第79回帝国議会　衆議院　所得税法中改正法律案外十七件委員会　第10号　昭和17年2月3日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十七年二月三日（火曜日）午前十時三十分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　勝正憲君
  　　理事　川崎末五郎君　理事　坂田道男君
  　　理事　大石倫治君　理事　河野密君
  　　理事　松永義雄君
  　　　　青山憲三君　　　石坂養平君
  　　　　伊藤五郎君　　　宇賀四郎君
  　　　　小川郷太郎君　　　小高長三郎君
  　　　　岡本實太郎君　　　藤本捨助君
  　　　　金澤正雄君　　　小畑虎之助君
  　　　　村上紋四郎君　　　森肇君
  　　　　篠原陸朗君　　　豐田收君
  　　　　山本芳治君　　　田川大吉郎君
  　　　　金井正夫君　　　青木作雄君
  　　　　森田福市君　　　加藤鯛一君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　内務省地方局長　成田一郎君
  　　　　　　　内務書記官　小林千秋君
  　　　　　大藏省主税局長　松隈秀雄君
  　　　　　　　大藏書記官　深澤家治君
  　　　　　　　大藏書記官　池田勇人君
  　　　　　　　大藏書記官　平田敬一郎君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　所得税法中改正法律案（政府提出）
  　法人税法中改正法律案（政府提出）
  　所得税法人税内外地關渉法中改正法律案（政府提出）
  　相續税法中改正法律案（政府提出）
  　織物消費税法中改正法律案（政府提出）
  　物品税法中改正法律案（政府提出）
  　電氣瓦斯税法案（政府提出）
  　廣告税法案（政府提出）
  　馬券税法案（政府提出）
  　印紙税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　特別法人税法中改正法律案（政府提出）
  　營業税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時租税措置法中改正法律案（政府提出）
  　國庫出納金端數計算法中改正法律案（政府提出）
  　戰時災害國税減免法案（政府提出）
  　所得税等の日滿二重課税防止に關する法律案（政府提出）
  　地方分與税法中改正法律案（政府提出）

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• 001・勝正憲

  ○勝委員長　ソレデハ是ヨリ開會致シマ
  ス-森肇君

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• 002・森肇

  ○森(肇)委員　私ハ先般申上ゲタヤウニ、
  田舍住ヒデアルカラ田舍ニ於テ見タル事實
  ヲ基礎トシテ質問致シテ見タイト思ヒマ
  ス、前以テ申上ゲテ置キマスガ、私ハ此ノ
  場合ニ於テ租稅ノ增徵ガ惡イトカ、或ハ經
  費ノ膨脹ガ宜クナイトカ、左樣ナ考ヘハ少
  シモ持チマセヌ、又私共ノ背後ニ居ル國民
  ノ總テト云フモノハ左樣ナ考ヘハ絕對ニ
  持ツテ居ナイト云フコトヲ豫メ玆ニ申上
  ゲ、其ノ心持ヲ以テ質問ヲスルト云フコト
  ハ御承知置キヲ願ヒタイト思ヒマス
  私ハ此ノ間豫算委員會ニ示サレタ色々ナ
  數字ニ依ツテ昭和十六年度ノ實行豫算ノ結
  果トシテ、十三億圓ノ節約ヲ示サレタト云
  フコトニ付テ、此ノ節約ガ非常ニ宜シイト
  云フヤウナコトヲ吹聽シテ居ル向キモアル
  ヤウデアリマスガ、私ハ少シ考ヘ方ガ違ヒ
  マス、豫算ノ方ヲ正確ニ編成ヲシテ置カレ
  ルト、ソレガ自ラ租稅ノ方ニモヤハリ影響
  ガ及ンデ來ル、豫算ヲ作ツテ吾々ヲシテ議
  決セシメテ、年度ニ入ルヤ入ラヌデ直チニ
  十三億圓モノ金ヲ餘スヤウナ實行豫算ヲ作
  ラナケレバナラヌ、無論十六年度ニハ色
  色ノ情勢ノ變化ガアリマシタカラ、種々ノ
  關係ニ於テ餘儀ナイ事情ガアツタコトハ之
  ヲ認メルノデアリマスガ、獨リ十六年度バ
  カリヂヤナイ、近來ハ實行豫算、殆ド是ガ
  例トナツテ居ル、斯ウ云フコトヲシナイヤ
  ウニ豫メ豫算ヲ編成スル場合ニ於テ留意シ
  テ行カレタナラバ、隨テソレニ基イテ計畫
  サレル增稅ノ方ニ於テモ色々斟酌ノ出來ル
  點ガアルノデハナイカ、斯ウ云フ疑ヒヲ持チ
  マス、主稅局長ニ之ヲ御尋ネスルコトハ間
  違ツテ居ルカモ知レマセヌケレドモ、同ジ
  大藏省ノ方デアリマスカラ、若シ御答ヘガ
  出來レバ初メニ之ヲ伺ツテ置キマス

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• 003・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今森委員ノ御尋ネノア
  リマシタ豫算ノ編成ニ當リマシテハ正確ヲ期
  シ、歲出豫算ニ於テモ事後ニ於テ實行豫算
  ヲ編成シテ、折角議會ガ協贊ヲ與ヘタ豫算
  ヲ節約等ニ依ツテ變更スルヤウナコトノナ
  イヤウニ、又歲入方面ニ於テモ出來ルダケ
  的確ナ見積リヲ立テテ、豫算ノ正確ヲ期ス
  ベキデアルト云フ御意日九ニ對シテハ正ニ其
  ノ通リデアリマシテ、同感ノ次第デゴザイ
  マス、御話ニモアリマシタヤウニ、最近ノ
  內外ノ情勢ト云フモノハ、非常ニ目マグル
  シイ程急速ナ步調ヲ以テ變化致シマスル爲
  ニ、政府トシテハ豫メ是等ノ對策ニ付テ考
  慮ハ致シテ置クノデアリマスルケレドモ、
  尙ホ豫算ノ變更ヲ來スヤウナ場合ガ已ムヲ
  得ズ生ズルノデアリマシテ、例ヘテ申シマ
  スレバ前年ニ於キマシテハ米英ノ資產凍結
  等ノ關係カラ致シマシテ、物動計畫ニモ狂
  ヒガ生ズル、サウナリマスト物動計畫ガ變
  更ヲ餘儀ナクサレマシテ、其ノ結果豫算ニ
  見積ツテアツタ必要ナ物資ノ使用ガ出來チ
  クナルト云フヤウナ所カラ、巳ムヲ得ズ實
  行豫算ヲ組ンデ節約ヲスルト云フヤウナコ
  トニ相成ル譯デアリマス、尙ホ經費ノ增大
  ノ方面ニ於キマシテモ最初ニ豫期シナイヤ
  ウナ事情ガ發生致シマスルノデ、最近ノ豫
  算編成トシマシテハ、相當豫備金ヲ多ク見
  積ルコトニ依ツテ、變化ニ對應シテ居ルヤ
  ウナ次第デアリマス、租稅ニ於キマシテモ
  豫算見積當時ニ於テ資料ヲ集メマシテ、出
  來ルダケ正確ヲ期シテ居ルノデアリマスル
  ガ、事情ノ變化ノ爲ニ實行ニ當リマシテ相
  當ノ相違ガ出テ參リマス、幸ニシマシテ減
  收致シマスルモノヨリモ、增收ノ出マスモノ
  ガ多イヤウナ實狀ニアル次第デアリマス

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• 004・森肇

  ○森(肇)委員　私ハ近頃ノ豫算ノ編成方式
  トシテ多額ノ豫備費ヲ取ルヤウニナツタコ
  トハ宜シイト思ヒマス、唯併シソコニ豫備
  費ガアルカラ自然ニ支出ガ增シテ來ルヤウ
  ナ傾向ハ免レナイデアリマセウガ、是ハ
  當局ニ於テ引締メテオイデニナレバ大體ノ
  コトハ豫定通リ參ツテ、濫支出ト云フヤウ
  ナコトニナラヌト思ヒマスケレドモ、併シ
  是ハ餘程困難ナコトデアツテ、大藏省ノ御
  苦心ハ察セラレルコトデアリマス、此ノ點
  ニ付テハ私ハ大藏省トシテ十分ニ今後御留
  意ヲ願ヒタイ、同時ニ此ノ豫算ノ編成ニ關
  シテモ、先程中上ゲタヤウニ、昭和十六年
  度ノ豫算ガ此ノヤウナ結果ニナツタコトニ
  付テハ、私ハ責メルノデハアリマセヌ、事
  情已ムヲ得ナカツタカト思ヒマス、併シ十六
  年度バカリヂヤアリマセヌ、十五年度ニ於
  テ、十四年度ニ於テ、豫算決定ノ後ニハ、
  モウ早クモ實行豫算ニ手ヲ着ケルト云フヤ
  ウナ豫算ノ編成方ハ、私ハ今後ニ於テ御留
  意ヲ願ヒタイ斯ウ云フコトヲ申上ゲルニ過
  ギナイノデアリマス
  尙ホ私ハ昭和十五年、ニ稅制ノ大改革案
  ト云フモノヲ提出サレタ時ニモ、委員ノ
  人トシテ此ノ席ニ居ツタノデアリマスガ、
  其ノ時ニ殆ド總テノ委員諸君ハ、斯樣ナ改
  革ハ、モウ此ノ時ニ於テ根本的ノ計畫ヲ立
  テナケレバナラヌト云フ御意見デアツタケ
  レドモ、私ハ一人舊態依然タル理論ヲ以テ、
  時勢ハ刻々ニ變ジテ行クノニ、之ニ應ズル
  制度ダケハ恆久的ノモノヲ以テオイデニナ
  ルト云フコトハ間違ツテ居ルノデアリマセ
  ヌカ、寧ロ此ノ點ハ恆久的デナク臨時立法
  ノ形ヲ執ツテ御進ミニナル方ガ得策デハナ
  イカ、斯ウ云フコトヲ私ハ其ノ時ニモ主張
  シタノデアリマスガ、マア今ノヤウナ制度
  ニ相成ツタ、其ノ當時ニ於テ時ノ大藏大臣
  櫻內氏ノ私ニ對スル答辯ノ中ニハ、十年十
  五年ノ前途ヲ見透ス譯ニハ參ラナイケレド
  モ、オ前ノ心配スルヤウニ、明年明後年ニ
  變ヘテ行クヤウナコトハ起ラヌト云フ御答
  ヘガアツタト思ヒマス、然ルニ其ノ後ノ經
  過ヲ見レバ、五年三年ハ偖テ措キ、モウ翌
  年カラ直チニ增稅ガ又起ル、改正ガ又起ル、
  又此處ニ十一億圓ノ增稅案ヲ提出シテオイ
  デニナル主稅局自身、明年ハ如何ニスルカ
  明言ハ出來ヌ、委員ノ中カラ色々新シイ稅
  目ナドガ提言サレルト、ソレニ付テモ今〓
  究中ダ、斯ウ云フコトデアル、私ハソレガ惡
  イトハ言ハヌ、此ノ時勢ダカラ左樣ニ相成
  ルコトハ已ムヲ得マセヌケレドモ、サウナ
  サルト云フコトデアルナラバ、ヤハリ是ハ
  臨時立法ノ形デ此ノ費用ヲ御取リニナツ
  テ、サウシテ今國家ノ爲ニ凡ユル苦痛ヲ忍
  ンデ居ル國民ヲシテ、幾分ナリトモ前途ニ
  望ミヲ抱カシメテ御進メニナル方ガ得策デ
  ハナイカ、斯ウ云フコトヲ私ハ考ヘル、今
  其處デ雜談ニモ御話ニナツテ居ツタヤウデ
  アリマスガ、當分ノ所減稅ノ見込ミハアリ
  マセヌト言ハレタ、私モサウダト思ヒマス、
  當分ノ所減稅ノ見込ガアラウトハ思ヒマセ
  ヌケレドモ、臨時立法ノ形ヲ執ツテ、國民
  ヲシテ何時カハ來ルベキ時代ニ於テ減稅ノ
  機會ガアルデアラウト云フ望ミヲ持タシム
  ル、其ノ望ミハ空シクナルカモ知レヌガ、
  ヤハリ國民ヲシテ勢ヒ込ンデ仕事ニ從事セ
  シムル爲ニハ其ノ方ガ宜シイデハナイカ、
  斯ウ云フ考ヘヲ持ツノデ、今日依然トシテ
  恆久立法ノ形ヲ執ラレルコトニ付テハ私ハ
  些カ不滿ヲ持ツ、稅ハ幾ラ御取リニナツテ
  モ宜シイ、併シ制度トシテハ臨時的ノ制度
  ニシテ御置キニナル方ガ宜イノデハナイ
  カ、臨時立法ノ形ヲ執ルト、或ハ徵稅上其
  ノ他ニ御不便ノ點ガアルカモ知レヌケレド
  モ、其ノ點位ハ御忍ビニナツテモ、臨時立法
  ノ形ヲ御執リニナツタ方ガ宜シイノデハナ
  イカ、斯ウ云フ考ヘヲ持ツノデアリマスガ、
  如何デアリマセウカ

