1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年二月六日(木曜日)
午後一時五十四分開議
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議事日程 第十號
昭和十六年二月六日
午後一時開議
第一 重要物資及食糧増産確保決議案(安達謙藏君外八十四名提出)
第二 貸家組合法案(政府提出) 第一讀會
第三 住宅營團法案(政府提出) 第一讀會
第四 醫療保護法案(政府提出) 第一讀會
第五 恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 義務教育費國庫負擔法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 小學校令の改正に伴ふ恩給法等の規定の整理に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第八 國民勞務手帳法案(政府提出) 第一讀會
第九 商工會議所法第十四條の臨時特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
日本製鐵株式會社法中改正法律案
(以上二月六日提出)
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
外國爲替管理法改正法律案
國稅徵收法中改正法律案
關稅法中改正法律案
不動產融資及損失補償法中改正法律案
臨時資金調整法中改正法律案
重要機械製造事業法案
兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル法律
案
朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ關
スル法律案
朝鮮銀行法中改正法律案
臺灣銀行法中改正法律案
工作機械製造事業法中改正法律案
(以上二月五日提出)
一昨五日貴族院ヨリ受領シタル政府提出案
左ノ如シ
民事訴訟法中改正法律案
陪審法中改正法律案
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
重要物資及食糧增產確保決議案
提出者
安達謙藏君大口喜六君
風見章君勝正憲君
小泉又次郞君櫻內幸雄君
島田俊雄君俵孫一君
中島知久平君永井柳太郞君
鳩山一郞君町田忠治君
松野鶴平君山崎達之輔君
內ケ崎作三郞君內田信也君
大麻唯男君岡田忠彥君
河上丈太郞君〓瀨一郞君
櫻井兵五郞君砂田重政君
田邊七六君東〓實君
前田米藏君松村謙三君
山道襄一君靑木精一君
淺沼稻次郞君綾部健太郞君
井阪豐光君井上知治君
伊豆富人君生田和平君
一宮房治郞君今井健彥君
小山倉之助君大石大君
岡田喜久治君岡野龍一君
岡本實太郞君沖島鎌三君
加藤鐐五郞君勝田永吉君
川俣〓音君工藤十三雄君
小池四郞君小柳牧衞君
紅露昭君椎尾辨匡君
篠原義政君篠原陸朗君
鈴木英雄君田中亮一君
田万〓臣君高橋壽太郞君
高橋守平君武田德三郞君
武知勇記君立川平君
津崎尙武君土倉宗明君
中井川浩君中野邦一君
永山忠則君長野高一君
長野綱良君野田文一郞君
濱野徹太郞君原惣兵衞君
春名成章君平野光雄君
深澤豐太郞君松尾四郞君
松木弘君松村光三君
松山常次郞君三好英之君
水谷長三郞君紫安新九郞君
守屋榮夫君森肇君
八角三郞君八並武治君
山本厚三君
(以上二月四日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
外貨獲得、圓貨囘收及死藏商品流通ニ關
スル質問主意書
提出者〓水留三郞君
(以上二月四日提出)
-去四日近衞內閣總理大臣ヨリ左ノ通發令
アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
內務書記官入江誠一郞
內務事務官村田五郞
第七十六囘帝國議會內務省所管事務政府
委員被仰付
海軍少將保科善四郞
第七十六囘帝國議會海軍省所管事務政府
委員被仰付
一去四日衆議院規則第十五條但書ニ依リ議
長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
一二一北原阿智之助君
一四六新潟縣第二
區選出議員
一去四日辭任シタル常任委員左ノ如シ
第六部選出決算委員中野寅吉君
第八部選出建議委員松岡俊三君
第九部選出請願委員玉野知義君
一去四日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
第一部選出
豫算委員靑山憲三君(窪井義道君補
關
第七部選出
豫算委員小泉純也君(平川松太郞君
補闘)
一去四日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如
シ
衆議院議員ノ任期延長ニ關スル法律案
(政府提出)外一件委員
〓瀨一郞君塚本三君
松永東君丸山辨三郞君
山口忠五郞君阿部茂夫君
井阪豐光君出井兵吉君
勝田永吉君金井正夫君
北村文衞君熊谷五右衞門君
熊谷直太君藏原敏捷君
小柳牧衞君小山邦太郞君
坂下仙一郞君世耕弘一君
曾和義弌君田中亮一君
中野邦一君野田文一郞君
原夫次郞君平野力三君
深澤豐太郞君松本治一郞君
村上元吉君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案
(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル
件)(政府提出)委員
川島正次郞君片岡恒一君
佐藤謙之輔君鶴惣市君
深澤豐太郞君安倍寛君
伊禮肇君池田〓秋君
池田秀雄君板野友造君
今井健彥君加藤鐐造君
加藤鐐五郞君木村淺七君
小林房之助君木暮武太夫君
作田高太郞君鈴木英雄君
世耕弘一君野田文一郞君
藤本捨助君松尾三藏君
松永義雄君松村光三君
三木武夫君橫川重次君
渡邊玉三郞君
帝都高速度交通營團法案(政府提出)委員
堤康次郞君紅露昭君
田中好君高橋義次君
山田〓君〓水德太郞君
曾木重貴君田中源君
堀内良平君道家齊一郞君
中村高一君羽田武嗣郞君
坂東幸太郞君深澤豐太郞君
本田義成君增永元也君
松永東君八角三郞君
民法中改正法律案(政府提出、貴族院送
付)外二件委員
飯村五郞君坂田道男君
崎山嗣朝君仲井間宗一君
林平馬君石坂繁君
泉國三郞君金澤正雄君
川副隆君佐竹晴記君
鹽川正藏君庄司一郞君
玉野知義君內藤正剛君
仲西三良君廣川弘禪君
古島義英君松井郡治君
一去四日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如シ
國防保安法案(政府提出)委員
辭任漢那憲和君補關濱野徹太郞君
一去四日特別委員理事追加互選ノ結果左ノ
如シ
日本發送電株式會社法中改正法律案(政
府提出)委員
理事森下國雄君
一去四日特別委員理事補關選擧ノ結果左ノ
如シ
兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院送
付)外二件委員
理事濱地文平君(理事小山田義孝君
去三日委員辭任ニ付其ノ補闘)
一昨五日近衞內閣總理大臣ヨリ左ノ通發令
アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
內閣恩給局長平木弘
內閣東北局長宇都宮孝平
第七十六囘帝國議會政府委員被仰付
陸軍書記官日高巳雄
第七十六囘帝國議會陸軍省所管事務政府
委員被仰付
一昨五日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタル常任
委員左ノ如シ
第五部選出豫算委員冨吉榮二君
第六部選出豫算委員西尾末廣君
一昨五日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
衆議院議員ノ任期延長ニ關スル法律案
(政府提出)外一件委員
委員長〓瀨一郞君
理事
塚本三君松永東君
丸山辨三郞君山口忠五郞君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案
(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關スル
件)(政府提出)委員
委員長川島正次郞君
理事
片岡恒一君佐藤謙之輔君
鶴惣市君深澤豐太郞君
帝都高速度交通營團法案(政府提出)委
員
委員長堤康次郞君
理事
紅露昭君田中好君
高橋義次君山田〓君
民法中改正法律案(政府提出、貴族院送
付)外二件委員
委員長飯村五郞君
理事
坂田道男君崎山嗣朝君
仲井間宗一君林平馬君
一昨五日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
第六部選出
決算委員玉野知義君(中野寅吉君
補關)
第八部選出
建議委員服部岩吉君(松岡俊三君
補闕)
第九部選出
請願委員中野寅吉君(玉野知義君
補闕)
一昨五日ニ於ケル特別委員ノ異動左ノ如シ
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
辭任林讓治君補關西村茂生君
昭和十六年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)
外一件委員
辭任塚本重藏君補闕川俣〓音君
關稅定率法中改正法律案(政府提出)外一
件委員
辭任田原春次君補關河野密君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、日程第一、重要物資及〓糧增產確保決
議案ヲ議題ト致シマス、提出者ノ趣旨辯明
ヲ許シマス-提出者岡田忠彥君
第重要物資及〓糧增產確保決議案
(安達謙藏君外八十四名提出)
重要物資及食糧增產確保決議案
重要物資及食糧增產確保決議
大東亞ノ新秩序ヲ建設シ共榮圈ノ確立ヲ
期スルハ帝國不動ノ國策ニシテ之カ遂行
ノ爲ニハ萬難ヲ排シテ高度國防國家ノ完
成ニ邁進セサルヘカラス
重要物資ノ生產擴充、食糧增產ノ確保ハ
高度國防國家ノ礎石ニシテ現下喫緊ノ要
務タリ政府ハ須ク國際情勢ノ緊迫ト國內
生產力ノ現狀トニ鑑ミ速ニ左記具體策ヲ
樹立シ以テ時局對處ニ萬全ヲ期スヘシ
-統制ヲ合理化シテ民間ノ創意ヲ啓導
シ體制ヲ整備シテ無用ノ摩擦ヲ排除シ
戰時物價政策ニ檢討ヲ加フルト共ニ勞
力、資材ノ配給ヲ適正圓滑ナラシメ特
ニ重點主義ニ依ル科學總動員ヲ斷行シ
創意的產業計畫ヲ樹立シ以テ鐵、石炭
其ノ他重要物資ノ生產擴充ヲ爲スコト
二內外地ヲ通スル食糧增產計畫ニ則リ
卽時外米依存脫却ノ目的ノ下ニ肥料其
ノ他生產必需資材ノ適時配給、所要勞
力ノ調整、技術動員施設ノ徹底、指導
督勵網ノ完備等一切ノ手段ヲ盡シテ食
糧ノ增產ヲ確保スルコト
右決議ス
〔岡田忠彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=2
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003・岡田忠彦
○岡田忠彦君 私ハ玆ニ本決議案ノ趣旨辯
明ヲナスノ光榮ヲ擔フ者デアリマス、先ヅ
案文ヲ朗讀致シマス
重要物資及食糧增產確保決議案
大東亞ノ新秩序ヲ建設シ共榮圈ノ確立ヲ
期スルハ帝國不動ノ國策ニシテ之カ遂行
ノ爲ニハ萬難ヲ排シテ高度國防國家ノ完
成ニ邁進セサルヘカラス
重要物資ノ生產擴充、食糧增產ノ確保ハ
高度國防國家ノ礎石ニシテ現下喫緊ノ要
務タリ政府ハ須ク國際情勢ノ緊迫ト國内
生產力ノ現狀トニ鑑ミ速ニ左記具體案ヲ
樹立シ以テ時局對處ニ萬全ヲ期スヘシ
-統制ヲ合理化シテ民間ノ創意ヲ啓導
シ體制ヲ整備シテ無用ノ摩擦ヲ排除シ
戰時物價政策ニ檢討ヲ加フルト共ニ勞
力、資材ノ配給ヲ適正圓滑ナラシメ特
ニ重點主義ニ依ル科學總動員ヲ斷行シ
創意的產業計畫ヲ樹立シ以テ鐵、石炭
其ノ他重要物資ノ生產擴充ヲ爲スコト
二內外地ヲ通スル食糧增產計畫ニ則リ
卽時外米依存脫却ノ目的ノ下ニ肥料其
ノ他生產必需資材ノ適時配給、所要勞
力ノ調整、技術動員施設ノ徹底、指導
督勵網ノ完備等一切ノ手段ヲ盡シテ食
糧ノ增產ヲ確保スルコト
右決議ス
案文ハ以上ノ通リデアリマス(發言スル者
アリ)
諸君、本院ハ既ニ議會再開ノ劈頭ニ當リ
マシテ、戰時體制强化ニ關スル決議ヲ致
シマシテ、重大時局ニ對處スベキ一般國政
ノ運營ニ付テ、所信ノアル所ヲ明カニ致シ
タノデアリマス(拍手)本院ハ更ニ進ン
デ.
〔「外米ヲ入レテモ宜イヂヤナイカ、排
擊スル必要ハナイヂヤナイカ」ト呼ブ
者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ御注意致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=4
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005・岡田忠彦
○岡田忠彦君(續) 積極的ニ····
〔田淵豐吉君頻リニ發言ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ御注意致シ
マス
〔田淵豐吉君頻リニ發言ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ノ不規則ナル
發言ヲ禁ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=7
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008・岡田忠彦
○岡田忠彦君(續) 本院ハ更ニ進ンデ積極
的ニ政府ニ協力ヲ致シテ、時艱克服ノ國策
ヲ確立センガ爲ニ、此ノ決議案ヲ提出致シタ
次第デゴザイマス(拍手)卽チ茲ニ高度國防
國家ノ基礎デアルベキ鐵、石炭其ノ他重要
物資ノ生產ノ擴充、食糧增產ノ確保ニ關シ、
本院ノ見ル所ヲ率直ニ披瀝致シテ、以テ一
刻モ速カニ是ガ國策遂行ノ上ニ具現セラレ
ンコトヲ要望致ス次第デゴザイマス(拍手)
事變以來三年有半、我ガ國ノ經濟力ガ遙カニ
英米諸國ノ豫想ヲ裏切リマシテ、今日ニシ
くテ益〓强靱ナル底力ヲ發揮シツツアリマス
コトハ、全ク一億國民ガ各。其ノ職域ニ於テ
奉公シツツアル努力ノ賜モノデアリマシテ、
私共ノ衷心欣快トスル所デゴザイマス(拍
手)併シナガラ昨年ノ秋以來加重セラレ來
ツタ所ノ國際情勢ノ重壓ハ、經濟上ノ分野
ニ對シテモ甚大ナル影響ヲ與ヘマシタ、物
資及ビ食糧ノ增產ハ、從來ノ速度ト計畫トヲ
以テシテハ、其ノ達成ハ困難トナツテ參ツ
タノデアリマス、(田淵豐吉君「ソンナラ外
米ヲ入レロ」ト呼ブ)卽チ英米依存ノ經濟カ
ラハ完全ニ脫却致シナガラ
〔田淵豐吉君「必要ダカラ言フノダ」ト
呼ブ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ退場ヲ命ジ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=9
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010・岡田忠彦
○岡田忠彦君(續) 尙且ツ急速ニ高度國
防國家體制ヲ整備スルノ必要ニ迫ラレタノ
デアリマシテ、言葉ヲ換ヘテ申セバ、ヨリ
限ラレタル資源ヲ以テ、ヨリ早キ速度ト、
ヨリ擴大サレタル規模ニ於テ、重要物資ノ
生產ノ擴充、食糧增產ノ確保ニ邁進致シマ
スコトガ、今日我ガ國ノ前ニ橫タハツテ居
ル課題トナツタノデゴザイマス、凡ソ非常
ノ時局ニ處シテハ非常ノ構想ヲ要スル、今
日ノ事態ガ尋常一樣ノ手段ヲ以テ解決シ得
ルトハ何人モ考ヘテ居リマセヌ、玆ニ新タ
ナル方策ヲ必要トスルニ至ツタノデアリ
マシテ、吾々ガ政府ニ向ツテ進言セント
スル所以モ亦玆ニ存スル次第デゴザイマ
ス
政府ハ先ニ急轉シ來レル世局ニ卽應スル爲
メ、數次ニ亙リ物動計畫ノ改編ヲ行ハレマシ
タ、是ト同時ニ思切ツタル重點主義ヲ採上
ゲテ、以テ戰時重要物資ノ增產確保ニ努メ
ラレ、以テ全般的ナル新體制ノ一翼ト致シ
テ、經濟新體制ヲ企畫セラレ、勤勞新體制
ト相俟ツテ、生產擴充ノ上ニ新タナル構想
ト工夫トヲ試ミラレタノデアリマス、吾々
ハ斯ク生產力ノ擴充ニ苦慮セラレツツアル
政府ノ努力ニ對シテハ、心カラナル敬意ヲ
表スル者デアリマス、然レドモ現實ノ具體
的ノ成果ガ、政府ノ企圖セシ所ニ副ヒ得ザ
リシ一點ニ至ツテハ、遺憾ナガラ之ヲ認メ
ザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)
言フマデモナク高度國防國家ノ基本ハ、
鐵、石炭其ノ他重要物資ノ增產自給ト、食糧
ノ自給自足トニアリマス、少クトモ內外地ヲ
通ジテ、石炭一億「トン」ノ生產ヲ確保致シ、
一千万「トン」ヲ下ラザル鐵鋼ノ生產量ヲ持
チ、又自給自足シ得ベキ國民食糧ヲ確保ス
ルニアラズンバ、苟クモ高度國防國家デア
ルト稱スル譯ニ參ラヌト存ズルノデアリマ
ス(拍手)我ガ國ガ特ニ昨年以來努力シ來
ツタ目標モ實ニ茲ニ存スルノデゴザイマス
然ラバ現實ノ事態ハ此ノ目標ニ副ツテ居
ルカドウカ、原料資材ノ不足、勞力ノ不足
等、凡ユル困難ヲ克服致シマシテ、驚異的ナ
ル成果ヲ擧ゲツツアルコトハ言フマデモア
リセマヌ、然レドモ尙ホ目標ニ達セザルコ
ト甚ダ遠イ譯デアリマス、隨テ吾々ハ茲ニ
萬難ヲ排シテ、是ガ達成ニ邁進シナケレバ
ナラヌ譯デアリマシテ、其ノ具體的ノ方策
三ノ、最高ニシテ最要ナル現下ノ國策デア
ルト言ハナケレバナリマセヌ(拍手)
鐵石炭ニ次イデハ電力ヲ考ヘナケレバ
ナラヌ、電力ハ我ガ國產業ノ基本デアリ、
殊ニ水力電氣ノ開發ハ我ガ國ノ國情ニ愬ヘ
テ刻下ノ急務ト存ジマス、近年ノ如ク頻々
タル電力飢饉ヲ起ス如キコトデアリマシテ
ハ、重要物資ノ生產擴充モ徒ラニ机上ノ空
論ト化シ去ルノ虞ガアルノデアリマシテ、
政府ハ此ノ點ニ深キ注意ヲ拂ハレンコトヲ
希望致シマス(拍手)
ソコデ私ハ鐵、石炭、電力等ノ重要物資
動力ノ生產擴充ニ對シマシテ、政府ニ次ノ
如キ對策ヲ執ラレンコトヲ進言致スモノデ
アリマス
其ノ一ハ統制政策ヲ合理化致シマシテ、
民間ノ創意ト協力トヲ啓導スルコトデアリ
マス
其ノ二ハ產業ノ體制ヲ整備致シテ、資本、
經營、勞務、三位一體ノ實ヲ擧グルコトハ
勿論、企業相互間ノ摩擦ニ對シテモ、之ヲ排
除スルコトニ努力ヲスルコトデアリマス
(拍手)
其ノ三ハ戰時低物價政策ノ堅持ト、生產
擴充トノ矛盾ニ對シテ、合理的ナル調和ヲ
與ヘルコトデアリマス(拍手)
其ノ四ハ資材勞務ノ配給ヲ圓滑、適正ナ
ラシメルコトデアリマス
其ノ五ハ科學ヲ總動員シテ、新タナル發
明ト發見トヲ奬勵シ、產業ノ計畫ニ一新機
軸ヲ出スコトデアリマス(拍手)
周知ノ如ク我ガ國ノ重要資源ハ、必ズシモ
豐富ナリト言フコトハ出來マセヌ、日滿支
ヲ貫キタル重工業ノ資源ハ、著シク豐富
ニナツタト申シテモ、是ガ開發ノ爲ニハ尙
ホ相當ノ資材ト時日トヲ要スルコトハ明カ
デアリマス、加之三年有半ニ亙ル支那事變
ヲ遂行シ、更ニ國際的ノ變局ニ備ヘントス
ルノデアリマスカラ、經濟ノ體制ト運營ト
ニ根本的ナル改變ヲ加へナケレバナラヌコ
トハ、是ハ當然ノコトデアリマス、併シナ
ガラ物ニハ自ラ緩急ノ別ガアツテ、躁急ヲ
競ツテ、却テ目的ニ反シ、理念ニ囚ハレテ
却テ現實ヲ破ルガ如キコトハ、此ノ際嚴ニ
愼マナケレバナラヌト思フノデアリマス
(拍手)統制政策ノ强行、企業合同ノ促進、
戰時低物價政策ノ堅持等ハ、固ヨリ當然ノ
方策デハアリマスガ、過ギタルハ猶ホ及バ
ザルガ如シ、所謂角ヲ矯メテ牛ヲ殺スコト
ノナイヤウナ用意ハ、今日ニ於テ最モ緊要
ナリト信ズルノデアリマス(拍手)要ハ生產
擴充ト云フ此ノ一點ニ眼ヲ注イデ、臨機應
變ノ處置ヲ講ズベキモノデアルト信ズルノ
デゴザイマス
特ニ此ノ際留意ヲ求メタイコトハ、科學
總動員ニ付テデゴザイマス科學總動員ノ
必要ナルコトハ、今日ニ於テ最早論ズル必
要ハナイ、最モ緊切ナルモノデゴザイマス
ルコトハ分ツテ居ルノデアルガ、現今我ガ
國ノ科學〓究ノ狀況ヲ見マスト、各種ノ科
學〓究所ハ各〓狭隘ナル分野ヲ守リ、祕密
ト鎖國トニ跼蹐ヲ致シテ顧ミザルノ狀況デ
アリマス、是ガ爲ニ年々巨額ノ金ヲ費スケ
レドモ、科學〓究ノ結果ガ具體的ノ成果ヲ
收メテ、世ノ中ニ現ハレルト云フコトガ殆ド
ナイノデアリマス、我ガ國ノ生產擴充ガ最
モ科學ノ總動員ニ俟ツコト多キハ言フヲ俟
タナイコトデアリマス、此ノ際政府ハ科學
總動員ノ計畫ヲ立テラレマシテ、速カニ其
ノ具現ヲ期セラレンコトヲ希望シテ已ミマ
セヌ、「ナポレオン」戰爭當時、大陸封鎖ニ
惱マサレタル彼ノ「イギリス」ガ、科學ヲ總
動員致シテ新シキ發明ト發見ヲ行ヒ、百年
ニ亙ル英國繁榮ノ基礎ヲ確立致シマシタコ
トハ普ク人ノ知ル所デアリマス、又「ヴェ
ルサイュ」條約ニ依リ完全ニ手足ヲ〓ガレ
去ツタ所ノ「ドイツ」ガ、科學ノ力ニ依ツテ
今日ノ復興ヲ圖リ、其ノ戰鬪綱領ニ於キマ
シテモ「用兵トハ科學ニ立脚セル自由ニシテ
創造的ナル行爲ナリ」ト斷ジテ居ル如キハ、
吾人ノ大イニ學ブベキ所デアルト思フノデ
アリマス(拍手)英米ヨリノ依存ヲ脫却シ、
殊ニ經濟封鎖ヲ喫シツツアル今日コソ、我
ガ國ガ科學ノ動員ヲ致シ、將來ノ飛躍ヲ畫
スベキ、天與ノ好機デアルト言ハナケレバ
ナリマセヌ、私ハ我ガ國ノ產業ガ必ズヤ此
ノ試煉ニ耐フベキコトヲ信ジテ疑ヒマセ
又、獨リ疑ハザルノミナラズ、之ニ依ツテ
隆興日本ノ基礎ガ築カルベキモノデアルコ
トヲ確信致スモノデアリマス(拍手)
次ニ〓糧問題ニ付テ述ベマス、旣ニ我國
ニ於テハ內地及ビ臺灣、朝鮮ヲ含ム、所謂
內外地ヲ貫ク食糧增產計畫ナルモノガ確立
サレテ居ルノデアリマスガ、此ノ增產計
畫ナルモノハ、遺憾ナガラ種々ノ障碍ノ爲
ニ未ダ實行ニ移サレテ居リマセヌ、元來
內外地計畫ノ一貫性ヲ缺クガ如キコトハ、
今日ノ場合許スベカラザルコトデアリマ
ス、此際速カニ內外地ヲ通ズル需給計畫
ヲ確立セラレ、首尾一貫セル管理制度ヲ實
施シ得ルガ如キ、大乘的ノ考慮ガ拂ハレナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス。食糧
殊ニ米ノ不足ニ對シテハ、專ラ外米ニ依
存シテ目前ヲ糊塗シテ居ルニ過ギマセ
又、言フマデモナク外米依存ハ、根本的
ナル食糧對策ト言フコトハ出來ナイ、朝
有事ノ際ニ〓糧ヲ海外ニ仰グガ如キ弱味ト
云フモノハ、絕對ニ之ヲ拂ヒ去ラナケレバ
ナラナイト思フノデアル、此ノ故ニ高度國
防ノ國家ニ於テハ、常ニ〓糧ノ白給自足ヲ
以テ、其ノ最小限度ノ要請ト致シテ居ルノ
デアリマス、食糧增產計畫ヲ實現スル第一
ノ必要條件ハ、肥料及ビ生產ノ必需資材ノ
確保ト、其ノ適時配給デアリマス、昨年度
ニ於テ米穀其ノ他食糧ノ增產ヲ妨ゲタルモ
ノハ、主トシテ肥料ノ不足、其ノ配給ノ遲
延必需資材ノ不足ニ基因スルモノデアリ
マス、仍テ肥料ノ增產施設ヲ擴充スルト共
二、是ガ一元的適期配給ヲ爲スベキデアル
ト思フノデアリマス(拍手)更ニ無機質ノ肥
料ガ不足スル場合ニ於テハ、之ヲ補フガ爲
メ魚肥、堆肥、厩肥等ノ有機質肥料ニ付テ
特別ノ考慮ガ拂ハレネバナラヌト思フノデ
アリマス(拍手)食糧ノ不足ガ延イテ飼料ノ
不足トナリ、飼料ノ不足ガ延イテ有機質肥
