1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年二月七日(土曜日)午前十時八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=0
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001・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) ソレデハ是カ
ラ委員會ヲ開會致シマス、今朝ハ大藏大臣
ハ御差支デアルサウデスカラ、昨日ノ續キ
ヲ政府委員カラ一ツ御說明ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=1
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002・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 昨日大河內子爵
カラ御話ノアリマシタ衆議院ノ委員會ニ於
キマスル質疑ノ主ナルモノニ付テ話ヲセ
ヨト、斯ウ云フコトデゴザイマスガ、衆議院
ニ於キマスル論議ハ相當多岐ニ亙ッテ居リ
マシタノデ、一々御紹介申上ゲルコトハ非
常ニ煩雜ニナリマスルノデ、其ノ中カラ重
立ッタモノニ付キマシテ質疑ノ要點ト、ソレ
ニ對スル大體ノ政府ノ說明トヲ申上ゲマシ
テ、御參考ニ供シタイト思フノデアリマス、
先ヅ一般的ノ問題トシテドウ云フ點ガ問題
ニナッタカト申シマスルト、其ノ第一點ト致
シマシテハ、政府ハ最近第七十七囘帝國議
會ニ於テ間接稅ヲ中心トスル增徵ヲ行ッタ、
尙今議會ニ直接稅ヲ中心トスル增徵案ヲ提
案シテ居ルノデアルケレドモ、是等ハ何レ
モ最近ニ於ケル戰費ノ增大ニ對應シテ、國
庫收入ノ增加ヲ圖ルモノデアルケレドモ、
戰費ノ支辨ハ公債ト租稅トニ依ッテ賄ハレ
ルモノデアルト思フガ、租稅ト公債トノ割
合ニ付テハドノ程度ヲ適當トスルカ、斯ウ
云フ質問ガアッタノデアリマス、之ニ對シマ
シテ政府ハ、租稅ト公債トヲ如何ナル割合
ニ按配シテ戰時財政ヲ賄フベキカト云フコ
トニ付テハ、最初カラ目標ヲ立テルコトハ
困難デアリ且適當デナイ、大體租稅ハ國民
經濟ニ支障ヲ及サズ、又國民ノ擔稅力ヲ考
慮シテ、出來得ル限リ多額ニ增徵スルコト
ヲ考ヘルノデアッテ、結果的ニ見テ租稅ト公
債トノ割合ト云フモノガドウ云フ比率ニナ
ルカト云フコトガ出テ參ルノデアルガ、最初
カラ割合ノミ定メテ、租稅ヲ歲出ノ何「パ
セント」迄增徵セネバナラヌト云フヤウ
ナ行キ方ハ執リタクナイト、斯ウ云フヤウ
ナ說明デゴザイマシタ、米、英獨等ノ戰爭ヲ
致シテ居リマスル國々ニ於キマシテハ、歲
出ノ四十「パーセント」程度ヲ租稅ニ依ッテ
賄ッテ居ルヤウナ所モゴザイマスルガ、之ヲ
日本ニモ當嵌メマシテ、日本モ其ノ程度迄
租稅ヲ以テ歲出ヲ賄フノガ適當デハナイカ
ト云フヤウナ說モアッタノデアリマスルガ、
サウ云フ比率ヲ定メテ增稅ヲスルト云フコ
トハ適當デナイ、斯ウ云フコトデアリマシタ、
ソレナラバ結果的ニ見テ、ドノ程度迄租稅
ガ歲出ニ對シテ割合ヲ占メルコトニナッタ
カト云フコトニ付キマシテハ、大體今囘ノ
增稅後ニ於テハ租稅及租稅的收入ハ、般
會計及臨時軍事費會計ヲ合セマシタ二百四
十三億圓餘ニ對シマシテ、三十「パーセン
ト」弱ノ程度迄參ッテ居ル、斯ウ云フ說明デ
ゴザイマシタ、次ニ最近數次ノ增稅、殊
今囘ノ增稅ニ依リマシテ國民負擔ハ相當增
加シタト認メラレルノデアルガ、今後尙增
稅ノ餘地ガアルカト、斯ウ云フ質問ガゴザ
イマシタ、今囘ノ增徵ハ平年度化致シマス
ルト十一億五千五百餘萬圓、ソレニ第七十
七囘帝國議會ノ協賛ヲ經マシタ間接稅ヲ中
心ト致シマス六億三千五百餘萬圓ヲ加ヘマ
スルト、其ノ金額ハ相當巨額ノ金額ニ達ス
ルノデアリマスルガ、政府ノ觀ル所ト致シ
マシテハ、之ヲ以テ增徵ノ極致ニ達シタノ
デアッテ、今後增徵ノ餘地ノナイト云フ風ニ
ハ認メテ居ラヌ、我ガ國ノ國力ノ增進ニ
從ッテ國富モ殖エマスレバ、國民所得モ增ス
コトガ考ヘラレマスノデ、旁〓以テ今後尙或
程度ノ增徵ノ餘地ガアリ、財政需要ノ如何
ニ依ッテハ、今後ニ於テ更ニ增徵ヲ圖ルコト
ガアル、斯ウ云フヤウナ趣旨ノ答辯デゴザ
イマシタ、其ノ次ハ將來ニ於ケル增稅ニ當
リマシテハ、租稅體系ヲドウスルカ、現行ノ
租稅體系ノ下ニ於テ尙增徵ヲ行フコトガ出
來ルカト云フ趣旨ノ質問デアリマシタ、之
ニ對シマシテ政府ハ昭和十五年ニ稅制ノ根
本的改正ヲ行ッテ、此ノ新シイ稅制ハ相當
ノ彈力性ヲ持ッテ居ルカラ、直チニ稅制ノ根
本的改正ヲ行ハナクテモ、現行租稅體系ノ
下ニ於キマシテモ、今後或程度ノ增徵ヲ爲
スコトハ可能デアルト思フ、併シ增徵ヲ重
ネルニ於テハ現行租稅體系ヲ變ヘルト云フ
コトモ考慮シナゲレバナラナイト思ハレル
カラシテ、其ノ點ニ付テハ〓究ヲ致ス見込
デアルト、斯ウ云フ趣旨デゴザイマシタ、
次ニ租稅體系ノ變更ノ問題ト絡ミマシテ、
賣上稅ヲ創設スル意思ハナイカ、財產稅ヲ
創設スル意思ハナイカト云フ御質問ガゴザ
イマシタ、賣上稅ニ付キマシテハ、收入ヲ
相當多額ニ上ゲ得ルト云フ長所ハアルケレ
ドモ、物價關係其ノ他ニ及シマスル影響モ
相當考慮ヲ要スルモノガアルノデアリマス
カラ、今後愼重ニ〓究ヲ續ケタイト、斯ウ
云フ趣旨ノ答辯ガアリマシタ、次ニ財產稅
ニ付キマシテハ、財產稅ハ兎角不動產重課
ニ陷リ易イ傾向ガアルカラシテ、之ヲ創設
スルカドウカト云フコトニ付テハ、今後ニ
於テ愼重考慮ヲ要スル問題デアル、斯ウ云
フヤウナ趣旨ノ答辯ガアッタノデアリマス、
ソレカラ財產增價稅ヲ創設スル意思ハナイ
カト、斯ウ云フヤウナ御質問モゴザイマシ
夕、財產增價稅ト申シマスルノハ、財產ノ
値上リニ對スル課稅デアリマスガ、財產ヲ
處分ヲ致シマシタ際デアリマスルト云フト、
價額ノ增加ガハッキリ摑メルノデアリマス
ガ、處分ハシナイデ、持ッテ居ル財產ノ値上
リヲ捉ヘテ課稅スルト云フコトハ技術的ニ
相當困難デアルカラ、之ガ採用ハ俄ニ贊意
ヲ表シ難イ、斯ウ云フヤウナ趣旨ノ答辯デ
ゴザイマシタ、ソレカラ今囘ノ增稅ハ臨時
的デアッテ、戰後輕減サレルモノデアルカド
ウカ、斯ウ云フ趣旨ノ質問ガゴザイマシタ、
之ニ對シマスル政府ノ答辯ハ、大東亞戰爭
ハ相當長期ニ亙ル見込デアル、而モ戰後ニ
於キマシテモ、大東亞共榮圈ノ建設ニ必要
ナル軍備ノ充實其ノ他ノ爲ニ、相當多額ノ
經費ヲ要スル期間ガ長ク續クノデアルカラ
シテ、今後當分減稅ヲスル餘地ハナイヤウ
ニ思ハレル、斯ウ云フ答辯デゴザイマシタ、
次ニ今囘ノ改正案ニ於キマシテハ、種々ノ
政策ヲ取入レラレタ爲ニ、却テ昭和十五年
ノ稅制改正ノ目標デアル所ノ稅制ノ簡易化
ニ反スル所ガナイカト、斯ウ云フ質問ガゴ
ザイマシタ、ソレニ對シマシテハ、稅制ノ簡易
化ノ點カラ言フト云フト、各種ノ政策ヲ織リ
込ンダ爲ニ稅制ヲ複雜化シタ點ハ遺憾トス
ル所デアリマスケレドモ、先般發表ニナリ
マシタ財政金融基本方策要綱ニ於キマシテ
モ、稅制ハ各種ノ經濟諸政策ト步調ヲ執ル
ベキデアル、斯ウ云フヤウナ點モ決メラレ
タ關係上、貯蓄ノ增强、生產力ノ擴充、產
業ノ再編成其ノ他人口政策等、各種ノ經濟
政策ニ步調ヲ合セル爲ニ、必要ナル稅法ノ
改正ヲ行フコトニナッタノデ、稍〓複雜シタ結
果ニナッタ次第デアルト、斯ウ云フ說明デゴ
ザイマシタ、次ニ戰時ニ於ケル稅制トシテ
ハ必ズシモ負擔衡平ノ原則ノミニ囚ハレル
コトナク、租稅ノ普遍化ニ付テ考慮スルヲ
適當ト認メルカドウカト、斯ウ云フ御質問
デゴザイマシタ、廣ク國民ニ租稅ヲ負擔セ
シメルト云フコトハ、戰時下ノ租稅政策ト
シテハ趣旨ハ全ク同感デアルカラシテ〓究
ヲシテ見タイ、斯ウ云フ答辯デアリマシタ、
次ニ戰時ニ於キマシテハ多額ノ戰費ヲ租稅
ニ依ッテ調達スル關係上、間接稅若シクハ流
通稅ノ各種ニ付テ十分〓究スルヲ要スルモ
ノト認メラレル直接稅ノ增徵ハ固ヨリ必
要デアルケレドモ、直接稅以外ニ間接稅、
流通稅ニ於テ出來ルダケノ增徵ヲ計畫シテ
ハ如何ト云フ趣旨ノ質問デアリマス、之
ニ對シマシテハ、政府ハ趣旨ヲ體シテ今後
トモ十分ニ〓究ヲスル考デアル、斯ウ云フ
ヤウナ說明デゴザイマシタ、次ニ各稅
ニ入リマシテ、御說明ヲ申上ゲタイト思
ヒマス、第一ハ所得稅デアリマス、所得稅
中分類所得稅ニ付キマシテハ、不動產所得
ノ稅率ヲ百分ノ十六ト致シマシテ、分類
所得稅中最高稅率ト致シタノデアリマスガ、
其ノ理由ハ何處ニアルカト云フ質問デアリ
マス、之ニ對シマスル政府ノ答辯ハ、不動
產所得ハ配當利子所得ト竝ンデ資產所得デ
アル、從ヒマシテ勤勞所得ヨリモ重ク、又
事業所得ヨリモ重ク稅率ヲ盛ルノガ負擔ノ
均衡上當然ト思ハレル、而モ從來ハ配當利
子所得ト資產所得トハ同ジ稅率デ來タノデ
アルケレドモ、今囘ハ國民ノ投資サレル對
象ガ配當利子所得ヲ產ミ出ス基本ノ方ニ向
フ方ガ望マシイカ、不動產所得ヲ產ミ出ス
方ニ向フ方ガ望マシイカト申シマスレバ、
資金ノ蓄積ガ公債、社債、預金若シクハ必
要ナル生產力擴充等ノ株式ニ向ケラレルコ
トヲ望マシイトスル所カラ、配當利子所得
ニ比シテ百分ノ一ダケ不動產所得ノ稅率ヲ
高メタ次第デアルト云フヤウナ趣旨ノ說明
デアリマシタ、次ニ不動產所得ノ免稅點百
五十圓ハ低キニ失セズヤ、斯ウ云フコトデ
アリマシタ、是ハ不動產所得ニ付テハ免稅
點二百五十圓ヲ百五十圓ニ下ゲタノデアリ
マスガ、今囘所得稅法ヲ改正致シマシテ、
勤勞所得、事業所得等ニ付キマシテハ基礎
控除額ヲ引下ゲ、ソレ等ト權衡ヲ採リマシ
テ、不動產所得ニ付キマシテハ、免稅點ヲ
引下ゲマシテ、廣ク國民ヲシテ所得稅ヲ納
メテ戴ク、換言致シマスレバ、所得稅ヲ出
來ルダケ國民稅化スルト云フ趣旨ノ下ニ改
正ヲ行ッタノデアリマス、不動產所得ノ免稅
點百五十圓ト云フモノハ、見方ニ依レバ低
イノデアリマスガ、是ハ資產所得ニ付テハ