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• 005・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　昭和十五年ノ稅制改革ヲ
  致シマシタコトニ對スル御意見デアリマス
  ノデ、ソレハ御意見トシテ承ル次第デアリ
  マスガ、吾々稅ニ關係致シマスモノト致シ
  マスレバ、事變勃發以來數次ノ臨時的增稅
  ヲ重ネマシテ、稅制ガ非常ニ混亂致シテ居
  リマシタ爲ニ、ドウシテモ之ヲ整理統一ス
  ル必要ガアルト云フコトヲ痛感致シマシタ
  ノデ、稅制ノ根本的改正案ヲ提出致シテ御
  協賛ヲ得タ次第デアリマス、其ノ場合ニ於
  テ事變中デアルカラ稅制ヲ根本的ニ改正ス
  ルコトナク、臨時立法デ行クベキデアルカ、
  或ハ恒久法トスベキカト云フコトハ見方ニ
  依ツテ意見ノ分レル所デアツタノデアリマ
  スガ、餘リ臨時立法ヲ重ネマスコトハ稅制
  ガ非常ニ煩雜ニナリ、而モ臨時ニ臨時ヲ重
  ネテ行ツタノデハ行詰リガ來テ、必要ナル
  增稅ヲ實行シ難クナル虞ガ多分ニアツタカ
  ラデアリマスノト、一方事變中トハ申セ、
  此ノ事變ハ相當長期ニ續クモノデアル、斯
  ウ云フコトダケハ大體見透シガ出來マシタ
  ノデ、長期ニ亙ル事變ニ必要ナル財源ヲ調
  達スベキ稅制ハ寧ロ恒久法化シタ方ガ宜カ
  ラウ、斯ウ云フ意見デ提案ニナツタモノ
  ト思フノデアリマス、其ノ結果ト致シマシ
  テハ、御承知ノ如ク從來ノ臨時的立法ガ整
  理サレマシテ、非常ニ分リ易クナツタノガ
  第一點ト、地方負擔ト中央負擔トノ關係ノ
  整備ガ一應出來マシタカラ、比較的租稅ノ
  增徵ガシ易クナツタ、所謂稅制ニ彈力性ガ
  持タサレタ譯デアリマス、此ノ改正ナクシテ
  ハ昭和十五年以後ニ於ケル斯カル大增稅ハ、
  恐ラク實行ガ出來ナカツタデアラウト思フ
  ノデアリマス、昭和十六年春ノ議會ニ於テ
  ハ增稅案ノ提出ヲ致サナカツタノデアリマ
  スガ、先般ノ間接稅ヲ中心ト致シマス增稅
  案ニ於テ平年度六億三千五百餘万圓、續イ
  テ今囘ノ直接稅ヲ中心トスル增稅案ニ於キ
  マシテ十一億五千五百餘万圓ノ增徵ヲスル
  コトガ出來マシタ、此ノ增稅デ既ニ行詰ツ
  タヤウニ感ゼラレルノデアリマスガ、此ノ
  增稅ト云フモノハ非常ニ大幅ノモノデアリ
  マシテ、普通ナラバ二囘、三囘ニ亙ツテヤ
  ツタデアラウモノヲ、大東亞戰爭ノ勃發ニ
  依リマシテ、戰費ヲ初メトシテ各種ノ經費
  ガ非常ナ勢ヒデ殖エマシタノデ、增稅ノ方
  モ一遍ニ思ヒ切ツテヤツタ感ガアルノデア
  リマス、隨ヒマシテ改正後間モナク相當ノ
  限度ニ來タヤウナ感ジガアルノデアリマス
  ケレドモ、之ヲ若シ改正セズニ從來ノ形ノ
  儘デ置イタト致シマスナラバ、此ノ增稅モ
  容易ニ出來ナカツタノデハナカラウカト思
  ヒマス、其ノ意味ニ於キマシテ私ハ昭和十
  五年ノ稅制改正ハ確カニ有意義デアツタト
  思フノデアリマス、而モ尙ボ今日ノ稅制ニ
  於テ、モウ增稅ノ餘地ガ全然ナイカト申シ
  マスレバ、私ハ今日ノ稅制ノ下ニ於キマシ
  テモ、將來尙ホ或ル程度ノ增稅ハ出來ルモ
  ノト考ヘテ居リマス、併シ財政需要ガモウ
  一層增大シ、增稅額ガ益〓殖エテ參ルト云フ
  コトニナレバ、ヤハリ今日ノ稅制ト雖モ之
  ヲ改正スルコトヲ考ヘナケレバナラナイノ
  デアリマスカラ、其ノ場合ニ於テ、行詰ツ
  テカラ考ヘルヨリモ、行詰ル以前ニ於テ現
  行稅制ト竝行的ニ新シイ稅制ト云フヤウナ
  モノヲ斷エズ考ヘテ參ルト云フコトハ、稅
  ニ預カル事務當局ノ當然ナスベキ所デハナ
  カラウカト思ブノデアリマス、尙ホ臨時立
  法トシテ置イタ方ガ、國民ガ戰費ヲ負擔ス
  ル上ニ於テ、將來何時カハ輕減サレルカラ
  ト云フ望ミヲ持テルカラ負擔シ易イカ、或
  ハ今日豫想セラルル所ニ依レバ、戰ハ寧ロ
  長期ニ亙ルノデアル、而モ一方ニ於テ戰爭
  シツツ、他方ニ於テハ建設シナケレバナラ
  又、サウシマスレバ財政需要ノ增大ト云フ
  コトガ相當長キニ亙ルトスルナラバ、寧ロ
  臨時立法デ氣休メヲスルヨリモ、恒久法ノ
  稅率ニ一應シテ置キマシテ、國民トシテハ
  稅ヲ負擔スルコトニ依ツテ大東亞戰爭ヲ勝
  拔クノデアル、大東亞共榮圈建設ノ爲ニ
  ハ出來ルダケ負擔ヲシナケレバナラヌト
  云フ氣持ヲ持タシテ引張ツテ行ク方ガ宜イ
  カト云フコトハ、見方ノ相違ニ依ルノデア
  リマスガ、私ハ寧ロ此ノ際ハ氣休メノ臨時
  立法ヨリハ、恒久法ニシ置ク方ガ宜イカト
  思ヒマス、將來何時其ノ恒久法ヲ直シテ減
  稅スルカト云フコトハ、財政狀況、經濟狀況、
  其ノ他各般ノ事情ノ變化ヲ見タ上デ、十分
  ノ餘裕ガ出テ參ツタ時ノ問題デアルト思フ
  ノデアリマス

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• 006・森肇

  ○森(肇)委員　其ノ點ハ見方デアリマスカ
  ラ私ハ是レ以上申上ゲマセヌ、私玆ニ資
  料ヲ頂戴シタノデアリマスガ、勤勞所得ノ
  基礎控除ノ金額ヲ低メテ行ク、或ハ事業所
  得ニ於テモ不動產所得ニ於テモ、或ハ免稅
  點ヲ引下ゲル、斯ウ云フコトニナツテ居ル
  ヤウデアリマス、之ニ依ルト、勤勞所得ノ
  方デ甲乙兩種ヲ合ハセテ引下ニ依ツテ新タ
  ニ納稅資格者トナル者ガ八十四万八千人餘、
  事業所得ニ於テ甲乙兩種ヲ合ハセテ三十一
  万餘人、不動產所得ニ於テ十七万二千人、
  斯ウ云フコトニナツテ居リマスガ、是ガ勤
  勞事業、不動產各別ニ、之ニ依ツテ得ラレ
  ル稅ノ金額ハ大體ニ於テ幾ラニナリマスカ、
  詳細ノコトハ必要アリマセヌ

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• 007・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今御述ベニナリマシタ
  勤勞所得、事業所得、不動產所得ノ免稅點
  及ビ基礎控除引下ニ依リマシテ增加致シマ
  スル人員ハ其ノ通リデゴザイマス、尙ホソ
  レニ依リマシテ新タニ殖エマスル稅額ハ勤
  勞所得ニ於キマシテハ七百七万三千圓程デ
  アリマス、事業所得ニ於キマシテハ二百三
  十七万七千圓程デアリマス、不動產所得ニ
  付キマシテハ四百七十七万七千圓程デアリ
  マス、尙ホ只今中上ゲマシタ數字ハ家族控
  除ヲ行ヒマスル以前ノ算出稅額デアリマス

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• 008・森肇

  ○森(肇)委員　サウシマスト、家族控除ガ
  之ニ伴ウテ參リマスカラ、之ヲ引キマスト
  相當減額スルモノト見テ宜シイト思ヒマス
  ガ、ソレハ如何デスカ

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• 009・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　其ノ通リデゴザイマス

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• 010・森肇

  ○森(肇)委員　私ハ劈頭ニ申上ゲタヤウニ、
  同ジ不動產所得ニ付テモ、私ノ朝夕目擊ス
  ル所ノ主トシテ耕地等ヲ基礎トシテ意見ヲ
  申上ゲルノデアリマス、都市ノ家屋賃貸ノ
  如キコトハ暫ク別問題ト致シマス、サウ云
  フ點ニマデ觸レマセヌ、私ノ朝夕見ル所ヲ
  以テシマスルト、今日ハ戰爭ノ時代デアリ、
  國民ガ一齊ニ此ノコトニ精ヲ出サナケレバ
  ナラヌ時デアリマスカラ、隨テ政治ノ上ニ
  於テ最モ必要ナルモノハ、國民ヲシテ其ノ
  堵ニ安ンゼシメルコトデアルコトハ御異論
  ガナカラウト思フ、此ノ場合ニ於テ最低生
  活トハ何ゾヤト云フガ如キ定義ノ議論ハ私
  ハ致シマセヌ、是ハ常識デ以テ判斷ヲ致シ
  テ參リマスト、農村ニ於テハ是ダケハドウ
  シテモナクテハ〓ヘナイ、都ニ於テハ、是
  ダケハナケレバナラヌト云フコトハ大體ノ
  見當ハ付クノデアリマス、其ノ考ヘカラ私
  ハ最低生活ダケハ何トシテモ保障シテ行カ
  ナケレバナラヌト思フ、併シ此ノ戰爭ノ情
  勢如何ニ依リマシテハ、其ノ最低生活ノ意
  義モ亦自ラ變ツテ來マセウ、全然砂糖ナシ
  ノ時代ガ來ルカモ知レマセヌ、或ハ潤澤ニ
  供給セラレル時代ガ來ルカモ知レマセヌ、
  其ノ時ニ依ツテ最低生活ノ意義ハ幾ラカ違
  ヒマセウケレドモ、大體ハ常識デ判斷ガ出
  來ル、其ノ最低生活ニ對シテ稅ノ手ヲ及ボ
  シテ行クト云フコトハ、如何ニ戰時ト雖モ
  面白クナイノヂヤナイカ、ソレダケハ避ケ
  テ行クダケノ餘裕ガマダ日本ニアルノヂヤ
  ナイカ、又サウヤツテ行キマスコトガ民ヲ
  安ンズル所以ノ、所謂戰時ノ政治トシテハ
  必要ナコトデハナイダラウカ、斯ウ私ハ考
  ヘルノデアリマスガ、御意見ハ如何デアリ
  マセウカ

