1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年十一月十七日(月曜日)
午後一時十五分開議
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議事日程 第一號
昭和十六年十一月十七日
午後一時開議
第一 酒税等の増徴等に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支辨の爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會
第三 昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及樺太廳の各特別會計に於ける租税收入の一部に相當する金額等を臨時軍事費特別會計に繰入るることに關する件)(政府提出) 第一讀會
第四 昭和九年法律第二十九號中改正法律案(米穀需給調節特別會計法中改正法律)(政府提出) 第一讀會
第五 臺灣米穀移出管理特別會計法の特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 産業設備營團法案(政府提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一昨十六日委員長及理事互選の結果左の如し
豫算委員
委員長 東郷實君
理事
小笠原三九郎君 小高長三郎君
高橋義次君 東條貞君
藤田若水君 宮澤胤勇君
矢野庄太郎君 石坂豐一君
鈴木正吾君
決算委員
委員長 齋藤直橘君
理事
小串清一君 小林房之助君
長谷長次君 松川昌藏君
渡邊健君 福田關次郎君
米窪滿亮君
請願委員
委員長 西村金三郎君
理事
太田理一君 片岡恒一君
田代正治君 成島勇君
西川貞一君 坂東幸太郎君
江藤源九郎君
懲罰委員
委員長 猪野毛利榮君
理事
江原三郎君 中野治介君
山田清君
建議委員
委員長 松田喜三郎君
理事
池田清秋君 小野謙一君
小平重吉君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、開院式勅語奉答書捧呈ノ〓末ヲ御報
〓致シマス、本日參内致シマシテ、午前十
一時鳳凰ノ間ニ於テ拜謁ヲ賜ハリ、御前ニ
進ミマシテ、奉答書ヲ朗讀致シ捧呈致シマ
シタ、之ニ對シテ勅語ヲ賜ハリマシタ、
玆ニ捧讀致シマス-諸君ノ御起立ヲ望ミ
マス
〔總員起立〕
朕衆議院ノ深厚ナル敬禮ヲ嘉ス
〔總員敬禮〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本日ノ議事日程ニ入
ルニ先ダチ、內閣總理大臣、外務大臣及ビ
大藏大臣ヨリ發言ノ通告ガアリマス、順次
之ヲ許シマス-東條內閣總理大臣
國務大臣ノ演說
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=2
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003・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 現下重大ナル時
局ニ際シマシテ、第七十七囘帝國議會開會
セラレ、開院式ニ當リマシテハ、優渥ナル
勅語ヲ賜ハリ、洵ニ恐懼感激ニ堪ヘマセヌ、
此ノ機會ニ於キマシテ政府ハ國策遂行ニ關
シマシテ、率直ニ所信ヲ披瀝致シマシテ、
各位ノ御協力ヲ願ヒ、擧國一體鐵石ノ意志
ヲ以テ現下未曾有ノ國難ヲ克服シ、以テ聖
慮ヲ安ンジ奉リタイト存ズル次第デアリマス
現下帝國ヲ繞ル世界ノ情勢ヲ按ジマスル
ニ、支那事變ハ御稜威ノ下忠誠勇武ナル將
兵ノ奮鬪ト、又熱誠强靱ナル銃後ノ活動ト
相俟チマシテ赫々タル戰果ヲ收メ、重慶政
權ノ抗戦力ハ日ニ月ニ低下シツツアルノデ
アリマス、又他方國民政府ノ建設ハ着々進
捗シ、今ヤ多數ノ友好列國ハ國民政府ヲ承
認シ、事變解決ハ最後ノ段階ニ到達シテ居
ルノデアリマスガ、援蔣諸國ノ經濟的、軍
事的策動ハ益〓活潑トナリ、重慶政權ノ抗戰
力ニ對スル唯一最大ノ支柱ト致シマシテ、
帝國ノ事變解決ヲ妨ゲテ居ル次第デアリマ
ス(拍手)
更ニ北方ニ於キマシテハ本年六月獨「ソ」
開戰以來、事端漸ク滋カランコトヲ思ハシ
メ、事態ノ推移ハ帝國トシテ無關心タルヲ
得ザルモノガアリマスルノデ、我ガ北邊ノ
安定ノ爲メ遺憾ナキ措置ヲ講ジツツアリマ
ス(拍手)
又南方ニ於キマシテハ、昨年北部佛印ニ
皇軍ノ進駐トナリ、次イデ日·佛印ノ經濟協
定、泰·佛印ノ紛爭調停等、帝國ト佛領「イ
ンド」支那トノ友好緊密關係ハ漸ク增進ヲ
シ、南方ニ對スル帝國ノ平和的進展ハ、漸
ク其ノ〓ニ就カントシテ居リマシタガ指
手)英米蘭諸國ノ軍事的竝ニ經濟的合作ノ
强化ニ伴ヒ、蘭印トノ經濟交涉ハ不調ニ終
リ、延イテ南太平洋ニ於ケル帝國ノ地位ニ
重大ナル脅威ヲ及ボサントスルノ形勢トナ
リマシタノデ、帝國ハ「ヴイシー」政府ト
日·佛印共同防衞ニ關スル取極メヲ爲シ、之
ニ基キ七月末南部佛印ニ兵力ヲ增派セラル
ルコトトナリマシタ、然ルニ英米蘭諸國ハ、
此ノ帝國ノ當然ナル自衞的措置ヲ迎フルニ
猜疑ト危惧トノ念ヲ以テシ、資產凍結ヲ行
ヒ、事實上全面的禁輸ニ依リ、帝國ヲ目標
トシテ經濟封鎖ヲ實施致シマスルト共ニ、
其ノ軍事的脅威ヲ急速度ニ增加シテ參ツタ
ノデアリマス、蓋シ交戰關係ニアラザル國
家間ニ於ケル經濟封鎖ハ、武力戰ニ比シマ
シテ優ルトモ劣ラザル敵性行爲デアルコト
ハ言ヲ俟タナイノデアリマス(拍手)
斯クノ如キ行爲ハ帝國ノ企圖スル支那事
變ノ解決ヲ阻碍スルノミナラズ、更ニ又帝
國ノ存立ニ重大ナル影響ヲ與フルモノデア
リマシテ(拍手)斷ジテ默過シ得ザルモノデ
アリマス(拍手)
然ルニモ拘ラズ常ニ平和ヲ欲スル帝國ト
致シマシテハ、隱忍自重、忍ビ難キヲ忍ビ、
耐ヘ難キヲ耐ヘ、極力外交交渉ニ依リマシ
テ危局ヲ打開シ、事態ヲ平和的ニ解決セン
コトヲ期シテ參ツタノデアリマスルガ、今
尙ホ其ノ目的ヲ貫徹スルニ至ラズ、帝國ハ
今ヤ文字通リ帝國ノ百年ノ計ヲ決スベキ
重大ナル局面ニ立タザルベカラザルニ至
ツタノデアリマス(拍手)政府ハ肇國以來ノ
國是デアリマスル平和愛好ノ精神ニ基キ、
帝國ノ存立ト權威トヲ擁護シ、大東亞ノ新
秩序ヲ建設スル爲メ、今尙ホ外交ニ懸命ノ
努力ヲ傾注シテ居ル次第デアリマシテ、
之ニ依ツテ帝國ノ期スル所ハ、第一、第三
國ガ帝國ノ企圖スル支那事變ノ完遂ヲ妨害
セザルコト、第二、帝國ヲ圍繞スル諸國家
ガ帝國ニ對スル直接軍事的脅威ヲ行ハザル
コトハ勿論、經濟封鎖ノ如キ敵性行爲ヲ解
除シ、經濟的正常關係ヲ恢復スルコト、第
三、歐洲戰爭ガ擴大シテ禍亂ノ東亞ニ波及
スルコトヲ極力防止スルコトデアリマス(拍
手)以上三項ニ亙ル目的ガ外交交涉ニ依ツ
テ貫徹セラレマスルナラバ、獨リ帝國ノ爲
ノミナラズ、世界平和ノ爲メ洵ニ幸ヒデア
ルト信ズル次第デアリマス(拍手)
併シナガラ從來ノ經緯ニ鑑ミマシテ、交
渉ノ成否ハ逆〓シ難イモノガアルノデアリ
やく、隨テ政府ハ前途ニ橫タハル凡ユル障
碍ヲ豫見シテ、之ニ對スル萬般ノ進備ヲ整
ヘ、斷乎トシテ帝國既定ノ國策ヲ遂行致シ
マスルニ萬遺憾ナキヲ期シ(拍手)仍テ以テ
帝國ノ存立ヲ全ウセントスル固キ決意ヲ有
シテ居リマス(拍手)帝國ハ實ニ悠久二千六
百餘年ノ歷史ノ上ニ於キマシテ、曾テ見ザ
リシ國家隆替ノ岐路ニ立ツテ居ルノデアリ
マスルカラ、政府ハ深ク思ヒヲ玆ニ致シ、
全力ヲ盡シテ輔弼ノ責ヲ全ウ致シマスル覺
悟デアリマス(拍手)
事態ガ如何樣ニ發展致シマセウトモ、高
度國防國家體制ノ完成コソハ、正ニ喫緊ノ
重大要事デアリマス、是ガ爲ニ益〓國民志氣
ヲ緊張シ、產業經濟ノ能率ヲ最高度ニ發揮
スルノ要切ナルモノガアルノデアリマス、
是ト共ニ政府ハ國民生活ノ確保ニ關シマシ
テハ萬全ノ策ヲ講ズルモノデアリマスガ、
是ガ更ニ緊縮ヲ見ルコトハ洵ニ已ムヲ得ザ
ル所デアリマス、私ガ玆ニ衷心ヨリ希望致
シマスルコトハ、全國民ガ、帝國ハ今ヤ一
大飛躍ノ秋ニ際會ヲシ、前途ニ洋々タル發
展ヲ期待シ得ベキコトヲ確信ヲシテ、相共
ニ今日ノ苦ヲ分チ、國民一丸トナツテ聖業
ノ翼贊ニ邁進センコトデアリマス(拍手)政
府ニ於キマシテモ政治經濟ノ運營ニ付テ、
各般ノ改革整備ヲ行フ覺悟デアリマスルガ、
其ノ實施ニ當リマシテハ徒ラニ理想ヲ追
ハマ、事態ニ卽シテ各專門的機能ノ有機的
能率ヲ最大限ニ發揮セシムルヤウ措置致ス
心構ヘデアリマス、私ハ全國民ガ此ノ政府
ノ意ノ存スル所ヲ認識セラレテ、積極的ニ
政府ニ協力セラルルコトヲ固ク信ジテ疑ハ
ナイモノデアリマス(拍手)
今囘提案致シマシタル豫算案ハ、主トシ
テ緊迫セル現下ノ事態ニ對處スルニ必要ナ
ル經費ヲ計上致シマシタモノデアリ、又提
出法律案モ、特ニ今日緊急ノ要アルモノノ
ミニ限定致シタノデアリマス、諸君ニ於カ
レマシテハ政府ノ意ノアル所ヲ諒トセラ
V、愼重御審議ノ上、協贊ヲ與ヘラレタイ
ノデアリマス
終リニ臨ミ、政府ハ、滿洲帝國及ビ中
華民國國民政府ガ帝國ニ寄セラレタル變ラ
ザル協力ニ深甚ナル謝意ヲ表シ、又盟邦特
ニ獨伊兩國ノ偉大ナル功業ニ對シマシテ、
深厚ナル慶祝ノ意ヲ表シマスルト同時ニ、
帝國ト共ニ正義ニ基ク世界新秩序建設ニ
成功センコトヲ祈ルモノデアリマス(拍
手
本大臣ハ此ノ重大時局ニ處シ、諸君ト相
携ヘテ大政ヲ翼贊シ奉ルヲ深ク光榮ト致シ
マスルト共ニ、責任ノ愈〓重大ナルヲ痛感致
シマスル次第デアリマス、惟フニ難局ノ突
破時艱ノ克服ハ、全國民ガ職域奉公ニ邁
進ヲシ、國民ノ總力ガ結集セラレテ、初メ
テ成就シ得ルモノト信ズルモノデアリマス
(拍手)何卒諸君ニ於カレマシテモ此ノ上ト
モ御支援、御協力ヲ御願ヒ致ス次第デアリ
マス(拍手)
最後ニ護國ノ英靈ニ敬弔ノ誠ヲ捧ゲ、戰
線銃後ノ奮鬪努力ニ衷心感謝ノ意ヲ表スル
モノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 東〓外務大臣
〔國務大臣東〓茂德君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=4
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005・東郷茂徳
○國務大臣(東郷茂德君) 不肖今囘圖ラズ
モ帝國ノ外政擔當ノ重責ヲ負フコトト相成
リマシテ、本日茲ニ帝國政府ノ外交方針ニ
付キ、聊カ所見ヲ申述ブルノ機會ヲ得マシ
タコトハ、私ノ最モ欣幸トスル所デアリマ
ス
帝國ハ東亞新秩序建設ノ爲ノ征戰ニ從事
スルコト既ニ四年ヲ閱シ、學國一致時艱ノ
克服ニ邁進シツツアルノデアリマス、私ハ
先ヅ御稜威ノ下ニ前線ニ奮圖スル我ガ陸海
軍將兵ノ武運長久ヲ祈願スルト共ニ、幾多
ノ尊キ英靈ニ對シ敬弔ノ意ヲ表スルモノデ
アリマス
帝國ノ對外國策ノ基本方針ガ、東亞ノ天
地ニ正義ニ立脚スル平和ヲ確立シ、以テ世
界人類ノ福社增進ニ寄與セントスルニ存ス
ルコトハ、更メテ多言ヲ要セヌ所デアリマ
ス、帝國ガ明治維新以來駸々乎トシテ國運
ノ伸張ヲ成シ遂ゲマシタノモ、實ニ此ノ大
義ニ立脚セル不斷ノ努力ノ賜ニ外ナリマセ
又、顧ミマスルニ過去七十餘年間:
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=6
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007・東郷茂徳
○國務大臣(東〓茂德君)(續) 帝國ハ幾度
カ國難ヲ打開シテ參リマシタ、就中日露ノ戰
役ハ東亞ノ平和ニ對スル障碍ヲ排除セント
スル擧國決死ノ大事業デアリ、爾來帝國ハ
東亞ニ於ケル安定勢力トシテノ步武ヲ進メ
テ來タノデアリマスルガ、今ヤ東亞ノ天地
ニ正義ニ基ク新秩序ヲ確立シ、以テ世界
ノ平和ニ貢獻セントスルノ大業ニ邁進シツ
ツアルノデアリマス、幸ヒニシテ獨伊兩國
ハ帝國ト其ノ意圖ヲ同ジウシ、曩ニ三國條
約ノ成立ヲ見タノデアリマシテ、同條約ガ
過去一箇年餘ノ期間ニ於キマシテモ、旣
其ノ使命タル東亞及ビ歐洲ノ新珠序ノ建
設、及ビ戰爭ノ擴大防止ニ對シ、大ナル貢
獻ヲナシ來リマシタコトハ御承知ノ通リデ
アリマス
滿洲帝國ハ建國以來國礎益〓固キヲ加ヘ、
同國ヲ承認致シマシタ國ハ既ニ十三箇國ノ
多キニ達シ、其フ國際的地位モ日ヲ逐ウテ向
上シ、國運隆盛ニ赴キツツアリマス、支那
ニ於キマシテハ帝國ハ重慶政權屈服ノ爲
メ、武力戰ヲ敢行シツツアルノデアリマス
ルガ、帝國ト中華民國トノ提携ニ依リ、東
亞ノ安定ヲ確保シ、以テ共榮ノ實ヲ擧ゲン
トスルハ、支那事變ニ處スル帝國ノ根本方
針デアリマス、帝國ト國民政府トノ間ニ
ハ曩ニ日華間ノ新關係ヲ律スル基本條約
ノ成立ヲ見タノデアリマスルガ、帝國政府
ハ此ノ上トモ同政府ノ强化ニ協力スル決心
デアリマス
支郡事變ノ處理ト共ニ帝國ノ重大關心事
ハ北方及ビ南洋方面ニ存スルノデアリマ
ス、曩ニ歐洲戰爭勃發致シマスルヤ、帝國
ハ東亞全局ノ平和維持ノ見地ヨリ禍亂ノ東
方ニ波及シ來ルコトヲ防止スル爲メ、凡山
ル努力ヲ爲シ來ツタノデアリマスルガ、本
年四月締結セラレマシタ日「ソ」中立條約モ
亦右ノ方針ヨリ出デテ、北方ノ安全ヲ確保
セントスルモノデアリマス、其ノ後「ドイ
つい「ソヴィエト」聯邦トノ間ニ戰禍ノ發
生ヲ見ルニ至リマシタケレドモ、政府ハ依
然北方ノ安全ヲ確保セントスルノ態度ヲ堅
持シ來レルモノデアリマシテ、畢竟我ガ方
ニ於キマシテハ、北方ニ於テ平和ノ攪亂セ
ラルルガ如キ素因構成セラレ、又ハ帝國ノ
權益ガ脅威セラルルガ如キ事態ノ發生スル
コトニ對シテハ、飽クマデ之ヲ防止セント
スルモノデアリマス(拍手)
南方ニ關シマシテハ、帝國政府ハ曩ニ「タ
イ」佛印國境紛爭ノ調停ヲナシ、又佛印トノ
間ニ政治的、經濟的緊密關係ヲ設定シ、次
イデ佛印ヲ繞ル國際情勢ガ佛印ノ安全、延
イテ東亞ノ靜謐、且又帝國ノ安全ニ重大ナ
ル脅威ヲ及ボサントスルノ形勢ト相成リマス
ルヤ、之ニ對處センガ爲メ日·佛印共同防衞
ニ關スル議定書ヲ締結シ、更ニ芳澤大使ヲ
同地ニ派遣致シマシテ緊密ナ關係ノ增進ニ
努メ、又「タイ」國トノ間ニモ經濟的關係ヲ
緊密ニスルト共ニ、大使ヲ交換シテ兩國提
携ヲ益、〓固クシテ居ルノデアリマス(拍手)
然ルニ第三國側ヨリ、恰モ帝國ガ是等方面
ニ侵略的意圖ヲ有スルガ如キ惡意ノ宣傳ガ
行ハルルハ洵ニ心外トスル所デアリマシテ、
私ハ東亞ニ位スル諸國、諸民族ガ能ク帝國
ノ眞意ヲ了得シ、新秩序建設ノ爲メ帝國ト
協力スルニ至ルコトヲ確信シテ疑ハザルモ
ノデアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=7
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008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ御注意致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=8
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009・東郷茂徳
○國務大臣(東〓茂德君)(續) 以上ノ如ク
帝國ハ一意支那事變處理ト、東亞ニ於ケル新
秩序ノ確立ニ眞摯ナル努力ヲ傾注シテ居ルノ
デアリマスルガ、曩ニ述ベマシタ共同防衞
ニ關スル議定書ニ基キ、本年夏我ガ軍ガ南
部佛印ニ進駐シマスルヤ··
〔「シツカリヤレ」「議長、退場々々」其
ノ他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=9
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010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ重ネテ御注
意致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=10
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011・東郷茂徳
○國務大臣(東〓茂德君)(續) 英米兩國ハ
右ヲ以テ自國領域ニ對スル脅威トナシ、兩國
ニ於ケル。我ガ資產ヲ凍結シ、以テ事實上經
濟斷交ニ等シキ措置ニ出デ、英國各自治領
植民地悉ク之ニ做ヒ、蘭印亦之ニ和シタノ
デアリマスルガ、英米ハ更ニ濠洲、蘭印、
