圓、十町アレ
  バ二千圓ノ奬勵金ヲ貰ヘルノデアルカラシ
  テ、ソレヲ目指シテ部落ノ者ガ一致協同致
  シテ其ノ目標ニ達スル如ク奪勵努力ヲスルノ
  デアリマス、サウ致シマスト、部落ノ隣保相助
  ノ精神ヲモソコデ〓揚ガ出來ルシ、一ツノ
  目的ニ向ツテ進ムト云フコトニナルト非常ニ
  宜シイ、サウシテ政府カラ奬勵金ヲ受取リ
  マシテ、今度ハソレヲ或ル一部分ハ勿論其
  ノ反別ニ應ジテヤラナケレバナラヌケレド
  モ、一部分ハ村ノ共有金トシテ、ソレヲ肥
  料ノ買入デアルトカ其ノ他ノ方面ニ使用シ
  テ行クヤウナコトニナツテ行キマスト、非
  常ニ部落ト云フモノハソコニ進ンデ參ルト
  思フノデアリマス、假ニ反當リ二十圓ヤルト
  致シマシテモ、先ヅ六千万圓投ズレバ七千
  百万石以上ノ米ヲ日本デ作リ出シ得ルノデ
  アルカラシテ、南洋ニ依存スル必要ガナク
  ナルト私ハ考ヘル、サウ云フ風ニ將來奬勵
  ノ方法ヲ變ヘテハ如何デアルカト云フコト
  ヲ農林大臣ニ御尋ネ致シマス

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• 140・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　先般衆議院カラノ御要望
  ノ部落總動員、篤農家總動員ト云フ問題ノ
  御着目ノ所ハ大體御同樣ナ所ガアツタヤウ
  ニ考ヘルノデアリマス、尙ホ農林省ガ從來
  ヤツテ居リマシタ色々細カイ補助金ノ交付
  ノ致シ方ニ付キマシテハ、御說ノヤウナコ
  トヲ十分ニ考慮致シマシテ、綜合致シテ有
  效ニ使ハセルヤウニ努メタイト考ヘテ居リ
  マス

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• 141・長野綱良

  ○長野(綱)委員　モウ一點ダケ御伺ヒ致シ
  やっ、今度ハ監督權ト被監督權ニ關スルコ
  トデアリマス、內務省デアリマスルト、地
  方ノ自治體、例ヘバ市町村長ニ缺員ガ出來
  タ場合ニハ職務管掌ト云フモノガ一時的
  ニ參ツテ、サウシテ正式ナモノヲ拵ヘテカ
  ラ引上ゲテ參ルノデアリマス、所ガ產業省
  ノ關係ノ方ノ側ヲ見マスルト、縣廳ノ役人
  ガ報酬ノアル他ノ組合等ノ職ヲ恆久的ニ兼
  ネテ居ル、卽チ監督權ト被監督權ト云フモ
  ノヲ混同シテヤツテ居ル、是ハ今日吏道刷
  新ノ上カラ餘程愼マナケレバナラヌコトト
  考ヘルノデアリマス、此ノ例ハ便宜主義ニ
  可ナリニ廣クオヤリニナツテ居ルト考ヘル
  ノデアリマスルガ、是ガ段々ト〓ジマスル
  ト、ソコニ色々ナコトガ出來テ參ツテ、甚
  ダ結果ガ宜シクナイト考ヘルノデアリマス、
  將來內務行政ト同樣農林省其ノ他產業省ニ
  於テモ監督下ニ屬スル役員ト云フモノハ
  一時的ハ已ムヲ得ヌケレドモ、恆久的ノモ
  ノハ置ナイ方ガ宜イノデハナイカト考ヘル
  ノデアリマスルガ、大臣ハ此ノ點ニ付テ如何
  ニ考ヘラレマスカ

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• 142・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　全ク御同感デゴザイマス

