1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○戰時行政特例法案
○許可認可等臨時措置法案
○教育基金特別會計法外二十三法律の廢止に關する法律案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=0
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001・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 只今ヨリ委員
會ヲ開催致シマス、三案同時ニ一括シテ議
題トスルコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=1
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002・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 御異議ナイト
認メマス、然ラバ三案一括議題ニ供シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=2
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003・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナッ
テ居リマスル戰時行政特例法案及許可認可
等臨時措置法案ニ付キマシテハ、既ニ本會
議ニ於テ國務大臣ヨリ其ノ提案理由ニ付テ
御說明ヲ申上ゲ、〓育基金特別會計法外二
十三法律ノ廢止ニ關スル法律案ニ付キマシ
テハ、本會議ニ於テ政府委員ヨリ其ノ提案
理由ノ御說明ヲ申上ゲタ次第デアリマスガ、
茲ニ稍〓詳.細ニ亙ッテ是等ノ法律案ノ內容
ノ大體ニ付テ御說明申上ゲタイト存ジマス、
先ヅ戰時行政特例法案ニ付キマシテ御說明
申上ゲマス、本法案ハ生產力ノ飛躍的擴充
其ノ他各般ニ亙ル綜合國力ノ擴充運用上ノ
具體的要請ニ應ジマスル爲ニ、法律ノ一般
的ナル規律ニ對シ、勅令ノ定ムル所ニ依リ
特別ノ例外的ナル措置ヲ講ジ得ルノ途ヲ拓
カムトスルモノデアリマス、以下本法案ノ
內容ト致シマスル所ヲ、順ヲ逐ッテ御說明致
シマス、先ヅ第一項デアリマスガ、第一項
ハ本法ノ骨子ヲ成ス規定デアリマシテ、大
東亞戰爭ニ際シ、生產力ノ擴充其ノ他綜合
國力ノ擴充運用ノ爲特ニ必要アルトキハ、
勅令ノ定ムル所ニ依リ、一、法律ニ依ル人
又ハ法人ノ行爲ニ對スル禁止又ハ制限ノ全
部又ハ一部ヲ解除シ、二、法律ニ依リ監督
又ハ命令、處分其ノ他ノ行爲ヲ爲ス一ノ行
政廳又ハ官吏ノ職權ヲ他ノ行政廳又ハ官吏
ヲシテ行ハシムルコトヲ得ルコトヲ定メタ
モノデアリマス、卽チ本項ノ第一號ノ內容
ト致シマスル所ハ、法律ガ人又ハ法人ノ行
爲ニ對シ、一定ノ禁止又ハ制限ヲ爲シテ居
リマスル場合ニ、其ノ禁止又ハ制限ハ通常
ノ場合ニ於キマシテハ、公益上其ノ他各種
ノ理由ヲ以チマシテ、必要ナコトデアルノ
デアリマスガ、其ノ禁止制限ノ爲ニ、重要
軍需物資ノ生產事業ノ敏活圓滑ナル運營ガ
妨ゲラレ、其ノ外綜合國力ノ擴充運用ニ支
障ヲ生ズルト云フヤウナ時ニハ、戰時中ノ
特例的措置トシテ、斯カル法的制約ヲ排除
スルガ如キモノデアリマス、本號ニ人又ハ
法人ノ行爲ニ對スル禁止又ハ制限、トアリ
マスノハ、單ナル警察的ナル意味ニ出ヅル
禁止又ハ制限ニ止マラナイデ、特定資格者
以外ノ者ノ一定事業經營ノ禁止等ヲモ含ム
モノトシテ、其ノ解除ヲモ考ヘテ居ルノデ
アリマス、尙本號ト致シマシテハ、單ニ生
產擴充ヲ目的トスル場合ノミニ限ラナイデ、
廣ク各般ノ綜合國力ノ擴充運用上、必要ナ
ル場合ニモ發動スルモノデアルコトヲ御承
知置キ願ヒタイノデ、アリマス、此ノ點ニ付
キマシテハ、第二號ノ規定モ亦同樣デアリ
マス、本號ノ發動ハ未ダ具體的ニ確定シテ
居ル譯デハアリマセヌガ、若干ノ事例ヲ擧
ゲテ御審議ノ御參考ニ供シタイト存ジマス、
例ヘバ特別ノ必要アル場合ニハ、工場法ノ
十六歲未滿ノ者及ビ女子ノ就業時間ノ制限
ヲ緩和シタリ、關稅法ノ外國貿易船ノ開港
以外ヘノ入港禁止ヲ解除シタリ、水先法ノ
水先人タルノ年齡上ノ資格制限ヲ緩和スル
ガ如キコトガ考ヘラレルノデアリマス、次ニ
本項第二號ノ內容ト致シマスル所ハ、監督
又ハ命令處分其ノ他ノ行爲ヲ爲スベキ權限
ガ、法律ニ依ッテ或行政廳又ハ官吏ノ職權ト
シテ定メラレテ居リマス場合ニ、事宜ニ應
ジテ其ノ權限ヲ他ノ行政廳又ハ官吏ヲシテ
行ハシムルコトヲ得ルコトト爲スノデアリ
