1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十七年二月六日（金曜日）午前十時三十六分開議
出席委員左の如し
委員長 由谷義治君
理事 小笠原八十美君 理事 深澤吉平君
理事 石坂豐一君
岡本實太郎君 金澤正雄君
庄司一郎君 中野治介君
羽田武嗣郎君 松田正一君
三木武夫君 宮本雄一郎君
吉植庄亮君 北れい吉君
川俣清音君 瀧澤七郎君
西尾末廣君
出席政府委員左の如し
法制局長官 森山鋭一君
大藏次官 谷口恒二君
大藏省主税局長 松隈秀雄君
大藏省銀行局長 山際正道君
大藏省會社部長 田中豐君
大藏書記官 中村建城君
大藏書記官 櫛田光男君
大藏書記官 池田勇人君
國民貯蓄奬勵局次長 氏家武君
燃料局長官 楠瀬常猪君
本日の會議に上りたる議案左の如し
日本勸業銀行法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
農工銀行法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
北海道拓殖銀行法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
國民貯蓄組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
税務代理士法案（政府提出、貴族院送付）
社債等登録法案（政府提出、貴族院送付）
會計法戰時特例案（政府提出、貴族院送付）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=0
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001・由谷義治
○由谷委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、尙
ホ御打合セノ意味デ申上ゲマスガ、委員諸
君カラ大藏大臣ニ質問ノ御希望モアルヤウ
デスガ、是ハ本日散會マデニ交涉致シマシ
テ、大藏大臣ノ出席シ得ル日ト時間ヲ決メ
マシテ、サウシテ其ノ時ニ集中的ニ各委員
諸君カラ質問シテ貰ハウト云フ建前デ行キ
タイト思ヒマスカラ、御承知置キ願ツテ置
キマス、是ヨリ質疑ニ入リマス-川俣〓
音君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=1
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002・川俣清音
○川俣委員 大體要點ダケヲ御尋ネ致シタ
イト思ヒマス、先ヅ第一ニ興業銀行、勸業
銀行、農工銀行、此ノ三銀行ノ金融進出ノ
部面ヲ如何ニ區別サレ、又其ノ分野ヲ如何
ニ活動セシムルカト云フコトガ將來問題デ
アラウト思ヒマスノデ、其ノ指導サレル心
組ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=2
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003・櫛田光男
○櫛田政府委員 只今ノ御尋ネハ興業銀行、
勸業銀行、農工銀行等ニ付テ、將來ノ事業
分野等ニ付キマシテ、ドウ云フ風ニ指導シ
テ行クカト云フ御尋ネデアルト存ジマス、
是ハ御承知ノ通リ興業銀行ハ事業金融ノ中
心機關トシテ長イ歷史ヲ持ツテ居リマス、
又勸業銀行等モ亦御承知ノ通リ、主トシテ
不動產抵當銀行ト致シマシテ、長イ歷史ヲ
持ツテ、今マデ發展ヲシテ來テ居ルノデア
リマス、農工銀行ニ付キマシテモ同樣、勸
業銀行ト同ジヤウナ性格ヲ持チマシテ、地
方的ナ仕事ニ當ツテ居ル譯デアリマスガ、
是ハ御承知ノ通リ勸農合併ノ方法ガ從來カ
ラ行ハレテ居リマシテ、今數ガ非常ニ少ク
ナツテ居ル譯デアリマス、今後ト致シマシ
テハ事業金融ノ中心トシテハ興業銀行、
不動產金融ハ勸業銀行ガ中心ニナツテ行キ
マスコトハ變リガナイ所デアリマス、唯今
度提案致シマシタ勸業銀行、農工銀行法等
ノ各種ノ制限ノ緩和ニ關シマシテ申上ゲマ
スナラバ、勸業銀行、農工銀行等ハ不動產
金融機關ト致シマシテ多年ノ歷史ヲ持チ、
又其ノ信用ノ基礎ハ非常ニ固マツテ居リマ
ス、又其ノ資金ノ供給能力ト申シマスカ、
非常ニ力ガ附イテ來テ居ルノデアリマスガ、
他面時局金融ト申シマスカ、軍需工業、生
產擴充工業ニ對スル資金ノ需要、又此ノ資
金ノ疏通ヲ圓滑ニ致シマスコトガ、當面緊
急ノ問題デアリマスノデ、勸業銀行、農工
銀行等ヲシテ、其ノ餘力ヲ以テ時局金融ニ
寄與セシメル、隨ヒマシテ時局金融部面ニ
於キマシテ今後興業銀行、勸業銀行等ガ多
少カチ合フト云フ點ガ觀念的ニハ存スルノ
デアリマスケレドモ、元來勸業銀行等ヲシ
テ、其ノ餘力ヲ擧ゲテ時局金融ノ方ニ乘出
シマス所以ノモノハ、大體ニ於キマシテ勸
業銀行ハ、全國ニ跨ガリマシテ百ニ近イ程
ノ店舗ヲ持ツテ居ル、又地方ノ事情等ニ通
ジテ居リマスノデ、隨ヒマシテ興業銀行ニ
比較的小口ノモノ、又地方的ナモノ、斯ウ
云フ時局金融ノ方ニ力ヲ注ガセタイ、斯ウ
云フ關係ニナリマス、又兩銀行ノ當局者モ
常々連絡ヲ持ツテヤツテ居リマス譯デアリ
マシテ、其ノ間何等兩者ノ間ニ分野ノ混淆
等カラ生ズル競爭等ヲ起スコトナクシテ、
此ノ時局ノ要求スル金融ニ邁進スルコトガ
出來ルモノト存ズルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=3
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004・川俣清音
○川俣委員 大藏省ノ各委員會ノ答辯等ヲ
推察致シマスト、時局ノ必要性ニ基イテ生
產金融ト云ヒマスカ、事業金融ト云フ方面
ニノミ力ヲ入レザルヲ得ナイト云フヤウナ
方向デアルト云フ大體ノ意向ノヤウニ察ス
ルノデアリマス、サウ云フ必要性ガ現在生
ジテ居ル、斯ウ云フ建前ヲ執ツテ居ラレル
ヤウニ見受ケルノデアリマス、當然ノコト
ダト考ヘマスガ、サウ云フ方面ニ立ツテ參
リマスルト、此ノ提案理由ニモアリマス通
リ、餘力ヲ以テ斯カル方面ニ應ジヨウト云
フノデアリマセウカ、或ハ度々ノ聲明ニア
ル通リ生產金融、事業金融ノ方面ガ目下ノ
時局ガ要求シテ居ル方面デアルカラシテ其
ノ方ニ力ヲ入レルト云フ意味デアルカ、其
ノ點モ明瞭ニシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=4
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005・櫛田光男
○櫛田政府委員 餘力ヲ以テト云フコトヲ
中上ゲタノデアリマスガ、元來先程申上ゲ
マシタ通リ、勸業銀行ノ元々ノ行キ方トシ
マシテ不動產金融部面ハ、現在ニ於キマシ
テモ決シテ閑却スルコトハ出來ナイ部面ダ
ト存ズルノデアリマス、特ニ農村方面ニ於
キマシテハ最近相當金繰リノ狀況ガ宜イヤ
ウニ聞イテ居リマスケレドモ、現在ノ東亞
~
全體ノ問題トシマシテ、特ニ戰爭ニ直面シ
マシテ、〓糧增產デアリマストカ、漁業方
面デアリマストカ云フ方面ニ對シマシテ、
力ヲ注ガネバナラヌト云フコトハ申上ゲル
マデモナイト存ジマス、又都市ノ方面ニ於
キマシテモ住宅問題デアリマストカ、或ハ
防空關係ノ問題デアリマストカ、サウ云フ
方面ニ對シマスル金融ト申シマスノハ、非
常ニ大キナ分野ヲ占メテ居ルト巾上ゲテ宜
イト思フノデアリマス、隨ヒマシテ斯ウ云
フ方面ニ專門的ナル知識ヲ持ツテ居リマス
勸業銀行、農工銀行ガ之ニ專念スルト云フ
コトハ當然ノコトデアルト思ヒマス、隨ヒ
マシテ時局金融ト申シマシテモ、生產金融
ノ方ニハ勿論勸業銀行ヲシテ其ノ餘力ト申
シマスカ、其ノ本來ノ農村貸付ナリ、都市
ニ於キマスル各種ノ不動產關係ノ金融ヲ賄
ヒマシテモ尙ホ相當ノ餘力ヲ現在持ツテ居
ル譯デアリマスルカラシテ、之ヲ擧ゲテ現
在ノ時局ノ要求スル生產金融ノ方ニ活用シ
タイ、詰リ金融機關ガ澤山ゴザイマスルガ、
其ノ全力ヲ擧ゲマシテ重點的ニ必要ナ所ニ
流シ込ミタイト云フ譯デ斯ウ云フ手續ヲ致
シタ譯デアリマス、御諒承ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=5
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006・川俣清音
○川俣委員 各委員會ノ答辯ヲ見ルト、大
臣及ビ大藏省各政府委員ノ答辯、又政府ノ
聲明ヲ大體大雜把ニ摑ンデ見マスト、特
大藏大臣ハサウダト思ヒマスガ、生產性
ヲ持タヌ方面ヘノ金融ハ「インフレ」ヲ起シ
易イカラ、生產方面へ極力流スノダ、斯ウ
云フ風ニ私共ハ受取ツテ居ルノデアリマス
ガ、此ノ點ニ付テハ私共ノ考ヘガ誤ツテ居
ルカドウカ、其ノ點ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=6
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007・谷口恒二
○谷口政府委員 此ノ資金ノ配分ノ問題ニ
付キマシテハ、大藏大臣ニ於キマシテ度々
其ノ方面ノコトヲ御答ヘ致シテ居ルノデア
リマスガ、事變開始以來其ノ方面ノ措置ト
致シマシテハ資金調整ノ措置ヲ講ジマシテ、
資金ガ不要不急ノ方面ニ流レ出ルコトヲ防
ギ止メル、斯ウ云フ考ヘデ只今マデ參ツテ
居ルノデアリマス、今日ニ於テモ其ノ考ヘ
ハ變ラナイノデアリマシテ、資金ハ生產力
擴充、其ノ他時局的ニ見マシテ緊急已ムヲ
得ザル場面ニ出テ行クヤウニ致シマシテ、
今日ノ場合不急不要ノ方面ニ流レ出ルコト
ノナイヤウニ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=7
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008・川俣清音
○川俣委員 ソコデ現在勸業銀行ノ金融方
面ヲ見マシテ、農村ノ問題-農村ノ問題
全部生產性ヲ持タヌトハ私共ハ考ヘテ居リ
マセヌ、時局ニ卽應シタ、ヤハリ生產場面
ヲ相當持ツテ居ルト考ヘテ居リマス、併シ
ナガラ玆ニ問題ニナルノハ、農村ニ金融致
シテ居ル勸業銀行ノ全部ガ生產性ヲ持ツタ
方面へノ金融デアルト云フ解釋ニハ、私共
ハ承服出來ナイノデアリマス、今日農村ニ
於ケル公債消化ノ上カラ察セラレルノデア
リマスケレドモ、土地ノ賣買或ハ土地ニ對
スル金融等ハ、必ズシモ生產性ヲ持ツテ居
ル投資トハ私ハ見ニクイノデアリマス、殊
ニ今日ノヤウニ公債利潤利廻ト、農村ノ土
地ニ對スル投資トノ間ニ於テ非常ナ開キヲ
持ツテ居ル今日ニ於キマシテ、公債消化
ガ-農村ニ於テ生產者以外ノ所謂地主カ
ラ見タ公債消化ガ非常ニ惡イト云フノハ、
ヤハリ土地ニ對スル利潤ノ利廻ガ非常ニ宜
シイカラダト考ヘテ居ルノデアリマス、斯
カル方面ニ投資サレルコトニ付テノ考ヘ方
ハヤハリ農業全體トシテノ生產性ヲ高メ
九、斯ウ云フ意味ニ於テ投資サレテ居ルノ
デアルカドウカ、此ノ點ヲ御尋ネ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=8
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009・櫛田光男
○櫛田政府委員 今ノ御質問ハ大變難カシ
イ問題ダト思フノデアリマスルガ、簡單ニ
申上ゲマスナラバ、勸業銀行ハ金融ヲ致シ
テ居ル譯デアリマスケレドモ、別ニ土地ニ
對シテ投資ヲ致シテ居ル譯デハゴザイマセ
ヌ、簡單ニ申シマスレバ、結局今最後ニ仰
シヤイマシタヤウナ農業全體ノ生產性ト申
シマスカ、農業其ノモノノ全體トシテ引括
メテ見タ日本ノ經濟ナリ、產業ナリニ於キ
マスル重要性ニ鑑ミマシテ、勸銀ガ今貸付
ケテ居リマスモノハ全體的ニ見テ重要ナモ
ノデアル又勸銀ガ從來通リ、又場合ニ依
リマシテハヨリ以上ニ此ノ方面ニモ力ヲ注
ガナケレバナラナイノデハナイカト云フコ
トハ考ヘテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=9
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010・川俣清音
○川俣委員 私ノ質問ノ要點ヲ能ク理解願
ヘナカツタト思フノデアリマスガ、私ハ金
融ト投資ト二ツ使ツタノハ、勸業銀行ガ、是
ハ合法的カドウカ分リマセヌケレドモ、地方
ノ地主ノ土地ヲ持寄ツタ土地會社、質權ヲ設
定シテ居ルヤウナ土地會社ニ對シテ金融シ
テ居ルノハ投資ト云フ風ニ考ヘテ投資ト
申上ゲタ、一般ノ個人ニ對スル金融ハ金融、
土地會社ニ對スルヤウナ貸付ヲ私ハ投資デ
アルト云フ風ニ考ヘテ、サウ云フ觀點デ
御尋ネシタ、其ノ點ハ宜シイト致シマシテ、
現在ノ日本ノ農村ノ生產ト云フモノハ或ル
限度ニ達シテ居ル、勿論マダ改良ノ餘地
ハアリマス、併シナガラ大體ニ於テ精密農
業ト致シマシテハ日本ノ農業ハ或ル限度ニ
達シテ居ル、ソコデ此ノ達シテ居ル限度ヲ
高メルカ、高メナイカト云フコトハ、是 八
農業技術ニモ依リマスケレドモ、氣候ニ支
配サレル點ガ大キイ、勿論其ノ氣候ヲ克服
スル點ニ於テ技術ノ必要デアルコトハ是ハ
當然デアリマス、併シサウ云フ技術ノ場面
ハ持ツテ居リマスケレドモ、銀行ノ金融ニ
依ツテ生產場面ヲ高メルト云フヤウナ狀態
ハ何處ニモ見受ケラレナイト思ヒマス、唯
自作農ヲ創設スル、或ハ肥料資金、サウ云
フ方面ノ資金ハ是ハ別デアリマスケレドモ、
單ナル土地ニ對スル金融ハ必ズシモ生產性
ヲ高メルト云フコトハ私共考ヘラレナイノ
デアリマスケレドモ、其ノ點ニ付テノ御意
見ヲ御尋ネ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=10
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011・櫛田光男
○櫛田政府委員 土地ノ生產性ヲ高メルト
申シマスカ、サウ云フ問題ニ付キマシテハ
非常ニ難カシイ問題デアルト思ヒマスノ
デ、例ヲ擧ゲテ申上ゲテ見タイト思フノデ
アリマス、例ヘバ自作農地ノ買入デアルト
カ、耕地ノ開發、改良デアルトカ、重要農
產、水產、林產物ノ增產ト云フヤウナモノ
ニ付キマシテ、例ヘバ組合、或ハ組合員連
帶ニ貸付ケルト云フヤウナヤリ方、ソレモ
先程御配リシテアリマス資料デ御覽ニナル
ト分ルノデアリマスガ、勸銀ノ貸付金利子
認可最高步合ト云フノガゴザイマス、例へ
バ各種組合ニ對シマシテハ十七年ノ上期ニ
於テハ五分、連帶貸付ニ付テハ五分三厘、
斯ウ云ツタ最高步合ヲ認メテ居ルノデアリ
マスガ、特ニ勸業銀行ト致シマシテハ、更
ニ勉强致シマシテ特別ノ低利ノ金ヲ貸付ケ
テ居リマス、例ヘバ四分八厘デアリマスト
カ、五分三厘ヲ五分デ貸スト云ツタヤウナ
工合ニ、例ヘバ今申上ゲマシタヤウナ自作
農地ノ買入デアリマストカ、耕地ノ開發改
良、重要農產物、水產物、林產物ノ增產、
斯ウ云フモノニ付テハ勸銀ハ長期ノ低利ノ
金ヲ貸付ケル、普通ノ金利カラ比べマスト
安イ金ヲ貸付ケル、斯ウ云フコトハ金融部
面カラシテヤハリ非常ニ援ケテ居ル點ガア
ルノデハナイカト存ジテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=11
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012・川俣清音
○川俣委員 今述ベラレタ點ハ私共了承致
シマス、ソレハ農村ノ確カニ生產性ヲ高メ
ル部面デアルト存ジマス、併シナガラ其ノ
他ノ部分ニ金融サレテ居ナイカドウカト云
フ點ガ私ノ御尋ネシタ所以ナノデアリマス、
單ニ地主ニ貸付ケルト云フコト、或ハ土地
ニ單ニ貸付ケルト云フコトガ生產部面ヲ受
持ツカドウカト云フ點ガ問題ニナツテ居ル
ノデ、其ノ點ニ對スル御尋ネヲシテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=12
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013・櫛田光男
○櫛田政府委員 只今例ヲ擧ゲテ御答ヘ申
上ゲタノデアリマスガ、其ノ他ノ方面ニ對
スル貸付ト申シマスト、ドウ云フ方面ニ貸
サレテ居ルカト云フ一々ノコトニ付キマシ
テハ一寸資料ガ手許ニゴザイマセヌノデ、
御答ヘ致シ兼ネルノデアリマスケレドモ、
結局何ト申シマスカ、單ニ地主ガ土地ヲ擔
保ニシテ金ヲ借リタ、ソレハ一體ドンナ結
果ヲ生ムカト云フコトヲ唯理窟ノ上デ突詰
メテ參リマスト、其ノ金ヲ例ヘバ地主ガ何
ニ使フカト云フコトニ依ツテ決マルノデハ
ナイカト思フノデアリマス、サウ云フ點ニ
付キマシテハ銀行ト致シマシテハ恐ラク
個々場合々々ニ付テ、大體ニ於テ從來カラ
ノ取引先、長年ノ馴染ガ多イノデアリマス
カラ此ノ人ハドウ云フ仕事ヲシテ居リ、ド
ウ云フ工合ニナツテ居ルカト云フコトヲ能
ク存ジテ居ル譯デアリマスカラ、サウ云フ
點ヲ勘案シテ銀行デハヤツテ居ルノダラウ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=13
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014・川俣清音
○川俣委員 ソレデハ私ハ問題ニナラヌト
思フ、谷口次官ハ不要不急ノ方面ニハ絕對
ニ流サヌト斯ウ云フ風ニ言ツテ居ルガ、實
際ハ何處へ流シテ居ルカ分ラヌト云フヤウ
ナコトデアリマスナラバ、ソレハ先程ノ谷
口次官ノ御聲明ト相反スルコトトナル、少
クトモサウ云フ方面ニハ流サヌノダト云フ
建前デアルナラバ別デスガ、何處ヘ行ツテ
居ルカ分ラヌ、ケレドモソレハ銀行ガ信用
シテ適當ナル場面ニ流スデアラウト云フコ
トデアレバ、先程ノ聲明ト相反スルコトニ
ナルト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=14
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015・櫛田光男
○織田政府委員 一寸言葉ノ使ヒ方ガ不十
分デ相濟ミマセヌデシタガ、只今申上ゲタ
ノハ不動產其ノモノヲ抵當トシテ貸シマシ
タモノヲ、借リタ人ガ何ニ使フカト云フコ
トニ依ツテ色々決マルデアラウト云フコト
ヲ中上ゲタノデアリマス、銀行トシテ資金
調整法デアルトカ、銀行等資金運用令トカ
ノ法令ニ依リマシテ、ドウ云フ方面ニ使ハ
レルノデアルカト云フコトヲ調ベナケレバナ
ラスノデアリマス、ソコデ先程申上ゲマシ
タ通リ銀行ト致シマシテハ從來カラ取引ヲ
繼續シテ居ル得意先デアルカラ、何ニ使フ
モノデアルカト云フコトハ分ツテ居ル譯デ
アリマス、又サウ云フ點ヲ銀行デハ勘案シ
マシテ貸シテ居リマスカラ、次官ガ言ハレ
ルノハ不要不急ノ方ニ流レテ行クト云フコ
トハ大體テイト、斯ウ申シテ居ルノデハナ
イカト申上ゲタ積リデアリマス、單ニ不動
產ヲ抵當ト致シマシテモ其ノ用途等ニ付テ
ハ銀行ガ具體的ニ能ク分ツテ居ルト斯ウ云
フ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=15
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016・川俣清音
○川俣委員 私ノ申上ゲルノハ、大體農村
地主ノ勸銀カラ借入レマシタ資金ノ行方ト
云フモノガ、ドノ方面ニ流レテ行ツテ居ル
カト云フコトハ、大體御想像ガツク方面デ
アラウト思ヒマス、大體是ハ農村ノ場面カ
ラ見マスレバ色々ナ制肘ヲ受ケテ居リマス
ケレドモ、特別ノ企業ヲ目論ム資金ト云フ
コトヨリモ、資金ノ範圍內ニ於テハ主ニ生
活費ダラウト思ヒマス、中小地主、大地主
ニ於キマシテモ金融ヲ受ケタ場面ノモノハ
殆ド生活費、〓育費デアラウト、新ウ考へ
テ宜シイノデハナイカト想像致シテ居ルノ
デアリマス、隨テ其ノ場面ニ付テモ生產性
ヲ十分考ヘテ見マセヌケレバ、金額ハ一人
一人トシマシテハ小サクアリマシテモ、其
ノ村、其ノ郡、其ノ縣ト云フコトニナリマ
スレバ、相當ノ資金ニナルト思ヒマス、
個人ガ小サイカラ全體ガ小サイト云フ風ニ
判斷スルコトハ出來ナイ、殊ニ農村ノ場合
ニ於キマシテハ一人々々ノ金融ガ小額デア
リマシテモ、村全體トシマシテハ相當大キ
ナ金融場面デアリマス、其ノ金融ガ生產場
面デアルカ、消費場面デアルカト云フコト
ハ村全體トシテ見レバ相當大キイ場面ニ
ナツテ來ル、全體カラ判斷シテサウ申上ゲ
テ居ルノデアリマスガ、其ノ點ニ付テ御所
見ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=16
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017・谷口恒二
○谷口政府委員 先程カラノ御話デアリマ
スガ、農村ニ對スル貸出ト云フモノガ、必
ズシモ全部ガ時局的ニ見テ至急必要ナルモ
ノトモ考ヘラレナイノデアリマシテ、ソレ
ハ御話ノ通リデアリマス、其ノ方面ニ對ス
ル貸出ニ付テ政府ハドウ云フ考ヘ方ヲシテ
居ルカト云フノガ御質問ノ御要點デアルト
伺フノデアリマス、御話ノ通リニ農村ニ貸
出サレテ居ルモノ必ズシモ時局ニ急ナルモ
ノデハナイト思フノデアリマシテ、肥料ノ
購入資金デアリマストカ、或ハ農地ノ改良
資金デアリマストカ、サウ云フ方面ノ生產
增進「ニ直接關係ノアルモノモ勿論アリマス
ルケレドモ、ソレト同時ニ極メテ不急ナル場
面モ御指摘ノ通リニアルト思フノデアリマ
ス、此ノ場面ニ對シマシテハ政府ノ方針ト
致シマシテハ、資金ガサウ云フ不要不急ノ
方面ニ流レテ出ナイヤウニ指導シタイト云
フコトヲ豫テ固ク考ヘテ居ルノデアリマシ
テ、極ク少額ノ不要不急方面ニ出ルモノモ、
積リマスレバ大キナ金額ニナルト思フノデ
アリマシテ、此ノ方面ニ對スル指導ハ今後
モ十分ニヤツテ行キマシテ、ヤハリ大體ノ
方針通リ、農村ノ方面ニ於キマシテモ不要不
急ノ方面ニ資金ノ行カナイヤウニ心掛ケテ
行キタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=17
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018・川俣清音
○川俣委員 大體了承致シマシタ、斯クア
ラネバナラヌト私共モ思フノデアリマス、
ソコデモウ一ツハ、先程モ申上ゲマシタヤ
ウニ、私ハ所謂農村カラ見タ公債消化ガ必
ズシモ良好ナ方向ヲ取ツテ居ルトハ實ハ考
ヘテ居ラナイノデアリマシテ、寧ロ此ノ點
ハ非常ニ私共ハ遺憾ニ思ツテ居ルノデアリ
マス、是ハ原因ガ何處ニアルカト云フコト
ニ付テ相當御〓究ニ相成ツテ居ルト思フノ
デアリマスガ、私共ノ大體ノ見當カラ致シ
マシテ、ヤハリ土地ニ對スル利廻ガ宜シイ
ノダト云フ點ガ非常ニ大キナ影響デハナイ
カト私共ハ考ヘテ居ル、又地方銀行或ハ勸
業銀行ノ其ノ當面ノ關係者カラ見マシテ
モ、土地ニ對スル利潤ガ非常ニ宜シイコト
ガ公債消化ノ大キナ障碍ニナツテ居ルト云
フ風ニ見ラレテ居ルヤウデアリマスガ、此
ノ點ニ關シテハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=18
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019・谷口恒二
○谷口政府委員 農村ニ於キマスル所ノ公
債ノ消化ノ狀況等ニ付キマシテハ、必ズシ
モ滿足致スベキ狀況デハナイノデアリマス、
併シナガラ最近ニ於キマシテハ、農村ニ流
出致シマスル政府系統ノ資金ガ相當多額ニ
ナツテ居ルノデアリマシテ、是等ハ組合ノ
手ヲ經テ吸收サレテ居リマシテ、組合系統
ト致シマシテモ、政府ノ方針ニ應ジマシテ
成ベク國債ノ消化ニ貢獻スルト云フ方針ハ
採ツテ居ルノデアリマス、只今御指摘ノ點
ハ農村ニ於ケル國債ノ消化ノ現況ト云フ
モノハ土地ヲ購入スル方ノ慾望、サウ云フ
方面ト釣合ヲ取リマシテ、其ノ方ニ面白味
ガ多イ爲ニ國債消化ガ鈍ルノデハナイカ、
斯ウ云フ風ナ點デアルト拜承致シタノデア
リマスルガ、是等ノ點ニ付キマシテハ、政
