1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月十五日(月曜日)午前十時五分開議
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議事日程 第九號
昭和十八年二月十五日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 臨時利得税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 臨時租税措置法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 酒税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 酒造組合法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 清涼飮料税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 取引所税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 砂糖消費税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 物品税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 遊興飮食税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 入場税法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十二 特別行爲税法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十三 輸出する物品に對する内國税 免除又は交付金交付の停止等に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十四 昭和十八年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十五 營繕用品資金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十六 造幣局の資金に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十七 昭和十五年法律第六十九號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十八 樺太内地行政一元化に伴ふ樺太廳特別會計と他の會計との關渉に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十九 昭和十二年法律第八十號改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十一 朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十二 臺灣事業公債法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十三 臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二十四 戰時刑事特別法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 奧羽本線横手、羽越本線羽後本莊の兩驛間を豫定線に編入し横莊鐵道未成區間速成の請願 會議
第二十六 長岡鐵道買收の請願 會議
第二十七 北越線鐵道敷設の請願 會議
第二十八 飯山鐵道買收の請願 會議
第二十九 官幣中社生田神社造營費國庫支辨に關する請願 會議
第三十 古事記正解の研究機關設置の請願 會議
第三十一 奧羽本線十文字、陸羽東線鳴子の兩驛間鐵道敷設の請願(文書表第十七號) 會議
第三十二 奧羽本線十文字、陸羽東線鳴子の兩驛間鐵道敷設の請願(文書表第十八號) 會議
第三十三 天龍川改修工事實施速成の請願 會議
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽壽) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔高山書記官朗讀〕
去ル十日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議
院ニ通知セリ
臨時軍事費豫算追加案(臨第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第二號)
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案
ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
在滿日本人ノ身分ニ關スル滿洲國裁判ノ
效力ニ關スル法律案
裁判所構成法中改正法律案
陪審法ノ停止ニ關スル法律案
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
請願文書表(第三囘報告)
去ル十二日委員會ニ於テ當選シタル正副委
員長ノ氏名左ノ如シ
石油專賣法案特別委員會
委員長伯爵兒玉秀雄君
副委員長男爵安場保健君
北海道鐵道株式會社所屬鐵道外十一鐵道
買收ノ爲公債發行ニ關スル法律案特別委
員會
委員長公爵島津忠承君
副委員長子爵秋田重季君
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正
法律案特別委員會
委員長伯爵山本〓君
副委員長男爵伊江朝助君
農業保險法中改正法律案特別委員會
委員長伯爵黑木三次君
副委員長男爵稻田昌植君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
戰時刑事特別法中改正法律案可決報〓書
請願委員會特別報告第一號
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
臨時利得稅法中改正法律案
臨時租稅措置法中改正法律案
酒稅法中改正法律案
酒造組合法中改正法律案
〓涼飮料稅法中改正法律案
取引所稅法中改正法律案
砂糖消費稅法中改正法律案
物品稅法中改正法律案
遊興飮食稅法中改正法律案
入場稅法中改正法律案
特別行爲稅法案
輸出スル物品ニ對スル內國稅免除又ハ交
付金交付ノ停止等ニ關スル法律案
一昨十三日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受
明セリ
昭和十八年度歲入歲出總豫算案竝昭和十
八年度各特別會計歲入歲出豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件
昭和十七年度歲入歲出總豫算追加案第
、 、
昭和十七年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
昭和十八年度歲大歲出總豫算追加案第
號
昭和十八年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件(追第一號)
特殊財產資金豫算案
昭和十八年度歲入歲出總豫算追加案第
二號)
昭和十八年度冬特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第二號)
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案
營繕用品資金特別會計法案
造幣局ノ資金ニ關スル法律案
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案
樺大內地行政一元化ニ伴フ樺太摩特別會
計ト他ノ會計トノ關涉ニ關スル法律案
昭和十一年法律第八十號改正 律案
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計法
案
臺灣事業公債法中改正法律案
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法律
案発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ本日ノ會
議ヲ開キマス、請暇ノ件ニ付御諮リヲ致シマ
ス、侯爵德川義親君、公務ニ付會期中、請
暇ノ申出ガゴザイマシタ、許可ヲ致シデ御
異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=2
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003・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 此ノ際大藏大臣
ニ發言ヲ許可致シマス、賀屋大藏大臣
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=4
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005・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 昭和十八年度歲
入歲出豫算ノ大要ヲ說明致シ、併セテ我ガ
國財政經濟ニ付所見ヲ述ブル機會ヲ得マシ
タコトハ、私ノ最モ光榮トスル所デアリ
マス、今ヤ我ガ國ハ皇國竝ニ全世界ノ運命
ヲ決スベキ曠古ノ大戰爭ノ眞只中ニ在リマ
スコトハ、曩ニ內閣總理大臣ノ演說ノ中ニ
モアリマシタ通リデアリマス、敵米英ハ、
其ノ厖入ナル經濟力ヲ唯一ノ恃ミト致シマ
シテ、我ニ對シ反抗ノ態勢ヲ整フベク狂奔致
シテ居ルノデアリマス、之ニ對シマシテ、
我ガ國ニハ肇國以來鍛ヘ來ッタ日本精神ノ
存スルアリマシテ、一億國民必勝ノ信念
ハ微動ダモ致サナイノデアリマス、併シナ
ガラ此ノ信念ヲ具現致シマシテ敵米英ヲ擊
称-シノーリマス」ハ此ノ際物的戰力ノ增强
コソ最モ肝要ト致ス所デアリマシテ、前線
ニ於ケル將兵ノ善謀勇戰ニ呼應シマシテ、
銃後ニ於テハ、戰爭遂行ニ必要ナル生產ノ
增强ヲ圖リマスコトガ、何ヨリノ急務ナノ
デアリマス、今日國家經濟ノ運營ノ目標ハ、
全ク此處ニ存スルノデアリマス、從ヒマシ
テ、昭和十八年度豫算竝ニ各般ノ財政經濟
上ノ政策ハ、總テ此ノ觀點ヨリ出發ヲ致シ
テ居ルノデアリマス、是ヨリ昭和十八年度
一般會計歲入歲出豫算ニ付、其ノ大體ヲ說
明致シマスガ、說明ノ便宜上、昭和十八年
度分ニ付キマシテモ、又其ノ前年度分ニ付
キマシテモ、今囘御審議ヲ求メテ居リマス
ル追加豫算迄ヲ併セタモノニ依ルコトニ致
シタイト存ジマス、先ヅ歲出豫算ノ總額ハ、
本豫算計上ノ分九十九億九千五百餘萬圓、
追加豫算第一號計上ノ分二十三億四千五百
餘萬圓デアリマス、追加豫算第二號計上ノ
分ハ九億三千四百餘萬圓、三者合計致シマ
シテ百三十二億七千五百餘萬圓デアリマス、
之ヲ前年度豫算額ニ比較致シマスレバ、三
十九億五千七百餘萬圓ノ增加ト相成ッテ居
リマス、右歲出豫算ノ編成ニ當リマシテハ、
只今申述ベマシタ國家經濟運營ノ基本目標
ニ從ヒマシテ、政府各般ノ施策ノ重點ヲ專
ラ戰力ノ增强ニ集中シ、重要事項ニ付テハ
之ヲ先議畫定シ、特ニ必要ナル施策ニ伴ヒ
マス經費ニ付テハ、進ンデ之ヲ計上致シマ
スルト共ニ、其ノ他ノ經費ニ付キマシテハ
極力之ヲ壓縮致シタノデアリマス、新規要
求及ビ旣定經費ヲ通ジテ、重點主義ト效率
主義ドニ依リ之ヲ較量勘案致シタノデアリ
マス、殊ニ官吏ノ定員增加ニ付キマシテハ、
大東亞建設要員ノ充足、竝ニ行政簡素化ノ
趣旨ニ則リ、眞ニ已ムヲ得ザルエノ以外ハ
之ヲ抑制致シダノデアリマス、畢竟致シ
マスルニ、戰時國民生活ヲ確保シナガラ、
物資、勞九、資金等國家ノ經濟總力ヲ戰力
增强ニ集中スル趣旨ニ外ナラナイノデアリ
やく、今歲出豫算ニ計上致シマシタ重要ナ
ル新規經費ヲ申上ゲマスレバ、一、鐵石炭其
ノ他重要物資ノ生產增强竝ニ低物價維持ニ
關スル經費六億九千九百餘萬圓、二、中小企
業ノ整備其ノ他ニ關スル經費一億二百餘萬
圓、三、〓糧對策ニ關スル經費三億六千三
百餘萬圓、四、結核撲滅其ノ他國民保健ニ
關スル經費七千八百餘萬圓、五、國民生活及
人口對策ニ關スル經費一億三千九百餘萬圓、
六、軍人援護ニ關スル經費一億五千百餘萬
圓七、文〓ノ刷新ニ關スル經費一億五千
餘圓、八科學及技術振興ニ關スル經費六
千三百餘萬圓、九、防空ニ關スル經費四千五
百餘萬圓等デアリマス、尙船舶建造等海運
力增强ニ關シマシテハ、政府ハ著々諸般ノ
施策ヲ實行シテ居ルノデアリマスガ、是等ニ
關スル經費ノ多ケハ、豫算編成ノ技術上、今
後ニ於テ措置セラルヽノデアリマス、又臨時
軍専費特別會計へ〓繰入ハ、一般會計ヨリ
四十二億三千九百餘萬圓、各特別會計ヨリ
合計五億七千九百餘萬圓、總計四十八億千
八百餘萬圓デアリマシテ、前年度額ニ比較
致シ十六億八千餘萬圓ノ增加ト相成ッテ居
リマス、右ノ外歲出豫算ニ付注意スベキ事
項ヲ申添ヘマスルナラバ、一、國庫豫備金
ニ付キマシテ、豫算超過又ハ豫算外支出ノ
增加ノ必要ニ備ヘマス爲之ヲ增額シテ、
旣定額ト併セテ、第一豫備金八千萬圓、第
二豫備金十五億圓ト致シタノデアリマス、
二、既定經費ニ付キマシテ三億六千八百餘
萬圓ノ壓縮ヲ加ヘマシタ、三、陸海軍兩省
所管ノ經費ニ付キマシテハ本省費以外ノ
經費ハ、擧ゲテ臨時軍事費支辨ト致シタ等
デアリマス、次ニ歲入豫算ニ付說明致シマ
ス、歲入豫算ノ總額ハ、歲出豫算ノ總額ト
同ジク本豫算計上ノ分九十九億九千五百餘
萬圓、追加豫算第一號計上ノ分二十三億四
千五百餘萬圓、追加豫算第二號計上ノ分九
億三千四百餘萬圓、計百三十二億七千五百
餘萬圓デアリマシテ、其ノ內譯ハ、租稅其
ノ他ノ普通歲入九十七億三千八百餘萬圓、
前年度剩餘金繰入三億三千餘萬圓、公債金
三十二億六百餘萬圓デアリマス、普通歲入
ノ大宗タル租稅收入ハ、經常臨時ノ兩部ヲ
合セマシテ其ノ總額七十五億九千餘萬圓デ
アリマシテ、之ヲ前年度豫算額ニ比較致シ
マスレバ、十八億二千九百餘萬圓ノ增加ト
相成ッテ居リマス、此ノ內譯ハ、自然增收等
ニ屬スル分六億六千六百餘萬圓、昭和十七
年度ニ於ケル直接稅等ノ增稅ニ基ク分一億
五千五百餘萬圓、今期議會提出ニ係ル間接
稅等ノ增新稅等ニ基ク分十億七百餘萬圓デ
アリマス、申ス迄モナク納稅成績ノ良否ハ、
戰時財政經濟ノ運營上極メテ重要ナル影響
ヲ有スルモノデアリマスルガ、支那事變以
來、數次ノ增稅ニ依リ負擔ノ加重セラレタ
ルニモ拘ラズ、銃後國民ノ熱烈ナル愛國心
ニ依リ、〓ネ良好ナル成績ヲ示シテ居リマ
スコトハ、後ニ申述ベマスル國民貯蓄增加
ノ成績ト共ニ、我ガ戰時財政經濟ノ基礎ノ
鞏固ナルコトヲ示ス證左ト致シマシテ、誠
ニ心强ク感ズル次第デアリマス、併シナガ
ラ戰局ガ決戰段階ニ入ルニ伴ヒマシテ、戰
力增强ノ爲必要ナル財政負擔ハ愈〓增加致ス
ノデアリマスル、〓ヒマシテ今囘更ニ間接
稅ヲ中心トスル增稅ヲ行フコトト致シ、別
途之ニ關スル法律案ヲ提出致シタ次第デア
リマス、此ノ增稅ノ趣旨ハ、國民ノ消費生
活ノ爲需要セラレル物資、勞力、資金等ヲ、
一層ヨリ多ク戰爭目的ニ轉換集中セムコト
ヲ期スルモノデアリマシテ、之ニ依ッテ得ラ
ルベキ歲入增加額ハ、平年度約十一億四千
萬圓ニ上ルノデアリマス、是ハ旣ニ實行シ
マシタ煙草專賣益金ノ增收計畫ニ基ク歲入
增加額約四億四千萬圓ト合セ、合計約十五
億九千萬圓トナルノデアリマスガ、其ノ昭
和十七十八兩年度ニ於ケル增收額ハ、過日
御協賛ヲ經マシタ臨時軍事費ノ財源ニ繰入
レルノデアリマス、斯クシテ國民ノ租稅負
擔ハ益〓增加致スノデアリマスガ、而モ國民
ハ欣然トシテ之ヲ擔ヒ拔カムトスル決意ヲ示
シテ居ルノデアリマス、此ノコトハ我ガ國
柄ノ然ラシムル所デアリマシテ、誠ニ有難
イコトデアリマスルガ、政府ト致シマシテ
ハ、斯樣ナ國民ノ心持ニ應ヘテ、尙更ニ稅
務行政ヲ滴實ナラシメムトスル考デアリマ
ス、勿論納稅ハ國民ノ義務デアリ、徵稅ハ
國家ノ權力ニ依ルモノデアリマスルガ、此
ノ權力トカ義務トカト申ス言葉ニ伴ヒ勝チ
デアリマスル對立觀念ハ、之ヲ完全ニ拂拭
スベキモノト信ズルノデアリマス、今日ニ
於キマシテハ、納稅スル者モ徵稅ノ任ニ當
ル者モ眞ニ一體トナリマシテ、相協力シテ
我ガ戰時財政經濟ヲシテ愈、、確乎不動ノモノ
タラシメネバテラナイト思フノデアリマス、
尙政府ニ於キマシテハ、租稅負擔ノ增加ニ
伴ヒ、租稅政策ト他ノ戰時經濟政策トノ調
整ヲナス爲、臨時租稅措置法ノ改正ヲ行フ
コトトシ、別途御審議ヲ願セマスルト共
ニ、又過般御審議ヲ經マシタル納稅施設法
ヲ制定シテ、國民ノ納稅ノ履行ヲ容易ナラ
シメ、併セテ國民貯蓄ノ增强等ニ資セムト
致シテ居ルノデアリマス、租稅以外ノ普通
歲入ニ付キマシテハ、二十一億四千八百餘
萬圓ヲ計上致シテ居リマスルガ、是ハ前年
度豫算ニ比較致シマシテ、五億四百餘萬圓
ノ增加ト相成ッテ居リマス、又公債金收入
ハ、前ニ申述ベマシタ通リ三十二億六百餘
萬圓デアリマシテ、之ヲ前年度ニ比シ十六
億八千餘萬圓ヲ增加致シテ居リマス、次一
各特別會計豫算ニ付キマシテモ、ソレ〓
前ニ申述ベマシタ一般會計豫算ノ編成方針
ニ準據シ、專ラ戰力增强ノ爲、眞ニ緊急缺
クベカラザル經費ヲ計上致スコトニ努メ、
生產ノ增加、戰時陸運ノ强化竝ニ通信施設
ノ整備等ニハ、特ニ重點ヲ置イタ次第デア
リマス、又大東亞戰爭ニ要スル軍專費ハ、
過日臨時軍事費ニ要スル追加案トシテ御協
贊ヲ得タ通リ二百七十億圓デアリマスル
カラ、之ヲ昭和十八年度一般會計歲出豫
算額ニ加ヘマスレバ、通計四百二億七千五
百餘萬圓、此ノ內兩會計間ニ於テ重複致シマ
スル金額ヲ差引キマスレバ、三百六十億三
千五百餘萬圓ト相成ルノデアリマス、尙又
公債收入ハ、一般會計ニ於ケル金額ノ外、朝
鮮豪灣、帝國鐵道、通信事業、及政府出資
各特別會計ニ於ケル分トシテ、十億五千餘
萬圓ヲ計上致シテ居リマスルカラ、昭和十八
年度豫算ノ歲出財源タル公債發行豫定額ハ、
臨時軍事費關係ノ分ヲ假ニ併セテ計算致シ
マスレバ、二百十四億二千餘萬圓ニ相成ル
ノデアリマス、次ニ經濟金融ニ付申上ゲマ
ス、大東亞戰爭勃發以來玆ニ一年有餘、此
ノ間、我ガ國經濟界ハ、其ノ基礎微動ダモ
セズ愈〓鞏固ヲ加ヘ、國策ノ嚮フ所ニ協力致
シマシテ、有ラユル困難ヲ克服シ、以テ物的戰力
充實ノ爲、戰爭生產ノ增强ニ邁進致シテ居ル
ノデアリマス、斯クノ如ク銃後經濟界ガ其
ノ本分ヲ盡シ得ル所以ノモノハ、實ニ御稜
威ノ下、我ガ忠誠勇武ナル陸海軍將兵ノ善
謀勇戰ノ賜デアリマシテ、衷心ヨリ感謝ヲ
捧ゲル次第デアリマスガ、又他ノ一面銃後
經濟界ニ於キマシテ、經營ニ、資金ニ、勞
務ニ、技術ニ、ソレ〓〓職域奉公ニ精進ス
ル國民ノ熱誠ニ對シ、深ク敬意ヲ表スルモ
ノデアリマス、昨年中ニ於テ我ガ金融界ハ、
此ノ曠古ノ大戰爭下ニ在リテ、戰費ニ、生
產資金ニ、未曾有ノ巨額ナル戰時需要ノ要
請ヲ充足シナガラ、而モ終始平穩ニ經過シ
タノデアリマシテ、政府資金ノ撒布ハ、戰
費ノ激增ニ伴ヒ、著シク增加致シマシタニ
モ拘ラズ、資金ノ調整其ノ宜シキヲ得マシ
テ、其ノ吸收、蓄積ハ順調ニ行ハレ、又金
利水準モ、政府ノ方針通リ、極メテ平靜ニ
維持セラレテ居リマスルノミナラズ、益〓其
ノ平準化ニ進ミツヽアル情況デアリマス、玆
ニ昨年中ニ於ケル主要ナル金融上ノ指標ニ
付テ申上ゲテ見マスルナラバ、日本銀行券
ノ平均發行高ハ五十二億五千六百餘萬圓、
又其ノ昨年末ニ於ケル最高發行高ハ、七十
四億四千七百餘萬圓デアリマシテ、一昨年
ノソレ〓〓ノ計數ニ比較致シ、何レモ約十
一二億圓程度ノ增加ニ當ッテ居ルノデアリ
マスルガ、昨年、殊ニ下半期ニ於ケル發行
高ノ增加率ハ、國債ノ發行額及戰費支拂額
ノ急激ナル增加ニモ拘ラズ、從前ノ增加率
ニ比較ツテ、寧ロ減少ノ傾向ヲ示シテ居ル
ノデアリマス、又資金蓄積ノ情況ハ、銀行
預金ニ於テ、當座預金ヲ除キ、眞ニ蓄積ノ
性質ヲ有スルモク、七十九億九千七百餘萬
圓、郵便貯金ニ於テ三十億千百餘萬圓、其
ノ他、各種ノ蓄積ニ於テ、百三億九百餘萬
圓合計二百十三億千七百餘萬圓ノ增加ヲ
示シテ居ルノデアリマス、新規產業資本ノ
調達モ順調ニ行ハレマシテ、社債新規發行
額ハ二十七億六千五百餘萬圓ニ上リ、又株
式ニ付キマシテハ其ノ新規拂込金額三十億
圓ヲ超エ、其ノ價格モ大東亞戰爭以來〓ネ
好調デアリマス、尙政府ニ於キマシテハ、
有價證劵、特ニ株式ニ付キマシテ其ノ價格
ノ適正及安定ヲ圖リ、且其ノ流通ノ圓滑ヲ
期スルコトガ、戰時下經濟秩序ヲ維持シ、
生產增强ニ支障ナカラシムル爲、極メテ必
要デアルト認メマシテ、今般現在ノ取引所
ヲ根本的ニ改組シ、日本證劵取引所ヲ設立
スルコトト致シ、別途之ニ關スル法律案ヲ
提出致シテアリマス、次ニ戰時財政金融ノ
中核ヲ爲ス國債ニ付キマシテハ、昨年中ニ
於ケル發行額ハ百三十三億二千百萬圓ニ上
リ一昨年ニ比較致シ實ニ四十五億三千九
百萬圓ノ增加ニ當ルノデアリマスルガ、同
年中ニ於ケル之ガ消化ノ實績ハ、百二十八
億千八百餘萬圓ニ達シ、消化率九割六分二
厘ヲ示シテ居ルノデアリマス、之ヲ支那事
變以來一昨年末迄ノ平均消化率八割二分八
厘、又一昨年ノ消化率八割二一分九厘ニ比較
致シマシテ、遙カニソレヲ超過致シテ居リマ
ス、支那事變以來最良ノ好成績ヲ示シテ居ル
ノデアリマス、支那事變ニ比シ、其ノ規模ガ
登驛的ニ擴大致シマシタ大東亞戰爭下ニ於
テ、我ガ國經濟金融ニ關スル主要ナル指標ガ、
以上申上ゲマシタ如ク從前ニモ增シテ良好
デアリマスコトハ、戰力增强ニ必要ナル國家資
金ノ蓄積及配分ニ關スル計畫竝ニ其ノ實施
ガ、所期ノ目的ヲ達シツヽアルコトヲ示ス
モノデアリマス、誠ニ邦家ノ爲御同慶ニ堪
ヘナイ次第デアリマス、偖我ガ國經濟金融
界ハ、右申述ベマシタル如ク今日迄極メテ
順調ニ推移シテ參ッタノデアリマスガ、戰局
ノ進展ニ伴ヒ、各般ノ事態ハ益〓重且大トナ
リ、殊ニ只今申述ベマシタ通リ昭和十八年
度ノ豫算ハ誠ニ空前ノ巨額ニ達シテ居ルノ
デアリマス、資金ヲ國家的ニ動員活用スル
部面モ更ニ擴大致シテ居ルノデアリマスカ
ラ、今後ノ經濟金融ノ運營ハ、一層重大ヲ
加ヘテ參ルノデアリマス、而シテ〓戰ノ戰
果ハ、我ガ戰爭經濟ノ基盤ヲ大東亞ノ全域
ニ擴大シ、經濟的ニモ必勝不敗ノ態勢ガ其
