1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○商工經濟會法案
○商工組合法案
○商工組合中央金庫法中改正法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=0
-
001・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) デハ是ヨリ委
員會ヲ開會致シマス、劈頭私カラ議事進行
ニ付キマシテチヨット皆樣ニ御諮ヲ致シ
タイト思フ次第デゴザイマ、ソレハ本日ハ
丁度參考書類モ茲ニゴザイマスルケレドモ、
マダ外ニ足リナイ所ガゴザイマスレバ御要
求下サイマシテ、本日ハ午前中デ委員會ハ
一應閉ヂマシテ、月曜日ノ十時カラ又開イ
テ協議ヲシテ行キタイ、斯樣ニ思ッテ居リ
マス、此ノ付託セラレマシタ議案ハ三案ア
ルノデゴザイマスガ、是ハ局長ノ方ノ擔當
ガチヨット決ッテ居リマスノデ、サウ云フ
關係上一案ヅツ協議ヲシテ行キタイ、斯ウ
思ッテ居リマス、ドウゾ左樣御承知願ヒマ
ス、御意見デモゴザイマスレバ、此ノ際チ
ヨット承ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=1
-
002・有吉忠一
○有吉忠一君 資料ノ要求ハ一番初メニ致
シマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=2
-
003・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) ドウゾ一番初
メニ願ヒタイト思ヒマス、今アレバ今御願
ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=3
-
004・有吉忠一
○有吉忠一君 私ハ資料ヲ少シ頂戴シタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=4
-
005・片倉兼太郎
○片倉兼太郞君 私實ハ議事進行デ申上ゲ
タイト思ヒマス、此ノ程大臣カラ本會議デ、
今度商工組合法ガ出來ルノダ、從ッテ商工
經濟會ガ其ノ結果生ジナケレバナラヌト
御說明ガアッタヤウニ思ヒマスノデ、出來ル
ナラバ商工組合法案ヲ先ニシテ、商工經濟
會法案ヲ後ニシテ戴イタラドウカト思ヒマ
ス、御參考迄ニ申上ゲテ置マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=5
-
006・有吉忠一
○有吉忠一君 私ハ商工經濟會法案ガ主デ
ゴザイマスガ、商工組合法案ヲ先ニオヤリ
ニナッテモ、モット資料ヲオ集メニナルノニ
時日ヲ要スルコトガアッテハ惡イト思ヒマ
スガ、私ノ要求シタイ資料ハ、商工經濟會法
案ノ第五條ニ商工經濟會ノ會員タル資格ガ
限定サレテ居リマスガ、是ハ全國ノ府縣ニ
付テ伺フコトハチヨット困難デアリマセウ
ガ、例ヘバ六大都市ヲ包容シテ居ル處ノ府
縣ソレカラ極ク小サナ縣ト云フモノヲ分
ケテ、二三選リ拔イテ貰ツテ宜シウゴザイ
マスガ、サウ云フ所デ一體會員ノ數ト云フ
モノガ凡ソドノ位ニナルト云フ御見込デゴ
ザイマセウカ、其ノ數ヲ一應調ベテ戴キタ
1、ソレカラ其ノ次ニ總代ヲ選擧スルト云
フコトガアリマスガ、其ノ總代ヲ選擧スル
コトニ付テ、凡ソドレ位ノ會員ガアル所力
ラ總代ヲ選ブヤウニナサレル御積リデアル
カ、ソレ等ノ資料ヲ一應御〓シヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=6
-
007・中野敏雄
○中野敏雄君 今商工組合法案ヲ先ニヤッ
タラドウカト云フ御說ガアリマシタガ、商
工組合法案ハ條文ダケデモ百六條カラ成ッ
テ居リマシテ、經濟會法案ハ大體其ノ半分
程度ニナッテ居リマス、少シ私共詳細ニ資
料其ノ他モ集メタイモノガゴザイマスノデ、
出來ルナラバ簡單ナ經濟會法案カラ先キ
ニヤッテ戴ケレバ好都合ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=7
-
008・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 申上ゲマス
ガ、又片倉君ニモチヨット常局トモ話シ合ッ
タ所ヲ御答ヲシタイト思ヒマスガ、當局ノ
方デモ商工經濟會法案ヲ先ニ御願ヒシタ
イ、ソレカラ商工組合法案ト商工組合中央
金庫法中改正法律案ノ二案ハ不可分ノモノ
ダカラ一緒ニヤリタイ、サウシテ前ノ商工
經濟會法案ニ付テモ、商工組合法案ノ時ニ
何カ關聯ノモノガ出テ來レバ、其ノ時ニ御
話ヲシテモ宜シイ、斯ウ云フワケデゴザイ
マスカラ、ドウゾ御諒承置キヲ願ヒマス、中
野君モドウゾ左樣御諒承ヲ願ヒマス、他ニ資
料其ノ他ニ付テノ御要求ハゴザイマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=8
-
009・中山太一
○中山太一君 資料ノコトニ付キマシテ
ハ商業組合、工業組合ノ法規ハ各々此處
シ
ニ出テ居リマスルガ、今囘ハ三ツノ組合ガ
矢張リ整理サレルコトニナッテ居リマス、
其ノ一ツノ重要物產ノ同業組合ニ關スル法
規ガ出テ居ナイ、又ソレニ對スル資料ガナ
イヤウデアリマスカラ、御差支ナカッタラ
是モ併セテ次囘迄ニ御出シヲ願ヒマスレ
バ、審議上非常ニ仕合セト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=9
-
010・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 他ニ御要求モ
ゴザイマセヌカ、御要求ガゴザイマセヌケ
レバ是ヨリ商工大臣ノ法案ニ對スル御說明
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=10
-
011・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 商工經濟會法案外
二件ノ提案理由ヲ御說明申上ゲマス、商工
經濟會法案ハ曩ニ本會議ニ於テ申述ベマシ
タ通リ、現下決戰體制確立ノ爲、國民經濟
ノ總力ヲ戰力增强ノ目的ニ集中致シマシ
テ、之ヲ最モ有效ニ發揚セシムル爲、國內
產業經濟ノ組織ノ確立ヲ目的ト致シマシ
テ、地域的綜合產業經濟團體ノ整備强化ヲ
圖リ、全國各道府縣ニ商工經濟會ヲ設立セ
シュムトスルモノデアリマス、產業經濟組
織ノ整備確立ニ付キマシテハ、曩ニ統制會
制度ノ實現ヲ見マシテ、又其ノ下部組織ノ
整備モ後ニ御說明ヲ申上ゲマスルヤウニ、
商工組合法案ニ依リ商工組合ガ設ケラレル
ノデアリマスガ、是等ハソレ〓〓業種別ニ
生產、配給、消費ヲ縱ニ貫ク、謂ハバ縱斷
的ノ產業統制機構デアリマシテ、此ノ縱斷
的統制機構ニ依ル統制運營ヲ眞ニ圓滑ナラ
シメル爲ニハ同時ニ是等ノ機構ノ連絡ヲ
圖ルベキ、謂ハバ橫斷的機構ヲ整備セネバ
ナラヌノデアリマス、現在道府縣ノ產業經
濟統制ハ總テ地方官廳ヲ通ジテ行ハレテ居
リマシテ、之ニ協力セシムル爲ニ速カニ地
域的綜合的ナル組織ヲ必要トスルノデアリ
マック、現在綜合的地域的ナ產業團體トシマ
シテハ商工會議議所法ニ依ル商工會議所
ガアルノミデゴザイマスガ、商工會議所法
ハ御承知ノ如ク、昭和二年ニ制定セラレマ
シタモノデアリマシテ、其ノ後ニ於キマスル
經濟諸情勢ノ變化ニ依リマシテ、其ノ運營
ハ今日ノ事情ニ卽應シ難キモノガ多イノデ
アリマシテ、之ヲ以テシテハ現下ノ要請ニ
十分ニ應フルコトハ困難ト相成ッテ參ツタノ
デアリマス、此ノ故ニ商工會議所制度ヲ廢
止致シマシテ、新タニ商工經濟會制度ヲ設
ケムトスルノデアリマス、以下少シク商工
會議所ト商工經濟會トヲ比較致シマシテ、
本法提案ノ理由ヲ明ニ致シタイト存ジマ
ス、從來ノ商工會議所ハ單ニ商工業ノ改
善發達ヲ圖ルコトヲ其ノ目的ト致シテ居ッタ
ノデアリマスルガ、商工經濟會ハ地域的綜
合產業經濟團體トシテ、地方產業經濟ニ關
スル行政ニ對スル協力ヲ此ノ主眼ト致シ
テ居リマス、第一ニ商工經濟會ハ、產業行
政ノ協力機關デアリマスノデ、行政區劃
ニ依リマシテ道府縣ヲ其ノ區域トシ、從來
ノ商工會議所ガ市又ハ町ノ範圍ヲ區域トシ
テ居リマシタノニ對比致シマシテ、其ノ地
區ハ擴大サレルノデアリマス、次ニ商工會
議所ノ構成員ハ一定ノ國稅、例ヘバ營業稅
等ノ一定額ヲ納ムルモノヲ議員選擧權者ト
シテ、是等ノ者ノ選擧致シマシタ議員ヲ中
心ニ、事業ヲ行ッテ居タノデアリマスルガ、
地方產業行政ニ協力セシメテ、一般產業間
ノ連絡ヲ圖リマス爲ニハ、產業經濟ニ關係
スルモノヲ廣ク其ノ構成員トスル必要ガア
リマス、此ノ爲、商工經濟會ニ於キマシテ
ハ各種產業ヲ營ムモノノ中ヨリ構成員タ
ル資格ヲ有スルモノヲ、行政官廳ニ於テ指
定致シ、其ノ指定ヲ受ケタル者ハ営然加入
スルモノトスルノデアリマシテ、比較的大
ナル事業者ハ單獨ニテ、然ラザル者ハ組合
等ニ依リマシテ團體加入セシムルコトト致
シマシテ、廣ク有ラユル業種業態ニ屬スル
モノヲ其ノ構成員トシテ包含致シマシテ