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• 143・村上國吉

  ○村上委員長　吉植君

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• 144・吉植庄亮

  ○吉植委員　私ハ米專賣ニ付テ大臣ガドウ
  御考ヘニナツテ居リマスカヲ御聽キシタイ
  ノデアリマス、現在配給竝ニ集荷ノ機構ヲ
  見マスルト、集荷部面ニ於テハ御承知ノ通
  リ只デアリマス、唯政府買上米ガ-是ハ
  私直接扱ツテ居ル千葉縣ノ例ヲ申上ゲマス
  ト、千葉縣ノ四等米ガ十六圓九十四錢ノ市
  場價値デアリマスモノヲ十七圓十八錢デ買
  上ゲテ居リマスカラ、一石三十五錢高ク買
  上ゲテ居リマス、假ニ三千五百万石ヲ政府
  ガ管理スルト致シマシテ、此ノ金額ガ千二
  百二十五万圓デアリマス、是ダケ集荷部面
  ニ政府ガ金ヲ費シテ居ルノデアリマスガ、
  配給部面ヲ見マスルト、一石四圓三十錢ノ
  玄米ト白米トノ値開キガアリマスカラ、之
  ヲ三千五百万石ニ致シマスト、一億五千万
  圓トナツテ居リマス、集荷部面ニ於テハ政
  府ノ力ニ於テ千二百万圓ヲ出シテ居ル、配
  給部面ニ於テハ一億五千万圓ノ金ヲ米屋ニ
  依ツテ國民カラ取ツテ居ル、斯ウ云フ風ニナ
  ツテ居リマシテ、是ハ集荷、配給兩部面ヲ
  見渡シマシタ時ニ妥當デナイト云フコトガ
  一目瞭然トナツテ居ルノデアリマス、然ラ
  バ此ノ米穀商ノ取リマス四圓三十錢ノ中ニ
  ハ、白米ニシマス爲ニ掛ツテ居リマス金ガ
  含マレテ居ルカト申シマスト、絕對ニ含ン
  デ居リマセヌ、私ガ千葉縣ノ產米三百俵ニ
  付テ試驗致シマシタ所ニ依リマスト、大體
  搗上リガ極ク良イノデ五十九「キロ」ゴザイ
  マス、其ノ他大體五十七「キロ」乃至五十七
  「キロ」一ト云フ數字ガ出テ居リマスノデ、
  五十六キロニ對シマシテ一「キロ」乃至多イ
  ノハ三「キロ」米ガ餘計出テ居リマス、又此
  ノ他ニ糠ガ七升四合カラ八升マデ出テ居リ
  そう、其ノ上ニ俵ガ二重俵デアリマシテ、
  之ヲ古俵デ賣ルコトガ出來マスカラ、〓算
  致シマシテ一圓何十錢ト云フ利ガゴザイマ
  ス、精米費ヲ差引キマシタ所デマダ數十錢
  ノ利益ガアルノデアリマス、此ノ四圓三十
  錢ノ中ニハ白米ニスル爲白米商ノ損耗ト云
  モフノハ絕對ニナイノデアリマス、斯ウ云フ
  工合ニナツテ居リマス、サウシテ見マシタ上
  ニ、斯樣ヲ配給機構ニ依ツテ今日國民ノ手ニ
  米ガ理想的ニ參ツテ居ルカト申シマスト、參
  ツテ居ラナイコトハ大臣モ御承知ノ通リデア
  リマス、其ノ上ニ先程政府當局ノ御答辯ニ依
  リマシテモ、農家一人當リノ保有米、或ハ
  都會ニ於キマスル一人當リノ消費量ト云フモ
  ノガ全國不統一デゴザイマシテ、今日此ノ主
  食物ニ於テ國民各人ガ其ノ府縣、行政區劃ニ
  於テ不平等ナル割當ヲ受ケテ居ルト云フ
  コトハ、國民精神作興ノ上カラ申シマシテ
  モ甚ダ困ルコトデアリマスガ、左樣ナコト
  ニ相成ツテ居リマス、以上ノ諸點ニ付テ缺
  陷ヲ是正致シマスニハドウシテモ茲デ米
  專賣斷行ト云フヨリ外ニ途ハナイト私ハ確
  信致シテ居リマス、今日マデノ米專賣ニ對
  シマス非難ト云フモノハ、價格ヲドウ決定ス
  ルカ、此ノ點ガ難カシイト云フ點デアリマ
  シタガ、先般來ノ政府當局ノ御答辯ニ依リ
  マシテ、最高最低價格ヲ破棄致シマシテ、
  玆ニ一本建ノ價格ヲ決定スルト云フコトニ
  決マツタノデアリマスカラ、此ノ點ハ解消
  致シマシタ、又倉庫ガ足リナイト云フコト
  ガ米專賣ニ對スル一ツノ反對論デアリマシ
  タガ、今日國家管理ヲ致シマシテ米ガ雨曝
  シニナツテ居ラナイ、又今日以後ニ於キマ
  シテモドン〓〓政府ノ方ニ於テ倉庫ノ增設
  ヲ企テテ居ラレル譯デアリマスカラ、此ノ
  點モ解消致シテ居リマス、殘リマスノハ資金
  ノ增加デアリマスガ、今日マデノ私ノ見聞
  ヲ以テ致シマスト、十一億五千万圓ニ、今
  度增額ノ二億五千万圓ヲ加ヘマシテ米穀資
  金ガ十四億ニナツタト思ヒマスガ、米專賣
  ヲ斷行致シマシテ、三千五百万石ヲ賣ルト
  假定致シマシテモ、十數億デアリマス、之ニ
  對シマス所ノ資金增額ト云フモノモ僅カデ
  濟ミマス、其ノ上ニ國家管理ノ爲ニ出マス
  經費ガ慥カ二千万圓前後カト思ツテ思リマ
  シタガ、米專賣ヲ斷行致シマシタラドレダ
  ケ掛ルカト言ヒマスノニ、私共ノ先輩ガ計
  算致シマシタ所ニ依リマスト、經常費ガ千
  四百万圓、臨時費ガ二千百万圓、是ハ運營
  費用デゴザイマス、臨時費ハ配給所ヲ拵ヘ
  タリ何カスルコトガ入ツテ居ルノデアリマ
  スカラ、翌年度カラ是ハ要リマセヌ、又米
  屋、問屋、仲買人ト云フヤウナモノニ約一
  億圓ノ賠償金ヲ出スト致シマシテ、是ハ隨
  分高ク見積ツテ居リマスガ、其ノ一億圓ヲ
  二十箇年年賦デ、年四分ニ換算致シマスト、
  七百三十五万圓ト相成リマス、之ヲ合セマ
  シテモ經常、運營費用ノ二ツデ二千万圓デ
  止マリマス、サウ致シマスト、米專賣ノ爲
  ニ多額ノ經費ヲ費スト云フコトガナイノデ
  アリマシテ、其ノ反面ニ一億五千万圓ト云
  フモノガ浮イテ來ルノデゴザイマス、米屋
  サンノ手ニ依ツテ取リマシタ所ノ一億五千
  万圓、米屋サンハ一億五千万圓ヲ取ツテ居
  リマシテモ、過般申上ゲマシタヤウニ、茲
  ニ轉失業ト云フ運命ニ際會致シテ居リマシ
  テ、其ノ轉業ハ自己資金ニ依ツテ之ヲ行フ、
  然ルニ米專賣トナリマシテ政府カラ公債其
  ノ他ヲ貰フコトニナリマスト、是ガ轉業資金
  ニナルノデアリマス、米屋サンノ轉失業問題
  ガ一面茲ニ解決ガ出來テ、其ノ上ニ一億五
  千万圓ト云フ金ガ政府ノ手ニ殘リマス、政
  府ガ之ニ依ツテ低米價政策ヲ堅持致シナガ
  ラ、此ノ一億五千万圓ヲ農民ニ與ヘレバ、農
  民ノ要望スル所ノ米ノ生產費ノ缺損ヲ補塡
  セシムルコトガ出來ルコトニ相成ルノデア
  ル、又此ノ半額ヲ消費者ニ與ヘ、半額ヲ農
  民ニ與ヘルト云フコトニナリマスト、片手
  ニ於テ低米價政策ヲヨリ以上ニ完遂シ、片
  手ニ於テ奬勵金ヲ與ヘルト同ジヤウナ效果
  ヲ見ルコトガ出來ルノデアリマス、ドチラ
  ニシマシテモ、此ノ一億五千万圓ヲ只今ノ
  不完全ナル機構ノ儘ニ委セテ、ソコニ餘計
  ナ金ヲ國民ニ費サシメテ居ルト云フコトハ、
  一日モ早ク是ハ拂拭シナケレバナラヌコト
  ト確信致シマス、過般農林次官ニ此ノ事ヲ
  御尋ネ致シマシタ時ニ、御尤モデハアルガ、
  國家管理ガ法律トナツテカラ、マダ一年モ
  經タナイノニ、直チニ左樣ナ方面ニ移行ス
  ルト云フヤウナ考ヘハ愼マネバ相成ラヌコ
  トデアルト云フ御答辯デアリマシタガ、併
  シ只今ハ非常時局下デゴザイマシテ、合理
  的ナモノデアリ、國民ノ幸福ト相成ルモノ
  デアリ、國家ノ爲ニ相成ルモノデアル以上
  ハ、直チニ斷行スベキガ當然デアリマシテ、
  面目問題ナドニ係ハツテ居ルベキ時期デハ
  ナイト存ジマス、之ニ對シマスル大臣ノ御
  答辯ヲ要求致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=144

