1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年二月五日(木曜日)午前十時十四分開議
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議事日程 第九號
昭和十七年二月五日
午前十時開議
第一 戰時に於ける領事官の裁判の特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 戰時民事特別法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 戰時刑事特別法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 裁判所構成法戰時特例案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 昭和十五年法律第六十九號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 高等商船學校及商船學校の移管に伴ふ一般會計及學校及圖書館特別會計の關渉に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 作業會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 勞働者年金保險特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 昭和十七年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 昭和十五年法律第七號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 昭和十三年法律第五十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 昭和十五年法律第七十九號改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 海軍工廠資金會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 帝國鐵道會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 昭和十三年法律第二十三號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 臨時軍事費特別會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 兵器等製造事業特別助成法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔高山書記官朗讀〕
昨四日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案
可決報告書
朝鮮事業公債法中改正法律案可決報告書
臺灣事業公債法中改正法律案可決報〓書
高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ一
般會計及學校及圖書館特別會計ノ關渉ニ
關スル法律案可決報告書
作業會計法中改正法律案可決報告書
勞働者年金保險特別會計法案可決報〓書
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案可決報〓書
昭和十五年法律第七號中改正法律案可決
報〓書
昭和十三年法律第五十三號中改正法律案
可決報告書
昭和十五年法律第七十九號改正法律案可
決報告書
海軍工廠資金會計法中改正法律案可決報
告書
帝國鐵道會計法中改正法律案可決報告書
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案
可決報〓書
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
可決報〓書
臨時軍事費特別會計法中改正法律案可決
報告書
兵器等製造事業特別助成法案可決報〓書
昭和十五年度歲入歲出總決算、昭和十五
年度各特別會計歲入歲出決算審査報告書
昭和十五年度國有財產增減總計算書審査
報〓書
請願文書表(第三囘報〓)
本日第五部ニ於テ豫算委員子爵井上匡四郞
君ノ補關選擧ヲ行ヒシニ子爵松平保男君當
選セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、佐藤三吉君、病氣ニ付會期
中、麻生益良君、病氣ニ付十九日間、請暇ノ
申出ガゴザイマシタ、何レモ許可ヲ致シテ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第一、戰時
ニ於ケル領事官ノ裁判ノ特例ニ關スル法律
案、日程第二、戰時民事特別法案、日程第三、
戰時刑事特別法案、日程第四、裁判所構成
法戰時特例案、政府提出、第一讀會ノ續、
委員長報〓、是等ノ四案ヲ一括シテ議題ト
爲スコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長二荒伯爵
左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照
ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
戰時ニ於ケル領事官ノ裁判ノ特例ニ關
スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月二日
委員長伯爵二荒芳德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
戰時民事特別法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月二日
委員長伯爵二荒芳德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
戰時刑事特別法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月二日
委員長伯爵二荒芳德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
裁判所構成法戰時特例案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月二日
委員長伯爵二荒芳德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵二荒芳德君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=5
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006・二荒芳徳
○伯爵二荒芳德君 只今上程ニテリマシタ
四法案ノ委員會ノ經過報告ヲ申上ゲタイト
存ジマス、戰時ニ於ケル領事官ノ裁判ノ特
例ニ關スル法律案、裁判所構成法戰時特例
法、戰時民事特別法案及戰時刑事特別法案
ニ付キマシテ、夫ル一月二十四日カラ七囘
ニ亙リマシテ會議ヲ開キマシタ、先ヅ政府
側ヨリ各法案ノ提案ノ理由ニ付、本會議ニ於
キマシタ說明ヲ解釋敷衍サレマシテ、更に
政府委員ヨリ逐條的ニ詳細ナ說明ガアリマ
シテ、質疑ニ入リマシタ、先ヅ戰時ニ於ケ
ル領事官ノ裁判ノ特例ニ關スル法律案ニ付
キマシテ中上ゲマス、本法案ハ後ニ出サレ
テ居リマス戰時法ノ三案ト聯闘致シマシテ、
領事裁判ニモ其ノ適用上ニ改正ヲ要スル爲
ニ提出セラレタモノデゴザイマス、現行ノ
領事裁判制度ニ付キマシテハ、領事官ノ豫
審ヲ爲シタ罪ノ公判及裁判ニ對スル上訴
ハ、何レモ國內ノ裁判所ノ管轄ニ屬シ、就
中重罪ニ當ル罪ニ關シマシテハ、假令如何
ニ輕易デゴザイマシテモ、領事官ニ於テハ
豫審ヲ行フニ止マリマシテ、公判ヲ爲シ得
ナイ不便ガアルノヲ救濟スル爲ニ、國內裁
判同樣、直接裁判ヲ爲ス途ヲ開カムトス
ルモノデアリマス、質問ト致シマシテ、
委員カラ、目下大東亞ニ新秩序ヲ建設セム
トスル我ガ國ノ立場トシテ、古イ形ノ領事
裁判ノ撤廢ガ必要デハナイカ、又其ノ爲ニ
ハ司法領事、檢察領事ヲ速カニ增員シテ、