重慶ヲ誘ツテ、對日包圍ノ態勢ヲモ執ルニ
至リマシタ
斯クノ如クニシテ、帝國ヲ繞ル國際情勢
ハ日一日ト緊迫ノ度ヲ加へ來ツタノデアリ
マスルガ、英米ノ我ガ方ニ對スル此ノ種壓
迫ハ事重大デアリマシテ、帝國ノ生存ニモ
甚大ナル影響アル次第デアリマス(拍手)
玆ニ各方面ノ注意ヲ願ヒタイノハ、斯カ
ル情勢ナルニモ拘ラズ、從來帝國政府ガ太
平洋、延イテハ世界全局ニ於ケル平和ヲ維
持シ、最惡ノ事態ヲ囘避セントノ崇高ナル
動機ヨリ局面ノ打開ノ爲メ最善ノ努力ヲ
傾注シ來レルコトデアリマス
〔「シツカリセヨ」ト呼ビ其ノ他發言ス
ル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君-田淵君ニ
退場ヲ命ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=12
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013・東郷茂徳
○國務大臣(東郷茂德君)(續) 抑〓支那事
變勃發以來、日米關係ハ惡化ノ一路ヲ迪リ、
逐次其ノ勢ヒヲ加へ來リ、之ヲ放置致シテ置
キマスナラバ、勢ヒノ趨ク所最惡ノ事態ニ立
至ルコトナキヲ保シ難キ情勢ト相成リマシ
タ(拍手)若シ斯クノ如キ事態トモナラバ、
太平洋ヲ繞ル諸國ニ對シテノミナラズ、全世
界人類ニ大ナル慘禍ヲ及ボスモノデアリマ
シテ、洵ニ寒心ニ堪ヘヌ所デアリマス、仍
テ平和ヲ念トスル帝國ハ玆ニ思ヒヲ致シマ
シテ、本年四月以來米國政府トノ間ニ、日
米問題ノ根本的調整ニ關スル話合ヲ行ヒ來
ツタノデアリマスルガ、前內閣ニ於キマシ
テハ、本年夏以後ニ於ケル情勢ノ逼迫ニモ
顧ミ、銳意日米交涉ノ成立ニ努力致シマシ
タニ拘ラズ、彼我意見ノ一致ヲ見ルニ至ラ
ナカツタノデアリマス
現內閣ニ於キマシテモ國際危局ヲ救濟シ、
太平洋ノ平和ヲ維持センガ爲メ、右日米會
談ヲ繼續スルニ決定シ、爾來交渉中デアリ
マス、隨テ其ノ內容ニ付テハ遺憾ナガラ今
玆ニ詳細申上グル自由ヲ有シマセヌガ、若
シ夫レ米國政府ガ帝國政府ト同樣、眞ニ世
界ノ平和ヲ顧念スルト共ニ、帝國ノ自然的
要求ト東亞ニ於ケル帝國ノ地位ヲ了解シ、
且又東亞ニ於ケル事態ニ付キ現實ニ卽スル
考慮ヲ加ヘマスルニ於テハ、本件交涉ノ妥
結モ決シテ不可能デハナイト考ヘル次第デ
アリマス(拍手)而モ彼我ノ見解ハ、過去半
歲餘ニ亙ル話合ニ依リ〓ネ明白トナツテ居
リマスルノデ、技術的方面ヨリ見マスルモ、
今後ノ交渉ニ長時間ヲ費スノ要ナキコト
ハ、米國側ニモ明カデアルト信ズルノデア
リマス
事態斯クノ如クデアリマシテ、帝國政府
ニ於テハ本交涉ノ成立ニ向ツテ、最善ノ努
力ヲ傾注シテ居ル次第デアリマスルガ、我
ガ方ノ協調的態度ニモ自ラ限度ガアリ拍
手)事苟クモ帝國ノ生存ヲ脅カシ、又ハ大
國トシテノ權威ヲ毀損スルコトトナルガ如
キ場合ニハ、飽クマデ毅然タル態度ヲ以テ
之ヲ排除セネバナラヌコトハ勿論デアリマ
シテ、私ト致シマシテハ、此ノ點ニ付キマ
シテハ十分ノ決意ヲ以テ交涉ニ臨ンデ居ル
次第デアリマス(拍手)
今ヤ帝國ハ未曾有ノ難局ニ遭逢シ、致
團結是ガ打開ニ邁進スルノ要アル次第デア
リマス、元來軍事ト外交トハ一體デアリ
內政ト外交亦表裏ノ關係ニアルノデアリマ
スルガ、官民一致國家ノ總力ヲ擧ゲテ事ニ
當ルノ要アルヲ痛感スルコト、今日程切實
ナルモノハナイノデアリマス(拍手)以上率
直ニ本大臣ノ所見ヲ披瀝致シマシテ、茲ニ
一億同胞ノ支援ト協力トヲ切ニ冀望スルモ
ノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=13
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014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 賀屋大藏大臣
〔國務大臣賀屋興宣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=14
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015・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 過般內閣ノ成立
ニ際シマシテ財政變理ノ重任ヲ拜シ、玆
臨時軍事費追加豫算及ビ昭和十六年度追加
豫算ノ大要ヲ說明致シ、併セテ我ガ國財政
經濟ノ現狀ニ付キ所見ヲ述ブル機會ヲ得マ
シタコトハ、私ノ最モ光榮トスル所デアリ
マス
先ヅ臨時軍事費追加豫算及ビ昭和十六年
度追加豫算ノ〓要ニ付テ說明致シマス、今囘
歲出豫算ノ追加トシテ計上致シマシタモノ
ハ、臨時軍事費特別會計ニ於テ三十八億圓、
一般會計ニ於テ五億千五百九十餘万圓等デ
アリマス、右ノ内臨時軍事費ニ付キマシテ
ハ、緊迫セル現下ノ諸情勢ニ卽應シ、事變
處理ノ完遂ヲ期スル爲メ、差當リ陸海軍ニ
於テ緊急ニ增加ヲ必要トスル經費ヲ追加計
上致シタノデアリマス、右臨時軍事費ノ財
源トシテハ、一般會計ヨリノ繰入金二億千
四百五十餘万圓、各特別會計ヨリノ繰入金
千四百三十餘万圓、公債及ビ繰替借入金三
十五億七千餘万圓、其ノ他百餘万圓ヲ豫定
致シマシタ
次ニ一般會計ニ於キマシテハ、臨時軍事
費特別會計ヘ繰入ノ增加、米穀生產奬勵ニ
要スル經費、重要肥料供給確保ニ關スル經
費ノ增加、中小商工業ノ再編成ニ要スル經
費、產業設備營團ノ設立ニ伴ヒ要スル經費、
關東地方其ノ他水害對策ニ要スル經費、北海
道及ビ東北地方冷害對策ニ要スル經費、國
庫豫備金ノ增加等、現下ノ時局ニ顧ミ緊急
差措キ難キ經費ノミヲ計上致シタモノデア
リマス
右一般會計歲出追加額ノ財源ト致シマシ
テハ、增稅ニ依ル租稅收入及ビ印紙收入ノ
增加一億七千三百十餘万圓、煙草等ノ値上
ニ依ル專賣局益金ノ增加四千百四十餘万圓
ヲ豫定スルノ外ハ、本年度豫算實行上ノ節
約ニ依ツテ生ズベキ歲入超過額ヲ以テ之ニ
充當スル計畫デアリマス
以上ノ外各特別會計ニ於テモ、朝鮮及ビ
臺灣ニ於ケル米穀ノ生產奬勵ニ要スル經費、
其ノ他緊急已ムヲ得ザル經費ノ追加ヲ要ス
ルモノガアリマスルノデ、ソレ〓〓是ガ豫
算ヲ計上致シタ次第デアリマス
尙ホ今囘ノ增稅ハ內外地ヲ通ジテ奢侈的
乃至國民生活上比較的不急ト認メラルル消
費ノ方面ニ對スル間接稅ノ引上ヲ中心ト致
シテ行ハントスルモノデアリマシテ、其ノ
趣旨トスル所ハ購買力ヲ吸收シ、消費ノ節
約ヲ促スト共ニ國民精神ノ緊張ヲ期シ、併
セテ國庫收入ノ增加ヲ圖ルコトニ存スルノ
デアリマス、鐵道旅客運賃ノ引上及ビ煙草
ノ値上モ亦右ト同樣ノ理由ニ依ルモノデア
リマス
次ニ我ガ國ノ財政經濟ノ情勢ニ付キマシ
テ一言致シマス、顧ミマスレバ支那事變勃
發以來、陸ニ、海ニ、空ニ、大ナル兵力ノ
活躍ヲ見ルコト既ニ四箇年有半ニ及ンデ居
リマスニ拘ラズ、我ガ國ノ財政ハ極メテ健
全デアリマシテ、毫末モ國費ノ用ヲ缺クコ
トガアリマセヌ(拍手)我ガ國ノ經濟力モ亦
各方面ニ亙リマシテ著シキ增强ヲ見テ居ル
ノデアリマス、先ヅ我ガ國ノ財政ニ付テ見
マスルニ、昭和十二年卽チ事變發生ノ年以
來今囘提出ノ豫算案ニ至ルマデノ歲出總額
ハ、臨時軍事費豫算二百六十餘億圓デアリ
マス、之ニ一般會計ノ分ヲ加ヘマスル時ハ
四百八十餘億圓ノ巨額ニ達スルノデアリマ
ス、其ノ金額ハ實ニ明治初年以來事變前、
卽チ昭和十一年度マデノ約七十年間ニ於ケ
ル·我ガ國歲出ノ總額ヲ遙カニ超ユルモノデ
アリマス(拍手)而シテ此ノ厖大ナル財政需
用ニ應ズルガ爲ノ租稅及ビ專賣益金ハ、總
額百五十餘億圓ニ上ツテ居リマス、其ノ內
本年度ノ租稅收入及ビ專賣益金ハ四十五億
圓デアリマシテ、之ヲ事變ノ前年、卽チ昭
和十一年度ノ租稅收入及ビ專賣益金ノ十二
億圓ニ比較致シマスル時ハ、約四倍ノ多キ
ニ達シテ居ルノデアリマス、又事變以來今
日マデノ間ニ發行致シマシタ公債ノ額ハ、
實ニ二百四十一億圓ニ上ツテ居ルノデアリ
マス、此ノ急激ニ膨脹致シマシタル巨額ノ
歲入歲出ガ何等支障ナク圓滑ニ支辨セラ
レ、調達セラレタト云フコトハ、如何ニ我
ガ國ノ財政力ガ强大デアルカト云フコトヲ
證明致シテ居ルモノデアリマス(拍手)而シ
テ財政ノ基礎ハ國家經濟力デアリマス、隨
テ事變以來財政ト同ジク我ガ國經濟力ノ增
强ハ著シイモノガアルノデアリマス、古來
戰爭ニ際シマシテハ經濟力ガ衰退低下スル
ト云フコトガ、一般ノ習ヒデアルト考ヘラ
レテ居ルノデアリマス、併シナガラ事變以
來我ガ國ノ經濟力ハ、却テ著シク伸張ヲ示
シテ居ルノデアリマス、以下少シク國家經
濟力ノ要素デアリマス資源、生產設備竝ニ
資金ノ狀況ニ付テ申述ベタイト思ヒマス
先ヅ第一ニ資源デアリマスルガ、事變以來
國內ニ於ケル資源ノ開發ガ急速ニ進メラレテ
參リマシタコトハ申スマデモナイノデアリ
マス、而シテ此ノ際特ニ注意スベキコトハ
我ガ國ト滿洲國及ビ支那トノ經濟提携ハ著
シク緊密トナリマシテ、大陸ノ莫大ナル資源
ハ、東亞新秩序建設ノ爲ニスル國防經濟力ノ
充實ニ貢獻スルコトト相成ツタコトデアリ
マス(拍手)現ニ北支那ニ於ケル石炭ノ埋藏
量ハ二千億「トン」ト稱セラレテ居ルノデア
リマシテ、日本全土ニ於ケル石炭埋藏量ノ十
倍ニ上ツテ居ルノデアリマス、此ノ一例ヲ
以テ致シマシテモ、我ガ國ヲ中核トスル日
滿支ヲ通ズル經濟力ノ基礎ガ、如何ニ强大
トナツタカト云フコトハ明瞭デアルト思フ
ノデアリマス、加フルニ佛印、「タイ」等、滿
洲及ビ支那以外ノ東亞諸國トノ貿易ハ著シ
ク增大シ、更ニ資源供給ノ源泉ヲ增强致シ
テ居ルノデアリマス
次ニ生產設備ニ付キマシテ考ヘマスルノニ、
事變發生以來今日マデノ間ニ、獨リ我ガ
國內ノミデナク、滿洲及ビ支那ニ於キマシ
テモ生產、運輸等ノ諸設備ハ著シク擴充セ
ラレテ居リマシテ、我ガ國內、滿洲、支那
ヲ通ジマシテ生產力增强ノ爲ニ投下シタ資
金ノ推定總額ハ、實ニ二百三十億圓ニ達シ
テ居ルノデアリマス、之ヲ事變前四箇年間
ノ推定投下額四十餘億圓ニ比較致シマスレ
バ、實ニ五倍ヲ超エテ居ルノデアリマス、
而モ右ノ擴充ハ、時局下最モ緊要トセラル
ル部門ノミニ對シテ重點的ニ行ハレテ居ル
モノデアリマシテ、實ニ最近ニ於ケル我ガ
國主要生產力ノ增强ハ、眞ニ見ルベキモノ
ガアルノデアリマス、戰爭ガ一國ノ經濟力
ヲ衰退セシメマスル有力ナル原因ハ、資源
或ハ生產設備ノ所在地ヲ敵ニ奪ハレ、或
敵ノ兵力ニ依リマシテ生產設備、輸送設備
等ヲ破壞セラルルノガ多クノ原因デアルノ
デアリマスガ、今次ノ事變ニ於キマシテハ、
我ガ國ハ御稜威ノ下、忠勇ナル皇軍將兵ノ
赫々タル武勳ニ依リマシテ、寸土ノ敵兵ニ
侵サレタルモノナク、一發ノ敵彈ノ生產設
備ヲ破壞シタルモノモナイノデアリマス、
盟邦滿洲國ニ於テモ亦同樣デアリマス、隨
テ我ガ國ノ經濟力ハ何等減耗ヲ來スコトガ
ナイノミナラズ、東亞諸國トノ提携ハ緊密
トナリマシテ、自主的國防經濟力ハ却テ右
申上ゲマシタ如ク、著シク增强セラレテ居
ルノデアリマス
次ニ財政經濟上必要ナル資金ハ、眞ノ國
民ノ蓄積ニ俟タナケレバナリマセヌ、事變
以來國民貯蓄ノ增加ハ、國民ノ時局認識ヲ
反映シマシテ、一方租稅ニ於テ多大ノ國民
負擔ノ增加ヲ見マシタニ拘ラズ、連年政府
ノ掲ゲマシタ貯蓄目標額ヲ優ニ突破致シテ
居ルノデアリマス、事變勃發以來本年九月
マデノ間ニ於ケル國民貯蓄推定總額ハ約四
百十億圓デアリマシテ、之ヲ事變ノ前四筒
年間ノ貯蓄總額八十餘億圓ニ比較致シマス
ルナラバ、是亦五倍ノ增加デアルノデアリマ
ス、國民貯蓄ノ旺盛ナル增加ニ眞ニ意ヲ强
ウスル次第デアリマス、其ノ結果事變勃發
以來今日マデニ發行セラレマシタ公債ハ其ノ
大部分、二百億圓ガ消化セラレテ居ルノデ
アリマス、又日滿支ヲ通ズル生產力擴充資
金約二百三十億圓モ、殆ド之ニ依ツテ賄ハ
レテ居ルノデアリマス
從前ノ世界ニ於ケル大規模ナ戰爭ノ實例
ニ徵シマスルニ、金利ハ反騰シ、爲替相場
モ動搖スルノガ常デアリマス、然ルニ事變
下我ガ國ニ於キマシテ、金利モ爲替相場モ、
政府ノ企圖致シマスル目標ニ全ク安定シテ
微動ダニモ致シテ居リマセヌコトハ、全ク
我ガ戰時財政經濟ノ大勢ガ順調ニ推移致シ
テ居ル結果ニ外ナラヌモノデアリマス拍
手)事變ノ當初以來、一部諸外國ハ我ガ國
民ノ精神力ト經濟力トヲ過小評價シテ、
我ガ國ガ幾許モナクシテ國力ヲ消耗シ盡ス
ベキコトヲ豫期シテ居リマシテ、種々ナル
經濟壓迫ノ手段ヲ加ヘテ居ルノデアリマス
ルガ、事實ハ全ク其ノ豫想ヲ裏切リマシテ、
如上ノ成果ヲ見マシタコトハ實ニ御同慶ノ
次第デアリマシテ、一億國民ノ國策協力ノ
結果ニ外ナラナイノデアリマス(拍手)
尙ホ事變ノ進展ニ伴ヒ、國民消費物資ノ
需給ガ漸次窮屈ニナリマシタコトハ事實デ
アリマス、是ハ軍需及ビ生產力擴充ニ要ス
ル物資ヲ充足致シマス爲ニ、國民消費物資
ニ要スル生產力ヲ、右ノ生產ニ轉換シタコ
トニ基因スルノデアリマシテ、戰時經濟ノ
運營上、定石通リノコトデアリマス、之ヲ
以テ直チニ我ガ國經濟力ノ消長ヲ云々スル
コトハ誤リデアリマス、而モ今日ノ我ガ國
ニ於ケル國民消費物資ノ需給狀況ハ、是亦
第一次歐洲戰爭等長期大規模ノ戰爭ニ於ケ
ル經驗ニ比較致シマスナラバ、未ダ尙ホ相
當多クノ餘裕ヲ存スルモノト申サネバナリ
マセヌ、併シナガラ英米等ガ過般我ガ國ニ
對シ資產凍結ノ擧ニ出タノデアリマスガ、
其ノ結果ハ殆ド經濟斷交ト異ナル所ナキ態
度ヲ採ルニ至リマシタ、遺憾ナガラ是等諸
國トノ經濟關係ノ未ダ相當密接デアリマシ
タ我國經濟ニ取リマシテ、重大ナル影響ヲ
及ボシマシタコトハ否ミ難イ所デアリマス、
今後ノ我ガ國ト致シマシテハ、速カニ東亞
諸國トノ共存關係ニ依ル自給經濟圈ヲ確立
シ、東亞ノ秩序ヲ紊サントスル如何ナル不
法ノ勢力ヲモ斷乎排擊シマスル爲メ、更之
强大ナル軍備ト、能ク此ノ軍備ヲ維持活用
シ得ル經濟力ヲ築キ上ゲネバナラナイノデ
アリマス(拍手)
而シテ此ノ目的タルヤ、官タルト民タル
トヲ問ハズ、眞ニ擧國一致、從前ニ幾層倍
スル努力ヲ以テスルニアラザレバ達成シ難
キ大業デアリマス、政府ハ今後一層國家總
力ノ最モ效率的ナル發揮ヲ期シマスル爲
ニ、經濟運營上ノ〓諸計畫ヲ愈〓適實且ツ精
確ナラシムルト共ニ、國民ノ經濟活動ニ對
スル眞ノ意味ノ統制力ヲ强化シ、眞ニ實效
ヲ擧ゲ得ベキ諸般ノ改革ト各種ノ施設トヲ
着々實行致ス所存デアリマス、又國民ハ深
ク時局ヲ認識シテ一層勤勞ニ勵ミ、生產能
率ヲ增進スルト共ニ、其ノ消費生活ハ銃後
ノ活動力ヲ維持增進スルニ足ル健康ノ保持
ト、學術技能ノ修得トニ必要ナル最小限度ヲ
以テ甘ンジ、由ツテ生ズル餘裕ハ物資モ資
金モ擧ゲテ之ヲ國防ノ强化ト、生產力擴充
ノ用ニ供セネバナラナイノデアリマス、政
府ニ於キマシテハ、常ニ銃後國民生活ノ安
定確保ニ留意シ、是ガ爲メ物價ノ安定ニ努
ムルト共ニ、生活必需物資ノ供給ニ付キマシ
テ、遺憾ナキヲ期スル心算デアリマス、尙
ホ政府ニ於キマシテハ、非常緊急ノ情勢ニ
對處スル爲メ、金融方策等ニ付キ着々其ノ準
備ヲ進メテ居リマス、國民ハ如何ナル事態
ニ遭遇スルモ、常ニ政府ノ施策ニ信賴シテ、
冷靜沈着ナル熊度ヲ以テ事ニ處セラレンコ
トヲ希望致シマス(拍手)
凡ソ戰時ニ於ケル國家各般ノ政策ハ、國
民精神ノ緊張ト國民士氣ノ昂揚トニ俟ツ
テ、初メテ十全ノ成果ヲ收メ得ルコトハ申
スマデモアリマセヌ、今ヤ我ガ國ハ興廢ノ
岐路ニアリマス、一タビ此ノ難關ヲ突破ス
ルニ於テハ、皇國ノ劃期的興隆ト東亞ノ安
定ハ期シテ待ツベキモノガアリマス(拍手)
國民ハ今コソ全力ヲ捧ゲテ祖國ノ要請ニ
應ヘネバナリマセヌ(拍手)私ハ一億國民悉
クガ、皇國ノ歷史ヲシテ一層光輝アラシメ
得ル感激ヲ以テ、凡ユル困難ヲ克服シ、興
亞聖業ノ達成ニ邁進セラレンコトヲ希望シ
テ已マナイモノデアリマス(拍手)
終リニ臨ミ、幾多尊キ護國ノ英靈ニ對シ
衷心敬弔ノ意ヲ表シマスルト共ニ、遠ク戰
線ニ奮戰セラルル皇軍陸海將兵ノ武運長久
ヲ祈念致スモノデアリマス、尙ホ政府提出
ノ豫算案ニ付キマシテハ、何卒速カニ協賛
ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=15
-
016・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ質疑ヲ許シマ
ス-小川〓太郞君
國務大臣ノ演說ニ對スル質疑
〔小川〓太郞君登壇〕〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=16
