1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年一月二十八日(木曜日)午前十時十二分開議
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議事日程 第二號
昭和十八年一月二十八日
午前十時開議
第一 恩給法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三 東北興業株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五 日滿地方税徴收事務共助法案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七 明治四十年法律第二十五號廢止法律案(政府提出) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第九 大正九年法律第五十三號中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十一 國民貯蓄組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十三 納税施設法案(政府提出) 第一讀會
第十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十五 臨時資金調整法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十七 普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼營等に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第十九 銀行等の事務の簡素化に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十一 戰爭死亡傷害保險法案(政府提出) 第一讀會
第二十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十三 鹽專賣法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十五 兵役法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十七 共通法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第二十九 明治三十八年法律第三十八號改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三十一 陸軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三十三 在滿日本人の身分に關する滿洲國裁判の效力に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三十五 戰時刑事特別法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三十七 飼料配給統制法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第三十九 昭和四年法律第九號中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第四十一 硫酸アンモニア増産及配給統制法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第四十三 商工經濟會法案(政府提出) 第一讀會
第四十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第四十五 商工組合法案(政府提出) 第一讀會
第四十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第四十七 商工組合中央金庫法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第四十九 帝國鑛業開發株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五十一 重要鑛物増産法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五十三 郵便年金法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五十五 航空法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧 第一讀會
第五十七 木船保險法案(政府提出) 第一讀會
第五十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第五十九 自動車交通事業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第六十一 藥事法案(政府提出) 第一讀會
第六十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第六十三 船員保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第六十五 軍事扶助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第六十七 北支那開發株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第六十九 中支那振興株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七十一 占領地軍政官憲の爲したる行爲の法律上の效力等に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第七十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七十三 會計檢査院法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七十五 裁判所構成法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七十六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
第七十七 陪審法の停止に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第七十八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選擧
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 去ル九日、子爵
阪谷希一君、子爵稻垣長賢君、何レモ子爵議
員補關選擧ニ當選セラレマシタ、又去ル十四
日、森山銳一君、左近司政三君、田中都吉
君、石黑忠篤君、鮎川義介君何レモ貴族院
令第一條第四號ニ依リ、貴族院議員ニ任ゼ
ラレマシタ、又去ル十五日、侯爵前田利建君
襲爵仰付ラレタルニ依リ、貴族院議員ニ就
職セラレマシタ、仍テ各〓其ノ部屬ヲ次ノ如
ク定メマシタ、第四部左近司政三君、第五部
田中都吉君、第六部石黑忠篤君、第七部子
爵阪谷希一君、鮎川義介君、第八部森山銳一
君、侯爵前田利建君、第九部子爵稻垣長賢君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 他ノ諸般ノ報告
ハ、御異議ガナケレバ朗讀ヲ省略致シタイ
ト存ジマス、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス
左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サル
モ參照ノタメ玆ニ載錄ス
昭和十七年十二月二十七日議決ニ係ル議
員宇佐美勝夫君ニ對スル弔辭ハ同月二十
八日之ヲ贈レリ
同月二十七日本院ニ於テ可決シタル陸海
軍ニ對スル感謝決議文ハ卽日之ヲ陸軍大
臣及海軍大臣ニ送致セリ
從五位勳三等菊池恭三君
同月二十八日卒去セラル依テ二十九日弔
辭ヲ贈レリ
去ル九日海軍省ヨリ陸海軍ニ對スル本院
ノ感謝決議ニ對シ左ノ謝電アリタル旨ノ
通牒ヲ受領セリ
聯合艦隊司令長官ノ謝電
貴族院ノ院議ヲ以テ寄セラレタル御鄭重
ナル感謝竝ニ敬弔ノ決議ニ接シ感激ニ堪
ヘズ艦隊將兵一同深ク聖旨ヲ奉戴シ粉
骨碎身敵ヲ擊滅シテ以テ御期待ニ副ハン
コトヲ期ス玆ニ深厚ナル謝意ヲ表ス
支那方面艦隊司令長官ノ謝電
貴族院ノ懇篤ナル決議ニ對シ感激措ク能
ハズ御稜威ノ下將兵一同愈奮勵努力以
テ護國ノ大任ヲ全ウセンコトヲ期ス玆ニ
衷心感謝ノ意ヲ表ス
從四位勳三等若尾璋八君
去ル十日卒去セラル依テ十二日弔辭ヲ贈
レリ
去ル十三日陸軍省ヨリ陸海軍ニ對スル本
院ノ感謝決議ニ對シ左ノ謝電アリタル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
南方方面陸軍最高指揮官ノ謝電
戰歿將士竝ニ一般將兵ニ對シ熱誠溢ルル
敬弔竝ニ感謝ノ決議ヲ賜ハリ感激ニ堪ヘ
ズ戰爭ノ前途多事ナルヲ思ヒ益々志氣ヲ
旺盛ニシ誓ツテ任務ヲ完遂センコトヲ期
ス玆ニ將兵一同ヲ代表シ深厚ナル謝意ヲ
表ス
比島方面陸軍最高指揮官ノ謝電
帝國議會劈頭院議ヲ以テ陸軍ノ將兵竝ニ
戰歿將士ニ對シ鄭重ナル感謝竝ニ敬弔ノ決
議ヲ辱フシ感激ノ至リニ堪ヘズ玆ニ深厚
ナル謝意ヲ表スルト共ニ將兵一同益々奮
勵聖戰ノ目的完遂ニ邁進シ以テ銃後ノ御
期待ニ副ハンコトヲ期ス
南太平洋方面陸軍最高指揮官ノ謝電
帝國議會ノ熱誠溢ルヽ皇軍將兵ニ對スル
感謝竝ニ戰歿將兵ニ對スル敬弔ノ決議ニ
接シ感激ニ堪ヘズ玆ニ衷心ヨリ謝意ヲ表
ス
支那派遣軍總司令官ノ謝電
第八十一帝國議會劈頭感謝竝ニ敬弔ノ決
議ヲ賜ハリ感激ノ至リニ堪ヘズ支那派遣
軍將兵ハ只管聖旨ヲ奉戴シ支那大陸ニ
アリテ愈々其ノ任務ニ邁進シ以テ曠古ノ
大戰ヲ完遂センコトヲ期シアリ玆ニ銃後
國民各位ノ熱誠溢ルル御後援ニ對シ深甚
ナル謝意ヲ表ス
香港總督ノ謝電
第八十一帝國議會ニ於テ貴院ノ熱誠溢ル
ル御決議ヲ賜ハリ直ニ隸下將兵ニ傳達セ
リ玆ニ貴院ニ對シ深甚ナル感謝ノ意ヲ表
スルト共ニ將來愈々聖戰完遂ニ邁進セン
コトヲ期ス
關東軍司令官ノ謝電
今般帝國議會開院劈頭ニ於テ熱誠溢ルヽ
感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲ忝ウシ洵ニ感激ニ
堪ヘズ、玆ニ部下一同ヲ代表シ深厚ナル
謝意ヲ表ス、將兵一同大東亞戰第二年ヲ
迎フルニ當リ志氣益々軒昂誓ツテ忠誠ヲ
效シ愈々北邊ノ護リヲ堅クシ以テ銃後ノ御
期待ニ添ハンコトヲ期ス
