1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
恩給法中改正法律案
東北興業株式會社法中改正法律案
日滿地方税徴收事務共助法案
明治四十年法律第二十五號廢止法律案
大正九年法律第五十三號中改正法律案
北支那開發株式會社法中改正法律案
中支那振興株式會社法中改正法律案
占領地軍政官憲の爲したる行爲の法律上の效力等に關する法律案
會計檢査院法中改正法律案
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委員氏名
委員長 伯爵 堀田正恒君
副委員長 男爵 關義壽君
公爵 山縣有道君
子爵 大岡忠綱君
子爵 松平親義君
男爵 今園國貞君
村上恭一君
下條康麿君
吉田茂君
堀切善次郎君
山上岩二君
飯塚知信君
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昭和十八年一月二十九日(金曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=0
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001・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 是ヨリ委員會
ヲ開會致シマス、先ヅ恩給法中改正法律案
ニ付テ政府ノ御說明ヲ仰ギマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=1
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002・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 恩給法中改正法
律案ニ付キマシテハ、昨日本會議ニ於テ大
體ノコトヲ申上ゲタノデアリマスガ、玆
稍〓詳細ニ御說明申上ゲタイト思ヒマス、今
囘ノ改正ハ數點ニ亙ッテ居リマスガ、其ノ
第一點ハ、恩給事務ノ簡素化デアリマス、
此ノ點ニ付キマシテハ、先ヅ恩給金額分擔
ノ規定ヲ當分ノ內停止スルコトト致シマシ
タ現行法デハ、恩給ハ原則トシマシテ、
公務員ニ最後ニ俸給ヲ給シマス經濟、卽チ
國庫ナリ、府縣ナリデ負擔スルコトトナツ
テ居リマスガ、內部關係デハ、公務員ニ俸
給ヲ給シマシタ經濟相互間デ、其ノ恩給金
額ヲ分擔スルコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、例ヘバ府縣ノ巡査ノ恩給ハ府縣ノ負擔
デアリ、軍人ノ恩給ハ國庫ノ負擔デアリマ
スガ、巡査ヲ十年、軍人ヲ五年在職シマシ
タ者ニ巡査トシテ恩給ヲ給スル場合ニハ、
府縣デ恩給ヲ給シマシテ、其ノ内部關係デ
ハ府縣ハ國庫ニ對シマシテ、軍人ノ在職年
五年ニ相應スル分擔額ヲ請求スルコトニナッ
テ居ルノデアリマスガ、此ノ分擔事務ハ
甚ダ複雜煩瑣デアリマシテ、多クノ人手ヲ
要シマスノデ、戰時下人手節約ノ目的デ、
此ノ事務ヲ當分ノ內停止スルコトニ致シマ
シタ、之ガ改正法律案ノ附則第三條ノ規定
デアリマス、而シテ各經濟間ノ負擔ノ不均
衡ヲ生ジマスモノニ付キマシテハ別途財
政上ノ措置ニ依ッテ是正致スノデアリマス、
次ハ恩給金額ノ基礎トナリマス俸給ニ關ス
ル規定ノ改正デアリマス、現行法デハ、恩給
金額ハ公務員ノ退職前一年內ノ俸給總額ヲ
基礎トシ、尙公務傷病ニ因ル死亡又ハ退職
ノ場合ハ一級、其ノ他ノ場合ハ二年据置ノ
後ニ爲サレマシタ昇給ニ限リ一級ノ昇給ヲ
認メ、之ヲ基礎トシテ計算スルコトニナッ
テ居リマスガ、前者ノ場合二級以上、後者
ノ場合退職前一年內ニ二級以上昇給シタル
者ハ、其ノ一年內ニ受クル俸給月額ヲ合算
シタルモノヲ以テ俸給總額トシ、之ヲ基礎
