1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十六日(金曜日)午後一時三十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=0
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001・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) ソレデハ是ヨ
リ委員會ヲ開會致シマス、宮田君ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=1
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002・宮田光雄
○宮田光雄君 私ハ宜シウゴザイマス、私
ハ決議ノ時ニ少シ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=2
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003・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 承知致シマシ
ク、ソレデハ質問モ相盡キマシタノデゴザ
イマスガ、委員外ノ中山太一君カラ水產團
體ニ關シマスル質疑ガオ有リデアルト云フ
コトデゴザイマスルガ、發言ヲ御許シシマ
シテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=3
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004・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 御異議ナイト
認メマス、デハ中山君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=4
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005・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 政府御當局ハ
農產竝水產ノ增產、配給等ニ付キマシテ日夜
多大ナ苦心ヲ續ケラレテ、之ガ解決策ヲ講
ゼラレツヽアリマシテ、或部面ニ於テハ著
シイ好成績ヲ示シテ居ラルヽコトハ感謝ニ
堪ヘナイ所デアリマスガ、他面ニハ未ダ十
分其ノ實ガ擧ラナイモノガアルバカリデナ
〃、反對ニ寧ロ政府ノ企圖ト違ッテ、逆作用
ヲ來シテ居ルモノモ少クナイヤウデアリマ
ス、是ハ時局下種々ナル事情ニ依ルノデア
ラウト思ヒマスガ、又之ガ缺陷ガ、方法ニ
依ッタナラバ相當是正サレ得ベキモノガ
アルト存ジマス、サウシテ最モ有效適切ナ
0ル措置ガ講ゼラレ得ルト思ヒマスノデ、ソ
レニ付キマシテ政府ノ御所見ヲ承リタイト
存ジマス、殊ニ銃後戰力ノ培養源トシテノ
國民消費經濟竝ニ軍事上缺クベカラザル水
產食糧ノ重要性ニ鑑ミマシテ、其ノ需給狀
態ノ惡化ヲ未然ニ防止スルコトハ現下ノ最
大緊要事デアルト存ジマス、仍テ其ノ水產
食料品ノ公定價格竝ニ生產、集荷、加工、
輸送、配給及消費、機構等ニ適當ナル改善ヲ
御加へ願ッテ、眞ニ決戰時ニ對處スベキ綜合
的配給政策ノ確立ヲ願フ必要ガアルト存ジ
マス、之ニ付キマシテ、生產ト輸送ト配給
ニ關聯シテ御尋ヲ申上ゲタイト存ジマス、
只今ノ配給機構ハ餘程改善サレテ居ルト存
ジマスルケレドモ、配給機構ニ付テハ、配
給會社カラ末端配給ニ至ル迄理想的ニ出來
テ居ル所ガ、國內ノ何處ニアルノデアリマ
セウカ、若シアリマスレバ、何處々々ガ政
府ノ御期待ニナルヤウナ理想的ナ配給機構
ガ出來上ッテ居ルト云フコトニ付テ、一應
範トスベキモノガアルナラバ、之ヲ聽カシ
テ戴キタイト存ジマス、又配給機構、四大
消費地ノ配給機關ガ、日々生鮮魚介ヲ得テ
消費者ニ配給スルニ付キマシテハ、是ハ手ヲ空
シウシテ唯荷物ノ來ルノヲ待ツベキモノデ
アルカ、陸揚地迄手ヲ出シテ集荷、出荷等
ニ迄スベキモノデアルノデアリマセウカ、又
ハ生產者ノ方ガ集荷ヲシ、又出荷迄シテ消
費地デアル四大消費機關ノ手ニ直接渡スノ
ガ機構トシテ宜イノデアルカ、又現在ハド
ウデアリ、將來ハドウ云フヤウナ方法ヲ執
ラレルコトガ圓滑ニ其ノ目的ヲ達成致シマ
スデアリマセウカ、其ノ點ニ付テ政府ノ御
意見ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=5
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006・寺田省一
○政府委員(寺田省一君) 只今漁獲物ノ生
產輸送、配給ニ付キマシテ、特ニ配給機
構ト末端配給機構トノ關聯ニ於テ模範トナ
ルヤウナ所ハ何處カト云フ御尋ガ第一點デ
ゴザイマシタガ、是ハ漁獲物ノ生產狀況ニ
對應致シマシテ色々ト樣子ガ變ッテ居ルノ
デゴザイマス、御承知ノ通リ日本內地ニ於
ケル漁獲物ノ澤山獲レマスル所ハ東北、北
海道方面デアリマストカ、或ハ西ニアリマ
シテハ「トロール」船等ニ依ッテ漁獲サレル
モノガアリマス、長崎、下關方面デアリマ
ストカ云フ方面ニ偏シテ居ル次第デアリマ
ス、從ヒマシテ昨今ニ於キマシテモ北海道、
東北方面ニ於キマシテハ必ズシモ此ノ生產
ト配給ノ關係デ特ニ齟齬スルト云フヤウナ
コトハアリマセヌ、併シ御話ノヤウニ大消費地
ニ參リマスト輸送ノ關係等モアリマシテ、
必ズシモ所要量ヲ滿シテ居ラナイ狀況デゴ
ザイマス、併シナガラ昨年ニ較ベマシテ本
年ノ一月ノ狀況ヲ見マスルト大分入荷數
量モ殖エテ居リマス、是ハ矢張リ配給關係
ニ付テ色々ト改善ニ努メ、又關係業者モ其
ノ點ニ努力シテ參ッタ結果デハナイカト想
像サレルノデゴザイマス、ソレカラ大消費
地ト陸揚地トノ關係ニ付キマシテ、大消費
地カラ陸揚地ニ買出シニ行ク、集荷等ノ手
續ヲ執ルト云フコトガドウカト云フコト
竝ニ生產地ノ方カラ大消費地迄ノ配給ヲス
ルコトニ付テドウカト云フ御尋ガ第二點ダッ
タト存ジマスガ、此ノ點ニ付キマシテハ
大消費地ノ方カラ直接集荷ニ出向ク、卽チ
買出シニ參リマスコトハ產地ニ於ケル漁獲
物ノ爭奪ト云フカ、或ハ値段ノ競爭ニ依ッテ
サウ云フヤウナ影響モゴザイマスノデ、差
當リトシマシテハ陸揚地ニ於ケル出荷團體
ヲ組織セシメマシテ、其ノ出荷團體カラ政
府ノ指圖ニ基イテ一定量ヲ大消費地ニ出荷
セシメル、斯ウ云フヤウナ方法ヲ執ッテ居
ル次第デゴザイマス、從ヒマシテ生產者ガ
直接大消費地へ物ヲ送ルト云フコトニ付キ
マシテモ、品物ニ依ッテハ生產者ノ組織スル
團體ガ大消費地へ送リ出シテ宜シイト云フ
モノモゴザイマス、ソレカラ品物ニ依リマ
シテハ、卽チ生鮮魚介類等ニナリマスト、
從來ノ狀況カラ、或ハ生產者團體デアル漁
業組合ガ取扱ッテ居リ、或ハ市場關係等ノ業
者ガ取扱ッテ居リ、從來ノ實績モ區々デゴ
ザイマスガ、其ノ從來ノ實績ヲ大體基調ト
致シマシテ出荷團體ヲ組織セシメテ、其ノ
出荷國體ノ手デ大消費地ヘ出荷セシメル、
斯ウ云フヤウナ方法ヲ執ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=6
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007・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 只今御說明戴
キマシタ消費地ノ配給機關ガ陸揚地ニ出張
シテ集荷出荷等ヲ致シマス時ニハ、非常ニ
是ハ便利デハアルト思ヒマスケレドモ、自
然引拔ノ競爭ガ行ハレマシテ、所謂生產者
ト妥協的ニ闇取引ガ行ハレ、橫流レスルト
各消費地間ノ値段ガ非常ニ不均衡ヲ見ルノ
ミナラズ、生產地方面ノ價格迄モ亂シテ行
クヤウナ虞ガアルト思ヒマスカラ、此ノ點
ハ御尤ト思ヒマスガ、又生產者ガ出荷ヲ自
ラヤルト云フコトハ非常ニソコニ無理ガア
リハシナイカト思ヒマスガ、如何デアリマ
セウカ、生產者ガ、例ヘバ下關ノ生產者ガ
荷物ヲ送ル時ニ、大阪ニ送ルノモ東京ニ送
ルノモ値段ハ同ジデアル、而モ其ノ間ノ遠
距離ノ運賃ヲ持タナケレバナラヌト云フヤ
ウナコトハ、生產者トシテ堪ヘラレナイ不
合理ナコトデアル、從ッテ東京ニ出スコトヲ
嫌フ、ソレデ成ルベク集荷所ニ持ッテ行ク
トサウ云フ風ニナルトイケマセヌカラ、横
流レニデモ荷物ヲ捌イテシマウト云フヤウ
ナコトガ往々アルヤウニ思ヒマス、又北海
道ノ生產者ガ東京ニ送ルノト大阪ニ送ルノ
ト同ジダカラ、ソレデハ損デアルカラ成ル
ベク遠方ニ、行カナイヤウニシタイト云フノ
デ是迄闇ニ、橫ニ色々處理サレルヤウナ場
合モアラウト思ヒマスガ、之ニ對スル政府
ノ御考ハ如何デアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=7
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008・寺田省一
○政府委員(寺田省一君) 只今御話ニナリ
マシタ陸揚地ト消費地トノ間ノ荷物ノ集荷
或ハ出荷關係ニ付テノ御話デゴザイマス
ガ、生產者團體ガ大消費地ニ荷物ヲ送出シ
マスコトニ付キマシテハ、是ハ地方ニ依リ
品物ニ依リマシテ從來トハ實情ガ違ッテ居ル
ノデアリマス、從來生產者ガ纒メテ出荷シ
テ居ッタノモゴイザマシテ、其ノ方法ニ依ル
コトガ便宜デアルト認メラレマスモノハ