免稅點ヲ無クシテ課稅スルト云フコトモ成
立ツノデアリマスガ、課稅技術上餘リ小サ
イ所得ヲ漁ルト云フノモ如何カト云フ趣旨
ノ下ニ免稅點ヲ置イタノデアリマス、此ノ
程度ノ免稅點デアリマスト、獨身者ニハ或
程度ノ負擔ガ增加スルコトニナリマスケレ
ドモ、一方家族ノ多イ者ニ付キマシテハ、
扶養家族ノ控除ニ付テ擴充スルコトヲ圖リ
マシタ關係上負擔ハ大シテ增サナイ、斯ウ
云フ說明デゴザイマス、次ニ株式所得ノ負
擔ガ相當增加セラレル結果、生產力擴充ニ
支障ガナイカ、斯ウ云フ點ハ熱心ニ質問ガ
ゴザイマシタ、政府ハ生產力擴充ニ支障ナ
カラシムル爲ニハ各種ノ方策ヲ講ジタ次第
デアッテ、例ヘテ申シマスレバ、法人ガ留保
所得ヲ以チマシテ時局產業ノ設備擴張ニ充
テマスル場合ノ法人稅ノ輕減ノ範圍ヲ擴大
致シマシタ、又時局產業ヲ營ミマスル會社
ガ、新規拂込ノ徵收ガ出來ナイト云フヤウ
ナ事情ガアッテハ困リマスノデ、是等ノ會社
ニ於キマシテ、配當率一定以下ノ場合ニ於
キマスル新規拂込株式ニ對スル配當金ニ對
シテハ、分類所得稅ノ輕減ヲ致スコトニ致
シテ居リマス、其ノ他株式ノ配當所得ニ對
シマシテ綜合課稅ヲ行ヒマスル際ニ、分類
所得稅ヲ課スル際輕減シテ置キマシタ稅金
ヲ加算スルコトニナッテ居リマスル現在ノ
制度ニ改正ヲ加ヘマシテ、加算ヲ廢止スル
ト云フコトニ致ス等、各種ノ方策ヲ講ジテ
居ルト云フ說明ヲ致シタノデアリマス、次
ニ今囘ノ增稅ニ依リマシテ預金、貯金ノ減
少ヲ來タス虞ハナイカ、斯ウ云フ質問デゴ
ザイマス、今囘分類所得稅ノ增徵ヲ圖リマ
シタノデ、預金、貯金等ノ利子ニ對スル分
類所得稅モ、百分ノ十カラ百分ノ十五ニ上ッ
タノハ是ハ巳ム得ザルニ出デタ所デアル
ガ、一方貯蓄ノ增强ガ時局下ニ於テ最モ大
切ナ點デアルコトヲ考慮致シマシテ、貯蓄
ノ增强ニ資スル方策ヲ講ジツヽアル、卽チ
長期預金ニ對シマシテハ稅率ヲ百分ノ一
乃至百分ノ五輕減スル措置ヲ講ジテ居リマ
ス、又銀行貯蓄預金等ノ免稅ノ範圍ハ現
在三千圓デアリマスノヲ五千圓ニ引上ゲテ
居リマス、一方貯蓄組合法ノ改正ニ依リマ
シテ、貯蓄組合ヲ通ジテ致シマスル預金、
貯金等ノ免稅點ノ範圍ヲ引上ゲマシタ、是
等ノ方策ニ依リマシテ大體預貯金ノ減少
ヲ來ス虞ハナイモノト認メラレル、斯ウ云
フ說明デアリマシタ、次ニ株式ノ實物賣買
ニ依ル所得ニ課稅シナイノハドウ云フ理
由カト云フ質問ガゴザイマシタ、是ハ
今囘新タニ株式ノ〓算取引所得ニ對シマシ
テ課稅スルコトニ致シタノデアリマス、株
式ノ〓算取引ニ依リマス所得ニ對シテハ、
從來常業トシテ營ンデ居リマス者ニ對シテ
ハ課稅致シマシタガ、其ノ他ノ者ニ對シテ
ハ課稅ヲ致シテ居ラナカッタノデアリマス、
此ノ種ノ所得ニ對シマシテモ相當擔稅力ガ
認メラレマスノト、又一方過當投機ヲ抑制
致シマスニ資スル等ノ見地カラ致シマシテ、
今囘〓算取引所得ニハ課稅スルコトニ致シ
タノデアリマスガ、株式ノ實物賣買ノ方ハ
〓シテ堅實ナ投資ト認メラレマスシ、又課
稅技術上カラモ實物賣買ニ對シマスル課稅
ハ實物市場ニ於テ行ハレマスモノハ比較
的捕捉ガ容易デアリマスケレドモ、店頭賣
買若シクハ個人間ノ賣買ニ至リマスト捕捉
困難デアッテ、課稅技術上困難ヲ感ジマスカ
ラ、暫ク實物ノ課稅ハ見送ルコトニ致シタ、
斯ウ云フ說明デアリマシタ、次ニ綜合所得
稅ニ付テノ質問デアリマスガ、綜合所得稅
ニ付テハ、所得稅法第三十三條第三項及第
四項ヲ廢止シタ理由ハ何處ニアルカ、斯ウ
云フ質問デアリマシタ、是ハ先程モチヨツ
ト申上ゲマシタガ、現在株式ニ對シマスル
課稅ハ、分類所得稅ヲ課シマスル際ニ、配
當金ノ一割ヲ控除シテ稅率ヲ適用致シテ居
リマス、從ヒマシテ、結果的ニ申シマスト、
配當金ノ百分ノ一ニ相當スル稅ガ輕減サレ
テ居ルノデアリマス、是ハ分類所得稅ニ付
テハ、株式ヲ取得致シマシタ借金ノ利子ヲ
引クト云フコトガ課稅技術上困難デアル爲
ニ、斯カル優遇方法ヲ認メテ居ル譯デアリ
マス、處ガ其ノ株式配當ヲ受ケマシタ者
ガ、綜合所得稅ノ課稅ヲ受ケマスルヤウナ
大所得者デアリマスルト、綜合所得稅ニ於
テハ株式取得ニ要シマシタ借金ノ利子ヲ計
算シテ引クコトガ出來マスルカラ、借金ノ
利子ノアル者ハ借金ノ利子ヲ引ク、其ノ代
リニ分類所得稅ニ於テ輕減シテ置イタ稅金
ハ加算シテ徵收スル、斯ウ云フコトニナッ
テ居ルノガ現在ノ制度デアリマス、今囘ハ
株式配當ニ對シマシテハ累進稅率ノ課稅ガ
相當上ッタノデアリマスルノデ、株式配當所
得ニ對スル優遇方法ノ一ツト致シマシテ、
分類所得稅ヲ課稅スル際ニ於キマシテ、輕
減シテ置キマシタ稅金ヲ綜合所得稅ヲ取ル
際ニ加算シテ取ルト云フコトハ止メルコト
ニ致シタ次第デアリマス、次ニ銀行預金等
ニ對スル綜合所得稅ノ源泉課稅ノ選擇ヲ廢
止スル意思ハナイカト云フ、斯ウ云フ趣旨
ノ御質問ガアリマシタ、御承知ノ通リ公債
社債、銀行預金ノ利子、貸付信託ノ利益ニ
付キマシテハ、綜合所得稅ヲ課稅セラレル
ノガ原則デアリマスケレドモ、納稅者ノ選
擇ニ依ッテ源泉デ比例稅率デ課稅スルト云
フコトヲ認メテ居ルノガ現在ノ制度デアリ
マス、之ヲ廢止スルカドウカト云フコトガ
問題ニナッタノデアリマスガ、戰時下ノ現在
ニ於キマシテ預金者ノ心理ニ動搖ヲ來シ、
戰時ニ於キマシテ必要ナル貯蓄增强ニ幾分
デモ支障ヲ來スト云フヤウナ措置ハ如何カ
ト思ハレル所カラシテ、依然例外的ノ措置
ト致シマシテ、綜合所得稅ニ代ヘマシテ源
泉選擇ヲ認メテ、比例稅率ヲ以テ課稅スル
ト云フ現在ノ制度ヲ存續スルコトニ致シタ
ト說明致シテ居リマス、次ニ銀行預金ノ利
子等ニ對シマスル源泉選擇ノ場合ニ於ケル
稅率ヲ百分ノ二十五トシタ理由ハ如何デア
ルカ、先ニ申上ゲマシタ通リ銀行預金ノ利
子等ニ對シマシテハ、綜合課稅ニ代ヘテ源
泉選擇ヲ認メルノデアリマスルガ、其ノ稅
率ハ現在ハ百分ノ十五デアリマスガ、今度
百分ノ二十五ニ引上ゲラレテ居ルノデアリ
そく、百分ノ二十五ト云フ稅率ハ相當高イ
稅率デアリマシテ、分類所得稅ノ今囘ノ改
正稅率百分ノ十五ト加へマスルト云フト、
合計百分ノ四十ト云フ稅率ニ相成リマス、
從ヒマシテ大所得者ハ源泉選擇ヲ致シマス
ルト、銀行預金ノ利子等ニ對シテハ四割モ
稅金トシテ控除サレルト云フ、斯ウ云フコ
トニナリマスノデ、ソレハ高キニ失セズヤ
ト云フ、斯ウ云フ趣旨ノ質問デアリマス、
是ハ政府ト致シマシテハ、御承知ノ通リ株
式ニ對シマシテハ源泉選擇ヲ認メテ居リマ
セヌ、從ヒマシテ株式ノ配當ノ所得ト云フ
モノハ、所得金額ノ多クナル程、卽チ高額所得
者程其ノ稅引手取ガ少クナッテ參ルノデアリ
マス、處ガ銀行預金ノ利子等ハ矢張リ綜合ヲ
原則ト致シマスカラ、大所得者ニナルニ從ッテ
稅引手取ガ減ルノデアリマスケレドモ、一定ノ所
マデ行キマスルト云フト、綜合ニ代ヘテ源
泉選擇ヲスルコトガ出來マスルカラ、ソレ
以上ハ減ラナイト云フ、斯ウ云フコトニナ
リマス、從ッテ株式ノ方ガ所得ガ殖エルニ
從ッテズン〓〓手取ガ落チテ行ク銀行預金
ノ利子等ハ、或點デ其ノ落チル率ガ停止
シマスカラ、株式ト銀行預金、若シクハ公
債社債ノ利子等ト比較シマスルト、一定ノ
限界上迄來マスルト、例ヘバ表面五分五厘
ノ株式デアッテモ稅引手取ガ國債ヨリモ不
利ニナル、若シクハ社債ヨリモ不利ニナル、
或ハ銀行預金ヨリモ不利ニナルト云フ結果
ニ相成ルノデアリマス、其ノ限界點ハ現行
ノ制度ニ於テハ、總所得八萬圓ヲ超ユル所
カラ表面利廻ノ五分五厘ノ株式ヲ持ッテ居
リマシテモ、表面利〓三分六厘五毛ノ國債
ヨリモ株式ノ方ガ不利ニ相成ルノデアリマ
ス、社債ニ付テ申上ゲマスルト云フト、大
體五萬圓位ノ所デ株式ノ方ガ社債ヨリモ不
利ニナル、銀行預金ニ付テ申上ゲマスルト
云フト、大體十二萬圓位ノ所デ株式ノ方ガ
銀行預金ヨリモ不利ニナルト云フコトニ相
成ッテ居ルノデアリマス、此ノ現在不利ニナ
ルト云フ其ノ分界點ヲ變更スルト云フコト
ハ考慮ヲ要スル問題デアリマス、殊ニ其ノ
限界點ガ下ルト云フコトニナリマスルト云フ
ト、大所得者ガ、所得ノ多イ者ガ株式ヲ持ツ
コトヲ嫌フ、斯ウ云フコトニナリマシテ、
ソレハ生產力擴充等ニモ支障ガアリマスル
ノデ、大體現在ニ於テ株式ガ先程申上ゲマ
シタ國債、社債、銀行預金等ニ對シテ不利
ニナル現狀ヲ其ノ儘維持スルト云フコトニ
致シマスル爲ニハ、稅率ヲ源泉選擇ノ場合
ニ於ケル百分ノ二十五以上ニシナケレバナ
ラナイノデアリマス、其ノ趣旨ヲ以チマシ
テ源泉選擇ノ場合ニ於キマスル稅率ヲ百分
ノ二十五ト致シタ次第デアル、斯ウ云フ趣
旨ノ說明デゴザイマス、次ニ法人稅ニ付テ
ノ質問ト致シマシテハ、法人稅ノ稅率ヲ百
分ヲ十八カラ百分ノ二十五トシタ理由ハ何
處ニアルカ、是ハ低キニ失セズヤト、斯ウ
云フヤウナ趣旨ノ質問ガゴザイマシタ、所
得稅ニ付キマシテハ增徵ヲ圖ッタノデアリ
マスルカラシテ、ソレトノ權衡上法人稅ニ
付テモ增徵ヲ圖ッタ次第デアリマス、唯法人
稅ニ付キマシテハ、生產力擴充ノ點モ考
慮セナケレバナリマセヌノデ、百分ノ十八
ヲ二十五ノ程度ニ引上ゲタノデアリマシテ、
其ノ割合ハ三割八分餘ニ相成ッテ居リマス、
相當ノ引上デアリマシテ、是以上引上ノ餘
ト
地ハナイコトハゴザイマセヌケレドモ、餘
リ法人ノ稅率ヲ引上ゲルト云フコトハ考慮
ヲ要スルト、斯ウ云フ說明デゴザイマス、
次ニ國策會社ガ最近相當澤山出來テ來ルノ
デアルケレドモ、之ニ對スル課稅ノ方針ハ
如何デアルカ、國策會社ニ對シテハ如何ナ
ル免稅ヲ與ヘルコトニシテ居ルカ、斯ウ云
フ趣旨ノ質問デゴザイマス、國策會社ニ對
シマシテハ必ズシモ全部免稅スルト云フ方
針ヲ採ッテ居リマセヌ、國策會社デアッテ其
ノ事業ノ性質、事業ノ收益力其ノ他ヲ勘案
致シマシテ、免稅ニ依ッテ保護助長スルニ
非レバ成立タナイヤウナモノニ、一定期間
ヲ限ッテ免稅ヲシテ居ルケレドモ、免稅特權
ヲ與ヘナクトモ成立ツ事業デアレバ必ズシ
モ免稅ヲ致シテ居ラナイ、最近出來マスル
各種營團ニ付テモ大體同樣ノ見解ノ下ニ免
