1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十三日（火曜日）午前十時十四分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=0
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001・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 是ヨリ開會致
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=1
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002・小倉正恒
○小倉正恒君 チヨット大藏大臣ニ伺ヒマ
ス、今囘ノ增稅ニ依リマシテ物價乃至生活
費ニ幾許ノ影響ヲ齎ス御見込デアルカ、又
之ニ伴ヒマシテ俸給、賃金或ハ農家ノ收入
ノ引上ト云フ風ナコトハ相當程度俸給ナリ、
賃金ナリ、農家ノ收入ナドヲ引上ゲルコト
ガ必要デアルト云フ御見込デアルカドウ
カ、ソレヲ御伺ヒシタイト思ヒマス、私ガ
斯ウ云フコトヲ御伺ヒスル理由ハ、今日ノ
社會ノ或階級ニ於キマシテハ大分生活難ガ
深刻ニナッテ居リマス、今囘ノ增稅ハ、兎モ
角衣〓住ニモ關係致シテ居ルノデアリマス、
又或例外モアリマスルケレドモ、相當低イ
方ニモ影響ヲ及シテ居ルト思フノデアリマ
シテ、社會ノ或面ニハ相當ノ影響ガアルノ
デハナイカト云フ風ニモ思ッテ居ルノデア
リマス、是カラ後ハ一ツ速記ヲ御止メヲ願
ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=2
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003・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=3
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004・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=4
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005・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今小倉サンカ
ラ色々御尤モナ御意見ヲ伺ヒマシタガ、昨
年以來マア其ノ前カラデモゴザイマスル
ガ、增稅案ヲ作リマス時ニハ、其ノ點ニ
於キマシテ最モ注意ヲ拂ッテ原案ヲ作製スル
コトニ致シタノデゴザイマス、一般ニ租稅
論トシマシテ只今政府ガヤッテ居リマス間
接稅ニ付キマシテ、物品稅的方式、此ノ方
式ト申シマス意味ノ內容ハ課稅ノ對象タル
物品ガ奢侈的ノ消費デアルカ、或ハ最小限
度ノ生活ニ必要デアルカナイカ、是等ノ點
ニ付キマシテ最モ多クノ注意ヲ拂ヒ、課稅
ノ對象タル物品ヲ決メマスル場合、之ニハ
所謂課稅ノ最低限度ノ金額、ソレ以下ハ免
稅トナリマスル金額ヲ定メルノデアリマス、
或ハ稅率ヲ盛リマスル上ニ於テ、卽チ戰時下
不必要ト云フ性質ノモノニハ高率ノモノ
ヲ掛ケマス、然ラザルモノニハ掛ケナイカ、
極メテ低率ナモノヲ掛ケル、此ノ方式デゴ
ザイマスルガ、之ニ付テ戰時ノ收入ヲ得ル
立場カラ申セバ、是ハ非常ニ煩瑣デアッテ且
多クノ稅額ヲ得ニクイノデアリマス、外國
デヤッテ居リマスヤウナ一般賣上稅的ノ性質、
如何ナル物品ニ付テモ賣買スル每ニ課稅ス
ル、是ハ徵稅ガ極メテ簡單デアリマシテ
收入ヲ期待シ得ルノデアリマシテ、之ニ移
行スベキデハナイカト云フ說ガアリマスルガ、
政府ハ未ダ其ノ案ヲ採用致シマセヌノハ、
丁度今御話ニナリマシタヤウナ國民ノ生活
ヲ顧慮スル、斯ウ云フ點カラ出發ヲ致シテ
居ルノデアリマス、先般モ申上ゲマシタヤ
ウニ、直接稅的間接稅トカ負擔力ト云フモ
ノヲ非常ニ頭ニ置イテ、徵稅ノ方法ヲ考ヘ
テ參ルト云フ點デゴザイマス、デアリマス
ノデ、今囘ノ增稅ノ各種ノモノニ付キマシ
テハ、仔細ニ御檢討ヲ願ヒマスルト、其ノ
邊モ餘程明カニナルカト存ジマス次第デア
リマス、先ヅ酒ト煙草ニ付キマシテハ後廻
シニ致シマシテ、砂糖消費稅デゴザイマス、
是ハ家庭用ノモノニ付キマシテハ殆ド酒ガ
約十割ノ引上デアル、然ルニ此ノ方ハ一割
前後ノモノデアリマシテ、實際ノ價格カラ
申上ゲマスレバ、白砂糖一斤三十錢五厘デ
アルモノガ三十三錢ニナル程度デゴザイマ
ス。又入場稅ニ付キマシテモ、免稅點最小
限度ハ依然トシテ從來ノ儘据ヱ置キマス、
又五十錢以下ノ入場料、大衆ガ贅澤ナ芝
居等ヘ行カナイデ、映畫ヲ觀ニ行クト云
フ場合ハ、今囘ハ稅率ヲ引上ゲマセヌノデ
アリマス、是ハ入場稅ノ一例デアリマス、
遊興飮食稅ニ付キマシテモ、課稅ノ最低限
ハ飮食ニ付テ一圓カ一圓五十錢ト致シテ
從來アリマシタ、之モ引下ゲマセヌ、普通
所謂俸給ノ少イ俸給生活者ガ外食致シマス
ヤウナ場合、今ハサウナノデアリマスルガ、
一圓五十錢ト云ヘバ、ソレ以上ノモノヲ每
日晝食ニ致スト云フ必要モナイト存ジマス、
ソレ等ノ意味モアリマシテ、此ノ課稅最低
限モ實ハ徵稅上ノ手數ノ問題デアリマスガ、
今ノ見地カラハ一圓迄位下ゲテモ宜シイト
思ヒマスガ、之モ引下ゲテアリマセヌ次第
デアリマス、矢張リ依然トシテ元ノ儘デ行
ケルヤウニ致シテアリマス、遊興稅ハソレ
等ノ考慮ニ於テ餘リ必要ナシト斯ウ云フコ
トモ云ヘルト思ヒマス、今囘新タニ創設致
シマシタ特別行爲稅ニ付キマシテモ、理髪、
結髮ノ如キハ一圓未滿ハ何等稅金ガ掛リマ
セヌ、是ハ普通ノ階級ハ五十錢前後デモ事
ガ濟ム場合ガ多イヤウデアリマス、況ヤ一
圓以上デハ相當高級ノモノデゴザイマス、
ソレカラ衣類ノ仕立ニ致シマシテモ、洋服
ハ幾ラ、和服ハ幾ラトシテアリマス、洋服
ノ如キモノハドウシテモ仕立代ガ高イノデ
アリマスカラ、庶民階級ガヤル程度ノモノ
ハ免稅點以下ニシテアリマス、ソレモ國民
服デアリマス、無論今ハ背廣ヲ作ルト云フ
コトハ贅澤ト申シマスカ、國民服ノヤウナ
質素ナモノヲ作ルコトハ無稅デアリマス、
仕立物トシテ製品ヲ買フモノハ無稅ニシテ
アリマス、「シヤツ」、靴下、總テサウ云フモ
ノニ同樣ナ考慮ヲ致シテ居リマス、衣服ノ
染色ノ如キモノモ、古イモノヲ使フト云フ
モノハ今御話ノ例ニハ直グ參リマセヌノデ
アリマスガ、古物ハ染色賃モ十圓迄ハ免稅、
新シイモノハ五圓カラ掛ケルト云フ風ナ
相當細カイ心遣ヒヲ致シマシテ、最小限度
ノ生活ヲ確保スル、ソレカラ織物ニ付キマ
シテモ、大體絹織物ハ十五圓以下ハ皆總テ
ノ織物ガ無稅デゴザイマシテ、只今銘仙ノ
大衆向ト申スモノハ約十六圓カ十七圓デ
出テ居リマスガ、是ハ只今申上ゲルノハ少
シク早ウゴザイマスガ、色々改善シマシテ、
是ガ十五圓以下ニナルヤウナ方法ヲ講ジタ
イト思ッテ居リマス、是ハ私共希望致シマ
スシ、商工省モ其ノ方針ニ確定致シテ居ル
トハマダ申上ゲ兼ネルカモ知レマセヌガ、
現在ノヤウナ二丈八尺デ一反ヲ必ズ作ルト
云フ慣習的ノコトニ工夫ヲ加ヘマスレバ、
モウ少シ短イ尺物デ着物モ出來ル、帶モ同
樣デアリマス、サウ云フ觀點カラモウ當分、
其ノ工夫ガ出來マス前ニハ此ノ施行ハ或ハ
十六圓五十錢カ十七圓ニシマシテ、其ノ工
夫ガ出來マスレバ十五圓迄課稅ノ最低減ヲ
下ゲルト云フ工夫デ、質素ナル生活ヲ致シマ
ス場合ニハ殆ド負擔ガナイヤウニ工夫ヲ致
シテ行キマス、尙詳シイ具體的ナコトハ後
程政府委員カラモ申上ゲサシテ宜シイノデ
アリマスガ、サウ云フ非常ナ考慮ガゴザイ
マス、先ヅ家計ニ響クノハ酒ト煙草デアラ
ウト思ヒマス、外ノモノハ殆ド響カヌト存
ジマス、煙草ハ極ク大衆向ノモノハ最低減
ヲ引上ゲテアリマス、併シソレハ五割ト云
フ高率デアリマスルガ、是ハドウシテモ消
費ヲ減ジテ貰フ外ハナイ、戰時ノコトデア
リマシテ、氣ノ毒デアリマスルガ、消費ヲ
減ジテ貰フ外ハナイト思ヒマス、假ニ月ニ
三圓ノ煙草代ヲ消費シテ居リマシタ人、所
謂金鵄ヲ三十箱買ヒマス人ハ、之ヲ矢張リ
三圓ニシテ、其ノ代リ今度ハ二十箱シカ買
ヘナイト云フコトニナリマス、一圓五十錢
ノ煙草代ヲ消費シタ人ハ、矢張リ同ジク十
五箱ノ所ヲ十箱ト云フヤウニ一ツ我慢シテ
貰フ外ハナイト思ヒマズ、酒モ前ニモ大體
申上ゲマシタヤウニ、高級ノモノト並等酒
トハ生產費デハ僅カニ二十錢程度カ······
チヨット數字ハ間違ヒマシタラ政府委員カ
ラ訂正致シマスガ、殆ド一割カ二割ニモ及
バヌ差デアリマス、販賣價格ハ一方ハ七圓、
一方ハ三圓三十錢ナリ三圓五十錢ト云フ風
ニ致シマシテ、民衆的消費ニ對スル課稅率
ハ非常ニ減ジテアリマス、是ハ唯酒ガ贅澤
品デアルト云フヤウナ觀點バカリデナク、
現在ノ日本デハ酒ノ原料ノ主タルモノハ米
麥等デアリマスルガ、是等ニ關シマシテ全
面的ニ節約的方法ヲ採ラナケレバナラヌト
云フ立場ニアリマスカラ、是ハ或意味デハ
金ガアルナイニ拘ラズ、我慢シテ貰ハナケ
レバナラヌ立場ニアリマス、酒ト煙草デハ
消費ヲ減シテ家計ヲ膨脹セズヤッテ貰フヨ
リ外仕樣ガナイト思ヒマス、是ハ辛抱シニ
クイ場面モアリマスガ、又絕對出來ナイコ
トデモナイト存ジマス、外ノモノハ今申上
ゲマシタヤウナ觀點デ、之ヲ心シテ生活ヲ
シテ參レバ今囘ノ增稅ニ依リマシテ生活費
ヲ膨脹スルコトハ殆ドナイ、マア砂糖デモ
今ノヤウナ二錢五厘上リデゴザイマスガ、
是モ多少考慮シテ使ヘバ一億ノ消費量ヲ使
ハナイデ濟ム、詰リ全ク國民ノ負擔ニ於テ
是ガ生活費ヲ膨脹シ、賃金ヲ上ゲ、給料ヲ
上ゲナケレバナラヌト云フノデハ元々課稅
ノ目的ニモ反シマスノデ、相當其ノ點ニ心
遣ヒヲ致シマシテ、先ヅ是デ賃金ヲ上ゲナ
ケレバナラヌ、然ラズンバ非常ニ生活ニ困
ルト云フコトハナイ積リデ居ル次第デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=5
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006・小倉正恒
○小倉正恒君 詳細ノ御說明デ能ク承知致
シマシタ、次ニ移リマシテモウ一點御尋ネ
シタイノハ、今度ノ增稅案ノ目的ノ中ニ消
費抑制ト云フコトガ目的ニナッテ居リマス、
一面購買力ノ吸收ヲ圖リ、又國庫ノ收入ヲ增
スト云フ目的ノ外ニ、消費抑制ト云フコト
ガ目的ニナッテ居リマス、私モ非常ニ此ノ消
費抑制ハ最モ大切ナコトデアルト思フノデ
アリマスルガ、唯實際問題ト致シマシテ、
增稅ニ依ッテ果シテ消費ヲ抑制シ得ルカド
ウカ、尤モ田舍アタリデハ大分色々ナ點ガ
抑制ニナッテ居ルヤウニ聞キマスガ、都會地
デハドウダラウカ、例ヘバ昨年ノ增稅ノ時
ニ、遊興稅等ニ付テハ大分影響ガアルノダラ
ウト云フ風ニ考ヘテ居リマシタ處ガ、凡ソ
影響ノアッタノハ一箇月位デアルト云フコ
トデアル、一箇月經ツト又何ノ影響モナイ、
一向消費抑制ニナラヌ、斯ウ云フ風ナコト
デ、今度ノモノハ大分キツイデスカラマア
ドウ云フ風ニナルカ分リマセヌガ、何トナ
シニ又昨年ノヤウニ一月カ二月ハ影響ガア
ルガ、其ノ後ハ影響ガナイト云フコトニナ
ルノヂヤナイカ、ト申シマスノハ非常ニ購
買力ガ旺盛ナンデスカラ、非常ニ强イノデ
スカラ、果シテサウ云フ風ニ行ケルカドウ
カ承リタイノデアリマス、此ノ先ハ速記ヲ
止メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=6
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007・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=7
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008・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=8
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009・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 只今ノ御質問ノ
ヤウニ、今囘ノ增稅ハ消費ノ抑制、購買力
ノ吸收ヲ目的ト致シマシテ、之ニ相當ノ效
果ハアラウト存ジテ居リマス、同ジ消費ヲ
致シマスルニ付キマシテ、稅ガ五割、六割
上ルト云フコトニナリマスレバ、消費ヲ全
然其ノ課稅ノ對象ダル行爲ニ於テ減シマセ
ヌ場合ニ於キマシテモ、ソレダケノ資金ノ
吸收ガ國家的ニ出來マスカラソレダケノ分
ニ於テハ、少クトモ其ノ稅額ニ相當スル分
ニ付キマシテハ他ノ購買力、消費力ノ規正
ニ相當役立ツ譯デモアリマス、又稅其ノモ
ノヲ考ヘマシテ、稅ノ對象タル購買ノ目的
物ニ付キマシテモ規正スル必要モ相當ニア
ルト存ジマス、又御話ノ如ク一時ハ煙草ガ
レタ·禁煙ヲスル、節煙ヲスル、又併シ收
入ハ元々アルノダカラ元ニ還ル、是等ノ現
象モ前カラモアリマスシ、今後モ勿論ナイ
トハ言ヘナイト存ズルノデアリマス、併シ
今申上ゲマシタヤウニ是ダケデ相當ノ效果
ハアラウト存ジマス、唯相當ノ效果ハアラ
ウト考ヘマスコトハ、是デ消費規正ガ能事
畢レリ、他ノ方法ハ左程重キヲ置カナクテ
モ宜イト云フ考デハナイノデアリマシテ、
是ハ只今御示シニモアリマシタヤウニ、同
時ニ他ノ方法ヲ非常ニ强化シテ參ラナケレ
バナラヌコトト思ヒマス、會社ノ經費ニ於
テ非常ナ金額ノ高イ宴會ヲスルナゾト云フ
話モ多ク耳ニスル所デアリマス、是等ハ會
社經理統制令ニ依リマシテ會社ノ機密費交
際費等ノ如キモノハ嚴格ニ取締ッテ參ル積リ
デアリマス、少クトモ斯ウ云フ理由デサウ
云フモノヲ增額スルナドト云フコトハ、是
ハ勿論ナイノガ當然デアルガ、併シ會社ガ
ソレ以外ノ經費ノ科目カラ支出致シマシタ
場合ニ、全會社ノ經理ヲ監督出來ル譯デモ
實際ハアリマセヌ、又一面ニ於テ會社ノ敏
速ナル生產行動等ヲ是認シマス爲ニハ、左樣
ナ細部ノ干涉モ亦別ノ面カラ害ノアル場合
モアル、ドウシテモ是ハ會社當事者ノ自肅
ニ俟タナケレバナリマセヌ、眞面目ナ經營
者ナラバ社內留保ヲ多クシマスレバ、配當
ハ制限サレマシテモソレニ付キマシテハ適
當ナル之ヲ自己ノ生產擴充資金ニ用ヒ、或
ハ公債等ヲ保有シタ場合ニハ租稅上ノ恩
典モアリマス、少クトモ眞面目ナル經營者
デハ心得違ヒハナイ筈デアリマス、心得違
ヒガアルノハドウシテモ此ノ戰時下ニ於テ
當人ガ自肅シ、是ハ精神的運動ニ依ッテ自肅
サセル外ナイト思ヒマス、サウ云フ點ヲ非
常ニ重キヲ置カナケレバナラヌト考ヘテ居
リマス、一般ノ消費規正ニ付キマシテモ、
酒ヤ煙草ハ前囘ニモ申上ゲマシタヤウニ、
をある
全體ノ斯ウ云フ物資ノ供給量ノ觀點カラ自
然ニ配給ガ制限サレル、總量ガ制限サレル、
其ノ配給內容ニ付キマシテモ、酒ニ於キマ
シテモ專ラ生產事業其ノ他重要ナル、國家
生產力ノ增加ニ關シマスル方面ノ、所謂特殊
ノ配給ニ付テ數量ヲ比較的增加シ、家庭用
ノ配給之ニ次ギ、業務用、其ノ中デモ大衆
用デナイ、贅澤ナ、料理屋ナドノ配給ヲ非
常ナ程度デ之ヲ激減スルト云フ方策ヲ現ニ
執リツヽアリ、明年モ亦强化シテ參ル考デ
アリマス、其ノ外總テ配給ノ方面カラサウ
云フ措置ヲ致シマスト同時ニ、何トシマシ
テモ個人ノ私生活ノ問題デアリマスノデ、
益〓サウ云フ方面ノ國民運動、國民ノ自覺ヲ
强化スル、斯ウ云フ施策ハ十分ニ進メテ參
リ、精神的ノ方面、配給等ノ物資的ノ方面、
稅ノ方面、各種ノ方面ト相竝ビマシテ、所
期ノ目的ヲ達シタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=9
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010・小倉正恒
○小倉正恒君 只今ノ御話ハ物心兩面カラ
行カウト云フコトデ誠ニ結構ト存ジマス、
モウ一ツ御伺ヒシタイノハ、是ハ速記ヲ止
メテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=10
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011・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=11
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012・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=12
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013・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 法律案要綱ノ第二、要
領ノ第十二臨時租稅措置法ノ第一項ニ、「時
局ノ要請ニ依リ企業ノ合同ヲ爲シタル者ニ
對スル所得稅、營業稅、法人稅等ノ輕減又
ハ免除ノ特例ヲ一年延長スルコト」トナッテ
居リマスルガ、其ノ輕減又ハ免除ノ特例ヲ
一箇年ノ延長ニ限度サレマシタ理由ヲ御說
明願ヒタイノデアリマス、恐ラク今後益〓時
局ノ要請ニ依ッテ合同ヲ爲スベキ企業ハ續
出致スコトト考ヘラレマスハ然ラバ一箇年
ノ延長ニ限度致サレマシタコトハ、來年又
又一箇年ノ延長ヲセラルヽ御考デアリマス
ルカ、或ハ假令一箇年後ニ於キマシテ如
何ニ企業合同ガ多數起リマシテモ、此ノ減
免ノ特例ハオヤリニナラナイ考デアリマセ
ウカ、先ヅ此ノ點ヲ伺ッテ置キタイノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=13
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014・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 企業ノ合同整理
ハ只今述ベマシタヤウニ、戰力增强ニ是非
必要ナノデアリマス、計畫ヲ致シマシタノ
ハ急速ニ之ヲ實行スルコトガ必要デアリ
マス、只今計畫シタモノハ十八年度內ニハ
之ヲ完了スルト云フ積リデ一箇年ト致シマ
シタ、尙今後計畫スル必要ガ起リマスレバ、
其ノ時ニ必要ナラバ新タニ御協賛ヲ得タイ、
斯ウ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=14
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015・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 必要ガアレバ新タニ
又法律案ヲ御出シニナルト云フ御話デゴザ
イマシタガ、ドウモ只今ノ情勢デハ益〓其ノ
必要ガアルノデハナイカト思ヒマス、從ッテ
來年ニナリマシタナラバ、恐ラク再ビ一箇
年延長スルト云フヤウナコトニ相成ルノデ
ハナイカト私ハ思フノデアリマスガ、只今
大藏大臣カラ斯樣ニ申サレマシタノデ、
其ノ點ハ此ノ程度ニ止メマシテ、尙一點御
伺ヲ致シタイノデアリマスガ、臨時租稅措
置法制定以來、所謂時局ノ要請ニ依リマシ
テ致シマシタ企業合同ノ數竝ニ其ノ資本額
ハ幾何ニ達シテ居リマスルカ、又今後爲サ
ルベキ企業合同ニ付テノ見透シハ如何デア
リマスルカ、實ハ此ノ點ヲ特ニ大藏大臣ニ
伺ヒタイト思フノデアリマス、一體統制經
濟、計畫經濟ガ今日ノ如ク强化サレテ居リ
マスル時ニ、企業合同ガ何處迄擴大强化サ
レルデアラウカト云フ點ニ付キマシテハ、
事業家ノ方面ニ於キマシテ相當危惧ノ念ヲ
抱イテ居ル向ガアルヤウニ思ヒマス、仍テ
此ノ際寧ロ企業合同ノ御計畫ヲバハッキリ
ト發表致サレマシテ其ノ不安ヲ除キ、其
ノ心構ヘ、其ノ用意ヲ爲サシメルト云フ必
要ガアルノデナイカト云フヤウニ考ヘルノ
デアリマス、此ノ點ニ付キマシテ大藏大臣
ノ率直ナル御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=15
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016・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 數字ニ付キマシ
テハ或ハ大藏省ノ政府委員モ持ッテ居ラヌ
カモ知レマセヌ、アリマシタラ御答へ申上
ゲマスシ、又持ッテ居ラナケレバ商工省ノ、
主管省ノ方カラ申上ゲルコトニ致シマス、
尙全體ノ問題ニ付キマシテモ、私ガ申上ゲ
ルヨリハ他ノ主管者ガ申上ゲマス方ガ適當
デアリマスルガ、物事ハ色々ナ方面カラ考
ヘナケレバナリマセヌノデ、一體ドウナル
ノダ、落著ク所ハ何處ダ、安心ガ得タイ、
此ノ方カラ言ヘバ誠ニ御尤モデアリマシテ、
企業合同ノ全輪郭ヲ決定シテ行クノガ一番
宜イノデアリマス、併シナガラ實際ノ物事
ハ是ハ矢張リ戰局ノ進展其ノ他デ決ルノデ
アリマシテ、生活ノ最低限度ト申シマスル
カ、五年前ノ最低限度ト今ノ最低限度ト
ハ、誰シモ感ジガ非常ニ變ッテ居リマス、是
以上ハドウシテモヤラナイノダ、是ダケハ
ヤルノダト云フヤウナコトヲ決メテ行キマ
スト云フコトニ付キマシテハ、其ノ利害ニ
付テモ相當私ハ考ヘラレルト思フノデアリ
マス、出來レバ斯ウ云フモノハ斯ウ云フ風
ニシタイト思ヒマス、是ハ速記ヲ御止メ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=16
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017・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=17
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018・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=18
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019・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ實ハ大臣オイデ
ノ時ノ方ガ宜シイノデアリマスガ、昨日主
稅局長ニ願ッテ置キマシタガ、主稅局長カラ
便宜御答ヲ願ヒタイ、又後ニ大臣ガ僅カノ
時間御出ニナルサウデアリマスカラ、若シ
必要ガゴザイマシタラ其ノ時ニ大臣ニ御伺
ヒスルコトニ致シマス、ソレデ一番先ニ伺
ヒタイノハ臨時租稅措置法ノ改正ノ要點デ
ゴザイマスガ、是ハ抽象的ニハ御說明ニナッ
タ、確カニ私モ承ッタンデスガ、具體的ニ此
ノ條文ニ付キマシテ簡單デ宜シウゴザイマ
ス、此ノ點ト此ノ點ダト云フコトト、ソレ
カラ其ノ立法ノ趣旨ヲ簡單デ宜シウゴザイ
マスカラ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=19
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020・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 臨時租稅措置法
ニ付キマシテハ今囘數點ノ改正ヲ行ッテ居
ルノデアリマスルガ、其ノ改正致シマシタ
要點ノ中、極ク重要ナ點ヲ法文ノ順序ニ從
ビマシテ申上ゲテ參リタイト思ヒマス、第
一條ノ四ニ左ノ一號ヲ追加スルト云フコト
ニ依リマシテ、「法人ガ額面以上ノ價額ヲ
以テ株式ヲ發行シタル場合ニ於ケル其ノ額
面ヲ超ユル金額」ト書イテゴザイマスルガ、
是ハ昨日モ御話ノアリマシタ法人ガ「プレ
ミアム」附デ株ヲ募集致シマシテ、其ノ「プ
レミアム」ヲ受入レマシダ場合ニ於キマシ
テ、通常ノ課稅ヲ致シマスルコトハ酷ニナ
ル場合ガゴザイマスルノデ、特ニ其ノ場合
ニ於キマシテ課稅標準ノ特例ヲ設ケルコト
ニ致シタノデゴザイマス、昨日モ申上ゲマ
シタ通リ、大體ノ標準ト致シマシテハプ
レミアム」ヲ五割引シテ課稅スルト云フコト
ニ致シタイト思ッテ居リマス、之ニ依リマ
シテ歲入ガ何程減ズルカト云フコトハ特ニ
見込ンデゴザイマセヌ、ソレハ從來ハㄱプ
レミアム」附ノ株式ヲ發行致シマスル場合
ニ、多ク從來ノ株主ニ引受ケセシメマシテ、
會社ガ受入レテ居リマセヌ、ソコデ從來ノ
狀況カラ見マスレバ、之ニ依ッテ特ニ歲入
ガ減少スルト云フ風ニ見ル必要ハナイ所カ
ラシテ、歲入減ハ見込ンデナイ次第デアリ
マス、次ニ第一條ノ六ニ「鑛業權者」ノ下ニ「及
