1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十七年一月二十九日(木曜日)午前十時十分開議
出席委員左の如し
委員長 板谷順助君
理事 横川重次君 理事 田村秀吉君
理事 長井源君 理事 坂東幸太郎君
理事 龜井貫一郎君
池田秀雄君 小山倉之助君
大口喜六君 太田理一君
菊池良一君 木村正義君
木暮武太夫君 西川貞一君
武田徳三郎君 喜多壯一郎君
豐田豐吉君 豐田收君
内藤正剛君 中島彌團次君
仲井間宗一君 南雲正朔君
西村金三郎君 野田俊作君
廣川弘禪君 福井甚三君
堀内良平君 松永東君
山本粂吉君 矢野庄太郎君
石坂豐一君 世耕弘一君
河合義一君 三輪壽壯君
粟山博君 田中耕君
水谷長三郎君
出席國務大臣左の如し
大藏大臣 賀屋興宣君
出席政府委員左の如し
大藏次官 谷口恒二君
大藏省銀行局長 山際正道君
大藏省爲替局長 原口武夫君
大藏省會社部長 田中豐君
本日の會議に上りたる議案左の如し
日本銀行法案(政府提出)
戰時金融金庫法案(政府提出)
臨時資金調整法中改正法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=0
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001・板谷順助
○板谷委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス-
河合義一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=1
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002・河合義一
○河合委員 私ハ日本銀行法案ニ付キマシ
テ一二御尋ネシタイト思フノデアリマス、
ソレハ第三十九條ニ「出資ニ付拂込金額ニ
對シ年四分ヲ下ラザル割合ノ配當ヲ爲スベ
シ但シ其ノ配當ハ年五分ノ割合ヲ超ユルコ
トヲ得ズ」斯ウ云フ風ニ規定サレテ居リマ
スガ、四分ト五分トノ間ノ配當ヲ支給スル、
斯ウ云フ利率ト云フモノハ何カ基ク所ガア
ルノデアリマスカ、或ハ又今後斯ウ云フ資
金ニ對スル利益金ノ利率ト云フモノハ、是
ガ適當デアルト云フヤウナ標準ヲ示サレタ
モノデアリマセウカ、其ノ點ヲ御伺ヒシタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=2
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003・山際正道
○山際政府委員 日本銀行ノ出資ニ對シマ
シテ、年四分ノ割合ヲ下ラズ、又年五分ノ
割合ヲ超エザル範圍ニ於テノ配當ヲ認メル
ト云フ規定ヲ設ケタ趣旨デゴザイマスガ、、
先ヅ最高限ヲ五分ニ抑ヘマシタ趣旨ハ、大
體今囘ノ出資ノ性質ガ御覧ノ通リ配當ハ或
ル程度保證サレテ居リマス、代リニ元本ノ
償還ハ實質上又確保セラレテ居リマスガ、
ソレ以上ノ殘餘財產ノ分配ニハ與カリ得ナ
イ、謂ハバ確定利附債劵ニ餘程近イ性質ノ
モノニ相成ツテ居ルノデアリマス、隨ヒマ
シテ株式ノ配當ニ比ベマスレバ幾分カ確定
利附債劵ノ利子ニ近イヤウナ所ニ其ノ限度
ヲ決メルコトガ必要デアリマセウシ、又稅
法上ノ取扱其ノ他カラ考ヘマシテ、純然タ
ル確定利附債劵デモゴザイマセヌ、丁度其
ノ中間程度ノ所ニ限度ヲ設ケルノガ必要デ
ハナカラウカ、斯樣ニ考ヘマシテ各種ノ金
利ノ情勢デアリマストカ、配當ノ模樣デア
リマストカヲ勘案致シマシタ結果、先ヅ五
分ト云フ所ガ妥當デアラウト云フ意味合ニ
於キマシテ決定致シタモノデアリマス、隨
ヒマシテ此ノ五分ノ限度ハ日本銀行ト云フ
特別ノ組織ニ基ク關係ニ於テ決定致シマシ
タ限度デアリマスカラ、之ヲ以テ直チニ他
ノモノニ及ボスト云フ考ヘハナイノデゴザ
イマス、日本銀行ニ付テ特殊ノ決メ方デア
ル、左樣ニ御諒承願ヒタイノデアリマス、
ソレカラ下ノ限度四分ヲ抑ヘマシタ理由
ハ、是ハ大體國債ノ稅引利〓リデアリマス
トカ、又政府保證債劵ノ利廻リデアリマス
トカ、各種ノ金利水準ヲ參酌致シ、又從來
ノ例ニ依リマシテ、配當ヲ補給致シマスヤ
ウナ場合ニ四分ト云フ例モ少クアリマセヌ
ノデ、是等ヲ勘案致シマシテ、先ヅ下ノ限
度ハ四分程度ニ抑ヘルノガ妥當デアラウ、
斯樣ニ考ヘマシテ、本案ノ如ク決定致シタ
次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=3
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004・河合義一
○河合委員 尙ホ御尋ネ致シタイコトハ、
前ノ日本銀行ノ株ヲ處分スルコトニ付キマ
シテノ規定ガ示サレテアルヤウデアリマス
ガ、其ノ條項ニモ或ル一定ノ時期ニ於ケル
日本銀行ノ株ノ市價ヲ參酌シテ處置ヲスル
ト云フヤウナ意味ノ規定ガアルノデアリマ
スガ、現在ノ日本銀行株ノ市價ハドレ程致
シテ居ルデアリマセウカ、一寸承リタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=4
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005・山際正道
○山際政府委員 極ク最近ノ所ノ市價ハ舊
株デ申シマスト、一株當リ五百五十圓見當
ト承知致シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=5
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006・河合義一
○河合委員 サウ致シマスト舊株一株ニ對
シマシテ新日本銀行ノ株ヲ-ト申スクハ
不適當デアルカモ知レマセヌガ、二口ノ株
ヲ支給スルト云フヤウニ定メテアリマスガ、
サウ致シマスト三百五十圓ノ開キガアル譯
デアリマス、之ニ對スル補償ノ規定モ示サ
レテアルノデアリマスガ、大體ドレ程ノ補
償ヲスルト云フ御考ヘデアリマスカ、承ルコ
トガ出來マシタナラバ承リタイノデアリマ
ス、ソレト併セマシテ、補償審査委員會ト云
フモノガ組織サレル筈ニナツテ居リマスガ、
其ノ委員會ノ構成ハドウ云フ風ニナサルノ
デアリマスカ、ソレモ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=6
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007・山際正道
○山際政府委員 補償ヲ致シマスル限度ニ
付キマシテハ、第六十八條ニ其ノ大體ノ骨子
ガ規定致シテアルノデアリマス、其ノ第二
項ニ依リマスト、補償金額算出ノ基準ハ現
在ノ日本銀行株式ノ昭和十五年度及ビ昭和
十六年中ニ於ケル時價ト、ソレカラ新シク
出來マスル日本銀行ノ出資者ノ持分ノ價格
トノ兩者ヲ參酌シテ之ヲ決メルト云フコト
ニナツテ居リマスガ、大體ハ其ノ差額ヲ補
償スルト云フ考へ方デアリマス、此ノ基準
ト致シマシテ昭和十五年、昭和十六年中ト
云フ標準ヲ採リマシタノハ、斯樣ナ場合ニ
於キマシテ餘リ直前ノ短イ期間ノ價格ニ依
ルトカ、サレバト申シテ非常ニ長イ間ノ價
格ヲ見ルトカ云フコトデハ、却テ公正ヲ得
マセヌノデ、大體此ノ兩年度位ニ亙ツテ其
ノ間ノ時價ヲ斟酌シテ決メルノガ適當デハ
ナカラウカ、斯樣ニ考ヘタ次第デアリマシ
テ、而シテ此ノ價格ヲ決定致シマスルニ當
リマシテハ、此處ニアリマス通リ補償委員
會ノ議ヲ經ルコトニ相成ツテ居ルノデアリ
マシテ、此ノ補償金ヲ具體的ニ彈キ出シマ
ス方法ハ、此ノ補償委員會ノ審議ニ依ツテ
決定サレル、斯樣ニ相成ツテ居ル譯デアリ
マス、補償委員會ノ構成ニ關シマシテ大體只
今考ヘテ居リマスル所ハ、大藏大臣ヲ會長
ト致シマスル委員會デアリマシテ、關係各
廳ノ官吏、又日本銀行ノ役員、ソレカラ民
間ノ斯カル處置ニ付キマシテ學識經驗ノ深
イ人々、竝ニ私共ノ腹案ト致シマシテハ此
ノ新シイ出資者ヲ或ル程度代表シ得ルヤウ
ナ人達、斯カル人達ニ依リマシテ委員會ヲ
構成シテ、適正ナル補償ノ算出ノ基準ヲ決
定致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=7
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008・河合義一
○河合委員 此ノ機會ニ私ハ直接大藏省ノ
所管ノ事務デハアリマセヌケレドモ、少シ
大藏當局ノ意見ヲ質シテ置キタイト思フ點
ガアルノデアリマス、ソレハ只今モ御答辯
ガアリマシタ四分ト五分ノ配當率ト云フモ
ノハ、色々ナ點ヲ考ヘテ決メタト云フ御話
デアリマシタガ、是ハ私ハ妥當ナル決メ方
デアルト思フノデアリマス、所ガ是ハ農林
省ノ所管事務デアリマスガ、其ノ統制經濟
ノ段階ト致シマシテ、段々國策會社機構ガ
常識トナリマシテ、物價ガ適正化サレ、生
產、配給利潤ハ掣肘サレテ來タ今日ニ於キ
マシテ、非常チ利潤ヲ擧ゲテ居ル一種ノ特
權ヲ持ツテ居ル會社ガアルノデアリマス、
ソレハ此ノ節甚ダ喧シクナツテ居リマスル
生鮮食糧品ノ配給ノ機構ニ於キマシテ、最
モ重要ナル任務ヲ持ツテ居リマスル所ノ中
央卸賣市場內ニ於ケル卸賣會社デアルノデ
アリマス、此ノ卸賣會社ハ六大都市ノ中デ
名古屋ダケニ中央市場ガ設置サレテ居ナイ
ノデアリマスガ、他ノ東京、横濱、京都、
神戶、大阪、其ノ他ニ佐世保、高知、鹿兒
島、此ノ八箇所ニ中央市場ガ設置サレテ居
ルノデアリマス、其ノ中央市場内ニアリマ
ス各種ノ卸賣會社ノ利率ト云フモノハ非常
ニ厖大ナモノデアリマス、此ノ資料ハ農林
省ノ方ニ要求致シテ居リマスカラ、軈テ私
ハ明カニナルト思フノデアリマスガ、今私
ガ玆ニ申上ゲルコトノ出來ル會社ダケニ付
テ申上ゲマスト、大阪ノ中央市場ニアリマ
ス所ノ魚會社ノ資本金ガ一千七百万圓デア
リマス、其ノ中拂込濟ノ金額ガ一千二百六十
二万五千圓デアリマス、所ガ此ノ中デ現物出
資ト申シマシテ、何モ實ハ現物出資ヲシテ
居ナイ、私ノ調査シタ所ニ依リマスト、算
盤一挺現物出資ヲシテ居ナイ、サウシテ現
物出資ト云フ名ノ下ニ千百八十七万圓ノ現
物出資ヲシテ居ルコトニナツテ居ルノデア
リマスガ、ソレニ對シマシテ現金ノ出資ガ
五百十三万圓、中拂込濟額ガ八十九万二千
五百圓、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、配當
ハ六分ノ配當ヲシテ居ルト申シマスケレド
モ、實際拂込ミマシタ金額ニ對シマシテハ
十二割五分ノ配當ニナツテ居リマス、橫濱ノ
生魚鹽乾株式會社ノ例ヲ取ツテ見マスト、
是ハ三分ノ配當ヲシテ居ルコトニナツテ居
リマスガ、其ノ實ハ二十割三分二厘、斯ウナ
ツテ居ルノデアリマス、全體ヲ通ジマシテ
八〇%ガ現物出資、卽チ所謂老舗料ヲ全額
拂込濟ノ株金ニ引直シタモノデアリマシテ、
之ニ對スル三分ナリ六分ノ配當ト云フモノ
ガ、可ナリ厖大ナル配當ニナツテ居ルノデ
アリマスガ、現在是ガ行ハレテ居ル、斯ウ
云フコトヲ私ハ調ベテ驚イタノデアリマス
ガ、色々事情ヲ調ベテ見マスト、此ノ會社
ガ出來マシタ當時、大藏省ガ同意ヲサレテ
居ル、斯ウ云フ擬裝ノ拂込ニ對シテ同意ヲ
サレテ居ルト云フ事實ヲ私ハ確カメタ、現
在ニ於キマシテ農林當局モ表向キデハアリ
マセヌケレドモ、何トカ此ノ水膨レ資本ヲ
水拔キヲシナケレバナラヌト云フコトヲ言
ハレテ居ルヤウニモ傳ヘ聞クノデアリマス
ケレドモ、一日モ早ク此ノ水膨レ資本ヲ整
理スル必要ガアルノデアリマス、其ノ當時
ハ已ムヲ得ナカツタカモ知レマセヌケレド
モ、今日此ノ生鮮〓料品ノ配給機構ノ問題
ガ喧シクナツテ、物ガアツテ流レテ來ナイ
ト云フコトハ、斯ウ云フ無茶苦茶ナ配當ヲ
生產者ヤ消費者ニ負擔ヲサセテ居リマスカ
ラ、物ガ出テ來ナイノデアリマス、是ガ最
大ノ原因ナノデアリマス、斯ウ云フ事實ガ
アルニ拘リマセズ一方ニ於テハ日本銀行法
ニ於テ大體資本ニ對スル配當ト云フモノハ
四分乃至六分ト云フヤウナ標準ガ立テラ
レタ、斯ウ私ハ見テ居ルノデアリマスガ、
然ルニ一方ニ於テハ二十割モノ配當ヲシテ
居ル會社ガアリマシテ、人間ノ生活ニ必要
ナル程度カラ申シマスト水ヤ空氣ニ次イデ
必要デアリマスル所ノ生鮮〓料品ノ配給ヲ
掌ツテ居リマス所ノ會社ガ、斯ウ云フ暴利
ヲ貪ツテ居ル、其ノ結果物ガ流レテ來ナイ
ト云フ事實ガアル、之ニ對シマシテ大藏當
局トシテハドウ云フ風ニ現在デハ御考ヘニ
ナリマスカ、一應伺ツテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=8
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009・田中豐
○田中(豐)政府委員 只今ノ御質問ハ中央
卸賣市場ナドノ設立ニ對シテ、農林省ノ原
案ニ大藏省モ同意シマシテ、サウ云フ會社
ガ出來テ居ルト云フコトデゴザイマスノデ
大藏省ガ同意致シマス關係ハ資金調整法ノ
