1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
國民體力法中改正法律案(政)
國民醫療法案(政)
建康保險法中改正法律案(政)
國民健康保險法中改正法律案(政)
戰時災害保護法案(政)
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委員氏名
委員長 公爵 島津忠承君
副委員長 子爵 京極高修君
侯爵 筑波藤磨君
侯爵 久我通顯君
伯爵 副島道正君
子爵 實吉純郎君
子爵 高木正得君
松井茂君
河原田稼吉君
安井英二君
下村宏君
男爵 井上清純君
男爵 高木喜寛君
男爵 山根健男君
中川望君
小坂梅吉君
田部長右衞門君
野田六左衞門君
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昭和十七年二月五日(木曜日)午前十時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=0
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001・島津忠承
○委員長(公爵島津忠承君) ソレデハ是ヨ
リ開會致シマス、先ヅ當局ヨリ御說明ヲ願
ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=1
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002・小泉親彦
○國務大臣(小泉親彥君) 先ヅ最初ニ國民
體力法中改正法律案ニ付キマシテ御說明申
上ゲマス、惟フニ優秀健全ナル國民ノ體力
ハ、國家活動力ノ源泉デアリマシテ、今日
ニ於キマシテ我ガ國民體力ノ增强ト向上ト
ヲ徹底致シマスルコトハ、啻ニ大東亞戰爭
遂行上緊要デアリマスルノミナラズ、我ガ
國民悠久ノ發展ノ根基ヲ培フ所以デゴザイ
マス、國民體力法ハ昭和十五年ニ制定セラ
レマシテ、旣ニ昭和十五年度ニ於キマシテ
ハ十七歲以上十九歲迄ノ男子二百萬人ニ對
シ、昭和十六年度ニ於キマシテハ、十五歲
以上十九歲迄ノ男子三百七十萬人ニ對シマ
シテ、體力檢査ヲ行ヒ、其ノ結果ニ基キ必
要ナル體力向上ニ關スル指導其ノ他ノ措置
ヲ講ズル等、國民體力ノ國家管理ヲ實施致
シタノデアリマス、然ルニ現下ノ情勢ハ、
銃後ノ豫備的兵力竝ニ勞力ノ根本的確保ヲ
圖ルノ必要愈〓切ナルモノガアルノデアリマ
シテ、之ガ對策ト致シマシテハ體力管理
ヲ一層徹底セシムルト共ニ、二十年以上ノ
成年男子ニ對シマシテモ體力管理ヲ實施ス
ルノ必要ガアリマスルノミナラズ、又益〓蔓
延セムトスル結核ノ豫防對策ヲ徹底致シマ
スルト共ニ、一般虚弱者ニ對シマシテハ、
積極的ニ體力ノ增强練成ヲ行フ必要ガアル
ノデアリマス、以下改正法律案ニ付テ、其
ノ改正ノ要旨ヲ申上ゲタイト存ジマス、第
一ニハ、體力檢査ノ方法及內容ニ付キ十分
改善ヲ加ヘルコトト致シタノデアリマス、
例ヘバ其ノ檢査ガ劃一的ニ堕シテ實效ノ擧
ラナイト云フヤウナコトノナイヤウニ致シ
マスル爲ニ、例ヘバ工場、鑛山ノ集團生活
者等ニ對シマシテハ、年一囘ノ檢査ニ限リ
マセズニ、更ニ檢査ヲ實施スルコトト致シ