「アリユーシヤン」方面陸軍指揮官ノ謝
電
第八十一帝國議會ニ於テ熱誠溢ルヽ御決
議ヲ賜リ洵ニ感謝感激ニ堪ヘサル所ナリ
將兵一同愈々志氣旺盛凡有困難ヲ克服シ
以テ銃後一億ノ熱誠ニ應ヘンコトヲ期ス
玆ニ將兵ヲ代表シ深甚ナル謝意ヲ表ス
航空軍司令官ノ謝電
第八十一帝國議會劈頭貴院ニ於テハ全員
一致ヲ以テ陸軍ノ將兵竝ニ戰歿將士ニ對
シ熱誠溢ルル感謝竝ニ敬弔ノ決議ヲセラ
ル玆ニ深甚ナル謝意ヲ表ス
朝鮮軍司令官ノ謝電
院議ヲ以テ軍ニ寄セラレタル感謝竝ニ敬
弔ノ辭ヲ承ハリ誠ニ感謝ニ堪ヘズ將兵一
同愈々粉骨碎身奉公ノ誠ヲ效シ戰力ノ充
實ヲ圖リ以テ聖慮ニ應ヘ奉ルト共ニ御期
待ニ副ハンコトヲ期ス玆ニ將兵一同ヲ代
表シ深甚ナル謝意ヲ表ス
臺灣軍司令官ノ謝電
御鄭重ナル感謝決議ヲ賜ハリ感激ニ堪ヘ
ズ將兵一同ニ代リ厚ク御禮申上グ
防衞總司令官ノ謝電
今般貴院滿場一致ヲ以テ感謝竝ニ敬弔ノ
意ヲ寄セラレ將兵一同感激ニ堪ヘズ
御稜威ノ下益々軍民一體ノ實ヲ擧ゲ國土
防衞ノ萬全ヲ期シ御期待ニ副ハンコトヲ
期ス
東部軍司令官ノ謝電
今般貴院ヨリ懇篤熱誠ナル決議ヲ忝ウシ
寔ニ感激ニ堪ヘズ玆ニ軍將兵一同ニ代リ深
甚ナル謝意ヲ表ス戰局ノ前途愈々重大ナル
秋御稜威ノ下益々戮力協心奉公ノ誠ヲ
效シ以テ重責遂行ニ邁進センコトヲ期ス
北部軍司令官ノ謝電
今般第八十一帝國議會開會ニ當リ全會一
致ノ決議ヲ以テ熱誠溢ルヽ皇軍感謝竝ニ
陣歿將兵ニ對シ深甚ナル敬弔ノ意ヲ寄セ
ラレ誠ニ感激ニ堪ヘズ謹ミテ滿腔ノ謝意
ヲ表ス軍ハ御稜威ノ下將兵一同戮力協心
愈々團結ヲ鞏固ニシ益々北邊ノ防備ノ鐵
壁ヲ固メ以テ御期待ニ副ハンコトヲ期ス
中部軍司令官ノ謝電
第八十一帝國議會ノ決議ヲ以テ陸重將兵
竝ニ戰歿將士ニ對シ御鄭重ナル感謝竝ニ
弔意ヲ賜リタルニ付中部軍將兵ヲ代表シ
深厚ナル感謝ノ意ヲ表ス將兵一同愈々鞏
固ナル團結ヲ以テ一意聖戰ノ目的完遂ニ
邁進センコトヲ期スルト共ニ兩院各位ノ
愈々御健勝ナランコトヲ祈ル
西部軍司令官ノ謝電
第八十一囘帝國議會開會ニ際シ御懇篤ナ
ル感謝決議ヲ寄セラレ感激ニ堪ヘズ熱誠
溢ルル國民ノ後援ニ將兵一同感奮志氣益
益振ヒ國民ノ信賴ニ答ヘンコトヲ期シア
リ玆ニ謹ミテ謝意ヲ表ス
去ル十八日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
恩給法中改正法律案
東北興業株式會社法中改正法律案
日滿地方稅徵收事務共助法案
明治四十年法律第二十五號廢止法律案
大正九年法律第五十三號中改正法律案
國民貯蓄組合法中改正法律案
納稅施設法案
臨時資金調整法中改正法律案
普通銀行等ノ貯蓄銀行業務又ハ信託業務
ノ兼營等ニ關スル法律案
銀行等ノ事務ノ簡素化ニ關スル法律案
戰爭死亡傷害保險法案
鹽專賣法中改正法律案
兵役法中改正法律案
共通法中改正法律案
明治三十八年法律第三十八號改正法律案
陸軍軍法會議法及海軍軍法會議法中改正
法律案
在滿日本人ノ身分ニ關スル滿洲國裁判ノ
效力ニ關スル法律案
戰時刑事特別法中改正法律案
飼料配給締制法中改正法律案
昭和四年法律第九號中改正法律案
硫酸アンモニア增產及配給統制法中改正
法律案
商工經濟會法案
商工組合法案
商工組合中央金庫法中改正法律案
帝國鑛業開發株式會社法中改正法律案
重要鑛物增產法中改正法律案
郵便年金法中改正法律案
航空法中改正法律案
木船保險法案
自動車交通事業法中改正法律案
藥事法案
船員保險法中改正法律案
軍事扶助法中改正法律案
北支那開發株式會社法中改正法律案
中支那振興株式會社法中改正法律案
占領地軍政官憲ノ爲シタル行爲ノ法律上
ノ效力等ニ關スル法律案
去ル二十一日衆議院ヨリ同院ハ同日ヨリ昨
二十七日マテ休會スル旨ノ通牒ヲ受領セリ
去ル二十五日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
會計檢査院法中改正法律案
裁判所構成法中改正法律案
陪審法ノ停止ニ關スル法律案
昨二十七日內閣總理大臣ヨリ左ノ通第八十
一囘帝國議會政府委員仰付ラレタル旨ノ通
牒ヲ受領セリ
政府委員
內閣恩給局長平木弘君
內閣東北局長宇都宮孝平君
企畫院部長柴田彌一郞君
同梶原茂嘉君
同秋永月三君
同柏原兵太郞君
同龜山孝一君
情報局情報官堀公一君
同橋本政實君
同佐藤勝也君
同松村秀逸君
技術院參技官本多靜雄君
內務省所管事務政府委員
內務書記官小林千秋君
同中島賢藏君
大藏省所管事務政府委員
大藏書記官久保文藏君
大藏書記官子爵戶田忠肅君
大藏書記官日下部滋君
同前田克已君
同池田勇人君
同河野一之君
同松田一隆君
同平田敬一郞君
同森永貞一郞君
同窪谷直光君
專賣局理事濱田德海君
陸軍省所管事務政府委員
陸軍少將吉積正雄君
農林省所管事務政府委員
農林書記官藤田巖君
馬政局次長片桐茂君
商工省所管事務政府委員
商工事務官美濃部洋次君
燃料局部長山口眞澄君
同山口六平君
遞信省所管事務政府委員
遞信省電氣技監森秀君
海務院部長新谷寅三郞君
同渡邊浩君
同若林〓作君
同中尾國次郞君
航空局部長遠藤毅君
同仁村俊君
同橫川市平君
厚生省所管事務政府委員
厚生書記官木村忠二郞君
同菊池武夫君
軍事保護院書記官杉山俊郞君
大東亞省所管事務政府委員
大東亞書記官杉原荒太君
同愛知揆一君
關東局部長伊藤謹二君
南洋廳長官近藤駿介君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、字佐美勝夫君薨去ニ付、第
七部選出請願委員ニ關員ヲ生ジマシタ、就
キマシテハ、第七部ニ於テ其ノ補關選擧ヲ
行ハレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 請暇ノ件ニ付御
諮リヲ致シマス、侯爵鍋島直映君、病氣ニ
付會期中、侯爵德川義親君、大塚惟精君、
何レモ公務ニ付十七日間、兒玉謙次君、公務
ニ付十四日間、ヽ請暇ノ申出ガゴザイマシタ、
許可ヲ致シマシテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=5
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006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=6
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007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 內閣總理大臣、
外務大臣ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマス、
是ヨリ許可ヲ致シマス、東條內閣總理大臣
〔國務大臣東條英機君演壇ニ登ル〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=7
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008・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 先般開院式ニ當
リマシテハ、特ニ優渥ナル勅語ヲ賜リ、誠
ニ恐懼感激ニ堪ヘナイ次第デゴザイマス、
私ハ諸君ト共ニ、謹ンデ聖旨ヲ奉體シ、全
力ヲ擧ゲテ職責ノ遂行ニ當リ、速カニ戰
爭目的ヲ達成シ、以テ聖慮ヲ安ンジ奉ラ
ムコトヲ深ク期スルモノデアリマス、
天皇陛下ニ於カセラレマシテハ、去ル十二月十
二日、畏クモ皇大神宮ニ御親拜アラセ給ウ
タノデアリマス、戰爭遂行ノ途上ニ於キマ
シテ、親シク皇祖大御神ノ大御前ニ御拜ア
ラセラレマシタル御事ハ、全ク有史以來、
未ダ曾テ之レアラザル御事ト拜承致シテ居
ルノデアリマス、聖慮ノ程ヲ拜察シ奉リ、
唯々恐懼感激ニ堪ヘヌ次第デアリマス、我
等一億同胞ハ、玆ニ決意ヲ新タニシ、飽ク
迄モ戰ヒ拔キ、勝チ拔イテ、聖恩ノ萬分ノ
一ニ報イ奉ラムコトヲ固ク誓フ次第デアリ
マス、顧ミルニ大東亞戰爭開始以來、旣
一年有餘、今ヤ帝國ハ、御稜威ノ下、皇軍將
兵ノ善謀勇戰ト、銃後國民ノ總力發揮トニ
依リマシテ、世界歷史ニ比類ナキ大戰果
ヲ擧ゲ、米英ノ屈服ヲ目指シテ、堂々ノ步
武ヲ進メツヽアリマスコトハ、誠ニ御同慶
ニ堪ヘナイ次第デアリマス、私ハ玆ニ諸君
ト共ニ、第一線ニ於テ日夜ヲ分カタズ、決
死ノ激鬪ヲ續ケテ居リマスル皇軍將兵ニ對
シ、滿腔ノ敬意ヲ表明致シマスルト共
ニ、銃後ニ在ッテ、幾多ノ困難ヲ克服シ、
路戰力增强ニ邁進シテ居リマスル全國同胞
諸君ニ對シ、深甚ナル謝意ヲ表明スルモノ
デアリマス、而シテ此ノ機會ニ於キマシテ、
私ハ諸君ト共ニ、戰場ノ華ト散ラレマシタ
ル幾多忠勇義烈ノ英靈ニ對シ、謹ンデ敬弔
ノ誠ヲ捧グルト共ニ、戰傷病將士ニ對シ、
又御遣族ノ方々ニ對シ、衷心ヨリ御同情申
上グル次第デアリマス、現下帝國ハ、世界ニ
富强ヲ誇ル米英兩國ヲ併セテ相手ト致シ
マシテ、其ノ世界制覇ノ非望ヲ覆ヘサムト
スル曠古ノ大戰爭ノ眞只中ニ在ルノデ
アリマス、申ス迄モナク、萬邦ヲシテ各〓其
ノ所ヲ得シメ、兆民ヲシテ悉ク其ノ堵ニ
安ンゼシムルハ、帝國建國以來ノ大理想
デアリマス、帝國ガ三千年來進ンデ參ッタ
道ハ、此ノ大理想ヲ實現セムトスル努力ニ
外ナラナカッタノデアリマス、而シテ帝國
ガ、畏クモ宣戰ノ大詔ヲ奉戴シ、一億ヲ擧
ゲ、米英擊破ノ一途ニ邁進シツヽアリマス
ノモ、亦此ノ大理想ヲ實現セムガ爲デアリ
マス、速カニ大東亞ヲ安定シ、道義ニ基ク
新秩序ヲ建設シ、帝國ト目的ヲ同ジウスル
盟邦ト相携ヘテ、世界ノ眞ノ平和ヲ招來セ
ムトスルコトコソ、大東亞戰爭ノ目的デア
リマス、之ヲ彼ノ米英ガ、他國ノ犠牲ニ於
テ、自國ノ繁榮ヲ追求シ、他民族ヲ搾取シ
テ、世界ヲ壟斷セムトスル、其ノ傳統ノ野
望ニ比シマスレバ、全然其ノ本質ヲ異ニス
ルモノデアリマス、而シテ今ヤ帝國ハ、
御稜威ノ下、戰爭第一年ニ於テ、早クモ此ノ
戰爭目的達成ノ足場ヲ固ムルコトガ出來タ
ノデアリマス、大詔一度降リマスルヤ、
御稜威ノ下、皇軍ハ、大東亞ニ於ケル米、英、
蘭ノ兵力ヲ忽チニシテ之ヲ一掃シ、進ン
デ大東亞ニ於ケル戰略要域ヲ攻略、確保ス
ルニ至ッタノデアリマス、此ノ戰略的優位
ハ、今後陸海軍ノ愈〓水モ漏ラサヌ協力ノ
下ニ行レマスル雄渾ナル攻勢作戰ト、之上
呼應スル戰力ノ增强トニ依リマシテ、益、擴
充强化セラレムトシテ居ルノデアリマス、
今此ノ戰略的優位ノ現狀ニ付キマシテ、
例ヲ航空機ニ取ッテ申上ゲマスルニ、陸上ニ
基地ヲ有スル航空機ノ感力ハ極メテ大ナル
モノガアルノデアリマス、斯クノ如ク陸上
航空基地ガ非常ナル威力ヲ發揮スル秋ニ當
リマシテ、皇軍ハ〓戦ノ赫々タル戰果ニ依
リマシテ、適度ニ配列セラレタル有力ナル
航空基地ヲ獲得シ、日ニ〓〓是等ヲ强化シ
テ居ルノデアリマス、戰爭遂行上絕對必
要ナル資源地域ヲ含ム廣大ナル大東亞ノ地
域ヲ包容スル是等多數ノ航空基地ハ、日、
日ト增大セラレ、其ノ威力ハ遺憾ナク發揮
サレツヽアルノデアリマス、今ヤ、占領地
域ノ要地要點ニハ、是等ノ航空基地ニ加ヘ
テ、隨所ニ有力ナル作戰據點ガ著々トシテ
整備セラレ、又要衝要域ニハ、精銳無比ナ