稅スルカ否カヲ決メテ居ル、營團ニ致シマ
シテモ全部ガ政府出資デアッテ、國ニ代ッテ
事業ヲスルト認メラレマスルヤウナモノ、
而モ其ノ事業ハ從來民間ニ於テ營マレテ相
當租稅ヲ負擔シテ居ッタト云フヤウナ事業
デモナイト云フヤウナモノデアレバ免稅シ
テ居ル、之ニ反シテ全部ガ政府出資デナク、
民間ノ出資モアリ、ソレニ對シテハ配當モ
豫定サレルシ、行フ所ノ事業ガ從來課稅ヲ
サレテ居ッテ成立ッテ居ッタヤウナ事業デア
ルト云フナラバ、免稅ノ必要ハナイ、斯ウ
云フ風ナ趣旨ヲ以テ答辯致シテ居リマス、
次ニ、新稅中電氣瓦斯稅ニ付キマシテハ、本
稅ヲ從價稅トシタ理由ハ如何デアルカ、全
國ニ於ケル料金ハ或程度區々ニ互ッテ居ル
カラシテ、寧ロ從量稅ヲ可トスベキデハナ
イカト云フ御質問ガアリマシタ、之ニ付キ
マシテハ從量稅トスルコトモ一ツノ考ヘ方
デアリマスルケレドモ、電燈ニ付テ見マス
ルト云フト、全國ニ於キマシテハ尙相當多
數ノ定額燈ノ部分ガゴザイマス、從ヒマシ
テ此ノ定額燈ニアリマシテハ、電氣ヲ量ニ
於テ幾ラ消費シタカト云フコトヲ判定スル
コトガ甚ダ困難デアリマスル點ト、租稅ハ
大體支出能力ヲ押ヘテ之ニ對シテ課稅ヲ
スル、斯ウ云フ建前ニナッテ居リマスル關
係上、從價稅ト致シタ次第デアル、斯ウ云
フ說明デゴザイマス、次ニ、計量器ヲ檢査
ニ參リマスル日ガ每月必ズシモ一定シテ居
ラナイ關係上、徵稅上各種ノ困難ハナイカ、
斯ウ云フ御質問ガゴザイマシタ、之ニ對シ
マシテハ、檢針日ガ一定シテ居ラナイデモ、
大體免稅點以上ノモノデアリマスレバ、檢
針日ニ調ベマシタ料金ニ依ッテ納稅スルヤ
ウナ扱ニ致シ、唯檢針日ノ異動ガ免稅點ニ
關係シテ參リマスル際ハ、正確ニ計算致シ
マスル必要ガアリマスルノデ、其ノ際ハ換算
表ノヤウナモノヲ作ッテ置キマシテ、免稅點
カ否カダケハハッキリ定メルヤウニスレバ、
徵稅上モ大シタ手數ヲ要シナイモノト認メ
ラレル、斯ウ云フ趣旨ノ答辯デゴザイマス、
次ニ、課稅サルベキ電氣ト非課稅ノ電氣ト
ヲ同一計器ニ依ッテ使用シテ居ル場合ニ於
テ課否ノ區分ハドウスルカト、斯ウ云フコ
トデゴザイマス、之ニ對シマシテハ、納稅
義務者ヲシテ電氣會社ヲ通ジマシテ、稅
務署ニ非課稅ノ電氣ヲ使ヒマスル器具機械
ノヤウナモノヲ申告セシメマス、稅務署ニ
於キマシテハ豫メ調査シ、業者ノ意見モ徵
シタ所ニ依リマシテ、一定ノ非課稅電氣ヲ
使用シマスル器具每ニ控除割合ト云フモノ
ヲ定メテ置キマシテ、ソレヲ適用致シマシ
テ非課稅ノ範圍ヲ區分スル、斯ウ云フ風ニ
致シタイ見込デアッテ、其ノ手續ハ施行規
則ニ書キタイト思フ、書クコトニ致シテ
居ル、斯ウ云フ答辯デゴザイマス、次ニ、
廣告稅ニ付キマシテハ、本稅ハ廣〓ヲ第
一種ト、第二種トニ分ッテ居リマスルノデア
リマス、又課稅サルベキ廣告ノ外ニ非課稅
ノ廣〓モ定メテ、是等ハ命令案ヲ配付致シ
マシテ、或程度明カナラシメテ居ルノデア
リマスルガ、何シロ新規ノ課稅デアリマス
ル爲ニ、幾分課否ノ疑義ガゴザイマシテ、
其ノ課否ノ疑義ニ付テ質疑應答ガ重ネラレ
夕次第デアリマス、次ニ馬劵稅ニ付キマシ
テハ、昨日西尾子爵ノ御質問ニモゴザイ
マシタ通リ、本稅ヲ賦課スルコトニ依リ馬
劵ノ賣上高ニ減少ヲ來シ、馬事施設ノ維持
擴充ニ支障ヲ來スコトハナイカト云フ御質
問ガゴザイマシタ、之ニ對シマシテ馬政當
局デアル農林省竝ニ軍馬ノ關係カラ致シマ
シテ陸軍省及大藏省等カラ、今囘程度ノ課
稅デアリマスルナラバ、從來ノ競馬ノ入場
人員、賣上金額ノ增加ノ足取リカラ考ヘテ、
賣上金額ガ著シク減ルトハ認メラレナイ、
從ヒマシテ必要ナル馬事施設ノ維持擴充ニ
ハ大體ニ於テ支障ヲ及サナイ見込デアルト、
斯ウ云フ趣旨ノ答辯ヲ致シテ居リマス、次
ニ馬券稅ノ創設ニ依リマシテ場外取引ノ增
加、所謂呑屋ノ跋扈デアリマスガ、サウ云
フコトニナル虞ハナイカ、之ニ對スル取締
方針ハ如何デアルカト云フ御質問ガアリマ
シタ、之ニ付キマシテハ內務當局ヨリ、從
來モ此ノ種ノ場外取引ニ對シテハ相當取締ッ
テ居ルノデアルガ、今後モ取締ヲ嚴重ニス
ル見込デアルト、斯ウ云フ趣旨ノ答辯ガア
リマシタ、次ニ、臨時租稅措置法ニ付キマシ
テハ、企業合同ノ場合ニ於キマシテ所得稅
營業稅等ヲ減免致シテ居ルノデアリマスル
ガ、ソレニハ期限ヲ付シマシテ、昭和十八
年三月三十一日迄ニ企業合同ヲシタモノニ
限ルト云フ趣旨ニ法文ガ出來テ居リマス、
其ノ期限ヲ付シタ理由ハ如何デアルカト、
斯ウ云フ御質問デアリマス、之ニ對シマシ
テハ企業合同ニ對スル所得稅、營業稅等ノ
減免ハ時局下必要ナル企業合同ヲ促進スル
爲ニ、特ニ稅ニ於テモ輕減免除ヲ行フノデ
アル、ソコデ餘リ長イ期間ニ亙ッテ之ヲ認メ
ルト云フコトニナルト云フト、企業合同促
進ノ趣旨ニモ反スルカラ、大體必要ナル期
間ヲ關係省ト打合セノ上、十八年三月三十
一日迄トシテ一應打切ルコトニ致シタト、斯
ウ云フ風ニ說明致シテ居リマス、次ニ法人ノ
寄附金ニ付キマシテハ、今囘一定割合以內
ノモノハ損金タルコトヲ認メ、一定割合ヲ超
エルモノニ付テハ寄附金審査委員會ニ諮問
致シマシテ、法人稅ノ免除ヲスベキヤ否ヤ
ヲ決定スルコトニ相成ッテ居リマスガ、之ニ
對シマシテハ、法人ノ寄附金ニ付テハ寧ロ
全部益金トスルノガ宜イデハナイカト云フ、
斯ウ云フ意見ト反對ニ、法人ノ寄附金ハ全
部損金トシタラ宜イデハナイカト、斯ウ云
フ兩意見ガアリマス、全部ヲ益金トスベシ
ト云フ議論ハ、大體法人ノ寄附金ト云フモ
ノハ利益ガアッタ場合ニ出スノデアッテ、從ッ
テ益金處分ヲ以テ出スベキノガ本則デアル
ヤウニ思フ、而モ最近法人ノ租稅負擔ガ相
當重クナッタ場合ニ於テ、寄附ヲスルコト
ニ依ッテ稅金トシテ國ニ納メル部分ガ納マラ
ナクナルト云フコトニナルト云フト、國ト
シテモ必要ナ財源ヲ失フコトニナッテ如何
カト思ハレル、斯ウ云フヤウナ趣旨デゴザ
イマス、反對ニ全部損金トスベシト云フ議
論ハ寄附金ハ成ル程任意ノモノモアルケ
レドモ、最近ニ於ケル寄附金ハ相當强制的
ナモノモアッテ、是ガ會社ニ對シテハ相當ノ
負擔ニナッテ居ルカラ、寧ロ全部損金ト認メ
ルノガ適當デハナイカト云フコトデゴザイ
マス、政府ノ說明ハ、寄附金ニ付テハ今申
上ゲマシタヤウナ二樣ノ見方ガアル、ソコ
デ大體從來法人ガ出シテ居リマシタ程度ノ
寄附金ヲ押ヘマシテ、其ノ平均ヲ取ッテ見マ
シテ、平均程度迄デアレバ損金タルコトヲ
認メルケレドモ、平均程度ヲ超エテ法人ガ
寄附金ヲ致シマスル場合ニ於キマシテハ、
法人ノ申請ニ依リマシテ寄附金審査委員會
ニ諮リマシテ、其ノ寄附ノ目的乃至ハ當該
法人ノ收益狀況、寄附ヲ出ス理由其ノ他各
種ノ事情ヲ調査致シタ上、法人稅ヲ免除ス
ベキヤ否ヤヲ決シタイ、斯ウ云フ趣旨ヲ以
テ法律案ヲ提案シテ居ル斯樣ニ說明致シ
タノデゴザイマス、次ハ戰時災害國稅減免
法ニ付テノ質問デアリマス、戰時災害ニ對
スル租稅ノ減免ヲ行ヒ得ル其ノ根據法ニナ
リマス法案ヲ今囘提案致シテ居ルノデアリ
マスガ、其ノ法案中ニ於テ、戰時災害ニ對
スル租稅ノ減免ト云フコトト、課稅標準計
算ニ關スル特例ノ措置ト、二ツ規定ガゴザ
イマス、是ハ何處ニ相違ガアルノデアルカ、
斯ウ云フ御質問デアリマシタ、之ニ對シマ
シテハ、戰時災害ニ對スル租稅ノ減免ト申
シマスルノハ、算出サレマシタ稅額ヲ全部
免除シ、若シクハ一定割合輕減スルノ
ガ租稅ノ減免デアル、課稅標準ノ計算ニ關
スル特例ト申シマスルノハ、稅金ヲ算出ス
ル前ノ手續ノコトデアリマシテ、例ヘバ營
業ノ純益ヲ計算致シマス場合ニ於テ、營業
ノ經費ヲ引クノハ當然デアリマスケレ
ドモ、資產ニ被リマシタ損失ト云フモノ
ハ、通常ノ場合デアリマスレバ營業ノ經費
ト見ナイノデアリマスケレドモ、戰時災害
ニ因リマシテ資產ニ被害ヲ被ッタ、例ヘバ
自己ノ住ンデ居ル店舗ガ破壞サレタ、斯ウ
云フヤウナ場合ニ於キマシテモ、其ノ住ン
デ居ル店舗ノ破壞サレタト云フ資產ノ滅失
ニ因ル損害ヲ營業ノ經費カラ差引クト云フ
コトニ依ッテ、營業ノ純益ノ小サク出テ來ル
ト云フコトヲ特ニ認メル、斯ウ云フヤウナ
趣旨ノ規定デアル、斯樣ニ說明ヲ致シテ居
リマス、次ニ日滿二重課稅防止ニ關スル法
律ニ付テノ質問デアリマシタ、日滿二重課稅
防止ニ關シテ今囘新タニ法律ヲ提案シテ居ル
ノデアルケレドモ、大體ドウ云フ趣旨ヲ以テ
日滿間ニ二重課稅ノ防止ヲ行ハムトスルノ
デアルカ、斯ウ云フ御質問デアリマス、之ニ
對シマシテハ、從來滿洲國ニ於キマスル租
稅制度ガ比較的發達シテ居ラナカッタ時代
ニ於テハ、日滿間ノ二重課稅防止ハ餘リ大
キナ問題トサレナカッタノデアリマスガ、漸
次滿洲國ニ於ケル稅制ノ完備ト相俟チマシ
テ、今日ニ於テハ日滿間二重課稅ノ防止ニ
付テ協調ヲ圖ル必要ヲ感ズルニ至ッタ、ソコ
デ兩國ハ相互主義ノ下ニ於テ今後必要ナル
措置ヲ執ルコトニ致シタイ、大體ノ方策ト
致シマシテハ、所得又ハ純益ニ對シマスル
課稅ハ、所得又ハ純益發生地ニ於テ優先的
ニ課稅ヲスル、斯ウ云フコトニ致シタイ、
尤モ人的色彩ノ特ニ濃厚デアリマスル綜合
所得稅ノヤウナモノニ付キマシテハ、住所
地主義若シクハ本店所在地主義ノヤウナモ
ノヲ採用致シタイ、斯ウ云フ趣旨ニ答辯ヲ
致シタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=2
-
003・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) 次ハ內務省關
係ノ問題デゴザイマスカラ、內務省ノ政府
委員ニ御願ヒシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=3
-
004・成田一郎
○政府委員(成田一郞君) 地方分與稅法中
改正法律案ニ付キマシテ、衆議院ニ於キマ
スル質疑應答ノ大要ヲ私カラ御報告ヲ申
上ゲタイト存ジマス、先ヅ第一ニ、地方分
與稅法ハ施行セラレマシテカラ僅カニ二年
