1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年二月十三日(木曜日)
午後一時十八分開議
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議事日程 第十二號
昭和十六年二月十三日
午後一時開議
第一 輸出補償法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辯の爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第三 國民貯蓄組合法案(政府提出) 第一讀會
第四 國民更生金庫法案(政府提出) 第一讀會
第五 日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 北海道拓殖銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 農工銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第八 人造石油製造事業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第九 帝國燃料興業株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 東亞海運株式會社法案(政府提出) 第一讀會
第十一 郵便貯金法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十二 昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 商工會議所法第十四條の臨時特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 健康保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辨の爲公債發行に關する件)
(以上二月八日提出)
(第三號)昭和十五年度歳入歳出總豫算追加案
(特第三號)昭和十五年度特別會計歳入歳出豫算追加案
(第一號)昭和十六年度歳入歳出總豫算追加案
(特第一號)昭和十六年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
(臨材第一號)臨時陸軍材料資金豫算追加案
國民貯蓄組合法案
國民更生金庫法案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
農工銀行法中改正法律案
人造石油製造事業法中改正法律案
帝國燃料興業株式會社法中改正法律案
東亞海運株式會社法案
(以上二月十日提出)
帝國石油株式會社法案
臨時陸軍材料資金特別會計法中改正法律案
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案(支那事變に關する一時賜金として交付する爲公債發行に關する件)
委員會等の整理等に關する法律案
農地開發法案
木材統制法案
(以上二月十二日提出)
一去十日貴族院より受領したる政府提出案左の如し
郵便貯金法中改正法律案
一昨十二日貴族院より受領したる政府提出案左の如し
陸軍軍法會議法中改正法律案
海軍軍法會議法中改正法律案
一議員より提出せられたる議案左の如し
北海道生産擴充綜合計畫に關する建議案
提出者
澤田利吉君 山本厚三君
松浦周太郎君 木下成太郎君
大島寅吉君 板谷順助君
松尾孝之君 村上元吉君
南雲正朔君
軍需重要鑛産物竝山林開發の爲鐵道敷設に關する調査會設置に關する建議案
提出者
清水留三郎君 木檜三四郎君
官幣大社宗像神社社殿境域復興に關する建議案
提出者 山崎達之輔君
脇屋義助公神位昇格に關する建議案
提出者
熊谷五右衞門君 池田七郎兵衞君
齋藤直橘君 添田敬一郎君
猪野毛利榮君 青木精一君
木檜三四郎君 村上紋四郎君
(以上二月八日提出)
大杣神社創建に關する建議案
提出者
増永元也君 木村正義君
(以上二月十二日提出)
一昨十二日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
留萌鐵道株式會社及新潟臨港開發株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案
田名部運輸軌道株式會社所屬軌道の經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案
富士身延鐵道株式會社及白棚鐵道株式會社所屬鐵道買收に關する法律案
大正九年法律第五十六號中改正法律案(北海道拓殖鐵道補助に關する件)
軍機保護法中改正法律案
一去八日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第五部選出
豫算委員 長野長廣君(堤康次郎君補闕)
一去八日議長に於て選定したる委員左の如し
外國爲替管理法改正法律案(政府提出)委員
西村金三郎君 稻田直道君
木村淺七君 菊池良一君
中田儀直君 小笠原三九郎君
笠井重治君 木村正義君
清瀬規矩雄君 作田高太郎君
鈴木英雄君 田中邦治君
田原春次君 武田徳三郎君
中島彌團次君 中原謹司君
粟山博君 森田福市君
治安維持法改正法律案(政府提出)委員
服部英明君 泉國三郎君
眞鍋勝君 松木弘君
江原三郎君 小畑虎之助君
田村秀吉君 高見之通君
中野寅吉君 中村高一君
永田良吉君 西村茂生君
長谷長次君 濱野徹太郎君
一松定吉君 藤田若水君
松山常次郎君 三田村武夫君
蠶絲業統制法案(政府提出)委員
高橋熊次郎君 小山邦太郎君
高橋圓三郎君 最上政三君
森幸太郎君 飯田助夫君
植原悦二郎君 小野寅吉君
岡崎憲君 加藤知正君
北原阿智之助君 紅露昭君
佐藤洋之助君 坂本宗太郎君
助川啓四郎君 鈴木正吾君
野溝勝君 平野力三君
松岡俊三君 松村光三君
三善信房君 宮澤胤勇君
百瀬渡君 山田六郎君
山本粂吉君 吉田賢一君
渡邊玉三郎君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)(政府提出)委員
村上國吉君 長野綱良君
成島勇君 松浦伊平君
吉植庄亮君 池田七郎兵衞君
石井徳久次君 石坂繁君
小笠原八十美君 小串清一君
大石大君 岡田喜久治君
北勝太郎君 北村文衞君
小平重吉君 坂下仙一郎君
須永好君 鈴木文治君
田中邦治君 土田莊助君
坪山徳彌君 馬場元治君
松田喜三郎君 三善信房君
村上元吉君 林讓治君
渡邊健君
一去八日に於ける特別委員の異動左の如し
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
辭任西村茂生君 補闕松尾孝之君
辭任岡崎憲君 補闕西尾末廣君
貸家組合法案(政府提出)外二件委員
辭任宮澤裕君 補闕廣川弘禪君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任横川重次君 補關稻田直道君
一去十日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
在滿教務部長 岩松五良
第七十六囘帝國議會政府委員被仰付
大藏書記官 野田卯一
第七十六囘帝國議會大藏省所管事務政府委員被仰付
司法書記官 太田耐造
第七十六囘帝國議會司法省所管事務政府委員被仰付
保險院書記官 簗誠
第七十六囘帝國議會厚生省所管事務政府委員被仰付
一去十日委員長及理事互選の結果左の如し
外國爲替管理法改正法律案(政府提出)委員
委員長 西村金三郎君
理事
稻田直道君 木村淺七君
菊池良一君 中田儀直君
治安維持法改正法律案(政府提出)委員
委員長 服部英明君
理事
泉國三郎君 眞鍋勝君
松木弘君
蠶絲業統制法案(政府提出)委員
委員長 高橋熊次郎君
理事
小山邦太郎君 高橋圓三郎君
最上政三君 森幸太郎君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)(政府提出)
委員
委員長 村上國吉君
理事
岡田喜久治君 成島勇君
松浦伊平君 吉植庄亮君
一去十日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第七部選出豫算委員 小泉純也君
一去十日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
理事 川崎巳之太郎君(理事小野廉君去十日委員辭任に付其の補闕)
一去十日に於ける特別委員の異動左の如し
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
辭任小野廉君 補闕川崎巳之太郎君
辭任丸山辨三郎君 補闕石坂豐一君
治安維持法改正法律案(政府提出)委員
辭任松山常次郎君 補闕猪野毛利榮君
辭任長谷長次君 補闕藤本捨助君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任藤本捨助君 補闕長谷長次君
一昨十二日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第八部選出豫算委員 前川正一君
一昨十二日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第七部選出
豫算委員 平川松太郎君(小泉純也君補闕)
一昨十二日に於ける特別委員の異動左の如し
貸家組合法案(政府提出)外二件委員
辭任眞鍋儀十君 補闕清水留三郎君
辭任塚本重藏君 補闕杉山元治郎君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)(政府提出)
委員
辭任林讓治君 補闕東條貞君
辭任大石大君 補闕吉田賢一君
外國爲替管理法改正法律案(政府提出)委員
辭任鈴木英雄君 補闕野口喜一君
辭任清瀬規矩雄君 補闕太田理一君
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
辭任石坂豐一君 補闕丸山辨三郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、第一部選出決算委員
池崎忠孝君、第四部選出決算委員河合義一
君、右常任委員辭任ノ申出ガアリマス、之
ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可スルニ決シマシタ、其ノ部ノ
諸君ハ速カニ補關選擧ヲ行ヒ御屆ケアラン
コトヲ望ミマス-日程第一輸出補償法
中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス-小
島商工次官
第一輸出補償法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
輸出補償法中改正法律案
輸出補償法中左ノ通改正ス
第一條中「政府ハ」ノ下ニ「命令ノ定ムル
所ニ依リ」ヲ加へ「百分ノ八十」ヲ「百分ノ
九十」ニ改ム
第三條第一項中「荷爲替手形ノ滿期」ノ下
ニ「(一覽拂又ハ一覽後定期拂ノ手形ニ付
テ特別ノ事情アル場合ニ於テハ主務大臣
ノ定ムル別段ノ時期以下同ジ)」ヲ加ヘ同
項第一號ヲ左ノ如ク改ム
荷爲替手形ニ付附屬荷物アルトキ
ハ其ノ處分ニ依リテ得タル金額ヨリ
其ノ處分ノ爲支出シタル費用ヲ控除
シタル殘額
第四條第一項中「遡求權其ノ他ノ手形上
ノ權利」ヲ「遡求權以外ノ手形上ノ權利又
ハ附屬荷物ニ對スル權利」ニ改ム
第五條削除
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ銀行ガ買取リタル手形ニ付
テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔政府委員小島新一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=2
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003・小島新一
○政府委員(小島新一君) 只今議題ト相成
リマシタ輸出補償法中改正法律案ノ提案ノ
理由ヲ御說明申上ゲマス、申スマデモナク
輸出貿易ノ積極的增進ヲ圖リマスコトハ刻
下ノ急務デアリマス、而シテ是ガ對策ト致
シマシテハ、幾多ノ方策ガ考ヘラレルノデ
アリマスガ、特ニ現下ノ國際情勢下ニ於キマ
シテハ、輸出業者ガ輸出貿易ニ對シ積極的
氣分ヲ失フコトナク、安ンジテ輸出ノ維持
促進ヲ期スルコトガ出來マスルヤウ致シマ
スコトガ、最モ肝要ト存ズルノデアリマス、
此ノ趣旨ニ鑑ミマシテ、旣ニ昨年末以來現
行法ノ許ス範圍內ニ於テ、運用ニ依リ保險
的ニ補償ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、更
ニ輸出補償法ヲ改正シ、從來實施シテ參リ
マシタ金融上ノ便宜ヲ附與スル甲種補償、
及ビ保險的ニ損失ヲ塡補スル乙種補償ノ區
別ヲ廢シ、總テ保險的ニ補償スル單一ノ制
度トスルト共ニ、政府ノ損失補償ノ限度ヲ
引上ゲ、又豫算ヲモ增加致スコトニ依リマ
シテ、最近ノ國際通商情勢ノ變化ニ對處シ
テ一層輸出補償制度ヲ積極的ニ活用シ、
以テ我ガ輸出貿易政策ノ遂行ニ遺憾ナキヲ
期シタイト存ズル次第デアリマス、何卒十
分御審議ノ上御協賛アランコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=4
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005・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二、昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案ノ第一讀會ヲ開キマス-河田大藏大臣
第二昭和十二年法律第八十四號中改
正法律案(支那事變ニ關スル臨時軍
事費支辨ノ爲公債發行ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「百五十億七千百八十萬圓」ヲ「百九十億
四千九百萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣河田烈君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=7
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008・河田烈
○國務大臣(河田烈君) 只今上程セラレマ
シタ日程第二ニ付キ說明ヲ致シマス
支那事變ニ關スル經費ニ付キマシテハ、
第七十一囘乃至第七十五囘及ビ今期帝國議
會ノ協贊ヲ經マシテ、其ノ財源ニ充ツル爲ノ
公債發行ヲナシ得ル權能ヲ得テ居ルノデゴ
ザイマスガ、事態ノ推移ニ伴ヒマシテ、更
ニ臨時軍事費四十八億八千万圓ノ追加ヲ計
上致シタ次第デゴザイマス、其ノ所要財源
中九億二百八十餘万圓ニ付キマシテハ
般會計竝ニ特別會計ヨリノ繰入金等ヲ以テ
充當致シマシテ、尙ホ差引三十九億七千七
百十餘万圓ニ付キマシテハ今日ノ場合之
ヲ公債財源ニ依ルコトトスル必要ガゴザイ
やっく仍テ昭和十二年法律第八十四號中、
公債ノ發行限度ヲ增加スルノ必要ガゴザイ
マスノデ、本法律案ヲ提出致シタ次第デゴ
ザイマス、何卒御審議ノ上速カニ協贊ヲ與
ヘラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=9
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010・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十六
年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發
行ニ關スル法律案外一件委員ニ併セ付託サ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナイト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
