1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年二月十八日(火曜日)
午後一時六分開議
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議事日程 第十四號
昭和十六年二月十八日
午後一時開議
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質問
一 健康不足、米穀不足竝精神作興の徹底的解決策としての玄米食励行に關する質問(西村茂生君提出)
二 外貨獲得、圓貨囘收及死藏商品流通に關する質問(清水留三郎君提出)
三 八紘一宇に關する質問(生田和平君外一名提出)
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第一 借地法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二 借家法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 大正二年法律第九號中改正法律案(裁判所管轄區域に關する件)(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 船舶保護法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 昭和十四年度第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第五 昭和十四年度特別會計第一豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第五 昭和十四年度特別會計豫備費支出の件(承諾を求むる件)
第五 昭和十五年度第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第五 昭和十五年度特別會計第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第五 昭和十五年度特別會計豫備金外豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一去十五日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
昭和十六年度歳入歳出總豫算案竝昭和十六年度各特別會計歳入歳出豫算案
豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
(第一號)昭和十五年度歳入歳出總豫算追加案
(特第一號)昭和十五年度特別會計歳入歳出豫算追加案
(臨第二號)臨時軍事費豫算追加案
昭和十六年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案
昭和十五年法律第七號中改正法律案(造幣局東京出張所の廳舍、工場其の他の建物及其の附屬設備の新營擴張に要する經費に關する件)
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太
廳の各特別會計に於ける租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰入るることに關する件)
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮鐵道用品資金會計法中改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
一昨十七日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
無盡業法中改正法律案
一議員より提出せられたる議案左の如し
大正十二年法律第五十二號中改正法律案(司法官試補及辯護士の資格に關する件)
提出者
手代木隆吉君 工藤鐵男君
濱野徹太郎君 中村梅吉君
紅露昭君 原惣兵衞君
立川平君 泉國三郎君
仲井間宗一君 田村秀吉君
官幣大社札幌神社に明治天皇合祀に關する建議案
提出者
木下成太郎君 松尾孝之君
(以上二月十五日提出)
水産物公定價格に適正なる運賃加算制採用に關する建議案
提出者
馬岡次郎君 小笠原三九郎君
大野一造君 長野綱良君
(以上二月十七日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
時局の變遷と政府の指導に關する質問主意書
提出者 尾崎行雄君
(以上二月十五日提出)
一去十五日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
燃料局事務官 波江野繁
同 柳原博光
第七十六囘帝國議會商工省所管事務政府委員被仰付
一去十五日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を左の通變更せり
四三六 本田英作君
四三八 太田理一君
一去十五日議長に於て選定したる委員左の如し
委員會等の整理等に關する法律案(政府提出)委員
小谷節夫君 小泉純也君
小見山七十五郎君 松川昌藏君
山田順策君 池本甚四郎君
大島寅吉君 大野一造君
金澤正雄君 清寛君
工藤十三雄君 玉野知義君
道家齊一郎君 樋口善右衞門君
前川正一君 松尾孝之君
村瀬武男君 守屋榮夫君
木材統制法案(政府提出)委員
河野一郎君 淺井茂猪君
大橋清太郎君 松浦周太郎君
馬岡次郎君 上田孝吉君
小野謙一君 北勝太郎君
工藤十三雄君 紅露昭君
杉山元治郎君 手代木隆吉君
内藤正剛君 中村梅吉君
長野長廣君 箸本太吉君
増永元也君 松尾四郎君
陸軍軍法會議法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外一件委員
高見之通君 北村文衞君
江藤源九郎君 多田滿長君
南雲正朔君 濱野徹太郎君
松山常次郎君 宮崎一君
山元亀次郎君
一去十五日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任野田文一郎君 補闕松田竹千代君
辭任稻田直道君 補闕横川重次君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)(政府提出)
委員
辭任東條貞君 補闕服部岩吉君
蠶絲業統制法案(政府提出)委員
辭任紅露昭君 補闕西方利馬君
辭任佐藤洋之助君 補關羽田武嗣郎君
一昨十七日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第九部選出決算委員 山崎釼二君
一昨十七日委員長及理事互選の結果左の如し
委員會等の整理等に關する法律案(政府提出)委員
委員長 小谷節夫君
理事
小泉純也君 小見山七十五郎君
松川昌藏君 山田順策君
木材統制法案(政府提出)委員
委員長 河野一郎君
理事
淺井茂猪君 大橋清太郎君
松浦周太郎君 馬岡次郎君
陸軍軍法會議法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外一件委員
委員長 高見之通君
理事 北村文衞君
一昨十七日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)(政府提出)
委員
辭任吉田賢一君 補闕大石大君
辭任北村文衞君 補闕釘本衞雄君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任小林房之助君 補闕小柳牧衞君
辭任加藤鐐造君 補闕川俣清音君
蠶絲業統制法案(政府提出)委員
辭任西方利馬君 補闕紅露昭君
辭任北原阿智之助君 補闕長井源君
東亞海運株式會社法案(政府提出)外一件
委員
辭任岡野龍一君 補闕森下國雄君
委員會等の整理等に關する法律案(政府提出)委員
辭任樋口善右衞門君 補闕曾和義弌君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=1
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002・服部崎市
○服部崎市君 委員ニ付託シタル議案ノ審
査終了ヲ待ツ爲メ、此ノ際曹時体憩セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ暫時休憩致シマス
午後一時七分体憩
午後二時三十三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=4
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005・田子一民
○副議長(田子一民君) 休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス、諸般ノ報〓ヲ致サセマス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
西村茂生君提出健康不足、米穀不足竝精
神作興ノ徹底的解決策トシテノ玄米食厲
行ニ關スル質問ニ對スル答辯書
〓水留三郞君提出外貨獲得、圓貨囘收及
死藏商品流通ニ關スル質問ニ對スル答辯
書
生田和平君外一名提出八紘一字ニ關スル
質問ニ對スル答辯書
(以上二月十八日受領)
健康不足、米穀不足竝精神作興ノ徹底
的解決策トシテノ玄米食厲行ニ關スル
質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十六年一月二十八日
提出者西村茂生
健康不足、米穀不足竝精神作興ノ
徹底的解決策トシテノ玄米〓厲行
ニ關スル質問主意書
高度國防國家體制樹立ニ最モ重要性ヲ有
スルモノハ人的資源(保健)、人口)竝ニ食
糧問題ト更ニ精神緊張ノ三件ニ付徹底的
體制ヲ整備スルコトデアル
第質問要旨
一右ノ根本的救濟策ハ一ニ從來ノ邪
食(白米食ト之ニ伴フ邪肉〓)ヲ廢止
シ正食(玄米食、最初ハ半搗米ト麥ト
ノ炊合)ニ戾スコトヲ擧ツテ實行ス
ベキデアル政府トシテ此ノ正食實行
ガ三ツノ綜合的價値ヲ有スルモノナ
ルコトヲ深ク認識シ以テ此ノ好機會
(重大時局ト米穀管理ノ兩方ノ存ス
ル)ニ於テ身心ノ大改造(卽チ大復古、
下毒作用)ヲ期シ得ル此ノ政策ヲ斷
行スベキモノナリト思考ス政府ノ所
見如何
二健康不足、米不足竝ニ精神作興ノ
三件ニ關スル現況ト之ガ原因ニ付左
ニ政府ノ所見ヲ質サントス
1該三案件ニ對シ從來政府ガ採リ
來レル對策ハ一口ニ申セバ不徹底
ナル策ト感ゼザルカ今後此ノ程度
ノ政策ヲ以テシテ目的ヲ達シ得ル
モノト信ジヲラルルヤ政府ノ所見
如何
2吾人ノ體驗上ヨリ該三案件ヲ一
擧ニ解決シ得ル實現的對策ハ正〓
厲行ニアリト信ズルモノデアル之
ニ對スル政府ノ所見如何
3右ノ對策ハ今日ノ場合急ヲ要ス
ルモノナリト思フ政府ハ該正食斷
行ノ政策ヲ急ニ立ツル意思ナキヤ
又之ガ決定ニ當リ朝野各方面ノ人
士ヲ網羅セル會議ヲ設ケ速ニ〓究
決定スルノ手段ヲ講ズルノ意思ナ
キヤ如何
第二質問內容
-保健政策ニ關シテ
1昔ハ我ガ國ハ世界中デ最モ優秀
ナル長壽國デアリ健康國デアツタ
其レガ今ハ世界文明國中デノ最短
命最不健康國トナツタ(醫學而モ輸
入ノ「ユダヤ」流醫學ハ獨逸ヲ凌駕
スル程發達セルニコンナ有樣トナ
ツタ)コトニハ當局モ國民モ深キ關
心ヲ持タナケレバナラナイ譯デア
ル其ノ原因ハ何カ平素ノ多病不健
全ハ左程眼ニ映ゼザルモ今囘ノ事變
デハ一層露骨ニ現ハレタノデアル
今次事變ニ際シテ戰地ニ於テ將兵
ノ慢性的疾患ニ罹ラレ恨ヲ呑ンデ
戰病死シ又ハ內地ニ還送サレタル
勇士ノ數ハ幾許デアルカ實ニ思ヒ
半ニ過グルモノアルコトヲ想像ス
ルモノデアル國防上ノ直接ノ損害
ハ申スニ及バズ國家トシテノ損失
之ニ過グルモノハナイト思フ其ノ
原因ハ何デアルカ之ニ付テハ幾多
ノ原因モアルコトト思フ(例ヘバ
將兵諸士ガ風土ノ相違セル地ニ於
テノ心構ノ足ラザルコト衞生官ノ
注意ヲ守ラレザルコト等)然シナ
ガラ今日迄當局殊ニ保健專門家ノ
保健政策ガ不徹底ニシテ之ニ缺陷
ノ存スルト云フコトモ一ツノ大キ
ナ原因デハナイカト思フノデアル
尙現今ノ人口增加率ノ悲シムベキ
狀態モ全ク同一ノコトカラ來テヰ
ルト思フノデアル
2「ユダヤ」流ノ醫者殊ニ醫學博士
ハ雨後ノ竹ノ子ノヤウニドンノ
殖エテヰルニ病氣ハ其レ以上ニ一
周モ二周モ先ニ走ツテ增加シテヰ
ルコンナ滑稽ナ風景ガ何處ニアル
カ
先年國民ノ不健康ヲ憂ヘ殊ニ健兵
ノ目的ヲ達スル爲之ニハ全國民ノ
體位向上ヲ期スルコトガ先決問題
デアルトシテ重ク保健衞生ヲ管掌
スル必要アルトシテ内務省ヨリ厚
生省ガ分離シテ出來タ其レデモ病
氣ハ益〓激激スル經費ハ增加スルバ
カリデアル而シテ今囘ノ事變ノ有
樣ヲ見云今更ナガラ驚キ更ニ健兵
ノ問題ヲ〓究シナクテハナラナイ
コトニナツタ保健行政ノ法律ト豫
算トヲ見テモ其ノ七、八割ハ罹ツ
タ病氣ヲ治療スルトカ診斷法ニ進
ンダ設備ガアルトカ又又ハ他ニ病氣
ヲ傳染セシメナイトカノ範圍ヲ出
デナイモノノミデアル中ニハ體育
奬勵ノコト位ハアルガ身體ヲ二六
時中養ツテヰル食物卽チ肥料ノ善
惡ノコトニ付テハ考ヘガ及ンデヰ
ナイ寒帶ノ獨逸デハ昔カラ無論米
ハ出來ナイ而シテ昔モ今モソンナ
ニ變ラナイ食物ヲトツテヰルシ更
ニ醫學ノ方針モ大分變ツテ來テヰ
ル之ト反對ニ日本デハ德川ノ中世
迄ハ米ヲ玄米デ食ツテキタモノガ
其レヲ白米トシテ食ヒ其ノ爲ニ
昔ハ屢、禁令ノアツタ邪肉食ヲ自
然ニ盛ニ食フヤウニナツタ(都會デ
ハドウカスルト食事ダケハ日ニ一
囘位ハ西洋人カ支那人ニ國籍ヲ變
ヘル有樣)他面醫學ノ方ハ「ユダヤ」
流ノ考へ方ヲ少シモ改メヤウトハ.