ヲ經過シタルダケデアルニモ拘ラズ、斯樣
ニ每年改正ヲシナケレバナラヌ理由ハ何デ
アルカト云フ御尋ガゴザイマシタ、之ニ付
キマシテハ先ヅ第一ニ、國稅ノ增稅ガ屢〓行
ハレルノデゴザイマシテ、之ニ伴ヒマシテ
地方分與稅法ノ改正ヲ必要トスルコトニ相
成ルノデゴザイマス、卽チ曩ニ入場稅及遊
興飮食稅ノ增稅ガアリマシタ場合ニモ、昨
年ノ臨時議會デ地方分與稅法中ノ改正ヲ
行ッタノデゴザイマスガ、又此ノ度所得稅及
法人稅ノ增稅ガ行ハレルコトニ相成リマシ
タノデ、此ノ稅カラ參リマスル配付稅ノ割
合ヲ改正シナケレバナラヌ、斯ウ云フコト
ニ相成ッタ次第デゴザイマス、又モウ一ツニ
ハ、配付稅分與ノ適正ヲ期シマスル爲ニ、
分與ノ方法ニ關シマシテ極メテ緊要ナ點ニ
付テ手直シヲ行ヒタイ、斯ウ云フヤウナ一一
ツノ理由カラ、今囘地方分與稅法中ノ改正
法律案ノ提案ヲ致シタ次第デアルノデゴザ
イマス、次ハ、今後モ亦國稅ノ增稅ノ都度配
付稅ノ割合ニ付テ改正スル考デアルカドウ
カ、言ヒ換ヘマスト、國稅ノ增稅ノ都度法
律ヲ改正セズニ、自然ニ動イテ行クヤウニ
シテ置クヤウナ規定ノ決メ方ガナカラウカ
ト云フ御趣旨デアッタノデアリマス、之ニ付
キマシテハ、增稅ガゴザイマセヌ場合ノ國
稅ノ收入ノ見込額ニ、現在アリマスル率ヲ掛
ケテ得マシタ配付稅ノ金額ヲ確保スル必要
ガアルノデゴザイマス、從ヒマシテ此ノ配
付稅ノ額ヲ確保致シマスル爲ニ國稅ノ方ニ
於テ增稅ヲ致シマスト、其ノ增稅ノ都度之
ニ伴ヒマシテ此ノ割合ト云フモノヲ改正シ
ナケレバナラヌコトニ相成ルノデゴザイマ
ス、又一面ニ於キマシテ、國稅ノ改正ニ依
リマシテ地方稅ノ收入ニ影響ノアル場合ガ
アルノデゴザイマシテ、斯樣ナ場合ニ於テ
配付稅ノ繰入割合ニ於テ調整ヲシナケレバ
ナラヌ必要ガ起ッテ參リマスルノデ、將來ニ
於キマシテモ、國稅ノ增稅或ハ國稅ノ改正
ノ都度、地方分與稅ニ關係ノアル場合ハ、
改正ヲ致シテ參ラナケレバナラナイト考ヘ
テ居ル次第デゴザイマス、其ノ次ハ、地方
分與稅中ノ配付稅ハ、昭和十六年度ニ較ベ
テ、來年度卽チ昭和十七年度ニハドノ位增
額スルコトニナッテ居ルカト云フ御尋ネデ
ゴザイマシタ、之ニ付キマシテハ、昭和十
七年度ノ配付稅ノ總額ハ四億五千二百餘萬
圓ニ相成ッテ居リマス、而シテ昭和十六年
度ノ配付稅ハ三億二千餘萬圓デアリマスル
カラ、來年度ニ於キマシテハ一億三千二百
餘萬圓ヲ增加スルコトニ相成ッテ居ルノデ
ゴザイマス、其ノ次ハ都市ノ財政ハ稅制改
正ニ依リマシテ財政上ノ彈力性ヲ失ッテ居
ル、又時局費ノ增加等ニ因リマシテ非常ニ
困難ヲ感ジテ居ルヤウナ現狀デアル、又
町村ニ於キマシテハ分與稅ノ配付額ガ
每年々々增減變動ヲ致シマスノデ、町村
財政ガ安定シナイ憾ガアル、斯ウ云フ現
狀ニ鑑ミテドウ云フコトヲスル積リデア
ルカト云フ御質問デゴザイマシタ、之二
付キマシテハ、今日所謂時局費ガ非常ニ
殖エテ居リマスルノハ、只今御話ノ通リデ
アルノデアリマシテ、之ニ對シマシテハ
一面ニ於テハ平常的ナ經費ノ節約ヲ出來ル
ダケ圖ラセル、又他面ニ於キマシテハ國費、
地方費ノ負擔區分ノ改正ヲ行フト云フヤウ
ナコトノ外ニ、今囘ハ先程申上ゲマシタヤ
ウニ、昭和十七年度ニ於テハ相當程度ノ配
付稅總額ノ增加ガ出來ル見込デアリマスル
ノデ、市町村一般ヲ通ジマシテ、相當財政
上緩和シ得ラレル見込デアルノデアリマス、
十分トハ申シマセヌケレドモ、兎ニ角ヤッテ
行ケルダケノコトハ大丈夫デアルト私共ハ
考ヘテ居ルノデアリマス、又每年度配付稅
ノ分與額ガ增減ヲスルコトガゴザイマスル
ノハ、是ハ地方分與稅ノ制度ノ上カラ見マシ
テ、其ノ地方團體ノ課稅力等ニ比例シテ增
減スルト云フ建前ニナッテ居ルノデゴザイ
マスカラ、是ハドウモ已ムヲ得ナイコトト
考ヘテ居リマス、併シ斯ウ云フ點ニ付キマ
シテハ、尙政府ニ於キマシテモ今後十分ニ
〓究ヲ致シタイト考ヘテ居ル次第デゴザイ
マス、次ハ市町村民稅ニ彈力性ヲ與ヘマシ
テ、依ッテ以テ市町村ノ財源不足ヲ補塡サセ
ル考ハナイカ、斯ウ云フ御質問デゴザイマ
ス、之ニ付キマシテハ御承知ノヤウニ、地方
稅法モ亦只今經過年度中ニ屬シテ居リマシテ、
地方分與稅法ノ施行ト相俟ッテ、著々其ノ實
效ヲ收メツヽアル途中デゴザイマスノデ、マダ
是等ノ制度ガ全面的ニ發動シタ其ノ結果ヲ
見究メズシテ、更ニ又大キナ改正ヲ行フト
云フコトハ如何デアラウカト考ヘテ居ルノ
デゴザイマス、而シテ市町村民稅ハ其ノ創
設サレマシタ趣旨ニ鑑ミマシテモ、之ニ關
スル制限ヲ緩メマシテ、再ビ戶數割ノ弊ヲ
見ルコトノナイヤウニシタイト云フノガ根
本ノ考方デアルノデアリマス、從ヒマシテ
地方市町村ニ對シテ必要ナル財源ヲ與ヘル
ト云フコトハ、市町村民稅ノ增額ト云フコ
トデナク、分與稅ノ總額ヲ殖ヤスト云フヤ
ウナ、他ノ方法ニ依ッテ考ヘテ行クベキモノ
デアルト考ヘテ居ル次第デアリマス、次ヘ
ハ、國政事務ノ地方公共團體ニ對スル委任
ハ年々增加シテ居リマシテ、地方財政ヲ壓
迫シテ居ル實情デアルカラシテ、政府ハ國
費及地方費ノ負擔區分ヲ確立スル必要ガア
ルノデハナイカ、之ニ對スル考ハドウデア
ルカト云フ御尋デゴザイマス、現在ノ時局
下ニ於キマシテ、地方公共團體ニ對スル國
ノ事務ノ委任ガ非常ニ增加シテ居ルコトハ
誠ニ其ノ通リデゴザイマス、而シテ又地方
團體ヲシテ是等ノ委任セラレタ事務ヲ十分
ニヤラセル爲ニハ、之ニ必要ナル財源ヲ與
ヘナケレバナラナイコトモ勿論デアルト存
ジテ居リマス、斯ウ云フ點カラ見マシテ、
國費及地方費ノ負擔區分ヲ是正致シマスコ
トハ誠ニ緊要トスル所ト考ヘテ居ルノデア
リマス、此ノ點ニ付キマシテハ、曩ニ此ノ
地方分與稅制度ガ創設セラレマス場合ニ、
警察費連帶支辨金、義務〓育費國庫下渡金
等ニ付テハ負擔區分ノ是正ガ行ハレマシタ、
又昨年ノ臨時議會ニ於テ、防空法ニ付テ矢
張リ此ノ問題ニ付テノ解決ガアッタ譯デア
リマスガ、將來ニ於キマシテモ關係方面ト
十分ニ相談ヲ致シマシテ、此ノ負擔區分ノ
是正確立ト云フ方向ニ向ッテ著々實現ヲ圖
リタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、
以上御答ヘ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=4
-
005・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) ソレデハ是カ
ラ大藏省ノ方ノ御質問ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=5
-
006・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 チヨット質問ノ前ニ委
員長ニ伺ヒタイト思フノデスガ、豫算ノ方ノ
審議モ今ヤッテ居リマス際デ、大藏大臣ノ出
席ヲ兩方ヘ願フノハ御困リダラウト思ヒマ
スガ、大藏大臣ガ何トカ一日、日ヲ決メテ此
處ニ御出席下サルト、審議ノ上ニ大變便利
ダト思ヒマスガ、ドウカ政府ノ方ト御打合
セ下サイマシテ、其ノ日ヲ決メテ戴キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=6
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007・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) チヨット御諮
リ致シマス、大藏大臣ハ今朝ハ都合ガ付キ
マセヌガ、午後ハチヨットナラバ都合ガ付ク
ダラウト云フ御話デゴザイマスガ、御諮リ
致シタイノハ、大藏大臣ノ都合ノ付キマス
時ニ、一ツ十分ニ時間ヲコチラニ分ケテ戴
キマシテ、成ルタケ其ノ日ニ一ツ大藏省關
係ノ方ヲ濟マスヤウニシテハドウカト云フ
考モアルノデスガ、皆サンノ御意見ハドン
ナモノデセウカ、サウスルト今日ハ午後ハ
止メマシテ、月曜日ニ若シ大藏大臣ノ御都
合ガ付ケバ、十分ニ月曜日ニヤッテ戴クト云
フコトデ御異存ゴザイマセヌカき
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=7
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008・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) ソレデハサウ
云フ風ニ取計ラヒ致シマス、折角大藏省ノ
政府委員ガ見エテ居リマスカラ、御質問ガ
アレバ是カラ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=8
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009・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ大藏當局ニ伺ヒ
タイノデスガ、償却ノ點ニ付テ色々御考ガ
アッタヤウニ今伺ヒマシタガ、具體的ニドウ
云フ風ナ點ガ改正ニナッテ居リマスルカ、
應伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=9
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010・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 從來固定資產償
却ニ適用致シテ居リマスル、堪久年數表ト
云フノガゴザイマスルノデアリマスルガ、
今囘ハ其ノ固定資產償却堪久年數表ノ改正
ヲ計畫致シマシテ、目下關係方面トモ連絡
シテ調査中デゴザイマスルガ、大體ノ考ヘ
方ヲ申上ゲマスルト云フト、償却堪久年數
ハ大體二割程度短縮致シタイト思ッテ居リ