今日ト雖モ其ノ方法ヲ取ラシテ居ルノデゴ
ザイマス、併シナガラ全般的ニ之ヲドウ出
荷方法ヲ改善ヲシタナラバ宜イカト云フコ
トニ付キマシテハ、今ハ色々ト〓究ヲ致シ
テ居リマス、ソレカラ其ノ次ノ御尋ノ、出荷
地カラ大消費地へ送出シマス場合ノ運賃ノ
差額ニ依ッテ、生產者ノ方ニ色々ノ影響ヲ齎
ス事柄ニ付キマシテハ、是ハ私共ノ方ニ於
キマシテモ色々ト工夫ヲ致シタノデゴザイ
マス、其ノ結果陸揚地出荷團體ヲ作ラセマ
シテ、大體ノ出荷計畫ヲ立テサセル、ドノ
方面ノ消費地ニ何程、ドノ消費地ニ何程ト
云フヤウニ計畫ヲ立テサセテ、其ノ計畫ガ
其ノ儘宜ケレバ其ノ通リ實行ヲシテ貰フコ
トニ致シマス、ソレカラ其ノ計畫デ若シ工
合ガ惡ケレバ變ヘテ貰フト云フヤウナ方法
ヲ執ッテ、今日迄出荷計畫ヲ立テテ來テ居ル
ノデアリマス、併シナガラ漁獲ハ御承知ノ
通リ時ニ依ッテ變動モゴザイマスシ、計畫ノ
數量ニ滿タナイ場合ニ於テハドウスルカト
云フヤウナコトニ付キマシテ、尙マダ檢討
ヲ要スル所モアラウカト思ヒマスノデ、先
ヅ水產方面ノ關係ガハッキリ致シマスト、續
イテ配給方面ノ事項モ更ニ整備スルヤウニ
致シタイト思ッテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=8
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009・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 出荷機關ニ
依ッテ之ヲ實行セラレル所モアルヤウナ御趣
旨デゴザイマシタガ、之ニモウ少シ危險ヲ分
擔サシテ生產者ノ輸送ノ遠近ニ依ル負擔ノ
不公平ヲ緩和スル爲ニ、出荷機關ガ遠近ニ
拘ラズ調整資金等ヲ相當ニ持チマシテ、
定ノ運賃ヲ何處ニ出シテモ受取ッテ、ソレ以
上ハドンナニ掛ッテモ一ツノ變リノナイヤ
ウニ負擔スルコトニシテ行ク、ソレカラ目
減リトカ、又ハ鮮度ガ落チタ爲ノ色々價格
差ガ起ッテモ、モウ陸揚地デ以テ確實ナ鮮度
ノ、目方ノ正確ナモノヲ受取ッタ場合ニハ
生產者ハソレカラハ危險ヲ負擔セズニ、後
ハ出荷機關ガ配給機構ト協力シテ相當其ノ
危險ヲ負擔スルヤウナ風ニ、政府ノ補助金、
地方廳ノ相當ナ補助金ヲ積立テテ調整資金
トシテ行クコトガ、全國的ニ價格ガ公定サ
レテ居ル場合ニ、サウシナカッタナラバ無理
ガアッテ、荷物ノ圓滑ナ出荷配給ガ行ハレナ
イヤウニ思ハレマスガ、之ニ付テハ如何デ
ゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=9
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010・重政誠之
○政府委員(重政誠之君白) 只今仰セノ通リ
ニ目減リノ問題及ビ運賃ノ問題ヲ生產者ノ
負擔外ニ置クト云フコトガ出荷ノ圓滑ヲ期
スル上ニ於テ必要デアルト云フコトハ、十
分私共モ承知ヲ致シテ居ルノデアリマス、
其ノ點ニ付キマシテ色々〓究ヲ致シタノデ
アリマスルガ、現在ノ所中央卸賣ノ市場等
ニ於キマシテ、目減リヲ負擔致スト云フコ
トガ現在ノ儘ノ機構ノ上ニ於キマシテハナ
カナカ困難ナ事情モアルノデアリマス、從
ヒマシテ理想的ニ公定價格ヲ設定致シマス
際ニソレ等ノコトヲ考ヘルト云フコトハ、
現狀ニ於キマシテハ稍〓困難ナ點モアル譯デ
アリマス、ソコデ御承知ノヤウニ今囘取引
ノ形式ハ、從來ノヤウニ矢張リ生產者負擔
ノ取引ト致シマスガ、併シ運賃等ノ問題ハ
生產者ガ之ヲ全面的ニ負擔スルト云フコト
ヲ緩和致シマス意味ニ於キマシテ、尙事情
ニ依リマシテ市場ノ手數量、口錢ガ異ッテ
居ルト云フヤウナ事情モアリマスノデ、ソ
レ等ノ點デ從來生產者負擔ニナッテ居リマシ
タモノヲ、之ヲ或程度消費者ノ負擔ニ致ス
ト云フ風ナ考ヲ以チマシテ、所謂彈力性ヲ
公定價格ニ帶ビセシメルヤウナ制度ヲ考へ
タ次第デアリマス、最近京阪神及京濱地方
ノ市場ニ於キマシテ非常ニ鮮魚ノ出廻リガ
惡イ事情ガアリマスノデ、將來ソレ〓〓ノ
市場ニ參ッテ居リマシタ生產地、水揚地方面
ノミナラズ、更ニ遠イ所カラモ荷物ヲ引キ
得ルヤウニ一兩日中ニ致スコトニ致シテ居
ルノデアリマス、卽チ其ノ部分ハ端的ニ申
シマスレバ七錢ヲ限度ニ致シマシテ、サウ
云フヤウナ入荷ノ狀態等ヲ見マシテ、農林
大臣ニ於テ簡易ニ當該市場ノ値段ヲ其ノ範
圍內ニ於テ上ゲル、斯ウ云フ制度ヲ實施ニ
移スコトニ相成ッテ居ルノデアリマス、サウ
云フコトニナリマスト云フト只今御述ニナ
リマシタヤウナコトガ、或程度實現ヲ致サ
レルコトニ相成リマシテ、大都市市場ニ於
キマスル鮮魚ノ入荷モ多クナルト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=10
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011・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 生產者關係ノ
モノガ出荷ノ衝ニ當リマスト、其ノ生產シ
タモノガ確實ニ集荷サレ、出荷サレタカド
ウカガ明確デナイ、却テソコニ色々ナ情實
ガアッテ横流レニナル虞ガアリマス、是ハ地
方ノ實情モ實際サウナッテ居リマス、ソレデ
中央カラドノ消費地ニハ生產額ノナンボノ
比率ダケ地元ノ消費ト、ドノ消費地、ドノ
消費地ト云フモノノ割當ガ計畫的ニ出來タ
トシタラ、ソレガ總生產額ガ減ジタ形ニ於
テ處理サレタ時ニハ、之ヲ何等是正ヲサス
方法ガナイノデアリマス、ソレデドウシテ
モ生產者ノ關係ノミヲ以テ集荷出荷等ヲ全
部掌ルト云フコトハ、政府ノ庶幾サレルヤ
ウニ配給ガ圓滑ニ行カナイト思ハレマスガ、
サウスルト配給機關ガ現地ニ行ッテハ弊害ガ
アリ、生產者ノミガ出荷ヲ掌ッテハ是モ弊害
ガアル、サウスルト配給機關ト生產者ノ兩
團體及ビ出荷ヲ業トシテ居ッタ者トノ三ツガ
出資シタ一ツノ出荷機構ヲ設ケテ、是ガ公
平ナ第三ノ機關トナッテ、而モ協力機關トナッ
テ日々ノ生產集荷ヲ是ガ適當ニ受取ッテ地
元ニモ、縣內ニモ、縣外ニモ能ク出荷配給
ヲ圓滑ニシテ行ク、サウシテ其ノ途中ノ運
賃ノ差額、目減リ、鮮度ノ低下等ニ因ル負擔
ヲ、其ノ出荷ノ調整資金ト云フモノヲ相當
出シテ、政府モ公定價格ニ依ッテ少シハ消費
者ガ持ツヤウニシテ、餘裕ガアルヤウニシ
テ、ソコニナンボカヲ積立テサシテ生產者
ヲ困ラサズニ、而モ配給者モ目減リノ爲ニ
困ラナイト云フヤウニ、輸送機關ノソコノ
缺陷ヲソレデ負擔スルヤウナ方法ヲ御講ジ
願フコトハ出來ナイモノカ、サウスレバ自
然生產ノ實績ナリ、集荷ノ割合ナリ、消費
地へノ出荷ノ割合、消費地ヘノ入荷ノ狀態、
又ハ消費地ノ特殊ノ事情、ソレカラ時々刻々
變ッテ行ク色々ノコトガ、其ノ機關ニ依ッテ
公平ニ情報ヲ集メルバカリデナク、迅速ニ
處置シテ行クコトガ出來ル、ソレカラ政府
ノ指示ヲ受ケ、常ニ聯絡ヲ取ル爲ニ出荷ニ關
係スル機關ヲ設ケテ、政府ト表裏一體トナッ
テ、政府ノ代行機關ノヤウナ氣持ヲ持ッテ行
ケバ、生產ト配給ト各〓分業ニナッテ職域奉公
ガ出來ル、サウシテソレガ政府ノ意思ヲ承
ケテ圓滑ニヤッテ行ケバ或地方ノミニ多クノ
品ガ偏在スルトカ、或ハ或消費地ノミニ偏
在スルコトナク、比較的分布ノ狀態ガ迅速
ニ公平ニ行キハシナイカト思ヒマスガ、政
府ノ御所見ハ如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=11
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012・寺田省一
○政府委員(寺田省一君) 只今御話ノゴザ
イマシタ生產者團體ト、ソレカラ配給機關
トノ中間ノ取扱ノ問題デコザイマスガ、是
ハ御話ノヤウニ色々ムヅカシイ問題ガゴザ
イマス、ソコデ只今ハドウヤッテ居ルカト云
フコトヲ申上ゲマスト、配給機關ニ於キマ
シテハ陸揚地ニ於ケル生產者ノ團體ノ方カ
ラ立會人ヲ呼ンデ居ル、ソレカラ產地ノ出
荷ノ方ニモ時々見廻リニ人ヲ出シテ居ル、
サウシテ出荷狀況ノ實際ヲ見、又消費地ニ
於ケル配給機關ノ荷物ノ取扱ヲ實際ニ生產
者ト立會デ行フト云フヤウナコトニ依リマ
シテ、相互ノ圓滑ヲ期シテ居ル次第デアリ
マス、併シナガラ御話ノヤウニ中間ノ運賃
ヲ平均スルヤウナ行キ方等ニ付キマシテハ、
是ハ扱ヒマス品物ガ生鮮魚介類デアリマス
ダケニ、品傷ミモ非常ニ早ク、傷ミ方モヒド
イト云フコトデアリマス爲ニ、色々〓究ヲ
要スル點ガ多イノデコザイマス、ソレデ大
消費地ノ配給機關ノ關係者ト、ソレカラ生
產者ノ主ナル關係者ト色々寄合ヒマシテ相
談ヲシテ居ルノデゴザイマス、其ノ相談ノ
結果、案ト致シマシテハ色々ナ案モ出來テ居
ルノデアリマスケレドモ、マダ檢討ヲ要ス
ル點ガ多イト思ヒマスルノデ、今後トモ其
ノ點ニ付テハ〓究シタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=12
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013・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 次ニハ公定價
格ノ問題ニ付テ御尋ネシタイト思ヒマス、
加工製品ノ公定價格ガ、原料價格ニ一定ノ
標準加工費ナリ又保存費、其ノ外ニ適當ナ
利潤ガ加算サレテ居ルカドウカ、是ガ居ラ
ナイトスルト不適當デアル場合ニハ、生鮮
魚介ガ無闇ニ加工品ニ移ッタリ、又必要ナル