治外法權撤廢ニ備フル必要ハナイカトノコ
トデゴザイマシタ、政府ト致シマシテハ、
前段ニ付テハ、曩ニ締結セラレマシタ日華
條約第七條ニ依ッテ、此ノ根本方針ハ軈テ實
現サルベキデアラウケレドモ、目下戰時中
デモアリ、又諸外國ノ關係モ微妙ナ點ガア
ルカラ、中華民國ノ治安維持確定ト俟ッテ、
十分ニ愼重ニ進備ヲシテ居ル次第デアル、
又後段ニ付キマシテハ、同感デアルト云フ
意ヲ示サレマシタ、次ニ他ノ三ツノ法案ニ
付キマシテ、主ナル質問ノ內容ヲ御紹介致
シタイト存ジマス、此ノ三法律案共通ノ問
題トシマシテ、其ノ適用ノ時期ニ關シ、戰
時トハ如何ナル意味ヲ有スルモノデアル
カ、卽チ此ノ戰時ハ今次ノ大東亞戰爭ノミ
ヲ指スモノカ、或ハ大東亞戰爭ノミナラズ、
將來起ルカモ知レナイ總テノ戰爭ニモ適用
サレルノデアルカ、又三法律案ニ於ケル戰
時ト、會計法戰時特例ニ謂フ所ノ戰時トハ、
別ノ意味ヲ持ッテ居ルモノデアルカトノ趣
旨ノ質問ガ、二、三ノ委員カラ爲サレマシタ、
之ニ對スル政府側ノ答辯ハ次ノ通リデゴザ
イマシタ、司法省關係ノ此ノ三法律案ハ、
今次ノ大東亞戰爭下ニ於テ是非共必要ナリ
ト思料スル最小限度ノ特別措置ヲ講ズル爲
ニ特例ヲ定メル目的ヲ以テ立案サレク
モノデアルカラ、固ヨリ此ノ大東亞戰爭中
ニ於テノミ適用スル考デアル、尤モ形
式上ハ戰時恆久法デアル、從ッテ此ノ三法
律案ハ、今次ノ戰爭限リデ廢止スル立法手
續ヲ執ルト云フコトヲ明白ニ說明サレマシ
タ、次ニ大東亞戰爭終了ノ際ノ法律關
係ハドウナルノデアルカト云フ質問ガ二、三
ゴザイマシタ、之ニ對シマシテ政府側ノ答
辯ノ要旨ハ、刑事關係ノ實體法タル刑罰規
定ニハ、總テ各條ニ「戰時ニ際シ」云々ト規定
サレテ居ルカラ、戰爭終了ノ後ノ行爲ニハ
當然ニ適用ノ餘地ヲ失ヒ、又民事關係ノ
實體法ニ付テハ、戰爭終了後ハ其ノ適用ノナ
イコトハ第一條デ包括的ニ申シテ居ルノデ
明カデアル、訴訟手續ニ付テハ、戰時終了
ノ際ニ於ケル經過規定ヲ必要トスルカラ、
ソレハ勅令ニ委任シテ定メラレルコトニナッ
テ居ルト云フ說明デゴザイマシタ、次ニ戰
時民事特別法案ニ關スル主ナル質疑ヲ申上
ゲマスト、第二條ニ付キマシテ、戰爭ニ起
因スル避クベカラザル障碍ニ因リ期間ヲ遵
守スルコト能ハザル場合ニ於テ、其ノ期間
ヲ延長スルコトニ付テ、仲長期間ヲ一週間
ト限定スルコトハ、約定期間ニ於テハ短カ
キニ失スル場合ガアリハシナイカ、例ヘバ
一年ノ約束デ造船契約ヲシタ場合ニ、最後
ノ數箇月間ニ亙ッテ障碍ガ繼續シタヤウナ時
ニハ、一週間ト限定ヲセズニ、數箇月間期間
ヲ伸長スル方ガ適當デハナイカト云フ質問
ガゴザイマシタ、之ニ對スル政府ノ答辯ハ、
此ノ一週間ノ伸長ハ謂ハバ「モラトリアムㄴ
式ニ一切ノ約定期限ヲ一律ニ伸スモノデアッ
テ、其ノ以外ハ、總テ民法ノ原則ニ依ッテ債
務者ハ不可抗力ヲ理由トシテ其ノ責任ヲ免
レ得ルノデアルカラ、何等ノ不都合ハ生ジ
ナイト云フコトデアリマシタ、又裁判所ハ
特ニ必要アリト認ムルトキハ攻擊防禦ノ方
法ノ提出期間ヲ定メ得ルト云フ第六條ノ規
定證人又ハ鑑定人ニ對シ訊問ニ代ヘ書面
ヲ以テスル囘答ヲナサシメ得ルト云フ第九
條ノ規定、調停ニ付テ現地調停ガ出來ルト
云フ第十七條ノ規定、所謂强制調停ノ擴張
ニ關スル第十九條ノ規定ノ如キハ、單リ戰
時ニ限ラズ平時ニ於テモ、亦必要ニシテ適
切ナル規定デアルカラ、寧ロ法律ヲ改正シ
テ恆久法トスベキデハナイカ、又民事訴訟
ノ敏速的確ナル解決ヲ圖ルガ爲ニハ、當事
者ノ處分權主義ヲ制限シテ、職權主義ヲ强
化スベキモノデハナイカトノ質問ガゴザイ
マシタ、之ニ對シテ政府ヨリハ、民事訴訟
ニ於テハ當事者ヲシテ十分ニ攻擊防禦ノ方
法ヲ盡サシムルノガ本旨デアリ、是等ノ規
定ハ、主トシテ交通機關ノ杜絕其ノ他戰爭
ニ附隨スル諸種ノ障碍ヲ考慮シテ、必要巳
ムヲ得ザル手續ノ簡捷化ヲ圖ルコトヲ目的
トスル特例デアルカラ、之ヲ恒久立法トセ
ズニ戰爭ノ終了ト共ニ之ヲ廢止シタイ、又
職權主義ヲ適當ニ强化スルコトハ、政府ニ
於テモ之ヲ考慮シテ居ルノデアルガ、何分
此ノ問題ハ影響スルコト極メテ廣汎デアッ
テ重大デアルカラ、戰時ニ於ケル臨時應急
ノ特例ヲ設ケムトスル本案ニ於テハ、之ヲ
取上ゲルコトハ妥當デナイト考へ、此ノ點
ニ關シテ特別ノ規定ヲ設ケナカッタノデア
ルガ、訴訟ノ促進ト適正ヲ圖ルガ爲ニハ、
民事訴訟ノ全般ニ亙リ新タナル見地ヨリ檢
討ヲ加ヘテ、改善ヲ要スル點ガ多々アラウ
ト考ヘラレルノデ、戰時中ト雖モ銳意之ガ
改善ニ努力スル心算デアルト答辯ヲセラレ
マシタ、又各種調停ニ付統一法ヲ制定スベ
シトノ意見ニ對シテハ、平和囘復後ニ法典
整備ノ問題トシテ十分ニ考慮スルトノコト
デゴザイマシタ、次ニ戰時刑事特別法案ニ
付テ申上ゲマスト、國政變亂ノ目的ヲ以テ
スル殺人事件ニ關スル最近ノ事例ノ說明
ヲ求メラレマシタガ、事件ガ豫審ニ繫屬中
ノ故ヲ以チマシテ祕密會ニ入リマシタ、其
ノ席上ニ於テ政府側ノ說明ヲ聽取致シマシ
ク、次ニ經濟犯罪ノ一般情勢竝ニ統制經濟
ニ絡ム瀆職事件ニ付テノ質疑ガゴザイマシ
タ、國民ガ此ノ重大ナル時局ニ鑑ミ多大ノ
不便ヲ忍ビ統制ニ服シ之ニ協力ヲシテ居ル
際ニ、其ノ統制ノ局ニ當ル者ガ瀆職罪ヲ犯
スガ如キコトハ、其ノ事ガ單ニ憎ムベキコ
トデアルノミナラズ、一般民心ニ及ス影響
モ極メテ重大デアッテ、國策ノ遂行上寒心
スベキモノガアル、斯カル官吏ノ瀆職ニ
對シテハ、此ノ度ノ戰時刑事特別法ヲ制
定セラレル機會ニ、其ノ刑ヲ十分加重
スル規定ヲ設クベキモノデハナイカトノ質
問ガゴザイマシタ、之ニ對シテ政府側デハ
公務員ノ瀆職行爲ニ付テハ、既ニ第七十六
議會ニ於ケル刑法ノ一部改正ニ依リマシテ
刑罰ガ加重サレテ居ルノミナラズ、政府ニ
於テハ行政ニ關スル考査ノ制度ヲ實施シ、
其ノ新タナル機構ニ依リ官紀ノ振肅正ヲ圖
ルト共ニ、他面此ノ種ノ事犯ノ檢擧ニ付テ
モ一層之ヲ嚴正ニシテ、斯カル犯罪ノ防遏
ヲナシ得ルト考ヘテ居ル、尙戰時刑事特別
法案ノ第一章ニ規定スル所ハ、戰時ニ直接
關聯スル最少限度ノ刑法的措置デアッテ、玆
ニ規定スル罪ハ、控訴審ガ省略サレテ居ル
關係上、本案ノ中ニハ公務員ノ瀆職行爲ニ
關スル規定ヲ設ケナカッタモノデアルトノ
答辯ガアリマシタ、又第七條ニ該當スル罪
ノ如キハ、戰爭終了後ニ於テモ適用サレル
場合ガ想像サレハシナイカトノ質問ニ對
シ、政府側ハ、本條ハ戰時ニ限リ必要ト信
ジテ立案シタモノデアルガ、戰爭終了後ニ
於テモ萬々一ニモ其ノ必要ガアレバ改メテ
緊急ノ措置ヲ執ル考デアルト答ヘラレマシ
タ、次ニ第十五條ニ付、特ニ買占、賣惜ノ
ミヲ對象トシタ理由ヲ質サレタノニ對シテ、
政府ノ答辯ハ、買占、賣惜以外ノ行爲ハ現
行法規ノ範圍內デ十分ニ處理出來ルガ、買
点、賣惜ハ現在ノ商工、農林省令ニ依ル取
締規則ダケデハ不十分ナノデ、特ニ斯カル
行爲ノミヲ取上ゲタ次第デアルトノ答デア
リマシタ、第七條ノ「國政ヲ變亂」スルコトノ
字句ニ付テノ質疑ニ對シテハ、國政トハ國
ノ基本的ナ政治ヲ意味シ、國家ノ基本的制
度ノミナラズ、其ノ機能、卽チ活動的ナ方
面ヲモ含ムモノデアッテ、從來云ハレテ居ル
朝憲紊亂ガ靜止的ナ制度ヲ意味スルニ對シ、
一層廣イ意味ヲ持ツモノデアルトノ說明ガ
ゴザイマシタ、次ニ第二十條ニ付キ辯護人
ノ數ヲ二人ニ限ルコトノ根據ニ付質問ガア
リマシタガ、政府側ハ、是ハ戰時下ニ於テ
此ノ種ノ事件ヲ特ニ迅速ニ處理シテ國內不
安ヲ除カムトスル爲必要已ムヲ得ザル制度
デアルトノ答辯ガアリマシタ、第十條ニ付
キマシテハ、第一項ニハ「公共」ト云フ字句
ガアリ、第二項ニハ「公共」ノ字句ガナイ理
由ガ質サレタノニ對シ、政府側ヨリハ、是ハ
第一項ノ立法趣旨カラシテ自家防空ヲ特ニ
除外スル意味ヲ明カニシタモノデアルトノ
答辯ガアリマシタ、更ニ第十三條ノ「國防上
重要ナル生產事業」、第十五條ノ「生活必需
品ノ意義ニ付テノ質疑ガアリマシタガ、
政府側ヨリハ前者ハ國防目的達成上重要ナ
ル生產事業ノ意味デアリ、所謂重工業ノ如
キモノガ之ニ屬シ、後者ハ戰時下ニ於ケル
一般國民ノ日常生活ヲ維持スルニ必要缺ク
ベカラザル物品ヲ意味スルモノデアルト答
ヘ、ソレ〓〓實例ヲ擧ゲテノ說明ガアリマ
シタ、第二十六條ニ付キマシテハ、現行法
ノ下ニ於テ行ハレテ居ルヤウニ一々證據ノ
内容ヲ總テ指摘シテ說明スルト云フコトハ
實際煩ハシキニ過ギルコトデアッテ、從事件
現在ノ判決ノ形式ヲ改メムトスル本條ノ趣
旨ハ、戰時ニ於ケル事務ヲ簡捷ニスルト云
フ上ニ於テ結構ナ措置デハアルガ、苟モ人
ヲ處罰スルコトヲ明カニスル以上餘リ簡略
