1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
南方開發金庫法案(政)
帝國石油株式會社法中改正法律案(政)
重要物資管理營團法案(政)
帝國鑛業開發株式會社法中改正法律案(政)
帝國燃料興業株式會社法中改正法律案(政)
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委員氏名
委員長 伯爵 兒玉秀雄君
副委員長 男爵 深尾隆太郎君
公爵 桂廣太郎君
侯爵 中山輔親君
侯爵 池田宣政君
子爵 保科正昭君
子爵 岡部長景君
子爵 松平忠壽君
子爵 河瀬眞君
子爵 三島通陽君
水野錬太郎君
有田八郎君
藤原銀次郎君
塚本清治君
男爵 周布兼道君
白根竹介君
男爵 益田太郎君
男爵 西酉乙君
倉知鐵吉君
富田健治君
野村徳七君
平沼亮三君
中山太一君
出光佐三君
古莊健次郎君
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昭和十七年二月二日(月曜日)午後一時三十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=0
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001・兒玉秀雄
○委員長(伯爵兒玉秀雄君) 只今ヨリ委員
會ヲ開會致シマス、最初ニ商工大臣ヨリ各
案ニ付キマシテ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=1
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002・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 本委員會ニ一括付
託セラレマシタ帝國石油株式會社法中改正
法律案外三件ノ提案理由ニ付キマシテ、順
次御說明申上ゲマス、先ヅ帝國石油株式會
社法中改正法律案ニ付テデアリマスガ、改
正ノ第一點ハ、帝國石油株式會社ノ資金調
達ノ圓滑化ヲ圖ラムトスルモノデアリマシ
テ、是ガ爲ニ帝國石油株式會社ガ政府ノ認
可ヲ受ケテ增資ヲ行ヒマス場合ニハ、政府
出資ヲ現行法ノ五千萬圓ヲ超エテ出資シ得
ルコトト致シマスルト共ニ、帝國石油債劵
ノ發行限度ヲ拂込株金額ノ三倍ト云フコト
カラ五倍ニ擴張セムトスルモノデアリマス、
現在帝國石油株式會社ノ資本金ハ一億圓デ
アリマシテ、政府出資ハ其ノ半額ニ限定セ
ラレ、又帝國石油債劵ノ發行限度ハ拂込株
金額ノ三倍ト定メラレテ居ルノデアリマス
ルガ、南方油田開發ノ重大任務ヲ擔當スベ
キ同社ト致シマシテハ、現在程度ノ資金調
達デハ不十分デアリマスノデ、之ヲ增加セ
ムトスルモノデアリマス、尙南方油田開發
ニ要スル資金ノ額竝ニ其ノ時期等ハ現在ニ
於キマシテハ、マダ決定致スコトハ不可能
デアリマスカラ、政府出資ノ限度ハ之ヲ撤
廢致シマスルト共ニ、帝國石油債劵ノ發行限
度ヲ擴張セムトスルモノデアリマス、改正ノ
第二點ハ、帝國石油株式會社ノ副總裁ハ現
在ハ一人トナッテ居リマスノヲ二人ニ增員セ
ムトスルモノデアリマスガ、是ハ今後同社ヲシ
テ南方ニ進出セシムル爲ニ、同社ノ機構ヲ
擴充整備シ、增員致シマスル副總裁ノ一人