ル陸上及海上兵力ヲ配備セラレマシテ、茲
ニ攻防兩全ノ備ヲ完成シテ居ルノデアリマ
ス、帝國ガ戰爭第一年ニ於テ必勝ノ基礎ヲ
確立シ得タト申ス所以ハ、實ニ玆ニ存スル
ノデアリマス、大東亞戰爭開始前ニ於キマ
シテ、帝國ハ石油、「ゴム」等ノ重要ナル戰爭
資源ニ於テ不足スル所ガ少クナカッタノデ
アリマス、敵米英ハ、我ガ國ヲ持タザル國
ト侮リ、之ニ乘ジテ我々ノ忘レムトシテ忘
レ得ザル經濟斷交ヲ敢テシ、以テ帝國ヲ一
擧ニ屈服セシメムトシタノデアリマス、然
ルニ聖戰一年後ノ今日、世界最大ノ寶庫、
南方諸地域ハ、全ク我ガ手ニ確保セラルヽ
ニ至ッタノデアリマス、戰前、米英ノ利用獨
占ニ委ネラレテ居リマシタル重要資源ハ、
今ヤ地ヲ換ヘテ、我々ノ掌中ニ歸シタノ
デアリマス、斯クノ如クニシテ、帝國ハ如
何ナル大戰爭ヲモ之ヲ遂行シ得ベキ十分ナ
ル資源ヲ確保シ得ルニ至ッタノデアリマス、
之ニ反シ戰前資源豐富ヲ豪語セシ米英ハ、
重要戰用物資ニ一大缺陷ヲ暴露シテ居ルノ
デアリマス、曩ニ彼等ガ西南太平洋ニ求メ
テ居リマシタル「ゴム」、、錫、「キニーネ」等ニ
付テハ、今ヤ彼等ノ焦慮ノ色漸ク掩ハムト
スルモ掩ヒ得ザルニ至ッテ居ルノデアリマ
ス、戰略的不利ヲ冐シテ迄モ、彼等ガ敢テ
決戰ニ出デムトスルノ理由モ實ニ玆ニ在ル
ノデアリマス、斯クノ如クシテ帝國ハ、戰
略的優位ニ加フルニ、資源ノ點ニ於キマシ
テモ、極メテ有利ナル地步ヲ占ムルニ至ツ
タノデアリマス、固ヨリ是等ノ資源ヲシテ
眞ニ其ノ力ヲ發揮セシムル爲ニハ、今後尙
幾多ノ努力ヲ要シマスルコトハ勿論デアリ
マス、併シナガラ大東亞ノ黎明ニ目覺メタ
ル勤勉ナル十億ノ民ガ我ニ協力セムトシテ
居ルノデアリマス、此ノ大資源ノ活用期
シテ待ツベキモノガアルノデアリマ
ス、此ノ秋ニ當リ、米英ハ其ノ工業力
ヲ唯一ノ恃ミトシテ、銳意戰力ノ囘復
增進ニ狂奔シ、既ニ反攻ノ擧ニ出デテ
居ルノデアリマス、是レ固ヨリ我ノ
油斷スベカラザル所デアリマスルガ、
又以テ我ノ最モ乘ズベキ所デアリマス、誠ニ本
年コソハ、過去一年有餘ノ間ニ獲得致シマシタ
ル大戰果ヲ更ニ擴充シ、我ガ必勝ノ條件ヲ彌
ガ上ニモ確立スベキ決戰期トモ稱スベキ年
デアリマス、帝國ハ盟邦諸國トノ提携ヲ愈〓、
緊密ニシ、相呼應シテ米英ニ對シ益〓攻勢ニ
出デ、遂ニ米英ヲシテ其ノ戰爭遂行能力ヲ
喪失シ、其ノ戰爭遂行意ヲ抛棄セシメ以テ
速カニ戰爭ノ目的ヲ達成セムトシテ居ルノ
デアリマス、此ノ秋ニ當リ滿洲國ニ於キマ
シテハ國礎愈〓固ク、北邊ノ鎭護ノ任ヲ帝國
ト分ツト共ニ、大東亞建設ノ先驅者トシテ、
今ヤ軍需產業ノ發展目覺マシク、我ガ戰力
增强ニ愈〓大ナル貢獻ヲ爲シ、大東亞ノ兵
站基地トシテノ威力ヲ遺憾ナク發揮シテ居
ルノデアリマス、滿洲國ノ今日ノ發展充實
ハ、是レ取リモ直サズ大東亞全域ノ明日ノ
姿ヲ指シ示スモノデアリマシテ、誠ニ心强
キ限リデアリマス、中華民國ハ汪主席ノ獻
身的指導ノ下ニ、日ニ〓〓其ノ力ヲ强化シ
ツヽアルノデアリマス、而シテ去ル九日、
中華民國國民政府ハ米英兩國ニ對シ戰ヲ宣
シタノデアリマス、此ノ事タルヤ、米英擊摧
ノ大東亞戰爭ニ更ニ一歩ヲ進ムルモノデア
リマシテ、汪主席ノ下ニ一致團結、蹶然起
チ上リマシタル中華民國ノ決意ニ對シ、私
ハ玆ニ滿腔ノ敬意ヲ表スルモノデアリマス、
中華民國國民政府ノ宣戰ニ伴ヒ、帝國ハ新
事態ニ卽應スル日華ノ關係ヲ樹立スル方針
ノ下ニ、中華民國ニ於キマスル一切ノ帝國專
管租界ノ還付、上海共同租界、厦門共同租界
及北京公使館區域囘收ノ承認、治外法權ノ
撤廢、在支敵產ノ處理等各般ニ亙リ、直
チニ必要ナル手配ヲ執ルコトトナッタ次第デ
アリマス、此ノ我ガ措置ニ狼狽シ、去ル十一
日米英ガ重慶政權ニ對シ架空ノ租界還付ヲ
約スル等、何等ノ價値ナキ宣言ヲ行フニ至リ
マシタルコトハ、誠ニ笑止ニ堪ヘナイ所デア
リマス、「タイ」國ハ「ピブン」首相ノ逞シキ統
率ノ下ニ、擧國一體、帝國トノ攻守同盟ノ誓
ヒ愈〓固ク、敢然トシテ米英擊摧ノ協同作戰ニ
從事シ、有ラユル困難ト有ラユル障碍トヲ克
服シツヽ新シキ大東亞建設ノ共同目的達成ニ
眞劍ナル努力ヲ傾注シ、以テ眞ニ帝國ト同志
國タルノ實ヲ擧ゲテ居ルノデアリマス、飜ッテ
歐洲方面ニ於キマシテハ、獨伊兩國ヲ始メ
我ガ盟邦諸國ハ、帝國トノ結束愈〓固ク、各種
ノ困難ヲ排除シテ、世界ヲ驚倒セシムル大
戰力ヲ隨所ニ遺憾ナク發揮致シテ居ルノデア
リマス、而モ今日迄ニ築キ上ゲラレタル確
乎不敗ノ地步ヲ擴充シテ愈、有利ナル攻勢ヲ
展開セムトシテ居ルノデアリマス、彼ノ北
阿方面ニ於ケル事態ノ如キハ、戰爭ノ長キ
過程ニ於ケル一波瀾ニ過ギザルモノデアリ
マシテ、何等大勢ニ影響ヲ齎スモノデハナ
イノデアリマス、否寧ロ此ノ新事態コソ、米
英軍ニ徹底的痛擊ヲ加フベキ絕好ノ機會ノ
到來ヲ意味スルモノデアリマス、其ノ好機
ヲ逸スルコトナク、獨伊兩國ハ愈〓其ノ猛
威ヲ振フト共ニ、帝國トノ協同作戰ニ益ミ
其ノ威力ヲ發揮シ、東西相呼應シテ、共同
ノ敵米英ニ痛擊ヲ加フベキ態勢ヲ、著々ト
シテ整備シツヽアルノデアリマス、斯クテ我
ガ戰友タル東西ノ盟邦諸國ハ、年ト共ニ愈〓
其ノ親密ノ度ヲ加へ、共同ノ勝利獲得ト、又
共同ノ理想達成トニ向ッテ、互ニ全ク己ヲ捨
テヽ水モ漏ラサヌ協力ノ實ヲ擧ゲテ居ルノ
デアリマス、之ニ反シ米英ハ、或ハ自己ノ利害
關係ノ爲ニ、或ハ戰後ノ問題ニ關シ、戰爭
ノ眞只中ニ於テ早クモ醜イ爭ヲ暴露シテ居
ルノデアリマス、此ノ一事ハ以テ、彼我正邪ノ
岐ルヽ所ヲ示シ、而シテ終局ノ勝利ガ何レ
ノ側ニ歸スルカヲ自ラ明カニ物語ッテ居ル
コトト確信スルモノデアリマス、私ハ玆ニ盟邦
諸國ノ華々シキ活躍ノ跡ヲ偲ビ、其ノ輝カ
シキ前途ニ思ヲ致シ、諸君ト共ニ、今日迄
ノ是等盟邦諸國ノ偉大ナル成果ニ深甚ナル
敬意ト祝意トヲ表スルモノデアリマス、更
ニ私ハ、是等盟邦諸國ノ帝國ニ寄セラレタ
ル絕大ナル協力ヲ感謝致シマスルト共ニ、
今後ノ健鬪ト成功トヲ心カラ祈ッテ已マナ
イ次第デアリマス、現在軍政下ニアリマス
ル南方諸地域ニ於キマシテハ、今ヤ各住民
ハ、御稜威ノ光ニ浴シ、早クモ新シキ建設
ニ向ッテ心カラナル協力ヲ示シツヽアリマ
スルコトハ、誠ニ御同慶ノ至リデアリマス、
固ヨリ帝國ハ、我ガ眞意ヲ了解セザル者ニ
對シマシテハ、徹底的ニ之ヲ膺懲スル者デ
アリマスルガ、一度我ガ治下ニ入リ來レル
者ニ對シマシテハ、眞ニ之ヲ親子ノ情ヲ以
テ遇スル者デアリマス、「マライ」「スマト
ラ」ジヤワ」「ボルネオ」「セレベス」等ニ於
キマシテハ、皇軍ノ指導ノ下ニ治安ハ全ク
囘復シ、住民ハ喜ンデ生業ニ復シ、未ダ曾
テナキ幸福ナル力强キ生活ニ入ラムトシテ居
ルノデアリマス、而シテ帝國ハ克ク原住民
年來ノ要望ニ應ヘ、其ノ安住ノ地タラシメ
ムコトヲ期シ、著々其ノ成果ヲ擧ゲテ居ル
ノデアリマス、「ビルマ」ニ於キマシテハ、治安
ハ旣ニ回復シ、帝國不動ノ大方針ニ呼應シ、
力强キ指導者「バーモ」長官ヲ中心ト致シマ
ンテ、「ビルマ」人ヲ擧ゲテ現地皇軍ニ協力
シ、著々トシテ「ビルマ」人ノ「ビルマ」ヲ建設
シ、以テ大東亞ノ建設ニ資セムトスル目覺
マシキ努力ヲ續ケテ居ルノデアリマス、其
ノ努力ハ帝國ノ感銘ニ堪ヘナイ所デアリマ
ス、帝國ハ遲クモ本年中ニハ、現在行政府
ヲシテ管轄セシメツヽアル區域ヲ以テ、「ビ
ルマ」國ノ建設ヲ認メムトシテ居ルノデア
リマス、曩ニ本議場ニ於テ、帝國ノ中外ニ宣
明致シマシタル「ビルマ」人多年ノ念願タル
ㄱビルマ」ノ獨立ハ、早クモ玆ニ實現セム
トシテ居ルノデアリマス、此ノ事ヲ本議場
ニ於テ聲明シ得マスルコトハ、帝國ノ誠ニ本
懷トスル所デアリマシテ、「ビルマ」ノ爲、
又、新シキ大東亞ノ爲、眞ニ御同慶ニ堪ヘ
ナイ次第デアリマス、私ハ昨年本議場ニ於
キマシテ「フイリッピン」ノ民衆ニシテ、帝
國ノ眞意ヲ了解シ、大東亞共榮圈建設ノ一
翼トシテ協力シ來ル場合ニ於テハ、帝國ハ
欣然トシテ彼等ニ獨立ノ榮譽ヲ與ヘムコト
ヲ聲明シタノデアリマスガ、茲ニ私ハ、重
ネテ之ヲ宣明スルモノデアリマス、今ヤ
「フイリッピン」ニ於キマシテハ、新シキ指
導者「バルガス」長官ノ下ニ、帝國ニ對ス
ル協力ノ誠意大イニ見ルベキモノガアリ、
又治安ノ囘復モ、逐次、向上シツヽアリマ
スルコトハ、誠ニ賴モシキ限リデアリマス、私
ハ「フイリッピン」ガ更ニ積極的ナル協力ヲ重
ネ、斯クシテ「フイリッピン」ノ獨立ガ、成ル
ベク速カナル時機ニ於テ實現セムコトヲ、
衷心ヨリ期待スルモノデアリマス、此ノ「ビ
ルマ」及「フイリッピン」ノ希望ニ滿チタル
現狀ヲ、「ビルマ」ニ隣スル「インド」ノ苦
シミ喘グ狀況ト、之ヲ比較致シマスルトキ、
轉タ感〓無量ナルモノガアルノデアリマス、
曩ニ本議場ニ於テ申上ゲマシタル如ク、「イ
ンド」ハ既ニ英國ヨリ精神的ニ獨立シテ居
ルノデアリマス、然ルニ今尙英國ハ其ノ態
度ヲ改ムルコトナク、「インド」ノ指導者、
憂國ノ志士ヲ、悉ク逮捕監禁シ、盛リ上ガ
ル「インド」民衆ヲ鐵蹄ノ下ニ蹂躪シテ居
ルノデアリマス、更ニ米英軍ハ、「インドㄴ
ヲ基地トシテ、盛ニ新生「ビルマ」ノ平和
ヲ攪亂シ、之ニ未練ノ魔手ヲ伸バサムトシ
テ居ルノデアリマス、今ヤ皇軍ハ是等ノ米
英軍ニ對シ猛擊ヲ加ヘテ居ルノデアリマ
ス、而シテ旣ニ帝國ノ眞意ヲ知レル3)
ド」ノ一部人士ハ、帝國ト協力シテ現ニ戰
ヒニ從事シテ居ルノデアリマス、帝國ハ新
シキ「インド」ノ建設ノ爲ニ、「インド」國
內ニ於テ、又其ノ國外ニ於テ、產ミノ苦シ
ミヲ爲シツヽアル「インド」ノ指導者及民
衆ニ對シ、深甚ナル同情ノ意ヲ表シマスル
ト共ニ、其ノ囘天ノ大事業ノ遠カラズ成就
スルコトヲ深ク期待スルモノデアリマス、
而シテ帝國ハ之ガ爲ニ全幅ノ協力ヲ惜シマ
ザルコトヲ重オテ宣明スルモノデアリマス、
旣ニ中華民國ガ大東亞戰爭ニ參加シ、米英
打倒ノ大義名分ノ明カトナレル今日、今尙
情實ト因緣トニ囚ハレ、米英ノ走狗トナリ、
自ラノ手ヲ以テ其ノ同胞ヲ害シ、無益ノ抗
戰ヲ續ケツヽアル重慶政權ノ如キハ、誠
支那民衆ノ敵デアリ、中華民國ノ傳統ニ對ス
ル叛逆者デアリマス、帝國ハ之ニ對シ斷々
乎トシテ膺懲ノ鐵槌ヲ加ヘムトスルモノデ
アルコトヲ、重ネテ宣明スルモノデアリマ
ス、濠洲ニ對スル帝國ノ熊度亦重慶ニ對ス
ルト全ク同樣デアリマシテ、米英依存ノ迷
夢ヨリ醒メザル以上、帝國ガ之ニ痛擊ヲ加
ヘマスルコトモ亦已ムヲ得ザル所デアリマ
ス、今ヤ帝國ハ雄渾ナル構想ノ下ニ、世界
ノ運命ヲ決スル大戰爭ヲ戰ッテ居ルノデア
リマス、從ッテ今後ノ施策ハ、此ノ大戰爭
ニ勝ツト云フコトニ總テヲ集注スルモノデ
アリマス、戰ヒニ勝タムガ爲ニ、前線ニ於
テハ、果敢ナル武力戰ヲ愈〓强力ニ續行シテ、
敵ノ戰爭能力ヲ喪失セシメナケレバナラナ
イノデアリマス、戰ヒニ勝タムガ爲ニ、銃
後ニ於テハ、作戰ノ要求ニ卽應シテ、愈
戰力ヲ增强シナケレバナラヌノデアリマス、
國內施策ハ、擧ゲテ勝タムガ爲ノ此ノ戰力
增强ノ一點ニ集注シナケレバナラヌノデア
リマス、抑く戰力增强ニ關スル政府ノ指導
精神ハ、一億同胞ノ盛リ上ガル力ヲ遺憾ナ
ク發揮セシムルニ在ルノデアリマス、由來
我々日本國民ハ、皇室ヲ中心トシテ、學國
一切、只管ニ天皇陛下ノ御爲ニハ、身ヲ
鴻毛ノ輕キニ置キ、一旦緩急アレバ義勇公
ニ奉ズルノ、世界ニ比類ナキ傳統ヲ有シテ
居ルノデアリマス、況ヤ皇國ノ興廢ヲ決ス
