1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月四日（木曜日）午前十時十八分開議
出席委員左の如し
委員長 松岡俊三君
理事 高城憲夫君 理事 遠山暉男君
理事 松浦周太郎君
伊吹元五郎君 池崎忠孝君
大村直君 小松茂藤治君
竹内俊吉君 野田正昇君
樋口善右衞門君 一松定吉君
船渡佐輔君 星一君
米田吉盛君
同日委員中村梅吉君辭任に付其の補闕として森田重次郎君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
文部大臣 橋田邦彦君
出席政府委員左の如し
文部次官 菊池豐三郎君
文部省總務局長 藤野惠君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案（政府提出）
義務教育費國庫負擔法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=0
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001・松岡俊三
○松岡委員長 ·前會ニ引續イテ是ヨリ開會
致シマス、質問ヲ繼續致シマス-竹內君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=1
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002・竹内俊吉
○竹內委員 成ルベク簡潔ニ要點ダケ申上
ゲテ政府ノ御所見ヲ承リタイト思ヒマス、
我ガ國〓育ノ基本ハ〓育勅語ノ御精神ヲ
奉戴シテ、皇國ノ道ニ則リ忠良ナル臣民トシ
テノ鍊成ニアリマスコトハ申スマデモナイ
ノデアリマス、其ノ基本ニ基イテナサレル
〓育活動ノ實際的任務ハ、國ノ繁榮發展ノ
爲ノ〓育デナケレバナラヌト云フコトモ亦
申上ゲルマデモナイコトデアリマス、私ハ其
ノ〓育ノ實際的任務ト云ヒマカ、或ハ〓育
ノ昂揚ト云ヒマスカ、其ノ觀點カラ〓育施
策ノ根本條件ト考ヘラレマスル事柄ノ二三
ヲ御尋ネ致シタイト思ヒマス
其ノ第一ハ、〓育ガ國家諸般ノ計畫ト步
調ガ伴フ如クニ、モツト計畫化サレナケ
レバナラヌト云フコトデアリマス、此ノ點
ニ關シテハ文部當局ニ於テハ色々御苦心ヲ
ナサレ、色々施策ヲサレテ居ルニ拘ラズ、我
ガ國ノ〓育體制ハ國家ノ諸般ノ計畫ト步調ヲ
共ニスルト云フ域ニマデ達シテ居ナイガ如
クニ感ズルノデアリマス、國家ノ產業計畫、
國土計畫防衞計畫、保健衞生計畫、對外計
畫、或ハ勞務動員計畫、是等ノ國家諸般ノ計
畫ト〓育體制トガ步調ガ合ハナイガ爲ニ生ジ
テ居ル所ノ色々ノ部面ノ不都合ガアルヤウ
ニ見エルノデアリマス、此ノ點ヲ政府ハド
ウ御考ヘニナツテ居ラレマスカ、言葉ヲ換
ヘテ申セバ、〓育ガ國家ノ要請スル所ヲ滿
タス爲ニ積極的計畫ガ必要デアルノデアリ
マスガ、今囘ノ學制改革ハ文部省トシテハ
非常ナ英斷デアリ、我ガ國〓育體制ニ於ケ
ル劃期的出來事デアリ、〓育ノ計畫化ヲ一
ツノ目的トシタ〓育ノ改革案デアルニ相違
アリマセヌケレドモ、併シナガラ之ヲ以テ
〓育ガ著シク計畫化サレタトハ受取レナイ
點ガ多々アルノデアリマス、例ヘバ修學年
限短縮ハ確カニ時局ノ要請ニ應ズル途デハ
アリ、其ノ效果モ大キイノデアリマスルケ
レドモ、併シ年限短縮ニ依ツテ其ノ〓育ヲ
受ケル人間ノ性能ガ變ル譯デハ勿論ナイノ
デス、法科出ノ者ハヤハリ法科出ノ者トシ
テノ性能ニハ變リガナイノデアリマス、併
シ國家ガ只今〓育ニ要請シテ居ル最モ具體
的ナル條件ノ一ツハ、〓育ニ依ツテ國民ノ
性能ヲ國家諸般ノ計畫ニ應ズルガ如クニ早
ク多ク育テテ欲シイト云フコトデアラウト
考ヘマス、詰リ今度ノ學制改革ハ要スルニ
縱ノ整備トシテハ非常ニ有效デモアリ、劃
期的ノモノデハアリマスケレドモ、〓育體
制ニ於ケル橫ノ整備ノ計畫ガ足リナイノデ
ハナイカト思フノデアリマス、尤モ此ノ方
面ニ於テモ文部當局ハ色々御苦心ヲサレテ、
技術ヲ重視スルノ建前ヲ御執リニナリ、理
工科系統學校ノ增設及ビ收容人員ノ增加ヲ
圖ラレテ居ラレマスコトハ承知シテ居リマ
スルガ、其ノ理工科學校ノ增設及ビ收容人
員ノ增加其ノモノヲ見マシテモ、ソレガ果
シテ現在ノ國家ノ產業、或ハ勞務計畫等ノ
吸收力ニ卽應シタ計畫デアルカドウカハ甚
ダ疑ハシイト思ヒマス、斯樣ナ意味ノ〓育
ノ計畫化ニ付テ、文部大臣ハドウ御考ヘニ
ナツテ居リマスカ、現狀ヲ以テ〓育ガ國家
諸般ノ計畫ニ卽應シ得ルモノト御考ヘニナ
ツテ居リマスカ、或ハ〓育體制ノ計畫化ニ
付テ、財政其ノ他ノ方面ニ關聯ンテ直チニ
行ハレ難イトシテモ、斯ウ云フコトヲシタ
イト云フヤウナ構想乃至ハ音圖ヲ御持チデ
アリマスナラバ、成ベク具體的ニ御答ヘヲ
願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=2
