1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年二月六日（金曜日）午前十時九分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=0
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001・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) ソレデハ是ヨ
リ開會致シマス、本日ハ午前中農林大臣ハ
拓務省關係ノ委員會ニ出席致シテ居ラレマ
スノデ、此ノ委員會ニハ出席ガムツカシイ
ヤウニ承ッテ居リマス、農林次官ハ御出席ニ
ナル筈デアリマスル、食糧管理局長官ガ見
エテ居リマスカラ、御質問ヲ昨日ニ續イテ
御願ヒシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=1
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002・一條實孝
○公爵一條實孝君 私ハ甚ダ斯ウ云フコト
ニ暗イノデアリマスガ、此ノ食糧管理法ト云
フノガ出來上リマスト、一般ニ配ラレル米
ハドウ云フモノヲ御配リニナルノガ原則ニ
ナッテ居リマスカ、實ハ斯樣ナコトヲ伺フノ
ハ豫テ私ハ玄米食ト云フモノヲ、一般ノ人
人ニ之ヲ强要スルト云フコトハ是ハ色々
ノ事情デ無理ガアラウト思ヒマスガ、之ヲ
進ンデ食ベタイト云フ人ニハ、國家トシテ
ハ決シテ之ヲイケナイト仰シヤル理由ハ何
處ニモナイデハナイカ、殊ニ玄米〓ガ榮養
的ニ言ヒマシテモ、亦節米ノ點カラ言ヒマ
シテモ、非常ニ效果ノアルコトハ、是ハモ
ウ論ズル迄モナイノデアリマス、之ヲ果シ
テ管理法ニ依ッテ得ラレルヤウニナルノカ、
ソレトモ玄米食ト云フモノハ全然出來ナク
ナルノカ、斯ウ云フコトガ心配デアル爲ニ、
斯カルコトヲ伺フノデアリマスガ、先ヅド
ウ云フ米ヲ御配リニナルト云フコトガ御建
前デアリマスカヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=2
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003・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 只今消費者ニ配
給致シマス米ハ、結局現在ノ米穀事情ニ於
キマシテハ、サウ之ニ依ッテ變ハルト云フ
コトハナイノダト云フ風ニ思ッテ居リマス、
又チヨット致シ兼ネルト斯ウ思ッテ居リマス
ガ、ドウ云フ米ト云フ御尋ネデゴザイマス
カラ申上ゲマスレバ、內地米、ソレカラ外
地米、外米等ヲ矢張リ必要ニ應ジマシテ混
ゼマシテ、消費シテ戴クコトニナルト思ヒ
マス、內地米ノ如キモノニ付キマシテハ、七
分搗ノ米ト云フコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、外地米、外米ハ白米ニナッテ居リマス、
只今法律ニ於キマシテ、七分搗以上ニ米ヲ
白クシテハイカヌト云フ規則ニナッテ居リ
マスノデ、サウナッテ居リマス、デ是ハ併シ
昨今ノ米穀事情ガ何分ニモ供給ガ足リマセ
ヌモノデアリマスカラ、斯ウ云フ風ナ措置
ヲ執ッテ居リマス、只今一條委員ノ仰セニナ
リマシタ玄米ノ配給ノ問題ハ、是ハ實ハ現
地ニ於キマシテモ、只今仰セノ如キ御趣旨
ハ我々モ理解出來ルノデゴザイマスガ、玄
米ノ供給ヲ希望サレル方ニハ、玄米ノ配給ガ
出來マスヤウニ致シテ居ルノデアリマス、
唯先程申シマスヤウナ、非常ニ供給ガ窮屈
デアリマスノデ、何處ノ配給所ニ於キマシ
テモ樂ニ玄米ガ手ニ入ルト云フ風ニ、玄米、
白米兩方ニ準備ヲ致シテ、消費者ノ要求ニ
應ズルト云フ餘裕ガゴザイマセヌノデゴザ
イマスカラ、只今ハ所謂割當配給ニナッテ
居リマス關係上、玄米ヲ消費爲サルト云フ
コトガ、此ノ御家族デモ皆サンサウダト云
フ風ニナッテ居ラッシヤル御家ナラバ、白米
ノ配給ヲシナイデ玄米ヲズット配給スルト
云フ風ニデモ決マリマスルト、大體玄米ノ
配給量ガ幾ラト云フコトガ配給所デ數量ガ
決マリマスカラ、サウ云フ御屆ノアリマシ
タ方ニハ玄米ノ配給ヲ致シマセウト思ヒマ
ス、併シ是ハチヨット玄米ト云フモノヲヤッ
テ見タイト云フ風ナ御心持デ、玄米ヲ寄越
セト云フ御話ガゴザイマシテモ、之ヲ一々
御要求ニ應ジテ配給スルト云フコトニナリ
マスト、其ノ準備ニ非常ニ二重ニ三重ニ準
備シナケレバナラヌト云フコトニナリマス
カラ、配給所モ困ル譯ナンデアリマス、只
今ノ樣子カラ申シマスト、玄米〓ノ御希望
ノ方ニハ今申シマシタヤウナ原則デ配給ス
ルコトニナッテ居リマス、デ將來ハ無論食
糧事情ガ緩和致シマスレバ、只今ノヤウナ
窮屈ナ制限ヲイツ迄モ續ケテ行クト云フ積
リハゴザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=3
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004・一條實孝
○公爵一條實孝君 御思召ハ能ク分リマシ
タガ、實際ニ玄米ヲ要求シテ居ル人カラノ
話ヲ聽キマスト、今仰シヤッタヤウニ、矢
張リナカ〓〓困難ナ狀態ニアルノデアルサ
ウデアリマシテ、私ハ現在玄米ヲ頂戴致シ
テ居リマセヌガ、其ノ主義トシテハ大變宜
イモノデアルト云フコトデ、矢張リ贊成ヲシ
テ居ルガ、何トカ是ハ寧ロ國家ノ方デ積極
的ニ玄米ヲ食ベサセルト云フコトハ宜イコ
トデアルノダ、ソレガ一石二鳥ノ效果ガア
ルノダト云フコトヲ御考ヘニナル以上ハ、
モット玄米ヲ入手スルコトニ、困難ノナイ
ヤウニ御取計ヒ願ヒタイ感ジガスルノデア
リマス、勿論一家ノ中デ白米ヲドレダケ寄
越セ、詰リ七分搗デアリマスガ、ソレヲドレ
ダケ寄越セ、玄米ヲドレダケ寄越セト云フヤ
ウナ、勝手ナ註文ハ是ハモウ煩鎖ニ堪ヘマ
セヌガ、假ニ一條ノ家デ、私ノ處ヘハドウ
ゾ玄米ヲ下サイト、斯ウ云フコトヲ申出タ
場合ニハソレハ寧ロ喜ンデ供給シテ戴ク
ト云フヤウナ風ニ、重點ヲソチラニ置イテ
戴キタイ、玄米デ食ベ馴レナイ者ハ、是ハ
七分搗ナリ何ナリデ是ハ從來通リ食ベル、
斯ウ云フ風ニ私ハ當局ノ方デ向ケテ戴クコ
トガ宜イノヂヤナイカ、寧ロ國家ノ配給ニ
默ッテ盲從シロト、斯ウ云フ風ニ仰シヤルヨ
リハ玄米ナドヲ食ベルト云フコトハ奬勵
スベキダ、斯ウ云フ風ニ御思ヒニナルノト
ハ大變ナ違ヒガアルノダラウト思ヒマス
尙私ハ今一ツ申上ゲタイノハ、外米ト云フ
モノヲ、或ハ白米、之ヲ七分搗ト一〓ニ入
レルコトハ是ハドウカト思フノデアリマス、
矢張リ外米ハ外米、外米ハ恐ラク私ハ搗精
ハ知リマセヌガ、キット混砂搗精ヲヤッテ居
ルノダラウト思ヒマス、折角內地デ以テ無
砂搗精ヲヤッテ居リナガラ、外米ヲ入レヽバ
折角無砂デ搗精スルト云フコトガ無茶苦茶
ニナッテシマフ、是ハ私ハ餘リ國民ヲ御疑ヒ
ニナラズニ、七分搗ガ何割、外米ガ何割ト
言フテ勘定ヲ御立テニナレバ、決シテ私ハ
今日ノ場合ニ國民ノ多クノ者ガ贅澤ヲ言フ
テ、外米ハ雞ノ餌ニシテシマフ、內地米ダ
ケシカ食ハヌ、ト云フヤウナ不心得ノ者ハ
私ハサウ澤山ハナイト思フノデアリマス、
ソレヲ官ノ方デハ國民ヲ非常ニ疑ハレテ、
混合シテヤラナケレバ、贅澤ノ奴ハ決シテ
外米ヲ食ベナイノダ、雞ノ餌位ニヤッテシマ
フノダラウト云フヤウナコトカラ、肝心要
ノ保健衞生ニ重大ナル缺陷ヲ起スヤウナコ
トヲ官デオヤリニナル、ソレガ今度ノ〓糧
管理法デ一層强化サレルト云フノデハ、我
我議員トシテ是ハ一言申上ゲナケレバナラ
ナイノヂヤナイカト斯樣ニ思フノデアリ
マスガ、サウ云フヤウナ點ニ付テハ當局デ
ハドウ御考ヘニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=4
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005・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 先程申上ゲ足リ
ナカッタノデアリマスガ、玄米食ノ問題ハ實
ハ厚生省ノ保健衞生ノ見地ヨリ致シマスル
トマダ玄米〓ヲ國民ニ御奬メスルト云フ
所迄マダ結論ガ逹シテ居ナイヤウニ承知シ
テ居リマス、併シ玄米〓ハ混砂搗キノ米ノ
ヤウニ惡イノカ、アレハ色々警察ノ規則ヤ
何カデ止メテ居リマス、サウ云フ必要ガア
ルカト云フト、決シテサウデハナイラシイ、
ソコデ玄米ヲ使用サレテ非常ニ身體ノ工合
ガ宜イト云フ方ガ澤山居ラレルノデアリマ
シテ、又一面カラ申シマスルト、玄米ヲ消費
スレバ、本當ニ少イ分量デ足リルト云フコ
トヲ現實ニ見聞キモシテ居リマスガ、配給
ノ見地カラ申シマスルト、只今ノヤウナ食
糧ノ不足シテ居リマス時ニ、私ノ方カラ言
フト、玄米ハ其ノ意味ニ於テ結構ナンデア
リマス、デアリマスカラ、何ト申シマス
カ、御希望ノアル方ハ、配給ノ技術上妨ゲ
ナイ程度ニ於テ玄米ヲ御配リ出來ルヤウニ
考ヘテ居リマス、之ヲ一條委員ノ仰セノ如
クニ、國民ニ勸メル、能ク國民食トカ何ト
カ云フコトガ色々論議サレテ居リマスガ、
アレモ實ハ色々配給上ノ不自由カラ、私ノ
方デ御勸メスルト云フ所迄ハ、ナカ〓〓
行キ兼ネテ居リマス、况シテ玄米食ノ保健
衞生ノ專門的見地ヨリ致シマシテ、マダ之
ヲ國民ニ御勸メスルト云フ所迄ニハ行ッテ居
ナイト云フセウニ、私承知致シテ居リマス
ノデ、只今申上ゲマシタヤウナ取扱ヲ致シ
テ居ルノデアリマス、今後厚生省ノ保健衞
生ノ見地ヨリ玄米食ハ仰セノ如クニ非常
ニ良イモノダト云フコトガ決マリマスレバ
是ハ我々ノ方ノ考モ無論變ヘテ參リマス、
配給ノ上カラ申シマシテモ、分量ノ少イ玄
米食デ消費ガ減ッテ戴ケバ、結構デアリマス、
サウ致シタイトハ思ッテ居リマスガ、ソコノ
所ニマダ問題ガ一ツゴザイマスコトヲ申シ
落シマシタ、ソレカラ外米ト內地米ノ混合
ノ配給ノ問題デアリマスガ、是ハ實ハ一條
委員ノ仰セモゴザイマスガ、私達ノ考ハ少
シ違ッテ居リマスノデ、ドウモ一般ニ今迄
窮屈ナ中ヲ御配リシテ參リマシタ經驗カラ
致シマスルト、是ハドウシテモ一〓ニ致シ
マシテ御配リシタ方ガ却ッテ宜イト、斯ウ云
フ風ニ思ッテ居ルノデアリマス、私達ガ消費
者ノ市民ノ人逹ヲ疑フト云フコトハ宜クナ
イコトダト思フノデアリマスケレドモ、今
迄聞キマシタ文句ハ、混合ノ不均衡、不均
等ト云フヤウナコトガ隨分言ハレテ居リマ
ス、隣ノ家ニハ良イ米ガ來ルケレドモ、俺
ノ所ニハ惡イ米ガ來ルト云フヤウナコトモ
申サレルノデアリマシテ、今度强制共販ト
致シマシテ、東京ナドニ於テ精米所ノ數ヲ
減ラシマシテ、其處デ纏メテ精米スルト同
時ニ、混合スル、サウシテ各家庭ニハ一律
ノモノガ配ラレテ居ル、サウシテ隣同士ノ
話合ニモソコニ決シテ違ッタモノハナイト
云フノガ、寧ロ一般市民ノ爲ニハ宜イヤウ
ニ伺ッテ居リマス、ソレデ實ハ寧ロ其ノ混合
ガ、何ト申シマスカ、均等ヲ得ルコトガ望
マシイノダト思ッテヤッテ居リマスケレドモ、
之ヲ外米ト內地米トヲ別々ニ御配リスルト
云フコトニナリマスレバ、消費者ノ方デハ
無論之ヲ御主人バカリガ良イモノヲ召上ッ
テ、召使ヒノ方ハ惡イモノバカリ召上ルト
云フコトハ、無論ナイダラウト思ヒマスガ、
今ノ配給擔當者ノ色々ノ道義ノ點ヤ何カ、
商人ノ道德ヲ考ヘテ見マスト、マダ不安ガ
アルノヂヤナイカト思ヒマス、ソレデ或家
ニハ良イ內地米ダケヲ持ッテ行ッテ、外ノ處
ニハ默ッテ居レバ惡イモノヲ持ッテ行クト云
フヤウナコトガ起リマスレバドウモ消費者
ノ間ニ不平ガ起ルノヂヤナイカト思ハレマ
スノデ、今迄私達ノヤリマシタ經驗カラ致
シマシテ、是ハ今度ノ管理法ニ於テハ綜合
配給ト云フコトヲ申シマス、是ハ矢張リ萬
遍ナク綜合配給混合ノ出來ルヤウニ、混合
ト申シマス場合ニハ米ニ付テ外米其ノ他ノ
モノニ付テモ市民消費者ガ不公平ダト云フ
感ジガナイヤウニシタイト云フ氣持カラ出
テ居リマス、外米ト內地米トノ扱ヒ方ハ矢
張リ公平ニ混ゼテ行クノガ寧ロ適當ヂヤナ
イカト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=5
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006・一條實孝
○公爵一條實孝君 是以上ハ意見ノ相違ノ
ヤウニナリマスガ、私ハ決シテ玄米ヲ國民
ノ全部ニ食ベサセロト云フ强イコトヲ申ス
ノデハアリマセヌ、又旣ニマダ厚生省ノ方
デ玄米ガ保健上果シテ良イモノカ、惡イ
モノカト云フコトノ御決定ガナイト云フ政
府ノ現情モ伺ッテ居リマスカラ、唯玄米ヲ食
ベタイ、斯ウ云フ人達ニハ支障ナク一家ナ
ラ一家トシテ配給セラレルヤウニ御願ヒス
ルコトガ一ツ、尙後ノ混砂シタ白米ト無砂
ノ精米ノモノトヲ一諸ニシテ配ルト云フコ
トハ他ニ理由モアリマセウガ、私ハ飽迄モ
是ハ別々ニ御配リニナルコトガ宜シイ斯
ウ云フコトダケノ氣持ヲ申上ゲマシテ、私
ハ此ノ問題ノ質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=6
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007・二瓶泰次郎
○二瓶泰次郞君 私ノ只今御尋ネセントス
ル問題ハ大體農業團體又ハ農業關係者ニ於
キマシテ相當關心ヲ有チ、〓究ヲ致シテ居
ル問題デアリマスルシ、又農林省ノ御意嚮
モ大體承知致シテ居ルノデアリマス、併シ
ナガラ此ノ機會ニ於キマシテ、一通リ當局
ノ御意嚮ヲ承ッテ置ク方ガ我々ノ立場上將
來非常ニ都合ガ好イコトト思ヒマシテ、御
尋ネ致スヤウナ次第デアリマス、質問ノ第
一點ハ國策會社ノ統合ノコトデアリマス、
事變發生以來重要國策會社ガ時局ニ便乘致
シマシテ、續出致シタノデアリマス、是等
國策會社ノ濫立ト云フモノヲ是正シ、農產
物統制規則ヲ一層强化シ、急迫シタ食糧問
題ニ對處致シマシテ十餘ヲ以テ數ヘル會社
ヲ二又ハ三ニ整理統合シ、一ツハ米穀、麥
類、芋類等ノ重要食糧全般ヲ包含シ、他ハ
靑果物、特ニ澱粉又ハ藁加工品等ノ農產品
ヲ取扱フモノト致シタイ、斯樣ニ考ヘルノ
デアリマス、斯クシテ統制機構ノ整理刷新
竝ニ統合簡易化ニ依リマシテ、生產者ノ不
利不便ヲ一掃スベキモノデアルト信ズルノ
デアリマス、現ニ農林省關係ニ於キマシテ
設立サレ又ハサレントシツヽアル其ノ會社
ノ狀態ヲ見マスト云フト食肉統制會社ト云
フモノガアリ、是ト同ジヤウニ又鳥肉統制
株式會社、又一方ニハ靑果物統制株式會社
ト云フモノガアリ又是ト同ジ意味ノ馬鈴
薯ノ統制株式會社モアル、今度出來ントス
ル所ノ會社ニ於テ見マシテモ、醬油ノ統制
株式會社、味噌ノ統制株式會社、「アミノ」
酸統制株式會社ト云フヤウナモノガ新タニ
設立サレルヤニ聞キ及ンデ居ル、味噌、醬
油ト云フモノハ一體、業者ガ一元的ニ商賣
ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、是ハ附キモ
ノニナッテ居ルノデアリマス、ソレヲ殊更ニ
斯クノ如ク區分ヲ致ス必要ガ何處ニアルカ、
ドウモ了解ニ苦シムノデアル、斯樣ナモノ
ヲ統合致シマシテ、眞ニ其ノ簡易化ヲ圖ル
ト云フコトガ時局下最モ必要ヂヤナイカト
考ヘルノデアリマス、又私ハ此處デ申上ゲ
ルコトハ心苦シイノデアリマスケレドモ、
統制會社ノ役職員ノ報酬ノ問題デアリマス
ガ、課長級デサヘモ五千圓又ハ一萬圓ヲ得
テ居ル、地方ニ行ッテ見マスト云フト農林
省關係ノ組合ノ役員ガ年十圓ヲ、一箇年十
圓ノ、申上グルモ恥シイ程度ノ報酬ヲ以テ、
一家ヲ顧ミズ其ノ事業ノ爲ニ挺身ヲ致シテ
居ルノデアリマス、課長ノ努力ト地方組合
ノ役職員ノ努力ヲ比較シテ見マシテモ、決
シテ其ノ間ニ遜色ハナイノデアリマス、餘
リニモ此ノ世ノ實際ハ皮肉デアルヤウニモ
考ヘルノデアリマス、斯クノ如キコトハ地
方農民ノ心理ニ及ボス影響ト云フモノハ非
常ニ大ナルモノガアリマス、今日統制經濟
下ニ於キマシテ、金ヲ使フト言フテモサウ
使ハレルモノデハアリマセヌ、生活ヲ立派
ニ保證セラレルナラバ、此ノ時局下ニ於テ、
其ノ職域ニ奉公ヲシ、國家ノ爲ニ奉公ノ誠
ヲ致スト云フコトハ、何人モ是ハ必要ナコ
トデアル、報酬ニ依ッテ動クト云フ時代ハ
旣ニ去ッタト思フ、斯クノ如キコトハ一部階
級ニ惡性「インフレーション」ヲ承認シテ居
ルカノ如ク聞エルノデアリマス、斯ウ云フ
點ハ能ク御考ヘヲ願ヒマシテ、國內ニ不
平不滿ノ聲ノナイヤウニ是正スル必要ガアル
ノデハナイカト、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリ
やくり、今日迄ノ特殊會社設立ノ狀態ヲ見テ
見マスルト云フト、農林省各局部ダケデ、
會社ヲ其ノ都度作ッタ傾向ガアルノデアリマ
ス、其ノ結果濫立トナリ、民間ノ自主的協
力ヲ阻害シ、統制モ監視的缺陷ヲ含ンデ、
圓滿ナ發展ハ遂ゲ得ナイノデアリマス、仍
テ省全體ノ綜合的意思ニ依リマシテ、之ヲ
統合シ、綜合的一體的活動ニ依ッテ、益〓信用
ヲ高メ、基礎ヲ鞏固ニシ、事務ノ簡捷ヲ圖
リ、多大ノ經費ヲ節約致シマシテ、其ノ運營
ヲ全カラシメ、實績ヲ擧グルコトニ致シタ
イト考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ付キマ
シテ、御當局ノ御答辯ヲ御願ヒ致シタイノ
デアリマス、第二ハ農民表彰制ノ制定、食
糧增產ノ根本問題ハ何ト申シマシテモ、覺
醒シツヽアル農業報國精神ヲ一層强度ニ發
揮セシメルコトデ、農民特有ノ篤農精神ヲ
搖リ動シマシテ、米ヲ作ル光榮ニ感激セシ
メル方策ヲ考ヘルベキデアルト思フノデア
リマス、今ヤ農民ハ御承知ノ通リ、總テノ不
足ト云フモノヲ克服シ、困難ニ打克ッテ國策
ニ協力シ、而モ巨大ナル國家ノ要求ニ應ジツ
ツアルノデアリマズ、有ラユル團體又ハ各商工
團體等ニハ表彰制ト云フモノガアリマス、農
民ニ對シテハ團體的ノ表彰ハアリマスケレド
モ、未ダ國家的表彰制ハナイノデアリマス、
農村ニ於キマシテ篤農家、精農家卽チ一身
ヲ挺シテ國策ニ協力シ、衆ノ模範トナリ、
身ヲ以テ大衆ヲ率ビ、其ノ成績優良ナルモ
ノニ對シテ之ヲ表彰シ、一層國恩ニ感謝シ、
食糧增產、農業經營ニ挺身セシメルコトガ
此ノ時局下最モ必要ナコトヂヤナイカト斯
樣ニ考ヘルノデアリマス、第三點ハ農地制
度ノ根本的改革問題、現在此ノ問題ニ付キ
マシテハ、農業團體ヲ始メ、各農業關係者
ハ盛ニ〓究ヲシ、非常ナル關心ヲ以テ迎ヘ