關係デアラウト思ヒマスノデ、私カラ一應
御答辯申上ゲマス、御話ノヤウニ中央卸賣
市場ノ統合問題、是ハ色々ト難カシイ問題
ガアツタト聞イテ居リマスガ、其ノ統合ノ
關係上、統合スル人ノ從來營業權或ハ老舗
料ト云ツタモノヲ相當ニ見積リマシテ、之
ヲ資本金ト致シテ居ル譯デアリマス、隨ヒ
マシテ三分配當或ハ六分配當ト申シマシテ
モ、現金拂込ニ對シマシテハ御話ノ如ク十
二倍或ハ二十倍ト云フヤウナコトニナツテ
居ルノカト思ヒマス、要スルニ從來ノ營業
者ノ營業權或ハ老舗料ト云フモノヲ資本金
ニ見タコトガ餘リニモ過大デアルカドウ
カ、或ル程度營業權其ノ他ハ、當然會社合
併ノ場合ニ於キマシテハ認メルノガ普通デ
アリマシテ、殊ニ卸賣問屋ノ營業權ノ如キ
モノハ大體ニ於テ見テ居リマスガ、其ノ價
格ガ適當カドウカト云フ問題ニ歸着スルト
思フノデアリマス、卸賣業者ヲ統合シテア
ア云フ會社ヲ作リマス上ニ、其ノ必要カラ
ソレダケノ營業權ノ認定ト云フヤウナコト
ニ相成ツタモノト想像シテ居リマスガ、其
ノ結果サウ云フ暴利ヲ貪ツテ、國民ノ生活
ニ最モ緊要ナ魚ガ配給サレナイコトニナル
カドウカト云フ點ハ、假令資本金ガ相當水
膨レニナツテ居リマシテモ、魚ノ配給ニサ
ウ影響ノアル問題デハナイノデハナイカト
云フ氣モ致シマスケレドモ、何ニ致シマシ
テモ、營業權ガ相當水膨レニナツテ會社ノ
基礎ヲ危クスルト云フヤウナコトハ、是ハ
當然宜シクナイコトデゴザイマス、只今突
然伺ヒマシテ能ク事情ハ承知致シマセヌケ
レドモ、尙ホ能ク調査致シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=9
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010・河合義一
○河合委員 只今ノ御答辯デアリマスガ、
實ハ私モサウ云フ風ニ考ヘテ居タノデアリ
マス、老舖料ヲ現金支出ニ見直シテ拂込ガ
出來タヤウニ私モ考ヘテ居タノデス、中央
市場ノ外デ營業シテ居ル者ヲ場內ニ吸收
スル爲ニ、此ノ方法ガ必要デアツタヤウニ
私モ諒解シテ居タ、所ガ能ク調ベテ見マス
ト、第四十六囘帝國議會デアノ中央市場法
ガ制定サレタノデアリマスガ、其ノ當時ノ
本會議ニ於ケル速記錄或ハ委員會ニ於ケル
速記錄ヲ逐一私ハ讀ンデ見マシタガ、アノ
法ノ精神ハ、中央市場ガ出來マシテ、其ノ
影響ヲ蒙リマシテ、今マデ市場外デ營業シ
テ居ツタ者ガ、營業ガ立チ行カナイト云フ
ヤウナ場合ニハ補償ヲシテヤル、併シ何等
0
カノ形デ場內ニ入ツテ來テ營業スル者ニ對
シテハ補償シナイト云フ建前ニナツテ居ル
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=10
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011・板谷順助
○板谷委員長 河合サン、御話中デアリマ
スガ、ソレハ本案ニ關係ノナイコトデアリ
マスカラ、成ベク簡單ニ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=11
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012・河合義一
○河合委員 宜シウゴザイマス、ソレデハ
モウ少シ時間ヲ拜借致シタイト思ヒマス、
野さん
所ガ玆ニ十人ナリ十五人ノ卸賣業者ガ中
ニ入ツテ來マシテ、十五ノ店ヲ中央市場內
ニ持ツト云フコトハ甚ダ複雜デアルカラ、
一ツノ會社ニシヨウヂヤナイカト云フ話ガ
出來マシテ、アレハ單一ノ會社ガ出來タノ
デアル、其ノ現金拂込ヲスル時ニ、現物出
資ト云フ名目デ擬裝ヲシテ拂込ンダノデア
リマス、私ハ商法ヲ嚴格ニ解スルナラバ是
ハ違法デアルト思ツテ居ル、サウ云フ譯デ
アリマシテ、アレハ今私ガ承リマシタ御答
辯トハ事實ガ違フノデアリマス、尙ホ是力
ラ能ク調査シテト云フ御言葉ガアリマシタ
カラ、十分御調査ヲ願ヒマシテ、是ガ妥當
デナイト云フコトナラバ、假令是ガ農林省
所管ノ事務デアリマシテモ、成立ノ時ニハ
大藏省ガ同意ヲサレテアア云フコトガ出來
タノデアリマスカラ、責任ガアルノデアリ
マス、過日來カラモ本會議ニ於テモ委員會
ニ於テモ責任ト總意ニ於テト云フヤウナ言
葉ヲヨク聽クノデアリマスガ、今ノオ役人
程無責任ナモノハナイ、ヤリ放シデアリマ
ス、斯ウ云フ風ニ國民ガ非常ニ迷惑ヲシテ
居ルノデアリマスカラ、只今ノ御答辯ノ中
ニハ決シテ水膨レ資本ガ禍ヒヲシテ居ルノ
デハナイト云フコトヲ申サレマシタガ、私
ハ其ノ反對ノ意見ヲ持ツ事實ガ澤山アリマ
スケレドモ、時間ガ掛リマスカラ申上ゲマ
セヌ、斯ウ云フ重要ナ事柄ニ對シマシテハ、
一ツ大藏省ニ於テモ責任ヲ持ツテ能ク調査
ナサレマシテ、是ガ不穩當デアルナラバ、
農林省ノ方トモ一ツ話合ヲサレマシテ、之
ヲ是正サレルコトヲ希望致シマス、是デ私
ノ質問ハ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=12
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013・板谷順助
○板谷委員長 喜多壯一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=13
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014・喜多壯一郎
○喜多委員 私ハ昨日ノ質疑ニ續キマシテ
政府當局ニ御尋ネ致シマス、昨日戰時金融
金庫ガ共管主義デ行クノカ、ソレトモ大藏
省ノ一方主義デ行クノカ、或ハ細カイ點ハ
兩省協議シテ行クノカト云フコトヲ御尋ネ
シマシタ所以ハ、國民更生金庫ガ出來マシ
テモ開店休業時代ガアツタト言ツテ、國民
カラノ批判モ受ケタ、此ノ場合ニ國民金庫
ソレ自體モ實ハ氣ノ毒ナノデアツテ、ソレ
ニハ一方ニ商工當局ガモツト集團的ノ轉廢
業ヲ奬メテ行ケバ、却ツテ國民金庫モ働キ
得タト云フ事實モ私共ハ認メルノデアリマ
ス、然ルニソレガ遲レテ居ツタ、其ノ上ニ
又商工省ノ中小企業整理統合ニ對スル根本
的ナ態度ガ、時々動搖シテ維持育成ト云フ
風ナコトガ來レバ、勢ヒ大藏當局モ、更生
金庫ニ對スル點デ、手加減ガ出テ來ルト云
フ風ナ前例モアルモノデスカラ、產業設備
營團ト今度ノ戰時金融金庫トノ關係ニ付テ
私ハ共管主義デ行クノカ、一方的デ行クノ
カ、ソレトモ緊密ナ連絡ヲ取ル協議デ行ク
ノカト云フ御尋ネヲシタノデアリマスガ、
大臣モオイデデスカラ改メテ私ハ次ノ問題
ヲ之ニ關聯シテ、大臣ニ御答辯ヲ願ヒタイ
コトハ、私共ノ考ヘデハ此ノ大東亞戰爭ノ
勃發ト同時ニ、今後ノ日本ノ產業金融ト云
フモノハ、モウ金融資本主義的ノ產業金融
機構デハイケナイノダ、寧ロ產業資本主義
的金融機構トデモ云ヒマスカ、例ヘバ產業
其ノモノガ金融力ヲ誘導スルト云フ風ナ段
階ニ來タノダカラ、普通ノ營利法人タル產
業ノ方ノ側ノ企業形態ガ營利法人タル會社
形態カラ、營團ト云フ風ナ國家企業ト營利
會社トノ中間的ノ企業形態マデ出テ來タノ
ダ、ソレニ對應スルモノハ銀行デナクシテ
今日玆ニ上程サレテ居ル金庫ト云フ風ナ性
格カラ言ヒマストヤハリ大キナ時代的影
響ヲ受ケタモノガ出テ來タノダト、斯ウ解
釋スルノデアリマス、ソコデ私ハ戰時金融
金庫ト產業設備營團トニ付テハ、昨日アナ
タノ部下ノ方カラ、ヨリ緊密ナ連絡ヲ取ツ
テ協議ヲヤツテ協調スル所ハ力ヲ合ハセテ
ヤツテ行クト云フコトデアリマスカラ、ソ
レニ信賴ヲシテ細カイ點ハ打切ツテ置キマ
ス
此ノ點カラ改メテ御尋ネシダイコトハ、
日本協同證券會社ガ之ニ統合吸收セラレル
ト云フコトデアリマスガ、是ハ當然ダト思
ヒマス、株價安定機關トシテノ協同證劵會
社ヲ統合吸收シテ、其ノ働キヲサセルト云
フコトハ、時節柄戰時金融一元化主義ト云
フ建前カラ言ツテモ、當然サウアルベキコ
トデアリマスガ、殊ニ株式ノ應募引受機
能ガ之ニ與ヘラレルコトハ、戰時產業、特
ニ大キナ設備ヲ持タナケレバナラナイ戰時
生產業ハ、自己資本ニ依ルヨリモドウシテ
モ借入資本ニ依リマスカラ、玆デ斯ウ云フ
機能ガ與ヘラレルコトハ宜イノデスガ、此ノ
金庫ハ協同證劵會社ヲ統合吸收シタ結果、
協同證券會社ハ自ラ其ノ株ヲ引受ケタ場合
ニ、或ハ株式取得ニ依ツテ直接事業經營ニ
參加スル方針ヲ持ツテ居ルノデアリマスガ、ゝ
其ノ點ハ全然棄テテ顧ミナイノカ、其ノ點
ニ付テ大藏大臣ノ御意見ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=14
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015・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 國家ガ强力ナ國防國家體
制ヲ取ツテ參リマシテ、總テノ經濟ハ計畫
ヲ基本トシ、其ノ目的ヲ實現スル爲ニ統制
ノ方式ヲ採ツテ參ルト云フ時ニ於テ、金融
ガ唯金融本位ニ動キ得ル譯ハアリマセヌ、
產業モ唯產業本位ニ動キ得ル譯ガナイノデ
アリマス、產業モ國防力ノ增强ヤ國民生活
ノ確保、此ノ目的ノ爲ニ動カナケレバナラ
ヌシ、金融モ其ノ目的ノ爲ニ動カナケレバ
ナリマセヌ、特ニ金融ノ主要ナル點ハ、戰
時ニ於テハ戰費ノ調達デアリマス、又戰爭
經濟力、國民生活確保ノ爲ノ經濟力ノ確保
ノ產業資金ヲ賄フト云フコトガ相竝ンダ重
大使命デアリマス、其ノ最モ顯著ナル第一
着手ハ、昭和十二年度ノ資金調整法デアリ
マス、之ニ依ツテ戰時ニ必要ナル資金ノ供
給ソレハ國債ト產業資金デアリマスガ、
ソレニ金融機關ニ集マツタ資金ガ全力ヲ盡
シテ向ヒマスヤウニ、大局的方途ヲ立テマ
シタノガ初マリデアリマシテ、ソレ以來金
融機關ハ其ノ强力ナル統制ノ下ニ其ノ任務
ヲ果シテ參ツテ居リマス、此ノ意味ニ於テ
戰時金融ナラザル金融ナシ、產業金融ナラ
ザル金融ハ殆ドナイ、「コンマーシャル·バ
ンク」ハ「インダストリアル·バンク」ニ轉換
シツツアルト云フコトハ私ノ持論デアリマ
ス、隨テ金融獨自ノ見地ニ於テナス金融ハ
旣ニ形ヲ潜メテ、皆戰費ノ調達ト戰時ニ必
要ナル產業金融ヲヤル、產業力ヲ維持育成
シテ行ク爲ノ働キヲスルト云フコトニ一貫
シテ參ル方針デアリ、又大局ハ旣ニ參ツテ
居リマシテ、尙ホ其ノ上ニソレヲ其ノ方向
ニ進メテ參リタイト存ジテ居リマス、御話
ノ如クサウ云フ見地ニナリマスト、產業ニ
於テモ其ノ企業トシテノ收益性ガ、從來ノ
觀點カラ確カデアルト云フ以外ニ、國家ノ
爲ニ必要ナル產業ハ之ヲ實行シテ行カナケ
レバナラヌ、投資ヲシテ行カナケレバナラ
ヌト云フコトニナリマス、又金融モ、形式
ハ或ハ株ノ引受モアリマセウ、社債ノ引受
モアリマセウ、貸出ヲヤルモノモアリマセ
ウガ、ソレヲヤツテ行カナケレバナラヌ、
斯ウ云フ建前ニ段々ナツテ居リマス、併シ
サウ云フ建前ニナツテ參リマスト、多クノ戰
時企業ノ中デ妥當ナル收益性モ明白デアリマ
シテ、企業形態トシテモ、金融形態トシテモ、
從來ノ企業形態、金融形態デ賄フモノモ相
當ニ多イノデアリマスガ、ソレデハ賄ヒ切
レナイ、一見企業ノ非常ニ「リスク」ノ多イ
ト考ヘラレルモノガ相當ニ出テ參リマス、而
モソレガ戰力ノ增强、國家經濟力ノ增强ニ
是非必要デアルト云フモノガ多數出テ參リ
マス、又企業ニ致シマシテモ、或ルモノハ
國家的目的カラ其ノ設備ヲ他ニ轉用スルコ
トガ必要デアリ、或ハ原料勞力等ヲソレニ
使用スルコトガ不適切デアツテ、遊休ノ儘
置クト云フ風ナ、平時ニ見ラレナイ所ノ必
要ガ生ジテ參リマス、斯ウ云フ方面カラ產
業關係ニハ產業設備營團ヲ設ケル必要ガ起
リ、又金融方面ニハ戰時金融金庫ヲ設ケル
必要性ガ出テ參リマシタノハ大體御話ノ趣
旨ノ通リダト思ツテ居リマス、隨テ凡ユル
金融ガ總テ此ノ產業法人ト密接ニナツテ參
リマシテ、之ニ投資スレバ安全デアルト云
フヤウナ觀點デハ許サレマセヌデ、先ヅ資
金調整法デ認メラレタモノデナケレバ仕事
ガ出來ナイコトニナリマスシ、殊ニ戰時金
融金庫ニスレバ、今ノヤウニ國家ノ爲ニ、
金融建設ニ付テモ、而モ其ノ元利ノ償還方
法ニ付テハ、從來ノ觀點カラスレバ不安ナ
モノニモ致ス譯ニナリマス、卽チ是ハ國家
ノ產業計畫ト極メテ密接ナモノデアル、隨
テ戰時金融金庫ハ國家ノ產業計畫ニ依ツテ
較量致シマシテ、其ノ中直接ニ設備ヲ致シ、
或ハ自分ガ持ツト云フ直接ノ働キハ產業設
備營團ガ致シ、或ハ資金ヲ引受ケル、金ヲ
貸スト云フ方法デ、企業主體トシテハ民間
ガヤツテ參リ、金融ハ戰時金融金庫ガ受持
ツト云フコトデアリマスカラ、其ノ間密接
ナ連繫ヲ取ル必要ガアリマスノデ、役所ト
シテハ大藏省、商工省、法人ト致シマシテ
ハ產業設備營團、戰時金融金庫、此ノ四ツ
ノモノハ極メテ密接ナル連絡ノ下ニ參リタ
イト存ジマス
尙ホ協同證劵ヲ吸收致シマスガ、是ハ戰
時ニ於テハ株價ノ安定ト云フコトガ、產業
ノ維持發達ニ極メテ必要デアリマスノデ、
ソレヲ主眼ト致シマス、更ニ今囘ハ戰時金