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003・橋田邦彦
○橋田國務大臣 只今ノ御質問ハ〓育ノ國
家的ナ意義ニ於ケル計晝性ノ樹立、又ソレ
ニ付テノ方針等ニ付テノ御質問ト拜承致シ
マシタ、戰時下ニ於キマシテハ近キ將來ヲ
見透シテ各〓ノ職域ニ於ケル人材ノ要求ヲ出
來ルダケ滿タスヤウニ〓育ヲシナケレバ
ナラヌコトハ勿論ノコトデゴザイマス、
ソレニ向ヒマシテハ國家ノ色々ナ計畫ニ
卽應スル如ク〓育ニ計畫性ヲ持タセナケ
レバナラナイコトハ御話ノ通リデアリマ
ス、然ル所未ダ〓育計畫ガ實際ニ其ノ
ヤウナ需要ニ卽時間ニ合フ所マデ來テ居ナ
イ事柄ニ付テハ甚ダ遺憾ニ思ツテ居ルノデ
アリマシテ、切々其ノ方向へ向ツテ計畫ヲ
進メタイトハ考ヘテ居ルノデアリマスガ、
只今ノ學校施設ヲ以テシマシテハ、例ヘバ、
或ル方面ノ要求ナドニハドウシテモ到底應
ヘラレナイト云フヤウナ面モ多々アル、其
ノ點ニ於テ出來ルダケ擴充々々ヲ致シマシ
テ、例ヘバ工學方面ノ人材ノ養成ナドハ戰
前ニ比ベマスト倍以上ニモナツテ居ルノデ
アリマス、併シナガラ施設ヲ出來ルダケ利用
ハシテ居リマスルケレドモ、尙ホ其ノ上其ノ
上トノ要求ガアルノニ如何ニシテ應ヘルカ
ト云フコト、而モ資材ノ逼迫シテ居ル此ノ際、
出來ルダケ所謂施設ノ擴張ト云フコトハ避
ケナケレバナラナイト云フヤウナ問題ニ絡
ミマシテ、容易ニ實行ノ出來難イ面ナドモ
アルノデアリマス、併シナガラ只今御話ノ
通リ、今囘ノ學制改革ハ一應縱ノ措置ニ於
テノ國家要請ニ應ヘル爲ニ行ハントシテ居
ル所デゴザイマスカラ、今ノ御話ノ横ノ計
畫性ニ付テハ十分將來考ヘナケレバナラヌ
コトト存ジテ居リマスルガ、此ノ問題ハ國
家ノ計畫ソレ自身ノ確實性ニモ依リマスルガ、
併シ又調査スルダケデモ相當廣イ範圍ニ亙
ツテ行キマスノデ、文部省トシテノ考ヘダ
ケデ行ヘルモノモアリマセウガ、併シ中々
サウ實行出來ナイ部面モアリマスノデ、將
來ハ關係各方面ト-是マデモ步ヲ携ヘテ
居リマスルケレドモ、尙ホ一層計畫性ト云フ
コトノ徹底ニ向ヒマシテ、十分ニ步調ヲ揃
ぐら、出來ルダケノコトヲ致シタイト考ヘ
テ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=3
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004・竹内俊吉
○竹內委員 此ノ問題ニ關シテ特ニ申上ゲ
タイコトハ、〓育ノ計畫化ニ於テ最モ現實
的ナ具體的目標ノ一ツハ、私立大學、私立
專門學校ニ對スル對策デアラウト考ヘルノ
デアリマス、從來我ガ國ノ專門高等〓育ニ
於テ學校ノ種類、收容人員學校所在地等ニ
關シ、無計畫、無統制ノ傾キガアツタヤウ
ニ感ズルノデアリマス、理、工、醫農、
法、經、文ノ各科ニ亙ツテ其ノ收容學生數
ハ國家ノ實情、國家諸般ノ事情、國家ノ行
政等ニ卽セズニ、其ノ間不均衡狀態ヲ現出シ
テ居ツタト考ヘルノデアリマス、其ノ原因
ノ重大ナル一ツハ、私立專門高等〓育機關
ニ法文科ガ無法ニ多イ爲ニ總體トシテ不均
衡ヲ來シテ居ツタト考ヘマス、此ノ狀態ハ
最近若干緩和サレテ參リマシタガ、其ノ傾
キガ依然トシテ繼續サレテ居ルヤウニ見受
ケラレマス、〓育ノ計畫化ノ建前上、此ノ
私立大學專門學校ニ對シテ何カ特別ノ御對
策ヲ御考ヘニナツテ居ラレマスカドウカ、
具體的ニ言ヘバ私立大學ノ東京集中ノ現狀、
全國二十八校カノ中、其ノ三分ノ二ハ東京
ニ集中シテ居ルト云フ此ノ現狀ヲ修正スル
コト、或ハ國家要請ノ〓育ノ目的ノ下ニ私
立高等〓育機關ノ內容ヲ更ニ擴充强化スベ
キモノハ擴充强化シ、或ハ文科系統カラ理
科系統ヘ轉換ヲ圖ル、或ハ思切ツテ整理統
合スル、斯樣ナ具體的ナル對策ヲ御考ヘニ
ナツテ居リマスカドウカ、其ノ點ヲ伺ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=4
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005・橋田邦彦
○橋田國務大臣 私立學校ニ付キマシテハ
甚ダ申譯ナイヤウナコトデアリマスガ、從
來文部省ト致シマシテ、甚ダ監督、助成其
ノ他ノ方面ニ於テ不十分ナル點ガアリマシ
タガ故ニ、色々ナ弊風ガソコニ起リ、又戰
時下ノ體制ニ卽應シ難イ點ノ多々アルコト
ハ御指摘ノ通リデアリマス、之ニ付キマシ
テハ只今具體的ニ何ヲドウスルト云フコト
ニ付テハ一々申上ゲ兼ネル點ガアルノデア
リマスケレドモ、併シ私立學校ト云フモノ
ヲ十分ニ國家目的ニ協調サセル爲ニ、或ハ
能ク監督シ、或ハ能ク助成スル、或ハ其ノ
他ノ方途ヲ講ジマシテ、十分ニ同ジク國家
目的ニ卽應スル〓育體制ノ一面トシテ十分
ニ活動ノ出來ルヤウナ仕組ミニ私立學校ヲ