ノ基礎ヲ確立致シテ居ルノデアリマス、今
後是ガ運營ノ要點ハ、此ノ地域內ニ於ケル
有ラユル人的、物的資源ヲ總動員シ、最モ
能率良ク之ヲ活用シテ、以テ戰力ノ增强ヲ
圖ルコトニ在ルノデアリマス、是等ニ關ス
ル我ガ國戰爭經濟ノ運營ニ付、數箇ノ點ニ
關シテ申述ベタイト存ズルノデアリマス、
先ヅ大東亞共榮圈ニ關スル經濟金融ニ付、我
ガ國ヲ中心トシテ〓觀致シマスルニ、滿洲
國及ビ中華民國ハ、我ガ國トノ一體的協力
ノ下ニ、重要國防資源ノ開發等各般ノ經濟
建設ニ邁進致シテ居リマス、又「タイ」國及佛
領印度支那ト我ガ國トノ物資交流モ、愈〓堅
實ニ發展シツヽアリマス、何レモ大東亞建設
ノ爲ニスル我ガ戰力ノ增强ニ多大ノ寄與貢
獻ヲ致シテ居ルノデアリマスコトハ、誠
欣快ニ堪ヘザル所デアリマス、我ガ國ト致
シマシテハ是等各地域ノ經濟ノ發展ニ對
シ、十分ナル協力ヲ爲スモノデアリマシテ、
滿洲國及中華民國ニ對シテハ、昨年中二十
一億圓、支那真變以來合計七十一一億圓ノ投
資ヲ爲シ來ッタノデアリマス、又通貨ノ健全
ナル發達ガ經濟發展ノ基礎ヲ成スモノデア
ルコトニ顧ミマシテ、「タイ」國ニ引續キ、
中華民國ニ對シマシテモ、通貨金融安定ノ
爲ノ借款ヲ供與致シタノデアリマス、特上
中華民國ニ對シマシテハ、同國ノ參戰ヲ機會
ト致シマシテ、一層經濟協力ヲ密接ナラシ
ムル方針デアリマシテ、後ニ申述ベマスル
敵產處理ノ問題ニ付キマシテモ、此ノ觀點ヨ
リ特殊ノ考慮ヲ爲スコトト致シテ居リマス、
南方占領地域ニ於キマシテモ、其ノ豐富ナ
ル資源ノ開發利用ハ、軍官民ノ努力ト、現
地住民ノ協力トニ依リ、漸次活潑トナリ、重
要軍需物資ノ現地調辨ノ程度モ大イニ增加
致シテ參ッテ居ルノデアリマシテ、今ヤ是等
ノ諸地域ハ、共同共通ノ目的デアル米英擊
滅ノ爲必要ナル我ガ戰力ノ增强ニ協力致
シツヽアル次第デアリマス、之ニ伴ヒ南方開發
金庫ノ業務モ大イニ擴充致シ、又本邦諸銀
行ノ機能モ此ノ地域ニ漸次進展致シテ參ッ
テ居リマス、此ノ經濟建設ノ進行ニ伴ヒマ
シテ、政府ハ今般南方占領地域ニ於ケル經
濟開發、竝ニ現地軍費支拂等ノ爲ノ所要資
金ノ圓滑ナル供給ヲ圖リマス爲、南方開發
金庫ヲシテ、新タニ發劵業務ヲ行ハシムル
コトト致サムトスルノデアリマス、之ニ依
リ政府ハ、今後現地ニ於テ支出セラルヽ軍
專費所要資金ノ一部ヲ、南方開發金庫ヨリ
ノ借入ニ依リ調辨スルコトニ相成ルノデア
リマスルガ、本施策ハ、我ガ經濟力ノ基盤ガ
共榮圈內ニ著々トシテ擴大スルニ照應シテ、
我ガ財政ニ對スル南方占領諸地域ノ協力モ
漸次進展シ來ッタルコトヲ示スモノデアリ
マシテ、共榮圈ヲ基盤トスル財政ハ漸次確
立セムト致シテ居ルノデアリマス、右申述
ベマシタル外、共榮圈ニ關スル主要ナル經
濟金融問題ニ付キ說明致シマスレバ、第
ハ敵產處理ノ問題デアリマス、皇軍ノ赫
赫タル戰果ニ依リ、大陸及ビ南方ノ作戰地
域ニ於キマシテ、莫大ナル數額ニ上ル敵產
ガ我ガ國ノ有ニ歸シ、又ハ我ガ國ノ勢力下
ニ置カルヽコトトナッタノデアリマスガ、政
府ニ於キマシテハ今般特殊財產資金特別會
計ヲ設置シ、敵產ハ〓ネ之ヲ特殊財產ト致
シ本資金ニ歸屬セシメタル上、之ヲ運用ス
ルコトト爲シ、仍テ以テ生產增强及ビ軍事
上ノ用途ニ之ヲ役立タシメ、我ガ戰力ノ擴
充ト、我ガ戰時財政力ノ補强トニ資セシム
ルコトト致シタノデアリマス、第二ハ、共
榮圈內交易ノ計畫的運營ニ關スル問題デア
リマス、卽チ今般新タニ交易營團ヲ設置シ、
之ヲシテ交易ノ統制的運營ヲ爲サシムルト
共ニ、爲替交易調整特別會計ヲ設置致シマ
シテ、物資交易上生ズル一切ノ差損差益ハ、
國家ノ收支トシテ此ノ特別會計ニ歸屬セシ
メ其ノ收支ヲ綜合經理スルコトトシ、以テ
計畫交易ノ實現ヲ確保シ、併セテ共榮圈內
ノ爲替及物價政策ノ遂行ニ資スルコトト致シ
タノデアリマス、第三ハ、共榮圈內ノ決濟制度
ニ關シ、日本圓ニ依ル綜合決濟方式ヲ全域ニ
及シ得タコトデアリマス、卽チ滿洲國、中華民
國及ビ「タイ」國ニ於キマシテハ、旣ニ此ノ新
シキ決濟方式ノ圓滑ナル運行ヲ見テ居ルノデ
アリマスガ、今般佛領印度支那ニ於キマシテ
モ、新シキ日佛間ノ協定ニ依リ、從來ノ金又
ハ米英貨ニ依ル方法ヲ改メ、圓ニ依ル決濟
方式ヲ採ルニ至リ、玆ニ大東亞全域ニ亙リ、
我ガ國核ハトスル仝副圈ノ確立ヲ見ル
ニ至ッタノデアリマス、次ニ曩ニ外務大臣ヨリ
モ說明ノアリマシタ通リ、我ガ國ト盟邦獨
伊兩國トノ間ニ於テ、新タニ成立致シマシ
タ經濟協力ニ關スル協定ニ基キ、「ドイツ」トノ
間ニ貿易、技術竝ニ金融協力ニ關スル取極
ガ締結セラレタノデアリマス、盟邦トノ友
好關係ハ近來愈。緊密ノ度ヲ加ヘツヽアルノ
デアリマスガ、今囘ノ協定ニ依リ、東西ノ
盟邦間ノ物資ノ交流竝ニ金融的關係ハ割期
的ノ進展ヲ爲スモノデアリマシテ、玆ニ
ハ我ガ國ヲ中心トスル東方ノ大東亞經濟圈
ト、他ハ歐洲盟邦ヲ中心トスル西方ノ大經濟
圈トガ、愈〓密密ニ聯繫セラルヽコトトナリ、
世界全般ノ公正ナル新秩序ノ招來ニ貢獻ス
ル爲、東西兩經濟圈ノ緊密ナル協力ニ關ス
ル基礎ガ確立セラレタノデアリマス、續イ
テ國內問題ニ付テ一言致シマス、國內ニ於
ケル戰時經濟政策ノ要點ハ、戰時國民生活
ヲ確保スルト共ニ、國家經濟ノ全般ノ秩序ヲ
維持シツヽ其ノ全力ヲ戰力ノ强ニ傾注
セシムルニアリマスコトハ、旣ニ屢〓山述べ
マシタ通リデアリマスルガ、資金的ニ之ヲ
見マスルナラバ、國家資金ノ增加ヲ〓リマ
スルト共ニ、其ノ配分ヲ物的戰力ノ增强ノ
要請ニ適合セシムルコトデアリマス、元來
國家資金ハ、生產ニ因ッテ發生スルノデアリ
マスルガ故ニ、国家資金ノ增加ヲ圓ルコト
ハ卽チ生產ノ增加ヲ門ルコトデアリマス、而
シテ戰爭以前ノ經濟ニ於キマシテハ、生產ノ
大部分ガ國民ノ消費物資ヲ對象ト致シタモ
ノデアリマシタカラ、國家資金ハ主トシテ
國民消費ニ向ケラレマシテ宜シカッタノデア
リマス、併シナガラ戰爭經濟ノ下ニ在リマ
シテハ、生產ガ戰爭物資ノ生產ニ轉換致シ
マスル結果、國家資金ハ其ノ大部分ヲ戰爭
物資ノ購買ノ爲ニ振向ケルヤウニ致サナケ
レバナリマセヌ、然ラザレバ物資ト資金ト
ノ均衡ヲ失ヒマシテ、、弦ニ惡性「インフレー
ション」ノ端ヲ發スルノデアリマス、資金ノ
蓄積及配分ノ計畫ハ、此ノ見地ニ依ッテ、資
金ヲ戰爭遂行ト戰爭生產增强ノ爲必要ナル
使途ニ還元セシムルコトヲ目標トシテ策定
セラルベキデアリマシテ、之ガ實現ノ最モ
重要ナル方途ハ國民貯蓄ノ增强デアリマス、
國民貯蓄增加ノ趨勢ハ、支那事變以來、國
民一致ノ努力ニ依リ順調ナル經過ヲ辿リ、
昨年十二月迄ニ旣ニ六百七十億圓ヲ超ユル
蓄積ヲ成シ遂ゲタノデアリマス、之ニ依ッ
テ三百五十億圓ニ近キ國債ヲ消化ジ、三百億
圓ヲ超ユル生產力ノ擴充ヲ爲シ、以テ我ガ
財政經濟ヲシテ能ク戰爭ノ要請ニ應ヘシメ
來ッタノデアリマス、昭和十七年度ニ於ケ
ル國民貯蓄ノ增加目標額二百三十億圓ニ對
シ、上半期ノ實績ハ百九億三千四百萬圓デ
アリマシテ、日標額ノ半バニ達セズ、第二
四半期ニ於テ稍〓不振ヲ思ハシムルモノガアッ
タノデアリマスガ、第三四半期ニ入ルヤ
漸次恢復致シ、同期中ニ於ケル蓄積額ハ七
十億圓ニ垂ントスル成績ヲ示シタノデアリ
マス、併シナガラ十七年度ニ於ケル二百三
十億目標額ノ達成ノ爲ニハ、更ニ一段ノ努
力ヲ要スルモノト存ジテ居リマス、昭和十
八年度ニ於キマシテハ、所要財政資金約三
百十億圓ノ外、生產擴充資金約六十億圓ヲ
加へ、國家的所要資金ノ約三百七十億圓ト
見積ラレマスル處、右ノ中、租稅及同樣ノ
性質ヲ有スル國民負擔ハ、約百億圓デアリ
マスルカラ、之ヲ差引セマシタ約一一百七十
億圓ハ、國民貯蓄ノ增强ニ依ッテ初メテ支
辨シ得ルノデアリマス、從ッテ昭和十八年
度ノ國民貯蓄ノ目標額ハ、之ヲ二百七十億
圓ト看做シテ宜シイト思フノデアリマス、
又他面ニ於キマシテ、昭和十八年度ノ國民
所得ハ大約五百億圓ト見積ラレマスルガ、
右申述ベマシタ通リ國家的所要資金ハ約三
百七十億圓デアリマスルカラ、國民ノ消費
生活ニ充テ得ル資金ハ約百三十億圓ニ止ル
コトトナルノデアリマス、換言致シマスレ
バ全國民所得ノ中、七割五分ニ近イモノ
ガ國家目的、卽チ戰爭遂行ニ集中サレナケ
レバナラナイノデアリマス、此ノ見地ヨリ
致シマシテモ、國民貯蓄增强ノ爲ニハ、今
後官民共ニ一層ノ力ヲ盡スコトガ必要デア
ルノデアリマス、政府ニ於キマシテモ、國
民ノ勝タムトスル熱意、ヨリ盛リ上ル貯蓄增
强運動ニ期待致シマスルト共ニ、此ノ國民ノ
澎湃タル熱誠ニ應へ、貯蓄增强ノ目的達成
ノ爲、有ラユル方策ヲ實施セムトスルモノ
デアリマス、今期議會ニ於キマシテモ此ノ
趣旨ニ依リ法律案ヲ提出致シマシタ次第デ
アリマス、國民貯蓄增强ノ要諦ハ、國民所
得ノ增加ト國民消費ノ節約トデアリマス、
國民所得ノ增加ハ卽チ國民勤勞ノ强化デア
リ、國民消費ノ節約ハ卽チ國民生活ノ徴底
セル戰時化ニ依リ得ラルヽモノデアリマシ
テ、ソレハ結局從來國民ノ消費生活ニ充テ
ラレタル物資、勞力、資金等ヲ、能フ限リ
戰力增强ノ爲ニ轉換集中スルコトニ外ナラ
ナイノデアリマス、之ヲ實現致シマスル上ニ
於キマシテハ、物心兩面ニ各種ノ困難苦痛
ヲ伴フベキコトハ勿論デアリマスルガ、從
來示サレタル忍苦敢鬪ノ精神ヲ更ニ一層振
ヒ起シテ、之ガ完遂ヲ期セラレタイノデア
リマス、私ハ戰時ニ於ケル國民生活ノ本質
ハ、國民ガ其ノ私生活及職域奉公ノ生活ヲ
通ジテ、其ノ一切ヲ國家目的ニ合一シ貢獻
スル所ニ在ルト考フルノデアリマス、卽チ此
ノ場合、國民ノ消費生活ハ必然的ニ緊縮セ
ラレ、國家目的ノ達成ノ爲ニ一切ノ安逸ト
浪費トハ之ヲ拾テ去ラナケレバナラヌノデ
アリマス、卑近ニ申シマスルナラバ、斯クノ
如キハ生活ノ切下ゲトデモ中スベキデアリ
マセウ、併シナガラ皇國國民精神ノ眞髓ニ
徹底底シマスルナラバ、乏シキニ堪へ、質
實簡素ナル生活ニ安住シ、而モ潑剌タル意
氣ヲ以テ勇躍圖難ヲ突破シ、國運ノ興隆ニ
挺身スルコトコソ惟神彌榮ニ行ク我ガ國
民生活ノ眞ノ姿デアルト思フノデアリマ
ス、我ガ國民ノ眞ノ强味ハ、一死報國ノ氣
魄ニ依ツテ生ルヽ强靱ナル精神力デアリマ
ス、此ノ精神力ガアレバコソ、如何ナル惡
條件ヲモ克服シテ、物的戰力ノ增强ヲ成シ
遂ゲ得ルノデアリマス、ソコニハ絕大ノ努
力ガ要請セラレ、幾多ノ苦難ガ橫ハリマシ
テモ、ソレコソ畢竟勝ツ者、榮ユル者ノ、
勝ツ爲、榮エムガ爲ニ履ムベキ階梯デアリ
マス、明日更ニ御奉公ヲ盡サムコトヲ思ヒ、
又次ノ時代ノヨリ輝カシキ興隆日本ノ姿ヲ
思フトキ、我々皇國臣民ハ今日生キルコト
ニ無限ノ光榮ト勇氣トヲ覺エ、一切ノ努力
ト忍苦トヲ國家ニ捧ゲテ、今次征戰ノ目的
完遂ニ邁進セムトスルモノデアリマス、終
リニ臨ミ政府提出ノ豫算案ニ付キマシテ
ハ、何卒速カニ御審議ノ上、協賛ヲ與ヘラ
レムコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=5
-
006・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 國務大臣ノ演說
ニ對シ、質疑ノ通告ガゴザイマス、是ヨリ
許可ヲ致シマス、田中館愛橘君
〔田中館愛橘君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=6
-
007・田中館愛橘
○田中館愛橘君 今世界歷史有ッテ以來ノ
重大ナル時局ニ當リ、本議會ニ於キマシテ
各方面ニ亙ル質疑ニ對シ政府ハ明快ナル御
答辯ヲ下サレマシテ、我ガ國策ノ大方針ガ
儼トシテ動カザルコトヲ中外ニ表明致シマ
シタコトハ、御同慶ノ至リニ存ジマス、唯
國民精神ノ宿リマス所ノ國語國字ニ對シテ
ハ、未ダ之ヲ伺フ機會ヲ得マセヌカラ、之
ニ付テ一二ノ質疑ヲ致シマシテ、政府ノ御
意見ヲ伺ヒマス、昭和十六年一月、第七十
六議會ニ於キマシテ、本員ノ質疑ニ對シ、
政府ハ次ノ如ク言明セラレタノデアリマ
ス、國語國字問題ノ整理統一ハ、國民精神ノ
統一振作上、極メテ重要ナル問題ト考ヘテ
居リマス、從ッテ現下ノ錯雜混亂セル國語
國字ヲ調査〓究致シマシテ、之ヲ整理統一
スルコトハ焦眉ノ急務デアルト信ジテ居リ
マス、併シ國語國字問題ノ解決ハ、學術的
〓究調査ノ基礎ノ上ニ立チマスルト共ニ、
實際ニ卽セシムル要ガアルノデアリマス、
且國語ノ歷史的傳統竝ニ將來ヘノ發展性ヲ
併セ考慮致シマシテ、愼重ニ行フコトガ肝
要デアルト存ジマス、從ッテ文部省ニ於キ
マシテハ、先般國語審議會ヲ擴充致シマス
ルト共ニ、國語課ト云フモノヲ新設致シマ
シテ、兩者協力ノ上調査〓究ヲ促進致シマ
シテ、成案ヲ得次第之ヲ實行ニ移スベク期
シツヽアル次第デゴザイマス、斯ノ如キ政
府ノ御考ト共ニ、一般國民モ近年國語國宇
問題ニ目覺メマシテ、新聞雜誌等之ヲ論ゼ
ザルモノノナキ有樣ナルコトハ御承知ノ通
リデアリマス、或有力ナル衆議院ノ議員
ハ、此ノ問題ノ解決ニ對シテハ、宜シク數
千萬圓ノ發算ヲ立テ速カニ解決ノ途ヲ講ズ
ベキデアル、ト論ジテ居リマス、政府ガ焦
眉ノ急務ト言明サレマシテカラ、只今ハ滿
二箇年餘ニ相成リマス、其ノ間ニ文部省ノ御
努力ニ依ッテ解決サレタト見ルベキモノ
ハ、常用漢字ノ制定ダケト思ヒマス、假名
遣問題ノ如キハ今ニ制定ヲ見マセヌ、本員
ノ考ヘマス所デハ、若シ常用假名遣ヲ制定
セラレマシタナラバ、漢字ノ制限或ハ節約
ノ如キハ自然ニ行ハレルコトト思ハレマ
ス、平安朝時代ノ古イモノト現代ノモノト混
用ニ委セテ居ル有樣デアリマス、之ヲ解決
スルノニハ、相當ノ豫算ヲ組マレテ、所謂
焦眉ノ重大間題ノ解決ニ御掛リニナラウト
期待致シマシタガ、如何ナル御都合カ、是
ハ見當リ兼ネマス、勿論言語、文字ハ、單
ニ簡單デアルトカ、便利デアルトカダケハ
唯其ノ一面ニ過ギマセヌ、傳統、慣例等ヲ
篤ト考ヘルベキハ、政府ノ仰シヤル通リデ
アリマス、サリナガラ傳統慣例ハ、時ト共
ニ變遷致シマスカラ、之ニ應ジテ言語文字
ノ改良修正モ行ハナケレバナリマセヌ、何レ
ノ國語ニ致シマシテモ、是等ノ修正ハ一時ニ
實行スルコトハ困難デ、數囘ノ段階ヲ經マス
コトハ、歷史ノ示ス通リデアリマス、我ガ國ニ
於テモ、或時代ニハ濁音ヲ避ケテ假名ヲ使ッ
タ時代エアリマスガ、言語ノ發達ハ、此ノ濁音ガ
必要〓クベカラザルモノト相成リマシタ、例へ
バ「テニヲハ」ノ「テ」ト「デ」デハ全ク音味ノ反對
ニナルコトガアリマス、右名ナ月ヲ眺メテ感
想ヲ現シマシタ歌ニ、「我ガ心慰メ兼ネキ更
科ヤ姥拾山ニ出ル月ヲ見テ」ト云フノヲ、盲ガ
聞キマシテ、此ノ終リノ「テニヲハ」ダケヲ
變ヘマシテ、「我ガ心慰メ兼ネキ更科ヤ姥
拾山ニ出ル月ヲ見デ」「見ナイデ」ト「見テ」ト
唯濁音符一ツダケデ意味ガ全ク反對ニナリ
そう、今回ノ議會ニ出マシタ法律案ノ校正
ヲ見マスルト、皆樣モ御覽デアリマセウ
ガ、或所ニハ「ベカラズ」ヲ「ヘカラス」ト直
スト書イテアリマス、他ノ所ニハ「ヘカラ
ス」ヲ「ベカラズ」ト直ス、「アラザル」ヲ「ア
ラサル」ニ直ストカ、「アラサル」ヲ「アラ
ザル」ニ直スト云フヤウナコトガ書イテア
リマス、或所デハ「揭グ」ヲ「揭ク」ト直
スト云フコトガ出テ居リマス、「揭ク」ト云
フ言葉ハ、大言海ヲ見マシテモ又他ノ現代
語ノ辭書ヲ見マシテモアリマセヌ、斯クノ
如キハ政府モ言ハルヽ通リ全ク錯雜混亂デ
アリマス、法律ハ、之ヲ讀メナイカラト言ッ
テ罪ヲ免ルヽコトハ出來ナイサウデアリマ
スガ、是等ノ文字書式ヲ整理統一シテ、誰
ニデモ讀メルヤウニスルコトハ、矢張リ焦
眉ノ急務デアリマスマイカ、勿論、古典ハ
古典トシテ之ヲ尊重スルコトハ、音節文字
ノ假名ヲ主張スル諸君モ、音素文字ノ「ロー
マ↓字ヲ主張スル諸君モ、古典學者ト同樣
デアリマス、古典的文字ト其ノ用法ハ廢ス
ベキモノデモナク、又廢サレ得ルモノデモ
アリマセヌ、適當ノ專門家ニ依ッテ保存サ
レレバ、其ノ廢滅ハ少シモ心配ニ及ビマセ
ヌ、次ニ「ローマ」字ニ付テ一應伺ヒマス、「ロー
マ」字ノ必要ナルコトハ政府モ御認メニ
ナリマシテ、國民學校デ適當ニ之ヲ〓ヘル
御考ヲ言明サレテ居リマス、然ルニ近頃
動モスレバ「ローマ」字ナル文字ヲ敵性文字
ト心得マシテ、故ラニ之ヲ避クルモノガア
リマスコトハ甚ダシキ誤リデアリマス、英
語ノミ一點張リニ學ビマシタ者ハ、「ローマ
字ト言ヘバ之ヲ革國ノ文字ト思ヒマスガ、
トンデモナイ間違デアリマス、「ローマ」字ハ
我ガ同盟國「イタリヤ」ノ都「ローマ」カラ發
生シタ文字ナルコトハ其ノ名前ノ示ス通リ
デ、「イタリヤ」ハ之ヲ國ノ誇リトシテ居リマ
ス、之ノ使ヒ方ハ、英語ニ於テ最モ拙劣デ
アリマス、英國人自身ガ旣ニ之ニ呆レマシ
テ、百年餘リ前カラ改正ヲ企テマスケレド
モ、民衆政治ト申シマスカ愚民政治ト申シ
マスカ、何モ彼モ多數ノ意向ニ依ッテ事ヲ決
スル國柄デハ、識者ノ意見ノ採用サレルコ
トハ容易デアリマセヌ、此ノ拙劣ナル綴リ
方ニ依ッテ、英語ヲ學ビマシタ者ガ、ソレガ
世界的ノ綴リ方デデモアルカノヤウニ心得
テ、之ニ隨從シ、「ヘボン」式ナル英語式ヲ以
テ我ガ國語ヲ綴ラムト固執スル者ノ未ダニ
絕エザルハ誠ニ遺憾デアリマス、或經濟家
ガ南方視察ノ後、話シマスノニ、訓令式、
卽チ「ローマ」字綴リ方ノ訓令デアリマス、
訓令式デハ英語ヲ使ヒ慣レタ者ニ書イテ示
シテモ、サウ讀ミマセヌ例へバ「待ッテ居ル」ト
云フトキノ「待ッテ」ト、「テー」ヲ二ツ書イテモ
英語デ「マター」ト云フヤウニ「テー」一ツノ
如ク讀ミマシテ「マテ」ト讀ミマスカラ、
「待ッテ」ト云フコトヲ「待テ」デハ命令法ニ
ナッテシマッタ、ト云フヤウナコトヲ申シマ
スカラ、私ハ、英語ハ「ローマ」字綴リ方ノ
最モ拙劣ナルモノデアルカラ、アレヲ定規
ニスルコトハ出來マセヌ、「アッテンションL
ダトカ、「アッテンプト」ト云フヤウナトキ
ニハ、日本式ノ如ク促音ニ讀ムデハナイカ、
日本式ニ於テハ、子音ヲ二ツ書ケバ例外ナク
促音ニ發看ルト云フコトヲ〓ヘレバ宜シイ
ト申シマシタガ、兎角、英語ノ使ヒ癖ニ
浸リ切ッテ居リマス者ハ、此ノ如ク正シキ
モノト間違ッタモノトヲ履キ違ヘルコトガ
アリマス、之ヲ直スト云フヨリハ、寧口之
ヲ避ケル爲ニハ、本員ノ考ヘマス所デハ、
英語ヲ〓ヘルニ先ダッテ、一先ヅ日本語ノ
ㄱローマ」字書キ方ヲ〓ヘマシテ、ソレカラ
英語ナリ其ノ他ノ外國語ナリヲ〓ヘマシタ
ナラバ、只今ノヤウナ誤解ハ避ケラレルト
思ヒマス、昨年文部省ガ中等學校〓科書カ
ラ「ヘボン」式ヲ一掃サレマシタコトハ、誠
ニ機宜ニ適シタル御處置デアルト存ジマス、
之ヲ一步進メテ、只今申シマシタヤウニ、一
通リ國定ノ訓令式ヲ〓ヘテカラ外國語ヲ〓
ヘルヤウ御取計ラヒ出來マスマイカ、少ク
モ今南方占領地へ送ル多數ノ國語〓員ニ此
ノ事ヲ能ク御含メ下サルコトヲ希望致シマ
ス、此ノ點ニ付キマシテモ御當局ノ御考ヲ伺
ヒタウゴザイマス、國運ノ世界發展ニ從ヒマ
シテ、外國電報モ年々增加致シマス、今更
ㄱローマ」字ノ效能ヲ說クノデモアリマセヌ
ガ、「ローマ」字ハ母音、子音ヲ分ケテアリマ
ス爲ニ、語法文法ノ內容ヲ明カニスルニ便利
デアリマスト共ニ、又機械的ニ於キマシテモ、
之ヲ以テ「タイプライター」ノ速記ガ出來マ
ス、只今旣ニ日本語ノ「タイプライター」ノ速
記ヲ先達テ或會デ實行致シマシタ、又先年遞
信省ニ於テ自動高速送信機、卽チロデ喋ルノ
ノ數倍ノ早サヲ以テ電信ヲ送ラレル機械デア
リマス、之ヲ用フルニ當リマシテ、百數名ノ
署名ヲ以テ週信大臣ニ建議致シマシタ、此
ノ高速度通信機ヲ御用ヒニナルニハ、「ロー
マ」字ヲ御用ヒニナル方ガ遙カニ簡單ニ參
リマス、其ノ當時ハ孔ヲ三ツ開ケル所ヲ、
假名ハドウシテモ四ツ開ケナケレバ出來ナ
イト云フコトデアリマシタ、今日ハ五ツト
六ツト云フヤウニナッテ居リマシテ、別々
ニ「ローマ」字ノ機械ト假名ノ機械ト重複サ
シテ居リマスガ、私共ハ其ノ當時ノ建議デ
ハ、電報ニハ「ローマ」字ヲ御使ヒニナッテ、
配達ハ假名ニ飜譯シテ配達サレテモ宜カラ
ウ、明治ノ初年ニハ、假名ノ電報ヲ漢字混
リニ飜譯シテ配達シタコトガアリマス、是
等ニ鑑ミテモ不可能デハナカラウト思ヒマ
ス、チヨット素人考ニハ、電報デモ或ハ書キ
物デモ、「ローマ」字ハ假名一ツノ所ヲ二ツ
書クカラ長クナラウトハ普通ニ思フノデア
リマス、併シ實際ニ行キマスト云フト、電
報ニ於キマシテ二十六ノ記號-點ト棒ノ
記號-ヲ作リマシテ、其ノ先ノ五十音ノ
殘リト濁音、半濁音、撥音等ノ記號ニナリ
マスト云フト、是ハ段々長イ記號ニナラナ
ケレバナリマセヌ、ソコデ先年海軍デ、二
百通餘リノ普通電報ヲ假名デ書キ、「ロー
マ」字デ書キシテ、比較致シマスルト云フ
ト細カイ數字ハ拔キマスガ、結局長サハ
ㄱローマ」字ノ方ハ三·三「ペルセント」短クナ
ル、假名ノ方ガ三「ペルセント」以上長クナ
リマス、今日ハ殊ニ南方諸方モ開ケ、又民
間ニ於キマシテモ、軍部ニ於キマシテモ、
通信ハ非常ニ重大ナル間題デアリマシテ、
是等ニ從事スル多數ノ者ノ〓育ニ付キマシ
テモ、少ナカラザル費用ト勞力ガ要ルノデ
アリマス、若シモ電報ニ用フル記號ヲ一元
化シマシテ、電信記號ハ「ローマ」字トナス
ト云フコトニナリマスレバ、〓育ニ要スル
時間ニ於テ三分ノ一ニナル譯デアリマス、
是モ御當局ノ御考ニナッテ宜シイ問題デア
ラウカト思ヒマス、立チ歸リマシテ、國字
整理ハ〓育年限短縮ト離ルベカラザル問題
デアルト思ヒマス、政府ガ仰セノ如ク錯雜
混亂セル現在ノ國字ニ斷然タル徹底的整理
ヲ施スコトハ、急ニハ勿論ムツカシイノデ
アリマセウガ、尠クモソレニ向ッテ御進ミニ
ナルコトハ、現在行ハレテ居ル所デアリマ
セウガ、若シモ斷然タル整理ヲシテ表音文
字ヲ用フルト云フヤウナコトニナリマスレ
バ、自然的ニ〓育年限ハ二箇年ヲ短縮スル
コトガ出來ルカト思ヒマス、ト云フノハ、
盲人ニ小學讀本ヲ〓ヘマスノニ、六年間ノ
讀本ヲ四年間デ盲人ガ覺エテシマフノデア
リマス、是ハ文字ト云フコトガ無イカラデ
アリマスガ、勿論是ダケデハ濟ミマセヌカ
ラ外ニ盲人以上ノコトモアリマスケレドモ、
兎ニ角盲人ハ四年デ六年間ノ修業ヲ終ルト
云フコトニナッテ居リマス、盲人ノ使フ點字
ト云フノハ、所謂音素組織デ、子音、母音ノ
組立ニ依ッテ出來テ居リマス、靑年ノ間ノ二
年ノ效力ハ、老年ノ者ノ二年トハ、數倍ノ
値ガ違ヒマス、每度例ニ出シマスガ、歐米
ノ有名ナル大家ハ二十歲未滿ニシテ頭角ヲ
現シ、一般世界ニ知レ渡ル論文ヲ出シテ居
リマス、「ラディムム」ノ發見者ノ一人「キュー
リー」氏ガ理科大學ヲ卒業シタノハ十七
歲日本ノ年デ十八歲デアリマス、只今
中學ヤ高等學校ノ年限ヲ如何ニ縮メマシテ
モ、十八歲デ理科大學ヲ卒業スルヤウナコ
トニハ、マダ程遠イノデアリマス、是ハ何
故ニ斯ウ云フ結果ガ得ラレルカト申シマス
レバ、通用文字ノ簡單ナ爲ニ、讀書力ガ速
カニ付キマシテ、之ニ依ッテ獨學デ學力ヲ養
フコトガ出來ルカラデアリマス、此ノ時局
ニ當リマシテ少壯潑剌夕ル靑年諸士ガ、其