使用權者」ヲ加ヘテ居リマス、是ハ今囘鑛業
權ニ對シマシテ更ニ使用權ノ制度ヲ認メマ
シテ、從來重要鑛物ヲ採掘致シマスル鑛業
權者ニ對シマシテハ、分類所得稅又ハ法人
稅ヲ輕減シテ居リマスルノデ、使用權者ニ
付テモ同ジヤウナ輕減ヲシヨウト云フ譯デ
アリマス、此ノ部分モ新シク加ハル分デア
リマスルノデ、特ニ輕減ヲ致シマシテモ、
ソレガ爲ニ歲入減ハ見込ム必要ガナイト思ッ
テ居リマス、次ノ第一條ノ十七、第一條ノ
十八、第一條ノ十九、第一條ノ二十及第一
條ノ二十一、是等ハ企業ノ整理合同ノ場合
ニ於キマシテ所謂所得稅、法人稅、營業稅
等ヲ減免致ス規定デゴザイマスルガ、只今
モ御話ノアリマシタ通リ、企業ノ整理合同
ニ付キマシテハ餘リ長イ年限ヲ認メテ置キ
マスルト云フト、ユックリ整理合同ヲシテ
モ恩典ニ與ルト云フ所カラ、整理合同ノ進
捗ノ妨ゲニナル虞モアル、斯樣ナ見地カラ
致シマシテ期限ヲ切ッタノデアリマスルガ、
現在ノ企業合同ノ進捗狀況ヲ見マスレバ、
更ニ一年延期スル必要ガアリト認メラレマ
スルノデ、一年延長シテ居ルノゴザイマス、
施行ノ狀況ニ鑑ミマシテ更ニ延長スル必要
ガアリマスレバ、只今大臣カラ御話モアリ
マシタ通リ、更ニ又一年延期スルト云フヤ
ウナ風ナコトニ考ヘネバナラヌト思ツテ居
リマス、次ノ條文デアリマスル第一條ノ二
十二、是ハ法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ
指導斡旋ニ依リマシテ、事業ノ統制ノ必要
上不動產、船舶、鑛業權等ヲ讓渡セシメ
ラルヽ場合ガ今後ニ於テ相當豫想セラルヽ
ノデアリマスルガ、個人ガ是等ノ不動產、
船舶、鑛業權等ヲ讓渡致シマスルト云フト、
讓渡利得ガ課稅ニナル場合ガアルノデアリ
マスルガ、自己ノ意思ニ依ツテ自由ニ讓渡
致シタト云フ場合ニハ趣ヲ異ニ致シテ居リ
マスノデ、其ノ場合ニ付キマシテハ讓渡利
得ヲ特ニ二割引致シマシテ臨時利得稅ヲ課
稅致シタイト、斯樣ニ考ヘテ居ル次第デア
リマス、此ノ改正ニ依リマスル稅額ノ減少
額ハ、初年度ニ於テ約二十萬圓ト見込ンデ
居リマス、次ニ第一條ノ二十三ニ揭ゲマシ
タノハ、企業ノ合同整理等、時局ノ要請ニ
基キ營業ヲ廢止スルモノガ出ルノデアリマ
スルガ、其ノ場合ニ於キマシテ補償金ヲ受
ケルノデアリマスルガ、之ニ付キマシテハ
一時ニ補償金ヲ受ケマスト云フト、現在ノ
稅法ニ於キマシテハ一時所得トシテ課稅外
ニ置カレル譯デアリマスルガ、其ノ場合ニ
於キマシテ、年賦式ニ支拂ヲ受ケルト云フ
コトニナリマスルト云フト、現在ノ稅法デ
ハ、乙種ノ事業所得トシテノ課稅ヲ受ケル
ト云フヤウナコトニ相成リマスルノデ、彼
此權衡ヲ得セシメマスル上カラ云ヒマシ
テ考慮ヲ要スルノデアリマスルガ、其ノ
場合ニ於キマシテ全然非課稅ニスルト云
フコトハ、現在ノ稅法ノ建前ヲ根本的ニ
覆スコトニナリマスルノデ、相當程度ノ
輕減ヲスルト云フコトニ致シテ居リマシ
テ、補償金ノ總額ガ三万圓以下デアレバ
五割引ク、三萬圓ヲ超ユルヤウナ場合ニ
於テハ二割ヲ引クノデアリマス、尙其ノ
總額ガ一萬圓以下デアリマスル場合ニ於テ
ハ全額ヲ免除スルト云フコトニナッテ居リ
マスルノデ、普通ノ場合ニサウ大シタ金額
ヲ貫ハナイヤウナ營業者ハ大體ニ於テ全額
ノ免除ヲ受ケマシテ、一時拂ヲ受ケマスル
者ノ免稅トノ釣合ハ大體取レルモノト見込
ンデ居リマス、之ニ依リマスル稅額ノ減少
デアリマスルガ、初年度ニ於キマシテ約三
百五十七萬圓位ノ金額ヲ見込ンデ居リマ
ス、次ハ一條ノ二十四デゴザイマシテ、臨
時資金調整法第十五條ノ五ノ規定ニ基ク命
令ニ依リマシテ、株式ノ讓渡ヲ命ゼラルヽ
場合ガアルノデアリマスルガ、其ノ場合ニ
於キマシテハ、讓渡代金ヲ以チマシテ一定
ノ期間內ニ國債其ノ他主務官廳ノ認可シタ
■
ル有價證劵ヲ取得シマシタ場合ニ於キマシ
テハ、其ノ取得シマシタ有價證劵ノ記帳價
格ヲ前ノ株式ノ記帳價格ト同額ニシテ置キ
マシテ、卽チ强ヒテ評價益ヲ出サナイト云
フコトノ出來ルヤウニ致ス規定デゴザイマ
ス、是モ今迄ハ斯ウ云フコトガゴザイマセ
ヌデ、今後臨時資金調整法ノ改正ニ依リマ
シテサウ云フ場合ガ豫想セラレルノデアリ
マスノデ、稅額ノ減少ハ特ニハ見込ン居デ
ラナイ次第デアリマス、次ニ第一條ノ二十
五ノ規定デアリマスルガ、是ハ旣ニ御質問
ガアリマシタ通リ、木材又ハ薪炭ノ增產ノ
必要上、立木ノ伐採又ハ讓渡ヲ爲ス者ガ殖
エテ參ルノデアリマスルガ、其ノ場合ニ於
キマシテ、山林所得ニ從來通リノ課稅ヲ致
スト云フコトガ酷ニナル場合ガアリマスノ
デ、主務官廳ニ於テ各個人ノ伐採豫定數量
ヲ定メルコトニ致シマシテ、其ノ豫定數量
ヲ超エテ伐採讓渡ヲ致シマシタ場合ニ於キ
マシテハ其ノ部分カラ生ジマスル所得ニ
付テハ二割ヲ控除シテ課稅致シタイ、斯樣
ニ考ヘテ居ルノデアリマス、之ニ依リマス
所得稅ノ減收見込額ト致シマシテハ、是ハ
平年度デ申上ゲマスガ、約四十七萬圓程度
デゴザイマス、次ニ第一條ノ二十六ノ規定
ハ、統制ノ强化、其ノ他ニ依リマシテ個人ノ
營業ガ相當窮屈ニナリマシテ、其ノ結果營
業ノ業績ノ相當著シク惡化スル者ガ出テ參ル
コトガ豫想セラレルノデゴザイマス、其ノ場合ニ
於キマシテ、現在ニ於キマシテハ稅法上前年ノ實
四ツタ
績ニ依ッテ課稅ヲ致スコトニナッテ居リマス、
理窟ハ正ニ其ノ通リデアリマスルガ、前年相當
ノ營業ヲ致シテ居リマシタ者ガ今年ニ於テ
事業ノ統制等ノ關係カラ營業ガ相當縮小サ
レテ參リマシタ場合ニ於キマシテ、前年ノ
實績デ課稅ヲサレテ納稅ヲスルト云フコト
ニナリマスルト、納稅上相當ノ苦痛ヲ感ズ
ル場合ガゴザイマスルノデ、理窟ハ兎モ角ト
致シマシテ、此ノ際相當負擔ヲ輕減スルコ
トガ宜シカラウ、斯樣ニ考テ茲ニ規定シテ
居ルノデゴザイマス、其ノ場合ニ於キマシ
テ、前三箇年ノ平均ト較ベテ減少割合ノ
如何ニ依ツテ稅額ヲ輕減スル程度ヲ決メテ
居ルノデアリマシテ、減少割合ガ七割以下
デアル時ニハ二割、七割ヲ超エルヤウナ場
合ニ於キマシテハ四割ト致シテ居ルノデア
リマス、其ノ場合ニ於キマシテモ、個人ノ
其ノ決定ヲ致サウト致シマスル年ノ營業所
得ガ三萬圓以上デアリマスレバ、是ハ相當
大キク營業ヲ致シテ居ル者デアリマシテ、
サウ云フ者ニ於キマシテハ、資產ノ蓄積等
モ相當考ヘラレルノデアリマスルノデ、何
トカ稅金ヲ納メラレルデアラウト云フ所カ
ラ、サウ云フ者ハ除外シテ居リマス、又前
三箇年ノ平均ト較ベルト云フコトニナッテ
居リマスルガ、前年ガ偶〓小サカッタト云フコ
トノ爲ニ、前三箇年ト比較致シマスルト決
定ヲ致シマスル年ノ營業ガ減少シテ居リマ
スルガ、前年ノ營業ヨリハ減少シテ居ナイ
ト云フヤウナ者ニ付テハ、特ニ此ノ規定ヲ
適用スルノ必要ハナカラウト認メテ除外シ
テ居ルヤウナ次第デアリマス、尙、第一條
ノ二十七ニ依リマシテ、第一條ノ二十六ノ
適用ヲ受ケル者ハ政府ニ申請ヲ要スルト云
フコトニナッテ居リ、其ノ申請ガアリマシ
タ時ニハ、政府ハ輕減處分ノ確定スルニ至
ル迄稅金ノ徵收ヲ猶豫シテ置クコトガ出來
ルト云フコトニナッテ居リマス、之ニ依リ
マスル減少額ト致シマシテ、初年度ニ於キ
マシテ約二百八十萬圓程ノ金額ヲ見積ッテ
居リマス、次ハ第一條ノ二十八デアリマシ
テ、法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ
指導若ハ斡旋ニ依リマシテ事業ニ屬スル設
備又ハ權利ヲ統制ノ必要上命令ヲ以テ定メ
ル者ニ讓渡致シマシタ法人デアリマシテ、
行政官廳ノ指導、斡旋ニ依リマシテ解散ヲ
サセラレナイ、存續セシメラレルト云フモ
ノニ付キマシテハ負擔ノ加重ヲ來ス場合
モアリマスル〕デデ其ノ場合ニ於キマシ
テ、負擔ガ特ニ加重ニナッタト云フヤウナ
場合ニ於キマシテハ、所得稅、法人稅、營
業稅、臨時利得稅ヲ輕減スルコトヲ得ル旨
ノ規定ヲ置イタノデアリマス、差當リ此ノ
規定ノ適用トシテ豫想セラレマスル場合ハ、
政府ガ私鐵ヲ買收致シマシタル場合ニ於キ
マシテ、買收サレタ私鐵トシテハ解散シタ
イト云フヤウナ場合ニ於キマシテモ、行政
官廳ノ指導、斡旋ニ依ッテ、解散ヲセシメズ
ニ、持株會社トシテ存續セシメル、斯ウ云
フヤウナ場合ガアルノデアリマスルガ、其
ノ場合ニ於キマシテ、負擔ガ加重ニナルト
云フヤウナ場合ニ於テ、租稅ヲ輕減シ得ル
コトニ致スノデゴザイマス、是ハ新シク設
ケラレタ規定デアリマスルト共ニ、今迄ナ
カッタコトガ新タニ附加ハルト斯ウ云フヤウ
ナ譯デアリマスルカラ、特ニ之ガ爲ニ歲入
ノ減少額ハ見積ッテ居ラナイヤウナ次第デ
アリマス、第二十二條ノ三中「昭和十八年」ヲ
「昭和十九年」ニ改正シマシタノハ、企業合同
ノ場合ニ於キマスル登錄稅ノ輕減ヲ更ニ一
年延シタト云フ譯デゴザイマス、登錄稅ノ
減少額ト致シマシテハ、初年度二百六十萬
圓位ノ金額ガ見積ラレテアリマス、第二十
二條ノ四ノ規定ト致シマシテハ、鑛業又ハ
砂鑛業ノ著手又ハ繼續ノ許可ヲ申請致シマ
シタ場合ニ於テ、今後ハ不許可トナリ得ル
場合ガアルノデアリマスガ、其ノ場合ニ於
キマスル鑛區又ハ砂鑛區ニ對スル鑛區稅ヲ
三分ノ一ニ輕減シヨウト云フ規定デアリマ
シテ、之ガ爲ニ見積ッテ居リマスル租稅ノ減
收額ハ初年度デ約三百萬圓デゴザイマス、
以上ガ臨時租稅措置法ニ於テ改正致シマス
ル主ナル事項ノ說明デゴザイマシタ、全體
ト致シマシテ臨時租稅措置法改正ニ依リマ
スル減收見込額ガ初年度ニ於テ三千四百萬
圓ニ及ンデ居リマス、事項別ノ金額ハ只今
申上ゲタ通リデゴザイマスルガ、事項ヲ離
レテ、今度ハ稅目別ノ金額ヲ申上ゲマスト、
是ハ資料トシテ御配リシテアルト思フノ
デアリマスガ、所得稅ニ於キマシテ二千五
百餘萬圓、法人稅ニ於テ二百餘萬圓、臨時
利得稅ニ於テ約九十萬圓、鑛區稅ニ於テ三
百餘萬圓、登錄稅ニ係ハル印紙收入ニ於キ
マシテ二百六十餘萬圓、合計致シマシテ三
千四百萬圓餘ニ及ンデ居ルヤウナ次第デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=20
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021・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 大變詳シイ御說明デ
能ク分リマシタガ、私思違ヒヲシテ居ルノ
カト存ジマスルカラ伺ヒマスガ、此ノ第一
條ノ二十二、第一條ノ二十三、第一條ノ二
十四ト云フヤウナコトニ讓渡ノ時ノ規定ガ
アリマスガ、此ノ讓渡ハ基本ニナッテ居ル資
產ガ換價サレタノデ、他ノ場合ニモ斯ウ云フ
場合ハ澤山アリマスガ、是ハ利得ト見ルベ
キモノデナイト云フヤウニ考ヘラレマスガ、
從來是ハ利得ト見テサウ云フコトヲヤッテ居
ラレタノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=21
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022・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 第一條ノ二十二
ニ關シマシテハ、個人ガ不動產ヲ賣ッタリ、
船舶ヲ賣リマシタリ、或ハ鑛業權ヲ賣リマシ
タ場合ハ、ズット以前ハ課稅ガナカッタノデ
ゴザイマスガ、其ノ後ニ於キマシテ臨時利
得稅法ヲ改正致シマシテ、個人ノ船舶、鑛
業權ノ讓渡ニ依ル利得ニ對シテ先ヅ課稅
ヲ開始シマシタ、續イテ昨年デアッタト思ヒ
マスガ、土地、建物等ノ讓渡ニ付キシマテ
モ讓渡利得ニ課稅スルト云フコトニ相成ッタ
ノデアリマス、ソコデ普通ニ、個人ガ自由
意思デ土地、建物、船舶、鑛業權等ヲ賣リ
マスレバ、取得價格ト賣却價格トノ差額カ
ラ經費ヲ引キマシタモノヲ利得金額トシテ
臨時利得稅ガ掛カルノデアリマスガ、第
條ノ二十二ニ規定シテアリマスヤウナ場合
ハ、個人ノ自由意思デナクテ、法令ニ基イ
タリ、或ハ法令ニ基ク命令ニ依ッタリ、或ハ
官廳ノ指導斡旋ニ依ルノデアリマスカラ、
普通ノ課稅ヲスルノハ無理デアル、斯樣ニ
考ヘテ輕減シテ居ルノデアリマス、例ヘバ
或工場ガ土地、建物ヲ持ッテ居ルト云フヤウ
ナ場合ニ、其ノ工場ニ持タシテ置クヨリモ、
他ノ重要產業ノ方ニ工場ヲ土地、建物共ニ
賣レト云フヤウナ指導幹旋ニ依ル讓渡ガアッ
タト云フ場合ニ於キマシテモ、由ッテ以テ讓
渡利得ガ出ルト云フコトニナリマスレバ、抛ッ
テ置キマスレバ臨時利得稅法ニ依ル讓渡利
得ノ課稅ガ起ル譯デアリマス、ソコデ其ノ
場合ニ於テ輕減ノ必要ガ生ジマスノデ、此
ノ規定ヲ置イテ居ルヤウナ次第デゴザイマ
ス、次ニ第一條ノ二十四ノ株式ノ讓渡デゴ
ザイマスガ、是ハ個人ノ場合ニ付テ課稅ガ
ナイコトハ、株式ヲ讓渡致シマシテ利得ガ
アッタト致シマシテモ、讓渡利得ノ課稅ノナ
イコトハ昨日モ申上ゲタ通リデアリマスガハ
法人ガ株ヲ讓渡致シマシテ其ノ讓渡代金ヲ
得ル、ソコデ記帳價格ト讓渡代金トノ間ニ
差ガゴザイマシテ、讓渡代金ノ方ガ多イト
云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、ソコニ資
產ノ處分益ガ出タト云フコトニナルノデ
アリマス、法人ガ其ノ自由意思ニ依リ
マシテ株ヲ讓渡致シマシテ、處分益ヲ
出シタノデアルナラバ課稅スルノニ何等
差支ナイノデアリマスガ、此ノ場合ハ臨時
資金調整法第十五條ノ五ノ規定ノ活用ニ依
リマシテ、政府ニ於キマシテ、必要ガアッテ
株ノ需給調節ヲ圖ル爲ニ株式ヲ特ニ讓渡ヲ
命ズルト云フヤウナ場合デアリマスノデ、
讓渡ヲ命ゼラレタガ爲ニ一時ニ澤山ノ處分
益ガ出マシテ、臨時利得稅等ガ累進的ニ掛
カルト云フヤウナコトニナリマシテモ氣ノ
毒デアリマスノデ、其ノ場合ニ於キマシテ
ハ讓渡代金ヲ以テ國債其ノ他ノ有價證劵ヲ
代リニ買ヒマシテ、其ノ有價證劵ヲ元ノ株
式ノ記帳價格デ記帳シテ置クト云フコトニ
依ッテ、强ヒテ資產ノ振替リニ依リマス評價
益ヲ出サナイヤウニスレバ課稅ヲ受ケナイ、
斯ウ云フヤウナ風ニ致シテ居ル次第デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=22
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023・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 能ク分リマシタガ、
此ノ第一條ノ二十二、二十三、是等ハ謂ハ
バ一時利得ニ屬スルモノデ、所得ト云ッテ宜
イカドウカ分ラヌガ、假ニ所得ト云ッテモ一
時ノモノデアル、サウ云フモノハ寧ロ稅ヲ
掛ケナイデ、サウシテ生產擴充ノ資金ニ充
當サセルトカ、或ハソレガナケレバ國債ヲ
引受ケサシテモ宜イシ、何カサウ云フ用途
ニデモ使フノガ宜カラウト云フヤウニ考ヘ
ラレマスガ、何カソンナ御〓究ガアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=23
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024・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 一時所得ニ對シ
マスル課稅ヲ寧ロ緩和シテ、一時所得ノ擧ッタ
其ノ金額デ、或ハ國債ヲ持タセルトカ、或ハ
生產力擴充ニ必要ナ株式ニ應募セシメルト
云フヤウナコトニスルト云フノモ一ツノ考
ヘ方デゴザイマガ、今迄ノ考へ方ト致シマ
シテハ、租稅收入ノ增加ヲ相當强ク圖ル必
要ガアリマス場合ニ於キマシテ、年々反復
シテ入ッテ參リマス各人ノ收入等ニ對シマシ
テモ稅率ガ相當重クナッテ參ッタノデアリマ
スカラ、一時所得ノヤウナ場合、殊ニ其ノ
一時所得ノ擧ッテ參リマス原因ガ、本人ノ不
勞所得トモ見ルベキ、時局ノ影響等ニ依ル
値上リ等デアリマス場合ニ於テハ、之ニ相
當ノ擔稅力ヲ認メテ課稅ヲスルト云フコト
モ適當デアルト考ヘラレマス所カラ、時
所得ノ中ノ或物ニ對シマシテハ課稅ヲスル
ト云フコトデ、一時所得ノ課稅範圍ヲ漸次
擴ゲテ參ッテ來テ居ルノデアリマシテ、先程
モ申上ゲマシタヤウニ、最初ニ先ヅ船舶、
鑛業權ノ讓渡ニ依ル一時所得ニ課稅シ、次
イデ土地、建物等ニ及ンデ居ルノデアリマ
スガ、今日ト致シマシテ殘ッテ居ル主ナルモ
ノト致シマシテハ、株式ノ實物讓渡ニ依リ
マス一時所得デアリマスガ、之ニ付テハ旣
ニ船舶、鑛業權、土地、建物等ノ讓渡ニ課
稅スル以上課稅スルコトガ適當デアルトモ
考ヘラレルノデアリマシテ、稅務當局ト致
シマシテハ其ノ具體的ナ案ヲ〓究シテ參ッテ
居ルノデアリマスガ、目下他ノ方面カラノ
施策トノ關係モ考慮致シマシテ、特ニ此ノ
點ハ實行ヲ見合セテ居ルヤウナ次第デアリ。
マシテ、大體ノ考ト致シマシテハ、一時所
得ノ中相當纏ッタ所得デアリ、課稅上ノ捕捉
モ比較的容易デアレバ、一時所得ノ課稅ハ
漸次擴充シテ參ル方向ニ行キタイト思ッテ
居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=24
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025・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 其ノ點ハ能ク分リマ
シタ、ソレデ次ニ伺ヒタイノデスガ、餘リ
多岐ニ亙リマスカラ、成ルベク一括シテ御
問ヒ致シマス、第一ハ、モウ少シ儲ケサセ
ルヤウニシタラドウカト云フコトナンデ
ス、太體ニ於テハ、利益ノ制限ト云フコト
ニ付テハ、アヽ云フモノハ御廢メニナッテ、
利益ヲ非常ニ多クノ稅デ取ッテモ宜イシ、又
公債ヲ應募サシテモ宜イシ、何カサウ云フ
コトニシテ、アヽ云フ儲ケテハイケナイト
云フヤウナ頭ヲ人ニ懷カセルト云フコトハ、
今速記ガ止ッテ居ラヌ中デスカラ、名前ハ申
シマセヌガ、或權威ノアル方カラ直接ナ御
意見ノ御開陳モアリマシタガ、兎ニ角サウ
云フヤウナ考ヲ持タセルト云フコトハ面白
クナイト思ヒマス、此ノ點ハドウ御考ヘデ
スカ、又一般市民ニ對シテモ隨分公債ノ應
募ガ頻繁ニ來ルノデ、實ハナカ〓〓苦シカ
ラウト思フノデス、無論不平ナンゾヲ言フ
者ハ一人モアリマセヌガ、困ッテ居ルコトハ
事實ナンデス、ソレデ政府デ幹旋ヲサレテ
相當ノ收入ノ途ヲ著ケタラドウカト思フノ
デス、例ヘバ內職ヲ周旋スルコトハ極ク宜
イト思ヒマス、今內職ヲ大變卑シイモノノ
ヤウニ考ヘテ居リマスガ、內職ヲ卑シムト
云フ考ヘガ土臺間違ヒデ、職域奉公ト言フ
ガ、斯ウ云フ時ノ職域奉公ト云フコトハ固
ヨリ勤勞奉仕ナンカヲスルコトデ、ソレコ
ソ本當ノ勤勞奉仕ナンデス、日比谷公園ノ
僅ヘ行ッテ旗ヲ立テテ勤勞奉仕トカ何トカ
言ッテヤッテ居ルガ、實ニアンナモノハヲカ
シナ話デ、ソレヨリモ人ガ見ナイ所デ宜イ
ノデス、人ガ見タッテ見ナクタッテソンナコ
トハドウデモ宜イ、本當ニ勤勞奉仕サヘシ
テ居レバ宜イノデ、家庭ニ相當ノ內職ヲ周
旋サレルナント云フヤウナコトモ宜カラウ
ト思フ、サウ云フコトハドウ云フ風ニ御考
ヘデアルカ、兎ニ角モウ少シ儲ケサセルヤ
ウニシナイト、或階級ハ徒ニ苦シメル、或
階級ハ濫費ヲ奬勵スルト云フヤウナコトニ
ナル、其ノ點ガ一點、ソレカラ次ニ財產稅
ヲ行ハレル考ヘガアルカドウカ、アルナラ
アル、ナイナラナイ、其ノ理由ヲ併セテ簡
單デ宜シウゴザイマスカラ伺ヒタイ、又第
三ニハ、此ノ法律ノ施行期日ガ何時ニナツ
テ居リマスカ、具體的ニ表示シテ戴キタイ、
此ノ三點ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=25
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026・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 第一ノ質問ハ、
配當制限ヲ致シテ居ルト云フヤウナコトハ
政策トシテ頗ル消極的デアルカラ、此ノ際
利益ノアル者ハ相當利益ヲ上ゲルヤウニシ、
配當ノ制限等モ緩和シ、必要ガアレバ租稅
ニ依ッテ增徵ヲスルト云フヤウナ政策ニ變ヘ
ルベキデハナイカト云フコトノ御意見デゴ
ザイマス、此ノ點ニ付キマシテハ、或ハ他
ノ政府委員カラ御答へ申上ゲルノガ適當デ
アルカト思フ〓デアリマスルガ、一應私ノ
考モ申上ゲ、又御質問ノ趣旨ハ大臣迄通
ズルヤウニ取計ラヒハ致シタイト思ッテ居
リマス、現在ノヤウナ戰時下ニ於キマシテ、
從來ノ自由主義時代ノヤウナ考ヲ持ッテ、
儲ケ得ル者ニハ十分儲ケサセルト云フヤウ
ナ方式デ行キ得ナイコトハ御承知ノ通リデ
アラウト思フノデアリマス、併シサレバト
言ッテ適正ナル利潤ヲ阻ムト云フヤウナコ
トニナリマスルト、是ハ生產ノ强增ニ又支
障ヲ來スノデアリマスカラ、結局ムツカシ
イ問題デハアリマスルガ、各〓適正ナル利潤
ヲ得セシメルト云フ所ニ落著クヤウニ各種
ノ政策ヲ持ッテ參ル必要ガアルト思フノデア
リマス、尙戰時下ニ於キマスル生產增强ノ
必要上カラ申シマシテ、一律的ナ統制ヲス
ルト云フコトノ弊害モ十分ニ矯正スル必要
ガアルノデアリマシテ、例ヘバ或種ノ企業
ニ於テ特ニ工夫改善ヲ凝ラシテ、ソレガ爲
ニ能率ヲ非常ニ向上致シマシテ、質的ニ見
マシテモ、量的ニ言ヒマシテモ、或ハ時間的
ニ見マシテモ、非常ニ生產ノ能率ヲ上ゲタト云
フヤウナ場合ニ於キマシテハ、何等カソコニ
特殊ノ褒賞的ナ考ヲ以チマシテ、ソレニ從事
シタ者ノ利潤ヲ增スト云フヤウナ工夫ハ、
同時ニ必要ナコトデアラウカト思フノデア
リマス、次ニ內職ノ問題ニ付キマシテハ、誠ニ
御意見御尤モデゴザイマシテ、今日所得ヲ
增スコトニ付キマシテ、殊ニソレガ比較的
收入ノ少イ階級デアリマスルナラバ、內職
ノ如キハ最モ有力ナ手段デゴザイマシテ、
現ニ隣組等ニ於キマシテ、貯蓄成績ノ相當
良好ナル所ニ於キマシテハ、唯節約ヲシテ
貯蓄ヲシロ公債ヲ買へト云フヤウナコト
ヲ言フダケデナク。テ、隣組ノ組長等ガ、市
區役所、或ハ必要ナル會社等ト連絡ヲ圖リ
マシテ、適當ニ內職ノ斡旋ヲ致シマシテ、其
ノ內職カラ得マシタ所得ヲ貯蓄セシメテ居
ルト云フヤウナ所モゴザイマシテ、相當成
績ガ擧ッテ居リマスルノデ、サウ云フコト
ニ付テハ今後一層ノ工夫改善ト指導奬勵ト
ガ必要デアリマスル點ニ付テハ全ク御說ノ
通リデアルト存ジテ居リマス、次ニ財產
稅ノ問題デゴサイマスルガ、財產稅ニ付キマ
シテハ、其ノ長所トセラレマスル所ヲ擧ゲ
マスルト云フト、所得稅ノ補完稅トシテ資
產重課ノ目的ヲ達シ得ルト云フコトガ第一
ニ言ハレテ居リマス、現在所得ノアル者ニ
對シマシテハ、所得稅ヲ相當ノ稅率デ課稅シ
テ居ルノデアリマスルガ、所得ハ無イト致
シマシテモ、相當財產ヲ持ッテ居リマスレバ、
其ノ財產ヲ處分シテモ或期間ハ生活ガ出來
ルト云フヤウナ點カラ致シマシテ、所得ハ
同ジト致シマシテモ、財產ノ有ル者ト無イ
者トデハ生活上ノ餘裕力ニ相違ガアリマス
ルカラ、所得稅デ課稅スルダケデハ足リナ
イ、矢張リ財產ト云フモノヲ目安トシテモ
ウ一ツノ稅ヲ別ニ掛ケルコトガ擔稅力ヲ十
分ニ捉へ得ル上カラ言ッテ必要デアルト云
フコトガ言ハレルノデアリマス、又斯樣ニ
致シマシテ、財產ニ課稅スルト云フコトニ
ナリマスルト、財產中ニハ總テ收益ヲ生ム
モノバカリデハナイ、中ニハ無收益ノ財產、
其ノ一例トシテハ別莊或ハ書畫骨堇ト云フ
ヤウナ物モアルノデアリマスルガ、無收益
財產ヲ餘リ澤山抱ヘテ居ルト云フヤウナコ
トニナリマスルト、負擔ガ重クナルカラ財
產、收益化ヲ圖ルト云フヤウナコトニ依リ
マシテ、相當財產ガ活用サレテ參ルト云フ
ヤウナ點ニモ長所ガアルカト考ヘラレルノ
デアリマス、又財產稅ハ其ノ稅率ヲ或程度
引上ゲルコトニ依リマシテ、或程度迄ハ財
源トシテノ伸張力ガアルモノデアリマスル
カラ、財政上モ相當著目サレルヤウナ次第
デアリマス、是等ノ長所ガアリマスルニ拘
ラズ、今日尙財產稅ヲ設ケルニ至ッテ居リマ
セヌ、理由ト致シマシテハ、先日大藏大臣
モ他ノ委員會ニ於テ御說明ニナッテ居ルノ
デアリマスルガ、財產稅ハ主トシテ富ノ再分
配ノ見地カラ主張セラレテ居ルノデアリマ
シテ、之ニ付テハ十分考慮ヲ要スル方面ノ
アリマスルコトハ認メルノデアリマスルガ、
決戰下ノ現在ト致シマシテハ、資產ヲ蓄積
セシメマシテ、之ヲ緊要ナ方面ニ誘導スル
コトガ、最モ必要デアルト云フヤウナ狀況
ニアル際デアリマスルカラ、今俄ニ財產稅
ヲ創設スルノハ適當デナイト斯ウ認メラレ
ルノデアリマス、ソレカラ財產稅ハ理論上
ハ兎モ角トシマシテ、實際上ハ兎角不動產
重課ニ陷リ易イ弊害ガアルノデアリマシ、
現在旣ニ負擔ガ相當重クナッテ居リマスル不
動產ニ對シテ、更ニ重課スルト云フヤウナ
結果ヲ招來スルコトハ考慮ノ要ガアルト思
フノデアリマス、尙課稅技術ノ問題ト致シ