マスル等、重點的、效果的ニ致シタイト考
ヘテ居リマス、又結核ニ關スル統計ニ依リ
マスルト、男子ニスリマシテハ十五歲ヨリ二
十五歲迄ノ年齡層ノ者ニ最モ結核罹患率ガ
高イノデアリマシテ、現行法ノ如ク被管理
者ノ範圍ヲ未成年者ニ限ッテ居リマスト、結
核對策ノ徹底ヲ期シ得ナイ憾ミガアリマス
ルノデ、被管理者ノ範圍ヲ男子二十五歲迄擴
張スルコトニ致シタノデアリマス、尙被管
理者以外ノ者ニ對シマシテモ、乳幼兒對策、
結核對策等特ニ國民體力ノ向上ヲ圖ル爲必
要アリト認メラレマスル場合ニハ、被管理
者ニ準ジマシテ體力檢査ヲ行フコトト致シ
タノデアリマス、檢査ノ方法、範圍等ニ關
シマシテハ、何レ勅令等ニ規定致スノデア
リマスルガ、其ノ目的、對象等ニ應ジマシ
テ遺憾ナキヤウ十分ノ注意ヲ加ヘル考デア
リマス、第二ニハ、體力手帳ノ內容ヲ充實
シテ、眞ニ國民ノ健康履歷簿タラシメント
スルモノデアリマス、體力手帳ハ從來初メ
テ體力檢査ヲ受ケマシタ時ニ、其ノ結果
ヲ記載シテ交付シ、爾後檢査每ニ其ノ結果
ヲ記載シ、又ハ第十一條ノ指示ヤ第十二條
ノ處置命令、療養ノ指導等ヲ記載シテ、本
人ニ對スル指導ニ資シテ參ッタノデゴザイマ
スルガ、今囘ノ改正ニ依リマシテ、體力手
帳ニハ他ノ法令等ニ依ル身體檢査ヤ健康診
斷等ヲ受ケマシタ場合ニモ、其ノ結果ヲ記
載スルコトト致シタノデアリマス、尙又主
要疾病ニ付キマシテ醫師ノ診斷ヲ受ケマシ
タ場合ニモ同樣ニ致シタノデアリマス、第
三ニハ、國民體力管理醫ハ其ノ職務ノ遂行
ニ當リマシテハ、國民體力ノ向上ニ關スル
國策遂行ニ努ムベキモノナルコトヲ明定シ、
以テ國民保健指導ノ職責遂行ニ遺憾ナカラ
シメムコトヲ期シタノデアリマス、第四ニハ
被管理者ニ對スル體力管理ノ內容ノ徹底ヲ
圖ッタコトデアリマス、卽チ今迄ハ本法ノ體力
檢査ノ結果ニ基イテノミ、體力向上ニ關シ
指示ヲ加ヘ又ハ疾病ノ療養ニ關スル處置ヲ命
令シテ居ッタノデアリマスルガ、今後ハ斯カル
指導ヲ他ノ法令等ニ依リマスル、身體檢査ヤ
健康診斷ノ場合竝ニ結核豫防法其ノ他ノ法
令ニ依リマシテ、醫師ヨリノ結核患者等診
斷ノ屆出ガアリマシタ場合ニモ、必要ニ應
ジ、右ニ述ベマシタ如キ指示ヤ處置ヲ執リ得
ルコトトシ、一層體力管理ノ實ヲ擧ゲムコ
トヲ期シタ次第デアリマス、第五ニハ主
務大臣又ハ地方長官ニ於テ體力檢査ノ結果
ニ鑑ミマシテ、特ニ體力向上ノ爲ニ施設又ハ
處置ヲナサシムル必要アリト認メマスル時
ハ、公共團體、法人又ハ團體ニ對シマシテ
保健指導、保養、虚弱者ノ體力增强ニ關ス
ル施設、榮養又ハ環壓ノ改善等、體力ノ向
上ニ關スル事項ノ指示ヲナスコトヲ得ルコ
トト致シタノデアリマス、之ニ依リマシテ
體力管理ハ單ニ被管理者ニ對シテ個別的ニ
行ブニ止マリマセズ、綜合的ニモ行ヒ得
ルコトヲ明カニ致シタノデアリマス、第六
三、國民體力法ニ規定スル地方長官ノ職
權ハ、其ノ一部ヲ保健所ノ長ヲシテ行ハシ
ムルコトヲ得ルコトニ致シタノデアリマス、
保健所ハ元來地方ニ於キマシテハ、國民保
健上必要ナル指導ヲ行フ爲ニ設ケラレタモ
ノデアリマシテ、國民保健指導ノ中樞機關
デアリマスルカラ、其ノ長ヲシテ地方長官
ノ職權ノ一部ヲ行ハシメルコトハ、地方ノ
實情ニモ卽シ且效果的デアルト考ヘル次第