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• 011・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今御述ベニナリマシタ
  國民ヲシテ其ノ堵ニ安ンゼシメル、別ノ言
  葉デ言ヒマスレバ國民ノ最低生活ノ維持ニ
  努メルコトガ必要デアリマスルコトハ仰セ
  ノ通リデアリマス、戰時下ト雖モ、或ハ場
  合ニ依ツテハ戰時下ニ於テコソ尙ホ一層必
  要デアルト、斯ウ云フコトガ言ヘルト思ヒ
  マス

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• 012・森肇

  ○森(肇)委員　私ハ勤勞所得ニ付テハ餘リ
  申上ゲマイト思ヒマシタケレドモ、六百圓
  ヲ超ユルモノニ對シテ課稅ヲスルト云フコ
  トニナレバ月額五十圓、ソレニハ色々其ノ
  他ノ俸給ノ方ノ關係ヲ以テ、其ノ家庭ノ狀
  況如何ニ依ツテハモツト高クナラナケレバ
  稅ヲ負擔シナイモノモ出ル、サウ云フコト
  ニナツテ居ルノデアリマス、併ジ之ニ依ツ
  テ直チニ課稅ノ範圍ニ入ツテ行ク人モ亦少
  クナイコトハ御示シニナツタ表デ分ル、殊
  ニ此ノ不動產所得ノ、殊ニ耕地ヲ基礎トシ
  マスルモノニ付テハ、私ハ今ノヤウナ米價
  ノ狀況デアリ、各稅務署ノ考へ方如何ニ依
  ツテハ、一定ノ基準ヲ御示シニナツテ居ル
  デアリマセウケレドモ、三反步カ四反步位
  ノ田地ヲ持ツテ、多少ノ畑ヲ持ツタヤウナ
  地主ハ旣ニ之ニ入ツテ行クノデアリマス、
  事業所得ノ關係ニ於テハ五反步位ノ人デモ
  ソレニ入ルノデアリマス、假ニ玄米十俵ノ
  小作料ノ取レル人ト假定シタ時ニ、俵デ十
  七、八圓シカ値打ヲ持タヌカラ、十俵トシ
  テ一箇年ニ百七、八十圓、其ノ米ヲ土臺ニ
  シテ、他ノモノハ自分ノ働キニ依ツテ補充
  シテ暮シテ居ルト云フヤウナ地主ハ私ハ全
  國ニ於テ少クナイト思フ、此ノ間內務省ノ
  政府委員トノ間ニ問答致シタ時ニ申上ゲタ
  ヤウニ、今地方ニ於ケル歲入ノ不足ヲ補フ
  モノハ主トシテ土地デアル、土地以外ニ收
  入源ト云フモノハナイ、伸ビ縮ミハナイ、
  斯ウ云フモノニマデ課稅ヲシナケレバナラ
  ヌ程ノ國ノ現狀ダト私ハ考ヘテ居ラヌ、併
  シ是マデヤラナケレバナラヌ理由ハ何處ニ
  アルカ、ココマデ食入ツテ行カナケレバナ
  ラヌ建前ハ何處ニアルデセウカ、先日岡本
  君ノ質問ニ對シテ御答ヘニナツタヤウデア
  リマスガ、モウ一度伺ツテ置キタイト思ヒ
  マス

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• 013・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　今囘直接稅ヲ中心ト致シ
  マズ增徵案ヲ計畫致シマスニ當リマシテ、
  其ノ中心ヲ所得稅ニ置キ、所得稅ノ中デモ
  最モ其ノ分布狀況ガ廣ク、隨テ增稅ニ依ル
  收入ヲ上ゲル目的ヲ達シ易イ、別ノ言葉デ
  申上ゲマスレバ比較的多分ニ彈力性ヲ持ツ
  テ居リマスル分類所得稅ニ重點ヲ置イタ譯
  デアリマスガ、其ノ場合ニ於テ稅率ヲ或ル
  程度引上ゲマスルト共ニ、國民ヲシテ出來
  ルダケ所得稅ヲ負擔セシムル、所得稅ヲ負
  擔スルコトニ依ツテ戰費ノ一部ヲ分擔セシ
  ムルヤウニ致シタイ、斯ウ云フ考ヘヲ以チ
  マシテ免稅點ヲ引下ゲ、基礎控除ノ引下ヲ
  行ツタヤウナ次第デアリマス、此ノ場合ニ
  於キマシテ先程御話ノアリマシタ國民最低
  生活ノ維持ト云フコトノ爲ニ、一方ニ於テ
  扶養家族ノ控除ヲ引上ゲマスルナリ、或人
  保險料ノ控除ノ範圍ヲ擴大致シマス等種々
  苦心致シテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ
  獨身者ニ付キマシテハ或ル程度免稅點ノ引
  下、基礎控除ノ引下ニ依リマスル負擔ガアル
  ヤウデアリマスルケレドモ、何ト言ツテモ獨
  身者デアリマスレバ比較的生活ヲ切詰メ易
  イノヂヤナイカト思ハレルノデアリマス、
  勤勞所得ニ付テ見マシテモ六百十圓ノ獨身
  者ト假定致シマスレバ、今囘新タニ課稅ニ
  ナリマシテ年額一圓ノ分類所得稅デアル、
  斯ウ云フ譯デアリマス、成程月給ニ直セバ
  五十圓餘ノモノデアリマスルケレドモ、年
  ニ分ツテ一圓程度ノ戰費ノ負擔デアルナラ
  バ心掛ケ如何ニ依ツテ私ハ堪ヘ得ルノデ
  ハナイカト思フノデアリマス、妻及ビ子供
  ノアリマスル者ニ付テハ、扶養家族ノ控除
  ヲ擴大致シマシタコトニ依リマシテ、一方
  ニ基礎控除ノ引下或ハ稅率ノ引上等ガアリ
  マシテモ、其ノ負擔ハ比較的少額所得者ニ
  現ハレテ居ラナイノデアリマス、殊ニ子女五
  人以上ニ及ビマスル者ニ付キマシテハ、扶
  養家族ノ控除ヲ一人三圓ト致シマシタ關係
  上、例ヘバ所得三千圓ノ階級デ妻及ビ子供
  五人アリト致シマスレバ、改正前ノ、詰リ現
  行法ニ於テ六十四圓八十錢ト云フ負擔額ガ、
  改正後ニ於キマシテハ二十四圓デアリマシ
  テ、四十圓程負擔ガ安クナル、斯ウ云フヤウ
  ナ結果ニモ相成ルノデアリマス、隨ヒマシテ
  國民ノ生活ノ維持ト云フコトノ爲ニハ、或ル
  程度マデノ考慮ガ拂ハレテ居ル譯デアリマ
  ス、尙ホ土地カラ上リマスル所得ノ場合ニ付テ
  モ、大體同樣ノコトガ言ヘルノデアリマシ
  テ、御話ニモアリマシタヤウニ、前ノ場合
  デアリマスルト、現在扶養家族ノナイ場合、
  卽チ獨身者デアリマスルト、小作ニ付シテ
  居リマスル場合、卽チ不動產所得ニ入ルノ
  デアリマスルガ、一反當リノ平均所得額ガ
  二十八圓三十五錢程度ニナツテ居リマス、
  サウシマスルト八反八畝位ノ田ヲ持ツテ小
  作ニ付シテ居リマスル者ハ、不動產所得ノ
  稅ガ課カル譯デアリマス、改正後ニ於キマ
  シテハ免稅點ガ下リマシタ關係上、八反八
  畝デハナクシテ、五反三畝位ノ所カラ不動
  產所得ノ稅ヲ負擔スルコトニナルノデアリ
  マスガ、大體獨身者デアリマスレバ、勤勞所
  得ニ付テ申述ベタト同ジヤウナコトガ言ヘ
  ルノデハナイカト思フノデアリマス、之二
  反シマシテ扶養家族三人デアリマスル場合、
  大體日本ノ家庭ノ平均カラ申シマスレバ
  扶養家族ハ三人程度ハアルノデアリマスル
  ガ、ソレヲ取ツテ見マスルト、一方ニ於テ
  免稅點ヲ引下ゲ、稅率モ上リマシタケレド
  モ、扶養家族ノ控除ノ引上ガ相當響イテ參ル
  ノデアリマシテ、現在ノ場合ハ田ノ小作ニ
  付シテ居ル反別ガ一町二反八畝程度カラ分
  類所得稅ガ課カリマスガ、改正後ニ於テハ
  却テ一町八反二畝ニナラナケレバ、分類所
  得稅ハ課カラナイ、斯ウ云フ風ニ相成ツテ
  居リマス、ソコデ度々申上ゲマスル通リ、
  國民トシテ此ノ際或ル程度ノ戰費ヲ負擔シ
  テ戴クト云フ意味ニ於テ、卽チ所得税ヲ國
  民稅タラシムル意味ニ於テ、課稅範圍ヲ擴
  ゲタノデアリマスガ、一方國民生活ノ維持
  安定ト云フニモ考慮ガ拂ハレテ、家族ノア
  リマスル者ニ付テハ必ズシモ最低生活ニ食
  入ツテ行クト云フ方面バカリデバナイ、斯
  ウ云フ風ニ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス

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• 014・森肇

  ○森(肇)委員　只今主稅局長ハ子供ナドヲ
  澤山持ツテ居ル方面ノ算盤バカリ置イテ居
  ル、ソレハサウ云フ結果ニナルコトハ當然
  デアリマス、其ノ通リノ方針ニナツテ居ル、
  私共ノ見ル所ノ農村等ニ於テハ必ズシモ扶
  養家族ヲ持ツテ居ル者バカリヂヤナイ、扶
  養家族ハ唯妻一人ト云フ人モ相當ニアル、
  或ハソレガ全然子供ナドガナイト云フノヂ
  ヤアリマセヌガ、色々ナ關係ニ於テ家庭ヲ
  離レナケレバナラヌト云フヤウナ所デ、老
  イタ夫婦ガ二人デ其ノ土地ヲ相手ニシテ暮
  シテ居ルト云フ者モアル、若シ是ガ勤勞所
  得者ヲ其ノ家ニ持ツテ居ルナラバ、其ノ人
  ニ對スル定額ノ給料ナドガ家庭ニ入ツテ參
  リマスカラ、兩親ヲ養ツテ行クコトガ出來
  ルノデアリマセウケレドモ、農民ニ對シテ
  ハ此ノ保障ハ絕對ニアリマセヌ、何モナイ、
  是等ノ人々モ亦此ノ立場ニ立ツノデアリマ
  ス、此ノ反面モ私ハ御覽ヲ願ヒタイ、本當
  ニ私ハ淚ヲ以テ地方農村ノ狀態ヲ見テ居
  ル、必ズシモ負擔ヲ輕減シロト云フノデハ
  アリマセヌ、サウ云フ國民ノ生活ニ食入ツ
  テ行クト云フコトヲ惧レル、斯ウ云フ者ヲ
  ドウスルカト云フコトモヤハリ考ヘテ下サ
  ラナケレバナラヌ、殊ニ農村ニ於テハ五人以
  上ノ子供ヲ養ツテ居ルト云フ家ハ、寧ロ昔
  ノ尋常科卒業、今日ノ國民學校ノ初等科ヲ
  出ル近クニナルト、モウ家庭ノ手助ケヲス
  ル、況ンヤ高等科ニ居リマス者デアリマス
  ト、相當ノ働キヲヤツテ居ル、卽チ子供ヲ
  澤山持ツテ居ツテ、傍カラ見タ目ニハ可哀
  サウダト言ハレル方ガ、勞力不足ノ今日非
  常ニ仕合セヲシテ居ル、サウデナイ者ガア
  ル、ココヲ机上ノ空論バカリデナク實際ニ
  付テ御考ヘヲ願ヒタイ、氣ノ毒ナコトデス、
  昭和十五年ノ改革ノ時モ其ノ通リデ、其ノ
  前カラ一體大藏省ノ土地持ニ對スル態度ト
  云フモノハドウモ私ハ他ノモノヨリモ殘酷
  ノヤウナ氣ガスル、動カザル土地ヲ持ツテ
  居ル、之ニ課稅シテ宜シイト、此ノ頭デオ
  ヤリニナルト云フ感ジヲ持ツ、今日食糧資
  源ノ給源デアル農村ヲ維持シテ行ク爲ニハ、
  ヤハリ小農ヲ御助ケニナラナケレバイカヌ、
  今其ノ小農、小地主ト云フモノガ小作ニ付
  シテ居ルノハ、餘儀ナク之ヲ小作ニ付シテ
  居ルト云フ實情ナノデアリマス、軈テ自分
  ノ跡繼ギヲ育テタナラバ、其ノ者ヲシテ百
  姓ヲサセヨウトシテ、祖先ノ祀リト同ジヤ
  ウニシテ、其ノ家ト土地ヲ大事ニ保持
  シテ居ルト云フノガ農村民ノ氣持デア
  リマス、私ハ之ニ對シテハ相當尊敬ヲ
  拂ツテ宜シイト思フ、日本ノ强イ基礎ハ
  此處ニアル、斯ウ云フ關係カラ此ノ免稅
  點ノ引上ゲニ依ツテ何程ノ金ガ上ルカ、大
  シタモノデナイ、十一億ノ增稅ヲヤルノニ
  大シタモノデハナイ、ソレナラバ此ノ稅ヲ
  課ケナケレバソレ等ノ人々ハ全ク國ノ稅ノ
  負擔カラ免レルカト云フトサウデハナイ、
  所得稅ヲ負擔シナケレバ國民ニアラズトハ
  私ハ言ヘナイト思フ、殊ニ國稅デハアリマ
  セヌガ地方費ノ負擔ニ於テハ少シモ昔ト變
  ル所ハナイ、寧ロ段々增シテ行ク、斯ウ云
  フ時代デアルカラシテ、此處ハ少シ御考ヘ
  ニナツタ方ガ宜シカツタノデハナイカ、殊
  ニ農耕地ニ對スル課稅ニ關シテハ、昭和十
  五年ノ改革ノ時ニアナタ方ハ免稅點ヲ百圓
  トシテ原案ヲ御出シニナツタ、其ノ時ニ委
  員會デ色々論爭ノ結果二百五十圓マデ持ツ
  テ行ツタ、ソレヲ又百五十圓ニ御下ゲニナ
  ルノデスガ、今ハ農家ノ收入ノ標準ハ高ク
  ナツテ居ル、其ノ時ニ課稅ノ免稅點ヲ御下
  ゲニナツタ、結局負擔ガ重クナルコトニナ
  ルノデアリマス、殊ニ是ハ免稅點タル百五
  十圓ヨリ一錢上ニ上ツテモ直チニ課稅ノ中
  ニ入ツテ行クコトニナツテ來ル、ココラハ
  考ヘナケレバナラヌ、例ヲ勤勞所得ニ取ツ
  テ見テモ、私ハ昭和十五年ノ時デモ能ク皆
  サンノ御說明ヲ耳ニシテ居ツタ積リデアル
  ガ、後ニナツテ考ヘテ見ルト、一軒ノ家ニ
  勤勞所得者ガ三人アツテモ、其ノ三人各〓基
  礎控除ガ行ハレルト云フ規定ニナツテ居ル
  トハ知ラナカツタ、例ヘバ田舍ノ者ガ三人
  ノ子供ヲ給料取ニシテ一箇年ノ收入ガ假ニ
  千五百圓ニナルト假定致シマシテモ、ソレ
  ハ免稅サレルト云フヤウナ結果デアル、農
  民ノ方ハサウヂヤナイ、家族中二人百五十
  圓ノ者ヲ持ツテ居ツテモ、モウソレハ課稅
  サレル、非常ニ此ノ間ノ差ガ大キクナル、
  區別ガ餘リニ甚ダシイ、是程マデニ土地持
  ヲイヂメナケレバナラヌト云フノハドウ云
  フ譯カ、私ハアナタ方ノ疑ヒヲ避ケル爲ニ
  申上ゲテ置キマスガ、私ハ土地持デモテケ
  レバ漁業家デモ何デモナイ、全クノ無資產
  者デアリマス、私ハ此ノ稅金ガドウナルカ、
  關係ヲ持チマセヌ、唯朝夕ニ見ル地方ノ實
  情ヲ、見ルニ忍ビザルガ故ニ言フ、此ノ點
  ニ付テ御〓ヘヲ請ヒタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=14

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• 015・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　資產所得ニ付キマシテハ
  御承知ノ通リ免稅點ヲ置カナイト云フノガ
  從來ノ建前デアリマス、唯徵稅ノ便宜上餘
  リニ小サナ資產所得マデ拾フト云フコトハ
  煩雜ニ過ギマスル爲ニ、便宜上免稅點ト云
  フモノヲ置イテ居ル譯デアリマス、隨テ手
  續上小サクテモ徵牧ノ出來マスモノハ免稅
  點ナシニ徵收シテ居ル、例ヘバ配當利子所
  得ニ於キマシテモ、甲種ハ免稅點ヲ設ケズ
  ニ徵收シテ居ル、乙種ニ付テハ賦課課稅ヲ
  致シマス關係上、免稅點ヲ百圓ト云フヤウ
  ナ所ニ置イテ居ルノデアリマス、不動產所
  得モ資產所得デアリマスルカラ、免稅點ヲ置
  カナイト云フコトモ言ヘルノデアリマスガ、
  賦課課稅デアリマスル點ヲ考慮ニ入レマシ
  テ、徵稅上ノ手續ノ煩瑣ヲ避ケル意味ニ於
  テ免稅點ヲ置クノデアリマスガ、其ノ場合
  ニ於テ幾ラニスルカト云フコトハ色々見方
  ガアルノデアリマシテ、昭和十五年ノ稅制
  改正ノ際ニ於テハ理論通リニ配當利子所得
  ノ乙種ガ百圓デアルナラバ、不動產所得ニ付
  テモ百圓デ差支ヘナイト云フヤウナ積リデ提
  案シタノデアリマスガ、議會ノ御意見モアリ
  マシテ二百五十圓ト云フコトニ相成ツタヤ
  ウナ譯デアリマス、今囘基礎控除ノ方ヲソレ
  ゾレ引下ゲマシタノデ、不動產所得ニ付テモ
  ソレトノ釣合ヲ取リマシテ百五十圓程度マデ
  引下ゲタノデアリマス、不動產所得ニ付キマシ
  テハ、不動產所得ダケデ暮シテ居ル人ニ取リ
  マシテハ相當キツイノデアリマスガ、一方他ノ
  所得ガアリマシテ、併セテ少シノ土地ヲ持
  ツテ、小作ニ付シテ居ルト云フヤウナ階級
  モ相當アルノデアリマス、丁度他ノ所得ガ
  相當アツテ銀行預金ヲシタリ、或ハ少シノ
  株ヲ持ツテ配営利子所得ヲ取ツテ居ル、斯
  ウ云フモノト似タ點ガアルノデアリマス、
  サウ云フ風ニ所得ガ相當アリマスル者ニ付
  キマシテハ配當利子所得ニ付テモ細カイ
  モノデモ合算シテ差支ヘナイ、不動產所得
  ニ付テモ細カイモノヲ合算シテ差支ヘナ
  イ、斯ウ云フコトデ行ケルノデアリマス、
  唯共ノ所得ダケシカナクテソレデ暮シテ居
  ルト云フ者ニ付テハ、配當利子所得ニ付テ
  モ實ハ乙種ニ付テ百圓ノ免稅點デ、百圓ヲ
  超エレバ直グソレニ分類所得稅ヲ課ケルト
  云フコトハ、ヤハリ無理ガ行クト云フノト
  同ジヤウナ議論ガ言ヘルト思フノデアリマ
  スガ、是ハサウ云フ場合モアルカモ知レマ
  セヌケレドモ、ソレハヤハリ一方ニ於テ扶
  養家族等ノ點デ考慮シテ行ク、隨テ獨身者
  デアリ、或ハ夫婦二人切リデ夫婦ガ働ケル、
  斯ウ云フ風ナ場合ニ於テハ何トシテデモ其
  ノ負擔ヲ切リ拔ケテ戴ク外ナイノデアリマ
  ス、唯御話ノヤウニ老齡ノ夫婦デアツテ、
  勞働力ガ非常ニ少イト云フヤウナ場合等ニ
  氣ノ毒ナ事情ガアルト云フコトハ能ク承リ
  マシタ、又私ガ斯ク申シマスカラト云ツテ、
  地方ニ於ケル土地カラ所得ヲ上ゲテ居リマ
  スルモノガ、非常ニ餘裕ガアルトハ決シテ
  申シテ居ルノデハナク、御述ベニナリマシ
  タヤウナ事情デ、非常ニ苦心ヲシナケレバ
  稅ガ納メラレナイ、斯ウ云フ事情ニアルト
  云フコトハ想像ガ出來ルノデアリマスガ、
  是ハ單リ不動產所得ニ限ラズ、ドノ所得デ
  モ少額所得デアツテ其ノ所得ダケシカナイ
  ト云フヤウナモノノ場合ニ於テハ、ヤハリ
  納稅ハ齒ヲ食ヒ縛ツテモ戦費ヲ負擔スルト
  云フ意氣デナケレバ中々其ノ金額ヲ捻出出
  來ナイ、斯ウ云フヤウナ事情ニアリマス、
  ソレダケ苦シイト云フコトハ同感デアリマ
  ス、併シソコヲ耐ヘテ納稅シテ戴ク、サウ
  云フヤウナ所得マデヘロセマシテ、初メテ十
  一億五千万圓ト云ツタヤウナ增稅ガ出來ル
  ノデアリマス、詰リ少額ノ所得ト雖モ之ヲ
  集積シテ初メテ大ヲ成スヤウナ狀況ニアリ
  マスル點ハ、ドウゾ御諒承ヲ願ヒタイト思
  ヒマス