シナイ日本デハ此ノ點ニ對スル著
目反省ハ少シモシテ居ナイト申シ
テ宜イ狀態デアル當局モ國民モ自
ラ「ユダヤ」流ノ營養醫學卽チ구
オイト」氏ノ營養「カロリー」說ノ
一本槍ニ囚ハレテ居テ西洋人ノ眞
似ヲスルコトガ文化生活デアルト
シテ邪〓ノアラン限リヲ盡シテヰ
ル其ノ食事ノ不自然行爲ハ之ヲ恣
ニシ其レニハ手ヲ觸レナイコトニ
シテ健康ヲ保持ヲシテ行カウトス
ル其ノ遣リ方ガ文明人デアリ文化
力デアルトシテヰル此ノ考ヘ方ヲ
訂正セザル間ハ日本人ノ健康ガ增
進スルコトハ到底出來ナイモノデ
アルト云フ點ガ私ノ保健ニ對スル
重點デアリ主眼點デアル
3物質ノコトハ何處迄モ文明ニ進
ムベキデアルガ生命(日光、空氣、
水、食物)ニ關スル一切ノコトハ原
始卽チ大自然ニ還ラナケレバナラ
ナイモノデアルコトハ大鐵則デア
リ侵スベカラザル原則ナノデアル
此ノ物質文化ト生命ノコトヲ一〓
ニシテ生命ノコトニ付テモ科學ハ
萬能デアル人間ノ力ドンナニデモ
ナルトシテ文化生活ヲナシ我儘ヲ
遣リ通シ病氣ニ罹ツタラ藥デ治療
スレバ宜イ其レデ差障リハナイモ
ノデアルト謂フ「ユダヤ」流ヲ遵奉
シテ居ルノデアル今日ノ日本人ノ
多病ノ原因ハ不自然行爲ヲ爲ス大
自然ノ天罰ト謂ツテモ宜イノデア
ル「ユダヤ」流ノ西洋醫學ハ分析
的對症的治療デアリ醫ノ邪道ニ
入リタルモノデアツテ文明人ノ邪
慾ヲ迎へ發達シタ營利的、打算的
主義ノ醫學デアルト申シテモ過言
デナイ「ユダヤ」流ノ「カロリー」說
ニシテモ食物ハ熱ヲヨリ多ク出セ
バ何ンデモ宜イ其ノ爲ニ後日害ガ
起ラウガソンナコトハドウデモヨ
イ卽チ食物ハ「カロリー」一本槍デ
其ノ善惡ヲ考ヘレバ良イト云フ考
ヘ方ナノデアル(「フオイト」氏ガ
犬ト自分ノ「ボーイ」ニ一回ダケ試
驗シタコトカラ醫學界ヲ風靡スル
コトニナツタ營養「カロー」學說)
今日デハ本家ノ獨逸デモ其ノ非ヲ
悟リ醫學ハ自然ヲ尊重シテ保健施
設ヲスルコトニナツタ現ニ「ロツ
クヘーラー」〓究所ノ「カレル」博
士ヤ其ノ他ノ諸士又日本デモ名古
屋醫大ノ杉田博士ヤ其ノ他二、三ノ
博士ノ如ク現在ノ西洋醫學程信賴
出來ナイモノハナイトシテ勇敢ニ
攻擊論文ヲ發表シテヰラルル人モ
アル然レドモソンナ事ヲ言ツタノ
デハ自己ノ生活繁榮ヲ自滅ニ導ク
モノデアルト謂フノデ大勢ハ未ダ
治療モ對症的デアリ營養說ニシテ
モ分析的攝取完全有效論カ又ハ
「カロリー」萬能論ニ囚ハレテヰル
ノデアル此ノ間違ツタ醫學觀念ニ
立ツテ大體ノ保健行政方針ガ左右
サレ決定サレテヰルコトガ現狀デ
アル法學出身ノ行政主腦者ハ此ノ
方面ニ關スル知識モ乏シク又體驗
モ無キ爲カ之ハ少シ變ナ方針ダト
思フコトガアツテモ專門的素養ガ
ナイノデ專門家ノ說ニ太刀打ガ出
來ナイト云フコトガ今ノ有樣デア
ル私ノ樣ニ少シデモ自然科學ヲ修
メテ七年前カラ起ツタ喘息(西洋
醫學ノ最大苦手ノ病氣)治療ニ最
初西洋醫學ノ治療ヲ恰モ「モルモ
ツト」ニナツタト同樣ニイヂクリ
廻シタ者ハ自分ノ體驗カラシテ相
當根强キ自信ニ立ツテ「ユダヤ」流
ノ西洋醫學ヲ批判シテヰルノデア
ル若シ私ノ說ニ對シテ醫ノ本然ノ
姿ヲ忘却シテ醫稼業ヲヤル「ユダ
ヤ」流ノ西洋醫學ヲ以テ保健政策
ガ萬全ニヤレルモノデアルトサル
ル勇士ガアレバ國家ノ爲ニ反對意
見ヲ發表シテ貰ヒタイモノデアル
4漢法醫學ハ病氣ヲ自然的ニ治療
スル點ハ西洋醫學トハ比較ニナラ
ナイケレドモヤハリ之モ病氣ヲ診
テ治療スル(藥品ハ自然的ノモノ
ヲ使用スル)ト謂フ範圍デアル第
二ノ西洋醫學ハ局部診斷方法ノ點
ヤ局部的治療ヤ豫防ノコトハ中々
進ンデヰルケレドモ其ノコトガ間
違ツテモ何デモ科學知識デ病氣ニ
理窟ヲ附ケ對症治療ヲヤル(脚氣
病ノ如キ糖尿病ノ如キ喘息病ノ如
キハ近々二三十年間ニ學說ハ七、八
囘モ變リ今ニ不明ナモノモアル治
療ニカカツタ〓人ハ「モルモツト」
ノ代リニナルバカリ)藥モ草根木
皮ヲ分析シテ觀テ有效成分ヲ發見
シテ其ノモノダケヲ抽出シテ服用
スルコトデ何等害ハナイモソトシ
テヤツテヰルオ灸ノ代リニ電氣ヲ
使ツタリ又太陽ノ代リニ種タノ光
線ヲ發見シテ治療ヲシテヰルガ其
レデ死ンダ人ハ幾人モアル更ニ最
近ハ鼻ナラ鼻、皮膚病ナラ皮膚バ
カリト云ツタ風ニ分業ガ極端ニナ
ツテ其ノ局部ヲ治療スル裡ニ往々
油斷シテ命ノ方ガ一足先ニ無クナ
ルト云フ例ハ幾ラモアル第三ハ自
然醫學トイフモノハ人間ノ生命ノ
コトハ大自然ノ法則卽チ日光ヤ水
ヤ空氣ハ勿論ノコト殊ニ食物ノコ
トガ主デアルカラ此ノ肥料ヲ自然
界ノ原則ヲ守リ自分ノ住ム地方デ
自然ニ出來ルモノヲ自然ノ形ノ儘
デ食フベキデアルトシテキル此ノ
觀念ノ上ニ立ツテ保健政策ヲ考ヘ
治療モ考フベキデアルト謂フノガ
自然醫學ナノデアル(然シ現在ノ
病氣ノ有樣デハ一般ノ西洋醫術ニ
モ尊重スベキモノ用ユベキモノガ
多分ニアル)「ユダヤ」流ノ西洋醫
學ニ浸ミタ行政當局ノ中ニハソン
ナ食事ヲ改メルト言フガ如キコト
ハ醫學デハナイデハナイカト云フ
人モ間々アルソンナ人ハ醫業ヲ識
ツテ醫ノ本態ヲ知ラザル方々デア
ル、カヤウナ人達ガ保健行政ノ適
否ヲ決定サルルノデハ到底國民ノ
健康保全ハ望マレナイノデハナイ
カト思フ
5卽チ行政當局ハ過去ノ有樣ト現
在ノ狀況ヲ見ラレテ保健行政ノ根
本的對策ニ關スル限リハ吾人ノ稱
スル「ユダヤ」流ノ西洋醫學ニハ再檢
討スベキモノアリト感ゼザルカ又
再出發ヲ爲スベキモノトノ意思ヲ
有セザルカ
6世界第一ノ病弱國トナリタルコ
トト之ニ對スル醫業ノ現狀ヲ照シ合
セ考ヘラルル時ニ其ノ原因ノ主ナ
ルモノハ更ニ深ク〓究スベキ必要
アルモノトシ、其ノ原因ノ主ナル
モノハ何デアルカヲ考ヘラレヲル
ヤ
二玄米ト白米トノ比較
1玄米ハ實ニ理想的食物ニシテ殊
ニ日本人ニハ自然ニ出來タ天與ノ
食物デアル今ノ樣ニ精白ニシテ食フ
コトニナツタノハ今カラ二百六七
十年前カラノコトデ此ノ頃カラ士
ゝ風モ益、隨落シ始メタノデアル玄
米ヲ白米トシテ食シ其ノ不足セル
蛋白ヤ脂肪分其ノ他ヲ「カロリーㄴ
サヘアレバ邪肉食デ補給スルモ害
モ無ク完全ニ目的ハ達セラルルモノ
ナリトノ考へ方ガ卽チ「ユダヤ」流
ノ營養醫學ナノデアル白米ハ發芽
不能ナ生命無キ死ンダモノデアル
無論胚芽米ト七分搗ニハ「ヴイタ
ミン」ハ少シハ殘存スルモ何レモ
死ンダモノデアル自然生活動物ハ
生命ノアル生キタモノシカ食ハナ
イノニ(猿デモ鳩デモ玄米ト白米
ヲ混ゼテヤレバ玄米シカ普通ハ〓
ハヌ猫ハ死ンダ鼠ハ食ハヌ)獨リ
人間ノミガ死ンダ變質シタ白米ヤ
邪肉〓ヲ攝ツテ完全ニ生命ヲ保チ
得ル理窟ハナイ卽チ玄米ニハ有機
物質ノ蛋白、脂肪、澱粉ト無機物
(灰分)ノ「カリウム」、「ナトリウ
ム」、「マグネシウム」、鐵燐其ノ
他更ニ各種「ヴイタミン」類ト구
ルカリ」分ガアリ更ニ最モ重要ナ
ル生命素ヲ有シテヰル而シテ有機
物ノ攝取ヲ支配スルハ無機分中ノ
「カリウム」鹽ト「ナトリウム」鹽デ
アル(「ケンメリヒ」氏ノ實驗)其ノ
夫婦兩鹽ノ割合ガ玄米ハ「カリ」鹽
ガ五デ「ナトロ」鹽ガ一ノ割合デ理
想的ニナツテヰル此ノ玄米ガ白米
トナレバ生命素ノ失ハルルコトハ
勿論ノコト「ヴイタミン」類ハ全部
失ハレ無機分ハ五分ノ一程度シカ
殘ラズ有機分ハ澱粉ノミハ大部分
殘シ得ルモ蛋白ト脂肪トハ極ク少
量ヲ殘スノミデ大部分ノモノハ失
ハルルモノデアル卽チ糠トシテ去
ルノデアルカラ白米ノ一一字ヲ橫ニ
列ブレバ粕トイフ字ニナリ健康ノ
康ノ字ノ偏ニ米ノ字ヲ書クト糠ト
云フ字ニナル文字ハヨク實質ヲ表
シタモノデアルト古人ヲ今更感心
スルモノデアル
2白米トシテ食フノデ榮養分ガ不
足シテ來ルソコデ副食物トシテ邪
肉食ヲ食フ此ノコトガドンナニ身
體ニ害ヲ及ボスカ邪肉ハ熱量卽チ
「カロリー」ハ高イガ砂糖ト同一デ
害ガ多イ德川時代デモソンナ理窟
ハ別トシテ肉ハ害ノ有ルモノトシ
テ再三禁令ガ出タ其レガ明治時代
ツテ「ユダヤ」流ノ營養醫學ガ
輸入サレテ此ノ說ガ信用サレテヨ
リ邪肉ヲ食フコトガ文化人デアル
トシテ益〓多ク用ユルコトニナツ
タノデアル人間ノ體液ハ「アルカ
リ」性ニナツテヰルノデ病氣ニナ
ラナイノデアル體ハ働クト勢ヒ酸
性ニナルソコデ血液ガ「アルカリ」
性ニナツテヰレバ早ク酸ヲ中和シ
テ元氣ハ囘復スル(普通休息スル
ト酸ハ中和スル)所ガ玄米ヲ〓ヘバ
自然ニ肉ヲ食フ必要ハ無クナリ野
菜カ海藻(肉ハ〓ツテモ魚位ノモ
ノ)ノミヲ食フモノデアル野菜ヤ
海藻ハ「アルカリ」分ノ有力ナ供給
者デアル之ト反對ニ白米ヲ食ヘバ
勢ヒ邪肉〓ヲ〓フコトユナリ(而
モ多クハ變質シテヰル)肉ハ酸ノ
有力ナ供給者デアル現ニ草食獸ノ
牛馬、穀菜食ノ人間(昔ノ日本人ガ
根氣良ク强ク今日ハ根氣ガ無イ)
ハ勞働ニ持續的耐久力ヲ有シ之ト
反對ニ「ライオン」ヤ猫ハ常ニ眠リ
ヲ貪ル癖ガアルノデアル此ノ구
ルカリ」分ノ缺乏セル場合ハ體內
ニヰル黴菌ガ繁殖シテ病氣ニナル
ノデアル手數ヲ懸ケテ白米トシテ
大事ナ糠ヲ去リ、ヤレ「ヴイタミ
ンガ不足スルカラトテ高イげ
イタミン」劑ヲ買ツテ服ンダリ注
射シタリ「カルシウム」ガ不足スル
トテ之ノ注射ヲシタリスルつい
モ完全ニ自然攝取ヨリ以上ニ有效
ナラバマダシモ)人間ト云フ動物
位生命ノコトニ付キ滑稽ナ事ヲヤ
ル動物ハ他ニナイト思フモノデア
ル
3食物ニハ前申シタ生命素ノ有無
ガ生命ニ大關係ヲ有スルモノデア
ル死ンダモノニハ生命素ハ無イコ
トハ勿論デアル動物ノ死トハ水ト
脂肪ノ分離シタ形ヲ指スノデアル
生キテ居ル間ハ水ト脂肪ハシツク
リ抱合ツタ形ニナツテヰルモノデ
アルカラ脂肪ノ吸收モヨリ容易デ
アル政府ノ輸入スル南京米ハ熱
帶產ノモノデサラ〓〓シテヰテ洋
食ノ「ライスカレー」ニハ適當デア
ルガ日本食ニハ不向デアル殊ニ白
米トシテ永ク放置シテアルノデ甚
シク變質シテキル藥ヲ服ンデ調節
スルコトヲ識ツテヰル人間デモ昨
年來其ノ爲膓ヲ損メタ人ガ中々多
カツタ藥ヲ服ムコトヲ知ラザル上
等ノ犬猫ハ其レガ爲ニ血便ヲ出シ
テ死ンダモノガ澤山アツタ、コン
ナモノヲ幾ラ白米食-邪食-美食
中毒患者ノ嗜好慾ヲ滿ス手段トハ
申セ、コンナ馬鹿々々シキ眞似ヲ
每年ヤルト云フ國民モ國民デアリ
當局モホントニドウカシテヰルト
思フモノデアル他ニ體ヲ良クシテ
七八百萬石ヤ千萬石ノ米ノ不足ハ
純日本白米ニ比シ少シ口ザワリノ
惡イ(今ノ配合飯ヨリハ遙カニ口
ザワリヨシ)コトヲ我慢スレバ救
濟ノ方法ガ幾ラモアル位ノコトニ
ドウシテ氣ガ付カナイノカ之ハ全
ク當局自身モ國民モ共ニ邪〓慾ヲ
滿足サスコトニシテ其レニハ手ヲ
觸レナイ範圍デヤルト謂フカラデ
アル玄米食ヲ用ヒテ外米ヲ輸入シ
ナケレバ大枚ノ金ガ浮ブノデ差當
リ國防上ニモ大關係ノアルコトデ
アル
三米不足ニ付テ(節米ニナルカ)
1先年迄ハ米ハ過多デアツタ米價
ノ下落ニ因リ米ヲ海ニ流サントシ
タコトノアル我ガ國デアル、ト〓
ロガ昨年來豫想モシナイ米不足ガ
襲來シタ其ノ原因ハ一部地方ノ風
水害トカ蟲害ノ爲トカ又ハ事變ノ
爲トカ云フ簡單ナ理由ノミデ片付
ケルコトガ出來ルノカ頗ル疑問ニ
思フノデアル
2私ハソンナ淺ハカナ原因デ之ガ
來タモノデナイト思フ米不足ハ國
民ガ心ヲ入レ直シテ邪食ヲ廢シ正
食卽チ自然食ニ戾サザル間ハドン
ナ增產計畫ヲ樹テテモ植物ト動物
ハ離ルベカラザル自然界ノ原則ガ
アルノデ米不足ハ永久ニ續クモノ
ナリト信ジテヰル人間デモ植物デ
モ地球上ニ於テ溫度ノ相違デ其ノ
表面ノ色モ實質モソレ〓〓異ナツ
テヰル卽チ生物ハ適者生存ノ原則
ニヨリ存在シテヰルソコデ動物ニ
ハ其ノ動物ノ住ンデヰル地方ニ出
來テヰル物ガ〓糧トシテ天ヨリ與
ヘラレテヰルト見ルベキデアル之
ガ自然界デアル寒帶ニハ植物ハ多
ク出來ナイカラ生キタ動物肉ヲ食
フテヲル日本ノ樣ナ寒帶、溫帶、
亞熱帶ノ存スル國內デハ同ジ穀物
デモ米デモ雜穀ニシテモソレ〓〓
養素ガ異ナリ其ノ地方ノ住民ニ適
當スルヤウニ成育シテヰルノデア
ル
3卽チ植物ハ土デ養ハレテヰテ身、
土ハ不離デアルコトハ勿論デアル
ケレドモ動物モ亦人間モ身、土ハ
不離デアル其ノ適シタ土ヲ離レテ
完全ナ生命ハ無イモノデアル之ガ
自然界ノ大原則デアル
右ノ大原則ヲ破ツテ寒帶ニ住ム人
ガ近來文化ガ進ンダ爲ニ其ノ地方
デ自然ニ產スル高粱トカ又ハ從來
ノ食物ヲ廢シテ溫帶ノ米ヲ而モ白
米デ食ヒ溫帶ノ人々モ更ニ玄米ヲ
食フコトヲシナイデ白米ヲ〓ヒ最
近副食物ガ不足ナノデ益〓多量ニ白
米ヲ食フ此ノ不自然ナ行爲ガ米不
足ノ大ナル原因ト思フ當局ノ所見
如何
4更ニ肥料對策、空地利用等ニ依
ル增產計畫ハ勿論必要デアルケレ
ドモ人口モ增スノデソンナ追駈ゴ
ツコ的ナ對策ノミデハ不徹底デア
ルソンナコトデハ如何ナル食糧難
ニモ應ジ得ル萬全ナ策デハナイ此
ノ際白米ト其レニ伴ツテ起ル邪肉
食ノ一切ヲ廢シテ玄米食卽チ生命ノ
アル食物ヲ攝リ而モ其ノ住ム地方
デ出來ル穀類、蔬菜(魚類)ヲ生キ
タ儘ノモノヲ食スルト謂フノデナ
イト食糧難ハ救ハレヌ此ノ遣リ方
ナラ天罰ガ來ナイト思フ
5玄米ナラバ自然ニ咀嚼ハ十分ニヤ
ルコトニナル(又一口六七十囘嚼
ムコトニ努ムベキデアル)昔カラ
物ヲ良ク味フト謂フ言葉ガアル玄
米ハ嚙ム程味ガ出ルガ白米ハ出ナ
イ又食事デモ物事デモ「コナス」ト
謂フ言葉ガアル嚼ンデ粉ニナルコ
トデアル穀類ハ嚙ム程粉ニナルガ
肉類ハ嚙ム程粕ガ出ル言葉語源ニ
ハ中々味フベキモノガアル
私ノ體驗ヨリスルト咀嚼モ十分ニ
スルシ榮養分モ十分アルノデ玄米食
ハ白米食ノ時ヨリ米量ハ半分以下
デ濟ムカラ推定的ニ內輪ニ見テモ
半搗米厲行デモ優ニ一箇年一千萬
石以上ノ節米ガ出來、玄米ナラ更
ニ二千萬石ハ十分節米ガ出來ルモ
ノトノ白信ガアル其レニハ國家ト
シテ玄米食ノ三德ニナルコトヲ國
民ニ親切ニ〓フベキデアル、ソノ
上前申シタヤウニ健康ニナル右ニ
對スル當局ノ所見如何
四精神上ニ關係スルコト
1「食正シケレバ人マタ正シ」ト古
語ニアル如ク美食ヲ追フ國民ハ心
身共ニ紊レテ其ノ國亡ブ歷史ハ雄
辯デアル(羅馬帝國ノ亡ビシ事又
現在歐洲ニ於ケル一、二ノ有樣)實
ニ玄米食ハ豐受大神ノ神靈ヲ保有
セル大和魂ノ源泉デアルト申シテ
宜イ御卽位ノ大嘗祭モ每年ノ新嘗
祭モ御米ヲ祭ル祭典デアル一口ヲ
六七十囘モ嚙ムノデ禪ノ數息觀ノ
〓ト同一デアル「〓ヲ戴ク」ト謂フ
言葉ハ豐受大神ヲ體內ニ迎ヘル意
味デアル此ノ事ヲ考ヘテ食ヘバ心
モ自然ニ引締ツテ來ル實ニ玄米〓
ハ保健ノ根本的對策デアリ米不足
ノ根本解決策デアリ更ニ精神作興
ノ唯一ノ實行ヨリ來ル救濟策デア
ルト信ズルノデアル
今ノ健康不足モ米不足モ精神問題
モ皆天照大神、豐受大神ノ神威ニ
觸レタル神ノ戒デアルト考フベキ
デアル
2臣道實踐モ口先ダケノ宣傳デハ
駄目デアル上下同一ニ實行出來ル
コトカラ始ムベキデアルト思フ徒
ニ理念ノミノ爭デ人ヲ罵ルコトハ止
メテ平凡ナ而モ善イト思ツタコト
ハ克己心ニ鞭ツテ眞面目ニナツテ
實行スベキデアル又此ノ位ノコト
ガ出來ナイ樣デハ此ノ時局ハ眞ニ
到底乘切レナイノデハナイカト思
フモノデアル
五玄米食ノ非難ニ付テ
1玄米食ハ吸收ガ惡イトカ不消化
物ガ多イトカ非難スル人アリ吸收
率ト吸收實量トハ異ナルモノデア
ル玄米ト白米ハ要素含有量ニ大差
アリ更ニ玄米ニハ存シテ白米ニハ
皆無ノ要素ニ付テハ比較スル術モ
無イコトデアル消化、不消化ノコ
トハ玄米ニハ大便トシテ出ル固形
物ハ多キモ其ノ不消化物ハ體內ニ
停滯スルモノニアラズ寧ロ膓ヲ刺
戟シテ便通ヲ助ケルモノデアル
2玄米ハ炊方ガ面倒ダトカ非難ス
ルガ炊方ハ普通白米ヨリ蒸ス時間
ガ一時間位長ク掛カルノミデ釜ハ
普通釜ノ方ガ便利デアル私ハ冬ナ
ラ二、三日分ヲ一度ニ炊キ握飯ニ
シテ置クノデトテモ食事ガ手輕デ
アル
3玄米ハ野蕃的非文化的デアル口
ザワリガ惡イト非難スル人ガアル
ケレドモ現ニ政府ガ指定シテヰ
ル混合米飯ヤ「デパート」食堂ニ出
テヰル代用食ト比較スルト遙ニ口
ザワリガ宜ク旨イモノデアル
4玄米ハ良イガ其レデハ糠ガ無ク
ナリ家畜ノ飼料ガ無クテ困ルト言
フ人ガアルソンナ方ハ玄米食ノ利
益ニナル原理ヲ識ラザル低級ナモ
ノデアツテ返答モ出來ナイ範圍ノ
モノデアル
右申スヤウナ玄米食ヲ彼是非難サ