デゴザイマス、次ニ國民醫療法案ニ付テ御
說明申上ゲマス、先ヅ最初ニ申上ゲマスコ
トハ、現行醫師法及齒科醫師法ハ何レモ之
ヲ本法案中ニ統合致シマシテ、其ノ內容ニ
付キ若干ノ改正ヲ行ヒマスルト共ニ、新
必要ナル事項ヲモ規定シ、且日本醫療團ヲ
設立セムトスル點ガ、國民醫療法案ノ骨子
トナッテ居ルコトデアリマス、以下本法案ノ
内容ニ付キ〓略ノ御說明ヲ申上ゲマス、醫
師及齒科醫師ノ職責ノ重大デアリマスルニ
鑑ミマシテ、其ノ本分ヲ法律中ニ明カナラ
シメマスコトハ其ノ責任ノ重キヲ一層自
覺セシムルコトトナリ、醫道ノ振作ニ資ス
ル所少カラザルモノアリト考ヘラレマスル
ノデ、先ヅ其ノ規定ヲ設クルコトト致シマ
シタ、次ニ醫師及齒科醫師ハ自由ニ病院、診
療所及產院ノ開設ヲナシ得ル現行法ヲ改メ
マシテ、病院等ノ開設ニ當リマシテハ何人
ト雖モ許可ヲ受ケシムルノ制度ヲ採用スル
コトト致シマシタコトハ、初メテ醫療關係
者トナリタル者ニ付キ、二年ヲ限度トシテ
勤務ノ指定ヲナシ得ルノ途ヲ開クコトト共
ニ、醫療施設ノ適正ナル配置ヲ行フ爲極メ
テ肝要ト認メマシテ、ソレ〓〓其ノ規定ヲ
置クコトト致シマシタ
次ニ醫師其ノ他ノ醫療關係者ニ對シ、醫
療及保健指導ヲ行ヒマスル上ニ必要ナル事
項ノ修習ヲナサシメ得ルノ途ヲ開キマスル
コトハ、是等ノ者ニ對シマシテ、其ノ職責
ノ實施ニ關シ必要ナル指示ヲナシ得ルノ途
ヲ開クコトト相竝ンデ、之ニ依リマシテ醫
療ノ向上ト適正トヲ期セムトスルノ趣旨ニ
出デタルモノデアリマス、又現行ノ專門科
名制度ヲ改メマシテ、之ヲ診療科名ト專門
科名トニ分チマシテ、診療科名ニ付キマシ
テハ自由標榜制度ト致シマスルガ、專門科
名ノ標榜ニ付キマシテハ許可ヲ受ケシムル
コトト致シマスコトハ學位ノ廣告ヲ禁止
セムトスル規定トモ照應致シマシテ、將來
醫術ノ〓究ト向上トヲ期スル爲必要ナルコ
トト考ヘタ次第デアリマス、醫療報酬及醫
療關係者ノ給與ニ付キ其ノ甚ダシク不當ナ
ル場合、之ガ抑制ノ爲必要ナル方策ヲ講ジ
得ベキ規定ヲ設ケマシテ、又醫事ニ關シ不
正ノ行爲アリタル者ニ對シマシテハ、免許
ヲ行ハザルコトアルベキ旨ノ規定及醫師ノ
品位ヲ損ズルノ行爲アリタル者ニ對シマシ
テハ、醫業停止其ノ他ノ行政處分ヲ行フコ
トアルベキ旨ノ規定ヲ設ケマシタノハ、何
レモ之ニ依リマシテ一段ト醫道ノ刷新〓揚
ヲ圖ラムトスルノ趣旨ニ出デタルモノニ外
ナラナイノデアリマス、尙醫師會及齒科醫
師會ニ對シマシテ、將來一層其ノ公正ナル
活動ヲ期待致シマスル爲ニハ此ノ際之ヲ
改組スルノ必要アルヲ認メマシテ、其ノ使
命會員ノ範圍其ノ他ニ付キマシテ必要ナ
ル政正ヲ行フコトト致シマシタ、最後ニ日
本醫療團ニ付キ御說明申上ゲマス、國民ニ
醫療ヲ普及セシメ、且ツ其ノ內容ノ向上ヲ
圖リマスコトハ、結核對策ノ急速ナル徹底ヲ
期スルコトト共ニ、大東亞戰爭ノ完遂上喫緊
ノ要務ト考ヘマシテ、政府ハ之ガ對策ト致
シマシテ新タニ日本醫療團ヲ設立スルコト
ト致シタノデアリマス、日本醫療團ハ政府
ノ出資ヲ根幹トスル特別法人デアリマシテ、
其ノ業務ト致シマシテハ病院、診療所及產
院ノ經營、醫療關係者ノ指導及鍊成竝ニ是
等ノ業務ニ附帶スル事業ヲ主タルモノト致