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• 145・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　私共ハ只今ノ米穀國家管
  理ト云フモノガ只今ノ事態ニ於キマシテ、
  從來カラノ引續キノ米穀事情ニ處シマスル
  上ニ於テ最モ適當ナルモノト考ヘテヤツテ
  居ルノデアリマス、最モ理想的ノモノデア
  ルトシテ米穀專賣制度ヲ御主張ニナツタ其
  ノ御計算ノ根據及ビ結果ト云フヤウナモノ
  ガ如何樣ニナルカト云フコトハ、私共ト致
  シテハ十分ニ伺ツテ愼重ニ〓究ヲシナケレ
  バナラヌコトト考ヘマスルカラ、能ク承リ
  マシテ〓究ハ致シマスルガ、只今之ニ付テ
  贊成ヲスルカドウカ、斯ウ云フ御尋ネデ、
  此處デ卽答スルト云フノニ、サウ云フコト
  ヲヤリマスト云フコトハ私ハ申上ゲラレマ
  セヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=145

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• 146・村上國吉

  ○村上委員長　吉植君宜シウゴザイマス
  カ-次ニ小笠原君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=146

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• 147・小笠原八十美

  ○小笠原(八)委員　農產物ノ生產擴充ニ付
  テハ何ト申シマシテモ農村ノ不平ヲ一掃ス
  ルコトガ目下ノ急務デアルト私ハ考ヘルノ
  デアリマス、今日ノ農村ノ經濟狀態ハ經濟
  統制ニ依リマシテ、都會モ農村モ殆ド同樣
  ナ生活費ヲ要スルヤウナ狀況ニナツタノデ
  アリマス、農村ノ生活必需品ノ配給ノ連絡
  關係デアリマス所ノ中小ノ商業者ノ凋落的
  傾向ニ依リマシテ、總テノ生活品ハ現金化
  シテ來タノデアリマス、一方農村ノ方ハ農
  產物ニ依リ、或ハ又副業ノ家畜等ニ依ル收
  入ニ依ラナケレバナラヌノデアリマスガ、
  其ノ農產物ノ金ノ支拂ハ圓滑ヲ缺イテ生活
  上ニ不安ヲ感ジテ居ルヤウナ今日ノ狀態デ
  アリマス、隨テ農民ナドハ其ノ日ニ働イテ
  其ノ日ニ獲得スル方ノ勞働ニ移動スルヤウ
  ナ傾向ニアルノデアリマス、殊ニ農村ノ方
  ノ家庭ノ第一線ニアル所ノ靑年男女ハ、農
  產物ノ米トカ粟トカ云フモノヲ小遣錢ノ代
  リニ分與ヲ受ケル所ノ習慣ヲ有スル地方ガ
  マダ少クナイノデアリマス、是等ハ其ノ分
  與ヲ受ケタ農產物ヲ中都市ニ賣却スルト
  エラク警察官ニ御咎メヲ蒙ルト云フヤウナ
  狀況デアリマシテ、是等ノ者モ亦日傭ヒ、
  其ノ日ノ收入ノアル方面ノ勞働ニ移動スル
  ヤウナ傾向ガアルノデアリマス、總テ物ヲ
  賣ルニモ、肥料ヲ買フニモ中々容易ナラザ
  ルモノガアルノデアリマスガ、殊ニ農村ノ
  唯一ノ娯樂デアル所ノ收穫時期トカ、或、
  田植其ノ他年ニ一、三囘ノ祝祭ノ場合ニ酒ヲ
  求メルノデアリマスガ、是ガ中々容易デナ
  イ今日ノ狀況デアリマス、酒屋ノ方デハ闇
  酒ヲ賣ルコトガ中々容易デナクナツタ爲ニ、
  酒ヲ賣ルニ優先權ヲ付ケテ、何代前カノ先
  祖ノ借金デモ支拂フナラバ酒ヲ賣ルト云フ
  ヤウナ狀況デ、農民ハ苦シ紛レニ、アルカ
  ナイカ分ラナイヤウナ古借金マデ支拂ツテ
  酒ヲ獲得シテ居ルト云フ狀況デアリマス、
  是等ノ點ニモ相當ノ不平ガアリマス、殊
  今囘ノ小學校〓員ノ增俸ノ結果、警察官其
  ノ他內務、農林、司法各省ノ關係ノ增俸ガ
  行ハレルコトト思フノデアリマス、隨テ是
  ハ農村ノ方ノ各部落ノ產業組合トカ、其ノ他
  商業組合ト云フ方ニモ增俸トカ、或ハ「ボー
  ナス」ノ名目デ增額サレルト思フノデア
  リマス、一方農村ノ生產物ダケハ釘付ケニ
  セラレマシテ、昨今ノヤウニ農村ノ日一日
  ト不平ガ加ハツテ居ル上ニ、更ニ一段ト拍
  車ヲ掛ケルヤウナ狀況ニアルノデアリマス、
  如何ニモ斯ウ云フ事柄ガアルノデアリマシ
  テ、總テガ無理ヲシテ、不可能ヲ可能ニス
  ルト云フ氣魄ヲ以テ產業ニ當ルベキデアル
  トハ申スモノノ、此ノ不平ヲ一掃セシムル
  爲ニハ、季節的ニハ濁酒ノ數量ヲ限ツテ免
  許制度ヲ設定スルカ、或ハ酒ノ配給ノ圓滑
  化ヲ圖ルト云フコトデナケレバ、到底此ノ
  不平ノ一掃ハ出來ナイ、隨テ又增產計畫モ
  中々容易デナイヤウニ私共ハ思フノデアリ
  マス、此ノ點ニ對シマシテドウ云フ方法ニ依
  ツテカ農村ニ於ケル酒ノ配給ノ圓滑化ヲ圖
  ラナケレバナラヌト思フノデアリマス、此ノ
  不平一掃ノ爲ニ時局談ノミニ依ツテ無理ヲ
  强ヒルコトハ、餘程考ヘナケレバナラヌト私