マス、デ是ハ指揮監督等ノ行政機構ノ單純
一元化ノ要請ヤ、上級行政廳ノ權限ノ下級
行政廳ヘノ委讓ノ要請ニ應ズルモノデアリ
マス、例ヘバ砂鑛法上ノ主務大臣ノ職權ヲ
鑛山監督局長ヲシテ行ハシムルガ如キハ、
其ノ一例デアリマス、本號ニ於キマシテ行政
廳ト謂ヒマスノハ、行政官廳及市町村長等
ノ公共團體ノ首長タルモノヲ謂フノデアリ
マシテ、司法裁判所、軍隊等ガ裁判事務、統
帥活動ヲ爲ス場合ノコトハ勿論含ンデ居リマ
セヌ、ソレカラ市町村其ノ他公共團體其ノ
モノハ之ヲ含ンデ居ナイノデアリマス、而シ
テ行政官廳ノ職權ヲ市町村其ノ他法人ナド
ヲシテ行ハシムル必要ガアリマス場合ハ、昭和
十七年法律第十五號卽チ「國家總動員法ノ
第十八條ノ法人等ヲシテ行政官廳ノ職權ヲ行
ハシムルノ件」ト云フ法律ノ運用ニ俟ツモノデ
アリマス、以上第一項第一號及第一一號ヲ通ジ
マシテ、何レモ法律ニ對スル特例ヲ設ケム
トスル趣旨ニ出ヅルモノデアリマシテ、勅令
以下ニ依ル禁止制限又ハ行政廳又ハ官吏ノ
職權ニ關スル事項ニ付キマシテハ本法ニ
依ラズ、ソレ〓〓勅令以下適當ナル形式
ニ依ルベキモノデアリマス、而シテ實際
問題ト致シマシテハ、禁止制限又ハ行政廳
若シクハ官吏ノ職務權限ガ具體的ニ法律ニ
依ッテ居ル場合、卽チ本法ノ活用ニ依ラネ
バナラヌト云フ場合ハ寧ロ少イノデアリマ
シテ、勅令以下ニ依リ定ッテ居ル場合、卽
チ勅令以下ノ形式ニ依ッテ本法案ノ企圖ス
ルガ如キ趣旨ヲ達成シ得ル場合ガ非常ニ多
イト考ヘラレルノデアリマス、次ニ第二項
デアリマスルガ、第二項ハ第一項第二號ノ
規定ニ依リマシテ、一ノ行政廳又ハ官吏ノ
職權ヲ他ノ行政廳又ハ官吏ノ職權ニ移シマ
シタ場合ノ、罰則ノ適用ニ付テ支障ナカラ
シムルガ爲ノ規定デアリマス、例ヘバ法律
ニ依ル罰則規定トシテ「甲行政廳ノ處分ニ
違反シタルトキハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス」
トゴザイマスヤウナ場合、甲行政廳ノ處分
權ヲ代リ行フ乙行政廳ノ處分ニ對スル違反
行爲ニ對シマシテモ、處罰ヲ爲シ得ルヤウ
ニセムトスルモノデアリマス、次ニ第三項
デアリマスガ、第三項ハ、第一項ノ規定實
施ニ關聯シマシテ、必要ナル事項ヲ勅令ヲ以
テ定メ得ルコトトシテ、本法ノ實施上遺憾
ナキヲ期シタモノデアリマス、而シテ第三
項ニ基ク勅令ニ依リマシテ、例ヘバ第一項
第一號若シクハ第二號ニ依リ措置ヲ爲シタ
ル場合、又ハ其ノ措置ヲ廢シタル場合ノ經
過的事項トカ、第一項第一號ニ依リ禁止又
ハ制限ヲ解除シタル場合ニ、其ノ實施ニ關
聯シテ特ニ必要トセラルヽ一定ノ行政上ノ
措置、第一項第二號ニ依ル措置ヲ爲ス場合
ノ關係行政廳又ハ官吏間ノ聯絡方法等ヲ規
定スルコトトナラウカト考ヘテ居ルノデアリ
マス、次ニ許可認可等臨時措置法案ノ內容
ニ付キマシテ御說明申上ゲマス、政府ハ曩
ニ行政簡素化ト致シマシテ、行政機構ノ改
編職員定員ノ縮減ヲ實施シタコトハ御承
知ノ通リデアリマスガ、是ト相竝ンデ行政
事務其ノモノヲ簡素ニシ、行政ノ刷新强化
ヲ圖ルベキコトハ當然ノコトデアルト信ズ
ルノデアリマス、又近時統制ノ强化等ニ伴
ヒマシテ、許可認可等ヲ要スル事項ハ遽ニ
激增シテ參リ、複雜多岐トナツテ居ル實情
デアリマスガ、今日許可認可等ヲ要スル事
項ヲ再檢討、適當ナル整理ヲ斷行致シマ
スルコトハ、行政事務ヲ刷新强化シ、國民
活動ヲ積極潤達ナラシムル爲ニ喫緊ノ要務
ナリト信ズルノデアリマス、而シテ政府ハ
勅令、以下命令又ハ實際上ノ措置ニ依リ、
行政事務ヲ簡素化シ得ルモノニ付キマシテ
ヘ、從前カラ既ニ之ヲ實行シテ參リ、今後
モ亦着々實行シテ行カムト考ヘテ居ルノデ
アリマスガ、今囘ノ法案ハ之ガ爲エ法律ヲ
必要トスル事項ニ付キマシテ必要ナル措置
ヲ爲シ得ルコトヲ定メムトスルモノデアリ
マス、以下順ヲ逐ッテ本法案ノ內容トスル
所ヲ御說明申上ゲタイト思ヒマス、先ヅ第
一項デアリマス、第一項ハ本法ノ骨子ヲ爲
ス規定デアリマシテ、行政簡素化ノ爲必要
アル時ハ法律ニ依リ、許可、認可、免許、特
許承認、檢査、協議、屆出、報〓等ヲ要
スル事項ニ付キマシテ、勅令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ不要トシ、簡易ナル代行ノ制度ヲ
設ケ、申請等ガアッタ場合、一定ノ期間ノ
經過ニ依リマシテ當然許可認可等ガアッタ
モノト看做シ、一ツノ法令ニ依ル許可認可
ガアッタ時、他ノ法律ニ依ル許可認可等ガ
アッタモノト看做シ、許可認可等ニ關スル處
分、行政廳等ノ職權ヲ移動シ、其ノ他手續
又ハ處理ノ簡捷化ヲ爲スコトヲ得ルノ途ヲ
拓イタモノデアリマス、本法ハ行政ノ範圍
