1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十七年一月三十一日(土曜日)午前十時三十分開議
出席委員左の如し
委員長 勝正憲君
理事 大石倫治君 理事 坂田道男君
理事 河野密君 理事 松永義雄君
石坂養平君 伊藤五郎君
宇賀四郎君 小川郷太郎君
小高長三郎君 岡本實太郎君
村上紋四郎君 森肇君
金澤正雄君 藤本捨助君
篠原陸朗君 立川平君
豐田收君 山本芳治君
川崎克君 森田福市君
青木作雄君 田川大吉郎君
佐竹晴記君 加藤鯛一君
出席政府委員左の如し
内務書記官 小林千秋君
大藏省主税局長 松隈秀雄君
大藏書記官 深澤家治君
大藏書記官 池田勇人君
大藏書記官 平田敬一郎君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
議員 山川頼三郎君
本日の會議に上りたる議案左の如し
所得税法中改正法律案(政府提出)
法人税法中改正法律案(政府提出)
所得税法人税内外地關渉法中改正法律案(政府提出)
相續税法中改正法律案(政府提出)
織物消費税法中改正法律案(政府提出)
物品税法中改正法律案(政府提出)
電氣瓦斯税法案(政府提出)
廣告税法案(政府提出)
馬券税法案(政府提出)
印紙税法中改正法律案(政府提出)
臨時利得税法中改正法律案(政府提出)
特別法人税法中改正法律案(政府提出)
營業税法中改正法律案(政府提出)
臨時租税措置法中改正法律案(政府提出)
國庫出納金端數計算法中改正法律案(政府提出)
戰時災害國税減免法案(政府提出)
所得税等の日滿二重課税防止に關する法律案(政府提出)
地方分與税法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=0
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001・勝正憲
○勝委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス-田
川大吉郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=1
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002・田川大吉郎
○田川委員 私ハ大藏省竝ニ內務省ノ政府
委員ニ對シテ御尋ネ致シタイノデアリマス、
但シ部分的ノコトニハ入ラナイ積リデアリ
やっく、總括的ニ全體ニ關スル御尋ネヲシテ
見タイト思ヒマス、旣ニ同僚諸君ノ熱心ナ
ル御質問竝ニソレニ對スル政府委員ノ明快
ナル、或ハ詳密ニ過ギルト思ハレル程ノ御
答辯ニ依ツテ凡ソ分リマシタ、サリナガラ
尙ホ念ヲ押シテ私ノ氣掛リノ點ヲ確カメテ
置キタイト思フノデアリマス、若シ其ノ中
ニ旣ニ同僚諸君ノ質問セラレタ部分ガアリ、
重複ニ亙リマス場合ニ於テハ、ドウゾ委員
長ヨリ私ニ御注意下サルコトヲ希望致シテ
置キマス、段々伺ヒマシタ所ニ依ツテ、本
問題ニ對スル質問竝ニ意見ノ焦點ハ、國民
貯蓄ノ蓄積ニアルカト存ジマス、本年度ニ
於ケル國民貯蓄ノ總額ヲ約二百二十億圓ト
期待シテオイデニナル、私ノ間ヒタイノハ
ソレデ宜イノデアリマスカ、卽チソレハモ
ツト增加ヲ必要トスル事情ガ迫リツツアル
ノデハアリマセヌカ、故ニ今年度內ニ於テ
モモツト增加ヲ必要トスル事情ガ迫ルデア
ラウト云フ御懸念ヲ政府ハ御持チニナツテ
居ラレマセヌカト云フコトヲ第一ノ御問ヒ
ト致シタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=2
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003・松隈秀雄
○松隈政府委員 本年度ニ於ケル貯蓄目標
ニ付テハ、豫算總會等ニ於テ大藏大臣ガ、御
話ノ如ク約二百二十億ヲ目標トスルト言ツ
テ居ラレマスガ、此ノ目標ハ最低目標デア
リマシテ、大體公債ノ發行セラレマシテ消
化ヲ要スルモノヲ百六十億ト押ヘマシテ、
生產力擴充資金ヲ前年同程度ト押へマスト、
是ガ六十億、ソレヲ合セマスト二百二十億
デゴザイマスガ、ソレハ最低ノ見積リデア
リマス、隨ヒマシテ是ヨリモ貯蓄ノ蓄積狀
況ガ多ケレバ多イ程望マシイコトデアリマ
ス、又國家トシテモ出來ルダケ多クノ貯蓄
ノ實績ノ擧ランコトヲ希望シテ居ル次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=3
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004・田川大吉郎
○田川委員 其ノ生產擴充資金ノ必要額デ
アリマスガ、ソレヲ六十億圓ト見積ツテオ
イデニナル、ソレハ昨年度ト同程度デアリ
マスト仰セニナル、其ノ昨年度ト同程度ト
云フコトガ當然ノ推測デアリマセウカ、昨
年度ニ比ベマシテハ寧ロ增加スル必要ガア
ルト考フベキデハアリマスマイカ、ソレ故
ニ私ハ他ノ點ハ姑ク措キマシテ、二百二十
億ト云フ推算ガ內輪ニ過ギテハ居ナイカ、
モツト大膽ニ此ノ場合計畫ヲ立テラルベキ
モノデハナイカト云フ疑ヒヲ持ツノデアリマ
ス、ソコデ其ノ生產擴充必要額デアリマス
ガ、ドウデゴザイマセウ、六十億ニシテ足
レリト見ルベキモノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=4
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005・松隈秀雄
○松隈政府委員 生產力擴充計畫ニ何程ノ
金ヲ要スベキヤト云フ計算ハ、國家資金計
畫ガ確立スレバ、自然ト判明シテ參ルノデ
アリマスガ、實ハ本年度ニ於ケル國家資金
計畫、詰リ資金ノ蓄積カラ推シマシタ所ノ
資金增加ヲ、需要ニ如何ニ按配スルカト云
フコトノ計畫ガ、マダ具體的ノ數字ヲ以テ
申上ゲルマデニ出來上ツテ居リマセヌ、ソ
コデ少クトモ生產擴充計畫ハ前年ノ六十億
ヲ下ルコトハアルマイ、一方國民貯蓄目標
ヲ或ル程度示サナケレバナラナイ關係上、
先程モ申上ゲマシタヤウニ、最低六十億ノ
生產擴充資金ヲ要スルモノト見テ、ソレヲ
公債消化ニ要スル資金ト合セテ一應二百二
十億トシタヤウナ次第デアリマス、御話ノ
ヤウニ、我ガ國ノ南方發展、最近ノ經濟諸
情勢ニ依リマシテ生產擴充資金ハ增シテ參
ルダラウト思ヒマス、其ノ場合ニ於テ必要
ガアリマスレバ、貯蓄目標ニ付テ更ニ改訂
ヲ行フト云フヤウナコトガアリ得ルト思ツ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=5
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006・田川大吉郎
○田川委員 政府ノ御考ヘハ、只今ノ如キ
御答辯ニ依ツテ段々分ツテ參リマシタ、私
ハ二百二十億デハ足リナイ、必然ニ增加ス
ルト豫想シテ居ルモノデアリマス、之ヲ押.
シテ御尋ネ致シマシタノハ前日ノ大藏大
臣ノ御答辯ノ中ニ、二百二十億圓ノ蓄積ガ
可能カ可能デナイカニ依ツテ國運ノ盛衰興
廢ガ決スルト云フコトヲ仰セニナリマシ
タ、ソレ故ニ私ハ其ノ二百二十億圓ト云フ
大藏大臣ノ押へ方ニ懸念ヲ抱イタノデアル、
二百二十億ノ蓄積ガ可能カ不可能カニ依ツ
テ國運ノ盛衰浮沈ガ決スルト仰セニナツタ
點ニ懸念ヲ抱クノデアリマス、サウ云フ意
味デ此ノ問ヒヲ起シタノデアリマス
第三トシテ、其ノ二百二十億圓ノ蓄積ヲ
可能ナリト豫想セラレル根據ハ何處ニアリ
マスカ、ソレハ前年ノ例モアル、其ノ前年
ノ例モ確實ナル根據ニナルトハ思ヒマスケ
レドモ、將來ニ關シテ御見込ヲ御立テナサ
ル場合ニ於テハ、郵便貯金トカ銀行預金其
ノ他ノ預金ノ趨勢等ヲ御調査ノ上ニソレニ
基イテ是ダケノ蓄積ハ可能デアルト云フ御
意見ヲ御立テニナツタモノデアラウト思
フ、其ノ根據ヲ御示シ下サルコトガ出來マ
スナラバドウゾ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=6
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007・勝正憲
○勝委員長 田川君ニ申上ゲマスガ、重要
ナ御質問デハアリマスケレドモ、增稅案ニ
ハ大分緣遠イ御質問デアリマスカラ餘リ深
入リヲナサラナイヤウニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=7
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008・松隈秀雄
○松隈政府委員 大藏大臣ガ二百二十億ノ
資金ノ蓄積ガ出來ルカ出來ナイカト云フコト
ハ國ノ盛衰ニ關係ガアルト云フヤウナ意味ノコ
トヲ仰ツシヤツタト致シマスレバ、ソレハ
戰時下ニ於キマシテ國トシテ必要ナ資金ノ
蓄積ガ旨ク行カナイト云フコトニナリマス
ト、戰時下ノ各種政策ノ運營ニ非常ニ支障
ヲ來ス、斯ウ云フ點ニ重點ヲ置カレタノデ
アルト思フノデアリマス、必要ナル資金ノ
蓄積ト云フノガ丁度二百二十億デ宜イノデ
アルカ、或ハ二百二十億ハ最低デアツテ、
ソレ以上ニ必要デアルカト云フコトハ、先
程モ御話シマシタ國家資金計畫ノ具體的確
定ヲ俟チマスレバ自ラ判明スルコトダト思
ヒマス、ソレカラ二百二十億ノ貯蓄ト云フ
モノガ可能デアルカドウカ、可能トスレバ
ドウ云フ點カラ根據付ケラレルノカト云フ
質問テアリマスルガ、是ハ中々具體的ニ申
上ゲルコトハ困難ナノデアリマスルガ、只
今モ御話ノアリマシタヤウニ、從來ノ貯蓄ノ
成績カラモ推測ガ出來マスシ、郵便貯金、銀
行預金ノ增加、株式資金ノ集リ方ト云ツタヤ
ウナモノカラ想像スルコトモ出來ルノデア
リマスルガ、昨日モ豫算總會ニ於キマシテ
大藏大臣ハ大體此ノヤウナ觀察ヲ下シテ居
ラレタノデアリマス、ソレハ昭和十七年ニ
於ケル國民所得ト云フモノヲドノ位ニ見ル
ノカ、ソレカラ其ノ國民所得ノ中國民ノ生
活ニ當テラレル部分ヲ幾ラ位ト見ルカ、斯
ウ云フヤウナ質問ニ對シテハ大體大藏大臣
ハ昭和十七年ノ國民所得ハ、推算デハア
ルケレドモ四百五十億圓見當ト見ルコトガ
出來ル、其ノ場合ニ於テ公債消化及ビ生產
擴充資金トシテ少クトモ二百二十億圓ヲ要
スル、其ノ他ニ大體稅金ト、稅金的ナ負擔
ト考ヘルト、七十億乃至八十億圓位ニ達ス
ル、是デ約三百億圓デアリマスルカラ、殘
リノ百五十億圓位ガ大體國民ノ生活方面ニ
使ハレル金デアルト思ノ百五十億圓程度
ノ國民生活ヲ除ケテ置クコトガ出來ルトス
ルナラバ、二百二十億ノ貯蓄ト各種ノ稅金
及ビ稅金的負擔モ賄ヘルト思フカラシテ、
其ノ意味ニ於テ國民生活ヲ著シク壓迫スル
ト云フヤウナ虞モナイト思フシ、又二百二
十億ノ資金ノ蓄積モ大體ニ於テ可能ト思ハ
レル、斯ウ云フヤウナ極ク粗イ推算デハア
リマスルケレドモ、ソレヲ述ベラレテ居リ