  ハ思フノデアリマス、農村デハ御承知ノ通リ
  多クノ兵隊ガ應召シ、馬ノ徵發ニ應ジ、物
  資ノ不足、勞力ノ低下ニモ拘ラズ、默々トシ
  テ農產物ノ生產擴充ニ全力ヲ傾倒シテ居ル
  ノデアリマス、時局認識ノ觀念ダケヲ以テ
  其ノ不平ヲ一掃スルコトハ、私ハ到底望ミ
  得ナイト思フノデアリマス、殊ニ農民モ緊張
  一點張リデハ迚モ容易デナイト思ヒマス、
  長期ニ亙ル關係デアリマシテ、一日ヤ二日
  ノコトナラ兎モ角飮マズ食ハズデモ努力ヲ惜
  シマナイデアリマセウケレドモ、之ニ對シ
  テハ何カ慰安ガ件ハナケレバ、精一パイノ
  活動力ヲ養フコトハ困難ダト思フノデアリ
  マス、殊ニ農村ニ於ケル美德デアル所ノ慣
  習ナドガ、逐次破壞サレツツアルコトモ見
  逃セナイ狀況デアルト思ヒマス、農村カラ
  都會地ナドヘ自分ノ兄弟トカ孫、或ハ嫁、
  婿ナドガ出稼ギニ出テ居ルノガ、偶サカ
  實家ニ歸ツタ場合ニハ、現金ヲ與ヘル代
  リニ米、或ハ雜穀等ヲ土產ニ持タセテヤル
  トカ、又送ルト云フ習慣ガ古クカラアル
  或ハ又親戚トカ、知人友人ナドノ吉凶、災
  難等ノ場合ニハ、直チニ米トカ野菜等ヲ見
  舞ニ送ルト云フ傳統的ナ美風ガ我ガ國ノ農
  村ニハアツテ、是コソ助ケタリ助ケラレタ
  リト云フ精神ヲ昔カラ實行シテ來テ居ルノ
  デアリマス、然ルニ最近隣組デアルトカ、
  或ハ常會トカ、或ハ隣保共助デアルトカ、
  日本精神トカ色々喧シク叫バレテ來テ居ル
  ノデアリマスケレドモ、ソレニ反シテ百姓
  ノ方ハ、飯米ノ制限ヲサレテ居ルノデ、隣
  村ヘモ運ブコトガ出來ナイヤウナ狀況デア
  ルノデアリマス、全ク義理トカ人情ト云フ
  モノニ構ツテ居ラレナイデ、日本古來ノ傳
  統的美風ハ逐次破壞サレテ居ルナヤウ狀況
  デアリマス、此ノ點ノ矛盾ト不平トガ農民
  ノ頭ニ滲ミ込ンデ居ル狀態デアリマシテ、
  モウ手足ヲ伸バサウニモ法律ニ縛ラレタヤ
  ウナ關係デ、厭ヤナ氣持ヲ今日ハ持ツテ居
  ル、此ノ點ハ十分ニ實情ヲ御〓究下サイマ
  シテ、理窟ダケデ指導スルト云フコトデナ
  ク、農民ニモ、漁民ニモ、活力ヲ入レル爲
  ニ酒ノ配給ヲ圓滑ナラシメルト云フコトニ
  シナケレバナラヌト思フノデアリマス、色
  色ノ角度カラ此ノ不平ヲ一掃スルコトヲ御
  〓究ナサラナケレバナラヌコトハ分ツテ居
  リマスガ、中ニモ此ノ酒ノ問題ニ付テハ、
  農村漁村ニ於テ最モ渴望シテ居ル狀況デア
  リマス、一例ヲ申上ゲマスト、昨秋デアリ
  マシタガ、農村デハ收穫後ニ於テ酒ヲ振舞
  フノガ習慣ニナツテ居リマスガ、酒ヲ見付
  ケルコトガ出來ナイノデ、金ヲ五圓與ヘル
  ト言ツタラ不平ヲ言ツテ、モウ來年カラ此
  ノ家ニハ手傳ヒニ來ヌト言ヒ出シタ、又漁
  村ニ於テモ大漁ノ旗揚ゲ、船揚ゲノ場合ニ
  酒ガ見付カラヌノデ、十圓ヅツ與ヘルト言
  ツタ所ガ、十圓ノ金ハ要ラヌカラ酒ヲ出セ
  ト言フノデ、他縣ニマデ出張シテ闇酒ヲ買
  ツテ來テヤツト振舞ツテ、又其處ニ集マル
  コトノ約束ガ出來タト云フ狀況デアリマス、
  此ノ酒ノ問題ハ中々容易ナモノデアリマセ
  又、殊ニ大漁ノ旗揚ゲノ時ナドニ、萬歲ノ
  代リニ酒ノ瓶ヲ上ゲテ見セルト、船ノ中カ
  ラ拍手ヲスルト云フヤウナ狀況デスアリマ
  ス、今農村デハ酒ガナイ爲ニ「アルコール」
  ヲ買ツテ來テ水ヲ入レテ飮ンデ居ル、實ニ
  危險デアル、殊ニ農村ニ活動スル農民ガ家
  ニ歸ル場合ニハ-朝カラ晩マデ何時間モ
  掛ツテ酒ヲ獲得スルコトニ努メテ、サウシ
  テ親父ノ顏ヲ見テ、今日ハ酒ヲ何合買ツタ
  ト言ヘバ、ソレハヨク買ツタト何ヲ措イテ
  モ酒ヲ買ツタコトヲ喜ブ、サウシテ一家ハ
  皆ソレデ樂シムト云フヤウナ狀態ニナツテ
  居ル、酒ヲ每日飮ムコトハ無論イケマセヌ
  ガ、盆正月、或ハ收穫時、田植時ト季節
  的ニ幾分ヅツ配給スルト云フコトニナルト、
  其ノ配給ヲ待ツテ喜ンデ活動スルコトニナ
  ルト思フカラ、此ノ邊ハ十分御考ヘ置キヲ
  願ハナケレバナラヌト思ヒマス、馬鹿話ヲ
  申上ゲルヤウダケレドモ、先達ノ話デアリ
  マスガ、到頭堪へ切レナクナツテ酒屋ニ暴
  レ込ンデ、ドウシテモ吳レト言フノデ酒屋
  ノ小僧ガ酒ヲ五合與ヘタ、ソレヲ家ヘ持ツ
  テ歸ツテ「コップ」ニ入レテ息モツカズグツト
  飮干シタ、二杯目ニナツテ變ナ臭ヒガスル
  ト思ツタラ、酒屋ノ小僧ガ酢ヲ間違ツテヤ
  ツタノダ、酢ヲ一合飮ムト云フコトハ命懸
  デナケレバ飮メナイ、ソレダケ農民ハ酒ヲ
  渴望シテ居ルト云フコトヲ御參考マデニ申
  上ゲテ置キマス、サウ云フ狀況デアリマス
  カラ能ク御考ヘヲ願ツテ、何トカシテ酒ノ
  配給ヲ圓滑ニスルト云フ、其ノ一聲デ一割
  位ノ增產ハ確實ニ出來ルト思ヒマス、ドウ
  カ其ノ點ニ對スル大臣ノ御考ヘヲ伺ヒタイ