ロ7
ルル方ハ畢竟碌々試ミラレモシナ
イ人カ又ハ何ニカノ機勢デ玄米食
ヲ試ミラレテモ外デノ會食ガ多イ
人カ又ハ玄米ハ玄米デ食ツテ十分
ニ嚙ミモシナイデ邪肉食モ白米ノ
時ト同樣ニ遣ラレタ方ノ言分デ
アル之ヲ要スルニ其ノ非難ハ白
米-邪食中毒症患者ガ中毒癖ヨ
リ脫スルコトヲ好マレザル方々ノ
聲ガ大部分デアルト思ハレル
5美食者ニ病多ク粗食者ニ病少シ
全國優良壯丁村ハ悉ク粗〓厲行
ノ村デアルコトニ注意スベキデア
ル
宮中ノ事ヲ申スモ畏レ多キ極ミナ
レドモ陛下ノ御日常ノ御事ヲ謹
記セル數々ノ記錄ヲ拜讀スルニ常ニ
半搗米ト麥トノ炊合ガ玉體ニ宜
シキモノトシテ之ヲ御召上リニナ
ツテイラセラルルコトガ謹記シテ
アル私共トシテ此ノコトヲ拜シ御
聖德ノ程恐懼感激ニ堪ヘヌ次第デ
アル今更ナガラ白米食ノ是非ヲ論
ズル迄モナイコトデアル口ニ
天皇歸一ヲ申シテモ行ガ其レニ伴
ハナケレバ何モナラナイ眞ニ畏レ
多キ極ミデアル
六行政廳ノ取扱ニ付テ
1獨逸ノ現狀ハ政治上ニモ參考ニ
ナルコトガアルガ其ノ表面ノ遣リ
方ノミヲ見テ之ヲ判斷スルコトデ
ハ駄目デアル「ヒツトラー」氏首メ
國民ガ此ノ數年間粗食ニ甘ンジテ
修養シタアノ熊度ハ日本ノ禪ノ〓
ト克ク似テヰル其ノ點ヲ十分著昭
シナイデ徒ニ他ノ表ノ策ノミヲ見
習ハントスルガ如キハ烏ガ鵜ノ眞
似ノ譬ト同一デアル畢竟「ヒツト
ラー」氏ハ昔ノ日本ノ大和魂ノ漸
養ノ眞似ヲシテ徹底的ニ範ヲ示シ
國民ニ實行セシメタノデアル本家
ノ日本人ノ方ガ御留守ニナツタノ
デハナイカト思ハレル節ガ多分ニ
アル
2今ノ日本人(殊ニ中流以上ノ人
達)程〓姿ノ紊レタ國民ガ何處ニ
アルカ(都會カラ地方ニ次第ニ蔓
延シテヰル)之ガ多病ノ原因デア
リ米不足ノ原因デアリ更ニ精神總
動員ヤ臣道實踐ヲ高唱スル必要ニ
迫ラルル現狀ヲ招來シタ原因デア
ルト信ズルモノデアル
3今囘私ガ白米食廢止玄米食属行
ノコトデ各役所ヲ訪問シテ玄米〓ガ
右ノ三ツノ目的ヲ達スル上ニ付體
驗上カラモ學理的ニモ最良ノ政策
デアルト云フコトヲ說明シタ大體
ニ私ノ說ガ惡イ說ダト申サレタ方
ハ無イケレドモ當局其レ自身モ白
米ト邪肉中毒症患者デアリ且又國
民ノ嗜好慾ニ少シデモ反スルコト
ハ面倒ガ起ルト云フノカ熱心ニ聽
カレタ當局ハ直接關係ナキ省ノ二
人ダケデアツタ私ノ主張スル保
健節米、精神問題ノ三ツガ一ツ
ノ玄米食厲行デ目的ヲ達スルト謂
フノデアルケレドモ今ノ醫者ノ分
業ノ如キ現在ノ制度ハ分業ニナツ
テヰルノデ例ヘバ一ノ役所ニ行ケ
バ私ノ所ハ米ノ生產ヤ配給ノコト
ヲ掌ツテヰルノデソンナ保健ノコ
トヤ精神上ノコトナラ厚生省カ文
部省ニ話セト云ツタ調子デアル又
次ノ役所ニ行ケバ私ノ所ハ保健ニ
關スルコトヲ專門ニ遣ツテヰルノ
デ精神上ノコト等文部省ニデモ話
シタラ宜カラウト又文部省ニ話セ
バ精神指導ノコトハ遣ツテヰルガ
玄米〓ガソンナ心ノ爲ニナルト云
フコトハ餘リ識ラナイカラ〓究シ
ヨウ今ハ何シロ米ガ不足テノデア
ルカラ其レヲ心配スル役所ハ農林
省デアルカラトカ謂ツテ餘リ熱意
ヲ以テハ聽カレナカツタ此ノコト
カラシテモ今ノ制度ニ多分ノ弊ノ
アルコトガ明カデアル
第三質問ノ諸點
一此ノ際白米食-副食ノ邪〓ヲ廢
止シ玄米食ヲ擧ツテ属行スルコトハ
右三案件ヲ根本的ニ解決シ得ル良策
デアルト信ズルモノデアル
政府ハ玄米食厲行ガ此ノ三ツノ目的
ヲ(假ニ少シデモ)逹シ得ル良策ナリ
トノ考ヘヲ有セザルヤ否ヤ
二又該認識ハアツテモ何者ニカ妨ゲ
ラレテ斷行スルダケノ勇氣ト自信ヲ
有セザルモノニ非ザルカ否ヤ
三殊ニ保健政策ノ根本的對策ニ付テハ
過去ノ經驗ト現狀ニ鑑ミ今日ノ「ユダ
ヤ」流ノ弊ニ陷レノ西洋醫學ノ觀念ノ
ミニ立脚セル政策ニハ再檢討ヲ要スル
モノナリトノ著想ヲ有セザルヤ
四白米食ニ對スル政府當局ノ所見如何
五政府ハ國民ニ向ツテ物資ハ文化的ニ
進メ生命(〓物、日光、空氣、水)ハ原
始ヲ守ルコトノ原則ト殊ニ食律復古
(自然物ニ憑ル)ガ健康保持ノ第一
ノ要件ナルコトヲ〓育ヲ通シテ宣傳
普及スル意思ナキヤ
六右方針決定ノ爲速ニ朝野ノ各方面ノ
人士(西洋醫學者、自然醫學者、漢法
醫學者ノ病理ト體驗ヲ有スル人竝精神
界、〓育界、政治界ノ人士)ヲ網羅セル
會議ヲ設ケ決定スル意思ナキヤ否ヤ
右及質問候也
昭和十六年二月十八日
内閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員西村茂生君提出健康不足、米
穀不足竝精神作興ノ徹底的解決策トシテ
ノ玄米食厲行ニ關スル質問ニ對シ別紙答
辯書差進候
〔別紙〕
答辯書
衆議院議員西村茂生君提出健康不足、
米穀不足竝ニ精神作興ノ徹底的解決策
トシテ玄米食厲行ニ關スル質問主意書
ニ對スル答辯書
-玄米食厲行ニ對スル意見(第三、質
問ノ諸點一、二及四)
政府ニ於テハ豫テ玄米食、半搗米〓、
七分搗米食及白米食ノ利害得失ニ付種
種考究ヲ重ネ保健衞生竝ニ食糧經濟上
無砂搗ニシテ成ルベク多クノ胚芽ヲ殘
存セシメタル七分搗程度ノ米ヲ以テ最
モ適當ノモノト認メ之ニ基キ白米常食
ノ廢止ヲ唱導シテ所謂胚芽殘存七分搗
米ノ〓用ヲ勸奬シ來リタルガ〓糧經濟
竝ニ保健衞生上ノ見地ヨリシテ昭和十
四年十一月米穀搗精等制限令ヲ設ケ米
穀ノ搗精度ハ玄米ノ重量ニ對スル搗上
リ米ノ重量ノ割合九割四分ヲ下ラザル
限度ト定メタル次第ニシテ現在ノトコ
ロ國民一般ガ常食トシテ玄米ヲ攝取ス
ルヲ最適トハ認メ難シ
二保健政策ノ再檢討云々ニ對スル意見
(第三、質問ノ諸點三)
將來ノ參考ニ資シ度
三國民〓育云々ニ對スル意見(第三、
質問ノ諸點五)
將來ノ參考ニ資シ度
四會議設置ニ對スル意見(第三、質問
ノ諸點六)
現在ノトコロ其ノ意思ナシ
右及答辯候也
昭和十六年二月十八日
厚生大臣金光庸夫
文部大臣橋田邦彦
農林大臣石黑忠篤
外貨獲得、圓貨囘收及死藏商品流通ニ
關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十六年二月四日
提出者〓水留三郞
外貨獲得、圓貨囘收及死藏品流通
ニ關スル質問主意書
一外貨獲得、圓貨囘收ニ關スル件
(3)七·七禁令ニ基キ販賣禁止トナ
ツタ高級織物類ヲ現狀ノ儘徒ニ死藏
セシムルハ國家ノ爲不得策ナリト思
ハル政府ハ其等ノ織物類ヲ第三國若
ハ圓「ブロツク」內ノ各地ニ輸出販賣
セシメテ外貨獲得、圓貨囘收ノ方途
ニ出ヅル計畫ハナイカ政府ノ從來採
リ來ツタ方針、今後實行セントスル
處置ニ付テ承リタイ
(ロ)内地向ノ需用ニ製織セラレタ著
尺織物ト雖モ裁斷ノ方法如何ニ依ツ
テハ婦人洋服、支那服竝ニ一般下著
用等ニ利用シ得ルノデアル
政府ハ七·七禁令ニ基キテ販賣ヲ禁
止シタ其等高級織物類ヲ一手ニ買上
ゲ一面國策ノ爲ニ犧牲トナツタ當業
者ヲ其ノ苦境ヨリ救ヒ他面死藏商品
ヲ以テ外貨獲得、圓貨囘收ト云フ
石二鳥ノ方策ニ出ヅル考ハナイカ
以上ノ目的遂行ノ爲特殊會社ヲ設立
シ其ノ業務ヲ擔任セシムル意思ハナ
イカ
(ヘ)七·七禁令ニ基キ販賣ヲ禁止シ
タ「ダイヤモンド」其ノ他ノ高級寶飾
品ハ內地現存一億數千萬圓ヲ超ユル
見込デアル
「ダイヤモンド」ノミニ付テ現ニ調査
スルニ當業者ノ所持スルモノ現在約
二千萬圓、更ニ民間ノ個人ノ所持ス
ルモノ卽チ過去二三十年間ニ海外ヨ
リ輸入セラレテ需用者ニ業者ヨリ賣
ツタモノ、海外ヨリ需用者若ハ其ノ
關係者ノ持歸レルモノ等ヲ合計セバ
約一億萬圓ニ達スルノデアル
「ダイヤモンド」ハ世界共通ノ商品デ
アツテ世界何レノ市場ニ於テモ任意
ニ販賣シ得ル可能性ヲ有スルノデア
ル
外貨獲得、圓貨囘收ハ刻下ノ急務デ
アル「ダイヤモンド」ノ如キ世界共通
ノ商品ヲ徒ニ國內ニ死藏セシメテ置
クコトハ策ヲ得タモノデナイ
其等ニ對スル政府ノ所見特ニ從來採
リ來ツタ方針竝ニ今後政府ノ實施セ
ントスル處置ニ付テ承リタイ
(1)民間個人ノ所持スル「ダイヤモン
どハ販賣シタ商人ノ手ヲ經テ調査
セバ其ノ〓要ハ知リ得ラルルノデア
ツテ金ノ所在調査ヨリハ寧ロ容易デ
アル
政府ハ「ダイヤモンド」ノ價格ニ對ス
ル一定ノ標準ヲ定メ鑑定委員中ニ專
門ノ當業者ヲ包含セシメタナラバ其
ノ評價モ敢テ困難デハナク又ハ既設
ノ社團法人金銀製品商聯盟其ノ他ノ
機關ヲ通ジ若ハ特殊會社ヲ設ケテ買
上ゲ方法ヲ講ゼシムルトセバ金買上
ト同樣ノ方法デ簡單ニ爲シ得ラルル
ト思ハレルノデアル
政府ハ進ンデ「ダイヤモンド」ヲ買上
グル考ヘハナイカ
(土)買上ゲタ「ダイヤモンド」等ヲ海
外市場若ハ上海其ノ他ノ圓「ブロツ
ク地域內ニ輸出販賣シ以テ外貨獲
得圓貨囘收ヲ爲サシムル目的ノ下
ニ特殊會社ヲ設立シテ其ノ事業ヲ擔
任セシムル計畫ハナイカ
二死藏商品流通ニ關スル件
(3)鐵、銅其ノ他ノ金屬及金屬製品、
綿及綿絲布等ハ國民ノ生活上ニ於ケ
ル必需品デアツテ國策上止ムヲ得ザ
ルノデハアルガ國民ノ多數ハ其ノ配
給ノ減少ニ苦シミ生產擴充ノ上ニモ
少カラズ故障ヲ來シテ居ルノデアル
政府ノ曾テ〓示シタ在庫品數量ノ申
告期間中ニ故意若ハ不注意ニテ其ノ
當時申告ヲ怠リ祕密裏ニ死藏シテ居
ルモノ各方面ニ相當多シト聞ク其等
死藏商品ノ現在高調査ハ實情頗ル困
難トハ思フガ政府ノ調ニ依ル各種目
別及見込數量竝ニ金額等ニ付テ〓要
ヲ承知致シタイ
(日)右ノ未申告商品ニシテ依然當業
者ノ下ニ死藏セラレテルモノニ對シ
テ政府ハ從來如何ナル處置ヲ採ラレ
テ居ルノデアルカ
(ハ)人ヲ睹レバ泥棒ト思へトノ觀念
ニ基ク檢擧第一主義ハ國策遂行上一
時止ムヲ得ナカツタノデアラウガ餘
リ感服シタモノデハナイ、惡質犯罪
及再犯以上ノモノニ對シテハ斷乎ト
シテ嚴罰主義デ臨ムベキガ當然デハ
アルガ不作爲ノ事犯、生活上餘儀ナ
キ違反ニ對シテハ克ク其ノ將來ヲ戒
メ再ビ罪ヲ犯サシメザルヤウニ換言
スレバ親心ヲ以テ卽チ硬軟兩建ニテ
經濟事犯ヲ處理シテコソ、ソコニ初
テ社會ノ不安ヲ一掃セシムル所以ト
モナルノデアル
政府ノ經濟事犯ニ關スル根本的ノ觀
念ヲ此ノ際承リタイ
(三)釘「バケツ」、脫脂綿、晒木綿
等相當ニ廣ク闇取引ガ行ハレテ居ル、
配給ノ品物ハ少イ、闇デ高クトモ買
ヒタイノガ人情デアル、闇取引ノ根
絕ハ中々困難デアル
政府トシテハ配給品以外賣ル品物ヲ
ナカラシムルヤウニ、當業者ノ死藏
品ヲナクナラシムルヤウナ方針ニ出
ヅルコトガ必要デハナイカ政府ノ所
見ハドウカ
(木)金物類、綿絲布類其ノ他政府ガ
曾テ〓示シテ在庫品數量ヲ一定ノ期
間內ニ申告セシメタニモ拘ラズ故意
若ハ不注意ニテ申告シナカツタ所謂
申告漏レノモノガ多ク闇市場ニ出現
シテ居ルカノ如ク察セラルルノデア
ル其等ノ品物ヲ根絕セシムル爲檢擧
第一主義デハ恐ラク其ノ效果ハ擧ゲ
得ラレマイ、政府ハ寧ロ此ノ際其等
ノ死藏品ニ對シテ一定ノ期間ヲ定メ
新シク更ニ申告セシムルノ機會ヲ與
ヘル考ハナイカ
CI新シク定メタ申〓期間中ニ申〓
シタ者ニ對シテハ特ニ其ノ罪ヲ免ジ
適當ノ方法ヲ以テ死藏品ヲ買上ゲ公
定價格ニテ既定ノ機關ヲ通ジテ一般
需要者ニ流レシムルノ策ヲ講ズルコ
トガ必要デハナイカ
新定ノ期間內ニ申告セザル者ニ對シ
テハ死藏商品ヲ發見次第其ノ商品ヲ
國家ニ沒收シ責任者ヲ嚴罰ニ處スル
コトヲ規定スルコトガ適切デハナイ
カ
其等ニ對スル政府ノ見解ヲ承リタイ
右及質問候也
昭和十六年二月十八日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員〓水留三郞君提出外貨獲得、
圓貨囘收及死藏商品流通ニ關スル質問ニ
對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員〓水留三郞君提出外貨獲
得、圓貨囘收及死藏商品流通ニ關スル
質問主意書ニ對スル答辯書
一、外貨獲得、圓貨囘收ニ關スル件ニ關
スル答辯
(一)七·七禁令ニ基キ販賣禁止トナリタ
ル物品ヲ第三國若ハ圓ブロツク地域
ニ輸出シ外貨獲得、圓貨囘收ヲ圖ルコ
ト緊要ナルコトハ政府ニ於テモ夙ニ痛
感スル所ナルモ七·七林〓品中ニハ
第三國向輸出品トシテ所謂新規商品
ト見做スベキモノ相當有之之ガ輸出
ヲ促進スルガ爲ニハ見本ノ頒布、宣
傳ヲ圖ル必要アルニ鑑ミ七·七禁令
品ニシテ第三國向輸出ニ適スル商品
ニ付テハ差當リ政府ニ於テ夫々必要
ナル助成方策ヲ講ジ見本ノ頒布宣傳
ヲ爲シツツアルモ更ニ適當ノ機關(買
取會社等ノ如キ)ヲシテ積極的ニ禁
令品ノ買上ヲ爲サシメ當該商品ノ輸
出促進ノ方途ヲ考究致度
尙七·七禁令品ニシテ圓ブロツク地域
向輸出ニ適スル商品ニ付テハ日本東
亞輸出入組合聯合會其ノ他適當ナル
團體(例ヘバ社團法人金銀製品商聯
盟ノ如シ)ヲ通ジ圓ブロツク地域殊ニ
支那ニ對スル輸出ヲ圖ラシムベク銳
意斡旋中ナリ
一七·七禁令ニ基キ販賣ヲ禁止セラレ
タルダイヤモンドノ輸出ニ關シテハ
從來本邦ヨリ本品ヲ輸出シタル事例
極メテ稀ナルノミナラズ其ノ價格ガ
カツトノ仕方、地質等ニ依リ異リ、
海外市場ニテ競爭可能ナル如ク價格
ヲ設定スルコト困難ナル等ノ本品ノ
特種性ニ鑑ミ之ガ第三國向輸出方策
ハ必ズシモ容易ナラザルモノト認メ
ラルルヲ以テ銳意考究スルコトト致
度所存ナリ
二、死藏商品流通ニ關スル件ニ關スル答
辯
(一)所謂未申告商品死藏商日四ノ現在高調
査ハ實際頗ル困難ニシテ從來特殊商
品ニ付調査ヲ實施シ需給調整ニ資シ
來タリタルモ物資全般ニ亙ル調査ヲ
實施シタルコト無キ爲目下ノ處死藏
品等ノ種目別數量別金額等ハ判明セ
ズ而シテ商工省ニ於テハ昭和十六年
二月十日附商工省令第七號「商工省
所管重要物資現在高調査規則」ヲ公
布シ差當リ國民生活必需物資タル毛
織物、絹織物、人造絹織物、ステー
プル·フアイバー織物、綿織物、更
生絲織物、タオル、タオル地、煉炭、
鐵丸釘、針金、鐵線、亞鉛メツキ、
鋼板ノ十三品目ニ付現在高調査ヲ全
國的ニ實施スルコトトシタリ尙本調
査ハ每年二回實施シ必要ナル商品ニ
付テハ繰返シ調査ヲ行フ外、漸次他
ノ重要物資ニ及ス方針ナリ
商工省ニ於テハ本調査實施ノ結果ヲ
以テ之等物資ノ需給關係ノ調整ヲ圖
ル爲必要ナル措置ヲ講ズル方針ナリ
尙前記調査ニ當リテハ右ノ趣旨ニ則
リ前記調査規則中ニ物資需給調整ノ
見地ヨリ之ヲ爲スモノニシテ犯罪摘
發ヲ目的トスルモノニ非ザルコトヲ
明記シタリ
二經濟事犯ノ處理ニ付キテハ終始惡
質重大ナルモノノ糺彈ニ重點ヲ置キ
之ヲ嚴罰シテ一罰百戒ノ實ヲ擧ゲ、
犯情輕微、法規不知ニ基ク場合其ノ
他斟酌ヲ加フベキ情狀ノアルモノニ
對シテハ寬容ノ熊度ヲ以テ臨ム方針
ヲ堅持致シ經濟統制ノ厲行確保ト治
安ノ維持ニ萬全ヲ期シ居ル次第ナ
リ、而シテ法ノ不知ニ基キ不知不識
ノ間ニ罪ニ陷ルコトナキ樣凡ユル機
會ヲ利用シテ法令ノ趣旨內容ヲ國民
ニ周知徹底セシメ犯罪ノ未然防止ニ
努力致シ居ル次第ナルガ之ガ具體的
施設トシテ經濟相談所ヲ開設シ法令
ノ質疑應答、其ノ他經濟問題ニ關ス
ル相談ニ應ジ以テ犯罪防止ニ遺憾ナ
キヲ期シツツアリ、之ヲ數字ニ依リ
テ見ルニ經濟警察實施以來昨年十月
末迄ノ違反件數七十七萬七千餘件ノ
內將來ノ遷善ヲ期待シ處罰セズシテ
署長限リノ說諭ニ止メタルモノ六十
八萬件以上ニ上ル次第ナリ、次ニ政
府ノ行フ物資ノ在庫調査ハ經濟事犯
ノ摘發ヲ目的トシテ之ヲ行フモノニ
非ザルハ勿論ナルガ申告者ナルガ故
ニ其ノ犯シタル罪ヲ免ズルトイフガ
如キ取扱ヲ一般的ニ致スベキニ非ズ、
其ノ罪ノ中ニハ惡質重大ナルモノモ
アルベク、夫レニモ拘ラズ悉ク之ヲ
免ズルニ於テハ既ニ檢擧處罰セラレ
タル者トノ均衡ヲ失スルノミナラズ、
一度斯カル事例開カルルニ於テハ將
來二度三度アルベキコトヲ豫想シ却
テ遵法精神ノ弛緩ヲ來スガ如キ面白
カラザル影響モ考ヘラルルヲ以テ斯
カル事ハ只今ノ處考ヘ居ラザル次第
ナリ
右及答辯候也
昭和十六年二月十八日
商工大臣小林一二
内務大臣男爵平沼騏一郞
司法大臣柳川平助
八紘一宇ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
昭和十六年二月十三日
提出者生田和平
外一名
八紘一宇ニ關スル質問主意書