料ノ不足トナリ、更ニ〓糧ノ減產ヲ來スガ
如キ、循環的ノ結果ノ起ラザルヤウニ、政
府ハ今ヨリ十分ノ對策ヲ講ゼラルベキモノ
デアルト思ヒマス
食糧增產ノ第二ノ必要條件ハ、農村勞力
ノ補給ト是ガ調整デゴザイマス、勞務動員
計畫ニ基キ、或ハ又各地ノ時局產業ノ勃興
ニ伴ヒマシテ、農村勞力ノ非常ナル不足ヲ
來シツツアルコトハ贅言ヲ要シマセヌ、而
モ之ヲ補フベキ牛馬等ニ至ツテハ、必ズシ
モ增產ノ域ニ達セズ、益〓、農村ノ勞力不足
ニ拍車ヲ掛ケテ居ル今日ノ現狀デアル、之
ヲ如何ニシテ補フノデアリマセウカ、農村
移動勞働班ノ編成ハ、一部ニ於テハ有效ナ
ル結果ヲ擧ゲテ居ルヤウデアルガ、全體ヨ
リ之ヲ觀察致スト、其效果ハ未ダ以テ滿
足ノ域ニ達シテ居リマセヌ、今後勞働力ノ
調整ニ付テハ、政府ニ於テ協同力ヲ骨子ト
致シタ所ノ大規模ナル計畫ヲ樹テテ、以テ
勞働力ノ確保ヲ圖ラナケレバナラヌト信ジ
マス
食糧增產ノ第三ノ必要條件ハ、技術指導
ノ徹底、科學知識ノ動員、督勵網ノ組織等、
專ラ增產ヲ刺戟スル指導督勵ノ方策デアリ
マス、是ハ現在ソレ〓〓ノ道府縣ニ於テ區々
々ニナサレテ居リマス、併シナガラ是等ハ
各種ノ事務ニ忙殺セラレテ、其ノ指導力ハ
甚ダシク低下致シ、又逆轉ノ虞スラ今日ハ
アルノデアリマシテ、只今ノ時局ニ處シテ、
之ヲ全國ニ亙ツテ徹底的ニ、又組織的ニ整
備充實スルコトガ急務デアルト存ズルノデ
アリマス(拍手)
次ニ休閑地ヲ利用スルコトハ最モ必要デ
アル、例ヘバ全國ニ亙ツテ居ル官公有地ノ
適切ナル利用、久シキニ亙ツテ放置セラレ
テ居ル會社豫定地ノ活用ノ如キハ、此ノ際
最モ考慮スベキ點デアルト思フ(拍手)同僚
三善代議士ハ〓里熊本ニ於テ、學校ノ校庭
ノ一部ヲ動員致シテ、甘諸ヲ栽培スルコト
ヲ奬メラレ、縣下ノ共鳴ヲ得ラレタト云フ
コトヲ、私ハ豫算委員會ニ於テ承ツテ、大
イニ意ヲ强クシタ譯デアリマスガ、私ハ此
ノ趣旨ヲ全國ノ學校ニ及ボスト云フコトハ、
又以テ我ガ第二國民ノ奉公心ヲ喚起スル上
ニ於テ、至大ノ貢獻アルモノト存ズル次第
デアリマス、尙ホ低位耕作者ノ能率ヲ向上
セシメルコト、二毛作ノ普及ヲ圖ルコト、
他作物ノ食糧生產へノ轉換等ノ事柄ハ、何
レモ卽時實施スベキモノデアル、又國土計
畫ニ基イテ、工場等ニ依ル美田ノ破壞ヲ阻
止スルコトモ、亦此ノ際考慮ニ入ルベキモ
ノデアルト存ジマス
之ヲ要スルニ我ガ國現下ノ情勢ハ、食糧
增產ノ確保ヲ以テ最モ喫緊ノ要務トナスニ
拘ラズ、其ノ方策ハ必ズシモ吾人ノ要求ニ
應ヘテ居リマセヌ、今日ノ如キ狀態ニ於テ
手ヲ拱イテ坐視スルガ如キコトガアリマシ
タナラバ、逐年食糧生產減退ノ方向ニ向フ
コトナキヤヲ惧レルノデアリマス、食糧不
足ノ際、漫然ト外米依存ノ偷安策ヲ執リ、
外米輸入ニ依ツテ急場ヲ凌グト云フガ如キ
コトハ、斷ジテ國家百年ノ大計デハアリマ
セヌ、此ノ矛盾ヲ克服スル爲ニハ、是非ト
モ此ノ際大英斷ヲ以テ食糧增產確保ノ爲ニ、
以上申述ベタル方策ヲ實施セラレンコトヲ
切望シテ已マナイノデアリマス(拍手)
尙ホ外米依存ノ脫却ノ方策ト致シテハ、
物價ニ對シ再檢討ヲ加へ、主要食糧ノ價格
ト一般物價トノ均衡ニ付キ愼重ナル考究ヲ
遂ゲテ、之ニ善處スルコトガ必要デアルト
存ズルノデアリマス(拍手)此ノ點ニ付テハ、
政府自ラニ於テモ既ニ認識サレテ居ルコト
ト信ジマスカラ、特ニ多言ヲ費スコトヲ避
ケルモノデアリマス
玆ニ趣旨辯明ヲ終ルニ當リマシテ、私ノ
一言シタキコトハ、此ノ決議ニ生命ヲ與フ
ルモノハ、政府ノ牢固タル決意ト擧國一致
ノ態勢トデアルト存ジマス(拍手)政府ニ牢
固タル決意ナクンバ、以テ天下ノ信ヲ繫グ
ニ足ラズ、擧國一致ノ態勢ナクンバ、以テ
天下ノ大事ヲ遂グルニ足ラヌ、昔弘安ノ役、
元ハ强大ナル國力ヲ恃ンデ、屢〓使ヲ派シテ漫
リニ不遜ノ言辭ヲ弄シテ、我ニ修交ヲ迫ツタ、
我ハ遂ニ其ノ使ヲ斬ツテ決意ノ在ル所ヲ中
外ニ示シタノデアリマス、當時ノ史實ヲ繙
ケバ、畏クモ上ハ皇室ヨリ、鎌倉幕府以下
庶民ニ至ルマデ、打ツテ一丸トナツテ火ト
燃エ、石ト固マツテ、一死君國ニ殉ゼント
セシ烈々タル意氣ハ、正ニ天日ヲ貫クモノ
デアツテ、吾々後世子孫ヲシテ仰イデ襟
ヲ正サシムルモノガアリマス、本期議會ヲ
通ジ、近衞首相ハ必死ノ覺悟ヲ國民ノ前ニ
示サレ、吾々モ亦此ノ決意ニ酬ヘタノデア
リマス、冀クハ近衞首相ヲ初メ內閣諸公、
一層奮勵セラレ、愼重以テ事ヲ計リ、勇斷
以テ事ニ處シ、速カニ此ノ決議ヲ實行ニ移
サレテ、以テ國民ト共ニ天壤無窮ノ皇運ヲ
扶翼セラレンコトヲ切望ノ至リニ堪ヘマセ
ヌ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=10
-
011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 採決致シマス、本案
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 仍テ本案ハ全會一致
可決致シマシタ(拍手)此ノ際內閣總理大臣
ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマス-近衞內
閣總理大臣
〔國務大臣公爵近衞文麿君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=13
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014・近衞文麿
○國務大臣(公爵近衞文麿君) 只今ノ御決
議ニ對シマシテハ、其ノ御趣旨ニ於キマシ
テ、政府ニ於キマシテモ全ク御同感デゴザ
イマス、重要物資ノ生產擴充、食糧ノ增產
ト云フコトハ、高度國防國家ノ建設ノ基礎
トナルベキモノデアリマシテ、之ニ對シマ
シテハ從來モ努力ヲ致シテ參ツタノデアリ
マスガ、今後モ一層努力致シマシテ、此ノ
御趣旨ニ副フヤウニ全力ヲ盡シタイト存ジ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=14
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015・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際臨第二號、臨時軍
事費豫算追加案ヲ議題トナシ、委員長ノ報
告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=15
-
016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=16
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017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-臨第二
號臨時軍事費豫算追加案ヲ議題ト致シマ
ス、豫算委員長ノ報〓ヲ求メマス-豫算
委員長增田義一君
(臨第二號)臨時軍事費豫算追加案
報〓書
-(臨第二號)臨時軍事費豫算追加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月六日
豫算委員長增田義に
衆議院議長小山松壽殿
〔增田義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=17
-
018・増田義一
○增田義一君 只今議題ト相成リマシタ臨
時軍事費豫算追加、臨第一一號ニ付キマシテ、
豫算委員會ニ於ケル寒議ノ經過竝ニ結果ヲ
御報告致シマス
本案ニ計上致サレテ居リマス金額ハ、歲入
歲出共各〓四十八億八千万圓デアリマシテ、
之ヲ旣ニ昭和十二年九月カラ今日マデ成立
致シテ居リマス豫算額ニ加ヘマスレバ、臨
時軍事費豫算ノ總額ハ、歲入ガ二百二十三
億七千百餘万圓、歲出ガ二百二十三億三千
五百餘万圓ト相成ル次第デアリマス、本案
ニ於ケル歲出豫算ノ內譯ハ、豫備費七億八
千万圓、臨時軍事費四十一億圓トナツテ居
リマシテ、右ハ過日本議會ノ協賛ヲ經マシ
タ臨第一號ニ引續キ、〓ネ明年一月頃マデ
ニ必要ナル作戰部隊、艦船等ノ維持費、其
ノ他事變關係ノ諸經費ヲ追加計上致シタト
ノコトデアリマス、今囘ノ臨時軍事費ノ財
源ハ、從來ト同樣其ノ大部分ヲ公債ニ依ル
コトトシ、公債及ビ繰替借入金トシテ三十
九億七千七百餘万圓ヲ計上シ、公債金以外
ノ歲入ハ九億二百餘万圓デアリマス
尙ホ今囘ノ臨時軍事費豫算ノ追加ニ關聯
スル軍ノ需要充足ノ爲メ豫算外契約ニ付キ
マシテハ、別途提案アルベキ趣キデアリマ
ス、申スマデモナク臨時軍事費豫算ハ年度
ノ區分ナク、事變終局マデヲ一會計年度ト
スルモノデアリマスガ、曩ニ本議會ノ協贊
ヲ經マシタ臨第一號十億圓ハ、本年三月頃
マデノ所要額ヲ計上致シタトノコトデアリ
マスカラ、假ニ之ヲ昭和十五年度所屬分ト
シ、今囘ノ臨第二號計上額ヲ以テ昭和十六
年度所屬分ト考ヘマシテ、之ヲ過日本院ニ
於テ可決致シマシタ昭和十六年度歲入歳出
總豫算ノ金額ニ加ヘマスレバ、歲入歲出共
各〓百十七億四千三百餘万圓トナリ、是ヨリ
一般會計及ビ臨時軍事費特別會計間ニ於テ
重複スル金額トナツテ居リマス、一般會計
ヨリ臨時軍事費特別會計ヘノ繰入額六億七
千万圓ノ通拔ケ勘定ヲ控除致シマスレバ、
百十億七千三百餘万圓ト相成ルノデアリマ
ス、本追加豫算案ノ審議ニ際シマシテハ、
本案ニ關聯シタ當面ノ重要問題ニ付キ、各委
員ヨリ極メテ眞劍ナル質疑ガ行ハレ、之二
對シ所管ノ各大臣ヨリ答辯ガアリマシタガ、
祕密會ニ屬スル分ハ勿論差控ヘマス、玆
其ノ重要ト認メラレルモノヲ取上ゲテ御報
〓致シタイト存ジマス
先ヅ第一ハ支那事變處理方策及ビ東亞共
榮圈確立ニ關スル問題デアリマス、此ノ點ニ
關シマシテハ、委員ヨリ事變解決ニハ、支
那ニ於ケル共產黨へノ對策ヲ忘レテハナラ
又、支那ニ於ケル共產黨ノ勢力ハ頓ニ增大
スルニ至リ、正ニ大東亞建設上ニ於ケル一
ツノ癌デアルト思フガ如何、又對重慶工作
ト密接ナ關係ヲ有スルモノニ南方華僑ヘノ
對策ガアル、蔣政權ニ對スル是等八百万華
僑ノ援助ハ、我ガ事變處理上重大ナ障碍ト
ナツテ居ル、彼等ノ人心ヲ獲得スルコトハ、
事變處理及ビ南方政策上特ニ重要デアルト
思フガ如何トノ質問ガアリマシタガ、之一
對シ外務大臣ヨリ、支那共產黨ニ對スル所
見ハ同感デアル、政府トシテモ常ニ此ノ點
ニ留意シ、曩ニ締結サレタ日華基本條約ニ
依リ、北支蒙疆ヲ特殊防共地域トシテ、此
ノ方面ニ我ガ軍ノ駐屯ヲ約束セシメタノモ
是ガ對策ノ一ツデアル、更ニ南方華僑ノ人
心ヲ獲得スルコトハ、獨リ對重慶工作上ノ
ミナラズ、支那全體トシテモ、又東亞共榮
圈實現上カラモ特ニ重要デアリ、政府モ夙
ニ之ニ對スル對策ヲ講ジ來リ、今日ニ於テ
ハ從來ノ抗日的態度ヲ漸次變換シツツアル
ト思フトノ答辯ガアリマシタ、次ニ大東亞
共榮圈ノ確立上、今日ノ「インド」民衆ノ反日
的態度ガ一障碍トナツテ居ル點ガ、委員ニ依
ツテ取上ゲラレ、是ハ「インド」民衆ヲ指導セ
ル國民會議派ガ、我ガ眞意ヲ理解シナイコト
ニ依ルモノデ、我ガ國トシテハ八紘一宇ノ
理念カラシテモ、之ニ對シ十分ノ對策ヲ要
スルト思フガ如何トノ質問ガアリマシタ、
外務大臣ヨリハ、「インド」民衆ヲシテ我ガ
眞意ヲ理解セシムルコトハ、御意見ノ如ク
共榮圈實現上缺クベカラザルノ問題デアル
ト思フ、國民會議派ノ如キハ我ガ眞意ヲ曲
解シテ、之ヲ以テ侵略的ナリトシ、將來必ズ
「インド」モ支那ト同樣ノ運命ニ陷ルモノト思
ツテ居ル、吾々トシテモ從來ヨリ斯カル誤解
ヲ解クベク努力シテ來タガ、遺憾ナガラ蔣
政府ノナシタ工作ノ結果ニ比シ效果ガ擧ラ
ナイ、是ハ「インド」ガ英國領デアル故デアル
ト思フトノ答辯ガアリマシタ
第二ハ對米對「ソ」問題デアリマス、對米問
題ニ付キマシテハ、既ニ今期議會ニ於テ此ノ問
題ニ對スル國民ノ關心ヲ反映シテ、熱心ナル質
疑應答ガ行ハレマシタコトハ御承知ノ通リデ、
今囘モ又々此ノ問題ガ取上ゲラレ、米國人ノ
如ク具體的ニモノヲ見ル國民ニ對シテハ、
抽象的デナク、我ガ國ノ大東亞共榮圈ノ限
界ヲ具體的ニ明示スルコトガ、目下ノ對米國
交調整上、最モ重大デアルト思フガ如何ト
ノ質問ニ對シ、外務大臣ハ次ノ如ク大膽且ツ
率直ニ所信ヲ表明シテ、日米外交ノ基調ヲ
闡明セラレマシタ、卽チ世間デハ三國同盟
ヲ締結シテ置キナガラ、外交ハ二本建デア
ルト非難スル者ガアルガ、日本ノ利益ナラ
バ外交ハ何本建デモ宜イ、固ヨリ今後ノ帝
國外交ハ三國同盟ヲ樞軸トシテ運行サレル
モノデアル、併シ是ガ爲メ獨リ米國ノミナ
ラズ、他ノ何レノ國トモ誤解ヲ起サナイヤ
ウニ努力スルハ勿論デアル、否寧ロ本同盟
締結ノ一目的ハ米國トノ誤解ヲ解キ、日米
戰ノ如キヲ未然ニ防止スルニアル凡ソ國
際關係ニ於テ最モ恐ルベキハ相互ノ認識不
足ニ依リ錯覺ヲ生ズルコトデアリ、近代ノ
戰爭ノ多クモ之ニ原因スル、今日ノ日米兩
國間ニ於テモ、其ノ原因ノ如何ヲ問ハズ、
相互ニ錯覺ヲ生ジテ居ルト云フコトハ事實
デアルト思フ、卽チ米國ハ我ガ八紘一宇ノ
精神ヲ理解シナイノミカ、更ニ我ガ國力ニ
付テモ非常ナ錯覺ヲ起シテ居ル、我ガ方モ
之ヲ解クベク從來トモ極力努メテ來タガ、
此ノ際米國ニ對シ徹底セシメタイコトハ、
我ガ國力ガ米國ノ考ヘル如キ脆弱ナモノデ
ハナイトノ點デアル、大東亞共榮圈ノ具體
的限界ヲ明示スル必要アリトノ點ハ同感デ
アル、我ガ南進政策ハ決シテ米國ト相容レ
ナイモノデハナイト云フ、根本的ナ點ヲ明
カニシタイトノ答辯ガアリマシタ、更ニ對
「ソ」問題ニ關シマシテハ、日獨伊三國同盟ト
ノ關係ニ於テ、委員ヨリ萬一日「ソ」兩國ガ干
戈ヲ交ヘタ場合ニ、「ドイツ」ハ我ガ國ヲ援助
シナイデアラウト世間デ言ツテ居リ、又三
國同盟條約ハ此ノ關係ヲ明記シテ居ナイガ
如何トノ質疑ガナサレタニ對シ、外務大
臣ハ、日「ソ」開戰ノ場合ニ於ケル日獨伊ノ
關係ハ條文上明記サレテ居ナイ、併シ本條
約ノ目的ノ一ツハ日「ソ」國交調整ニアル、
之ヲ獨伊側ヨリ見レバ、本條約ニ依リ「ソ」聯
トノ親善關係ヲ一層促進シタキ意向デアル
トノ答辯ガアリマシタガ、此ノ點ハ明瞭ヲ
缺イタノハ遺憾デアリマシタ
第三ハ戰時財政經濟政策中當面ノ重要問
題トモ云フベキ公債消化及ビ物價問題デ
アリマス、卽チ公債發行額ハ逐年增加ノ趨
勢ニアル、然ルニ我ガ財政又ハ公債消化力
ノ將來ニ對シ一抹ノ懸念ヲ抱キツツアル者
ガアル、此ノ際之ニ對スル實情及ビ見透シ
ヲ明示スルノ要アリト思フガ如何、公債消
化ノ立場カラ今後モ低物價政策ヲ堅持スル
方針カ、政府ノ物價政策ハ最近動モスレバ
動搖シテ居ルガ如キ印象ヲ與ヘテ居ル、卽
チ過日ノ商工大臣ノ答辯中、低物價ハ堅
持スル、一般物價ニ付テハ實情ニ卽シテ再
檢討スルト述ベテ居ルガ如キ、是ハ國民經
濟ニ惡影響ヲ與ヘルモノデアルト思フ、戰
時經濟ノ完遂上明確ナル態度ヲ示ス要アリ
ト思フガ如何等ノ質疑ガ行ハレマシタガ、
之ニ對シ大藏大臣ヨリ、公債償還ノ計畫如
何ト云フコトハ常ニ考ヘナケレバナラヌ、
投資ニ屬スル事業公債ハ姑ク措キ、所謂
赤字公債、歲入補塡公債ハ、之ヲ償還ス
ルトノ考ヘ方ヨリハ、寧ロ先ヅ之ヲ無ク
スルノ必要ガアル、戰費ノ公債モ相當ノ
增加デアルガ、現在經常部ノ歲入ハ可ナリ
增加シテ居ル、隨テ事變終局ノ曉、直チ
ニハ不可能トシテモ、追々ハ相當額ヲ公債
償還ニ振向ケ得ルト信ズルカ、又低物價政
策ハ之ヲ堅持スル方針デアル、殊ニ生活必
需物資ニ對シテハ飽クマデ堅持スル、併シ
是ガ爲メ食糧品等ノ增產ニ影響ガアル場合
ハ、他ノ方法ヲ以テ之ヲ奬勵スル必要ガア
ルト考ヘテ居ルトノ答辯ガアリマシタ
本日午後ノ委員會ニ於キマシテ、本案ヲ
討論ニ付シ、佐藤洋之助君ヨリ贊成ノ旨ノ
發言ガアリマシテ、採決ノ結果全會一致ヲ
以テ可決致シマシタ、右御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=18
-
019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 採決致シマス、本案
ノ委員長報告ハ可決デアリマス、本案ヲ委
員長報告ノ通リ決スルニ贊成ノ諸君ノ起立
ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員、仍テ本案
ハ委員長報告ノ通リ全會一致可決確定致シ
マシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=20
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021・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、軍機
保護法中改正法律案ヲ議題トナシ、委員長
ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=21
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022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=22
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023・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-軍機
保護法中改正法律案、第一讀會ノ續キヲ開
キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員
長漢那憲和君
軍機保護法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一軍機保護法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓告
昭和十六年二月五日
委員長漢那憲和
衆議院議長小山松壽殿
〔漢那憲和君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=23
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024・漢那憲和
○漢那憲和君 只今議題トナリマシタ軍機
保護法中改正法律案ノ委員會ハ、昨五日ニ開
會致シマシテ、愼重審議ノ上滿場一致ヲ以テ
可決致シマシタ、右御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=24
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025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=25
-
026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=26
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027・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
軍機保護法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=30
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031・服部崎市
○門郡崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、地方
分與稅法中改正法律案ヲ議題トナシ、委員
長ノ報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=32
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033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-地方
分與稅法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開
キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員
長豐田收君
地方分與稅法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一地方分與稅法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月五日
委員長豐田收
衆議院議長小山松壽殿
〔豐田收君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=33
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034・豐田收
○豐田收君 只今議題トナリマシタ地方分
與稅法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結
果ヲ御報告申上ゲマス
本案ハ昨年行ハレマシタ中央地方ヲ通ズ
ル稅制ノ大改革ニ依リテ制定セラレマシタ
地方分與稅法第四十九條ニ規定セラレテア
リマス、昭和十六年度配付稅分與ニ關スル
道府縣ト市町村トノ割合ヲ改正セントスル
モノデアリマス(「內務大臣ハドウシタ」ト
呼ブ者アリ)卽チ昭和十六年度分與稅配付
額ノ比率ガ、道府縣ニ於テハ百分ノ六十五、
市町村ニ於テハ百分ノ三一十五トナツテ居ツ
タモノヲ、道府縣ニ於テハ百分ノ六十二、
市町村ニ於テハ百分ノ三十八ト改メントス
ル案デアリマス、昨年ノ實蹟ニ依リマスレ
バ、財政上道府縣ト大都市トハ稍〓餘裕ガア
リマシタケレドモ、町村ト小都市トハ非常
ニ窮屈ニナツテ居リマシテ、法定セラレタ
地租、家屋稅、營業稅ノ三收益稅ニ對スル
賦課稅率百分ノ二百ヲ以テシテハ、町村財
政ガ到底賄フコトガ出來ヌノデ、大多數ノ
町村ガ此ノ賦課率ヲ超エマシテ、制限外ノ
課稅ヲシテ、漸ク財政ノ辻褄ヲ合ハシタヤ
ウナ實情デアリマス、其ノ甚ダシキモノハ
百分ノ千ニモ及ンダ町村ガアツタ次第デア
リマス、仍テ政府當局ハ全國一万一千ノ町
村ノ是ガ改正要求ノ聲ヲ聽キマシテ、又地
方分與稅委員會ノ希望ニモ副ウテ、此ノ改
正案ヲ提出シ、道府縣ノ財源ヨリ年額約一
千万圓ノ金額ヲ市町村ニ讓ツテ、以テ市町
村ノ財政ノ緩和ヲ圖ラントシタモノデアリ
マス、以上ノ次第デアリマスカラ、委員會
ニ於キマシテハ各委員ガ、從來政府官僚ノ
人ガ法律ヲ制定シテ實施一年ヲ出デザル時
ニ是ガ改正ヲナスコトハ、或ハ威信ニ關シ、
或ハ面目ヲ云爲シテ容易ニ之ニ應ゼラレヌ
ノニ、此ノ實情ヲ見マシテ、不十分デハア
ルケレドモ、此ノ改正案ヲ提出セラレタコ
トヲ諒トセラレテ、此ノ原案ニ對スル態度
ハ如何ニモ和ヤカナモノガアリマシタ、併
シナガラ此ノ點デハ到底窮乏シタ所ノ町村
ノ財政ヲ緩和スルコトガ出來ナイト云フ點
カラ、根本的ニ配付稅デアル百分ノ一七·
三八ヲ改正シテ貰ツテ、總額ニ於テ財政ノ