マスルノデ、玆ニ御傳ヘスルヤウナ次第デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=8
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009・田川大吉郎
○田川委員 國民所得ノ總額ヲ四百五十億
圓ト豫算總會ニ於テ大臣ガ御說明ニナラレ
マシタコトハ、御意見ガ略、其ノ通リニ決定
セラレタモノト思ヒマス、此ノ委員會ニ於
テノ御說明ハ、四百億以上、或ハ四百五十
億デアルカ、記憶ニ依リマスレバ四百二十
億程度ト御述ベニナツタ所モアルヤウデア
リマス、其ノ四百二十億、四百五十億ヲ標
準トシテ考ヘマシテ、二百二十億ノ國民貯
蓄ノ割合ハ、丁度國民所得ニ對スル二ト一
トノ割合ニナルノデアリマス、近年ノ日本
ハ「ドイツ」ノ例ヲ多ク參考トセラレルヤウ
デアリマス、サウシテ「ドイツ」ノ豫算其ノ
他ノ計算ハ、明確ニハ分リマセヌケレドモ、
今日マデノ間ニ發表セラレタモノニ依リマ
スレバ、彼等ノ所得ト國民所得トノ割合ハ
二ト一ノ割合ニ達シテ居ナイ、三ト一ニモ
達シテ居ナイ、私ノ得テ居リマス資料ニ依
リマスレバ、實ニ二割ニモ達シテ居ナイヤ
ウナ割合ニ見ルノデアリマスガ、政府ノ御
調査ニ依リマスレバ、「ドイツ」ノソレ等ノ
割合ハ既ニ二割以上ニモ、三割ニモ四割程
度ニモ達シテ居ルモノデアリマセウカ、海
外ノコトデアリマスガ、一ツ參考トシテ承
リタイモノダト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=9
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010・松隈秀雄
○松隈政府委員 「ドイツ」ガ國民所得ノ何
「パーセント」位ヲ蓄積ニ當テテ居ルカト云
フコトノ推算ハ只今數字ヲ以テ居リマセヌ
カラ別ノ方面カラ一ツ御話ヲ致シテ見タイ
ト思ヒマス、尤モ「ドイツ」ニ於キマシテハ今
日全部ノ計數ヲ發表シテ居リマセヌカラ、
正確サニ於テソコニ多少割引シナケレバナ
ラヌコトハ御諒承願ヒタイノデアリマスガ、
昭和十六年度トシテ「ドイツ」ハ歲出總額ガ
國民所得ノ七八%位ニナツテ居ルト云フヤ
ウナ計算モ出テ居リマス、別ノ方面カラノ報
告ニ依リマシテモ、大體「ドイツ」ハ今度ノ大
戰ノ爲ニ國民所得ノ八割程度ノモノヲ消費
シテ居ル、サウスルト國民所得ト云フモノ
ハ二〇%シカ手ニ殘ラナイ、二〇%ノ國民
所得デハ國民ガ暮セル筈ガナイ、ソコデ推
算スルモノハ、ヤハリ「ドイツ」ハドウジテモ
國民所得ノ四〇%位ノモノデ切詰メタ生活
ヲシテ居ルノデアル、サウナルトアノ不足
ノ二〇%ト云フモノハ舊來ノ蓄積ヲ食ツテ
居ル、デアルカラ今年ノ新シク生ジタ國民
所得ヲ以テ戰費ヲ支辨シ、生活モ支辨スル
ト云フ程ノ餘裕ハ、ドウモ示シテ居ラナイ
ヤウニ見エル、斯ウ云フヤウナ觀察ガ下サ
レテ居リマスルガ、何分海外ノコトデアリ
マシテ、サウシテ資料モ得ニクイシ、又發
表モ致シテ居ラナイ部分ガアリマスルカラ、
一應ノ推測的ナ數字ニ過ギナイノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=10
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011・田川大吉郎
○田川委員 有難ウゴザイマシタ、私ノ只
今マデ得テ居リマス資料ニ比ベマスレバ格
段ニ相違シタ新シイ御報告デアリマシタ、
サウシテ私モ自分ノ得テ居ル資料モ確實ト
ハ勿論言ヒ得ナイノデアリマス、年々ニ、
一年ノ間ニモ幾囘カ變化シツツアル獨逸ノ
情勢デアリマスカラ分リマセヌガ、私ノ得
タ材料ニ依リマスレバ前申上ゲタヤウナ割
合ニナツテ居ル、ダカラサウ云フ行キ方モ
アリ得ルモノダト考ヘテ居タノデアリマス、
重ネテ御禮ヲ申上ゲテ次ノ問ヒニ移リマス
ガ、日本ノ有力ナル銀行ニ於ケル預金ト其
ノ銀行ノ消化シタ國債トノ比例ハドンナ割
合ニナツテ居ルモノデアリマセウカ、而シ
テ其ノ將來ハ更ニドンナ風ニ進ミ行クモノ
デアラウト豫想シテオイデニナラレルノデ
アリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=11
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012・松隈秀雄
○松隈政府委員 銀行ノ集メマシタ資金ノ
集積ト、其ノ資金ヲ國債消化ニ如何ニ用ヒ
タカト云フ數字デアリマスガ、是ハ銀行局
若クハ理財局ノ政府委員カラ御話申上ゲル
ノガ正確デアルト思ヒマスガ、私ノ大體ノ
記憶デ今御答ヘ致シマスレバ、御承知ノヤ
ウニ、貯蓄銀行ハ普通銀行ニ比シマシテ國
債ノ持ツ割合ガ非常ニ多クナツテ居リマス、
隨ヒマシテ貯蓄銀行ニ於キマシテハ集メマ
シタ預金ヲ以テ國債ヲ持ツテ居ル割合ハ六
割五分、或ハソレヨリモ少シ上位ニナルカ
ト思ヒマス、之ニ反シマシテ普通銀行ノ方
ハ貸出ニ使ヒマスル金額モ相當ゴザイマスシ、
社債等ノ引受モアリマスノデ其ノ割合ハ落
チテ居リマスガ、是トテモ預金ノ大體三〇
%位ト思ツテ居リマス、尙ホ今後ニ於キマ
スル國債消化ノ目標ト致シマシテハ、國債
ノ民衆化ヲ圖ルト云フコトハ勿論疎カニ
スベキコトデハアリマセヌ、仍テ政府ト致
シマシテモ色々苦心致シテ居リマスガ、大
體ノ傾向カラ申シマスト、我ガ國ニ於テ國
債ガ民衆ニ直接消化サレテ、民衆ノ手持ニ
ナツテ居ル割合ハ比較的多クナイノデアリ
マシテ、隨テ國債ノ消化トシテハ、金融機
關ニ依ツテ國債ノ持タレルコトヲ最モ促進
シナケレバナラナイノデアリマス、今囘金
融統制會ガ出來、金融統制ニ關スル勅令ガ
發セラレマシテ、金融體制ガ整備强化サレ
ルノデアリマスルガ、是等ノ第一ノ仕事ト
致シマシテハ、金融機關ニ國債ヲ持ツテ貰
フ割合ヲ一段ト增ス、斯ウ云フ方向ニアル
ト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=12
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013・田川大吉郎
○田川委員 私モ金融機關ガモツト國債ヲ
進ンデ消化スベキデアル筈ダト云フ見解カ
ラ此ノ問ヒヲ起シタノデアリマシタ、日本
ノ金融機關ノソレ等ヲ負擔シテ居ル實情ガ
未ダ國家ノ此ノ切迫シタル實情ニ卽シテ進
ンデ居ナイト云フ憾ミヲ持チマシタ爲ニ、
此ノ問ヒヲ起シタノデアリマシタ、ソレヲ
進メ得ル方策ヲ政府ガ執ツテオイデニナル
ト承リマスコトハ私ノ滿足スル所デアリマ
ス
ソレカラ次ノ問ヒニ移リマスガ、今後モ
更ニ增稅セラレルコトガアル、次ノ增稅、
次々ノ增稅ト云フコトガ必至デアラウト
仰セニナリマシタ、ソレハ其ノ筈デアルト
覺悟シテ居ルノデアリマス、此ノ關係ニ於
テ稅收入ト借入金トノ割合ノ問題ガ本委員
會ノ一ツノ問題ニナツタヤウデアリマス、
サウシテ政府ハ何モ「イギリス」ヲ手本トナサ
レル時デハナイ、彼ノ國ニハ彼ノ國ノ事情
ガアリ、日本ニハ日本ノ事情ガアツテ日本
獨特ノ行キ方ヲシヨウトシテオイデニナル
コトハ明白デアリマスルガ、ソレニモ拘ラ
ズ「イギリス」ガ稅收入ヲ以テ總收入ノ約四
割ノ標準ニ立テテ居ルコトヲ、我ガ政府モ
亦成ベクソレニ近付キタイト考ヘテ居ラレ
ルヤウニ承リマシタ、ソレハ私ノ承リ損ジ
デハナカツタラウト思ヒマス、私ノ感ジヲ
率直ミ申上ゲマスレバ、斯クノ如キ期待ヲ
抱イテ計畫シツツアラレマスト云フコトガ
寧ロ意外デアリマシタ、斯クノ如キモノハ
何モ一定ノ標準ハナイト仰セニナリマシタ
所ニ眞理ガアル、決シテ「イギリス」ガ所謂健
全財政ノ方針ヲ執ツテ四割程度ノ稅收入ヲ
用ヒテ居リマシテモ、「ドイツ」ノハ遙カニ
ソレ以下デアリマス、遙カニソレ以下デア
ルカラ「ドイツ」ノ方針ハ不健全ノ方針デア
ルト言フノハ當ラナイ、ソレデモ宜イト思
フハデアリマス、サウシテ玆ニ日本銀行法
ノ改正案、寧ロ革命的改正案ノ御提案
ニナリマシタヤウナ所カラ考ヘマスレ
バ、私ハ政府ガ若シ參考ヲ求ムレバ
「ドイツ」ニ求メテ「イギリス」ニ求メナイ
ト云フ方針ヲ持ツテオイデニナルノデアラ
ウト推測シテ居タノデアリマス、隨テ茲ニ四
割ヲ成ベクソレニ近付ケタイ標準トシテ居
ルト云フ如キ御說明ノアリマシタコトニ對
シテハ意外ノ感ヲ抱キマシタ、アノ日本銀
行ノ改正案ヲ提出セラレタガ如キ御方針カ
ラ案ジマスレバ、其ノ「イギリス」流ノ所謂
健全政策ニ近付キタイト云フ如キハ既ニ一擲
セラレテ居テ、サウデナシ若シ依然四割程
度ト仰セニナツタコトガアレバ、今日ニ於
テハソレヲ改メテ、サウ云フ方針ハ餘リ期
待シテ居ナイノダト云フ御說明ヲ下サレル
モノト待チ受ケテ居タノデアリマスルガ、
ソレハ私ノ間違ツタ觀察デアリマシタラ
ウカ、政府ノ今後ノ增稅ニ次グニ增稅ヲ以
テスル方針ハ、ヤハリ其ノ四割程度ニ近付
キタイト云フ御考ヘヲ持ツテオイデニナル
ノデアリマセウカ、其ノ點ヲ伺ツテ置キタ
イノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=13
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014・松隈秀雄
○松隈政府委員 本問題ハ重要ナル點ガゴ
ザイマスノデ、大藏大臣カラ申上ゲルノガ
適當カト思フノデアリマスガ、一應是モ私
ノ考ヘヲ申上ゲテ見タイト思ヒマス、歲出
總額ノ何「パーセント」ヲ租稅ヲ以テ賄フベ
キカト云フコトデアリマスルガ、是ハ先ニ
賄フベキ割合ト云フモノヲ決メテ、ソレヲ
目標ニ增收計畫ヲ立テルノデハナクシテ、
割合ト云フモノハ結果的ニ見テ居ル、斯ウ
云フ譯デアリマス、從來我ガ國ニ於キマス
ル數囘ノ增稅ヲ致シマシタ場合ノ政府ノ說
明ヲ顧ミテ見マスルト、イツモ政府ノ言フ
所ハ決シテ增加スル國債ノ利子ニ相當スル
モノヲ目安トシタモノデモナイ、又國債ノ
元本ノ一部ヲ償還スルト云フヤウナ年賦的
ナ計畫ヲ立テテ增收シテ行ク譯デモナイ、
ソレナラバ何ヲ目標トシテ增收致シテ居ル
カト申シマスレバ、ヤハリ各增稅計畫ヲ立
テタ當時ニ於ケル經濟界ノ實情ニ照シマシテ、
經濟界ニ著シク惡影響ヲ與ヘズ、而モ國民生
活ノ維持安定ニモ留意シツツ、出來ルダケ
ノ增收ヲ圖ル、斯ウ云フヤウナ點ガ出發點
ニナツテ居リマス、是ハ大體ニ於テ踏襲サ
レテ居ルノデアリマス、偶〓第七十七囘帝國
議會ニ於キマシテ、松村委員カラノ御質問
デアツタト思ヒマスルガ、割合論ガ出マシ
タ爲ニ、而モ其ノ當時ニ於テハ、一寸言ヒ
ニクイコトデアリマスケレドモ、比較的割
合ガ良ク出テ居ツタノデ、割合ヲ申シテモ
結果的ニ工合ガ宜カツタノデアリマス、ソ
コデ其ノ割合モ申上ゲ、サウシテ其ノ申上
ゲタ序ニ英國アタリハ四割程度歲出ヲ租稅
ニ依ツテ賄ツテ居ル、斯ウ云フ方面マデ行
キ得レバ非常ニ望マシイト云フヤウナコト
ヲ申シマシタ、ソレガ從來ノ說明ニ餘リナ
カツタ點デアリマス爲ニ、一ツノ標準ガ出
來タヤウニ誤解サレ、少クトモ標準デナイ
トシテモ、ソレガ理想或ハソコヘ行キタイ、