其ノ加工品ガ殆ド出來ナカッタリスル虞ガ
アリマスガ、是ハ餘程生鮮魚介ノ足ラヌ時
ニ、補助ノ矢張リ食糧品トシテ非常ニ大事
ナコトダト思ヒマスガ、之ニ對シテノ政府
ノ御方針ハドウ云フヤウニナッテ居リマセ
ウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=13
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014・重政誠之
○政府委員(重政誠之君)·御尋ノアリマシ タ通リニ、此ノ時局下ニ於キマシテ加工
品ガ非常ニ大切デアルコトハ私共モ全然
同感デゴザイマス、唯公定價格設定ニ當リ
マシテ、是ガ加工品ノ公定價格ガ適正ヲ得
ナカッタ場合ニハ、只今仰セノアリマシタヤ
ウナ事柄ガ起ッテ參ルノデアリマシテ、私共
ト致シマシテハ鮮魚ニ付キマシテハ、現
在ノ狀態ニ於キマシテハ成ルベク鮮魚デ
出荷ヲセシメタイト云フ方針ノ下ニ、加工
品ノ原料ニ鮮魚ヲ提供スル方ガ若干手取
リガ惡イト云フ程度ニ原料價格ハ定メテ
居ルノデアリマス、加工賃ノ點ニ於キマシ
テハ出來ル限リ是ハ適正ヲ期スル、斯ウ
云フ建前デ公定價格ノ設定ヲ致シテ居リマ
ス斯ウ云フ時局下デアリマスノデ、食糧
品ヲ保存スルト云フ建前ニ於キマシテハ
物ニ依リマシテハ、特ニ政策的ナ價格ヲ、
公定價格ヲ設定致シテ居ルモノモアリマス
ケレドモ、原則ト致シマシテハ、只今申上
ゲマシタヤウナ心持デ公定價格ノ設定ヲ致
シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=14
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015・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 若シモ之ヲ加
工費ノ抑制ヲスルト云フヤウナ御政策ノ下
ニ行ハレマスト、加工スレバ不引合デアル、
併シ色々ニ加工スベキコトヲ地方ノ副業ト
シテ居ル人達ガ、ソレヲ矢張リ裏ヲ潜ッテシ
マス時ニ今迄ヨリモ品質ノ低下、實ニ不深
切ナ干スベキモノヲ干サナイ、鹽ヲモウ少
シ多クヤラナケレバ保タナイモノヲ、ソレ
ヲ略スルト云フコトニナッテ、是ガ矢張リ大
キナ無駄ヲ生ズルコトニナルヤウデアリマ
スガ、此ノ點モ適當ナ所ニ御考ヘ願ツテ行
ク方ガ、兩々相俟ッテ宜イノヂヤナイカ、ソ
レデ出荷機關ガ、公正ナ機關ガ出來レバ政
府ノ認定サレタ東京ナラ東京ヲ中心トスル
消費都市ニハ百ノモノヲ最高ハ出ス、少イ
時デモ五十ノモノヲ出スヤウニ計畫サレテ、
ソレガ各生產地ニ適當ニ割當テラレテ、矢
張リ最高ト最低ヲ出シナガラ漁獲高ガ少ク
テ、最低ノ額モ生產地ガ出シ得ナイ場合ハ、
加工品ヲ以テ何分ダケヲ補ヘト云フ制限ヲ
付ケテ置ケバ、多イ時ニハ一層其ノ方ニ廻
シテ行ッテ、サウシテ少イ不漁ノ時モ矢張リ
大都市ノ東京ナリ、或ハ大阪、名古屋、北
九州等ガサウ云フ生鮮魚介ノ飢饉ヲ起スヤ
ウナコトナシニ濟ムダラウト思ヒマスガ、
私ハ抑制サレルヨリモ、玆ニ適當ナル一ツ
ノ公正ナル案ヲ御立テニナッテ、寧ロ良イ物、
規格ニ合ツタ純良ナ物ヲ奬勵スル、ソレデナ
イモノハ良イ物ヲ持ッテ來タラ次ヲ與ヘル
ガ、ソレデナケレバ材料ヲ與ヘヌ、斯ウ云
フ風ニシテ御考ニナルヤウナコトハ出來ナ
イモノカト思ヒマス、所謂加工品ノ規格ヲ
一層正確ニシテ戴キタイ、サウシテ良品デ
保存ニ耐ヘルト同時ニ、價格ハ今少シ只今
ノ抑制ヲ幾分カ意味シタ考ヨリモ、ドチラ
モ共ニ必要ダト云フ政策ヲ御執リニナラナ
ケレバイカヌモノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=15
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016・重政誠之
○政府委員(重政誠之君) 加工品ノ規格ノ
問題ハ、是ハ御承知ノ通リナカ〓〓ムツカ
シイ問題デアリマシテ、只今御述ニナリマ
シタヤウニ、殊ニ鮮魚ノ加工ヲ致シマスル
加工品等ニ於キマシテハ、水分ノ關係等ニ
依リマシテハ非常ニムツカシイ問題デアリ
マスガ、色々從來弊害モアリマシタノデ、
現在ニ於キマシテハ出來ルダケ其ノ規格ヲ
單純化致シマスト同時ニ何ト申シマスカ、
水分ノ量等モ今日ニ於キマシテハ各規格ニ
從ッテ之ヲ定メルト云フヤウナコトニ致シ
テ、出來得ル限リ良イ、規格ニ合ッタ物ヲ造
ラシメルヤウナ方法ヲ現在講ジテ居ル次第
デアリマス、尙生鮮魚介類ガ東京、大阪等
ノ市場ニ於テ一定ノ數量以下ノ入荷ガアル
ト云フヤウナ場合ニ、加工ヲ致シマシタ品
物ヲ之ニ配シテ配給ヲ致スト云フ必要ノア
リマスコトハ、是ハ今御述ニナリマシタ通
リデアリマス、現ニ一定量以下ニ鮮魚ノ入
荷ガ減リマスレバ、或ハ鹽干魚ヲ之ニ配シ
テ配給ヲ致シマストカ、或ハ竹輪ノヤウナ
モノヲ配リマシテ、或ハ又野菜等ニ付キマ
シテモ、冷凍野菜ノ一定量ヲ出シマシテ、
之ヲ配給ヲセシメルト云フヤウナ風ニ致シ
テ居ルノデアリマシテ、殊ニ最近ニ於キマ
シテハ先程モ御說明申上ゲマシタヤウニ、
公定價格ニ彈力性ヲ設ケマシテ、從來ハ東
京市場ニ入ッテ居ナカッタ地方ノ鮮魚迄コチ
ラニ入荷セシメルヤウナ値段ニ之ヲ改訂ヲ
致スト云フ色々ナ方法ヲ講ジマシテ、出來
ルダケ最低量ノ鮮魚ハ配給致シマスルヤウ
ナ手段ヲ、有ラユル手段ヲ講ジテ居ル次第
デアリマス、加工品ニ特ニ制限ヲ加ヘマシ
テ、其ノ量ヲ減ラスヤウナ方策ハ實ハ執ッテ
居リマセヌノデ、鹽物等ニ致シマシテモ、
殊ニ北洋ノ方面デ獲レマス鮭、鱒ノ鹽物等
ハ配給ノ上カラ申シマスト極メテ重要ナモ
ノデゴザイマスノデ、或ハ船舶ノ點或ハ物動
上此ノ重油ノ點等モ非常ニ困難ヲ致シテ居リ
マスルガ、出來ルダケ是ハ確保ヲ致シテ、
サウ云フモノハ鮮魚ノ少イ時ニ併セ配給ヲ
致スト云フヤウナ有ラユル努力ヲ講ジテ居
ル次第デゴザイマシテ、御懸念ノヤウナ點
ハ今後ニ於キマシテモ十分注意ヲ致シマシ
テ、善處致シタイ考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=16
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017・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 早ク申シマス
爲ニ少シ問題ヲ一〓ニ申サシテ貰ヒマス、
此ノ冷凍魚ノ生產價格ハ、是ハ生鮮魚介ト
矢張リ同一デアリマセウカ、若シアリマス
トシタナラバ、此ノ價格ハ之ニ色々ナ凍結
費用ナリ其ノ他ナリノ掛ッタダケガ損ニナ
ル、是ガ高クナルトスレバ冷凍ヲ又戾シテナ
ニシタ時ハ普通ノ生鮮魚介ヨリモ惡イモノ
ニナル、惡クナッテ居ルモノガ高イ、ソレヲ
ドウシテ見分ヲスルカト云フコトニナリマ
スト、分ラナイコトニナリマスガ、之ニ對
シテノ政府ノ御考ハドウデゴザイマスカ知
リマセヌガ、矢張リ政府ナリ消費地カ何カ
ガ相當ニ積極的ニ責任ヲ以テ其ノ加工費カ
何カハ補助スル、サウシテ一般ノ價格ノ調
子ヲ合スト云フコトニ御考ヲ願フ御意思ハ
ナイダラウカ、ソレカラ公定價格ニ付テ
般ノ卸賣、小賣モデアリマスガ、是モ中間
諸經費ニ正當ナ利潤ガアルノヲ餘リ窮屈ナ
幅ニセズニ、或程度ノ利潤ガアッテモ一割カ
五分高イカラト云フヤウナコトデ、今ノヤ
ウニ物ニ不自由スルヨリハ圓滑ニ來ル方ガ
消費者ニ對シテ深切ダト斯ウ思ヒマス、サ
ウシテ又受渡シノ不便ナリ、配給事務ノ複
雜化ヲ止メテ行ク爲ニ、現行ノ品目別ガ百
七十七又ハソレ以上アルヤウデアリマス
ガ、其ノ公定價格ヲモウ少シ單純化シテ貰ッ
テ、五ツカ七ツノ階級ニ大別シテ、其ノ中
ノ甲乙丙トカ、三ツトカ四ツトカニ分ケテ
或ハ何十トカノ種類ニシテ是ハドノ部分ニ
屬スル、ソレガ百七十七モアッタラ消費者ハ
一々値ヲ覺エテ居テ買フ譯ヂヤナイ、矢張
リ充テガヒ扶持デアリマス、ソレカラ充テ
ガフ人モ分ラナイ、取締ル巡査モ分ッテ居ラ
ナイ、生產者モ分ラヌ、サウシテ一面生產
者ノ方ニ於テハ漁獲シタ鰮ヲ持ッテ來テ、値
ヲ分ケナケレバ違反デアル、ソレヲ一々分
ケル爲ニ一船ノ物ヲ四時間モ五時間モ掛ッ
タ例モアルヤウデアリマスガ、斯ウ云フコ
トハモウ少シ大別シテ、サウシテ値段ヲ同
ジヤウニシテ行ク、幾分カ幅ノアルヤウニ
シテ貰フコトガ必要デハナイカ、サウシテ
又大衆魚ノ公定價格ヲ此ノ間御上ゲニナリ
マシタヤウナコトハマダ〓〓安イト思ヒマ
ス、餘リナニセズニ大衆魚ヲモウ少シ高ク
シテ、
構モ是デ相當引合フヤウニシテヤッテ行ク
コトガ却テ消費大衆ニ對シテハ經濟的ニナ
ル、今ノヤウニ高イ魚ヲ充テガヒ扶持ニヤ
ルヨリモ大衆魚ガ多ク來ルコトニナレバ、榮
養價値ガ多イバカリデナク經濟的ニモナリ
マスカラ、之ニ對シテハ一ツ徹底的ニ方法
ヲ立テテ戴キタイ、高級魚ノ方ガ餘リ高過
ギテ、鰮ハ五十三錢デアリ、鯛ハ十三圓ト
カ十五圓トカ云フヤウナコトデアリマスル
ト、ドンナニ船ヲ持ッテ居ル人ガ言ッテモ
漁師ノ方ガソレニ行カズニ矢張リ今ノ高級
魚ノ方ニ行キマスカラ、餘リ下ゲテモ是ハ
減ルト困リマスカラ之ヲ若干下ゲテ、サウ
シテ良イ物ダケニ對シテ假ニ物品稅ノヤウ
ナ風ニ鯛ナラ鯛ニ物品稅ヲ掛ケル、サウス
レバ消費者ノ負擔ガ重クナルカラ、今ノヤ
ウニ地方ニ於テモ餘リ鯛ヲ食ハナカッタ人
ガ鯛ヲドン〓〓〓ツテ居ルヤウナコトガナ
クナリ、相當ニ斯ウ云フモ緩和サレハシナ
イカ、斯ウ思ハレマスガ、サウ云フ値段ノ
立テ方ニ付テ今一段ト根本的ニ御檢討ヲ願
フト云フコト、又ソレカラ公定價格ガ表面
決ッテ居ッテモ、下關カラ大阪ニ送リ、東京