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• 016・森肇

  ○森(肇)委員　私ハ從來ノ制度ガドウデア
  ツタト云フヤウナコトハ此處デ問フ必要ハ
  ナイト思ヒマス、大改革ヲ行フ時デアリ、
  旣ニ昭和十五年ニ大改革ガ行ハレタ其ノ後
  ラ受ケテ居ル此ノ稅制デアル、其ノ前ノ建
  前ガドウデアルト云フコトハ議論ノ種ニナ
  ラヌト思ヒマス、又今預金其ノ他ノ關係ヲ
  御話ニナツタ、私ハ初メニ私ノ立場ガ立場
  デアルカラ特ニ農業ノ關係ヲ申上ゲテ居ツ
  タ譯デ、ソレニ付テモ私ハアナタト御同樣
  ノ意見ヲ持ツテ居ル、僅カノ預金ニ依ツテ
  飯ヲ食ツテ居ルト云フヤウナ實例ガアルニ
  モ拘ラズ、之ニマデ免稅點ヲ置カナイノダ
  ト云フ理由ガ私ニハ分ラヌ、最低生活ノ保
  障ト云フ點カラ行ケバソコハ考ヘナケレバ
  ナラヌト私ハ思フ、ソレハ其ノ通リ、熱
  必ズシモ不動產所得者ノミノコトヲ申シテ
  居ルノデハアリマセヌ、所謂資產所得ニ付
  テモヤハリソコハ考ヘテ行ク必要ガアルト
  思フ、一定限度ヲ超エマシタ後ハ構ヒマセ
  又、最低生活ノ保障ダケハヤル方ガ宜イ、
  此ノ間モ豫算總會ノ色々ノ質問ノ際ニ議員
  側カラハ、凡ユル消費ヲ規正シテ、其ノ力
  ヲ總テ生產ニ注ゲト云フ要求ガアツタ時
  ニ、內閣總理大臣ハソコヘ出テ來ラレテ、
  政治ニハユトリガナクチヤナラヌ、淚ガナ
  クチヤナラヌ、時ニハ砂糖モヤルシ、飴玉
  モヤラウト言ハレタ、私ハ本當ニ心カラ共
  鳴シタ、アレガ政治デナケレバナラヌ、此
  ノ意味カラ考ヘテ行クナラバ、少額ノ稅金
  ガ集ツテ十一億ニナルト云フノハ其ノ通リ
  デアルケレドモ、斯樣ナ特殊ノ場合ニ於テ
  實數カラ言ヘバ五百万ニ滿ツルカ滿タヌカ
  ノ金ヲ、全國多數ノ國民ノ爲ニ見逃スコト
  ハサウ罰ノ當ルコトデハナイ、ソレ位ノコ
  トハヤツテ宜シイノデハナイカ、斯ウ云フ
  私ハ感ジヲ持ツ、サウ云フ氣持デ今ノ國民生
  活ノ實情ヲ見テ居ル、十二月八日ノ大東亞
  戰爭勃發前ニ於テハ本當ニ國民ノ總テガ明
  日ヲ案ジテ幕シタト思ヒマス、戰拔ク、勝拔ク、
  必ズ勝ツニ違ヒナイト云フ自信ハ持ツガ果
  シテ今後ノ步キ方ハドウデアラウ、相當私ハ
  足元ヲ心配致シタ、併シソレガ十二月八日
  ノ戰爭ニ依ツテスツカリ形勢ハ一變シタ、
  今ヤ國民ハ滿々タル希望ニ燃エ、如何ナル事
  デモ國家ノ爲ニハ忍ブト云フ決心ヲ持ツテ
  居ル、寶ノ山ヲ前ニ置イテ、ソレニ向ツテ進
  ンデ居ルヤウナ氣持デ今進ンデ居ル、是ハ
  決シテ御疑ヒノ必要ハナイ、國民ヲ全幅的
  ニ信用シテ下スツテ宜シイ、其ノ通リノ國
  民デアル、其ノ國民ダカラト云ツテ最低生活
  マデ脅カスヤウナ課稅ヲシナケレバナラヌ
  理由ハ成立タヌ、斯ウ云フ感ジガ私ノ頭ヲ
  去リマセヌ、此處デ私ハ色々內容ニ立入ツ
  テ申上ゲルコトハ外國等ノ關係ガアルカラ
  避ケマスガ、今ヤ我ガ國ノ農漁山村ニハ日
  ガ暮レテ燈明ヲ有セザル者ガ少クアリマセ
  ヌ、此ノ生活狀態ヲ御承知(ニナツテ居ルカ、
  ソレデモ不平ヲ一切言ハナイデ默々トシテ
  働イテ居ル、アノ國民ニ對シテハ御同情ヲ
  願ヒタイ、私ハ斯ウ云フ考ヘカラ此ノ質問
  ヲ申上ゲタノデ、別ニ議論センガ爲ニ議論
  致シテ居ル譯デハアリマセヌ、洵ニ見ルニ
  忍ビザルガ故ニ申上ゲタノデアリマス、其
  ノ點ハ一ツ御諒承下スツテ、若シ之ニ付テ
  御話ヲ戴クコトガ出來レバ拜聽致シマス、
  私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=16

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• 017・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　農村ニ於ケル御事情ヲ切
  切トシテ御愬ヘニナリマシタ點ハ謹ンデ拜
  聽致シマシタ、租稅ノ方面ニ於ケル課稅理
  論ト、其ノ課稅ノ實際、ソレガ何處マデ國
  民生活ニ食入ツテ居ルカト云フコトノ見方
  ニ付キマシテハ、私共ハ免稅點ノ引下、基
  礎控除ノ引下等ニ付テモ御話ノヤウナ心配
  ヲ出來ルダケナクスヤウニ考ヘテ、一方國
  庫歲入ノ增加モ計ル、斯ウ云フコトデ從來
  モヤツテ參リ、今囘モヤツテ參ツタノデア
  リマスガ、御趣旨ノ程ヲ拜聽致シマシテ今
  後ニ於テ十分參考ニ資シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=17

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• 018・勝正憲

  ○勝委員長　次ハ小畑君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=18

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• 019・小畑虎之助

  ○小畑委員　私ハ主トシテ法文一字句ノ意
  義ニ付テ二、三伺ツテ置キタイト思フノデ
  アリマス、戰時災害國稅減免法案ニ關スル
  命令案要綱ハ頂戴シテ居ラヌヤウニ思ヒマ
  スガ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=19

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• 020・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　命令案ハ御配リシテアリ
  マセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=20

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• 021・小畑虎之助

  ○小烟委員　出來テ居リマシタラ後デ成ベ
  ク頂戴シタイト思フノデアリマス、命令案
  要綱ガアリマスレバ、能ク分ルノダト思ヒ
  マスガ、ソレガアリマセヌノデ、成ベク簡
  單ニ伺ヒマスカラ簡單ニ御答辯願ヒタイ、
  第一條ノ勅令案ノ內容ヲ伺ヒタイト思ヒマ
  ス、ソレカラ此ノ戰時災害ト云フモノノ
  中ニハ勿論身體生命ニ關スル被害ヲ包含シ
  テ居ルモノト思ヒマスガ、其ノ點ハ如何デ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=21

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• 022・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　今回戰時災害國稅減免法
  案ヲ提出致シマシタノハ、戰爭ノ際ニ於ケ
  ル戰鬪行爲又ハ之ニ基因シテ生ジマス災
  害ニ依リマシテ、被害ヲ蒙リマシタモノノア
  リマス場合ニ、被害者ノ納付致シマスル國
  稅ソレカラ戰時災害ニ依リマスル被害物
  件ニ對シテ課セラルベキ國稅ニ付テ勅令ノ
  定ムル所ニ依ツテ輕減免除スル積リデアリ
  マスガ、是ハ大東亞戰爭ノ勃發ニ依リマシ
  テ、此ノ種立法ノ必要ヲ感ジマシテ提案致
  シタノデアリマス、其ノ被害ノ狀況等ニ依
  リマシテ具體的ナ事例ヲ見テ、ソレニ適應
  スル所ノ處置ヲ執リ得ルヤウニ、實際ノ發
  動ハ基本的ナ勅令ヲ此ノ法律ニ付テ出シマ
  ス、サウシテ更ニ其ノ運用トシテ必要ナ事
  項ハ省令ヲ以テ規定シテ參リタイ
  〔委員長退席、川崎委員長代理着席〕
  今日被害ヲ受ケルカドウカ、被害ヲ受ケマ
  スル程度モ分リマセヌカラ、法律デソレヲ
  書キマスルヨリモ、寧ロ勅令以下ニ讓ツテ、
  其ノ際ニ適實ヲ期シタイ、斯ウ云フ積リデ
  アリマス、唯ソレナラバドウ云フコトヲヤ
  ルノカト云フノデアリマスルガ、從來災害
  被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收猶豫等ニ
  關スル法律ト云フノガゴザイマス、是ハ水
  害ガアツタトカ、或ハ大火災ガアツタトカ、
  其ノ他震災、暴風雨等ノ場合ニ、ヤハリ被
  害者ガ出來タ、若シクハ被害物件ガアツタ
  ト云フ場合ニ、被害者ノ納メル租稅、若シ
  クハ被害物件ニ對シテ課カリマスル稅金ノ
  減免徵收猶豫、課稅標準ノ特例等ニ關シテ
  必要ナル勅令ヲ出シテ居ルノデアリマスガ、
  ソコニ一ツノ御手本ガアリマスルカラ、大
  體ソレニ傚ツテ勅令案以下ヲ規定シタナラ
  バ宜シイカト思ツテ居ルノデアリマス、尙
  ホ御尋ネノアリマシタ納稅者ガ身體ニ傷害
  ヲ受ケタ場合ニ租稅ノ減免、徵收猶豫ヲス
  ルカト云フ點ハ、只今マデノ所デハソレハ
  考ヘテ居リマセヌ、ソレハ別途ニ提案ニナ
  ツテ居ル戰時災害保護法ト云フノガ厚生省
  所管デ出テ居リマスノデ、サウ云フ身體ニ被
  害ヲ受ケタ時ノ保護等ニ關シマスルコトハ、
  ソチラノ法律デヤツタラドウカト、今ノ所
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=22

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• 023・小畑虎之助

  ○小畑委員　ソレデハ玆ニ所謂戰時災害ニ
  因ル被害者ト云フ中ニハ身體生命ニ關スル
  被害者ヲ包含シナイト云フコトニ解釋シテ
  宜シイモノト存ジマス、隨ヒマシテ直接戰
  鬪行爲ニ參加シテ居ル軍人ノ傷病死ニ對ス
  ル國稅減免ニ關スル途ハ此ノ法律ニ依ツテ
  ハ開ケナイト云フコトニナルト思ヒマス
  〔委員長着席、川崎委員長代理退席〕
  ソレカラ此ノコトハ電氣瓦斯稅法ノ問題ト
  大體似テ居リマスカラ、後デ其ノ所デモ伺ハ
  ウト思ツテ居ルノデアリマスガ、此ノ法文
  ニ依リマスト戰時災害ニ因ル被害者ノ納付
  スベキ國稅及被害物件ニ課セラルベキ國稅
  一位輕減又ハ免除スルコトヲ得、其ノ輕
  減又ハ免除ハ勅令ノ定ムル所ニ依ルト云フ
  ノデアリマスガ、法文ノ體裁カラ參リマス
  ルト、戰時災害ニ因ル被害者ノ納付スベキ
  國稅ニ付テハ、稅ノ減免ヲスル、其ノ減免
  ノ程度-免除ニハ程度ガナイガ、輕減ノ
  程度、方法ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムル、
  斯ウ云フ風ニ受取レルヤウニ思フノデアリ
  マスルガ、如何ナル戰時災害ニ對シテ國稅
  減免法ヲ適用スルカト云フ問題ハ固ヨリ立
  法行爲ニ屬スルコトデアツテ、此ノ法文カ
  ラ見マスルト命令ニハ委任サレナイ、此ノ
  法律ニ依ツテ命令ニ委任スベキ範圍ハ、其ノ
  減免ノ程度方法デアツテ、如何ナル被害ニ
  對シテ減免ヲ行フカト云フコトハ勅令ノ定
  ムベキ限リデナイト思フノデスガ、如何デ
  アリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=23

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• 024・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　只今ノ點ハ御說ノ通リデ
  アリマシテ、法律ハ戰時災害ト書イテ居リ
  マシ、此ノ戰爭トハ大東亞戰爭ヲ意味スル
  ト思フノデアリマス、隨ヒマシテ、如何ナ
  ル戰爭ヲ指スカト云フコトヲ今ノ所勅令ヲ
  以テ定メルト云フ考ヘハゴザイマセヌ、勅
  令ヲ以テ定メマスルモシハ、ドウ云フ納稅
  者ガドノ程度ノ被害ヲ受ケタ時ニドノ稅ヲ
  幾ラ減免スル、若シクハ徵收猶豫スル、若
  シクハ課稅標準ノ特例ヲ設ケルカト云フコ
  トヲ決メタイト思フノデアリマス、モウ少
  シ具體的ニ申上ゲマスト、例ヘバ營業者ガ
  空爆ノ結果、店ヲ破壞サレ、其ノ結果商品
  モ傷ンダト云フヤウナ場合ニ於テ、其ノ營
  業所得ヲ免除スル、或ハ營業稅ヲ免除スル
  ト云フヤウナ規定ヲ置イタリ、或ハ徵收ヲ
  猶豫スル、若シクハ課稅標準ノ特例ヲ設ケ
  ルト云フヤウナコトヲ命令ヲ以テ決メタイ
  ノデアリマス、尙ホ身體ニ被害ノアリマシ
  タ場合ニ、其ノ者ノ納メル所得稅等ニ付テ
  減免ガ出來ルカト云フコトニ付キマシテハ、
  法文ノ解釋上ハ入リ得ルノデアリマス、併
  シ今マデノ所デハサウ云フ場合ニ於ケル國
  稅ノ減免ニ付テ勅令ヲ出スカドウカト云フ
  コトハ、ハツキリ決メテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=24