ル此ノ大戰爭下ニ於キマシテハ、前線銃後
ヲ問ハズ、億同胞ハ唯々盡忠報國以テ
聖恩ノ萬分ノ一ニ報イ奉ラムトノ熱意ニ燃エ
テ居ルノデアリマス、私ハ此ノ國民ノ燃エ
上ル力ニ信賴シ、戰力ノ增强ニ向ッテ之ヲ
全幅活用スルコトガ、政府ノ重大ナル責務
デアルト確信スルモノデアリマス、曩ニ私
ハ本議場ニ於テ、行政各廳ノ事務ヲ能フ限
リ簡素强力チラシメ、之ニ依ッテ得タル人
員ハ、擧ゲテ之ヲ大東亞全般ニ互ッテ活躍
セシメムトスル決意ヲ表明致シタノデアリ
マス、而シテ政府ハ之ヲ實行シ、相當多數
ノ官吏定員ヲ減少シ、官廳事務遂行ノ方法
モ、戰時ニ適應スルヤウ銳意工風改善ヲ加
ヘマシテ、實效ヲ擧ゲツヽアルノデアリマ
又、又旣ニ多數ノ人士ハ出デテ大東亞ノ各
地ニ於テ其ノ建設經營ニ挺身シテ居ルノデ
アリマス、政府ハ今後モ此ノ方針ニ則リマ
シテ、愈〓其ノ實效ヲ擧ゲムコトヲ期シテ居
ル次第デアリマス、又政府ハ時局ノ進展ニ
適應スベク、內外地行政ノ一元化ヲ斷行シ、
他方新タニ大東亞省ヲ設置シ、大東亞地域
ニ於ケル帝國ノ政務ヲ一元的且包括的ニ處
理スルコトト致シタノデアリマス、是等政
府機構ノ改正ト相俟ッテ、戰時國內體制ノ整
備ヲ期シ、政府ハ公共團體ニ付、而シテ又
農業商業等各方面ニ亙ッテ、刷新强化ヲ企圖
シテ居ルノデアリマス、物的戰力ノ擴充ニ
付キマシテハ、從來ノ重點主義ヲ更ニ徹底
シ、直接戰力ノ增强上緊要ナル鐵鋼、石炭、
輕金屬、船舶、航空機等、重要軍需物資ノ急
速增產ニ全力ヲ傾注スルコトハ勿論、有ラ
ユル創意工夫ヲ凝ラシテ、不測ノ事態ニ對
處スベキ劃期的增產對策ヲ害施スル方針ヲ
以チマシテ、旣ニ著々之ガ具體化ニ努メテ
居ル次第デアリマス、殊ニ造船ニ關シマシテ
ハ、政府ハ格段ノ努力ヲ傾注シテ參ッタノ
デアリマスルガ、今ヤ著々其ノ效ヲ收メ、
前途何等不安無キニ至ッタノデアリマス、
又鐵鋼生產等ニ於キマシテモ、東亞ノ全域
ヲ通ジ、從來ノ樣式ニ囚ハレズ、新タナル
構想ノ下ニ、冬般ノ需要ニ應ゼムトシテ居
ルノデアリマス、政府ハ今囘重要軍需物資
ノ增產ヲ期スル爲ニ、其ノ障害トナルガ如
キ法令規定ノ制約ヲ排除スルノ途ヲ講ジマ
スルト共ニ、內閣總理大臣ノ權限ヲ强化シ、
眞ニ事態ニ卽應シ、彈力性アル指導ヲ行ヒ、
更ニ又官廳ノ指導監督ヲ單一化シテ、生產
者ヲシテ其ノ據ル所ヲ簡明ナラシメムコト
ヲ期シテ居ルモノデアリマス、而シテ戰力
ノ增强ノ爲ニハ、政府ハ廣ク民間有識者ノ
衆智ヲ蒐ムルヲ緊要ト認メ、曩ニ大東亞建
設審議會ノ設置ヲ見マシテ、幾多貴重ナル
意見ニ接シテ居リマスルガ、今後トモ出來
得ル限リ民間ノ有益ナル意見ノ攝取ニ努ム
ル所存デアリマス、以上申述べマシタル通
リ、今ヤ戰爭ノ前途ニハ何等ノ不安モナイ
ノデアリマス、併シナガラ此ノ戰爭ヲ勝
チ拔ク爲ニハ、各種ノ不便不足ハ素ヨリ
已ムヲ得ザルモノデアリマス、最後ノ勝
利ニ至ル迄ノ過程ニ於テ、國民ハ有ラユ
ル困苦ニ耐エテ行カナケレバナラヌノデア
リマス、一億國民ノ此ノ勞苦ガ積ミニ積
ンデ、始メテ此ノ戰爭ヲ戰ヒ拔ク力ガ生レ
ルノデアリマス、固ヨリ政府ハ、國民生活
ノ確保ニ關シマシテハ萬般ノ措置ヲ講ゼム
トスルモノデアリマスルガ、我々一億國民
ハ此ノ土トモ生活ノ刷新、消費ノ節約、貯
蓄ノ增强ニ徹底シ、如何ナル事態ニモ動ゼ
ザル、質實剛健ニシテ、而モ〓新簡素ナル
戰時生活ノ確立ヲ期セネバナラヌノデアリ
マス、今ヤ帝國ハ、大東亞共榮圈建設ノ中
核タルベキ人士ヲ愈〓多ク必要トシテ居ルノデ
アリマス、政府ハ學制ノ改革ヲ斷行シ、在
學年限ノ短縮ヲ圖リマスルト共ニ、戰力增
强ニ直接必要ナル部門ノ擴充强化ヲ行ヒ、
以テ時局ノ要求ニ應ゼムトシテ居ルノデア
リマス、又政府ハ、戰時下發刺タル國民ノ
健康ヲ增進スルコトガ最モ必要デアルト考
フルモノデアリマス、之ガ爲ニ政府ハ諸般
ノ健民對策、特ニ結核對策ニ付キマシテハ
萬全ノ努力ヲ傾倒セムトスルモノデアリマ
ス、尙此ノ機會ニ於キマシテ、贖古ノ大
戰中ニモ拘ラズ、累年我ガ國ノ人口動態極
メテ良好デアリマシテ、出產ノ如キハ空前
ノ數ニ達シ、死亡ハ却テ減少ノ步ヲ辿リツヽ
アリマスルコトヲ報〓シ得マスルコトハ、
誠ニ力强キ限リデアリマス、政府ハ以上申
述べマシタル趣旨ニ基キ、豫算案及ビ法律
案ヲ今期議會ニ提出致シマシタル次第デア
リマス、何卒速カニ協贊ヲ與ヘラレムコト
ヲ切望致シマス、終リ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=8
-
009・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 谷外務大臣
〔國務大臣谷正之君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=9
-
010・谷正之
○國務大臣(谷正之君) 本日茲ニ戰時外交
ノ諸問題ニ關シ、聊カ所見ヲ開陳スルノ機
會ヲ得マシタコトハ、私ノ哀心光榮ト存ズ
ル所デアリマス、帝國ノ對米英開戰ト共ニ、
世界ハ若干ノ中立國ヲ除キ、相對立スル二
大陣營ニ分レ、兩者各〓總總ヲ擧ゲテ相戰
フ空前ノ大世界戰爭ヲ展開シ、國際情勢ハ
劃期的變革ヲ見ルニ至ッタノデアリマス、
今過去一年ヲ囘顧シ、現在ニ於キマスル世
界情勢ヲ〓觀シマスルニ、先ヅ東亞ニ於キ
マシテハ、帝國ノ蹶起ハ、實ニ多年米英ノ
壓制下ニ苦シンデ居リマシタル東亞諸民族
ニ對シ、一齊ニ奮起スルノ機會ヲ與ヘタモノ
デアリマス、卽チ滿洲國、中華民國及「タ
イ」國ハ、各〓其ノ立場ニ於キマシテ、今次聖
戰ノ完遂ニ對シ、當初ヨリ物心兩方面ヨリ
スル有ラユル協力ヲ致シ、南方地域ノ諸民
族モ亦、我ガ善謀勇戰、而モ慈愛ニ充チタル
皇軍ノ手ニ依リ、初メテ米英ノ桎梏ヨリ解放セ
ラレ、今更ナガラ米英兩國ノ政策ガ貪婪飽
クナキ搾取ニ外ナラザリシコトヲ悟リマス
ルト共ニ、大東亞共榮圈建設ノ歷史的必然
性ヲ自覺シ、帝國ト共ニ、之ガ建設ト防衞
トニ進ンデ協力ヲ誓ヒツヽアル實情デアリ
マシテ、米英側ノ僞瞞的宣傳ニ拘ラズ、事
實ハ儼然トシテ存シ、八紘爲宇ノ理想ノ下、大
東亞ハ一步々々堅實ナル建設ノ步ミヲ示
シ、今ヤ帝國ハ必勝不敗ノ地位ニ立ツニ至ツ
タノデアリマス、歐洲方面ニ於キマシテ
ハ、帝國ノ開戰以來ノ赫々タル戰果ハ、益〓
樞軸諸國ノ志氣ヲ〓メ、是等諸國ノ歐洲新
秩序建設ニ對スル確心ヲ新タニ致シタノデ
アリマス、而シテ最近ノ新事態ト致シマシ
テ、北阿ニ於キマシテハ、獨伊軍ハ「エジ
プト」戰線ヲ撤收致シマスルト共ニ、神速
果敢ナル對處策ニ出デ、目下「チュニヂア」
方面ニ重點ヲ置キ、此ノ方面ヨリスル米英
軍ノ攻勢ヲ挫折セシメツヽアル狀況デアリ
マス、斯クテ樞軸離間ノ爲ニセル米英式宣
傳混リノ謀略攻勢モ、其ノ效ヲ奏セズ、寧ロ
獨伊ノ提携ヲ始メ、歐洲ニ於ケル樞軸側ノ
態勢ヲ鞏固ナラシムルノ結果トナリ、爲
却テ最近敵陣營營ニ於キマシテ、新タナ
ル第二戰線論ヲ生ムニ至リマシタ、尙米
英ノ非道ナル西北「アフリカ」進出ノ爲、
佛國ノ情勢ハ一時混亂ニ陷リマシタガ、
幸ニシテ獨伊ノ理解アル態度ト「ラヴア
ル首相ノ不動ノ親獨政策トニ依リマシ
テ、今ヤ平靜ニ歸シ、同國ハ獨伊兩國ト
ノ協力關係ヲ益〓緊密ニシ、其ノ人的及物
的資源ヲ以テ新歐洲ノ建設ニ貢獻セムコ
トヲ期待セラレテ居ルノデアリマス、斯ク
ノ如ク樞軸傘下ニ於ケル歐洲ノ現況ハ、
敵方ノ有ラユル虚構宣傳ニ拘ラズ、漸次建
設ノ道程ヲ迪リツヽアルノデアリマシテ、
今ヤ獨伊ヲ中心トスル歐洲諸國ハ、益〓其ノ
共同ノ運命ヲ自覺スルト共ニ、遙カニ帝國
トノ結果ヲ固クシ、不撓不屈必勝不敗ノ態
勢ノ强化ニ邁進シツヽアルノデアリマス、
之ニ對シ敵米英側ノ情勢ヲ觀望シマスル
二、當初帝國ノ〓戰ニ於ケル相次グ大戰果
ハ、米英側ニ甚大ナル物心兩面ノ打擊ヲ與
へ一時ハ兩國トモ周章策ノ施ス所ヲ知ラ
ザル有樣デアッタノデアリマスルガ、其ノ後
戰局ノ進展ニ伴ヒ、漸ク對策樹立ヲ急ギ、
專ラ米國ノ豐富ナル物力ヲ恃ミ、兩三年後ノ
總反攻ヲ企圖シ、差當リハ主力ヲ「ドイツ」
打倒ニ置クト稱シテ「ソヴィエト」聯邦ヲ聲援
シ、物資ヲ供給シテ、「ドイツ」ノ重壓ヲ
手ニ引受ケサセ、其ノ問自ラハ戰力培養ニ
努メテ居ッタノデアリマス、然ルニ其ノ
後皇軍ノ戰果益〓、擧り、遠ク「アリユーシヤン」
及「インド」洋方面迄制壓スル所トナリマス
ルヤ、國內輿論ノ不滿甚ダシキモノガアリ、
特ニ米國ニ於キマシテハ卽時反攻實施ヲ要
望スル聲ガ高マリ、爲ニ米英當局ハ極メテ
困難ナル地位ニ陷ツタノデアリマス、玆ニ
於キマシテ、米英側ハ何等カ局面ノ展開ヲ
圖ラザルヲ得ザル羽目トナリ、先ヅ米國ニ
於キマシテハ、一層積極的ニ國內戰時體制
ノ强化ニ狂奔スルト共ニ、「アラスカ」公路
ノ開設、濠洲ノ防備强化、支那ノ一部及「イ
ンド」方面ニ於ケル航空基地ノ設定等ニ依
リ、遠卷キニ對日反擊ノ機ヲ窺ヒ、更ニ又
英國ト共ニ「イラン」、「イラク」方面ニ兵力
ヲ增强シ、「アフリカ」及西南「アジア」ヲ連
ネテ、獨伊兩國ノ進出ヲ遮斷スルノ態度ニ
出デツヽアルノデアリマス、加之、彼等ハ
本年ヲ以テ決戰ノ年ト稱シ、東西何レノ戰
場タルヲ問ハズ、一大攻勢ニ出ヅベキ旨ヲ
呼號シテ居リマス、元來政治ヤ宣傳ガ軍事
行動ヲ支配スル彼等ノ國情デアリマスルカ
ラ、何時如何ナル方面ニ進出スルヤモ測ラ
レマセヌ、而モ敵ガ之ヲ敢テセムカ、彼等
ハ徒ニ元寇ノ轍、「ダンケルク」ノ悲劇ヲ繰
返スニ過ギナイノデアリマセウ、以上二大
陣營ノ間ニ在ッテ、中立國ノ地位ハ極メテ
困難ナルモノガアリマス、中南米諸國ノ大
部分ハ、旣ニ米國ノ西半球制覇政策ノ壓力
ニ屈シ、其ノ犠牲トナッテ居リ、現ニヂ
リ」國ハ最近米國ノ壓迫ニ堪ヘ兼ネ、日獨
伊三國ニ對シ斷交スルノ愚擧ニ出タノデア
リマス、之ニ反シ「アルゼンチン」國ガ毅然
トシテ中立政策ヲ堅持シテ居リマスルコト
ハ尊敬ニ値スル所デアリマシテ、帝國ト致
シマシテハ、同國ト出來得ル限リ友好關係
ヲ保持シタイ所存デアリマス、又歐洲方面
ニ於キマスル中立國、就中「トルコ」ヽ「ス
ペイン」及ビ「ポルトガル」等ハ敵側ノ惡辣極
マル策謀ニ抗シテ獨自ノ立場ヲ堅持シテ來
タノデアリマシテ、私ハ是等諸國ノ賢明ナ
ル指導者ガ、能ク大局ヲ恫察シ其ノ嚮フ所
ヲ謬ラザラムコトヲ期待スルモノデアリマ
ス、敍上ノ如キ世界情勢ノ變轉ニ對處シ、
帝國政府ハ不斷ノ注意ヲ怠ラザルト共ニ、
特ニ意ヲ用ヒテ居リマスル所ハ、大東亞地
域內諸國トノ關係ヲ一層緊密化スルト同時
ニ、歐洲ニアル盟邦諸國トノ提携ヲ更ニ强
化シ、以テ共同ノ目的タル對米英戰爭ヲ完
遂シ、世界新秩序ノ建設ニ邁進スベキ協力
體制ヲ整備スルニアルノデアリマス、先ヅ
帝國ト滿洲國トノ關係ハ、一德一心、永久
不動ノモノデアリマシテ、彼我ノ問常ニ密
接協力ヲナシツヽアリマスルコトハ改メテ
申ス迄モナイコトデアリマス、次ニ中華民
國ニ於キマシテハ、去ル九日進ンデ米英兩
國ニ對シテ戰ヲ宣シ、帝國ト緊密一體、大
東亞ノ新秩序建設ニ更ニ積極的ニ參加協力
セムトスル決意ヲ中外ニ闡明致シタノデア
リマス、國民政府ノ參戰ニ當リマシテ、帝
國政府ノ執リ且今後執ラムトスル措置ニ付
キマシテハ、當日公布セラレマシタル戰爭
完遂ニ付テノ協力ニ關スル日華共同宣言及
ビ租界還付及治外法權撤廢等ニ關スル日本