ニ失セザルヤウニ、木條ノ運用ニ當ッテハ良
キ裁判慣習ヲ作ラレルコトニ留意セラレタ
イトノ意見ガ述ベラレマシテ、政府側ニ於
テモ其ノ趣旨ヲ十分了承サレマシタ、其ノ
後數次ニ亙リマシテ懇談會ヲ開キ、席上一
委員ヨリ統制專務ニ從事スル公務員ノ瀆職
ニ對スル刑罰ノ加重規定ヲ設クベキデアル
トノ意見ガ出マシタ、之ニ對シテ司法大臣
ハ大要左ノ如ク述べラレマシタ、卽チ、經
濟統制ノ事務ヲ擔當スル公務員ガ其ノ統制
事務ヲ正シク執行スルカ否ヤハ、國防經濟
ノ完遂ヲ期スル上ニ重要ナ關係ヲ有スルモ
ノデアルカラ、締制事務ヲ擔當スル公務員
トシテハ、深ク其ノ重責ニ思ヒヲ致シ、自
肅自戒常ニ廉潔ヲ保持シテ締制事務ノ適正
ヲ期セネバナラヌコトハ勿論デアル、然ル
ニ最近經濟統制ノ强化ニ伴ヒ、統制事務ヲ
擔當スル公務員中、瀆職ノ罪ヲ犯シ、檢擧
處罰セラルル者ガ二三ニシテ止マラナイコ
トハ、誠ニ遺憾ニ堪ヘナイ次第デアル、而
シテ之ガ對策トシテハ、官紀ヲ振肅シ經濟
統制ノ行政事務ヲ刷新シテ、犯罪ノ原因除
去ニ努メルト共ニ刑罰規定ヲ加重整備シ、
事犯ニ對スル取締ノ一層ノ周匝徹底ヲ期
スルコトヲ要スルノデアルガ、收賄ニ關
スル刑罰規定ニ付テハ、旣ニ第七十六囘帝
國議會ノ協贊ヲ得テ制定セラレタ刑法中改
正法律案ニ依ッテ、必要ナル改正ガ行ハレ
テ居ル所デアル、改正ノ理由ハ、一般公
務員ノ廉潔ヲ保チ公務ノ適正ヲ期スルコト
ニアッタノデハアルガ、支那事變以來時局
愈、緊迫ノ度ヲ加ヘ、戰時熊勢ヲ速カニ整
備スルノ必要上、經濟締制モ亦急速ニ强
化セラレ、其ノ運營上官公署ノ許可認可
其ノ他ノ指導ニ俟ツベキ事項ガ著シク
多キヲ多ヘルニ至ッテ、經濟統制ノ事務ヲ擔
當スル公務員ノ廉潔ヲ確保スルニアラザレ
バ經濟統制ノ適正ヲ期シ得ラレナイバカリ
デナク、國民ノ思想上ニ及ス影響モ甚ダ憂
慮スベキモノガアッタ爲、此ノ故ニ瀆職罪ノ
規定ヲ整備强化シテ官紀ノ振肅ニ資スルコ
トガ改正ノ眼目ノ一ツトシテ取上ゲラレタ
ノデアル、勿論當時ニ於テハ今日ノ如キ戰
爭ハ明カニ豫想セラレタ所デハナカッタノデ
アルガ、所謂超非常時ニ入ッテ臨戰熊勢下ニ
在ルモノトサレタ時デアッテ、昭和十五年春以
來締制經濟ノ擴大ニ伴ッテ統制專務ヲ管
掌スル官廳ノ權限モ亦急激ニ增大スルニ至ツ
タノデ、統制事務ニ關聯スル收賄其ノ他
職務上ノ犯罪ニ對スル防遏ノ方法トシテ改
正セラレタモノデアル、卽チ其ノ改正ノ趣
旨トスル所ハ、經濟統制ニ關スル瀆職罪ニ
關スル規定ノ從前ノ不備ヲ補ッテ、請託ノ
アッタ場合等ニ於テハ之ヲ嚴重ニ處罰セム
トスルニ在ッタノデアッテ、政府ニ於テハ
此ノ改正ノ趣旨ヲ體シ、此ノ種ノ事犯ニ對
シテ嚴正ナル取締ヲ厲行シテ之ガ防遏ニ違
算ナカラムコトヲ期シテ居ルノデアル、官
紀ノ振肅ニ付テモ、公務員ノ〓潔ヲ俣持シ
テ瀆職罪ヲ防止スル爲ノ根木的必要事項ナ
ルニ鑑ミ、政府ニ於テハ官紀ノ振肅ヲ以テ
重要ナル使命トシテ、銳意吏道刷新ニ努力
ヲシテ居ル次第デアル、更ニ經濟統制ニ關
スル行政事務ノ刷新ニ付テモ、事務ノ繁忙
ニ依ッテ從來兎角事務ヲ澁滯セシメ勝チデ
アリ、是ガ贈收賄ノ原因トモナッテ居タコト
ニ鑑ミ、最近行政事務處理簡捷令ヲ制定シ
テ、行政考査制度ノ活用ト相俟ッテ統制事務
刷新ノ方途ヲ講ズルコトニナッテ居ル、殊ニ
戰時刑事特別法案第一章ハ、戰時下ニ於ケ
ル治安確保ノ爲特ニ迅速處理ヲ要スルモノ
トシテ、控訴審ヲ省略スルコトトシタ關係
上萬已ムヲ得ザル範圍內ニ於テ最少限度
ノ規定ヲ設ケタモノデアル、假ニ經濟締制
ニ關スル公務員ノ收賄罪ノ刑ヲ加重シテ、
其ノ罪ニ關スル事件ノ控訴審ヲ省略スルト
ジテ、所謂必要的共犯トシテ是ト不可分ノ
關係ニアル贈貼罪ヲ、從前通リ三宋制ニ依
ラシムルガ如キハ不合理デアルバカリデナ
ク、曩ニ收賄罪ニ關スル刑罰規定ヲ加重整
備シテ間モナイ今日、重ネテ更ニ之ヲ加重
スルコトハ、對外的影響ノ點モ考慮シナケ
レバナラヌト思ハレルノデアル、政府トシ
テハ今暫ク刑法改正法律案ノ運用ノ實績ニ
徵スルコトトシタイト思ッテ居ル、政府ニ
於テハ此ノ際一層官紀肅正、吏道刷新ニ最
善ノ力ヲ致スト共ニ、罪ヲ敢ヘテシタル者
ニ對シテハ嚴正ナル檢擧ノ属行ニ努ムル方
針デアル、ソレデモ尙不十分ナリト認メル
時ニハ早速法律改正ノ手續ヲ執リ、斯カル
官吏ノ刑ヲ加重スル所存デアル、以上ノ理
由ニ依ッテ、政府トシテハ今直チニ經濟統制
事務ヲ擔當スル者ノ瀆職罪ニ關スル刑罰ヲ
加重スル所ノ規定ヲ設ケルコトニハ、遺憾
ナガラ贊意ヲ表スルコトガ出來ナイト述べ
ラレマシタ、又陸軍省政府委員カラハ、軍
ノ監察能力ヲ十分發揮シテ決シテ國民ノ信
賴ニ背カス方法ヲ執ッテ居ルト云フ力强イ
發言ガゴザイマシタ、次ニ戰時刑事特
別法案ニ付テ質疑ヲ繼續シテ、一委員ヨ
リ、第七十六議會ニ於キマシテ治安維持法
中改正法律案ノ委員會ノ席上ニ於テ、掌時ノ
柳川司法大臣ハ、憲法ニ定ムル統治組
織ノ機能ヲ不法ニ變改スルコト、又ハ私有
財產制度否認ノ思想ノ宣傳行爲ニ對スル
刑罰規定ノ制定ヲ公約サレタニ拘ラズ、本
案ニハ其ノ規定ガ漏レテ居ルノハ如何ナル
理由デアルカ、當時ト較ベテ社會情勢ハ依
然トシテ變ラナイ、ト云フヨリハ寧ロ右ニ
述ブルガ如キ行爲ハ增加ノ趨勢ニ在ルヤウ
ニ考ヘラレ、其ノ處罰ノ必要性ハ益〓大キイ
ト思フ、又政府ノ公約ハ大臣ガ代ッテモ影響
ヲ受クベキモノデハナク、其ノ法案ノ提出
ナキハ頗ル遺憾デアルトノ意見ガ述ベラレ
マシタ、司法大臣ハ之ニ對シテ、前大臣ノ
言明ハ深ク之ヲ尊重スル、刑事特別法ノ中
ニ第七條ヲ設ケタノモ此ノ趣旨ニ外ナラナ
イノデアル、今囘此ノ問題ニ付テノ御意見
ノ次第ハ能ク了承シテ居ル、此ノ以外ノ必
要ナル規定ニ付テハ速カニ〓究ヲ遂ゲ、必
ズ御期待ニ應ズル所存デアルト云フ旨ヲ答
ヘラレマシタ、以上デ各議案ニ付テノ質疑
ヲ終了致シマシタ、尙其ノ他ノ質疑應答ノ
詳細ニ付キマシテハ速記錄ニ依ッテ御承知
ヲ願ヒタイト存ジマス、尙茲ニ附言致シタ
イノハ、本委員會ニ於テ、官吏ノ瀆職罪ノ
發生ニ鑑ミマシテ吏道刷新ニ關シ、特ニ本
會議ノ席上ニ於テ總理大臣ノ御所見ヲ承ル
コトヲ希望致シマシタ、以上デ各法案ニ付
テノ質疑竝ニ懇談ヲ終リマシテ、討論ニ入
リマシタガ、戰時民事特別法案ノ討論ニ當
リマシテハ、岩田委員ヨリ、第二條第二項
ニ「但特別ノ專情アル場合ニ於テハ更ニ相
當ナル期間ヲ經過シタルトキ滿了ス」トノ
但書ヲ附スベシトノ動議ヲ提出サレマシ
ク、其ノ理由ハ、此ノ第二條ハ、第一項ニ
於テ戰爭ニ起因スル避クベカラザル障碍ニ
因リ期間ヲ遵守スルコトガ出來ナイ場合ニ
於テハ其ノ期間ヲ仲長スルノデアルガ、第
二項ニ依ルト伸長期間ハ一週間ニ限ラレテ
居ルノデアル、約定期間ニ付テ考ヘレバ此
ノ第二項ハ不十分デアル、何トナレバ障碍
ノ止ンダ時カラ一週間以內ニ履行スルコト
ハ不可能デ、二凋間或ハソレ以上經過シテ、
始メテ履行ノ出來ルヤウナ場合モアルノ
デ、一週間ダケヲ當然延長スルト云フナラ
バ、右ノヤウナ特別ノ場合ニハ更ニ相當期
間営然伸長セラルベキモノデアル、若シ政
府ノ御說明ノヤウニ、一週間以上ニ付テハ
民法ノ一般原則ニ依ルモノトスレバ、一週
間ダケハ戰爭ニ起因スル障碍ガアッタコト
ダケ證明スレバ期間不遵守ノ責任ヲ免レル
ノニ、ソレ以上ノ分ニ付テハ戰爭ニ起因ス
ル障碍ガアッタコトノ外、期間不遵守ノ點ニ
付テ過失ガナカッタコトモ證明シナケレバ
ナラナイコトニナッテ、不公平デアル、ト云
フコトガ修正案提出ノ理由デアリマシタ、
之ニ對シ政府ハ、障碍ノ止ンダ時カラ一
週間ダケハ、總テノ契約ニ付テ謂ハヾ「モ
ラトリアム」的ニ期間ヲ伸長シ紛爭ヲ避ケ
タイト云フ趣旨ニ於テ第二項ノヤウニ立案
ヲシタノデアル、其ノ後ノ分ニ付テハ、民
法ノ一般原則ニ依ッテ十分ニ解決セラレル
モノト思フ、其ノ趣旨ハ司法省部內ニ、司
法關係者ニ十分徹底サセル積リデアル、尙
原案ハ、期間終了ノ當時ニ障碍ノアッタ場合
ダケニ付テ適用セラレル趣旨デアルト云フ
コトデ、修正案ニ反對ノ意見ガ述ベラレマ
シタ、サウシテ此ノ修正案ニ付テハ贊成少
數ノ爲ニ成立シナカッタノデアリマス、次ニ
戰時刑車特別法案ニ付テ討論ヲ行ヒマシタ
處、次田委員ヨリ、第十四條ノ次ニ、戰時
ニ於ケル經濟統制ノ專務ニ從事スル公務員
ノ漬職行爲ニ對シ刑法所定ノ刑罰ヲ加重ス
ル規定ヲ三箇條挿入スル修正ノ動議ガ提出
サレ、岩田委員之ニ贊成ヲセラレマシテ、
動議ガ成立シマシタ、次田委員ハ其ノ提案
理由ノ說明トシテ、我ガ國ハ目下大東亞戰
爭ヲ遂行シツヽアルノデアッテ、其ノ目的
ノ達成ノ爲國民ハ有ラユル犠牲ヲ忍ビ、特