テ居ルノデアリマス、而シテ此ノ農業、農
地ノ根本改革ノ根柢ヲ爲スモノハ、先ヅ第
一耕地ノ交換分合、此ノ耕地ノ交換分合ハ
共同作業、畜力、機械力ノ利用、勞力ノ調整
上最モ必要ナコトデアリマス、之ヲ例ヲ取
テ見マスト云フト、交換分合前ハ、田一反步
ニ付三十一人ヲ要シテ居ル、交換分合後ニ
ハヽ二十六人ニ節約出來ル、畑ニ於キマシ
テハ、交換分合前二十七人掛ルモノガ、交
換分合後ニ於キマシテハ、二十一人ニ節約
スルコトガ出來ル、斯ウ云フ點カラ見マシ
テ、現下最モ必要ナル事柄デアリマスケレ
ドモ、扨之ヲ實行ニ移スト云フコトハ相當
困難デアリマス、何故デアルカト申シマス
ト云フト、各〓土地ノ價格ニ非常ナ差ガアル、
小作料ニモ各〓差ガアル、殊ニ農民ハ多年自
分ガ作ッテ居リマシタ耕地ニ對スル深キ愛
著心ヲ持ッテ居ルノデアリマス、從ヒマシテ
此ノ問題ハ地主又ハ地方ノ團體ニ依ッテ解
決スルト云フコトハ殆ド不可能デアリマ
ス、或特殊地帶ニ於テハ之ヲ實行シタ處モ
アリマスケレドモ、之ヲ全面的ニ實行スル
ト云フコトハ不可能デアリマス、第二ハ自
作農維持創設デアリマス、是モ亦農家經營
ノ安固ヲ圖ル上ニ於キマシテ、小作爭議ヲ緩
和シ、農村振興ノ安定ヲ期スル上ニ於テ最
モ必要ナコトデアリマス、然ルニ今日ノ統
計ハマダ農林省ニ於テ發表ニナッテ居リ
マセヌカラ分リマセヌガ、事變前ノ統計ヲ
見マスト云フト、貸付資金ノ總額ガ一億六
千萬圓ニナッテ居リマス、一戶平均四百四十
圓創設面積ハ七萬五千九百十八町步、維
持面積ハ八萬五千七百九十九町步、合計十
六萬一千七百十七町步トナッテ居リマス、戶
數ニ於キマシテハ、創設デ十七萬四千四百
戶、維持ニ於キマシテ十九萬三千六百八十
一戶、合計三十六萬四千百二十八戶トナッテ
居リマス、是デハ時局ノ要求ニ應ズルコト
ハ出來マセヌ、時局ガ要求シテ居ルノデア
リマス、現在ノ機構ト斯クノ如キ貧弱ナ
ル資金ヲ以テシテハ、到底全國的ニ見マシ
テ百年河〓ヲ待ツヤウナモノデアルト考ヘ
テ居ルノデアリマス、第三ハ家產制度ノ確立、
家產制度ノ確立ハ代々農業ヲ以テ一家ノ
基礎ト成スノデアリマスカラ、自分ノ可愛
イ子供モ、矢張リ自分ノ所有シテ居ル田畑
ヲ以ッテ生活ヲ維持スルト云フコトニナル
關係上、心構ヘト云フモノガ自ラ違ッテ來ル、
從ヒマシテ自然的ニ增產ニナリマス、ノミ
ナラズ家族制度ノ醇風美俗ヲ維持スル上ニ
於キマシテ、又離村防止ノ根本的解決ヲス
ル上ニ於キマシテ、更ニ又農地ト農家トノ
悠久的結合ヲ確保スル上ニ於キマシテ、更
ニ勤勞自營ノ農民精神ヲ躬行實踐スル上ニ
於キマシテ最モ必要ナコトデアルノデアリ
マス、本年四月一日ヨリ實施ニナリマス滿
洲開拓農場法モ世襲家產制ニ依リ、日本精
神ト敢然調和ヲ圖ルコトニナッタノデアリ
マンク、然ルニ是亦個人ヤ團體ノ力デ解決出
來ル問題デハナイノデアリマス、結局農地
ノ國家管理法ヲ斷行致シマシテ、國家權力ニ
依ッテ其ノ目的ヲ達成スル以外ニ、以上申上
ゲマシタ諸問題ヲ解決スル方法ガナイト信
ズルモノデアリマス、政府ニ於カレマシテ
モ十分御調査、御〓究中ノヤウデアリ、十
二月二日、三日兩日農地制度改革同盟會デ
モ赤坂ノ三會堂ニ會合致シマシテ、自作農
維持創設、家產法ノ制定、農地ノ國家管理
法等ニ付テ決議シ、政府ニ陳情シタカノ
ヤウニ聽イテ居ルノデアリマス、要スル
ニ米穀國家管理ヤ作付ノ制限ガ行ハレ、農
家ハ是迄ノヤウニ自由ナ經營ハ許サレナイ
ノデアッテ、同時ニ國家目的ノ線ニ沿ヒ、
食糧增產ニ挺身シテ居ルノデアリマスガ、
土地問題ガ解決サレヌ限リ是レ以上ノ所
謂高度生產ハ不可能デアルト思フノデア
リマス、自作農維持創設モ土地交換分合
モヤカマシク叫バレテ居ルノデアリマス
ガ、全面的實現ハ相當困難ヲ伴フト私モ
考ヘマス、併シナガラ地主モ時局ヲ十分ニ
認識致シテ居ルノデアリマスカラ、斷行
スルトスルナラバ現在ガ最モ好イ時機デア
ルト思フノデアリマス、事非常ニ重大ナル
問題デアリマスルガ故ニ、今直チニ政府ニ
於キマシテモ之ヲ取上ゲ、實行ニ移スコト
ガ頗ル困難ノ事情モアルトハ推察スルノデ
アリマス、併シ近キ將來結局自然的ニ是等
ノ問題ヲ解決シナケレバナラヌヤウナ、大
波ガ寄セテ來ルコトヲ想像サレルノデアリ
マス、此ノ際政府ハ十分ニ調査御〓究ノ上、
事態ニ何時デモ對處シ得ラルヽヤウ御準備
ヲ願ッテ置キタイト考へルノデアリマス、第
四點ハ農業團體ノ統合問題、食糧增產ノ根
幹トシテ其ノ前提條件デアリマスル統合問
題ハ、大臣ノ數囘ニ亙ル言明モアリマシタ、
衆議院ニ於キマシテモ二囘建議案ガ滿場一
致通過致シテ居ルノデアリマス、農業團體
及ビ農民ハ精神的ニモ物質的ニモ、必ズ今
議會ニ提案サレ、議會ヲ通過シテ統合サル
ルモノダト考ヘマシテ、相當ノ準備ヲ致シ
タノデアリマス、然ルニ突如トシテ今議會
ニ提出スルコトヲ見合セトナリマシタ、其
ノ理由ハ何デアルカト云フコトニナリマス
ト、是ハ世評デアリマスケレドモ、內務省
ノ關係デアル町村長會ニ於キマシテ、地方
農業各種團體長ヲ町村長ニ一元シタイ、斯
ウ云フ內務省ニ陳情シタ、內務省モ其ノ氣
ニナッテ、此ノ問題ノ進行ヲ阻止スル結果ト
ナッタト云フヤウナ傾向ニナッテ居ルノデア
リマス、勿論農業團體ト致シマシテハ決シ
テ之ニ反對スルモノデハナイノデアリマス、
現在全國一萬二千ノ町村長ノ中デ農業各種
團體長ヲ兼務シテ居リマスルモノガ約六、
七割ヲ占メテ居ル、誠ニ結構ナコトデアリ
きく、併シナガラ多數町村長ノ申ニハ、町
村長トシテ適當デアリマシテモ、農業團體
長ヲ兼務スルコトガ不適任デアルト云フ人
モアル、相當ノ德望ト相當ノ手腕ト力量ガ
ナケレバ兼務ト云フコトハ出來マセヌ、サ
ウデアリマスカラ農業團體ト致シマシテハ
非常ニ結構ナコトデアリマス、ソレニ大贊
成デアル、併シナガラ不適任者ヲ以テ兼務
セシメルト云フコトハ道理ヂヤナイヂヤナ
イカ、人物本位デ進ンダラドウカ、而モソ
レヲ法制化シ、原則的ニ町村長ナルガ故ニ、
各種農業團體長ヲ兼務セシムルト云フコト
ハ、誠ニ不合理極マルコトデアルト云フ最
モ穩健ナル理由ニ於テ、其ノ法制化、原則
化ニ反對ヲ致シテ居リマス、師範學校ノ如
キモ今囘重大時局ヲ押切ッテ官立ニ昇格ヲ
致シマシタ、此ノ師範學校ノ昇格ハ何年以
後ニシカ其ノ成績ト云フモノガ現レナイ、
之ニ反シテ農業團體ノ統合ハ高度國防國家
ノ根幹トシテ、直チニ增產トナッテ其ノ效果
ガ現レル、而シテ今議會ニ提案サレマシタ
八十數件ノ法案ヲ見マシテモ、此ノ農業團
體統合法案ハソレ等ト比較シテ何等遜色ガ
ナイ、寧ロ此ノ統合問題ハ是等ノ法案ヨリ
モ重大ノヤウニ考ヘルノデアル、之ニ對シ
テ農林省ハ今後如何ナル御決心ヲ持ッテ居
ラレルカ、之ヲ伺ヒタイノデアリマス、殊
ニ今囘今議會ニ於キマジテ、衆議院デハ決
議案トシテ統合問題ノ促進案ヲ提出サルヽ
ヤニ聞イテ居ルノデアリマス、農林省ノ熱
意ト御厚志ハ我々モ能ク承知致シテ居ルノ
デアリマスガ、此ノ上トモニ重大ナル御決
心ヲ願ヒタイト斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリ
マンク、第五ハ保險料ノ改正料率デアリマス、
此ノ料率ハ從前ニ比シテ少クトモ三割增、
其ノ多キハ五割ニ達スルモノモアルノデア
リマス、是ハ誠ニ地方農民ノ實情ヲ解セザ
ルモ甚ダシキモノデハナイカト思フノデア
リマス、當時保險組合設立勸誘ノ際ニ於キ
マシテハ、現在ノ保險料ハ災害防止設備ノ
完備ト相俟ッテ、安クナルトモ決シテ高クハ
ナラナイト、斯ウ云フ當局ノ公言デアリマ
ス、又今囘ノ改定ハ突然デアリ、而モ一割
ヤ二割ナラマダシモノコトデアル二倍モ
三倍モノ增加ハ全ク我々ノ豫想セザル所デ
アリマス、判斷ニ苦シム、旣設組合存立ハ勿論
ノコト、今後未設置組合ノ勸誘ハ殆ド不
可能ノ狀態ニ陷ル所ノ重大ナル問題ニ逢著
シタト思フノデアリマス、農林省ニ於カレマ
シテハ大藏省ヨリノ强硬ナル指示モアッテ、
斯クナッタモノノ如ク我々ハ想像サレルノデ
アリマス、併シ各種災害防止助成施設ヲ、總テ
農業保險事業ヲ中心トシテ實施致シタナラ
バ斯ルコトヲ强行セズトモ容易ニ實施セ
ラレルノデハナイカト我々ハ考ヘテ居ルノ
デアリマス、此ノ點ニ付キマシテモ御說明
ヲ願ヒタイノデアリマス、以上私ノ御尋ネ
スル事柄デアリマスケレドモ、大臣ハ只今
御見エニナッテ居リマセヌ、御見エニナリマ
シタラ大臣ヨリモ以上ノ事柄ニ付テ御答辯
下サルナラバ、非常ニ有難キ仕合セニ存ズ
ルノデアリマス、尙最後ニ委員長ニ御願ヲ
致シテ置キマス、只今申上ゲマシタ通リ、
此ノ農業團體ノ統合案ガ今議會ニ提出サレ
ナカッタト云フ其ノ理由ハ今申上ゲマシタ
通リ內務省ノ關係デアル、謂ハバ內務省ノ
橫槍ノ爲ニ、農林省ガ非常ニ熱心ナルニモ
拘ラズ、淚ヲ呑ンデ提出ヲ見合セタト云フ
コトモ一致シタ輿論ニナッテ居ルノデアリ
NY2從ヒマシテ私ノ質問ハ內務大臣ノ答
辯ヲ得ナケレバ解決ガ付カヌノデアリマス、
從ヒマシテ甚ダ恐縮トハ存ズルノデアリマ
スガ、御忙シイ所デハアリマスケレドモ、簡
單ニ質問致シタイト思ヒマスカラ、內務大
臣ノ御出席ヲ御願ヒスルヤウニ委員長ニ於
テ特ニ御取計ヒヲ願ヒタイ、斯樣ニ考ヘテ
居ルノデアリマス、以上ヲ以チマシテ私ノ
質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=7
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008・三浦一雄
○政府委員(三浦一雄君) 只今二瓶委員ヨ
リ數項ニ亙リマシテ御質疑ノ次第ガアッタ
ノデアリマスガ、只今農林大臣ハ他ノ委員
會ニ御出席中デアリマシテ、今御尋ノ重大
問題ニ付キマシテ御答ヘシ兼ネルコトデア
リマスガ、質問ノ御事項ニハ相當事務的ノ
問題モアリマスルシ、重要方針ニ付キマシ
テハ後程又大臣カラ御答ヘスルコトニ致シ
マシテ、私カラ一應御答へ申上ゲタイト考
ヘマス、御尋ノ第一點ハ國策會社ノ整理統
合ノ問題ニ付キマシテ色々御意見ガアッタ
ノデアリマスガ、御承知ノ通リ戰時ノ經濟
ヲ運營シマスニ付キマシテ、第一ニ著眼シ
テ參リマシタノハ、重要物資ノ生產確保竝
ニ配給ノ圓滑ト云フ點ニアッタ譯デアリマ
之、卽チ重要物資等ニ付キマシテ豐富ナル
供給ノアリマスル時代ニハ、何等統制ヲ加
ヘズトモ自然ニ需要供給ノ關係ガ圓滑ニ支
障ナク動イテ居ッタノデアリマスケレドモ、
戰時ノ經濟ノ遂行ノ過程ニ入リマスルト
一面生產ガ增强シマシタニシテモ、需要ノ
方ガ非常ニ增進シテ參リマス、更ニ又供給
部面ニ付キマシテハ、所謂第三國カラ之ヲ
輸入シナケレバナラヌ物資モ相當ニアリマ
スルガ是等ハ色々ノ關係デ輸入等モ困難
ニナルト云フ風ナ、內外兩面ノ事由カラ物
資ノ偏重ヲ來シ、ソコニ或種ノ統制ヲ加へ
ザルヲ得ナケレバナラヌト云フコトニ發足
シタ譯デアリマス、是ハ今更申上ゲル迄モ
ナイコトデアリマス、サウ云フ點カラ統制
ニ著手シタ關係上、從來ノ自由ニ動イテ居、
リマス機構其ノ儘デハ動キ兼ネマスノデ、
玆ニ特殊ノ機構ヲ造ッテ參ッタ、而モ實情ニ
卽シタ其ノ機構ヲ發展的ニ運營シマスルニ
ハ、矢張リ現在迄普及シテ居リマシタ會社
制度ヲ執ルト云フコトニナリ、卽チ公益的
色彩ヲ有ッタ會社、又ハ國策的ナ會社ノ組織
ヲ執リ來ッタノデアリマス、デアリマスルカ
ラ矢張リ當初物資別ニナリ勝チデアリマシ
テ、御指摘ニナリマシタヤウナ弊モアッタ
カト考ヘルノデアリマス、併シナガラ爾來
戰時經濟統制ノ進メ方モ段々整備シテ參リ
マシテ、其ノ結果事業ノヤリ方モ上手ニナ
リ、同時ニ又或物資ト或物資トヲ結合シテ
統制シテ宜シイト云フ段階ニモ入リマシテ、
農林省トシマシテハ其ノ所管ノ國策會社運
營ニ付キマシテ、逐次其ノ方針ニ改メテ參ッ
タノデアリマス、卽チ例ヲ取リマスト、甘
諸、馬鈴薯等ノ會社ノ御話モアリマシタノデ
アリマスガ、實ハ是ハ澱粉ト云フ觀點カラ、
二、三ノ會社ニ分レテ居リマシタ、然ルニ甘
諸等ハ一面重要〓糧トシテ、他面重要ナル
工業原料トシマシテ、其ノ重要性ガアルモ
ノデアリマスガラ、是ハ打ッテ一丸ニシテ
運營スルヲ可トシマシテ、實ハ數箇ノ會社
ヲ一箇ニ直シタ經緯モアリ、ソレカラ又更
ニ各種罐詰ノ會社ノ如キハ、農產罐詰ト言
ヒ、或ハ水產罐詰ト言フテ別々ニ發展シタ
經緯ヲ持ッテ居ルノデアリマスガ、是等ノ如
キモ今日ノ段階デハ大體統合シテ運營ス
ルヲ可トスルト云フ考ヘ方カラ、是モ段々
統合ノ運ビニシテ參ッタノデアリマス、尙從
來農林省トシマシテハ、特ニ重要ナリトシ
テ考ヘテ參リマシテ、政府出資ヲ以チマシ
テ、特別法ヲ以テ設立致シマシタ日本米穀
會社ノ如キ、又戰時ノ小麥粉ノ配給ノ運營
ニ付キマシテ、特ニ重要ナリト考ヘマシテ、
食糧管理法案ノ制定ニ伴ヒマシテ拔本的ノ
方針ヲ執リマシタコトハ御承知ノ通リデア
リマス、斯クノ如ク逐次統制經濟ノ進展ノ
狀況ニ應ジマシテ整理統合シテ、其ノ運營
ノ適正ヲ期シテ參リタイ、卽チ此ノ大東亞
戰爭ノ遂行ニ伴ヒマシテ、眞ニ國策ニ適フ
ヤウナ方向ニ持ッテ參リタイト云フコトデ
進ンデ居ルノデアリマス、デ此ノ際國策會
社ノ運營ニ付キマシテ一、二御指摘ニナッタ
點デアリマスガ、第一點ハ役職員ノ俸給
ノ問題デアリマス、此ノ問題ハ第一ノ著
眼ハ優秀ナル、而モ眞ニ國策的事業ノ
重要性ヲ認識セラレマシテ之ニ挺身シテ戴
ク優秀ナル人材ヲ得ルト云フコトガ第一ノ
問題デアリマスガ、サウ致シマスト、社會
的ノ地位モ考ヘナケレバナリマセヌシ、相
當ノ矢張リ報酬等ヲ差上ゲルノガ、會社ノ
運營ノ上カラ行キマシテ、又眞ニ公正ナル
オ仕事ヲシテ戴ク上ニモ一面ニ必要カト考
ヘルノデアリマス、唯徒ラニ高祿ヲ食ンデ
云々ト云フコトニナルコトハ考ヘナケレバ
ナリマセヌ、而シテ此ノ俸給ヲ決定スルニ
付キマシテハ經理統制令等ノ制限ノアリ
マスコトハ是ハ二瓶委員ノ御承知ノ通リデ
アリマス、且又國策會社ノ運營ハ、矢張リ數
多ノ段階ヲ經テ居リマスル取引ヲ簡明ニシ
テ居ルト云フ是ハ長所モアル、ソレニ依ッテ
經營ノ合理化、卽チ生產者ト言ハズ、配給
業者ト言ハズ、同時ニ又消費者ト言ハズ、
相當ノ經費ノ輕減ガ考ヘラレル、卽チ今日
デハ戰時經濟ノ進ムニ從ヒマシテ、相當高
物價ニナッテ參ッテ居ルノデアリマスガ、
面政府ノ公定物價政策ニ卽應シマシテ、所
謂配給「コスト」等ニ付キマシテハ非常ニ節減
サレテ居ル點モアリマス、是等ヲ睨ミ合セ
マシテ適切ニ運營スベキモノト考ヘラレマ
ス、決シテ唯單ニ高祿ヲ與ヘテ、農民ヲシ
テ之ニ怨ヲ持タシメルト云フ風ナコトノナ
イヤウニ致シタイト考ヘテ居ル次第デアリ
マス、同時ニ又第二ニ御指摘ノ點ハ、農林省ノ
ヤリ方ハ各局區々デヤッテ居ルヂヤナイカ
ト云フコトデゴザイマシテ、是等ハ我々熱
心ニ斯クノ如キコトノナイヤウニ努メテ居
ルノデアリマスルガ、尙及バザル憾ガアル
カモ知レマセヌガ、是等ハ篤ト事務ノ刷新
ニ留意シタイト思ヒマス、尙昨年迄ハ實ハ
舊體制ニ依リマシテ事務ヲヤッテ參ッタノデ
アリマスガ、昨年ノ正月カラ拔本的ニ機構
改革ヲ致シマシテ、卽チ總務局等ヲ設ケマ
シテ、綜合行政ノ運營ニ努メテ參ッテ居ルノ
デアリマス、爾來國策會社ト言ハズ、諸般
ノ農林行政ニ付キマシテハ、綜合的ニ運營
シ得ルヤウニ體制ヲ整ヘテ居リマス、
同時ニ又第三ノ御指摘ニナッタ事務簡捷ノ
點デアリマスガ、是ハ御承知ノ通リ、最近
執リマシタモノト致シマシテハ特定ノ許可、
認可事項ニ付テハ期限ヲ付スルト云フコト
ヲ實行シテ居リマス、是ハ一般的ニ實行サ
レテ居リマス、更ニ事務簡捷ノ第二點ハ從
來ノ許可、認可事項ノ整理デアリマス、是
ハ實ハ內閣ノ方針デモ定メラレタノデアリ
マスガ、農林省ハ率先シテ之ヲ斷行致シテ
居リマス、卽チ農林省限リノ所要ノ事項ニ
付キマシテハ、旣ニ農林省令ヲ出シマシテ、
各省ニ先ンジテ實行致シテ居リマス、勅令
上ノ問題ニ付キマシテハ只今準備中デアリ
マス、尙我々トシマシテモ戰時ノ經濟運營ニ付キ
マシテ敏速果斷ニヤリタイ考デ進ンデ居リマ
ス、御指摘ノ點ハ十分注意致シマシテ將來ノ改
善ニ資シタイト思ヒマス、第二ノ御質疑ノ點ハ
農民表彰ノコトデアリマス、從來農林省ト
致シマシテハ、馬政ノ功勞者、或ハ畜產ノ
功勞者等ニ付キマシテハ其ノ都度農林大臣
等カラ表彰狀ヲ出シマシテ、從來馬政、畜
產等ニ非常ニ貢獻ノアッタ方々ヲ表彰シ、
其ノ功績ヲ稱ヘテ參ッタノデアリマス、尙農業
上ノ功績ノアリマシタ方々ニ付キマシテモ、
公益法人等ガ何等カノ機會ニ各種ノ表彰ヲ
致シマス際ニ、農林大臣賞等ヲ出シマシテ、從
來此ノ方面ニ付キマシテモ、其ノ榮譽ヲ稱ヘ
ルコトニ後レヲ取ッテ居ラナカッタト考ヘル
ノデアリマス、併シナガラ時勢ハ、農業增產ハ
一層之ヲ高メテ參ラナケレバナリマセヌシ、
又農民ノ精勵恪勤ニ俟ツベキモノガ多々ア
ラウト思ヒマス、從ッテ是等ニ對スル表彰制度
ヲ確立スルト云フコトガ至當ダト考ヘラレマ
スノデ、先般來實ハ具體的ノ表彰制度ノ確立
ニ付テ〓究致シテ居リマシテ、近ク何等カ
ノ具體的ノ措置ニ出デタイト考ヘテ居リマ
ス、ソレカラ第三ノ農地間題ニ付テノ御尋ノ
第一點ハ、交換分合等ハ農地ノ生產性ヲ向
上スルニ非常ニ必要ナルニ拘ラズ、現在ノ
程度デハ適切ナル效果ヲ得ラレナイ、何等
カノ法制的措置ヲ必要トスルデハナイカト
云フ御質問デゴザイマスガ、此ノ點ニ付キ
マシテハ、我々トシテハコヽ數年間實ハ一
ツノ經驗ヲ持チ、相當ノ發展ノ順序ガアル
譯デアリマス、ト申シマスルノハ、從來ノ
農業恐慌時代ノ生產性ヲ高メルト云フノ
ガ、今日トハ其ノ動機、目的ガ多少變ッテ
居リマシタケレドモ、矢張リ農民ノ總力ヲ
擧ゲテ、生產性ヲ向上シナケレバナラヌ、
同時ニ又經營ヲ合理化シナケレバナラヌ、勞
力ノ配分モ調整シナケレバナラヌト云フ觀
點カラ、旣ニ農地ノ交換分合ト云フコトガ
提唱サレテ參ッタノデアリマス、是ハ併シ町
村ノ全ク自主的ノ作用ニ俟ツト云フコトデ
ヤッテ參ッタノデアリマスルガ、支那事變ガ
始リマスルヤ、此ノ問題ハ直チニ重要問題
トナッテ採リ上ゲラレテ參ッタノデアリマス、
其ノ關係カラ致シマシテ、當時農林省トシ
マシテハ、是ハ矢張リ從來ノ農業恐慌時代
ニ發足シマシタ經濟更生施設ノ一端デハア
ルケレドモ、之ヲ發展サシテ進メテ參ルト
云フコトカラ、若干助成金等モ組ミマシテ、
サウシテ町村ノ農事實行組合ヲ督勵致シマ
シテ、若干ノ施策ヲ致シタノデアリマス、
併シナガラ尙十分ノ效果ヲ發揮シナイ點
ハ、確カニ法制等ノ備ハラナイ點ガアル爲
カト思ヒマス、併シナガラ後ニ申上ゲマシ
タ通リ、農地制度ノ立法ニ付キマシテハ相
當愼重ニ考慮シナケレバナラヌ點ガアリマ
スルノデ、其ノ域ニ達シテ居ラヌ譯デアリマ