三乃至第七ハ、便宜上一括議題トナスニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第三、國民貯蓄組合法案、日程第
四、國民更生金庫法案、日程第五、日本勸
業銀行法中改正法律案、日程第六、北海道
拓殖銀行法中改正法律案、日程第七、農工
銀行法中改正法律案、右五案ヲ一括シテ第
一讀會ヲ開キマス-河田大藏大臣
第三國民貯蓄組合法案(政府提出)
第一讀會
第四國民更生金庫法案(政府提出)
第一讀會
第五日本勸業銀行法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第六北海道拓殖銀行法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第七農工銀行法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
國民貯蓄組合法案
國民貯蓄組合法
第一條本法ニ於テ國民貯蓄組合トハ左
ノ各號ノ一ニ揭グル者ヲ以テ組織シ
戰時(戰爭ニ準ズベキ事變ノ場合ヲ含
ム)ニ於ケル國民貯蓄ノ增强ニ資スル
爲組合員ノ貯蓄ノ斡旋ヲ爲スモノヲ謂
フ
市町村(町村制ヲ施行セザル地ニ
在リテハ之ニ凖ズベキモノ)ノ一部
ニシテ命令ヲ以テ定ムル區域內ニ居
住スル者
二官公署、學校、事務所、營業所、
工場、事業場又ハ之ニ凖ズベキモノ
ニ勤務スル者
三產業組合、商業組合、工業組合其
ノ他同業者ノ組織スル團體ノ構成員
四前各號ニ揭グル者ノ外命令ヲ以テ
定ムル者
第二條國民貯蓄組合ノ幹旋ヲ爲ス貯蓄
ハ左ノ方法ニ依ルベシ
-郵便貯金又ハ郵便年金ノ掛金若ハ
簡易生命保險ノ保險料ノ拂込
二銀行ヘノ預ケ金又ハ定期積金
三信託會社ヘノ金錢信託
四產業組合其ノ他命令ヲ以テ定ムル
產業團體ヘノ貯金
五無盡會社ヘノ無盡ノ掛金ノ拂込
六生命保險ノ保險料ノ拂込
七國債、貯蓄債劵又ハ報國債劵ノ買
入
八其ノ他主務大臣ノ指定スルモノ
前項ノ貯蓄ノ斡旋ノ方法ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三條國民貯蓄組合ヲ組織シタルトキ
ハ組合ノ代表者ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ組合規約ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ組
合規約ヲ變更シタルトキ亦同ジ
國民貯蓄組合解散シタルトキハ組合ノ
代表者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨
ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ
第四條國民貯蓄組合ノ幹旋ニ依ル銀行
預金又ハ合同運用信託ニシテ命令ヲ以
テ定ムルモノノ元本ガ三千圓ヲ超エザル
トキハ其ノ利子又ハ利益ニ付テハ命令ノ
定ムル所ニ依リ甲種ノ配當利子所得ニ
對スル分類所得稅ヲ免除ス國民貯蓄組
合ノ幹旋ニ依リ買入レ命令ノ定ムル所
ニ依リ郵便官署ニ保管ヲ委託ツ又ハ登
錄ヲ爲シタル國債ニシテ額面金額三千
圓ヲ超エザルモノノ利子ニ付亦同ジ
國民貯蓄組合ノ幹旋ニ依ル銀行貯蓄預
金產業組合貯金其ノ他ノ預金ニジテ
命令ヲ以テ定ムルモノノ元本ガ五千圓
ヲ超エザルトキハ其ノ利子ニ付テハ命
令ノ定ムル所ニ依リ甲種ノ配當利子所
得ニ對スル分類所得稅ヲ免除ス
前二項ノ場合ニ於テ預金又ハ合同運用
信託ガ組合ノ代表者ノ名義ヲ以テ爲サ
ルルトキハ元本ハ組合員每ニ其ノ預金
又ハ合同運用信託ニ付之ヲ計算ス
前項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ於テ國債
ノ保管ノ委託又ハ登錄ガ組合ノ代表者
ノ名義ヲ以テ爲サルル場合ノ額面金額
ノ計算ニ之ヲ準用ス
前四項ノ元本及額面金額ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ之ヲ計算ス
第五條政府ハ豫算ノ範圍內ニ於テ國民
貯蓄組合ニ補助金又ハ奬勵金ヲ交付ス
ルコトヲ得
第六條主務大臣必要アリト認ムルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一條各號ノ
一ニ揭グル者ニ對シ國民貯蓄組合ヲ組
織スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條主務大臣ハ國民貯蓄組合ノ代表
者ニ對シ貯蓄ニ關シ報告ヲ爲サシメ、
帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲シ又
ハ組合ノ代表者ノ改任其ノ他監督上必
要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第八條主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ本法ニ定ムル職權ノ一部ヲ地方長官
ニ委任スルコトヲ得
地方長官ハ前項ノ規定ニ依リ委任ヲ受
ケタル職權ニ屬スル事務ノ一部ヲ市町
村長(市制第六條及第八十二條第三項
ノ市ニ在リテハ區長、町村制ヲ施行セ
ザル地ニ在リテハ之ニ凖ズベキモノ)
ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
第九條貯蓄銀行ニ非ザル銀行ハ貯蓄銀
行法第一條ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定ム
ル所ニ依リ國民貯蓄組合ノ斡旋ニ依ル
場合ニ限リ同法第一條第一項第一號又
ハ第三號ニ揭グル業務ヲ營ムコトヲ得
第四條第二項及第三項竝ニ所得稅法第
十一條、第二十一條及第二十九條中銀
行貯蓄預金ニ關スル規定ハ前項ノ規定
ニ依リ受入レタル預金ニハ之ヲ適用セ
ズ
第十條貯蓄銀行ニ非ザル銀行ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ前條第一項ノ規定ニ依
リ受入レタル金額ノ三分ノ一以上ノ金
額ニ相當スル國債ヲ供託スベシ
前條第二項ノ預金ヲ爲シタル者ハ其ノ
預金ニ關シテハ前項ノ規定ニ依リテ供
託シタル國債ニ付他ノ債權者ニ先チ辨
濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
前項ノ規定ニ依リ優先辨濟ヲ受クル範
圍ハ預金額ヲ限度トス
第十一條國民貯蓄組合ノ代表者本法若
ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基
キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ三百
圓以下ノ過料ニ處ス
第十二條本法ニ規定スルモノノ外國民
貯蓄組合ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ存スル團體ニシテ第一
條各號ノ一ニ揭グル者ヲ以テ組織シ戰時
(戰爭ニ準ズベキ事變ノ場合ヲ含ム)ニ於
ケル國民貯蓄ノ增强ニ資スル爲第二條ニ
揭グル貯蓄ノ斡旋ヲ爲スモノハ之ヲ本法
ノ國民貯蓄組合ト看做ス
前項ノ國民貯蓄組合ノ代表者ハ本法施行
後三月以內ニ第三條第一項ノ規定ニ準ジ
組合規約ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ
印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第九號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
九ノ二國民貯蓄組合ノ代表者カ組合
ノ業務ニ關シ發スル金錢ノ寄託若ハ
信託行爲ニ關スル證書若ハ通帳又ハ
委任狀
國民更生金庫法案
國民更生金庫法
第一章總則
第一條國民更生金庫ハ時局ノ要請ニ應
ジ轉業又ハ廢業ヲ爲ス商工業者等ノ資
產及負債ノ整理ヲ促進シ其ノ更生ヲ圖
ルコトヲ目的トス
國民更生金庫ハ法人トス
第二條國民更生金庫ハ主タル事務所ヲ
東京市ニ置ク
國民更生金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコ
トヲ得
第三條國民更生金庫ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケ銀行其ノ他命令ノ定ムル法人ヲ
シテ業務ノ一部ヲ代理セシムルコトヲ
得
第四條國民更生金庫ノ資本金ハ二千萬
圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ
增加スルコトヲ得
第五條政府ハ千九百萬圓ヲ國民更生金
庫ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヲ定ム
第六條國民更生金庫ハ定款ヲ以テ左ノ
事項ヲ規定スベシ
-目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七更生債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更
スルコトヲ得
第七條國民更生金庫ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第八條國民更生金庫ニハ所得稅、法人
稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ國民更生金庫ノ事業ニ對シ
テハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特
別ノ事情ニ基キ內務大臣及大藏大臣ノ
認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第九條國民更生金庫ニ付解散ヲ必要ト
スル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處
置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十條國民更生金庫ニ非ザル者ハ國民
更生金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フ
ルコトヲ得ズ
第二章役員
第十一條國民更生金庫ニ理事長一人、
理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十二條理事長ハ國民更生金庫ヲ代表
シ其ノ業務ヲ總理ス
理事ハ定款ノ〓定ムル所ニ依リ國民更生
金庫ヲ代表シ、理事長ヲ輔佐シテ國民
更生金庫ノ業務ヲ掌理シ、理事長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ、理事長
缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ國民更生金庫ノ業務ヲ監査ス
第十三條理事長、理事及監事ハ主務大
臣之ヲ命ズ
理事長及理事ノ任期ハ三年、監事ノ任
期ハ二年トス
第十四條理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依
リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁
判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有
スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十五條理事長及理事ハ他ノ職業ニ從
事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條國民更生金庫ニ評議員若干人
ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルト
キハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年ト
ス
第三章業務
第十七條國民更生金庫ハ左ノ業務ヲ行
フ
-轉業又ハ廢業ヲ爲ス商工業者等ノ
爲ニスル資產ノ管理又ハ處分
二轉業又ハ廢業ヲ爲ス商工業者等ノ
爲ニスル資金ノ融通
三轉業又ハ廢業ヲ爲ス商工業者等ノ
爲ニスル債務ノ引受又ハ保證
四前各號ノ業務ニ附帶スル事業
國民更生金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
前項ニ揭グル業務以外ノ業務ヲ行フコ
トヲ得
本法ニ規定スルモノノ外國民更生金庫
ノ業務ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第十八條國民更生金庫ハ左ノ方法ニ依
ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコト
ヲ得ズ
÷國債、地方債又ハ主務大臣ノ認叱可
ヲ受ケタル有價證劵ノ取得
二大藏省預金部ヘノ預金又ハ郵便貯
金
三銀行ヘノ預金又ハ信託會社ヘノ金
錢信託
第四章厚生債劵
第十九條國民更生金庫ハ拂込資本金額
ノ十倍ヲ限リ更生債劵ヲ發行スルコト
ヲ得
第二十條更生債劵ハ額面金額五十圓以
上トシ無記名利札附トス但シ應募者又
ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコト
ヲ得
更生債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行
スルコトヲ得
第二十一條國民更生金庫ハ更生債劵借
換ノ爲一時第十九條ノ制限ニ依ラズ更
生債劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ更生債劵ヲ發行シタル
トキハ發行後一月以內ニ其ノ發行額面金
額ニ相當スル舊更生債券ヲ償還スベシ
第二十二條政府ハ更生債劵ノ元本ノ償
還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第二十三條更生債劵ハ賣出ノ方法ヲ以
テ發行スルコトヲ得
第二十四條國民更生金庫ニ於テ更生債
劵ヲ發行セントスルトキハ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ
第二十五條更生債劵ノ消滅時效ハ元本
ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテハ五
年ヲ以テ完成ス
第二十六條所得稅法及有價證劵移轉稅
法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ更
生債劵ニ之ヲ準用ス
第二十七條本章ニ規定スルモノノ外更
生債劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五章會計
第二十八條國民更生金庫ノ事業年度ハ
四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十九條國民更生金庫ハ設立ノ時及
每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借
對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共
ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
出資者及債權者ハ業務時間內何時ニテ
モ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコ
トヲ得
第六章監督及補助
第三十條主務大臣ハ國民更生金庫ノ業
務ヲ監督ス
第三十一條國民更生金庫ハ主務大臣ノ
認可ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分
ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十二條國民更生金庫ハ業務開始ノ
際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
第三十三條主務大臣ハ國民更生金庫ニ