トシテ恩給金額ヲ算出スルコトニナッテ居
リマス爲、之ニ依ッテ恩給計算事務ガ非常
ニ複雜トナッテ居リマスノミナラズ、又戰
死ノ際、拔群ノ功績ニ依リマシテ二階級モ
進級シ、軍神ト仰ガレルヤウナ人々ノ場合
デモ、現行法デハ一階級ノ進級ダケシカ認
メテ居リマセヌカラ、此ノ進級シマシタ
階級ノ俸給額ガ其ノ儘恩給金額計算ノ基礎
トナラズ、甚ダ遺憾ナ點ガアリマスノデ、
今囘ハ原則トシマシテ、恩給金額ハ退職當
時ノ俸給額デ計算スルコトト致シタノデア
リマス、改正法律案ノ第六十條乃至第六十
四條等ノ規定ガ是レデアリマス、併シナガ
ラ此ノ原則ヲ一貫致シマスト、退職直前ニ
極メテ大幅ニ昇給シマシタ場合ハ、恩給金
額モ亦之ニ伴ッテ多額トナリマシテ、均衡
ヲ失スルヤウナコトニモナリマスノデ、改
正法律案ノ第五十九條ノ二ノ改正規定デ之
ヲ制限シ、退職又ハ死亡前一年內ニ如何ニ
大幅ニ昇給シマシテモ、公務傷病ニ因ル死亡
又ハ退職ノ場合ハ二級ヲ、其ノ他ノ場合ハ一
級ヲ限リ之ヲ認ムルコトトシマシテ、適正
ナ恩給金額ヲ算出シ得ルヤウニ規定ヲ改メ
マシタ、斯クノ如ク第五十九條ノ二デ恩給
ノ基礎俸給ヲ變更シマスト、自然扶助料額
計算ノ方法モ之ニ伴ッテ變更シナケレバナ
リマセヌノデ、之ニ必要ナ改正ヲ致シマシタ、
第七十五條ノ改正規定ガ是レデアリマス、
尙右ノ如ク恩給ノ基礎俸給ヲ改正致シマス
ト改正法ニ依ル年金恩給金額ガ從前ノ額
ヨリ多額トナル場合モアリマスノデ、大東
亞戰爭ノ勃發シマシタ昭和十六年十二月八
日以後本法施行前ニ戰死シマシタリ、公務
傷病ノ爲ニ退職シマシタ者ノ年金恩給デ多
額トナル場合ハ、改正法施行ノ日カラ之ヲ
增給スルコトト致シマシタ、本法律案附則
第五條ノ規定ガ是レデアリマス、第二ノ點
ハ、公務員デアッタ者ガ外國政府職員トシテ
就職シ、更ニ之ヲ退職シマシテ公務員トシ
テ再就職シマシタ場合ニ、外國政府職員ト
シテノ在職年ヲ公務員ノ恩給年限ニ通算ス
ル規定ヲ設ケタコトデアリマス、御承知ノ
如ク近時公務員ガ、本屬廳ノ承認ヲ受ケ外國
政府職員トナリマス者ガ增加致シマシタガ、
是等ノ者ハ謂ハバ政府ノ命令デ外國政府職
員トナリマスモノデアリ、又公務員ノ官等
ニ付キマシテハ旣ニ外國政府職員在職年ヲ
通算シテ居リマスノデ、此ノ種ノ在職年ヲ
恩給年限ニ通算致シマスノガ適當デアルト
考ヘマシテ、外國政府職員トシテノ在職年
ヲ公務員ノ在職年ニ通算スルノ途ヲ拓クコ
トト致シタノデアリマス、本法律案ノ第八
十二條ノ二及ビ第八十二條ノ三ノ規定ガ之
ニ關スル規定デアリマス、尙改正法律施行
前ニ外國政府職員トナリマシタ者ニモ、此
ノ通算ノ恩典ヲ及スベキデアルト考ヘマシ
テ、必要ナ規定ヲ設ケマシタ、改正法律案
ノ附則第六條ノ規定ガ是レデアリマス、次
ハ昨年陸軍デハ、敵ノ空襲ニ備ヘマシテ防
衞召集ノ制度ヲ設ケマシタガ、此ノ種ノ召
集ニ因ッテ部隊ニ編入サレマス軍人ノ在職
期間ハ、現在ノ情況デハ比較的短期間デアル
ト考ヘラレマスノデ、此ノ場合ノ在職年ヲ
現行法ノ一般ノ計算方法、卽チ月ヲ單位ト
シマシテ計算スルノガ適當デハアリマセス
ノデ、在職年計算ノ特例ヲ設ケ得ルヤウニ
致スノデアリマス、改正法律案第二十八條
ノ二ノ規定ガ是レデアリマス、尙今囘官廳
職員優遇制度ノ創設ニ依リマシテ、巡査ヤ看
守等デ從來判任官待遇デアリマシタ者ガ、
新ニ判任官ニナリ得ルノ途ガ拓カレルコト
ニナリマスノデ、恩給法第二十三條、第二
十五條及ビ第二十六條ノ規定ヲ改正致ス
ノデアリマス、以上申上ゲマシタ外ニ、恩
給法第十六條ノ規定ヲ改正致シマシテ、文
官デハアルガ俸給ハ府縣其ノ他ノ地方經濟
デ給シマス者ノ恩給ヲ、當該府縣其ノ他ノ
地方經濟デ負擔セシムルコトガ出來ルヤウ
三ヽヽ又〓育職員ノ一時恩給デ、從來市町
村又ハ之ニ準ズベキ地方經濟ノ負擔ニ屬シ
テ居リマシタ一時恩給ヲ、府縣又ハ之ニ準