ヲ南方ニ常駐セシムルノ途ヲ開カムトスル
モノデアリマス、次ニ重要物資管理營團法案
ニ付テ申上ゲマス、今次大東亞戰爭ヲ克服
シテ有終ノ成果ヲ收メマスルガ爲ニハ、今
後長期ニ亙ルベキ大規模ナル物資消耗戰ニ
對處シテ國內戰時經濟ノ運營ニ一段ノ强化
ヲ加へ、生產、配給、消費各部面ニ統制ノ徹
底ヲ圖リマスルト共ニ、特ニ重要物資ノ國
內在庫ノ確保及增强ト其ノ適切ナル利用ヲ
講ジマスルコトガ、極メテ緊要ト認メラル
ルノデアリマス、豫テヨリ政府ト致シマシ
テハ、物資動員計畫ノ實施ニ關聯致シマシ
テ、將來ノ需要ニ備へ機會アル每ニ特別輸
入乃至繰上輸入等ノ措置ヲ講ジマシテ、海
外ヨリノ早期輸入手當ヲ致シマシテ、現
國內ニ保有セラレテ居リマスル戰時緊要物
資ハ相當多量ニ上ッテ居ルノデアリマス、又
其ノ他一般ノ國內在庫ニ致シマシテモ、未
ダ相當大量ニ貯藏セラレテ居ルモノト考ヘ
ラルヽ實情ニアリマスノデ、差當リノ問題
トシテ、是等國內在庫ノ增强、確保ノ方策
ヲ講ジマシテ、事態ノ進展ニ伴ヒ、今後ニ
於ケル海外取得物資、特ニ南方ヨリ輸入セ
ラル、重要物資ノ管理及其ノ有效利用ヲ圖
ルコトガ急務ト認メラルヽノデアリマス、
更ニ又戰時下ニ於ケル非常不測ノ事態發生
ニ備ヘ、工業用各種原材料、生活必需品、
防空用資材等、各般ノ物資ニ亙リ、是等ヲ
綜合シテ地方分散ノ保管計畫ヲ運用致シマ
スルコトモ緊要ナル事業ト考ヘラレルノデ
アリマス、而シテ是等ノ事業ハ何レモ旣存
ノ民間機關ニ之ヲ期待スルコト至難ナルモ
ノガアリマスルノデ、新ニ國家ニ代ツテ敍
上ノ使命ヲ遂行スル重要物資管理營團ヲ設
立セシメ、本營團ニ對シ特別ノ權能ト助成
ヲ與ヘ、政府ノ適切ナル指導監督ノ下ニ重
要物資ノ貯藏ヲ確保增强シ、其ノ利用ヲ有
效且適切ナラシメルコトヲ骨子ト致シマシ
テ、本法案ヲ立案シタモノデアリマス、本
法案ノ要領ヲ申述ベテ見マスルト、第一ニ
本營團ノ資本金ハ之ヲ全額政府出資トシ、
且政府ハ國債ヲ以テ出資ヲ爲シ得ルコトト
致シテ居ルノデアリマスガ、右ハ其ノ事業
ガ高度ノ國家的性格ヲ有ツカラデアリマシ
テ、又營團ノ資本金額ヲ二千萬圓ト致シテ
居リマスルガ、右ハ營團ノ事業規模ヲ考慮
シ、〓ネ資本金ノ利息ヲ以テ其ノ事務費ヲ
賄ハシメル方針ノ下ニ斯樣ニ致シタノデア
リマス、尙營團ノ事業資金ノ調達ニ付テ、
一般ノ營團法ニ見受ケラレマスルガ如キ債
劵發行ニ關スル規定ヲ設ケテ居リマセヌ
ガ、右ハ本營團ノ事業ノ性質上〓ネ短期ノ
資金デアリマスルノデ、資金ヲ必要トスル
場合ハ借入金ヲ以テ賄ハシメル方針デアルカ
ラデアリマス、第二ニ本營團ノ國家代行機關
タルノ本質竝ニ事業目的達成上ニ於ケル必要
性ニ鑑ミマシテ、一定ノ者ニ付重要物資ノ保
有狀況ニ關シ報〓ヲ求メ、或ハ檢査ヲナスノ
權能ヲ認メ、又一定ノ者ニ對シ重要物資ノ
保管ヲ請求シ得ル權限ヲ認ムルコトト致シ
テ居リマス、第三ハ、本營團ノ事業ハ直チニ
物資動員計畫ノ內容ノ一部ト相成リマスル
關係上、其ノ事業ニ關スル基本計畫ハ政府
ニ於テ之ヲ決定スルコトトシ、營團ハ右基
本計畫ニ基キ實施計畫ヲ樹立運用スルコト
ト致シタノデアリマス、其ノ他ノ點ニ付キ
マシテハ略〓一般ノ營團法中ニ設ケラレテ居
リマスルガ如キ諸規定ヲ設ケタノデアリマ
ス、次ニ帝國鑛業開發株式會社法中改正法
律案ノ提出理由ニ付テ申上ゲマスガ、同社
ハ昭和十四年八月十日銅、鉛亞鉛、錫