ノ若々シキ創造力ノ盛ナル所デ、各種ノ機
械ナリ武器ナリニ考案ヲ施シマシタナラバ、
如何ニ大切ナル事ガ出來ルカ、蓋シ想像以
上ノモノガアラウト思ヒマス、一體大戰爭
ノ決シマスルニハ、士氣ノ盛ナルコトハ勿
論デアリマスガ、其ノ外ニ、ソレ迄知レナ
カッタ新シイ武器ガ現レテ來ルコトデアリ
マス、是ハ殊ニ近年ニ至ッテ著シクナリマシ
タ、之ニ依ッテ寡兵ヲ以テ大敵ヲ破ルコトガ
出來ルノデアリマス、日〓戰爭ニシマシテ
モ、木艦ノ松島、橋立等ガ敵ノ定遠、鎭遠
ノ鋼鐵艦ニ向ッテ戰ヒマシタガ、我ガ大砲ト
速射砲ガ彼ニ優ッタコトガ大勝ヲ行マシタ
一ツノ原因デアルト聞キマス、又日露ノ戰
役ニ於キマシテモ、我ガ照準器ハ敵ニ優ル
確實サノモノデアッタト云フコトデアリマ
シテ、是ハ當時ノ從軍セラレマシタ財部大
將ヨリ伺ッタノデアリマス、現在英國人ガ腦
ヲ絞ッテ絕對ニ沈マヌト云フ設計ヲシマシタ
「プリンス·オブ·ウエールス」ガ見事ニ一撃
ノ下ニ沈メラレマシタコトハ、固ヨリ我ガ軍
人ノ精魂ニ因ルノデアリマスガ、又兵器ニ
於キマシテモ彼ニ優ッタモノノアッタコトハ
疑ハレマセヌ、今我ガ技術院ノ出來マシタ
ノモ蓋シ此ノ爲デアリマス、彼ノ軍艦ノ五·
五·三ノ比率ヲ決定サレマシタ時ニ、或英人
ハ「比率ハソレデ宜シイガ、併シ日本ニハ平
賀ト云フ造船家ガ居ルト云フコトヲ計算ニ
入レナケレバナラナイ」、斯ウ申シマシタ、
平賀博士ハ、只今ハ現役ヲ退カレテ東大總
長ノ要職ニ居ラレマスガ、英國造船學〓ヨ
リ金牌ヲ贈ラレタ方デアリマス、而シテ同
君ノ養成セラレタ諸君ガ、只今職域奉公デ我
ガ時局突破ノ爲ニ奮鬪セラレテ居リマスコト
ハ、衷心ヨリ感謝致シテ居ル所デアリマス、
昭和七年ニ「ゼネバ」ニ於テ議員聯盟ノ總ヘ
ガ開カレマシタ時ニ、私モ當貴族院代表ノ
一人トシテ出マシタ、其ノ時ニ、兵力ヲ國內
ノ治安ヲ維持スルダケニ止メテ、其ノ他ノ
軍備ヲ縮小シテシマハウト云フ講題ガ出マ
シテ、之ヲ論ジマシタ、詰リ之ニ依ッテ戰爭
ヲ不可能ニシヨウト云フコトデアリマシタ、
其ノ時ニ私ガ申シマシタコトハ「軍艦ノ「ト
ン」數ヤ軍備豫算ノ多イ少イナドハ論ズル
ニ足ラヌ、自然界ノ力ヲ利用スルコトハド
ウデアル、將來如何ナル發見、發明ガ出ル
カ、何人モ分ラヌガ、其ノウチニハ、今ノ
飛行機ヤ潜航艇ハ博物館ノ古物ニナルダラ
ウ、軍備ノ縮小ハ精神的制限ニ依ラナケレ
バ其ノ效果ハアルマイ」ト申シマシタ、詰リ
人類ハ自然界ノ力ヲ利用シテ、動力ヲ自由
ニ用ヒルコトニ依ッテ、他ノ人類ヲ征服スル
ノデアリマス、蒸氣ヲ造リ、電力ヲ使ヒ、
只今ハ內燃機卽チ輕油發動機ヲ造リマシテ、
段々ト强キ動力ヲ支配スルコトニ依ッテ、現
代ノ物質文化モ進ミ、國力ノ優劣モ決スル
ノデアリマス、是カラ先キ何ガ出來ルカ分
リマセヌ、先達テ上野ニアリマシタ「ダヴイ
ンチ」ノ展覽會ヲ見マシテ感ジマスコト
ハ、飛行機デモ「パラシュート」デモ、其ノ
他ノ動力機械モ澤山出來テ居リマスガ、唯
感ズルコトハ、動力ガ足ラナイ、若シモア
ノ時ニ動力ガ今日ノ如ク使ヘタナラバ、現
代文化ハ數百年前ニ出來テ居ッタラウト感
ジタノデアリマス、今世紀ノ初メニ「ラヂ
ウム」ガ世ニ現レマシタ時ニ、此ノ「ラチ
ウム」ハ不斷ニ「エネルギー」ヲ放散シテ居
リマシテ、數萬年ニ之ガ續クコトガ分リマ
シタ、ソコデ若シ一「グラム」ノ「ラヂウムㄴ
ガ、此ノ數萬年間出ス「エネルギー」ヲ一時
ニ出サセル工夫ガ出來タナラバ、英國ノ全
艦隊ヲ、英國ノ最モ高イ山ノ「ベンネービ
ス」ノ天邊ニ吊上ゲルコトガ出來ル、一「グラ
ム」ノ「ラヂウム」·····斯ウアリマシタ、「ベ
ンネービス」ハ千三百「メートル」デアリマス
カラ、千三百「メートル」カラピシヤント落
トセバ、一「グラム」ノ「ラヂウム」デ英國艦
隊ヲ皆打潰スコトガ出來ルノデアリマス、
要スルニ現在ノモノノ數萬倍猛烈ナル爆藥
ヲ造ルコトガ出來レバ如何ナル事モ······今
日ト雖モ、空氣中ノ窒素ヲ取ッテ爆藥ヲ造ル
コトガ出來マセヌナラバ、今日ノ戰爭ハ出
來マイト思ヒマス、此ノ「ラヂウム」ノ發見
ナドハ、全ク純學術的ノ〓究カラ產レ出タ
モノデアリマス、之ガ今日多方面ニ利用サ
レルコトハ、發明者當人モ豫想シテ居ラナ
カッタノデアリマス、此ノ發見者達ハ極メテ
貧弱ナル設備ト雨漏リノスル「バラック」ノ
中デ、熱心ニ〓究シテアレガ出來タノデア
リマス、勿論或モノハ設備ガ完成シナケレ
バ出來ナイモノモアリマス、又〓究費ノ多
額ヲ有シナケレバ得ラレナイモノモアルコ
トハ承知シテ居リマスケレドモ、又他ニ於
テハ必ズシモ是等ハ必要ナル條件デハナイ、
要スルニ人ニアルノデアリマス、最大ノ發
見ハ何處カラ誰ガ出スカ分リマセヌ、我ガ
國ノ學界ヲ眺メマシテ、歐米ノ學者ト比較
シマシテ、決シテ優ルトモ劣ラヌト言フ方
方ハ少クアリマセヌ、併シナガラ其ノ數ニ
於キマシテハ、未ダ十分ナリトハ申サレヌ
コトハドナタモ御承知ノ通リデアリマス、
此ノ數ヲ益〓多クスルト共ニ、一般公衆ノ知
識ヲ昂メ、卽チ〓育ノ效率ヲ昂メマシテ、
之ニ至ラヌケレバナラヌト思ヒマス、如何
ナル田舍者モ、如何ナル貧乏者モ、一通リ
自然科學ト人文科學ノ〓育ヲ受ケナケレバ、
結局我ガ國力ノ眞ノ發展ハ望マレナイノデ
アリマス、能ク文相ノ仰セラレマス通リ、
實施ニ卽シタル働キヲスルヤウナ〓育ヲシ
ナケレバナリマセヌ、ソレニハ先程申上ゲ
マシタ如ク、四年デ濟ミ得ル課程ヲ六年モ
掛ッテ居ッタヤウナコトデハナリマセヌ、焦
眉ノ急務ト御覽ニナル所ノ國語國字、之ヲ
簡易化シテ、學習ノ便宜ヲ圖リ學習ノ效力
ヲ〓メマスコトハ、仰セノ如ク焦眉ノ急務
ト思ヒマス、之ニ對スル實行ニ卽シタル御
計畫ヲ伺フコトガ出來マスレバ誠ニ幸ヒデ
ゴザイマス、何卒御答ヲ御願ヒ致シマス
(國務大臣橋田邦彦君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=7
-
008・橋田邦彦
○國務大臣(橋田邦彥君) 只今田中館博士
カラ國語國字問題ニ關シマシテ廣汎ナル、
又種々ナル御所見ノ開陳ヲ篤ト拜聽致シマ
シタ、國語國字問題ガ極メテ重要デアリマ
ス事柄ハ、今改メテ申ス迄モナイ所デゴザ
イマス、爾來文部省ニ於キマシテモ、銳意問
題ヲ取扱ッテ其ノ方面ニ努力シテ居ルノデゴ
ザイマスルガ、併シ本問題ハ曩ニ博士ガ御述
ニナリマシタ前會ノ御質問ニ對シテ御答辯申
上ゲマシタ通リデゴザイマシテ、國語ノ本質
カラ考ヘマシテ、又我ガ國語ノ特質等ニ顧ミ
マスル時、極メテ愼重ニシテ、又極メテ確實ナ
ル調査〓究ヲ必要ト致シマスルノト、極メテ多
方面カラノ考慮ヲ致サナケレバナラナイト云
フ點カラ考ヘマシテ、期待サレル如キ成果ヲ得
マスルノニハ相當ノ年月ヲ要スルコトト存ズル
ノデアリマシテ、今囘ノ豫算ノ中ニハ、諸種
ノ事情ヲ勘案致シマシテ、別ニ追加ヲ致シ
テハ居リマセヌケレドモ、此ノ問題ヲ政府
ガ決シテ閑却シテ居ルノデハゴザイマセヌ
ノデ、今後トモ從來以上ニ、今持ッテ居リ
マス機構其ノ他ノ運營ヲ宜シク致シマシテ、
十分ニ努力致シタイト考ヘテ居ルノデゴザ
イマス、又假名遣ノ問題等ニモ御觸レニナ
リマシタガ、假名遣ノ問題ト云フコトモ極
メテ廣イ範圍ノ問題デゴザイマルガ、其ノ
中ノ極メテ一面デゴザイマス字音假名遣ニ
關シマシテハ、旣ニ昨年七月國語審議會カ
ラ答申ヲ受ケテ居リマスノデハゴザイマス
ガ、問題ノ重要性ニ鑑ミマシテ目下愼重ニ
容議調査ヲ致シテ居ル途中デゴザイマス、
遠カラズ適正ナ成案ヲ得タイト存ジテ居ル
ノデゴザイマス、國語ヲ適正ニ整理統一ト
申シマスカ、或ハ寧ロ國語ヲ醇化シ、而モ
其ノ內容ヲ豐富ナラシムルコトヲ失ハナイ
デ、簡明ニ致シマスルト共ニ、法令ヲ國民
一般ガ讀ミ易ク致シマスト云フコトニ付キ
マシテハ誠ニ御同感デゴザイマシテ、政
府ト致シマシテハ、此ノ國語國字間題ニ付キ
マシテ適正ナル成案ヲ得マシタ曉ニハ、速
カニ法令等ニモ適用ノ出來マスルヤウ、關
係各省ト緊密ニ連絡ヲ取ッテ參リタイト考
ヘテ居ルノデゴザイマス、又「ローマ」字ノ
問題ニ御觸レニナリマシタガ、「ローマ」字
ガ敵性文字デアルト云フヤウナコトハ、政
府ト致シマシテハ毛頭考ヘテ居リマセヌ、
又殊ニ其ノ長所ニ付テモ能ク承知致シテ居リ
マスノデ、是ハ旣ニ「ローマ」字綴リ方ニ關
シテ内閣カラ訓令ヲ出シマシテ整理シテ居
リマスコトニ依ッテモ、趣旨ハ御了承戴ケ
ルコトト思フノデアリマス、之ヲ何時國民
ニ〓ユベキカニ付キマシテハ、種々考慮ス
ル點ガアラウカト存ジマスルガ、少クトモ
目下ノ所デハ國民學校ノ高等科ヲ終了致シ
マスル迄ニハ修得シ得ルヤウニ、適當ナ處
置ヲ講ジタイト考ヘテ居ルノデアリマス、
只今御所見ニ述ベラレマシタル外國語ヲ修
得スル前ニ、一應「ローマ」字綴リノ修得ヲ
スルコトガ便利デアルコトノ御所見ハ、全
ク同感デゴザイマシテ、是ハ適當ニ其ノ方
途ヲ考究致シタイト考ヘテ居ル次第デアリ
マス、又國語國字問題ニ付キマシテ、之ガ
適正ナル解決ヲ見マスルニ至リマスレバ、
是ハ〓育ノ效率ヲ上ゲ、又知識ノ普及ノ上
ニ大イナル影響ヲ及シマスルコトノアルベ
キコトハ、御所見ノ通リデアルト存ジマス、
併シナガラ此ノ國語國字問題ハ、先程申述
ベマシタ通リ極メテ愼重ニ取扱フベキ問題
デゴザイマシテ、只今博士カラモ御話ノア
リマシタ通リ、唯便不便、或ハ國語ガムツ
カシイトカムツカシクナイトカト云フヤウ
ナ觀點カラダケ、之ヲ取扱フベキモノデナ
イコトハ、私ガ改メテ申上ゲル迄モナイコ
トデゴザイマス、唯一面ニ於キマシテ、國
語ガ非常ニムツカシイガ故ニ、又國字ガム
ツカシイガ故ニ、我ガ國ノ學術ノ進展ガ非
常ニ阻害サレテ居ルト云フコトヲ頻リト主
張サレマスルガ、是ハ一面此ノ點ガナイト
云フ譯デハアリマセヌ、全部否定スルト云
フ譯デハゴザイマセヌガ、今日ニ於ケル我
ガ國ノ學術ノ進展ガ、學術的ニ考ベマスル
先進國ニマダ及バナイ點ガアリマスト云フ
コトヲ、唯國語國字ノムツカシイト云フコ
トダケニ歸著セシムル譯ニハ參ラナイト思
フノデアリマシテ、他ニ色々ナ事情ニ依ッテ
今日ニナッテ居ルノデアリマス、ガ併シナガ
ラ若シ國語國字ヲ簡易ナラシメテ、而モ國
語トシテノ又國字トシテノ傳統、又其ノ生
命ヲ失フコトナシニ整理ガ出來マスルヤウ
ナコトニ相成リマスレバ、是ハ誠ニ國家ノ
爲ニ慶賀ニ堪ヘナイ所デゴザイマシテ、〓
育ガ一層進展スルコトニナリ、又學術ノ振
興モ自ラ圖レルコトニ相成ラウカト存ジマ
スガ、併シ是モ度々申シマシタ通リ我ガ國
語ノ傳統ト國語ノ持ツ生命、又我ガ國民性
ガ如何ニ國語國字ト密接ナル關係ガアルカ
ト云フヤウナコトニ考ヘ及ビマスル時、決
シテ簡單ニ片附ク問題デハナイト考ヘルノ
デゴザイマス、其ノヤウナ意味ニ於キマシ
テ、愼重ニ之ヲ取扱ヒ、又學術的ニ誤ラザ
ル調査〓究ヲ致シマシテ、焦眉ノ急ニ迫ッテ
居ルトハ考ヘラレマスケレドモ、併シ今日
明日ニ解決ノ付カナイ問題デアルト云フ事
柄ニ付キマシテハ、是ハ博士モ既ニ重々御
承知ノコトト思ヒマスガ、其ノ點ニ向ヒマ
シテ出來ルダケ速カニ適當ナル解決ヲ見タ
イト云フコトハ、念願トシテ居ルノデゴザ
イマスルカラ、十分ニ御趣旨ノアル所ヲ尊
重致シマシテ、此ノ問題ニ向ッテ努力致シタ
イト考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=8
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009・田中館愛橘
○田中館愛橘君 只今文部大臣ノ御答辯ヲ
得マシタガ、多分是以上ノコトハ伺フコト
ハ出來マイト思ヒマス、ドウカ出來ルダケ
ノ御盡力ハ勿論デアリマスガ、成ルベク速カ
ニ此ノ問題ノ解決ニ至リマスヤウ、御盡力ノ
程ヲ更ニ御願ヒ致シテ、私ノ質問ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=9
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010・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ國務大臣
ノ演說ニ對スル質疑ヲ終リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=10
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011・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ日程ニ移
リマス、日程第一、請願委員長報〓、委員長
高橋是賢子爵
〔子爵高橋是賢君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=11
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012・高橋是賢
○子爵高橋是賢君 請願委員會ノ第一囘御
報告ヲ申上ゲマス、正副委員長互選ハ、去
ル一月二十八日ニ之ヲ行ヒマシタ、請願委
員會ハ二囘開會致シマシテ、第一囘委員會
ハ一月二十八日、正副委員長互選後、引續キ
開會致シマシタ、第二囘委員會ハ二月ノ十
二日ニ開催致シマシテ、第一囘委員會ニ於
キマシテ、分科ノ決定竝ニ分科擔當委員ノ
選定、審査方針、委員會竝ニ分科會ノ開會
日時等ノ決定ヲ致シマシタガ、詳細ハ速記
錄ニ依ッテ御承知ヲ御願ヒ致シマス、分科會
ニ於キマシテハ、正副主査ノ互選ハ、各分
科共一月二十九日ニ行ヒマシタ、次ニ分科
會ノ開會數ハ七囘デゴザイマシテ、第一分
科會ハ一囘デアリマス、卽チ二月八日ニ開
キマシタ、第二分科會ハ二囘デゴザイマシ
テ、二月モ二日ト二月ノ九日ニ開キマシタ、
第三分科會ハ三囘デアリマシタ、二月ノ
一日ト二月ノ八日及ビ一一月十日ト、三囘致
シタ譯デゴザイマス、第四分科會ハ一囘デ
ゴザイマシテ、二月九日デゴザイマス、請
願文書表報告ハ三囘デゴザイマシテ、第
囘報告ハ一月ノ二十八日、第二囘報〓ハ二
月三日、第三囘ノ報〓ハ二月ノ十日デゴザ
イマス、請願委員會特別報〓ハ一囘デゴザ
イマシテ、其ノ第一號ヲ二月ノ十二日ニ提
出致シマシタ、請願ノ受理件數ガ七十二件
デゴザイマス、此ノ請願連署ノ人數ハ八千
六名デゴザイマス、右ノ請願七十二件中、
請願文書表ニ揭載致シテアルモノガ五十三
件、未掲載ノモノガ十九件デゴザイマス、
委員會ハ愼重審査ノ結果、議院ノ會議ニ付
スヘシトスルモノ九件、議院ノ會議ニ付ス
ルヲ要セストスルモノ一件、卽チ文書表第
十九號デゴザイマス、以上ハ昭和十八年二
月十三日迄ノ御報告デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=12
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013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ニテ休憩ヲ致
シマス、午後ハ一時三十分ヨリ開會致シマス
午前十一時五十八分休憩
午後一時四十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=13
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014・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 是ヨリ休憩
前ニ引續キ午後ノ會議ヲ開キマス、日程第
二、臨時利得稅法中改正法律案、日程第三、
臨時租稅措置法中改正法律案、日程第四、
酒稅法中改正法律案、日程第五、酒造組合
法中改正法律案、日程第六、〓涼飮料稅法中
改正法律案、日程第七、取引所稅法中改正
法律案、日程第八、砂糖消費稅法中改正法
律案、日程第九、物品稅法中改正法律案、
日程第十、遊興飮食稅法中改正法律案、日
程第十一、入場稅法中改正法律案、日程第
十二、特別行爲稅法案、日程第十三、輸出ス
ル物品ニ對スル內國稅免除又ハ交付金交付ノ
停止等ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送
付、第一讀會、是等ノ十一一案ヲ一括シテ議題
ト爲スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=14
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015・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、賀屋大藏大臣
左ノ案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ
タメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
臨時利得稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時利得稅法中改正法律案
臨時利得稅法中左ノ通改正ス
第四條中「現事業年度ノ利益ガ現事業年
度」ヲ「利益ガ各事業年度」ニ改ム
第五條第一項中「現事業年度ノ利益ハ現
事業年度」ヲ「利益ハ各事業年度」ニ、現
事業年度ノ剩餘金」ヲ「各事業年度ノ剩餘
金」ニ、同條第二項中「現事業年度」ヲ「各
事業年度」ニ、同條第三項中「現事業年度
開始」ヲ「各事業年度開始」ニ、「現事業年
度ノ利益」ヲ「第一項ノ利益」ニ改ム
第五條ノ三第二項中「現事業年度ノ」ヲ削
ル
第六條第一項中「現事業年度」ヲ「各事業
年度」ニ改ム
第十一條中「一萬圓未滿」ヲ「一萬圓以下」
コムト
第十四條法人ノ臨時利得稅ハ法人ノ利
得ヲ左ノ各級ニ區分シ遞次ニ各稅率ヲ
適用シテ之ヲ賦課ス
利益金額中資本金額ニ對シ年百分
ノ十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ
超ユル金額
利得金額ノ百分ノ五十五
二同百分ノ二十ノ割合ヲ以テ算出シ
タル金額ヲ超ユル金額
利得金額ノ百分ノ六十五
三同百分ノ三十ノ割合ヲ以テ算出シ
タル金額ヲ超ユル金額
利得金額ノ百分ノ七十五
資本金額十萬圓以下ナル法人ニ限リ前
項ニ規定スル稅率百分ノ五十五ハ之ヲ
百分ノ四十五トシ同百分ノ六十五ハ之
ヲ百分ノ五十五トシ同百分ノ七十五ハ
之ヲ百分ノ六十五トス
第十四條ノ二乃至第十四條ノ四ヲ削リ第
十四條ノ五ヲ第十四條ノ二トシ同條ニ左
ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ニ依リ算出シタル營業利得ニ
對スル臨時利得稅額ガ第十條ノ利益金
額ヨリ一萬圓ヲ控除シタル金額ヲ超過
スルトキハ其ノ超過額ニ相當スル臨時
利得稅ヲ免除ス
附則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十八年一
月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、
營業利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭
和十八年分ヨリ本法ヲ適用ス
臨時租稅措置法中改正法律案
右政府担出案本院ニ於ニ了犬セリ因テ議
院法第五十四條ニ依〓候也
昭和十八年二月十二-
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臨時租稅措置法中改正法律案
臨時租稅措置法中左ノ通改正ス
第一條中「酒稅、」ヲ削リ「登錄稅」ノ下ニ
「、鑛區稅」ヲ加フ
第一條ノ四ニ左ノ一號ヲ加フ
五法人ガ額面以上ノ價額ヲ以テ株式
ヲ發行シタル場合ニ於ケル其ノ額面
ヲ超ユル金額
第一條ノ六中「鑛業權者」ノ下ニ「及使用
權者」ヲ加フ
第一條ノ十七中「昭和十八年」ヲ「昭和十
九年」ニ改ム
第一條ノ十八中「昭和十八年」ヲ「昭和十
九年」ニ、「事業ノ統制ノ必要上設立セラ
ルル法人」ヲ「事業ノ統制ノ必要上命令ヲ
以テ定ムル者」ニ改ム
第一條ノ十九中「昭和十八年」ヲ「昭和十
九年」ニ改ム
第一條ノ二十及第一條ノ二十一中「昭和
十七年十二月三十一日」ヲ「昭和十八年十
二月三十一日」ニ、「昭和十七年分又ハ昭
和十八年分」ヲ「昭和十七年分乃至昭和十
九年分」ニ改ム
第一條ノ二十二法令、法令ニ基ク命令
又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭
和十七年一月一日以後昭和十八年十二
月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上不
動產、不動產上ノ權利(永小作權又ハ
地上權ノ設定其ノ他他人ヲシテ不動產
又ハ不動產上ノ權利ヲ使用セシムル一
切ノ場合ヲ含ム)、船舶(製造中ノ船舶
ヲ含ム)又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル
權利若ハ設備ヲ讓渡シタル個人ニハ命
令ノ定ムル所ニ依リ昭和十八年分及昭
和十九年分ノ讓渡利得ニ限リ當該讓渡
ニ因リ生ズル利得金額ヨリ其ノ十分ノ
二ニ相當スル金額ヲ控除シタル金額ニ
依リ臨時利得稅ヲ賦課ス
第一條ノ二十三法令、法令ニ基ク命令
又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ
昭和十六年一月一日以後昭和十八年
十二月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要
上營業ノ全部又ハ一部ヲ廢止シタル個
人ノ當該營業ノ廢止ニ因リ受クル補償
金其ノ他之ニ準ズベキモノニ付テハ命
令ノ定ムル所ニ依リ其ノ總額ガ三萬圓
以下ナルトキハ其ノ十分ノ五、三萬圓
ヲ超ユルトキハ其ノ十分ノ二ニ相當ス
ル金額ヲ控除シタル金額ニ依リ所得稅
ヲ賦課ス
前項ノ場合ニ於テ補償金其ノ他之ニ準
ズベキモノノ總額ガ一萬圓以下ナルト
キハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該所得ニ
對スル所得稅ヲ免除ス
第一條ノ二十四法人ガ臨時資金調整法
第十五條ノ五ノ規定ニ基ク命令ニ依リ
其ノ所有ニ係ル株式ヲ讓渡シ其ノ讓渡
代金ヲ以テ命令ノ定ムル所ニ依リ有價
證劵ヲ取得シタルトキハ當該有價證劵
ノ價額ニ關シ其ノ取得シタル事業年度
ニ於ケル法人稅法ニ依ル所得、營業稅
法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利
益ノ計算ニ付命令ヲ以テ特例ヲ設クル
