1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年一月二十三日(金曜日)
午後一時七分開議
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議事日程 第四號
昭和十七年一月二十三日
午後一時開議
第一 食糧管理法案(政府提出) 第一讀會
第二 國民更生金庫法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三 帝國石油株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 重要物資管理營團法案(政府提出) 第一讀會
第五 帝國鑛業開發株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 帝國燃料興業株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 郵便法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第八 郵便貯金法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第九 鐵道敷設法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十一 國民體力法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 國民醫療法案(政府提出) 第一讀會
第十三 健康保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十四 國民健康保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十五 戰時災害保護法案(政府提出) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一昨二十二日東條内閣總理大臣より左の通
發令ありたる旨の通牒を受領せり
陸軍省法務局長 大山文雄
陸軍少將 山田清一
陸軍少將 田中隆吉
陸軍書記官 日高巳雄
第七十九囘帝國議會陸軍省所管事務政府委員被仰付
一昨二十二日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を左の通變更せり
三八八 世耕弘一君
三八九 鈴木文治君
一昨二十二日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第三部選出豫算委員 平野力三君
第四部選出豫算委員 篠原義政君
第四部選出豫算委員 坂本宗太郎君
第七部選出豫算委員 野田文一郎君
第四部選出決算委員 米窪滿亮君
第五部選出決算委員 高橋圓三郎君
第八部選出決算委員 本田彌市郎君
第九部選出決算委員 松浦周太郎君
第九部選出決算委員 山田六郎君
第二部選出請願委員 石坂養平君
第五部選出請願委員 岡崎憲君
第六部選出請願委員 成島勇君
第七部選出請願委員 廣川弘禪君
第三部選出建議委員 卯尾田毅太郎君
第九部選出建議委員 山川頼三郎君
第一部選出懲罰委員 宇賀四郎君
第一部選出懲罰委員 出井兵吉君
一昨二十二日議長に於て選定したる委員左の如し
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案(支那事變に關する一時賜金として交付する爲公債發行に關する件(政府提出)外三件委員
飯田助夫君 泉國三郎君
大内竹之助君 沖島鎌三君
川副隆君 片岡恒一君
北村文衞君 木村武雄君
國光五郎君 田代正治君
津倉亀作君 服部英明君
原惣兵衞君 星一君
松井郡治君 松岡俊三君
松田正一君 三木武夫君
守屋榮夫君 渡邊玉三郎君
片山哲君 木檜三四郎君
服部岩吉君 井上良次君
須永好君 杉浦武雄君
眞鍋勝君
米穀需給調節特別會計法中改正法律案(政府提出) 委員
安倍寛君 石井徳久次君
岩瀬亮君 今成留之助君
馬岡次郎君 小串清一君
岡田喜久治君 川島正次郎君
北勝太郎君 北原阿智之助君
坂下仙一郎君 高橋圓三郎君
高田耘平君 土屋寛君
土田莊助君 坪山徳彌君
東郷實君 成島勇君
西方利馬君 西川貞一君
服部崎市君 濱地文平君
古田喜三太君 松浦伊平君
松浦周太郎君 松田喜三郎君
三善信房君 村上國吉君
村松久義君 森田重次郎君
山田六郎君 山川頼三郎君
山口忠五郎君 吉田賢一君
工藤鐵男君 林讓治君
本田彌市郎君 森幸太郎君
淺沼稻次郎君 野溝勝君
前川正一君 由谷義治君
大石大君 平野力三君
松本治一郎君
南方開發金庫法案(政府提出)委員
伊禮肇君 今井健彦君
稻田直道君 小笠原三九郎君
大島寅吉君 岸田正記君
木村武雄君 藏原敏捷君
小山谷藏君 佐藤洋之助君
鹽川正藏君 高橋圓三郎君
鶴見祐輔君 中川重春君
永田良吉君 長野高一君 野口喜一君 古島義英君
本田義成君 堀内良平君
松尾四郎君 松本忠雄君
松山常次郎君 前田房之助君
最上政三君 山本粂吉君
渡邊玉三郎君 大野伴睦君
岡崎久次郎君 岡崎憲君
笠井重治君 田原春次君
山崎釼二君 倉元要一君
冨吉榮二君 米窪滿亮君
日本銀行法案(政府提出)外二件委員
井阪豐光君 池田秀雄君
飯村五郎君 小山倉之助君
大口喜六君 太田理一君
大本貞太郎君 菊池良一君
木村正義君 熊谷直太君
木暮武太夫君 崎山嗣朝君
鈴木英雄君 田村秀吉君
武田徳三郎君 手代木隆吉君
豐田豐吉君 豐田收君
内藤正剛君 中島彌團次君
中田儀直君 仲井間宗一君
長井源君 南雲正朔君
西村金三郎君 野田俊作君
廣川弘禪君 福井甚三君
堀内良平君 松方幸次郎君
松永東君 三浦虎雄君
山本粂吉君 矢野庄太郎君
石坂豐一君 板谷順助君
世耕弘一君 坂東幸太郎君
河合義一君 龜井貫一郎君
三輪壽壯君 粟山博君
田中耕君 本田英作君
水谷長三郎君
所得税法中改正法律案(政府提出)外十七件委員
青山憲三君 井阪豐光君
石坂養平君 伊藤五郎君
生田和平君 猪野毛利榮君
卯尾田毅太郎君 宇賀四郎君
小川郷太郎君 小高長三郎君
小野謙一君 岡本實太郎君
加藤知正君 川崎末五郎君
勝正憲君 金澤正雄君
小畑虎之助君 小山邦太郎君
駒井重次君 坂田道男君
坂本宗太郎君 篠原陸朗君
高橋熊次郎君 立川平君
豐田收君 古屋慶隆君
藤田若水君 藤本捨助君
松田竹千代君 眞鍋儀十君
村上紋四郎君 森肇君
守屋榮夫君 山本芳治君
大石倫治君 川崎克君
田川大吉郎君 百瀬渡君
金井正夫君 河野密君
佐竹晴記君 田万清臣君
青木作雄君 松永義雄君
森田福市君
兵器等製造事業特別助成法案(政府提出)委員
青山憲三君 伊東岩男君
伊藤東一郎君 伊禮肇君
稻田直道君 小山田義孝君
漢那憲和君 齋藤直橘君
作田高太郎君 篠原義政君
鈴木憲太郎君 高橋壽太郎君
中井川浩君 永田良吉君
西田郁平君 西村茂生君
長谷長次君 三浦虎雄君
宮崎一君 村瀬武男君
原口初太郎君 福田關次郎君
宮脇長吉君 安藤孝三君
阿部茂夫君 江藤源九郎君
西岡竹次郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=0
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001・田子一民
○議長(田子一民君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、豫算委員長ヨリ本日
本會議中竝ニ自今本會議中ト雖モ委員會ヲ
開キタイトノ申出ガアリマス、之ヲ許スニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=1
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002・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ之ヲ許可致シマス-日程第一、
食糧管理法案ノ第一讀會ヲ開キマス-井
野農林大臣
第食糧管理法案(政府提出)
第一讀會
食糧管理法案
食糧管理法
第一條本法バ國民食糧ノ確保及國民經
濟ノ安定ヲ圖ル爲食糧ヲ管理シ其ノ需
給及價格ノ調整竝ニ配給ノ統制ヲ行フ
コトヲ目的トス
第二條本法ニ於テ主要食糧トハ米穀、
大麥、稞麥、小麥其ノ他勅令ヲ以テ定
ムル食糧ヲ謂フ
第三條米穀、大麥、稞麥又ハ小麥(以
下米麥ト稱ス)ノ生產者又ハ土地ニ付
權利ヲ有シ小作料トシテ之ヲ受クル者
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生產シ又
ハ小作料トシテ受ケタル米麥ニシテ命
令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ賣渡スベ
シ
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ價格
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ生產費及物價
其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌シテ之ヲ定ム
第四條政府ハ其ノ買入レタル米麥ヲ食
糧營團又ハ政府ノ指定スル者ニ賣渡ス
モノトス
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ賣渡ノ價格
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物價
其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌シテ之ヲ定ム
第五條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
米麥以外ノ主要食糧ノ買入又ハ賣渡ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入又ハ賣
渡ノ價格ハ時價ニ準據シテ之ヲ定ム
第六條政府ハ必要アリト認ムルトキハ
主要食糧ノ輸入若ハ移入ヲ目的トスル
買入又ハ輸出若ハ移出ヲ目的トスル賣
渡ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入又ハ賣
渡ノ價格ハ政府之ヲ定ム
第七條政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主
要食糧ノ貸付又ハ交付ヲ爲スコトヲ得
政府ハ必要アリト認ムルトキハ主要食
糧ノ貯藏、交換、加工又ハ製造ヲ爲ス
コトヲ得
第八條第三條第一項ノ者ハ同項ノ規定
ニ依リ其ノ者ガ政府ニ賣渡スベキ米麥
ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ檢査ヲ受ク
ベシ但シ勅令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ
檢査ノ外勅令ノ定ムル所ニ依リ主要食
糧ニ付檢査ヲ受クベキコトヲ命ズルコ
トヲ得
第九條政府ハ特ニ必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧ノ
配給、加工、製造、讓渡其ノ他ノ處分、
使用、消費、保管及移動ニ關シ必要ナ
ル命令ヲ爲スコトヲ得
第十條政府ハ特ニ必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧ノ
價格、加工賃又ハ製造ノ料金ニ關シ必
要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十一條米麥ノ輸出若ハ移出又ハ輸入
若ハ移入ハ勅令ニ別段ノ定アル場合ヲ
除クノ外政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレ
バ之ヲ爲スコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケ米
麥ヲ輸入又ハ移入シタル者ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ其ノ輸入又ハ移入シタル
米麥ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政
府ニ賣渡スベシ
前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ價格
ハ政府之ヲ定ム
政府ハ特ニ必要アリト認ムルトキハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ期間ヲ指定シ米麥
以外ノ主要食糧ノ輸出若ハ移出又ハ輸
入若ハ移入ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ
得
第十二條政府ハ必要アリト認ムルトキ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ期間ヲ指定シ
主要食糧ノ輸入稅ヲ增減又ハ免除スル
コトヲ得
第十三條主要〓糧ノ生產費、生產高、
現在高及移動ノ調査、家計費ノ調査其
ノ他主要食糧ノ管理ヲ行フ爲必要ナル
調査ニ關シ必要ナル事項ハ合令ヲ以テ
之ヲ定ム
政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ調
査ヲ行フ爲必要ナル報告ヲ徵シ又ハ當
該官吏若ハ吏員ヲシテ必要ナル場所ニ
臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他
ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十四條食糧營團ハ法人トシ政府之ヲ
監督ス
食糧營團ハ中央食糧營團及地方食糧營
團トス
食糧營團ニ非ザル者ハ〓糧營團又ハ之
ニ類似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第十五條中央〓糧、營團ハ政府ノ定ムル
食糧配給計畫ニ基キ主要食糧ヲ配給ス
ルト共ニ政府ノ指定スル食糧ヲ貯藏ス
ル爲必要ナル事業ヲ行フコトヲ目的ト
ス
中央食糧營團ハ主タル事務所ヲ東京市
コット·シー
中央〓糧營〓ハ政府ノ認可ヲ受ケ必要
ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコトヲ
得
第十六條中央食糧營團ノ資本金ハ一億
圓トシ之ヲ二百萬口ニ分チ一口ノ出資
金額ヲ五十圓トス但シ資本金ハ政府ノ
認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
政府ハ五千萬圓ヲ限リ中央〓糧營〓ニ
出資スベシ
政府ノ引受ケタル出資ノ出資金拂込ハ
其ノ他ノ出資ノ出資金拂込ト之ヲ異ニ
スルコトヲ得
第十七條中央〓糧營〓ハ定款ヲ以テ出
資者ノ資格ヲ制限スルコトヲ得
第十八條中央〓慢營團ニ總裁副總裁各
一ヘ、理事五人以上、監事三人以上及
評議〓若干人ヲ置キ政府之ヲ命ズ
第十九條中央食糧營團ハ左ノ事業ヲ行
フモノトス
-主要〓糧ノ買入
二地方〓糧營〓又ハ政府ノ指定スル
者ニ對スル主要食糧ノ賣渡
三政府ノ指定スル食糧ノ貯藏
四政府ノ指定スル主要食糧ノ加工、
製造及保管
五前各號ノ事業ニ附帶スル事業
六前各號ノ外中央食糧營團ノ目的達
成上必要ナル事業
中央〓糧營〓前項第五號又ハ第六號ノ
事業ヲ行ハントスルトキハ政府ノ認
可ヲ受クベシ
中央〓糧〓〓ハ政府ノ認可ヲ受クルニ
非ザレバ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢
止シ又ハ休止スルコトヲ得ズ
第二十條政府ハ中央〓糧營〓ニ對シ主
要〓糧ノ配給上必要ナル專業ヲ行フベ
キコトヲ命ジ其ノ他業務ニ關シ公益上
必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第二十一條中央〓糧營〓ハ政府ノ許可
ヲ受ケ其ノ寄託ヲ受ケタル物ニ付倉荷
證劵ヲ發行スルコトヲ得
商業組合法第三條ノ六第二項第三項、
第三條ノ七、第三條ノ八第一項第二項
本文及第三條ノ九ノ規定ハ前項ノ倉荷
證劵ニ付之ヲ準用ス但シ同法第三條ノ
七、第三條ノ八第一項及第三條ノ九中
商業組合倉庫證劵トアルハ〓糧營〓倉
庫證劵トス
第二十二條中央〓糧營〓ハ拂込資本金
額ノ五倍ヲ限リ食糧營團債劵ヲ發行ス
ルコトヲ得
政府ハ〓糧營圍債劵ノ元利支拂ヲ保證
スルコトヲ得
第二十三條中央〓糧營〓ハ販賣ノ目的
ヲ以テ買入ルル者ニ主要食糧ヲ賣渡ス
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認
可ヲ受ケ其ノ主要食糧ノ販賣ニ關シ必
要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
政府ハ主要食糧ノ配給上特ニ必要アリ
ト認ムルトキハ前項ノ者ニ對シ同項ノ
指示ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十四條中央食糧營團ノ解散及〓算
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條地方〓糧營〓ハ地方長官
(樺太廳長官ヲ含ム以下同ジ)ノ定ムル
食糧配給計畫ニ基キ地方的ニ主要食糧
ヲ配給スルト共ニ地方長官ノ指定スル
食糧ヲ貯藏スル爲必要ナル事業ヲ行フ
コトヲ目的トス
地方〓糧營〓ノ名稱、資本金及主タル
專務所ノ所在地ハ政府之ヲ定ム
地方〓糧營〓ノ名稱ニハ其ノ主タル事
務所ノ所在スル道府縣ノ名(樺太ニ在
リテハ樺太)ヲ冠ス
政府ハ樺太ニ地方食糧營團ヲ設立セシ
ムル場合ニ於テハ八百萬圓ヲ限リ之ニ
出資スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル出資ハ樺太麻、特別會
計ノ歲出トシ之ニ因リ取得シタル出資
證劵ハ同會計ノ所屬物件トス
第十六條第三項ノ規定ハ第四項ノ規定
ニ依ル出資ノ出資金拂込ニ之ヲ準用ス
第二十六條中央〓糧營〓ハ政府ノ認可
ヲ受ケ地方食糧營團ニ出資スルコトヲ
得
第十六條第三項ノ規定ハ前項ノ規定ニ
依ル出資ノ出資金拂込ニ之ヲ準用ス
第二十七條地方食糧營圍ニ理事長一人、
理事三人以上、監事二人以上及評議員
若干人ヲ置キ地方長官之ヲ命ズ
第二十八條地方食糧營團ハ左ノ事業ヲ
行フモノトス
一主要食糧ノ買入及賣渡
二地方長官ノ指定スル食糧ノ貯藏
三地方長官ノ指定スル主要食糧ノ加
工及製造
四前各號ノ事業ニ附帶スル事業
五前各號ノ外地方長官ノ指定スル主
要食糧ノ保管其ノ他地方〓糧營團ノ
目的達成上必要ナル事業
地方食糧營團前項第四號又ハ第五號ノ
事業ヲ行ハントスルトキハ地方長官ノ
認可ヲ受クベシ
第二十九條第十五條第三項、第十七條、
第十九條第三項、第二十條、第二十一
修、第二千三條及第二十四條ノ規定ハ
地方食糧營團ニ付之ヲ準用ス
第三十條農地開發法第八條、第十條乃
至第十四條、第十七條、第十九條、第
二十條後段、第二十一條、第二十二條
第二項第三項、第二十五條乃至第二十
七條、第二十九條乃至第三十七條及第
三十九條乃至第四十一條ノ規定ハ食糧
營團ニ付之ヲ準用ス但シ同法第十二條
第一項、第十三條第二項、第二十一條
第二十七條、第三十五條、第三十七條第
二項、第三十九條第四十條第一項及第
四十一條中主務大臣トアルハ政府トシ同
法第十九條第二項中副理事長ハトアルハ
地方食糧營〓ニ付テハ理事ハ定款ノ定ム
ル所ニ依リトシ同法第四十條中農地開發
營團監理官トアルハ〓糧營團監理官トス
第三十一條第九條又ハ第十條ノ規定ニ
依ル命令ニ違反シタル者ハ十年以下ノ
懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三年以下ノ徵役又ハ一萬圓以下ノ罰
金ニ處ス
一第三條第一項又ハ第十一條第二項
ノ規定ニ違反シタル者
二第十一條第一項ノ規定ニ違反シ又
ハ同條第四項ノ規定ニ依ル禁止若ハ
制限ニ違反シタル者
前項第二號ノ場合ニ於テ輸出若ハ移出
又ハ輸入若ハ移入シタル主要食糧ニシ
テ犯人ノ所有シ又ハ所持スルモノハ之
ヲ沒收スルコトヲ得若シ其ノ全部又ハ
一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其
ノ價額ヲ追徵スルコトヲ得
第三十三條前二條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
ハ情狀ニ因リ徵役及罰金ヲ併科スルコ
トヲ得
第三十四條第二十三條第二項(第二十
九條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規
定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ三千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第三十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一不正ノ手段ニ依リ第八條ノ規定ニ
依ル檢査ヲ受ケ又ハ受ケントシタル
者
二第八條第二項ノ規定ニ依ル檢査ヲ
受ケザル者
三第十三條第二項ノ規定ニ依ル報告
ヲ怠リ又ハ〓僞ノ報〓ヲ爲シタル者
第三十六條第十三條第二項ノ規定ニ依
ル當該官吏又ハ古員ノ檢査ヲ拒ミ、妨
ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以下ノ罰
金ニ處ス
第三十七條法人ノ代表者又ハ法人若ハ
人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者其
ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第三十一
條第三十二條、第三十四條又ハ第三
十五條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行
爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對
シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第三十八條合絹學團ノ總裁、副總裁、
理事、長、理事、監事又ハ使用人其ノ職務
ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求シ若
ハ約束シタルトキハ二年以下ノ徵、役又
ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス因テ不正ノ
行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザル
トキハ五年以下ノ徵役又ハ五千圓以下
ノ罰金ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第三十九條前條第一項ニ揭グル者ニ對
シ賄賂ヲ交付シ又ハ之ヲ提供シ若ハ約
束シタル者ハ二年以下ノ徵役又ハ五百
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者白首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第四十條食糧營團本法若ハ本法ニ基キ
テ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分
ニ違反シタルトキハ總裁、理事長、總
裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁又
ハ理事長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル理
事ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副總裁又
ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副總裁
又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
第四十一條〓〓營〓ノ總裁、副總裁、
理事長又ハ業務ヲ分掌スル理車第三十
條ニ於テ準用スル農地開發法第二十一
條ノ規定ニ違反シ他ノ職務ニ從事シタ
ルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十二條第十四條第三項ノ規定ニ違
反シ食糧營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ
用ヒタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十三條本法ノ一部ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ樺太ニ適用セザルコトヲ
得
樺太ニ於テ本法ヲ滴用スルニ付必要ナ
ル事項ニ關シテハ勅令ヲ以テ時例ヲ設
クルコトヲ得
附則
第四十四條本法施行ノ期日ハ各規定ニ
付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十五條左ニ揭グル法律ハ之ヲ廢止
ス
一農產物檢査法
二米穀統制法
三米穀自治管理法
四米穀配給給制法
五籾共同貯藏助成法
六政府所有米穀特別處理法
七昭和九年法律第五十二號
八昭和十二年法律第九十號
前項ニ揭グル法律廢止前營該法律ノ罰
則ヲ適用スベカリシ行爲ニ付テハ仍從
前ノ例ニ依ル第一項ニ揭グル法律ノ廢
止ニ關シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之
可愛く
第四十六條政府ハ設立委員ヲ命ジ中央
食糧營團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セ
シム
第四十七條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
政府ハ前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ第
十九條第一項ニ揭グル事業ト同種ノ事
業ヲ行フ株式會社、商業組合、商業組
今聯合會、工業組合又ハ工業組今聯合
會ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノニ對シ
其ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ヲ受ケタル法人ハ中央食糧
營團成立ノ時解散スルモノトシ其ノ權
利義務ハ中央合糧營團之ヲ承繼ス此
ノ場合ニ於テハ他ノ法令中解散及〓算
ニ關スル規定ハ之ヲ其ノ法人ニ適用セ
ズ
第四十八條前條第一項ノ認可アリタル
トキハ設立委員ハ政府ノ引受ケタル出
資及勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可
ヲ受ケ同條第二項ノ命令ニ係ル法人ノ
株式又ハ出資ニ引當テタル出資ヲ控除
シタル殘餘ノ出資ニ付キ出資者ヲ募集
スベシ
政府ハ前項ノ認可ヲ爲サントスルトキ
ハ食糧配給事業評價委員會ノ議ヲ經ベ
シ
食糧配給事業評價委員會ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十九條設立委員ハ出資者ノ募集ヲ
終リタルトキハ出資申込書ヲ政府ニ提
出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
設立委員ハ前項ノ檢査ヲ受ケタル後遲
滯ナク出資第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベ
シ
出資第一囘ノ拂込完了シタルトキハ出
資者ノ總會ヲ招集スベシ
前項ノ總會終結シタルトキハ設立委員
ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ中央〓糧營團總
裁ニ引渡スベシ
總裁前項ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキ
ハ總裁、副總裁、理事及監事ノ全員ハ
主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登
記ヲ爲スベシ
中央食糧營團ハ設立ノ登記ヲ爲スニ因
リテ成立ス
第五十條本法ニ規定スルモノノ外中央
食糧營團ノ設立及第四十七條第二項ノ
命令ニ係ル法人ノ解散ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十一條前五條ノ規定ハ地方食糧營
團ニ付之ヲ準用ス但シ第四十七條第二
項中第十九條第一項トアルハ第二十八
條第一項トス
第五十二條第四十七條第三項ノ規定ニ
依リ解散シタル商業組合又ハ商業組合
聯合會ノ發行シタル倉荷證劵アルトキ
ハ之ヲ當該商業組合又ハ商業組合聯合
會ノ權利義務ヲ承繼シタル食糧營團ノ
發行シタル倉荷證劵ト看做ス
第五十三條登錄稅法中左ノ通改正ス
第五條ノ二中央合糧營團カ合糧營團
債劵ニ付登記ヲ受クルトキハ左ノ區
別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
合糧營團債劵又ハ其ノ第二囘以
後ノ拂込
每囘拂込金額千分ノ二
二登記事項ノ變更、消滅又ハ廢止
每一件金十圓
從タル事務所ノ所在地ニ於テ前項各
號ノ登記ヲ受クルトキハ每一件金二
圓ノ登錄稅ヲ納ムヘシ
第十九條第七號中「農地開發營團、」ノ
下ニ「〓糧營團、」ヲ、「農地開發法、」ノ
下ニ「含糧管理法、」ヲ加フ
第五十四條印紙稅法第五條中第五號ノ
二ヲ第五號ノ三、第五號ノ三ヲ第五號
ノ四トシ第五號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
五ノ二含糧營〓ノ發スル出資證劵及
食糧營團債劵
第五十五條產業組合中央金庫法第十五
條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
五〓糧營〓其ノ他農林水產業ニ關
スル直業ヲ營ム法人ニ對シ主務大
臣ノ認可ヲ受ケ短期貸付ヲ爲スコト
第五十六條商工組合中央金庫法第一一十
九條第一項第三號中「又ハ自動車運送
車業組合聯合會」ヲ「、自動車運送事業
組合聯合會又ハ食糧營團」ニ改ム
第五十七條第十四條第三項ノ規定施行
ノ際現ニ食糧營團又ハ之ニ類似スル名
稱ヲ使用スル者ハ同項ノ規定施行後六
月以內ニ其ノ名稱ヲ變更スルコトヲ要
ス
第四十二條ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ
同項ノ者ニ適用セズ
〔國務大臣井野碩哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=2
-
003・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今議題トナリ
マシタ食糧管理法案提出ノ理由ヲ說明致シ
マス
本法律案提出ノ理由ハ三ツノ點ニ歸スル
ノデアリマス、其ノ第一ハ主要食糧ノ國家
管理體制ノ强化ヲ圖ル必要ガアルコトデア
リマス、現在政府ハ米麥ノ管理制度ヲ實施
シテ居ルノデアリマスルガ、大東亞戰爭ノ