シ、尙必要アル場合ニハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ、ソレ等以外ノ業務ヲモ行ヒ得ルコト
ト致シテ居リマス、本團ニ對シテハ、政府
ニ於キマシテ五箇年間ニ一億圓ノ資本金ヲ
出資スルコトト致シ、日本醫療團ニ於キマ
シテモ政府出資金額ノ五倍ヲ限リ醫療債劵
ヲ發行シ得ルコトト致シマシタガ、政府ト
致シマシテハ、醫療債劵ノ元利支拂ヲ保證
スル外、本團ノ事業ニ對シマシテ每年度豫
算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付スルコトト
致シテ居リマス、其ノ他日本醫療團ノ役員、
課稅上其ノ他ノ特典、特權、監督等ノ規定
ニ付キマシテハ、大體ニ於キマシテ政府出
資ニ依ル法人ノ前例ト著シキ差異ヲ設ケテ
居リマセヌノデ、其ノ說明ヲ省略致シタイ
ト存ジマス、次ニ健康保險法中改正法律案
ニ付キマシテ其ノ改正ノ要旨ヲ御說明申上
ゲマスルト次ノ數點デゴザイマス、第一ハ
健康保險法ト職員健康保險法ノ統合ヲ致シ
マシテ、且ツ健康保險法中關係規定ヲ整備
改正致サムトスルモノデゴザイマス、之二
依リマシテ一面事務ノ簡捷、關係者ノ利便
ヲ圖リマスルト共ニ、他面保險經濟、給付
能力ノ强化ヲ企圖スルコトト致シテ居ルノ
デアリマス、第二ニハ、被保險者ノ範圍ノ擴
張ヲ行ハムトスルモノデアリマス、先ヅ年
收千二百圓以上ノ職員ハ現在被保險者ト
ナッテ居リマセヌガ、之ヲ年收千八百圓迄ノ
職員ヲモ被保險者タルコトト致シ、尙年收千
八百圓以上ノ職員ニ付キマシテモ、被保險
者タリ得ルノ途ヲ開クコトト致シテ居リマ
ス、又現在ハ事務所、商店等ニ付キマシテ
ハ常時十人以上ヲ使用スル場合法ノ適用
ガアルノデゴザイマスルガ、常時五人以上
使用スルモノニ適用スルコトト致サムトス
ルノデアリマス、第三ハ保險給付ノ整備擴
充デアリマス、先ヅ分娩費ノ支給額ヲ增加
致シマスルト共ニ、結核性疾病ニ對スル延
長給付竝ニ被保險者ノ家族ニ對スル給付ハ、
從來任意給付トナッテ居リマシタノヲ、法定
給付ニナシマスルト共ニ、更ニ其ノ內容ヲ
充實スルコトト致シテ居リマス、尙ホ從來
職員健康保險法ニ於キマシテハ、被保險者
ノ療養ニ要スル費用ニ付キマシテ一部負擔
制度ヲ採用致シテ居リマシタガ、今囘ノ改
正ニ當リマシテ、原則トシテ此ノ制度ヲ
採用致スコトトシタノデアリマス、之三
依リマシテ受診手續ノ單一簡捷化、受診上
ノ弊害ヲ防止シ、醫療內容ノ向上充實ヲ圖
リタイト存ズル次第デゴザイマス、次ニ保
健醫ノ制度ヲ强化致シマシテ、行政官廳ニ
於テ一般醫師、齒科醫師、藥劑師ニ付キ保
險醫、保險藥劑師タルコトヲ指定スルコト
ト致シ、且ツ正當ノ事由ナクシテハ保險醫
タルコトヲ拒ミ得ザルコトト致シ、又是等
ノ保險醫ガ保險者ニ請求スル診療報酬ノ額
ハ關係者ノ意見ヲ聞キ主務大臣之ヲ定ム
ルコトト致シマシタ、之ニ依リマシテ醫療
組織ノ整備充實及醫療費ノ適正ト其ノ統一
ヲ圖ラムトスルモノデゴザイマス、第四ハ
健康保險組合聯合會デアリマスガ、新タニ
本制度ヲ法律上認メ、個々ノ健康保險組合
ニ依リ達成シ難キ各種ノ保健施設等ヲ聯合
會ノ力ニ依リ達成セムトスルモノデアリ
マス、次ニ國民健康保險法中改正法律案ニ
付テ、其ノ改正要點ヲ御說明申上ゲマス、
第一ハ、從來普通國民健康保險組合ノ設立