內ニ關スルモノデアリマ、シテ、裁判作用、
統帥活動等ニ付キマシテハ適用セラルヽモ
ノデハアリマセヌ、併シナガラ行政簡素化
ノ目的內ナラバ、行政ノ廣汎ナル範圍ニ運
用セラルヽノデアリマシテ、行政簡素化ヲ
通ジマシテ生產增强ニ資スルコト亦多大ナ
ルモノガアルト信ジテ居ルノデアリマス、
尙本法案ノ用語デアリマスガ、許可認可等
ノ文字ヲ用ヒテ居リマスノハ、法文上ノ文
字トシテ形式的ニ許可認可等ノ文字ガ用ヒ
ラレテ居ル場合ヲ指スモノデアリマシテ、
所謂學問上ノ用語トシテノ實質的ナル觀念
ニ依ッタモノデナイコトヲ、豫メ御承知置
キヲ願ヒタイノデアリマス、又屆出等トシ
マシテ、等ノ文字ヲ挿入致シテ居リマスノ
ハ、認許、檢閱、通報等列擧ノ事項ト同樣
ニ取扱フベキ事項ガ相當存在スルコトヲ考
慮致シタカラデアリマス、第一號ハ許可
認可等ヲ要セザルコトト爲シ得ルコトト致
シタノデアリマス、許可認可等ノ制度ヲ
再檢討シ、之ヲ一般的ニ、全面的ニ不要許
可認可事項トスル場合ト一般ニハ許可事
項、認可事項トシテ存置致シマスガ、具體
的ノ場合ニ限ッテ部分的ニ不要許可事項、
不要認可事項ト致ス場合ガアルノデアリマ
ス、此ノ點ニ付キマシテハ、第二號以下モ
皆同樣デアルト御承知願ヒタイノデアリマス、
第二號ハ許可認可等ニ代フルニ、簡易ナル
代行制度ヲ以テスルコトヲ得ルコトト爲シ
タノデアリマス、例ヘバ或事項ニ付キマシテ
許可認可ヲ受ケシムル代リニ、事前ノ報〓
ヲ爲サシムルコトトシ、必要アル時ニハ一
定ノ措置ヲ要求シ得ルコトトシ、或バ全ク事
後ノ報告ノミニ止メテシマハウト云フガ如
キデアリマス、第三號ハ許可認可等ノ申請
ガアリタル時、一定期間ノ經過ニ依リマシ
テ、當然許可認可等アリタルモノト看做ス
コトヲ得ルコトトナシタノデアリマス、勅令以
下ニ依ル許可認可等ニ付キマシテハ、桑椹、
昨年一月一日ヨリ施行致シマシタ許可認可
等行政事務處理簡捷令第二條以下ノ運用ニ
依リマシテ、旣ニ之ヲ實施致シテ居ル所デ
アリマス、今囘ハ其ノ趣旨ヲ徹底致シマス
爲ニ、法律ニ依ル許可認可事項ニ付キマシ
テモ同樣ノ措置ヲ爲シ得ルコトトシ、以テ
行政事務ノ簡捷化ヲ期シタモノデアリマス、
本號ト致シマシテハ、相當廣汎ナル範圍ニ
亙ッテ其ノ活用ヲ見得ルモノト考ヘテ居ルノ
デアリマスガ、時局關係ノ法律ニ依ル許可
認可等ニ付キマシテハ、特ニ其ノ必要性ガ
多ク、其ノ效果モ多大ナルモノガアラウト
考ヘテ居ルノデアリマス、第四號ハ同一ノ
事柄ニ付テ甲乙二ツノ法規ニ依ッテ許可認
可等ガ必要トサレテ居リマス時ニ、甲ノ法
規ニ依ル許可認可等ガアリマシタ時ハ、別
ニ乙ノ法規ニ依ル許可認可等ヲ受ケナクト
モ、之ヲ受ケタルモノト看做スコトヲ得ル
コトニシタノデアリマス、甲法令ニ依ルト
致シマシタノハ、原因トナリマス許可認可
等ノ方ハ必ズシモ法律ニ依ルモノデナク、
勅令以下ノ命令ニ依ル許可認可等デアリマ
シテモ、之ヲ乙法律ノ適用ニ付テ、乙法律
ノ許可認可等アリタルモノト看做ス必要ガ
アルカラデアリマス、之ニ反シテ乙法律ト
致シマシタノハ、結果ヲ認メマス許可認可
等ノ方ガ勅令以下ニ依ルモノデアリマス場
合ハ、勅令以下ノ形式ニ依ッテ本號ノ如キ措
置ヲ爲シ得ルノデアリマシテ、必ズシモ本
法案ノ如ク法律ノ手段ニ依ル必要ハナイカ
ラデアリマス、而シテ甲法令ニ依ル許可認
可等アリマシタ時ハ、乙法律ニ依ル許可認
可等ヲ不要トスレバ足ル場合ハ第一號ニ依
ルノデアリマスガ、例ヘバ或種ノ事業法ノ
如ク、特ニ當該事業法ノ許可ヲ受ケタルモ
ノニ非ザレバ、其ノ事業法上ノ事業者トシ
テ特別ノ權利義務ノ主體トナリ得ナイト云
フヤウナ場合ヲ考慮致シマシテ、乙法律ニ依
ル許可認可等ヲ受ケタルモノト看做スコト
ト致シタノデアリマス、第五號ハ許可認可等
ノ甲ノ行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ乙ノ行政廳又
ハ官吏ヲシテ行ハシメルコトヲ得ルコトト
致シタノデアリマス、本號ニ於キマシテ行
政廳ノ中ニハ裁判作用、統帥活動ヲ行フ司法
裁判所、軍隊等ヲ含ンデ居リマセヌ、又市
町村其ノ他公共團體ヲ含マナイコトハ戰時
行政特例法案ノ場合ト同樣デアリマス、本
號ハ法律ニ依ル許可認可等ノ職權ヲ行フ行
政廳又ハ官吏ガ法律ニ依リ定メラレテ居ル
時ニ於テ、其ノ職權ヲ移動セムトスル場合
ニノミ適用セラレルノデアリマシテ、勅令
以下デ行政廳又ハ官吏ノ職權ヲ變更シ得ル
場合ニハ適用セラルヽモノデナイコトハ
他ノ各號ト同樣勿論ノコトデアリマス、第
六號ハ前各號ニ揭ゲタルモノノ外、法律ニ
依ル許可認可等ヲ要スル事項ニ付テ手續又
ハ處理ノ簡捷化ノ爲ニ必要ト考ヘラルヽ各