ニ送リ、名古屋ニ送ルノニ、東京ト大阪ハ
正確デアリマスガ、名古屋デハ九貫匁シカ
ナイモノヲ十二貫ニ計算シテ取引スル、サ
ウスルト名古屋ニドン〓〓持ッテ行ッテ東京
ト大阪ニハ送ラナイト云フコトガ生產者ニ
於テ起ル、所謂不當量目ノ計算ニ依ル妥協
的取引ガアッタナラバ、東京市民ハ何時迄
待ッテ居ッテモ魚ガ多ク入ル氣遣ヒハナイ、
當局ノ御心勞ガ裏切ラレルノハサウ云フ所
ニアリマス、ソレカラ朝鮮ナリ臺灣ト內地
ノ公定價格ノ間ニ非常ナ差ガアル、、鰮ガ內
サウシテ生產トソレカラ中間配給機地ト朝鮮トハ倍以上ノ差ガアリマス、サウ
スルト今迄朝鮮カラ來テ居ッタ鰮ガ反對ニ
內地ノ鰮迄ガ朝鮮ニ行ク、長崎縣、佐賀縣、
山口縣ナリノ沖デ獲ッタモノヲ沖デ取引シテ
持ッテ行クモノガ相當アル、許可ヲ得テ行ク
ノデナシニサウ云フコトガ行ハレル結果、
政府ガ御苦心ニナルコトガ皆裏ヲカヽレテ
行クヤウナコトニナルノデアリマスカラ、
斯ウ云フコトハ色々ノ原因ハアリマセウケ
レドモ、內地モ上ゲルナラバ思切ッテ相當上
ゲテ貰フ、サウシテ一方外地ニ於テモ不當
ナコトガアレバ、是モ或程度直シテ貰フト
云フコトニシテ戴カナイト、丸デ相反シタ
結果ノミヲ見テ行ッテ國民モ困リマスガ、政
府御當局モ非常ニ御心勞ヲ續ケラレルコト
ニナルト思ヒマス、以上ガ公定價格總體ニ
付テノコトデアリマスガ、其ノ點ヲ一括シ
テ御話ヲ承リイタト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=17
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018・重政誠之
○政府委員(重政誠之君) 第一點ノ冷凍魚
ト鮮魚トノ値段ノ關係ニ付テノ御質問デア
リマスガ、是ハ冷凍魚ヲ製造致シマス製造
業者ハ大體モウ御承知ノ通リ決ッテ居リマ
シテ、而モ冷凍魚ハ多ク沿岸漁業ニ依ッテ獲
リマシタモノヲ冷凍致スト云フコトヨリカ、
大洋漁業等ニ依ッテ得マシタモノヲ冷凍致
スト云フヤウナコトガ多イ事情ト、且其ノ
消費セラレル方面ガ實ハ最近迄ハ殆ド是ハ
軍用、殊ニ海軍方面デ需要致サレテ居リマ
シタヤウナ關係、色々ナサウ云フ事情カラ
致シマシテ、必ズシモ沿岸デ獲レマス內地
デ消費致シマス、此ノ鮮魚ノ値段ヲ建前ニ
致シマシテヤッテ居ルト云フコトデハゴザ
イマセヌノデ、物ニ依リマスレバ鮮魚ヨリ
カ冷凍魚ノ方ガ製造經費等ガ掛リマス關係
上高イト云フヤウナモノモアルヤウニ私記
憶ヲ致シテ居リマス、是ハ仰セノ通リニ製
造加工ノ經費ト云フモノハ、十分ニ見積リマシ
テヤッテ參ッテ居ルノデアリマス、ソレカラ魚
ノ種類ニ應ジテノ公定價格ヲ附ケルコトハ
非常ニ煩雜デアル、之ヲ極メテ單純ナ分類
ニ致シテ、而モ一定ノ幅ヲ設ケテ公定價格
ヲ設定シタラドウカ、斯ウ云フ御提案デア
リマスガ、實ハ私共モ出來ルダケ是ハ簡單ニ
致シマシテ、殊ニ榮養價ノ點カラ申シマス
ト鰮ト鯛トソレ程違フトハ考ヘテ居リマ
セヌカラ、御提案ノヤウニ致スト云フコト
モ是ハ一ツノ考ヘ方デアラウカト私ハ今拜
承致シマシテ思ッタノデアリマスガ、唯併シ
是ハ消費者ノ考ヘ方ト申シマスカ、御承知
ノ通リニ〓糧ハナカ〓〓榮養的見地ダケニ
依ッテ其ノ値段ヲ判斷決定ヲ致スト云フコ
トモ多年ノ食餌上ノ慣習ト云フコトモゴザ
イマスノデ、サウ簡單ニハ參ラナイカトモ
考ヘテ居ルノデアリマスガ、御提案ノ點ニ
付キマシテハ十分ニ〓究ヲ致シタイト考ヘ
Wく、ソレカラ高級魚ト大衆魚トノ値段ノ
開キガ多過ギルト云フ仰セデゴザイマスガ、
是モ今ノ榮養的見地ニ立ッテ考ヘマスト仰
セノ通リデアルト考へルノデアリマスガ、
大體ニ於キマシテ現在ノ公定價格ハ從來ノ
格差ト云フモノヲ矢張リ基準ニ致シマシテ
決定ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、此ノ格
差ハ勿論此ノ漁獲ノ數量、國民ノ嗜好、更
ニ何ト申シマスカ、生產費ト申シマスカ、
サウ言ッタヤウナモノガ自然ニ從來ハ格差
トナッテ現レテ來テ居ルト云フ點ニ立脚ヲ
致シマシテ當初ハ決定ヲ致シタノデアリマ
ス、爾後色々ナ事情ノ變化ニ依リマシテ
漸次榮養價ノ問題デアリマストカ、仰セノ
ヤウニ皆割當テ、各家庭ニ配給スルト云フ
ヤウナ關係カラ致シマシテ、ソレ等ノ格差
ト云フモノガ漸次從來程重ンズル必要ガナ
イト云フ空氣ニ、國民ノ一般ノ感ジガナッテ
參リマシタノデ、私共ト致シマシテモ其ノ
點ヲ十分ニ斟酌ヲ致シマシテ、公定價格ノ
改訂ノ際ニ之ヲ採入レテ漸次改訂ヲ致シテ
參ッテ居ルト云フノガ現在ノ實情デアリマ
ス、ソレ等ニ付キマシテモ尙將來ノ問題ト
致シマシテハ十分ニ考究ヲ致シタイト考
ヘマス、尙不當量目取引ニ付テノ御質問デ
ゴザイマスガ、是ハサウ云フ取引ガ中央市
場ニ於テ行ハレルト云フコトデアリマシテ
ハ、是ハ甚ダ遺憾ノコトデゴザイマスノデ、
其ノ點ニ付キシマテハ十分ニ將來取締ヲ
嚴重ニ致シ、サウ云フ弊害ノナイヤウニ致
シタイト考ヘマス、鰮ノ例ヲ御採リニナリ
マシテ、朝鮮ト內地トノ値段ノ差異ノ御質
問デゴザイマスガ、是ハ京城其ノ他ノ朝鮮
ニ於ケル大都市、內地ニ於ケル大都市トノ
消費價格ノ間ニ相當ノ差ノアリマスコトハ
私モ聞イテ居リマス、唯水揚地カラ其ノ市
場迄ノ間ノ運賃及ビ目減リ等ノ關係モアリ
マスノデ、全然是ガ內外地共ニ平等ニトハ
參ラナイカトモ考へマスガ、出來ル限リソ
レ等ノ點ヲ考究致シマシテ、調和ヲ取ッタ値
段ニ、或ハ內地ノ公定價格ヲ改訂スルナリ、
或ハ外地ノ價格ヲ改訂ヲ致シマスナリ、十
分外地當局トモ連絡ヲ取リマシテ、仰セノ
ヤウナコトガナイヤウニ措置ヲ致シタイト
考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=18
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019・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 生產方面ニ付
テ伺ヒタイト思ヒマス、此ノ一月デアリマ
シタカ、私漁村ニ、丁度漁村ノ關係者ト會ッ
テ話ヲ聽クト、政府デハサウ云フコトヲ直
シテ居ラレルケレドモ全般的ニ行ハレテ居
ラヌカラ、是ガ行ハレヽバ一層生產ヲ應急
的ニハ增加スルコトガ出來ルダラウト云フ
コトデアリマスガ、現在ノ需給狀況カラ考
ヘルト「トロール」ノ底曳網ノ操業區域、操業
期間ヲ改正シテ所謂八十八夜位濟ンダナラ
バ、其ノ漁場ガ餘リ荒廢ヲシナイ場所ガ大
分アルカラ、サウ云フヤウナ虞ノナイ所ハ
積極的ニ增產方法ヲ採ルベク處置ヲシテ戴
イタラドウカ、或部分ニハソレガ解除サレ
テ居ル所モアルガ、マダサウデナイ差支ナ
イ所デモ其ノ儘ニアル所ガアルヤウデアル
カラ、生產縣ノ方ニソレヲ處置シテ貰ヒタ
イトカ、ソレカラ延繩漁業、又ハ一本釣ノ
漁船ガ曳船ヲ利用シテ行ッテ居ルノモアル
ガ、ソレヲ色々經驗カラ言ウテ利用シテ集
團漁業ヲ實施スルナラバ燃料ノ消費ガ三分
ノ一、四分ノ一ニモナッテ、比較的漁獲高ガ
多クナル、今ノ配給ノ燃料デハ十分ナ生產
增加ハ出來ナイケレドモ、サウ云フ風ノナ
ニヲ政府デモ奬勵シテ貰ヒ、指導シテ貰ヘ
バ、大分、各〓一ツ〓〓ノ船ガ自分ノ力デ沖
ニ出テ、又沖カラ歸ッテ來ルノデハナクシ
テ、行ク迄ハ一ツノ船ニ曳カレテテ行ッテ、
サウシテ漁獲スル時ダケ自分ノ力ヲ現シテ
行ク、歸リニハ又サウ云フ風ニシテ行クナ
ラバ餘程經驗上油ノ節約ガ出來テ、政府ノ
僅カナル配給ノ油デ大量ノ生產ヲ要望サレ
ルコトニ適フ一ツノ方法ダト思フト云フヤウ
ナ意見ガアリマシタ、ソレカラ沖合漁業者
ガ晝夜兼行デ漁撈ニ從事シテ居ル爲ニ、
日ドウシテモ四囘食事ヲシナカッタナラバ出
來ナイ、處ガ現在ノ米ノ配給量ハ沖合漁業
者ニ對シテハ四合ダサウデスガ、ドウシテ
モソレデハイカナイ、ドウシテモソレデハ
イカナイカラアノ過勞ニ堪ヘラレナイ、ソ
レガイカヌカラチヨイ〓〓休ム時ガアル、
此ノ不足ハ榮養不足バカリデナク、實際空
腹デイカナイカラ之ヲ一ツ緩和シテモウ少シ
增配シテ貰ヒタイ、一部ニハ農村トノ間ニ
闇取引デナク正當ナ値段デ米ヲ內々分ケテ
貰ッテ居ル、配給所カラデナク闇デアリマス、
サウシテ魚ヲ農村ノ人ガ要求スルト云フヤ
ウナ橫流レガ盛ニ農村ト漁村トノ間ニ行ハ
レテ居ル、之ヲ止メサセマシテ、サウシテ
サウ云フヤウナ方ニモウ少シ增配サシテ戴
イテ、一人々々ヤルトドンナ所デ誤魔化ス
カモ知レナイカラ、五人乘以上ノ沖取漁業
者ニ對シテ米ノ特配ヲ處置シテ貰ヘバ相當
增產ニ效果ガアルト云フコトデアリマス、
ソレカラ水揚地ノ處理施設及輸送機關等ガ
不十分ノ爲ニ、豐漁ノ時ニ其ノ漁獲物ヲ腐敗ニ
歸セシムルコトガ屢〓アル、北海道ニ於テモ
昨年モ大分アッタヤウデスガ、外ノ土地ニモ
屢〓アル、消費都市ニハ足ラヌト云フコト
ニナル、ソレカラ鮮魚ノ出荷ニ必要ナ出荷
資材ナリ又ハ貯藏設備等ヲ整備シテ、急速
輸送ノ方途ヲ講ズルコトト、先程ノ鹽乾、
詰リ加工又ハ冷凍處理施設等モ適時大生產
地ニハ一ツ段^〓充實シテ戴クヤウナ方法ヲ
講ジテ戴クコトガ必要デアル、ソレカラ漁
獲量及加工生產量ナリ、又出荷量ト「リンク」
シテモ宜イノデアリマスガ、此ノ漁獲資材、
加工資材ハ非常ニ不足シテ居ルノデ、ソレ
デソレヲモウ少シ敏速ニ配給スルヤウナ風
ニ中央ナリ地方廳ニ於テ行ッテ貰ヒタイ、
就中現在使用シテ居ル漁網ナリ漁綱ナリハ
資質ガ纖弱デアル爲ニ耐久力ガ乏シイ、大
量ニ魚ガ掛ッタ時、割った。逃ゲルコトガア
ル、又逃ガサナケレバ危イカラ或程度逃ガ
シテ、アト揚ゲルト云フコトモアル、ソレ