對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲
サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要
ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ
得
第三十四條主務大臣ハ國民更生金庫監
理官ヲ置キ國民更生金庫ノ業務ヲ監視
セシム·
第三十五條國民更生金庫監理官ハ何時
ニテモ國民更生金庫ノ業務及財產ノ狀
況ヲ檢査スルコトヲ得
國民更生金庫監理官ハ必要アリト認ム
ルトキハ何時ニテモ國民更生金庫ニ命
ジテ業務及財產ノ狀況ヲ報告セシムル
コトヲ得
國民更生金庫監理官ハ國民更生金庫ノ
諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スル
コトヲ得
第三十六條役員ガ法令、定款若ハ主務
大臣ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル
行爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ之ヲ
解任スルコトヲ得
第三十七條政府ハ國民更生金庫ニ對シ
第十七條ニ規定スル業務ニ因リテ受ケ
タル損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコト
ヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ補償
金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金
額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第一項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大藏大
臣之ヲ定ム
第三十八條前條第一項ノ損失及其ノ額
ハ國民更生金庫損失審査會之ヲ決定ス
國民更生金庫損失審査會ノ組織及權限
ハ勅令ヲ以テ之ラ定ム
第七章罰則
第三十九條左ノ場合ニ於テハ國民更生
金庫ノ理事長、理事又ハ監事ヲ千圓以
下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第十八條ノ規定ニ違反シ業務上ノ
餘裕金ヲ運用シタルトキ
四第十九條又ハ第二十一條第二項ノ
規定ニ違反シ更生債劵ノ發行ヲ爲シ
又ハ償還ヲ爲サザルトキ
五主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分
ニ違反シタルトキ
六國民更生金庫監理官ノ檢査ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ命ズル
報告ヲ爲サザルトキ
第四十條左ノ場合ニ於テハ國民更生金
庫ノ理事長、理事又ハ監事ヲ五百圓以
下ノ過料ニ處ス
本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令
ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ
不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二第二十九條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナク
シテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第四十一條第十條ノ規定ニ違反シ國民
更生金庫又バ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒ
タル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第四十二條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第四十三條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ
國民更生金庫ノ設立ニ關スル事務ヲ處
理セシム
第四十四條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府以外ノ出資者ノ出資ノ申込書ト共ニ
之ヲ主務大臣ニ提出シ設立ノ認可ヲ申
請スベシ
前項ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ
遲滯ナク出資ノ拂込ヲ爲サシムルコト
乙酸、
第四十五條出資ノ拂込完了シタルトキ
ハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ國民
更生金庫理事長ニ引繼グベシ
理事長前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルト
キハ理事長、理事及監事ノ全員ハ設立
ノ登記ヲ爲スベシ
國民更生金庫ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因
リテ成立ス
第四十六條本法施行ノ際現ニ國民更生
金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フル者
ハ本法施行後六月以內ニ其ノ名稱ヲ變
更スルコトヲ要ス
第十條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前項
ニ揭グル者ニ適用セズ
第四十七條國民更生金庫ガ財團法人國
民更生金庫ノ權利ヲ讓受ケ又ハ其ノ義
務ヲ引受ケントスル場合ニ於テハ主務
大臣ノ認可ヲ受クベシ
前項ノ讓受又ハ引受ハ財團法人國民更
生金庫ノ解散ノ日ニ於ケル財產目錄ニ
記載シタル價額ニ依ルコトヲ得
國民更生金庫ガ前項ノ價額ニ依リ第一
項ノ讓受又ハ引受ヲ爲シタルニ因リ受
ケタル損失ハ之ヲ第三十七條第一項ノ
損失ト看做ス
第四十八條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「庶民金庫」ノ上ニ
「國民更生金庫、〓、「庶民金庫法」ノ
上ニ「國民更生金庫法、」ヲ加フ
同條第十七號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
十七ノ二國民更生金庫ガ國民更生
金庫法第十七條ニ規定スル業務ノ
爲ニスル權利ノ取得又ハ所有權ノ
保存ノ登記又ハ登錄
同條第十八號中「庶民金庫」ノ上ニ「國
民更生金庫、」ヲ加フ
第四十九條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第五號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フe
五ノ三國民更生金庫ノ業務ニ關ス
ル證書帳簿及更生債劵
第五十條政府出資特別會計法中左ノ通
改正ス
第五條ニ左ノ一項ヲ加フ
公債ノ交付ニ依リ出資ヲ爲ス爲必要
アルトキハ政府ハ前項ノ規定ニ依ル
ノ外本會計ノ負擔ニ於テ公債ヲ發行
スルコトヲ得
日本勸業銀行法中改正法律案
日本勸業銀行法中左ノ通改正ス
第十四條日本勸業銀行ハ五十箇年以內
ニ於テ割賦償還ノ方法ニ依リ不動產ヲ
抵當トシテ貸付ヲ爲スモノトス
日本勸業銀行ハ不動產ヲ抵當トシ五箇
年以內ノ定期償還貸付ヲ爲スコトヲ得
但シ水產業ノ爲貸付ヲ爲ス場合ニ於テ
ハ漁業權又ハ漁船ヲ抵當ト爲シ、山林
ヲ抵當トシテ貸付ヲ爲ス場合ニ於テハ
二十箇年以內ノ定期償還貸付ヲ爲スコ
トヲ得
前項ノ貸付金額及第三十一條ノ二ノ貸
付金額ハ拂込資本金額及積立金總高ノ
二倍ヲ超過スルコトヲ得ス
法律ノ規定ニ依リ一箇ノ物ト看做サル
ル財團ハ本法ノ適用ニ付キテハ之ヲ不
動產ト看做ス
第十四條ノ二中「拂込資本金額」ノ下ニ
「、積立金總高」ヲ加フ
第十五條第二項中「年賦償還貸付」ヲ
賦償還貸付」ニ、同條第三項中「重要輸出
品工業組合」ヲ「工業組合」ニ、「年賦償還
貸付」ヲ「割賦償還貸付」ニ改ム
同條第四項ヲ左ノ如ク改ム
五人以上ノ農業者、林業者、工業者又
ハ漁業者申合セ連帶責任ヲ以テ借用ヲ
申出タルトキハ其ノ信用ノ確實ナルモ
ノニ限リ五箇年以內ニ於テ定期償還ノ
方法ニ依リ又ハ十箇年以內ニ於テ割賦
償還ノ方法ニ依リ無抵當貸付ヲ爲スコ
トヲ得但シ農工銀行ノ存在スル府縣內
ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
同條第五項中「年賦償還貸付」ヲ「割賦償
還貸付」ニ改ム
第十五條ノ二、第十六條及第十八條中「漁
業權」ノ下ニ「又ハ漁船」ヲ加フ
第十九條日本勸業銀行ハ財團ヲ抵當ト
スル貸付ヲ爲サントスル場合ニ於テ財
團設定ニ關スル登記又ハ登錄ノ申請アリ
テ其ノ財團ノ設定セラルルコト確實ト
認メタルトキハ抵當權設定ノ登記又ハ登
錄ノ完了前ト雖貸付ヲ爲スコトヲ得
第二十一條中「年賦償還」ヲ「割賦償還」
ニ、「据置年限」ヲ「据置期間」ニ、「年限
間」ラ「期間内」ニ改ム
第二十一條ノ二中「年賦償還期限」ヲ罰
賦償還期限」ニ、「掘置年限」ヲ「据置期間」
二五六人
第二十二條中「年賦金」ヲ「割賦金」ニ改
ム
第二十三條中「年賦償還」ヲ「割賦償還」ニ
改ム
第二十五條及第二十八條中「年賦金」ヲ
「割賦金」ニ改ム
第三十一條中「年賦償還貸付金」ヲ「割賦
償還貸付金」ニ、「年賦償還」ヲ「割賦償還」
二郎八
第三十一條ノ四中「拂込資本金額」ノ下ニ
「及積立金總高」ヲ加フ
第三十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
日本勸業銀行ハ左ノ方法ニ依ルノ外前
條ノ預リ金又ハ營業上ノ餘裕金ヲ使用
スルコトヲ得ス
一預リ金四分ノ一以上ハ國債證劵若
ハ大藏大臣ノ認可ヲ受ケタル有價證
劵ノ應募、引受若ハ買入ヲ爲シ又ハ
大藏省預金部若ハ大藏大臣ノ認可ヲ
受ケタル銀行ニ預入ヲ爲スコト但シ
國債證劵以外ノ有價證劵ノ保有額ハ
預リ金ノ總額ヲ超過スルコトヲ得ス
二前號ノ證劵又ハ農產物、林產物、
水產物若ハ工業製造品ヲ擔保トスル
手形ノ割引又ハ短期貸付ヲ爲スコト
三產業組合、蠶絲共同施設組合、工
業組合、漁業組合若ハ其ノ聯合會又
ハ特別ノ法令ニ依リ設立セラレ農林
若ハ水產ニ關スル事業ヲ營ム法人ニ
シテ大藏大臣ノ認可ヲ受ケタルモノ
ニ對シ手形ノ割引又ハ當座預金貸越
ヲ爲スコト
四五人以上ノ農業者、林業者、工業
者又ハ漁業者中合セ連帶責任ヲ以テ
借用ヲ申出タルトキハ其ノ信用ノ確
實ナルモノニ限リ無擔保ニテ短期貸
付ヲ爲スコト但シ農工銀行ノ存在ス
ル府縣內ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
五公共團體ニ對シ短期貸付ヲ爲スコ
ト
第三十四條中「年賦償還貸付金總高」ヲ
「割賦償還貸付金總高」ニ改ム
第三十五條ノ四ヲ第三十五條ノ五トス
第三十五條ノ四賣出ノ方法ニ依リ發行
シタル勸業債劵ニ付キテハ變更ノ登記
ハ之ヲ爲スコトヲ要セス但シ其ノ總額
ノ償還アリタルトキハ其ノ登記ヲ爲シ
且每年末ニ於ケル其ノ償還ヲ了ヘサル
額ノ合計額ヲ本店ノ所在地ニ於テハ四
週間、支店ノ所在地ニ於テハ五週間以
內ニ登記スルコトヲ要ス
第三十六條及第三十九條中「年賦償還貸
付金」ヲ「割賦償還貸付金」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
復興貯蓄債劵法第九條及臨時資金調整法
第十五條中「第三十五條ノ二、第三十五
條ノ三、」ヲ「第三十五條ノ二乃至第三十
五條ノ四、」ニ改ム
北海道拓殖銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中左ノ通改正ス
第七條第一項中「年賦償還」ヲ「割賦償還」
ニ、「又ハ漁業權」ヲ「、漁業權又ハ漁船」ニ
改メ同項第二號ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ山林ヲ抵當トシテ貸付ヲ爲ス場合
ニ於テハ二十箇年以內ノ定期償還貸付
ヲ爲スコトヲ得
同條第三項中「漁業權」ノ下ニ「又ハ漁船」
ヲ加フ
同條第四項ヲ左ノ如ク改ム
法律ノ規定ニ依リ一箇ノ物ト看做サル
ル財團ハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ不動
產ト看做ス
第八條中「年賦」ヲ「割賦」ニ、「十人以上
ノ農業者、」ヲ「五人以上ノ農業者、林業
者、」ニ、「年賦償還」ヲ「割賦償還」ニ、十重
要輸出品工業組合」ヲ「工業組合」ニ改ム
第八條ノ三中「年賦償還」ヲ「割賦償還」
ニ、「据置年限」ヲ「据置期間」ニ、「年賦償
還期限」ヲ「割賦償還期限」ニ改ム
第十一條ノ二中「年賦金」ヲ「割賦金」ニ改
ム
第十二條中「年賦償還貸付金總高」ヲ割
賦償還貸付金總高」一六、大
第十三條、第十四條及第二十條中「年賦
償還貸付金」ヲ「割賦償還貸付金」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
農工銀行法中改正法律案
農工銀行法中左ノ通改正ス
第六條中「年賦償還」ヲ「割賦償還」ニ、「十
人以上ノ農業者、」ヲ「五人以上ノ農業者、
林業者、」ニ改メ同條第二號ニ左ノ但書ヲ
加フ
但シ山林ヲ抵當トシテ貸付ヲ爲ス場合
ニ於テハ二十箇年以內ノ定期償還貸付
ヲ爲スコトヲ得
第六條ノ二及第七條中「拂込資本金額」ノ
下ニ「、積立金總高」ヲ加フ
第七條ノ二中「漁業權」ノ下ニ「又ハ漁
船」ヲ加フ
第七條ノ五中「重要輸出品工業組合」ヲ
「工業組合」ニ改ム
第七條ノ六、第八條及第十條中「漁業權」
ノ下ニ「又ハ漁船」ヲ加フ
第十一條農工銀行ハ財團ヲ抵當トスル
貸付ヲ爲サントスル場合ニ於テ財團設
定ニ關スル登記ノ申請アリテ其ノ財團
ノ設定セラルルコト確實ト認メタルト
キハ抵當權設定ノ登記ノ完了前ト雖貸
付ヲ爲スコトヲ得
第十三條中「年賦償還」ヲ「割賦償還」ニ、
「据置年限」ヲ「据置期間」ニ、「年限間」ヲ
「期間內」ニ改ム
第十三條ノ二中「年賦償還期限」ヲ「割賦
償還期限」ニ、「据置年限」ヲ「据置期間」
三六人
第十四條中「年賦金」ヲ「割賦金」ニ改ム
第十五條中「年賦償還」ヲ「割賦償還」ニ改
ム
第十七條及第二十條中「年賦金」ヲ「割賦
金」ニ改ム
第二十二條中「拂込資本金額」ノ下ニ「及
積立金總高」ヲ加フ
第二十三條中「農產物、」ノ下ニ「林產物、」
ヲ加ヘ同條中「重要輸出品工業組合」ヲ
「工業組合」ニ、「十人以上ノ農業者、」ヲ
「五人以上ノ農業者、林業者、」ニ改ム
第二十四條中「年賦償還貸付金」ヲ「割賦
償還貸付金」ニ、「年賦償還」ヲ「割賦償還」
二六人
第二十六條中「年賦償還貸付金總高」ヲ
「割賦償還貸付金總高」ニ改ム
第二十七條及第三十條中「年賦償還貸付
金」ヲ「割賦償還貸付金」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣河田烈君登摘[]発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=13
-
014・河田烈
○國務大臣(河田烈君) 只今一括上程セラ
レマシタ日程第三乃至第七ノ議案ニ付キマ
シテ、一括致シマシテ說明申上ゲマス
先ヅ第一ニ國民貯蓄組合法案ニ付テ申上
ゲマス、政府ニ於キマシテハ今次事變ノ勃
發以來戰時財政經濟ノ圓滑ナル運行ヲ圖ル
爲メ、國民貯蓄ノ奬勵ニ力ヲ致シテ參ツタ
ノデゴザイマスガ、就中國民貯蓄組合ノ結
成ニ依リ、貯蓄ノ奬勵ヲ行フコトノ極メテ
重要ナルヲ認メマシテ、是ガ普及發達ニ力
ヲ注イデ居ルノデゴザイマス、卽チ組合ヲ
結成シ、團體的ニ、組織的ニ國民貯蓄ヲ實
行セシメマシテ、
〔議長退席、副議長着席〕
以テ戰時資金ノ蓄積ノ遺憾ナキヲ期シテ參
ツタ次第デゴザイマス、而モ國民貯蓄組合
ノ運營ニ付キマシテハ適當ナル指導監督
ヲ加ヘ、大體ニ於キマシテ所期ノ發達ヲ見
テ來タノデゴザイマスガ、今後一層此ノ組
合ヲ核心トシテ、國民貯蓄ノ增强ヲ圖ラネバ
ナラヌ秋ニ當リマシテハ、更ニ之ヲ整備致
シ、一面助成ノ途ヲ拓クト共ニ、他方一層
ノ指導監督ヲ加ヘマシテ、組合ノ健全ナル
發達ヲ圖リ、以テ現下ノ財政經濟ノ運行ニ
對處致シタイト存ジマシテ、本法案ヲ提出
致シタ次第デゴザイマス
次ニ國民更生金庫法案ニ付キマシテ御說
明申上ゲマス、我ガ國經濟組織ニ於テ重要