コトヲ得
第一條ノ二十五法令ニ基ク命令又ハ行
政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ木材又ハ
薪炭ノ增產ノ必要上命令ノ定ムル所ニ
依リ立木ノ伐採又ハ讓渡ヲ爲シタル個
人ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ山林ノ所
得ヨリ當該立木ノ伐採又ハ讓渡ニ因リ
生ズル所得ノ十分ノ二ニ相當スル金額
ヲ挖除シタル金額ニ依リ所得稅ヲ賦課
ス
第一條ノ二十六個人ノ其ノ年中ノ營業
ノ所得、純益又ハ利益金額ガ其ノ年分
及前二年分ノ營業ノ所得ノ決空金額若
ハ純益ノ決定金額又ハ利得ノ決定金額
計算ノ基礎タル利益金額ノ平均額ニ對
シ五割以上減少シタルトキハ命令ノ定
ムル所ニ依リ其ノ年分ノ當該營業所得
ニ對スル所得稅、營業稅及營業利得ニ
對スル臨時利得稅ヲ左ノ區分ニ依リ輕
減ス
減少割合ガ七割以下ナルトキ
稅額ノ十分ノ二
同七割ヲ超ユルトキ
稅額ノ十分ノ四
前項ノ規定ハ個人ノ其ノ年中ノ營業ノ
所得金額ガ三萬圓以上ノ者又ハ其ノ年
中ノ營業ノ所得金額ガ其ノ年分ノ營業
ノ所得ノ決定金額以上ノ者ニ付テハ之
ヲ適用セズ
前二項ノ營業ノ所得ノ決定金額又ハ純
益ノ決定金額ハ所得稅法第十二條第三
項及第三十條第三項又ハ營業稅法第十
條第三項ノ規定ニ依ル臨時利得稅額ノ
控除前ノ金額ニ依ル
第一條ノ二十七前條ノ規定ニ依リ所得
稅營業稅及臨時利得稅ノ輕減ヲ受ケ
ントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ旨ヲ政府ニ申請スベシ
前項ノ申請アリタルトキハ政府ハ輕減
處分ノ確定スルニ至ル迄稅金ノ徵收ヲ
猶豫スルコトヲ得
第一條ノ二十八法令、法令ニ基ク命令
又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭
和十八年一月一日以後ニ於テ其ノ事業
ニ屬スル設備又ハ權利其ノ他ヲ事業ノ
綺制ノ必要上命令ヲ以テ定ムル者ニ讓
渡シタル法人ニシテ行政官廳ノ指導又
ハ斡旋ニ依リ解散ヲ爲サザルモノニ付
テハ命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡ノ日以
後ニ於テ納付スベキ所得稅、法人稅、
營業稅及臨時利得稅ヲ輕減スルコトヲ得
第十三條ノ二同一人ニ付第一條ノ二十、
第一條ノ二十六及第八條ノ規定中二以
上ノ規定ニ該當スル事由アルトキハ當
該各規定中輕減又ハ免除額ノ最モ多額
ト爲ルベキ一ノ規定ヲ適用ス
第二十二條ノ三中「昭和十八年」ヲ「昭和
十九年」ニ改ム
第二十二條ノ四重要鑛物增產法第一條
ノ二第一項ノ規定ニ依ル指定地域ニ於
ケル指定鑛物ヲ目的トスル鑛區又ハ砂
鑛區ニシテ事業ノ着手又ハ繼續ノ許可
ヲ申請シ不許可ト爲リタルモノニ對ス
ル鑛區稅ノ稅率ハ鑛區稅法第二條第一
項ノ規定ニ拘ラズ同項ニ規定スル稅率
ノ三分ノ一トス但シ當該鑛區又ハ砂鑛
區ニ付使用權ノ設定アル場合ニ於テ使
用鑛區ニ該當スル部分ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ重要鑛物增產法第三條ノ規定
ニ依ル命令アリタル場合ニ付亦同ジ
鑛區稅法第三條第三項ノ規定ハ事業ノ
着手若ハ繼續不許可ト爲リタル年又ハ
事業ノ着手若ハ繼續不許可ノモノニ付
其ノ許可、重要鑛物增產法第三條ノ規定
ニ依ル命令、使用權ノ設定若ハ消滅アリ
タル年ノ鑛區稅ノ計算ニ關シ、鑛區稅
法第三條第二項ノ規定ハ專業ノ着手又
ハ繼續不許可ノモノニ付其ノ許可、重要
鑛物增產法第三條ノ規定ニ依ル命令又
ハ使用權ノ設定アリタルニ因リ不足セ
ル鑛區稅ノ徵收ニ關シ之ヲ準用ス
第二十三條但書ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ第二十二條ノ四及附則第六項ノ規
定施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一條ノ四ノ改正規定ハ法人ノ昭和十八
年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ノ
法人稅、營業稅及臨時利得稅ヨリ之ヲ適
用ス
第一條ノ六ノ改正規定ハ法人ノ昭和十八
年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ノ
法人稅ヨリ、個人ノ昭和十九年分分類所
得稅ヨリ之ヲ適用ス
第一條ノ二十三、第一條ノ二十六、第
條ノ二十七及第十三條ノ二ノ改正規定ハ
個人ノ昭和十八年分所得稅、營業稅及臨
時利得稅ヨリ之ヲ適用ス
第一條ノ二十五ノ改正規定ハ個人ノ昭和
十九年分所得稅ヨリ之ヲ適用ス
登錄稅法中左ノ通改正ス
第十四條第三號ノ次ニ左ノ四號ヲ加フ
三ノ二試掘權ヲ目的トスル使用權ノ設定
每一件金十圓
三ノ三試掘權ヲ目的トスル使用權ノ變更
增區又ハ增減區每一件金五圓
減區每一件金一圓
三ノ四試掘権ヲ目的トスル使用權ノ移轉
相續每一件金一圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金五圓
三ノ五試掘權ヲ目的トスル使用權ノ存續期間ノ更新
每一件金十圓
同條第六號ノ次ニ左ノ四號ヲ加フ
六ノ二採掘權ヲ目的トスル使用權ノ設定
每一件金二十圓
六ノ三採掘權ヲ目的トスル使用權ノ變更
增區又ハ增減區每一作金十圓
減區每一件金二圓
六ノ四採掘權ヲ目的トスル使用權ノ移轉
相續每一件金二圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金十圓
六ノ五採掘權ヲ目的トスル使用權ノ存續期間ノ更新
每一件金二十圓
同條第十二號中「鑛業權」ノ下ニ「、使用權」ヲ加へ同條第十三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
十三ノ二存續期間滿了前ノ使用權ノ消滅
每一件金五十錢
第十五條第三號ノ次ニ左ノ四號ヲ加フ
三ノ二使用權ノ設定
採取區域河床ハ每二里迄
其ノ他ハ每十萬坪迄
金一圓五十錢
三ノ三使用權ノ變更
增區採取區域河床ハ每二里迄
其ノ他ハ每十萬坪迄
金一圓五十錢
減區每一件金二十錢
三ノ四使用權ノ移轉
相續
相續以外ノ原因ニ因ル移轉
三ノ五使用權ノ存續期間ノ更新
同條第八號中「砂鑛權」ノ下ニ「、
九ノ二存續期間滿了前ノ使用權ノ消滅
酒稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
酒稅法中改正法律案
酒稅法中左ノ通改正ス
第九條第二項中「燒酎ト看做ス」ノ下ニ
「命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受
一〓酒造石稅一石ニ付
庫出稅
第一級一石ニ付
第二級一石ニ付
第三級一石ニ付
第四級一石ニ付
二合成清酒造石稅一石ニ付
庫出稅
第一級一石ニ付
但シ增區ト同時ニ爲ス減區ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
每一件金五十錢
每一件金一圓五十錢
採取區域河床ハ每二里迄
其ノ他ハ每十萬坪迄
金一圓五十錢
使用權」ヲ加へ同條第九號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
每一件金二十錢
ケ酒類製造ノ原料タルアルコールヲ水ニ
テ稀釋シタルモノ亦同ジ」ヲ加フ
第十八條ノ二政府ハ酒類、酒母、醪若ハ
麴ノ製造又ハ酒類販賣業ノ免許ヲ與フ
ルニ當リ酒稅保全上必要アリト認ムル
トキハ免許ノ期限、製造若ハ販賣業ノ
事業ノ範圍又ハ製造若ハ販賣業ヲ爲ス
ニ當リ遵守スベキ條件ヲ指定スルコト
ヲ得
第二十七條各酒類ニ課スベキ酒稅及其
ノ稅率左ノ如シ
四十五圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ十一圓ヲ加フ
四百七十圓
二百九十五圓
百六十五圓
百五十五圓
四十八圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ十一圓ヲ加フ
二百圓
第二級一石ニ付百六十圓
三濁酒造石稅一石ニ付四十五圓
庫出稅一石ニ付七十五圓
四白酒造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ十五圓ヲ加フ
庫出稅一石ニ付二百五十五圓
五味淋造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分二十八度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十八度ヲ超ユル一度每ニ十圓ヲ加フ
庫出稅
第一級一石ニ付三百八十五圓
第二級一石ニ付二百十五圓
六燒酎
第一種アルコール分四十五度ヲ超エザルモノ
甲連續式蒸餾機ニ依リ製造シタルモノ
造石稅一石ニ付四十八圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキハアルコ
ル分三十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
庫出稅一石ニ付百五十五圓
乙其ノ他ノモノ
造石稅一石ニ付四十五圓
アルコール分三十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分三十度ヲ超ユル一度每ニ七圓ヲ加フ
庫出稅一石ニ付百五十五圓
第二種アルコール分四十五度ヲ超ユルモノ
造石稅一石ニ付七百四十五圓ニアルコール分四十五
度ヲ超ユル一度每ニ二十圓ヲ加ヘタル金額
庫出稅一石ニ付百五十五圓
七麥酒庫出稅一石ニ付百七十七圓八十錢
八果實酒庫出稅
第一級一石ニ付三百圓
第二級一石ニ付二百圓
第三級一石ニ付百五十圓
九雜酒造石稅一石ニ付
庫出稅
第一級一石ニ付
第二級一石ニ付
第三級一石ニ付
第四級一石ニ付
各酒類ノ級別ハ酒類委員會ノ諮問ヲ經
テ政府之ヲ定ム
酒類委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第二十七條ノ二左ニ揭グル果實酒及雜
酒ノ酒類庫出稅ニ付テハ命令ヲ以テ定
ムル價格ニ左ノ割合ヲ乘ジテ算出シタ
ル金額ヲ前條第一項ノ規定ニ依ル酒類
庫出稅額ニ加算ス
ー果實酒
第一級百分ノ五十
二雜酒
ー〓酒
第三級一石ニ付
第四級一石ニ付
二合成〓酒
第二級一石ニ付
三燒酎一石ニ付
四麥酒一石ニ付
前項ノ酒類ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政
府ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ其ノ用途
ヲ變更スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケタ
ル場合ニ於テハ其ノ承認ヲ受ケタル者
ヨリ直ニ第一項ノ輕減額ニ相當スル酒
類庫出稅ヲ徴收ス
五十圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコー
ル分二十度ヲ超ユル一度每ニ二十圓ヲ加フ
五百七十圓
四百七十圓
三百五十圓
二百五十圓
第一級百分ノ百
第二級百分ノ五十
第三章第一節中第二十七條ノ二ノ次ニ左
ノ二條ヲ加フ
第二十七條ノ三左ニ揭グル酒類ニシテ
大藏大臣ノ定ムル用途ニ充ツル爲命令
ノ定ムル所ニ依リ製造場ヨリ移出スル
モノニ付テハ第二十七條第一項ニ規定
スル酒類庫出稅ノ稅率ニ依リ算出シタ
ル金額ト左ノ割合ニ依リ算出シタル金小
額トノ差額ニ相當スル酒類庫出稅ヲ輕
減ス
五十五圓
五十五圓
五十五圓
五十五圓
八十七圓八十錢
第二十七條ノ四政府ノ承認ヲ受ケ命令
ヲ以テ定ムルアルコールヲ原料トシテ
製造シタル酒類ニ付テハ命令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ酒稅ヲ輕減又ハ免除ス
第三十五條第一項中「酒類ノ種類每ニ石
數(第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ命令ヲ
以テ定ムル酒類ニ付テハ數量及價格)ヲ」
ヲ「酒類ノ種類及級別每ニ石數(第二十七
條ノ二ニ規定スル酒類ニ付テハ數量及價
格ヲ第二十七條ノ三ニ規定スル酒類ト
其ノ他ノ酒類トニ區分シテ」ニ、同條第
三項中「第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ命
令ヲ以テ定ムル」ヲ「第一十七條ノ二ニ規
定スル」ニ改ム
第三十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項本文ノ規定ニ依リ戾入又ハ移入シ
タル酒類ニ付級別ヲ低下シテ移出シタ
ル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ
移出シタル月分以降ノ酒類庫出稅額ヨ
リ前級ニ付定メラレタル稅率ニ依リ算
出シタル酒類庫出稅額ト後級ニ付定メ
ラレタル稅率ニ依リ算出シタル酒類庫
出稅額トノ差額ニ相當スル金額ヲ控除
ス
第三十九條第一項中「酒類ニ付テハ其ノ
酒類造石稅ヲ免除ス」ヲ「酒類ニハ酒類造
石稅ヲ課セズ此ノ場合ニ於テハ命令ノ定
ムル所ニ依リ製成ノ時其ノ製造石數及ア
ルコール分ヲ檢定ス」二、同條第三項中
「酒類造石稅額ニ相當スル金額ヲ交付ス」
ヲ「酒類造石稅ヲ免除ス」ニ改メ同條第四
項ヲ削ル
第四十條中「場合ニ於テハ」ノ下ニ「檢定
ノ內容ヲ以テ査定ノ內容ト看做シ」ヲ加
フ
第五十二條政府ハ酒稅保全上必要アリ
ト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
酒類、酒母、醪若ハ麴ノ製造者又ハ酒
類ノ販賣業者ニ對シ製造、貯藏、讓渡、
讓受、移動、設備又ハ價格ニ關シ必要
ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第五十三條削除
第五十九條第一項中「酒造組合法ニ依リ
設立シタル酒造組合又ハ酒造組合中央
會」ヲ「酒類業團體法ニ依リ設置シタル酒
類製造者ノ團體」ニ、同條第二項中「酒造
組合又ハ酒造組合中央會」ヲ「前項ノ團
體」ニ改ム
第四章中第五十九條ノ次ニ左ノ一條ヲ加
フ
第五十九條ノ二政府ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ酒類業團體法ニ依リ設置シタル
酒類販賣業者ノ團體ニ對シ酒稅保全上
必要ナル措置ヲ爲スベキコトヲ命ズル
コトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付ス
ルコトヲ得
第六十條第一項中「五千圓」ヲ「一萬圓」ニ
改ム
第六十三條ノ二第二十七條ノ三第二項
ノ規定ニ違反シ同條第一項ノ規定ノ適
用ヲ受ケタル酒類ヲ其ノ用途以外ノ用
途ニ使用若ハ消費シ又ハ讓渡シタル者
ハ當該酒類庫出稅輕減額五倍ニ相當ス
ル罰金ニ處ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿
タザルトキハ之ヲ二十圓トス
前項ノ酒類ニ付テハ使用若ハ消費シ又
ハ讓渡シタル者ヨリ直ニ第二十七條ノ
三第一項ノ輕減額ニ相當スル酒類庫出
稅ヲ徵收ス
第六十三條ノ三第五十二條ノ規定ニ依
ル命令又ハ同條ノ命令ニ基ク處分ニ違
反シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五萬
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情狀ニ因リ
徴役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第一項ノ罪ヲ犯シタル者ニ對シテハ間
接國稅犯則者處分法ハ之ヲ適用セズ
第六十四條第一項第二號ノ次ニ左ノ一號
ヲ加へ同項第九號ヲ削ル
二ノ二第十八條ノ二ノ規定ニ依ル命
令ニ違反シタル者
第六十六條中「第六十二條第一項」ノ下ニ
「、第六十三條ノ二第一項」ヲ加フ
第六十七條中「本法」ノ下ニ「(第六十三條
ノ三ノ規定ヲ除ク)」ヲ加フ
第六十七條ノ二法人ノ代表者又ハ法人
若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業
者其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第六十
三條ノ三ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ
行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ
對シ同條ノ罰金刑ヲ科ス
第六十八條第一項中「酒類」ノ下ニ「(命令
ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)」ヲ、同條第二
項中「第二十七條」ノ下ニ「第一項」ヲ加フ
第八十三條第一項中「四十圓」ヲ「百四十
圓」ニ、同條第三項中「第二十七條ノ稅率
ニ依リ算出シタル酒類造石稅及酒類庫出
稅」ヲ「第二十七條第一項ノ稅率ニ依リ算
出シタル酒類造石稅及同項ノ〓酒第四級
又ハ燒酎ノ稅率ニ依リ算出シタル酒類庫
出稅」ニ改ム
第八十三條ノ二前條第一項ノ酒類ニ付
第二十七條ノ三ノ規定ヲ適用スル場合
ニ於テハ同條第一項ノ規定ニ依ル酒類
庫出稅ノ輕減額ハ前條第一項第二號ニ
規定スル稅率ニ依リ算出シタル金額ト
一石ニ付四十圓ノ割合ニ依リ算出シ
タル金額トノ差額ニ相當スル金額ト
ス
第八十四條第一項中「三圓二十錢」ヲ「六
同五十錢」ニ、「百六十一圓」ヲ「六百九十
一圓」ニ、「四圓八千錢」ヲ「十八圓八十錢」
ニ、同條第二項中「第二十七條」ヲ「第二十
七條第一項」ニ改ム
附則
第一條本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條改正前ノ酒稅法第三十九條第一
項ノ規定ニ依リ酒類造石稅ノ免除ヲ受
ケタル原料用酒類ニシテ同條ノ改正規
定施行ノ際現存スルモノニ付テハ仍從
前ノ例ニ依ル改正前ノ酒稅法第三十九
條第三項ノ規定ノ適用ヲ受ケ酒類製造
ノ原料ニ供シタル酒類ノ酒類造石稅ニ
相當スル金額ノ交付ニ付亦同ジ
第三條酒類ノ製造者又ハ販賣業者ガ酒
稅法第二十七條第一項、第二十七條ノ
二及第八十三條第一項ノ改正規定施行
ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ
於テ各種類ヲ通ジ合計一石以上ノ酒類
ヲ所持スル場合及其ノ所持スル酒類ガ
合計一石ニ滿タザルモ命令ヲ以テ定ム
ル酒類ガ合計二斗以上ナル場合ニ於テ
ハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者
ヲ以テ製造者ト看做シ其ノ所持スル酒
類ニ對シ酒類庫出稅ヲ課ス此ノ場合ニ
於テハ酒稅法第二十七條第一項、第二
十七條ノ二及第八十三條第一項ノ改正
規定施行ノ日ニ於テ其ノ酒類ヲ製造場
ヨリ移出シタルモノト看做シ同法第二
十七條第一項及第二十七條ノ二又ハ第
八十三條第一項ノ改正規定ニ依リ算出
シタル酒類庫出稅ノ稅額ト從前ノ規定
ニ依リ算出シタル酒類庫出稅ノ稅額ト
ノ差額ヲ以テ其ノ稅額トシ命令ノ定ム
ル所ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ製造者又ハ販賣業者ハ其ノ所持
スル酒類ノ種類及級別每ニ數量、價格
及貯藏ノ場所ヲ酒稅法第二十七條第一
項第二十七條ノ二及第八十三條第一
項ノ改正規定施行後一月以內ニ政府ニ
申告スベシ
第四條酒稅法第二十七條第一項、第二
十七條ノ二及第八十三條第一項ノ改正
規定施行ノ際製造場ニ現存スル酒類ニ
シテ戾入又ハ移入シタルモノニ付テハ
同法第三十八條第一項ノ規定ニ〓ラズ
之ヲ移出シタルトキ酒類庫出稅ヲ徵收
ス此ノ場合ニ於テハ前條第一項後段ニ
規定スル稅額ヲ以テ其ノ稅額トス
酒造組合法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
酒造組合法中改正法律案
酒造組合法中左ノ通改正ス
「酒造組合法」ヲ「洒類業團體法」ニ改ム
第一條本法ニ於テ酒類製造者トハ酒稅
法ニ依リ酒類製造ノ免許ヲ受ケタル者
ヲ、酒類販賣業者トハ同法ニ依リ酒類
販賣業ノ免許ヲ受ケタル者ヲ謂フ
第二條中「土地ノ狀況ニ從ヒ」ヲ「必要ア
ルトキハ」ニ改ム
第三條酒造組合ハ酒類製造業ノ整備發
達及統制運營ヲ圖リ且當該事業ニ關ス
ル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的ト
ス
第三條ノ二酒造組合ハ其ノ目的ヲ達ス
ル爲左ノ事業ヲ行フ
組合員ノ當該事業ニ關スル統制指
導
二組合員ノ當該事業ニ關スル共同施
設
三組合員ノ當該事業ニ關スル檢査
四組合員ノ當該事業ニ關スル調査及
〓究
五組合員ノ納付スヘキ酒稅ノ納稅保
證其ノ他酒稅保全ニ關スル施設
六前各號ニ揭クルモノノ外酒造組合
ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
酒造組合ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項ニ揭
クル事業ノ外之ニ附帶スル事業ヲ行フ
コトヲ得
第四條ノ二政府ハ必要アリト認ムルト
キハ區域及組合員タル資格ヲ定メ其ノ
區域内ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル
者ニ對シ酒造組合ノ設置ヲ命スルコト
ヲ得
前項ノ規定ニ依リ酒造組合ノ設置ヲ命
セラレタルトキハ創立總會ヲ開キ定款
其ノ他設置ニ關シ必要ナル事項ヲ定メ
設置ノ認可ヲ申請スヘシ
第一項ノ規定ニ依リ設置ヲ命セラレタ
ル者前項ノ認可ヲ申請セサルトキハ政
府ハ定款ノ作成其ノ他設置ニ關シ必要
ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第四條ノ三酒造組合ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ設置ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立
ス
第五條酒造組合成立シタルトキハ其ノ
區域內ニ於ケル組合員タル資格ヲ有ス
ル者ハ當然其ノ組合員ト爲ル
第五條ノ三酒造組合ハ組合員ノ當該事