マス、ソレカラ固定資產ヲ細カク分ケマシ
テ、堪久年數ヲ定メテ居リマスルコトハ適
用上必ズシモ適當デゴザイマセヌノデ寧
ロ實情ニ合セマスル爲ニ原則トシテ事業ノ
種類別ニ、其ノ事業ニ屬シマスル機械、器
具、機械設備ハ一括シテ堪久年數ヲ定メル
コトニ致シタイト思ッテ居リマス、ソレカラ
時局產業ノ固定資產ニ付キマシテハ、現在
ノ扱ヒトシマシテハ昭和十二年七月以後、
卽チ支那事變勃發以後取得シタモノニ付テ、
特ニ短縮シタ堪久年數ヲ適用シテ居リマス
ルガ、今囘ハソレヲ遡リマシテ、昭和十二
年七月以前ニ取得シタルモノニ付テモ、特
ニ短縮シタ堪久年數ヲ適用スルコトニ致シ
マシテ、時局產業ヲシテ償却ヲ十分ナラシ
メ得ルヤウニ取計ラフ見込デゴザイマス、
卽チ右ノヤウナ方法ニ依リマシテ企業ノ基
礎ヲ鞏固ナラシメマシテ、一ツノ事業ニ用
ヒラレマスル機械設備ニ付イテハ、成ルベ
ク綜合償却ノ方法ヲ加味スルコトトシマシ
テ、從來ハ三本建ノ償却方法ニナッテ居リ
マシタ、卽チ通常ノ償却方法、時局產業ノ
場合ノ償却ノ方法、ソレカラ臨時租稅措置
法ニ依ル特別ノ償却方法ト云フコトニナッテ
居リマシタガ、之ヲ二ツニ併セマシテ、時
局產業ノ場合ト通常ノ場合トヲ一ツニ統合
シマシテ、ソレト臨時租稅措置法ニ依ル特
別償却トノ二ツニ致シタノデアリマス、サ
ウシテ計算ノ簡易化ヲ圖ルコトニ致シタイ
ト云フノガ大體ノ改正案ノ骨子デゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=10
-
011・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 能ク分リマシタ、尙
又其ノ點デ御質問ノ方ガアルト思ヒマスカ
ラ、チヨット控ヘテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=11
-
012・野村徳七
○野村德七君 株式〓算取引所得稅ニ付テ
御伺ヒ致シタイ、納稅者ノ申告ニ依ッテ課
稅致スト云フコトニナッテ居リマスガ、ドウ
モ此ノ申告ハ果シテ正確ナルモノヲ得ラル
ルカドウカ、非常ニ疑問ガアルヤウニ思ハ
レル、申告ガナカッタ場合ハ一々大藏省ハ
其ノ調査ヲドウ云フ風ニナサルノデスカ、
又ドンナ方針デ之ガ査定ヲセラレルノデア
リマスカ、ドウモ考ヘマスル處、源泉課稅
ニ依ッテ徴稅サレタ方ガ正確デアッテ、非常
ニ便宜デモアルノデハナイカト考ヘラレル
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=12
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013・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 株式ノ〓算取引
ニ依リマスル所得ニ對シテ、新タニ課稅ス
ルコトニ致シタノデアリマスルガ、是ハ所
得稅法第十條ニ、第七トシテ〓算取引所得
ヲ加ヘタノデアリマスルガ、外ノ所得トノ
關係上、矢張リ建前ハ納稅義務者ノ申〓ニ
依ルコトヲ適當ト認メタノデアリマスガ、
併シ課稅ノ實際ニ當リマシテハ、御話ノ如
ク納稅義務者ノ申告ノミニ依リマスルコト
ハ調査不十分ノ虞ガゴザイマスルノデ、
此ノ株式〓算取引ノ所得ニ對シマシテハ、
取引所ノ協力ヲ衷心ヨリ希望致シテ居ル
所デゴザイマス、取引所モ此ノ課稅ニ付
キマシテ贊意ヲ表シテ、徵稅當局ト密接
ナル連絡ヲ圖ルト云フコトヲ申シテ居リ
マス、申上ゲル迄モナク〓算取引ハ、取引
所ヲ通ジテ行ヒマスルノデアリマシテ、取
引所ノ取引員ハ、必要ナル帳簿ヲ備ヘテ記
帳スルコトニ相成ッテ居リマスルノデ、其
ノ帳簿ニ依ッテ資料ヲ得ルコトガ出來マス
ルノデ、場外取引ト異リマシテ、此ノ部分
ハ大體ニ於テ課稅ノ捕捉ニ誤ガナイト存
ジテ居ル次第デゴザイマス、源泉課稅ニ
スルト云フコトモ一ツノ方法デアリマスル
ガ、損失ノ場合······常ニ利益スルバカリデ
ナクテ、損失ヲ被リマスル場合モゴザイマ
スルノデ、矢張リ損益ヲ差引イテ所得ノア
リマシタ場合、而モ三千圓ヲ控除シテ課稅
ヲスルト云フノガ實情ニ合フト思ヒマシタ
ノデ、サウ云フ建前ニ致シマシタ、之ヲ若
シ源泉課稅ニシマスルト、甲ノ店ノ取引ニ
於テハ利益ガアッタ、乙ノ店ノ取引ニ於テハ
損ガアッタト云フヤウナ場合ニ、店ガ違ッテ
居レバ差引モ何モ出來マセヌカラ、同一人
ニ付テ一年間ノ損益ハ差引イテ所得ヲ見
ル、斯ウ云フコトニ致シマシタ爲ニ源泉課
稅デナク、賦課課稅ノ方法ニ依ルコトニ致
シタヤウナ次第デアリマス、尙其ノ場合ニ
於キマシテモ、出來ルダケ取引員ノ協力ニ
依リマシテ、儲ケノアッタ際ニ於キマシテ
ハ、其ノ儲ケノ一部ヲ取引員ノ店ニ保留ス
ルヤウナコトニ付テ、今後協力的ニ運ビマ
シテ、納稅上困難ヲ感ジナイヤウナ方法ヲ
執ルコトニ付テハ注意ヲシテ參リタイト思ッ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=13
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014・野村徳七
○野村德七君 結構デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=14
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015・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) 外ニ御質間ア
リマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=15
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016・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 先程ノ國策會社ノ課
稅方針、現今ノ方針ヲ御說明ニナリマシタ
ガ、何カ具體的ノ例デ說明シテ戴キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=16
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017・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 國策會社ノ中ニ
モ色々ゴザイマスルガ、例ヘバ大日本肥料、
日本石炭、東亞海運ト申シマスルヤウナ國
策會社ニ付キマシテハ現在ノ處、特ニ稅ノ
輕減ヲ行ハナイデモ事業ガ成立ツモノト考
ヘラレマスルカラシテ、免稅ヲ致シテ居リ
マセヌ、之ニ反シマシテ北支那開發會社等
ノ如キニ於キマシテハ、相當開發事業ニ困
難ヲ感ズルニモ拘ラズ、國策的ニ之ガ開發
ヲ行ハムトスルヤウナ次第デゴザイマス
當分利益ヲ擧ゲ得ル見込ガナイト云フヤウ
ニ見込マレマシタノデ、十年間法人稅、營
業稅ヲ免除スルト云フヤウナコトニ致シテ
居リマス、尙營團ニ付テ申上ゲマスルト云
フト、帝都高速度交通營團ニ於キマシテハ、
從來カラノ營業デアリマス地下鐵ヲ引繼ギマ
シタ部分ハ、是ハ地下鐵時代ニ課稅ヲ受ケ€
テ居ッテ、營業トシテモ相當ノ利益ヲ擧ゲテ
居ッタノデアリマスカラ、其ノ部分ニ對シテ
ハ免稅スル必要ハナイ、併シナガラ帝都高
速度交通營團ニナリマシタ後建設致シマス
ルモノニ付キマシテハ、相當「コスト」ガ高
イニモ拘ラズ、ソレニ相當スルダケノ料金
ヲ上ゲ得ルコトハ到底困難ト認メラレマス
ノデ、之ニ對シマシテハ、其ノ部分ニ對ス
ルモノハ十年間免稅ノ特權ヲ與ヘルト云フ
ヤウニ致シテ居リマス、產業設備營團ノ如
キモノハ、政府ガ全額出資致シマシテ、特
ニ國ニ代ッテ其ノ種ノ事業ヲ行フト云フ風
ニ認メラレマスノデ免稅致シテ居リマス、
住宅營團ニ付テモ同樣デゴザイマス、尙今
囘新タニ提案サレテ居リマスモノニ付キマ
シテモ、略〓同樣ナコトガ申上ゲラレルノデ
アリマシテ、例ヘバ日本銀行ハ今度法律ニ依
リマシテ國策會社トモ稱スベキモノニ相成
ル譯デアリマスガ、從來日本銀行ニ對シテ
ハ法人稅等ノ課稅ヲ致シテ居リマシタ、叉
日本銀行ハ必ズシモ免稅シナケレバ收支償
ハナイト云フヤウニハ認メラレナイノデア
リマス、ソコデ今囘日本銀行法ニ依ッテ、日
本銀行ガ國策會社トモ見ラルベキ地位ヲ獲
得スルノデアリマスガ、日本銀行ニ對シテ
ハ特ニ法人稅ヲ免除スルト云フ規定ハ置イ
テ居リマセヌ、唯日本銀行ニ對シテ營業稅
ヲ課シマスルト云フコトハ、普通ノ營業ヲ
ヤッテ居ルヤウニ誤解サレル虞モアリマス
ノデ、營業稅ハ課稅シナイ、斯ウ云フコト
ニ致シテ居リマス、ソレカラ醫療營團ノヤ
ウナモノハ全部政府出資デアリ、ソレカラ
南方開發金庫モ當分ハ民間出資ガゴザイマ
セヌ、是等ノモノニ付テハ免稅致シテ居リ
マスガ、〓糧營團ノヤウナモノハ、大體從
來課稅ヲ受ケテ營業シテ居リマスル米麥等
ノ配給ガ此ノ營團ニ引繼ガレマスノデ、
方政府出資ノ外ニ民間ノ出資モアッテ配當
ガ豫定サレテ居リマスノデ、是等ニ付テハ
免稅ノ規定ヲ置カナイデモ大體ヤッテ行ケ
ルモノト認メマシタノデ、免稅ヲ致ス建前
ニナッテ居ラヌ、斯ウ云フヤウナ實情デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=17
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018・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 サウシマスルト、政
府出資ノミニ依ルモノハ擔稅力如何ニ拘ラ
ズ免稅スル、ソレカラサウデナイモノハ擔
稅力ノナイモノダケハ免稅スルノダ、大體