緩和ヲ圖ツテ戴キタイト云フ希望ヲ述ベラ
V、或ハ最近地方制度ノ根本的改正ヲナシ
テ、或ハ今日靑年學校等ガ設立セラレテ、
其ノ費用ガ町村ノ負擔ニナツテ居ル、或ハ
國家ノ委任事務ガ非常ニ激增致シテ、町村
ノ財政ガ其ノ負擔ニ堪ヘヌ等ノ實情ヲ述ベ
ラレ、或ハ市町村吏員ノ待遇、或ハ警防團
ニ對スル質問等ガアリマシタガ、最後ニ昨今
本議會ノ論議ノ中心デアリマスル所ノ大政
翼賛會ト、地方協力會ト府縣會、市町村、部
落常會等ノ關係ニ付テ、或ハ其ノ經費ト
町村財政ニ及ボス關係等ニ付テ、各委員カ
ラ熱心ニ又活潑ナル質問ガ出マシタ、併シ
ナガラ內務當局ニ於カレマシテハ、大政翼
贊會ニ關スル性格ガ、未ダ政府ニ於テ決定
ガナカツタモノデアリマスルガ故ニ、遺憾
ナガラ明確ナル意思表示ガナカツタ次第デ
アリマス、是等ノ色々ナル質疑應答ノ結果、
地方分與稅ニ對スル委員會ノ希望ニ對シテ
ハ、平沼內務大臣ガ政府ヲ代表シテ、委員
各位ノ御熱心ナル御希望ニ對シテ、十分考
慮シテ善處スベキ旨ノ答辯ヲ得マシテ、最
後ニ討論ニ入リマシテ、服部岩吉君カラ原
案實成ノ意ヲ述ベラレ、滿場一致原案ヲ承
認致シタ次第デアリマス、以上簡單ナガラ
御報告致シマス、詳細ハ速記錄ニ於テ御覽
ヲ顛フコトニ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=34
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035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 內務大臣ハ樞密院ニ
出席中デアリマシテ、登院致シ兼ネルトノ
コトデアリマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=35
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036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=36
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037・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=37
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038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ社議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=38
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039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
地方分與稅法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=39
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040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)
日程第二乃至第四ハ、便宜上一括議題ト
ナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=40
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041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第二、貸家組合法案、日程第三、
住宅營團法案、日程第四、醫療保護法案、
右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-
金光厚生大臣
第二貸家組合法案(政府提出)
第一讀會
第三住宅營團法案(政府提出)
第一讀會
第四醫療保護法案(政府提出)
第一讀會
貸家組今法案
貸家組合法
第一章總則
第一條貸家組合ハ其ノ組今員ニ對シ貸
家ノ供給ヲ圓滑ナラシメ及組合員ノ貸
家ノ經營ノ適正ヲ圖ルコトヲ目的トス
貸家組合ハ貸家ノ所有者及貸家ノ所有
者ニ非ズシテ貸家ノ經營ヲ爲ス者ヲ以
テ之ヲ組織ス
貸家組合ハ法人トス
貸家及貸家ノ所有者ニ非ズシテ貸家ノ
經營ヲ爲ス者ノ範圍ニ關シ必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條貸家組合ハ左ノ事業ヲ行フコト
ヲ得
組合員ノ貸家ノ建設ニ必要ナル土
地及資材ノ取得其ノ他貸家ノ建設ニ
關スル共同施設
二組合員ノ貸家ノ賃貸料ノ取立、修
繕其ノ他貸家ノ經營ニ關スル共同施
設
三組合員ノ貸家ニ關スル斡旋所ノ設置
四組合員ノ貸家ノ賃貸條件其ノ他貸
家ノ經營ニ關スル統制
五組合員ノ貸家ノ建設及經營ニ關ス
ル指導、〓究、調査其ノ他組合ノ目的
ヲ達スルニ必要ナル事業
組合ハ前項ノ事業ノ外貸家ノ建設及經
營竝ニ組合員ニ對スル其ノ貸家建設ノ
爲必要ナル資金ノ貸付及組合員ノ爲ニ
スル其ノ貸家建設ニ關スル債務ノ保證
ヲ併セ行フコトヲ得
第一項第一號乃至第三號ノ施設ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ザル者ヲ
シテ之ヲ利用セシムルコトヲ得
第三條貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依
リ組合員ノ貸家ノ賃貸條件其ノ他貸家
ノ經營ニ關スル統制ヲ行フ場合ニ於テ
ハ總會ノ議決ヲ經テ之ニ關スル規程ヲ
定メ行政官廳ノ認可ヲ受クベシ其ノ規
程ヲ變更セントスル場合亦同ジ
第四條行政官廳貸家ノ供給ノ圓滑又ハ
經營ノ適正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認
ムルトキハ貸家組合ニ對シ必要ナル事
業ヲ命ズルコトヲ得
第五條行政官廳貸家ノ經營ノ適正ヲ圖
ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ貸家
組合ノ組合員又ハ其ノ組合ノ組合員ニ
非ズシテ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合
員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合
ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ
得
第六條貸家組合ハ其ノ名稱中ニ貸家組
合ナル文字ヲ用フベシ
貸家組合ニ非ザル者ハ貸家組合ナル名
稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第七條貸家組合ノ住所ハ其ノ主タル事
務所ノ所在地ニ在ルモノトス
第八條貸家組合ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第九條貸家組合ニハ所得稅、法人稅及
營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ貸家組合ノ貸家ノ建設若ハ
取得又ハ其ノ貸家用地ノ取得ニ對シテ
ハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第二章設立
第十條貸家組合ヲ設立セントスルトキ
ハ發起人ハ警察署ノ管轄區域其ノ他適
當ナル地域ニ依リ豫メ地區ヲ定メ其ノ
地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル
者ノ過半數(土地ノ情況其ノ他ノ事情
ニ因リ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以
テ其ノ數ヲ減ズルコトヲ得)ノ同意ヲ
得テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナ
ル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政官廳ニ
設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ同意ヲ得ルコト能ハザルトキト
雖モ特別ノ事由アル場合ニ於テハ行政
官廳ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ招集スル
コトヲ得
第十一條貸家組合ノ定款ニハ左ノ事項
ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三地區
四事務所ノ所在地
五組合員タル資格ニ關スル規定
六組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
七出資一口ノ金額及其ノ拂込ノ方法
八剩餘金ノ處分及損失分擔ニ關スル
規定
九準備金ノ額及其ノ積立ノ方法
十組合員ノ權利義務ニ關スル規定
十一事業及其ノ執行ニ關スル規定
十二役員ニ關スル規定
十三會議ニ關スル規定
十四會計ニ關スル規定
十五存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定
メタルトキハ其ノ時期又ハ事由
第十二條貸家組合設立當時ノ經費ノ收
支豫算及分賦收入方法ハ創立總會ニ於
テ之ヲ議決スベシ
第十三條貸家組合設立當時ノ理事及監
事ハ創立總會ニ於テ設立同意者(發起
人ヲ含ム以下同ジ)又ハ設立同意者タ
ル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ
之ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ前項ノ理事又ハ
監事ハ同項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選
任スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ
選任ニ付行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非
ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十四條創立總會ニ於ケル議決及役員
ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ
同意ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十五條設立同意者ハ創立總會ニ於テ
代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコトヲ
得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ差出ス
ベシ
第十六條貸家組合ハ主タル事務所ノ所
在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ
成立ス
第十七條產業組合法第十條、第十一條
第一項及十二條ノ規定ハ貸家組合ノ設
立ニ之ヲ準用ス
第三章組合員ノ權利義務
第十八條組合員ハ出資一口以上ヲ有ス
ベシ
第十九條組合員ノ責任ハ第二十條ノ規
定ニ依ル費用負擔ノ外其ノ出資額ヲ限
度トス
貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合
財產ヲ以テ其ノ債務ヲ完濟スルコト能
ハザル場合ニ於テ組合員ノ全員ガ其ノ
出資額ノ外一定ノ金額(保證金額)ヲ限
度トシテ責任ヲ負擔スルモノト爲スコ
トヲ得
第二十條貸家組合ハ定款ノ定ムル所ニ
依リ其ノ經費ヲ組合員ニ分賦スルコト
ヲ得
第二十一條持分ガ數人ノ共有ニ屬スル
トキハ共有者ハ組合員ノ權利ヲ行使ス
ベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
組合員ノ權利ヲ行使スベキ者ナキトキ
ハ共有者ニ對スル組合ノ通知又ハ催告
ハ其ノ一人ニ對シテ之ヲ爲スヲ以テ足
ル
共有者ハ組合ニ對シ連帶シテ組合員ノ
義務ヲ負フ
第二十二條產業組合法第十八條、第十
九條及第二十一條乃至第二十四條ノ規
定ハ組合員ノ權利義務ニ之ヲ準用ス但
シ同法第二十四條中地方長官トアルハ
行政官廳トス
第四章管理
第二十三條貸家組合ニハ理事及監事ヲ
置クベシ
理事及監事ハ總會ニ於テ組今員又ハ組
合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ
中ヨリ之ヲ選任ス
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ
付行政官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ
其ノ効力ヲ生ゼズ
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定
ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第二十四條組合員ハ總會ニ於テ各一個
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ
依リ一人ニ付議決權總數ノ十分ノ三ヲ
超エザル範圍內ニ於テ出資口數ニ應ジ
二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ
得
第二十五條組合員ハ代理人ヲ以テ議決
權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テハ之
ヲ出席ト看做ス
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ
差出スベシ
第二十六條經費ヲ組合員ニ分賦スル貸
家組合ニ在リテハ其ノ經費ノ收支豫算及
分賦收入方法ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
第二十七條民法第四十四條第一項、第
五十二條第二項、第五十三條乃至第五
十五條、第五十九條、第六十一條第一
項、第六十二條、第六十四條及第六十
六條竝ニ產業組合法第二十六條乃至第
三十一條ノ三、第三十三條、第三十四
條ノ二乃至第三十六條、第三十八條ノ
二乃至第四十六條、第四十七條乃至第
四十八條ノ二、第六十條ノ二及第六十
八條ノ規定ハ貸家組合ノ管理ニ之ヲ準
用ス但シ民法第五十九條中主務官廳ト
アリ竝ニ產業組合法第三十九條第三項
及第六十條ノ二中地方長官トアルハ行
政官廳トス
第五章加入及脫退
第二十八條組合員タル資格ヲ有スル者
貸家組合ニ加入セントスルトキハ組合
ハ正當ノ理由ナクシテ加入ニ困難ナル
條件ヲ附シ又ハ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ
得ズ
第二十九條貸家ト爲ス目的ヲ以テ家屋
ノ建設ヲ爲サントスル者ハ第一條第二
項ノ規定ニ拘ラズ貸家組合ニ加入スル
コトヲ得
前條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル加入ニ
之ヲ準用ス
第三十條組合員ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ一定ノ期間前ニ豫〓ヲ爲シ貸家組合
ノ承諾ヲ得タル場合ニハ事業年度ノ終
ニ於テ脫退スルコトヲ得
組合ハ正當ノ理由ナクシテ前項ノ承諾
ヲ拒ムコトヲ得ズ
第三十一條產業組合法第五十一條第
三號及第四號ヲ除ク)及第五十二條乃
至第五十八條ノ規定ハ組合員ノ脫退ニ
之ヲ準用ス
第六章解散及〓算
第三十二條貸家組合ハ左ノ事由ニ因リ
テ解散ス
ー定款ニ定メタル事由ノ發生
二總會ノ決議
三組合ノ合併
四組合ノ破產
第三十三條民法第七十條竝ニ產業組合
法第六十二條第二項、第六十三條ノ二
乃至第六十五條及第六十七條ノ規定ハ
貸家組合ノ解散ニ、民法第七十三條乃
至第七十六條及第七十八條乃至第八十
三條、非訟事件手續法第三十六條、第
三十七條ノ二、第百三十六條第一項、
第百三十七條及第百三十八條竝ニ產業
組合法第七十條乃至第七十三條ノ規定
ハ貸家組合ノ〓算ニ之ヲ準用ス但シ產
業組合法第六十五條中地方長官トアリ
及民法第八十三條中主務官廳トアルハ
行政官廳トス
第七章監督
第三十四條行政官廳ハ貸家組合ニ對シ
事業及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシ
メ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十五條第五條ノ規定ニ依ル命令ア
リタル場合ニ於テ行政官廳必要アリト
認ムルトキハ當該官吏ヲシテ日出ヨリ
日沒迄ノ間貸家其ノ他ノ場所ニ臨檢シ
帳簿其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコト
ヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢
檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ
證スル證票ヲ携帶セシムベシ
第三十六條行政官廳必要アリト認ムル
トキハ貸家組合ニ對シ經費ノ收支豫算、
其ノ分賦收入方法、定款又ハ第三條ノ
規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三十七條貸家組合ノ事業若ハ組合財
產ノ狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難
ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法
令、定款若ハ行政官廳ノ命令ニ違反シ
タルトキ若ハ公益ヲ害スル虞アルトキ
ハ行政官廳ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一總會ノ決議ノ取消
二役員ノ解任
三組合ノ事業ノ停止
四組合ノ解散
第八章貸家組合聯合會
第三十八條貸家組合聯合會ハ所屬ノ貸
家組合及貸家組合聯合會ノ共同ノ目的
ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ貸家組合又ハ貸家組合聯合會
ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ハ法人トス
第三十九條貸家組合聯合會ヲ設立セン
トスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ所
屬ノ各組合及聯合會ニ於テ選任スル創
立委員ハ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他
必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ行政
官廳ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
第四十條貸家組合ニ關スル規定(第十
條及第二十九條ノ規定竝ニ第二十七條
ノ規定ニ依リ準用スル產業組合法第三
十八條ノ二ノ規定ヲ除ク)竝ニ產業組
合法第七十七條第三項、第七十八條及
第七十九條第一項ノ規定ハ貸家組合聯
合會ニ之ヲ準用ス但シ第二條、第三條
及第五條中組合員トアルハ所屬ノ組合、
聯合會及組合員、第十三條第一項中設
立同意者(發起人ヲ含ム以下同ジ)又ハ
設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行スル
役員トアルハ所屬ノ組合及聯合會ノ理
事又ハ監事、第十五條第一項中設立同
意者トアルハ所屬ノ組合及聯合會、第
二十三條第二項中組合員又ハ組合員タ
ル法人ノ業務ヲ執行スル役員トアルハ
所屬ノ組合及聯合會ノ理事又ハ監事ト
ス
第九章貸室組合及貸室組合聯合
會
第四十一條貸室組合ハ其ノ組合員ニ對
シ貸室ノ供給ヲ圓滑ナラシメ及組合員
ノ貸室ノ經營ノ適正ヲ圖ルコトヲ目的
トス
貸室組合ハ貸室ノ所有者及貸室ノ所有
者ニ非ズシテ貸室ノ經營ヲ爲ス者ヲ以
テ之ヲ組織ス
貸室組合ハ法人トス
貸家組合ニ關スル規定ハ貸室組合ニ之
ヲ準用ス
貸室及貸室ノ所有者ニ非ズシテ貸室ノ
經營ヲ爲ス者ノ範圍ニ關シ必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十二條貸室組合聯合會ハ所屬ノ貸
室組合及貸室組合聯合會ノ共同ノ目的
ヲ達スル爲之ヲ設立スルコトヲ得
聯合會ハ貸室組合又ハ貸室組合聯合會
ヲ以テ之ヲ組織ス
聯合會ハ法人トス
貸家組合聯合會ニ關スル規定ハ貸室組
合聯合會ニ之ヲ準用ス
第十章罰則
第四十三條左ノ場合ニ於テハ貸家組合
ノ理事、監事又ハ〓算人ヲ五百圓以下
ノ過料ニ〓處ス
-本法ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
三行政官廳若ハ裁判所又ハ總會若ハ
總代會ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ
事實ヲ隱蔽シタルトキ
四本法ニ依リ行政官廳又ハ裁判所ノ
爲ス檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタ
ルトキ
五本法ニ依リ行政官廳ノ徵スル報〓
ヲ差出サズ其ノ他行政官廳ノ命令又
ハ處分ニ從ハザルトキ
六本法ニ違反シ總會又ハ總代會ノ招
集ヲ怠リタルトキ
七本法ニ違反シ書類ヲ備置カザルト
キ、其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記
載セズ若ハ不正ノ記載ヲ爲シタルト
キ又ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ閱覽
ヲ拒ミタルトキ
八本法ニ違反シ組合員ノ持分ヲ拂戾
シタルトキ
九本法ニ違反シ組合ガ組合員ノ持分
ヲ取得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ
受ケタルトキ
十本法ニ違反シ破產ノ宣告ヲ請求セ
ザルトキ
十一本法ニ違反シ出資一口ノ金額若
ハ保證金額ヲ減少シ、第三十一條ノ
規定ニ依リ準用スル產業組合法第五
十八條ノ責任期間ノ短縮ヲ爲シ又ハ
組合ノ合併ヲ爲シタルトキ
十二本法ニ違反シ公〓ヲ爲スコトヲ
怠リ又ハ不正ノ公〓ヲ爲シタルトキ
十三〓算ノ場合ニ於テ本法ニ違反シ
辨濟ヲ爲シ又ハ組合財產ノ分配ヲ爲
シタルトキ
十四法令又ハ定款ニ違反シ剩餘金ヲ
處分シタルトキ
十五組合ノ目的ニ非ザル營利事業ヲ
爲シタルトキ
第四十四條第六條第二項ノ規定(第四