般ノ措置ヲ執リ得ル途ヲ拓イタノデアリマ
ス、行政事務ノ簡捷化ノ施策ト致シマシテ、
大體適當デアリ、且效果的デアルト考ヘラ
レル事項ヲ第一號乃至第五號ニ揭ゲタノデ
アリマス、右以外ニ適當ナル方策ガアルナ
ラバ、之ヲ取上ゲテ實施シ得ルコトト致シ
テ居ルノデアリマス、手續又ハ處理ノ簡捷
化ト申シマスト、申請等ヲ爲ス者ノ側、又
ハ之ヲ受理シ、處理スル者ノ側、雙方ニ關
スル簡捷方法ガ含マレテ居リマスノデアリ
マス、例ヘバ許可認可等申請書添付書類ノ
省略、行政處理ニ關スル一定手續ノ省略、
行政處分ノ際ノ審査會へノ付議ノ省略等ノ
如キデアリマス、次ニ第二項デアリマス、
第二項ハ第一項第五號ノ場合ニ於キマシ
テ、甲ノ行政廳又ハ官吏ノ職權ガ乙ノ行政
廳又ハ官吏ノ職權ニ移リマシタ場合ノ法律
ニ依ル罰則ノ適用ニ付テ支障ナカラシメム
ガ爲ノ規定デアリマシテ、戰時行政特例法
案ノ第二項ト全ク同ジ趣旨ノモノデアリマ
ス、次ニ第三項デアリマスガ、第三項ハ第
一項ノ規定實施ニ關聯シマシテ必要ナル事
項ヲ勅令ヲ以テ規定シ得ルコトトシマ
シテ、本法ノ實施上遺憾ナキヲ期シタモノ
デアリマス、本項ニ依ル勅令ヲ以テ規定セ
ムトスル事項ハ戰時行政特例法案ノ場合ト
大體同樣デアリマスガ、本法案トシマシテ
ハ更ニ第一項第三號ノ規定ノ運用上必要ト
認メラルヽ申請書等ノ受理ノ證明、又ハ許
可認可等アリタルモノト看做サレタルコト
ノ證明等ニ關スル事項ヲモ規定致シタイト
考ヘテ居ルノデアリマス、以上戰時行政特
例法案及許可認可等臨時措置法案ノ內容ノ
〓略ヲ御說明致シタノデアリマスガ、此
ノ際念ノ爲ニ附言致シテ置キタイト思ヒマ
スルノハ、只今御說明致シマシタ二ツ
ノ法案ハ、何レモ既ニ存スル禁止制限ヲ
解除シ、許可認可等ヲ要スル事項ヲ簡捷化
シ、又ハ指導監督及處分等ヲ爲ス行政廳又
ハ官吏ノ職權ヲ單純化簡素化致スコトヲ目
途ト致シテ居ルノデアリマシテ、國民ニ對
シテ新タナル義務乃至ハ負擔ヲ課スル等、
新規ノ統制法規ヲ定ムルガ如キ趣旨ヲ含ム
モノデハナイノデアリマス、斯カル新タナル
必要ニ應ジマスル爲ニハ國家總動員法ヲ發
動スルトカ、他ノ法律ノ運用ニ俟ツトカ、
或ハ別個ノ新タナル立法ノ手續ヲ爲スベキ
モノト考ヘテ居ルノデアリマス、更ニ以上
ノ二ツノ法律案ノ御審議ノ御參考ノ爲ニ、
別途政府ニ於テ御制定ヲ仰イデ居リマスル
戰時行政職權特例ニ付其ノ〓略ヲ申上ゲタ
イト存ジマス、戰時行政職權特例ハ現時局
下戰爭完遂ノ爲絕對其ノ生產ノ增强ヲ圖ラ
ナケレバナラヌト考ヘラレマスル鐵鋼、石
炭、輕金屬、船舶、航空機等ノ重要軍需物資
ニ關シマシテ、之ガ生產ノ飛躍的擴充ヲ達
成セムガ爲ニ必要ナル行政職權ニ關スル特
例ヲ定メムトスルモノデアリマシテ、先ヅ
大東亞戰爭ニ際シ是等重要軍需物資ノ生產
擴充ニ付テ內閣總理大臣ニ於テ各省大臣ニ
對シ必要ナル指示ヲ爲シ得ルノ途ヲ拓キ、以テ生
產部面ニ於ケル戰時行政ノ强力ナル推進統
一ヲ圖ルト共ニ、事宜ニ應ジマシテ右生產ニ關
係アル行政官廳又ハ官吏ノ職權ヲ調整シ、以テ
指導監督ノ單純一元化ヲ圖ルコトト致シテ
居ルノデアリマス、先ヅ第一ニ大東亞戰爭
ニ際シ鐵鋼、石炭、輕金屬、船舶、航空機
等ノ重要軍需物資ノ生產擴充上特ニ必要ア
ルトキハ、內閣總理大臣ハ關係各省大臣ニ
對シ必要ナル指示ヲ爲シ得ルコトトシ、行
政ノ綜合的重點的有機的ナル運營ヲ庶幾スル
ト共ニ、强力ナル推進機能ヲ期待セムトス
ルモノデアリマス、本令ハ鐵鋼、石炭、輕
金屬、船舶、航空機ノ五ツノ超重要軍需物
資ノ飛躍的ナル生產擴充ヲ目途トスルモノ
ナルコトヲ先ヅ揭ゲテ其ノ重點ヲ明カニシ
タノデアリマスガ、航空機等重要軍需物資
ト致シマシテ、將來事態ノ推移ニ應ジマシ
テハ銅ノ如キ非鐵金屬、其ノ他必要ナル
重要軍需物資ノ生產擴充ノ爲ニモ活用シ得
ルノ餘地ヲ存シテ居ルノデアリマス、指示
ハ是等重要軍需物資ノ生產擴充上特ニ必要
アル場合、其ノ必要ノ限度內ノモノナラバ、
廣ク關係各大臣ノ所管行政ノ一切ニ及ブモ
ノデアリマシテ、尤モ軍機軍令ニ關スルモ
ノノ如キハ除カレルコトハ當然デアリマス
ガ、是等重要軍需物資ノ生產行政ノ範圍ノ
ミニ限定サレテハ居ナイノデアリマス、第
二ニ大東亞戰爭ニ際シ、是等重要軍需物資
ノ生產擴充上特ニ必要アル場合ニ於テハ勞
力、資材、動力及資金ニ關スル各省大臣ノ
行政事務ノ一部ヲ勅命ヲ仰イデ內閣總理大
臣自ラ行ヒ、又ハ他ノ各省大臣ヲシテ行ハ
=
シムルコトヲ得ルコトトシマシテ、當該事
業ニ關スル指導監督ヲ綜合强化シ、單純化
セムトスルモノデアリマス、第三ニ只今申
上ゲマシタ主務大臣相互間ノ職權ノ變更ヲ
爲ス場合ヲ除キ、同樣ノ趣旨ヲ以テ内閣總