カラ大敷ヤ何カノ時モアノ繩ガ得ラレナイ
爲ニ其ノ時機ヲ逸スルユトモアルノデアリ
マス、其ノ繩ノ配給ガ手續シテモナカ〓〓
間ニ合ハナイ、ソレカラ來タ繩ガ弱イ、サウ
云フ風ナコトモ又アリマスカラ、ソレデ是
モ闇取引ガ農家トノ間ニ行ハレル、是ハ巳
ムヲ得ナイ、自存上已ヲ得ナイカラナンダ
ト言フ、ソレデ此ノ點ニ付テモウ少シサウ
云フモノノ絲質ノ良イモノガ早ク入手サレ
ルヤウニ、同ジ純綿デ以テナニシタ綿絲ガ
アッテモソレハ非常ニ弱イ、纖維ガ短イカ
ラ弱クテ、同ジ純綿ヂヤアルケレドモ、價
値ガ非常ニ落チル、サウ云フ風デ非常ナ失
費ガ多イノデアリマスカラ、斯ウ云フ點モ
特ニ考慮シテ戴イテ、サウ云フ增產ニ必
要ナ物ノ配給ニ積極的ニ有效ナ御考慮ヲ
願ヒタイト云フ漁村ノ聲ガ大分アリマス、
ソレカラ又或大キナ機關デハ、他縣ノ漁船
ガ主要水揚地ニ漁獲物ヲ季節的ニ水揚スル
場合ニ、其ノ旨ヲ當該ノ水揚地ノ統制機關
ニ屆ケサスヤウナ制度ニシテ貰ッテ、統制機
關ガ一定期間ハ其ノ漁船ニ對シテ、漁獲物
ニ「リンク」シテ通帳カ手帳ノ制度ニ依ッテ
漁獲資材ヲ配給シテヤル、油モ其ノ他ノモ
ノモシテヤルト云フコトニナレバ、サウシ
テ水揚地府縣統制機關ノ出荷計畫ナリ、漁
船ノ統制ヲ容易ニシテ行クヤウニシテ行ケ
バ、多獲ノ漁場へ漁船ヲ誘致シテ增產ヲ促
進スルコトガ出來ル、ソレカラ油ナリ漁獲
材料モ有效ニ活用シテ、或縣ヘ持ッテ來テ又
ソレガドウトカ云フ風デナシニ、ソコノ一
ツノ統制ニ繫留期間ダケハ服サセルヤウナ
方法ヲ急速ニ講ジテ戴キタイ、ソレカラ尙
先程申シマシタ鹽干魚ハ、鮮魚不足ノ調整
用トシテドウシテモ運輸交通ニ事故ガ起リ、
又ハ空襲時等ニ備ヘル好個ノ戰時〓糧品デ
アルト云フコトニナルカラ、之ニハ一層矢
張リ現在ノコトダケデナク、其ノ時ノコト
モ御考慮願ッテ根本的ニ一ツ考慮シテ施設ヲ
シテ貰ヒタイト云フ意見ガ生產者關係カラ
私共ニ熱心ニ主張サレテ、私ハ尤モダト思
ヒマスノデ之ヲナニシテ、或會ノ案ニモ之
ヲ揭ゲテ御當局ノ御意見ヲ聽イテ實現ヲ要
望スル積リデ居リマスケレドモ、之ニ對シ
テハ政府ハ御處置ニナッテ居ルコトト思ヒマ
スガ、如何デゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=19
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020・寺田省一
○政府委員(寺田省一君) 漁業、水產ニ付
キマシテ、汽船底曳網漁業操業區域或ハ操
業期間ニ付テ禁止、制限ヲ多ク行ッテ居ル
ノデアリマスガ、昨年ニ於キマシテ是ハ御
話ノ通リ緩和ヲ致シテ居リマスケレドモ、
併シナガラ此ノ緩和ノ程度ハ非常ニ〓究ヲ
要スルノデアリマシテ、沿岸漁業トノ衝突、
或ハ漁場ノ資源的價値ヲ荒廢セシメナイコ
ト等ヲ念頭ニ置キナガラ進マナケレバナラ
ヌノデアリマス、餘リ底曳網漁業ノ方ヲ緩
メマスト、沿岸漁業者ガ逆ニ反對ヲシテ來
ルトカ、或ハ生產ニ努メナクナルトカ云フ
ヤウチ狀況ヲ馴致シテハ困ルノデ、其ノ點
氣ヲ付ケナガラヤッテ居ル次第デアリマス、
今後トモ十分サウ云フ點ヲ併セ考ヘマシテ
對策ヲ講ジテ參リタイト思ッテ居リマス、ソ
レカラ漁船ノ曳船設備、之ニ付キマシテハ
數年前カラ奬勵ヲシテ參ッテ居リマス、其ノ
結果御話ノ通リ非常ニ要望モ多イノデ、漸
次其ノ施設ノ增加ニ努メテ參ッテ居ル次第
デゴザイマス、ソレカラ沖合漁業者ノ〓糧デ
ゴザイマスガ、是ハ海洋漁業ニナリマスト、
一般ノ船員ノ食糧等トモ睨ミ合セマシテ決
メテ參ッテ居ルノデアリマスガ、丁度御話ノ
ヤウナ五人乘程度ノモノガ或ハ困ッテ居ル所
カトモ思ハレマス、併シ是モ一般ノ食糧事
情ト併セ考ヘマシテ、出來ルダケノ工夫ヲ
凝ラシテ參リタイト思ッテ居リマス、ソレカ
ラ其ノ次ニ水揚地ニ於ケル處理施設、輸送
施設或ハ出荷資材等ニ付テノ整備デゴザイ
マスガ、特ニ冷凍設備ニ付テモ御話ガゴザ
イマシタガ、是等ハ現在ノ一般資材ノ狀況
ト睨ミ合セマシテ、矢張リ必要ナモノハ出
來ルダケ早ク整備致シタイ、特ニ斯ウ云フ
施設ヲ致シマスニ付テハ、大消費地へノ供
給關係等モ考ヘ、又或ハ地方ノ主ナル消費
地方ヘノ供給關係モ考ヘマンテ、急ヲ要ス
ルモノカラ漸次整備シテ參リタイト云フノ
デ、今年モ二三其ノ點ニ付テ豫算モ御認ヲ
戴クコトニナルカト思ッテ居リマス、漸次サ
ウ云フヤウニシテ其ノ方ノ整備ニ努メテ參
リタイト思ッテ居リマス、ソレカラ漁獲用資
材或ハ加工用資材ノ良質ノモノヲ適當ナ時
期ニ〓スコトニ付キマシテハ、今日迄色々
苦勞ヲシテ參ッテ居リマス、唯御承知ノ通リ
漁網ヤ綱類等ニナリマスト云フト、原料ガ
ナカ〓〓入手出來ヌ、或ハ原料ガ入手出來
マシテモ之ヲ製品トスルコトニ付キマシテ
色々ノ困難ガアルト云フヤウナコトカラ、
自然或ハ幾ラカ遲レタリ、或ハ質モ十分良
質ノ物ガ得ラレナカッタリスル憾ガアリマス
ルガ、今後トモ其ノ改善ニ努メテ參リタイ
ト思ッテ居リマス、殊ニ代用品ノ〓究等ニ付
キマシテハ十分力ヲ入レテ參リタイト思ッテ
居リマス、ソレカラ他縣カラノ漁船ニ對ス
ル資材ノ供給デアリマスガ、是ハ御話ノ通
リ地元ノ統制トノ關係モアリマスガ、今度
此ノ水產業團體法ニ依ッテ整備ヲサレルト云
フ曉ニナリマスレバ、漸次之モ解消シテ參
ルノデハナイカト期待シテ居リマス、ソレ
カラ鹽干魚ニ付テノ御話デゴザイマシタガ、
是ハ生鮮魚介類ト鹽干魚或ハ其ノ他ノ漁獲
製品トノ關係ニ付キマシテハ、從來鮮魚ト
鹽干魚或ハ其ノ他ノ製品トノ間ニ、個々的
ナ考ヘ方ヲ以テ地元ニ於テ考ヘテ居ッタ向
モナイデハナイト思ハレマス、生鮮魚介類
竝ニ其ノ製品トノ一體的ナ關係ニ付テハ今
後トモ十分指導シテ參リタイト思ヒマス、特
ニ是モ水產業團體法ガ實施セラレマスルヤ
ウナ曉ニナリマスルト、更ニ緊密ナ、具體
的ナ計畫モ立ツノデハナイカト期待シテ居
ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=20
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021・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 消費方面カラ
見マスト國民ノ必需食糧トシテノ見地カラ、
全面的ニ消費ノ統制ガ强化サルベキモノト
思ヒマスガ、其ノ時ニ國民ノ保健上必要ナ
動物性蛋白質給源ノ一定量ヲ確保セシムル
ト云フコトハ必要デアラウ、ソレヲ目標ト
シテノ生鮮魚介ト其ノ加工製品トノ綜合的
計畫配給ヲ行フト云フコトニナラナケレバ
ナラスト思ヒマスガ、其ノ場合ニモ一面農
產食糧品ノ配給量ト睨ミ合シテ、榮養上必
要ナ一人當リノ適正量ガ、最大配給量、最
低配給量等ヲ定メ得ルヤウニナルノヂヤ
ナイカト思ヒマスガ、サウシテ各府縣トモ
其ノ出荷割當ガ適當ニ行ハレナケレバナラ
又、其ノ場合ニモ都市ニハ從來生鮮魚介、
山村ニハ鹽干魚ガ多ク需要セラレタ從來ノ
生活習慣ナリ嗜好ナリヲ無視セズニ、且農
漁山村ト都市トノ主食物ナリ副食物ナリノ
關係、都市ニハ主食物、副食物等モ代ルベ
キモノガナイ關係ヲ御考慮ニナリ、ソレカ
ラ輸送機關等モ參酌シテ、適當ニ此ノ點ニ
考慮ヲシテ戴カナイト、國民ハ唯形式上ニ
皆一律ニ割當ラレル時ニハ其處ニ由々敷キ
コトニナル、所謂都市ノ住民ノ榮養不良ト言
ヒマスカ、全ク生活ノ行詰リガ生ズルヤウ
ナコトガアリハシナイカト思ヒマスガ、之ニ
對スル政府ノ御考、ソレカラ農村ノ產物デ
アル今ノ馬鈴薯トカ甘藷トカガ、二十五錢
ナリ三十錢デ決メラレテ、サウシテ增產ヲ
政府デ御計畫ニナッテ居ルケレドモ、實際ノ
農村ノ事情ハ增產ニ對シテ何等勇氣ヲ持ッテ
居リマセヌ、非常ニ出來ルト云フ御聲明ガ
アリマスケレドモ是デハ駄目デアル、ソ
レデ三十錢スルモノヲ五十貫作ッタ所ガ十
五圓デアリマス、漁村ノ一貫ノ鯛ガ十三圓、
十五圓デアル、物價ノ均衡ト云フケレドモ
餘リニ不合理デアル爲ニ、農村ノ默々トシテ
ヤル人ノ聲ガ實際ニ於テ當局ニ入ッテ居ラ
ヌ、大臣閣下ガ若シ地方ヲ水戶黃門樣ニナッ
テ御步キ願フト其ノ聲ガ入リマスト思フケ
レドモ、矢張リ中央ニ居ラレタリスルト眞
實ノ聲ガ入ラヌト思フ、ソレデ此ノ點ニモ
モウ少シ增產ガ必要ナラバ、馬鈴薯ヤ甘藷
ガ少シク高クナッテモ、是ハ都市ノ者ハソレ
ニ依ッテ生活ニ困ルト云フコトハナイト思
フ、高クナレバ「インフレーション」ヲ起ス
トカ何トカ云フナラバ、ソレダケハ抑ヘテ
全部貯蓄サセルトカ、公債ヲ買ハスト云フ
ヤウニシテ、一ツ大英斷ヲヤッテ貰フ必要ハ
ナイカト思ヒマス、是ハ大臣ガ居ラレマス
カラ此ノ問題ハ大臣ニ一ツ御答ヲ願ヒマ
ス、ソレカラモウ一ツハ農村ガ眞面目ニヤッ
テ居リマスニ拘ラズ、米モ矢張リ平均シテ
保有米ガ配給サレル、ソレデ實際ハ農村ハ
保有米ヲ眞面目ニ出シテ居リマスガ、是仁
保有米ヲ當リ前ニ與ヘルコトハ與ヘテ、サ
ウシテ之ヲ節約シテ提供シタ者ニハ一石デ
十圓デモ十五圓デモ宜イ、多ク奬勵金ヲ出
シテヤル、サウシテソレヲ出シタラ代用食
ヲヤル、都市デ代用食ヲスルト云フテモ代
リガナイガ、農村デハ自分ノ空地デモ閑地
デモ利用シテ作ッテ、ソレデ代用食ヲ進ンデ
ヤレバソレダケ農村デ保有米カラ供出スル、
必ズ增產同樣ノ效果ガアル、實際ニ一ツ思
ヒ切ッテヤッタラ農村モ喜ブガ都市ニモ米
ノ餘裕ガソレダケ出ルコトニナル、大臣ヲ
初メ各當局モモウ少シ夜モ安心シテ御休ミ
ガ出來ルヤウナ政治ヲ一ツ行ッテ貰ッタラト
思ヒマス、ソコデモウ一ツ生產ト配給トガ
如何ニ能ク行ッテモ、出荷關係ガ合理的ニ行
カナケレバイケナイカラ之ニ對シテ一ツ思