業ニ關スル統制規程ヲ設定スヘシ
統制規程ノ設定及變更ハ政府ノ認可ヲ
受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第五條ノ四酒造組合ノ組合員ハ當該酒
造組合ノ統制規程ニ從フヘシ
第五條ノ五酒造組合ハ政府ノ認可ヲ受
ケ合併又ハ分割ヲ爲スコトヲ得
合併後存續スル組合又ハ合併若ハ分割
ニ因リテ設置シタル組合ハ合併又ハ分
割ニ因リテ消滅シタル組合ノ權利義務
ヲ承繼ス
第五條ノ六政府ハ必要アリト認ムルト
キハ酒類製造者ヲシテ酒造組合ヲ指定
シ當該組合ノ組合員クラシムルコトヲ
得
第五條ノ七政府ハ必要アリト認ムルト
キハ酒造組合ニ對シ其ノ解散ヲ命スル
コトヲ得
第五條ノ八酒造組合ハ左ノ事由ニ因リ
テ解散ス
-政府ノ命令
二組合ノ決議
三合併又ハ分割
前項第二號ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
第六條中「組合相互ノ氣脈ヲ通シ其ノ」ヲ
「共同ノ」ニ改メ同條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ命令ヲ以テ定ムル酒造組合ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラス
第六條ノ四酒造組合聯合會及命令ヲ以
テ定ムル酒造組合ハ共同ノ目的ヲ達ス
ル爲酒造組合中央會ヲ設置スルコトヲ
得
第六條ノ七中「第三條ノ一一」ノ下ニ「、第四
條ノ二、第四條ノ三」ヲ加へ「及第五條ノ
四」ヲ「、第五條ノ四、第五條ノ七及第五條
ノ八」ニ改ム
第六條ノ八中「第三條ノ二第一項第三號」
ヲ「第三條ノ二、第四條ノ二、第四條ノ
三」ニ、「及第五條ノ四」ヲ「、第五條ノ四、
第五條ノ七及第五條ノ八」ニ改ム
第六條ノ九酒造組合中央會ハ統制規程
ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル酒
造組合及酒造組合ノ組合員ヲシテ其ノ
行フ統制ニ從ハシムルコトヲ得
第九條ノ三政府ハ酒造組合、酒造組合
聯合會又ハ酒造組合中央會ニ對シ酒類
製造業ノ統制運營上必要ナル事業ノ施
行ヲ命シ、定款若ハ統制規程ノ變更其
ノ他必要ナル事項ヲ命シ又ハ定款若ハ
統制規程ノ設定若ハ變更ヲ爲スコトヲ
得
第十條中「若ハ定款ノ規定ニ違背シ」ヲ
マ定款若ハ統制規程ニ違反シ」ニ改ム
第十條ノ二酒類販賣業者(命令ヲ以テ
定ムル酒類販賣業者ヲ除ク)ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ酒販組合ヲ設置スルコ
トヲ得
第十條ノ三中「前條」ヲ「第十條ノ十二」ニ
改メ同條ヲ第十條ノ十四トス
第十條ノ三酒販組合ハ酒類販賣業ノ整
備發達及統制運營ヲ圖リ且當該事業ニ
關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目
的トス
第十條ノ四酒販組合及命令ヲ以テ定ム
ル酒類販賣業者ハ共同ノ目的ヲ達スル
爲道府縣ヲ一區域トスル酒販組合聯合
會ヲ設置スルコトヲ得
第十條ノ五酒販組合聯合會ハ共同ノ目
的ヲ達スル爲全國ヲ區域トスル全國酒
販組合聯合會ヲ設置スルコトヲ得
第十條ノ六全國酒販組合聯合會及命令
ヲ以テ定ムル酒類販賣業者ハ共同ノ目
的ヲ達スル爲酒販組合中央會ヲ設置ス
ルコトヲ得
第十條ノ七酒販組合中央會ハ統制規程
ノ定ムル所ニ依リ酒販組合聯合會及其
ノ會員(會員ノ構成員ヲ含ム)ヲシテ其
ノ行フ統制ニ從ハシムルコトヲ得
第十條ノ八第三條ノ二、第四條第一項、
第四條ノ二乃至第五條ノ八及第八條乃
至第十條ノ規定ハ酒販組合ニ之ヲ準用
ス
第十條ノ九第三條ノ二、第四條第一項、
第四條ノ二乃至第五條、第五條ノ二第
項同條第四項、第五條ノ三、第五
條ノ四、第五條ノ七、第五條ノ八及第
八條乃至第十條ノ規定ハ酒販組合聯合
會全國酒販組合聯合會及酒販組合中
央會ニ之ヲ準用ス
第十條ノ十酒販組合、酒販組合聯合會、
全國酒販組合聯合會及酒販組合中央會
ハ法人トス
第十條ノ十一酒造組合、酒造組合聯合
會酒造組合中央會、酒販組合、酒販
組合聯合會、全國酒販組合聯合會及酒
販組合中央會(以下酒類業團體ト稱ス)
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スヘキ事項ハ登
記ノ後ニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ス
第十條ノ十二第五條ノ四(第十條ノ八
ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ
違反シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六條ノ九ノ規定ニ違反シタル酒造組
合ノ組合員又ハ第十條ノ七ノ規定ニ違
反シタル酒販組合ノ組合員ノ罰亦前項
(西)
第十條ノ十三組合員ハ其ノ代理人、戶
主家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業
者カ其ノ營業ニ關シ前條ノ違反行爲ヲ
爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサル
ノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得
ス
第十條ノ十五前二條ノ場合ニ於テハ懲
役ノ刑ニ處スルコトヲ得ス
第十條ノ十六酒類業團體ノ證票若ハ檢
査證ヲ不正ニ使用シタル者、行使ノ目
的ヲ以テ證票若ハ檢査證ヲ僞造若ハ變
造シタル者又ハ僞造若ハ變造ノ證票若
ハ檢査證ヲ使用シタル者ハ三年以下ノ
懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ニ揭クル罪ハ刑法第三條ノ例ニ從
フ
第十條ノ十七酒類業團體ノ役員、〓算
人若ハ使用人又ハ檢査員其ノ職務ニ關
シ賄賂ヲ收受シ又ハ之ヲ要求若ハ約束
シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因
テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ
爲ササルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スル
コト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第一項ニ揭クル罪ハ刑法第四條ノ例ニ
從フ
第十條ノ十八前條第一項ニ揭クル者ニ
對シ賄賂ヲ交付、提供又ハ約束シタル
者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ
罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第十條ノ十九酒類業團體ノ役員本法ニ
基キテ發スル勅令ニ違反シ登記ヲ爲ス
コトヲ怠リタルトキハ五百圓以下ノ過
料ニ處ス
第十一條中「酒造組合、酒造組合聯合會
及酒造組合中央會」ヲ「酒類業團體」〓
ム
第十一條ノ二本法ハ命令ヲ以テ定ムル
酒類製造者又ハ酒類販賣業者ニハ之ヲ
適用セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條ノ三ノ改正規定施行ノ際現ニ存ス
ル酒造組合、酒造組合聯合會及酒造組合
中央會ノ成立ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依
ル
第十條ノ十一ノ改正規定施行ノ際現ニ存
スル酒造組合、酒造組合聯合會及酒造組
合中央會ノ登記ニ關シテハ同條第二項ノ
規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲ス
コトヲ得
〓涼飮料稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〓涼飮料稅法中改正法律案
〓涼飮料稅法中左ノ通改正ス
第二條中「十二圓」ヲ「一一十圓」ニ、「三十
圓」ヲ「六十五圓」ニ、「十一圓」ヲ「二十五
圓」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際製造場以外ノ場所ニ於テ同
一人ガ三石以上ノ第二種ノ〓涼飮料ヲ所
持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造
場其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ〓
涼飮料稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法施
行ノ日ニ於テ其ノ〓涼飮料ヲ製造場外ニ
移出シタルモノト看做シ一石ニ付三十五
圓ノ割合ニ依リ算出シタル金額ヲ其ノ稅
額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ〓涼飮料ノ所持者ハ其ノ所持スル
〓涼飮料ノ數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行
後一月以内ニ政府ニ申告スベシ
取引所稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
取引所稅法中改正法律案
取引所稅法中左ノ通改正ス
第四條中「會員組織ノ取引所」ノ下ニ「及
日本證劵取引所」ヲ加フ
第五條第一項中「萬分ノ五」ヲ「萬分ノ八」
ニ、「萬分ノ七」ヲ「萬分ノ十」ニ改ム
第十七條中「取引所法第二十五條」ノ下ニ
「又ハ日本證劵取引所法第五十四條」ヲ加
フ
第二十一條ノ二ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
日本證劵取引所ニ吸收セラレタル取引所
ニ課スベカリシ取引所特別稅ハ取引所稅
法第四條ノ改正規定ニ拘ラズ日本證劵取
引所ニ之ヲ課ス
日本證劵取引所ニ吸收ゼラレタル取引所
ニ於ケル賣買取引ニ課スベカリシ取引稅
ノ納付ニ付テハ日本證劵取引所其ノ保證
ノ責ニ任ズ
一砂糖
第一種分蜜ナサル砂糖
甲
モノ竝ニ全部又ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造シタルモノヲ除ク
百斤ニ付
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付
第二種其ノ他ノ砂糖但シ氷砂糖、
甲蔗糖ノ重量全重量ノ百分ノ八十六ヲ超エサルモノ
百斤ニ付
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付
第三種氷砂糖、角砂糖、
甲氷砂糖百斤ニ付
乙其ノ他ノモノ百斤ニ付
二糖蜜
第一種氷砂糖ヲ製造スルトキニ生スル糖蜜
百斤ニ付
第二種其ノ他ノ糖蜜百斤ニ付
三糖水百斤ニ付
第三條ノ二特別消費稅ノ稅率左ノ如シ
砂〓消費稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
砂糖消費稅法中改正法律案
砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第二條本法施行地ニ於テ命令ヲ以テ定
ムル用途ニ供スル砂糖、糖蜜及糖水ニ
ハ前條ノ消費稅ノ外特別消費稅ヲ課ス
第三條消費稅ノ稅率左ノ如シ
樽入黑糖及樽入白下精但シ黑糖及白下糖以外ノ砂糖ニ加工シテ製造シタル
六圓七十錢
九圓
角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノヲ除ク
十圓
十四圓五十錢
棒砂糖其ノ他類似ノモノ
十八圓
消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ砂糖ヲ以テ
製造シタルモノニ在リテハ百斤ニ付二圓九十
十九圓
消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ砂糖ヲ以テ
製造シタルモノニ在リテハ百斤ニ付四圓五十錢
十圓
六圓
十二圓五十錢
砂糖
第一種百斤ニ付
第二種及第三種百斤ニ付
二精蜜百斤ニ付
三糖水百斤ニ付
第四條第一項中「前條」ヲ「第三條」ニ改ム
第七條ノ二特別消費稅ハ第二條ノ規定
ニ依リ特別消費稅ヲ課スヘキ砂糖、糖
蜜又ハ糖水ヲ同條ニ規定スル用途ニ供
スル者ニ販賣スル者ヨリ之ヲ徴收ス
第七條ノ三砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ製造者
又ハ販賣者カ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ第二
條ニ規定スル用途ニ供シタルトキハ之
ヲ同條ニ規定スル用途ニ供スル者ニ販
賣シタルモノト看做ス
第七條ノ四第二條ノ規定ニ依リ特別消
費税ヲ課スヘキ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ
同條ニ規定スル用途ニ供スル者ニ販賣
スル者ハ每月其ノ販賣シタル砂糖、糖
蜜又ハ精水ノ種類每ニ斤數ヲ記載シタ
ル申〓書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出ス
ヘシ但シ販賣ヲ廢止シタル場合ニ於テ
ハ直ニ之ヲ提出スヘシ
前項ノ申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府
ニ於テ申告ヲ不相當ト認メタルトキハ
政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第七條ノ五特別消費稅ハ每月分ヲ翌月
末日迄ニ納付スヘシ但シ前條第一項但
書ノ場合ニ於テハ直ニ之ヲ納付スヘシ
第八條中「製造セムトスル者」ヲ「製造又
ハ販賣セムトスル者」ニ、「製造ヲ廢止セ
ムトスルトキ」ヲ「製造又ハ販賣ヲ廢止セ
ムトスルトキ」ニ改ム
第十一條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
円其ノ地命令ヲ以テ定ムルモノノ製
五圓
十圓
五圓
十圓
造ノ用ニ供スルモノ
第十一條ノ四第十一條第一項ノ規定ニ
依リ消費稅ヲ免除セラレタル砂糖、糖
蜜又ハ糖水ニ付同條第三項又ハ第四項
ノ規定ニ依リ消費稅ヲ徵收スル場合ニ
於テ當該砂糖、糖蜜又ハ糖水カ特別消
費稅ヲ課スヘキモノナルトキハ消費稅
納付義務者ヨリ特別消費稅ヲ徵收ス
第十一條ノ五政府ノ承認ヲ受ケ命令ヲ
以テ定ムル用途ニ供スル砂糖、糖蜜又ハ
糖水ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ特
別消費稅ヲ免除ス
第十一條第三項ノ規定ハ前項ノ砂糖、糖
蜜又ハ糖水ニシテ政府ノ指定シタル期
問內ニ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ
證明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第十二條ノ二中「消費稅」ノ下ニ「及特別
消費稅」ヲ加へ「消費税額」ヲ「消費稅及特
別消費稅ノ額」ニ改ム
第十二條ノ三中「第三號」ノ下ニ「又ハ第
四號」ヲ加へ「消費稅額」ヲ「消費稅及特別
消費稅ノ額」ニ改ム
第十三條ノ二詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ
依リ特別消費稅ヲ通脫シ又ハ通脫セム
トシタル者ハ其ノ通脫シ又ハ通脫セム
トシタル特別消費稅五倍ニ相當スル罰
金ニ處シ直ニ其ノ特別消費稅ヲ徵收ス
但シ罰金額カ二十圓ニ滿タサルトキハ
之ヲ二十圓トス
第十四條ノ二左ノ各號ノ一ニ該當スル
者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第七條ノ四ノ規定ニ依ル申〓ヲ怠
リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申告セスシテ砂糖、糖蜜又
ハ糖水ヲ販賣シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ販賣シタル砂糖、糖蜜又ハ糖水ニ
對スル特別消費稅ヲ徵收ス
第十六條中「又ハ」ヲ「乃至」ニ改ム
第十七條中「第三號」ノ下ニ「又ハ第四號」
ヲ加フ
第十七條ノ四政府ハ第七條ノ二ニ規定
スル販賣者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅
上必要ナル施設ヲ爲シ又ハ徵收事務ノ
補助ヲ爲スヘキコトヲ命スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ命
令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付スルコ
トヲ得
附則
第一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第二條本法施行前ヨリ引續キ砂糖、糖
蜜又ハ糖水ヲ販賣スル者本法施行後一
月以内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキ
ハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申〓
シタルモノト看做ス
第三條改正前ノ砂糖消費稅法第三條ノ
稅率ニ依リ消費稅ヲ課セラレタル砂糖、
精蜜又ハ糖水ヲ原料トシテ製造シタ
ル砂糖(第三種ノ砂糖ヲ除ク)、糖蜜又
ハ糖水ニシテ本法施行後製造場ヨリ引
取ラルルモノニ付テハ砂糖消費稅法第
十二條ノ規定ニ拘ラズ消費稅ヲ徵收ス
此ノ場合ニ於テハ改正後ノ同法第三條
ノ稅率ニ依リ算出シタル金額ト改正前
同法同條ノ稅率ニ依リ算出シタル金
額トノ差額ヲ以テ其ノ稅額トス
改正前ノ砂精消費稅法第三條ノ稅率ニ
依リ消費稅ヲ課セラレタル第二種乙ノ
砂糖ヲ以テ製造シタル第三種ノ砂糖ニ
シテ本法施行後製造場ヨリ取取ラルル
モノニ付テハ改正後ノ砂精消費稅法第
三條ニ規定スル氷砂糖ノ稅率百斤ニ付
二圓九十錢ハ之ヲ百斤ニ付五圓トシ其
ノ他ノモノノ稅率百斤ニ付四圓五十錢
ハ之ヲ百斤ニ付七圓トス
第四條本法施行ノ際製造場又ハ保稅地
域以外ノ場所ニ於テ同一人ガ各種類ヲ
通ジ合計五千斤以上ノ砂糖、糖蜜又ハ
糖水ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ者ガ
本法施行ノ日ニ於テ之ヲ製造場ヨリ引
取リタルモノト看做シ消費稅ヲ課ス此
ノ場合ニ於テハ改正後ノ砂糖消費稅法
第三條ノ稅率ニ依リ算出シタル金額ト
改正前ノ同法同條ノ稅率ニ依リ算出シ
タル金額トノ差額(第三種ノ砂糖ニ在
リテハ百斤ニ付三圓ノ割合ニ依リ算出
シタル金額)ヲ以テ其ノ稅額トシ命令
ノ定ムル所ニ依リ之ヲ徵收ス
前項ノ砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ所持者ハ
其ノ所持スル砂糖、糖蜜又ハ糖水ノ種
別數量及貯藏ノ場所ヲ本法施行後一
月以内ニ政府ニ申〓スベシ
第五條本法施行ノ際砂糖、糖蜜又ハ糖
水ノ製造者及販賣者以外ノ者ガ各種類
ヲ通ジ合計二千斤以上ノ特別消費稅ヲ
課スベキ砂糖、糖蜜又ハ糖水ヲ所持ス
ル場合ニ於テハ其ノ所持者ヲ以テ販賣
者ト看做シ特別消費稅ヲ課ス此ノ場合
ニ於テハ本法施行ノ日ニ於テ其ノ砂糖、
糖蜜又ハ糖水ヲ販賣シタルモノト看
做シ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ特別消
費稅ヲ徵收ス
前條第二項ノ規定ハ前項ノ砂糖、糖蜜
又ハ精水ノ所持者ニ付之ヲ準用ス
物品稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
物品稅法中改正法律案
物品稅法中左ノ通改正ス
第一條第一項第一種第七號中「羽毛製品」
ノ上ニ「羽毛、」ヲ加ヘ同種第三十四號中「及
香道用具」ヲ「、香道及華道用具」ニ改ム
同種第三十六號中「花輪」ノ上ニ「花、」ヲ
加ヘ同種ニ左ノ一號ヲ加フ
四十箱、樽其ノ他類似ノ容器(通
常小賣ニ用ヒザル容器ヲ除ク)
ニ入レタル食料品
同項第二種第一號中「附屬品」ノ下ニ「竝
ニ現像燒付用器具」ヲ加ヘ同種第六號中
「及隻眼鏡」ヲ「、隻眼鏡及同ケース」ニ改
ム
同種第二十七號中「大理石」ノ下ニ「大理
石ニ類スル裝飾用石材」ヲ加ヘ同種第三十
三號中「輪轉謄寫機」ヲ「謄寫器」ニ改ム
同種第三十五號中「タイムスタンプ」ノ下
ニ「、タイムレコーダ」ヲ、同種第三十六號
中「ミシン及」ノ下ニ「同部分品竝ニ」ヲ加
ヘ同種第三十七號中「板硝子」ヲ「幻燈機、
實物投影機及同ケース」ニ、同種第三十八
號中「紙及セロファン」ヲ「バター、チケ
ズ、クリーム及其ノ代用物」ニ、同種第四
十一號中一調味料」ヲ「グルタミン酸ソー
ダヲ主成分トスル調味料」ニ改ム
同種ニ左ノ如ク加フ
四十二安全剃刄
丁類
四十三板硝子
四十四紙及セロファン
四十五靴塗料類
四十六調味料
四十七酒類粕
四十八罐罎壺其ノ他類似ノ
容器(通常小賣ニ用ヒザル容
器ヲ除ク)ニ入レタル食料品
四十九滋養强壯劑及口中劑
同項第三種ニ左ノ一號ヲ加フ
四蜂蜜
同條第二項ヲ左ノ如ク改ム
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當
スルモノハ之ヲ第二種トシ甲類ニ該當
スル物品ニシテ乙類、丙類又ハ丁類ノ
何レカニ該當スルモノハ之ヲ甲類トシ
乙類ニ該當スル物品ニシテ丙類又ハ丁
類ノ何レカニ該當スルモノハ之ヲ乙類
トシ同一物品ニシテ丙類及丁類ニ該當
スルモノハ之ヲ丙類トス
第二條物品稅ノ稅率左ノ如シ
第一種
甲類物品ノ價格百分ノ八十
乙類物品ノ價格百分ノ三十
丙類物品ノ價格百分ノ十
第二種
甲類物品ノ價格百分ノ八十
乙類物品ノ價格百分ノ三十
物品ノ價格百分ノ二十
丁丙類類
物品ノ價格百分ノ十
第三種
-燐寸千本ニ付十五錢
二飴葡萄糖及麥芽糖
イ麥芽糖化ノ方法ニ依リ製造シ
タル飴百斤ニ付五圓
ロ其ノ他ノ飴竝ニ葡萄糖及麥芽
糖百斤ニ付五圓五十錢
三サッカリン一瓩ニ付二十圓
四蜂蜜百斤ニ付五圓
命令ヲ以テ定ムル第一種乙類ノ物品ニ
付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ價格ノ
百分ノ六十ノ稅率ニ依ル
第六條中「又ハ調味料」ヲ「、調味料、靴塗
料類、滋養强壯劑又ハ口中劑」コムナ.