ス、第二ノ自作農ノ問題デアリマスルガ、
是ハモウ御承知ノヤウニ、昭和十二年ニ大
體此ノ計晝ヲ樹テテ參ッタノデアリマス、卽
チ昭和十二年以降二十五箇年ヲ一期トスル
自作農創定事業ト云フコトデゴザイマシテ、
之ヲ每年四千萬圓ノ資金ヲ投ジ、二十五箇
年デアリマスルカラ、十億圓ノ資金ヲ投ジ
テ自作農ノ創定竝ニ維持ニ資スルト云フコ
トデアリマス、而シテ年々出シマス資金ハ
是ハ實ハ減額等ハゴザイマセヌ、併シナガ
ラ昨今デハ此ノ四千萬圓ノ資金サヘ十分消
化シ得ナイト云フ實情ニアルノデアリマス、
是ハ一面ニ於テ農地價格ノ昂騰ヲ抑ヘテ居
ルト云フコト、一面ニ於テ土地價格ノ實質
的ニ値上リヲシテ居ルト云フ點モアラウト
思ヒマスガ、資金ノ供給ハ潤澤デアリマスケ
レドモ、土地購入ノ點カラシテ相當矢張
リ阻マレテ居ルヤウニ考ヘルノデアリマ
ス、是等ハ尙十分ニ考ヘナケレバナラヌカ
ト思ヒマス、更ニ之ヲ强化スルコトニ付キ
マシテハ、今ノ資金制度ノ外ニ何等カノ立
法的措置ヲ講ジテヤルト云フ考ヘ方モ、是
ハ二瓶委員ノ御承知ノ通リ、農林省デハ事
務的ニハ各種ノ案ヲ持ッテ居リマス、是等ハ
將來ノ建設的事業ト致シマシテ、考ヘテ參
リタイト思ヒマス、ソレカラ第三ノ家產制
度ノ問題デアリマス、卽チ農地等ヲ中心ニ
シテ家產トシテ保護スル所ノ制度デアリマ
スガ、是等ハ色々御意見ガアラウカト思ヒ
マス、同時ニ又農林當局ト致シマシテハ、
土地問題ニ付テモ各種ノ〓究調査ヲ致シテ
居リマスガ、家產制度ヲ制定スルコトニ付
キマシテハ、我ガ國ノ土地制度ニ關スル根
本問題ニ觸レ、又相續法等ノ問題モゴザイ
マスノデ、是等ハ篤ト〓究シテ、成案ヲ得
ルヤウニ盡力シタイト考ヘテ居リマス、仰
セノ如ク農地問題ノ解決ハ、相當ニ高度國
防國家體制ノ建設ノ上ニ、卽チ食糧增產等
ノ問題ニ付キマジテ根本的ナモノデゴザイ
マスカラ、愼重ニ〓究シタイト考ヘルノデ
アリマス、其ノ次ノ農業團體ノ統制問題デ
アリマスガ、是ハ今二瓶委員ノ御希望モア
リマシタ如ク、適當ノ機會ニ私ノ御答ヘ申
上ゲル以外ニ又大臣カラデモ御答ヲシテ戴
クコトニ致シマスガ、此ノ際私カラモ一通
リノ御說明ヲ申上ゲテ置キタイト思ヒマス、
農業團體ノ統合ニ付キマシテハ、是ハモウ
多年ノ問題デゴザイマシテ、農林省ト致シ
マシテハ是非共解決致シタイト考ヘテ居ッ
タノデアリマス、關係ノ團體方面ニ於キマ
シテモ段々議ガ熟シテ參リマシテ、此ノ議會
ニ出シタイト云フ考デ進ンデ參ッタノデアリマ
ス、然ルニ御承知ノ如ク昨年ノ十二月八日
畏クモ宣戰ノ詔勅ガ下サレマシテ、サウ
シテ此ノ大作戰ニ入ッタ譯デアリマス、ソ
コデ〓戰作戰ニ伴フ直接事項ノミヲ此ノ際
立法スル、其ノ問題ニ集中スルト云フ內閣
全體ノ御方針ガ決リマシテ、農業團體法ハ
相當ノ重大ナ問題デモアルシ、尙相當ノ年
月ヲ要スル建設的ノコトデモアルト云フ點
カラ、大臣トシマシテハ御見合セニナッタ
ノデアリマス、所謂世論ノ如キ事情トハ全
ク事情ヲ異ニシテ居リマス、ノミナラズ只
今二瓶委員ノ御指摘ニナリマシタヤウナコ
トハ內務、農林ノ間ニハ毫末モサウ云フ忌
ハシイト思ハレルヤウナコトハゴザイマセ
又、我々ガ內務省ト折衝シタ過程ニ於キマ
シテモ左樣ナコトハゴザイマセヌ、唯農業
團體ヲ統合スルニ付キマシテ、町村行政ト
ノ連絡調和ヲドウ云フ風ニスルカト云フコ
トニ付テ、全ク純眞ナ交涉ヲ續ケタニ過ギ
マセヌノデ、所謂橫鎗ナドト云フ風ナコト
ハ決シテナイコトヲ御了承戴キタイト思ヒ
さい、此ノ點ハ尙大臣カラ御答ヲ願フコト
ニ致シタイト思ヒマス、ソレカラ最後ニ農
業保險ノ問題デアリマスガ、是ハ事務的ノ
コトデアリマスカラ私カラ御說明ヲ申上ゲ
タイト存ジマス、御承知ノ通リ原始產業ニ
關スル保險制度ノ中、此ノ農業保險、卽チ
收穫保險法ト云フ保險ハ實ハムツカシイコ
トデゴザイマス、私ハ事務官時代ニ此ノ問
題ヲ〓究ノ爲ニ歐米各國ニ出張ヲ命ゼラレ
マシテ、此ノ問題ヲ調査ニ參ッタノデアリ
マスルガ、隨所ニ行ッテ其ノ經營ノ困難ナ
コトヲ聞イテ參ッタノデアリマス、卽チ「フ
ランス」ニ行キマシタ際ニハ或會社ノ重役
カラ約二時間ニ亙ッテ其ノ經營ノ實情ヲ聽
イテ參リマシタ、ソレカラ又「ドイツ」ニ參
リマシタ時モ同樣デアリマシタ、實ニ此ノ
收穫保險ト云フモノハムツカシイモノデア
リマス、サウ云フ性質ノモノデアリマスカ
ラ、我ガ國ノ農業保險創始ニ當リマシテ
モ、矢張リ色々ノ材料ヲ整備致シマシタモ
ノノ所謂的確ナル保險制度ヲ樹立スル爲ニ
ハ、矢張リ缺陷ガアッタモノデアルト云フコ
トハ是ハ否メナイノデアリマス、從ヒマシ
テ多クハ保險制度ヲ樹立スルト同時ニ、實
行ノ過程ニ於テ之ヲ調整シテ參ッテ居ルノ
ガ各國ノ農業保險實施ノ實情デアリマス
同時ニ我ガ國デモソレニ依ッテ逐次之ヲ調
整シテ良イモノニシナケレバナラヌト斯ウ
考ヘテ居ル譯デアリマス、然ルニ我ガ國ノ
農業保險ガ創始匆々ニシテ重大ナル災害ニ
遭ッタ譯デアリマス、デアリマスカラ十數年
ニ亙ル危險率ヲ測定致シマシタ低イ保險料
デハ到底經營ノ出來ナイト云フコトハ是亦
已ムヲ得ナイ實情デアルト思フノデアリマ
ス、從ヒマシテ此ノ際相當ノ値上ヲ致シマ
シテモ、結局ニ於テ之ガ安定シタモノニナ
リマスナラバ、農民ノ福祉ノ增進ガ期待出
來ル譯ニナリ、本當ノ農業經營ノ安定ガ期
待出來ルト思フノデアリマス、從ッテ今日若
干ノ値上リ、是ハ農民トシマシテ相當ノ負
擔ノ增加ト考ヘルコトハ無理デハアリマセ
ヌケレドモ、是等ハ他日ニ此ノ制度ノ改善
ヲ期待シマシテ、之ニ卽應シテ參リマシタ
ナラバ、農業保險モ健全ナル發達ヲスベキ
モノト私ハ考ヘルノデアリマス、卽チ今日
辛抱.スルト云フコトガ他日ノ成功ヲ齎ラス
基礎デアラウト考ヘル譯デアリマス、問題
ハ此ノ農業保險ノ實施ニ付キマシテモ、政
府デモ相當ノ金ヲ出シテ之ニ重大ナル支持
ヲ與ヘテ居ルコトハ御承知ノ通リデアリマ
ス、尙保險料等ニ付キマシテモ政府ノ援助
ヲ借リタイト云フ要望ガアルノデアリマス
ガ、是等ハ理窟カラ申上ゲマスルト困難デ
ハアリマセウケレドモ、農業保險ノ圓滿ナ
ル發達ト云フコトカラハ、尙色々ナ考ヘ方
ガアラウカト思フノデアリマス、從ヒマシ
テ農林省トシマシテハ財務當局トモ十分折
衝シテ、此ノ農業保險制度ノ確立ト云フコ
トニ一層邁進シタイト思フノデアリマス、
同時ニ此ノ問題ニ關聯シテ一言申上ゲテ置
キタイト思フノデアリマスガ、今年ノ此ノ豫
算ノ上ニ於キマシテモ、東北、北海道ノ冷
害ニ對スル所謂保險竝ニ共濟制度デアリマ
スガ、是ハ從前何等ノ仕組ガ立テラレテ居
リマセヌデシタ、卽チ北海道、東北等ニ於
キマシテハ五年ニ一囘、若シクハ六年ニ一
囘ト云フ大ナル災害ヲ受ケルノデアリマス、
是等ノ災害ハ非常ニ大キイダケ、何等政府
ノ助成ナクシテハヤレナイト云フノガ輿論
デアッタ譯デアリマス、今囘當該ノ地方ニ於
キマシテ共濟金ヲ積立テマシテ、萬一損害
ガ大キクテ其ノ積立金ヲ以テ支辯スルコト
ノ出來ナイ時ハ六分ノ一ハ政府ガ支辨
シ、六分ノ二ニ付テハ利子ノ補給ヲスルト
云フ制度ヲ今囘立テテ只今提案中デアリマ
ス、是等モ農業保險ノ施設ノ一端トシテ、
東北、北海道ノ其ノ方面デ相當寄與シ得ル
モノト考ヘテ居ル譯デアリマス、是ハ困難
性ノアリマス諸多ノ問題ハアリマスケレド
モ、逐次改善シマシテ、農業保險ノ發達ニ
貢獻シタイ、斯ウ考ヘテ居ル譯デアリマ
ス、私ノ御答辯ハ此ノ程度ニ止メテ置キマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=8
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009・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今農業團體統
制法案ヲ此ノ議會ニ提案致シマセヌデシタ
コトニ付キマシテノ御尋ガアッタヤウニ伺
ヒマシタ、是ハ二瓶委員モ御承知ノ通リ
農林省トシマシテハ是非速カナル機會ニ實
現致シタイト考ヘテ、昨年來色々苦心ヲシ
テ參ッタ問題デアリマス、當初ニ於テハ團
體間ニ、ナカ〓〓話ガ著キマセヌデ、其ノ點
デ昨年ノ議會モ遂ニ提案ニナラナカッタノ
デアリマス、本年ノ議會直前ニハ相當ニ各
團體間ノ意響モ纏ッテ參リマシタノデ、此ノ
機會ヲ失セズシテヤリタイト云フ氣持デ
ヤッテ參ッタノデアリマス、然ルニ何分ニモ
統合法制ガ非常ニ廣汎ナモノデアリマスシ、
其ノ條文作成ニ當リマシテモサウ短日月ニ
ハ出來ナイ事情モアリマシタ、又一面ニハ
今期議會ト云フモノハ、內閣ハ出來ルダケ
緒戰目的達成ニ密接且迅速解決ヲ要スルモ
ノニ限ラウト云フ風ニナリマシタノデ、其
ノ提出法案ノ選擇ニ當リマシテモ、斯ウ云ツ
タヤウナ團體統制法ト云フヤウナ、斯ウ
云フ法案ハ、取敢ヘズ次ノ機會ニ讓ラウヂ
ヤナイカト云フコトニナッタノデアリマス、
ソコデマア農林省トシテモ此ノ際ハ提案ヲ
見合シタト云フヤウナ次第デアリマシテ、
先程御述ベノヤウニ、之ニ對シテ內務省ガ
ドウトカ、又其ノ外ニ色々各方面ニ反對ガ
起ッタカラ止メタトカ云フヤウナコトハ
絕對ニナイノデアリマシテ、政府部內ノ手
續ノ問題カラ一應中止シタヤウナ次第デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=9
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010・二瓶泰次郎
○二瓶泰次郞君 私ノ質問ニ對シマシテハ、
農林省ト致シマシテモ其ノ希望ニ副フヤウ
ニ進ンデ居ル、尙更ニ努力ヲスルト云フヤ
ウナ御答辯デアリマシタガ、是ハ了承致シ
タノデアリマス、唯此ノ農業團體ノ統合間
題デアリマスガ、是ハ今大臣カラ御話モア
リマシテ、農林省ガ非常ナ熱意ヲ以テ此ノ
農業團體ノ統合案ヲ本議會ニ提出スルト云
フノデ、此ノ點ハ三十萬農民ガ、大臣初メ
農林關係當局ニ對シテ非常ナ感謝ヲ持ッテ
居ッタノデアリマス、然ルニ内務省ノ橫槍
ト申シマス方ガ分リ易イノデアリマスガ、
橫槍デ不提出ニナッタ、斯ウ云フ風ナ輿論
ニ殆ド一致シテ居ル、ソコデ私ガ本日御尋
ネシテ見タヤウナ次第デアリマスルシ、又
委員長ニ御願ヒヲシテ內務大臣ニ御出席ヲ
願ッタノデアリマス、勿論内務大臣トシテモ
内務省ト農業團體ノ關係ノ相互ノ將來ノ
爲メカラ致シマシテモ、進ンデ御出席ノ上
御答辯下サルコトガ最モ必要ナコトデアル
ト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ
保險ノ問題デゴザイマスルガ、料率ノ値上
ニ付テ、今次官カラ色々御話モアリマシテ、
是ハ御尤モデアリマス、理窟トシテハ誠ニ
傾聽ニ値スルモノデアリマスガ、實際此ノ
保險組合ト直接接觸致シテ居リマスル我々
ト致シマシテハ、此ノ料率ノ値上ト云フコ
トハ非常ニ影響ガアル、今後新タニ組合ヲ作
ル上ニ於キマシテハ無論ノコト、既設組合
モ相當動搖シテ居ルト云フヤウナ心配ヲ持ッ
タモノデスカラ、此ノ點ヲ御願ヒ致シ、秀〓、
御尋ネシタ次第デゴザイマス、併シ是ハ農
林省ト致シマシテモ十分御考慮下サルコト
ト思ヒマスカラ、私ノ質問ハ是デ打切リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=10
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011・内田重成
○內田重成君 私ハチヨット簡單ニ御伺ヲ
致シタイト存ジマス、農林大臣ハ衆議院ノ
食糧管理法案ノ委員會ノ際ニ、斯樣ニ御述
ニナッテ居リマス、我ガ國ガ今次ノ〓戰ノ戰
果赫々タル實情カラ觀マシテ、東亞共榮圈
ノ確立ト云フコトハ、是ハハッキリ見透シガ
致シテ參リマシタノデ、先般來申上ゲテ居
ルヤウニ、斯ウ云フ見透シガ立ッタ今日ニ
於テ、ハッキリ我ガ國ノ農村對策ト云フモ
ノヲ定メテ置クコトガ必要デアル、ソレニ
ハ農村ハ單ニ食糧ノ生產上ダケデナク、日
本精神ニ燃ユル人的資源ノ培養地デアルト
云フコトカラシテモ、日本農村ノ確立ヲ圖ッ
テ行カナケレバナラヌト云フコトハ此ノ
際ハッキリシテ置カナケレバナラヌ、ソレ
ニハ矢張リ食糧ノ上カラ見マシテモ、內外
地更ニ滿洲等ヲ通ジマシテ、此ノ食糧ノ
自給自足ト云フコトヲ圖ラネバナラヌ、斯
ウ云フ風ニ御述ニ相成ツテ居リマスガ、私
共ハ此ノ御言葉ニ依ッテ非常ニ意ヲ强ウ致
シテ居ルノデアリマス、ドウカ此ノ日本農
村ガ單ニ〓糧ノ生產上デアルダケデナク
テ、日本精神ニ燃ユル人的資源ノ培養地デ
アルト云フ、此ノ御所見ガ未來永劫確立サレ
ルコトヲ熱望スルモノデアリマス、唯現下農
村ニ於キマシテハ人馬ノ應召ノ外ニ、今後
ニ於ケル應召人員ノ補給、軍需工場ノ擴張
ニ伴ッテ、農村勞働力ノ減耗ガ甚大デアリマ
え、此ノ甚大ナル勞働力ノ減耗ハ東亞長期
戰ノ現狀ニ照シマシテ、農村ヲ離レタル是
等ノ勞力ハ急速ニ其ノ大部分ガ農村ニ歸
ルモノトハ考ヘラレナイ、又將來離村スル
勞力ノ趨勢ヲ抑制スルト云フコトハ、頗ル困
難デアラウト考ヘラルヽノデアリマス、從ツ
テ折角農林大臣ノ非常ニ確乎タル御理想ノ
實現ガ甚ダ困難デハナイカト云フコトヲ憂
フル者デアリマス、現ニ只今農林次官ヨリ
御述ニナリマシタ自作農創設ノ成績ガ極メ
テ涉々シクナイ、是ハ前議會ニ於キマシテ
モ同樣ニ御說明ニ相成ッテ居ルノデアリマ
スルガ、此ノ自作農創設ガ元來理想デアル
ニ拘ラズ、其ノ成績ガ甚ダ見ルベキモノガ
ナイト云フコトニ徵シマシテモ、只今申シ
マスル此ノ農村ニ於ケル農民ノ思想ト云フ
モノガ窺ハレルノデアリマス、昨年度確定
致シマシタ農地開發營團ノ成績ニ付キマシ
テモ、頗ル其ノ成績ヲ疑フモノデアリマス
ルガ、是ハ假令五十萬町歩ノ開墾地ヲ造成
サレマシテモ、之ニ植村ケルダケノ農民ヲ
得ルト云フコトハ是ハ容易ナラヌ困難ナコ
トデハナイカト云フコトヲ虞ルヽノデアリ
マス、是等ノ農村確立ノ方策ニ付キマシテ、
何カ今日御執リナサイマスル方策以外ニ、
特ニ私共ガ安心シ得ルヤウナ方策ヲ御執リ
下サイマスル御用意ガオアリデハナイカト
云フコトヲ考ヘマシテ、私ハ御尋ヲ致ス次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=11
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012・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 現在ノ戰爭過程
ニ於キマシテ、南方作戰ノ目覺マシイ進展
ニ依リマシテ、先程御述ニナリマシタヤウ
ナ色々世間ニ、今後ノ此ノ日本農村ヲドウ
シテ行クカト云フ疑惑ガ多少ゴザイマシタ
ノデ、其ノ點ヲハッキリ申上ゲタノデアリマ
ス、何ト申シマシテモ、今後日本ガ大キク
發展シテ參リ、大東亞共榮圈ノ指導者トシ
テ立ッテ參リマスニハ、農村人口ト云フモノ
ヲ或程度保有シマシテ、立派ナ日本農民ヲ
作リ上ゲテ行クト云フコトガ一番大切デア
ルト信ジテ居ルノデアリマス、從ッテソレニ
對シテ然ラバ今日ノヤウナ狀態ニ放ッテ置イ
タノデハ必要ハアルガ實行ハ困難ヂヤナ
イカト云フ御心配デアリマスガ、是ハ色々
ノ方面カラ日本ノ農村ノ人口ノ保有ト云フ
コトヲ考ヘテ行カナケシバナラヌト思フノ
デアリマス、一ツノ方面トシテハ、經濟的
ニ十分農村トシテモ引合ッテ行クト云フコ
トヲ、政府トシテハ考慮シテ行カナケレバ
ナラヌ、殊ニ主要食糧デアル生產物ニ付キ
マシテ、生產費ヲ割ルヤウナ價格ニシテ置
イタノデハ、無論是ハ農村トシテノ經營ガ
困難ニナッテ來ルノデアリマスカラ、其ノ點
ハ十分ニ考慮シテ行カナケレバナラヌト考
ヘルノデアリマシテ、先般モ米ニ付キマシ
テハ相當國庫トシテハ多額ノ負擔ニナリ
マシタガ、數億ノ奬勵金ヲ出スコトニシタ
ノデアリマス、又ソレ以外ニモ價格政策或
ハ其ノ他ノ政策ノ上ニ農村經濟ト云フモノ
ヲ十分ニ盛リ立テテ行クト云フ考慮ヲ加ヘ
テ參リタイト考ヘテ居ルノデアリマス、ソ
レト同時ニ今度ハ農村ノ勞力ノ問題デアリ
マスガ、農村勞力モドン〓〓重工業、其ノ
他ノ方面ニ流レテ行ッテシマシテハ、農村ト
シテモ農業經營上非常ニ困リマスカラ、其
ノ點ハ或程度防止的ナ施設ヲ致シタイト考
ヘマシテ、先般農業生產統制令ト云フモノ
ヲ總動員法ニ基イテ出シタノデアリマス、
是ハ農業ノ基本的生產ヲ上ゲテ行クト云フ
上ニ於テ必要ナ人口ハ、必ズ農村ニ保有セ
シメル、從ッテ農民トシテモ自由ニ外ヘハ
轉業ハ出來ナイ、農會長ノ承諾ナクシ
テハ他ノ職ニ就ク譯ニ行カナイト云フヤウ
ナ色々ノ制度ヲ作リマスト同時ニ、厚生省
方面ニ於テ重工業其ノ他ノ方面ニ對スル徵
用令、其ノ他ノ法令ノ運用ニ當リマシテ
モ、農村方面カラハサウ云ッタヤウナ人ハ
採ラナイト云フ兩省ノ打合セモ致シ、各府
縣ニモサウ云ッタ趣旨ノ通牒モ致シテ、其
ノ點ハ防止致シテ居ルノデアリマス、從ッ
テ農村保有ノ勞力トシテ是非必要ナモノハ、
是ハモウ農村カラハ動カサナイ、ト云フ有ラ
ユル施策ヲ講ジテ參ッテ居リマス、唯季節的
ナ勞力ニ付キマシテハ、是ハ或程度ノ移動ハ
已ムヲ得ナイト考へマシテ、其ノ程度ノ移
動ノミニ止メテ居リマス、又農村ニ多クノ人
ヲ止メマス爲ニハ文化ノ施設モ必要デア
リマスシ、又〓育其ノ他色々ノ方面カラ考
慮シテ參ラナケレバナラヌノデアリマシテ、
サウ云ッタ點ニ付キマシテモ、今後政府トシ
テハ此ノ時局ノ進展ニ連レテ農村人口ノ保
有ト云フコトガ極メテ重大デアルダケニ、
サウ云ッタ施設ニ付テハ重點的ニ色々對策ヲ
講ジテ參リタイト考へテ居リマス、現在ノ
狀態トシマシテハ、サウ云フ氣持デ施策ヲ
致シテ居リマスガ、尙勿論之ヲ以テ足レリ
トハ考ヘテ居リマセヌノデ、今後農林省ト
致シマシテハサウ云フ方面ニハ特ニ力ヲ
入レタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=12
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013・内田重成
○內田重成君 只今大臣ノ御陳述ニ依ッテ
能ク分リマシタガ、自作農創設規定ノ如キ
モノヲ、此ノ後改正ヲサレマシテ、自作農
創設ニ依ッテ補給サレマス資金ノ囘收等ニ付
テ、尙寛大ナル條件ヲ以テ創設スルト云フ
ヤウナ御意圖ハオアリデハアリマスマイカ
ト云フ點ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=13