近衞內閣總理大臣ハ昨年七月大命ヲ拜シ
テ內閣ヲ組織セラルルヤ基本國策ヲ聲明
シ其ノ冒頭ニ於テ皇國ノ國是ハ八紘ヲ一
宇トスル肇國ノ大精神ニ基キ世界平和ノ
確立ヲ招來スルコトヲ根本トシ云々ト述
ベラレタ卽チ八紘一宇ガ我ガ國是デアル
ト云フノデアル
又去ル一月三十一日衆議院豫算委員第二
分科會ニ於テ議員森田重次郞氏ノ質疑ニ
對シ橋田文部大臣ヨリ八紘一宇ノ理念ニ
付答辯アリタルガ之ハ我ガ肇國ノ大精神
ヲ述ベラレタルモノデアツテ事極メテ重
大デアルト思フ
一、近衞內閣總理大臣ハ八紘一宇ノ原理
ニ付如何ナル見解ヲ有セラルルノデア
ルカ
ニ、八紘一字ハ「掩八紘而爲宇」ト同一意
義デアルカ
右及質問候也
昭和十六年二月十八日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
衆議院議長小山松壽殿
衆議院議員生田和平君外一名提出八紘一
字ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員生田和平君外一名提出八紘
一宇ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一、八紘一宇トハ神武天皇御奠都ノ際下
シ給ハリタル詔ノ中ニ
上ハ則チ乾靈ノ國ヲ授ケタマフ德
ニ答へ、下ハ則チ皇孫ノ正ヲ養ヒ
タマヒシ心ヲ弘メム、然シテ後ニ
六合ヲ兼ネテ以テ都ヲ開キ、八紘
ヲ掩ヒテ字ト爲ムコト、亦可カラ
ズヤ
ト仰セラレシニ基ヅクモノニシテ皇
祖天照大神ノ國ヲ授ケ萬物ヲ生成化
育セシメ給ヒシ御德ニ答へ、同時ニ
皇孫ノ正ヲ養ヒ給ヒシ大御心ヲ弘ス、
カクシテ皇祖天照大神ノ御德ノ光被
ニヨリ天ノ下ヲ總ベテ一家ノ如ク親
和的ナル一體タラシメントノ大御心
ナリト拜察ス、從ヒテ八紘一字トハ
國內ハ勿論廣ク各國ヲシテ夫々其ノ
所ヲ得、相携ヘテ其ノ特性ヲ發揮シ
ツツ世界ヲ靄然タル一家ノ如クナラ
シメントスル大御心ヲ表現シタルモ
ノト解ス
二、八紘一宇ハ「掩八紘而爲宇」トノ大
御心ト同樣ノ意義ナリト思料ス
右及答辯候也
昭和十六年二月十八日
內閣總理大臣公爵近衞文麿
文部大臣橋田邦彦発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=5
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006・田子一民
○副議長(田子一民君) 本日ノ日程ニ揭ゲ
マシタ質問一乃至三ハ、何レモ政府ヨリ答
辯書ヲ受領致シマシタ、仍テ日程ヨリ之ヲ
省キマス-日程第一及ビ第二ハ、便宜上
一括議題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=6
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007・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第一、借地法中改正法律案、
日程第二、借家法中改正法律案、右兩案ヲ
一括シテ第一讀會ヲ開キマス-柳川司法
大臣
第借地法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
第二借家法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
借地法中改正法律案
借地法中左ノ通改正ス
第四條借地權消滅ノ場合ニ於テ借地權
者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建
物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ條件
ヲ以テ更ニ借地權ヲ設定シタルモノト
看做ス但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使
用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正
當ノ事由アル場合ニ於テ遲滯ナク異議
ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
借地權者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テ
ハ時價ヲ以テ建物其ノ他借地權者カ權
原ニ因リテ土地ニ附屬セシメタル物ヲ
買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
第五條第一項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第六條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ建物アルトキハ土地
所有者ハ第四條第一項但書ニ規定スル
事由アルニ非サレハ異議ヲ述フルコト
ヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前ニ設定シタル借地權ニ
付亦之ヲ適用ス
借家法中改正法律案
借家法中左ノ通改正ス
第一條ノ二建物ノ賃貸人ハ自ラ使用ス
ルコトヲ必要トスル場△日其ノ他正當ノ
事由アル場合ニ非サレハ賃貸借ノ更新
ヲ拒ミ又ハ解約ノ申入ヲ爲スコトヲ得
ス
第二條當事者カ賃貸借ノ期間ヲ定メタ
ル場合ニ於テ當事者カ期間滿了前六月〓
乃至一年內ニ相手方ニ對シ更新拒絕ノ
通知又ハ條件ヲ變更スルニ非サレハ更
新セサル旨ノ通知ヲ爲ササルトキハ期
間滿了ノ際前賃貸借ト同一ノ條件ヲ以
テ更ニ賃貸借ヲ爲シタルモノト看做ス
前項ノ通知ヲ爲シタル場合ト雖モ期間
滿了ノ後賃借人カ建物ノ使用又ハ收益
ヲ繼續スル場合ニ於テ賃貸人カ遲滯ナ
ク異議ヲ述ヘサリシトキ亦前項ニ同シ
第三條第二項ヲ削リ同條中「前條」ヲ「前
條第二項」ニ改ム
第三條ノ二一年未滿ノ期間ノ定アル賃
貸借ハ之ヲ期間ノ定ナキモノト看做ス
第四條第一項中「解約申入」ノ上ニ「賃貸
借ノ期間滿了又ハ」ヲ加フ
第六條中「前五條」ヲ「前七條」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法ハ本法施行前ニ爲シタル建物ノ賃貸
借ニ付亦之ヲ適用ス
第一條ノ二ノ改正規定ハ本法施行前ニ解
約ノ申入アリタル場合ニモ亦之ヲ適用ス
但シ本法施行前既ニ借家法第三條第一項
ノ期間ヲ經過シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
本法施行ノ際現ニ存スル建物ノ賃貸借ニ
シテ本法施行後一年內ニ其ノ期間滿了ス
ベキモノニ付當事者ガ其ノ期間滿了前一
年內ニ相手方ニ對シテ爲シタル更新拒絕
ノ通知又ハ條件ヲ變更スルニ非ザレバ更
新セザル旨ノ通知ハ第二條第一項ノ期間
內ニ爲サザルモノト雖モ之ヲ同條同項ノ
期間內ニ爲シタルモノト見做ス
前項ノ場合ニ於テ賃貸借ガ期間ノ滿了ニ
因リ終了シタルトキハ第四條ノ改正規定
ニ拘ラズ轉貸借モ亦終了ス
〔國務大臣柳川平助君登壇]〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=7
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008・柳川平助
○國務大臣(柳川平助君) 只今議題トナリ
マシタ借地法中改正法律案及ビ借家法中改
正法律案ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
近來土地、建物ノ價格ガ漸次〓騰シ、又
借地、借家ヲ求ムル者ガ次第ニ增加致シマ
シタ關係上、借地ニ付テ申シマスト、地主
ノ中ニハ其ノ土地ヲ他ニ利用スル必要カ
ラ、借地契約ノ更新ヲ承諾シナイト云フヤ
ウナ者モ出テ參リマシテ、是ガ爲メ借地人
ハ建物ヲ他ニ移轉スルカ、或ハ地主ニ買取
ヲ求ムルヨリ外ニ途ガナイト云フ事態ヲ生
ズルニ至リマシタ、又借家ニ付テ申シマス
ト、家主ノ中ニハ或ハ期間滿了ノ際契約ノ
更新ヲ拒絕シ、或ハ解約ノ申入ヲナシテ、
借家人ニ明渡ヲ求メ、其ノ建物ヲ他ニ有利
ナ方面ニ利用スル向ガ少クナイト云フ狀態
ト相成リマシタ、斯樣ナ傾向ハ事變以來一
層其ノ度ヲ加へ、大キナ社會問題トナツテ
居リマシテ、到底傍觀スルヲ得ナイノデア
リマス、勿論借地、借家ノ總數ヨリ申セバ、
極メテ少數ノモノデハゴザイマスガ、住宅
問題ハ國民特ニ都市生活者ノ重要ナル問題
デアリマスノデ、之ヲ放置スルヲ許サナイ
ノデアリマス、ソレデアリマスカラ借地、
借家關係ヲ適當ニ調整致シマシテ、無用ナ
ル爭ヒヲ避ケル爲ニ、更新ノ拒絕及ビ解約
ノ申入ニ付キ、制限ヲ加ヘントスルノデアリ
やっく、卽チ地主又ハ家主ハ、自ラ使用スル
コトヲ必要トスル場合、其ノ他正當ノ事由
アル場合デナケレバ、更新ノ拒絕モ、解約
ノ申入モ許サヌコトトシ、之ニ關聯スル二、
三ノ條文ヲ整理シタノガ本案デアリマス、
勿論本改正案デハ善良ナル地主ヤ家主ヲ抑
制スルト云フ趣旨ハ毛頭ナク、又惡質ナル
借地人ヤ借家人ヲ保護スルノ趣旨モアリマ
セヌ、唯賃料滯納等ノ債務不履行ノナイ借
地人ヤ借家人ガ、單ナル更新拒絕、又ハ解
約ノ申入ニ依リ、建物ヲ失ヒ、住居ヲ追立
テラレルコトヲ防止セントスルニ外ナラヌ
ノデアリマシテ、賃料ノ滯納アル場合ニ於
キマシテハ、從來ト同樣民法ノ規定ニ依リ
契約解除等ノ手段ヲ講ジ、自己ノ權利ヲ擁
護スルコトガ出來ルノミナラズ、本改正案
ニ依リマシテ、所謂正當ノ事由アル場合ト
シテ、更新ノ拒絕又ハ解約ノ申入モ差支ヘ
ナイノデアリマス、隨テ本案ハ國民ノ債務
履行ノ誠意ヲ弛緩サスト云フ心配ハゴザイ
マセヌ、此ノ法案ガ公布セラレマシタ曉ニ
於キマシテハ、借地、借家ノ關係ハ圓滿ニ
處理セラルルト考ヘル次第デアリマス、何
卒十分御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレンコト
ヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=8
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009・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=9
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010・服部崎市
○服部崎市君 日程第一及ビ第二ノ兩案ヲ
一括シテ、議長指名十八名ノ委員ニ付託サ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=10
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011・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=11
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012・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第三、大正二年法律第九號中改正法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス-柳川司法大臣
第三大正二年法律第九號中改正法律
案(裁判所管轄區域ニ關スル件)(政
府提出、貴族院送付)第一讀會
大正二年法律第九號中改正法律案
大正二年法律第九號中左ノ通改正ス
別表裁判所管轄區域表中浦和區裁判所ノ
項ヲ左ノ如ク改ム
浦和
越ケ谷
埼玉縣ノ內
浦和市川口市大宮市
北足立郡ノ內
六辻町土合村美谷本村笹日村戶田村蕨町
野田村片柳村與野町大久保村馬宮村植水村
指扇村平方村大谷村大石村上尾町上平村
小室村小針村加納村斯川町川田谷村石戶村
馬室村中丸村常光村営 印田間宮村箕田村
小谷村吹上町七里村原田研志木町大和田町
朝霞町內間木村新倉村白子村片山村
入間郡ノ内
水谷村宗岡村
北埼玉郡ノ内
加須町騎西町志多見村田ヶ谷村笠原村種足村
高柳村神羽村不動岡町樋遣川村大越村利島村
川邊村東村原道村元和村豐野村三俣村
大桑村水深村鴻莖村
南埼玉郡ノ內
須賀村太田村久喜町鷲宮村〓久村江面村
蓮円町平野村栢間村小林村菖蒲町三箇村
簇津村大山村
北葛飾郡ノ内
栗橋町靜村豐田村櫻田村行幸村幸手町
上高野村高野村樺現堂川村
同表中越ケ谷區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
埼玉縣ノ內
南埼玉郡ノ內
越ヶ谷町岩槻町內牧村粕壁町川通村
武里村櫻井村新新響和方春村村村增林村大袋村荻島村
柏崎村和土村出羽村蒲生村山柳村
八條村八幡村潮止村大相模村大澤町慈恩寺村
日勝村百間村河合村黑濱村
北足立郡ノ內
谷塚町草加町新田村安行村戶塚村大門村
春岡村
北葛飾郡ノ內
吉田村八代村田宮村杉戸町堤〓村幸松村
豐野村松伏領村旭村吉川町三輪野江村彥成村
早稻田村戶ヶ崎村八木〓村豐岡村櫻井村寶珠花村
富多村南櫻井村川邊村金杉村
同表中川越區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
埼玉縣ノ內
川越市
川越
熊谷
千葉
入間郡ノ内
芳野村南古谷村高階村福岡村大井村
鶴瀨村三芳村柳瀨村松井村富岡村
所澤町三福金山南古吾妻村小手指村三ヶ島村元狭山村
三分一貫芳原子口知谷 大阪東金子村豐岡町藤澤村入間村
(電話)号奧富村入間川町日東村大田村
山田村村勝呂村坂戶町入西村大家村
川角村毛呂山町越生町梅園村名細村鶴ヶ島村
電話番町高麗川村高麗村東吾野村霞ヶ關村柏原村
李元加治村加治村精明村飯能町原市場村
南高麗村名栗村吾野村
比企郡ノ内
龜井村今宿村中山村伊草村三保谷村出丸村
八ツ保村小見野村
同表中熊谷區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
埼玉縣ノ內
熊谷市大里郡兒玉郡
比企郡ノ內
松山町大岡村福田村宮前村唐子村菅谷村
七〓村八和田村小川町竹澤村大河村平村
明覺村玉川村高坂村野本村東吉見村南吉見村
西吉見村北吉見村
秩父郡ノ内
大椚村槻川村大河原村
北埼玉郡ノ內
忍町羽生町中條村南河原村北河原村星宮村
太井村下忍村荒木村須加村新〓村太田村
埼玉村屈巢村廣田村須影村岩瀨村川俣村
井泉村中島村手子林村共和村三田ヶ谷村村君村
同表中千葉區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
千葉縣ノ內
千葉市千葉郡
山武郡ノ內
大和村土氣町瑞穗村大網町山邊村增穗村
市原郡ノ內
入選前五井町手机姉崎町東海村海上村
菊間村濕津村事務市原村市西村養老村
戶田村牛久町內田村鶴舞町高瀧村富山村
平三村
同表中八日市場區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
千葉縣ノ內
銚子市匝瑳郡海上郡
山武郡ノ内
八日市場
水戶
太田
新潟
新發田
東金町公平村源村戶山村神岡村白里町
豐海町片貝町正氣村豐成村鳴濱町成東町
日向村大富村南〓村綠海村蓮沼村上堺村
大平村松尾町陸岡村豐岡村横芝町大總村
二川村千代田村
香取郡ノ內
常磐村久賀村多古町東條村日吉村吉田村
中村飯高村豐和村古城村中和村
同表中水戶區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
茨城縣ノ內
水戶市日立市東茨城郡西茨城郡多賀郡
那珂郡ノ內
那珂湊町平磯町前渡村勝田町佐野村村松村
石神村神崎村額田村菅谷村五臺村柳河村
國田村戶多村芳野村木崎村瓜連町
鹿島郡ノ内
夏海村大谷村沼前村巴村德宿村諏訪村