マシテ、財產ノ評價ニ當リマシテハ相當ノ
困難ヲ生ズルノデゴザイマシテ、殊ニ戰時
下ニ於キマシテハ、各種ノ政策ニ依リマシ
テ色々經濟事情ノ變動ガ急激ニ起ッテ參ル
ノデアリマシテ、最近迄ハ相當ノ價値アリ
トシテ認メラレタ工場デアリマシテモ、之
ニ對スル物資ノ配給ガ止メラレルトカ、動力ガ
禁ゼラレルカト云フヤウナコトニナリマス
レバ、其ノ價値ト云フモノハ非常ニ下ッテ
來ルト云フヤウナコトガ頻々トシテ起ルト
云フヤウナコトニナリマスルト、ナカ〓〓
財產稅ヲ適實圓滿ニ實行シテ參ルト云フコ
トニ付テ困難ガ多イ、斯ウ云フ風ナ點モゴ
ザイマスノデ、〓究ハ續ケテ居リマスルガ、
是ガ實施ヲ見ル時期ハ、今俄ニ豫斷出來ナ
イヤウナ次第デアリマス、最後ノ御質問デ
アリマスル改正稅法ノ施行期日如何ト云フ
コトデゴザイマスルガ、改正稅法十二件ガ
本委員會ニ提案ニナッテ居ルノデアリマス
ガ、其ノ中施行期日ノ明瞭ニ書イテアリマ
スルモノハ、臨時利得稅法ハ四月一日ヨリ
施行スト書イテアリマス、臨時租稅措置法
ハ原則トシテ四月一日ヨリ施行スルコトニ
相成ッテ居リマス、輸出物品免稅廢止ニ關シ
マスル法律案ハ四月一日カラ施行スルコト
ニナッテ居リマス、他ノ九件ニ付キマシテハ
施行期日ハ之ヲ勅令ニ讓ッテアル次第デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=26
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027・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=27
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028・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記始メ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=28
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029・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 只今ハ自由主義時代
ト違ッテ、利益ノ制限ヲスルノハ當然ト云フ
風ニ云ハレタノデアリマスガ、是ハ論點ヲ
明カニシテ置キタイノデアリマスガ、私ハ
斯ウ云フ風ニ考ヘルノデス、價格ヲ制限ス
ルコトハ原則トシテ差支ナカラウト思フノ
デアリマス、ガ、餘リ極端ニ行ッテハイケマセ
又、併シ價格ヲ制限シテ見タ所デ利益ノア
ルモノハ利益ガアル、私ノ指ス利益ハソレ
ヲ言フノデ、ソレデ出テ來タ利益ハ別ニ利
率ノ方カラ御制限ニナラナクテモ、ソレダ
ケノモノヲ何カノ形デ國家有用ノ方へ使ハ
シタラ宜クハナイカト云フ、斯ウ云フ意味
ナンデスガ、如何デゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=29
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030・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 御說ノ通リ公定
價格ガ決メラレマシテ、公定價格ニ依リマ
スル一定ノ利潤ト云フモノガ、自ラソコニ
定マル譯デアリマスルガ、更ニソレヲ個人
ナリ法人ナリノ營業ノ經營、製造ノ實行ニ
當リマシテ、利益ヲ生ミ出スト云フ場合ニ
於テ利益ガ出テ參リマスルコトハ一向抑制
スル必要ガナイト思フノデゴザイマス、併
シ其ノ場合ニ於テ、利益ガ增シテ來タカラ
ト言ウテ或程度以上ニ配當ヲスルト云フヤ
ウナコトハ、是ハ又他ノ政策カラ考慮ヲ要
スルコトデアリマシテ、其ノ利益ガ出マシ
タ場合ニ於テ之ヲ配當ニ當テルカ、或ハ事
業ノ如何ニ依リマシテハソレヲ設備ノ擴張
資金ノ方面ニ向ハシテ、配當ニハ向ハセナ
イ、或ハ利益ノ一部分ヲ出來ルダケ國債ヲ
以テ保有セシメマシテ、一方ニ於テ國債ノ
消化ヲ助ケシメマスルト共ニ資金ヲ社內ニ
留保シテ置キマシテ、其ノ後ニ於キマスル
經濟界ノ變動乃至ハ戰後ニ於ケル經營等ノ
爲ニ資金ノ充實ヲ圖ルト云フヤウナコトハ、
是ハ又別ノ政策カラ必要ガ起ッテ來ル所デア
ルト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=30
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031・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 大臣ニ伺ヒマスガ、
今ノ私ノ質問ハ利率ノ制限ナンカ止メタラ
宜カラウ、儲ケル者ニハ儲ケサシタラ宜カ
ラウ、公定價格ハ無論必要デスケレドモ、
却テドウモアレヲ制限スルト云フト濫費ガ
出テ困ルカラ儲ケル所ハ儲ケサシテ、儲ケサ
シタ金ヲドウスルカト云フコトハ別ニ決メ
テ宜イケレドモ、利率ノ制限ト云フコトハ
御止メニナッタガ宜カラウ、大體ノ質問ノ意
味ハサウデスガ、大藏大臣トシテ其ノ點ハ
ドウ云フ風ニ御考ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=31
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032・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 今モ直接利益ノ
制限ト云フコトハ大體餘リ致シテ居ナイト
思ヒマス、結局適正ノ利益ニナルヤウニ各
種ノ方策ヲ講ジテ居ル、斯ウ云フ方ガ寧ロ
正確ダラウト思ヒマス、詰リ物ノ販賣價格
ヲ決メル、ソレニハ適正ナ利潤以上ノ利益
ガナイヤウニ決メル、之ヲ放ッテ置キマス
ト、ドウセ今購買力ガ多クテ物ノ供給ガ少
イノデアリマスカラ上リ放題ニ上ル、ソレ
デハ宜クナイノデアリマスカラ適正價格ヲ
決メル、斯ウ云フ方面デ利潤ト云フモノハ
自ラ制限サレル、サウシテ大事ナノハ能率
ヲ上ゲテ適正ノ價格デ、假ニ或物ヲ十圓ト
決メテ一圓利益ガアルノガ正シイトシマシ
タ場合ニ、其ノ人ガ大イニ能率ヲ上ゲテ八
圓五十錢デ造ッテ一圓五十錢儲ケルノハ寧ロ
奬勵ヲシタイ位ニ考ヘテ居リマス、唯、今物
ガ比較的少クテ購買力ガ多イノヲ放ッテ置キ
マスト、能率ヲ上ゲナイデ九圓シカ掛ラナ
イモノヲ十一圓、十二圓、十五圓ニモ是ガ
ナル、昨日北支ナリ支那ノ御話ガ出マシタ
ガ、サウ云フ風ニ高クナル、サウ云フ不當
ノ利潤ハイケナイ、又物價政策カラモイケ
ナイノデ適正價格ヲ決メタイ、斯ウ云フ趣
旨ナノデゴザイマス、ソレデ例ノ「プール」
價格平準制ニ致シマシテモ、例ヘバ現在デ
アリマスト石炭ガ欲シイ、平生ナラ山元價
格ガ三十圓モスルヤウナ炭ヲ掘レト言ッテ
モ、ソンナモノハ掘ラヌ方ガ宜イト云フコ
トニナリマスガ、今デハ假令「百トン」デモ二
百「トン」デモ欲シイ、サウ云フモノヲ掘ラナ
ケレバナラヌト致シマシタ場合ニ、往年ノ
如ク自由ニ致シマスト云フト、價格ハ皆高
イモノニ競リ上ル、三十圓掛レバ利益ヲ見
テ三十三圓ト云フコトニナルト山元價格
ガ十五圓シカ掛ラヌモノデモ、ソレモ强チ
勉强シタノデハナクテ、自然條件ノ好イモ
ノデモ三十三圓ニ均霑シテ十八圓ノ利益ニ
ナルト云フヤウナコトガアルノデアリマス、
併シ一方今日ハ三十圓ノモノデモ掘ラナケ
レバナラヌノデアリマスガ、サウ云フ風ニ
安ク掘レル山ガ全ク高イ山ト同ジヤウニ上ッ
シマッテハイケナイ、同ジニハヤラナイト云
フ考慮ハ致シテ居ルノデアリマスガ、結局
サウ云フヤウナ觀點デ直接利益ヲ抑ヘテ行
クト云フコトデナク、寧ロ價格ノ方ヲ制限
シテ、能率ヲ上ゲレバ利益ガ多クナルト云
フ方へ寧ロ持ッテ行キタイト云フ位ニ考ヘテ
居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=32
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033・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 其ノ御趣旨ハ凡ソ先
刻私ノ述ベタ愚見ト近イ、近イヂヤナイソッ
クリ同ジデアリマス、併シ實際ノ法律ノ立
テ方ハ利率ヲ御制限ニナッテ居ルヤウニ思フ
ノデゴザイマスガ、サウデナイノデアリマ
スカ、幾ラ以上ノ配當ハイケナイト云フヤ
ウナコトデ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=33
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034・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) 會社ノ利益ハ抑
ま
ヘマセヌデ、適正ナ營業ヲシテ、利益ガ餘計
出ルコトハ希望シマスガ、ソレヲ株主ニ配當
スルコトハ或程度デ止メテ置イテ、社内デ
留保シテ行キタイ、サウシテ會社自體ノ資
產ヲ增シタイ、コッチニ方針ヲ置イテアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=34
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035・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 實ハ其ノ點ヲ申シタ、
矢張リソレダケ儲ケタラ株主ニモ配當サセ
ル、又職員ノ給與モヤレルナラヤッテモ宜
イト思ヒマス、併シ是ハモノニ依ッテハ宜イ
ガモノニ依ッテハイケナイ、モノニ依ッテハ
ヤッテモ宜イト思ヒマス、ソレヲ取上ゲルナ
ラ稅デ取ルトカ、公債ヲ持タセルナリ何ナ
リシテ、配當ハ矢張リ御認メニナッテ置イタ
方ガ、詰リ其ノ會社ヲ「ビズネス·ライク」
ニ經營サセル點カラ言ッテ利益ガアルト私ハ
思フノデアリマス、議論ニナッテモイカヌト
思ヒマスガ、ドウ御考ニナリマスカ、ソレ
ハ緩和サレル御考ハゴザイマスマイカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=35
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036・賀屋興宣
○國務大臣(賀屋興宣君) ドウモ此ノ配當
ハ餘リ高率ヲ認メマスルト云フト、ソレガ
主眼デノミ物ガ動クヤウナコトニナリマシ
テ、只今ノ所ハ相當ニ弊害モ多イト認メマ
ス、サウシテソレデ高率配當ハ相當ニ抑ヘ
ル、併シドレモ一律ト云フユトハアリマセ
タ、御承知ノヤウニ相當ノ事業ノ業績ノ良
イモノニハマダ一割配當ヲ致シテ居ルモノ
モアルノデアリマス、ソコハ二割デモ宜イ、
三割デモ宜イト云フ風ニハ、ドウモ今ノ情
勢デハ弊害ガ澤山出マシテイケマセヌカラ、
配當ハ相當規正ヲスル必要ガアル、併シ社
內留保ハソレデ出來ルダケ多クスル、其ノ
方ガ適切デアラウト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=36
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037・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此ノコトハ議論ニナ
リマスカラソレ以上ハ申上ゲマセヌ、次ノ
質問ニ移リタイト思ヒマスガ、時間ガゴザ
イマセヌガ如何デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=37
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038・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 午後モ質問ヲ
繼續シタイト思ヒマスケレドモ、國務大臣
ノ御都合ハ證劵ノ方ノ委員會モオアリダサ
ウデアリマスカラ、全部出ラレルコトハ無
理カト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=38
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039・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ質問ノ要點ヲ主
稅局長ニ申上ゲテ置キマシタシ、主稅局長
カラ大臣へ御相談ニナッテ御答へ下サレバ、
私ダケナラ大臣ハオイデ下サラヌデモ宜シ
イ、併シソレハ私ダケノコトデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=39
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040・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 大臣ニ對スル
御質問デ殘ッテ居ル方ハオアリデスカ、別ニ
ゴザイマセヌケレバ今大河內子爵ノ御質問
ハ只今御聽キノ通リデアリマスカラ、是デ
大臣ニ對スル御質問ハ濟ンダコトト考ヘマ
ス、唯御諮リ致シテ置キマスガ、委員外ノ
質問トシテ中山太一君ガ質問ヲ希望シテ居
ラレマス、是ハ許可シテ宜シウゴザイマス
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=40
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041・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 御異議ナイト
認メマス、ソレデハ中山君ノ御質問ハ午後
ノ質問ノ際ニ御願ヒスルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=41
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042・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 私ハ先程大河内サンノ御
尋ニナリマシタ臨時措置法ニ付キマシテ、
少シクアレニ關聯シテ事務當局ノ御意見ヲ
伺ヒタイト思ヒマスガ、午後ニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=42
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043・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 若シ大臣ガオイデ下
サレバ尙結構デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=43
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044・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) ソレハ御都合
デ······ソレデハ午前中ハ是デ休憩ヲ致シマ
ス、午後ハ一時半ヨリ開會致シマス、休憩
致シマス
午後零時九分休憩
午後一時三十五分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=44
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045・東郷安
○副委員長(男爵東郷安君) 是ヨリ午後ノ
會議ヲ開キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=45
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046・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 先程午前ニ伺ヒマシ
タガ、內職ノ奬勵ノコトヲ伺ッタノデスガ
是ハ何カ具體的ナ奬勵ノ手段デモ御考デア
リマセウカ、ソレトモマダサウ云フモノハナ
イノデアリマセウカ、其ノ邊ノ御見込ハ如
何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=46
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047・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 具體的ノ內職ニ
付キマシテハ、私モ詳シイコトヲ存ジナイ
ノデアリマスルガ、是ハ隣組等ノ活動ノ場
合ニ於キマシテハ、例ヘバ白衣ノ勇士ニ着
セマス衣類ノ仕立等ヲ、關係方面ト連絡シ
テ隣組ニ引受ケルト云フヤウナコトヲヤッテ
居ル向モアルヤニ聞イテ居ルノデゴザイマ
スルガ、此ノ點ハ頭ヲ使ヒマスルコトニ依
リマシテ、今迄ハ出來ナカッタコトデアリマ
シテモ、今後或程度迄取入レテ擴張シテ行
ク餘地ガ相當アルノデハナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=47
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048・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 家族制度ヲブチ壞ス
ト云フコトニナルト面白クアリマセヌガ、
皆工場ニ連レテ行クト云フコトニナルト是
亦設備ナドモ要リマスシ、家庭デ出來ルコ
トハ出來ルダケ家庭デヤッタラ宜カラウト
思フ、尙此處ハ御〓究ヲ願ヒマス、次ニ伺
ヒタイノハ物品稅デスガ、物品稅ノ內容ヲ
見マスト云フト物品稅ノ中ニハ、此ノ建
前トシテハ誠ニ結構デ、能ク理論ヲ貫イテ
居リ、事務案トシテモ少シモ間然スル所ハ
ナイヤウデアリマス、其ノ中ヲ見マスト幾
ラカ濫費ヲ奬勵シヤシナイカト云フ傾キガ
アル、ナゼカト云フトロ物ニ依リマスト、
番堅實ナ物ヲ買フノガ一番得ナノデアル、
衣類ニシテモ、或ハ日用品ニシテモ、其ノ
他備品ニシテモ堅實ナ物ヲ使ッテ行ケバ一生
涯カヽッテモ使ヘル、只見タヤウニナッテシ
マフ、安物買ヒヲヤリマスト非常ニ不經
濟ニナル、近頃ノヤウナ物ガ粗惡デアル、
實ニ金ガ掛ッテ敵ハナイ、此ノ點ヲモウ少シ
御考慮ニナッテ、何カ規格デモ決メテ、サウ云
フモノニ付テハ稅ヲズット減スト云フヤウナ
コトヲオヤリニナッタラ餘程助カルダラウ
ト思ヒマス、サウ云フコトニ付テ伺ヒタイ、
ソレカラ尙又物品稅ノ中ニハ實用品ト認メ
ラレルヤウナモノモアリマス、サウ云フヤ
ウナモノニ付テ、靴トカ、〓子トカ、外ニ
モアリマスガ、斯ウ云フモノハモウ少シ御考
慮ニナル餘地ガアリヤシナイカ、最低限ハ
アリマスケレドモ、ドウモ三圓以下ノ〓子
ト云フモノハ見付ケタッテナカ〓〓アリマセヌ、
何處ヲ探シテモ斯ウ云フモノハナイヤウデ
アリマス、サウ云フヤウナ點ガマダ多少ア
ルヤニ思ハレル、一ツ特ニ伺ヒタイノハ今
度羽毛ヲ加ヘラレタコトデアリマス、羽毛
ヲ政府ガドウ云フ風ニ御考ニナルカ、羽
毛ト云フモノハ贅澤ニ使ハレル場合モ成ル
程アリマシタ、モウ併シ斯ウ綿ガナクナッテ
來レバ是ガ棉花ノ代用品ニナリ、今ハ必
要品ダト私ハ認メテ居ル、併シソンナラバ必
要品デアルトスレバ、故ラ課稅ヲセラレル
必要モナイヤウニ考ヘル、其ノ點ハ如何デ
ゴザイマセウカ、マダチヨイ〓〓ゴザイマ
スガ、是ハ又後ニシマシテ、物品稅ノコト
ダケヲ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=48
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049・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今ノ御意見ハ
誠ニ御尤ノ點ガアルノデアリマシテ、我々
ノ私生活ニ於キマシテモ値段ガ安イダケデ
アッテ、耐久性ガナイト云フコトデアリマ
スレバ、サウ云フ物ヲ買フト云フコトハ大
局的見地カラ見レバ損ニナルコトデアリマ
スルノデ、出來レバ多少値段ハ高クテモ、
丈夫デ立派ナ物ヲ買ッテ置ク方ガ得ト、斯
ウ云フコトハ確カニ言へルノデアリマスルガ、
戰時下ニ於キマスル生活、殊ニ決戰態勢ノ
段階ニナッテ參リマスルト云フト、一〓ニサウ
云フコトノミモ言ヘナクナッテ參ッテ來テ居
ルヤウナ次第デアリマス、例ヘテ申シマス
レバ「ス·フ」ヲ混用致シマスルヨリモ、純綿ノ
品物ヲ造ル方ガ持チガ宜シイノニ決ッテ居
リマスルガ、其ノ場合ニ於キマシテモ矢張
リ持チガ惡ク、見方ニ依リマシテハ御說ノ
ヤウニ物資ノ浪費ニナルト云フヤウナコト
ガアリマシテモ、已ムヲ得ズ「ス·フ」ヲ代用致
シテ居ルヤウナ狀況デアリマシテ、物品稅
ニ於キマシテモ値段ノ高イモノガ結局持
チハ宜イト致シマシテモ、現在ノヤウナ時
勢デハサウ長イ先ノ先迄考ヘタ課稅ヲスル
ト云フコトハナカ〓〓實行ガ困難デアリマ
シテ、差當リ支出スル其ノ支出金額ニ依リ
マシテ擔稅能力ヲ押ヘテ、持チハ良イカモ
知レナイケレドモ高イ物ヲ買フト云フ者
ハ安イ物ヲ買フヨリモ擔稅能力ガアリト
致シマシテ、課稅範圍ノ擴張ニ致シマシテ
モ、稅率ノ引上ゲ程度ニ致シマシテモ、大
體ニ於テ價格ノ高イ物ヲ課稅範圍ニ入レ、
又是ニハ高イ稅率ヲ盛ルト云フヤウナコト
ニシテ居ルノデアリマシテ、是ハ結局決戰
態勢下ノ租稅政策ト致シマシテハ已ムヲ得
ナイニ出デタ所ト申上ゲル外ハナイノデア
リマス、從ヒマシテ御說ニ同感ノ點ハアル
ノデゴザイマスルガ、今年ノ稅ヲドウスル
來年ノ稅ヲドウスルト云フヤウナ場合ニ於
キマシテハ、ドウモ此ノ外ニウマイ方法ガ
ナイト斯ウ云フ譯デアリマス、實用品ノ課
稅ニ、實用品ト認メラルヽ物ガ課稅範圍ニ
入ッテ居ルデハナイカト云フコトデアリマ
スガ、之ニ付キマシテハ或程度考慮ヲ拂ッ
タノデアリマスルガ、矢張リ戰時財政ヲ强化
致シマスル爲ニ相當租稅收入ヲ上ゲルト云
フコトニナリマスレバ、此ノ際戰時下ニ於
テ尙幾分デモ節約ノ餘地ノアリマスルヤウ
ナ物ニ付テ、新シク課稅範圍ニ取入レルト
云フコトモ已ムヲ得ナイコトデアリマシテ、
ソレニ依リマシテ新タニ物品ヲ追加シ、又
課稅最低限ヲ引下ゲタノデアリマスルガ、
其ノ中ニ於キマシテモ御說ノヤウナ點モゴ
ザイマスルノデ、物ニ依リマシテハ相當强
ク下ゲテ居リマス、是ハ相當奢侈的性
質ノ高イ物ト認メラレル物デアリマシテ、
サウデナイ物ニ付キマシテハ免稅致スコト
トシ、又此ノ課稅最低限ニ付テモ据置ヲ致
シテ居リマシテ、只今御述ニナリマシタ帽
子ノ如キモノモ從來一箇三圓ニナッテ居リ
マシテ、モウ是以上下ゲルノハドウカト思
ハレマスノデ、外ノ物ハ相當下ゲタニ拘ラ
ズ据置イテ居ルヤウナ次第デアリマス、ソレ
カラ織物ノ中ニ於キマシテモ「シヤツ」「ズボ
ン」下、下着、肌着ノヤウナモノハ非常ニ生
活必需品的ノ性質ガ强イノデアリマスルカ
ラ、是等モ一箇五圓ト云フ免稅點、見方ニ
依ッテハ高イトモ思ハレルノデアリマスル
ガ、之ヲ据置イテ居リマスルシ、ソレカラ
靴下、足袋ノ類モ二圓又ハ一圓五十錢デア
リマスルガ、是モ實用品的色彩ノ强イモノ
デアリマスルノデ引下ゲズニ置イテゴザイ
ひと、ソレカラ靴等モ御話ニアリマシタヤ
ウニ、今日ノ程度デハ下ゲル餘地ハナイト
認メテ据置イタト云フ風ニ、或程度考慮ハ
致シテ居リマスルガ、併シ前申上ゲマシタ
通リ相當歲入ノ增加ヲ圖ルト云フ立場カラ
致シマシテ引下ヲ行ッテ居リマス、ソコノ所
ハ見ル人ノ立場ニ依ッテ、是ハ實用品ニ對
スル課稅デアルト云フコトモ言ハレ、或ハ
其ノ程度ハ戰時下ニ於テハ已ムヲ得ナイ所
トシテ認メテ戴ケルカトモ思フノデアリマ
シテ、多少議論ノ餘地ハアルヤウニ存ジテ
居リマス、次ニ今囘新タニ第一種甲類ニ羽
毛ヲ加ヘタノデアリマスルガ、是ハ羽毛ニ
付キマシテハ、御話ノヤウニ綿ノ代用ト云
フ考ヘ方モアルノデアリマスルガ、現在ノ
消費狀況ニ於キマシテハ矢張リ綿ヨリモ價
格モ〓シテ高イヤウデアリマスルシ、其ノ
消費階層モ綿ヲ使フ者ヨリモ負擔力ニ餘裕
ノアル方面ガ多イト云ッテ差支ナイカト思
フノデアリマス、試ミニ小賣公定價格ニ付
テ見マスルト、蒲團綿ハ一號品デアリマシ
テモ百匁一圓八錢又ハ一圓四錢程度ニナッ
テ居リマスガ、精撰羽毛デ水禽ノ羽毛ハ一