ヒ切ッタ先程申シマシタ仕事ヲ行ッテ貰フヤ
ウニシタラト思ヒマス、私共色々〓究シテ
居リマスガ、御當局モ亦席ヲ更ヘテ會ヲ通
ジテ御相談申上ゲマスケレドモ、此ノ三ツ
ノ問題ニ對シテハ直接大臣ノ御考ヲ承リタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=21
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022・井野碩哉
○國務大臣(井野碩哉君) 魚貝類ノ消費ノ
問題ニ付キマシテ、都市ト農村ノ從來ノ消
費事情ヲ考慮ニ入レテ配給率ヲ考ヘテ貰ヒ
タイト云フコトデ、御尤モデアリマス、農
村ハ昔カラ鹽物ヲ非常ニ使ッテ居リマスルシ、
都市ハドチラカト申シマスト、生鮮〓糧品
ヲ消費シテ居ルノデゴザイマスカラ、配給
ニ當リマシテハ是等ノ事情ヲ十分ニ考慮シ
マシテ、所謂出荷統制ノ場合ニ善處シテ參
、リタイト考ヘマス、ソレカラ農村デ藷ヤ其
ノ他ノ農產物ヲ作ルガ、魚ト較ベテ非常ニ
安イノデ、ソレデハナカ〓〓增產ノ熱ガ上
ガラヌト、斯ウ云フ御話デアリマシタ、農
產物價ニ付キマシテハ色々御議論モアリ、
其ノ間ニ不公正ト云フモノモアリマシテ、
是等ノ點ニ付テハ政府デモ色々考慮ヲ加ヘ
テ居リマス、甘藷ニ付キマシテハ相當最近
ニ於テ其ノ價格ハ是正シテ參ッタノデアリ
マス、而モ其ノ配給機關等ノ整備モ致シマ
シテ、生產價格ト云フモノガ適正ナル價格
ニ落付クヤウニ段々ト工夫ヲ凝ラシテ參ッ
タノデゴザイマスガ、此ノ現在ノ價格デ只
今御話ノヤウナ五十貫ヲ一段步デ取ルト云
一
フヤウナ所ハ、極メテ是ハ生產條件ノ惡イ
所デ、一段步全國平均デ三百四五十貫ハ取
ルノデアリマス、是ガ最近ノ新シイ栽培方
法ニ依リマスレバ千貫近クモ取レル、サウ
ナッテ參リマスレバ、非常ニ是ハ有利ナ農
作物ニナッテ來ルノデアリマス、サウ言ッタ
栽培方法ノ指導ニ依リマシテ農村經濟ヲ改
善シテ行クト云フコトガ一番適切デアリマ
ス、鯛ガ一尾十圓前後シテ居ルト云フモノ
ト較ベルト云フ氣持ハ、是ハ私ハ農村デハ
ナカラウト思ッテ居リマス、ソレカラ出荷ノ
際ニ於キマシテ所謂奬勵金ノ問題デアリマ
スガ、此ノ自家用保有米ノ中カラ出來ルダ
ケ出サシテ、サウシテ出シタモノニ奬勵金
ヲヤレバソレダケ多ク農村ガ他ノモノヲ食
ベテ供出シヤシナイカト云フ御意見、此ノ
點モ生產統計ト云フモノガ非常ニ正確ナモ
ノニナッテ參リマスレバ、此ノ制度ハ非常ニ
面白イト思ヒマス、處ガ今日ノ狀態ニ於テ
ハ自家用ノ保有米ヲ數量的ニ決メテ居リマ
ス、ソレ以外ハ全部政府ガ販賣スルコトニ
ナッテ居リマスガ、此ノ自家用保有米ノ中カ
ラ出サセルト云フコトニナルト、又生產統
計ガ一層不正確ニナル虞ガアルノデアリマ
ス、サウシテ又農村カラ米ヲ出シテ貰ヒマ
スノニ、餘リ此ノ奬勵金トカ色々ナ金デ以
テ農村ノ氣持ヲ釣ッテ行クト云フヨリハ、寧
ロ今日ノ時局ヲ能ク認識シテ貰ヒマシテ、
サウシテ農村自體ガ國家ノ食糧政策ニ卽應
シテ行クト云フ體制ヲ整ヘテ行クコトガ一
番大切ヂヤナイカ、ソレニ對シテ農村自體
ガ經營上非常ニ不合理ナ所ハ別ナ觀點カラ
之ヲ是正シテ、サウシテ立派ナ皇國農村ヲ
作リ上ゲテ行クト云フコトガ、一番政府ノ
施策トシテハ適當ヂヤナイカト思フノデア
リマス、兎角物ノ供出、增產ニ付キマシテ
ハ、價格バカリニ餘リ賴ッテ色々ナ政策ヲシ
テ行キマスト云フト、農村本來ノ傳統的ナ
美シイ農民精神ニ非常ニ惡イ影響ヲ與ヘマ
スルノデ、ソレ等ノ點ヲ勘案シツヽ私共ハ
政策ヲ實行シテ居ルノデアリマス、今御話
ノ如クマア農村ノ實情モ私共トシテモ努メ
テ把握致シマスヤウニ努力致シテ居リマス
ルケレドモ、其ノ點ニ付テ尙一層十分考慮
ヲ加ヘテ參リタイト存ズルノデアリマス、
最後ニ生鮮〓糧品ノ生產ト配給ト、消費ト
ノ三ツノ結ビ付キニ付テノ問題、殊ニ出荷
ノ問題ニ付テ先程來色々中山サンノ御意見
モ伺ヒマシタ、是モ一ツノ御考へ方デアリ
マス、出荷ノ方面ニ於テ生產ト大消費地ニ
於ケル市場トノ間ニ一ツノ配給會社ト申シ
マスカ、或ハ營團ト申シマスカ云フヤウナ
モノヲ作リマシテ、サウシテ運賃「プール」ヲ
シ、更ニ又生鮮食糧品ト加工品トノ間ニ統
制ヲ行ヒ、サウシテ適切ナル配給ヲスルノ
ニ一ツノ機關ヲ設ケルト云フコトモ、是モ
御考トシテハ私ハ一ツノ立派ナ御考ダラウ
ト思ヒマス、併シ現在ノ實情ニ於キマシテ
ハ各地ニ色々ノ商人ガアリ、又色々市場等
ノ施設ガアリ、之ヲドウ統合シテ行クト云
フ問題ハサウ簡單ニハナカ〓〓ー行カナイ
問題ヂヤナイカト思フ、殊ニ海洋漁業ニ付
キマシテハ先般帝國水產統制會社ヲ作リマシ
タ、之ニ海洋魚類ノ配給統制ヲ行ハセルコ
トニ致シマシタガ、是等ノ機構トモ睨ミ合
セテ、サウ云フ問題ハ十分〓究ヲ致シマセ
ヌト、今直チニドウ云フ機關ガ宜イカト云
フコトノ御答ヲ申上ゲル時機デナイト思ヒ
マスルカラ、十分サウ云フ點ハ〓究ヲ致シ
テ見タイト斯ウ思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=22
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023・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 有難ウゴザイ
マシタ、ソレカラ先程申上ゲマシタ時ニ、
芋ノ問題ハ、アレハ他トノ比例シタ金額ヲ
表ス爲ニ五十貫ト申シタノデアリマス、
段當リノ意味デハゴザイマセヌカラ、ソレ
デ一段當リハ御說ノヤウニ色々ニナリマス
ケレドモ、アレダケノ重イモノヲ五十貫モ
作リ、又運ビマシテソレダケノ價シカ貰へ
ナイト云フ意味ヲ表現シヨウトシマシタケ
レドモ、言葉ガ足リマセヌノデナンデゴザ
イマスカラ其ノ點ハ御含ミ願ヒマス、ソレ
カラ米ノナニハドノ田地ニドレダケ出來ル
ノガ當リ前ダト云フ原則ヲ作ッテ、ソレデ政
府ガ買上ゲラレル、サウ云フ風ニ言フ意
味デスケレドモ、是モ今日ハ水產ノ問題ニ
對シテ主トシテ御尋ネシタイノガ私ノ希望
デゴザイマシタカラ、全部私ノ伺ヒタイコ
トハ終リマシタカラ、之ヲ以テ打切リタイ
ト思ヒマスガ、大變ニ有難ウゴザイマシ
タ、御深切ニ、ソレカラ皆サン色々ト機會
ヲ與ヘテ戴イテ有難ウゴザイマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=23
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024・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) ソレデハ是ヨ
リ討論ニ移リタイト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=24
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025・柴田兵一郎
○柴田兵一郞君 私ハ簡單ニ贊成意見ヲ申
述ベマス、農業、水產業兩團體法案ハ、何
レモ業界多年ノ懸案デアリマスルノミナラ
ズ、時局ノ切實ナル要求ニ應ズルモノトシ
テ一日モ速カニ實施セラレムコトヲ希望シ
テ已マナイ次第デアリマス、私ハ此ノ劃期
的重大法案ヲ提出セラレル迄ノ農林當局ノ
御苦心御努力ニ對シテ深ク敬意ヲ表スル者
デアリマス、唯法文ヲ通讀考査スルニ、立
法技術竝ニ字句ノ表現等ニ於テ若干慊ラザ
ルモノアリマスケレドモ、是ハ將來ノ善處ニ俟
ツコトシ、要ハ大臣ノ御說ノ通リ法文其
ノモノヨリモ一ニ運用ノ如何ニ係ルト思ヒ
マス、而モ長イ歴史ト特有ノ傳統竝ニ性格
ヲ有スル諸團體ヲ渾然一體ナラシメ、之
ヲ圓滑ニ推シ進メルコトハ現實問題トシ
テ人事ニ於テモ事務ニ於テモ、全ク容易
ナ業デハナイノデアリマス、ドウカ本法施
行ニ當ッテハ先日來各委員ヨリ御指摘ニ相
成リマシタ諸點ニ十分御留意ノ上、能ク立
法精神ヲ活カシテ、決戰下銃後農漁村ニ於ケル
責任貫徹ノ氣魄ヲ〓揚セシメ、而シテ新團
體ノ運用ニ際シテハ、其ノ創意ト能力ノ發
揮ヲ全フセシメマスルト共ニ、指導監督ニ
萬全ヲ期セラレ、以テ本來ノ使命達成ニ遺
憾ナカラシムルヤウ切望致シマシテ、此ノ
二法案ニ贊成ノ意ヲ表スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=25
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026・松本學
○松本學君 私モチヨット簡單ニ贊成ノ意
見ヲ申上ゲタイト思ヒマス、此ノ兩案ノ御決
定ニ付テハ特ニ此ノ農業團體法案ノ御成案ヲ
得ラレル迄ニハ、農林當局トシテ色々ナ議論ガ
アリマシタノヲ此處迄御纏メニナッタ御苦
心先達テモ私申上ゲマシタガ、誠ニ御察
シ申スノデアリマス、サウシテ此ノ成案ガ
出來マシテ、今度玆ニ農業ノ我ガ國ノ施策
ニ大キナ是ガ影響ヲ與ヘルコトニナリマシ
タコトハ、サウシテ又大臣ガ提案理由ニ御
述ニナッタヤウナ目的ヲ達スルコトガ出來マ
スコトヲ信ジマシテ、誠ニ私喜バシク思フ
ノデアリマス、此ノ際私ガ考ヘマスコトハ、
特ニ此ノ農業團體法案ニ付キマシテ三ツノ
重要ナル點ヲ擧ゲマシテ贊成ノ意ヲ表シタ
イト思フノデアリマス、ソレハ先ヅ第一ニ
中央ノ機構ヲ三本建ニサレタト云フコトデ
アリマス、是モ恐ラク色々ナ經緯モアッタ
ラウト思ヒマスガ、一本建デナク三本建ト
シテ御建テニナッタト云フコトガ誠ニ結構ナ
コトデアルト私ハ思フノデアリマス、是ハ先
達テモチヨット理由ヲ申上ゲマシタヤウナ