融金庫トシテ資金融通、卽チ貸出ノ外株式
ノ引受ヲ致シマス、詰リ政府自ラ設備スル
ニハ及バナイケレドモ、民間ノ自由ニ委セ
テ置イテハ、株式ノ引受ガ緊要ナル產業ニ
對シテ思フヤウニ參ラナイ場合引受ヲ致シ
マス、是ハサウ云フ意味デアリマスカラ、
ズツト過去ニ於テアツタ如キ、金融資本ガ
獨リ自分ノ資本ノ安全ヲ期スル爲ニ、色々
產業ノ經營ニ乘込ンデ行クト云ヤフウナ考
ヘハ毛頭ナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=15
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016・板谷順助
○板谷委員長 喜多君ニ申上ゲマスガ、ア
ナタノ御質疑ハ政府委員デ宜シイト云フノ
デ、御許シシタノデ、大臣ニ對スル質疑ノ
先約ガマダ十名程溜マツテ居リマス、成ベ
ク公平ニ取計ラヒタイト考ヘマスノデ、ド
ウカ又適當ノ機會ニ御質疑ヲ願フヤウニ致
シマス-石坂豐一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=16
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017・石坂豐一
○石坂(豐)委員 私ハ大臣ノ御出席下サツ
タ機會ニ、極メテ簡單ニ二三ノ點ヲ御伺ヒ
シタイト思ヒマス、先ヅ日本銀行法ニ付テ
伺ヒマスガ、本法ニ付キマシテハ、提案ノ
際ニ大臣ヨリ懇切周到ナル說明ガアリマシ
テ、此ノ提案理由トシテ一カラ九マデノ理由
ヲ擧ゲテ御說明ニナツテ居リマス、又其ノ
後ニ於テモ各委員ト政府委員トノ質疑應答
ニ於テ銀行局長ヨリ是亦懇切丁寧ニ御說明
ガアリマシテ、段々ト理解シ得タノデアリ
マスガ、唯一ツ大臣ニ御伺ヒシテ見タイノ
ハ本法改正ノ立案ニ付テハ、日本銀行法
ヲ改正スルノハ當然デアルト云フ論ト、改
正スルノハ最モ必要デアルケレドモ、此ノ
戰爭ノ眞最中ニ改正セヌデモ宜イヂヤナイ
カ、勿論兌換劵發行ノ特例モアリマスガ、
ソレ等ノ點ニ付テハ別ニ戰爭遂行ノ爲ニ差
支ヘナイデハナイカ、公債發行ニ付テモ、
現在ノ日本銀行法ニ於テ着々ト處理シテ行
クカラ差支ヘナイト云フ論モアルノデアリ
マス、飜ツテ今期議會ニ提出サレテ居ル法
案ヲ見ルト、戰爭遂行ニ關係アルモノニ限
ラレテ居ルノデアリマス、先日來田村君、
武田君等ト大臣ノ質疑應答ニ於テモ幾多質
問ヲ繰返サレテ居リマスガ、私ハ、マダ斯
ノ如キ大ナル立案ヲ特ニ此ノ戰時議會ニ提
案サレタト云フ緊切ナル理由ノ核心ニ觸レ
テ居ラヌ、理解シ難イノデアリマス、其ノ
點ヲ明カニシテ吾々ガ贊意ヲ表スル重要ナ
ル資料ニシタイト考ヘマス、此ノ點ヲ一ツ
簡單ニ御說明願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=17
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018・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 日本銀行條例ハ御承知ノ
ヤウニ六十年モ前ノモノデアリマシテ、產
業金融ニ付キマシテハ工業ニハ一切關係シ
ナイト云フヤウナコトニナツテ居リマス、
併シ所謂見返リ擔保ナドノヤリ方ニ依リマ
シテ、謂ハバ正面カラ申セバ條例ニ違反ヲシ
テ居ルノデハナイカト思ハレルヤウナコト
ヲヤツテ、從來カラ辛ウジテ賄ツテ居ル、
其ノ結果ドウカト申シマスト、產業金融ニ
付キマシテモ、今モ謂ハバ內證デヤツテ居
ルヤウナ次第デアリマスカラ、所謂固イ一
方デ少シモ融通ガ利カナイ、ト云フヨリモ素
直ニ考ヘレバヤツテモ宜イコトモドウモヤ
リニクイ、ドウモ正面ヲ切ツテヤレナイヤ
ウナコトデアリマシテ、ソレデ國債ノ如キ
ハ高橋サンノ時代ニ思ヒ切ツテ日銀ガ引受
ケルト云フヤリ方ニシタモノデアリマスシ、
又是ハマア戰費ノ賄ヒヲスルノデ誰モ異議
ナクヤツテ居リマスガ、例ヘバ社債ナドニ
付テモ、結局ハ國民貯蓄ノ增加デ、銀行ヤ
信託ヤ預金部ナドニ溜マリマシタ金デ消化
サレルノデアリマス、ソレガ時間的ニソコ
ニ金ガサウ集ツテ居ナイ、一方社債ヲ出ス
ト云フ必要ガアルト云フヤウナ場合デモ、
何トモ其ノ數箇月、數十日ト云フヤウナ間
ノ調節ヲ取ツテ參ルコトガ出來ナイト云フ
ヤウナ、窮屈性ヲ持ツテ居リマス、ソレヲ
自由ニヤレト云フト、今正直ニ言フト見返
リ擔保デ半分潜ツテ居ル、ソレヲ皆潜ルト
云フコトハ、ソレデハ餘リ機構ノ上カラ言
ヘバ亂レルコトニナル、規則ヲ尊重スレバ
全ク用ヲナサヌト云フ、其處マデ參ツテ居
リマス、外國爲替ニ付キマシテモ斯ウ云フ
時ニナリマスト、ドチシテモ日本銀行ガ最
後ノ尻ヲ握ツテ置カナケレバ動キマセヌ、
ソレモヤツテ居リーマ*スカ、是モドウモ
表向キノ正々堂々デハナイノデアリマス、
殊ニ今後大東亞戰爭ニナリマシテア
ノ廣イ共榮圈ト云フモノガドウシテモ日本
ヲ中心トシテ行カナケレバナラヌ、金融デ
モ日本ヲ中心トシテ行カナケレバナラヌ、
是ハ議論ノ餘地ハナイコトト思ヒマス、
此ノ場合ニ進ンデハ外國ト中シマスカ、統
治ノ形體ハ大體總理ガ構想ヲ示シテ居リマ
スガ、併シマダ確定ハ致シテ居リマセヌ
ガ、中央銀行ガ出來マシタ場合ニ、之ニ公
然ノ資本ヲ持ツテ乘出スト云フヤウナコト
モ今デハ出來マセヌ、併シサウ云フ必要ハ
起ツテ參ラウト思ヒマス、マダ開戰後日モ
淺イノデアリマスガ、作戰ノ進展其ノ他ノ
事態ニ依ツテハイツヤラナケレバナラヌカ
分リマセヌ、サウ云フ時ニサウ云フコトガ
出來ナイト云フコトデハ、是ハ非常ニ困ツ
タコトデアラウト思ヒマス、ソレカラ今マ
デハ日本銀行ト云フモノハ何シロ營利法人
デアリマスカラ例ヘバ所謂銀行ノ破綻ナド
ノ救濟ニ乘出ス場合、尤モ銀行ガ非常ニ惡
クテ破綻スルト云フ場合モアルカモ知レマ
セヌガ、多クハ其ノ時ノ金融情勢ニ於テ何
カノ「ショック」デ一時預金其ノ他ノ支拂ガ多
イ、債權ト云フモノハ、サウ急ニ囘收ノ出
來ニクイモノデアリマシテ、ソレヲ無理ニ
ヤレバ借リテ居ル者ハ非常ニ困ル、戰時產
業ニ支障ヲ及ボスト云フヤウナコトデアリ
マスカラ、其ノ時一時融通ガ付イテ堅實ナ
ル方針デ行ケバ金融機關ハ滅ビナイデ濟
ミ、債權者モ無理ナ取立ヲサレナイデ濟ム、
隨テ戰時ノ經濟運營上ニ貢獻スル、又預金
者モ急ニ整理ヲスレバ預金ノ切捨テヲシナ
ケレバナラヌガ、サウ云フコトヲシナイデ
濟ム、モウ少シ力ヲ貸セバ信用制度ガ保タ
レテ行クト云フヤウナ場合デアリマシテモ、
明白ニ國家ノ法律デ規定シテ置キマセヌ場
合ニハ、ソレニ乘出スト云フコトハ危險ト
云ヘバ危險デアリマスカラ、日本銀行ハ營
利法人タル立場デ行カナケレバナラヌ、マ
アソコマデノ議論ハ出ナイカモ知レマセヌ
ガ、極論スレバ營利法人トモ言ヘル、サウ
云フ銀行ノ救濟ニ規則ヲ無視シ、損失ノ危
險ヲ冒シテ乘出スト云フコトハ、ドウモ背
任罪ニデモナルト思ハレルノデハナイカト
云フヤウナ、兎ニ角本質的ニ國家ノ中央銀
行トシテ働ク感ジノ上ニ非常ニ拘束ヲ受ケ
マス、理事者ハ能ク分ツテ居リマスガ、建
前ガサウデアリマスカラ、相當思ヒ切ツテ
乘出スコトガ出來ナイ、サウ云フヤウニ到
ル處デ全面的ニ國家的ノ要求ニ副ハナイ、
都合ノ非常ニ惡イ方面ガ出テ居リマス、
殊ニ大東亞共榮圈全體ノ金融圈ト云フモノ
ハ、ドウシテモ金ヲ基礎トシテ參ルト云フ
コトハ不適當デアリマス、其ノ時代ニ大東
亞共榮圈金融圈ノ中心ニナリマス日本銀行
ガ、ヤハリ金ヲ基礎トシテ居ルノダト云フ
體制デ參リマスコトハ、新シイ大東亞金融
圈內ノ各地域ノ金融通貨制度ノ構想ノ上ニ
於テモ、是ハ非常ニ精神的ニ大キナ指導精
神ノ上ニ惱ミガ生ジテ來ルト私ハ思フノデ
アリマス、玆ニドウシテモ理義ヲ闡明ニシ
テ乘出ス必要ガアル、此ノ機會ニ理義ヲ闡
明ニスル必要ガアル、從來默認シテヤツテ
居ツタノダカラ條例違反デモ其ノ儘デ出來
ルデハナイカ、本來ハ金本位デヤラナケレ
バナラヌケレドモ、金ガナイカラ一時停止
シテ置クノダ、斯ウ云フ理念デ進ミマスコ
トハ、是ハ非常ニ事每ニ障碍ガ起ルト存ジ
マス、是ハ速カニ素直ナ體制ニ移シテ進ム
ヨリ外ナイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス、是ガ
假ニ支那事變ガ直グニデモ濟ムヤウナコト
ナラ又一年待ツテモ宜イト云フヤウナコト
ガアルカモ知レマセヌガ、斯ウ云フ本當ニ
國運ヲ賭シテ進ム大戰爭デアリ、其ノ結果
所期ノ如ク勝利ヲ得マシタ場合ニ於テ、大
構想ヲ描キマスニハドウシテモ一番本元
ニナルモノハアア云フ六十年前ノ形態デハ
到底イカヌト思フ、斯ウ云フ理由デ提案ヲ
致シマシテ御審議ヲ願ツテ居ル次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=18
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019・石坂豐一
○石坂(豐)委員 只今ノ御說明ニ依ツテ一
應了解スル所ガアリマシタ、併シナガラ是
デ以テ現在ノ時局ヲ乘切ルノニ日本銀行ノ
現在ノ制度ハ行詰リニナツテ居ル、斯ウ云
フ風ニ見ルト云フコトモ穩カデナイト思ヒ
マス、日本ノ財界ハ日本銀行法ヲ改正シナ
ケレバ非常ニ行詰ツテ居ルノダ、斯ウ云フ
ヤウナコトハ宜クナカラウト思ヒマス、況
ンヤ大東亞共榮圈ノ中心ノ機關トナツテ行
クニ付テハ大東亞共榮圈ナルモノハマダ
目下進行中デアリマシテ、今南方ニ進軍シ
テ居リ、此ノ遠征ノ戰ハマダノ〓何處マデ
行クカ際限ガナイ、或ハ濠洲マデ行クカ、
印度マデ行クカ、其ノ點モ分リマスマイ、
先ヅ只今ノ所ハ銀行ノ今マデノヤリ方ニ於
テヤリ得ルモノデアルト云フ議論モ立ツ、
私ハ其ノ點ハ能ク分ラナイガ、私ハヤハリ
今大臣ノ御說明ニ依ツテ大イニ了解スル所
ガアリマシタガ、或ハ昨年兌換銀行劵條例
ノ一時ノ便法ノ法案ヲ提出セラレ、段々支
邦事變ヲ四年間ヤツテ、色々差支ヘノアル
モノハ皆別ナ法律デソレ〓〓處理シテ來タ
ト思ヒマス、今日戰時金融金庫法案ヲ御出
ニナツタノモ、一時戰時ニ處スル金融ノ一
便法デアルノデアリマスカラ、其ノ點カラ
考ヘマスト、特ニ今ノ時期ヲ選バレタト云
フ理由ニ付テハ、今少シ辯ジテ審カナラザ
ル點モアルカノヤウニ考ヘマス、ソコデ本
法ヲ御提案ニナラレタ第一ノ理由ハ能ク了
解スルコトガ出來マシタガ、併シ日本銀行
ハ今營利法人デアルト仰シヤルケレドモ、
今マデハヤハリサウ云フ方面ニ依ツテ居ツ
タノデアリマセウガ、株式組織デハゴザイ
マスケレドモ、株式ヲ處理スルニハ一々政
府ノ許可ヲ要シ、又其ノ營業振ニ付テハ日
本銀行ニ對シテ嚴重ナル監督モ出來テ居リ
マスガ、ソレヲ法的組織ニスルト云フコト
ニ付テハ、是ハ大ナル變化デアラウト考ヘ
W.Z.其ノ點ニ付テ一應御說明ヲ得ラレレ
バ仕合セニ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=19
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020・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 行詰ルト云フコトニ私ハ
二通リノコトガアルト思ヒマス、金融機關
トシテ資產ガ不堅實ニナリマシテ、日本銀
行ガ行詰マル總テノ金融機關ノ行詰リト
云フモノハサウ云フ意味デ言ハレマスル
ガ、現在日本銀行ハ決シテ左樣デハアリマ
セヌ、內容ハ非常ニ宜シイノデアリマス、
寧ロ良過ギルト言ウテハヲカシイノデス
ガ、相當內部留保モアリマシテ非常ニ良イ、
唯國家ガ與ヘル機構トシテ古クナツテ居
ル、詰リ着セテアル着物ガ餘リニ舊式ナ着
物デアルト云フ意味デアルノデゴザイマス、
成程御話ノ如ク日本銀行ハ普通ノ營利法人
ノ如ク儲ケヨウトシテ居ルノデハアリマセ
ヌ、ソレハ仰セノ通リデアリマスガ、建前
ガ國家公共ノ爲ニヤルノダト云フ明白ノ建
前デアリマセヌ爲ニ、今ノヤウユ多少ハ損
スルカモ知レヌケレドモ、全金融界ノ爲ニ
ヤルト云フ、此ノ乘出シガドウシテモ惡イ
ノデアリマス、例ヘバ金利ヲ假ニ下ゲルト
云フコトニ致シマシテモ、ソレデ今ノ金利
ガ動クナラバ、一應下ゲル方ニ非常ニ宜イ
コトガアツテモ、一寸下ゲ澁ル氣持ニナル、
サウ云フヤウナコトデアリマシテ、積極的
ニ儲ケヨウ〓〓サウ云フコトハサセモ致
シマセヌ、理事者モシマセヌガ、多少斯ウ
ヤレバ利益ガ薄クナルガ、國家的必要ガア
ルト云フ時ノ所謂出足ガ非常ニ拘束サレル
コトニナル、又拘束サレルコトガ今ノヤウ
ナ建前デスト一應ノ理窟ガアルノデアリマ
シテ、其ノ爲ニモノガ敏活ニ參リマセヌ、
是ハ今度ノ改正ニ依ツテ理事者モ安心シテ
國家全體ノ爲ニ利益ガ減ツテモ何デモ行動
シ得ル、ソコハ私ハ非常ニ違フコトニ相成
ツテ參ルト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=20
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021・石坂豐一
