1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年二月六日(金曜日)午前十時五分開議
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議事日程 第十號
昭和十七年二月六日
午前十時開議
第一 日本銀行法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 戰時金融金庫法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 臨時資金調整法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 所得税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 法人税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 所得税法人税内外地關渉法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 相續税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 織物消費税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 物品税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 電氣瓦斯税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 廣告税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十二 馬券税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十三 印紙税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十四 臨時利得税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十五 特別法人税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十六 營業税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十七 臨時租税措置法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十八 國庫出納金端數計算法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十九 戰時災害國税減免法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十 所得税等の日滿二重課税防止に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十一 地方分與税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十二 郵便法中改正法律案(政府提出、衆議院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 郵便貯金法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十四 鐵道敷設法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマス
〔高山書記官朗讀〕
昨五日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出
案ハ卽日裁決ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院
ニ通知セリ
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案
朝鮮事業公債法中改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
般會計及學校及圖書館特別會計ノ關涉ニ
關スル法律案
作業會計法中改正法律案
勞働者年金保險特別會計法案
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
昭和十五年法律第七號中改正法律案
昭和十三年法律第五十三號中改正法律案
昭和十五年法律第七十九號改正法律案
海軍工廠資金會計法中改正法律案
帝國鐵道會計法中改正法律案
昭和十三年法律第二十三號中改正法律案
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案
臨時軍事費特。別會計法中改正法律案
兵器等製造事業特別助成法案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
戰時ニ於ケル領事官ノ裁判ノ特例ニ關ス
ル法律案
戰時民事特別法案
戰時刑事特別法案
裁判所構成法戰時特例案
同日委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ
氏名左ノ如シ
米穀需給調節特別會計法中改正法律案特
別委員會
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵大藏公望君
國民體力法中改正法律案特別委員會
委員長公爵島津忠承君
副委員長子爵京極高修君
同日委員長ヨリ豫算委員子爵松平保男君ヲ
第六分科擔當委員ニ選定シタル旨ノ報〓書
ヲ提出セリ
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
郵便法中改正法律案可決報告書
郵便貯金法中改正法律案可決報告書
鐵道敷設法中改正法律案可決報告書
地方鐵道補助法中改正法律案可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
日本銀行法案
戰時金融金庫法案
臨時資金調整法中改正法律案
所得稅法中改正法律案
法人稅法中改正法律案
所得稅法人稅內外地關涉法中改正法律案
相續稅法中改正法律案
織物消費稅法中改正法律案
物品稅法中改正法律案
電氣瓦斯稅法案
廣告稅法案
馬劵稅法案
印紙稅法中改正法律案
臨時利得稅法中改正法律案
特別法人稅法中改正法律案
營業稅法中改正法律案
臨時租稅措置法中改正法律案
國庫出納金端數計算法中改正法律案
戰時災害國稅減免法案
所得稅等ノ日滿二重課税防止ニ關スル法
律案
地方分與稅法中改正法律案
同日衆議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
小形船舶乘組員手帳法案
民法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、芳澤謙吉君、公務ニ付十五
日間、請暇ノ申出ガゴザイマシタ、許可ヲ
致シテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第一、日本
銀行法案、日程第二、戰時金融金庫法案、
日程第三、臨時資金調整法中改正法律案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、是等ノ三案
ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、賀屋大藏大臣
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
日本銀行法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
日本銀行法案
日本銀行法
第一章總則
第一條日本銀行ハ國家經濟總力ノ適切
ナル發揮ヲ圖ル爲國家ノ政策ニ卽シ通
貨ノ調節、金融ノ調整及信用制度ノ保
持育成ニ任ズルヲ以テ目的トス
日本銀行ハ法人トス
第二條日本銀行ハ專ラ國家目的ノ達成
ヲ使命トシテ運營セラルベシ
第三條日本銀行ハ法令ノ定ムル所ニ依
リ通貨及金融ニ關スル國ノ事務ヲ取扱
フモノトス
前項ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ハ法令
ノ定ムル所ニ依リ日本銀行ノ負擔トス
第四條日本銀行ハ本店ヲ東京市ニ置ク
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要
ノ地ニ支店若ハ出張所ヲ設置シ又ハ主
務大臣ノ指定スル者ヲシテ業務ノ一部
ヲ代理セシムルコトヲ得
第五條日本銀行ノ資本金ハ一億圓トシ
之ヲ百萬口ニ分チ一口ノ出資金額ヲ百
圓トス
政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ五千五百
萬圓ヲ日本銀行ニ出資スベシ
第六條外國人、外國法人又ハ勅令ヲ以
テ定ムル帝國法人ハ日本銀行ノ出資者
タルコトヲ得ズ
第七條日本銀行ハ出資ニ對シ出資證劵
ヲ發行ス
前項ノ出資證劵ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條出資者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第九條日本銀行ハ定款ヲ以テ左ノ事項
ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三本店、支店及出張所ノ所在地
四資本金額、出資及資產ニ關スル事項
役員ニ關スル事項
業務及其ノ執行ニ關スル事項
八七六五銀行劵ノ發行ニ關スル事項
事業年度
九經理ニ關スル事項
十公〓ノ方法
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十條日本銀行ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十一條日本銀行ニハ營業稅ヲ課セズ
第十二條日本銀行ニ付解散ヲ必要トス
ル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ處置
ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
日本銀行ノ解散シタル場合ニ於テ拂込
資本金額ヲ超ユル殘餘財產ハ國庫ニ歸
屬ス
第十三條民法第四十四條、第五十條、
第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第一項ノ規定ハ日本
銀行ニ之ヲ準用ス
第二章職員
第十四條日本銀行ニ役員トシテ總裁副
總裁各一人、理車三人以上、監事二人
以上及參與若干人ヲ置ク
第十五條總裁ハ日本銀行ヲ代表シ其ノ
業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ轉佐シ定款ノ定
ムル所ニ依リ日本銀行ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ日本銀行ノ業務ヲ監査ス
參與ハ日本銀行ノ業務ニ關スル重要事
項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ總裁ニ對
シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第十六條總裁及副總裁ハ勅裁ヲ經テ政
府之ヲ命ズ
理事ハ總裁ノ堆薦シタル者ノ中ヨリ主
務大臣之ヲ命ズ
監事ハ主務大臣之ヲ命ズ
參與ハ金融業若ハ產業ニ從事スル者又
ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ主務大臣之
ヲ命ズ
總裁及副總裁ノ任期ハ五年、理事ノ任
期ハ四年、監事ノ任期ハ三年、參與ノ
任期ハ二年トス
第十七條總裁ハ日本銀行ノ本店、支店
又ハ出張所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上
又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル
代理人ヲ選任スルコトヲ得
第十八條總裁、副總裁、理事及監事ハ
他ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主
務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限
ニ在ラズ
第十九條日本銀行ノ職員ハ之ヲ法令ニ
依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
前項ノ職員ノ範圍ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章業務
第二十條日本銀行ハ左ノ業務ヲ行フモ
ノトス
商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ
手形ノ割引
二手形、國債其ノ他ノ有價證劵、地
金銀又ハ商品ヲ擔保トスル貸付
三預リ金
四內國爲替
五商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ
手形、國債又ハ主務大臣ノ認可ヲ受
ケタル債劵ノ賣買
六地金銀ノ賣買
七手形ノ取立、保護預リ其ノ他前各
號ノ業務ニ附隨スル業務
第二十一條日本銀行ハ前條第一號ノ割
引ニ付基準ト爲ルベキ割引步合及同條
第二號ノ貸付ニ付基準ト爲ルベキ貸付
利子步合ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベシ
日本銀行前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ
其ノ旨ヲ公告スベシ
第二十二條日本銀行ハ政府ニ對シ擔保
ヲ徴セズシテ貸付ヲ爲スコトヲ得
日本銀行ハ國債ノ應募又ハ引受ヲ爲ス
コトヲ得
第二十三條日本銀行ハ必要アリト認ム
ルトキハ外國爲替ノ賣買ヲ爲スコトヲ
得
第二十四條日本銀行ハ國際金融取引上
必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認
可ヲ受ケ外國金融機關ニ對シ出資ヲ爲
シ若ハ資金ヲ融通シ又ハ外國金融機關
ト爲替決濟ニ關スル取引ヲ爲スコトヲ
得
第二十五條日本銀行ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ爲必要ナ
ル業務ヲ行フコトヲ得
第二十六條日本銀行ハ法令ノ定ムル所
ニ依リ國庫金ノ取扱ヲ爲スベシ
第二十七條日本銀行ハ本法ニ規定セザ
ル業務ヲ行フコトヲ得ズ但シ日本銀行
ノ目的達成上必要アル場合ニ於テ主務
大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ
在ラズ
第二十八條主務大臣ハ日本銀行ノ目的
達成上必要アリト認ムルトキハ銀行其
ノ他ノ金融機關ニ對シ日本銀行ノ業務
ニ協力セシムル爲必要ナル命令ヲ爲ス
コトヲ得
第四章銀行劵
第二十九條日本銀行ハ銀行劵ヲ發行ス
前項ノ銀行劵ハ公私一切ノ取引ニ無制
限ニ通用ス
第三十條主務大臣ハ前條第一項ノ銀行
劵ノ發行限度ヲ定ムベシ
主務大臣前項ノ發行限度ヲ定メタルト
キハ之ヲ公示ス
第三十一條日本銀行ハ必要アリト認ム
ルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前條第
一項ノ發行限度ヲ超エテ銀行劵ヲ發行
スルコトヲ得
第三十二條日本銀行ハ銀行劵發行高ニ
對シ同額ノ保證ヲ保有スルコトヲ要ス
前項ノ保證ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル
モノナルコトヲ要ス
ー商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ
手形
二第二十條第二號又ハ第一一十二條第
一項ノ規定ニ依ル貸付金
三國債
四第二十條第五號ノ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタル債劵
五外國爲替
六地金銀(金銀貨ヲ含ム)
前項第一號、第二號及第五號ノ手形、貸
付金及外國爲替ハ三月以內ニ滿期ノ到
來スルモノナルコトヲ要ス但シ主務大
臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第二十四條ノ規定ニ依リ外國金融機關
ニ對シ出資ヲ爲シタル場合其ノ他特別
ノ必要アル場合ニ於テ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタルトキハ第二項各號ニ該當セ
ザル有價證券又ハ債權ヲ以テ第一項ノ
保證ニ充ツルコトヲ得
日本銀行ハ第二項各號及前項ノ保證ノ
價格ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十三條銀行劵ノ種類及樣式ハ主務
大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ種類及樣式ヲ定メタル
トキハ之ヲ公示ス
第三十四條日本銀行ハ主務大臣ノ定ム
ル所ニ依リ銀行劵發行高ヲ公〓スベシ
第三十五條日本銀行ハ主務大臣ノ定ム
ル所ニ依リ本店、支店又ハ出張所ニ於
テ染汚、毀損其ノ他ノ事由ニ因リ通用
シ難キ銀行劵ヲ無手數料ニテ引換フベ
シ
第三十六條日本銀行ハ銀行劵ノ製造及
銷却ノ手續ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受
クベシ
第五章經理
第三十七條日本銀行ハ主務大臣ノ定ム
ル所ニ依リ每事業年度ノ經費ノ豫算ヲ
定メ事業年度開始迄ニ之ヲ主務大臣ニ
提出シ認可ヲ受クベシ之ニ重大ナル變
更ヲ加ヘントスルトキ亦同ジ
第三十八條日本銀行ハ主務大臣ノ定ム
ル所ニ依リ每事業年度ニ財產目錄、貸
借對照表及損益計算書ヲ作成シ每事業
年度經過後二月以內ニ之ヲ主務大臣ニ
提出シ承認ヲ受クベシ
第三十九條日本銀行ハ每事業年度ニ準
備金トシテ損失塡補及配當準備ノ爲剩
餘金ノ二十分ノ一ヲ積立ツベシ
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項
ノ準備金ノ外目的ヲ定メ積立ヲ爲スコ
トヲ得
日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ剩餘
金中ヨリ政府以外ノ者ノ出資ニ付拂込
金額ニ對シ年四分ヲ下ラザル割合ノ配
當ヲ爲スベシ但シ其ノ配當ハ年五分ノ
割合ヲ超ユルコトヲ得ズ
政府ノ出資ニ付テハ剩餘金ノ配當ハ之
ヲ爲サズ
日本銀行ハ剩餘金中ヨリ第一項及第二
項ノ規定ニ依ル準備金竝ニ第三項ノ規定
ニ依ル配當金ヲ控除シタル殘額ヲ事業年
度經過後二月以內ニ政府ニ納付スベシ
前項ノ規定ニ依ル納付金額ハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ法人稅法ニ依ル所得及臨時
利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金
ニ算入ス
第四十條前條第一項ノ準備金及同條第
二項ノ規定ニ依ル準備金中損失ノ塡補
又ハ配當ニ充ツベキ金額ヲ使用スルモ
猶日本銀行ノ每事業年度ニ於ケル配當
シ得ベキ剩餘金額ガ政府以外ノ出資者
ノ拂込出資金額ニ對シ年四分ノ割合ニ
達セザルトキ(剩餘金額ナキトキ及損
失ヲ生ジタルトキヲ含ム)ハ政府ハ之
ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ
第四十一條日本銀行ハ主務大臣ノ定ム
ル所ニ依リ每事業年度ノ事業ノ〓況ヲ
公〓スベシ
第六章監督
第四十二條日本銀行ハ主務大臣之ヲ監
督ス
第四十三條主務大臣ハ日本銀行ノ目的
達成上特ニ必要アリト認ムルトキハ日
本銀行ニ對シ必要ナル業務ノ施行ヲ命
ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項
ヲ命ズルコトヲ得
第四十四條主務大臣ハ日本銀行ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報告ヲ爲サシ
メ、檢査ヲ爲シ其2他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十五條主務大臣ハ特ニ日本銀行監
理官ヲ置キ日本銀行ノ業務ヲ監視セシ
ム
第四十六條日本銀行監理官ハ何時ニテ
モ日本銀行ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査
スルコトヲ得
日本銀行監理官ハ必要アリト認ムルト
キハ何時ニテモ日本銀行ニ命ジ業務
及財產ノ狀況ヲ報告セシムルコトヲ
得
日本銀行監理官ハ日本銀行ノ諸般ノ會
議ニ出席シ意見ヲ述ブルコトヲ得
第四十七條日本銀行ノ役員ノ行爲ガ法
令定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタ
ルトキ若ハ公益ヲ害シタルトキ又ハ日
本銀行ノ目的達成上特ニ必要アリト認
ムルトキハ總裁及副總裁ニ付テハ政府、
理事、監事及參與ニ付テハ主務大臣之ヲ
解任スルコトヲ得
第七章罰則
第四十八條日本銀行ガ本法若ハ本法ニ
基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス
處分ニ違反シタルトキハ總裁又ハ總裁
ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁ヲ五
千圓以下ノ過料ニ處ス副總裁又ハ理事
ノ掌理スル業務ニ係ルトキハ副總裁又
ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
附則
第四十九條本法施行ノ期日ハ各條ニ付
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條日本銀行條例ニ依ル日本銀行
(以下舊日本銀行ト稱ス)ハ第五十一條
乃至第六十條ノ規定ニ依リ本法ニ依ル
日本銀行(以下日本銀行ト稱ス)ト爲ル
モノトス
第五十一條舊日本銀行ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ株劵ノ名義書換ヲ停止スベシ
第五十二條主務大臣ハ改組委員ヲ命ジ
舊日本銀行ヲ日本銀行ト爲ス爲ニ必要
ナル事務ヲ處理セシム
第五十三條改組委員ハ定款ヲ作成シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四條前條ノ認可アリタルトキハ
改組委員ハ舊日本銀行ノ株式ニ對シ日
本銀行ノ出資ヲ引當ツベシ
前項ノ出資ノ引當ハ舊日本銀行ノ全額
拂込濟株式一株ニ付日本銀行ノ全額拂
込濟出資二口、舊日本銀行ノ未拂込株
式一株ニ付日本銀行ノ全額拂込濟出資
一口ノ割合ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第五十五條第五十三條ノ認可アリタル
トキハ改組委員ハ遲滯ナク出資ノ引受
ヲ政府ニ禀請スベシ
第五十六條第五十四條第一項ノ引當及
前條ノ引受ヲ了シタルトキハ其ノ際現
ニ舊日本銀行ノ總裁、副總裁、理事及
監事タル者ハ其ノ殘任期間ヲ限リ各日
本銀行ノ總裁、副總裁、理事及監事トシ
テ就職シタルモノト看做ス
第五十七條第五十四條第一項ノ引當及
第五十五條ノ引受ヲ了シタルトキハ改
組委員ハ其ノ事務ヲ日本銀行總裁ニ引
渡スベシ
第五十八條日本銀行總裁前條ノ事務ノ