ㄱニッケル」、「クローム」、滿俺等、金屬鑛
物資源ノ開發ヲ目的ト致シマシテ、三千萬
圓ノ資本金ヲ以テ設立セラレマシタ半官半
民ノ國策會社デアリマスガ、時局ノ進展ニ
伴ヒ、是等金屬鑛物ノ重要性ハ一段ト增加
シテ參リマシタノデ、當社ハ其ノ設立ノ本
旨ニ鑑ミ或ハ自ラ鑛山ノ經營ニ當リ、或ハ
中小鑛山ニ對スル融資乃至投資ヲ行フ等ノ
方法ニ依リ、休眠鑛區ノ開發乃至低品位鑛
ノ處理ニ萬全ノ努力ヲ拂ツテ參ツタノデア
リマス、然ルニ今般大東亞戰爭ノ勃發ヲ見、
軍需資源トシテノ非鐵金屬ノ重要性ハ更ニ
一段ト增加シタクデアリマシテ、之ニ伴ヒ
同社ノ事業モ當然擴充セザルヲ得ナイコト
トナッタノデアリマス、斯クノ如キ同社ノ
擴充ニ備フル爲ニハ同社ノ資金ヲ十分潤澤
ナラシメ置ク必要ガアルノデアリマス、同
社ノ資金調達ノ狀況ヲ見マスルニ、公稱資
本金三千萬圓、內一千二百萬圓ノ拂込濟ミ
デアリマシテ、拂込額ノ五倍タル六千萬圓
ノ社債發行能力ヲ有シテ居リマスルノデア
リマスガ、社債ハ現ニ五千萬圓迄發行濟ミ
トナッテ居リ、而モ殘額一千萬圓ハ此ノ三月
迄ニ發行致シマスコトト決定致シテ居リマ
ス、斯クノ如キ事情デアリマスノデ、同社
ノ事業ヲ擴張致シマスルニハ資金調達ノ上
ニ改正ヲ加フルノ必要ガ起ッテ參ッタノデア
リマス、卽チ今囘ノ改正ノ第一點ハ、同社
ハ帝國鑛業開發株式會社法第三條第二項ノ
規定ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ資ヲ本增
加スルコトヲ得ルコトトナッテ居リマスル
ガ、此ノ場合ニ於キマシテ、政府ハ現在ニ
於ケル政府出資ノ限度額タル千五百萬圓ヲ
超エテ出資シ得ルコトトスル點デアリマシ
テ、之ニ依リ同社ガ政府ノ認可ニ依リ增資
ヲナス場合、政府ニ於テモ其ノ增資新株ヲ
引受ケルコトトシ、同社ノ資金調達ヲ容易
ナラシメムトスル趣旨デアリマス、次ニ改正
ノ第二點ハ、現在同法第二十九條第一項ノ
規定ニ依リ四分トナッテ居リマスル同社ノ
配當補給金ノ限度ヲ六分ニ引上ゲ、更ニ其
ノ年限ガ現在ハ設立ノ年及其ノ翌年ヨリ五
年間トナッテ居リマスノヲ十年間、卽チ第二
十一營業年度迄延長致サウト云フ點デアリ
マシテ、同社ノ舊株ノ拂込徵收竝ニ增資新
株ノ引受ヲ容易ナラシメ資金調達上遺憾ナ
キヲ期スル趣旨ニ外ナラナイノデアリマス、
次ニ改正ノ第三點ハ、非訟事件手續法改正
ニ伴ヒマシテ本法ノ規定ヲ整理セムトスル
モノデアリマス、最後ニ帝國燃料興業株式
會社法中改正法律案ニ付テ申上ゲマス、改
正ノ第一點ハ、帝國燃料興業株式會社ガ政
府ノ認可ヲ受ケテ增資ヲ行ヒマス場合ニ政
府出資ヲ現行法ノ五千萬圓ヲ超エテ出資シ
得ルコトトセムトスルモノデアリマス、人
造石油製造事業ハ我ガ國石油ノ自給確保ノ
爲メ今後益〓强化振興ヲ必要トスル次第デア
リマスガ、帝國燃料興業株式會社ノ現在ノ
資金計畫ハ、資本金一億圓、社債發行限度
ハ拂込株金額ノ五倍デアリマシテ、今後ノ
事業ノ振興ニ對シマシテ不十分ナル實情ニ
アリマスノニ鑑ミマシテ、同社ノ資本金ヲ
增加セムトスルモノデアリマス、第二點ハ、
帝國燃料興業株式會社ニ對スル配當補給金
ノ限度ヲ擴張セムトスルモノデアリマシテ、
現行法ニ於キマシテハ、民間株主ノ拂込株
金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ニ相當スル額