斯ウ云フヤウナ風ナ感ジヲ與ヘタト思フノ
デアリマスガ、重ネテ申シマスル通リ、割合
ハ結果的ニ見ルベキモノデアツテ、而シテ
其ノ割合ガ良ケレバ、ソレニ越シタコトハ
ナイ、ソレダケ財政ノ健全化ガ圖ラレタ譯
デアリマスケレドモ、併シ割合カラ出シテ
來テ無理ナ增稅ラスルト云フヤウナコトハ
ヤルベキデナイ、ヤハリ大藏大臣モ他ノ機
會ニ言ツテ居ラレル通リ、經濟ガ大切デア
ツテ、其ノ經濟ヲ基礎トシテノ增收策ト云
フモノヲ圖ラナケレバ、今後ノ長期戰ニ勝
拔イテ行クト云フ譯ニハ參ラナイ、斯樣ニ
存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=14
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015・田川大吉郎
○田川委員 只今ノ私ノ問ヒハ別段大臣ノ
御答辯ヲ煩ハサナイデモ宜イ積リデ居リマ
ス、只今ノ政府委員ノ御說明ニ依ツテモ大凡
ソノコトハ了解出來マスカラ、ソコデ敢テ
大臣ノ御答辯ヲ煩ハシマセヌ、唯政府委員
カラ、大臣ヘ此ノ質問ノアリマシタコトヲ
御傳ヘ下サレバソレデ結構デアリマス
次ニ移リマスガ、政府委員ノ是マデノ御
說明ニ依リマシテ、間接稅モ、又直接稅モ、
何レモ尙ホ此ノ上增徵ノ餘地ガアル、增徵
ハ出來ナイ程度ノ限度ニ達シタモノハ未ダ
ナイ、增徵ノ餘地ハ尙ホ殘サレテ居ルト御
說明ニナツタモノト了解シテ置イテ差支ヘ
アリマセヌカ、若シ其ノ中ニ既ニ限度ニ達
シタモノガアル、限度近クニ達シタモノガ
アルト認メテオイデニナリマスレバ、ソレ
等ノ稅目ハ何デアラウカト云フコトヲ伺フ
コトガ出來マセウカ、强ヒテ伺フノデハア
リマセヌガ、若シ未ダ限度ニハ皆達シテ居
ナイ、皆餘裕ガアルトハツキリサウ仰セ下
サルノナラバ、ソレデモ宜イノデアリマス、
サウデナイ、是レ〓〓ノモノハ旣ニ限度ニ
達シタモノト御考ヘデアラレマスナラバ、
其ノ邊ヲ承ツテ置キタイト思フノデアリマ
スガ、如何デセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=15
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016・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御質問モ中々難カ
シイ質問デアリマス、抽象的ニ申上ゲマス
レバ、直接稅、間接稅兩者ヲ通ジマシテ今
日ヲ以テ限度ニ達シタト云フ風ニハ見テ居
リマセヌ、ソレナラバ餘裕綽々デアルカト
言ヒマスルト、モノニ依リマシテ相當高率
ニナツテ居ルコトハ御承知ノ通リデアリマ
シテ、例ヘバ綜合所得稅ノ如キモノ、或
臨時利得稅ノ如キモノハ旣ニ其ノ最高率ハ
可ナリノ所マデ參ツテ居リマス、間接稅ニ
付キマシテ何カモウ是ハ限度ト認メタ稅ガ
アルカ、斯ウ云フコトデアリマスガ、是モ
結局財政需要ノ增大ノ仕方ト、ソレカラ經
濟事情ノ變化ニ依ツテドウトモ解釋出來ル
問題デアリマスルガ、前ニ一例ヲ擧ゲテ藝
妓ノ花代ニ對スル遊興飮食稅ハ十割ト云フ
稅率ニナツテ居ル、アレハ一體モウ限度ニ
來タノカ來ナイノカ、斯ウ云フ問題ヲ採上
ゲテ見マスト、之ニシタ所ガ中々議論ハド
一擔稅
チラニモ出來ルト思フノデアリマス、
力カラ言ヘバ、マダ擔稅サセラレルト云フ
風ナコトガ言ヘナイコトハナイト思フノデ
スガ、一方稅率カラ申シマスルト、十割ト
云フ稅率ハマア禁止稅的ナ風ニ見ラレル虞
ガアルノデアリマス、ソレヲ超エテ稅率ヲ
擧ゲル位ナラバ禁止シタラドウカト云フ議
論モ捲キ起サレテ來ルカト思フノデアリマ
ス、隨ヒマシテ擔稅力トカ或ハ國民生活ノ
規正トカ云ツタヤウナ各方面ヲ併セ考ヘタ
上ニ、更ニ其ノ增徵ト云フコトガ問題ニナ
ルノデアリマシテ、單ニ稅率ノ上カラ是デ
最高限度デアルカドウカト云フダケノ議論
ハ難カシイト思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=16
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017・田川大吉郎
○田川委員 大凡ソ分リマシタ、只今ノ程
度ニマデ說明シテ下サイマシタコトヲ有難
ク御禮申上ゲマス
其ノ次ニ轉廢業其ノ他收入ヲ減失シタモ
ノガ旣ニ相當アル、或ハ減失シツツアルモ
ノノ數モ可ナリニ多イト思ヒマス、隨テマ
ア所得稅ニシマシテモ、營業稅ニシマシテ
モ、其ノ他、其ノ結果ノ減ハ免レナイ譯デ
アリマス、一方ニハ其ノ事實ガアリマス、
他ノ方ニハドン〓〓所得ノ增加シツツアル
事實モアル、ソコデソレ等ヲ比較對照シテ
加減シテ今囘ノ增稅ノ收入ヲ算定セラレタ
モノト思フノデアリマスルガ、サウスレバ
其ノ算定ノ基礎トナリマシダ是レ〓〓ノ增
シガアル、是レ〓〓ノ減ガアル、故ニ差引
キシテ是レ〓〓增シニナルト御算定ニナリ
マシタ其ノ基礎、言ヒ足セバ減ガ幾ラデア
ツテ、增シガ幾ラデアル、ソレ故ニ豫算面
ニ現ハレタル增シハ斯ウ云フ結果ニ相成ツタ
ノデアルト御示シヲ下サルコトハ出來マス
マイカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=17
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018・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘ノ直接稅ヲ中心ト致
シマスル增徵案ニ依リマスル增收額ハ、平
年度ニ於テ十一億五千五百餘万圓デアルト
云フコトハ度々申上ゲタ通リデアリマス、
是ハ增減差引ノ結果デアリマシテ、減收ヲ
見ナイデ增收ニナル部分ダケヲ計算致シマ
スルト、平年度ニ於テハ十二億八千三百餘
万圓ニナルベキ筈ナノデアリマス、隨ヒマ
シテ所得稅法、相續稅法、臨時租稅措置法
等ニ於キマシテ、各種ノ政策ヲ織込ミマシ
テ減稅致シマシタ金額ハ、平年度ニ於テ一
億二千七百餘万圓ニ及ンデ居リマス、尙ホ
初年度タル昭和十七年度ノ直接稅中心ノ增
徵案ニ依リマスル增收見込額ハ約九億七千
三百万圓ト申シテ居リマスルガ、是モ增減
差引ノ結果デアリマシテ、初年度增ノミヲ
計算致シマスレバ十億八千百万圓トナルベ
キ所デアリマスノニ、臨時措置ニ依リマス
各種ノ減ノ合計ガ一億七百万圓ニ及ンデ居
リマスルノデ、初年度タル十七年度ハ差引
九億七千三百万圓ニ相成ツテ居ルヤウナ次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=18
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019・田川大吉郎
○田川委員 有難ウゴザイマシタ、大藏省
ノ政府委員ニ對スル直接ノ私ノ質問ハ是デ
終ツタ譯デアリマス、內務省ノ政府委員ニ
對シテアリマスルケレドモ、又大藏省ノ方
ニモ自然ニ御分リニナツテ居ルコトト思ヒ
マスカラ、ソレニ付テ伺ヒタイノデアリマ
ス、一口ニ申シマスレバ、大震災ニ關シテ
災害ヲ被ツタ地方ニ政府カラ貸付ヲオヤリ
ニナリマシタ、アノ貸付金ノ跡始末ハドウ
ナツテ居リマスカ、ソレハ獨リ災害ヲ被ツ
タ都市ダケト申シマセヌ、或ル場合ニ於テ
ハ學校モアツタシ、寺院モアツタシ、會社
モアツタ、アレ等ニ關スル貸付金ノ返濟ノ
成績ハドウナツテ居リマスカ、サウシテ今
後片付ケ得ル見込ガ付イテ居ラレマスカ、
其ノ二點ヲ御伺ヒシタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=19
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020・小林千秋
○小林(千)政府委員 御尋ネノ政府貸付金
ノ處理ノ狀況デゴザイマスガ、道府縣ガ對
象トナツテ居リマシタモノ、及ビ東京市竝ニ
橫濱市ニ關シマスル分ハ、貸付金ノ處理法
ニ基キマスル所ノ貸付金處理委員會ノ議ヲ
經マシテ、ソレ〓〓團體ノ財政狀況ヲ考慮
致シマシテ、貸付條件ヲ緩和スル、利子ノ
低減モ行ヒマス、又償還年限ノ延長ヲ圖ル
等、ソレ〓〓償還ノ實施計畫ヲ立テマシテ、
是ガ實績ニ付テ見マスルノニ、新タナル償
還計畫ニ基キマシタ分ハ全部償還ニナツテ
居リマス、尙ホ東京市及ビ横濱市ヲ除キマ
シタ轉貸分ノ-市町村ガ借リテ居リマシ
タ政府貸付金、及ビ神奈川縣ノ元ト中郡ノ
育英學校ト云フノガゴザイマシテ、之ニ貸
付ケマシタ分ヲ其ノ後地元ノ市町村ガ轉貸
ヲ致シマシタ分ガ、マダ新タナル貸付條件
ヲ以テ處理スルト云フ手續ガ進ンデ居リマ
セヌデシタガ、是亦昨年ノ暮ニ貸付處理委
員會ノ議ヲ經マシテ、町村轉貸分ニ付キマ
シテハ昭和十年度初メ、育。英學校ノ關係ニ
付キマシテハ昭和十二年度初メニ於ケル償
還未到來元金ノ償還ニ付キマシテ、ソレ〓
一定ノ條件ト申シマスルカ、財政狀況ヲ見
テ之ヲ返還セシムルト云フコトニ致シマシ
タガ、取敢ズ昭和十六年度分ハ据置キマシ
テ、昭和十七年度以降五箇年間ノ分ヲ決定
致シマシテ、昭和十七年度カラ償還セシメ
ルコトニ方針ヲ決定致シタノデアリマス、
是ガ措置ニ付キマシテハ後ニ決定スル、更
ニ昭和十年度或ハ十二年度以前ノ延滯元利
金ニ對シマシテハ、是亦後日決定スルト云
フコトニ致シタノデアリマス、是ハ市町村
分デアリマシテ、從來延ビ〓〓ニナツテ居
ツタノデアリマスルガ、地方財政ノ根本的
ナ改革モ行ハレマシタ際デモゴザイマスル
シ、斯ウ云フ際ニ償還ノ步ヲ進メルト云フ
コトガ適當デアラウト云フコトデ、償還ヲ
セシムルコトニ致シタノデアリマスルガ、
同時ニ戰爭中デゴザイマシテ、色々時局費
其ノ他ノ經費モ嵩ミマスノデ、一遍ニ之ヲ
償還セシムルヤウナ計畫ニ致シテシマヒマ
スルコトハ、ソレ〓〓市町村ノ財政ノ實情
ニ卽セザル結果ヲ生ズル虞モゴザイマスル
ノデ、取敢ズ五年間ト云フコトニ致シマシ
テ、ソレ以後ノ分ニ付キマシテハ更ニ貸付
處理委員會ノ議ヲ經マシテ、適當ナル計畫
ヲ立テタイト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=20
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021・田川大吉郎
○田川委員 私ノ問ヒヲ起シマシタ所以
ハ、東京市及ビ横濱市其ノ他ノ地方公共團
體等ノ、災害ヲ被ツテ起債ヲ致シマシタ地方
ニ對スル配付金、サウ云フ方面ニハ政府ハ
相當斟酌ヲ加ヘテオイデニナリ、其ノ地方
ガ其ノ債務ヲ返還スルノニ出來ルダケ都合
ノ好イヤウニト、寛大ノ思召ヲ以テ之ヲ助
長シテオイデニナルヤウニ思フノデアリマ
ス、其ノヤリ方ヲ感謝シテ伺ツテ居ルノデ
アリマスガ、大震災ニ對スル東京市、模濱
市及ビソレ等ノ關係者ニ對スルヤリ方ハ其
ノ他ノ地方ノ災害ヲ被ツテ起債シテ、其ノ
場ヲ凌イダ例ニ照シテ言ヘバ、政府ノ御方
針ガソレ等ノ地方ニハ相當寛大デアラレル
ケレドモ、大震災ノソレ等ニ對シテハ其ノ
程度ニ寛大デハアラレナイヤウダト見ルベ