鉾田村新宮村上島村白鳥村
同表中太田區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
茨城縣ノ內
久絲郡
那内郡ノ内
靜村大場村上野村大宮町大賀村玉川村
鹽田村山方村檜澤村小瀨村野口村長倉村
八里村嶐〓村
同表中新潟區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
新潟縣ノ內
新潟市東蒲原郡
中蒲原郡ノ內
新飯田村須田村庄瀨村臼井村大〓村鷲卷村
根岸村白根町小林村茨曾根村小須戶町小合村
金津村新津町新關村五泉町橋田村菅名村
大蒲原村十全村村松町
川內村川東村巢本村橫越村大江山村石山村
大形村鳥屋野村曾野木村兩川村龜田町
西蒲原郡ノ內
坂井輪村內野町赤塚村角田村松野尾村峰岡村
浦濱村間瀨村岩室村漆山村和納村卷町
鎧〓村曾根町升潟村中野小屋村黑埼村味方村
四ツ合村大原村月潟村道上村小吉村
同表中新發田區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
新潟縣ノ內
北蒲原郡
長岡
柏崎
六日町
宮津
峯山
脇町
川島
同表中長岡區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
新潟縣ノ內
長岡市古志郡北魚沼郡中魚沼郡
南蒲原郡ノ內
大面村今町新潟村見附町葛卷村中之島村
三島郡ノ內
片貝村來迎寺村塚山村岩塚村深才村日越村
王寺川村宮本村大積村關原町日吉村脇野町
大津村黑川村與板町桐島村寺泊町
同表中柏崎區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
新潟縣ノ內
柏崎市刈羽郡
三島郡ノ內
島田村西越村出雲崎町
同表中六日町區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
新潟縣ノ內
南魚沼郡
同表中宮津區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
京都府ノ內
與謝郡ノ內
宮津町栗田村上宮津村吉津村受付時
與謝村加悅町三河內村岩屋村養市石老場川村村村-出汁
岩瀧町府中村日置村世屋村伊根村
朝妻村本庄村筒川村日ヶ谷村
同表中峯山區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
京都府ノ內
中郡竹野郡熊野郡
與謝郡ノ內
野間村
同表中脇町區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
徳島縣ノ內
美馬郡三好郡
麻植郡ノ內
木屋平村
同表中川島區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
德島縣ノ內
阿波郡
麻植郡ノ內
牛島村森山村西尾村鴨島町川島町學島村
東山村山瀬町川田町三山村中枝村
岐阜
高山
福井
武生
高岡
出町
同表中岐阜區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
岐阜縣ノ內
岐阜市稻葉郡羽島郡本巢郡山縣郡武儀郡
加茂郡ノ內
田原村富岡村
益田郡ノ内
下原村
同表中高山區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
岐阜縣ノ內
高山市大野郡吉城郡
益田郡ノ内
萩原町小坂町下呂町竹原村上原村中原村
川西村馬瀬村朝日村高根村
同表中福井區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
福井縣ノ內
福井市足羽郡吉田郡坂井郡
丹生郡ノ内
越廼村下岬村國見村殿下村志津村西安居村
三方村天津村
同表中武生區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
福井縣ノ內
南條郡今立郡
丹生郡ノ内
朝日村立待村吉川村豐村吉野村大虫村
宮崎村白山村城崎村四箇浦村織田村萩野村
常磐村糸生村
同表中高岡區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
富山縣ノ內
高岡市射水郡氷見郡
西礪波郡ノ內
醍醐村小勢村福岡町立野村東五位村福田村
國吉村石堤村赤丸村五位山村西五位村
同表中出町區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
富山縣ノ內
東礪波郡
西礪波郡ノ內
石動町南谷村埴生村松澤村若林村正得村
荒川村子撫村宮島村福光町石黑村南蟹谷村
廣瀨村廣瀨舘村西太美村太美山村東太美村吉江村
東石黑村津澤町西野尻村東蟹谷村北蟹谷村藪波村
水島村鷹栖村日曜日是戶村林村高波村
山口
萩
玉島
笠岡
長崎
同表中山口區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
山口縣ノ內
山口市防府市佐波郡吉敷郡美禰郡
阿武郡ノ內
篠生村生雲村地福村德佐村
同表中萩區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
山口縣ノ內
萩市大津郡
阿武郡ノ內
三見村明木村佐々並村川上村嘉年村高俣村
吉部村福川村紫福村大井村奈古村宇出〓村
福賀村須佐町彌富村小川村江崎町六島村
見島町
同表中玉島區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
岡山縣ノ內
倉敷市
淺口郡ノ內
玉島町連島町西阿知町船穗町長尾町富田村
金光町鴨方町里庄村寄島町六條院町黑崎村
都窪郡ノ內
帶江村菅生村中洲町〓音村常盤村山手村
三須村
吉備郡ノ內
岡田村川邊村二万村穗井田村吳妹村箭田村
薗村新本村山田村久代村秦村神在村
同表中笠岡區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
岡山縣ノ內
小田郡後月郡
淺口郡ノ內
大島村
同表中長崎區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
長崎縣ノ內
長崎市
西彼杵郡ノ內
茂木町深堀村香燒村蚊燒村伊王島村高島村
高濱村野母村脇岬村樺島村川原村爲石村
日見村矢上村喜々津村大草村伊木力村長與村
時津村村松村長浦村龜岳村大串村崎戶町
江島村平島村七釜村多以良村瀨戶町松島村
雪浦村神浦村黑崎村三重村式見村福田村
北高來郡ノ內
江ノ浦村田結村戶石村古賀村
大村
杵築
中津
玉津
同表中大村區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
長崎縣ノ內
諫早市
東彼杵郡ノ內
大村町三浦村鈴田村萱瀨村福重村松原村
千綿村彼杵町川棚町下波佐見村上波佐見町
北高來郡ノ內
森山村深海村小江村湯江町小長井村
同表中杵築區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
大分縣ノ內
速見郡ノ內
杵築町豐岡町日出町藤原村川崎村大神村
八坂村北杵築村東山香村中山香町山浦村上村
南端村
東國東郡ノ內
富來町上國崎村豐崎村國東町旭日村武藏町
中武藏村西武藏村朝來村西安岐町安岐町南安岐村
奈狩江村
西國東郡ノ內
朝田村
同表中中津區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
大分縣ノ內
中津市下毛郡-
宇佐郡ノ内
天津村長峯村横山村麻生村糸口村高家村
八幡村柳ヶ浦町長洲町宇佐町西馬城村驛館村
四日市町四川村兩川村高並村東院內村院內村
南院內村明治村龍王村安心院町津房村佐田村
同表中玉津區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
大分縣ノ內
西國東郡ノ內
高田町河內村田染村田原村東都甲村西都中村
草地村吳崎村西眞玉村中眞玉村上眞玉村臼野村
三浦村香々地町三重村
東國東郡ノ內
竹田津町伊美村姫島村熊毛村來浦町
速見郡ノ內
立石町
宇佐郡ノ內
封戶村北馬城村和間村
同表中延岡區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
宮崎縣ノ內
延延岡市東臼杵郡
岡西臼杵郡ノ內
諸塚村椎葉村
同表中高千穗區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
宮崎縣ノ內
高千穗西臼杵郡ノ内
高千穗町上野村
三ヶ所村田原村
同表中仙臺區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
仙臺宮城縣ノ內
仙臺市亙理郡名取郡
同表中大河原區裁判所ノ項ヲ左ノ如ク改ム
大河原宮城縣ノ內
柴田郡刈田郡伊具郡
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前從前ノ管轄裁判所ニ於テ受理シ
タル事件ハ其ノ裁判所ニ於テ之ヲ完結ス
〔國務大臣柳川平助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=12
-
013・柳川平助
○國務大臣(柳川平助君) 只今議題トナリ
マシタ大正二年法律第九號中改正法律案提
出ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
大正二年法律第九號、卽チ裁判所管轄區
域ニ關スル法律ノ施行以來、交通機關ノ變
遷ノ著シキモノガゴザイマシテ、之ニ伴ヒ
各地町村ノ中ニハ、其ノ所轄區裁判所ノ管
轄ヲ變更スルコトヲ、是非トモ必要トスル
モノヲ生ジタノデゴザイマス、加之市制若
シクハ町制ノ施行、市町村ノ廢合等ガ行ハ
k、又ハ其ノ名稱ノ變更セラレタモノモ少
クナイノデアリマス、仍テ右法律ノ別表デ
岩戶村七折村岩井川村鞍岡村
宮城郡黑川郡
アリマスル裁判所管轄區域表中改正ヲナス
必要ガゴザイマシテ、玆ニ本法案ヲ提出致
シマシタ次第デアリマス、何卒愼重御審議
ノ上御協賛アランコトヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=13
-
014・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選學ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=14
-
015・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、民法中改
正法律案外二件委員ニ併セ付託セラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=15
-
016・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=16
-
017・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
四、船舶保護法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-及川海軍大臣
第四船舶保護法案(政府提出、貴族
院送付)第一讀會
船舶保護法案
船舶保護法
第一條本法ハ戰時事變其ノ他ノ場合ニ於
テ帝國ノ通商航海ニ脅威ヲ受ケ又ハ受ク
ルノ虞アルトキ敵襲其ノ他ノ軍事的危害
ニ對シ船舶ヲ保護スルヲ以テ目的トス
第二條海軍官憲ハ戰時事變其ノ他ノ場
合ニ於テ船舶保護上必要アルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ運航業者、船舶所
有者又ハ船長(船長ニ代リテ其ノ職務
ヲ行フ者ヲ含ム以下之ニ同ジ)ニ對シ
船舶ノ航海、碇泊、通信、裝備、乘組
員乘客、積荷其ノ他ニ關シ臨機必要
ナル指示ヲ爲スコトヲ得
第三條海軍大臣ハ戰時事變其ノ他ノ場
合ニ於ケル船舶保護ノ爲必要アルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ運航業者又ハ
船舶所有者(船舶製造ノ注文者ヲ含ム
以下第四條第一項ヲ除クノ外之ニ同
ジ)ニ對シ船舶ノ設備又ハ乘組員ノ整備
ニ關シ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
海軍大臣前項ノ命令ヲ發シ又ハ同項ノ
指示ヲ爲サントスルトキハ關係各大臣
(朝鮮總督、臺灣總督及樺太廳長官ヲ含
ム)ニ協議スベシ
第四條海軍官憲ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
第二條ノ指示ニ係ル事項ニ關シ必要アル
トキハ運航業者、船舶所有者若ハ船長ニ
對シ報告ヲ爲サシメ又ハ船舶其ノ他必要
ナル場所ニ臨檢シ檢査ヲ爲スコトヲ得
海軍大臣ハ前條第一項ノ指示ニ係ル事
項ニ關シ必要アルトキハ運航業者若ハ
船舶所有者ニ對シ報〓ヲ爲サシメ又ハ
當該官憲ヲシテ船舶其ノ他必要ナル場
所ニ臨檢シ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第五條第二條又ハ第三條第一項ノ指示
ニ從ハザル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六條船長ガ第二條ノ指示ニ依リテ爲
ス職務ノ遂行ヲ妨ゲタル者ハ六月以下
ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第四條ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ若ハ
〓僞ノ報〓ヲ爲シ又ハ同條ノ規定ニ依
ル臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタ
ル者ノ罰亦前項ニ同ジ
第七條運航業者又ハ船舶所有者ハ支配
人其ノ他ノ代理人又ハ船長其ノ他ノ從
業者ガ其ノ業務ニ關シ第五條又ハ前條
第二項前段ノ違反行爲ヲ爲シタルトキ
ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其
ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第八條第五條及第六條第二項前段ノ罰
則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取
締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役
員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキ
ハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營
業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル
未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第九條前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑
ニ處スルコトヲ得ズ
第十條第五條及第六條第二項前段ノ罰
則ハ本法施行地ニ本店又ハ主タル事
務所ヲ有スル法人ノ代表者、代理人、
使用人其ノ他ノ從業者ガ本法施行地外
ニ於テ爲シタル行爲ニモ之ヲ適用ス本
法施行地ニ住所ヲ有スル人又ハ其ノ代
理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ本法施
行地外ニ於テ爲シタル行爲ニ付亦同ジ
第十一條本法中運航業者又ハ船舶所有