及當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル燃料興業
債券ノ利息額ヲ超ユルコトヲ得ザルコトト
ナッテ居リマスル處、現下ノ金融情勢下ニ於
キマシテハ社債發行ヲ致スト共ニ相當程度
ノ借入金ヲナスコトヲ必要トスル場合ガア
リマスノデ、斯カル場合ニ借入金ノ利息額
ヲモ配當補給金ノ範圍ニ加ヘムトスルモノ
デアリマス、其ノ他二點ニ於キマシテ商法
改正竝ニ非訴事件手續法ノ改正ニ伴フ關係
條項ノ整理ヲ行ヒタイト思フノデアリマス、
以上ガ今囘提出致シマシタ四箇ノ法律案ノ
骨子デアリマス、何卒愼重御審議ノ上御協
贊アラムコトヲ希望致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=2
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003・兒玉秀雄
○委員長(伯爵兒玉秀雄君) 政府ニ御尋ネ
致シマスガ、衆議院ニ御出シニナリマシタ
參考資料ハ全部御提出ニナッテ居ルノデア
リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=3
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004・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 全部差上ゲテアル
ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=4
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005・兒玉秀雄
○委員長(伯爵兒玉秀雄君) 何カ商工省關
係ノ法案ニ對シマシテ參考資料ノ御入用ガ
アリマスレバ此ノ際御要求ヲ願ッテ置イタ
方ガ御便利カト思ヒマス、參考資料ノ御要
求ハ何時デモ宜シウゴザイマスルカラ、只
今御要求ガナケレバ引續キマシテ大藏省關
係ノ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=5
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006・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 本委員會ニ付託
ト相成リマシタ南方開發金庫法案ノ提案理
由ヲ御說明申上ゲマス、大東亞戰爭ニ伴ヒ
マスル南方通貨對策ト致シマシテハ、當面
ノ戰爭遂行ニ遺憾ナカラシムル爲メ重要資
源ノ需要ヲ充足シ得ルヤウ資金ノ供給ヲ圓
滑ナラシムルコトヲ第一義ト致サネバ相成
ラヌノデアリマス、而シテ南方地域ニ於キ
マシテハ現ニ作戰進行中デアリマシテ、軍
票ヲ使用致シテ居ルノデアリマスルガ、本
邦ト南方諸地域トノ間ニ尙早ニ確定的ナル
爲替比率ヲ立ツル如キハ困難デモアリ、又
不適當ト認メラレマスルノデ、當分ノ間ハ
本邦ト南方諸地域トノ間ニ特殊ノ場合ヲ除
キ、資金ノ移動ヲ統制スルコトヲ適當ト考
ヘルノデアリマス、從ヒマシテ此ノ時期ニ
於キマシテハ、現地ニ於ケル必要ナル資金
ノ調達等ニ付キマシテハ特別ノ工夫ヲ凝
ラサネバ相成ラヌノデアリマス、南方開發