眞ニ綜合的經濟ノ圓滑ナル運營ニ資セシメ
ムト考ヘルノデアリマス、次ニ商工經濟會
ハ、地方產業行政ノ協力機關トシテ地方的
組織ノ整備ヲ目的ト致シテ居リマスノデ、
主務大臣ノ命令ニ依リ之ヲ設立セシメ、全
國ニ商工經濟會ヲ設立スルコトト致シタイ
ト存ジマス、此ノ點從來ノ商工會議所ガ、
一定ノ資格者ノ發意ニ依リマシテ、所謂
任意設立ニ任セテ居リマシタノニ比シマシ
テ、大ナル逕程ガアルノデアリマス、次ニ
商工會議所ノ事業ハ、單ニ商工業ノ改善發
達ヲ圖ルコトヲ主トシテ居リマシタ爲ニ、
其ノ役員等ノ任免ハ、當事者ノ意思ニ任サ
レテ居リマシタガ、商工經濟會ノ事業ハ、
總テ行政官廳ト表裏一體ノ關係ニ於テ、地
方產業經濟ニ關スル行政ニ協力セシムルコ
トヲ主眼ト致シマシテ、其ノ公共性ハ非常
ニ强クナリ、事業範圍ハ擴大シテ居リマス
ノデ、眞ニ有能ノ士ヲ其ノ役員ニスルコト
ノ出來ル方途ヲ講ジマシテ、且行政官廳ノ
任命又ハ承認制度ヲ採ツタノデアリマス、最
後ニ商工經濟法ニハ支部ヲ設クル規定ヲ設
ケテ居リマスガ、是ハ商工經濟會ノ事業ヲ
圓滑ニ遂行シマス爲、必要ナル地ニ强力ナ
ル支部ヲ設ケマシテ、下部組織ノ整備ヲ圖
ラムトスル趣旨テゴザイマス、次ニ商工組
合法案ニ於テ御說明致シマス、決戰下ニ於
キマスル「商工鑛業ノ總力ヲ結集致シマシテ、
其ノ能率ヲ最高度ニ發揮セシメマスルコト
ヲ目途ト致シマシテ、其ノ統制運營ヲ圖ル
組織機構ヲ整備確立セムトスルモノデアリ
マス、而シテ本法ニ依リマシテ設立セラレ
マスル團體ハ、統制組合及ビ施設組合ノ商
工組合竝ニ商工組合中央會デアリマス、第
一ノ統制組合ハ、商工鑛業部門ニ於ケル統
制團體デアリマス、政府ハ曩ニ公布セラレ
マシタ重要產業團體令ニ基キマシテ、重要產
業部門ニ於ケル統制團體トシテ統制會ノ設
立ヲ促進シ、既ニ其ノ數ハ二十有餘ニ上ツテ
居リマシテ、重要產業部門ノ上部統制機構
ハ、略〓之ガ整備ヲ了シタル狀況デアリマ
ス、然ルニ重要產業以外ノ一般商工業部門
ニ於キマシテハ、商業組合、工業組合、同
業組合等ガアルノデアリマスルガ、是等ノ
諸組合制度ハ、今日ノ戰時下ニ於ケル統制
經濟ガ施行セラレル以前ニ創設セラレタモ
ノデアリマス關係上、今日ノ統制經濟下ニ
於ケル続制組織ト致シマシテハ幾多ノ缺
陷ヲ有シテ居ルノデアリマス、卽チ其ノ運
營方法ガ組合ノ總會ヲ中心トスル合議制ニ
依ルモノデアリマスル爲、國家意思ヲ敏速
且的確ニ滲透セシムル統制組織トシテ缺ク
ル所ガアリ、且組合員ノ加入脫退ガ自由ナ
ルコト、其ノ他統制ヲ確保スル爲ノ法的根
據ガ薄弱ナルコト等ノ事由ニ依リマシテ、
强力ナル統制ヲ行フ統制團體タルニ缺クル
所ガアルノデアリマス、又組合組織ニ依ル
統制團體トシテハ、右ノ諸組合ノ外ニ、統
制會ノ下部組織ト致シマシテ、重要產業團
體令ニ依ル各統制組合ガアリマスルガ、現
行ノ統制組合ハ、其ノ事業ガ狹義ノ統制事
業ニ限ラレテ居リマス結果、一般中小企業
ノ統制ニ適合セザル所ガアリマスルノデ、
統制確保上必要ナル經濟事業ヲモ併セテ行
ヒ得マスルヤウニ、之ヲ强化擴充スルノ必
要ガアルノデアリマス、更ニ現行ノ商業組
合、工業組合制度ハ、商工分立ノ原則ニ
立ッテ居リマスル爲、問屋業者ト賃加工業
者トノ如ク、密接ナル關係ヲ有スル商工業
者ガ、別箇ノ商業組合、工業組合ニ加入セ
ネバナラナクナリマス結果、商工業者相互
間ニ動モスレバ對立摩擦ヲ惹起セシムル虞
モアリマスノデ、必要ニ應ジマシテ、商工
一體ノ組合ヲモ設立シ得ル途ヲ拓クノガ、
適當ダト考ヘラレルノデアリマス、玆ニ於
キマシテ、現行ノ統制組合、工業組合、商
業組合、同業組合ノ各種組合制度ノ長ヲ採
リ短ヲ補ッテ、新統制組合制度ヲ創設致シタ
イト存ズルノデアリマス、第二ノ施設組合
ハ中小企業ノ共同經營ノ組織デアリマス、
現下ノ物資需給狀況ノ下ニ於キマシテ、生
產ノ增强及ビ配給ノ適正ヲ期シマスル爲、
低能率ノ企業ヲ整理統合シテ、產業能率ノ
增强ヲ期シツヽアル次第デアリマスルガ、
一面中小企業經營ニ伴フ利點モ之ヲ活用シ
ナケレバナラヌ場合モアリマスノデ、是等
中小企業ヲ結合シテ共同經營ヲ行ハシメ、
以テ中小經營ノ長ヲ採リ短ヲ補フ所ノ組合
組織モ必要ト存ズルノデアリマス、現在ニ
於キマシテモ商業小組合、工業小組合ノ如
キ弱小業者ノ爲ノ組合組織ガ存スルノデア
リマスルガ、其ノ組合員數、設立者ノ資格
等ガ制限セラレテ居リマス結果不便デアリ
マスノデ、本法ニ依リマシテ任意加入制ノ
純然タル共同組合トシテ、施設組合ナル制
度ヲ設クルコトト致シタイト存ズルノデア
リマス、第三ノ商工組合中央會ハ、本法ニ
依ル続制組合及ビ施設組合ノ指導連絡ヲ圖
ル中央機關デアリマシテ、其ノ事業ハ商工
組合ノ經營實務ノ指導、其ノ他中小企業ニ
關スル調査〓究等ニ限リマシテ、所謂統制
ニハ關與シナイ建前デアリマス、以上ノ如
ク本法ハ旣存ノ諸組合制度ヲ整理統合致シ
マシテ、商工鑛業ニ關スル簡素ニシテ强力
ナル統制組織ヲ整備確立セムトスルモノデ
アリマスルガ、本法ニ依リ旣存組合ガ新組
合ニ改組セラレルニ當リマシテハ、可及的
ニ簡易ナル方法ニ依リ得マスヤウ諸種ノ規
定ヲ設ケマスルト共ニ、將來ノ運用ニ當リ
マシテモ業界ニ無用ノ混亂ヲ生ゼシメナイ
ヤウ特ニ留意致シテ居ル次第デアリマス、
次ニ商工組合中央金庫法中改正法律案ニ
付テ御說明申上ゲマス、商工組合中央金庫
ハ商業組合、工業組合等、商工業關係組合
ニ對スル金融ノ圓滑ヲ圖ルコトヲ目的ト致
シマシテ設立セラレタノデアリマスルガ、
設立後商業組合、工業組合等ノ飛躍的ナ發
展、其ノ數ノ增加ト相俟チマシテ、其ノ業
務モ急速ニ擴充セラレテ參ッタノデアリマ
ス、卽チ設立當初ニ於キマシテハ所屬組合
數千六百餘、貸出殘高三百萬圓餘ヲ數フル
ニ過ギナカッタノデアリマスルガ、昨年末ニ
於テハ所屬組合數ニ於テ約七千、貸出殘高
二段六一億圓ヲ突破スルニ至ッタノデアリ
やく、而シテ是等組合カラノ旺盛ナル資金
需要ニ對應致シマスル爲ニハ、商工組合中
央金庫ノ資力ヲ積極的ニ充實セシムル必要
ガアルノデアリマスルガ、差當リ組合數ノ
激增ニ鑑ミマシテ、設立當初ノ資本金千萬
圓ヲ組合側ノミノ出資ニ依ッテ六百萬圓增
加致シマスト共ニ、臨時資金調整法ノ改正
ニ依ッテ商工債劵ノ發行限度ヲ五千萬圓擴
張スル等、必要ナル措置ヲ講ジテ參ッタノ
デアリマス、併シナガラ本金庫ノ主要ナル
貸出財源ヲ爲ス商工債劵ニ付キマシテモ、
旣ニ昨年末ニ於テ其ノ發行高ハ約一億一千
萬圓ニ達シ、約三千萬圓餘ノ發行餘力ヲ殘
スニ過ギナイ狀態トナリマシタニモ拘ラ
ズ、組合ノ總數ハ增加ノ一途ヲ辿リツヽア
リマスルト共ニ、今囘本法ノ改正ニ依リマ
シテ從來ノ組合ヲ改組設立シタル會社、其
ノ他統制ノ必要上設立シタル會社等ニ對シ
マシテモ、資金ノ融通ヲ行フコトトナリマ
スルノデ、將來本金庫ノ所要資金ハ急激ニ
增加スルモノト豫想セラルルノデアリマ
ス、從ヒマシテ商工組合中央金庫ノ現在ノ
資本金千六百萬圓ヲ以テシテハ、到底利用
者ノ需要ニ應ズルコトハ困難ト認メラレマ
スルノデ、商工組合中央金庫ノ資本金ヲ千四
百萬圓增加致シマシテ、政府ヨリ一千萬圓
ヲ出資スルト共ニ、組合ヨリ四百萬圓ヲ出
資セシメムトスル次第デアリマス、次ニ商工
組合中央金庫ハ現在商工業關係組合ニ對シテ
ノミ資金ヲ貸付ケ得ル建前ニナツテ居ルノ
デアリマスルガ、近時產業整備ノ必要ニ基
キマシテ、商工業關係組合中ニ於キマシテ
モ、組合ヲ改組シテ或ハ有限會社、食糧營
團等ノ別個ノ形態ニ移行スルモノガ尠ナカ
ラザル狀況デアリマス、從ヒマシテ從來商
工組合中央金庫ニ所屬セル商工業關係組合
デアリマシテ、改組ニ依リ加入者タル資格
ヲ喪失シタモノニ對シマシテモ、貸付ノ繼
續ヲ認メマスルト共ニ、商工組合中央金庫
ニ所屬セザル組合又ハ聯合會ヲ改組設立シ
タル會社、其ノ他設立ノ趣旨、組織者等カ
ラ見テ之ニ準ズベキ會社ニ對シマシテモ、
餘裕金庫運用ニ依ル短期ノ貸付ヲ認メムト
スルモノデアリマス、尙商工組合中央金庫
ノ事業年度ハ現在年二囘トナッテ居リマス
ルガ、手續ノ簡素化、經費ノ節約ヲ圖ル趣
旨カラ致シマシテ、之ヲ年一囘ニ改正セムト
スルモノデアリマス、商工經濟會社法案外
二件ノ提案理由ハ大體以上ノ通リデアリマ
ス、何卒御審議ノ上御協賛アラムコトヲ希
望致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=11
-
012・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 大臣ハ今日ノ
午前中ハコチラニ御留リ出來ルサウデゴザ
イマスカラ、本日ハドウゾ大臣ニ對シテ極
ク根本的ナ御質問ヲナサッテ戴イテ、月曜カ
ラドウゾ私ノ手許迄ニ御質問ノ極ク〓要ノ
コトヲ御書キ下サイマシタモノヲ出シテ戴
キタイト思ヒマス、御質問ノアル方ハ·····
ソレデゴザイマセヌト、議事ノ促進ヲスル
コトガ出來マセヌノデアリマスカラ、月曜
日ノ日ヨリハサウ云フヤウニ願ヒタイ、斯
樣ニ思ヒマス、デハドウゾ大臣ニ對スル御
質問ヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=12