キダト思フノデアリマス、此ノ際稅制ハ色
色改革サレ又今度ノヤウナ增稅計畫ヲ立
テラレマスル場合ニ、東京市、橫濱市、其
ノ他ニ對シマシテモ、彼等ガ返辨シ得ルヤ
ウナ餘裕ヲ得マスヤウ、力ヲ與ヘラレルコ
トハ出來ナイモノカ、地方分與稅ノ如キモ
ノニ致シマシテモ、昨日ハ現ニ東京市ノ關
係議員ガ東京市ノ財政力ノ逼迫ヲ愬ヘテ居
リマシタガ、始終逼迫ヲ愬ヘルヤウナコトデ
ハ貸付ラレマシタ巨額ノ資金ヲ返辨スル計
畫ガ立チマスマイト思ヒマス、其ノ返辨計
畫ヲ立テラレルヤウ、其ノ地方ニ對シテ力
ヲ與ヘラレル必要ガアルノデハナイカ、ソ
レガ今日ノ如キ際ニ特ニ必要デアリ、適當ノ
計畫ヲ立テラレルベキ時期デハナイカ、斯
ウ思フテ此ノ問ヒヲ起シタノデアリマス、
先程ノ御答ヘデ御計畫ノ方針ハ分ツタヤウ
デアリマスガ、玆ニ問題ヲ東京市、橫濱市
等ノ大震災ニ於ケル被害ト限リマシテ、ソ
レ等ニ餘力ヲ與ヘテ、返辨ニ勵マシムルト
云フ方針ヲ御立テニナルコトハ出來ナイモ
ノカト云フコトヲ重ネテ御尋ネ申上ゲテ見
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=21
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022・小林千秋
○小林(千)政府委員 震災關係ノ政府貸付
金デゴザイマスガ、東京市及ビ横濱市等ニ
對シマシテハ、前ノ條件ヲ非常ニ緩和致シ
マシテ、極メテ緩イ條件デ償還ヲ實施セシ
メテ居リマスルノデ、殆ド是ガ爲ニ財政ヲ
壓迫スルト云フヤウナ虞ハナイモノト考へ
テ居リマス、唯昨日モ御話ガ出タノデゴザ
イマスルガ、大都市ニ於ケル財政ガ段々ニ
逼迫ヲシテ參ル、斯ウ云フ御話デゴザイマ
スルガ、是ハ大變ニ難カシイ問題デアリマ
シテ、稅收入ノ點カラ申シマスルト、稅制
改正前ノ稅收入ノ額ハ無論確保致シテ居リ
マスルシ、更ニ又ソレ以上ニ稅收入トシテ
ハ入ツテ居ルノデアリマス、然ルニ一方此
ノ都市經營ニ伴ヒマスル色々ノ施設ガ、何
ト申シマシテモ人口ノ增加ト比例的ニ、飛
躍的ニ必要ニ相成ツテ參リマスルノデ、其
ノ關係モゴザイマスルシ、又稅制改正ノ實
施ト共ニ戰爭ニナリマシタノデ、ソレ等ノ
關係モ錯綜致シマシテ、壓迫感ヲ與ヘテ居
ルノデハナイカト存ズルノデアリマス、
配付稅ノ額ガ非常ニ少イト云フ御話モ昨日
ゴザイマシタガ、實ハ東京市、橫濱市等ハ
舊法ニ依リマスル收入、卽チ所得稅ノ附
加稅デアリマストカ、營業收益稅ノ附加稅
等ガ實ニ多額ニ入ツテ居ルノデアリマス、
是等ノ收入ガ多額ニアリマスル爲ニ、課稅
力ガ非常ニ大キク出マシテ、隨テ配付稅ガ
少ク相成ツタヤウナ譯デアリマスガ、是ガ
大體舊法收入デゴザイマスカラ、昭和十五
年度、十六年度デ大部分徵收ヲシテシマヒ
マスルノデ、サウナリマスルトソコニモ非
常ナ缺陷ガ生ジマスル譯デ、是等ニ對シマ
シテハ逆ニ課稅力ガ低ク出テ參リマスルカ
ラ、將來ニ於ケル配付稅等ハヤハリ相當ニ
增額ヲシテ參ルモノト考ヘラレルノデゴザ
イマス、東京市、横濱市等ハ經濟ガ大キイノ
デアリマスルガ、其ノ他ノ震災關係ノ政府
貸付金ヲ受ケテ居リマスル市町村ハ、餘程
條件ヲ緩和致シマシテモ、中々償還ニ或ハ
壓迫ヲ感ズル虞ガナイ譯デハアリマセヌガ、
是等ニ對シマシテハ、配付稅ノ分與ノ際ニ
於キマシテモ、第三種ノ配付稅等ノ分與額決
定ニ當リマシテハ十分ニ考慮致シマシテ、
町村財政ヲ是ガ爲ニ特ニ壓迫ヲスルコトガ
ナイヤウニ十分ノ注意ヲ拂ツテ參リタイ、
斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=22
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023・田川大吉郎
○田川委員 私ハ是ニテ質問ヲ終ルノデア
リマスガ、只今ノ點ニ重ネテ私ノ趣意ヲ明
カニ致シテ置キタイノデアリマス、私ハ大
震災デ害ヲ被リマシタ地方ニ對スル政府ノ
貸付金ト、其ノ他ノ地方ノ災害ニ依ツテ起
債シテ其ノ急ヲ補ヒマシタ金トハ、性質ニ
於テ略〓同性質ノモノト思ツテ居ルノデアリ
マス、或ハ事情カラ申シマスレバ、起債ス
ル餘裕ノナイ事情ヲ認メテ、政府ガアノ場
合ニ貸付ケラレタ經過ニナツテ居ルモノダ
ト思フ、其ノ方面カラ見マスレバ、地方ノ
起債シマシタヨリモ、貸付金ノ場合ニ於テ
特ニ政府ハ寛大ニ考慮セラルベキ理由ガア
ルノダ、斯ウ思フノデアリマス、サウシテ
實際ハ災害ニ依ツテ起債シタ地方ニ對シテ
ハ配付稅其ノ他ニ於テ政府ハ其ノ後段々寛大
ノ意向ヲ御示シニナツテ居ラレルガ、大震
災ニ依ツテ貸付金ヲ受ケマシタ地方ニ對シ
テハ、ソレ程寛大ノ處分ヲ施サレズ、其ノ
間ニ區別ヲ設ケテ居ラルルノデハナイカ、
其ノ區別ヲ設ケラルベキ理由ハナイ、他ノ
地方ト同ジク其ノ貸付金ニ對シテハ同樣ニ
寛大ノ處置ヲ執ラルベキデアラウ、斯ウ云
フ建前ニ於テ此ノ問ヒヲ起シタノデアリマ
シテ、其ノ趣旨ヲ更ニ明カニ致シテ置キマ
ス、サウシテ今後、東京市、橫濱市ニ於テ
モ返シタイノデアリマセウ、貸付ヲ受ケタ
モノヲ返サヌデモ宜イト云フ、ソンナサモ
シイ橫着ナ氣持ヲ彼等當局者ハ持ツテ居ナ
イト思フノデアリマス、ソレニ拘ラズ今日
ニ至ルマデ延滯又延滯、御返シスルコトガ
出來ズニ居リマスノハ、其ノ實力ニ缺ケテ
居ルカラデアラウ、ソレ故ニ政府ガモツト
彼等ニ力ヲ與ヘテ下サルコトガ必要デアル
ノデハナイカ、斯ウ云フ趣意デアリマス、
此ノ上ノコトハ意見ニナリマス、希望ニナ
リマス、ドウゾ彼等ヲ引立テテ借リタモノ
ハ返サセルヤウニ、返シ得ルヤウニ御仕向
ケ下サランコトヲ希望シテ此ノ質問ヲ私ハ
終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=23
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024・勝正憲
○勝委員長 委員外ノ山川賴三郞君カラ遊
興稅ニ付テ簡單ナル質問ヲ致シタイト云フ
コトデアリマスガ、之ヲ許可スルニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=24
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025・勝正憲
○勝委員長 ソレデハ山川賴三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=25
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026・山川頼三郎
○山川賴三郞君 ホンノ一口、一寸御伺ヒ
申上ゲタイノデアリマスガ、此ノ遊興稅法
第二條ノ五ニ、前各號以外ノ遊興飮食ノ料
金ハ、「イ」トシテ一人一回三圓ニ滿タザルモ
ハ料金ノ百分ノ二十、ソレカラ「ロ」ガ一
人一囘三圓以上ノモノ、料金ノ百分ノ三十、
斯ウナツテ居リマス、ソレカラ六ノ旅館ニ
於ケル宿泊ノ料金、「イ」ガ一人一泊十圓ニ
滿タザルモノ、料金ノ百分ノ二十、「ロ」ガ一
人一泊十圓以上ノモノ、料金ノ百分ノ三十、
斯ウ云フ風ニナツテ居ルノデアリマスガ、
五圓以下ト云フモノハ非常ニ數ガ多イノデ
アリマス、五圓以上ト云フモノハ洵ニ寥々
タルモノデ、六大都市ノ如キモノデモ極ク
少イノミナラズ、殆ド地方デハナイノデア
リマスガ、是ハ最初ニ政府ニ於テ豫定サレ
マシタ額ニ達シテ居ルノデアリマスカ、其
ノ模樣ヲ一ツ承リタイノト、ソレカラ此ノ
質問ヲ申上ゲタイト思フ動機ハ、去ル二十
日ニ神戶ニ用事ガアリマシテ、朝神戶ニ着
イテ、旅館デ朝飯ヲ濟マシ、鞄ヲ其處ニ置
イテ用事ヲ足シ、晩ニ寄ツテ鞄ヲ下ゲテ出
タノデアリマスガ、サウシタラソレニ遊興
稅ガ課カツテ居ル、一日縣廳デ働イテグル
グル〓リヲシテ宿ニ戾ツテ居ルノニ遊興稅
ヲ取ラレテ居ル、是ハ妙ナコト、不思議デ
堪ラヌ、ソレカラ宿屋ノ亭主ニ聽イテ見タ
ラ、ソレハサウ云フコトニナツテ居ルト云
フノデス、晝歸ラズニ鞄ヲ置イテ居ツタダ
ケデ遊興稅ヲ取ラレル、ソレカラ「コー
ヒー」ヲ飮ンダ、所ガ十錢ノ「コーヒー」デ四
十錢ノ稅金ヲ取ラレテ居ル、一ノフ.「コー
ヒー」ガ五十錢ニナツタ、不思議デシヨウ
ガナイカラ、是ハ何トカ名前ヲ變ヘルカ、
或ハ方法ヲ變ヘルカ-此ノ法律ノ意味ト
實際ニ行ハレテ居ルコトト相違シテ居ナイ
カ知ラント、斯ウ思ヒマシタノデ、ソレカ
ラ少シ疑問ヲ起シマシテ調ベテ見マスト、
五圓以上ト云フモノニ對シテノ目的ノ稅金
ハ殆ド入ツテ居ナイヤウデアリマス、デア
リマスカカ斯斯ウ云フモノハ百分ノ二十ト云
フフヲ一號カラ十號トカ云フ風ニシ、又十
圓以上ノモノハ百分ノ三十ヲ百分ノ二十ニ
スルトカト云フヤウニシテ、二圓以上五圓
以下ト云フモノニモ百分ノ十位ノモノハ取
ツテ、サウシテソレデ補充ヲシタラドウカ斯
ウ考ヘル、兎ニ角十錢ノ「コーヒー」デ四十
錢ノ稅金、遊興ドコロデハナイ、汽車ノ中
ニ寢テ居ツテ、神戶デ遊興シテ居ツタコト
ニ法律ノ上カラハナルノデアリマス、其ノ
稅金ヲ出スノハ惜シクハアリマセヌガ、
般ノコトデアリマスカラ御伺ヒシタイト思
フ次第デアリマス、稅ヲ取ル目的ナラバ、
モウ少シ低イ所ノ稅率ヲ課ケルト云フヤウ
ニスレバ二、三百万圓ノモノハ增收ガ出來
ルト思フ、十圓以上ノモノナドハ殆ンド是
ハ有名無實ニナツテ幾ラモナイト思ヒマス
ガ、其ノ成績如何ヲ一寸御尋ネ申上ゲタイ、
是ダケノコトデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=26
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027・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御尋ネハ第一ハ宿
泊ニ對スル課稅ガ遊興飮食稅法ノ中ニ取入
レマシタ爲ニ、宿泊シタ者ニ對スル稅金ニ
對シテモ遊興稅ト云ツタヤウナ名前ヲ以テ
徵收サレルノデアツテ、誤解ヲ招イデ困ル
カラト云フ御尋ネ、此ノ點洵ニ御尤ナノデア
リマス、實ハ稅法ノ名前ラ變ヘルト云フコ
トモ考ヘタノデアリマスガ、サウ致シマス
ト遊興飮食宿泊稅法ト云フヤウナコトニテ
リマシテ、歲入科目カラ一切變へテ參ラナ
ケレバナラズ致シマスルノデ、稅法ノ綜合
的ノ名前ハ、、是ハ代表名デアル、隨テ內容ニ
宿泊マデ入レタト致シマシテモ强ヒテ名前
マデハ變ヘルニハ及バナイデアラウト云フコ
トデ、据置イタヤウナ次第デアリマス、正
確ニ云ヘバ變ヘタ方ガ宜カツタデアラウト
云フコトハ言ヘルト思ヒマス、其ノ他相續
稅ニ付キマシテモ、例ヘバ贈與ニ對スル課
稅ノヤウナモノガ相續稅法中ニモ入ツテ居
ルノデアリマスガ、是等ニ付テモヤハリ相
續稅法ト云フ名前デ總稱シテ居リマスシ、名
前ハ或ル程度大體ヲ押ヘテ居ル、斯ウ云フ
コトデ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス、ソ
レカラ旅館ノ宿泊ハ五圓ト云フ免稅點ヲ置