ハ任意デアリマシタモノヲ、必要ト認
メマスル場合ニハ其ノ設立ヲ强制シ得
ルコトト致シタコトデアリマス、第二ハ、
組合ノ充實强化ヲ圖リマスル爲、組合ニ對
スル加入强制ノ規定ヲ强化致シタコトデア
リマス、第三ハ保險醫、保險藥劑師ニ關ス
ル規定ヲ新タニ設ケマシテ、制度ノ整備强
化其ノ他ニ關シマシテ、健康保險法ト同樣
ノ改正ヲ致シタコトデアリマス、第四ハ、
組合ノ事業ヲ代行スベキ法人ハ、從來營利
ヲ目的トセザル社團法人ニシテ、其ノ社員
ノ爲ニ醫療ニ關スル施設ヲナスモノニ限ッ
テ居ッタノデアリマスルガ、之ヲ改正致シマ
シテ、營利ヲ目的トセザル社團法人ナラバ
必ズシモ醫療ニ關スル施設ヲナスモノニ限
定セザルコトニ致シタノデアリマス、以上
今囘ノ改正ノ要點ヲ申上ゲタノデアリマス
ガ、此ノ兩改正ニ依リマシテ、勤勞者及其
ノ家族ヲ對象ト致シマシテハ、健康保險制
度ヲ普及シ、農山漁村民其ノ他一般國民ヲ
對象ト致シマシテハ、國民健康保險制度ヲ
普及强化致シマシテ、以テ國民ノ大部分ヲ
保險制度ノ恩澤ニ均霑セシメマスルト共
二、社會保險ニ於ケル醫療其ノ他ノ給付內
容ノ向上充實ヲ圖リタイト存ズルノデアリ
マス、最後ニ戰時災害保護法案ニ付テ御說
明申上ゲマス、今後戰局ノ推移ニ伴ヒマシ
テ、敵國航空機ノ來襲、其ノ他ノ方法ニ依
ル攻撃ヲ受ケマシタル場合、之ニ依ッテ危害
ヲ受ケマシタル者ヲ保護シ、戰時災害ニ對
シ何等ノ不安ヲモナカラシメ、民心ノ安定
ヲ圖ルコトハ極メテ肝要ト存ズルノデゴザ
イマス、然ルニ我ガ國ノ罹災救助ニ關スル
現行制度ヲ以テシテハ、戰時災害ニ對スル
保護ノ完璧ヲ期シマスルコトハ甚ダ困難デ
アリマスルノデ、玆ニ戰時災害ノ保護ニ關
スル法律ヲ制定スルコトトシ、本案ヲ提出
スルニ至ッタ次第デアリマス、本法案ハ戰時
災害ニ因リ危害ヲ受ケマシタル者竝其ノ家
族及遺族ニシテ帝國臣民タル者ヲ、應急的
又ハ一定期間保護スルト共ニ戰時災害ニ因
リ身體財產ニ危害ヲ受ケマシタル場合ニ給
與金ヲ支給スルコトヲ目的トスルモノデ〓ア
リマシテ、今其ノ保護ノ內容ヲ簡單ニ御說
明申上ゲマスルト次ノ通リデゴザイマス、
第一ニハ罹災者ノ應急救助デアリマスガ、
是ハ災害ニ罹リ現ニ應急救助ヲ必要トスル
者ニ對シテナスモノデアリマシテ、其ノ種
類ハ收容施設ノ供與、焚出其ノ他ニ依ル食
品ノ給與、被服、寢具其ノ他生活必需品ノ
給與及貸與、醫療及助產、學用品ノ給與、
埋葬其ノ他地方長官ニ於テ必要ト認ムルモ
ノデアリマス、此ノ救助ヲ行フ爲ニハ地方
長官ハ一定ノ者ヲシテ救助ノ實施ニ從事セ
シメ要救助者ヲシテ救助ノ實施ニ協力セシ
メ又ハ必要ナル施設ノ管理、土地又ハ家屋
ノ使用、物資ノ使用若クハ收用ヲナシ、
又ハ物資ヲ保管セシムルコトヲ得ルモノト
致シ、且ツ是等ニ關シ實費ノ辨償又ハ損失
補償ヲナシ、尙救助ノ實施ニ從事又ハ協力
スル者ガ之ガ爲メ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リ又
ハ死亡シマシタル場合ニ於テ扶助金ヲ給ス
ル等ノ措置ヲ講ズルコトト致シテ居リマ
ス、第二ニハ生活困難者ニ對スル扶助デ
アリマスガ、是ハ災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ疾