十條、第四十一條第四項及第四十二條
第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
〓ニ違反シタル者ハ二百圓以下ノ過
料ニ處ス
第四十五條第五條ノ規定(第四十條、第
四十一條第四項及第四十二條第四項ノ
規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)依依
ル行政官廳ノ命令ニ違反シタル者ハ干
圓以下ノ罰金ニ處ス
法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ貸家
又ハ貸室ノ經營ニ關シ前項ノ違反行爲
ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自
己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處
罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十六條前條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人
ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人
ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又
ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人
ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト
同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
第四十七條正當ノ理由ナクシテ第三十
五條第一項ノ規定(第四十條、第四十一
條第四項及第四十二條第四項ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該
官吏ノ臨檢又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ
忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處
ス
第四十八條貸家組合ノ理事、監事又ハ
〓算人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又
ハ之ヲ要求若ハ約束シタルトキハ二年
以下ノ黴役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲
シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五
年以下ノ徵役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第四十九條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者
ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第五十條第四十八條ニ揭グル罪ハ刑法
第四條ノ例ニ從フ
附則
第五十一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五十二條本法施行ノ際貸家組合ニ非
ズシテ貸家組合ナル名稱ヲ用フル者ハ
本法施行後六月以內ニ其ノ名稱ヲ變更
スルコトヲ要ス
第五十三條第四十四條ノ規定ハ前條ノ
期間內之ヲ前條ニ揭グル者ニ適用セズ
第五十四條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條中「第十一號、」ノ下ニ「第十一
號ノ三、」ヲ加フ
同條第七號中「又ハ自動車運送事業組
合聯合會」ヲ「、自動車運送事業組合聯
合會、貸家組合、貸家組合聯合會、貸室
組合又ハ貸室組合聯合會」ニ、「又ハ自
動車交通事業法」ヲ「、自動車交通事業
法又ハ貸家組合法」ニ改ム
同條第十一號ノ次ニ左ノ二號ヲ加フ
十一ノ二貸家組合又ハ貸室組合カ
貸家又ハ貸室用建物ノ供給ノ爲ニ
スル抵営權ノ取得ノ登記
十一ノ三貸家若ハ貸宰用建物又ハ
其ノ用地ニ付貸家組合員又ハ貸室
組合員カ其ノ所屬組合ヨリノ權利
ノ取得ノ登記
第五十五條印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項第十二號中「又ハ自動車
運送事業組合聯合會」ヲ「、自動車運送
事業組合聯合會、貸家組合、貸家組合
聯合會、貸室組合又ハ貸室組合聯合
會」ニ改ム
第五十六條特別法人稅法中左ノ通改正
ス
第二條第一號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
一ノ二貸家組合、貸家組合聯合會、
貸室組合及貸室組合聯合會
住宅營團法案
住宅營團法
第一章總則
第一條住宅營團ハ勞務者其ノ他庶民ノ
住宅ノ供給ヲ圖ルコトヲ目的トス
住宅營團ハ法人トス
第二條住宅營團ハ主タル事務所ヲ東京
市ニ置ク
住宅營團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
得
第三條住宅營團ノ資本金ハ一億圓トス
第四條政府ハ一億圓ヲ住宅營團ニ出資
スベシ
政府ハ土地ヲ以テ出資ノ目的ト爲スコ
トヲ得
第五條住宅營團ハ定款ヲ以テ左ノ事項
ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員及會議ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七住宅債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
十定款變更ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更
スルコトヲ得
第六條住宅營團ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第七條住宅營團ニハ所得稅、法人稅及
營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ住宅營團ノ事業、建物ノ建
設若ハ取得又ハ土地ノ取得ニ對シテハ
地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ住宅營
團ノ事業ニ對シテハ特別ノ事情ニ基キ
內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ受ケタル
場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第八條住宅營團ニ付解散ヲ必要トスル
事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置ニ
關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第九條住宅營團ニ非ザル者ハ住宅營團
ナル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第十條民法第四十四條、第五十條、第
五十四條、第五十五條及第五十七條竝
ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ
規定ハ住宅營團ニ之ヲ準用ス
第二章役員
第十一條住宅營團ニ理事長副理事長各
一人理事四人以上及監事二人以上ヲ
置ク
理事長ハ住宅營團ヲ代表シ其ノ業務ヲ
總理ス
副理事長ハ定〓ノ定ムル所ニ依リ住宅
營團ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シテ住宅營
團ノ業務ヲ掌理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキハ其ノ
職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ
職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ住宅營團
ヲ代表シ理事長及副理事長ヲ輔佐シテ
住宅營團ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ理事長及
副理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ缺員ノ
トキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ住宅營團ノ業務ヲ監査ス
第十二條理事長、副理事長、理事及監
事ハ主務大臣之ヲ命ズ
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ三年、
監事ノ任期ハ二年トス
第十三條理事長、副理事長及理事ハ定
款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業
務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行
爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任ス
ルコトヲ得
第十四條理事長、副理事長及理事ハ他
ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務
大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ
在ラズ
第十五條住宅營團ニ評議員若干人ヲ置
キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルト
キハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年トス
第三章業務
第十六條住宅營團ハ左ノ業務ヲ行フ
-住宅ノ建設及經營
二住宅ノ建設及經營ノ受託
三一團地ノ住宅ノ建設又ハ經營ノ場
合ニ於ケル水道、乘合自動車、市場、
食堂、浴場、保育所、授產場、集會
所其ノ他ノ施設ノ建設及經營
四住宅ノ建設ノ爲ニスル資金ノ貸付
五住宅ノ賣買及貸借ノ仲介
六前各號ノ業務ニ附帶スル事業
第十七條住宅營團ハ其ノ住宅及前條第
三號ノ施設ノ用ニ充ツル爲必要ナル土
地又ハ土地ニ關スル所有權以外ノ權利
ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シ
テハ土地收用法ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ依リ收用又ハ使用シタ
ル土地又ハ土地ニ關スル所有權以外ノ
權利ノ處分及管理ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條北海道、府縣、市町村其ノ他
之ニ準ズベキモノノ所有ニ屬スル土地
ハ隨意契約ニ依リ住宅營團ニ之ヲ讓渡
又ハ貸付スルコトヲ得
第四章住宅債劵
第十九條住宅營團ハ拂込資本金額ノ十
倍ヲ限り住宅債劵ヲ發行スルコトヲ得
第二十條住宅債劵ハ額面金額五十圓以
上トシ無記名利札附トス但シ應募者又
ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコト
ヲ得
住宅債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行
スルコトヲ得
第二十一條住宅營團ハ住宅債劵借換ノ
爲一時第十九條ノ制限ニ依ラズ住宅債
劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ住宅債劵ヲ發行シタ
ルトキハ發行後一月以內ニ其ノ發行額
面金額ニ相當スル舊住宅債劵ヲ償還ス
ベシ
第二十二條政府ハ住宅債券ノ元本ノ償
還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ得
第二十三條住宅債劵ハ賣出ノ方法ヲ以
テ之ヲ發行スルコトヲ得
第二十四條住宅營團ニ於テ住宅債劵ヲ
發行セントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第二十五條住宅債劵ノ消滅時効ハ元金
ニ在リテハ十五年、利子ニ在リテハ五
年ヲ以テ完成ス
第二十六條住宅債券ノ所有者ハ住宅營
團ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己
ノ債劵ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコルトヲ得ズ
第二十七條所得稅法及有價證劵移轉稅
法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ住
宅債劵ニ之ヲ準用ス
第二十八條本章ニ規定スルモノヲ除ク
ノ外住宅債劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章會計
第二十九條住宅營國ノ事業年度ハ每年
四月ヨリ翌年三月迄トス
第三十條住宅營團ハ每事業年度ニ於ケ
ル剩餘金中ヨリ勅令ヲ以テ定ムル積立
金ヲ控除シテ猶殘額アルトキハ剩餘金
ノ配當ヲ爲スコトヲ得但シ拂込ミタル
出資額ニ對シ年三分五厘ノ割合ヲ超ユ
ルコトヲ得ズ
第三十一條住宅營團ハ左ノ方法ニ依ル
ノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ
得ズ
國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタル有價證劵ノ取得ヲ爲スコ
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金ト爲スコト
第三十二條住宅營團ハ設立ノ時及每事
業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對照
表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ之
ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ前項ニ
掲グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第六章監督
第三十三條住宅營團ハ主務大臣之ヲ監
督ス
第三十四條住宅營團ハ主務大臣ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲
スコトヲ得ズ
第三十五條住宅營團ハ每事業年度ノ初
ニ於テ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
第三十六條主務大臣ハ住宅營團ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サシ
メ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十七條主務大臣ハ特ニ住宅營團監
理官ヲ置キ住宅營團ノ業務ヲ監視セシ
ム
住宅營團監理官ハ何時ニテモ住宅營團
ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ
得
住宅營團監理官ハ必要アリト認ムルト
キハ何時ニテモ住宅營國ニ命ジテ業務
及財產ノ狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
住宅營團監理官ハ住宅營團ノ諸般ノ會
議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十八條役員ガ法令、定款若ハ主務
大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル
行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ
解任スルコトヲ得
第七章罰則
第三十九條左ノ場合ニ於テハ住宅營團
ノ理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ
千圓以下ノ過料ニ處ス
一本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第十九條又ハ第二十一條第二項ノ
規定ニ違反シ住宅債券ノ發行ヲ爲シ
又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四第三十一條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
五主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分
ニ違反シタルトキ
六第三十七條第二項又ハ第三項ノ規
定ニ依ル住宅營團監理官ノ檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ命ズル
報〓ヲ爲サザルトキ
第四十條左ノ場合ニ於テハ住宅營團ノ
理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ五
百圓以下ノ過料ニ處ス
-本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
二第三十二條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナク
シテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第四十一條第九條ノ規定ニ違反シ住宅
營團ナル名稱ヲ用ヒタル者ハ五百圓以
下ノ過料ニ處ス
附則
第四十二條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第四十三條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ
住宅營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セ
シム
第四十四條設立委員ハ定款ヲ作成シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十五條定款ニ付主務大臣ノ認可ア
リタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資
ノ第一囘ノ拂込ヲ稟請スベシ
第四十六條出資ノ第一囘ノ拂込アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ住宅營團理事長ニ引繼グベシ
第四十七條住宅營團ハ主タル事務所ノ
所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因リ
テ成立ス
第四十八條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「蠶絲共同施設組合」
ノ上ニ「住宅營團、」ヲ、「蠶絲業法」ノ上
ニ「住宅營團法、」ヲ加フ
同條第十八號中「庶民金庫」ノ下ニ「又
ハ住宅營團」ヲ加へ「業務」ヲ「事務所」
三八六
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
十九住宅營團カ住宅營團法第十六
條第一號、第三號又ハ第四號ノ業
務ノ爲ニスル建物又ハ土地ノ權利
ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ登記
第四十九條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第七號ノ前ニ左ノ一號ヲ加フ
六ノ四住宅營團ノ業務ニ關スル證
書帳簿及住宅債劵
醫療保護法案
醫療保護法
第一條政府ハ本法ニ依リ醫療保護事業
ヲ管理ス
第二條本法ニ於テ醫療保護事業ト稱ス
ルハ貧困ノ爲生活困難ニシテ醫療又ハ
助產ヲ受クルコト能ハザル者ニ對シ醫
療劵ヲ發行シテ醫療又ハ助產ヲ受ケシ
ムル事業ヲ謂ヒ事業者ト稱スルハ醫療
保護事業ヲ行フ者ヲ謂フ
第三條市町村及勅令ヲ以テ指定スル者
ハ事業者トス
第四條道府縣及主務大臣ノ指定スル者
ハ事業者ト爲ルコトヲ得
第五條前二條ニ揭グル者ニ非ザル者事、
業者タラントスルトキハ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ
第六條事業者ハ醫療保護事業ヲ行フ爲
診療所、產院其ノ他適當ナル施設(以下
施設ト稱ス)ヲ經營スルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ事業
者ニ對シ施設ノ經營ヲ命ズルコトヲ得
但シ他ノ法令ニ依リ施設ノ經營ヲ命ズ
ルコトヲ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條事業者ハ施設ニ於ケル醫療又ハ
助產ニ關シ必要ナル附帶事業(以下附
帶事業ト稱ス)ヲ行フコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ施設
ヲ經營スル事業者ニ對シ附帶事業ヲ行
フコトヲ命ズルコトヲ得
附帶事業ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條主務大臣必要アリト認ムルトキ
ハ事業者ニ對シ施設又ハ附帶事業ノ讓
渡ニ付他ノ事業者ト協議ヲ爲スベキコ
トヲ命ズルコトヲ得
事業者前項ノ協議ヲ爲サズ若ハ爲スコ
ト能ハズ又ハ協議調ハザルトキハ主務
大臣ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ爲
スコトヲ得
前項ノ決定中對價ニ付不服アル者ハ其
ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日(決定ノ通
知ヲ受ケザル者ニ付テハ其ノ公示ノ
日ヨリ三十日以內ニ通常裁判所ニ出
訴スルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル命令及第二項ノ決
定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之
フルト
第九條事業者醫療保護事業ヲ廢止セン
トスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主
務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十條本法ニ定ムルモノノ外醫療保護
事業又ハ施設若ハ附帶事業ノ開始、休