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• 148・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　農村ノ酒ニ關スル詳シイ
  御話ヲ伺ヒマシテ、非常ニ民心作興ノ上ニ
  注意ヲシケレバナララヌ所ノ御指摘ヲ得マ
  シタノデ、十分ニ關係各省トモ考ヘテ、御
  話ノ季節ニ農村ニ酒ノアルヤウニ配給スル
  ト云フヤウニ、少シデモ考慮ヲ拂ツテ實現
  ヲシテ行キタイト考へテ居リマス、十分ニ
  其ノ點ハ關係省ト交涉シテ、サウ云フ風ニ
  スルヤウニ致シタイト考ヘテ居リマス、不
  平ヲ各方面カラ〓究シロト云フ御忠告ハ洵
  ニ適切ナコトデアリマスカラ、十分ニ〓究
  致シマス

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• 149・村上國吉

  ○村上委員長　松田君

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• 150・松田喜三郎

  ○松田(喜)委員　本案ノ趣旨ガ自給强化ニ
  アルト云フコトニ私ハ非常ニ遺憾ヲ感ズル
  ノデアリマス、自給强化ト云フコトト自給
  自足ト云フ考トハ非常ナ差ガアル、主要食
  糧ダケハドウシテモ自給自足デヤツテ行ク
  ノダ、又農民一般トシテモ、吾々ノ食糧ハ
  吾々ノ力デヤルト云フ强イ決心ヲ發揮サセ
  ナケレバナリマセヌ、ソコデ私ハ自給强化
  デナクシテ、自給自足ヲヤルト云フ其ノ精
  神ヲ强ク深メラレンコトヲ望ミマス
  ソレカラ第二番目ニ此ノ開發經營ヲ實現
  スルニハ非常ナ勞力ガ要リマス、卽チ十六
  年度ニハ昨年ノ四千六百万人ノ上ニ」更ニ二
  千二百七十万人ノ勞力ガ要ルコトニナリマ
  スガ、此ノ勞力ハ容易ニハ得ラレヌト思ヒ
  やく、ソコデ其ノ一ツノ方法トシテ今年ノ
  政府買上米ガ二千万石、一般ノ消費ガ四千
  万石、生產農家ノ消費ヲ二千万石トシテ、
  六千万石デアル、之ニハ皆俵ノ要リマスコ
  トハ言ヲ俟チマセヌ、先ヅ農家消費以外ノ
  モノヲ四千万石ト假ニ致シマスト、之ニハ
  一億箇ノ俵ガ要リマス、此ノ俵ヲ五俵作ル
  ニハ少クトモ一日ノ勞力ヲ入レナケレバ出
  來マセヌ、サウスルト是ダケデ一一千万人ト
  云フ勞力ガ要ル譯デアリマスガ、茲ニ政府
  買上ダケノ二千万石トシテモ一千万人ノ勞
  力ガ要ル譯デアリマス、ソコデ之ヲ還元ス
  ルト云フ御考ヘハナイカト云フコトヲ御尋
  ネ致シマス
  次ニ此ノ營團ニ對スル政府ノ補助ハ六割
  デアリマスガ、自作農ノ創設經營其他卽チ
  五十町步以下ノモノニハ四割トナツテ居リ
  マス、ココガ私ニハ分ラナイノデアリマス、
  營團ノ方ハ政府ガ半分ノ出資ヲシ、又利
  子ノ補償モ致シマス、法人稅モ、營業稅モ、
  所得稅モ、取得稅モ免除セラレル、ソレニハ
  六割ノ補助ヲヤツテ、自作農維持創設ノ五
  十町步以下ノ者ニハ四割ト云フ區別ヲシタ
  其ノ根據ガ分ラヌノデアリマス、何レモ國
  ノ爲メデス、營團ノ方ハ國家事業デアリ一
  般ノモノモ國家的ノ事業デアル、御互ヒ國
  ノ爲ニナル事業デル、ソレニ對シテ六割、
  四割ト區別スルコトハ餘リ差ガヒドイト思
  ヒマス、不均衡デアルト思ヒマス、國家事
  業ノ開發營團ニハ澤山ノ補助ヲシ、一方出
  來マイカト云フ心配ノアル五十町歩以下開
  墾ノ小ナル一般ノ者ニ對スルニ、四割ト云
  フコトデハ、ソレハ益〓出來難イコトト思
  フ、共ニ實現サセネバナラヌ國家ノ大事業
  デアリマスナラバ、同一ノ補助ヲ與フベキ
  モノナリト思ヒマスガ、其ノ點ヲ御伺ヒ致
  シマス