-
013・有吉忠一
○有吉忠一君 先ヅ是カラ大體ニ付テ大臣
ノ所信ヲ伺ヒタイト思ヒマス、今迄ハ商工
會議所ト云フモノガアリマシテ、今度ハ
其ノ商工會議所ト云フモノヲ廢メテ、商工
經濟會ト云フモノヲ府縣ヲ單位ニシテ作ル、
其ノ趣旨ハ只今大臣ガ御說明ニナリマシタ
通リ、是迄ハ商工業ノ改善發達ヲ圖ルノヲ
目的ニシテ出來テ居ッタノデアル、今度ハ地
方ノ行政ニ對シテ經濟的協力ヲナサシムル
目的ノ爲ニ、公共的性質ヲ多分ニ加ヘテ行
政協力ノ機關トスル目的ヲ以テ作ッタモノ
デアルカラ、其ノ構成ナリ、或ハ役員ノ選
任ナリニ付テ非常ニ注意ヲ拂ッタト云フ御
話デアリマス、其ノ點ハ能ク諒承ガ出來ル
ノデアリマス、全ク是迄商工會議議ト云フ
モノノ改正案ハ屢〓商工省デ〓究サレタコト
モ私承知シテ居リマス、今度ハ其ノ改正ト
云フモノハ全ク全廢シテ、サウシテ新シイ
經濟會ト云フモノヲ作ラウトナサッテ居ル、
其ノ趣旨ハ是デ能ク明カニナッテ居ル、私ハ
此處デ大臣ニ御伺ヒシタイト云フ點ハ、此
ノ法案ノ第一條ヲ見マスト云フト、「國民經濟
ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲國策ニ
協力シ產業經濟ノ圓滑ナル連絡ヲ圖ルト共
ニ其ノ改善向上ニ努ムルコトヲ目的トス」斯
ウ書イテアル、サウシテ今大臣ノ御說明ニ
依レバ、是迄ハ統制會ト云フモノガ、各縱
斷的ニ出來テ居ルガ、橫ノ連絡ト云フモノ
ニ付テ未ダ至ラザル所ガアルカラシテ、此
ノ商工經濟會云フトモノヲ其ノ橫ノ連絡ノ
機關トシテ、連絡ヲ圖リタイト云フ積リデ
アルト云フ御話デアル、是モ理念トシテハ
誠ニ結構ナ御考ヘツキダト思ヒマスガ、扨
テ私ハ玆ニ大臣ニ御伺ヒシタイト云フ點ハデ
ス、之ヲ實行ナサルニ付テ、ドウ云フ一體
具體的方法ヲ以テ橫ノ連絡ト云フモノヲヤ
ラセルト云フ御考デアルカ、其處ガドウモ
私共ハ法案ダケデハ、實行サレルニ付テノ
方法ガドウモ私ニハ十分ニ呑ミ込メナイ、
是ハ法文ノ上デハ表スコトガ出來ナイノデ
アリマセウト思ヒマスカラ、商工當局トシ
テ、此ノ協力ヲサセ、連絡ヲスルト云フコ
トニ付テハドウ云フ風ニシテヤラセルト云
フ御見込デアリマセウカ、ソレヲ實行ナサ
ルニ付テハ十分ナ成案ヲ御持チニナッテ
居リマスカドウカト云フ點ヲ、私ハ第一ニ
御伺ヲシテ見タイト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=13
-
014・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 今日ノ戰時下ニ於
ケル統制經濟ヲ施行シテ參リマスル爲ニハ、
重要產業別ニ、縱ニ一ツノ統制機構ヲ作ッ
テ行クト云フ所ノ必要モ、一面ニ於テ非常
ニ必要デアリマス、例へバ鐵、石炭ト云フヤ
ウナモノニ付キマシテ、鐵鑛ニ關スル限リ、
之ニ關聯シテ居ル所ノ仕事ヲシテ居ルモノ
ヲ其ノ傘下ニ收メテ、鐵ニ關スル限リニ
於キマシテハ、上カラ下迄其ノ鐵鑛ニ關
スル統制會ガ、政府ト協力シテ統制ノ實ヲ
擧ゲテ行クト云フ建前ヲ執ッテ行ク必要ガ
一面ニ於テ非常ニ重大ニ痛感サレマス、政
府ハ此ノ必要ニ應ズル爲ニ、統制會及ビ其ノ
下部機構ト云フモノヲ整ヘテ參ッテ居ルノ
デアリマス、處ガ是ガ全國ニドウ云フ風ニ
實施サレテ來ルカト申シマスト、其ノ統制
ノ最後ノ末端ハ、ドウシテモ各道府縣ニ是ガ
行クノデアリマス、ソレデ道府縣ノ行政機
構トシテハ、御承知ノ通リ道府縣長官ト云フモ
ノガ、所謂綜合的ナ機構トシテ、御承知ノ通リ
各省大臣ノ指揮監督ノ下ニ、地方ニ於ケル
綜合的ナ行政ヲ扱ッテ居ル、デサウ云フ末
端ニ參リマスト、各產業統制ノ仕事モ、行
政機構トシテハ府縣ノ統合機關ニ依ッテ行
- )又同時ニ產業經濟ノ實態カラ見マシ
テモ、中央ニ於キマシテモ此ノ縱ノ統制會
間ノ連絡ヲ執ル必要ガアリマスルガ、更之
是ガ地方ノ末端ニ行ッテ實施サレル狀況ニ
鑑ミテ見マスト、更ニ綜合サレル必要ノ强
度ニ要求サレルモノガアルト思フノデアリ
マン、ドウシテモ地方ニ於ケル此ノ統制ノ
實施ノ末端ノ綜合ヲ如何ニシテ完備シテ行
クカト云フ事柄ハ、常々私共ハ非常ニ苦心
ヲシテ居ッタ所デアリマスルガ、是ノ行政
機構ノ地方廳ニ全面的ニ協力スル所ノ一ツ
ノ團體ガ、ドウシテモ必要デアル、是ガ商工
經濟會ノ組織ヲ建テヨウトシタ一ツノ大キ
ナ理由デアリマスルガ、然ラバ今御質問ニ
ナリマシタ、ドウ云フ風ニシテ其ノ綜合的
ナ實ヲ擧ゲテ行クカト云フ問題デアリマス、
是ハ一ツハ商工經濟會ノ組織ノ問題ダラウ
ト思ヒマス、卽チ構成ノ問題ダラウト思ヒ
マス、縱ノ統制機構デアル所ノ統制會ノ會
員デアリ、ソレノ組織分子デアル所ノ者ガ、
同時ニ現場ニ於キマシテ各道府縣ノ經濟會
ノ「メンバー」會員トナルト云フ組織ヲ採ル
必要ガアルト思ヒマス、先程モ御說明·申上
ゲマシタヤウニ、比較的大キナ有力ナ產業
界ノ事業者ハ單獨ニ於テ商工經濟會ヲ組織
スル、同時ニ其ノ人々ハ縱ノ關係ニ於キマ
シテハ統制會ノ會員ヲシテ居ル、ソレカラ
中小企業ノ連中ハ、今囘改正シマシタ所ノ
商工組合法、其ノ他適當ナル團體組織ニ組
織セラレマシテ、一方ニ於テハ縱ノ統制會
ノ「メンバー」デアルト共ニ、各地方ニ於キ
マシテハ商工經濟會ノ會員デアル、斯ウ云
フコトニ相成リマシテ、此ノ商工經濟會ノ
會員ハ、中央ニ於テハ各統制會ノ縱ノ組織
者デアルト共ニ、地方ニ於キマシテハ綜合
的ニ各統制會ノ「メンバー」石炭ニ關スルモ
ノモ、鐵ニ關スルモノモ或ハ纖維工業ニ關
スルモノモ、ソレ〓〓地方ノ商工經濟會ノ
組織者トナルト云フコトニ依ッテ、此ノ間ノ組
織上ノ綜合連絡ト云フモノガ執レテ行クト
思フノデアリマス、又今度ハ運用ノ組織ノ
上ニ於テモサウ云フ構想ヲ實現スルト共ニ、
今度ハ運用ノ上ニ於テ先程申述ベマシタヤ
ウニ、地方長官ト云フモノガ地方ノ綜合行
政機關デアリマスノデ、ソレト表裏一體ニ
ナッテ、是ガ活動サレ運用サレテ行クト云フ
コトニナリマスレバ、其ノ地方ニ於ケル產
業經濟ガ綜合サレタ意味ニ於テ地方行政ト
云フモノモ行ハレ、ソレニ協力スル所ノ商
工經濟會モ運營サレテ行クト云フコトニ依
リマシテ、組織及ビ運營ノ兩方面カラシテ、
此ノ產業經濟ノ横ノ綜合的ナ連絡ヲ取ッテ
行クト云フコトヲ行ッテ行キタイ、斯ウ云フ
風ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=14
-
015・有吉忠一
○有吉忠一君 一應御說明ノ趣旨ハ了解致
シマシタガ、此ノ經濟會ヲ見マスト云フ
下、第一ニ總會ト云フモノヲ認メテ居ル、
サウシテ其ノ總會ハ先程私資料ヲ要求致
シタノデアリマスガ、府縣ニ依ッテハ數千ニ
上ル會員ガ含マレヤシナイカト思ハレル所
ガアル、サウ云フモノヲ團體ノ構成員トシ
テ、ソレ等ノ意思ヲ疏通シテ、ソレ等ヲ集
メテ橫ノ連絡ヲ圖ルト云フヤウナコトハ、實
際問題トシチヤ出來サウモナイ、ソコデ總
代ヲ認メラレタコトニナルノダラウト思フ
ノデアリマス、此ノ總代ハ一體ドウシテ選
ブカト云フコトハ、此ノ法文ノ中ニハ
何等規定ハナイ、ソレデ一應私ハ大臣
ガ述ベラレタヤウニ構成員ニ依ッテ連絡ヲ
圖ッテ行クト云フ御趣旨デアルト云フコト
ハ能ク分リマシタガ、併シ今日迄私共ガ商
工會議所ト云フモノニ携ッテ居ッタ經驗カラ
申シテ見マスルト、現在ノ商工會議所ト云
フモノハ、法ニ依ッテ與ヘラレタル權限ト
云フモノハ殆ド無イノデス、殆ド無イニ拘
ラズ、此ノ頃各地方ノ實際ヲ御覽ニナルト
分リマスガ、地方ノ經濟界ニ於テハ確カニ
必要ナル働キヲ爲シテ居ルノデアリマス、
是ハ一朝一夕ニ斯樣ニナッタノデハナイノ
デアリマシテ、自然ニ、段々ト經濟界ノ趨
勢ニ順應シテ此處迄發達シテ參ッタモノデ
アリマス、ダカラ今日ノ商工會議所ハ、法
ニ依ッテ與ヘラレテ初メテ斯ウ云フモノガ
出來上ッタモノデナクシテ、民間ノ經濟界ノ
形勢ニ順應シテ自然ニ發達シテ參ッテ、此ノ
重要性ヲ帶ビテ來タモノデアル、ソレ故ニ
コソ此ノ會議所ノ構成員ニモ、地方デ相當
ナ人物ガ出テ、サウシテ其ノ人物ノ個人的
勢力ト云フモノニ依ッテ、經濟界ノ指導ヲス
ヤウニナッテ來タモノデスカラ、地方デモ
官公、民ト云ヘバ、官デハ地方長官ガ官
ヲ表ハシ、大都市ノ市長ガ公ヲ代表シ、サ
ウシテ商工會議所ガ民ヲ代表スルト云フヤ
ウナ、自然ノ狀況ニナッテ參ッテ居ル、處ガ
今度ハ其ノ商工會議所ト云フ、自然ニ發達
シテ經濟界ノ情勢ニ應ジテ出テ來タ、斯ウ
云フ相當ノ動キヲシテ居ル機關ヲ廢止シテ
シマッテ、サウシテ新シイ斯ウ云フモノヲ作ッ
テ之デ地方ノ行政ノ協力機關ヲ作ルト云
フコトヲ御考ヘニナルコトハ御尤モタガ、
本當ニ其ノ效果ヲ是ガ擧ゲ得ルモノデアル
カナイカト云フコトニ付テハ、私共餘程ソ
コニ懸念ヲ持ツノデアリマス、斯ウ云フ今
日ノヤウナ時勢デアリマスルカラ、私共ハ
政府ガ斯ウ云フ風ニシタナラバ宜カラウト
斯ウ思ハレル事柄ニ付テハ、決シテ反對ヲ
致ス者デハアリマセヌ、是非政府ガ考ヘラ
レル通リノコトヲ實行セラレルヤウニ御協
力ヲ致シタイ考ヘデアリマス、併シドウカ、