ニ嚴格ナル經濟給制ニ協力服從シテ居ルニ
拘ラズ、其ノ統制ヲ爲ス官吏ニシテ統制事
務ニ關シ瀆職行爲ヲ爲ス者ガ相當ノ數ニ上
リ、昭和十五年、昭和十六年ノ二年間ニ
起訴セラレタル者約百名ニ及ビ、内、奏任
以上ノ者二十二名、而モ其ノ中ニハ勅任官
モ數名アルトノコトデアル、斯クノ如キ者
ハ實ニ其ノ罪萬死ニ値シ、戰爭目的達成
ノ爲多大ノ勞苦ヲ忍ンデ統制ニ從ッテ居ル
國民ノコトヲ思ヘバ、斷々乎トシテ嚴罰ニ
處スベキモノデアル、然ルニ本案ニ於テハ、
國民ノ業務上不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ
スル買占、賣惜行爲ニ付テハ、從來ノ取締
規則ニ依ル三箇月以下ノ懲役又ハ百圓以下
ノ罰金ト云フ刑罰ニ對シ、五年以下ノ懲役
又ハ一萬圓以下ノ罰金ト云フ加重刑ヲ定メ
テ置キナガラ、統制事務ニ從事スル仝務員
ノ瀆職行爲ニ對スル刑罰ノ加重ヲシテ居ナ
イト云フノハ甚ダ失當デアル、而シテ本修
正案ハ、刑法ノ瀆職ノ規定ニ倣ヒ構成要件
ヲ定メタモノデアリ、其ノ刑ノ加重ノ程度
ニ付テハ本案ノ他ノ罪ニ對スル刑ノ加重ノ
程度ニ準ジタモノデ妥當ト信ズル、此ノ修
正案ニ對シマシテハ、第七十六議會ニ於テ
兩院ノ協賛ヲ經テ御裁可公布セラレタル刑
法中改正法律ニ於テ、旣ニ戰時狀態ヲ豫想
シテ公務員ノ瀆職ニ對スル刑ヲ加重シタ故、
今更加重ノ必要ハナイト云フ反對意見ガア
ルカモ知レナイガ、右ノ改正法律ニ於テ刑
ヲ加重セラレタノハ、請託ヲ受ケタ場合、
因テ不正ノ行爲ヲ爲シタ場合ダケデアッテ、
單純ナ瀆職ノ刑ハ加重サレテ居ラナイノデ
アル、又其ノ加重ノ程度モ不十分デアルノ
ミナラズ、刑法ハ恆久法デアルノニ對シ本
案ハ戰時立法デアルカラ、戰爭終了後ニ於
テハ國民ノ賣惜、買占等ノ不正行爲ニ對ス
ル加重刑ハ廢セラレルノニ、公務員ノ瀆職
罪ノミガ元ノ儘ニ置カレル關係ニナルノデ
甚ダ不合理デアル、次ニ統制經濟ノ事務ニ
從事スル公務員ノ瀆職ニ對スル刑罰加重ノ
規定ヲ本案ニ挿入スルトキハ、裁判所構成
法戰時特例案ト相俟ッテ控訴審ガ省略セラ
レルコトニナリ、他ノ漬職事件トノ均衡ヲ
失スルトノ意見モアルヤウデアルガ、前者
ノ罪ガ特ニ重イト云フ考カラスレバ敢テ之
ヲ異トスルニハ足リナイノデアル、殊ニ裁
判所構成法戰時特例案第四條ニ揭グル食糧
管理法案ニモ亦瀆職規定ガアリ、其ノ罪ニ
關スル事件ニ付テハ當然控訴審ノ省略サレ
ルノデアルコトヲ思ヘバ、此ノ點ハ反對ノ
理由トハナラナイノデアル、併シナガラ若
シ容級省略ガドウシテモイケナイト言フノ
ナラバ、此ノ點ニ付テハ裁判所構成法戰時
特例案ノ審級省略ノ規定ノ適用ヨリ除クヤ
ウニシテ宜イノデアル、更ニ本修正案ニ對
シテハ、原案ニ全然無イ事項デアルカラ本
委員會ノ審議權ノ範圍ニ屬セヌトノ意見ガ
アルカモ知レヌガ、貴族院本會議ニ於テハ
發案權ガアルコトカラ當然斯カル修正案モ
提出シ得ル譯デアリ、委員會ニ於テモ、原
案ニ依リ當然影響ヲ受クベキ事項ノ範圍ニ
於テハ、原案ニ無イ事項ヲ修正案トシテ提
出スルコトガ出來ルノデアル、其ノ顯著ナ
例トシテハ、昭和九年ニ於ケル治安維持法
中改正案ノ貴族院ノ委員會ニ於テ提出セラ
レタ修正案ガアル、本修正案ニ付テモ委員
會ニ其ノ審議權ノアルコトハ明白疑ヲ容レ
ルノ餘地ナイト思フ、自分トシテハ、修正
案ガ否決セラレタ場合更ニ木會議ニ於テ修
正案ヲ提出スル考ハナイガ、若シ委員會ニ
其ノ審議權ナシトノ理由デ否決サレルナラ
バ、是ハ委員會ノ審議權ノ問題トシテ恆久
的重大問題デアルカラ、本會議ニ於テ飽ク
迄モ爭フ考デアルト述べラレマシタ、修正
案ニ付テ採決ニ入リマシタル處、贊成者少
數デ否決トナリマシタ、斯クテ木委員會ニ
付託セラレマシタ四法律案ヲ一括シテ討論
ニ入リ、續イテ採決ヲ行ッタノデアリマス
ガ、異議ナク玆ニ原案全部ヲ可決致シタ次
第デゴザイマス、右御報〓ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=6
-
007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 總理大臣ヨリ發
言ヲ求メラレテ居リマス、東條内閣總理大
臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=7
-
008・東條英機
○國務大臣(東條英機者) 只今委員長ノ御
報告ニ於キマシテ、官吏ノ犯罪ニ付テ議論
ノアリマシタコトヲ拜承致シマシタ、且之
ニ對スル總理大臣ノ所見ヲ御求メニナリマ
シタニ付キマシテ、私ハ玆ニ一言所見ヲ申
述ベタイト存ズルノデアリマス、官紀ノ肅
正ニ付キマシテハ、國ヲ擧ゲテ征戰目的ノ
完遂ノ爲邁進ヲ致シテ居リマスル所ノ今日、
特ニ其ノ必要ヲ痛感スルノデアリマシテ、
政府モ深ク思ヒヲ玆ニ致シマシテ居ルノデ
アリマスルガ、現在ノ官界ニ於キマシテ、
大多數ノ官吏ハツレ〓〓懸命ナル努力ヲ以
テ、至誠、其ノ職務ニ精進シテ居リマスル
實情ヲ玆ニ披瀝致シマスルコトノ出來マス
ルコトハ、私ノ光榮ト存ズル所デアリマス、
然ルニ今尙、極メテ一部ノ問題デハアリマ
スルガ、官吏ノ犯罪ノ事實ヲ耳ニ致シマス
ルコトハ、誠ニ遺憾至極ニ存ズル次第デア
リマシテ、此ノ點甚ダ申譯ナイト存ジテ居
リマス、政府ト致シマシテハ、官吏ガ上下一
貫、發憤自肅、身ヲ持スル益、こ、嚴正、事ニ從ツ
テ愈〓精勵、以テ御奉公ニ身心ヲ捧ゲマスル
ヤウ今後層一層ノ努力ヲ盡ス覺悟デゴザイ
マス、終リ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=8
-
009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 討論ノ通〓ガゴ
ザイマス、子爵大河內輝耕君
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=9
-
010・大河内輝耕
○子爵大河內〓耕君 私ハ本案ニ贊成致ス
一人デゴザイマス、併シ贊成ニ付キマシテ
一應私ノ意見ヲ陳述サシテ戴キタイ、差向キ
第ニ申上ゲタイノハ、本案ニ對スル所ノ
委員諸君ノ非常ニ熱心ナ御努力ニ對シテ、
感謝ノ意ヲ表サナケレバナラヌ、此ノ征戰
ノ重大ナ秋ニ當リマシテ、一部タリトハ言
ヘ、只今委員長ノ御報告ニテッタヤウナ事
實ガ國內ニ行ハレテ居ルト云フコトハ、甚
ダ歎カハシイコトデアル、モウ實ニ言語道
斷ナコトデアル、之ニ對シテ委員諸君ガ熱
心ナ〓究ヲ遂ゲラレテ、今日總理大臣ノ言
明トナルト云フヤウナコトニナリマシタノ
ハ、誠ニ國民擧ゲテ感謝スル所ダラウト固
ク信ジテ疑ハナイ、唯不幸ニシテ修正案ノ
成立タナカッタノハ致シ方モゴザイマセヌ
ガ、趣旨ハ政府ニ於テモ認メラレテ居ルコ
トデ、殊ニ總理大臣ガ言明サレタコトデゴ
ザイマスルカラ、是ノ目的ヲ達スルコトハ
必ズ出來ルコトト信ジテ居リマス、併シド
ウ云フ譯デ斯ウ云フ風ニ官吏ノ犯罪ガ多イ
カト云フコトヲ見テミマスト、段々質問應
答ノ工合ヲ伺ッテ見マスルト云フト、是一
官僚政治ノ賜ナンデアル、議會政治ヲ止メ
テ官僚政治ニナレバ、斯ウ云フ風ニナルノ
ハ當リ前ナンデス、政黨ガ惡イ〓〓ト言フ、
成ル程惡イ、惡イケレドモ、政黨ノ害ハ爪
ノ先カ頭ノ毛ノ先位ノモノデ、切ッテ取ッテ
シマヘバ何デモナイ、官吏ノ腐敗ニ至リマ
シテハ內臟ノ病氣ナンデス、之ヲ發見シテ
取去ルコトハ容易ヂヤナイ、併シ明日カラ
議會政治ニシロト言ハレテモ、是ハ言フ方
ガ無理デセウカラ此ノ事ハ先ツ暫ク之ニ止
メテ置キマシテ、次ニ申上ゲタイノハ當面
ノ急務、司法部內ノ刷新デアリマス、司法
部內ノ刷新、陣容ノ建直シガ出來ナケレバ
此ノ問題ハ解決ハ致シマセヌ、是ハロデ言ッ
チマヘバソレッキリノコトデスガ、又詳シイ
コトハ此處デハ申上ゲラレナイ、コンナ公
開ノ席上デハ何ボ何デモ申上ゲラレナイ、
申上ゲラレマセヌケレドモ、內外ニ亙ル荊
棘ヲ拓クト云フコトハ容易ナコトヂヤナ
イ、司法大臣ノ心中御察シ申ス、之ニ對ス
ル努力ト云フモノハ非常ナコトダラウト思
フ、決シテ是ハ司法大臣一個ニ御任セスル
コトハ出來ナイ、政府ヲ擧ゲテヤッテ戴キ
タイ、殊ニ總理大臣等ハ隨分此ノ點ニ力ヲ
入レラレテ、司法大臣ヲ助ケテ此ノ刷新ヲ
先ヅ以テ御ヤリニナル、サウシテソレヲヤ
ラナケレバ、此ノ官吏ノ腐敗ト云フモノハ
止ムコトハゴザイマセヌ、是ハ申上ゲテ置
キマス、ソレカラ尙一ツ私ガ之ニ附加ヘテ
申上ゲタイノハ治安維持法トノ關係デゴザ
イマス、是ハ問題ガ別ニナリマスガ、治安