斯ウ云フ風ニ心得テ宜シイノデスカ、ソレ
トモサウデナクテ、政府出資ノモノハ總テ
免稅スルガ、他ノ政府出資デナイモノハ擔
稅力ハ暫ク別トシテ、其ノ出資ノ割合デ免
稅シテ行クト云フヤウナコトナノデセウカ、
ドウ云フ風ニ承知シテ宜イノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=18
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019・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 政府出資ノミニ
依ッテ行ハレマスル場合ハ大體免稅ノ取扱
ヲ致シテ居リマスルガ、其ノ由ッテ來マスル
理由ハ、政府ダケガ出資ヲシテ特ニ事業ヲ
行ヒマスルヤウナ場合ニハ、民間出資ニ依ッ
テハ行ヒ難イ事業、卽チ民間ノ出資デ配當
ヲ豫定シタノデハウマク行カナイ、ソコデ
政府ガ出資致シマシテ、政府ノ出資ニ對シ
テハ當分配當ノ如キモノヲ豫定シナイデ行
クト云フヤウナ事業ガ多イノデゴザイマス、
之ニ反シマシテ、民間ノ出資ノアリマスルモ
ノハ、民間ノ出資ハ之ニ對スル配當ノ如キ
モノガナイト云フノデハ出シ手ガナイノデ
アリマシテ、民間出資ガアルト云フノハ自
ラソコニ事業上相當ノ收益ガアッテ、政府出
資ハ扨テ措キ、少クトモ民間出資ニハ或程
度ノ配當ガアル、從ッテ事業ハ相當採算上成
立ツ、場合ニ依ッテハ政府補給金ノ必要ノ
モノモゴザイマスケレドモ、大體方針ハ課
稅ヲ受ケテモ收支ノ計算ガ成立ッテ行クト、
斯ウ云フ趣旨ニナッテ居リマスルノデ、先程
モ申上ゲマシタ通リ政府出資ノミデ行ヒ、
大政體府ニ代ッテ其ノ事業ヲ營ムト云フヤ
ウナ形ノモノハ免稅デアル、之ニ反シテ民
間出資ガアリ、民間ニ對スル配當ガ豫定サ
レテ居リマスルヤウナモノハ特ニ擔稅力ガ
ナイ、或ハ事業ガ非常ニ危險デ收支償ハナ
イ虞ガアルト云フヤウナ場合以外ハ課稅ス
ルト、斯ウ云フヤウニシテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=19
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020・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 細カイコトヲ伺フヤ
ウデスガ、今御引キニナッタ交通營團デスガ、
或部分ハ掛ケル、或部分ハ掛ケナイト云フ
コトニナッテ居ル、今ノ點カラ見ルト云フト、
斯ウ云フモノハ全部掛ケラレテモ宜イモノ
ノヤウニ思ハレルノデスガ、其處ノ點ハド
ウ考ヘタラ宜イデセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=20
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021・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 帝都高速度交通
營團ニ於キマシテハ從來ノ地下鐵等ノ引
繼モ受ケマシテ、ソレト同時ニ今後必要ニ
應ジテ交通網ノ建設ヲ致スノデアリマスル
ガ、從來ノモノデアリマスト建設費ガ比較
的安ク出來テ居リマシテ、ソコデ收益ガア
ルノデゴザイマス、此ノ部分ヲ引繼イダ場
合ニ於テ、其ノ部分ニ對シテ特ニ免稅デ保
護シナイデモ既設事業トシテ旣ニ成立ッテ
居ルノダカラソレハ差支ナイ、處ガ今後帝
都ノ交通網ヲ整備スル爲ニ必要ナル路線ノ
建設ヲ致スニ當リマシテハ、資材ガ騰貴シ
テ居リマスル關係上相當高ク附クノデアリ
マス、併シ一體トナッテ交通網ヲ經營スル
ト云フコトニナレバ、其ノ部分ノ料金ダケ
ハ上ゲルト、斯ウ云フ譯ニモ行カナイノデ、
ドウシテモ前ノ「コスト」ノ低カッタモノト通
ジタ料金シカ取レナイ、サウナレバ引合ハ
ナクナリマスノデ、其ノ引合ハナイ期間ヲ
凡ソ十年位ト見マシテ、今後十年間位ハ新
規設備ニ對スル部分カラ生ズル利益ニ對シ
テノミ免稅スルト云フコトニ致シテ居ル次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=21
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022・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 ソレデ能ク分リマシ
タガ、詰リ交通營團ハ特別ノ性質ガアリ、過
渡ノ時代ニ於テハ此ノ原則ニ依ラナイガ、
漸次此ノ原則ノ中ニ持ッテ來ルヤウナ心持
デ行ク、斯樣ニ了解シテ宜イノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=22
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023・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 御說ノ通リデア
リマシテ、大體課稅シテ差支ナイノデアリ
マスガ、特ニ一部分ニ付テハ課稅ヲ免除シ
テ保護助長スル部分ガアルカラ、一定年間
ダケハ保護助長シテ、其ノ後ハ全部課稅ヲ
スルト云フコトニ相成ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=23
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024・三浦新七
○三浦新七君 今度新タニ入リマシタ此ノ
不動產ノ增價稅、之ニ付テ御伺ヒシタイ譯
デアリマスガ、是ハ是カラ先ノ一般ノ增價
デ、今ノ問題ニ關聯シテ起ッテ來ル問題ダ
ラウト思ヒマスカラ、土地ニ付テデバカリ
デナシニ御聽キシタイト思フ譯デアリマス
ガ、先程ノ御話デ、本案デ昭和十一年ノ取
得價額ヲ押ヘテ、ソレト今日ノ賣上代ヲ睨
ミ合セテ、サウシテ其ノ間ノ經費ヤ何カヲ
加ヘテ五分ヲ引ク、五分ヲ引クト云フノデ
スカ、五分ヲ加ヘルト云フノデスカ、サウ
云フヤウナ五分ト云フ數字ガ出テ居ル、其
ノ五分ト云フ所ハドウ云フ風ナ所ナンデス
カ、斯ウ云フ外ノ方面カラ問題ヲ起シマス
ト、昭和十一年ト云フモノカラ今年迄ノ間
ノ衆議院ニ出サレタ參考書類ニ依リマスト、
相當其ノ物價騰貴ノ傾向ガ著シクナッテ居
リマス、約五割騰ッテ居ルヤウナ狀態ニナツ
テ居リマス、其ノ一般物價ノ率ト云フコト
ヲ此ノ增價稅ヲ取扱フ場合ニ於テドウ御考
ニナルカ、一般物價ノ物價平準ノ騰貴ト云
フ問題ヲ全然閑却スル主義ヲ採ルカ、ソレ
ヲドウ云フ工合ニ御扱ニナルカ、五分ト云
フヤウナ問題ガソレニ關聯ノアル問題デア
ルカドウカ、ソレヲ御伺ヒ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=24
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025・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 今囘不動產、不
動產上ノ權利ヲ賣却致シマシタ場合ニ、取
得價額トノ差額ヲ利得ト致シマシテ、前年
中ノ利得ノ合計額カラ五千圓ヲ控除シマシ
テ、殘リニ課稅スルコトニ致シタノデアリ
やっ、其ノ場合ニ於テ最近ニ取得シマシタ
不動產等デアリマスレバ、取得價額ガハッキ
リシテ居ルノデアリマスルガ、ズット以前
カラ持ッテ居ッタ不動產ヲ最近ニ賣ッタト、斯
ウ云フ場合ニ於テ何時ノ價額ヲ以テ取得價
額トスルノデアルカ、先祖傳來持ッテ居リマ
シタ土地ナンカニ至ッテハ、取得價額ハ非常
ニ低イモノニナッテシマフ關係上、非常ナ差
額ガ課稅ノ對象ニナルト斯ウ云フコトニナ
リマスノデ、事變前カラ持ッテ居リマスヤ
ウナ不動產ニ付キマシテハ、是ハ船舶鑛業
權ニ付テモ同樣ナコトヲ認メテ居リマスガ、
昭和十一年十二月三十一日現在ノ價額ヲ想
定致シマシテ、其ノ價額ト處分致シマシタ
當時ニ於ケル價額トノ差ヲ以テ利得金額
トシテ課稅ヲシヨウト、斯ウ云フ積リナン
デゴザイマス、其ノ場合ニ於キマシテ、昭
和十一年十二月三十一日ノ價額ヲ想定スル
ノデアリマスルガ、其ノ價額ト處分ヲシマ
シタ時ノ價額ニ、ホンノ僅カノ差ガアッテ
モ直ニ課稅スルカドウカ、斯ウ云フ問題デ
アリマスガ、元々昭和十一年十二月三十
日ノ價額ト云フモノガ想定價額デアリマス、
其ノ想定價額トノ間ノ差ガ僅カデアッテモ
課稅スルト云フコトハ、其處ニ無理ガアル
ノデハナイカ、差額ガ僅カデアリマスル場
合ニハ、恐ラク利得金額モ五千圓ヲ控除シ
テ課稅スルト云フ、此ノ規定ノ適用ニ依ッテ
課稅ニハナラヌカトモ思ハレマスケレド
モ、若シ坪數ガ非常ニ多イト云フヤウナ時
ニハ百分ノ一程度ノ値上リデモ、ソレヲ集
積シマスルト云フト五千圓以上ニナルト云
フ時ニハ、五千圓ヲ控除シテ尙課稅ニナル
ノデアリマス、處ガタッタ百分ノ一程度ノ値
上リト云フヤウナモノデアルトシマスレ
バ、評定價額ノ如何ニ依ッテモサウ云フモノ
ハ出タリ出ナカッタリスルト思ハレマス、ソコ
ニ餘リ無理ガアッテハイケマセヌカラシテ、昭
和十一年十二月三十一日ノ價額ニ五分程度
加算シマシテ、ソレヲ取得價額ト見ル、斯ウシ
テ置ケバ、五分程度ノ動キノ範圍內デアレバ
課稅範圍ニハ入ッテ來ナイ、斯ウ云フコトニ
相成ル譯デアリマス、其ノ百分ノ五ヲ押ヘ
マシタノハ、大體課稅ニ無理ノナイ所トス
レバ、五分程度加算シテ置ケバ宜シカラウ
ト云フ腰ダメノ數字デアリマシテ、此ノ五
分ヲ加算シタノガ、事變前カラ今日迄ノ物
價騰貴率ニ相當スルモノヲ控除スルト云フ
ヤウナ趣旨デハゴザイマセヌ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=25