ズベキ地方經濟ニ於テ負擔セシムルコトト
シ、更ニ本年四月カラ師範學校制度ノ改正
ニ依リマシテ、從來道府縣立デアリマシタ師
範學校ガ官立ニナリマスノデ、必要ナ改正
ヲ爲シ、又夫又ハ成年ノ子ニ給スル扶助料
及ビ兄弟姉妹ニ給スル一時扶助料ノ給與條
件ヲ緩和シマシテ、是等ノ者ヲ扶養スル者
ガアリマシテモ、生活困難ナ者ニハ恩給ヲ
給スルコトガ出來ルヤウニ改メ、更ニ昨年
海軍ノ下士官兵ノ官職名ガ改正セラレマシ
タノデ、之ニ伴ヒ必要ナ改正其ノ他規定整
理等ノ爲ニ改正ヲ致スコトト府ナッタノデア
リマス、以上ニ依リ大體本法律案ノ說明ヲ
終リマスガ、尙詳細ノ點ハ御質問ニ應ジテ
御答ヘ致シマス、何卒御審議ノ程ヲ御願ヒ
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=2
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003・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) ソレデハ東北
興業株式會社法中改正法律案ニ付テ御說明
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=3
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004・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 東北興業株式會
社法中改正法律案ノ提案理由ニ付キマシテ
ハ、本會議ニ於キマシテ其ノ大要ヲ申述ベ
タノデアリマスガ、更ニ其ノ內容ノ大體ニ
付テ御說明申上ゲタイト存ジマス、東北興
業株式會社ハ、昭和十一年十月創立以來、
專ラ其ノ使命ノ達成ニ努メテ參リ、現在、
現在ト申シマスノハ昭和十七年十二月末デ
アリマスガ、關係投資會社ハ五十、之ニ對ス
ル會社出資額ハ九千三百餘萬圓ニ達シ、直
營事業ハ其ノ數十九、計畫資金約一千七百
萬圓デアリマシテ、投下資金總額約一億一
千萬圓ニ達シテ居ルノデアリマス、然ルニ
現下ノ情勢ハ、資源ノ開發ト物資ノ增產トヲ
圖ルノ要益〓大ナルモノガアリマスルノデ、
同社ハ今囘東北振興ト時局ノ要求ニ對應シ
マシテ、更ニ事業ノ擴充ヲ計畫シ、昭和二
十三年度迄ニ旣ニ投下シタ資金ヲ合シ總額
約二億七千五百萬圓ノ資金ヲ以テ、重點的
ニ化學工業、機械工業、鑛山事業、農水
產事業等ヲ遂行スルコトト致シタノデアリ
マス、而シテ之ニ對スル資金ハ株式、社債、
借入金等ヲ以テ調達スル計畫デアリマスガ、
現在ノ同社ノ資本構成ヲ以テシマシテハ、
前述ノ計畫ヲ圓滿ニ實行スルニハ困難ヲ來
シマスノデ、其ノ資本金三千萬圓ヲ五千萬圓
ニ增加シ、社債發行限度モ從前通リ拂込ミ
タル株式金額ノ五倍トシ、尙資金調達ノ圓
滑ヲ圖ル爲、東北興業債劵ノ元本ノ償還及
利子ノ支拂ニ付テハ政府ガ保證ヲ爲シ得ル
コトトシ、約三億圓ノ資金ヲ以テ之ニ充當ス
ルコトト致シタイノデアリマス、更ニ御承知
ノ如ク同社ハ其ノ使命ニ鑑ミマシテ、早急
ニ利益ヲ望ムコトハ困難ナルノミナラズ、
豫定ノ配當ハ之ヲ維持セネバナラヌ事情ニ
アリマスルノデ、增資額一一千萬圓中半額ハ政
府ノ出資トシ、政府以外ノ者ノ所有スル株
式ニ對シテハ年六分ノ優先配當ヲ認ムルト
共ニ、政府ノ補給金モ、事業ノ擴大セラル
ルニ伴ヒ自然之ヲ增加セネバナラヌコトニ
ナリマス、卽チ現在同法第二十六條ニ規定
サレテ居リマス補給金八百五十萬圓ニテハ
不足ヲ生ジマスルノデ、斯カル限度ヲ撤廢
シ、每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ、政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込金額ニ對シテ年六分ノ割合ニ達シナイ場