府トシテハ貯蓄奬勵其ノ他ノ方面カラ十分
勸奬致シマシテ、餘剩ノ資金ノ出來マシタ
場合ニハ成ベク國債ノ消化ニ資金ガ向キマ
スルヤウニ十分指導シテ行キタイト考ヘテ
居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=19
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020・川俣清音
○川俣委員 私ハモウ少シ端的ニ一ツノ例
ヲ以テ申上ゲタイト思フノデアリマス、普
通デアレバ土地ガ賣買サレテ、此ノ金ト云
フモノガ何處カニ預金ナリ、或ハ企業ナリ
ニ實ハ〓ルノデアリマスケレドモ、御承知
ノヤウニ農村デ土地ヲ賣ツタ資金ト云フモ
ノハ、預金ニモ幾分ハナルデアリマセウケ
レドモ、大體預金ト言ヒマシテモソレハ主
ニ生活資金トナルノデアリマス、卽チ預金
デハアリマスケレドモ、ソレハ消費場面ノ
補完トシテノ預金デアリマシテ、其ノ預金
ト云フモノハ必ズシモ持續性ヲ持ツタ預金
デハナイノデアリマス、隨テ土地ガ賣買ニ
依ツテ非常ニ動クト云フコトガアツテモ、
必ズシモ其ノ資金ガ國債消化ニ役立ツトハ
私共ハ農村ノ場合ニ於テハ考ヘラレナイノ
デアリマシテ)サウ云フ點ニ付テ特ニ相當
ナ配慮ガ必要デアルト云フ風ニ私ハ考ヘテ
居ルノデアリマス、モウ一ツノ點ハ大體今
日農村ノ行キ方ト致シマシテ、農林省ハ色
色ト〓糧增產ニ力ヲ入レテ居ラレマスケレ
ドモ、其ノ〓糧增產ハ單ニ個人ノ爲ノ食糧
增產ト云フコトヨリモ、農村全體トシテノ
食糧增產ト云フ工合ニナツテ參リマシテ、
生產者ト非生產者トヲ括メテ農村ト稱シ、
其ノ全體ニ對スル金融ト云フヤウニ農林省
ガ之ヲ取扱ツテ居ルヤウデアリマス、モツ
ト露骨ニ申シマスレバ、今度ノ所謂米ノ生
產費補助ニ致シマシテモ、大藏省ノ最初ノ
考ヘ方ハ、是ハ盥〓シハイカヌ、斯ウ云フ
立場ヲ取ツテ居ラレタヤウデアリマスケレ
ドモ、今日行ハレマシタ現在支給サレテ居
ル狀態ハ是ハ盥廻シヲ許シテ居ルヤウナ
狀態デアル、例ヘバ具體的ニ申シマスト、
此處ニ甲ト云フ小作人ガ地主ニ納メル場
合-最初ハ小作人ガ消費スベキ一定量ヲ
保管シテ其ノ保管以上ノ、所謂自家消費以外
ノモノニ對シテノミ生產補助ヲ出スヤウニ
計畫サレタト思フノデアリマスガ、併シ今
日デハ小作人ハ全部小作料ヲ納メテ、サウ
シテ食ヘナイ部分ハ買ツテ來テモ宜イ、斯
ウ云フ建前ヲ執ツテ居ラレルヤウデアリマ
ス、是ハ何處デサウ云フ風ニナツタノカ、
確カニ私共ノ聞ク範圍ニ於キマシテハ、大
藏省ハ小作人ガ自家消費ノ米ヲ保有シテ、
其ノ保有シタ以外ノモノニ生產補助ヲ出ス
ノダ、斯ウ云フ風ニ聞イテ居ツタノデアリ
マスガ、何時サウ云フ風ニ考ヘヲ變ヘラレ
タノカ、其ノ點ニ付テ御尋ネシタイノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=20
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021・谷口恒二
○谷口政府委員 最近ニ於キマシテ農村方
面ニ相當資金ガ潤澤ニナツテ居ルト云フ狀
況ニ付キマシテハ、或ハ土地ノ賣買等ガ盛
ンニ行ハレルト云フヤウナ點モアルカト思
フノデアリマス、又先般ノ戰爭以來ノ狀況
ト致シマシテ、ヤハリ農村方面ニ於テ相當投
機的氣分ガ出テ居ルト云フヤウナコトモ耳
ニシタコトモアルノデアリマス、ソレ等國
民貯蓄ノ方面カラ見マシテ若干面白カラザ
ル現象デアルト云フ方面ガアルノハ說明ノ
通リデアルノデアリマシテ、是ハ今後ニ於
キマシテハ、貯蓄ノ國民的運動ニ依リマシ
テ其ノ幣害ヲ是正致シマスルト同時ニ、政
府ト致シマシテモソレ等ノ投機的ナ方面ニ
付キマシテハ、課稅ノ方面ニ於テモ御承知
ノ通リニ按配工夫ヲ凝ラスヤウナコトニモ
相成ツテ居ルノデアリマシテ、尙ホ又今囘
ハ臨時資金調整法中改正法律案ニ於キマシ
テ、土地ノ賣買等ガ行ハレマシタ場合ニ於
キマシテハ、其ノ後ヲ跟イテ廻リマシテ、
サウシテ其ノ賣リマシタ金額ヲ政府ノ指定
スルヤウナ方法ニ依ツテ使ハセル、公債ノ
購入デアルトカ、又ハ長期ノ貯蓄デアルト
カ、サウ云フ方ニ指導スルト云フヤウナコ
トモ-臨時資金調整法中改正法律案ニ依
リマシテサウ云フ仕組モ今囘致スコトニ相
成ツタノデアリマス、斯樣ナコトニ依リマ
シテ、御指摘ニナリマシタヤウナ問題ニ付
キマシテモ弊害ガ少クナリマシテ、公債ノ
消化方面ニモ貢獻スル所ガ今後ハ相當多ク
ナラウカト考ヘルノデアリマス
ソレカラ生產奬勵金デアルトカ云フ方面
ノ實際ノ狀況デアリマスガ、是ハ只今御話
ニナリマシタヤウニ、小作者ニ於キマシテ
ハ自分ノ手許ニ保有米ヲ留メテ置キマシテ、
供出シタモノニ付キマシテ、奬勵金ヲ取ル
ト云フヤウナ仕組ニナツテ居ツタノデアリ
マス、是ハ別ニ當初決定致シマシタ方法ヲ
後ニ變替ヲ致シタト云フコトハ別ニナイノ
デアリマスガ、斯ウ云フ補助金デアルトカ、
奬勵金デアルトカ云フコトノ支出ノ致シ方
ト致シマシテハ實際ニ於テ行ハレテ居ル
方法ガ、當初其ノ計畫ヲ定メマシタ時ニ考
ヘテ居ル方法ト必ズシモ同ジヤウニ行カナ
イト云フノガ從來ノ例デアリマシテ、吾々
ト致シマシテハ當初計畫致シマシタ通リノ
資金ノ出シ方ヲ希望ハ致シテ居ルノデアリマ
スガ、場合ニ依リマストソレガ極メテ實際
ニ適シナイヤウナ狀況デアリマシテ、計畫
ノ通リノ徑路ヲ取ツテ行クコトガ、必ズシ
モ期待出來ナイヤウナ場合モアルト思フノ
デアリマス、要シマスルニ生產奬勵金等ノ
給付ノ致シ方ト致シマシテハ、別ニ其ノ後
ニナリマシテ變替ヲ致シタト云フコトハナ
イノデアリマスガ、實行ノ方法ニ付キマシ
テハ、色々變ツタ方法ガ出テ居ルカモ知レ
ナイト思フノデアリマス、ソレニ付キマシ
テハ弊害ガアルカドウカ、弊害ノアリマシ
タ場合ニ於キマシテハ之ヲ是正スルコトニ
致シマシテ、生產奬勵金ノ趣旨ノ沒却サレ
ナイヤウニ致シタイト考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=21
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022・川俣清音
○川俣委員 今ノ御答辯デ、前ノ問題ニ付
テノ御答辯ハ了承スルノデスガ、後ノ所謂
生產奬勵金ノ問題デアリマスガ、小作農デ
モ自作農デモ同樣デアリマシテ、自家消費
ヲ除イタ供出米ニ對スル生產奬勵金デアツ
タト思フノデアリマス、併シ是ガ全部供出
致シマシテ、サウシテ新シク買ツテ來ルト
云フコトニナリマスレバ-是ハ當初ノ考
ヘ方ガ惡カツタトカ宜カツタトカ云フヤウ
ナ問題デナクテ、當初ハ自家保有米ヲ除イ
タ供出米ニ對シテ、生產費ニ對スル奬勵金
ヲ出スノデアル、斯ウ云フ建前デアラレタ
ト思フ、ソレガ兎ニ角全部自分ノ消費スル
部分モ出シテ國家ノ補助ヲ受ケタ米ヲ食フ
ノダト云フコトニナリマスレバ、是ハ最初
ノ計畫ヲ變更シタトカ云フノデナクシテ、
根本カラ變ツテ來タノデハナイカ、何故サ
ウ云フ風ニ變ヘナケレバナラナカツタカト
云フ點ニ付テ、大藏省ハドウ考ヘテ居ラレ
ルカ、斯ウ云フ點ナノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=22
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023・谷口恒二
○谷口政府委員 農村ニ於テ小作ニ從事シ
テ居ル者ガ、當時生產サレタ米ヲ奬勵金ヲ
受ケマシテ供出致シマシテ、サウシテ手許
ニナクナツタ場合ニ更ニ政府所定ノ價格ヲ
以テ購入スル、斯ウ云フヤウナ筋道ニナリ
マスコトハ、當時トシテハ甚ダ好マシカラ
ヌ方法デアルト云フ風ニ考ヘテ居ツタノデ
アリマス、計畫ノ當初ト致シマシテハ、小
作者ニ於キマシテハ必要ナ米ハ手許ニ保有
致シテ置キマシテ、サウシテ供出出來得ル
モノヲ供出致シマシテ、所定ノ奬勵金ヲ受
ケル、斯ウ云フ仕組デ考ヘテ居ツタノデアリ
マス、併シ此ノ手許ニ保有サレテ居ル米ガ
不足致シマシテ、其ノ場合ニ於キマシテ巳
ムヲ得ズ他カラ改メテ之ヲ購入スルコトモ、
當時トシテハ全體トシテ之ヲ止メルト云フ
譯ニモ行カヌ問題デアルト云フコトハ考ヘ
テ居ツタノデアリマス、其ノ事ハ計畫ト致
シマシテハ趣旨ニ合致致サナイノデアリマ
シテ、此ノ點ニ付キマシテハ、此ノ實行ニ
當ツテ居リマス農林當局トモ更ニ能ク協議
ヲ致シマシテ、當初ノ趣旨通リニ生產奬勵
金ノ制度ガ動イテ行キマスヤウニシタイ、
左樣ニ考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=23
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024・川俣清音
○川俣委員 私ノ御尋ネガ少シク足リナカ
ツタノデハナイカト思ヒマス、或ル保有米
ヲ殘シテ、ソレガ不足ニナツタカラ買フト
云フ點ヲ申上ゲテ居ルノデハナイ、初メカ
ラ手許ニ全然殘サナイデ、全部供出サシタ
例ハ多々アルト思フ、私ハ其ノ點ヲ尋ネテ
居リマス、例ヘバ地主ガ小サカツタ場合、
地主トシテノ保有米ヲ欲シイ爲ニ、全部小
作人ニ供出サセル、サウシテ地主或ハ農會
等ニ於キマシテモ、其ノ方ガオ前ニ得ナン
ダ、小作人カラ云フト、自分ノ自家消費米
ヲ持ツテ居タイト云フ熱願ガアルガ、其ノ
方ガ高ク賣レテ安イ米ヲ買ヘルカラ得ダト
云フ風ニ相當奬勵シテ、小作人ヨリ全部供
出サセテ地主ノ手許ニ小作米トシテ出サセ
テ、地主ハ供出米トシテ出スベキモノヲ地
主ノ自家消費米トスル、斯ウ云フ傾向ヲ取
ツテ居ルト思フノデアリマス、サウ云フコ
トニナリマスト、非常ニ最初ノ目的ノ根本
ヲ變ヘタコトニナルノデハナイカト云フ考
ヘヲ私共持ツテ居ルノデアリマス、農林省
ガ斯カル指導ヲ行ツテ居ルコトニ付テ、大
藏省ハ如何ニ御考ヘニナツテ居ルカ、斯ウ
云フ點デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=24
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025・谷口恒二
○谷口政府委員 若シサウ云フ指導ガ全面
的ニ行ハレテ居ルト致シマスレバ、初メノ
趣旨トハ大分違ツタ動キ方デアルト思フノ
デアリマス、併シ農村ニ於ケル實際ノヤリ
方ニ付キマシテハヤハリ農林省ニ尋ネマシ
テ、ソレガドウ云フ理由デアツタカト云フ
コトヲ質シテ見ル必要ガアリマスノデ、此
處デソレガ全面的ニ不都合デアルト云フコ
トヲ斷言スルコトモ如何カト思フノデアリ
マスガ、アア云フ奬勵金トカ補助金トカ云
フコトノ制度ハ、動モスレバ當初考ヘテ居
リマシタ筋道ヲ違へマシテ、便宜ニ從ツテ
處理サレル傾向ガ從來モ甚ダ多イノデアリ
マシテ、其ノ都度吾々ト致シマシテハ遺憾
ノ意ヲ表シテ、本來ノ趣旨ニ合致スルヤウ
ニ是正致シテ參ツタコトモアルノデアリマ
ス、只今御指摘ノヤウナ點ハ、全面的ニサ
ウ云フコトヲ致シマスコトハ初メノ趣旨ニ
反スルコトデアルト、私ハ考ヘルノデアリ
マスガ、只今申シマシタヤウニ一應ハヤハ
リ事情ヲ聽キマシテ、或ハ或ル部分ニ付テ
ハサウ云フコトノ已ムヲ得ナカツタコトハ
ナイコトハナイカモ知レマセヌ、能ク事情
ヲ聽キマシテ、本來ノ趣旨ニ合スルヤウニ
致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=25
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026・川俣清音
○川俣委員 モウ一點附加ヘテ御尋ネ致シ
マス、私ハ決シテ過去ヲ責メヨウト云フ考
ヘ方デハアリマセヌ、唯サウ云フコトガ許
サレルト云フト、例ヘバ現在ノ米ノ配給量
ガ足リナイ爲ニ、地主トナツテ自分ノ保有
米ダケハ確保シタイト云フヤウナコトカラ、
小サイ土地ノ賣買ガ行ハレテ、ソレデ小作
人カラハ全部供出米トシテ受取ル、ソレハ
地主ノ所謂保有米ニナツテシマフト云フコ
トニナリマシテ、サウ云フ傾向ガ助長サレ
ル結果ニナリハセヌカ、寧ロ私ハ其ノ點ヲ
惧レテ御尋ネ致シテ居ルノデアリマス、是
ハ大體農林省ノ方針ト致シマシテ、同一町
村ノ地主デナケレバ出來マセヌケレドモ、
同一町村內ノ土地ノ小作米ハ、小作トシテ現
物ヲ地主ガ經由シテ受取ルコトガ出來ルヤ
ウニナツテ居リマスノデ、其ノ經由サレタ
小作米ガ所謂地主ノ保有米ト相成ルノデア
リマス、サウスルト一方ニ於テハ制限ヲ受
ケナケレバナラナイ米ノ規正ガアリ、一方
ハ土地ヲ小サク持ツタト云フコトダケデ、
規正ヲ受ケナイデ濟ム、規正ヲ受クベキガ
當然デアリマスケレドモ、ソコニ保有米ト
云フモノガ相當豐富ニ持チ得ラレル結果ガ
生レテ來ルト云フヤウナコトニナリマスレ
バ、問題ハ他ニモ影響スルト云フコトヲ惧
レテ、此ノ點ヲヤカマシク申上ゲテ居ルノ
デアリマス、此ノ點ニ付テモウ一度御答辯
ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=26
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027・谷口恒二
○谷口政府委員 只今御話ノヤウナコトモ
或ハ行ハレテ居ルカモ知レナイノデアリマ
スガ、若シサウ云フコトガ行ハレテ居リマ
スレバ、甚ダ以テ遺憾ナコトデアリマシテ、
元來アノ奬勵金等ヲ設ケマシタ趣旨ハ、生
產ノ增加ト云フコトモアリマスガ、又同時
ニ又供出米ノ增加ト云フコトモ其ノ趣旨ニ
アルノデアリマシテ、小サナ地面ヲ持チマ
シテ、ソレヲ機緣トシテ保有米ヲ增加シテ
供出米ガ少クナルト云フヤウナ結果ガ起リ
マシテハ、甚ダ遺憾デアルト思フノデアリ
マス、此ノ點ハ直接其ノ衝ニ當ツテ居リマ
ス當局ト能ク嚴重ニ話ヲ致シマシテ、サウ
云フ弊害ノ起ラナイヤウニ努メタイト考へ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=27
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028・川俣清音
○川俣委員 此ノ點ハ諒承致シマシタ、次
ニ私ハ小作料ノ問題デ御尋ネ致シタイト思
フノデアリマス、農林省ノ管轄ダト云フ意
味デ御聽取リナク、全體ノ日本ノ金融ノ上
カラ、或ハ物價政策ノ上カラ、或ハ勞働力
ノ供出ノ點カラ、十分御配慮ニナツテ然ル
ベキデアルト云フ點カラ御尋ネ申上ゲルノ
デアリマス、所謂物ノ生產費構成要素ハ何
カト言フト、此ノ事ハ旣ニ御承知ノ通リデ
アルト思フノデアリマシテ、ヤハリ一ツノ
社會カラ見タ場合ト、國民經濟全體ノ立場
カラ見タノトデハ自ラ違フコトハ明瞭デア
リマス、併シナガラ社會全體ノ經濟ノ運行
ト云フ立場カラ見ルト、私ハ一ツノ基準ガ
ココニ出テ參ルト思フノデアリマス、ソレ
ハ所謂普通ニ人ノ言ハレテ居ルヤウニ原料
ト勞賃ト地代トニ相成ルト思フ、其ノ原料
ガ補助材料竝ニ固定設備ノ償却サレル部分
デアルト云フヤウニ、極メテ大雜把ニ言ヘ
ルノデアリマスガ、此ノ中デ原料、補助材
料ト云フモノハ、具體的ニハヤハリ鑛石デ
アリ、木材デアリ、或ハ石油デアリ、石炭
デアリ、電力ト云フヤウナモノデアルト思
フノデアリマスガ、結局煎ジ詰メテ參リマ
スト、生產費ハ原料、勞賃、利潤、斯ウ三
ツニ大別サレルト思ヒマス、而モ生產費ハ
煎ジ詰メテ參ルト原料、勞賃、利潤デアツ
テ、結局ハ其ノ地代ニ戾ツテ參リマスノデ、
生產費ト云フモノハ勞賃ト地代ト利潤ノ三
ツヨリ成ツテ居ル、隨テ此ノ三ツヲ考ヘテ
物價ノ規正ヲナサナケレバ相成ラスト思フ
ノデアリマス、勞賃ニ對スル規正、利潤ニ
對スル規正ト云フモノハアリマスガ、今日
尙ホ地代ニ對スル規正ハ、兎角農林省ガ、此
ノ點ニ付キマシテハ、色々ナ日本古來ノ
慣習モアルコトデアリマセウシ、中々色々
ナ障碍モアルコトデハアラウケレドモ、モ
ウ一步突詰メテ此ノ點ニ付テノ解決ハ致シ
テ居ラナイト思フ、所謂利潤ノ點ニ付テハ
大藏省、或ハ商工省ガ相當ノ掣肘ヲ加ヘテ
居ル、或ハ勞賃ニ付テハ厚生省ガ相當ナ掣
肘ヲ加ヘテ居ルガ、地代ダケニナリマスト
農林省ガ是ハ事ハ日本ノト云フコトデ、中
中此ノ點ニ付テノ解決ヲ澁ツテ居ルヤウナ
形ニ相成ツテ居ルト思フ、併シナガラ此ノ
生產費ノ三ツノ中ノ一ツダケヲ見逃シテ放
任シテ置キマスナラバ、私ハ物價ノ規正、
昂騰ヲ抑ヘルト云フコトハ不可能ニナルノ
デハナイカ、ヤハリ生產力擴充ノ上カラ此
ノ三ツノ點ヲ嚴格ニ規正シテ行カナケレバ
ナラヌ、大藏省ガ利潤ヲ抑ヘテ參リマシテ
÷、地代ヲ抑ヘテ參リマセヌケレバ、利潤
ヲ抑ヘタ意味ガ半減サレルト思フ、此ノ三
ツガ相協力シテ同一方向ヲ取ラナケレバ
私ハ物價ノ規正ト云フコトハ出來ナイト考
ヘマスケレドモ、此ノ點ニ對スル次官ノ御
答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=28
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029・谷口恒二
○谷口政府委員 全ク只今御話ノ通リデア
リマシテ、利潤ノ統制ヲ致シ、又其ノ他ノ
統制ヲ致シマシテモ、他ノ一ツノ要素デア
リマス所ノ地代ノ統制ニ付キマシテモ色々
考慮ヲ運ラサナケレバナラヌト云フコトハ、
全ク御說ノ通リデアリマス、此ノ點ニ付キ
マシテハ主トシテ農林行政ニ亙ル點デア
ルカト思フノデアリマスガ、是等ノ諸要素
ノ統制ニ付キマシテハ、吾々ノ方面トモ關
係ガアリマスノデ、御話ノ趣旨ニ付キマシ
テハ、今後關係當局トモ能ク協議ヲ致シマ
シテ、尙ホ調査致シタイト左樣ニ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=29
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030・川俣清音
○川俣委員 私此ノ際一寸申上ゲテ見タイ
ト思ヒマスガ、大體私共農村ニ居ツテ見テ
居リマスト、以前ハ資金ガ中央ニ流レテ來
テ、地方ガ涸渴スルト云フコトヲ非常ニ憂
ヘラレテ居ツタノデアリマスガ、最近株ニ
對スル投資、所謂生產力擴充方面ニ對スル
投資ト云フモノガ、非常ニ澁ツテ居ルヤウ
ナ傾向ヲ持ツテ居ルノデハナイカト、是ハ
私ノ觀測デアリマスケレドモ、サウシタ觀
測ヲ持ツテ居リマス、ヤハリ此ノ點ニ付テ
大藏省ガ一方ニ於テ利潤統制ヲスル、商工
省デモ色々ナ株價ノ統制ラスル、或ハ生產
力擴充ノ上カラ統制規正ヲ致シマシテモ、
一方ニ於テ昔ノヤウニ中央ニ資金ガ非常ニ
流レテ來ルヤウナ狀態デアリマスレバ結構
デアリマスケレドモ、ソレト反對ノヤウナ
方向ヲ今日取ツテ參ツテ居ル、所謂大東亞
戰爭ノ目的完遂ノ爲ニハ是ハ大藏省ノ考
ヘテ居ラレマス通リ金融全體ノ一元化ト申
シマセウカ、兎ニ角モ全體ヲ集中シテソレ
ヲ適當ニ按分シテ行クト云フコトガ當然ナ
コトデアラウト思フノデアリマス、所ガ地
方ニ資金ガ固定スルト云フコトハ、地方「イ
ンフレ」ヲ起スヤウナ結果ト相成ルバカリ
デハナクシテ、國全體ノ金融ノ上ニ於キマ
シテ、或ハ生產力擴充ノ方面ニ於ケル所ノ
統制ノ上カラモ、私ハ大キナ缺陷ヲ現ハシ
テ來ルノデハナイカト、斯ウ考ヘテ居ルノ
デアリマスガ、サウ云フ方向ニ對スル將來
ノ是正ト云ヒマスカ、指導ト云ヒマスカ、
其ノ方向ニ付テノ御意見ガアレバ此ノ際承
リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=30
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031・谷口恒二
○谷口政府委員 先程カラ色々ノ御話デア
リマシテ、之ヲ只今綜合シテ御話ニナツタ
ノデアリマスガ、此ノ農村方面ニ於キマス
金融ノ問題ニ付キマシテハ是ハ御承知
ノ通リニ從來ニ於キマシテハ農林系統、大
藏系統等ガ共同シテ其ノ處理ニ當ツテ居ル
ヤウナ狀況デアリマス、ソレデ只今御指摘
ニナリマシタヤウニ、今後ニ於キマシテハ、
金融方面ニ付キマシテハ一元的全體的ニ統
制ヲ致シマシテ、必要ナル調整ヲ加ヘルト
云フコトガ、大東亞戰爭ノ後ニ於キマシテ
八徵、必要ニナツテ來タト思フノデアリマ
ス、今後ニ於キマシテハ此ノ農村ノ金融狀
況ニ付キマシテ從來トハ更ニ一段進メマシ
テ、此ノ金融ノ統制方面カラ、農林省トモ
更ニ一段ト協調ヲ進メテ行キタイト思フノ
デアリマス、是等ノ問題ニ付キマシテハ、
行政ノ機構トカ云フヤウナ因襲的ナ問題ガ
ソコニ介在スルノデアリマシテ、中々一刀
兩斷的ニ斷チ難イ點モアルノデアリマスケ
レドモ、ソレハソレト致シマシテ、金融統
制ノ必要ナルコトノ理解ヲ行政各官廳間デ
モ十分ニ持ツテ貰ヒマシテ、御話ノ如キ農
村方面ニ於ケル金融ト云フモノガ玆ニ孤立
スルコトヲナサナイデ、他ノ方面ト全體的
ニ統制シテ、國家ノ經濟總力ノ發揮ニ貢獻
シ得ルヤウニ努メタイ、斯樣ニ考ヘルノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=31
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032・川俣清音
○川俣委員 大體此ノ程度ニ致シマシテ、
法制局トアトハ大藏大臣ガ見エタ時ニ讓リ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=32
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033・由谷義治
○由谷委員長 吉植庄亮君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=33
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034・吉植庄亮
○吉植委員 私ハ第一ニ勸銀ノ農民ニ對ス
ル貸付利率ノ點ニ付テ御尋ネシタイト思ヒ
マス、戴イタ表ニ依リマシテ現在ニ付テ
見マシテモ、公共團體ノ貸付ガ四分六厘、
アトハ全部五分以上デアリマス、農村ノ主
タル不動產デアリマスル田畑等ニ至リマシ
テハ是ハ五分三厘、所デ玆ニ問題ニナリ
マスノハ御承知ノヤウニ土地利廻デアリマ
ス、是ハ農林省アタリニ御問合セニナツテ
モ直グ分ルコトデアリマスカラ、大藏省ニ
於テハ夙ニ此ノ御調査ハ付イテ居ル筈デア
リマス、三分五厘以上ニハ廻ラヌト云フノ
ガ定說ニナツテ居ル、此ノ農村ノ土地利用
價値ガ三分五厘、ソレニ對シテ勸銀ガ貸付
ケマスル金利ガ五分三厘、此ノ勸業銀行ト云
フモノガ普通銀行デアレバ又別デアリマス
ガ、特殊銀行デアリマシテ、是ハ農村ノ
ツノ大キナ味方ノ銀行デアルノデアリマス、
然ルニ實情ハ今申上ゲタヤウナ次第デアリ
マス、ソコデ問題ニナリマスルノハ、今日
ノヤウナ時代ニハ此ノ問題ガ左程痛切ニハ
農民ニ感ジマセヌガ、併シ昭和五年、六年、
七年ト云フアノ農村地獄ト云ツタヤウナ時
ニハ此ノ點ガ實ニ農村ヲ苛ミ盡シタ、過般
來政府ノ御方針ヲ承リマシテモ、日滿支ヲ
通ジテ農民ノ人口ノ保有量ガ四割、此ノ方
針デ邁進スル、現在ハ慥カ五割以下、四割
八、九分カト思ヒマスガ、ソレモ僅カ一割足
ラズノ加減ヲシマシテモ、四割ハ絕對ニ保
有スルノダ、此ノ方針デ參ラレル、此ノ方
針デ行キマスト、然ラバ農村ノ經濟ハ樂ニ
ナルノカト云ヒマスト、農村ニハ相變ラズ
是ガ宿命的ナモノニナツテ居リマスルノデ、
適正規模農家ガ一町八反デアルトカ或ハ二
町、二町五反ト言ハレテ居ル時ニ、內地ノ
農家ハ九反七畝ニ甘ンジナケレバナラヌ)
ソレガ四割ノ人口保有量ト致シマスト、約
一町位耕サナケレバナラヌ、所謂此ノ土地
ノ利潤ト土地ニ貸付ケラルル金利トノ開キ
ガ一方ニアリマスル上ニ、反面ニハ斯ウ云
フコトガアルノデアリマス、今日ノ農村ガド
レダケノ役割ヲ盡シテ居ルカ、人口四割ヲ
農村ニ保有シナケレバ相成ラヌト云フ國策
ノ立チマシタノモ、此ノ農村ガ言フニ言ハ
レナイ所ノ食糧生產、或ハ凡ユル產業ニ對
スル人的資源ノ供給トカ、或ハ國軍ノ根幹
トナツテ居ルト云フヤウナ點カラ左樣ナ國
策ガ生レ出テ來タモノト思ヒマス、サウシ
マスト今日ニ於テモ今日ノ農村ト云フモノ
ノミヲ見ナイデ、將來ノ農村ヲモ考ヘテ、
此ノ點ハ餘程御考慮ヲ戴カネバナラヌト思