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• 025・小畑虎之助

  ○小畑委員　私ハ法文ノ文理解釋カラ申シ
  マスト、其ノ被害ノ對象ガ財產デアル場合
  ニ限ラズ、身體生命ニ關スル被害ヲモ當然
  之ニ包含サレルモノト思ツテ居ルノデス、
  所ガ今ノ御話ヲ聽キマスルト、此ノ法律ニ
  依ツテ出ス所ノ勅令內容ニサウ云フコトヲ
  決メル積リデ居ラヌ、斯ウ云フヤウナ御話ノ
  ヤウニ伺フノデアリマスガ、此ノ戰爭被害
  ト云フモノノ定義ハ、本法ニ依ツテ御定メ
  ニナラナケレバナラヌモノデアルト私ハ思
  フノデス、而モ本法ニ所謂戰爭被害トハ何
  モノデアルカト云フコトヲ勅令ノ規定ニ讓
  ルト云フコトハ、此ノ法案ノ中ニモ現ハレ
  テ居ナイ、又憲法ガ法律ト命令トノ立法手
  續ヲ異ニ致シテ居リマスル趣旨カラ申シマ
  シテモ、此ノ點ハ如何ナル點ヲ命令ニ委任
  スルカ、如何ナル點ヲ本法ニ規定スルカト
  云フコトハ、立法ノ體系ヲ亂サナイヤウニ
  明確ニシテ置イテ戴キタイト思フノデアリ
  マス

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• 026・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　戰爭ハ大東亞戰爭ヲ含ム
  コトハ當然デアリマスルケレドモ、立法ノ
  形式カラ言ヘバ「戰時災害」、而モ「戰爭ノ際
  ニ於ケル」云々ト、斯ウ書イテアリマスカラ、
  此ノ法律ガ存シテ居ル限リ、今後戰爭ト名
  ガ付クモノデアレバ本法ノ適用ノアルコト
  ハ勿論デアリマスルカラ、其ノ點一寸補足
  致シテ置キマス
  ソレカラ戰時災害ガアツタ場合ニ如何ナ
  ル租稅ヲ輕減スルカト云フコトハ、一ツノ
  御手本トシテ先程モ申上ゲマシタヤウニ、
  災害被害者ニ對スル租稅ノ減免、徵收猶豫等
  ニ關スル法律ト云フノガ昭和十四年法律第
  三十九號トシテ出テ居リマス、其ノ書キ方
  ヲ見マスルト、「政府ハ北海道又ハ府縣ノ全
  部又ハ一部ニ亙リ震災其ノ他ノ被害甚大ナ
  ル災害アリタル場合ニ於テ特ニ必要アリト
  認ムルトキハ災害ニ困ル被害者ノ納付スベ
  キ國稅及災害ニ因ル被害物件ニ對シ課セラ
  ルベキ國稅ニ付キ勅令ノ定ムル所ニ依リ之
  ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得」、斯ウ書イテ
  アリマシテ大災害ガアツテ死ヌ人モ出來ル
  ダラウ、或ハ家財、家具、商品等ヲ燒イタ
  リ流シタリスル人モアルダラウ、サウ云フ
  場合ニ於テ租稅上ニ於テモ輕減免除スルコ
  トヲ得ルト云フ包括的ノ法律ヲ出シマシテ、
  實際ニ當ツテドノ程度ニ租稅ヲ輕減又ハ免
  除スルカト云フコトハ、被害ノ狀況ニ應ジ
  テ適當ナ勅令ヲ出スヤウニト云フコトニナ
  ツテ居リマス、丁度ソレニ例ヲ做ヒマシテ、
  戰爭ノ際ニ於ケル戰闘行爲及ビ之ニ基因シ
  テ生ズル災害ヲ豫想シテ戰時災害國稅減免
  法ト云フモノヲ出シマシテ、戰時災害ニ依
  ツテ或ハ身體生命ニ被害ラ蒙ルモノガアル
  デゴザイマセウ、或ハ家具、家財、商品等
  ヲ破壞損失サレルモノガ出來ルデセウ、其
  ノ場合ニ於テドノ程度ノモノハ稅ヲ輕減シ
  ナイ、ドノ程度ノモノカラ、ドノ程度ニ、或
  ハ免除ヲシ或ハ輕減スルカト云フコトハ勅
  令ノ規定ニ讓ラシテ戴キタイ、斯ウ云フ積
  リデアリマス、從來ノ災害被害者ニ對スル
  租稅ノ減免、徵收猶豫等ニ關スル法律ノ適
  用トシテ出サレマシタ勅令ニ於キマシテハ、
  生命若シクハ身體ニ被害ガアツタト云フダ
  ケデハ租稅ヲ減免シテ居ラナイノデアリマ
  ス、ソレモ入リ得ルノデアルケレドモ、從
  來ノ例カラ言ヘバ其ノ場合ニ勅令ハ出シテ
  居ラナイ、デアリマスカラ、ソレト步調ヲ
  合セマスレバ、今囘ノ戰時災害國稅減免法
  ニ於テモ人的損傷ノ方面ニ於テハ出サナイ
  ト云フコトモ考ヘラレルノデアリマス、併
  シ勅令デ出シテ出セナイコトハナイノデア
  リマスルカラ、其ノ點ハ將來ノ問題トシテ
  十分ニ〓究致シタイ、斯ウ思フノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=26

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• 027・小畑虎之助

  ○小畑委員　御趣旨ハ能ク分ツテ居ルノデ
  アリマス、此ノ輕減ノ程度、免除ニスルカ
  ドノ程度ノ輕減ヲヤルカト云フコトニ付テ
  ハ勅令ヲ以テ御定メニナルコトニ此ノ法
  案ニモ現ハレテ居リマス、ソレハ結構ダト
  思フノデアリマス、併シ身體生命ニ關スル
  被害ヲ含ムカ含マナイカト云フコトハ、勅
  令ニ依ツテ定ムベキモノデハナイ、法律ニ
  依ツテ之ヲ規定スベキモノデアルト私ハ思
  フノデアリマス、ソレガ此ノ法律ヲ御出シ
  ニナリマス今日、此ノ所謂戰爭被害ノ中ニ
  身體生命ニ關スル被害ヲ包含スルカシナイ
  カト云フコトガ決定サレテ居ラズ、而モ此
  ノ法文ニ-法文ノ文理解釋ノ上カラ言ヘ
  バ勿論ソレハ入ルノデアリマスケレドモ、
  其ノ解釋上ノ御尋ネヲシタ場合ニ、是ガ入
  リ得ルノダケレドモ、入レルカ入レヌカ分
  ラヌト云フヤウナ御答ヘデアルトスルト、
  身體生命ノ災害ガ此ノ中ニ入ルカ入ラヌカ
  ト云フコトハ、勅令ニ依ツテ規定シヨウト
  云フヤウナ御考ヘデハナイカト思フノデア
  リマス、併シ之ヲ勅令ニ依ツテ御規定ニナ
  ルト云フコトハ、立法事項ト命令事項トヲ
  區別シテ居ル趣旨ニ反スルモノデアル、而
  モ此ノ法文ニ依ツテハ此ノ點ハ命令ニ委任
  シタコトニナツテ居ナイト私ハ思フノデア
  リマス、其ノ點ヲモウ一遍明確ニシテ貰ヒ
  タイト思ヒマス、ソレカラ今ノ御考ヘデハ
  身體生命ノ被害ハ含マナイ、或ハ將來勅令
  ニ依ツテ含マセナイト云フ御考ヘデアルカ
  ドウカト云フコトヲ明確ニシテ置イテ戴キ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=27

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• 028・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　身體ニ對スル被害ト中シ
  マスモノモ、ヤハリ戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪
  行爲及ビ之ニ起因シテ生ズル災害デアリマ
  スレバ、ヤハリ戰時災害ニ因ル被害者ト云
  フコトニ字句的ニハ當嵌マリマス、字句的
  ニハ當嵌マツテモ、其ノ場合ニ於テ租稅ヲ
  輕減免除スルカ否カト云フコトノ權限ハ、
  此ノ法律ニ依ツテ政府ニ與ヘテ戴イテ居ル
  ノデアリマス、唯從來ノ災害被害者ニ對ス
  ル租稅ノ減免ニ於テハ、身體生命ニ對スル
  被害ノ場合ノ減免ヲ規定シテ居ラナイノデ、
  一應ハサウ云フコトヲ考ヘテ居リマセウケ
  レドモ、一方ニ於テ戰時災害保護法案等ノ
  保護ノ程度トモ相俟チマシテ、租稅ニ於テ
  モ輕減ヲシナケレバナラヌト云フ必要ガ認メ
  ラレマスナラバ、政府ハ勅令ニ依ツテサウ
  云フコトヲナシ得ル權限ヲ與ヘラレテ居マ
  スカラ、其ノ際ニ於テハ十分考慮シタイ、
  斯ウ云フ積リデ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=28

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• 029・小畑虎之助

  ○小畑委員　其ノ權限ヲ政府ニ與ヘルコト
  ニナツテ居ルカ居ラヌカト云フコトハ、是
  ガ問題ダト思ヒマスガ、是ハ後デ電氣瓦斯
  稅法ニモ一寸似通ツタ所ガアリマスカラ
  又其ノ時ニ伺フコトニ致シマス、ソレカラ
  輕減ノ場合ト免除ノ場合ヲ區別スル標準ニ
  付テ伺ヒタカツタノデアリマスケレドモ、
  今ノ御答辯ニ依リマスト、是ハ伺ツテ見テ
  モ今ノ所デハハツキリシナイノヂヤナイカ
  ト思ヒマスガ、此ノ法案ノ審議中ニ命令案
  ノ極ク要綱デ宜シイカラ、見セテ戴クコト
  ガ出來タラ一ツ出シテ貰ヒタイト思フノデ
  アリマスガ、如何デセウカ、是モ一緒ニ御
  答辯願ヒマス
  ソレカラ此ノ法案ニ規定サレテ居リマス
  コトハ、國稅ノ輕減又ハ免除ト、課稅標準
  ノ計算ニ關スル特例ト、申〓及ビ申請竝ニ
  納期ニ關スル特例ト、徵收猶豫ノ點ヲ主眼
  トスルモノデアリマスガ、此ノ課稅標準ノ
  計算ニ關スル特例ト云フモノハ國稅ノ輕減
  ト云フノト、實質的ニハ同ジ結果ニナルト
  思フノデアリマス、免除ニハナラナイケレ
  ドモ計算ニ關スル特例ハ國稅ノ輕減ト同ジ
  結果ニナル、サウスレバ此ノ第一條ノ所謂
  國稅ノ輕減ト云フノハ)率ヲ輕減スル、ソ
  レカラ第二條ノ課稅標準ノ計算ニ關スル特
  例ハ、所謂課稅標準ヲ輕減スル、斯ウ云フ
  ヤウナ計算方法カラ來タ所ノ區別ダト、大
  體理解シテ宜イノデハナイカト思フノデア
  リマスガ、左樣デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=29