合ニハ、年六分ニ達スル迄政府以外ノ者ノ
所有スル株式ニ對スル年六分ノ配當金ト、
當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル社債及借入
金ノ利息額ノ合計額ヲ限度ト致シマシテ、
第十五營業年度迄政府ニ於テ補給金ヲ交付
スルコトトシ、尙其ノ他配當準備金ノ積
立及政府ノ所有スル株式ニ對スル配當ニ關
シ附隨的改正ヲ爲シ、且從來政府ヨリ交付
スル補給金ニ對シ、收支計算上利益トシテ
之ニ課稅シテ參ッタノデアリマスガ、此ノ
際之ヲ免稅スル等、同社機能ノ强化ヲ圖ラ
ムトスルモノデアリマス、以上ヲ以チマシ
テ說明ヲ終リマス、何卒御審議アラムコト
ヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=4
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005・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 今內務大臣ガ
見エマシタカラ、內務大臣カラ御說明ガア
ルサウデアリマスガ、此ノ際便宜上、日滿
地方稅徵收事務共助法案、及明治四十年法
律第二十五號廢止法律案、大正九年法律第
五十三號中、改正法律案、三案ヲ議題トシ
テ御說明ヲ仰ギタイト存ジマス、御異議ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=5
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006・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 御異議ゴザイ
マセヌケレバ、ソレヂヤ一ツ內務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=6
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007・湯澤三千男
○國務大臣(湯澤三千男君) 只今委員長ヨ
リオ話ノゴザイマシタ三案ニ付キマシテ、
其ノ〓要ヲ私ヨリ御說明申上ゲタイト存ジ
マス、先ヅ日滿地方稅徵收事務共助法案デ
ゴザイマスガ、近時滿洲國ノ發展ニ伴ヒマ
シテ、日滿間ノ交通ハ漸次繁激ヲ加ヘツヽ
アルノデアリマス、從ヒマシテ地方稅納稅義
務者ノ移動致シマスルコトモ累年多キヲ加
ヘツヽアリマスノデ、是ガ爲地方團體ハ相
互ニ地方稅ノ徵收ニ付キマシテ相當ニ苦慮
シツヽアリマスル狀況デゴザイマス、仍テ
曩ニ實施セラレマシタ日滿國稅徵收事務共
助法ノ例ニ倣ヒマシテ、地方稅ノ徵收ニ付
キマシテモ相互囑託ヲ爲シ得ル途ヲ開キマ
シテ、地方稅ノ徵收上ニ於テ遺憾ナキヲ期
シタイト存ジマシテ、此ノ法案ヲ提出致シ
マシタヤウナ次第デゴザイマス、以下其ノ
方法ニ付キマシテ簡單ニ御說明ヲ申上ゲマ
ス、第一ハ、滿洲國側へ地方稅ノ徵收ヲ囑
託スル場合デゴザイマス、是ハ地方稅納稅
義務者ガ滿洲國ニ居住致シ、又ハ納稅義務
者ノ財產ガ滿洲國內ニ在リマスル場合ニ於
キマシテ、帝國ノ當該官吏又ハ吏員、卽チ北
海道廳長官、府縣知事又ハ市町村長ト云フコ
トニナリマスルガ、是等ノ者ハ地方稅竝ニ之
ニ附隨スル督促手數料、延滯金、滯納金、處分
費ニ付キマシテ、本人又ハ財產ノ所在地ヲ管
轄シテ居リマスル滿洲國ノ當該官吏、卽チ
市長、縣長又ハ旗長デゴザイマスガ、是等
ノ者ニ對シマシテ其ノ徵收ヲ囑託シ得ルコ
トト致シタノデゴザイマス、尙滿洲國ニハ縣
旗ノ下ニ我ガ國ノ町村ニ該當スベキ街、村
ガアルノデゴザイマスガ、是等ハ未ダ其ノ
機能ガ十分デアリマセヌ、我ガ國ノ町村ト
對等ニ取扱ヒマスルコトノ出來ヌ事情ニア