イタノデアルケレドモ、我ガ國ノ實情カラ
言フト宿泊ダケデ五圓ト云フノハ免稅點
ガ高イ、ソレデハ幾ラモ課稅ニナラナイダ
ラウ、斯ウ云フコトデアリマスガ、御話ノ
ヤウニ五圓ト云フ宿泊料、殊ニ飮食代ヲ除
キマシタモノデアリマスカラ、全國的ニ見
ルト、相當高イ標準デアリマス、併シ是ハ
今マデ宿泊ニ對シテハ全然課稅致シテ居リ
マセヌノラ、新タニ課稅ニ取入レタノデア
リマスカラ、其ノ際ニ餘リニ低イ所ニ免稅
點ヲ定メルノハドウカト云フノガ一點ト、
飮ミ食ヒト宿泊トデハ其ノ間奢侈的分子ト
申シマスカ、サウ云フモノニモ多少相違ガ認
メラレマスノデ、所謂遊興飮食ノ方面ニ於
テハ一圓五十錢デアルトカ三圓デアルト云
フヤウナ標準ノ置キマシタノニ拘ラズ、宿
泊ハ五圓ト云フコトニ決メタ譯デアリマス、
隨テ課稅ニ入ツテ來ル範圍ハ比較的少ナイ
ノデアリマス、實收ガ幾ラデアツタカト云
フコトハマダ施行シテ間モナイノデアリマ
スルカラ、玆ニ成績ヲ申上ゲル程度ニ至ツ
テ居リマセヌ、ソレカラ旅館デ十錢ノ「コー
ヒー」ヲ飮ンダノニ對シテ稅金ガ四十錢付イ
テ來タト云フヤウナ御話デアリマスガ、ソレ
ハ其ノ他ノ料理ト合ハセテ免稅點以上ノ飮
食代ニナツタ爲ニ課カツテ參ツタモノト思
フノデアリマス、「コーヒー」ヲ飮マナカツ
タナラバ或ハ免稅點以下デアツタモノガ、
「コーヒー」ヲ飯ミマシタガ爲ニ免稅點以上
ニナツテ來ルト云フコトニナルト、全體ニ
對スル稅金ガ課カルヤウニナリマス、ソレ
ヲ丁度「コーヒー」一杯ガ負擔シタヤウナ形
ニ見エルノデアリマスケレドモ、ソレハ免
稅點ト云フモノヲ置キマシタ結果已ムヲ得
ナイコトデアリマス、其ノ場合ニ於テモ四
十錢ハ少シ高イノデハナイカト思ヒマス、
三十錢位ノ所ハ出ルヤウナ計算ニナルノデ
アリマスルガ、併シ只今申上ゲタヤウニ免
稅點ヲ超エタコトニ依ツテ飮食料金ノ全部
ニ對シ稅金ガ課カルコトニナル、斯ウ云フ
結果ガ一杯ノ「コーヒー」ニ高イ稅ガ課カル
ト云フヤウナ感ジヲ御持チニナル譯デアリ
マスカラ、其ノ點御諒承ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=27
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028・勝正憲
○勝委員長 河野密君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=28
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029・河野密
○河野(密)委員 稅ノ質問ハ大體色々ノ觀
點カラモ十分盡キテ居ルト思フノデアリマ
スガ、細カイ點ヲ一ツ〓〓伺ヒマス、私ハ
殆ド此處ニ居タ積リデスケレドモ、居ナカ
ツタ時モアリマスノデ、若シ重複シマシタ
ラ委員長カラ御注意ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、今度ノ增稅案ヲ大體見マスト云フト、
增稅案ノ要綱ニ方針ガ八項目アリマス、增
稅セラレル稅目ガ所得稅、法人稅、特別法
人稅、臨時利得稅、相續稅、以上直接稅デ
凡ソ九億九千五百餘万圓、十億圓程度デア
リマス、織物消費稅、物品稅、印紙稅、以
上間接稅デ八千百万圓、新設セラレル稅種
ガ電氣瓦斯稅、廣〓稅、馬劵稅、是ガ間接
稅デ七千七百万圓、總額合セテ平年度デ十
一億五千五百万圓、斯ウ云フ內容デアリマ
ス、其ノ他ニ租稅ノ臨時措置ニ關スルモノガ
十一項目アリマス、新タニ法律案其ノ他デ
二、三ノ點ガ決メラレテ居ル、斯ウ云フノ
ガ大體今囘ノ增稅案ノ全貌デアルノデアリ
マンク、此ノ案ノ中ニ盛ラレテアリマスコト
ハ、先日ノ大藏大臣ノ質問ノ冒頭ニ私ガ申
上ゲマシタヤウニ、私ハ大體妥當デアルト
考ヘテ居ルノデアリマスガ、極メテ多岐ニ
亙ツテ居リマスノト、質疑應答ノ點デ明カ
ニナツタ點モアリマスガ、明カニナツテ居
ラナイ點モアリマス、又戰時稅制ノ方針ト
シテ相當考慮スベキモノガアルカト存ジマ
スノデ、ソレ等ノ點ヲ御伺ヒシタイト思フ
ノデアリマス
先ヅ第一ニ御伺ヒ致シマスノハ、先日來
カラ色々議論ガ出テ居リマスガ、私ノ率直
ナ感ジヲ申シマスルト、分類所得稅ヲ設ケ、
サウシテ其ノ稅率ヲ上ゲ下ゲシテ增收、減
收ヲ圖ルト云フコトハ、此ノ現行ノ稅制ノ
根本ノ建前デアツテ、一目瞭然、簡單明瞭、
斯ウ云フコトガ大體分類所得稅、綜合所得
稅ヲ作ツタ趣旨デアツタカト思フノデアリ
マス、然ルニ今度ノモノヲ見マスト可ナリ
之ヲ複雜ニシテ居ルヤウニ見エルノデアリ
マス、其ノ點ニ付テ稅率モ色々御變へニナ
ツテ居リマス、例ヘテ見ルト、分類所得稅
ニ於テ不動產ニ對スル課稅ハ百分ノ十六、
他ノモノハ百分ノ十五ニ上ゲテ居ルノニ、
百分ノ十六ト云フヤウニ變化ヲ與ヘテ居ル
ト云フヤウチ點デ、稍〓複雜ニナツテ居リマ
ス、此ノ點ハ私ハ必ズシモ妥當デナイヤウ
ニ思フノデアリマス、ソレカラ租稅ノ臨時
措置ト云フモノニ依ツテ色々ナ問題ヲ取扱
ツテ居ル、更ニ色々ナ議論ガアラウト思ヒ
マスガ、人口政策デアルトカ、或ハ戰時下
ノ種々ナル貯蓄トカ、或ハ生產力擴充ト云
フヤウナ經濟上ノ問題ヲ此ノ稅ノ中ニ織込
ンデ、尙ホ複雜ニシテ居ルト思ヒマスガ、
是等ノ點ハ必ズシモ私ハ此ノ租稅制度ノ單
純性ト云フヤウナ點カラ見テ穩當デナイヤ
ウニ思フノデアリマス、其ノ點ハドウ云フ
風ニ御考ヘニナツテ居リマスルカ、之ヲ承
リタイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=29
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030・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘ノ直接稅ヲ中心ト致
シマスル增徵案ハ、大體昭和十五年稅制改
正ノ結果出來上ツテ居リマスル現行稅制ヲ
基礎ト致シマシテ、稅率ノ引上ニ依ツテ大
部分ノ目的ヲ達シヨウトスルモノデアリマ
ス、隨テ制度ノ根本ニ於テハ大シタ變化ガ
ナイカラ、其ノ點ハ見方ニ依レバ簡單ナ增
徵案デアル、斯ウ云フコトガ言ヘルノデア
リマスガ、唯增徵案ノ末梢ニ至リマスト
相手方ガ混ンデ居ルノデアリマス、其ノ意
味ニ於テ昭和十五年ノ稅制改正ノ一ツノ目
標デアリマシタ稅制ノ簡易化ト云フ點ガ少
シク破レマシテ、稅制ガ複雜化シタト云フ
御非難ガ起リマスルコトハ吾々モ甘受シナ
ケレバナラナイノデアリマスガ、是ハ一方
ニ於キマシテ相當高率ノ負擔ヲ致スト云フ
コトニ相成リマスレバ、出來ルダケ各種ノ事
情ヲ採入レテ按配工夫スルト云フコトモ巳
ムヲ得ナイ所デアルカト思フノデアリマス、
稅率ノ引上、又負擔ノ增加ト云フコトガ左
程顯著デアリマセヌケレバ、サウ云フ點ハ
左程マデ考慮ニ入レル程ノコトハナイト思
ハレマスガ、增稅額ガ多イ、負擔ガ相當增
スト云フヤウナ時ニ於キマシテハ、各方面
ニ氣ヲ配ラナケレバナラナイト思フノデア
リマス、尙ホ是ハ附タリデアリマスガ、昨
年發表サレマシタ財政金融基本方策要綱ト
云フモノガゴザイマスガ、其ノ中ノ財政、
殊ニ租稅ノ部面ニ於キマシテハ、今後ノ租
稅ト云フモノハ各種政策ト步調ヲ取ラナケ
レバナラヌ、或ハ生產力擴充、或ハ貯蓄ノ
增强、或ハ人口政策ト云ツタヤウナ、政府
ノ行ハントスル所ノ各種經濟諸政策ト、密
接ナ調和ヲ圖ルコトヲ以テ一ツノ理念トシ
テ居ル、斯ウ云フコトヲ發表致シテ居リマ
スルヤウナ關係モアリマスノデ、今囘ハ多
方面ノ要望ヲ相當取入レタコトニナツテ居
リマス、其ノ結果御話ノ如キ、稍〓複雜ヲ來
シタト斯ウ云フ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=30
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031・河野密
○河野(密)委員 趣旨ハ能ク分ルノデアリ
マスガ、サウナリマスルト先日モ議論ノア
リマシタヤウニ、是カラ先ノ增稅ト云フモ
ノガ、斯ウ云フ一ツノ體系ノ上ニ樹テラレ
テ行クト云フコトハ中々困難ニナツテ來ル
ノヂヤナイカ、何カ全體ノ體系ヲ又考ヘ直
ス必要ガ、近イ將來ニ起キテ來ルノヂヤナ
イカ、是モ先程田川委員カラノ質問ノ中ニ
モ出テ居リマシタ、私モ實ハ質問シタイト
思ツテ居ツタノデアリマスガ、一體分類所
得稅ノ稅率ヲドノ程度マデ引上ゲルコトガ
出來ルト云フ風ニ御考ヘニナツテ居ルカ、
是ハ中々難カシイ議論デアリマスガ、ドノ
程度マデ凡ソ引上ゲラレルト云フ御見込デ
アリマスカ、其ノ分類所得稅ノ現行ノ稅制
ノ建前デ以テ、增稅ノ將來性ト云フモノハ
ドノ程度ニ御見込ニナツテ居ルノカト云フ
コトハ、是ハ非常ニ難カシイ問題ダト思ヒ
マスガ、是モ御考ヘヲ御聽カセ願ヒタイト
思ヒマス
ソレカラモウ一ツハ方針ノ第七デ、扶養
家族多キモノニ對スル負擔ヲ輕減スルト云
フコトヲヤツテ居リマスガ、私ノ要求致シ
マシタ資料ニ依ツテ一億八千餘万圓ト云フ
モノガ減額サレルト云フノデアリマス、第
八ノ生產力擴充、貯蓄ノ增强、其ノ他經濟
諸政策ノ圓滑ナル遂行ニ依ツテドレダケノ
減免ヲナサルノデアリマスカ、私ハ是ハ資
料ヲ要求致シマシタガ御答ヘガナイノデ御
示シヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=31
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032・松隈秀雄
○松隈政府委員 御尋ネノ第一點ハ將來ノ
增稅ヲナスニ當ツテ、分類所得稅ノ稅率ヲド
ノ程度マデ引上ゲ得ルカト云フコトデアリ
マスガ、是ハ將來ニ於キマスル財政需要ガ
ドノ程度ニ相成ルカト云フコト、ソレカラ
國民經濟力ノ發展如何トモ脱合ハセテ決セ
ラルベキモノデアリマシテ、今日カラドノ
程度ト云フコトハ中々困難デアリマス、併
シ先程モ御話ノアリマシタヤウナ各種ノ租
稅ノ限度ノ問題カラ申シマスレバ、私ハ分
類所得稅ニ於テハ今後尙ホ比較的增徵ノ餘
地ガアルヤウニ考ヘテ居ルノデアリマス、
尤モ分類所得稅ヲ上ゲルコトニ依リマシテ、
或ル方面デハ相當ノ影響ガ來テ、其ノ緩和
策ヲ圖ラナイトヤリ切レナイト云フヤウナ
一部分モアリマス、現ニ今囘分類所得稅ヲ
上ゲテ居リナガラ、金融機關ノ持ツテ居ル
所ノ證劵、公、社債等ニ對シマスル分類所
得稅ヲ尙ホ輕減スルト云フノハ、サウ云フ
方面ニ多少强イ影響ガ出過ギル、斯ウ云フ
點モアルノデアリマスカラ、餘裕ガアルト
申シマシテモ、一方是正ラスル箇所ヲ持ツ
テ居ルコトハ事實デアリマス、率ノ見透シ
ハ中々困難デアリマスカラ申上ゲ兼ネルノ
デアリマスガ、英國ノ如キハ、普通所得稅
ト附加所得稅トニ分ケテ居リマスルガ、普
通所得稅ノ最高稅率ハ五〇%デアリマス、
此ノ間モ御話ノアリマシタ一「ポンド」ニ付テ
十「シルリング」、斯ウ云フコトデアリマス
ガ、最低稅率デアツテモ三一一·五%、斯ウ云
フヤウナ稅率デアリマス、我ガ國ノハ御承