進展ニ伴ヒマシテ、長期戰態勢ニ卽應シ、
銃後國民ノ生活安定ノ上カラ見マシテモ、
又農山漁村ノ健全ナル發達ノ上カラ見マシ
テモ、此ノ管理制度ヲ一層强化シ、農民ガ
安ンジテ增產ニ邁進シ得ルヤウ、生產セラ
レタル米麥ハ必ズ政府ガ之ヲ買上グルト云
フ體制ヲ明カニスルコトガ緊要デアルト信
ズルノデアリマス
第二ハ主要〓糧ノ配給機構ヲ〓、備セント
スルコトデアリマス、卽チ現下ノ食糧事情
ニ鑑ミマシテ、一面ニ於テハ從來殆ド米ノ
ミニ依存シテ居リマシタ配給ヨリ、主要食糧
ヲ打ツテ一丸トシタ綜合的配給ニ移行スル
必要ガアリマスト共ニ、配給機構其ノモノ
モ亦之ニ卽應シタル公共的ナル機構ニ制度
化スル必要ガアルノデアリマス、是ガ爲メ
中央及ビ地方ニ食糧營團ヲ創設セシメマシ
テ、主要食糧ノ綜合配給ニ關スル専業ヲ擔
當セシメントスルモノデアリマス
第三ハ非常時用〓糧ノ貯藏ノ問題デアリマ
ス、從來政府ハ空襲等ノ緊急車態ニ備フル
爲ニ非常時用食糧ノ分散貯藏ヲ實施セシメ
ツツアルノデアリマスルガ、貯藏機關ハソ
レゾレノ物資每ニ區々トナツテ居リ、統
ヲ缺イテ居リマスノデ、之ヲ只今申上ゲマ
シタ食糧營團ヲシテ實施セシメ、何時如何
ナル緊急ノ場合ニ於キマシテモ、萬遺憾ナ
キヲ期セントスルモノデアリマス、其ノ他米
麥ノ管理制度ノ强化ニ伴ヒマシテ、其ノ檢
査制度等モ政府ノ買上檢査ノ如キ意味ヲ多
分ニ持ツヤウニナリマシタノデ、此ノ一旨旨ニ
卽應スル如キ制度ニ改メ、且ツ其ノ豫算ノ御
協贊ヲモ御願ヒ致シテ居ルノデアリマス
以上ノ理由ニ依リマシテ本法律案ヲ塭出
致シマシタ次第デアリマス、何卒御案議ノ
上速カニ協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=3
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004・田子一民
○議長(田子一民君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-西川貞一君
〔西川貞一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=4
-
005・西川貞一
○西川貞一君 本法ハ戰時ニ於テ最モ緊要
ナル國民ノ倉暢確保ニ關シマスル重大法案
デアリマスルガ故ニ、私ハ二一、三ノ點ニ付
テ簡單ニ政府ノ所見ヲ質シタイト思フノデ
ゴザイマス
第一ハ大東亞共榮圈全體ノ食糧ノ需給計
畫ニ付テデゴザイマス、惟フニ大東亞ハ世
界ニ於ケル〓糧ノ寶庫トデモ申スベキ地帶
デゴザイマシテ、是ガ開發、培養、管理其
ノ宜シキヲ得マスナラバ、假令戰爭ガ如何
ニ長ク續キマシテモ、食糧ニ不安ヲ來スガ
如キコトハ絕對ニナイノデアリマス、サリ
ナガラソレハ開發、培養、管理其ノ宜シキ
ヲ得タル結果トシテノ事實デゴザイマシテ、
現在ノ狀況ニ於キマシテハ、各地帶間ニ甚
ダシキ過不足ノ狀態ヲ存シテ居ルノデゴザ
イマス、而モ作戰中ニ於キマシテハ、運輸
其ノ他ノ關係上、此ノ過不足狀態ノ調整ヲ
圖リマスコトハ、種々ノ點ニ於テ制約ヲ受
ケマスカラ、南方ノ資源ヲ押ヘタリト雖モ、
遽カニ吾々ハ食糧問題ノ前途ニ付テ樂觀ヲ
スルコトハ早計デアルト思フノデゴザイマ
ス、然ルニ最近動モスレバ、消費者ニ於キ
マシテハ、旣ニ南方ノ資源ガ押へラレタノ
デアルカラ、安逸飽食ニ耽ルコトガ許サレ
ルカノ如ク期待スルモノ絕無トハ言ヘマセ
又、又生產者方面ニ於キマシテハ、トモス
レバ增產ノ熱意ヲ冷却シ、或ハ將來南方ノ
農業ガ開發サルルニ於テハ、內地農業ハ衰
亡スルノデハナイカト非觀的觀測ヲ抱ク者
スラアリマスコトハ、甚ダシキ錯覺デアル
ト思フノデゴザイマス、私ハ此ノ機會ニ農
林常局ガ、大東亞共榮圈內ニ於ケル食糧ノ
需給關係ヲ明カニサレマシテ、國內農村ノ
進ムベキ方針ヲ明示サレンコトヲ希望スル
者デアリマス(拍手)
特ニ此ノ際御伺ヒ致シタイコトハ、南方
ノ農業開發ノ爲ニ、開拓移民ヲ內地カラ送
出スル考ヘガアルカドウカ、南方ノ農業開發
ノ目標ヲ何處ニ置クカ、此ノ場合內地農村
ハ、特ニ國內農業トシテハ何ヲ目標トシテ
進ムカト云フコトデゴザイマス、私ハ國内
ノ農業ハ飽クマデ主要〓糧ニ於テハ、自給
自足ノ目標ヲ崩スコトハナラヌト考ヘルノ
デゴザイマス、卽チ煙草トカ砂糖トカ云フ
如キ嗜好品ハ、各〓滴地適作主義ニ依リマシ
テ、之ヲ國外カラ仰グモ亦宣シイノデゴザ
イマスケレドモ、主要〓糧ニ付テハ、國內
ニ於テ絕對ニ之ヲ確保スルト云フコトハ
食糧政策ノ根本デナクテハナラヌト考ヘマ
ス(拍手)特ニ我ガ國ノ〓糧生產ハ所謂家族
產業デゴザイマシテ、祖先ノ靈ヲ祀リ、家
產ヲ基礎トシ、家業トシテ營マレルモノデ
ゴザイマシテ、日本精神ノ淵源ガ此處ニア
ルノデゴザイマス、卽チ皇國農民ハ單ニ國
民ノ身體ヲ養フ食糧ヲ生產致シマスノミデ
ハナイ、同時ニ大和魂ノ糧ヲ其ノ生活ニ於テ
生產シツツアルノデアル(拍手)此ノ豊村ヲ
堅實ニ永久ニ確保スル所ガナカツタナラ
バ、將來ノ大計ヲ誤ルコトニナルト思フノ
デゴザイマス、惟フニ今ヤ崩壞ノ一路ヲ辿
リツツアリマス所ノ彼ノ英帝國ガ、一島帝國
ヨリ世界ニ跨ル海洋帝國トナリ、產業、革命ノ
結果國内ノ農村ヲ破滅ニ導キマシタル所
ニ、旣ニ今日ノ崩壞ノ端〓ガ孕マレテ居ツ
タト思フノデゴザイマス(拍手)卽チ其ノ國
民ノ思想ハ自然ニ功利主義トナリ、自由主
義トナリ、個人主義トナリ、今日ノ英國ノ
末路ハ其ノ農村破滅ノ過程ニ於テ旣ニ孕マ
レテ居タト思フノデゴザイマスルガ、今ヤ
我ガ國ガ大東亞戰爭ノ輝カシキ戰果ニ依リ
マシテ世界ニ雄飛セントスル際ニ當リマシ
テ、吾々ガ最モ心スベキハ、此ノ國力ノ根
抵ヲ培フ所ノ國內農村ヲ、何處マデモ强化
スルト云フ一點ニアルト考ヘルノデゴザイ
マス(拍手)此一點ニ付キマシテ、農林大
臣ハ如何ナル用意ヲ以テ臨マレルカ、願ハ
クハ此ノ際ニ明示サレンコトヲ希望スルノ
デゴザイマス
次ハ〓糧營〓ノ問題デゴザイマス、此ノ
食糧營國ハ〓糧配給機構ノ整備ヲ致スモノ
デゴザイマス、配給機構ノ〓備ハ生產體制
ノ整備ト竝行スルモノデアリ、生產體制ト
密接不可分ノ關係ヲ持ツテ居ルト思フノデ
ゴザイマス、然ルニ此ノ議會ニ於テ食糧管
理法案ハ提出サレマシタガ、是ト不可分ノ
關係ニアル生產體制ノ敦備ニ付テハ、農業
團體統合問題ノ提出ヲ見合ハサレマシタノ
ハ、如何ナル理由ニ依ルモノデアルカ、此
場合御聽キシタイノデアリマス(拍手)農業團
體ノ敕備ニ付テハ、巷問種々ノ議論ガアリ
マシタガ、大體、農村關係方面ノ意見ハ歸一
スベキ所ニ歸一シテ居ツタヤウニ考ヘルノ
デゴザイマス、然ルニ最近町村長會方面ニ
於キマシテハ、尙ホ色々ノ意見ガ行ハレマ
シテ、當局ニ對シマシテモ種々ノ陳情運動
等ガ行ハレテ居ルヤウニ思フノデゴザイマ
スガ、惟フニ此ノ方面ニ對シマシテ十分ナ
ル諒解ヲ得、協力ヲ求メラレル所ノ御努力
ガ尙ホ豊林大臣ニ於テ足ラナカツタノデハ
ナイカト云フコトヲ感ズルノデアリマス、
卽チ農業團體ノ統合ハ、何處マデモ全村一
家ノ氣持ニナリマシテ、町村役場モ、農會、
產業組合、其ノ他ノ諸團體モ全ク一家ノ氣
分トナリ、而モ生產者ノ自主的見地ニ於テ整
備サルルモノデナクテハナラヌト考ヘマス
ガ、此ノ問題ノ取扱ハ將來ドウ云フ風ニサ
ルル積リデアルカ、又其ノ根本ノ方針ハ何
處ニ置イテ居ラルルノデアルカヲ此ノ場合
承リタイノデゴザイマス
次ニ私ハ食糧營團ノ性格ニ付テ御尋ネ致
シタイ、此ノ含糧營團ハ食糧配給ノ責任團
體ナリヤ否ヤデゴザイマス、〓糧營〓ガ食
糧配給ノ責任團體デアリマスナレバ、ソレ
ハ何處マデモ自主的ナ立場ニ於テ計畫ヲ立
テ、之ヲ執行スルモノデナクテハナラヌノ
デアリマス、然ルニ法律ニ依リマスレバ、
計畫ヲ立テタリ、諸般ノ指圖ハ政府ガ之ヲ
スルノデゴザイマシテ、食糧營團ハ一ツノ
傀儡的存在ニ過ギナイノデアル、從來頻々
トシテ作ラレテ居リマス國策會社ガ總テ斯
カル性格ヲ持ツテ居ルノデゴザイマスガ、
斯ウ云フ性格ヲ持ツテ居ルト云フコトガ、
國策會社失敗ノ根本原因デアルト思フノデ
ゴザイマス(拍手)從來ノ國策會社ハ弊害百
出見ルニ堪ヘザルモノガゴザイマス(「ヒヤ
ヒヤ」)其ノ弊害ガ如何ニ大デアルカト云フ
コトハ農林大臣トシテモ十分御認識ノコ
トト思ヒマス、若シ御認識デナケレバ吾々
厖大ナル資料ヲ持ツテ居リマスノデ、一々
御技露ニ及ンデモ宜シイノデゴザイマス(拍
手)多分相當ニ御認識ハアルト思ヒマスカ
ラ、此ノ席デハ是レ以上申上ゲマセヌ、此
ノ弊害ノ由ツテ生ズル所ハ、是等ノ營團ナ
リ國策會社ナリガ白主的ナ性格ヲ持ツテ居
ナイ、如何ニ國策會社、營團ニ民間ノ練達
堪能ノ士ヲ起用致シマシテ其ノ局ニ當リ
マシテモ、是等ノ練達堪能ノ士ニ手腕ヲ揮
ハシメナイ、其ノ背後ニアル所ノ官廳ノ役
人而モ餘リ練達堪能デナイ諸君ガ一々指
圖ヲナサイマスノデ成績ガ擧ラナイノデア
ル(拍手)恰モ操リ人形芝居ヲ見ルガ如ク
ニ、眉毛ヲピク〓〓ト動カセ、口ヲ一ツ動
カセルノモ、後ロカラ絲ヲ引カナケレバ動
カナイヤウナ組織ニナツテ居ルト云フコト
ガ、成績ノ擧ラザル根本原因デアルト思フ
ノデアリマス(拍手)此ノ場合百尺竿頭一步
ヲ進メラレマシテ、責任團體ヲ作ルベキデハ
ナイカ、卽チ單ニ配給部門ノミデハナク、
生產、加工總テノ部門、單ニ主要食糧ノミデ
ハナイ水產物、畜產物ノ榮養食糧品等モ、
全部集中統一致シマシタ責任團體ヲ作リ、
之ヲ民間ノ練達堪能ノ士ニ一任スルコトガ
理想的デゴザイマスガ、今日ノ場合其ノ勇
氣ハ政府トシテハオアリデゴザイマスマイ
カラ、農林大臣自ラガ陣頭ニ立ツテ、其ノ
下ニ民間ノ練達有能ノ士ヲ起用シテ參謀ト
シテ、全責任ヲ負ウテ是ガ其ノ任務ヲ遂行
スルノ體制ヲ敕備サレナカツタナラバ、到
底其ノ目的ヲ達スルコトガ円難デハナイカ
ト思フノデゴザイマス、此ノ點ニ付テハ如
何ニ御考ヘニナツテ居ルデアリマセウカ、
若シモ食糧營團ガ政府ノ伸偶的ノ存在デア
ツテ、白土的ノモノデナイトスルナラバ、
中央營團ハ其ノ存在ノ音義ヲ失フト思フノ
デス、單ニ政府ト地方營團トノ間ヲ取次ヲ
スルダケデハ、ソレハ存在ノ意義ハゴザイ
マセヌ、特ニ主要食糧中ノ大部分ヲ占メマ
ス內地米ニ付テハ、中央營團ノ手ヲ潜ラナ
イ、麥ト外地米、外米トノミガ中央營團ノ
手ヲ潛ルト云フノデゴザイマシタナラバ、
此ノ中央營團ガ一億万圓ノ資金ヲ持チ、五
億万圓ノ債劵發行ノ能力ヲ賦與サレマシテ
存立スルダケノ意義ハナイト思フノデアリ
マス、此ノ點ニ付テハ尙ホ委員會ニ於テ根
本的ニ檢討致シタイト考ヘテ居リマス
次ニ御伺ヒ致シタイコトハ、今日ノ食糧
配給ノ上ニ於キマシテ、最モヤカマシク論
ゼラレテ居リマスノハ、各府縣ノ「ブロッ
ク」主義ノ弊害デゴザイマス、私ハ先般四國
ニ參リマシテ、愛媛縣ニ行ツテ見ルト、一人
當リ一合八勺ノ配給シカシテナイ、川一ツ
渡リマシテ香川縣ニ行キマスト、三合數勺ノ
配給ヲシテ居ル、熊本縣ニ行ツテ見マスト、十
二月マデハ殆ド自由ニ購買ヲサセテ居ルノ
デゴザイマス、而モ能本縣ノ隣ノ長崎縣ニ於
キマシテハ非常ナル窮屈ヲ感ジテ居ル、斯
クノ如キ府縣「ブロック」主義ノ弊害ヲ打開
スルコトコソ、今日ノ食糧配給ニ課セラレ
タル根本ノ問題デナクテハナラヌト思フノ
デアリマス(拍手)然ルニ此ノ法律ニ於テハ
此ノ府縣「ブロック」主義ヲ打開スルコトハ
出來ナイデハナイカ、眞ニ「ブロック」主義
ヲ打開シヨウト思フナラバ、現在農林省ノ米
穀事務所ガ置イテアリマスガ、此ノ米穀事
務所ヲ中心位ニ致シマシテ、地方ニ〓糧管
區ヲ設ケテ、サウシテ此ノ食糧管區ガ農林
省直轄指導ノ下ニ於テ、地方ニ適應シタル
配給計畫ヲ立テルノデナカツタナラバ、此
ノ地方「ブロック」主義ヲ打開スルコトハ出
來ナイ、地方長官ニ之ヲ一任シテ置キマス
レバ、ドウシテモ自分ノ縣民ガ可愛イノデ
ゴザイマスカラ思フヤウニ行カナイノデア
リマスガ、此點ハドウ云フ風ニスル御考ヘ
デゴザイマスカ
更ニ重大ナ點デアリマスカラ一點伺ヒマ
スガ、本法第三條ニ依ル買入價格、第四條
ニ依ル所ノ賣渡價格ノ決定基準、決定ノ方
式ハ、從來ノ米穀統制法ニ於ケル米穀賣買
ノ方式ヲ、其ノ儘踏襲サレルノデゴザイマ
スカ、又變ルノデアレバ、ドウ云フ風ニ變
ルノデゴザイマスカ、此ノ點ダケハ此ノ本
會議ニ於テ御明答ヲ與ヘラレタイ、尙ホ〓
糧營團ノ設立ニ伴ヒマシテ現在ノ米穀配給
業者ハ、ドウ云フ風ニ始末サレルノデアル
カ、現在ノ米穀配給業者ニ對スル始末、其
ノ大體ノ方針ニ付テ此ノ場合明カニサレターテ餘リアリトハ申サレナイノデアリマシテ、
イノデゴザイマス
尙ホ私ハ數項目ニ亙リマシテ御尋ネシタ
イ點ガゴザイマスガ、各派交涉會ノ約束ニ
依リマスル二十分ガ丁度參リマシタノデ、
アトハ委員會ニ讓ツテ以上ニ對シテ御答ヘ
ヲ得タイト思ヒマス(拍手)
〔國務大臣井野碩哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=5
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006・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 只今西川議員カ
ラノ御質問ノ第一點、卽チ大東亞戰爭〓戰
ノ赫々タル戰果ニ依リマシテ、東亞共榮圈
ノ確立ノ見透シガハツキリ致シテ參リマシ
タノデ、是等地域ニ包藏セラルル豊富ナル
食糧資源ヲ基礎トシテ、食糧問題ニ關シ消
費者方面ニ於テハ樂觀論ガ行ハレ、又農村
方面ニ於テハ增產政策ニ危惧ノ念ヲ抱ク向
キガアルト云フ點ニ付キマシテハ全ク御同
感デアリマシテ、此ノ點ハ極メテ大事ナ問
題デアリマスノデ、此ノ際政府ノ所見ヲ明
瞭ニ申上ゲテ置クコトガ必要デアルト存ズ
ルノデアリマス
卽チ從來カラ主要〓、糧ニ付キマシテハ、
我ガ內外地ヲ一丸ト致シマシテ、自給自足
ノ方針ヲ以テ施策ヲ講ジテ參ツタノデアリ
マスガ、太東亞戰爭ハ長期戰ヲ覺悟シナケ
レバナラズ、眞ノ國家總力戰ハ是カラ始マ
ルト申シテモ過言デナイノデアリマスルカ
ラ、主要食糧ニ付キマシテハ、遠ク海ヲ隔
ツル諸地域ニ依存スルコトハ絕對ニ之ヲ避
ケナケレバナラヌコトハ勿論デアリマス、
假リニ大東亞共、榮圈內ノ〓糧。資源ガ豐、富デア
リマシテモ、目下ノ輸送狀態カラ見マシテ、
必ズシモ潤澤ナル供給ハ困難ナ事情ニアリ
マスシ、又外米等ガ相當量確保サレマシテ
モ、大東亞共榮圈內ノ人々ヲ養フノニ決シ
私ハ寧ロ此ノ際ハ各地域ヲ通ジ、長期戰ニ
對應スル食糧ノ貯藏ニ努力シナケレバナラ
ヌ狀態ニアリマスノデ、消費者諸君モ是ガ
目的達成ノ爲ニハ當分種々ノ不自由ヲ忍
ンデ戴カチケレバナラヌト存ズルノデアリ
やく、、又農村ハ單ニ〓糧ノ生產場所デアル
ト云フ使命ヲ持ツバカリデナク、日本精神
ニ燃ユル健全ナル人的資源ノ培養地デアリ、
今囘赫々タル戰果ノ裏ニハ、平素農民ガ土
ニ育ミ、風雨ト鬪ツテ參リマシタ辛苦ノ結
果ガ、戰場勇士ノ義勇奉公ノ精神トナツテ
居リマスコトハ、明カナ事實デアル點ニ鑑
ミマシテ
〔「簡單々々」ト呼ブ者アリ〕
所謂兵農兩全ノ見地カラモ、我ガ國農村ノ
堅實ナル發達ハ、帝國ノ隆昌ヲ圖リマス爲
ニハ不可缺ノ要請デアリ、總理大臣モ岡田
議員ノ質問ニ對シ、此ノ點ヲカ說サレテ
居ルノデアリマシテ、農民諸君ハ此ノ點
カラ能ク理解シ、安ンジテ其ノ職域奉公タ
ル增產ニ邁進シテ戴キタイト思ヲノデアリ
マス、此ノ點ハ重要デアリマスフデ、少シ
ク長クナリマシタガ、ハツキリ申上ゲテ置
キタイト思フノデアリマス、其ノ他ノ問題
ニ付キマシテハ簡單ニ御答辯ヲ申上ゲマス
食糧營團ニ關シマスル問題トシテ、配給
機構ノ整備ト生產體制ノ敕備トハ兩立スル
必要ガアルガ、農業團體締制法ヲナゼ此ノ
議會ニ提出シナカツタカト云フ御質問デア
リマス、農業團體給制ニ關シマシテハ、農
林省トシマシテモ、其ノ必要ヲ認メテ、色
色昨年來苦心ヲシテ參ツタノデアリマスガ、
最近ニ於テ漸ク農村方面ノ色々ノ意嚮ヲ纏
メテ參ツタノデアリマス、此ノ議會ニ對シ
マシテ、政府トシマシテハ、〓戰目的ヲ
遂行スル爲ニ、密接且ツ迅速ヲ要スルモノ
ダケヲ提出スルト云フ方針ニ決マリマシタ
ノデ、農業團體法ノ諸種ノ準備上ノ都合モ
アリ、又是ガ實現モサウ速急ニ出來ルモノ
デモアリマセズ、色々政府トシテモ準備シ
ナケレバナラヌ點ニ鑑ミマシテ、今囘食糧
管理法案ダケヲ提出致シタノデアリマス、
政府トシテハ出來ルダケ此ノ團體統制ニ付
キマシテモ、今後努力ハ致ス積リデアリマ
ヌ
次ニ食糧營〓ガ責任團體ナリヤ否ヤト云
フ御質問デアリマスガ、是ハ勿論配給機構
ノ土ニ於キマシテ、配給ノ責任ヲ持タシテ
居ルノデアリマス、唯配給機構ハ從來ノ自
由經濟時代カラ統制經濟、計書經濟へ急「テ
ングパンニ轉換致シマシタノデ、配給ニ付キ
マシテノ準備ガ全ク完全デナイト云フ狀態
カラ見マシテ、現在ノ狀態ニ於キマシテハ
政府ト團體トガ一緒ニナツテ、此ノ配給ノ
整備ニ當ルト云フコトガ適當デアルト考へ
マシテ、從來カラモ種々ノ國策會社ヲ作ツ
テ參ツタノデアリマス、隨テ責任團體デア
ルコトハ明カデアリマスノデ、政府トシテ
モ其ノ機構ノ完成ニ從ヒマシテ、漸次其ノ
責任ヲ移シテ行ク積リデアリマス、農林大
臣ガ自ラ其ノ團體ノ責任者トナルガ適當デ
ナイカト云フ御意見デアリマスガ、是ハヤ
ハリ監督者ト被監督者トヲ明カニシテ置ク
方ガ適當デアルト考へルノデアリマス、隨
テ中央食糧營團ノ存立ノ必要モアリマスル
シ、又其ノ資金モ多キニ過ギザルヤト云フ
御尋ネデアリマスガ、三億圓餘ノ種々ノ食
糧ヲ進備致シマシテ、統合配給ヲ致シマス
爲ニ其ノ資金モ要リマスシゝ又空襲下ニ於
ケル所ノ食糧ヲ、三億圓貯藏シナケレバナ
リマセヌノデ、隨テ此ノ程度ノ資金ハ必要
ト致スノデアリマス
又第三ニ買入價格及ビ賣渡價格ヲ、ドウ
云フ基準デ決メルカト云フ御尋ネデアリマ
スガ、是ハ從來ノ方針ト餘リ違ツタ行キ方
ヲ致サナイノデアリマス、卽チ買入ニ付キ
マシテハ生產費ト云フモノ、其ノ他經濟事
情ヲ勘案致シマシテ決メマスルシ、賣渡價
格ニ付キマシテハ家計米價、其ノ他ノ經濟
事情ヲ考慮ニ入レマシテ決定致スノデアリ
マシテ、從來ト餘リ大シタ變化ハナイノデ
アリマス、此ノ點ハ委員會ニ於キマシテ詳
シク御說明申上ゲタイト存ジマス、尙ホ〓
糧營團ガ出來マシタ後ニ、米ノ配給業者ノ
整備ニ付キマシテドウスルカト云フ御尋ネ
デアリマスルガ、米屋ノ轉庵業問題ニ付キマシ
テハ、政府トシテモ愼重ニ考慮ヲ加ヘテ參ル
積リデアリマシテ、或ハ更生金庫ノ利用デア
ルトカ、又ハ政府ガ先般議會ノ御協贊ヲ經テ
取リマシタ中小商工業ノ轉廢業ノ爲ノ資金
ノ助成デアリマストカ、或ハ自治的ナル制
度ニ依ル所ノ資金ノ借入デアルトカ云フ點
ニ付キマシテ、十分考慮ヲ拂ヒマシテ是
等業者ノ生活ノ上ニ不安ノナキヤウ善〓致
ス積リデアリマス、尙ホ地方「ブロック」ノ
問題ガゴザイマシタガ、此ノ點ハ最近ニ於
キマシテハ米麥等ノ主要食糧ニ付キマシテハ
漸次其ノ地方「ブロック」ハナクナツテ來テ
居ルノデアリマス、唯今御尋ネノ、例ヘバ
縣ニ依ツテ消費歩合ガ違フ、詰リ配給米ノ
數量ガ違フト云フ御質問デアリマスガ、是
ハ縣ニ依リマシテ、或ハ米ノミヲ食糧トス
ル所モアリマス、又麥ヲ混ゼテ食ベルコト
ガ習慣トナツテ居ル所モアリマス、又芋ガ
非常ニ多ク穫レルト云フ所モアルノデアリ
マス、隨テソレ等ノ事情ヲ能ク〓究シマシ
テ、各府縣ノ営局者ト其ノ地方ノ車情ノ過
去ノ實績ナリ、或ハ現在ノ實情ヲ能ク相談
致シマシテ決メテ居ルノデアリマス、デア
リマスカラ此ノ點ハ配給機構ノ整備ト相俟
チマシテ、漸次改善サレテ行クコトト存ズ
ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=6
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007・田子一民
○議長(田子一民君) 平野力三君
〔平野力三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=7
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008・平野力三
○平野力三君 私ハ只今議題トナリマシタ
食糧管理法案ニ關シマシテ是ヨリ質疑ヲ致
シタイト思ヒマス、先ヅ本案ノ各論ニ付テ
御尋ネヲ致シマス前ニ、此ノ割期的ナル重
大法案ヲ提出セラレマシタ井野農林大臣ニ
對シ、我ガ國農業政策ノ根本ニ亙ル一一、三
ノ重要問題ニ對シテ御尋ネヲ致シタイト思
フノデアリマス
先ヅ第一點ノ御尋ネハ、本案ノ〓糧增產
政策ニ關スル關係ニ付テデアリマス、卽チ
農相ハ本案ヲ提出セラルルニ當リマシテ、
此ノ法案ガ實施セラレタナラバ、現下我ガ
日本ノ〓糧增產。政策ニ對シテ、如何ナル影
響ヲ及ボスヤト云フコトニ付テ、十分ナル
御〓究ヲ遂ゲラレタカドウカト云フ點ニ付
テデアリマス、私ノ〓究ニ依リマスルト、
本案ハ我ガ國ノ米穀政策ノ歷史ニ顧ミマシ
テ、米穀締制法制定以來、遡リマスナラバ
二十右餘年ニ亙ツテ執リ來リマシタル所ノ
高米價、政策ニ對シテ、最後ノ止メヲ打チマ
シタ法案デアルト考へルノデアリマス、敢
テ私ハ本法案ハ低米價政策ナリト斷ズルノ
デハナイノデアリマスルケレドモ、米價政
策ノ上ニ於キマシテハ、米價ガ凡ユル物價
ヲ上〓ルノデハナクシテ、凡ユル物價ニ下
廻ルト云フ所ニ、本案ノ政策ガアルト云フ
コトヲ考ヘザルヲ得ナイノデアリマス、此
ノ立場カラ現下ノ我ガ國ノ農村ノ實情ヲ見
マスルト、勞力ハ必ズシモ豐富デハアリマ
セヌ、肥料亦洵ニ窮屈ナル關係ノ上ニ立チ
マシテ、生產ニ從事スル農民ノ心理ニ對シ
テ、增產ノ意慾ヲ〓揚致シマスル問題ハ、
何ト申シマシテモ米價政策ヲ無視スル譯ニ
ハ參ラヌノデアリマス、固ヨリ全國ノ農民
諸君ノ間ニ於キマシテハ、時局ヲ能ク認識
シ、又職域奉公ノ信念カラ、其ノ增產ニ對
シテ淚グマシキ努力ヲ拂ツテ居リマスコト
ハ、吾々ノ能ク熟知スル所デアリマスガ、
是等ノ惡條件ヲ克服致シマシテ、而モ其ノ
上ニ米穀增產ノ線ニ向ツテ邁進スルト云フ
點ニ對シマシテハ、此ノ米價政策ノ立場ニ
立ツテ、農林大臣ガ如何ナル見解ヲ有セラ
ルルカト云フコトニ付テ特ニ伺ツテ置キタ
イノデアリマス、私ガ是ニ於テ農林大臣ニ
ハツキリト御伺ヒヲ致シタイト思ヒマスコ
トハ、農林大臣ハ此ノ情勢ヲ認識セラレマ
シテ、此ノ法案ヲ提出サルルニ當ツテ、此
ノ惡條件ヲ克服シテ生產ニ從フ農民ニ對シ
テ、米價政策ノ上ニ於テ低米價政策ヲ執ラ
ナケレバナラナイ時局ニ鑑ミマスルナラバ、
何ガ故ニ〓糧增產ノ根柢デアリマスル所ノ
肥料ニ對シテ、全肥料ノ國家管理ノ斷行ヲ
併セテ主張サレナイカト問ヒタイノデアリ
マス(拍手)若シ夫レ農民ノ生產致シマシタ
食糧ニ對シテハ之ヲ强制的ニ供出セシメ、
農民ガ缺クベカラザル生產ノ原料デアリマ
スル所ノ肥料ニ對シテハ今尙ホ-統制肥
料ニ對シテハ相當ノ締制ガアリマスルガ、
締制外ノ肥料、有機質、無機質、或ハ金肥、堆
肥、或ハ單肥、混合肥料等ノ錯雜セル此ノ肥
料界ノ現狀ト云フモノヲ眺メテ見マスルト、
米ニ對シマスル所ノ締制强化ト、肥料ニ對
スル所ノ統制强化ト云フモノガ、甚ダシク
均衡ヲ缺キヤシナイカト云フコトヲ考ヘマ
スル時ニ、農林大臣ハ此ノ法案ヲ提出セラ
ルルニ當ツテ、何ガ故ニ肥料ノ全面的國家
管理ト云フ問題ニ付テ、十分ナル御考ヘガ
ナカツタカト云フコトヲ、私ハ農林大臣ニ問
ハザルヲ得ナイノデアリマス(拍手)同時ニ
ハツキリト農相ニ問ヒマスルノハ、今議會
ニ於キマシテ、今尙ホ會期ハ相當ニアルノ
デアリマスルカラ、此ノ肥料政策ニ對シテ何
カ根本的ナル立法ヲセラルルノ意思ガアル
カナイカ、若シ單獨ニ肥料ニ關シマスル所
ノ法案ヲ立案セラレナイト致シマスルナラ
バ、現在ノ肥料政策ニ付テ-農民ハ米ハ
供出致シマスルガ、一番大切ナ肥料ハ國家
ノ力ニ於テ完全ニ必要量ノ補給ガ出來ルト
云フ安心ヲ與ヘマスルコトニ對シテ、如何
ナル具體的ノ政策ヲ以テ臨マルルカト云フ
コトニ付テ、ハツキリト御答辯ヲ願ヒタイ
ト思フノデアリマス
第二點ノ御尋ネト致シマシテ御伺ヒ致シマ
スルコトハ、本案ガ施行セラレマシテ、法
案ノ第三條ガ運營セラルルト云フコトニナ
リマスルト、我ガ國ノ農村ニハ重大ナル變
化ヲ招來スルト云フコトニ付テ、農林大臣
ハ何ト見テ居ラルルカ、此ノ問題ヲ要約致
シマスルナラバ、現在ノ我ガ日本ノ農村ノ
實情ハ食糧ノ生產ノ根本デアリマスル所ノ
農地ノ問題ニ對シテ、根本的ナル對策ヲ立
ツルノ時期ニ到達シタリト斷ゼザルヲ得ナ
イノデアリマス、何トナレバ本案制定以前
ニ於キマシテモ既ニサウデアリマスルガ、
〓糧管理局ガ出來マシテ、米穀ノ管理ヲ致
シマスル途上ニ於テ、農村ニ於キマスル不
在地主ト稱シマスル者ハ、最早小作料ヲ米
デ取ル所ノ權利ハナイノデアリマス、又
般地主階級ニ於キマシテモ、取リマシタ小
作料ハ自己ノ飯米ヲ除キマシテ仝部供出デ
アリマス、此ノ食糧政策ガ現在農村ニ施行
サレテ參リマスルヤ、農村ニ於キマスル土
地ノ所有者ノ間ニ於キマシテハ、土地所有
ノ根本觀念ニ對シマシテ重大ナル變化ヲ招
來スルト云フコトハ、見逃スベカラザル問
題デアリマス、卽チ土地ノ所有者ガ善良ナ
ル農地ノ管理者ト致シマシテ、農業生產ト
云フモノニ從事致シマシタ時代ハ既ニ過ギ
去リマシテ、農村ニ於ケル地主ハ、自己ノ
所有スル所ノ農地ニ對シテ、吾々ハ將來如
何ニナスベキヤト云フコトニ付テ重大ナル
考慮ヲ拂ヒツツアリマスルコトハ、現在ノ我
ガ國ノ農村ノ實情ニ依ツテ明確デアリマス、
然ラバ一方ニ於キマシテ耕作者階級タル小
作人ノ立場ハドウデアリマセウカ、此ノ重
大ナル國家使命ヲ擔當ハ致シテ居リマスル
ガ、現在與ヘラレテ居リマスル所ノ農業立
法ノ上ニ於キマシテハ、耕地未ダ安定セズ、又
高率小作料ノ爲ニ農業ノ再生產ハ阻マレテ、
如何ニ農業、增產、政策ヲ國家ガ之ニ强制スル
ト致シマシテモ、此ノ不合理ナル土地制度
カラ來ル增產ノ障碍ハ、今ヤ蔽フベカラザル
所ノ重大問題トシテ全農村ニ纏綿トシテ居
ルコトハ間違ヒナイノデアリマス(拍手)私
ハ此ノ點ニ付キマシテ井野農林大臣ニハツ
キリト御伺ヒ致シタイト思フコトハ、此ノ
法律案ヲ唯單ニ現下ノ我ガ國ノ應急的食糧
對策トシテノミ提出ヲサレタト云フ點デア
リマスルナラバ、農林大臣ノ農村問題ニ對
スル信念ヲ疑フノデアリマス、苟クモ大東
亞建設ノ途上ニ於テ、此ノ非常時內閣ヲ擔
當セラレル農林大臣ト致シマシテハ、國家
ノ根本的食糧問題ヲ解決スルニ當ツテ、唯
食糧ノ需給調節デアルトカ、唯〓糧ノ偏在
等ヲ防グト云フヤウナ斷片的ナル問題ヲ考
究サルルニアラズシテ、此ノ絕好ノ機會ニ
惠マレ、地主、小作人共ニ我ガ國ノ農地問
題ニ對シテ根本的ナル解決ヲ要求シテ居リ
マス今日ニ於テ、時ノ農林大臣デアリマス
ル井野農林大臣ハ、何ガ故ニ此ノ農地問題
ノ根本ニ對シマシテ、今議會ニ其ノ法案ヲ
御出シニナラナイカト問ヒタイノデアリマ
ス、ソレハ農林當局ニ於テ〓究中デアルト
カ、或ハ諸君ノ御意見ハ御尤モデアルトカ
云フヤウナ、唯一時的ナル言論上ノ答辯ヲ
承ルニアラズシテ、本當ニ此ノ問題ニ對シ
テ農林大臣ガ必要ヲ認識サレテ居ルノデア
ルカ、或ハ認識サレテ居ラナイカト云フ點
ニ對シマシテ、ハツキリ御尋ネシテ置キタ
イノデアリマス
第三ノ門題ト致シマシテハ、只今農林大
臣ハ此ノ席上ニ於キマシテ、農村ニ對シテ
ハ、民族ノ源泉トシテ十分ニ考ヘテ居ルト
ノ答辯ヲサレタノデアリマスガ、私ハ此ノ
點ヲ農相ニ對シテ更ニ言及致シテ置キタイ
ト考ヘマス、固ヨリ我ガ國ノ農村ガ、唯食
糧ノ供給地トシテノミ現下ノ多クノ人達カ
ラ論ゼラレルト云フ傾向ノアリマスルコト
ハ、吾々ノ最モ遺憾トスル所デアリマス、優
良ナル所ノ勞働力、優良ナル所ノ壯丁、是等
ノ源泉ガ農村ニアルト云フコトハ言フマデ
モナクシテ、農村ハ卽チ民族强化ノ源泉デ
アリ、農ハ國ノ基デアルト云フ問題ハ、吾
吾ガ現在ノ農村問題ニ對シテ再ビ明確ニ認
識シナケレバナラナイ問題トナツテ來タト
思フノデアリマス(拍手)
此ノ點ニ於キマシテ私ガ現在具體的ニ農
林大臣ニ御伺ヒ致シタイト思ヒマスコト
ハ單ニ農村ヲ民族ノ源泉デアルトカ、單
ニ農村ハ凡ユル意味ニ於テ重大デアルト云
フ言葉ノ上ダケデハナクシテ、之ヲ政策ノ
上ニ如實ニ徹底政シマスル所フ具體策如何
ト云フコトニ付テデアリマス、固ヨリ木議
場ニ於キマシテモ、農村問題ヲ色々ノ角度
カラ〓究ヲサレ、或ハ主張サレテ居ル人ガ
アルノデアリマスガ、最近ニ於キマシテハ
各議員ノ結論ト致シマシテハ、世襲家產制
白作農ヲ創定スルト云フコトガ、我ガ國ノ
農村ヲシテ眞ニ民族血ノ源泉タラシメルコ
トノ根本問題トシテ、〓ネ意見ノ一致ヲ見
テ參ツテ居ルノデアリマス、旣ニ此ノ點ニ
關シマシテハ、私共ハ同志數十名ト共ニ家
產制自作農創定ヲ目標トシ之ヲ實現セント
スル立場カラ、農地國家管理法案ノ提出ヲ
一兩日中ニ致シタイト考ヘテ居ルモノデア
ル、旣ニ同志林平馬君ヨリハ農地世襲財產法
ナルモノガ議員提出法律案トシテ今議會ニ
現レテ居ルノデアリマスガ、農林大臣ハ此
ノ際今議會ニ是等ノ土地問題ニ對シマスル
所ノ根本立法ヲ政府ノ手ヲ以テ立法セラル
ルカ否カ、若シ政府ノ手ニ於テ立法セザル
ト致シマスルナラバ、議員提出法律案トシ
テ極メテ熱心ニ主張シ〓究ヲ遂ゲテ居リマ
スル是等ノ提案ニ對シテ、政府ハ如何ナル
態度ヲ以テ臨マントスルカト云フコトヲ承
ツテ置キタイノデアリマス(拍手)若シ夫レ
唯議〓提出法律案デアリマスルガ故ニ、是
等ノ法律案ニ對シテ唯聞キ置クトイフヤウ
ナ程度デアルト致シマスナラバ、私ハ敢テ
農林大臣ニ反問致シマスノハ、農相ガ此ノ
劃期的ナル所ノ食糧管理法案ヲ御出シニナ
ツテ居リマスルガ、ソレハ單ニ食糧ヲ食糧
トシテノミ見ルダケノ立場デアリマシテ、
眞ニ心ノ底カラ現下ノ我ガ日本ノ農村問題
ノ根幹ニ橫ハル重大問題ヲ解決セラルル上
ニ於テ、其ノ熱意ノ乏シキコトヲ疑ハザル
ヲ得ナイト思フノデアリマス(拍手)願ハク
ハ此ノ點ニ關シマシテハ農林大臣ト致シマ
シテ、ハツキリ以上私ノ申述べマシタ根本
論ニ付テ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス
最後ニ詳細ナル各論ニ對シマシテハ一切
委員會ニ讓ルノデアリマスルガ、左ノ若干
項目ニ向ヒマシテ、極メテ簡單ニ御伺ヒヲ
致シマシテソレ〓〓御答辯ヲ得タイト思ヒ
マス、第一點ハ、本法案ニ依リマシテ、農
產物檢査法ヲ廢スルト稱セラレ、只今ノ提
案理由ニ依リマスト、米穀檢査ハ別ニ之ヲ
定メルト仰シヤツタノデアリマスガ、其ノ
米穀檢査ノ內容ハ、從來ノ如ク極メテ複雜
ナル內容ヲ持ツモノデハナクシテ、此ノ際
執ルベキ方法トシテハ、極メテ簡潔ニシテ
農民ノ容易ニ滿足シ得ル所ノ方法ヲ御執リ
ニナツテ然ルベキダト思フノデアリマスガ、
之ニ對シマシテハ何ト考ヘテ居ラルルカ、
ソレカラ第二ノ問題ト致シマシテ、生產者ニ
對シテ一石五圓ノ奬勵金ヲ交付サレテ來テ
居ルフデアリマスガ、此ノ一石五圓ノ生產
奬勵金ハ尙ホ相當長キニ亙ツテ繼續セラル
ル方針デアルカ、第三ノ問題ト致シマシテ
ハ、政府ノ賣渡價格一石四十三圓ト云フ値
段ハ、之ヲ當分ノ間据置カレルト云フコト
ニナルノデアリマセウカ、第四ハ、本法案
ノ第二條ニ、米麥以外ノ食糧ニ關シテハ勅
令ヲ以テ定ムト書イテアリマスルガ、現在
想定サレテ居リマスル所ノ米麥以外ノ食糧
ハ凡ソ如何ナルモノヲ含ムノデアリマセウ
カ、尙ホ御伺ヒ致シタイノハ米麥以外ノ
食糧ノ中ニ、旣ニ締制ヲサレマシテ、其ノ
效果ノ上ニ相當疑ヒアリト考ヘテ居リマスル
所ノ廿藷ノ問題ニ關シマシテハ、本法案ニ
依リマスト、時價ニ依ツテ買取ルト云フコ
トガ書イテアリマスルガ、是等ノ點ニ付テ
ハ果シテ左樣ニナスコトガ出來ルノデアリ
マスカ、御伺ヒヲ致シタイト思フノデアリ
マス、殘餘ノ問題ニ關シマシテハ一切之ヲ
委員會ニ讓ルト致シマシテ、私ノ本議場ニ