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014・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 自作農創定ニ付
キマシテハ先程內田委員ノ御述べニナリマ
シタ通リ、農民ガ當初豫期シテ居リマシタ
程ノ成績ハ擧ゲテ居ナイヤウデアリマス、
併シ是ニハ色々ノ原因ガアルノデアリマシ
テ、第一農地ガ支那事變後非常ニ高クナッ
タ、其ノ爲ニナカ〓〓自作農創設ガ困難ニ
ナッテ參ッタコトモ一ツノ原因デアリマス、
之ガ爲ニハ農地ノ價格ニ對シマスル統制令
ヲヲ出シマシテ一應抑ヘハ致シマシタガ、サ
ウ云ッタ趨勢ニアリマス爲ニ、自作農創設ガ
非常ニ困難ニナッテ來テ居リマス、又一面ニ
於テ資金トノ關係カラ其ノ貸付手續ナリ、
或ハ條件等ニ多少自作農ノ創設ヲシマスル
者ノ側カラ見マシテ不便ノ點モアリマスノ
デ、サウ云ッタ支障モ起ッテ居リマス、今後
自作農創設ト云フコトニハ農林省モ極力力
ヲ盡シテ參リタイト考ヘテ居リマス、現在
ニ於テハ農地開發營團其ノ他ノ開墾地ニ對
スル自作農創設ヲ奬勵致シテ居リマスガ、
是以外ノ旣墾地ノ自作農創設ニ付キマシテ
ハ今後一段ト色々ノ工夫ヲ加ヘテ參リマ
セヌケレバ是以上進ミ得ナイト考ヘラレマ
スノデ、サウ云フ方面ニ付テハ十分〓究シ
テ參リタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=14
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015・内田重成
○內田重成君 私ハモウ一遍御願ヲシテ置
キタイト思ヒマスノハ只今大臣ノ御言葉
ノ中ニ農村ニ農民ガ定住スルコトヲ促進シ
又勸奬スルヤウナ方策ヲ執ルト云フコトガ
アリマシタガ、其ノ通リニ非常ニ希望致ス
ノデアリマス、是ハ獨リ農林省ノ施設ニ止
ラズ、一例ヲ以テ致シマスレバ遞信省ノ
所管ニ屬スル等ノ事柄ニ致シマシテモ、農村
程郵便物ノ發著ガ非常ニ不便デアルト云フ
事實、ソレカラ又單リ不便バカリデハナイ、
遞信物ニ對スル出費ガ非常ニ多イト云フコ
ト、例ヘバ速達ノ如キモノデモ、農村ニナ
リマスルト速達料金ガ非常ニ高イト云フヤ
ウナコトノ一例デアリマス、ソレカラ電燈
ノ晝間線ガナイ、從ッテ現時ノ大東亞戰爭
ノ戰況等ニ付キマシテモ、晝間ハ「ラジオ」
ノ放送ヲ聽クコトガ出來ナイト云フヤウナ
實情ニアルノデアリマス、斯ウ云フ總テノ
點ニ付キマシテ、農村ハ都市ニ比ベテ非常
ニ惠レテ居ラヌ、文化施設ガ頗ル不十分デ
アル、此ノ點ハ單リ農林省ダケノ御所管デ
ナイノデアリマス、從ッテ農村ヲオ可愛ガリ
ニナリマスル大臣ノ御氣持、斯ウ云フ方面
ハ各省ニ關聯シタ點モアリマスルノデ、十
分ニ發揮ガ出來ナイノデハナイカト考ヘテ
居リマス、是ハサウ云フコトヲ一ツ御含ミ
ヲ願ツテ、各省ト一ツ綜合的ニ農村ニ對ス
ル御注意ヲ願ッテ置キタイ、是ハ私ハ御答辯
ハ要求スル譯デハゴザイマセヌ、チヨット委
員長、此ノ法案ノ內容ニ付キマシテ各條的
ニオヤリニナリマスカー発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=15
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016・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) チヨット速記
ヲ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=16
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017・内田重成
○内田重成君 事務當局、政府委員ニ伺ヒ
タイノデスガ、是ハ文字ノ問題デゴザイマ
スガ、食糧管理法案ノ第十九條ニ「中央食糧
營團ハ左ノ事業ヲ行フモノトス」ソレニ一「主
要食糧ノ買入」ト云フ文字デスガ、此ノ「主要
食糧ノ買入」ト云フ文字ハ、管理法ノ三條及十
五條トノ關係ヲ見マスルト、〓糧營〓ハ何
モ食糧ヲ買入レルコトハナイ、〓糧ノ買入
ハ皆政府ガヤルト云フヤウナコトニナッテ
居ルヤウデスガ、アソコノ文字ガ三條ト十
五條トノ關係ヲ見マスト、中央〓糧營〓及
地方〓糧營〓ノ事業ノ中ニ買入ノ文字ガ出
テ居リマスガ、是ハドウ云フコトデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=17
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018・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 御答ヘ致シマス、
是ハ四條ノ所ヲ御覽願ヒマスト、政府ハ其
ノ買入レタル米麥ヲ食糧營團ニ賣渡スモノ
トスト書イテゴザイマス、私達ノ計畫致シ
テ居リマスノハ、矢張リ食糧營團ガ政府ノ
賣渡シマシタ主要食糧ヲ買入レマシテ、ソ
レヲ配給スル、配給スルト申シマスノハ
消費者ニ賣渡スト云フ處置ニ相成ルノデゴ
ザイマシテ、十九條ノ「買入」ハ此ノ趣旨ノ買
入デアリスス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=18
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019・内田重成
○內田重成君 サウスルト此ノ「買入」ト云
フ文字ハ、政府カラ買入レルト云フ意味ニ
考ヘテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=19
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020・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 一例ヲ申上ゲマ
シタノデゴザイマシテ、中央營團ハソレ以
外ニ此ノ食糧ノ販賣ヲ致シテ居リマスル者
カラ買入レルコトハゴザイマセヌ、例ヘバ
甘薯、馬鈴諸ノ如キモノハ政府ガ直接之ヲ
買入レテ、中央營團ニ賣渡スコトハゴザイ
マセズニ、甘藷、馬鈴薯モ中央營團カラ買
入レル、此ノ以外ノモノニ付キマシテハ地
方營團カラ買入レル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=20
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021・内田重成
○内田重成君 四十七條ノ第二項ニ、「第十
九條第一項ニ揭グル事業ト同種ノ事業ヲ行
フ株式會社、商業組合、商業組合聯合會」云
云ニ對シテ「解散ヲ命ズルコトヲ得」前項ノ
命令ヲ受ケタル法人ハ中央〓糧營團成立ノ
時解散スルモノトシ其ノ權利義務ハ中央〓
糧營團之ヲ承繼ス』トアリマスガ、一例ヲ
以テ致シマスト、米穀配給統制法ノ三十四
條ノ二項ニアリマス日本米穀株式會社ノ、
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ニ付テノ此ノ規定ニ、年百分ノ六ト云フモ
ノガ抑ヘラレテ居リマスルケレドモ、是等
ハドウ云フ風ニ繼承スル譯ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=21
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022・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 四十七條ノ第三
項ニゴザイマスル權利義務ト申シマスルノ
ハ是等ノ法人ガ矢張リ解散直前ニ於キマ
シテ持ッテ居リマスル一切ノ權利義務ト斯
ウ相成リマスノデ、只今御示シノゴザイマ
シタ日本米穀會社ガマダ配當致シマセヌ前、
其ノ利益金ヲ持ッテ居リマスレバ、ソレハ其
ノ儘此ノ中央〓糧營〓ニ權利トシテ承繼サ
レルト云フ考ヲ持ッテ居ルノデアリマス、併
シ其ノ場合ニ於キマシテハ無論日本米穀會
社ノ株式ノ評價額、ソレヲ當然承繼スルコ
トニナルト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=22
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023・内田重成
○内田重成君 日本米穀會社ノ三十四條ニ
規定致シマスル株金額ニ對シテ、年百分ノ
六ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ、政府以外
ノモノノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超エ云々ト云フ此ノ規定デアリマス
ルガ、サウスルト日本米穀株式會社ノ株金
ト云フモノハ、百分ノ六迄ヲ是デ保證サレ
タヤウナ形ニナッテ居ル、其ノ百分ノ六迄
ノ配當ヲ此ノ規定デ認メルト云フ迄ニハ至ッ
テ居ナイノヂヤナイカト思ハルノデスガ、
サウ考ヘル譯ニ行キマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=23
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024・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 玆ニ出テ居リマ
ス權利義務ト云フノハ、承繼サレル權利義
務卽チ財產的ノ權利義務ト理解シテ居リ
マスノデアリマシテ、只今內田委員ノ仰セ
ニナリマシタヤウナ一種ノ期待權以上ノ何
ト申シマスカ、サウ云フ風ナ法律上ノ一ツ
ノ地位ト云フ風ナモノハ此ノ營團ニハ承繼
サレナイ、斯ウ云フ風ニ解釋シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=24
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025・内田重成
○內田重成君 モウ一點伺ヒタイ、現行ノ
米穀配給統制法ニ依リマスト、米穀市場ト
云フノガアリマスガ、是等モ今實行シテ居
ラヌ形デアルノデスガ、此ノ米穀市場ニ關
シタ規定ハ此ノ中ニ一ツモ見エマセヌガ、
此ノ市場員ナドノ關係ハ當然是デ自然消滅
ノモノト考フベキデアリマスカ、是等ノ市
場員ニ對スル取扱等ニ付テハ別段御考ヘニ
ナッテ居リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=25
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026・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 米穀市場ニ付キ
マシテハ世間デモ御覽ノ通リニ米穀會社
ガ出來マシテ後、米穀事情ガ一變致シマシ
タ爲ニ、現在其ノ機能ヲ果シテ居リマセヌ、
ソレデ是等ノ市場ニ關シマスル規定ハ、今
度ノ米穀〓糧管理法ニ於キマシテハ、一切
除キマシタ、卽チ米穀統制法ノ廢止ト共ニ
消滅致シテ居ルノデアリマス、私共ト致シ
マシテハ其ノ市場ハ消滅スル、從ヒマシテ
市場員タル資格モ此ノ米穀統制法ニ於テ認
メラレタ人達モ其ノ資格ヲ消滅スル、斯ウ
云フ風ニ承知致シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=26
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027・内田重成
○內田重成君 私ノ質問ハ是デ宜シウゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=27
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028・佐藤助九郎
○佐藤助九郞君 私ハ昨日資料ヲ少シ御願
ヒシテ置キマシタノデスガ、本日其ノ一部
ヲ頂戴致シマシタ、殘餘ノ分ハ何時頃頂戴
出來ルノデゴザイマセウカ、或ハ統計ガ出
來テ居ラナイノデ渡セナイト云フヤウナ意
味合ノモノデシタナラバ、場合ニ依ッテハ
政府ノ御說明ダケデ宜シイノデス、只今モ
內田委員カラモチヨットソレニ關聯シテ、農
地開拓營團ノ問題ニ付テ御話ガアリマシタ
ガ、願ハクバ成ルベク早ク頂戴シタイト思ッ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=28
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029・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 佐藤サンニ申
上ゲマスガ、只今政府ノ方カラハ食品局
ノ分ダケガマダ出來上ッテ居ラナイサウデ、
是モ今日中ニハ調ベテ御手許ニ廻スヤウニ
致シマスト云フコトデゴザイマスカラ、左
樣御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=29
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030・安藤信昭
○子爵安藤信昭君 〓糧管理法案ノ中ノ第
四條ニ、「政府ノ指定スル者ニ賣渡ス」トアル
「指定スル者」ト云フコトヲ伺ヒタイノデア
リマス、ソレカラ午後ニハ肥料ノ問題ニ付テ
大臣ニチヨット御尋ネシタイノデスガ、是ハ
午後ニ讓リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=30
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031・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 此ノ「政府ノ指定
スル者」ト申シマスルト、現在デモサウ云フ
モノガゴザイマスノデスガ、食糧トシテデ
ナク、例ヘバ麥ヲ工業原料トシテ使ヒマス
味噌、醬油ノ製造業者、或ハ小麥ヲ··味
ノ素デゴザイマスカ、アヽ云フヤウナモ
ソヲ製造致シマス加工業者、製造業者等ニ
賣渡シマス場合ニハ、政府ハ何モ食糧營團
ニ拂下ゲマセズニ、ソレ等ノ者ニ賣渡スト
云フコトガ豫定サレテ居リマスルシ、或ハ
外國ニ食糧ヲ、例ヘバ支那トカ、滿洲トカ
ニ政府ガ賣リマス場合ニ、營團カラソチラ
ニ賣ラセルト云フコトモ出來マスルガ、或
ハサウ云フ場合ニハ寧ロ特殊ノ業者ヲ指定
シテ、ソレニ拂下ゲルト云フコトヲ豫想致
シマシテ居リマスノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=31
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032・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) ソレデハ午前
中ノ質疑ハ此ノ程度ニ致シマシテ、是デ休
憩ヲ致シマス、午後ハ一時半ヨリ開會致シ
マス
午前十一時五十三分休憩
午後一時四十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=32
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033・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 開會致シマス、
午前ニ引續キ御質疑ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=33
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034・坊城俊賢
○男爵坊城俊賢君 農林大臣ガ居ラレル間
ニ伺ヒタイノデス、東亞大戰ニ依リマシテ
日本ノ勢力ノ及ブ範圍內ニ於ケル南方ノ
農業ニ對スル農林省トシテノ御所見ヲ承リ
タイト思ヒマス、是ハ企畫院、或ハ拓務省
トソレ〓〓御關係ノアルコトダトハ思ヒマ
スガ、其ノ農業ソレ自體カラ考ヘマスルト、
大體アチラニ居リマスル人口ト云フモノ
ハ約八十「パーセント」ハ殆ド農民デアラ
ウト思フノデアリマス、ソレニ對シマシテ
ドウ云フ風ナ農林大臣トシテ御所見ヲ御持
チニナッテ居ルカ、此ノ本日審議シテ居リマ
ス法案ニ依リマシテ、內地ノ農村ト云フモ
ノハ是等ノ農村ノ影響ヲ受ケナイヤウニ仕
組ンデアルヤウニ見受ケルノデアリマス
ガ、向フノ農業ソレ自體ヲ今ヨリモ縮小ス
ルトカ、或ハ擴大スルトカ其ノ間ソコニ
大キナ方向ガ大體御決リニナッテ居ラレル
ダラウト思ヒマスガ、其ノ點ヲ第一ニ伺ヒ
マス、第二ニ伺ヒタイノハ、矢張リ南方ノ
漁業ノ問題デアリマスガ、現在日本ニ澤山
ノ水產會社ガアチラニアルヤウデアリマス
ガ、アレ等ノ水產會社ト云フモノヲ企業合
同爲サルノデアリマスカ、ソレトモ其ノ水
產會社ノ上ニ、先達ッテ審議ガアリマシタ總
動員法第十八條ニ依ル勅令ニ依リマシテ、
統制會社ヲ作ッテ居ル重要產業團體令、
アア云ッタヤウナ形デ統制會社ヲ御作リニ
ナルノカ、其ノ邊ヲ御聽キシタイト思フノ
デス、私ノ考ト致シマシテハ北ノ漁業ト云
フモノハ罐詰、或ハ鹽漬デ宜シイノデアリ
マスガ、南ノ漁業ト云フモノハ矢張リ冷凍
ト云フコトモ考ヘナクチヤナラヌ、ソレラ
內地ニハ勿論ノコト東亞共榮圈、或ハソ
レ以外ノ地ニモ出サナケレバナラヌト云フ
關係カラ、南ノ方ニ統制會社ヲ作ラレマシ
テ、ソコデ色々ノ加工ヲスルト云フヤウナ
コトガ一ツ對應策トシテ考ヘラレルノデア
リマス、其ノ邊ニ對スル御意見、ソレカラ
內地ノ水產業ニ付キマシテ、昨年何カ統制
ヲオヤリニナルヤウナ御話ヲ新聞デ拜見致
シマシタノデスガ、其ノ企業合同ノ方式等
ガ御分リデアリマシタナラバ御示ヲ願ヒタ
イト思ヒマス、ソレカラ此ノ法案ノ第十三條
ノ諸調査ニ於ケル命令事項ヲ手許ニ戴イテ
居リマスガ、其ノ中ニ命令事項デ調査方法
ニ所要ノ改善ヲスルト云フコトガ書イテア
リマシタノデアリマスガ、其ノ點ハドウ云
フ範圍デオヤリニナルカ、ソレモ伺ヒタイ
ト思ヒマス、ソレカラ最後ハ第十四條ノ關
係デアリマスガ、營團ノ問題デアリマス、
大體拜見致シマスト、營團ト云フモノヲ中