第七條第二種又ハ第三種ノ物品ガ左ノ
各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ之ヲ
製造場ヨリ移出シタルモノト看做ス
一製造場內ニ於テ飮用又ハ〓用ニ供
セラレタルトキ但シ綠茶又ハ蜂蜜ガ
飮用又ハ〓用ニ供セラレタルトキヲ
除ク
二製造場內ニ於テ第二種又ハ第三種
ノ物品以外ノ物品ノ原料トシテ使用
セラレタルトキ
第十二條第一項第一號中「第二種ノ物品」
ヲ「第二種又ハ第三種ノ物品」ニ改メ同
項第二號ヲ削リ第三號ヲ第二號トス
同條第四項中「第三號」ヲ「第二號」ニ改ム
第二十四條中「第三號」ヲ「第二號」ニ改ム
第二十五條中「飴」ヲ「飴若ハ蜂蜜」ニ改ム
第二十五條ノ二政府ハ第一種ノ物品ノ
小賣業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品
ノ製造者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅上
必要ナル施設ヲ爲シ又ハ徴收事務ノ補
助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付ス
ルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ヨリ引續キ物品稅法第一條ノ
改正規定ニ依リ物品稅ヲ課スルコトト爲
リタル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又
ハ同第二種ノ物品若ハ蜂蜜ノ製造ヲ爲ス
者本法施行後一月以内ニ其ノ旨ヲ政府ニ
申告スルトキハ本法施行ノ日ニ於テ物品
稅法第十五條ノ規定ニ依リ申〓シタルモ
ノト看做ス
改正後ノ物品稅法第一條ニ揭グル第二種
又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ガ
本法施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ
場所ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル物品
ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製
造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ
之ニ物品稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本法
施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移
出シタルモノト看做シ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ從前ノ規定
ニ依リ物品稅ヲ課セラレタル物品ニ付テ
ハ其ノ課セラレタル稅額ニ相當スル金額
ヲ控除シタル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
改正後ノ物品稅法第一條ニ揭グル第
二種ノ物品ニシテ同條各號ニ揭グル品
名每ニ價格千圓以上ノモノ
二百萬本以上ノ燐寸
三飴葡萄糖又ハ麥芽糖ニシテ合計三
千斤以上ノモノ
四十瓩以上ノサッカリン
五三千斤以上ノ蜂蜜
前項第一號ノ物品中命令ヲ以テ定ムルモ
ノニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ命令ノ定
ムル所ニ依リ當該物品ノ貯藏ノ場所ヨリ
移出シタルトキ其ノ物品稅ヲ徴收スルコ
トヲ得
附則第三項ノ製造者又ハ販賣者ハ同項第
一號ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量、
價格及貯藏ノ場所ヲ、第二號乃至第五號
ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量及貯藏
ノ場所ヲ本法施行後一月以內ニ政府ニ申
告スベシ
遊興飮食稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
-藝妓ノ花代
二藝妓ノ花代ニ類スル料金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
稱ス)
三
花代ヲ除ク
四
代ヲ除ク
五前各號以外ノ遊興飮食ノ料金
イ一人一囘二圓五十錢ニ滿タザルモノ
ロ一人一囘五圓ニ滿タザルモノ
ハ一人一囘五圓以上ノモノ
六旅館ニ於ケル宿泊ノ料金
イ一人一泊五圓ニ滿タザルモノ
ロ一人一泊十圓ニ滿タザルモノ
ハ一人一泊十圓以上ノモノ
同條第二項中「前條」ヲ「前條第一項」ニ改
ム
第三條中「五圓」ヲ「三圓」ニ改ム
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
遊興飮食稅法中改正法律案
遊興飮食稅法中左ノ通改正ス
第一條ニ左ノ一項ヲ加フ
第一項ノ場所以外ノ場所ニ於テ遊興飮
食スル場合ニ於テ藝妓若ハ藝妓ニ類ス
ル者又ハ飮食物ガ第一項ノ場所以外ノ
場所ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヨリ
派出又ハ供給ヲ受クルモノナルトキハ
其ノ場所ハ之ヲ料理店ト看做シ其ノ遊
興飮食ハ之ヲ料理店ニ於ケル遊興飮食
ト看做ス
第二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
遊興飮食稅ノ稅率左ノ如シ
料金ノ百分ノ二百
(以下其ノ他ノ花代ト
料金ノ百分ノ百
藝妓ノ花代又ハ其ノ他ノ花代ヲ伴フ遊興飮食ノ料金但シ藝妓ノ花代及其ノ他ノ
料金ノ百分ノ五十
命令ヲ以テ定ムル料理店ニ於ケル遊興飮食ノ料金但シ藝妓ノ花代及其ノ他ノ花
料金ノ百分ノ六十
料金ノ百分ノ三十
料金ノ百分ノ四十
料金ノ百分ノ五十
料金ノ百分ノ二十
料金ノ百分ノ三十
料金ノ百分ノ五十
第四條、第五條及第七條乃至第九條中「第
一條」ヲ「第一條第一項」ニ改ム
第九條ノ二政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ第一條第一項ニ規定スル場所ノ經營
者ニ對シ料金領收書ノ發行其ノ他取締
上必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十條中「前條」ヲ「第九條」ニ改ム
第十二條第一項第二號中「第一條」ヲ「第
一條第一項」ニ改メ同項ニ左ノ一號ヲ加フ
三第九條ノ二ノ規定ニ依ル政府ノ命
令ニ違反シタル者
第十五條及第十七條中「第一條」ヲ(RP)
條第一項」ニ改ム
附則
第一條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム但シ附則第三條ノ規定ハ昭和十
八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第二條本法施行前ヨリ引續キ遊興飮食
稅法第一條ノ改正規定ニ依リ料理店ト
看做サルル場所ヲ經營スル者本法施行
後一月以內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スル
トキハ本法施行ノ日ニ於テ遊興飮食稅
法第八條ノ規定ニ依リ中告シタルモノ
ト看做ス
第三條地方分與稅法中左ノ通改正ス
第二條第二項及第六條第一項中「百分
ノ十三·二二」ヲ「百分ノ十四·一四」ニ、
「百分ノ十九·八四」ヲ「百分ノ十二·六
九」ニ改ム
第四十七條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改
ム
第二條第二項中百分ノ十四·一四トア
ルハ昭和十六年度ニ於テハ百分ノ十四·
七々昭和十七年度ニ於テハ百分ノ十
三·四二、昭和十八年度及昭和十九年度
ニ於テハ百分ノ十四·一一四トス
第二條第二項中百分ノ十二·六九トア
ルハ昭和十六年度ニ於テハ百分ノ二十
九·三五、昭和十七年度ニ於テハ百分ノ
二十一·四二、昭和十八年度ニ於テハ百
分ノ十三·一一トス
第四十八條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改
ム
第六條第一項中百分ノ十四·一四トア
ルハ昭和十七年度分ニ付テハ百分ノ二
十二·三五、昭和十八年度分ニ付テハ百
分ノ十九·四五、昭和十九年度分ニ付テ
ハ百分ノ十四·六二、昭和二十年度分ニ
付テハ百分ノ十四·二六、昭和二十一年
度分ニ付テハ百分ノ十四·二四トス
第六條第一項中百分ノ十二·六九トア
ルハ昭和十七年度分ニ付テハ百分ノ五
+、昭和十八年度分ニ付テハ百分ノ三
十一·六二、昭和十九年度分ニ付テハ百
分ノ二十一·一六、昭和二十年度分ニ付
テハ百分ノ十三·一二トス
入場稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
入場稅法中改正法律案
入場稅法中左ノ通改正ス
第二條中「第一種ノ場所ニ入場スル者又
ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者」ヲ
「第一種ノ場所ヘノ入場又ハ第二種ノ場
所ノ設備ノ利用」ニ、同條第一種第一號中
「活動寫眞」ヲ「映畫」ニ改ム
第三條入場稅ノ稅率左ノ如シ
第一種ノ場所
入場料ガ一人一囘五十錢未滿ノモノ
入場料ガ一人一囘一圓未滿ノモノ
入場料ガ一人一同三圓未滿ノモノ
入場料ガ一人一囘五圓未滿ノモノ
入場料ガ一人一囘五圓以上ノモノ
回數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタルモノ
入場料ガ一人一囘一圓未滿ノモノ
入場料ガ一人一囘一圓以上ノモノ
第二種ノ場所
撞球場、スケート場入場料ノ百分ノ三十
麻雀場
舞踏場、ゴルフ場
本法ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ
問ハズ第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ
於ケル演劇、映畫、演藝、觀物、競馬
其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設
備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場
所ノ經營者ガ第一種ノ場所ニ入場シ又
ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ヨ
リ其ノ入場又ハ設備ノ利用ニ付取得ス
ベキ金額ヲ謂フ
入場料ノ算定ニ關シテハ命令ヲ以テ之
ヲ定ム
第五條中「(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、
活動寫眞、演藝、觀物、競馬其ノ他ノ催
物ヲ謂フ以下同ジ)」ヲ削ル
第六條入場稅ハ第一種ノ催物若ハ設備
ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所
ノ經營者ヨリ之ヲ徵收ス
第六條ノ二第一種ノ催物若ハ設備ノ主
催者若ハ經營者又ハ第一一種ノ場所ノ經
營者ハ每月分ノ入場料金ヲ催物又ハ設
備ノ種類每ニ稅率ノ區別ニ從ヒ區分シ
入場料ノ百分ノ二十
入場料ノ百分ノ四十
入場料ノ百分ノ六十
入場料ノ百分ノ九十
入場料ノ百分ノ百二十
入場料ノ百分ノ六十
入場料ノ百分ノ九十
入場料ノ百分ノ五十
入場料ノ百分ノ九十
テ記載シタル申〓書ヲ翌月十日迄ニ政
府ニ堤出スベシ但シ第一種ノ催物若ハ
設備ノ開催若ハ經營又ハ第二種ノ場所
ノ經營ヲ廢止シタル場合ニ於テハ直ニ
之ヲ提出スベシ
前項ノ申〓書ノ場出ナキトキ又ハ政府
ニ於テ申〓ヲ不相當ト認メタルトキハ
政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第六條ノ三入場稅ハ每月分ヲ翌月末日
迄ニ納付スベシ但シ前條第一項但書ノ
場合ニ於テハ直ニ之ヲ納付スベシ
第九條中「入場者」ヲ「入場」ニ改ム
第十條特別入場稅ノ稅率左ノ如シ
特別入場料ガ一人一囘一圓未滿ノモノ
特別入場料ノ百分ノ二十
特別入場料ガ一人一囘一圓以上ノモノ
特別入場料ノ百分ノ四十
囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ
爲シタルモノ
特別入場料ノ百分ノ四十
本法ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タ
ルヲ問ハズ前條ニ規定スル運動競技ノ
主催者ガ該競技場ニ入場スル者ヨリ其
ノ入場ニ付取得スベキ金額ヲ謂フ
特別入場料ノ算定ニ關シテハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第十二條特別入場稅ハ第九條ニ規定ス
ル運動競技ノ主催者ヨリ之ヲ徵收ス
第十四條第九條ニ規定スル運動競技ノ
主催者ハ該競技終了後直ニ其ノ特別入
場料金ヲ稅率ノ區別ニ從ヒ區分シテ記
載シタル申〓書ヲ政府ニ提出スベシ但
シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ翌月
十日迄ニ之ヲ提出スベシ
第六條ノ二第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ付之ヲ準用ス
第十四條ノ二特別入場稅ハ運動競技ノ
終了後二十日以內ニ納付スベシ但シ前
條第一項但書ノ場合ニ於テハ翌月末日
迄ニ之ヲ納付スベシ
第十六條詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
入場稅ヲ通脫シ又ハ連脫セントシタル
者ハ其ノ逋脫シ又ハ通脫セントシタル
稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ
其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓
ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十六條ノ二左ノ各號ノ一ニ該當スル
者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
-第六條ノ二第一項ノ規定ニ依ル申
告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申告セズシテ第一種ノ催物
若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二
種ノ場所ヲ經營シタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ入場稅ヲ徵收ス
第十七條ノ二第十六條ノ罪ヲ犯シタル
者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第
三十九條第二項、第四十條、第四十一
候第四十八條第二項、第六十三條及
第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第十七條ノ三第一種ノ催物若ハ設備ノ
主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ
經營者ノ代理人、戶主、家族、同居者、
雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ
本法ヲ犯シタルトキハ其ノ第一種ノ催
物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第
二種ノ場所ノ經營者ヲ處罰ス
第十八條第一項ヲ左ノ如ク改ム
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團
體ハ入場稅ノ課稅標準タル入場料ニ對
シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十九條政府ハ第一種ノ催物若ハ設備
ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所
ノ經營者ノ組織スル團體ニ對シ徵稅上
必要ナル施設ヲ爲シ又ハ徵收事務ノ補
助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付ス
ルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ニ徵收シ又ハ徵收スベカリシ
入場稅又ハ特別入場稅ニ關シテハ仍從前
ノ例ニ依ル
特別行爲稅法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
特別行爲稅法案
特別行爲稅法
第一條 左ニ揭グル行爲ニハ本法ニ依リ
特別行爲稅ヲ課ス
一 寫眞ノ撮影、現像、燒付及複寫
二 調髮及整容
三 織物及被服類ノ染色(描繪ヲ含ム)
及刺繍
四 被服類其ノ他命令ヲ以テ定ムルモ
ノノ仕立(編上ヲ含ム)
五 書畫ノ表裝
六 印刷及製本
第二條 特別行爲稅ノ稅率ハ料金ノ百分
ノ三十トス但シ前條第六號ニ揭グル行
爲ニ付テハ料金ノ百分ノ二十トス
第三條 前條ノ料金トハ名義ノ何タルヲ
問ハズ第一條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業ヲ
營ム者ガ其ノ行爲ノ對價トシテ取得ス
ベキ金額ヲ謂フ
第七條ニ規定スル場合ニ於ケル料金ハ
第一條第六號ニ揭グル行爲ノ對價トシ
テ通常取得シ得ベキ金額ニ依ル
第一項ノ料金ノ計算ニ關シ必要ナル事
項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 左ニ揭グル行爲ニハ特別行爲稅
ヲ課セズ
一 寫眞ノ撮影ニシテ寫眞一組ノ料金
ガ一圓五十錢ニ滿タザルモノ
二 第一條第二號ニ揭グル行爲ニシテ
一囘ノ料金ガ一圓ニ滿タザルモノ
三 第一條第三號ニ揭グル行爲ニシテ
一件ノ料金ガ五圓(染替ニ付テハ十
圓)ニ滿タザルモノ
四 第一條第四號ニ揭グル行爲ニシテ
其ノ料金ガ命令フ以テ宅ヘレ会額ニ
滿タザルモノ
第五條 左ニ揭グル行爲ニハ特別行爲稅
ヲ課セズ
一 國、北海道、府縣、市町村其ノ他
命令ヲ以テ指定スル公共團體ノ爲ニ
爲スモノ
二 織物、被服類其ノ他命令ヲ以テ定
ムルモノノ製造又ハ販賣ヲ爲ス業ヲ
營ム者ノ當該商品ニ付爲ス第一條第
三號又ハ第四號ニ揭グル行爲
三 書畫ノ販賣ヲ爲ス業ヲ營ム者ノ當
該商品ニ付爲ス第一條第五號ニ揭グ
ル行爲
四 教科用圖書及新聞紙法ニ依ル新聞
紙ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付
爲ス第一條第六號ニ揭グル行爲
五 其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノ
第六條 特別行爲稅ハ第一條ニ揭グル行
爲ヲ爲ス業ヲ營ム者ヨリ之ヲ徴收ス
第七條 出版業者其ノ他印刷又ハ製本シ
タル物品ノ製造又ハ販賣ヲ爲ス業ヲ營
ム者ガ自ラ印刷又ハ製本ヲ爲ス場合ニ
於テハ之ヲ當該行爲ヲ爲ス業ヲ營ム者
ト看做ス
第八條 第一條ニ揭グル行爲ニ付取次ヲ
爲ス業ヲ營ム者ノ取次ニ依リテ爲サレ
タル行爲ハ之ヲ當該取次ヲ爲ス業ヲ營
ム者ガ同條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業ヲ營
ム者トシテ自ラ爲シタルモノト看做ス
第九條 第一條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業ヲ
營ム者ハ每月其ノ爲シタル同條ニ揭グ
ル行爲ニ付其ノ種類每ニ料金ヲ記載シ
タル申告書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出
スベシ但シ其ノ業ヲ廢止シタル場合ニ
テハ省ニツヲヲ出スバ
前項ノ申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府
ニ於テ申告ヲ不相當ト認メタルトキハ
政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第十條 特別行爲稅ハ每月分ヲ翌月末日
迄ニ納付スベシ但シ前條第一項但書ノ
場合ニ於テハ直ニ之ヲ納付スベシ
第十一條 第一條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業
ヲ營マントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ニ申告スベシ之ヲ廢止セント
スルトキ亦同ジ
第十二條 第一條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業
ヲ營ム者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載シ又ハ
必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第十三條 收稅官吏ハ第一條ニ揭グル行
爲ヲ爲ス業ヲ營ム者ニ對シ其ノ業務ニ
關シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿書類其ノ他ノ
物件ヲ檢査スルコトヲ得
第十四條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ
特別行爲稅ヲ逋脫シ又ハ通脫セントシ
タル者ハ其ノ通脫シ又ハ連脫セントシ
タル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ
直ニ其ノ稅金ヲ徴收ス但シ罰金額ガ二
十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一第九條第一項ノ規定ニ依ル申告ヲ
怠リ又ハ詐リタル者
二政府ニ申告セズシテ第一條ニ揭グ
ル行爲ヲ爲ス業ヲ營ミタル者
前項第二號ニ規定スル者ニ付テハ直ニ
其ノ特別行爲稅ヲ徵收ス
第十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十二條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載
若ハ申告ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ
隱匿シタル者
二 第十三條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ
質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ
陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒
ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十七條 第十四條ノ罪ヲ犯シタル者ニ
ハ刑法第三十八條第三項但書、第三十
九條第二項、第四十條、第四十一條、第
四十八條 第二項、第六十三條及第六十
六條ノ規定ヲ適用セズ
第十八條 第一條ニ揭グル行爲ヲ爲ス業
ヲ營ム者ノ代理人、戶主、家族、同居者、
雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ
本法ヲ犯シタルトキハ其ノ第一條ニ揭
グル行爲ヲ爲ス業ヲ營ム者ヲ處罰ス
第十九條 政府ハ第一條ニ揭グル行爲ヲ
爲ス業ヲ營ム者ノ組織スル〓體ニ對シ
徴稅上必要ナル施設ヲ爲シ又ハ徵收事
務ノ補助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テハ前項ノ團體ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付ス
ルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ヨリ引續キ第一條ニ揭グル行
爲ヲ爲ス業ヲ營ム者本法施行後一月以內
ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本法施
行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申告シタルモノ
ト看做ス
明治四十年法律第二十一號第一條第一項
ニ左ノ一號ヲ加フ
二十三 特別行爲稅
輸出スル物品ニ對スル內國稅免除又ハ
交付金交付ノ停止等ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十二日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
輸出スル物品ニ對スル內國稅免除又ハ
交村金交付ノ停止等ニ關スル法律案
第一條酒類、〓涼飮料、砂糖、糖蜜、
糖水、揮發油、骨牌、物品稅法第一條
ニ揭グル物品、糖果又ハ果實蜜若ハ之
ニ類スルモノニシテ輸出スルモノニ付
酒稅法、〓涼飮料稅法、砂糖消費稅法、
揮發油稅法、骨牌稅法、織物消費稅法
又ハ物品稅法ニ規定スル內國稅ノ免除
又ハ交付金ノ交付ニ關スル規定ハ當分
ノ內之ヲ適用セズ但シ命令ヲ以テ定ム
ルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二條前條ニ揭グル物品ニシテ關東州
ヨリ輸入スルモノニ付テハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ前條ニ揭グル稅法ニ依リ課
スベキ租稅ヲ輕減又ハ免除ス
第三條大正九年法律第五十一號ハ之ヲ
廢止ス
附則
本法ハ昭和十八年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
昭和十八年三月三十一日以前ニ輸出シ又
ハ朝鮮ニ移出シタル酒類、〓涼飮料、砂
糖糖蜜、糖水、揮發油、骨牌、物品稅
法第一條ニ揭グル物品、糖果竝ニ果實蜜
及之ニ類スルモノニ付テハ仍從前ノ例ニ
依ル
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=15
-
016・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ稅法改正法律案十二件ノ政府提出法
律案ニ付キマシテ、一括シテ其ノ〓要ヲ說
明致シマス、大東亞戰爭ガ決戰段階ニ入ル
ニ伴ヒマシテ、戰力增强ノ爲、必要ナル財
政支出ハ愈〓增增致ス見込デアリマシテ、
豫算編成上更ニ一段ト重點主義ヲ强化スル
ト致シマシテモ、今後ニ於ケル我ガ國歲出
ノ總額ガ、大イニ膨脹スベキコトハ豫見シ
得ル所デアリマス、一面最近ニ於ケル國民
經濟運營上ノ要請ニ照シテ考ヘマスレバ、
此ノ際、極力消費ノ節約、國民購買力ノ吸
收ヲ圖リ、物資、勞力資金等、國家ノ經濟
總力ヲ戰力增强ニ集中スルノ必要、特ニ切
ナルモノガアルノデアリマス、政府ト致シ
マシテハ、此ノ財政需用ノ增加ニ備フルト
共ニ、增稅ガ國民經濟及ビ國民生活ニ及ス
影響等ニ付キマシテ、愼重考究ヲ遂ゲタル
結果、今囘臨時軍事費ノ財源ノ一部ニ充ツ
ル爲、間接稅ラ中心トスル增稅ヲ行ヒ、之
ニ必要ナル稅法ノ改正ヲ行フコトト致シマ
スルト同時ニ、現下ノ情勢ニ顧ミ、產業ノ
再編成、資金ノ蓄積、其ノ他戰時下ニ於テ
緊要ナル諸政策ノ圓滑ナル遂行ニ資スル爲、
滴當ト認ムル租稅上ノ措置ヲ講ズル等ノ必
要上、臨時租稅措置法ヲ改正セムトスルモ
ノデアリマス、先ヅ今次增稅案ノ作成ニ當·
リマシテハ、決戰下ニ於ケル國民生活ノ確
保及ビ國民負擔力ノ關係等ヲ考慮致シマシ
テ、奢侈的消費ニ對シテハ特ニ高率ノ課稅
ヲ爲スト共ニ、決戰下トシテハ尙節約可能
ナリト認メラルヽ方面ノ消費ニ對スル課稅
一付.稅率ヲ引上ゲ又ハ課稅範圍ヲ擴張ス
ル爲、酒稅其ノ他ノ間接稅ニ付改正ヲ行フ
外特別行爲稅ヲ創設セムトスルモノデア
リマス、尙是等間接稅ノ課稅ノ對象ト爲シ
得ル課稅物件ニ付、增徵稅額ニ相當スル價
格ノ引上ヲ行ヒマスコトハ間接稅ノ性質
及ビ今次增稅ノ趣旨等ニ照シ、之ヲ認メル
コトト致シダイ考デアリマス、次ニ今囘ノ
增稅案ノ內容ノ〓略ヲ御說明致シマス、
先ヅ酒稅ニ付キマシテハ主トシテ庫出稅
ノ引上ヲ行ヒ、總稅額ニ於テ大體十割程度
ノ增徵ヲ行フコトト致シタノデアリマス、酒
類中消費高ノ最モ多イ〓酒ニ付テ申シマス
レバ、之ヲ第一級酒乃至第四級酒ノ四階級
ニ區分シ、特ニ品質ノ優良ナル第一級酒ニ
付テハ、現在造石稅ト庫出稅トヲ合シ一石
ニ付百五十三圓デアリマスノヲ、一石ニ付五百
十五圓ニ引上ゲ、第二級酒、第三級酒、及ビ
第四級酒ニ付テハ、同ジク百圓デアリマスルノ
ヲ、ソレ〓〓三百四十圓、二百十圓、及ビ
二百圓ニ引上グルコトト致シテアリマス、
其ノ他ノ酒類ニ付テモ、必要ニ應ジ、品質
等ニ依リ差等ヲ設ケツヽ〓酒トノ權衡ヲ保
持スルヤウ、主下シテ庫出稅ニ付適當ト認
ムル稅率ノ引上ヲ行フコトト致シテ居ルノ
デアリマス、尙生產力擴充關係、產業其ノ
他ノ重要產業ニ從事スル勞務者等ニ對シテ
ハ、〓酒、燒酎等ノ若干數量ヲ限リ、低廉ナル
價格ヲ以テ供給スル爲、特ニ稅率ヲ引上ゲ
ザルコトト致シテアルノデアリマス、次
酒造組合法デアリマスルガ、酒類ノ生產配
給ニ付テハ、今次增稅ノ適正ナル實施及ビ
現下ニ於ケル酒類ノ需給狀況等ニ鑑ミマシ
テ、其ノ締制ヲ强化スルノ必要ガ認メラレマ
スノデ、從來ヨリ設置セラレ居ル酒造組
合ノ外、更ニ合成〓酒等ノ製造者ニ對シ
テモ、ソレ〓〓酒造組合ヲ設置セシムルト