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• 151・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　只今松田サンヨリ自給自
  足ト云フコトヲ强調スルヤウニト云フコト
  デアリマスガ、ソレハ全ク御同感デアリマ
  シテ、自給自足ヲ强調スルコトニ目標ヲ置
  イテ行カナクテハナラヌト考ヘテ居リマス、
  勞力不足ノ緩和ノ方法トシテ、空俵ヲ農村
  ニ還元スルト云フコトノ御指摘デアリマス
  ガ、是モ實際上ドウ參リマスカ、私只今ハ
  ツキリ致シマセヌガ、確カニ御指摘ノ點ハ
  關係ガ大キイト思ヒマスカラ、十分ニ〓究
  ヲ致シマシテ善處致シタイト考ヘマス、容
  レ物ノ問題ハ、時局ニナリマシテ凡ユル所
  デ困ツテ居ルノデアリマス、外國カラ米ヲ
  取リマスノニモ、敵性ヲ持ツタ外國ガ容レ
  物ヲ供給シナイ、米ヲ買フ話ハ付イテモ、
  持ツテ來ルニ必要ナ容レ物ヲ供給シナイト
  云フヤウナコトデ妨ゲルト云フヤウナ所マ
  デヤツテ來テ居ルノデアリマス、サウ云ウ
  ヤウナ問題デアリマスカラ、今日空俵ト言
  ツテモ大變値ガ出テ、一遍消費地ニ行キマス、
  ト決シテ今マデノヤウナ半分廢物ミタ
  ヤウナ觀念デナク、チヤホヤサレテ方々飛
  ンデ步イテ居ル、ソレヲドウ云フ風ニ纒メ
  テ元ニ戾シマスカ、具體的ナ方法ニ付テハ
  今何等考ヘテ居リマセヌ、是ハ難カシイ
  カモ知レマセヌガ、十分ニ〓究ノ結果、農
  村勞力補給ノ上ニ有效ニ働クヤウデアリマ
  スレバ、出來ルダケ努メタイト考ヘテ居リ
  マス、ソレカラ農地開發營團ノ行フコトニ
  關シマシテ六割ヲ補助シテ、開墾助成ニ四
  割トナツテ居ル點ニ付色々不都合ナ點ヲ御
  指摘ニナリマシタガ、實ハ大規模ノ開墾、或
  ハ農地ノ改良、水利ノ改良ト云フヤウナコ
  トハ、殘ツテ居ルモノニ付テハ割合ニ困難
  ガ多イノデアリマシテ、大規模ニ之ヲヤラ
  ナケレバナラヌト云フコトニ付テハ困難性
  ガ强イノデアリマス、ソレ等モ考慮致シマ
  シテ、只今マデデモ大地域ノ水利改良ニ對
  シマシテハ、五割程度ノ補助ヲヤツテ居ル
  ヤウナコトモアルノデアリマス、今度ノ營
  團ニ關シマシテモ比較的大キイ所ヲ營團ニ
  ヤラセテ、細カイ所ヲ所在々々ノ農村ノ自
  發的計畫ニ基キマシテ、其ノ勞力ヲ以テヤ
  ルコトハ、從來ノ開墾助成ノ制度デヤツテ
  行カウト云フノガ此ノ立場デアリマス、ソ
  コデ從來ノモノヨリモ餘計ノ費用ヲ要シマ
  ス所デアリマスカラ、助成モ餘計ニ致シタ
  ノデアリマス、併シ一面御話ノヤウナ斯ウ
  云フ時勢ニナツテ勞力ノ拂底モアルノデア
  リマスカラ、小規模開墾ニ對シマシテノ四割
  ト云フコトハ、出來ルナラバ何トカシテ工
  夫シテ上ゲルヤウニ努メタイト云フ考ヘハ
  農林省トシテモ持ツテ居ルノデアリマス、
  實現ガ可能デアリマスカ、ドウデアリマス
  カ、吾々トシテハ色々ナ方法ヲ講ジマシテ
  其ノ實ヲアラシムルヤウニ、多少トモ引上
  ゲルヤウナ結果ヲ持來スヤウニ致シタイト
  考ヘテ居リマス

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• 152・松田喜三郎

  ○松田(喜)委員　只今洵ニ適切ナル御返事
  ヲ聽カセテ戴キマシテ了承スルモノデアリ
  マスガ、小ナル開墾位早ク出來ルモノハナ
  イノデス、ソレハ開墾デモ、用排水幹線ノ
  事業デモ、其ノ他凡ユル事業ニ於テ、農村
  ノ者ハ男モ女モ全部ガ掛ルノデス、例ヘバ
  溜地ヲ作リマシテモ、二万圓ヤ三万圓ノモ
  ノデアツタナラバ二十戶カ三十戶ノ農家デ
  二、三箇月位アレバ、綺麗ニ拵ヘ上ゲテシ
  マヒマス、一昨年ノ旱魃ニシテモアレダケ
  ノ努力ヲシタ、小農ノ努力ト云フモノハエ
  ライモノデアリマス、其ノ事ハ政府モ御認
  メニナツテ居ラレルト思ヒマス、ドウカ此
  ノ點ニ於テ、大ナル營團ト其ノ他ノモノヲ
  區別セラレズニ、同一ノ補助ヲナサルヤウ
  ニ特ニ御願ヒ致シテ置キマス

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• 153・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　只今ノ制度ハ御指摘ノヤ
  ウナ區別ニナツテ居ツテ、中々容易ニ此ノ
  區別ヲ撤廢スルコトハ難カシイト存ジマス
  ガ、私ノ考ヘハ出來ルダケ小規模開墾ニ付
  テモ、厚ク色々ナ制度ガ及ブヤウニ努力致
  シタイト云フ考ヘヲ持ツテ居リマス