○石坂(豐)委員 此ノ公的組織トスルコト
ノ理由ハ、全國家ノ意思ニ副ツテ思ヒ切ツ
タ仕事ガ出來ル、斯ウ云フコトデゴザイマ
スルガ、兎ニ角日本銀行ト雖モ金融ノ機關
デアリマスルカラ、ソレガ全然官廳ト同ジ
ヤウナモノニナツテ行クト云フコトデアル
ナラバ、寧ロ政府デヤツタ方ガ宜イト云フ
議論モ立ツ、今日ノヤウニ公的組織ノヤウ
ナモノガ六分、後ハ又先程ノ御言葉ヲ借リ
ルト、營業本位ノモノガ四分ト云フヤウニ
緩和サレル所ニ、却テ私ハ妙味ガアルノデ
ハナイカト思フ、ソレガ又財界ニ於ケル調
和ヲ取ツテ行クコトニモナルノデハナイカ、
餘リ之ヲ全部公的組織ニシテ、役人ト同ジ
ヤウニシテシマフト云フ所ニ、多少調和ガ
取レナイヤウナ感ジガ起リハシナイカ、斯
樣ニ考ヘルノデアリマス、ソコデ是ハ大臣
ニ質スマデノコトデナイカモ知レマセヌガ、
公的組織ノ法人ニアリマシテ、所謂商法上
ノ營業年限ト云フモノハナイコトニナルノ
デアリマスカラ、玆ニ日本銀行ニハ解散ト
云フコトガ到底豫想サレナイ、所ガ只今提
案ニナツテ居リマスル本法第十二條ヲ見マ
スト、「日本銀行ノ解散シタル場合ニ於テ」云
云ト云フ規定ガゴザイマス、法律ハ總テノ
コトヲ豫想シナケレバナラヌノデゴザイマ
スカラ如何ナル場合デモ考ヘテ見ナケレバ
ナリマセヌケレドモ、併シ國家ト共ニ存在
スル公的組織ノ日本銀行ガ解散サレルト云
フコトハ豫想サレナイ、ソレヲ故ラニ書イ
テゴザイマスノデ、其ノ點銀行局長カラデ
モ明カニシテ置イテ戴キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=21
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022・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 只今石坂委員ノ御述べニ
ナリマシタ前段ノコトニ付キマシテ尙ホ一
應述ベテ置キマス、少シ私事ニナルノデ恐
入リマスガ、私ハ北支那開發株式會社ニ關
係致シテ居リマス時ニモ、痛感致シタノデ
アリマスガ、今ノ國家的-國家的ト申シ
マスノハ廣イ意味ノ、時局ノ要請ニ應ジマ
ス爲ニ、株式會社カ、サウデナケレバ國ノ
事業カト云フ二色デハドウモ思フヤウニ參
リマセヌ、株式會社ト國ノ事業トノ中間ノ
モノガ要ル、國ノ事業トシテノ色彩デハド
ウモ旨ク行カヌシ、純然タル株式會社デハ
今マデノ立場ト違フモノガアル、之ヲ實際
ニ私共感ジマシタ
日本銀行ハ打明ケテ申シマスト一部ニハ
直接國家機關トシテ全部國ノ資本ニスル、
今御話ノヤウニヤツタラ宜イト云フ說モ
アリ、又サウ云フ國モアリマス、私ハ日
本銀行ナレバコソ純然タル國家ノ機關、
國家ノ特別會計デモヤレズ、サウカト云
ツテ普通ノ從來ノ民問ノ會社組織デモナ
イ此ノ中問デ行クノガ一番宜シイ、日
本銀行ノヤリマス手形ノ割引デアルトカ、
爲替ノ賣費デアルトカ、之ヲ政府ノ仕事ト
シテヤルコトハ餘リ適當デナイト思ヒマス、
サウカト云ツテ株式會社デヤルトスレバ株
主ノ利益ヲ保護スルト云フコトガ重大ナ要
素デアリマス、是ガ主眼デ動ク古イ形態デ
アルト云フコトハドウシテモ副ハナイ、ソ
レデ私ハ所謂國有思想ヲ排除シタイ、國
家的目的ガアルカラ持分ヲ.皆國ガ持タナ
ケレバナラヌト云フ思想ハ、私ハ排除
致シマシテ、寧ロ國民ノ凡ユル勞力モ資產
モ之ヲ國家的ニ働カセルヤウニスルノガ今
ノ時代デアル、ソレダカラ全國家資本デア
ルコトハ排除シマシテ、今ノ株主ガ其ノ儘
持分ヲ持ツテ行ク民間資本デモ宜シイ、斯
ウ云フ考ヘ方ヲ採リマシテ、サウシテ理事
者ハ別ニ政府ノ役人デハナイ、斯ウ云フ建
前ヲ採リマシタ、併シナガラ從來ノヤウナ
古イ營利ノ臭ヒノスル純然タル株式會社組
織ハドウシテモイカヌ、ソレデ今アリマス
他ノ營團ナドモ斯ウ云フ風ニ一ツノ公共的
ノ目的、形態ヲ持ツノガ一番適當デアルト
云フ考ヘヲ以チマシテ、詰リ純然タル私人
ト純然タル國家トノ中間ノ行キ方ヲ考ヘテ
居ルノデアリマス、金融ニ致シマシテモ大
體ヤハリ利益ヲ得ルト言フト語弊ガアリマ
スガ、損ヲシテ人ノ世話ニナラヌト云フ責
任的意味ニ於テ、從來ノ組織ハ私ハ初メカ
ラ尊重スル積リデアリマス、產業組織デモ
サウデアルト思ヒマス、產業ヤ金融ノ全體
ニモヤハリ從來ノ金融ノ考ヘヲ以テシテ差
支ヘナイト思ヒマスガ、ソレデヤリオホセ
ナイ部分ニハ產業ニ於テハ產業設備營團
モ出來、金融ニ於キマシテハ戰時金融金庫
モ出來ルノデアリマス、唯純國家ト、純民
間ト、其ノ中間トノ三色ノ使ヒ分ケガ必要
デアル、日本銀行ハ其ノ中間ノモノデ行ク、
斯ウ云フヤウナ大體考へ方ニ致シテ居ル次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=22
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023・石坂豐一
○石坂(豐)委員 先ノ政府委員ノ御答辯ハ
後デ拜聽スルコトニ致シマス、戰時金融金
庫ニ付テ大臣ノ御所見ヲ伺ツテ置キタイノ
デアリマスガ、本法ノ眼目トスル國家緊要
產業ト云フモノハ、勿論ココニ限定シテゴ
ザイマセヌカラ、工業デアルトカ、造船其
ノ他何業ニ拘ラズ、直接軍需ニ關係ノアル
モノデアラウト、斯ウ解釋シテ宜シウゴザイ
マスカ、如何デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=23
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024・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 其ノ事業ノ種類ニハ關係
アリマセヌデ、今日ト致シマシテハ國家ノ
存立發展上、一番多イモノハ、ヤハリ御示シ
ノ如ク國防工業關係ノモノデアラウト思ヒ
マス、事業ニ於テハ限定致シテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=24
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025・石坂豐一
○石坂(豐)委員 斯ク申シマスルノハ日本
ノ今日地下埋藏物ノ鑛業ナンカニ付キマシ
テハ日本鑛業開發ト云フモノガゴザイマス
ケレドモ、兎角其ノ融資ニ付テハ遺憾ノ點ガ
多イヤウニ伺ツテ居ルノデアリマス、玆
更ニ戰時金融機關ト云フモノデ之ヲ助長ス
ルト云フコトガアリマスルナラバ、大變其
ノ點ニ於テ一段ノ開發モ出來ルト思ヒマスル
ガ、併シソレハ特別法ガアルカラ其ノ方ヘ行
ケ、斯ウ云フコトニナリ、或ハ又種々ノ發電
計畫等ニ付テモ、日本發送電ハヤツテ居リマ
スケレドモ、其ノ以外ノ地方的需要、而モソレ
ガ直接製造工業ニ非常ナ動力ヲ供給スルト云
フヤウナモノニナリマスト、ヤハリ斯ウ云フ戰
時金融ノ力ヲ借リル方ガ餘程便利デアラウト
考ヘマス、所ガ持ツテ行キマシテモ、ソレハ
コチラノ方デハナイ、ソレハアチラニ行
ヶ、斯ウ云フコトヲ言ハレテハ困リマスカ
ラ、此ノ點大臣ノ所見ヲ伺ツタノデアリマ
ス、ソコデ私ガ更ニ御聽キシタイノハ、
面產業開發ノ爲ニ積極的活動ヲスルト云フ
戰時金融金庫ガ、更ニ有價證劵市場安定ノ
爲ニ發動スル、サウシテ其ノ爲ニ先日大臣
ノ御說明ニナリマシタ如ク日本協同證劵、
卽チ昨年春出來テマダ一年シカ經タヌモノ
ヲ抱ヘ込ムコトニナツテ居ルノデアリマス、
喜多君ハ先程是ハ一元化ニナツテ宜シイト
仰セニナツテ、質問ヲ繼續シテ居ラルルノ
デアリマスルガ、マアソレモ宜イカモ知レ
マセヌケレドモ、金融ノ如キハ是ハ必ズシモ
一〓ニ一元化スルコトハ出來ナイノデアリ
マスカラ、日本協同證劵ト云フモノデ既ニ
其ノ當時ノ財界ノ不安ヲ除キ社會不安モ一
掃サレタ、又ソレガ爲ニ或ハ製造工業會社
ニ付キマシテモ、自分ノ株價ガ安定シテ來
マスト社債發行其ノ他ニ付テモ便宜ヲ得マ
スルカラ、ソレガ廻リ〓ツテ生產擴張ニナ
ルコトハ當然デゴザイマスケレドモ、何ヲ
申シマシテモ其ノ活動スルノハ有價證劵デ
アリマス、サウ云フモノデアリマシテ是ガ
一面產業開發ノモノト一〓ニナツテ居ルト
云フコトニ付テハ、ドウモ餘リニモ店ガ廣
過ギハセヌカ、協同證劵ノ活動ガ十分デナ
イトスルナラバ、ソレハ其ノ道デ之ヲ助ケル
方法ガアル、現ニ之ニ付テハ五千万圓ノ株
式ガ二千五百万圓ノ拂込デアツテ、尙ホ三
千五百万圓カノ金ガ低利資金ヲ以テ政府ガ
援助シテ居ラレル、吾々ノ手許ニ廻ツテ居
リマスル資料ニ依リマシテモ、之ニ依ツテ
會社ガ六千万圓以上ノ有價證劵ヲ抱ヘ込ン
デ居ルノデアリマス、マダ是ガ不足デアル
トスルナラバ一一五五百万圓ノ拂込ノ餘地モ
アリマスルシ、政府ニ於テ相當ノ援助ヲセ
ラルル方法モアラウト思ヒマス、而シテ之
ヲ昨年設ケテ今直グ又戰時金融機關ノ方ニ
背負込ムト云フコトハ、ドウモ戰時ノ生產
擴張、增產計當、國家緊要產業ヲ助長スル
ノデアルト云フノト多少見方ガ違フヤウニ
思ヒマスガ、之ヲ一ツニセラレナケレバナ
ラヌ其ノ理由ヲ大藏大臣ヨリ承リタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=25
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026・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 日本協同證劵ハ率直ニ申
シマストマダ形ガ出來テ居ラナイ、アレハ
株價ガ下リマス時ニ一定ノ、此ノ値マデハ
維持スルト云フ時ニハ勇敢ニ買込ム譯デア
リマス、私ハ事態ガ必要トスルナラ何十億
デモ何百億デモ買ハス積リナノデス、サウ
云フコトヲサセル爲ニハ、國家ノ損失補償
モ何ニモナイ、謂ハバ臨時ノ形態デアリマ
スノデ、何カ本當ニ恰好ヲ付ケナケレバ
アノ儘デ幾ラデモ買ハスト云フコトハ少
シ形トシテ無理デアリマス、隨ヒマシテ今
囘ノ戰時金融金庫ノヤウナ、國家ガ完全ニ
「バック」ニ立ツテ居ルモノガ實行スルコト
ガ必要ナノデアリマス、然ラバサウ云フモ
ノヲ新タニ作レバ宜イデハナイカト云フコ
トモ一ツノ說デアルカモ知レマセヌガ、實
ハ日本協同證劵ノ作用ト云フモノハ簡單ナ
ノデアリマス、サウ別ニ多數ノ人ガ多クヤ
ラナケレバナラヌト云フヤウナコトデモナ
イノデアリマス、ソレカラ今ノ國家ノ產業
資金ガ株價ガ平準ヲ得テ、一時ノ經濟情勢
ニ依ツテ不當ニ下落スルコトナンカヲ防ゲ
ルト云フコトデアリマシテ、結局株價ノ維
持安定カラ產業投資ノ確實發展ヲ期スルト
云フコトガ其ノ目的ガ共通デアリマシテ、
而モ「リスク」ノアルモノニ國家ノ背景ニ依ツ
テ勇敢ニ立向フト云フコトモ共通デアリマ
ス、サウ幾ツモ戰時ノ法人ガ澤山出來ルコ
トモ如何カト思ヒマスカラ、成ベクナラ數
ヲ少クシタイト云フコトモアリマスノデ、
之ヲ一緒ニシタ方ガ適當デアルト考ヘマシ
テ、一〓ニスルコトニシタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=26
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027・石坂豐一
○石坂(豐)委員 只今大臣ヨリ種々ナ金融
機關ヲ幾ツモ設ケル、此ノ戰時ニ於テ機關
ヲ濫立スルコトハ愼シマナケレバナラヌト
云フ御話デ、其ノ御趣旨ハ極メテ贊成デア
リマス、所ガ此ノ戰時金融金庫ノ目的トシ
テ遊休設備ニ對スル金融ガアルノデス、之
ニ付テハ前々ノ議會ニ於テ產業設備營團ト
云フモノガ出來マシタ、ソレハ遊休設備ノ買
潰シデアルトカ、或ハ又指導補足デアルト
カ云フコトヲ專ラ使命トシテ居ルノデアリ
マスルケレドモ、其ノ事業ノ項目ノ最後ニ其
ノ他必要ナルコトガ出來ルト斯ウナツテ居
ル、デアリマスルカラ、其ノ當時提案ナサツ
タ際ニモ、委員會等ニ於テ之ニ必要ナル金
融ヲ行ハセルコトガ必要デナイカト云フ質
問モアツタノデアリマスケレドモ、ソレハドウ
モ目的ガ違フト云フコトデソレガ併用サレ
テ居ラヌ、併シ是ハ何モ遊休設備バカリヲ
主トシテ居ル譯デハナイカラ、ソレニ適當ナ
金ヲ貸シテ改メテ軍需工場ニソレヲ使用ス
ルコトモ出來ルノデアリマスカラ、サウス
ルト斯ウ云フヤウナ機關ガ幾ツモ要ラナイ、
サウスルト大臣ハ前ニ產業設備營團ノヤ
ウナモノヲ幾ツモ立テルコトハ宜クナイ
ト言ハレタ、其ノ御趣意モ徹底スルノデア
リマスガ、一ツハ商工省ノ關係デアリマス
カラ大藏省トシテノ狹イ範圍カラ御考ヘニ
ナルト別ナコトニナリマセウケレドモ、廣
キ意味ノ國家卽チ政府カラ見ルト、產業設
備營團ニ一ツノ事業ヲ附加ヘテ之ニヤラセ
テモ差支ヘナイト考ヘラレルノデスガ、此
ノ點ニ付テノ大臣ノ御所見ヲ伺ツテ置キタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=27