活躍サセタイト云フコトハ念願トシテ居ル
ノデアリマシテ、明年度中ニハソレニ對ス
ル對策ヲ是非トモ確立シタイト考ヘテ只今
考究計畫中デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=5
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006・竹内俊吉
○竹內委員 只今ノ私立高等〓育機關ニ對
スル御施策ガ明年度中ニ何等カ具體的ナ方
途ヲ御立テニナルト云フコトニ關シマシテ
ハ大ナル期待ヲ懸ケル者デアリマス、〓育
ノ計畫化ハ之ヲ別ノ面カラ見レバ國民能力
ノ計畫生產ト申シテ宜シイノデハナイカト思
ツテ居リマス、物ノ計畫生產ノ前提トシテ
之ヲナシ得ル國民ノ計畫生產ガナケレバナ
ラヌノデアリマス、併シ是ガ强制的ノ計畫
生產デアツテハナラヌコトハ〓育ノ特質上
言フマデモナイト思ヒマス、今日工鑛業方
面ノ技術者ガ多數必要デアルト云フコトカ
ラ、全然其ノ方面ニ向カナイ者マデモ其ノ
系統ノ〓育ニ追ヒ込ムト云フコトハ却テ國
民ノ能力ノ浪費トナルコトモ又申上ゲルマ
デモナイノデアリマスカラ、玆ニ於テ進學
ノ指導ガ〓育ノ計畫上非常ニ重要ナ條件デ
アルヤウニ考ヘテ居リマス、所謂國民ノ能
力ニ其ノ所ヲ得セシムルコトガ〓育ノ大キ
イ役割デアリ、其ノ所ヲ得セシムメルコト
自體ガ寧ロ〓育ノ自立的ナソレ自ラノ一ツ
ノ原則デアラウト考ヘマスト共ニ、現下ノ
長期戰ニ對スル戰力增强ノ建前カラシテ
モ、此ノ進學指導ニ付テハ非常ニ大キイ力
ヲ以ツテ臨マナケレバナラヌコトデアルト云
フヤウニ考ヘルノデアリマスルガ、從來ノ
狀態ヲ見マスルトノ此ノ進學指導ニ關シマ
シテハ多少ノコトハアツタヤウデアリマス
ルガ、殆ドナサレテ居ナイヤウニ感ズル、
或ハ中等學校ノ入學ノ選拔ニ當ツテ進學指
導ノ意味ヲ取入レテ居ルト、斯ウ文部省ハ
仰シヤルカモ知レマセヌガ、ソレデハ不完
全デアルコトハ申上ゲルマデモアリマセヌ、
此ノ問題ニ付テハ曾テ〓育審議會ノ〓育改
善ニ關スル答申ノ中ニモ力說サレテ居ツタ
ト記憶致シマスガ、此ノ問題ニ付テ文部當
局ハ現在ドウ云フコトヲ行ツテ居リ、又將
來之ヲ强化スル方法トシテドウ云フコトヲ
御考ヘニナツテ居ルカ、學者ノ中ニハ今日
國家ガ靑少年ノ體育管理ヲ實施シテ居ルヤ
ウニ、國民ノ能力ノ管理ト言ヒマスルカ、
國民ノ能力檢定ノ方法ヲ案出制定シテ、之
ニ依ツテ進學指導及ビ〓育指導ヲスベシト
云フコトヲ力說シテ居ル方モアルヤウデア
リマス、此ノ說ノ當否ハ暫ク問題外トシテ
モ、進學指導ニ付テハ今一段ノ力ヲ致スベ
キコトニ付テハ論ガナイ、此ノ點ドウ云フ
方法デドウ云フ御考ヘヲ御持チデアリマス
ルカ、伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=6
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007・橋田邦彦
○橋田國務大臣 國民ノ能力ヲ然ルベキ方
面へ發展セシムル爲メノ計畫、此ノ所謂進
學指導ノ重要ナルコトニ付テノ御說全ク御
同感デゴザイマシテ、何トカシテ此ノ進學
指導ト云フモノノ體制ヲ十分ニ整ヘマセヌ
ト折角ノ〓育計畫モ其ノ實ヲ擧ゲルコト
ガ出來ナイコトモ亦御說ノ通リデアリマス、
中等學校入學ニ付キマシテ幾分カ其ノ點ヲ
考慮シテ今ヤツテ居リマスケレドモ、是亦
極メテ不十分デアルコトト思ツテ居リマス、
又進學指導ト云フコトヲ致シマスル必要性
ハ一面ニ於テ實際的ノ問題ト致シマシテ
ハ上級學校へノ入學試驗ト云フモノヲ從來
ノ弊害カラ取除クト云フコトモ亦最モ必要
ナコトデモアリマスルノデ、此ノ學制改革
ノ充實致シマスルマデニハ是非トモ此ノ進
學指導ニ關スル十分ナル對策ヲ考究シテ、
上級學校ノ入學試驗ト云フヤウナモノガ、
現在ノヤウナ非常ニ混沌タルモノ、又ソレ
ニ依ツテ下級ノ學校ノ〓育體制ヲ紊スコト
ノナクナルヤウニ是非トモ致シタイト考ヘ
テ居ルノデアリマス、併シナガラ此ノ進學
ヲ指導スルコトノ必要性、又ヤレバ宜シイ
ノデハナイカト云フコトハ極メテ簡單デゴ
ザイマスケレドモ、眞ニ適材ハ適材トシテ
認メルト云フ其ノ認メル人ノ能力其ノモノ
ガ又十分ニ養成サレナケレバ、誤ツタ進學
指導ヲスル場合モ相當アルカモ知レナイト
考ヘラレマス、又先程モ一寸御話ガゴザイ
マシタガ、心理學的ニ或ル識能ノ檢定ト云フ
コトモヤツテ居リマスケレドモ、是ハ唯參
考ニナルダケノコトデアリマシテ、決シテ
人間ノ將來伸ブベキ才能ト云フモノハ單ナ
ル心理學的ノ檢定其ノ他ニ依ツテ決定サレ
ナイコトハ、是ハ事實示サレテ居ル問題デ
アリマス、勿論十分ソレ等ノ事柄モ參考ニ
シナケレバナラナイ點モアルカモ知レマセ
ヌガ、併シ成ベク簡素ニシテ而モ的確ナ進
學指導ヲ致シタイト思ツテ居ルノデアリマ