於ケル質問ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣井野碩哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=8
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009・井野碩哉
○國務大臣(井〓碩哉君) 只今ノ平野議員
ノ御質問ハ四點ニ盡キルト思フノデアリマ
スガ、第一點ハ、本法案ハ農民ニ對シテ低
米價政策トナル虞ガナイカドウカ、又米麥
ニ付テノ國家管理ヲ强化スル以上ハ、肥料
ニ付テ全面的ノ國家管理ヲ斷行スル必要ガ
アリハシナイカト云フ御尋ネデアリマス、
本法案ハ從來ノ米價政策ニ何等ノ變更ヲ加
フルモノデハナイノデアリマシテ、此ノ法
案ヲ提出致シマシタ政府ノ氣持トシマシテ
ハ、現在東亞共榮圈ノ確立ニ伴ツテ、食糧
資源ノ豐富ト云フコトガ何等カ農村ノ增產
政策ノ上ニ危惧ノ念ヲ與ヘハシナイカト云
フコトニ付キマシテハ、先程申上ゲマシタ
通リサウ云フ危惧ノ念ガアリマスルカラ、
政府トシテハ農民ニ、米ハ出來ルダケ作ツ
テ吳レ、作ツタモノハ全部政府ガ適當ナル
價格デ買入レルト云フコトヲハツキリ致ス
意味ニ於キマシテ、ソコニ此ノ法案ノ立法
理由ノ一ガ存スルノデアリマスカラ、其ノ
點ハ決シテ低米價〓策ニナルコトハナイノ
デアリマス、又肥料ノ國家管理ニ付キマシ
テモ、現在逐次殆ド全面的ノ國家管理ニ近
イ制度ニナリツツアルノデアリマス、殊
ニ配給部門ニ付キマシテハ肥料綺制法ニ
依リマシテ相當ノ程度ノ國家管理ガ行ハレ
テ居ルノデアリマシテ、生產部門ニ付キマ
シテモ逐次締制ヲ圖ツテ參リタイト考ヘテ
居リマス、隨テ只今直チニ肥料ノ全面的國
家管理法ヲ此ノ議會ニ提出スルヤ否ヤト云
フコトニ付キマシテハ、政府トシテハ其ノ
考ヘヲ持ツテ居リマセヌ、然ラバ具體的ニ
肥料ノ配給ニ付テドウ云フ考ヘヲ持ツテ居
ルカト云フ御尋ネデアリマスガ、肥料ニ付
キマシテハ御承知ノ通リ現在ハ石炭ガ不足、
或ハ其ノ他ノ資材不足カラ生產減ヲ生ジテ
居リマス、又過燐酸ニ付キマシテモ輸入原
礦ノ不足カラ相當ノ減產ヲ見ナケレバナラ
ヌ立場ニアリマスガ、是ハ極力政府トシテ
モ此ノ方面ノ增强ヲ圖リマシテ、出來ルダ
ケ多クノ肥料ヲ農村ニ配給シタイト努カ致
シテ居リマス、併シ現在ノ狀態ニ於テハ到
底十分ナル供給ガ困難デアリマスノデ、差
當リトシテハ自給肥料ノ增產ニ付テ種々ノ
方策ヲ講ジテ居リマスコトハ御承知ノ通リ
デアリマス、ソレヲ以テ差當リノ具體的方
策ト致シテ參リタイト考ヘテ居リマス
第二ノ點ハ、〓糧管理法ノ如キ根本的ノ
立法ヲスルナラバ、農地制度ニ付テ何故考
ヘナイカト云フ御尋ネデアリマス、農地制
度ニ付キマシテハ從來カラモ或ハ小作料ノ
滴正化ノ問題、又小作料ノ締制ノ問題、或
ハ農業、生產締制ノ問題、或ハ農地管理ノ問
題、色々ノ法制ヲ以テ逐次整備ヲ致シテ居
リマス、根本的ナル農地制度ノ問題ニ付キ
マシテハ、農林省トシテモ〓究ハ致シテ居
リマスガ、現在ニ於キマシテハ此ノ大東亞
戰爭ヲ如何ニシテ完遂スルカト云フコトガ
當面ノ問題デアリマスノデ、隨ツテ根本的
ノ諸種ノ制度ニ付キマシテハ、十分〓究ヲ
致シマシテ善處致シタイト考ヘテ居リマス
第三ノ點ハ民族ノ源泉トシテノ農村ヲ考
ヘル時ニ、世襲家產制度ヲ考ヘナイカト云
フ御尋ネデアリマスガ、此ノ點モ農林省ト
シテハ〓究ヲ致シテ居リマス、併シ未ダ成
案ヲ得マセヌノデ、議會ニ提案スル程度ニ
ナツテ居リマセヌ、然ラバ議員ノ出シタ法
案ヲドウ考ヘルカト云フ御尋ネデアリマス
ガ、ソレハ出マシタ上デ能ク考ヘタイト存
ジマス
第四點ハ種々ノ細カイ問題デアリマスル
ガ、其ノ第一ハ、農產物ノ檢査法ヲ今度ハ
變ヘルガ、ソレヲ簡易化スルヤ否ヤト言フ
御尋ネデアリマスルガ、是ハ出來ルダケ簡
易化シテ參リタイト考ヘテ居リマス、委員
會ニ於キマシテ十分內容ヲ御說明申上ゲ
テ御詰解ヲ得タイト存ジテ居リマス、第
二一、生產者ニ對スル一有當リ五圓ノ奬勵
金ハ尙ホ繼續スル方針デアルカドウカト云
フ御尋ネデアリマスルガ、現在ノ經濟事情
ニ於キマシテ著シキ變化ナキ限リ此ノ方針
ハ續クル意味ヲ以チマシテ、今回豫算ニモ
此ノ奬勵金ヲ計上シテ明年度モ出スコトニ
ナツテ居リマス、隨テ其ノ點ハ十分御該承
願ヒタイト思フノデアリマス、第三ハ賣
渡價格ヲ据置クカドウカト云フ問題デアリ
マスルガ、是モ低物價政策ヲ堅持シテ居リ
マスル現在ニ於キマシテハ、今變更スル意
志ハ持ツテ居リマセヌ、第四ノ米麥以外ノ
食糧トハ何カト云フ御尋ネデアリマスルガ、
是ハ甘藷、馬鈴薯デアルトカ、或ハ雜穀等
ヲ指スノデアリマシテ、是ガ買入ニ付テノ
時價云々ノ問題ハ、委員會ニ於キマシテ十
分御說明ヲ申上ゲタイト存ジマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=9
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010・田子一民
○議長(田子一民君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=10
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011・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ政府提出米穀需給調
節特別會計法中改正法律案委員ニ併セ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=11
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012・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=12
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013・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二
乃至第六ハ便宜上一括議題トナスニ御異議ア
リマセヌカ
〔「里議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=13
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014・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二、國民更生金庫法中改正
法律案、日程第三、帝國石油株式會社法中
改正法律案、日程第四、重要物資管理營團
法案、日程第五、帝國鑛業開發株式會社法
中改正法律案、日程第六、帝國燃料興業株
式會社法中改正法律案、右五案ラ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス-岸商工大臣
第二國民更生金庫法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第三帝國石油株式會社法中改正法律
案(政府提出)第一讀會
第四重要物資管理營團法案(政府提
出第一讀會
第五帝國鑛業開發株式會社法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
第六帝國燃料興業株式會社法中改正
法律案(政府提出)第一複會
國民更生金庫法中改正法律案
國民更生金庫法中左ノ通改正ス
第五條ノ二國民更生金庫ノ資本金ヲ三
千萬圓增加シ政府之ヲ出資ズ
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ規
定ニ依ル政府ノ出資ニ之ヲ準用ス
第十九條中「十倍」ヲ「十五倍」ニ改ム
第三十七條第三項中「大藏大臣」ヲ「主務
大臣大藏大臣ニ協議シテ」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
帝國石油株式會社法中改正法律案
帝國石油株式會社法中左ノ通改正ス
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
帝國石油株式會社ノ資本ノ內五千萬圓
ハ政府ノ出資トス但シ前條但書ノ場合
ニ於テハ政府ノ出資ハ五千萬圓ヲ超ユ
ルコトヲ得
第七條中「總裁副總裁各一人」ヲ「總裁一
人副總裁二人」ニ改ム
第八條第二項中「副總裁ハ」ノ下ニ「定款
ノ定ムル所ニ依リ」ヲ加フ
第十二條第一項中「三倍」ヲ「五倍」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
重要物資管理營國法案
重要物資管理營團法
第一章總則
第一條重要物資管理營團ハ戰時ニ際シ
重要物資ノ貯藏ヲ確保及增强シ竝ニ貯
藏重要物資ノ利用ヲ有效且適正ナラシ
ムルコトヲ目的トス
重要物資管理營團ハ法人トス
本法ノ重要物資ノ範圍ハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二條重要物資管理營團ハ主タル專務
所ヲ東京市ニ置ク
重要物資管理營圍ハ政府ノ認可ヲ受ケ
必要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコ
トヲ得
第三條重要物資管理營團ノ資本金ハ二
千萬圓トス
第四條政府ハ二千萬圓ヲ重要物資管理
營團ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
シノト
第五條重要物資管理營團ハ定款ヲ以テ
左ノ事項ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額及資產ニ關スル事項
五役員ニ關スル事項
六業務及其ノ執行ニ關スル事項
七會計ニ關スル事項
八公告ノ方法
定款ハ政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更スル
コトヲ得
第六條重要物資管理營團ハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第七條重要物資管理營團ニハ所得稅、
法人稅及營業稅ヲ課セズ北海道、府縣、
市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ重要
物資管理營圍ノ事業ニ對シテハ地方稅
ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ
基キ內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ受ケ
タル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第八條重要物資管理營團ニ付解散ヲ必
要トスル事由發生シタル場合ニ於テ其
ノ處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ
定ム
第九條重要物資管理營國ニ非ザル者ハ
重要物資管理營團又ハ之ニ類似スル名
稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第十條民法第四十四條、第五十條、第
五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件手
續法第三十五修第一項ノ規定ハ重要物
資管理營團ニ之ヲ準用ス
第二章役員
第十一條重要物資、管理營團ニ理事長副
理事長各一人、理事三人以上及監事一
人以上ヲ置ク
理事長ハ重要物資管理營團ヲ代表シ其
ノ業務ヲ總理ス
副理事長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ重要
物資管理營團ヲ代表シ理事長ヲ輔佐シ
テ重要物資管理營團ノ業務ヲ掌理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキハ其ノ
職務ヲ代理シ理事長缺員ノトキハ其ノ
職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ重要物資
管理營團ヲ代表シ理事長及副理事長ヲ
輔佐シテ重要物資管理營團ノ業務ヲ掌
理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ理事長及
副理事長共ニ事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ理事長及副理事長共ニ缺員ノ
トキハ其ノ職務ヲ行フ
監事ハ重要物資管理營團ノ業務ヲ監査
ス
第十二條理事長、副理事長、理事及監
事ハ政府之ヲ命ズ
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ三年、
監事ノ任期ハ二年トス
第十三條理事長、副理事長及理事ハ定
款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業
務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行
爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任ス
ルコトヲ得
第十四條理事長、副理事長及理事ハ他
ノ職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ政府
ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十五條重要物資管理營團ニ評議員若
干人ヲ置キ政府之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付理事長ノ諮問ニ應ジ必要アルト
キハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年ト
ス
第三章業務
第十六條重要物資管理營〓ハ左ノ業務
ヲ行フ
-重要物資ノ保有
二重要物資ノ買入、輸入及賣渡
三其ノ他重要物資管理營團ノ目的達
成上必要ナル事業
重要物資管理營團ハ前項第一號及第二
號ノ業務ニ付テハ政府ノ定ムル計畫ニ
依リテ之ヲ行フベシ
重要物資管理營團第一項第三號ノ業務
ヲ行ハントスルトキハ政府ノ認可ヲ受
クベシ
第十七條重要物資管理營團必要アリト
認ムルトキハ業務ニ關シ重要物資ヲ所
有又ハ保管スル者ニ對シ其ノ所有又ハ
保管ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サシムルコ
トヲ得
重要物資管理營團必要アリト認ムルト
キハ政府ノ認可ヲ受ケ役員又ハ使用人
ヲシテ前項ニ揭グル者ノ業務ニ關スル
帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムル
コトヲ得
重要物資管理營團前項ノ規定ニ依リ役
員又ハ使用人ヲシテ檢査セシムル場合
ニ於テハ前項ノ規定ニ依ル認可アリタ
ルコトヲ證スル書而及其ノ身分ヲ示ス
證票ヲ携帶セシムベシ
第十八條重要物資、管理營團ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケ物資ノ
生產輸出、輸入、販賣又ハ保管ヲ業ト
スル者ニ對シ重要物資管理營團ノ所有
スル重要物資ノ保管ヲ爲サシムルコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テ保管ニ要シタル費用
ハ重要物資管理營團ノ負擔トス
第四章會計
第十九條重要物資管理營團ノ事業年度
ハ每年四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十條重要物資管理營團ハ設立ノ時
及事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借
對照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共
ニ之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
第五章監督
第二十一條重要物資管理營團ハ政府之
ヲ監督ス
第二十二條重要物資管理營團ハ政府ノ
認可ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ノ處分
ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十三條重要物資管理營團ハ業務開
始ノ際業務ノ方法ヲ定メ政府ノ認可ヲ
受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同
ジ
第二十四條政府ハ重要物資管理營〓ニ
對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲
サシメ、檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要
ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ
得
第二十五條役員ガ法令、定款若ハ政府
ノ命令ニ違反シ又ハ公益ヲ害スル行爲
ヲ爲シタルトキハ政府ハ之ヲ解任スル
コトヲ得
第六章罰則
第二十六條重要物資管理營團ノ理事
長、副理事長、理事、監事又ハ使用人
其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ
要求若ハ約束シタルトキハ二年以下ノ
徴役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス因テ
不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲
サザルトキハ五年以下徵役又ハ五千圓
以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第二十七條前條第一項ニ揭グル者ニ賄
賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル者ハ二
年以下ノ徵役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第二十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十七條第一項ノ規定ニ依ル報〓
ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル
者
二第十七條第二項ノ規定ニ依ル檢査
ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
三正當ノ事由ナクシテ第十八條第一
項ノ規定ニ依ル保管ヲ爲サザル者
第二十九條人又ハ法人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ人又ハ法人ノ業務ニ關シ前條第一
號又ハ第三號ノ違反行爲ヲ爲シタルト
キハ其ノ人又ハ法人ハ自己ノ指揮ニ出
デザルノ故ヲ以テ其ノ虚罰ヲ免ルルコ
トヲ得ズ
第三十條第二十八條第一號及第三號ノ
罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、
取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル
役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルト
キハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ
營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス
ル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十一條左ノ場合ニ於テハ重要物資
管理營團ノ理事長、副理事長、理事又
ハ監事ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ依リ政府ノ認可ヲ受クベキ
場各ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二本法ニ規定セザル業務ヲ營ミタル
トキ
三第十六條第二項ノ規定ニ違反シ政
府ノ定ムル計畫ニ依ラズシテ業務ヲ
行ヒタルトキ
四政府ノ監督上ノ命令又ハ處分ニ違
反シタルトキ
第三十二條左ノ場合ニ於テハ重要物資
管理營團ノ理事長、副理事長、理事又
ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令
ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ
不正ノ登記ヲ爲シタルトキ
二第二十條ノ規定ニ違反シ書類ヲ備
置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ
第三十三條第九條ノ規定ニ違反シ重要
物資管理營團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ
用ヒタル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第三十四條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十五條政府ハ設立委員ヲ命ジ重要
物資管理營國ノ設立ニ關スル事務ヲ處
理セシム
第三十六條設立委員ハ定款ヲ作成シ政
府ノ認可ヲ受クベシ
第三十七條定款ニ付政府ノ認可アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資ノ第
一囘ノ拂込ヲ禀請スベシ
第三十八條出資ノ第一囘ノ拂込アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ重要物資管理營團理事長ニ引繼グベ
シ
理事長前項ノ事務ノ引繼ヲ受ケタルト
キハ理事長、副理事長、理事及監事ノ
全員ハ設立ノ登記ヲ爲スベシ
重要物資管理營團ハ設立ノ登記ヲ爲ス
ニ因リテ成立ス
第三十九條登錄稅法中左ノ通改正ス
登錄稅法第十九條第七號中「產業設備
營團、」ノ下ニ「重要物資管理營團、」ヲ
「產業設備營團法、」ノ下ニ「重要物資管
理營團法、」ヲ加フ
第四十條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ五ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フ
六ノ六重要物資管理營團ノ重要物資
管理營團法第十六條第一項第一號及
第二號ノ業務ニ關スル證書帳簿
帝國鑛業開發株式會社法中改正法律案
帝國鑛業開發株式會社法中左ノ通改正ス
第三條第二項中「增加スルコトヲ得」ノ下
ニ「此ノ場合ニ於テハ政府ハ千五百萬圓
ヲ超エテ出資スルコトヲ得」ヲ加フ
第二十九條第一項ヲ左ノ如ク改ム
帝國鑛業開發株式會社ノ每營業年度ニ
於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ政府以
外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株
令額ニ對シ第五營業年度迄ニ在リテハ
年百分ノ四、第六營業年度以降ニ在リ
テハ年百分ノ六ノ割合ニ達セザルトキ
ハ政府ハ第二十一營業年度迄之ニ達セ
シムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額
ハ第六營業年度以降每營業年度ニ於テ
ハ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合
ニ相當スル額竝ニ當該營業年度ニ於テ
支拂ヒタル紳業開發債券及借入金ノ利
自額ノ今計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
同條第三項中「初營業年度及爾後五年間」
ヲ「第二十一營業年度迄每營業年度」ニ改
ム
第三十六條削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
帝國燃料興業株式會社法中改正法律案
帝國燃料興業株式會社法中左ノ通改正
ス
第二條第二項中「增加スルコトヲ得」ノ下
ニ「此ノ場合ニ於テハ政府ハ五千萬圓ヲ
超エテ出資スルコトヲ得」ヲ加フ
第三條削除
第三十條第一項但書中「及當該營業年度
ニ於テ支拂ヒタル燃料興業債劵ノ利息
額」ヲ「竝ニ當該營業年度ニ於テ支拂ヒタ
ル燃料興業債劵及借入金ノ利息額」ニ改
ム
第三十七條削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=14
-
015・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 只今議題トナリマ
シタ國民更生金庫法中改正法律案外四件ノ
提案理由ヲ說明申上ゲマス
最初ニ國民更生金庫法中改正法律案ニ付
テ申上ゲマスガ、中小商工業ノ再編成ニ付
キマシテハ、豫ネテヨリ重點主義ニ依ル生
產增强、物資配給ノ圓滑適正化ヲ目途ト致
シマシテ、併セテ緊要產業部門ニ於ケル勞
務ノ充足ニ資スル方針ノ下ニ、企業ノ整理
統合ヲ實施シテ參ツタノデアリマス、此ノ
企業ノ整理統合ニ伴ツテ生ジマスル轉廢業
者ニ對シマシテハ、國民更生金庫ノ設置、
同業者ノ共助金ニ對スル國庫補助、其ノ他
國民職業指導所及ビ國民勤勞訓練所ノ設置
等諸般ノ施設ヲ講ジテ居ル次第デアリマス
ルガ、就中國民更生金庫ハ、政府ノ轉廢業
施設中其ノ中心ヲ成スモノデアリマシテ、
轉廢業者ノ資產及ビ負債ノ整理ヲ促進シ、
其ノ更生ヲ圖ルコトヲ目的トスルモノデア
リマス、今後諸般ノ情勢カラ致シマシテ、急
速ニ企業ノ整理統合ヲ實施致サネバナリマ
セヌ關係上、此ノ制度ノ利用ハ急增スルモ
ノト豫想セラレルノデアリマス、隨ヒマシ
テ國民更生金庫ノ現在ノ資本金等ヲ以テ致
シマシテハ、到底利用者ノ需要ニ應ズルコ
トハ困難デアリマスノデ、今囘其ノ資本金
ノ增加ヲ圖リマスト共ニ、更生債劵ノ發行
限度ヲ擴張致シマシテ、金庫ノ資金ノ充實
ヲ圖ラントスル次第デアリマス、國民更生
金庫ハ從來大藏省ノ所管ニナツテ居ツタノ
デアリマスガ、之ヲ先般商工省ノ所管ニ移
スコトニ相成リマシタノデ、之ニ伴ヒマシ
テ本法中主管大臣ニ關スル規定ヲ改正セン
トスルモノデアリマス
次ニ帝國石油株式會社法中改正法律案ニ
付テ申上ゲマス、石油ノ供給ヲ確保致シマ
スコトガ我ガ國最大ノ急務デアルコトハ玆
ニ申スマデモアリマセヌ、帝國石油株式會
社ハ此ノ目的達成ノ爲メ、內外石油資源フ
開發促進上必要ナル事業ヲ經營スルコトヲ
目的ト致シマシテ昨年設立ヲ見タノデアリ
マスルガ、今次大東亞戰爭ノ勤發ニ伴ヒマ
シテ、南方油田ノ開發經營ト云フコトハ刻
下ノ急務ト相成リマシタノデ、政府ニ於キ
マシテハ此ノ情勢ニ鑑ミ、國內ニ於ケル主
要石油鑛業者ヲ帝國石油株式會社ニ統合セ
シメ、以テ石油鑛業ノ一元化ヲ斷行シ、南方
進出ノ體制ヲ整備セシムルコトト致シタノ
デアリマシテ、之ニ對應致シマシテ本會社
ノ機構ヲ擴充整備致シマスルト共ニ、其ノ
資金調達ノ圓滑化ヲ圖ルコトガ必要トナツ
タノデアリマス、仍テ副總裁一人ヲ二人ニ
增目致シマスルト共ニ、政府出資ノ限度ヲ
撤廢致シマシテ、且ツ帝國石油債劵ノ發行
限度ヲ擴張シ、以テ是等ノ必要ニ備ヘント
致シタ次第デアリマス
次ニ重要物資管理營團法案ニ付テ申上ゲ
マス、御承知ノ通リ我ガ國ニ於キマシテハ、
從前物資動員計畫ノ實施ニ關聯致シマシテ、
將來ノ需要ニ備ヘ、機會アル每ニ特別輸
入繰上輸入等ノ措置ヲ講ジ、所謂海外ヨ
リノ早期輸入ヲ極力實施シテ參ツタノデア
リマシテ、現ニ國內ニハ尙ホ相當多量ニ是
等輸入品ヲ保有致シテ居ル實情ニアリマ
六、又重要物資ノ一般國內在庫ニ致シマシ
テモ、未ダ相當大量ニ貯藏セラレテ居ルノ
デアリマスルガ、我ガ國當面ノ情勢ニ於キ
マシテ、是等重要物資ノ國內在庫ニ付テ、
其ノ的確ナル管理運營ヲ講ジ得ル方策ヲ整
ヘ、進ンデ在庫ノ增强措置ヲ講ジマスルコ
トハ、今後ニ於ケル南方ヨリノ取得物資ノ
高度利用ヲ圖リマズルト共ニ、本邦經濟今
後ノ運營上最モ緊要ナル方策ナリト認メラ
レルノデアリマス
又戰時下ニ於キマシテハ生產、配給又メ
運輸等ニ不時ノ障碍ヲ生ジ、是ガ爲メ物資
ノ供給ガ著シク不圓滑トナリ、或ハ戰局ノ
推移ニ依リマシテ一時ニ非常ニ多量ノ物資
ヲ要スル等、不測ノ事態發生ノ虞モ考ヘ得ラ
レマスルノデ、工業用各種原材料、生活必
需品、防空用資材等ノ各般ニ亙リ、是等ヲ
綜合シテ地域別分散保管ノ計畫ヲ立テテ之
ヲ運用シテ參リマスコトガ、時局下特ニ肝
要ト考ヘラレルノデアリマス、是等ノ事業
ハ高度ノ國家的性格ヲ具ヘ、且ツ綜合運營
ヲ必要ト致シマスル關係上、何レモ既存ノ
民間機關ニ之ヲ期待スルコトハ不適當デア
リマスノデ、玆ニ國家ニ代ツテ强力ニ其ノ
使命遂行ニ當ラシムベク、全額政府出資ニ
依ル重要物資管理營〓ヲ創設致シマシテ、
重要物資ノ保有、買入、輸入、賣渡等ノ業
務ヲ行ハシメントスル次第デアリマス
次ニ帝國鑛業開發株式會社法中改正法律
案ニ付テ御說明ヲ致シマス、大東亞戰爭ノ
勃發ニ伴ヒマシテ、國內ニ於ケル金屬資源
開發ノ必要性ハ愈〓增增致シテ參リマシタノ
デ、其ノ開發ノ國策機關タル帝國鑛業開發
株式會社ノ事業モ、此ノ際一段ト擴充スル
必要ヲ見ルニ至ツタノデアリマス、斯カル
情勢ニ鑑ミマシテ、現在本會社ノ資本金三
千万圓中、政府出資額ハ其ノ半額タル千五百
万圓ニ限定セラレテ居リマスノヲ、今後同
社ガ增資ヲ行ヒマス場合ニハ、右ノ千五百
万圓ノ制限ヲ超エテ出資ヲナシ得ルコトト
シ、併セテ民間所有株ニ對スル配當補給ノ
限度ヲ現在ノ年百分ノ四カラ年百分ノ六ニ
引上ゲ、且ツ其ノ支給期間ヲ第二十一營業、年
度マデ延長スルコトト致シマシテ、兩々相
俟ツテ同會社ノ資金調達ヲ容易ナラシメ、
以テ重要鑛物增產ノ使命ヲ達成セシメント
スル次第デアリマス
最後ニ帝國燃料興業株式會社法中改正法
律案ノ提案理由ヲ御說明申上ゲマス、今次
大東亞戰爭ニ依リマシテ、我ガ國ハ豐富ナ
ル南方石油資源ヲ獲得シ得ル情勢ト相成ツ
タノデアリマスガ、之ニ依ツテ國內ニ於ケ
ル人造石油事業ノ重要性ハ聊カモ減ズルコ
トハナイノデアリマシテ、寧ロ今後益〓此ノ
振興ニ努力ヲ傾注セネバナラヌ情勢ニアル
ト考ヘル次第デアリマス、而シテ人造石
油事業ヲ振興致シマス爲ニハ其ノ事業ノ
性質上、資金ノ調達ニ特別ノ措置ヲ講ジナ
ケレバナラナイノデアリマシテ、政府ハ帝
國燃料興業株式會社ヲシテ之ニ當ラシメテ
參ツタノデアリマスガ、今後ニ於ケル人造
石油事業ノ擴充計畫ニ對應致シマシテ、本
會社ガ增資ヲ行セマス場合ニハ、政府ハ現
在ノ出資額タル五千万圓ヲ超エテ出資ヲナ
シ得ルコトト致シマスト共ニ、同社ニ對ス
ル配當、補給金ノ範圍ヲ擴張セントスル次
第デアリマス
以上ガ今囘國民更生金庫法中改正法律案
外四件ヲ提出致シマシタ理由デアリマス、
何卒愼重御審議ノ上御協贊ヲ與ヘラレンコ
トヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=15
-
016・田子一民
○議長(田子一民君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-喜多壯一郞君