實行サレルニ付テハ本當ニ效果ノ擧ルヤ
ウニ御互ヒニ〓鑚ヲシテ行クト云フコトガ
必要ダラウト思ヒマスルノデ、私モ之ヲ述
ベルノデアリマス、此ノ點ニ付テドウカ一
ツ大臣モ、本當ニ此ノ第一條ノ目的トスル
效果ヲ擧ゲ得ルト云フコトニ付テノ、十分
ナル確信ヲ以テ實行ノ出來ルヤウニ御仕組
ミニナルト云フコトガ必要ヂヤナイカト思
フノデアリマス、其ノ點ニ付テ、今構成デ
ヤッテ行クト言ハレマスケレドモ、其ノ構成
ノ點ニ付テハ、頗ル不明瞭ナル點ガ多イヤ
ウニ思フノデアリマスガ、之デ矢張リ十分
ヤッテ行ケル御見込デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=15
-
016・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御質問ノヤウニ、
斯ウ云フ商工產業ニ關スル團體ノ活動ト云
フモノハ今日迄各種ノ團體ガソレ〓〓發達
シテ參リマシタガ、之ニハソレ〓〓ノ沿革
ト歷史ガアリ、長イ間ノ發達ノ過程ヲトッテ
參ッテ居ルノデアリマシテ、從ヒマシテ新シ
キ制度ガ其ノ本來ノ使命ヲ十分ニ達成セシ
メルト云フコトニ付キマシテハ、政府ハ勿
論ノコト、之ヲ實際ニ組織スル處ノ產業經
濟界ノ方々ノ非常ナル努力ト御協力ヲ得ナ
ケレバナラヌノデアリマスルガ、今御話ガ
アリマシタヤウニ、此ノ商工經濟會ノ問題
ニ付キマシテハ、第一ニ最モ重大視スベキ
モノハ、其ノ組織、組成ニ於テ十分其ノ目
的ヲ到達セシムルヤウナ組織ヲ採ルト云フ
コト、ソレカラモウ一ツハ之ヲ運營シテ
參ル上ニ於キマシテ、其ノ精神ニ最モ合體
シテ行クヤウニ、官ノ方面ニ於キマシテモ
其ノ精神ヲ以テ之ヲ運營シテ行クト同時ニ、
之ニ對シテ產業經濟界ノ全面的ナ協力、此
ノ方面ノ自發的ナ協力ト云フモノガ强ク要
望サレテ來ナイト、斯ウ云フ制度ガ十分其
ノ目的ヲ達成スルコトハ出來マイト思フノ
デアリマス、今囘ノ商工經濟會ノ制度其ノ
モノハ、先程來御說明申上ゲマシタ通リ新
シイ制度デ、相當劃期的ナモノデアリマス
ルガ、其ノ實體ヲナス所ノモノハ)言フ迄
モナク過去長キニ亙ッテ發達シテ來タモノ
デアリマス、其ノ商工會議所ニ於ケル財界
各方面ノ人々ノ自發的ナ努力ニ依ッテ今日
迄發達シテ來、又之ニ依ッテ現下ノ時勢ノ下
ニ於テ政府ト協力シヨウト云フ、其ノ御努力
ト云フモノヲ新シイ經濟會ニ總テ採リ入レ
マシテ、之ヲ實現シテ行クト云フ考ヘデア
リマス、唯此ノ組織ノ上ニ於キマシテハ
御承知ノヤウニ、現在ノ商工會議所ノ實情
ヲ見マスルト、必ズシモ其ノ地方ニ於ケル
產業界ノ最モ有力ナ人々ヲ網羅シテ、サウ
シテ之ニ依ッテ本當ニ其ノ地方ノ產業經濟
界ノ實情ト云フモノヲ最モ有力ニ示シテ居
リ、又同時ニ有力ナ御協力ヲ得ルト云フコ
トガ、必ズシモ現在ノ組織デハ達成セラレ
ナイ部面モ少クナイノデアリマスカラ、サ
ウ云フ點ガ今度ノ新シイ制度ニ於キマシテ
ハ十分改善セラレテ、眞ニ各地方ノ最モ有
力ナル產業經濟界ノ方々ガ之ニ參畫シ、同
時ニ地方ノ實情ヲ最モ明確ニ之ヲ實現シテ
來ルト云フヤウナ組織機構成ヲ採ルコトニ
付テ、政府トシテハ萬全ノ方策ヲ講ジテ
行ッテ、十分商工經濟會ノ目的ヲ到達スルヤ
ウニ運營シテ行ク、斯ウ云フ心構ヘデ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=16
-
017・有吉忠一
○有吉忠一君 誠ニ確固タル大臣ノ所信ヲ
伺ヒマシテ意ヲ强ウ致シマスガ、實ハ現在
ノ商工會議所法ハ先程大臣ハ昭和二年ニ發
布サレタト云フコトヲ御述ベニナリマシタ
ガ、此ノ法律ハサウ云フ風ニナッテ居リマ
スケレドモ、實質ハ、非常ニ其ノ淵源ハ古
イノデアリマス、此ノ起リヲ〓究シテ見マ
スルト、全ク是ハ德川幕府ガ不用意ノ間ニ
何等ノ準備モナシニ開國ヲシタ、其ノ後始
末ノ一部ヲ此ノ商工會議所ガ引受ケテ居ッ
タト申シテモ差支ナイノデアリマス、開港
當時、我ガ國民法モナケレバ商法モナカッ
タ、殊ニ一定シタ商習慣ト云フモノモ何モ
ナイ茲ニ忽チ外國ノ貿易ニ當面シタノデ
アリマス、此ノ商取引ニ携ッテ居ル外國人
ハ、自分ノ利益ノアル時ニハ自分ノ法律ヲ
引キ出シ、自分ノ不利益ナル時ニハ勝手次
第ナ主張ヤ要求ヲ出シタノデアリマス、其
ノ專橫ノ爲ニ幾年我ガ日本ノ商人ハ苦シン
ダカ分ラナイ、ソコデ何トカシテ此ノ外國
商人ノ跋扈ヲ防グ方法ヲ講ジタト云フノ
デ、色々審議ヲシタノデアリマスガ、或ル
書物ニハ、其ノ時ニ餘リニ日本ノ商人ガ外
國商人ニ壓倒サレルノデ、何トカ救濟ノ方法
ラ求メタイト云フノデ、福澤諭吉先生ノ所
へ行ッテ相談ヲシタ、處ガ福澤先生ガ、外
國ニハ商工會議所ト云フモノガアッテ、共
同デ物ヲ調べ又共同デ事ヲ處理スルト云フ
機關ガアル、サウ云フモノヲ作ッタラ宜カ
ラウト云フコトヲ〓ヘラレタノデ始メテ商
工會議所ト云フヤウナ組織ヲシタト云フコ
トガ、或ル書物ニハ載ッテ居リマシタ、是
ハ私ノ何處迄其ノ書物ノ記事ガ信賴出來ル
カドウカ分リマセヌガ、併シ各地ニ於テ商
業會議所ト云フモノガ始メテ起ッタノハ
是ハ政府ガ慫慂シテ作ッタモノデナクシテ
民間ノ中カラドウシテモ斯ウ云フ機關ガナケ
レバナラヌト云フノデ、發達ヲシテ參ッタ
ト云フコトガ、起源ト私ハ信ジテ居リマ
ス、ソコデ現在ノ商工會議所ノ權限ノ中ニ
仲裁ニ關スル事ト云フノガゴザイマス、此
ノ仲裁ト云フコトハ全ク、此ノ外國商人ト
日本ノ商人トノ間ニ起ル紛爭ヲ仲裁シタノ
ガ濫觴デアリマシテ、現ニ橫濱ノ商工會議
所ノ如キハ、アノ外人ガ瀕リニ秤料ト云フ
ヤウナモノヲ不當ニ請求シタリ、或ハ拜見
ト云フヤウナ不當ノ慣習ヲ以テ日本ト商品
ヲ勝手ニ甌別シタイト云フヤウナコトニ對
シテ、非常ニ爭ウテ、日本ノ商權ノ擴張ヲ
圖ッテ參ッタコトハモウ明ラカナル事實
デアリマス、元々此ノ商工會議所ノ起リ
ハ、外國ノ商人ノ專橫ニ對シテ日本ノ商人
ノ利益ヲ保護シ、サウシテ段々ト其ノ商權
ノ發達ヲ圖ルト云フコトガ、元々ノ起リデ
アッタノデアリマスガ、其ノ後我ガ國權ノ
伸張ニ依リ、段々ト外國人モサウ云フ專橫
ヲ爲シ得ナイコトニナリマシタ、殊ニ改正
條約ガ實施サレテ、治外法權ガ撤廢サレタ
以後ハ、段々其ノ點ハ日本ノ商人モ公正ナ
ル取引ガ出來ルヤウニナッテ參ッタノデアリ
マスガ、サウナッテ參ルト、今度ハ商業會
議所ト云フモノヽ働キガ、今迄ノヤウナ方
法デナクシテ、今度ハ變ッタ方法ヲ採ッテ
參ッタ、サウシテ最近ニナッテハ中小ノ商
工業者ノ利益ヲ保護スル一ツノ機關ノヤウ
ニ、段々看做サレテ來マシテ、サウシテ遂
ニハ世間カラハ、產業組合ニ對スル反對運
動ノ本據ノヤウナ誤解ヲ受ケタコトモアル
ノデアリマス、私ハ敢テ之ヲ誤解ト言ヒマ
スガ、是ハ矢張リ經濟界ノ狀況ノ變化ニ應
ジテ、商工會議所モ自然ニ、法ニ依ッテ與
ヘラレテ居ルノデアリマセヌケレドモ、段
段ト機能ガ變化シテ參ッテ居ルモノト思フ
ノデアリマス、今大臣ハ、今迄ノヤウナコ
トデハマダ全面的協力ガ不十分デアルカ
ラ、此ノ商工經濟會ト云フモノヲ組織シ
テ、全面的ニ產業經濟ノ協力ヲ求メサセル
ヤウニシタイ云フ御希望ヲ强ク御述ベニナ
リマシタ、其ノ御希望ハ至極結構デアリマ
スガ、其處ニ付テ私尙一ツ疑ヒヲ持ツコト
ハ、農業ニ關スル諸團體ノ關係如何ト云フ
問題デアリマス、是ハ農業、水產業、林產、
畜產等ノ諸團體ガアリマス、ソレ等ノ團體
ト此ノ商工經濟會トノ關係ト云フモノハド
ウナルカ、大臣ハ產業經濟全面ノ協力團體
ニシタイト言ハレルガ、此ノ運營ヲ誤リ指
導ヲヤリ損ヒマス場合ニハ、却ッテ是ガ協
力ノ機關ニナラズシテ、農業、水產等ノ團
體ト此ノ商工經濟會トノ間ニ、摩擦ヲ却ッテ
起スヤウナ憂ガアリハシナイカドウカ、是
等モ矢張リ斯ウ云フ立法ヲスル時分ニハ、
大イニ考ヘテ置カナケレバナラヌ點デアラ
ウト思フノデアリマス、現ニ今日迄ハ商工
會議所ハ中小ノ商工業者ガ外ニ縋ル所ガナ
イ爲ニ、商工會議所ニ出テ參リ、商工會議
所ガ或ル時代ニハ之ヲ取上ゲテ、サウシテ
所謂友產運動ト云フモノヲ實行シタ場合
モアルノデアリマスカラ、サウ云フコト
ガ、指導ヲ誤ルト云フト、起ラヌトモ限ラ
ナイ、共ノ點ニ付テハ大臣ハサウ云フ憂ハ
全クナイト、斯ウ云フ風ニ御確信ニナリマ
スカ、一應伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=17
-
018・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 商工團體ト農業ニ
關スル團體トノ關係デアリマスガ、此ノ議
會ニ農業水產業ニ關スル團體ノ整備統合ニ
關スル法案ガ提案サレテ居リマス、卽チ商
工經濟會法ガ通過シ、農業團體關係ノ法案
ガ通過スルトシマスト、將來廣イ意味ニ於
ケル產業ノ部門ガ、農業ノ部門ハ農業團體
ニ統合セラレ、商工關係ニ於キマシテハ此
ノ商工經濟會ニ統合セラレテ、產業經濟ニ
關スルモノガ大キク言ヘバ二ツノ分野ニ統
合セラレルト云フコトニ相成ルノデアリマ
ス、此ノ兩者ヲドウ云フ風ニ調整シテ行ク
カト云フ問題デアリマス、今日迄ノ商工會
議所ノ色々步ンデ參リマシタ過去ヲ顧ミテ