央食糧營圍ト地方食糧營團ト云フ風ニ、二
色ニ御作リニナルヤウデアリマスガ、中央
〓糧營〓ノ中ニ含マレテ居ル日本米穀會社
トカ、或ハ製粉會社トカ、或ハ各種ノ工業
組合、商業組合聯合會ト云ッタヤウナモノヲ
中央ニ置カレテ、ソレカラ地方ニハソレ等
ノ若シ支社ガアレバソレヲ置キ、又支社ガ
ナケレバ後ハ大體商業組合ノ連中ニ依ッテ
組織サセルト云フ御話デアリマスガ、ドウモ
組織ノ上カラ考ヘマシテ、之ヲ運用サレル
場合ニ、中央ト地方ノ連繫ガウマク行クモ
ノカドウカト云フ所ニ、私ハ疑問ヲ持ッテ居
ル、大體考ヘマシテモ食糧中央營團ノ中デ、
旣ニ製粉會社、或ハ日本米穀會社トカ、或ハ
全米商聯デスカ、サウ云ッタヤウナモノガ、
第一ニ色々ナ爭ヒガ起ルノデハナイカト云
フコトヲ、非常ニ懸念致シテ居ルノデアリ
マス、特ニ中央食糧營團ニ內地米ヲ扱ハセ
ヌト云フ御話デアリマス、內地米ヲ扱ハセ
ヌ場合ニハ、米ニ對シテハ非常ニ弱イ所ノ
組織ニナリマシテ、ドウシテモ製粉業者ア
タリニ押サレテ行クト云フ關係ヲ心配スル
ノデアリマス、ソレデ大體配給部面ト云フ
コトヲ考ヘテ見マスト、大體中小商工業者
ガ主體ニナッテ居ル筈ノモノデアリマスガ、
ソコニ製粉事業ノヤウナ大資本ガ入リマシ
六、ソレ等トノ關係ガ非常ニムツカシイヂ
ヤナイカ、今資本的ニ見マシテモ又事業ノ
關係カラ見マシテモ、實際ニ是ガウマク運
用出來ルカドウカト云フコトヲ非常ニ懸念
致シテ居ル次第デアリマス、其ノ點ニ對シ
テノ御所見ヲ承リタイト思フ、大體以上ノ
通リデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=34
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035・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 先ヅ第一點ノ御
尋ネノ南方ニ對シマスル農業、農民ニ對ス
ル今後ノ取扱方針ト申シマスカ、政策方針
ト申シマスカ、之ヲドウスルカト云フ御尋
ネデアリマスガ、是ハ無論南方ノ農業ノ問
題ハ、大東亞共榮圈ノ確立後ニ於テ、ドウ
云フ農業政策ヲ樹立スルカト云フコトノ根
本問題ニ觸レテ來ルノデアリマス、目下ソ
レ等ノ根本問題ヲ策定シマス爲ニ、色々ノ
機關ヲ通ジ〓究ヲ致シテ居ルノデアリマス、
併シ大體ニ於テ先般モ申上ゲマシタ通リ、
主要食糧ノ生產ハ內外地ニ亙ル帝國ヲ中心
トシテ、自給自足スルト云フ方針ヲ執ッテ居
リマスルカラ、此ノ方針ニ從ッテ農業政策
ナリ、移民政策ガ考慮サレテ行クモノト考
ヘルノデアリマス、其ノ他ノ農作物ニ付キ
マシテハ大體適地適作主義ヲ採ッテ參リ
タイト考ヘマスガ、併シ臺灣ノ砂糖ノ如
キハ是ハドウスルカト云フ問題ニナッテ
參リマスト、必ズシモ「フィリッピン」3 4
ヴァ」ニモット砂糖ガ有望ダカラソッチニ移シ
テシマフト云フヤウナ譯ニハ參ラナイ色々
ノ事情ガアリマスノデ、ソレ等ノ農業全般
ノ施策ニ付キマシテハ、能ク軍ノ作戰過程
ト相關聯致シマシテ、今後〓究シテ參リタ
イト思ッテ居リマス、從ッテ農民ノ如キハ無論
現在ノ南方農民ハ、モット活躍ノ餘地ハ今後
ハ殖エテ來ルノデアリマシテ、ソレヲ縮小
スルヤウナ場合ハ生ジナイト考ヘテ居リ
マス、益〓農民ノ今後活躍舞臺ノ擴大ニ連レ
マシテ、ドウ之ヲ處置シテ行クカト云フ問
題ガ、一番ムツカシイ問題ニナッテ來ルノダ
ラウト思ヒマス、第二ノ御尋ノ水產ノ問題
デアリマスガ、南方ニ於ケル現在水產會社
トシテハ極メテ小サイ會社ガ散在致シテ居
ルノデアリマス、ト申シマスノハ、從來英
米ノ勢力ガ南方諸地域ニハ非常ニ强大ニ
加ッテ居リマシタノデ、日本ノ水產業、南方
ヲ根據トスル水產業ハ餘リ發達ヲ見ナイデ
居ッタノデアリマス、現在ニ於キマシテモ、
「ボルネオ」水產デアルトカ、或ハ其ノ他ノ
水產會社ハ極メテ小サナ仕事ヲシテ居ルノ
デアリマシテ、是等ノ合同ト云フ問題モ目
下色々考慮サレテ居リマス、從ッテ南方ニド
ウ云フ水產會社ヲ今後作ルカト云フコトモ、
是モ作戰過程ニ於キマシテハマダ決メ得ナ
イノデアリマスガ、先程御意見ノアリマシ
タ中央ニ出來ル統制會社トノ結ビ付キ、是
ハ或時機ニ於テハ私共モ是非其ノ必要ヲ感
ジテ居ルノデアリマス、水產トシテハ矢張
リ中央カラノ或程度勢力ガ加ハルコトノ必
要ヲ考ヘテ居リマスノデ、中央ニ統制會社
ガ出來マシタ場合ニソレトノ結ビ付キハ、
十分考慮シテ參リタイト思ッテ居リマスガ、
然ラバ內地ニドウ云フ統制機構ガ出來ルカ
ト云フ第三ハ御尋デアリマスガ、是ハ總動
員法ニ基キマシテ、先般水產統制令ト云フ
勅令ヲ出スコトニ致シ、其ノ審議會ノ議ヲ
經タノデアリマスガ、勅令ハ公布ニナッテ居
リマセヌ、數日中ニ公布ニナルト思ヒマス
ガ、此ノ案ニ依リマスト云フト、大體遠洋
漁業ニ對スル企業態勢ノ動向デアリマシテ、
中央ニ日本水產統制株式會社ト云フモノガ
出來マシテ、是ハ國策會社デアリマスガ、
其ノ下ニ遠洋漁業ノ各種ノ會社ヲ屬セシメ
マシテ、其ノ會社ノ中ニ一ツ國策的ナ中心
トナル遠洋漁業ノ會社ヲ作リ、ソレ等ノ遠
洋漁業會社ノ漁業ノ統制ヲ、上ノ日本水產
統制株式會社ガ致スト共ニ、下ノ漁業會社
ガ獲リマシタ魚ノ販賣ト貯藏ヲ全部上デ行
フト云フ機構ニナッテ居リマス、大體サウ云
フ機構デ目下勅令案ノ制定ヲ急イデ居ルヤ
ウナ次第デアリマス、ソレカラ第四、第五
ノ問題ハ、食糧管理法ノ內容ノ問題デアリ
マスカラ、是ハ〓糧管理局長官カラ御答ヲ
致スコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=35
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036・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 調査方法ニ所要
ノ改善ヲ加ヘテ行クコトガ、命令ノ要綱ニ
出テ居ルガト云フコトノ御尋デアッタカト
承ッテ居リマス、實ハ米穀統制法ノ施行令、
施行規則デ決メテ居リマス諸般ノ調査ハ、
昭和八年頃ノ實情ニ卽シマシタ調査ノヤリ
方デアリマシテ、今度勅令案トナリマ、ス諸
般ノ是等ノ調査ハ、〓糧管理ノ爲ニ必要ナ
調査トシテ致サナケレバナラヌト斯ウ思ッテ
居リマス、是ハ施行令、施行規則等ヲ書キ
マス時ニ、十分此ノ改善ヲ加ヘタイト斯ウ
云フ積リデ居リマス、一例ヲ擧ゲテ申シ。マ
スレバ、例ヘバ生產費デゴザイマスガ、生
產費ハ此ノ第三條ノ規定ニ依リマシテ、買
入價格ノ基礎ニナルノデアリマス、米穀統
制法ノ規定ノ上ニ於キマシテハ、生產費ハ
要スルニ、所謂最低價格ノ基準ニナッタノデ
アリマス、デアリマスカラ、可ナリ謂ハバ
辛イ生產費項目ガ是ハ調査ノ方式ニ出テ居
リマス、今度ハ政府ガ一定ノ管理致シマス
其ノ米穀ノ買入ノ基礎ニナル生產費デアリ
マスカラ、從來ノ生產費ノヤウナ辛イモノ
デハ默目デハナイカト思ハレマス、妥當ナ
ル生產費トシナケレバナラヌ、ソコデ例へ
バ資本ノ利子ヲ從來ハ土地資本利子ダケヲ
見テ居リマスガ、其ノ他ノ投下資本ニ付テ
ノ利子モ見ル、或ハ以前ニ於テハ農業保險
ガマダ普及致シテ居リマセヌデシタカラ、
農業保險料ト云フヤウナモノハ見テ居リマ
セヌ、ソレヲ將來見テ行カナケレバナラヌ
ト云フ風ナ問題ガアラウカト存ジマス、ソ
レカラ尙生產費ノ外ニモ、例ヘバ價格ノ計
算ヲ致シマスル場合ニ、利潤ノ問題ナドモ
將來考ヘテ行カナケレバイカスト云フヤウ
ナコトヲ考ヘテ居リマス、ソレカラ生產
高、或ハ現在高移動ノ調査等ハ、將來ハ自
由取引ニ於キマスル所ノ米穀ノ調査ヲ致シ
テ居リマシタガ、今度ハ管理機構ニ卽應致
シマシテ調査致シマス方式等ガ違ッテ參リ
マスノデアリマス、尙生產費、家計費等ノ
調査ニ付キマシテハ其ノ客體ノ取リ方等
モ從來ト違ッタヤリ方ヲシナケレバナラ
又、色々改善スベキ點ガゴザイマスカラ、
ソレ等ノ點ヲ法律施行區ニ十分完成致シタ
イト思ッテ居リマス、ソレカラモウ一ツノ點
ハ中央營團、地方營團ヲドウ云フ仕組ニス
ルカ、此ノ間ノ連繫宜シキヲ得ルコトガ
ムツカシインヂヤナイカト云フヤウナ御話
ガゴザイマシタ、尙殊ニ製粉事業等ノ例ニ
見ルト非常ニ强大ナ經營ト、小サイ經營ト
ガアル、是等ノ間ニ於テソレ〓〓紛清ガ起
リヤシナイカト云フ御懸念ガゴザイマシタ
ガ、私達中央、地方ノ營團ノ仕組ヲ考ヘル
ニ付キマシテハ、大體現在ヤッテ居リマスル
應急措置法以下ノ食料ノ造成ニ關シマシテ、
大體斯ウ云フ仕組ヲ馴致シテ來テ居リマス、
中央ノ政府ニ特別會計ガゴザイマス、又特
ニ麥ニ付キマシテハ、全國ニ製粉配給會社
其ノ他全國的ノ工業組合ノ聯合會等ガアリ
いく、尙日本米穀會社モアル譯デアリマス、
是等ノ中央機關ハソレ〓〓政府ノ指示ニ從
ヒマシテ、政府ノ計畫ニ則リマシテ、其ノ
原料ノ配給、其ノ製品ノ配給等ニ任ジテ居
ルノデアリマス、中央ノ營團ハソレ〓〓ノ
機關ノ統合デアリ地方營團ハ、現在ニ於
キマシテハソレ〓〓各府縣ノ地方食料配給
統制機構ガアルノデアリマシテ、例ヘバ米
穀ニ付キマシテハ地方ノ米穀商業組合聯合
會或ハ小麥粉ニ付キマシテハソレ〓〓小
麥粉ノ配給統制機關ガ出來テ居リマス、是
等ノ機構ヲ地方ノ營團其ノ儘ノ形ニ置キマ
シテ、成ルベク從來出來上ッテ居リマズル仕
組ヲ壞サズニ收容シテ行キタイ、斯ウ考ヘ
テ居リマス、而モ此ノ中央、地方ノ營團ノ
配給ハ從來ヨリモ一層政府ノ强イ監督、或
ハ計畫的指導ノ下ニ動クコトニナルノデア
リマシテ、御懸念戴イテ居ルヤウナコトハ
萬ナカラウト思ッテ居リマス、尙大企業、小企
業〓〓加工業ニサウ云フ形態モアリマスガ、
是ハ現狀ニ於キマシテモアルノデアリマス、
ソレ等ニ付キマシテハ原料ノ割當、製品ヲ
コチラニ引取リマス時、又其ノ製品ヲ配給
致シマス時ニ當リマシテ、十分サウ云フ點
モ考慮致シタイト思フノデアリマス、我々
ト致シマシテハ實行ニ付キマシテハサウム
ツカシイ問題デハナイダラウト思ッテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=36
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037・坊城俊賢
○男爵坊城俊賢君 大臣カラモ御鄭重ナ御
答ヲ戴キマシテ、又食糧管理局長官カラ第
十四條ニ關スル食糧營團ノ御答ヲ得マシテ
大變仕合セニ存ジマス、農林省デハ斯ウ云
フ御考ハナイデゴザイマセウカ、私ハドウ
モ此ノ食糧營團ヲ作リマシテモ、今迄アリ
マシタ日本米穀會社ト云フモノハ何モ非常
ニ無用デアッタトハ決シテ申シマセヌガ、
世間デ比較的問題ノ多カッタ會社デアル、サ
ウ云フ會社ノヤウニ今度ノ營團ト云フモノ
ハナリハシナイカヲ特ニ心配シテ居ルノデ
アリマス、特ニ中央食糧營〓ニ於テ其ノ感
ヲ深クスルモノデゴザイマス、是ハ矢張リ
內地米ヲ全然扱ハレテ居ラヌト云フコトガ
禍根デアルト云フ風ニ考ヘルノデアリマス
ガ、政府ニ於レマシテハ中央〓糧營團ト
云フモノニ對シテ現在ノ農林省ノ食糧事務
所ノ事務ヲ代行サセルト云フ御考ハアリマ
セヌカ、其ノ點如何デゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=37
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038・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 今度新タニ設ケ
ラレマス中央食糧營團ノ機能ニ付キマシテ、
從來ノ日本米穀會社ト同ジヤウナ色々ノ非
難ヲ受ケルノデハナイカト云フ御心配デア
リマスガ、日本米穀會社ノ······今色々言ハレ
テ居リマスガ、出來マシタ沿革ガ元々米穀市
場ノ整理問題カラ出發致シテ居リマスノデ、
自由經濟時代ノ市場ト云フ機能ヲ失ヒマシ
タ今日、米穀會社ト云フモノノ機能自體ガ
色々申サレマシテ、議論ノ焦點ニナルノデ
アリマスケレドモ、米穀會社自體ハ相當ニ
今迄仕事ヲシテ來テ居ルノデアリマス、外
米、外地米ノ移輸入ニ當リマシテ、麻袋ノ
處理問題、倉庫其ノ他ノ經營問題等相當ノ
仕事ヲシテ、現ニ經理モ黑字ニナッテ居ルノ
デアリマシテ、決シテ赤字ノ經營ヲ致シテ
居ラナイノデアリマス、出發ノ沿革ガ大分
其ノ時代ト違ッテ參リマシタノデ、サウ云フ
御議論ガアルノデアリマスガ、今度出來マ
ス中央〓糧營〓ハ假ニ內地米ヲ扱ヒマセヌ
デモ相當其ノ扱フ物品ハ澤山アルノデアリ
じ ん、資本金モ一億ニ致シマシテモ、ナカ
ナカ是ダケノ金デモ今計畫シテ居ルヤウナ
仕事ヲスルノニ、資金關係ノ上ニ於テ足リ
ナイ分ガアルヂヤナイカト思ヲ位デアリマ
ス、デアリマスカラ、御懸念ノヤウナコト
ハナイト思ヒマスガ、併シ內地米ニ付キマ
シテモ、目下ハ政府ガ國家管理ヲ致シ、配
給ノ問題モ中央政府ニ於テ全面的ニヤッテ
居リマスガ、是モ或ハ倉庫關係トカ、事務
所關係等ニ於テ、其ノ運營ノ如何ニ依ッテ
ハ御話ノヤウナ點モ考ヘラレルコトガアル
ノデアリマスケレドモ、併シ今現在サウ云
フ考ハ持ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=38
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039・坊城俊賢
○男爵坊城俊賢君 私ガ之ヲ心配致シマシ
タノハ、現在東京ニ於キマスル所ノ米ノ配
給機關ヲ見テ見マスルト、東米ト云フノガ
アリマスガ、是ハ井野農林大臣ガ能ク其ノ
內容ノ紛糾シタコトニ付テハ御承知ダト思
ヒマスガ、單ニ同ジ米ヲ取扱ッテ居ル業者
デアッテモ、卸賣業者ト小賣業者トノ關係ガ
アレ程紛糾スルモノデアリマス、實際ニ消
費者ノ所ニ配給ガ惡カッタト云フコトハ、
何デモ非常時デ油ガ足リナイト云フコトモ
一ツノ原因ニハナリマセウガ、ソレヨリモ
根本的ノ問題ハ矢張リ內紛ノ結果ト私ハ思
フノデアリマス、ソレニハドウシテモ上ニ
立ツ人ガ餘程人格的ニシッカリシタ、而モ腕
ノ揮ヘル人ヲ置カナケレバチラヌ、人選ガ
非常ニムツカシイト思ヒマスガ、サウ云フ
風ニ單ニ米ダケヲ取扱ッテ居ッテモサウ云フ
問題ガアルノデアリマスルカラ、今度ハ况
ヤ日本米穀會社ガ入リ、製粉會社ガ入リ、
其處ヘ又全米商聯ガ入ルト云フヤウナ、ナ
カナカ皆海千山千ノ連中ガ入ッテ來ルノデ
アリマスカラ、殊ニソレヲ心配スルノデア
リマス、其ノ上ニ立ツ人ノ人選ニ付テハ特
ニ愼重ニ願ヒタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=39
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040・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 誠ニ御尤モナ御
意見デアリマシテ、無論中央〓糧營〓ナリ
地方〓糧營團ノ人事機構ニ付キマシテハ、
愼重ニ善處致ス積リデアリマスガ、唯此ノ
點ダケ申上ゲテ置キタイノハ、營團ハ資本
關係ト組織關係トハ別ニ行キタイト思ッテ
居リマス、假ニ資本ガ或部分カラ相當出テ
居リマシテモ、其ノ資本ノ代表者ヲ入レテ
必ズ役員ニスルト云フ風ニハ考ヘテ居リマ
セヌ、資本ト經營トハ自ラ營團ノ性質上別
ニ行ク、殊ニ公共的ノ性質ノモノデアリマ
スカラ、其ノ點ハ從來ノ株式會社ノ考ヘ方
ト餘程違ッテ考ヘテ參リタイト思ッテ居リマ
ス、從ッテサウ云フ趣旨デ人選モ致シマス
カラ、御心配ノ點ハ餘程其ノ點ニ於テ薄ラ
グデハナカラウカト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=40
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041・有賀光豐
○有賀光豐君 私ハ他ノ機會ニ幾度カ御當
局ノ御話ヲ承ッテ居リマスルカラ、餘リ此ノ
際御尋ネスル要ハナイノデアリマスガ、唯
一、二大臣ニ御伺ヒ致シテ置キタイト思ヒ
Perk今回ノ此ノ御提案ハ過去幾年カノ間
ニ官民ガ非常ニ苦心慘憺致シタ米穀諸法規
ヲ一掃致シテ、殆ド此ノ立法ガ成立チマス
ト云フト、此ノ厖大ナ法規ト云フモノハ全
部不用ニナッテ、此ノ法ガ根本ニナッテ動ク
コトニナルノデアリマス、誠ニ劃期的ノ立
法デアッテ、先程次官ガ拔本的ノモノデア
ルト仰セニナッタノデアリマスガ、如何ニモ
其ノ通リト思フノデアリマス、大臣モ亦今
此ノ立法ハ軍國ノ此ノ急ニ應ズルノミデナ
ク、〓糧ノ恆久的立法トシテ必要デアルト
云フコトヲ仰セニナッテ居ルノデアリマス、
今米穀事情ト云フモノハ非常ニ此ノ不足ノ
時代デアッテ、食糧ヲ確保スルト云フ第一條
ノ此ノ文字ガ非常ニ力强ク働クノデアリマ
ス、併シ過去ニ於キマシテハ、隨分米穀ノ
氾濫時代デ非常ニ苦メラレテ居ッタト云フ
ヨトモアリマスノデ、今後長イ間ニ於キマ
シテハ、矢張リ循環致シテ米穀食糧ガ非常
ニ裕リガ出來テ、尙進ンデハ或ハ過去苦ン
ダヤウヲ氾濫時代ガ來タラムトモ限ラヌト
思ラノデアリマス、デ之ガ大臣ガ恆久的立
法ト仰セニナリマシタカラ、米ノ不足ノ今
ノヤウナ場合モ、將來若シ又非常ニ食糧ノ
充實過剩ニナルヤウナ時代ニ於キマシテモ、
矢張リ此ノ法ヲ以テ律シテ行クベキモノト
存ズルノデアリマス、數年前非常ニ米ノ過
剩デ苦ミマシタ時代ニ於キマシテモ、米穀
專賣法ト云フ議論ガ非常ニ囂々トシテ出タ
ノデアリマス、又或ハ管外移出米ノ統制法
ト云フ議論モ出テ居ッタノデアリマス、此ノ
過去ニ出マシタ專賣ノ議論モ、管外移出米
ノ管理論モ共ニ過剩米ヲ調整ヲ致シテ、
或ハ帝國ノ國內デ言ヘバ外地カラ移入スル
モノニ矢張リ制限ヲ加へル、或ハ外國ノ「タ
4、佛印等カラ入ル物ニ付テモ輸入ノ制
限ヲスルト云フヤウナ氣構ヘカラシテ、其
ノ當時專賣法、或ハ管外移出米管理ノヤウ
ナ議論ガ出テ居ッタノデアリマス、其ノ法
制ノ形カラ申シマスト云フト、今囘御提案
ニナリマシタ此ノ管理法ノ中ノ形ト、昔起
キマシタ專賣法トカ、或ハ管外移出米ノ管
理法トカ云フモノハ、此ノ法文ノ形カラ申
シマスレバ其ノ揆ヲ一ニシテ大同小異ノモ
ノデアルノデアリマス、言ヒ換ヘマスト云
フト今囘ノ〓糧管理法ヲ以テ、將來若シ米
ガ過剩ヲシタヤウナ場合ニ於キマシテモ
前起キタ所ノ專賣或ハ管理法等ノ、サウ云
フ心構ヲ以テ之ヲ動カスコトモ出來ルノデ
アリマス、併シ此ノ御提案ト云フモノハ米
ノ不足ノ今日モ、將來過剩シタ場合ニ於キ
マシテモ、其ノ過剩ノ〓糧ト云フモノヲ十
分包容致シテ、生產、消費ノ中間ニ立ッテ能