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017・小川郷太郎
○小川〓太郞君 私ハ政府ノ施政方針ノ演
說ニ對シマシテ若干質問ヲ試ミマシテ、國
民ノ知ラントスル所ヲ明確ニシ、國民ノ言
ハントスル所ヲ吐露シ得ル機會ヲ持チマシ
タコトヲ、私ノ光榮ト存ジマス
今日ノ我ガ日本ハ世界大動亂ノ眞只中ニ
アリマシテ、前古未曾有ノ重大時機ニ際會
シテ居リマス、敵性國家群ハ我ガ東亞ノ情
勢ノ大イニ變ジテ來タコトヲ認識セズ、我
ガ國ノ眞意ヲ曲解シテ、援蔣行爲ヲ續ケテ
居リマス、經濟的ニモ軍事的ニモ露骨ナル
對日包圍陣ヲ形成シテ、正ニ我ガ國ノ生存
ト權威ヲ脅威シツツアリマス、我等國民ハ
獨リ祖國ノ生存ト權威ヲ護ルノミナラズ、
進ンデ敵性國家ニ對シテ、東亞諸民族ノ獨
立ヲ擁護スル爲メ斷乎タル決意ヲ固メテ居
ルモノデアリマス(拍手)士氣ハ正ニ燃エ上ツ
テ居リマス、此ノ際大切ナル事ハ、政府ガ
國民ニ向ツテ時局ノ眞相ヲ大膽率直ニ明カニ
シ、國際情勢ノハツキリトシタ見透シト、之
ニ基ク勇斷ヲ下スコトデアリマス、又國策遂
行ノ方途ニ付キマシテ、從來ノ祕密主義ヲ
一擲シテ政府ノ本當ノ肚フ底ヲ國民ニ示シテ、
心カラノ渾然タル官民協力ノ實ヲ擧ゲルコ
トガ、目下ノ急務中ノ急務デアルト存ジマ
ス(拍手)由ラシムベシ知ラシムベカラズノ
態度ハ、斷ジテ執ルベキデアリマセヌ、知
ラシムベシ由ラシムベシデナケレバナリマ
セヌ、國民ノ盛リ上ル決死ノ意氣ト〓トニ
依ツテノミ、此ノ時艱ヲ突破スルコトガ出
來ルノデアリマシテ、我等モ亦此ノ戰時議
會ノ機能ヲ發揮致シマシテ、此ノ議會ヲ通
ジテ政府ト協力シテ、國民總力ノ集中昂揚ヲ
圖ラウトスル者デゴザイマス(拍手)此ノ意
味ニ於キマシテ少シク質問ヲ致シタイト存
ジマス
先ヅ第一ニ外交ニ關シテ御伺ヒ致シマス
ガ、今日國民ノ總テガ知ラントスルコトハ
對米交涉デアリマス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=17
-
018・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=18
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019・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 惟フニ支那事變ノ完
遂ト東亞共榮圈ノ確立ハ··
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=19
-
020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=20
-
021・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 我ガ國不動ノ國策デ
アリマス、此ノ國策ノ遂行ヲ阻止スルモノ
ガアレバ、敢然トシテ之ヲ排セナケレバナ
リマセヌ、其ノ阻止スル國ニ對シ、平和的
ニ外交交涉ヲナシテ局面打開ヲ圖ルハ、當
然ナスベキ道行デアリマス、併シ其ノ外交
交涉ニ於キマシテハ、帝國ノ生存ト權威ト
ヲ擁護スル爲メ守ラナケレバナラヌ限界ガ
アルコトヲ知ラナケレバナリマセヌ、其ノ
限界ヲ越ユルコトハ許サルベキデアリマセ
ヌ
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=22
-
023・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 只今首相、外相ノ演
說ヲ承リマシタ所ガ、政府ハ此ノ限界ヲ示
サレタヤウデアリマス、卽チ
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=23
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024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=24
-
025・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 第一ハ、第三國ガ帝
國ノ企圖スル支那專變ノ完遂ヲ妨害セザルコ
ト、第二ハ帝國ヲ圍繞スル諸國家ガ帝國ニ對ス
ル直接軍事的脅威ヲ行ハザルコトハ勿論、
經濟封鎖ノ如キ敵性行爲ヲ解除シ、經濟的
正常關係ヲ恢復スルコト、第三ハ、歐洲戰ガ
擴大シテ禍亂ノ東亞ニ波及スルコトヲ極力
防止スルコト、以上三項ニ亙ツテ外交交涉
ヲセラレテ居ルト云フコトデアリマスカラ、
日米交涉モ此ノ方針ニ出デラレテ居ルコトハ
申スマデモナイコトデアリマス、外相ハ更
ニ米國ガ東亞ニ於ケル我ガ國ノ地位ヲ了
解シ、東亞ニ於ケル事態ニ付キ現實ニ卽ス
ル考慮ヲ加フルニ於テハ、本件交涉ノ妥結
モ決シテ不可能デナイト述ベラレマシタ、
鍵ハ米國ニ握ラレテ居リマス、責ハ米國ニ
アリマス、首相、外相ノ演說ハ相當思ヒ切
ツタ言明デアリマス、併シヲガラ尙ホ抽象
的タルヲ免レマセヌ、是程思ヒ切ツテ言ハ
レルナラバ、私共ハ、政府ハ尙ホ進ンデ具
體的說明ヲ加ヘラレンコトヲ望マザルヲ得
ナイノデアリマス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願セマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=26
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027・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 若シ今日ハ野村、來
栖兩大使ガ交渉中デアルトノ故ヲ以テ、只
今ノ演說以上ニ說明シ得ナイト言ハレルナ
ラバ、此ノ臨時議會中ニ於テ、日米交涉ノ進
ミ方ノ程度ニ依リマシテ、適當ノ時機ニ於
テ議會ニ報〓アランコトヲ望ムノデアリマ
ス(拍手)
日米交涉ガ妥結點ニ達スルカ否カハ、外
務大臣モ言ハレマシタ通リニ、何レニ致シ
マシテモ遠カラザル間ニ決スルコトト信ジ
やく、其處ニ我ガ國ノ異常ナル決意ト準備
ヲ要スルノデアリマス、總理大臣ハ、政府
ハ前途ニ橫タハル凡ユル障碍ヲ豫見シテ、
之ニ對スル萬般ノ準備ヲ整ヘ、斷乎トシテ
帝國旣定ノ國策ヲ遂行スルニ萬遺憾ナキヲ
期シ、仍テ以テ帝國ノ存立ヲ全ウセントス
ル固キ決意ヲ有シテ居ルト述ベラレマシ
ク、政府ニ固キ決意ノアルコトヲ聽クコト
ハ、私共ノ意ヲ强ウスル所デアリマス、ソ
コデ私共ノ考ヘナケレバナラヌコトハ、國
內體制ノ問題トナルノデアリマス、國內體
制トハ國防國家體制ヲ整フベク、或ハ戰時
體制ヲ整フベキデアリマス、私ハ決戰體制
ニ移行スベキモノデアルト言ヒタイノデア
リマス(拍手)ソレニハ必勝ノ信念ノ下ニ國
民總出陣ノ決死的覺悟ヲ以テ、前線ト銃後
トヲ問ハズ、國民ガ心ヲ一ニシテ此ノ難局
突破ノ爲メ精根ヲ盡シテ戰セ拔クコトヲ要
スルノデアリマス(拍手)戰ヒハ行動デアリ
實踐デアリマス、客觀的情勢ノ刻々ノ變化
推移ニ卽應致シマシテ、國民ノ總力ヲ最高
度ニ發揮シテ、如何ナル困難モ必ズ之ヲ乘切
ラナケレバナリマセヌ、世界無二ノ國體ノ
下、永キ歷史ト傳統ニ培ハレタル國民ノ盡
忠報國ノ精神ト意氣ハ鐵石ノ如ク堅ク、平
時ニ於テハ想像セラレナイ偉大ナル力ガ發
揮セラレルコトヲ確信致シマス(拍手)政府
ノ壯ガシツカリト決スレバ國民ハ必ズ蹤イ
テ行キマス、唯此ノ際政府ノ施策ガ決戰體
制ノ確立ニ集中シ、之ニ總テ戰時卽應ノ强
力ナ性格ヲ持タサナケレバナリマセヌ、決
戰體制ノ確立ト申シマシテモ、官民ノ體制
ニ歸着シマスガ、ソレニハ先ヅ財政、經濟
體制ヲ中心トシテ考ヘナケレバナリマセ
又、私ハ此ノ問題ニ付キマシテ、私共ノ意
見ヲ述ベテ政府ノ意向ヲ質シタイト存ジマ
ス
先ヅ財政ノ決戰體制トシテハ、私ハ戰費
支辨第一主義ヲ主張致シタイト存ジマス、
戰爭ニハ必ズ勝タネバナリマセヌ、戰爭ニ
要スル金ハ如何ニ巨額ニ上リマシテモ之ヲ
支辨スベキモノデアリマス、其ノ他ノ
經費ハ第二義的ニ考ヘテモ宜シイ、之ヲ
戰費支辨第一主義ト言フノデアリマス)
而シテ巨額ノ金ノ調達ハ主トシテ公債
ト租稅ニ依ル外アリマセヌ、現ニ今議會
ニ提出サレマシタ追加豫算ニ依リマシ
テ、本年度ノ公債發行高ハ更ニ三十五億圓
ヲ加フルコトニナリマシタ、昭和十六
年度ヲ通ジテ、一箇年ノ公債發行豫定額ハ
實ニ百十億圓ニ達スル次第デアリマス、公
債發行ガ日銀引受制ニ依ル限リ、撒布シタ
ル資金ヲ上手ニ囘收シナケレバ通貨膨脹ヲ
馴致シ、惡性「インフレ」ヲ惹起スル危險ガ
アリマス、隨テ國民貯蓄計畫百三十五億圓
ヲ改メル必要ガアルト思フノデアリマス、
政府ハソコニ十分ノ用意ガアルコトト信ジ
マス、惡性「インフレーション」發生ノ危險ガ
加重セラルルナラバ、政府ハ是ガ阻止ノ爲
ニ貯蓄以外ニ種々ノ方策ヲ講ズベキデアリ
マスガ、增稅モ其ノ一手段ニ相違アリマセ
ス、本議會ニハ增稅案ガ提出セラレテ居リマ
ス、ソレハ浮動購買力ヲ吸收スルト云フ趣
旨ニ出デテ、居ルト聞キマスガ、畢竟此ノ趣
旨ニ外ナラナイノデアリマス、惟フニ今後
戰費支辨ガ增加スルニ連レマシテ、公債ガ
激增シテ、公債偏重ノ傾向ヲ甚ダシカラシ
ムルコトトナルデアラウト存ジマス、決戰
體制ノ下ニ於ケル强靱ナ財政制度ヲ確立ス
ル爲ニハ、國費支辨ノ主ナ財源デアル所ノ
租稅ト公債トノ間ノ釣合ヲ合理的ニシ、公
債バカリニ偏ラナイデ、租稅ヲ以テ增徵ス
ルコトガ必要ト存ジマス、ソレニハ決戰體
制トシテノ租稅體系ヲ考ヘル必要ガアリマ
ス、平時租稅體系ハ負擔均衡ノ理論ヲ基調
トシテ築キ上ゲラルベキデアリマスガ、戰
時體制トシテノ租稅體系ハ必ズシモ之ニ拘
泥スベキデ〓ナリマセヌ、戰時ニ於テハ國
民ガ普遍的ニ租稅ヲ負擔スベキコトニ重點
ヲ置キマシテ、個人ノ負擔ハ輕クテモ、集
積シテ巨額ナ稅額ヲ來スヤウナ組稅ヲ選ビ
マシテ、知ラズ識ラズノ間ニ擔稅シ、其ノ
擔稅ノ過重ヲ痛感セナイヤウナ方途ヲ講ズ
ベキデアルト存ジマス、更ニ又購買力ノ吸
=間接稅ノ增徵
收ノ爲ノ租稅トシマシテハ、
ノ外、流通稅體系別ヲ立テマシテ、就中賣
上稅ノ新設ノ如キヲ考ヘナケレバナラヌト
存ジマス、直接稅ニ於キマシテモ、國民ニ
普遍的ニ課稅スルコトヲ忘レテハナリマセ
又、加之租稅制度ハ戰時ニ必要ナル增產ヲ
妨ゲナイ所ノ用意ガ必要ト存ジマス、斯ク
考ヘ來レバ、直接稅ニ偏傾シテ居ル我ガ國
ノ稅制ハ、戰時體制ニ建直サレル必要ガア
ルト言ハネバナリマセヌ(拍手)政府ノ所見
如何
次ニ經濟ノ決戰體制トシマシテハ、私共ハ
增產第一主義ヲ主張シタイノデアリマス、
旣ニ今日ニ於キマシテハ生產擴充計畫ガ存
スルニ拘ラズ、減產ヲ招イダリ、若シクハ
生產擴充計畫通リニ增產出來ナイ現狀ニ
アルノデアリマス、國ノ興亡ヲ賭シテ戰
ハントシテ、飽クマデ必勝ヲ期スル爲ニ、戰
爭ニ要スル物資、卽チ軍需品、生產力擴
充資材、食糧品等ハ多々益〓增產シナケ
レバナラヌコトハ當然デアリマス(拍手)
ソレニハ何ヨリモ重點主義ニ依リマシテ、
軍需品竝ニ生產資材、又ハ國民生活保持ノ
爲メノ食糧ニ付キマシテ、增產計畫ヲ確立
スベキデアリマス、之ヲ實行スルニ當リマ
シテハ、高能率ノ企業ニ原材料、勞力、資
金ヲ重點的ニ配給シ、以テ最大效率ヲ發
揮セシムルコトガ必要デアリマス、又遊休
未動資產ノ活用、旣存設備ノ徵用又ハ買上
ゲ、進ンデハ新規設備ヲ建設シ、民間企業
ヲシテ經營セシムル方法ヲモ考ヘテ行カナ
ケレバナリマセヌ、又技術ヲ公開シテ設
備ノ最效率發揮ニ資スルコトモ必要デアリ
マー、隨テ發明ノ奬勵トカ、經營竝ニ技術
ノ合理化トカ、總テノ企業目的ヲ戰時生產
ノ增强ニ集約シテ、之ニ向ツテ官民一致ノ
努力ヲ傾倒スベキモノト思ヒマス(拍手)政
府ノ所見如何
國民生活確保上缺クコトノ出來ヌ食糧增
產第一主義ニ付キマシテハ、更ニ一言ヲ加
ヘル必要ガアリマス、食糧ト言ヘバ米ヲ考
ヘルノデアリマスガ、米ノ增產ノ必要ハ論
ズルマデモアリマセヌ、兎角政府ノ施策ハ
米作偏重ニ陷ル傾キガアリマス、米作以外
ニ增產ノ餘力ガ多イ食糧竝ニ飼料作物ニ留
意シ、水產、畜產ノ增產ヲ考へ、度義ノ食
糧增產計畫ヲ樹立シテ、食糧確保ニ遺憾ナ
キヲ期スル必要ガアルト存ジマス(拍手)又
食糧品生產ノ高度化ヲ圖ル爲ニ、農業團體
ヲ綜合シテ、團體ノ指導統制力ヲ强化シ、
責任ヲ以テ農業生產ヲ行フ體制ヲ確立スル
コトガ必要デアリマス、更ニ國民資質ノ增
强、體位向上ノ爲メ、合理的ナ國民榮養ヲ
普及シ、一面消費規正ニモ留意ヲ拂フトカ、
食糧確保ニ對シテ絕對ニ措置ヲ誤ツテハナ
ラヌノデアリマス
次ニ私ハ此ノ增產第一主義ヲ實行スル爲
ニ、他ノ諸經濟政策ヲ之ニ調和セシメネバ
ナラヌト云フコトヲ痛論シタイト思フノデ
アリマス、先ヅ第一ハ增產第一主義ニ對シ
テ、資金政策ヲ調和セシムルコトデアリマ
ス、今日增產ヲ〓碍シテ居リマス大キナ事
情ハ第一ニ資金難デアリマス、國家ハ其ノ
財政信用ノ機能ヲ大イニ能動化シテ、緊急
生產事業ニ對シテハ積極的ニ投資、信用供
與、補償制度ノ活用ヲ圖ルコトヲ期セナケ
レバナリマセヌ、其ノ二ハ勞務政策ヲ增產
第一主義ニ調和セシムルコトデアリマス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=27
-
028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=28
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029・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 今日增產ヲ阻碍シテ
居ル大キナ原因ノ一ツハ、勞力ノ不足ト其
ノ能率ノ著シイ低下デアリマス、ソレニ對
處スルニハ勞務動員配置ヲ一層圓滑適正ナ
ラシメ、凡ユル困難ヲ克服シテ增產達成ニ
邁進セシムベキデアリマス、此ノ際特ニ强
調シタイノハ、國民皆勞ノ精神ヲ國民ニ滲
透セシメ、國民總出陣ノ强靱ナ體制ヲ整ヘ
マシテ、國民ハ進ンデ勞務ノ十分ナ供出ヲ
ナスベキデアリマス、勞務者ニ於テハ時局
擔當ノ重大ナル責務ヲ自覺シ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=29
-
030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=30
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031・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 時ニハ勞務時間ノ制
限ヲ延長スルトカ···
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=32
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033・小川郷太郎
○小川郷太郞君(續) 勞務者福利施設ノ不
備ヲ忍ブトカ、大イニ產業報國ノ精神ヲ發
揚スベキデアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=33
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034・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=34
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035・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 要スルニ厚生政策、
勞務社會政策ヲ增產第一主義ニ調和セシメ
ネバナラヌト存ジマス(拍手)
其ノ三ハ、海陸運輸政策ヲ增產第一主義
ニ調和セシメルコトデアリマス、交通運輸
ハ戰爭經濟ノ神經トモ言フベキモノデアリ
マシテ··
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=35
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036・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=36