〔喜多壯一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=16
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017・喜多壯一郎
○喜多壯一郞君 日程第四ノ重要物資管理
營團法案ニ付キマシテ、二三基本的ナ點ヲ
質疑致シマス、政府特ニ商工大臣ノ答辯ヲ
求メマスガ、許サレタ質疑時間ハ僅少デア
リマスカラ、勢ヒ質疑項目ヲ列擧スルコト
ニナラザルヲ得マセヌガ、政府當局ハ十分
ニ意ヲ盡シテ、良心的ナ答辯デアルコトヲ
希望シテ已ミマセヌ
質疑ノ第一ハ、重要物資トハ一體何ヲ指
シテ居ルカ、又其ノ管理貯藏サレル重要物
資ノ數量ニ關スルコトデアリマス、本法案
ニ依ル營團ガ扱フデアラウト豫想サレル重
要物資ハ、今日ノ戰時日本ニ於テ、軍官民
ノ三方面デ何レデモ無クテハナラヌトスル
特殊ナ重要性ヲ持ツ物資ト解釋スベキデア
リマスガ、ソレニハ無論軍需品生產擴充ニ
當ルベキモノ、或ハ只今ノ提案理由ノ說明
ノ中ニモアツタヤウニ、醫療藥品カラ廣ク
戰時國民生活確保ニ缺クベカラザル衣食住
ノ全面ニ亙ルモノモ営然含マレテ來ルノデ
スカラ、場合ニ依ツテハ浴衣地モ、或ハ木
綿ノ一片ニ至ルマデ重要物資ノ中ニ解釋セ
ラレルト吾々ハ考ヘルノデアリマス、又空
襲其ノ他ノ戰時的災害ニ對スル復興資材ナ
ドモ此ノ中ニ含マレルト解釋シ得ルノデ
アリマスカラ、本法案ニ謂フ所ノ重要物資
ハ戰時下日本ニ於ケル物資全體ヲ意味ス
ルヤウニ常然解釋サレテ來ル、而モ其ノ貯
藏ヲ確保スルコトソレ白體ガ、當然國家的
管理ヲ必要トスルコトニ付テハ、日本ノ現
狀カラシテモ吾々ハ能ク理解シ得マス、ツ
コデ此ノ營團ガ扱フベキ物資ハ、原料デア
花ゆ.素材デアル物、ソレハ無論ノコト
或ハ旣製品デアラウト、半製品デアラウト、
未完成品デアラウト、差別ナク此ノ中ニ含
ムノデアルカドウカ、汁案及ビ提案理由ニ
就テハ吾々ハ知ルコトガ出來ナイ、此ノ點
ニ付テノ答辯ヲ求メタイ、言フマデモナク、
同僚西川君ガ指摘シマシタガ、食糧品ハ戰
時ニ於テノ最モ重要物資中ノ重要物資デア
リマス、腹ガ減ツテハ戰ガ出來ヌト云フコ
トハ、古今東西、千古ヲ通ジテノ眞理デア
リマスガ、此ノ食糧品ト其ノ他ノ農林關係
物資モ亦本營團ガ扱ハントスルモノデアリ
マセウカ、サウダトスルナラバ、先程此處
デ議題ニナツタ食糧營團トノ限界ガ甚ダ不
明確ダト吾々ハ解釋セザルヲ得テイ、此ノ
點ニ付テ商工大臣ハ提案理由ノ中ニモ、又
農林大臣ハ其ノ答辯ノ中ニモ觸レテ居ラレ
ナカツタコトヲ遺憾トシマスカラ、此ノ點
ニ付テ明確ナル答辯ヲ求メテ置キマス
更ニ尋ネテ置キタイコトハ、本營團ノ業
務タル物資ノ貯藏保有ト云フコトデアリマ
スガ、是ハ戰時物動計畫ノ重要ナル一部面
デアリマス、營團ガ取扱ハウトスル重要物
資ノ種類ト數量ノ決定モ亦営然戰時物動計
畫ノ中カラ割出サレテ來ルモノト吾々ハ解
釋スルガ、若シサウデアルトスルナラバ、
第一ニ何ヲ持ツテ來ルカ、差當ツテ私共ニ
ピント來ルコトハ鐵デアリマスケレドモ、
其ノ重要物資中ノ重要物資ノ順序ヲ誰ガ決
定シ、其ノ數量ヲ誰ガ決定スルカト云フ點
ニ付テハ、法文ハ全ク不明瞭ダト、法文ノ
缺點ヲ私ハ指摘セザルヲ得ナイ、併シ如何
ニ物動計畫ノ一部門デアルト致シマシテモ、
此ノ營團ガ正シク經理運用サレテ行ク爲ニ
ハドウシテモ其ノ貯藏保有セラルベキ重
要物資ノ種別ト、又豫定セラレテ居ル數量
トガハツキリシテ來ナケレバ、商工大臣ガ
要求セラレタヤウナ豫算額ヲ資金トシテ、
此ノ營團ガ今後正シイ發展ヲシテ行クカド
ウカノ寒議ノ材料ハ全然不明確デアルト言
ハナケレバナリマセヌ、併シ重ネテ申上ゲ
マスヤウニ、重要断資ノ種類別ト數量ト云
フコトハ、物動計畫ノ一部門ニ當ルノデア
リマスカラ、恐ラク政府ハ私ヘノ答辯トシ
テハ、發表シ得ナイト答辯ナサルト思ヒマ
ス、併シ此ノ營團ガ眞實ニ純乎タル發展ヲ
シテ、戰時日本ノ物動計畫ノ一端ヲ背負ツ
テ行クノミカ、戰時國民生活ノ安定確保ニ
力ヲ與ヘル爲ニハ、重要物資ノ種類別ト其
ノ數量トガ、吾々ノ本法案ノ寒議ニ連レテ
適當ナ機會ニ祕密會ニ於テナリトモ發表セ
ラレナケレバ、私ハ此ノ營團ノ前途ヲトス
ルニ足ル基礎的材料ガナイト云フコトヲ申
上ゲテ置キタイノデアリマス(拍手)
質疑ノ第二ハ、何故ニ特別會計ニ依ル
國家直接企業トシナカツタカト云フコトデ
アリマス、國營企業ト國策會社トノ中間的
企業形態デアルト普通言ハレテ居ル此ノ營
團組織ヲ、ナゼ此ノ重大ナ物動計畫ノ部分
ヲ背負フ専業ニ採用シタカ、ドウ云フ譯カ、
重要物資ノ國家的管理ガ此ノ營團ノ大眼目
デアリマス、是ハ直チニ日本ノ物動計畫ノ
一本ノ柱トナルノデアリマスカラ、高度國防
國家建設ト同時ニ進展シテ居ル大東亞戰爭
ノ戰爭目的貫徹ニ大キナ關係ヲ持ツノデアリ
マス、ソレノミカ、日本ノ今日ノ綜合的計
畫經濟ニ大キナ裏付ケヲスル行爲デアリマ
スガ故ニ、物資ノ國家管理ハ一物一機關ニ
依ル個々別々ノ在庫品管理制度ヨリモ、寧
ロ强力ナ國家權力ノ下デ一ツノ中核體ヲ作
ツテ、其處デ綜合的ニ計畫的ニ指導サレテ、
貯藏、買入、賣渡等ヲ行フ方ガヨリ效果的
デアルシ、ヨリ以上ニ高度ナ國家目的ヲ果
スコトガ出來ルト云フコトハ理論上ハ正シ
イノデアリマス、ソレハ認メマス、併シ、理論上
幾ラ正シイコトデモ、又理論的ニ幾ラ可能
ナコトデアルト御考へニナツテモ、實際ヤ
ツテ見ルト中々サウハ行カナイ、机上ノ
空論ト云フ言葉ガ玆ニ生キテ來ル、此ノ法
案ガ狙ツテ居ル營團ノ如キモノモ理論的ニ
ハ正シイノデス、法案ニ示サレタル全貌カ
ラ割出シテ來テ、高イ能率ガ擧ルヤウニ想
像モサレマス、併シソレハ私ハ餘リニ觀念
的ダト言ハザルヲ得ナイノデアリマス、何
故ナラバ、多種多樣ノ重要物資ヲ急速ニ、
一時ニ、而モ、消費地分散主義ト云フ難カ
シイ點ヲ狙ツテ、適地分布主義ト云フ中々
難カシイコトヲ狙ツテ、而モ單一化サレタ
重要物資管理營團ノ一點ニ集中凝結サセテ
能率ヲ擧ゲテ行クノデスカラ、「イデオロギ
ごノ點カラ言ツテモ、又觀念的理論ノ點
カラ言ツテモ申分ガナイ、ケレドモ、軈テ
此ノ營團ガ出來テ來テ、愈〓營〓ト云フ大
キナ車ガ日本ノ物動計畫ノ中ニ運轉サレテ
來ルト、ソコニハ私ハ中々高イ能率ヤ綜合
理論化サレタ經營ハ生レテ來ナイト思フ、
相當以上ノ無理ト相剋摩擦ト、ソレニ加ヘテ
役所的ノ下手ナ仕事ト、煩雜極マル手續トガキ
ツト拔扈シテ來マス(拍手)一言ニシテ言ヘバ
折角作ツテハ見タガ、非能率的ナ經理運用
ガ現ハレテ來ルト云フコトガ豫想サレル、
支那車變前後カラ、戰時日本ノ統制計畫經濟
運用ノ爲ニ、同僚西川君其ノ他ガ指摘シタヤ
ウニ、今日マデニ政府ハ隨分澤山ノ國策會社
ト營團トヲ作ラレマシタ、併シソレ等ノ國策
會社ト營團トハ、殆ド眠ツテ居リマス、仕事ノ
能率ガ低クテ、折角作ツタ官僚其ノモノ-
アナタ方自體デサヘモ手ヲ燒イテ居ルモノ
ガ多々アルコトヲ私ハ此處デ指摘スル時間ヲ
持チマセヌガ(拍手)ソレ等ノ營團ヤ國策會
社ニハイツモ官僚ノオ手盛リニ依ル天降リ人
事ガ白晝公然トシテ跋扈シテ居ルノデアリ
マス(拍手)私ハ必ズシモオ手盛リノ人事ガ惡
イト言フノデハアリマセヌ、其ノ人事ガオ役
所的デアルト同時ニ、體驗ト苦勞ト信念ト
理想トヲ持タナイ者ガ天降リニナルカラ國
家ノ損失大ナリト云フコトヲ商工大臣ニ御
認識ヲ求メタイノデアリマス(拍手)國民ハ
今日實ハ得體ノ知レナイ營團、國策會社ノ
濫造、氾濫時代ニ一種ノ公憤ヲ抱イテ居リ
やっく、戰時デアリマスカラソレヲ公ニ暴露
致シマセヌ(「ヒヤ〓〓」)私ハ官ニアツテ民
間ノ事情ニ踈イ政府営局ノ諸君ト雖モ、商
工大臣ノ如キハ、此ノ間ノ實情ニ付テハ比
較的能ク分ツテ居ル方ダト信ゼザルヲ得ナ
イ、而モ其ノ方ガ敢テ此ノ營團組織ヲ物動
計畫ノ一部門ニマデ擔ギ込ンデ來タト云フ
コトニ付テハ、政府ノ無反省ト現狀認識ノ
不足トヲ疑ハザルヲ得ナイノデアリマス(拍
手)而モ此ノ營團ノ權成人員ニ付テ檢討ス
ルト、理事長、副理事長及ビ理事ハ、原則
トシテ他ノ職業ニ從事スルコトガ禁ゼラレ
テ居リマス、卽チ此ノ營團ハ業務カラ一厘
一毛ノ收益サヘモ期待シテハ居ナイノデア
リマス、物動計畫ノ大キナ一部門デアリ、
構成人員ハ準官吏的デアリ、而モ營利法人
ト全ク違ツテ收益ヲ期待シテ居ナイト云フ
此ノ三點カラ見テモ、私ハ何故ニ營團形態
ヲ此ノ管理營團ニ採ラレタカト云フコトヲ
疑ハザルヲ得ナイ、ソレノミカ條文ヲ檢討
シマスト、本營團ハ「必要アリト認ムルト
キハ業務ニ關シ重要物資ヲ所有又ハ保管ス
ル者ニ對シ其ノ所有又ハ保管ノ狀況ニ關シ
報〓ヲ爲サシムルコトヲ得」トナツテ居リ
マス、又主務大臣ノ認可サヘ受ケレバ、役
員又ハ職員ヲシテ前項ニ揭グルモノノ專務
所、營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨ミ、
帳簿、書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコ
トヲ得ル、之ヲ拒ンダモノハ當然物資統制令
ニ依ル國家ノ强權ニ依ツテ罰セラレルト云
フ大キナ力ガ營團ニ與ヘラレルノデアリマス
カラ、此ノ營團ハ名前コソ營團デアツテモ、
私ハ純然タル國家代行機關デアルト認識セ
ザルヲ得ナイノデアリマス、前ニ述ベマシ
タヤウニ營團ハ戰時物動計畫ノ大仕事ヲヤ
ル、隨テ國家機密ニ參畫スル、ダカラ其ノ構
成人員ハ他ノ職業ニ從事スルコトヲ許サズ
ト立案セラレタト考ヘル、當然是ハ國家企
業トシテ、戰時物資省或ハ軍需省タルノ性
能ヲ持ツ商工営局自體ノ一ツノ仕事トシテ
經營サレタ方ガ、マダ國民ハ安心シテ任セ
得マス、私ハ商工営局が斯樣ナ白信ト白覺
トヲ持ツテ居ラヌカト云フコトヲ一言問ヒ
質シテ置キタイ、何故ニ國家企業ト國策會
社トノ由間的企業形態デアル營團組織ヲ採
用セラレタカ、其ノ理由ヲ明確ニ示サレタ
イ
質疑ノ第三ハ、何故ニ既存ノ物資統制機
關ヲ利用シナイカト云フ點デアリマス、今
日重要物資ト考ヘラレルモノハ其ノ大半ガ
既ニ締制機關ニ依ツテ生產、配給セラレル
ヤウナ狀態ニナツテ居ルコトハ、例ヘバ石炭
ニ付テハ日本石炭會社、「ボーキサイトㄴ
「アルミニウム」、「マグネシウム」ニ關シテ
ハ帝國輕金屬締制會社、紡綿卽チ紡績、綿
布ニ付テハ棉花共同購入組合、羊毛ニ關シ
テハ羊毛同業會、纖維製品ニ付テハ商品別
統制機關ト云フ風ニ、モウ既ニ立派ナ結制
機關ガ出來テ居ルノデスカラ、商工大臣ハ
之ヲ能ク指導シ、能ク鞭撻シテ、縦ニ橫ニ
良イ連絡ヲ付ケテ行カレルナラバ、私ハ斯
樣ナ履大ナ營團ヲ作ラズシテモ、ソコニ重要物
資統制ニ關スル貯藏、保有ト云フ力ガ生レテ
來ハシナイカト考ヘルノデアリマス(拍手)
徒ラニ新シイモノヲ作ツテ世ノ中ヲ迷ハス
コトハ、戰時下日本ニ於テハ斷然避ケナケレ
バナラナイト信ジマス(拍手)
質疑ノ第四ハ、本法案成立ノ場合、法律ノ
施行地域ト營團ノ事業地域ガ明確ニ示サレ
テ居リマセヌ、內地ダケニ適用ナサル積リ
カ、外地ニモ及ボス積リカ、或ハ內地ダケ
ダトスルナラバ、外地ニ對シテハ重要物資
貯藏保有ニ關シテハ別段ノ手段ヲ執ルノ意
圖ナキカノ點デアリマス、說明理由ハ申上
ゲマセス
質疑ノ第五ハ、營團ト日ニ〓〓擴大シツツ
アル南方占領地域ニ於ケル所謂重要物資ト
ノ交易關係如何ト云フコトデアリマス、自
由的ナ通商交易ハ許サレナイト云フ輪廓ガ
政府カラ示サレテ居リマスガ、恐ラク此ノ
營團ガ南ノ方カラ來ル所謂重要物資トノ交
易中心機關トナルト思フノデアリマスガ、
此ノ營團トノ關係ヲ示サレタイ、及ビ此ノ
營團ト他ノ貿易統制機關トノ關係如何ト云
フ點デアリマス
質疑ノ第六ハ、何故ニ此ノ營團ニ對シテ
監理官制度、監察官制度ヲ設ケマセヌデシ
タカ、其ノ理由如何、是ハ商工大臣ハ特ニ
明確ナ答辯ヲシテ戴キタイ、營團ノ職能自
體ト、營團ノ眼目トスル所ガ戰時物動計畫
ノ完璧ヲ期スルコトデアリマス、ト同時ニ
戰爭完遂ニ對シテ物資ヲ通ジテ直接ニ戰爭
ノ能力ニ影響スルダケノモノデアリマスカ
ラ、國家機密ニ參畫セシムルト同時ニ、物資統
制令ニ依ル强、權行使ヲ敢テ許シテ居ルノデ
アリマス、斯樣ナ重大ナ營團ニ對シテ國家
企業トセズ、單ニ主務大臣ノ指揮命令ニ依
ルト云フコトデアツテ、其ノ機成人員ハ他
ノ職業ニ從事スルコトヲ許サレナイト云フ
程一方デハ嚴格ニシテ置キナガラ、政府當局ガ
之ニ向ツテ監理、監督、監察ヲスルト云フ
點ニナリマスト、營利法人ノ監理、監督ト
紙一重ノ微弱サデアルト云フコトヲ私ハ斷
然指摘セザルヲ得マセヌ、此ノ點ニ關シテ
政府ハ十分ニ監督監理スル必要ガアルト思
ヒマスガ、現行制度ノ各般ヲ見マスト、斯
カル國家代行機關ニ對シテハ常ニ監理官制
度ガ十二分ニ設ケラレテ居ルニモ拘ラズ、
是ダケハ法文ニモ明記セラレズ、商工大臣
ノ提案理由ニモ私ハ伺ヒマセヌデシタ、遺
憾千萬ナ點デアリマス、ソレデナクトモ官
吏ノ綱紀肅正ニ付テハ益〓國民ガ諸君ニ愬ヘ
ントスル時デアリマスカラ(拍手)此ノ點ニ
付テハ十二分ノ用意ヲナサレテ、若シ法文
ニ其ノ用意ガナケレバ、今日カラデモ改メ
テ用意ナサツテ委員會ニ臨マレンコトヲ私
ハ衷心希望シテ置キマス(拍手)
最後ニ政府當局ノ意向ヲ尋ネタイノデア
リマスガ、本法案ニ依リマスト、管理營團
こガ愈〓具體的ニ仕事ヲスルノハ恐ラク常例ニ
依ツテ本年ノ四月カ、早クテ五月ダト思ヒ
やっ、戰爭ハソレマデ待ツテ居リマセヌ、
物動計畫ハソレマデ寢テ居リマセヌ、今モ
動イテ居リマスカラ、開始前ニモ臨時措置
ハ護ゼラレテ居ルト思ヒマスケレドモ、ド
ウデスカ一ツ此處デ商工大臣ハ思ヒ
切ツテ司法大臣ト相談シテ、全國ノ營業
倉庫ト私有倉庫ノ全體ニ至ルマデ在庫品調
査物ノ戶籍調ヲ一ツヤツテ御覽ナサイ、
出テ來マスヨ、出シタイガ出セナイト云フ
人モアル、其ノ點ハ政府ノ規則ガヤカマ
シクテ、ツイ登錄モ出來ナカツタト云フヤ
ウナモノハ、商工大臣ハ無論眼ヲ瞑ルダ
ラウガ、司法大臣モ其ノ場合ニハ胸ニ手ヲ
當テテ、物ヲ活カスト云フ點デ一ツ何トカ
スル便法ガアリハシマセヌカ(拍手)是ハ「ゼ
スチュア」デハアリマセヌ、實質ガ出テ來
ル、此ノ點ニ付テ私ハ斯樣ニナツタ點カラ
見テ、此ノ營團ガ動ク前ニ、全國一齊ニ國民
ガ物ヲ出スト云フ此ノ戰時下ニ對スル信念
ヲ、一齊倉庫檢査ニ依ツテ喚起サレンコ
トヲ希望スルノデアリマス、以上重要ナル
點ダケヲ御尋ネシマシタガ、ドウカ十分
ナル答辯ヲ願ツテ私ノ質疑ヲ打切リマス(拍
手)
〔國務大臣、岩信介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=17
-
018・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御答ヘヲ申上ゲマ
ス、第一ノ御質問ハ、本營團ガ取扱フベキ
重要物資ノ意義竝ニ其ノ數量等ニ對スル御
質問デアリマシタ、本營團ノ提案理由ハ先
程御說明申上ゲマシタ通リデアリマス、隨
ヒマシテ本營團ガ取扱フベキ物資ハ、戰時
經濟運營上緊要ナル軍官民各方面デ需要致
シマスル物資ノ中、特ニ戰時經濟運營上緊
要ナル物資、竝ニ戰時國民生活上缺クベカラ
ザル物資、斯ウ云フモノヲ含ンデ居ルノデ
アリマス、隨ヒマシテ此ノ意味カラ申シマ
スト、凡ユル物資ガ觀念上入リ得ル、斯ウ
云フコトニ相成リマスルガ、具體的ニハ法
案ノ示シテ居リマスヤウニ、命令ヲ以テ其
ノ內容ヲ具體的ニ定メル考ヘデアリマス、
勿論物資トハ御指摘ノ如ク單ニ製品、半製
品等ニ限ラズ、凡ユル原材料ノ形デアリマ
スモノヲモ含ム譯デアリマス、唯農林關係ノ
物資ニ付キマシテハ、主要〓糧ハ勿論、大
體特殊ノモノ以外ハ之ヲ含マナイ考ヘデア
リマス、數量ノ點ハ、御意見ノ通リ我ガ國
ノ物動計畫ト極メテ緊密ナ關係ガアルノデ
アリマシテ、今日此ノ席デ事業計畫ノ豫想
ヲ申上ゲルコトハ適當デナイト思ヒマスノ
デ、他ノ適當ナル時機ニ出來ルダケ詳細ニ
申上ゲタイト考ヘマス
第二ノ御質問ハ、本營團ノ事業ノ性質ヲ
考ヘルニ、其ノ性格ハ政府ノ代行機關ト考
ヘラレルノデ、寧ロ斯ウ云フ營團ノ形式ヨ
リモ、政府自ラ之ヲ行ヒ、特別會計ノ形式
ヲ採ルコトガ滴當デハナイカト云フ御意見
デアリマシテ、一應御尤モナ御考ヘダト思
ヒマス、唯此ノ營團ガ取扱フ所ノ物資ハ、
先刻御答ヘ申上ゲマシタ通リ、各種ノ物資
ニ亙リ相當複雜多岐ニ亙ツテ居リマス、又
保管ノ方法等ニ付キマシテモ、種々專門的
知識ヲ要スルモノト思ヒマスシ、獲得ノ方
法ニ付キマシテモ國內ハ勿論、輸入、特上
南方方面ヨリノ物資モ之ヲ含ム譯デアリマ
シテ、今日ノ官廳機構ノ性質カラ見マシテ、
サウ云フ複雜ナ而モ專門的ナ才能ヲ必要ト
スル仕事ヲ、特別會計ノ形式デヤルコトハ
能率的デナイト考ヘマシテ、營團ノ形式ヲ
採ツタ次第デゴザイマス
第三ニ斯ウ云フ仕事ハ旣存ノ統制機關ガ
アルカラ、ソレヲ利用シタラ宜イデハナイ
カト云フ御意見デアリマスルガ、今日マデ
斯ウ云フ機關ガナカツタ爲ニ、或ハ鐵ニ付
キマシテハ鐵ノ統制機關ニ、「アルミニウ
ム」ニ付キマシテハ御指摘ノ如ク「アルミニ
ウム」ニ關スル統制機關ニ、其ノ原料等ヲ
保有セシメテ參ツテ居リマスガ、今日物動
計書竝ニ生產力擴充計畫ノ實行上ノ一ツノ
難點ハ是等關聯シタ所ノ物資ノ間ニ、綜
合的ナ、有機的ナ全體的計書性ト云フモノ
ヲ缺イテ居ル點デアリマス、別々ノ機關ニ
別々ノ物資ヲ保有セシメマスト、全體的計
書的、有機的ナ關係ヲ持タセタルコトガ困難
デアリマスノデ、中核機關ヲ設ケマシテ、之ニ
綜今的計書的ナ運營ヲナサシメルコトガ必
要ダト考ヘルノデアリマス
次ニ本法ノ適用地域ニ付キマシテハ、
應內地ダケニ之ヲ適用スルモノト考ヘテ居
リマス、唯此ノ營團ノ仕事ト致シマシテ、買
入其ノ他ノ事業ヲ內地以外ノ外地、又ハ外
國ニ於テ行ヒ得ルコトハ勿論デアリマスガ、
法律自體ノ滴用トシテハ內地ノミニ考ヘテ
居リマス
次ニ南方地域トノ交易關係ニ付テノ御質
問デアリマシタガ、今日ノ狀態ハ申スマデ
モナク作戰ト緊密ナ關係ノ下ニ、軍政ヲ布
カレテ居リマシテ、其ノ軍政下ニ於テ臨時
的ナ措置トシテ機構ガ設ケラレテ居リマス、
將來作戰ノ進行ノ段階ニ卽應致シマシテ、
此ノ南方地域ト我ガ國トノ交易關係ハ、當
然其ノ段階ニ適應シイ形ニ於テ調整ヲサレ
テ參ルベキモノト考ヘルノデアリマス、
サウ云フ際ニ此ノ設ケラルベキ營團ガ重要
ナル働キヲナスニ至ルベキコトハ、今日カ
ラ私共之ヲ豫想致シテ居リマス
次ニ監理官制度ヲ設ケザル理由ニ付テノ
御質問デアリマシタガ、本營團ノ使命機能
等ニ鑑ミマシテ、嚴重ナル國家監督ノ下ニ
其ノ業務ヲ行ハシメルコトハ當然デアリマ
ス、併シナガラ一面ニ於キマシテ理事者其
ノ他ノ之ヲ運營スル人々ガ、自治的ニ責任ヲ
白ラ持ツテ其ノ業務ニ當ルト云フコトヲ、
小サイ事柄ニ至ルマデ政府ノ干渉ニ依ツテ
妨ゲルト云フコトモ、十分考慮セネバナラ
ナイト思ヒマス、本法ニ於キマシテ營團ノ
大綱ニ付キマシテハ嚴重ナル監督ノ下ニ
置クコトニ致シマシテ、其ノ範圍內ニ於テ
理事者其ノ他ノ此ノ營團ヲ運營スル者ノ責
任ト創意トニ依ツテ、十分國家的使命ヲ果
シテ貰ヒタイト云フ意味ニ於キマシテ、其
ノ制度ヲ設ケナカツタノデアリマス、此ノ
コトニ付キマシテハ、旣ニ前々議會ニ於テ
御協賛ヲ得マシタ產業設備營團ニ於キマシ
テモ同樣ナ取扱ヲ致シテ居リマス
最後ニ本營團ガ重要物資ヲ保有管理致シ
マスルニ付キマシテ、國內ニ於ケル在來ノ
在庫調査、之ニ關聯シテ在庫ノ生ジタ理由
ニ遡ツテ之ヲ一々檢擧スル等ノ方法ニ付テ、
司法當局ト協議ノ上、特別ニ取扱フ必要ハナ
イカト云フ御尋デアリマスガ、本營團ノ使
命ハ先程カラ申上ゲマシタ通リ、重要物資
ヲ出來ルダ々澤山ニ保有致シマシテ、之ヲ
國家有用ノ方面ニ活用シヨウトスルノニアル
ノデアリマス、隨ヒマシテ其ノ保有ヲ確保
シマス前提トシテ、全國ニ亙ツテ詳密ナル
在庫調査ヲ行フ考ヘデアリマス、其ノ際ノ
調査ハ犯罪捜査ノ意味ニ於ケル調査デナイ
コトハ言フヲ俟タナイノデアリマス、此ノ
調本若クハ讓受ト云フコトヲ契機トシテ犯
罪ノ捜査等ヲ開始スルコトハナイト云フ方
針ニ付キマシテハ司法営局トノ間ニ打合
セ濟ミデアリマス、以上御答ヘ致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=18
-
019・田子一民
○議長(田子一民君) 岡崎久次郞君
〔岡崎久次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=19
-
020・岡崎久次郎
○岡崎久次郞君 只今提案サレテ居リマス
重要物資管理營團法案ニ付テ簡單ニ御質問
ヲ申上ゲタイノデアリマス、本案ハ書キ出
シハ非常ニ大キナ書キ出シデアリマスルガ、
資本金ハ二千万圓デアリマス、サウシテ他
ノ營團ニハ悉ク社債等ノ發行權ガアリマス
ルガ、本案ニハゴザイマセヌ要スルニ資
本金二千万圓ノ管理營團デアルト云フコト
ヲ先ヅ前提ニ御承知ヲ願ヒタイノト、其ノ
目的ハ重要物資ノ輸入、買入、保有及ビ利
用ヲ有效適切ナラシムル日的デアリマス
カラ其ノ目的ハ非常ニ大キイノデアリマ
ス、同時ニ必ズヤ本案ノ關聯スル所ノ南方
開發金庫法案、是ハ申スマデモナク一億圓
ニシテ、十億ノ社債ヲ發行シ得ル又戰時
金融金庫法案、是ハ三億デ、三十億ノ社債
ヲ發行シ得ル、此ノ二大法案ガ旣ニ提案サ
レテ居ルノデアリマス、本案ハ其ノ間ニ於
テ非常ニ小規模ノ案ニ見エルノデアリマス
ルガ、此ノ南方開發ト戰時金融トノ關係ヲ
必ズ持ツモノデアルト云フコトハ、法案ソ
レ白身ガ能ク說明ヲシテ居リマス、是レ故
ニ相常大キナ案トシテ取扱ヒ、愼重ニ此ノ
問題ニ付テ數箇ノ質問ヲ申上ゲテ見タイト
思フノデアリマス
第一ニ議會竝ニ國民ガ、現在ノ時局ニ於
テ最モ聽カントスル所ハ、造船竝ニ運輸計
畫デナクテハナラヌト思フノデアリマス
(拍手)是ハ詳シイ說明ヲ申上ゲルコトハ殆
ド不必要デアリマス、歐米ノ船ガ悉ク東亞
カラ撤退シタ今日我ガ國ガ大ナル造船計
畫ヲナシ、大ナル運輸計畫ヲ立テナケレバ
ナラヌコトハ萬人ノ認ムル所デ、政府モ恐
ラク此ノ點ニハ最大ナル考慮ヲ拂ツテ居ラ
レルニハ違ヒナイト信ジマス、併シナガラ
今囘提案サレタ八十何件ノ法律案ニ於テ是
ガ現ハレテ居ナイノハドウカト云フコトヲ
聽キタイノデアリマス(拍手)甚ダ〓憾ト存
ジ、隔靴搔痒ノ感ガナイデモナイト思ヒマ
ス、浩船技術ニ對シテハ、我國ハ決シテ英
米ニ劣ツテ居リマセヌ
〔議長退席、副議長着席〕
唯今日マデ遺憾ナノハ彼等ガ多クノ地
域ヲ占領シテ居ツタ爲ニ、航路ガ十分デナ
カツタコトヤ、或ハ船舶ノ「エンジン」トカ、
鐵材トカ、其ノ他ノ資材ガ不十分デアツタ
爲ニ壓迫サレテ居ツタノデアリマス、今日
此ノ場合日本ノ造船技術ハ斷乎トシテ世界
ニ冠タルモノガアルト思フノデアリマス
(拍手)此ノ際大ナル造船計畫ヲ茲ニ出サレ
ヌコトハ國民トシテ何トナク物足リナイ
氣ガ致スノデアリマスガ、此ノ點ハドウ御考
ヘニナルノデアリマスカ、更ニソレニ對シ
テ私案ヲ以テスレバ、造船計畫ハ海軍ノヤウ
ナ多年造船ニ苦心サレタ經驗者ニ依ツテ之
ヲ行ヒ、運輸計畫ハ遞信省ガヤルト云フヤ
ウナ關聯デ、非常ニ旨ク行クノデハナイカ
ト思ハレマスガ、何レニシマシテモ非常ナ
思切ツタ〓期的ノ造船計畫ヲ樹テラレルコ
トガ絕對ニ必要デアルト思フ此ノ重要物
資管理營園ノ如キモ速急ニヤラレタコトハ
私ハ多トスルノデアリマス、併シ造船計畫、
運輸對策ガナイノヲ遺憾トシ、之ヲ第一ニ
伺ヒタイト思フノデアリマス、サウシテ此
ノ造船計畫ハ必ズシモ大船巨船ダケデナク
テモ宜シイノデハナイカ、斯ウ云フ氣ガス
ルノデアリマス
第二ニハ南方開發金庫ト相連絡シ、輸入
保管ヲ取扱フノデアリマシテ、東亞ヨリ輸
入スル多クノ物資ガゴザイマス、現在保管
サレテ居ル物資ガ澤山アルト商工大臣ハ仰
シヤイマシタガ、是ハ知ツテ居リマスルガ、
更ニ今後戰局ノ推移ニ從ヒ東亞ヨリ多クノ
物資ヲ輸入シ、買入レナケレバナラヌ我カ
國ノ立場ニアルト存ジマス、ソレハ「ゴムㄴ
ニシロ、麻ニシロ、又其ノ他ノ軍需以外ノ
平和產業ニ於テ、「コプラ」デアルトカ、或
ハ椰子ノ實デアルトカ、凡ユル物資ガ南洋
ニ產出セラレルノデアリマスカラ、物資ハ
極メテ多種多樣デアリ、又數量モ多イト思
ヒマス、此ノ物資ノ輸入、保管、買入等ヲ
此ノ營團ガヤルノデアリマスガ、同時ニ之
ヲ國內ニ思切ツテ消費サセル方法ヲ執ラナ
ケレバ、保管ノミデハイカヌト思フ、卽チ
利用活用ト云フコトニ非常ニ多クノ重點ヲ
置カナケレバイケナイ、此ノ案デ見ルト唯
貯藏スルノデアルガ、貯藏ノミシテ居テハ
際限ガナイ、必ズヤ之ヲ活用利用サレナケ
レバナラヌト思ヒマスガ、此ノ活用利用ニ
付テノ一ツノ案ヲ御聽キシタイノデアリマ
ス(拍手)從來例ヘバ「ゴム」トカ、麻トカ云フ
モノニ付テノ需要ハ是レ〓〓デアル生產
ハ百何十万「トン」、需要ハ十万「トン」ダト
云フヤウナ御話ガアルガ、是ハ違ツテ居リ
マン、是ハ壓縮サレタ需要デアリマス、斯
樣ナ小サイ需要デハアリマセヌ、日本帝國
ノ產業ノ需要ハ、決シテ全部ヲ消費スルト
ハ言ハヌケレドモ、相當大量ノ消費ガ出來
ル筈デアルノデアリマス、此ノ活用コソ劃
期的ナ頭ヲ以テシナケレバ、小サナ從來ノ
囚ハレタル頭ダケデハ、此ノ消費ハ困難ダ
ト私ハ思フ(拍手)其ノ輸入ノ對策ト同時
二、國產品ノ輸出對策ガ又考ヘラレル其
ノ輸入サレタル「ゴム」ナリ、麻ナリ、「コプ
ラ」ナリ、凡ユル物資ヲ以テ國內ノ產業ヲ
樹立サセ、以テ中小工業者ノ再編成ヲ行ツ
テ行クコトガ必要デアル、商工省ガ玆ニ大
ナル決心ヲ以テ大所高所カラ之ヲ構成サセ
テ、以テセメテ日本ノ中小工業者ノ再編成
ノ一部ノ安定ヲサセル御考ヘヲナサツテハ
ドウカ(「其ノ通リ」ト呼ブ者アリ)卽チ之ヲ
以テ東亞共榮圈ニ輸出ヲスル幾多ノ輸出ノ
品物ガアルノデアリマス、日本ノ中小工業
者ニ依ツテ產出サレル種々ナル雜貨-俗
ニ言フ雜貨デアリマスガ、雜貨ノ種類ハ多
種多樣デアリ、又必ズ彼等ガ多ク需要スル
物デアリマス、輸出ト云フト、卽時ニ綿絲、
綿布ヲ考ヘラレルノデアリマスガ、綿絲、
綿布以外ニ幾多ノ物資ガ東亞共榮圈內ニ輸
出サレマス、而モ向フカラ五億モ六億モノ
澤山ノモノヲ買フノデアリマスカラ、其ノ
一部ヲ輸出ヲシテ、反對ニ供給ヲスルコト
ヲ考ヘナケレバ、軍票ナリ金ノミヲ永久
ニ出シテ行クコトハ到底不可能ダト思フノ
デアリマス、而モ彼等トシテハ絕對ニ要ル
ノデアリマス、此ノ輸入物資對策、是ノ利
用活用ト、中小工業者ノ爲メ澤山ノ輸出ヲ
考慮シテ行クコトガ非常ニ重要ナ問題デア
ル是ハ同時ニ勞力輸出デアルト思フノデ
アリマス、此ノ重要ナル關係ヲ、第一、第
二ヲ一括シテ御意見ヲ承リタイト思フノデ
アリマス
ソレカラ第三ニハ只今申上ゲタ通リ、是
ハ二千万圓デ何億ト云フモノヲ貯藏シヨウ
ト云フノデスカラ、少シ蟲ガ好過ギルノデ
アリマスガ、必ズヤ此ノ資金關係ハ何處カ
ニ求メナケレバナラヌガ、此ノ資金關係ヲ
上手ニヤツテ行カナケレバナラヌト考ヘマ
スガ、是ハ政府ガ貯藏シ、同時ニ貯藏品デ
アルカラ金融ヲ付ケルノダト、斯ウ仰シヤ
ルノデアリマスガ、金融ヲ付ケルト同時ニ、
何處カラドウ云フ風ニ金融ヲナサルノカ、
是モケチ臭イコトデハ私ハ駄目ダト思フ、
少シ大雜把ニ考ヘテオヤリナサラヌト、此
ノ二千万圓ノ資金ダケデ、社債ノ募集モ何
モ認メナイト云フノハ、ドウモ大藏省カラ
手ガ入ツテ、少シ是ハ縮小サレタ案デハナ
イカト思フ(「ヒヤ〓〓」拍手)サウ云フ氣ガ
スル、或ハサウデナイカモ知レナイサ
ウデアツテハナラヌ、商工大臣ハモウ一奮
發シテ之ヲ大キナ頭ヲ持ツテヤツテ行カ
ナイト、東亞共榮圈ノ共ニ榮エルト云フ意
味ガハツキリシナイト私ハ思フノデアリマ
ス(拍手)彼等ノ拵ヘタモノハ思ヒ切ツテ買
ツテヤラナケレバナラヌ、拵ヘタモノヲ買
ツテヤツテ、思ヒ切ツテ再加工シテ又彼等
ニ賣ツテヤルト云フヤウナ、相互ニ榮エル
考ヘヲ持ツテ行クニハ、此ノ資本金ハ餘リ
ニ寡小デアルト思ヒマス(「ヒヤ〓〓」拍手)
第四ニハ職員ノ權成デアリマス、是ハ先
程農業關係法案ノ問題ニ於テ喜多君カラモ
色々言ハレマシタノデ、私ハ深ク此ノ問題
ヲ申上ゲタクハナイノデアリマスガ、斯ウ
云フ營團ノコトデ、今後是ハ大イニ利用、
活用シナケレバナラヌ重大ナル責任ヲ持ツ
營團ノコトデアリマスノデドウカ徑來ノ
商工省ノ囚ハレタ考ヘデナク、一ツ有爲濶
達ノ人ヲ營團ノ總裁ニシテ戴キタイト思
フ、商工大臣ハ幸ヒニ壯年氣銳ノ人デアリヽ
一番若イ大臣デアリマズガ、一ツ總裁ハ私
ノヤウナ餘リ耄碌シタ爺ザンヲ持ツテ來ナ
イヤウニシテ戴キタイヽ此ノコトヲハツキ
リト申上ゲテ置ク、ゾレハ何故デアルカト云
フノニ、吾々ノ時代ノ人、五十、六十ト云
フヤウナ人ハ、旣往ノ歐米資本系統ニ四ハ
レテ居リ從來ノ〓育ガソレデ來テ居ル
ソレデハイケナイ、ドウシテモ東亞共榮圈
ヲ纏メテ行クノニハV我ガ日本皇道ニ基ク
正義ト博愛ノ氣分ヲ持ツテヤツテ貰ハナイ
ト、商工省ガ常ニ言フ事務的ナ考ヘダケデハ
私ハイカヌト思フ(「ヒヤ〓〓」拍手)是ハアナ
タノ御考ヘモ同ジデアルト私ハ信ズル、私
ハ商工省ニ獨善的觀念ガアツタカドウカ知
リマセヌガ、過去ニ於テ兎角獨善的デアリヽ
兎角我儘デアツタト人ガ言フノデアリマス
カラ、若シサウ云フコトガ本當ニアツタト
スレバ、是ハ一ツ思ヒ切ツテ一擲シテ、今
日デハ大東亞共榮圈ト云フ、今然從來ノ機
構ト違フ、大キナ〓〓非常ニ大キナ計書經
濟デアリ同時ニ商工省ハ大東亞經濟省デ
アル筈デアリマス、日本ノ商工省デハアリ
マセヌ、アナタハ日本ノ商工大臣デハアリマ
セヌ、大東亞共榮圈ノ經濟大臣デアツテ
重キヲ置ク人デアル其ノ人ガ幸ニ壯年氣
銳デアルノデアリマスカラ、思ヒ切ツテ職
員ハ公平無私ニ構成サレタイ、是ハ私決シ
テ言ヲ弄スルノデハナイ、非常ニ重大ナ任
務ヲ有スル營團デアリマスカラ、ドウゾ南
方聞發金庫法案、又重要物資管理營團法案、
戰時金融金庫法案等ト、三位一體トナルヤ
ウニ-一人ニシロトハ言ヒマセヌ、三人
デ宜シイガ、是ガ相互ヒニ疎隔シナイヤウ
ニ、アレハ俺ノ權限ダ、是ハ俺ノ權限ダト
云フヤウナ權限爭ヒヲシナイヤウニ、上手
ニヤツテ行クヤウニ組織シテ貫ヒタイ、特
ニ私ガ之ヲ注意スルノハ、南方開發金庫法
案、或ハ戰時金融金庫法案等ハ非常ニ大キ
ナ會社デアリマジテサウシテ是ハ大藏省
ノ管轄デアリマス、此ノ營團ハ非常ニ重要
ナモノデアルガ、商工省ノ管轄デアリマス、
ソレデ是ハ商工省ガ大藏省ニ壓迫サレルヤ
ウナコトデアツテハ困ル(拍手)ソコデ其ノ
點ノ關係ヲ察接ニシテ不可分ノ關係ニ置イ
テ、三位一體ノ行動ヲ執ツテ行カナイト、
折角ノ東亞共榮圈ノ共ニ榮エルト云フコト
ニ相成ラヌト思フ、此ノ點ハ能ク御請承ダ
ト思ヒマスガ、特ニ念ヲ押シテ此ノ席カラ
御願ヒヲ申上ゲテ置キマス、之ヲ以テ私ノ
質問ヲ終リマス(拍手)
〔國務大臣岸信分君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=20
-
021・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御答ヘヲ申上ゲマ
ス、第一ノ船ノ問題ニ付キマシテハヽ遞信
大臣ヨリ答辯ガアリマズ、私ハ第二ノ質問
以下ニ付キマシテ御答ヘヲ致ジマス、將來
南方方面ヨリ多量ノ重要物資ガ輸入セラレ
ルニ付テハ是ガ俣管ノミニアラズシテ
是ノ利用活用ヲ圖ラナケレバイカスト云フ
御考ヘニ付キマシテハ、全然吾々モ左樣ニ
考ヘテ居リマス、唯現在ノ狀況ニ於キマシ
テハ、初メニ御指摘ニテリマシタ如クY輸
送ノ狀況等ノ點モアリマズシ〃又現地ニ於
ケル現在ノ作戰ノ段階カラ申シマジテ、直
チニ大量ノ物資ガ輸入セラレ、之ヲ利用活用
シテ、國內一般ノ需要ニ充ヅルト云フヤウ
ナ事柄ニ付キマシテハ遺憾ナガラ現在ノ
狀況ニ於キマシテハ直グト云フゴトニハ參
ラヌト思ヒマス、併シナガラ將來是等ノ物
資ガ、軍需生產力擴充ハ勿論ノコト、一般民
需等ニ對シマシテモ、十分利用活用セラル