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028・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 戰時金融金庫デ金融ヲ致
シマスモノハ、產業設備營團、詰リアノ意
味ニ於ケル產業再編成ハ非常ニ廣イノデア
リマス、若シモ假ニ其ノ關係ダケノ金融ヲ
彼處デ付ケマスト、ソレ以外ニモウ一ツノ
戰時金融金庫ヲ作ラナケレバナリマセヌ、
アレデ行ケバスツカリ仕事ガ濟ムト私ハ思
ツテ居ナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=28
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029・板谷順助
○板谷委員長 大臣ハ他ノ委員會カラ呼ビ
ニ來テ居リマスカラ、成ベク簡單ニ明瞭ニ
御質問ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=29
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030・石坂豐一
○石坂(豐)委員 ソレデハモウ一ツデ終リ
マック、大藏大臣ノ御說明ハ洵ニ私ハ滿足シ
マスケレドモ、今ノ後ノコトニ付テハモ
ウ一ツ作ラナケレバナラヌト仰セラレルノ
ハ私ハ作ラナイ爲ニサウ云フ方法ヲ御執
リニナツタラドウカト言フノデス、產業設
備營團ト云フノハ、優秀ナ幹部ガ居ラレテ、
我ガ國ノ現在ノ產業ノアリト凡ユル工場其
ノ他ニ付テノ智腦ヲ傾倒セラレテ、是ハ壞
ス、是ハ別ニ改造サセテ行クト云フ風ニ指
導サレル、ソレカラ新ニ斯ウ云フモノヲ作
ツテモ宜イト云フコトニナルノデスカラ、
サウ云フ所ヘ金融シテ吳レト持ツテ行ケ
バ、サウ云フ所ニ居ラレル幹部ハ一番能ク
分ル、ソコデソレニヤラシテモ別ニ罰モ當
ラナケレバ、ドウナルコトモナカラウト思
フ、皆融通無凝ニ出來ルモノド考ヘマスカ
ラ、ソレデ大臣ニ所見ヲ伺ツタノデス、別
ニ今ノ法律ト關係ナイコトデアルトモ思ヒ
マセヌカラ、一應御說明ヲ願ヘバ仕合セダ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=30
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031・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 是ハ戰時金融金庫ノ設立
ノ理由ニモ申述ベテ置イタノデアリマスガ、
從來興業銀行其ノ他ノ銀行ニ參リマス金融
ノ中デ、非常ニ廣ク今マデノ金融ナドカラ見
マスレバ危險ノ多イモノガアル、事業トシテ
ハ必要デアルガ果シテ其ノ事業ガ何年續ク
ノデアラウカ、ドウ行クノデアラウカ、又
或ハ製造方法其ノ他ガ斬新ナモノモアリマ
スカラ、技術者トシテハ確信ガアリマシテ
モ、世間的ニ其ノ方法デ旨ク行クカドウカ
ト云フモノモ色々アリマシテ、ソレデ今マ
デ困ツテ居リマスノハ、然ラバソレハ國家
緊要ノ產業ダカラ、勇敢ニ普通ノ金融機關
ガ乘出シテモ一應ソレデ宜シイヤウデアリ
マスガ、普通ノ金融機關トシマシテハ、預
金者ニ支拂ノ責任ヲ持ツテ居リマスカラ、
ヤハリ堅實ナ貸出ヲ定メル、是ハ金融機關
バカリデナク、國家的ニ見マシテモサウナ
ンデ、ソレデハサウ云フモノハ全部所謂損
失補償ノ命令融資デヤルト致シマスト、實
際國家ハ此ノ貸付ニハ損失ヲ補償シ、ヤハ
リ命令融資デヤルコトカ必要デアルト云フ
コトニシナケレバナリマセヌカラ、各關係
省ノ事務當局モ中々サウ急ニ意見ヲ纒メニ
クイ、事實ハ理窟カラ言ヘバ金融機關ガ自
分ノ責任ニ於テ貸シ得ルモノカ、國家命令
融資ニ依ツテヤリ得ルモノカト云フ風ニ岐
レル筈デアリマスガ、分ラナイ中間ノモノ
ガ實際出テ參リマスカラ、長ク議論ヲシテ
居レバドチラカニナリマセウガ、ソレデハ暇
ガ掛ル、サウ云フモノガ非常ニ澤山アリマ
シテ、之ヲ一般的ニドウショウカト云フコ
トハ一ツノ問題デゴザイマス、詰リ純危險
ナモノト純安全ナモノノ何レニモ入ラナイ
モノガ澤山アリマス、サウ云フモノヲドウシ
ヨウト云フコトハ十分考ヘラレネバナリマ
セヌ、サウ云フモノニハ所謂產業設備營團
デ自ラ設備ヲシヨウカ、場所ニ依ツタラ金
ヲ貸セバ出來ルカ、又遊休設備ニ付テハマ
ダ問題モアリマスケレドモ、サウ云フ目的カ
ラ行クト廣ク今ノヤウナモノガ存在シテ居
リマスカラ、ソレデ結局金融部面カラサウ
云フモノヲスツカリ拾ツテ行クト云フコト
ガ一ツデアツテ、前ノ說明ハ簡單過ギタカ
モ知レマセヌガ、設備營團關係ノモノダケ假
ニソコヘ纏メタト致シマシテモ、モウ一ツ
何カ考ヘナケレバナラヌヂヤナイカト云フ
要求ガ起リマス、ソレデ金融上一生懸命ニ
アア云フモノヲ作リマシタ譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=31
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032・板谷順助
○板谷委員長 今度ハ武田君ノ順番ナンデ
スガ、大臣ハ南方開發委員會カラ頻リニ呼
ビニ來テ居リマシテ、一寸行ツテ參ラレル
サウデスカラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=32
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033・粟山博
○粟山委員 私ハ南方開發金庫法案モ大事
デアリマスガ、實際ヲ言フト此ノ方ガ大事デ、
是ハ親法案デス、ソレデスカラ是ハ大臣ニ
御願ヒシテ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=33
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034・板谷順助
○板谷委員長 向フハ十分間デ質問ヲ打切
ニスルサウデス、其ノ後諸君ニハユツクリ
審議ヲ御願ヒシマスカラ-喜多君政府委
員デ宜シケレバアナタノ質問ヲ繼續シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=34
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035・石坂豐一
○石坂(豐)委員 私ノ質問ハマダ終ツテ居
リマセヌ、マダ政府委員ニモ聽キタイノデ
アリマスカヲ留保シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=35
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036・板谷順助
○坂谷委員長 喜多壯一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=36
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037・喜多壯一郎
○喜多委員 大臣ノ御說明デハ日本協同證
劵ハ經營モ簡單デ、人間モサウ要ラナイ、私
モサウ思ヒマス、ソレデサツキノ續キデス
ガ、私ハ協同證劵ト云フノハ一口ニ言ヘバ
何ト云ツテモ株屋サン、兜町ノ仕事ダト思
フノデス、一方協同證劵ハ今度戰時金融金
庫ノ中ニ入ツテシマツテ、產業設備ニ關ス
ル昨日カラノ說明ヲ承ツタヤウニ、極ク地
味ナ仕事ヲスル、株屋ノ方ノ仕事ハ言換へ
レバ極ク浮氣ツポイト言フト語弊ガアリマ
スガ、浮キ〓〓シタ經營デ色デ言ヘバ赤イ
賑カナ方デアリマス、ソレカラ產業設備ニ
對スル方ノ投資融資ト云フコトカラ言ヘバ、
戰時金融金庫ハ極ク地味ナ不景氣ト云フヨ
リ人氣ノナイ色カラ言ヘバ灰色デスガ、是
ハ一體經營ガ旨ク行クカドウカ、右ト左ト
馬鹿ニ違ツタヤウナモノガクツ付ケラレテ
行クノデスガ、旨クヤツテ行クト云フ御考
ヘデスカ、ドウ云フ御考ヘデ株屋サンノ方
ノ仕事ト、地味ナ金貸ノ方ノ仕事トヲクツ
付ケテ行クノカ、是ハ次官カラデ宜シイカ
ラ御答辯願ヒタイ
ソレカラ結局私ハ昨日カラノ質疑ト、今
ノ他ノ委員諸君カラノ質疑デ、ヤハリ制度
ヨリモ人ニ依ツテ動クト云フコトヲ沁々感
ズル、制度ダケデハ中々動カナイ、本法案
ノ金庫ガ出來上ツテ來テ、日本產業政策ノ
上ニ重要ナ役割ヲ致シテ行クト云フコトハ、
無論ゴザイマスガ、此ノ點デ其ノ人的構成
ニ付テハ、他ノ委員ノ質問モアツタヤウデ
アリマスガ、私ハ寧ロ是ハ金融的ナ「エキス
パート」ヨリモ、產業的ト「エキスパート」
ト云フ所ニ、此ノ地味ナ方ノ仕事ノ部門ヲ
負擔スル人、處理スル人、サウ云フ意味デ
其ノ方面ノ人ヲ入レルト云フコトヲ御考へ
ニナツ居ルカドウカ、此ノ二點ダケヲ先ヅ
御答辯願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=37
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038・田中豐
○田中(豐)政府委員 私カラ御答辯申上ゲ
マス、先ヅ第一點ハ日本協同證劵ト云フヤ
ウナ、所謂有價證劵ノ市價ノ安定ヲ圖ルヤ
ウナ仕事ヲ、ナゼ戰時金融金庫ノ業務ノ中
ニ入レタカト云フ御質問デアリマスガ、先
程大臣カラモ一寸御說明ガアリマシタヤウ
ニ、此ノ有價證劵ノ市價ヲ安定スルト云フ
コト自體ガ、現下ノ戰時下ニ於ケル必要ナ
ル投資融資ヲ導キ得ル所以デアリマシテ、
申上ゲルマデモナク株價ノ甚ダシイ下落ハ
國家ノ緊要產業ニ對スル必要ナ拂込金、增
資ト云フヤウナモノヲ妨ケマシテ、必要ナ
ル資金ガ集マラナイヤウナコトニナルト考
ヘラレル譯デアリマス、隨テ此ノ戰時金融
金庫ガ是等ノ仕事ヲ致シマスコトニ依ツテ、
自ラ資金ヲ供給シナクテモ、一般ノ投資家
ノ資金ヲ集メ得ルト云フ風ニ考ヘラレルノ
デアリマス、又逆ニ株價ガ甚ダシク上ルト
云フヤウナコトニ付キマシテモ、其ノ方面
ノ資金ノ流入ト云フコトカラ、延イテハ戰
時金融ノ圓滑ヲ阻害スル譯デアリマス、戰
時金融ノ可ナリ大キナ部面ヲ擔當シマス本
金庫ニ於テ、斯カルコトモ併セテ擔當シマ
スコトニ依ツテ、戰時金融ノ目的ノ整備强
化ヲ圖ルコトガ出來ル、斯樣ナ考ヘカラ有
價證劵、市價安定ノ業務ヲモ、戰時金融金
庫ノ業務ト致シタ譯デアリマス
ソレカラ第二ノ戰時金融金庫ノ運營ニ付
テ、是ハ制度ノ問題ヨリハ人ノ問題デアル、
斯カル戰時金融金庫ノ運營ニ付テハ、產業
的ナ知識經驗多キ者ヲ入レテ、運營ニ當ラ
セルコトガ至當デハナイカイ云フ御趣旨ト
拜承致シマシタ、是ハ洵ニ御尤モナコトデ
此ノ金庫ノ運營ガ產業ト密接ナ關係ヲ持チ
マスコトハ言フマデモナイ、サウ云フ方面
ノ人ヲモ本金庫ノ理事者其ノ他ノ方面ニ採
入レテ運營ヲ圖ルコトモ考慮シ度イト考ヘ
テ居リマス
〔委員長退席、長井委員長代理着席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=38
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039・喜多壯一郎
○喜多委員 此ノ金庫ニモ私ハ出來上ツテ
活動スル時ニナルト同ジコトガ言ヘルト思
フ、總動員法ニ依ル融資命令運用ニ付テハ
大藏省ガ專ラヤツテ居ラレマスガ、是ガ始
マツテ以來民間ニ於テ聞キマス不平ハ、大
藏省ガ非常ニ調査ニ時日ヲ要スル、ほう 十
仕事ガ分ツテ居ルナラバ早ク行クノデハナ
イカ、是ハ今後强制融資ニ付テモ企業監査
ト云フ風ナコトヲモツト生產企業ソレ自體
ノ實體ヲ摑ンダ方面ノ人ニ監査ニ當ラセル
ト、其ノ點ガ容易ニナリハシナイカト思フ
ノデスガ、サウ云フ御意向ガアルカドウカ
ト云フコトヲ一ツト、モウ一ツハ兎ニ角
戰爭ノ現段階デ入用ノコトハ誰モ彼モ分リ
マスガ、出テ來ルモノガ兎角バラ〓〓デア
ツテ、此ノ金庫デモ、產業設備營團デモ、
國民更生金庫デモ、厚生省方面ノ更生金庫
ニ對應スル諸設備ト云フモノデモ、私ハド
ウシテモ現在ノ戰爭經濟ノ段階ニ於テ產業
生產力ノ最高度ノ能率ヲ發揮スルト云フ意
味カラ言フト、兎角資金ト資材ト同時ニ勞
力ト云フモノノ三ツガバラ〓〓ニナリ勝チ
デ、官廳ノ「セクショナリズム」ガソコニ現ハ
レテ來テ居ルコトノ遺憾ヲ指摘セザルヲ得
ナイ、大藏省ハ今後サウ云フ點ヲ金融體制
ノ上カラ成ベク改メテ行クト云フ風ナ御意
向ハアルノデセウカ、其ノ點ニ對スル御所
見ヲ承ツテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=39
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040・谷口恒二
○谷口政府委員 今ノ御話ノ第二ノ點デア
リマスルガ、產業政策上ノ能率ヲ最高度ニ發
揮スル爲ニ、資金ト勞力、資材、是等ノモ
ノガバラ〓〓ニナラナイヤウニ能ク緊密ニ
ヤツテ行カナケレバナラヌト云フコトニ付
キマシテハ、吾々ト致シマシテモ全ク其ノ通