理大臣ニ於テ事宜ニ應ジテ、其ノ他ノ行政
官廳又ハ官吏ノ職權ノ調整ヲ行フコトヲ得
ルコトトシテ居ルノデアリマス、第四ニ前
ニ述ベマシタ所ニ依リ行政職權ノ調整ヲ行
ヒマシタ場合ニ於テ必要アル時ハ、內閣總
理大臣ハ關係官廳ノ職員ヲシテ臨時ニ他ノ
關係官廳ニ於テ執務セシムルコトヲ得ルコ
トトシ、以テ行政能率ノ向上ト事務連絡ノ
圓滑トヲ期シタノデアリマス、第五ニ此ノ
行政職權ノ移動ガ行ハレマシタ場合ノ罰則
ノ適用ニ付テ支障ナカラシムル規定ヲ設ケ
マスルコトハ、大體法律案ニ付テ御說明シ
タ所ト同樣デアリマス、第六ニ本令ノ施行
ニ關シ必要ナル事項ヲ內閣總理大臣ニ於テ
定ムルコトト致シマシテ、本令ノ實質上遺
憾ナキヲ期シテ居ル次第デアリマス、以上
ガ戰時行政職權特例ノ內容ノ〓略デアリマ
スガ、此ノ戰時行政職權特例ハ先程來御說
明致シマシタ二ツノ法案ト彼此相呼應シマ
シテ、戰時行政ノ强力ナル推進運營ニ重要
ナル役割ヲ果スモノト考ヘテ居ル次第デア
リマス、次ニ〓育基金特別會計法外二
十三法律ノ廢止ニ關スル法律案ニ付テ
御說明申上ゲマス、近來法律ノ數ガ非常ニ
多數ニ上ッテ參リマシテ、行政事務ノ處理
モ勢ヒ複雜煩瑣ニナッテ居ル次第デゴザイ
フスガ、是等多數ノ法律ノ中ニハ制定後ニ
於ケル事情ノ變化ニ依リマシテ、現在ノ狀
況ノ下ニ於テハ最早其ノ存置ノ理由ノ乏シ
クナッタモノモ相當アルノデゴザイマシテ、
是等ノ法律ハ此ノ際之ヲ整理致シマシタナ
ラ、煩雜ナル行政ヲ簡捷化スルノニ役立ツ
モノト存ゼラルヽノデアリマス、仍テ政府ニ
於キマシテハ、右ノ趣旨ニ依リマシテ茲ニ
廢止スルヲ適當ト認メラルヽモノ二十四法
律ヲ選ビ出シタノデゴザイマスガ、是等ノ
法律ニ付キマシテ個別的ニ其ノ理由ノ〓要
ヲ申上ゲマスト、先ヅ本法案ノ第一條ニ揭
ゲマシタ各法律ニ付テデアリマスガ、此ノ
中デ〓育基金特別會計法、〓育改善及農村
振興基金特別會計法及對支文化事業特別會
計法ノ三ツノ法律ハ、何レモ是等ノ法律ニ依リ
設ケラレマシタ各特別會計ガ、會計ノ現狀カラ
見マシテ、最早特ニ特別會計トシテ存續セ
シメテ置ク必要ガ薄弱ニナッテ來タモノナ
ノデアリマス、卽チ〓育基金、特別會計ハ
日〓戰爭ノ結果、〓國ヨリ得マシタル償金
ヲ以テ作リマシタ償金特別會計資金ノ內カ
ラ組入レラレマシタ所ノ元資金ヲ以チマシ
テ、其ノ運用利殖金ヲ普通〓育費ニ使用ス
ルガ爲ニ明治三十二年ニ設ケラレタモノデ
アリマスガ、其ノ後日露ノ戰役ニ際シマシテ、
其ノ資金ノ殆ド全部ヲ臨時軍事費特別會計
及一般會計ニ於テ繰替使用致シマシテ、其
ノ儘今日迄返還サレテ居リマセヌ爲ニ、爾
來歲出豫算ヲ計上シ得ナイ狀態ニナッテ居リ
マスルノト、又一方ニ於キマシテ普通〓育費
ノ財源ト致シマシテハ、別ニ預金部ノ低利資
金融通ノ途モ拓カレテ居リマスシ、其ノ他
普通〓育關係費用トシテ國庫補助金又ハ奬
勵金等トシテ一般會計ニ計上サレテ居ル金
額モ近來相當多額ニ上ルヤウニナッテ參リマ
シタノトデ、現在デハ特ニ此ノ特別會計ヲ
維持シテ置ク必要ハナイヤウニナッタノデ
アリマス、次ニ〓育改善及農村振興基金特
別會計ハ、造幣局資金ノ內カラ銀貨改鑄益
金ヲ組入レマシタモノヲ元資金ト致シマシ
テ、師範〓育ノ改善、農村振興ノ目的ニ使用
スルガ爲ニ設ケラレタ特別會計デアリマス
ガ、是レ亦最近ニ於キマシテハ、一般財源ニ
依リマス所ノ〓育改善及農村振興ニ關スル
經費ガ相當多額ニ上ッテ居リマス現狀デアリ
マスノデ、本會計ヲ以チマシテ、特ニ其ノ
財源ヲ特定確保致シテ置キマス必要ガ餘リ
ナイヤウニナッタモノデアリマス、又次ニ對
支文化事業特別會計ハ、所謂團匪賠償金ト
シマシテ支那政府カラ受領致シマシタ支那國
債劵、及「ワシントン」條約ニ於ケル所謂山東
懸案解決ニ係ル條約ニ基イテ支那政府ヨリ
受領致シマシタ國庫證劵、山東鑛山補償金
等ヲ所屬ノ權利ト致シマシテ、其ノ元利償
還金、運用利殖金等ヲ以テ、對支文化事業
ノ助長ニ充テマス爲、設置セラレタモノデ
アリマスガ、支那事變ノ勃發シマシテ以來、
右元利償還金ノ支拂ハ杜絕スルコトトナリ
マシタシ、又一方興亞文化事業費ト致シマ
シテハ、對支文化事業ノ爲、一般財源カラ
支出致シテ居リマスモノガ、近時巨額ニ達
シテ參リマシタ事情モアリマスノデ、本特
別會計モ亦存續ノ必要ガ乏シクナッテ參ッタ
ノデアリマス、近頃特別會計ノ設置セラレ
マスモノガ年々相當數ニ上ッテ居リマス
際成ルベク會計制度ヲ簡素明確ナラシム
ル上カラ致シマシテ、以上ノ如ク旣ニ存置
ノ意義ノ乏シクナッタ各特別會計ハ、之ヲ廢
止スルコトト致スノガ適當ト認メラレル次
第デアリマス、尙昭和十年法律第五號、昭
和十三年法律第九號ハ、對支文化事業特別