引渡ヲ受ケタルトキハ本店ノ所在地ニ
於テ成立ノ登記ヲ爲スベシ
日本銀行ハ前項ノ登記ヲ爲スニ因リテ
成立ス
第五十九條日本銀行ノ成立ニ因リ舊日
本銀行ハ之ニ吸收セラルルモノトシ舊
日本銀行ノ一切ノ權利義務ハ日本銀行
ニ於テ之ヲ承繼ス
第六十條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外舊日本銀行ガ日本銀行ト爲ルニ付必
要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條日本銀行條例、昭和十六年
法律第十四號其ノ他ノ法令ニ依リテ爲
シタル許可、認可、處分其ノ他ノ行爲
ハ本法中之ニ相當スル規定アル場合ニ
於テハ本法ニ依リテ之ヲ爲シタルモノ
ト看做ス
第六十二條他ノ法令中舊日本銀行又ハ
其ノ職員ニ關スル規定ハ日本銀行又ハ
其ノ職員ニ關スル規定トス
第六十三條舊日本銀行ノ發行シタル兌
換銀行劵ハ本法ニ依リ日本銀行ノ發行
シタル銀行劵ト看做ス
日本銀行ハ當分ノ内第三十三條第一項
ノ規定ニ拘ラズ舊日本銀行ノ發行シタ
ル兌換銀行劵ト同一ノ種類及樣式ノ銀
行劵ヲ本法ニ依ル銀行劵トシテ發行ス
ルコトヲ得
第六十四條舊日本銀行ガ日本銀行ト爲
リタルトキハ舊日本銀行ノ全額拂込濟
株劵ハ一株ニ付二口ノ割合ヲ以テ計算
シタルロ數ノ日本銀行ノ全額拂込濟出
資證劵ト看做シ舊日本銀行ノ未拂込株
劵ハ一株ニ付一口ノ割合ヲ以テ計算シ
タル口數ノ日本銀行ノ全額拂込濟出資
證劵ト看做ス
第六十五條舊日本銀行ノ株式ヲ目的ト
スル質權其ノ他ノ權利ハ其ノ株式ニ對
シ引當テラレタル出資ノ持分ノ上ニ存
在ス
第六十六條舊日本銀行ガ日本銀行ト爲
リタルトキハ日本銀行ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ遲滯ナク其ノ旨ヲ公〓スベシ
第六十七條日本銀行ガ第五十九條ノ規
定ニ依リ舊日本銀行ヨリ不動產ニ關ス
ル權利ヲ承繼スル場合ニ於ケル其ノ取
得ニ付受クル登記ニ付テハ登錄稅ヲ課
セズ
第五十九條ノ規定ニ依ル舊日本銀行ヨ
リ日本銀行ヘノ有價證劵ノ移轉ニ付テ
ハ有價證劵移轉稅ヲ課セズ
第六十八條日本銀行ハ第五十四條第一
項ノ規定ニ依リ日本銀行ノ出資者ト爲
リタル者ニ對シ補償金ヲ交付スベシ
前項ノ補償金ノ額ノ算出ノ基準ハ舊日
本銀行株式ノ昭和十五年及昭和十六年
中ニ於ケル時價竝ニ日本銀行成立ノ日
ニ於ケル出資者ノ持分ノ價格ヲ參酌シ
テ主務大臣之ヲ定ム
主務大臣前項ノ基準ヲ決定セントスル
トキハ日本銀行株式補償審査委員會ノ
議ヲ經ルコトヲ要ス
日本銀行株式補償審査委員會ノ組織及
權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一項ノ補償金ハ國債證劵ヲ以テ之ヲ
交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ主務大臣之
ヨルナ
日本銀行ハ第三十九條第一項ノ規定ニ
拘ラズ第一項ノ補償金ヲ交付スル爲準
備金ヲ使用スルコトヲ得
第六十九條第六十五條ノ規定ニ依リ出
資ノ持分ノ上ニ存在スル質權其ノ他ノ
權利ノ效力ハ前條第一項ノ補償金ニ及
ブ
第七十條第六十八修第一項ノ補償金ニ
付テハ所得稅ヲ課セズ
第七十一條舊日本銀行ガ事業年度中ニ
日本銀行ト爲リタル場合ニ於テハ舊日
本銀行ノ最終ノ事業年度ニ於ケル利益
ノ配當ハ之ヲ爲サズ但シ日本銀行ノ最
初ノ事業年度ニ於ケル剩餘金ノ配當ヲ
爲スニ當リテハ舊日本銀行ノ株式ニ引
當テタル出資ニ付テハ舊日本銀行ノ最
終ノ事業年度ノ初ヨリ日本銀行ニ其ノ
出資存在シタルモノト看做シテ配當ス
ベキ金額ヲ算定スベシ
第七十二條舊日本銀行ガ事業年度中ニ
日本銀行ト爲リタル場合ニ於テハ第三
十八條乃至第四十一條ノ規定ノ適用ニ
付テハ舊日本銀行ノ最終ノ事業年度ノ
初ヨリ日本銀行ノ最初ノ專業年度ノ終
ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ日本銀行ノ一事
業年度ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ日本銀行條例第十條
ノ規定及日本銀行納付金法ハ舊日本銀
行ノ最終ノ事業年度分ニハ之ヲ適用セ
ズ
舊日本銀行ガ日本銀行ト爲リタルトキ
ハ日本銀行ハ遲滯ナク最初ノ事業年度
ノ經費ノ豫算ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ニ重大ナル變更ヲ加ヘント
スルトキ亦同ジ
第七十三條登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「恩給金庫」ノ上ニ
「日本銀行、」ヲ、「恩給金庫法」ノ上ニ
「日本銀行法、」ヲ加フ
第七十四條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第四號ノ二ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フ
四ノ三日本銀行ノ發スル出資證劵
第七十五條日本銀行ハ第三十二條第二
項ノ規定ニ依リ保有スル金地金及金貨
ノ價格ヲ定ムルニ付テハ當分ノ內貨幣
、法第二條ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
朝鮮銀行又ハ臺灣銀行ハ昭和十六年法
律第十五號第二條第一項ノ規定ニ依リ
保有スル金地金及金貨ヲ當分ノ內貨幣
注第二條ノ規定ニ拘ラズ主務大臣ノ認
可ヲ受ケタル價格ヲ以テ評價スベシ
第七十六條貨幣法第十四條ノ規定ハ當
分ノ內之ヲ適用セズ
第七十七條朝鮮銀行法第二十一條第二
項中「金貨又ハ日本銀行兌換劵」ヲ「日
本銀行劵」ニ、同法第二十二條第一項中
「日本銀行兌換劵」ヲ「日本銀行劵」ニ、
臺灣銀行法第八條第二項中「金貨又ハ
兌換銀行劵」ヲ「日本銀行劵」ニ、同法第
九條第一項及昭和十六年法律第十五號
第二條中「兌換銀行劵」ヲ「日本銀行劵」
三六人
第七十八條日本銀行條例、兌換銀行劵
條例、日本銀行納付金法、昭和十六年
法律第十四號及金準備評價法ハ之ヲ廢
止ス
戰時金融金庫法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子良
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
戰時金融金庫法案
戰時金融金庫法
第一章總則
第一條戰時金融金庫ハ戰時ニ際シ生產
擴充及產業再編成等ノ爲必要ナル資金
ニシテ他ノ金融機關等ヨリ供給ヲ受クルコ
ト困難ナルモノヲ供給シ併セテ有價證
券ノ市價安定ヲ圖ルコトヲ目的トス
戰時金融金庫ハ法人トス
第二條戰時金融金庫ハ主タル事務所ヲ
東京市ニ置ク
戰時金融金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置シ又ハ
銀行其ノ他主務大臣ノ指定スル者ヲシ
テ業務ノ一部ヲ取扱ハシムルコトヲ得
第三條戰時金融金庫ノ資本金ハ三億圓
トシ之ヲ三百萬口ニ分チ一口ノ出資金
額ヲ百圓トス
但シ資本金ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之
ヲ增加スルコトヲ得
第四條戰時金融金庫ハ出資ニ對シ出資
證劵ヲ發行ス
出資證劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第五條政府ハ二億圓ヲ限リ戰時金融金
庫ニ出資スルコトヲ得
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヲ定ム
第六條戦時金融金庫ノ出資者ノ責任ハ
其ノ出資額ヲ限度トス
出資者ハ戰時金融金庫ニ拂込ムベキ出
資額ニ付相殺ヲ以テ之ニ對抗スルコト
ヲ得ズ
第七條出資者ハ戰時金融金庫ノ承認ヲ
經テ其ノ持分ヲ讓渡スコトヲ得
第八條拂込ヲ怠リタル出資者ニ對シ戰
時金融金庫ガ一月以上ノ相當ノ期間ヲ
定メ拂込ノ請求ヲ爲シタルニ拘ラズ出
資者ガ拂込ヲ爲サザルトキハ戰時金融
金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ出資
者ノ持分ヲ處分スルコトヲ得
戰時金融金庫ハ持分ノ處分ニ依リテ得
タル金額ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ定
ムル違約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ從
前ノ出資者ニ拂戾スコトヲ要ス
持分ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納
金額ニ滿タザル場合ニ於テハ戰時金融
金庫ハ從前ノ出資者ニ對シ不足額ノ瓣
濟ヲ請求スルコトヲ得
前三項ノ規定ハ戰時金融金庫ガ損害賠
償及定款ヲ以テ定ムル違約金ノ請求ヲ
爲スコトヲ妨ゲズ
出資者ガ第一項ノ期間內ニ拂込ヲ爲サ
ザルトキハ戰時金融金庫ハ其ノ出資者
ニ對シ、二週間內ニ出資證劵ヲ戰時金融
金庫ニ提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ
要ス此ノ場合ニ於テ提出ナキ出資證劵
ハ其ノ效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ戰時金融金庫ハ遲
滯ナク失效シタル出資證劵ノ番號竝ニ
其ノ出資者ノ氏名及住所ヲ公告スルコ
トヲ要ス
第九條戰時金融金庫ハ定款ヲ以テ左ノ
事項ヲ規定スベシ
-目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七戰時金融債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ノ變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十條戰時金融金庫ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第十一條戰時金融金庫ニ付解散ヲ必要
トスル事·由發、生シタル場合ニ於テ其ノ
處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定
第十二條戰時金融金庫ニ非ザル者ハ戰
時金融金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用
フルコトヲ得ズ
第二章職員
第十三條戰時金融金庫ニ役員トシテ總
裁副總裁各一人、理事五人以上、監事
二人以上及評議月若干人ヲ置ク
第十四條總裁ハ戰時金融金庫ヲ代表シ
其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ戰時金
融金庫ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ戰時金
融金庫ノ業務ヲ掌理シ總裁事故アルト
キハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキ
ハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ戰時金融
金庫ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ
戰時金融金庫ノ業務ヲ掌理シ總裁及副
總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代
理シ總裁及副總共共ニ缺員ノトキハ其
ノ職務ヲ行フ
監事ハ戰時金融金庫ノ業務ヲ監査ス
評議員ハ戰時金融金庫ノ業務ニ關スル
重要事項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ又ハ總
裁ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
總裁ハ主落大臣ノ定ムル專項ニ付テハ
評議員ニ諮問スルコトヲ要ス
第十五條總裁、副總裁、理事、監事及
評議員ハ政府之ヲ命ズ
總裁、副練裁及理事ノ任期ハ四年、監
事及評議員ノ任期ハ二年トス
第十六條總裁、副總裁及理事ハ定款ノ
定ムル所ニ依リ從タル専務所ノ業務ニ
關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ
爲ス罐限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコ
トヲ得
第十七條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職
業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣
ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十八條戰、時金融金庫ノ職員ハ之ヲ法
令ニ依リ公務ニ從事スル職囗ト看做ス
前項ノ職員ノ範圍ハ合令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三章業務
第十九條戰時金融金庫ハ左ノ業務ヲ行
フ
ー國家緊要產業ヲ營ム者又ハ政府ノ
方針ニ基キ未動遊休設備(產業設備
ニシテ未完成又ハ遊休ノ狀態ニ在ル
モノヲ謂フ)ヲ保有シ、重要物資ヲ
貯藏シ若ハ事業ノ整備ヲ爲ス者ニ對
スル出資
二前號ニ揭グル者ニ對スル資金ノ融
通
三第一號ニ揭グル者ノ爲ニスル債務
ノ引受又ハ保證
四第一號ニ揭グル者ノ發行スル社債
(特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル
法人ニシテ會社ニ非ザルモノノ發行
スル債劵ヲ含ム)ノ應募又ハ引受
五市價安定ノ爲ニスル有價證劵ノ賣
買及保有
六前各號ノ業務ニ附帶スル業務
戰時金融金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
前項ノ業務ノ外戰時金融金庫ノ目的達
成上必要ナル業務ヲ行フコトヲ得
第四章戰時金融債券
第二十條戰時金融金庫ハ拂込資本金額
ノ十倍ヲ限リ戰時金融債劵ヲ發行スル
コトヲ得
第二十一條戰時金融債劵ハ額面金額五
十圓以上トシ無記名利札附トス但シ應
募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名式ト
爲スコトヲ得
戰時金融債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ
發行スルコトヲ得
第二十二條戰時金融金庫ハ戰時金融債
劵借換ノ爲一時第二十條ノ制限ニ依ラ·
ズ戰時金融債劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ戰時金融債劵ヲ發行
シタルトキハ發行後一月內ニ其ノ發行
額面金額ニ相當スル舊戰時金融債劵ヲ
償還スベシ
第二十三條政府ハ戰時金融債劵ノ元本
ノ償還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第二十四條戰時金融金庫ニ於テ戰時金
融債劵ヲ發行セントスルトキハ主務大
臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十五條戰時金融債劵ノ消滅時效ハ
元本ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテ
ハ五年ヲ以テ完成ス
第二十六條所得稅法及有價證劵移轉稅
法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ戰
時金融債劵ニ之ヲ準用ス
第二十七條本章ニ規定スルモノヲ除ク
ノ外戰時金融債劵ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五章會計及補助
第二十八條戰時金融金庫ノ事業年度ハ
四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十九條戰時金融金庫ハ設立ノ時及
每事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借
對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共
ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第三十條戰時金融金庫ハ左ノ方法ニ依
ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコト
乙女、
一國債又ハ地方債ノ取得
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金
第三十一條戰時金融金庫剩餘金ノ處分
ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第三十二條戰時金融金庫ハ主務大臣ノ
定ムル所ニ依リ剩餘金中ヨリ準備金ノ
積立ヲ爲スベシ
第三十三條戰時金融金庫ノ每事業年度
ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額ガ政府
以外ノ出資者ノ拂込出資金額ニ對シ年百
分ノ五ノ割合ニ達セザルトキ(剩餘金
額ナキトキ及損失ヲ生ジタルトキヲ含
ム)ハ政府ハ之ニ達セシムベキ金額ヲ
補給スベシ
每事業年度ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘
金額ガ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ超過スル
トキハ其ノ超過金額ハ先ヅ之ヲ前項ノ
規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
前條ノ準備金申損失ノ塡補又ハ配當準
備ノ爲積立テタル金額ハ後事業年度ニ
於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計
算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ剩餘金ト
看做ス
第三十四條戰時金融金庫ハ每事業年度
ニ於ケル配當シ得ベキ剩餘金額(前條
第二項ノ規定ニ依リ償還ニ充ツベキ金
額アルトキハ之ヲ控除シタル殘額トス
以下同ジ)ガ政府以外ノ出資者ノ拂込
出資金額ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ超
過セザルトキハ政府ノ出資ニ對シ剩餘
金ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
戰時金融金庫ハ每事業、年度ニ於ケル配
當シ得ベキ剩餘金額ガ拂込出資金額ニ
對シ年百分ノ五ノ割合ニ達セザル場合
ニ於テ政府以外ノ出資者ノ拂込出資金
額ニ對シ年百分ノ五ノ割合ヲ超過スル
トキハ其ノ超過金額ヲ政府ニ配當スベ
シ
第三十五條第十九條第一項第一號又ハ
第四號ノ規定ニ依ル出資又ハ社債特
別ノ法令ニ依リ設立セラレタル法人ニ
シテ會社ニ非ザルモノノ發行スル債劵
ヲ含ム以下本條ニ於テ同ジ)ノ保有ヨ
リ生ズル戰時金融金庫ノ甲種ノ配當利
子所得ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ分類
所得稅ヲ課セズ戰時金融金庫ガ同條第
二項ノ規定ニ依リ出資又ハ社債ノ保有
ヲ爲ス場合ニ於テ之ヨリ生ズル甲種ノ
配當利子所得ニ付亦同ジ
第三十六條戰時金融金庫ガ第三十三條
第一項ノ規定ニ依リ受クル補給金ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ法人稅法ニ依ル所
得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅
法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算入
セズ
第六章監督
第三十七條戰時金融金庫ハ主務大臣之
ヲ監督ス
第三十八條主務大臣ハ戰時金融金庫ノ
目的達成上必要アリト認ムルトキハ
必要ナル業務ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ
變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコト
ヲ得
第三十九條戰時金融金庫ハ業務開始ノ
際業務ノ方法ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
第四十條主務大臣ハ戰時金融金庫ニ對
シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サ
シメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナ
ル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十一條主務大臣ハ戰時金融金庫監
理官ヲ置キ戰時金融金庫ノ業務ヲ監視
セシム
第四十二條戰時金融金庫監理官ハ何時
ニテモ戰時金融金庫ノ業務及財產ノ狀
況ヲ檢査スルコトヲ得
戰時金融金庫監理官ハ何時ニテモ戰時
金融金庫ニ命ジ業務及財產ノ狀況ヲ報
告セシムルコトヲ得
戰時金融金庫監理官ハ戰時金融金庫ノ
諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ述ブルコト
ヲ得
第四十三條戰時金融金庫ノ役員ガ法
令定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違反シ
又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ
ハ政府ハ之ヲ解任スルコトヲ得
第七章雜則
第四十四條戰時金融金庫ガ第十九條ノ
規定ニ依ル業務ニ因リテ受ケタル損失
ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ及其ノ額
ハ特別融通損失審査會之ヲ決定ス
第四十五條主務大臣ハ必要アリト認ム
ルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ左ノ各
號ニ揭グル者ヨリ其ノ業務及財產ノ狀
況ニ關シ報〓ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシ
テ其ノ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他
ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
戰時金融金庫ヨリ出資又ハ資金ノ
融通ヲ受ケタル者
二戰時金融金庫ニ依リ債務ヲ引受ケ
ラレ又ハ債務ヲ保證セラレタル債務
者
三戰時金融金庫ニ依リ應募セラレ又
ハ引受ケラレタル社債ノ發行者
第八章罰則
第四十六條前條ノ規定ニ違反シ報〓ヲ
爲サズ若ハ虛僞ノ報〓ヲ爲シ又ハ檢査
ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ千圓
以下ノ罰金ニ處ス
法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理
人使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人
又ハ人ノ業務ニ關シテ前項前段ノ違反
行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰スル
ノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ亦前項ノ罰
金刑ヲ科ス
第四十七條左ノ場合ニ於テハ戰時金融
金庫ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ
千圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ行ヒタル
トキ
三第二十條又ハ第二十二條第二項ノ
規定ニ違反シ戰時金融債劵ノ發行ヲ
爲シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四第三十條ノ規定ニ違反シ業務上ノ
餘裕金ヲ運用シタルトキ
五主務大臣ノ命令又ハ處分ニ違反シ
タルトキ
六第四十二條ノ規定ニ依ル戰時金融
金庫監理官ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ
忌避シ又ハ其ノ命ズル報告ヲ爲サザ
ルトキ
第四十八條左ノ場合ニ於テハ戰時金融
金庫ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ
五百圓以下ノ過料ニ處ス
本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令
ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ
不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二第二十九條ノ規定ニ依ル書類ヲ備
置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ
第四十九條第十二條ノ規定ニ違反シ戰
時金融金庫又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用
ヒタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第五十條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五十一條政府ハ設立委員ヲ命ジ戰時
金融金庫ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セ
シム
第五十二條日本協同證劵株式會社ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ商法第三百四十三
條ニ定ムル株主總會ノ決議ヲ以テ戰時
金融金庫ニ吸收セラルルコトヲ得
日本協同證劵株式會社前項ノ決議ヲ爲
シタルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベ
シ
第五十三條設立委員ハ定款ヲ作成シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十四條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ總出資ヨリ政府ニ割當ツベ
キ出資及日本協同證劵株式會社ノ株式
ニ引當ツベキ出資ヲ控除シタル殘餘ノ
出資ニ付出資者ヲ募集スベシ
前項ノ出資ノ引當ハ日本協同證劵株式
會社ノ株式二株ニ付戰時金融金庫ノ半
額拂込濟出資一口ノ割合ヲ以テ之ヲ爲
スコトヲ要ス
第五十五條設立委員ハ前條第一項ノ募
集ヲ終リタルトキハ出資申込書ヲ主務
大臣ニ提出シ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員
ハ遲滯ナク日本協同證劵株式會社ノ株
式ニ引當ツベキ出資以外ノ出資ニ付第
一囘ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第五十六條前條第二項ノ拂込完了シタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ戰時金融金庫總裁ニ引渡スベシ
戰時金融金庫總裁前項ノ事務ノ引渡ヲ
受ケタルトキハ總裁、副總裁、理事
及監事ノ全員ハ設立ノ登記ヲ爲スベ
シ
戰時金融金庫ハ前項ノ登記ヲ爲スニ因
リテ成立ス
第五十七條戰時金融金庫ノ成立ニ因リ
日本協同證劵株式會社ハ之ニ吸收セラ
ルルモノトシ日本協同證劵株式會社ノ
權利義務ハ戰時金融金庫ニ於テ之ヲ承
繼ス
第五十八條日本協同證劵株式會社ノ株
式ヲ目的トスル質權其ノ他ノ權利ハ其
ノ株式ニ對シ引當テラレタル出資ノ持
分ノ上ニ存在ス
第五十九條第五十七條ノ規定ニ依ル日
本協同證劵株式會社ヨリ戰時金融金庫
ヘノ有價證劵ノ移轉ニ付テハ有價證劵
移轉稅ヲ課セズ
第六十條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外戰時金融金庫ノ設立ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條第五十二條第一項ノ決議ナ
キ場合又ハ其ノ決議ガ效力ヲ生ゼザル
場合ニ於テハ戰時金融金庫ノ設立ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第六十二條登錄稅法中左ノ通改正ス
第四條ノ二戰時金融金庫カ戰時金融
債劵ニ付登記ヲ受クルトキハ左ノ區
別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
一戰時金融債劵ノ拂込
拂込金額千分ノ一
二登記事項ノ變更、消滅又ハ廢止
每一件金十圓
從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項各號
ノ登記ヲ受クルトキハ每一件金二圓
ノ登錄稅ヲ納ムヘシ
第十九條第七號中「庶民金庫、」ノ下ニ
「戰時金融金庫、」ヲ、「庶民金庫法、」ノ
下ニ「戰時金融金庫法、」ヲ加フ
第六十三條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ三ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フ
六ノ三ノ二戰時金融債劵及戰時金
融金庫ノ發スル出資證劵
第六十四條有價證劵業取締法中左ノ通
改正ス
第一條中「及有價證劵割賦販賣業者」ヲ
「、有價證劵割賦販賣業者及戰時金融金
庫」ニ改ム
臨時資金調整法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一良
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時資金調整法中改正法律案
臨時資金調整法中左ノ通改正ス
第二條中「商工組合中央金庫」ノ下ニ、「戰
時金融金庫」ヲ加フ
第六條第一項中「二十億圓」ヲ「五十億圓」
ニ改メ同條第四項中「額面金額二十億圓
ヲ限リ」ヲ削ル
第七條ノ二商工組今中央会庫ハ五千萬
圓ヲ限リ商工組今中央金庫法第三十一
條ノ超定ニ依ル知限ヲ超エテ債劵ヲ發
行スルコトヲ得
商工組合中央令庫ハ其ノ債劵借換ノ爲
債劵ヲ發行スル場合ニ於テハ前項ノ制
限ニ依ラザルコトヲ得
商工組合中〓金庫法第三十三條ノ規定
ハ之ヲ滴用セズ
第十條ノ二政府ハ土地其ノ他ノモノニ
シテ命令ノ定ムルモノヲ收用セラレ若
ハ賣却シタル者又ハ其ノ利害關係人ニ
對シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ代償ト
シテ受クル金錢ノ處分ニ關シ必要ナル
命令ヲ爲スコトヲ得
第十三條中「十億圓」ヲ「一一十億圓」ニ、「二
十圓」ヲ「三十圓」ニ改ム
第十四條ノ二中「五億圓」ヲ「十五億圓」ニ
改ム
第十四條ノ四中「每年一囘以上」ヲ削ル
第十五條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ日本勸業銀行法第三十五條ノ二第
一項中二十圓トアルハ三十圓トス
第十七條中「五千圓以下ノ罰金」ヲ「二年
以下ノ徵役又ハ三千圓以下ノ罰金」ニ改
ム
第十八條中「五百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
同條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二第十條ノ二ノ規定ニ基キ金錢ノ處
分ニ關シ發スル命令ニ違反シタル者
同條第三號ヲ第四號トシ第三號トシテ左
ノ一號ヲ加フ
三第十六條ノ規定ニ違反シ報告ヲ爲
サズ又ハ〓僞ノ報〓ヲ爲シタル者
第十八條ノ二第十六條ノ規定ニ依ル檢
査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ六
月以下ノ徵役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
第十九條中「前二條」ヲ「前三條」ニ改ム
第二十條中「千圓以下ノ罰金」ヲ「二年以
下ノ徵役又ハ二千圓以下ノ罰金」금속
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
有價證劵移轉稅法第九條第二號中「二十
圓」ヲ「三十圓」三郎、
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=5
-
006・賀屋興宣
○國務大臣、賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ日本銀行法案外二件ニ付キマシテ、其
ノ提案ノ理由ヲ說明致シマス、先ヅ日本銀
行法ニ付キマシテ說明申上ゲマス、我ガ國
通貨竝ニ金融制度ノ中核デアリマスル日本
銀行ヲシテ、中央發劵銀行トシテ國家經濟
總力ノ適切ナル發揮ヲ圖ル爲、政府ト一體
的關係ニ立チマシテ通貨ノ調節、金融ノ調
整及信用制度ノ保持育成ニ任ゼシメ得ルガ
如キ體制ヲ整備致シマシテ、以テ大東亞戰
爭ノ完遂ト高度國防國家體制ノ完成ニ資シ
進ンデハ大東亞共榮圈ノ確立ト、將來久シ
キニ亙ル之ガ維持發展ニ寄與セシムルコト
ハ、刻下喫緊ノ要事ト信ズルノデアリマス、
抑こ現行ノ日本銀行制度ハ、ソレ〓〓明治十
五年及同十七年ノ制定ニ係ル日本銀行條例
及兌換銀行劵條例ヲ基本ノ法律ト致シテ
居ルノデアリマシテ、其ノ後若干ノ修正ヲ
加ヘラレテ參ッタノデアリマスガ、其ノ基本
的建前ハ殆ド六十年前ト何等變更セラルヽ
コトナク今日ニ及ンデ居ルノデアリマス
其ノ結果今ヤ日本銀行ノ現行制度ハ、同行
運營ノ實際ニ副ハザルニ至リマシタノミナ
ラズ、今後其ノ使命ヲ完ウセシムルガ爲ニ
ハ尠カラズ障碍トナルノデアリマス、仍テ
玆ニ日本銀行制度ノ全般ニ亙リ根本的改正
ヲ行フコトト致シタ次第デアリマス、是ヨ
リ本法案ノ主ナル點ニ付診明ヲ中上ゲマス、
先ヅ第一ニ現在日本銀行ハ一種ノ株式會
社組織デアリマスルガ、同行ノ公的性質ガ愈〓、
濃厚トナルニ伴ヒマシテ、其ノ使命ノ遂行
ニ遺憾ナカラシムルガ爲、之ヲ强度ノ公的
性質ヲ有スル特殊法人トスルヲ滴當ト認メ
タノデアリマス、次ニ日本銀行ノ資本金ハ、
之ヲ一億圓ニ增加スルト共ニ、現在ノ拂込
資本金四千五百萬圓ノ外、五千五百萬圓ヲ
政府ニ於テ出資シ、之ガ實際ノ拂込ハ今後
必要ニ應ジテ之ヲ爲スコトト致シタノデア
リマス、又日本銀行ノ運營ハ、專ラ國家目
的ノ達成ヲ使命トシテ行ハルベキモノデア
リマスカラ、回行役員ノ責任、任免等ニ關
スル規定ヲ、之ニ滴應スル如ク改正スルト
共ニ、同行ノ職員ハ總テ之ヲ公務員ト看做
スコトト致シタノデアリマス、次ニ現在日
本銀行ノ業務ハ、制度上國內商業金融ノ調
整ヲ中心ト致シテ居リマスルガ、其ノ範圍
ヲ擴六致シマシテ、右ノ外更ニ產業金融ニ
付テモ進ンデ之ガ調整ヲ圖リ、金融市場操
作モ之ヲ積極的ニ行ヒ、國際金融取引ニモ
積極的ニ關與スルト共ニ、更ニ我ガ國信用
制度ノ保持育成ニ當ルコトヲモ日本銀行ノ
業務トシテ規定致シタノデアリマス、又現
行ノ兌換劵條例ニ基ヅク發劵制度ハ、金本
位制度ヲ基礎トスルモノデアリマシテ、今
日右ノ制度ハ全ク其ノ意義ヲ喪失スルニ至
リマシタ爲、昨年法律第十四號ヲ以テ之ニ
代ル制度ヲ設ケタノデアリマスルガ、同法
ハ臨時的ナ特例ニ止マルモノデアリマスカ
ラ、之ニ代ヘ管理通貨制度ヲ基礎トスル恆
久的ナル新發劵制度ヲ設クルコトト致シタ
ノデアリマス、次ニ日本銀行ヲ公的組織ト
スルニ件ヒ、政府ハ政府以外ノ出資者ニ對
シ年四分ノ配當ヲ保證スルコトト致シ、他
面剩餘金ヨリ、出資者ニ對スル年五分ヲ超
エザル配當及所定ノ積立金、此ノ兩者ヲ引
去リマシタル殘餘ハ、之ヲ擧ゲテ國庫ニ納
付セシムルコトヲ適當ト認メタノデアリマ
ス、尙今囘ノ日本銀行ノ改組ニ當リマシテ
ハ、現在ノ日本銀行ノ權利義務、其ノ他一
切ノ法律關係ハ、其ノ儘新日本銀行ニ於テ
之ヲ承繼シ、又改組ノ際ニ於ケル同行ノ株
主ハ其ノ儘新日本銀行ノ出資者トナルコト
ト致シタノデアリマス、併シ右出資者ニ對シ
マシテハ、此ノ改組ニ因リ損害ヲ蒙ルコトナ
カラシムル必要ガアリマスルノデ、日本銀行ヲ
シテ適正ナル某準ニ依リ補償金ヲ交付セシ
ムルコトト致シタノデアリマス、最後ニ現行
ノ日本銀行關係ノ諸法規ハ、其ノ體裁ガ新舊
多樣デアリマシテ調和ヲ缺キ、是等ノ全體ヲ
通ジテ日本銀行制度ノ內容ヲ綜合的ニ且明
確ニ理解スル上ニ甚ダシク不備デアリマス
ルノデ、是等諸法規ノ統合整理ヲ行フコト
ヲ適當ト認メタノデアリマス、本法案ノ要
點ハ以上申述ベタ通リデアリマシテ、之川
依リ今後日本銀行ハ我ガ國中央發劵銀行ト
シテ遺憾ナク其ノ使命ヲ果シ得ルコトトナ
リ、又國家ノ同行ニ對シテ與フル無限ノ援助
ト相俟ッテ、同行ノ信用ノ基礎ハ愈、、固固ヲ加
ヘ、日本銀行ハ新シキ事態ニ相應シキ中央
發、銀銀行トナルモノト信ズル次第デアリマ
ス、次ニ戰時金融金庫法案ニ付說明ヲ申上
ゲマス、大東亞戰爭ノ完遂ヲ期シマスル爲、
生產ノ重點的擴充及產業ノ再編成等ハ愈〓、喫
緊ノ要務ト相成ッテ參ッタノデアリマシテ、
其ノ爲必要ナル資金ノ需要ハ今後一層增大
スルモノト考ヘラレルノデアリマス、而シ
テ此ノ種ノ資金ヲ圓滑ニ供給シテ參リマス
ルコトハ、戰時經濟ノ運營上必要缺クベカ
ラザル所デアリマスルガ、此ノ種ノ資金ノ
中ニハ、在來ノ金融機關等ヨリノ通常ノ方法
ヲ以テ致シマシテハ其ノ供給ヲ期待スルコ
ト相常困難ナルモノガ尠クナイノデアリマ
ス、從ッテ此ノ種ノ資金ノ供給ヲ圓滑ナラシ
メマスル爲ニハ、徒ニ企業ノ危險性ヲ顧慮
シ躊躇スルコトナク必要ノ資金ヲ供給シ得
ル機關ヲ設ケマシテ、之ニ從來ノ金融方法
ヲ以テシテハ供給ヲ爲スコト困難ナル分野
ヲ擔當セシムルコトガ、刻下ノ急務ナリト
考フルノデアリマス、又之ニ依リ一般金融
機關ノ健全ナル運營ニ貢獻スルコトモアル
ト考ヘル次第デアリマス、仍テ此ノ際特殊
法人タル戰時金融金庫ヲ設立致シ、軍需產
業、生產擴充產業等ノ、國家緊要事業ニシテ現
狀ニ於テハ收益性ノ見透シノ困難ナル事業ヲ
營ム者、或ハ國家ノ緊要トスル重要物資ヲ貯藏
スル者等ニ對シ、從來ノ金融方法ヲ以テシ
テハ調達困難ナル資金ヲ供給シ、併セテ市
價安定ノ爲ニスル有價證劵ノ賣買ヲ行ハ
シメ、時局下ニ於テ必要ナル資金ノ供給ヲ
圓滑ニ致シ、以テ戰時經濟ノ運營ニ遺憾ナ
キヲ期セムトスルモノデアリマス、尙右ノ
如キ本金庫ノ性質ニ鑑ミマシテ、本機關ノ
發行スル債劵ニ對シマシテハ、其ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ニ付政府保證ヲ爲シ得ル
コトト致シ、又本金庫ノ受ケタ損失ハ政府
ニ於テ之ヲ補塡シ、民間出資ニ對シテハ一
定ノ配當ヲ保證スルコトト致シタノデアリ
マス、最後ニ臨時資金調整法中改正法律案
ニ付說明申上ゲマス、支那事變ノ進展ニ伴
ヒマシテ、生產力擴充資金其ノ他時局ニ緊要
ナル資金ノ中、日本興業銀行及商工組合中
央金庫ニ於テ供給スベキ金額ハ、今後一層
增加スルモノト認メラレマスルノデ、之ガ
資金調達力ヲ增大シ、以テ時局金融ニ支障ナ
カラシメムガ爲、興業債劵及商工債劵ノ發
行限度竝ニ興業債劵ノ元利金ノ支拂ニ付、政
府ニ於テ保證シ得ル限度ヲ擴張スル必要ガ
アルノデアリマス、次ニ現下ノ經濟事情ニ
顧ミマスルトキハ、餘剩購買力吸收ト國民
貯蓄增加ノ必要ハ今後益、緊要ナモノガアリ
マスル處、其ノ最モ有效ナル手段ノ一デア
ル貯蓄債劵及報國債劵ノ發行餘力ハ少額ト
ナリマシタノデ、此ノ際兩債劵ノ發行限度
ヲ擴張致シマスルト共ニ、其ノ消化促進ヲ
圖ル爲、貯蓄債劵ノ劵面金額ノ引上ヲ爲シ
又報國債劵ノ每年ノ抽籤囘數ニ關スル制限
ヲ撤廢スルコトガ適當デアルト認メラレル
ノデアリマス、次ニ時局ノ要請ニ顧ミ、土地其
ノ他ノモノヲ收用セラレ又ハ賣却致シタル
者ナドガ、其ノ代償トシテ受クル金錢ヲ以
テ、國債等ノ有價證劵ヲ購入保有セシムル
ハ、資金蓄積上必要トスル場合多シト考ヘラ
レマスルノデ、從來モ其ノ方針ニ依リ之ガ購
入方ヲ勸奬致シテ參リマシタガ、今般更ニ必
要アル場合其ノ購入俣有等ニ付必要ナル命
令ヲ發シ得ルノ途ヲ拓ク要ガアルト認メラ
レルノデアリマス、次ニ昨年十二月十一日公布
セラレマシタ企業許可令ノ違反ニ付キマシテ
ハ、國家總動員法ニ基ク罰則ノ適用ヲ受ケ
マスルガ、同令ト或範圍ニ於テ同性質ノ
事案ヲ對象トシテ居リマスル臨時資金調整
法違反ノ場合ニ於テモ、是ト均衡ヲ失セザ
ルヤウ同法ノ罰則ヲ强化致スノ必要ガアル
ノデアリマス、又戰時金融金庫ノ設立ニ伴
ヒ之ヲ臨時資金調整法ノ規定ノ適用ヲ受
クル金融機關トシテ取扱フコトガ必要デア
ルノデアリマス、以上ノ諸點ニ付必要ナル
改正ヲ施サムガ爲ニ本案ヲ提出シタ次第デ
アリマス、何卒以上三件ノ法律案ニ付キマ
シテハ、御審議ノ上速カニ協賛ヲ與ヘラレ
ムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=6
-
007・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
日本銀行法案外二件ハ、國民更生金庫法中
改正法律案ノ特別委員ニ併託セラレムコト
ノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=7
-
008・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=8
-
009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第四、所得
稅法中改正法律案、日程第五、法人稅法中
改正法律案、日程第六、所得稅法人稅內外
地關涉法中改正法律案、日程第七、相續稅
法中改正法律案、日程第八、織物消費稅法
中改正法律案、日程第九、物品稅法中改正
法律案、日程第十、電氣瓦斯稅法案、日程
第十一、廣告稅法案、日程第十一、馬券稅
法案、日程第十三、印紙稅法中改正法律案、
日程第十四、臨時利得稅法中改正法律案、
日程第十五、特別法人稅法中改正法律案、
日程第十六、營業稅法中改正法律案、日程
第十七、臨時租稅措置法中改正法律案、日
程第十八、國庫出納金端數計算法中改正法
律案、日程第十九、戰時災害國稅減免法案、
日程第二十、所得稅等ノ日滿二重課稅防止
ニ關スル法律案、日程第二十一、地方分與
稅法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、是等ノ十八案ヲ一括シテ議題ト
爲スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、賀屋大藏大臣
所得稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
所得稅法中改正法律案
所得稅法中左ノ通改正ス
第十條ニ左ノ一號ヲ加フ
第七〓算取引所得
株式ノ〓算取引ニ因ル所得但シ甲種
ノ事業所得又ハ營利ヲ目的トスル繼
續的行爲ヨリ生ジタル所得ニ該當ス
ルモノヲ除ク
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
第一不動產所得
第二配當利子所得
甲種
-國債ノ利子
二國債以外ノ公債ノ利子
三其ノ他
乙種
株式ノ〓算取引ニ付受渡ヲ爲シタルト
キハ〓算取引所得ノ課稅ニ付テハ之ヲ
差金ノ授受ニ依リ決濟ヲ爲シタルモノ
ト看做ス
第十一條第一項第五號中「三千圓」ヲ「五
千圓」ニ改ム
第十二條第一項第八號及第九號中「一萬
圓」ヲ「五千圓」ニ改メ同項ニ左ノ一號ヲ
加フ
十〓算取引所得ハ前年中ノ總收入金
額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額
同條第二項中「及第七號」ヲ「、第七號及第
十號」ニ改メ同條ニ左ノ二項ヲ加フ
第十條第二項ノ規定ニ依ル〓算取引所
得ニ付テハ賣買約定金額ト受渡ノ時ニ
於ケル當該株式ノ價額トノ差額ヲ以テ
收入金額ト看做シ其ノ所得ヲ計算ス
第一項、第二項及前項ニ規定スルモノ
ノ外〓算取引所得ノ計算ニ關シ必要ナ
ル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條中「二百五十圓」ヲ「百五十圓」ニ
改ム
第十六條中「七百二十圓」ヲ「六百圓」ニ改
ム
第十七條及第十八條中「五百圓」ヲ「四百
圓」ニ、「七百二十圓」ヲ「六百圓」ニ、
「七·二分ノ五」ヲ「三分ノ二」ニ改ム
第十九條及第二十條中「五百圓」ヲ「四百
圓」ニ改ム
第二十條ノ二〓算取引所得ニ付テハ其
ノ所得ヨリ三千圓ヲ控除ス
第二十一條分類所得稅ハ左ノ稅率ニ依
リ之ヲ賦課ス
百分ノ十六
百分ノ九
百分ノ十四
百分ノ十五
百分ノ十五
第三事業所得
甲種
乙種
第四勤勞所得
第五山林ノ所得
所得金額ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
千六百圓以下ノ金額
千六百圓ヲ超ユル金額
第六退職所得
所得金額ヲ支拂者ノ異ナル每ニ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
二萬圓以下ノ金額
二萬圓ヲ超ユル金額
十萬圓ヲ超ユル金額
五十萬圓ヲ超ユル金額
第七〓算取引所得
所得金額ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
十萬圓以下ノ金額
十萬圓ヲ超ユル金額
三十萬圓ヲ超ユル金額
不動產所得ノ金額ガ六百圓以下ナルトキ
ハ前項中不動產所得ニ付規定スル稅率百
分ノ十六ハ之ヲ百分ノ十四トス
銀行貯蓄預金、產業組合貯金其ノ他命令ヲ
以テ定ムル預金ノ利子及產業組合、工業
組合、商業組合等命令ヲ以テ定ムル法人
ヨリ受クル剩餘金ノ分配ニ付テハ第一項
中配當利子所得甲種第三號ニ規定スル稅
率百分ノ十五ハ之ヲ百分ノ十トス
第十七條又ハ第十八條ノ規定ニ依ル控除
前ノ事業所得ノ金額ガ千圓以下ナルトキ
ハ第一項中甲種及乙種ノ事業所得ニ付規
定スル稅率百分ノ十三及百分ノ十二ハ各
之ヲ百分ノ十トス戶主及其ノ同居家族ノ
不動產所得、事業所得又ハ山林ノ所得ハ各
之ヲ合算シ各其ノ總額ニ付第一項、第二
項又ハ前項ノ規定ヲ適用ス戶主ト別居ス
ル二人以上ノ同居家族ノ不動產所得、事
業所得又ハ山林ノ所得ニ付亦同ジ
百分ノ十三
百分ノ十二
百分ノ十
百分ノ九
百分ノ十二
百分ノ十
百分ノ十七
百分ノ三十二
百分ノ五十
百分ノ二十五
百分ノ四十
百分ノ五十五
第二十二條中「百分ノ九」ヲ「百分ノ十六」
ニ、「百分ノ十四」ヲ「百分ノ二十一」ニ、
「第二項」ヲ「第三項」ニ、「百分ノ十」ヲ「百
分ノ十七」ニ、「百分ノ十五」ヲ「百分ノ一一
十二」ニ改ム
第二十四條中「百五十圓」ヲ「二百圓」ニ、
「百分ノ八」ヲ「百分ノ十一一(扶養家族中子
五人以上ナルトキハ百分ノ十八)」ニ改メ
同條第六項ヲ削ル
第二十五條中「百五十圓」ヲ「二百圓」ニ、
「百分ノ八」ヲ「百分ノ十一一(扶養家族中子
五人以上ナルトキハ百分ノ十八)」ニ改メ
同條第六項ヲ削ル
第二十六條ノ二中「二百圓」ヲ「二百四十