國中華民國間協定竝ニ同日發表セラレマシタ
ル帝國政府聲明等ニ依リ、詳細既ニ御承知
ノ通リデアリマス、元來日華提携ハ自然ノ大
道デアリマス、而モ從來兩國相携ヘテ此ノ大
道ヲ步ム能ハザリシ所以ハ、米英兩國ガ多
年ニ亙リ支那ニ蟠居シテ、東亞攪亂ノ根源ヲ
成シタルニ依ルノデアリマス、然ルニ今次大
東亞戰爭ガ勃發シマスルヤ、帝國ノ戰勝ト
共ニ、大東亞ノ形勢ハ一變致シマシタ、卽
チ東亞ニ於ケル米英ノ據點ハ悉ク覆滅シ、
未來永劫復歸ノ餘地ナキニ至リマシタ、而
モ租界ト言ヒ、治外法權ト言ヒ、是等ハ阿
片戰爭ノ結果生マレタル米英ニ依ル東洋搾
取ノ記念塔デアリマシテ、帝國トシテモ、
過去ノ苦キ經驗ニ鑑ミ、是等制度ノ撤廢ガ
一日モ速カナラムコトヲ冀念シテ來タノデ
アリマス、然ルニ國民政府ハ曩ニ更新シ、今
ヤ日華互ニ共同ノ敵ニ對シ、同心一體、戰
爭ノ完遂ニ邁進スルニ至リマシタ、卽チ中
華民國ノ獨立ト其ノ繁榮トハ、帝國、否、
大東亞全體ノ繁榮ト福社トニ全ク一致ス
ルニ至リマシタ、從ッテ此ノ際帝國ガ、
大膽率直ニ、此ノ不自然ナル過去ノ屈辱
的制度ヲ一擲シ、東亞本然ノ姿ニ於テ、
中華民國ト相信ジ相交ハルニ至リマシタル
コトハ、歷史ノ必然デアリマシテ、東亞ノ
大局上誠ニ慶賀ニ堪ヘマセヌ、然ルニ米英
兩國ハ、今更ナガラ我ガ措置ニ狼狽シ、去
ル十一日、重慶政權トノ間ニ租界還付、治
外法權ノ撤廢等ニ關スル條約ヲ締結シタノ
デアリマス、斯クノ如キハ、米英側ガ旣ニ
喪失セル權益ノ返還ヲ約束シ、之ヲ以テ世
界ヲ欺瞞セムト企圖スルモノデアリマシ
テ、一ニ彼等ノ狡猾サト陰險サトヲ示スノ
ミデアリマス、重慶政權ガ此ノ空手形ニ欣
喜シ、民國百年ノ恨ミヲ忘ルヽガ如ク振舞ッ
テ居リマスルノハ、誠ニ憫笑ニ堪ヘナイコ
トデアリマス、尙盟邦獨伊兩國ガ、直チニ
十分ノ理解ヲ以テ、欣然帝國ノ對支新政策
ニ同調ノ態度ニ出デ、既ニ伊國政府ニ於テ
ハ、租界還付等ニ關シ國民政府ニ對シ所要
ノ手續ヲ執リマシタコトハ、私ノ衷心欣快
トスル所デアリマス、要スルニ、今次日華
新關係ノ展開ハ、誠ニ八紘爲字ノ大精神ノ
顯現デアリ、大東亞建設、世界新秩序建設
ニ對スル帝國ノ眞意ト誠意トヲ、全世界ニ
對シ明カニシタモノデアリマシテ、中國民
衆ハ固ヨリ、大東亞諸民族ノ帝國ニ對スル
信賴ヲ益〓厚カラシムルモノナルコトハ、私
ノ固ク信ジテ疑ハナイ所デアリマス、帝國
ト「タイ」國トノ間ニハ、先般文化協定ノ
締結ヲ了シマシタガ、同協定ハ、兩國間ノ
緊密ナル軍事的、政治的、經濟的提携ニ加
フルニ、更ニ文化的方面ニ於キマシテモ、
從來他國トノ關係ニ於テ其ノ比ヲ見ザル
程廣汎ナル協力關係ヲ約シタルモノデア
リマス、私ハ同協定ノ運用ガ、將來ノ日
「タイ」關係ノ發展ハ固ヨリ、大東亞ノ文
運復興ニ對シ、寄與スル所甚大ナルモノア
リト信ズルモノデアリマス、尙、佛印ハ旣ニ
帝國トノ間ニ軍事上、政治上及經濟上密接
ノ關係ニ立ッテ居ルノデアリマスガ、更に
今囘、既ニ發表セルガ如キ金融上ノ取極成
立ニ依リマシテ、此ノ方面ニ於テモ帝國ト
緊密協力スルニ至リマシタルコトハ、喜バシ
キ次第デアリマス、私ハ佛印當局ガ、世界全
局ニ亙ル情勢ヲ達觀シ、大東亞共榮圈內ニ於
ケル帝國ノ地位ト佛印自體ノ地位トニ付、此
ノ上トモ深キ省察ヲ加ヘ、能ク之ヲ正解シ
益、〓、帝國ニ對スル協力ヲ積極的ナラシメムコ
トヲ期待スルモノデアリマス、飜ッテ盟邦獨伊兩
國トノ提携ハ、軍事、政治、文化等各般ニ亙
リ、極メテ緊密鞏固デアリマスルガ、之ニ對シ
敵側ハ、三國離間ノ爲、有ラユル努力ヲ拂
ヒツヽアルノデアリマス、斯クノ如キハ、
三國ガ、道義ニ基ク世界平和ノ確立ヲ志シ
テ居ル崇高ナル理想ニ依ッテ結バレテ居リ、
自己本位ノ利害打算ニ基キ離合聚散常ナキ
米英等トハ、根本的ニ異ナル事實ニ關シ、
彼等ガ如何ニ認識不足デアルカヲ暴露シテ
居ルモノニ外ナラナイノデアリマス、帝國
政府ハ、右三國關係ニ更ニ一步ヲ進メ、今
次戰爭中、日獨伊三國ガ各〓其ノ經濟總力
ヲ擧ゲテ相互ニ援助致シマスルノミナラ
ズ、戰爭終結後ニ於テモ、ソレ〓〓自國ノ
經濟圈內ニ於テ各民族ノ共存共榮ヲ確保ス
ベキ新秩序ヲ實現スル爲、日獨及日伊間
ニ經濟協力ニ關スル協定ヲ成立セシメムコ
トヲ希望シ、豫テヨリ兩國政府トノ間ニ協
議中デアリマシタガ、去ル二十日、日獨間及日
伊間ニ本件協定ガ「ドイツ」大本營及「ロー
マ」ニ於テソレ〓〓署名調印セラレマシ
タルコト、當時發表ノ通リデアリマス、本
協定ハ昭和十五年九月二十七日ノ三國條約
ノ精神ヲ如實ニ經濟ノ分野ニモ現シタルモ
ノデアリマシテ、之レガ實施ニ依リ、日
獨伊三國間ノ經濟協力ハ益〓緊密圓滑トナ
リ、戰力增强ニ貢獻スル所尠カラザルモノ
アルト共ニ、之ニ依リ樞軸側ノ勝利ハ益〓
確實トナッテ參ッタト確信スル次第デアリマ
ス、尙帝國ガ大東亞共榮圈建設ニ當リ、何等
排他的又ハ閉鎖的意圖ヲ抱クモノデナイコ
トハ、旣ニ闡明セラレタ所デアリマスガ、
本協定ノ成立ハ、啻ニ右帝國ノ意圖ヲ如實
ニ表示シタバカリデナク、帝國ニ依ル大東
亞共榮圈ノ建設、獨伊ニ依ル歐洲共榮圈ノ
確立ガ、米英流ノ空虛ナル宣傳デナクシ
テ、現實デアリ而モ著々具體的進步ヲ遂
ゲツヽアルモノナルコトヲ明カニシタモノ
デアリマス、次ニ「ソヴイエト」聯邦ニ關
シマシテハ、昭和十六年四月成立セル
日「ソ」中立條約ヲ尊重スル帝國ノ對「ソL
外交方針ニハ、何等變更ハナイノデアリ
マス、但シ斯カル帝國政府ノ根本方針ハ、
「ソヴイエト」聯邦ニ於テモ、本中立條約ヲ遵
守スルコトヲ前提トスルモノナルコトハ、固ヨリ
理ノ當然デアリマス、此ノ機會ニ於キマシテ、
私ハ現在尙敵國乃至斷交國ニ在リマシテ、
辛苦ヲ重ネツヽアル多數ノ同胞ニ對シ、
深甚ナル敬意ト同情トヲ表示シ、切ニ其ノ
健在ヲ祈ル者デアリマス、是ト同時ニ、我
ガ在留同胞ニ對スル是等諸國ノ態度ニ關シ
マシテハ、嚴ニ監視ヲ懈ラズ、不當ナル壓
迫ニ對シテハ、嚴重抗議スル等、其ノ辛苦
ヲ輕減セムガ爲、有ラユル手段ヲ講ジツヽ
アルコトヲ玆ニ言明スル者デアリマス、抑〓
今次戰爭タルヤ、畏クモ宣戰ノ大詔ニ明示
セラレテ居リマスルガ如ク、米英ノ非道ナ
ル壓迫ニ對シ、帝國ガ自存自衞ノ爲、蹶然
起ツノ已ムヲ得ザルニ至ッタモノデアリマ
シテ、又曩ニ獨伊ガ起ツニ至リマシタル所
以ノモノモ、米英ガ世界平和擁護ヲ名トシ
テ「ヴヱルサイユ」體制ヲ盾ニ、獨伊ヲ壓迫シ
タルニ基因シテ居リマス、帝國ガ國際聯盟
脫退ヲ餘儀ナクセラレ、獨伊等相次イデ之
ヲ脫退致シタルモ、右米英ノ橫暴ニ基キマ
スコト周知ノ事實デアリマス、今ヤ米英ノ
指導者ハ、戰後ノ平和企圖ニ關シ、大西洋
憲章等種々眞シヤカナル宣傳ヲシツヽアリ
マスガ、右ハ畢竟前ノ「ヴヱルサイユ」體制同
様、米英本位ノ世界制覇ヲ企圖スルモノニ
過ギマセヌ、從ッテ若シ斯カル企圖ガ實現ス
ルトシマスレバ、日獨伊等ノ如キ新興諸國
ハ、遂ニ其ノ處ヲ得ルノ機ナク、世界恆久
ノ平和ハ、得テ望ムベカラズト信ズルノデ
アリマス、又米英側ハ、所謂四ノ自由、卽
チ言論及宗〓ノ自由、竝ニ缺乏及恐怖ヨリノ
自由等ト稱スルモノヲ揭ゲ、今次戰爭ハ右
理想ガ帝國及樞軸側ノ爲脅威又ハ蹂躪セラ
レタルニ對シ、之ヲ擁護セムガ爲ノ、自由
ノ爲ノ戰爭、生存ノ爲ノ戰爭デアルト呼號
シテ、國民ノ戰意鼓舞ニ努メテ居ルノデア
リマス、併シナガラ日獨伊三國ガ、嘗テ米
英ノ自由又ハ生存ヲ脅威シタル事實ガアリ
マスカ、否、自ラ廣大ナル領土ト豐富ナル
資源トヲ有シナガラ、平和的開發ニ從事ス
ル東洋ノ移民ヲ逸早ク排斥シ、又却テ太平
洋ヲ渡ッテ、東亞ノ天地ニ傍若無人ノ進出ヲ
敢テシ、現ニ支那ノ殘存政權ヲ支援シテ、
東亞ノ禍亂ヲ助長シツヽアリマスル者ハ誰
デアリマスカ、事態ノ眞相ヲ〓倒シテ國民
ヲ欺瞞シ、今次戰爭ニ導キタル米英指導者
ノ罪過ハ、天人共ニ許サザルモノガアリマ
ス、若シ彼等ノ主張スル如ク戰爭ノ責任者
ヲ處罰スベキモノナラバ、第一ニ處罰ヲ受
クベキ者ハ彼等自身ナルコトハ明カデアリ
やく、要スルニ米英ノ指導者ガ如何ニ美辭
麗句ヲ連ネテ强辯ヲ逞シウ致シマストモ
彼等ノ所謂戰爭目的ガ國民ヲ眞ニ納得セ
シムルニ足リマセヌノハ、當然ノコトデア
リマス、卽チ米國指導者ノ企圖シツヽア
リマスノハ、米國民ノ眞ノ幸福ト沒交渉ナ
ル新タナル世界制覇デアリ、、又英國指導者
ノ只管顧念シツヽアリマスノハ、舊熊依然
タル英帝國ノ維持デアリマス、從ヒマシテ
彼等ハ表面共通ノ戰爭目的ヲ揭ゲテハ居リマ
スガ、內實ハ同床異夢トモ謂フベキモノデ
アリマシテ、最近米英兩國ノ間ニ其ノ戰爭
目的又ハ戰爭指導ヲ繞ッテ、激シキ意見ノ對
立ヲ露呈シテ居リマスノハ、誠ニ當然ト申
スベキデアリマス、私ハ米英兩國民ガ冷靜
ニ事ノ順逆ヲ考ヘマスル時、必ズヤ慄然ト
シテ其ノ指導者ノ犯シツヽアル罪過ニ氣付
キ、彼等ノ戰爭ガ如何ニ無名ノ師デアッテ、
又其ノ犠牲ガ如何ニ無意味ナルカヲ悟ルニ
至ルモノナルカヲ信ジテ疑ハナイノデアリ
マス、之ニ反シ、帝國ガ一年前敢然起チ上
リマシタル所以ノモノハ、米英ノ利己的世
界支配體制ノ壓迫ヲ排除シ、正シキモノガ
正シキ所ヲ得ル、道義ニ基ク新秩序ヲ建設
セムトスルニ在ルノデアリマシテ、萬邦ヲ
シテ各〓其ノ所ヲ得シムルトハ、實ニ此ノ事
ヲ指スニ外ナラナイト存ズルノデアリマス、
卽チ帝國ノ戰爭目的ハ、大義名分炳乎トシ
テ明カナノデアリマシテ、正邪ノ岐ルヽ所、
窮局ニ於ケル勝敗ノ數モ亦自ラ明カナノデ
アリマス、顧ミマスレバ建國二千六百有餘
年、帝國ハ未ダ嘗テ戰ッテ敗レタコトナキ光
輝アル歷史ヲ有スルノデアリマス、是レ卽
チ帝國ノ戰ガ常ニ破邪顯正ノ戰デアッタガ
爲ニ外ナラナイノデアリマス、今次大戰ハ、
其ノ規模ニ於テ、又其ノ激シサニ於テ、有
史以來未曾有ノモノデアリマスガ、其ノ意
義ニ於テモ亦極メテ深遠ナルモノガアリマ
ス、私ハ戰時外交ノ要諦モ畢竟此ノ聖戰ノ
意義目的ニ徹シ、政戰一致、之ヲ宣揚完遂
スルニアルモノト信ジ、對外施策ノ遂行ニ
萬遺憾ナキヲ期シタイト存ジテ居ル次第デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=10
-
011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 國務大臣ノ演說
ニ對シ、伍堂卓雄君其ノ他ヨリ、質疑ノ通
告ガゴザイマスルカラ、是ヨリ許可スル筈
デアリマスガ、本日ハ時間ノ都合上、之ヲ
他ノ機會ニ讓リ、此ノ際議事日程ニ移リタ
イト存ジマスルガ、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=12
-
013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第一、恩給
法中改正法律案、政府提出、第一讀會、森
山法制局長官
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
恩給法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年一月十八日
內閣總理大臣兼東條英機
陸軍大臣
文部大臣橋田邦彦
農林大臣井野碩哉
厚生大臣小泉親彥
司法大臣岩村通世