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• 154・村上國吉

  ○村上委員長　坪山君ニ對スル大臣ヨリノ
  御答辯ガアリマス

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• 155・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　坪山サンノ御尋ネノ第一
  ハ、適當ナル價格政策ト助成政策トヲ實行
  スルニアラザレバ、思フヤウナ主要食糧ノ
  作付ケト云フコトガ實現出來ナイデハナイ
  カト考ヘルト云フ點デアリマスガ、價格ノ
  問題ニ關シマシテハ每々申上ゲテ居リマス
  ヤウニ、關係スル所ガ多イノデアリマス、
  將來愼重ニ考慮致シテ善處致シタイト考ヘ
  テ居リマスカラ、左樣御承知ヲ願ヒマス、
  ソレカラ衆議院ノ御要望ニ依リマシテ、增
  產關係ニ付キマシテ只今財務當局ト交涉致
  シテ居リマスル中ニ、農業技術員ノ問題ガ
  アルガ、其ノ中ニ養蠶技術員關係ヲ含ンデ
  居ルカト云フ御尋ネデアリマス、是ハ手當
  等ノ問題ニ關シマス場合ニハ、成ベク同樣
  ニヤツテ行キタイト云フ考ヘヲ以テ交涉ヲ
  致シテ居リマス、併シナガラ此ノ點ハ只今
  交涉中デアリマスノデ、斯樣ニ確定シタト
  云フ譯デハゴザイマセヌ、ソレカラ大農事
  試驗場ヲ設置シテ徹底的ニ農事ニ關スル〓
  究ヲナサシムル要ガアルト思フガドウカト
  云フコトデアリマスガ、農事試驗機關ヲ出來
  ルダケ完備スルコトハ極メテ必要ナコトデ
  アリマス、本年度ノ豫算ニ於キマシテモ、
  其ノ一部分ヲ實現致ス爲ニ相當程度ノ要求
  ヲ致シテ御協賛ヲ仰イデ居ル次第デアリマ
  ス、勿論ソレニ滿足スルモノデハナイノデ
  アリマスカラ、今後漸次ニ完備致シテ參リ
  タイト考ヘテ居リマス
  ソレカラ農村ノ作業服ヲ統一スルコトガ
  必要ダト思フト云フコトデアリマス、是ハ
  極メテ必要デアリマスガ、只今洵ニ遺憾ナ
  コトニハ着物モ十分ナ供給ガ出來ヌヤウナ
  實情デゴザイマス、古着等ヲ比較的高イ價
  格ヲ以テ購入シテ居ルト云フヤウナ洵ニ相
  濟マヌヤウナ實情ニナツテ居ルノデアリマ
  ス、速カニサウ云フ實情ヲ改善致シマシテ、
  農村作業服ノ統一ヲ圖リ、實用的ノ而モオ
  揃ヒノ着物ヲ着テ農業ヲヤルト云フヤウナ
  コトニナルコトハ、私共洵ニ望マシイコト
  ト考ヘテ居リマス、ソレカラ食糧節約ト勞
  力對策ニ關シテ、官廳會社等總テノ勤務者
  ハ辨當持參主義ヲスルガ宜カラウト云フ御
  話デゴザイマスガ、全ク同感デゴザイマス

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• 156・村上國吉

  ○村上委員長　坪山君、重ネテ御尋ネニナ
  ルコトハアリマセヌカ

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• 157・坪山徳彌

  ○坪山委員　宜シウゴザイマス

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• 158・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハ農林大臣ニ對スル
  質疑ハ先ヅ是ニテ終了シタト云フコトニ致
  シタイト存シマス

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• 159・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　私ハ最初ニ大臣ダケニ質
  問シタイト云フ希望ヲ述ベテ置イタノデア
  リマスガ··

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• 160・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハオヤリ下サイ、私
  ノ方ノ控ヘデハ、アナタノハ內務大臣、遞
  信大臣、內務省ノ土木局長、斯ウナツテ居
  テ、農林大臣ハナイノデアリマス、ダカラ
  シテ申サナカツタノデスガ、落チテ居ツタ
  トスレバ已ムヲ得マセヌカラ、ドウゾオヤ
  リ下サイ

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• 161・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　私ノ大臣ニ御尋ネ致シタ
  イト思フコトハ、資源ノ開發ニ關シテ、而
  モ今囘ノ農地ノ開發ニ關聯シテデゴザイマ
  スガ、私ハ決シテ地方的ナ見地カラ御尋ネ
  申上ゲルノデハナイコトヲ御諒承願ヒタイ、
  今日高度國防國家建設ノ內容ノ一ツトシテ
  ハ所謂高度ナ產業ノ開發、言葉ヲ換ヘテ
  言ヒマスレバ、國內ノ凡ユル資源ヲ高度ニ
  開發シテ、ソレヲ完全ニ利用シテ行クコト
  ガ、高度國防國家構成ノ一素因デアルト考
  ヘルノデアリマス、モノハ窮スレバ通ズト
  云フコトガアリマスガ、今日我ガ國ハ此ノ
  時局ニ逢着致シマシテ、曾テハ米穀ノ過剩
  ヲ生ジテ其ノ對策ニ非常ニ困ツタヤウナ時
  代モアツタノデアリマスガ、今囘ハ却テ食
  糧ノ不足ヲ〓ゲルヤウナ結果ニナツテ、國
  ヲ擧ゲテ〓糧增產確保ニ邁進シナケレバナ
  ラナイコトハ、度々大臣カラモ承ツテ居リ
  マスシ、又吾々モ强クソレヲ感ジテ居ル譯
  デアリマス、ソコデ資源ノ開發ニ當リマシ
  テモ、各省大臣ガ協力シテソコニオ互ヒニ
  意思ヲ通ジテ完成シテ行クヤウニシナケレ
  バ中々至難ナ問題ガ出テ來ルダラウト考
  ヘマス、今囘ノ土地開發ニ付キマシテモ、
  內務省或ハ農林省或ハ其ノ他ノ方面ニ色々
  ナ關係ヲ持ツテ來ルト思ヒマス、隨テ此ノ
  間能ク各省ノ疎通ヲ圖ツテ、土地ノ買入レ
  或ハ官地ノ拂下等凡ユル方面ニ協力サレル
  コトガ必要ダト斯樣ニ考ヘルノデアリマス、
  ソコデ琵琶湖ハ御承知ノ通リ外湖ヲ開拓致
  シマスルト約三千三百町步ノ美田ヲ開發ス
  ルコトガ出來ルノデアリマス、更ニ琵琶湖
  畔ヲ一段ト利用シテ參リマスルト、內湖ニ
  於キマシテモ約三千町步ノ美田ヲ開發スル
  コトガ出來ル、一面現在ノ琵琶湖ノ水量ヲ
  完全ニ利用致シマスト、約十六億立方「メー
  トル」ノ水ガ利用サレルコトニナルノデア
  リマス、現在ニ於キマシテハ一箇年間ノ琵
  琶湖ニ受入レマス所ノ雨量ハ、五十億立方
  「メートル」ト計算サレテ居ルノデアリマス、
  ソレガ今日デハ京都、大阪及ビ宇治川發電
  等ノ關係ニ於テ、大體三十四億立方「メー
  トル」利用サレテ居リマスガ、殘リノ十六
  億立方「メートル」ハ無爲ニシテ放流サレテ
  居ルノデアリマス、此ノ水量ヲ完全ニ利用
  致シマスナラバ電力ニ於テ非常ニ多量ノモ
  ノガ發電出來マスノデ、今日農村動力ノ非
  常ニ缺乏シテ居リマス場合ニ於テ、最モ安
  價ニ動力モ供給スルコトガ出來マス、此ノ
  琵琶湖ガ現在ハ內務省ノ監督下ニアリマシ
  テ、淀川水系ノ監督ト共ニ嚴重ナ支配ノ下
  ニアルノデアリマスガ、同地方ニ於テモ此
  ノ琵琶湖ノ利用開發ニ付テハ、多年〓究調
  査ヲシテ居リマス、今日高度國防國家建設
  ノ上カラ見テモ、斯ウシタ天然ノ資源ヲ此
  ノ儘ニ放任スルコトハ、一日モ許サレナイ
  ノデアリマス、今囘農林省ニ於テハ農地開
  發營團ヲ設ケテ、盛ンニ將來ノ食糧增產計
  畫ヲ立テラレタノデ、斯ウ云フ時ニコソ此
  ノ資源ヲ十二分ニ開發スルコトガ、比較的
  容易ク利用ガ出來ルモノデハナイカト考ヘ
  ルノデアリマス、隨テ農林省ト內務省ノ關
  係ニ於テ、今後十分ニ連絡協調ヲ願ツテ、
  是ノ開發ニ對シテ農林省ガ一大努力ヲシテ
  戴ケナイモノカドウカ、斯樣ニ考ヘマシテ
  大臣ノ御所見ヲ伺ヒタイト考ヘマスガ、琵
  琶湖ノ開發ニ付キマシテハ、今日マデ技術
  的ニ色々〓究サレテ居リマス、琵琶湖ノ周
  圍ニ堰堤ヲ作ツテ、無爲ニ放流サレテ居ル
  水ヲ貯藏シテ、之ヲ發電ニ使フト云フ調査
  モ出來テ居リマス、更ニ琵琶湖ヲ開發スル
  爲ニハ、現在ノ水位ヲ高クシテ周圍ニ築堤
  ヲ完全ニシ、外湖ニ三千町步ノ耕地ガ作レ
  ルヤウニスルコトモ技術的ニ考ヘラレテ、
  大體是モ調査ガ濟ンデ居ル譯デアリマスガ、
  此ノ點ニ付テ大臣ノ御所見ヲ伺ツテ置キタ
  イト思ヒマス