圓」ニ、「百分ノ六」ヲ「百分ノ十」ニ改ム
第三十條第一項第二號中「第二項」ヲ第
三項」ニ改ム
第三十二條中「五千圓」ヲ「三千圓」ニ改ム
第三十三條第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第
三項及第四項ヲ削ル
綜合所得稅ハ總所得金額ヲ左ノ各級ニ
區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用シテ之ヲ賦
課ス但シ第八條ニ規定スル利益ノ配當
及山林ノ所得ハ各他ノ所得ト之ヲ區分
シ其ノ所得ヲ五分シタル金額中六百圓
三千圓ヲ超ユル金額
五千圓ヲ超ユル金額
八千圓ヲ超ユル金額
一萬二千圓ヲ超ユル金額
二萬圓ヲ超ユル金額
三萬圓ヲ超ユル金額
五萬圓ヲ超ユル金額
八萬圓ヲ超ユル金額
十二萬圓ヲ超ユル金額
二十萬圓ヲ超ユル金額
三十萬圓ヲ超ユル金額
五十萬圓ヲ超ユル金額
第三十四條第一項中「若ハ乙種ノ退職所
得」ヲ「乙種ノ退職所得若ハ〓算取引所
得」ニ改ム
第三十六條第一項中「及乙種ノ退職所得」
ヲ「、乙種ノ退職所得及〓算取引所得」ニ改
ム
第四十三條ノ二稅務代理士ハ所得調査
委員タルコトヲ得ズ
第六十六條所得調査委員ハ自己ノ所屬
スル所得調査委員會ノ調査ニ依リ決定
セラレタル課稅標準額ニ對スル審査ノ
請求、訴願又ハ行政訴訟ニ付報酬ヲ得
テ納稅義務者ノ代理ヲ爲シ又ハ其ノ相
談ニ應ズルコトヲ得ズ
第六十九條中「稅務監督局」ヲ「財務局」ニ
改ム
第七十三條中「及乙種ノ退職所得」ヲ「、乙
種ノ退職所得及〓算取引所得」ニ改ム
第八十四條第一項中「及乙種ノ退職所得」
ヲ「、乙種ノ退職所得及〓算取引所得」ニ
ヲ超エ千圓以下ノ金額ニ對シテハ百分
ノ三ノ稅率ヲ、千圓ヲ超ニ三千圓以下
ノ金額ニ對シテハ百分ノ六ノ稅率ヲ、
三千圓ヲ超ユル金額ニ對シテハ本項ノ
稅率ヲ適用シテ算出シタル金額ヲ五倍
シタルモノヲ以テ各其ノ稅額トス
百分ノ六
百分ノ十二
百分ノ十八
百分ノ二十四
百分ノ三十
百分ノ三十六
百分ノ四十二
百分ノ四十八
百分ノ五十四
百分ノ六十
百分ノ六十六
百分ノ七十二
改ム
第百五條削除
第百六條第一項中「第二項」ヲ「第三項」
二、「百分ノ十五」ヲ「百分ノ二十五」ニ改
メ同條第四項ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ第四十三條ノ二及第六十六條ノ改
正規定ハ昭和十七年十月一日ヨリ之ヲ施
行ス
不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業
所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得及乙
種ノ退職所得ニ付テハ昭和十七年分分類所
得稅ヨリ、〓算取引所得ニ付テハ昭和十
八年分分類所得稅ヨリ、個人ノ總所得ニ
付テハ昭和十七年分綜合所得稅ヨリ本法
ヲ適用ス
第十二條第一項第九號、第十四條、第十七
條乃至第二十條又ハ第三十二條ノ改正規
定ニ依リ新ニ納稅義務ヲ有スルニ至リタ
ル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年
四月十五日迄ニ其ノ所得金額ヲ政府ニ申
告スベシ
前項ニ規定スル者又ハ第一一十五條ノ改正
規定ニ依リ新ニ扶養家族ニ付同條第一項
ノ規定ニ依ル控除ヲ受クルコトヲ得ルニ
至リタル者同項ノ規定ニ依ル控除ヲ受ケ
ントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭
和十七年四月十五日迄ニ其ノ申請書ヲ提
出スベシ
第十六條ノ改正規定ニ依リ新ニ納稅義務
ヲ有スルニ至リタル者又ハ第二十四條ノ
改正規定ニ依リ新ニ扶養家族ニ付同條第
一項ノ規定ニ依ル控除ヲ受クルコトヲ得
ルニ至リタル者同項ノ規定ニ依ル控除ヲ
受ケントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ申請書ヲ政府ニ提出スベシ
昭和十七年ニ限リ改正後ノ第十八條但書
ノ規定中六百圓トアルハ七百二十圓、同
條第一號ノ規定中三分ノ二トアルハ七·
二分ノ四、同條第二號ノ規定中控除シタ
ル金額トアルハ控除シタル金額ノ七·二
分ノ六ニ相當スル金額トス
昭和十八年ニ限リ改正後ノ第十八條但書
ノ規定中六百圓トアルハ六百三十圓、同
條第一號ノ規定中三分ノ二トアルハ六·
三分ノ四、同條第二號ノ規定中控除シタ
ル金額トアルハ控除シタル金額ノ六·三
分ノ六ニ相當スル金額トス
法人稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
法人稅法中改正法律案
法人稅法中左ノ通改正ス
第十六條第一項中「百分ノ十八」ヲ「百分
ノ二十五」ニ、「百分ノ二十八」ヲ「百分ノ
三十七」ニ改ム
第十七條第一項中「百分ノ二十」ヲ「百分
ノ二十四」ニ、「百分ノ三十」ヲ「百分ノ三
十六」ニ、「百分ノ四十」ヲ「百分ノ四十八」
ニ、「百分ノ五十」ヲ「百分ノ六十」ニ、「百
分ノ六十五」ヲ「百分ノ七十二」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
各事業年度ノ所得ニ對スル法人稅ニ付テ
ハ昭和十七年一月一日以後終了スル事業
年度分ヨリ、〓算所得ニ對スル法人稅ニ
付テハ昭和十七年一月一日以後ニ於ケル
解散又ハ今併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
所得稅法人稅內外地關涉法中改正法律
案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
所得稅法人稅內外地關涉法中改正法律
案
所得稅法人稅內外地關涉法中左ノ通改正
ス
第四條第一項ヲ左ノ如ク改ム
所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年
以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法第十
條ニ規定スル不動產所得中ニ朝鮮、臺
灣又ハ關東州ニ於ケル資產ヨリ生ズル
モノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テ
ハ同法第二十一條第一項ノ規定ニ拘ラ
ズ左ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
不動產所得ノ金額ガ六百圓ヲ超ユ
ルトキ百分ノ十三·五
二前號ノ金額ガ六百圓以下ナルトキ
百分ノ十一·五
同條第二項中「百分ノ七」ヲ「百分ノ十一」
ニ、「百分ノ四·五」ヲ「百分ノ八」ニ、同條
第四項中「百分ノ六」ヲ「百分ノ九」ニ改ム
第十條第一項中「百分ノ一一」ヲ「百分ノ四」
コンス
第十四條中「百分ノ十五」ヲ「百分ノ二十
二三六人
第二十二條第一項中「百分ノ十五」ヲ급
分ノ二十五」三段八
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
不動產所得、乙種ノ配當利子所得及事業
所得ニ對スル分類所得稅ニ付テハ昭和十
七年分ヨリ本法ヲ適用ス
家督
稅
課稅價格相續人カ地相續人ノ
家族タル直系卑層ナ
ルトキ
一萬圓以下ノ金額千分ノ十二
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ十八
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二十四
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三十
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四十
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ六十
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ八十五
十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百十
十五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百三十五
二十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百六十
三十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百八十五
四十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百十
五十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百四十
七十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百七十
百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百
二百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百三十
三百革圓ヲ超ユル金額千分ノ三百六十
五百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百
各事業年度ノ所得ニ對スル法人稅ニ付テ
ハ昭和十七年一月一日以後ニ終了スル事
業年度分ヨリ本法ヲ適用ス
相續稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
相續稅法中改正法律案
相續稅法中左ノ通改正ス
第五條ノ二中「千圓」ヲ「千五百圓」ニ改ム
第八條中稅率ヲ左ノ如ク改ム
相續
率
相續人カ被相續人ノ指定シタ相續人カ民法第力百
ルド、民法第九百八十二條ノ八十五條ノ規定ニ依
規定ニ依リ選定セラレタルリ選定セラレタル者
者被相續人ノ家族タル直系
尊國のヘハ入夫ナルトキナルトキ
千分ノ十八千分ノ二十四
千分ノ二十四千分ノ三十六
千分ノ三十六千分ノ五十
千分ノ五十千分ノ七十
千分ノ六十五千分ノ九十五
千分ノ八十五千分ノ百二十
千分ノ百五千分ノ百五十
千分ノ百三十千分ノ百八十五
千分ノ百五十五千分ノ二百二十
千分ノ百八十千分ノ二百五十五
千分ノ二百五千分ノ二百九十
千分ノ二百三十千分ノ三百二十五
千分ノ二百六十五千分ノ三百六十
千分ノ三百千分ノ三百九十五
千分ノ三百三十五千分ノ四百三十
千分ノ三百七十千分ノ四百六十五
千分ノ四百十千分ノ五百
千分ノ四百五十千分ノ五百四十
遣產
稅
課稅價格
相續人カ直系卑屬ナ
ルトキ
五千圓以下ノ金額千分ノ二十四
五千圓ヲ超ユル金額千分ノ三十六
一萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四十八
二萬圓ヲ超ユル金額千分ノ六十
三萬圓ヲ超ユル金額千分ノ七十五
四萬圓ヲ超ユル金額千分ノ九十五
五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百二十
七萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百四十五
十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ百八十
十五萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百十五
二十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百五十
三十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ二百八十五
四十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百二十
五十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ三百六十
七十萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百
百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百四十
二百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ四百九十
三百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ五百四十
五百萬圓ヲ超ユル金額千分ノ五百九十
第二十八條中「五年又ハ七年以內」ヲ「七
年又ハ十年以內」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行前開始シタル相續ニ關シテハ仍
從前ノ例ニ依ル但シ第八條ノ改正規定ハ
隱居ニ因リ開始シタル家督相續ニ在リテ
ハ昭和十七年一月一日以後ニ開始シタル
モノ、第二十三條第一項ニ規定スル贈與
ニ在リテハ同日以後ニ爲シタルモノニ付
之ヲ適用ス
相續
率
相續人カ配偶者又ハ相續人カ其ノ他ノ者
直系尊屬ナルトキナルトキ
千分ノ三十六千分ノ四十八
千分ノ四十八千分ノ七十二
千分ノ六十千分ノ九十六
千分ノ八十五千分ノ百二十
千分ノ百十千分ノ百四十五
千分ノ百三十五千分ノ百七十
千分ノ百六十千分ノ百九十五
千分ノ百八十五千分ノ二百二十
千分ノ二百二十千分ノ二百五十
千分ノ二百五十五千分ノ二百八十五
千分ノ二百九十千分ノ三百二十
千分ノ三百二十五千分ノ三百五十五
千分ノ三百六十千分ノ三百九十
千分ノ四百千分ノ四百三十
千分ノ四百四十千分ノ四百七十
千分ノ四百八十千分ノ五百十
千分ノ五百三十千分ノ五百六十
千分ノ五百八十千分ノ六百十
千分ノ六百三十千分ノ六百六十
織物消費稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
織物消費稅法中改正法律案
織物消費稅法中左ノ通改正ス
第二條中「百分ノ十」ヲ「百分ノ十五」ニ改
ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
物品稅法中改正法律案
右政府提出案大院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
物品稅法中改正法律案
物品稅法中左ノ通改正ス
第二條中「五錢」ヲ「十錢」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
燐寸ノ製造者又ハ販賣者ガ本法施行ノ際
製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ百
萬本以上ノ燐寸ヲ所持スル場合ニ於テハ
其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以
テ製造者ト看做シ之ニ物品稅ヲ課ス此ノ
場合ニ於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ燐
寸ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ
千本ニ付五錢ノ割合ニ依リ算出シタル金
額ヲ其ノ稅額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ
之ヲ徴收ス
前項ノ製造者又ハ販賣者ハ其ノ所持スル
燐寸ノ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後一
月以内ニ政府ニ申〓スベシ
電氣瓦斯稅法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
電氣瓦斯稅法案
電氣瓦斯稅法
第一條左ニ揭グル電氣又ハ瓦斯ニハ其
ノ使用者ニ對シ本法ニ依リ電氣瓦斯稅
コット
一住宅ノ用ニ使用スルモノ
二旅館業、料理店業、席貸業其ノ他
此等ニ類スル營業ニシテ命令ヲ以テ
定ムルモノノ用ニ使用スルモノ
三劇場、映書館、演藝場、觀物場(相
撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニシテ
公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的トス
ルモノヲ開催スル場所ヲ含ム)其ノ
他一定ノ催物又ハ設備ヲ爲シ公衆ノ
觀覽又ハ遊戲ニ供スル場所ニシテ命
令ヲ以テ定ムルモノノ用ニ使用スル
モノ
四撞球場、麻雀場其ノ他命令ヲ以テ
定ムル遊技場ノ用ニ使用スルモノ
五倶樂部、會館其ノ他名稱ノ何タル
ヲ問ハズ會員其ノ他命令ヲ以テ定ム
ル者ノ親睦ヲ圖リ又ハ其ノ慰安若ハ
娛樂ノ用ニ供スル場所ノ用ニ使用ス
ルモノ
六前各號ノ外照明ノ用又ハ命令ヲ以
テ定ムル機械、器具若ハ裝置ノ用ニ
使用スルモノ
第二條共同住宅又ハ貸事務所ノ經營者
其ノ他家屋ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ貸付
スル者ガ電氣真業者又ハ瓦斯事業者ヨ
リ供給ヲ受クル電氣又ハ瓦斯ヲ家屋ノ
借主ニ使用セシムルトキハ其ノ電氣又
ハ瓦斯ハ之ヲ其ノ借主ガ使用スル用途
ニ常該貸主ガ使用スルモノト看做ス
電氣事業者ガ料金ヲ領收セズシテ他人
ニ電氣ヲ使用セシムルトキ又ハ瓦斯事
業者ガ料金ヲ領收セズシテ他人ニ瓦斯
ヲ使用セシムルトキハ其ノ電氣又ハ瓦
斯ハ之ヲ其ノ他人ガ使用スル用途ニ當
該電氣車業者又ハ瓦斯事業者ガ使用ス
ルモノト看做ス
電氣事業者ニ非ザル者ガ自ラ發電スル
電氣ヲ電氣事業者ニ非ザル者ニ使用セ
シムルトキハ其ノ電氣ハ之ヲ其ノ電氣
事業者ニ非ザル者ガ使用スル用途ニ當
該發、電者ガ使用スルモノト看做ス
第三條組合又ハ共同事業ニ依リ組合員
又ハ共同事業者ニ對シ電氣ヲ供給スル
事業又ハ瓦斯ヲ導管ニ依リ供給スル事
業ハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ電氣事業
又ハ瓦斯事業ト看做ス但シ組合員又ハ
共同事業者ヨリ料金ヲ領收セザルモノ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第四條左ニ揭グル者ニハ電氣瓦斯稅ヲ
課セズ
國北海道、府縣、市町村其ノ他
命令ヲ以テ指定スル公共團體
二神社及法人タル宗〓團體
第五條左ニ揭グル電氣又ハ瓦斯ニハ電
氣瓦斯稅ヲ課セズ
一農業(畜產業、養蠶業及林業ヲ含
-
受クル電氣又ハ瓦斯ヲ使用スル場合
料金ノ百分ノ十
二
三電氣事業者ニ非ザル者ガ自ラ發電スル電氣ヲ使用スル場合
前項ノ料金又ハ出力ノ算定ニ關シテハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條本法ニ於テ料金トハ電氣料、瓦
斯料、基本料其ノ他名義ノ何タルヲ問
ハズ電氣又ハ瓦斯ノ使用ニ付電氣事業
者又ハ瓦斯事業者ニ支拂フベキ金額ヲ
謂フ
第八條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ
電氣瓦斯稅ヲ課セズ
同一ノ需用場所ニ於テ使用スル電氣
ノ料金ガ一月三圓ニ滿タザルトキ
二同一ノ需用場所ニ於ケル定額制ニ
依ル電燈又ハラヂオノ取付數ガ四個
以下ニシテ其ノ總燭光數又ハ其ノ總
容量ガ命令ヲ以テ定ムル燭光數又ハ
容量以下ナルトキ但シ定額制ニ依ル
電燈又ハラヂオ以外ノ用途ニ電氣ヲ
使用スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
三同一ノ場所ニ於テ使用スル發電機
ノ出力ガ十分ノ三キロワツトニ滿タ
ム)、水產業、鑛業(砂鑛業及土石採
取業ヲ含ム)、工業(土木建築業、電氣
供給業、瓦斯供給業及水道業ヲ含
ム)、交通業又ハ倉庫業ヲ營ム者ガ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ノ用ニ
使用スルモノ
二私立ノ幼稚園又ハ學校ガ保育又ハ
〓育ノ用ニ使用スルモノ
三公衆ノ用ニ使用スルモノ
四其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ使
用スルモノ
第六條電氣瓦斯稅ハ左ノ區別ニ依リ之
ヲ課ス
電氣事業者又ハ瓦斯事業者ニ非ザル者ガ電氣事業者又ハ瓦斯事業者ヨリ供給ヲ
電氣事業者ガ電氣ヲ使用スル場合又ハ瓦斯事業者ガ瓦斯ヲ使用スル場合
其ノ使用スル電氣又ハ瓦斯ニ對シ通常支拂フベキ料金ノ百分ノ十
發電機ノ出力一キロワツト又ハ其ノ端數ニ付
每年十二圓
ザルトキ
四同一ノ需用場所ニ於テ使用スル瓦
斯ノ料金ガ一月三圓ニ滿タザルトキ
五同一ノ需用場所ニ於ケル瓦斯器具
取付用ノカラン又ハコックノ孔口數
ガ二個以下ニシテ其ノ口徑ガ各八分
ノ三吋以下ナル場合ニ於テ瓦斯ヲ專
ラ住宅ノ炊事用ニ使用スルトキ但シ
命令ヲ以テ定ムル器具ニ依リ瓦斯ヲ
使用スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
料金ガ一月ニ滿タザル期間又ハ一月ヲ
超ユル期間ニ依リ支拂ハルル場合ニ於
ケル一月ノ料金ノ算定ニ關シテハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第九條電氣事業者又ハ瓦斯事業者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ每月分ノ電氣又ハ
瓦斯ノ使用量ヲ記載シタル申〓書ヲ翌
月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
電氣事業者ニ非ザル者ニシテ自ラ發電
スル電氣ヲ使用スルモノハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ發電機ノ出力ヲ記載シ
タル申〓書ヲ每年一月末日迄ニ政府ニ
提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第十條第六條第一項第一號ニ該當スル
場合ノ電氣瓦斯稅ハ電氣事業者又ハ瓦
斯事業者料金領收ノ際之ヲ徵收シ翌月
末日迄ニ政府ニ納ムベシ
第六條第一項第二號ニ該當スル場合ノ
電氣瓦斯稅ハ電氣事業者又ハ瓦斯專業
者每月使用シタル電氣又ハ瓦斯ニ對ス
ル分ヲ翌月末日迄ニ政府ニ納ムベシ
第六條第一項第三號ニ該當スル場合ノ
電氣瓦斯稅ハ其ノ年分ヲ電氣事業者ニ
非ザル者ニシテ自ラ發電スル電氣ヲ使
用スルモノ每年二月末日迄ニ政府ニ納
ムベシ
第十一條電氣事業者又ハ瓦斯事業者料
金ヲ領收セザル爲命令ヲ以テ定ムル期
間內ニ電氣瓦斯稅ヲ徵收セザルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ政府ニ申〓
スベシ
前項ノ場合ニ於テハ電氣瓦斯稅ハ政府
ニ於テ之ヲ徵收ス
第十二條本法ノ適用ニ付テハ被相續人
ノ使用シタル電氣又ハ瓦斯ハ之ヲ相續
人ノ使用シタルモノト看做シ合併ニ因
リテ消滅シタル法人ノ使用シタル電氣
又ハ瓦斯ハ之ヲ合併後存續スル法人又
ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ使用
シタルモノト看做ス
第十三條電氣事業又ハ瓦斯事業ノ許可
ヲ受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ旨ヲ政府ニ申告スベシ其ノ事業ヲ
廢止シタルトキ亦同ジ
第十四條電氣車業者又ハ瓦斯事業者ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關ス
ル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