等品ニナリマスルト百匁四圓六十五錢、二
等品ハ百匁三圓二十五錢、三等品ハ百匁二圓
十五錢、一番惡イ四等品デ百匁一圓ト云フコ
トニナッテ居リマスルノデ、大體ニ於テ綿ヨ
リモ高ク、從ッテ之ヲ購入致シマス者ハ擔稅力
ガアルト云フコトガ言ヘルト思フノデアリ
マス、同ジク羽毛デアリマシテモ、雞ノ羽
毛ニナリマスルト一等品デ百匁五十錢、二
等品デハ百匁三十錢ト云ッタヤウナ極ク安
イモノニナッテ居リマシテ、是等ハ蒲團綿ヨ
リモ安イ位ノモノデアリマスルノデ、羽毛
ニ付キマシテハ免稅點ヲ百匁一圓ト致シマ
シテ、水禽類ノ羽毛デアレバ課稅スルケレ
ドモ、雞ノ羽毛ノ如キモノハ課稅外ニ置ク
ヤウニ考慮ヲ拂ッテ居ル次第デアリマス、
尙蒲團綿ガ段々供給サレナクナッテ來テ、好
ムト好マザルニ拘ラズ、羽毛ヲ用ヒナケレ
バナラヌト云フヤウナ狀況ニナッテ參リマス
レバ、其ノ時ハ或程度考慮ヲ要スルト思ヒ
マスルガ、現狀ヲ以テシマスレバ、先ヅ大
體ニ於テ羽毛ハ蒲團綿ヨリモ擔稅力ノ多イ
連中ノ消費スルモノト認メラレマスルノデ、
今囘一應ノ免稅點ヲ置キマシテ課稅ヲスル
コトニ致シタヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=49
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050・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 色々御尋モゴザイマ
シタガ、私ノ申シタ意味ハ能ク御分リ下スッ
テ、是以上ハ意見ノ相違ニナリマスカラ申
シマセヌ、羽毛ニ付テハ實用ニ使ハレルヤウ
ニナッタ場合ニハ相當考ヘルト云フ御話デゴ
ザイマスカラ、其ノ點モ承ッテ置キマス、次
ニ飮食稅デスガ、是モ先程御質問モアッタ
ヤウニ思ヒマスガ、實際今日ノ飮食稅ト云
フモノハ個人ノ負擔ト云フコトヨリモ、寧
ロオ役所關係ノ、會社ナドガ一番此ノ方ニ
用ヒラレテ居ヤシナイカト思フノデアリマ
ス、色々ナ關係ガアリマセウガ、事實サウ
デアリマス、サウスレバドウナルカト云フ
下、斯ウ云フ金ハ皆政費ニナッテ掛ケラレ
テ來ル、幾ラ稅ヲ高クシタッテ止メル氣遣
ヒガアリマセヌ、ソレハ結局自分ノ懷ニ入ッ
テ來ルノデスカラ、出シテモチットモ惜シマ
ナイ、幾ラ稅率ヲ上ゲラレテモ平氣ダラウ
ト思フ、此ノ點ハドウ云フ風ニ御覽ニナリ
マスカ、或ハ事實私ノ見テ居ル所ガサウデ
ナイノカモ知レマセヌガ、ドウモサウ云フ
ヤウニ思ハレマスカラ其ノ點ヲ伺ヒタイ、
尙入場稅ニ付キマシテハ收入主義、擔稅力
ト云フコト一點張リデオイデニナレバアノ
通リデスケレドモ、私共ハ此ノ戰時下デス
カラ、思想問題ト云フヤウナコトモ考ヘナ
ケレバナラヌシ、健全娯樂トソレカラ不健
全娯樂ト云フモノハ、ソレハナイデセウガ、
ソレ程デモナイト云フヤウナモノニ付テハ
多少ノ區別ヲ置カレル必要ガアルマイカト
思フノデアリマス、健全娛樂ガ如何ナルモ
ノデアルカト云フコトハ、人ニ依ッテ意見モ
違ヒマセウガ、大體指ス所ハ似テ居ルコト
ト思ヒマス、此ノ點ヲ伺ヒタイト思ヒマス、
尙特別行爲稅ト云フノガアリマスガ、是モ
只今申述ベタヤウニ實用上シナケレバナラ
ヌモノ迄モ含ンデ居ル、是モ今仰シヤッタヤ
ウニ彈力性、サウ云フコトヲスルカラ其處
ニ彈力性ガ出テ來ルカラ課スルノダト云フ建
前ヲ採ル以上ハ、仕方ガナイト云フ御辯解
カラ云ヘバ已ムヲ得マセヌケレドモ、私共
ノ立場カラ見マスレバ、ドウモ此ノ稅ヲ收
入デ取ルト云フコトモ如何ナモノデアラウ
カ、贅澤ナノハソレハ仕方ガナイケレド
モ、贅澤デナクヤルヤウナモノハモウ少シ
細カク區別シテ、餘リニヤリ方ガ劃一的デ
アリマスノデ、モウ少シサウ云フヤウナ點
ヲ細カニ分ケル必要ガアルマイカト思ヒマ
ス
〔委員長伯爵酒井忠正君委員長席一復
ス〕
尙序ニ五條ノ四、「〓科用圖書及新聞紙法
ニ依ル新聞紙ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
ニ付爲ス第一條第六號ニ揭グル行爲」、斯ウ
アリマスケレドモ、是ハ如何ナル範圍ヲ指
シテ居ラレルノデアリマセウカ、例ヘバ專
門ノ圖書或ハ專門ノ雜誌ト云フヤウナモノ
ハ、ドウセ是ハ營利ノモノヂヤアリマセヌ
シ、又〓化物トシテモ非常ニ世道人心ヲ指
導スル上カラ言ッテモ、外ノモノトハ特別ニ
見ルベキモノデナイカト思ヒマスガ、此ノ
中ニ含マレテ居ルノデセウカ、居ナイノデ
セウカ、其處ノ點ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=50
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051・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 第一ノ御尋ハ、
遊興飮食稅ヲ實際負擔シテ居ル者ハ個人ヨ
リモ會社ガ多イノデハナイカ、別ノ言葉デ
申上ゲマスレバ、會社ノ經費ニ於テ遊興飮
食稅ノ掛ルヤウナ宴會ヲ多クヤッテ居ルノ
デハナイカト云フコトデアリマスガ、之ニ
付キマシテハ資料ヲ持ッテ居リマセヌカラ
シテ的確ナ御答ハ出來ナイノデアリマス、
資料ヲ取リマシテモ、支拂ガ個人名義デア
ルト致シマシテモ、其ノ個人ノ「ポケット·
マネー」デアルカ、或ハ會社ノ方ニ附ケヲ廻
シテシマフカト云フコトハ分リニクイモノ
デアリマスルカラ、此ノ點ノ調査ハ餘程困難
カト思ッテ居ルノデアリマス、唯或程度會社
等ノ宴會ガ多ク、ソレガ比較的世間ノ眼ニ
著キ易イ爲ニ大キク映ッテ居ルト云フヤウ
ナ點ハゴザイマスヤウデアリマス、此ノ點
ニ付キマシテハ午前ニ於キマシテ大藏大臣
カラモ御話ガアリマシタヤウニ、今後會社
經理統制令ノ運用等ニ當リマシテ十分考ヘ
マスルト共ニ、一方國民全體ト致シマシテ、
此ノ際戰時生活ニ徹底セシメルト云フヤ
ウナ風ニ留意シテ參リマシテ、御述ニナリ
マシタ弊害ノ是正ノ點ニ付キマシテハ、政
府モ愼重ナル注意ヲ拂ッテ參ルヤウニ致シ
タイト思ッテ居ルノデアリマス、次ニ入場稅
ノ增徵ニ當リマシテハ、健全娯樂トサウデ
ナイモノトニ付テ何等カ考慮ガ拂ハレテ居
ルカト云フ御尋ネデゴザイマスルガ、健全
娛樂ナリヤ否ヤト云フコトハ、時ニ判定ノ
困難ナ問題ガアリマスルガ、映畫ノ如キモ
ノハ、人ニ依リマシテハ或程度之ニ依ッテ簡
易ニ慰安ヲ得テ氣分ノ轉換ヲ圖ルト云フヤ
ウナコトニチッテ、必要ナモノトモ言ヘマス
ルシ、又「ニュース」映畫ノ如ギモノハ斯聞雜
誌ヲ讀ムト似タヤウナ意味ニ於キマシテ、
今日ノ知識ヲ涵養スル上ニ於テモ必要ナコ
トデアリマスルノデ、是等ニ付キマシテハ或
程度ノ考慮ヲ拂フコトニ致シタノデアリマ
ス、卽チ入場稅中、第一種ノ場所ニ於キマ
スル一人一囘ノ入場料ガ五十錢未滿ノ場合
ニ於キマシテハ稅率ヲ特ニ据ヱ置イテ居リ
マス、映畫館ノ實情ヲ調査シタ所ニ依リマ
スルト云フト、一人一囘入場料ガ五十錢未
滿ト云フモノハ、全體ノ入場人員ノ八割ニ
ナッテ居リマス、ソレデアリマスルカラ映畫
館ニ入ル人員ノ八割ハ今囘ノ增徵ガ据ヱ置
カレテ居ル、斯ウ云フコトデアリマスルノ
デ、此ノ點ハ相當考慮ガ拂ハレタト言ッテ宜
シカラウト思フノデアリマス、同ジ映畫館デ
アリマシテモ五十錢以上ニナルト云フヤウ
ナ消費ヲ致シマストスレバ、是ハ此ノ際ト
シテハ或程度ノ增徵モ已ムヲ得ナイノデハ
ナイカト思フノデアリマス、次ニ特別行爲
稅ニ付テノ御質問デアリマシテ、特別行爲
稅ヲ起スコトハ已ムヲ得ナイト致シマシテ
モ、此ノ際戰時下ニ於テモ尙或程度必要ナ
行爲ニ迄課稅ガ及ンデ居ルノデハナイカト、
斯ウ云フ御懸念デアリマスルガ、此ノ點ニ
付キマシテハ免稅點ヲ設ケルコトニ依ッテ
相當考慮ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、例
ヘバ寫眞ノ撮影デアリマスルト、一組ノ料
金一圓五十錢未滿ハ課稅致サヌト云フコト
ニ致シテ居リマスルノデ、證明用等ニ使ヒ
マスル小サイ寫眞ハ大〓課稅ニナラヌト思
フノデアリマス、ソレカラ整髪美容ニ致シマ
シテモ、一囘ノ料金一圓未滿ハ課稅外デア
リマスガ、大體ノ狀況ヲ見マスルト、一 〓
以上ノモノハ比較的割合ガ少イヤウデアリ
マス、殊ニ男ニ於テハ理髪ノ料金ガ一圓以
上ト云フノハ極ク僅カノヤウニ思ハレマス、
ソレカラ染色ニ致シマシテモ、新規ノモノ
ハ五圓ト致シテ居リマスルケレドモ、更生
衣類ノ染替ノヤウナモノニ付テハ特ニ十圓
ニスルコトニ考慮ガ拂ハレテ居ルヤウナ次
第デアリマス、其ノ他洋服ノ仕立等ニ付キ
マシテモ、ソレ〓〓細カナ免稅點ヲ置イテ
アルヤウナ次第デアリマス、ソレカラ次ニ
印刷、製本ニ付テノ免稅ノ範圍デゴザイマ
スルガ、第五條ノ四ニ書イテアリマスルノ
ハ、文部省ニ於テ著作權ヲ有スル〓科用圖
書竝ニ〓科用圖書檢定規則ニ依リ檢定ヲ受
ケタル〓科用圖書、ソレカラ新聞紙法ニ依
ル新聞紙ニシテ月六囘以上發行スルモノト、
斯ウ云フ風ニ致シタイ考デアリマス、ソコ
デ御尋ニナリマシタ專門的ノ圖書雜誌デ
アリマシテモ、只今申上ゲタ範圍ニ入ラナ
イモノ、多クハ入ッテ居ラヌト見テ差支ナ
イト思フノデアリマスガ、ソレニ課稅ノ範
圍ニ入ル譯デアリマス、ソレハ多少酷ノヤ
ウナ感ジモ致シマスルガ、課稅ノ割合ハ極
メテ低イモノデアリマシテ、例ヘバ一圓程
度ノ單行本ニ付キマシテ今囘實施致シマス
ル課稅ノ影響ヲ考ヘテ見マスルト、紙ニ對
シマスル物品稅ノ增徵額ト、今囘ノ特別行
爲稅ノ課稅額トヲ合セマシテ、價格ニ對シ
テ七分六厘程度ニシカ響カナイ譯デアリマ
ス、五十錢程度ノ雜誌ニ付テ調ベテ見マス
ルト、同ジク紙ニ對スル物品稅ノ增徵、ソ
レカラ特別行爲稅ノ負擔等ヲ合計致シマシ
テ、價格ニ對シマシテハ三分四厘程度ノ影
響デアリマスノ、此ノ程度デアルナラバ負
擔ヲ忍ンデ戴ケルノデハナイカ、斯樣ニ存
ジテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=51
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052・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 大河內子爵ニ
チヨット御諮リ致シマスガ、實ハ橋本委員
カラノ御質問ニ對シテ總務局長ガ答辯サレ
ルコトニナッテ居リマスガ、總務局長ハ他
ノ委員會ニ行カレナケレバナラナイヤウナ
關係ガアリマスノデ、若シ宜シカッタラ、御
質問中デアリマスケレドモ、此處デ總務局
長カラ橋本委員ニ對スル御答辯ヲ願ヒタイ
ト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=52
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053・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 チヨット一言申上ゲ
テ置キマスガ、飮食稅ニ付キマシテハ御調
査ヲ願ヒマス、御調査ニナレバ大體ハ是ハ
分リマス、併シ法律的ニ是ハ個人ノ懷ナ
リ、是ハ會社ノ懷ナリト云フコトヲ御決メ
ニナルコトガハ出來マスマイガ、立法ノ大體ノ
趣旨ヲ御決メニナルニ付テ政府ノ參考ニナ
ル位ノ程度ニハ樂ニ分ラウト思ヒマス、尙
健全娯樂ト云フコトハ、安イ娯樂ヲ仰シヤ
イマシタケレドモ、必ズシモ安イ娯樂バカ
リヂヤナイ、色々ノ娛樂ノ中ニ斯ウ云フモ
ノガ入ッテ來ルダラウト思フノデス、物品稅
ニ付テモ言ヘマスケレドモ、尙此處等ノ點
ハ一ツノ物ノ實質ニ付テ御考ヲ願ヒタイト
思ヒマス、ソレカラ今ノ特別行爲稅ニ付テ
最低限ヲ仰シヤイマシタケレドモ、最低ヲ
超エルモノニシタッテ實用ノモノガアル、
寫眞一圓五十錢ヂヤ少々可哀サウナ場合モ
アル、ソレハ普通ノ場合ニハナイカモ知レ
マセヌガ、或程度ニハナイトモ言ヘナイ、サ
ウ云フヤウナコトモゴザイマスシ、尙最後
ノ御話ノ專門書、專門雜誌ニ付キマシテハ、隨
分種類モ多イシ、ソンナモノヲ一々御決メニ
ナッテハ煩ハシクテ却テ厄介ヂヤ.アリマス
マイカ、三分位ノモノナラ全部負ケテシマッ
タラドウデスカ知ラン、初メノ飮食稅竝ニ
入場稅ニ付テハ御答ハ要リマセヌガ、最後
ノ專門書ノコトニ付キマシテハ御答ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、是ハ總務局長ガ御答ニナ
リマシテソレカラ後デ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=53
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054・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 特別行爲稅ニ付
キマシテ特ニ考慮ヲスルヤウニト云フコト
デゴザイマスルガ、特別行爲稅ノ收入見込
額ト致シマシテハ約七千萬圓見テアルノデ
アリマスルガ、印刷及製本ニ付キマシテハ
個々ノ場合ノ負擔ハ、先程申上ゲマシタヤ
ウニ、極メテ僅カデアリマシテ、其ノ步合
モ大シタ割合デハナイノデアリマスルガ、
全體ノ稅收入ハ約千八百萬圓ニ及ンデ居ル
ヤウナ譯デアリマスルノデ、印刷、製本ニ
付キマシテ、僅カデアルトハ言ヒナガラ之
ヲ除イテ行クト云フコトニナリマスルト、
特別行爲稅ノ收入ニ相當影響ガゴサイマス
ルノデ、是ハナカ〓〓困難ナ問題デアリマ
シテ、結局或程度ノ負擔デアリマスルカラソ
レハ「ページ」ヲ減ズルナリ、或ハ裝幀其
ノ他デ經費ヲ節約スルナリシテ賄フナリ、
或ハ已ムヲ得ナケレバ定價ヲ少シク變ヘル
ト云フコトデ、此ノ際ハ忍ンデ戴キタイト
斯樣ニ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=54
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055・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 國民所得ノヤウナ廣汎ナ
ル統計ノ困難ナルコトハ、私モ承知ヲ致シ
テ居リマス、是ダケノ所得ヲ彈キ出スニ付
キマシテハ、相當ナ御苦心ガ存シタト云フ
コトモ私ハ分ッテ居リマス、又數字ハ示スコ
トガ出來ナイト云フ、是モ亦已ムヲ得ヌト
思ヒマスガ、無論是ハ國民所得ト申シマス
ノデ、政府ノ事業ニ依ル所ノ利益ハ、之h
包含シテ居ラヌニノノ心得マスガ、左樣デ
ゴサイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=55
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056・迫水久常
○政府委員(迫水久常君) 所得ノ中ニ入ッ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=56
-
057・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 例ヘバ專賣ノ利益トカ、
營林ノ利益トカ、サフ云ウヤウナモノモ入ツ
テ居ルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=57
-
058・迫水久常
○政府委員(迫水久常君) 入ッテ居リマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=58
-
059・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 ソレカラ大雜把ナヤリ方
デハアリマスガ、國內ノ生產ノ總額ヲ調ベ
テ之ニ要スル直接費、間接費ヲ控除シタモ
ノヲ以テ利益トスルト云フヤウナ方法ハ執
ラレヌモノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=59
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060・迫水久常
○政府委員(迫水久常君) 此處ニ申シテ居
リマス國民所得ト云フコトハ、例ヘテ申シ
マスルト、假ニ日本全國民經濟ト云フモノ
ヲ、一ツノ生產體トシテ考ヘマシタ場合ニ
ハ、其ノ生產體ハ丁度一ツノ會社ト頭ニ御
考ヘ下サレバ結構デアリマスガ、其ノ會社
ガ生產シタモノカラソレニ要スル所ノ費用
ヲ差引イタ殘デアルノデアリマス、卽チ會
社ノ利益金ト同ジヤウニ國民經濟全體ヲ一
ツノ生產體ト考ヘマシタ場合ニ於テハ、國
民經濟全體ノ總生產カラソレニ要スル所ノ
費用ヲ差引イタモノ、ソレガ國民所得デア
ル、斯ウ觀念ヲ致シマス、從ヒマシテ基本
ノ上ニ於キマシテハ御說ノ方法ヲ執ルベキ
デアルノデアリマスルガ、現實ニ計算ヲ致
シテ參リマスル場合ニ於テハ統計資料ノ關
係上、他ノ方法ヲ執ッテ行カザルヲ得ナイ譯
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=60
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061・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 所得階級以下ノ俸給、若シ
クハ勞銀等ニ付キマシテハ此ノ調査ガ大變
困難ト思ヒマス、サウ云フ御話モアリマシ
タガ、ソレ等ノ詰リ人的所得ト云フモノニ
付テハ相當脫漏、遺漏ト云フモノガアラウ
ト思ヒマスガ、左樣ニ御考ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=61
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062・迫水久常
○政府委員(迫水久常君) 國民所得ノ計算
方法ヲ人的方法ニ依リマスル場合ニハ、御
說ノヤウニ所得稅ヲ納メナイ階級ノ者ニ付
テハナカ〓〓把握ガ困難デゴザイマス、併
シソレハ何處迄モ推定デヤルノデアリマシ
テ、其ノ推定ノヤリ方ガ强ク參リマスレバ、
或ハ實際ノ所得ヨリモ多ク出マセウシ、推
定ノ勘ガ弱ク行キマスレバ、實際ヨリモ脫
漏シテ居ルト云フコトニナルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=62
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063・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 此ノ問題ハナカ〓〓重大
ナ問題デアリマシテ、細カクヤリマスト限
リガアリマセヌノデ、大抵政府ノ現ニ行ハ
レテ居ラレル所ノ方法ト云フモノヲ了解致
シマシタ、併シ財政ノ對象トナルモノハ國
民所得デアリマスカラ、苟クモ財政計畫ヲ
立テル者ハ國民所得ヲ頭ニ置イテ置カナイ
デハ、此ノ計畫ノ樹立ハ困難ダト云フコト
ハ私ハ過日モ申述ベタ通リデアリマスルガ、
出來得ル限リハ國民所得ノ統計ニ付テ正確
ヲ期スル方法ヲ御〓究ニナリマシテ、今後
租稅ガ幾ラ增シテモ、其ノ負擔ガ堪ヘルト
云フヤウナ實ハ統計ヲ私ハ見タイト希望ス
ルノデアリマス、此ノ五百億ト云フモノハ
過去ニ發表セラレタモノカラ較ベテ見マス
ルト云フト、突飛ナ高ニ上ッテ居ルカノヤ
ウニ思ヒマスケレドモ、私自身デ考ヘル所
ニ依リマスレバ相當色ガアルヤウニ思ヒマ
スノデ、モウ少シ正確ニ御調ベニナリマシ
タナラバ、マダ五百億以上ノ高ニ達スルコ
トハ決シテ困難デハナラウト思ヒマス、
從ッテ財政計畫ヲ御立テニナル上ニ於テモ非
常ニ容易ニ行ハレルデハナイカト思ヒマシ
テ、將來統計ニ從事セラレル場合ニ於キマ
シテハ、尙一入御〓究、御努力ヲ願ヒマシ
テ、私ノ質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=63
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064・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ノ質問ヲ續ケテ宜
シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=64
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065・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) チヨット御待
チヲ願ヒマス、速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=65
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066・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メ
テ、安宅サンニ申上ゲマスガ、安宅サンニ
對スル御答辯ヲ主計局長カラ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=66
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067・植木庚子郎
○政府委員(植木庚子郞君) 過日安宅委員
ノ御質問ノ、決算上厘位ヲ存シテ置クコト
ニ付テノ問題ガ一ツト、ソレカラ價格差助
成金ガ昭和十八年度豫算デドレ位ニナッテ居
ルダラウカト云フ二點ノ御質問ガアッタト
承ッテ居リマス、主計局關係ノ分ニ付テ御說
明申上ゲマスルガ、決算ノ上デ厘位ヲ止メ
マスコトニ付キマシテハ長イ間ノ問題デモ
アリマスルシ、又昨年貴族院ニ於キマシテ
矢張リ御質問ガゴザイマシテ、其ノ節大藏
省ニ於キマシテハ、〓究ノ上善處致シマス
コトヲ御答ヘ申上ゲテアリマス、其ノ〓究
ノ結果ガドウナッテ居ルノダラウカト云フ
御質問ト拜承致シマシタガ、結論カラ先ニ
申上ゲマスト方法ト致シマシテハ、現在ノ
國庫出納金端數計算法、此ノ法律ヲ改正致
シマシテ、場合ニ依リマスト云フト貨幣
法其ノモノノ改正ヲモ伴フカモ知レナイノ
デアリマスガ、其ノ改正ヲ致シマスルノガ
一番スッキリシタ解決方法ニ相成ルノデア
リマス、ソレカラ第二ノ方法ト致シマシテ
ハ、現行ノ法律ノ範圍內デ勅令ノ改正ヲ致
シマシテ善處スルト云フ方法ガゴザイマス、
スッキリシタ拔本塞源的ナ方法ト致シマシ
テハ法律改正ヲ要スルノデアリマスガ、
今囘ハ政府ノ考ヘ方ト致シマシテハ法律改
正ノ方法ニ依ラナイデ、第二ノ勅令ヲ或ル程
度改正致シマシテ善處シヨウト云フヤウナ
大體ノ今ノ心持デ居リマス、尙本件ニ付キマ
シテ過日貴族院ノ決算ノ第一分科デ矢張
リ御質問ガゴザイマシテ、大藏次官ガ御答
ニナツテ居リマスカラ、御參照ヲ御願ヒシ
タイト思ヒマス、大體サウ云フ風ニナリマ
シタ筋道ダケヲ極メテ簡單ニ搔イ摘ンデ申
土ゲタイト思ヒマス、國庫出納金端數計算
法ト申シマスノハ大正五年ノ古イ法律デ
ゴザイマシテ、此ノ法律モ原則ト致シマス
ル所ハ錢位未滿ノ端數ヲ省略シヨウト云
フ所ニアルノデアリマス、處ガ其ノ第五條
ニ於キマシテ「法律ニ別段ノ定アルモノノ
外本法ヲ適用セサルモノハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム」ト云フヤウナ條文ガゴザイマシテ、
特定ノ場合ニ於テハ端數計算ヲスルト云フ
コトヲ態〓書イテゴザイマス、態〓其ノ計算
ヲスルト云フコトガ書イテアルコトニ依ッ
テ、端數ト云フモノガ決算上出テ來ルノガ
一ツノ大キナ理由ニ相成ッテ居リマス、從
テ其ノ勅令ノ部分ヲ、斯ウ云フモノハ端數
計算ヲスルト云フコトヲ書イテアル其ノ
勅令ヲ廢止致シマスレバ、自ラ決算上ニ厘
位ガナクナル譯デアリマス、處ガソレデド
ウシテモマダ解決出來ヌ場合ガ起リマス、
ト申シマスノハ、例ヘバ相續人ノ曠缺ト云
フヤウナ場合ニハ結局其ノ財產ガ國ニ歸
屬致シマスガ、假ニ其ノ財產ニ厘位ガアッ
タト致シマスト、法律ノ定メニ依ッテ國ノモ
ノニナリマスカラ、假ニ厘位ガアリマシテ
モ厘位ヲ切リ捨テヽ國ガ貰フ譯ニハ行カナ
イ、決算上ハ飽ク迄モ總テノモノヲ國ノ收
納ニスル、卽チ會計法ノ第二條ニ依リマシテ
「一切ノ收納ヲ歲入トシ」ト云ッテ居リマスカ
ラ、ダカラ相續財產ノ何圓何十何錢何厘ト
厘位ガゴザイマスト、假ニ五厘ト云フ金ガ
アッタト致シマスト、ソレハ矢張リ國トシテハ
飽ク迄モ收納シナケレバナラヌ、サウ致シ