者ニ關スル罰則ハ國又ハ道府縣、市町
村其ノ他ノ公共國體ニハ之ヲ適用セズ
第十二條本法ハ陸海軍ニ屬スル船舶ニ
付テハ之ヲ適用セズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣及川古志郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=17
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018・及川古志郎
○國務大臣(及川古志郞君) 船舶保護法案
ノ提出理由ヲ說明致シマス
近代ノ戰爭ハ從來ト著シク其ノ趣キヲ異
ニ致シテ參リマシテ、國家總力戰ノ形態ヲ
執ルニ至ツテ參ツタノデゴザイマス、然ル
ニ帝國ノ現狀ハ、戰爭遂行ノ上ノミナラズ、
又國民生活維持ノ上ニ於キマシテモ、海上
通商ニ依存ヲ要スルコト極メテ多キモノガ
ゴザイマス、隨テ是ガ確保ハ洵ニ重大ナコ
トトナツテ參ツタノデゴザイマス、右樣ノ
狀況ハ世界各國共〓ネ同樣デゴザイマシテ、
一タビ開戰トナリマスナラバ、戰爭目的達
成ノ爲メ、全面的ニ相手國海上通商ノ破壞
ヲ企圖スベキコトハ、必然ト考ヘナケレバ
ナラナイノデゴザイマス、此ノ前ノ世界大
戰及ビ現ニ行ハレテ居リマスル歐洲戰爭ニ
付テ見マスルモ、今後益、其ノ然ルベキヲ明
カニ示シテ居ルノデゴザイマス、戰時事變
又ハ其ノ他ノ場合ニ於キマシテ、我ガ國ノ
通商航海ニ脅威ヲ受ケマスコトハ、國家死
活ノ問題デアリ、是非トモ之ヲ確保致サネ
バナラナイノデゴザイマス、斯カル場合海
軍ト致シマシテモ、所要ノ向ニ對シマシテ、
船舶保護上必要ナル指示ヲ與ヘマスト共ニ
平時ヨリ是ガ準備ト致シマシテ、船舶ノ設
備又ハ乘組員ノ整備ニ關シマシテ、保護上
必要ナル處置ヲ講ズルノ要ガアルノデゴザ
イマス
以上申述ベマシタ理由ニ依リマシテ、本
法律案ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマス、
何卒十分ニ御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘ
ラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=18
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019・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=19
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020・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、東亞海運
株式會社法案外一件委員ニ併セ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=20
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021・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=21
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022・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=22
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023・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、外國
爲替管理法改正法律案、不動產融資及損
失補償法中改正法律案、臨時資金調整法中
改正法律案、兌換銀行券條例ノ臨時特例ニ
關スル法律案、朝鮮銀行法及ニんじょ「銀行法ノ
臨時特例ニ關スル法律案、朝鮮銀行法中改
正法律案、臺灣銀行法中改正法律案、及ビ
產業組合中央金庫特別融通及損失補償法中
改正法律案ノ八案ヲ一括議題トナシ、委員
長ノ報〓ヲ來メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=23
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024・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=24
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025・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-外
國爲替管理法改正法律案、不動產融資及損
失補償法中改正法律案、臨時資金調整法中
改正法律案、兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ
關スル法律案、朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ
臨時特例ニ關スル法律案、朝鮮銀行法中改
正法律案、臺灣銀行法中改正法律案、產業
組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正
法律案、右八案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ
開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委
員長西村金三郞君
外國爲替管理法改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
不動產融資及損失補償法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
臨時資金調整法中改正法律案(政府提出)
〓第一讀會ノ續(委員長報〓)
兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル法
律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ
關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
朝鮮銀行法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
臺灣銀行法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一外國爲替管理法改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十七日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一不動產融資及損失補償法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一臨時資金調整法中改正法律案(政府提
四
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル法
律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ
關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一朝鮮銀行法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一臺灣銀行法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十八日
委員長西村金三郞
衆議院議長小山松壽殿
〔西村金三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=25
-
026・西村金三郎
○西村金三郞君 只今議題トナリマシタ外
國爲替管理法改正法律案外七件ニ對シ、委
員會ノ經過及ビ結果ヲ御報告中上ゲタイト
思ヒマス、便宜上第一ニ外國爲替管理法改
正法律案ニ付テ御報告ヲ申上ゲ、第二ニ·殘
餘ノ七法律案ニ付テ御報告ヲ申上ゲタイト
思ヒマス
外國爲替管理法改正法律案ハ、現行外國
爲替管理法ノ內容ヲ、現下ノ國際的非常事
態ニ卽應シ、戰時的形態ニ改メントスルモ
ノデアリマス、卽チ現行法ハ國際收支ノ均
衡ニ其ノ重點ヲ置カレテ居ルノデアリマス
ガ爲ニ、此ノ歐洲戰爭竝ニ三國條約締結以
後ニ於テ複雜化セル所ノ經濟情勢ニ對應シ
テ、我ガ對外經濟力ノ維持及ビ伸張ニ對シ
テ缺クル所ガアルノデアリマス、仍テ之ヲ
補强シ適切ナル所ノ改正ヲ爲サントスルノ
デアリマス、改正ノ主ナル點ハ六ツアリマ
ス、第一ハ本邦ノ對外經濟取引ノ圓滑ヲ圖
ル爲ニ、對外決濟方法ニ關シ、積極的ニ必
要ナル統制ヲ加へ得ル規定ヲ設ケタイト云
フ點ガ一ツデアリマス、第二ハ外貨資金等
ニ關シ、其ノ保全的措置若シクハ活用方法
ヲ講ズル爲メ、必要ナル統制ヲ加へ得ルヤ
ウニ、規定ノ內容ヲ變更致シタイト云フ點
デアリマス、第三ハ本邦ノ對外經濟權益ヲ
擁護スル爲ニ、場合ニ依ツテハ外國人關係
ノ本邦内ニ於ケル所ノ財產ノ取得、又ハ處
分等ニ關スル必要ナル取締ヲナシ得ル規定
ヲ設ケルト云フ點デアリマス、第四ハ爲替
銀行ヲ通ジテナス所ノ取引ニ對スル統制ガ
整備シ强化セラルルニ伴ツテ、漸次近頃殖
エツツアル所ノ銀行ヲ通ジナイデナサルル
所ノ對外決濟ニ關スル取締ヲ强化スル爲
ニ、必要ナル所ノ規定ヲ設ケタイト云フノ
デアリマス、第五點ハ爲替管理ニ關スル事
務ノ中デ、急速且ツ簡易ニ處理スル必要ア
ルモノニ對シテハ、日本銀行其ノ他政府フ
指定スルモノヲシテ之ヲ取扱ハシムル、斯
ウ云フ規定ヲ設ケントスル點デアリマス、
第六ハ從來現行法運用ノ經驗ニ徵シ、補整
ヲ必要ト認メル所ノ事項ニ關スル規定ヲ、
新設又ハ追加シヨウト云フ點デアリマス、
右六點ガ改正ノ要點デアリマス
委員會ハ去ル十日成立致シマシタ、本案
ノ改正ガ洵ニ廣汎デアリ、隨テ其ノ實施ノ
內外ニ及ボス所、極メテ重大ナルモノアル
ニ鑑ミマシテ、十日以來十七日マデ、連日
前後六囘ニ亙ツテ愼重審議ヲ遂ゲ、又政
府ニ於テモ審議ニ先ダチ特ニ祕密會ノ要
求ガアリマシテ、國際收支、在外資金其
ノ他金融ノ現況ニ關シ詳細ナル說明ガア
ツタノデアリマス、隨テ委員會ニ於ケル質
疑應答モ、獨リ本案ノ內容ノミニ止マラ
ズ、廣ク國際金融全般ニ關スル事項ニ付
テ、終始熱心ニ行ハレタノデアリマスガ、
詳細ハ速記錄ニ讓リマシテ、其ノ主ナル質
問ニ付キ御報告ヲ申上ゲタイト思ヒマス
第一ノ質問ハ、本案ノ實施ノ國民經濟ニ
及ボス影響ハ、極メテ重大デアリ又機微デ
アルト思フ、是ガ施行ニ當ル政府當局ノ心
構ベヲ承リタイト云フ質問デアリマシタ、
之ニ對シ政府ハ、本爲替管理ハ資本逃避防
止法以來古キ歷史ヲ持ツテ居ル、又總動員
法ニ基ク諸般ノ法規等ニ先ダツテ統制ノ經
濟ヲ持ツテ居ル、隨テ假令其ノ內容ガ强化
セラレテモ、此ノ古キ歷史ト經驗トニ依リ
圓滿ナル施行ニ遺憾ナキヲ期スル覺悟デア
ル、併シナガラ尙ホ十分愼重ヲ期シテ之ヲ
行ヒタイト云フ答辯ガアリマシタ
第二ハ、外國人ノ本邦內ニ於ケル所ノ財
產ノ取得又ハ處分等ヲ取締ル結果、本邦人
ノ在外財產等ニ付テ、當該國カラ報復的措
置ヲ執ラレル所ノ懸念ガナイカドウカ、斯
ウ云フ質問ガアツタノデアリマス、政府ハ、
本取締ハ外國ノ執ラントスル對日經濟壓迫
措置ヲ牽制スル爲メ、又ハ既ニ執ラレテ居
ル所ノ左樣ノ措置ヲ撤囘又ハ緩和セシメル
爲ノ防衞的若クハ報復的手段トシテ行フモ
ノデアル、故意ニ敵性ヲ包含スルモノデナ
イカラ、右樣ノ懸念ハナイト考ヘル、尙ホ
是ガ運用ニ付テハ、情勢ノ推移ニ鑑ミ特ニ
愼重ヲ期スル考ヘデアルト答辯セラレタノ
デアリマス
第三ハ、第三條ノ命令權ハ相當廣範圍ニ
及ブガ故ニ、是ガ爲ニ關係者ガ多大ノ損害
ヲ蒙ル場合ガアルコトヲ豫想セラレル、其
ノ補償對策ガアルカドウカト云フ質問デア
リマシタ、之ニ對シテ政府ハ、本命令權ハ
右在外財產ノ保全活用ノ國家的見地カラ發
動スルノデアルカラ、別途五億圓ヲ限リ豫
算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ニ依リ善處
スルノデアル、尙ホ不足スル最惡ノ場合ニ
付テハ御協賛ヲ得ル機會ガアルト信ズル、
斯ウ云フ答辯ガアリマシタ、更ニ其ノ補償
ノ範圍及ビ方法ニ付キ質問應答ノ末、政府
ハ、事件ガ如何ナル形ニ於テ終始スルカガ
問題デアルガ、其ノ際ノ事情ニ應ジテ適當
ノ處置ヲ講ジ、我ガ國人ノ海外發展ノ基礎
ラ壞サナイヤウニ全力ヲ盡スト云フコトヲ
聲明サレタノデアリマス
第四ハ、第四條ノ命令權ハ支拂協定等ヲ
締結スル特定國トノ決濟ニ關シ發動スルモ
ノカト云フ質問ガアリマシタ、政府ハ、本
條ノ命令權ハ締盟國トノ決濟ノ外、廣ク諸
外國トノ間ノ取引ノ圓滿ヲ圖ル爲ニ發動ス
ル旨答辯セラレタノデアリマス
第五ニ、圓「ブロック」ノ爲替關係ニ付テ
質問應答ガ重ネラレタノデアリマス、其ノ
末政府ハ深甚ノ注意ヲ圓「ブロック」取引關
係ニ付テハ拂フト云フコトヲ誓ハレ、且ツ
滿洲ノ國幣、北支ノ聯銀劵、中支ノ中央儲
備銀行劵ニ對シテハ、極力支持ノ方策ヲ立
テテ居ル、斯ウ云フコトヲ述べラレタノデ
アリマス
以上ヲ以テ質疑ヲ終了致シマシタ、作田
委員カラ討論ヲ用ヒズ採決ニ入ラレタイト
云フ動議ヲ提出セラレ、採決ノ結果起立總
員政府提案ノ通リ可決致シマシタ
アト七案ヲ一括シテ御報告致シマス、不
動產融資及損失補償法中改正法律案ハ、事
變下ノ經濟情勢ニ鑑ミ、不動產融資及損失
補償法ニ依ル不動產資金ノ融通期間及ビ融
通期限ヲ三箇年延長スル、同時ニ審査會ノ
合併ヲ致シタイト云フ案デアリマス
第三ハ、臨時資金調整法中改正法律案、
此ノ法案ニ付テハ改正ノ內容ガ二ツアリマ
ス、一ツハ支那事變ノ進展ニ伴ヒ生產力擴
充資金其ノ他時局ニ緊要ナル資金ノ供給圓
滑ヲ期スル爲ニ、興業銀行ノ債券ノ發行限
度及ビ其ノ元利ニ對スル政府ノ保證限度
ヲ、十億圓カラ二十億圓ニシヨウト云フ改
正デアリマス、第二ニハ、事變ノ長期化竝
ニ高度國防國家建設ノ要請ニ依リ、多額ノ
撒布資金ガ出來ルノデアルガ、ソレヲ吸收
シ、國民貯蓄ノ增加ヲ圖ル爲ニ、貯蓄債劵
ヲ現在ノ限度、卽チ五億圓ノ限度ヲ倍ニシ
テ十億圓限度ニシタイ、斯ウ云フ案デアリ
マス
第四ハ、兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關
スル法律案デアリマス、專態ノ現狀及ビ將
來ノ推移ニ鑑ミ、正貨準備ニ依ル發行ト保
證準備ニ依ル發行トヲ區別スル現行兌換劵
發行制度ヲ停止シテ、兌換劵發行限度ハ政
府諸般ノ經濟金融政策ト睨合ハセテ大藏大
臣ノ決定スルコトニシタイ、ソレカラ兌換
銀行劵ノ種類及ビ發行高ニ關スル公〓ノ方
法ニ付テモ大藏大臣ノ權限ニシタイ、但シ
恆久的立法トスルニハ尙ホ考慮ノ餘地ガア
ルカラ、暫時臨時特例ト致シタイ、斯ウ云
フ案デアリマス
第五ハ、朝鮮銀行法及ビ臺灣銀行法ノ臨
時特例ニ關スル法律案デアリマス、是ハ大
體ニ於テ曩ニ述ベマシタル兌換銀行劵發行
條例ニ關スル臨時特例ノ法律案ト同ジ提案
理由デアリマス、唯兩銀行ハ兌換銀行劵ニ
對シ特異ノ依存關係ガアリマスカラ、兩銀
行ノ兌換性確保ノ爲ニ一定保證ヲ命ズルノ
規定ヲソコニ加ヘタイ、第二ニ日本銀行ニ
對スル預ヶ金ヲ保證物件中ニ加ヘタイ、斯
ウ云フ案デアリマス
第六ハ朝鮮銀行法中改正法律案、第七ハ
臺灣銀行法中改正法律案、前者ハ創立當時
カラ納付金制度ガアリマス、併シナガラ其