電氣事業者又ハ瓦斯事業者ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ
政府ニ申〓スベシ
第十五條第十條第一項ノ規定ニ依リ徵
收スベキ電氣瓦斯稅ヲ徵收セザルトキ
又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザル
トキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ其ノ徵
收義務者ヨリ徵收ス
第十六條政稅官吏ハ調査上必要アルト
キハ電氣重業者又ハ瓦斯重業者ニ對シ
質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿
書類ヲ檢査スルコトヲ得
收稅官吏ハ調査上必要アルトキハ納稅
義務者又ハ納稅義務アリト認ムル者ニ
對シ質問ヲ爲シ又ハ電氣事業者ニ非ザ
ル者ニシテ自ラ發電スル電氣ヲ使用ス
ルモノノ發電機ヲ檢査スルコトヲ得
第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十四條第一項ノ規定ニ依ル帳簿
ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱
匿シタル者
二第十一條第一項又ハ第十四條第二
項ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又ハ詐リ
タル者
三前條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問
ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述
ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、
妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十八條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
電氣瓦斯稅ヲ浦脫シタル者ハ其ノ浦脫
シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ
科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徴收ス但シ
白首シ又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ
其ノ罪ヲ問ハズ
第十九條前條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法
第三十八條第三項但書、第三十九條第
二項、第四十條、第四十一條、第四十八
條第二項、第六十三條及第六十六條ノ
規定ヲ適用セズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但
シ第六條第二項ノ規定ハ公布ノ日ヨリ之
ヲ施行ス
第六條第一項第一號又ハ第二號ニ該當ス
ル場合ノ電氣瓦斯稅ハ本法施行後使用ス
ル電氣又ハ瓦斯ニ對スル分ヨリ之ヲ徵收
ス
昭和十七年ニ限リ第六條第一項第三號中
十二圓トアルハ九圓、第九條第二項中每
年一月末日迄トアルハ本法施行後一月以
内、第十條第三項中每年二月末日迄トア
ルハ五月末日迄トス
本法施行前ヨリ引續キ電氣事業又ハ瓦斯
事業ヲ營ム者ハ本法施行後一月以內ニ其
ノ旨ヲ政府ニ申〓スベシ
廣告稅法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議時議長田子良
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
廣告稅法案
廣告稅法
第一條左ニ揭グル廣〓ニハ本法ニ依リ
廣告稅ヲ課ス
第一種
新聞紙、雜誌、書籍其ノ他ノ出
版物ニ依ル廣〓但シ第一一號、第三
號又ハ第二種第一號乃至第三號ニ
該當スルモフヲ除ク
二汽車、電車、自動車、汽船其ノ
他ノ交通運輸機關又ハ交通運輸業
ノ設備ニ依ル廣告但シ第二種第三
號ニ該當スルモノヲ除ク
三映畫、入場劵、乘車船劵、氣球其
ノ他命令ヲ以テ定ムルモノニ依ル
廣告
第二種
立看板、掛看板、幟旗又ハ此
等ニ類スルモノニ依ル廣〓但シ第
一種第二號ニ該當スルモノヲ除ク
二ポスターニ依ル廣〓但シ第一種
第二號ニ該當スルモノヲ除ク
三チラシ其ノ他命令ヲ以テ定ムル
モノニ依ル廣告
四建植看板、野立看板、額面廣〓
第一種ノ廣〓廣〓ノ料金ノ百分ノ十
第二種ノ廣〓
第一號ノ廣〓一個ニ付
第二號ノ廣〓一個ニ付
第三號ノ廣〓
チラシ千個又ハ其ノ端數ニ付
其ノ他千個又ハ其ノ端數ニ付
第四號ノ廣〓
年ノ中途ニ於テ第二種第四號ノ廣〓ヲ
聞始シタル場合ニ於テハ其ノ年分ノ廣
告稅ハ月割ヲ以テ之ヲ計算ス
第三條前條ノ廣〓ノ料金トハ廣〓料、印
刷料、揭示料、使用料、手數料其ノ他名
義ノ何タルヲ問ハズ廣〓ヲ爲ス者ガ廣〓
ノ對價トシテ取得スベキ金額ヲ謂フ
自己ノ爲ニ廣〓ヲ爲ス場合又ハ他人ノ
爲無料若ハ特ニ低額ノ料金ヲ以テ廣告
ヲ爲ス場合ニ於ケル廣〓ノ料金ハ其ノ
廣〓ノ對價トシテ通常取得シ得ベキ金
額ニ依ル
第四條左ニ揭グル廣〓ニハ廣〓稅ヲ課
セズ
國、北海道、府縣、市町村其ノ他
命令ヲ以テ指定スル公共團體ガ廣告
主タルモノ
二神社及法人タル宗〓團體ガ廣告主
タルモノ
三法令ニ依ルモノ
四公ノ選擧ニ關スルモノ
又ハ此等ニ類スルモノ其ノ他命令
ヲ以テ定ムルモノニ依ル廣〓但シ
第一種第二號ニ該當スルモノヲ除
第二條廣〓稅ノ稅率左ノ如シ
二十錢
廣〓ノ面積一坪ヲ超ユルトキハ一個ニ付五十錢
十錢
二十錢
五十錢
廣〓ノ面積一坪又ハ其ノ端數ニ付每年
二圓
五其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノ
第五條第一種ノ廣〓ニ對スル廣〓稅ハ
廣告ヲ爲ス者ヨリ、第二種第三號ノ廣
告ニ對スル廣〓稅ハ同號ニ揭グルモノ
ヲ作製スル者ヨリ、第二種第四號ノ廣
告ニ對スル廣〓稅ハ廣〓主ヨリ之ヲ徵
收ス
第六條第一種ノ廣告ヲ爲ス者ハ每月其
ノ爲シタル廣告ニ付其ノ種類每ニ廣〓
ノ料金ヲ記載シタル申〓書ヲ、第二種
第三號ニ掲グルモノヲ作製スル者ハ每
月其ノ作製シタルモノニ付其ノ種類每
ニ數量ヲ記載シタル申〓書ヲ翌月十日
迄ニ政府ニ提出スベシ
第二種第四號ノ廣〓ヲ爲サントスル廣
告主ハ其ノ廣〓ニ付一個每ニ廣〓ノ面
積ヲ記載シタル申〓書ヲ豫メ政府ニ提
出スベシ
第二種第四號ノ廣〓ヲ翌年ニ亘リ繼續
セントスル廣〓主ハ其ノ廣告ニ付一個
每ニ廣〓ノ面積ヲ記載シタル由〓書ヲ
其ノ年十二月末日迄ニ政府ニ提出スベ
シ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第七條第一種及第二種第三號ノ廣〓ニ
對スル廣〓稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ
納付スベシ
第二種第四號ノ廣〓ニ對スル廣〓稅ハ
廣告主ガ前條第二項ノ規定ニ依リ申〓
ヲ爲ス際其ノ年分ヲ、同條第三項ノ規
定ニ依リ申〓ヲ爲ス際翌年分ヲ納付ス
ベシ
第八條第二種第一號又ハ第二號ノ廣〓
ニ對スル廣〓稅ハ廣〓主廣告ニ印紙ヲ
貼用シテ之ヲ納ムベシ但シ廣〓稅額ニ
相當スル現金ヲ政府ニ納付シテ納稅濟
證印ノ押捺ヲ受ケ印紙貼用ニ代フルコ
トヲ得
第九條第一種若ハ第二種ノ廣告ヲ爲ス
業ヲ營マントスル者、第一種若ハ第二
種ノ廣〓ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營マント
スル者又ハ第二種第三號ニ揭グルモノ
ノ作製ヲ爲ス業ヲ營マントスル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ營業所每ニ政府ニ
申〓スベシ其ノ營業ヲ廢止セントスル
トキ亦同ジ
第十條第一種若ハ第二種ノ廣〓ヲ爲ス業
ヲ營ム者、第一種若ハ第二種ノ廣〓ニ
付取次ヲ爲ス業ヲ營ム者又ハ第二種第
三號ニ揭グルモノノ作製ヲ爲ス業ヲ營
ム者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ營業
ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載シ又ハ必要
ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第二種第四號ノ廣〓ノ廣告主ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ其ノ廣〓ニ付必要ナル
事項ヲ政府ニ申〓スベシ
第十一條收稅官吏ハ第一種若ハ第二種
ノ廣告ヲ爲ス業ヲ營ム者、第一種若ハ
第二種ノ廣〓ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營ム
煮第二種第三號ニ揭グルモノノ作製
ヲ爲ス業ヲ營ム者又ハ第二種第四號ノ
廣〓ノ廣〓主ニ對シ廣〓ニ關シ質問ヲ
爲シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査
スルコトヲ得
收稅官吏ハ廣〓ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第十二條廣〓主第八條ノ規定ニ依リ廣
〓ニ印紙ヲ貼用スルトキハ廣〓面ト印
紙ノ彩紋トニカケテ自己ノ印章又ハ署
名ヲ以テ判明ニ之ヲ消スベシ
第十三條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
廣告稅(第二種第一號又ハ第一一號ノ廣
告ニ對スル廣〓稅ヲ除ク)ヲ逋脫シ又
ハ浦脫セントシタル者ハ其ノ通脫シ又
ハ浦脫セントシタル稅金ノ五倍ニ相當
スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ
之ヲ二十圓トス
第十四條第二種第一號又ハ第二號ノ廣
告ニ相當印紙ヲ貼用セズ又ハ第八條但
書ノ規定ニ依リ納稅濟證印ノ押捺ヲ受
ケザル者ハ廣〓一個每ニ脫稅高二十倍
ノ科料ニ處ス但シ科料額ガ五圓ニ滿タ
ザルトキハ之ヲ五圓トス
第十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第六條第一項乃至第三項ノ規定ニ
依ル申〓ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申告セズシテ第一種ノ廣〓
ヲ爲ス業ヲ營ミ又ハ第一一種第三號ニ
揭グルモノノ作製ヲ爲ス業ヲ營ミタ
ル者
三政府ニ申告セズシテ第二種ノ廣〓
ヲ爲ス業ヲ營ミ又ハ第一種若ハ第二
種ノ廣〓ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營ミタ
ル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ廣〓稅ヲ徵收ス
第十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ
記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿
シタル者
二第十條ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又
ハ詐リタル者
三第十一條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ
質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ
陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十七條第十二條ノ規定ニ違反シ廣〓
ニ貼用シタル印紙ヲ消サザル者ハ廣〓
一個每ニ四圓ノ科料ニ處ス
第十八條第十四條又ハ前條ノ罪ヲ犯シ
タル者ニハ刑法第三十八條第一項ノ規
定ヲ適用セズ第十三條、第十四條又ハ
前條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十
八條第三項但書、第三十九條第二項、
第四十條、第四十一條、第四十八條第
二項、第六十三條及第六十六條ノ規定
ヲ適用セズ
第十九條第一種若ハ第二種ノ廣〓ニ付
納稅ノ義務アル者、第二種ノ廣〓ヲ爲
ス業ヲ營ム者、又ハ第一種若ハ第二種
ノ廣告ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營ム者ノ代
理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ
他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯
シタルトキハ其ノ第一種若ハ第二種ノ
廣告ニ付納稅ノ義務アル者、第二種ノ
廣〓ヲ爲ス業ヲ營ム者又ハ第一種若ハ
第二種ノ廣〓ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營ム
者ヲ處罰ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ヨリ引續キ第一種若ハ第二種
ノ廣〓ヲ爲ス業ヲ營ム者、第一種若ハ第
二種ノ廣〓ニ付取次ヲ爲ス業ヲ營ム者又
ハ第二種第三號ニ揭グルモノノ作製ヲ爲
ス業ヲ營ム者本法施行後一月以內ニ其ノ
旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本法施行ノ日
ニ於テ本法ニ依リ申〓シタルモノト看做
ス
本法施行前ヨリ引續キ爲ス第二種第一號
又ハ第二號ノ廣〓ニ付テハ本法施行ノ日
ヨリ十日以內ニ廣〓ニ相當印紙ヲ貼用ス
ベシ
本法施行前ヨリ引續キ爲ス第二種第四號
ノ廣〓ノ廣〓主ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
本法施行後二月以內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申
告シ昭和十七年分ノ廣〓稅ヲ納付スベシ
前項ノ場合ニ於テ第二種第四號ノ廣〓ニ
對スル廣〓稅ハ第二條ニ規定スル稅額ノ
四分ノ三トス
馬券稅法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子良
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
馬劵稅法案
馬劵稅法
第一條競馬法ニ依ル競馬又ハ軍馬資源
保護法ニ依ル鍛鍊馬競走ヲ開催スル者
ニハ本法ニ依リ馬劵稅ヲ課ス
第二條馬劵稅ハ競馬法ニ依ル勝馬投票
劵又ハ軍馬資源保護法ニ依ル優等馬票
ノ發行ニ依リ得タル金額及其ノ勝馬投
票劵又ハ優等馬票ノ購買者ニ拂戾スベ
エキ金額ヨリ命令ヲ以テ定ムル金額ヲ控
除シタル金額ニ付之ヲ課ス
第三條馬劵稅ノ稅率左ノ如シ
-勝馬投票劵ノ發行ニ依リ得タル金
額ノ百分ノ七
優等馬票ノ發行ニ依リ得タル金額ノ
百分ノ四
二勝馬投票劵ノ購買者ニ拂戾スベキ
金額ヨリ命令ヲ以テ定ムル金額ヲ控
除シタル金額ノ百分ノ二十
優等馬票ノ購買者ニ拂戾スベキ金額
ヨリ命令ヲ以テ定ムル金額ヲ控除シ
タル金額ノ百分ノ十
第四條競馬法ニ依ル競馬又ハ軍馬資源
保護法ニ依ル鍛鍊馬競走ヲ開催スル者
ハ競馬又ハ鍛鍊馬競走終了後直ニ第二
條ノ金額ヲ記載シタル申告書ヲ政府ニ
提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ
申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ
其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第五條馬劵稅ハ競馬又ハ鍛鍊馬競走終
了後二十日以內ニ納付スベシ
第六條競馬法ニ依ル競馬又ハ軍馬資。源
保護法ニ依ル鍛鍊馬競走ヲ開催スル者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關
スル事項ヲ帳簿ニ記載シ又ハ必要ナル
事項ヲ政府ニ申告スベシ
第七條收稅官吏ハ競馬法ニ依ル競馬又
ハ軍馬資源保護法ニ依ル鍛鍊馬競走ヲ
開催スル者ニ對シ業務ニ關シ質問ヲ爲
シ又ハ帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
第八條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ馬
劵稅ヲ通脫シ又ハ通脫セントシクル者
ハ其ノ通脫シ又ハ逋脫セントシタル稅
金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其
ノ稅金ヲ徴收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ
滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第九條第四條第一項ノ規定ニ依ル申〓
ヲ怠リ又ハ詐リタル者ハ三百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス
第十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百
圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一第六條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ
怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル
者
二第六條ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又
ハ詐リタル者
三第七條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質
問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳
述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、
妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十一條第八條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ
刑法第三十八條第三項但書、第三十九
條第二項、第四十條、第四十一條、第
四十八條第二項、第六十三條及第六十
六條ノ規定ヲ適用セズ
-不動產、鐵道財團、軌道財
團自動車交通事業財團又ハ
船舶ノ所有權移轉ニ關スル證
書
二消費貸借ニ關スル證書
三請負ニ關スル證書
四運送ニ關スル證書
五傭船契約書
同條同項第七號中「二錢」ヲ「三錢」ニ、第
八號乃至第三十二號中「三錢」ヲ「五錢」
ニ、第三十三號中「五錢」ヲ「十錢」ニ、第
三十四號中「五十錢」ヲ「一圓」ニ改ム
第十一條中「三圓」ヲ「五圓」ニ改ム
第十三條中「二圓」ヲ「四圓」ニ改ム
第十四條中「第三十八條第三項但書」ヲ
「第三十八條第一項、第三項但書」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前作成シタル證書又ハ帳簿ノ印
紙稅ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
明治四十年法律第二十一號第一條第一項
ニ左ノ二號ヲ加フ
二十一馬劵稅
二十二廣告稅
印紙稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
印紙稅法中改正法律案
印紙稅法中左ノ通改正ス
第四條第一項第一號乃至第五號ヲ左ノ如
ク改ム
記載金高五十圓以下ノモノ三錢
同百圓以下ノモノ五錢
同五百圓以下ノモノ二十錢
同千圓以下ノモノ四十錢
同一萬圓以下ノモノ1圓
同十萬圓以下ノモノ五圓
同十萬圓ヲ超ユルモノ十圓
記載金高ナキモノ五錢
臨時利得稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時利得稅法中改正法律案
臨時利得稅法中左ノ通改正ス
第三條第三號ヲ左ノ如ク改ム
三不動產、不動產上ノ權利(永小作
權又ハ地上權ノ設定其ノ他他人ヲシ
テ不動產又ハ不動產上ノ權利ヲ使用
セシムル一切ノ場合ヲ含ム以下同
ジ)、船舶(製造中ノ船舶ヲ含ム以下
同ジ)又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル
權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル個人ノ利
得(讓渡利得ト稱ス以下同ジ)
第十一條ノ二第一項及第二項ヲ左ノ如ク
改ム
讓渡利得ハ不動產、不動產上ノ權利、
船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利
若ハ設備ノ讓渡ニ因ル前年中ノ總收入
金額ヨリ取得價額、設備費、改良費及
讓渡ニ關スル必要ノ經費ヲ控除シタル
金額ニ依ル
不動產、不動產上ノ權利、船舶又ハ鑛
業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ニ
シテ昭和十一年十二月三十一日以前ニ
取得シタルモノニ付テハ同日ニ於ケル
價額ニ其ノ百分ノ五ニ相當スル金額ヲ
加算シタル金額ヲ以テ前項ノ取得價額
トシ同日後ニ爲シタル設備又ハ改良ニ
要シタル費用ノミヲ以テ前項ノ設備費
又ハ改良費トス
第十一條ノ三中「二千圓」ヲ「五千圓」ニ改
ム
第十四條法人ノ臨時利得稅ハ法人ノ利
得ヲ左ノ部分ニ區分シ各部分ニ付左ノ
稅率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シ
タル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金
額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乘
ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ
成ル部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ三十五
二利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジ
テ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度
ノ資本金額ニ年百分ノ一一十ノ割合ヲ
乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨ
リ成ル部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ五十五
三利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ年百分ノ二十ノ割合ヲ乘ジテ算出
cシタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本
金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ
算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル
部分ノ利得
利得金額ノ百分ノ六十五
四利益金額中現事業年度ノ資本金額
ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出
シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部
分ノ利得
利得金額ノ百分ノ七十五
法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一
月一日以後ニ終了シタル場合ニ於テ當
該法人ノ現事業年度ノ積立金額ガ現事
業年度ノ拂込株式金額、出資金額、基
金又ハ醵金ニ百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジ
テ算出シタル金額ニ滿タザルトキハ前
項第二號ノ利得中現事業年度ノ拂込株
式金額、出資金額、基金又ハ醵金ニ百
分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額
ヨリ現事業年度ノ積立金額ヲ控除シタル
殘額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シ
タル金額ニ相當スル金額ヨリ成ル部分ノ
金額ニ限リ前項ニ規定スル稅率百分ノ五
十五ハ之ヲ百分ノ四十五トス但シ合併ニ
因リテ設立シタル法人又ハ合併後存續ス
ル法人ニ在リテハ當該合併ニ因リテ消滅シ
タル法人中第一次事業年度ガ昭和十一
年十二月三十一日以前ニ終了シタルモ
ノアル法人ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ本法施行地ニ本店又ハ主
タル事務所ヲ有セザル法人ニ付テハ之
ヲ適用セズ
現事業年度ノ資本金額十萬圓以下ナル
法人ニ限リ第一項ニ規定スル稅率百分
ノ三十五ハ之ヲ百分ノ二十五トシ同百
分ノ五十五ハ之ヲ百分ノ四十五トシ同
百分ノ六十五ハ之ヲ百分ノ五十五トシ
同百分ノ七十五ハ之ヲ百分ノ六十五ト
シ第二項ニ規定スル稅率百分ノ四十五
ハ之ヲ百分ノ三十五トス
第二項ニ規定スル法人ノ現事業年度ノ
拂込株式金額、出資金額、基金、醵金
一營業利得
二讓渡利得
利得ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ適用ス
十萬圓以下ノ金額
十萬圓ヲ超ユル金額
三十萬圓ヲ超ユル金額
第十六條納稅義務アル個人ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ利得
金額ヲ政府ニ申〓スベシ
第十七條中「營業利得金額」ヲ「個人ノ利
得金額」ニ、「營業利得」ヲ「個人ノ利得」
ニ改メ同條第四項ヲ削ル
第十八條中「營業利得」ヲ「個人ノ利得」ニ
改ム
第二十六條第二項中「營業利得」ヲ「個人
ノ利得」ニ改メ同條第三項ヲ削ル
第二十七條第二項中「營業利得」ヲ「個人
ノ利得」ニ改ム
附則第二項ヲ左ノ如ク改ム
本法ニ依ル臨時利得稅ノ賦課ハ法人ニ
付テハ大東亞戰爭終了ノ年ノ翌年十二
月三十一日迄ニ終了スル事業年度分限
リ、個人ニ付テハ大東亞戰爭終了ノ年
ノ翌年分限リトス
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十七年一月
一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、營業
利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十七
年分ヨリ、讓渡利得ニ對スル臨時利得稅ニ
又ハ積立金額ハ各月末ニ於ケル拂込株
式金額、出資金額、基金、醵金又ハ積
立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
第十四條ノ二第一項但書中「年百分ノ二
十」ヲ「年百分ノ十五」ニ改ム
第十四條ノ五個人ノ臨時利得稅ハ左ノ
稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
利得金額ノ百分ノ三十五
利得金額ノ百分ノ二十五
利得金額ノ百分ノ四十
利得金額ノ百分ノ五十五
付テハ昭和十八年分ヨリ本法ヲ適用ス
昭和十六年十二月三十一日以前ノ船舶
(製造中ノ船舶ヲ含ム)又ハ鑛業若ハ砂鑛
業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル個
人ノ利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ仍
從前ノ例ニ依ル
特別法人稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
特別法人稅法中改正法律案
特別法人稅法中左ノ通改正ス
第二條第五號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
五ノ二森林組合及森林組合聯合會
(所屬ノ組合員、組合又ハ聯合會ヲ
シテ出資ヲ爲サシメザルモノヲ除
ク)
第九條中「百分ノ六」ヲ「百分ノ十二·五」
ニュル
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法ハ昭和十七年一月一日以後終了スル
事業年度分ヨリ之ヲ適用ス
營業稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
營業稅法中改正法律案
營業稅法中左ノ通改正ス
第七條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
法人ノ〓算期間中ニ納付シタル分類所
得稅ニシテ法人稅法第十六條ノ規定ニ
依リ其ノ額ヲ〓算所得ニ對スル法人稅
額ヨリ控除スベキモノハ第一項ノ〓算
純益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
第十四條中「地租額」ノ下ニ「又ハ家屋稅
額」ヲ、「土地」ノ下ニ「又ハ家屋」ヲ、「地
租」ノ下ニ「又ハ家屋稅」ヲ加フ
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ各事業年度ノ純益ニ對スル營業稅
ニ付テハ昭和十七年一月一日以後終了ス
ル事業年度分ヨリ、〓算純益ニ對スル營業
稅ニ付テハ昭和十七年一月一日以後ニ於ケ
ル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ、個人ノ營業
稅ニ付テハ昭和十八年分ヨリ本法ヲ適用ス
臨時租稅措置法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時租稅措置法中改正法律案
臨時租稅措置法中左ノ通改正ス
第一條中「〓〓税、」ノ下ニ「酒稅、」ヲ加ヘ
「又ハ免除ス」ヲ「若ハ免除シ又ハ其ノ課
稅標準ノ計算ニ關スル特例ヲ設ク」ニ改
ム
第一條ノ二中「十分ノ三」ヲ「十分ノ一」ニ、
「百分ノ三·六」ヲ「百分ノ七·五」ニ改ム
第一條ノ四ニ左ノ一號ヲ加フ
四命令ヲ以テ指定スル價格平衡資金
ヘノ繰入金
第一條ノ八中「百分ノ十」ヲ「百分ノ十五」
ニ、「百分ノ六」ヲ「百分〉十」ニ改ム
第一條ノ九命令ヲ以テ定ムル預金、貯
金公債若ハ社債又ハ合同運用信託ノ
利子又ハ利益ニシテ個人ノ受クルモノ
ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ利子又
ハ利益金額ノ百分ノ一乃至百分ノ五ニ
相當スル甲種ノ配當利子所得ニ對スル
分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十元本ノ償還及利息ノ支拂ニ
付政府ノ保證アル社債ノ利子ニ付テハ所
得稅法第二十一條ニ規定スル稅率百分
ノ十五ヲ百分ノ十四、同法第二十二條
ニ規定スル稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ
二十一トシタル場合ノ差減額ニ相當ス
ル甲種ノ配〓利子所得ニ對スル分類所
得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十一金融機關ニ對スル金融機
關ノ預金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ
甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得
稅ヲ免除ス
第一條ノ十二貯蓄銀行法第九條第一項
ノ規定ニ依リ貯蓄銀行ノ供託シタル公
債及社債ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル
所ニ依リ第一條ノ十及所得稅法第二十
一條第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ
依リ分類所得稅ヲ賦課ス
國債ノ利子ニ付テハ百分ノ三
二國債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百
分ノ十一
三社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二但
シ第一條ノ十ニ規定スル社債ノ利子
ニ付テハ百分ノ十一
第一條ノ十三明治三十九年法律第三十
四號又ハ社債等登錄法ニ依リ銀行(日
本銀行ヲ除ク)其ノ他命令ヲ以テ定ム
ル金融機關ノ登錄シタル公債及社債ノ
利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ第
一條ノ十及所得稅法第二十一條第一項
ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ分類所
得稅ヲ賦課ス
國債ノ利子ニ付テハ百分ノ五但シ
命令ヲ以テ定ムル銀行ノ登錄シタル
國債ノ利子ニ付テハ百分ノ四
二國債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百
分ノ十二
三社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十三但
シ第一條ノ十ニ規定スル社債ノ利子
ニ付テハ百分ノ十二
第一條ノ十四所得稅法施行地ニ本店又
ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受ク
ル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分
配ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅法第二
十一條ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ百
分ノ十三、同法第二十二條ニ規定スル
稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ二十トシタ
ル場合ノ差減額ニ相當スル甲種ノ配當
利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十五甲法人ガ國家總動員法其
ノ他ノ法令ニ依リ當該法令ニ基キテ設
立セラレタル乙法人ト爲リ又ハ之ニ吸
收セラレタルトキハ所得稅法、法人稅
法營業稅法及臨時利得稅法ノ適用ニ
關シテハ甲法人ハ合併ニ因リテ消滅シ
タル法人ト看做シ乙法人ハ合併ニ因リ
テ設立シタル法人ト看做ス
第一條ノ十六法人ノ爲シタル寄附金
(命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)中命令
ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ超
過スル部分ノ金額ニ付テハ法人稅法ニ
依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時
利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金
ニ算入セズ
政府ニ於テ必要アリト認ムルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ寄附金審査委員會
ノ諮問ヲ經テ前項ノ超過金額ニ對シテ
課セラルベキ所得ニ對スル法人稅ヲ免
除スルコトヲ得
客附金審査委員會ニ關スル規程ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第一條ノ十七法令、法令ニ基ク命令又
ハ行政官廳ノ指導若ハ幹旋ニ依リ昭和
十六年十一月一日以後昭和十八年三月
三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併
又ハ解散シタル拂込資本金額百萬圓以
下ノ法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
ノ〓算所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ
依リ改正前ノ法人稅法第十六條ニ規定
スル稅率百分ノ十八又ハ改正後ノ同條
ニ規定スル稅率百分ノ二十五ヲ百分ノ
十五トシタル場合ノ差減額ニ相當スル
法人稅ヲ輕減ス
法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ
指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年一月一
日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事
業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル
拂込資本金額百萬圓ヲ超ユル法人ニシ
テ命令ヲ以テ定ムルモノノ〓算所得ニ
付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ法人稅法
第十六條ニ規定スル稅率百分ノ二十五
ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ差減額ニ
相當スル法人稅ヲ輕減ス
第一條ノ十八命令ヲ以テ定ムル法人ガ
法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指
道若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年十一月一
日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ其
ノ專業ニ屬スル設備又ハ權利其ノ他ヲ
事業ノ統制ノ必要上設立セラルル法人
ニ出資又ハ讓渡ヲ爲シタルトキハ其ノ
出資又ハ讓渡ニ對シ與ヘラレタル有價
證劵ノ價額ニ關シ出資又ハ讓渡ヲ爲シ
タル事業年度ニ於ケル法人稅法ニ依ル
所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得
稅法ニ依ル利益ノ計算ニ付命令ヲ以テ
特例ヲ設クルコトヲ得
第一條ノ十九命令ヲ以テ定ムル法人ガ
法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ
指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一
日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事
業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル
場合ニ於テ其ノ株主又ハ社員ノ受クル
所得稅法第八條ニ規定スル利益ノ配當
-所得稅
總所得金額五千圓以下ナルトキ
同一萬圓以下ナルトキ
同一萬圓ヲ超ユルトキ
二營業稅
純益金額三千圓以下ナルトキ
同八千圓以下ナルトキ
同八千圓ヲ超ユルトキ
第一條ノ二十一法令、法令ニ基ク命令
又ハ行政官廳ノ指導若ハ幹旋ニ依リ昭
和十六年一月一日以後昭和十七年十二
月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合
併若ハ解散シタル法人又ハ營業ノ全部
若ハ大部分ヲ廢止シタル個人ノ使用人
ニシテ退職シタル者ノ當該法人又ハ個
總所得金額五千圓以下ナルトキ
同一萬圓以下ナルトキ
同一萬圓ヲ超ユルトキ
第十三條ノ二政府ノ承認ヲ受ケアルコー
ル專賣法第二十條第二號ノ規定ニ依
リ賣渡ヲ受ケタルアルコールヲ原料ト
ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ同法第
二十一條ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ
百分ノ十、同法第二十二條ニ規定スル
稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ十七トシタ
ル場合ノ差減額ニ相當スル甲種ノ配當
利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ二十法令、法令ニ基ク命令又
ハ行政官廳ノ指導若ハ幹旋ニ依リ昭和
十六年一月一日以後昭和十七年十二月
三十一日迄ニ專業ノ統制ノ必要上營業
ノ全部又ハ大部分ヲ廢止シタル個人ノ
常該營業ヨリ生ズル所得又ハ純益ニ付
テハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年
分又ハ昭和十八年分ノ所得稅及營業稅
ニ限リ左ノ區分ニ依リ之ヲ輕減又ハ免
除ス
當該所得稅額ノ全部
當該所得稅額ノ十分ノ五
當該所得稅額ノ十分ノ二
當該營業稅額ノ全部
當該營業稅額ノ十分ノ五
當該營業稅額ノ十分ノ二
人ヨリ受クル俸給、給料、賞與又ハ此
等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ命令ノ
定ムル所ニ依リ昭和十七年分又ハ昭和
十八年分ノ乙種ノ勤勞所得ニ對スル分
類所得稅及綜合所得稅ニ限リ左ノ區分
ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除ス
當該所得稅額ノ全部
常該所得稅額ノ十分ノ五
當該所得稅額ノ十分ノ二
シテ製造シタル酒類ニシテ命令ヲ以テ
定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除ス
第二十一條ノ二命令ヲ以テ定ムル織物
ニ付テハ織物消費稅法第二條ノ規定ニ
拘ラズ消費稅ノ稅率ハ其ノ價格ノ百分
ノ十トス
第二十二條ノ三左ニ揭グル事項ガ法
令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指
道若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一日
N、後昭和十八年三月三十一日迄ニ車業
ノ締制ノ必要上爲サルル場合ニ於テハ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ登記ノ登錄
稅ノ額ハ他ノ法令ニ別段ノ規定アル場
合ヲ除クノ外登錄稅法ニ拘ラズ左ノ額
ニ依ル但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル
登錄稅ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其
ノ額ニ依ル
一會社ノ設立
金錢出資ニ依ル拂込株金額及金
錢ヲ目的トスル株金以外ノ出資
ノ價格ノ千分ノ五ト金錢以外ノ
財產ノ出資ニ依ル拂込株金額及
金錢以外ノ財產ヲ目的トスル株
金以外ノ出資ノ價格ノ千分ノ一
トノ合計額
二會社資本ノ增加
金錢出資ニ依ル增資拂込株金額
及金錢ヲ目的トスル株金以外ノ
出資ノ價格ノ千分ノ五ト金錢以
外ノ財產ノ出資ニ依ル增資拂込
株金額及金錢以外ノ財產ヲ目的
トスル株金以外ノ出資ノ價格ノ
千分ノ一トノ合計額
三第二囘以後ノ株金拂込
每囘ノ金錢ニ依ル拂込株金額ノ
千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出
資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ一
トノ合計額
四會社ノ設立、資本增加若ハ第二囘
以後ノ株金拂込又ハ事業ノ設備若ハ
專業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動產又
ハ船舶ニ關スル權利ノ取得
不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ第一條ノ十五ノ規定ハ公布ノ日ヨ
リ之ヲ施行シ第二十一條ノ二ノ規定施行
ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
各車業、年度ノ所得ニ對スル法人稅、法人
ノ各事業年度ノ純益ニ對スル營業稅及法
人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十七年一月
一日以後ニ終了スル車業年度分ヨリ〓
算所得ニ對スル法人稅及法人ノ〓算純益
ニ對スル營業稅ニ付テハ第一條ノ十七ニ
規定スル場合ヲ除クノ外同日以後ニ於ケ
ル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用
ス
昭和十七年一月一日前ニ支出シタル寄附
金及同日以後ニ支出スル寄附金ニシテ同
日前ノ約束ニ係ルモノニ付テハ第一條ノ
十六第一項ノ規定ニ拘ラ、ズ寄附金審査委
日會ノ諮問ヲ經テ法人稅法ニ依ル所得、
營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依
ル利益ノ計算上其ノ全部又ハ一部ヲ損金
ニ算入スルコトヲ得
國庫出納金端數計算法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
國庫出納金端數計算法中改正法律案
國庫出納金端數計算法中左ノ通改正ス
第四條但書中「地租」ノ下ニ「及家屋稅」ヲ
加フ
第五條中「賣藥印紙稅及」ヲ削ル
第六條中「郡」ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
戰時災害國稅減免法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子一尺
貴、族院議長伯爵松平賴壽殿
戰時災害國稅減免法案
戰時災害國稅減免法
第一條政府ハ戰時災害(戰爭ノ際ニ於
ケル戰鬭行爲又ハ之ニ起因シテ生ズル
災害ヲ謂フ以下同ジ)ニ因ル被害者ノ
納付スベキ國稅及戰時災害ニ因ル被害
物件ニ對シ課セラルベキ國稅ニ付勅令
ノ定ムル所ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除ス
ルコトヲ得
第二條政府ハ戰時災害ニ因ル被害者ノ
納付スベキ國稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ
依リ課稅標準ノ計算ニ關スル特例ヲ設
クルコトヲ得
第三條政府ハ戰時災害アリタル地方ニ
於テ納付スベキ國稅竝ニ戰時災害ニ因
ル被害者ノ納付スベキ國稅及戰時災害
ニ因ル被害物件ニ對シ課セラルベキ國
稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ課稅ニ關
スル申〓及由請竝ニ納期ニ關スル特例
ヲ設クルコトヲ得
第四條政府ハ戰時災害アリタル地方ニ
於テ納付スベキ國稅竝ニ戰時災害ニ因
ル被害者ノ納付スベキ國稅及戰時災害
ニ因ル被害物件ニ對シ課セラルベキ國
稅ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ徵收
ヲ猶豫スルコトヲ得
第五條第一條ノ規定ニ依リ輕減又ハ免