病ニ罹リタル者、災害ニ因ル傷痍又ハ疾病ノ
治癒シタル場合ニ於テ尙身體ニ著シキ障害
ヲ存スル者、是等ノ者ノ配偶者、直系卑族又
ハ直系尊族竝ニ災害ニ因リ死亡シタル者ノ
配偶者直系卑族又ハ直系尊族ニ對シテナス
モノデアリマス、扶助ノ種類ハ、生活扶
助、療養扶助、出產扶助及生業扶助ノ四種
デアリマシテ、其ノ扶助ヲナス期間ハ、
危害ヲ受ケマシタル時ヨリ一定ノ期間內ト
シ、又扶助ヲ受クル者ガ死亡シタル場合ハ
埋葬ヲ行ヒ、又ハ埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋葬費
ヲ給スルコトトシタノデアリマス、第三ニ
ハ、災害ヲ受ケマシタ者ニ對スル給與金ノ
支給デアリマスガ、是ハ戰時災害ニ因ル死
亡者ノ遺族ニ對シ死亡給與金ヲ、又傷痍若
クハ疾病ニ罹リ之ガ爲メ身體ニ著シキ障害
ヲ存スル者ニ付キマシテハ障害給與金ヲ支
給シ、更ニ災害ニ因リ住宅又ハ家財ヲ滅失、
又ハ損失シタル者ニ對シマシテハ、其ノ更
生ヲ便ナラシムル爲給與金ヲ支給スルモノ
デアリマス、尙業務ノ性質上、災害ニ因ル
危險ヲ顧ミルコト能ハズシテ業務ニ從事ス
ルコトヲ要スル者ガ、其ノ業務ニ從事中災
害ニ因リ傷痍ヲ受ケ、若クハ疾病ニ罹リ、
又ハ死亡致シマシタル場合ハ、本人又ハ其
ノ遺族ニ對シマシテ一般ノ場合ヨリ程度ヲ
高メテ給スル考デアリマス、右ハ本法案ニ
依ル保護ノ內容ヲ簡單ニ申上ゲタノデアリ
マスルガ、是等ノ保護ハ何レモ戰時下ニ於
ケル生活ノ不安ヲ除キ、民心ノ安定ヲ圖ル
爲極メテ必要ナルモノト考ヘルノデアリマ
ス、其ノ他本法ニ依ル保護ハ貧困ノ爲ニス
ル公費ノ救助又ハ扶助ニアラザルコト、本
法ニ依ル給與ノ金品ヲ標準トシテ租稅其ノ
他ノ公課ヲ課セズ、若クハ差押フルコトヲ
得ザルコト等ノ規定ヲ設ケタノデアリマス、
以上五件ノ法律案ニ付キ御說明申上ゲタノ
デゴザイマスガ、何卒御審議ノ上速カニ御
協賛アラムコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=2
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003・島津忠承
○委員長(公爵島津忠承君) 御質疑ハ次囘
ヨリ願フコトト致シタイト存ジマス、尙參
考資料等、御要求ガアリマスナラバ此ノ際
御申出ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=3
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004・河原田稼吉
○河原田稼吉君 序ニ參考資料ヲ御願ヒシ
テ置キマス、此ノ日本醫療團ハ、ドウセ之
ガ出來レバ早速事業ヲ御始メニナルダラウ
ト思ヒマスガ、取敢ズノ御計畫ハドウ云
フ風ノ豫算デ、ソレカラドレダケノモノヲ
新設シ、ドウ云フモノヲ統合スルカ、其ノ
大體ノ御見込デスネ、サウ云フモノガ出來
テ居レバ頂戴シタラ宜イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=4
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005・下村宏