マスト、或科目デ一ツ厘位ガ出マスト云フ
ト、決算ノ有ラユル科目ニ矢張リ權衡上厘
位ヲ付ケナケレバナラヌト云フヤウナ面倒
ナ問題ガ起リマスノデ、ソレデ單ニ勅令ヲ
改正シタダケデハドウモ厘位ヲ全部決算
上カラナクスルト云フコトハ出來ナイノデ
ハナイカト云フ疑問ガ起リマス、從ッテ出來
マスナラバ、此ノ端數計等法ト云フ法律其
ノモノヲ改正致シマシテ、場合ニ依ッテハ貨
幣法モ改正致シマシテ、厘位ト云フモノヲ
ナクシテシマウト云フノガ一番スッキリシタ
ヤリ方ト思ヒマス、處ガ現在ノ實情ヲ申シ
マスト、決算上厘位ガ出テ來マスノハ、多
クノ場合、貨幣交換差減、卽チ外國貨幣ト
日本貨幣トノ交換問題、外國ヘ送金ノ場合
或ハ外國デ國ノ收入ニナリマシタモノヲコ
チラヘ取寄セマス場合、サウ云フ場合ニ厘
位ガ起ッテ來ルノガ一番多イノデアリマス、
從ッテ此ノ部分ガ何故起ルカト云フト、今申
上ゲマシタ勅令ノ中ニ「外國貨幣ヲ基礎トス
ル收入金及支拂金」ト云フモノガ特揭致シテ
ゴザイマシテ、態〓厘厘計算ヲシロト云フコ
トヲ命ジテ居リマス、從ッテ之ヲ改正致シマ
スレバ、其ノ部分ニ付テハ一般ノ商慣習ニ
從ヒマシテ厘位ノ計算ヲ止メテ宜シイト云
フコトニナリマスカラ、決算面カラ斯ウ云
フ部分ニ關スル限リハ厘位ガナクナッテシマ
フ、斯ウ云フコトニ相成リマス、尙其ノ外
ニ色々ナ場合ガゴザイマシテ、一々申上ゲ
ル煩ハ省キマスガ、其ノ勅令ノ中ノ矢張リ
一ツノ項目ニ「法令ニ依リ當然國庫ニ歸屬ス
ル收入金」ト云フヤウナモノガゴザイマス、
是ガ今申上ゲマシタ相續人曠缺ノ場合ノ例
ニ當ルノデアリマス、或ハ遺失物法ニ依リ
マシテ五厘錢ガ落チテ居ッタ、其ノ五厘錢ヲ
警察ニ屆ケタ、警察ニ屆ケタガ、落主ハ結
局分ラヌ、拾主モ自分ハ要ラヌトコウ言ッテ
權利ヲ抛棄シマシタ場合ニハ、五厘錢ハ矢
張リ國ノ收入ニ擧ゲナケレバナラヌト云
フコトニナルノデアリマス、サウ致シマス
ト此ノ勅令ヲ廢止シテ、ソレデ五厘ト云
フモノノ行方ヲドウシタナラバ宜シイカト
云フコトニナリマスト、非常ニウルサイ問
題ガ起キテ來マス、會計法上ニ矢張リ「一切
ノ收納ヲ歲入トシ」ト言ッテ居リマスカラ、假
ニ五厘デモ法規ノ定ムル所ニ依ッテ國庫ノ收
納デアルト云フコトガ書イテアルト、五厘
ヲ收納スル途ヲ講ジテ置カナケレバナラヌ、
ソレナラバ五厘ヲ溜メテ置イテ、又次ノ五
厘ガ出テ來タ場合ニ、合セテ一錢ニナッタ時、
初メテ國庫ノ收納ニシタラ宜イノデナイカ
ト云フ議論ガ起リマスガ、サウスルト會計
法ノ上デ法律又ハ勅令ノ定ムル所デナケレ
バ政府ハ特別ノ資金ヲ持ツコトガ出來ナイ
ト云フコトニナッテ居リマシテ、假ニ五厘ト
雖モ特別ノ金ヲ持ツコトガ出來ナイコトニ
ナル、尤モ勅令デ以テ適當ニソレニ善處ス
ル方法ガ考ヘ得ルノデナイカト思ッテ、今善
處ハシヨウト思ッテ居リマスガ、今迄ニ勅令
ノ定ムル所ニ依ッテ特別ノ資金ヲ政府ハ持ッ
テ居ルモノハ一ツモナイ、必ズ法律ノ定ニ
依ッテ資金ヲ持ツト云フコトハ致シテ居リマ
スガ、サウ云フ關係モゴザイマスノデ、果
シテ勅令ノ改正ダケデ完全ニ決算上ノ厘位
ヲナクシ得ルカドウカ、稍、〓疑問ノ點ガゴザ
イマス、併シ成ルベク之ヲ何等カノ方法デ
善處致シマシテ、厘位ガ出ナイヤウニシヨ
ウト云フ含ミデ今大體進ンデ居リマス、
何故今囘ノ議會ニハッキリシタ方法デ法律
改正ノ案ヲ出サナカッタノカト云フ點ニ付
キマシテハ、申上ゲマス迄モナク今囘ノ議
會ガ戰時ニ於ケル非常ニ重要ナ議會デモゴ
ザイマス、斯ウ云フ際ニ成ルベク本當ニ戰
時緊要ナル法律或ハ豫算案ノミニ止メヨウ
ト云フ政府ノ最高方針ヲ御採リニナリマシ
タノデ、實ハ或程度ノ用意ハシテ見タノデ
アリマスガ、此ノ際トシテハ見合セヨウト
云フコトニナリマシテ、第二ノ方法ニ依ッテ
善處スルト云フコトニ相成ッタ次第デアリ
マス、尙假ニ本年度ノ末日ヲ以テ新シイ勅
令デ之ヲ改正スル等ノ方法ヲ講ジマシテ
モ、昭和十七年度ト致シマシテハ矢張リ厘
位ガ載ッテ居リマスカラ、來年ノ議會ニ出
マス所ノ決算ノ上デハ矢張リ厘位ガ殘ッテ
居ル、斯ウ云フ結果ニ相成リマス、幸ニシ
テ今申シタ通リ完全ニ厘位ヲ如何ナル科目
カラモ全部省クコトガ出來ルヤウニナリマ
スレバ、決算上ハ次ノ次ノ議會ノ時カラ〓
ネ厘位計算ナシデ行ケルコトニナルダラ
ウ、斯ウ云フ風ニ考ヘラレル次第デアリマ
ス、ソレカラ第二ノ問題ノ價格差補助金ガ
十八年度豫算デドレ位ニナッテ居ルダラウ
カト云フ御質問ニ對シテ、御答ヘ申上ゲマ
スガ、昭和十八年度ノ豫算ニ於キマシテ物
價調整ノ意味カラ價格差ヲ補助スルト云フ
金ハ、一般會計ニ於キマシテハ〓ネ八億六
千萬圓程度デゴザイマス、更ニ特別會計ニ
於キマシテ、是ハ何レモ外地特別會計デア
リマスガ、朝鮮、臺灣、樺太、關東、此ノ
四ツノ特別會計豫算等ニ於キマシテ一億二
千萬圓見當ノ價格差補助金ガ載ッテ居リマ
ス、兩方合セマシテ九億八千萬圓程度ノ價
格差補助金ガ載ッテ居ルノデアリマス、今申
上ゲマシタ一般會計ノ八億六千萬或ハ特別
會計ノ一億二千萬ト云フ此ノ價格差助成金
ハ、取リ方ニ依リマシテ若干ノ異動ヲ生ズ
ル性質ノモノデアリマス、卽チ價格差ノ助
成金ト申シマシテモ、例へバ米ノ生產奬勵金
デアリマストカ、石炭ノ價格差奬勵金デアリ
マストカト云フヤウナ風ニハッキリ價格差
補助金ト云フコトガ分ッテ居リマス部分ト、
稍〓其ノ性質ガ果シテ價格差補助金ト言ッテ
宜イカ、或ハ單ニ生產「コスト」ノ高クナッ
タ部分ヲ面倒ヲ見ルト云フ程度ノモノデ
アッテ、所謂價格差補助金ト言ヒ得ルモノデ
アルカドウカ、曖昧ナ性質ノモノモゴザイ
マスノデ、其ノ爲ニハッキリシタ數字ヲ申
上ゲ兼ネルノデアリマス、今申上ゲマシタ
來年度豫算一般、特別ヲ通ジテ九億八千餘
萬圓ト云フノハ、大體ニ於キマシテ價格差補
助金デアルコトガ性質稍〓明瞭ナモノノミ
ヲ揭ゲマシテ此ノ程度ニ相成リマス、從ッテ
其ノ外ニ所謂生產費ガ高ク付クカラ、ソレ
ニ對シテ補助金ヲヤラウト云フ式ニ補助金
ガ載ッテ居ルモノモ尙相當アルト云フコト
ヲ御含ミ置キ願ヒタイト思ヒマス、尙足リ
マセヌデシタラ御答へ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=67
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068・安宅彌吉
○安宅彌吉君 大變結構デアリマシタガ、
厘位切捨ト云フコトニ付テハ今後御考慮ニ
ナルト云フコトニ了解シテ置イテ、先ヅ出
來得ルト、幾ラカ年限ガ掛ルト云フダケノ
考ヘ方デ宜イノデセウカ、ソレヲ承ッテ置キ
タイ 一
●発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=68
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069・植木庚子郎
○政府委員(植木庚子郞君) 御推察ノ通リ
ト致シテ宜シイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=69
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070・安宅彌吉
○安宅彌吉君 昨年商工省ノ方ニ質問シタ
ノデアリマス、厘位ハ實際政府デハ御用ヒ
ニナッテ居ルノデスカト言ッタ時ニ、皆サン
御協議ニナッテ、多分日本銀行ニアルダラ
ウト云フコトデ私ハ質問ヲ打切ッタノデス
ガ、實際サウ云フオ金ヲ御用ヒデスカ、正
金銀行カラ御取立ガ出來ルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=70
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071・植木庚子郎
○政府委員(植木庚子郞君) 實際上ノ問題
ト致シマシテハ、サウ云フ金デノヤリ取リ
ガ殆ド行ハレテ居ラナイカト思イマス、唯單
ニ帳簿上ノ付ケ替ヘノ問題デソレガ起ッテ
居ルト大體了承シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=71
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072・安宅彌吉
○安宅彌吉君 其ノ問題ニ關聯シマスガ、
關西ニハアリマセヌガ、關東ニ第百銀行其
ノ他貯蓄銀行デ二箇所厘位ヲ用ヒテ居ル所
ガアリマス、而モ或ル銀行デハ何デモ預金
ト云フ勘定デ厘位ガアル、ソレハ利息ノ勘
定デアリマスカ、ドウカ知ラヌケレドモ、
是ハ本當ノ計算上ノ遊〓ヂヤナイカト私ハ
變ニ思ッテ居ルノデアリマス、ソレデドウ
カ一ツ大藏省ノ御方針ナリニ依ッテ民間ノ人
達モ非常ニ手數ヲ掛ケテ居ルト云フコトダ
ケハ御承知置キ願ヒタイト思ヒマス、ソレ
カラ先程チヨット觸レマシタ今ノ配當ノ計
算上新株トカ舊株トカ云フモノノ厘位ヲ切
捨テルト云フノト、厘位ハ切上ゲルノダト
云フノト、兩方ノヤリ方ガ配當ノ支拂ノ上
ニ會社ヤ銀行ニ依ッテ違フノデアリマス、
切捨ト切上ト云フノト、ソレカラ新株、舊
株ヲ寄セテ切捨ダトカ切上ダトカ、是ハ實
ニ外ノ人ガ計算シテ、支配人ナリ上役ガ見
テ居ルノナラバ何デモナイノデスガ、是ガ
日本ノ民間ノ何百萬ト云フ株主ガ此ノ計算
ヲスルト云フコトハナカ〓〓大問題デアリ
マス、ソレデ能ク交換ノ時ニ不渡ニナッテ
來ルト、ベタ〓〓判ヲ澤山捺サナケレバナ
ラヌ、計算ニ面倒デ後ニ又面倒ガ起ルト云
フノデスカラ、ドウカ一ツ行政簡素化ト共
ニ計算ノ簡素化トシテ厘位ハ總テ切捨テル
ト云フ方ニ、寄セテ切捨テルトカ何トカシ
ナイデ、全部ドノ計算ニモ、配當ノ計算ハ
一ツ〓〓全部厘位切捨ト云フ御方針ヲ御立
テニナッタラ、國民ノ全部ニ亙ッテ手數ヲ省
ケルト思ヒマス、ドウカ一ツ自分デ手數ヲ
ヤル人ニ御聽キヲ願ヒタイ、上役ノ方ハ、
下ノ者ガ皆ヤッテ吳レテ居ルノダカラソン
ナニ手數ガ掛ラヌト云フ御考デナクテ、ド
ウモ大藏次官ノ御話デモ手數ハソンナニ掛
ラヌト云フ御話デアリマスガ、私ハ此ノ老
年ニ至ル迄計算ニ携ッテ居リマスガ、本當ニ
澤山ノ人數ガドンナニ手數ヲ掛ケテ居ルカ
ト云フコトガ具サニ分ッテ居ルノデアリマ
ス、尙一應御〓究願ヒタイト云フコトダケ
ヲ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=72
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073・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 デハ私ノ質問ヲ終ッ
テ置キマス、臨時利得稅ノ基準ヲ御變ヘニ
ナリマシタノデ、是ハ臨時利得稅デナク
ナッテシマッテ、今度ハ超過所得トデモ言ヒ
マスカ、サウ云フヤウナモノニナルト私ハ
解釋スル、サウスルト大體ノ考ヘ方ト致シマ
シテ、臨時利得ト云フヤウナモノハ私ハ
取ッテ宜イト思フノデス、昭和六年七年頃
ト今日ノ利得トハ非常ナ違ヒデスカラ、假
ニ昭和六七年デヤレタノダトスレバソレ以
後ノ所得ハ取ラレタッテ、全部トハ行キマセ
ヌガ、相當程度取ラレテモサウ苦痛ハナイ、
又一方カラ言ヘバ昭和六年七年頃カラ今日
迄所得ガ殖エナイ人達モアル、是ハ增サ
レテハ非常ナ苦痛ニナル、臨時利得式ノモ
ノヲ御取リニナル方ガ稅法ノ建前トシテハ
宜イト思フ、尤モ是ハ計數次第デアリマシ
テ、サウ云フ風ナヤリ方ヲシテモ、今度ノ
改正案ノヤリ方ヲシタッテ結局同ジヤウナ
コトニナルト仰シヤレバ、ソレハソレデモ
宜イ、實際計數ヲ戴イテ計算シタ譯デモア
リマセヌカラ其ノ所ハ申上ゲ兼ネマスガ、
斯ウ云フ風ニ御變ヘニナッタ理由ト、又實際
ニ及ス影響トヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=73
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074・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 臨時利得稅法ノ
改正ニ於キマシテ今囘基準年度ノ基準利益
率ト云フモノヲ廢止スルコトニ致シタノ
デアリマス、御承知ノ通リ現行ノ基準利益
率ハ昭和九年、+、十一ノ三箇年ノ平均デ
アリマスルノデ、超過利益計算ノ基準ト致
シマシテハ相當古イ實績デアリマスコトガ
第一點ト、ソレカラ現在基準利益率ヲ標準
ニ使ッテ居リマスルガ、ソレヲ無制限ニ使ッ
テ居ルノデハナイノデアリマシテ、之ニ對
シマシテハ或種ノ制限ヲ置イテ居ル、卽チ
基準年度デアル昭和九年、+、十一ノ三箇
年ノ平均利益ガ如何ニ高イモノデアリマシ
テモ、其ノ儘之ヲ援用スルコトヲ認メナイ
デ、例ヘバ基準利益率ハ一應二割ヲ出ル
ト、斯ウ云フコトニナリマシテモ、ソレヲ
一割五分ニ制限シテ、一割五分シカ援用ス
ルコトヲ認メナイト云フ風ニシテ居リマ
え、又基準年度以降ニ資本ノ殖エマシタ增
加資本ニ付テハ、モウ基準年度ヲ援用スル
コトヲ認メナイノデアリマシテ、增加資本
ニ對シテハ一割ヲ超エタ利益ガアレバ、ソ
レヲ臨時利得ト見テ課稅スルト、斯ウ云フ
風ニシテ居リマスルノデ、基準利益率ト云
フモノノ影響ト云フモノハ、餘程薄クナッテ
居ル譯デアリマス、而モ此ノ基準利益率
ヲ計算致シマスル爲ニ、事務的ニ申シマス
ルト云フト計算ガ非常ニ煩雜ニナルノデア
リマス、ソコデ行政簡素化ノ趣旨モ加ハリ
マシテ、此ノ際基準利益率ヲ廢止スルコト
ニ致シタノデアリマスルガ、サレバト言ツ
テ臨時利得ニ課稅スル建前ヲ棄テタト云フ
コトデハナイノデアリマシテ、矢張リ課稅
スベキ現事業年度ニ於テ相當ノ利益ガアル
ナラバ、法人稅ヲ取ル外ニ臨時利得稅ヲ課
稅スルト云フコトニ致シテ居ルノデアリマ
シテ、唯其ノ計算ノ根據ト致シマシテ基準
利益率ヲ援用シテ來ルコトヲ止メテ、簡單
ニ最近ノ資本ニ對シテ幾ラニ廻ッテ居ルカ
ト云フダケデ、矢張リ時局ノ影響ニ依ッテソ
レダケ利益ガ膨レテ居ルノダト、斯ウ云フ
コトヲ觀測シヨウト云フノデゴザイマス、
尙廢止ニ因リマスル平年度ノ臨時利得稅ノ
增收見込額ニ付キマシテハ先日モ御尋ガア
リマシテ、四千數百萬圓デアルト云フコト
ヲ申上ゲテ置イタノデアリマスルガ、臨時
利得稅ノ總額ニ對シマシテハ、僅カ三分程
度ノ增收ニ過ギナイノデアリマスルカラ、
其ノ影響ハ大シタコトハナイト言ヘルト思
フノデアリマス、更ニ基準利益率ノ適用サ
レテ居ル會社法人數ヲ總法人數ニ較ベテ見
マスルト云フト、總法人數ガ約十萬九千バ
カリゴザイマスガ、其ノ中基準利益率ノ適
用ヲ受ケテ居リマスル會社ハ一萬一千程デ
アリマシテ、約一割位ノ會社ガ現ニ此ノ利
益ヲ受ケテ居ル、他ノモノニ付テハ殆ド此
ノ規定ハアッテモナクテモ同樣デアルト、
斯ウ云フ風ナ狀況ニモアリマスノデ、旁〓今
囘改正ヲ提案シテ居ルヤウナ次第デゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=74
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075・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 サウ致シマスト昭和
六七年ハ餘リヒドイデスガ、十年、十一年、
十二年ト了承致シマシタ、ソレカラソレヲ
基準トシテ臨時利得ヲ取ルコトハ止メテ、
今度ハ他ノ意味デ臨時利得稅ヲ取ルト云フ
コトニナリマスノデスガ、基準ノ適用ハサ
カウモ知レマセヌガ、個人ニ依ッテ非常ナ差
異ヲ生ジテ來ヤシマセヌカ、餘リ儲ラナイ
デズット續イテ來タモノハ、依然トシテ取ラ
レテ來ル、サウデナクテ急ニ戰時ノ爲ニ好
クナッタヤウナ者ハ、大シテ取ラレナイト云
フヤウナコトデ、今迄ノ擔稅額ト改正後ノ
擔稅額ガ人ニ依ッテ非常ナ高低ヲ起シテ來
ヨウト思フノデスガ、實際ノ御調デドウデ
ゴザイマセウカ、サウ云フ結果ハ已ムヲ得
ナイト云フ御考デセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=75
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076・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 之ニ付キマシテ
ハ具體的會社ニ付キマシテモ、或程度ノ調
査ヲ致シテ居リマスルガ、個々ノ會社ノ名
前ヲ擧ゲルノモ如何カト存ジマスルノデ、
一般的ナ例ト致シマシテ今囘基準利益率ヲ
廢止シタ場合ニ、法人ノ負擔ガ如何ニ變化
スルカト云フ點ヲ見テミマスルト云フト、
例ヘバ資本金百萬圓、利益率十五「パーセ
ント」デアリマスル會社ヲ想像致シマスル
ト云フト、利益金額ハ十五萬圓デアリマス、
之ニ臨時利得稅、法人稅ガ掛リマシテ負擔
ハ五萬二千百二十五圓ニナリマシテ、負擔
率ハ三割四分七厘程度ニナルノデアリマス、
改正後ニ於キマシテハ臨時利得稅ガ增シマ
シテ、法人稅ハ臨時利得稅ガ增ス結果、少
シ減ルノデアリマス、サウシテ稅額ノ合計
ハ五萬九千六百二十五圓トナリマシテ、負
擔率ハ三割九分七厘ト云フコトデ、負擔ノ
增加割合ハ一割四分三厘程ニ出マス、是ハ
相當影響ノ强イ方ノ例デアリマシテ、同ジ
利益率十五「パーセント」ト致シマシテモ、
例ヘバ五百萬圓ノ會社デ利益率十五「パー
セント」ノ例ヲ取ッテ見マスルト云フト、利
益金ハ七十五萬圓デアリマシテ、其ノ場合
ニ於キマスル現在ノ稅率ニ依リマスル稅負
擔割合ハ三割八分七厘、改正後ニ於テハ負
擔率ガ三割九分七厘ニナルト云フノデ、二
分五厘程度シカ響カヌト云フコトニ相成ッテ
居リマス、又今度ハ利益率ガ二十「パーセ
ント」ノ會社ノ場合ヲ假定シテ見ルノデア
リマスガ、是モ資本金百萬圓ノ場合ガ一番
改正ノ影響ガ强ク出ルノデアリマスガ、其
ノ場合ニ於テ負擔增加割合ハ八分七厘程度
ニ出マスガ、資本金五百萬圓ノ會社デアリ
マスルト云フト、利益率二十「パーセント」
ノ會社デアリマシテ、今囘ノ改正ノ負擔ノ
增加率ハ一分六厘ニ出ルト云フヤウナ風ニ
相成ッテ居リマスルノデ、大體ニ於キマシテ
影響ハ左程大ナルモノアリトハ認メテ居ラ
ナイヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=76
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077・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 今ノハ殖エル方デス
ガ、臨時利得ガ非常ニ多クテ、例ヘバ十年
十一年十二年ニ比シテ非常ニ利得ガ殖エテ
居リマシタ者ガ、此ノ改正ニ依ッテ非常ニ
減ッテ來ルダラウト思ヒマスガ、其ノ點ハ如
何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=77
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078・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今說明申上ゲ
マシタノガ法人ニ於キマシテ、從來デアレ
バ利益率十五「パーセント」ト云フ場合ニ於
テ、基準利益率十五「パーセント」迄ハ援用
出來ルト思フノニ拘ラズ、改正後援用出來
ナクナルカラ負擔ガ增加スルトカ、或ハ利
益率ガ二十「パーセント」デアッテ、基準年度
ノ利益率トシテ十五「パーセント」ノ援用ガ
出來タニ拘ラズ、ソレガ出來ナクナル爲ニ
自擔率ガ增スト云フ點ヲ申上ゲタ次第デア
リマス、尙個人ニ付キマシテハ、基準利益
率ヲ此ノ際廢止スルコトニ致シテ居リマセ
ヌデ、依然昭和九、+、十一ノ三箇年ノ平
均利益ト較ベテ殖エテ居リマスル場合ニ、
臨時利得稅ヲ課スルト、斯ウ云フ風ニ致シ
テ居ルノデアリマス、是ハ法人ト異リマシ
テ、資本金額ニ對シマスル超過額ト云フモ
ノヲ見出スコトガ困難デアリマスル結果、
已ムヲ得ザル所デアルト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=78
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079・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 サウシマスト法人ノ
方ハ殖エルバカリデ、其ノ爲ニ減ルト云フ
モノハナイノデスカ、チヨット考ヘルト超過
所得ノ前ノヤリ方ニシタラモット多ク、斯ウ
ナッタラ減ルト云フヤウニ思ハレマスガ、何
カ私ハ考ヘ違ヒヲシテ居ルノデスカ、御話
ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=79
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080・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 減ルモノハナイ
譯デアリマス、此ノ改正ニ依ッテハ從來基
準利益率ヲ援用シテ居ッタト云フ利益ガ奪
ハレルダケノ改正デアリマスルカラ、其ノ
援用シテ居ッタモノガ負擔ヲ增スト云フダケ
ノ改正デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=80
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081・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 ソレデ、私ノ質問ハ
宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=81
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082・中野敏雄
○中野敏雄君 臨時措置法ノ鑛業權ノ讓渡
ノコトデチヨット伺ヒタイノデスガ、先程ノ
御話ニ依リマスト、鑛業權ノ取得ト讓渡價
格ト見合セテ、讓渡價格ガ多イ場合ニ、讓
渡價格カラ取得價格ヲ引イタ其ノ差額ニ對
シテ掛ケルノダト、斯ウ云フコトニナッテ居
ルノデアリマスガ、其ノ取得價格ノ構成ノ
要素デアリマスガ、例ヘバ石炭ノ豐富ニ出
ル例ヲ取リマスト云フト、之ヲ原始的ニ取
得シタ場合、其ノ場合ハ登錄稅ダケヲ取得
價格ト御覽ニナルノカ、ソレカラ又個人ガ
非常ニ苦心努力ヲシテ石炭ノ存在ヲ明カニ
シタ、サウ云ッタ場合ニ、其ノ石炭ノ可採
炭量ト云ッタヤウナモノヲ取得價額ニ御覽
ニナルカドウカ、其ノ構成ノ要素ヲ具體的
ニ伺ッテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=82
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083・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 鑛業權ノ讓渡利
得ノ計算ニ付キマシテハ、臨時利得稅法第
十一條ノ二ニ、讓渡利得ハ「鑛業若ハ砂鑛業
ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル前年中
ノ總收入金額ヨリ取得價額、設備費、改良
費及讓渡ニ關スル必要ノ經費ヲ控除シタ
ル金額ニ依ル」ト書イテアリマス、尙「鑛業
若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ニシテ昭
和十一年十二月三十一日以前ニ取得シタ(ル
モノニ付テハ同日ニ於ケル價額ニ其ノ百分
ノ五ニ相當スル金額ヲ加算シタル金額ヲ以
テ前項ノ取得價額トシ同日後ニ爲シタル設
備又ハ改良ニ要シタル費用ノミヲ以テ前項
ノ設備費又ハ改良費トス」ト規定シテゴザ
イマス、從ヒマシテ昭和十一年十二月三十
一日以前ニ於テ持ッテ居リマス鑛業若シク
ハ砂鑛業ニ關スル權利又ハ設備デアリマス
しく、同日ノ價額ヲ推定シマシテ、ソレニ
百分ノ五ヲ加ヘタ金額ヲ以テ取得價額トス
ルノデアリマス、其ノ以後ノモノデアリマ
スナラバ、現實ニ取得シタ價額カラ先程申
上ゲマシタヤウナ費用ヲ引クト云フコトニ
ナッテ居リマス、尙臨時利得稅法ノ第十三條
ノ二ニ於キマシテ「昭和十四年一月一日以
後ニ於テ設定セラレタル鑛業又ハ砂鑛業ニ
關スル權利ニシテ命令ノ定ムルモノノ讓渡
ニ付テハ本法中讓渡利得ニ關スル規定ヲ適
用セズ」、斯ウナッテ居リマス、卽チ十四年
一月一日以後新シク設定サレタヤウナ鑛業
又ハ砂鑛業ニ關スル權利デアリマスナラバ、