リニ考ヘテ居ルノデアリマス、是等ノモノ
ヲ旨ク適合サセルト云フコトニハ餘程注意
ヲ致サナケレバナラヌノデアリマシテ、吾
吾トシテ最モ戒心ヲ要スルノハ、若シ御話
ノ如ク官廳間ニ割據主義ト云フモノガアツ
テ、其ノ割據主義ト云フモノガ、サナキダ
ニ困難デアル所ノ資金、勞務、資材等ノ調
整ヲ妨害スルヤナ方向ニ働キ掛ケルコトガ
アリマスルト、甚ダ本意デナイノデアリマ
シテ、吾々ト致シマシテハ、關係ノ官廳、
資材、資金、勞務、是等ノ官廳ハ益〓連絡ヲ
緊密ニ致シマシテ、苟クモ割據ノ弊ニ陷ル
コトナキヤウ、御話ノヤウニ十分連絡ヲ執
ツテ行クヤウニ心掛ケタイ、左樣ニ考ヘル
ノデアリマス
ソレカラ第一ノ點ニ付キマシテハ、此ノ
融資命令ニ付テ、サウ云フ金融機關ガ昨日
龜井サンノ仰シヤツタヤウニ、政府デヤツ
テ居ルコトデナクトモ、ヤハリ官僚的デア
ルト云フコトガ色々物事ノ、ス早ク行カナ
イ原因デアルカト思フノデアリマスルガ、
是等ノ點ニ付キマシテ、着實ニ且ツ敏速ニ
ヤルト云フコトニ付キマシテハ、今後大イ
ニ指導シテ行キタイト思フノデアリマシテ、
御話シノ中ニアリマシタヤウナ平素經驗ノ
アリマスヤウナモノガ、企業監査ヲ實行ス
ル方法ニ付キマシテモ、十分考ヘ、且ツ實
行致シテ參リタイ、左樣ニ考ヘルノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=40
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041・喜多壯一郎
○喜多委員 私ノ質疑ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=41
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042・長井源
○長井委員長代理 政府委員ニ對スル質問
ヲ留保サレテ居ル方ハ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=42
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043・粟山博
○粟山委員 誰モ質問スル人ガナケレバ一
寸伺ヒタイノデスガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=43
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044・長井源
○長井委員長代理 粟山君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=44
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045・粟山博
○粟山委員 私ハ大藏大臣ノ御出席ノ間ニ
二點程御伺ヒシテ置キタイト思ツタノデア
リマスルガ、旣ニ前會モ發言ノ機會ヲ
〔長井委員長代理退席、委員長着席〕
許サレテ居リマスルカラ、色々實ハ御伺ヒ
シタイコトガアリマス、アリマスケレドモ
二ツダケ御聽キ致シマシテ、ソレデ終ラウ
ト思ヒマス、就テハ速記ヲ止メテ戴キタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=45
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046・板谷順助
○板谷委員長 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=46
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047・板谷順助
○板谷委員長 粟山君、一寸御待チ下サ
イ-粟山君ノ只今ノ御話ニ對シテ此ノ際委
員長ヨリ一言申上ゲマス、昨日龜井君ノ質
疑ニ對スル政府委員ノ御答辯ノ記事ガ新聞
ニ出テ居ルガ、ソレハ行違ヒガアルカラ釋
明シタイト云フ、開會ニ先立ツテノ申込ガ
アツタノデアリマス、私ハ適當ノ時期ニ御
許シスルト云フコトヲ御話シテ居ツタノデ
アリマスガ、ツイ其ノ機ヲ逸シテ居タノデ
只今粟山君カラサウ云フ御話ガ出タノデア
リマス、此ノ際ソレヲ許シタイト思ヒマ
ス-山際政府委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=47
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048・山際正道
○山際政府委員 昨日、本委員會ニ於テ私
ガ發言致シマシタコトニ關シ、本日ノ新聞
紙上ニ、圓ノ價値ハ勞働ニ還元スルト云フ
標題ノ下ニ、私ガ圓ノ價値ハ結局ニ於テ勞
働「コスト」ニ還元サレルモノデアルト云フコ
トヲ申シタト云フ記事ガ揭ゲラレテ居ルノ
デアリマス、私ハマダ速記ヲ拜見スル機會
ヲ得マセヌ爲ニ、的確ナコトハ申上ゲ兼ネマ
スケレドモ、私ノ記憶カラ致シマスト、其
ノ記事ニ現ハレタヤウナ趣旨ノコトハ、御
答ヘ致サナカツヤウニ思フノデアリマス、
私ガ記憶ヲ致シテ居リマス事柄ハ、圓ノ價
値ヲ決定スル要素ニハ色々アリマセウガ、
其ノ一ツトシテ勞働ト申シマスカ、勤勞ノ
「コスト」ト云フモノガ役割ヲ持ツト云フコ
ト自體ハソレハサウデアリマセウト云フ
コトヲ申上ゲル積リデアツタノデアリマス、
卽チ私ノ考ヘヲ正面カラ申上ゲマスナラバ、
圓ノ價値ハ御承知ノヤウニ現狀ニ於テハ旣
ニ金カラ離脫致シテ居リマスガ、此ノ現狀
ニ於テハ物資デアルトカ、勞力デアルトカ、
其ノ他凡ユル國家ノ經滿力ガ卽チ其ノ價値
ヲ決定スルモノデアル、又其ノ經濟力ノミ
ナラズ、之ヲ統轄スル所ノ國家ノ力、而シ
テ此ノ力ニ對スル內外ノ信賴コソガ、是ガ
圓ノ價値ヲ終局ニ於テ決定スル、斯樣ナ考ヘ
ヲ持ツテ居ルノデアリマス、其ノ事ハ慥カ
今週初メノ委員會ニ於キマシテモ私ハ左樣
ニ申述ベタ記憶ガゴザイマス、些カ誤解ヲ
招ク虞モアリマスノデ、時間ヲ戴キマシテ
此ノ點ヲ附加ヘサセテ戴イタ次第デアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=48
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049・亀井貫一郎
○龜井委員 昨日私ハ御說明ヲ致サナイデ
使ヒマシタノデ、所謂「マルクス」主義的ナ
勞働價値論ガ入ツタヤウナ、非常ナ誤解ヲ
御持チニナツタ向ガアツタノデハナイカト
惧レマシテ、是モハツキリ訂正ヲ致シテ置
キマスガ、結局人間ノ働キデ資本モ出來ル
シ、其ノ資本ノ動キデ經營モ出來ルノデ、簡
單ニ申シマスレバ、會社工場ノ收益率ガ貨
幣價値ニ相當重大ナ關係ガアル、斯ウ云フ
コトヲ生產費ト云フ言葉ヲ使ツタ、ソレニ
付テハ私ハ尙ホ後デ一寸收益率ノ面カラ御
尋ネヲ致シタイト思ツテ居タノデアリマス
ガ、時間ヲ節約シタノデサウ云フ誤解ヲ生
ンダノデアリマス、收益率ト云フ意味ハ
單ナル會社ノ儲ケトカ、配當ト云フ意味デ
ナク、資本ノ收益性ノコトヲ言ツテ居ル、
誤解ガアルトイケマセヌカラ、此ノ際ハツ
キリ致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=49
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050・板谷順助
○板谷委員長 粟山君、マダ御話ガアリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=50
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051・粟山博
○粟山委員 私ハモウ一ツダケデスカラ、
大臣御出席ノ時ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=51
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052・板谷順助
○板谷委員長 質問ハマダ明日モ打切リガ
出來ヌカモ知レマセヌシ、大臣ハ各委員會
ガ御忙シイノデ、サウコチラデ占有スル譯
ニモ行カヌト思ヒマスガ、政府委員トシテ
山際サンナリ、田中サンナリハ他ノ委員會
ニハオイデニナラヌヤウデスカラ、此ノ方
方ニ對シテハユツクリ質問ヲ願ヒマス-
粟山君····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=52
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053・粟山博
○粟山委員 私ハ速記ヲ止メテ貰ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=53
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054・板谷順助
○板谷委員長 ソレデハ速記ヲ止メテ···
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=54
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055・板谷順助
○板谷委員長 ソレデハ大臣ガ見エラレマ
シタカラ-武田德三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=55
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056・武田徳三郎
○武田委員 一昨日私ハ管理通貨ノ根本理
念ト云フ意味ニ付テ大臣ニ伺ツタノデアリ
マスガ、大臣カラ一應ノ御說明ヲ拜承シタ
ノデアリマス、併シ私ノ質問ノ冒頭ニモ申
上ゲタル通リ、此ノ管理通貨ノ是非ト云フ
コトハ學者間ニ於テモ何十年ト申スカ、何百
年ト申スカ、議論ガ繰返サレテモ、未ダ定
論ニ達シナイ問題デアリマスカラ、サウ云
フコトニ付テ理論圖爭ヲヤラウトハ思ハナ
イノデス、大臣ノ一應ノ說明ハ、事務的ニ
考ヘテモ私甚ダ了解ニ苦シム點モアリマス
ルシ、私自身ノ信念トハ相當背馳シタ御論
モ伺ツテ居ルノデアリマス、併シ今日ノ場
合左樣ナ理論鬪爭ヲヤツテ居ル時節柄デ
モアリマスマイシ、現實ニ此ノ法案ニ關聯
シテ私ノ尙ホ了解シナイ點ヲ一應伺ヒタイ
ト思ヒマス、大體ニ於テ大臣ハ將來ノ貨幣
ノ基礎ハ金ヲ裏付ケトシナイ、スル必要ハ
認メナイ、國家ノ總經濟力ヲ背景トスレバ、
ソレデ貨幣ノ信用モ維持出來ルシ、貨幣制
度ハ圓滿ニ運行スルト云フ意味ノ御話デア
ツタノデアリマス、ソレモ一ツノ見解トシ
テ承ツテ置キマス、併シナガラ此ノ御提出
ニナリマシタ提案ノ趣旨カラ窺ヒマスト、
必ズシモ大臣ノ御說明ノ通リニモナツテ居
ナイヤウニ私ハ思フ、或ハ私ガ大臣ノ御言
葉又御趣旨ヲ十分ニ了解シナイノカモ知
レマセヌ、仍テ私ハ理論的ノコトヲ避ケマ
シテ、此ノ御提案ニ卽シテ一ツ伺ヒタイト
思フノデアリマス、此ノ御提案ヲ見マスル
ト昨日ドナタカノ質問ニ對スル大臣ノ御
答辯中ニモアリマシタシ、此ノ法案ノ七十
六條ヲ拜見シテモ其ノコトハ明カニナツテ
居ルノデアリマス、卽チ七十六條ニハ「貨幣
法第十四條ノ規定ハ當分ノ內之ヲ適用セズ」
ト書イテアリマス、詰リ自由鑄造ヲ當分適
用シナイ、若シ眞ニ純然タル管理通貨ヲ御
採用ニナルナラバ、斯ウ云フ自由鑄造ヲ當
分停止スルト云フ條項ヲ入レル筈ハナイ譯
デアリマス、又七十五條ノ日本銀行ノ保證
準備トシテノ金ノ價格-是ハ意味ガ違ヒ
マスケレドモ、兎モ角「貨幣法第二條ノ規定
ニ依ラザルコトヲ得」トアル、是ハ評價ノ方
法デスカラ、七十六條ノ意味トハ少シ趣キガ
違ヒマス、併シナガラ此ノ半面ニハ、日本
ノ貨幣ノ基礎ハ貨幣法ニ依ツテ、金ヲ本ト
シテ、金ノ若干ノ量目ヲ以テ圓トナス、斯
ウ云フコトハアルノデアリマスカラ、其ノ
半面ヲ謳ツテアルコトハ明カデアリマスカ
ラ、卽チ日本ノ貨幣ノ單位ハ圓ニアルト云
フコトハ、趣意トシテハ私ハ認メザルヲ得
ナイノデハナイカ、斯樣ニ思フノデアリマ
ス、貨幣法ハ此ノ二箇條ニ依ツテ變更ガア
リマスケレドモ、貨幣法ノ根本精神タル第
二條ニ何等變革ヲ加ヘラレナイ所ヲ見マス
ルト、日本ノ貨幣ノ基準ハ現在ニ於テ此ノ
日本銀行法ガ假ニ成立致シマシテモ、尙ホ
金ヲ基本ニスルモノダト云フ觀念ヲ持ツテ
差支ヘナイノデハナイカ、斯樣ニ實ハ考ヘ
ルノデアリマス、一昨日ノ御答辯ノ中、速
記ガマダ出來マセヌデ、私ハ新聞ノ速記
ヲ見タノデアリマスガ、私ノ記憶ト違ハヌ
ノデアリマスルガ、貨幣法トノ關聯デア
ルガ「貨幣法ハ圓貨ノ價値基準ヲ定メルモ
ノデアルニ對シ、是ハ發劵制度ノ問題デア
ル」、是ハト云フノハ日本銀行法ノコトデ
アリマセウ、「發劵制度ノ問題デアツテ、
自ラ立脚點ヲ異ニシテ居ル」斯ウ云フ風ニ
仰シヤツテ居ル、是ハ成程一應ノ理論デア