ク之ヲ運用シ、共ニ公平ニ滿足ヲ與フベキ
モノト存ズルノデアリマス、デソレニ付キ
マシテハ將來若シ過剩ノヤウナ時ニ、此ノ
法ノ運用ヲシテ以前起キタヤウナ心構ヲ以
テ之ヲ働カセルト云フコトニナリマスト、
此ノ立法ト云フモノハ恆久的ニアラズシテ、
目下ノ急ニ應ズル時ノ立法ニ堕スルト云フ
ヤウナ嫌ヒガアルノデアリマス、ソレデ私
ハ願ヒマスルニ、今拓務大臣モ御話ニナッテ
居リ、内外地ノ食糧問題ハ勿論ノコト又
進ンデハ東亞ノ共榮ノ範圍ニ迄食糧ノ心配
ヲ爲サルト云フヤウナ大キナ御抱負ヲ有ッ
テ居ラレルノデ、此ノ立法ハ法域ノ關係上
內地ノミノ立法デハアリマスルケレドモ、
今申上ゲマシタヤウニ將來米穀ノ事情ガ反
對ニ逆轉致シタ場合ニ於キマシテモ、此ノ
食糧管理法ト云フモノヲ十分ニ運用サレマ
シテ、全領土內ノ〓糧其ノモノヲ十分ニ、
足ラヌ時ニハ確保致シ、又過剩スル時ニハ
之ヲ全部包容シテ、其ノ運用ヲ完璧ニサレ
テ戴キタイト存ズルノデアリマス、勿論斯
樣ナコトハ御尋ネスル迄モナク、大臣ハ其
ノ御心持ト拜察致シマスルガ、其ノ點ヲ先
ヅ以テ御伺ヒ致シタイノデアリマス、女一
左樣ナ御心構ト致シマシタ場合ニ於キマシ
テ、此ノ立派ナ立法ガ出來マシタ場合ニ、
朝鮮或ハ臺灣等ノ外地ノ食糧管理ト云フコ
トニ付テノ立法ハドンナ御方針デアリマス
カ、聞ケバ朝鮮ニ於キマシテハ先ヅ以テ會
社デ處理ヲサセル、或ハ又臺灣ニ於キマシ
テハ先年ノ移出管理ノ法制ガ其ノ儘ニナッ
テ居リマス、ドウモ政府ノ御考、大臣ノ大
キナ御抱負ノ上ニ於キマシテ、形ノ上ニ於
テドウモ一樣ニナラナイヤウナ節ガアリハ
セヌカト懸念致スノデアリマス、其ノ點ニ
付キマシテドウ云フ風ニ御運ビニナリマス
モノデアリマスカ、其ノ點ヲ御伺ヒ致シタ
イノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=41
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042・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今有賀委員ノ
御述ベニナリマシタ通リノ氣持ヲ以チマシ
テ、此ノ食糧管理法案ヲ提出致シタノデア
リマス、元々食糧管理法案ヲ作リマス前ニ、
食糧營團ト云フ考ヘ方カラ一ツノ立法モ考
慮サレタノデアリマス、私達ト致シマシテ
ハ此ノ大東亞戰爭勃發ニ依リマシテ、今
後我ガ國ノ食糧行政ト云フモノガドウ進ン
デ行クカト云フコトノ見透シヲ立テナケレ
バナラヌト考ヘタノデアリマス、此ノ大戰
爭ノ進展ト云フモノハ相當ニ長期ヲ覺悟
シナケレバナリマセヌシ、其ノ間ニ於テ大
東亞共榮圈內ニ於ケル食糧問題ト云フモノ
ハ、帝國ガ中心ニナッテ心配ヲシナケレバナ
ラヌ、斯ウ云フ信念ヲ持ッタノデアリマシ
テ、而モ假リニ長期ノ後ニ於テ平和ニナリ
マシテモ、我ガ國トシテハドウシテモ内外
地ヲ通ヅル帝國ヲ以テ、主要食糧ノ自給自
足ヲ圖ッテ行カナケレバナラヌ、斯ウ云フ方
針ヲ立テマスニハ、此ノ際米麥等ノ主要食
糧ニ付テハ最モハッキリシタ、國家ガ責任ヲ
有ッテノ專賣制度ニ近イモノヲ確立シテ、是
ハ米ガ少イ時ニ、餘ル時ニ、何レノ場合ニ
於テモ政府トシテ主要食糧ノ責任ヲ明カニ
スルト云フコトガ必要デアルト考ヘタノデ
アリマス、從ッテ過去ニ於ケル過剩米時代ノ
色々ノ立法モ此ノ際ハ一切之ニ包含セシメ
マシテ、此ノ食糧管理法一本デ我ガ國トシ
テハ、內外地ハ勿論、東亞共榮圈內ノ食糧
ニ對シテ日本帝國自ラガ或程度ノ面倒ヲ見
ツ、方針ヲ以テ進ンデ行クト云フコトニ
致シタイト考ヘニシテ此ノ法案ヲ立テタ譯
デアリマス、從ヒマシテ過去ニ於テ過剩米
時代ニ考ヘラレマシタ專賣制度デアリマス
トカ、或ハ外米等ノ內地流入阻止ニ關シマ
スル立法ノ考ヘ方トハ、マルデ私ハ違フ氣
持デ處シテ居ルノデアリマス、アノ時分ハ、
價格ト云フモノヲ自由ニシテ置キマシタ時
分ニ、內地ノ米價ヲ維持シマス爲ノ諸方策
トシテ色々考ヘラレマシタガ、今日ハ生產費
ヲ基準トスル價格ハ、經濟事情、其ノ他ノ點
モ考慮ニ加ヘマスガ、農村ノ健全ナル發達ヲ
圖ル上カラ見マシテモ是非必要デアリマスノ
デ、政府ハ出來タ米ヤ麥ハ全部買フ、斯ウ云
フ態度、而モ某ノ價格ハ適正ナル價格ヲ以テ
買フト云フコトヲ明カニ致シマシテ、所謂自
由經濟時代ノ思想ヲ一擲シタノデアリマスカ
ラ、今日ニ於ケル此ノ立法ハ決シテ過去ノ過
剩米處理時代ノ立法トハ精神ニ於テ違フ點
ヲ一ツ宜ク御了承願ヒタイノデアリマス、ソレ
カラ第二點ノ、然ラバ外地ニ對スル主要食
糧ノ統制立法ヲドウ持ッテ行クカト云フ御尋
デアリマスガ、是モ現在ノ立法程度ニ於キ
マシテ、大體內外地ノ運營宜シキヲ得マス
レバ、我々ガ今庶幾シテ居リマス目的ノ達
成ニハ決シテ不自由ヲ感ジテ居ラナイノデ
アリマス、併シ大東亞共榮圈ノ確立ニ伴ヒ
マシテ、外地、又ハ第三國方面ニ對スル行
政機構ヲドウスルカト云フ問題ト相關聯シ
マシテ、是等ノ立法モ色々考慮シテ行カナ
ケレバナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、
今日拓務省自體ガ、今後ドウ發展シテ參リ
マスカ、是モ非常ナ大キイ問題トシテ殘サ
レテ居ルノデアリマシテ、ソレ等ノ點ヲ能
ク勘案致シマシテ、今後外地ニ對シマスル
主要食糧ノ統制立法モ考慮シテ參リタイト、
斯ウ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=42
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043・有賀光豐
○有賀光豐君 誠ニ明確ナ御抱負ヲ伺ヒマ
シテ安心致シマシタ、尙序デデアリマスル
カラ、極ク細カイコトデアリマスガ、長官
ニ一ツ御伺ヒ致シタイ、私昨年滿洲へ參リ
マシテ聞イタノデアリマス、滿洲デハ此ノ
米穀ノ管理ヲ旣ニヤッテ居ルノデアリマス、
今囘御提案ノヤウナ大キナ見地カラデハ勿
論アリマセヌガ、滿洲自體トシテ既ニヤッテ
居ルノデアリマス、其ノ時ニ營口ノ附近ノ
朝鮮人ノ米ヲ作ッテ居ル農村ヲ視タノデア
リマス、其ノ時ニ斯ウ云フコトヲ申シテ居
リマシタ、自分デ作ル米ハ一石三十六、七圓
デ收納サレル、而シテ此ノ近所ニ配給ニナッ
テ來ル白米ハ六十二圓デアル、自分等ノ作
ル米ガソンナニ高ク賣レルナラバ、ドウシ
テ斯ウ安イ價格デ收納スルノカト云フコト
ヲ、非常ニマア悲シンデ話シテ居ッタノデ
アリマス、ドウシテサウ大キナ鞘ガ二十何
圓モソコニ生ズルカト云フコトヲ關係ノ人
ニ聞イテ見マシタガ、要スルニ差當リ要領
ヲ得ズニ歸ッタノデアリマス、恐ラク詳シイ
說明ヲ聞ケバ、矢張リソレ〓〓ノ理由ガアッ
テ、頷ケルモノトハ存ズルノデアリマス、
昨日モ織田子爵カラ此ノ經費、或ハ利益配
當トカ、色々ナコトニ付テ途中ノ摩擦關係
ノコトヲ御懸念ニナッテ居ルノデアリマス
ルガ、三十數圓デ收納サレタモノガ、配給
ニナルト、白米ニナッテ六十二圓ニナルト云
フヤウナコトハ、如何ニモ其ノ差ガ甚ダシ
イヤウニ思ッテ聞イテ歸ッタノデアリマスガ
今囘ノ此ノ法ヲ運用スル上ニ於キマシテ、
法ノ立派ナルコト、大臣ノ御抱負ノ非常ニ
高イ御方針デアルコト、是ハ誠ニ感服致ス
ノデアリマスガ、實際ニ當リマシテサウ云
フヤウナコトガ若シ生ズルト云フト、是ハ
モウ非常ナ詰ラヌコトニナッテシマフノデ
アリマス、ドウモ米ノコトハ、私共米ノ問
題ハ、配給ナリ、小賣ナリト云フコトヲ常
ニ考ヘテ居ルノデアリマスガ、小賣業ト云
フモノガ非常ニ消費者ニ對シテ不都合ナコ
トヲスル、併シ小賣業ト雖モ其ノ爲ニ非常
ナ財產家ニナッタ試シモナイ、是ハ言フニ言
ハレズ、ドウシテモナクテハナラヌ所ノ出
費、或ハ摩擦、減耗ト云フモノガソコニナケ
レバナラヌ結果ト存ズルノデアリマス、或
ハ金額ノ上ニ於テ辻褄ヲ合ハセレバ桝目ヲ
ゴマカス、何カデ辻褄ヲ合ハセルコトニナ
ル、今度此ノ仕組ミデ行キマスト云フト
從來ノ小賣業者ガ働イテ居ルヤウナ仕事ハ
出來ナイ、桝目ヲゴマカストカ色々ノコト
ハ出來ナイ、當リ前ニヤッテ來ルト云フト、
今滿洲デアッタヤウナ例ノ如ク、非常ナ大キ
ナ鞘ガ生ジテ來テ、消費者ノ方デハチヨット
合點ガ行カナイヤウナ値ニナルト云フ虞ガ
アリハセヌカト思フノデアリマス、是ハ實
際ノ問題デ、私共能ク分リマセヌガ、サウ
云フコトニ付テノ御注意ナリ、或ハソンナ
コトハモウ絕對ニナイノダ、消費者ガ合點
ノ行カナイヤウナ數字ニナルコトハナイ、
而シテ又營團ト云フモノモ、財政上ソレデ
立派ニヤッテ行ケルノデアル、ト云フヤウナ
コトニ付テ御見透シガアリマスカドウカ、
是ハ唯私旅行中ニ聞キ及ンダ例ヲ引キマシ
テ、此ノ際御心持ヲ伺フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=43
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044・湯河元威
○政府委員(湯川元威君) 營團ノ取扱ヒマ
スル主要〓糧ノ收納致シマス價格ト、ソレ
カラソレヲ小賣ニ出シマス時ノ價格ノ開キ
ハ生產者、消費者共ニ合點ノ行カナイヤ
ウナ大キナ開キニナルト云フコトガゴザイ
マスノハ、ドウモ誠ニ宜シクナイト思フノ
デアリマス昨日モ織田委員ノ御質問ニ御
答へ申上ゲマシタ通リ、營團ノ配給ハ實
ハ公定價格ノ制限ヲ受ケテ居リマスル今日
ノ情勢ニ於キマシテハ、大體其ノ公定價格
ニ依ッテ配給スルコトニ相成ルカト思フノ
デアリマス、現在ノ內地ノ主要食糧ノ價格ニ付
キマシテハ、特ニ米麥等、政府ノ直接管理ヲ
致シテ居リマスルモノニ付キマシテハ、此ノ
點ニ付キマシテサウ不當ナル價格付ケガナ
イノデハナイカト思ッテ居リマス、ト申シマ
スノハ、殊ニ米ニ付キマシテハ、昨年ノ秋御承
知ノヤウニ價格ノ改定ヲ致シマシテ、卽チ生產
費ヲ償フヤウナ價格デ政府デ買ハウト致シ
マシタガ、併シ政府ノ拂ヒ出シマス賣渡ノ
價格ハ、之ヲ從來通リ据エ置クト云フコト
ニ致シマシテ、其ノ際ニ銘柄等級ノ整理モ
致シマシタシ、色々配給機構ノ「マージン」
ニモ切リ込ンデ處置シナケレバナラヌコト
ガゴザイマシタノデ、一通リ販賣價格ニ付
キマシテノ檢討ヲ遂ゲタノデゴザイマス、殊
ニ消費者ニ對シマスル一々ノ小賣價格ハ
各府縣ニ於キマシテソレ〓〓ノ實情ニ卽應
致シマシタ計算ヲ致シマシテ、大分是正シ
テ來テ居ルノデゴザイマス、實ハ是正致シ
マシタモノノ一部ハ價格ヲ上ゲタモノモゴ
ザイマス、是ハドウシテモ玄米ノ價格、ソ
レカラ取扱ノ實費ヲ見マシテモ、ドウシテ
モ償ハナイ所ノモノハ遺憾ナガラ若干引
上ゲタ所モゴザイマスガ、一方斯ウ云フ機
會ニ價格ノ檢討ヲスルト云フコトカラ致シ
マシテ、從來商人ノ取ッテ居ル「マージン」ガ
大キイ所ハ、價格ノ引下ゲヲ致シマシタ、
斯ウ云フコトヲ價格行政上ヤッテ參リマシ
夕、今後ニ於キマシテハ營團ノ經營ニナリ
マスルト云フトノ其ノ徑路ハ一層明ラカニ
ナルト思ヒマス、此ノ價格行政ヲヤッテ參リ
マス上ニ、色々有益ナル資料ガ得ラレルコ
トト存ジマス、御指摘ノヤウナ、必要ナル
掛リト云フモノハ是ハ見テヤラナケレバナ
ラヌト思ヒマスガ、誰モ世間ノ當識ガ、是
ハ妙ダト思ヒマスヤウナ隱レタル層ガソコ
ニアリマスヤウナコトハ是ハモウ營團ノ
公共的ノ性質ニ鑑ミマシテ、是非ナクシテ
行キタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマス、
營團ノ實例ヲ御引キニナリマシテノ御話デ
アリマスガ、此ノ事情ハ能ク分リマセヌガ、
少クトモ現在ノ內地ノ生產者ト消費者トノ
價格ノ點ハ、生產者ノ方ニ於テハ大體五十
圓基準ノ買入價格ヲ示シテ居リマス、消費
者ノ方ニハ四十三圓ト云フ價格ヲ示シテ居
リマスガ、此ノ點ハ今ノ所ハ問題ガナイ、
此ノ點ニ付テハ、將來ニ於キマシテモ營團
ノ監督上竝ニ價格ノ行政上十分ニ注意シテ
參リタイ、斯ウ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=44
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045・安藤信昭
○子爵安藤信昭君 肥料問題ニ付キマシテ
大臣ニ御尋ネシタイト思ヒマス、食糧增產
ノ爲ニハ、肥料ハ重大ナル役割ヲ持ッテ居リ
マスコトハ論ヲ俟タナイコトデゴザイマス
ガ、肥料トシテハ現在主トシテ化學的ナ肥
料、卽チ金肥ヲ用ヒテ居リマスノデゴザイ
マスケレドモ、玆ニ六大都市ヲ始メ、全國
ノ都市ガ最モ頭ヲ使ッテ居リマスノハ人糞
尿ノ處理ニ付テダト思ヒマス、東京市ニ於
キマシテモ此ノ處理ニ付テハ間違ッテ居ル
カ存ジマセヌガ、或ハ東京灣ノ港外ニ捨テ
ニ行クトカ、或ハ其ノ外大キナ溜ヲ造ッテソ
レデ一時ヲ凌グト云フヤウナ、永久的ノモ
ノデナク、一時的ノ手段デ處理シテ居ルヤ
ウニ聞イテ居リマス、ソレガ爲ニ東京灣ニ
於キマシテハ、木更津方面邊リデ海苔ノ栽培
ヲ致シテ居ル者達ガ、ソレガ爲ニ死活問題
ガ起リマシテ、大分陳情ニ來タト云フコトモ
耳ニシテ居リマス、又東京灣ノ魚類等モ傳
染病ガ發生スルト、傳染病ニナルカラ買ツ
テハイカヌト云フヤウナ問題ガアリマス、
サウ云フ風ナ點ニ於キマシテ、人口ハドン
ドン殖エテ參リマスノデ、人糞尿ノ處理ト
云フコトニ付テハ非常ニ今後ムツカシイ問
題ダト思フノデアリマス、之ヲ今日一ツノ
小サイ會社デゴザイマスケレドモ、人糞尿
ノ處理ヲシテ、硫安トカ、乾糞ト云フヤ
ウナ物ガ出來テ、卽効肥料トシテ僅カナ物
デアリマスケレドモ、今ヤッテ居リマスヤウ
デアリマス、私ノ今御尋ネシタイノハ人糞
尿ノ處理ハ肥料ト致シマシテ非常ニ有効ナ
モノダト思フノデアリマス、サウ云フ風ナ
點ニ付キマシテ當局モ國策會社、或ハ何カ
サウ云フ風ナ方法デ人糞尿ヲ處理スルト云
フ風ナ御考ガゴザイマセヌデセウカ、其ノ
點ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=45
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046・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 人糞尿ノ處理ノ
問題ニ付キマシテハ先般來カラ大分色々
議論ガゴザイマシテ、斯ウ云ッタモノヲ肥料
ノ少イ今日、是非使ッタラ宜イダラウト云フ
御議論ガアリマス、事實又サウ云ッタヤウ
ナコトヲ御計晝ニナッテ居ル、只今御述べニ
ナルヤウナ會社モ資本金ハ小サイノデスガ、
出來テ居リマス、唯此ノ人糞尿ノ處理ニ付
キマシテハナカ〓〓色々面倒ナ問題ガ今御
話ノヤウニ澤山アリマスノデ、當局トシテ
モ先ヅ之ヲ貯藏スル場所ヲ、溜ト申シマス
カ、サウ云フ物ヲ多ク造ッテ、ソコマデ運ンデ
ソコデ處理スルト云フコトヲ計畫致サレタ
ノデアリマスガ、何分ニモ自動車ガ無クナッ
テ參リマシタノト、ソレカラサウ云ッタヤウ
ナ溜ヲ造リマス資材ガ十分デアリマセヌノ
デ、其ノ仕事自體モ當局ガ考ヘテ居リマス
程、思フヤウニ參ラナイノデゴザイマス、
併シ之ヲ適當ニ處理致スコトハ衞生上カラ
モ、亦肥料上カラモ肝腎デアリマスシ、ド
ウシタラ宜イカト云フコトハ資材、勞力其
他ノ點ト睨ミ合セマシテ、折角今〓究致シ
テ居リマスカラ、サウ云フ程度ト御了承ヲ
戴キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=46
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047・安藤信昭
○子爵安藤信昭君 此ノ問題ニ付テハ一ツ
ノ小サナ會社デハ經營ガナカ〓〓ムヅカシ
イノデゴザイマシテ、東京市トノ關係トカ、
色々ナ關係ガアリマスノデ、ドウゾ此ノ問
題ニモ政府當局デモ御力添ヘヲシテ戴キタ
イト思ヒマス、ソレカラ是ハ聞イタコトナ
ンデスケレドモ、是ハ肥料ニ關シテデナイ
コトデアリマスケレドモ、御願ヒヲシテ置
キタイ、ソレハ今度色々ノ商店ガ廢合サレ
マシタノデ、今日ノ新聞アタリニ酒屋ガ千
軒ニ付テ一軒ト云フ風ニ色々小賣人ガ減ッ
テ參リマシタモノデスカラ、其ノ間ニ色々
不親切ナ點ガ大分アルト云フコトヲ聞イテ
居リマスノデ、其ノ點ニ付キマシテドウゾ
當局ノ方デ本當ニ親切ニシテ御援ケヲ願ヒ
タイト云フコトヲ御願ヒシテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=47
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048・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 昨日宮田委員
カラ御質問ガアリシテ、之ニ對シテ農政
局長カラ御答辯ガアルコトニナッテ居リマ
シタガ、今日幸ヒ局長ガ見エラレマシタカ
ラ此ノ際御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=48
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049・岸良一
○政府委員(岸良一君) 昨日他ノ方ヘ行ッ
テ居リマシテ失禮致シマシタ、第一ノ點ハ
十六年度ノ甘藷、馬鈴薯ノ供出ノ分ノ中デ
腐敗シタモノガアルガ、其ノ事情ハドウカ、
又サウデアルトスルト其ノ原因ハドウカ、
斯ウ云フヤウナ御質問ガアッタト思ヒマス
ノデ、之ニ付テ今申上ゲマス、此ノ十六年
度ノ甘藷、馬鈴薯、マア統制ト關係シテ問
題ニナリマスルノハ甘藷デゴザイマス、馬
鈴薯ハ大體問題ガアリマシタノハ春、是
ハ-農村ノ方デ水田ノ裏作トシテ居リマシ
タ所ガ、丁度雨季ニモ當リ、色々ナ關係デ地
方的ニ採集ノ際腐敗シタイト云フ問題ガヤ
カマシカッタノデアリマスガ、是ハ直接統
制ノ關係ハゴザイマセヌ、統制ハ大體九月
十一日カラ始マッタノデアリマスガ、之ニ關
係シテ起キタ問題ハ甘藷ノ問題デアリマス、
甘藷ハモウ其ノ當時方々デ不足スルト云フ
問題ガアリマシタ、主トシテ關東ノ方面デ
ハ千葉、栃木、埼玉、關西、中京ノ方デハ
大體三重縣、岐阜縣、是等ニサウ云フ問題
ガアッタノデアリマス、私共モ統制ヲヤッテ
芋ヲ腐ラスト云フコトデハ面白クナイト考
へ實情ヲ調ベサセニ直グヤリマシタノデア
リマスガ、是ハマア其ノ當時ニ於テ直チニ
腐ッタト云フ事情ヲ認メルモノハナカッタノ
デアリマスガ、唯其ノ時ノサウ云フ狀況ガ