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037・小川郷太郎
○小川郷太郞君(續) 今日增產阻碍ノ一大
原因トシテ、海陸運輸力ノ不足ヲ擧ゲルコ
トガ出來マス、若シ是ガ爲ニ資材運搬ニ事
ヲ缺イデ生產ニ障碍ヲ生ジマシタナラバ、
折角第一ノ矢ヲ放ツテモ、第二ノ矢ヲ放ツ
コトガ出來ナイ結果ヲ來スノデアリマシテ、
再生產ノ上ニ於テ、原材料資材ノ補給ヲ困
難ナラシメル結果トナリマス、殊ニ決戰體
制下ニ於キマシテ、海運ノ確保ハ極メテ緊
急デアリマシテ、政府ハ特ニ之ニ對シテ深
甚ナル留意ヲ爲スベキデアリマス、交通計
畫ノ確立竝ニ實施コソ、戰時生產增强ヲ可
能ナラシムル大ナル條件デアリマス
其ノ四ハ、物價政策ヲ增產第一主義ニ調
和セシメルコトデアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=37
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038・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=38
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039・小川郷太郎
○小川郷太郞君(續) 低物價政策ヲ堅持ハ
固ヨリ必要デアリマスガ、決戰體制下ニ於キ
マシテハ、低物價政策ニ依ツテ增產第一主
義ヲ犧牲トシテハナリマセヌ、最近英米其
ノ他ノ資產凍結令ガ出マシテ以後、殊ニ原
材料資材ノ我ガ國ヘノ輸入ハ杜絕シタノデ
アリマス、隨テ原材料資材等ハ、國內生產
ノ自給、又ハ滿支ノ供給ニ俟タネバナラヌ
コトニナリマシタ、鑛物資源ニ例ヲ求メマ
シテモ、貧鑛ノ處理利用ヲ行ハナケレバナ
リマセヌノデ、〓シテ生產費ノ增嵩ヲ來シ
テ居ルコトハ周知ノ事實デアリマス、リ〓
デ生產費ガ從來ニ比シテ高クナツタダケハ
之ヲ見テヤラナケレバナリマセヌ、物價政
策ハ、此ノ環境ノ大變轉ヨリ再出發セネバ
ナラヌト信ズルノデアリマス(拍手)畢竟增
產第一主義ヲ行フベキ物品ニ付キマシテハ、
適正價格ヲ認メネバナラヌコトニナリマス、
從來低物價ト言フノモ、適正價格ヲ意味ス
ル場合ガ多ク、九·一八停止價格ニ釘付ケル
ト云フ考ヘ方ハ訂正サレテ居ルノデアリマ
ス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=39
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040・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=40
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041・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 原價計算主義ニ依ル
適正價格ガ、九·一八停止價格ニ漸次代ツタ
コトニ依リテモ證明ガ出來ルノデアリマス、
適正價格ガ低物價タルヲ失ハズトスレバ、
增產ヲ絕對ニ必要トスル物資ニ付テハ、其
ノ變化シタル生產費ニ適正利潤ヲ加ヘタ程
度ニ價格ヲ公定スルコトヲ認メナケレバナ
リマセヌ(拍手)併シ之ニ依ツテ原材料資材
ノ物價惡循環的騰貴ヲ來シテハナリマセヌ、
之ヲ避クルコトハ絕對ニ必要デアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=41
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042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=42
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043・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 物價政策ノ要諦ハソ
コニ存シテ居ルト信ジマス、之ヲ要スルニ
決戰體制ニ於キマシテハ增產本位ノ物價
政策ヲ樹立スベキモノデアルト考フルノデ
アリマス(拍手)私ハ資金、勞務、運輸、物
價ノ諸政策ガ增產第一主義ニ調和セネバナ
ラヌコトヲ强調シタノデアリマスガ、其ノ
調和ヲシ得ナイ場合ガナイトモ限リマセヌ、
ソレハ異ツタ省ガ各〓政策ヲソレ〓〓立テ
テ實行ニ當ツテ居ルカラデアリマス、斯ク
ノ如キ場合ニ於テハ、總理大臣ハ斷ノ一字
ヲ以テ此ノ調和ヲ圖ルベキデアルト存ズル
ノデアリマス(拍手)首相ノ所見如何
以上ハ增產第一主義ニ付テ述ベタノデア
リマスガ、增產第一主義ト、配給機構ノ調
整ノ問題ニ論及セネバナリマセヌ、假令增
產ヲ圖リ得タト致シマシテモ、若シ配給機
構ガ整備セラレズ、配給ノ圓滑適正ヲ期ス
ルコトガ出來ナクテ偏在スルコトニナリマ
スレバ、增產ナキニ等シイ結果トナルノデ
アリマス(拍手)此ノ際配給機構ヲ合理化
シ、府縣「ブロック」ノ如キモノハ之ヲ再檢
討シ、配給不統一ヲ體系付ケ、適正公平ニ
配給ガ出來ルヤウニシナケレバナラヌト存
ジマス(拍手)今日ノ食糧品其ノ他物資ノ配
給混亂ハ、全ク政府ノ施設宜シキヲ得ザル
結果デアリマシテ、配給機構ノ改革ト言ヒ
ナガラ、配給業務ニ慣レタ者ヲ失業セシメ
テ、之ヲ全ク經驗技能ナキ者ニ委ネテ
〔発言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=43
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044・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=44
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045・小川郷太郎
○小川〓太郞君(續) 家庭勞力ノ濫費、末
端配給ノ混亂ニ依ル生活不安ヲ惹起シテ居
ル現狀ハ速カニ改善シナケレバナラヌト存
ズルノデアリマス(拍手)
之ヲ要スルニ、決戰體制下ノ財政經濟政
策ハ、戰費支辨第一主義デアリ、增產第一
主義デアリマシテ、之ヲ根幹トシテ、現行
計書經濟、給制經濟ヲ新タナル觀點ヨリ再
檢討シテ、而モ現實ト遊離セズ、確乎不動
ノ國策タル高度國防國家建設ヘノ基本方面
ニ沿ヒツツ、迅速果敢、强力ニ施策ヲ具體
化スベク實踐本位ニ再出發シナケレバナリ
マセヌ(拍手)其ノ間從來往々見マシタヤウ
ナ理念トカ、「イデオロギー」トカノ爭ヒハ
斷然之ヲ止メネバナリマセヌ(拍手)締制ノ
爲ノ綺制ニ陷ルコトナク、總テ其ノ運營ハ能
率主義ニ依ツテ行フベキモノデアリマス(拍
手)事態ハ緊迫シ、現實ハ極メテ嚴酷ナル
モノガアリマス、之ヲ追越スノハ事極メ
テ敏速ニ、而モ實行ガ一切ヲ決定スルノデ
アリマス、經濟新體制ノ速カナル具現ニ依
ツテ、統制會ヲ中心トシテ官僚統制ヲ成ベ
ク委讓シテ產業陣ノ創意努力ヲ動呂活用
シ、生產增强ニ貢獻セル經營者、技術者、
勞務者ニハ報奬ノ途ヲ開キ、以テ運用ノ全
キヲ期サナケレバナリマセヌ(拍手)併シナ
ガラ根本ハ政府ノ指導力强化如何ニ依リマ
ス、ソレニハ官界新體制ノ速カナル實現ガ
必須ノ條件デアルト考ヘマス(拍手)旣ニ官
界新體制ニ付キマシテハ議論ハ盡キテ居ル
ト思ヒマス(拍手)今日ニ於ケル弊害ノ根因
ノ多クガ、舊能依然タル官界ニ胚胎シテ居ル
コトハ天下萬人ノ認メル所デアリマス(拍
手)東條內閣ノ使命ノ一ツモ是ニアルト言
ヒ得ラレマス(拍手)決戰體制ヲ樹ツルニ當
リマシテハ、官ノ事務ハ統一セラレテ摩擦ナ
ク能率ヲ上ゲルモノタルコトガ必要デアリ
やく、ソレガ爲ニハ總理大臣ノ權限ヲ强化
スル必要モアルト存ジマス、中央地方ノ行
政機構ノ改革モ必要デアルト存ジマス、殊
ニ內外地ノ行政一元化ハ最モ必要ト存ズル
ノデアリマス(拍手)食糧品增產第一主義ヲ
行フニ當リマシテモ、內外地別々ニ米穀管
理ヲナスニ於キマシテハ、其ノ目的ヲ達ス
ルコトガ困難デアルト存ズルノデアリマス
(拍手)行政機構ノ大改革ガ一時能率ヲ下ゲ
ルト云フ理由ニ依ツテ、若シ之ヲ行ハナイ
ト云フコトデアルナラバ、其ノ機構ヲ現在
ノ儘ト致シマシテモ、「セクショナリズム」
ノ打破ハ斷乎トシテ行ハナケレバナリマセ
ヌ(拍手)然ラザレバ官界ノ能率ヲ上ゲルコ
トハ出來マセヌ、若シ夫レ官吏制度ニ至リ
マシテハ吏道ノ刷新、官吏責任制度、監
察制度ノ制定、同一職務ニ永ク置イテ進級
スル制度ヲ確立スル等ノ必要ガアリマスガ、
官吏ノ頻繁ナル異動ヲ防止シ、又統制事務
ノ如キ統制會又ハ產業團體ニ委讓シテ、大
イニ能率ヲ上ゲルコトニ建直サナケレバナ
ラヌト存ジマス(拍手)戰時內閣ニ於キマシ
テハ、先ヅ挺身、是ガ改革ヲ具現スベキデ
アリマス、政治力ハ斷ジテ机上ノ革新デナ
ク其ノ實踐ニ依ツテノミ確認セラレルノ
デアリマス、百ノ「ペーパー·プラン」ヨリ
モ一ノ實行デアリマス(拍手)此ノ際政府ガ
時局突破ノ爲メ、强力ナル政治力ヲ發揮セ
ラレルゴトヲ、國民トシテ大イニ期待スル
次第デアリマス(拍手)私ハ戰時體制、否寧
ロ決戰體制ノ確立ノ必要ヲ强調致シマシテ、
意見ヲ附シテ政府ノ所見ヲ問ハントスル者
デアリマス、關係閣僚ノ率直ナル答辯ヲ求
メル次第デアリマス(拍手)
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=45
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046・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=46
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047・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今ノ小卅君ノ
御質問ニ對シマシテ御答ヘヲ致シマス、非
常ノ時局ニ對處致シマス政府ノ根本方針
ニ付キマシテハ、先程私竝ニ外務大臣、大
藏大臣ノ申述ベマシタ所ニ依ツテ十分御了
解ヲ願ヒ得ダコトト存ジマス(拍手)小川君
ノ各般ニ亙リマス詳細ナル御意見ヲ承リマ
シテ、其ノ大體ニ付キマシテハ時局認識ヲ
同ジウシ、對策亦略〓揆ヲ等シクシテ居ルモ
ノト承知致シマシテ、大イニ意ヲ强ウスル
所デアリマス(拍手)
祕密主義ヲ排シ、國民ノ理解ヲ求メ、ソ
コニ擧國一致ノ實ヲ求メテ行ケト云フ御趣
旨ニ付キマシテハ政府モ御同感デアリマ
ス(拍手)今囘政府ガ此ノ臨時議會ノ召集ヲ
奏請致シマシタノモ、一ニ其ノ本旨ニ出テ
居ルノデアリマス(拍手)但シ軍事、外交上
ノ施策ニ支障ナキ限リニ於キマシテ、十分
國民ノ理解ヲ求メテ行キタイト思フノデア
リマス(拍手)
決戰體制ヲ高調セラレル御意見ヲ承リマ
シタガ、其ノ御趣旨ニ付キマシテハ政府モ
了得致シテ居リマス、夙ニ政府ハ高度國防
國家ノ建設ヲ目標トシ、着々其ノ實行ヲ致
シテ居リ、今後ニ於テモ其ノ完成ヲ期シテ
行キタイト思フノデアリマス
財政、經濟體制ニ付キマシテ、結論トサ
レテ軍費第一主義竝ニ戰爭ノ遂行ニ必要ナ
物資ノ增產第一主義ヲ執レト云フ御話ガア
リマシタガ、政府モ最モ必要ナルコトト存
ジテ居リマス、又政府ハ從來トモ此ノ方針
デ參ツテ來タノデアリマスガ、今後時局ノ
進展ニ伴ヒ、益〓此ノ趣旨ヲ强化シテ、其ノ
要請ニ應ヘテ行キタイト存ジテ居リマス(拍
手)
次ニ行政事務ノ整理、或ハ官吏ノ心構ヘ
ニ付キマシテ御話ガアリマシタガ、政府ニ
於キマシテモ、行政ノ整理或ハ其ノ運用ト
云フ點ニ付キマシテハ、現下ノ時局ニ鑑ミ
マシテ、改善ヲ要スル幾多ノ點ノアルコト
ヲ承知致シテ居リマス、更ニ政府ハ徒ラニ
理想ニ趨ラズ、苟クモ舊套ニ囚ハレズ、時
局ノ要求ニ適應致シマス有效適切ナル改善
ヲ着々實現シテ行キタイト存ズル次第デア
リマス(拍手)而モ其ノ實現ハ、私屢〓申上ゲ
テ居リマス如ク、百ノ議論ヨリモ一ノ實行
ニ如カズト云フ精神ニ基イテ行キタイト思
ヒマス(拍手)時局愈、重大ニナルニ伴ヒマ
シテ、官吏ノ地位ハ愈、重大化シテ參リマ
シタ、官吏ノ士氣昂揚ノ必要デアリマスコ
トハ、今日ヨリ大ナルハナイト思ヒマス
(拍手)又其ノ執務ニ當リマシテハ、能率增
進ヲ圖ル必要ノ急務ナルコトハ洵ニ御質問
ノ通リデアリマス、苟クモ官吏ノ獨善、各官
廳ノ割據主義ト云フガ如キハ、斷ジテ許サ
レザル所デアリマス(拍手)政府ハ從來動モ
スレバ陷リ易キ此ノ弊風ヲ一掃シ、最大ノ
能率ヲ發揮スルヤウ努力シテ參リタイト思
ヒマス(拍手)殊ニ行政各部ノ割據ノ弊ニ付
キマシテハ、從來私モ痛感致シテ居ルノデ
アリマス、是ガ矯正ハ、行政各部統一ノ地
位ニ在リマス不肖總理大臣ノ責任ニ於キマ
シテ私ガ之ニ當ル覺悟デアリマス(拍手)其
ノ根本ハ官吏ノ心構ヘニアリ、總テノ官吏
ガ親切ノ心ヲ以テ事ニ當リ、先ヅ國民ヲ信
賴スルコトニ依ツテ、國民ノ信賴ヲ博シテ
參リタイト思ヒマス(拍手)私ハ此ノ心構ヘ
ヲ以テ率先事ニ當リ、又官吏ヲ指導シテ行
キタイト考ヘテ居ル次第デアリマス(拍手)
〔國務大臣東〓茂德君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=47
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048・東郷茂徳
○國務大臣(東郷茂德君) 只今ノ御質問中
外交ニ關スル點ニ付テ簡單ニ御答へ致シ
マス、帝國ノ不動ノ國策遂行ニ付キ障碍ヲ
與ヘルモノガアルナラバ之ヲ排除シ、又帝
國ノ權威ト生存ニ付キ之ヲ擁護スル爲ニ帝
國ノ襟度ニモ自ラ限度ガアルト云フコトニ
付キマシテハ、私ガ前申上ゲタ所ト全然一
致スル譯デアリマシテ、此ノ點ニ付テハ私
トシマシテ洵ニ本懷ニ存ジマス(拍手)唯其
ノ交涉ノ具體的內容ニ付テ、此ノ議會中報
告スルヤウニト云フ御註文ニ付キマシテ
ハ、先程申上ゲマシタ通リ交涉中ニ屬シマ
スル故ニ、詳細具體的ニ申上ゲル自由ヲ有
シナイ次第デアリマス、併シ成ベク速カナ
ル機會ニ於テ御報告申上ゲテ御諒解ヲ得タ
イト云フコトハ私ノ念トスル所デアリマス、
隨ヒマシテ機會ガ許ス速カナル時ニ於テ、
詳細御報〓ヲ致スト云フコトニ御承知ヲ願
ヒタイ譯デアリマス(拍手)
〔國務大臣賀屋興宜君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=48
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049・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今ノ御質問ノ
中、財政金融ニ關シマスルコトニ付キマシテ
御答辯申上ゲマス、國費ニ付キマシテハ軍
事費第一主義、洵ニ御說ノ通リデアリマス、
尙ホ之ニ關聯シマシテハ軍需品ノ生產、增
產國民生活必需品、就中食糧其ノ他ノ增
產等ニ付キマシテハ、最モ優先ヲシテ國費
ヲ配分スルト云フコトニ致シ、各省ノ豫算
分捕主義、便乘主義ナドハ斷乎トシテ排擊
シテ參ル積リデゴザイマス
戰時ニ於ケル厖大ナル歲出ノ財源ト致シ
マシテ、獨リ公債ノミニ依ラズ、成ベク租稅
ニ依ルベシト云フ御說デアリマス、是ハ各交
戰國等ノ實例ヲ見マシテモ、只今我ガ國ノ財
源タル公債ト租稅ノ比率ハ、租稅ニ於テ特ニ
多イトハ申サレナイ事態ニアルノデアリマ
シテ、御說ノ如ク增稅ノ必要ガ感ゼラレルノ
デアリマス、今期議會ニモ一部ノ提案ガ致シ
テアリマスルガ、次ノ通常議會ニ於キマシテ
ハ更ニ直接稅ヲ中心トスル增稅案ヲ提出致
シタイ考ヘデ居ルノデアリマス、尙ホ租稅ノ
體系ニ付キマシテ所謂負擔ノ衡平、均衡ト云
フコトニ囚ハルルコトナク、寧ロ此ノ際ハ直
接稅ニ偏倚セズ、間接稅ニ重キヲ置クベシ
ト云フ御說デアリマス、負擔ノ均衡ト云フコ
トハ-國民ガ國家ニ貢獻シ、國家ニ犠牲
ヲ拂ヒマスルニ付キマシテ、或ル一部ノ階級、
或ハ一部ノ人々ガ他ヨリ多ク負擔スルコト
ヲ好マナイト云フ意味ノ負擔均衡論ハ、時
局下ニ於テ是ハ一擲スベキモノデアラウト
思ヒマス、隨ヒマシテ、成ベク此ノ際國民
全般ガ國費ヲ負擔擔ル、戰費ヲ負擔スルト
云フ御考ヘニハ洵ニ贊成デアリマス、唯注