止、變更、廢止其ノ他醫療保護事業又
ハ施設若ハ附帶事業ニ關シ必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條事業者ハ左ノ各號ノ一ニ該當
スル者ニシテ他ノ法令ニ依リ醫療又ハ
助產ヲ受クルコトヲ得ザルモノニ對シ
醫療劵ヲ發行シテ其ノ疾病、傷痍又ハ
分娩ニ付醫療又ハ助產ヲ受ケシムベシ
-救護法又ハ母子保護法ニ依リ救護
又ハ扶助ヲ受クル者
二前號ニ掲グル者ノ外貧困ノ爲生活
困難ニシテ醫療又ハ助產ヲ受クルコ
ト能ハザル者(扶養義務者ニ於テ醫
療又ハ助產ヲ受ケシムルコトヲ得ル
者ヲ除ク但シ急迫ノ事情アル場合ニ
於テハ此ノ限ニ在ラズ)
前項ノ規定ニ依リ發行スベキ醫療劵ハ
市町村ガ事業者タル場合ヲ除クノ外第
十七條ノ規定ニ依ル割當ノ限度內トス
第十二條前條第一項第二號ニ揭グル者
ノ認定ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村長、
其ノ居住地ナキトキ又ハ居住地分明ナ
ラザルトキハ現在地ノ市町村長之ヲ行
フ
第十三條事業者ハ左ノ各號ノ一ニ該當
スル者ニ對シテハ醫療又ハ助產ヲ受ケ
シメザルコトヲ得
-正當ノ理由ナクシテ醫療又ハ助產
ニ關シ市町村長又ハ事業者ノ爲ス指
示ニ從ハザル者
二正當ノ理由ナクシテ醫療又ハ助產
ニ關スル檢診又ハ調査ヲ拒ミタル者
三性行著シク不良ナル者
第十四條事業者必要アリト認ムルトキ
ハ第十一條ノ規定ニ依リ醫療又ハ助產
ヲ受ケシムベキ者ヲ施設ニ收容シ又ハ
他ノ事業者ノ施設若ハ適當ナル診療所、
產院等ニ收容ヲ委託スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ收容ノ委託ヲ受ケタ
ル事業者ハ正當ノ理由アルニ非ザレバ
之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十五條本法ニ依リ受ケシムベキ醫療
及助產ノ範圍、程度及方法ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第十六條第十一條第一項第二號ニ揭グ
ル者ニシテ醫療劵ニ依ル醫療又ハ助產
ヲ受クルモノ死亡シタル場合ニ於テ市
町村長埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋葬ニ要ス
ル費用ヲ給スルコト適當ナリト認ムル
トキ又ハ埋葬ヲ行フ者ナシト認ムルト
キハ死亡シタル者ハ其ノ埋葬ニ付テハ
之ヲ救護法又ハ母子保護法ニ依リ死亡
ノ際現ニ救護又ハ扶助ヲ受クル者ト看
做ス
第十七條地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ事業者ニ對シ其ノ者ノ發行スベキ
醫療劵ニ付其ノ數、地域等ヲ定メ割當
ヲ爲スベシ
第十八條地方長官ハ前條ニ揭グルモノ
ノ外醫療保護專業ノ統制及聯絡ニ關ス
ル事務ヲ行フ
地方長官ハ市町村長ヲシテ命令ノ定ム
ル所ニ依リ前項ノ事務ノ一部ヲ行ハシ
ムルコトヲ得
第十九條方面委員令ニ依ル方面委員ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ醫療保護事業ニ關
スル事務ニ付市町村長ヲ補助スベシ
第二十條事業者ハ第十一條ノ規定ニ依
リ發行シタル醫療劵ニ依ル醫療又ハ助
產ニ要シタル費用ヲ負擔スルモノトス
第二十一條第十九條ノ規定ニ依リ方面
委員ガ職務ヲ行フ爲必要ナル費用ハ市
町村ノ負擔トス
第二十二條國庫ハ事業者ニ對シ勅令ノ定
ムル所ニ依リ左ノ諸費ニ付其ノ二分ノ
一ヲ補助ス但シ町村及第三條ノ規定ニ
依リ勅令ヲ以テ指定スル者ノ負擔ニ係
ルモノニ對シテハ其ノ十二分ノ七ヲ補
助ス
一第二十條ノ規定ニ依リ負擔スル費
用
二施設ノ費用
國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ市町村ガ
前條ノ規定ニ依リ負擔スル費用ニ付市
ニ對シテハ其ノ二分ノ一、町村ニ對シ
テハ其ノ十二分ノ七ヲ補助ス
道府縣ハ道府縣以外ノ事業者又ハ市町
村ニ對シ勅令ノ定ムル所ニ依リ前二項
ニ揭グル費用ニ付其ノ四分ノ一ヲ補助
スベシ
國庫ハ事業者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於
テ附帶事業ニ要スル費用及第八條ノ規
定ニ依リ施設又ハ附帶事業ノ讓渡ヲ受
クル爲要スル費用ニ付補助スルコトヲ
得
第二十三條救護法第二十六條乃至第二
十七條ノ二ノ規定ハ事業者ガ道府縣又
ハ市町村ナルトキハ其ノ負擔シタル醫
療又ハ助產ニ要シタル費用ニ之ヲ準用
ス
第二十四條道府縣、市町村其ノ他ノ公
共團體ハ左ニ揭グル土地又ハ建物ニ對
シテハ租稅其ノ他ノ公課ヲ課スルコト
ヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル
者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
主トシテ醫療保護事業又ハ施設若
ハ附帶事業ノ用ニ供スル建物
二前號ニ揭グル建物ノ敷地其ノ他主
トシテ醫療保護事業又ハ施設若ハ附
帶事業ノ用ニ供スル土地
第二十五條地方長官ハ監督上必要アリ
ト認ムルトキハ事業者ニ對シ諸般ノ報
告ヲ爲サシメ、書類帳簿ノ提出ヲ命ジ、
實地ニ就キ業務若ハ會計ノ狀況ヲ調査
シ又ハ醫療保護事業、施設若ハ附帶事
業ニ關シ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
但シ主務大臣ノ指定スル事業者ニ對シ
テハ主務大臣及地方長官之ヲ行フ
第二十六條第五條ノ規定ニ依ル事業者
本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ
之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ
ハ主務大臣ハ同條ノ規定ニ依ル認可ヲ
取消スコトヲ得
第二十七條事業者左ノ各號ノ一ニ該當
スルトキハ國庫及道府縣ハ補助ヲ取消
シ、旣ニ交付シタル補助金ノ全部若ハ
一部ノ返還ヲ命ジ又ハ補助ヲ爲サザル
コトヲ得
ー本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令
又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキ
二補助ノ條件ニ違反シタルトキ
三不正ノ手段ヲ以テ補助金ノ交付ヲ
受ケタルトキ
第二十八條詐僞其ノ他ノ不正ノ手段ニ
依リ醫療劵ニ依ル醫療若ハ助產ヲ受ケ
又ハ受ケシメタル者ハ三月以下ノ懲役
又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條町村制ヲ施行セザル地ニ於
テハ本法中町村ニ關スル規定ハ之ヲ町
村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル
規定ハ之ヲ町村長ニ準ズベキモノニ適
用ス
附則
第三十條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三十一條本法施行ノ際第三條及第四
條ニ揭グル者ニ非ザル者ニシテ現ニ醫
療保護事業ヲ行フモノ又ハ其ノ事業ヲ
承繼シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
本法施行ノ日ヨリ三月間ヲ限リ引續キ
其ノ事業ヲ行フコトヲ得
前項ノ者前項ノ期間經過後引續キ其ノ
事業ヲ行ハントスルトキハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ前項ノ期間內ニ第五條ノ規
定ニ依ル認可ヲ申請スベシ
前項ノ規定ニ依ル認可ノ申請ヲ爲シタ
ル者ハ其ノ申請ニ對スル認可又ハ不認
可ノ處分アル迄引續キ其ノ事業ヲ行フ
コトヲ得
第三十二條救護法中左ノ通改正ス
第六條中「、病院」ヲ削ル
第十條第一項第二號及第三號ヲ左ノ如
ウムチ
二削除
三削除
第三十三條母子保護法中左ノ通改正ス
第六條第一項中「養育扶助、生業扶助及
醫療」ヲ「養育扶助及生業扶助」ニ改ム
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=41
-
042・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 只今議題トナリ
マシタ法案中、先ヅ貸家組合法案、住宅營
團法案ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ御
說明申上ゲマス、近時益、深刻トナツテ參リ
マシタ住宅難ハ勞務者其ノ他一般國民ノ生
活ヲ脅カスノミナラズ、軍需ノ充足、生產
力擴充等ノ重要產業ノ〓女員充足ヲ阻碍シ、
又勞務者ノ作業能率及ビ健康ニ惡影響ヲ及
ボス等、高度國防國家體制ノ建設上好マシ
カラザル事態ヲ招來致シテ居ルノデアリマ
ス
政府ハ夙ニ一昨年八月以來應急的措置ト
シテ、勞務者住宅供給計畫ヲ樹立致シマシ
テ、事業主ニ對シ、其ノ使用スル勞務者ノ
住宅建設ヲ勸奬シ、必要資材及ビ資金調達
ノ援助ヲモ致シ、又地方公共團體ニ對シテ
ハ、損失補償制度ヲ設ケマシテ、勞務者住
宅ノ建設ヲ奬勵シテ參ツタノデアリマスガ、
斯カル應急的措置ノミデハ、現下ノ深刻ナ
ル住宅難ヲ早急ニ打開スルコトハ困難ト考
ヘラレマシタノデ、昨年厚生省ニ住宅對策
委員會ヲ設ケテ、種々〓究ヲ遂ゲ、根本的
對策ノ樹立ヲ圖ツテ參ツタノデアリマス
惟フニ現下ノ深刻ナル住宅難ノ打開ヲ圖リ
マスガ爲ニハ、住宅ノ供給ヲ急速ニ增加ス
ルコトヲ以テ根本的對策ト致シマスコトハ
申スマデモナイ所デアリマス、是ガ爲ニハ、
所謂民間ノ貸家投資家ニ依ル貸家供給ノ促
進ヲ圖リマスコトガ、我ガ國從來ノ慣行ニ
モ適シ、早急ニ住宅供給ヲ增大スル捷徑デ
アルト考ヘラレルノデアリマス
然ルニ是等ノ貸家投資家ハ、現在ニ於キマ
シテハ、個々ニ分散シテ、其ノ間ニ何等ノ組織ヲ
持ツテ居リマセヌ爲ニ、現時ノ如キ實情ノ下
デハ、建築用資材ノ取得等ニ付キマシテ種
種ノ困難モアリ、貸家建築ガ阻止サレテ居
ルト考ヘラレルノデアリマス、仍テ今囘貸
家組合法ヲ制定シテ、是等ノ貸家投資家ヲ
組織化スルコトト致シマシテ、政府ヨリ之
ニ建築用資材ノ取得等ニ付テ便益ヲ與ヘ、
以テ貸家供給ノ促進ヲ期スルコトニ致シタ
次第デアリマス、尙ホ貸家組合ニハ賃貸條
件ノ統制其ノ他經營ノ適正ヲ圖ルコトヲモ
併セ行ハシムルコトニ致シテ居リマス
更ニ又右施策ト竝行シマシテ、此ノ際急速
大量ニ住宅供給ヲ圖リマスコトモ、現下ノ住
宅難打開ノ爲メ緊要ノコトデアルト考ヘラ
レマスノデ、貸家組合ト竝ンデ住宅營團法ヲ
制定致シマシテ、政府出資ニ係ル住宅營團
ナル特殊ノ法人ヲ設立スルコトト致シタノ
デアリマス、此ノ營團ニ依リ、今後五箇年
間ニ約三十万戶ノ住宅ヲ供給セシメヨウト
考ヘテ居ル次第デアリマス、尙ホ此ノ住宅
營團ガ設立ヲ見マシタ曉ハ、住宅ノ量ノ問題
ノミナラズ、住宅ノ質ノ問題、例ヘバ、國民住
居標準ノ確立、住宅型式ノ規格化、或ハ國
土計畫又ハ地方計畫ニモ照應セル模範的ナ
ル住宅街ノ集團的建設或ハ火災等ノ場合ニ
於ケル住宅復興事業ノ企畫實施等、住宅政
策上各般ノ問題ノ解決ニモ資シ得ルモノト
存ズルノデアリマス、
次ニ醫療保護法案ニ付テ提案ノ理由ヲ說
明致シマス、時局下ニ於キマシテハ一般庶民
層ノ生活ヲ確保シ、特ニ貧困ノ爲メ生活困
難ナル者ニ對スル醫療保護ノ萬全ヲ期シマ
スルコトハ、緊要ノコトト存ズルノデアリ
マス、我ガ國現時ノ醫療保護制度ニハ、救
護法及ビ母子保護法等ノ法律ニ依ルモノノ
外、昭和七年以來政府ニ於テ實施シテ居リ
マス時局匡救醫療〓護事業竝ニ地方公共國
體恩賜財團濟生會其ノ他各種社會事業團
體ニ依ルモノ等各種ノモノガアリマスガ、凡ソ
貧困ノ爲メ生活困難ニシテ、醫療又ハ助產ヲ
受クルコト能ハザル者ニ對シ、遍ク保護ノ徹
底サレテ居ナイ憾ミガアルノミナラズ、其ノ
醫療內容ニ不十分ナル點ガアリ、又受療ノ手續
方法其ノ他ニ於キマシテモ、遺憾ノ點ガ存スル
等、改善ヲ要スル點ガ多々アルノデアリマ
ス、而シテ是等現行醫療保護制度ノ不備缺
陷ヲ是正シマスル爲ニハ、現行ノ諸制度ヲ
其ノ儘ニ存置シテ、單ニ行政的措置ヲ以テ
スルノミデハ困難ト考へラレマシタノデ、
玆ニ新タニ醫療保護ニ關ススル法律ヲ制定
スルコトシ、今囘本法案ヲ提出スルニ至
ツタ次第デアリマス
本法案ニ於キマシテハ、現行各種醫療保
護制度ヲ之ニ統合致シマスト共ニ、被保護
者ノ範圍ヲ、救護法又ハ母子保護法ノ如ク、
極メテ小範圍ノ資格者ノミニ限定セズ、廣
ク貧困ニシテ生活困難ナル者ニ對シ保護ヲ
及ボスコトト致シマシタ、又醫療保護事業
者ノ統制、醫療保護ニ關スル施設ノ擴充、
醫療內容ノ向上改善ヲ圖ルコトト致シタノ
デアリマス、更ニ又事業ノ企畫及ビ運營等ニ
付テモ、適正ニ之ヲ指導シ得ルコトト致シ
マシテ、醫療保護ノ實效ヲ擧グルニ遺憾ナ
カラシムルコトヲ期シタ次第デアリマス、
何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレン
コトヲ切望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-伊藤東一郞君
〔伊藤東一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=43
-
044・伊藤東一郎
○伊藤東一郞君 私ハ只今議題ト相成リマ
シタ醫療保護法案ニ付キマシテ、二、三政府
ノ御所見ヲ伺ハントスル者デゴザイマス
由來社會事業ノ理念タルヤ、或ハ之ヲ人道
主義、博愛主義ニ依ルト謂ハレ、或ハ社會連
帶若シクハ犧牲均分ノ思想ニ依ルト唱ヘラ
L、又ハ全體主義精神ニ依ルベキデアルナ
ドト申シ居ラルルヤニ承知致シテ居ルノデ
アリマスルガ、私ハ我ガ國ニ關スル限リ、
社會事業ハ國民ヲ赤子ノ如ク御慈ミ給フ洪
大無邊ノ聖旨ヲ洽ク國民ニ光被セシメル皇
室ノ限リナキ御仁慈ヲ、津々浦々ニマデ漏
レナク遍照セシメ陛下ノ赤子一人トシテ
或ハ飢餓ニ惱ミ、或ハ寒サニ泣キ、又病ン
デ醫藥ノ道ナキヲ歎クガ如キコトナカラシ
ムルニアルト信ズルノデゴザイマス、此ノ
點ニ關シマシテ政府ノ御所見ヲ伺ヒタイノ
デアリマス
更ニ「事有ルニツケテイヨ〓〓思フカナ民
ノカマドノ煙イカニト」トハ、畏クモ日露戰
爭ノ際明治天皇陛下ノ御製デアリマス、ア
ノ臥薪嘗膽十年、我ガ國ガ國運ヲ賭シテ戰
ツテ居リマスル眞最中、上御一人ニハ軍政
各方面ニ並々ナラヌ叡慮ヲ惱マサセ給フ折
柄デアリマスルニモ拘ラズ、銃後民草ノ生
活ニ大御心ヲ掛ケサセ給ヒマシタ、其ノ御
仁慈ノ程、唯々感淚ニ咽ブ外ナイノデアリマ
ス、此ノ明治天皇陛下ノ有難キ大御心ハ、
卽チ今上天皇陛下ノ大御心デアラセラ
レルト拜察シ奉ルノデアリマス、畏ク
モ今上陛下ニ於カセラレマシテハ、朝
ニタニ大御心ヲ戰場ニ馳セサセ給ヒ、又對
外關係其ノ他一般政務ニ宸襟ヲ惱マセ給
ヒ、束ノ間モ大御心ノ休マセ給フコトナキ
御間ニモ、絕エズ銃後民草ノ生活ニ聖慮ヲ
垂レサセ給ヒ、軍事援護ノコトハ固ヨリ、
一般庶民ノ生活保護ノコトニ深イ御慈愛ヲ
賜ハル數々ハ、洵ニ恐懼感激ノ極ミデゴザ
イマス、斯カル御仁政ヲ輔翼シ奉ル政府當
局ト致シマシテハ、政府自ラ又地方公共
團體ヲ奬勵サレマシテ、公營社會事業ノ普
及及ビ發達ヲ圖ラレマスルト共ニ、民間ニ
於ケル志士仁人ノ奮起ヲ促シ、民間社會事
業ノ興隆進展ヲ助成シ、國民一般ニ對シマ
シテハ、一人モ飽食暖衣スル者ナク、同時
ニ一人モ飢エニ泣ク者ナキヤウ、所謂同胞
相愛ノ實踐ヲ指導サレ、十分ニ其ノ效果ヲ
擧ゲ、以テ宸襟ヲ安ンジ奉ル堅イ御覺悟ガ
アラウト存ジマスルガ、政府ハ果シデ如何
ナル具體的方策ヲ御持チニナツテ居ルカ
諸君、政府ハ本法ニ於キマシテ、我ガ國醫療
保護ノ普及竝ニ其圓滑適正ナル施行ヲ期セ
ラレマシテ、公私ノ醫療保護事業ノ全般ニ
亙リマシテノ統轄ヲ圖ラレマシタコトハ、
從來此ノ種ノ法規ガ事業ノ公營ヲ主ト致シ
テ來マシタノニ比ベマシタナラバ、明カニ
社會事業ノ運營ニ一新機軸ヲ出サレタモノ
ト申スベキデアリマス、隨ヒマシテ私ハ本
法ニ於テ政府ハ公營醫療保護ノ普及及ビ徹
底ヲ圖ルト共ニ、民營社會事業ニ對シマシ
テモ、亦之ヲ抑壓セラルルト云フガ如キコ
トナク、彼ノ恩賜財團濟生會ヲ初メト致シ
マシテ、各民間醫療保護事業ノ刷新興隆ヲ
助長サレ、其ノ適正ナル發達ヲ企圖セラ
ルルモノト考ヘル次第デゴザイマスルガ、
此ノ點ニ關シマシテ政府ノ御所見ヲ伺ヒタ
イノデアリマス
熟〓考ヘマスルノニ、從來行ハレテ居リ
マスル我ガ國ノ醫療保護事業ニハ、國家若
シクハ地方公共團體デ行ハレテ居リマスル
モノノ外ニ、民間團體ニ依ルモノガ相當數
アルノデアリマス、就中恩賜財團濟生會ハ、
御承知ノ如ク明治四十四年紀元ノ佳節ニ當
リマシテ、畏クモ明治天皇陛下ガ時ノ總理
大臣桂公爵ニ優渥ナル御勅語ト共ニ多額ノ
御内帑金ヲ御下賜アラセラレマシタ、此ノ
有難キ思召ヲ拜戴サレマシタ桂總理大臣ハ、
直チニ全國ニ傳ヘテ恩賜財團濟生會ヲ設立
シ、聖旨ニ副ヒ奉ランコトヲ期セラレタノ
デアリマス、爾來春風秋雨幾星霜、皇室ノ
御仁慈ニ基ク同會ノ診療事業ハ、其ノ金額、
其ノ醫藥以上ノ不思議ナル特殊ノ效果ヲ學
ゲテ居リマスルコトハ、偏ヘニ我ガ國體ノ
然ラシムル所ト、洵ニ感激致シテ居ル次第
デゴザイマス、政府ハ斯カル實蹟ニ徵セラ
レマシテ、此ノ醫療保護法ノ中ニ、其ノ事
業機關トシテ同會ヲ取入レ、之ヲ全面的ニ
活用サレ、以テ有難キ聖旨ノ光被ヲ圖リ、
一面醫療保護ノ範圍ヲ此際更ニ擴大シテ、
現在ノ如キ極貧者ニ限ルコトナタ、資力薄
弱ニシテ醫療助產ニ因難ナル者ニ及ボシ、
彼ノ半額施療及ビ實費程度ノ患者ヲモ適宜
之ヲ取扱ヒ、救貧ニ資スル以上ニ防貧ニ十
分役立タシメ、醫療保護ノ效果ヲ徹底的ニ
發揮セシムルヤウ措置サルベキデアルト考
ヘマスルガ、此ノ點ニ關シマスル政府ノ御
所見ハ如何
現内閣ハ組閣間モナク其ノ施政方針ノ重
大事項ノ一ト致シマシテ、國民ノ最低生活
ノ保障ト云フコトヲ聲明サレマシタ、又近
衞總理大臣ハ、國民ノ一人タリトモ飢餓ニ
腦ム者ナカラシムルコトヲ期スル決意ヲ明
カニ示サレマシタ、隨ヒマシテ政府ハ之ニ
關スル具體策ヲ立テ、着々實施ナサルコト
ト信ズルモノデアリマス、惟フニ事變ガ長
期ニ亙ルニ連レマシテ戰時體制ガ强化サレ、
國民ノ經濟生活ガ日增シニ重壓ガ加ハルニ
從ヒマシテ、最モ困難ヲ感ズル者ハ、日頃
最低生活ヲ營ミツツアル人達デアリマスコ
トハ、今更玆ニ私ガ申上グルマデモナイ所
デゴザイマス、更ニ戰時經濟體制ノ强化ニ
伴ヒマシテ、全國各地ニ亙ツテ中小商工業
者ノ異變ガ簇出致シテ居ルノデゴザイマス、
殊ニ統制セラレマス種別ニ屬スルモノハ固
ヨリ、政府ニ於テ維持育成ナサル御方針デ
アル旨、先般議會ニ於テ度々言明セラレテ
居リマスル部面ニ於キマシテモ、物資ノ不
足、配給難、同業者ノ過剩、其ノ他種々ナ
ル事情ニ依リマシテ、從來ノ營業ヲ維持ス
ルコトノ不可能ナルモノガ少クナイ狀態デ
アリマス、政府ハ斯ノ如キ實情ノ下ニ更生
金庫ノ開店、職業紹介若クハ補導訓練ノ機
關ノ活用等、各種ノ方策ヲ强化實施サレツ
ツアリマスルコトハ、洵ニ喜バシキコトデ
ハゴザイマスルガ、併シ時代ノ犠牲トナ
リマシタ是等產業戰士ノ不安ト焦慮トハ、
其ノ實際ニ於テ洵ニ同情スベキモノガアル
ノデアリマス、斯樣ナ實情ニ立チマシテ、
彼ノ方面委員ハ多年生業援助ノ經驗ヲ活用
シ、血眼ノ活動ヲ續ケテ居ルノデゴザイマス、
烱眼ナル政府諸公ハ、能ク此ノ緣ノ下ノ力持
ヲ致シテ居リマス方面委員ノ働キヲ認メ、
本法案ニ於テモ特ニ第十九條ニ於キマシテ、
其ノ活躍ヲ要求サレテ居ラルルヤウデアリ
マスガ、更ニ之ヲ援助シ、更ニ之ヲ活用ス
ルノ御工夫ヲ樹立サレテ居リマスルカドウ
カ、政府ニ伺ヒタイト思ヒマス
以上數項ニ亙ル御答辯ヲ要求致シマスル
ノデアリマスルガ、時局ハ益〓多端ヲ極メ、
國步ハ愈〓困困ヲ加ヘツツアリマスコトカラ、
政府ハ曩ニ高度國防國家ノ建設ヲ高調サ
V、國民亦齊シク之ニ和協センコトヲ期シ
テ居リマス、惟フニ高度國防國家建設ノ要
諦ハ生產力ノ擴充ニ重點ヲ置クコトハ勿
論デアリマスルナレドモ、ソレト同時ニ人
的資源ノ培養ヲ竝ビ行ハネバナラヌト確信
ヲ致ス者デアリマス、而シテ其ノ背景ニハ
國民生活ノ安定、國民思想ノ平衡ヲ必要ト
サレルノデアリマス、此ノ意味ニ於テ政府
ハ生產力ノ擴充ニ關スル諸政策ノ實行ニ努
力相成ルト共ニ、人的資源ノ培養竝ニ國民
生活ノ安定及ビ國民思想ノ平衝ニ必要ナル
社會事業ニ關スル諸施設ヲ實行ナサルコト
ガ、緊切ナルモノアリト私ハ存ズルノデア
リマス、然ルニ從來ノ經驗ニ鑑ミマスレバ、
政府當局ハ甚ダ失禮ナ申分デハゴザイマス
ナレドモ、社會的異變ニ遭遇シテ、初メテ
急遽狼狽、是ガ應急對策ヲ講ゼラレツツア
ルト云フノガ、是マデノ慣例ノヤウニ見ラ
レマスルコトハ頗ル遺憾デアリマス、ドウ
カ政府ニ於キマシテハ、彼ノ水戶黃門水圀
卿ノ轍ニ倣ハレマシテ、能ク國內事情ヲ聽
取査察サレマシテ、社會事業國策ヲ實施シ、
其ノ目的ヲ遂ゲ、以テ輔翼ノ道ヲ全ウサレ
ンコトヲ念願致シマシテ、私ノ質問ニ付テ
御親切ナル御答辯ヲ切望致シマス(拍手)
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=44
-
045・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 御答ヘ致シマ
ス、第一ノ御尋ネハ、我ガ國ノ社會事業ハ
皇室ノ御仁慈ヲ、普ク扶披ヲ要スル階級ニ
及ボサントスルニアルト考ヘルガ、之ニ對
スル考ヘ方ハドウカト云フヤウナ意味ニ伺
ヒマシタ、社會事業ニ對シ給フ皇室ノ御仁
慈ニ付キマシテハ、常々恐懼感激致シテ居
ル所デアマリシテ、此ノ御仁慈ニ對ヘ奉ル
ヤウニ、社會事業ヲ指導シテ參ツテ居ルノ
デアリマス
次ニ政府ニ於テハ公私社會事業ノ興隆ヲ
助成シテ、赤子ノ一人タリトモ飢エニ泣ク
者ナキヤウ指導スルヤウニセネバナラヌト
思フガ、其ノ具體策ハドウカト云フヤウナ
意味ノ御尋ネデアツタト拜聽致シマシタガ、
御意見ノ通リ、軍事援護事業ハ固ヨリ地方
公共團體ノ督勵ヲ致シ、又救護法、母子保
護法、社會事業法等ノ運營ニ一段ノ意ヲ用
ヒマシテ、方面委員其ノ他ノ社會事業關係
者ノ指導ニ一段ノ力ヲ致シテ居リマスガ、
尙ホ本案ガ通過ノ曉ハ、其ノ運用ニ特ニ意
ヲ用ヒマシテ、以テ陛下ノ赤子ヲシテ一
人モ飢エニ泣ク者ナキヤウ努力致シタイト
存ズルノデアリマス(拍手)
第三ノ御尋ネハ、本法中ニ事業者トシテ
濟生會ヲ取入レテ、醫療保護ノ效果ヲ擧ゲ
ルヤウニ措置スル考ヘハナイカト云フヤウ
ナ意味ノ御尋ネト拜承致シマシタガ、是亦
全然御同感デアリマシテ、御說ノ通リ濟生
會ヲ本法ノ運用上事業者トシテ取入レマシ
テ、保護ノ效果ヲ擧ゲルヤウニ努力致シタ
イト存ジテ居リマス
第四ノ御尋ネハ、轉失業ノ補導ニ方面委
員ヲ活用シテハドウカ、又方面事業ノ助成
ニ付テ工夫ヲシテ居ルカト云フヤウナ御尋
ネデアツタカト存ジマスガ、轉失業對策ト
致シマシテハ御承知ノ通リ國民更生金庫、
國民職業補導所、國民勤勞訓練所等ノ方策
ヲ立テマシテ、尙ホ職業紹介所ハ先般國民