除セラルル國稅ハ法令上ノ納稅資格要
件ニ關シテハ輕減又ハ免除セラレザル
モノト看做ス
第六條樺太ニ於テハ本法ノ施行ニ關シ
必要アルトキハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
所得稅等ノ日滿二重課稅防止ニ關スル
法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法管五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子〓
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
所得稅等ノ日滿二重課稅防止ニ關スル
法律案
政府ハ所得稅其ノ他ノ內國稅ニ付滿洲國
ニ於ケル內國稅トノ間ニ於ケル課稅ノ重
複ヲ避クル爲必要アリト認ムルトキハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ輕減若ハ免除シ
又ハ其ノ課稅標準ノ計算ニ關スル特例ヲ
設クルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
地方分與稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因ニ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十七年二月五日
衆議院議長田子民
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
地方分與稅法中改正法律案
地方分與稅法中左ノ通改正ス
第二條第二項及第六條第一項中「百分ノ
十七·三八」ヲ「百分ノ十三·二二」ニ、굽
分ノ十五·一八」ヲ「百分ノ十九·八四」ニ
改ム
第十條第一號中「百分ノ六十二」ヲ「百分
ノ六十」ニ、同條第二號中「百分ノ三十
八」ヲ「百分ノ四十」ニ改ム
第十五條第二項及第三項中「十五分ノ一」
ヲ「七分ノ一」ニ改ム
第四十七條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第二條第二項中百分ノ十三·二二トア
ルハ昭和十六年度ニ於テハ百分ノ十
四·一七、昭和十七年度ニ於テハ百分ノ
十三·四二、昭和十八年度ニ於テハ百分
ノ十三·二五トス
同條第三項中「百分ノ十五·一八」ヲ「百分
ノ十九·八四」- 反支「百分ノ二十九·三
五」ノ下ニ「、昭和十七年度ニ於テハ百分
ノ二十一·四二」ヲ加フ
第四十八條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第六條第一項中百分ノ十三·二二トア
ルハ昭和十七年度分ニ付テハ百分ノ二
十二·三五、昭和十八年度分ニ付テハ百
分ノ十七·九八、昭和十九年度分ニ付テ
ハ百分ノ十三·六〇、昭和二十年度分ニ
付テハ百分ノ十三·二五トス
同條第三項中「百分ノ十五·一八」ヲ「百分
ノ十九·八四」ニ改ム
第五十三條昭和十七年度乃至昭和十九
年度ニ限リ道府縣配付稅額及新稅額ノ
合算額ガ舊稅額ニ命令ヲ以テ定ムル率
ヲ乘ジタル額ヲ超過スル道府縣ニ付テ
ハ其ノ超過額ノ三分ノ二ノ額ヲ道府縣
配付稅ノ額ヨリ減額シテ之ヲ分與ス
第五十六條昭和十七年度乃至昭和十九
年度ニ限リ第二十條ノ規定ニ依リ算出
シタル大都市配付稅、都市配付稅又ハ
町村配付稅ノ各總額ト新稅ノ各總額ト
ノ合算額ガ舊稅ノ各總額ニ命令ヲ以テ
定ムル率ヲ乘ジタル額ヲ超過スルモノ
ニ付テハ其ノ超過額ノ三分ノ二ノ額ヲ
大都市配付稅、都市配付稅又ハ町村配
付稅ノ總額ヨリ減額ス
第六十二條昭和十七年度乃至昭和十九
年度ニ限リ大都市配付稅額及新稅額ノ
合算額ガ舊税額ニ命令ヲ以テ定ムル率
ヲ乘ジタル額ヲ超過スル市ニ付テハ其
ノ超過額ノ三分ノ二ノ額ヲ大都市配付
稅ノ額ヨリ減額シテ之ヲ分與ス
第六十八條昭和十七年度乃至昭和十九
年度ニ限リ都市配付稅額(第三種配付
額ヲ除ク)及新稅額ノ合算額ガ舊稅額
ニ命令ヲ以テ定ムル率ヲ乘ジタル額ヲ
超過スル市ニ付テハ其ノ超過額ノ三分
ノ二ノ額ヲ都市配付稅(第三種配付額
ヲ除ク)ノ額ヨリ減額シテ之ヲ分與ス
第七十二條及第七十四條中「及昭和十六
年度」ヲ「乃至昭和十七年度」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=12
-
013・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ所得稅法中改正法律案外十六件ノ政
府提出ノ法律案ニ付キマシテ、一括シテ說
明ヲ致シタイト存ジマス、大東亞戰爭ノ進
展ニ伴ヒ、臨時軍事費ハ勿論、戰爭ノ爲避
クベカラザル諸經費ハ極メテ多額ニ達スル
見込デアリマシテ、假令不急不要ノ經費ニ
付一段ノ節約ヲ加ヘマシテモ、尙今後我ガ
國ノ財政需要ハ相當長期ニ亙リ膨脹スルモ
ノト認メラレルノデアリマス、又戰時經濟
ノ圓滑ナル運營ニ資シマスル爲、國民一般
ノ購買力ヲ吸收シ、物資ノ不急消費ヲ極力
抑制スルノ必要ハ、今後益〓加重セラルヽコ
トト思ハレルノデアリマス、政府ト致シマシテ
ハ、財政ノ需要、國民生活及國民經濟ニ及ス影
響等ニ付キマシテ愼重考究ヲ遂ゲマシテ、稅
制ノ全般ニ亙ル增稅計畫ヲ樹立シ、曩ニ早急
實施ヲ要スルト認メラレマスル酒稅其ノ他
ノ問接稅ヲ中心トスル增稅案ヲ第七十七囘
帝國議會ニ提案致シマシテ、其ノ協贊ヲ經
マシテ既ニ實施ヲ致シテ居ルノデアリマス
ルガ、今回更ニ增加スル臨時軍專費ノ一部
ニ充テマスル爲、直接稅ヲ中心トスル增稅
ヲ行ヒ、是ト共ニ必要ナル稅法ノ改正ヲ行
フコトト致シタノデアリマス、今次增稅案
ノ作成ニ當リマシテハ戰時ニ於ケル財政
需要ニ對應シテ國庫收入ノ增加ヲ圖リヽ之
ニ依リ戰時財政ヲ强化スルト同時ニ、一 向
購買力ノ吸收ニ資スル爲、現下ニ於ケル經
濟情勢及國民省、擔力ヲ考慮シツヽ分類所
得稅ノ增徵ヲ中心ト致シマシテ各種ノ直接
稅ニ付相當稅率ヲ引上ゲマスルト共ニ、現
行問接稅ノ一部ニ付テモ增徵ヲ行ヒマスル
外、電氣瓦斯稅、廣〓稅及馬劵稅ヲ創設ス
ルコトト致シタノデアリマス、尙貯蓄ノ增
强、生產力ノ擴充、產業ノ再編成竝ニ人口
及國民保健政策ノ圓滑ナル遂行ニ資スル等
ノ爲、適當ト認ムル租稅上ノ措置ヲ講ズル
コトト致シタノデアリマス、次ニ今囘ノ增
稅案ノ〓略ヲ御說明申上ゲマス、先ヅ分類
所得稅ニ付キマシテハ今次婦稅ノ趣旨ニ
鑑ミ增稅ノ主眼ヲ之ニ置キ、廣ク國民ハ其
ノ能力ニ應ジテ戰費ヲ負擔スルコトト致
シ、同時ニ一面ニ於テ購買力ノ吸收ニ資ス
ル爲、各種所得間ノ負擔ノ權衡ニ留意致シ
ツ、稅率ノ引上及免稅點又ハ基礎控除ノ
引下ヲ行ヒ、總稅額ニ於テ大體五割五分ノ
增徵ヲ行フコトト致シタノデアリマス、卽
チ不動產所得ニ付テハ現行率百分ノ十ヲ百
分ノ十六ニ、配當利子所得ニ付テハ同ジク
百分ノ十ヲ百分ノ十五ニ營業所得ニ付テ
ハ同ジク百分ノ八·五ヲ百分ノ十三ニ、營業
以外ノ事業所得ニ付テハ百分ノ七·五ヲ百
分ノ十二ニ、又勤勞所得ニ付テハ百分ノ六
ヲ百分ノ十ニ引上ゲルコトト致シタノデア
リマス、又不動產所得ノ免稅點一一百五十圓
ヲ百五十圓ニ、事業所得ノ基礎控除五百圓
ヲ四百圓ニ、勤勞所得ノ基礎挖除七百二十
圓ヲ六百圓ニ引下ゲタノデアリマス、右ノ
增稅ニ伴ヒ扶養家族多キ者ノ負擔ノ緩和致
シマスルコトハ負擔ノ衡平ノ見地ヨリ見
マシテモ、人口及國民保健政策ノ見地カラ
考ヘマシテモ、此ノ際滴切ナル措置ト考ヘラ
レマスルノデ、扶養家族ノ控除額ヲ相當引上
ゲマスルト共ニ、更ニ五人以上ノ子女ヲ有
スル所得者ニ對シマシテハ特ニ挖除額ヲ多
クスルコトト致シタノデアリマス、又是ト共
ニ生命保險料ニ付キマシテモ、控除額ヲ相
當程度引上ゲルコトヲ適當ト認メタノデアリ
マス、尙株式ノ〓算市場ニ於ケル取引ニ因ル
所得デアリマシテ從來課稅外ニ置カレタ
モノガアリマスルモノニ付キマシテモ、他
ノ所得トノ權術上新タニ分類所得稅ヲ課ス
ルコトト致シタノデアリマス、次ニ綜合所得
稅ニ付キマシテハ課稅最低限ハ從來五千
圓デアリマシタガ、各方面共負擔ヲ增加ス
ルノ要アル此ノ際ト致シマシテハ、之ヲ引
下ゲルヲ適當ト考ヘマシテ三千圓ニ致シタ
ノデアリマスガ、稅率ニ付キマシテハ現在
旣ニ相當高率ノ課稅ヲ爲シツヽアル點ヲモ
考慮致シマシテ、大體二割ノ引上ヲ行フコ
トト致シ、三千圓ヲ超ユル部分ニ對スル百
分ノ六乃至五十萬圓ヲ超ユル部分ニ對スル
百分ノ七十二ノ稅率ニ依リ課稅スルコトト
致シタノデアリマス、總稅額ニ於キマシテ
三割程度ノ增徵ヲ行フコトトナリマス、右
ノ稅率引上ニ對應致シマシテ公社債、銀行
預金ノ利子等ニ付、源泉課稅ヲ選擇シタ場
合ニ於ケル綜合所得稅ノ稅率ヲ、、現行ノ百
分ノ十五ヨリ百分ノ二十五ニ引上ゲタノデ
アリマス、其ノ他配當所得ニ付キマシテハ
分類所得稅ヲ課スル場合ニ其ノ一割ヲ控除
シテ課稅シ、綜合所得稅ヲ課スル場合ニハ
分類所得稅ニ於テ輕減サレタ稅額ヲ加算シ
テ居ッタノデアリマスルガ、今囘ハ右ノ加算
ヲ廢止スルコトト致シタノデアリマス、次
ニ法人稅ニ付キマシテハ分類所得稅及綜
合所得稅トノ權衡上、增稅ガ其ノ經濟界ニ
與フル影響等ニ付考慮致シマシタ結果、所
得ニ對スル現行稅率百分ノ十八ヨリ之ヲ百
分ノ二十五ニ引上ゲルコトト致シタノデア
リマス、同族會社ノ加算稅率ニ付キマシテモ
相當ト認ムル引上ヲ行フコトト致シマシタ、
次ニ臨時利得稅ニ付キマシテハ、戰時ニ於
ケル超過利得ニ相當重課スルノ趣旨ニ依リ
マシテ、法人臨時利得稅ニ於キマシテハ利
得令額ノ區分ヲ改正スルト共ニ、稅率ヲ百
分ノ二十五乃至百分ノ六十五ヨリ、百分ノ
三十五乃至百分ノ七十五ニ引上ゲタノデア
リマスルガ、一面小法人ニ對シテハ從來通
リ稅率ヲ輕減シタル外、昭和十二年以後ニ
第一次事業年度ノ終了スル新設法人ニ付キ
マシテモ一定ノ利得ニ對シテハ稅率ノ引
上ヲ見合ハセマシテ、負擔ノ緩和ヲ圖ルコ
トト致シタノデアリマス、個人ノ臨時利得
稅ニ付キマシテハ營業利得ニ對スル稅率
現行百分ノ三十ヲ百分ノ三十五ニ引上ゲマ
シタ、又不動產等ノ讓渡ニ因リ利得ヲ得ル
者ニ對シ、現在課稅ヲ致シテ居リマセヌガ、
是ハ負擔ノ衡平ノ見地ヨリ適當ナラズト認
メマシテ船舶、鑛業權等ノ讓渡利得ト同
樣之ニ課稅スルコトト致シマシタ、而シテ
三者ヲ通ジテ其ノ稅率ヲ超過累進率ニ改メ
タノデアリマス、次ニ特別法人稅ニ付キマ
シテハ一般ノ法人ニ對スル法人稅ノ增徵
ニ對應シ、產業組合其ノ他ノ特別ノ法人ニ
對シマシテモ負擔ヲ增加致シマスル爲、現
行稅率百分ノ六ヲ法人稅ノ半額、卽チ百分
ノ十二·五ニ引上ゲマシタ又新タニ森林
組合等ニ對シテモ課稅スルコトト致シタノ
デアリマス、次ニ相續稅デアリマス右ニ
述ベマシタ如ク所得ニ對シ相當ノ增稅ヲ致
シマスル關係上、財產ニ對シテモ此ノ際或
程度ノ負擔ヲ增加スルコトガ巳ムヲ得ザル
モノト認メマシテ稅率ノ引上ヲ爲シ、總
稅額ニ於テ二割程度ノ增徵ヲ行フコトト致
シタノデアリマス、併シ一面扶養家族ニ對
スル控除額ヲ相當程度引上ゲマスル等ノ措
置ヲ講ズルコトト致シテ居リマス、尙物納
ノ範圍モ若干擴張スルコトト致シタノデア
リマス、次ハ問接稅デアリマスルガ、織物
消費稅ニ付キマシテハ現在ノ負擔ヲモ考
慮シタル上、稅率ヲ百分ノ十ヨリ百分ノ十
五ニ引上ゲルコトト致シマシタ、尤モ一般
大衆ノ生活ニ關係ノ深イ織物ニ付キマシテ
ハ臨時的措置トシテ現行稅率ノ儘据置ク
コトト致シタノデアリマス其ノ他物品稅
中燐寸ニ付キマシテハ、現行稅率千本ニ付
五錢ヲ千本ニ付十錢ニ引上ゲマシタ又印
紙稅ニ於キマシテハ、物品切手ヲ除キ、最近
數次ノ增稅ニ當リ之ヲ增徵致シテ居リマセ
ヌ點ヲモ考慮致シマシテ、總稅額ニ於テ七割
程度ノ增稅ヲ行フコトト致シタノデアリマ
ス、次ニ新稅ト致シマシテハ電氣瓦斯稅、廣〓
稅及馬劵稅ヲ創設スルコトト致シタノデア
リマス、電氣瓦斯稅ハ、住宅、商店等ニ於
ケル電氣又ハ瓦斯ノ使用ニ付テハ他ノ消
費稅トノ權衡上應分ノ負擔ヲナサシムルヲ
適當ト認メラレマスルノミナラズ、之ニ課
稅スルコトニ依リ消費ノ抑制ニモ亦資シ得
ル所ガアルト考ヘルノデアリマシテ、住宅、
商店、旅館、劇場等ノ用ニ供スル電氣瓦斯
ノ消費ニシテ、料金ガ一箇月三圓以上ノモ
ノナドニ對シ料金ノ百分ノ十ノ稅率ヲ以テ
課稅セムトスルモノデアリマス、廣〓稅ハ、
廣〓ハ通常營業ニ關スルモノデアリマシテ、
之ニ依リ營業上ノ利益ヲ相當增加シ得ルモ
ノデアリマス、又營業ニ關係セザルモノニ
付キマシテモ、斯カル方面ニ對スル支出ハ
相堂擔稅力アリト認メラレマスルノデ、之ニ
付テモ或程度ノ誤稅ヲ致スノヲ適當トスル
考カラ致シマシテ各種ノ廣〓ニ對シ料金
ノ百分ノ十、又ハ一定額ノ稅率ヲ以テ課稅
セムトスルモノデアリマス、次ハ馬劵稅デ
アリマス、競馬ノ勝馬投票劵ノ賣上ニ對シ
テハ、從來納付金ヲ納付セシメテ居ルノデ
アリマスルガ、勝馬投票劵又ハ優等馬票ノ
賣上金及ビ其ノ購買者ニ對スル拂戾金ニ付
テハ此ノ際或程度ノ課稅ヲ爲スヲ適當ト
認メマシテ、本稅ヲ創設致シタノデアリマ
ス、卽チ勝馬投票劵ノ賣上金ニ對シテハ百
分ノ七、優等馬票ノ賣上金ニ對シテハ百分
ノ四、勝馬投票劵ノ購買者ニ對スル拂戾金
ニ對シテハ百分ノ二十、優等馬票ノ購買者
ニ對スル拂戾金ニ對シテハ百分ノ十ノ稅率
ニ依リ課稅セムトスルモノデアリマス、次
ニ臨時租稅措置法ノ改正ニ付說明致シタイ
ト存ジマス、今囘ノ增稅案ノ作成ニ當リマ
シテハ、增稅スベキ租稅ノ種類及ビ增稅額
ノ決定ニ當リ、經濟諸政策トノ調和ニ付愼
重ナル考慮ヲ拂ッタ次第デアリマスルガ、尙
貯蓄ノ增强、生產力ノ擴充、產業ノ再編成
政策ノ圓滑ナル遂行ニ資シマスル等ノ爲ニ、
臨時租稅措置法ヲ改正シマシテ、租稅上必
要ナル各種ノ措置ヲ講ジタノデアリマス、
其ノ主ナル點ニ付說明致シマスルト、第
ハ、戰時下益〓緊要トセラルヽ貯蓄ノ增强ニ
資スル爲、各種ノ措置ヲ講ズルコトト致シ
マシタ、卽チ個人ノ長期預金及一定期間据
置キタル登錄公社債等ノ利子ニ對シ、分類
所得稅ヲ相當輕減スルコトト致シタノデア
リマス、次ニ今囘ノ配當利子所得額ニ對ス
ル增稅ハ、金融機關ニ對シ相當ノ影響ヲ及
スコトトナリマスルノデ、金融機關ノ資金
運用ヲ合理的ナラシムルト共ニ、其ノ經營
ヲ堅實ニ致シマスル爲、金融機關相互間ノ
預金ニシテ一定ノ條件ヲ具備スルモノニ付
テハ、分類所得稅ヲ免除シ、又一定ノ金融
機關ノ保有スル供託公社債又ハ登錄公社債
ノ利子ニ對スル分類所得稅ノ稅率ヲ、相當
程度輕減スルコトト致シタノデアリマス
其ノ他生命保險會社ニ對シマシテハ、昭和
十五年ノ稅制改正ニ於テ株式配當ニ對シ源
泉課稅ヲ創設致シマシタ際、從前ヨリ所有
スル株式ノ配當ニ對シテハ分類所得稅ヲ輕
減スルコトトシタノデアリマスルガ、今囘
其ノ輕減ノ程度ヲ多ク致シタノデアリマス、
第二ニハ、時局下極メテ重要ナル生產力ノ
擴充ヲ促進スル爲ノ措置デアリマス、卽チ
法人ガ其ノ留保所得ヲ以テ設備ノ擴張又ハ
國債等ノ買入ニ充テマシタ場合ニ於ケル法
人稅輕減ノ制度ヲ擴張致シマシタ、又配當
所得ニ對スル增稅ガ、今後ノ株式拂込ニ與
フル影響ヲ緩和シマスル爲、時局ノ爲緊
要ナル產業ヲ營ミマスル會社等ノ新規拂
込ノ株式ノ配當金デアリマシテ配當率
ガ一定以下ノモノニ對シマシテハ、分類
所得稅ヲ或程度緩和致スノデアリマス
其ノ他政府保證社債ノ優遇ニ資スル爲、其
ノ利子所得ニ對スル分類所得稅ノ稅率ヲ
地方債ノ場合ト同一ニ致シタノデアリマス、
第三ハ企業ノ再編成ニ關シ租稅上必要ト
認メラレル方策ヲ講ジタノデアリマス、卽チ
企業ノ合同整理ハ時局下愈。緊要ト認メラレ
ルノデアリマスルガ、其ノ促進ニ資スル爲、
此ノ場合ニ於テハ〓算所得ニ對スル法人稅、
所得稅、營業稅及登錄稅ニ付キマシテ、輕
減又ハ免除ヲ爲サムトスルモノデアリマス、
次ニ戰時災害被害者ニ對スル所得稅、營業
稅等ノ輕減又ハ免除、日滿二重課稅防止ニ關
スル制度ノ創設ヲ行フコトト致シ、之ニ必
要ナル法律ヲ制定致サムトスルモノデアリ
マー、右ノ外營業稅法、所得稅法人稅內外
地關涉法、國庫出納金端數計算法等ニ付キ
マシテモ、ソレ〓〓必要ナル改正ヲ加フル
コトト致シマシタ、今次ノ增稅案ニ依リマ
スレバ、平年度ニ於テ約十一億五千萬圓、
昭和十七年度ニ於キマシテハ、約九億七千
萬圓ノ國庫收入ノ增加ト相成ル見込デアリ
マス、而シテ昭和十七年度ノ增收見込額ニ
相當スル金額ハ臨時軍事費追加豫算ノ財
源ノ一部トシテ、一般會計ヨリ同會計ニ繰
入レルコトト致シテ居ルノデアリマス、以
上、所得稅法中改正法律案ニ付提案ノ理由ヲ
說明申上ゲタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上速カニ協贊ヲ與ヘラレムコトヲ希望ス
ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=13
-
014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 東條內務大臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=14
-
015・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今議題トナッ
テ居リマスル地方分與稅法中改正法律案ニ
付キマシテ、提出ノ理由ヲ御說明申上ゲマ
ス、改正ヲ必要ト致シマスル理由ハ、國稅
ノ增稅等ニ伴ヒマシテ、配付稅ノ割合ニ付
改正ヲ要スルモノガアリマスルト共ニ、配
付稅ノ分與方法ニ付キマシテ緊急差措キ難
キ改正ヲ加フル必要ガアル爲デアリマス
而シテ改正致サムトスル所ノ事項ハ大體次
ノ五項目デゴザイマス、其ノ第一ハヽ國稅
ノ增稅等ニ伴ヒマシテ配付稅ノ割合ヲ改正
スルコト、第二ハ、市町村財政ノ實情ニ鑑ミ
マシテ、配付稅ノ一部ヲ市町村ニ委讓セム
ガ爲ニ、道府縣配付稅ト市町村配付稅トノ
割合ヲ、現行ノ道府縣分百分ノ六十二、市
町村分百分ノ三十八トアリマスノヲ、道府
縣分百分ノ六十、市町村分百分ノ四十ト改
正スルコト、第三ハ災害債ノ償還ニ因リ
マシテ財政ノ窮乏著シキ道府縣ノ財政ヲ緩
和致サムガ爲ニ、課稅力分與ノ基準トナリ
マスル單位稅額カラ控除スル災害土木費負
債額ノ一定率、卽チ現行ニ於キマシテハ十
五分ノ一トアリマスモノヲ七分ノ一ト改正
スルコト、第四ハ、昭和十九年度迄ニ於ケ
ル經過的制限ニ用ヒマスル舊稅額ニ對スル
割增率ガ、法律デ規定シテアリマスコトハ
實情ニ卽シマセヌノデ、之ヲ命令ヲ以テ定ム
ル率トスルコトニ改正スルコト、第五ハ
昭和十七年度配付稅分與額ハ、現行法ニ依
リマスト昭和十六年度ニ於テ算定スルコト
トナッテ居リマスガ、分與ノ滴正ヲ期セムガ
爲ニ、昭和十七年度ニ於テ算定スルコトト
シ、之ニ伴フ關係條文ヲ改正スルコト、以
上ノ五項目デアリマス、是等ハ何レモ戰時
下ニ於ケル地方團體ノ財政需要ニ卽應スベ
ク、分與ノ適正ヲ期スル上ニ於キマシテ改
正ヲ必要トスル事項ト考ヘテ居ルノデアリ
マイク以上ハ今囘改正法律案ヲ提出致スニ
至リマシタ理由デゴザイマス、何卒御審議
ノ上速カニ御協贊アラムコトヲ御願ヒ申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=15
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016・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 馬劵稅法案ニ付
キマシテ質疑ノ通〓ガゴザイマス、西尾子
爵
〔子爵西尾忠方君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=16
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017・西尾忠方
○子爵西尾忠方君 只今上程ニナリマシタ
各稅法案ノ中、新タニ創設セラレマシタ馬
劵稅法ニ付キマシテ、此ノ機會ニ簡單ニ政
府ノ御意見ヲ伺ッテ見タイト存ズルノデ
アリマス、本案ノ提出理由ト致シマシテ
「戰時財政ヲ强化スル爲國庫收入ノ增加ヲ圖
リ」云々ト書イテゴザイマス、先般宣戰ノ
大詔ヲ拜シマシテカラ特ニ國民ハ、如何ナ
ル犠牲ヲ拂ッテデモ此ノ戰爭目的完遂ニ邁進
スル決意ニ燃エテ居ルノデアリマス、此ノ
重大時局ニ際シマシテ、何人ト雖モ其ノ分
ニ應ジテ國費ヲ負擔スルコトニ付テハ覺悟
ヲシテ居ルヤウナ次第デゴザイマス
過日大藏大臣ハ當議場ニ於カレマシテ豫算
ノ說明ヲセラレタ際ニ、國民ノ納稅成績ハ
極メテ良好デアルト云フコトヲ述ベラレタ
ノデアリマスガ、斯カル意味カラ致シマシ
テモ、今囘政府ガ競馬ノ馬劵ニ課稅セラル
ルコトハ一應御尤ノコトト思ハレルノデア
リマス、併シナガラ此ノ競馬本來ノ性質カ
ラ考ヘテ見マスナラバ又此ノ競馬法ノ成
立ノ經過カラ考ヘテ見マスルナラバ、此ノ
課稅ガ果シテ適當デアルカドウカト云フコ
トヲ、更ニ明カニシテ置キタイト思フノデ
アリマス、今ヤ大東亞戰爭ノ遂行ハ帝國不
動ノ國策デアリマシテ、之ガ爲ニハ、先ヅ
以テ軍備ノ充實、武力ノ增强ヲ圖ラナケレ
バナラナイコトハ申ス迄モナイコトデゴザ
イマス、過日本議場ニ提案セラレマシタ兵
器等製造事業特別助成法案ノ如キモ、現下
ノ戰時ニ於テ兵器ノ生產力增强確保ノ爲ニ
ハ從來ノ法令ニ依ル助成デハ不十分デア
ルトシテ、新タニ法律ヲ設ケテ特別ノ助成
ヲ爲サムトスルモノデアリマシテ是レ全
ク時局ノ要請ニ基ヅクモノデアルノデゴザ
イマス然ルニ政府ハ、同ジク兵器ノ一種
ト見ルベキ軍馬ノ資質改善、能力增强ノ爲
ニ必要ナル制度トシテ多年認メテ來タ馬劵
ニ、今回國庫收入ノ目的ヨリシテ課稅ヲス
ルコトニナリマシタル結果ハ、馬劵本來ノ
機能ヲ抑制スルコトニナルノデハナイカト
思フノデアリマス、之ニ依ッテ或ハ軍馬ノ
能力ノ低下ヲ來シ、延イテハ國防上支障ヲ
生ズルノデハナイカト云フコトヲ心配スル
ノデアリマス、果シテ國防上缺陷ヲ來サナ
イト云フ技術的理由ニ付キマシテ、此ノ機
會ニ簡單ニ馬政當局カラ御說明ヲ煩ハセレ
バ誠ニ仕合セニ存ズル次第デアリマス
〔政府委員粟屋仙吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=17
-
018・粟屋仙吉
○政府委員(粟屋仙吉君) 只今ノ西尾子爵
ノ御質問ニ對シテ御答ヲ致シマス、御心配
ノ點ハ此ノ課稅ガ馬政ノ上ニ影響ヲシハ
シナイカト云フ點デアルト存ジマスルガ
課稅ヲ致シマス以上、多少ノ影響ト云フコ
トハ考ヘラレルノデアリマスガ、從來ノ競馬
ノ趨勢ヲ見マスルト其ノ入場人員ニ於キ
マシテチ、又馬劵ノ賣上額ニ致シマシテモ)
漸次增加ヲ致シテ居ルフデアリマシテ此
ノ傾向ニ徴シマスレバ、此ノ度ノ程度ノ課
稅ガアリマシテモ其ノ賣上總額ニ大ナル影
響ハ來サナイモノト考へマス、從ヒマシテ其
ノ中カラ馬政ニ用ヒラルル金額ニモ大ナル
變化ハナク、御心配ノ馬ノ改良等ニ非常ナ支
障ヲ來シハセヌカト云フ點ニ付キマシテハ、
ソレ程ノ影響ハナイモノト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=18
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019・西尾忠方
○子爵西尾忠方君 簡單デゴザイマスカラ、
此ノ席カラ發、言ヲ御許シ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=19
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020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=20
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021・西尾忠方
○子爵西尾忠方君 只今馬政局長官カラ御