スケレドモ、是ハ結局人ヲ見ル眼ノアル〓
育者ヲ眞ニ養成スル以外ニ最後ノ方法ハナ
イデアラウト考ヘテ居リマス、併シナガラ
ソレノ出來ルコトヲ待ツテ居リマスノデハ
何時マデ經ツテモ出來上ラナイト云フコト
モアリマスノデ、或ル種ノ技術的ナ方法ニ
付キマシテモ十分ニ考慮致シマシテ、遠カ
ラザル中ニ先ヅ大體ノ方針ハ斯ウスベキモ
ノデアルト云フ事柄ヲ次第ニ決定致シタイ
ト存ジテ居リマスルガ、今ノ所具體的ニ例
ヘバ中等學校〓員等ニ向ツテ斯クノ如クス
ベシト云フ所マデノ案ヲ實ハ得テ居リマセ
又、此ノ點ハ十分ニ考究致シマシテ此ノ進
學指導ノ全キヲ期スル方向ヘ計畫ヲ進メタ
イト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=7
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008・竹内俊吉
○竹內委員 次ニ御尋ネ致シタイコトハ、
〓育ノ計畫化ニ關シテ進學指導ノ重要デア
リマスコトハ、只今大臣ノ御答ヘニ依テモ
明カデアリマスガ、進學指導ニ關聯シテ直
チニ考ヘラレマスコトハ性能、思想、體格
ガ非常ニ優秀デアツテ、是ハ是非上ノ學校
ニヤリタイト思ツテモ只今ノ制度デハ、主
トシテ學資ノ關係デ適格者、適性者、優秀者
ガ必ズシモ上ノ學校ニ上ルコトニハナツテ
居ナイノデアリマス爲ニ、アタラ優秀者ガ
其ノ儘埋モレテ或ハ全ク適性ナラザル方面
ニ人生ノ道ヲ辿ラナケレバナラナイト云フ
事例ガ非常ニ多イノデアリマス、斯樣ナコ
トデアツテハ國民ノ能力ニ其ノ所ヲ得セシ
メルト云フ〓育ノ元來ノ意義カラ言ツテモ
遺憾デアリ、國家トシテモ國民ノ能力ヲ十
分ニ發揮セシメ得ナイコトニナツテハ遺憾
ナ譯デアリマス、特ニ今日先程モ申上ゲタ
ヤウニ〓育ノ國家ノ要請ニ對スル任務ガ平
和時代ト非常ニ相違シテ居リマシテ、國民
ノ總能力ヲ擧ゲテ此ノ戰爭ヲ勝拔ク爲ニ對
處セネバナラヌ場合ニ、特ニ斯樣ナ優秀者
ガ其ノ能力ノ所ヲ得ナイト云フコトニ關シ
マシテハ特別ノ對策ガ國家ソレ自體ノ手ニ
依ツテ立テラレナケレバナラヌト思フノデ
アリマス、所謂國家育英制度ノ必要ガ國家
ノ要請上喫緊ノコトニ考ヘラレルノデアリ
マスガ、此ノ點ニ付テ文部大臣ハドノヤウ
ニ御考ヘニナツテ居リマスカ、又此ノ問題
ノ實施ノ方法ニ當ツテハ、我ガ國ノ國民道
德竝ニ生活ノ基本ヲナシテ居ル家族主義ノ
建前トノ關聯ヲ、十分ニ考ヘテナサラナケ
レバナラヌト思ヒマス、單ナル國民能力ノ
管理ト云フ風ナ、何ト言ヒマスルカ國家社
會主義的ナ考ヘ方ノ方法デアツテハ斷ジテ
ナラヌト思フノデアリマス、飽クマデモ家
族主義的、日本主義的姿ニ於テ國家ガ此ノ
育英制度ヲ樹立スベキ所ノ國家的要請ガ非
常ニ昂マツテ居ルト考ヘルノデアリマス、
又一面ニ於テ現在ノ國民生活ノ實體カラ眺
メマシテ學校ノ〓職員或ハ下級官吏、或ハ
中產階級以下ノ國民層ニ於テ、此ノ國家育
英制度ガ社會政策トシテ重大ナル意味ヲ持
ツテ居ルコトハ申上グルマデモナイコトデ
アリマス、是等ノ喫緊ノ要求ニ應ズル國家
育英制度方法ニ關シマシテ、文部大臣ハ何
カ御腹案ヲ持ツテ居ラレマスカドウカ、此
ノ點ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=8
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009・橋田邦彦
○橋田國務大臣 有能ナル能力アル者ノ進
學ヲ阻碍シテ居ルコトノ一ツノ理由ハ財政
的ナ問題デアリマスコト御話ノ通リデア
リマス、殊ニ最近ノ種々ナル經濟事情ノ轉
換或ハ軍事的ノ問題等カラ起リマシテ、
其ノヤウナ面ガ著シク增强シテ參ツテ居ル
ト考ヘルノデアリマス、之ニ向ヒマシテ、
國家的ニ育英制度ヲ早急ニ樹立スベキデア
ルト云フ事柄ハ私モ同感デゴザイマシテ、
吾々ノ方ニ於キマシテモ切々其ノ準備ヲ致
シテ居ルノデアリマス、出來ルダケ速カニ
實施ヲ考ヘタイト思ツテ居リマスルガ、其
ノ實施方法ノ詳細ニ亙ツテハマダ此處デ御
話申上ゲル段ニバナツテ居リマセヌケレド
モ、方針ト致シマシテハ御話ノヤウニ日本
ノ家族制度ヲ破壞スル如キ方法ハ絕對ニ採
ルベキモノデナイト云フコトハ特ニ考ヘテ
居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=9
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010・竹内俊吉
○竹内委員 國家育英制度ノ要望ハ、吾々
地方ニ參リマシテ到ル處中產階級以下ノ方
方ノ非常ナル熱望デアリマスルコトハ、文部
當局ニ於テモ亦十分ニ御認識ノコトデアリ
マスノデ、是ハ恐ラク極ク最近ノ機會ニ何
等カノ具體策ガ講ゼラレルモノト大ナル期
待ヲ持ツノデアリマス
次ニ農村ノ靑年〓育ニ對シテ一、二點簡單