ヒマス、先程農村地獄出現時代ノ御話ヲシ
マシタガ、私ハ痛切ニ其ノ當時、此ノ勸業
銀行、普段御厄介ニナツテ居リマシタ勸業
銀行、泌々ト此ノ勸業銀行ガ一體農民ヲ助
ケルノカ殺スノカト云フ感ジニ打タレタ、
其ノ當時私ハ斯ウ云フ歌ヲ詠ミマシタ「赤ク
書キテ差押威ス葉書通知、老配達夫笑ミツ
ツ示ス」赤ク書イテ差押ヲ威カス、黑イ印刷
デハナイ、ゝ態〓赤ク書イテ、サウシテ何月何
日マデニ納メナイト直チニ差押ヲスルゾト
言ツテ來ル、郵便配達ガソレヲ見ナガラ、
私ノ顏ヲ見テ笑ヒナガラ、ヤア來マシタ〓〓
ト言ツテ來ル、是ガ當時私ノ詠ンダ歌デア
リマス、モウ一ツアリマス、是ハ上ノ句ハ
忘レマシタガ、下ノ句ハ「勸業銀行苛ミ盡ス
農民ヲ」斯ウ云フヤウニ赤ク書イテ、サウシ
テ農民ヲ苛ミ盡ス、今申上ゲマシタヤウナ
三分五厘ヲ出デナイ範圍ニ農業經營ヲヤツ
テ居リマス時ニハ、アノ農村地獄ニナツタ
米價暴落、況シテヤ此ノ三分五厘ガ二分ト
ナリ一分トナリ生產費ヲ割ツテシマツテ、
農民ハ血肉ヲ喰ハナケレバナラヌト云フ風
ナ時ニ、勸銀カラ借リタ金利ガ高イ、ソコ
デ完納ガ出來ナイト云フト、差押ヲ以テ威
カシテ來ル、勸銀ガ農民ヲ苛ミ盡スト云フ
歌ガ私ニ當時生レマシタ、是ハ私ガ間違ツ
テ居ルノカドウカト云フコトハ、後世批判
スル者ガアリマス、是ハ私一人ノ聲ニアラ
ズシテ、當時ノ全農民ノ聲デアツタ筈デア
リマス、デアリマスルカラ今日ノ狀態ニ於
テハ當時カラハ改善サレマシテ、良クハナ
ツテ居ルノデアリマスガ、併シ此ノ戰爭ノ
成行、或ハ財界ノ變動其ノ他ニ伴ツテ、將
來今日同樣ノ農村ノ姿デ行カウト云フコト
ハ到底考ヘラレマセヌ、何等カソコニ又變
化ガ來ルコトモ豫想シナケレバナラヌノデ
アリマスガ、左樣ナ時ニ此ノ問題ガ洵ニ
重大トナツテ參ルノデアリマス、サウ云フ
深ク大キク農村問題ヲ取扱ツタ際ニ、土地
利潤ガ三分五厘以下、借受ケル所ノ金利ガ
五分三厘、是デ果シテ宜シイカ、此ノ點ヲ
御伺ヒシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=34
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035・山際正道
○山際政府委員 農業利潤ガ極メ低イノニ
拘ラズ、勸業銀行ノ農業ニ對スル金融ノ利率
ガ、ソレニ比較シテ高キニ失スルヤウニ思
フガドウデアルカト云フ御趣旨ノ御尋ネト
存ジマス、農業ノ利潤ガ只今御話ノヤウナ
率ニ相成ツテ居リマスルカドウカ、實ハ私
ハ承知ヲ致シテ居リマセヌケレドモ、併シ
テガラ企業ト致シマシテ相當低利潤ノモノ
デアルコトハ私モ了承致シテ居ルノデア
リマス、又一面ニ於キマシテ、然ラバ勸業
銀行自體ハ其ノ全體ノ構成ノ上ニ於テ不當
ナル高イ利率ヲ適用致シテ居ルカト云フコ
トヲ檢討致シマスル際ニハ、必ズシモサウ
デナイト云フ結論ガ出ルト思フノデアリマ
ス、御承知ノ如ク勸業銀行ハ廣ク債劵ヲ募
集致シマシテ、ソレニ依ツテ資金ヲ調達シ
テ居リマス、又預金ヲ取リマシテソレニ依
ツテ貸付ノ資金ヲ得テ居リマス、是等ニ對
シマシテ一般市場ノ利率ニ從ヒマシテ、或
ハ預金利率、債劵ノ利率ヲ支拂ツテ居ルノ
デゴザイマス、而シテ勸業銀行自體ト致シ
マシテハ格別國家カラ特殊ノ恩惠ヲ受ケル
譯デナク、ソレ等ノ資金ヲ使ヒマシテ、ソ
レ等ノ金利ヲ負擔シナガラ、金融機關トシ
テ與ヘラレマシタル使命ヲ達成致シマスル
爲ニ、必要ナ限度ノ利率ニ於テ貸付ヲ致シ
テ居ルノデゴザイマス、而モ其ノ貸付ノ利
率ハ、ヤハリ農村其ノ他不動產金融ニ取ツ
テ重要ナ關係ガアリマスル爲ニ、政府ニ於
テ之ヲ每期其ノ最高ヲ認可致シテ居ルヤウ
ナ仕組ト相成ツテ居ルノデアリマス、隨ヒ
マシテ現在勸業銀行自體ガヤツテ居リマス
ル仕事ノ上カラ見マスルト、其ノ貸出利率
ト、經費ト、ソレカラ得テ居リマスル資金ノ
利率卽チ資金「コスト」、是等ヲ眺メ渡シマ
シテ、勸業銀行自體トシテ著シク利益ヲ貪
ツテ居ルト云フコトハ、私共ハナイト確信
致シテ居リマス、然ラバ玆ニ問題ハ、勤業銀
行ノヤウテ普通金融機關ノ力ヲ以テシテ、
只今吉植委員ノ御示シノヤウナ農村ノ金融
ガ全面的ニ滿足セラレ得ルヤ否ヤト云フ、
大キナ農村ノ金融機構ノ問題ニ移ラザルヲ
得ナイト思フノデゴザイマス、卽チ端的ニ
申シマスレバ、勸業銀行自體トシテ私ハ利
益ハ貪ツテ居ラヌト思ヒマス、併シナガラ
農村ノ要求シテ居ル所ノ金融ノ全部ガ果シ
テ能ク勸業銀行ノ如キ機構ヲ以テ充シ得ル
ヤ否ヤ、ココニ問題ガ潜ムノデハナイカト
思フノデアリマス、其ノ解決ト致シマシテ
ハ、御承知ノ如ク政府ハ預金部資金等各種
ノ低利資金ヲ放出致シテ居リマシテ、出來
ルダケソレ等特殊ノ資金ニ依ツテ低利ノ融
通ヲ農村ニ對シテ致シテ居ルノデアリマス、
又產業組合等モ極力農村ノ協同組織體ト致
シマシテ、農民ノ需要ニ應ジ得ルヤウナ金
融ニ努メテ居リマスコトモ御承知ノ通リデ
ゴザイマス、是等ヲ綜合致シマシテ、農村
ガ立行ク爲ニ、金融機構ヲ整備シナケレバ
ナラヌト云フ點ハ、是ハ御話ノ通リデアラ
ウト思フノデアリマシテ、今後ニ於キマシ
テモ或ハ低利資金ノ特殊ノ融通デアルト
カ、或ハ農村協同體ニ於ケル信用事業ノ
發達ヲ圖ルトカ、又他面ニ於キマシテハ農
業政策自體ノ方面ニ於テ農業利潤ノ今少シ
ク上昇ヲ圖ルトカ、各種ノ綜合サレタ面ニ
於テ此ノ問題ハ將來解決サレテ行カナケレ
バナラヌ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデゴザイマ
ス、勸業銀行自體ノ勘定カラ申シマスト、
只今申上ゲマシタヤウナ次第ニ相成ツテ居
ルト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=35
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036・吉植庄亮
○吉植委員 銀行局長ノ御答辯ヲ承リマシ
テ、大體ノ農村金融ニ對シマスル政府ノ御
心遣ヒト云フモノハ、能ク酌ミ取レマス、
ココ五、六年ト云ヒマスカ、戰爭開始前アタ
リカラノ傾向ト思ヒマスガ、其ノ點ハ確カ
ニ改善セラレツツアルノデアリマシテ、低
利資金ノ融通ト云フモノハ、一兩年此ノ方
特ニ預金部カラ流レ出シテ、直接農村ニ來
テ居ル、是ハ事實デゴザイマス、其ノ點ニ
於テハ私心配ドコロデハナイ、此ノ趨勢ヲ
モツト擴大强化シテ貰ヒタイト云フコトヲ
念願スル一人デアリマス、唯私ガ御話申上
ゲルノハ、勸業銀行ノ機構ノ中ニ於キマシ
テモ、今ノ低利潤デアリマスル土地ニ貸ス
金利ガ、其ノ土地ガ取得スル利潤ヨリモ遙
カニ大キイ、此ノ點ガ問題デアツテ、此ノ
點ヲ大イニ御考慮願ハナケレバナラヌ、斯
ウ云フ點ナノデアリマス、農村ガ飽クマデ
モ日本ヲ背負ツテ立ツテ行ツテ居ル、其ノ
農村ヲ振興セシメテ行カナケレバナラス、
其ノ一部ノ役割ヲ勸業銀行ガ負擔シテ居ル
ト私ハ考ヘテ居リマスガ、其ノ時ニ土地利
潤ガ三分五厘以下デアルニ拘ラズ、其ノ土
地ヲ抵當トシテ金ヲ借リナケレバナラヌト
云フ時ニ、其ノ金利ガ五分三厘デアリマス、
勸業銀行ノ使命カラ見テ此ノ點特ニ今一段
ノ御檢討ヲ願ヒタイ、斯ウ云フ趣旨デアリ
マス、實ハ打割ツテ申上ゲマスト、モウ故
人ニナラレタカラ此ノ席デハツキリ申上ゲ
マスガ、前ノ勸業銀行總裁デ、後ニハ大藏
大臣モセラレタ馬場鍈一氏ハ、此ノ點ニ付
キマシテ私ノ父竝ニ私ニ向ヒマシテ、實
勸業銀行總裁ヲ致シテ居ツテ心苦シクテ仕
方ガナイコトガアル、ソレハ今私ガ申上ゲ
タ例、土地ノ利潤ガ三分五厘以下、然ルニ
農民ニ貸付ケルノハ、今日ハ五分三厘ニナ
ツテ居リマスガ、當時ハ七分何厘カト思ヒ
マス、左樣ナ高利ヲ今日取ツテ居ルト云フ
コトハ勸業銀行總裁ヲ致シテ居ツテ是程心
苦シイコトハナイ、何トカ此ノ點ハ將來ニ
於テ考慮シナケレバナラヌト思フガ、凡
ル樽構ノ下ニ中々今日此ノ志ヲナスコトガ
出來ナイ、君ナンカニ會ツタ時ニハ先ヅ第
一ニ此ノ點デオ詑シナガラ會ツテ居ル、斯
ウ云フ御話ガアリマシタ、是ハ馬場鍈一氏
ガ總裁トシテ立派ナ良心ノ持主デアルカラ
デアル、此ノ觀點カラ馬場サンハ確カニ此
ノ利率ノ低下ト云フコトニ付テハ大變オ骨
折下サツタ御一人デアル、斯ウ云フ點ヲ一
ツ御酌ミ取リ下サイマシテ、將來此ノ點ニ
於テ農民ガ合點ガ參リマスヤウ一ツ御骨折
ヲ願ヒタイノデアリマス
一面斯ウ云フ風ニナツテ居リマスニ拘ラ
ズ、他面今御話ノアリマシタヤウニ凡ユル
債劵ヲ發行スルト云ツタヤウナコト、其ノ
他凡ユル勸銀ノ機能ガ發揮セラレマシテ、
ソコデ株主ノ配當ガ今日一割以上ト私ハ思
ツテ居リマス、先程申上ゲマシタ昭和六、
七年ノ農村地獄ノ時、農民ハ赤イ葉書ヲ突
付ケラレテ困ツテ居ル時ニ、株主ハ一割ノ
配當ヲ取ル、一體斯樣ナ不合理ナコトガア
ルカ、何故ニ斯樣ナ配當ヲモツト少クシテ、
農村ガ本當ニ地獄ニ轉落シテ居ル姿ヲ救ハ
ナイノカ、此ノ聲ハ全國津々浦々ニアツタ、
ソコデ私ハ此ノ事ヲ力ヲ强メテ御話申上ゲ
ルノデスガ、何カ斯ウ云フ點ニ付テ將來勸
業銀行全體ノ機能カラ見テ、此ノ土地ニ對
スル利率ト云フモノモ何カ技術的ノ工夫ガ
出來ヌモノカドウカ、又サウ云フコトニ對
シテ將來ドウ云フ御關心ヲ持ツテ居ラレル
カ、此ノ點ヲ承ツテ置キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=36
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037・山際正道
○山際政府委員 我ガ國ノ現在竝ニ將來ニ
於キマシテ、農村ノ占メル地位ガ特殊ノ意
味ニ於テ極メテ重要ナモノデアリ、隨ヒマ
シテ農村振興ノ必要ト云フコトガ非常ニ急
務デアリマスルコトハ洵ニ御同感デアリマ
ス、隨ヒマシテ、農村振興ノ一役ヲ買ツテ居
リマス勸業銀行ニ於キマシテモ、其ノ運營
ノ方針ト致シマシテ、努メテ此ノ刻下ノ急
務デアル所ノ農村振興ニ役立チマスルヤウ
ニ、其ノ營業ヲ致シマスベキコトハ申スマ
デモナイ所デアリマス、當局ト致シマシテ
モ、從來トモ、左樣ナ方針ヲ以テ勸業銀行
等ヲ監督致シテ居ルノデアリマス、認可利
率ノ如キモ只今御話ノ如ク極力其ノ低下ヲ
圖リマシテ、最近ニ於キマシテハ逐年相當
ノ低減ヲ見ツツアルト考ヘテ居ル次第デア
リマス、併シナガラ御話ノ根本ニ於テ、農
業利潤ガ非常ニ低イノニ對シテ、ソレニ合
フ程度ニ勸業銀行モ貸出利率ヲ低下スベキ
ダト云フコトニ相成リマスト、是ハヤハリ
ソコニ勸業銀行ダケノ仕組ヲ以テ其ノ點ヲ
解決スルコトハ相當困難デアルト云フコト
ハ前段私ガ申上ゲマシタ通リデアリマス、
然ラバ政府ハ例ヘバ勸業銀行ニ對シテ補助
金デモ出シテ、之ニ依ツテ低利率ノ資金ノ
融通ガ出來ルヤウナ方法ヲ考ヘルトカ、或
ハ勸業銀行ノ貸出シヲスル資金ハ悉ク政府
ノ低利率ノ資金ニ依ツテ之ヲ賄フトカ、何
等カサウ云フ方法ハナイカト云フ種類ノ御
尋ネガ後ニ續イテ居ツタカト思フノデアリ
マス、此ノ點ニ關シマシテハ、私ガ農業政
策ノ方面ハ能ク承知致シマセスケレドモ、
御承知ノ通リ今ノ行キ方ハ金融ニ付テ特殊、
ノ銀行等ニ補助金ヲ出スト云フ行キ方デハ
ナク、農民自體ニ其ノ農業ノ繼續ノ爲ニ、
振興ノ爲ニ必要ナル各種ノ補助金デアリマ
ストカ、又公共的ナ施設ニ對スル各種ノ國
家的援助デアリマストカ、農業自體ヲ成立
タシメル方面ニ於ケル各種ノ助長政策ガ只
今執ラレテ居ルヤウニ思フノデアリマス、
ソレ等ノ政策ヲ基調ト致シマシテ、前段申
上ゲマシタヤウナ各種ノ不動產銀行ナリ、
又農村ノ共同組合ナリ等ガ相寄リマシテ金
融ノ部面ヲ擔當スル、斯樣ナ仕組ニ於テ全
體ノ農業政策ノ調和ヲ保ツテ居ルノデハナ
イカト實ハ考ヘテ居ル次第デゴザイマス、
御話ノ點ハ農業政策ノ全般ニ跨ル中々大キ
ナ問題ト承ツテ居ルノデアリマス、獨リ金
融部面ニ於テノミ解決シ得ル問題デハゴザ
イマセヌガ、金融方面ニ於キマシテモ今後
トモ十分其ノ點ヲ考ヘマシテ、出來ルダケ
御期待ニ副ヒ得ルヤウニ努力致シタイト考
ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=37
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038・吉植庄亮
○吉植委員 ドウカ大先輩デアリマス馬場
鍈一氏ノ深キ思ヒヤリト云フヤウナコトモ
心ノ中ニ取入レテ、將來此ノ點ニ對スルア
ナタ方ノ溫イ心ニ依ル善處方ヲ切ニ御願ヒ
シテ此ノ問題ハ是デ打切リマス
モウ一ツ御尋ネシタイノハ、今度ノ第十五
條ノ條文ノ中ニ「耕地整理法ニ依リ耕地整理ヲ
施行スル場合ニ於テ耕地整理組合若ハ其ノ聯
合會ヨリ借用ヲ申出タルトキ又ハ共同施行者
ガ連帶責任ヲ以テ借用ヲ申出タルトキハ抵當
ヲ徵セスシテ定期償還貸付又ハ割賦償還貸付
ヲ爲スコトヲ得」斯ウアリマス、所デ第十五條
ノ二ニハ「日本勸業銀行ハ割增金附勸業債劵
ノ發行ニ依リテ得タル資金ハ田、畑、鹽田、
山林、牧場若ハ養魚池ヲ抵當トシ」斯ウアリ
マス、此ノ中ニハ原野ト云フモノガ入ツテ
居リマセヌ、サウシマスト玆デ此ノ二ツヲ
睨合ハシテ見マスト、玆ニアナタ方ガ御承
知ニナラナイヤウナ大キナ問題ガ起キテ居
ルノデアリマス、片方ハ資金ノ貸付目標ヲ田、
畑、鹽田、山林、牧場、養魚池、土地ニ於テハ之
ニ限定シテシマツテ居リマスカラ、原野ト
云フモノハ借リルコトガ出來ナイ、原野ニ
對シテ資金ヲ貸付ケマスト重役ガ背任罪ヲ
構成スルト云フコトニナツテ居リマス、
然ラバ耕地整理ヲヤルト云フ際ニ、耕地整
理ト云フモノハ今マデノ立派ナ田畑ニ依ル
耕地整理モアリマスガ、開墾ヲ目的トスル
耕地整理モアリマス、其ノ時ニ持ツテ居リ
マスモノハ其ノ開墾致スベキ原野ノミデア
リマス、ソコデ此ノ條文ニアリマス通リニ、
無抵當デ定期償還貸付又ハ割賦償還貸付ヲ
スル、斯ウ云フコトニナツテ居リマスカラ、
是デ開墾ガ出來ルト思ツテ居リマスト、此
ノ方デハ「貸付ヲ爲スコトヲ得」貸付ケルノデ
ハナイ、片方ノ方ハ原野ニハ貸サナイト云
フ消極的規定ガアリマシテ、コチラノ方ハ
貸付ケルコトヲ得トナツテ居リマスカラ、
玆ニ實際問題トシテ一ツノ大キナ齟齬ヲ來
シマス、丁度今カラ十數年前デアリマスガ、
私ガ開墾ヲ思ヒ立チマシテ、當時勸業銀行
ノ窓口ニ、農林省カラ發行致シマシタ開墾
ノ栞ト云フモノガアリマシタ、ソレヲ見マ
スト、二万圓以下ノ少額資金ハ地方農工銀
行又ハ勸銀ヲシテ長期無擔保低利資金ヲ以
テ貸付ケセシム、二万圓以上ノ金額ハ勸業
銀行ヲシテ之ヲ貸付ケセシム、斯ウアル、
私ハ勸業銀行ノ窓ロデサウ云フ册子ヲ貰ヒ
マシテ、サウ云フコトガ書イテアルモノデ
スカラ、是デ資金ハ借リ得ラレルモノト思
ツテ居リマシタガ、段々ヤツテ見ルト今ノ
此ノ條文ニ觸レテ原野ニハ貸サナイ、片方
ハ貸付ヲ爲スコトヲ得トナツテ居ル、是一
勸業銀行ノ當局者ガ貸出シシナイガ適當ト
思ヘバ貸出シ得ル、斯ウ云フコトニナリマ
シテ、着手シテシマツテサア途中デ此ノ資
金ガ手ニ入ラナイト云フノデ非常ニ戶惑ヒ
ヲ致シマシタ、其ノ當時ノ千葉縣ノ狀況ヲ
中上ゲマスト、政府カラノ低利資金ヲ縣ニ
於テ割當テマス、縣ニ私ノ耕地整理組合ノ
方ニ割當ヲシテ吳レト云フ御願ヒヲ致シマ
シテモ、千葉縣ニ於テハ開墾ヲ目的ノ耕地
整理組合ニハ政府ノ低利資金ハ割當テナイ
コトニナツテ居ルカラ、割當テテモ駄目ダ
カラ割當テナイト言フ、私ノ方デハ駄目デ
モ宜イカラ割當テテ吳レ、駄目カ駄目デナ
イカハ先ノ話ダト言ツテ割當テテ戴キマシ
テ、勸業銀行ニ行ツテ貸付ヲシテ貰ヒタイ
ト言ツタケレドモ駄目ニナリマシタ、當時
勸銀ノ本店ニ私ノ友人ガ勤メテ居リマシタ
カラ、私ガ不信用デ貸付出來ナイノカモ知
レナイガ、ドウナツタラ貸付ケテ貰ヘルノ
カ、貸付ケテ貰ヘナイト事業ガ中途ニ於テ
駄目ニナル、食糧增產ノ目的ガ私ニ於テハ
挫折スルノダガ、ドウシタラ貸付ケテ貰へ
ルノカ、實情ヲ君カラ聽キタイト言ツテ能
ク內情ヲ質シテ貰ツタ所ガ、開墾ガ出來上
ツタラ貸スト云フコトデアリマシタ、當時
〓糧增產、〓糧自給策ト云フモノヲ政府ガ
立テテ斯ウ云フ仕組ニナツタト承知シテ居
リマス、其ノ頃初メテ開墾助成法モ設ケラ
レテ一意〓糧增產ニ邁進シテ居リマス時ニ、
斯ウ云フ穴ガアツタ、ソコデ致シ方ガナイ
カラ、然ラバドウ云フ譯デ貸セナイノカ、
是ハ國ノ一大事デアル、政府ハ之ニ依ツテ
食糧增產ガ出來ルト思ツテ居ルガ、民間ニ
於テハ資金ヲ得ルコトガ出來ナイ、開墾ト
云フヤウナモノハ、金ハ餘リナイ、併シ
力ト元氣トガアル、サウ云フモノガ開墾
ヲシヨウトスル時ニ、何ノモノニ限ツテ資
金ガ借リラレナイト云フコトニナルト、政
府ノ食糧增產ハ机上ノ計畫ニナツテ實際ニ
行ハレナイコトニナルカラ、容易ナラナイ
コトデアル、ドウ云フ譯デ貸シテ吳レナイ
ノカ、ソレヲ明瞭ニ〓ヘテ貰ヒタイ、是ハ
議會ニ於テ友アタリカラ此ノコトニ付テ
質疑ヲシタ、私ノ自己ニ對スル不信用カラ
借リラレナイナラ宜シイノデアリマスガ、日
本全國ニ於テ斯樣ナコトガアツテハ一大事
デアルカラ、其ノコトヲ〓ヘテ貰ヒタイト
云フヤウナ話ヲ段々進メテ行キマシタラ、
其ノ內ニ無事ニ擔保ナシ、長期償還ノ文句
通リノモノガ借リラレマシタ、ソコデ私ハ千
葉縣ノ耕地整理組合長會議ニ出席シマシテ
此ノコトヲ申述ベテ、千葉縣ニ於テハ開墾
ヲ目的トスル耕地整理組合ハ、政府ノ言フ
低利資金デサヘモ其ノ言フ所ト反シマシテ
借リルコトガ出來ナイコトニナツテ居ツタ
ノガ、私ハ借リマシタ、此ノコトヲ諸君ニ
申上ゲテ置キマスカラ、諸君ガ若シ貸シテ
貰ヘナイヤウナ時ニハ斯ウ云フ前例ガアル
デハナイカト云フコトデ一ツ御願ヒヲシタ
ラ宜イダラウ、斯ウ云フ話ヲシマスト、其
ノ後私ノ友人ガ來テ、アナタガアノ話ヲシ
テ吳レタノデ大變助カリマシタ、私ノ方デ
モドウシテモ駄目ダツタノガ、漸ク政府ノ
低利資金ヲ勸業銀行ヲ通ジテ借リルコトガ
出來ルヤウニナリマシタ、御禮ヲ申シマスト
言ツテ挨拶ニ來ラレマシタ、ソレカラ千葉
縣ハ開墾ヲ目的トスル所ノ耕地整理組合デ
モ、政府ノ低利資金ヲ借リラレルコトニナ
リマシタ、ソコデ現在ノ千葉縣ノ耕地課長
ガ一昨日參リマシタノデ、千葉縣ハ斯ウ云
フ風ニナツテ居ルガ、アナタノ前任地デハ
ドウデアリマシタカト云フコトヲ聽キマス
ト無擔保、長期低利貸付ト云フコトニハ
ナツテ居ルガ、ドウシテモ擔保ヲ出セト云フ
コトニナツテ居ル、サウデナイト一面原野
ハ貸付目標カラ除外シテアルノダカラ、ド
ウシテモ信用ノアル組合ノ役員ノ財產ヲ提
供セシメテ、ソレヲ擔保トシテ貸スト云フ
コトニナツテ居ツテ、ソレモ中々容易デナ
イガ、マアサウスレバ借リラレル、此ノ無
擔保借入ナント云フコトハ到底出來ナイ實
狀デアリマシタ、斯ウ云フ話デアツタガ、
恐ラク是ハ宜シイ方デ、十四五年前ノ千葉
縣ノヤウニ、開墾ヲ目標トスル所ノ耕地整理
組合ニハ貸サナイト云フノガ私ハ全體ノ傾
向デハナイカ、良クトモ千葉縣ノ耕地課長
ノ前任地ニ於ケルヤウナ事情デハナイカ、
斯ウ考ヘマスガ、今日食糧增產ガ國ノ至上
命令トナツテ居リマス時ニ、此ノ二ツノ條
文ノ示シテ居リマス所ガ導キ出シマス斯樣
ナ不合理ト云フモノハ、何トカ是ハ善處シ
テ戴カネバナラナイト思ヒマスガ、之ニ關
シマシテ御考ヘヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=38
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039・山際正道
○山際政府委員 先ヅ御示シノ條文ノ關係
カラ申上ゲマス、第十五條ノ第二項ニ依リ
マスルト、耕地整理ヲ行ヒマスル場合ニ於
テ、無擔保デ貸出ヲナシ得ル規定ガ設ケラ
レテ居リマスルガ、此ノ規定ハ第十五條ノ二
ノ中ニ於キマシテ、只今御示シノ「田、畑云
云」ノ少シ先ヘ參リマシテ、「前條第一項乃至
第四項ノ貸付」ト云フコトガゴザイマシテ、
之ニ依リマシテ第十五條ノ二ノ割增金附勸
業債劵ノ發行ニ依ツテ得マシタ資金ニ依リ
マシテ、十五條第二項、卽チ耕地整理ヲ行
ヒマス爲ノ資金ニ充テルコトガ出來ルコト
ニ相成ツテ居ルノデゴザイマス、第十五條
ノ二ノ規定ハ割增金附勸業債劵ノ發行ニ依
リマスル結果、特ニ比較的安イ利率ノ資金
ヲ勸業銀行ガ得ラレマスノデ、ソレヲ以テ
農村ノ中心的ナ方面へ吝金ヲ流サウト云フ
趣旨ノ規定デゴザイマス、斯樣ナ意味合ニ
於キマシテ、此ノ法律自體カラ申シマシテ
モ、又從來カラノ運營ノ方針ニ致シマシテ
モ、御話ノ如ク、農村ノ〓糧增產ナリ耕地
擴張ナリ、其ノ他緊要ナル方面へ資金ガ能
ク疎通致シマスルコトヲ努メテ參ツテ居ル
ノデゴザイマス、唯偶〓、御話ノヤウナ事態ガ
過去ニ於テアツタト云フコトデゴザイマス
ガ、何等カ此ノ條文ノ關係以外ノ他ノ都合
ニ依リマシテ御話ノヤウナ結果ニナツタノ
デハナイカト想像致サレルノデアリマス、
尙ホ低利資金ヲ耕地整理組合等ニ融通致シ
マスル場合ニ於キマシテハ、其ノ貸出先ノ
選擇ハ、現在ハ勸業銀行ガ致シマセヌデ、
預金部其ノ他政府直接ニ其ノ割當ヲ決定致
シテ居リマス、場合ニ依リマシテ何等カノ
都合デ其ノ決定ノ方ガ遲レマス等ノ爲ニ現
實ニ勸業銀行カラノ貸出ガ遲レル、斯ウ云
フヤウナ場合モアラウカト思フノデアリマ
ス、只今ノ低利資金ノ割當ノ仕方ハ大體今
申上ゲマシタヤウナコトデ進メテ居ル次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=39
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040・吉植庄亮
○吉植委員 今御尋ネシマシタ第十五條ノ
二ニ對スル御答辯ノ後ノ「前條第一項乃至
第四項」ト云フ規定ガアリマスルシ、ソレ
カラ今第十五條ノ耕地整理云々ト私ガ申上
ゲマシタ此ノ規定モアル、「貸付ヲ爲スコト
2/2ト斯ウナツテ居リマスカラ、ソコデ
今申上ゲマシタヤウナ結果ガ出來マシテ、
私自身ニ關スル實例ハモウ十四五年前ノコ
トデアリマスガ、千葉縣耕地課長ノ前任地
ノコトハ昨年デアリマス、是ハ現在モヤハ
リサウ云フヤウニ低利資金ヲ預金部カラ割
當テテ下サル、サウナルト今度ハ借リラレナ
イト云フ心配ハナクナツタ、所ガ今度借リ
ル段ニナリマスト、此處ニ無擔保デ貸スト
云フコトガアルニ拘ラズ、大體ニ於テ擔保
ヲ供シナケレバ貸サナイ、是ガ實情ナノデ
ス、ソレカラ是ハ私ノ先輩デアリマスガ、
ヤハリ勸業銀行關係者デアリマス、其ノ人
ニ私ガ聽キマシタ所、政府ハ斯ウ云フヤウニ
「貸付ヲ爲スコトヲ得」斯ウ規定シテアルダ
ケデ、原野ヲ開墾スル耕地整理組合ニ對シテ
幾許ノ金ヲ貸出ス-「爲スコトヲ得」ト斯ウ
アルカラソコデ貸出ヲシタ、所ガ其ノ事業
ガ途中デ挫折シタ、サウスルト勸銀デハ原
野ガアルノミデ擔保ニ取ルコトガ出來ナイ、
一體誰ガ損害負擔ヲナスカ、政府ガ貸出ヲ
スルコトヲ得ルト云フコトデアルナラバ、
其ノ債務保證ハ政府ガシテ吳レルト云フコト
ニナツテ、勸銀ガ初メテ「スムース」ニ貸出
シ得ル、サウデナイト云フト、ココデ勸銀
トシテハ自營策ヲ執ツテ、擔保ヲ增徵スル
トカ、何等カノコトヲスルコトニナル、是
ガ實情デアル、斯ウ云フコトヲ言ハレマシ
タ、成程勸銀側ト致シマスト、尤モ至極ト
考ヘマス、ソコデ損害ガ出來タノデハ致シ
方ナイ、斯ウナツテ居リマス、是ハ貸出ス
ルコトヲ得トアルノデスカラ、此ノ條文カ
ラ見テ、先ヅ貸出ヲシヨウト云フ意思表示
ノ條文デアルト私ハ思ヒマス、所ガソレガ
實際ニ於テハ無擔保デ貸出ガ出來ナイト云
フノガ現狀デス、是ハ政府ノ債務保證ガナ
イト云フコトニ關聯ヲ致シテ居リマス、
體擔保ヲ增徵スルト云フコトニナリマスト、
是ハ事業ノ進捗ヲ大變阻碍致シマス、農民
ハ自分ノ祖先以來ノ田地田畑ヲ抵當ニスル
ト云フコトヲ非常ニ嫌ヒマス、堅イ人程嫌
フ、ソレヲ一切ノ調印ヲ取ツテ擔保ニ提供
セシメルト云フコトニナルト、此ノ仕事ハ
中々涉リマセヌ、今日ハモウ單刀直入ニド
ンドン食糧增產ニ邁進セネバナラヌ時デア
リマスカラ、斯ウ云フ點ガ、非常ニ差障リ
ニナル、之ニ對シテ何カ御考慮ヲ願ヒタイ、
斯ウ云フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=40
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041・山際正道
○山際政府委員 耕地整理組合ノ事業ヲ進