職業指導所ト改稱致シマシテ、其ノ內容職
能ヲ擴大致シマシテ、サウシテ是ガ對策ニ
充テルコトニナツテ居ルノデアリマス、尙ホ
方面委員ニ對シテモ、此ノ方面ニ格段ノ御
努力ヲ願フヤウニ致シテアル次第デアリマ
ス、又方面事業助成ニ關シテノ方策ニ付テ
御尋ネガゴザイマシタガ、是ハ全國ニ方面
ガ
委員ノ指導職員ヲ增置致シマシテ、方面事
業ノ振興ニ關スル補助費等モ、十六年度ノ
豫算ニ計上致シテ居ル次第デアリマス、大
イニ是ガ活用ヲ圖リタイト存ジテ居リマス
次ニ人的資源涵養ニ關スル御質問ガゴザ
イマシタガ、是亦全然御同感デゴザイマシ
テ、政府ハ先般人口對策基本要綱ノ閣議ヲ
決定致シマシテ、是ガ對策ニ付テ綜合的ニ
具體策ヲ〓究致シテ居リマスガ、何分決定
ガツイ昨今ノコトデアリマシタノデ、今囘
ノ豫算ニハ其ノ具體策ノ具現ガ間ニ合ハナ
イノデアリマスガ、取敢ズ其ノ一端デモ現
ハシタイト存ジマシテ、今〓究調査致シテ
居ル所デアリマス、ドウソ左樣御諒承願ヒ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=45
-
046・伊藤東一郎
○伊藤東一郞君 私ノ質問ハ是デ打切リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=46
-
047・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=47
-
048・服部崎市
○服部崎市君 日程第二乃至第四ノ三案ヲ
一括シテ、議長指名二十七名ノ委員ニ付託
サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=48
-
049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=49
-
050・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
五、恩給法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ
マス-村瀨法制局長官
第五恩給法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第二十一條第一項、第一號中「、後備役」ヲ
削ル
第二十三條第二號中「看守、女監取締、」ヲ
「副看守長、看守、」ニ改ム
第二十五條第四號中「又ハ警部補巡査若
ハ判任官ノ待遇ヲ受クル消防手ニ就職ス
ルトキ」ヲ「若ハ警部補巡査若ハ判任官ノ
待遇ヲ受クル消防手ニ就職スルトキ又ハ
看守副看守長ニ任シ若ハ副看守長看守ニ
5
就職スルトキ」三次人
第二十六條第四號中「又ハ他ノ官ヨリ警
部補ニ轉シタルトキ」ヲ「若ハ他ノ官ヨリ
部警補ニ轉シタルトキ又ハ副看守長他ノ
官ニ轉シ若ハ他ノ官ヨリ副看守長ニ轉シ
タルトキ」三段人
第四十六條ノ二第一項中「又ハ其ノ公務
員カ下士官以下ノ軍人ニシテ退職後三年
內ニ之カ爲一種以上ノ兵役ヲ免セラレタ
ルトキ」ヲ削リ同項ノ末尾ニ左ノ如ク加
フ
公務員カ下士官以下ノ軍人ナル場合ニ
於テ公務ノ爲永續性ヲ有スル傷痍ヲ受
ケ又ハ疾病ニ罹リ不具癈疾ノ程度ニ至
ラサルモ勅令ノ定ムル程度ニ達シ退職
シタルトキ亦同シ
第六十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
下士官以下ノ軍人公務ノ爲傷痍ヲ受ケ
又ハ疾病ニ罹リ傷病年金ヲ給セラルル
ノ程度ニ至ラサルモ勅令ノ定ムル程度
ニ達シ退職シタルトキ又ハ退職後三年
內ニ勅令ノ定ムル程度ニ達シタルトキ
ハ之ニ傷病賜金ヲ給ス
第八十條第二項中「恩給審査會ニ諮問ノ
上」ヲ削ル
別表第一號表(乙)中海軍ヲ陸軍兵長
一等兵海軍一等兵
ニューハ
別表第五號表乃至第七號表中一 七軍ヲ
一〇〇、〇
그陸軍兵長ニバ
海軍一等兵
附則
第一條本法ハ昭和十六年四月一日ヨリ
之ヲ施行ス但シ恩給法別表第一號表
(乙)及第五號表乃至第七號表ノ改正規
定ハ昭和十五年九月十五日ヨリ之ヲ適
用ス
第二條從前ノ規定ニ依ル後備役ニ在ル
者及女監取締ニ付テハ仍從前ノ例ニ依
ル
第三條下士官以下ノ軍人ニシテ公務ノ
爲永續性ヲ有スル傷痍ヲ受ケ又ハ疾病
ニ罹リ不具廢疾ノ程度ニ至ラザルモ勅
令ノ定ムル程度ニ達シ昭和十二年七月
七日以後本法施行前退職シタルモ改正
前ノ恩給法第四十六條ノ二第一項ノ規
定ニ依リ傷病年金ヲ給セラレザル者ニ
付テハ本法施行後勅令ノ定ムル所ニ依
リ傷病ノ程度ヲ査定シ將來ニ向ツテ之
ン酸数
第四條昭和十五年九月十五日ニ陸軍上
等兵トシテ在職シタル軍人爾後引續キ
在職シ同日以後陸軍兵長ヲ命ゼラレ本
法施行前退職シ又ハ死亡シタル場合ニ
於テハ陸軍兵長トシテノ在職年月數ハ
恩給法ノ適用ニ關シテハ之ヲ陸軍伍長
トシテノ在職年月數ト看做ス
〔政府委員村瀨直養君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=50
-
051・村瀬直養
○政府委員(村瀨直養君) 此ノ度提案致シ
マシタ恩給法中改正法律案ニ付キマシテ提
案ノ理由ヲ申上ゲマス
改正ノ第一ノ點ハ、傷病年金ヤ傷病賜金ニ
關スル規定ノ改正デアリマス、卽チ現行法
デハ下士官以下ノ軍人ガ公務ノ爲ニ傷痍ヲ
受ケ又ハ疾病ニ罹リマシタ場合、其ノ傷病
ノ爲ニ職ニ堪ヘズニ一年以內ニ退職シタル
時、又ハ退職後三年以內ニ一種以上ノ兵役
ヲ免ゼラレタル時ニ限リ傷病年金ヲ給スル
コトト致シ、傷病賜金ヲ給スル場合モ、大
體同樣ナ條件ニ相成ツテ居リマスルノデア
リマスガ、陸海軍デ過般規程ヲ改メマシタ
結果、從來傷病年金ヤ傷病賜金ヲ受ケテ居
リマシタ程度ノ傷病ノ者ヲ退職セシメタリ、
又ハ兵役ヲ免ズルト云フヤウナ場合ガ少ク
ナリマシタノデ、下士官以下ノ軍人ニ付テ
ノ傷病年金及ビ傷病賜金ニ關スル特別ノ條
件ヲ撤廢スルコトト致シマシタ
次ニ陸軍デハ旣ニ御承知ノ如ク、兵ノ等
級トシテ新タニ兵長ト云フ一ツノ等級ヲ設
ケマシタノデ、此ノ階等ニ在ル軍人ニ階等
相當ノ恩給ヲ給スル爲ニ必要ナル改正ヲ致
シ、又昨年十二月司法部内ニ設ケラレマシ
タ副看守長ハ文官デハアリマスルガ、其ノ
勤務ノ性質上ヤ他ノ類例カラ考ヘマシテ、恩
給法上ハ之ヲ警察監獄職員トシテ取扱ヒ、
在職十二年デ恩給ヲ給スルノガ適當デアル
ト信ジマスルノデ、此ノ爲ニ又必要ナ改正
ヲ致スコトニ致シタノデアリマス
次ニ現行法第八十條第一一項ハ、事實上婚
姻關係ト同樣ナ事情ニアル遺族ノ扶助料權
ヲ喪失セシメマスル場合ニハ、恩給審査會
ニ諮問スベキ旨ヲ規定シテ居リマスルガ、
權利ヲ侵害セラレマシタ時ハ、別ニ救濟ノ
規定モアリマスルノデ、本規定ハ必ズシモ
之ヲ存置スルノ必要ナキモノト認メ、事務
簡捷ノ爲ニ恩給審査會ニ諮問スルト云フ事
項ヲ削除致シ、又他ノ法令ト關聯致シマシ
テ、現行法ノ規定整理ノ爲二一一、三點改正
ヲ要スルコトト相成リマシタノデアリマス
以上ガ本案ヲ提出スルニ至リマシタ理由
デゴザイマス、何卒御審議ノ上速カニ御協
贊アランコトヲ御願ヒ致シマスル次第デゴ
ザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=51
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052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=52
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053・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=54
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055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
六及ビ第七ハ便宜上一括議題トナスニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=55
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056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第六、義務〓育費國庫負擔法中改
正法律案、日程第七、小學校令ノ改正ニ伴
フ恩給法等ノ規定ノ整理ニ關スル法律案、
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-
藤野〓學局長官
第六義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案(政府提出)第一讀會
第七小學校令ノ改正ニ伴フ恩給法等
ノ規定ノ整理ニ關スル法律案(政府
提出)第一讀會
義務〓育費國庫負擔法中改正法律案
義務〓育費國庫負擔法中左ノ通改正ス
第一條中「市町村立尋常小學校ノ〓員(代
用〓員ヲ含ム)」ヲ「國民學校職員(勅令ヲ
以テ定ムル者ヲ除ク)」ニ改ム
第三條及第四條ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
小學校令ノ改正ニ伴フ恩給法等ノ規定
ノ整理ニ關スル法律案
第一條恩給法中左ノ通改正ス
第十六條、第十八條第三項、第五十九
條第三項及第六十二條第三項中「小學
校」ヲ「國民學校」ニ改ム
第二條家屋稅法中左ノ通改正ス
第三條中「小學校、」ヲ削ル
第三條現役小學校〓員俸給費國庫負擔
法中左ノ通改正ス
「現役小學校〓員俸給費國庫負擔法」ヲ
「現役國民學校職員俵給費國庫負擔法」
三九人
第一條第一項及第三條中「市町村立小
學校正〓員」ヲ「國民學校訓導」ニ改ム
第四條工業勞働者最低年齢法中左ノ通
改正ス
第二條第一項中「尋常小學校ノ〓科ヲ
修了シタルモノ」ヲ「命令ヲ以テ定ムル
國民學校ノ課程又ハ之ト同等以上ト認
ムル課程ヲ修了シタルモノ」ニ改ム
第五條市町村立小學校〓育費國庫補助
法中左ノ通改正ス
「市町村立小學校〓育費國庫補助法」ヲ
「國民學校〓育費國庫補助法」ニ改ム
第一條中「市町村立小學校〓育費」ヲ
「國民學校〓育費」ニ改ム
第二條中「市町村立小學校〓員ノ年功
加俸及市町村立尋常小學校〓員ノ特別
加俸」ヲ「國民學校職員ノ年功加俸及特
別加俸」ニ改ム
第三條中「其ノ半額ハ市町村立小學校
ノ本科正〓員數ニ他ノ半額ハ市町村立
小學校ノ本科正〓員」ヲ「命令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ半額ハ國民學校訓導ノ數
ニ、他ノ半額ハ國民學校訓導」ニ改ム
第六條少年〓護法中左ノ通改正ス
第二十四條第一項中「尋常小學校ノ〓
科」ヲ「勅令ノ定ムル所ニ依リ國民學校
ノ課程」ニ、「小學校令」ヲ「國民學校令」
ニ、同條第二項中「尋常小學校ヲ卒業
シタル者」ヲ「勅令ノ定ムル所ニ依リ國
民學校ノ課程ヲ修了シタル者」ニ改ム
第七條地方稅法中左ノ通改正ス
第六十一條中「小學校營繕費」ヲ「國民
學校營繕費」ニ改ム
第八條地方分與稅法中左ノ通改正ス
第十六條第二項、第二十四條第二項、
第三十條第二項、第三十七條第二項、及
第四十二條中「尋常小學校兒童數」ヲ
「國民學校兒童數」ニ改ム
第九條兵役法中左ノ通改正ス
第十二條中「小學校」ヲ「國民學校」ニ改
ム
第十條罹災救助基金法中左ノ通改正ス
第十四條ノ二中「尋常小學校兒童」ヲ
「國民學校兒童」ニ改ム
第十一條大正八年法律第三十八號中左
ノ通改正ス
第一條中「小學校、」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
恩給法第六十二條第三項ノ改正規定ノ適
用ニ付テハ小學校又ハ小學校ニ類スル各
種學校ノ〓育職員トシテノ勤續在職年ハ
夫々之ヲ國民學校又ハ國民學校ニ類スル
各種學校ノ〓育職員トシテノ勤續在職年
ト看做ス
地方稅法第六十一條ノ改正規定ノ適用ニ
付テハ昭和十五年度以前ニ於テ小學校營
繕費ニ充ツル爲借入レタル負債ハ之ヲ國
民學校營繕費ニ充ツル爲借入レタル負債
ト看做ス
〔政府委員藤野惠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=56
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057・藤野惠
○政府委員(藤野惠君) 只今上程ニナリマ
シタ義務〓育費國庫負擔法中改正法律案及
ビ小學校令ノ改正ニ伴フ恩給法等ノ規定ノ
整理ニ關スル法律案ニ付キマシテ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス
政府ニ於キマシテハ小學校令ヲ改正シ、
昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ實施致シマス
ル豫定ノ下ニ、目下ソレ〓〓準備ヲ進メツ
ツアル次第デゴザイマスルガ、義務〓育ノ
國庫負擔法及ビ恩給法其ノ他ノ法律中、現
行小學校令ノ規定ヲ引用シテ居リマスル條
文ニ付キマシテ、ソレ〓〓之ヲ改正法規ノ
規定ニ置キ換フル等ノ條文其ノ他ノ整理ヲ
爲スノ必要ガゴザイマスノデアリマス、本
案ハ專ラ右ノ趣旨ヲ以チマシテ、各法律ニ
付キ必要已ムヲ得ナイ限度ノ整理ヲ致サウ
トスルモノデゴザイマス、何卒御審議ノ上
速カニ御協賛ヲ賜ハランコトヲ切望致ス次
第デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=57
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058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-森田重次郞君
〔森田重次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=58
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059・森田重次郎
○森田重次郞君 只今上程ニナリマシタ義
務〓育費國庫負擔法中改正法律案ニ關聯致
シマシテ、二ツノ點ニ付マシテ大藏大臣、
厚生大臣竝ニ文部大臣ニ質問ヲ致シタイノ
デアリマス、文部大臣ガ樞密院ノ方へ出テ
オイデニナラレルサウデアリマスカラ、〓
學局長官ノ御答辯ヲ煩ハシタイト思フノデ
アリマス
只今長官ノ提案理由ニ依ツテモ明カデア
リマスルヤウニ、昭和十六年度ヨリ國民學
校制度ヲ施行致シ、義務〓育年限モ亦之ニ
從ツテ八箇年ニ延長セラルルモノデアルト
思フノデアリマス、尙ホ文部省ハ今年度ノ
豫算ニ於テ、〓學刷新ニ關スル費用竝ニ科
學振興ニ關スル所ノ費用ヲ相當量提案致
シテ居ルヤウデアリマスルガ、併シ能ク考
ヘテ參リマスルト、單ナル羅列セラレタル
〓育上ノ制度ガ、若シ其ノ根本ノ點ニ於テ
缺クル所ガアルト致シマスルナラバ、ソレ
ハ所期ノ目的ヲ達スルコトハ出來得ナイデ
アラウト云フコトハ論ヲ俟タヌ所デアルト
思フノデアリマス、此ノ國民學校ノ制度ノ
改革、其ノ他ノ根本ノ問題ニ付テ、文部省
自身ト致シマシテ御反省ニナリマシテ、果
シテ內心何カシラ解ケ得ナイ問題ヲ持ツテ
居ナイノデアルカ、私ハ率直ニ申上ゲル、
〓育ノ問題ハ外的施設ノ問題デハナイノデ
アリマシテ、結局精神ノ問題デアル、精神
ノ根本ノ問題ハ、無論物的ナ基礎ノ上ニ立
タナケレバナラナイコトハ、是亦論ヲ俟タ
ナイ所デアルノデアリマスガ、〓育制度ノ
上デ最モ重要ナル論點トシテ考ヘナケレバ
ナラヌモノハ、〓育者ト其精神ノ問題デア
ルト思フ、〓育者ノ問題中、現下ノ最モ重
要ナル問題ハ、〓育者ノ待遇ガ、果シテ〓
育者ヲシテ安心セシメテ、其ノ日々ノ職
域ヲ奉公セシメ能フ如キ狀態ニナツテ居
ルヤ否ヤノ點ニ懸ツテ居ルト思フノデア
リマス(拍手)學校ノ先生ノ現狀ヲ見マス
ト、師範學校ヲ卒業シタ初任給ガ、
果シテ他ノ此ノ程度ノ學校ノ方々ノ初
任給ト比較シテ如何デアルカ、說明ヲ俟
チマスマイ、其ノ昇給ノ率ハ果シテ如何デ
アルカ、是亦私此處デ御說明申上ゲルマデ
モナイコトデアルト思フ、而モ其ノ最モ高
イ所ニ登ツタ小學校ノ校長ノ待遇ガ、果シ
テドレ位デアルカ、ソレハ最高給ガ百五、
六十圓程度デアツテ、而モ一ツノ縣ノ間ニ、
其ノ最高給ニ登ル人間ガ、僅カニ三人乃至
六、七人ニ止マツテ居ルト云フノガ、現實
ノ姿ナノデアリマス、學校ノ先生ガ何處カ
ヘ出テ視察ヲスル、與ヘラレタ旅費ハ如何
デアルカ、旅費支給規程ニ依ツテソレハ支
給セラレテ居ルノデハナイノデアツテ、所
謂渡切旅費ト云フモノデアル、幾ラ〓〓ト
云フ、極メテ〓算的ナモノヲ與ヘラレテ、
是デ滿足シロト、斯ウ云フノガ今ノ制度ノ
運用トナツテ居ルノデアリマス、「ボーナ
ス」ハドウデアルカ、十割貰ウテ居ル學校
ノ先生ハ極メテ少イノデアラウト思フ、私
ノ知ツテ居ル範圍內デハ、十圓カ十五圓位
貰ツテ居テ、ソレデモ他ノ方ヨリハ尙ホ宜
イ方ダト云フ聲ガ、所々デ聞イテ居ル、今
日ノ日本ノ會社員、或ハ官吏等ノ「ボーナ
ス」ト比ベテ、其ノ少キコトノ甚ダシキハ、
論ヲ俟タナイ所ナノデアリマス、年功加俸
ノ實情ハドウデアルカ、私ノ調査シタ所ニ
依リマスト、昭和十五年度ニ於テ年功加俸
ヲ支給シナケレバナラヌ人員ハ、全部デ十
七万人ニナツテ居ル、然ルニ現實ニ支給セ
ラレテ居ル所ノ人數ハ、僅カニ十三万人ナ
ノデアツテ、アトノ四万人ト云フモノハ、
特別ニ設ケラレタ恩典ニマデ預カルコトノ
出來ナイト云フノガ、現實ノ姿ナノデアリ
やっく學校ノ校長トデモナリマスト、相當
ノ交際費ガ入用デアリマス、ソレニ對シテ
果シテ適當ナル交際費ガ與ヘラレテ居ル
カ、與ヘラレテ居リマセヌ、隨テ學校ノ校
長ノ交際範圍ト云フモガ、極メテ極限サレ
タ姿ニナツテ來ルノハ當然ノコトナノデア
リマシテ、社會之ヲ評シテ曰ク、學校ノ先
生、學校ノ校長ハ、ドウモ常識ガ足ラナイト、
常識ヲ具ヘ得ベキ條件ヲ與ヘズシテ、サウ
シテ學校ノ中ニ籠ラシメテ、職務ニ熱心ニ
シテ居ツタ者ヲシテ、常識ヲ欠缺セル者ト
シテ排斥スルノガ、日本ノ國ノ今ノ通常ノ
狀態デアル、是デドウシテ安心シテ學校ノ
先生ノ暮シト云フモノガ立ツテ行ケルデア
ラウカ、私ハ或ル地方へ參リマシテ聞イタ、
高等小學校ヲ卒業シテ出タ生徒ガ、一日二
圓五十錢ノ日給ヲ貰ツテ居ル、而モソレハ
三食ヲ勤先カラ給與サレテ居ル、然ルニ之
ヲ〓育シテ外ヘ出シテヤツタ師範學校ノ卒
業生ノ俸給ハ、驚ク勿レ五十圓程度ノモノ
デアルト云フノデス、是ハ吾々トシテハ相
當考ヘテヤラナケレバナラヌ問題ダト思
フ、而モ斯ウ云フヤウナ待遇ヲ與ヘテ居ル
ニ拘ラズ、小學校ノ先生ノ所謂社會〓育面
ニ對スル事務ガ煩瑣ニナツテ參リマシタコ
トハ、迚モ二、三年前ノ比デハナイノデア
リマス、靑年團ノ關係、處女會ノ關係、或
ハ其ノ他何々會員ト云フモノガ、アトカラ〓〓
ト小學校ノ先生ノ所ヘ參リマス、斯ウ云フ
ヤウナ姿ノ儘ニシテ置キマスナラバ、非常
ニ卓拔ナル精神力ト卓拔ナル體力ヲ持ツテ
居リマス者ハ、恐ラク之ニ堪ヘ得ルデアリマ
セウケレドモ、若シ體力ニ於テ、精神力ニ
於テ、若干ノ弱サヲ持ツテ居ル者アリト致
シマスレバ、ソレハ其ノ日〓〓ヲ糊塗シテ、
形式的ニ其ノ事務ヲ執ツテ行クト云フ所ニ
落着クコトハ當然ナノデアリマス、眞劍ニ
考ヘル、身體ノ弱イ者ハ過勞ノ結果、ドウ
云フコトニナツテ居リマスカト云フト、肺
結核ニナル者ガ非常ニ多イ私ハ此ノ點特ニ
厚生大臣ニ一考ヲ煩ハシテ戴キタイト思フ
ノデアリマスルガ、今日厚生省ニ於テハ結
核ヲ何トカ退治シナケレバナラナイト云フ
コトヲ、極メテ重要ナ政策ノ一ツニ揭ゲラ
レテ居ルモノノヤウデアリマス、然ルニ其
ノ原因ガ何處ニアルカト云フコトヲ、果シ
テ能ク御〓究ニナツテ居ラセラレルカドウ
カ、今日ノ小學校ノ先生ハ過勞ノ結果、肺
結核ニナリツツモ、尙且ツ堪ヘ忍ンデ居ル
ノデアリマス、是ガ今日ノ狀態デアル、是
カラ波及シテ來ル傳染力ト云フモノハ、
私ハ非常ニ恐ロシイモノダト思フノデ
アリマス、小學校時代ニ肺病ガウツツ
テ潜伏シテ居ツタモノガ、丁度靑年期ニ
達スル前後ニ至ツテ發病スルノガ、卽チ
今日ノ日本ノ國民全體ノ間ノ體力ヲ消耗シ
テ居ル結核ノ蔓延シタ一ツノ結果ヲ招來シ
タノデアリマシテ、此ノ待遇問題等ヲ拔本
的ニ解決致シテ、サウシテ健全ナル小學校
ノ先生ヲ作ルノデナケレバ、現ハレタル現
象ノミヲ抑ヘヨウトスル皮相的ナ誤ツタヤ
リ方ニナルト考ヘルノデアリマスルカラ、
ドウカ此ノ點ニ付キマシテハ、厚生大臣ニ
於テハ、文部省ト協力セラレテ、小學校ノ
先生ニ對シテハ、特別ナル御施設アランコ
トヲ熱望スルモノデアリマス、斯ノ如キ色
色ノ物的條件ノ惡イ所カラ現ハレタ結果ハ、
一體ドウ云フモノニナツタカト云ヒマスル
ト、小學校〓員ノ股賑產業ニ對スル轉出ト
ナツタノデアリマス、今日恐ラクハ小學校
〓員ノ全體ノ三割方ハ、代用〓員ニ依ツテ
充サレテ居ル筈デアリマス、假ニ肩書ヲ取
ツタト致シマシテモ、ソレハ何等カノ形ニ
於テ、二箇月ナリ或ハ三箇月ノ間、簡單ナ
〓育ヲ致シマシテ、之ニ或ル資格ヲ與ヘテ
居ルト云フノデ、統計ノ上ニ於テハハツキ
リト代用〓員トハ出テ居ナイ筈デアリマス
ケレドモ、實質的ニ先生ノ質ノ低下シタト
云フコトハ、否定スルコトノ出來ナイ現實
ナノデアリマス(拍手)之ヲ一體ドウナサル
御積リナノデアルカ、私ハ此ノ點ヲ十分御考
ヘヲ御願ヒ致シタイト思フノデアリマス、
之ニ對シテ文部省ト致シマシテハ、イヤ年
功加俸ヲ幾ラカ增シテヤル、旅費ノ方モ何
トカシテヤラウ、奏任官ト云フヤウナ名譽
ヲ之ニ與ヘルコトニ依ツテ、若干ソレヲ防
グ途ヲ講ジヨウト云フヤウナコトヲ、考へ
テオイデニナルヤウニモ聞イテ居ルノデア
リマスガ、サウ云フヤウナ程度デハ、迚モ
今日ノ崩レ行ク〓育者ヲ其陣營ニ留メテ置
クコトハ、非常ニ困難ナコトダト思フノデ
アリマスカラ、是ハ特別ナル御施設ヲナサ
ル必要ガアル、文部省ニ於テハ之ニ對スル
恆久的ナ對策ヲ如何ニ講ジナサル積リデア
ルカ、又現下ノ特別ナル事情ニ卽スル臨時
對策トシテハ、如何ナル方法ニ依ラルル御
積リデアルカ、是等ニ付キマシテハ御考へ
ノアル所ヲ十分此ノ席ニ於テ御漏ラシアラ
ンコトヲ御願ヒ申上ゲルノデアリマス、私
ハ只今學校ノ先生方ノ困ツテ居ル立場ヲ申
上ゲタノデアリマス、併シ恐ラクハ學校ノ
先生方ノ中カラ、表立ツテ斯ノ如ク要求ヲ
スル人ハ、只ノ一人モナイデアラウト云フ
コトヲ確信致シマス、ソコニ私ハ日本ノ〓
育者トシテノ特別ナル時局認識ト、〓育者
トシテノ本當ノ責任感ノアル所ヲ認メテヤ
ラナケレバナラナイト思フノデアリマス、
併シ〓育者ガ默シテ居ルカラト云フテ、吾
吾政治家ノ立場カラハ、ドウシテモ之ヲ默
殺シテヤル譯ニハ參ラナイノデアリマス
(拍手)〓育者ガ默々トシテ其ノ職域ニ奉公
シテ居ル場合ニハ政治家ノ立場カラ、國
家ノ立場カラ之ニ應ヘテ、此ノ人達ノ要求
ヲ十分ニ考ヘ、ソコニ感激アラシムル一ツ
ノ情勢ヲ作ルコトニ依ツテ、日本ノ〓育界
ノ一大刷新ヲ試ミナケレバナラナイ時ガ來
タト思ツテ居ルノデアリマス(拍手)是等ニ
對シマシテ文部當局ハ如何ナル御所信ヲ御