維持法ト云フモノノ中へ······此ノ治安維持
法ノ改正ヲスルコトハ詰リ政府トシテハ反
對デアル、私有財產制度ノ廢止ノ宣傳、竝
ニ議會政治ノ否認ト云フヤウナコトヲ、治
安維持法ニ規定スルコトハ御反對デアルト
云フコトハ屢〓、何ッテ居ル、ソレデアリマスカ
ラ此處デ又質問應答ナドヲ繰返ス必要ハナ
イノデゴザイマスガ、今一應之ニ付テ政府
ノ反省ヲ得タイ、世間デ赤トカ黑トカ右翼
トカ左翼トカ申シマス、併シナガラ治安維
持法ノ上ニハ赤トモ黑トモ書イテナイ、唯
一國體擁護アルノミ、是ガ治安維持法ノ趣
旨ダラウト思ヒマス、黑デアルト赤デアル
トヲ問ハズ、左翼デアルト右翼デアルトヲ
問ハズ、苟モ國體ニ影響ヲ及スヤウナ思想
ハ斷ジテ之ヲ觝排シナケレバナラヌ、ソレ
デソレニハ色々ゴザイマセウ、色々ゴザイ
マセウガ、憲法上カラ之ヲ見マスルト云フ
ト三點アル、第一ハ榮譽權デアル、第二ハ
私有財產權デアル、第三ハ國民ノ參政權
デアル、第一點ハ社會上ノ問題デアリ、第
二點ハ經濟上ノ問題デアリ、第三點ハ政治
上ノ問題デアル、此ノ三點ガ國體ヲ擁護シ
テ居ル所ノ外壁ニナッテ居ル、榮譽權ノコト
ハ暫ク措キマスガ、國體變革ナドト云フ不
都合ナコトヲ唱ヘル者ハ何人ト雖モ皆私有
財產廢止ト云フコトヲ言ッテ居ル、又飜ッテ
私有財產廢止ヲ唱ヘル者ハ必ズ國體ノ變革
ヲ一面ニ思ッテ居ル、是ハ日本デハサウ云フ
ノデナイノモゴザイマスケレドモ、外國ニ
於ケル赤ノ思想ヲ〓究シテ見ルト皆斯ウナッ
テ居ル、是ハ申上ゲル迄モナイコトデアリ
いく、初メテ治安維持法ヲ制定サレマス際
ニ私ハ特別委員ニ選任サレマシタ、其ノ時
ノ治安維持法ハ、私有財產廢止ト共ニ國體
ノ變革ニ同ジ刑ガ盛ッテアッタ、之ニ付テ、
變ヂヤナイカ、事ノ大小輕重ヲ辨ヘナイ議
論デヤナイカト云フ·······定ヂヤナイカト
云フ議論ガアッタノデゴザイマシタ、當時ノ
司法當局ノ說明ニ依レバ、サウ云フコトハ
ナイノダ、是ハ密接離ルベカラザルモノデ
アル、成ル程私有財產廢止ト言ヘバ非常ニ
綺麗ニ聞エルケレドモ、是ダケノ大キナ變
革ヲヤルト云フコトニナレバ、勢ヒ外ヘ影
響ヲ及スコトハ必至ノ勢ヒデアル、是ハド
ウシテモ同ジ刑ヲ以テ科サナケレバナラヌ、
ト云フコトデ通過致シマシタ、斯ウ云フ沿
革モアリマス、若シ此ノ私有財產ヲ撤廢サ
レレバモウ少シヒドイ所迄影響ヲ及スヤウ
ニ行ク、詰リ外郭ト云フモノガ崩サレルト
云フコトハ申ス迄モナイ、參政權モ同ジデ
ゴザイマセウ、專制政治ガドレダケ日本ノ
國體ニ惡イ影響ヲ及シタカ、日本ノ固來ノ
三千年ノ歷史ヲ顧ミテ見レバ分ル、蘇我氏
ノ橫暴ハ大化ノ革新ニナッタ、藤原氏ノ專制
ハ後三條天皇ノ草新ニナッタ、北條氏ノ擅權
ハ、楠新田諸公ノ活躍トナッタ、遂ニ江戶時代
ニ至リマシテ水戶思想ガ勃興シテ、明治維新
ニ至ッテ實ヲ結ンダ、ドレダケ專制主義ト云
フモノガ日本ノ國體ニ害ヲナシタト云フコ
トハ小學校ノ生徒デモ知ッテ居ル、日本ノ歴
史ト云フモノハ詰リソレヲ言ッテ居ルモノ
ナンダ、ソコデ出來上ッタモノガ此ノ立憲政
治國民ヲシテ政治ニ參與セシメ、議會ヲ
以テ政治ノ中心トシテ、サウシテソレト政
府ト密接ナ關係ヲ以テ輔弼ノ任ヲ果ス、是
ガ立憲政治ノ眞髓デアル、處ガ往々ニシテ
之ラ否認スル者ガアル、之ヲ否認シテ又專
制ノ昔ニ復セバ、折角三千年來ノ忠臣豪傑
ガ畫策シテ來タ所ガマルデ水泡ニ歸スル、
又元ノ昔ノ幕府時代ニモウ一遍戾シテ來
ル、コンナ事ヲ我々ドウシテ出來マスカ、
日本ノ國體ノ精華ノ發露ハ今日ノ戰爭ニ
依ッテ我々ニハ分ッテ居ル、苟モ之ニ影響ヲ
及スヤウナコトガアッタラ容易ナラザルコ
トデアル、ソンナコトハ御承知ダラウガ、
不幸ニシテ司法大臣ノ認識ノ足ラナイ所
ハ、此ノ私有財產ノ廢止ナリ或ハ參政權ノ
廢止ナリト云フコトヲ國體ト切リ離シテ考
ヘルヤウナ思想ヲ持ッテ居ラレル、是ハ私ハ
日本ノ國情ニ取リマシテ甚ダ危險ナ思想ダ
ト認メル、此ノ點ニ於キマシテ政府ノ痛切
ナル反省ヲ促シマシテ、私ノ此ノ意見ヲ贊
成意見ニ代ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ニ御發言モナ
ケレバ、是ヨリ採決ヲ致シマス、先ヅ戰時
ニ於ケル領事官ノ裁判ノ特例ニ關スル法律
案裁判所構成法戰時特例案ノ兩案ヲ議題
ト致シマスルコトニ御承知ヲ顧ヒマス、兩
案ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=12
-
013・西大路吉光
○子爵西大路言光君 直チニ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=13
-
014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) マダオ早ウゴザ
イマス、次ニ戰時民事特別法案、戰時刑事
特別法案ニ付採決ヲ致シマス、兩案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ願ヒ
マス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=14
-
015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 過半數ト認メマ
ス、是ニテ四案共第二讀會ヲ開クコトニ決
シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=15
-
016・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=16
-
017・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=17
-
018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=18
-
019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 四案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、四案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=20
-
021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=21
-
022・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=22
-
023・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=23
-
024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 四案ノ第三讀會
ヲ開キマス、四案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=26
-
027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=27
-
028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、昭和
十五年法律第六十九號中改正法律案、日程
第六、朝鮮事業公債法中改正法律案、日程第
七、臺灣事業公債法中改正法律案、日程第
八高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
一般會計及學校及圖書館特別會計ノ關渉ニ
關スル法律案、日程第九、作業會計法中改
正法律案、日程第十、勞働者年金保險特別
會計法案、日程第十一、昭和十七年度一般
會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債發行ニ關ス
ル法律案、日程第十二、昭和十五年法律第七
號中改正法律案、日程第十三、昭和十三年法
律第五十三號中改正法律案、日程第十四、昭
和十五年法律第七十九號改正法律案、日
程第十五、海軍工廠資金會計法中改正法律
案日程第十六、帝國鐵道會計法中改正法
律案、日程第十七、昭和十三年法律第二十
三號中改正法律案、日程第十八、昭和十二
年法律第八十四號中改正法律案、日程第十