知ノ通リ、最高稅率ハ分類所得稅百分ノ
六、最低デ百分ノ九デアリマス、是等ト
比較シテ、直チニ餘裕ガアルナント言フコ
トハ、勿論國情ガ違ツテ居ルノデアリマス
カラ、言フベキデハアリマセヌケレドモ、
兎ニ角マダ餘裕ヲ持ツテ居ルト云フコトダ
ケハ言ヘルノデアリマシテ、アト率ヲ如何
ニ盛ルカト云フコトハ、先程來御話申シテ
居リマスル通リ、財政需要ノ增大如何、國
民經濟力ノ發展如何、斯ウ云フコトニ依ツ
テ決メラレルベキ問題デアルト思フノデア
リマス
ソレカラ扶養家族控除ニ依リマシテ減稅
ニナリマスル部分ハ、約一億八千万圓ト云フ
コトハ、資料ノ通リデアリマス、ソレハ控
除ニ依ツテ失格トナルモノマデ含ンデノ數
字デアリマス
尙ホ生產力擴充ト、臨時租稅措置法ノ改
正ニ依ル減收額トシテハ、資料ガ出シテゴ
ザイマセスカラ茲ニ申上ゲタイト思フノデ
アリマスガ、生產力擴充ニ資シマスル措置
ニ依リマシテノ減收額ハ、初年度八千餘万
圓、平年度一億六百餘万圓、其ノ次ニ、資
金ノ蓄積ニ對シマシテ各種ノ輕減方法ヲ講
ジテ居リマスルガ、此ノ資金ノ蓄積ニ資ス
ル爲ノ各種ノ措置ニ依ツテ生ジマスル減收
額ハ、初年度二千二百餘万圓、平年度三千
二百餘万圓、次ニ產業ノ再編成ニ對シマス
ル措置ト致シマシテ、或ハ〓算所得稅ヲ輕
減スルトカ、或ハ轉廢業ヲシタ者ノ實績課
稅ニ付テ減免ヲ行フト云フヤウナコトヲヤ
ツテ居リマスガ、ソレ等ノ產業ノ再編成ニ
資シマスル爲ノ減收額ハ大體千三百餘万
圓、斯ウ云フコトニ相成ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=32
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033・河野密
○河野(密)委員 次ニ增稅ノ要領ノ方面デ
伺ヒマスガ、今度增稅ノ率ヲ一律ニ大抵御
上ゲニナツテ居リマスガ、特ニ不動產所得
ニ付テ百分ノ一〇ヲ百分ノ一六ニセラレ
タノハドウ云フ趣旨デセウカ、其ノ點ヲ
伺ヒタイノガ一ツト、ソレカラ先般質問ガ
アリマシタガ、今度ハ配當所得ニ對スル加
算課稅ヲ廢止セラレタノデアリマス、サウ
シマスト、配當所得ノ計算ヲ、總所得ヲ計
算ナサルニ付テ、配當所得ニ付テハ一割ヲ控
除シタモノヲ所得トシテ認メテ、更ニソレ
ヲ得ル爲ニ要シタル借金ノ利子ヲ差引ク、
斯ウ云フコトニ相成ルカト思ヒマスガ、サ
ウ云フコトニナツテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=33
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034・松隈秀雄
○松隈政府委員 分類所得稅中、不動產所
得ニ對シマスル稅率ヲ百分ノ一〇カラ百分
ノ一六ニ致シマシタ、六%上ゲタ譯デアリ
やっ、是ハ先日モ一寸他ノ委員ノ方ノ御質
問ニ對シテ御答ヘシテ置イタノデアリマス
ガ、大體今度ノ分類所得稅ノ稅率ノ引上ゲ
方ハ、四%上ゲルモノト、四·五%上ゲルモノ
ト、五%上ゲルモノト、六%上ゲルモノトノ
四通リニ致シタノデアリマス、考ヘ方ト致
シマシテハ、勤勞所得ニ最モ輕ク、資產所得
ニ重課スル、資產勤勞ノ共働所得ニ對シテ
ハ其ノ中間ヲ採ル、斯ウ云フ狙ヒ方デアリ
マス、ソコデ勤勞所得ニ付キマシテハ、百
分ノ六ヲ百分ノ一〇トスルト云フ風ニ、百
分ノ四上ゲタノデアリマス、事業所得ニ付
キマシテハ、事業ト勤勞トノ兩方カラ出マ
スル所得デアリマスノデ、百分ノ七·五ハ百
分ノ一二ニ、百分ノ八·五ハ百分ノ一三ニト
云フ風ニ、四·五上ゲマシタ、配當利子所得
ハ純然タル資產所得デアリマスカラ、百分
ノ五上ゲタノデアリマス、ソコデ不動產所
得モ純然タル資產所得ト見ラレテ居ルノデ
アリマシテ、從來配當ト、利子所得ト、不
動產所得トハ、稅率ガ同ジデ來タノデアリ
マスガ、先日モ御話申上ゲマシタ通リ、此
ノ際國民ノ資金ノ向ク先ト致シマシテハ
配當利子所得ヲ產ミマスヤウナ公債、社債、
銀行預金、乃至ハ生產力擴充ニ必要ナ方面
ノ株式ニ向フノト、不動產ノ方ニ向フノト
ドチラガ望マシイカト言ヘバ、國トシテハ
寧ロ配當利子所得ノ基本ニナルヤウニ資金
ガ向イテ欲シイト云フヤウナ意味モ加ハリ
マシテ、ソコニ百分ノ一ノ差ヲ設ケタ、斯
樣ナ次第デアリマス
第二ノ御尋ネノ、今日マデ配當ノ所得ニ
對シマシテハ、分類所得稅ヲ課シマスル際
ニ、配當ノ一割ヲ控除シテ稅率ヲ適用スル、
隨テ稅金ニシテ見マスレバ、配當金ノ百分
ノ一ニ當ル金額ガ輕減サレテ居ルノデアル
ガ、ソレヲ綜合所得稅ヲ課シマスルモノニ
付キマシテハ、分類所得稅ヲ課スル際ニ輕
減シテ置イタ百分ノ一ニ相當スル金額ヲ加
算スルト云フコトニ相成ツテ居ルノデアリ
マスガ、是ハ勝委員長、當時御苦心ノ案デ
アリマシテ、御承知ノ通リ、分類所得稅ニ
於テハ配當ヲ得ル爲ノ借金ノ利子ノ控除ノ
方法ガ源泉課稅デアル爲ニ困難デアル、綜
合所得稅ヲ課シマスル際ニハ、其ノ方法ガ
立チ得ルト、斯ウ云フコトカラ綜合課稅ヲ
致シマスル場合ニ付テハ借金ノ利子ハ別ニ引
ク、其ノ代リ分類所得稅ノ場合ニ於テ引イテ
居リマシタ配當金額ノ百ノ一ニ相當スル金
額ヲ加算スルコトニ相成ツテ居ルノデアリマ
ス、隨ヒマシテ綜合所、得稅ニ於テ借金ノ利子
ヲ引キマシタ以上ハ、理論的ニ申シマスレバ百
分ノ一ノ加算ヲスルト云フ方ガ正シイカト
思フノデアリマスルガ、今囘ハ御承知ノ通
リ、分類所得稅ヲ引上ゲマスルト共ニ綜合
所得稅モ相當引上ゲタノデアリマス、所ガ
株式ニ對シマシテハ綜合所得稅ノミヲ認メ
マシテ、公債、社債、預金ノ利子ノヤウニ
源泉選擇ヲ認メテ居リマセヌ、隨ヒ·マシテ
株式ニ對シマスル課稅ハ綜合累進稅率ノ引
上ニ依ツテ相當キツク響イテ來ルノデアリ
マス、之ヲ防ギマスル爲ニ源泉選擇ヲ致シ
マシタ場合ノ稅率ヲ先日モ申シマシタ如ク
百分ノ十五カラ百分ノ二十五ニ引上ゲルコ
トニ依リマシテ、株式ト、國債、乃至ハ株
式ト社債、乃至ハ株式ト預金等ガ逆鞘ニナ
ル點ヲ辛ウジテ現在ノ階級ヲ其ノ儘維持ス
ルト云フヤウナコトヲ致シテ居ルノデアリ
マスルガ、其ノ場合ニ於キマシテモ、加算
金額ヲ認メマスルト逆鞘ニナル階級ハ狂ヒ
マセヌケレドモ、而モ尙ホ逆鞘ニ出テ來
ル其ノ金額ガ相當大キク出テ參リマス、
ソコデセメテ株式優遇ノ爲ニ此ノ加算規定
ダケデモ廢止スルト云フコトニナリマスレ
バ、逆鞘ニナリマスル場合ノ開キト云フモ
ノガ比較的輕微ニナル、詰リ、株式ニ付キ
マシテハ、今囘ノ綜合累進稅率ヲ引上ゲタ
點ヲ緩和シテ、現狀ト大差ナキ狀態ニ置ク
一ツノ手段トシテ、已ムヲ得ズ採用サレタ
優遇方法ノ一ツデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=34
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035・河野密
○河野(密)委員 サウシマスト、趣旨ハ能
ク分リマシタガ、結論トシテハ、十分ノ一
ヲ引イタモノヲ綜合所得ノ中ニ計算シテ行
クト云フ結果ニナル譯デスネ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=35
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036・松隈秀雄
○松隈政府委員 分類所得稅ヲ課シマシタ
上ニ、更ニ一定金額以上ノモノニ對シマシ
テハ綜合累進課稅ヲスルコトノ必要ヲ認メ
マスルノガ、現在ノ分類所得稅ト綜合所得
稅ノ二本建ニナツテ居ル譯デアリマス、ソ
コデ分類所得稅ヲ課シマシテモ、其ノ課シ
タ事實ト云フコトヲ度外視シテ、綜合ノ時
ニハ更ニ全願ノ所得ヲ以テ課稅ノ對象トス
ルノデアリマス、配當所得ニ付テ申上ゲマ
スレバ、分類所得稅ヲ課シマスル際ニハ、
千圓ノ配當ヲ貰ツタ場合ニ於テ、九百圓ト
致シマシテ、ソレニ現在デアレバ百分ノ十
ノ稅率ヲ適用シテ九十圓ト云フ稅金ヲ取ツ
テ居リマス、所ガ綜合課稅ノ際ニ於テハ千
圓ト云フ配當金デアレバ其ノ千圓ヲ其ノ儘
綜合所得トシテ加算スルノデアリマス、百
分ノ十ヲ引イタ九百圓デモナケレバ、稅金
ニ相當スル九十圓ヲ引イタ九百十圓デモナ
イノデアリマス、是ハ俸給等ニ付テモ同樣
デアリマス、俸給ヲ千圓貰フトシマスレバ、
分類所得稅トシテ六十圓ト云フモノガ引カ
レルノデアリマスルガ、其ノ場合ニ於テモ
六十圓ヲ引イタ殘リノ九百四十圓ヲ綜合課
稅スルノデハナクテ、俸給ガ千圓デアレバ
千圓其ノ儘ヲ持ツテ行ク、斯ウ云フ譯デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=36
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037・河野密
○河野(密)委員 俸給ノ點ハ能ク分ツテ居
リマスガ、三十三條ノ三項カ四項ノ加算課
稅ヲスルト云フ條項ヲ削除ニナツタ結果ト
シテ、サウ云フコトニナルノデハナイカト
私ハ思フノデスガ、ソレハ考ヘ方ガ違ツテ
居ルト云フナラバデスガ、私ハサウ思フノ
デス、加算課稅ノ條項ヲ入レタノハサウ云
フ趣旨デ置カレタノヂヤナイカト私ハ考ヘ
テ居リマス、是ハ勝委員長ガ多年ノ主張デ、
借金ノ利子ヲ引カレルト云フコトヲ主張サ
レテ居ツタノヲ、私ハ非常ナ反對デ、借金
ノ利子ヲ引クト云フコトハ最モ公平ニ見テ
不均衡ダト、斯ウ云フ考ヘ方ヲ案ヲ立テル
コトカラ考ヘテ、或ハ分類所得稅ノ所デ十
分ノ一引クト云フコトノ點ハ色々ナ考慮モ
アリマシタラウト思ヒマスガ、私ハ寧ロサ
ウ云フ一割控除トカ云フ方ガ妥當デアル
下、斯ウ云フコトヲ强ク主張シタノデ、サ
ウ云フ點モ或ハ入ツテ居ルノデハナイカト
思フノデスガ、私ハ借金ノ利子ヲ引クト云
フコトニハ甚ダ以テ贊成致シ兼ネルノデア
リマス、唯二重ニ是ガ配當ニ付テダケ、分
類所得稅ノ時一割ヲ引イタモノヲ所得額ト
スルトシテ、綜合スル時モ一割ヲ引イタモ
ノヲ總所得ノ中ニ入レテ行クト云フコトデ
ナケレバ宜シイノデスガ、ドウモ此ノ條項
ヲ廢シマス結果サウ云フ風ニナルヤウニ私
ハ思フノデスガ、如何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=37
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038・松隈秀雄
○松隈政府委員 其ノ點ハ決シテ綜合所得
稅ヲ課稅スルニ當ツテ一割ヲ引イタモノヲ
株式配當ニ付テノミ加算シテ居ルト云フ結
果ニハナラナイノデアリマス、唯今度所得
稅法第三十三條ノ三項ヲ廢メマシタコトニ
付キマシテ、分類所得稅ダケニ付テハ一割
控除ト云フモノガ引キ放シデアル、分類所
得稅ニ付テダケソレガ殘ツテ居タ次第デア
リマス、綜合所得稅ニ付テハ、配當所得ハ、
貫ツタ總額ガ加算セラレルコトハ、俸給所
得ト同ジデ、サウ云フモノノ分類所得稅ヲ
課稅サレル際ニ於キマスル點ガ、從來ハ引
イタノガ元ヘ戾ツテ居ル、ソレハ分類所得
稅ニ於テノミ言フコトデ、ソレガ今度ノ廢