リマスノデ、命令ヲ以チマシテ滿洲國ノ當
該官吏、卽チ市長、縣長、又ハ旗長ヲ對象
ト致シマシテ地方稅ノ徵收ヲ囑託スルコト
ト致シタイト存ズル次第デゴザマイス、第
二ハ、滿洲國側カラ地方稅ノ徵收ノ囑託ヲ
受ケマス場合ノ規定デゴザイマス、滿洲國
ノ地方稅ニ付キマシテハ、省ノ地方費稅、
市稅、縣稅、旗稅、街稅及村稅ガアリマス
ガ、其ノ納稅義務者又ハ財產ガ我ガ國ニ在リ
マスル場合、滿洲國ノ當該官吏、卽チ市
長、縣長又ハ旗長等カラ我ガ國ノ當該吏
員卽チ市町村長デゴザイマスガ、之ニ對
シマシテ徵收ノ囑託ガアリマシタトキニ
ハ、市町村長ハソレ〓〓當該市町村稅徵收
ノ例ニ依リマシテ徵收ヲ致シ、送金ヲ致ス
コトト致シタイノデゴザイマス、此ノ場合
ニ於ケル徵收ノ順位、訴願、訴訟等ニ付キ
マシテ規定致シマスルト共ニ、徵收金ノ徵
收及送付ニ要シマスル費用ハ、之ヲ所屬市
町村ノ負擔トスル旨ヲ規定致シマシタ次第
デゴザイマス、次ニ明治四十年法律第二十
五號廢止法律案ニ付キマシテ御說明ヲ申上
ゲマス、內外地行政ノ一元化ヲ圖リマスル
ガ爲ニ、樺太ヲ本年四月以降內地行政ニ編
入スルコトトナリマスル處、從來樺太ハ明
治四十年法律第二十五號、卽チ樺太ニ施行
スベキ法令ニ關スル法律デアリマスルガ、
之ニ依リマシテ內地ト法域ヲ異ニ致シマシ
テ、內地ニ行ハレマスル法律ハ原則トシテ
樺太ニハ行ハレナイコトトナッテ居ルノデ
アリマスルガ、今囘此ノ法律ヲ廢止致シマ
シテ、將來公布セラレマスル法律ハ原則ト
シテ當然樺太ニモ施行セラレルコトト致シ
マシテ、法律ノ施行關係ヲ內地ト同樣ナラ
シメムトスルノガ此ノ法律案ノ趣旨テゴザ
イマス、而シテ既存ノ法律ニ付キマシテハ
現在樺太ニ施行セラレテ居リマセヌモノガ
相當數ニ上ッテ居ルノデアリマス、又施行
サレテ居リマスルモノニ致シマシテモ、明
治四十年法律第二十五號ニ基ク勅令ニ依リ
マシテ、土人ニ關スルコト、行政官廳又ハ
公署ノ職權ニ關スルコト等ニ關シマシテ、
特例ヲ設ケテ居ルモノガ多數ゴザイマスル
ノデ、是等ニ付キマシテ今直チニ內地ト法
域ヲ同ジク致シマスト云フコトニナリマス
ル爲ニハ是等法律ノ全般ニ亙リ改正ノ手
續ヲ執ラネバナラヌト云フヤウナコトニナ
リ、又他面尙相當ノ調査準備ヲ整ヘル必要
等モアリマスルノデ、本法律中ニ附則ヲ設
ケマシテ、旣ニ公布セラレマシタ法律及ビ
此ノ公布セラレマシタル所ノ法律ノ改正法
律ノ樺太ニ於ケル施行關係ニ付キマシテ
ハ、從來ノ通リ卽チ明治四十年法律第二十
五號ノ例ニ依ルコトト致シマシタ次第デア
リマス、尤モ樺太ニ施行致シテ居リマスル
法律ノ特例ノ撤廢或ハ未ダ施行致シテ居リ
マセヌ所ノ法律ノ樺太ニ施行致スコトニ付
キマシテハ準備整ヒ次第成ルベク速カニ
實施致シマシテ、樺太ノ內地行政編入ノ實
ヲ擧ゲタイト云フ考デゴザイマス、最後ニ
大正九年法律第五十三號關稅法、關稅定率
法及保稅倉庫法等ノ朝鮮ニ於ケル特例ニ關
スル法律中改正法律案ニ付キマシテ、御說
明ヲ申上ゲタイト存ジマス、此ノ度日滿國
境地域ニ於キマスル經濟開發ヲ一層促進致
シマスルガ爲ニ、鴨綠江水力發電第二次計
畫ト致シマシテ著エスルコトトナリマシ
タ所ノ雲峯及義州ノ兩發電施設ハ國境河
川ニ跨ッテ居リマスル關係上、日滿兩國
領域間ニ各種工事用品ノ頻繁ナル輸出入ヲ
隨伴致スノデアリマスルガ之ニ對シマシテ關
稅法所定ノ手續ヲ執ラシメマスル時ニハ工
事ノ進捗上相當大イナル支障ヲ來スノデア
リマシテ、旣ニ略〓竣功致シマシタ水豐發
電所ノ建設ニ際シマシテモ、是ガ爲工事遂
行上種々不利不便ヲ經驗致シタ次第デゴザ
イマス、殊ニ今囘建設セント致シマスル雲
峯發電工事場ニ付キマシテハ、朝鮮側ニ突
出致シマシタ滿洲國領土ヲ中心ト致シマシ
テ施行セラルヽノデアリマシテ、斯樣ヲ特
異ナル地形ニ於キマシテ工事ヲ施工スルニ
際シマシテハ其ノ建設用各種材料、機械器