ナル地位ヲ占メテ居リマス所ノ中小商工業
者ニ對シマシテハ、常ニ適切ナル施策ヲ講
ジ、國民生活ノ安定ニ資スルノ要ガアリマ
スコトハ、今更申上ゲルマデモナイ所デゴ
ザイマス、而シテ支那事變ノ進展ニ伴ヒマ
シテ殊ニ最近ノ如ク緊迫セル國際情勢ノ
下ニ於キマシテハ、國內經濟ノ統制ガ更ニ
强化セラレル運命ニアルコトハ已ムヲ得ナ
イ所デゴザイマスルガ其ノ結果一部ノ中
小商工業者ニ對シマシテハ少カラザル影
響ヲ與フルコトトナルモノト考ヘラレルノ
デゴザイマス、政府ハ是等中小商工業者ニ
對シマシテハ、低利資金ノ融通、中小商工
業資金融通損失補償制度ノ擴充、商工組合
中央金庫ノ活動ノ促進ナドノ措置ヲ講ジマ
シテ、是ガ維持育成ニ努メテ參ツテ居ルノデ
ゴザイマスガ、ソレニモ拘ラズ轉業又ハ廢
業ノ餘儀ナキニ立至ル者ニ對シマシテハ
軍需產業其ノ他ノ方面へノ轉換ヲ指導シ、
補助金ノ交付、低利資金ノ融通等、諸般ノ
施策ヲ實行シテ參ツタノデゴザイマスガ、
尙ホ是ガ十全ヲ期スルガ爲メ、政府ハ此ノ
度國民職業指導所及ビ國民勤勞訓練所ト相
竝ビマシテ、國民更生金庫ヲ設ケルコトト
致シタ次第デゴザイマス、卽チ國民更生金
庫ニ付キマシテハ暫定的ノ措置ト致シマ
シテ、昨年十二月民法ニ基ク財團法人國民
更生金庫ノ設立ヲ見タノデゴザイマスガ
業務ノ性質上民法上ノ法人デハ十分ナラザ
ルノ憾ミガアリマスノデ、此ノ度特別ノ法
律ヲ制定シ、特別法人ヲシテ之ニ當ラシム
ルコトニ致シタイト存ズル次第デゴザイマ
ス、國民更生金庫ハ時局ノ西女ニニジジ廢廢
業ヲナサントスル中小商工業者等ノ爲ニ、
其ノ資產及ビ負債ノ整理ヲ容易ナラシメ、
是等ノ者ヲシテ容易ニ新シイ職域ニ進出致
シ、奉公ノ誠ヲ致サセルコトヲ目的トスル
モノデゴザイマシテ、現下ノ事態ニ顧ミ緊要
ノ施設デアルト信ズル次第デゴザイマス
其ノ次ニ日本勸業銀行法中改正法律案、
是ハ便宜上他ノ二案卽チ北海道拓殖銀行法
中改正法律案及ビ農工銀行法中改正法律
案、之ヲ一括シテ說明申上ゲタイト存ジマ
ス
日本勸業銀行法及ビ農工銀行法ハ明治二
十九年、又北海道拓殖銀行法ハ明治三十二
年ノ制定ニ係ルモノデゴザイマシテ、是等ノ
法律ハ當初不動產銀行ノ堅實ナル發達ヲ期
スルガ爲ニ、其ノ業務ニ對シ嚴重ナル制限
ヲ設ケタノデゴザイマスルガ、是等ノ銀行
ハ創立ノ後、何レモ順調ナル發展ヲ示シマ
シテ、其ノ信用モ漸次加ハルニ從ヒマシテ、
是等ノ法律ニ依ル制限ガ嚴ニ失スルノ嫌ヒ
アルニ至リマシタノデ、今日マデ屢〓其ノ改
正ヲ行ツテ參リマシテ、時勢ノ進運ニ卽應
セシメテ參ツタノデゴザイマス、然ルニ今
次事變ノ進展ニ伴ヒマシテ、我ガ國經濟界
ガ飛躍的ナ發達ヲ遂グルニ際シマシテ、是
等銀行ガ今日ノ時局下ニ於テ擔當致スベキ
任務モ、亦一層重大トナツテ參ツタノデゴ
ザイマス、而シテ斯カル情勢ニ對處スル爲
ニハ是等ノ銀行ノ機能ヲ一層擴充スルノ
必要ガ認メラレマスルノデ、玆ニ本案ヲ提
出シタ次第デゴザイマス、以上各案ニ對シ
マシテ何卒御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレン
コトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=14
-
015・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=15
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016・服部崎市
○服部崎市君 日程第三乃至第七ノ五案ヲ
一括シテ議長指名十八名ノ委員ニ付託サレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=16
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017・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=17
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018・田子一民
○副議長(田子一民君)ゝ御異議ナシト認メ マンク、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第八及ビ第九ハ便宜上一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=18
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019・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第八、人造石油製造事業法
中改正法律案、日程第九、帝國燃料興業株
式會社法中改正法律案、右兩案ヲ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス-小島商工次官
第八人造石油製造事業法中改正法律
案(政府提出)第一讀會
第九帝國燃料興業株式會社法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
人造石油製造事業法中改正法律案
人造石油製造事業法中左ノ通改正ス
第九條人造石油製造會社其ノ製造シタ
ル人造石油ヲ販賣セントスルトキハ政
府ノ定ムル價格ニ依ルベシ但シ特別ノ
事情ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケタル場合
ハ之ト異リタル價格ニ依ルコトヲ得
前項本文ノ價格ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ生產費及相當利益ヲ參酌シテ之ヲ定
ム
第十條削除
第十六條第一項中「販賣價格ノ變更其ノ
他」ヲ削リ同條第二項中「製造方法ノ改
善」ノ下ニ「其ノ他生產ニ關シ必要ナル事
項」ヲ加フ
第十八條中「其ノ所有スル」ヲ「其ノ製造
シタル」ニ、「時價ヲ標準トシテ」ヲ「第九
條第一項ノ價格ニ依リ」二六六
第十九條削除
第二十二條人造石油製造會社左ノ各號
ノ一ニ該當スルトキハ其ノ取締役又ハ
其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ三千圓以下ノ
罰金ニ處ス
ー第九條第一項ノ規定ニ違反シ同條
同項ノ價格ニ依ラズシテ人造石油ヲ
販賣シタルトキ
二第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依
ル命令ニ違反シタルトキ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ人造石油製造會社ノ製造シ
タル人造石油ニ係ル奬勵金及其ノ返還金
竝ニ本法施行前ニ交付シタル奬勵金ノ返
還金ニ付テハ第九條及第十條ノ改正規定
ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
帝國燃料興業株式會社法中改正法律案
帝國燃料興業株式會社法中左ノ通改正ス
第十條第二項中「株主中ヨリ株主總會ニ
於テ二倍ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨ
リ之ヲ命ジ」ヲ「株主總會ニ於テ之ヲ選任
シ政府ノ認可ヲ受クルモノトシ」三菱八一
同條第三項中「株主中ヨリ」ヲ削ル
第十三條第一項中「三倍」ヲ「五倍」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ理事ノ職ニ在ル者ノ在、
職ニ付テハ第十條第二項ノ改正規定ニ拘
ラズ仍從前ノ例ニ依ル
〔政府委員小島新一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=19
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020・小島新一
○政府委員(小島新一君) 只今議題トナリ
マシタ人造石油製造事業法中改正法律案竝
ニ帝國燃料興業株式會社法中改正法律案ノ
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
人造石油製造事業ハ我ガ國液體燃料需
給ノ實情ニ鑑ミマシテ、今後一段ノ强化擴
充ヲ要スルモノトアリマシテ、是ガ振興及
ビ助長ニ對處スル爲メ、兩法中一部改正ヲ
致シタイト存ズルノデアリマス
人造石油製造事業法ニ付キマシテハ、人
造石油ノ生產ガ今後大量且ツ多種類トナル
コトヲ考慮シマシテ、現行ノ奬勵金交付制
度ヲ廢止シ、適正價格ヲ公定シ、石油共販株
式會社ヲシテ一括購入セシメ、從來各社別
ニ交付致シテ居リマシタ奬勵金ハ之ヲ石
油共販株式會社ニ一括交付シマシテ、石油
價格ノ昂騰ヲ避ケタイト考ヘマス、次ニ人
造石油製品ハ今後品種竝ニ數量ニ付テ、
軍民ノ需要ト合致セシムル必要ガアリマス
爲メ、生產ノ調整ヲナシ得ルヤウ規定セン
トスルモノデアリマス
帝國燃料興業株式會社法ニ付キマシテハ、
人造石油製造事業ノ强化ニ對應シマシテ、
資金ノ調達ヲ圓滑ナラシムル爲メ、取敢ズ
同社ノ社債發行限度ヲ五倍ニ擴大シ、之二
備ヘントスルモノデアリマス、以上ガ今囘
改正法律案ヲ提出致シマシタ骨子デアリマ
ス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ賜ハラ
ンコトヲ御願ヒ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=20
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021・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=21
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022・服部崎市
○服部崎市君 日程第八及ビ第九ノ函案ハ、
一括シテ政府提出、昭和十二年法律第九十
二號中改正法律案委員ニ併セ付託サレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=22
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023・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=23
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024・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=24
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025・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ政府提出、帝國石油株
式會社法案ハ、只今委員ニ付託セラレタル
日程第八及ビ第九ト關聯セル議案ナルニ付
キ、此ノ際特ニ上程シ、其ノ審議ヲ進メラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=25
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026・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=26
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027・田子一民
○副議長(田子一民) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-帝
國石油株式會社法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-小島商工次官
帝國石油株式會社法案(政府提出)
第一讀會
帝國石油株式會社法案
帝國石油株式會社法
第一章總則
第一條帝國石油株式會社ハ石油資源ノ
開發ヲ促進シ石油事業ノ振興ヲ圖ル爲
必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル
株式會社トス
第二條帝國石油株式會社ノ資本ハ一億
圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加
スルコトヲ得
第三條政府ハ五千萬圓ヲ限リ帝國石油
株式會社ニ出資スベシ
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ
株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコト
ヲ得
第四條帝國石油株式會社ノ株金ノ第一
囘拂込金額ハ株金ノ五分ノ一迄下ルコ
トヲ得
第五條帝國石油株式會社ノ株式ハ記名
式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ
帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ
執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額
以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ
外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所
有スルコトヲ得
第六條帝國石油株式會社ニ非ザルモノ
ハ帝國石油株式會社又ハ之ニ類似ノ名
稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第二章役員
第七條帝國石油株式會社ニ總裁副總裁
各一人、理事三人以上及監事二人以上
乙酸ク
第八條總裁ハ帝國石油株式會社ヲ代表
シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ補助シ帝國石油
株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ帝國石油株式會社ノ業務ヲ監査
ス
第九條總裁及副總裁ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ政府
ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四
年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
第十條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職務
又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政
府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第三章營業
第十一條帝國石油株式會社ハ左ノ事業
ヲ營ムモノトス
-石油資源ノ調査又ハ開發
二石油ノ賣買
三石油資源ノ開發事業ニ對スル資金
ノ融通又ハ投資
四前各號ノ事業ニ附帶スル事業
帝國石油株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ
前項ノ事業ノ外本會社ノ目的達成上必
要ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第四章帝國石油債劵
第十二條帝國石油株式會社ハ拂込ミタ
ル株金額ノ三倍ヲ限リ帝國石油債劵ヲ
發行スルコトヲ得
帝國石油債劵ヲ發行スル場合ニ於テハ
商法第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依
ルコトヲ要セズ
第十三條帝國石油債劵ヲ發行セントス
ル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十四條政府ハ帝國石油債劵ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ
得
第十五條帝國石油債劵ノ所有者ハ帝國
石油株式會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ
先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利
ヲヨハ
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第五章準備金
第十六條帝國石油株式會社ハ每營業年
度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲
利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ且利
益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金額ノ
百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第六章監督及助成
第十七條政府ハ帝國石油株式會社ノ業
務ヲ監督ス
第十八條帝國石油株式會社借入金ヲ爲
サントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベ
シ
第十九條定款ノ變更、利益金ノ處分、
合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十條帝國石油株式會社ハ每營業年
度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受ク
ベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十一條政府ハ帝國石油株式會社ノ
業務ニ關シ監督上又ハ石油事業ノ振興
上其ノ他公益上必要ナル命令ヲ爲スコ
トヲ得
第二十二條政府ハ帝國石油株式會社ノ
業務ニ關シ軍事上必要ナル命令ヲ爲ス
コトヲ得
第二十三條政府ハ帝國石油株式會社監
理官ヲ置キ帝國石油株式會社ノ業務ヲ
監視セシム
第二十四條帝國石油株式會社監理官ハ
何時ニテモ帝國石油株式會社ノ金庫、
帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査スルコト
ヲ得
帝國石油株式會社監理官必要アリト認
ムルトキハ何時ニテモ帝國石油株式會
社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀
況ヲ報〓セシムルコトヲ得
帝國石油株式會社監理官ハ株主總會其
ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述ス
ルコトヲ得
第二十五條政府ハ帝國石油株式會社ノ
決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基
キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公
益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取
消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十六條帝國石油株式會社ハ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ
達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對シ利
益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十七條帝國石油株式會社ノ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ
達セザルトキ(利益金額ナキトキ及缺
損ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ第
十營業年度迄之ニ達セシムベキ金額ヲ
補給スベシ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還
ニ充ツベシ
第十營業年度迄每營業年度ニ於ケル配
當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ
所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對
シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ
其ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立
ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙
殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看
徹ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年
度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金
ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益
金ト看做ス
第二十八條帝國石油株式會社ノ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所
有スル株式ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超エ利益配當ヲ爲サントスルトキハ其
ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ總株
式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均一ノ
割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所有ス
ル株式ノ拂込ミタル株金額及政府ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ
一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第二十九條帝國石油株式會社ニハ命令
ノ定ムル所ニ依リ本法施行ノ年及其ノ
翌年ヨリ十年間其ノ事業ニ付所得ニ對
スル法人稅及營業稅ヲ免除ス
帝國石油株式會社ノ所得又ハ純益ガ各
事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十
ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル
トキハ其ノ超過額ニ相當スル所得又ハ
純益ニ付テハ前項ノ規定ヲ適用セズ但
シ本法施行ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間
ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ資本金額ノ計算方法ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第十一條ノ規定ニ依ル資金ノ融通又ハ
投資ヨリ生ズル帝國石油株式會社ノ甲
種ノ配當利子所得ニシテ第一項ニ規定
スル法人稅及營業稅ノ免除期間內ニ生
ジタルモノニハ命令ノ定ムル所ニ依リ
分類所得稅ヲ課セズ
第三十條北海道、府縣及市町村其ノ他
之ニ準ズベキモノハ前條ノ期間帝國石
油株式會社ニハ前條第二項ノ規定ニ依
リ賦課セラレタル營業稅ノ附加稅ヲ除
クノ外其ノ事業ニ對シ地方稅ヲ課スル
コトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府
ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第七章罰則
第三十一條帝國石油株式會社左ノ各號
ノ一ニ該當スルトキハ總裁又ハ總裁ノ
職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁ヲ五千
圓以下ノ過料ニ處ス副總裁又ハ理事ノ
分掌業務ニ係ルトキハ副總裁又ハ理事
ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ
於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第十一條ノ規定ニ依ラズシテ業務
ヲ營ミタルトキ
三第十二條第一項ノ規定ニ違反シ帝
國石油債劵ヲ發行シタルトキ
四第二十一條又ハ第二十一一條ノ規定
ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第三十二條帝國石油株式會社ノ總裁、
副總裁又ハ理事第十條ノ規定ニ違反シ
タルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十三條第六條ノ規定ニ違反シタル
者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第三十四條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十五條昭和十五年七月二十四日設
立セラレタル帝國石油資源開發株式會
社(以下帝國石油資源開發株式會社ト
稱ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ商法第三
百四十三條ニ定ムル株主總會ノ決議ヲ
以テ帝國石油株式會社ト爲ルコトヲ得
帝國石油資源開發株式會社前項ノ決議
ヲ爲シタルトキハ政府ノ認可ヲ受クベ
シ
第三十六條前條ノ認可ヲ爲シタルトキ
ハ政府ハ設立委員ヲ命ジ帝國石油資源
開發株式會社ヲ帝國石油株式會社ト爲
ス爲ニ必要ナル事務ヲ處理セシム
前項ノ設立委員ノ中少クトモ二人ハ帝
國石油資源開發株式會社ノ取締役ノ中
ヨリ之ヲ命ズルコトヲ要ス
設立委員ノ任命アリタル後ハ帝國石油
資源開發株式會社ノ取締役ハ政府ノ認
可ヲ受クルニ非ザレバ會社ノ常務ニ屬
セザル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第三十七條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第三十八條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ總株式ヨリ帝國石油資源開
發株式會社ノ株式ニ引當テラルベキ株
式及政府ニ割當ツベキ株式ヲ控除シタ
ル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第三十九條株式申込證ニハ商法第百七
十五條第二項第二號及第四號乃至第七
號ニ規定スル事項ノ外定款認可ノ年月
日ヲ記載スベシ
第四十條設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リ
タルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出シ
其ノ檢査ヲ受クベシ
第四十一條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各新株ニ付第一囘ノ
拂込ヲ爲サシムベシ
第四十二條前條ノ拂込アリタルトキハ
設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集ス
ベシ
第四十三條創立總會ニ於テハ第九條ノ
規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行フベ
シ
第四十四條創立總會終結シタルトキハ
設立委員ハ其ノ事務ヲ帝國石油株式會
社總裁ニ引渡スベシ
第四十五條帝國石油株式會社ノ成立ニ
因リ帝國石油資源開發株式會社ハ之ニ
吸收セラルルモノトシ帝國石油資源開
發株式會社ノ權利義務ハ帝國石油株式
會社ニ於テ之ヲ承繼ス
第四十六條前條ノ規定ニ依リ帝國石油
資源開發株式會社ガ帝國石油株式會社
ト爲リタルトキハ法人稅法、營業稅法
及臨時利得稅法ノ適用ニ關シテハ帝國
石油資源開發株式會社ハ之ヲ合併ニ因
リテ消滅シタル法人ト看做シ帝國石油
株式會社ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタ
ル法人ト看做ス
帝國石油株式會社ガ設立ノ登記ヲ受ク
ルトキハ其ノ拂込株金額中帝國石油資
源開發株式會社ノ拂込株金額ニ相當ス
ル部分ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第四十七條第三十五條乃至前條ニ規定
スルモノヲ除クノ外帝國石油資源開發
株式會社ガ帝國石油株式會社ト爲ル場
合ニ於テ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第四十八條第三十五條第一項ノ決議ナ
キ場合又ハ其ノ決議ガ效力ヲ生ゼザル
場合ニ於テ帝國石油株式會社ノ設立ニ
關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第四十九條本法施行ノ際現ニ帝國石油
株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ商
號ト爲ス會社ハ本法施行後六月以內ニ
其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第三十三條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ
前項ニ揭グル者ニ適用セズ
第五十條登錄稅法第六條第一項第十一
號中「燃料興業債劵、」ノ下ニ「帝國石油
債劵、」ヲ加フ
〔政府委員小島新一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=27
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028・小島新一
○政府委員(小島新一君) 只今議題トナリ
マシタ帝國石油株式會社法案ノ提案ノ理由
ヲ御說明申上ゲマス
石油ハ產業上竝ニ國防上極メテ重要ナル
資源デアリマシテ、其ノ自給ヲ確保致シマス
コトハ、現下ノ時局ニ鑑ミ、我ガ國最大ノ急務
デアルト信ズルノデアリマス、此ノ目的ノ爲
メ、政府ニ於キマシテハ內外石油資源ノ開發ヲ
圖ルト共ニ、人造石油事業ノ振興ヲ策シ、又
代用燃料ノ使用ヲ普及セシメ、燃料ノ合理的
利用ヲ講ジ、更ニ石油業ノ經營ノ合理化ヲ圖
ル等、各般ノ施策、施設ヲ實施致シマシテ、
自給確保ノ萬全ヲ期シツツアルノデアリマ
ス、就中石油資源ノ開發ハ、石油問題解決
ノ最モ基本的對策デアルト思料スルノデア
リマシテ、國內油田ニ付キマシテハ一部八一
石油資源開發法ヲ施行致シマシテ、從來實
施シテ參リマシタ石油試掘奬勵制度ヲ擴大
强化シ、國內石油資源ノ合理的開發ヲ圖ル
ト共ニ、海外石油資源ニ付テモ助成金ヲ交付
シ、其ノ事業ヲ助成シテ居ル有樣デアリマス
斯クノ如ク石油資源ノ開發促進ニ關シ
マシテハ、政府ニ於キマシテモ各般ノ施
設ヲ講ジテ參ツテ居ルノデアリマスガ、石
油資源開發事業ハ、其ノ事業ノ性質上、相當
困難ヲ伴フモノデアリ、之ヲ積極的ニ遂行
致シマスノニハ、非常ニ多額ノ資金、資材
優秀ナル技術ヲ必要トスルノデアリマス
仍テ政府ニ於キマシテハ、此ノ際石油資源
ノ積極的開發ヲ促進スル爲ニ、玆ニ半官半
民ノ資本組織ニ依ル資本金一億圓ノ特殊會
社ヲ設立セシメマシテ之ニ對シ五千万圓
ヲ出資致シマスルト共ニ、配當補給、社債
ノ元利支拂保證、租稅ノ免除等、特別ノ保
護助成ヲ與ヘ適當ナル指導監督ノ下ニ、
石油資源開發其ノ他ノ事業ヲ經營セシムル
コトト致シマシテ、帝國石油株式會社法ヲ
制定スルコトニ致シマシタ次第デアリマス、
何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ賜ハランコ