ニ承リタイノデアリマス、靑年學校ニ關シ
テハ委員會開催以來各委員ノ方々カラ御發
言ガアツテ大體盡サレテ居リマスノデ、靑
年學校ニ關スル分ヲ除キマシテ其ノ他ノ觀
點カラ一、二點伺ヒタイト思ヒマス、今日農
村ノ〓育ノ程度ガ、靑年學校制度ノ創設以
來漸次高マツテ現在デハ之ヲ統計的ニ見マ
スルト、都市ヨリモ寧ロ農村ノ〓育標準ガ
高イヤウニ感ジマス、卽チ都市デハ尋常小
學校、今ノ國民學校ノ初等科ダケデ學校ヲ止
ス者ガ昭和十四年ノ統計デハ全少年ノ一七·
五%デアリマスガ、農村デハ一〇·八七%卽チ
農村デハ尋常小學校ノミデ〓育ヲ終ル者ハ都
市ヨリモ其ノ割合ガ少イノデアリマス、斯
ウ云フ狀態ハ日本ノ農村ニ取ツテ非常ニ喜
バシイ結構ナコトデアリマスルガ、此ノ農
村ノ少年ガ尋常小學校ヲ了ヘテ進ム上級ノ
學校ト云フモノハ申上ゲルマデモナク是ハ
大體ニ於テ高等小學校デアルノデアリマス、
ココニ集中的ニ進學シテ行クノデアリマス、
是モ昭和十四年ノ統計ヲ見マスルト、全國平
均男子七〇·七八%女子五三%ガ高等小學
校ニ進學シテ居リマス、或ル府縣ノ如キハ男子
八二%、女子七三%ガ高等小學校ニ進學シテ
居ル、此ノ量的ナ方面ダケカラ見マシテモ農
村ニ於ケル高等小學校ノ重要性ト云フモノハ
明カデアリマス、ソシテ此ノ高等小學校ヲ卒
業スルト彼等ハ直チニソレ〓〓ノ實務ニ就ク
ノデアリマス、或ハ其ノ村ニ止マル者モア
リ、或ハ村ヲ離レル者モアリマスガ、大體
ニ於テ直チニ實務ニ就クノデアリマス、斯
ウ考ヘテ見マスルト、高等小學校ノ此ノ二
年間或ハ三年間ト云フモノハ農村ノ靑少年
ニ取ツテ其ノ職能ノ指導上重大ナル時期ニ
當ルト云フコトモ申上ゲルマデモアリマセ
又、然ルニ高等小學校ハ-現在ノ國民學
校高等科ハ其ノ〓育ノ目的ノ基底ガ尋常小
學校ノ延長トシテノ國民普通〓育トナツテ
居ルノデアリマス、尢モ高等小學校ハ尋常
科ノ〓課目ノ外ニ實業科ヲ置クコトガ定メ
ラレテ居リ、又最近其ノ方面ノ色彩ガ聊カ
濃厚ニナツテ居リマスルケレドモ其ノ〓育ノ
實質ハ何ト云ツテモヤハリ國民普通〓育デ
アツテ、之ヲ卒業シテ直チニ實務ニ就クニ
適切ナル職業ノ指導ノ面ニ於テハ非常ニ
缺ケテ居ル〓育內容デアルト考ヘマス、此
ノ高等小學校ノ農村ニ於ケル實體カラ見テ
果シテ現在ノ〓育內容デ宜シイカドウカ、
吾々農村ニ居リマシテ高等小學校ノ全〓育
ノ組織ノ體系カラ考ヘテ何トカ考へ直スベ
キ時ガ來テ居ルノデハナイカト痛感致シテ
居リマス、ソレニハ申上ゲマスト色々理
由モアリマスルガ、兎ニ角職能ヲ通シテ直
チニ農村ニ於テ國家ニ奉公スル實踐的ナ〓
養ヲ與ヘルト云フ點ニ於テハ、現在ノ高等
小學校ハ非常ニ缺ケテ居ル、之ヲ端的ニ申
上ゲマスナラバ、此ノ高等小學校ヲ乙種農
學校的色彩ヲ更ニ濃厚ニスル方面ニ切替ヘ
テ行ク必要ガアルノデハナイカ、サウシテ
其ノ〓育內容ヲ靑年學校ニ連接セシメテ、
高等小學校カラ靑年學校ヲ卒業シタ時ニハ
農業ノ職能人トシテ略〓完成サレタル域ニ
マデ達スルガ如クニ致スベキコトガ農村ニ
於ケル此ノ〓育機關ノ重大ナル、ソシテ根
本的ナル任務デハナイカト考ヘルノデアリ
マス、今日日本ノ農村ニ於テノ一ツノ悲劇
ト申シマスルカ、ソレハ日本農民ガ洵ニ孜
孜營々トシテ食糧增產ノ任務ニ邁進シテ居
ル姿ハ淚グマシイモノガアルノデアリマス
ガ、農業技術ノ點ニ於テハ洵ニ悲シムベキ
狀態ニアリマス、是ハ日本農業自體ノ特質
カラモ來ルノデアリマスガ、一面ニ於テ此
ノ農業國デアル日本ノ農村ニ、農業〓育ト
云フ職能〓育ガナカツタト云フコトヲ意味
シテ居ルノデアリマス、中等學校ノ農學校
ハアリマスガ、是ノ卒業者ハ大體ニ於テ農
業指導者トシテ實際ニ跣足ニナツテ田ニ入
リ、畑ニ入ツテ作物ヲ作ル技術者デハアリ
マセヌ、洋服ヲ着、靴ヲ履イタ農業技術者
ハ日本ニハアリマスケレドモ、本當ニ跣足
ニナツテ田ニ入ル農業技術ト云フモノガ、
〓育ノ面カラ農民ニ授ケラレテ居ナイト云
フ狀態ニアルノデアリマス、是ガ日本農村
ノ農業技術ノ進步ヲ洵ニ遲々タルモノニシ
タ大原因デアルト考ヘルノデアリマス、農
村デハ今日誰モガ化學肥料ヲ使ツテ居リマ
スガ、此ノ化學肥料ヲ何十年トナク使ツテ
居ツテ、化學肥料ニ對スル科學的知識ヲ持
ツテ居ル農民ハ、一村ニ於テ算ヘル位シカ
居リマセヌ、是ハ全ク嘗テ肥料商ガ盛ンデ
アツタ頃ニハ肥料屋ノ指導ニ依ツテ肥料
ヲ入レテ居ツタ、其ノ後ハ大體見樣見眞似
デ肥料ヲ施シテ居ルノデアリマシテ、唯農
民ノ非常ニ高イ勘ニ依ツテ大體旨クハ行ツ
テ居リマスケレドモ、科學的ナ多少ノ知識
サヘ持ツテ居ナイ爲ニ、時ニハトンダ悲劇
サヘ起ツテ居ルノデアリマス、其ノ他色々
農業勞働技術ノ面ニ於テモ創意工夫ガ足ラ
ヌト云フコトヲ能ク言ハレルノデアリマス
ルガ、其ノ基本的〓育ガ日本ノ農村ニハ授
ケラレテ居ナカツタト云フコトニ非常ニ大
キナ原因ガアルノデアリマス、私ハ本當ニ