見マシテモ、日本ノ產業行政ノ過去ヲ顧ミ
テ見マシテモ、遺憾ナガラ、不幸ニシテ農
業部門ト商工部門ガ常ニ必ズシモ十分ナ協
調ト調和ガ取レテ居ッタト云フコトハ、申
シ得ナイト思フノデアリマシテ、今モ御指
摘ニナリマシタヤウナ事態スラ、過去ニ於テ
モアッタノデアリマス、是ハ戰時經濟運營
ノ上カラ申シマシテ、若シ斯カルコトガ出
テ來ルト云フコトハ、是ハ非常ナ國家ノ不
幸デアリ、又戰時下ニ於テサウ云フ事態ヲ
發生セシメテハ相成ラナイデアリマス、近
時此ノ農業諸團體ト商工諸團體トノ關係モ
時局ト政府ノ施設ニ依リマシテ、往年ノ狀
況トハ非常ニ變ッテ參ッテ居リマシテ、此
ノ間ノ調整ト云フモノモ非常ニ取レテ參ッ
テ居ルト私ハ信ジテ居リマス、唯全國ノ各
地ヲ見マスト云フト、尙必ズシモ是ガ圓滑
ニ行ッテ居ラナイ地域モ亦無イ譯デモナイ
ノデアリマス、是等ノモノノ調整ニ付キマ
シテハ、中央ニ於キマシテ之レガ調整ノ方
途ヲ十分ニ講ジテ居リマス、特ニ今囘農業
諸團體ガアノ農業團體法ニ依ッテ統合セラ
レ又商工關係ノ團體ガ商工經濟會ニ依ッテ
有力ナル一ツノ組織ヲ持ツト云フコトニ相
成リマシテ、是ガ地方ニ於キマシテハ何レ
モ地方長官ノ綜合行政ノ管下ニアッテ、兩會
ガ兩團體ガ運營サレテ行ク、而シテ
中央ニ於キマシテハ、政府ヨリ地方カラ統
一シタ兩者ノ調整ニ付テノ確乎タル方針ヲ
定メマシテ、兩方ノ十分ナ調整ヲ取ッテ行ク
ト云フコトニ相成リマスレバ、將來ニ於テ
過去ニ於ケルガ如キ、色々ナ摩擦牴觸ト云フ
モノノ苦イ經驗ヲ繰返スヤウナコトハ萬無
カラウト思ヒマス、特ニ團體ガ是デ强化セ
ラレ、且地方長官ノ綜合行政ノ下ニ統制ガ
一元的ニ行ハレルト云フ組織ガ、兩法案ニ
依ッテ達成セラレマスト云フト、運營宜シキ
ヲ得レバ、過去ニ於ケルヤウナ苦イ經驗ヲ
又繰返スヤウナコトハ無カラウト思ヒマス
唯現在實際ノ問題トシテ、各府縣ニ必ズシ
モ此ノ中央ノ精神ガ透徹シテ居ラナイ部門
ガアリマスノデ、是等ニ關シマシテハ極力
政府ト致シマシテ萬全ノ努力ヲ致シマシテ
圓滑ナル兩者ノ調整ヲ取ッテ行ク、斯ウ云フ
コトニ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=18
-
019・有吉忠一
○有吉忠一君 私バカリ質問シテ甚ダ相濟
ミマセヌガ、最後ニモウ一ツ大臣ニ御伺ヒ
致シタイト思ヒマス、今度ノ法案ニ依リマ
スト云フト、役員ハ多ク地方長官ガ銓衡團
體ヲ拵ヘテ、ソレカラ指名ヲスルト云フコ
トニナッテ居リマス、是デ一體地方ニ名望モ
アリ、又多數ヲ指導シテ行ク、有力ナル者
ヲ擧ゲ得ラレルト云フ確信ヲ御持チニナッ
テ居ルカドウカ、今迄ハ是ガ皆選擧シテ參ッ
タノデ、總テノコトガ下カラ盛リ上ッテ行
クヤウニナッテ居ッタ、今度ハ皆上カラ之ヲ
指圖スル、餘程地方長官モ虛心怛懷、公平
ニ選バヌト云フト相成ラヌノデアリマスシ、
又サウ云フコトニナッテ地方ノ名望ノアル
者ガ果シテソレヲ承諾シテ出ルカ、出ヌ
カト云フコトモ、餘程マア是迄ノ情勢ナラ
バ疑問デアリマスガ、今日ノヤウナ時勢デ
アリマスカラ、是ハ今日此ノ部門ト雖モ協
力ヲ吝ム者ハ無イカラ、行ケルカトモ思ヒ
マスガ、其ノ點ニ付テ一應伺ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=19
-
020・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 商工經濟會ノ役員
ノ選任ノ何ニ付キマシテハ、第十四條ニ規
定ガアリマスヤウニ、會頭ハ會頭銓衡委員
ノ推薦シタル者ノ中カラ地方長官ノ意見ヲ
徵シテ主務大臣之ヲ命ズルト云フコトニナッ
テ居リマス、商工經濟會ノ先刻來申述ベマ
シタヤウナ重要使命ヲ透徹シテ參リマス上
ニ於テ最モ大事ナコトハ、會頭ニ眞ニ其ノ
人ヲ得ルト云フコトデアラウト思フノデア
リマス、此ノ會頭ノ選任ニ關シマシテハ、
何如ナル方法ニ依ッテ、最モ其ノ他方ニ於
テノ有力ナル產業經濟界ノ方ヲ選任スルカ
ト云フ方法ニ付キマシテ、色々〓究致シマ
シタ結果、會頭銓衡委員ト云フモノヲ、是
ハ知事ガ任命ヲ致シマシテ、其ノ地區內ニ
於ケル產業經濟ニ關シテ經驗アル者及學
識アル者、立派ナ方ノ中カラ地方長官ガ一
定數之ヲ命ジマシテ、此ノ銓衡委員ノ方々
ニ十分其ノ地方ノ狀況ニアッテ最モ有力ナ
ル人ト云フ者ヲ推薦シテ貰ヒマシテ、之二
對シテ地方長官ガ意見ヲ附シテ、サウシテ
主務大臣ニ於テ之ヲ任命スルト云フ形式ヲ
採ッタノデアリマス、私共此ノ方法ニ依ッ
テ行クナラバ、各地方ニ於ケル最モ有力ナ
ル產業經濟人ヲ會頭トシテ選任シ得ルモノ
ダト確信ヲ致シテ居リマス、最モ此ノ方法ガ
現在ノ狀況ノ下ニ於テ適當デアル、斯ウ云
フ風ニ考ヘテ居リマス、副會頭、理事長、理事等
ノ選任或ハ評議員ノ選任ト云フヤウナモノ
ニ關シマシテハ今ノ方法ニ依ッテ最モ適
當ナル會頭ト云フモノヲ選任シ、他ノ機關
ニ付キマシテハ、出來ルダケ會頭ノ意思ト
會頭ノ權威トヲ尊重致シマシテ、之ガ適當
ノ役員ヲ選任シテ貰フ、斯ウ云フ建前ヲ採ッ
タノデアリマス、新タナル」商工經濟會ガ發
足致シマシテ、之ガ十分ニ其ノ使命ヲ到達
セシメマスル爲ニハ、繰返シテ申シマスガ、
最モ適當ナル會頭ヲ得ルヤ否ヤト云フコト
ニ懸ッテ居ルト思ヒマス、其ノ選任ニ關シマ
シテハ色々ノ場合ヲ考ヘマシテ、最モ實
情ニ適シ、而モ最モ有力ナル人ヲ擧ゲ得ル
ノニ適當デアラウト考ヘマスル方法ヲ玆ニ
採用シタ譯デアリマスデ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=20
-
021・有吉忠一
○有吉忠一君 私ノ大臣ニ對スル質問ハ是
デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=21
-
022・伍堂卓雄
○伍堂卓雄君 只今ノ有吉君ノ御質問ニ關
聯スルコトデアマリスガ、大臣ハ、今度ノ
商工經濟會ハ橫ノ連絡ヲ取ラセル爲ニ作ラ
レタノダト云フ御說明デアリマスガ、統制
會ト、ソレカラ此ノ商工經濟會トノ構成員
ヲ通シテ、橫ノ連絡ヲ取ラセルト云フヤウ
ナ御說明ノヤウニ承ッタノデアリマスガ、統
制會其ノモノト、ソレカラ商工經濟會トノ
關係ガハッキリシテナイヤウニ思ヒマスガ、
是ハドウ云フ風ニナッテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=22
-
023・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 統制會自體ハ御承
知ノ通リ縱ノ一貫シタ統制團體デアリマシ
テ、其ノ產業ニ關スル限リ、一貫シテ統制
ヲ行ッテ行クト云フ所ニ、其ノ特色ガアルト
思フノデアリマス、各部門ニ統制會ガ出來
マシテ、之ガ統制會ノ上部ニ於テ橫ノ連絡
ヲ取ラナケレバナラヌト云フ必要モ、統制
會ノ發達ト共ニ段々感ゼラレテ來テ居リマ
ス、此ノ上部ニ於テ横ノ連絡ヲ如何ニ取ッテ
行クカト云フ問題ニ付キマシテハ、其ノ機
構ニ付テ政府ニ於テモ考究ヲ致シテ居リマ
ス、現在ハ任意ノ橫ノ連絡會議ミタイナモ
ノガ、御承知ノ通リ出來テ居リマスガ、之
ヲドウ云フ風ニ統制的ニ將來扱ッテ行クカ
ト云フコトハ、〓究ヲ致シテ居リマス、唯
下部機構ニ於テ實際ノ統制ガ現場ニ滲透ス
ル關係ニ於キマシテハ、申上ゲル迄モナク、
地方廳ノ部門ニ於テソレガ執リ行ハレテ
來ル、此ノ實施ノ關係ニ於ケル橫ノ連絡調
整ト云フモノハ、此ノ商工經濟會ニ於テ現
實ニ行ハレテ行クコトニナルト思ヒマス、
是ハ統制會ノ各縱ノ統制ガ地方ニ實施セラ
ルヽ場合ニ於テハ、地方長官ノ綜合行政ノ
下ニ橫ニ綜合セラレテ、此ノ商工經濟會ニ
於テ連絡ガ出來テ來ル、唯上部ノ締制會ノ、
中央ノ橫ノ連絡ニ付テハ、此ノ經濟會以外
ニ別途ニ之ヲ考ヘテ行ク必要ガアルト思フ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=23
-
024・伍堂卓雄
○伍堂卓雄君 大臣ハ能ク御承知ノコトデ
アルト思ヒマスガ、商工會議所ノ歷史ヲ辿ッ
テ見マスト、現在ノ會議所法ニ幾多ノ缺陷
ガアルノデ、我ガ國ノ商工經濟界ヲ代表ス
ル資格ガナイト云フ見地カラ、ソレニ慊ラ
ナイトシテ、御承知ノヤウナ私的ノ團體デ
·
アリマスケレドモ、經濟聯盟ト云フモノガ
起ッテ來タノデアリマス、今日ハ實際我ガ
國ノ經濟界ヲ代表シテ居ル有力ナ機關トシ
テハ、商工會議所ヨリモ寧ロ經濟聯盟等ガ
認メラレテ居ルノデアリマス、サウ云フヤ
ウナ經緯カラ、長年ノ間商工會議所法ノ改
正ヲ私共モ叫ンデ來タノデアリマスガ、今
日現在ノ商工會議所ト事業ノ目的ハ違ッテ
居リマスケレドモ、矢張リ我ガ國ノ商工經
濟界ヲ代表スルヤウナ機關ニナッタト見テ
モ宜イノヂヤナイカト思フノデアリマス、
サウ云フヤウナ見方カラシマスト、此ノ有
力ナ商工經濟會ガ出來タナラバ、現在私的
團體デハアリマスケレドモ、代表機關トシ
テ認メラレテ居リマス經濟聯盟デアルトカ
云フヤウナ團體ヲ、政府ハドウ云フ風ニ取
扱ッテ行カレルカ、是ハ先程有吉君モ言ハレ
マシタ通リニ重大ナ事デアリマシテ、商工