トヲ御願ヒ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=28
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029・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=29
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030・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=30
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031・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動ときい議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=31
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032・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マン、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十及ビ第十一ハ、便宜上一括議題トナス
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=32
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033・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マハ仍テ日程第十、東亞海運株式會社法
案〓日程第十一、郵便貯金法中改正法律案
ヲ一括シ第一讀會ヲ開キマス-村田遞信
大臣
第十東亞海運株式會社法案
(政府提出)第一讀會
第十一郵便貯金法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
東亞海運株式會社法案
東亞海運株式會社法
第一章總則
第一條東亞海運株式會社ハ支那ヲ中心
トスル本邦海運業ノ振興發展ヲ圖ルヲ
目的トスル株式會社トス
第二條東亞海運株式會社ノ資本ハ一億
圓トス但シ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加
スルコトヲ得
第三條政府ハ東亞海運株式會社ニ對シ
出資ヲ爲スコトヲ得
政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目
的ト爲スコトヲ得
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ
株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ
得
第四條東亞海運株式會社ノ株金ノ第一
囘拂込金額ハ株金ノ十分ノ一迄下ルコ
トヲ得
政府ハ金錢以外ノ財產ヲ以テ其ノ所有
スル株式ノ第二囘以後ノ株金拂込ニ充
ツルコトヲ得
第五條政府第三條第二項又ハ前條第二
項ノ規定ニ依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ
出資ノ目的ト爲シ又ハ其ノ所有スル株
式ノ株金拂込ニ充ツル場合ニ於テハ其
ノ財產ノ價格竝ニ之ニ對シテ與フル株
式ノ種類及數ニ付東亞海運株式會社政
府出資財產評價委員會ノ議ヲ經ベシ
東亞海運株式會社政府出資財產評價委
員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
商法第三百五十三條ノ規定ハ東亞海運
株式會社ニハ之ヲ適用セズ
第六條東亞海運株式會社ノ株式ハ記名
式トシ、政府、公共團體、帝國臣民又
ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半
額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若
ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ
所有スルコトヲ得
政府ノ許可ヲ受ケタル者ハ前項ノ規定
ニ拘ラズ東亞海運株式會社ノ株式ヲ所
有スルコトヲ得
第七條東亞海運株式會社ニ非ザルモノ
ハ東亞海運株式會社又ハ之ニ類似ノ名
稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第二章役員
第八條東亞海運株式會社ニ社長副社長
各一人、理事五人以上及監事二人以上
ヲ置ク
第九條社長ハ東亞海運株式會社ヲ代表
シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定
ムル所ニ從ヒ東亞海運株式會社ノ業務
ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
監事ハ東亞海運株式會社ノ業務ヲ監査
ス
第十條社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ政府
ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四
年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
第十一條社長、副社長及業務ヲ分掌ス
ル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スル
コトヲ得ズ但シ政府ノ認可ヲ受ケタル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
第三章業務
第十二條東亞海運株式會社ハ支那各港
間日本支那間支那第三國間ニ於ケル
海運業ヲ營ムモノトス
東亞海運株式會社ハ政府ノ命令ニ依リ
又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ノ外本
會社ノ目的達成上必要ナル附帶事業ヲ
營ムコトヲ得
第四章政府ノ監督及助成
第十三條政府ハ東亞海運株式會社ノ業
務ヲ監督ス
第十四條東亞海運株式會社社債ヲ募集
セントスルトキハ政府ノ認可ヲ受クベ
シ
第十五條定款ノ變更、利益金ノ處分、
合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十六條東亞海運株式會社ハ每營業年
度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受ク
ベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第十七條政府ハ東亞海運株式會社ノ業
務ニ關シ監督上又ハ公益上必要ナル命
令ヲ爲スコトヲ得
第十八條政府ハ何時ニテモ當該官吏ヲ
シテ東亞海運株式會社ノ金庫、帳簿及
諸般ノ文書物件ヲ檢査セシムルコトヲ
得
政府必要アリト認ムルトキハ何時ニテ
モ東亞海連株式會社ニ命ジテ業務ニ關
スル諸般ノ計算及狀況ヲ報〓セシムル
コトヲ得
第十九條政府ハ東亞海運株式會社ノ決
議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キ
テ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益
ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消
シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十條政府ハ其ノ指定スル定期航路
ヲ經營セシムル爲東亞海運株式會社ニ
對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付
スルコトヲ得
第二十一條東亞海運株式會社ハ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込金
額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ達スル迄
政府ノ所有スル株式ニ對シ利益ノ配當
ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十二條東亞海運株式會社ノ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ
達セザルトキハ政府ハ初營業年度及爾
後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額
ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ政府以外ノ
者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額
ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ相當スル額
及常該年度ニ於テ支拂ヒタル社債ノ利
息額ノ合計ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還·
ニ充ツベシ
東亞海運株式會社ハ每營業年度ニ於ケ
ル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル
株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過
スルトキハ其ノ超過額ヨリ前項ノ規定
ニ依ル償還金額ヲ控除シタル殘額ノ二
分ノ一以上ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツ
ベシ
前項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度
ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ
計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金
額ト看做ス
第二十三條東亞海運株式會社ノ每營業
年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ
政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込金
額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スル
場合ニ於テ政府以外ノ者ノ所有スル株
式ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ超エ利益
配當ヲ爲サントスルトキハ其ノ超過ス
ル利益金額ハ利益配當ガ總株式ニ付拂
込ミタル株金額ニ對シ均一ノ割合ニ達
スル迄政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込金額及政府ノ所有スル株式ノ拂込
金額ニ對シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ
配當スベシ
第二十四條東亞海運株式會社ハ商法ニ
規定スル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スル
コトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル
株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二十五條政府ハ東亞海運株式會社ノ
社債ノ元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保
證スルコトヲ得
第二十六條東亞海運株式會社ノ社債ノ
所有者ハ東亞海運株式會社ノ財產ニ付
他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟
ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第五章罰則
第二十七條東亞海運株式會社本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ社長又
ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社
長ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又
ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長
又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
第二十八條東亞海運株式會社ノ社長、
副社長及業務ヲ分掌スル理事第十一條
ノ規定ニ違反シタルトキハ千圓以下ノ
過料ニ處ス
第二十九條第七條ノ規定ニ違反シタル
者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第三十條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三十一條昭和十四年八月五日設立セ
ラレタル東亞海運株式會社(以下暫定會
社ト稱ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ商法
第三百四十三條ニ定ムル株主總會ノ決
議ヲ以テ東亞海運株式會社ト爲ルコト
ヲ得
暫定會社前項ノ決議ヲ爲シタルトキハ
政府ノ認可ヲ受クベシ
第三十二條前條ノ認可ヲ爲シタルトキ
ハ政府ハ設立委員ヲ命ジ暫定會社ヲ東
亞海運株式會社ト爲ス爲ニ必要ナル事
務ヲ處理セシム
前項ノ設立委員ノ中少クトモ二人ハ暫
定會社ノ取締役ノ中ヨリ之ヲ命ズルコ
トヲ要ス
設立委員ノ任命アリタル後ハ暫定會社
ノ取締役ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザ
レバ會社ノ常務ニ屬セザル行爲ヲ爲ス
コトヲ得ズ
第三十三條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第三十四條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ總株式ヨリ暫定會社ノ株式
ニ引當テラルベキ株式ヲ控除シタル殘
餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第三十五條株式申込證ニハ定款認可ノ
年月日竝ニ商法第百七十五條第二項第
二號及第四號乃至第七號ニ規定スル事
項ヲ記載スベシ
第三十六條設立委員ハ株主ノ募集ヲ終
リタルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出
シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第三十七條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各新株ニ付第一囘ノ
拂込ヲ爲サシムベシ
第三十八條前條ノ拂込アリタルトキハ
設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集ス
ベシ
創立總會ノ決議ハ新株ノ引受人及新株
ノ引受ヲ爲サザル暫定會社ノ株主ノ合
計ノ半數以上ニシテ資本ノ半額以上ニ
當ル者出席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以
テ之ヲ爲ス
第三十九條創立總會ニ於テハ第十條ノ
規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行フベ
シ
第四十條創立總會終結シタルトキハ設
立委員ハ其ノ事務ヲ東亞海運株式會社