共ニ、配給部門ニ於キマシテモ。酒類販賣業
者ノ團體ヲ系統的ニ整備確立セシメ、以テ
酒類ノ生產及配給ニ亙リ、統制ニ關スル機
能ヲ擴充强化セシムル爲、必要ナル改正ヲ行フ
コトト致シタノデアリマス、次ニ〓涼飮料稅ニ付
キマシテハ、總稅額ニ於テ十割程度ノ增徵ヲ行
フノ案デアリマス、增徵割合ハ、第一種玉「ラム
ネ」ニ輕ク、第三種「ソーダ」水等ニ重クナツ
テ居リマス、次ニ取引所稅中、取引稅ニ付キ
マシテハ、株式ノ賣買取引ニ對スル現行稅
率萬分ノ五ヲ萬分ノ八ニ、萬分ノ七ヲ萬分ノ十
ニ引上ゲマスル外、日本證劵取引所沙ノ制
ニ伴ヒ、取引所稅法ニ付必要ナル改正ヲ行フ
コトト致シテアリマス、次ニ砂糖消費稅ニ付
キマシテハ、一般的ノ增徵トシテハ、他ノ
消費稅ニ比較シテ輕ク致シマシテ、總稅額
ニ於テ大體二割程度ノ增徵ト相成ッテ居リ
マスルガ業務用、加工用ノ砂精等ニ付キマシテ
ハ、其ノ消費ノ性質ニ顧ミマシテ、或程度負
擔ヲ加重スルヲ適當ト認メ、一般ノ消費稅ノ外
更ニ百斤ニ付キ五圓又ハ十圓ノ稅率ヲ以テ
特別消費稅ヲ附加シテ課稅スルコトト致シ
タノデアリマス、次ニ物品稅デアリマスル
ガ、物品稅ノ中第一種及第二種ハ御承知ノ
如ク奢侈的性質ヲ有スル物品、竝ニ國民生
活上比較的不急ト認メラレ、又ハ其ノ消費
ガ負擔力ヲ示スト認メラルヽ物品ニ付キマ
シテ、廣ク課稅スルモノデアリマスルガ、
今次增稅ノ趣旨ニ顧ハミ奢侈的性質特ニ濃
厚ナリト認メラルヽ甲類ノ物品ニ付テハ、
現行稅率百分ノ五十ヲ百分ノ八十ニ引上ゲ、
其ノ他ニ付テハ、現行稅率百分ノ十又ハ二
十、ヲ百分ノ十乃至百分ノ三十トシ、尙第一
種乙類物品中、一定價格以上ニシテ奢侈的
色彩强キモノハ、稅率ヲ特ニ百分ノ六十ト
致シマシタ、是ト共ニ現行ノ誤稅最低限ハ
或程度引下ゲ、又課稅物品ノ擴張ヲ行フコ
トトシタノデアリマス、而シテ新タニ課稅
スル物品ノ大部分ハ、百分ノ十ノ稅率ヲ以
テ課稅スルコトト致シテアリマス、物品稅
中第三種ニ付キマシテハ、「マッチ」ノ現行稅率
千本ニ付十錢ヲ、千本ニ付十五錢ニ引上ゲ
タル外、砂糖トノ權衡ヲ考慮シ、飴、-3つ
カリン」等ニ付テ、增徵ヲ行フト共ニ、新タ
ニ蜂蜜ニ對シテモ課稅スルコトト致シタノ
デアリマス、次ニ遊興飮食稅ニ付キマシテ
ハ、現下ノ情勢ニ顧ミ、相當大幅ノ增稅ヲ
行フコトト致シマシタ、卽チ其ノ最高稅率
百分ノ百ヲ百分ノ二百ニ引上ゲ、其ノ他ノ
稅率ニ付テモ相當ノ引上ヲ行フト共ニ、宿
泊ノ料金ニ對スル課税最低限ノ引下ゲ、其
ノ他課稅範圍ノ擴張ヲ行フコトト致シマシ
タ、以上ノ增徵ニ依リ遊興飮食稅ハ總稅額
ニ於テ大體七割程度ノ增加トナル見込デア
リマス、次ニ入場稅ニ付キマシテハ、現行
稅率百分ノ二十乃至百分ノ八十ヲ、百分ノ
二十乃至百分ノ百二十ト致シマスト共ニ、
特別入場稅ニ付テモ或程度ノ增徵ヲ行フコ
トト致シタノデアリマス、次ニ從來外國ニ
輸出スル物品及ビ內地、臺灣、樺太ヨリ朝
鮮ニ移出スル物品ニ付テハ、内國稅ヲ免除
ウ、又ハ交付金ヲ交付シテ參ッタノデアリマ
スガ、現下ニ於ケル交易情勢及ビ行政ノ簡
素化等ヲ考慮シ、之ヲ停止又ハ廢止スルコ
トト致シタノデアリマス、新稅ト致シマシ
テハ、特別行爲稅ヲ創設スルコトト相成ッテ
居リマス、特別行爲稅ハ、寫眞ノ撮影、整
髪美容、編期衣類ノ染色仕立、書畫ノ表裝、
印刷製本ヲニ付テハ其ノ消費ノ性質ニ鑑
ミ作ノ消費稅トノ權衡上、此ノ際或程度
ノ負擔ヲ爲サシムルヲ滴當ト認メラレルノ
ミテラズ、之ニ課稅スルコトニ依リ、消費
ノ節約、購買力ノ吸收ニモ資シ得ルトノ見
地ヨリ、是等ノ行爲ニ對シ、印刷製本ニ付
テハ百分ノ二十、其ノ他ニ付テハ百分ノ三
十ノ稅率ヲ以テ課稅セムトスルノデアリマ
ス、尤モ寫眞ノ撮影、整髪美容等ニ付テハ、
ソレ〓〓滴當ト認ムル課稅最低限ヲ設クル
コトト致シテアリマス、以上述ベマシタ如
ク、今囘ハ主トシテ問接稅ヲ中心トスル看
稅デアリマシテ、直接稅ニ付キマシテハ昨
年ニ於テ相當大幅ノ增稅ヲ爲シタコトデモ
アリマスノデ、戰時國民生活諸般ノ樣相等
ヲ種々考慮ノ結果、今囘ハ之ガ增徵ヲ見合
セルコトト致シタノデアリマスルガ、臨時
利得稅ニ付テハ滴當ト認ムル改正ヲ行フコ
トト致シマシタ、卽チ臨時利得稅ニ付キマ
シテハ、從來ハ法人ニ付テハ、昭和十一年
以前三年以内ニ終了シタル事業年度ノ平均
利益率ヲ基準利益率トシマシテ、基準利
益率以下ノ部分ニ付テハ、稅率ヲ低ク
致シテ居ルノデアリマスガ、基準年度
ヨリ旣ニ相當年數ヲ經過致シタ爲ニ、之
ヲ基準トスルコトガ必ズシモ適當デナイ
ト認メラレルノデアリマス、仍テ今囘之ヲ
廢スルコトト致シタノデアリマス、又個人
ノ營業者ニシテ利益金額少額ナルモノニ對
シテハ、施行ノ實情ニ鑑ミ、負擔緩和ノ規
定ヲ設クルコトト致シタノデアリマス、大二
臨時租稅措置法ノ改正ニ付說明致シマス、其
ノ改正ノ第一ハ時局下愈、緊緊ナリト認
メラレル產業ノ再編成ニ關スルモノデアリマ
シテ、時局ノ要請ニ依ル企業ノ合同整理ノ場
合ニ於テハ、現在法人税、所得稅、營業稅等
ヲ輕減又ハ免除シテ黒ルノデアリマスガ、最近
ニ於ケル企業合同ノ進捗ノ狀況ニ顧ミマシテ、
右ノ輕減免除ノ期間ヲ一年間延長スルコトト致
シマシタ、其ノ外、右ノ全業合同ノ場合ニ於
テ營業ヲ廢止シタ者ノ受クル補償金ニ付、
所得稅ヲ輕減又ハ免除スルコトト爲シ、又事
業ノ締制ノ必要上、不動產、鑛業權等ヲ讓渡
シタル者ニ對シテモ、讓渡利得ノ計算ニ付
特例ヲ設クルコトト致シタノデアリマス、第
二ハ、最近ニ於ケル經濟狀況ヨリ見マスル
トキハ、個人ノ營業利益ガ、各種ノ事情ニ依
リ相當急激ニ變動スルヲ免レ難イノデアリ
マスガ、此ノ場合ニ於テ、前年ノ實績ニ依
リ所得稅、營業稅等ヲ課稅致シマスルコト
ハ、其ノ負擔ガ相當困難ナル場合モ考ヘラ
レマスルノデ、營業利益ガ著シク減少シタ
者ニ對シ、所得稅、營業稅等ヲ或程度輕減
スルコトト致シタノデアリマス、第三ニハ
法人ガ額面以上ノ價額ヲ以テ株式ヲ發行シ
タ場合ニ於ケル、額面超過金額ニ對シテハ、
企業基礎ノ强化、資金ノ蓄積等ノ見地ヨリ、
負擔ヲ輕減スルヲ適當ト認メ、課稅上ノ特
例ヲ設クルコトト致シタノデアリマス、第
四ハ、事業ノ統制ノ必要上、設備其ノ他ヲ
讓渡シタル法人ガ、時局ノ要請ニ應ジ、行
政官廳ノ指導幹旋ニ依リ解散セザル場合ニ
於テハ、専情ニ依リ或程度負擔ヲ緩和スル
ノ必要ガ豫想セラレマスノデ、此ノ場合ニ
於テハ法人稅、營業稅等ヲ輕減シ得ル途
ヲ開イタノデアリマス、尙以上ノ外、現下
緊要ナル諸政策トノ調和ヲ圖ル爲、適當ト
認ムル各種ノ租稅上ノ措置ヲ講ゼムト致シ
テ居ルノデアリマス、今次增稅等ニ依リマ
ウテ、平年度ニ於テ約十一億四千五百萬圓、
十八年度ニ於テ約十億七百萬圓ノ國庫收入
ノ增加トナル見込デアリマス、而シテ昭和
十八年度ノ增政見込額ニ相常スル金額ハ、之
ヲ臨時軍事費追加豫算ノ財源ノ一部トシテ、
一般會計ヨリ同會計ヘ繰入レマスコトハ先
ニモ申上ゲタ通リデアリマス、尙入場稅、
遊興飮食稅等ノ一部ハ、地方分與稅中ノ配
付稅トナッテ居リマスル關係上、今回ノ增稅等
ニ伴ヒマシテ、配付稅ノ割合ヲ改正スルノ
必要ガアリマスノデ、地方分與稅法ニ村テ
モ必要ナル改正ヲ行フコトト致シタノデア
リマス、以上稅制ノ改正等ニ關スル法律案
ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ申上ゲタ次第
デアリマス)何卒御審議ノ上速カニ協賛ヲ
與ヘラレムコトヲ希望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=16
-
017・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題トナリマシタ
臨時利得稅法中改正法律案外十一件ノ特別
委員ノ數ヲ二十七名トシ、其ノ委員ノ指名
ヲ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=17
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018・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=18
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019・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 戶澤子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔一異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=19
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020・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナシ
ト認メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセ
マス
〔高山書記官朗讀〕
臨時利得稅法中改正法律案外十一件特別
委員
公爵德川家正君公爵二條弼基君
侯爵井上三郞君伯爵酒井忠正君
子爵大河內輝耕君子爵西尾忠方君
子爵梅園篤彥君子爵綾小路護君
子爵牧野康熙君小林一三君
小倉正恒君松本烝治君
柴田善三郞君男爵東輝安君
男爵岩村一木君男爵益日太郞君
男爵島津忠彥君男爵倉富鈞君
坂野鉄次郞君唐澤俊樹君
安宅彌吉君野村德七君
橋本辰二郞君松本勝太郞君
中島德太郞君岩田三史君
中野敏雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=20
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021・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 日程第十
四、昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案、日程第十五、
營繕用品資金特別會計法案、日程第十六、
造幣局ノ資金ニ關スル法律案、日程第十七、
昭和十五年法律第六十九號中改正法律案、
日程第十八、樺太內地行政一元化ニ伴フ樺
太廳特別會計ト他ノ會計トノ關涉ニ關スル
法律案、日程第十九、昭和十二年法律第八
十號改正法律案、日程第二十、朝鮮事業公
債法中改正法律案、日程第二十一、朝鮮簡
易生命保險及郵便年金特別會計法案、日程
第二十二、臺灣事業公債法中改正法律案、
日程第二十三、臺灣官設鐵道用品資金會計
法中改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會、是等ノ十案ヲ一括シテ議題ト爲
スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=21
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022・佐佐木行忠
○副議長(侯爵佐佐木行忠君) 御異議ナイ
ト認メマス、賀屋大藏大臣
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲分債發行ニ關スル法律案
第一條政府ハ昭和十八年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲他ノ法律ニ依リ起
債シ得ル仝額ノ外十四億六千九百萬圓
ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ爲ス
コトヲ得
第二條政府ハ昭和十八年度一般會計歲
出豫算翌年度繰越額ノ財源ニ充ツル爲
他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額ノ外昭
和十九年度ニ於テ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ
依ル公債又ハ借入金ト通ジテ前條ノ制
限額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條前二條ノ規定ニ依ル公債ノ發行
價格差減額ヲ補塡スル爲必要アル場合
ニ於テハ前二條ノ制限以外ニ公債ヲ發
行シ又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案中別紙ノ通
議院法第三十條ニ依リ修正ス
昭和十八年二月八日
內閣總理大臣東條英機
大藏大臣賀屋興宣
第一條中「十四億六千九百萬圓」ヲ「三十
一億八千六百三十萬圓」ニ修正ス
營繕用品資金特別會計法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
營繕用品資金特別會計法案
營繕用品資金特別會計法
第一條營繕事業ノ用品ヲ購入貯藏及加
エシ大藏省營繕管財局司掌ノ營繕事業
ノ需用ニ應ズル爲營繕用品資金ヲ置キ
其ノ歲入歲出ハ之ヲ一般會計ト區分シ
特別會計ヲ設置ス
本會計ニ屬スル營繕用品ハ必要ニ依リ
他ノ官廳ノ需用ニ應ジ之ヲ使用スルコ
トヲ得
第二條營繕用品資金ハ五百萬圓トシ漸
次國有財產整理資金特別會計ヨリ繰入
ルルモノトス
第三條本會計ニ屬スル營繕用品ヲ使用
スルトキハ大藏省營繕管財局司掌ノ營
繕事業所屬ノ經費ヲ以テ之ヲ購入スベ
シ但シ第一條第二項ニ規定スル場合ニ
於テハ當該省所管ノ經費ヲ以テ之ヲ購
入スベシ
第四條本會計ニ於テハ用品ノ賣拂代金
及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ用品
ノ購入代金、貯藏費、加工費及附屬諸
費ヲ以テ其ノ歲出トス
第五條每會計年度ニ於テ營繕用品資金
ノ受拂決算上過剩ヲ生ズルトキハ其ノ
過剩金ハ之ヲ同年度一般ノ歲入ニ繰入
ルベシ
第六條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
ヲ帝國議會ニ提出スベシ
第七條本會計ノ收入支出ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施行ス
造幣局ノ資金ニ〓スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
造幣局ノ資金ニ關スル法律案
第一條從來ノ造幣局据置、運轉資本ニ一一
千六百萬圓ヲ增加ス
前項ノ資本ノ增加ニ充ツル爲之ニ必要
ナル金額ヲ限リ昭和十八年度以降ニ於
テ漸次造幣局資金ノ內ヨリ繰入ルルコ
トヲ得
第二條昭和十五年法律第七號中左ノ通
改正ス
第一項中「二千三百五萬八千百七十五
圓」ヲ「八千四百八十一萬八千二百七十
九圓」ニ、「昭和十九年度」ヲ「昭和二十
年度」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案
昭和十五年法律第六十九號中左ノ通改正
ス
第一條中「同十七年度分」ヲ「同十八年度
分」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
參照
昭和十五年法律第六十九號ハ大東亞戰
爭ニ關スル一時賜金トシテ交付スル爲
公債發行ニ關スル法律ナリ
樺太內地行政一元化ニ伴フ樺太廳特別
合計ト他ノ會計トノ關涉ニ關スル法律
案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
樺太內地行政一元化ニ伴フ樺太廳特別
會計ト他ノ會計トノ關涉ニ關スル法律
案
樺太廳ノ通信事業竝ニ鐵道事業及之ニ關
聯スル自動車交通事業ニ所屬スル財產ハ
勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ通信事業特別
會計又ハ帝國鐵道特別會計ノ資本ニ編入
ス
左ニ揭グル公債ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ
通信事業特別會計又ハ帝國鐵道特別會計
ノ負擔トス
樺太事業公債法ニ依リ通信事業及鐵
道事業ノ事業費支辨ノ爲發行シタル公
債
二樺太事業公債法ニ依リ通信事業及鐵
道事業ノ事業費支辨ノ爲借入レタル借
入金ノ借換ノ爲發行シタル公債
三昭和十五年法律第八十五號ニ依リ發
行シタル公債
四前三號ニ規定スル公債ノ借換ノ爲發
行シタル公債
前二項ニ規定スルモノヲ除クノ外樺太内
地行政一元化ニ伴フ樺太廳特別會計ト他
ノ會計トノ關涉ニ關シ必要ナル規定ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施行ス
昭和十六年法律第二十八號中「、樺太廳及
樺太廳長官ノ管理ニ屬スル官署」及「、樺
太廳」ヲ削ル
昭和十二年法律第八十號改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
昭和十二年法律第八十號改正法律案
遞信局及郵便局ニ於テ取扱フ簡易生命保
險及郵便年金ノ事務ニ關スル經費及事務
ノ取扱ニ關シ生ズル收入ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ通信事業特別會計ニ所屬セ
シムルコトヲ得
簡易生命保險及郵便年金ノ各特別會計ハ
前項ニ規定スル經費ニ充ツル爲必要ナル
金額ヲ每年度通信事業特別會計ニ繰入ル
ルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル收入及前項ノ規定
ニ依ル繰入金ハ通信事業特別會計業務勘
定ノ歲入トシ第一項ニ規定スル經費ハ同
勘定ノ歲出トス
附則
本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施行ス
參照
昭和十二年法律第八十號ハ通信事業、特
別會計ニ於ケル簡易生命保險及郵便年
金ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ニ關スル
法律ナリ
朝鮮事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮事業公債法中改正法律案
朝鮮事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「十八億三千九百四十萬圓」ヲ
「二十三億八千六百八十萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朝鮮事業公債法中改正法律案中別紙ノ通
議院法第三十條ニ依リ修正ス
昭和十八年一月三十日
内閣總理大臣東條英機
大藏大臣賀屋興宜
內務大臣湯澤三千男
「二十三億八千六百八十萬圓」ヲ「二十三
億九千四百七十萬圓」ニ修正ス
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計
法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別會計
法案
朝鮮簡易生命保險及郵便年金特別
會計法
第一條朝鮮總督府ニ於テ簡易生命保險
事業及郵便年金事業ヲ經營スル爲通ジ
テ一ノ特別會計ヲ設置シ其ノ歲入ヲ以
テ其ノ歲出ニ充ツ
第二條本會計ハ之ヲ保險勘定、年金勘
定及業務勘定ニ區分ス
第三條保險勘定ニ於テハ簡易生命保險
事業經營上ノ保險料、積立金ヨリ生ズ
ル收入、朝鮮總督府特別會計ヨリノ受入
金及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同
事業經營上ノ保險金、還付金其ノ他ノ諸
費及同事業ノ業務取扱費ニ充ツル爲ノ
業務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歲出トス
第四條年金勘定ニ於テハ郵便年金事業
經營上ノ掛金、積立金ヨリ生ズル收入
及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同事
業經營上ノ年金、返還金其ノ他ノ諸費
及同事業ノ業務取扱費ニ充ツル爲ノ業
務勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歲出トス
第五條業務勘定ニ於テハ簡易生命保險
事業及郵便年金事業ノ業務取扱費ニ充
ツル爲ノ保險勘定及年金勘定ヨリノ受
入金竝ニ同事業ノ業務取扱上ノ諸收入
及附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ同事
業ノ業務取扱ニ關スル諸費、營繕費其
ノ他ノ諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第六條保險勘定及年金勘定ニ於ケル歲
入總額ノ歲出總額ニ超過スル金額ハ各
勘定別ニ之ヲ積立ツベシ
保險勘定及年金勘定ニ於ケル歲入總額
ノ歲出總額ニ不足スル金額ハ當該勘定
ノ積立金ヨリ之ヲ補足スベシ
第七條業務勘定ニ於テ決算上剩餘ヲ生
ジタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之
ヲ保險勘定及年金勘定ノ積立金ニ組入
久々子
業務勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタル
トキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ保險
勘定及年金勘定ノ積立金ヨリ補足スベ
シ
第八條各勘定ニ於テ支拂上現金ニ餘裕
アルトキハ之ヲ大藏省預金部ニ預入ル
ベシ
第九條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出豫
算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ之
シンガ.議會ニ提出スベシ
第十條本會計ノ收入支出及積立金ノ運
用ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施行ス
朝鮮簡易生命保險特別會計法ハ之ヲ廢止
ス但シ昭和十七年度分ニ付テハ仍其ノ效
力ヲ有ス
朝鮮簡易生命保險特別會計ニ屬スル積立
金ハ之ヲ本會計ニ歸屬セシメ保險勘定ノ
所屬トス
朝鮮簡易生命保險特別會計ニ屬スル收入
及支出ノ未濟額ハ之ヲ本會計ノ保險勘定
又ハ業務勘定ノ收入及支出ノ未濟額トス
朝鮮簡易生命保險特別會計ノ歲出豫算ニ
シテ翌年度ニ繰越ヲ要スルモノハ本會計
ノ保險勘定又ハ業務勘定ニ繰越シ使川ス
ルコトヲ得
臺灣事業公債法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣事業公債法中改正法律案
臺灣事業公債法中左ノ通改正ス
第一條中「二億五千八百三十萬圓」ヲ「二
億七千三百四十萬圓」三郎八
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法
律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十八年二月十三日
衆議院議長岡田忠彥
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
臺灣官設鐵道用品資金會計法中改正法
律案
臺灣官設鐵道用品資金會計法中左ノ通改
正ス
第二條中「二百萬圓」ヲ「五百萬圓」ニ改ム
附則
本法ハ昭和十八年度ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣賀屋興宣君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=22
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023・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲公債發行ニ關スル法律案外九件ニ
付キマシテ、提案ノ理由ヲ說明致シマス、
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案ニ付キマシテ先
ヅ由上ゲマス、昭和十八年度歲入歲出總豫
算竝ニ同年歲入歲出總豫算追加第一號及第
二號ニ計上シタル經費ノ財源ノ一部ト致
シマシテハ、現行ノ震災義後公債法及道路
公債法ニ依ル公債ヲ發行致シマスル外、歲
入ノ不足ヲ補塡スル爲、三十一億八千六百
三十萬圓ヲ限リ公債ノ發行ヲ要スルノデア
リマスガ、之ガ爲ニハ別ニ起債ノ權能ヲ得
ルコトガ必要デアリマス、尙從來ノ
〔議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
例ニ依レバ、昭和十八年度歲出豫算中若干ノ
金額ハ、翌年度ニ繰越サルヽ結果ニナルデア
ラウト存ゼラレマス處、其ノ繰越額ノ財源タル
公債ハ、必ズシモ之ヲ昭和十八年度內ニ於テ發
行スルノ必要ハナイノデアリマス、仍テ之ヲ其
ノ翌年度ニ於テ發行シ得ルコトトスルノヲ
適當ト認メラレマス、是等ノ點ニ付キマシ
テ必要ナル規定ヲ設ケマスル爲ニ本法律案
ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、次ニ營
繕用品資金特別會計法案ニ付說明致シマス、
大藏省營繕管財局ニ於テハ、同局司掌ノ營
繕事業ヲ經營致シマスルノニ必要ナル營繕
用品ヲ適宜ノ時期ニ購入シ、之ヲ貯藏、加
工致シテ置キマスコトガ必要デアリマス、
從ッテ隨時適切ニ需用ニ應ジ、以テ營繕事
業ノ圓滑ナル遂行ヲ圖リマス等ノ爲、其ノ
資本トシテ新タニ營繕用品資金ヲ設置スル
コトト致シ、其ノ歲入歲出ハ之ヲ一般ノ會
計ト區分シ、特別ニ經理スルノヲ適當ト認
メマス處、之ガ爲ニハ特別會計ヲ設置スル
ノ必要ガアリマスノデ、本法律案ヲ提出致
シタ次第デアリマス、次ニ造幣局ノ資金ニ
關スル法律案ニ付說明ヲ申上ゲマス、造幣
局ニ於ケル事業量ハ近時著シク增大致シテ
參リマシタ關係上、從來ノ造幣局据置運轉
資本額四百萬圓ヲ以テシマシテハ、本事業ノ
圓滑ナル遂行ヲ期スルコト困難ナル狀況ト
相成リマスノデ、從來ノ据置運轉資本ニ二
千六百萬圓ヲ增加シ、法定額ヲ三千萬圓ト
致サムトスルモノデアリマス、而シテ此ノ
資本ノ增加ニ充當致シマス財源ハ、造幣局
資金ノ內ヨリ使用スルノヲ適當ト認メマシ
テ、昭和十八年度以降ニ於テ漸次ニ造幣局
資金ノ內ヨリ繰入レ得ルコトニ致シタイノ
デアリマスガ、資本ノ增加及資金ノ使用ニ
付キマシテハ、法律ヲ制定シテ其ノ途ヲ開
クノ必要ガアリマスノト、又他面事業量ノ
增大ニ伴ヒマシテ、今囘更ニ造幣局ノ工場等
ヲ新設又ハ擴張スル等ノ必要ヲ生ジマシタ
ル爲、造幣局資金ノ內ヨリ、更ニ六千百七
十六萬百四圓ヲ拂出シ、之ヲ一般會計ニ繰
入レ其ノ財源ト致ス等ノ必要ガアリマスル、
是等ノ理由ニ依リマシテ本法律案ヲ提出致
シタ次第デアリマス、次ニ昭和十五年法律
第六十九號中改正法律案ニ付說明致シマ
ス、大東亞戰爭ニ關スル一時賜金トシテ
交付スル公債ノ發行ハ、現行ノ昭和十五年
法律第六十九號ニ依リ、昭和十五年度乃玉
同十七年度中ニ一時賜金賜與ノ發令アリタ
ル者ニ對シ交付スル場合ニ限ラレテ居リマ
スガ、右公債ハ昭和十八年度ニ於テ一時易
金賜與ノ發令アリタル者ニ對シテモ、之ヲ
發行交付シ得ルコトトスルノ必要ガアリマ
スノデ、本法律案ヲ提出致シタ次第デアリ
マス、次ニ樺太內地行政一元化ニ伴フ樺ナ
南特別會計ト他ノ會計トノ關涉ニ關スル汁
律案ニ付說明申上ゲマス、樺太內地行政一
元化ニ依リマシテ、樺太廳ニ於ケル氣象、
海事、航空、通信、陸運等ニ關スル車移
ハ昭和十八年度ヨリソレ〓〓文部省、近
信省、又ハ鐵道省ニ移管セラルヽコトト相
成リマシタノデ、之ニ件ヒマシテ樺太廟特
別會計ト一般會計、通信事業特別合計、帝
國鐵道特別會計等トノ間ニ、會計ニ關スル
關渉ガ生ジマスル爲、之ガ處理上ノ必要ニ
基キマシテ本法律案ヲ提出致シタ次第デア
リマス、次ニ昭和十二年法律第八十號改正
法律案ニ付說明致シマス、過般實施、ノ行政
簡素化ニ依リマシテ、從來厚生大臣ノ管理
ニ屬シテ居リマシタ簡易生命保險及郵便年
金ニ關スル事務ハ、之ヲ遞信大臣ノ管理ニ
屬セシムルコトトナリ、又派信省ノ遞信局
及郵便局ニ於ケル簡易生命保險及郵便年金
專務ノ管理ニ關スル真務ヲ、避信大臣ノ管
理ニ屬スル簡易保險局ニ於テ取扱フコトト
相成リマシタル等ニ伴ヒ、昭和十二年法律第
八十號ヲ改正スルノ必要ガアリマスルノデ、
本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、次一
朝鮮事業公債法中改正法律案ニ付說明致シ
マス、朝鮮總督府特別會計ニ於ケル既定繼續
費タル鐵道建設及改良費、道路修築改良費
及港灣修築改良費等ノ追加額、其ノ他五億五
千九百六十餘萬圓ニ付キマシテハ、同特別
會計歲計ノ現情竝ニ其ノ經費ノ性質ニ顧ミ
マシテ、之ガ財源ヲ公債ニ依ルコトト致シ
マシタル處、旣定額ノ內、公債財源ニ依ル
豫定ノモノニ不用ト爲スベキモノ等ガ、四
百三十餘萬圓アリマスルガ爲、差引五億五
千五百三十萬圓ダケ、現行ノ朝鮮事業公債
法ニ依ル公債ノ發行限度ヲ增加スルノ必要
ガアリマスルノデ本法律案ヲ提出致シタ次
第デアリマス、次ニ朝鮮簡易生命保險及郵
便年金特別會計法案ニ付說明致シマス、今
囘新タニ朝鮮總督府ニ於テ經營スルコトト
相成リマシタ郵便年金事業ニ關スル歲入歲
出ハ、之ヲ同總督府ニ於テ經營致シテ居リ
マスル簡易生命保險事業ノ歲入歲出ト併セ
經理スルコトト致シマシテ、經理事務ノ簡
捷ヲ圖ルノヲ適當ト認メマシタル處、之ガ
爲ニハ朝鮮簡易生命保險特別會計法ヲ廢止