ルヤウニ考慮シテ參ラナケレバナラヌト私
モ考ヘテ居リマス).唯此ノ營團自ラサウ云
フ仕事ヲサセルコトハ適當デナイト思フノ
デアリマシテ)此ノ營團デ保管サレテ居リ
マスモノガ、一定ノ政府ノ計畫ニ基イテ、
ソレ〓〓ノ從來ノ企業產業者等ニ渡サレマ
シン、ソコデ利用活用ノ途ガ講ゼラルルコ
トニ相成ルト思フノデアリマス
次ニ是等ノ地域ニ對シテハ纖維品、其ノ
他一般雜貨等相當多量ニ輸出シテ、是等地
域ノ一般民衆ノ生活ノ安定ニ資シ、其ノ他
向ブヨリノ物資ノ獲得ニ資セナケレバナラ
ヌコトハ御說ノ通リニ考ヘテ居リマス、ゾ
レニ付キマジテ、我ガ國ノ中小工業ガサウ
云フ輕工業ノ生產ニ付キマシテ、從來獨特
ノ特長ヲ持ツテ居ル、之ヲ十分活カシテ行
クベキデアルト云フ御考ヘモ全然同感デア
リマス、今日私共ガ中小商工業ノ整理統合、
所謂再編成ヲ行ツテ居リマスルガ、是ハ御
承知ノ通リヽ一面ニ於キマシテハ國防經濟
ヲ急速ニ樹立スル爲ニ、我ガ國產業ノ重點
主義ヲ强化スルコトカラ已ムヲ得ナイ點ニ
出テ居リマスルシ、又從來是等中小商工業
ノ一面ニ於テハ特長モアルガ、一面ニ於テ
ハ缺點トシテ居ル所ノ企業ノ濫立、若クハ
非常ニ非能率的デアルト云プヤウナ事柄ニ
對シマシテ合理的ナ改善ヲ加ヘル基礎ト
シテ之ヲ整理統合スル必要ガアルト考ヘテ
居ツタノデアリマスルガ、此ノ必要ハ依然
トシテアルト思ヒマス、併シナガラ徒ラニ
中小工業ナルガ故ニ全部亜編成シテ、サウ
シテ他ノ方へ轉業セシメルト云フヤウナ考
ヘハ從來モ持ツテ居ラナカツタノデアリ
マスルガ、斯ウ云フ情勢ニアリマジテ輸
出產業等ニ於テ中小商工業ノ持ツテ居ル特
長ハ今後十分ニ活カシテ行グヤウニ考へ
ナケレバナラヌト存ジマス
次ニ本營團ノ資本金ガ二千万圓デ、此ノ
營團ノ仕事ニ比シテ極メテ少額デハナイカ
ト云フ點デアリマスルガ、資本金トシマシ
テハ確カニ二千万圓デ、極メテ少額デアリ
マスガ、本營團ノ仕事ノ性質上比較的短期
ノ借入金ニ依リマシテ仕事ガ運用サレルモ
ノト私共豫想シテ居リマス、數億圓ノ仕事
ハ勿論此ノ營團トシテシナケレバナラヌト
思ヒマス、他ノ類似ノ機關等が債劵ノ發行
ニ依ツテ資金ノ集メル形式ヲ採ツテ居リマ
スガ是等ハ多クハ長期ノ資金ヲ要スルガ
故ニ、サウ云フ形式ヲ採ツテ居リマスケレ
ドモ、此ノ管理營團ノ取扱ヒマスル品物ハヽ
其ノ或ル部分ハ長期ニ亙ツテ保管セラレル
モノモアリマスケレドモ、大部分ノモノハ
廻轉ヲ致シテ參リマスノデ、比較的短期ノ
資金デ宜イト思フノデアリマス、此ノ資金
ノ借入ニ付キマシテハ、戰時金融金庫、或
ハ現地ニ於キマシテハ南方開發金庫、又國
內ニ於キマシテモ一般銀行等ヨリ大體必要
ナ資金ノ借入ニ付キマシテハヽ計畫ヲ持ツ
テ居ルノデアリマス、最後ニ理事長ノ人選
ニ關シマシテノ御意見ニ付キマシテハ、全
然同感デアリマシテ、十分御趣旨ノ如ク副
フヤウニ微力ヲ致シタイト考ヘテ居リマス
(拍手)
〔國務大臣寺島健君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=21
-
022・寺島健
○國務大臣(寺島健君) 只今岡崎議員ノ御
質問ノ中ニ造船ニ關シマシテ一、二ノ點ノ
コトニ御觸レニナリマシタノデ、此ノ點ニ
付キマシテ御答ヘヲ申上ゲマス
先ヅ第一ニ今日運輸ノ重大ナルコトハ何
人モ分ツテ居ル所デアリ、特ニ海運ノ必要
ノ痛切ニ感ゼラレルコトハ周知ノコトデア
ル然ルニ今囘ノ法案ノ中ニモ造船計畫ノ
現ハレガナイ、斯ウ云フ御尋ネデアツダト
思ヒマズ、造船ニ付キマシテハ從來カラ遞
信大臣ニ於キマシテ年度々々、或ハ數年度
ニ亙ル造船計畫ヲ持ツテ居リマズ、是ガ實
施中ニ於キマシテ事變ノ進展ニ依リ、資材、
勞力、其ノ他ノ點カラ見マシテ、造船ガ計
畫ヨリモ遲レテ居ルト云フコトハ事實デア
リマス、併シナガラ今年度ニ於キマシテ
此ノ點ヲ十分ニ考慮ジ、此ノ軍事ノ進展ニ
伴ツテ、造艦ノ必要ノモノト十分ニ組合セ
マジテ、計畫通リニ造船ノ實(現ヲ期スルコ
トト致シテ居ルノデアリマス、隨ヒマシテ
今後ニ於キマシテハ御說ノ如キ計畫的ノ造
船法案ヲ提出スルコトニ相成ルヤモ知レマ
セヌガ、今日ニ於テ此ノ議會ニハ此ノ提案
ハ致シテ居リマセヌ
次ニ造船ノ必要ナルコトハ能ク分ツテ居
ルガ、之ヲ運輸ノ方ハ遲信省ニ於テ所管シ、
造船ノコトハ海軍ニ於テ所管シタラドウカ
ト云フ御尋ネデアツタカト存ジマス、運
輸ト造船トハ密接ナル關係ノアルコトハ言
フマデモナイノデアリマシテ、此ノ間ニ於
キマシテ、從來通リ逓信大臣ニ於テ運輸ト
造船ト之ヲ組合セルト共ニ、船舶ハ戰時ニ
於ケル海軍ノ豫備兵力デアリ、又軍用船ト
ナルモノデアリ、同時ニ必要ナ物資ノ輸送
ヲシナケレバナラヌ、此ノ間軍トハ常ニ密
接ナ連繫ヲ保ツテ計畫ヲ致シテ居リマス
併シナガラ戰時ニ於テ、特ニ今次ノ大東亞
戰爭ニ於キマシテハ一層其ノ密接度ヲ加
ヘルモノデアリマシテ、主ナル浩船所ハ今
日海軍ニ於テ管理ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス。此ノ管理工場ニ於キマシテ軍艦ト商
船ト同時ニ造ツテ居リマスル關係上、又其
ノ重要ナル部分ノ機 類ノ製造所モ同ジ場
所ニ複雜致シテ居リマスル關係上、是等ノ
工場ニ於ケル商船ノ建造ニ付キマシテハ
軍艦ノ建造ト密接ニ組合ハセマシテ重要
ナル脊材ノ調敷及ビソレ等ノ工場ニ於ケル
動力ノ配置等、一元的ニ海軍大臣ニ於テ之
ヲ指揮シ得ルコトニシマシテ、此ノ點ニ關
シマシテハ海務院長官ヲ指揮スルト云フコ
トニナツタ次第デアリマシテ、以テ造船ノ
確實ナル實現ヲ期シタイト存ジテ居リマス、
以上ヲ以テ御答ヘト致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=22
-
023・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 是ニテ質疑ハ
終了致シマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベキ
委員ノ選擧ニ付テ御諮リヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=23
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024・依光好秋
○依光好秋君 日程第二乃至第六ノ五案ヲ
一括シテ議長指名二十七名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=24
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025・内ヶ崎作三郎
○副議長(内ケ崎作三郞君) 依光君ノ耐議
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=25
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026・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 御異議ナシ
ト認メマス、仍テ耐議左ノ如ク決シマシ
タ-日程第七乃至第十ハ、便宜土一括議
題トナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=26
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027・内ヶ崎作三郎
○副議長(内ケ崎作三郞君) 御異議ナシト
認メマス、仍テ日程第七、郵便法中改正法律
案日程第八、郵便貯金法中改正法律案、日
程第九、鐵道敷設法中改正法律案、日程第
十、地方鐵道補助法中改正法律案、右四案
ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-寺島遞
信大臣
第一種書狀
第二種郵便葉書
第三種每月一囘以上刊行
スル定期刊行物
書籍印刷物、業
務用書類寫眞
第四種書書圖商品
ノ見本及雛形、博
物學上ノ標本
第五種農產物種子
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
郵便貯金法中改正法律案
郵便貯金法中左ノ通改正ス
第三條第一項中「三千圓」ヲ「五千圓」ニ改
ム
第七條中「郵便切手」ノ下ニ、「郵便貯金切
手」ヲ加フ
第七條ノ二郵便貯金切手ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ政府之ヲ發行ス
郵便貯金切手ニハ命令ノ定ムル所ニ依
リ割增金ヲ附スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ効令ヲ以テ之ヲ定ム
第七郵便法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
第八郵便貯金法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第九鐵道敷設法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第十地方鐵道補助法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
郵便法中改正法律案
郵便法中左ノ通改正ス
第十八條第一項ヲ左ノ如ク改ム
通當郵便物ノ種類及料金ハ左ノ如シ但
シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ料金ヲ低
減スルコトヲ得
重量二十グラム又ハ五錢
其ノ端數每ニ
(通常葉書二錢
往復葉書四錢
封緘葉書五錢
重量百グラム又ハ其錢
ノ端數每ニ
重量百グラム又ハ四錢
其ノ端數每ニ
重量百グラム又ハ錢
其ノ端數每ニ
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中左ノ通改正ス
別表第百二十九號中「福山」ヲ「大島」ニ改
ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
地方鐵道補助法中改正法律案
地方鐵道補助法中左ノ通改正ス
附則第二項中「昭和十七年四月一日」ヲ
「昭和二十二年四月一日」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
〔國務大臣寺島健君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=27
-
028・寺島健
○國務大臣(寺島健君) 只今議題トナリマ
シタ郵便法中改正法律案竝ニ郵便貯金法中
改正法律案ニ付キマシテ提案ノ理由ヲ御說
明申上ゲマス
先ヅ郵便法中改正法律案ニ付キマシテハ、
大東亞戰爭完遂ノ爲ニ、戰時財政ノ强化ヲ
期スルコトハ喫緊ノ要事デアリマス、斯カ
ル戰時國家ノ要請ニ應ヘマスルト共ニ、併
セテ通信事業、運營上ノ調整ヲ行ヒマス爲ニ、
各種通信料金ノ引上ヲナサントスルノデア
リマスガ、郵便料金ニ付キマシテハ書狀
及ビ封緘葉書等ノ基本的料金ハ法律ニ規定
セラレテ居リマスルノデ、是ガ改正ノ爲ニ
本案ヲ提出致シタ次第デアリマス
今囘行ヒマスル郵便料金引上ノ結果ハ、
國民ニ對シマシテ多少ノ負擔ヲ增スコトト
ナリマスガ、最モ普遍的ニ利用セラレテ居
リマスル通當葉書及ビ往復葉書ノ料金引上
ハ之ヲ行ハナイコトトシ國民ニ與ヘル影
響ヲ可及的少カラシムルヤウ致シテ居ル次
第デアリマスヽ何卒御寒議ノ上速カニ御協
贊アランコトヲ希望致シマス
次ニ郵便貯金法中改正法律案ノ趣旨ニ付
キマシテ申上ゲマス、戰時下財政政策ノ圓
滑ナル運行ヲ期スル上ニ於キマシテ、郵便
貯金ハ國民大衆ノ貯蓄機關トシテ最モ重要
ナ地步ヲ占メテ居リマスル關係上、是ガ機
能ノ發揚ニ付キマシテハ一段ト努力致シ
テ參ツテ居ルノデアリマス、幸ヒニシテ郵
便貯金ハ良好ナ成績ヲ擧ゲテ居ルノデアリ
マスルガ、現下ノ情勢ハ今後益〓國民貯蓄ノ
增强ヲ必要トシ、隨テ郵便貯金ニ課セラレ
ル使命モ亦愈〓、重大トナツテ參リマスノデ、
之ニ對應スル爲メ郵便貯金ノ一人ノ貯金制
限額三千圓ヲ五千圓ニ引上ゲ、國民ニ新タ
ナル貯蓄ノ目標ヲ與ヘマスルト共ニ、別ニ
郵便貯金切手ヲ發行シ、抽籤ニ依ツテ之ニ
割增金ヲ付ケル制度ヲ創設致シマシテ國
民大衆ニ貯蓄ニ依ル希望ト興味ヲ與ヘ、大
イニ貯蓄心ヲ振起セシメテヽ其ノ增嵩ヲ圖
リタイト存ズル次第デアリマス、戰爭ノ長
期化ニ伴ヒマシテ、國民貯蓄ノ奬勵ハ-
層之ヲ徹底强化スルノ必要ヲ痛感セラレテ
居ルモノデアリマス、何卒御寒議ノ上、速
カニ御協賛アランコトヲ希望スル次第デゴ
ザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=28
-
029・内ヶ崎作三郎
○副議長(内ケ崎作三郞君) 八田鐵道大臣
〔國務大臣八田嘉明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=29
-
030・八田嘉明
○國務大臣(八田嘉明君) 只今議題トナリ
マシタ鐵道敷設法中改正法律案ノ提出ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス今囘ノ改正ハ鐵道
敷設法別表第百二十九號ニ揭ゲラレテ居リ
マス豫定鐵道線路、卽チ渡島國上磯ヨリ木
古內ヲ經テ江差ニ至ル鐵道及ビ木古內ヨリ
分岐シテ福山ニ至ル鐵道ノ終點福山ヲ大島
マデ延長セントスルモノデアリマス、本線路
ノ沿道ハ時局下最モ緊要ナル鐵鋼ノ生產
ニ必要缺クベカラザル「マンガン」鑛ノ豐富
ナル埋藏地帶デアリマスカラ、此處ニ鐵道
ヲ敷設シテ、是ガ聞發ニ資シ、鐵鋼ノ增產ニ
寄與スルト共ニ、地方ノ交通產業ノ開發ニ
モ貢獻セントスルモノデアリマシテ、昭和
十七年度ヨリ工事ニ着手シタイト考ヘテ居
リマス、然ルニ本區間ハ鐵道敷設法別表ニ
揭ゲテアリマセヌカラ、之ヲ豫定鐵道線路
トシテ追加スル必要ガアリマスノデ、玆
本案ヲ堤出致シタ次第デアリマス
次ニ地方鐵道補助法中改正法律案ノ提案
ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、地方鐵道ニ對シ
マシテハ、其ノ運營ヲ碎保シ、効用ヲ增進
致シマシテ、國右鐵道ト一體トナツテ、交通
運輸ノ使命ヲ遂行致シマスルヤウ豫テヨリ
助長指導致シテ參ツテ居リマス、現行補助制
度ハ、斯カル方策ノ一トシテ漸次效果ヲ擧
ゲテ參ツテ居リマスルガ、現下ニ於ケル交通
ノ情勢ニ鑑ミマシテ、此ノ補助制度ヲ通ジ
テ積極的ニ指導シ、助長ヲ必要トスル鐵道
ハ尙ホ相當多イノデアリマス、然ルニ現行
補助法第一條ノ規定ニ依ル補助金ハ、昭和十
七年四月一日以後ノ期間ニ付テハ之ヲ交付
スルコトヲ得ナイコトニ相成ツテ居リマス
ルノデ、今囘法律ヲ改正シテ、年限ヲ延長
セントスル次第デアリマス、以上二案ニ付
キ何卒御審議ノ上御協賛アランゴトヲ切望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=30
-
031・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 各案ノ審査ヲ
付託スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=31
-
032・依光好秋
○依光好秋君 日程第七乃至第十ノ四案ヲ
一括シテ議長指名、二十七名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=32
-
033・内ヶ崎作三郎
○副議長(内ケ崎作三郞君) 依光君ノ動議
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=33
-
034・内ヶ崎作三郎
○副議長(内ケ崎作三郞君) 異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日
程第十一乃至第十五ハ、便宜上一括議題ト
ナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=34
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035・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 異議ナシト認
メマス、仍テ日程第十一、國民體力法中改
正法律案、日程第十二、國民醫療法案、日
程第十三、健康保險法中改正法律案、日程
第十四、國民健康保險法中改正法律案、日
程第十五、戰時災害保護法案、右五案ヲ一
括シテ第一讀會ヲ開キマス-小泉厚生大
臣
第十一國民體力法中改正法律案(政
府提出)第一讀會
第十二國民醫療法案(政府提出)
第一讀會
第十三健康保險法中改正法律案政
府提出)第一讀會
第十四國民健康保險法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
第十五戰時災害保護法案(政府提出)
第一讀會
國民體力法中改正法律案
國民體力法中左ノ通改正ス
第二條中「未成年者」ヲ「年齡二十六年未
滿ノ男子及年齡二十年未滿ノ女子」一文
ム
第三條本法ニ於テ保護者ト稱スルハ左
ニ揭グル者ニシテ本法施行地內ニ居住
地ヲ有スルモノヲ謂フ
-未成年者タル被管理者ニ對シ親權
ヲ行フ者(親權ヲ行フ者ナキトキハ
後見人又ハ後見人ノ職務ヲ行フ者)
二禁治產者タル被管理者ノ後見人
第四條第一項中「年齡二十年ニ達セザル
モノ」ヲ「年齡二十六年ニ達セザル男子及
年齡二十年ニ達セザル女子」ニ改メ同項
ニ左ノ但書ヲ加フ一
但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ
在ラズ
同條第二項中「前項ノ被管理者」ヲ「前項
ノ規定ニ依リ體力檢査ヲ受クルコトヲ要
スル被管理者(以下第四條第一項ノ被管
理者ト稱ス)」ニ改ム
第五條第一項中「前條第一項ノ規定ニ依
リ體力檢査ヲ受クルコトヲ要スル」ヲ「第
四條第一項ノ」ニ、同條第二項中「被管理
者ニシテ前條第一項ノ規定ニ依リ體力檢
査ヲ受クルコトヲ要スルモノ」ヲ「第四條
第一項ノ被管理者」ニ改ム
第六條第四條第一項ノ被管理者(同條
第二項ノ規定ニ依ル義務者アル場合ハ
其ノ義務者)ハ被管理者ノ氏名、生年月
日其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項ヲ被管
理者ノ居住地ノ市町村長ニ屆出ヅベシ
但シ命令ヲ以テ定ムル被管理者ニ關シ
テハ此ノ限ニ在ラズ
第六條ノ二地方長官ハ國民體力ノ向上
ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ第四條第一項ノ
被管理者ニ非ザル者ニ付テモ體力檢査
ヲ受ケシムルコトヲ得
前項ノ體力檢査ハ第五條第二項ノ學校
又ハ幼稚園ニ在學又ハ在園スル者ニ關
スル場合ヲ除クノ外地方長官之ヲ行フ
但シ事宜ニ依リ同條第一項ノ規定ニ準
ジ市町村長又ハ車業主若ハ管理人ヲシ
テ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第四條第二項、第五條第二項、第十條乃
至第十二條、第十三條及第十四條ノ規
定ハ第一項ノ規定ニ依リ體力檢査ヲ受
クルコトヲ要スル者ニ關シ、第八條第
二項乃至第四項ノ規定ハ第一項ノ規定
ニ依リ體力檢査ヲ受クルコトヲ要シ又
ハ要シタル者ニシテ體力手帳ノ交付ヲ
受ケタルモノニ關シ之ヲ準用ス此ノ場
合ニ於テハ第四條第二項、第八條第四
項第十一條又ハ第十二條中保護者ト
アルハ第六條ノ二第一項ノ規定ニ依リ
體力檢査ヲ受クルコトヲ要スル者ニシ
テ未成年者又ハ禁治產者タルモノニ付
親權ヲ行フ者、後見人タル者又ハ後見
人ノ職務ヲ行フ者ニシテ本法施行地內
ニ居住地ヲ有スルモノトシ第十三條第
一項中第五條第一項トアルハ第六條ノ
二第二項トシ第十三條第二項中第五條
第一項、第六條トアルハ第六條、第六
條ノ二第二項トス
第八條第一項山「被管理者」ヲ「第四條第
一項ノ被管理者」ニ、同條第三項中「前二
項」ヲ「前四項」ニ改メ同條第一項ノ次ニ
左ノ二項ヲ加フ
第四條第一項ノ被管理者ノ體力檢査ノ
結果ハ體力手帳ニ之ヲ記載スルモノト
ス第十條乃至第十二條ノ規定ニ依リ體
力向上ニ關スル指導若ハ指示ヲ爲シ又
ハ療養ニ關スル處置ヲ命ジタルトキ亦
同ジ
命令ヲ以テ定ムル體力ニ關スル檢査ヲ
行フ者體力手帳ノ交付ヲ受ケタル第四
條第一項ノ被管理者ヲ檢査シタルトキ
ハ其ノ結果ヲ體力手帳ニ記載スベシ醫
師體力手帳ノ交付ヲ受ケタル第四條第
一項ノ被管理者ニ付命令ヲ以テ定ムル疾
病ニ罹レルモノト診斷シタルトキ亦同ジ
第九條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
國民體力管理醫ハ其ノ職務ノ執行ニ當
リテハ國民體力ノ向上ニ關スル國策ノ
遂行ニ努ムルヲ旨トスベシ
第十一條及第十二條第一項中「體力檢査」
ノ下ニ「、命令ヲ以テ定ムル體力ニ關スル
檢査又ハ他ノ法令ニ依ル醫師ヨリノ患者
診斷ノ屆出」ヲ加フ
第十二條ノ二主務大臣又ハ地方長官ハ
體力檢査ニ基キ國民體力ノ向上ヲ圖ル
爲特ニ必要アリト認ムルトキハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ公共團體其ノ他ノ法人
又ハ團體ニ對シ體力向上ニ關シ處置又
ハ施設ヲ爲スコトヲ指示スルコトヲ得
第十三條第一項中「第十條乃至前條」ヲ
「第十條乃至第十二條」ニ、同條第二項中
「第八條第一項第二項及第十條乃至前條」
ヲ「第八條第一項乃至第四項及第十條乃
至第十二條」ニバ人
第十四條ノ二本法又ハ本法ニ基キテ發
スル命令ニ依ル地方長官ノ職權ノ一部
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ保健所ノ長ヲ
シテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第十五條第一號中「第五條第一項但書ノ
規定ニ依ル地方長官ノ命令」ヲ「第五條第
一項但書ノ規定(第六條ノ二第二項但書
ノ規定ニ依リ準ズル場合ヲ含ム)一條氏
命令」ニ改メ同條第二號中「被管理者、保
護者又ハ第四條第二項但書ノ規定ニ依ル
義務者」ヲ「被管理者(第六條ノ二第一項
ノ規定ニ依リ體力檢査ヲ受クルコトヲ要
スル者ヲ含ム)、保護者(第六條ノ二第一
項ノ規定ニ依リ體力檢査ヲ受クルコトヲ
要スル者ニシテ未成年者又ハ禁治產者タ
ルモノニ付親權ヲ行フ者、後見人タル者又
ハ後見人ノ職務ヲ行フ者ニシテ本法施行
地內ニ居住地ヲ有スルモノヲ含ム)又ハ
第四條第二項但書ノ規定(第六條ノ二第
三項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)
ニ依ル義務者」二郎、
第十六條第一號中「第四條第二項ノ規定」
ノ下ニ「(第六條ノ二第三項ノ規定ニ依リ
準用スル場合ヲ含ム)」ヲ、「被管理者」ノ下
ニ「(第六條ノ二第一項ノ規定ニ依リ體力
檢査ヲ受クルコトヲ要スル者ヲ含ム)」ヲ
加フ
附則第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第八條第一項ノ規定ハ第二條ノ規定ニ
該當スル者ニシテ前項ノ規定ニ依リ被
管理者タラザルモノノ中命令ヲ以テ定
ムル者ガ體力檢査ヲ受ケタル場合ニ之
ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
國民醫療法案
國民醫療法
第一章總則
第一條本法ハ國民醫療ノ適正ヲ期シ國
民體力ノ向上ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條本法ニ於テ醫療關係者トハ醫
師齒科醫師、保健婦、助產婦及看護
婦ヲ謂フ
第二章醫師及齒科醫師
第三條醫師及齒科醫師ハ醫療及保健指
導ヲ掌リ國民體力ノ向上ニ寄與スルヲ
以テ其ノ本分トス
第四條醫師又ハ齒科醫師タラントスル
者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ
免許ヲ受クルコトヲ要ス
第五條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對
シテハ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ與
스시
六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
二未成年者、禁治產者、準禁治產者、
精神病者、聾者、啞者及盲者
第六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對
シテハ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ與
ヘザルコトアルベシ
一六年未滿ノ懲役又ハ禁鋼ニ處セラ
レタル者
二醫事ニ關シ罰金ニ處セラレタル者
三前二號ニ該當スル者ヲ除クノ外醫
事ニ關シ不正ノ行爲アリタル者
第七條厚生省ニ醫籍及齒科醫籍ヲ備ヘ
醫師免許及齒科醫師免許ニ關スル事項
ヲ登錄ス
登錄スベキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條醫師ニ非ザレバ醫業ヲ、齒科醫
師ニ非ザレバ齒科醫業ヲ爲スコトヲ得
ズ
醫師ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣
ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ齒科專門ヲ
煙榜シ又ハ齒科醫業、中命令ヲ以テ定ム
ル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第九條診療ニ從事スル醫師又ハ齒科醫
師ハ診察治療ノ需アル場合ニ於テ正當
ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
診察又ハ檢案ヲ爲シタル醫師ハ診斷
書、檢案書又ハ死產證書ノ交付ノ需ア
ル場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ之ヲ
拒ムコトヲ得ズ
診察ヲ爲シタル齒科醫師ハ診斷書ノ交
付ノ需アル場合ニ於テ正當ノ事由ナク
シテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十條醫師ハ自ラ診察セズシテ治療ヲ
爲シ、診斷書若ハ處方箋ヲ交付シ又ハ
自ラ檢案セズシテ檢案書若ハ死產證書
ヲ交付スルコトヲ得ズ但シ診療中ノ患
者死亡シタル場合ニ交付スル死亡診斷
書ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
齒科醫師ハ自ラ診察セズシテ治療ヲ爲
シ又ハ診斷書若ハ處方箋ヲ交付スルコ
トヲ得ズ
第十一條醫師診療ヲ爲シタルトキハ本
人又ハ其ノ保護者ニ對シ療養ノ方法其
ノ他體力ノ向上上必要ナル事項ノ指導
ヲ爲スベシ
前項ノ規定ハ齒科醫師診療ヲ爲シタル
場合ニ之ヲ進用ス
第十二條醫師又ハ齒科醫師診療ヲ爲シ
タルトキハ遲滯ナク診療ニ關スル事項
ヲ診療錄ニ記載スベシ
前項ノ診療錄ニシテ病院又ハ診療所ニ
依リ爲シタル診療ニ關スルモノハ其ノ
病院又ハ診療所ノ管理者ニ於テ、其ノ
他ノ診療ニ關スルモノハ其ノ醫師又ハ
齒科醫師ニ於テ五年間之ヲ保存スベシ
第十三條醫師又ハ齒科醫師醫業又ハ齒
科醫業ニ關シ命令ヲ以テ定ムル科名ニ
付專門ヲ極榜セントスルトキハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ク
ベシ
第十四條醫業又ハ齒科醫業ニ關シテテ
何人ト雖モ前條ノ規定ニ依ル專門ノ標
榜ノ外技能、治療方法、經歷又ハ學位
ニ關スル廣〓ヲ爲スコトヲ得ズ但シ醫
師又ハ齒科醫師ノ稱號及命令ヲ以テ定
ムル診療科名ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
主務大臣ハ前項ニ規定スルモノノ外醫
業又ハ齒科醫業ニ關スル廣〓ヲ制限ス
ル爲必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第十五條醫師又ハ齒科醫師第五條各號
ノ一ニ該當スルトキハ其ノ免許ヲ取消
スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此
ノ限ニ在ラズ
醫師又ハ齒科醫師第六條各號ノ一ニ該
當シ又ハ醫師若ハ齒科醫師タルノ品位
ヲ損スル行爲アリタルトキハ免許ヲ取
消シ又ハ期間ヲ定メテ醫業若ハ齒科醫
業ヲ停止スルコトアルベシ其ノ事免許
前ニ係ル場合亦同ジ
前項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖モ改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フル
コトアルベシ第一項ノ取消處分ヲ受ケ
タル者ニ付第五條第二號ノ原因止ミタ
ルトキ亦同ジ
前項前段ノ規定ニ依リ再免許ヲ受ケタ
ル者主務大臣ノ定ムル期間內ニ於テ第
六條第一號又ハ第二號ニ該當スルニ至
リタルトキハ其ノ再免許ハ效力ヲ失フ
第一項乃至第三項ノ處分ハ主務大臣之
ヲ行フ
第三章醫師會及齒科醫師會
第十六條日本醫師會、道府縣醫師會、
日本齒科醫師會及道府縣齒科醫師會ハ
醫療及保健指導ノ改良發達ヲ圖リ國民
體力ノ向上ニ關スル國策ニ協力スルヲ
以テ月的トス
日木醫師會、道府縣醫師會、日本齒科
醫師會及道府縣齒科醫師會ハ法人トス
第十七條醫師又ハ齒科醫師ハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ道府縣醫師會又ハ道府縣
齒科醫師會ヲ設立スベシ
醫師又ハ齒科醫師ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師
會ノ會員トス
醫師又ハ齒科醫師ニ非ザルモ醫師免許
又ハ齒科醫師免許ヲ受クル資格ヲ有ス
ル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ道府
縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ノ會員
タラシムルコトヲ得ルモノトス
第十八條道府縣醫師會又ハ道府縣齒科
醫師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本醫
師會又ハ日本齒科醫師會ヲ設立スベシ
道府縣醫師會又ハ道府縣齒科醫師會ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ日木醫師會又ハ
日本齒科醫師會ノ會員トス
第十九條道府縣醫師會又ハ道府縣齒科
醫師會ハ其ノ會員ヨリ徵收スベキ收入
ニ關シテハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
第二十條前四條ニ規定スルモノノ外日
本醫師會、道府縣醫師會、日本齒科醫師
會及道府縣齒科醫師會ノ設立ノ手續、
區域、機關、經費ノ負擔及其ノ徵收、監
督、會員ノ懲戒其ノ他ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章醫療等ノ指導及監督
第二十一條病院、診療所又ハ產院ヲ開
設セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在