會議所ヲ强化シタ意味ニ於テ商工經濟會ガ
出來ルノダト致シマスレバ、其ノ點ハ餘程
政府ニ於テモ御考ニナリマセヌト、徒ラニ
經濟界ヲ混亂サセル虞ガ生ジナイトモ限ラ
ナイト思フノデアリマスガ、此ノ點ニ付テ
伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=24
-
025・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 今囘ノ商工經濟會
ハ、先刻來申述ベマシタヤウニ、非常ナ重
大ナ使命ヲ以テ、而モ各道府縣ヲ單位トシ
テ、其ノ地方ニ於ケル最モ有力ナル產業經
濟界ノ人々ヲ網羅シテ作リ、又ソレノ最モ
有力ナル方ヲ會頭トシテ、其ノ統制ノ下ニ
此ノ仕事ヲ果シテ行クト云フコトニ相成リ
マスト、今後益〓此ノ商工經濟會ノ意見乃至
其ノ考ト云フモノハ、最モ有力ニ現實ノ行
政部面ニモ反映セラルヽコトニ相成ラウト
思ヒマス、此ノ意味ニ於キマシテ、是ハ將
來最モ重要視シ、商工業ノ部門ニ於ケル團
體トシテ最モ有力視シテ行カナケレバナラ
又、又有力視シテ行ク積リデ政府ハ之ヲ立
案シテ居ル譯デアリマス、而シテ是等ノ商
工經濟會ノ中央機關ヲ如何ニスベキヤト云
フ問題ニ關シマシテハ、從來ノ商工會議所
法デハ、日本商工會議所ト云フモノヲ法律
上明確ニ致シテ居リマスルガ、此ノ商工經
濟會法ニ於キマシテハ、之ヲ法律ニ取上ゲテ
居ラナイノデアリマス、實際ハサウ云フモ
ノガ全體ノ連絡機關トシテ出來ルダラウト
思フノデアリマス、而シテ今日中央ニ於ケ
ル各種ノ有力ナル經濟團體ガゴザイマスガ、
之ヲドウ云フ風ニ取扱ッテ行クカト云フ問
題ニ付キマシテハ、多年各方面デモ色々ナ
議論モアリマスシ、政府ニ於テモ〓究ヲ致
シテ居ルノデアリマス、特ニ戰時下、總理
大臣モ其ノ施政方針ニ明確ニシテ居リマス
如ク、此ノ戰ヲ勝チ拔ク爲ニハ、民間ニ於
ケル盛リ上ル所ノ協力ト云フモノガ何ヨリ
モ必要ナノデアリマス、此ノ意味ニ於テ有
力ナル產業經濟ニ關スル團體ト云フモノガ
存在スルコトガ必要デアリ、ソレガ政府ニ全
面的ノ協力ヲサレルコトガ、戰時經濟ヲ遂
行シテ行ク上ニ、最モ重要ナ事ダト思フノ
デアリマス、而モ今日中央ノ狀況ヲ見マス
ルト、色々ナ團體ガソレ〓〓ノ沿革ヲ以テ
發達シテ參ッテアリマスルガ、多クハ其ノ構
成者ハ之ニ重複ヲ致シテ居リマシテ、今御
指摘ノ經濟聯盟ヲ構成サレテ居ル所ノ方ハ
或ハ又同時中央物價続制協力會議ノ「メン
バー」デアルトカ、或ハ又經濟聯盟ノ指導的
立場ニアル有力ナ方ガ、日本商工會議所
ノ矢張リ指導的地位ニアラレルト云フ風
ニ、相當是ハ重複サレテ居ル關係モアル
ノデアリマス、從ッテ政府トノ關係ニ於キ
マシテモ、一方非常ニ簡素强力ニ總テノコ
トガ行ハレナケレバナラナイ戰時下ノ情勢
トシテ、斯ウ云フモノガ複雜ニ存在シテ居
ルト云フコトハ、°寧ロ適當デナイト云フ有
力ナル議論モ、私共各方面デ承ッテ居リマ
ス、政府トシマシテモ、出來ルダケ是ガ適
當ナ方法ニ依ツテ、統合一元化サレル事柄
ヲ希望致シテ居リマス、唯先程御話ガアリ
マシタ通リ、商工會議所ハ商工會議所ノ長
イ間ノ沿革ト歷史ガアリ、又經濟聯盟其ノ
他ノ團體ニ付キマシテモ、ソレ〓〓沿革ト
歷史ガアリマシテ、簡單ニ之ヲ統合スルト
云フ事柄モ困難ナ事情ガアリマスルガ、私
共ハ此ノ商工經濟會ニ於テ地域的ナ橫ノ連
絡機關ガ出來、更ニ中央ニ於キマシテハ、
統制會ノ上部ノ、横連絡機關ガ出來、地方團
體タル商工經濟會ヲ更ニ中央ニ於テ連絡ス
ルヤウナ機關ガ、健全ニ發達スルヤウナ狀
況ニ立チ至リマスレバ、是等ノ問題ヲ總テ
一括シテ解決シテ、中央ニ有力ナ產業經濟
ニ關スル團體ガ結成サレルコトヲ期待致シ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=25
-
026・伍堂卓雄
○伍堂卓雄君 大臣ノ御意見ハ私モ至極同
感デゴザイマスガ、是ハ非常ニ緊急ヲ要ス
ル問題デハナイカト思フノデアリマス、今
日會社ノ重役ノ陣頭指揮ト云フコトヲ言ハ
レテ居リマスシ、又政府ニ於キマシテハ行
政ヲ簡素化シテ、官吏ノ定員ヲ減ゼラレタ
リシテ居リマシテ、無駄ナ時間ヲ官民共ニ
使フコトヲシナイ、重複シテ仕事ヲシナイ
ト云フコトガ、狙ヒ所デアルト思フノデア
リマスガ、只今大臣ガ申サレマシタ通リ色
色長イ歴史ハアリマスケレドモ、違ッタ經
濟團體ガアリマシテ、何カ重要ナ問題ガ起
ルト、同ジ問題ヲ而モ同ジ人ガ違ッタ團體ニ
屬シテ居リマスガ爲ニ、各團體每ニ其ノ問
題ヲ〓究シ、政府ニ對シテ進言ヲスルト云
フコトガ行ハレツヽアル、而シテソレ等ノ
同ジ團體ニ政府ノ方針、或ハ法案ノ說明ヲ
サレル爲ニ、非常ニ忙シカルベキ大臣始メ
次官局長アタリガ、同ジ問題ニ對シテ貴重
ナ時間ヲ費シテ、ソレ等ノ團體ニ行ッテ說
明サレルコトガ今日ノ實況デアリマス、サ
ウ云フコトヲ唯從來ノ行キ懸リガ。非常ニ複
雜シテ居ルカラ、能ク〓究ヲシテ何トカ善
處スル積リダト云フヤウナ、今日結果ニ於
テハ暢氣ニナルヤウナ御取扱デ過シテ宜イ
モノデアルカドウカ、斯ウ云フヤウナ特別
ノ法案ヲ出サレタ際デアルカラ、斯ウ云フ
コトコソ快刀亂麻ヲ斷ツガ如キヤリ方デオ
ヤリニナラナケレバ、戰時經濟ノ圓滑ナ運
營而シテ敏活ナ處置ヲ爲サレルコトガム
ツカシイト私ハ思フノデス、此ノ點ヲ特ニ
一ツ御決心ニ相成ルコトガ必要ヂヤナイカ
ト思フノデス、重ネテ一ツ御尋ネシテ置キ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=26
-
027・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御話ノ如ク此ノ間
題ハ戰時下ニ於テ重要デ、且出來ルダケ早
ク解決スベキ問題ダト思ヒマス、十分御意
見ノヤウナ點モ尊重致シマシテ善處致シタ
イト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=27
-
028・伍堂卓雄
○伍堂卓雄君 私ノ質問ハ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=28
-
029・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 先刻有吉委員カラ申サレ
タ如ク、今日非常時デアリマシテ、私モ政
府ノ御提案ニ對シテ十分協力シテデス、此
ノ法案ヲ成立サセルト云フコトヲ望ンデ居
ル一人デアリマス、併シ自分ハ此ノ法案ニ
對シテハ聊カ質疑ヲ持ッテ居ル者デアリマ
ス、丁度大阪商工會議所ニハ過去私ハ三十
一二年間、議員ナリ會頭トシテ從事シテ居ツ
タ者デアリマスガ、此ノ國家ノ有力ナル
經濟團體デアリマシテ、又其ノ會議所ナル
モノハ商工界ノ改善發達ニ今日迄努力シテ
來タノデアリマス、尙大阪アタリニナリマ
ストデス、商工ノ發展以外ニ大阪府廳、或ハ
大阪市デ出來ナイ仕事モ會議所ガオ手傳ヲ
シテ來タノデアリマシテ、例ヘバ東京ニハ
色々有力ナ機關ガアリマスカラシテ必要ガ
アリマセヌガ、地方ニナリマストデス、外
國ノ經濟團體ガ從來訪問シテ來ルト云フヤ
ウナ時ニハ府廳デモ餘リ公式ニナリ過ギ
ル、市デハドウモ經濟上ノ事ニ關シテ之ヲ
斡旋スルト云フコトガ出來ヌト云フヤウナ
モノニ對シテハ、此ノ大阪ナリ其ノ他ノ各地
ノ會議所ナルモノハ、サウ云フ連絡モ色々
取ツテ居ル、ソレハ只今有吉君カラ御話ニ
ナッタ如ク昔ハ西洋ノ商館ト色々日本ノ商+
人トノ間ニ紛糾ガアッタト云フヤウナ時ニ
ハ商工會議所ガ出テ仲裁シテ圓滿ニ解決
ヲ圖ッテ行ッタ慣例モアリマスノデ其ノ慣例
デモアリマセウカ、隨分外國ノ經濟團體ガ
大阪アタリニ參リマスルト、會議所ガ其ノ
衝ニ當ツテ居ル、現ニ一例ヲ申上ゲマスレ
バ「リットン」卿ガ大阪へ來タ時モ經濟上我
ガ國ガ此ノ滿洲ニ於テ利權ヲ持チ、又滿洲
問題ト云フモノヲ解決スル權利ガアルト云
フコトヲ經濟方面カラ「リツトン」卿ノ一行ニ
色々說明盡力ヲシタコトモアリマスルガ、サ
ウ云フ種類ノコトハ從來ママアルノデアリ
マス、今囘ノ此ノ經濟會法案ニ依リマスレ
バ、將來サウ云フ地方ニ於テ、府廳デモヤ
リニクイ、或ハ市デモヤリニクイト云フヤ
ウナ仕事ノモノハ、此ノ經濟會、一ツノ單
純ナ施設ノ此ノ組職デ、從來ノ會議所ノ執
ッタヤウナ仕事ガ出來ルヤ否ヤト云フコト
ヲ私ハ疑ヲ抱イテ居ルノデアリマス、又他面
果シテ商工會議所ノ現在ノ機構ヲ、商工經
濟會ニ變更スルト云フコトガ、此ノ際十分
必要ニ迫ツテ居ルヤ否ヤト云フコトヲ、私
ナリ商工業者ハ疑ツテ居ル所以デアリマシ
テ、此ノ點ヲ御尋ヲ致シタイノデス、又商
工經濟會ノ法案ハ統制經濟ニ對スル橫ニ
協力スル體制デアルト云フ今御說明デア
リマシタガ、是ハ此ノ經濟會ノ運用ノ
如何ニ依ルコトデ、法ガ出來テモ運用
ガ惡ケレバナカ〓〓效果ガ現レナイト
云フコトニナラウト思フノデアリマス、
今迄會議所ハ政府ノ各省ト直接ノ連絡ヲ
保ッテ居ッタノデアリマスルガ、經濟會法
案ニ依レバ官廳ト會議所ヲ單ニ商工省及ビ
地方官廳トノ官民協力機關ニ、此ノ法案ニ