金庫ヲ設立致シマスルコトヲ適當ト認メマ
シタ理由ノ一ハ玆ニ存スルノデアリマシテ、
同金庫ニ對シ臨時軍事費特別會計ガ貸付ヲ
ナシ得ルコトト致シマシタノモ、當初ニ於
キマシテ現地ニ於テ必要ナル軍票資金ヲ右
ノ方法ニ依リ南方開發金庫ニ供給セムトス
ルノ配意ニ外ナラナイノデアリマス、併シ
ナガラ南方開發金庫ハ固ヨリ右ノ如キ特殊
ノ狀況ニ對處スベキ使命ノミヲ以テ足レリ
トスルモノデハナイノデアリマシテ、南方
地域ノ今後ノ如何ナル情勢ノ變化ニモ對應
致シマシテ、同金庫ヲ以テ帝國ノ通貨金融
對策運營ノ原動力タル中樞機關タラシメム
トスルモノデアリマス、從ヒマシテ其ノ活
動範圍ハ成ルベク廣ク且ツ融通性ニ富ムガ
如ク致シ置クヲ適當ト認メタノデアリマス、
以下本法案ノ內容ニ付キマシテ〓略御說明
申上ゲマス、南方開發金庫ハ其ノ本金庫ヲ
東京市ニ置キ、必要ナル南方諸地域ニ支金
庫又ハ出張所ヲ置クコトヲ適當ト認メ、其
ノ資本金ハ之ヲ一億圓ト致シタノデアリマ
ス、尤モ當初ニ於キマシテハ本邦ニ於テ
日本圓資金ヲ調達致シマスルコトハ差向キ
サシテ必要ヲ認メラレマセヌノデ、第一囘
ノ拂込ハ資本金ノ十分ノ一ヲ下ラザル額ト
致シマスル反面、將來南方開發金庫ノ業務
ノ發展ニ備ヘマシテ、增資ヲ豫想致シテ居
ルノデアリマス、而シテ當初ハ作戰遂行中
ノ關係モアリ、是ガ業務等ニ關聯致シマシ
テ、危險ヲ伴フ場合モ豫想セラレマスルノ
デ、政府ハ同金庫ニ對シ差當リ全額出資ヲ
スルコトト致シ情勢之ヲ許スニ伴ヒ、民間
ニ對シ政府持分ノ一部ヲ讓渡致シ又ハ增資
ノ際其ノ一部ヲ民間ヨリノ出資ニ求メ得ル
コトトシ之ニ依リ南方地域經營ニ對スル國
民ノ〓揚セル關心ニ應へムト存ズルノデア
リマス、南方開發金庫ノ業務ト致シマシテ
ハ南方地域ノ資源ノ開發及利用ノ爲必要ナ
ル融資又ハ投資ヲナスコトヲ中心ト致スノ
デアリマスルガ、融資ニ付キマシテハ日本側
金融機關ガ各地ニ於テ業務ヲ開始致シマス
ル場合ニ於キマシテモ、必ズシモ普通銀行
ノ業務ニ適セザル長期、固定的ナルモノハ、
南方開發金庫ヲシテ行ハシムルノガ適當デ
アルト考ヘラレルノデアリマス、又是等金
融機關ニ對シ所謂親銀行的立場ニ於テ融資
スルコトヲ適當ト認メラレルノデアリマス、
投資ニ付キマシテハ差向キ大ナルモノハ豫
想シ得ラレナイノデアリマスガ、將來ノ情
勢ノ推移ニ依リ、是モ考慮セラルルノデア
リマス、而シテ是等融資及投資ニ付キマシ
テハ相當ノ危險モ豫想セラレマスノデ、政
府ハ融資及投資ニ依リテ受ケタル損失ヲ補
償スルノ契約ヲナシ得ルコトト致シタノデ
アリマス、以上ノ如ク南方開發金庫ノ業務
ハ極メテ廣範圍ニ亙リ得ルノデアリマスル
ガ、之ニ付キマシテハ固ヨリ各地域ノ實情
及情勢ニ應ジマシテ其ノ業務ノ範圍及運營
等ニ付キ十分ノ指導監督ヲ致スベキデアリ
マシテ、他ノ金融機關等ニ對シマシテモ能
ク親銀行的職能ヲ發揮致シ、南方地域ニ對
スル帝國通貨政策ノ中樞機關タラシムルノ
實ヲ擧ゲシムルコトノ肝要ナルコトハ申ス
迄モアリマセヌ、次ニ南方開發金庫ハ現地
ニ於テ借入金ヲナシ、或ハ主トシテ現地ニ
於キマシテ債劵ヲ發行スル等ノ方法ニ依リ、
現地資金ノ潤澤ナル調達ヲ圖ルコトガ必要
デアルト認メラレマスノデ、借入金ヲナス
コトヲ得ルコトトシ、又拂込資本金ノ十倍
迄債劵ノ發行ヲナシ得ルコトトスルヲ適當
ト認メタノデアリマス、最後ニ南方開發金