止ニ依ツテ引キ放シニ、殘ルト云フダケデ、
綜合所得稅ノ方ニハ影響ガナイ、サウ云フ
見方デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=38
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039・河野密
○河野(密)委員 其ノ點ハ了承致シマシ
タ、是デ此ノ間森田君カラノ質問ガアリマ
シテ、足ガ揃フトカ揃ハヌトカ云フ問題ガ
解決シタノダト思ヒマス
次ニ是ハ細カイヤウデアリマスガ、扶養
家族ノ控除ヲスル時デモ、扶養家族一人ニ
付キ二百圓ノ百分ノ十二、月二圓ヅツ御引
キニナル、ソレヲ扶養家族デ子供五人以上
ニナル時ハ百分ノ十八ト、斯ウ云フ風ニ非
常ニ細カク規定サレテ居リマスガ、是モ人
口政策ノ點カラト仰セニナレバ、確カニサ
ウデアリマセウガ、ドウモ斯ウ云フコトハ
餘リニ技巧的デ細カ過ギルト思フ、二百圓
ノ百分ノ十二、月二圓ナラ二圓、三圓ナラ
三圓デ宜シイデハナイカ、現ニ綜合所得ヲ
納メル者ニ付テモ、今度ハ扶養家族ノ控除
ヲ御認メニナツタト云フヤウナ趣旨カラ言
ツテモ、五人子供ガアルカラ百分ノ十八ダ
ト云フノハ少シドウモ技巧的ニ過ギヤシナ
イカト思フノデスガ、是ハマア意見ニナリ
マスカラ御考慮ヲ願ツテ置キマス
ソレカラ法人稅ニ付キマシテ御尋ネシタ
イノデアリマス、今度ハ法人稅ヲ現行ノ百
分ノ十八ヲ百分ノ二十五ニ御上ゲニナツ
タ、私ハ極メテ妥當ダト思ヒマスケレドモ、
飜ツテ考ヘテ見マスルト、抑〓昭和十五年
度ニ此ノ稅制ノ改革ヲヤリマスル時ニ、大
體原案ガ法人稅ニ付テハ百分ノ二四、五卽チ
百分ノ二十五ニ近イモノデアツタノデアリ
マス、其ノ時ニ法人ニ對シテ餘リニ重課デ
アルト云フ意見ガ出テ、是ガ百分ノ十八ニ
減ゼラレタノデアリマス、私ハ其ノ當時カ
ラ法人ノ課稅ハ決シテ百分ノ二十五デモ高
クナイ斯ウ云フコトヲ主張シタノデアリマ
スガ、現在百分ノ十八ニナツテ居リマス、
其ノ時分ニ勤勞所得ニ付テハ六百圓ト云フ
ノガ議會ニ於テ七百二十圓ニ訂正ニナリマ
シタガ、ソレガ原案ノ六百圓ニ還ツタ譯デ
アリマス、稅率ハ上ツテ居リマス、併シ法
人稅ニ付キマシテハ原案ニ略〓還ツタヤウナ
形デアリマスルガ、此ノ法人ノ擔稅力ト云
フモノハ今日ハ最モ大キイモノダト思フノ
デアリマス、他ノ方ト比較致シテ、法人ノ
稅率ハ百分ノ二十五デハ低イ、斯ウ云フヤ
ウニ考ヘルノデアリマス、ソコデ政府ノ方
デハ、最近ニ於ケル法人ノ所得ノ增加ノ趨
勢ト、所得稅課稅ノ對象トナル所得ノ增嵩
ノ趨勢ト比較シテ、ドウ云フヤウニ御考へ
ニナツテ居ルカ、此ノ點ヲ御尋ネシタイ、
法人ノ方ハ百分ノ二十五デハマダ低イト考
ヘマスガ、如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=39
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040・松隈秀雄
○松隈政府委員 第一點ノ御尋ネノ、扶養
家族ノ控除ニ當リマシテ、子女ノ數五人ヲ
境ニ段階ヲ設ケマシタノハ、特ニ人口政策
カラ言ツテ、一家庭五人ノ子女ヲ持ツト云
フコトヲ一ツノ目標ニシテ居ルト云フヤウ
ナ意見モゴザイマスルノデ、五人ニナツタ
時カラ控除額ヲ增スト云フコトデ租稅政策
ニ於テモソレト步調ヲ取ツタヤウナ次第デ
アリマス、多少技巧ニ過ギルト云フ御批評
ガアレバ、マアソレモ已ムヲ得ナイト思ヒ
マス
次ニ法人稅ノ稅率デアリマスルガ、法人
稅ノ稅率ヲ如何ニスルカト云フコトニ付キ
マシテハ、昭和十五年ノ改正ノ時ニ於キマ
シテハ百分ノ二十ニスルト云フコトモ考ヘ
タノデアリマスルガ、政府ノ提案ハ各種ノ
負擔關係ヲ考慮致シマシテ、百分ノ十八ト
シテ提案ヲシタヤウナ次第デアリマス、此
ノ外ニ營業收益稅ガ、附加稅モ入レマシテ、
其ノ附加稅ガ法定制限デ計算シマシテ、百
分ノ六加ハルトスレバ、百分ノ二十四トナ
ル譯デアリマス、今囘ハ本稅ヲ百分ノ十八
カラ百分ノ二十五ニ致シマシタ、其ノ引上
割合ハ三割八分餘ニ相成ツテ居リマスルカ
ラ、御話ノ如ク稅率ノ上デハ相當キツクナ
ツテ居ルノデアリマス、尙ホ此ノ上法人ニ
擔稅力アリヤ否ヤト云フコトハヤハリ個人
ノ分類所得稅ニ於テ述べマシタト同ジヤウ
ニ、將來ノ財政事情ナリ、或ハ法人ノ收益
力如何ト云フヤウナコトモ睨合セテ見テ參
ラナケレバナラナイノデアリマスルガ、唯
法人ト個人ト考ヘマスル場合ニ於キマシテ、
個人ノ場合ニ於キマシテハ、多クハ其ノ所
得ト云フモノハ再生產ニ向フモノデナクシ
テ、消費方面ニ向フモノガ多イノデアリマ
スルガ、法人ノ方ノ所得ニアリマシテハ、
配當又ハ賞與トシテ社外ニ流出シマスモノ
モゴザイマスケレドモ、其ノ所得ノ中ニハ
再生產ニ向フモノモアリマス、之ニ餘リ重
課致シマスルト、法人企業ヲ萎縮セシメテ、
必要ナル生產力擴充モ出來ナイ、又一般ニ所
得ノ殖エテ參ル芽ヲ摘ム、斯ウ云フ結果ニ
モナリマスノデ、法人稅ノ增徵ハ餘程個人
ノ場合ト趣キヲ變ヘテ考ヘナケレバナラナ
イカト思フノデアリマス、法人ノ所得ノ增
加割合デアリマスルガ、豫算的ニ見マスル
ト、大體豫算ヲ見積ル場合ニ於キマシテハ、
前々年ノ決定ヲ基礎トシテ增加ヲ見込ンデ
居ルノデアリマスガ、最近ハ大體每年二割
位ヅツ增加スルコトニ相成ツテ居リマス、
個人ノ方ノ所得ハ業種ニ依ツテ違ツテ居リ
マス、勤勞所得ノ如キモノハ、最近ノ如ク
政府資金ノ撒布モ相當增加ノ傾向ニアリマ
スル場合ニ於テハ、二割程度ノ增加ヲ見込
ムコトモ出來マスルケレドモ、例ヘバ事業
所得デアリマスレバ寧ロ企業統制其ノ他ニ
依リマシテ減少ノ傾向ガ認メラレマスルカ
ラ、來年度ノ見積ニ當リマシテハ昭和十六
年ノ決定額ヲ基礎トシテ、五分程度ノ減ヲ
見テ居ル、斯フ云フヤウナ狀況デアリマス、
其ノ他預金、配當、公債ノ利子等ニ付テハ、
ソレ〓〓實績ヲ基礎ニシテ或ル程度ノ增ヲ
見テ居リマスガ、是ハ皆增減割合ガ違ツテ
居リマスルカラ、一〓ニ述ベルコトハ困難
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=40
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041・河野密
○河野(密)委員 臨時利得稅ノ點ニ付テ御
尋ネシマスガ、今度ノ臨時利得稅デ以テ新
タニ不動產ニ對スル讓渡利得ヲ御加ヘニナ
ツタ點ハ、私ハ妥當デアルト思ヒマス、併
シ不動產ニ對スル讓渡利得バカリデナク、
是ハ更ニ一步進メテ、土地增價稅ト云フヤ
ウナモノヲ御考ヘニナルノガ妥當カト思フ
ノデアリマスガ、其ノ點ニ付テ御考ヘヲ承
リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=41
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042・松隈秀雄
○松隈政府委員 土地增價稅ノ問題モ、先
日御質問ガアリマシテ答ヘテ置イタノデア
リマスルガ、處分ヲ致シマシタ場合ニ於テ、
取得價格ト處分價格トノ差ヲ出スコトハ比
較的容易デアリマスルケレドモ、處分ヲ致
サナイデ持ツテ居リマスル場合ニ、增價額
ト申シマスカ評價益ト申シマスカ、サウ云
フヤウナモノヲ計算致シマスルコトハ、課
稅技術上甚グ困難デアリマスルノミナラ
ズ、何時ノ時期ヲ押ヘテ評價益ヲ取ルカ、
每年取ルノデアルカ、或ハ五年目トカ三年
目ニ取ルノデアルカト云ツタヤウナ問題モ
アリマスノデ、〓究ハ致シテ見テ居リマス
ケレドモ、提案スル所マデハマダ到達シテ
居ラヌ、斯ウ云フ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=42
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043・河野密
○河野(密)委員 次ニ租稅ノ臨時措置ニ付
テ御尋ネ致シマスガ、租稅ノ臨時措置ノ中
ニ大變細カイコトガ澤山決メラレテ居リマ
ス、此ノ臨時措置ノ中デ御尋ネシタイト思
ヒマスノハ、第一ガ法人等ノ寄附金ニシテ
一定限度ヲ超ユルモノハ國防獻金、恤兵金
ヲ除キ、課稅標準ノ計算上之ヲ損金ニ算入
セザルコト、斯ウ云フコトニナツテ居リマ
スガ、法人等ノ寄附金額ハドノ位ニナツテ
居ルノデアリマスカ、之ヲ一定限度以上ヲ
超ユルモノト云フコトニシテ、命令案要綱
ニモハツキリ決マツテ居リマセヌガ、ドノ
程度ノモノヲ一定限度トナサレルノデアリ
マスカ、ソレニ依ツテ稅收見込額ハドノ位
ニナル御考ヘデアリマセウカ、此ノ點ヲ承
リタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=43
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044・松隈秀雄
○松隈政府委員 法人ノ寄附金デアリマス
ルガ、最近一箇年ニ於キマスル會社ノ總寄
附金額ノ中、今後命令ヲ以テ除カウト考ヘ
テ居リマスル國防獻金及ビ恤兵金ヲ除キマ
スルト、約一億餘万圓ト見テ居ルノデアリマ
ス、ソレハ更ニ內譯ヲ申シテ見マスルト、
寄附金總額ガ約一億五千五百万圓程デアリ
マス、其ノ中軍ニ對シマスルモノガ約四千
六百万圓程度デアリマス、ソレカラ從來寄
附デアリマシテモ、否認シテ損金タルヲ認
メナカツタモノガ約八百万圓程ゴザイマス
ノデ、是等ヲ除イテ見マスルト、約一億圓
ニ相成ル譯デアリマス、今囘ハ法人ノナシ
マシタ寄附金ヲ損金トシテ是認致シマスル
範圍ヲ、大體所得ノ一定割合デ抑ヘタイ、
法人デアリマスレバ、或ル程度利益ガアリ
マスレバ、世間ノ交際トデモ申シマセウカ、
寄附ヲスルト云フコトモ經費的ニ見ナケレ
バナラナイ點モアリマスノデ、所得ノ一定
割合デ抑ヘヨウトシタノデアリマス、ソコ
デ其ノ割合ヲ命令ヲ以テ定メルノデアリマ
スガ、御手許ニ配リマシタ命令案要綱ニ於
キマシテハ「法人ノ爲シタル寄附金(國防獻金
及恤兵金ヲ除ク)ニシテ當該事業年度ノ所得
金額ニ、百分ノ一·五程度ヲ乘ジテ算出シタル
金額」、斯ウ一應出テ居リマス、是ハ今モ御
話致シマシタ最近一箇年ニ於キマスル會社
ノ寄附金ヲ一億圓ト抑ヘマシテ、ソレカラ
會社ノ同ジ期間ニ於ケル大體ノ稅込ミノ所
得ノ總額ヲ四十三億圓ト見タノデアリマス、
四十三億圓ニ對シテ一億圓ハ百分ノ二·三
ニナリマスカラ、大體最近一箇年程度ノ寄
附デアリマシテ、從來是認シナカツタモノ、
ソレカラ軍ニ對シマスルモノヲ除外シテ、
其ノ程度ハ損金ニ認メテ參ラウ、是デアレ
バ無理ト云フヤウナコトハナイ、斯ウ云フ
風ニ平均デ抑ヘタノデアリマス、其ノ場合
ニ於キマシテ、尙ホ利益ガ少クテモ、十ハ
リ或ル程度ノ寄附ト云フヤウナモノモ持込
マレマスシ致シマスカラ、資本金トモ對照
シテ、制限ヲ置ク必要ガアルノデハナイカ
ト云フノデ、命令案要綱ニハ資本金額ニ年千
分ノ二乃至三程度ヲ乘ジテ算出シタル金額
ト、先程申シマシタ所得金額ニ百分ノ二·五