會計ニ關スル特例ヲ設ケタ法律デアリマシ
テ、同特別會計ヲ廢止スルコトニナリマス
レバ、自然不要ニ歸スル法律デアリマス、
ソレカラ第一條ニ揭ゲマシタ所ノ職員健康
保險特別會計法デアリマスガ、是ハ昭和十
八年四月一日カラ職員健康保險ヲ健康保險
ニ統合シテ行クコトニナッテ居リマスルガ、
之ニ伴ヒマシテ、同法ニ依ル職員健康保險
特別會計ハ、健康保險特別會計ノ方ニ吸收
セラルベキモノトナッタノデアリマス、從
ヒマシテ同法ハ自然不要ニ歸スルコトトナ
ルノデアリマス、次ニ本法案ノ第二條ニ揭
ゲラレマシタ各法律ニ付テデアリマスガ、
先ヅ昭和十一年法律第三十七號、土地賃貸
價格調査法、土地賃貸價格調査委員會法及
土地賃貸價格改訂法ヲ一括シテ申上ゲマス
ガ、土地賃貸價格調査法以下三法律ハ、地
租ヲ課セラルベキ土地ニ付テ、政府ニ於キ
マシテ其ノ基礎トナルベキ賃貸價格ヲ調査
決定致シマスル爲ニ必要ナ事項ヲ定メタ
法律デアリマスガ、是等ノ法律ニ基キマシ
タ調査ハ總テ既ニ完了シ、又調査ノ關聯事
項モ結了致シマシタノデ、各法律ハ何レモ
存置ノ必要ノナクナッタモノデアリマス、昭
和十一年法律第三十七號ハ、右土地賃貸價
格改訂法ノ施行ニ伴ヒマシテ必要トナリマシタ
耕地整理法上ノ特例ヲ設ケタ法律デアリマ
スガ、是レ亦右改訂法ヲ廢止スルコトニ致
シマスレバ自然不要トナル法律ナノデアリ
マス、次ニ昭和二年法律第四十一號ハ、嘗
テ我ガ國ニ於テ官民共ニ外國製品ノ使用ニ
慣レテ國產品ノ試用ヲ好マザル傾向ノアリ
マシタ當時ニ於キマシテ、國產品奬勵ノ一
方策トシマシテ、官廳用品ニ特ニ國產品ヲ
充用スルコトニ努メマス爲ニ、其ノ實行ニ
必要ナル會計法上ノ特例ヲ設ケタ法律デア
リマスガ、現下ノ狀勢ノ下ニ於キマシテハ、
特別ニ斯カル方策ヲ講ズル必要モナイヤウ
ニナッテ參リマシタノデ、同法モ亦存續ノ必
要ナキモノト認メラレルノデアリマス、次
ニ明治三十八年法律第三十五號ハ、北海道
ニ於キマシテ、一級町村及二級町村ヲシテ
其ノ町村内ノ租稅外國庫歲入ヲ徵收サセ得
ルコトヲ定メタ法律デアリマスガ、最近北
海道ニ於キマシテハ、交通モ能ク發達シテ
參リマシタシ、又郵便局ノ數ガ殖エテ參リ
マシテ、國庫金收納場所モ多クナッテ參リ
マシタノデ、是等ノコトヲ考ヘマスト、事
務ノ輻湊致シテ居リマスル町村ヲシテ租稅
外國庫收入ヲ徵收送付セシムルノ必要ハナ
クナッタト申シテ宜イノデアリマシテ、同法
モ之ヲ廢止シテ差支ナイモノデアリマス、
次ハ明治二十八年法律第二十二號デアリマ
スガ、是ハ補充兵役又ハ國民兵役ニ在リマ
シテ、召集セラレタ者及志願ニ依リ國民軍
ニ編入セレタ者ニ付テノ身分取扱ヲ規定シ
タモノデアリマスガ、此ノ中ノ前者ニ付キ
マシテハ、別ニ規定ガ整備サレ、マシタシ、
後者ニ付キマシテハ、現下ノ狀勢下ニ於キ
マシテ國民軍ト云フヤウナ特別ノ部隊ノ編
成ハ之ヲ廢スルコトト致シテシマッタノデア
リマスノデ、何レモ此ノ規定ノ必要ガナクナッ
タモノデアリマス、次ノ明治三十四年法律
第三十九號ハ永代借地權ノ基本法デアリマ
シテ、其ノ權利ノ性質、移轉ノ手續、競賣
ノ手續等ニ關スル規定ヲ定メタモノデアリ
マスガ、此ノ永代借地權ハ、關係國諒解ノ下
二、昨年三月、其ノ整理ニ關スル勅令ノ制
定ヲ仰ギマシテ、此ノ勅令ニ因リ、當時現
存シマシタモノハ、總テ土地所有權ニ轉換
サレテシマッタノデゴザイマス、從ヒマシテ
其ノ基本法モ亦之ヲ廢止シテ支障ナイモノ
ト考ヘラレルノデアリマス、次ノ昭和二年
法律第五十六號ハ、例ノ昭和二年金融恐慌
ノ際、臺灣ニ於ケル金融機關ニ關スル救濟
方策ト致シマシテ、政府ガ日本銀行ニ命ジ
テ之ニ對シテ資金ヲ融通サセマスト共ニ、政
府ハ日本銀行ノ之ニ因ル損失ヲ補償スルノ
契約ヲ爲シ得ルノ途ヲ拓イタ法律デアリマ
シテ、當時、本法ニ依リ日本銀行ヨリ臺灣
銀行外二銀行ニ對シ資金ヲ融通致シタノデ
アリマスガ、之ニ基ク債權債務ノ關係ハ現
在ニ於テ總テ結了致シテ居リマスノデ、同法
ハ之ヲ存置スルノ必要ハナクナッタモノデ
アリマス、次ニ農工銀行補助法ハ、農工銀
行ノ營業ヲ補助致シマス爲、其ノ株式引受
資金ヲ政府カラ府縣ニ交付シ、又ハ一定ノ
交付金ヲ政府カラ特定ノ農工銀行ニ交付ス
ルノ途ヲ拓イタ法律デアリマスガ、現在農
工銀行ノ大部分ハ日本勸業銀行ニ合併セラ
レマシテ、殘存スルモノハ五ツノ銀行ニ過
ギマセズ、而モ此ノ五ツノ銀行ハ何レモ其
ノ基礎鞏固デアリマシテ、此ノ種補助ノ必
要ハナイト存ゼラレマスノデ、同法モ之ヲ
存置スルノ必要ナキモノト考ヘラレルノデ
アリマス、次ニ絲價安定融資補償法、絲價
安定融資擔保生絲買收法及絲價安定融資損
失善後處置法ヲ一括シテ申上ゲマスガ、此