意致スベキハ、餘リニ負擔ガ偏重致シマス
ルト、銃後ノ國民ニ於テ其ノ生活ヲ脅威セ
ラレ、銃後ニ於ケル活動力ヲモ阻碍セラル
ルヤウナ負擔ノ偏重ハ之ヲ避クベキコトト
考ヘマスルノデ、負擔ノ適正ト云フコトニ
付キマシテハ依然留意致シテ參リタイト
考ヘテ居ル次第デアリマス
流通稅ヲ創設スルコトニ付キマシテノ御
意見デアリマスガ、之ニ付キマシテハ流
通稅ノ性質ト致シマシテ、各取引ノ階段每
ニ課稅ヲセラレマスル等ノコトカラ致シマ
シテ、或ハ物價政策、或ハ負擔力ニ關スル
問題其ノ他ニ付キマシテ、未ダ考究ヲ要ス
ル點ガ相當ニアリマスルノデ、是ハ今後ノ
〓究ニ讓リタイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス
尙ホ增產第一主義ニ付キマシテ、特ニ資
金方面ノ御說ガアリマシタガ、我國ノ金融
ハ一ニ戰時ニ於ケル戰費、國費ノ需要ヲ充
タシ、生產擴充ノ使命ヲ達成スルコトガ金
融ノ目的デアリマス、其ノ故ニ事變以來各
種ノ法令或ハ金融當事者ノ自發的組織ニ依
リマシテ、其ノ使命ヲ達成スベク色々ノ工
夫ガ行ハレテ居ルノデアリマスガ、更ニ計
畫統制ヲ完全ニ致シマシテ、生產擴充、增
產ノ爲ニ資金ノ供給ヲ遺憾ナカラシムル爲
ノ考案ヲ致ス所存デ居ルノデゴザイマス、
簡單デアリマスガ大要右御答辯申上ゲマス
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=49
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050・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 只今ノ御質問中、
産業經濟ニ關スル部分ニ付キマシテ御答ヘ
ヲ致シマス、戰時經濟遂行ノ爲ニ必要物資
ヲ增產スル增產第一ト云フ御趣旨ニ付キマ
シテハ、全然同感デアリマス、此ノ故ニコ
ソ戰時經濟運用ノ基本方策トシテ、低物價
政策ガ堅持サレテ參ツタモノト考ヘテ居リ
やく、若シ一タビ國民ガ物價ノ安定感ヲ失
ヒ、物價勝貴ノ惡循環ヲ生ジマシタナラバ
戰時ニ必要ナ軍需物資、又銃後國民生活確
保ノ爲ニ必要ナ生活必需品ノ生產ト云フコ
トヲ期待スルコトハ出來ナイト思フノデア
リマス、斯ウシタ意味カラ、戰爭ノ渦中ニ
アリマスル國家ハ、何處ノ國ニ於キマシテ
モ低物價政策ヲ堅持シテ參ツテ居ルノデア
リマス、隨ヒマシテ事態愈〓急迫シテ參リマ
シタ此ノ際、戰時低物價政策ノ基本ヲ改變
スベカラザルコトハ言ラ俟タナイ所デアリ
ママト、併シナガラ低物價政策ト云フ事柄
ガ、單ナル過去ノ價格ニ釘付ケル釘付價格
ヲ意味スルモノデナイコトハ御說ノ通リデ
アリマシテ、若シ個々ノ物價ノ中、現在ノ
價格ガ必要物資ノ增產ヲ阻碍シテ居ルヤウ
ナモノガアリマシタナラバ、之ヲ急速ニ改
定シテ增產ノ支障ヲ除去スルコトニ躊躇ス
ルモノデナイト云フコトヲ御諒承願ヒタイ
ト思ヒマス(拍手)
次ニ配給機構問題ニ付テ御答ヘ致シマス、
御說ノ通リ配給機構ノ整備ニ付キマシテハ、
必要ナル物資ガ、必要ナル處ニ、必要ナル
時ニ、適當ナ價格デ配給サレルト云フ事柄
ヲ目標トスベキモノデアリマシテ、此ノ意
味ニ於キマシテ、從來ノ配給機構ノ不合理
ナ點ハ斷然之ヲ改正シテ參ラナケレバ
ナラヌト考ヘテ居リマス、併シナガラ其ノ
整備ニ當リマシテハ徒ラニ理想ニ走ルコ
トナク、實際ニ卽シテ專門的機能ヲ十分ニ
活用シタイト存ジマス(拍手)
最後ニ統制會ニ付テ御答ヘシマス、統制
會ニ付キマシテハ、私共眞劍ニ其ノ健全ナ
ル發達ヲ期待シテ居リマス、此ノ意味ニ於
キマシテ、官廳ノ權限中委讓スベキモノハ
躊躇ナク之ヲ委讓シ、眞ニ官民一體トナツ
テ產業統制ノ完璧ヲ期シタイト存ジテ居リ
マス(拍手)
〔國務大臣井野碩哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=50
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051・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 小川議員ノ食糧
問題ニ關スル御質問ニ對シマシテ御答ヘヲ
申上ゲマス、戰時國民食糧トシテ米食偏重
ノ是正、竝ニ〓糧資源ノ總動員ト高度開發
ニ關スル小川議員ノ御所論ニ對シマシテハ、
全ク御同感デアリマス、政府ハ曩ニ閣議ニ
於キマシテ戰時緊急食糧對策ノ根本方針ヲ
決定致シ、單ニ澱粉質食糧ノ充足ノミナラ
ズ、蛋白質給源及ビ脂肪給源ノ確保ヲ目標ト
スル綜合的食糧政策ヲ樹立致シ、爾來是ガ具
體的施策ニ付キマシテ、或ハ裏作及ビ不急作
物轉換ニ依ル麥作ノ增產計畫ノ如キ、或ハ水
產資源確保ノ爲ノ代燃機關奬勵、及ビ內支棉
開發ノ爲メ第二豫備金力ラ二千數百万圓ヲ
支出致シマシテ、着々是ガ實行ニ努力致シ
テ居ルノデアリマス、又農業團體ノ統制ニ
關シマシテハ時局及ビ輿論ノ要請ニ鑑ミ
マシテ、速カニ是ガ合理的整備ヲ圖リタイ
所存デアリマス、食糧ノ配給ニ關シテハ
政府モ極力是ガ整備ニ努力致シテ居リマス
ガ、更ニ不備ノ點ハ之ヲ是正シ、以テ國民
ニ食糧ノ不安ナカラシムルコトヲ期シタイ
所存デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=51
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052・武知勇記
○武知勇記君 國務大臣ノ演說ニ對スル質
疑ハ此ノ程度ニ於テ終局スルコトトシ、直
チニ日程ニ入ラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「反對」ト呼ビ其ノ他發言スル
者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=52
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053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 武知君提出ノ動議ヲ
採決致シマス、此ノ採決ニ對シテハ武知
勇記君外五十名、又安藤正純君外三十五名
ヨリ、ソレ〓〓記名投票ヲ以テスベシトノ
要求ガアリマス、仍テ記名投票ヲ以テ採決
致シマス、武知君提出ノ動議ニ贊成ノ諸君
ハ白票、反對ノ諸君ハ靑票ヲ持參セラレン
コトヲ望ミマス-閉鎖議席第一番ヨ
リ順次投票セラレンコトヲ望ミマス-議
席第一番ヨリ順次投票セラレンコトヲ望ミ
マス
〔各員投票〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=53
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054・小山松壽
○議長(小山松壽君) 投票漏ハアリマセヌ
カ-投票漏ハアリマセヌカ-投票漏ナ
シト認メマス-投票函閉鎖-開匣-
開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=54
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055・小山松壽
○議長(小山松壽君) 投票ノ結果ヲ書記官
長ヨリ報〓致サセマス
〔大木書記官長朗讀〕
投票總數三百八十四
可トスル者白票三百七
否トスル者靑票七十七
〔拍手起ル〕
〔參照〕
武知勇記君提出ノ動議ヲ可トスル議員ノ
氏名左ノ如シ
靑木精一君靑山憲三君
安倍寛君淺井茂猪君
淺沼稻次郞君愛野時一郞君
綾部健太郞君井阪豐光君
井上良次君井上知治君
池田秀雄君池田〓秋君
池崎忠孝君池本甚四郞君
飯村五郞君飯田助夫君
石井德久次君石坂養平君
石坂繁君伊東岩男君
伊豆富人君伊藤東一郞君
伊藤五郞君伊禮肇君
一宮房治郞君一ノ瀨俊民君
岩瀨亮君今井健彥君
今成留之助君生田和平君
板野友造君泉國三郞君
猪野毛利榮君稻田直道君
犬養健君卯尾田毅太郞君
字賀四郞君內ケ崎作三郞君
內田信也君上田孝吉君
馬岡次郞君江原三郞君
小川〓太郞君小笠原八十美君
小笠原三九郞君小高長三郞君
小串〓一君小野寅吉君
小野謙一君小野廉君
小山田義孝君小山倉之助君
大口喜六君大内竹之助君
大島寅吉君太田理一君
大野一造君大麻唯男君
大橋〓太郞君岡田喜久治君
岡田忠彥君岡野龍一君
岡本實太郞君沖島鎌三君
加藤知正君加藤錄五郞君
加藤鯛一君河合義一君
河上丈太郞君川崎巳之太郞君
川島正次郞君川副隆君
川崎末五郞君川俣〓音君
片岡恒一君勝正憲君
勝田永吉君漢那憲和君
金光庸夫君金井正夫君
金澤正雄君簡牛凡夫君
風見章君菊地養之輔君
菊池良一君岸田正記君
北勝太郞君北原阿智之助君
北村文衞君喜多壯一郞君
木原七郞君木村正義君
木村作次郞君木村淺七君
〓寛君〓瀨一郞君
釘本衞雄君工藤十三雄君
國光五郞君熊谷五右衞門君
熊谷直太君小泉又次郞君
小泉純也君小谷節夫君
小畑虎之助君小林房之助君
小林絹治君小平重吉君
小柳牧衞君小山邦太郞君
小山谷藏君小見山七十五郞君
河野密君駒井重次君
木暮武太夫君齋藤直橘君
佐藤謙之輔君佐藤洋之助君
坂下仙一郞君坂田道男君
坂本宗太郞君澤田利吉君
崎山嗣朝君作田高太郞君
櫻井兵五郞君櫻內幸雄君
椎尾辨匡君志賀和多利君
重松重治君信太儀右衞門君
篠原義政君篠原陸朗君
鹽川正藏君島田俊雄君
〓水留三郞君庄司一郞君
末松偕一郞君彩山元治郞君
助川啓四郞君砂田重政君
鈴木憲太郞君鈴木英雄君
添田敬一郞君曾木重貴君
曾和義弌君高橋圓三郞君
高橋熊次郞君高橋泰雄君
高橋義次君高橋壽太郞君
高橋守平君高田耘平君
高見之通君田中武雄君
田中邦治君田中万逸君
田中好君田中源君
田村秀吉君田子一民君
田万〓臣君田邊七六君
田代正治君多田滿長君
武田德三郞君武知勇記君
俵孫一君立川平君
玉野知義君高畠龜太郞君
陣軍吉君津雲國利君
津倉亀作君津崎尙武君
津原武君土屋寛君
土田莊助君塚本重藏君
塚本三君坪山德彌君
鶴惣市君鶴見祐輔君
手代木隆吉君寺田市正君
東郷實君東條貞君
豐田豐吉君豐田收君
道家齊一郞君內藤正剛君
內藤守正君中井一夫君
中川重春君中崎俊秀君
中島彌團次君中野治介君
中村梅吉君中田儀直君
仲西三良君仲井間宗一君
永江一夫君永田良吉君
長井源君長野高一君
長野綱良君長野長廣君
南雲正朔君成島勇君
西方利馬君西川貞一君
西田郁平君西村金三郞君
西村茂生君野方次郞君
野口喜一君野田俊作君
野田文一郞君野中徹也君
野村嘉六君則元卯太郞君
服部崎市君服部英明君
原夫次郞君原惣兵衞君
長谷長次君羽田武嗣郞君
馬場元治君濱野徹太郞君
濱地文平君春名成章君
平野光雄君樋口善右衞門君
匹田銳吉君平川松太郞君
廣川弘禪君福井甚三君
福田悌夫君古田喜三太君
古屋慶隆君藤生安太郞君
藤田若水君藤本捨助君
深澤吉平君本田義成君
星一君堀內良平君
朴春琴君松井郡治君
松尾三藏君松尾四郞君
松浦伊平君松浦周太郞君
松岡俊三君松川昌藏君
松田竹千代君松田正一君
松田喜三郞君松永東君
松野鶴平君松村光三君
松村謙三君松本忠雄君
前田房之助君前田米藏君
眞鍋儀十君牧野賤男君
增田義一君增永元也君
町田忠治君三浦虎雄君
三木武夫君三好英之君
三善信房君三輪壽壯君
宮澤胤勇君宮澤裕君
宮崎一君宮本雄一郞君
村上紋四郞君村上國吉君
村瀨武男君紫安新九郞君
森肇君森田重次郞君
最上政三君守屋榮夫君
山田〓君山田順策君
山本条吉君山本芳治君
山崎達之輔君山崎釼二君
山川賴三郞君山口忠五郞君
八木逸郞君八角三郞君
八並武治君矢野庄太郞君
行吉角治君吉植庄亮君
吉川吉郞兵衞君吉田賢一君
橫川重次君依光好秋君
渡邊玉三郞君渡邊泰邦君
渡邉健君
否トスル議員ノ氏名左ノ如シ
木村武雄君安藤正純君
芦田均君石坂豐一君
板谷順助君大石倫治君
大野伴陸君岡崎久次郞君
岡崎憲君川崎克君
片山哲君北昤吉君
工藤鐵男君木檜三四郞君
鈴木文治君世耕弘一君
田中亮一君田川大吉郞君
名川侃市君服部岩吉君
林讓治君原口初太郞君
坂東幸太郞君鳩山一郞君
一松定吉君福田關次郞君
本田彌市郞君星島二郞君
松尾孝之君松木弘君
丸山辨三郞君宮脇長吉君
森幸太郞君百瀨渡君
若宮貞夫君靑木作雄君
江藤源九郞君大石大君
河上哲太君北浦圭太郞君
倉元要一君河野一郞君
杉浦武雄君鈴木正吾君
田中養達君瀧澤七郞君
冨吉榮二君西尾末廣君
西岡竹次郞君林平馬君
平野力三君深澤豐太郞君
本田英作君松永義雄君
松本治一郞君眞鍋勝君
牧野良三君三田村武夫君
水谷長三郞君森田福市君
米窪滿亮君阿部茂夫君
龜井貫一郞君佐竹晴記君
須永好君田原春次君
中村高一君野溝勝君
三宅正一君加藤勘十君
笠井重治君紅露昭君
田中耕君土屋〓三郞君
中野寅吉君中山福藏君
粟山博君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=55
-
056・小山松壽
○議長(小山松壽君) 右ノ結果武知君提出
ノ動議ハ可決セラレマシタ、仍テ國務大臣
ノ演說ニ對スル質疑ハ終局致シマシタ-
是ヨリ日程ニ入リマス、日程第一乃至第五
ハ便宜上一括議題トナスニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=56
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057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、酒稅等ノ增徵等ニ關スル
法律案、日程第二、昭和十二年法律第八十四
號中改正法律案、日程第三、昭和十三年法律
第二十三號中改正法律案、日程第四、昭和
九年法律第二十九號中改正法律案、日程第
五、臺灣米穀移出管理特別會計法ノ特例ニ
關スル法律案、右五案ヲ一括シテ第一讀會
ヲ開キマス-大藏大臣
第酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案
(政府提出)第一讀會
第二昭和十二年法律第八十四號中改
酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案
第一條酒稅法中左ノ通改正ス
第二十七條各酒類ニ課スベキ酒稅及其ノ稅率左ノ如シ
〓酒造石稅
庫出稅
二合成〓酒造石稅
庫出稅
三濁酒造石稅
庫出稅
四白酒造石稅
庫出稅
五味淋造石稅
正法律案(支那事變ニ關スル臨時軍
事費支辨ノ爲公債發行ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會
第三昭和十三年法律第二十三號中改
正法律案(關東局、朝鮮總督府、臺灣
總督府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケ
ル租稅收入ノ一部ニ相當スル金額等
ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルルコ
トニ關スル件)(政府提出)第一讀會
第四昭和九年法律第二十九號中改正
法律案(米穀需給調節特別會計法中
改正法律)(政府提出)第一讀會
第五臺灣米穀移出管理特別會計法ノ
特例ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會
一石ニ付四十五圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキ
ハアルコール分二十度ヲ超ユル一
度每ニ五圓五十錢ヲ加フ
一石ニ付五十五圓
一石ニ付四十八圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキ
ハアルコール分二十度ヲ超ユル一
度每ニ五圓七十錢ヲ加フ
一石ニ付五十五圓
一石ニ付四十五圓
一石ニ付十五圓
石石ニ付四十五圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキ
ハアルコール分二十度ヲ超ユル一
度每ニ六圓ヲ加フ
一石ニ付六十五圓
一石ニ付四十五圓
アルコール分二十八度ヲ超ユルト
キハアルコール分二十八度ヲ超ユ
ル一度每ニ四圓四十錢ヲ加フ
庫出稅一石ニ付六十五圓
六燒酎
第一種アルコール分四十五度ヲ超エザルモノ
甲連續式蒸餾機ニ依リ製造シタルモノ
造石稅一石ニ付四十八圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキ!