ヲ乘ジタル金額トヲ加ヘテ二デ割ツテ出
ス、斯ウ云フ風ニ書イテアリマス、其ノ資
本金額ノ標準ヲ持ツテ參リマシタノハ先
程御話シマシタヤウニ所得ノ百分ノ二·五程
度ハ損金タルコトヲ是認シタイト云フノデ
アリマス、是ハ資本ノ方ヲ標準ニ取ルト何
%ニ〓ルカト云フコトハ大體會社ノ利益
率ト云フモノヲ、自己資本ニ對スル稅込ミ
利益ノ制合デ見テ居ルノデアリマスガ、
割二分程度ニナツテ居ルノデアリマス、ソ
コデ自己資本ニ對シマスル一割二分ノ利益
ニ對シテ、ソレノ百分ノ二一五ト云フモノヲ
掛ケマスルト、自己資本ニ對シテハ千分ノ
三ト出ルノデゴザイマス、デアルカラ普通
ニ儲ケテ居リマスル法人デアリマスレバ、
所得ノ百分ノ二·五ト押へテモ、自己資本ニ
對スル千分ノ三ト押ヘテモ結果ハ同ジナノ
デアリマス、同ジモノデアリマスカラ、加
ヘテ二デ割ツテモ同ジニナル、併シ資本金
ノ方カラ申シマスト、資本ガ非常ニ大キイ
會社ガ最近殖エテ參リマシタ、此ノ資本ガ
大キクナツタニ比シテ必ズシモ利益ハ殖エ
テ居リマセヌカラ、資本標準ヲ取リマシタ
際ニ千分ノ三ノ一本デ押ヘルト云フコトニ
ナルト資本ノ非常ニ大キナモノガ寄附ヲ餘
計出シ得ル、斯ウ云フヤウナコトニナリマ
シテ多少權衡上考慮ヲ要シマスノデ、資本
ノ方ノ標準ハ平均デ言ヘバ千分ノ三ニナル
ノデアリマスケレドモ、小サイモノニ付テ
ハ千分ノ三トシテ平均ヲ取リ、大キクナル
ニ從ツテ少シ下ゲテ二·五乃至ハ二ト云ツタ
ヤウナ段階ヲ作リタイト思ヒマシテ、命令
案ニ千分ノ二乃至三ト、斯ウシタ譯デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=44
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045・河野密
○河野(密)委員 能ク分リマシタ、次ニ臨
時措置ノ第一條ノ中ニアリマスヤウニ、企
業ノ合同整理ラナシタ場合ニ於テハ法人稅、
所得稅、營業稅及ビ登錄稅ニ付テ輕減又ハ
免除ヲナスト云フコトニナツテ居リマス、
是ハ極メテ妥當デアリマスシ、吾々モ之ヲ
大イニ大藏大臣ニ御願ヒシテ居ツタノデア
リマスガ、營業ノ大部分ヲ廢止シタル個人
トハ營業所得金額又ハ純益金額ヲ基礎トシ
テ其ノ七割程度以上ニ相當スル部分ヲ廢止
シタモノト、斯ウ云フコトニナツテ居リマ
スガ、七割程度ト云フノハ如何カト思ヒマ
スガ、此ノ點ニ付テドウ御考ヘニナリマス
ルカ、更ニ此ノ減免率ヲ色々ノ標準ヲ立テ
テ御決メニナツテ居ルヤウデアリマスガ、
是ハモウ少シ率ヲ大キク出來ナイモノカド
ウカト云フコトヲ考へルノデアリマスガ、
大藏當局ハ如何デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=45
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046・松隈秀雄
○松隈政府委員 產業再編成ノ場合ニ於キ
マスル所得稅、營業稅等ノ減免ニ當リマシ
テ、營業ノ大部分ヲ廢止シタル個人ト申シ
マスノハ、命令案要綱トシテ御示シ致シマ
シタ通リ、「決定ニ係ル營業所得金額又ハ純
益金額ヲ基トシテ其ノ七割程度以上ニ相當
スル部分ヲ廢止シタル個人」ト致シマシタ
コトハ、營業ノ所得ガ相當多イモノガ、時局
ニ依リマシテ企業ノ合同整理ヲ致シマシタ
結果、轉廢業ニナツタト云フ場合ニ於テハ、
納稅上相當ノ苦痛ヲ感ズルノデアリマスガ、
營業ノ所得ガ割合ニ少ク、ホンノ一部分シ
カナイト云フヤウナモノガ營業ノ方デ轉廢
業ヲ致シマシテモ、他ノ方ノ所得カラ納稅
スル資力ハ相當ニアル譯デアリマスノデ、
今囘轉廢業ヲ致シマシタ場合ニ、所得稅營業
稅ヲ免除致シマスルモノト致シマシテハ、
大部分ノ營業ヲ廢止シタモノ、斯ウ云フコ
トニスルノガ適當ト認メタ次第デアリマス、
其ノ場合ニ於テ其ノ大部分ト云フコトノ認
定トシテハ、七割ガ宜イカ八割ガ宜イカト
云フコトハ、見方ニ依レバ一種ノ腰ダメデ
アリマス、稅ノ方ノ扱ヒカラ致シマスト、
從來大部分ト云フ時ニハ、大體ニ於テ七割ト
云フコトガ內規的標準ト言ツテモ宜イ位ニ相
成ツテ居ルヤウナ次第デアリマス、例ヘバ災
害免租ノ時ニ、收穫皆無ニナツタト云フヤ
ウナ時ニハ、收穫皆無ト認定スルノハ七割
程度以上穫レナクナツテシマヘバ、二割ヤ
三割穫レテモ收穫皆無ダ、斯ウシテ免租シ
テ居ルト云フヤウナ例モゴザイマスノデ、
是ハ從來カラノ稅務ノ慣例的取扱ダト御諒
4
承ヲ願ヒタイノデアリマス
ソレカラ所得稅、營業稅ヲ減免シマスル程
度ハ法律ニ明示シテアル通リデアリマス、
之ヲモウ少シ多ク出來ナイカト云フコトデ
アリマスガ、吾々ノ方カラ考ヘマスト、理
論的ニハ免除スルト云フ理窟ガ一應出テ來
ナイノデアリマシテ、十五年ノ稅制改正ニ
依リマシテ、從來ノ實績課稅ト豫算課稅ト
ヲ併用シテ居リ、マシタノヲ改メマシテ、最
初ニ營業ヲ始メタ年ニハ課稅シナイデ置ク、
其ノ代リニ翌年ニナツテ廢業シテモ前年ノ
實績デ課稅スル、斯ウ云フ建前ニナツテ居
ルノデアリマスカラ、稅ノ理論ヲ貫ケバ減
免ナシニ課稅シテモ宜イノデアリマス、併
シ今日一方ニ於テ產業ノ再編成ト云フコト
ガ必要デアリーマス、一方ヤハリ何ト言ツテ
モ心掛ノ善イ人バカリ居ル譯デハナクシテ、
現ニ營業ヲヤツテ居ラナイトスレバ、前年
ノ實績デ課稅シタ場合ニ於テハ、ヤハリ納
稅上困難ヲ感ズル、斯ウ云フモノモアリマ
スノデ、稅ノ理論ニ囚ハレズ、一方產業政
策カラ、企業合同ノ促進ニ資スルト云フ點
ニモ考慮ヲ拂ヒマシテ、マア此ノ程度ト云
フヤウナコトデ決メタ率ナノデアリマスカ
ラ、其ノ邊一ツ十分ニ御諒承ヲ願ヒタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=46
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047・河野密
○河野(密)委員 此ノ營業ノ大部分ヲ廢止
シタルト云フコトコソー-私ハ此ノ際ニ寧
ロ寄附金ノ審査委員會ヲ設ケルヨリハ、斯ウ
云フ大部分ノ營業ヲ廢止シタルモノナリヤ
否ヤト云フヤウナコトコソ、審査委員會ノ
如キモノヲ御設ケニナルコトガ極メテ必要
デハナイカト思フノデアリマス、是ハ或ハ
所得稅調査委員等デオヤリニナルノカトモ
思ヒマスガ、御考慮ヲ願ツテ置キタイト思
ヒマス
尙ホ尋ネタイコトモアリマスガ時間ガア
リマセヌカラ簡單ニ致シマス、日滿二重課
稅防止ト云フコトガアリマス、日滿二重課
稅防止ニ關スル制度ヲ設ケルト云フノデス
ガ、極ク簡單ナ法律案ガ出テ居ルダケデア
リマシテ、內容ハ一ツモ分ツテ居リマセヌ、
日滿二重課稅防止ト云フノハドウ云フ方法
デオヤリニナルノデアルカ、其ノ內容ヲ御
示シ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=47
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048・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘提案致シマシタ日滿
二重課稅防止ニ關シマスル法律案ハ極メテ
簡單デアリマス、日滿兩國ノ間ニ二重課稅
防止ニ付テ必要ナル措置ヲ取リ得ルト云フ
旨ヲ明カニシタノデアリマス、是ハ滿洲國
ニ於キマスル租稅ノ新設增徵等、租稅制度
ノ發展トモ對應シテ考ヘルベキ問題デアリ
マス、隨ヒマシテ法律デ釘付ケニスルヨリモ、
寧ロ法律ニ根據ヲ置イタ勅令ニ依ツテ機宜
ノ宜シキヲ得ル方ガ適當ト思ツタ次第デア
リマス、從來滿洲國ニ於キマスル稅制ハ比
較的完備シテ居リマセヌデシタカラ、此ノ
コトハ餘リ問題ニナラナカツタノデアリマ
スルガ、我ガ國ニ於キマスル租稅モ相當重
クナリマシタシ、一方滿洲國ニ於キマシテ
モ段々ニ各種ノ稅制ガ完備シテ參リマシテ、
勢ヒ其ノ間ニ二重課稅ノ問題ガ起ツテ參ル
ヤウニナリマシタノデ、今囘ノ機會ニ於テ
此ノ法律案ヲ提案致シタヤウナ次第デアリ
マス、大體ノ考ヘ方ヲ申上ゲテ見マスト、
日本側ニ於テ考慮ヲシタイト思ツテ居リマ
スル租稅ハ、分類所得稅、ソレカラ法人稅、
是ハ所得ニ對スル分デアリマス、ソレカラ
法人ノ臨時利得稅、滿洲側ニ於テ考慮ヲ。求
メテ居リマスル稅金トシテハ、滿洲國ノ勤
勞所得稅、事業所得稅、資本所得稅、法人
所得稅ノヤウナモノデアリマス、ソレカラ
考ヘノ極ク大體ヲ申シマスト、只今申上ゲ
マシタヤウナ兩國ノ諸稅ニ付キマシテ、綜
合主義ノ下ニ原則トシテ所得又ハ利益ノ發
生地ニ於テ、優先的ニ課稅スルト云フ考へ
デアリマス、但シ人的色彩ガ特ニ濃厚デア
ル綜合累進課稅、例ヘバ綜合所得稅デアル
トカ、臨時利得稅ノヤウナモノ、法人ノ場
合デアリマスレバ、本店又ハ主タル事務所
ノ所在地ニ當ル譯デアリマス、此ノ大方針
ノ下ニ目下兩國ノ間ニ話合ヒ中デアリマス
ノデ、何レ話合ヒガ出來マシタナラバ勅令
ヲ出シテ、更ニ必要ニ應ジテ其ノ勅令ノ施
行省令ノヤウナモノヲ出ス場合ガアルト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=48
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049・河野密
○河野(密)委員 サウ致シマスルト、日滿
兩國ガ大體所得ノ發生地デ、課稅スルコト
ニ致シマスト、分類所得稅ニ課シテ居ル例
バ乙種ノ配當利得デアルトカ云フモノハ、
滿洲國ニ居ルモノハ滿洲ノ稅率デ課稅サレ
ル、斯ウ云フコトニ大體ノ考ヘ方トシテハ
ナル譯デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=49
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050・松隈秀雄
○松隈政府委員 滿洲國ニ於テ發生致シマ
シタ配當利子所得ヲ、日本ニ居住シテ居ル
者ガ受取ルト云フ場合ニ於キマシテハ、滿
洲國ニ於テ所得ガ發生シテ居リマスカラ、
優先的ニ滿洲國ノ課稅ガ行ハレル譯デアリ
マス、其ノ場合ニ於テ日本ノ分類所得稅ノ
稅率ト比較致シマシテ、滿洲國ノ稅率ガ低
イ場合ニ於テハ、日本ノ稅率トノ差額ダケ
ハ尙ホ日本デモ課稅シテモ宜シイト考ヘマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=50
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051・勝正憲
○勝委員長 ソレデハ午後ハ委員室ノ都合
デ出來マセヌカラ、月曜日ノ午前十時カラ
開會スルコトトシテ本日ハ是デ散會致シマ
ス
午後零時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X00819420131&spkNum=51
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