シ、新タニ朝鮮簡易生命保險及郵便年金特
別會計法ヲ制定スルノ必要ガアリマスノ
デ、本法律案ヲ提出致シタ次第デアリマス、
次ニ臺灣事業分債法中改正法律案ニ付說明
申上ゲマス、臺灣總督府特別會計ニ於ケル
旣定繼續費港灣費ニ追加シタル新高港第二
期工重施行ニ要スル經費千五百五十萬圓、竝
ニ旣定繼續費鐵道改良費及大甲溪開發事業
費ノ追加額千九百二十餘萬圓ノ内、七百五
十餘萬圓ノ合計額二千三一百餘萬圓ニ付キマ
シテハ、同特別會計歲計ノ現狀竝ニ其ノ經
費ノ性質ニ顧ミマシテ、之ガ財源ヲ公債ニ
依ルコトト致シマシタル處、旣定額ノ内、
公債財源ニ依ル豫定ノ物ニ不用ト爲スベキ
モノ等ガ八百餘萬圓アリマスル爲、差引千
五百十萬圓ダケ、現行ノ臺灣事業公債法ニ
依ル公債ノ發行限度ヲ增加スルノ必要ガア
リマスルノデ、本法律案ヲ提出致シタ次第
デアリマス、次ニ臺灣官設鐵道用品資金會
計法中改正法律案ニ付說明致シマス、臺灣
ニ於ケル鐵道及自動車交通事業ノ事業量ノ
增大ニ伴ヒマシテ、臺灣官設鐵道用品資金
特別會計ニ於ケル歲入歲出モ亦逐年增加致
シテ居リマスル爲、從來ノ資金額ヲ以テシ
マシテハ、其ノ十分ナル機能ヲ發揮スルコ
トガ困難ト相成ッテ參リマシタノデ、本資
金ノ法定額ヲ五百萬圓ニ增額シ、同事業ノ
圓滑ナル遂行ヲ圖ルノ必要ガアリマスルノ
デ、之ニ關スル本法律案ヲ提案致シマシタ
次第デアリマス、以上十件ノ法律案ニ付キ
マシテハ、何卒御審議ノ上速カニ協賛ヲ與
ヘラレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=23
-
024・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程セラレマシタ
昭和十八年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案外九件ハ、
北海道鐵道株式會社所屬鐵道外十一鐵道買
收ノ爲公債發行ニ關スル法律案外一件ノ特
別委員ニ併託サレムコトノ動議ヲ提出致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=24
-
025・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=26
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027・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=27
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028・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二十四、
戰時刑事特別法中改正法律案、政府提出、
第一讀會ノ續、委員長報告、委員長柳原伯爵
左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サル
モ參照ノタメ玆ニ載錄ス
戰時刑事特別法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ仍テ及
報〓候也
昭和十八年二月十二日
委員長伯爵柳原義光
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=28
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029・柳原義光
○伯爵柳原義光君 只今上程ニナリマシタ
戰時刑事特別法中改正法律案ノ、委員會ノ
經過ノ大要竝ニ其ノ結果ニ付成ルベク簡單
ニ御報告申上ゲタイト存ジマス、本法案
ハ在滿日本人ノ身分ニ關スル滿洲國裁判
ノ效力ニ關スル法律案ノ特別委員會ニ併託
サレ、去ル一月三十日ヨリ二月十二日迄ノ
間、前後八囘ニ亙リ會議ヲ開キマシタ、先
ヅ政府側ヨリ、法案ノ提案ノ理由ニ付本會
議ニ於ケル說明ヲ若干敷衍シテ更ニ逐條的
ニ詳細ナ說明ガアリマシテ、然ル後質疑ニ
入リマシタガ、委員諸君ハ、種々ノ方面ヨ
リ愼重且熱心ニ檢討ヲ行ハレ之ニ對シ
テ政府側ヨリハ懇切丁寧ナル應答ガアリ
マシタ、尙司法當局者以外ニ、文部大臣
及內務大臣モ委員會ニ出席サレ、其ノ所
管事項ニ屬スル質問ノ答辯ヲ致サレタノデ
アリマシタ、又軍關係ノ政府委員、卽チ陸
軍法務中將、海軍法務中將モ出席シテ答辯
サレタノデアリマス、又審査ニ要スル多
クノ資料ノ提出ヲ委員ヨリ要求シ、政府ハ
之ヲ差出サレマシタノデアリマス、先ヅ最
初ニ政府側ヨリ、第七十九囘帝國議會ノ協
賛ヲ經テ既ニ施行サレテ居リマスル戰時刑
事特別法實施ノ〓況、竝ニ最近ニ於ケル思
想情勢ノ說明ヲ聽取致シマシテ、質問ニ移
リマシタガ、官吏殊ニ給制經濟事務ヲ掌ル
者ノ瀆職事件ニ付、其ノ刑ヲ一層加重セム
トスルノ意向ナキカトノ質問ニ對シ、政府
側ヨリ、公務員ノ瀆職行爲ニ付テハ檢察
上終始一貫、嚴重ニ其ノ刑責ヲ追及スルノ態
度ヲ堅持シテ居リ、又曩ニ第七十六囘帝國議
會ノ協賛ヲ經テ、刑法中瀆職罪ニ關スル規
定ヲ全面的ニ改正シタ際ニモ、綱紀振肅ノ
點ヲ十分考慮ニ入レテ刑罰ヲ加重シテ居ル
ノデ、裁判ニ於テ言ヒ渡サレル刑モ逐次重
キヲ加へ來ッテ居ルコトデアルカラ、此ノ際
ハ法律ノ改正ヲナスコトナク、現行法規ノ
運用ニ依ッテ所期ノ目的ヲ達シタイ考デア
ル、尤モ之ニ牽連シテ、强制捜査權ノ問題
ヲ十分ニ〓究スルコトガ必要デアルカラ、
之ニ關スル委員會ヲ設ケテ其ノ調査ニ當ラ
シメル筈デアルトノ答辯ガアリマシタ、次
ニ本案ヲ提出スルニ至ッタ現實ノ必要性ニ付
テノ質問ガアリマシタノデ、之ニ對シ政府
側ヨリ、第七條ノ二ニ付テハ未ダ具體的ナ
事例ニ接シテ居ラズ、又斯カル事犯ノ發生
セザルコトヲ望ムノデアルガ、戰時下治安確
保ノ萬全ヲ期スル爲ニ立案シタノデアルト
ノ答辯ガアリ、又第七條ノ三及第七條ノ四
ニ付テモ、戰時下其ノ治安ニ及ス影響大ナ
ルモノガアルニモ拘ラズ、現行法規ヲ以
テシテハ未ダ其ノ防止ノ完璧ヲ期シ得ラ
レナイモノガアルノデ、特ニ之ガ規定ヲ整
備擴充スルノ必要ヲ痛感シタ次第デアルト
ノ答辯ガアリマシタ、而シテ憲法ニ定ムル
統治組織ノ機能ヲ不法ニ變壞スルコトヲ目
的トスル結社行動、及ビ私有財產制度否認ノ
宣傳行爲ヲ處罰スル規定ヲ設クベシトノ本
院ニ於ケル要望ハ、本法案ニ依リ解決セラ
レタル趣旨デアルカ、トノ質問ニ對シテハ、
政府側ヨリ、右要望ノ趣旨ハ十分之ヲ尊重
ジ、本法案中ニ出來得ル限リ採入レテ居ル
積リデアル、卽チ憲法ニ定ムル統治組織ノ
機能ヲ不法ニ變壞スルコトヲ目的トスル結
社行動ニ付テ言ヘバ、本法案ニ用ヒタ國政
ト云フ文字ハ、國家ノ根本的政治制度ノミ
ナラズ、其ノ機能的方面ヲモ含ムモノデ
アルカラ、憲法ノ定ムル統治組織ノ機能ト
云フコトモ、亦當然ニ含ンデ居ルト云フコ
トガ出來、而シテ結社行動ニハ必ズヤ協議
ヲ伴フコトデアルカラ、第七條ノ三ニ依ッテ
十分處罰シ得ルノデアル、又私有財產制度
否認ノ宣傳行爲ニ付テ言ヘバ、斯カル行爲
ハ安寧秩序ヲ紊亂スル目的ヲ以テ著シク治
安ヲ害スベキ事項ヲ宣傳スル場合ニ該ルノ
デアルカラ、第七條ノ四ニ依ッテ之ヲ處罰シ
得ルノデアルトノ答辯ガアリマシタ、此ノ
點ニ關聯シテ、政府ハ何ガ故ニ本院要望通
リノ文言ニ依リ立案セザリシヤ、トノ質問
ガアッタノデアリマスガ、之ニ對シ政府側ヨ
リ、本法案ニ於テハ、其ノ外ニ戰時下特ニ禁
止ヲ要スルモノニ付テモ併セテ之ガ處罰規
定ヲ設クル必要上、木院要望通リノ文言ニ
依ルコトガ出來ナカッタノデ、其ノ點ハ十分
了承ヲ請ヒタイ旨ノ答辯ガアリマシタ、尙
私有財產制度否認ノ所爲ノ處罰ニ付テハ、
治安維持法ニ體系的ナ規定ガ存スルバカリ
デナク、私有財產制度否認ノ宣傳行爲ヲ處
罰スル規定ノ如キハ、恆久法タルベキモノ
デアルカラ、治安維持法ノ改正ニ依ルベキ
ダト思フガ、之ヲ本法案ニ採入レテ、戰時
ニ限ッテ禁壓セムトスル其ノ趣旨如何トノ
質問ガアリマシタノニ對シテ、政府側
ヨリ、今囘ノ法案ノ提出ハ、戰時下特ニ必
要ナルモノノミニ限ル方針ニ依ッタ爲、恒
久法ノ立法形式ヲ採ラナカッタノデアルト
ノ答辯ガアリマシタ、次ニ逐條關係ノ質疑
トシテハ、第七條ノ三ニ付テハ、治安ヲ害
スベキ罪ノ意義ニ關スル質問ガアリ、之二
對シ政府側ヨリ、治安ヲ害スベキ罪トハ國
家、社會、公共ノ安全ヲ妨害スル虞アル犯
罪ヲ指スノデアルト云フ答辯ガアリマシ
タ、又治安維持法ニハ、目的タル事項ト云
フ用語例ガアルガ、第七條ノ三ニ於テハ
何ガ故ニ其ノ用語例ニ依ラナカッタカト
ノ質問ガアリマシタガ、之ニ對シテハ、
所謂目的タル事項トスルト、餘リニ適
用ノ範圍ガ廣クナル虞ガアルノデ、治安
ヲ害スベキ罪ノミニ限定シタモノデアル
旨ノ答辯ガアリマシタ、第七條ノ四ニ付
テハ、本條ニ依リ單ニ政府ノ政策ヲ批判
スルニ過ギザル言論ヲモ、亦處罰セラレ
ルノデハナイカトノ危惧ノ念ヲ懷ク向ガ
アルガ、之ニ付テノ政府ノ所見如何トノ
質問ガアリマシタノニ對シ、政府側ヨリ、
長期戰下ニ於テ一億一心ノ擧國協力一致ノ
態勢ヲ堅持スルコトハ、戰爭完遂ノ基礎條
件デアッテ、從ッテ此ノ態勢ヲ擯亂スルガ如
キ惡質ノ言論事犯ニ對シテ、特別ノ手當ヲ
スルコトハ絕對ニ必要デアル、卽チ本條ハ
私有財產制度否認ノ宣傳行爲ノミナラズ、
戰時ニ最モ忌ムベキ或種ノ宣傳行爲ヲモ防
止セムガ爲ニ規定シタモノドッテ、決シテ
合法的ニ行ハルヽ言論ヲ處罰ノ對象ト爲サ
ムトスルモノデナイ旨ノ答辯ガアリマシタ、
又私有財產制度ヲ否認スル目的ヲ以テ、其
ノ否認ノ宣傳ヲ爲ス所爲ガ、第七條ノ四ニ
所謂安寧秩序紊亂ノ目的ヲ以テ著シク治安
ヲ害スベキ事項ヲ宣傳シタモノト云フコト
ガ出來ルカ、トノ質問ガアリマシタガ、之
ニ對シテハ政府側ヨリ、私有財產制度ノ否
認ハ今日ノ社會生活ノ最モ根本的ナ秩序
デアル私有財產制度ヲ否認スルコトデアル
カラ、ソレガ暴力其ノ他ノ不法手段ニ依ル
ト否トヲ問ハズ、當然安寧秩序ヲ紊亂スル
コトトナリ、又斯カル否認ノ事項ヲ宣傳ス
ルコトハ、著シク治安ヲ害スベキ事項ヲ宣
傳スル場合ニ該當スルモノデアルトノ答辯
ガアリマシタ、而シテ本法案中、特ニ第七
條ノ三及ビ四ニ付テハ、其ノ賛否ニ關シ、
尙愼重審議ヲ要スルモノガアリマシタノデ、
二月六日委員七名ヨリ成ル小委員會ニ之ヲ
附託シ、小委員會ハ二日間ニ亙リ熱心ニ檢
討ヲ加ヘ、二月九日再ビ本委員會ヲ開催致
シマシタ、其ノ席上、小委員會ノ委員長ヨ
リ、小委員會ニ於テハ原案ヲ無修正可決ス
ルコトニ決シタコト、但シ本會議ニ於テ委
員長ノ報告後、司法大臣ヨリ本法案ニ關ス
ル政府ノ所信ニ付適當ナル言明ガアリタキ
旨ノ報〓意見ノ開陳ガアリ、他ノ委員ヨリ
モ之ヲ敷衍シテ、從來ノ本院ノ要望ト本汽
案トノ異ナル點ニ付テノ政府ノ將來ノ措置、
如何、又第七條ノ四ノ安寧秩序紊亂事項ハ
警察其ノ他ニ廣ク關係スルモノデアルカラ、
濫用ノコトナキヤウ、本條ノ解釋適用ニ付
テハ十分ニ注意ガ必要ト思フガ、政府ノ所
見如何ト質シタルニ對シマシテ、司法大臣
ヨリ、本院ノ要望ハ平時法デアリ、本法案
ハ戰時法デアルカラ、形式ニ於テモ相違ガ
アルシ、且又本法案ニ包含スル規定ノ中ニ
ハ、之ヲ平時法化スベキモノモアラウカラ、
是等ノ諸點ハ適當ノ時期ニ必ズ十分考慮ス
ル積リデアル、要スルニ本法案ハ戰時ニ於
テ必要ナル諸規定ヲ揭ゲタルモノト了承セ
ラレタイ、尙本法案立案ノ趣旨ハ、其ノ趣
旨ノ厲行竝ニ實施ノ曉ニ濫用ノ端ヲ開カザ
ルヤウ格段ノ注意ヲ致ス所存デアルトノ言
明ガゴザイマシタ、更ニ一委員ヨリノ質問
ニ對シ、司法大臣ヨリ、本案第七條ノ四ハ
個々ノ政策ヲ批判スルニ止マルガ如キ言論
ヲ處罰ノ對象トナサムトスルモノデハナイ、
本條ノ趣旨ニ付テハ、檢事局長官會同、其
ノ他司法警察官吏ノ訓練等ヲ通ジテ過誤ニ
陷ルコトナキヤウ篤ト注意スル旨ノ言明ガ
アリマシタ、斯クテ討論ニ入リ二三ノ委員
ヨリ、ソレ〓〓適切ナル發言ヲ以テ贊成意
見ノ開陳ガゴザイマシタ、此ノ意見ノ中ノ
アルモノヲ玆ニ御紹介ニ及ビマス、卽チ一
委員ガ言ハルヽニハ、本案ハ戰時立法トシ
テ曩ニ協賛ヲ經タル戰時刑事特別法第七條
ノ國政變亂ヲ目的トスル殺人規定ヲ擴充シ
テ、戰時下治安ヲ維持スル爲ニ制定セラレ
タモノデアッテ、第七條ノ二ニハ別ニ問題ナ
ク、第七條ノ三ハ、國政變亂ノ目的ヲ以テ
スル治安ヲ害スル罪ノ協議、煽動ヲ罰スル
ニ止マルノデ、法文上餘リ論議スベキモノ
モナク、第七條ノ四ハ、國政變亂ノ外ニ、
安寧秩序紊亂ノ目的ヲ加へ、著シク治安ヲ
害スル事項、宣傳ヲ罰スルノデ、相當ニ廣
キ規定デアル、政府ガ戰時下其ノ取締ヲ必
要ナリトスルナラバ、我々ハ從來慣用シ來ツ
タ法律觀念デアルカラ、之ニ協贊ヲ與フルニ
吝ナルモノデハナイノデアルガ、政府ハ此ノ
兩條ノ中ニ、從來貴族院ノ要望シ來ッタ憲
法上ノ統治組織ノ機能ヲ變壞シ、私有財產
制〓否認ノ宣傳ヲ包括シテ規定シタ旨ヲ說
明セラレタノデ、兩條ノ內容ガ甚ダ複雜ト
ナッタノデ、之ヲ明カニスル爲數囘ノ委員會
ヲ開催スルノ已ムヲ得ザルニ至ッタノデアル、
七條ノ三ニ於テハ、治安ヲ害スル罪ノ協議、
煽動ヲ罰スルニ止マリ、其ノ以外ノ方法ニ依
ル行爲ハ除外セラルヽノデ、ソレダケ本院
ノ要望ト異ナルノデアル、七條ノ四ハ、安
寧秩序紊亂ノ中ニ、私有財產制度否認ヲ包
含スルト說明セラルヽノデ、安寧秩序ノ觀
念ハ、相當廣義ニ解釋セラルヽノデアル
私有財產制度否認ノ宣傳ヲ取締ルト云フコ
トハ結構デアリ、本院ノ要望ニ副フ所以デ
アルガ、他面安寧秩序ノ觀念ハ擴大セラレ
テ、國民ノ法律生活ヲ不安ナラシムルノ虞
ナシトシナイ、政府ハ此ノ點ニ關シ、著シ
ク治安ヲ害スル事項ノ宣傳ニ限ッテ取締ルト
說明セラルヽノデ、其ノ程度ニ於テ適用ハ
制限セラルヽ次第デアルガ、安寧秩序ト云
フコトハ、他ノ法規、殊ニ警察法規ニ澤山
アルノデ、適用上從來ノ慣例ヲ變更セラレ
ナイヤウニ十分留意ヲ願ヒタイ、卽チ安寧
秩序紊亂ノ中ニ、私有財產制度否認ノ宣傳
ヲ包括セシムルトシテモ、其ノ傳統的解釋
ヲ十分ニ保持シテ、國民ノ法律生活ヲ不安
ニ導カザルヤウニ致サレタイノデアル、而
シテ我々ハ本案ガ戰時下ノ立法デアルノ
ト、司法大臣ノ本委員會ニ於ケル言明トニ
信賴シ、他日本院ノ要望スル所ノ立法ヲ平
時法トシテ制定セラレムコトヲ望ムノデア
ル、之ヲ以テ本案贊成ノ理由トスル右申
上ゲタノガ一委員ノ意見デアリマシタ、斯
クシテ採決ノ結果、全會一致本案ヲ可決致
シマシタ、尙終リニ臨ミテ申上ゲマスルガ、
本委日會ニ於ケル皆疑應答ハ、頗ル多岐多
樣デアリマシタノデ、之ヲ詳細ニ御報〓致
シマスノハ、徒ニ時間ヲ要シマスルノデ
極メテ其ノ要點ノミヲ摘出シテ、玆ニ申上
ゲタ次第デアリマス、何卒左樣御了承ヲ請
ヒマス、又祕密會ヲモ開キマシタガ、其ノ
内容ヲ申上グル自由ヲ有シマセヌコトヲモ
御了承ヲ願ヒタク存ジマス、又御報告ニ漏
レテ居リマスル點ハ、何卒速記錄デ御覽ヲ
願ヒタイト存ジマスル、以上ヲ以テ報〓ヲ
終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=29
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030・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 司法大臣ヨリ發
言ヲ求メラレテ居リマス、岩村司法大臣
〔國務大臣岩村通世君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=30
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031・岩村通世
○國務大臣(岩村通世君) 只今委員長ヨリ
御報告ノアリマシタ戰時刑事特別法中改正
法律案ニ關シマシテ、特ニ此ノ際政府ノ意
ノ存スル所ヲ明瞭ニシテ置キタイト存ジマ
ス、曩ニ當院ニ於テ御要望ノアリマシタ憲
法所定ノ統治組織ノ變壞及私有財產制度否
認ノ問題ニ付テハ、平時法トシテノ改正ト
云フニ存シマシタコトハ、私モ十分ニ承知
致シテ居ルノデアリマス、然ルニ今囘提出
ノ法案ハ、戰時法デアリマスルガ故ニ、此
ノ點ニ於テ差異ハ存スルノデアリマス、而
シテ政府ト致シマシテハ、現下ノ時局ニ鑑
ミ、戰時ニ必要ナルモノヲ取敢ズ此ノ法案
ニ網羅シタノデアリマシテ、一ハ御要望ノ
趣旨、他ハ之ニ牽連シテ、戰爭目的遂行上
特ニ必要ナル事項、此ノ兩者ヲ一丸トシテ
卽チ戰時下必要缺クベカラザルモノヲ規定
シタ次第デアリマシテ、此ノ點ハ御了承ヲ
願ヒタイノデアリマス、而シテ御要望ト本
案ト異ル點ヤ、本案規定ノ事項等ヲ如何ニ
シテ平時法化スルカ、ニ付キマシテハ、適當
ノ時期ニ於テ十分〓究ヲ致シマシテ、御期
待ニ副フベク善處シタイ考デゴザイマス、
次ニ本案ノ字句ニ關シ、本案ノ解釋及適用
上、濫用ニ陷ルナキヤニ付キ種々御論議ノ
アリマシタコトハ、具サニ拜聽致シタノデ
アリマシテ、事ハ相當重要ナル問題デアリ
マスカラ、司法當局ト致シマシテハ、內務
當局其ノ他ノ關係各廳ト緊密ナル連絡ヲ取
リマシテ、最善ノ努力ヲ傾注シテ、御懸念
ノ點ニ付キ十分ノ注意ヲ加ヘ、立案ノ趣旨
ノ徹底ニ萬全ヲ期シ、互ニ相戒メテ其ノ運用
ニ此ノ遺憾ナキヤウ、格段ノ用意ヲ以テ之
ニ臨ム所存デゴザイマス、尙現下一億一心、
必勝ノ目的ノノニニ進進スベキ折柄、國內ノ
思想ノ分裂攪亂ヲ來スガ如キコトハ、强ク
之ヲ戒シムベキデアリマシテ、ソレ等ノ行
爲ニシテ法規ニ觸レルモノハ、嚴ニ之ヲ禁
壓スベキハ勿論デアリマスガ、本案第七條
ノ四ノ規定ハ、決シテ適法ナル政策ノ批判
等ヲ處罰スルモノデハナイノデゴザイマス、
右明白ニ申添ヘテ置キタイト存ジマス、以
上発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=31
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032・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モナ
ケレバ、本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=32
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033・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=33
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034・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=34
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035・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=35
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036・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=36
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037・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=37
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038・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀會
ヲ開キマス、御里議ガナケレバ、全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=38
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039・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=39
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040・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=40
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041・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=41
-
042・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=42
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043・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽者) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=43
-
044・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀會
ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=44
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045・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=45
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046・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二十五ヨ
リ日程第三十三迄ノ請願、會議
左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參ノ
照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ
意見書案
奧羽本線橫手、羽越本線羽後本莊ノ兩
驛間ヲ豫定線ニ編入シ橫莊鐵道未成區
間速成ノ件
秋田縣平鹿郡横手町羽黑末町八番地
公吏片野復次郞外九百十八名呈出
右ノ請願ハ秋田縣橫莊鐵道ノ完通ハ橫黑
銀釜石線ト相俟テ東西兩洋ヲ連絡シ經
濟上竝軍事上緊要ナルニ拘ラス同鐵道ハ
曩ニ營業線ノ一部ヲ政府ニ移管シ且老
〓前〓間ノ未成區間存スル爲其ノ機能
ヲ發揮シ得サルモノアルニ依リ奧羽本線
橫手、羽越本線羽後本莊ノ兩驛間ヲ豫定
線ニ編入スルト共ニ政府ハ該未成區間ノ
速成ヲ圖リ以テ地方產業ノ開發、輸送能
率ノ增進等ニ資セラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別冊及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣東條英機殿
意見書案
長岡鐵道買收ノ件
新潟縣北魚沼郡農會長古田島和太郞
外十三名呈出
右ノ請願ハ新潟縣長岡鐵道ハ延長三十九
粁餘ニ及ヒ逐年貨客ノ輸送激增ノ傾向ア
ルモ設備輸送力之ニ件ハス且運賃高率ナ
ルハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ同鐵道ヲ買收
シ以テ地方產業ノ振興ニ寄與セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿
意見書案
北越線鐵道敷設ノ件
新潟縣北魚沼郡農會長古田島和太郞
外十三名呈出
右ノ請願ハ新潟縣中頸城、東頸城、中魚
沼南魚沼ノ四郡及高田市ヲ貫キ北陸線
ト上越線ヲ連絡スル鐵道ヲ敷設スルハ沿
線地方ニ於ケ、ル豐富ナル農、林工產物
ノ輸送上貢獻スル所大ナルニ依リ速ニ之
カ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及
送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿
意見書案
飯山鐵道買收ノ件
新潟縣北魚沼郡農會長古田島和太郞
外十三名呈出
右ノ請願ハ信越本線豐野驛ヨリ長野縣飯
山町ヲ經テ新潟縣十日町ニ至ル飯山鐵道
ハ延長七十五粁ニ及ヒ貨客ノ輸送夥多ナル
ニ拘ラス近時輸送力減退シ殊ニ冬期間ノ
列車運轉ハ豪雪ノ爲愈不圓滑ニ陷リ之カ
利用者ノ打撃甚大ナルニ依リ速ニ同鐵道
ヲ買收シテ除雪施設ノ完璧ヲ計リ以テ地
方產業ノ開發ト國防ノ充實トニ資セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿
意見書案
官幣中社生田神社造營費國庫支辨ニ關
スル件
神戶市灘區上野通七丁目二十四番地
平民勝田銀次郞外二十七々口呈出
右ノ請願ハ神戶市神戶區下山手通ニ鎭座
セラルル官幣中社生田神社ハ稚日女尊ヲ
奉齋セル社ニシテ往時ハ神域廣大ナリシ
モ屢次ノ市區整理ノ結果頗ル狹隘トナリ
社殿等建物ノ連絡統一ヲ缺キ且損耗ノ度
著シキモノアルハ寔ニ恐懼ニ堪ヘサルニ
依リ地元衆庶ノ奉賽事業トシテ社殿ノ造
營境域ノ整備ヲ期シツツアルモ御祭神ノ
尊貴ト由〓ニ鑑ミ本殿以下主要社殿ノ御
造營ハ國費ヲ以テ速ニ其ノ實現ヲ期セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣東條英機殿
意見書案
古事記正解ノ〓究機關設置ノ件
名古屋市中村區深川町一丁目十八番
地平民水野滿年外五百八十一名呈出
右ノ請願ハ古事記ハ惟神大道ノ寶典ナル
ニ之カ〓究ヲ民間ニ委ヌル爲其ノ本然ヲ
誤ルカ如キ學說ヲ生スルニ至リシハ甚遺
憾ナルニ依リ速ニ政府ハ古事記正解ノ〓
究機關ヲ設ケ之カ正解ヲ完成シ以テ國民
精神〓育ノ基據ヲ與フルト共ニ國體ノ本
義ヲ明徵ニウ肇國ノ大精神ヲ宣揚セシメ
ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿
音見書案
奧羽本線十文字、陸羽東線鳴子ノ兩驛
間鐵道敷設ノ件
宮城縣玉造郡鳴子町字湯元五十八番
地ノ六平民芦立定外千六百二十五久、
呈出
右ノ請願ハ奧羽本線十文字驛ヨリ陸羽東
線鳴子驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿線地方
ニ於ケル豐富ナル林、鑛產等ノ資源開發
上裨益スル所大ナルノミナラス東京、靑
森間ノ捷徑トナリ運輸交通竝軍事上亦須
要ナルニ依リ速ニ之カ實現ヲ圖ラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣東條英機殿
竟見書案
奥羽本線十文字、陸羽東線鳴子ノ兩驛
間鐵道敷設ノ件
秋田縣雄勝郡稻庭町二百十七番地平
民佐藤有秀外千三百五十二名呈出
右ノ請願ハ奧羽本線十文字驛ヨリ陸羽東
線鳴子驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿線則
方ニナケル豐、富ナル林、鑛產等ノ資源開
發し裨益スル所大ナルノミナラス東京、
靑森間ノ捷徑トナリ運輸交通竝軍事上亦
須要ナルニ依リ速ニ之カ實現ヲ圖ラレタ
シトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿
意見書案
天龍川改修工事實施速成ノ件
長野縣下伊那郡龍丘村大字駄科七百
三番地農代田市郞外三十七名呈出
右ノ請願ハ天龍川ハ既ニ上流諏訪湖關係ノ
改修成リ下流靜岡縣下ニ於テモ亦內務省
直轄改修工事ノ實施ヲ見タルニ獨リ長野
縣下ノ中流地域ハ實測基本調査ヲ完了シ
タルノミニシテ未著工ニ至ラス年々ノ水
渦寔ニ寒心ニ堪ヘサルモノアルニ依リ昭
和十八年度ヨリ國ノ直轄事業トシテ速ニ
之カ改修ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十八年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣東條英機殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=46
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047・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ、
請願委員長ノ報告通リ採擇スルコトニ御異
議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=47
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048・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、次會ノ議事日程ハ、決定次第彙報
ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散
會致シマス
午後二時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103242X00919430215&spkNum=48
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