メマスル爲ノ所要資金ヲ預金部ヨリ融通致
シマス場合ハ、預金部ニ於テ其ノ貸出先ヲ
決定致シ、又貸付條件ヲモ定メテ居ルノデ
アリマス、隨ヒマシテ割當ガ既ニ決マリマ
シタモノニ付キマシテ、更ニ中間ニ於テ勸
業銀行ガ他ノ擔保ヲ要求スルト云フコトハ、
政府資金ノ融通ニ付テハ原則トシテナイ筈
ト實ハ心得テ居ルノデアリマス、偶〓何カノ
都合デサウ云フコトガアルト致シマスレバ、
ソレハ政府ノ趣旨トハ違フ場合モアルト思
ヒマス、今後尙ホ其ノ邊ハ十分注意致スコ
トニ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=41
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042・吉植庄亮
○吉植委員 其ノ御話ヲ承リマシテ安心致
シマシタ、私ノ質問ハ之ヲ以テ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=42
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043・由谷義治
○由谷委員長 午前ノ會議ハ是デ休憩ニ致
シマシテ、午後ハ一時十分カラ開會致シマ
ス、ドウゾ委員ノ諸君モ政府委員ノ諸君モ
時間ノ御勵行ヲ願ヒマス
午後零時十二分休憩
午後一時十八分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=43
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044・由谷義治
○由谷委員長 ソレデハ午前ニ引續キマシ
テ、是ヨリ會議ヲ開キマス-深澤君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=44
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045・深澤吉平
○深澤(吉)委員 私ハ大藏當局ニ二、三ノ質
疑ヲ致シマスガ、農業經營上自由耕作アリ、
制限耕作アリ、又其ノ販賣價格ト云フモノ
ハ一定ノ公定價格ニ依ツテ制約ヲ受ケルト
云フ關係上、舊來ノ金融ニ依ル農業經營上
ニ於ケル金利、斯樣ナ關係ニ付テ大藏當局
ノ御所見ヲ先ヅ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=45
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046・山際正道
○山際政府委員 農業ノ方面ニ於キマシテ
モ、各種ノ方面ニ於キマシテ、種々統制ガ
試ミラレテ居リマスルコトハ御指摘ノ通リ
デアリマスルが、ソレニ對シテ勸業銀行ナ
ドガ用ヒテ居リマスル貸付利率ノ關係ガド
ウ云フ風ニナツテ居ルカト云フ御尋ネデア
リマスルガ、勿論政府當局ト致シマシデモ、
不動產金利ハ極力之ヲ低下セシムル方針ヲ
以チマシテ、相當久シイ以前カラ其ノ實現
ニ努力ヲ續ケテ居ルノデゴザイマス、現ニ
本年ノ一月以降ニ於キマシテモ、御手許ニ
差上ゲマシタ資料ニモアリマスルヤウニ、
極力其ノ利率ノ低下ヲ圖リマシテ、田畑ノ
如キモ從來五分六厘ヲ最高ト致シテ居リマ
シタノヲ五分三厘マデ貸付利率ヲ引下ゲル
ト云フ措置ヲ執リマシタヤウナ次第デアリ
マンク、尙ホ此ノ方針ハ今後ト雖モ之ヲ繼續
スル積リデゴザイマシテ、此ノ邊デ此ノ方
針ヲ止メルト云フ考ヘモ勿論ゴザイマセ
又、尙ホ出來ルダケ努力ヲ續ケタイ考ヘデ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=46
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047・深澤吉平
○深澤(吉)委員 農業經營、殊ニ土地ノ上ニ
立ツ金融ニ付キマシテ、現下速カニ改正シ
ナケレバナラヌ問題ハ、地方的デアリマス
ガ、北海道ニ於ケル土功組合ノ資金整理問
題デアリマス、是ハ大藏當局ニ於テモ既ニ
御承知ノコトト思ツテ居リマスガ、由來北
海道地方ニ於ケル水田經營ハ自然障碍ラ受
ケマシテ、更ニ最近ニ於キマシテハ病蟲害
ト云フヤウナ被害ガ多ク、當初企業上ニ於
ケル錯誤ト云フヤウナコトモ引掛リマシテ、
非常ニ經營ガ困難ニ陷リマシテ、刻下ノ絕
對要請ハ一面ニ於テハ增產ラ要請シ、
面ニ於テハ時局下ニ於ケル肥料關係、勞銀
關係ト云フヤウナモノニ追ハレルト云フヤ
ウナ關係カラ、在來借受ケタ事業資金ニ對
スル金利ト云フモノハ、低利資金ノ運用ヲ
受ケマシテヤツテ參ツテ居ルノデアリマス
ガ、金利負擔ニ付テモ、低利デハアリマス
ルケレドモ、尙ホ且ツ當局ニ於テハ此ノ金
利ニ對シテ中繼スル銀行ノ利鞘ト申シマス
カ、或ハ手數料ト申シマスカ、斯樣ナモノ
ニ對スル御見解ヲ御伺ヒシタイノガ一ツ
其ノ次ニハ還付年限ヲ最高限ニ延長スル
五十年マデ延長スル御考へガアルカドウカ、
此ノ二點ヲ一ツ御伺ヒシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=47
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048・山際正道
○山際政府委員 北海道ニ於キマシテ土功
組合ニ融通ヲ致シテ居リマスル資金ノ整理
問題ガアリマスコトハ、私モ承知致シテ居
リマス、又其ノ結果ガ只今御指摘ノヤウナ
事情ニ基クコトモ能ク承知致シテ居リマス、
而シテ斯樣ナ事實ニ依ツテ現在ヤツテ居リ
マスル低利資金融通ノ利鞘ヲドウスルカト
云フ點デアリマスガ、此ノ點ニ付キマシテ
ハ、斯カル種類ノ資金ノ性質ニ鑑ミマシテ、
當局ト致シマシテハ實費ヲ建前ト致シテ居
リマス、極力費用ノ節減ヲモ圖リマシテ、
相成ベクハ利鞘ヲ低下スルコトヲ考ヘテ居
リマスガ、建前ハ實費ト云フコトデ進ミタ
イ考ヘデゴザイマス、尙ホ最長年限マデ其
ノ期限ヲ延長シテハドウカト云フ御話デゴ
ザイマスガ、此ノ點ハ只今ノ考ヘト致シマ
シテハ、個々ノ組合ノ其ノ事情等ニ基キマ
シテ、出來ルダケ無理ノナイ限度ニ於テ其
ノ期限ヲ延長シタイ、斯樣ナ考ヘデ居リマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=48
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049・深澤吉平
○深澤(吉)委員 能ク諒承致シマシタ、次
ニ預金利子ト貸付金利子トノ差デアリマス
ガ、是ハ取扱銀行ニ於ケル金融額ニ關係ス
ルト思ヒマスルガ、一體此ノ差ト云フモノ
ハドノ位ヲ以テ至當ト見ルカ、當局ノ御所
見ヲ一ツ御伺ヒシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=49
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050・山際正道
○山際政府委員 金融機關ガ吸收致シマス
ル資金ノ「コスト」ト貸付ヲ致シマスル場合
ノ運用利子トノ開キガドノ程度ヲ妥當トスル
カト云フ問題ハ、是ハ其ノ集メテ居リマス
ル資金ノ性質、ソレカラ又運用致シマスル
方法等ニ依リマシテ、一〓ニ申スコトハ甚
ダムヅカシイト思フノデゴザイマス、又只
今ノ御話ノヤウニ金融機關ノ規模ニ依リマ
シテモ、經費ニ相當スル部分ノ割合ガ比較
的多ク要ル場合、比較的少クテ濟ム場合等、
樣々ナル場合ガアラウト思フノデアリマス、
之ヲ理窟トシテ申シマスルコトハ中々ムヅ
カシイノデゴザイマスルガ、大體ニ於テ現
在ノ貸付ノ利益ニ付テハ政府ガ之ヲ監督致
シテ居リマス、先ヅ現在ノ程度ニ於キマシテ
ハ金融機關ノ側ニ於テ不當ナル利益ヲ稼イ
デ居ル、斯樣ナ風ニハ見テ居リマセヌノデ、
現狀ニ於テハ大體適正ナル水準ニ來テ居ル
ノデハナイカ、斯樣ニ見テ居ル次第デゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=50
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051・深澤吉平
○深澤(吉)委員 不動產殊ニ土地等ノ擔保
關係ニ付テ一點御伺ヒ致シマス、生產擴充
食糧增加ト云フヤウナ見地カラ、地方ニ依
リマシテハ所有權ノ移ツテ居ル原野ヲ開墾
致シテ居リマスガ、其ノ場合ニ金融上不便
ノ點ガ多々アルノデアリマス、例ヘバ銀行
デ申シマスナラバ、其ノ土地ノ收益如何、
收益ヲ前提トシテノ金融ト云フヤウナ事實
ニテツテ居ルノデアリマスケレドモ、刻下
ノ絕對要請ハ食糧ノ增產ニアル、然ルニ食
糧增產ノ前提トシテ資金ガ要ルト云フヤウ
ナ、ソコニ矛盾性ヲ見出スノデアリマス、
斯樣ノ點ニ對スル當局ノ御所見ヲ一ツ御伺
ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=51
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052・山際正道
○山際政府委員 現在生產擴充ノ中ニ於キ
マシ、テモ、食糧ノ增產ノ方面ニ於テ非常ニ
努力ヲシナケレバナラヌ點ノ多イコトハ御
話ノ通リデアリマスルガ、此ノ場合ニ必要
ナル資金ヲ如何ニシテ調達スルカ、開墾セ
ラルベキ土地ハ何等マダ收益ヲ擧ゲテ居ラ
ヌ土地デアルカラ、直チニ是ガ擔保ニハナ
ラナイ、然ラバ如何ニシテ是等ノ耕作者ガ、
其ノ資金ヲ調達出來ルカト云フ御尋ネト承
ツタノデアリマスルガ、斯カル場合ニ備ヘ
マシテハ、是ハ午前ノ委員會ニ於テモ御話
ガ出タノデアリマスルガ、例ヘバ耕地整理
法ニ依ル耕地整理組合、又ハ其ノ聯合會ニ
對シ、若シクハ耕地整理ノ共同施行者ニ對
シマシテ、連帶デ借用ヲ申出デマシタヤウ
ナ場合ニハ無擔保デ金ヲ融通スルコトカ出
來ルトカ、或ハ又五人連帶ノヤウナ場合ニ
於キマシテハ無擔保デ開墾其ノ他農業上ノ
資金ヲ融通シ得ルトカ、法律ノ建前ト致シ
マシテハ樣々ナル道ヲ設ケテ居リマシテ、
必要ニ應ジテ斯カル場合ニ於テハ擔保ヲ徵
セザル資金ノ調達ガ行へルヤウニ配慮致シ
テアル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=52
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053・深澤吉平
○深澤(吉)委員 次ハ延滯利子ノ問題デア
リマスガ、自由經濟ノ時代ニ決メテ延滯利
子ト申シマセウカ過怠金ト申シマセ、ウカ
斯樣ナモノヲ今尙ホ續行シテ居ルヤニ承知
致シマスガ、之ニ對スル當局ノ御所見ヲ一
ツ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=53
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054・山際正道
○山際政府委員 延滯利子ノ限度ニ付キマ
シテハ大體政府ノ方ニ於キマシテ之ヲ監
督致シテ居リマシテ、漸次引下ゲツツアル
ノデゴザイマス、併シナガラソレハ最高ヲ
押ヘテ居ルノデアリマシテ、實際今ヤツテ
居ル所ヲ申上ゲマスレバ、延滯シタヤウナ
場合ニ於テモ特ニ延滯ノ故ニ利息ヲ增加ス
ルト云フ取扱ヲ致シテ居リマセヌノデ、延
滯ヲシタヤウナ場合ニ於キマシテモ此ノ基
本ニナツテ居ル約定利率ヲ以テ其ノ延滯期
間ニ相當スル利息ヲ支拂ツテ戴イテ居ル、
斯樣ナ取扱ヲ實際上致シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=54
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055・深澤吉平
○深澤(吉)委員 終リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=55
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056・松田正一
○松田(正)委員 關聯ガアリマスカラ、此
ノ際一寸勸業銀行ニ付テ承ツテ見タイト思
ヒマス、午前中カラ大分勸業銀行ニ付テ質
問應答ガセラレマシテ、私ハ勤業銀行ノコ
トダケニ付テハ質問ヲ致サヌ積リデアリマ
シタガ、少シ其ノ質問應答ノ結果ドウモ複
雜ニナツタヤウニ思ヒマスノデ、簡單ニ承
ツテ置キタイト思フノデアリマス、勸業銀
行ノ貸付ハ、現在擔保トナツタモノカラ收
益ガ得ラレ、ソレヲ以テ辨濟ガ出來得ルト
云フコトヲ根本ニ置イテ貸付ヲシテ居ルノ
デハナイカト云フコトニ付テ伺ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=56
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057・山際正道
○山際政府委員 勸業銀行ガ擔保ヲ徵シ
マシテ資金ヲ融通致シマスル場合ニ、其ノ
擔保トナリ得ル物件ハ、收益性ノアル物件
デアルコトヲ原則ト致シテ居リマスルコト
ハ、是ハ通常ノ金融ノ場合ニ於ケル擔保ノ關
9
係カラ致シマシテ必然ナコトデアラウト思
フノデアリマス、唯擔保物件ハ收益性ヲ持
ツト云フコトガ一ツノ要件デハアリマスル
ケレドモ、具體的ノ貸出ノ利子ガ、其ノ擔
保物件ノ收益ニ依ツテ支拂フコトニナツテ
居ルカト云フ關聯性ニ至リマシテハ、必ズ
シモソレハ當然ソレヲ豫定シテ居ルトカ、
其ノ間ニ必然的ナ關係ヲ持ツテ居ルトカ云
フコトデハナカラウト思フノデアリマス、
卽チ擔保物件カラノ收益ニ必ズシモ期待致
シマセヌデモ、債務者ノ他ノ資產デアルト
カ、或ハ信用デアルトカ、其ノ他ノ各般ノ
事情ヲ取入レマシテ融通ガ行ハレテ居ルト
考ヘルノデアリマシテ、ソコニ必然的ナ關
係ハ考慮セラレテハ居ナイノデハナイカト
考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=57
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058・松田正一
○松田(正)委員 ソレハ必然的トハナツテ
居ラヌカモ知レマセヌガ、ソコデ午前中
モ原野ノ問題ガ起ツタノデハナイカト思
フ、原野ハ收益ガ無イノデ勸業銀行、農工
銀行等ノ擔保ニナリ難イ、尤モ今ハ段々ソ
レガ緩和サレテ居ルヤウデスガ、マダ地方
デハ擔保物ノ收益ガ、割賦辨濟ヲナスニ足
ルベキ收入ノナイ場合ハ貸サナイト云フノ
デ、拒ンデ居ル事實ガ澤山アリマス、ソレ
ガ今ノ問題ニナルノデハナイカト思ヒマス
ノデ、此ノ點ヲハツキリ伺ヒタイト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=58
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059・山際正道
○山際政府委員 債務者ガ資金ノ融通ヲ受
ケマスル場合ニ、其ノ擔保物件ヨリ上リマ
ス所ノ收益以外ニ何等期待シ得ベキ所ノ收
入ガナイト云フヤウナ場合ニハ、勢ヒ其ノ
擔保物件ノ收益性ニ相當重キヲ置クト云フ
コトハ免レ難イ所デアラウト思フノデアリ
マンク、併シナガラ實際ノ場合ニ於キマシテ
ハ單ニ其ノ擔保物件ノ收益ノミニ着眼ス
ルコトナク、例ヘバ今御話ノ原野ノ問題ニ
致シマシテモ、相當個人的ニ其ノ借入人ノ信
用ガアリマス場合ニ於キマシテハ、其ノ者
ガ一定ノ條件ニ從ツテ連帶ヲシテ申込ミマ
シタヤウナ場合、無擔保デ其ノ資金ヲ融通
スルト云フヤウニ對人信用ニ依ル資金ノ融
通ノ道モ相當考ヘラレテ居ルノデアリマシ
テ、ソレラヲ通ジテ見マスル場合ニ、全體
トシマシテ必ズシモ擔保物件ノ收益ノミニ
着眼ヲ致シテ居ルノデハナイ、斯樣ニ申シ
得ルト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=59
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060・松田正一
○松田(正)委員 ソレハ今度ノ改正法律案
ニ於テモ範圍ハ廣クナツテ居リマス、ソレ
デ段々緩和サレテ來テハ居ルヤウデアリマ
スガ、午前中ノ質問應答デ問題ニナツタノ
ハサウ云フ點デハナイカト思フ、體信用
貸ト云フモノハ今ノ所デドノ位アルカ、ソ
レヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=60
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061・山際正道
○山際政府委員 手許ニアリマス材料ハ昭
和十六年上半期末ノモノデスガ、ソレニ依
ルト勸業銀行ニ於テハ有抵當貸付ノ現在高
ハ九億六千六百万圓デアルノニ對シテ、無
抵當貸付ハ二億二千八百万圓ニナツテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=61
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062・松田正一
○松田(正)委員 ソレガ地方デハ信用貸ト
云フモノハ大部分拒マレテ居ルヤウニ見受
ケラレマス、近頃段々貸付ケラレルヤウニ
ナツテ來テハ居リマスガ、モウ一段ノ御考
慮ヲ願ヒタイ、一例ヲ中上ゲテ伺ヒマスガ、
田地ヲ五町半、宅地ヲ三千七百六十坪、建
物ガ一千四百二坪、是ダケ所有シテ居ル者
ガ息子ヲ〓育ヌル爲ニ親戚其ノ他高利貸カ
ラ一万五千圓餘ノ借財ガ出來タ、高利貸カ
ラ最初一万五千圓借リタモノガ、借替へ借
替ヘヲシ、手數料ヲ拂ヒナドシテ四年半ニ
九万三千百圓ニナツタ、此ノ儘デ行ツタナ
ラバモウ一年カ二年デ財產ハ少シモ無クナ
ツテシマフ、勿論幾ラカ自作農モヤツテ居
ルシ、小作モ取立テテ居ル、ソレヲ相談ヲ
受ケタノデスガ、ソレデ色々考ヘテ見テ、
是ハ勸業銀行デ一部救濟ハシテ貰ヘヌノカ
ト言ツタ事實ガアルノデスガ、之ヲ放ツテ
置クト、モウ二年モ經タヌ內ニ全財產ガナ
クナツテシマフ、高利貸ノ餌食ニナツテシ
マフ、斯ウ云フモノハ勸業銀行デ救濟ニナ
ルデセウカドウデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=62
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063・山際正道
○山際政府委員 只今ハ非常ニ不幸ナル具
體的ノ例ヲ御擧ゲニナリマシテ、其ノ救濟
方法ニ付テノ御尋ネデアリマスガ、直チニ
其ノ實例ニ當篏マルカドウカハハツキリ分
リマセヌガ、只今ハ御承知ノ如ク農村負債
整理法ニ依リマシテ、農村負債ノ處理ヲ
進行セシメツツアリマス、又不動產融資及
ビ損失補償法モ施行中デアリマス、之ニ依
リマシテ適正ナル金利ニ依ル通常ノ不動產
金融機關ヘノ肩替リノ方法モ設ケテアリマ
ス、差當リ不動產擔保債務ノ整理方法ト致
シマシテハ、ソレ等ノ整理方法ガ活用セラ
レルノデハナイカト思フノデアリマスガ、
ソレガ的確ナル今御擧ゲノ例ニ該當スルカ
ドウカハハツキリシタコトハ申上ゲ兼ネマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=63
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064・松田正一
○松田(正)委員 サウ云フ場合ニハ勸業銀
行ハヤハリ借リニ行ツテテモ貸サヌト云フコ
トニナルノデスカ、外ニ融資方法モアリマ
スシ、肩替リ方法モアルコトハ承知シテ居
リマスガ、ソレハ高利貸シカラソンナ高イ
金ヲ借リテ居ル債務者デアリマスカラ、ソ
ンナ法的ナ考ヘモ何モナイ、唯不動產デ
貸シテ吳レルノハ勸業銀行ダト實ハ思ツテ
居ル、ソレデコンナ場合ハ借リニ行ツタラ、
勸銀デ貨スノカ貸サヌノカ、外ノコトハ別ニ
致シマシテ、今聽イテ居ルノハヽ勸業銀行
デ是ガ借レルノカ借レヌノカ、勸業銀行ハ
コンナ者ヲ救濟スル銀行ヂヤナイノダラウ
カドウカト云フコトダケ承ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=64
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065・山際正道
○山際政府委員 勸業銀行ト致シマシテハ
只今ノヤウナ御話ノ場合ニ於キマシテハ、·
其ノ擔保トナツテ居リマスル不動產ノ鑑定
價格ノ範圍內ニ於キマシテ、從來ノ規定ニ
依リマスト三分ノ二ト云フコトデアリマ
シタケレドモ、其ノ規定ノ制限ヲ受ケズニ
ソレ以上、恐ラクハ鑑定價格ヲ以チマシテ
肩替リスル方法ガ、只今申上ゲマシタ不動
產融資及ビ損失補償法デ出來ルノデアリマ
ス、又只今申上ゲマシタ負債整理ノ方法ニ
依リマスレバ、債權者ニ對シテ相當ノ讓歩
ヲ求メル、或ハ他ノ金融機關ヘノ其ノ結果
トシテ肩替リヲ容易ナラシメル、左樣ナ途
ガ設ケラレテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=65
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066・松田正一
○松田(正)委員 勸業銀行デ借レルノカ借
レヌノカト云フノデスガ、ソレヲ答ヘテ貰
ヘバ宜イノデス、外ノ途ハ分ツテ居ルノデ
ス、コンナ場合ハ勸業銀行デ借レルノカ借
レヌノカ、擔保物ノ評價ノ三分ノ二デアツ
タノガ三分ノ三ト、法律ハソンナ風ニ變ツ
テ行クコトニナツテ居リマスケレドモ、ソ
レヲ言フノヂヤナイ、コンナ場合ニハ勸業
銀行ハ救濟シテヤレルノカヤレナイノカト
云フコトヲ聽イテ居ルノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=66
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067・山際正道
○山際政府委員 勸業銀行ガ扱ヒマスノハ、
サウ云フ御示シノヤウナ場合ハ、恐ラクハ
擔保デ取レル限リニ於テ肩替リスルト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=67
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068・松田正一
○松田(正)委員 ドウモ恐ラクトカ何トカ
言フコトデナク、是ハスツパリ貸付ヲスル
ノカドウカ、勸業銀行ノ營業カラ見テ當然
貸付ケナケレバナラヌ、、價格ノコトヲ言フ
ノヂヤナイ、コンナモノニ對シテハ當然貸
付ケテ行カナケレバナラヌ義務ガ營業ノ上
カラ言ウタラアルノヂヤナイカ、價格ヲ一
パイニ見テ肩替リ出來ルダラウト言フノデ
スカ、其ノ價格デアリマスガ、ソレハ今マ
デ三分ノ二ト云フノデアツテ、今度ハ價格
一パイ見ルト云フノデスガ、コンナヤウナ
コトハ見方ニ依ツテハ甚ダ相違ガアリマシ
テ、或ハ水掛リガ惡イトカ、或ハ耕地整理
ガ未完成ダトカ、色々ノ理窟ハ附ケヨウト
思ツタラ附クノデアリマス、三分ノ二トカ
一パイト云フヤウナコトガ書イテアリマス
ケレドモ、ソンナ改正ハ何ニモナラヌ、之
ヲヤルト言ツテ、價格ヲ高ウ見ヨウトスレ
バ高イヤウニ理窟ヲ附ケルシ、安ク見ヨウ
ト思ツタラ安イ理窟ヲ附ケルシ、借主カラ
言フ理窟ト云フモノハ勸業銀行ハ相手ニス
ベキモノヂヤナイ、又相手ニシテハ弊害モ
起ルデセウケレドモ、今承ツテ居ル所ニ依
ルト、擔保物ノ價格アルダケハ是ハ肩替リ
出來ルダラウト云ヘバ、是ハモウソレデ宜
イノデスガ、其ノ擔保物ノ價格ダケ貸付ケ
テ居ルカドウカハ、事實ニ於テハ大分違ツ
テ居ルノデ、ソンナノハ相手ニシマセヌ、
ト云フノハ自作農ガ、午前中ノ吉植君ノ質
問ニアツタノデスガ、自作ガ今ノ場合ニ七
反程デアトハ小作、其他ハ小作カラ上ツテ
來ルノヲ一ツノ收入トシテ、其ノ額ガ出テ
行クカト云フト出テ行カナイ、サウスルト貸
付ケヌト言フ、ソレデドウ云フ風ニナツテ
行クカト云フト、吉植君ノ如クヤハリ小作
ニ取ツテ居ル利息ガ所謂三分五厘、ソレデ
五分五厘ノ利息ヲ拂ハナケレバナラヌトス
ルトソレハ返シテ行ケマセヌ、ソレデ地
方ニ於テハ色々ナ問題ガ起ルノデスガ、斯