庫ハ其ノ使命ガ高度ノ國家的ナルモノナル
ニ顧ミ、其ノ職員ヲ公務員ト看做スコトト
致シ、又其ノ主タル業務ヲ行フベキ地域ガ
作戰中デアリマスル關係上、之ガ運營ニ付
キマシテハ、政府ハ大本營ト緊密ナル連繫
ヲ保チ、作戰目的ニ卽應シテ圓滑ニ運營ヲ
ナシ得ルヤウ萬全ノ配意ヲ致シテ居ルノデ
アリマス、何卒御審議ノ上速カニ御贊成セ
ラレンコトヲ御願ヒ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=6
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007・兒玉秀雄
○委員長(伯爵兒玉秀雄君) 何カ大藏省關
係デ參考資料ノ御要求ガゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=7
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008・中山太一
○中山太一君 參考資料ヲ衆議院デ田原委
員、米窪委員、最上委員、星委員、山本委
員、笠井委員、此ノ六委員カラ要求サレテ
居リマスガ、各〓皆出テ居リマスデセウカ、
出テ居ラヌデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=8
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009・山住克己
○政府委員(山住克己君) 其ノ分ハ、外務
省拓務省ガ作成スルコトニナッテ居リマシ
テ、マダ衆議院ノ方ニモ出テ居ラヌヤウニ
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=9
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010・兒玉秀雄
○委員長(伯爵兒玉秀雄君) 政府委員ニ申
上ゲマスガ、至急ソレ等ノ參考資料ヲ提出
スルヤウニ御取計ヒ願ヒマス······他ニ何カ
御發議ハゴザイマセヌデセウカ······御發言
ガナケレバ今日ハ此ノ程度ニ止メテ、明日
午前十時開會スルコトニ致シマス、今日ハ
是デ散會致シマス
午後二時五分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵兒玉秀雄君
副委員長男爵深尾隆太郞君
委員
公爵桂廣太郞君
侯爵中山輔親君
侯爵池田宣政君
子爵保科正昭君
子爵岡部長景君
子爵松平忠壽君
子爵河瀨眞君
子爵三島通陽君
水野鍊太郞君
藤原銀次郞君
男爵周布兼道君
白根竹介君
男爵益田太郞君
男爵西酉乙君
富田健治君
平沼亮三君
中山太一君
出光佐三君
古莊健次郞君
國務大臣
商工大臣岸信介君
政府委員
大藏次官谷口恒二君
大藏省理財局長山住克已君
大藏省爲替局長原口武夫君
大藏書記官愛知揆一君
商工省總務局長神田暹君
商工省鑛產局長津田廣君
燃料局事務官山口眞澄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007902820X00119420202&spkNum=10
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