海軍大臣嶋田繁太郞
遞信大臣寺島健
大藏大臣賀屋興宣
商工大臣岸信介
鐵道大臣八田嘉明
內務大臣湯澤三千男
外務大臣谷正之
大東亞大臣靑木一月
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第十六條第一號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ文官ニシテ國庫ヨリ俸給ヲ受ケサ
ル者及其ノ遺族ノ恩給ハ勅令ヲ以テ定
ムル者之ヲ負擔ス
同條第四號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ在外指定學校職員及樺太ニ於ケル
〓育職員ノ一時恩給ヲ除クノ外一時恩
給ハ府縣又ハ之ニ準スヘキ地方經濟之
ヲ負擔ス
第十八條第一項中「府縣費ヨリ俸給ヲ給
スル文官、」ヲ削ル
第二十一條第二項第一號中「及海軍ノ候
補生」ヲ「竝海軍ノ候補生及見習尉官」ニ
改ム
第二十二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
〓育職員トハ公立ノ學校、幼稚園若ハ
圖書館又ハ在外指定學校ノ職員ニシテ
國庫ヨリ俸給ヲ給セサル官ニ在ルモノ
及判任官以上ノ待遇ヲ受クルモノヲ謂
フ
第二十三條第三號中「消防機關士補」ノ下
ニ「、判任官タル消防手」ヲ加フ
第二十五條第四號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ左ノ場合ニ於テハ之ヲ轉任ト看做
ス
き判任官ノ待遇ヲ受クル巡査又ハ
消防手警部補、消防士補、消防機關
士補又ハ判任官タル巡査若ハ消防手
ニ任シタルトキ
(日)警部補、消防士補、消防機關士
補又ハ判任官タル巡査若ハ消防手判
任官ノ待遇ヲ受クル巡査又ハ消防手
ニ就職スルトキ
(A)判任官ノ待遇ヲ受クル看守又ハ
〓導副看守長又ハ判任官タル看守若
ハ〓導ニ任シタルトキ
(三)副看守長又ハ判任官タル看守若
ハ〓導判任官ノ待遇ヲ受クル看守又
ハ〓導ニ就職スルトキ
(く)其ノ他勅令ヲ以テ定ムル場合
第二十六條第四號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ左ノ場合ニ於テハ之ヲ退職ト看做
ス
(2)警部補、消防士補、消防機關土
補副看守長又ハ判任官タル巡査、
消防手、看守若ハ〓導他ノ官ニ轉シ
タルトキ
(ロ)他ノ官ヨリ警部補、消防士補、
消防機關士補、副看守長又ハ判任官
タル巡査、消防手、看守若ハ〓導ニ
轉シタルトキ
(ハ)其ノ他勅令ヲ以テ定ムル場合
第二十八條ノ二防衞召集ニ依リ部隊ニ
編入セラレタル軍人ノ在職年ノ計算ニ
關シテハ本法中ノ在職年ノ計算ニ關ス
ル規定ニ拘ラス勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ
爲スコトヲ得
第四十七條中「陸軍ノ見習士官海軍ノ候
補生」ヲ「陸軍ノ見習士官海軍ノ候補生見
習尉官」ニ、「陸軍ノ見習士官又ハ海軍ノ
候補生」ヲ「陸軍ノ見習士官又ハ海軍ノ候
補生若ハ見習尉官」三尺人
第五十九條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ文官ニシテ府縣又ハ之ニ準スヘキ
地方經濟ヨリ俸給ヲ受クルモノハ當該
府縣又ハ之ニ準スヘキ地方經濟ニ對シ
納付スヘシ
第五十九條ノ二第一項ヲ左ノ如ク改ム
本節ニ於ケル退職當時ノ俸給年額ノ計
算ニ付テハ左ノ特例ニ從フ
一公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹
リ之カ爲退職シ又ハ死亡シタル者ニ
付退職又ハ死亡前一年內ニ昇給アリ
タル場合ニ於テハ級俸(軍人及準軍
人ニ付テハ別表第一號表ノ假定俸給
年額ヲ以テ級俸トス以下同シ)ノ定
アル俸給ニ付二級ヲ超エ昇給シタル
トキハ二級、其ノ定ナキ俸給ニ付退
職又ハ死亡ノ一年前ノ俸給ノ百分ノ
三十ヲ超エ昇給シタルトキハ百分ノ
三十ノ昇給アリタルモノトス
二前號ニ規定スル者以外ノ者ニ付退
職又ハ死亡前一年內ニ昇給アリタル
場合ニ於テハ級俸ノ定アル俸給ニ付
一級ヲ超エ昇給シタルトキハ一級、
其ノ定ナキ俸給ニ付退職又ハ死亡ノ
一年前ノ俸給ノ百分ノ十五ヲ超エ昇
給シタルトキハ百分ノ十五ノ昇給ア
リタルモノトス
同條第二項中「前項但書」ヲ「前項」ニ、同
條第三項中「退職前一年內ノ俸給」ヲ退
職當時ノ俸給年額」ニ、同條第四項中「看
做シ計算ス」ヲ「看做ス」ニ、同條第五項
中「退職前ノ俸給月額ト稱スルハ退職前」
ヲ「退職當時ノ俸給月額トハ退職當時」ニ
改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
軍人及準軍人ニ付テハ別表第一號表ニ
定ムル各階等ニ對スル假定俸給年額ヲ
以テ各其ノ階等ニ對スル俸給年額トス
第六十條第二項、第三項及第七項中「退
職前」ヲ「退職當時」ニ改ム
第六十一條第三項中「退職前」ヲ「退職當
時ニ、「十四年以上」ヲ「十三年以上」ニ改
ム
第六十一條ノ二第三項中「退職前」ヲ「退
職當時」ニ、「十三年以上」ヲ「十二年以
上」ニ、「下士官ニ在リテハ七圓、兵ニ在
リテハ六圓」ヲ「下士官ノ俸給年額ヲ以テ
普通恩給額ヲ計算スル場合ニ在リテハ七
圓兵ノ俸給年額ヲ以テ之ヲ計算スル場
合ニ在リテハ六圓」ニ改ム
第六十二條第二項乃至第四項及第八項、
第六十三條第二項及第三項、第六十四條
第二項、第六十七條第二項、第六十八條
第二項竝ニ第七十條第二項中「退職前」ヲ
「退職當時」ニ改ム
第七十四條第二項中「生活資料ヲ得ルノ
途ナク且之ヲ扶養スル者ナキ」ヲ「生活
資料ヲ得ルノ途ナキ」ニ改ム
第七十五條第二項ヲ左ノ如ク改ム
公務員カ退職又ハ死亡前一年內ニ二階
等ヲ超エ進級シタル場合ニ於テ前項第
二號乃至第四號ノ規定ニ依リ別表第五
號表乃至第七號表ノ率ヲ乘スヘキトキ
ハ當該公務員カ退職又ハ死亡前一年內
ニ二階等進級シタルトキ乘スヘキ率ヲ
乘ス
同條第四項中「前項」ヲ「前二項」ニ改メ同
條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
第二項ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ別表
第八號表ノ率ヲ乘スヘキ場合ニ付之ヲ
準用ス
第八十條第一項第三號及第八十一條第一
項中「生活資料ヲ得ルノ途ナク且之ヲ扶
養スル者ナキ」ヲ「生活資料ヲ得ルノ途ナ
キ」三菱八
第八十二條第二項及第三項中「死亡前」ヲ
「死亡當時」ニ、同條第四項中「扶助料」ヲ
「一時扶助料」ニ改ム
第八十二條ノ次ニ左ノ一章ヲ加フ
第四章雜則
第八十二條ノ二公務員ニシテ本屬廳ノ
陸軍陸軍陸
別表第一號表(乙)中兵長上等兵一等兵
海軍海軍海
一等兵二等兵二三六ノ
三六人
]曹長一
准士官
別表第五號表及第六號表中判
一等二等三
判任
承認ヲ受ケ外國政府又ハ之ニ準スルモ
ノノ官吏其ノ他ノ職員(以下外國政府
職員ト稱ス)ト爲ル爲退職シタル後二
年以上外國政府職員トシテ在職シタル
モノ公務員トシテ再就職シ其ノ後一年
以上在職シタル場合ニ於テハ其ノ外國
政府職員トシテノ在職年月數ハ之ヲ普
通恩給ノ基礎タル在職年ニ通算ス但シ
恩給權者ニ於テ反對ノ意思ヲ表示シタ
ルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ公務員カ本屬廳ノ承認ヲ
受ケ外國政府職員ト爲ル爲退職スル際
普通恩給ヲ給スヘキ場合ニ於テハ之ヲ
適用セス外國政府職員在職中普通恩給
ヲ給スヘキ事由ノ生シタルトキ亦同シ
第一項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十二條ノ三第六十四條ノ二ノ規定
ハ前條ノ規定ニ依リ外國政府職員トシ
テノ在職年月數ヲ通算シテ普通恩給ヲ
給スル場合ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ
於テハ外國政府職員トシテノ就職ヲ以
テ再就職トス
軍降軍
二等兵ヲ兵長上等兵一等兵二等兵
軍海軍
四等兵-
車曹二伍長三
等兵曹〓等兵曹〓等兵曹〓軍兵〓軍上陸軍一陸軍二
任長等兵等兵等兵
ヲ
等四等海軍一海軍二海軍三海軍四
等兵等兵等兵等兵
待選
准士官曹長上軍曹一伍長二
等兵曹等等曹等等曹
判任兵長上等兵
-等二等三等四等
判任待遇
「陸軍二
陸軍兵陸軍上陸軍一
別表第七號表中長等兵等兵等兵
海軍一海軍二海軍三海軍四
等兵等兵等兵等兵
附則
第一條本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅
令ヲ以テ之ヲ定ム但シ恩給法第二十三
條、第二十五條及第二十六條ノ改正規
定ハ勅令ヲ以テ定ムル日ヨリ、同法第
二十八條ノ二ノ改正規定ハ昭和十七年
十二月一日ヨリ之ヲ適用ス
第二條恩給法第十六條ノ改正規定施行
前給與事由ノ生ジタル恩給ノ負擔ニ付
テハ仍從前ノ例ニ依ル
第三條恩給法第十七條ノ規定ハ當分ノ
內之ヲ適用セズ
前項ノ規定ノ施行ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條恩給法第五十九條ノ二ノ改正規
定施行前給與事由ノ生ジタル恩給ノ額
ヲ計算スル場合ニ於テハ仍從前ノ例ニ
依ル
第五條昭和十六年十二月八日以後恩給
法第五十九條ノ二乃至第六十四條及第
七十五條ノ改正規定施行前公務ノ爲傷
痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ之ガ爲退職シ
一等兵二等兵二六六
「
ヲ兵長上等兵一等兵二等兵ニバティ
タル八務日若ハ之ニ準ズベキ者ニシテ
同改正規定施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ
依リ普通恩給ヲ受ケ若ハ受クベキモノ
又ハ同一期間內ニ公務ノ爲傷痍ヲ受ケ
若ハ疾病ニ罹リ之ガ爲死亡シタル公務
員若ハ之ニ準ズベキ者ノ遺族ニシテ同
改正規定施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ依
リ扶助料ヲ受ケ若ハ受クベキモノニハ
同改正規定ニ依ル恩給今額ガ從前ノ規
定ニ依ル恩給金額ヨリ多額ナルトキハ
常該金額ト同改正規定ニ依ル金額トノ
差額ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ增給ス
第六條公務員ニシテ恩給法第八十二條
ノ二ノ改正規定施行前外國政府職員ト
爲ル爲退職シタル後二年以上外國政府
職員タリシモノ公務員トシテ再就職シ
一年以上在職シテ同改正規定施行後退
職スル場合ニ於テハ同法第八十二條ノ
二ノ改正規定ニ準ジ外國政府職員トシ
テノ在職年月數ヲ通算ス
恩給法第八十二條ノ三ノ改正規定ハ前
項ノ場合ニ付之ヲ準用ス但シ昭和八年
九月三十日以前ニ給與事由ノ生ジタル
一時恩給ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七條昭和八年法律第五十號附則第十
條中「第五十九條ノ二第一項但書」ヲ
「第五十九條ノ二第一項」ニ、「同但書