ウ云フヤウナコトヲ根本的ニ何カ解決スル
方法ハナイモノデセウカ、他ノ肩替リノ融
資其ノ他ハ別ト致シマシテ、勸業銀行自身
トシテ何カ是等ノモノヲ救濟スル便法ハナ
イモノデセウカ、實際ハ是ハ貸シテ居ラヌ、
實際ハ收入ガ得ラレテソレデ返シテイケナ
イノデスカラ、又ソレデ高利貸カラ九万三
千圓モ借リテ居ルノダカラ、ドウセ勸業銀
行ハ一番ノ抵當デナケレバ取ラヌノデス、
ダカラ勸業銀行ハ九万三千圓ト云フモノヲ
貸サナンダナラバ、債務者ハ返シテ其ノ餘
力ヲ見ルコトハ出來マセヌ、ト云フノハ皆
擔保ノ抵當ヲ食ツテシマヒマス、二番デ承知
シテ吳レ-勸業銀行ガ一番デアルモノガ、
アトハ二番デ承知シテ吳レルカト云フト、
ソンナコトハ承知シテクレマセヌ、結局價
格如何ニ拘ラズ、斯ウ云フモノニハ貸付ハ
出來ヌト云フコトニ結論ガナル、ソレニ二、
三ノ勸業銀行ノ支店ニモ私當ツテ見マシタ
ガ、斯ウ云フヤウナモノモ大分アルヤウニ
承ツテ居リマスガ、是ハ今一時ニ機構ヲ全
然變ヘテシマフト云フ譯ニハ行カヌカモ知
レマセヌガ、何カ斯ウ云フ際ニ一ツ勸業銀
行ガ出テ救濟スル方法ガ大藏省ノ方デ御考
ヘニナレヌモノデアラウカト云フコトヲ伺
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=68
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069・山際正道
○山際政府委員 勸業銀行ト致シマシテモ、
其ノ力ノ許ス範圍ニ於テ、極力農村方面ニ
於ケル負債整理ニ貢獻スベキコトハ、私ハ
勸業銀行ノ使命ノ一ツデアルト信ジマス、
併シナガラ一面ニ於キマシテ勸業銀行ガ其
ノ自力ヲ以テ此ノ負債整理ノ爲ニ働キ得ル
限度ト云フモノハ、ソコニ自ラ一定ノ程度
ガアラウト思フノデアリマス、只今ノ御話
ハ九万何ガシカノ負債ヲ直チニ全部肩替リ
スルト云フコトデアリマスレバ、其ノ御話
ハヤハリ其ノ適當ナル限度ヲ超過シタ御話
デハナイカト思フノデアリマス、ドウ致シ
マシテモ其ノ超過部分ニ付キマシテハ、或
ハ債權者ニ讓歩ヲ求メルナリ、所謂負債ノ
整理ヲ致シマシテ、一定ノ目途ガ立チマシ
タ上ニ於テ、勸業銀行ナリ或ハ其ノ他ノ機
關ナリガ、其ノ力ノ及ブ範圍ニ於テ肩替リ
ヲシテ行ク、斯ウ云フ手續ヲ履ムヨリ致シ
方ガナイカト思フノデアリマシテ、直チニ
全部ニ付テ不動產銀行ノ肩替リヲ促スコト
ハ困難ナヤウニ考ヘラレマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=69
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070・松田正一
○松田(正)委員 ソレハ價格ノ點ハサウ云
フ風デスガ、皆ソレヲ見マシタ所ガ、十七
万圓バカリノ評價ガアル、所デ十七万圓ノ
評價ガ銀行デシタ評價ナラバ、ソレハ三分
ノ二デスカラ貸サヌ譯ニ行カヌコトニナル
ノデセウガ、唯モウ門前デ斷リタイガ爲ニ
特ニ見積價格ヲ低クシテ、債務者ガソレダ
ケノ金ヲ借リテ肩替リ出來ヌト云フ所ニ陷
レテ拒ンデ居ル、斯ウ云フ事實デアリマス、
サウ云フコトガアツタ場合ニモ、是位ハ評
價ニ付テノ改正ガアルノデスカラ、銀行ノ
ミデ評價ヲ考ヘルト云フコトニナツタラ勝
手氣儘ナ評價ヲスル、デスカラ評價ヲスル
上ニ第三者トシテ信用ノ出來ルヤウナ何カ
一ツノ機構ガ新シク設ケラレル必要ガアル
ノデハナイカト思ヒマスガ、ソレニ對シテ
御意見ガアレバ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=70
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071・山際正道
○山際政府委員 不動產價格ノ鑑定ハ他ノ
有價證劵等ト違ヒマシテ、所謂客觀的ナ時價
ナルモノヲ立テルコトガ中々難シイヤウナ
物件デアリマスルカラ、隨ヒマシテ一律ニ誰
ガ見テモ此ノ標準ニ受取レルト云フヤウナ
客觀的標準ヲ作ルコトハ困難ナ事情ニアル
カト思フノデアリマス、併シナガラ銀行ト
致シマシテモ、旣ニ不動產金融業ヲ始メテ
カラ長イ歴史ヲ經過致シテ居リマスシ、其
ノ間當局モ銀行ト一〓ニナリマシテ、御話
ノヤウナ鑑定方法ナリ又融通ノ方法ナリニ
付テ種々〓究ヲ重ネテ參ツテ居ル今日ノコ
トデアリマスカラ、銀行ト致シマシテ鑑定シ
テ居リマス所ガ著シク不當ナ場合ト云フヤ
ウナコトハ、漸次少クナツテ參ツテ居ルノ
デハナイカト思フノデアリマス、尙ホ此ノ
點ハ將來トモ能ク私共トシテ留意致シマシ
テ、其ノ鑑定ガ適正ナ程度ヲ逸シマセヌヤ
ウニ十分考ヘテ參リタイト思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=71
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072・松田正一
○松田(正)委員 結局三分ノ二ト云フノト
一パイト云フノト法律ハ改正ニナリマシテ
モ今ノ所何カ公平ナ鑑定ヲスル方法ガナ
ケレバ、此ノ改正ハ何ニモナリマセヌ、事
實何ニモナリマセヌ、デスカラ其ノ點ヲ考
ヘテ置イテ貰ヒタイ、法制局長官モオイデ
ニナツテ其ノ方ノ順序ガ出來テ居ルサウデ
スカラ、私ハ一寸玆デ止メテ他ノ方ニ讓リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=72
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073・由谷義治
○由谷委員長 法制局長官ガ見エマシタカ
ラ川俣君ニ保留質問ヲ許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=73
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074・川俣清音
○川俣委員 此ノ委員會ニ掛ツテ居リマス
ル戰時金融金庫及ビ勸業銀行ノ改正ニ伴フ
要點カラ致シマシテ、政府ハ日本ノ國防力
ノ增大發展ノ爲ニ新規ノ企業ノ計畫ヲ要ス
ルモノ、或ハ擴張ヲ要スルモノ、或ハ原料
生產確保ノ爲ニ採算ヲ割ツテモ尙ホ操業ヲ
要スルモノ等ニ對シテ金融ヲスルヤウデア
リマスガ、其ノ中デ時局產業ト致シマシテ、
軍需產業ト致シマシテ、原料生產ガ主ナル
モノダト思フノデアリマス、ソコデ私ハ法
制局長官ニ御尋ネ致シタイノデアリマスガ、
日本ノ鑛業法ハ諸外國ノ鑛業法ト、大體模
倣デアリマスカラ同樣デアリマシテ、鑛業
權ハ物權ト致シマシテ不動產ニ關スル規定
ヲ準用スル、鑛業權ハ不可分トスト云フヤ
ウナコトデ、鑛業法ノ十五條、十六條ニ明
確ニナツテ居リマス、又其ノ鑛業法ノ發展
ノ歷史カラ見マシテモ、土地ノ所有權ヨリ
獨立シテ、鑛業權ト云フモノガ發生致シマ
シタ歷史カラ見マシテモ、地下資源ノ開發
ハ土地所有權者ニノミ一任スベキモノデハ
ナクシテ、之ヲ國家ノ爲ニ開發ヲ期待シナ
ケレバナラヌト云フ所カラ、土地所有權カ
ラ分離致シマシテ、所謂地下埋藏資源ノ開
發ノ爲ニ出來タ法律デアリマス、隨テ大體
所有權ト同樣ナ權利ヲ鑛業權ニ認メテ居ル
ト私共ハ考ヘテ居リマスガ、サウ御解釋ニ
ナツテ居リマスカ、其ノ點ヲ御尋ネシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=74
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075・森山鋭一
○森山政府委員 鑛業權ノ法律上ノ性質ニ
付テ御見解ヲ御述べニナリマシタガ、私モ
大體同ジヤウニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=75
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076・川俣清音
○川俣委員 ソレデ御尋ネシタイノデス
ガ、大體鑛業法ノ重點ガ鑛業法第四十條「鑛
業權者正當ノ理由ナクシテ登錄ノ日ヨリ一
箇年以內ハ事業ニ著手セス若ハ一箇年以上
休業シタルトキ又ハ施業案ニ依ラスシテ採
掘ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ鑛業權ヲ取
消スコトヲ得」又三十九條ニハ「鑛業公益ヲ
害スルモノト認メタルトキハ主務大臣ハ鑛業
權ヲ取消スヘシ」ト云フコトニナツテ居リマ
スガ、大體公益ヲ害スルト云フノハ今マデ
ハ保安警察ノ上カラノミ考ヘラレテ居ルヤ
ウデアリマスガ、日本ノ產業ノ全體カラ見
マシテ今日ノヤウナ大東亞戰爭ノ下ニ於テ
國防力ヲ增大シナケレバナラヌ場合ハ、凡
ユル生產方面カラ見テ尙ホ公益ヲ害スルト
云フ風ニ擴大シテ考ヘラレナイノデアルカ
ドウカ、此ノ點ヲ御尋ネ致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=76
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077・森山鋭一
○森山政府委員 鑛業法第三十九條ノ公益
ノ解釋デアリマスガ、此ノ公益ノ解釋ニ付
テ今御話ニナリマシタヤウナ廣イ解釋ガ出
來ルカドウカハ私ハ今一寸ハツキリ御答辯
シ兼ネマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=77
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078・川俣清音
○川俣委員 大體今マデノ通說ハ保安上ダ
ケニナツテ居ルノデアリマスガ、ナゼ保安
上ダケニナツテ居ルカト云フト、鑛業權ヲ
非常ニ重大ニ認メテ居ツタ爲ニ、特別ニ危
害ヲ與ヘナイ限リニ於テハ鑛業權ヲ尊重シ
ヨウト云フ建前デアラウト私ハ思フノデア
リマス、ソレデ擴大解釋ガ出來ナイデ居ル
ノデハナイカト思ヒマス、ソコデ更ニ話ヲ
進メテ行キタイノデアリマスガ、鑛業權ニ
ハ御承知ノヤウニ處分ノ規定ガアツテ「鑛
業權ハ相續、讓渡、滯納處分及强制執行ノ
目的タルノ外權利ノ目的タルコトヲ得ス但
シ採掘權ハ抵當權ノ目的ト爲スコトヲ得」
ト云フコトデ、鑛業財團ヲ作ツタリ、鑛業權
ヲ抵當物件トスルコトヲ許シテ居リマス、隨テ
其ノ反對ト致シマシテ、鑛業權一般ノ處分能
力ニ制限ヲ加ヘテ居リマスノハ鑛業警察上ノ
責任ヲ十分ニ盡サセルト云フコトハ論ヲ俟タ
ナイ、隨テ鑛業權ヲ斤先掘ト稱シテ鑛業權ノ
賃貸借ヲナス慣習等ハ大體認メナイ解釋デ
アルト云フコトガ通說デアリマスガ、大體
同樣御考ヘニナツテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=78
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079・森山鋭一
○森山政府委員 所謂斤先掘ト云フモノハ
政府トシテハ大體認メナイ方針ニナツテ居
ルト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=79
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080・川俣清音
○川俣委員 鑛業法ノ。四十三條、四十四條、
四十五條等カラ見マシテ、鑛業權者ト云フ
モノハ誠實ニ採掘ヲナシ、其ノ採掘ニ基イ
テ色々ナ企業計畫-鑛業法デハ施業案ト
申シマスガ、色々テ企業計畫ヲ付ケマシテ
許可ヲ要スル、其ノ許可ニ基イテ鑛區稅ヲ
納入シテ鑛業權ヲ明確ナラシメテ居ルノデ
アリマスガ、ソコデ問題ハ具體的ニナリマ
スガ、鑛區稅ト云フモノハ御承知ノ通リ前
拂ヒデアリマス、前年拂ヒデアリマス、所
ガ今度企業許可令ニ石炭ノ採掘權ガ許可ヲ
要スルヤウニナリマシタ、大體企業許可令
ノ本體ハ企業ノ整備ニアルコトハ政府ノ說
明ニ依ツテ是ハ明瞭デアルヤウデアリマス、
又許可令ト申スケレドモ、大體不許可令デ
アルコトモ政府ノ聲明ニ依ツテ明ラカナヤ
ウデアリマス、サウ致シマスルト、企業許
可令ノ狙ツテ居ル所ハ、企業合同、所謂事
業ノ整備ニアル、ソコデ事業ノ整備以外ノ
物權デ此ノ企業許可令ニ入ツテ居ルノハ石
炭ノ採掘權ダケデアリマス、外ノ事業ハ事
業權デアリマス、一方カラ言フト施業案、
事業計畫ニ基イテ計畫書ヲ出シテ、ソレニ依
ツテ認可ヲ受ケタ鑛業權ガ又企業許可令ニ
依ツテ認可サレナイト云フコトニナリマス
ルト、鑛業權ヲ否定スルヤウナ傾キニ相成
ルノデハナイカト思ヒマスガ、此ノ點ニ付
テノ所見如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=80
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081・森山鋭一
○森山政府委員 今ノ御質問ハ大變難カシ
イ御質問デアリマスガ、最近ノ統制法規ト
云フモノハ從前アル所ノ事業法規トカ、其
ノ他鑛業法ノ如キ一種ノ物權ヲ發生サセル
ヤウナコトヲ規定シテ居ル法規、サウ云フ
モノノ上ニ網ヲ被セタヤウナ形ニ行ツテ居
ルノデス、勿論法規ニ依リマスレバ、事業
法規自體ノ中ニ制統ノ色彩ヲ非常ニ濃厚ナ
程度ニ持ツテ居ルモノモアリマスケレドモ、
鑛業法トノ關係カラ言フト、鑛業法自身ハ
別ニ統制的ノ色彩ノ規定ヲ持ツテ居ナイ、
其ノ儘ヤルト、言葉ハ非常ニ惡イケレドモ、
唯權利ヲ自由ニ使ツテヤツテ行ク、種ニン
施業案ヲ立テテ、ソレサヘ差支ヘナケレバ、
其ノ儘ヤツテ宜シイト云フコトニナルノデ
アリマスガ、唯ソレダケデハ困ルノデ、他
ノ一般ノ國家ノ統制ノ見地カラ產業能率ヲ
最高度ニ發揮サス爲ニ、ドウシテモ別ノ見
方カラ統制法規ヲ作ラナケレバナラヌ、換言
スレバ從前ノ儘ノ法規ヲ其ノ儘適用シテ、國
家ノ最高目的ニ事業ノ經營ガ合シテ行クヤ
ウニスル爲ニハ、ドウシテモ別ノ見地ノ統
制ヲシナケレバナラヌト云フ所カラ、企業
許可令ノ上ニ統制法規ガモウ一ツ被ツテ來
ルト云フコトニナルト思フ、其ノ爲ニ從來
持ツテ居ル權利等ガ或ル程度ノ制限ヲ受ケ
ルトカ云フヤウナコトハ、統制法規ノ當然
ノ結果トシテ巳ムヲ得ナイノデハナイカト
思フノデアリマス、唯既存ノ權利ハ成ベク
尊重シテ行カナケレバナラヌノデアリマス
ガ、統制ノ結果或ル制限ヲ受ケテ持ツテ居
ル權利ガ實際ノ效果ヲ發揮シナイ狀態ニ立
到ルコトハ、是ハドウモ已ムヲ得ナイノデ
ハナイカト思フノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=81
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082・川俣清音
○川俣委員-私ハ大體長官ト考ヘハ同ジデ ス、同ジ點カラ尋ネテ居ル、去年ノ議會ニ
於キマシテ、私ハ建議案ヲ出シテ、鑛業法
ガ不備デ現在ノ目的ヲ達成スルコトガ出來
ナイカラ、此ノ法規ラ事業法規ニ改正シタ
ラドウカト云フ建議案ヲ出シタ、時ノ政府
ハソレマデニ立到ツテ居ラナイ、)其ノ法
規ヲ十分活用スルコトニ依ツテ其ノ目的ヲ
達成スルコトガ出來ルト云フ答辯ヲシテ居
ル私ハ改正ノ要點ヲ縷、述ベテ居ルノデ
ス、又政府ハ此ノ重要鑛物增產法ニ基イテ
不備ナルモノハ其ノ目的ヲ達成スルコトガ
出來ルト答辯シテ居ル、今日マデノ日本ノ
鑛業界ノ發展ノ上カラシテ之ヲ整備シナケ
レバナラナイト云フ意見ハ、私モアナタ以
上ニ熱烈ニ持ツテ居ル、ケレドモ之ヲ適用
スル場合ニ於テ寧ロ私ハ鑛業法ヲ改正シテ
其ノ目的ヲ達成スベキデアルト云フ點
ニアルノデス、唯企業許可令ノ中ニ、ヤハ
リ一ツノ鑛業法ノ求メタ物權デアルカ
ラソレヲ制限スルコトハ決シテ惡クハナ
イ、鑛業法ニ基イテ制限ヲシ公益ヲ害スル
ナラバ施業案ヲ變更スルト云フ法規モアル
カラ、ソコマデ加ヘテ行カナケレバナラス
ト思フ、大體意向ヲ聽イテ見ルト、斤先掘
ガ現實ニアルノデアル、ソレヲ今統合シナ
ケレバナラヌノデ、斯ウ云フ規定ヲ入レタ
ト云フノガ大體ノ意向向ヤウデアル、一方
ニ於テ鑛業權ハ斤先掘ヲ認メテ居ナイ、是
ハアルモノナリトシテ許可令ヲ設ケタト云
フコトニナルナラバ、ドウシテモ是ハ矛盾
ガアルノデハナイカ、ドウシテモ解決
シナケレバナラヌノデパナイカト思フ、或
ハ興業銀行等モ物權抵當權ト致シテ貸付ヲ
致シテ居ルヤウデアリマス、或ハ鑛業財團
ヲ設ケテ居ル爲ニ鑛業財團ニ對シテモ非常
ナ貸付ヲ致シテ居リマス、ソレガ設備致シ
テ居リマスル事業ガ許可ヲ受ケナケレバナ
ラヌ、大體政府ノ答辯ニ依リマスト、石炭
ニ付テハ、採掘權ニ對シテ全部許可スル方
針ナラバ、敢テ許可令ノ中ニ之ヲ加ヘル必
要ハナカツタデハナイカ、試掘權ノヤウナモ
ノデアルカラ曖昧ニシテ置クト云フナラバ
企業許可令ニ加ヘル必要ガアルカモ知レ
ヌガ、試掘權ノ如キ事業ヲシナケレバ權利
ヲ剝奪スルト云フノガ鑛業權ノ建前デアル、
一年以內ニ事業ヲシナケレバナラヌ、又施
業案等ニ基イテ事業ヲシナケレバナラヌト
云フ義務ヲ負ハシテ居ル、一方ニ於テ施業
案ヲ認メ、事業計畫ヲ認メ、ソレデ採掘權
ヲ許可シテ居ル而モ監督ヲシテ居ル、所
ガ一方ニ於テヤハリ企業許可令ニ基イテ企
業許可ノ申請ヲシナケレバナラヌ、私ハド
ウシテモ玆ニ矛盾ガアルト思フ、又一方ニ
於テ鑛業權ハ稅金ハ前拂ヒデアルカラ、稅
金ハ先ニ取ツテ居ルケレドモ許可ハシナ
イト云フコトニナルト、他ノ事業トハ違
フト思フ、鑛業權ハ色々ナ危險ヲ負ヒマス、
又冒險デアル爲ニ、土地所有權ヲ制限シテ
居ル所ノ鑛業權ヲ取得シテソレヲ抛棄スル
ト云フヤウナコトハ國家ノ爲ニモ好マシ
クナイト云フコトデ、稅金ヲ前取致シテ居
ルト云フコトハ十分察シマス、其ノ通リダ
ト思フ、併シナガラ誠實ニ採掘シヨウトス
ルモノヲ、尙ホ許可ヲ受ケナケレバナラナ
イト云フノハ、私ハ考ヘ到ラナイデハナイ
カト思フ、石炭ハ增產シナケレバナラナイ、
去年ノ議會ニ於テモ改正シテ試掘權ヲ四年
ニ致シタノハ、試掘權ヲ今マデハ繼續出願
出來タモノヲ許サナイ、所謂眠ツテ居ル鑛
區ヲ開發セシメナケレバナラナイト云フコ
トデ四年ノ期限デ切ツテ採掘ニ向ハセテ、
鑛床狀態ヲ明ラカニシテ、其ノ鑛床狀態ニ
基イテ採掘ヲサセヨウト云フコトガ此ノ法
ノ目的デアルト云フ說明ヲサレタ、成ベク
試掘カラ採掘ニ入ツテ行クヤウニ政府ガ助
長スルト云フ考ヘノヤウデアル、隨テソコ
ニ助成金等モ出シテ居ルヤウデアル、恐ラ
ク今日ノ炭山デ奬勵金ヲ取ツテ居ナイ炭山
ハナイト思フ、併シ一方ニ於テ奬勵金ヲ出
シ、一方ニ於テ試掘權ヲ制限シテ採掘シナ
ケレバナラナイト云フ採掘權ニ尙ホ許可ヲ
要スルト云フ考ヘ方ガ何處カラ出テ來ルノ
デアルカ、私ハ非常ナ矛盾デアルト思フガ、
其ノ點ノ見解ヲ伺ヒタイ、商工省トシテハ
此ノ點ノ說明ハ到頭出來ナカツタノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=82
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083・森山鋭一
○森山政府委員 只今ノ御質問、ヤハリ私
ニハ非常ニ難問デアツテ、直チニ答ヘルコ
トハチヨツト出來兼ネマスガ、其ノ問題ニ
對スルアナタノ御考へ方ト云フノハ、是一
一ツノ考ヘ方ダト思ヒマス、併シナガラ其
ノ御考ヘヲ政府トシテ是認シテ、サウ云フ
風ナコトデ各種ノ措置ヲシテ行ケルカドウ
カト云フコトニ付テハ、兎ニ角今私ノ地位
ニ於テ、ソレデ宜シイト云フコトハ一寸申
上ゲ兼ネルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=83
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084・川俣清音
○川俣委員 商工大臣ハ此ノ點ニ付テハ善
處スルト言フノデス、問題ハ善處スルコト
ガ宜イカ惡イカト云フ問題デハナイソレ
ハ石炭ヲ增產シナケレバナラヌカラ、善處
スルコトニ付テハ私ハ疑ハナイ、唯企業許
可令ニ入レテ置クト云フ方法ニ付テ御尋ネ
スルノデス、私ハ事業法的ニ鑛業法ヲ改正
シテ、其ノ上ニ發展ヲ圖ルベキデアルト考
八又石炭等ニ於テハ、今申上ゲマシタ
通リニ、殊ニ九州等ニ於テハ斤先掘ト云フ
ヤウナ、鑛業法ニ基カナイ一ツノ權利モ發
生シテ居ル、鑛業法ニ基カナイデ發生シタ
モノヲ許可令デ取締ルト云フノデアルカ
ラ、ソコニ矛盾ガアルノデハナイカ、大體
ノ狙ヒハ斤先掘ダト言フケレドモ、鑛業法
ニ基カナイ、否定シテ居ルモノヲ茲デ許可
スル許可シナイト云フ所ニ矛盾ガアル、ソ
レハヤハリドウシテモ鑛業法カラ改正シテ
行カナケレバナラヌ、一方ニハ上盤ノ方ハ
斤先掘、下盤ノ方ハ權利者ガ掘ル、是モ此
ノ資材、勞力ノ不足ナ折ニ於テ、色々能率
ノ上ニ於テ低下シテ居ル點ハ私ハ認メテ居
ル、又鑛區ノ接觸シタ場面ニ於テハ之ヲ合
同セシメル、鑛區ノ合同ノ必要ナコトハ今
日論ヲ俟タナイ、併シ斯ウ云フ不十分ナ狙
ヒニ依ツテ其ノ目的ヲ達成シヨウト云フコ
トガ誤リデアル、今マデ出シテ居ル鑛業法
ノ四十條ナリ、或ハ重要鑛物增產法ニ基イ
テヤレナイノデハナイ、寧ロ十分ニ發揮スル
コトガ出來ル、ソレヲ發揮シナイデ之ヲ死
文ニシテ居ル、鑛業法ノ本體デアル四十條
ヲ死文ニシ、重要鑛物增產法ヲ死文ニシテ、
改メテ又許可令デヤラナケレバナラスト云
フ考ヘ方ハドウモ生レテ來ナイト私ハ思
フ、ソレデハ本體ガ不安狀態ニナルノデハ
ナイカ、ヤハリ鑛業法ナラ鑛業法ニ基イタ
鑛業權ノ上ニ金融ヲスルト云フコトデナケ
レバナラヌト思フガ、此ノ點ニ付テノ御所
見ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=84
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085・森山鋭一
○森山政府委員 鑛業法ヲ改正シテ、モウ
少シ事業法的色彩ヲ帶バセテ、仍テ以テ統
制的ノ色彩ヲ持ツタ法制ニシタラ宜イノヂ
ヤナカラウカト云フ御所見ハ、是ハ確カニ
一ツノ御所見ト思ヒマス、唯企業許可令ヲ
鑛業ヲ營ム者ニ對シテ適用シテ居ルト云フ
ノハ、是ハ戰時ノ場合ノ特別ナ措置デアツ
テ、國家總動員法ヲ發動シテヤツテ居ルノ
デアリマシテ、サウ云フ風ナ統制ヲ、平戰
時ヲ通ジテ、平時ノ場合モ鑛業法ノ中ニ編
込ムノガ宜シイカドウカト云フコトハ、是
ハ立法ノ技術、ト言ツテハ何デスガ、立法
政策トシテ宜イカドウカハ私一寸考ヘル餘
地ガアル問題デハナイカト思ヒマス、平戰
時ヲ通ジテ何等カ鑛業法ノ中ニ入レルト云
フコトハ、例ヘバ先程カラ御聽キニナリマ
ス所ノ重要鑛物增產法、アレハ一種ノ臨時
法見タヤウナモノデアリマスケレドモ、ア
ア云フモノハ實ハ平戰時ヲ通ジテ鑛業法ノ
中ニ入レテ置イテ宜シイト私ハ思フ、折角
權利ヲ得ナガラ、ソレヲ使ハナイ、所謂睡
眠鑛區ノ儘デ居ルト云フノハ、是ハ宜シク
ナイ、偶〓其ノ人ガ持ツテ居ルガ爲ニ其ノ鑛
業權ハ眠ルノデ、若シ之ヲ企業慾ノ盛ンナ
人ニヤルナラバ、立派ニ其ノ鑛業權ト云フ
モノハ活キテ働イテ來ルノデアルカラ、サ
ウ云フ場合ニハソレヲ他ノ者ニ讓リ渡セト
云フヤウナ法規ヲ作ルコトハ、是ハ私ハ鑛
業法ノ中ニ入レテ置イテ宜シイト思フノデ
ス、ケレドモ、今總動員法ヲ發動シテ參ツ
テ、企業許可令ノ見地ニ立ツテ居ル統制ノ規
定ヲ、鑛業法其ノモノノ中ニ入レテ宜シイ
カドウカハ、是ハ尙ホ〓究ヲサセテ戴カナ
イト、ソレデ宜イト云フコトヲ申上ゲル譯
ニハ行カヌト私ハ思ヒマス
ソレカラ斤先掘ノ點ニ付キマシテハ、是ハ
法律論トシテハ斯ウ云フモノノ存在ヲ認ム
ベキモノデハナイト私ハ思ヒマス、併シナ
ガラ斤先掘ト云フモノハ事實トシテアルモ
ノデ、鑛業法ノ改正ヲヤル時ニモ、此ノ問
題ヲドウスルカト云フコトハ問題ニナツタ
ノデアリマス、併シナガラ現ニ事實トシテ
存在シテ居ツテ、ドウモソレヲ否認スルコ
トハ出來ナイ、丁度賃貸借等ニ付テ一種ノ權利
金ト云フモノガアツテ、何カ分ラヌ形ノモノデア
ノケレドモ、實際否ムコトガ出來ナイヤウ
ニ、實際經濟生活ノ上ニ儼トシテソレガ存
在シテ來テ居ルナラバ、ドウモソレヲ否認
スルコトハ出來ナイノヂヤナイカト云フノデ、
痛イ物ニハ觸ラヌヤウニシテ置イタ方ガ宜
シカラウト云フノデ-恐ラク政府ハ狡イ
ヤリ方ヲヤツテ居ルト言ハレルカモ分リマ