譯デ、相當是ハ重要ナ點ダラウト思フノデ
アリマス、多少法文ノ上ニ於キマシテモ其
ノ意味ガ、卽チ政府ノハッキリ御言明ニナッ
タ
夕三本建ト云フコトガ、表面ニ現レテ居ナ
イヤウニモ思ヒマスケレドモ、併シ大臣ノ御
辯明ニ依リマシテ、其ノ御趣旨ノアリマス
所ガハッキリ致シテ居リマスコトハ誠ニ結構
ト思ヒマス、ソレカラ第二ノ點ハ斯ウ云フ
團體ニ對スル權限委讓ト云フコトデアリマ
スガ、是モハッキリト先達テ大臣カラ國家ノ
權限ヲ委讓スルト云フヤウナコトヲシナイ、
卽チ國策ニ卽應サセル團體ニシタノデア
ル、サウシテ農業ノ統制等ニ付キマシテモ、
國家權力トシテ行フ色々ナサウ云フ施設ニ
付テハ、此ノ團體ヲシテソレニ卽應シテ協
力セシメルノデアル、斯ウ云フ御言明ヲ得
テ居リマスシ、又三十九條ナリ四十一條
アタリ等ノ條文ヲ讀ンデ見マシテモ、或
團體自身ガ自發的ニ行ハムトスル統制等ニ
付テハ、特ニ認可ノ制度ヲ執ッテ是ガ御監督
ニナッテ居ルト云フヤウナコトデ、其ノ點ニ
付テモ誠ニ私ハ結構ナ案デアルト思フノデ
アリマス、ソレカラ第三ノ點ハ農民ニ最モ
直接致シマスル末端ノ市町村農業會ノコト
デアリマスガ、之ヲ單一團體ニサレタ、是
ハ誠ニ結構デ、從來農民ガ非常ナ不便ヲ感
ジテ居リ、非常ナ煩瑣ヲ感ジテ居リマシタ
コトガ、之ニ依ッテ救ハレテ、恐ラク此ノ
運營宜シキヲ得マスレバ、大臣ガ御庶幾ニ
ナッテ居リマス目的ヲ十分ニ達スルノデハ
ナイカト云フコトヲ私モ信ズルノデアリマ
ス、特ニ其ノ市町村農業會長ト市町村長ト
ノ關係ニ付テハ政府ノ方カラ一人ヲシテ雙
方ニ當ラシメルコトニシテ、卽チ之ヲ一元化
スルコトニ指導スルト云フコトヲハッキリ
ト申サレテ居リマスノデ、此ノ點ニ付キマ
シテモ誠ニ結構ナコトト考ヘテ居リマス、
サウ云フ意味ニ於テ是等ノ三ツノ重要ナ點ニ
付テ大變御趣旨トシテ、此ノ法案ニハハッ
キリト明文トシテ出テ居リマセヌデモ、御
方針トシテ御言明ニナッテ居リマスノデ、
私ハ其ノ意味ニ於テ此ノ案ハ必ズ目的ヲ達
スルコトガ出來ル、政府ノ御運營宜シキ
ヲ得レバ必ズ所期ノ目的ヲ達スルコトガ出
來ルト云フコトヲ信ジテ贊成ヲ致スノデ
アリマス、唯茲ニチヨット申述ベテ置キタイ
コトハ、中央ノ三本建ト云フコトト、ソレ
カラ末端ノ市町村農業會ノ長ト市町村長ト
ノ一元化ト云フコトニ付キマシテノ法文ノ
上ニ於ケルハッキリシタモノガナイノデアリ
マス、多少ソコニ先達テモ私ハ申上ゲマシ
タヤウニ、將來何ダカ玆ニ解釋ノ上ニ於テ
殘サレタモノガアリハセヌカト云フコトヲ
心配致シマスガ、先日モ大臣カラ、立案者
デアル當局ガハッキリト其ノ趣旨ヲ言明スル
ナラバ、其ノ言明ヲ基礎ニシテ將來モ此ノ
條文ヲ解釋サレルモノデアルト云フコトデ
アリマシテ、先刻來私ガ申シタヤウナ趣旨
ノ御言明ガアリマシタノデ、此ノ點モ私ハ
安心ヲ致シテ居ルノデアリマス、ドウゾ今
後此ノ兩案ヲ十分ニ御利用願ヒマシテ御活
用ニナリマシテ、我ガ國產業發達ノ爲ニ御
盡力願ハナケレバナラヌコトヲ希望致シテ
置クノデアリマス、尙チヨット申落シマシタ
ガ、三本建ニ付キマシテ先達テ、農業團體
法ノ第六十一條ノ條項ニ付テ多少疑惧ノ念
ヲ持ツト云フコトヲ申シマシタニ付キマシ
テ、其ノ後チヨット〓究シテ見マスト云フ
ト、成ル程水產業團體法案ノ方デアリマス
ト、是ハ一本建ニナッテ居ルノデアリマス、
ソコデ水產業團體法案ノ六十一條ト六十四
條ト、農業團體法案ノ五十八條ト六十一條
トヲ照シ合セテ見マスト云フト、其處ニ差
ガアル、成ル程サウ云フ風ナ解釋ヲ二ツノモ
ノヲ比較シテ見テ、大臣ガ御話ニナリマシ
タ三本建デ以テ會員ニスルト云フコトハ、
是ハ單純ニ連絡ヲスルノデアルト云フ御趣
旨ガ多少トモ私ハ理解出來ルヤウニ思ッタ
ノデアリマス、サウ云フヤウナ意味ニ於キ
マシテ、此ノ兩法案ニ付キマシテ、私ハ贊
成ヲ表シテ、今後トモ此ノ兩案ノ御活用ヲ
御願ヒスル次第デアリマズ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=26
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027・宮田光雄
○宮田光雄君 私モ此ノ兩法案ニ贊成ヲス
ル意味ニ於テハ、前ノ御兩君ノ意見ト少シ
モ變リハナイノデアリマシテ、唯此處デ一
言私トシテノ見解ヲ申上ゲテ置キタイト思
ヒマス、是ハオ隣リノ松本君ハ斯ウ云フ思
想問題ノ權威者デアリマシテ、其ノ點カラ
此ノ統制サレタ市町村ノ團體ノ會長ノ選任
ニ付テ非常ニ心配シテイラシッタノデアリマ
スガ、ソレニ付テ内務當局ナドヲ此處ヘ呼
バレテ、色々質問應答ヲサレタノデアリマ
ス、併シ我々ハ此ノ法律ニ對シテ審議ヲ與
ヘ、協賛ヲスル立場カラ言ヘバ、此ノ會長
選任ト云フコトハ總會ガ推薦ヲシタ者ヲ、
或ハ市町村長ノ裏書ニ依リ、或ハ道府縣知
事ノ裏書ニ依ッテ、知事若シクハ主務大臣ガ
之ヲ命ズルト斯ウ書イテアルノデスカラ、
其ノ文理上ノ解釋カラ言ヘバ、ドウシテモ
ソコニ一元的ノモノデナケレバナラヌト云
フ意味ハ何處ニモ現レテ居ナイ、而シテ其
ノ質問ニ對シテ必ズサウ致シマストカ、サ
ウナクチヤナラヌモノダト云フコトデ之ヲ
ヤルト云フト、此ノ法律ガ出タ時ニ後日解
釋上ニ惑ヒヲ來スノデアリマス、デアリマ
スカラ是ハ認可權ヲ知事若シクハ主務大臣
ガ持ッテ居ルノデスカラ、不適任ヲ選任スレ
バ何度デモ、サウ云フコトハナイトシテモ、
之ヲ突返スコトガ出來ル、ソレハ適任者ヲ
得ル迄ハ之ヲ不許可シ得ル權限ヲ持ッテ居
ルノデアリマスカラ、其ノ意味ニ於テ此ノ
法ノ運用ハ出來ルノデアルカラシテ一ツノ
モノデナケレバナラヌ、サウ云フ風ニ此ノ
法律ハ立法上ノ精神トシテ解釋シテ行クノ
ダト云フ意味ニ獨斷シテ、此ノ法律ヲ通ス
ト云フコトハ、是ハ私共トシテハ反對スル
トハ言ヒマセヌ、精神的ニハ或程度ニ於テ
共鳴スルケレドモ、此ノ法ノ組立ノ上カラ
言ヘバ、サウ云フコトヲ言フコトハ、少シ
解釋上言過ギヂヤナイカト斯ウ考ヘルノデ
アリマスカラ、是ハ運用ノ上ニ於テ此ノ法
律ヲ活カシテ、サウシテ結果ニ於テ適當ナ
モノヲ得ルト云フ意味ニ於テ私ハ贊成シテ
置キタイ、解釋ヲサウ云フ風ニ後日ノ者ガ
スル、惑ヒヲ來スヤウナコトハシタクナイ
ト云フコトダケハ、是ハ反對スル意味デハ
アリマセヌガ、此處デハッキリシテ置カナケ
レバイカヌト思ヒマスカラ、一應私ノ希望
ヲ述ベテ本案ニ全幅ノ贊成ヲシテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=27
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028・千石興太郎
○千石興太郞君 私モ此ノ兩法案ニハ贊成
ヲ致スノデアリマス、贊成ノ理由ニ付キマ
シテハ改メテ申上ゲル必要ハナカラウト存
ジマスルノデ、申述べナイコトニ致シマス、
此ノ法律ノ運用ニ付キマシテ、少シク希望
ヲ述ベテ置キタイト存ジマス、私ガ希望致
シマスルコトニ付キマシテハ、二十日ノ衆
議院ニ於キマスル兩法案ノ最終ノ委員會ニ
於テ委員長カラノ總括的質問ヲサレタノニ
對シマシテ、大臣ハ七項目ノ答辯ヲナサレ
マシテ、政府ノ意ノアル所ヲ明確ニセラレタ
ノデアリマス、大體私ノ希望スル所モ政府ニ
於テ容認サレテ居ラレルコトト確信シタノ
デアリマスルガ、此ノ際尙二三ノ事項ニ付
キマシテ念ノ爲希望ヲ述ベテ政府ノ善處ヲ
要望シテ置キタイト存ジマス、第一ニハ私
ハ新シキ農業團體ニ對シマシテハ、政府ガ
適正ナル監督ヲシテ戴クコトハ勿論デアリ
マスルシ、更ニ又十分ナル指導奬勵ト助成
ヲシテ戴イテ、眞ニ國家ノ御役ニ立ツヤウ
ナ有力ナル農業團體タラシメルヤウニシテ
戴キタイ、ソレカラ又農業者カラハ生產增强
上更ニ又農業者ノ經濟生活、社會生活上
全ク信賴サレルヤウナ團體ニナリマシテ、
政府カラモ眞ニ國策遂行ノ機關トシテ政府
ノ施策ヲ委任サレル、是ハ決シテ權限委讓
デハナイ、委託任務デゴザイマス、委任サ
レルヤウニ積極的ナル指導方策ヲ執ッテ戴キ
タイノデアリマス、固ヨリ農業團體ノ運營
策ト致シマシテハ、皇國興廢ノ岐ルヽ重大
ナル時期デアリマスカラソレヲ自覺致シマ
シテ、誠心誠意國家的信念ノ下ニ團體ノ發
展ニ專念セザルベカラザルコトハ當然ノ次
第デアリマス、日本國民デアル以上ハ、必ズ
ヤ、ヤリ遂ゲルコトト信ジテ居ルノデアリ
やく、世間ノ一部デハ此ノ團體ノ勢力ガ强
クナルコト、特ニ農業團體ガ强力ニナルコ
トヲ憂ヘ、之ガ發展ヲ制約スルコトガ必要
デアルト云フヤウナ見解ヲ持ッテ居ル者ガア
ルヤウニモ承知シテ居リマスルガ、是ハ私
ハ甚ダシキ𣏌憂デアリマシテ、現在ノ農業
團體活動ノ實際ヲ深ク理解セズ、唯末梢ニ現
レマシタ所ノ若干ノ事實ヲ捉ヘテ批判シ、
又判斷シテ居ルモノト私存ジマス、農業ニ
シマシテモ、水產業ニ致シマシテモ、今日
ノ發展ヲ來シ、戰時下相當御役ニ立ッテ居ル
ノハ、相當······ト云ッテハ是ハ言ヒヤウガ惡
イカモ知レマセヌケレドモ、戰時下大イニ
御役ニ立ッテ居ルノハ團體ノ今迄ノ活動ガ與ッ
テ大イニ力ガアッタノデアリマシテ、今後ト
シテモ是非共農業者ニ致シマシテモ亦漁業
者ニ致シマシテモ、其ノ組織致シマスル所
ノ團體ヲ擴充强化致シマシテ、其ノ結集シ
タル經濟力ト、又自主的統制力トシテ國策
ニ協力シテ進ンデ行カナケレバ是ハ本當ノ
職域奉公ノ實ヲ擧ゲマシテ、大東亞戰爭完
遂ノ爲、一億一心ノ實ヲ擧ゲルコトハ私ハ
出來ナイト存ジマス、ドウカ此ノ點ハ政府
ニ於カレマシテモ十分ニ御理解下サルヤウ
ニ希望致シマス、ソレカラ次ニハ此ノ法律
ニ於ケル統合ハ出來得ル限リ急速ニ實現シ