ノ三法律ハ昭和四五年當時ノ生絲恐慌對策
ト致シマシテ制定セラレタ法律デアリマシ
テ、生絲ノ製造又ハ加工ノ業者ニ對スル資
金ノ融通ヲ圓滑ナラシメマス爲、是等ノ融
資ヲ爲シタ銀行團ノ爲ニ、政府ガ其ノ融資
ニ因ル損失ヲ一定限度ニ於テ補償スルノ途
ヲ拓キマシタフガ絲價安定融資補償法デア
リ、更ニ絲價安定ニ資スル爲、是等ノ銀行
ガ融資ノ擔保トシテ保有シテ居リマシタ生
絲ヲ政府ニ於テ買上ゲルヤウナ途ヲ拓キマ
シタノガ絲價安定融資擔保生絲買收法デア
リ、右買收金額又ハ既定ノ補償額ニ依リ銀
行側ニ於テ尙且塡補セラレザル損失ノアリ
マシタ場合ニ、更ニ政府ニ於テ一定限度ヲ
限ッテ其ノ損失ヲ補償シ得ルコトヲ定メタ
ノガ絲價安定融資損失善後處理法デアリマ
スガ、是等ノ法律ニ基キマス補償ヤ買收ハ
何レモ當時完了致シマシテ、之ニ伴フ各種
法律關係モ現在デハ總テ結了致シタノデ、
各法律共所期ノ目的ヲ達成シ、存續ノ必要
ナキニ至ッタモノデアリマス、次ニ輸出資金
及輸出品製造資金融通損失補償法ハ、商品
ヲ輸出致シマス爲ニ必要トスル資金、及輸
出商品ヲ製造致シマス爲ニ必要トスル資金
ノ融通ヲ圓滑ニ致シマス爲ニ、是等ノ融通
ヲ爲シマシタ銀行ノ爲、政府ガ其ノ融通ニ
因ル損失ヲ一定限度補償シ得ルコトヲ定メ
タモノデアリマスガ、此ノ種ノ補償契約ハ
大東亞戰爭ガ始リマシテ以來ハ行ハレテ居
リマセヌシ、今後ノ交易狀勢ニ鑑ミマシテ
モ、同法ヲ活用スルノ必要ハナイト考ヘラ
レマスノデアリマス、次ニ明治三十二年法
律第五十三號ハ、銀行ニ關スル法律ニ定メ
ラレテ居リマス所ノ過料ノ裁判ニ關スルコ
トヲ定メタモノデアリマス、是ハ先般非訟
事件手續法ガ改正セラレマシテ、此ノ法律
ガナクトモ非訟事件手續法ガ自然働クヤウ
ニ改メラレマシダノデ、存置ノ必要ノナク
ナッタモノデアリマス、次ニ大正五年法律第
十六號ハ、理化學ヲ〓究シ、其ノ成績ノ應用
ヲ圖ルコトヲ目的ト致シマスル公益法人ニ
對シマシテ、大正六年ヨリ十七年ヲ限ッテ每
年二十五萬圓以內ヲ政府ヨリ補助致シマス
コトト、右公益法人ノ業務ハ、主務大臣ノ
監督ニ屬セシメマスルコトヲ規定致シタ法
律デアリマスガ、補助期間モ既ニ經過致
シテ居リマスシ、又右業務監督法ノ規定
千、今デハ特ニ存置シテ置ク實益モナイ
モノト認メラレマスノデ、同法ヲ廢止シテ
差支ナイモノト考ヘマス、次ニ航路統制法
ハ、嘗ッテ我ガ海運業ガ自由企業トシテ放任
サレテ居リマシタ當時、業者ノ間ニ不當ナ
ル競業ガ行ハレマシテ、是ガ爲海運ノ健全
ナル發達ガ阻害サレサウナ虞ガ甚シク認メ
ラレマシタ爲ニ、斯カル弊害ヲ取除キマシ
テ、適正ナル規律統制ノ下ニ、業者ヲシテ
航路ノ運營ヲ爲サシメマス爲、之ニ必要ナ
ル規定ヲ爲シタモノデアリマスガ、現下ノ
海運ハ全面的ニ國家ノ統制ノ下ニ運營セラ
レテ居リマス狀況デアリマスノデ、右ノ法
律ハ特ニ之ヲ存置スルト云フ必要ガナキニ
至ッタモノト考ヘルモノデアリマス、最後ニ
東北振興電力株式會社法ハ、同法ニ依リ設
立サレマシタ東北振興電力株式會社ガ、昭
和十六年十二月一日日本發送電株式會社ニ
吸收合併セラレマシテ、消滅致シマシタノ
デ、最早存置ノ必要ナキニ至ッタモノデアリ
やっ、大體以上ノヤウナ理由ニ依リマシテ、
今囘上述ノ各法律ノ總テヲ廢止スルコトト
定メタ次第デアリマス、其ノ廢止竝ニ之ニ
伴ヒマシテ必要ノ起リマス所ノ經過的ノ措
置及關係法律條文ノ改正等ヲ致シマスノ
ニ必要ナル規定ヲ一括致シマシテ、玆ニ〓
育基金特別會計法外二十三法律ノ廢止ニ關
スル法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、
以上大變長イ說明ヲ申上ゲテ恐縮デアリマ
スガ、何卒御審議アラムコトヲ切望致ス次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=3
-
004・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 何カ本委員會
ニ於テ審議スル必要上、御必要ノアリマス
資料等ガゴザイマシタナラバ、政府ニ御要
求ニナルノハ、成ルベク此ノ際願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=4
-
005・伍堂卓雄
○伍堂卓雄君 斯ウ云フ資料ガ、最早衆議
院ニ御提出ニナッテ居リマシタナラバ伺ハ
シテ戴キタイノデスガ、ナケレバ出シテ戴
キタイ、許可認可等臨時措置法ノ中ニアリ
マシタ、勅令以下ノ命令ニ依ル許可認可事
項ノ閣議決定ニ依ル處置、アシニ依ッテ既ニ
アレハドウ云フ風ニナッテ居リマスカ、其
ノ處置サレマシタ經過ハドレダケノコトヲ