リテハ警視總監)ノ許可ヲ受クベシ
前項ニ規定スルモノノ外病院、診療所
及產院ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十二條主務大臣國民體力ノ向上ヲ
圖ル爲必要アリト認ムルトキハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ醫療關係者ト爲リタル
者ヲシテ二年以內主務大臣ノ指定スル
業務ニ從事スベキコトヲ命ズルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依ル命令ハ初テ醫療關係
者ト爲リタル時ヨリ一年以內ニ之ヲ爲
スモノトス
第二十三條主務大臣國民體力ノ向上ヲ
圖ル爲必要アリト認ムルトキハ醫療關
係者ニ對シ醫療、保健指導、助產及看
護ニ關シ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
第二十四條主務大臣ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ醫療關係者ヲシテ醫療、保健指
導助產及呑護ニ關シ必要ナル專項ノ
修習ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十五條主務大臣ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ醫療、助產及看護ノ報酬又ハ醫
療關係者ノ受クベキ給與ニ關シ必要ナ
ル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十六條主務大臣又ハ地方長官(東
京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム)必要
アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ當該官吏ヲシテ病院、診療所及產
院ニ臨檢シ其ノ權造設備又ハ診療錄其
ノ他ノ帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ
得
第二十七條本章ニ規定スルモノノ外保
健婦、助產婦及看護婦ニ關シ必要ナル
事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條本章ニ規定スル主務大臣ノ
職權ノ一部ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ地
方長官(東京府ニ在リテハ警視總監ヲ
含ム)ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第五章日本醫療團
第二十九條日本醫療團ハ國民體力ノ向
上ニ關スル國策ニ卽應シ醫療ノ普及ヲ
圖ルヲ以テ目的トス
日本醫療團ハ法人トス
第三十條日本醫療團ハ主タル事務所ヲ
東京市ニ置ク
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ、必
要ノ地ニ從タル事務所ヲ設置スルコト
ヲ得
第三十一條日本醫療園ノ資本金ハ一億
圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ
增加スルコトヲ得
第三十二條政府ハ一億圓ヲ日本醫療團
ニ出資スベシ
前項ノ出資ハ國債證劵ヲ交付シテ之ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
ヲルミノ
第三十三條第三十一條但書ノ場合ニ於
テハ勅令ヲ以テ定ムル者ハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ所有スル病院、診療所
又ハ產院ノ設備及其ノ附属設備ヲ出資
スルコトヲ得
第三十四條日本醫療團ハ出資ニ對シ勅
令ノ定ムル所ニ依リ出資證劵ヲ發行ス
第三十五條出資者ハ日本醫療團ノ承認
ヲ經ルニ非ザレバ其ノ持分ヲ讓渡スル
コトヲ得ズ
第三十六條日本醫療團ハ定款ヲ以テ左
ノ事項ヲ規定スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四資本金額、出資及資產ニ關スル事
項
五役員及會議ニ關スル事項
七六業務及其ノ執行ニ關スル事項
醫療債劵ノ發行ニ關スル事項
八會計ニ關スル事項
九公〓ノ方法
定款ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ變更
スルコトヲ得
第三十七條日本醫療團ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登
記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第三十八條日本醫療團ニハ所得稅、法
人稅及營業稅ヲ課セズ
北海道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ日本醫療團ノ事業ニ對シテ
ハ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第三十九條日本醫療團ニ付解散ヲ必要
トスル事由發生シタル場合ニ於テ其ノ
處置ニ關シテハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定
第四十條日本醫療團ニ非ザル者ハ日本
醫療團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用フル
コトヲ得ズ
第四十一條民法第四十四條、第五十條、
第五十四條及第五十七條竝ニ非訟事件
手續法第三十五條第一項ノ規定ハ日本
醫療團ニ之ヲ準用ス
第四十二條日本醫療團ニ總裁副總裁各
一ヘ理事五人以上及監事二人以上ヲ
置ク
總裁ハ日本醫療團ヲ代表シ其ノ業務ヲ
總理ス
副總裁ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本醫
療團ヲ代表シ總裁ヲ輔佐シテ日本醫療
團ノ業務ヲ掌理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ
代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ日本醫療
團ヲ代表シ總裁及副總裁ヲ輔佐シテ日
本醫療團ノ業務ヲ掌理ス
理事ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總裁及副
總裁共ニ事故アルトキハ其ノ職務ヲ代
理シ總裁及副總裁共ニ缺員ノトキハ其
ノ職務ヲ行フ
監事ハ日本醫療團ノ業務ヲ監査ス
第四十三條總裁、副總裁、理事及監事
ハ主務大臣之ヲ命ズ
總裁、副總裁及理事ノ任期ハ三年、監
事ノ任期ハ二年トス
第四十四條總裁、副總裁及理事ハ定款
ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務
ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲
ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スル
コトヲ得
第四十五條總裁、副總裁及理事ハ他ノ
職業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大
臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第四十六條日本醫療團ニ參與理事ヲ置
キ地方長官ノ職ニ在ル者ヲ以テ之ニ充
ツ
參與理事ハ日本醫療團ノ業務ニ參與ス
第四十七條日本醫療團ニ評議員若千人
ヲ置キ主務大臣之ヲ命ズ
評議員ハ業務經營ニ關スル重要ナル事
項ニ付總裁ノ諮問ニ應ジ必要アルトキ
ハ之ニ對シ意見ヲ述ブルコトヲ得
評議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ二年トス
第四十八條日本醫療團ニ顧問若干人ヲ
置キ總裁ノ推薦ニ依リ主務大臣之ヲ命
ズ
顧問ハ業務ニ關スル重要ナル事項ニ參
畫セシム
顧問ハ名譽職トス
第四十九條日本醫療團ハ左ノ業務ヲ行
フ
一病院、診療所及產院ノ經營
二前號ノ病院、診療所及產院ノ醫療
關係者ノ指導及錬成
三前各號ノ業務ニ附帶スル事業
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前
項ニ掲グル業務以外ノ業務ヲ行フコト
ヲ得
第五十條日本醫療團病院、診療所又ハ
產院ノ設備ノ讓渡又ハ貸付ニ付權原ヲ
有スル者ト協議ヲ爲スモ協議調ハザル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣
ニ其ノ讓受又ハ借受ニ付決定ヲ申請ス
ルコトヲ得
前項ノ申請アリタルトキハ主務大臣ハ當
該事項ニ付必要ナル決定ヲ爲スコトヲ
得
前項ノ決定中對價ニ付不服アル者ハ其
ノ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日
以內ニ通當裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前三項ニ規定スルモノノ外決定及之ニ
依ル病院、診療所又ハ產院ノ設備ノ讓
渡又ハ貸付ニ關シ必要ナル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
前四項ノ規定ハ病院、診療所又ハ產院
ノ事業ノ讓渡又ハ貸付ニ之ヲ準用ス
第五十一條日本醫療團ハ前條ノ規定ニ
依リ讓受ケタル病院、診療所又ハ產院
ノ設備又ハ車業ノ代價ニ付テハ國債證
劵ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證劵ノ
交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之
マルナム
第五十二條日本醫療團ハ第四十九條ニ
規定スル業務ノ用ニ充ツル爲必要ナル
土地、建物其ノ他ノ工作物又ハ土地ニ
關スル所有權以外ノ權利ヲ收用又ハ使
用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル收用又ハ使用ニ關シ
テハ土地收用法ヲ適用ス
第五十三條日本醫療團ハ政府ノ拂込ミ
タル出資金額ノ五倍ヲ限リ醫療債劵ヲ
發行スルコトヲ得
第五十四條醫療債劵ハ額面金額五十圓
以上トシ無記名利札附トス但シ應募者
又ハ所有者ノ請求ニ依リ記名ト爲スコ
トヲ得
醫療債劵ハ割引ノ方法ヲ以テ之ヲ發行
スルコトヲ得
第五十五條日本醫療團ハ醫療債劵借換
ノ爲一時第五十三條ノ制限ニ依ラズ醫
療債劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ醫療債劵ヲ發行シタ
ルトキハ發行後一月以内ニ其ノ發行額
面金額ニ相當スル舊醫療債劵ヲ償還ス
ベシ
第五十六條政府ハ醫療債劵ノ元本ノ償
還及利息ノ支拂ヲ保證スルコトヲ得
第五十七條醫療債劵ハ賣出ノ方法ヲ以
テ發行スルコトヲ得
第五十八條日本醫療團ニ於テ醫療債劵
ヲ發行セントスルトキハ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ
第五十九條醫療債劵ノ消滅時效ハ元本
ニ在リテハ十五年、利息ニ在リテハ五
年ヲ以テ完成ス
第六十條醫療債劵ノ所有者ハ日本醫療
團ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己
ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第六十一條所得稅法及有價證劵移轉稅
法中國債以外ノ公債ニ關スル規定ハ醫
療債劵ニ之ヲ準用ス
第六十二條前九條ニ規定スルモノノ外
醫療債劵ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第六十三條日本醫療團ノ事業年度ハ每
年四月ヨリ翌年三月迄トス
第六十四條日本醫療團ハ拂込ミタル出
資金額又ハ第三十三條ノ出資ニ對シ勅
令ヲ以テ定ムル割合ヲ超エテ剩餘金ノ
配當ヲ爲スコトヲ得ズ
日本醫療團ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ政
府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ減額シ
又ハ之ヲ爲サザルコトヲ得
第六十五條日本醫療團ハ左ノ方法ニ依
ルノ外業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコト
ヲ酸味
ー國債、地方債又ハ主務大臣ノ認可
ヲ受ケタル有價證劵ノ取得ヲ爲スコ
ト
二大藏省預金部若ハ銀行ヘノ預金又
ハ郵便貯金ト爲スコト
第六十六條日本醫療團ハ設立ノ時及每
事業年度ノ初ニ於テ財產目錄、貸借對
照表及損益計算書ヲ作成シ定款ト共ニ
之ヲ各事務所ニ備置クコトヲ要ス
債權者ハ業務時間內何時ニテモ前項ニ
揭グル書類ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第六十七條日本醫療團ハ主務大臣之ヲ
監督ス
第六十八條日本醫療團ハ主務大臣ノ認
可ヲ受クルニ非ザレバ剩餘金ヲ處分ス
ルコトヲ得ズ
第六十九條日本醫療團ハ每事業年度ノ
初ニ於テ專業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ
亦同ジ
第七十條主務大臣ハ日本醫療團ニ對シ
業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲サシ
メ檢査ヲ爲シ其ノ他監督上必要ナル
命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第七十一條主務大臣ハ日本醫療團ニ對
シ結核ノ療養其ノ他國民醫療ニ必要ナ
ル施設ヲ爲スコトヲ命ズルコトヲ得
第七十二條總裁、副總裁、理事又ハ監事
ガ法令、定款若ハ主務大臣ノ命令ニ違
反シ又ハ公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタル
トキハ主務大臣ハ之ヲ解任スルコトヲ
得
第七十三條政府ハ日本醫療團ニ對シ每
年度豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付
スルコトヲ得
第六章罰則
第七十四條第八條第一項ノ規定ニ違反
シタル者ハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓
以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者醫師若ハ齒科醫
師又ハ之ニ類スル名稱ヲ僣稱シタルモ
ノナルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第七十五條常該官吏又ハ其ノ職ニ在リ
タル者故ナク第二十六條ノ規定ニ依ル
診療錄ノ檢査ニ關シ知得シタル醫師若
ハ齒科醫師ノ業務上ノ祕密又ハ個人ノ
祕密ヲ漏洩シタルトキハ六月以下ノ懲
役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公
務員又ハ公務員タリシ者故ナク其ノ祕
密ヲ漏洩シタルトキ亦前項ニ同ジ
第七十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八條第二項、第九條、第十條、
第十二條又ハ第十三條ノ規定ニ違反
シタル者
二第十四條第一項又ハ第一一十一條第
一項ノ規定ニ違反シタル者
三第十四條第二項、若ハ第二十一條第
二項ノ規定ニ基キテ發スル命令又ハ
之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタル者
四第二十五條ノ規定ニ基キテ發スル
命令若ハ之ニ基キテ爲ス處分又ハ同
條ノ規定ニ依ル處分ニ違反シタル
者
五、第二十六條ノ規定ニ依ル當該官吏
ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル
者
六醫業停止中ノ醫師ニシテ醫業ヲ爲
シタルモノ又ハ齒科醫業停止中ノ齒
科醫師ニシテ齒科醫業ヲ爲シタルモ
ノ
第七十七條法人又ハ人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ前條第二
號第三號又ハ第四號ノ違反行爲ヲ爲
シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免カルルコトヲ得ズ
第七十八條第七十六條第二號乃至第四
號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理
事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行
スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナ
ルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス
但シ其ノ業務ニ關シ成年者ト同一ノ能
力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ
在ラズ
第七十九條左ノ場合ニ於テハ日本醫療
團ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ千
圓以下ノ過料ニ處ス
-第五章ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認
可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ
受ケザルトキ
二第五章ニ規定セザル業務ヲ營ミタ
ルトキ
三第五十三條又ハ第五十五條第二項
ノ規定ニ違反シ醫療債劵ノ發行ヲ爲
シ又ハ償還ヲ爲サザルトキ
四第六十五條ノ規定ニ違反シ業務上
ノ餘裕金ヲ運用シタルトキ
五主務大臣ノ監督上ノ命令又ハ處分
ニ違反シタルトキ
第八十條左ノ場合ニ於テハ日本醫療團
ノ總裁、副總裁、理事又ハ監事ヲ五百
圓以下ノ過料ニ處ス
本法ニ基キテ發スル勅令ニ違反シ
登記ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ登
記ヲ爲シタルトキ
二第六十六條ノ規定ニ違反シ書類ヲ
備置カザルトキ、其ノ書類ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載
ヲ爲シタルトキ又ハ正當ノ事由ナク
シテ其ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
第八十一條第四十條ノ規定ニ違反シ日
本醫療團又ハ之ニ類似スル名稱ヲ用ヒ
タル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第八十二條本法施行ノ期日ハ各規定ニ
付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十三條醫師法及齒科醫師法ハ之ヲ
廢止ス但シ同法中郡市區醫師會、道府
縣醫師會及日本醫師會竝ニ郡市齒科醫
師會、道府縣齒科醫師會及日本齒科醫
師會ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ定ムル時
迄仍其ノ效力ヲ有ス
第八十四條醫師法又ハ齒科醫師法ニ依
リ醫師免許又ハ齒科醫師免許ヲ受ケタ
ル者ハ本法ニ依リ醫師免許又ハ齒科醫
師免許ヲ受ケタル者ト看做ス醫師法又
ハ齒科醫師法ノ施行前醫術開業免狀又
ハ齒科醫術開業免狀ヲ得タル者ニ付亦
同ジ
醫師法施行前醫術假開業免狀ヲ得タル
者ノ爲ス醫業ニ關シテハ仍從前ノ例ニ
依ル
第八十五條本法ノ適用ニ付テハ明治十
三年第三十六號布告刑法ノ重罪ノ刑ニ
處セラレタル者ハ六年ノ〓役又ハ禁錮
以上ノ刑ニ、同法ノ禁錮ニ處セラレタ
ル者ハ六年未滿ノ徵役又ハ禁錮ニ處セ
ラレタル者ト看做ス
第八十六條醫師法又ハ齒科醫師法ニ依
ル醫籍又ハ齒科醫籍ノ登錄ハ之ヲ本法
ニ依ル醫籍又ハ齒科醫籍ノ登錄ト看做
ス
第八十七條醫師法又ハ齒科醫師法ニ依
リ爲シタル醫師免許若ハ齒科醫師免許
ノ取消ノ處分又ハ醫業若ハ齒科醫業ノ
停止ノ處分ハ之ヲ本法ノ相當規定ニ依
リテ爲シタルモノト看做ス此ノ場合ニ
於テ停止ノ期間ハ仍從前ノ例ニ依ル
第八十八條醫師法又ハ齒科醫師法ノ郡
市區醫師會道府縣醫師會及日本醫師會
竝ニ郡市齒科醫師會道府縣齒科醫師會
及日本齒科醫師會ノ權利義務ニシテ第
八十三條但書ノ規定ニ依リ勅令ヲ以テ
定ムル時ニ於テ存スルモノハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ各本法ノ道府縣醫師會及
日本醫師會竝ニ道府縣齒科醫師會及日
本齒科醫師會之ヲ承繼ス
第八十九條醫師法若ハ齒科醫師法又ハ
之ニ基キテ發スル命令ニ違反シタル者
ノ處罰ニ付テハ仍舊法ニ依ル
第九十條主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ日
本醫療團ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セ
シム
設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ
第九十一條定款ニ付主務大臣ノ認可ア
リタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク出資
ノ第一囘ノ拂込ヲ禀請スベシ
第九十二條出資ノ第一囘ノ拂込アリタ
ルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務
ヲ日本醫療團總裁ニ引〓ミグベシ
第九十三條日本醫療團ハ主タル事務所
ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スニ因
リテ成立ス
第九十四條結核豫防法中左ノ通改正ス
第七條第一項中「前條ノ規定ニ依リ設
置スル結核療養所」ノ上ニ「日本醫療團
ノ結核療養所又ハ」ヲ加フ
第九十五條登錄稅法中左ノ通改正ス
第二條ノ二日本醫療團ガ病院、診療
所又ハ產院ノ用ニ供スル不動產ニ關
スル權利ノ取得又ハ保存ニ付登記ヲ
受クルトキハ前條ノ規定ニ拘ラズ其
ノ登錄稅ノ額ハ不動產價格ノ千分ノ
一トス
第六條ノ二中「恩給金庫カ恩給債劵ニ
付」ヲ「恩給金庫又ハ日本醫療團カ恩給
債券又ハ醫療借劵ニ付」ニ、「恩給債劵
又ハ其ノ」ヲ「恩給債劵若ハ醫療債劵又
ハ其ノ」ニ改ム
第十九條第七號中「住宅營團、」ノ下ニ
「日本醫療團、」ヲ「住宅營團法、」ノ下ニ
「國民醫療法、」ヲ加フ
同條第十八號中「又ハ住宅營團」ヲ「、住
宅營團又ハ日本醫療團」ニ改ム
第九十六條印紙稅法中左ノ通改正ス
第五條第六號ノ四ノ次ニ左ノ一號ヲ加
フ
六ノ四ノ二日本醫療團ノ發スル出
資證劵竝ニ國民醫療法第四十九條第
一項第一號及第二號ノ業務ニ關スル
證書長事
健康保険法り改正注律案
健康保險法中左ノ通改正ス
第一條第一項中「療養ノ給付又ハ傷病手
當金、埋葬料、分娩費若ハ出產手當金ノ
支給」ヲ「保險給付」ニ改メ同條第二項ヲ
左ノ如ク改ム
保険者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ被保險
者ニ依リ生計ヲ維持スル者(以下被扶
養者ト稱ス)ノ疾病、負傷又ハ分娩ニ
關シ保險給付ヲ爲スモノトス
第二條第一項中「事業主ヨリ」ヲ削ル
第七條第二項中「補給金ヲ支給スル」ヲ
保險給付ヲ爲ス」ニ、「世帶員」ヲ「被扶養
者」ニ改ム
第九條ノ二行政官廳保險給付ニ關シ必
要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ當該官吏ヲシテ診療錄其ノ他ノ
帳簿書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十二條中「政府」ヲ「國、北海道、府縣、
市町村其ノ他之ニ準ズベキモノ」ニ改ム
第十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル事業
所ニ使用セラルル者ハ健康保險ノ被保
險者トス
-工場法第一條ノ規定ニ依リ同法ノ
適用ヲ受クル工場
二鑛業法ノ適用ヲ受クル事業場又ハ
工場
三法人又ハ命令ヲ以テ定ムル團體ノ
事務所ニシテ常時五人以上ノ從業員
ヲ使用スルモノ
四左ニ揭グル事業ノ事業所ニシテ常
時五人以上ノ從業員ヲ使用スルモノ
(イ)物ノ製造、加工、選別、包裝、
修理又ハ解體ノ専業
鑛物ノ採掘又ハ採取ノ專業
(ハ)(ロ)
電氣又ハ動力ノ發生、俥導又ハ
供給ノ車業
貨物又ハ旅客ノ運送ノ專業
貨物積卸ノ專業
物ノ販賣ノ車業
金融又ハ保險ノ事業
(ル)(ヌ)(リ)(チ)(ト)(ヘ)(ホ)(ニ)
物ノ保管又ハ賃貸ノ事業
媒介周旋ノ事業
集金、案內又ハ廣〓ノ事業
其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業
第十三條ノ二前條ノ規定ニ拘ラズ左ノ
各號ノ一ニ該當スル者ハ健康保險ノ被
保險者トセズ
船員保險ノ被保險者(勅令ヲ以テ
指定スル者ヲ除ク)
二一年ノ報酬ガ勅令ヲ以テ定ムル額
ヲ超ユル職員
三臨時ニ使用セラルル者ニシテ勅令
ヲ以テ指定スルモノ
四前各號ニ揭グル者ノ外勅令ヲ以テ
指定スル者
前條ノ規定ニ依リ健康保險ノ被保險者
タルベキ者ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモ
ノ國民健唐保險ノ被保險者タル期間ハ
之ヲ健康保險ノ被保險者トセズ
第十四條第十三條ニ規定スル事業所以
外ノ事業所ノ事業主ハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ其ノ事業所ニ使用セラルル者ヲ包括
シテ健康保險ノ被保險者ト爲スコトヲ得
前項ノ認可ヲ由請スルニハ被保險者ト
爲ルベキ者ノ二分ノ一以上ノ同意ヲ得
ルコトヲ要ス
第十五條第一項中「事業」ヲ「事業所」ニ、
同條第二項中「第十三條但書」ヲ「第十三
條ノ二」ニ改ム
第十五條ノ二健康保險ノ被保險者ヲ使
用スル事業所ノ事業主ハ主務大臣ノ認
可ヲ受ケ其ノ事業所ニ使用セラルル第
十三條ノ二第一項第二號ニ該當スル者
ヲ包括シテ健康保險ノ被保險者ト爲ス
コトヲ得
第十三條ノ二(第一項第二號ヲ除ク)、
第十四條第二項及前條第一項ノ規定ハ
前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十六條中「工場又ハ專業」ヲ「專業所」ニ
改ム
第十七條第一項中「第十三條及第十五條」
ヲ「第十三條、第十五條及第十五條ノ二」
二、「第十三修但書若ハ第十五條第二項」
ヲ「第十三條ノ二、第十五條第二項若ハ第
十五條ノ二第二項」ニ改メ同條第二項ヲ
削ル
第十八條中「第十三條及第十五條」ヲ第
十三條、第十五條及第十五條ノ二」ニ、「第
十三條但書若ハ第十五條第二項」ヲ「第十
三條ノ二、第十五條第二項、若ハ第十五條
ノ二第二項」ニ、「前條第一項」ヲ「前條」
ご えん
第十九條第一項中「第十五條」ノ下ニ「又
ハ第十五條ノ二」ヲ加フ
第二十條第十八條ノ規定ニ依リ被保險
者ノ資格ヲ喪失シタル者ニシテ喪失ノ
日前二月以上被保險者タリシモノハ勅
令ノ定ムル所ニ依リ繼續シテ被保險者
ト爲ルコトヲ得
第二十一條前條ノ規定ニ依ル被保險者
ハ同條ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタ
ル日ヨリ六月ヲ經過シタルトキ其ノ他
勅令ヲ以テ定ムル事由ニ該當スルニ至
リタルトキハ其ノ資格ヲ喪失ス
第十八條ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル被
保険者ガ死亡シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二十三條保險者ハ被保險者及被扶養
者ノ疾病若ハ負傷ノ療養又ハ被保險者
及被扶養者ノ健康ノ保持增進ノ爲必要
ナル施設ヲ爲シ又ハ之ニ必要ナル費用
ノ支出ヲ爲スコトヲ得
第二十三條ノ二第一項中「被保險者」ヲ
「被保險者及被扶養者」ニ、「保險者ノ施
設」ヲ「前條ノ施設」ニ改ム
第二十七條乃至第二十九條及第三十五條
中「車業」ヲ「事業所」ニ改ム
第三十條中「第十四條第一項」ノ下ニ又
ハ第十五條ノ二第一項」ヲ加フ
第三十一條中「一事業」ヲ「一又ハ二以上
ノ事業所」三六人
第三十三條削除
第三十七條ノ二主務大臣ハ健康保險組
合ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ第二十
三條ノ施設ヲ爲スコトヲ命ジ又ハ之ニ
必要ナル費用ノ支出ヲ命ズルコトヲ得
第四十二條中「業務」ヲ「事業所」ニ改ム
第四十二條ノ二健康保險組合ハ共同シ
テ其ノ日的ヲ達スル爲健康保險組合聯
今會ヲ設立スルコトヲ得
健康保險組合聯今會ハ法人トス
健康保險組合聯合會ヲ設立セントスル
トキハ規約ヲ作リ主務大臣ノ認可ヲ受
クベシ
主務大臣ハ健康保險組合ニ對シ健康保
喩組今聯今會ニ加入スルコトヲ命ズル
コトヲ得
第二十三條、第二十三條ノ二、第三十
四條、第三十六條乃至第三十九條及第
四十一條ノ規定ハ健康保險組合聯合會
ニ之ヲ準用ス
第四十三條被保險者ノ疾病又ハ負傷ニ
關シテハ左ニ揭グル療養ノ給付ヲ爲ス
一診察
二薬劑又ハ治療材料ノ支給
三處置、手術其ノ他ノ治療
四病院又ハ診療所ヘノ收容
五看護
六移送
前項第四號乃至第六號ノ給付ハ保險者
ガ必要アリト認ムル場合ニ於テ爲スモ
ノニ限ル但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ
此ノ限ニ在ラズ
第四十三條ノ二前條第一項第一號乃至
第四號ノ給付ヲ受ケントスル者ハ命令
ノ定ムル所ニ依リ保險醫及保險藥劑師
竝ニ保險者ノ指定スル者ノ中自己ノ選定
シタル者ニ就キ之ヲ受クルモノトス此
ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ定ムル場合
ヲ除クノ外主務大臣ノ定ムル所ニ依リ
一部負擔擔ヲ支拂フベシ
第四十三條ノ三保險醫又ハ保險藥劑醫
師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ醫師、齒科醫
師又ハ藥劑師ニ就キ行政官廳之ヲ指定
ス
醫師、歯科醫師又ハ藥劑師ハ正當ノ理
由ナクシテ保險醫又ハ保險藥劑師タル
コトヲ拒ムコトヲ得ズ
醫師、齒科醫師又ハ藥劑師ヲ使用スル者
ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ醫師、齒科
醫師又ハ藥劑師ガ保險醫又ハ保險藥劑
師タルコトヲ妨グルコトヲ得ズ
第四十三條ノ四保險醫及保險藥劑師ガ
療養ノ給付ヲ擔當スルニ關シ必要ナル
事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十三條ノ五保險醫若ハ保險藥劑師
又ハ之ヲ使用スル者ガ療養ノ給付ニ關
シ保險者ニ請求スベキ費用ノ額ハ勅令
ノ定ムル所ニ依ル
第四十四條ノ二療養ノ給付ハ同一ノ疾
病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ
關シ其ノ給付ヲ始メタル日ヨリ起算シ
六月ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲サズ
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保險
者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ
超エ繼續シテ療養ノ給付ヲ爲スモノトス
第四十五條中「一日ニ付」ノ下ニ「職員ニ
シテ勅令ヲ以テ定ムルモノニ在リテハ報
酬日額ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヲ、
其ノ他ノ者ニ在リテハ」ヲ加フ
第四十六條中「病院」ヲ「病院又ハ診療所」
ニット
第四十七條第一項及第一一項ヲ左ノ如ク改
ム
傷病手當金ノ支給期間ハ同一ノ疾病又
ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シ
テハ療養ノ爲勞務ニ服スルコト能ハザ
ルニ至リタル日ヨリ起算シ六月ヲ以テ
限度トス
第四十四條ノ二第二項ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第四十八條第一項中「前條」ヲ「第四十四
條ノ二」ニ改ム
第四十九條第一項中「報酬日額ノ三十日
分」ヲ「報酬月額」ニ改ム
第五十條中「二十圓」ヲ「勅令ヲ以テ定ム
ル額」ニ改ム
第五十一條保險者ハ被保險者ヲ產院ニ
收容スルコトヲ得
產院又ハ病院若ハ診療所ニ收容シタル
被保險者ニ對シテ支給スベキ分娩費及
出產手當金ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ減額スルコトヲ得
第五十六條第一項中「九十日」ヲ「三月」ニ
改ム
第五十七條ノ二前三條ノ規定ニ拘ラズ
被保險者タリシ者船員保險ノ被保險者
又ハ勅令ヲ以テ定ムル者ト爲リタルト
キハ保險給付ヲ爲サズ
第五十九條ノ二第一條第二項ノ保險給
付ニ關シ其ノ種類、範圍其ノ他必要ナ
ル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條中「傷病手當金ノ全部又ハ一
部ヲ支給セサル」ヲ「保險給付ノ全部又ハ
一部ヲ爲サザル」ニ改ム
第六十二條第二項中「病院、、病舍又ハ療
養所ニ收容セラレタル者ニ對シテハ」ヲ
「療養費ノ支給又ハ療養アリタルトキハ
其ノ限度ニ於テ」ニ改ム
同條第四項中「補給金ヲ支給スル」ヲ「保
險給付ヲ爲ス」ニ改ム
第六十三條中「之ニ支給スヘキ傷病手當
金ノ一部ヲ支給セサル」ヲ「之ニ爲スベキ
保險給付ノ一部ヲ爲サザル」ニ改ム
第六十九條ノ二第一項中「世帶員」ヲ被
扶養者」ニ、同條第二項中「補給金」ヲ「保
險給付」ニ改ム
第六十九條ノ三保險者ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ本章ニ規定スル保險給付ニ併
セテ保險給付トシテ其ノ他ノ給付ヲ爲
スコトヲ得
第七十條國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
健康保險事業ニ要スル費用ノ一部ヲ負
擔ス
第七十二條但書中「第二十條」ノ上ニ第
十五條ノ二又ハ」ヲ加フ
第七十四條第一項中「一日ニ付報酬日額」
ヲ「一月ニ付報酬月額」ニ改メ同項但書ヲ
左ノ如ク改ム
但シ被保險者タル資格ヲ喪失シタル月
ニ於テ被保險者タル資格ヲ取得シタル
者及第十五條ノ二又ハ第二十條ノ規定
ニ依ル被保險者ニ付テハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第七十六條中「其ノ期間」ノ上ニ「勅令ノ
定ムル所ニ依リ」ヲ加フ
第八十四條ノ二第八十一條及前條ノ規
定ニ依ル訴願又ハ行政訴訟ニ關シテハ
健康保險組合ハ之ヲ行政廳ト看做ス
第八十七條當該官吏又ハ其ノ職ニ在リ
タル者故ナク第九條ノ二ノ規定ニ依ル
診療錄ノ檢査ニ關シ知得シタル醫師若
ハ齒科醫師ノ業務上ノ祕密又ハ個人ノ
祕密ヲ漏洩シタルトキハ六月以下ノ懲
役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公
務員又ハ公務員タリシ者故ナク其ノ祕
密ヲ漏洩シタルトキ亦前項ニ同ジ
第九條ノ二ノ規定ニ依ル當該官吏ノ檢
査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
正當ノ理由ナクシテ第九條ノ規定ニ依
ル當該官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ
若ハ虚僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ其ノ檢査ヲ
拒ミ妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ三百圓
以下ノ罰金ニ處ス
第九十條第一項中「健康保險組合」ノ下ニ
「及健康保險組合聯合會」ヲ、「第三十七
條」ノ下ニ「(第四十二條ノ二第五項ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
職員健康保險法ハ之ヲ廢止ス
前項ノ規定施行前ノ職員健康保險ノ保險
給付及保險料其ノ他ノ徵收金ニ關シテハ
仍舊法ニ依ル
第二項ノ規定施行ノ際現ニ存スル職員健
棄保險組合ハ同規定施行ノ日ヨリ健康保
險組合ト爲リ職員健康保險組合ノ權利義
務ヲ承繼スルモノトス
第二項ノ規定施行ノ際現ニ職員健康保險
ノ被保險者タル者ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ健康保險ノ被保險者ト爲リタルモノト
ス
第二項ノ規定施行ノ際現ニ職員健康保險
ノ被保險者タリシ者ニシテ健康保險ノ被
保險者ト爲リタルモノノ受クル健康保險
ノ保險給付ニ關シテハ其ノ者ガ職員健康
保險ノ被保險者タリシ期間ハ健康保險ノ
被保險者タリシ期間ト看做シ其ノ者ガ職
員健康保險ノ被保險者トシテ保險給付ヲ
受ケタル期間ハ健康保險ノ被保險者トシ
テ之ニ相當スル保險給付ヲ受ケタル期間
ト看做ス
第二項ノ規定施行前職員健康保險ノ被保
險者ノ資格ヲ喪失シタル者ハ健康保險ノ
保險給付及徵收金ニ關シテハ健康保險ノ
被保險者タリシ者ト看做シ其ノ者ガ職員
健康保險ノ被保險者トシテ受ケタル保險
給付ハ健康保險ノ被保險者トシテ受ケタ
ル之ニ相當スル保險給付ト看做ス
第二項ノ規定施行前職員健康保險法ニ違
反シタル者ノ處罰ニ付テハ仍舊法ニ依ル
前六項ニ定ムルモノノ外第二項ノ規定施
行ノ際必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
勞働者年金保險法中左ノ通改正ス
第十六條及第十八條中「工場、事業場又
ハ事業」ヲ「事務所」ニ改ム
第十七條第一項中第二號ヲ左ノ如ク改
メ第三號及第四號ヲ削ル
二健康保險法第十三條ノ事業所以
外ノ事業所ニ使用セラルル者
第十八條中第三號ヲ左ノ如ク改ム
三前條第一項第二號ノ事業所ト爲
ルニ至リタルトキ
第二十四條第三項、第三十二條第二項
及第三十七條第二項中「工場、事業場若
ハ事業」ヲ「事業所」ニ改ム
國民健康保險法中改正法律案
國民健康保險法中左ノ通改正ス
第十一條第二項ヲ削ル
第十一條ノ二地方長官必要アリト認ム
ルトキハ命令ヲ定ムル所ニ依リ普通國民
健康保險組合ノ組合員タル資格ヲ有ス
ル者ニ就キ設立委員ヲ選任シ普通國民
健康保險組合ヲ設立スベキコトヲ命ズ
ルコトヲ得
前項ノ設立委員ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ規約ヲ作リ普通國民健康保險組合ノ
組合員タル資格ヲ有スル者ノ二分ノ一
以上ノ同意ヲ得テ其ノ設立ニ付地方長
官ノ認可ヲ受クベシ
設立委員地方長官ノ定ムル期間內ニ設
立ノ認可ヲ申請セザルトキハ地方長官
ハ規約ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナ
ル處分ヲ爲スコトヲ得
第十一條ノ三組合ハ設立ノ認可ヲ受ケ
タル時又ハ前條第三項ノ規定ニ依リ規
約ノ作成アリタル時ニ成立ス
第十三條第十一條ノ規定ニ依ル組合ニ
付其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ二
分ノ一以上組合員タル場合ニ於テ地方
長官必要アリト認メ其ノ組合ヲ指定シ
タルトキハ組合員タル資格ヲ有スル者
ハ總テ組合員ト爲ルモノトス
第十一條ノ二ノ規定ニ依リ普通國民健
庚保險組合ノ設立アリタルトキハ其ノ
組合員タル資格ヲ有スル者ハ總テ組合
員ト爲ルモノトス
特別ノ事由アル者ニシテ命令ヲ以テ定
ムルモノハ前二項ノ規定ニ拘ラズ組合
員ト爲ラザルモノトス
第十九條ノ二療養ノ給付ヲ受ケントス
ル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ保險醫及
保險藥劑師竝ニ組合ノ指定スル者ノ中
自己ノ選定シタル者ニ就キ診療又ハ藥
劑ノ支給ヲ受クルモノトス
第十九條ノ三保險醫又ハ保險藥劑師ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ醫師、齒科醫師
又ハ藥劑師ニ就キ地方長官之ヲ指定ス
醫師、齒科醫師又ハ藥劑師ハ正當ノ理由
ナクシテ保險醫又ハ保險藥劑師タルコ
トヲ拒ムコトヲ得ズ
醫師齒科醫師又ハ藥劑師ヲ使用スル
者ハ正當ノ理由ナクシテ其ノ醫師、齒
科醫師又ハ藥劑師ガ保險醫又ハ保險藥
劑師タルコトヲ妨グルコトヲ得ズ
第十九條ノ四保險醫及保險藥劑師ガ療
養ノ給付ヲ擔當スルニ關シ必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條ノ五保論醫若ハ保險藥劑師又
ハ之ヲ使用スル者ガ軽養ノ給付ニ關シ
組合又ハ組合ノ真業ヲ行フ法人ニ請求
スベキ費用ノ額ハ勅令ノ定ムル所ニ依
ル
第二十一條組合ハ被保險者ノ疾病若
ハ負傷ノ療養又ハ被保險者ノ健康ノ保
持增進ノ爲必要ナル施設ヲ爲シ又ハ之
ニ必要ナル費用ノ支出ヲ爲スコトヲ得
第二十八條ノ二第十一條ノ二第三項ノ
場合ニ於テハ前條第二項ノ規定ニ拘ラ
ズ地方長官ニ於テ普通國民健康保險組
合ノ理事ヲ命ズ
第四十條ノ二地方長官ハ組合又ハ組合
ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ組合聯合會ニ
加入スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四十二條中「第十七條、」ノ下ニ「第二十
修」ヲ加へ「及第三十條乃至第三十七
條」ヲ、「第三十條乃至第三十七條及第四
十六條」ニ改ム
第四十六條主務大臣及地方長官ハ組合
又ハ組合ノ専業ヲ行フ法人ニ對シ命令
ノ定ムル所ニ依リ第二十一條ノ施設ヲ
爲スベキコトヲ命ジ又ハ之ニ必要ナル
費用ノ支出ヲ命ズルコトヲ得
第四十九條削除
第五十二條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項ノ規定ニ依ル訴願又ハ行政訴訟ニ
關シテハ組合ハ之ヲ行政廳ト看做ス
第五十四條中「ニシテ其ノ社員ノ爲ニ醫
療ニ關スル施設ヲ爲スモノ」ヲ削ル
第五十四條ノ二前條ノ許可ヲ受ケ普通
國民健康保險組合ノ事業ヲ行フ法人ニ
付其ノ地區內ニ於テ普通國民健康保險
組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ二
分ノ一以上其ノ法人ノ社員タル場合ニ
於テ地方長官必要アリト認メ其ノ法人
ヲ指定シタルトキハ其ノ地區內ニ於テ
普通國民健康保險組合ノ組合員タル資
格ヲ有スル者及其ノ世帶ニ屬スル者ハ
總テ被保險者ト爲ルモノトス但シ命令
ヲ以テ定ムル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十條、、第二十二條及第二十三條ノ
規定ハ前項ノ規定ニ依ル被保險者ノ屬
スル世帶ノ世帶主ニ關シ之ヲ準用ス
第五十四條ノ三主務大臣及地方長官保
險給付ニ關シ必要アリト認ムルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏ヲシテ
診療錄其ノ他ノ帳簿書類ヲ檢査セシム
ルコトヲ得
第五十六條ノ二當該官吏又ハ其ノ職ニ
在リタル者故ナク第五十四條ノ三ノ規
定ニ依ル診療錄ノ檢査ニ關シ知得シタ
ル醫師若ハ齒科醫師ノ業務上ノ祕密又
ハ個人ノ祕密ヲ漏洩シタルトキハ六月
以下ノ徵役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處
ス
職務上前項ノ祕密ヲ知得シタル他ノ公
務員又ハ公務員タリシ者故ナク其ノ祕
密ヲ漏洩シタルトキ亦前項ニ同ジ
第五十四條ノ三ノ規定ニ依ル當該官吏
ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
ハ五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第五十七條第二項ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
戰時災害保護法案
戰時災害保護法
第一章總則
第一條戰時災害ニ因リ危害ヲ受ケタル
者竝ニ其ノ家族及遺族ニシテ帝國臣民
タルモノハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
第二條本法ニ於テ戰時災害ト稱スルハ
戰爭ノ際ニ於ケル戰鬪行爲ニ因ル災〓
及之ニ起因シテ生ズル災害ヲ調フ
第三條保護ハ救助、扶助及給與金ノ支
給ノ三種トス
第四條保護ハ保護ヲ受クベキ者ノ住所
地(救助ニ付テハ現在地)ヲ管轄スル地
方長官之ヲ行フ
第二章救助
第五條救助ハ戰時災害ニ罹リ現ニ應急
救助ヲ必要トスル者ニ對シ之ヲ爲ス
第六條救助ノ種類左ノ如シ
-收容施設ノ供與
二焚出其ノ他ニ依ル食品ノ給與
三被服、寢具其ノ他生活必需品ノ給
與及貸與
四醫療及助產
五學用品ノ給與
六埋葬
七前各號ニ掲グルモノノ外地方長官
ニ於テ必要ト認ムルモノ
救助ハ地方長官ニ於テ必要アリト認メ
タル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ
要救助者(埋葬ニ付テハ埋葬ヲ行フ者)
ニ對シ金錢ヲ給シテ之ヲ爲スコトヲ得
救助ノ程度、方法及期間ニ關シ必要ナ
ル專項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條地方長官ハ勅令ヲ以テ定ムル者
ヲシテ救助ノ實施ニ從事セシムルコト
ヲ得
第八條地方長官ハ要救助者ヲシテ救助
ノ實施ニ協力セシムルコトヲ得
第九條救助ヲ行フ爲特ニ必要アリト認
ムルトキハ地方長官ハ一時勅令ヲ以テ
定ムル施設ヲ管理シ、土地家屋若ハ
物資ヲ使用シ、勅令ヲ以テ定ムル者ヲ
シテ物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ收用
スルコトヲ得
第十條前條ノ規定ニ依リ管理、使用若
ハ收用シ又ハ保管セシムル準備ノ爲必
要アルトキハ地方長官ハ當該官吏ヲシ
テ施設、土地、家屋、物資ノ所在スル
場所又ハ物資ヲ保管セシムル場所ニ立
入リ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
地方長官ハ前條ノ規定ニ依リ物資ヲ保
管セシメタル者ヨリ必要ナル報告ヲ徵
シ又ハ當該官吏ヲシテ當該物資ノ所在
スル場所ニ立入リ檢査セシムルコトヲ
得
前二項ノ規定ニ依リ立入ル場合ニ於テ
ハ其ノ旨豫メ其ノ施設、土地、家屋又
ハ場所ノ管理者ニ通知スベシ
當該官吏第一項又ハ第二項ノ規定ニ依
リ立入ル場合ハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ
携帶スベシ
第十四條第一項ノ規定ニ依リ市町村長
又ハ之ニ準ズルモノ第一項及第二項ニ
規定スル職權ノ委任ヲ受ケタルトキハ
第一項、第二項及前項中當該官吏トア
ルハ當該吏員トス
第十一條第七條ノ規定ニ依リ救助ノ實
施ニ從事セシムル場合ニ於テハ勅令ノ
定ムル所ニ依リ其ノ實費ヲ辨償ス
第十二條第七條又ハ第八條ノ規定ニ依
リ救助ノ實施ニ從事又ハ協力スル者之
ガ爲傷痍ヲ受ケ、疾病ニ罹リ又ハ死亡
シタル場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ扶助金ヲ給ス
第十三條第九條ノ規定ニ依リ施設ヲ管
理シ、土地、家屋若ハ物資ヲ使用シ、
物資ヲ保管セシメ又ハ物資ヲ收用スル
場合ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ損失ヲ補償ス
前項ノ規定ニ依リ補償ヲ受クベキ者補
償ノ額ニ付不服アルトキハ其ノ金額ノ
決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ六月以內
ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第十四條地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ定ムル救助ニ關スル職權ノ
一部ヲ市町村長又ハ之ニ準ズルモノニ
委任スルコトヲ得
行政執行法第五條及第六條ノ規定竝ニ
之ニ基キテ發スル命令ハ前項ノ規定ニ
依リ地方長官ガ市町村長又ハ之ニ準ズ
ルモノニ委任シタル第七條乃至第十條
ノ規定ニ依ル職權ニ基キテ爲ス處分ニ
依リテ負フ義務ノ履行ヲ市町村長又ハ
之ニ準ズルモノガ强制スル場合ニ之ヲ
準用ス
第十五條地方長官ハ救助ノ爲必要アリ
ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ
道府縣、市町村又ハ之ニ準ズルモノヲ
シテ救助ニ要スル費用ヲ一時繰替支辨
セシムルコトヲ得
第三章扶助
第十六條扶助ハ左ノ各號ノ一ニ該當ス
ル者ニシテ當該ノ傷痍、疾病、身體障
害又ハ死亡ノ爲生活スルコト困難ト爲
リタルモノニ對シ之ヲ爲ス但シ傷痍、
疾病又ハ死亡ガ其ノ者又ハ扶助ヲ受ク
ベキ者ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因レ
ルモノナルトキハ扶助ヲ爲サザルコト
ヲ得
ー戰時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾
病ニ罹リタル者
二戰時災害ニ因ル傷痍又ハ疾病ノ治
癒シタル場合ニ於テ仍身體ニ著シキ
障害ヲ存スル者
三前二號ニ揭グル者ノ配偶者(屆出
ヲ爲サザルモ事實上婚姻ト同樣ノ關
係ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)若ハ直
系卑屬ニシテ前二號ニ揭グル者ト同
一ノ家若ハ世帶ニ在ルモノ又ハ前二
號ニ揭グル者ノ直系尊屬ニシテ前二
號ニ揭グル者ガ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病
ニ罹リタル時ヨリ引續キ同一ノ家若
ハ世帶ニ在ルモノ
四戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ配
偶者若ハ直系卑屬ニシテ戰時災害ニ
因リ死亡シタル者ノ死亡ノ時之ト同
一ノ家若ハ世帶ニ在リ且引續キ其ノ
家若ハ世帶ニ在ルモノ又ハ戰時災害
ニ因リ死亡シタル者ノ直系尊屬ニシ
テ戰時災害ニ因リ死亡シタル者ノ戰
時災害ニ罹リタル時之ト同一ノ家若
ハ世帶ニ在リ且引續キ其ノ家若ハ世
帶ニ在ルモノ
前項ノ規定ニ依リ扶助ヲ受ケ又ハ受ク
ベキ者本法ニ依リ救助ヲ受クルトキハ
救助ヲ受クルノ間其ノ者ニ對シ扶助ヲ
爲サズ
扶助ハ生活ニ必要ナル限度ヲ超ユルコ
トヲ得ズ
第十七條扶助ノ種類左ノ如シ
一生活扶助
二療養扶助
三出產扶助
四生業扶助
第十八條扶助ハ戰時災害ニ因リ危害ヲ
受ケタル時ヨリ勅令ヲ以テ定ムル期間
ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲サズ
扶助ノ程度及方法ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條扶助ヲ受クル者死亡シタル場
合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ埋葬
ヲ行ヒ又ハ埋葬ヲ行フ者ニ對シ埋葬費
ヲ給スルコトヲ得
第二十條扶助ヲ受クル者六年ノ懲役又
ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル場合ニ
於テハ其ノ者ニ對シ扶助ヲ爲サズ六年
未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル場
合ニ於テハ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執
行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ間亦同
ジ
第二十一條扶助ヲ受ケ又ハ受クベキ者
左ニ揭グル事由ノ一ニ該當スルトキハ
其ノ者ニ對シ扶助ヲ爲サザルコトヲ得
ー正當ノ理由ナクシテ扶助ニ關シ地
方長官ノ爲ス指示ニ從ハザルトキ
二正當ノ理由ナクシテ扶助ニ關スル
檢診又ハ調査ヲ拒ミタルトキ
三素行著シク不良ナルトキ又ハ著シ
ク怠惰ナルトキ
第四章給與金ノ支給
第二十二條戰時災害ニ因リ死亡シタル
者アルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ遺族ニ對シ給與金ヲ給ス戰時災害ニ
因リ傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲
身體ニ著シキ障害ヲ存スル者アルトキ
其ノ者ニ對シ亦同ジ
第二十三條戰時災害ニ因リ住宅(水上
生活者ノ居住ノ用ニ供スル舟ヲ含ム)
又ハ家財ノ減失又ハ毀損アリタル場合
ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ所
有者ニ對シ給與金ヲ給ス
第二十四條業務ノ性質上戰時災害ニ因
ル危害ヲ顧ミルコト能ハズシテ業務ニ
從事スルコトヲ要スル者當該業務ニ從
事中戰時災害ニ因リ傷痍ヲ受ケ若ハ疾
病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於テハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺
族ニ對シ給與金ヲ給ス此ノ場合ニ於テ
ハ第二十二條ノ給與金ハ之ヲ給セズ
前項ノ業務ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條正當ノ理由ナクシテ給與金
ノ支給ニ關スル檢診又ハ調査ヲ拒ミタ
ルトキハ其ノ者ニ對シ給與金ヲ給セザ
ルコトヲ得
第五章雜則
第二十六條本法ニ依ル保護ハ他ノ法令
ノ適用ニ付テハ貧困ノ爲ニスル公費ノ
〓救助又ハ扶助ニ非ザルモノトス
第二十七條本法ニ依リ給與ヲ受ケタル
金品ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ
課セズ
第二十八條本法ニ依ル給與金品ハ既ニ
給與ヲ受ケタルト否トニ拘ラズ之ヲ差
押フルコトヲ得ズ
第二十九條本法ヲ朝鮮、臺灣又ハ樺太
ニ施行スル場合ニ於テ必要アルトキハ
勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
第六章罰則
第三十條第七條ノ規定ニ依ル命令ニ從
ハザル者ハ六月以下ノ徵役又ハ五百圓
以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條詐僞其ノ他ノ不正ノ手段ニ
依リ保護ヲ受ケ又ハ受ケシメタル者ハ
六月以下ノ徵役又ハ五百圓以下ノ罰金
二段、〇〇、
第三十二條第十條第一項若ハ第二項ノ
規定ニ依ル常該官市若ハ當該吏員ノ立
入檢査ヲ拒ミ妨ゲ若ハ忌避シ又ハ同
條第二項ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ若
ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタル者ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣小泉翔彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=35
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036・小泉親彦
○國務大臣(小泉観客君) 只今議題トナリ
マシタ法案中、先ヅ最初ニ國民體力法中改
正法律案竝ニ國民醫療法案ニ付テ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス
大東亞戰爭ノ目的完遂ノ爲ニハ心身共ニ
剛健ニシテ大東亞共榮圈內ノ如何ナル地
域ニモ雄飛シ得ル不撓不屈ナル多數ノ國民
ヲ保持スルコトガ絕對ニ必要デアルト存ズ
ルノデアリマス、之ヲ以チマシテ政府ニ於
キマシテハ特ニ主眼目ヲ第一ニ靑壯年層ノ
體力鍊成ト結核後防ニ、第二ニハ結核其ノ
他ニ對スル適正ナル醫療施設ノ普及ニ第
三ニハ我ガ民族悠久ノ發展ノ爲メ缺クベカ
ラザル乳幼兒、姙產婦ノ保護ニ於キマシテ、
國民體力ノ向上ニ關スル綜合的方策ヲ樹立
シ、之ガ實效ヲ擧グルニ萬潰憾ナキヲ期シ
テ居ル次第デアリマス、而シテ是ガ爲ニハ
國民體力向上ノ指導體制ヲ〓備確立スルコ
トト醫療體制ヲ〓備充實致シマスルコ
トガ何ヨリモ緊要デアルト存ズルノデアリ
やく、國民體力ノ向上ニ資スル根本法ト致
シマシテハ曩ニ各位ノ御協贊ヲ得マシテ
北京市公安局海淀分局未成年者ノ體力向上ニ努メ神經濟學
ドキドメ今囘同法ノ內容
卽チ一ツニハ靑年層ノ結核豫防ノ徹
底ヲ圖リマスル爲ニ、被管理者ノ範圍ヲ擴
張スルコトトシヽ二ニハ體力檢査及ビ其ノ
結果ニ基ク指示及ビ處置ニ强力ニ實施シ得
ルノ途ヲ開ク等ノ改正ヲ加ヘマシテ)以テ
國民體力向上ヲ圖ルガ爲ノ綜合的指導ニ付
キ、眞ニ萬遺憾ナキヲ期シタノデアリマ
ス、而シテ此ノ國民保健ノ指導體制ノ確立
ト相俟チマシテ醫療體制ノ整備確立ヲ圖
ルコトモ亦保健國策遂行上必要不可缺ノコ
トト存ズルノデアリマス、惟フニ保健國策
ノ遂行ニ當リマシテハ醫師其ノ他ノ醫療
關係者ノ熱意アル協力ガアツテコソ所期ノ
目的ヲ達成シ得ルモノト存ズルノデアリマ
ス、然ルニ現行醫療制度ハ、其ノ創始以來
相當ノ年月ヲ經過シテ、時局ノ要請ニ卽應
シ得ナイ憾ミガ存スルニ至ツテ居リマスノ
デ、今回新タニ國民醫療法ヲ制定致シマシ
テ現行醫師法及ビ齒科醫師法ハ之ニ統合
規定致シマスルト共ニ、日本醫療團ヲ創設
スルコトト致シマシテ、一ハ以テ醫師等ヲ
シテ保健國策ニ一層寄與協力セシムルノ途
ヲ開キ、一ハ以テ醫療內容ノ向上ト、醫療
施設ノ適正ナル普及ニ萬遺憾ナカラシムル
コトヲ期シタノデアリマス以上二法案ハ
畢音鉢後ニ於ケル豫備的兵力及ビ生產勞力
ノ割期的增强ト、進ンデハ將來大東亞共榮
圈ノ〓保ニ必要ナル要員充足ニ遺憾ナカラ
シムルコトヲ目途トスルニ外ナラナイノデ
アリマシテ、又一面ニ於キマシテハ之ニ依
リ國民生活ノ安定ニ資スルコトモ亦多大ナ
ルモノガアルト信ズルノデアリマス
次ニ健康保險法中改正法律案竝ニ國民健
康保險法中改正法律案ニ付キ提案ノ理由ヲ
說明申上ゲマス現在我ガ國ニ於ケル健康
保險ノ制度トシマシテハ工場、鑛山等ニ
使用セラレマスル勞務者、其ノ他少額所得
被傭者ノ爲ニ、其ノ疾病負傷等ニ關シ療養
ノ給付又ハ傷病手當金ノ支給等ヲ致シマス
ル健廉保險法ト、事務所、商店等ニ使用セ
ラレマスル俸給生活者ノ爲ニ、其ノ疾病負
傷等ニ關シ療養費、又ハ傷病手當金ノ支給
等ヲ致シマスル職日健康保險法ト、農山漁
村ノ居住考及ビ都市ニ於ケル中小商工業者
ノ爲ニ、其ノ疾病負傷等ニ關シ療養ノ給付
等ヲ致シマスル國民健康保險法トガ存在ス
ルノデゴザイマスルガ、是等ノ保險制度ハ
何レモ一面ニハ醫療費負擔ノ輕減ニ依リ
國民生活ノ安定ニ資シ、他面ニハ醫療施設
ノ適正ナル普及ニ貢獻スル所極メテ大ナル
モノアルニ鑑ミマシテ、今囘其ノ總テニ通
ジマシテ被保險者ノ範圍ヲ擴充スル等ノ方
法ニ依リマシテ可及的ニ大部分ノ國民ヲ
社會保險制度ノ恩澤ニ均霑セシメ得ルコト
ト致シタノデアリマス
先ヅ健康保險法ノ改正ノ要點ヲ申上ゲマ
スト、第一ニハ職員健康保險法ヲ健庚保險
法中ニ統合規定致シマシテ、事務ノ簡捷ヲ圖
ルコトトシ第二ニハ被保険者ノ範圍ヲ擴
張致シマシテ年收千八百圓マデノ職員ヲ
被保險者タリ得ルコトトシ第三ニハ家族
ニ對スル保險給付及ビ結核性疾病ニ對スル
延長給付ハ、從來任意給付デアリマシタガ、
之ヲ法定給付ト致シ、且ツ其ノ內容ニ付キ
マシテモ相當程度ノ改善ヲ加ヘルコトト
シ、第四ニハ保險醫ノ制度ヲ整備シタコト
等デゴザイマス
次ニ國民健康保險法ノ改正ノ要點ヲ申上
ゲマスルト、第一ニハ從來普通國民健康保
險組合ノ設立ハ任意デアリマシタノヲ改メ
マシテ、必要ニ應ジ强制設立ヲ命ジ得ルコ
トト致シマスルト共ニ、組合ニ對スル强制
加入ノ制度ヲ强化致シマシテ、第二ニハ健
康保險ニ於ケルト〓樣ニ保險醫ノ制度ノ整
備其ノ他ノ若干ノ改正ヲ致シタコトデア
リマス
最後ニ戰時災害保護法案ニ付テ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス、今後戰局ノ推移ニ
伴ヒ、敵國航空機ノ來襲等ノ場合、之ニ依
ツテ生ズル戰時災害ノ爲ニ危害ヲ受ケマシ
タモノヲ保護シ、戰時災害ニ對シ何等ノ
不安ヲモナカラシメ、戰時下ニ於ケル國民
生活ノ安固ヲ圖リマスルト共ニ、其ノ士氣
ノ昂揚及ビ民心ノ安定ヲ期スルコトハ極メ
テ肝要デアルト存ズルノデアリマス、然ル
ニ現行ノ制度ヲ以チマシテハ戰時災害ニ
對スル保護ノ完璧ヲ期スルコトハ甚ダ田難
デアリマスルノデ、玆ニ戰〓災害ノ保護ニ
關スル法律ヲ制定スルコトトシ本案ヲ提
出スルニ至ツタ次第デアリマス
鹿児島天天高精神學生育学院一定ノ體驗設定
、又ハ其ノ更生ヲ便ナラシムルコトヲ
目的トスルモノデアリマシテ保護ノ內容
ニ付キマシテ簡單ニ申上ゲマスレバ、第一
ニハ罹災者ノ應急救助デアリマス、是ハ現
ニ救助ヲ必要トスル罹災者ニ對スル炊出シ
又ハ醫療ヲ行ヒ、食糧、被服、寢具其ノ他
ノ生活必需品ヲ給與シ或ハ又假住宅ヲ供
與スルモノデアリマス第二ニハ生活困難
2017.02.25(뉴스1 2017년是ハ災害ニ因
又
是ガ爲メ生活因難トナ
マシタル本人其ノ家族又ハ遺族ニ對シ
療養、出產、生業等ノ扶助ヲ
第三ニハ災害ヲ受ケタル者ニ對スル給與
金ノ支給デアリマス、是ハ災害ニ因ル死亡
者ノ遺族又ハ不具癈疾者ニ對シ、死亡給與
金又ハ障害給與金ヲ支給シ、或ハ住宅家財
等ヲ滅失又ハ毀損セラレタルモノニ對シマ
シテ、其ノ更生ニ便ナラシメマスル爲メ
若干ノ給與金ヲ支給スルノデアリマス尙
ホ業務上戰時災害ニ因ル危害ヲ顧ルコト
能ハザル者ガ其ノ業務ニ從事中侮痍ヲ受
ケ又ハ疾病ニ罹リ、或ハ死亡致シマシタ
ル時ハ、一般人ノ場合ヨリモ給與金ノ支給
程度ヲ高メテ給シタイト考ヘテ居リマス
以上五件ノ法律案ニ付テ御說明申土ゲタ
ノデゴザイマスルガ、何卒御定議ノ上速カ
ニ御協贊アランコトヲ切望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=36
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037・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 質疑ノ通〓ガ