答辯ヲ拜聽致シマシタガ、日本ノ馬政ハ、所
謂產業。馬政ヨリ國防馬政ニ先年改變セラレ
マシテ、軍備充實一點張リノ馬政デアルノ
デゴザイマスカラシテ、今日此ノ課稅ニ依リ
ソレ程影響ハナイト云フコトヲ以テ滿足ハ
出來ナイノデゴザイマス、軍馬能力ノ增進
ト云フコトハ多々益〓此ノ戰時熊勢ニ於テコ
ソ必要デアルノデアリマス、併シ是等ノ點
ニ付キマシテハ稍〓技術的ニ互ッテ論議ヲ伺ッ
テ見ナケレバナラナイト思ヒマスシ、時間
モ切迫シテ居リマスカラシテ、此ノ席デノ
質問ハ此ノ程度ニ於テ止メテ置キマス
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=21
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022・東條英機
○國務大臣(東修英機君) 只今產馬ノコト
ニ付キマシテ色々御心配ヲ頂戴シ)殊ニ之
ガ國防上ニ及ス影響ニ付キマシテ御配慮ニ
ナッテ居リマスルコトハ、陸軍大臣ト致シマ
シテ誠ニ感謝ニ堪ヘヌ次第デアリマス、產
馬ノ奬勵ハ、陸軍ト致シマシテハ重大ナル
關心ヲ持ッテ居ルノデアリマス、從ヒマシ
テ產馬ノ奬勵上ニ於キマシテ支障ヲ來シ、
或ハ延イテ國防上ニ累ヲ及スト云フヤウナ
點ニ付キマシテハ、私ハ當然ノ責任上常ニ
關心ヲ拂ッテ居ル點デアリマス、今囘ノ競馬
ニ關シマスル增稅ニ付キマシテハ、只今馬
政局長官カラ答辯致シマシタ所ニ依リマシ
テ御承知ヲ願フト致シマシテ、今囘ノ處置
ガ今後ノ產馬ノ上ニ於テ、殊ニ國防上ニ於
キマシテ重大ナル影響ヲ持ツヤ否ヤト云フ
點ニ付キマシテハ、最モ考慮ヲ拂ッテ〓究ヲ
シタ點デアリマス、今囘ノ政府ノ處置ノ程
度ニ於キマシテハ、國防上御心配ハ先ヅナ
カラウ、斯ウ云フ風ナ大體ノ見透シノ下ニ
於キマシテ、陸軍大臣ト致シマシテハ同意
シタノデアリマス、此ノ點御了承ヲ御願ヒ
シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=22
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023・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
所得稅法中改正法律案外十七件ノ特別委員
ノ數ヲ二十七名トシ、其ノ委員ノ指名ヲ議
長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=23
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024・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=24
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025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴喜君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔佐藤書記官朗讀〕
所得稅法中改正法律案外十七件特別委員
公爵島津忠重君侯爵大隈信常君
侯爵井上三郞君伯爵樺山愛輔君
子爵靑木信光君關屋貞三郞君
子爵野村益三君子爵大河內輝耕君
子爵西尾忠方君子爵綾小路護君
中川健藏君平塚廣義君
𠮷田茂君內田重成君
男爵松岡均平君柴田善三郞君
田邉治通君男爵大森佳一君
男爵中御門經民君三節新七君
松村義一君堀啓次郞君
野村德七君下出民義君
中島德太郞君上野喜左衞門君
男爵古市六三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二十二、
郵便法中改正法律案、日程第二十三、郵便貯
金法中改正法律案、日程第二十四、鐵道敷
設法中改正法律案、日程第二十五、地方鐵
道補助法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、是等ノ
四案ヲ一括シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=27
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028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、委員長〓岡子爵
郵便法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月五日
委員長子爵〓岡長言
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
郵便貯金法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月五日
委員長子爵〓岡長言
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
鐵道敷設法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十七年二月五日
委員長子爵〓岡長言
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
地方鐵道補助法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十七年二月五日
委員長子爵〓岡長言
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔子爵〓岡長言君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=28
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029・清岡長言
○子爵〓岡長言君 只今議題ト相成リマシ
タ郵便法中改正法律案外三件ノ特別委員會
ノ審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス
特別委員會ハ二囘開會致シマシテ、)愼重審
議致シマシタノデアリマス、今四案ヲ簡單
ニ逐次申述ベタイト存ジマス、先ヅ最初ニ
郵便法中改正法律案ヨリ申述べマス、此ノ
法案ハ郵便料金ニ關スル改正案デ、改正ノ
理由ハ本會議ニ於キマシテ遞信大臣ヨリ
御說明ガアリマシタカラ之ヲバ省略致シマ
ス之ヲ要スルニ各種通信料ノ引上ニ依リ
マシテ國庫ノ收入ヲ圖リ、戰時財政ノ强化
ニ資スルト共ニ、戰時下ニ於ケル重要ナル
通信事業ノ運行ニ差支ノナイヤウ、事業ノ
調整ヲ圖ル趣旨デアリマス、郵便ノ利用ガ
國民ノ日営生活ト密接ナ關係ガアル點ヲバ
考慮致シマシテ、成ルベク其ノ影響ノ少イ
ヤウニ、料金引上ノ割合ヲバ全體ト致シマ
シテ大體二割五分程度ニ引上ゲタノデアリ
マス、尤モ一部ニハ更ニ高率ナ引上率トナッ
テ居ルモノモアリマスヽ併シナガラ利用ノ
最モ普遍的デアル通常葉書竝ニ往復葉書ノ
料金ハ引上ゲナイコトニナッテ居ルノデア
リマス、尙序ナガラ右ノ外、同樣ノ目的ノ
爲ニ遞信省令ニ規定セラレテ居リマスル小
包郵便料金及特殊政扱料金ニ付キマシテ
モ、是ト相應スル程度ノ引上ヲ行フ積リデ
アルトノコトデゴザリマス、尙參考ト致シ
マシテ、料金引上ニ依ル昭和十七年度增收
見込額ハ本案ニ依ル普通郵便料金ト其ノ
他ノモノヲ合シマシテ大體千九百萬圓ノ豫
定デアッテ、其ノ大部分ガ國家財政ノ强化ニ
充テラレ、其ノ一部ヲバ事業施設ノ擴充ニ
當テルノデアルトノ訟明デゴザイマシタ、
之ニ對シマシテ質問ノ一一、三ヲ申上ゲスマル
ト、外國ノ郵便料金ト比較致シマシテ日本
ハドウ云フ程度デアルカト云フ問ニ對シマ
シテ、諸外國ニ於テモ段々料金ヲ引上ゲテ
居リマスガ、日本ガ一番安イノデアルトノ
答辯デアリマス、又此ノ度ノ料金引上ニ依
リ全體ノ收入額ガ却テ減リハシナイカ、此
ノ間ニ對シマシテ)曩ニ料金ヲ引上ゲタ際
ノ實績ノ時ノ資料ヲバ調杏致シマスルト
若干或程度使用數ガ減ルコトガアリマス、
俳シ今囘ハ封書バカリ四錢カラ五錢ニシマ
シタガ、葉書ハ二錢ノ儘、往復葉書ハ四錢
ノ儘トシテ居リマス、從ッテ此ノ方ニ餘計利
用ガ增シテ來ルノデハナイカ、政府ハ其ノ
方ヲ、今日ノ紙ノ原料等モ考慮シマスレバ、
簡單デアリ取扱上モ便宜デ、葉書ニ行クコ
トヲ寧ロ望ンデ居リマス、收入減ニハナラ
ヌト考ヘテ居ルトノ答辯デゴザイマス、叉
〓業關係ノ改善充實、重業ノ調整トアルガ、
其ノ內容ハドウ云フコトデアルカト云フ問
ニ對シマシテ、事業ノ調整トシテハ家族
ノ手當待遇ニ若干補正スルコトガ一番多イ
金額デアル、之ニ依ッテ通信ノ能率ヲ擧ゲタ
イ又施設ニ於キマシテハ、防空ノ施設ヲ
致シマシテ、通信ノ規正ヲ宜クシタイト云
フ答辯デアリマシタ、其ノ他料金ハ日本ガ
一番安イ五錢ヲバ何故六錢程度ニ上ゲナ
イカ、又戰時ガ終レバ元ニ復シテ恒久的ナ
値上デハナイノデアルカ等ノ質問ガ多々ゴ
ザイマシタガ、詳細ハ速記錄ニ讓リタイト
存ジマス、次ニ郵便貯金法中改正法律案ニ付
テ申上ゲマス、提案ノ理由ハ、當議場ニ於
キマシテテ常局大臣ヨリ御說明ガアリマシ
タカラ之ヲ省略致シマスガ、之ヲ要スルニ
戰時下財政政策ノ圓滑ナル運行ヲ期ス
ル上ニ於キマシテ、郵便貯金ハ國民大衆ノ
貯蓄機關ト致シマシテ最モ重要ナル地位ヲ
占メテ居ルモノデアリマス、仍テ之ガ
機能ヲ發揚スルコトニ付テ一段ト努力シテ
參ッテ、良好ナル成績ヲ擧ゲテ參ッテ居リマ
スガ、現下ノ情勢ハ益〓國民貯蓄ノ增强ヲ
必要トスル上ニ於キマシテ、尙改正スルノ
要ガアルト思ヒマス、而シテ改正ノ要
點ハ、郵便貯金ノ一人當總額制限額ガ三千
圓デアルノヲバ五千圓ニ引上ゲルコトト、
ソレカラ郵便貯金切手制度ヲバ創設スルト
云フ此ノ二點デゴザイマスヽ郵便貯金
一人ノ總額制限額ハ、明治三十八年本制度
ガ創設ニナリマシタ當初ニハ五百圓ト定メ
テアッタノデアリマスガ、經濟界ノ發展ニ伴
ヒマシテ屢〓、改正ヲ加ヘラレテ昨年二月
第七十六議會ノ協贊ヲ得マシテ二千圓カラ
三千圓ニ引上ゲラレタノデアリマス、此ノ
改正ノ時ニ、國民ノ所得額ヤ其ノ貯蓄力ノ
增進ノ實狀ニ鑑ミマシテ、其ノ當時政府デ
ハ五千同程度迄引上ゲタイ希望ヲ持ッテ居ッ
タノデアリマスガ、郵便貯金ノ類似制度デ
アル貯蓄銀行ヤ產業紐合ノ貯金ニハ、三千
圓以上ノ預金ニ對シマシテ稅ヲ課スルコト
ニナッテ居リマス其ノ關係上、引上ノ制度ヲバ
三千圓ニ止メタノデアリマス、然ルニ其ノ
後ノ情勢ハ國民貯蓄ノ增加ヲ必要トスル
ノミナラズ、來年度カラハ貯蓄銀行及產
業組合ノ貯金ニ對スル免稅點ヲバ三千圓ヲ
五千圓ニ引上ゲルコトニナリマスカラ、此
ノ度郵便貯金モ五千圓ニ引上ゲルコトニ致
シタイトノコトデアリマス次ニ郵便貯金
切手制度デアリマスガ、是ハ浮動購買力吸
收ノ手段トシマシテ貯蓄ノ增强ヲ必要トシ
マスルガ、單ニ既設ノ制度ノ利用ヲ以テ致
シマシテハ實效ガ困難デアルト考ヘルデ
從來ノ貯蓄方法ト其ノ趣ヲ異ニ致シマスル
郵便貯金切手制度ヲ創設シタイノデアルト
ノコトデアリマス、サウシテ其ノ骨子トス
與ヽ額面二圓ト一圓ノ郵便貯金切手ヲ
發行致シマシテ、之ヲバ郵便局又ハ郵便切
手賣捌所ニ於キマシテ賣捌ヲ爲サシメ、又
賣出期間後成ルベク速カニ抽籤ヲ行ヒ、當
籖シタ切手ニ對シマシテハ適當ノ割增金ヲ
附スルコトトシ、尙抽籤ノ濟ミマシタ切手
ハ速カニ郵便貯金ニ預ケ入レシメ、之ヲバ一
定期間無利子ノ貯金ト爲サシムル方法ヲ執
ルノデアルトノコトデゴザイマス、之ニ對
シマシテ質問ノ一一、三ヲ中上ゲマスルト、最
高額ノ三千圓ヲバ五千圓ニ引上ゲテモ貯蓄
銀行等ニ影響ハナイカト云フ間ニ對シマシ
テ昨年最高額ヲバ三千圓ニ引上ゲマシタ
時ノ影響ハ明瞭ニ分リ兼ネマスガ、統計ニ
依ッテ見マスルト、雙方トモ左シタル影響ハ
見ナカッタヤウデアリマス、此ノ度モ三千圓
ヲバ五千圓ニ引上ゲ、五千圓迄ハ貯蓄銀行
ニ於テモ免稅トナッテ居リマスカラ影響ハナ
イモノト思フト云フ欠辯デアリマス又最
高制限ヲバ上ゲタ上ニ割增金ヲ附スルト云
フ郵便切手ヲバ創設スルコトニナルト、貯蓄
銀行等ヲバ壓迫スル虞ハナイカト云フ問ニ
對シマシテ、最高制限ヲ上ゲルコトト割增
金ヲバ附スル郵便切手制度トノ二ツノ制度
ニナッテ居リマス故ニ、郵便貯金全般ニ割增
金ヲ附スルト云フコトデハアリマセス貯
金切手ヲバ五箇年据エ置イテ無利子トシ
其ノ利子ヲバ割增金トスルノデアルカラ、
貯蓄銀行等ヲ決シテ壓迫スルコトハナイト
云フ答辯デゴザリマシタ、又貯金切手ノ額
面ヲバ一圓、二圓トスルガ、預金ノ最低額ハ
五十錢デアルカラ、矢張リ貯金切手ヲ五十錢
ノ額面ノ分ヲバ作ッタ方ガ適當デハナイカ
ト云フ問ニ對シマシテ、國民ノ經濟生活モ
向上シテ居ルノデヽ浮動資金ヲ集メルト云
フ意味カラデアリマス五十錢トスルト非
常ナ手數ガ掛ル又是ハ富籤ノ弊ヲバ脫シ
テヽ貯蓄ヲナシテ元金ハ必ラズ元ヘ還ルト
云フ樂シミヲバ與ヘルモノデアルカラ煩
雜手數デアルカラ五十錢ヲバ採ラナカッタ、
一國二圓ノ二種トスル方針デアリマスト
云フコトデゴザリマシタ、又割增金ノ額ハ
ドレ程デアルカト云フ問ニ對シマシテ)最
高二圓ニ對シテハ千圓、一圓ニ對シテハ五
百圓ノ割增金ノ見込デアルト云フコトデゴ
ザイマシタ、尙詳細ハ速記錄ニ讓ルコトニ
致シマス、次ニ鐵道敷設法中改正法律案ニ
付テ申上ゲマス、此ノ法案モ過日鐵道大臣
カラ提出ノ理由ヲバ當議場ニ於テ述ベラレ
マシタカラ省略致シマスルガヽ之ヲ要シマ
スルノニ今囘ノ改正ハ、鐵道敷設法別表第
百二十九條ニ揭ゲラレタ豫定鐵道線路、卽
チ北海道渡島國上磯カラ木古內ヲ經テ江差
ニ至ル鐵道、及ビ木古內ヨリ分岐シテ福山
ニ至ル鐵道終點ノ福山ヲバ大島迄延長セム
トスルノデアリマス、此ノ問約二十六「キ
ロ」ノ區間デアリマス、此ノ線路ノ沿線ハ、
時局下最モ緊要デアル鐡鋼ノ生產ニ缺クコ
トノ出來ナイ滿俺鑛ノ豐富ナ埋藏地帶デア
ルノデアリマス満俺鑛ハ從來多ク輸入
ニ俟ッテ居リマシタガ、世界情勢ノ變化ハ
此ノ輸入ヲバ因難ナラシメタノミナラズ、
鐵鋼增產計畫ノ實施ニ伴フ國內滿俺ノ需要
增加ハ、本地方ノ満俺鑛ヲ積極的ニ開發ス
ルコトガ緊要トナッテタノデ、此ノ本區間ニ
鐵道ヲ敷設シテ其ノ增產ヲ圖リ戰時資材
トシテ緊要ナル鐵鋼ノ增產ニ容與スルト共
ニ、地方交通ノ整備、地方產業ノ開發ニ貢
獻シタイト考ヘルノデアリマス、昭和十七
年度ヨリ工事ニ著手シ十九年ニ完成シタイ
ト思ヒマスガ、本區間ハ鐵道敷設法別表ニ
揭ゲテアリマセヌカラ、之ヲ豫定鐵道線路
トシテ追加ノ必要ガアルノデアルト云フコ
トデゴザイマス、之ニ對シテ質問ノ二三一ヲ
申シマスルト、從來ハ如何ナル方法ニ依ッテ
輸送シテ居ッタカト云フ問ニ對シマシテ、從
來ハ小型船舶ニ依ッテ居ッタノデアリマス
尤モ今ノ所マダ數量ガ僅カデアリマスルカ
ラ是デ間ニ合ッテ居ルノデアルト云フ答デ
アリマシタ、又工費ハドレ程掛ルカト云フ
問ニ對シマシテ、四百二十六萬圓ヲ要スル
ノデアルト云フ答ガアリマシタ、又滿俺ノ
出ルコトハ確カデアルカト云フ問ニ對シマ
シテ、我ガ國内ニ於テ満体鑛ヲ埋藏シテ居
ル地點ニ付テ、政府ニ於テハ、帝國鑛業開發
會社ト云フ國策會社デアリマス、是等ト政
府ノ部局ガ十分ニ打合セタ結果、此ノ地方
ヲ開發スベキデアルト内定シテ、此ノ鐵道
ガ必要トナッタノデアルト云フ答辯デゴザ
イマシタ、其ノ他鐵道豫定線ヲ整理スルト
カ、敷設法ヲバ全面的ニ改正スル意思ハナ
イカト云フ問モアリ又鐵道貨客ノ混亂救
濟ノ方法、鐵道ト造船、造艦等ノ關係ニ付
テ種々御質問ガアリ應答ガアリマシタガ、
是モ省略致シマシテ速記錄ニ付テ御了承ヲ
願ヒタイト存ジマス、最後ニ地方鐵道補助
法中改正法律案ニ付テ申上ゲマス、此ノ案
ノ提出理由ハ是モ曩ニ本議場ニ於キマシ
テ鐵道大臣カラ御說明ガアリマシタカラ省
略致シマス、其ノ要點ヲ申上ゲマスト、現
行補助法ハ昭和十二年三月改正セラレタル
モノデ其ノ趣旨トスル所ハ地方鐵道ノ
運營ヲ確保シ、效用ヲ增進セシムルコトヲ
目的トシマシテ、建設費ノ百分ノ四ニ相當
スル金額カラ、益金ヲバ控除シタ殘額ヲバ
限度トシテ、運輸數量ニ基キ、命令ノ定ム
ル所ニ依ッテ計算シタ補助金ヲ交付スルノ
デアリマス、本法ノ施行ヲバ五年ト限ッテ
アルノデ、昭和十七年四月一日以後ニ於テ
ハ補助金ヲバ交付スルコトガ出來ナイコト
ニナッテ居リマス、然ルニ地方鐵道ノ業績ヲ
見マスルノニ、補助效果ハ漸次擧ッテ來テ
居リマスルト共ニ、一般貨物旅客ノ增加スル
爲從ッテ收入モ增加ノ傾向ニナッテ居リマ
ス、併シナガラ一方物價ヤ賃銀ノ昂騰ヤ
「ガソリン」ノ代燃化等ニ依リマシテ支出モ
自然增加シテ參ッタ上ニ、輸送力增强ノ必要
ニ迫ラレツヽアルモノガ多イノデ、是ガ施
設ノ改善ニ要スル費用モ自然ト嵩ンデ參リ
やく、收益狀態ハ寧ロ低下スルノ傾ガアル
モノモ亦相當多イノデアリマス、昭和十五
年度ニ於キマシテ、建設費ニ對スル益金割
合ガ年四分ニ達シマスルモノハ全地方鐵道
ノ約四割ニ相當シテ居ルノデアリマス、從ッ
テ施設ノ改善ヲ爲シ、事業內容ノ强化ヲ圖
リマシテ現下緊要デアル交通ノ確保ヲ期
スル爲ニハ補助制度ヲバ存續スルト云フ
コトガ最モ必要デアルト感ズル、依ッテ其ノ
期間ヲバ更ニ五箇年延長シタイト云フコト
デアリマス、尙地方鐵道ノ中ニハ、從前ノ
規定ニ依リマシテ補助ヲ受ケテ居ルモノモ
アリマスノデ、此ノ度五箇年ヲバ延長シテ
其ノ終期ヲバ一致シタイノデアルト云フコ
トデゴザイマス、之ニ對スル質問ノ主ナル
モノヲ申上ゲマスト、地方鐵道ニシテ維持
困難ナモノ相當アリヤ又五箇年ヲ一期ト
シタル理由如何、之ニ對シマシテ色々物價
ガ增シテ參リ、且又勞銀等ノ關係デ經費ノ
方ガ增シテ參リマス關係上、補助ニ依ラナ
ケレバヤッテ行ケナイト云フモノモアルト
思ヒマス、又一期ヲバ五箇年トシタノハ、
其ノ間ニハ補助セズトモ宜シイモノモ相當
アルト思ヒマス、又以後ニ於テモ補助セン
ケレバナラヌモノモアルト思フ、兎モ角五
箇年トシテ一應業績ヲ見ル必要アリト思フ
テ五箇年ト云フコトニ致シタノデアルト云
フ答辯デゴザイマス又地方鐵道全部ヲ國
有ニスル意思ナキカト云フ問ニ對シマシテ、
鐵道國有法ノ第一ノ原則ト致シマシテ、帝
國ノ鐵道ハ國ノ所有トストアリマスガ、併
シ一地方ノ交通ヲ目的トスルモノハ此ノ限
リニアラズトナッテ居リマスト云フ答辯デ
アリマス、此ノ外補助ヲ爲ス鐵道會社ノ數
トカ、國有鐵道ノ賃金ヲ上ゲタ結果、地方
鐵道ノ賃金モ同樣上ゲル考カ等、其ノ他色
色質問ガゴザイマシタガ是モ省略致シマ
シテ速記錄ニ讓ルコトニ致シタイト存ジマ
ス、斯クテ質問ヲ打切リマシテ、討論ニ入
リマシテ一委員ヨリ、案其ノモノハ誠ニ
簡明ナモノデアリマス、影響スル所ハ財
政上又色々ノ關係ハ廣イガ、內容ニ付テハ、
此ノ時局ニ對スル貢獻ト、又ソレニ伴ウテ
內容ノ擴充ト改善ヲ目的トシテ居ルヤウデ
アル、結構ナ思ヒ付キデアラウト考ヘマス
カラゝ是等四案共異議ナク原案ニ贊成スル
ト云フ贊成意見ヲバ開陳セラレマシタ、採
決ノ結果、全會一致ヲ以チマシテ此ノ四案
共政府ノ原案通リ可決スルト云フコトニ決
定致シマシタ、以上ヲ以テ御報告ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、四案ノ採決ヲ致シマス、四案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=31
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032・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=32
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033・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=33
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034・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=34
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035・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=35
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036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 四案ノ第二讀會
ヲ開キマス御異議ガナケレバ全部ヲ問
題ニ供シマス、四案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=37
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038・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=38
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039・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=39
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040・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=40
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041・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=41
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042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴書ロ) 四案ノ第三讀會
ヲ開キマス、四案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=42
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043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=43
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044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴書君) 本日河井彌八君
ヨリ病氣ニ付米穀需給調節特別會計法中
改正法律案外二件特別委員ヲ辭任致シタキ
旨申出ガゴザイマシタ、許可ヲ致シテ御異議
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、就キマシテハ其ノ補關トシテ次
田大三郞君ヲ指名致シマス、次會ノ議事日
程ハ決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマ
ス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午前十一時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007903242X01019420206&spkNum=45
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