ハアルコール分三十度ヲ超ユル一
度每ニ三圓八十錢ヲ加フ
庫出稅一石ニ付五十五圓
乙其ノ他ノモノ
造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキ
ハアルコール分三十度ヲ超ユル一
度每ニ三圓七十錢ヲ加フ
庫出稅一石ニ付五十五圓
第二種アルコール分四十五度ヲ超ユルモノ
造石稅一石ニ付
二百十五圓ニアルコール分四十五
度ヲ超ユル一度每ニ六圓ヲ加ヘタ
ル金額
庫出稅一石ニ付五十五圓
庫出稅一石ニ付八十七圓八十錢
酒酒庫出稅
九八七雜果麥實一石ニ付五十圓
酒造石稅一石ニ付五十圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキ
ハアルコール分二十度ヲ超ユル一
度每ニ六圓ヲ加フ
庫出稅一石ニ付七十圓
第二十七條ノ二命令ヲ以テ定ムル〓酒、味淋、果實酒及雜酒ノ酒類庫出稅ニ付テ
ハ命令ヲ以テ定ムル價格ニ左ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ前條ノ規定ニ依ル
酒類庫出稅額ニ加算ス
-〓酒、味淋及果實酒百分ノ二十
二雜酒百分ノ三十
第三十五條第一項及第二項中「(濁酒ヲ除ク)」ヲ削リ同條第一項及第三項中「石數」ノ
下ニ「(第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ命令ヲ以テ定ムル酒類ニ付テハ數量及價格)」ヲ
加マ
第五十一條第二項及、第六十四條第三項中「酒類造石稅」ノ下ニ「及酒類庫出稅」ヲ加フ
第六十八條第二項中「第一一十七條ノ稅率ニ依リ」ヲ「第二十七條及第二十七條ノ二ノ
規定ニ依リ」ニ改ム
第八十三條第一項第二號中「二十圓」ヲ「四十圓」ニ改ム
第八十四條第一項中「二圓十錢」ヲ「三圓二十錢」ニ、「百一圓」ヲ「百六十一圓」ニ、三
圓八十錢」ヲ「四圓八十錢」ニ改ム
第二條〓涼飮料稅法中左ノ通改正ス
第二條中「八圓五十錢」ヲ「十二圓」ニ、「二十圓」ヲ「三十圓」ニ、「六圓」ヲ「十一圓」ニ
改ム
第三條砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第一條中「糖水」ノ下ニ「(甘蔗又ハ甜菜ヲ原料トシテ製造シタル糖汁ヲ含ム)」ヲ加フ
第三條消費稅ノ稅率左ノ如シ
ー砂糖
第一種分蜜セサル砂糖
甲樽入黑糖及樽入白下糖但シ黑糖及白下糖以外ノ砂糖ニ加工シテ製造シタ
ルモノ竝ニ全部又ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造シタルモノヲ除ク
百斤ニ付五圓
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付七圓三十錢
第二種其ノ他ノ砂糖但シ氷砂糖、角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノヲ除ク
甲蔗糖ノ重量全重量ノ百分ノ八十六ヲ超エサルモノ
百斤ニ付八圓
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付十二圓
第三種氷砂糖、角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノ
甲氷砂糖百斤ニ付十五圓
消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ
砂糖ヲ以テ製造シタルモノニ在リ
テハ百斤ニ付二圓
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付十六圓
消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ
砂糖ヲ以テ製造シタルモノニ在リ
テハ百斤ニ付四圓
二糖蜜
第一種氷砂糖ヲ製造スルトキニ生スル糖蜜
百斤ニ付八圓
第二種其ノ他ノ糖蜜百斤ニ付四圓五十錢
三糖水百斤ニ付十圓
第四條物品稅法中左ノ通改正ス
第一條第一項第一種第十四號中「トランク」ノ下ニ「類竝ニ行李」ヲ、同種第十八號中
「玩具」ノ下ニ「、遊戯具、搖籃及乳母車類」ヲ加へ同種第十五號中「靴及」ヲ削ル
同種ニ左ノ如ク加フ
三十二庭木竝ニ庭園用ノ石材及石工品
三十三簾釣燈籠及提灯類
三十四鐵瓶竝ニ茶道及香道用具
三十五扇子及團扇
三十六花輪及花束類
三十七釣用具類
丙類
三十八靴
三十九事務用器具
同項第二種第十七號中「受信用眞空管、」ノ下ニ「マイクロホン、」ヲ、同種第二十三號
中「紅茶、」ノ下ニ「烏龍茶、包種茶、」ヲ加フ
同種ニ左ノ如ク加フ
二十五煙火類
二十六薰物及線香類
二十七大理石及之ヲ原料トスル擬石竝ニ陶磁器製タイル
丙類
二十八電球類
二十九携行用ノ電燈、同ケース及電池
三十魔法瓶、水筒類及同部分品
三十一計算機
三十二タイプライター、同部分品及附屬品
三十三輪轉謄寫機及同附屬品
三十四金錢登錄機
三十五タイムスタンプ及同附屬品
三十六ミシン及ミシン用針
三十七板硝子
三十八紙及セロファン
三十九齒磨
四十綠茶
四十一調味料
同項第三種ニ左ノ一號ヲ加フ
三サッカリン
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當スルモノハ之ヲ第二種トシ甲類及乙類若ハ
口類及丙類又ハ甲類、乙類及丙類ニ該當スルモノハ之ヲ甲類トシ乙類及丙類ニ該
當スルモノハ之ヲ乙類トス
第二條物品稅ノ稅率左ノ如シ
第一種
甲類物品ノ價格百分ノ五十
乙類物品ノ價格百分ノ二十
第五條ノ規定ニ依ル場合ニ在リテハ百分ノ三十
丙類物品ノ價格百分ノ十
第二種
甲類物品ノ價格百分ノ五十
乙類物品ノ價格百分ノ二十
丙類物品ノ價格百分ノ十
第三種
燐寸千本ニ付五錢
二飴葡萄糖及麥芽糖
イ麥芽糖化ノ方法ニ依リ製造シタル飴
百斤ニ村二圓五十錢
ロ其ノ他ノ飴竝ニ葡萄糖及麥芽糖
百斤ニ村三圓
三サツカリン一瓩ニ付十圓
第五條第一種第十六號ニ揭グル物品ガ入札其ノ他競爭ノ方法ニ依リ賣買セラルル
場合(强制競賣又ハ之ニ準ズベキ場合ヲ除ク)ハ其ノ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小
賣業者トシテ當該物品ヲ販賣スルモノト看做ス
第六條中「又ハ嗜好飮料」ヲ「、嗜好飮料、薰物類、線香類、齒磨又ハ調味料」ニ改ム
第五條遊興飮食稅法中左ノ通改正ス
第一條中「及飮食」ヲ「、飮〓及宿泊」ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場所以外ノ場所ニ於テ飮食スル場合ニ於テ其ノ飮食物ガ料理店又ハ旅館ヨ
リ供給ヲ受クルモノナルトキハ其ノ飮食ハ之ヲ料理店又ハ旅館ニ於ケル飮食ト看
做ス
第二條遊興飮食稅ノ稅率左ノ如シ
藝妓ノ花代料金ノ百分ノ百
二藝妓ノ花代ニ類スル料金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ(以下其ノ他ノ花代ト
稱ス)料金ノ百分ノ五十
三藝妓ノ花代又ハ其ノ他ノ花代ヲ伴フ遊興飮食ノ料金但シ藝妓ノ花代及其ノ他
ノ花代ヲ除ク料金ノ百分ノ三十
四命令ヲ以テ定ムル料理店ニ於ケル遊興飮食ノ料金但シ藝妓ノ花代及其ノ他ノ
花代ヲ除ク料金ノ百分ノ三十
五前各號以外ノ遊興飮食ノ料金
イ一人一囘三圓ニ滿タザルモノ料金ノ百分ノ二十
ロ一人一囘三圓以上ノモノ料金ノ百分ノ三十
六旅館ニ於ケル宿泊ノ料金
イ一人一泊十圓ニ滿タザルモノ料金ノ百分ノ二十
ロ一人一泊十圓以上ノモノ料金ノ百分ノ三十
前項ノ遊興飮食又ハ宿泊ノ料金ハ前條ニ規定スル場所ノ經營者ガ遊興、飮〓又ハ
宿泊ヲ爲シタル者ヨリ其ノ遊興、飮食又ハ宿泊ニ付領收スベキ金額ヲ謂フ
遊興飮食又ハ宿泊ノ料金ノ算定ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條遊興飮食ノ料金ガ一人一囘一圓五十錢ニ滿タザル場今及旅館ニ於ケル宿泊
ノ料金ガ一人一泊五圓ニ滿タザル場合ニハ遊興飮食稅ヲ課セズ但シ左ニ揭グル遊
興飮食ノ料金ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
-藝妓ノ花代
一一其ノ他ノ花代
三藝妓ノ花代又ハ其ノ他ノ花代ヲ伴フ遊興飮食ノ料金
四命令ヲ以テ定ムル料理店ニ於ケル遊興飮食ノ料金
第三條ノ二前二條ノ一人一囘ノ遊興飮食ノ料金及一人一泊ノ宿泊ノ料金ノ計算ニ
關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條及第七條中「遊興飮食料金」ヲ「遊興飮食又ハ宿泊ノ料金」ニ改ム
第六條通行稅法中左ノ通改正ス
第二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
乘車船區間四十粁以下ナルトキ
一等三十錢
二等十五錢
乘車船區間八十粁以下ナルトキ
等五十錢
二等二十五錢
三等五錢
乘車船區間百二十粁以下ナルトキ
等一圓五十錢
二等七十五錢
三等十五錢
乘車船區間百六十粁以下ナルトキ
等三圓
二等一圓五十錢
三等三十錢
乘車船區間三百粁以下ナルトキ
辱五圓
二等二圓五十錢
三等五十錢
乘車船區間五百粁以下ナルトキ
一等七圓
二等三圓五十錢
三等七十錢
乘車船區間五百粁ヲ超ニルトキ
一等十圓
二等五圓
三等一 〓〓
同條第五項ヲ左ノ如ク改ム
貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
一等貸切運賃ノ百分ノ二十
二等貸切運賃ノ百分ノ十五
二等貸切運賃ノ百分ノ十
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
急行車船又ハ寢臺車船ニ乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依ル
ノ外左ノ稅率ニ依リ通行稅ヲ課ス
一等急行料金又ハ寢臺料金ノ百分ノ三十
二等急行料金又ハ寢臺料金ノ百分ノ二十
三等急行料金又ハ寢臺料金ノ百分ノ十
第四條中「三等乘客」ノ下ニ「及定期乗車船ノ契約ニ依ル三等乘客」ヲ加フ
第八條中「又ハ急行料金」ヲ「、急行料金又ハ寢豪料金」ニ改ム
第七條入場稅法中左ノ通改正ス
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
入場稅ノ稅率左ノ如シ
第一種ノ場所
入場料ガ一人一囘五十錢未滿ナルトキ入場料ノ百分ノ二十
入場料ガ一人一囘一圓未滿ナルトキ入場料ノ百分ノ三十
入場料ガ一人一囘三圓未滿ナルトキ入場料ノ百分ノ四十
入場料ガ一人一囘五圓未滿ナルトキ入場料ノ百分ノ六十
入場料ガ一人一同五圓以上ナルトキ入場料ノ百分ノ八十
囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタルトキ入場料ノ百分ノ四十
第二種ノ場所
撞球場、スケート場入場料ノ百分ノ二十
麻雀場入場料ノ百分ノ三十
舞踏場、ゴルフ場入場料ノ百分ノ五十
第十條第一項ヲ左ノ如ク改ム
特別入場稅ノ稅率左ノ如シ
特別入場料ガ一人一囘一圓未滿ナルトキ特別入場料ノ百分ノ二十
特別入場料ガ一人一囘一圓以上ナルトキ特別入場料ノ百分ノ三十
囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタルトキ
特別入場料ノ百分ノ三十
第八條建築稅法中左ノ通改正ス
第一條ニ左ノ三號ヲ加フ
四旅館ノ用ニ供スル家屋
五撞球場、麻雀場其ノ他命令ヲ以テ定ムル遊技場ノ用ニ供スル家屋
六倶樂部、會館其ノ他名稱ノ何タルヲ問ハズ會員其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ノ
親睦ヲ圖リ又ハ其ノ慰安若ハ娛樂ノ用ニ供スル家屋
第四條中「百分ノ十」ヲ「百分ノ二十」ニ改ム
第九條骨牌稅法中左ノ通改正ス
第四條中「五圓」ヲ「十圓」ニ、「七十錢」ヲ「一圓五十錢」ニ改ム
第十條印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項第六號中「一一錢」ヲ「五錢」ニ、「十錢」ヲ「二十錢」ニ、「三十錢」ヲ「六十
錢」ニ、「六十錢」ヲ「一圓二十錢」ニ、「九十錢」ヲ「一圓八十錢」ニ、「一圓五十錢」ヲ
三圓」ニ、「三圓」ヲ「六圓」ニ改ム
第十一條地方分與稅法中左ノ通改正ス
第二條第二項及第六條第一項中「百分ノ五十」ヲ「百分ノ十五·一八」ニ改ム
第四十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
第二條第二項中百分ノ十五·一八トアルハ昭和十六年度ニ於テハ百分ノ二十九·三
五トス
第四十八條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第六條第一項中百分ノ十五·一八トアルハ昭和十七年度分ニ付テハ百分ノ五十、昭
和十八年度分ニ付テハ百分ノ二十九·三五トス
附則
第一條本法ハ昭和十六年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第六條ノ規定施行ノ期日ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條酒類ノ製造者又ハ販賣業者ガ本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ
於テ各種類ヲ通ジ合計五石以上ノ酒類ヲ所持スル場合及其ノ所持スル酒類ガ合計五
石ニ滿タザルモ酒稅法第二十七條ノ二ノ改正規定ニ依リ命令ヲ以テ定ムル酒類ガ合
計一石以上ナル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看
做シ其ノ所持スル酒類ニ對シ酒類庫出稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施行ノ日ニ於
テ其ノ酒類ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ濁酒ニ付テハ一石ニ付十五圓ノ割
合ニ依リ算出シタル金額、其ノ他ノ酒類ニ付テハ酒稅法第二十七條ノ改正稅率ニ依
リ算出シタル金額ト從前ノ稅率ニ依リ算出シタル金額トノ差額ヲ以テ其ノ稅額トシ
命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徵收ス但シ同法第二十七條ノ二ノ改正規定ニ依リ命令ヲ
以テ定ムル酒類ニ付テハ同條ニ規定スル價格ニ同條ニ規定スル割合ヲ乘ジテ算出シ
タル金額ヲ本文ノ規定ニ依リ算出シタル酒類庫出稅額ニ加算シタルモノヲ以テ其ノ
稅額トス
東京府小笠原島及伊豆七島ニ於テ製造シタル〓酒及燒酎ニ付前項ノ規定ヲ適用スル
場合ニ於テハ一石ニ付二十圓ノ割合ニ依リ算出シタル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第一項ノ製造者又ハ販賣業者ハ其ノ所持スル酒類ノ種類每ニ數量、價格及貯藏ノ場
所ヲ本法施行後一月以內ニ政府ニ申〓スベシ
第三條本法施行ノ際製造場ニ現存スル酒類ニシテ戾入又ハ移入シタルモノニ付テハ
酒稅法第三十八條ノ規定ニ拘ラズ之ヲ移出シタルトキ酒類庫出稅ヲ徵收ス此ノ場合
ニ於テハ前條第一項後段及第二項ニ規定スル稅額ヲ以テ其ノ稅額トス
第四條本法施行ノ際製造場以外ノ場所ニ於テ同一人ガ五石以上ノ第二種ノ〓涼飮料
ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ
〓涼飮料稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ〓涼飮料ヲ製造場外ニ
移出シタルモノト看做シ一石ニ付十圓ノ割合ニ依リ算出シタル金額ヲ其ノ稅額トシ
命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ〓涼飮料ノ所持者ハ其ノ所持スル〓涼飮料ノ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後
一月以内ニ政府ニ申〓スベシ
第五條改正前ノ稅率ニ依リ消費稅ヲ課セラレタル砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ原料トシテ製
造シタル砂糖(第三種ノ砂糖ヲ除ク)糖蜜又ハ糖水ニシテ本法施行後製造場ヨリ引取
ラルルモノニ付テハ砂糖消費稅法第十二條ノ規定ニ拘ラズ砂糖消費稅ヲ徵收ス此ノ
場合ニ於テハ同法第三條ノ改正稅率ニ依リ算出シタル金額ト從前ノ稅率ニ依リ算出
シタル金額トノ差額ヲ以テ其ノ稅額トス
改正前ノ稅率ニ依リ消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ砂糖ヲ以テ製造シタル第三種
ノ砂糖ニシテ本法施行後製造場ヨリ引取ラルルモノニ付テハ改正後ノ砂糖消費稅法
第三條ニ規定スル氷砂糖ノ稅率百斤ニ付二圓ハ之ヲ百斤ニ付四圓トシ其ノ他ノモノ
ノ稅率百斤ニ付四圓ハ之ヲ百斤ニ付六圓トス
第六條本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ同一人ガ各種類ヲ通ジ合
計一萬斤以上ノ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ者ガ本法施行ノ日
ニ於テ之ヲ製造場ヨリ引取リタルモノト看做シ砂糖消費稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ
砂糖消費稅法第三條ノ改正稅率ニ依リ算出シタル金額ト從前ノ稅率ニ依リ算出シタ
ル金額トノ差額(第三種ノ砂糖ニ在リテハ氷砂糖ハ百斤ニ付二圓五十錢、其ノ他ノ
モノハ百斤ニ付三圓五十錢ノ割合ニ依リ算出シタル金額)ヲ以テ其ノ稅額トシ命令
ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徴收ス
前項ノ砂糖、〓蜜又ハ糖水ノ所持者ハ其ノ所持スル砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ種別、數
量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後一月以内ニ政府ニ申〓スベシ
第七條本法施行前ヨリ引續キ物品稅法第一條ノ改正規定ニ依リ物品稅ヲ課スルコト
ト爲リタル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又ハ同第二種ノ物品若ハサッカリンノ製
造ヲ爲ス者本法施行後一月以內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本法施行ノ日ニ於
テ物品稅法第十五條ノ規定ニ依リ申〓シタルモノト看做ス
第八條改正後ノ物品稅法第一條ニ揭グル第二種ノ物品又ハ飴、葡萄糖、麥芽糖若ハ
サッカリンノ製造者又ハ販賣者ガ本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於
テ左ノ各號ノ一ニ該當スル物品ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、
其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ之ニ物品稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施行ノ日
ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物
品稅ヲ徵收ス但シ得前ノ規定ニ依リ物品稅ヲ課セラレタル物品ニ付テハ其ノ課セラ
レタル稅額ニ相當スル金額ヲ控除シタル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
ニ價格二千圓以上ノモノ
二飴葡萄糖又ハ麥芽糖ニシテ合計一萬斤以上ノモノ
三三十瓩以上ノサッカリン
前項ノ製造者又ハ販賣者ハ同項第一號ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量、
法施行後一月以內ニ政府ニ申〓スベシ
第九條
スル家屋ノ建築ニ付之ヲ適用ス
ノ建築稅額ヨリ控除ス
リ控除ス
ガ本法施行前竣成シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第十條
ノ差額ニ相當スル印紙ヲ增貼スベシ
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
昭和十二年法律第八十四號中左ノ通改正
ス
「百九十億四千九百萬圓」ヲ「二百二十六
億千九百萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案
昭和十三年法律第二十三號中左ノ通改正
ス
第一條中「增收額」ノ下ニ「、朝鮮總督府、
臺灣總督府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケ
ル酒稅又ハ骨牌稅ノ昭和十六年度以降ノ
改正後ノ物品稅法第一條ニ揭グル第二種ノ物品ニシテ同條各號ニ揭グル品名每
價格及貯
藏ノ場所、第二號ノ物品又ハサッカリンニ付テハ其ノ品名每ニ數量及貯藏ノ場所ヲ本
改正後ノ建築稅法第一條第四號乃至第六號及第四條ノ規定ハ本法施行後竣成
本法施行前新築竣成シタル建築稅法第一條第一號乃至第三號ニ揭グル家屋ニシテ建
築價額一萬圓未滿ノモノニ關シ同法第三條第一項ノ規定ニ依リ建築稅ヲ課スル場合
ニ於テハ前ノ建築價額ヨリ五千圓ヲ控除シタル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ其
本法施行前新築竣成シタル建築稅法第一條第一號乃至第三號ニ揭グル家屋ニシテ建
築價額一萬圓以上ノモノニ關シ同法第三條ノ規定ニ依リ建築稅ヲ課スル場合ニ於テ
ハ從前ノ規定ニ依リ課セラレタル建築稅額ノ二倍ニ相當スル金額ヲ其ノ建築稅額ヨ
建築稅法第三條ノ規定ハ改正後ノ同法第一條第四號乃至第六號ニ揭グル家屋ノ新築
本法施行ノ際骨牌ノ製造又ハ販賣ヲ爲ス者ノ所持ニ係ル骨牌ニハ製造又ハ販
賣ヲ爲ス者ニ於テ骨牌稅法第四條ノ改正規定ニ依ル稅額ト從前ノ規定ニ依ル稅額ト
增徵ニ因ル增收額」ヲ加フ
第二條朝鮮總督府及臺灣總督府ノ各特
別會計ニ於ケル昭和十三年及同十六年
ノ煙草定價改正ニ因ル昭和十三年度以
降又ハ同十六年度以降ノ專賣收入增加
額中勅令ノ定ムル金額ハ每年度豫算ノ
定ムル所ニ依リ之ヲ當該特別會計ヨリ
臨時軍事費特別會計ニ繰入ルベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和九年法律第二十九號中改正法律案
昭和九年法律第二十九號中左ノ通改正ス
附則第二項中「五億五千萬圓」ヲ「十二億
五千萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臺灣米穀移出管理特別會計法ノ特例ニ
關スル法律案
第一條臺灣總督府ニ於テ米穀ノ配給上
ノ必要ニ基キ米穀及米穀以外ノ食糧農
產物竝ニ其ノ加工品ノ買入及賣渡ヲ爲
ス場合ニ於テハ其ノ買入及賣渡ニ關ス
ル一切ノ歲入歲出ハ臺灣米穀移出管理
特別會計ニ屬セシム
臺灣米穀移出管理特別會計法第四條及
第五條中米穀トアルハ米穀及米穀以外