アリマス、順次之ヲ許シマス-三善信房
君
〔三善信房君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=37
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038・三善信房
○三善信房君 私ハ只今議題ニナツテ居リ
マス法律案ニ付キマシテ二、三政府ノ所信
ヲ伺ヒタイノデアリマス、昨年人口政策確
立要綱ガ閣議ニテ決定ヲ見タノデアリマス、
我ガ日本民族ガ大東亞共榮圈ノ指導者トナ
ル爲ニハ少クトモ之ニ對スル備ヘガナケ
レバナラヌト思フノデアリマス、卽チ生產
力ノ擴充ト國防力ノ强化トハ絕對的ニ必要
マス信ニハ人的資源ガ而シテ之ヲ實現致シ
最モ必要デアリマス、
由來民族ノ盛〓興亡ノ跡ヲ調ベテ見マスル
스、人口ノ社態ト密接ナル關係ヲ持ツテ居
ルコトハ爭ハレナイ事實デアリマス、勿論
人口ノ總量ヨリモ質ガ肝要デアルト云フコ
トハ今更申スマデモナイコトデアリマス
近年衞生知識ノ普及ト文化施設ノ擴充トニ
依リマシテ、漸次死亡率ガ低下シマシタル
コトハ洵ニ慶バシキ現象デアリマス、併シ
ナガラ是ト同時ニ出生率ガ著シク低下シタ
ノデアリマス、此ノ出生率ノ低下コソハ我
ガ國人口政策上重大ナル影響ヲ來スモノデ
アリマシテ、動モシマスレバ民族老衰ノ現象
ガ現ハレテ來ルノデハナイカト思ハレルノ
デアリマス、如何ニ政府ガ生メヨ殖ヤセヨ
ト喧傳致シマシテモ之ニ對應スル所ノ施
策ガナカツタナラバ、出生ノ增加ト云フモ
ノハ〓ラレナイノデアリマス、政府ハ本議
會ニ於キマシテ人口問題ノ爲ニ特殊ノ助
成、或ハ負擔ノ輕減等、經濟的援助ヲナス
提案ヲシテ居ラレルノデアリマス、併シナ
ガラ經濟的援助モ、勿論必要デアリマスガ
是ト同時ニ思想、〓育、文化等、是等ガ一
體トナツテ初メテ人口問題ガ解決シ得ラレ
ルモノデアルト信ズルモノデアリマス、是
等ノ綜合的人口政策ガ見ラレナイコトハ洵
ニ遺憾トスル所デアリマシテ、政府ハ折角
人口政策確立要綱ヲ決定致シテ居リマスカ
ラ一々之ヲ實行ニ移シテ、唯机上ノ空論
ニ終ラナイヤウニシナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、此ノ人口ノ綜合政策ニ對シ
マシテ政府ハ如何ナル所信ヲ有セラルルヤ
ヲ承ツテ見タイト思フノデアリマス
次ニ人口政策害施ノ爲ニハ出生ノ增加
ト死亡ノ減少ヲ圖リマスコトガ必要ナルコ
トハ前ニ申シマシタ通リデアリマス、出生
ノ增加ニ付キマシテハ他ノ機會ニ讓ルコト
ト致シマシテ、法案ニ最モ關係アル死亡率
ノ低下、就中人口問題上最モ重要視セラル
ル結核ノ撲滅、乳幼兒ノ俣護等ニ付キマシ
テ政府ノ所信ヲ伺ヒタイト思フノデアリマ
ス、近年結核ニ依ル死亡者ハ每年十五万人
ヲ突破致シテ居リマシテ人口一万人ニ對
シマシテ實ニ二十一人デアリマス、之ヲ諸
外國ノ一万人ニ對シ六人乃至七人ニ比較致
シマスレバ、實ニ我ガ國ハ三倍ノ死亡率デ
アリマス、而モ年々增加ノ傾向ヲ有シテ居
リマスルコトハ洵ニ遺憾トスル所デアリマ
ス、從來結核患者ナシト稱ヘラレテ居ツタ
所ノ農村ニ於テ、著シク增加ノ傾向ガアルノ
デアリマス、農村歸農者ノ健康診斷ノ結果ニ
付テ調ベテ見マスレバ政府自ラ一道各府
縣ニ就テ調査シマシタ其ノ實績ニ徵シマシ
テモ、最モ多キ縣ハ百人中八十九人七分ノ
結核患者ガアリマス、平均致シマスト一二·
五%ニナルノデアリマシテ、如何ニ農村ニ結
核病ガ蔓延シテ居ルカト云フコトガ窺ハレ
ルノデアリマス我ガ國ノ如キ、勞働力又
ハ兵力ノ給源地デアル所ノ農村ニ於テ斯
ノ如キ現象ヲ見ルニ至リマシタコトハ洵ニ
遺憾トスル所デアリマス今ニシテ是ガ對
策ヲ講ジナケレバ、國家ノ爲メ由々シキ大
事ガ招來セヌトモ限ラナイノデアリマス
(拍手)是レ固ヨリ農村ノ靑壯年ガ工場、鑛
山等ニ勤務致シマシテ急激ナル仕事ノ變
化ニ依ツテ來ルモノデアリマスガ、一番搾り
恰モ結核ノ製造所ノヤウナ觀ヲ呈シテ居ル
ノデアリマス、仍テ政府ハ工場若シクハ
鑛山等ニ或ル程度ノ基準ヲ設ケテ、絕對ニ
福利施設ヲナシテ、早期診斷、早期治療、
是等ニ重點ヲ置カナケレバナラヌト思フノ
デアリマス、然ラザレバ農村ノ結核患者ヲ
工場ニ於テ製造スルコトニナルノデアリマ
シテ農村コソ洵ニ迷惑千萬デアルト言ハ
ナケレバナリマセヌ而モ農村ニ結核治療
ノ設備ノ見ルベキモノモアリマセヌ、是等
ノ點ニハ特ニ注意ヲ要スルノデアリマスガ
政府ノ結核撲滅ニ對スル所ノ根本的方針ヲ
伺ツテ見タイト思ヒマス
次ニ乳幼兒ニ付テ御尋ネ致シテ見タイト
思ヒマス我ガ國ニ於ケル乳幼兒ノ死亡率
ハ依然トシテ高率デアリマス、卽チ一年末
滿ノ死亡率ハ一〇%デアリマシテ之ヲ諸
外國ノ四%乃至五%ニ比較致シマスレバ
實ニ二倍以上ノ死亡率デアリマス、是ガ原
因ニ付テハ經濟事情ニ因ルノ外、或ハ育兒
知識ノ缺陷、或ハ兒童俣護施設ノ不十分、
是等ノ點ガアルト思ヒマスガ、玆ニハ醫療
施設ニ付テ申述ベテ見タイト思ヒマス我
ガ國ノ醫師ノ分布ノ狀況ヲ見マスルニ、都
市ニノミ集中致シマシテ、無醫村ガ實ニ二
千六百ノ多キニ達シテ居ルノデアリマス
先年無醫村ノ數ハ千五百デアツタト記憶致
シマスルガ今ヤ三千六百ノ多キニ達シテ
居リマス)隨テ町村ニ於ケル所ノ乳幼兒ノ
死亡率ハ都市ニ比較致シマスルト非常ナ
ん是等ノ無醫村ノ解消ヲ
お前の おきに我ガ國全體ノ死亡率ノ低下
圖ルコトハ出來ナイト思フノデアリマス、
然ルニ從來ノヤウナ消極的施設ヲ以テシマ
シテハ、何時マデ經ツテモ無醫村ノ解消ト
云フモノハ到底望マレナイト思フノデアリ
マス政府ハ醫療機關ノ適切ナル配置ヲナ
シ、是ガ充實ヲ圖ルコトガ最モ先決問題デ
ナケレバナラヌト思ヒマスガ、之ニ對スル
所ノ政府ノ方策ヲ伺ヒタイト思フノデアリ
マス
次ニ政府ハ今回醫療法ヲ制定致シマシテ、
日本醫療團ヲ設置シ、醫療機關ノ熱備、普
及ト醫療內容ノ向上ヲ圖ラントスルノデア
リマス、而シテ從來ノ公立病院或ハ產業組
合ノ病院、是等ノ病院ヲ醫療團ニ統合セン
トスルノ意向デアリマス、統制ノ見地カラ
考ヘマスレバ、現物出資ニ依ル病院ノ結合
モ或ハ結構デアリマセウ、併シナガラ從來
ノ病院中、折角相當ノ實績ヲ擧ゲ、醫療ニ
貢獻シツツアル所ノ病院モ決シテ少クナイ
ノデアリマス、是等ノ病院ハ統合ノ爲メ或
ハ一時醫療ニ停頓ヲ來スヤウナコトガアツ
テハナラナイト思ヒマス、政府ハ統合スル
ヨリモ寧ロ新タナル病床ノ設置ニ全力ヲ注
アリマス、アリマス 、明治紅白セッション方篇ノ結合ニアテ
ズ、實情ニ卽シ、緩急ヲ見計ラツテ之ヲ統
合シ、統合ニ急ナル餘リニ醫療機關ノ新設
ヲ忘ルルヤウナコトガアツテハナラヌト思
ヒマス、此ノ統合ニ對スル政府ノ所信ヲ伺
ヒタイト思ヒマス
尙ホ醫療團設立ノ基礎ハ國家資本デアリ
マス從來各事業每ニ營團ガ設立セラレマ
シテ、相當非難ノ聲ガアリマス、本日モ此
ノ議場ニ於キマシテ相當非難ノ聲ヲ聞イタ
ノデアリマスルガ、本團ハ營團デハアリマ
セヌ、併シ其ノ經營ハヤハリ醫療ノ收入ニ
依ツテ行ハレルノデアリマス隨テ收入ヲ
確保スル爲ニ經營第一主義トナリ勢ヒ醫
療車業ノ營利化ヲ招來シ、醫療費ノ合理化、
北港交通大学教育学院〓、備ニ支障ノナイヤウ
キデアルト思ヒマス、
尙ホ各專業營團ハ或ル時期ニナリマスレバ、
或ハ改善ノ途モアリマス本團ハ人ノ生命
ヲ預ツテ居リマス一タビ誤レバ取返シガ
付カナイノデアリマスカラ、團ノ實施ニ當
ヽ特ニ政府ノ注意ガ肝要デアル
ト信メンハーファリマス、圖
醫療ノ完成ヲ一疾ル
ト共ニ、國民生活ノ指導ヲ圖リマシテ、
病ノ豫防ヲナシ國民ノ健康ト體力增進ニ
努ムルコトガ第一デナケレバナリマセヌ
是ガ爲ニハ衞生思想ノ普及、早期診斷、早
期發見、是ガ最モ必要デナケレバナリマセ
又、然ルニ現在ノ保健所ノ如キ政府ノ施設
ハ餘リニ消極的デアリマス昭和十二年以
來僅カニ一百箇所デアリマシテ、政府ノ企
圖スル五百箇所ニナラントスルニハ容易ナ
コトデハナイノデアリマス政府ハ思ヒ切
ツテ保健所ノ增置ヲ急速ニスルコトガ最モ
必要ナリト信ズルノデアリマスガ、此ノ保
健所ノ設置ニ對シテ政府ノ御意向ハ如何デ
アリマスカヲ承ツテ貝タイト思ヒマス
最後ニ大東亞共榮圈ノ確立ト共ニ、南方
進出ハ営然行ハネバナラヌト思ヒマス、然
ルニ南方ノ氣候、風土等ハ國內事情ト大イ
ニ異ツテ居リマス、之ニ對スル所ノ醫療施
設、又ハ醫療ノ〓究、或ハ醫務各機關ノ設
備ガ必要デゴザイマス、南方ニ進出スル所
ノ人ヲシテ安ンジテ永住セシムルノ途ヲ
講ズルニハ此ノ醫療機關ノ整備充實、醫
マイナリティノ酸セナケレバナラヌト思ヒ
、政府ハ此ノ南方ニ對スル醫療、醫
務機關ノコトニ付テ如何ナル用意ト覺悟ヲ
持ツテ居ラレルノデアルカヲ承ツテ見タイ
ト思ヒマス
以上數點ニ付キマシテ政府ノ明確ナル御
答辯ヲ求メタイト思ヒマス(拍手)
〔國務大臣小泉親彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=38
-
039・小泉親彦
○國務大臣(小泉親彥君) 只今ハ人口政策
ニ付キ御高見ヲ洵ニ有益ニ拜聽致シマシタ
人口政策ヲ强力ニ遂行致シマスルコトハ
我ガ民族ノ悠久ナル發展ヲ圖リマスル爲メ
必要デアリマスルバカリデナク、大東亞共
榮圈ノ建設工作ト致シマシテモ、眞ニ喫緊
ノ要務デアルト存ズルノデアリマシテ、曩
ニ閣議決定ヲ見マシタル人口政策確立要綱
ヲ單ナル机上計畫ニ終ラセテハナラヌト
云フコトニ付キマシテハ申スマデモナイ所
ガソリットソン石、ノル政府ニ於キマシテハ各省協
滴切ナル施策ノ實施ニ
最善ノ努力ヲ拂ツテ居ル次第デゴザイマス
カリガ、人口政策ハ只今三差議員ノ御述ベニ
シタル如ク、經濟、〓育、思想、文
九九ノ·バーガーリーグリーデン綜今的ニ堆進シ
ゴザイマシテ、)此ノ
點全然御同感デゴザイマス政府ニ於キマ
シテモ此ノ點ニ留意シテ居ルノデゴザイマ
スルガ、將來ニ於キマシテモ更ニ御意見ノ
アル所ヲ十分ニ曾重考盧致シマシテ人口
政策ノ遂行ニ萬遺憾ナキヲ期シテ參リタイ
ト存ズル次第デゴザイマス
次ニ結核撲滅ニ關スル方策ニ付テ御尋ネ
デゴザイマシタガ、結核對策ト致シマシテ、
工場、鑛山等ヨリ農村ニ歸農致シマスル者
ニ因ル結核ノ蔓延ノ甚ダシキ現狀ニ鑑ミマ
シテ工場、鑛山等ニ於キマシテ只今御
述ベノゴザイマシタヤウナ早四發見早期
マシテマジネマノシンチノノンジュール醫院諸國ヲタルマーシン
メナケレバナラヌト云フコトニ付キマシテ
ハ、只今ノ御意見ニ全ク同感ノ意ヲ表スル
次第デアリマス、今囘提出ノ國民體力法ノ
改正、國民醫療法ノ制定竝ニ社會保險制度
ノ擴充等是等ハ何レモ仰セノ如キ點ニ付
キマシテ大イニ實效ヲ擧ゲタイ、擧ゲナケ
レバナラヌト云フコトヲ眼目トシテ居ル次
第デゴザイマシテ、是等ノ法律案ノ施行ト
相俟チマシテ、所期ノ目的ヲ達成致シテ參
リタイト考ヘル次第デアリマス
第三ニハ乳幼兒ノ保護、ヽ特ニ農村ノ乳幼
兒ノ死亡率ガ高イコトニ鑑ミテ、無醫村ノ
解消ト云フコトガ急務デアルガドウダト云
フ御尋ネデゴザイマシタガ、人口政策ノ重
點ヲ乳幼兒ノ保護ト死亡率ノ低下ニ置カナ
ケレバナラヌト云フコトニ付キマシテハ
是亦全ク御意見ノ通リト存ズル次第デアリ
マス又特ニ農村ノ乳幼兒ノ死亡率ノ高イ
コトニ鑑ミマシテ、御言葉ニモアリマシタ
無醫村ノ解消ト云フコトガ急務デアルト云
フコトモ全ク御同感デゴザイマス、農村ノ
乳幼兒ノ保護ニ付キマシテハ隣保施設其
ノ他ノ保育東業竝ニ保健所ノ運營等ニ依リ
マシテ鉛意努力致シテ居ル次第デハアリ
マスガ、今後ハ是等ノ專業ヲ更ニ擴充シ
併セテ日本醫療團ノ設立ト相俟チマシテ
萬全ヲ期シタイト存ジテ居ル次第デアリマ
ス
第四ニハ日本醫療團ノ運營ニ付テノ御質
問デゴザイマシタガ、之ニ付キマシテハ醫
療機關ノ不足セル方面ニ對シマテハヽ御意
見ノ通リ必要ナル部面ニ速カニ之ヲ建設ス
ルコトト致シ既存ノ醫療機關ノ統合ニ付
キマシテハ能ク事情ヲ考慮致シマシテ遺
憾ナキヤウニ致シタイト考ヘテ居ル次第デ
アリマス
第五ハ醫療團ノ經營ニ當ツテハ收入ニ重
キヲ置イテ爲ニ營利化スルコトガナイヤ
ウニ注意スベシト云フ御意見デゴザイマシ
タ日本醫療團ニ對シマシテハ結核其ノ
他事業ノ性質ニ應ジマシテ、政府ニ於キマ
シテモ必要ナル補助ノ途ヲ講ジテゴザイマ
スルシ其ノ運營ニ當リマシテモ十分留意
致シマシテ營利化スルガ如キコトハ決シ
テナイヤウニ努ムル考ヘデゴザイマス
第六ニハ、保健所ノ擴充ノ必要ト云フコ
トニ付キマシテノ御意見デアリマシタガ
此ノ御說ニ付キマシテモ、全然御意見ノ通
リト存ズル次第デアリマスヽ保健所ハ全國
ニ五百五十箇所設置スルノ計畫ヲ立テテ進
ンデ居ルノデアリマスガ今後成ベク速カ
ニ此ノ計畫ガ完了スルヤウニ十分努力シテ
行キタイト考ヘテ居リマス
最後ニ大東亞共榮圈確保ノ爲メ日本醫
學日本ノ醫療機關等ヲ南方ニ進出セシメ
テ國民ノ南方進出ニ安心ヲ與ヘルヤウニ
シタラドウカト云フ御質問デアリマシタガ、
全ク傾聽スベキ御說ト存ジマシテ、滿腔く
共鳴ヲ致ス次第デアリマス、政府ニ於キマ
シテモ夙ニ此ノ點ニ留意シテ居ル所デアリ
マシテ、御意見ノ點ニ付キマシテハ十分
ニ考慮ニ入レマシテ善處シタイト考ヘテ居
リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=39
-
040・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 阿部茂夫君
〔阿部茂夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=40
-
041・阿部茂夫
○阿部茂夫君 只今上程ニナツテ居リマス
ル法律案中醫療法ニ關シテ二、三厚生大臣
ニ御質問ヲ致シタイト思フノデアリマス
同僚三善君カラ醫療法中醫療團ニ關シテノ
御質問其ノ他數多ノ御質問ガアリマシタ
ガ厚生大臣ノ御說明ハ餘リニ抽象論ニ過
ギテ、質問ノ要點ニ對スル御答ヘガ得ラレ
ナカツタト私ハ思ヒマスノデ、或ハ重複ス
ルカモ知レマセヌガ、一、二點御質問申上
ゲタイト思フノデアリマス
第一點ハ所謂醫療法ガ醫療ノ普及徹底
ヲ圖リ、大東亞共榮圈確立、大東亞戰爭完遂
ノ爲ノ戰力ノ增强ノ爲ニ國民ノ體位ヲ向上
スルト云フ點ニ對シマシテハ本案提出ノ
理由ガ能ク分ルノデアリマスガ、具サニ之
ヲ檢討致シマスト、單ニ醫療ノ普及、體位
ノ向上ノ爲ニ出サレタト云フヨリカ寧ロ
結核療養ニ重點ヲ置カレタノデハナカラウ
カト私ハ思フノデアリマス、然ラバ政府ハ
結核豫防法中改正案ガ體力審議會ニ於テ略、ミ
成案ヲ得タト云フコトヲ伺ツテ居ルノデア
リマスガ、何ガ故ニ本案ガ提出サレナカツ
タカ、此ノ理由ヲ一點御聽キ致シタイノデ
アリマス
第二點ハ、醫療團ノ問題デアリマスガ、醫
療團結成ニ對シマシテ何含サルベキ既設ノ
病院、診療所等ノ範圍デアリマスガ承リ
マス所ニ依リマスト旣設ノ所謂公立ノ病
院組合病院、或ハ公法人ガ立テテ居リマ
スル病院、其ノ他ヲ統合スルヤウニ伺ツテ
居リマスガ其ノ中デ精神病、花柳病、ㄱト
ラホーム寄生蟲及ビ傳染病等ノ病院ハ
除外致シテアル何ガ故ニ斯ウ云フ病院ヲ
除外シナケレバナラナカツタカ、政府ハ國
民ノ體位ヲ向上シテ大東亞戰爭完遂ノ戰力
增强ニ資スルト言ハレテ居リマスルナラバ
寧ロ斯ウ云フ種類ノ病院モ統合シテ、玆ニ
其ノ病源ヲ根絕スベク努力シナケレバナラ
ナイト思フノデアリマスガ之ヲ除外シタ
理由ハ何處ニアルカ尙ホ同ジ普通病院ニ
致シマシテモ、濟生會病院デアルトカ赤
十字病院デアルトカ、或ハ鐵道省ノ病院デ
アルトカ遞信省ノ病院等々ハ之ヲ除外シ
テ居ルノデアリマスガ、地方ノ公立病院ハ
之ヲ收用サレルヤウナ御豫定デスガ、同ジ
大衆ニ對シテ關聯ヲ持ツテ居リマスル濟生
會病院トカ、赤十字病院等ヲ除外サレルナ
ラバ、東京市等ガ立テテ居リマスル十幾ツノ
病院等モ除外サルル御意思ガアルカドウ
カ此ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス
第三點ニ伺ヒタイ問題ハ此ノ醫療團結
成ニ當リマシテ、其ノ組織デアリマスガ
法文ノ示ス所ニ依リマスト總裁、副總裁
ガ各〓、一名、理事ガ五名以上、監事ガ二名以
上、參與、理事、評議員及ビ顧問若干名ト云
フコトニナツテ居リマス、大臣ノ御說明ヲ
伺ヒマスト決シテ本醫療團ハ所謂營利ヲ目
的トスル營團、或ハサウ云フ組織デハナ
イヽ斯ウハツキリ申サレルノデアリマスケ
レドモ內容ヲ見マスルト幾多ノ役人ト云
ヒマスカサウ云フ人々ガ澤山何含サレルヤ
ウデアリマス、是ハ中央ノ營團ニ於テソレ
デアルガ如ク、地方ノ病院等々ニ於キマシ
テモ之ニ準ジタ人事ノ配置ヲナサルル御意
思デアルカ、餘リ人ガ多クナリマストヽ所
謂船ガ山ニ登ルト申シマスカ、此ノ醫療團
ハ卽チ醫療ヲ目的ト致シテ居リマス東業ナ
ルニ、斯ウシタ評議員ダトカ、顧問ダトカ
理事ダトカ云フヤウナ人ガ澤山周圍ニ群ガ
ルコトハ何ヲ意味スルカ營利會社ナライ
ザ知ラズ、結局其ノ目標ハ保健衞生、卽チ
國民ノ體位向上ヲ目的ト致シテ居リマスカ
ラ、所謂金ノ掛ル人ハ一人デモ之ヲ除去シ
ナケレバナラナイト私ハ思ヒマス、然ルニ
其ノヤウナ人ガ段々入ツテ來ル承ル所ニ
依リマスト、此ノ醫療團ノ總裁ハ何万圓カ
ノ約束ヲサレテ居ルト云フヤウナコトヲ聞
キマスガ、マサカ總裁ガ數万圓ノ金ヲ戴ク
ト云フコトハアリマスマイト思フガ假長
サウ云フコトガアリマスルナラバ、政府ハ
民間デ折角數年、數十年ノ間苦戰苦鬪シナ
ガラ經營シテ來タ病院ヲ合セテ一ツノ醫療
團ヲ作リ惡ク申シマスト官僚トカヽ其ノ
他ノ失業者ノ群ヲソコニ包含スルヤウナ機
關ヲ置イテ、尙ホ國民ノ保健衞生ノ立場ト
云フヤウナ說明デ居ラレルノデハナイカト
云フ疑問ヲ私ハ持ツノデアリマス斯ウ云
フ點ニ付キマシテ政府當局ハモウ少シ組織
ヲ簡便ニシテ寧ロ目的貫徹ノ上ニ重點ヲ
置カレテ、人事ノ配當トカ組織ヲモウ少
シ簡便ニサレル御意思ガアルカ、之ヲ伺ヒ
タイノデアリマス
第四點ハ所謂是ノ計書デアリマスガ、病
院ヲ統合シテ、中央ニ二ツノ專門病院ヲ置
キマシテ、地方デハ道府縣綜合病院、或ハ
地方綜合病院、其ノ他診療所等ヲ合セマシ
テ相當多クノ數ノ病院若シクハ診療所ヲ
設置スルコトニナツテ居リマスガ、斯ウシ
タ營團組織ニ依ル病院ト、旣設ノ開業醫ト
ノ關聯ハドウ云フヤウナ所デ御付ケニナル
御積リカ換言シマスナラバ、公設デ出來
マシタ此ノ病院ヲ開業醫諸君ニモ十二分
ニ使用ヲ許シマシテソコニ新シキ進ンダ
設備、之ヲ總テニ利用ナサシムルコトニ依
ツテ、直接間接ニ國民ノ醫療ヲ十分ナサシ
メルヤウナ、所謂門戶開放主義ニ出ルモノ
デアリマセウカソレトモ單ニ營團ト開業
醫ト二本建デヤラレル御積リデアルカ此
ノ點ヲ御說明願ヒタイノデアリマス
先ニ三善議員カラ色々御質問ガアリマシ
タガ、所謂本團ノ結成ノ目標トモサレテ居
リマス結核對策ノ問題デアリマスガ申ス
マデモナク結核患者ハ日本ガ文明國デア
リ醫療國デアルニ拘ラズ百數十万ノ患
者ヲ擁シテ居ルト云フコトニ付キマシテ
ハ洵ニ計數ノ上カラ戰慄ヲ覺エルノデア
リマス殊ニ私ハ他ノ方面カラ觀察シマス
ルニ、東京市ニハ約八十五万ノ兒童ガ居リ
マスガ、其ノ八十五万ノ兒童ノ中デ將來此
儘放任シテ置キマスルナラバ、必ズ結核病
者ニナリ得ルト云フ血沈ノ現ハルル子供
或ハ虛弱兒童等々ヲ見マスルト、大體八十
五万ニ對シテ八万數千、一割强ノ人ヲ出
シ而モ其ノ一割强ノ虛弱兒童ノ中デ只今
直グデモ病院ニ入院サシ加療シナケレバ
ナラナイ兒童ガ八九千居ルノデアリマ
ス、勿論政府ハ適當ナヽ
然ニサウシタ治療ヲナサレル對策ヲサンカルドックステーク
レルト云フコトデアリマスルガ、サウシタ
聲ハ實ニ過去數年問聞イテ居リマスガ、未
ダ曾テ此ノ憐ムベキ第二ノ國民デアル國民
學校ニ於ケル兒童ヲ本當ニ健全ニ導クベキ
醫療對策、榮養對策、斯ウ云フ施設ガ公
共團體以外ニ國家ノ手ニ依ツテナサレテ居
ルカドウカ、要スルニ政府ハ今議會ニ提案
サレマシタ此ノ法案ニ依ツテ、將來五億二
千万圓ノ金ヲ投ジ、內一億圓ハ所謂結核
對策トシテ八万床ノ病床ヲ殖ヤスヤウナ計
畫デアラレマスガ、八万床ヲ殖ヤシマシタ
所デ、我ガ國ニ於テハ肺結核ノ爲ニ療養ス
ベキ病床ハ合計十万床シカナイノデアリマ
ス、而モソレハ五年後デナケレバ完成サレ
ナイ縦シンバ五年後ニ完成サレルニシマ
シテモソコニ行クベキサウシタ小國民ノ
群ガ旣ニ五歲ニシテ侵サレ、六歲ニシテ侵
サレ、十歲ニシテ侵サレ、十五歲ニシテ第
1辺、第二期ニナルヤウナモノヲ作ツテ居
リマシタノデハ、十万床ガ二十万床作リマ
シタ所デ、肺病ノ撲滅ト云フコトハ絕對ニ
アリ得ナイ、斯ウシタ所謂肺病ニ罹リ、結核
第三期ニナツタ者ヲ治療スルト云フコトモ
勿論刻下ノ重大ナル問題デアリマスガ、ソ
コニ行クマデニ早期ニ之ヲ療養スベキ方法
ヲ國家デ考ヘナケレバイカヌ)斯ウ云フ方
面デ、私ハ最近洵ニ說明ニ苦シムノデアリ
マスルガ獨リ傷心ノ至リニ堪ヘナイノ
ハ)此ノ都市ニ於ケル數十万ノ兒童、全國
ニ於ケル五百万ノ兒童ニ對シテ、戰時體制
下ニ於ケル國民ガ時局ニ協力シ、時局ノ爲
ニ物心共ニ協力シナケレバナラナイコトハ
申スマデモナイコトデアリマスガ、何トカ
シテ斯ウシタ兒童ニ對シテハ少クトモ單ナ
ル一步前進シタ程度デナクシテ政府ハ進
ンデ次ノ時代ニ於ケル健兵ヲ造ル次ノ時
代ニ於ケル强キ兵隊ヲ造リ强キ國民ヲ造
ル斯ウ云フ見地ニ於テ假令戰時下デアリ
- 氏は、ヽ斯ウシタ兒童ニ對シテ百尺竿頭其
ノ對策ヲ御進メニナル御意思ガアルカドウ
カヽ之ヲ私ハ伺ヒタイノデアリマス
最後ニ伺ヒイタ問題ハ、所謂醫療團設置
ニ際シマシテ公立若シクハ產業組合、其ノ他
ノ病院等々ヲ統合サレルヤウデアリマスル
ガ、其ノ統合ニ當ツテノ買收等ニ關スル財
產上ノ計數ノ基本ト云フモノハ一體ドノ
點ニ置カレテ居ルカドウカ、竝ニ現在マデ
此ノ病院等ニ勤メテ居リマスル所謂醫療關
係者以外ノ事務從業員ニシテ、長キハ十年、
數十年恩給ヲ樂シミ或ハ一時金ヲ樂シン
デ居リマシタ者等々ガ、統合サレル場合ニ、
其ノ儘次ノ營團ニ引繼ガレルノデアリマセ
ウカ或ハ時中絕サレルノデアリマセウ
カサウ云フ點ニ對シテ是等ノ從業員ニ對
スル對策マデ御考ヘニナツテ居ルカドウカ
之ニ關聯シマシテ、私ハ最後ニ政府ノ御決
意ヲ伺ヒタイノハ、之ヲ總括シテ考ヘマス
ト、考ヘ方ニ於テハ洵ニ妥當デアルヤウデ
アリマスルケレドモ實際ノ運營ニ當ツテ
果シテ政府ガ考ヘテ居リマスルヤウナ、五
年後ニハ完全ナル結果ガ得ラレルカドウカ
ト云フ點ニ對ツテ頗ル私ハ疑ヒヲ持ツモ
ノデアリマス、何トナレバ政府ハ一億圓ノ
金ヲ出資シ、五倍ダケノ債劵ヲ出サセテ
五億二千數百万圓ニ依ツテ之ヲ完成ナサレ
ヨウト云フ御考ヘデアルヤウデアリマスガ、
勿論設立ハソレデ宜シイケレドモ統合サ
レテ參リマス旣設ノ病院、旣設ノ診療所、
旣設ノ公益法人ノ病院等々ガ今日マデ數年、
數十年ノ間經營ニ苦心慘憺シテ參リマシタ
所ニハ血ノ滲ムヤウナ犠牲ト莫大ナル投
資トヲシテ居ルノデアリマスケレドモ性
質ガ公益的ナモノデアリマスルガ故ニ、此
ノ投資及ビ犧牲ガ此ノ買收等ノ場合ニ於キ
マシテハ勿論暖簾料ニハ上リマセヌ、暖簾
料ト云フコトヲ申シマセヌデモ今日マデ
ノ經營ニハ例ヘテ見マスト、東京市モ十一
ノ病院ヲ經營シテ居リマスガ、四百五十數
万圓ノ金ガ掛リマス、此ノ四百五十數万圓
ノ中デ其ノ六割、卽チ三百万圓ト云フモノ
ハ年々歲々之ヲ投資シテ居リマスガ決シ
テ上リマセヌ、サウシテ辛ウジテ今日ノ形
ヲ保ツテ來テ居リマスガ、醫療團ガ出來マ
シテ、サウシタ一ツノ闇カラ闇ニ參リマス
ル缺陷ヲ國家ガ補償シテ、其ノ闇ヲナクスル
ヤウニ考ヘルノカ、或ハ其ノ缺陷ヲ患者ニ負
擔ナサシメヨウト云フ考ヘデアルノカ、延
イテ此ノ數億圓ノ投資ヲ三十年間ニ於テ完
濟スルト云フヤウナ御考ヘデアルヤウデア
リマスガ、果シテソレマデニサウシタ利潤
ガ此ノ病院ノ經營ノ上カラ出ルデアリマセ
ウカ出ナカツタ時分ニハ之ヲ一體國家ガ
全額持ツト云フ御考へデアルカ或ハ民衆
ニソレヲ負擔セシムル御考ヘデアルカ假
ニモ其ノ何分ノ一ナリ何百分ノ一デモ
由、者ニ負、擔サセルト云フヤウナコトガアリ
マスナラバ折角國家ガ健全ナル國民養成
ノ爲ニ作ラレヨウト致シマシタ醫療團ノ經
營ガ、軈テハ國民ノ呪ヒノ的トナルヤウナ
コトガ萬々一デモアルヤウナコトガアリマ
スナラバ國家ノ爲ニソレコソ私ハ重大事
ト思ヒマスガ政府ニハサウシタ計數上ノ
準備ト御豫定トガアルノデアリマスカ、此
ノ點ヲ御聽カセ願ヒタイノデアリマス、私
フ質問ハ是デ終リマス(拍手)
〔國務大臣小泉親彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=41
-
042・小泉親彦
○國務大臣(小臭親彥君) 御答ヘヲ申土ゲ
マス、第一ハ結核豫防法改正案ニ付テ又
之ニ關聯シマシテ日本醫療團ノ目的ト
結核ノ豫防トノ關係ニ付キマシテノ御量ネ
デゴザイマシタガ、結核ニ付キマシテハ治
療ノミナラズ、豫防ノ方モ力ヲ注ガナケレ
バナリマセヌト云フコトニ付キマシテハ全
ク御同感デアリマスノデ、將來出來ル限リ
本團ハ豫防機關ト緊密ナ連絡ヲ保ツテ遺憾
ナキヲ期シテ行キタイト思っテレビーラーメートル·シェーズ
アリマス結核豫防法ノ改正意見等ハ大
ニ於キマシテ今囘ノ醫療法ノ中ニ於テ採入
從來ノ豫防ニ於キマシ
11217747671519990中國結核患者ノ隔離ト云フコトガ重點ニ
タノヲ、體力宋議會ノ委
ウシテ體防ヲスル、早期發見ヲシテサ
フ所ニ重點ヲ置カナ
ケレバナラナイト云フヤウナノガ骨子デゴ
ザイマス、此ノ點ハ今回ノ國民體力法ノ改
正ノ上ニ於キマシテ其ノ點ヲ十分ニ採入レ、
其ノ被管理者ノ年齡ヲ男子二十五歲ト致シ
マシタノモ亦結核豫防ニ重點ヲ置キマシタ
ヤウナ次第デゴザイマシテ、結核豫防ニ付
キマシテハ全ク御意見ノヤウニヤツテ行ク
積リデ居リマス
第二ニ精神病、「マラリヤ」等ヲナゼ除外シ
テ居ルカト云フ御尋ネデゴザイマシタガ
是等ノ特殊ノ疾病ニ付キマシテハ日本醫
療團ト云フモノガ致シマスヨリカモ、特殊
疾病トシテ他ノ有力ナルモノヲ働カセナケ
レバナラナイ殊ニ今次戰爭ノ關係カラ斯
クノ如キモノガ將來多發シナイトモ言ヘナ
イノデアリマシテ此ノ點ニ關シマシテハ
銳意〓究ヲ致シテ居ル次第デゴザイマス
第三ニ醫療團ガ旣存設備ヲ締合スル其ノ
範圍加何、又統合スルモノト除外スルモノ
トニ付テノ理由ヲ御尋ネニナツタヤウニ拜
承ヲ致シタノデアリマスガ、日本醫療團ハ
醫療ノ內容ヲ向上致シサウシテ其ノ適正
ナル醫療ヲ國民ニ普及スルト云フ醫療機
關ノ組織ヲ體系的ニ整備シマスル爲ニ必要
ナル限度ニ於キマシテハ旣存ノ醫療機關
ヲ統合スルコトモ考へテハ居ルノデゴザイ
マスガ、其ノ種類範圍等ニ付キマシテハ
豫メ之ヲ限定シテ考ヘテ居ル譯デハゴザイ
マセヌ、又御指摘ニナリマシタ赤十字社病
院ノ如キ特殊ノ日的ヲ持ツテ居リマスル
モノ卽チ戰時陸海軍衞生勤務幇助ノ爲ノ
救護月養成ヲ目的トシテ居リマス病院又
ハ藩生會時開等ノ如キ特殊ノモノニ對ツマ、
他ノ特殊ノモノト致シマシテ今
囘ハ是ノ中ニ含メテ居ラナイ次第デゴザイ
マス
第四ニ日本醫療團ノ中央地方ノ組織、殊
ニ人事ニ付テ從來アル營團ノ如キ役人ノミ
デハマヅイモツトシツカリヤレト云フ御
考ヘノ御意見デゴザイマシク、日本醫療團
ノ醫療及ビ事務ノ組織ニ付テハ、飽クマデ
モ御意見ニアリマシタ通リ愼重ヲ期シ遺
憾ナキヲ期シタイト存ジテ居ル次第デアリ
やく、尙ホ本團ニ於キマシテハ醫師ガ其ノ
仕事ヲ致シマスル上ニ必要ナル指導、又補
習等鍊成ヲモ行フ豫定デアリマスガ、新タ
ニ玆ニ醫者ヲ養成スル計畫ハシテ居ラナイ
ノデゴザイマス、又更ニ其ノ人事等ニ付キ
マシテハ全ク御意見ノ如ク醫師ノ力ニ依
リマシテ本日提案ノ證明ヲ申上ゲマシタ
ル如ク、協力ニ依ツテ醫界新體制ノ形ニ於
テ運營シテ行キタイト考ヘテ居ル次第デゴ
ザイマス
第五ニ醫療團ト開業醫トノ關係ニ付テ御
開業醫制度ノ長所
是
2017.08.20
開業醫ト連絡協調致
進ンデ結正ナル開業醫ノ發達育
醫界ノ總力ニ依ツテ、醫療圖ト表裏一體夕
ル醫師會、齒科醫師會等トノ協力ニ依ツテ
遺憾ナキヲ期シテ行クト云フ考ヘデ居リマ
ス
第六ニハ國民學校兒童ノ保護、殊ニ結核
ニ關聯シマシテ、之ニ對シテノ御尋ネデゴ
ザイマシタガ此ノ點ニ付キマシテハ政府
ト致シマシテモ、今囘ノ改正案ノ內容ト致
シマシテ最モ愼重〓究ノ結果盛リマシタ
ヤウナ次第デゴザイマシテ、國民體力法ノ
改正ニ依リ、乳幼兒學童等ヲ保護致シマシ
テ是等ニ對シテ從來ノ保健所ノ機構等ニ
對シテモ考慮ヲ致シ、色々ノ改正ヲ立案致
シマシテ、萬遺憾ナキヲ期シタ次第デゴザ
イマス
第七ニ、醫療團が旣存ノ病院ヲ統合スル
場合ノ評價ノ計算標準ヲ何處ニ置クカト云
フ御尋ネデゴザイマシタガ、醫療機關ヲ統
合スル場合ノ評價ニ付キマシテハ他ノ例
ヲモ參酌致シマシテ、且ツ醫療事業ノ性質
ヲモ十分考慮致シマシテ適切ナル處置ヲ
致サシムル所存デアリマス、尙ホ統合ノ際
ニ於ケル從業者ノ處遇等ニ付キマシテハ
決シテ本人ニ迷惑ヲ掛クルコトノナキヤウ
ニ考慮致シタイト存ジテ居リマス
最後ニ將來ノ日本醫療團ノ運營上ノ見込
如何ト云フ御尋ネデゴザイマシタガ、此ノ
點ニ付キマシテハ私共十分ナ〓究調査、又
凡ユル方面ノ、所謂總理大臣ノ申シテ居リ
マス現時ノ頭腦ノ總動員ノ下ニ、此ノ實效
ラ收メルコトニ善處致シタイト考ヘテ居リ
マス又ソレニ對シマス色々ノ國家ノ補償
等ニ付キマシテハ先程御答ヘ申上ゲマシ
タヤウナ準備モ致シテ居ル次第デゴザイマ
ス、左樣ニ御試承ヲ願ヒタイト存ジマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=42
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043・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 是ニテ質疑ハ
終了致シマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベキ
委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=43
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044・依光好秋
○依光好秋君 日程第十一乃至第十五ノ五
案ハ一括シテ議長指名三十六名ノ委員ニ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=44
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045・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 依光君ノ動議
ニ御里議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=45
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046・内ヶ崎作三郎
○副議長(內ケ崎作三郞君) 異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、是に
テ議事日程ハ議了致シマシタ次會ノ議事
日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後四時三十八分散會
衆議院議事速記錄第四號中正誤
頁段行誤正
五四一三擔稅ガ擔稅力ガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00519420123&spkNum=46
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