リマス、此ノ大臣ノ御說明ニ依ツテ見テ
モ、圓貨ノ價値基準ハ貨幣法ニ依ツテ、定
マツテ居ルト云フコトヲ御認メニナツテ居
ルノデアリマス、成程兌換劵制度ハ、中央
銀行ノ發劵制度ノ態樣、效力、サウ云フモ
ノヲ定メルモノニハ相違ナイケレドモ、併
シナガラ圓ヲ表象スル所ノ、サウシテ法貨
デアル所ノ兌換劵ハ、ドウシテモ圓貨ノ價
値基準ト云フモノヲ貨幣法ニ依ラザルヲ得
ナイコトハ當然デアリマス、今度御提出ノ
法案ニハ「日本銀行ハ銀行劵ヲ發行ス、前
項ノ銀行劵ハ公私一切ノ取引ニ無制限ニ通
用ス」ト日本銀行ニ銀行劵ノ發行ヲ許シテ、
其ノ日本銀行ノ發行シタ銀行劵ハ、詰リ法
律上ノ日本ノ貨幣法デ定メタ貨幣ノ效力ヲ
國家ガ認メル、斯ウ云フノデアリマセウ、
然ラバ其ノ銀行劵ハ卽チ圓ヲ表象スル所ノ
國家ノ貨幣デアツテ、其ノ基礎ハ貨幣法
大臣御自身ガ御說明ニナツタ如ク、其ノ貨
幣法ナルモノハ圓ノ價値基準ヲ定メテ居ル
モノデアリマス、然ラバ此ノ日本銀行法ガ
成立致シマシテモ、日本ノ貨幣制度ト致シ
マシテハ、ドウシテモ圓ト云フモノガ本ニ
ナツテ、其ノ圓ノ基礎ハ金ニアルト云フコ
トハ依然トシテ變ハラナイモノト承知シテ
宜イノデハナイカ、斯樣ニ私ハ考ヘルノデ
アリマス、併シナガラ大臣ハ學者ノ所謂管
理通貨ノ理論ヲ飽クマデ此ノ法案ニ實現ス
ルモノデアルト云フ御考ヘデアリマスナラ
バ私ト根本觀念ヲ異ニシテ居ル、遺憾ナ
ガラ相當ノ時間ヲ戴イテ、意見ヲ交換シテ
見ナケレバナラヌノデアリマスケレドモ、
私ハ全體ニ大臣ノ御說明ヲ承リ、サウシテ
此ノ御提出法案ノ各條ヲ、彼此レ關聯セシ
メテ考ヘテ見マスルト、私ハ今ノヤウニ解
釋シテ差支ヘナイノヂヤナイカト云フ風ニ
モ實ハ思ツテ居ルノアリマスガ、先ヅ其ノ
點ニ付テノ大臣ノ御所見ヲ承リタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=56
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057・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 貨幣法ノ改正ハ致シテア
リマセヌ、貨幣法第二條ハ殘ツテ居リマス、
其ノ故ニ自由鑄造ノ禁止ハ當分ノ內ト云フ
コトニ第七十六條ニ致シテ置キマシタ、御述
ベニナリマシタヤウニ貨幣法ハ殘ツテ居リ
マスカラ、其ノ範圍ニ於テハ御述ベノ通リ
デアリマス、唯武田委員ハ議論ハシナイト
云フコトデアリマスカラ私モ議論ハ止メマ
シテ、其ノ範圍ナラバ其ノ通リデアリマス、
併シ是ガ經濟上ノ問題トシテ管現通貨制度
デアルカナイカト云フコトデアリマスト、
是ハ私モ相當議論ガアリマスガ今ハ致シマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=57
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058・武田徳三郎
○武田委員 議論ハ私ハ好マヌノデスカラ結
構デスガ、私ノ申上ゲタコトヲ肯定ナサツタ
ノデセウカ、ドウモハツキリシナイノデスガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=58
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059・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 貨幣法第二條ハ殘ツテ居
リマス、其ノ意味ニ於テ日本ノ貨幣ト金ト
ノ連繫ハ殘ツテ居リマス、併シ若シソレデ
管理通貨デナイト云フ御說ナラバ、私ハ直
グ肯定致シ兼ネルノデゴザイマス、管理通
貨制度ト云フコトハ法律上ノ文句デアリマ
セヌ、經濟上ノ通念デアリマス、其ノ意味ニ
於テ今度ノ日本銀行法ノ改正ニ依ツテ、私
ハ事實ガ管理通貨制度ニナツテ居ルト思フ
ノデアリマス、ソレデ管理通貨制度ニナツ
テ居ラヌ、斯ウアナタガ仰シヤレバソレハ、
私ハ一寸御答ヘ致シ兼ネルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=59
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060・武田徳三郎
○武田委員 管理通貨制度ハ經濟上ノ問題
デ法制上ノ問題デナイト仰シヤイマスガ、
ソレハ見方ニ依ツテハサウ言ヘルコトデア
リマセウ、併シナガラ通貨ノ觀念カラ致シ
マシテ一國ノ貨幣ハ國家ノ權力ニ依ツテ規
定サレルノデアリマスカラ、法制的ノ觀念
ヲ離レテ經濟的ニサウ云フモノガ獨立ニ存
在スル筈ハナイノデアリマス、現在ノ經濟
上ニ於テ、殊ニ戰時狀態ニ於キマシテハ
特殊ノ經濟狀態ニ卽應スル爲ニ色々ナ處置
ヲ執ラナケレバナラヌコトモアルデアリマ
セウ、併シナガラ一國ノ恆久的貨幣制度ノ
貨幣ト云フモノハ、申上ゲルマデモナク國
家ノ權能ノ重大ナルモノノ一ツデアルコト
ハ申上ゲルマデモナイノデアリマス、其ノ國
家ノ權能ノ發動ガ、或ル場合ニ於テ、經濟
的ノ制約ニ依ツテ或ハ停止スル、或ハ或ル
期間多少變形スルト云フコトハアリ得ルコ
トデアリマスケレドモ、根本ニ國家ノ法制ト
經濟ノ實際トハ、全然永久ニ離レテシマウ
ト云フコトハアリ得ナイノデアリマス、ソレ
ナラバ法制ラ變ヘテカカラナケレバナラヌ
ト云フコトニナルデアラウト思フ、然ルニ
此ノ提案ハ成ル程日本銀行ニ金ノ準備ヲ條
件トセズ銀行劵ヲ發行スルコトヲ許シテ居
リマス、其ノ點カラ言ヘバ、形ニ於テ管理
通貨ト同ジ形ヲ持チ作用ヲ持ツテ居ルカモ
知レヌ、ソレハ何モ日本銀行法ガ提案ニナ
ツタカラサウナルノデナクテ、金本位ヲ一
時停止シタ昭和六年十一一月以來同ジ形態デ
アルノデアリマス、ソレ故ニ私ハ大臣ニ對
スル質問ノ冒頭ニ申シテ置イタノデアリマ
スガ、旣成事實ヲ法文化シタト云フ意味ニ
於テハ、私ハ贊成致シマス、此ノ旣成事實
ヲ假ニ法文ニシタト云フコトト、將來戰後
ニ於ケル經濟狀態ヲ見透シテ、ソレニ對應
スル爲ニ如何ナル制度ヲ取ツテ行クカト云
フコトハ是ハ別ノ問題デス、日本銀行法ハ
先程モ縷々大藏大臣カラ御說明ガアツタ如
〃、決シテ一時的ノ便法デハナイ、是ハ戰
後將來長クヲ見透シテノ根本法デアルト私
ハ考ヘマス、ソレ故ニ斯ウ云フ法律ヲ御定
メニナツテ、其ノ時々ノ社會情勢ニ應ジテ、
ソレニ特別制限ヲ加ヘルト云フヤウナコト
ハアリ得ルデアリマセウガ、併シナガラ先
程モ申上ゲタル通リ、此ノ貨幣法ガ存置シ
テアルト云フコト、又是等ノ日本銀行法ニ
依ツテ、日本ノ貨幣制度ノ本ハ金ニ依ツテ
居ルノダト云フコトヲ反證的ニ認メテ居ル
デハアリマセヌカ、先程指摘致シマシタ七
十六條ノ如キハソレデアリマス、當分ノ內
ト云フノハ、當分ガ三年カ五年カ、十年カ
十五年カ知リマセヌケレドモ、其ノ當分ノ
期間ノ過ギタ時ニハ自由鑄造ヲ許スト云フ
コトヲ御提案ノ條項ノ中ニ認メテ居ルデ
ハアリマセヌカ、然ラバ金ト離レタモノデ
ナイト私ガ認メテ宜シイデセウカト言ツタ
ラ大臣ハ御肯定ニナツテモ宜イノデハナイ
カ、大臣ノ頭ノ中ニ、或ハ大臣ノ貨幣學上
ノ御信念トシテドウ云フコトガアルカモ知
リマセヌ、一昨日カノ御話カヲ見レバ、或
ハ純粹ナル管理通貨論者デアルカモ知レナ
イ、ソレハ私ソレヲ論ズルト、先程モ申ス
通リ餘リ議論ガ長クナツテ、左樣ナ時間ヲ
與ヘラレルコトハ困難ダト思ヒマスカラ、
私ハ差控ヘマスケレドモ、現在ノ提案ト貨幣
法ノ效力ノ現存シテ居ルト云フ點カラ申
シテ、私先程申シタヤウナコトヲ大臣ガ
御肯定ナスツテモ宜イノヂヤナイカト思
フノデ、念ノ爲ニ伺ツタノデスガ、併シ御
肯定ガ出來ナイノデアレバ、是ハ致シ方ガ
ナイカラ、更ニ又別ノ觀點カヲ伺フコトニ
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=60
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061・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 貨幣法ヲ改正致シマセヌ
カラ、其ノ意味ニ於キマシテ貨幣ノ基礎ガ
金デアルト云フ條文ハマダ殘ツテ居リマス、
其ノ意味ノ御話ナラ肯定ヲ致シマス、併シ
通貨ト致シマシテハ我ガ國ニ於テハ日本
銀行劵ガ殆ド通貨ノ主要部分ヲ占メテ居リ
マス、ソレガ金兌換ヲ致シマセヌ、而シテ法
律上ノ强制通用力ヲ持ツテ居リマスカラ、
其ノ意味ニ於ケル通貨ノ樣相ガ此ノ法律ニ
依ツテ確定的ニドウ變ルカ、斯ウ云フヤウ
ナコトハ、是モ武田委員モ御承知デアラウ
ト思ヒマス、法律的ニ申セバ貨幣法ニ付テ
ハ右ニ申述ベタダケノコトデアリマスカ
ラ、其ノ意味ニ於キマシテハ私ハ別ニ異存
ハナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=61
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062・武田徳三郎
○武田委員 私先程モ繰返シ申上ゲタルヤ
ウニ、學究的ナ論爭ハ避ケル積リデ申上ゲ
テ居リマスルカラ多クハ申シマセヌガ、
併シ私ノ御問ヒ致シマスル意味ヲ明カニ
センガ爲、ニモウ一ツ申上ゲテ置キタイト
思ヒマス、一昨日ノ大臣ノ答辯中ニ斯ウ
云フ意味ノ御話ガアツタ、貨幣ハ物ヲ買
フコトノ出來ル力ガ何等カノ「バック」ニ
依ツテアルナラバ宜イノデアルト云フ意
味ノ御話ガアリマシタ、サウシテ尙ホ、
併シナガラ外國貿易ノ決濟尻ハ金ヲ要ス
ル、是ハ金ヲ向フヘ持ツテ行ツテ賣レバ
宜イノダ、斯ウ云フ意味ノコトヲ仰シヤ
ツテ居ルノデアリマス、丁度是ハ「ドイツ」
ノ經濟相ノ「フンク」ノ言ツタト殆ド符節ヲ
合シテ居ルト言ツテモ宜イ位ニ、同ジヤウナ
表現デ同ジヤウナ意味ノ御話デアリマス、是
ハドウ云フ意味ニ大臣ハ御考ヘニナツテ居
ルノカ、我ガ國ハ管理通貨制度ヲ採ツテ、例
ヘバ相手國ヲ「アメリカ」ト致シマス、「アメ
リカ」ガ金本位制度ヲ採ツテ、金ノ自由鑄
造ヲ許シテ居ル場合ニハ、賀屋サン竝ニ「ド
イツ」ノ「フンク」サンノ仰シヤルコトハ言
ヒ得ルデアリマセウ、併シナガラ管理通貨
ガ、貨幣學上デモ、又今日ノ經濟社會ノ進
步ノ段階ニ於テモ、ソレガ適當ノモノナリ
ト云フ根本論デアリマスルナラバ、其ノ論
ヲ進メル上ニ於テモ、我ガ國ニモ通貨管理
制度ヲ採用シタ場合ニハ、相手國モ管理通貨
制度ヲ採用シテ居ルモノト假定ノ下デナケ
レバ議論ガ正シクナイト思ヒマス、左樣ナ
場合ニハ、假ニ「アメリカ」ガ管理通貨ニナ
ツタ、日本モ管理通貨ニナツタト云フ場合
ニ、成程貿易尻ノ決濟ハ大臣ノ御說ノ如ク
帳面ノ付ケ合デアツテモ出來ル場合モアリ
マセウ、又「クレヂット」ヲ設定シテ出來ル場
合モアリマセウ、併シソレハ總テガソレデ
出來ルト云フ譯デハナク、終局ハヤハリ何
等カノ物デ決濟スルノ外ハナイノデアリマ
ス、其ノ場合ハ金デ決濟シ得ル場合モアリ
マセウ、併シ必ズシモ金ヲ持ツテ行ツタラ
決濟出來ルトハ限リマセヌ、向フガ金本位
制度デ自由鑄造制度ヲ執ツテ居ル場合ニ
ハ大臣ノ仰シヤル通リ、ケレドモサウデ
ナイ場合ニハ金ヲ持ツテ行ケバ何時デモ帳
尻ノ決濟ガ出來ルトハ言ヘナイノデアリマ
ス、ソレヲ、貿易尻ノ決濟ニハ金ヲ持ツテ
行ケバ決濟ガ出來得ルト仰シヤル其ノ觀
念ノ中ニハ、金ソレ自身ハ、少クトモ一
ツノ政治勢力ノ完全ニ組織セラレタル範
圍ノコトハ先ヅ別問題トシマシテ、尙モ世
界經濟ニ關シテ金ガ貨幣ノ單位トスルノ
ニ、「バック」トスルノニ最モ適當デアルト
云フコトヲ隱然御認メニナツテ居ル、私ハ
サウ認メナケレバナラナイト思フ、或ハ共
榮圈內、或ハ日本國內ニ於テ通貨管理ガ實
行サレルカド、ウカト云フコトニ付テモ、私
ハ疑問ヲ持ツテ居リマスガ、ソレハ假ニサウ
致シマシテモ、私ハ今申上ゲタヤウナ意味
ニ於テドウシテモ、大臣ノ、貿易ノ尻ハ金
デ決濟出來ルヂヤナイカ、ソレダケハ金ハ
認メルケレドモ、ソレハ必ズシモ日本內地
ニ通用スル所ノ貨幣ノ裏付ケト云フ意味デ
ハナイノダト仰シヤルノハ、ドウモ私ハソ
コガハツキリシナイヤウニ思フノデアリマ
ス、ソレカラ序ニ申上ゲマスガ、先程石坂
君ノ質問ニ對シテ大臣ハ斯ウ云フコトヲ仰
シヤツタ、管理通貨ニスルト將來東亞共榮
圈ノ貨幣制度ヲ打立テル上ニ於テ大變ニ便
宜ガアルヤウニ思フト云フヤウナ御答辯ガ
アツタ、私ハソレハ逆デハナイカト思フ、
私ノ考ヘヲ率直ニ申上ゲレバ、戰爭ノ推移
ニ依ツテドウ變化スルカ勿論分リマセヌケ
レドモ、今日ニ於テ見透シノ出來ル限リニ
於テ考ヘテ見マスルト、例ヘバ「フィリッ
ピン」或ハ蘭印、アソコデハ正貨ガ「イギリ
ス」ヤ「アメリカ」ニスツカリ押ヘラレテ居
ルノデスカラ、最早正貨ヲ準備トスルコト
ハ出來ナイ、併シナガラ、アノ國ノ經濟上
ノ現在ノ段階ニ於テ、如何ニ考ヘテ見テモ
私ハ彼處ダケデ管理通貨ト云フコトハドウ
シテモ行ハレルモノヂヤナイト思フ、少ク