施行規則ノ第十二條ノ三ニ依リマシテ、「昭
和十四年一月一日以後ニ於テ左ニ揭グル原
因ニ因ラズシテ自己ガ原始的ニ取得シタル
鑛業又ハ砂鑛業ニ關スル權利ノ讓渡ニ付テ
ハ臨時利得稅法第十三條ノ二ノ規定ニ依リ
讓渡利得ニ關スル規定ヲ適用セズ」トシマ
シテ、「鑛區又ハ砂鑛區ノ合併、分割又ハ分
合」、「試掘權ノ設定アル鑛區ニ付テノ採掘
權ノ取得」、「試掘權ノ存續期間滿了ニ因ル
更新」ト云ッタ規定ガ置カレテアルヤウナ次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=83
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084・中野敏雄
○中野敏雄君 其ノ取得價額ノ構成ノ要素
デアリマスガ、原始取得ノ場合ニ、サウ云ツ
タ可採炭量ト云ッタモノハ評價ノ標準ニ入ッ
テ居リマセウカ、入ッテ居リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=84
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085・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 十四年ノ一月一
日以降ニ於テ設定サレマシタ權利デアッテ
命令ニ規定シテアルモノハ課稅ニナラナイ
カラ問題ハナイノデアリマスガ、十一年ノ
十二月三十一日以前ニ取得致シマシタモノ
ハ、十一年十二月三十一日現在ノ價額ヲ評
定致シマシテ、其ノ評定ニ依リマスカラ是
モ問題ハナイト思フノデアリマス、問題ハ
十二年ノ一月一日以降原始的ニ取得シマシ
タ鑛業權デアッテ、十四年ノ一月一日以降
ノ取得デナイト云フ其ノ期間ノモノニ付テ
ノ評價ノ問題デアリマスガ、之ニ付テノ取
得價額ニ付テハ、單ニ登錄稅ノミヲ以テ取
得價額ニ見ルト云フコトデナイ扱ニ致シタ
イト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=85
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086・中野敏雄
○中野敏雄君 只今登錄稅ダケデハナイト
云フ御說明デアリマスガ、サウ云ッタ採炭量
其ノ他モ當然含ッテ居ル、斯ウ云フ風ニ了解
シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=86
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087・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 單ニ登錄稅ダケ
デナク、「ボーリング」ヲシタ費用デアル
トカ、或ハ坑道ヲ造ッタ費用デアルトカ云ッ
タヤウナモノハ原價ニ含メテ、利得金額ヲ
計算スルト云フ積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=87
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088・中野敏雄
○中野敏雄君 其ノ中ニ賦存シテ居ル鑛物
ハドウデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=88
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089・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今ノ點ハ現在
ノ取扱ト致シマシテハ、埋藏量ヲ取得價額
ノ方ニ見ルカト云フ御尋デアレバ、其ノ部
分ハ取得價額ニ見ルト云フ扱ニナッテ居リ
マセヌ、從ヒマシテ讓渡價額ガ埋藏量ヲ罩
メタ價格デ相當高ク出ルト云フ場合ニ於テ、
取得價額ノ方ニ入ッテ居リマセヌカラ、比較
的讓渡利得ガ高ク出ル、斯ウ云フ結果ニナ
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=89
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090・中野敏雄
○中野敏雄君 モウ一點伺ヒタイノデスガ、
臨時利得稅ノコトデスガ、個人營業ノ場合
ニ投下資本ヲ見ナイト云フ扱ニナッテ居ル
ヤウデアリマスガ、其ノ後ニ資本ヲ入レタ
ト云フコトガハッキリ分ッテ居ル場合、サウ
云ッタ場合モ矢張リ御覽ニナラヌノデセウ
カ、ソレヲ承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=90
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091・松隈秀雄
○委員長(松隈秀雄君) 個人ニ付キマシテ
ハ、中ニハ法人ト同樣ニ比較的帳面ガ完備
シテ居リマシテ、資本ニ屬スル部分、經費
ニ屬スル部分等ノハッキリシテ居ルモノモ
ゴザイマスケレドモ、〓シテ申上ゲマスト
云フト個人ハ法人程記帳ガ完備シテ居リマ
セヌノデ、ソコデ記帳ノ完備ノ程度如何ニ
依ッテハ、法人式ノ課稅ノ方法ヲ執リ、又記
帳ノ完備ノ程度如何ニヨッテハ、個人式ノ
計算ヲスルト云フコトニナリマスルト、其
ノ間ニ境ガ付キニクイモノデアリマスカラ、
大體ニ於テ個人ノ帳簿ハ法人程度完備シ
テ居ラナイト云フ、其ノ大體ノ觀察ニ從ヒマ
シテ、現在ノ所デハ個人ニ付テハ資本ノ觀
念ヲ入レテ居リマセヌ、從ッテ比較的最近
ニ投下シタ資本デアッテ、其ノ部分ダケハ
拔キ出シテ計算シ易イト云フ場合ニ於テ
モ、特ニ之ヲ見ナイコトニナッテ居リマス、
ソレデハ個人ノ臨時利得ノ計算ガ非常ニ酷
ニ出ルノデハナイカト云フ心配デアリマス
ガ、其ノ點、個人ノ臨時利得ノ計算ニ當リマ
シテハ、取得ノ昭和九、+、十一年ノ三箇
年ノ平均利益ト比較シテ增加ヲ見ルト云フ
方法モアリマスルガ、又一ツノ方法ト致シ
マシテ課稅年度ノ利益ノ三分ノ一ヲ以チマ
シテ、基準年度ノ利益トスル、斯ウ云フ規
定モ置イテ居リマスノデ、新タニ資本ガ投
下サレマシテ、其ノ資本投下ノ爲ニ利益ガ
殖エタンデアッテ、決シテ前カラノ營業ノ
儲ケガサウ多クナッタノデハナイト云フヤ
ウナ場合ニ於キマシテハ、課稅スル年度ノ
利益ノ三分ノ一ヲ基準年度ノ利益ト置換ヘ
ルト云フコトニ依リマシテ、相當救濟ノ途
ハアルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=91
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092・中野敏雄
○中野敏雄君 能ク分リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=92
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093・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 此ノ際、中山
君ノ御質問ヲ御許シ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=93
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094・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 臨時利得稅法
中改正法律案中ノ主トシテ物品稅竝ニ輸出ス
ル物品ニ對スル內國稅免除又ハ、交付金交付
ノ停止等ニ關スル法律案ニ關シマシテ其ノ適
用上ニ付テ、昨日政府ノ御說明ニ依リマシ
テ、根本ノ趣旨ハ能ク了解出來マシタガ、
本稅法ノ適用ニ依リマシテ、現在ノ輸出業
者又ハ輸出品ヲ製造スル業者ガ蒙リマス不
利不便ヲ適當ニ救濟スルコトガ必要デアル
ヤウニ考ヘラレマス、現在ノ輸出業者ガ輸
出手續ノ上ニ於キマシテモ、從來ハ貿易機
關ニ委託輸出ノ賣買契約ヲ致シマスト同時
ニ、相當多額ノ調整料ヲ前納シテ、サウシ
テ後ニ出荷ノ手配ガ出來ルノデアリマシテ、
ソレカラ船積ミヲ完了シテ「ビー·エル」ヲ入手
シ、銀行デ割引シマシテ、商品代金ナリ立
替納付シタ所ノ調整料ナリヲ資金化スルノ
デアリマスガ、此ノ「ビー·エル」ノ入手ナリ、
銀行ニ手形ヲ渡ス迄ニハ、調査料ヲ前納シ
テ、少クトモ支那ノ普通ノ方面デモ一箇月
以上掛ルノデアリマス、更ニ南方方面、廣東
等ニ輸出スル場合ニハ三四箇月モ手續ナ
ドノ期間ガ遲レル現狀デアリマシテ、從
テ其ノ間ニ金利ノ負擔等モ相當大ナモノガ
アル實情デアリマス、今囘又其ノ商品ニ
高率ノ課稅ガサレテ、其ノ納稅金額ヲモ合
セテ前拂ヒノ形式デ立替シナケレバナラヌ
時ニ、輸出品製造業者、又ハ輸出業者ハ是
ガ金利ノ負擔ノ重課ト共ニ、一方資金調達
上ニモ非常ナ困難ヲ來ス虞ガアルノデアリ
マスガ、政府ハ是ガ救濟的對策ヲ如何ニシ
テ講ゼラレマスカ、御考ガアルコトト存ジ
マスカラ、御所見ヲ第一ニ承リタイノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=94
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095・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 輸出品ニ付キマ
シテハ御話ノヤウニ只今デハ多クノモノハ
輸出調整機關ノ手ヲ經テ、所謂委託輸出ト
申シマスカ、ノ方法デ輸出シテ居ルノデア
リマスガ、其ノ場合ニ付キアシテ調整料ヲ
前納シテ手續スルノデアリマスルガ、「ビー·
エル」ヲ入手スル迄ニ或程度ノ期間ガ掛
ル、從ッテ手形ヲ割引イテ貰ッテモ、現金化ス
ル迄ニ相當ノ時日ヲ要スト云フコトハ、是
ハ御話ノ通リデアルト思フノデアリマス、
同ジ輸出ニ付キマシテモ、支那方面ト滿洲
方面トデハ稍〓狀況ガ違フカト思フノデアリ
やっ、支那方面デアリマスト云フト、昨日
モ御話ガ出マシタヤウニ、大體ニ於キマシ
テ內地ノ調整料及ビ現地ノ調整料ト分レテ
ハ居リマスルガ、相當調整料ヲ取ッテ輸出
シ得ル程度ニ先方ノ價格ガ高イノデアリマ
ス、其ノ調整料ハ結局內地ノ價格ト先方ノ
價格トノ差ニ相當スルモノデアリマスノデ、
今囘輸出スル物品ニ對シマシテ從來ハ輸出
稅ガ免稅ニナッテ居ッタ、ソレダケ原價ガ安
ク付イテ居ッタ、今囘ハ免稅ニナラナクナッ
タダケ原價ガ高クナッタト致シマスレバ、
其ノ高クナッタ點ハ恰モ生產費ガ上ガッタト
同樣ニ見ラレテ、ソレダケ調整料ノ方デ手
加減ガ出來ルト云フ部分ガ相當アルノデハ
ナイカト思ハレマスノデ、此ノ點ノ影響ハ
調整料ヲ取ラナイ物ニ較ベルト、可ナリ輕
視シテ宜シイノデハナイカト思ッテ居ルノデ
アリマス、滿洲ノ輸出ハ先程モ申シマシタ通リ
調整料ヲ取ッテ居ナイ狀況デアリマスノデ、
此ノ點ハ確カニソレダケ業者ノ前拂的ノ負
擔ガ殖エ、其ノ金利ト云フコトガ考ヘラレ
ルノデアリマスガ、支那其ノ他ト較ベマス
ト云フト、滿洲ノ方ハ距離的ニモ近イヤウ
デアリマスシ、從ッテ大體代金ノ囘收狀況
等モサウ長クハナイノデハナイカト思ハレ
ルノデアリマス、現在物品稅ニ付キマシテハ
原則トシテ每月分ヲ翌月末迄ニ納付スルコト
ニナッテ居リマス、更ニ命令ノ定ムル所ニ依リ
マシテ擔保ヲ提供スルト、モウ一箇月以內物
品稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトガ出來ルコトニナッ
テ居リマス、ソコデ此ノ規定ヲ活用致シマ
スレバ、輸出シテカラ一番長イモノハ九十
日、短イモノデモ約六十日ト云フ期間ハア
ル譯デアリマス、唯今實際ノ問題ト致シマ
シテハ物品稅ニ付テハマア其ノ必要ガナイ
ト認メテ居ルノデアラウト思フノデアリマ
スガ、只今徵收猶豫ノ規定ヲ適用シテ居ナ
イノデアリマス、今度ハ御話ノヤウニ輸出
スル物品ノヤウナ場合ニ於テハ此ノ規定ヲ
相當活用セシムル必要ガアリマスノデ、此
ノ點ハ實際問題トシテ此ノ規定ガ活用
サレマスルヤウニ、徵稅當局ヲ指導シ
テ參リタイト存ジテ居ル次第デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=95
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096・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 輸出品ニ對シ
テ一部一箇月ノ猶豫期間ヲ設ケラレル御考
ガアルコトヲ承リマシテ、幾分カ其處デ緩
和サレルト存ジマスケレドモ、今日ハ輸送
機關等モ不十分デアリマシテ、發送シテカ
ラ到著迄相當期間ガアリマスノデ、以前ノ
ヤウナ期間デナク、或ハ輸出ニ於テハモウ
一箇月、二箇月位ノ猶豫期間ヲ願フ方ガ極
ク運營ノ上ニ支障ナク行ケルノデハナイカ
ト考ヘマスガ、之ニ付テノ御考ヲ承リタイ
ト思ヒマス、尙內地ノ立場カラ言ヒマシテ
モ、物品稅ノ如キハ矢張リ發送シテモ輸送
力ガ不足シテ居ル現在ノ場合ニハ相當停
車場ナリ、輸送機關ノ手許デ停滯シテ居ル
場合ガ尠クナイノデアリマスカラ、是ガ出
荷後一箇月デ稅金ヲ全部納メネバナラヌト
云フコトニナリマスト、今迄ノヤウナ二割、
三割ガ最高デアル時トハ違ッテ、多イ時ニハ
八割ト云フコトニナレバ、百萬圓ノ取引ヲス
ル者ハ八十萬圓、一千萬圓ノモノデアレバ
八百萬圓ト云フ金ヲ無利息デ、サウシテ資金
ノ調達ト兩方爲サネバナラヌノデ、相 似
ル大キナ負擔ト支障トヲ來スノデアリマス
カラ、之ニ對シテモ商習慣等モ御考慮ニナッ
テ、少ク共今迄適用サレナカッタガ、其ノ適
用法ハ設ケラレテ居ッタ公債等ヲ擔保ニス
レバ一箇月間位ノ猶豫期間ヲ設ケルト云フ
便法ヲ講ゼラレルコトガ、此ノ稅法ヲ圓滑
且圓滿ニ、實施サレル上ニ宜イノデハナイカ、
物品稅ハ殊ニ脫稅等ガ少ク、非常ニ業者各自
ガ自治的ニ時局下ニ協力スル態度ヲ以テ臨
ンデ居ル者ガ多イノデアリマスカラ、之二
負擔スベカラザル金利ヲ負擔サスト云フコ
トハ法ノ御精神デハナイト思ヒマスカラ、
之ガ緩和ニ付テ今ノヤウナ一箇月ノ納期ヲ
延期スル、確實ナ方法デ延期スル方法ヲ御
考慮願フカ、或ハ公定價格中ニ其ノ金利ニ
匹敵スルダケノ眞面目ナ價格ヲ加ヘルカ、
何レカ政府ニ御考ガアラウト存ジマスカラ、
承リタイト思ヒマス、尙輸出ニ付テハ、調整
料ガ僅カ二割デアッタモノガ、物品稅ニ於
テ八割ノ負擔トナッテ、其ノ立替額ガ非常
ニ大キクナルモノモ澤山ニアルノデアリマ
スカラ、此ノ點モ併セテ御考慮願ヒマシテ、
便法ヲ御講ジ願ヒタイト存ジマスガ、御意
見ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=96
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097・松隈秀雄
○政府委員(松陰秀雄君) 只今モ申上ゲマ
シタ通リ、內地ニ於テ引取ラレマス物品稅
ノ課稅對象トナリマスルモノニ付キマシテ
ハ第十條ノ二項ニ大體猶餘ノ規定ハアリ
マスルガ、實際問題トシテ之ヲ適用シテ居
ラナイノデアリマス、ソコデ今囘ハ輸出ス
ル物品ニ付キマシテハ、御話ノ點モゴザイ
マシタノデ、第十條ノ二項ヲ適用スルヤウ
ニ致シタイト思ッテ居リマス、サウ致シマス
レバ、大體ニ於キマシテ、內地引取ノモノ
ト外國輸出ノモノトノ釣合ヒハ取レルヤ
ウニ存ゼラレルノデアリマスルガ、更ニ施
行ノ狀況ニ依リマシテ、改正ヲ要スルヤウ
デアレバ、將來ノ問題トシテ〓究シテ行キ
タイト思ッテ居リマス、尙公定價格ノ改訂ノ
場合ニ於キマシテ、必要ナル金利ヲドノ程
度ニ見込ムカト云フコトハ、物。價監督ノ任
ニアリマスル當局トモ協議ヲシテ、物價改
訂ノ際ニ於テ、其ノ點ニ留意スルヤウニ出
來ルダケ致シタイト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=97
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098・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 今囘改正サレ
マス物品稅其ノ他ノ課稅時期ニ付テ承リタ
イト存ジマシタケレドモ、午前中御尋ガアッ
テ、御當局カラ御答ニナリマシタカラ、是
ハ見合セマシテ、今囘增稅サレタ其ノ金額
ガ、ソレニ課稅サルベキ各種商品ニ計上サ
レル時期ハ何時デアリマセウカ、輸出品及
ビ內地品トモ、物價局デ正式ニ公定價格ヲ
改訂セラレル其ノ時期ト徵稅ノ時期トノ間
ニ、先年モアリマシタヤウニ、稅額全部ヲ
三箇月、四箇月ノ間モ製造者ガ負擔シテ、
不合理ナ損害ヲ蒙ツタヤウナ喰ヒ違ヒヲ再
ビ生ジナイヤウニ、實施時期ヲ、所謂公定
價格ノ改訂ト、ソレカラ所謂徵稅サレル時
期ニ一致スルヤウニ、大藏省デハ御準備ガ
出來テ居ルト思ヒマスガ、關係官廳トノ間
ニ於テモ、其ノ打合セナリ準備ナリガ出來
テ、支障ノナイヤウニ御取計ラヒヲ願ヒタ
イト思ヒマスガ、之ニ對シテノ御意見ヲ承
リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=98
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099・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 今囘ノ間接稅ノ
增徵ニ當リマシテハ、其ノ基本方針ト致シ
マシテ、增徵額ニ相當スル價格ノ引上ヲ認
メルト云フコトヲ、閣議デモ決メテ居リマス
ルノデ、此ノ點ニ付テハ御心配ノ點ハナイ
ト思フノデアリマス、尙實行ノ時期ニ於テ
齟齬スルト云フト、結局ハ業者ノ立替へ負
擔トナルト云フヤウナ場合ガ生ズル虞レガ
アルカラト云フ御尋デアリマスガ、此ノ點
御尤モニ存ズルノデアリマス、ソコデ物品
稅ノ課稅範圍ヲ擴張シ、免稅點ヲ引下ゲ、
稅率ヲ上ゲルト云フ場合ニ於キマシテハ、
大藏省ニ於テ立案ヲ致シマスルト殆ド同時
テ、價格ヲ管掌シテ居リマスル關係當局ニ
案ヲ內示致シマシテ、價格ノ改訂ニ付テ〓
究ヲシテ貰ッテ居リマス、價格ノ中ニハ稅ヲ
加算シテ價格トシ得ルト云フヤウナ組ミ方
ノモノモゴザイマシテ、是ハ比較的簡單デ
アリマスルガ、稅込價格ニナッテ居リマスル
モノハ其ノ改訂ガナカ〓〓困難デ、ソレニ
相當ノ時間ヲ要シマスルノデ、其ノ間ノ時
間ノ餘裕ヲ見テ連絡ヲ取ッテアリマスルノデ、
其ノ時期ト稅額ヲ價格ニ見込ンデ轉嫁シ得
ル時期ニ付テハ齟齬ノナイヤウニ萬全ヲ期
シツヽアルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=99
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100・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 物品稅デ申シ
マスレバ第一種ハ消費者ニ賣渡ス時ニ內地
デ課稅サレテ居リマスカラ、輸出ニハ是ハ
關係ナイト思ヒマス、今囘ノ課稅ヲ加算サ
レル輸出品ハ主トシテ製造者ガ出荷スル時
課稅セラレル、所謂第二種ノモノガ主モデ
アラウト思ヒマス、サウシマスト現地ニ於
テ大變不公正ナ價格ガ出來ルヤウニナリマ
スノミナラズ、其ノ課稅サレタ品物ニ尙調
整料ヲ課セラレル場合ニ、此ノ稅金ヲ掛ケ
タモノヲ原價トシテ調整料ヲ換算サレルノ
デアリマセウカ、調整料ハ別ニ先程言ハレ
タヤウナ意味ニ立場ヲ變ヘテ考慮サレルモ
ノデアリマセウカ、調整料ヲ五割掛ケラレ
テ居ルモノガ、今囘ノ稅金ガ八割掛カルト
シマスト、生產者ナリ、貿易業者ハ調整料
ヲ商品ノ九割程負擔スルコトニナッテ、ソレニ
稅金ノ八割ヲ加ヘマスト、商品ノ實ニ十七
割ノ負擔トナルヤウナコトニナルノデアリ
やっ、商品ガ高價トナッテ行クト云フバカ
リデナク、是ガ現地ニ於テハ、又輸入稅ヲ相
手國ガ相當高ク取ル、支那ニ於テハ輸入稅以
外ニ又別途ノ高率ナ課稅ヲ中支ニ於テハシ
テ居リマスガ、サウ致シマスト日本デ實際
ノ商品實價ノ四倍乃至五倍ニナルコトニナ
リマシテ、日本ノ商品ガ全然彼ノ地ニ於テ
今度ハ發展ノ餘地ガナク、彼ノ地ノ相手國
ノ人ガ今度ハ事業ヲ經營ヲシテ同ジ共榮圈
デアリナガラ、我ガ方ノ國民ハ惠マレズシ
テ、相手國ノ人ノミヲ繁榮サス、益サスト
云フコトニナリマスト、共榮圈ノ精神ニモ
悖ルヤウニ思ヒマスガ、之ニ對シテ輸入稅ノ
負擔ヲ輕減スル、又高率ノ稅額ヲ緩和サス
ヤウナ方法ニシテ、日本デ掛カル稅金ヲ輸
入稅ニハ加算シナイヤウナ何カ外交上ノ交
涉等ガ出來得ルモノデナイノデセウカ、是
ハ調整料ノ時ニハ、不文律デアリマスケレ
ドモ、適當ナ便法ガ設ケラレタヤウデアリマ
スカラ、之ニ對シテ政府ノ御考ヲ御差支ナ
イ程度デ御洩シヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=100
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101・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 物品稅中、第一
種ノ物品ハ小賣課稅デアリマスルノデ、從ッテ
小賣デ課稅ヲ受ケタモノヲ外國ニ輸出スル
ト云フ例ハ極メテ稀デアルコトハ御說ノ通
リデアリマス、第二種ノ物品稅ヲ課稅セラ
レタモノガ、外國ニ出テ行ク、從來ハ其ノ
場合ニ於テ免稅デアッタガ、今度ハ課稅ニナ
ルト云フノデアリマス、其ノ場合ニ於キマ
シテ、調整料ノ問題デアリマスルガ、是ハ
場合ニ依リマシテハ、他ノ政府委員カラ御
答ヘスルノガ適當デアルカト思フノデアリ
マスルガ、御承知ノ通リ調整料ハ內地デ或
程度取リマシテ、物ニ依リマシテハ、更に
現地デモ取ッテ居ル、内地デハ例ヘバ僅カ二
割位シカ取ッテナイ場合ニ於キマシテ、現地
ノ價格ガ相當高イ爲ニ、現地デ又相當ノ調
整料ヲ取ッテ居ルト云フヤウナ狀況ニアリ
やく、今囘ハ交易營團ガ出來マスルト共ニ
爲替資金調整ノ特別會計法ガ出來マシテ、
調整料ノ類ハ內地ニ於キマシテ各種機關ガ
取リマスルモノハ勿論、現地機關ノ取リマ
スル調整料モ寄附金等ノ名義ヲ以チマシテ、
爲替交易調整特別會計ノ方ニ受入レル仕組
ニナッテ居リマス、ソコデ我ガ國カラ輸出セ
ラレマスル物品デ、其ノ輸出ガ必要デアル
ト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ調整料ヲ
免除スルコトハ勿論、必要ニ應ジテハ更ニ
補助金的ノモノヲ與ヘテ輸出スルコトモ可
能ナノデアリマシテ、其ノ財源トシテ內地
ノ調整料ハ勿論、現地ノ調整料モ此ノ會計
ニ入ッテ來マスルシ、更ニ爲替調整特別會計
ノ尻ハ一般會計ニ續イテ居リマシテ、必要
ガアレバ一般會計カラノ價格補助金ト云フ
ヤウナモノモ出ルコトニナッテ居リマスルノ
デ、施行ノ現狀ニ依リマシテ或程度ノ補助
ヲシナケレバ輸出困難デアルト云フヤウナ
モノニ付テハ、此ノ會計ニ於テ考ヘ得ラレ
ルノデハナイカト存ジテ居ル次第デアリマ
ス、尙日本カラ輸出セラレマスモノガ、稅
負擔ガ高クナッテ、現地ニ於テソレダケニ賣
レナイト云フヤウナ場合ニ於テ、現地デ新
=シイ工業ガ興ッテ、從ッテ現地人ノ利益ニハ
ナルケレドモ、內地ノ業者ノ事業ガ縮ンデ
シマヒハシナイカト、斯ウ云フ心配デアリ
マスルガ、現狀ヲ以テ致シマスレバ、內地
カラ品物ヲ相當入レルコトヲ希望シテ居ル、
ソレニ對シテ物資ノ關係デ應ジ切レナイヤ
ウナ狀況ニアルノデアリマシテ、今サウ急
速ニ現地デ總テノ物ガ調達サレルト云フヤ
ウナ程度迄輕工業等ガ發達スルトモ思ヘナ
イノデアリマス、尙現地ニ於キマシテ輸入
稅ノ制度ガアルカラシテ、其ノ點少シク緩
和スレバ、或ハ內地ニ於テ輸出物品ニ對ス
ル免稅ガ行ハレタトシテモ差引ガツクノデ
ハナイカ、殊ニ內地ノ輸出稅ヲ免除シテ居ッ
夕品物ニ稅ガツイタカラ、ソレダケ現地ニ
於ケル到著價格ガ高クナッタノデ、尙輸入關
稅ガ殖エルト、斯ウ云フ點ノ御心配カラ何
トカ現地ニ於ケル輸入關稅ヲ低メルコトニ
付テ外交的ナ考慮ヲ拂フ考ヘハナイカト、
斯ウ云フコトデアリマス、此ノ點ハ大東亞
共榮圈全體ノ關稅ヲ如何ニスルカト云フ問
題ト關聯シテ來ルノデアリマシテ、其ノ背
後ニハ大東亞全地域ノ國民負擔ヲ如何ニス
ルカト云フ問題トモ關聯シテ參ル譯デアリ
やく、日本デ消費稅ヲ取ッテ、ソレダケ高イ
モノヲ現地ノ住民ニ買ハセルト云フコトモ、
內地、現地間ノ一ツノ負擔ノ調整デアリマ