各號」ヲ「同項第二號」ニ改ム
第八條從前ノ規定ニ依ル道府縣立師範
學校長ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
恩給法第二十二條ノ改正規定施行ノ際
道府縣立師範學校職員ヨリ官立師範學
校職員ニ轉任シ同條ノ改正規定施行後
之ヲ退職スル者ニ普通恩給ヲ給スル場
合ニ於テ其ノ在職年中ニ同條ノ改正規
定施行前ノ同法第六十二條第三項又ハ
第四項ニ掲グル學校ノ〓育職員トシテ
ノ勤續在職年十七年以上ノモノヲ含ム
トキハ當該勤續在職年中十七年ヲ控除
シタル殘ノ勤續在職年一年ニ付同條ノ
規定ニ依リ加給ス
〔政府委員森山銳一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=13
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014・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナリ
マシタ恩給法中改正法律案ニ付テ、提案ノ
理由ヲ御說明申上ゲマス、今囘ノ改正ハ數
點ニ亙ッテ居リマスガ、第一ノ點ハ、恩給事
務ノ簡素化デアリマス、此ノ點ニ付キマシ
テハ、先ヅ恩給金額分擔ノ規定ヲ當分ノ內
停止スルコトト致シマシタ、現行法デハ、
恩給ハ原則トシテ公務員ニ最後ニ俸給ヲ給
シマシタ經濟、卽チ國庫ナリ府縣ナリデ、
受給者ニ給スルノデアリマスガ、各經濟ノ
內部關係デハ、公務員ニ俸給ヲ給シマシタ
經濟相互間デ、其ノ恩給金額ヲ分擔スルコ
トニナッテ居ルノデアリマス、併シナガラ
此ノ分擔ノ事務ハ、甚ダ複雜煩瑣デアリマ
シテ、多クノ人手ヲ要シマスルノデ、戰時
下、人手ノ節約ノ目的ヲ以テ此ノ事務ヲ停
止スルコトニ致シマシタ、而シテ恩給金額
分擔ノ停止ニ因リ、各經濟間ニ負擔ノ不均
衡ヲ生ジマスモノニ付テハ、別途財政上ノ
措置ニ依ッテ是正スルコトニ致スノデアリ
マス、次ハ恩給金額ノ基礎トナリマス俸給
ニ關スル規定ノ改正デアリマス、現行法デ
ハ、恩給金額ハ公務員ノ退職前一年內ノ俸
給總額ヲ基礎トシテ算出スルコトニナッテ
居ルノデアリマスガ、此ノ計算事務モ甚ダ
複雜デアリマスノデ、之ヲ簡素化スルノ趣
旨ヲ以テ、退職當時ノ俸給ヲ基礎トスルコ
トトシ、而モ適正ナル恩給金額ヲ算出シ得
ルヤウニ規定ヲ改メルノデアリマス、第二
ノ點ハ、公務員デアッタ者ガ外國政府職員ト
シテ就職シ、更ニ之ヲ退職シテ公務員トシ
テ再就職シマシタ場合ニ、外國政府職員トシ
テノ在職年ヲ、公務員ノ恩給年限ニ通算ス
ル規定ヲ設ケタコトデアリマス、御承知ノ
如ク近時公務員デ本屬廳ノ承認ヲ受ケ、滿
洲國等ノ外國政府職員トナリマス者ガ增加
致シマシタガ、是等ノ者ハ、謂ハバ政府ノ
命令デ外國政府職員トナリマスモノデアリ
マスカラ、此ノ種ノ在職年ヲ恩給年限ニ通
算致シマスノガ適當デアルト考ヘマシテ、
外國政府職員トシテノ在職年ヲ、公務員ノ
在職年ニ通算スルノ途ヲ開クコトト致シマ
シタ、以上ノ諸點ノ外、防衞召集制度ノ新
設師範學校制度ノ改正、官廳職員優遇制
度ノ創設等ニ伴ヒマシテ、若干ノ改正ヲ要
スルコトトナッタノデアリマス、何卒御審
議ノ上速カニ御協賛ヲ與ヘラレムコトヲ御
願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=14
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015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、日程第二、特別委員ノ選擧ニ移リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=15
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016・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
特別委員ノ選擧ハ、本會期中ヲ通ジ、特別
ノ場合ヲ除キ、其ノ數ヲ九名トシ、其ノ委
員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出
シ、而シテ只今上程セラレマシタ恩給法中
改正法律案ノ委員數ヲ十二名トシ、其ノ委
員ノ指名ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=16
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017・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=17
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018・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=18
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019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔高山書記官朗讀〕
恩給法中改正法律案特別委員
公爵山縣有道君伯爵堀田正恒君
子爵大岡忠綱君子爵松平親義君
男爵今園國貞君村上恭一君
下條康麿君𠮷田茂君
堀切善次郞君男爵關義壽君
山上岩二君飯塚知信君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=19
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020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三、東北
興業株式會社法中改正法律案、政府提出、
第一讀會、森山法制局長官
東北興業株式會社法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
大藏大臣賀屋興宣
東北興業株式會社法中改正法律案
東北興業株式會社法中左ノ通改正ス
第二條ニ左ノ一項ヲ加フ
東北興業株式會社ガ其ノ資本ヲ增加ス
ル場合ニ依テハ政府ハ其ノ株式ノ引受
ヲ爲スコトヲ得
第十二條ノ二政府ハ東北興業債劵ノ元
本ノ償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコ
トヲ得
第二十五條ノ二東北興業株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對
シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第二十六條第一項中「利益金額ガ」及「每
營業年度ニ於テハ」ノ下ニ各「政府以外ノ
者ノ所有スル株式ノ」ヲ加ヘ「、各營業年
度ヲ通ジテハ八百五十萬圓」ヲ「ニ相當ス
ル額竝ニ當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル
東北興業債劵及借入金ノ利息額ノ合計額」
ニ改メ同條第二項中「利益金額ガ」ノ下
ニ「政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ」ヲ
加へ同條第三項中「利益金額ガ」ノ下ニ
「政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ」ヲ加ヘ
「年百分ノ六ヲ超エ百分ノ九迄ノ金額ニ
付テハ」及「、年百分ノ九ヲ超ユル金額
ニ付テハ其ノ全額」ヲ削ル
第二十六條ノ次ニ左ノ一一條ヲ加フ
第二十六條ノ二東北興業株式會社ノ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者
ノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキ
ハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ
總株式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均
一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府
ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ
對シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當ス
ベシ
第二十六條ノ三東北興業株式會社ガ第
二十六條第一項ノ規定ニ依リ受クル補
給金ハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法
ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益
ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ
第二十九條削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二十六條第一項ノ改正規定ハ第八營業
年度ヨリ之ヲ適用ス
第二十六條ノ三ノ改正規定ハ第七營業年
度分ヨリ之ヲ適用ス
〔政府委員森山銳一君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=20
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021・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナリ
マシタ東北興業株式會社法中改正法律案ニ
付テ、提案ノ理由ヲ說明致シマス、東北興
業株式會社法ニ依リ昭和十一年十月創立サ
レマシタ東北興業株式會社ハ、銳意其ノ使
命ノ達成ニ努メテ參ッタノデアリマスガ、大
東亞戰爭完遂ノ爲、資源ノ開發ト物資ノ增
產ヲ圖ルノ要ハ愈〓大ナルモノアルニ至リマ
シタ、仍テ今囘、同社ハ東北振興ト時局ノ
要求トニ對應シマシテ、其ノ事業ヲ擴充致
スコトトナッタノデアリマスガ、現在ノ機能
ヲ以テシマシテハ、事業ノ遂行ニ支障ヲ來
シマスノデ、今囘、資本金ヲ增加シマシテ、
其ノ一部ヲ政府出資トシ、政府以外ノ者ノ
所有スル株式ニ對シテハ、年六分ノ優先配
當ヲ認ムルト共ニ、東北興業債劵ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ニ付テハ政府之ヲ保證
シ、且每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利
益金額ガ、政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込金額ニ對シ、年六分ノ割合ニ達セザル