社長ニ引渡スベシ
第四十一條商法第百六十七條、第百八
十一條及第百八十五條ノ規定ハ東亞海
運株式會社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第四十二條東亞海運株式會社ノ成立ニ
因リ暫定會社ハ之ニ吸收セラルルモノ
トシ暫定會社ノ權利義務ハ東亞海運株
式會社ニ於テ之ヲ承繼ス
第四十三條前條ノ規定ニ依リ暫定會社
ガ東亞海運株式會社ト爲リタルトキハ法
人稅法及營業稅法ノ適用ニ關シテハ暫
定會社ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル
法人ト看做シ東亞海運株式會社ハ之ヲ
合併ニ因リテ設立シタル法人ト看做ス
東亞海運株式會社ガ設立ノ登記ヲ受ク
ルトキハ其ノ拂込株金額中暫定會社ノ拂
込株金額ニ相當スル部分ニ付テハ登錄
稅ヲ課セズ東亞海運株式會社ガ前條ノ
規定ニ依リ暫定會社ヨリ不動產又ハ船
舶ニ關スル權利ヲ承繼スル場合ニ於ケ
ル其ノ取得ニ付登記ヲ受クルトキ亦同
前條ノ規定ニ依ル暫定會社ヨリ東亞海
運株式會社ヘノ有價證劵ノ移轉ニ付テ
ハ有價證劵移轉稅ヲ課セズ
第四十四條第三十一條乃至前條ニ規定
スルモノヲ除クノ外暫定會社ガ東亞海
運株式會社ト爲ル場合ニ於テ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十五條第三十一條第一項ノ決議ナ
キ場合又ハ其ノ決議ガ效力ヲ生ゼザル
場合ニ於テハ東亞海運株式會社ノ設立
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
第四十六條本法施行ノ際現ニ東亞海運
株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ商
號ト爲ス會社ハ本法施行後六月以內ニ
其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第七條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ前項
ニ揭グル者ニ適用セズ
郵便貯金法中改正法律案
郵便貯金法中左ノ通改正ス
第三條第一項中「十錢」ヲ「五十錢」ニ、「二
千圓」ヲ「三千圓」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣村田省藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=33
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034・村田省藏
○國務大臣(村田省藏君) 只今上程セラレ
マシタ東亞海運株式會社法案ノ提出理由ヲ
御說明致シマス
大東亞共榮圈確立ノ目的達成ノ爲ニハ、
海上交通網ノ整備擴充ヲ圖ルコトガ、不可
缺ノ條件デアルコトハ申スマデモナイ所デ
アリマス、殊ニ支那ニ於ケル我ガ航權ヲ擴
充强化致シマスコトハ事變處理ノ基礎的
施設トシテ、國防上ヨリ見マシテモ、經濟
上ヨリ見マシテモ、焦眉ノ急務ト認メラレ
マスノデ、政府ハ曩ニ東亞海運株式會社ヲ
設立セシメマシテ、對支海運經營ノ中樞機
關タラシメ我ガ航權ノ確立ヲ期シタル次
第デアリマス、併シナガラ同會社ヲシテ能
ク時局ノ要請ニ應へ、其ノ使命ヲ全ウセシ
メンガ爲ニハ、同會社ヲ改組擴大シテ、眞
ニ國策會社タルノ機能ヲ發揮セシムルコト
ガ、喫緊ノ要務デアルト信ズルノデアリマ
ス、仍テ玆ニ東亞海運株式會社法ヲ制定シ
テ、諸種ノ特權ヲ付與スルト共ニ、一層政
府ノ監督指導權ヲ强化致シマシテ、支那ヲ
中心トスル本邦航權ノ確立ヲ圖リ、日支經
濟提携ノ促進ニ資セシメントスルモノデア
リマス、何卒以上ノ趣意ヲ諒セラレマシ
テ、御審議ノ上速カニ御協贊アランコトヲ
切望スル次第デアリマス(拍手)
次ニ議題トナリマシタ郵便貯金法中改正
法律案ニ付キマシテ提案ノ趣旨ヲ御說明申
上ゲマス
時局下財政經濟政策遂行ノ圓滑ヲ期シ
マス上ニ於テ國民貯蓄ガ如何ニ重要ナル
役割ヲ擔ツテ居ルカト云フコトハ改メテ
申スマデモナイ所デアリマス、政府ニ於キ
マシテハ、事變以來國民貯蓄ノ奬勵ニ付キ、
凡ユル機關ヲ動員致シマシテ、預金ノ吸收
增加ニ努メテ居ルノデアリマスガ、殊ニ郵
便貯蓄ニ付キマシテハ最モ普遍的ナル國
民貯蓄ノ實行機關トシテ、一段ト是ガ機能
ノ發揚ニ努力ヲ拂ツテ居ル次第デゴザイマ
ス
然ルニ御承知ノ如ク、現在郵便貯金ノ
人ノ預金額ハ最高二千圓マデニ制限セラレ、
又其ノ最低額ハ十錢ト定メラレテ居ルノデ
アリマス、此ノ最高及ビ最低ノ制限額ハ、
最近ニ於ケル國民所得乃至貯蓄力ノ增進狀
況カラ見マシテモ、又貯蓄奬勵上ノ必要カ
ラ見マシテモ、低キニ失スルモノト認メラ
レマスルノデ、最高制限額二千圓ヲ三千圓
ニ、又最低預入額十錢ヲ五十錢ニ引上ゲマシ
テ、國民經濟ノ實情ニ卽應セシメ、國民貯蓄ノ
增進ヲ圖ルコトト致シタイト存ズル次第デ
ゴザイマス、事變ノ長期化ニ伴ヒマシテ、
國民貯蓄ノ奬勵ハ一層之ヲ徹底强化スル
ノ必要ヲ痛感セラルルノデアリマス、何卒
御審議ノ上速カニ御協賛アランコトヲ希望
スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=34
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035・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=35
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036・服部崎市
○服部崎市君 日程第十及ビ第十一ノ兩案
ヲ一括シテ議長指名二十七名ノ委員ニ付託
サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=36
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037・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=37
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038・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
ママヽ仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十二及ビ第十三ハ、同一委員ニ付託シタ
ル議案デアリマスカラ、一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=38
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039・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第十二、昭和十二年法律第九
十二號中改正法律案、日程第十三、商工會
議所法第十四條ノ臨時特例ニ關スル法律案、
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長川島正
次郞君
第十二昭和十二年法律第九十二號中
改正法律案(輸出入品等ニ關スル臨
時措置ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第十三商工會議所法第十四條ノ臨時
特例ニ關スル法律案(政府提出、貴
族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一昭和十二年法律第九十二號中改正法律
案(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關
スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十日
委員長川島正次郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一商工會議所法第十四條ノ臨時特例ニ關
スル法律案(政府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十日
委員長川島正次郞
衆議院議長小山松壽殿
〔川島正次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=39
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040・川島正次郎
○川島正次郞君 只今上程致サレマシタ昭
和十二年法律第九十二號中改正法律案、及
ビ商工會議所法第十四條ノ臨時特例ニ關ス
ル法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告
致シマス
昭和十二年法律第九十二號ハ、輸出入品
等ニ關スル臨時措置ニ關スル件デアリマシ
テ
〔副議長退席、議長着席〕
本法律ハ國家總動員法ト相竝ンデ、戰時下
ニ於ケル經濟統制法ノ雙翼ヲ成スモノデア
リマス、今囘改正ノ要點ハ、罰則ヲ强化シ
テ「第二條ノ規定ニ依ル命令若ハ處分又ハ其
ノ命令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタル者ハ
一年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處
ス」トアリマスノヲ「七年以下ノ懲役又ハ五万
圓以下ノ罰金ニ處ス」ト改メ、同時ニ本法ニ
依ル命令ニ依リ統制ヲナス各種法人又ハ團
體ノ役員、使用人ノ收賄及ビ之ニ對スル贈
賄ヲ處罰スルノ規定ヲ新タニ設ケタノデア
リマス
改正第一點ニ對スル質疑ハ、第一、嚴罰
主義ハ果シテ統制經濟違反ヲ防遏スルコト
ガ出來ルカドウカ、寧ロ民心ヲ萎縮セシメ、
生產減退等ノ惡影響ヲ招來スルニハアラザ
ルカ、第二、經濟事犯ノ中ニハ惡意ナク却
テ同情スベキモノガ少クナイノデアル、公
定價格違反ノ如キハ、取締上損ヲシテ而モ處
罰セラレテ居ル事例ガ多々アル是等ニ對
シテハ今後如何ナル方針ヲ以テ臨ムカト云
フノデアリマス、之ニ對スル政府ノ答辯ハ、
今囘ノ改正ハ嚴罰主義ヲ建前ニシタ改正デ
ハナク、徒ラニ違反者ヲ嚴重ニ處罰スルコ
トノミヲ以テ、其ノ目的ヲ達シ得ラレナイ
ト考ヘテ居ル、經濟統制法令ノ趣旨ヲ一般
國民ニ周知徹底セシメ、同時ニ經濟結制ノ
眞ニ已ムヲ得ザル事情ヲ十分ニ自覺セシム
ル必要ガアリ、商工、司法、內務各省間ニ於
テ連絡ヲ密ニシ、此ノ點ニ留意ヲ致シテ居
ルノデアル、極メテ惡質又ハ重大ナ事犯ニ
付テハ之ヲ嚴ニ罰シ、所謂一罰百戒ノ實ヲ
擧ゲントスルモノデアル、卽チ輕微ナルモ
ノニ付テハ、徒ラニ之ヲ檢擧スルコトヲ避
クル方針デアツテ、檢事總長ヨリ檢事正ニ
對シテ、經濟檢察ヲ行フニ當リテハ事犯
ノ處理ニ付キ特ニ愼重ニ考慮シ、常ニ能ク
其ノ罪狀ノ大小輕重ヲ判別シ、專ラ惡質ナ
ル違反ノ糺彈ニ重點ヲ置キ、之ヲ嚴罰シテ
一罰多戒ノ實ヲ擧ゲ、又其ノ初犯輕微ナル
モノニ付テハ說諭戒〓ヲ加へ、再犯ヲ戒メ、
〓ヘテ刑セザルノ方針ニ從フベキ旨ノ訓令
ヲ發シテ居ル趣キノ答辯ガアリマシタ
又改正第二ノ點ニ對スル質疑ノ主要ナル
モノハ、第一、本法ノ命令ニ依ラザル任意
組合ノ役員、使用人ノ不正ニ對スル取締方
針如何、第二、役員、使用人等ガ資材ノ配給
等ニ當リ、自己若シクハ特別ナル者ノ便宜
ヲ圖リ、不公平ノ處置アリタル場合ノ取締
方針如何ト云フノデアリマス、之ニ對シテ
政府ハ、統制ヲ實施スルモノハ、將來成べ
ク法律ニ根據ヲ置ク法人格ヲ有スル團體ヲ
シテ行ハシムルコトトスル方針デアリ又
役員、使用人ノ不公平ナル處置ニ對シテハ)
嚴ニ行政上ノ監督ヲナス方針ナル旨ノ答辯
ガアリマシタ
議案第二、商工會議所法第十四條ノ臨時
特例ニ關スル法律案ハ、昨年納稅制度ノ改
正ニ依リマシテ選擧資格ヲ要失スル者ガ
アリ之ヲ救濟スル過渡的規定デアリマシ
テ、特ニ注意スベキ質間應答ハ委員會ニ於
テハアリマセヌデシタ
右二案ヲ一括致シマシテ討論ニ付シ、採
決ノ結果、滿場一致可決致シマシタ、以上
御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=40
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041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=41
-
042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=42
-
043・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=43
-
044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=44
-
045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會會開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十二年法律第九十二號中改正法律
案(輸出入品等ニ關スル臨時措置ニ關
スル件)第二讀會(確定議)
商工會議所法第十四條ノ臨時特例ニ關
スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=45
-
046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案共委員長
報〓通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第
十四、健康保險法中改正法律案、第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長野田俊作君
第十四健康保險法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一健康保險法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十日
委員長野田俊作
衆議院議長小山松壽殿
〔野田俊作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=46
-
047・野田俊作
○野田俊作君 只今議題ニナリマシタ健康
保險法中改正法律案ノ委員會ニ於ケル審議
ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス
此ノ改正案ハ頗ル簡單デアリマシテ、現
行法ノ第十三條ニ於ケル强制被保險者ノ範
圍ガ、工場、鑛山、陸上交通、運輸等ニ從
事スル勞働者ニ限ラレテ居リマスノヲ、更
ニ貨物積卸事業、卽チ港灣ニ於ケル沖仲仕
等、及ビ水平區域ヲ航行スル小船舶ニ依ル
運送ノ事業等ニ擴張セントスルノデアリマ
ス、此ノ改正案ニ付テ約十五万人ガ新タニ
健康保險法ノ適用ヲ受ケルコトニ相成ルノ
デアリマス、委員會ハ會議ヲ開クコト二囘
健康保險法全部ニ亙ツテ、有益ニシテ專門
的ナル質疑應答ガ熱心ニ重ネラレマシタガ
總テ速記錄ニ讓ツテ省略致シタイト存ジマ
ス
唯一ツ御紹介致シタイノハ委員中ノ專門的
知識ヲ有セラレル諸君カラ、現下藥品ガ頗ル
品不足デアル、配給ガ圓滑ヲ缺イテ、且ツ藥
價ガ大幅ニ度々引上ゲラレルコトハ、健康保
險醫療上ニ於テモ、又一般國民ノ診療上ニ
於テモ、洵ニ憂慮ベキ狀態デアルト、實例ヲ
擧ゲテ熟心ニ警告セラレマシタニ對シテ、
厚生省ノ當局ハ、輸入品ノ一部ハ已ムヲ得
ナイガ、國內生產品ニ對シテハ數量、配給、
又價格ニ對シテ、十分對策ヲ講ジテ努力シ
テ居ルト云フ答辯ガアリマシタ、委員〓
水留三郞君カラ、本案ニ對シテ討論ヲ省略
シテ、直チニ採決センコトヲ望ムトノ動議
ガ出マシテ、滿場一致可決セラレマシタ、
右御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=47
-
048・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=48