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• 030・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　議會中ニ命令案要綱ヲ示
  シテ欲シイト云フコトデアリマスルガ、命
  令ヲ出シマスルノハ具體的ノ被害狀況ガ出
  マシタ時ニ、其ノ狀況ニ應ジテ適切ト思ハ
  レルヤウナ命令ニ致シタイト思フノデアリマ
  ス、隨テ被害ノアリマシタ地域、其ノ範圍、
  程度等ガ明確デナイト命令案ノ書キヤウガ
  ナイノデアリマス、從來色々ノ災害ノアリ
  マシタ場合ニ、稅ノ輕減又ハ免除ヲシテ居
  リマスルガ、例ヘバ昭和十三年ノ夏ニアリ
  マシタ風水害ノ被害者ニ對シマスル租稅ノ
  減免デアリマスルト、昭和十三年分第三種
  所得金額二千圓以下ナルトキ所得稅額ノ全
  部ヲ免除スル、五千圓以下ナルトキ所得稅
  額ノ十分ノ五ヲ輕減スル、五千圓ヲ超エル
  トキニハ所得稅額ノ十分ノ二ヲ輕減スルト
  云ツタヤウナ規定ヲ致シテ居リマス、所ガ靜
  岡ノ火災被害者ニ對スル租稅ノ減免デアリマ
  スト、是ハ火災ノ時期ノ關係上營業稅ノヤウ
  ナモノハ關係ガナクナツテシマツタカラ、所得
  稅ノ免除ノ一部ヲ規定シテ居ルダケデアリ
  マス、其ノ場合ニ於キマシテモ昭和十四年ノ
  第三種所得金額五千圓以下ナルトキ納額ノ
  全部ノ免除デアリ、五千圓ヲ超エルトキ納額
  ノ十分ノ五ノ輕減デアル、斯ウ云フ風ニモウ
  大部分ノ稅ガ納マツテシマツタ後デスカラ、
  輕減ノ規定ガ割合ニ少イノデアリマス、サ
  ウ云フ風ニ災害ノ發生シタ時期等モ非常ニ
  關係シテ來ル譯デアリマス、隨テソレ等ノ
  コトヲ總テ豫定シテ此ノ際ニ勅令案ヲ作ツ
  テシマツテ置クコトハ實際ト合ハナイ、斯
  ウ云フ風ナ場合モ出テ來ルカト思ヒマスノ
  デ、ヤハリ法律ニ依ツテ勅令デサウ云フコ
  トヲナシ得ルト云フ權限ヲ委任シテ戴イ
  テ、勅令及ビ其ノ以下ノ省令デ實際ニ適
  用スルヤウニ運營シテ參ルノガ、一番時宜
  ニ適スルノデハナイカト思ヒマス
  ソレカラ其ノ次ノ御尋ネノ租稅ノ輕減ト
  云フコトト課稅標準ノ計算ニ關スル特例
  トガ、條文ガ分レテ居ルト云フコトデアリ
  マスガ、是ハ全ク稅ノ技術的ノコトデアリ
  マシテ、實質的ニハ仰シヤル通リ課稅標準
  ノ特例モ輕減ノ一種ナンデアリマス、唯吾
  吾ノ用語トシマシテハ輕減ト云フコトハ
  算出サレタ確定シタ稅額ヲ減ラスコトヲ輕
  減ト云フノデアル、其ノ算出ノモウ一步前
  ニ遡ツテ寛大ナ扱ヒヲスルト申シマスカ、
  或ル特例ヲ認メマスコトヲ、課稅標準ノ計
  算ニ關シテ特例ヲ設ケルト言ツテ居リマス、
  例ヘバドウ云フ場合デアルカト云ヘバ、資
  產ニ付テ損害ガアツタト云フ其ノ損害金額
  ト云フモノハ、營業ノ經費トシテハ從來見
  テ居ラナイ、併シサウ云フ場合ニ於テ、資
  產ニ損害ガアツタト云フ其ノ資產ノ損害
  ヲ、營業ノ經費トシテ引クコトヲ認メル、
  斯ウ云フコトニ致シマスコトハ、課稅標準
  ニ關シテ從來ナラバナイノニ、特ニ特例ヲ
  認メルト云フコトデアリマス、サウ云フコ
  トヲシマスレバ課稅標準金額ガ小サクナツ
  テ、結果ニ於テハ稅ノ輕減ニナルノデアリ
  マスガ、算出シタ稅金ノ輕減ト違ツテ元ヲ
  寛大ニ扱フ、斯ウ云フコトデアリマスノデ、
  其ノ場合ニハ特ニ課稅標準ノ計算ニ關スル
  特例ト云フ言表ハシ方ヲシテ居ルダケノコ
  トデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=30

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• 031・小畑虎之助

  ○小畑委員　言表ハシ方ニ對スル御說明ハ
  能ク分ツテ居ルコトナンデアリマスガ、如
  何ナル場合ニ稅ノ減免ノ方法ヲ採リ、如何
  ナル場合ニ課稅標準ノ計算ニ關スル特例
  ノ方法ヲ用ヒラレルカト云フコトニ付テ、
  何カ一口デ言ヘルヤウナコトガアリマシタ
  ラ、言ツテ戴キタイコトト、ソレカラ第五
  條ニ依リマシテ納稅資格要件ニ關シテハ、
  輕減又ハ免除セラレザルモノト看做スト云
  フコトガアツテ、是ハ第一條ニ所謂輕減又
  ハ免除ノ場合ノミ適用サレテ居ルノデアリ
  マス、第二條ノ課稅標準ノ計算ニ關スル特
  例ニ付テハ、此ノ恩典ガナイト云フコトニ
  ナツテ居ル、之ヲ區別セラレマシタ理由ヲ
  簡單ニ御伺ヒ致シタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=31

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• 032・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　如何ナル輕減免除ヲスル
  ト云フコトヲ簡單ニト云フコトデアリマス
  ガ、大體前ニ申上ゲマシタ通リ、災害ニ因
  ツテ被害ヲ受ケマシタモノノ納付スル所得
  稅デアルトカ、營業稅デアルトカト云フモ
  ノ若シクハ被害物件ニ對シテ課セラレマ
  スル稅金ト申セバ、例ヘバ土地ノ被害ガア
  ツタ場合ノ地租、或ハ營業ニ對シテ被害ノ
  アリマシタ場合ノ營業稅ノヤウナモノデア
  リマスガ、サウ云フ場合ニ於テ、大體ニ於
  テ金額ノ少イモノハ全部免除シテシマフ、
  ソレカラ所得金額ナリ、純益金額ナリガ相
  當多イ場合ニハ、擔稅力モアリマスルカラ、
  全部ノ免除モ如何カト思ハレマスノデ、輕
  減ヲスル、斯ウ云フ積リデアリマス、ソレ
  カラ課稅標準ノ特例ト申シマスルノハ、先
  程モ申上ゲマシタヤウニ、營業者ノ營業用
  ノ土地建物ガ破壞滅失シタ、斯ウ云フ場合
  ニ於キマシテハ、從來ソレハ資產ノ滅失デ
  アツテ營業上ノ損金デハナイ、斯ウ云フ解
  釋ガアツタ、所ガ災害ニ因ツテ營業用ノ土
  地建物ノ滅失毀損致シマシタ場合ニハ、其
  ノ資產ノ損害ヲ營業上ノ經費トシテ營業ノ
  利益カラ引クコトヲ認メル、是ガ課稅標準
  ノ計算ニ關スル特例デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=32

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• 033・小畑虎之助

  ○小畑委員　第五條ノ適用ニ付テノ御答辯
  ガ落チテ居リマシタ、ソレカラモウ一ツ序
  デニ、第六條ノ樺太ニ於テハ本法ノ施行ニ
  關シ勅令デ別段ノ定メヲスルコトガ出來ル
  トアリマスガ、樺太ダケニ付テ勅令ヲ設ケ
  ラレマス理由ヲ御說明願ヘレバ結構デアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=33

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• 034・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　第五條ト第二條ノ關係デ
  アリマスガ、第二條ハ稅金ヲ算出致シマス
  ル以前ニ於キマスル課稅標準ノ計算上ノ特
  例デアリマスルノデ、其ノ結果出テ參リマ
  シタ稅金ニ付テ、第五條ニ依ツテ遡ツテ、
  サウ云フ課稅標準ノ計算ノ畜例ヲ設ケザリ
  セバ、納稅スベカリシ稅金マデ輕減免除セ
  ラレザルモノト看做ス、斯ウ云フ必要ハナ
  イ、斯樣ニ考ヘマシテ、第五條ノ適用ヲ受
  ケシムル必要ナシト考へル次第デアリマス
  ソレカラ樺太ニ付テ特ニ第六條ノ規定ヲ
  置キマシタノハ、商工會議所ノ議員ノ選擧
  ノ資格ニ關シテ必要ガアリマスルノデ、特
  ニ規定ヲ置イタ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=34

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• 035・小畑虎之助

  ○小畑委員　樺太ニ對スル第六條ノ特例ハ
  第五條ノ關係ダケノヤウデアリマスガ、商
  工會議所ノ議員ノ資格要件ニ關シテ特ニ規
  定ヲ置イタノダト云フコトデアリマシタ
  ラ、第五條ノ場合ニ關スルモノダケノヤウ
  ニ思ハレマスガ、サウデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=35

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• 036・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　此ノ點ノ詳細ニ關シマシテ
  ハ、拓務省一政府委員カラ御答ヘ申上ゲル
  コトニ致シタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=36

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• 037・勝正憲

  ○勝委員長　後程拓務省ノ方カラ答辯致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=37

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• 038・小畑虎之助

  ○小畑委員　電氣瓦斯稅法ノ第一條ノ第二
  號三號ニ付テ伺ヒタイノデアリマスガ、
  先ヅ第二號カラ申シマスト、「旅館業、料理
  店業、席貸業其ノ他此等ニ類スル營業ニシ
  テ命令ヲ以テ定ムルモノノ用ニ使用スルモ
  ノ」、斯ウ云フコトニナツテ居ルノデアリマ
  スガ、其ノ命令案ノ要綱ヲ見マスト、何レ
  モ旅館業、料理店業竝ニ席貸業、其ノ他之
  ニ關スル營業ヲ列擧シテアルヤウニ思フノ
  デアリマス、「命令ヲ以テ定ムルモノノ用
  ニ使用スルモノ」ト云フコトハ命令案要綱ニ
  出テ居ラヌノデアリマス、第三號ノ場合モ
  同樣デアリマス、此ノ事ハ恐ラク旅館業、
  料理店業、席貸業其ノ他命令ヲ以テ定ムルモ
  ノガ其ノ營業ノ爲ニ使用スルモノニ對シテ
  ハ電氣瓦斯稅ヲ取ル、斯ウ云フ意味ダラウ
  ト私ハ思フノデアリマスガ、法律ニハ何々、
  之等ニ類スル營業、斯ウ云フヤウニ出テ居
  ツテ、是等ノ營業ニシテ命令ヲ以テ定ムル
  モノノ用ニ使用スルモノニ付テ稅金ヲ取ル
  トナツテ居ツテ、此ノ命令ノ內容ガ此ノ法
  律ノ内容ニピツタリ來ナイト思フノデアリ
  マス、第一條第二號關係ノ命令案要綱ニハ
  「左ニ揭グル營業ノ用ニ使用スル電氣又ハ
  瓦斯ニハ電氣瓦斯稅ヲ課スルコト」飮食店
  業貸座敷業、引手茶屋業、相撲茶屋業、
  是ダケ命令デ示シテアル、此ノ法律案ノ方
  ニハ旅館業、料理店業、貸席業ヲ例示シテ、
  其ノ他之ニ類スル營業ト云フコトニナツテ
  居ル、是ハ是ダケ書イテアレバ法律案ハ此
  ノ點ハ明カニナツテ居ル、ソシテ命令ヲ以
  テ定ムベキ事項トシテハ、是等ノ業者ガ其
  ノ電氣瓦斯ヲ何ニ使用スルカ、何ニ使用シ
  タル電氣瓦斯ニ對シテ稅金ヲ取ルカ、斯ウ
  云フコトヲ命令ヲ以テ定メレバソレデ宜
  シイノデアル、隨テ之ニ書イテアル趣旨カ
  ラ言フト、是等ノ業者ガ其ノ營業ノ用ニ
  供スル電氣瓦斯ニ對シテ、電氣瓦斯稅ヲ徵
  收スル、斯ウ云フ意味ダラウト思ヒマス
  若シソレデアリマスナラバ、命令ヲ以テ定
  ムルモノノ用ニ使用スル云々ト特ニ命令ニ
  委任シナケレバナラナイコトハナイ、單ニ是
  ダケノ勅令ヲ御出シニナルト云フノナラバ、
  コンナモノヲ出サヌデモ宜イ、明カニ法文
  ニ是等ノ業者ガ其ノ營業ノ用ニ供スル所ノ
  電氣瓦斯ニ對シテ電氣瓦斯稅ヲ取ルト云フ
  コトヲ、ハツキリ規定サレレバソレデ宜
  シイノデハナイカ、斯樣ニ思ヒマスガ、如
  何デセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=38

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• 039・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　電氣瓦斯稅法第一條第一一
  號ノ解釋ノ問題デアリマスルガ、是ハ旅館
  業ノ用ニ使用スルモノ、料理店業ノ用ニ使
  用スルモノ、席貸業ノ用ニ使用スルモノ
  是ハ明瞭デアリマス、其ノ他「此等ニ類ス
  ル營業ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」、斯
  ウシマシテ、「類スル營業」ト言ヘバ何處マ
  デガ入ルノカト云フコトガ疑問ガアリマス
  ルカラ、ソレヲ命令デ列擧スルコトニ致シ
  タノデアリマス、其ノ列擧サレマシタ
  モノハ、飮食店業、貸座敷業、引手茶屋業、
  相撲茶屋業デアリマスルカラ、ソレヲ入レ
  テ讀ミマスレバ、飮食店業ノ用ニ使用スル
  モノ、貸座敷業ノ用ニ使用スルモノ、引手
  茶屋業ノ用ニ使用スルモノ、相撲茶屋業ノ
  用ニ使用スルモノト云フコトガ分リマス、ソ
  レナラバナゼ是等ノモノモ序ニ書イテシマ
  ハナカツタカトフ云コトデアリマスルガ、
  從來此ノ種ノ立法ニ於キマシテハ、總テノ
  モノヲ書キマセヌデ、或ル程度代表的ノモ
  ノヲ列擧シマシテ、其ノ他ハ「類スル營業」
  トシテ、命令デ其ノ營業ヲ列擧スルコトニ
  シテ居リマスル例デアリマスルカラ、其ノ
  例ニ倣ツタ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=39