ス、其ノ場合ニ於テ現地ノ關稅ヲ其ノ儘ニ
シテ置クカ、或ハ更ニ現地ノ關稅ヲ下ゲサ
シテ、モウ一層入リ易クスルカドウカト云
フヤウナ點ハ、結局共榮圈全體ニ亙ッテ負擔
ヲ如何ニ分擔スルカト、斯ウ云フ問題ニ關
聯シテ參リマスルノデ、今遽ニ關稅率ヲ如
何ニ動カスカト云フコトハ容易ニ決メ難イ
問題デアリマスルガ、此ノ問題ハ大東亞共
榮圈ヲ確立スル上ニ於テハ、軈テ解決サレナ
ケレバナラナイ問題デアリマスルノデ、先
般大東亞審議會ニ於キマシテモ、根本ノ方
針ガ確立サレマシテ、其ノ根本方針ニ基イ
テ調達ガ進メラレルコトニナッテ居リマスノ
デ、サウ云フ調査ノ場合ニ於テ結局日本側
デドノ程度ノ稅ヲ取ルカ、現實側デドノ程
度ノ稅ヲ取ルカ、ソレハ入ッテ來ルモノニ付
テ關稅デ取ルモノモアレバ、或ハ出ルモノ
ニ付テ輸出稅デ取ルモノモアル、此ノ關係
ハ丁度相互ニ裏腹ヲ成シテ居ルノデアリマ
スルカラ、今後調整ヲ要スルコトハ御說ノ
通リダト思イマス、其ノ調整ヲドウスルカ
ト云フコトハ、結局日本ガ指導權ヲ持チマ
シテ、大東亞共榮圈全體ニ亙ッテノ負擔ノ調
整ヲ考ヘツヽ適當ナ所ニ落著ケテ參ルト云
フノガ今後ノ見透シデアルト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=101
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102・中山太一
○委員外議員(中山太一君) モウ一二ダケ
御伺ヲ致シタイ、只今ノ御話デ或程度了解
致シマシタケレドモ、根本的ニ直ル迄ニ相
當ナ犧牲ガ多イト存ジマスカラ、調整料ガ、
是ハ稅金、商品價格ニ加算サレズニ取扱ハ
レテ居ルヤウナ事情モアルカモ知レマセヌ
カラ、斯ウ云フ點モ御考ヘ願ヒマシテ、臨
時便法トシテ、一ツ日本ノ只今ノ立場カラ
言ッテ、以心傳心ノ下ニ商處シテ戴キタイト
云フコトヲ特ニ希望致ス次第デアリマス、
ソレカラ課稅品ヲ輸出シマス際ニ、今迄輸
出割當額ガ決ッテ居リマシタガ、從來其ノ輸
出ノ割當額ダケヲ輸出ガ許可サレルコトニ
ナッテ居リマシタ、今度第二種ノ物品稅ノ
掛ッタモノ、其ノ他之ニ類スルモノハ、課稅
後ハ其ノ割當額ガ同一デアル場合ニハ、稅金
額ヲ減ジテ換算シテ宜イモノデアリマセウカ、
又ハ其ノ稅額ダケヲ殖ヤシタ割當ヲ政府ハ
致サレル御考デアリマセウカ、此ノ點ニ付
テ御意見ヲ承リタイト存ジマス、又モウ一ツ
ハ、政府デハ、內地モ同樣デアリマシタガ、
又北支、中支等モ低物價政策ヲ堅持サレテ
居ッタト思ヒマスガ、見方ニ依ッテハ、今囘ノ
高率課稅ニ依ッテ、其ノ政策ハ或程度是正サ
レタヤウニ思ハレル、殊ニ或商品ニ依ッテハ
根本カラソレガ破壞サレタヤウニ考ヘラレ
マスガ、之ニ對シテノ政府ノ御意見ヲ承リ
タイト思ヒマス、或種ノ品物ハ嚴格ナ低物
價政策ヲ一率ニ堅持スル必要ハナイ、矢張
リ高率課稅化サレテモ宜イモノガアルカノ
如ク、私ハ之ニ抑壓シテ價格ニ無理ニスル
必要ハナイト思ハレルノデ、反對ノ意味デ
聽クノデナクシテ、政府ノ其ノ御考ヲ一應
聽カシテ戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=102
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103・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 御質問ノ第一點
ハ從來割當輸出物品ノ割當額ガ或金額ヲ以
テ決ッテ居ッタノデアルガ、今囘ソレニ對シ
マシテ輸出稅ガ免除ニナラズ加算セラレタ
場合ニ加算セラレタ金額ニ依ッテ割當テラ
レルト云フト商品ノ數量ガ減ルト云フヤウ
ナ虞ガアルノデアルガ、其ノ點ニ關スル政
府ノ考慮ハ如何デアルカト云フコトデゴザ
イマス、此ノ點誠ニ御尤モデアリマスノデ
輸出割當ヲ致シテ居ラレマスノハ主トシテ
商工省デゴザイマスノデ商工當局ノ方ニ今
囘大藏省トシテ輸出物品ニ對シマスル免稅
廢止ノ方法ヲ執ルノ已ムナキニ至リマシタ
事情ヲ能ク話ヲシマスト共ニソレニ依ッテ
直チニ輸出物品ノ數量ヲ減ラスト云フ考ハナ
イノデアルカラシテ數量ノ減ルコトノナイ
ヤウニ特ニ考慮方ヲ申入レテゴザイマシテ、
商工當局等ニ於キマシテモ其ノ點誠ニ理由
アリト云フ御考デアリマスノデ大體ニ於テ
御懸念ノ點ハナカラウカト思フノデアリマ
ス、次ノ御質問デアリマスル輸出物品
ニ對シマスル免稅ヲ廢止スルト云フコ
トニナリマスト云フト其ノ事デ共榮圈內
ノ諸國ノ物價政策ニ相當影響ヲシヤシ
ナイカ、斯ウ云フコトデゴザイマスガ、
今囘增徵致シマスル間接稅ノ課稅物品ニ付
キマシテハ從來カラモ同樣ノ方針デアリマ
スルガ、奢侈的性質ノ强イモノニ付キマシ
テ特ニ稅率ヲ强ク引上ゲ、比較的ニ奢侈的
消費ノ少イ方面ニ付キマシテハ課稅外ニ置
キ、或ハ課稅スルトシマシテモ稅率ヲ極メ
テ低ク致シテ居リマスノデ今囘ノ輸出物品
ニ對スル免稅ノ廢止ヲ實行致シマシタ結果
ト致シマシテ値段ニ及シマスル影響ハ奢侈
的性質ノ濃厚ナモノニ强ク響キ、生活必需
品的ノモノニハ殆ド影響ヲセシメナイ斯ウ
云フコトニ相成リマスノデ幾分價格ニ對ス
ル影響ノアルコトハ認メルノデアリマスガ、
其ノ影響ト云フモノハ生活必需品ニ對スル
影響ハ大シテナイ、奢侈的性質ノ强クナル
ニ從ッテ或程度迄影響シテ來ルト云フコトデ
アルナラバ是ハ已ムヲ得ナイコトデアルト
思フノデゴザイマス、今囘輸出物品ニ對ス
ル免稅ヲ廢止シタト云フコトハ一方カラ申
シマスレバソレニ依リマシテ現地ニ於キマ
スル住民ニ付テモ現在內地ノ國民ガ負擔シ
テ居ル程度ノ負擔ハ此ノ際シテ戴クコトガ
大東亞共榮圈全體トシテ此ノ大東亞戰爭ヲ
勝拔イテ大東亞共榮圈ヲ確立スル上ニ於テ
必要ナコトデアル、斯ウ云フヤウナ趣旨モ
幾分加ッテノコトデアリマスノデ是ハ諒トシ
テ戴ケルト思ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=103
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104・中山太一
○委員外議員(中山太一君) 今囘ノ臨時增
稅ト共ニ輸出スル物品ニ對スル內國稅免除
又ハ交付金交付ノ停止等ニ關スル法律ニ依
リマシテ、輸出品ニモ高率課稅ヲ負擔セシ
ムルコトニナッタコトハ是ハ我ガ國ニ於テハ前
代未聞デ、昨日益田委員ノ御話ニモアリマ
シタガ、普通平時ニ於テハアリ得ベカラザ
ルコトデアリマス、只今モ色々御話ガアリ、
昨日モ大藏大臣ノ御說明ニモアリマシタヤ
ウニ現下ノ色々ノ情勢ニ照ラシマシテ誠ニ
已ムヲ得ザル措置デアルト考ヘル次第デア
リマスガ、又他面ニ於テハ却テ通貨政策上
或地域ニ於ケル我ガ國ノ被ッテ居ル不利益
ヲ幾分カ間接ニ之ニ依ッテ取除キ得ルコト
トモナリ、又不足勝ノ內地ノ或種ノ商品ガ
利潤追求ノ具トサレテ無暗ニ流出スルヤウ
ナ弊ヲ適當ニ緩和シ得ル一石二鳥ノ國家的
利益モアル妙案デデモアルヤウニモ考ヘラ
レル、外ニ又大東亞戰爭ノ遂行ニ伴フ戰費
ヲ、從來我ガ國民ノミガ負擔シテ居ッタ形デ
アリマシタガ、此ノ共同戰爭ニアル共榮圈
ノ諸民族ニ、ソレトナク今囘ノ措置ハ間接
ニ其ノ戰費ノ幾分ヲ負擔ヲセシメルコトト
モナリマシテ、所謂、共甘同苦ノ實ガ伴フ
適當ナ措置デモアルヤウニ考ヘラレマスカ
ラ、私ガ質問ヲ續ケマシタノハ、其ノ今囘
ノ措置其ノモノニ對シテ反對トカ、特ニ了
解シナイ爲ニ申上ゲタノデハナイコトヲ特
ニ申上ゲテ置キマス、政府ハ本增稅案ニ伴
フ今囘ノ措置ガ、輸出ヲ共榮圈內ニ迄モ全
然禁止スルト云フ目的デハナイト云フコト
ガ窺ハレタノデアリマズカラ、ソレニ付キ
マシテハ之ニ想ハザル支障ヲ來サナイヤウ
二、有ラユル機會ニ之ヲ實行上ニ善處シテ
戴キタイ、輸出禁止ノ稅法デアルナレバ別
デアルケレドモ、ソレデナイナラバ何處迄
モ一ツ其ノ不便不利等ヲ除去シテ戴クヤウ
ニ公明ナ、所謂處置ヲ御執リ願ヒタイ、殊
ニ現政府ハ公明ナ政治ヲ行フト云フコトガ
其ノ建前デアリマスカラ、此ノ問題ニ付テ
特ニ公明ナ御處置ヲ願ハレルモノト存ジマ
スガ、之ニ對シテ最後ニ御意見ヲ承リ、同
時ニ委員ノ皆サンニ私トシテハ大事ナ問題
ト思フコトヲ御尋ネスル機會ヲ與ヘテ戴キ
マシタコトヲ厚ク御禮ヲ申上ゲテ、私ノ御
尋ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=104
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105・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今中山サンノ
御述ニナリマシタ點、大體ニ於テ同感ニ存
ズル所デゴザイマスルノデ、今後ノ施行ニ
當リマシテハ十分留意シテ參リタイト存ジ
マン、尙法律ハ、御承知ノ通リ輸出免稅ニ
付キマシテハ現下ノ戰時財政ニ鑑ミマシテ、
必要已ムヲ得ザル措置トシテ執リマシタノ
デ、當分ノ內ト云フコトガ書イテゴザイマ
ス、從ヒマシテ戰爭狀態ガ變ッタ場合ニ於テ
果シテ此ノ制度ヲ續ケタガ宜イカ、或ハ元
ノ制度ニ戾ッタガ宜イカ、或ハ先程私ガ申上
ゲマシタヤウニ大東亞共榮圈全體ヲ通ズル
關稅制度ノ確立等ト相俟ッテ、狀況ガ變ッ
テ參リマスレバ又其ノ變ッタ狀況ニ應ズル
ヤウナ適當ナ立法ヲスル方ガ宜シイカ、ソ
コノ所ハ融通無礙ニナルヤウニシテ、差當
リハ只今御述ニナリマシタヤウナ趣旨カラ
致シマシテ、輸出免稅ハ之ヲ廢止スル、斯
ウ云フ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=105
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106・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 私ハ臨時租稅措置法中ノ
第一條ノ二十四ニ付キマシテ御伺ヒ致シタ
イト思ヒマス、此ノ二十四ノ末尾ニ「特例ヲ
設クルコトヲ得」トシテアリマス、而シテ法
案ノ要綱ヲ見マスルト、國債、其ノ他主務
官廳ノ認可シタル有價證劵ヲ二月以內ニ取
得シタモノニ限ル、ト云フコトダケガ載ッテ
居リマシテ、特例ト云フコトニ付テノ御示
ガアリマセヌガ、是ハドウ云フ特例ヲ御設
ケニナルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=106
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107・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今ノ御質問ハ
臨時租稅措置法第一條ノ二十四ニ於キマシ
テ、規定シテ居リマスルヤウナ場合ニ於キ
マシテハ、法人稅法ニ依ル所得、營業稅法
ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計
算ニ付キ特例ヲ設クルコトヲ得、斯ウ云フ
書キ方デアリマスルガ、此ノ書キ方ノ例ハ
臨時租稅措置法ノ第一條ノ四ニモ前例ガア
ル書キ方デアリマスガ、此ノ實質ハ先程大
河內委員ノ御尋ノ際ニモ御答ヘシテ置イタ
通リデアリマシテ、臨時資金調整法第十五
條ノ五ノ規定ニ依リマシテ、法人ガ其ノ所
有シテ居リマスル株式ヲ讓渡セシメラレタ
場合デアリマス、例ヘバ或法人ガ他ノ法人
ノ株式ヲ持ッテ居リマシテ、其ノ記帳價格
ガ百萬圓デアッタ、處ガソレガ相當含ミヲ
持ッテ居ル株デアリマシタ爲ニ、其ノ百萬圓
ノ株全部ノ讓渡ヲ命ゼラレマシタ場合ニ於
テ時價ニ依ッテ讓渡致シマシタ處ガ、百五十
萬圓ニナッタト云フ場合ニ於キマシテ、其ノ
讓渡代金ヲ其ノ儘ニシテ置キマスレバ、ソ
コニ五十萬圓ノ利益ガ出マシテ、其ノ利益
ハ結局法人稅法ニ依ル所得ト看做サレ、營
業稅法ニ依ル純益ト看做サレ、臨時利得稅
法ニ依ル利益トモナル、斯ウナッテ參ルノ
デアリマスルガ、其ノ場合ニ於キマシテ二
箇月以內ニ國債デアルトカ、其ノ他主務官
廳ノ認可シタル有價證劵、是ハ政府保證社
債等ヲ指定シタイト思フ人デアリマスル
ガ、サウ云フモノニ換ヘマシテ百五十萬ト
シナイデ、元ノ株式ノ價格ノ百萬圓ト云フ
コトニ記帳ヲシテ置キマスレバ、ソレニ依
リマシテ、法人稅法ニ依ル所得ノ特例トシ
テ所得ニ見ナイ、營業稅法ニ依ル純益ノ特
例トシテ純益ト見ナイ、臨時利得稅法ニ依
ル利益ノ特別トシテ利益ニモ計算シナイト
云フコトニ依ッテ、法人稅モ課稅サレナケ
レバ、營業稅モ課稅サレナイ、臨時利得稅
モ課稅サレナイ、斯ウ云フ意味ナノデアリ
マシテ、其ノ書キ方ガ從來、計算ニ付特例
ヲ設クルコトヲ得、斯ウ云フ樣式ニナッテ
居ル次第デアリマス、實質ハ只今申上ゲマ
シタヤウナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=107
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108・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 御說明ニ依リマシテ大變
ナ特典ヲ與ヘラレルコトニナリマス、誠
結構ナコトト思ヒマスガ、是ハ命令ニ限ル
モノデアリマセウカ、現在ニ於キマシテ政
府ノ一部ニハ强制ハシナイ、併シ是ハ慫慂
ハスル、若シ自發的ニサウ云フ意思ヲ申出
レバ、政府ニ於テ出來ル限リノ斡旋ヲス
ル、斯ウ云フモノモ多々アルヤウデアリ
マスルガ、サウ云フモノハ此ノ特典ニハ
浴スルコトハ出來ナイノデゴザイマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=108
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109・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 法文ニアリマス
ル通リ、臨時資金調整法第十五條ノ五ノ規
定ニ基イテ命令ガ發セラレタ場合ニ限ルヤ
ウニ限定シテ居リマス、ソコデ問題ハ御話
ノヤウナ場合ニハ、成ルベク臨時資金調整
法ノ第十五條ノ五ノ發動ニ依ッテ行フ、サウ
云フコトヲスル、臨時資金調整法ニ基クサ
ウ云フ命令ヲ出スノガ不適當デアルト思フ
ヤウナ場合ニ於テハ、出來ルダケ他ノ方法
ニ依ル、慫慂ナリ勸奬ナリハ避ケルト云フ
ヤウニシテ、運用シテ參ルノガ適當デハナ
イカト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=109
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110・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 斯ウ云フ場合ニハ如何ニ
ナルノデゴザイマセウカ、例ヘバ甲ノ會社
ト乙ノ會社ト合併スル場合ニ於テ、對等ヲ
以テ一株、々々ト交換ヲスルトカ、若シクハ
甲ノ會社ガ存續シテ乙ノ會社ガ解散ヲスル、
ソレデ株ノ値段ハ等價ヲ以テ一株、々々ト
交換ヲスル、斯ウ云フ場合ト、例ヘバ又甲
ノ會社ハ十株、乙ノ會社ハ十二株ヲ以テ交
換ヲスル、斯ウ云フ場合ニ於テハドウ云フ
御取計ラヒニナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=110
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111・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 合併ノ場合ニ於
キマシテ、對等ノ合併デ一株對一株ト云フ
ヤウナ場合デアリマスレバ、ソコニ合併差
益ガ出ナイノデアリマスルガ、一株ニ對シ
テ一株以上ノ交付ヲ受ケルト云フヤウナ場
合ニナリマスレバ、合併差益ノ課稅ノ問題
ガ起ルト思フノデアリマス、尙臨時租稅措
置法第一條ノ二十四ニ規定シテ居ラナイ場
合デアリマシテモ、例ヘバ第一條ノ十八ニ
依リマシテ合併迄行カナイト致シマシテモ、
法令又ハ法令ニ基ク命令デアルトカ、或
行政官廳ノ指導、斡旋ト云フヤウナコトガ
加リマシテ、事業ノ統制ノ必要土、或資產
ヲ甲ノ法人カラ乙ノ法人ニ移スト云フヤウ
ナコトニ依リマシテ、甲ノ法人ガ乙ノ法人
ノ株式ヲ取得シタト云フヤウナ場合ニ於キ
マシテハ、私ガ先程第一條ノ二十四デ說明
シタト同ジヤウニ、矢張リ受入レマシタ有
價證劵ノ受入價額ニ付テ、元ノ價額デ記帳
シテ置イテ、强ヒテ評價益ヲ出サナイト云
フヤウナ規定ガゴザイマス、合併迄行カナ
イ途中ニ於テ、若シ官廳ノ指導幹旋等ニ
依ッテ事業ノ統制上必要ガ起レバ、其ノ救濟
ハ略〓、似タヤウナ救濟規定ガアル譯デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=111
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112・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 乙ノ會社ガ甲ノ會社ニ株
式ヲ讓渡致シマシタ場合ニ於テ、解散ヲセ
ズシテ乙ノ會社ヲ存續致シマシテ、證劵保
有會社トシテ存續シタ場合ニハ、ドウ云フ
御取扱ニナリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=112
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113・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) ソレニ付キマシ
テハ、今囘提案シテ居リマスル臨時租稅措
置法第一條ノ二十八ニ大體御申出ト似タヤ
ウナ規定ガ置イテアルノデアリマスルガ、
之ニハ條件ガ附イテ居リマシテ「法令、法
令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋
ニ依リ」コ書イテアルノデアリマシテ、法令
ニ基イテ實行シタ場合、又ハ法令ニ基ク命
令ニ依ッテ實行シタ場合、或ハソレ等ガナイ
ト致シマシテモ、行政官廳ノ指導、斡旋ニ
依ッタ場合ニ於キマシテ、株ヲ讓渡スルノデ
ハナクシテ、設備、權利ヲ讓渡致シマシテ、
相手方ノ株式ヲ取得シタト云フヤウナ場合
ニ於テ、持株會社トシテ存續シテモ宜イノ
デアルケレドモ、株主等ト致シマシテハ、
此ノ際單ニ持株會社トシテ殘ルコトハ面白
クナイカラ、解散致シタイト斯ウ云フ考モ
懷キ、又今解散シタ方ガ負擔ノ上ニ於テモ
比較的有利デアルト云フヤウナ考ガ動キマ
シタト致シマシテモ、其ノ場合ニ於テ解散
セズニ居ル、此ノ解散セズニ居ルト云フコ
トニ付キマシテモ多少ノ條件ガ附キマシ
テ、マア行政官廳ノ指導、幹旋デ解散ヲ差
控ヘサセラレタト云フ場合ニ於キマシテ、
ソコニ負擔ノ加重ト云フヤウナコトガ現レ
テ參リマスレバ、所得稅、法人稅、營業稅、
臨時利得稅ニ付キマシテ、實際負擔加重ノ
狀況ヲ見マシタ上、適當ニ輕減出來ルヤウ
ニ廣イ規定ガ與ヘラレテ居ルヤウナ次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=113
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114・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 只今ノ問題ハ能ク了解致
シマシテゴザイマスガ、個人ノ所得屆ハ三
月十五日ト云フコトニナッテ居リマスルガ、
其ノ所得ノ中、或モノハ曆年度ノ十二月末
ヲ以テ締切リ、或モノハ二月ノ末ヲ以テ締
切ルト云フコトニナッテ、大變是ハ煩雜デ
アリマスルガ、寧ロ總テノモノヲ曆年度ニ
依ッテ、十二月三十一日ヲ以テ締切ルト云
フコトヲ御取計ラヒガ出來レバ、大變納稅
者ニ於テハ便宜ト思ヒマス、二月一パイト
云フコトニナリマスルト、三月十五日迄ニ
ソレヲ調ベテ屆ケルト云フコトハ、澤山ノ
種類ノ所得者ニ付キマシテハ相當面倒デゴ
ザイマスガ、是ハ何トカ一ツ御改正ニナル
御意向ハアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=114
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115・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 只今橋本委員ノ
御述ニナリマシタ點ハ誠ニ御尤モナ點デゴ
ザイマシテ、個人ノ所得申〓ノ期限ハ三
月十五日ニナッテ居リマス、其ノ場合ニ於
テ他ノ所得ハ、最近ニ於テハ全部曆年デ、
一月カラ十二月迄ニ受取ッタモノ若シクハ
受取ルコトノ確定シタ金額ニ依ルノデアリ
マスルガ、配當ダケガ二月末迄トナッテ居
ルコトハ御指摘ノ通リデアリマス、是ガ若
シ曆年ニナルコトガ出來マスルナラバ、實
ハ三月十五日ノ申告期限ト云フノヲモウ
少シ繰上ゲマシテ、或ハ一月三十一日ト云
フヤウナコトニモ出來ルノデアリマシテ、
サウ致シマスルト、個人ノ申告ヲ徵シテ、
其ノ申〓ヲ基礎ニシテ調ベマシテ、所謂調
査委員會ニ提案スル迄ノ間ニ、餘程餘裕モ
出來マシテ、調査上モ誠ニ都合ガ宜シイノ
デアリマスノデ、稅務當局ト致シマシテハ
幾度カ其ノ改正案ヲ考へタノデアリマスルガ、
唯施行ノ初年度ニ於キマシテ、配當ガ十箇
月分ニナルト云フコトデアリマスル爲ニ、
相當配當所得ニ減ガ立ツノデアリマス、最
近ニ於キマシテハ歲入ノ增加ヲ必要トスル
事情ガ非常ニ强イノデアリマスルモノデス
カラ、改正ノ機會ニ度々考ヘルコトデハア
リマスルケレドモ、實行シ難イト云フ實情
ナノデアリマス、委員長、チヨット速記ヲ
止メテ戴キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=115
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116・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=116
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117・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 速記ヲ始メテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=117
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118・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 只今ノ内情ヲ承リマシテ
大藏省トシテハ御尤モナ點ガアルカト存ジ
マスルケレドモ、此ノ總會ノ期日ヲ一月及
ビ二月ニ行フ會社ト云フモノハ極ク僅カト
思ヒマス、恐ラク日本ノ法人ノ百分ノ一ア
ルカナイカト思フノデアリマス、大藏省ニ
於テハ御調ニナッテ居ルコトト思ヒマス
ガ、大シタ減收ニモナリマスマイシ、只今
御話ノヤウナ國民ノ或一部ヨリ非難ヲ浴ビ
セラレルヤウナコトハ私ハ全ク𣏌憂ニ屬ス
ルコトト存ジマスノデ、是ハ能ク御取調ニナ
リマシテ、成ルベク曆年デ行ヒ得ルモノデ
アルナラバサウ云フコトニ致シテ戴キタイ
ト思ヒマス、ソレハ今私ガ思ヒ付イタノハ、
現ニ地方ノ稅務署ニ於キマシテハ三月十五
日ニ屆ケルモノヲ二月十日乃至十五日迄ニ
屆ケテ貰ヒタイ、稅務署ノ方ノ吏員ガ不足
ノ爲ニ行キ屆カナイカラ一箇月以上早ク屆
ケロト云フコトヲ各町內會ヲ通ジテ一般ニ
言ウテ來テ居ル所ガアルノデアリマス、處
ガソレハ配當所得ヲ受ケルモノニ付テハ實
行不可能ナンデアリマス、單ニ營業トカ、
何トカ云フモノノミナラバ行ヘマスガ、如
何ニ三月十五日ニ屆出期日ヲ定メタガ爲ニ
稅務署ニ大變ナ苦痛ヲ與ヘルカト云フコト
ハソレデ察セラレルト思ヒマスカラ、アナ
タノ部下ノコトデモアリマスシ、能クドウ
ゾ御考ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレカラモ
ウ一ツ御尋ネシタイノデアリマス、是ハ實
ハ大臣ニ御尋ネシタイト思ヒマシタガ、ア
ナタニ御尋ネ致シマスガ、地方分與金ニ付
テデアリマス、是ハ當年ハ少シ增サレテ居
リマスガ、是モ結構ナコトデアルト思ヒマ
ス、併シ此ノ分與金ノ率ヲ大變引下ゲラレ
テ居リマス、是ハ收入ガ增スカラシテ當然