トモアノ程度ノ國ニ於テハ難カシイト思
フ、サウシマスルトドウシテモ日本ノ圓ニ嚴
密ニ「リンク」スルノ外ハナイノデアリマス、
言葉ヲ換ヘテ言ヒマスルナラバ、日本ノ圓
ヲ準備トシテ發行スル方法ヲ執ルヨリ外仕
樣ガナイ、私ハ之ヲ實際的ニ申シマスルナラ
バ、日本ガ蘭印ナリ「フィリッピン」ニ「クレヂッ
トレヲ設定シマシテ、サウシテ其ノ圓ヲ日
本銀行ニ預金セシメマシテ、ソレヲ準備ト
シテ向フニ貨幣ナリ銀行劵ナリヲ發行セシ
メルト云フ方法ヲ執ルヨリ途ガナイノヂヤ
ナイカト云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマス
ガ、左樣ナ場合ニ彼等ノ貨幣ノ基本ニナル
ベキ日本ノ圓ガ金ニ裏付ケラレテ居ラヌト
云フコトハ、今日マデ南洋方面ノ、多年ノ
間金ニ關聯ヲシテ「アメリカ」「イギリス」ノ
勢力ノ下ニ强ク結付ケラレタル彼等民衆ノ
心持ト云フモノハ-彼等ノ貨幣ノ裏付ケ
ニナルベキ日本ノ圓ガ金ト何等ノ關係ハナ
イノダト云フコトヲ彼等ノ頭ニ入レルノ
下、金ト結付イテ居ルノダト云フ觀念トデ
ハ此ノ貨幣制度ノ新設ト申シマスカ、改造
ト申シマスカ、其ノ上ニ於テ其ノ難易ハ非
常ナ相違ガアル、先程大臣ノ言ハレタコト
ハ寧ロ私ハ逆ノコトニナルンヂヤナイカト
云フ風ニ考ヘテ居ルノデアリマスガ、今申
上ゲタコトニ付テ大臣ノ御考ヘガアリマス
ナラバ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=62
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063・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 貿易ノ決濟尻ノ金ノコト
デアリマスガ、「フンク」ハドウ云フ意味デ
言ツタカ私モ知リマセヌガ、私ハ金ガアラ
バ必ズ決濟出來ルトハ申シマセヌ、大體是ハ
經濟上ノ見透シデアリマスカラ、世界ガ一度
ニ綺麗ニ管理通貨制度ニナルトモ私ハ思ヒ
マセヌ、管理通貨制度ニ段々ニナル趨勢ニ
アルト思ヒマス、併シナガラマダ金本位デ
殘ル國モアリマセウシ、事態已ムヲ得ズ金
本位ヲ停止シテモ金ヲ欲シガル國モアリマ
セウカラ、金ト云フモノハ國際決濟市場ニ
於テ相當ノ力ガ尙ホ存續スル場面ガアル、
是モ世界全體ノ經濟ノ推移ノ情勢デアリマ
スカラ斷言ハ出來マセヌガ、サウ云フコト
ハ相當ニ私ハマダ見テ居リマス、其ノ意味
ニ於テ決濟ノ用具デアル、御話ノヤウニ日
本ガ產金奬勵ヲ致シマシテドン〓〓出シマ
シタ時ニハ、米國ハ一定ノ値デ買入レマシ
タ、詰リ是ハ御話ノ自由鑄造ヲ認メテ居ル
ノト同ジコトデアル、ソレデドン〓〓出シ
テ石油ヲ買ヒ、銅ヲ買ヒ、機械ヲ買ハント
シテオ互ヒニヤツテ居リマシタ譯デアリマ
ス、ソレデ要スルニ私ハ其ノ時ニ「アメリ
カニ賣レバ一定ノ「ドル」價デ賣レル商品
ナリト言ツテ居ツタノデス、オ互ヒノ話合
ヒニモサウナンデス、一ツノ物資ニ過ギナ
イ、割合ニ價格ガ一定シテ何處ニモ旨ク通
用スル物資ナリト評シテモ宜イト思フ、其
ノ意味ニ於キマシテ南方ナラ纖維品ヲ歡迎
スル、雜貨ヲ歡迎スル、「アメリカ」ナラ生絲
ガ欲シイ、金ナラバ方々デサウ云フ風ニ歡
迎サレル、斯ウ云フ意味デス、現ニ佛印邊リ
デモ金ヨリハ物ヲ欲シガツテ居リマス、物
カ出來ナケレバセメテ金デモ貰ヒタイト云
フ位ノ所ナンデス、ソレハ實際ノ經濟ノ必
要ニ應ズルノデス、併シ私ハ金ト云フモノ
ヲマダ全然輕視スル譯ニハイカナイ、相當
是ガ役ニ立ツ場合モアルダラウ、國際決濟
ノ相當有用ナ用具ナリ、斯ウ云フ風ナ觀方
ヲシテ居リマス、ソレハ金ノ貨幣價値ニ强
ヒテ結付ケテ行クナラバ、大體ニ於テ世界
歷史的ニ見テ一種ノ惰性デアリマス、惰力
的價値ガアル、斯ウ云フ風ナ私ハ觀方デ居
ルノデアリマス
南方ノ問題ニナリマスト、要スルニ
通貨ノ問題モ、根本ニナリマスト多數
ノ住民ノ氣持ノ問題、硬ク申セバ信念
ノ問題ト申シマスカ、要スルニ信ズル、思
フト云フコトデアリマスガ、金本位デ今行ツ
タ方ガ非常ニヤリ易イト云フヤウナ話モ御
尤モカモ知レマセヌ、併シ日本ガ大東亞共
榮圈ヲ築キマシテ大キナ國防力、國民ノ生活
力、經濟力ヲ持ツテ行ク時ニハ、左樣ナ行キ
方デハ到底私ハ行クモノヂヤナイ、少々困難
ガアリマシテモ寧ロ其ノ困難ヲ押切ツテ離
脫セナケレバ目的ヲ達シナイ(「ヒヤ〓〓」)
一寸速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=63
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064・武田徳三郎
○武田委員 只今ノ御說明デハドウモ私ニ
ハ諒解致シ兼ネマスガ、餘リ議論ニ亙ルコ
トハ避ケマシテ深ク申シマセヌガ、併シ其
ノ惰性デ金ヲ尊重スル氣風ハ急ニハ取レナ
イガ、金ガ容易ク他ニ處分ガ出來ルノハ、
惰性デアルト云フノハ餘リドウモ私ハ理論
的デナイト思フノデアリマス、私ノ先程申
シタ中ニ於テ大臣モ先ニ御認メノ通リニ今
日金ガ「アメリカ」ナラ「アメリカ」ニ行ツテ容
易ニ政府ガ買取ツテ貿易尻ノ決濟ニ都合ノ
好イト云フノハ要スルニソレハ向フガ自
由鑄造ヲ許シテ居ルカラデアリマス、「アメ
リカ」モ管理通貨ヲ實行シテ全然金ガ自由
鑄造ヲ許サレヌト云フコトデアレバ、金ト
シテ何カ別途ノ用途ガ發見サレレバ別デア
リマスガ、今日デハ裝飾用ノ他ハ使へナイ、
若シ裝飾用ダケトスルナラバ金ノ値打ハ非
常ニ下ツテ來ル、又其ノ値段ノ動搖モ非常
ニ多イデアリマセウ、現ニ銀ノ値段ガ動搖
シテ居ル事實ヲ見テモ分ルノデアリマス、
金ガ何故動搖シナイカト言ヘバ銀ヨリハ毀
傷性ガ少イ、ソレヲ基トシテ各國デ金本位
制ノ裏付トシテ使フト云フコトガ、金ノ價値
ノ動搖ヲ防イデ居ルノデアリマス、シマス
ルト金ガ比較的從來ノ惰性デ處分シ易イカ
ラト云フヤウナコトデハ餘リ御考ヘ方ガ正
確ヲ缺イテ居ルノデハナイカト思フ、政治
ハ其ノ社會情勢ニ應ジタ政治ヲヤラナケレ
バ旨クイカヌニ相違ナイ、一定ノ理想ガア
ツテ一定ノ理想ニ導クヤウニスルコトモ勿
論私ハ無用トハ思ヒマセヌケレドモ、現實
ノ政治ニ於テ國民ノ心理狀態ヲ巧ク「キャツ
チ」シテソレニ卽應スルヤウナ管理制度ヲ作
ラナケレバソレハ本當ニ運用ノ出來ルモノ
デハアリマセヌ、餘リニ近來國家主義トカ、
或ハ統制主義トカ云フヤウナコトニカブレ
ル氣味ガアツテ何デモ國家ノ手デ出來ルヤ
ウニ考ヘル者ガ、政府ノ所謂革新論者ノ中ニ
アルノヲ私モ遺憾ニ思フ、世ノ中ニ現狀維
持派ト革新派トアリマスレバ、私モ革新側
ニ馳セ參ズル一人デアルノデアリマス、然
ルニ近來ノ世ノ自ラ稱シテ革新論者ト云フ
モノ、或ハ革新官僚ト言ハレル方々ハ餘リ
ニドウモ行過ギテハ居リハシナイカ、餘リ
ニ唯我獨尊ノ傾キガアルヤウニ思フノデア
リマス、何事モ國家權力デ總テガ出來ルモ
ノデハナイノデアリマス、或ル法律論者ハ
法律ハ國權ノ命令ダト言フケレドモ、國民
ガ承認シナケレバ實行出來ナイモノデアル
ト云フ說ヲ稱ヘテル者ガアルガ、其ノ說ノ
可否ハ別ト致シマシテソレハ事實デゴザイ
マス、實際國家ノ民衆ガソレヲ納得スル法
律デナケレバ、如何ニ政府ガ權力ヲ以テヤ
ラウトシテモ行ヘルモノデハナイノデアリ
マス、卽チ民情ニ卽スルト云フノハソコデ
アリマス、民情ニ卽スルヤウナ法律デナケ
レバ、制度デナケレバ、ソレハソコニ行ハ
ルルモノデハナイノデアリマス、唯議論一
片デ、サウシテ或ル一定ノ机上デ考ヘタ所
ノ理想論デノミヤルト云フコトハ私ハ斯
ウ云フ場合ニハ政府カラ愼ンデ戴キタイト
思フ、假ニ管理通貨論ガ根本的ニ宜イト致
シマシテモ、自ラ段階ガアル、國家竝ニ社會
ノ進步ノ程度ノ段階如何ニ依ツテハドン
ナ場合デモ宜イトハ仰シシヤル譯デハナカ
ラウト思フ、ドウモ私ハ其ノ點ニ向ツテ大
臣ノ御所見ニ少シク了解シ兼ネルト申ス
カ、御贊成申上ゲ兼ネルト申スカ、左樣ナ
考ヘ方デスガ、私ハ斯樣ナコトヲ申上ゲル
ノハ、マダ大臣ノ御意向ヲ十分了解シナイ
爲デアリマセウカ、果シテサウデアツタナ
ラバ、今一應蒙ヲ啓イテ戴キタイノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=64
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065・賀屋興宣
○賀屋國務大臣 私ハ心構ヘト致シマシテ、
所謂革新ニモアラズ、保守ニモアラズ、國
家トシテ必要ナコトハドシ〓〓ヤルガ、必
要ナラザルコトハヤラヌト云フ考ヘ方ヲシ
テ居リマス、國家ハ割合ニ舊イ體制ヲズツ
ト持ツテ行クコトガ必要ナ段階モアリ、場合
ニ依ツテハ飛躍スルコトガ必要ナコトモア
ル、私共デ其ノ選擇ガ旨ク出來マスカドウ
カ分リマセヌガ、心掛ケテサウ云フ風ニシ
タイト思ツテ居リマス、通貨制度ナドモ、
私ハ極メテ愼重ナ考ヘ方ヲ、私トシテハ致
シテ居ル次第デアリマス、「アメリカ」ナド
モ御承知ノヤウニ金ガ二百二十六億六千四
百万「ドル」通貨ハ九十六億一千二百万「ド
ル」デ、逆ニ金本位ヲ離脫シテ居ル、此ノ
上金ガ出來テハ大變ナコトニナルカラ、ド
ウカ金ヲ通貨ノ本カラ除ケヨウトシテ居ル、
「アメリカ」ト日本トノ關係ガ斯ウ云フ風
ニナリマセヌデモ、一定ノ値デ金ヲ買上ゲ
ル方向ヲドコマデモヤツテ行クカドウカ、
疑問ダト私ハ思ツテ居リマス、政治關係デ
疑問ダト思フノミナラズ、經濟關係デモ相
當ニ疑問ニ思ツテ居リマス、唯自分ノ國デ
ハ金ハ欲シクナイケレドモ、只デ棄テル譯
ニモ行カナイ、「アメリカ」トシテハ管理通
貨ガ宜イトシテモ、厖大ナ金ヲ持ツテ居ル
カラ、此ノ金ノ威力ヲ働カサウトシテ、政
策的、人爲的ニ金ト云フモノヲ世界ニ擴メ
テ行カウト云フ努力ヲスルデアラウト思ヒ
やく、サウ云フ場合ニハ斷然經濟的ニ叩カ
ネバナラヌト私ハ思ツテ居リマス
ソレカラ南方デゴザイマスガ、是モモウ
實ハ金本位ハナイノデアリマシテ、皆爲替
本位デゴザイマス、「インド」モ御承知ノヤ
ウナ爲替本位デアリマスガ、是ハ佛印ニ致
シマシテモ、「タイ」蘭印、「マレー」、「ビ
ルマ」等ニ致シマシテモ、皆爲替本位デゴ
ザイマシテ、事業上ハ金本位ヲ離脫スル傾
向ニ皆アルノデアリマス、支那ナドモ御承
知ノ如クアレ程ノ銀貨國デアリマシタガ、
「イギリス」ノ「リースロス」ノ幣制改革ニ依
ツテ法幣ニナツタ、一部ノ人ハ、支那人ニ
銀貨ヲ排除シテ法幣デ-紙幣デヤルト云
フコトデ巧ク行クカト云フ疑念ヲ持ツテ居
ツタ人ガ多イノデアリマスガ、觀測トシテ
ハ、私ハ其ノ疑念ハ尤モデアルト思ツテ居
リマシタガ、案外アノ法幣ハ成功致シマシ
テ、紙幣國ニナツテ居ル、サウシテ法幣ニ
對シテドウスルカ、丁度今御述ベニナリマ
シタヤウニ、吾々モ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、一面ハ、北支ノ如ク法幣ヲ殆ド追ツ拂
ヒマシテ、聯合準備銀行券ニナツテ居リマ
スガ、然ラバ法幣ヲ利用シナイカト言ヘバ、
中支ナドデモ、敵側ノ物資ノ買付ケナドニ
ハ相當法幣ヲマダ用ヒテ居リマス、ココラ
ノ點ハ御話ノ如ク實情ニ應ジテ、敵性通貨
ト雖モ、之ヲ逆ニ利用スル場合モアリマス、
是ハ敵性通貨ノ話デアリマスルガ、南方ノ
圈內ニ於キマシテモ敵性通貨ト云フモノノ
其ノ機關、住民等ガ我ガ方ニ協力スル眞ノ態
勢ニナレバ、是ハ敵性通貨デナクナリマス、
左樣ナモノハ事實上金本位デハ、到底南方デ
ハ働カス實情デアリマシテ、寧ロ現在アリマ
スルサウ云フ通貨、銀行劵ヲ利用シテ行ク
方ニ進ミタイ、斯ウ居フ風ナ考ヘ方デ居ル
ノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=65
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066・武田徳三郎
○武田委員 モウ簡單ナコトデ、二ツ位デ
終ルノデスガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=66
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067・板谷順助
○板谷委員長 後ノ委員會ノ準備モアルサ
ウデ、ドウシテモ零時半ニハ切上ゲテ貰ヒタ
イト云フ希望ガアリマス、若シ君ガ質問ガ
殘ツテ居レバ、マダ此ノ委員會ハ質問ヲ打
切ル譯デハアリマセヌカラ、適當ノ機會ニ
御許シシマス、本日ハ是ニテ散會致シマシ
テ、次會ハ明日午後一時開會致シマス、尙ホ
此ノ際政府ニ要求シテ置キマスルガ、大臣
ニ對スル質疑ノ通〓ガマダ多數保留シテア
リマスルノデ、出來ルダケ一ツ御繰合セ御
出席ヲ希望致シマス
午後零時三十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007912855X00619420129&spkNum=67
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