具、工事從業者ノ生活物資等ガ鮮滿國境ヲ
踰エマシテ頗ル頻繁ニ運搬セラルベキコト
ハ容易ニ想察スル次第デアリマス、從ヒマ
シテ今囘國境河川ニ跨リマスル設備ノ建設
工事ニ必要デアリマスル是等物品ノ輸出入
ニ付キマシテハ關稅法ノ適用ヲ免除致シマ
スルコトヲ、適當ト認メマシテ、第六條ニ
第四項ヲ新タニ追加致シマスルト共ニ、現
行第六條本文ノ免除區域ニ付キマシテ水口
鎭ヨリ約二里下流ノ義州發電所ノ位置ガ含
マレマセヌ爲、免除區域ヲ鴨綠江口ニ近イ
新義州停車場迄擴張致サムトスル次第デゴ
ザイマス、關稅法ノ適用ヲ免除サレマスル
物品ニ付キマシテハ國境河川ニ跨ル橋梁、
水力發電設備其ノ他ノ設備ノ建設工事ニ必
要ナル物品ニ付キマシテ朝鮮總督ヲシテ現
地ノ實情ニ卽シマシテ適宜之ヲ定メシムル
コトト致シテ居ル次第デアリマス、以上三
法律案ニ付キマシテ簡單ニ御說明ヲ申上ゲ
マシタ次第デゴザイマスルガ、詳細ノ點ニ
付キマシテハ御質問ニ依リマシテ御答ヲ申
上ゲタイト存ジマス、何卒愼重御審議ノ程
ヲ御願ヒ申上ゲル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=7
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008・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 恩給法中改正
法律案外四件ノ御說明ハ一應終リマシタ
ガ、委員ノ中ニ政府カラ配付サレマシタ參
考資料ヲ十分讀ンデカラ質問ニ入リタイト
云フ御希望モゴザイマスガ、此ノ際尙資料
ヲ必要ト御認メニナル方ハ御申出ヲ願ヒタ
イト思ヒマス、下條サン、何カアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=8
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009・下條康麿
○下條康麿君 恩給ノ負擔ニ關スル最近五
箇年位ノ數字ヲ戴ケルト結構ト思ヒマス、
ドウ云フ風ナモノデモ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=9
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010・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) チヨット速記
ヲ止メテ··
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=10
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011・堀田正恒
○委員長(伯爵堀田正恒君) 速記ヲ始メ
テ······ソレデハ今日ハ此ノ程度デ散會致シ
マス、明日ハ午後一時カラ開會致シマス
午前十時四十九分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵堀田正恒君
副委員長男爵關義壽君
委員
公爵山縣有道君
子爵大岡忠綱君
子爵松平親義君
男爵今園國貞君
村上恭一君
下條康麿君
吉田茂君
堀切善次郞君
山上岩二君
國務大臣
內務大臣湯澤三千男君
政府委員
內閣恩給局長平木弘君
法制局長官森山銳一君
內務次官山崎巖君
內務省管理局長竹內德治君
朝鮮總督府財務局長水田直昌君
樺太廳長官小河正儀君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008100167X00119430129&spkNum=11
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