九、臨時軍事費特別會計法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報〓、是等ノ十五案ヲ一括シテ議題ト
爲スコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=28
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029・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長秋元子爵
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣事業公債法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
一般會計及學校及圖書館特別會計ノ關
涉ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
作業會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
勞働者年金保險特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十五年法律第七號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十五年法律第七十九號改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
海軍工廠資金會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
帝國鐵道會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時軍事費特別會計法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月四日
委員長子爵秋元春朝
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵秋元春朝君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=29
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030・秋元春朝
○子爵秋元春朝君 只今議題トナリマシタ
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案外
十四件ノ委員會ニ於ケル經過及結果ヲ御報
告申上ゲマス、先ヅ第一ニ、昭和十五年法
律第六十九號中改正法律案デゴザリマス
ガ、是ハ支那事變ニ關シマスル一時賜金ト
シテ交付致シマスル爲、公債發行ニ關スル
法律ノ改正案デゴザリマス、現行法上支那
事變ニ關シ功勞アリタル陸海軍軍人其ノ他
ニ對スル行賞ノ爲、昭和十五年度分及十六
年度分ト致シマシテ、總額六億三千二百七
十萬圓ヲ限リ一時賜金トシテ交付スル公債
ノ發行權限ガアルノデゴザリマスガ、今囘
更ニ文官其ノ他ニ對スル分、竝ニ大東亞戰
爭ニ際シ死歿シタル軍人軍屬ニ對スル分ヲ
モ含メマシテ、公債發行限度ヲ五億四百萬
圓增加致シマシテ、十一億三千六百七十萬
圓トシ、昭和十五年乃至同十七年度分トシ
テ發行セムトスルモノデゴザリマス、大一
朝鮮事業公債法中改正法律案デゴザリマス
ガ、是ハ朝鮮總督府特別會計ニ於ケル事業
費支辨ノ爲、公債發行限度ヲ二億三千百二
十萬圓增加セムトスルモノデゴザリマス、
次ニ臺灣事業公債法中改正法律案デゴザリ
マスルガ、是ハ臺灣總督府特別會計ニ於キ
マスル事業費支辨ノ爲、公債發行限度ヲ六
千五百五十萬圓增加セムトスルモノデゴザ
イマス、次ニ高等商船學校及商船學校ノ移
管ニ伴フ一般會計及學校及圖書館特別會計
ノ關涉ニ關スル法律案デゴザイマスルガ、
是ハ海事行政機構ノ擴充强化ニ伴ヒマシテ、
官立高等商船學校及商船學校ヲ文部省所管
ヨリ派信省所管ニ移スコトトナリマシタ結
果、是等ノ學校ハ本年一月一日ヲ以テ學校
及圖書館特別會計ヨリ一般會計ニ移シ替フ
ルコトトナリ、其ノ關係上昭和十六年十二
月三十一日現在ノ學校及圖書館資金ニシテ、
高等商興學校及商船學校ノ各學校每ニ區分
整理シ居ルモノ、竝ニ高等商船學校ノ用ニ
供シ居ルモノ等ノ處理ニ關シ、一般會計ト
學校及圖書館特別會計トノ間ニ於テ生
ジマスル種々ノ關渉事項ニ付規定セムトス
ルモノデアリマス、次ニ作業會計法中
改正法律案デアリマスガ、是ハ大藏商工兩
省間ニ於ケル所管事務ノ調整ノ爲、從來大
藏大臣ノ管理ニ屬シマシタル「アルコー
ル」專賣事業ヲ商工大臣ノ管理ト致シマシ
タノニ伴ヒマシテ、之ニ關スル會計經理ヲ
從來ノ專賣局特別會計ヨリ分離シ、新タニ
燃料局酒精部特別會計ヲ設置セムトスルモ
ノデゴザイマス、次ニ勞働者年金保險特別
會計法案デアリマスガ、是ハ昨年三月
公布サレマシタ勞働者年金保險法ニ基キ、
政府ノ管堂致シマス勞働者年金保險事業ニ
關スル歲入歳出ヲ、政府ノ管掌スル他ノ保
險事業同樣一般會計ト區分經理スル必要カ
ラ特別會計ヲ設置セムトスルモノト、勞働
者年金保險法ノ施行ニ伴ヒマシテ、郵便年
金特別會計ト本會計トノ間ニ於テ生ジマス
關渉事項ニ付規定セムトスルモノデゴザイ
マス、次ニ昭和十七年度一般會計歲出ノ財
源ニ充ツル爲公債發行ニ關スル法律案デア
リマスガ、是ハ昭和十七年度歲入歲出總豫
算追加第一號及第二號ヲ合セマシタル歲出
總額二十六億二百十餘萬圓ニ對シ、普通歲
入十億三千六百十餘萬圓竝ニ借入金五千四
百萬圓ヲ充當シテ、尙不足スル十五億千百
九十餘萬圓ノ內、現行ノ公債法ニ依リ調達
シ得ル道路公債分四百十餘萬圓ヲ差引キ、
残額十五億七百九十萬圓ヲ限リ起債ノ權能
ヲ得ムトスルモノデアリマス、次ニ昭和十
五年法律第七號中改正法律案デアリマスガ、
是ハ造幣局ノ廳舍、工場其ノ他ノ建物及ビ
其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要スル經費ニ充
用スル爲、造幣局資金ノ中ヨリ更ニ千八百
九十萬八千百七十五圓ヲ一般會計ヘ繰入ヲ
ナシ、併セテ既定年限ヲ二箇年延長セムト
スルモノデアリマス、次ニ昭和十三年法律
第五十三號中改正法律案デアリマスガ、是
ハ印刷局ニ於ケル据置運轉資本ニ不足ヲ生
ジマシタル場合ニ、一時補足シ得ベキ借入
金ノ現行法定額ハ七百萬圓デアリマスノヲ、
事業量ノ急激ナル增大ニ對處シ、之ヲ千五
百萬圓ニ增額セムトスルモノデアリマス、
次ニ昭和十五年法律第七十九號改正法律案
デアリマスガ、是ハ陸軍作業會計法、陸軍航
空工廠資金特別會計法及海軍工廠資金會計
法ノ臨時特例ニ關スル件ノ改正法律案デア
リマシテ、前記各特別會計ニ於ケル材料物
品供給ノ範圍ヲ擴大シ、且陸軍航空工廠資
金ニ不足アルトキハ三千五百萬圓ヲ限リ借
入金ニ依リ之ニ臨時補足シ得ルコトトセム
トスルモノデアリマス、次ニ海軍工廠資金
會計法中改正法律案デアリマスガ、是ハ海
軍工廠資金會計ニ於ケル歲入歲出ノ增加ニ
伴ヒ、資金ノ法定額ヲ五千萬圓增額シ、又
當分ノ内本資金ヲ以テ海軍工廠資金會計法
第一條ニ規定スル材料物品以外ノ材料物品
貯蓄ノ資本ニ充テ得ルコトトシ、併セテ本
資金不足ノ場合ノ現行ノ臨時補足ノ法定限
度三千萬圓ヲ四千萬圓ニ改メムトスルモノ
デアリマス、次ニ帝國鐵道特別會計法中改
正法律案デゴザイマスガ、是ハ將來ニ於ケ
ル鐵道改良費ノ平準化ヲ圖ル爲、帝國鐵道
特別會計ニ新タニ鐵道改良準備金制度ヲ設
ケ、又陸運統制ニ要スル經費ヲ本會計ノ負
擔トシ、併セテ木會計ノ經理ニ於テ一般ノ
委託ニ應ジ陸運ニ關スル機械器具等ノ製作、
修理、調達ノ途ヲ拓カムトシ、尙本案ニ依リ
日本通運株式會社法ヲ改正シ、政府ハ二千
萬圓ヲ限リ同會社ノ社債ノ元利支拂ヲ保證
シ得ルコトトセムトスルモノデアリマス、次
ニ昭和十三年法律第二十三號中改正法律案
デゴザイマスガ、是ハ關東局、朝鮮總督府、
臺灣總督府及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル
租稅收入ノ一部ニ相當スル金額等ヲ、臨時
軍事費特別會計ニ繰入ルヽコトニ關スル件
ノ改正法律案デアリマシテ、各外地ニ於テ
今囘行ハムトスル租稅ノ新設及增徵竝ニ鐵
道運賃、自動車運賃又ハ通信料金ノ改正ニ
依ル增收額ノ一部ヲ、新タニ臨時軍事費特
別會計ヘ繰入ルヽコトトセムトスルモノデ
アリマス、次ニ昭和十二年法律第八十四號