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026・三浦新七
○三浦新七君 只今ノ趣意ハ能ク分リマシ
タノデアリマスガ、唯今ノ增價稅ヲ考ヘ
ル場合ニ於テ、一般物價ノ騰貴トカ下落ト
カ、下落ハマア問題ニナリマセヌケレドモ、
サウ云フヤウナモノヲ御考ノ中ニ入レナイ
ト云フコトニナリマスルノデスカ、是ハ
般ノ戰時利得稅ヤ何カニ付テモ同ジヤウニ
起ッテ來ル問題デアリマスルガ、片ッ方ノ收
益率ノ問題、物價騰貴ト云フモノトハ關係
ガ間接ニナリマス、片方ノ增價稅ヲ課スル
場合ニハ、ドウシテモ一般物價ノ騰貴率ト云
フヤウナモノヲ考ノ中ニ入レベキヂヤナイ
カト云フ工合ニ考ヘルノデゴザイマスガ、
如何デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=26
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027・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 財產增價稅ヲ創
設致シマスル場合ニ於テハ、取得價額ト處
分價額トノ開キヲ以テ所得又ハ利得ト認メ
テ課稅スル外ナイノデアリマス、其ノ場合
ニ於テ一般物價ノ騰貴率ダケハ當然騰ッタ
ノデアルカラ差引イテ課稅スル、其ノ外何
カ特殊ノ事由ニ依ッテ、例ヘバ其ノ地方ニ停
車場ガ出來タ、或ハ學校ガ開設サレタト云
フヤウナ理由カラ、特ニ値上リシタト云フ
部分ダケ見付ケテ課稅スルカト云フノデア
リマスルガ、大體サウ云フ風ナ區分ヲスル
コトハ困難デモアリマスルノデ、一般物價
ノ値上リ率ヲ差引イテ課稅スルコトハ如何
カト思ハレマス、卽チ大體認メナイ方ガ宜
イノデハナイカト思ヒマス、其ノ場合ニ於
テモ、價額ノ差ニ對シテ直チニ課稅スルカ、
幾分取得價額ニ對シテ割增ヲ認メルカト云
フ問題ガ殘ルノデアリマスルガ、最近ノモ
ノデアレバ割增ヲスル必要ガナイ、唯古ク
カラ持ッテ居リマシテ、サウ云フモノニ付テ
或時期ノ想定價額ト云フヤウナモノヲ附ス
ル場合ニハ、想定價額ノ附シ方ニ無理ガアッ
テモイケマセヌカラ、旁〓以テ五「パーセン
さ程度殖ヤシテ見ルノガ適當デハナイカ
ト、斯ウ云フ風ニ存ズル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=27
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028・三浦新七
○三浦新七君 今ノ御話デアリマスト、結
局一般物價ノ騰貴ト云フモノハ認メナイノ
ガ至當ダ、若シクハ認メルコトガ困難デア
ルト云フコトカラ、技術上ノ問題カラ來ル
ノデアリマスカ、詰リ今迄ノ總テ稅ナリ一
般ノ考ヘ方ガ、餘リ金錢ニ依ッテ見積ラレタ
價額ト云フコトニ重キガ置キ過ギテ居ルノ
デアル、實際ニ於テハ其ノ財產ト云フヤウ
ナモノヲ使フコトニ依ッテ生ズル利益ト云
フ見地ヲ考ヘテ置カナケレバナラヌノデア
ル、例ヘバ其ノ百圓ノモノヲ持ッテ居ッテ、
今日ソレガ百五十圓ニナッタト言ッテ見タ所
デ、ソレノ實際ノ收益力ト云フヤウナモノ
ハ違ハナイノデアル、唯ソレガ物價騰貴等
ノコトニ因ッテ多少此ノ收益率ノ割合ガ上ッ
テ來ルト云フダケノ話デアリマス、サウ云
フヤウナモノニ付テノ見地、若シクハ收益
カ、ソレノ利用價値ト云フ方ノ見地ヲ相當
稅等ニ於テモ參照スベキヂヤナイカ、サウ
云フ工合ニ考ヘルノデアリマスガ、如何デ
ゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=28
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029・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 說明ガ少シク足
リマセヌデシタガ、私ノ考ヘテ居リマスル
考ヘ方ハ、財產增價稅ヲ課稅スルニ當リマ
シテハ、一般物價ノ騰貴率迄含メテ課稅ス
ル、サウ云フ不勞利得的ナモノニ對シテハ、
租稅力アリト認メテ課稅致シタイト云フ趣
旨デゴザイマス、ソレニ附加ヘマシテ一般
物價騰貴率ト、特殊騰貴率ト云フヤウナモ
ノヲ見出スコトガ技術的ニモ困難デアル
斯ウ云フ趣旨デ申シタ譯デアリマス、尙其
ノ財產增價稅ノ中ニ處分致サナイデモ、財
產ノ增加ヲ認メテ課稅スルト云フ場合ト
今囘提案致シテ居リマスルヤウニ持ッテ居ル
ダケデハ課稅シナイ、實際其ノ物ガ賣レテ
現金化サレタヤウナ場合ニ於テノ差額ヲ取
ルト云フ場合トデハ、餘程其ノ課稅ノ手心
ニ相違ガアルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=29
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030・三浦新七
○三浦新七君 少シ又議論ニナリサウデス
ガ、今一般物價ト云フモノニ依ッテ値段ガ
騰ッタノダ、ソレガ不勞所得ダト云フ御言葉
ガゴザイマシタガ、不勞所得ト云フモノヲ
所得シテ居ナイト云フノガ私ノ考デ、詰リ
其ノ物ノ利用價値ト云フモノハ同ジナノデ
ス、唯ソレガ金錢ニ依ッテ見積ラレ、金錢ノ
方ニ原因ガアルト云フコトノ爲ニ騰ッテ居ルダ
ケノ考デ、元百圓ノモノガ今日百五十圓シタ
ト云フコトガ同ジナノデアリマス、ソレガ五
十圓ダケ取去ルト云フコトニナッタナラバ、ソ
レノ何ト申シマスカ、利用價値ト云フモノハ非
常ニ減ッタモノニナル、事實サウ云フヤウナコ
トデアリマシテ、此ノ物價ノ高低ニ依ッテ、近
頃ノ如クニ著シク物價ガ····近頃ヂヤナ
イ、此ノ「ヨーロッパ」戰爭以後ノ如クニ物
價ノ高低ガアル場合ニハ皆困ッテ居ル問題
ナンデス、サウ云フモノガ會社デアルトカ、
何トカ云フ場合ニ於テハ例ヘバ株劵ト云フ
ヤウナモノハ、大體買入値段ト云フヤウナモ
ノデ以テ組ンデ居ル、サウシテソレガ高ク
ナッテモ直チニ利益ヲ出サナイト云フ、斯ウ
云フヤウナコトニナッテ、平均ヲ採ッテ居ル
ヤウナ狀態ナノデアリマス、其ノ表面的ノ
價値ノ相違ト云フヤウナコトハ、實際ノ力
ノ相違、ソレニ依ッテ收獲スル利益ノ高ト云
フモノトハ殆ド····ト言ッテハ惡イデセウ
ガ、關係ガ非常ニ薄イモノデアル、其ノ率
ヲ稅法ニ於テ認メルヤ否ヤト云フ問題ナノ
デアリマス、今御話ノ如クニ、去年買ッテ今
年賣ッタ、今年買ッテ直グ賣ルト云フヤウナ場
合ニハ、是ハ問題ハアリマスマイ、是ハ全ク
一種ノ「スペキユレーシヨン」ノ爲ト申シマ
スカ、サウ云フヤウテ賣買ニ依ッテ利潤ヲ得
ヨウト云フコトカラ來ル動機ナノデアリマ
スガ、ソレハ問題ニナリマセヌガ、ソレヲ
利用スルト云フ見地カラ行キマスト、モウ
少シソレハ考ヘナケレバナラヌノヂヤナイ
カ、他ノ言葉デ言フト率トカ控除率トカ、
サウ云フモノヲ多少置クベキヂヤナイカト
云フ考ガアリマスガ、如何デセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=30
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031・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今三浦委員ノ
仰シヤッタコトハ御尤ナ點モアルト存ズルノ
デアリマス、百圓ノ物ガ百五十圓ニ値上リ
シタ、併シ一方百圓ノ物ガ百五十圓ニ相當
スルダケ利用價値ガ增シテ居ルト云フヤウ
ナ場合ニ於テ、增加額五十圓ト云フモノニ
課稅スルノハドウカト、斯ウ云フヤウナ御
趣旨デアリマスガ、一般ノ財產增加稅ヲ設
ケマシテ、處分ヲシナイ場合ニ於テモ價値ノ
增加ニ課稅スルト云フコトニナリマスルト
云フト、御議論ノヤウナ點ガ問題ニナッテ來
ルト思フノデアリマスルガ、今囘ハ一般ノ
財產增價稅ハ先程モ說明致シマシタ通リノ
理由ニ依リマシテ、暫ク將來ノ問題トシテ
〓究スル程度ニ止メテゴザイマス、現實處
分ヲシマシテ、現金化サレタ場合ニ對シテ
ノミノ課稅デアリマス、從ヒマシテ百圓デ
取得シタ物、若シクハ百圓ノ價値アリトシ
テ評價サレマシタ物ガ百五十圓ニ賣レテ、
現金ニナッタ場合ダケニ對シテ課稅シヨウト
云フ趣旨デアリマスルノデ、利用價値等ノ
點ハ考慮シナクテモ、此ノ場合ハ差支ナイ
ノデハナイカト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=31
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032・三浦新七
○三浦新七君 モウ此ノ上ハ議論ニナリサ
ウデスカラ止メマスガ、序ニモウ一ツ不動
產課稅ニ付テ御聽キシタイノデアリマス、先
程衆議院ノ問答ノ要領ヲ御話ニナリマシタ
時ニ、不動產ト株劵若シクハ有價證劵ト云フ
モノノ相違ト云フコトデ、色々ナ點デ其ノ有
價證劵ノ方面ニ資金ガ向クコトヲ望ムト云
フ所カラ利益ヲ與ヘテ居ルト云フ話ガゴザ
イマシタノデアリマスガ、其ノ利益ト云フノ
ガ、第一ハ分類所得稅ノ率ガ何「パーセントL
違フ、一「パーセント」違フト云フコトト、ソレ
カラ一割ノ差ッ引ガナイト云フコト、收益
ヲマル〓〓計算スルト云フコト、ソレカラ
モウ一ツ是ハ元カラアルヤツデアリマスガ、
地方稅ガ掛ルヤ否ヤト云フ問題、其ノ地方
稅ト云フモノガ、是ハ外ノ地方稅ノ問題ニ
付テモ起ッテ來ル、ソレモ御聽キシタイ點ガ
アリマスガ、ソレハ別トシマシテ、其ノ方
ハ近頃地方財政ガ困ッテ居ルト云フコトノ
結果制限率ダケデナク、トンデモナイ率ガ
掛ッテ居ル所ガ多イノデアリマス、サウ云フ
ヤウナ事情デアリマスガ、之ヲサウ云フエ
合ニ決メル場合ニ於テ、凡ソ不動產ニハド
レダケノ收益ガアル、株劵ニハドレダケノ
收益ガアルト云フコトヲ數字的ニ御考ニ