跣足デ田ニ入リ、畑ニ入リ、農業技術ヲ〓
育ノ面カラ注入致スベキコトガ、此ノ農產
增强、戰時下ニ於ケル食糧增產、戰力ノ基
底ヲ成シテ居ル所ノ食糧確保ノ面ニ於テ、〓
育ガ負擔スベキ緊急ニシテ且ツ重大ナル任
務デアラウト考ヘルノデアリマス、然ルニ
今申上ゲタヤウニ、高等小學校ニ於テモ、
靑年學校ニ於テモ、職業科ガアツテヤツテ
居リマスルガ、是モ文部大臣御存ジノヤウ
ニ、現在ノ靑年學校ノ〓員ノ狀態ニ於テハ
サウ云フ農業技術ガ一應ノ體系ヲ以テ農民
ノ手ニ渡ルト云フ狀態ニナツテ居リマセヌ、
斯ウ云フ面カラ考ヘテ、全國農村靑少年ノ
三分ノ二以上ヲ收容シテ居ル所ノ高等小學
校及ビ靑年學校ニ對スル農業人トシテノ
職能的〓育ヲ何トカ考慮シナケレバナラヌ
ノデハナイカ、斯ウ云フコトヲ痛感致スノ
デアリマスルガ、靑年學校ノ面ニ付テハ一
應問題ヲ切離シマシテ、現在ノ高等小學校
ノ狀態ヲ現在ノ〓育內容ノ儘デ宜イト文部
省ハ御考ヘニナツテ居リマスルカドウカ、
之ヲ本當ニ農村ニ卽シタ職能〓育ニ切替ヘ
テ行ク御意圖ヲ持ツテ居ナイカドウカ、其
ノ點ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=10
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011・橋田邦彦
○橋田國務大臣 只今、農村ニ於ケル靑少
年ニ對シマシテノ、學問的又勤勞精神的ナ
モノガ不足シテ居ルコトニ付テノ御質問、
又ソレガ爲ニ國民學校ノ高等科ノ內容ヲ少
シ變ヘタラドウカト云フ御話ヲ承リ、色々
御示唆ニ富ム御意見ヲ拜聽致シマシテ洵ニ
有難ウゴザイマス、國民學校ノ高等科ハ、
是ハ私ガ申スマデモナク御承知ノ通リデア
リマスルガ、國民ノ基礎〓育ヲ一應整ヘル
所ト致シマシテ、先ヅ一般的〓育ノ延長ト
シテ取扱ツテ居ルノデアリマス、之ヲ延長
シタ所以ハ、旣ニ六年間デハ其ノ儘社會ニ
出シテハ國民ノ基礎〓育ガ十分デナイカラ
ト云フ點カラ延長サレタノデアリマス、併
シナガラ上級學校ニ進學スル者ト違ヒマシ
テ、國民學校ノ高等科ヲ卒ヘ、社會ニ出ル
者ニ付テハ實務ニ直チニ從事シテモ先ヅ差
支ナイ、面喰ツテ困ルコトノナイヤウニサ
セタイト云フ方針デ、例ヘバ中等學校ノ一
年二年ノ者ト國民學校ノ高等科ノ一年二年
トデハ內容ガ非常ニ相違ヲシテ居ルノデア
リマス、兩方トモ年齡ノ層カラ申シマスレ
バ同ジ程度デゴザイマスケレドモ、內容ニ
於テハ非常ナ相違ガアリマス、殊ニ其ノ相
違ノ一ツハ、國民學校ノ高等科ニ於キマシ
テハ職業的訓練ト云フコトヲ非常ニ重視ヲ
致シテ居リマシテ、最近其ノ指導要綱ナド
ヲ作ツテ全國各地デ講習會ヲ催ウシテ、直
接實際ノ職業ニ從事スル場合ニ、先ヅ困ラ
ナイヤウニスルコトニ努メテ居ルノデアリ
マンク。併シ是ガマダ十分徹底シテ居ルトハ
考ヘマセズ、國民學校高等科ノ實業科トシ
テ其ノ職業的訓練ヲ課シテ居リマスル部面
ニ付テハ十分ノ考慮ヲシナケレバナラナイ
點ガアラウカト思フノデアリマス、是ハ過
日モ御話申上ゲマシタガ、從來學校ノ〓育
ガ學問的ト言ハレナガラ、動モスレバ現實
ヲ離レ勝チニナツテ居ル、此ノ〓育ノ仕方
ヲ國民學校制度ニ依リマシテ全面的ニ改メ
ヨウトシテ居ルノデアリマスルケレドモ、
マダ〓ヘル人ノ立場ニ於テ十分ニソレガ會
得出來テ居ナイ點モアラウカト思ヒマス、
ケレドモ國民學校入學當時カラ實際ニ卽シ
テ頭腦ヲ働カセ、又自ラヲ働カセル事柄ヲ
始終ヤラシテ居リマスルノデ、國民學校〓
育ガ十分ニ充實スルヤウニ指導シ、又充實
シテ參リマスナラバ、從來トハ異ナツタ實
力アルモノトシテ社會ニ出ルコトニナラ
ウト期待シテ居リ、又ソレヲ念願トシテ
〓育ヲ致シテ居ルノデアリマス、無論從
來ノヤウナ〓育ノ方カラ見マスルト學
術ヲ〓ハツテ居ナガラ學術的ナ創意工夫
ガ少シモ出來ナイト云フ狀態ディアル事柄
ハ國民學校ヲ新シク制定シマシタ趣旨カ
ラ致シマシテ段々ト其ノ弊風ガ取去ラレル
コトト思ヒマス、又勤勞ト云フコトニ付テ
モ、以前ノ如キ意味ノ唯學問カラ離レタ別
個ノ勤勞ト云フコトハ考ヘテ居ナイノデア
リマス、只今御話ノ通リ百姓スル者ガ靴ヲ
履イタ儘デシナケレバナラヌト云フヤウナ
考ヘ方ガ、マダ勤勞ト云フモノト學問ト云
フモノトハ一ツデアルト云フ事柄ノ趣旨ニ
徹シナイ點ダト考ヘルノデアリマス、河ニ
此ノ農業ニ從事スル若イ者、或ハ靑少年ナ
ドニ對シマシテ、或ル一定ノ年度以上ニナ
リマスレバ、昔カラ言ハレテ居ル晴耕雨讀
ヲ眞ニ體得サセナケレバナラヌノデアリマ
スルケレドモ、其ノ趣旨ガマダドウモ十分
徹底シテ居ラナイヤウデアリマスシ、殊
農村ノ靑年學校ト云フモノニソレガ實ハ行
ハレナケレバナラナイノデアリマスケレド
モ、マダ學校ノ組織ナリ、又內容ノ充實ト
云フヤウナ點ニ不十分ナ點ガアリマシテ、
農業ヲ環境トシテ居ル所ノ靑年學校ニ於テ