ノ食糧農產物竝ニ其ノ加工品トス
第二條移出又ハ輸出ヲ目的トシテ臺灣
米穀移出管理特別會計ニ屬スル米穀ノ
賣渡ヲ爲シタル場合ニ於テ當該米穀ニ
付臺灣總督府特別會計ヨリ生產ヲ確保
スル爲ノ奬勵金ノ支出アリタルモノナ
ルトキハ當該奬勵金ニ相當スル金額ハ
豫算ノ範圍內ニ於テ之ヲ臺灣米穀移出
管理特別會計ヨリ臺灣總督府特別會計
ニ繰入ルルコトヲ得
第三條政府ハ當分ノ內千五百萬圓ヲ限
リ臺灣米穀移出管理特別會計法第三條
但書ノ金額ヲ超エテ借入ヲ爲スコトヲ
得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣賀屋興宣君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=57
-
058・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案外四
件ニ付キ其ノ提出ノ理由ヲ說明致シマス
先ヅ酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案ニ付
キ其ノ〓要ヲ說明申上ゲマス、現下ノ緊迫
セル諸情勢ノ下ニ於キマシテ支那事變ヲ完
遂シ、東亞共榮圈ノ確立ヲ圖ル爲ニハ、臨時
軍事費ヲ初メ戰時體制强化ノ爲ノ經費ノ增
加ハ避クルコトヲ得ナイ狀態ニアルノデア
リマシテ、此ノ際不急不用ノ經費ニ付キ徹
底的ノ節約ヲ加ヘマシテモ、尙ホ我ガ國歲
出ノ總額ガ今後相當膨脹スベキコトハ免レ
難イ所デアリマス、一面最近ニ於ケル經濟
諸情勢ニ照シテ考ヘマスレバ、此ノ際極力
國民購買力ノ吸收、消費ノ抑制ヲ圖ルノ必
要アリト認メラレマスルノミナラズ、其ノ
必要性ハ今後益〓增加スルモノト思フノデ
アリマス、政府トシテハ將來ニ於ケル財政
需用ノ增加、國民經濟及ビ國民生活ニ及ボ
スベキ影響等ニ付キ十分ノ攻究ヲ遂ゲ、稅
制ノ全般ニ亙ル增稅計畫ヲ樹立シテ之ヲ實
行致スベク、銳意調査ヲ進メテ參ツタノデ
アリマスルガ、之ニハ尙ホ相當ノ檢討ヲ要
シマスルシ、又一面臨時議會ノ會期等ノ點
モ考慮致シマシテ、此ノ際早急ニ實施ヲ要
スル購買力ノ吸收、消費ノ節約ヲ圖ルト共
ニ、差當リ增加スベキ臨時軍事費ノ財源ノ
一部ニ充ツル爲メ、玆ニ間接稅ヲ中心トス
ル增稅案ヲ提案スルコトニ致シタ次第デア
リマス、直接稅ノ增徵等ニ付キマシテハ先
程申上ゲマシタル通リ、次ノ通常議會ニ提
案ヲスル考ヘデアリマス、今次增稅案ノ作
成ニ當リマシテハ、國民精神ノ緊張、生活
熊樣ノ刷新ヲ圖ルト同時ニ、負擔力ノ關係
ヲ考ヘマシテ、奢侈的消費ニ對シテハ可及
的高率ノ課稅ヲ爲スト共ニ、國民生活上此
ノ際トシテハ比較的不急ト認メラルル方面ノ
消費ニ對スル課稅ニ付キ或ル程度稅率ヲ引
上ゲ、又ハ課稅範圍ヲ擴張スルト云フ方針
ヲ採用致シタノデアリマス、尙ホ間接稅ノ
課稅ノ對象トナル課稅物件ニ付キ、今次ノ
增徵稅額ニ相當スル價格ノ引上ヲ行ヒマス
コトハ間接稅ノ性質、增徵ノ目的等ニ照シ
之ヲ認メルコトト致シタイ考ヘデアリマス
次ニ今囘ノ增稅案ノ内容ノ〓略ヲ御說明
致シマス、先ヅ酒稅ニ付キマシテハ總稅額
ニ於テ大體五割程度ノ增徵ヲ行フコトト致
シタノデアリマス、酒類中消費高ノ最モ多
キ〓酒ニ付キマシテ申シマスレバ、現在一
石ニ付キ造石稅四十五圓、庫出稅二十五圓、
計七十圓デアリマスガ、今囘ハ庫出稅ヲ三
十圓引上ゲ、造石稅ト合シテ百圓トナルヤ
ウニ致シ、其ノ他ノ酒類ニ付キマシテモ、
〓酒トノ權衡ヲ保持スルヤウ主トシテ庫出
稅ニ付キマシテ、ソレ〓〓適當ト認ムル稅率
ノ引上ヲ行フコトト致シテ居ルノデアリマス
次ニ〓涼飮料稅ニ付キマシテハ總稅額ニ
於テ五割程度ノ增徵ヲ行フコトト致シマシ
タガ、增徵ノ割合ハ第一種玉「ラムネ」ニ輕
ク、第三種「ソーダ」水等ニ重ク相成ツテ居
リマス
砂糖消費稅ニ付キマシテハ他ノ消費稅ニ
比較シ增徵程度ヲ輕ク致シマシテ、總稅額
ニ於テ大體二割程度ノ增徵ヲ行フコトトナ
ツテ居リマス
次ニ物品稅ニ付キマシテハ、物品稅ノ中、
第一種及ビ第二種ハ御承知ノ如ク奢侈的性
質ヲ有スル物品竝ニ國民生活上比較的不急
ト認メラレ、又ハ其ノ消費ガ負擔力ヲ示ス
ト認メラルル物品ニ付キ廣ク課稅スルモノ
デアリマスルガ、今次增稅ノ趣旨等ニ顧ミ
マシテ、奢侈的性質特ニ濃厚ナリト認メラ
ルル甲類ノ物品ニ付テハ現行稅率百分ノ二
十ヲ百分ノ五十ニ引上ゲ、其ノ他ノ物品、
卽チ乙類ニ付キマシテハ、現行稅率百分ノ
十ヲ原則トシテ百分ノ二十ニ引上グルコト
ト致シタノデアリマス、尙ホ又現行ノ課稅
最低限ハ之ヲ或ル程度引下グルト共ニ、課
稅物品ノ擴張ヲ行フコトト相成ツテ居リマ
ス、而シテ新タニ課稅スル物品ノ大部分ハ
之ヲ丙類トシマシテ、百分ノ十ノ稅率ヲ以
テ課稅スルコトト致シテ居リマス、物品稅
中第三種ニ付キマシテハ、砂糖トノ權衡ヲ
考慮シ、飴等ニ付キマシテ二割程度增徵ス
ルト共ニ、新タニ「サッカリン」ニ對シ一「キ
ログラム」ニ付キ十圓ノ稅率ヲ以テ課稅ス
ルコトトナツテ居ルノデアリマス
次ニ遊興飮食稅ニ付キマシテハ、今次增稅
ノ趣旨ニ顧ミ、最モ大幅ノ增稅ヲ行フコト
ト致シマシタ、卽チ其ノ最高稅率現行百分
ノ三十ヲ百分ノ百ニ引上ゲ、其ノ他ン稅率
ニ付テモ相當ノ引上ヲ行ヒマスルト共ニ、
課稅最低限ノ撤廢又ハ引下ヲ行フコトト致
シタノデアリマス、尙ホ新タニ食事代ヲ除
キ五圓以上ノ宿泊料ニ對シマシテモ課稅ス
ルコトト致シマシタ、以上ノ增徵ニ依リ、
遊興飮食稅ハ總稅額ニ於テ大體二十五割程
度ノ增加トナル見込デアリマス
次ニ入場稅ニ付キマシテモ、此ノ際相當
大幅ノ增徵ヲ行フコトトシ、現行稅率百分
ノ十乃至百分ノ三十ヲ百分ノ二十乃至百分
ノ八十ニ引上ゲル案ト相成ツテ居リマス
通行稅ニ付キマシテハ他ノ租稅ノ增徵ト
ノ權衡ヲ考ヘマシテ、相當ノ增徵ヲ行フコ
トト致シマシタガ、一等及ビ二等ニ付キマ
シテハ、其ノ引上割合ヲ特ニ多ク致シマシ
テ、又新タニ寢臺料金ニ對シテモ課稅スル
コトト相成ツタノデアリマス
次ニ建築稅ニ付キマシテハ課稅範圍ヲ擴
張シマシテ、旅館等ノ建物ニモ課稅シマス
ルト共ニ、現行稅率百分ノ十ヲ百分ノ二十
ニ引上グルコトト致シテ居リマス
次ニ骨牌稅ニ付テハ十割程度ノ增徵ヲ行
ヒ、又物品切手ニ對スル印紙稅ニ付キマシ
テモ、此ノ際十割程度ノ增徵ヲ行フコトト
相成ツテ居リマス
以上今囘ノ增稅ニ依リマスレバ平年度ニ
於テ約六億三千万圓ノ增收デアリマス、昭
和十六年度ニ於キマシテハ約一億七千万圓
ノ國庫收入ノ增加ト相成ルノデアリマス、
昭和十六年度ノ增收見込額ニ相當スル金額
ハ、之ヲ今議會ニ提出ヲ致シマシタ臨時軍
事費ノ財源ノ一部トシマシテ、一般會計ヨ
リ臨時軍事費特別會計ニ繰入レル案ト相成
ツテ居ルノデアリマス
次ニ地方分與稅法中改正ハ、入場稅及ビ
遊興飮食稅ノ增徵ニ伴フ配付稅分與割合ノ
改訂ニ關スルモノデアリマス、地方分與稅
法ニ依リマスレバ、入場稅及ビ遊興飮食稅
ノ徵收額ノ各半額ヲ地方分與稅分與金特別
會計ニ繰入レ分與スルコトト相成ツテ居ル
ノデアリマスルガ、今囘入場稅及ビ遊興飮
食稅ニ付キ增徵ヲ行フコトトナリマシタノ
デ、此ノ兩稅ノ配付稅總額ニ變動ヲ來サザ
ルヤウ、其ノ趣旨ニ於キマシテ、單ニ分與
ノ割合ニ改訂ヲ加ヘントスルモノデアリマ
ス、以上酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案ニ
付キ提案ノ理由ヲ說明致シタ次第デアリマ
ス
次ニ昭和十二年法律第八十四號中改正法
律案ニ付キ說明致シマス、臨時軍事費ニ付
キマシテハ、第七十二囘乃至第七十六囘ノ
各帝國議會ノ協賛ヲ經マシテ、其ノ財源ニ
充當スル爲ノ公債發行ヲ爲シ得ル權能ヲ得
テ居ルノデアリマスガ、事態ノ推移ニ伴ヒ
マシテ更ニ臨時軍事費三十八億圓ノ追加計
上ヲ必要ト致シマスル所、其ノ所要財源中
二億二千九百九十餘万圓ニ付キマシテハ、
般會計及ビ各特別會計ヨリノ繰入金等ヲ以テ
充當シ、差引三十五億七千餘万圓ニ付キマ
シテハ今日ノ場合之ヲ公債財源ニ依ルコ
トト致シマスル爲メ、昭和十二年法律第八十
四號中公債ノ發行限度ヲ增加スルノ必要ガ
アリマスルノデ、本法律案ヲ提出致シタ次
第デアリマス
次ニ昭和十三年法律第二十三號中改正法
律案ニ付キ說明申上ゲマス、昭和十三年法
律第二十三號ノ規定ニ依リマシテ關東局、
朝鮮總督府、臺灣總督府及ビ樺太廳ノ各特
別會計ヨリ其ノ租稅收入又ハ煙草專賣收入
ノ一部ヲ臨時軍事費特別會計ニ繰入ルルコ
トニ相成ツテ居ルノデアリマスルガ、今囘新
タニ朝鮮總督府、臺灣總督府及ビ樺太廳ノ各
特別會計ニ於ケル酒稅又ハ骨牌稅ノ昭和十六
年度以降ノ增徵ニ因ル增收額、臺灣總督府
特別會計ニ於ケル遊興飮食稅ノ創設ニ因ル
收入額、竝ニ朝鮮總督府及ビ臺灣總督府ノ
各特別會計ニ於ケル今囘ノ煙草定價改正ニ
因ル專賣收入增加額ノ一部ヲ、每年度豫算
ノ定ムル所ニ依リ臨時軍事費特別會計ニ繰
入ルルコトニ致シマシタル所、右ノ中遊興
飮食稅ノ分ニ付キマシテハ現行法ノ規定
ニ依リ之ヲ繰入ルルコトヲ得ルノデアリマ
スルガ、其ノ他ノ分ニ付キマシテハ、其ノ
規定ガアリマセヌノデ、右法律中改正法律
案ヲ提出致シ、繰入ヲ可能ト致スヤウニ企
テマシタ次第デアリマス
次ニ昭和九年法律第二十九號中改正法律
案ニ付キマシテ御說明ヲ申上ゲマス、現下
ノ米穀事情ニ顧ミ、米穀管理制度ヲ一層擴
充スルコトト致シマス關係上、米穀需給調
節特別會計ニ於ケル米穀ノ買入數量モ必然
的ニ增加スルノ狀況ニアリマスル所、同特別
會計ニ於ケル現行ノ證券及ビ借入金ノ最高
限度額十四億圓ヲ以テ致シテハ、同特別會
計ノ圓滑ナル運營ヲ圖ルコトガ著シク困難
トナルノ虞ガアリマスルノデ、同特別會計
ノ負擔ニ屬スル證劵及ビ借入金ノ最高限度
額ヲ米穀需給調節特別會計法第四條ノ三
ニ定ムル八億五千万圓ノ外十二億五千万圓
マデ必要ニ應ジ增額シ得ルコトトスルノ必
要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ提出致シ
タ次第デアリマス
次ニ臺灣米穀移出管理特別會計法ノ特例
ニ關スル法律案提出ノ理由ヲ說明致シマス、
臺灣ニ於ケル現下ノ食糧事情ニ顧ミ、臺灣
總督府ニ於テ應急措置トシテ米穀ノ配給上
必要アリト認メマスル時ハ、米穀及ビ米穀
以外ノ〓糧農產物竝ニ其ノ加工品ノ買入及
ビ賣渡ヲナスコトト致シマス關係上、是等
ノ買入及ビ賣渡ニ關スル一切ノ歲入歲出ハ
之ヲ臺灣米穀移出管理特別會計ニ所屬セシ
ムル必要ガアリマスルノト、今回米穀對策
トシテ臺灣總督府特別會計ニ於テ米穀ノ生
產ヲ確保スル爲ノ奬勵金ヲ支出スルコトト
致シマスルガ、臺灣總督府特別會計ノ財政
狀況ニ顧ミマシテ、移出又ハ輸出ヲ目的ト
シテ賣渡シタル分ニ對シマスル奬勵金ニ相
當スル金額ハ、豫算ノ範圍內ニ於テ臺灣米
穀移出管理特別會計ヨリ臺灣總督府特別會
計ニ繰入ルルコトトスルヲ適當ト認メ、又
臺灣ニ於ケル前述ノ應急措置ニ依リマシテ、
米穀等ノ買入數量ノ增加ヲ來シマスル等ノ
關係上、臺灣米穀移出管理特別會計ノ運營
ヲ圓滑ナラシムル爲メ、當分ノ內千五百万
圓ヲ限リ、現行ノ借入限度法定額二千五百
万圓ヲ超エテ借入ヲナシ得ルコトトスル必
要ガアリマスルノデ、本法律案ヲ提出致シ
タ次第デアリマス
以上五件ノ法律案ニ付キマシテハ、何卒
御審議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラレンコトヲ
希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=58
-
059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=59
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060・依光好秋
○依光好秋君 日程第一乃至第三ノ三案ハ
一括シテ議長指名三十六名ノ委員ニ、日程
第四、第五ノ兩案ハ一括シテ議長指名三十
六名ノ委員ニ付託シ、直チニ委員ヲ指名サ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=60
-
061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「御異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=61
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062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、委員ノ氏
名ハ書記官ヲシテ報告セシメマス
〔書記官朗讀〕
酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案外二件委
員
伊藤五郞君池本甚四郞君
出井兵吉君宇賀四郞君
馬岡次郞君小山倉之助君
岡本實太郞君加藤知正君
勝正憲君金澤正雄君
菊地養之輔君小谷節夫君
小林絹治君佐藤洋之助君
櫻井兵五郞君田万〓臣君
高畠龜太郞君武田德三郞君
津原武君豐田收え
中村梅吉君西川貞一君
馬場元治君藤本拾助君
松村光三君紫安新九郞君
森肇君森下國雄君
渡邊玉三郞君板谷順助君
服部岩吉君田川大吉郞君
冨吉榮二君水谷長三郞君
森田福市君佐竹晴記、君
昭和九年法律第二十九號中改正法律案外
一件委員
靑山憲三君石井德久次君
今井健彥君小串〓一君
小野謙一君河合義一君
木源七郞君北勝太郞君
坂下仙一郞君杉山元治郞君
助川啓四郞君砂田重政君
田代正治君高田耘平君
高橋圓三郞君土田莊助君
土屋寛君中田儀直君
長野綱良君成島勇君
服部崎市君樋口善右衞門君
深澤吉平君松浦伊平君
松浦周太郞君村上國吉君
山川賴三郞君山田六郞君
山本条吉君吉植庄亮君
林讓治君工藤鐵男君
森幸太郞君河野一郞君
林平馬君平野力三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=62
-
063・小山松壽
○議長(小山松壽君) 只今指名致シマシタ
所ノ酒稅等ノ增徵等ニ關スル法律案外二件
云〓ハ第十一委目室ニ、昭和九年法律第二
十九號中改正法律案外一件委員ハ第二委員
室ニ、ソレ〓〓速カニ御參集ノ上、委員長及
ビ理事ヲ互選シ、引續キ審査ニ着手セラレン
コトヲ望ミマス-日程第六、產業設備營團
法案ノ第一讀會ヲ開キマス-岸商工大臣
第六產業設備營團法案(政府提出)
第一讀會
產業設備營團法案
產業設備營國法
第一章總則
第一條產業設備營團ハ戰時(戰爭ニ準
ズベキ事變ノ場合ヲ含ム)ニ際シ軍需
產業、生產擴充計畫產業其ノ他ノ國家
緊要產業ノ設備ニシテ事業者ニ於テ建
設又ハ維持スルコト著シク困難ナルモ
フヲ施設シ竝ニ產業設備(之ニ充ツベ
キ機械及器具ヲ含ム)ニシテ未完成又
ハ遊体ノ狀態ニ在ルモノ(以下未動遊
休設備ト稱ス)フ活用ヲ圖ルコトヲ目
的トス
產業設備營團ハ法人トス
第二條產業設備營團ハ主タル事務所ヲ
東京市ニ置ク
產業設備營國ハ政府ノ認可ヲ受ケ必要
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
得
第三條產業設備營團ノ資本金ハ二億圓
トス
第四條政府ハ二億圓ヲ產業設備營團ニ
出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債登劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
リンチノ
第五條產業設備營團ハ定款ヲ以テ左ノ
事項ヲ規定スベシ
目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七產業設備債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スル
コトヲ得
第六條產業設備營團ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第七條產業設備營團ニハ所得稅、法人
稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ產業設備營團ノ事業又ハ第
十七條第一項第一號若ハ第三號ノ業務
ノ爲ニスル建物ノ建設若ハ取得若ハ土
地ノ取得ニ對シテハ地方稅ヲ課スルコ
要ヲ得ズ但シ產業設備營團ノ事業ニ對
シテハ特別ノ事情ニ基キ內務大臣及大
藏大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限
ニ在ラズ
第八條產業設備營團ガ第十七條第一項
第一號又ハ第三號ノ業務ノ爲ニスル不
動產ニ關スル權利ノ取得又ハ所有權ノ保
存ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登
錄稅ノ額ハ不動產ノ價格ノ千分ノ一トス
第九條產業設備營團ニ付解散ヲ必要ト
スル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處
置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第十條產業設備營團ニ非ザル者ハ產業
設備營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フ
ルコトヲ得ズ
第十一條民法第四十四條、第五十條、
第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第一項ノ規定ハ產業
設備營團ニ之ヲ準用ス
第二章役員
第十二條產業設備營團ニ總裁副總裁各
一ヘ、理事五人以上及監事二人以上ヲ
置ク
總裁ハ產業設備營團ヲ代表シ其ノ業務
ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ產業設
備營團ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ產業設
備營團ノ業務ヲ掌理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代
理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ產業設備
營團ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ
產業設備營團ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總裁及副
總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代
理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキハ其
ノ職務ヲ行フ
監事ハ產業設備營團ノ業務ヲ監査ス
第十三條總裁、副總裁、理事及監事ハ
政府之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ四年、監事
ノ任期ハ二年トス
第十四條總裁、副總裁及理事ハ定款ノ
定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ
關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ
爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコ
トヲ得
第十五條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職業
ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府ノ認可
ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條產業設備營團ニ評議員若干人
ヲ置キ政府之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ必要アルトキ
ハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年ト
ス
第三章業務
第十七條產業設備營團ハ左ノ業務ヲ行
フ
一國家緊要產業ノ設備ニシテ事業者
ニ於テ建設又ハ維持スルコト著シク
困難ナルモノノ建設又ハ買受
二前號ノ規定ニ依リ取得シタル設備
ノ貸付、出資及賣渡
三未動遊休設備ノ賣買及保有
四未動遊休設備ノ活用ニ關スル斡旋
五前各號ノ業務ニ附帶スル事業
產業設備營國ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項
ニ揭グル業務以外ノ業務ヲ行フコトヲ
得
第十八條產業設備營團ハ其ノ建設スル
國家緊要產業ノ設備ノ用ニ充ツル爲必
要ナル土地又ハ土地ニ關スル所有權以
外ノ權利ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シ
テハ土地收用法ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ依リ收用又ハ使用シ
タル土地又ハ土地ニ關スル所有權以外
ノ權利ノ處分及管理ニ關シ必要ナル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條產業設備營團ハ第十七條第一
項第一號又ハ第三號ノ規定ニ依リ買受
ケタル設備ノ代價ニ付テハ國債證劵ヲ
以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヲ定ム
第二十條政府ハ產業設備營團ガ第十七
條第一項第一號又ハ第三號ノ規定ニ依
リ設備ヲ買受ケタル場合ニ於テ之ヲ賣
渡シタル者ニ對シ其ノ代價トシテ受ケ
タル金錢又ハ國債證劵ノ處分ニ關シ必
要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
第四章產業設備債劵
第二十一條產業設備營團ハ拂込資本金
額ノ五倍ヲ限リ產業設備債劵ヲ發行ス
ルコトヲ得
第二十二條產業設備債劵ハ額面金額五
十圓以上トシ無記名利札附トス但シ應
募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲
スコトヲ得
產業設備債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ
發行スルコトヲ得
第二十三條產業設備營團ハ產業設備債
劵借換ノ爲一時第二十一條ノ制限ニ依
ラズ產業設備債劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ產業設備債劵ヲ發行
シタルトキハ發行後一月以內ニ其ノ發
行額面金額ニ相當スル舊產業設備債劵
ヲ償還スベシ
第二十四條政府ハ產業設備債劵ノ元本
ノ償還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ
得
第二十五條產業設備債劵ハ賣出ノ方法
ヲ以テ之ヲ發行スルコトヲ得
第二十六條產業設備營團ニ於テ產業設
備債劵ヲ發行セントスルトキハ政府ノ
認可ヲ受クベシ
第二十七條產業設備債劵ノ消滅時效ハ