ナッテ、是ダケノ差等ヲ御付ケニナッタノデ
アリマスカ、或ハ小刻ミト云フ所デ一ツ行
カウト云フ御考デゴザイマスカ、其ノ點ヲ
一ツ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=32
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033・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 今囘分類所得稅
ノ改正ニ當リマシテ、不動產所得ト配當利
子所得トノ間ニ、百分ノ一ノ稅率ノ間差ヲ
置イタノデアリマスガ、其ノ理由ハ私ガ冒
頭ニ大體說明ヲ申上ゲタヤウナ趣旨デアリ
マシテ、只今又三浦委員ノ仰シャッタ通リ
デアリマス、其ノ百分ノ一ノ根據デアリマ
スガ、之ニ付キマシテハ、數字的ニ百分ノ
一ダケ違ハサナケレバナラナイ、斯ウ云フ
ヤウナ根據ガアッテノモノデハゴザイマセ
ヌ、尙只今御述ニナリマシタヤウニ、不動
產ニ對シテ地租及地租附加稅ノ掛ッテ居リ
マスト云フコトハ御述ノ通リデアリマシ
テ、此ノ點モ考慮ニ入レタノデアリマス、
地租、地租附加稅ハ一方ニ於キマシテ不動
產所得ヲ計算致シマスル時ニ、經費トシテ
差引クコトヲ認メテ居リマスルノデ、之ガ
課稅ニナリマシテモ、其ノ經費トシテ差引
クコトデモアリマスルカラ、稅率ニ於テハ此
ノ百分ノ一程度ニサシテ差支ナイト、斯ウ
云フ風ニ考ヘタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=33
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034・三浦新七
○三浦新七君 チヨットウッカリシテ居リマ
シタガ、地租其ノ他ノ附加稅ト云フモノハ
經費トシテ引去ルト云フコトガアルノデゴ
ザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=34
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035・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 不動產所得ノ計
算ニ當リマシテハ、納メマシタ地租及其ノ
附加稅ハ經費トシテ差引イテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=35
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036・三浦新七
○三浦新七君 ソレカラ普通ノ場合ノ營業
稅ノ場合モ矢張リサウ云フ風ナ稅金ヲ引イ
テ居ルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=36
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037・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 營業稅ヲ課シマ
スル場合ノ營業純益ノ計算ニ當リマシテハ、
營業用土地ノ地租ヲ引イテ居リマス、尙營
業用家屋ノ家屋稅モ營業純益ヲ計算スル際
ニ引クコトニ相成ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=37
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038・大森佳一
○男爵大森佳一君 簡單ニ伺ヒマスガ、今
囘ノ稅法改正ニ付キマシテ必要トスル徵稅
費ノ方ノ側ノ人件費ナリ、物件費ナリノ豫
算ハドノ位ニナッテ居リマスルカ、ソレヲ承
リタイ、ソレカラ納稅ノ成績デゴザイマス
ガ、大藏大臣ノ御說明ニ依リマスト、納稅
ノ成績ガ最近大變ニ宜シイト云フ御話デア
リマス、是ハマア當然ノコトデアリマス、
時節柄然ルベキコトデアリマシテ、無論私
共モサウ云フ風ニ思ッテ居リマスルガ、是
ハ又其ノ裏面ノ狀況カラ見テ個々ノ場合、
又業態別トカ、人々個々ノ事情ニ付テ考へ
マスル時ニ、隨分變ッタ實情ガアルコトヲ想
像モサレ、若シクハ時ニ意外ノ現象ガアル
コトヲ耳ニ致スコトガアルノデアリマス、
サウ云フヤウナ狀況ニ關スル何カノ報告ニ
接セラレテ居ルトカ、稅務當局ガ見テ、是
ハ租稅政策ノ上ニ於テ考ヘナケレバナラヌ
ト云フヤウナ事實ハアリマセヌデセウカ、
又從來ノ稅法ノ改正ニ關シマシテ何カ御耳
ニサレタヤウナコトハアリマセヌデセウカ、
今囘ノ改正ニ關シマシテハ相當注意スベ
キ事實ガアリハセヌカトモ思ヒマス、一般
ノ傾向トシテ納稅ノ成績ガ良好デアルト云
フコトハ、是ハ勿論ノコトデアリマスガ、
其ノ間ニ注意スベキ事柄ガアリハシナイカ
ト云フコトヲ念ノ爲承ルノデアリマス、老
婆心カラ申スヤウナコトデアルカモ知レマ
セヌガ、サウ云フヤウナコトハナカッタラ
ウカト云フコトヲ參考ニ承リタイ、若シ機
密ニ關スルコトデアリマスレバ、ソレハ速
記ヲ止メテ承ッテモ宜シウゴザイマス、幸ニ
シテソンナヤウナコトハナイト云フコトデ
アリマスレバ結構デアリマス、又一面私共
ノ參考ト致シマシテ、一般ノ納稅ノ狀況ニ
付テ業種別ナリ、或ハ稅種別ナリ、或ハ地
方別ナリ、サウ云フヤウナコトヲ考ヘマス
折ニ必要ナル納稅成績ノ統計等ガゴザイマ
シタナラバ、大體ノコトデ宜シウゴザイマ
スカラ承リタイト思ヒマス、ソレハ後デ御
調トシテ頂戴シテモ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=38
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039・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 今囘ノ增稅等ニ
關聯致シマシテ增加致シマス經費、竝ニ人
員デゴザイマスガ、金額ト致シマシテハ交
付金ノ增加致シマスモノ迄含メマシテ六百
萬圓餘ニナッテ居リマス、人員ト致シマシテ
ハ約九百名程增スコトニ豫算上要求致シテ
ゴザイマス、次ニ納稅成績ガ戰時下ニ於テ
極メテ優良デアリマスルコトハ御話ノ通リデ
アリマシテ、誠ニ心强ク感ズルノデゴザイ
マス、從來大都市等ニ於キマシテハナカ
ナカ完納ト云フヤウナ成績ハ擧ゲニクカッ
タノデアリマスルガ、最近ニ於キマシテハ
大都市ニ於テモ、區ニ依ッテ諸稅完納ト云フ
ヤウナ成績ヲ現シテ參ッテ居ル所モゴザイ
マス、是ハ納稅者ノ戰費負擔ト云フ愛國心ノ
發露ニ依リマスコト、竝ニ市町村等徴稅ノ
事務ニ與ッテ居リマス者ノ獻身的努力ノ現
レデアルト思フテ居リマス、尙昭和十五年
ノ稅制改正ニ依リマシテ一部源泉徵收ノ途
ヲ開キマシタ其ノ部分ガ相當多數ニ上ッテ
居リマスノデ、是ガ納稅ヲ大分シ易クサセ
テ居ルカト思フノデゴザイマス、併シ數多
クノ納稅者ノ中デアリマスルカラシテ、表
面上ハ納メ得タト致シマシテモ、其ノ裏面
ニ於キマシテハ非常ナ困難苦痛ヲ感ジツヽ
辛ウジテ納稅シテ居ルト云フヤウナ場合ガ
絕無デハナイト思フノデアリマスガ、サウ
云フコトニ付キマシテ特ニ訴ヲ聽クト云フ
ヤウナコトハ、今ノ所寡聞ニシテ聞イテ居
リマセヌ、ソレカラ各稅種別、地方別ノ納
稅狀況デアリマスルガ、今地方別ノ數字ハ
持ッテ居リマセヌカラ、稅種別ニ付テ大體ド
ノ程度迄ノ徵收成績ニナッテ居ルカト申シ
マスト云フト昭和十六年度ノ收入步合デ
アリマスガ、分類所得稅ニ付テハ九割九分
六厘ト云フ成績ヲ示シテ居リマス、綜合所
得稅ニ付テハソレヨリ一厘方宜クテ、九割
九分七厘ト相成ッテ居リマス、個人臨時利得
稅ハ少シ下リマシテ九割九分三厘、個人ノ
營業稅ニ於テハ九割九分六厘、地租ノ如キハ
九割九分九厘ト云フ成績デアリマス、法人
稅ハ少シ成績ガ落チテ八割四分ト云フ成績
ニナッテ居リマスガ、是ハ市町村等ノ手ヲ煩
サナイデ、稅務署ニ於テ徵收シ、而モ一定
ノ納期ガナクテ、隨時徵收ナモノデスカラ
督勵ト云フコトヲ致シテ居リマセヌ、其ノ
結果斯ウ云フ成績ニ相成ッテ居ルト思ヒマ
ス、法人臨時利得稅モ同樣ナ理由ニ依リマ
シテ八割一分ト云フヤウナ徴收成績デアリ
マス、地方別ニ付キマシテハ調ガ出來マシ
タナラバ御配リスルヤウニ努メタイト存ジ
マニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=39
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040・樺山愛輔
○委員長(伯爵樺山愛輔君) モウ別ニ御質
問モナイヤウデアリマスカラ、今日ハ是デ
散會致シマシテ、次ハ月曜日ノ午前十時半
カラ開會致シマス
午前十一時五十九分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵樺山愛輔君
副委員長男爵松岡均平君
委員
公爵島津忠重君
侯爵大隈信常君
侯爵井上三郞君
關屋貞三郞君
子爵野村益三君
子爵大河内輝耕君
子爵西尾忠方君
子爵綾小路護君
中川健藏君
平塚廣義君
吉田茂君
內田重成君
柴田善三郞君
男爵大森佳一君
男爵中御門經民君
三浦新七君
松村義一君
堀啓次郞君
野村德七君
下出民義君
中島德太郞君
男爵古市六三君
政府委員
內務省地方局長成田一郞君
內務書記官小林千秋君
大藏次官谷口恒二君
大藏省主稅局長松隈秀雄君
大藏書記官深澤家治君
同池田勇人君
同平田敬一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901604X00219420207&spkNum=40
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