處置サレタカ、其ノ資料ヲ御願ヒシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=5
-
006・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) ソレハ出テ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=6
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007・塚本清治
○塚本〓治君 戰時行政特例法案ノ審議ノ
資料トシマシテ、同法案第一項、第一號、
第二號ノ必要ヲ認メラレル、差迫ッテ此ノ法
律ノ適用ヲ、卽チ此ノ法律ヲ執行セラレム
トスル、制限又ハ禁止ヲ解ク場合、御說ノ
中ニ一項ノ一號ニ付テ、一、二ノ例ヲ御示
ニナリ二號ニ付テ一ツノ場合ヲ御說明ニ
ナリマシタガ、必ズモット澤山御アリニナル
ダラウト思ヒマスカラ、其ノ例ヲ示シテ戴
キタイ、ソレカラ許可認可等臨時措置ニ關
スル法案ノ執行ノ必要ヲ認メラレル場合、
之モ成ルベク其ノ例ヲ示シテ戴キタイ、ソ
レダケデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=7
-
008・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) ソレハ其ノ機會
ニ申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=8
-
009・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 政府ニ於テ要
求セラルヽ祕密會ニ於テノ、陸海軍及企畫
院ノ當局者ノ御說明ハ、本日午前都合ニ依ッ
テ出來ナイサウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=9
-
010・竹下豐次
○竹下豐次君 資料ノコトニ付テ、衆議院ノ
委員會デ色々資料ヲ要求サレテ居ルヤウデ
アリマスガ、御纏ニナリマシテ一括シテ戴
クコトガ出來マシタラ仕合セト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=10
-
011・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) ソレハ衆議院ニ
要求ガアリマシテ、政府ノ方カラ衆議院へ
提出出來ルモノハ全部提出致シマシタノデ、
ソレハ一括シマシテ貴族院ノ委員會ノ方ニ
モ提出スルヤウニ手配シテゴザイマス、併
シ衆議院ノ要求ハ、全部ヲ之ヲ準備シテ提
出スルコトガ出來マセヌデシタカラ、其ノ
點ニ付テハ政府側カラ提出出來ナイト云フ
理由ヲ述ベテ、サウシテ御了解ヲ得タ次第
デアリマスガ、衆議院ノ委員會ニ出シマシ
タ分ハ、全部貴族院ノ此ノ委員會ニ提出ス
ルヤウニ手配ハ致シテアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=11
-
012・山岡萬之助
○山岡萬之助君 速記ナシデ伺ヒタイノデ
スガ、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=12
-
013・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 速記ヲ止メ
テ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=13
-
014・溝口直亮
○委員長(伯爵溝口直亮君) 速記ヲ始メ
テ······本日ハ此ノ程度ニ於テ散會致シマス、
次會ハ明後月曜日午前十時ヨリ開會致シマ
ス
午前十一時五分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵溝口直亮君
副委員長織田萬君
委員
侯爵西〓從德君
侯爵淺野長武君
子爵谷儀一君
子爵織田信恒君
男爵赤松範一君
塚本〓治君
伍堂卓雄君
男爵山本秀二郞君
男爵近藤滋彌君
山岡萬之助君
瀧正雄君
竹下豐次君
野田六左衞門君
政府委員
法制局長官森山銳一君
法制局參事官佐藤基君
同入江俊郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102038X00119430220&spkNum=14
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