持チニナリマスカ、御伺ヒ致シタイノデア
リマス
次ニ師範學校ノ問題ニ付テ御尋ネ致シタ
イノデアリマス、學校ノ先生ノ月給ハ安イ、
高等小學校ヲ卒業シテ出タテノ日傭ヨリモ
學校ノ先生ノ俸給ハ安イ、サウ云フヤウナ現
實ノ場面ニ置イテ、師範學校ニ入ルト云フ生
徒ガ果シテアルデアラウカ、大キイ問題
デアリマス、今朝私ノ縣カラ到着致シマシタ新
聞ヲ見マシタ、募集人員ガ百名デアルノニ
對シテ、應募者僅カニ百十七名、先ヅ是デ
モ良イ方ダト言ハルルノデアリマス、ヒド
イ所ニナルト、募集數ニ足リナイ所ノ縣サ
ヘアツテ、再ビ三度募集シタト云フヤウナ話
マデ聞イテ居ルノデアリマス、ソレハサウ
ナル筈ダト思フノデアリマス、一體高等小
學校ヲ卒業シテカラ五箇年間師範學校ニ入
ルノデアリマス、サウシテ卒業シテカラ
取ル俸給ハト云フト幾許デアルカ、他ノ同
等年數ヲ經テ來タ者トハ迚モ比較ニナラナ
イモノデアル、デアリマスカラ、從來ノ例
ヲ見マスルト云フト、常ニ好景氣ノ時ト不
景氣ノ時トデ師範學校ノ生徒ノ入ル入ラナ
イガ決マツテ來ル、師範學校ノ生徒ノ應募
者ノ數ノ多イ時ハ世ノ中ノ不景氣ナ時、應
募者ノ少イ時ハ世ノ中ノ景氣ノ好イ時ナ
ノデアリマス、斯ウ云フ風ニ師範學校ノ生
徒ヲ養成スル基本トナル最モ重要ナル入學
希望者ノ數ガ、景氣、不景氣ニ依ツテ左右
サレテ、其ノ儘漂ウテ居ルト云フヤウナ制
度ヲ執ツテ居リ、而モ是ガ日本ノ國家〓育
ノ根本對策ト云フモノデアルナドハ、ドウ
シテモ私等ニハ考ヘラレナイノデアリマス、
此ノ點ニ付デ如何ナル方法ヲ文部大臣ハ御
執リニナル、御積リアルカ、元ノ師範學校ハ
生徒ノ學費全額ヲ縣ニ於テ支給シタモノデ
アル、全額ヲ縣ニ於テ支給シタモノデアリ
マスルカラ、貧乏ナ所ノ子供デアリマシテ
モ、優秀ナル者ハ皆此ノ師範學校ト云フモノ
ヲ望ンデ入ツタモノデアル、隨テ師範學校
ニハ相當俊秀ナ者ガ集マツタ時代ガアツタ
ノデアリマス、然ルニ今日ノ姿ハドウデア
ルカト言ヒマスルト、殆ド申譯ノ公費ト云
フモノヲ支給シテ居ルダケデアリマシテ、
殆ド私費生ト何等變ラナイヤウナ制度ニ變
ツテ居ル、卒業シテカラノ待遇ガ惡ク、而
モ修業年限ガ長ク、學資ガ他ノモノト同ジ
ヤウナ狀態ニ置イテ、サウシテ優良ナル人
間ヲ吸收シヨウト云フノハ、文部省トシテ
ハ餘リニ人ノ好過ギル考ヘ方デハナイカト
私ハ思フノデアリマス、是等ノ點ニ付テハ
十分御考ヲ御願ヒ致シマス、隨テ私ト致シ
マシテハ、是ハドウシテモ一ツ師範學校ヘ
入ル者全部ニ公費生トシテ全額ヲ支給スベ
キデアルト云フ意見ヲ持ツテ居ルノデアリ
マスルガ、此ノ點ニ對シテ文部省ハ果シテ
如何ナル考ヘヲ御持チニナツテ居ラセラレ
ルデアリマセウカ
次ニ修業年限ニ於テ、他ノ高等學校ト何
等ノ變リノナイヤウナ年限ナノデアリマス
ルカラ、是ハ當然專門學校程度ノ待遇ヲ與
フベキダト私ハ思フ、長イ修業年限デアリ
ナガラ、與ヘラレテ居ル待遇ハ中等學校程
度ノ待遇デアル、サウシテ其ノ設備ノ如キ
モ、極メテ不完全ナモノデアルト云フノガ、
今ノ師範學校ノ制度ナノデアリマス、是デ
宜イノデアリマセウカ、私ハ少クモ之ヲ專
門學校程度トシ、府縣立ト云フモノヲ廢シ
テ國立トスベキモノダト云フ意見ヲ持ツテ
居ルモノデアリマスルガ、文部省ニ於テハ
之ニ對シテ如何ナル御考ヘヲ御持チニナツ
テオイデニナルノデアリマスルカ、此ノ點
ニ付テモ御伺ヒ致シタイト思フノデアリマ
ス、以上私ノ問ハントスル一點ニ付テ御尋
ネ致シタノデアリマス
今ヤ我ガ國ハ非常ナル難局ニ立タセラレ
タ、サウシテ現實ノ目標ハ何デアルカト言
ヒマスレバ、今日提案サレタ決議案ノ通リ、
一切物資ノ生產力ノ擴充ガ當面ノ問題ニナ
ツテ居ルノデアリマス、然ラバ果シテサウ
云フ生產力擴充ヲ容易ナラシムル條件ガ與
ヘラレテ居ルカト言ヒマスルト、何等與ヘ
ラレテ居リマセヌ、例へバ米ノ問題ノ如キ、
肥料ガ與ヘラレテ居ルカ、機械ガ與ヘラレ
テ居ルカ、「ゴム」靴ガ與ヘラレテ居ルカ、
曰ク何、曰ク何、擧ゲ來レバ總テノ條件ガ
惡イ、一切ノ條件ガ惡イ、此ノ一切ノ條件
ノ惡イ只中ニ於テ、出來得ル限リノ生產力ノ
增强ヲ圖ラネバナラヌノガ、日本國家最大
ノ要請ナノデアリマスガ、結局最後ハ國民
ノ愛國心ニ愬ヘルヨリ外ニ途ナシト私ハ信
ズルノデアリマス、假令科學的ナ方法ガ幾
ラ整ヒマシテモ、無論是ハ不可缺ナ要件ナ
ノデアリマスガ、サウ云フ要件ガ整ウタト
致シマシテモ、其ノ底ニ潜在スル一切ノ私
ヲ無ニシテ國家ニ報ズルト云フ精神ガアリ
マセヌケレバ、ドウシテモ生產力ノ擴充ト
云フ目的ヲ果スコトガ出來得ナイノデアリ
マス、尙ホモウ一ツノ場面力ラ申シマスレ
バ、支那事變ノ解決ハ急須ヲ要スルノデア
リマスケレドモ、此ノ解決モ亦明カニ一ツ
ノ局限ニ到達シテ、長期抗戰ノ姿ニ變ツテ
居ル、此處ニモ重要ナル問題ガ潜ンデ居ル
ノデアル、結局日本ノ執ルベキ態勢ハ、繰
返シテ申上ゲマスト、是等一切ノ惡條件ヲ
克服シ、日支事變ノ局限セラレタル長期抗
戰ノ姿ニ於テ、將來何年カヲ目指シテ、精
神ノ〓揚ト人心ノ一大刷新ヲ圖ツテ、之ニ
對應スルヨリ外ニ途ナシト云フコトニナル
ト思フノデアリマスカラ、此ノ際最モ重要
ナル國家方針ト云フモノハ何デアルカト言
ヒマスレバ、是レ言フマデモナク、精神發
生ノ根源タル師道ノ確立デアルト言ツテ宜
イト思ヒマス、此ノ師道ノ確立ガアツテ人
心ノ統一ヲ圖ルノデナケレバ、日本ノ國危
シト言ツテモ過言デハアリマスマイ、私ノ
〓究シテ居ル所ニ依リマスルト「ヨーロッ
ピ就中「ドイツ」等ニ於キマシテハ、師範
學校ハ總テ國立デアツテ、大學ノ制度ニナ
ツテ居ルノデアリマス、師範學校ヲ中等學
校トモ付カズ、專門學校トモ付カズ、縣立
デアルガ如ク、國立デアルガ如キ待遇ヲ與
ヘイ、サウシテ繼子扱ヒヲ致シテ居ルト云
フノガ日本ノ今日ノ姿ナノデアルガ、日本
ノ國家カラ魂ヲ拔去ツタト致シマシタナラ
バ、一體外ノ國ト比ベテ、ドレダケノ長所
ガアルト政府ハ御考ヘニナツテ居ルノデ
アリマセウカ、根本ノ道ハ日本精神ノ確立、
其ノ根本ハ更ニ師道刷新ニ俟タナケレバナ
リマセヌ、此ノ根本ヲ忘レテ居ル所カラ、今
囘ノヤウナ事變ニ際會致シマスルト、思想
問題ト云フモノガ必ズ起ツテ參リマシテ、
常ニ根本的ナル反省ヲ加ヘナケレバナラヌ
コトトナリ、今日ノ如キ現實的ナ苦悶ニ陷
ラナケレバナラナイ羽目ニ陷ツテ來ルノデ
アリマス、是ハ我ガ國ニ於テ維新以來師道ノ
確立ヲ忘レ、唯泰西唯物的ナル文化ニ陶醉シ
タコトヨリ來ル一ツノ天譴デアルトモ考へ
ラレマスカラ、此ノ點ニ共鳴セラルルナラ
バ、大藏大臣ハ色々ノ點カラ御考ヘ下サイ
マシテ、此ノ師道ヲ確立スルト云フコト、
卽チ師範制度ノ確立ト云フコトガ、日本ノ
國ノ精神ノ〓揚ヲ圖ル根本ダト云フ點ニ想
到致サレマシテ、假令他ノ方ノ費用ヲ減ジ
マシテモ、是等ノ方面ニハ全力ヲ注グダケ
ノ雅量ヲ御示シ下サランコトヲ御願ヒ申上
ゲタイノデアリマス、過日豫算委員會ニ於
テ、近衞內閣總理大臣ガ、其ノ責任ノ點ニ
於テ一個ノ自己告白ヲ致シ、肝銘深イモノト
シテ私ハ聽イタノデアリマスガ、是ハ一體
何ヲ物語ツテ居ルノデアリマセウカ、私
思フ、日本ノ國ノ現狀ト云フモノハ、今ヤ
分化セラレタル文化ノ建前ニ籠ルコトヲ許
サナイノデアツテ、總テノ文化ト云フモノ
ハ玆ニ撥無セラレ、サウシテ一ツノ宗〓的
ナルモノニマデ〓揚セラレタモノデアル、
今ヤ日本國ハ最高ノ宗〓的ナル立場ニ立
チ、而モ其處ニ最モ冷靜ニシテ科學的ナル
方向ヘ向イテ進ンデ行カナケレバナラナイ
ト云フ態度ヲ御示シニナツタモノダト私ハ
考ヘテ居ルノデアリマス、斯ウ云フ所マデ
今ヤ進ンデ參ツタノデアリマスルカラ、ド
ウカ只今御願ヒ申上ゲマシタ師範學校ノ根
本的ナ改革ト云フ點ニ付キマシテ、私ハ大
藏大臣ノ御同情アル御見解ヲ御披瀝アラン
コトヲ願フ次第デアリマス、細カイ羅列的
ナル對策、サウ云フヤウナコトデハ、今ノ
〓育者ニハ本當ノ希望ヲ持タセル譯ニハ參
リマセヌ、此ノ默々トシテ地下ニ耐ヘ忍ビ
ツツ、其ノ職域ヲ奉公シテ居リマスル〓育
者ノ爲ニ、ドウカ一脈ノ希望ヲ御與ヘ下サ
ルヤウ同情アル御答辯ヲ御願ヒ致シマシテ、
私ノ質問ヲ終ル次第デアリマス(拍手)
〔政府委員藤野惠君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=59
-
060・藤野惠
○政府委員(藤野恵君) 森田サンノ御質疑
ニ御答ヘヲ申上ゲマス、只今小學校〓員ノ
待遇改善ノコトニ付キマシテ、洵ニ御懇ロ
ナル御意見ヲ拜承致シマシテ、私共深ク感
佩ヲ致シタ次第デゴザイマス、仰セノ通リ
ニ小學校〓員ノ待遇ト云フコトハ、一面洵
ニ〓育ノ根幹ニ觸レマスル問題ト存ジテ居
リマス、左樣ヲ意味ニ於キマシテ、當局ト
致シマシテモ、此ノ點ニ付キマシテハ從來
トモ努力ヲシ來ツタノデゴザイマスルガ、
仰セノ通リ十六年度豫算ニ於キマシテモ若
干ノ費用、卽チ功年加俸ノ增額、家族手當
ノ補助、或ハ其ノ他ノ共濟福利ノ施設ト致
シマシテ、共濟組合ノ補助等ヲ考究致シ、
又其ノ待遇ニ付キマシテモ、國民學校制度
ノ實施ト相俟チマシテ、或ハ官等ノ引上、
奏任官待遇者ノ增加等ノコトモ、出來得ル
限リ配意中デゴザイマス、サリナガラ此ノ
點ニ付キマシテハ、當局ト致シマシテ、森
田サンノ縷々御述べノゴザイマシタ點ハ、
全ク御同感ヲ申上ゲル次第デゴザイマス、
今後是ガ待遇改善ニ付キマシテハ、出來得
ル限リノ力ヲ盡シテ御趣意ニ副ヒタイト存
ジマス
ソレカラ第二點ノ師範學校入學者ノ減少
ニ付キマシテハ、非常ニ御憂慮ヲ戴キマシ
テ、此ノ點モ實ハ當局ト致シマシテモ折角
只今考慮ヲ廻ラシ、方法ヲ案ジツツアル所
デゴザイマス、是亦御述べノゴザイマシタ
通リ、〓員ニ優良ナル人材ヲ得ルト云フコ
下、ソレハ卽チ養成機關タル師範學校ニ良
質ナル生徒ヲ迎ヘルト云フコトデアラネバ
ナリマセヌ、是ガ〓育刷新ノ上ニ洵ニ重要
ナル事項デアリマスルコトハ、御述ベノ通
リデアルト考ヘテ居リマス、當局ト致シマ
シテハ取敢ズ十五年度ニ於キマシテハ、師
範學校ノ生徒ニ對シマスル給費ハ年額六十
圓ヲ補助致シマシタガ、之ヲ十六年度ヨリ
年額百圓ニ增額ヲ致シマスルト共ニ、從來
一部生ニ限ツテ居リマシタ給費制度ヲ範圍
ヲ擴張シマシテ、二部生ニモ之ヲ及ボスト
云フコトニ致シマシテ、是ガ所要ノ經費ヲ
計上御協賛ヲ得ルノ運ビト相成ツタ次第デ
ゴザイマス、之ヲ以テ必ズシモ十全ナリト
ハ考ヘラレマセスノデ、御意見ノ所ハ十分ニ
拜承致シマシテ、今後師範學校ニ良質ナル
人材ヲ迎フルコトニ付テ十分考究モ致シ、
方法モ〓ラシタイト考ヘテ居リマス
又第三ニ師範學校ニ於ケル生徒ノ給費制度
ヲ全額給費ニシテハドウカト云フノ御尋ネデ
ゴザイマシタ、此ノ點ニ關シマシテハ、國費
ヲ以テ師範學校ノ生徒ヲ養成スルト云フノ
建前ハ、私共モ全ク希望致シテ居ル所デゴ
ザイマスルノデ、今後ニ於キマシテモ、之
ヲ目標トシテ折角努力ヲ致シタイ、斯樣ニ
考ヘテ居ル次第デゴザイマス
尙ホ師範學校ノ制度ニ關シマシテ、但之
ト御意見ヲ拜承致シマシタ點ハ、私共モ十
分承リマシテゴザイマスルガ、殊ニ之ヲ國
立ノ學校トスル考ヘハナイカト云フノ御尋
ネデゴザイマシタ、此ノ點ニ付キマシテハ
確カニ一ツノ御見解ト致シマシテ、私共モ
深ク敬意ヲ以テ拜承ヲ致シテ居リマスルガ、
師範學校ノ制度ニ關シマシテハ、根本的ニ
是ガ改善ニ付テ考慮致サナケレバナラヌ點
モアルト思ヒマス、是等ト併セマシテ愼重
ニ考究ヲ盡シテ見タイ、斯樣ニ考ヘテ居リ
そう、ドウゾ左樣ニ御諒承ヲ願ヒマス拍 白
手)
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=60
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061・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 御答へ致シマス、
小學校〓員ノ結核對策ニ關スル御尋ネガゴ
ザイマシタヤウデスガ、只今ノ所デハ小學
〓員ノ結核輕症患者ニ對シマシテハ、〓員保
養所ト云フモノガ設ケテアリマス、是ハ文
部省ノ所管トシテ地方ニ補助シテ施設シテ
居ルノデアリマスガ、厚生省ト致シマシテ
ハ、全般的ニ豫防對策ヲ講ジ、療養ノ施設
ヲ實施致シテ居ルノデアリマスガ、御意見
ノ點ハ洵ニ御尤モニ存ジマスカラ、此ノ點
ニ付キマシテハ文部省ト連絡致シマシテ
段ノ努力ヲ拂ヒタイト思ヒマス(拍手)
〔國務大臣河田烈君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=61
-
062・河田烈
○國務大臣(河田烈君) 只今森田君ノ御質
問ノ御要旨ハ、小學校〓員ノ待遇改善ノ問
題竝ニ師範〓育ノ改善ノ問題、隨テ師範學
校ノ制度ノ問題、是等ニ付テノ御質問デゴ
ザイマシタガ、私ニ對スル御質問ノ要旨ハ、
是等ノ爲ニ國費支出ニ付テ相當ノ考慮ヲ拂
ヘト云フ御註文ヲ兼ネタル御質疑ト存ジマ
スノデ、其ノ私ニ對シマスル御質問ヲ一括
シテ御答へ致シタイト存ジマス
森田君ノ御說ニゴザイマス通リ、又是ハ
誰シモ御同意ト存ジマスルケレドモ、國民
〓育ガ最モ重要ナル事柄ニシテ、國家ノ基
本ヲ培養スル根本ニナルト云フコトニ付キ
マシテハ、誰シモ御不同意ハナイト存ジマ
ス、私モ亦滿腔ノ贊成ノ意ヲ表スル一人デ
ゴザイマス、此ノ國民〓育ノ重大ナルコト
ヲ察シマスレバ、之ニ携ハル所ノ〓員ノ待
遇、此ノ〓員ヲ養成スル所ノ師範〓育、是
等ガ延イテ國家ノ力ヲ培養スル根本トシテ
最モ重要ナリト云フコトハ、改メテ申ス必
要モナイト存ジマス、隨ヒマシテ是等ニ對
スル施設ニ付キマシテ、相當ニ支出ヲ吝シ
マザラントスルコトハ、何等異存ハゴザイ
マセヌ、將來ニ於キマシテモ益、國費ノ按配
ヲ見マシテ、當局ト十分相談致シマシテ、
歲計ノ狀況ニ依リマシテ、改善スベキ所ハ
益〓改善シテ參リタイト存ジマス、只今森田
君ハ他ノ經費ヲ節シテマデモコチラニ向ケ
テ貰ヒタイト云フヤウナ御希望ヲ兼ネテノ
御質問ガゴザイマシタガ、今日政府ガ要求
致シテ居リマス所ノ經費ハ、何レモ喫緊必
要ナルモノト認メテ居ルノデゴザイマス、
併シナガラ時勢ノ進運變轉ニ依リマシテ、
或ハ旣ニ其ノ必要ヲ認メザルモノモ出來マ
セウ、又其ノ經費ヲ節減シ得ルモノモゴザ
イマセウ、斯カル場合ニ於キマシテ、敢テ
國民〓育ニ之ヲ向ケルガ爲ニ減ラス必要ハ
ナクテモ、當然減ラサナケレバナリマセヌ、
當然節減シナケレバナリマセヌ、而シテ總
テノ經費ガ今日喫緊ノ必要ガアルト認メマ
ス以上ハ、玆ニ更ニ國民〓育ニ必要ナル經
費ヲ認メマス以上ハ、敢テ他ノ經費ハ減ラ
シマセヌデモ、之ヲ增加シマスコトハ當然
ト存ジマス、何レニ致シマシテモ、其ノ衝ニ
當リマス當局ト十分考慮致シマシテ善處致
シタイト考ヘマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君)是ニテ質疑ハ終了致シ マシタ、各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選
擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 日程第六及ビ第七ノ兩案ハ
一括シテ政府提出、恩給法中改正法律案委
員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
八、國民勞務手帳法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-金光厚生大臣
第八國民勞務手帳法案(政府提出)
第一讀會
國民勞務手帳法案
國民勞務手帳法
第一條本法ニ於テ從業者ト稱スルハ年
齡十四年以上六十年未滿ノ者ニシテ命
令ヲ以テ定ムル技術者又ハ勞務者トシ
テ左ノ各號ノ一ニ該當スル事業ニ使用
セラルルモノヲ謂フ
-鑛業、砂鑛業、石切業其ノ他鑛物
採取ノ事業
二物ノ製造、加工、淨洗、選別、包
裝修理又ハ解體ノ事業(電氣、瓦斯
又ハ各種動力ノ發生、變更又ハ傳導
ヲ爲ス事業及水道ノ事業ヲ含ム)
三土木、建築其ノ他工作物ノ建設、
改造、保存、修理、變更、破壞又ハ
其ノ準備ノ事業
四道路、鐵道、軌道、索道、船舶又
ハ航空機ニ依ル旅客又ハ貨物ノ運送
ノ事業
五船渠、船舶、岸壁、波止場、停車
場又ハ倉庫ニ於ケル貨物ノ取扱ノ事
業
六通信事業
七其ノ他命令ヲ以テ定ムル事業
第二條從業者ハ國民勞務手帳ヲ受有ス
ルコトヲ要ス
國民勞務手帳ハ政府之ヲ發行ス
本法ニ定ムルモノノ外國民勞務手帳ニ
關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三條何人ト雖モ國民勞務手帳ヲ使用
者ニ提出スルニ非ザレバ從業者トシテ
使用セラルルコトヲ得ズ但シ命令ヲ以
テ定ムル場合ハ之ヲ提示スルヲ以テ足
ル
何人ト雖モ前項ノ提出又ハ提示ヲ爲サ
ザル者ヲ從業者トシテ使用スルコトヲ
得ズ
前二項ノ規定ハ官吏及待遇官吏竝ニ命
令ヲ以テ定ムル者ニ付テハ之ヲ適用セ
ズ
第四條使用者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
從業者ノ提出シタル國民勞務手帳ヲ其
ノ者ヲ使用スル期間中保管スベシ
使用者ハ從業者ヨリ請求アリタルトキ
ハ何時ニテモ其ノ者ヲシテ國民勞務手
帳ヲ閱覽セシムベシ
第五條使用者從業者ヲ使用セザルニ至
リタルトキハ其ノ者ニ國民勞務手帳ヲ
返還スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合
ハ此ノ限ニ在ラズ
使用者前項但書ノ規定ニ依リ國民勞務
手帳ヲ返還セザルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ國民職業指導所長ニ之ヲ提出
スペン
第六條國民勞務手帳ノ交付ヲ受ケタル
者國民勞務手帳ノ返還ニ關シ異議アル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ國民職業
指導所長ニ其ノ旨申立ツルコトヲ得
前項ノ申立アリタルトキハ國民職業指
導所長ハ國民勞務手帳ヲ返還スベキヤ
否ヲ裁定シ返還スベキ旨裁定シタルト
キハ使用者ニ對シ國民勞務手帳ノ返還
ヲ命ズベシ
第七條前條ノ裁定又ハ命令ニ不服アル
者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ニ
其ノ旨申立ツルコトヲ得
前項ノ申立アリタルトキハ地方長官ハ
國民勞務手帳審査會ニ諮問シテ國民勞
務手帳ヲ返還スベキヤ否ヤヲ裁定シ返
還スベキ旨裁定シタルトキハ使用者ニ
對シ國民勞務手帳ノ返還ヲ命ズベシ
國民勞務手帳審査會ニ關スル規程ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條地方長官又ハ國民職業指導所長
必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ使用者又ハ國民勞務手帳ノ交
付ヲ受ケタル者ニ對シ國民勞務手帳ノ
提出又ハ返納ヲ命ズルコトヲ得
第九條使用者及國民勞務手帳ノ交付ヲ
受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ必
要ナル事項ヲ國民勞務手帳ニ記載シ之
ヲ國民職業指導所長ニ報告スベシ
第十條使用者及國民勞務手帳ノ交付ヲ
受ケタル者ハ國民勞務手帳ニ本法ニ基
キテ發スル命令ヲ以テ定ムル事項以外
ノ事項ヲ記載スルコトヲ得ズ
第十一條國民勞務手帳ノ交付ヲ受ケタ
ル者ハ重ネテ國民勞務手帳ノ交付ヲ受
クルコトヲ得ズ但シ國民勞務手帳毀損
シ若ハ亡失シタル場合、餘白ナキニ至
リタル場合其ノ他命令ヲ以テ定ムル場
合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條國民勞務手帳ノ交付ヲ受ケタ
ル者ハ國民職業指導所長又ハ使用者ニ
於テ國民勞務手帳ヲ保管スル場合ヲ除
クノ外自ラ之ヲ保管スベシ
第十三條國民職業指導所長必要アリト
認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ國
民勞務手帳ニ代ル證明書(以下證明書
ト稱ス)ヲ交付スルコトヲ得
證明書ハ之ヲ國民勞務手帳ト看做ス
第二項ニ定ムルモノノ外證明書ニ關シ
必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條國民勞務手帳以外ノ手帳ニハ
國民勞務手帳ナル名稱ヲ用フルコトヲ
得ズ
第十五條從業者、從業者タラントスル
者又ハ使用者ハ國民勞務手帳ニ關シ必
要アルトキハ從業者又ハ從業者タラン
トスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌
スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ
證明ヲ求ムルコトヲ得
從業者ハ國民勞務手帳ニ記載セラレタ
ル事項ニ關シ使用者ニ對シ無償ニテ證
明ヲ求ムルコトヲ得
第十六條厚生大臣、地方長官又ハ國民
職業指導所長必要アリト認ムルトキハ
使用者又ハ國民勞務手帳ノ交付ヲ受ケ
タル者ニ出頭ヲ求メ又ハ其ノ者ヨリ報
告ヲ徵スルコトヲ得
厚生大臣、地方長官又ハ國民職業指導
所長必要アリト認ムルトキハ當該官吏
ヲシテ第一條ニ揭グル事業ノ場所ニ臨
檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ
物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢
檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ
示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ
處ス
-第三條、第五條第一項又ハ第十一
條ノ規定ニ違反シタル者
二詐僞其ノ他ノ不正行爲ヲ以テ國民
勞務手帳ノ交付ヲ受ケタル者
三自己ノ國民勞務手帳ヲ他人ヲシテ
行使セシムル目的ヲ以テ交付シタル
者
第十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金又ハ拘留若ハ科料ニ
處ス
-第四條、第五條第二項、第十條又
ハ第十四條ノ規定ニ違反シタル者
二第八條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
國民勞務手帳ヲ提出又ハ返納セザル
者
三第九條ノ規定ニ違反シ記載若ハ報
告ヲ怠リ又ハ虛僞ノ記載若ハ報〓ヲ
爲シタル者
四第十六條第一項ノ規定ニ違反シ出
頭ニ應ゼズ又ハ報〓ヲ怠リ若ハ虚僞
ノ報〓ヲ爲シタル者
五第十六條第二項ノ規定ニ依ル當該
官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌
避シタル者
第十九條使用者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ第十七條第一號又ハ前
條第一號乃至第四號ノ違反行爲ヲ爲シ
タルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十條第十七條第一號又ハ第十八條