中改正法律案デアリマスガ、是ハ支那事變
ニ關スル臨時軍事費支辨ノ爲公債發行ニ關
スル法律ノ改正案デゴザイマシテ、先般
成立致シマシタ臨時軍事費特別會計豫算追
加百八十億圓ノ財源中、三十億四千九十餘
萬圓ニ付キマシテハ一般會計及特別會計ヨ
リノ繰入金ヲ以テ、又九億五千八百五十餘
萬圓ニ付キマシテハ軍事費獻納金、北支事
件特別稅收入其ノ他雜收入ヲ以テ充當致シ
マスガ、差引キ不足スル百四十億四十餘萬
圓ニ付キマシテハ公債財源ニ依ルコトトス
ル爲、現行ノ公債發行限度ヲ百四十億五十
萬圓增加セムトスルモノデゴザイマス、最
後ニ臨時軍事費特別會計法中改正法律案デ
ゴザイマスルガ、是ハ第一ニ、軍需充足ノ
必要カラ、或ハ戰地ニ於ケル特別ノ必要カ
ラ致シマシテ、臨時軍事費特別會計ニ屬ス
ル物資ヲ賣拂ヒ得ルコトトシ、第二ニハ、
軍ガ現地ニ在ル軍需品以外ノ物資ノ取得若
シクハ賣拂ヲ爲ス場合ノ會計經理ヲ、當分
ノ問本會計ノ歲入歲出トシテ經理スル途ヲ
開キ、第三ニハ、第一ノ改正ノ結果、本會
計ガ臨時陸軍材料資金特別會計ノト同樣ノ
作用ヲ行フコトトナル爲、臨時陸軍材料資
金特別會計ノ年度ヲ終結スルコトトセムト
スルモノデゴザイマス、以上ハ付託サレマ
シタ十五件ノ法案ノ內容ノ〓略ヲ申上ゲタ
ノデアリマス、以上十五件ハ一月三十日本
委員會ニ付託セラレタノデゴザイマスガ、
其ノ後一月三十一日、二月二日、四日ト三
囘會議ヲ開キマシテ愼重ニ審議ニ當ッタノ
デゴザイマス、其ノ詳細ハ速記録ニ依ッテ
御覽ヲ願フコトト致シマスルガ、唯茲ニ簡
單ニ質疑應答ノ主ナルモノヲ申上ゲマス、委
員會ニ於キマシテハ、各件ニ付キマシテ順
次ニ熱心ナル質疑應答ガ行ハレマシタノデ
スガ、其ノ主ナルモノノ二三ヲ申上ゲマス
ト、支那事變ニ關スル一時賜金トシテ交付
スル公債ニ關シマシテ、今囘ノ行賞ハ何時
現在ヲ以テ爲スモノナリヤ、又現在迄ノ發
令濟人員ノ數如何ト云フ質問ガゴザイマシ
テ、今囘ノ行賞ハ死歿者等特殊ノ事情アル
者ヲ除クノ外、昭和十五年四月二十八日ヲ
以テ打切リ、翌二十九日附ヲ以テ發令セラ
レタル筈デアリ、又發令濟人員ノ數ハ、昭和
十六年十二月末現在ニ於テ約百七十五萬三
千人デアルトノ答辯デゴザイマシタ、又朝
鮮總督府及臺灣總督府各特別會計ニ於ケル
公債財源ニ依ル事業ノ內容如何トノ質問ニ
對シマシテハ、朝鮮ニ於テハ鐵道建設改良、
道路修築改良、港灣修築改良、電信電話擴
張改良、治水砂防土地改良事業、鹽田築造
其ノ他デアリ、臺灣ニ於テハ鐵道建設改良、
築港、大甲溪開發事業等デアルトノ御答辯
デアリマシタ、尙朝鮮ノ鐵道建設事業及臺
灣ノ大甲溪開發事業ニ付キマシテハ、特キー
詳細ナル御說明ガゴザイマツタ、又代用燃
料政策ノ將來ノ見透シニ關スル質問ガゴザ
イマシタガ、此ノ要旨ハ、石油ノ消費規制
ト共ニ代用燃料政策ハ依然强化セネバナラ
又、代用燃料資源トシテハ木炭、薪モサウ
デアリマセウガ、特ニ甘蔗、馬鈴薯ニ付テ
ハ〓糧問題、農村問題トノ關係ヲ十分考慮
シ、可能ナル範圍ニ於テ之ヲ代用燃料ニ差
向ケタイト思フト云フヤウナ答辯デゴザイ
マシタ、又帝國鐵道特別會計ニ今度新タニ
設ケムトスル鐵道改良準備金、其ノ算出ノ
基準ハドウナッテ居ルカト云フ質問ニ對シ
マシテハ、是ハ將來ニ於ケル鐵道改良費ノ
平準化ヲ圖ル爲ノモノデアッテ、其ノ時々ノ
財政狀態、收入狀況ニ應ジ、鐵道、大藏兩省
間ニ於テ協議スルコトニナッテ居リマスガ、
尙大體固定資產ノ一「パーセント」位トシタ
イ、卽チ昭和十七年度分ハ固定資產約四十
七億圓ニ對シ、改良準備金四千五百萬圓ヲ
計上シタト云フ御答辯デゴザイマス、又臨
時軍事費特別會計法ノ改正ニ依リ、本會計
ニ於テ物資ノ取得、賣拂ヲ爲スハ、本會計
ノ經理ヲ困難ナラシムル虞ナキヤトノ質問
ニ對シマシテハ、物資ノ取得、賣拂ハ別個
ノ特別會計ヲ設ケテ經理セシムル方ガ、或
ハ適當デアルカモ知レヌガ、戰地ノ實情ニ
鑑ミ當分ノ措置トシテ臨時軍事費特別會計
ニ於テ經理スル方ガ實際的デアルトノ御答
辯デゴザイマシタ、以上ノ外、各法案ニ付
キマシテ各種ノ問題ニ亙リ、各委員カラ熱
心ナ御質問ガアリ、又時ニハ祕密會ト致シ、
又度々速記ヲ中止致シマシテ、政府ト委員
トノ間ニ隔意ノナキ意見ノ交換ガゴザイマ
シタ、斯ク致シマシテ一般ノ質疑ヲ終リ、
討論ニ入リマシテ、討論ニ際シマシテモ或
法案ニ付テハ二三ノ希望ヲ付セラレテ贊成
意見ヲ開陳セラレタノモゴザイマス、採決
ノ結果、委員會ハ全會一致ヲ以テ十五案共
原案通リ可決致シタ次第デゴザイマス、以
上簡單ナガラ御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、十五案ノ採決ヲ致シマス、十五案
ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=31
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032・松平頼壽
○讀長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=32
-
033・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=33
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034・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=35
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036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 十五案ノ第二讀
會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、十五案全部、委員長ノ報告
通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=37
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038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=38
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039・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=39
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040・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=40
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041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=42
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043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 十五案ノ第三讀
會ヲ開キマス、十五案全部、第二讀會ノ決
議通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=43
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044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二十、兵
器等製造事業特別助成法案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、委員
長侯爵西〓從德君
兵器等製造事業特別助成法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月四日
委員長侯爵西〓從德
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔侯爵西〓從德君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=45