多少長ク續イタ結果ニ於テ、腐敗シタモノ
ガ出タモノデアラウト云フコトヲ考ヘラレ
ル、是ハ甘藷、馬鈴薯ト云フモノガ大體ハ相
當腐リ易イモノデアリマスカラサウ云フ
狀態ガ惡イト云フコトソレガ主ナノデア
リマス、左樣ナ事態ガアリマシタ原因ヲ考
究致シマスト、統制ヘノ切替ヘ期ト云フヤ
ウナ時期モアッタラウト思ヒマスガ、是ト合
セマシテ輸送ノ問題、特ニ小運送デ、小運
送ノ問題ノ原因ハ主トシテ油ノ配給ノ問題、
ソレニ關係ガアリマシテ、殊ニ三重縣ノ志
摩ノ方面デハ完全ニ油ガ無イ爲ニ出スコト
ガ出來ナカッタ、或ハ龜山ノ方面カラ大阪方
面へ「トラック」デ出スノニ油ガ無イ爲ニ出セ
ルト思ッタノガ出セナイ、斯ウ云フ事情
ガアリマシタ、サウ云フヤウナ原因デ、サ
ウ云フ地方ニハ滯貨ガ澤山出來テ、滯貨ヲ
シテ居ル內ニ雨ガ降ルト云フコトニナリ
マスト、サウ云フ風ナ腐敗シタヤウナモノ
ガ生ズルト云フコトハ相當免レナイ問題
デアリマシテ、餘程腐ッテ困ッタコトガアッ
タラウト思ッテ居リマス、尙此ノ統制ヘノ
切替へ時ニナッテ居リマシタノデ、一一〇円
荷ヲ急イダト云フヤウナコトデ、從來荷捌
キガ十分行ッテ居ラヌ所ノ驛ヘ澤山ヤッテ來
タ、サウ云フコトガ重ナリ合ッテ腐敗ガ出來
タト云フヤウナ處モアルヤウデアリマス
是等ニ對シマシテハ私共モ油ノ配給ニ付テ
ハ特別ニ心配ヲシテ貰ヒマシテ、機帆船ノ
運賃其ノ他其ノ附近ノ「トラック」ノ運賃等
ヲ考慮致シマシテ、鐵道局ト能ク交涉致シ
マシテ荷捌キガ圓滑ニ行クヤウニ致シマシ
テ兎ニ角大シタ損失モナク過スコトガ出
來タノデアリマス、是等ノ狀態ニ付キマシ
テ當局ノ感想ヲ一應申述ベテ置キマスト云
フト、勿論切替へ時デシタカラサウ云フ混
亂ガゴザイマシタガ、其ノ後ニ於ケル狀態
ハ統制ニ依リマシテ陸運ノ小運送、或ハ機
帆船ノ運送ガ圓滑ニ行ハレタノデアリマシ
テ、若シ放ッテ置ケバ非常ニ故障ガ起キルコ
トハ免レナカッタト思ヒマス、ソレデ將來ノ
問題トシテ我々ガ此ノ腐敗ニ對シテ考ヘナ
ケレバナラヌ問題ハ色々ノ點カラ考究致シ
テ見マスト、何ト言ッテモ出テ居ルモノヲ計
畫的ニ取ッテ行クト云フコトニ付テ有ラユ
ル手ヲ打タナケレバナリマセヌ、從ヒマシ
テ之ヲ出荷スル方面ニ於テハ農會ニ於テ出
荷ノ計畫ヲ樹テ、又統制會社ノ方ニ於キマ
シテモ每月翌月ノ出荷ノ計畫ヲ樹テマシテ、
其ノ輸送ニ付キマシテハ鐵道省其ノ他關係
方面トモ連絡ヲ十分ニ致シマシテ、サウシ
テ早ク物ガ目的地ニ出テ來テ處分ガ出來ル
ヤウニ致シタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ今ヤッ
テ居リマス、ソレカラ集荷ニ於キマシテモ、
當時ニ於キマシテハ集荷ハ停車場ダケデア
リマシタガ、其ノ實情カラ見マシテ、此ノ
停車場カラ離レタ處ニ集荷場ヲ作ッテ、其處
デ以テ、受取ッテ出スト云フ處置ヲ講ジテ貰
ヒタイ、是ハ今後ニ於テモ一層擴充シテ、
最モ圓滑ニ行クヤウニシタイ斯ウ云フ風
ニ考ヘテ居リマス、其ノ次ハ何分ニモ時期
ガアリマス、時期ガアリマスシ、其ノ時期
ニ澤山出テ參リマスカラ、生デ食ベルモノ
ヲ除イテ成ルベク他ノ處置デ處分シテシマ
フト云フコトヲ考ヘテ居ルノデアリマス、
之ガ爲ニ割挽芋ニ致シマシタリ、切干芋ニ
致シマシタリ、或ハ澱粉ニ致シマシタリ、
或ハ芋粉ニ致シマシタリ、サウ云フコトニ
付テ助成ノ處置ヲ講ジ、或ハ關係機關トモ
連絡ヲ執ッテ圓滑ニ行クヤウニシテ居リマ
ス、又生デ供給スル物ニ付キマシテハ、是
モ助成ヲ致シテ居リマスガ、貯藏設備ヲ設
ケサセテ、サウシテ月別ニドウ云フ風ニ出
テ來ルカト云フコトニ付テノ處置ヲ執ッテ
居リマス、ナカ〓〓腐リ易イ物デアリマス
カラ、取扱ヒニクイノデ、餘程注意ヲ要シ
マスガ、之ニ依ッテ今年ハ圓滑ニ行クダラウ
ト心得テ居リママ、尙斯ウ云フコトガ農民
心理ニ影響ヲシタコトハナイカ、又之ニ對
スル對策ヲ考ヘタコトハナイカト云フ御話
デゴザイマスガ、增產ヲサセテ、ソレガ腐ッタ
ト云フコトデハ全ク申譯ナイシ、又實際影
響スル所ガ大キイト思ヒマス、是等ノ點ニ
付キマシテハヽ其ノ當時ニ於キマシテモ、
サウ云フ評判ガ立チマスルト直チニ役所ノ
者ヲ派シマシテ、實情ヲ調ベテ、能ク統制
關係ノコトヲ話シマシテ、了解ヲ得ルヤウ
ニ致シテ居リマシタ、大體了解ガ得ラレタ
ト思ヒマスルガ、今後ト雖モ十分色々ノ狀
況ノ推移ニ從ヒマシテ、先程申上ゲマシタ
ヤウナ運搬等ニ付テハ、或ハ困難性モアル
ト思ヒマスルガ、又貯藏等ヲシテ準備ヲシ
ナケレバナラナイト云フヤウナコトニ付テ、
十分話ヲシマシテ、出荷ノ調整ヲサセ、農
民ニ迷惑ヲ掛ケナイヤウニヤッテ行キタイ
ト云フ考ヘ方ヲ致シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=49
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050・宮田光雄
○宮田光雄君 芋ナドノ集荷ヲスル上ノ手
配ガ、今迄ノ自由經濟ノ時ハ、少量ノ物ヲ
買ッテ集メテ、サウシテ之ヲ大量ナ物ニシテ
市場ニ運ンデ消化スルト云フヤウナコトデ
アッタノガ、今日ノ機構デハ、中間ニソレヲ
集荷スル働キヲスル者ガ全然ナクナッテ居
ルノガ非常ニ影響シテ居ルノヂヤナイデス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=50
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051・岸良一
○政府委員(岸良一君) 大體從來トモ加工
用ノ甘藷ニ付テハ、農會ニ斡旋ヲサセテ居ッ
タノデ、從ッテ今囘ノ統制ニ於テモ集荷ハ
農會ニ委セルト云フコトニナッテヤッテ居ル
譯デアリマス、併シ是ハ地方ニ依ッテハ商
人ノ働イテ居ッタ部分モアリマスルノデ、ソ
レ等ノ働キハ或ハ會社ノ出先機關トシテ、直
接ニヤルヤウニ致シテ居リマス、ソレカラ切
替へ當時ニハ多少行キ違ヒガアッタカモ知
レマセヌガ、大體今ハ整備シテ參リマシタ
カラ、其ノ點ハ此ノ春カラハ心配ハナイト
思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=51
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052・宮田光雄
○宮田光雄君 輸送機關ノ「ガソリン」ガ不
足デ「トラック」ノ動キガ自由デナイトカ、或
ハ貨物ガ輻輳シテ都合ガ惡イト云フコトハ
是ハ將來モ相當アリ得ルコトデスガ、ソレ
ニ對スル緩和ノ方法ヲ何カ御執リニナッテ居
ルノデスカ、唯「ガソリン」ナリ、何ナリノ燃
料ヲ供給スルトカ、鐵道ト交涉シテ其ノ間
ノ緩和ヲ圖ルト云ヲ程度ノ只今ノ處置デア
ルノデスカ、何カ外ニ方法ハアリマセスカ、
ソレト是ハ私ハッキリ記憶シテ居ナイノデ
スガ、運送業者ノ話ヲ聞クト、今迄ハ自然ノ
流通ニ委シタモノダカラ、此處ニ一ツノ生
產地ガアレバ、其ノ生產地ヲ中心トシテ物
ガ流レテ行ッタ、然ルニ近頃ノ統制ニナッテ
カラ、此處デ生產シタ物ヲ飛ンデモナイ處
ヘ持ッテ行ク、此ノ附近デ消化シナイデ隔ッ
タ場所ヘ持ツテ行ク、又アッチニ在ッタ物
ヲ此ノ生產地ノ附近へ持ッテ來テ消化スル
ト云フヤウナコトデ、ドウモ當局者ノヤリ
方ハ合點ガ行カヌト云フコトヲ、運送業者
自身ガ言ッテ、アヽ云フコトヲスレバドウシ
テモ無駄ガ其ノ間ニ出テ來ル、今迄ノヤウ
ニ自然ニ物ガ消化流通スルヤウニ何故シナ
イカト云フコトヲ、是ハ誰ト云フ名ハ申シ
マセヌガ、三重縣ノ或縣會議員級ノ者デス
ガ、大變其ノ間ニ無駄ガ多イト云フコトヲ
言ッテ居リマシタ、ソンナコトハ今ノ甘藷
トカ何トカノ間ニハナイノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=52
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053・岸良一
○政府委員(岸良一君) 內地ノ小運搬ノ問
題デスガ、是ハ或ハ牛馬運送デモ出來ルト
云フヤウナ處ハソレニ代ヘルコトハヤッテ
居リマス、ドウシテモイカヌト云フモノニ
付テハ、交涉シテ油ヲ貰フヤウニ努力致シ
テ居リマス、今迄ノ話デハ大體春先ニハ大
丈夫デアルト思ッテ居リマス、ソレカラ昔ハ
生產地カラ直グ脇ヘ流レタガ、今ハサウハ
行カナイ、斯ウ云フ御話デアリマスガ、大
體原則トシテハ主要生產地ノ側ノ消費地ハ
其ノ生產地カラ出タ物ヲ取ルヤウニヤッテ
居ルノデアリマス、唯大都市其ノ他ヲ目掛
ケテ供給スル場合ニ於テ、他ノ方ニ於テ直
グ間ニ合ハナイト云フ時ニ、其ノ近クカラ
玉野シテ行ッテシマフト云フヤウナコトモ
アリ得ル譯デアリマスカラ、其ノ點ハアツ
タカモ知レナイト思ヒマスガ、成ルベク其
ノ近クデ供給スルト云フコトハ是ハ原則
トシテ考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=53
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054・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今宮田委員ノ
御話、私モ此ノ間伊勢ニ參リマシタ時ニ、
運送業者ガ其ノ話ヲシテ居リマシタガ、ソ
レハ斯ウ云フ點ガアル、今迄ハ芋ガ生產地
デ取レマスト、其ノ附近ノ需要ニ應ジテ、
需要供給ガ圖ラレテ居ッタノデスガ、今日ノ
芋ニ對スル要求ハ、一地方ダケデナク、國
ガ「アルコール」トシテモ欲シイ、澱粉トシ
テモ欲シイ、大都會ノ食糧トシテモ欲シイ
ト云フヤウナ、色々ナ要求ガ計畫的ニアッテ
附近ノ供給ダケデハ間ニ合ハナクナッテ來
テ居ルノデアルカラ、從ッテ輸送ノ場合ニ
於テモ、附近ノ需要供給ダケデ賄ッテ居ッタ
輸送關係トハ違ッテ、或場合ニハ芋ヲ大阪
ニ持ッテ行カナケレバナラヌ、東京ニ持ッテ
行カナケレバナラヌトカ、其ノ爲ニ輸送計
畫ガ多少違ッテモ、ソレハ已ムヲ得ナイ場合
ガアルノヂヤナイカト云フコトヲ話シタコ
トガアル、斯ウ云ッタヤウナ譯デ十二、三億
ノ芋ガ取レテモ、六億以上ハ農村デ食ヒ、
アトハ國家ノ要請シマス目的ニ芋ヲ持ッテ
行カウト云フコトニナッタノデアリマスカ
ラ、其ノ點ニ於テ、從來ノ自由經濟時代ト
ハ餘程輸送計畫等ニ於テモ違ッテ來ルト云
フコトノアルアルコトハ御了承ヲ願ヒタイ·
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=54
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055・大藏公望
○男爵大藏公望君 今ノ御話ハ御話ノ通リ
ナラサウデスガ、實際ハサウデハナイノデ
セウ、私ハ現ニ神奈川縣ノ大楠ニ住ンデ居
リマスガ、大楠ノ町ノ附近ニ出來ル野菜ヲ、
遙々何里カ離レタ逗子ノ市場ニ迄持ッテ行ッ
テ、大楠ノ町ノ八百屋ハ逗子カラ持ッテ來
ル、大楠デ生產サレル物ガ、逗子ヘ往復シ
テ居ル、マルデ野菜ガ土地ニナイコトガア
ル、ソレハ全部逗子ノ中央市場ニ持ッテ來
テ居ル、併シ今ノアナタノ御話ノヤウナラ
結構デスガ、土地デ消費サレルモノデモ、
配給機構ガマヅイ爲ニ無駄チ運送ヲヤリ、
竝ニ消費者ガ困ッテ居ルト云フ例ハ、大臣
ノ御知リニナラヌコトデアルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=55
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056・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 無論地方的ニ申
シマスレバ色々缺陷ガアラウト思ヒマスガ、
今ノ御話ノ點ハ斯ウ云フコトガアラウト思
ヒマス、或一地方ニ出來タモノヲ、其ノ地
方デ消費シテシマヒマスレバ、ソレハ非常
ニウマク行クノデアリマスガ、サウスルト
縣全體トシテハ非常ナ不足ヲ生ズル、ダカラ
公平ナル分配ヲヤル爲ニハ中央市場ニ持ツ
テ行ッテ、其處カラ公平ナル分配ヲスルト
云フ場合ガアル、元ノ出シタ所ノ村カラ
見ルト、一遍遠イ所ヘ持ッテ行ッテ、又持ッテ
歸ッテ來ルト云フヤウナ非常ナ不自然ナコ
トガアッテ、其ノ爲ニ非常ナ非難ヲ受ケル
ガ、併シ足ラナイモノヲ、縣下ニ公平ナル
分配ヲシヨウト云フ場合ニハ、サウ云フコ
トモ已ムヲ得ナイ場合ガ起ッテ來ルノヂヤ
ナイカト思フノデス、ダカラ一地方的ニ御
覽ニナッテ、總テノ計畫經濟ヲ御批判戴キ
マストソコニ色々ナ無理ガアラウト思ヒ
マスガ、併シ其ノ點モ運營ニ當ッテハ能ク
考慮シテ、成ルベク地方ノモノハ地方デ捌
クト云フ風ニヤッテ居リマス、併シ偶〓サウ
云ッタコトガアルノヂヤナイカト云フ風ニ
考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=56
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057・大藏公望
○男爵大藏公望君 サウ仰シヤレバサウダ
ケレドモ、併シナガラ、ダカラコソ「ガソ
リン」ガ幾ラアッタッテ足リナイト云フ狀態
ニナルト思フノデス、其ノ地方ノ消費量ヲ
考ヘテ見テ其ノ地方ノ消費量ダケハ殘シ
テ置イテ、アト餘剩ノ分ダケ他ニ持ッテ行
カウト云フヤウニ計畫スレバ宜イノデス
ガ、ソレヲ全部持ッテ行ッテ、又根コソギ
持ッテ歸ッテ來ルト云フコトハ、ドウ考ヘタッ
テ運送機關ヲ二重ニ使フコトデアッテ、決シ
テウマイ褒メタコトデハナイ、アナタノ御
話ノコトモ十分ニ運營ヲ改善スル餘地ガア
ルト思ヒマス、大臣ガサウ云フ風ニ仰シヤツ
タノデハ取締上甚ダマヅイ御說明ダト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=57
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058・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 私ハ地方々々ニ
依ッテ御說ノヤウナコトモアリ得ルト考ヘ
マスケレドモ、サウ云フ考ヘ方カラ出發シ
テ、偶〓地方的ニ今御話ノヤウニ殘シテ
6つ つ「ガソリン」等モ大イニ節約シ、ウ
マクヤレバ一番宜イノデアリマス、ダカラ
ソレハサウ云フ風ニ導イテ居リマスケレド
モ、兎モ角人ノナイ今日、ナカ〓〓我々ガ
幾ラロヲ大キクシテ言ッテモ、サウ計畫經濟
ヲウマクキチット國民ノ需要ニ合ハスヤウ
ニ行キ得ナイ色々ノ點ガアルコトヲ遺憾ニ
存ジテ居リマス、遺憾ニ存ジテ居リマスケ
レドモ、サウ云ッタ考ヘ方カラ一時ノ便法
カラ言ッテサウ云ッタ手段モ執ッタデアラウ
ト云フコトヲ申上ゲテ居ルノデ、ソレガ宜
イト言ッテ居ルノデハアリマセヌ、ソレヲ直
シテ段々ト型ニ嵌ツタ統制運用ニ導イテ行
カナケレバナラヌコトハ是ハ御說ノ通リデ
アリマス、唯一時的ノ現象トシテ、サウ云
フ考ヘ方カラサウ云ッタコトモアッタラウト
云フコトヲ申上ゲタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=58
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059・大藏公望
○男爵大藏公望君 ドウモ甚ダ足リナイ、
サウ云フ聲ガ到ル處ニ聽エル、其ノ爲ニ人
民ニ、役人ト云フモノハ實ニ非常識ダト云
フ感ジヲ與ヘ、甚ダ遺憾ダト思フノデス、
矢張リ中央ノ方デモ餘程オ氣ヲオ付ケニ
ナッテ、サウ云フ配給ノマヅイ所ガアッタ
う、徹底的ニ直サセルノダト云フヤウニ御
考ヘニナッタ方ガ宜イダラウト思ヒマス、
是ハ官吏ノ信用ノ上カラモ大事ナコトデハ
ナイカト思ヒマス、地方ノ寶情ヲ見マスル
トドウモサウ云フ點ガ、中央ノ御考ヘ方
ガ適切デナクテ、實際ノ運用ガ非常ニマヅ
イノダト云フ形勢ガ出テ來ル、今勿論神奈
川縣ノ問題ナドモアリマズケレドモ、日本
中ガサウ云フ風デハナイカト云フコトヲ心
配シマスノデ、此ノ點ダケヲ申上ゲテ置キ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=59
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060・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 勿論私共トシテ
モサウ云フ點ハ非常ニ心配シテ居ルノデゴ
ザイマス、唯斯ウ云フ點ダケハ御了承ヲ願
ヒタイノデアリマス、農林省ガ色々ナ責任
ヲ以テヤッテ居リマスケレドモ、末端ノ配給
ニ付キマシテ、登錄制度ヲヤッテ見タリ、或
ハ隔日配給ト云フヤウナコトヲヤッテ見タ
リ.色々ヤッテ居リマス、是モ試シタ上デ
良イ制度ヲ採リタイト云フ氣持カラヤラシ
テ居ルノデゴザイマスダレドモ、ソレヲ一
一全國統一シタ方針デ農林省ガ積極的ニ指
圖スルヨリハ先ヅ自治的ニ地方々々ニヤ
ラシタ方ガ宜カラウト云フ氣持デヤラシテ
居リマス、從ッテ今御話ノヤウニ地方的ニ
多少マズイコトガアリマシテモ、農林省ト
シテハ、直グソレヂヤサウ云フモノヲヤッチ
ヤ怪シカラヌト、ソレヲ止メサセマスト、
却ッテ色々ナ試ミト云フモノガ混亂ヲ來シ
テ來マスノデ、大體ノ大雜把ナコトハ今御
話ノヤウニ合理的ニ無駄ノナイヤウニ導イ
テ居リマスケレドモ、部分的ニハサウ云フ
コトガアリマスノデ、其ノ點ヲ消費者ノ方
カラモ御寛容ヲ願ヒタイト云フコトヲ申上
ゲテ置キタイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=60
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061・柴田兵一郎
○柴田兵一郞君 私ハ時間モ迫ッテ居リマ
スカラ、今日ハ二點ダケヲ御聽キシタイト
思ヒマスカラ御許シヲ願ヒマス、第一ハ此
ノ度ノ〓糧管理法ノ實施ニ依リマシテ、昭
和九年法律第五十二號ヲ廢止スルコトニナ
ルヤウデアリマスルガ、其ノ結果〓倉交付
米ヲドウ處置スル御積リデアリマスルカ伺
ヒタイト思ヒマス、御承知ノ通リ〓倉制度
ハ東北地方ニ週期的ニ襲來スル冷害凶作
ニ際シテ、其ノ貯藏米ノ貸出ニ依リ、飯米
缺乏ノ不安ヲ除キ、他面收穫期ト端境期ト
ノ米價ノ差額ニ對シ、中小農家ヲ保護セム
トスルモノデアリマスガ、然ルニ今次ノ管
理制度ノ下ニ於テハ米穀ハ總テ國家ノ强力