セヌガ-サウ云フヤウナ措置ヲ執ツテ居
ルノデハナイカト思ヒマス、法律論トシテ
ハ斯ウ云フモノハ存在シナイト云フコトニ
付テハ、先刻此處デ申上ゲマシタヤウニ、
私ハ存在スベキモノデナイト申上ゲテ宜シ
イノヂヤナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=85
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086・川俣清音
○川俣委員 私ハ企業許可令ノ狙ツテ居ル
點ニ付テハ必ズシモ反對シナイ、併シ其ノ
中ニ鑛業權ヲ入レルコトニ付テハ私ハ非常
ニ疑問ヲ持ツテ居ル、而モ其ノ鑛業ノ中ノ
何ヲ狙ツテ居ルカト云フト、所謂斤先掘ダ、
ソレヲ狙ツテ居ル、斯ウ言フ、而モ此ノ系
統ハ御承知ノ通リ、企業許可令ニ基ク所ノ
許可ノ申請ハ府縣廳經由デ商工大臣ニ行
ク、又鑛床狀態デアルトカ、或ハ掘進狀態、掘
進方法等、所謂施業案、或ハ鑛業明細書ヲ
添ヘテ商工大臣ニ申請スルノハ鑛山監督局
經由デアル、此ノ計畫ガ妥當デアルカドウ
カト云フコトニ付テ、地方長官ノ意見ヲ求
メテ商工大臣ニ參ルノト、常ニ施業案ヲ嚴
重ニ監視シテ居リマス所ノ鑛山監督局ヲ經
由シテ來ル所ノ所謂採掘權ニ對スル監督
下、今二ツニ流レテ居ルト私ハ思フ、何レ
ガ現實ニ石炭ノ增產、或ハ國家目的ニ副フ
計畫ガ出來ルカト云フナラバ、是ハヤハリ
現狀ヲ常ニ監督シテ居ル所ノ鑛山監督局ヲ
經由スル方ガ私ハ妥當ナ增產計畫ガ生レル
ノデハナカラウカト思フ、企業經營ノ本體
ガ府縣ヲ經由シテ許可申請ヲスルコトニナ
ツテ居リマス、隨テ之ヲ許可スルカシナイ
カト云フコトハ府縣知事ノ意見ヲ求メル形ニ
ナツテ居ル、實際ノ運用ニ於テハサウデハ
ナイヽ適當ニヤルト言フノデアリマスケレ
ドモ、必ズシモサウデハナイノデアリマス、
形式ハサウナツテ居ル、ソコニモ矛盾ガ非
常ニアルノデハナイカ、一方ニ於テハ御承
知ノ通リ、事業ニ着手シナケレバ鑛業權ヲ
失フコトニナツテ居ル、稅金ヲ拂ツテ居ル
ガ鑛業權、物權ヲ失フ、色々ノ企業整備ハ
致シマスケレドモ、事業ハ失ツテモ物權ヲ
失フ所マデ統制法規ヲ活用シテ居ル點ハ少
イト私ハ思ツテ居リマス、サウ云フコトモ
必要ナ時期ガ來ルト云フコトハ認メマスケ
レドモ、今マデノ例トシテ物權ヲ取上ゲル、
放棄サセルト云フヤウナモノハナイト私ハ
思フ、色々企業ノ整備、事業ノ合同整備ハ
アリマスケレドモ、物權ヲ放棄サセルト云
フマデノ强イ統制法規ハ未ダ曾テ見ナイ、
ソレモ石炭ノ增產ノ爲ニ必要デアルト云フ
ナラバ、私ハソコマデ進ンデ宜シイト思フ、
併シソコマデ目的ハハツキリシテ居ラナ
イ、企業許可令ダケニ依ツテ增產ガ出來ル
ト云フコトハ何等期待シテ居ラナイ、ヤハ
リ期待ハ增產命令ニ依ツテシテ居ル、唯斤
先掘ヲ何トカシヨウト云フコトデ許可令ニ
入レタト云フ形ニナツテ居ル、是ガ企業許
可令ニ依ツテ增產出來ルト云フ一ツノ方針
ガアルナラバソレハ尤モダト思フ、物權ヲ
制限シテ其ノ目的ガ達成サレルナラバ、今
,
日ニ於テハ所有權ガ制限サレテ行クコトモ
時勢ノ勢ヒダト思フノデ、其ノ物權ヲ否定
サレルコトモ反對デハアリマセヌ、鑛業權
モ當然制限サルベキモノダト思フ、隨テ私
ハ三十九條ノ公益ヲ害セナイト云フコトモ
擴大シテ考ヘテ宜シイト思フ、擴大シテ考
ヘラレナイト云フノハ鑛業權ニ重キヲ置ク
カラダト云フ解釋ニ大體ナツテ居ル、私ハ
是ハモツト擴大シテ考ヘテ宜シイト思フ、
擴大シテ考ヘラレナイト云フ程鑛業權ヲ重
要視シテ居リナガラ、一方ニ於テ許可令ニ
入レテ行クト云フコトニ付テハ、非常ニ大
キナ矛盾ガアルノデハナイカト私ハ思フ、
而モ鑛業權ヲ放棄スルト云フコトニナルト、
今マデノ興業財團トカ、興業銀行ト云フヤ
ウナモノハ殆ド行先ガ不明ニナツテシマフ、
此ノ點ニ付テノ所見ヲモウ一度御伺ヒ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=86
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087・森山鋭一
○森山政府委員 鑛業權者ニ對シテ企業許
可令ヲ適用スル場合ニ今御心配ノヤウナコ
トガ或ハ起ルノデハナイカトモ私ハ思ヒマ
ス、御存知ノ通リ企業許可令ハ總動員法ノ
發動ニ依ツテ出來タノデアリマスケレドモ、
實ハ先ノ先マデハツキリドレダケノ法律效
果ガアルカ、或ハ又寧口逆效果トシテ、本
來狙ツテ居ル所ニ達シナイヤウナ結果ニナ
ルカト云フコトヲ、心配スレバソレハ色々
ナコトガアルト思ヒマス、今御述べニナリ
マシタヤウナ御意見ノ次第ハ能ク承ツテ置
キマシテ、兎ニ角企業許可令デ一度制定サ
レタコトハ、何處マデモ永久ニ變ヘナイト
云フ譯デハナイ、惡イ所ガアツタラ何時デ
モ變ヘテ宜イト思ヒマス、殊ニ戰時トカ何
カノ時代ニハ、其ノ時々ノ要請ニ應ジテ法
制モ整備シナケレバイケナイノデ、ソレガ
朝令暮改トナツテ、變ヘルコトソレ自身ニ
依ツテ大キナ害ヲ及ボスコトハ避ケナケレ
バナラヌノデ、變ヘテ良クナルモノハ何時
デモ變ヘテ宜イト思ヒマス、唯私ガ其ノ點
ニ付テドウスルカト云フコトヲ今ハツキリ
申上ゲル譯ニ行カナイノデ、法制局長官ト
シテソレヲ承ツテ置イテ、一ツノ政府ノ仕
事トシテ、能ク商工當局ノ方ヘモ話シテ、
更ニ反省シテ見ルト云フコトニシタイト思
ヒマス、ドウ斯ウスルト云フ具體的ノ御答
ヘヲスルコトダケハ御勘辨ヲ願ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=87
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088・川俣清音
○川俣委員 商工省モ善處スルト云フガ
ソレハ當然ナノデス、私ハ是ガ善處スルト
云フコトノ意味ハ、之ヲ餘リ活用シナイト
云フ意向ノヤウニ見受ケルノデアリマス、
サウスレバ之ヲ入レタコトハ無意味ニナツ
テシマフ形ニナル之ヲ活用スレバ非常ナ
矛盾ガ出テ來ルコトニナツテ、無視サレテ
居ルヤウニ見受ケル、隨テ此ノ點ハ私ハ速
カニ改正スル必要ハナイカント思フ、大體石
炭業者ノ意向ヲ聞イテ見ルト、斯ウ云フコ
トガアル譯ガナイト云フ考ヘデ、別ニ業者
ガ反對シタ譯デナイ、寧ロ斯ウ云フコトヲ
無視シテ居ルヤウナ形デ、地方ノ鑛山監督
局アタリデハ非常ニ困ツテ居ルヤウデアル、
十一日マデノ繼續申請ヲ石炭業者ハ殆ド出
シテ居ナイ、出シテ居ナイモノヲドウ取締
ルカト云フコトニ非常ニ苦慮シテ居ル、新
シキ業者ガ許可令ニ基イテ申請シナイヤウ
ナ意向ノヤウデアル、ソレヲドウ云フ風ニ
スルカト云フト、之ヲ無視シテ掛ツテ居ル
石炭採掘業者ヲドウスル積リカ、是ハ私ハ
非常ナ問題ヲ發生シテ來ルト思フ、是ハ他
ノ業者ガ無視スルノハ兎ニ角轉業サセレバ
宜イ、問題ガナイ、石炭業者ヲ速カニ轉業
サセルト云フコトハ恐ラク出來ナイ私ハサ
ウ云フ大キナ矛盾ガ間近ニ出テ來サウナ形
勢ガアリマスノデ、私ハ石炭業ヲ營ンデ居
ラヌガ、非常ニ憂慮シテ居ル、而モ之ヲ作
ル時ニ斯ウ云フコトヲ露骨ニ申上ゲルトド
ウカト思フガ、燃料局ト鑛山局ト分レテ居
リマシテ、燃料局ノ方ハ鑛山局ト意見ガ一
致シタヤウニモ見受ケラレナイノデアリマ
ス、是ハ非常ナ善處ヲ要望シテ置カナケレ
バナラヌト思フ、サウデナケレバ金融方面
ヲ片付ケマシテモ、金ト斯ウ云フ物體ト大
體同一ノ方向ヲ取ツテ居ラナケレバ、全部
活用ガ出來ナイコトニ相成ル、其ノ點ハ十
分御含ミノ上速カニ善處サレンコトヲ要望
シテ法制局長官ニ對スル質問ハ打切リタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=88
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089・由谷義治
○由谷委員長 庄司一郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=89
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090・庄司一郎
○庄司委員 國民貯蓄ノ改正法案ニ關聯ヲ
致シマシテ大藏省ノ國民貯蓄完遂ヲスル上
ニ於テ、特ニ昭和十七年度ノ厖大ナ豫算ヲ
本院ハ協賛ヲ致シマシタ、又大東亞共榮圈
)、大東亞戰爭ノ特別會計ノ軍事費關係ニ
於テハ合計百八十億ノ相當多額ノ軍事費ニ
對シテ本院ハ協賛ヲ致シタノデアリマス、
然ラバ我ガ帝國財政ノ基礎ヲ磐石ノ上ニ之
ヲ强化シテ行クト云フ觀點カラ致シマシテ、
政府發行ノ豫定額公債ヲ極メテ圓滑ニ國民
ガ消化スル、其ノ基礎的ノ條件トシテ國民
ノ貯蓄力ヲ旺盛ニシテ、要スルニ帝國財政
ノ基本的ナ强化ヲ完成スルト云フ觀點カラ
極メテ重要ナ大キナ國策デナケレバナラナ
イト思ヒマス、仍テ以テ國民貯蓄組合ニ關
スル法律ノ改正等ヲモ御提案ニナラレタト
思ヒマスガ、昭和十三年度以來八十億、翌
年度ハ百億、其ノ次ハ百二十億、百三十五
億、ソレガ大東亞戰爭ニ起因シテ百七十億、
斯樣ニ逐年國民ニ政府ガ要請スル愛國貯蓄
ノ總額ガ厖大ニナツテ參リマシタ、而シテ
昭和十七年度ニ於テハ今申上ゲタヤウナ政
府ノ豫算ノ上ニ立ツテ、大體ドノ程度ノ國
民ニ對スル愛國貯蓄ヲ要請サレルモノデア
ルカ、其ノ貯蓄額ノ大體ノ御見透シヲ御發
表願ヒタイト云フコトガ第一點、ソレカラ
只今國民貯蓄組合法ニ依ル貯蓄組合ノ貯蓄
ノ割合ハ、御承知ノ如ク愛國貯金ノ割當ノ
一割五分ガ最高限度ニナツテ居ルヤウデア
リマス、府縣市町村或ハ町內會、部落會等
ニ於テ實際ヤツテ居ル額ハ一割五分程度デ
アリマス、又政府ノ御趣旨ノアル所モ、此
ノ法律ヲ昨年御提案ノ場合ニ於ケル御說明
等ニ於テモ左樣デアラレタト思フノデアリ
マスガ、國民貯蓄ヲ完遂スル意味ニ於テ、
最高三割程度ヲ國民貯蓄場合ニ貯蓄サセル
御意思ガアルカドウカ、是ガ第二點、先ヅ
以上御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=90
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091・氏家清吉
○氏家政府委員 貯蓄ノ目標額ノ十七年度
分ハ如何程デアルカト云フ御尋ネデアリマ
スガ、是ハ目下調査中デアリマシテ、マダ
決マツテハ居ラナイノデアリマス、唯先般
大藏大臣ガ豫算委員會ニ於キマシテ一寸之
ニ觸レラレタコトガアルノデアリマス、其
ノ時ハ公債ノ發行額ガ大體百六十億、ソレ
ニ生產力擴充資金ヲ若シ前年度通リ六十億
見當トスレバ少クトモ二百二十億位ノ目標
額ヲ立テナケレバナラナイダラウ、斯ウ云フ
コトヲ申上ゲテ居ルノデアリマス、大體其ノ
ヤウナ次第デアリマシテ、二百二十億內外
ノモノトナルダラウト思フノデアリマスガ、
ハツキリシタコトハモウ少シ調査ヲシタ上
デナケレバ決定致サナイノデアリマス、ソ
レカラ國民貯蓄組合ノ貯蓄額ノ割合ガ全體
ノ目標額ノ何割位ニナツテ居ルカト云フコ
トハ、是ハ別ニハツキリ決メテハナイノデ
アリマス、府縣ニ依リマシテ貯蓄組合ノ非
常ニ發達シテ居リマス地方モアリマスシ、
又貯蓄組合ト云フモノニ非常ニ重點ヲ置キ
マシテ之ニ相當强メノ貯蓄ヲ勸奬シテ居リ
マス府縣モアルヤウデアリマスガ、又ソレ
程ヤツテ居ラナイト云フヤウナ所モアルノ
デアリマスガ、大體ノ見當ト致シマシテハ
全體ノ貯蓄ノ一割乃至一割五分ト云フ位ノ
モノガ貯蓄組合ヲ通ジテ貯蓄サレテ居ルヤ
ウデアリマスケレドモ、府縣ニ依ツテ非常
ニ差異ガアルノデアリマス、之ヲ今囘貯蓄
組合法ヲ改正致シマシテ、貯蓄ノ種類モ範
圍モ擴張シ、又免稅ノ制限モ今マデヨリモ
高メマシタノデ、組合貯蓄ト云フモノガ從
來ヨリモズツト伸ビルデアラウト云フコト
ハ想像致サレマスケレドモ、御話ノヤウニ
之ヲ三割程度マデニシタラドウカ、サウ云
フコトニスル氣ハナイカ、斯ウ云フコトデ
アリマスガ、一律ニ各府縣トモ三割ト云フ
ヤウナ所マデ行クト云フノモ無理デハナイ
カ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=91
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092・庄司一郎
○庄司委員 昭和十七年度ニ於ケル國民貯
蓄ノ政府ノ要請ハ二百二十億デアルト云フ
ヤウナコトニナリマシタ場合、一億國民ノ
大體一箇年ノ所得ノ總額ハ、大藏省內デ發
行サレテ居ル財政ト云フ雜誌ノ中ニ、四百
五十億程度ガ一箇年間ニ於ケル國民所得ノ
總計デアルヤウニ御發表ニナツテ居ラレマ
ス、サウ云フコトニナリマスト、昭和十七
年度ニ於テハ公課租稅ノ合計ニ於テ約八十
億ノ負擔ヲ國民ハシナケレバナラヌ、ソレ
等ノ負擔ニ對シテハ、固ヨリ時局下國民ハ
何等不平不滿ナク、昭和十一年度程度ノ國
稅負擔ト比較致シタ場合ニ於テハ約六倍近
クノ增稅ガ斷行サレヤウトシテ居リマシテ
モ、何等ソコニ國民ノ不平怨嗟ノ聲ガナイ
ト云フコトハ、是ハ愛國心ノ現ハレデアル
コトハ言フマデモアリマセヌ、併シナガラ
約八十億ノ公課租稅ヲ負擔シ、國民ノ生活
費ヲ如何ニ最小限度ニマデ消費規正ヲシテ
切詰メマシテモ、百五十億圓ヲ要スルコト
ハ是亦大體ニ於テ間違ヒノナイ見透シデア
リマス、仍テ二百二十億ト云フ巨額ナル國
民貯蓄ヲ完遂シテ行クト云フ點ニ於テハ、
餘程政府ニ於カレテ完遂上ニ於ケル名案ガ
ナケレバナラヌト私ハ考ヘテ居リマス、如
何ナル具體案ヲ以テ此ノ二百二十億ノ愛國
貯金ノ完遂ヲ御計畫ナサレテ居ルノデアリ
マスカ、若シサウ云フ要綱等ガゴザイマス
ナラバ、議會ヲ通シテ全國民ニ御發表ヲ願
ヒタイト云フコトガ一點デアリマス
今一點ハ、此ノ二百二十億ノ貯蓄ヲ完遂
スルト云フコトニナリマスト、國民所得ノ
總額ヲ四百五十億トシマスト、一箇年一千
圓ノ「サラリーマン」ハ年ニ四百圓程度ノ愛
國貯金ヲシナケレバナラナイト云フ割合ニ
ナル譯デアリマス、卽チ各人ノ所得ノ合計
ノ四割强ヲ愛國貯金ニ振向ケナケレバナラ
ヌト云フノデアリマスカラ、生活ノ部面ニ
於テ努メテ消費ヲ規正シ、購買ヲ阻止致シ
マシテ、無駄ノナイ生活ヲスルコトハ言フ
マデモアリマセヌケレドモ、實際問題トシ
テハ是ハ中々容易ナコトデハアリマセヌ、
私ハ地方ニ於キマシテ愛國貯金ノ田舍部隊
長ヲ勤メテ居リマスルガ、中々容易ナコト
デハナイ、大藏省ハドウ云フ名案ヲ以テ、
此ノ二百二十億ノ貯蓄ヲ完遂サレントスル
ノデアルカ、從來ノヤウナヤリ方デハ甚ダ
微溫的デアリ、又國民ノ中ニ浸透シテ行カ
ナイノデアリマス、從來ノ貯蓄ノ狀況ヲ見
マスルニ、農村方面ニ於テハ馬鈴薯ヲ共同
出荷スルトカ、或ハ白菜ヲ共同販賣スル、
繭ヲ共同販賣スルト云フ場合ニ、其ノ賣上
金ノドレダケヲ貯蓄スルト云フヤウニ努力
シテ居リマス、又愛國貯金ナンカモ各町村、
各部落デヤツテ居リマスガ、都會、殊ニ大
都會ニナル程ソレガ眞面目ニ行ハレテ居ナ
イ、私ハ其ノ不徹底ナ實例ヲ幾ラモ知ツテ
居リマス、ソコデ此ノ二百二十億ノ貯蓄ヲ
完遂スルニ付テ、ドノヤウナ具體的ナ名案
ヲ持ツテ居リマスカ、ソレヲ御伺ヒシタイ、
ソレガ第三點デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=92
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093・氏家清吉
○氏家政府委員 御話ノ國民所得ノ總額ガ
四百五十億ト云フヤウナコトモ、是亦ハツ
キリシタ調査ノ結果ニ基クモノデハナイノ
デアリマシテ、大藏大臣モ先般御答ヘノ通
リ大體ノ見當ヲ付ケテ見レバマアコンナ
モノダラウト云フヤウナコトニナツテ居ル
ノデアリマス、隨ヒマシテ其ノ內、稅ノ方
ニ約八十億、ソレカラ生活費トシテ百五十
億殘ル二百二十億ガ國民貯蓄ニナルト云
フヤウナ、サウ云フ數字モ亦今後ノ調査ノ
結果相當動クコトガアル數字デアルト云フ
コトヲ豫メ御諒承願ヒタイト思ヒマス、何
セ十七年度ニ於ケル貯蓄ノ總額ト云フモノ
ハ二百二十億内外ニ達スルノデアリマスカ
ラ、今年ノ百三十五億カラ百七十億ニナツ
タ、是ガドウナルカト云フコトモ非常
ナ問題デアリマスカラ、二百二十億ノ貯蓄
ト云フコトハ御話ノ通リ中々容易ニ達成ノ
出來ルモノデハナイト思フノデアリマス、
定メシ名案ガアルダラウト云フ御話デアリ
マスガ、之ニ付キマシテモ先般大藏大臣ガ
一議員ノ御質問ニ對シテ御答ヘ致シテアル
筈デアリマス、大體ニ於キマシテ貯蓄ノ增
强ノ爲ニ從來執リ來ツタ所ノ色々ナ方法ヲ
强化シテ行ク、殊ニ國民ノ愛國心ノ昂揚ト
云フコトニ付キマシテ格別ノ努力ヲ注イデ
行カウ、色々ナ細カイ方法モ考ヘテハ居ル
ノデアリマスケレドモ、一番ハヤハリ國民
ノ愛國心ヲ利用スルト云フト、非常ニ變デ
アリマスケレドモ、戰果ガ上ツタト云フヤ
ウナ時ニ於キマシテハ皇軍將兵ノ奮闘ニ
對スル感謝ノ念ガ燃エル、此ノ時銃後國民
トシテハ貯蓄ヲスルト云フコトニ依ツテ
感謝ノ念ヲ現ハサウト云フヤウナ氣分ニナ
ルノデアリマスカラ、サウ云フ時ヲ巧ミニ
捉ヘテ貯蓄ノ增强ニ資スルト云フコトガ非
常ニ必要デアラウト思フノデアリマス、現
ニ十六年度ノ貯蓄增加ノ狀況ヲ考ヘテ見マ
シテモ、十月或ハ十一月頃ノ樣子ハ非常ニ
遺憾ナガラ成績ガ惡カツタノデアリマス、
併シ格別ノ方法ヲ採ラナカツタノデアリマ
スケレドモ、十二月ニナツテ見マスルト、
大東亞戰爭ガ開始セラレ、殊ニ「ハワイ」海戰
或ハ「マレー」沖ノ海戰ニ於ケル皇軍ノ大捷ガ
報ゼラレマシタ、唯ソレダケニ依ツテ非常
ナ增加ヲ見タノデアリマシテ、其ノ前年ニ
對シテ十二月ダケノ成績ヲ見マスルト、約
五割モ增加シテ居ル、曾テナカツタ所ノ增
加ヲ見テ居ル、斯ウ云フ譯デアリマスカラ
先ヅ第一ニ國民ノ愛國心ノ昂揚ト云フコト
ヲ考ヘナケレバナラヌ、ソレカラ細カナ點
ヲ申上ゲマスレバ、色々アリマスガ、只今議
會ニ提案致シテ居リマス所ノ法律トカ或ハ
豫算ノ上ニ現ハレタ所ニ依ツテ申上ゲマシ
テモ、色々ナ稅法ノ中ニ貯蓄奬勵上必要ナ
措置ガ採ツテアルノデアリマス、長期ニ亙
ツテ安定性ヲ有スル貯金、預金ノ利子又ハ
利益ニ對シテ、所得稅ノ課稅上特別ナル輕
減方法ヲ講ズルト云フヤウナ方法、此ノ委員
會デ御審議中ノ國民貯蓄組合ノ貯蓄ニ依リ
マシテノ免稅限度ノ引上、或ハ免稅ノ範圍
ノ擴張、或ハ簡易生命保險ノ保險金額ノ限
度ノ引上、或ハ郵便貯金ノ預入限度ノ引上、
割增金付ノ郵便貯金切手ノ發行、更ニ只今
貴族院ノ方ニ〓ツテ居リマスル所ノ臨時資
金調整法ノ改正ニ依リマシテ、土地賣却代
金等ノ處分ニ付キマシテ、政府ガ必要ナル
命令ヲ發シ得ルト云フヤウナコト、尙ホ又
報國債劵或ハ戰時債劵ト云フヤウナモノヲ
前年度以上ニ發行スル必要モアリマス、其
ノ發行限度ノ擴張ト云フヤウナコト、是ガ
ソレ〓〓豫算又ハ法律ノ上ニ現ハレテ居ル
ノデアリマス、尙ホ此ノ外ニ何事デモ同ジ
デアリマスルケレドモ、特ニ貯蓄ト云フヤ
ウナモノハ、今後ノヤリ方ト致シマシテハ、
今マデノヤウニ演說ヲ以テヤツテ行クト云
フヤウナコト、ソレモ必要デハアリマスケ
レドモ、ソレバカリニ賴ルト云フ時代ハ過
ギテ居リマス、更ニ之ヲ國民ノ間ニ入リ込
ンデ色々ト指導シ奬勵スル必要ガアル、其
ノ爲ニハ人員ヲ强化スル必要ガアルト云フ
ノデ、中央及ビ地方ノ貯蓄人員ヲ强化スル、
斯ウ云フコトガ豫算ニモ上ツテ居ルノデア
リマス、大體サウ云フヤウナコトデ以テ十
七年度ノ大キナ目標額ノ達成ニ邁進シタイ
ト考ヘテ居ルノデアリマス、尙ホ今ノ御尋
ネノ中ニ都會方面ガ非常ニ貯蓄ノ成績ガ惡
イト云フヤウナ御話モアリマシタ、是ハ外
ノ方面カラモ時々耳ニスルコトデゴザイマ
=
ス、私共地方ニ廻ツテ見マシテモ確カニ熱
心サ、眞劍サニ於テ農村方面ガ一層ハツキ
リト見エルヤウデアリマス、十七年度ニ於
キマシテハ都會地方面、或ハ工場地帶ノ方
面ニ又格別ノ力ヲ入レマシテ貯蓄ノ增强ヲ
ヤツテ行キタイト考へテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=93
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094・庄司一郎
○庄司委員 國民貯蓄法ノ第五條ニハ、貯
蓄組合ヲ組織シテ運營シテ居ル方面ニ補助
金或ハ奬勵金ヲ交付スルト云フ明文ガゴザ
イマスルガ、尤モ昭和十六年-度ノ六月以降
ノ新シイ町村部落方面ノ數字デハアリマス
ルガ、十六年度ニ於テハ大體ドノ位ノ交付
金或ハ奬勵金ヲ地方ニ御交付下サル御見込
デアルカ、又十七年度ノ豫算ノ中ニ大體ド
ノ程度ノ奬勵金或ハ交付金ヲ見込ンデ居ラ
レルカ、文最後ニ、最近ノ全國的ニ貯蓄組
合ノ數ガ何万アルカト云フ御囘答ヲ求メテ
私ノ質問ヲ終リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=94
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095・氏家清吉
○氏家政府委員 貯蓄組合ニ對スル補助金
ハ十六年度ニ於テ百八十二万圓程ニナツテ
居リマスガ、段々其ノ數量モ增加シテ參リ
マシタノデ、十七年度ニ於テハ二百二十五
万圓ヲ豫定致シテ豫算ニ計上致シテ居リマ
ス、尙ホ貯蓄組合ノ數デゴザイマスルガ、
是ハ少シ古イ數字デ、最近ノモノハマダ調
ベガ付キマセヌノデ、十六年ノ三月末デ
ゴザイマスガ、ソレニ依リマスト、組合ノ
數ガ百五十三万、組合員ノ數ガ三千六百万、
貯蓄ガ約二十億、斯ウ云フコトニチツテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=95
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096・庄司一郎
○庄司委員 私ノ質問ハ終リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=96
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097・由谷義治
○由谷委員長 此ノ際只今庄司君ノ質問ニ
關聯シテ、委員長カラ少シ承ツテ置キタイト
思フ點ガアリマスカラ、御答辯ヲ御願ヒシ
タイノデス、ソレハ貯蓄運動ノ目標ヲ決メ
ル上カラ言ツテモ、モツト廣イ意味ノ戰時
體制下ニ於ケル金融操作、或ハ通貨工作ト
云ツタ風ナ點カラ考ヘマシテモ、一番ニ重
點ニナル問題ハ國民所得ト云フ事柄ニ付テ
デアラウト思ヒマス、只今ノ質問應答ノ際
ニモ、十七年度國民所得四百五十億圓ト云フ
大體ノ數字ガ具體化サレテ話サレテ居リマ
シタガ、多少ノ變動ハアルトシテモ、大體
ノ數字ハ四百五十億圓ト押ヘテ間違ヒナイモ
ノダト思ハレルノデガ、其ノ國民所得ト
云フ觀念ニ付テ一、三承ツテ見タイノデアリ
マス、幸ヒ次官モイラツシヤイマスシ、ハ
ツキリ御答辯ヲ願ヒタイノデス、一體國民
所得ノ國民ト云フ觀念ハ、內地ダケノ國民
ノ意味デアルカ、所謂外地モ入ルノカ、此
ノ點ニ對シテ先ヅ御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=97
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098・谷口恒二
○谷口政府委員 今後國民所得ト云フ問題
ヲ論ジマスル際ニハ、內地ノミナラズ外地
ヲ通ジマシテ、國民所得ト云フ問題ヲ扱ツ
テ行クト云フコトニ致ス考ヘデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=98
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099・由谷義治
○由谷委員長 サウシマスト四百五十億圓
ト云フ數字ハ、內外地ヲ總括セルモノト考
ヘテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=99
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100・谷口恒二
○谷口政府委員 四百五十億ト云フコトヲ
先般來議會ニ於テ御話申上ゲテ居ルヤウデ
アリマスガ、ソレハ只今申シマシタヤウニ、