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046・西郷從徳
○侯爵西〓從德君 兵器等製造事業特別助
成法案特別委員會ノ經過竝ニ結果ニ付キマ
シテ御報告ヲ申上ゲマス、特別委員會ハ去
ル二日委員長竝ニ副委員長ノ互選ヲ終リマ
シテ、政府委員ノ說明ヲ承リマシタ、政府
委員ノ法案ノ目的ニ付キマシテノ御說明ハ、
大體本會議議場ニ於テ提案理由ヲ說明ニナ
リマシタノト同樣ノ說明デアリマシテ、引續
イテ殆ド逐條ニ亙ッテ詳細ナル說明ガゴザイ
マシタ、二月三日竝ニ四日委員會ヲ開キマシ
テ、委員ト政府委員トノ間ニ質問應答ヲ重
ネマシタガ、御分リ易イヤウニ應答ノ順序
ヲ變更致シマシテ其ノ大要ヲ次ニ申上ゲタ
イト存ジマス、一委員ヨリ根本問題ニ付テ
質問ガアリマシタ、之ヲ要約致シマスト、兵
器ノ獨立、卽チ兵器ハ國產デ自給自足セネ
バナラヌモノデ、從ッテ業者ニ於テハ此ノ理
解ガ最モ必要デアルガ、我ガ國ニ於テハ、
從來專ラ自由主義若シクハ社會主義的デアッ
テ、關稅政策ノ如キモ國防關稅ハ行ハレズ
ニ居ッタト云フコトガ一ツ、次ニ製鋼製鐵
政策上南方ニ國營製鐵鋼所ノ必要ナルコト
及ビ產業設備營團トノ關係等デアリマス、
政府委員モ大體同感デアリマシテ、〓究シ
テ居ルトノコトデアリマシタガ、其ノ要旨
ハ次ノ通リト存ジマス、兵器用ノ原材料ハ
輸入ヲ防遏スル爲ニ國防關稅ノ如キモノヲ
必要トスルコトハ適當ト考ヘル、此ノ點ニ
付テハ、旣ニ我ガ國ニ於テモ自動車事業ニ
實施サレテ居ル、今後、實情ニ適應シタ措置
ヲ執ル心算デアル、次ニ我ガ國ノ製鐵ハ今
日殆ド自給自足ノ狀態デアル、併シナガラ
其ノ質ヲ良クシ、量ヲ增シ、且戰爭ガ收マッ
タ場合ニ於テモ其ノ維持ヲ全ウスル爲本法
ヲ設ケタ次第デアル、南方ニ國營ノ製鐵所
ヲ設ケルコトニ付テハ、關係各方面ト能ク
協議シテ〓究ヲシタイ、又原材料ニ付テハ
產業設備營團ヲ大イニ活用スルガ、其ノ他
ハ營團ニ依ラズトモ宜イト思フト云フ御答
辯デアリマシタ、次ニ一委員ヨリ、兵器ノ
質ト量ヨリ見テ、本法案ハ量ニ重キヲ置キ
過ギル案デハナイカト云フ意味ノ詳細熱心
ナル質問ガアリマシタ、政府委員モ亦速記
ヲ中止シテ詳細ナル說明ガアリマシテ、質
ニ關シテモ本法案ハ間接ニ改良進步ニ效ア
ルコトト信ズルトノコトデアリマシタ、尙
質ニ關スル〓究機關等ノ狀況ニ付テ應答ガ
重ネラレマシタガ、ソレハ略シマス、一一夫
員ヨリ兵器ニ關シ官營民營ニ關スル質問ガ
アリマシテ、結局、民營ハ自然ノ成行キニ
委セテ、今日以上ハ官ニ於テ專ラ充實シテ
ハ如何ト云フ御意見ノ質問ガ出マシタガ、
政府委員ノ答辯ハ、官營ニモ自ラ限度ガア
リ、本法案ニ依ッテ民間ハ十分安心シテ之
ニ應ジ得ルナラムトノコトデアリマシタ、
以下本法案ノ內部ニ關スル質問應答ノ要旨
ヲ申上ゲマスガ、一委員ヨリ、本案ノ內容
ト申シテ宜シウゴザイマスカ運營上ニ付テ
ト申シマスカ、殆ド逐條、卽チ十數件ニ互ツ
テ、從來ノ民營國有ト反對ニ、國有民營タ
ル本法案ノ內容ニ付テ、所謂民營、卽チ民
間側ノ立場ニ於テ當然生ズベキ點ニ蘊蓄ノ
アル質問ガアリマシタ、政府ニ於テモ十分
ノ用意アル旨答辯ガアリマシタガ、終リニ
當局ノ更代トカ時勢ノ變化トカノ爲ニ意外
ノ結果ニ終ラザルヤウニ注意アリタキ旨ノ
御意見ガ出マシテ、此ノ應答モ一々御說明
ヲ申上ゲマスト餘リ長クナリマスカラ、速
記ニ付テ御承知ヲ願ヒタイト希望致シマス、
一委員ヨリ、本法案ノ表題ニアリマス所ノ
兵器等ト云フ「等」ト云フコトニ付テ應答ガ
アリマシタガ、是モ亦速記錄ヲ御覽ヲ願ヒ
マス、以上ノ如ク三日間ニ亙リ質問應答ノ
後討論ニ入リマシタガ、格別ノ御意見モ
ナク採決ニ入リマシテ、特別委員會ハ全會
一致政府原案ヲ可決致シマシタ、右御報〓
ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=46
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047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=47
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048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=48
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049・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=49
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050・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=50
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051・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=51
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052・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=52
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053・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御異議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=53
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054・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=54
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055・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=55
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056・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=56
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057・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=57
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058・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=58
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059・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=59
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060・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次會ノ議事日程ハ、決定次第彙報
ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午前十一時四十七分散會
貴族院議事速記錄第八號正誤
頁段行誤正
一〇七三一五二百十五億二百七十五億
一三二二四「第一項ニ掲グル法律ノ
廢」ハ別項トナルベキノ誤発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X00919420205&spkNum=60
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