-
049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=49
-
050・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=50
-
051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=51
-
052・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
健康保險法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=52
-
053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=53
-
054・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急勳議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、國稅
徵收法中改正法律案及ビ關稅法中改正法律
案ノ兩案ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報〓
ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=54
-
055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=55
-
056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-國稅
徵收法中改正法律案、關稅法中改正法律案
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長倉元要
一君
國稅徵收法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
關稅法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一國稅徵收法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十二日
委員長倉元要、
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一關稅法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十二日
委員長倉元要五、
衆議院議長小山松壽殿
〔倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=56
-
057・倉元要一
○倉元要一君 只今議題ト相成リマシタ國
稅徵收法中改正法律案及ビ關稅法中改正法
律案ニ關シマスル委員會ノ宋議ノ經過ニ付
テ御報告致シマス
本委員會ハ二月ノ八日及ビ十二日ノ兩日
ニ亙リマシテ開催シタノデアリマス、先ヅ
政府ヨリ今囘ノ改正ノ理由ニ付テ詳細ノ說
明ヲ承リマシタ卽チ稅務署ニ於テ滯納處
分ノ結果差押ヘタル物件等ノ處分ニ付キマ
シテハ現在國稅徵收法ノ規定ニ依リマシ
テ、原則トシテ公賣ノ方法ニ依ツテ賣却ス
ルコトニ相成ツテ居ルノデアリマス、又關
稅法ニ依ツテ收容致シマシタ所ノ輸出入貨
物ノ處分ニ付テモ、關稅法ノ規定ニ依リマ
シテ、公賣スルコトニ相成ツテ居ルノデア
リマス、然ルニ是等ノ物件ノ處分方法ヲ公
賣ノ方法ニ限ツテ置クコトハ、國家總動員
法ニ基ク價格統制令、又ハ輸出入品等ニ關
スル臨時措置法ニ基ク物資配給統制規則等
ノ運用ニ當ツテ、例ヘバ差押物件等、又ハ
收容貨物ガ公定價格ヲ超ユル價格ヲ以テ入
札セラレタリ、又ハ物資配給上好マシカラ
ヌ方面ニ其ノ物資ガ流出スル虞ガアツテ、
行政上統一ヲ圖ル上ニ種々不都合ガ生ズル
ノデアリマス、ソコデ國稅徵收法ニ依ル差
押物件等、竝ニ關稅法ニ依ル收容貨物ノ處
分ニ付テハ、必ズシモ公賣ニ依ラズ、公益
上必要アル場合ニハ、隨意契約ヲ以テ公賣
ニ代ヘ得ル途ヲ開ク要ガアルト認メマシテ、
ソレ〓〓此ノ關係ノ法律ヲ改正スル旨ノ說
明ガアツタノデアリマス
之ニ對シマシテ委員諸君ヨリ質問ガゴザ
イマシタヽ其ノ質問ノ要旨ニ付テ一二御紹
介申上ゲマス、官廳ガ物件ヲ購入スル場合
二、競爭入札ノ方法ニ依ツテ、公定價格ノ
二分ノ一以下ノ價格ヲ以テ平氣デ之ヲ買入
ヲシテ居ルガ、是ハ產業ヲ破壞ニ導クモノ
デハナイカ、斯ウ云フ趣旨ノ質問ガアツタ
ノデアリマス、政府ハ之ニ對シマシテ、御
尤モノ質問ト存ジマス、色々其ノ省〓〓ノ
長イ間ノ歷史モアルコトデアリマスガ、價
格政策トノ權衡按配ト云フコトニ付テハ相
當心配ヲ致シテ居リマス、是ガ解決ニ付キ
マシテハ十分ニ〓究考慮スル旨ノ答辯ガ
アツタノデアリマス
斯クシテ質問ハ終了致シマシテ、討論採
決ニ入ツタノデゴザイマスルガ、宮本雄一
郎君ヨリ討論ヲ用ヒズシテ原案ニ贊成ノ動
議ガ出タノデアリマス、之ヲ採決致シマシ
タ所、滿場一致原案ノ通リニ可決致シタ次
第デアリマス、右御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=57
-
058・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=58
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059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=59
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060・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=60
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061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國稅徵收法中改正法律案
第二讀會(確定議)
關稅法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=62
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063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御異議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、關東
局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳ノ各特別
會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年金ノ事
務ノ取扱ニ關スル經費等ニ關スル法律案、
及ビ木炭需給調節特別會計法中改正法律案
ノ兩案ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報告ヲ
求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=65
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066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-關東
局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳ノ各特別
會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年金ノ事
務ノ取扱ニ關スル經費等ニ關スル法律案、
木炭需給調節特別會計法中改正法律案、右
兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス
委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長松田正
一君
關東局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳
ノ各特別會計ニ於ケル簡易生命保險及
郵便年金ノ事務ノ取扱ニ關スル經費等
ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
木炭需給調節特別會計法中改正法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一關東局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳
ノ各特別會計ニ於ケル簡易生命保險及
郵便年金ノ事務ノ取扱ニ關スル經費等
ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十三日
委員長松田正
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一木炭需給調節特別會計法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十三日
委員長松田正一
衆議院議長小山松壽殿
〔松田正一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=66
-
067・松田正一
○松田正一君 只今議題トナリマシタ關東
局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳ノ各特別
會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年金ノ事
務ノ取扱ニ關スル經費等ニ關スル法律案、
及ビ木炭需給調節特別會計法中改正法律案
ノ委員會ニ於キマシテノ經過竝ニ結果ニ付
テ御報告ヲ申上ゲマス
關東局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳ノ
各特別會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年
金ノ事務ノ取扱ニ關スル經費等ニ關スル法
律案デゴザイマスガ、是ハ是等ノ外地ニ於
キマシテ、此ノ特別會計ノ事務ノ中デ、簡
易生命保險及ビ郵便年金ノ取扱ヲナシタル
場合ニ於テ、其ノ經費及ビ是等ニ依ツテ生
ズル收入ヲ、此ノ特別會計ニ屬セシメルコ
トト致シ、一方內地ノ是等ニ屬スル特別會
計ヨリ、之ヲ繰入ヲナサントスル法律案デ
アリマス、從來ハ振替貯金ノ便法ニ依ツテ
取扱ツテ居ツタノデアリマスガ、是等法律
ニ依ツテ正式ナ手續ニ依ラントスルモノデ
アリマス、審査ニ當リマシテ、委員ヨリ
色々御質問ガアリマシテ、此ノ簡易生命保
險ハ大衆ノ生活ヲ或ル程度マデ保障スベキ
モノデアルカラ、千圓カラ千二百圓マデ契
約高ノ金額ヲ引上ゲテハドウカト云フヤウ
ナ意味ノ御質問モアリ、其ノ他委員側ヨリ
色々御質問ガアリマシタガ、政府ハ誠意ヲ
以テ之ニ答ヘマシタ、詳シイコトハ速記錄
ニ依ツテ御覽ヲ願ヒマス
ソレカラ木炭需給調節特別會計法中
改正法律案デアリマスルガ、是ハ時節柄木炭
ニ關スル問題ガ輻湊シテ居リマスノデ、
其ノ內容ヲ申上ゲマスルト現下ノ木炭
需給ノ事情ニ鑑ミマシテ、木炭需給調節
ヲスル特別會計ノ運營ヲ滑カニセンガ爲
ニ、此ノ法律案ガ提出サレタノデアリマ
シテ、從來ハ同法ノ第三條ニ借入金七百
万圓トアツタモノヲ增額致シマシテ、二
千五百万圓ニ增額ヲ致シタイト云フ法律案
デアリマス、委員會ハ是ガ審査ニ當リマシ
テ委員側ヨリ色々熱心ナル御質問ガアツ
タノデアリマスガ、政府モ之ニ對シテ熱意
ヲ籠メタ御答辯ガアリマシタ、其ノ一、二
ヲ申上ゲマスルト現在木炭自動車ガ走ツ
テ居ルガ、アノ木炭自動車ヲ將來段々殖ヤ
シテ行ク積リカ、又アノ木炭自動車ノ代用
燃料ヲ、木炭ノミニ依ツテ將來ハヤルノカ、
何カ外ニ代用品ヲ使用スル方法ヲ考ヘテ居
ルカト云フヤウナコト、又家庭用ノ木炭ヲ
節約スル爲ニ、炭團ノ製造ヲナシテ、之ヲ
配給シテハドウカト云フヤウナ意味ノ御質
問、ソレカラ此ノ特別會計ガ最初出來マシ
テカラ圓滑ヲ缺イテ居ツタヤウニ思フガ、
現在ハドウナツテ居ルカト云フコトニ付
テ詳シイ御質問ガアツタノデアリマス、
政府ハ此ノ質問ニ對シ、木炭自動車ノ燃料
ハ、今デハ木炭ノミニ依ツテ居ルケレドモ、
將來「コーライト」「カーバイド」及ビ無煙
炭、硬化炭等ニ依ツテ代用燃料ヲ使ヒタイ
ト思フ、木炭自動車ノ數ハ是ヨリ以上ニ餘
リ殖ヤサナイ考ヘデアルト云フ意味ノ御答
辯ガアリ、其ノ他十五年度ハ極メテ窮屈デ
アツタガ爲ニ、此ノ特別會計ノ運營ニ遺憾
ノ點モアツタガ、昭和十六年度ニ於テハ、
三億貫以上ノ木炭ヲ政府ガ買上ゲマシテ、
配給ニ圓滑ナル方法ヲ講ジタイト思フソ
レガ爲ニ七百万圓ヲ二千五百万圓ニ增額ヲ
シテ貰フ法律案デアルト云フ意味ノ答辯ガ
アリマシタ、其ノ他本年ハ暖カカツタカラ、
木炭ガ餘計ハ要ラナカツタガ、政府ハ昭和
十六年度ニ於テハ、如何ナル事情ガアツテ
モ此ノ配給ヲ圓滑ナラシムルヤウニ努力
セヨト云フ御意見ガアリマシテ、兩案トモ
質問ヲ打切リマシテ、本日ノ午後一時ヨリ
開會致シマシタ委員會ニ於テ討論ニ入リ
宇賀四郞君、中野寅吉君ヨリソレ〓〓原
案ニ贊成ノ御意見ガアツテ、討論ハ終了致
シマシタ、委月會ハ直チニ採決ニ入リマシ
タ所、全會一致ヲ以テ原案ヲ可決致シマシ
タ、以上簡單デアリマスガ御報告申上ゲマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「要議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=68
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069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=69
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070・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=70
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071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=71
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072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
關東局、臺灣總督府、樺太廳及南洋廳
ノ各特別會計ニ於ケル簡易生命保險及
郵便年金ノ事務ノ取扱ニ關スル經費等
ニ關スル法律案第二讀會(確定議)
木炭需給調節特別會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=72
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073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)是ニ
テ議事日程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事
日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後二時十三分散會
衆議院議事速記錄第十二號中正誤
頁段行誤正
一二九→一五-一六變更シ又ハ變更又ハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01319410213&spkNum=73
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