スラ、坐業ト實際トハ離レテ居ルト云フヤ
ウナコトヲ見聞キシテ居ルノデアリマス、
ソレハ是非トモ近イ將來ニ於テハサウ云フ
コトノナイヤウナ方針ニ國民學校ト又靑年
學校トノ聯關等ヲ十分ニ能ク考ヘマシテ、
眞ニ實際ニ働クト云フコトニ依ツテ學問ヲ
シ、又働キヲ本當ノ働キトシテ展開スルヤ
ウナ方向ニ〓育ヲ進メタイト云フコトヲ計
畫シ、又念願トシテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=11
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012・竹内俊吉
○竹內委員 私ノ質問ハ是デ終リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=12
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013・松岡俊三
○松岡委員長 松浦君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=13
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014・松浦周太郎
○松浦(周)委員 簡單ニ御質問致シマス、
一昨日ク庄司委員ノ質問ニ對シマシテ大臣
ノ御答辯ガゴザイマシテ、國民學校ノ職員
ニ、學制改革ニ伴ツテ師範ノ方ガ專門學校
ニナルカラソレト同ジヤウニ初任給ヲ出ス
ト云フコトヲ言明サレマシタ、慥カ七十五
圓ト云フ御話デゴザイマシタガ、從來ノ初
任給ヨリモ十五圓バカリ增俸サレマスコト
ハ現下ノ情勢ニ於テ非常ニ機宜ヲ得タコト
ト思ヒマスガ、此ノ初任給ノ人ダケガ十五圓
增ニナルガ、從來ノ古イ人ハ再〓育ヲ受ケ
ナケレバ增俸ガ出來ナイト云フヤウナ御話
デアリマシテ、此ノ再〓育ヲ一遍ニナスコト
ハ勿論出來マセヌカラ、二、三年掛カルト
云フコトニナリマスト、遲レタ方ハ三、四
年後デナケレバ增俸出來ナイト云フコトニ
ナリマス、此ノ一遍ニ再〓育出來ナイト云
フコトハ、〓育上ニ支障モアリマセウシ、
又經費ノ關係モゴザイマセウガ、是ハ短期
ニシテ少クトモ一年間ニ全國ノ〓員ヲ再〓
育スルナリ、或ハ再〓育ニ依ツテ試驗制度
デモアツテソレニ落サレテ行ク人ガ相當ア
ルノカドウカ、若シサウデナク、再〓育ヲ
受ケルナラバ必ズ增俸サレルト云フナラバ、
再〓育ノ期間ハ遲レテモ、增俸ダケハ古イ
人モ一緒ニサセルヤウナコトハ出來マセヌ
デセウカ、ソレニ對スル當局ノ御所信ヲ伺
ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=14
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015・菊池豐三郎
○菊池(豐)政府委員 新卒ニ對スル初任給
ト從前ノ〓員ノ待遇ノ「バランス」ヲ合ハス
ト云フコトニ付キマシテハ色々其ノ方法ヲ
苦心致シテ居ルノデアリマス、大體只今ノ
所ハ從前ノ〓員ヲ再〓育致シマシテ、サウ
シテソレモ出來ルダケ期間モ短イ期間デ有
效ニ早ク濟マセタイト云フ考ヘヲ持ツテ居
リマス、凡ソ今考ヘテ居リマスノハ四箇月
位デヤリタイト思ツテ居リマス、此ノ再〓育
ヲ致シマスニ付テモ授業上〓員ノ方ノ負擔
ガ要リマス、是ハ師範學校ノ〓員等ヲ大イ
ニ活動サセテ再〓育ヲ全ウサセタイト思ヒ
マンク、其ノ手續ノ關係カラ言ツテ、又設備、
收容ノ關係カラ申シマシテ事實上今ノ御話
ノヤウニ一遍ニ出來レバ一番結構デスガ、
種々ノ點カラ言ツテヤハリ或ル年次計畫ヲ
以テ順次ヤツテ行クヨリ致シ方ナイ、色々
工夫致シマシタケレドモ、サウ云フ風ニ考
ヘテ居リマス、ソレデ凡ソ五年計畫位ヲ以
テ其ノ年度ノ計畫ヲ立テテ、サウシテ再〓
育ヲ受ケル人ニ付テハ凡ソ四箇月位デ긋
ピード·アップ」ヲシテヤツテ參リタイ、左
樣ニ考ヘテ居リマス、ソレカラ尙ホ從前卒
業致シマシタモノデ、旣ニ或ル相當ノ年次
ニ達シテ居リマスモノハ、是ハ年功加俸ノ
制度モアリマス、其ノ年功加俸ノ操作ニ依
リマシテ加俸ヲ之ニ加へ、サウシテソチラ
ノ方面カラ又待遇ノ調節ヲシテ行キタイ、
兩樣ニ今考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=15
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016・松浦周太郎
○松浦(周)委員 最後ニ再〓育ヲ受ケル人
ハ五年後デナケレバ增俸サレナイト云フコ
トニナリマスガ、中學五年生ノ子供ヲ持ツ
タ國民學校ノ〓師ハ增俸サレナケレバ上級
學校ニ上ゲルコトガ出來ナイト云フヤウナ
現狀ナノデゴザイマスガ、此ノ點ハドウデ
ゴザイマセウカ、五年モ掛カツテデハ人生