場合ニハ、之ニ達スル迄是等株式ニ對スル
年六分ノ配當金、竝ニ當該營業年度ニ於テ
支拂ヒタル社債及借入金ノ利息額ノ合計額
ヲ限度トシテ、第十五營業年度迄政府ニ於
テ補給金ヲ交付スルコトトシ、尙政府補給
金ニ對スル租稅ハ之ヲ免除スル等、同社ノ
機能ノ强化ヲ爲スノ必要ヲ認メ、同法ヲ改
正セムトスルモノデアリマス、以上ガ本法
律案ヲ提出致シマシタ理由デアリマス、何
卒御審議ノ上速カニ御協贊ヲ與ヘラレムコ
トヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=21
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022・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
東北興業株式會社法中改正法律案ハ、恩給
法中改正法律案ノ特別委員ニ併託セラレム
コトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=22
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023・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=24
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025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=25
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026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 〓程第五、日滿地
方稅徵收事務共助法案、日程第七、明治四
十年法律第二十五號廢止法律案、日程第九、
大正九年法律第五十三號中改正法律案、政
府提出、第一讀會、是等ノ三案ヲ一括シテ
議題トナスコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、湯澤內務大臣
日滿地方稅徵收事務共助法案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
大藏大臣賀屋興宣
內務大臣湯澤三千男
日滿地方稅徵收事務共助法案
日滿地方稅徵收事務共助法
第一條地方稅、督促手數料、延滯金若
ハ滯納處分費ヲ徴收セラルベキ者又ハ
其ノ者ノ財產ガ滿洲國內ニ在ルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏又ハ吏
員ハ滿洲國ノ當該官吏ニ當該地方稅、
督促手數料、延滯金又ハ滯納處分費ノ
徵收ヲ囑託スルコトヲ得
第二條滿洲國ノ地方稅、督促手數料、
延滯金若ハ滯納處分費ヲ徵收セラルベ
キ者又ハ其ノ者ノ財產ガ帝國內ニ在ル
場合ニ於テ滿洲國ノ當該官吏ノ囑託ア
ルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該吏
員ハ滿洲國ノ當該地方稅、督促手數料、
延滯金又ハ滯納處分費ヲ徵收シ之ヲ滿
洲國ノ當該官吏ニ送付スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル徵收金ノ徵收ハ別
段ノ規定アル場合ヲ除クノ外帝國ノ當
該市町村稅徵收ノ例ニ依ル
第三條前條ノ規定ニ依ル徵收金ハ日滿
國稅徵收事務共助法第二條ノ規定ニ依
ル徵收金ニ次ギ先取特權ヲ有ス
第四條第二條ノ規定ニ依ル徴收金ノ滯
納處分ニ對シ不服アル者ハ市町村稅滯
納處分ノ場合ニ準ジ訴願ヲ爲シ又ハ行
政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第五條第二條ノ規定ニ依ル徵收金ノ徵
收及送付ノ費用ハ當該徵收金ノ徵收ヲ
爲シタル吏員ノ屬スル地方團體ノ負擔
トス
第六條町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ
本法中町村稅ニ關スル規定ハ町村稅ニ
準ズベキモノニ之ヲ適用ス
町村組合ニシテ町村事務ノ全部又ハ役
場專務ヲ共同處理スルモノハ本法ノ適
用ニ付テハ之ヲ一地方團體ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
國稅徴政法第四條ノ一第二號及地方稅法
第二十六條第一項第一號中「滿洲國ノ國
稅」ヲ「滿洲國ノ國稅若ハ地方稅」ニューハ
明治四十年法律第二十五號廢止法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
內務大臣湯澤三千男
明治四十年法律第二十五號廢止法律案
明治四十年法律第二十五號ハ之ヲ廢止ス
附則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
本法施行前公布セラレタル法律ノ樺太施
行ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル其ノ全部
又ハ一部ノ改正法律ニシテ本法施行後公
布セラルルモノニ付亦同ジ
參照
明治四十年法律第二十五號ハ樺太ニ施
行スヘキ法令ニ關スル法律ナリ
大正九年法律第五十三號中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十八年一月十八日
內閣總理大臣東條英機
大藏大臣賀屋興宣
內務大臣湯澤三千男
大正九年法律第五十三號中改正法律案
大正九年法律第五十三號中左ノ通改正ス
第六條中「平安北道義州郡水口鎭ヨリ咸
鏡北道豆滿江口ニ至ル陸接國境ニ於テハ
前條ノ」ヲ「前條ノ陸接國境ニ於テハ同條
ノ」ニ改ム
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
四國境河川ニ跨ル橋梁、水力發電設備
其ノ他ノ設備ノ建設工事ニシテ朝鮮
總督ノ定ムルモノノ施工ニ必要ナル
物品但シ朝鮮總督ノ定ムル陸接國境
隣接地域ニ朝鮮總督ノ定ムル所ニ依
リ輸出又ハ輸入スルモノニ限ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
參照
大正九年法律第五十三號ハ關稅法關稅
定率法及保稅倉庫法等ノ朝鮮ニ於ケル
特例ニ關スル法律ナリ
〔國務大臣湯澤三千男君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=27
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028・湯澤三千男
○國務大臣(湯澤三千男君) 只今一括上程
セラレマシタ日滿地方稅微收事務共助法
案、明治四十年法律第二十五號廢止法律案、
及大正九年法律第五十三號中改正法律案ノ
三法律案ニ付キマシテ、ソレ〓〓提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲタイト存ジマス、先ヅ日
滿地方稅徵收事務共助法案ニ付テ申上ゲマ
ス、盟邦滿洲國ノ發展ニ伴ヒマシテ、近時、
日滿兩國間ノ交通ハ益〓頻繁トナリ、從ッテ
納稅義務者ノ移動モ、漸次多キヲ加ヘツヽ
アルノデアリマス、政府ハ曩ニ日滿國稅徵
收事務共助法ヲ制定致シマシテ、國稅ノ徵
收ニ付キマシテ、相互便宜ヲ供與スルノ方
途ヲ講ジタノデアリマスルガ、地方稅ノ徵
收上ニ於キマシテモ其ノ必要アルニ至リマ
シタノデ、國稅ノ例ニ做ヒ、地方稅ノ徵收
ニ付キマシテ、滿洲國ト相互囑託ヲ爲シ得
ル途ヲ拓クコトト致シマシテ、玆ニ本法案
ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、次ニ明
治四十年法律第二十五號廢止法律案ニ付キ
マシテ申上ゲマス、內外地行政ノ一元化ヲ
圖ルガ爲、本年四月以降、樺太ヲ內地ニ編
入スルコトニ相成リマスルニ伴ヒマシテ、
明治四十年法律第二十五號、樺太ニ施行ス
ベキ法令ニ關スル法律ヲ廢止致シマシテ、
將來制定セラレマスル法律ハ、原則トシテ
當然樺太ニモ施行スルコトト致シ、法律ノ
施行關係ヲ速カニ內地ト同樣ナラシムル必
要ガアリマスルガ爲ニ、玆ニ本法律案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、最後ニ大正
九年法律第五十三號中改正法律案ニ付キマ
シテ申上ゲマス、日滿陸接國境地域ニ於キ
マスル經濟開發ヲ促進致シマスルコトハ、
現下生產力擴充計畫遂行上喫緊ノ要務デア
リマスル處、國境河川ニ跨ル施設ノ建設工
事用各種物品ハ、鮮滿國境ヲ踰エマシテ頻
繁ニ運搬セラレマスルノデアリマスルガ、
之ニ關稅法所定ノ手續ヲ執ラシメマスルコ
トハ工事ノ進捗上相當大ナル支障ヲ來ス
コトト相成リマスルガ爲、是等物資ノ輸出入
ニ對シマシテ、關稅法ノ適用ヲ排除スル必
要ヲ認メマシテ、玆ニ本法律案ヲ提出致シ
マシタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速
カニ御協賛アラムコトヲ希望致ス次第デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=28
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029・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程ニ上リマシタ
日滿地方稅徵收事務共助法案外二件ハ、恩
給法中改正法律案外一件ノ特別委員ニ併託
セラレムコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=29
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030・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=30
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031・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、本日ハ議事ノ都合ニ依リマシテ、
此ノ程度ニ於テ延會致シタイト存ジマス、
御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、明日ハ午前十時ヨリ開會致シマス、
議事日程ハ、決定次第彙報ヲ以テ御通知ニ
及ビマス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後零時六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00219430128&spkNum=33
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