內地モ外地モ合ハセマシタ〓數ト御承知ヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=100
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101・由谷義治
○由谷委員長 次ニ一體國民所得ト云フ考
ヘ方ハ、商賣ヲスル、百姓ヲスル國民ガ自分
ノ仕事、自分ノ財產カラ所得スル個人的ナ
モノノ總括デアルカ、言換ヘレバ國民所得
ノ中ニハ個人的所得ノ上ニ、所謂法人所得
ガ加算サレテ居ルモノデアルカ、此ノ解釋
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=101
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102・谷口恒二
○谷口政府委員 詳シイコトニ付キマシテ
ハ貯蓄奬勵局次長カラ併セテ御答ヘ申上ゲ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=102
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103・氏家清吉
○氏家政府委員 國民所得ノ見方ニハ色々
其ノ方式ガアルヤウデアリマス、從來大藏
省ノ主稅局方面デモ稅ノ方面カラ調査シタ
モノヲ議會ナドデモ御話致シテ居ル所モア
ルヤウデゴザイマスガ、私共只今調査シテ
居リマス其ノ方式ハ、大體一箇年間ニ於テ
費用ヲ超エテ新タニ生產サレタ所ノ物資ノ
價格、ソレカラ加工若シクハ製造ナドニ依
ツテ增加シタ物資ノ價格、ソレニ代價ノ支
拂ハレル勤勞ノ價格、斯ウ云フヤウナモノ
ヲ加ヘマシテ、サウシテソレニ海外投資ノ
收支差額ヲ加除スルト云フヤウナ方法デ大
體計算ヲ致シテ居ルノデアリマス、隨ヒマ
シテ法人トカ個人トカ云フヤウナ問題ガ起
ラナイノデアリマシテ、今申上ゲマシタヤ
ウナ種類ノ所得ガ國家全體トシテ一年間ニ
ドレ位アルカ、斯ウ云フヤウナ計算ヲ致シ
テ居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=103
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104・由谷義治
○由谷委員長 只今ノ御答辯ハ隨分面倒ナ
言葉モアツタシ、私モ一寸聽イタバカリデハ
納得ガ行キマセヌガ、要スルニ國民所得ト
云フ數字ノ割出シ方ノ基礎ノ何々ノ價格ト
カ、何々ノ收入ト云フコトハ、私ガ尋ネタ
イ問題デハナイノデアツテ、御答辯ノ終ヒ
ニアリマシタ大藏省トシテハ、個人トカ法
人トカヲ考ヘナイノダト云フヤウナコトニ
實ハ疑問ガアルノデアリマス、一體諄イコ
トヲ言フ必要ハアリマセヌガ、國民總所得
ヲ四百五十億圓、其ノ中貯金運動デ二百二
十億、稅金デ八十億、ソコデ殘リノ百五十
億デ一億人ノ國民ガ生活ヲヤツテ行カナケ
レバナラヌト云フ建前ノ議論ガ、此ノ議會
ノ初メカラモアルシ、實ハ貯金運動始マツ
テ以來ズツトアル、吾々ノ考ヘ方ハ一體四
百五十億ト云フモノノ實質ハ一億人ノ日本
國民個人々々ノ所得ノ累計デアルカ、併シ
所得ト云フ觀念ニハ法人ノ所得モアリマス、
其ノ法人ノ所得モ入ツテノ四百五十億圓デア
ルカ、個人所得ダケノ總計ノ四百五十億デ
アルカ、之ヲハツキリ押ヘヌト、例ヘバ百
八十億ノ公債消化ト云ツテモ、重要產業ノ
生產資金調達ト云ツテモ、一體誰ガ其ノ負
擔ヲシテ行クノダ、法人ニモ相當ナ貯蓄ヲ
サストカ、個人ニモ相當ナ貯蓄ヲサストカ、
或ハ法人ハシナイガ個人ハスルトカ、ソ
コニ貯金ダケノ面カラ見マシテモ、一ツノ
方法ガ生レテ來ナケレバナラナイト思フノ
デス、餘リ議論見タヤウナコトハ止メマス
ガ、要スルニ四百五十億ハ一億人ノ日本國
民ノ個人所得ノ總計デアルカ、法人所得モ
入ルノカ、入ルモノトスルト其ノ區別ハド
ウナルカ、是ガ一番ノ重點ト思フノデス、
ソレヲ私聽イテ居ルノデスカラ適當ニ御知
ラセ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=104
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105・谷口恒二
○谷口政府委員 要シマスルニ若シ個人ノ
所得以外ニ法人ノ所得モ入ツテ居ルノカ、
斯ウ云フ簡單ナ形ニ質問ヲ縮メテノ御答ヘ
トスレバ、兩方トモ入ツテ居ル、斯ウ云フ
御答ヘニナルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=105
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106・由谷義治
○由谷委員長 ハツキリ御說明願ツテ感謝
致シマス、サウシマスト個人、法人ガ入ツ
タモノト見テ、大體此ノ兩者ノ振分ケハド
ンナ割合ニナツテ居リマセウカ、若シ見當
ガ御付キニナツテ居レバ御示シヲ願ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=106
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107・氏家清吉
○氏家政府委員 法人ノ分モ個人ノ分モ入
ツテ居ルコトハ間違ヒナイノデアリマスケ
レドモ先程モ申上ゲマシタヤウナ方法、所
謂物的方法ニ依ル計算ト申シテ居ルノデア
リマスガ、其ノ方法ニ依リマスト、法人ハ
是程、個人ハ是程ト云フ計算ハ特ニヤレバ
出來ナイコトモナイカト思ヒマスケレド
モ、只今ノ所サウ云フ風ナ計算ヲ致シテ居
リマセヌノデ、申上ゲ兼ネルヤウナ次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=107
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108・由谷義治
○由谷委員長 段々御說明ヲ願ツテ少シハ
分ツテ參リマシタガ、モウ一ツソレニ關聯
シテ御尋ネ致シテ置キタイコトハ、國民所
得四百五十億圓ノ內譯ハ個人タルト法人タ
ルトハツキリシナイ、是ハ分ツタノデス、
サウナリマスト、今度ノ議會デモ豫算委員
會其ノ他增稅委員會等デ此ノ問題ニ關シテ
政府ト議員トノ間ニ質問應答ガアツタヤウ
デスガ、私ノ承知シテ居ル意味カラ言フト、
四百五十億圓ガ總所得、然ルニ其ノ中カラ
三百億圓ハ公債消化、稅金、生產資金等ニ
依ツテ政府ガ吸收スル、國民ハ百五十億圓
デ一箇年ノ生活ヲシナケレバナラヌト云フ
風ナ觀念ニ既定サレテ居ルヤウニ思フノデ
ス、所ガ其ノ四百五十億圓ノ基礎ガ個人個
人ノ所得ノ累積デハナクテ、其ノ中ニハ法
人ノ所得モ入ツテ來ルノダト云フコトニナ
ルト、法人所得、個人所得ノ內譯ハ五分、
五分デアラウガ、四分、六分デアラウガ、
ソレハ問ハヌトシテ、百五十億圓ガ國民ノ
生活資金ダト云フ考ヘ方ニ、相當ナ修正ト
云フカ、是正ト云フカ、變化ガ生ジテ來ル
ノデハナイカト思ヒマスガ、此ノ點ハドウ
デセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=108
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109・氏家清吉
○氏家政府委員 生活ニ使フ金ガ百五十億
圓ダト申シマシテモ、色々御話ノヤウナ關
係モアリマシテ、之ヲ唯一億デ割レバ一人
當リノ平均ノ生活費ガ出テ來ルノダト云フ
ヤウニ簡單ニハ行カナイダラウト思ツテ居
リマス、ソコヲドウ云フ風ニ取扱ハナケレバ
ナラヌカト云フコトハ目下調査ノ進行中デ
アリマシテ、申上ゲ兼ネルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=109
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110・由谷義治
○由谷委員長 結論ハ御〓究ヲ願フトシマ
セウガ、ハツキリシテ置キタイコトハ、百
五十億圓ヲ一億人デ割ツテ百五十圓ト云フ
數字ガ出ル、サウ云フ所謂畫一的ナ平均割
合ナドデハイカヌト云フ御話モ今承リマシ
タカラ、承知シテ置キマス、併シ私ノ聽キ
タイコトハ、サウ云フ畫一的ナ割算勘定デ
ハイカヌト云フコトモアルデセウガ、其ノ
一方前提トシテ、百五十億圓ガ全部國民個
人ノ生活資金ニハナラヌノダ、其ノ中ニハ
相當法人トシテノ所得分ガ殘ルノダト云フ
コトヲ、實ハハツキリシテ貰ヒタカツタノ
デス、ケレドモ色々御〓究ナリ御調査モ必
要デセウカラ、一應私ハ問題ヲ提供シタ意
味デ、此ノ委員會ノ適當ナ機會ニ、政府ノ
方針トシテハツキリシタコトヲ御發表ニナ
ルヤウニ御願ヒシマシテ、委員長ノ質問ハ
止メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=110
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111・瀧澤七郎
○瀧澤委員 今ノ委員長ノ質問ニ關聯シテ、
委員長ニ御註文ヲ申上ゲタイ、斯ウ云フコ
トヲ委員長カラ御聽キヲシテ、後デ〓究ヲ
シテ適當ナ機會ニ御話ヲ願ヒタイト云フ委
員長ノ御註文ノヤウデス、サウ致シマスレ、
バ、私ハ四百五十億ノ收入ノ基礎トナルベ
キ生產總額ハ、農業ニ於テ幾ラデアルトカ、
工業ニ於テ幾ラデアルトカ、ソレニ對スル
利益ガ是ダケデ、所得ガ斯ウナルノダト云
フコトヲ聽イテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=111
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112・由谷義治
○由谷委員長 只今瀧澤委員ノ御註文ハ御
聽キノ通リデス、ドウゾ是ニモ正解スル意
味ノ御答辯ヲ、然ルベキ機會ニ御與ヘ下サ
ルヤウニ御願ヒシテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=112
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113・谷口恒二
○谷口政府委員 只今ノ委員長ノ御話モ、
又瀧澤サンノ御話モ、洵ニ重要ナ御質問ダ
ト思フノデアリマスガ、此ノ國民所得ノ問
題ハ中々難カシイ問題デアルト云フコト
ハ御兩者トモ御承知ノコトト思フノデア
リマス、〓究方法ニモ從來幾通リモアリマ
シテ、色々各方面デ〓究ヲ致サレテ居ルノ
デアリマス、吾々ノ關係致シマスル方面ニ
於キマシテハ、委員長ガ特ニ關心ヲ持ツテ
居ラレル所ノ國民貯蓄ノ關係ニ於キマシテ、
是非結論ヲ持ツテ居ル必要ガアルノデアリ
マス、サウ云フ實際的ノ必要ノミナラズ、
國民資金計畫ノ確立ノ上カラモ、前年來學
者ヲ入レマシテ、色々〓究ヲ致シテ居ルノ
デアリマス、ソレデ途中ニ於テ未熟ナガラ
モ腰ダメ的ノ結論ハ出來ツツアルノデアリ
マス、先程委員長カラ御話ノ點ニ付キマシ
テハ、後刻能ク纒メマシテ、適當ナ機會ニ
御答ヘヲ致シタイト思フノデアリマス、ソ
レニ關聯シテノ瀧澤サンノ御希望ノ點デア
リマスガ、是モ亦勿論出來ルダケノコトハ
纒メテ御答ヘ致スコトハ致シマスルケレド
干、生產額等ニ至リマシテハ當今時節柄、
又例ノ文句デアリマスケレドモ、國家ノ機
密トシテ公ノ席デ生產額ガ幾ラ〓〓アルト
云フコトハ是ハ實際申上ゲ難イヤウナ事
情モアルノデアリマス、俳シ吾々ノ〓究致
シテ居リマス所ハ、出來ルダケソレ等ノ資
料ヲ集メテ〓究致シテ居ルノデアリマスカ
ラ、ソレ等ノ關係モ考ヘマシテ、御答へ申
上ゲラレル程度ノコトハ出來ルダケノ範
圍ニ於テ御答ヘ致スコトニ致シタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=113
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114・由谷義治
○由谷委員長 ドウゾ御願ヒ致シマス-
松田正一君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=114
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115・松田正一
○松田(正)委員 私勸業銀行ノコトニ付テ
御聽キシタイノデスガ途中デアルノデ、國
民貯蓄ノコトニ付テ一寸御伺ヒ致シマス、
國民貯蓄デスガ、サウ致シマスト所得ガ四
百五十億デ二百二十億引イテ、又八十億引
イテアトノ百五十億、是ハ消エテナクナル
金ナノデスカ、何處へ行クノデスカ、先程
ノ御話ヲ聽クトドウモ此ノ金ノ行キ所ガナ
イヤウニ思ヒマス、此ノ百五十億ト云フ生
活費、是ハ何處へ行クノデスカ、使ツテシ
マフヤウニ聽イテ居リマスガ、此ノ金ダツ
テ日本銀行ヘ還元スルノヂヤアリマセヌ
カ、還元スルトスレバヤハリ國民貯蓄ニナ
ルノヂヤアリマセヌカ、ソコガドウモヲカ
シイヤウニ思ヒマス
〔委員長退席、宮本委員長代理着席〕
ソレハドウナルノデスカ、四百五十億カラ
二百二十億、八十億ヲ引イタ殘リノ百五十
億ガ生活費ダト云フガ、生活費ト云ツテモ
金ヲ食フノデハナイ、金デ物ヲ買ツテ食フ
ノデスカラ、物ヲ賣ツタ者ハドウスルカ、
簞笥ノ中ニ入レテ置ク筈ハナイ、ソレハド
ウ云フ計算ニナリマスカ、一寸承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=115
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116・氏家清吉
○氏家政府委員 是ハ所得トハ何ヲ云フ
カ、生活費トハ何ヲ云フカト云フヤウナコ
トニ付キマシテ、豫メ定義デモ決メマシテ、
サウシテ申上ゲナケレバナラナイコトダラ
ウト思フノデアリマスガ、大體只今ノ御話
ハソレダケノ金ガ何處ニモ行クノデハナイ
ヂヤナイカ、日本銀行ニ戾ツテ來ルノデハ
ナイカト云フヤウナ御話ノヤウデアリマス
ガ、私共ノ考ヘテ居リマスノハ、假ニ生活
ノ爲ニ必要ナ資力ガ百五十億ト云フ時ニ
ハ其ノ百五十億ニ相當スル價値ガ生活ノ
爲ニ消費サレテ宜シイ、斯ウ云ウ意味デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=116
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117・松田正一
○松田(正)委員 消費サレテ宜シイト云フ
ノハ物ノ話デス、私ノ言フノハ現金ノコト
デス、現金ハ〓フ譯ヂヤナイデセウ、ドウ
モソレハヲカシイヂヤナイデスカ、サウス
ルトモウ一ツ進ンデ考ヘルト、百五十億ト
云フ金ヲ國民ノ懷ロニ置イテオク、是カラ
生活センケレバナラヌト云フ準備金デモ置
イテオクト云フナラ話ハ分リマスケレド
モ、物ノ消費ヲ百五十億ニシテモ宜イ、斯ウ
言フ、其ノ物ヲ買ウタ、賣ツタト云フ其ノ
賣ツタ人ガ金ヲ受取ツタト云フ其ノ金ハ何
處ニ行クノデスカ、何處ニ行キヤウモナ
イ、ヤハリ銀行ヘ預ケルトカ、郵便貯金ヲ
スル-幾ラカハ懷ロヘ置イテオクデセウ、
置イテオクカラ十二月三十一日ノ兌換劵發
行高ト云フモノハ上ルノデス、其ノ百五十
億ヲ引イテ、二百二十億圓ヲ貯蓄シテ、八
十億ハ稅金ニナル、稅金ニナルモノハ是ハ
國民生活費デハナイデスカ、私ハ是ハ
家ノ上カラ言ウタラ生活費ニ入ルベキモノ
ダト思ヒマス、ソレガ入ル入ラヌハ別ト致
シマシテ、結局其ノ八十億圓ト同ジヤウニ百五
十億圓ト云フモノモ流通シテ、其ノ流通ノ
結果ハドウナツテ行クカト云フト、ヤハリ
日本銀行ニ還元シテ行ク金デハナイデスカ、
還元シテ行ク時ニハ國民ノ貯蓄ニナツタリ
預金ニナツタリスルノデハナイデスカ、ア
ナタノ今ノ御答辯デハ物ヲ買ウテ宜イト言
ハレル、物ヲ買ウテ宜イガ、買ウタ金ハ賣
ツタ人ガ持ツテ居ルノカドウカ、ソンナコ
トヲシテ居ルト國民ノ懷ロハ紙幣デ一杯ニ
ナツテシマフ、ソレヲ一ツハツキリシテ貰
ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=117
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118・氏家清吉
○氏家政府委員 金ノ廻リ方デアリマスレ
バ松田サンノ仰シヤルヤウニ〓ルダラウト
思フノデアリマスルガ、先程來私ガ申上ゲ
テ居リマス所ノ國民所得ト云フノハ、金ノ
廻リ方ヤ金ノ話デハナイノデアリマシテ
〔宮本委員長代理退席、委員長着席〕
物ノ話ダラウト云フ御話デゴザイマスガ、
物ト言ツテハ少シ當ラナイノデアリマスケ
レドモ、物ノ外ニ勞力ト云フヤウナモノモ
入ツテ居リマスデセウシ、要スルニ吾々ガ
生活シテ行ク上ニ必要ナモノ、モノト言ツ
テモ物ト云フ意味デハアリマセヌノデゴザ
イマスガ、サウ云フ風ナ考ヘ方ヲ致シテ居
リマスカラ、吾々ノ生活ヲシテ行ク上ニ效
用ノアルモノ、價値アルモノ、斯ウ云フヤ
ウナ意味、ソレヲ金ニ見積ツタノヲ先程來
所得ト呼ンデ御話ヲ致シテ居ルノデゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=118
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119・松田正一
○松田(正)委員 假ニ一家ノ中ニ書生一人
ト女中一人ト居ルトシマス、サウシテ書生、
ニ三十圓、女中ニ二十圓ヤル、一家ノ生計
費ガ五百圓トスルト其ノ中ノ五十圓ハ書生
女中ニヤツテシマフ、是ハ生計費デアル、
スルト書生ガ受取ツテ十五圓ダケ使ツテア
トハ貯金スル、女中ハ二十圓貰ツテ十圓使
ツテ十圓貯蓄スル、サウスルトヤハリ貯蓄
ニナツテ行ク、國民所得ノ中ノ國民生計費
ガ百五十億ト云フコトガ私ハ分ラヌト云フ
ノデアル、諄イヤウデスガ、物ヲ百五十億
消費シテ宜イト言フガ、百五十億圓ノ中ニ
ハ女中ヤ書生ニヤツタモノモアリ、病氣ニ
ナツテ醫者ニ拂フノモアル、醫者ハ其ノ金
ヲ受取ツテ藥屋へ拂ツテ、其ノ殘リノ金ハ
ト言ヘバ銀行ヘ貯蓄ヲスルノデ、ソコハ還
元スルト云フコトハ其ノ通リデアラウト思
フ、私ハ金ノコトヲ言ツテ居ルノデハナイ、
物ノコトヲ言ウテ居ルノデアル、ダカラ餘
計分ラナクナル、併シ此ノ邊デ宜シウゴザ
イマス、宜シウゴザイマスケレドモソレハ
諒解出來ナイ、ソレト序ニ承ツテ置キタイ
ノデスガ、吾々ノ考ヘデハ、例ヘバ月ニ五百
圓受取ル人ガ最低ノ生活ニ甘ンジテ、其ノ
生活費以外ノ殘ツタモノハ全部之ヲ貯蓄ス
ル、此處マデ一億國民ガ行ケバソレデ精一
杯ノ貯蓄デアルト考ヘマス、之ニ對スル貯
蓄局ノ方ノ御考ヘハドウカ、是ガ一點デス、
サウ云フ風ニ考ヘテ見マスト、二百二十
億ノ貯蓄ガ今年ハ必要ダ、サウスルト大藏
省ノ方デハ其ノ二百二十億ト云フモノヲ各
道府縣ニ割當テテ行ク、道府縣ハ其ノ割當
ヲ受取ツテ又市町村ニ割當テル、ソレデ結
局市町村ガ國民貯蓄ト云フモノヲヤカマシ
ク言フヤウニナル、サウ云フ所カラ考ヘテ
行キマスト、市町村モ其ノ割當テラレタ額
ニ滿ツルダケノ貯蓄ヲナサナケレバ責任ガ
果セナイコトニナル、ソレデ地方ニ依リマ
シテハ斯ウ云フ例ガアル、市民稅ノ年額ノ
三倍ヲ一箇月ニ貯蓄セヨ、或ハ町村民稅ノ
一箇年分ノ三倍ヲ月ニ貯蓄セヨト言ハレル、
其ノ割當テタモノヲ引受ケタ額カラ言フト
サウ云フコトニナルサウデス、サウ云フ方
針デヤツテ居ル所ガアル、是ハ道府縣ヲ聽
合ハシテ見マシタガ、國內ニ可ナリアルヤ
ウデアリマス、サウスルト斯ウ云フコトニ
ナルノデス、假ニ市民稅ヲ年ニ八百圓拂ツ
テ居ル人ガアルト、一箇月ニ二千四百圓貯
蓄シナケレバナラヌコトニナル、成程平和
時代ニハ隨分儲ケタ家デアルカラ市民稅ハ
相當高イガ、モウ砂糖ノ配給ガナイモノダ
カラ、今デハ月ニ三日シカ仕事ガ出來ナイ
ノデ、三日仕事ヲシタ其ノ利益ヲ考ヘテ見
マスト、幾ラ餘計ニ賣ツテ見テモ百五十圓
ニシカナラナイ、ソレニ二百四十圓貯蓄セ
ヨト云フコトニナツテ、實ハ爭ヒガ方々ニ
起キマシタ、ソレヲセヨト云フコトニナツ
タナラバ、自分ノ家屋敷ヲ銀行ニ擔保ニ入
レテ金ヲ借リテ國民貯蓄ヲシナケレバナラ
又、斯ウ云フコトニナリマス、銀行カラ金
ヲ借リテ來テ貯蓄ニ廻スト云フコトニナル
ト、結局一方カラ借リテ一方ニ行クノデア
リマスカラ貯蓄ニナラヌノデ、詰リ謂ハバ
貯蓄ヲ免レテ居ルト云フ形ニナル、ソレデ
モ表面ハ二百四十圓ヲ竝ベテ行ケバ、能ク
貯蓄ヲシテ呉レタト云フコトニナルガ、裏
面ヲ調ベルトサウ云フコトヲシテ居ル所ガ
アルノデアルカラ、政府ハ地方廳ヲ御取調
ニナツテ、御監督指導ヲ能クシナケレバナ
ラヌト思フ、是カラ段々ト國民ノ貯蓄ト云
フコトガ必要ニナツテ來ルノデアリマスカ
ラ、今マデ通リノヤリ方デハイケナイノデ
ハナイカト思ヒマス、若シソンナモノハナ
イト言ハレルナラバ、此處ニ澤山各府縣ニ
實例ガアリマスカラ、ソレヲ申上ゲテモ宜
シヤ、ソレヲドウ指導監督ヲシテ行クカト
云フコトガ一ツ、ソレカラドナタカラカ御
話ガアリマシテ、大都市ニハ貯蓄ノ餘地ガ
アル、地方デハ割合ニマトモニ貯蓄ヲシテ
居ルト云フコトガアリマシタガ、是ハ其ノ
通リデアル昨年ハ荏原區ヲ調ベマシタ、
今年ハ大阪ノ方ヘ調ベニ參リマシタガ、報
國債劵一枚ヲ十圓デ買ツテ、ソレヲ質屋ニ
擔保ニ入レテ八圓五十錢借リテ居ル、ソレ
カラズツト西ノ方ノ十三縣ノ質屋ヲ步
イテ見マシタ所ガ、彼此レ三十一万幾ラノ
報國債劵ガアツタ、サウスルト報國債劵ヲ一
枚十圓デ買ツテ、ソレヲ質ニ入レテ質屋カ
ラ八圓五十錢借リテ來タノデハ一圓五十錢
シカ國民貯蓄ノ中ニ入ツテ行カヌ譯デス、
一圓五十錢シカ吸收サレテ居ラナイ、而モ
報國債劵ハ質屋ニ置イテアルノデスカラ、
當籤權ハ持ツテ居ル、是ハ一圓五十錢デ博
奕ヲシテ居ルヤウナモノデアル、是ハ大都
會ニ多イ、地方ニ行ツテ御覽ナサイ、恐ラ
クソンナモノハアリマセヌ、又ヤツタラ直
グニ分リマス、コンナコトハ幾ラデモアリ
マスガ、政府ノ方モモウ少シ之ヲ考ヘテ戴
キタイ、政府ハ貯蓄ハ强要ハシナイト仰シ
ヤルケレドモ、先ニ申シマシタ如ク何トナ
ク心境ヲ惡クシテ貯蓄セシメルト云フヤウ
ナコトヲナサラズ、大都會ニ於テハサウ云
フ博奕ヲスルヤウナ貯蓄債劵若シクハ報國
債劵ノ賣買ヲサセナイヤウニ、何カ取締方
法ガナイノデアラウカ、事實ガ斯クノ如ク
ニナツテ居ルノデアリマスカラ、取締ノ方
法ガナケレバナラヌ筈デアリマスガ、之
ニ對スル所見ヲ承ツテ置キタイ、現在郵便
局ニ預ケテアル貯金ノ通帳ト判ヲ持ツテ行
ツテ、是デ報國債劵ヲ五枚賣ツテ下サイト
云フコトヲヤツテ居ル、ソレハ地方デモ折
折見ル所デアリマス、郵便貯蓄ニシテアル
金ハ所謂國民ノ貯蓄デアツテ、是ハ年々殖
エテ行クガ、國民ハ今マデ貯金シタ金ヲ引
出シテ報國債劵ヲ買ツタリ、貯蓄債劵ヲ買ツ
タリ、支那事變公債ヲ買ツタリシテ居ル、
是デハ何ニモナラヌノダ、ソコヲ認識セヨ
ト云フコトヲナゼ政府ハモウ少シ徹底シテ
オヤリニナラヌノカ、一方ニ郵便局ノ貯蓄
ヲ引出シテ報國債劵ヤ支那事變公債ヲ買ツ
テ、何ノ貯蓄ニナリ何ノ公債ノ消化ニナリ
マスカ、一方ニハ貯蓄ガ減ツテ居リ、一方
ニハ公債ガ賣レテ居ルノデハ何ニモナラ
又、是ハ地方ニ於テモ隨分アリマス、況ヤ
大都會ニ於テハ相當アルデアラウト思フ、
コンナヤリ方デハ-國民貯蓄ハ二百二十
億ダトカ言ツテ居リマスガ、果シテ現在ノ
儘デ是ガ出來ルカドウカ、成程國民ハ十二
月八日ノ大東亞戰爭ノ戰果ヲ見テ、アノ戰
ヒニ敗ケテ居ツタナラバ今吾々ハコンナ呑
氣ナコトヲ言ツテ居ラレルカ居ラレナイカ
分ラナイ、モウ今頃ハ敵ノ飛行機ガ來襲シ
テ、吾々ハ爆彈ニ中ツテ死ンデ居ルカモ知
レナイ、ダカラ今カラ考ヘレバ、吾々ハ此
ノ大東亞戰爭ノ戰果ヲ見テ、吾々ノ命ハ是
デ二代目ダ、セメテ貯蓄デモシヨウヂヤナ
イカト言ツテ居ル者モ大分アリマス、今御
話ノ如ク大東亞戰爭ガ起ツテカラ貯蓄ノ成
績ガ好イト云フノハ是ナンデス、ケレドモ
階級ノ上カラ言フト、階級ノ上位ノ者ニ斯
ウ云フコトヲスル人ガアルカ、下々ノ階級
ニ於テ多イカト云フト、寧ロ下々ノ者ガ多
ク、上流者ニハ少イ、之ヲドウナサルカ、
其ノ御方針ヲ伺ヒタイ
ソレカラ國民貯蓄ヲナサシメル一ツノ方
法トシテ郵便切手貯金トカ云フモノヲ作ラ