依ッテスルト云フコトハ、會議所ノ機構ノ縮少
デハナイカ、從來ノ會議所ノ機構ノ縮少デ
ハナイカト云フ疑ヲ持ッテ居ルノデアリマ
ス、從來都市單位ニ設立サレマシタ會議
所ヲ、府縣單位ノ商工經濟會ニ擴張スルト
言ヒマシテモ、地域ダケノ擴張デアリマシ
テ農林、水產等ガ商工經濟會ノ適用ヲ受ケ
ナイ以上ハ、內容ハ從來通リ少シモ變ラヌ
ノデアリマシテ、又構成委員ノ少クナルコ
トニ依リマシテ、府縣ノ各都市ノ連絡ガ却
テ不十分ニナリハセナイカト、斯ウ云フ疑
ヲ持ツノデアリマス、ソレカラ先刻大臣ノ御
話ニハ、從來日本商工會議所ト云フモノハ
現今アリマスルガ、是ハ法律デ決メテ居ッタ
モノデアリマスルガ、今囘ノ法案ニ依リマ
スルト、地方會議所ノ協議會ト云フモノハ
法的ニ認メナイ、斯ウ云フ話デアリマスガ、
之ヲ法的ニ御認ニナッタラ如何デアラウカ
ト云フコトヲ御伺シタイト思フノデアリマ
ス、ソレ等ノ疑問ヲ私ノミナラズ、地方ニ
於ケル商工業者ガ疑問ヲ持ッテ居リマスノ
ヲ、屢〓私モ耳ニ致シマスノデ、私ハ此ノ機
會ニ御質問ヲ申上ゲル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=29
-
030・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 色々ノ點ニ付テ御
質問デアリマシタガ、或ハ御質問ニ十分
答辯ガ合ッテ居ラナイ所ガアリマシタラ、重
ネテ御質疑願ヒタイト思ヒマス、一應御
答辯申上ゲマス、現下ノ事態ニ於テ、從來ノ
商工會議所ノ制度ヲ改組シテ、商工經濟會
ニスルコトガ最モ緊要ナ理由ハ、何所ニア
ルカト云フ問題デアリマスガ、是ハ申上ゲ
ル迄モナク、現在ノ產業經濟ノ問題ハ、總
テ色々ナ點カラ物動計畫或ハ生產擴充計畫、
其ノ他各種ノ計畫等統制ノ下ニ是ガ實施サ
レテ居ルノデアリマスルガ、而モ其ノ計畫
ナリ、或ハ統制ト云フモノガ、實際ニ卽ク
シテ最モ實際ニ適應シナガラ其ノ實效ヲ
擧ゲテ居ルカドウカト云フコトヲ見マスル
ト云フト、ナカ〓〓御承知ノ通リ遺憾ノ點
ガ少クナイト思ヒマス、物資ノ配給ニ致シ
マシテモ、或ハ物價問題ニ致シマシテモ、ナ
カナカ現實ノ問題ハ、所期サレテ居ル計畫
ヤ統制ノ趣旨ニ、是ガ適ッテ實現サレテ居ル
ト云フコトガ出來ナイト云フ節ガ少クナイ
ト思ヒマス、此ノ戰時經濟ヲ圓滑ニ運用シ
テ行ク爲ニハ、計畫統制ガ十分ニ其ノ目的
ヲ達スルヤウニシテ行カナケレバナラヌ、
又計畫統制ノ方式ニ付キマシテモ、最モ實
情ニ適シ、最モ效果的ナル方法ガ執ラレナ
ケレバナラヌト思フノデアリマス、是等ノ
コトガ實際ニ現實セラレル爲ニハ、單ニ官
廳側ノミノ力ニ依ッテ是ハ出來ルモノデナク
シテ、ドウシテモ民間ノ熱意ノアル、心カラ
ナル協力ヲ遂ゲラレナケレバ、其ノ目的ハ到
達シナイモノダト思フソデアリマス、而モ其
ノ統制若シクハ計畫ガ實施セラルヽ實際ノ國
民ノ生活ナリ、國民ノ產業經濟ニ直接スル
所ハ、府縣ノ單位ニ於キマシテ、府縣ノ部
門ニ於テ、是ガ實際實施サレテ居ル府縣廳
ハ、今日從來ノ府縣廳トハ、非常ニ其ノ權
限ノ上ニ於キマシテモ、重大ナ責務ヲ持ツ
ヤウナ立場ニ立ッテ居ルノデアリマス、物價問
題ニ於キマシテモ、或ハ物資ノ配給ノ問題
ニ於キマシテモ、或ハ各種ノ物動或ハ勞務
動員、其ノ他ノ實施ノ上ニ於キマシテモ非
常ナ重大ナル地位ニ立ッテ居ルノデアリマ
ス、從ッテ此ノ府縣ト表裏一體トナッテ其ノ
地方ノ實情ニ最モ卽シタ又其ノ方面ニ於キ
マシテ深イ知識經驗ヲ持ッテ居ル產業人ガ
此ノ府縣ニ協力シテ、サウシテ號制ヤ計畫
ヲ實施シテ行クト云フ機構ガナケレバナラ
ヌト思フノデアリマス、商工會議所ノ最近
ノ狀況ヲ見マスト云フト、先程モ有吉委員
カラ從來ノ沿革ニ付テ色々御話ガアリマシ
タ如ク、法律ハ商工會議所法ト云フ下ニ仕
事ヲシテ居ル譯デアリマスガ、其ノ時代時
代ニ依ッテ最モ主眼ヲ置キ最モ力ヲ入レテ
仕事ヲシテ來タコトハ時勢ト共ニ變ッテ居
ルノデアリマシテ、最近ニ於キマシテハ、此
ノ商工會議所ガサウ云フ物價問題ナリ、或
產業再編成ノ問題ナリ、又物資ノ配給ノ問題
等ニ關シマシテ府縣ヤ市等ニ於テハ十分滲透
シテ行ヒ得ナイ部門ヲ漸次受持タレツヽアル
狀況デアリマス、之ヲ更ニ一層强力ニ其ノ商
工會議所ノ努力、御協力ト云フモノヲ實現化ス
爲ニハ、此ノ機構ヲ府縣ノ行政範圍ト同ジニ
シテ、而モ其ノ機構ノ上ニ於テ、又運用ノ上
ニ於テ府縣-一體トナッテ、是ガ運營サシテ
行クヤウナ組織ヲ考ヘルコトガ、現下ノ情
勢ノ下ニ於テ、私ハ最モ必要ダト思フ、今
後益〓此ノ物資ガ窮屈ニナリ、又ハ物價問題
ニ付テ困難ナ問題ガ漸次起ッテ來ル情勢ヲ
考ヘテ參リマスト云フト、ドウシテモ此ノ
府縣ノ行政ト表裏一體ヲ爲ス有力ナル民間
ノ協力團體ガ出來ル必要ガアルト思フノデ
アリマス、是ガ此ノ商工經濟會ヲ此ノ戰時
下ニ於テ最モ急ニ立案シ、之ヲ執行シナケ
レバナラヌト考ヘマスル一番重要ナル點デ
アリマス、次ニ從來ノ商工會議所ヨリモ或
ハ組織ニ於テ、或ハ權限ニ於テ、却ッテ縮少
スルモノデハナイカト云フ御考デアリマス
ガ、是ハ決シテサウデハナイノデアリマシ
テ、先程來申シマシタ通リ、此ノ組織ノ上
ニ於キマシテモ、十分其ノ土地ニ於ケル商
工業ノ各方面ノ最モ有力ナル實態ヲ、此ノ
經濟會ノ組織ノ上ニ實現スルヤウナ構成ヲ
實行シテ行キタイ、斯ウ思ッテ居ルノデアリ
マス、唯御質疑ニモアリマシタ通リ農業、
水產業ノ部門ガ是ニ入ラナイカラ、從來ト
此ノ大キナ範圍カラ言フト矢張リ同ジダ、
寧ロ之ヲ包括シテ更ニ有力ナモノヲ考ヘル
コトガ適當ヂヤナイカト云フヤウナ御議論
ニ付キマシテハ是ハ申ス迄モナク農業、
水產業、一般ノ商工業、總テ產業經濟ト云
フモノハ全體ガ綜合セラレ、有機的ナ關係
ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、是ガ更ニ大キ
ナ見地カラ包括サレテ行クト云フ事柄ハ、
是ハ勿論望マシイコトデアリマス、併シ團
體ノドノ程度ニ於テ、之ヲ包括シテ行クカ
ト云フ問題ニ付キマシテハ色々ナ沿革モア
リマセウガ、更ニ現實ノ戰時下ニ於ケル戰
時統制經濟ノ運用ノ主眼ヲ考ヘテ、之ヲ適
當ニ考ヘテ行ク必要ガアルト思ヒマスガ、
現今ノ段階ニ於キマシテハ、此ノ商工業ト
農業關係ノ何ニ付キマシテ、一方非常ニ緊
密ナル連繫ヲ保ツ必要ハ固ヨリ非常ニ重大
デアルト思ヒマス、併シナガラ之ヲ一ツノ
團體下ニ包括スルコトガ果シテ戰時統制經
濟ヲ運用シテ行クノニ宜イカ、或ハ別ノ形
ニ於テ十分調整ヲ取ツテ行クコトノ方ガ適
當デアルカト考ヘマスト云フト、政府トシ
テハ後者ノ方ガ適當デアルト云フ考ヘノ下
二、商工經濟會ニハ此ノ農業水產業ノ構成
員ヲ認メナカッタ譯デアリマス、併シ之ニ依ッ
テ商工經濟會其ノモノガ非常ニ無力ニナ
ル、或ハ縮小サレルト云フヤウナコトハ全
然私共考ヘテ居ラナイノデアリマス、ソレ
カラ尙各都市ノ連絡ノ問題デアリマスガ、
是ハ府縣ヲ單位ニシテ、商工經濟會ガ出來
マスガ、有力ナ地ニハ玆ニアリマス通リ支
部ヲ置クコトニ致シテ居リマス、支部ト本
部トノ關係ニ於キマシテ、十分ナ連絡ヲ取ッ
テ行ク考ヘデアリマス、此ノ點ハ寧ロ從來
此ノ都市別ニ商工會議所ガ出來テ居ッテ、各、〓
其ノ都市ダケノ見地カラ色々意見ガ出タヨ
リモ、寧ロヨリ大キナ經濟單位ヲ基トシテ
而モ其ノ內部關係ニ於テハ多少特別ノ事情
モアルコトヲ考慮シテ、支部ト云フヤウナ
モノノ設置ニ依ツテ、業者ヲ適當ニ調整按配
シテ行クト云フコトガ最モ適當デアラウト
斯ウ思ッテ居ルノデアリマス、ソレカラ日本
商工會議所又ハ地方ノ連絡會議ノ問題等ガ
法律ニ採リ上ゲテ居ラナイ理由デアリマス
ガ、實ハ此ノ商工經濟會ト云フモノガ考へ
テ見マスルト云フト一方府縣ト表裏一體
ヲ成サナケレバナラヌト云フ必要ガアルト
共ニ、今日ノ交通運輸ノ關係カラ見マスル
ト云フト、經濟ノ問題ハ府縣ノ地域ヲ越エ
テ、所謂經濟「ビロック」ト云フヤウナ關係
ガ非席ニ密接デアルト思フノデアリマス、
例ヘバ大阪、神戶、京都ト云フモノハ行政
區劃ハ別ニシテ居ルケレドモ、經濟關係デ
見ルト云フト寧ロ一體的ニ考ヘラレル、近
畿全體ガ一ツノ有機的ナ關係ニ於テナサレ
ナケレバナラヌ、斯ウ云フ意味ニ於テ現在
ニ於テモ各地域別ノ協議會、商工會議所ノ
聯合會ト云フヤウナモノガ事實上出來テ居
ル狀況デアリマス、今後ニ於キマシテモサ
ウ云フモノガ矢張リ事實上ハ出來テ來ルト
私ハ思ッテ居リマス、又事實上サウ云フモノ
ガ出來テ適當ニ連絡シテ貰フ、有機的ニ經
濟問題ヲ處理シテ貰フ必要ガアルト思ヒマ
ス、唯今日ノ行政機構ノ地方制度ハ、府縣
ノ單位ニナッテ居ルノデアリマシテ、此ノ單
位ニ付キマシテモ色々各方面デ、更ニ今日
ノヤウナ狀況ニナッテ來ルト云フト、或ハ道
廳制度ト云フヤウナモノヲ置イタ方ガ適當
ヂヤナイカト云フヤウナ議論モ各方面ニア
ル狀況デアリマスガ、此ノ點ハ行政機構ノ
問題トシテ將來ニ殘サレタ一ツノ〓究問題
デアリマシテ、今日ノ狀況カラ申シマスレ
バ、地方ノ行政ハ矢張リ府縣ヲ單位トシテ
行フ、是モ表裏一體ノモノヲ法制的ニハ認
カ、更ニ府縣ヲ越エテノ經濟問題ヲ共同