元本ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテ
ハ五年ヲ以テ完成ス
第二十八條產業設備債劵ノ所有者ハ產
業設備營團ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先
チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ
有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第二十九條所得稅法及有價證劵移轉稅
法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ產
業設備債劵ニ之ヲ準用ス
第三十條本章ニ規定スルモノヲ除クノ
外產業設備債劵ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章會計
第三十一條產業設備營團ノ事業年度ハ
每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第三十二條產業設備營團ハ左ノ方法ニ
依ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコ
トヲ得ズ
一國債、地方債又ハ政府ノ認可ヲ受
ケタル有價證劵ノ取得ヲ爲スコト
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金ト爲スコト
第三十三條產業設備營團ハ設立ノ時及
每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借
對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共
ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第六章監督及補助
第三十四條產業設備營團ハ政府之ヲ監
督ス
第三十五條產業設備營團ハ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分ヲ爲
スコトヲ得ズ
第三十六條產業設備營團ハ業務開始ノ
際業務ノ方法ヲ定メ政府ノ認可ヲ受ク
ベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
產業設備營團ハ每事業年度ノ初ニ於テ
事業計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ
之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第三十七條政府ハ產業設備營團ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サシ
カ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第三十八條役員ガ法令、定款若ハ政府
ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲
ヲ爲シタルトキハ政府ハ之ヲ解任スル
コトヲ得
第三十九條政府ハ產業設備營團ニ對シ
第十七條ニ規定スル業務ニ因リテ受ケ
タル損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコト
ヲ得
前項ノ契約ハ之ニ基キ交付スベキ補償
金ノ總額ガ帝國議會ノ協贊ヲ經タル金
額ヲ超エザル範圍內ニ於テ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第一項ノ損失ヲ決定スル基準ハ政府之
ヲ定ム
第四十條前條第一項ノ損失及其ノ額ハ
產業設備營團損失審査會之ヲ決定ス
產業設備營團損失審査會ノ組織及權限
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七章罰則
第四十一條左ノ場合ニ於テハ產業設備
營團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ
千圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ政府ノ認可ヲ受クベキ
場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第二十一條又ハ第二十三條第二項
ノ規定ニ違反シ產業設備債劵ノ發行
ヲ爲シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四第三十二條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
五政府ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違
反シタルトキ
第四十二條左ノ場合ニ於テハ產業設備
營團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ
五百圓以下ノ過料ニ處ス
一本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令
ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ
不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二第三十三條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ又ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ
第四十三條第十條ノ規定ニ違反シ產業
設備營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒ
タル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第四十四條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第四十五條政府ハ設立委員ヲ命ジ產業
設備營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セ
シム
第四十六條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第四十七條定款ニ付政府ノ認可アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資ノ第
一囘ノ拂込ヲ禀請スベシ
第四十八條出資ノ第一囘ノ拂込アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ產業設備營團總裁ニ引繼グベシ
總裁前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルトキ
ハ總裁、副總裁、理事及監事ノ全員ハ
設立ノ登記ヲ爲スベシ
產業設備營團ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因
リテ成立ス
第四十九條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「住宅營團、」ノ〓〓
「產業設備營團、」ヲ、「住宅營團法、」ノ
下ニ「產業設備營團法、」ヲ加フ
第五十條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ四ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フ
六ノ五產業設備營團ノ業務ニ關ス
ル證書帳簿及產業設備債劵
第五十一條有價證劵移轉稅法中左ノ通
改正ス
第十條ニ左ノ一號ヲ加フ
九產業設備營團法第十九條ノ規定
ニ依ル國債證劵ノ移轉
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=63
-
064・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 產業設備營團法案
ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
最近ニ於ケル時局ノ緊迫化ハ軍需產業、
生產擴充計畫產業、其ノ他ノ國家緊要產業
ノ急速且ツ大規模ナル增產ヲ要請スル所切
ナルモノガアリマス、然ルニ是等事業ノ中ニ
ハ當該事業ノ將來ニ對スル不安等ノ事由ニ
依リ、其ノ設備ノ建設、又維持ヲ一般事業者
ニ期待スルコト著シク困難ナルモノモ少ク
ナイノデアリマシテ、此ノ種ノ設備ニ付テ
ハ、國家トシテ新タニ積極的ナル施設ヲ講
ズルコトガ刻下ノ急務ナリト考フルノデア
リマス、又近時著シク過大化セル未動遊休
設備ハ、戰時經濟ノ運營ニ幾多ノ好マシカ
ラザル影響ヲ及ボシツツアリマスノデ、現
有設備ノ高度ノ利用ト、我ガ國經濟總力發
揮ノ見地ニ立ツテ此ノ際是等設備ノ中、苟
クモ活用シ得ベキモノハ剩ス所ナク之ヲ活
用シ、整理スルモ差支ヘナキモノハ之ヲ整
理シテ再生活用ノ途ヲ圖リ、又將來ノ生產擴
充上緊要ナル設備ハ是ガ維持ニ必要ナル措
置ヲ講ジ、以テ所謂重點主義生產ノ果敢ナ
ル實行ヲ可能ナラシムルト共ニ、低物價政
策ノ確保ニ資スルコトガ肝要ナリト存ズル
次第デアリマス、仍テ玆ニ右ニ申述ベマシ
タル二ツノ重要目的ヲ達成スル爲ノ母體機
關タル重要使命ヲ擔當スベキモノトシテ、
全額政府出資ニ係ル產業設備營團ヲ設立シ、
右營團ヲシテ國家緊要產業ノ設備ノ建設貸
與、出資、未動遊休設備ノ賣買保有等ノ業務
ヲ行ハシメントスル次第デアリマス、何卒
御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ御願
ヒ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=64
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065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=65
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066・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ議長指名三十六名ノ
委員ニ付託シ、直チニ委員ヲ指名サレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=66
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067・小山松壽
○議長(小山松壽君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「御異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=67
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068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、委員ノ氏
名ハ書記官ヲシテ報告セシメマス
〔書記官朗讀〕
產業設備營團法案委員
井上良次君伊禮肇君
板野友造君加藤鐐造君
金光庸夫君川島正次郞君
木村淺七君喜多壯一郞君
小平重吉君小林房之助君
小柳牧衞君佐藤謙之輔君
鹽川正藏君曾和義弌君
田邊七六君堤康次郞君
鶴惣市君中川重春君
長野高一君野口喜一君
野田文一郞君服部英明君
濱野徹太郞君星一君
堀内良平君松井郡治君
松尾四郞君宮本雄一郞君
橫川一重次君渡邊泰邦君
岡崎久次郞君福田關次郞君
星島二郞君靑木作雄君
瀧澤七郞君西尾末廣君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=68
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069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 只今指名致シマシタ
所ノ產業設備營團法案委員ハ、第十委員室
ニ速カニ御參集ノ上、委員長及ビ理事ヲ互
選シ、引續キ〓査ニ著手セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=69
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070・依光好秋
○依光好秋君 委員ニ付託シタル議案ノ審
査終了ヲ待ツ爲メ、此ノ際暫時休憩セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=70
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071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=71
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072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ暫時休憩致シマス
午後四時二分休憩
午後七時三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=72
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073・小山松壽
○議長(小山松壽君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=73
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074・依光好秋
○依光好秋君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際臨第一號臨時軍事
費豫算追加案ヲ議題トナシ委員長ノ報告ヲ
求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=74
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075・小山松壽
○議長(小山松壽君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=75
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076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ、臨第一
號臨時軍事費豫算追加案ヲ議題ト致シマス、
豫算委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長東
〓實君
(臨第一號)臨時軍事費豫算追加案
報〓書
(臨第一號)臨時軍事費豫算追加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年十一月十七日
豫算委員長東郷實
衆議院議長小山松壽殿
〔東〓實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=76
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077・東郷實
○東郷實君 只今議題トナリマシタ臨時軍
事費豫算追加臨第一號ニ付キマシテ、豫算
委員會ニ於ケル審査ノ經過竝ニ結果ヲ御報
告致シマス
本案ニ計上サレテ居リマスル金額ハ、歲
入歲出共各、三十八億圓デアリマスガ、之ヲ
旣ニ成立致シテ居リマスル豫算額ニ加ヘマ
スレバ、臨時軍事費豫算ノ總額ハ、歲入ニ
於テ二百六十一億七千百餘万圓、歲出ニ於
テ二百六十一億三千五百餘万圓ノ巨額ニ達
スル次第デアリマス、本案ニ於ケル歲出豫
算ノ內譯ハ第三項豫備費十二億圓、第四
項臨時軍事費二十六億圓ト相成ツテ居リマ
スガ、右ハ現下諸情勢ノ推移ニ卽應シ、事
變處理ノ完遂ヲ期スルガ爲メ必要デアリマ
ス所ノ作戰部隊、艦船等ノ維持費、其ノ他
差當リ陸海軍ニ於テ緊急ニ增加ヲ必要トス
ル經費ヲ追加計上致シタモノデアリマス、
臨時軍事費豫算ニ付キマシテハ、前議會ニ
於キマシテモ協賛ヲ經タノデアリマスガ、
其ノ後ニ於ケル事態ノ進展ニ伴ヒ、其ノ支
出ハ豫想以上ニ增進致シマシタルガ爲ニ、
通常議會ノ開會ヲ俟ツノ遑ナク今囘ノ追加
計上ヲ必要トスルニ至ツタトノコトデアリ
やっ、今囘ノ臨時軍事費ノ財源モ從來ト同
様其ノ大部分ヲ公債ニ依ルコトト致シマ
シテ、公債及ビ繰替借入金トシテ三十五
億七千餘万圓ヲ計上致シテ居リマス、公債
金以外ノ歲入ハ二億二千九百九十餘万圓デ
アリマシテ、更ニ其ノ內譯ヲ申上ゲマスレ
バ、一般會計ヨリノ繰入金ガ二億千四百五
十餘万圓、各特別會計ヨリノ繰入金ガ千四
百三十餘万圓、北支事件特別稅ガ百餘万圓
ト相成ツテ居ルノデアリマス、右ノ內一般
會計ヨリノ繰入金ハ、今囘ノ臨時增稅ニ依
ル增收額竝ニ煙草及ビ「アルコール」ノ
値上ニ依ル專賣局益金ノ增加額トノ合計額
ヲ繰入ルルモノデアリマシテ、各特別會計
ヨリノ繰入金ハ、關東局、朝鮮總督府、臺
灣總督府及ビ樺太廳ノ各外地特別會計ニ
於ケル今囘ノ增稅又ハ煙草ノ値上ニ伴フ增
收額ノ一部ヲ繰入ルルモノデアリ、又北支
事件特別稅ハ、臨時軍事費特別會計ノ歲入
ニ屬スル北支事件特別稅收入濟額ノ豫算超
過額ヲ、此ノ際計上致シタモノデアルトノ
コトデアリマス、本案ニ付キマシテハ、更
ニ祕密會ヲ開會シ、政府ヨリ若干ノ補足的
說明ヲ聽取致シタノデアリマスルガ、其ノ
內容ニ付キマシテハ、遺憾ナガラ玆ニ御披
露申上ゲルノ自由ヲ持チマセヌ、豫算委員
會ニ於キマシテハ、政府ノ說明ヲ聽キマシ
タ結果、本案ハ緊迫セル內外ノ情勢ニ鑑ミ、
其ノ支出ハ頗ル急ヲ要スルモノト認メ、他
ノ豫算案ト切離シテ卽決スルコトトシ、之
ニ對スル質疑ハ省略致シマシテ直チニ討論
ニ入リ、採決ノ結果全會一致ヲ以テ原案ノ通
リ可決致シタ次第デアリマス、右御報〓申
上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=77
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078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ討論ニ入リマ
ス、通〓順ニ依ツテ發言ヲ許シマス-武
知勇記君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=78
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079・武知勇記
○武知勇記君 私ハ翼賛議員同盟ヲ代表致
シマシテ、只今議題トナリマシタ臨第一號
臨時軍事費豫算追加案ニ對シマシテ、贊成
ノ意ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=79
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080・小山松壽
○議長(小山松壽君) 石坂豐一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=80
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081・石坂豐一
○石坂豐一君 簡單デゴザイマスルカラ自
席ヨリ發言致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=81
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082・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=82
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083・石坂豐一
○石坂豐一君 私ハ同交會ヲ代表致シマシ
テ、只今議題ト相成ツテ居リマス臨第一號
臨時軍事費豫算追加案總額ニ對シマシテハ、
委員長報告ノ通リ原案ニ贊成ノ意ヲ表シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=83
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084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 鈴木正吾君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=84
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085・鈴木正吾
○鈴木正吾君 私ハ興亞議員同盟ヲ代表シ
テ、只今議題トナツテ居リマスル臨第一號
臨時軍事費豫算追加案ニ贊成致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=85
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086・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ討論ハ終局致
シマシタ、採決致シマス、本案ノ委員長報
告ハ可決デアリマス、本案ヲ委員長報〓ノ
通リ決スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=86
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087・小山松壽
○議長(小山松壽君) 起立總員、仍テ本案
ハ委員長報告ノ通リ、全會一致可決確定致
シマシタ(拍手)是ニテ議事日程ハ議了致シ
マシタ、明十八日ハ定刻ヨリ本會ヲ開キマ
ス、次會ノ議事日程ハ公報ヲ以テ通知致シ
そく、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後七時十二分散會
衆議院議事速記錄第一號中正誤
頁段行誤正
一三二七碎勵淬礪
四三一八願マヒス願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007713242X00219411117&spkNum=87
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