○下村宏君 序ニ御願ヒシタイノハ、醫療
債劵ノ規定案ニ關聯シテ、外國デハ結核ト
カ其ノ他斯ウ云フ社會事業ノ時ノ資金ヲ得
ル爲ニ、例ノ富籤ノ債券ヲ大〓ノ國ハ許シ
テ居ルヤウニ思フ、「イギリス」ノヤウナ最モ
サウ云フコトヲヤラヌ國デモ、赤十字トカ
斯ウ云フ仕事ノ爲ニハ、其ノ資金ヲ寄附ス
ル積リデ富籖見タイナ制度ヲヤッテ居リマ
ス、私共古イコトヲ知ッテ居ルノデアリマス
ガ、近頃ドウ云フコトニナッテ居リマスカ、
若シ各國ノサウ云フ實例ノ御調ガアッタラ
頂戴シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=5
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006・小坂梅吉
○小坂梅吉君 私モ一ツ參考書類ノ提出ヲ
求メマス、此ノ團ト自治團體トノ關係デス
ネ、團ノ產院ダトカ診療所ダトカ、結核ノ
療養所ダトカ、色々ナモノガアリマスガ、
東京市ガ御承知ノ通リ永年努力シテ來タ種
種ナ療養所若クハ病院、產院等ノ經營施設
ト、今度ノ團トドウ云フ關係ガアルカト云
フコトヲ、具體的ニ一ツ御示ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=6
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007・松井茂
○松井茂君 此ノ防空ノ問題ノ時ニ、避難
ノヤウナ場合ガアリマシタ時ニ住宅ガ非常
ニ困ルノデアリマス、サウ云フ場合ニ善處
スルヤウニ應急的ニ、例ヘバ組立ノ家屋ノ
設備ヲスルトカ云ッタヤウナ、病人トカ老人
トカト云フヤウナモノヲ臨機應變ニヤルヤ
ウナ時ノ用意、サウ云フ御取調ヤ御計畫ガ
出來テ居レバ御調ヲ願ッテ材料ヲ戴キタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=7
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008・島津忠承
○員員長(公爵島津忠承君) ソレデハ本日
ハ是ニテ散會致シマス、明日ハ午前十時ヨ
リ開會致シマス
午前十時四十六分散會
出席者左ノ如シ
委員長公爵島津忠承君
副委員長子爵京極高修君
委員
侯爵筑波藤麿君
子爵實吉純郞君
子爵高木正得君
松井茂君
河原田稼吉君
安井英二君
下村宏君
男爵井上〓純君
男爵高木喜寛君
男爵山根健男君
中川望君
小坂梅吉君
田部長右衞門君
國務大臣
厚生大臣小泉親彥君
政府委員
厚生次官武井群嗣君
厚生省人口局長中村敬之進君
厚生省衞生局長加藤於莵丸君
厚生省豫防局長高野六郞君
厚生省生活局長川村秀文君
厚生省勞働局長持永義夫君
厚生書記官吉富滋君
同高橋敏雄君
保險院長官樋貝詮三君
保險院社會保險局長木村〓司君
保險院簡易保險局長前田穰君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901040X00119420205&spkNum=8
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