ノ措置ト思ヒマスガ、大藏大臣ノ御希望ノ
ヤウニ、此ノ遊興飮食稅ノ如キモノガ非常ニ
自肅ニ依ッテ激減ヲシタ場合ニ於テハ、此ノ
率ノモノニ於テハ豫定ノ分與金ト云フモノ
ハ出テ來ナイト思ヒマス、萬一サウ云フ場
合ニ於キマシテハ是ハドウ云フ措置ヲ御執
ニナルノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=118
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119・松隈秀雄
○政府委員(松隈秀雄君) 前段ノ問題デア
リマス配當ノ課稅ノ期間ヲ曆年ニ改メマス
ルコトニ付キマシテハ、會社ニ於キマシテ
ハ十一月及ビ十二月決算ノ會社ノ數ガ相當
ゴザイマス、十一月決算ガ濟ミマシテモ、
少シ大キナ會社デアリマスルト云フト、株
主總會ガ一月ニ行ハレ、十二月決算ノ終了
シタモノハ一月乃至二月ト云フコトデアリ
マスルノデ、今正確ナ數字ハ持ッテ居リマセ
ヌガ、相當ノ數字ニ相成ルノデアリマスル
ノデ實行上ノ困難ヲ感ジテ居ル次第デゴザ
イマス、尙稅務署ニ於キマシテハ非公式ニ
二月ノ十五日若シクハ二月末位ニ所得ノ申
告ヲスルヤウニト云フコトヲ申シテ居ルモ
ノガアルヤウナ御話デゴザイマスガ、是一
恐ラク配當ニ關係ノナイ人デアッテ、營業ノ
純益等ニ付キマシテ出來ルダケ早ク本人ノ
申〓ヲ徵シテ調査ヲ進メル方ガ相互ニ便宜
デアルト考ヘラレマスル場合ニ於キマシテ、
營業ノ方ハ一月カラ十一一月デアリマスルカ
ラ、二月頃デアリマスレバ大體帳簿ヲ締
切ッテ利益モ出ルカモ知ラヌ、斯ウ云フコト
カラ交渉シテ居ルノデアラウト思フノデア
リマス、配當ニ關係ガアリマスルモノニ付
テ繰上ゲテ申告ヲ慫慂スルト云フコトハ勿
論宜シクナイコトデアリマスノデ、其ノ點
ニ付テハ注意ヲ致シタイト思ッテ居リマス、
次ニ地方分與稅ニ付テノ御話デアリマスガ、
配付稅ニ付キマシテハ今囘遊興飮食稅ノ附則
ヲ以テ配付割當ヲ變更シテ居リマスルガ、ソ
レハ御話ノ通リ遊興飮食稅、入場稅等ガ增徵
ニナリマシタノデアリマスルガ、是ハ臨時軍事
費財源ニ繰入レマスル爲ノ增徵デアリマスルノ
デ、此ノ際地方團體ニ特ニ餘分ノ金ヲ與ヘル
ト云フ趣旨ハゴザイマセヌカラシテ、大體ニ
於キマシテ從來ト同ジ程度ノ金額ガ地方團
體ニ配付サレマスルコトヲ目安トシマシテ
率ヲ引下ゲタノデアリマスルガ、併シ今年
度ニ於キマシテハ地方財政需要ガ增大シテ
參ッテ居ル事情モ或程度加味シマシテ、例へ
バ戰時勤勉手當等モ地方團體ニ於テモ支給
スルコトニ相成ッテ居ルヤウナ事情モゴザ
イマスルノデ、ソレ等ノ點ヲ加味致シマシ
テ、ソレカラ臨時利得稅法ノ改正租稅措置
法ノ改正ニ伴ヒマシテ營業稅ガ減少致シマ
スルノデ、ソレ等ノ影響モ或程度考慮ニ入レ
マシテ、追加豫算ニ於キマシテ三千二百萬
圓程ノ金額ヲ別途ニ增ス程度ノ考慮ハ拂ッ
テ居ルノデアリマス、尙遊興飮食稅ガ今後
ニ於キマシテ消費ノ節約、其ノ他ノ理由ニ
依ッテ減ッテ參ルト云フコトニナリマシタ場
合ニ於キマシテ、ソレニ相應シテ必ズ地方
ノ歲出ガ減ラヌト云フヤウナ場合ニ於キマ
シテハ、是ハ今後ノ問題トシテサウ云フ情
勢ガ出マシタ場合ニ考慮スベキコトデアッ
テ、或程度ノ增減ハ是ハ決算的ニ補整サ
レルノデアリマスガ、其ノ減リ方ガヒドク
シテ、地方財政ガ非常ニ困難ヲ生ズルト云
フコトニナリマスレバ更ニ分與率ノ問題ト
シテ考慮サレルヤウナ時期モ參ルカトモ思
ヒマスガ、ソレハ今後ノ推移ヲ見タ上デナ
イト何トモ申上ゲ兼ネル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=119
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120・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 他ニ御質問ゴ
ザイマセヌカ、御質問ハ是デ大體終了致シ
タコトニ致シテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=120
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121・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 異議ナイト認
メマス、ソレデハ是ヨリ討論ニ入リタイト
存ジマス、討論ニ付キマシテハ發言ノ御通
告ガゴザイマシタカラ御通〓ノ順ニ依ッテ
御許ヲ致シマス、西尾子爵発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=121
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122・西尾忠方
○子爵西尾忠方君 付託サレマシタ臨時利
得稅法中改正法律案外十一件ノ各案ニ付テ
贊成ヲ致シマス、今ヤ戰局ハ愈〓決戰段階
ニ入リ、國家總力ヲ擧ゲテ戰力ノ增强ノ爲
ニ集中スベキハ申迄モナク、從ッテ之ニ對應
シテ戰時財政ノ需要モ膨脹ノ一途ニアリマ
ス、是ガ爲ニ今囘政府ハ間接稅ヲ中心トス
ル增稅ヲ行ハレテ消費ノ抑制、購買力ノ吸收
ヲ圖ルト共ニ、國庫收入ヲ增加シ、之ヲ以
テ臨事軍事費ノ財源ノ一部ニ充當セラレル
コトデアリマシテ、時局下緊要適切ナル御
提案ト存ジ、各案トモ原案通リ贊成ヲ致シ
マス、唯一言此ノ際希望ヲ申添ヘテ置キタ
イト存ジマス、ソレハ臨時租稅措置法中改
正法律案ニ付テデゴザイマス、卽チ本案ノ
內容ヲ檢討致シマスト、當今木材ノ增產ヲ
阻害スル虞ガ少クナイノデアリマシテ、又
將來森林造成ノ進捗ヲ妨グルノ嫌ヒモアル
カト存ジマスシ、仍テ政府ハ森林事業ノ特
殊性ニ鑑ミラレマシテ、將來稅率ノ引下、
補助金ノ支出等、適切ナル御考慮ヲ拂ハレ
ムコトヲ望ム次第デゴザイマス、又本案ノ
成立ニ對シマシテハ、前述ノ趣旨ニ基キマ
シテ平常所得ノ決定ニ付、施業案又ハ伐採計
畫ヲ有セザルモノニ對シテハ、增產ヲ容易ナ
ラシムルヤウニ、昭和十一年ヨリ十二年ニ
亙ル間ノ全國平均伐採量ヲ基礎トシテ之ヲ
決定セラルヽヲ至當ト認メマス、以上一言
申添ヘテ置キマスカラシテ、何卒政府ニ於
カレマシテハ十分此ノ點ヲ御考慮下サラバ
誠ニ仕合セト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=122
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123・岩村一木
○男爵岩村一木君 私モ本委員會付託法案
全部ニ付キマシテ贊成ヲ致シマス、殊ニ西
尾子爵ヨリ强調セラレマシタ山林所得關係
ノコトニ付キマシテハ、現下木材ノ增產ハ
需給事情等カラ考ヘマシテ、私ノ考ト全
ク同意見デゴザイマス、將來政府ハ此ノ山
林所得ノコトニ付キマシテ、戰時下殊ニ御
留意ノ上、御努力ヲ願ヒタイ、斯ウ云フ希
望ヲ致シマシテ、全法律案ニ付キマシテ贊
成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=123
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124・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 戰時下ニ於ケル租稅政策
ト致シマシテハ、一般納稅者ノ懷ニ深ク立
入リ、或感情ヲ挑發スルガ如キコトハ、擧
國一致ヲ要スル必要ヨリシテ、努メテ是ハ
避ケナケレバナラヌト思ヒマス、デ戰時ニ
於キマシテノ租稅ト云フモノハ、租稅論ト
シテ、若シクハ社會政策トカ、若シクハ學
者ノ說トカ云フ如キモノニ拘泥スル必要ガ
ナイノデアリマス、而シテ比較的徵稅ガ簡
易ニシテ、納稅者ニ何等ノ苦痛ヲ與ヘズ、
納稅者自ラ喜ンデ稅ヲ負擔ヲスルト云フ種
類ノ稅ヲ選ブノガ、最モ賢明ナル政策デア
ルノデアリマス、是ハ間接稅ヲ措イテ他ニ
ハナイノデアリマス、今回ノ御發案ガ悉ク
間接稅ニ基礎ヲ置イテ居ラレマスル點ニ於
キマシテ、私ハ喜ンデ此ノ增稅案全般ニ對
シテ贊成ヲ致シマスノデゴザイマス、唯
二點政府ノ御考慮ナリ、御注意ヲ促シタイ
ト思フコトガアリマス、ソレハ國民所得ト
生活費ノ問題デアリマス、國民所得ハ政府
ノ言明ニ依リマスレバ、十八年度ニ於キマ
シテハ五百億圓ト云フコトデアリマス、
而シテ此ノ國民所得ニハ狹キ意味ニ於ケル
所ノ外地ヲモ包含シテ居ルト云フ御說明デ
アリマシタ、サウ致シマスルト、內地及ビ
狭キ意味ニ於キマスル外地ノ人口ハ約一億
デアリマス、玆ニ於キマシテ國民所得ノ五
百億ヨリ公債、租稅其ノ他事業資金等ヲ控
除致シマシタル殘餘ノ百三十億トナルノデ
アリマス、一億ノ人間ニ之ヲ割當テマスル
ト、一人當リ一箇月ニ十一圓バカリニ過ギ
ナイノデアリマス、物價ノ非常ニ低廉ナル
時代ニ於キマシテハ、此ノ程度ニ於キマシ
テモ生活ハサホド困難デナカッタカト思ハ
レルノデアリマスガ、今日ハ物價ニ於キマ
シテハ公定價格ガアリマスルガ、事實是ハ
一ツモ行ハレテ居ラナイノデアリマス、甚
シイモノハ公定價格ノ五倍十倍ニ上ルモ
ノモ敢テ稀ナリトセヌノデアリマス、玆
於キマシテ非常ニ國民ノ生活費ニ割當テラ
レルト言ヒマスルカ、見積ラレルト云フ額
ハ非常ニ僅少ノヤウニアリマシテ、部
對シマシテハ、之ニ對シテドウ云フ考ヲ
持ッデアラウカト云フコトヲ私ハ憂ヘルノデ
アリマス、元來統計ダトカ、又其ノ國ノ歷
史ノ如キモノハ、其ノ時ノ要請ニ應ジテ適
當ニ作爲シテ可ナルモノデアリマス、宜シ
ク此ノ統計ノ如キモノモ、國民所得ヲ五百億
ト云フコトヲ言ハズシテ、八百億ト言ヒ、千
億ト言ッテモ一向私ハ差支ナイト思ヒマス、
玆ニ於キマシテ一人當リノ生活費ト云フモ
ノハ割合ニ裕カニナリマシテ、非常ニ國民
ニ安心ヲ與フルト同時ニ、敵國其ノ他ノ中
立國ニ對シマシテモ、大變ナ國ノ信用ヲ增
スト思フノデアリマス、其ノ點ニ付キマシ
テ今後國民所得ヲ計算スル上ニ於キマシテ
ハ先程私ガ申上ゲテ置キマシタガ、俸給
生活者及ビ勞働者ノ賃銀等ノ統計ガ非常ニ
脫漏シテ居リハセヌカト云フコトヲ申上
ゲマシタ、是等ノモノヲ十分御集メニナリ
マシテ、適當ナ額ニ之ヲ引上ゲルト云フコ
トガ最モ必要ト思ヒマス、是ハ前ニモ斯ウ
云フ場合ニ於キマシテ其ノ例ガ多々アルノ
デアリマス、日露戰爭ノ半バニ於キマシテ
茨城縣ト栃木縣トノ中央ニ連亙スル八溝金
山ト云フノガアリマシタ、之ニ二十億トカ
三十億ノ金ガ出ルト云フコトヲ唱ヘラレタ
コトモアリマス、又近クハ臺灣ノ「タッキリ」
溪ニ二十億ノ金ガアルト云フコトヲ、日本
ニ金ノ最モ必要ヲ痛感シテ居ル時代ニ唱ヘ
ラレタコトモアリマス、斯ウ云フ國民所得
ノ如キ統計ニ付キマシテハ、政府ニ於キマ
シテ十分ナル一ツ御考慮ヲ願ヒタイト思フ
ノデアリマス、ソレカラ其ノ次ハ軍事費デ
アリマスルガ、軍事費モ當面ハ豫備費共ニ
加ヘマシテ大變ナ巨額ニ達シテ居リマス、
殊ニ其ノ豫備費モ相當ナル我々曾ッテ經驗ノ
ナイヤウナ巨額デアリマスルガ、戰爭ト云
フモノハ一方的ノモノデハナイノデアリマ
ス、敵ノ出方如何ニ依ッテ我モ之ニ對應スル
所ノ態勢ヲ整ヘナケレバナラナイノデアリ
やっく、元來豫算ト云フモノハ其ノ當時ニ於
テ見透シ得ル範圍內ニ於テ見積ラレタモノ
デアリマス、處ガ戰爭ニナリマスルト、相
手ノ出方如何ニ依リマシテ如何ニ之ニ對ス
ル方策ヤ態度ヲ變更シナケレバナラヌカト
云フ不測ナ事柄ガ發生スルト云フコトハ、
是ハ何人モ豫期シ得ルコトデアリマス、ソ
レ故ニ豫算ヲ編成スル場合ニ於キマシテハ、
勿論物資トカ勞力其ノ他ノ點ヲ考慮致シマ
シテ、消化ヲ爲シ得ベキ確實ナル程度ニ於
テ見積ルノガ當然デアリマスルガ、尨大ナ
ル此ノ豫備費ヲ計上致シマシテ、何時デモ
國債ノ發行ヲ爲シ得ル權能ヲ政府ニ於テ
持ッテ居ル必要ガ、此ノ戰時下ニ於テハ最
モ私ハ其ノ必要ヲ感ズルノデアリマス、次
ニ國債ノ消化ニ付キマシテ一言述ベタイト
思ヒマス、私共ハ國債ノ消化ハ決シテ前途
何等不安ノナイト云フコトヲ信ズルノデア
リマス、大藏大臣モ其ノ點ニ付キマシテ言
葉ヲ極メテ强ク力說セラレタノデアリマ
ス、如何ニモ其ノ通リデアリマス、燃ユル
ガ如キ國民ノ愛國心ヨリ迸ル所ノ忠誠心ニ
俟ット云フコトハ私等モ同感デアリマ
ス、無論其ノ通リニ違ヒナイノデアリマス
ルケレドモ、政治ト致シマシテハ、單ニサ
ウ云フ觀念論ニノミ拘泥致シマシテ、サウ
シテ安心ヲ致シマシテ、公債ノ信用ヲ高
メ、國民ニ喜ンデ之ニ飛立ッテモ持ツト云フ
ヤウナ方法ヲ何等講ジヌト云フコトハ、政
治トシテハ如何カト私ハ思フノデアリマ
ス、此ノ點ニ付キマシテ特ニ政府ノ御考慮
ヲ煩シタイト思フノデアリマス、ソレカラ
戰爭ノ進展スルニ從ヒマシテ、今後軍事費
ハ益〓膨脹スルト云フコトハ是亦疑ヒナイ
コトデアリマスガ、昔ノ戰爭ト申シマシテ
シテモ、十九世紀時代ニ於キマシテハ戰費
ハ主トシテ公債ニ依存シタモノデアリマス、
併シ近代ノ戰爭ニ於キマシテハ公債ト租稅
トヲ併用致シテ居ルト云フコトデアリマシ
テ、今後我々ハ必ズヤ其ノ增稅ト云フコト
ヲ覺悟シナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、此ノ增稅ニ付キマシテ政府ニ於キマシ
テモ、明年度ノ豫算ヲ編成スル場合ニ於テ
其ノ時ニ適應スルヤウナ工作ヲ執ラルルト
云フコトハ私ハ疑ハナイノデアリマスケ
レドモ、大藏省ハ過去ニ於キマシテハ動
モスレバ直接稅ト間接稅トノ比例ガ接近シ
タノハ非常ニ財政上是ハ賀スベキコトト
云フヤウナ考ヲ御持チニナッテ居ラレル方
モ多々アルヤウニ聽イテ居リマシタガ、是等
ハ平時ニ於キマシテハ其ノ通リデアリマス、
今ハ戰爭中デス、非常時デアリマス、サウ
云フヤウナ權衡論ハ一擲セラレマシテ、主
トシテ私ハ間接稅ニ重キヲ置カレルコトヲ
希望致スノデアリマス、何トナレバ直接
稅ナルモノハ、之ヲ得ル所ノ人ガ其ノ所得ヲ
以テ事業ノ擴張資金等ニ振リ向ケル傾向ガア
ルノデアリマス、益〓我ガ國際ノ事業ハ此ノ際
擴張ヲシナケレバナラヌ、餘リ直接稅ニ高
イ稅ヲ課シマシテ、事業資金迄モ奪ヒ去ル
ト云フコトハ、是ハ實ニ愼シムベキコトト
思フノデアリマス、又一般ニ曾テ持タザル
者ガ懷ガ豐ニナリマスト云フト、物資慾ガ
玆ニ擡頭致シマシテ、自分ガ欲シイト思ッテ
羨望致シテ居リマシタモノヲ、價格ヲ問ハ
ズ之ヲ買取ルト云フヤウナコトハ現ニ行ハ
レテ居リマス、是ハ人情ノ免レヌ所デアリ
マシテ、强ヒテ咎メル必要ハナイノデアリ
マスルケレドモ、是等ノ人々ノ收入ハ今日
少カラズ增加ヲ致シテ居リマス、ソレ故
ニ動モスレバ浪費ニ走ルト云フヤウナ傾
向ガ十分認メラレルノデアリマスカラ、今
後增稅計畫ヲ立テラルヽ場合ニ於キマシテ
ハ、ヨク〓〓當時ノ事情ヲ直感セラレマシ
テ、·政治ハ現實デアルト云フ立場ニ立チマ
シテ、直接稅ニ依ルニシロ、又間接稅ニ依
ルニセヨ、餘リ無理ノナイ、世間ノ非難ノ
ナイ適當ナル良案ヲ樹立セラレムコトヲ希
望致シマスル次第デアリマス、次ニ昨年ノ
直接稅ノ增徵ニ依リマシテ、課稅負擔ハ相
當上ッテ居ルノデアリマス、其ノ課稅ノ査定
ニ當リマシテ爬羅剔抉、重箱ノ隅ヲホジク
ルヤウナコトハ努メテ避ケラレマシテ、餘
リ苛酷ニ亙ラヌヤウナ態度ニ出ヅルベク部
下ニ十分ニ注意ヲ促サレムコトヲ希望致シ
いく、ソレト同時ニ收稅吏諸君ハ其ノ激務
ニ比シマシテ待遇ガ甚ダ薄イト云フコトデ
アリマス、好イ待遇ヲ與フルニ非ザレバ優
秀ナル人ヲ揃ヘルト云フコトハ困難デア
リマス、殊ニ近來ハ人ガ非常ニ少クシテ、
少シク能アル人ハ各方面カラ引拔カレルト
云フ有樣デアリマシテ、收稅吏中ニ於キマ
シテモ相當役ニ立ツ人ハ外ニ轉出スル人ガ
多々アリトシナイカト云フコトヲ憂ヘマス
ルノデ、出來得ル限リ其ノ待遇ヲ改善セラ
レルコトヲ希望致ス次第デゴザイマス、右
贊成ノ理由ト同時ニ、私ノ考ヘテ居リマス
ル意見ノ一端ヲ述ベマシテ、玆ニ私ノ贊成
ノ意見ヲ表明致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=124
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125・東郷安
○男爵東郷安君 私ハ既ニ御述ニナリマシ
タ各位ト同ジク、本案全部ニ贊成ヲ致スモ
ノデアリマス、今月迄本委員會ニ於テ質疑
應答ヲ承リマシタ際ニ、一、二氣付イタコト
ガアリマスカラ、此ノ際卑見トシテ申述べ
テ置キタイト存ジマス、第一ハ先般來大
藏大臣ガ貴衆兩院ニ於テ特ニ强調シテ居ラ
レル、決戰態勢下ニ於ケル財政運用ノ目標、
指導方針、本委員會ニ於テハ去ル二月十八
日第二囘ノ委員會ニ於ケル劈頭ニ於テ、大
河內子爵ノ質問ニ對シテ答ヘテ居ラレル、
所謂日本ハ今後勝タネバナラナイ、絕對ニ勝
タナケレバナラナイ、斯ウ云フコトニ付テ
縷々申述ベラレタノデアリマス、此ノ信念、
此ノ迫力ニ付テハ、我々ハ無條件ニ贊成ノ
意ヲ表シ、敢テ追隨シタイト存ジテ居ル次
第デアリマス、ケレドモ申ス迄モナク、今次
ノ國際戰局ノ將來ハ、所謂極メテ複雜怪奇
ナモノデアッテ、絕對ノ勝利或ハ敗北ト云フ
コトガアリ得ルカドウカト云フコトハ、識
者ノ間ニ旣ニ種々議論サレテ居ル所デアッ
テ、場合ニ依ッテハ、勝利デモナク、敗北デ
モナイ、其ノ間ニ、非常ニ範圍ノ廣イ種々
ナ場合、日本ニ取ッテ必ズシモ有利デナイ場
合モ考ヘラレルノデアリマス、卽チ俗ナ言
葉デ言ヘバ勝敗何レトモ決セズ、グズ〓〓
ニ終ル、サウシテソレガ非常ニ長イ時間
ガ掛ル、又或說ニハ、來年ニデモナレバ
雙方トモ物資缺乏シテ停戰ノ已ムナキニ至
ルノデハナイカト云フ說迄モ流布サレテ居
ル譯デアリマス、其ノ間ニ處スル日本財政
ノ運用方針ト云フモノハ、今日カラ餘程考
ヘテ行カナケレバナラヌト思フ、此ノ點ニ
付テハ、先程橋本委員ノ御說ノ中ニモ一
點相通ズル點ガアッタト存ジマス、此ノ點ニ
付キマシテ我々ハ、我々ノ立場トシテ色
色ノ場合、殊ニ惡イ場合ヲ想像シテ置カネ
バナラヌ、ソコニ私共ノ𣏌憂ガアルノデア
リマス、此ノ點ニ付テハ、ドウゾ政府當局
トシテモ、今後トモ更ニ一層ノ御留意、御
〓究ヲ願ハシイト存ズル次第デアリマス、次
ニ將來ノ財源ニ關スル問題デアリマス、卽
チ戰爭ノ長期化、戰費ノ擴大ニ伴ヒマシテ、
更ニ今後トモ新タナル財源ヲ求メル必要ガ
アル場合デアリマスルカラ、本委員會ニ於
テハ問題ニナリマセヌデシタガ、彼ノ最近
簇出シテ居ル國策會社、統制會社、營團等
ニ對スル減免稅ノ特點ヲ再檢討スル必要ガ
アルノデハナカラウカ、之ニ對シテハ衆議
院ニ於テ質疑應答ガアリマシタ、主稅局長
カラ明確ナル御答辯ガアリマシタカラ、玆
ニ私ハ繰返シマセヌガ、本院ニ於テモ亦此
ノ希望ナリ御〓究ナリヲ願フト云フコトヲ
一言此ノ際申添ヘテ、將來ノ御參考ニ供シ
タイト存ジマス、第三ニハ、酒稅法中ニ於キ
マス卽チ第二十七條ノ三「大藏大臣ノ定ム
ル用途ニ充ツル爲命令ノ定ムル所ニ依リ」一
云々ト、之ニ依リマシテ〓酒、合成〓酒、燒酎
及麥酒ノ特配ヲシ、特別ノ廉價ヲ以テ產業
戰士ヲ優遇スルト云フ案デアリマスルガ、是
ハ前日モ質問應答デ明カニナリマシタ通リ、
政府當局ニ於テモ斯カル特典ヲ戰時下必要
ト認メテ制定ハスルモノノ、其ノ重要產業
ニ從事スル產業戰土ノ範圍ヲ限定スルト云
フコトハ、種々ナ困難モアルダラウ、又是ガ
取締及其ノ手續ノ、場合ニ依ッテハ闇ノ橫行
モ絕滅シ難イト云フ所ニ種々御苦心ガアル
コトヲ了承致シマシタ、私共モ全クサウデ
アルト思ヒマス、是ダケカラ見マシテモ本
案ノ此ノ點ガ果シテドノ程度ニウマク實行
サレルカト云フコトニハ、多大ノ危惧ヲ持ッ
テ居ルノデアリマス、ノミナラズ租稅理論
ノ面カラ此ノ點ヲ考ヘマシテモ、今囘ノ增
稅案ノ主眼トスル所ハ、申ス迄モナク購買
力ノ吸收、消費節約ニ加ヘテ、國庫ノ增收
ヲ圖リ、財政ノ强化ヲ圖ルト云フノデアリ
マスルガ、今日ハ御承知ノ如ク最早金デナ
イ、物ノ世ノ中ダト言ハレテ居ル位デアリ
マシテ、金ハアルケレドモ物ガ不足シテ居
ルト云フノデアリマス、實際私共ガ昨年ノ
秋貴族院カラ造船所、鑛山、製鐵所其ノ
他重要產業ヲ實際ニ視察シテ見マシタ結果
ニ依リマシテモ、彼等產業戰士ハ金ハアル
ノダ、併シ物ガ不足シテ居ル、地下足袋ダ
トカ、酒ダトカ、衣服ダトカ、種々ナル物
ガ不足シテ居ル、金ガナイノヂヤナイノダ
ト云フノガ現狀デアリマスルカラ、今是等
ノ者ヘ物資ヲ餘分ニ配給シ、更ニ價格ヲ低
クシテヤラレルト云フコトハ重ネ〓〓ノ特
典デアリマシテ、彼等ヲ優遇ノ方法トシテ
誠ニ一應ハ御尤モナ施設デアルト存ジマス
ルケレドモ、又飜ッテ反面カラ考ヘテ見マス
ルト、彼等ハ潤澤ニ、比較的潤澤ニ賃銀ヲ得
テ居ッテ、從ッテ物資ガ比較的豐富ニ配給セ
ラレル結果彼等ノ購買力ノ放出トナリ、消
費ノ促進奬勵トモ考ヘラレナイデハナイノ
デアリマス、若シ夫レ間接稅本來ノ性格ノ中
ニ、マダ幾分トモ社會政策的ノ意味ガ殘ッ
テ居ルトスルナラバ、是等惠マレタ方面ノ
產業戰士ニ特典ヲ與ヘラルヽヨリハ、却テ
時局ニ惠マレナイ方面、卽チ平和產業ニ從
事シテ居ル者トカ、若シクハ轉廢業ヲ餘儀
ナクサレテ居ル勞務者階級ニ與ヘルベキデ
アラウト考ヘラレルヂヤナイカト思フノデ
アリマス、ソコデ政府ハ今囘酒類ノ大幅値
上ヲシマシテ、是等一部ノ階級ノ者ヘ便宜
ノ措置ヲ與ヘルコトハ誠ニ結構ナコトデア
リマスルケレドモ、先程申上ゲマシタ通リ、
餘リニ其ノ範圍ヲ限定スルコトハ困難デアッ
テ、取締ヲスルコトニ困難ヲ感ズルト同時
ニ、弊害モ生ズルト云フコトデアルノミナ
ラズ、元來本法ヲ制定スル狙ヒ所ト云フモ
ノハ消費ノ節約、購買力ノ吸收ト云フコ
トデアルトスレバ、此ノ國策ニハ少クトモ
反對ノ方向ニ向ッテ居ル、ダカラシテ私共
ハ其ノ豐富ナ配給ダケデ澤山デハナイカ、
極言スレバ此ノ案ハ少シ行過ギデハナイカ、
所謂過ギタルハ及バザルニ如カズト云フヤ
ウナ感ヲ深クスルノデアリマス、何レニシテ
モ此ノ案ノ實行ニハ相當ノ注意ヲ要シ、其ノ
實施ニ付テハ當局トシテハ十分注意シテ、今
後ノ運用ヲ誤ラレナイコトヲ此ノ際特ニ希
望シテ、私ノ卑見ヲ終ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=125
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126・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 他ニ御發言ハ
アリマセヌカ、御異議ガナケレバ採決ニ入
リタイト思ヒマスガ、御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=126
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127・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) ソレデハ採決
ニ入リマス、臨時利得稅法中改正法律案外
十一件ヲ全部ヲ一括シテ議題ニ供シマス、
全部原案通リデ以テ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=127
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128・酒井忠正
○委員長(伯爵酒井忠正君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ十二件ノ法律案ハ全部可決
スベキモノト決定致サレマシタ、ソレデハ
之ヲ以テ特別委員會ヲ閉ヂマス、散會ヲ致
シマス
午後四時五十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵酒井忠正君
副委員長男爵東〓安君
委員
公爵德川家正君
公爵二條基弼君
侯爵井上三郞君
子爵大河內輝耕君
子爵西尾忠方君
子爵梅園篤彥君
子爵綾小路護君
子爵牧野康熙君
小倉正恒君
柴田善三郞君
男爵岩村一木君
男爵益田太郞君
男爵島津忠彥君
男爵倉富鈞君
坂野鉄次郞君
唐澤俊樹君
安宅彌吉君
野村德七君
橋本辰二郞君
松本勝太郞君
中島德太郞君
岩田三史君
中野敏雄君
國務大臣
大藏大臣賀屋興宣君
政府委員
大藏省總務局長迫水久常君
大藏省主計局長植木庚子郞君
大藏省主稅局長松隈秀雄君
大藏省書記官池田勇人君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008103751X00519430223&spkNum=128
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