ノ後同行銀行劵ノ發行限度ガ屢〓擴張セラレ
テ居ルノデアリマス、隨テ此ノ特權ニ基ク
收得利益ト云フモノガ、洵ニ多キニ過ギル
ト言ウテモ宜イ位デアル、隨テ其ノ納付金
ヲ增加シヨウ、斯ウ云フ案デアリマス、後
者ノ方ハ未ダ納付金制度ハアリマセヌ、併
シナガラ同ジ理由デ同樣ノ取扱ヒヲナサ
ウ、卽チ納付金制度ヲ設ケテ之ニ對シテ一
定ノ納付ヲセシメヨウ、斯ウ云フ案デアリ
マス
第八ハ產業組合中央金庫特別融通及損失
補償法中改正法律案デアリマス、是ハ農山
漁村ノ經濟事情竝ニ一般金融ノ情勢ニ鑑
ミ、信用組合及ビ信用組合聯合會ノ固定セ
ル債權ヲ資金化シヨウ、以テ產業組合金融
ノ流通ヲ圖ラウト云フコトガ目的デ制定セ
ラレタ法律デアリマス、其ノ融通期間ガ本
年九月末日ニ於テ滿了スルノデアリマス、
仍テ其ノ實績ノ良好、產業組合ノ現狀竝ニ
現下ノ經濟事情ニ考ヘテ、更ニ三箇年其ノ
融通期間及ビ融通期限ヲ延長シヨウト云フ
案デアリマス
右諸案ニ付テ適切ナル質問ガアリ、又之
ニ對シテ政府ノ詳細ナル答辯ガアリマシタ
ガ、之ヲ一々申上ゲルト長クナリマスノ
デ、詳細ハ速記錄ニ依ツテ御覽ヲ願フヤウ
ニ御諒承願ヒタイト思フノデアリマス、最
後ニ右申述ベマシタ各案ニ付テ採決致シマ
シタ所、全會一致政府ノ提案通リ、卽チ全
會一致原案ノ通リ可決サレタノデアリマス、
右御報〓ヲ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=26
-
027・田子一民
○副議長(田子一民君) 八案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=27
-
028・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ八案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=28
-
029・服部崎市
○服部崎市君 直チニ八案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通0
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=29
-
030・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=30
-
031・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ八案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
外國爲替管理法改正法律案
第二讀會(確定議)
不動產融資及損失補償法中改正法律案
第二讀會(確定議)
臨時資金調整法中改正法律案
第二讀會(確定議)
兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル法
律案第二讀會(確定議)
朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ
關スル法律案第二讀會(確定議)
朝鮮銀行法中改正法律案
第二讀會(確定議)
臺灣銀行法中改正法律案
第二讀會(確定議)
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=31
-
032・田子一民
○副議長(田子一民君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、八案トモ委
員長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=32
-
033・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、輸出
補償法中改正法律案ヲ議題トナシ、委員長
ノ報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=33
-
034・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=34
-
035・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
さい、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-輸
出補償法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開
キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員
長川島正次郞君
輸出補償法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一輸出補償法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十八日
委員長川島正次郞
衆議院議長小山松壽殿
〔川島正次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=35
-
036・川島正次郎
○川島正次郞君 只今議題トナリマシタ輸
出補償法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ
結果ヲ御報告申上ゲマス、輸出貿易ノ振興
ガ我ガ國現下ノ經濟狀態ニ鑑ミマシテ、極
メテ緊切ナルコトハ言フマデモナイノデア
リマス、然ルニ現下ノ國際情勢ハ、輸出ニ
關聯シテ起ルベキ危險ヲ、政府ニ於テ何等
カノ形式ニ於テ保護スルニアラザレバ、輸
出業者ガ積極的ニ輸出スル氣分ヲ失フ虞ガ
多分ニアルノデアリマシテ、此ノ傾向ヲ一
掃シマシテ、安ンジテ輸出ノ維持增進ヲ期
スルヲ目的ト致シマシテ、今囘ノ改正案ヲ
提出シタ譯デアリマス、其ノ改正ノ要點ハ、
第一ハ、從來輸出業者ニ對シマシテ金融上
ノ便宜ヲ與ヘルコトヲ目的ト致シマシタ甲
種補償、竝ニ保險的ニ損失ヲ補塡スルコト
ヲ目的ト致シマシタ乙種補償ノ區別ヲ撤廢
致シマシテ、之ヲ單一化シマシタ、第二ハ、
從來政府ガ損失補償ノ限度ヲ百分ノ八十ト
致シテ居リマシタノヲ、百分ノ九十ニ引上
ゲタノデアリマス、是ガ爲ニ補償限度ガ從
來二千五百七十八万餘圓デアリマシタノヲ、
法律改正ノ結果ト致シマシテ、二億六千二
百万餘圓ヲ增加致シマシテ、會計二億八千
七百九十餘万圓ニ相成ツタノデアリマス、委
員會ニ於キマシテハ愼重審議ノ結果原案ヲ
認メルコトニ致シマシタ、以上簡單ナガラ
委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=36
-
037・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=37
-
038・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=38
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039・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=39
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040・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=40
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041・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
輸出補償法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=41
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042・田子一民
○副議長(田子一民君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=42
-
043・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、東亞
海運株式會社法案ヲ議題トナシ、委員長ノ
報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=43
-
044・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=44
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045・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
きく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-東
亞海運株式會社法案、第一讀會ノ續ヲ開キ
やく、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長
平川松太郞君
東亞海運株式會社法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一東亞海運株式會社法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノ
ト議決致候此段及報〓候也
昭和十六年二月十八日
委員長平川松太郞
衆議院議長小山松壽殿
〔別紙〕
(小字ハ委員會修正)
東亞海運株式會社法案中左ノ通修正ス
第十條社長及副社長ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ政府
ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四
年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ三年トス
東亞海運株式會社ヲ監督スル官廳ノ官吏タ
リシ者ハ退職後五年間ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ東亞海運株式會社ノ役員ト爲
ルコトヲ得ズ
〔平川松太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=45
-
046・平川松太郎
○平川松太郞君 東亞海運株式會社法案ノ
委員會ノ經過ト結果ヲ御報告申上ゲマス、
本法案ノ目的トスル所ハ、大東亞共榮圈確立
目的達成ノ爲ニハ、海上ノ交通網ノ整備擴
充ヲ圖ルコトガ必要デアリマス、殊ニ支那
ニ於テ我ガ航權ヲ擴充强化スル爲ニハ、曩
ニ東亞海運株式會社ヲ設立致シマシタガ、
其ノ使命ヲ全ウスル爲ニ、同會社ヲ改組擴
大スルコトガ要務デアリマスカラ、玆ニ東
亞海運株式會社法ヲ制定スル所以デアルト
政府ハ說明シテ居リマス、其ノ資本金ハ一
億圓デアリマシテ、從來ノ東亞海運株式會
社是ハ拂込金額七千三百万圓デアル、此
ノ元ノ東亞海運株式會社ヲ、新タニ設立致
シマス所ノ東亞海運株式會社ニ吸收合併ヲ
スルノデアリマス、又政府ハ出資ヲスルコ
トガ出來マシテ、其ノ出資ハ金錢以外ノ財
產ヲ以テ目的トナスコトガ出來ルノデアリ
マス、利益ノ配當ハ年六分ニ達シナイ時
ハ、政府ハ五箇年間ヲ限リマシテ、六分マ
デ補給スルコトガ出來ル、社債ハ拂込株金
額ノ三倍マデ募集スルコトガ出來ルト云フ
ノガ、大體ノ骨子デアルノデアリマス、質
問應答ガ盛ンニ交ハサレマシタガ、其ノ主
ナモノダケ簡單ニ御紹介ヲシテ置キタイト
考ヘマス
先ヅ第一ニ質問セラレタ要點ハ、初メ東
亞海運株式會社ガ設立致シマシタ時ニハ、
朝鮮郵船竝ニ大連汽船、此ノ對支航路ノ統
合一元化ガ問題ニナツタノデアリマスル
ガ、今日マデ是ガ實行セラレテ居ナイ、是
等ノ競合對支航路ヲ東亞海運株式會社ニ統
合セシメマシテ、サウシテ日滿支海運ノ一
元化ヲ圖ラナケレバナラナイト思フガ、政
府ノ考ヘハドウカト云フ質問ガアリマシ
タ、遞信大臣ノ御答辯ハ、東亞海運株式會
社ガ國策會社トナル以上ハ、競合航路ノ統
一ト云フコトハ最モ必要デアルト思フ、斯
ウ云フ御答辯デアリマシタガ、大野朝鮮政
務總監、荒川對滿事務局次長ノ答辯ハ、現
地ノ事情カラ推シテ現在ノ狀況ガ適當デア
ルト云フヤウナ意味ノ御答辯デアツタノデ
アリマス、卽チ統合ニ贊成セラレナイヤウ
ナ意味ノ御答辯ガアリマシタカラ、今日更
ニ之ニ對シマシテ强イ意見ノ發表、質問ガ
アツタノデアリマス、ソレニ對シマシテモ
遞信大臣ノ御答辯ハ洵ニ御尤モナ御質問デ
アル、曾テ東亞海運株式會社ガ設立致シマ
シタ時ニモ閣議ニ於テ決定シテ居ツタノデ
アルガ、未ダニ實行ガ出來ナカツタ、今囘
東亞海運株式會社ガ、是ハ國策會社トシテ
設立セラレルノデアリマスルカラ、無論一
元化ヲ圖ルト云フコトガ最モ必要デアルカ
ラ、此ノ點ニ對シテハ十分一元化ヲ圖ルヤ
ウニ努力スルト云フ、遞信大臣ノ答辯ガア
ツタノデアリマス
其ノ次ニハ船舶ノ運賃、運賃ノ共同計算
制度ハ、正確ニ之ヲ實施スルト云フコトハ
困難デアルト思フガ、政府ノ方針ハ果シテ
ドウカト云フ質問デアリマス、之ニ對シマ
シテ政府ノ答辯ハ、共同計算ノ目的ハ、低
物價政策遂行上、南洋鑛石其ノ他ノ爲ニ赤
字配船ヲ行フ運船業者ノ赤字ヲ補塡セント
スルモノデアル、海運業ニ於テハ、一々細
カナ共同計算ヲ行フコトハ中々困難デアル
カラ、度ヲ過ギタ細カイ計算ハシナイデモ
宜イト思フ、斯ウ云フ意味ノ答辯デアツタ
ノデアリマス
次ニハ、今日ハ非常ニ船腹ガ不足シテ居
ル、此ノ船腹不足ニ對シテハ、ドウ云フ對
策ヲ政府ハ持ツテ居ルカ、斯ウ云フ質問ガ
アリマシタガ、政府ノ答辯ハ、其ノ船腹不
足ノ對策ト致シマシテ、先ヅ積極手段トシ
テハ、船舶ノ建造或ハ船舶ノ買收或ハ傭船
サウ云フヤウナ手段ヲ執リ、尙又消極手段ト
シテバ船舶ノ〓轉率ヲ增加スル、卽チ港ニ
碇泊シテ居ル所ノ日數ヲ減少スルトカ、或
ハ船舶荷役ト又陸上トノ關係ヲ簡易ニスル
トカ、或ハ艀ヲ整理スルトカ、人足組合ノ
調整ヲスルトカ、斯ウ云フ意味ノ答辯ガア
ツタノデアリマス
次ニハ支那ニ於ケル、例ヘバ揚子江ノヤ
ウナ內河航行權ニ付テハ、從來其ノ航行權
ヲ外國ニ許可シテ居ツタガ爲ニ、「イギリ
ス」ノ如キハ强大ナ航行權ヲ獲得シテ居ツ
タケレドモ、今囘ノ事變ノ爲ニ悉ク停止ニ
ナツテ居ル、併シ一タビ是ガ平和ニナツタ
時ニハ再ビ其ノ勢力ヲ挽囘シテ、元ノ狀
態ニ立至ルヤウナコトガアリハシナイカト
云フ質問ガアリマシタ、政府ハ此ノ點ニ付
テハ、極力日本ノ勢力ガ減退ヲシナイヤウ
ニ、今カラ十分ナル方策ヲ考究シナケレバ
ナラヌト云フ答辯ガアツタノデアリマス
次ニハ、此ノ東亞海運株式會社ニハ、ヤ
ハリ支那ノ國民モ參加セシムルノ必要ガア
ルト思フガドウカ、之ニ對シマシテ政府ハ、
全ク其ノ通リデアル、故ニ此ノ法律案ノ第
六條ノ第二項ニ、普通ノ國策會社ニハ規定
ノナイ規定ガ設ケテアル、卽チ外國人ト雖
モ政府ノ許可ヲ受ケタ場合ニハ株式ヲ所有
スルコトガ出來ルト云フ條項ヲ設ケテ、支
那ノ國民ト雖モ此ノ株式ヲ所有スルコトガ
出來ルト云フコトニシテ居ルト云フ答辯デ
アリマシタ
次ニハ、從來ノ東亞海運株式會社ハ、今
マデ相當ノ成績ヲ擧ゲテ居リ、利益ノ配當
モ相當シテ居ル、故ニ從來ノ東亞海運株式
會社ヲ增資スルトカ、又其ノ他ノ方法ヲ以
テ之ヲ强化シタ場合ニ於テハ、別ニ新タニ
國策會社ヲ設ケルノ必要ハナイデハナイ
カ、斯ウ云フ質問ガアリマシタガ、之ニ對