テ戴キタイノデアリマス、私ハ本年中位ニ
是非共中央ハ勿論、道府縣、市町村共ニ農
業會ノ成立ヲ爲スヤウニ御骨折ヲ願フノデ
アリマスルシ、又現在ノ團體側トシテモ其
ノ積リデ以テ大イニ一ツヤラナケレバナラ
ヌト存ジテ居ルノデアリマス、ソレニハ特
殊ノ事業ニ關スルコトヤ、特殊ノ財產ニ關
スルコトナドノ始末ニ付キマシテハ、其ノ
完全ナル解決ヲ待ツコトナク、是等ハ先ヅ
一應暫定的ニ適當ナ措置ヲ執リ置キマシテ、
本體ハ速カニ統合スル、サウシテ其ノ統合
後ニ於キマシテ更ニ今申上ゲタヤウナ特別
ノ事業トカ、特別ノ財產ニ付キマシテハ完
全ナル解決ヲ圖ルト云フヤウニスルコトガ、
出來ル限リ速カニ統合ノ出來ルコトデアラ
ウト存ジマスルカラ、サウ云フ點ニ於テ政
府ノ一ツ御考慮ヲ希望致ス次第デアリマス、
ソレカラ所謂町村團體デ赤字ノアル町村團
體モアルノデアリマスルガ、是等モ一應其
ノ儘一定條件ノ下ニ統合セシメマシテ、統
合後ニ赤字ノ整理ヲ爲スト云フ風ニシタ方
ガ、此ノ統合ニ依ッテ農業團體ノ活動ノ停頓
ヲ絕對ニナクセシメル、アッテモ少カラシメ
ルト云フコトニスル所以デアラウト存ジマ
スルカラ其ノ點モ私希望シテ置キマス、最
後ニ此ノ地方農業會ノ役員、殊ニ會長ヤ副會
長ノ問題デアリマスガ、之ニ付キマシテハ
私ハ率直ニ申シマスレバ行政官廳ガ事前ニ
餘計ナオ世話ヲ燒カズニ、又市町村長ナド
モ彼此ト早クカラ口ヲ出サズニ、農業會ガ
自ラ推薦スルノヲ待ッテ法律上適正ナ措置ヲ
執ルト云フヤウニシテ戴クコトガ、役員ノ選
任ヲ圓滿ニ行ヒ得ル所以ダト存ジマスル、
是ハ甚ダ噓ノヤウナ話デアリマスケレドモ、
地方デハ私共ノ思ヒ寄ラヌヤウナ風說ガア
ルノデアリマス、勿論是ハ一二ノ地方ニ止
ルノデアラウトハ存ジマスケレドモ、例
バ是ハ大臣ガ御聞キニナッタラ御笑ヒニナル
カモ知レマセヌケレドモ、或府縣ノ農業會
ノ會長ニ付テハ旣ニ中央ノ方カラシテ誰ガ
宜シイト言ッテ來タヨト云フトカ、或ハ又地
方長官ガ之ニナルノヂヤナカラウカトカ、
或ハ又地方長官ガ此ノ會長ヲ內示スルノデ
ハナイカト云フヤウナ、私共カラ見マスレ
バ笑フニ絕エタル風說ガアルヤウナ譯デア
リマス、コンナツマラナイコトガアルト云
フコトヲ一ツ大臣其ノ他政府委員ニモ承知
シテ置イテ戴イテ、此ノ地方農業會ノ役員
問題ハ適正ニ、愼重ニ御取扱ニ相成ルコト
ヲ希望致シマス、以上希望ヲ申述ベマシテ
兩案ニ贊成申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=28
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029・三井清一郎
○三井〓一郞君 私ハ委員長ガ非常ニ御心
配ニナッテ、昨日ノ如キ半日ニ亙ッテ大臣ト
懇談會迄シテ、此ノ重大法案ヲ極ク正シイ
心持デ通過サセタイト云フ御考ガ含マレテ
居ルコトト思ッテ、非常ニ喜ンデ懇談會ヲ聽イ
テ居ッタノデアリマス、此ノ重大法案、卽チ今
日ノ時局ニ卽應シテ此ノ團體法案ガ出タモ
ノト我々ハ信ズルノデアリマシテ、申ニ若干
ノ法律用語ノソレハ意見ノアル所モアリマ
シタラウガ、結局審議期間ニ於ケル各委員
諸君ノ御意見ハ若干此ノ何ト言ヒマスカ、
一ツノ伏線ガアル如キ意見モアリマシダケ
レドモ、併シソレハ政府當局ノ御說明デ氷
解シテ、私ハモウ今ヤ此ノ案ニ付テハ至誠
國家ノ爲ニ何等ノ條件ヲ附セナイデ通過サ
シタイト云フ希望ヲ以テ本日臨シデ居ッタ
處ガ豈圖ラムヤ、今迄ナイ此ノ委員會ノ討
論ニ入ッテ御意見ガ續々出ル、其ノ意見ガ一
致シタ贊成ノ御意見デナクシテ、色々立場
ニ依ッテ意見ヲ異ニスルト云フヤウナ狀態
ニ進ミマシタコトヲ甚ダ遺憾トスルモノデ
アリマス、私ハ多數ノ委員諸君ハ私ト同樣
ニモウ委員會ハ、委員長ノ御考ニナッタ懇談
會デ十分政府當局ノ御說明デ氷解シテ、モ
ウ此ノ案ヲ成立サシテ一意此ノ團體法案ニ
速カニ邁進セシメタイト云フ御考デアラウ
ト信ズルノデアリマス、旣ニ内務當局迄出
テ御說明ニナッテ、農林當局、內務當局トガ
或約束迄シテ、此ノ實施ニ於テ心配ノナイ
ヤウニナッテ居ル以上ハ、ヨリ以上ニ我々ハ
深刻ナ希望ヲ申スト云フコトハ、此ノ案ニ
對シテ私ハ濟マヌヤウナ感ジガスル、私ハ
ドウセ贊成スルナラ極ク綺麗サッパリ、何等
ノ條件モ附セズ此ノ團體法ヲ成立セシメタ
イト思フノデアリマス、私ハ此ノ意味ニ於
テ贊成ノ意ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=29
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030・西酉乙
○男爵西酉乙君 只今三井委員ノ御意見ガ
アリマシテ、又私モ此ノ法案ニ贊成スルニ
當ッテ意見ガゴザイマスコトハ、何カ條件ヲ
附ケルヤウニ御取リニナルト甚ダ遺憾デア
リマスガ、勿論此ノ兩案ニ對シテハ何等私
條件モ何モナイノデアリマス、之ニ贊意ヲ
表シマスニ當リマシテ、水產業團體法案ニ
關聯シテ一言希望ヲ述ベサシテ戴キタイ、
此ノ水產業團體法案ハ、曩ニ國家總動員法
ニ基イテ施行セラレマシタ水產統制令ニ依ッ
テ、沿岸竝ニ海洋ヲ通ジテ一應本邦水產界
ノ戰時體制ガ確立セラレマシタコトハ、誠
ニ欣快ニ堪ヘナイ所デアリマシテ、私ト致
シマシテハ寧ロ其ノ遲キヲサヘ感ズルノデ
アリマス、唯大東亞水域ガ日本ノ領海化致
シマシタ今日、水產統制令ニ依ッテ設立セラ
レマシタ帝國水產統制會社及各事業會社ノ
運營ノ如何ニ依ッテハ、南方新占領地ヲ根據
地トスル多數海洋業トノ關係ニ於テ、海洋水
產ノ秩序ヲ紊ルノ虞アリト憂ヘルノデアリ
マーク、從來モ當初ハ立派ナ國家目的ヲ以テ
發足シタ國策會社ガ、何時ノ間ニカ一營利
會社ニ堕シテシマッタトノ非難ヲ時々聞ク
ノデアリマス、南方新占領地ヲ根據地トス
ル水產業ニ從事スル人々ハ、第一線ノ將兵
ト共ニ日夜生命ノ危險ニ曝サレチガラ漁業
ヲスルト共ニ、全力ノ三分ノ二ハ宣撫、開
拓、建設等ニ注イデ居ル狀況デアリマシテ、
内地ヲ根據地トスル漁業ニ比シ更ニ多クノ困
難ヲ加ヘテ居ルノデアリマス、帝國水產統
制會社以下ノ各事業會社ガ單ニ內地ノ事情、
內地へノ食糧供給若シクハ會社ノ利益ノミ
ヲ考ヘテ南方海洋ニ進出致シマスナラバ、
新占領地ヲ根據地トスル漁業ニ從事スル人
人ニ、好マシカラザル影響ヲ與フルニ至リ
ハセヌカト虞レルノデアリマス、何卒當局
ニ於カレマシテハ、昨日ノ懇談會ノ機會ニ
申述ベマシタ諸種ノ事情ヲ御勘案ノ上新統
制會社ヲ指導監督セラレ、延イテハ一日モ早
ク廣大ナル大東亞水域ニ於ケル水產事業ヲ
一括サレル構想ノ下ニ、大東亞水產行政ヲ
確立セラレ、以テ水產日本ノ興隆ヲ誘導助
成セラレムコトヲ切ニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=30
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031・米原章三
○米原章三君 私モ一言希望ヲ述べマシテ
本案ニ贊成スル者デアリマス、政府ハ速カ
ニ我ガ國ノ國情ニ適切妥當ナル農地家產
制度ヲ制定セラレムヨトヲ希望致シマス、
所謂皇國ノ農民ヲシテ、眞ニ義ハ君臣、情
ハ父子ノ家族制度ノ基礎トナル日本精神涵
養ノ源泉トシ、地主タルト自作タルト小作
タルトヲ問ハズ、渾然一體トナリ、健全ナ
ル農村ヲ建設シ、全日本ノ農村人ヲシテ自
ラノ生活ノ尊キ建設ナルコトヲ自覺セシメ
テ、日々ヲ歡喜シテ其ノ職分ニ奉仕スル所
ノ新シキ農村ノ再建ヲ待望致ス者デアリマ
ス、而シテ之ガ實現ノ根柢タル家產制度ノ
制定ヲ特ニ御考慮アラムコトヲ希望致シマ
シテ、本案ニ贊成スル者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=31
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032・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 討論ヲ終ッタ
ト存ジマスカラ表決ニ入リタイト思ヒマス、
兩案ニ贊成ノ諸君ノ擧手ヲ望ミマス
〔總員擧手〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=32
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033・黒木三次
○委員長(伯爵黑木三次君) 滿場一致ト認
メマス、仍テ兩案ハ可決サレマシタ、之ヲ
以テ散會致シマス
午後三時二十五分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵黑木三次君
副委員長男爵稻田昌植君
委員
公爵一條實孝君
公爵山縣有道君
侯爵池田宣政君
子爵岡部長景君
子爵松平保男君
子爵土岐章君
子爵本多忠晃君
入江貫一君
三井〓一郞君
男爵三須精一君
男爵坊城俊賢君
男爵西酉乙君
宮田光雄君
松本學君
千石興太郞君
塩田團平君
米原章三君
柴田兵一郞君
石黑忠篤君
委員外議員
中山太一君
國務大臣
農林大臣井野碩哉君
政府委員
農林省總務局長重政誠之君
農林省水產局長寺田省一君
農林書記官藤田巖君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008102913X01019430226&spkNum=33
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