レルト云フ、是モ零細ナル貯蓄ヲ集メル一
ツノ方法デアリマセウカラ、其ノ考ヘヲ惡
イトハ申シマセヌ、昨年度ハ所謂昭和十六
年一月一日カラ昭和十六年十二月三十一日
マデノ國民貯蓄ガ是ダケアツタガ、今度ハ
公債ノ發行モ殖エルシ、產業資金モ殖エ
ルソコデ二百二十億ノ貯蓄ヲシナケレバ
イケナイ、サウシマスト昭和十七年度ハド
レダケ國民貯蓄ヲ殖ヤシタラ宜イカ、斯ウ
云フコトニナルガ、其ノ御考ヘヲ持ツテオ
イデニナリマセウ、貯蓄ヲ昨年度ヨリ殖ヤ
スニハ十六年ノ十二月三十一日マデニ貯蓄
シテ、昨年中ニ成績ヲ擧ゲタ貯蓄額ハ之ヲ
凍結シテ、昭和十七年一月一日カラノ貯蓄、
或ハ昭和十七年四月一日カラノ貯蓄ヲソレ
ヨリ更ニ幾ラサセタラ宜イカト云フコトト、
ソレヲドウ云フ方法デオ殖ヤシニナル御
考ヘデアルカ、地方デハソレヲドンナ風ニ
ナサルカト云フコトニ對シテ不安ノ念ニ驅
ラレテ居ルガ、ソレヲドウ云フ風ニシテナ
サルカ、取敢ズソレダケ伺ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=119
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120・氏家清吉
○氏家政府委員 第一點ハ百五十億圓ノ生
活費ト云フモノニ付テ十分納得ガ行カヌト
云フ御話デゴザイマシタガ、大體ソレハ百
五十億圓ニ相當スル所ノ物資トカ、勞力ト
カ、色々ノ「サービス」トカ云フヤウナモノ
ハ、各人ガ生活ノ爲ニ使ツテモ宜シイ部分
デアルト云フ意味ナノデアリマス、殘リノ
部分ガ生產擴充ノ爲ニ使ハルベキ物資、勞
力、「サービス」ト云フヤウナモノト、ソレ
カラ政府ガ政府事業ノ爲ニ使フベキソレ等
ノモノ、斯ウ云フ風ニ分ケラレルト云フ意
味ニ御考ヘヲ戴イタナラバ、ドウデアラウ
カト思フノデアリマス、併シ是ハ非常ニ複
雜ナ込入ツタ問題デアリマスカラ、大體此
ノ程度ニ致シテ置キマス
次ノ問題ハ目標額ト云フモノヲ國デ決メ
テ、更ニ道府縣ニ割當テテ、ソレガ市町村
ニモ割當テラレル細カクハ各一戶々々ニ
モ割當テラレテ居ル、其ノ割當方ガ市民稅
ヲ基礎トシテ其ノ何倍トカ云フヤウナコト
ニナツテ居ルノデ、非常ニ無理ガ行クヤウ
デアルガ、ドウカト云フ御話デゴザイマシ
タガ、國民貯蓄ノ增强ノ爲ニ此ノ目標額ヲ
立テマシテ、ソレヲ目當トシテ邁進スルト
云フ方法ガ此ノ支那事變始ツテ匁々ノ際カ
ラ執ラレタノデアリマスガ、ヤハリ貯蓄增
强ノ爲ニハ此ノ方法ガ一番ニ效果ガアルヤ
ウニ考ヘラレルノデアリマス、隨ヒマシテ
目標ノ滲透化ト云ヒマスカ、單リ國ガ目標
ヲ持ツノミナラズ、府縣モ町村モ、或ハ各
個人々々モ自分ハ本年內ニドレ程ノ貯蓄ヲ
ヤラウカト云フ大體ノ目標ヲ立テ、ソレニ
依ツテ進ンデ行クト云フヤウナ方法ハ、是
ハ益〓今後普及徹底サセル必要ガアルト考
ヘテ居リマス、但シ是ハ一應ノヤリ方デゴ
ザイマシテ、一遍決メタ所ノ割當ハ、是ハ
何處マデモ强行シナケレバナラヌトカ、サウ
云フヤウナ意味ノモノデハアリマセヌ、各
人ガ今後貯蓄ヲヤツテ行ク上ニ、ヤハリサ
ウ云フヤウナ目標ト云フモノヲ各〓自分ノ
收入トカ或ハ生活狀態トカ、サウ云フヤウ
ナモノヲ考ヘテ自發的ニソレ〓〓立テル、
斯ウ云フヤウナ方法デ進ンデ行カナケレバ
ナラナイト思フノデアリマス、承リマスト
此ノ目標額ノ市町村ナリ或ハ個人ナリニ小
分ケサレタ部分ニ行キマスト、非常ニ資力
ニ相應シクナイヤウナコトヲヤツテ居ルモノ
モアルト云フ御話デゴザイマス、是ハ私共
モ時々耳ニスルコトデアリマシテ、今後大
イニ改善シテ行カナケレバナラヌ點デアル
ト考ヘテ居リマス、從來目標額ノ立テ方、
其ノ割方ト云フヤウナコトニ付キマシテ
ハ言ハバ多少投ゲヤリト云ツタ風ニ考ヘ
ラレルヤウナ節モアリマシタノデ、今後ハ
吾々モ、又地方ニ於キマシテモ、十分此ノ
點ニハ注意ヲ致シマシテ、サウシテ無理ノ
ナイ目標額ト云フヤウナモノヲ立テル、又
一旦立テタ目標額ト云フヤウナモノデモ其
ノ者ノ事情之ヲ强行スルコトガ無理ト云フ
コトガ分ツタヤウナ場合ニ於キマシテハ
ソレ〓〓ノ事情ニ應ジテ適當ナ斟酌ヲ加ヘ
テ行ク、斯ウ云フ風ニ考ヘテ行キタイト思
フノデアリマス
次ニ報國債劵ヲ十圓デ買ツテ籤ヲ一囘引
イタ後デ直グ八圓五十錢デ賣ツテシマフ、
斯ウ云フコトヲスルノニ政府ハナゼモウ少
シ趣旨ヲ徹底スルヤウニ說明ナリ何ナリシ
ナイカト云フノデ非常ニ激勵ヲシテ戴イタノデ
アリマスガ、是ハ洵ニ御尤モナコトデアリ
マシテ、之ヲ此ノ儘放ツテ置クト云フヤウ
ナ考ヘハ私共モナイノデアリマシテ、頻リ
ニ債劵ノ買入ヲ奬メル其ノ時カラ無理ノナ
イヤウナ奬メ方ヲスルヤウニ、上役カラノ
命令ダカラト云フヤウナ譯デ、ドウモナラ
又、金ヲヤリ繰シテ買フト云フヤウナコト
ガナイヤウニト云フヤウナ注意ヲ常ニ致シ
テ居ル所デアリマスガ、尙ホソレ程ノ必要
ガナイニシマシテモ、之ヲ手許ニ持タシテ
置クト云フヤウナコトニ致シテ置キマスト、
人間ノ弱點デ兎角之ヲ賣リタイト云フヤウ
ナコトニナリマスカラ、成ベク保管ヲ委託
サセルト云フヤウナ方法ヲ奬勵シテ居ル積
リデアリマス、尙ホ郵便貯金ヲ下シテ報國
債劵ヲ買ハセル、ソレデ何ニナルカ、十圓
ノ貯金ガ減ツテ、サウシテ十圓ノ報國債劵
ヲ手ニ持ツト云フヤウナコトデハ國民全體
ノ貯蓄ノ上カラ何等得ル所ガナイヂヤナイ
カ、斯ウ云フ御話デアリマスガ、是ハ場合
ニ依ツテハサウ云フコトモ認メナケレバナ
ラヌ時モアルヤウニ考ヘラレルノデアリマ
ス、中々月ニ十圓ト纒ツタ金ヲ得ラレナイ、
ガ併シ自分モヤハリ報國債劵ト云フモノヲ
買ヒタイト云フ者ガ、每月郵便貯金デアリ
アスナラバ二圓デモ三圓デモ出來ルノデア
リマスカラ、ソレヲ積ンデ置キマシテ、愈、〓
十圓ナリ五圓ニ達シタト云フ時ニ其ノ貯金
ヲ下シテ債劵ヲ買フト云フヤウナコトハ、
是ハ別ニ止メル必要ハナイ、初メカラ其ノ
豫定デヤツテアル貯金ナノデアルカラ寧ロ
奬勵シテモ宜シイヂヤナイカ、斯ウ云フ風
ニ考ヘテ居ルノデアリマス、唯或ハ隣組ノ
組長サンニ勸メラレタトカ、或ハ町內會ノ
役員ニ勸メラレテ斷リ切レナカツタカラト
云フヤウナコトノ爲ニ、一方デサツサト貯
金ヲ下シテサウシテ債劵ヲ買フト云フヤウ
ナコトハ是ハ餘リ私共ノ方トシテハ感心シ
ナイ方法デアルト考ヘテ居ルノデアリマス、
尙ホ最後ノ御尋ネハ一寸御趣旨ヲ或ハ取違
ヘテ居ルカモ知レマセヌデスガ、假ヘバ十
七年ノ貯蓄ニ付キマシテハ十六年マデノ分
ハ其ノ儘凍結シテシマツテ、サウシテ十七
年ノ一月一日カラノ分ヲ計算スルヤウニセ
ヨ、斯ウ云フヤウナ御話カト思フノデアリ
マスガ、別ニ前年マデノ分ニ付テ特別ノ措
置ヲ執ツテ、居ル譯デハアリマセヌケレド
モ、私共百三十五億トカ百七十億トカト云
フ時ニハ前年マデノ貯蓄ノ上ニ增加シタ
其ノ貯蓄ヲ計算スル、斯ウ云フ方法ヲ執ツ
テ居ルノデアリマシテ、ソレデ別ニ支障ガ
ナイヤウニ思ツテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=120
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121・松田正一
○松田(正)委員 委員長アナタ御辛抱デス
ガ、何時頃マデオヤリニナルノデスカ、私
ハドウデモ出來マスガ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=121
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122・由谷義治
○由谷委員長 一應君ノ片ガ付クマデヤラ
ウヂヤナイデスカ、大藏省全般ニナルト遲
クナルカモ知レヌガ、一問題ノ片ガ付クマ
デヤリマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=122
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123・松田正一
○松田(正)委員 私ノ言フコトガ能ク分リニ
クカツタカモ知レマセヌカラ、モウ一應申上
ゲマス、報國債劵ヲ買フト云フノハ、ソレ
ハ賣ルノデハナクシテ質屋ヘ入レテ置クノ
デス、當籤權ハ持ツテ居ル、ソコガ博打ヂ
ヤナイデスカ、賣ツテシマフノデハナイ、
ソレヲ質屋ニ入レテ置クト當籤權ヲ持ツテ
居ルノデス、所有權ハナイガ、占有權ハア
ル、ダカラソレガ當籤番號ニ當レバウント
儲カル、ソレヲ一圓五十錢デヤツテ居ル、ソ
レガ博打ダト云フノデス、ソレヲ止メサセ
ナケレバイケナイ、ソレカラ郵便貯金ヲ引
出シテ報國債劵ヲ買フ、ソレハ絕對イカン
トハ申シマセヌケレドモ、效果ヲ擧ゲル
コトハ出來マスマイ、一方デ預金ヲ出シテ
一方デ債劵ヲ買フノデスカラ效果ハ擧ツテ
居ルト言ハレマスケレドモ、實ハ效果ガ擧
ツテ居ラン、所デ一方利息ノ方ヲ考ヘテ見
マスルト、支那事變公債ニシテモ三分五厘
郵便貯蓄ハ二分六厘七毛、大分其ノ間ニ開
キガアル、今郵便貯蓄ニアル金ヲ公債ニ全
部振替ヘテシマツタトシタラ、ドレダケ
ノ鞘ガ損ニナルカ、是ハ大キナ金ニナリマ
ス、ソレヲ考ヘテ見ルト、郵便貯金ハ郵便
貯金デヤラシテ置クノガ宜イ、其ノ上ニ今
月ハ郵便貯金ヲ止メテ支那事變公債ヲ買ハ
ウヂヤナイカ、報國債劵ヲ買ハウヂヤナイ
カ、是ハ宜イノデス、何カ是等ニ付テ方法
ガアリサウニ思フノデスガ如何デセウ
ソレカラ一番終ヒノ問題、昨年ノ貯蓄ハ
ドレダケダ、今年ノ貯蓄ハ豫定額ハ是ダケ
ダカラ、昨年ノ貯蓄ヲ超エテ是ダケ殖ヤ
サネバナラヌ、斯ウ云フコトニナルト思
ヒマス、昨年ノ標準ダケハ各府縣ニ割當
テテ、今年ハ今年デ殖エタダケ又道府縣ニ
割當テテ、道府縣カラ又各市町村ノ方ニ
是ダケノ責任ヲ負ヘト云フ、同ジヤウナ行
キ方デ行クノデスカ、他ニ何カ妙案デモア
ルノカト云フコトヲ聽イテ置キタイナ
ケレバナイ、此ノ儘デヤルノダト言ウテ
貰ヘバソレデ結構デス、ソレト各府縣ヘ割
當テル、ソレヲ市町村ニ割當テル、割當テ
テ道府縣ノ係員ハソレヲ放ツテ置ク、ソレ
デ早ウヤツテ來イトヤカマシク市町村ヘ言
フダケデハ、·一寸モ自分ガ出テ行ツテ御手
傳ヒスルコトハシナイ、偶〓行クト高イ旅
費ヲ取ツテ、忙シイ人ヲ集メテドサント納マ
ツテ居ル、ソレデアルカラ結果ガ惡イ、是
モ一ツ何カ考ヘヤウハナイノデスカ、一生
懸命汗水カイテヤツテ居ルノハ隣組長ト市町
村長デアル、是カラズツト殖エテ行クモノ
ニ對シテヤハリ此ノ筆法デオヤリニナル考
ヘカ、何カ他ニ考ヘラレテ居ルカ、之ヲ伺
ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=123
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124・氏家清吉
○氏家政府委員 郵便貯金ト報國債劵ヤ國
債トノ關係ノコトヲ御尋ネデゴザイマスガ、
郵便貯金ハ申上ゲルマデモナク當座式ノモ
ノデゴザイマス、出シタリ入レタリスルノ
ガ通常ト言ヘバ言ヘル性質ノモノデゴザイ
マス、ソレデ郵便貯金ヲ下シテ債劵ヤ國債
ヲ買ツテモ、貯蓄ノ增加ト云フ點カラ言ヘ
バ效果ハナイヤウデアリマスケレドモ、只
今申上ゲマシタヤウナ譯デ質的ニハ貯蓄ト
シテハ確カニ强化サレテ居ルト思フノデゴ
ザイマス、ソレデ郵便貯金ニナツテ居リマ
スモノヲ債劵ナリ國債ナリヲ買ツテ、之ヲ
郵便局アタリニ保管サセル、斯ウ云フコト
ニ致シマスト、郵便貯金トシテ直グ出シ入
レノ利クヤウナ狀態ニシテ置クヨリハ、國
民貯蓄トシテハ望マシイ方法デアルト考ヘ
テ居ル次第デゴザイマス
尙ホ貯蓄增加目標額ノ割當ノ方法ハ、別
ニ今マデヤリマシタコトト大シテ變ツタヤ
リ方ヲヤラウトモ考へテ居リマセヌ、先程
申上ゲマシタヤウニ色々割當額ヲ決メマス
上ニ付テ標準トシ、尺度トスルモノ、是八、
餘程從來ヨリハ考ヘ方ヲ變ヘマシテ、サウ
シテ各地方々々或ハ各市町村等ノ資力ニ相
應シタ目標額ガ出來上ルヤウニ指導ヲ致シ
テ行キタイト思ツテ居リマス、但シ大キナ
額ヲ割當テテソレデ能事畢ツタカノヤウニ
考ヘテ居ツテハ困ル、何カ他ニ方法ガアル
カト云フ御話デゴザイマスガ、其ノ方法ハ
先程御尋ネガアリマシタヤウナ譯デ、色々法
律ノ改正或ハ豫算ノ經費ヲ計上スルト云フ
ヤウナ手段ヲ執ツテ居リマシテ、ソレ等ノ
法制ヤ經費ヲ活用致シマシテ、從來以上ニ
力ヲ入レテ行キタイト思ツテ居リマス、御
話ノ通リ府縣ノ官吏ガ非常ニ貯蓄ニ付テ不
熱心ダ、躍起トナツテヤツテ居ルノハ町村
長カ或ハ部落ノ役員ダケデアル、是デハ困
ルヂヤナイカト云フ御話、是ハ非常ニ御尤
モナコトデゴザイマシテ、サウ云フ所モア
ルカモ知レマセヌケレドモ、私共府縣ニ
參リマスト、中ニハ實ニ感心ニ能クヤツテ
吳レテ居ルヤウナ場合モ非常ニ多イノデア
リマス、府縣ニ依リマシテハ總務部ノ或ル
一ツノ課ダケデナク殆ド全縣廳ノ總員ヲ擧
ゲテ、色々ナ貯蓄推進ノ組織ヲ作リマシテ、
中々熱心ニヤツテ居ラレル所ガ相當多イヤ
ウニ思フノデアリマス、但シ今マデ貯蓄ニ
付キマシテノ地方ノ陣容ガ非常ニ不十分デ
アツテ、ソレヲ專擔スル職員ガナカツタト
云フヤウナ點ハ、是ハ御話ノ通リデアリマ
シテ、十七年度ニ於キマシテハ、ソレラノ
點ニモ十分注意致シマシテ、相當ノ豫算モ
計上致シテ居リマスカラ、地方廳ニ於ケル陣
容モ十六年度ヨリハ遙ニ充實サレルト思ヒ
マス、尙ホ各道府縣ニ於テ中間機關ヲ設置
スルト云フコトニナツテ居リマシテ、此ノ
中間機關ガ又貯蓄ト云フコトニ付テ相當働
イテ吳レルト云フ豫定ニナツテ居リマスカ
テ、御話ノヤウナ缺點ハ餘程改善サレルノ
デハナイカト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=124
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125・松田正一
○松田(正)委員 中間機關ハ大變結構ト
思ヒマス、サウシテ全國津々浦々カラ貯蓄
ノ奬勵員ガ出來ルト思ヒマスガ、ソレニ付
テノ人選ハ中々難カシイト思ヒマス、アルシー
角此ノ種ノ人選ニ付テハ地方ノ資產家ナド
ヲ選ビ易イノデスガ、ソレデハ成績ガ擧ラナ
イト思ヒマス、今日貯蓄ヲ免レヤウト云フ
ヤウナ考ヘハ勿論アリマスマイケレドモ、
ドウモ貯蓄ハ大變ナコトダト心ノ中デ考ヘ
テ居ルノハ資產家ニ多イト思ハレマスノデ
其ノ人選ニハ十分ノ御注意ヲ願イタイ、ソ
レカラ今年ノ貯蓄目標ハ相當殖エルヤウナ
趣キニ伺ヒマスガ、先ヅ大イニ貯蓄ヲセシ
ムルニ付テハ、各人ノ收入カラ最低ノ生活
費ヲ控除シテ、其ノ餘力ノ分ハ悉ク貯蓄セ
ヨト云フヤウナ目標ヲ立テテ行カネバナラ
ナイト思ヒマス、サウシタ場合ニ於テ五千
圓ノ年收ノ者、又一万圓ノ年收ノ者、更に
何十万圓、何百万圓ノ收入ノアル者モ、最
低生活ニ甘ンズルト云フコトニナツタナラ
バ、私ハ二百二十億ヤ二百三十億ノ貯蓄ハ
何デモナイト思フ、一家ノ生計費ナドト云
フモノハ年ニ一万圓ノ收入ノアル者デモ、
家族十人ヲ支ヘテ行クノニ一箇月三百五十
圓位デ足リルト思ヒマス、サウスルト月收
ニシテ大體八百八十圓入ルトスレバ五百圓
ヅツノ貯蓄ガ出來ナケレバナラナイト云フ
コトニナル、ソレガ貯蓄サレナイノハ何處
ニ使ハレテ居ルカ、是ハ料理屋ニ拂フトカ、
贅澤品ヲ買フトカ云フ方面ニ費消サレルノ
デハナイカト思フノデ、サウ云フモノヲ止
メタラ私ハ二百二十億ヤ二百三十億ノ貯蓄
ハ易々タルモノデアルト考ヘマス、然ルニ
之ヲヤツテ居ラナイ、假ニ一億國民ガ一日
二十錢ヅツ貯蓄スレバ一年ニ三十六億五千
万圓ノ貯蓄ガ出來マス、若シ多額ノ收入ノ
アル者ガ眞ニ此ノ國難ヲ突破シナケレバナ
ラヌト云フ時局認識ニ徹シタナラバ、ズツ
ト上ノ收入アル者ハ一日ニ百圓位ノ貯蓄ノ
出來ル人モアルデセウ、又其ノ下ニナツテ
一日ニ十圓貯蓄ノ出來ル者、五圓貯蓄ノ出
來ル者、極ク最低ノ者ガ一錢トシテ、此ノ
平均ヲ一人一日一圓ヅツノ貯蓄ヲスルト致
シマスレバ年ニ三百六十五億圓ノ貯蓄ガ出
來ルコトニナリマス、是ハヤリ方ニ依ツ
テハ出來ナイコトハナイト思ヒマス、假
ソコマデ行カナクテモ一人一日平均二十錢
ヅツトシテモ七十何億ノ貯蓄ハ出來マス、此
ノ筆法ヲ以テヤレバ今ノ所得ノ上カラ考ヘ
マシテ相當ノ貯蓄ハ出來ルト思ヒマスガ大
藏省ノ方デハドウ云フ御考ヘデアリマスカ、
私ノ言フコトハ出來ルト思ヒマスカ、出來
ナイト思ヒマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=125
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126・谷口恒二
○谷口政府委員 先程カラ松田サンノ御話
ハ國民貯蓄奬勵ノ促進的ノ御話ト拜聽致シ
タノデアリマスルガ、只今ノ仰セノ中デ、
此ノコトニ關係スル方々ノ人選ノ問題ト云
フコトヲ御話ニナツテ居ルヤウデアリマス
ルガ、是ハ將來貯蓄當局ニ於キマシテモ能
ク注意ヲ致シタイト思フノデアリマス、ソ
レカラ色々貯蓄ノ工夫ニ付キマシテ、人
一年間ニ如何程ノ經費ガ要ルカ、或ハ一世
帶當リデドレダケノ經費ガ要ルカト云フコ
トノ最低ノ基準ヲ設ケマシテ、ソレ以上ヲ
起スモノハ全部貯蓄ニ向ケル、斯ウ云フヤ
ウナヤリ方ハ確ニ一ツノヤリ方デアルト思
フノデアリマス、最低ニ生活シテ行クニ付
キマテ、果シテ幾許要ルカト云フ問題ニ付
キマシテハ、貯蓄奬勵局ニ於テモ先年來其
ノ方向ニ〓究ヲ致シテ居ルノデアリマス、
併シ之ヲ發表致シマスノニ付キマシテハ、
又之ヲ實踐運動ニ移スノニ付キマシテハ、相
當自信ヲ得ナイ上ハ致シ兼ネルヤウナ點ガ
アルノデアリマシテ、マダ之ヲ實踐ニ移ス
マデノ運ビニ至ツテ居ラナイノデアリマス、
更ニ其ノ方面ノ〓究方法ト致シマシテハ、
最低生活費以外ノ殘ツタ所ヲ全部貯蓄ニ振
向ケルト云フコトガ、國民全體同一デアツ
テ宜イカ惡イカ、ヤハリサウ云フ最低ノ標
準ト云フモノヲ幾通リニモ作ル必要ガアル
ノデハナイカ、一色ニ塗リマスカ、或ハ三
色四色、五色、更ニモツト多クノ色合デ
其ノ最低ノモノノ標準ヲ作ルカ、是等ヲ實
踐ニ移スニ付キマシテハ、愈〓トナリマスル
ト中々非常ニ難カシイ點ガアルノデアリマ
ス、併シ只今御指摘ニナリマシタ方向ハ
吾々モ其ノ方向ニハ向イテ行キタイト云フ
コトヲ考ヘテ居リマシテ、從來貯蓄ノヤリ
方ト致シマシテハ、先程モ問答ガアリマシ
タガ、唯々演說或ハ抽象的ニ其ノ事ヲ奬勵
シテ行クヨリハ具體的ナ標準ヲ示シテ、斯
ウ云フ理窟デ是ダケノモノデ、アト殘ツタ
モノハ貯蓄ヲスルト云フ風ニ具體的ニ進ン
デ行カナケレバ、ドウシテモイケナイト云
フコトハ考ヘテ居ルノデアリマス、更ニ又
松田サンガ最後ニ仰セニナリマシタヤウ
ニ、或ハ一人一日ト云フコトノ御話ガアリ
マシタガ、是モ亦具體的貯蓄方法ト云フ一
例ト致シマシテ御示シニナツタモノト思フ
ノデアリマス、具體的ナ貯蓄方法ヲ執ルト云
フコトニ付キマシテハ、全ク同感デアリマ
シテ、今後一層ノ努力ヲ致シマシテ、只今
未完成ニ屬シテ居リマスルヤウナ構想ヲ實
踐ニ移シマシテ、貯蓄ノ效果ヲ擧ゲテ行ク
ト云フコトニ進ミタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=126
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127・川俣清音
○川俣委員 一寸關聯シテ御尋ネシテ置キ
タイノデアリマスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=127
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128・由谷義治
○由谷委員長 川俣君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=128
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129・川俣清音
○川俣委員 「ポスター」ヤ立看板ヲ見ルト
「一點十億、十點百億」ト云フ看板ガ出テ居
リマス、ソコデ問題ハ消費規正ノ點カラ致
シマシテ、アア云フ看板ガ出テ居ルノハ大
變結構ダト思ヒマスケレドモ、一體物資ノ
不足ナ時ニアア云フ看板ニ金ヲ掛ケラレル
ヨリハモツト效果的ナコトヲ狙ハレタ方
ガ宜イノデハナカラウカト云フ點ガ一點、
尙ホ具體的ニナリマスルト相當切符ヲ握ツ
テ隣組或ハ地方等ノ意見ヲ具サニ聽イテ見
マスルト、此ノ點數制ノ切符制ヲ如何ニ利用
スルカト云フコトニ付テ相當皆關心ヲ持ツ
テ居ルヤウデアリマス、殘シタラドウカト
云フヤウナ意見ト、殘ツテモ無駄ダト云フ
ヤウナ意見ト色々分レテ居リマス、ソレデ
之ヲ殘シタ場合ニハ特段ノ配慮ヲスルト云
フヤウナコトガ消費規正ノ上カラシテ非常
ニ必要デハナイカ、唯「ポスター」二世界
テ「一點十億、十點百億」ト云フヤウナコトヨ
リモ、百點アル點數ノ內一點殘スナラバ、
其ノ切符ヲ以テ貯蓄シタ場合ニハ利〓ガ好
イトカ、或ハ其ノ切符ヲ以テ切符ト引換ニ
ヤル、當籤率ノ良イ債劵ヲ發行スルトカ云
フコトト相兼ネテ參リマスレバ、消費規正
ノ目的ガ非常ニ進捗シテ來ルノヂヤナイカ、
現在ノ所ハ百點ハ百點ニ使ハレルヤウナ狀
態ニアルト思フノデアリマス、ドウカシテ
此ノ百點ヲ或ル程度、二割ナラ二割減ジサ
セル、或ハ三割ナラ三割減ジサセル、百點
ヲ八十點ナリ七十點デ國民ヲ消費規正ニ向
ハシメル、其ノ二十點ナリ三十點ヲ國民ノ
貯蓄ニ向ハシメルトスルナラバ、或ハ利廻
ノ良イ貯蓄トカ、或ハ特別ノ債劵ト云フヤ
ウナ、切符ト貯蓄、貯蓄ト債劵ト云フモノ
ヲ引換ニシテ之ヲ吸收スル方策ヲ大藏省デ
考ヘラレテ居ルカドウカ、又考ヘル必要ガ
アルト思フノデアリマスガ、之ニ對スル御
意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=129
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130・谷口恒二
○谷口政府委員 只今ノ御話ハ只今ノ所考
ヘテ居リマセヌ、併シ良イ御考ヘダト私ハ
思フノデアリマス、此ノ衣料ノ切符制ニ付
テハ供給ノ方面トノ關係上一年限リト云フ
コトノ目標ニナツテ居ルヤウデアリマシテ、
繰越關係ノ問題ハ解決ハサレテ居ラナイヤ
ウニ承ツテ居ルノデアリマス、併シソレガ
爲ニ、一年間ニ兎モ角モソレダケノモノヲ
使ツテシマツタ方ガ宜シイト云フヤウナ關
係ニナルコトハ、好マシクナイト云フニト
ハ私モ同感デアリマス、此ノ點ニ付キマシ
テハ單ニ衣料ノミナラズ、其ノ他生活必需
品ニ付キマシテ割當テラレテ居ルモノガア
ルノデアリマシテ、是ガ割當テラレタダケ
ハ是非使ツテシマハウト云フコトデハ物足
ラナイ感ジガアルノデアリマス、最近ニ於
キマシテハ吾々ノ方面ニ於キマシテモ、墮
ニ付キマシテヤハリ通帳ノ制度ヲ執リ始メ
マシタノデ、吾々ノ關係ノ方面ニ於キマシ
テモ段々實感ヲ伴ツテ參ツタノデアリマス
ガ、御氣付ノ點ハ確カニ一ツノ着眼點ダト
思フノデアリマス、現在ハ其ノ點ニ付テ工
夫ヲ凝ラシテ居リマセヌケレドモ、段々サ
ウ云フ方面ニモ工夫ヲ凝ラシマシテ、消費
ノ規正ト云フコトノ奬勵ト、ソレニ伴ツテ
貯蓄ト云フモノガ出來タ場合ニ特殊ノ待遇
ヲスルト云フコトニ付キマシテハ今後大
イニ〓究致シテ見タイ、左樣ニ考ヘルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=130
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131・由谷義治
○由谷委員長 宜シウゴザイマスカ-ソ
レデハ本日ハ此ノ程度デ散會致シマス、明
日ハ午前十時カラ開會致シマス、尙ホ今朝
開會ノ初メニ申上ゲマシタ大藏大臣ノ出席
デアリマスガ、今尙ホ確答ガアリマセヌ、
大藏省ノ政府委員ノ諸君デ御心配願ヒマシ
テ、委員長トシテハ明日午後是非御出席セ
ラレルヤウニ御願ヒシテ置キマス
午後四時十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912838X00319420206&spkNum=131
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