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• 162・石黒忠篤

  ○石黑國務大臣　御指摘ノ前段ノ國內資源
  ヲ開發スル必要ガアル、其ノ爲ニハ各省大
  臣協力シテ意思ヲ通ジテヤラナケレバイカ
  ヌト考ヘルガト云フ御話ハ、其ノ通リデア
  リマシテ、十分ニ協力シテヤツテ參リタ
  イト云フ考ヘデ居リマス、ソコデソレノ一
  ツノ實現トシテ琵琶湖ノ開發ニ關シテ內務
  省ト十分ニ協力シテ、琵琶湖畔ニ六千町步
  ノ開墾ヲスルト云フヤウナコトニ付テ、地
  方ニ於テハ調査モ濟ンデ居ルガ、ソレ等ヲ
  農林省トシテドウ考ヘルカ、內務省ト十分
  連絡シテ實現スルヤウニト云フ意味ノ御尋
  ネデアリマスガ、此ノ件ニ關シマシテハ、
  先般滋賀縣知事ガ汽車ノ中ニマデヤツテ參
  リマシテ、地方事情ヲ話ヲ致シ、要望ヲ致
  シマシタ件ノ一ツデアリマスノデ、注意ヲ
  拂ツテ居リマシテ、內務省ト交涉モ致サセ
  テ居ルノデアリマス、唯內務省ニ於キマシ
  テハ、洪水時ニ於ケル水ハケノ關係等ニ關
  シマシテ、愼重ナ考慮ガ必要デアルノデ、
  十分ニ調査ヲ進メテ行カナケレバナラヌト
  云フ考ヘヲ持ツテ居ルヤウデアリマス、只
  今此ノ件ニ關シマシテハ、兩省ノ間ニ交涉
  ヲ進メテ居リマスカラ、恐ラクドレダケニ
  ナリマスカ知レマセヌガ、或ル程度ノ結果
  ハ得ラレルノデハナカラウカト考ヘテ居リ
  やく、左樣御承知ヲ願ヒマス

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• 163・服部岩吉

  ○服部(岩)委員　私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=163

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• 164・村上國吉

  ○村上委員長　ソレデハ改メテ申上ゲマス
  ガ、農林大臣ニ對スル質疑ハ一先ヅ終了シ
  タコトニ致シタイト存ジマス、農林大臣外
  ノ大臣及ビ農林省外ノ各省ニ對スル質疑ハ、
  相當澤山アリマスガ、ソレハ明日全部終了
  スルコトニ運ビタイト思ヒマス、但シ出席
  セラレル大臣又ハ政府委員ノ都合モアリマ
  スカラ、何時カラ何時マデト云フコトヲ玆
  デハツキリ約束シテ置ク譯ニハ參リマセヌ
  カラ、御質問ヲナサル方ハ何時發言ヲ求メ
  ラレテモ質問ガ出來ルヤウニ準備シテ置イ
  テ戴キマス、ソレカラ又餘リ離席ナサラナ
  イヤウニ豫メ御願ヒシテ置キマス、明日ハ
  午後零時半カラ政務調査室ニ於テ此ノ法案
  ノ審議方ニ付テ、篤ト御懇談ヲ致シタイト
  思ヒマス、公報ニ廣〓ハシテ置キマシタガ、
  尙ホ此ノ機會ニ改メテ申上ゲテ置キマス、
  明日ハ午前十時カラ開會スルコトニシテ、
  本日ハ是ニテ散會致シマス
  午後六時四分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007611723X00919410220&spkNum=164

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