スル政府ノ答辯ハ、從來ノ東亞海運株式會
社ヲ擴大强化スルノニハ相當ノ資金ヲ必要
トスル、ノミナラズ獨リ營利事業ヲ營ムバ
カリデハナイ、營利ヲ目的トシナイ事業ヲ
モ行ハシメルノ必要モアルノデアル、又第
三國ノ競爭航路ヲ排除シテ、支那ノ航權ヲ
獲得スルノニハ、國策會社デナケレバ之ヲ
遂行スルコトガ困難ナヤウナ場合モアルノ
デアルカラ、本案ヲ制定スル必要ガアルノ
デアルト云フ答辯ガアツタノデアリマス
大體斯ウ云フ意味ノ質問ガアリマシテ、
質疑ヲ終了致シマシテ、討論ニ入リマシタ、
小林委員カラ本案ノ第十條ノ第一項ニ左ノ
一項ヲ加ヘル、之ヲ此處デ讀上ゲマス
東亞海運株式會社ヲ監督スル官廳ノ官吏
タリシ者ハ退職後五年間ハ政府ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ東亞海運株式會社ノ役
員ト爲ルコトヲ得ズ
此ノ一項ヲ加フベシトノ修正意見ガアリマ
シテ、此ノ小林君ノ修正意見ニハ全會一致
之ニ贊成シテ可決シタノデアリマス、簡單
デアリマスルガ此ノ段御報〓致シマス指
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=46
-
047・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=47
-
048・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=48
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049・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=49
-
050・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=50
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051・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
東亞海運株式會社法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=51
-
052・田子一民
○副議長(田子一民君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=52
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053・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、昭和
十二年法律第九十號中改正法律案ヲ議題ト
ナシ、委員長ノ報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=53
-
054・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=54
-
055・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マーク、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-
昭和十二年法律第九十號中改正法律案ノ第
一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求
メマス-委員長村上國吉君
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提
也第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月十五日
委員長村上國吉
衆議院議長小山松壽殿
〔村上國吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=55
-
056・村上國吉
○村上國吉君 只今議題ニ上セラレマシタ
昭和十二年法律第九十號中改正法律案ノ委
員會ノ審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲ
マス
此ソ改正案ハ一見シタ所甚ダ簡單ナルモ
ノノ如クデアリマスガ、仔細ニ之ヲ檢討致
シマスルト、頗ル重要ナル內容ヲ持ツ法律
案デアリマスノト、今期議會ニ提出サレマ
シタ政府ノ法律案中、食糧ニ關スルモノト
シテハ、此ノ法案ガ最モ關係ガ多イノト、
食糧問題ガ極メテ重大性ヲ持ツコトニナツ
タ今日ノ時局ノ關係等カラ致シマシテ、其
ノ質疑モ頗ル多ク、爲ニ委員會ハ去ル十二
日カラ十五日マデ、四日間ニ亙リ連日愼重
ニ審議ヲ盡シタ次第デアリマス
而シテ此ノ法案ニ於テ改正セントスル其
ノ要點ハ三ツアリマシテ、第一ハ昭和十二
年法律第九十號、卽チ米穀ノ應急措置ニ關
スル法律ニ於キマシテハ、其ノ第二條ニ依
リ政府ニ於テ買入又ハ賣渡ヲナシ得ルモノ
ハ、「米穀竝ニ米穀以外ノ穀物及穀粉」ニ限
ラレテ居リマシタモノヲ、「米穀及米穀以外
ノ食糧農產物竝ニ其ノ加工品」ト改メルコト、
第二、本改正法案附則第二項ノ規定ヲ設ケ
マシテ、米穀統制法第二條第一項ノ米穀ノ
最低價格及ビ最高價格ハ、勅令ヲ以テ定ム
ル一定ノ場合ニハ、其ノ公定スルコトヲ要
シナイモノトスルコト、第三、附則第三項
ノ規定ニ於キマシテ、昭和九年法律第二十
九號附則第二項ノ規定ヲ改メ、米穀需給調
節特別會計法第四條ノ一一ニ定ムル證劵及ビ
借入金ノ合計額ノ最高限度ヲ、從來ハ三億
圓ノ範圍內ニ於テ增額シ得ルコトニナッテ
居リマシタモノヲ、五億五千万圓ノ範圍內
ニ於テ增額シ得ルコトトナシクコトデアリ
マス
今其ノ改正ヲ要スル理由ニ付テノ政府ノ
說明ヲ御紹介申シマスト、本法第二條ノ改
正ヲ必要トスル理由ハ、政府ハ現ニ此ノ米
穀ノ應急措置ニ關スル法律ニ基イテ、米穀
及ビ米穀以外ノ穀物竝ニ穀粉ノ買入ヲナシ、
又其ノ賣渡ヲ行ッテ、食糧)需給ノ調節ニ當ツ
テ居ルノデアリマスガ、食糧需給ノ現在及
ビ將來ノコトヲ考ヘルト、其ノ調節ニハ
獨リ穀類ヤ穀粉ノ買入、賣渡ノミデハナク、更
ニ他ノ食糧農產物及ビ其ノ加工品ヲモ之ニ
加ヘテ、需給ノ調節ニ應ズル必要ガアル、
卽チ今回新タニ其ノ取扱範圍ヲ擴張シテ、
甘諸、馬鈴薯、麺類等ニモ及ブコトト致シ、
其ノ買入、賣渡ヲナスコトニ依ツテ、食糧
配給ノ圓滑ヲ期セントスルノデアリマス、
而シテ其ノ買入ヲナスベキ數量ハ、現在ノ
所甘藷一億二千万貫、馬鈴薯三千万貫、麵
類三千万「キログラム」程度ノ計畫デアリマ
シテ、米ヤ麥ノ端境期等ニ際シ之ヲ配給シ
テ、食糧ノ需給ヲ調節セントスルノデアリ
マス
又附則第二項ニ於キマシテ、勅令ヲ以テ
定ムル一定ノ場合ニハ、米穀統判法第二條
第一項ノ米穀ノ最低價格及ビ最高價格ハ、
之ヲ公定スルコトヲ要セザルコトニナサン
トスル理由ハ、現在米穀ノ賣買ハ米穀配給
統制法ノ第四條ニ基イテ定メラレタ最高販
賣價格デ行ハシテ居ルノデアリマス、政府
ノ米穀ノ買入及ビ賣渡モ亦時價ニ準據シ、
現實ニハ右ノ最高販賣價格デ行ハレテ居ル
ノデアツテ、米穀統制法第二條第一項ノ最
低價格及ビ最高價格ナルモノハ、全ク有名
無實ノ存在トナツテ居リ、又其ノ第三條ノ
買入及ビ賣渡ナルモノハ、全ク寳行サレテ
居ラス實情デアリマス、仍テ此ノ有名無實
ノ存在デアル所ノ米穀統制法第二條第一項
ノ最低價格及ビ最高價格ナルモノハ、米穀
統制法以外ノ法令ニ基キ米穀ノ販賣價格ガ
制限セラレテ居ルガ如キ、勅令ノ定ムル一
定ノ場合ニハ、必ズシモ其ノ公定ヲ要シナ
イモノトナスコトガ、出來得ルヤウニ致シ
テ置カウト云フノデアリマス
更ニ附則ノ第三項ニ於テ、米穀需給調節
特別會計ノ負擔ニ屬スル米穀證劵及ビ借入
金ノ基本的ノ最高限度ヲ、從來ハ三億圓ノ
範圍內ニ於テ增額シ得ルコトニナツテ居タ
モノヲ、二億五千万圓增額シ、五億五千万
圓ノ範圍內ニ於テ增額シ得ルコトトナサン
トスル理由ハ、右ニ述ブルガ如クニ、今囘
新タニ穀類及ビ穀粉以外ノ食糧農產物及ビ
其ノ加工品ヲモ買入、賣渡ヲナシ得ルコト
ニ致シタ結果、其ノ買大資金モ要スルコト
デアリ、又今日マデノ資金デハ、穀類及ビ
穀粉ノ買入ニ付キマシテモ、時アツテ不
足ヲ感ズル場合ナキニシモアラズト考ヘラ
レルノデ、其ノ如何ナル場合ニモ資金ノ不
足ヲ來スコトナキヤウニ致シテ置ク必要ガ
アルカラダト云フコトデアリマス
以上紹介致シマシタ所ノ本法改正ノ要點
及ビ其ノ理由ナルモノハ何レモ至ツテ平
明デ、格段ナル說明ヲ要シナイヤウデアリ
マスガ、併シ此ノ改正法律ガ施行セラルル
コトニナルト、其ノ運用上特ニ大切ナル點
ノアルコトガ、委員會ノ審議ニ依ツテ明カ
ニナリマシタノデ、此ノ場合私ハソレヲ指
摘シテ御報〓ヲ致シ、又後日ノ爲ニ速記ニ
モ留メテ置キタイト思フノデアリマス
其ノ一ハ、從來本法ノ第二條ニハ、政府
ガ米穀等ノ買入及ビ賣渡ヲナス場合ニハ「米
穀統制委員會ニ諮問シテ」トナツテ居ルノ
デアリマスガ、此ノ改正ニ依ツテ其ノ十二
字ガ削除サレルノデアリマス、此ノ點ニ關
スル政府ノ說明ニ依ルト、此ノ十二字ハ削
除スルガ、削除ハシテモ米穀統制委員會ノ
存續スル限リハ必ズ諮問スル、後日若シ此
ノ委員會ヲ廢止スルヤウナ場合ニハ、必ズ
之ニ代ル委員會ヲ勅令等ノ如キ法的根據ノ
アル手續ニ依ツテ設置シ、其ノ委員會ニ諮
問スルコトニスルト云フコトデ、委員會ハ
其ノ說明ヲ諒承シテ、之ヲ承認シタモノデ
アルコトヲ申上ゲテ置キマス
其ノ二ハ、勅令ヲ以テ定ムル一定ノ場合ニ
於テ、米穀統制法第二條第一項ノ最低價格及
ビ最高價格ノ公定ヲナサナイ場合ノ販賣價
格決定ノ方法ノ問題デアリマス、政府ハ今米
穀配給統制法第四條第一項ニ基イテ、其ノ
最高販賣價格ヲ定メテ居リマスガ、其ノ最高
販賣價格ハ米穀統制法第二條ノ最高價格ニ
準據シタモノデアリマス、然ルニ今其ノ米
穀統制法第二條ノ最低價格及ビ最高價格ヲ
定メナイモノトシタ時ニ、米穀ノ公定價格
ハ如何ナル基準ニ依ツテ決定スルノカト云
フ、重大ナ問題ガ生レテ來ルノデアリマス、
此點ニ關シマシテハ特ニ農林大臣カラ說明
ガアツタノデアリマスガ、ソレニ依ルト、
此ノ問題ニ付テハ政府ニ於テ今色々ト考究
中デアツテ、マダ決定シテ居ル譯デハナイ
ガ、自分一己トシテハ、今日マデノ米價決
定ノ沿革ヲ重要視スル、生產費ハ勿論、家
計、米價、物價參酌値、時ノ物價、經濟事
情、又社會情勢ナドノ諸條件ヲ愼重ニ考慮
シテ、最モ適當ニ決定スルヤウニ致サネバ
ナラヌト考ヘテ居ルトノコトデアリマシタ、
委員會ハ此ノ大臣ノ言明ヲ信賴シテ諒承致
シタ次第デアリマス
其ノ三ハ、右ノ公定價格ヲ決定スル機關
ノ問題デアリマシテ、從來ノ慣例トシテハ、
米穀ノ最低價格及ビ最高價格ハ、米穀統制
委員會ニ諮問シテ決定サレタノデアリマス
ガ、共ノ最低價格及ビ最高價格ヲ決定シナ
イト云フコトニナルト、米穀統制委員會ハ
存置サレテアツテモ、ソレニ諮問スベキ機
會ガナクナル、又米穀配給統制法デハ、ソ
レ等ノ諮問機關ヲ置クコトニナツテ居ナイ、
サウスルト是等ハ政府ノ獨斷デ米價ヲ決定
スルコトニナリハセナイカト云フ、極メテ
重大ナル點デアリマシテ、之ニ對シテ農林
大臣ハ、決シテ政府ノ獨斷デ決定致スヤウ
ナコトハ致サヌ、從來官制ニ依ツテ米穀局
顧問制ガ設ケラレテアリマシタガ、今囘之
ヲ食糧管理局顧問制ニ改メラレタノデアリ
マスガ、從來通リ其ノ顧問ニモ意見ヲ聽キ
やく、又米穀委員會若シクハ前ニ述ベタ所
ノ、此ノ委員會ニ代ツテ官制ニ依ツテ設置
サレル所ノ委員會ニ諮ツテ決定スルトノコ
トヲ明カニセラレマシタノデ、委員會ハ是
亦大臣ノ此ノ言明ヲ信賴シテ、其ノ取扱ヒ
方ヲ承認致シタ次第デアリマス
以上述ベタ三點ハ極メテ重要デアルト信
ジマスカラ、特ニ之ヲ御報〓ヲシテ置ク次
第デアリマスガ、其ノ他ニ此ノ法案ノ附則
ノ第三項ニ依ツテ、米穀需給調節特別會計
法ノ昭和九年法律第二十九號ニ依ル附則第
二項ヲ改正スルコトニナリマスノデ、此ノ
點ニ關シマシテモ審議ヲ致シタノデアリマ
スガ、農林大臣ハ斯ウ云フ手續ノ執リ方ハ
今日マデ先例ノアルコトデ、最近ノ慣例ト
ナツテ居ルコトデ、妥當デナイカモ知レヌ
ガ、違法トハ認ムベキデナイノデ、手續ヲ
簡㨗ニスル爲ニ斯ク致シタノデアルトノ答
辯ヲ與ヘラレ、委員會ハ大臣ノ此ノ答辯ヲ
承認致シタノデアルコトヲ、併セテ御報〓
致シテ置キマス
以上ハ專ラ此ノ改正法案ノ內容ニ關スル
改正ノ理由、案文ノ解釋、其ノ運用等ニ付
テゝ委員會ニ於ケル審議ノ經過ヲ御報告シ
タノデアリマスガ、委員會ニ於テハ其ノ他
ニ幾多重要ナル質疑ガ熱心ニ展開サレマシ
ク、而シテ其ノ質疑ハ相當廣汎又多岐ニ亙
ツテ居ルノデアリマスガ、就中主要ナルモ
ノヲ要約シマスルト、食糧及ビ飼料等ノ增
產對策、米穀ノ管理ニ關スル問題、食糧殊
ニ米穀ノ價格問題、農林水產物等ノ配給對
策肥料其ノ他生產必需資材ノ配給問題、
農村ノ勞力及ビ賃銀ニ關スル問題等デアリ
マシタ、私ハ一々之ヲ御紹介致シタイノデ
アリマスガ、今ハ其ノ餘裕ガアリマセヌノ
デ、ソレ等ハ擧ゲテ委員會ノ速記錄ニ依ツ
テ御諒承ヲ願フコトニシテ、此處ニハ其ノ
報告ヲ省略スルコトニ致シマス
斯クテ委員會ハ去ル十五日其ノ質疑ヲ終
了シ、直チニ討論ニ入リマシタ所、成島委
員カラ本案ニ對スル贊成ノ意見ガ述ベラレ
マシタ、次イデ採決ノ結果、全會一致本案
ハ可決サレマシタ、此ノ段御報告致シテ置
キマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=56
-
057・田子一民
○副議長(田子一民君) 木案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=57
-
058・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=58
-
059・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=59
-
060・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=60
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061・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=61
-
062・田子一民
○副議長(田子一民君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=62
-
063・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=63
-
064・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=64
-
065・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ
議事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後三時四十六分散會
衆議院議事速記錄第十二號中正誤
頁段行誤正
一二三四三命令勅令
衆議院議事速記錄第十四號中正誤
頁段行誤正
一七三二西事項事業
一四三二八行政官ハ行政官廳ハ
一八六一量行ヒ又ハ行ヒ若ハ
一九〇三三大ナル方影響大ナル影響
( ho三八計ツト計ツテ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01519410218&spkNum=65
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