ナル統制ノ下ニ需要ニ應ジ配給セラルヽコ
トトナリマスルノデ、凶作災害時ニ於テモ
當然國家ヨリ必要ナル飯米ノ供給ヲ保障セ
ラルヽコトトナリ、且價格ノ公定ニ依リ收
穫期ト端境期ニ於ケル米價ノ變動モ抑止セ
ラルヽコトトナリマスルカラ、本法ノ執行
ニ依リ〓倉制度存立ノ意義ヲ喪失スルガ如
ク見エマスルケレドモ、併シナガラ東北地
方ニ於ケル〓倉制度ハ其ノ沿革極メテ古
ク遠ク舊藩時代ヨリ善政トシテ奬勵セラ
レマシテ、頻發スル凶歉災害ニ對スル自動
的備荒施設トシテ深ク農民ノ生活ニ根ザス
所ガアルノミナラズ、更ニ本〓倉ノ大部分
ハ昭和九年、十年ノ大凶作ニ際シ、畏クモ
御下賜金ニ依リ建設セラレマシテ、昭和九
年法律第五十二號ニ依リ政府米ノ交付ヲ受
ケタル最モ意義深キ恩賜〓倉デアリマシテ、
目下宮內大臣祕書官ガ決戰下ノ重要食糧
確保ノ緊要性ニ鑑ミマシテ、東北ノ冷害地
ニ派遣セラレ、親シク〓倉ヲ視察シテ、〓
倉組合長ヨリ詳細ナル說明ヲ聽取セラレ、
罹災農民齊シク感激ニ咽ンダト新聞ガ報ジ
テ居リマス、斯クノ如ク東北農民ガ聖慮ノ
餘榮ヲ深ク感ジ、兎角陰鬱ニナリ易イ精神
ヲ作興スルト共ニ、貯蓄竝ニ隣保相扶ノ美
風涵養ノ見地ヨリスルモ、之ガ存廢ハ單ナ
ル經濟理念ヲ以テ律シ得ザルモノガアルト
思フノデアリマス、故ニ私ハ東北地方ニ於
ケル〓倉制度ハ、實際問題トシテハ本管理
制度ノ下ニ於テモ之ヲ存續セシムベキデア
リ、否斯カル古キ沿革ヲ有スル良制度ハ須
ラク永續セシメナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、尤モ之ヲ存續セシムルトスレバ、
其ノ貯藏米ハ必ズ需給計算外ニ置カナケレ
バナラヌト考ヘマス、何故ナレバ〓倉ハ災
害凶作時ニ對スル備荒施設デアリマスカラ
平年ニ於テモ之ヲ消費ニ充當スルヤウデアッ
テハ、〓倉制度ノ本質ニ違背スルノミナラ
ズ、若シ之ヲ一般管理米同樣需給計算內ニ
置クト致シマスレバ、〓倉制度ト管理制度
ノ間ニ種々困難矛盾ヲ生ジ、運用上支障ヲ
來スト思ハレルノデアリマスルカラ、之ヲ
需給計算外ニ置イテ、生產者ノ相互扶助、
貯蓄觀念ニ基ク自助的備荒施設トシテ十分
ニ效用ヲ發揮セシムベキデアルト思フノデ
アリマス、以上ノ點ニ關シマシテ政府ノ御
所見ヲ承リタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=61
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062・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 東北ニ於キマス
ル〓倉制度ニ付キマシテハ今御述ノ通リ
ノ沿革ヲ持ッテ居リマスシ、農林省トシマシ
テ。モ是非此ノ制度ヲ維持シテ參リタイト考
ヘテ居リマス、唯實際ノ狀態ニ於キマシテ
ハ、〓倉米トシテ農家ノ自家用保有米以外
ニ而モ販賣米トナサザル米ヲ保有サセナケ
レバナラヌト云フ、其ノ數量ノ問題ニ於
テ色々考慮サレナケレバナラヌノデアリマ
シテ、十分ニ米ガアリ全國ヲ賄ヒ得ル時
代デアリマスレバ、寧ロ其ノ考ヘ方モ加へ
テ行キタイト思ッテ居ッタノデアリマスケレ
ドモ、今日ハ全國ノ米ハ、農家保有以外ハ
國家管理ニ移シマシテ、國家自ラガ管理シ
テ適當ナル消費地ニ配分シナケレバナラヌ
ト云フ時代デアリマスノデ、今日〓倉ノ米
モ國家管理ノ下ニ移シタノデアリマスケレ
ドモ、是ハ國家管理ニ致シマシテモ、其ノ
倉自體ニ政府米トシテ置イテ置ク積リデア
リマス、サウシテ其ノ倉ハ矢張リ〓倉倉シ
テ利用シテ參リタイ、他日東北方面ノ作況
等ガ非常ニ良クナリ、多少管理ノ上ニ於テ
餘裕ガ出來マスレバ、又從來ノヤウナ制度
モ考ヘラレマスケレドモ、差當リトシテハ
政府米トシテ其ノ倉ニ管理シテ置キマシテ、
其ノ搬出等モ成ルベク必要ナキ限リハ其處
ニ置イテ置キタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居
リマス、從ッテ〓倉制度ノ運用ニ當リマシテ
ハ從來ト餘リ變化ナク進ンデ參リタイト
考ヘルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=62
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063・柴田兵一郎
○柴田兵一郞君 只今大臣ノ御答辯ニ依リ
マシテ、東北ニ於ケル〓倉ハ、暫クノ間其
ノ儘存置シテ〓倉制度ヲ運用シテ行クト云
フ御說デアリマシテ、能ク了解致シマシタ、
ドウゾ今後モ〓倉制度ノ本質ニ鑑ミマシテ、
出來ルダケ永續セシムルヤウニ御配慮ヲ願
ヒタイト存ジマス、尙モウ一ツハ、米穀需給
調節特別會計法中改正法律案ノ第四條デア
リマスルガ、八億五千萬圓ヲ二十一億圓ニ
改メナケレバナラヌト云フ、其ノ金額算定
ノ根據ヲ承リタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=63
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064・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) アレハ現行法ノ
附則ノ所ニサウ云フヤウナ規定ガゴザイマ
スノデ、ソレヲ直シマシタ、實ハ詳シク此
ノ前ノ議會ノ時ニ御說明ヲ申上ゲマシタ
ガ、大體米麥其ノ他管理物資ノ買入金、
賣買ノ證劵發行限度ハ、總計二十一億圓ニ
シテ置キマセヌト運用ガ出來マセヌノデ、
ソレヲサウ云フヤウニ直シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=64
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065・柴田兵一郎
○柴田兵一郞君 其ノ二十一億圓ノ金額算
定ノ根據ヲ御差支ヘナケレバ承リタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=65
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066・湯河元威
○政府委員(湯河元威君) 私只今手許ニ
一持ッテ居リマセヌガ、御必要ナラバ別ノ
機會ニ於テ申上ゲテモ宜イノデアリマスガ、
米ヲ約三千五百萬石、麥ヲ、大麥、裸麥ガ
約六百萬石、小麥ガ約一千萬石位、ソレカ
ラ乾麵、乾「パン」ノ相當數量、又外米、滿洲
ノ雜穀、是等ノ必要ナル數量ヲ一々價格ニ
依リマシテ計算致シマシテ、ソレヲ實ハ每
月每月ニドレダケノモノヲ政府ガ手持チス
ルデアラウカト云フコトヲ詳細ニ計算致シ
マシテ、サウシテ參リマスルト、每年二月
ノ頃ガ、政府ノ持ッテ居リマスル物資、之三
對シマシテ發行シテ居リマスル證劵ガ一番
高クナルノデゴザイマス、ソレデ昨年ノ秋
ニ二十一億圓ト御決メ戴キマシタノハ、來
年ノ二月デゴザイマスカニ、約二十一億圓位
ニハドウシテモナルト云フ見透シガ立ッテ
居リマスルノデ、先程申上ゲマシタヤウニ、
月別計算ヲ致シマシテ、買入、賣渡ノ豫定
ヲ立テテ參リマスルト、所謂「ピーク」ガ二
十一億圓ニナルノデアリマス、ソコデ每年
之ヲ改正シテ戴クコトモ厄介ナモノデゴザ
イマスカラ、昨年、從來十二億五千萬圓デ
ゴザイマシタノヲ、二十一億圓ニ改正シテ
戴キマシタ、其ノ當時ノ貴族院ノ委員會ニ於
カレマシテモ、是ハ當分ノ內ト云フコトハ
ヲカシイヂヤナイカ、是ハ次ノ機會ニ特別
會計法ノ中ニ其ノ事ヲ明記スベキデアルト
云フ御指摘デゴザイマシテ、我々モ誠ニ其
ノ通リダト云フ御答ヲ致シマシタ、ソレデ
今度ノ改正ノ際ニ二十一億圓ト云フノヲ丸
丸新シイ食糧管理特別會計ノ中ニ計上シタ
ノデゴザイ·マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=66
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067・柴田兵一郎
○柴田兵一郞君 有難ウゴザイマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=67
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068・佐藤助九郎
○佐藤助九郞君 極ク簡單ニ御質問申上ゲ
タイ點ガ二點アルノデアリマスガ、此ノ管
理法案ノ三條、四條ニ關聯スル米價ノ問題
デアリマシテ、現在御承知ノ通リ四十三圓
デ買上ゲ、供出ニ對スル五圓ノ奬勵金、又
政府ノ買上米ニ對スル一圓ノ奬勵金、ソレ
カラ之ニ伴フ二重價格制ハ當分据置ニナル
ヤウナ、衆議院デノ御答。辯デアリマスル
ガ、ドノ程度迄据置キサレルモノデアリマ
セウカ、此ノ點一ツ御伺ヒシタイノデアリ
マヽ、次ニ木炭ニ關スル問題デアリマスル
ガ、夥シイ增產計畫ノ爲ニ、地方ノ山林ガ
非常ニ濫伐サレル憂ガ多分ニアルノデアリ
マス、御承知ノ通リニ山林ノ濫伐ハ水源地
ヲ枯渴シ、旱魃ヲ來シ、又水力電氣ニモ非
常ニ大キナ影響ヲ來スノデアリマス、私
臺灣デ聞イタ話デアリマスルガ、臺灣ノ相
思樹ハ非常ニ木炭原木トシテ宜シイ、而モ
冬季ハ少イノデアリマスルカラ、年中生長
スル爲ニ、先ヅ十年デ木炭原木ニナルト云
フヤウナ話ヲ承リマシタ、是等ノ點ヲ考慮
致シマスルト、寧ロ內地ノ濫伐ヲ防グ爲ニ、
臺灣デ此ノ補ヒヲナサルノガ宜シイノヂヤ
ナイカト考ヘマスガ、此ノ二點ヲ今日承リ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=68
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069・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今御質問ニナ
リマシタ第一點ノ奬勵金ノ問題デゴザイマ
スガ、是ハ衆議院デモ申上ゲマシタ通リ、
現在ノ經濟事情ガ餘リ變化ノナイ限リハ、
成ルベク斯ウ云ッタ行キ方デ進ミタイト考
ヘテ居リマス、併シ今度ノ管理法ノ第三條
デアリマシタカ、ニ依リマシテ、若シモ奬
勵金ト云フモノガナクナッテ來マスレバ、今
度ハソレヲ含メタ生產費デ以テ買上ゲナケ
レバナラヌト云フコトニナリマスカラ、農
家トシテ見レバサウ大キナ變化ヲ生ジナ
イヤウナ法制ニナッテ居リマス、併シ政府ト
シテハ矢張リ生產奬勵金トシテ進ンデ行
ク方ガ現在ノ狀態ニ於テハ適當デアルト考
ヘテ居リマスノデ、當分續ケタイト考ヘテ
居リマス、ソレカラ木炭ノ問題デアリマス
ガ、是モ御話ノ通リ、今日各地方ノ山林事
情カラシマシテ、薪炭林ノ伐採問題ハナ
カナカヤカマシイ問題ナノデ、出來ルダケ
奧地ノ開發ヲ致シ、地元ノ薪炭林源保存ニ
付キマシテ考慮致シテ居ルノデゴザイマス
ガ、今御話ノ臺灣ノ相思樹ノ問題モ、無論
現在モヤッテ居リマス、種々計畫シテヤラ
シテ居リマスガ、何分ニモ今船ガ無イノデ
アリマスカラ、折角物ガ出來テモ內地ニ持ッ
テ來ラレナイ、斯ウ云フ事態ニアリマスノデ、
矢張リ內地ニ於ケル木炭ノ需給計畫ハ、內
地薪炭林ニ依ッテ當分ハ賄ッテ行クト云フコ
トニ致サナケレバナラヌ事情ニアリマスノ
デ、伐採等ニ付キマシテハ十分考慮ヲ加ヘ
ツヽ今善處致シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=69
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070・宮田光雄
○宮田光雄君 一ツ關聯シテ·····昨日北海
道邊カラ來タ者ノ話ニハ北海道ノ山元ニ
ハ木炭ガ隨分澤山積ンデ其ノ儘ニシテアッ
テ、編ンダ繩ガ腐レ掛ッテ居ルト云フヤウナ
モノモアルサウデスガ、アレハ矢張リ輸送
力ガ足リナイト云フコトデ其ノ儘ニシテア
ルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=70
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071・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 其ノ通リデアリ
マイク今折角連絡船デ運ンデ居リマスケレ
ドモ、是ハ能力ガアリマス、ソレカラ機帆
船ノ問題ガナカ〓〓思フヤウニ行キマセヌ
ノデ、船ノ關係デ詰ッテ居リマス、併シ大體計
畫ヲ立テヽ出來ルダケ其ノ方ニモ廻シテ居
リマスガ、一時ハ非常ニ溜マリマシタモノ
ヲ、昨年ノ暮アタリ相當內地ニ持ッテ來マ
シタ、又相當溜マリマシタヤウデスカラ、
又一ツ內地ニ持ッテ來タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=71
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072・宮田光雄
○宮田光雄君 甚ダ迂遠ナ質問デスガ、木
材ガ統制ニナルノニ付テ矢張リ郷里ノ者ガ
言ッテ來タノニハ、ドウモ澤山木ヲ伐リ出
シテ困ル、所謂濫伐ニナリ掛ッテ居ルト云
フヤウナコトヲ言ッテ來テ居ルノデスガ、統
制スルノニ付テハ、其ノ事前ニ於テ其ノ山
ヲ濫伐ト云フノカ、木材ヲ伐リ出スト云フ
コトニ對シテノ其ノ一ツノ抑ヘ方ヲ、市內
デ言ヘバ、明日カラ一ツ切符制ニナル、其
ノ前ニハ祕密ニシテ置イテ、ドウスルト云
フヤウナ風ニヤルヤウナ處置ハ取ッテアル
ノデスカ、モウ取ッテ成ッテ居ルノデスカ
ソコノ事情ガ分ラナイカラ御尋ネスルノデ
スガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=72
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073・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 山林ノ伐採ニハ
御承知ノ通リ國有林モ民有林モアル譯デア
リマス、國有林ニ付テハ施業案ガアリマシ
テソレニ基イテヤッテ居リマスカラ、濫
伐ト云フ問題ハ起ラナイ、處ガ民有林ハ無
論施業案ニ依ッテヤラセテ居リマシタ處モ
アリマシタケレドモ、ドチラカト云フト自
由ニ放任シテ置キマシタカラ、木材ノ價格
ノ昂騰ニ依ッテ、而モ需要ガ非常ナ激增ヲ
シテ參リマシタノデ、濫伐ガ起ッタノデア
リマス、ソコデ一昨年デアリマシタカ、森
林法ヲ改正致シマシテ、森林組合ヲ各地方
ニ設ケサセマシテ、其ノ組合員トシテ施業
案ヲ編成サセテ、其ノ施業案通リニ伐採シ
ナケレバナラヌト云フヤウナ行キ方ヲ執ッ
タノデアリマス、段々今森林組合ガ出來ツ
ツアルノデアリマシテ、其ノ點ハ段々ト計
畫通リニ伐採サレテ參リマスケレドモ、マ
ダ其ノ點ニ付テ不十分ノ點モアリマスノ
デ、政府トシテハ或程度ノ伐採停止命令ト
申シマスカ、サウ云フコト迄シタイト考ヘ
テ居リマスガ、又一面ニ於テハ此ノ需要ニ
應ジテ伐ラナイ方面モアリマス、伐ッテ貰
ヒタクテモ伐ラナイ方面ガアリマス、ソレ
デ昨年ノ木材稅制法ノ第二條デ政府ガ命
ジテ伐リ出ス方法ヲ講ジテ、兩方相兼ネテ
政府ガ調整シテ伐リ出スヤウニハシテアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=73
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074・宮田光雄
○宮田光雄君 サウスルト統制ニナルカラ
ト云フノデ濫伐スルト云フ傾向ハナイノデ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=74
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075・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) サウ云フコトハ
アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=75
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076・宮田光雄
○宮田光雄君 サウデスカ、私ハ其ノ點ド
ウカト心配シテ······ソンナヤウナ意味ノコ
トヲ言ッテ來タカラ、其ノ點ニ付テソレヲ
抑ヘル、一ツノ防止スル方法ヲ講ジナクテ
モ宜イノカドウカト云フ意味ノコトヲ心配
シタノデスガ、分リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=76
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077・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) ソレデハ今日
ハ此ノ程度ニ致シマシテ、明日午前十時ヨ
リ開會致シマス
午後三時十三分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵大藏公望君
委員
公爵一條實孝君
侯爵前田利爲君
侯爵德川賴貞君
子爵富小路隆直君
子爵織田信恒君
子爵安藤信昭君
子爵土岐章君
宇佐美勝夫君
次田大三郞君
內田重成君
男爵三須精一君
男爵坊城俊賢君
男爵杉溪由言君
宮田光雄君
有賀光豐君
千石興太郞君
山上岩二君
二瓶泰次郞君
佐々木長治君
佐藤助九郞君
柴田兵一郞君
政府委員
農林大臣兼拓務大臣井野碩哉君
農林次官三浦一雄君
農林省農政局長岸良一君
農林省山林局長井出正孝君
農林省資材部長岡本直人君
食糧管理局長官湯河元威君
拓務次官植場鐵三君
拓務省管理局長中野勝次君
拓務省殖產局長竹內德治君
拓務省拓北局長今吉敏雄君
拓務省拓南局長森重干夫君
拓務書記官山中德二君
拓務事務官中野勝次君
朝鮮總督府政務總監大野綠一郞君
朝鮮總督府財務局長水田直昌君
臺灣總督府總務長官齋藤樹君
臺灣總督府財務局長中嶋一郞君
樺太廳長官小河正儀君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903115X00219420206&spkNum=77
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