第一號乃至第四號ノ罰則ハ使用者ガ法
人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法
人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者
又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理
人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者
ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條本法ハ罰則ヲ除クノ外國、
道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモ
ノニ之ヲ適用ス
國ノ事業ニ關シテハ本法ノ適用ニ付命
令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十二條本法中使用者ニ關スル規定
ハ工場法ノ適用ヲ受クル工場ニ在リテ
ハ工業主ニ、工場管理人アル場合ニ於テ
ハ工場管理人ニ、鑛業ニ在リテハ鑛業
權者ニ、鑛業代理人アル場合ニ於テハ
鑛業代理人ニ之ヲ適用ス
第二十三條本法ノ適用ニ付テハ國民職
業能力申告令ニ依ル要中告者ガ同令ニ
基キ交付ヲ受ケタル職業能力申〓手帳
ハ之ヲ國民勞務手帳ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=66
-
067・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 只今議題トナリ
マシタ國民勞務手帳法案ニ付テ提案ノ理由
ヲ說明致シマス
我ガ國現下ノ情勢ニ鑑ミマシテ、軍需生
產ノ確保及ビ生產力擴充計畫ノ遂行ニ遺憾
ナキヲ期スル爲ニハ、勞務ノ適正ナル配置
ヲ行フコトガ極メテ緊要デアリマス、而シ
テ是ガ爲ニハ勞務配置ノ現狀ヲ明カニ致シ
マスト共ニ、其ノ移動ヲ規制スル必要ガア
ルノデアリマス、政府ニ於キマシテハ、此
ノ點ニ關シマシテ各般ノ方策ヲ講ジテ參ツ
タノデアリマスガ、時局ノ進展ハ更ニ一層
是ガ擴充强化ヲ必要トスルニ至ツタノデア
リマス、仍テ今囘勞務移動ヲ規制スルノ基
礎ヲ確立シテ、移動防止ノ完璧ヲ期スルト
共ニ、併セテ時局下益〓重要性ヲ加ヘテ參
リマスル賃金統制其ノ他ノ勞務統制ノ實施
及ビ勞務管理ニ資スル目的ヲ以チマシテ、
玆ニ本法案ヲ提出スルニ至ツタ次第デアリ
マス
而シテ本法案ハ工場、鑛山等ニ使用セラ
レマス技術者及ビ勞務者ニ付テ、其ノ身分、
經歷、技能程度、賃金等ヲ記載セル國民勞
務手帳ヲ所持スベキ旨ヲ規定致シマスト共
ニ、本手帳ニ依リマシテ、其ノ使用及ビ就
業ニ付キ必要ナル規制ヲ行フ旨ノ規定ヲ設
ケタノデアリマス、何卒御審議ノ上速カニ
御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=67
-
068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-塚本重藏君
〔塚本重藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=68
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069・塚本重藏
○塚本重藏君 只今議題トナリマシタ國民
勞務手帳ニ關シマシテ、時間ノ關係上極メ
テ簡潔ニ五ツノ點ヲ質問致シタイト考ヘル
ノデアリマス
第一ハ、勞働新體制ノ問題ハ、產業報國
會組織ノ進展ト共ニ漸次整備セラレツツア
ルノデアリマス、此ノ時ニ當リマシテ、政
府ノ勞働行政ノ上ニ於キマシテモ、亦新シ
イ體制ガ整ヘラレナケレバナラヌト思ヒマ
ス、ソレニハ幾多ノ點ヲ考慮スベキモノガ
アルノデアリマスケレドモ、取分ケ問題ハ、
今日我ガ國ノ政府ノ勞働行政ヲ見テ居リマ
スルト、陸海軍竝ニ大藏、遞信、鐵道、商
エ、厚生ト、各省ニ勞働行政ガ分レマシテ
區々ニ行ハレ、其ノ間ニ一貫性ヲ缺イテ居
ルノデアリマス、是ハ何ト申シマシテモ、
高度國防國家ノ建設、ソレニ向ツテノ生產
力ノ擴充ノ叫バレマス場合ニ、斯ウ云フヤ
ウナ勞働體制ヲ依然トシテ放置セルコトハ
許サレナイト思フノデアリマス、此ノ點ニ
付テ是等各省ニ分掌セラレテ居リマスモノ
ヲ、出來ルコトナラバ厚生省ニ包括セラル
ルコトガ必要デアラウト考ヘル、吾々ノ理
想ヲ以テシマスルナラバ、茲ニ新シイ勞働
省ヲ一省設ケマシテ、サウシテ是等各省ニ
分掌セラレテ居ル所ノモノヲ包括一貫行政
ニ移サレルコトガ必要デアルト考ヘルノデ
アリマス、此ノ點ニ對スル政府ノ所見ヲ伺
ヒマス
第二點ハ、國民勞務手帳制ヲ實施致シタ
結果ト致シマシテ、勞働力ノ維持培養ニ障
碍トナル虞ハナキヤト云フ心配ノ點デアリ
マヽ、今日ノ戰爭ニ於テハ、前線ノ將兵一
人ニ對シテ、銃後ニ於テハ八人ノ勞働者ガ
一生懸命ニ働カナケレバナラナイ事態ニナ
ツテ居ルノデアリマス、サウ致シマスト、
前線ニ百万ノ將兵ヲ奮戰セシメマスル爲ニ
ハ、銃後ニ於テハ八百万ノ勞働者ガ、前線
將士ト同一ノ思ヒヲ以テ働クコトヲ必要ト
スルノデアリマス、更ニ高度國防國家ノ完
成ノ爲ニハ、我ガ國現時ノ工業ヲシテ一層
ノ精工業へ、更ニ精々工業ヘト發展セシメ、
又其ノ規模ニ於テモ今日ノ三倍乃至五倍ニ
マデ之ヲ發展セシムル必要ガアルノデアリ
マス、隨ヒマシテ是等ニ携ハル所ノ勞働者
ノ數ニ於キマシテモ、亦今日ノ二倍、三倍
ニ其ノ數ヲ增サナケレバナラヌコトハ言フ
マデモアリマセヌ、此ノ多クノ勞働力ヲ生
產工業部面ニ動員シマスル爲ニハ、根本問
題ト致シマシテハ、我ガ國農業ノ政策ノ上
ニ一大改革ヲ加ヘ、或ハ中小商業ノ配給機
構ノ改革ニ及ビ、更ニ又勞務行政ノ全般ニ
亙ツテ改善ガ行ハレナケレバナラナイト思
フノデアリマス、此ノ時ニ國民勞働手帳制
ヲ布キマス其ノ目的ト致シマシテハ、今厚
生大臣ノ御述べニナリマシタヤウニ、勞働
者ノ移動防止ニ役立タシメヨウトナサルノ
デアリマスルガ、勿論此ノ制度ヲ布カレマ
スルナラバ、確ニ其ノ目的ヲ達スル上ニ非
常ナル效果ヲ現ハスデアラウト云フコトハ
疑ハナイノデアリマス、併シ同時ニ考ヘラ
レルコトハ、勞働者ヲ現在ノ地位ニ釘付ケ
ニスルト云フコトデアリマス、强力ニ移動
ヲ防止シマスル結果ハ、勞働者ノ多數ヲ現
狀ニ釘付ケニスル結果ニナルノデアリマス、
其ノ結果ガドウ云フコトヲ招來スルカト考
ヘテ見マスルナラバ、將來勞働者ニナラウ
トスル其ノ志望者ヲ減少セシムルコトトナ
リハシナイカト云フ心配ガアルノデアリマ
ス、少クトモ勞働者ニナラウトスル者ノ氣
持ヲ考ヘテ見マスルナラバ、一旦勞働者ニ
ナツテ何處カノ職場ニ就キマシタナラバ、
是ハ中々容易ニ他ニ轉ズルコトガ出來ナイ
ト云フコトニナルノデアリマスカラ、先ヅ
勞働者トナツテ職場ヲ見付ケマスル場合ニ、
將來ヲ思ウテ待遇ノ好イ、サウシテ氣持好
ク働キ得ル所ノ職場ヲ皆ガ探スデアリマセ
ウ、小學校ヲ卒業シテ勞務規制ニ依リマシ
テ、オ前ハ何處ヘ行ケ、オ前ハ何處へ行ケ
ト命ジマシテモ、其ノ命ゼラレマシタル所
ノ兒童ハ、自分ノ與ヘラレタル職場ガ、永
久ニ自分ノ生涯ヲ通ジテ氣持好ク働キ得ル
職場デアルカドウカト云フコトヲ、先ヅ愼
重ニ考ヘルト云フコトハ、人間トシテ當然
デアラウト思ヒマス、サウ云フ結果ト致シ
マシテ、今日マデ勞働ノ待遇條件ノ非常ニ
好イ、働キ工合ノ好イ所ノ職場ニハ、勞働
者ガ集マリマスルケレドモ、サウデナイ所
ノ工場ニ對スル所ノ勞務動員ト云フコト
ハ、非常ナル困難ニ陷ルデアラウト云フコ
トヲ想像スルコトガ出來ルノデアリマス、
私ハ斯ウ云フ大キイ心配ヲ持ツテ居ルノデ
アリマスルガ、當局ニ於カレマシテハ、此
ノ點ヲ十分ニ御考ヘニナツタデアラウカド
ウカ、サウ云フ心配ハナイト御考ヘニナル
デアラウカト云フコトヲ御伺ヒシタイノデ
アリマス
ソコデ第三ニハ、第二ノ私ノ質問デア
ル此ノ心配ヲ除去スルト云フコトガ、國
民勞務手帳制ヲ布クト共ニ肝要ナル問題
トナツテ參リマス、而シテ勞働者ノ經濟生
活ノ上ニモ、精神生活ノ上ニモ、最初選ン
ダ職場ニ安心シテ自己ノ全生涯ヲ捧ゲテ、
終始職域奉公ガナシ得ラルルヤウナ諸般ノ
施設ガ相伴ハナケレバナラナイト私ハ考へ
ルノデアリマス(拍手)今議會ニ不日提案サ
レルコトニ確定シテ居ルト聞イテ居リマス
ル勞働者年金保險制度ハ、私ノ多年要望致
シテ居ルモノデアリマシテ、是ガ勞働者ノ
生活ニ大ナル希望ヲ與ヘルモノデアルノデ
アリマシテ、私モ共ニ喜ビニ堪ヘナイモノ
デアリマス、併シナガラ提案致サレマスル
所ノ勞働者年金保險制度ヲ初メト致シマシ
テ、現行ノ工場法或ハ鑛業法、健康保險
法、勞働者災害扶助法、退職積立金及ビ退
職手當法、是等幾多ノ勞働者保護ノ立法ガ
アルノデアリマスルケレドモ、其ノ內容ニ於
キマシテ未ダ十分デアルト言ヘナイノデア
リマス、隨ヒマシテ私共ハ每議會每ニ是
等勞働立法ノ改善ヲ、或ハ建議案ノ形式
ニ於テ、其ノ他ノ形式ニ於テ、政府當局
ニ要望シテ居ル次第デアリマスルガ、此
ノ際政府ニ於カレマシテハ、是等全般ノ
勞働保護法ニ對シマシテ再檢討ヲ加ヘラレ
マシテ、其ノ內容ヲ改善スルト共ニ、其ノ
適用ノ範圍ヲ擴ゲラレルコトガ必要デアル
ト考ヘルノデアリマス、少クトモ國民勞務
手帳制ノ適用ヲ受クル者ニ對シテハ、總テ
是等ノ勞働保護法ト云フモノガ適用セラ
レナケレバナラナイノデアリマス、然ルニ
モ拘ラズ、例ヘバ退職積立金、退職手當法
ニ於テハ、常時使用スル勞働者五十人以上
ノ工場デナカツタナラバ適用ガ出來ナイ、
或ハ工場法、鑛業法、或ハ健康保險法ニ致
シマシテモ、五人乃至十人ノ勞働者ヲ常時
使用スル所ノモノデナカツタナラバ其ノ適
用ヲ受ケテ居ラナイ、サウ云フ風ニ勞働者
ノ保護立法ト云フモノガ、全般的ニ未ダ及
ンデ居ラナイ時ニ、獨リ國民勞務手帳ノミ
全般ノ勞務者ニ及ボスト云フコトデアリマ
スルナラバ、是等勞働保護立法ノ未ダ實施
セラレテ居ラナイ、適用ヲ受ケテ居ラナイ
所ノ工場ニ働ク所ノ勞働者ノ數ト云フモノ
ハ、漸次減少セザルヲ得ナイト私ハ考ヘル
ノデアリマス、玆ニ我ガ國ノ工業ノ組織內
容ト云フモノヲ見テ居リマスルト、是等中
小ノ工場ト云フモノガ、貿易產業ノ上ニ、
諸般ノ產業ノ上ニ重大ナル役割ヲナシテ居
ルコトハ言フマデモナイノデアリマス、サ
ウ云フ中小工場ニ對スル所ノ勞働者ト云フ
モノガ、非常ニ少クナツテ參ル結果ニナル
コトハ、私ハ蔽ヒ難イ事實デアラウト考ヘ
ルノデアリマス、隨ヒマシテ以上申上ゲ
マスヤウナ諸點ニ付キマシテ、政府ハ銳意
其ノ社會立法ノ、勞働立法ノ普及ニ努メラ
レナケレバナラナイ、內容ノ改善ニ努メラ
レナケレバナラナイト考ヘルノデアリマス
第四ノ點ハ、國民手帳制ヘノ發展擴充ノ
問題デアリマシテ、私ハ數年前カラ國民手
帳制ノ實施ヲ主張致シテ居ル者デアリマス、
今提案セラレテ居リマスル所ノ國民勞務手
帳制ノ內容ハ、上ニ國民ト云フ名前ハ冠シ
テアリマスルケレドモ、其ノ內容ハ單ナル
勞働手帳制度デアリマス、本法ノ實施ノ曉
ニ於キマシテハ、本法制定ノ目的デアリマ
スル所ノ勞働者ノ移動防止ノ上ニハ、今日
行ハレテ居ル所ノ職業申告手帳制度ヨリハ、
更ニ强力ニ一層ノ效果ヲ現ハスデアラウト
云フコトハ、是ハ疑ヒノナイ所デアリマス、
然ラバ此ノ國民勞務手帳法ニ依ツテ、勞働
者ノ移動防止ガ完全ニ行ハレルデアラウカ
ト云フコトヲ考ヘテ見マスルト、私ハ未ダ
以テソレデ十分ナリトハ言ヒ得ナイノデア
リマス、尙ホソコニ幾多ノ缺陷ガ存シテ居
ルノデアリマス、併シ其ノ缺陷ハ私玆ニソ
レヲ語ルコトヲ好マナイノデアリマス、私
ノ主張シマスル所ノ國民手帳制ナルモノハ、
小學校ニ入リマスルナラバ、其ノ時一ツノ
手帳ガ與ヘラレル、サウシテ其ノ手帳ニハ
戶籍面ノ重要ナ所、ソレカラ在學中ノ成績、
或ハ國民體力檢査ニ依リマスル成績ノ結果、
其ノ他職歷等一切ノモノヲ記入シテ、總テ
ノ國民ガ之ヲ持ツテ居ルト云フ制度デアル、
隨ヒマシテ職場ヲ探シマス場合ニ於キマシ
テモ、ソレヲ持ツテ行カナケレバ職場ニ就
ケナイト云フ制度デアル、啻ニ此ノ制度ハ
勞働者ノ移動ヲ防止スルダケデハナイ、國
家諸般ノ重要ナル施策ヲ施行致シマスル上
ニ於キマシテモ、非常ナ役ヲ演ズルト思フ
ノデアリマス、或ハ犯罪防止ノ上ニ、其ノ
他色々ノ點ニ於テ、利用スベキ範圍ハ多カ
ラウト思フノデアリマス、サウ云フヤウニ
國民手帳制度ニマデ此ノ國民勞務手帳制度
ヲ發展擴充セラレル意思ハナイカト云フコ
トヲ御伺ヒスル次第デアリマス
更ニ最後ニモウ一ツ御尋ネシテ置キタイ
ノハ、曩ニモ申シマスルヤウニ、今日旣ニ幾
多ノ勞働者保護法ハ施行セラレテ居リマス
ケレドモ、其ノ實施ノ狀況ヲ見テ居リマス
ルト、甚ダ遺憾ナコトデハアリマスケレド
モ、ソレガ社會ニ於キマシテ完全ニ施行セ
ラレテ居ルトハ、守ラレテ居ルトハ言ヒ難
イノデアリマス、今日ニ於キマシテモ幾多
ノ工場法違反ガアル、或ハ健康保險法ノ
施行ニ當リマシテモ違反ヲ起シテ居ル者
ガ多クアル、或ハ退職積立金、退職手當法
ノ實施ニ當リマシテモ、ソレヲ忠實ニ法規
ニ基イテ施行シテ居ル所ノ者ガ全部デアル
トハ言ヘナイノデアリマス、尙ホ法ノ裏ヲ
潜ツテ居ル者ガ相當多クアルト云フコトハ
事實デアル、併シナガラ政府ノ今日ノ機構
ヲ以テ致シマシテハ、是等ヲ十分ニ監督シ、
勞働者保護ノ法律ヲ普遍的ニ勞働界ニ徹底
セシムル、產業界ニ徹底セシムルト云フコ
トガ出來ナイ憾ミガアル、是ニ於テ施行
セラレテ居ル所ノ諸般ノ勞働者保護法ト
云フモノヲ完全ニ行ヒマスル爲ニ、勞働管
理制度ト云フヤウナモノガ必要デアラウト
考ヘル、勞働管理制度ノ如キニ於キマシテ
モ、所謂勞資ノ間ニ於ケル、工場ノ內部ニ
於ケル、本當ノ裏ノ裏ガ分ル所ノ人ヲ起用
致シマシテ、サウシテ此ノ勞働管理制度ト
云フモノヲ徹底强化スル必要ガアル、ソ
レガナクンバ、幾多勞働者ノ保護法ヲ制定
致シマシテモ、ソレヲ以テ安ンズル譯ニハ
行カナイ、出來タ法律ガ活用出來ナイト云
フヤウナ現狀ニアルコトハ甚ダ遺憾ニ思フ
ノデアリマス、此ノ點ニ對シマスル政府ノ
所見ヲ伺フコトニ致シマシテ、私ノ質問ヲ
終リマス(拍手)
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=69
-
070・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 塚本君ノ御質問
ニ御答へ致シマス、御質問ノ點ハ數項ニ亙
ツテ居リマシタ、ガ彼此レ關聯シテ居ル事項
モゴザイマスシ、之ニ對スル答辯ハ混淆ス
ルカモ知レマセヌカラ、其ノ點ヲ御諒承願
ヒタイト存ジマス
第一ノ點ハ、勞働行政ガ各省ニ亙ツテ居ル
ガ、之ヲ一元化スルノ必要ハナイカト云フ
御意見ノヤウデゴザイマシタガ、此ノ點ハ
至極御尤モニハ存ジマスガ、只今ノ所ハ御
承知ノ通リ一般ノ勞働行政ハ厚生省ガ主管
廳トシテ之ヲ管掌シテ、唯特殊ノ部面ニ付
テノミ他省ノ主管トナツテ居ルモノデアリ
マスガ、是ハ何レモ相當ノ沿革ト理由トガ
アルノデアリマシテ、今直グニ是等ヲ一ツ
ノ省ニ統一スルコトニ付テハ、マダ〓究ヲ
要スル餘地ガアルト考ヘマス、併シ實際ノ
運用ニ當リマシテハ、各省トモ十分ノ連絡
ヲ取リマシテ、統一ヲ保ツヤウニ留意シテ
遺憾ナキヲ期シタイト存ジマス
第二點ハ、勞務手帳法ニ依ツテ移動防止ガ
完全ニ出來ルカト云フコトト、ソレカラ勞働者
ノ自由ヲ拘束スルデハナイカト云フ點デアツタ
ト存ジマスガ、是ハ勞務手帳制度ニ依ツテ、
大體移動防止ニ關スル所期ノ目的ヲ達シ得
ルト考ヘテ居リマス、尤モ勞働者ノ自由ヲ
拘束スルコトニナリマスコトハ御意見ノ通
リデアリマスガ、時局ノ要請ニ副フ所以デ
アリマシテ、其ノ必要ヲ認識シテ戴クト云
フ外ニハナイノデアリマス、尙ホ勞働ガ偏
在スルヤウナ虞ハナイカト云フ御疑念モゴ
ザイマシタガ、ソレモアラウト存ジマスガ、
今日ト致シマシテハ、其ノ偏在ヲ防グ爲ニ
種々ノ規制ガ行ハレテ居ルノデアリマス、
殊ニ國策上必要事業、ノ勞働不足方面ニ對シ
テハ、强制徴用マデ實行シテ居ル今日デア
リマスカラ、多少ノ不自由ハ御忍ビ願フコ
トハ已ムヲ得ヌコトダト存ジマス、ソレガ爲
ニハ產報運動ヲ提唱シツツアル次第デアリ
マシテ、又諸般ノ福利施設等モ講ジテ居リ
マスシ、近ク勞働者年金法ヲ提出セント
スル所以モ、全ク是ニ存スルノデアリマ
シテ、今後一段ノ努力ヲ拂ヒタイト存ジマ
ス
ソレカラ勞働保護法ヲ制定スルトカ、勞働
立法ヲモウ少シ普及改善スル意思ハナイカ
ト云フ御尋ネノヤウデゴザイマシタ、其ノ
中ニハ、各種ノ勞働立法ヲ全勞働者ニ適用
スベキデハナイカ、詰リモウ少シ擴大シテ
總テノ勞働者ニ適用シテハドウカト云フヤ
ウナ御意見モ含ンデ居ツタト存ジマスガ、
立法ノ內容ニ依ツテハ、今直チニ全勞働者
ニ之ヲ適用スルコトガ困難ナ事情モゴザイ
マス、其ノ點ハ十分〓究ヲシタイト存ジマ
スガ、尙ホ勞働立法ノ統一トカ普及改善ノ
御意見ニ付テモ、至極御尤モノ點ガアルヤ
ウニ拜聽致シマシタカラ、是等モ十分〓究
致スコトニ致シタイト存ジマス
ソレカラ勞務手帳ト云フヨリモ、一步進
ンデ國民手帳法ヲ設クルノ意思ハナイカ、
現在ノ所謂勞務者ト云フ部分ニ限ラズ、モ
ウ少シ範圍ヲ廣ク、總テノ者ニ之ヲ適用シ
テハドウカト云フヤウナ意味ノ御意見モア
ツタヤウニ拜聽シマシタガ、今囘提案致シ
マシタ勞務手帳制度ハ、勞務規制ノ差當ツ
テノ必要上規制スルモノデアリマシテ、其
ノ目的ノ範圍ノ者ダケニ所持サセルト云フ
コトニナツテ居リマス、只今ノ所ハ此ノ
範圍ヲ以テ適當ト存ジマスガ、將來擴張
ノ必要ガ生ジマシタナラバ、其ノ際之ヲ
實施スルコトニ致シタラ宜シイト存ジマ
ス
ソレカラ勞働立法ガ完全ニ守ラレテ居ラ
ナイデハナイカ、モウ少シ勞働管理制度ヲ
强化シテハドウカト云フ御意見モゴザイマ
シタガ、是ハ勞働立法ノ統一、勞務行政ノ
統一、其他諸般ノ點ヲ綜合シテ〓究ヲ進メ
タイト存ジマス、之ヲ以テ御答ヘト致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=70
-
071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=71
-
072・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、健康保險
法中改正法律案委員ニ併セ付託サレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=72
-
073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=73
-
074・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
九、商工會議所法第十四條ノ臨時特例ニ關
スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-商工
次官
第九商工會議所法第十四條ノ臨時特
例ニ關スル法律案(政府提出、貴族
院送付)第一讀會
商工會議所法第十四條ノ臨事特例ニ關
スル法律案
自己ノ名ヲ以テ商行爲ヲ爲スヲ業トスル
者、鑛業權者又ハ取引所ハ其ノ者ニ付營業
稅又ハ取引所特別稅ノ一年間ノ納稅額ノ
決定セラレタルコトナキ場合ニ於テハ商
工會議所ノ地區內ニ於テ營業收益稅、鑛
產稅又ハ取引所營業稅ヲ一年間ニ命令ノ
定ムル額以上納ムルトキハ之ヲ商工會議
所法第十四條第一項第三號ノ條件ヲ具フ
ルモノト看做ス
商工會議所法第十四條第一項第三號但書
及第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用
ス
附則
本法ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
〔政府委員小島新一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=74
-
075・小島新一
○政府委員(小島新一君) 只今上程ニ相成
リマシタ商工會議所法第十四條ノ臨時特例
ニ關スル法律案ノ提案理由ヲ說明致シマス
商工會議所法第十四條ノ議員ノ選擧資格
中、納稅ニ關スル條件ニ付キマシテハ、先
般ノ稅法改正ニ伴ヒマシテ、昭和十六年四
月一日以降ニ於テハ、「營業稅又ハ取引所特
別稅ヲ命令ノ定ムル額以上納ムルコト」ト
改正セラレタノデアリマスガ、現在ノ所法
人營業稅等ノ稅額ノ未ダ決定シナイモノガ
多數ゴザイマス爲メ、議員選擧權者デアツ
テ選擧權ヲ喪失スルニ至ルト思ハレルモノ
ガ少クナイノデアリマス、隨テ又商工會議
所ノ豫算ノ編成モ困難デアルヤウナ狀況デ
ゴザイマスノデ、經過的措置ト致シマシテ、
營業稅等ノ決定シナイ者ニ付テハ、尙ホ舊
稅ニ依ツテ選擧權ノ有無ヲ定メルノヲ至當
ト認メマシテ、玆ニ商工會議所法第十四條
ノ臨時特例ニ關スル法律ヲ制定致シタイト
思フ次第デゴザイマス、E何卒御審議ノ上速
カニ御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ御願ヒ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=75
-
076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=76
-
077・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年度法律第九十二號中改正法律案委員ニ併
セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=77
-
078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=78
-
079・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是ニテ議
事日程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事日程
ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是ニテ
散會致シマス
午後四時三十分散會
衆議院議事速記錄第七號中正誤
四五頁四段一一行「搜索、」ハ「搜索、檢證、」ノ
誤
四六頁一段二八-二九行「第四百十六條ノ規定ニ
依ルノ外同法」ヲ削ル
四六頁一段三一行ノ次ニ「上告裁判所ハ第二審
ノ判決ニ對スル上告事件ニ關スル手續ニ依リ裁
判ヲ爲スベシ」ノ一項ヲ加フ
衆議院議事速記錄第八號中正誤
六〇頁一段二九行「含ム」ハ「營ム」ノ誤
六〇頁一段三二-三三行「設備完成前其ノ設備ノ
一部ヲ以テ營ム事業ニ付亦同ジ」ヲ削ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01119410206&spkNum=79
-
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