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• 040・小畑虎之助

  ○小畑委員　法制局ノ人ハ來テ居リマセヌ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=40

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• 041・勝正憲

  ○勝委員長　法制局ノ政府委員ハ居リマセ
  ヌガ、必要アラバ請求致シマス、而シテ是
  ハ明日ニ願ヒタイ、今日ハ時間ガ過ギテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=41

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• 042・小畑虎之助

  ○小畑委員　モウ私ノ時間ハ過ギタノデス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=42

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• 043・勝正憲

  ○勝委員長　マダ宜シイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=43

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• 044・小畑虎之助

  ○小畑委員　ドウ云フコトナンデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=44

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• 045・勝正憲

  ○勝委員長　十二時ガ過ギテ居ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=45

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• 046・小畑虎之助

  ○小畑委員　私ノ發言ヲ委員長ハ中止ヲ命
  ゼラレルノデスカ

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• 047・勝正憲

  ○勝委員長　中止シナイ、法制局ノ官吏ヲ
  呼ンデ吳レト言ハレルカラ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=47

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• 048・小畑虎之助

  ○小畑委員　呼ンデ吳レトハ言ハナイ、私
  ハ居ラレマスカト聽イタノデス、速記ニハ
  ツキリ書イテ下サイ、委員長ハ私ノ發言ヲ
  中止スルノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=48

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• 049・勝正憲

  ○勝委員長　中止ハ致シマセヌ

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• 050・小畑虎之助

  ○小畑委員　今ノ御答辯ニ依リマシテ、其
  ノ趣旨ハ明カニナツタノデアリマス、趣旨
  ハ明カニナリマシタガ、其ノ他「此等ニ類ス
  ル營業ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ用ニ
  使用スルモノ」、斯ウ云フコトヲ規定サレテ
  居ル、サウシテ其ノ他「此等ニ類スル營業」ト
  云フモノガ何デアルカト云フコトヲ命令ニ
  依ツテ決メテ行カウ、斯フ云フ風ニ仰シヤ
  ル、趣旨ハ分ル、併シソレナラバ料理店業、
  席貸業其ノ他命令ヲ以テ定ムル營業ニシテ
  トカ、或ハ命令ヲ以テ定ムル營業ノ用ニ供
  ストリ斯フ云フ風ニ規定ヲ定ムベキモノデ
  アリマシテ、「其ノ他此等ニ類スル營業ニシ
  テ命令ヲ以テ定ムルモノノ用ニ使用スルモ
  ノ」ト云フコトハ、只今ノ御趣旨トハ違フ、
  其ノ他之ニ類スルモノノ營業ト云フコトガ
  何デアルカト云フコトヲ命令デ規定サレヨ
  ウト致シマスルナラバ、私ハ其ノ趣旨ガ違
  フト思フノデアリマス
  ソレカラ序ニ伺ツテ置キマスガ、第三號
  ニ付テモ其ノ通リデアリマス、第三號モ命
  令案ニ書イテアリマスル劇場、映畫館、演
  藝場、觀物場其ノ他一定ノ何々ト云フ場
  所ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ使用スル
  モノト書イテアツテ、其ノ他一定ノ催物云
  云ト云フノハ何デアルカト云フコトヲ勅令
  デ以テ御規定ニナラウトシテ居ルヤウニ見
  エルノデアリマスルガ、是ハドウ云フ譯デ
  アリマスカ、ソレナラバ其ノ他一定ノ催物
  云々ト云フノハ何デアルカト云フコトヲ勅
  令デ明カニシヨウ、斯ウ云フコトニナルノ
  ナラバ、第二號ノ場合ト同ジ問題ガ起ツテ
  來ル、ソレカラ第七、第五モ恐ラク同ジコ
  トヂヤナイカト私ハ思フノデアリマス

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• 051・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　仰セノ通リ第三號以下ニ
  付キマシテモ第二號ト同樣ノ趣旨ナノデア
  リマシテ、「モノ」ト書イテアリマスノデ御分
  リニクイノデアリマスルガ、是ハ二號ニ付
  テ申上ゲマスレバ、「モノ」トハ營業ナノデア
  リマス、「此等ニ類スル營業ニシテ命令ヲ以
  テ定ムルモノ」其ノモノガ營業デアルカラ、
  命令ヲ以テ定ムル營業、斯ウ云フ譯デアリ
  やっく。ダカラ命令デ定ムルモノハ營業ヲ指
  定スレバ宜イト云フ譯ナノデアリマス、
  寸速記ヲ止メテ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=51

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• 052・勝正憲

  ○勝委員長　速記ヲ止メテ下サイ
  〔速記中止〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=52

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• 053・勝正憲

  ○勝委員長　速記ヲ始メテ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=53

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• 054・小畑虎之助

  ○小畑委員　今ノ御趣旨ハ能ク分ツテ居ル
  ノデアリマシテ、決シテサウ云フ細カイモ
  ノヲ命令デヤツテハイカヌ、法文ニ致サナ
  ケレバナラヌト言フノヂヤナイ、サウ云フ
  御趣旨デアラウト私ハ初メカラ考ヘテ居ル、
  サウ云フ御趣旨デアリマスルナラバ、其ノ
  他是等ニ關スル營業ト云フモノヲ命令デ決
  メルノダ、斯ウ云フコトヲ法文ニ表ハサレ
  レバソレデ宜カラウト思フノデアリマス、
  サウ云フコトニナツテ居ラヌカラ申上ゲタ
  ノデアリマス
  ソレカラ廣〓稅ノコトデアリマスガ、第
  一種ノ第一號ノ出版物ト云フノハ、出版法
  ニ依ル出版物ト同樣ノ意義ニ解釋シテ宜シ
  イノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=54

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• 055・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　廣〓稅法第一條第一種、
  一號ノ出版物トアリマスノハ出版法ニ依ル
  出版物デアリマセウトモ、或ハ新聞紙法ニ
  依リマスル出版物デアリマシテモ、廣ク入
  ルト云フ意味ニ解シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=55

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• 056・小畑虎之助

  ○小畑委員　ソレデハ玆ニ謂フ所ノ出版物
  ト云フノハ印刷物ト云フノト恐ラク同義デ
  ハナカラウカト思フノデアリマスガ、一丁.
  分リマセヌカラ伺ツテ置キタイノデスガ、
  第一號ノ但書ハ一體ドウ云フ意味デアルカ、
  「新聞紙、雜誌、書籍其ノ他ノ出版物ニ依ル
  廣〓」、之ニ對シテ但書デ以テ第二號、第三
  號其ノ他ノモノヲ除外シテアル、ソレデ第
  二號ハ何ダト云フト「汽車、電車、自動車、汽
  船其ノ他ノ交通運輸機關又ハ交通運輸業ノ
  設備ニ依ル廣〓」、第三號ハ「映畫、入場劵、乘
  車船劵、氣球其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノニ依
  ル廣〓」、之ヲ除外シテアル、第一種第一號ニ
  例示サレテ居リマスル新聞紙、雜誌、書籍ノ
  中ニハ第二號、第三號ハ含マレテ居ラナイ
  コトハ明カデスカラ、是ダケデアルナラバ
  特ニ但書ヲ以テ第二號、第三號ヲ除外スル
  必要ハナイ、唯問題ハ「其ノ他ノ出版物」ト云
  フコトニナルノデアリマスガ、此ノ「其ノ他
  ノ出版物」ト云フ中ニハ第二號、第三號ヲ除
  外シテアルカラ、第二號、第三號ニ揭ゲテ居
  リマスモノヲ含ンデ居ルト云フコトニ結局
  ナルノデス、一體ドウ云フモノデアルカト
  云フコトヲ一、二ノ例ヲ聽カセテ戴キタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=56

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• 057・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　出版物ト申シマスノハ新
  聞紙法、出版法ニ依ル出版物等デアリマス
  コトハ先程申述ベタ通リデアリマスガ、
  ソレ等ノ法律ニ規定シテアリマスル出版
  物ト云フモノモ極メテ範圍ノ廣イモノデ
  アリマシテ、印刷致シマシタモノハ勿論、
  手デ書イタヤウナモノマデ入ルヤウナ解釋
  ニナツテ居リマス、ソコデ第一號ノ「新聞紙、
  雜誌、書籍其ノ他ノ出版物ニ依ル廣〓」、斯
  ウ致シマシテ、出版物ノ、解釋ガ廣イカラ
  其ノ他ノモノニ揭ゲルヤウナ印刷物或ハ手
  デ書イタヤウナモノガ一號ノ中ニ入ツテ來
  ル、ドチラニ屬スルカ不明瞭ニナル虞ガア
  リマスルノデ、其ノ點重複ヲ避ケマスル爲
  メ念ノ爲ニ丁寧ニ除外スルヤウナ書キ方ヲ
  致シテ居ル譯デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=57

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• 058・小畑虎之助

  ○小畑委員　サウシマスト詰リ第二號、第
  三號ニ該當セザル出版物、其ノ出版物ノ意
  義ヲ非常ニ廣イモノトシテ、思想ヲ表示ス
  ル印刷物悉ク法律ニ依ル出版物ダト云フ解
  釋カラ參リマスト、第二號、第三號ニ該當
  セザルモノハ全部第一號ニ當嵌マル、斯ウ
  云フコトデアルト思ヒマス、ソレカラ第二
  種ノ一號ノ方ノ「立看板、掛看板、幟、旗又
  ハ此等ニ類スルモノニ依ル廣〓」、斯ウ云フ
  モノハ恐ラク出版物デナイノデハナイカト
  私ハ思フノデアリマスガ、是モ第一條第一
  種一號ノ但書ニ於キマシテ除外シテアル、是
  モ一應出版物ノ中ヘ入ルト云フヤウナ形ガ
  取ツテアルト思フノデアリマスガ、ソレハ
  ドウ云フコトデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=58

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• 059・松隈秀雄

  ○松隈政府委員　先程申上ゲマシタ通リ、
  出版物ト云フモノノ定義ハ極メテ廣イモノ
  デアリマス、「ポスター」、チラシノヤウ
  ナモノマデ、出版物ニ相成リマスノデ、第
  一條ニ於キマシテハオ互ヒニ他ノモノニ入
  ラナイ、斯ウ云フ關係ヲハツキリサセテ居
  ルノデアリマス、例ヘバ一例ヲ申上ゲマス
  レバ、チラシヲ印刷シテソレヲ新聞ニ折込
  ンデ配ツタ、斯ウ云フヤウナ場合ニ於キマ
  シテハ新聞ニ依ル廣〓ノヤウニモ見エマス
  ケレドモ、サウ云フ場合ニ於テハチラシハ除
  カレマシテ、第一種ノ一號デハナクシテ、
  チラシデアレバ第二種ノ第三號ニ依ルノデ
  アル、斯ウ云フコトヲ明カニシテ居ルヤウ
  ナ次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=59

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• 060・勝正憲

  ○勝委員長　小畑君、君ノ發言ヲ斷ハル譯
  デハアリマセヌガ、若シマダアルナラバ明
  日ハ一日ヤリマスカラ限リノ宜イ所デ切ツ
  テ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=60

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• 061・小畑虎之助

  ○小畑委員　デハ今日ハ是デ止メテ置キマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=61

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• 062・勝正憲

  ○勝委員長　ソレデハ本日ハ是ニテ散會致
  シマス、明日ハ午前十時カラ開會致シマス
  午後零時二十分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007911601X01019420203&spkNum=62

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