的ニ、有機的ニ、綜合的ニ行ッテ行クト云
フノハ事實上ノ發達ニ暫ク任シテ置クコ
トガ適當デアルト、斯ウ考ヘテ居リマス、
中央ノ機構ニ付キマシテハ先程伍堂委員
カラモ御話ガアリマシタ通リ、是ハ私共
最モ有力ナ經濟產業ノ中央ノ一ツノ段階ガ
將來出來テ來ナケレバナラヌ、近ク之ニ付
テノ適當ナ方策ヲ考へ、實施シナケレバナ
ラヌト斯ウ思ッテ居ルノデアリマシテ、從ヒ
マシデ特ニ法律ニ於テ色々ナ形ヲ先ヘ作リ
上ゲテシマフト云フコトハ適當デナイト考へ
マス、寧ロ實際ノ問題トシテハ今申シマシ
タヤウニ地域的ナモノ、聯合會見タイナモ
ノガ出來、重要ナ地ニ、更ニ中央ニ於テ全
國ノ經濟會ノ協議會、若シクハ聯合會見タ
イナモノガ事實上出來テ來ル、サウシテ更
ニ此ノ戰時經濟運營ノ上カラ全產業ヲ網羅
シテ居ル所ノ大キナ中央機構ヲ考ヘル際ニ
其ノ問題ハ併セ解決サレル、斯ウ云フヤウ
ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=30
-
031・稻畑勝太郎
○稻畑勝太郞君 先刻御話ガアリマシタ經
濟聯盟ノ如キハ有力ナ機構デアリマスケレ
ドモ、經濟聯盟ト、又商工會議所トハ構成
ノ根本ガ違フ譯デス、商工會議所ハ各方面
ノ人達ナリ、又中小ノ商工業者ヲ網羅シテ、
從來ハ申ス迄モナク御承知ノ通リアルノデ
アリマシテ、經濟聯盟ハサウ云フ意味デハ
幾分違フノデアリマシテ、矢張リ將來ハ何
カ日本商工會議所ノヤウナ、何カ經濟會ガ
出來マスレバ、經濟會ノ聯合會ト云フヤウ
ナモノハ矢張リ法律上御認メニナッテ、之ヲ
設定サレルト云フコトガ必要デアラウト私
ハ思フノデアリマス、是ハ御參考迄ニ希望
ヲ申上ゲテ置ク次第デアリマス、私ノ質問
ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=31
-
032・中山太一
○中山太一君 チヨット御尋ネシテ置キマス
ガ、私ハ商工會議所ノ改組ニ付テノ問題、元
元商工會議所ハ產業經濟ノ參謀本部トシテ
ノ重大使命ヲ持ッテ居ル筈デアリマスガ、ソ
レニハ構成ノ關係等ニ於テモ是ガ行ハレテ
居ナイ、今度ハ色々組合ノ改組ガ行ハレル
ト同時ニ、商工會議所ニ其ノ組合統制會ナ
リ、又ハ組合等ガ之ニ加ハルト云フコトハ
非常ニ意義ノアルコトダト思ヒマス、今迄
ハ會議所ガ個人ノ位置ナリ勢力ヲ獲得スル
黨派的結束等ガ行ハレテ、サウシテ役員ヲ
唯約束シテ、其ノ色々ノ選擧ニ利用サレル
ト云フヤウナコトモナイデモナカッタノデア
リマス、サウシテ產業經濟ノ發達振興ハ第
二義的ニナッテ居ッタモノモアッタノデアリマ
ス、サウシテ其ノ個人々々ガ會議所ノ構成
ノ要素トナッテ居リナガラ、ソレガ其ノ各
種ノ重要ナ業界ヲ代表シタ意見デナク、殆
ド業界ト離レタモノモアッタノデアリマス、
今度ノ改正サレルコトハ非常ニ時局柄極メ
テ適切ナル方法デアッテ、選擧ノ議員トシテ
ノ先程御話ガアリマシタ今後ハ重要產業
者ハ單獨ニ、サウデナイ者ハ組合加入シ
テ、サウシテ產業經濟上ニ緊密ナル連繫ヲ
以テ其ノ機能發揮ニ邁進スルヤウナ御話ガ
アリマシタ、此ノ點ハ今後ニ於テハ非常ニ
宜イコトダト思ヒマスガ、唯組合トノ關聯
ガ或時ニ業種別ノ立體的機構ガ地方ダケニ
ハ行ハレテ居リ、ソレガ全國的ニ行ハレナ
カッタナラバ、其ノ業種ノ統一シタ全國ノ意
見ト云フモノガハッキリシナイダラウト云
フコトガ一ツデアリマス、ソレデ組合ガ地
方的ニ橫ノ連繫ヲ以テ、縱ノ機能ヲ發揮ス
ルダケデナク、横ノ連繫デ商工經濟會ニ是ガ
合流スルト云フコトハ一ツノ良イ方法デア
リマスガ、ソレダケデハイカナイノデハナ
イカ、組合ハ矢張リ業種別ニ縱ノ一ツノ連
繫ガ全國的ニ是ハ必要ヂヤナイカト思ヒマ
ス、ソレデ從ッテ地方的ニハ平面的ナ統合機
關ガ、商工經濟會ガ必要デアルト同時ニ、
又立體的ニ中央ニ於テモ同一ノ機關ガ必要
デアルト云フコトヲ、先程伍堂委員、稻畑委
員カラ御話ニナリマシタガ、ドウシテモサ
ウ云フヤウナ風ニ出來ナケレバイカヌデハ
ナイカ、サウシテ地方廳ト地方ノ商工經濟
會ハ表裏一體ノ關係、又中央ニ於テハ政府
ト表裏一體ノ關係ニ於テ、眞ニ國策ニ協力
スルト云フコトヲシナケレバナラヌノヂヤ
ナイカ、只今迄ノ會議所ノ機構デアリマス
ト、皆立派ナ人ガ澤山居リマスケレドモ、
中ニハ全然私心ヲ捨テテ憂國ノ至誠、熱意
ヲ持ッテ相當ノ抱負經綸ガアル人々ノ團體
トノミ言フ譯ニハ行カナイ、サウスルト、
ソレニ代ルヤウナ團體ガアルナラバ、其ノ
意見ヲ聽イタリ、又其ノ者ニ意見ヲ聽カス
ト云フ必要ガ國家的ニアッタト思ヒマス、今
後ハ政府ノ時局ニ卽應スル大方針ノ下ニ構
成サレル商工經濟會デアレバ、必ズ中央ニ
アル會モ、表裏一體ノ下ニ立派ニ國策ニ協
力スル機關トナリ得ルト思ヒマスノデ、此
ノ點ニハ色々今御話ガアリマシタガ、今ノ
業種別ノ組合ノコトト關係シテ、後デ日ヲ
變ヘマシテ御尋ネ致シ、又說明ヲ聽キマス
ケレドモ、此ノ點モ特ニ御考慮ヲ仰ギタイ
ト存ジマス、今ノ業種別ノモノガ地方的ニ
ノミチョン切ラレテシマフヤウナ意味デナ
シニ、失張リ全國的ニ存在シナケレバナラ
ヌト思ハレマスカラ、其ノ意味ニ於テ御意
見ヲ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=32
-
033・岸信介
○國務大臣(岸信介君) 御話ノ通リ、各業
種ハ其ノ業種ニ依リマシテ、全國、縱ニト
申シマスカ、立體的ト申シマスカニ、一ツノ
統制機構ガ建テラレナケレバナラヌコトハ
御說ノ通リデアリマス、現ニ統制會其ノ他
各種ノ組合制度ノ立テ方ハ、大體業種別ニ
縱ニ立體的ナ統制機構ニ作リ上ゲルト云フ
組織ニナッテ居リマス、ドチラカト申セバ、
現狀ノ下ニ於テハ其ノ機構ニ重點ガ置カレ
テ居ツテ、地方ノ關係ヲ橫ニ綜合シ、連絡ス
ルト云フコトガ非常ニ缺ケテ居ルト云フ狀
況デアリマスノデ、今度ノ商工經濟會ニ於
テ、其ノ點ニ考ヘテ橫ノ連絡ニ重キヲ置イ
タ組織ヲ考ヘテ居ル譯デアリマス、言フ迄
モナク產業經濟ノ問題ハ、一面ニ於テハ
今申シマスヤウニ、產業別ノ縱ノ關係ノ統
制機構ト云フモノガ矢張リ必要デアル、橫
絲ノヤウナ地方ノ綜合、此ノ兩方ガ緊密ニ
適當ニ組織ガ出來テコソ始メテ產業界ノ各
種ノ運營ガ圓滑ニ行クモノダト思ヒマス、
御說ノ通リダト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=33
-
034・有吉忠一
○有吉忠一君 議事進行ニ付テ、先程委員
長カラ月曜日カラ大臣ハ或ハ少シ御用ガアツ
テオイデニナラヌカモ分ラヌト云フコト
デ、如何ニモ法案ガ澤山出テ居リマシテ、
大臣モアッチコッチ隨分御忙シイコトデアラ
ウト思ヒマス、是ハドウモ已ムヲ得マセヌ
カラ、他ノ政府委員デ出來ルダケ御答辯ヲ
願ヒ、併シドウモ段々話ヲシテ居ル內ニ、
是非大臣ノ御意見ヲ伺ハナケレバナラヌコ
トガ起ッテ來ルダラウト思ヒマスカラ、其
ノ節ハドウカ繰リ合セテ大臣モ御出席ヲ賜
ハルヤウニ御願ヒシテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=34
-
035・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 承知致シマシ
タ委員長ノ方カラモ能ク當局ニ話シマシ
テ連絡ハ執ル積リデ居リマス、ソレカラ又是
モ議事進行ノ點デゴザイマスガ、月曜日力
ラハ、成ルベク皆サンカラ御質問ノ簡單ナ
要旨ヲチヨット御書キ下サイマシテ、委員長
ノ手許ニ御屆ヲ願ヒタイト思ヒマス、サウ
シマスレバソレヲ政府當局ト打合セマスレ
バ、御答辯ノ方モ的確ヲ得ルダラウト思ヒ
マスシ、又時間モ省略ガ出來ルダラウト思
ヒマス、ドウ云フ點ダッタラ、此ノ時ハ大臣
ニオイデヲ願ヒタイト、斯ウ云フコトモ言
ハレマスカラ、其ノ時ハ特別ニ御都合願ヒ
タイト思ヒマス、ドウゾ其ノ點ヲ御了承置
キヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレデハ本日ハ
此ノ程度デ散會致シマス
午後零時六分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵黑木三次君
副委員長男爵東〓安君
委員
公爵德川家正君
侯爵池田宣政君
侯爵蜂須賀正氏君
子爵曾我祐邦君
子爵河瀨眞君
子爵富小路隆直君
子爵織田信恒君
有吉忠一君
男爵松岡均平君
伍堂卓雄君
大橋八郞君
吉野信次君
男爵八代五郞造君
男爵杉溪由言君
竹內可吉君
稻畑勝太郞君
河西豐太郞君
中山太一君
片倉兼太郞君
山上岩二君
古莊健次郞君
中野敏雄君
國務大臣
商工大臣岸信介君
政府委員
農林省食品局長田中啓一君
商工省總務局長神田暹君
商工省企業局長豐田雅孝君
商工事務官美濃部洋次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008101624X00119430130&spkNum=35
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。