ノ半バヲ終ツテシマフト云フ非常ナコトデ
ゴザイマスガ、其ノ間年功加俸ガ只今ノ「バラ
ンス」ノ取レルヤウナ率ニ增俸サレルモノデ
ゴザイマセウカ、其ノ點ハツキリト一ツ比
較シテ御話ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=16
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017・菊池豐三郎
○菊池(豐)政府委員 先程申シマシタヤウ
ニ、先ヅ「バランス」ヲ取リマスノハ、近イ年次
ノ卒業生カラ成ベク早ク「バランス」ヲ取ツ
テ參リタイ、斯ウ云フ風ニ考ヘマス、ソ
レカラ今申シマシタヤウニ收容力ノ關係、
〓師負擔ノ關係カラ申シマシテ、ヤハリ或
ル期間收容シテヤツテ行クニハ學校設備ノ
方ノ限度モアリマスルカラ計畫ト致シマシ
テハ出來ルダケ新シイ卒業ノ年次カラ追掛
ケ追掛ケテ再〓育ヲ致シマシテ、ソレヲ了
ヘタモノハ待遇ヲ直シテ行ク、ソレカラサ
ウ致シマシテモ相當ヤハリ人數ガ多イノデ、
其ノ人數ヲヤツテ行キマスニハ先ヅ凡ソ追
掛ケテモ五年ハ掛カル計算上サウ云フ風ニ
ニナル譯デアリマス、ソレカラ只今申上ゲ
マシタヤウニ上ノ、方ノ年數デ年功加俸ニ該
當スルヤウナモノハ、ソチラノ方デモ待遇ハ
調節スル、ソレカラ途中ニ於キマシテハ昇給
率ヲ出來ルダケ早目ニ行フ、サウ云フ工夫
ヲシナガラ、中々苦心ヲ要スルコトデアリ
マスガ、出來ルダケ速カニ「バランス」ノ取レ
ルヤウニ進メテ行ク路ヲ圖ツテ參リタイト
考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=17
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018・松浦周太郎
○松浦(周)委員 ソコノ按排ニ依ツテハ出
來ルダラウト思ヒマスガ、初任給ノ十五圓
ノ隔リノアルノヲ昇給ノ率或ハ年功加俸ノ
操作其ノ他デオヤリニナツテモ、中々私ノ
勘定デハ、ソコノ「バランス」ハ取レヌト思フ
ノデスガ、ソレガ五年モ後デナケレバナラ
ヌト云フコトニナルト-今日ノ國民學校
ノ先生ハ左程ノコトハ言ツテ居リマセヌ、
何處マデモ師魂ヲ鍊ツテ國家ノ要請ニ應ジ
タイト言ツテ居ル、自分ノ死場所ハ〓壇デ
アル、黑板ヲ枕ニ自分ハ死ヌンダト言ツテ、
吾々ノ〓里ノ先生方モ勵ンデ居リマスガ、
吾々カラアノ生活狀態ヲ眺メマス時ニ、默
ツテ坐視スルニ忍ビナイ狀況ニアルコトハ今
更此處ニ申上ゲル程ノ必要モナイコトデアル、
事務上ノ關係ハ色々今申サレマシタヤウナ
コトガゴザイマセウガ、今日ノ窮迫セル生
活ノ中ニアル國民學校ノ先生ハ、セメテハ先
生ノ資格ガ自己ノ生活ノ上ニ現ハレルダケ
ノ生活ヲサシテヤルコトハ政治ノ部面ニ立
ツテ居ル者ノ私ハ責任デアルト思ヒマス、
何カ大臣ノ一ツ政治力ニ依リマシテ、初任
給ノ者ト同等ノ「バランス」ノ取レルヤウニ、
上級ノ〓師自身ノ生活狀態ヲ救ツテヤル方
法ハナイモノデセウカ、此ノコトニ付テ中
等學校ノコトモ申上ゲタイト思ヒマスガ、中
等學校ノ先生ハ地方費ノ財源ニ依ツテヤ
ツテ居ルガ、國費トシテハ困難デアルト云
フヤウナコトモアリマスガ、國民學校ノ〓
師ガ只今ノヤウナ風ニ色々考慮サレテ居ル
ト云フ時ニ、中等學校ハ地方費ノ關係デア
ルカラ是ハドウモヤリニクイト云フコトダ
ケデ放任スルト云フコトハ、一體〓育ノ機
會均等ノ上ニ於テドウ云フコトデアルカ、
是ハ色々制度上ノ關係モゴザイマセウガ、
ソレガ政治デスカラソレヲ一ツ立案サレマ
シテ、他ノ國民學校或ハ昨日カラ色々御話
ニナツテ居リマス靑年學校ヲ來年度ニ於テ
改革スルト云フコトハ今日ノ社會情勢ニ
於テ生活部面ガ安定サレルヤウナ程度ニ〓
師諸君ノコトモ考ヘラレルコトデアリマセウガ、
サウ云フ風ニ國民學校或ハ靑年學校ノ方
ガ整ツテ來ルニ拘ラズ、獨リ中等學校ガ地方
費關係デアルカラ是ハ制度上ドウカト斯ウ田
云フコトデ放任サレルコトハ私ハ許サレヌト
思ヒマスガ、斯ウ云フコトハ總テ大臣ニ於
テ一ツノ政治力ヲ發揮セラレマシテ、サウ
シテ安ンジテ其ノ職ニ精進スルコトノ出來
ルヤウナ途ヲ御開キニナルコトガ適當デア
ルト思ヒマスガ、此ノ二ツノ問題ニ對シテ
大臣ノ御答辯ヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=18
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019・橋田邦彦
○橋田國務大臣 國民學校〓員ノ、新制ノ
師範學校卒業者ノ初任給ガ多クナリマスコ
トニ付テノ「バランス」ヲ失フト云フコトヲ、
ドウ調節スルカト云フコトニ付テハ、先程
モ政府委員カラ御說明申上ゲマシタ通リ、非
常ニ複雜ナ狀態デアリマスケレドモ、何トカ克
服シテ速カニ調節シテ行キタイト思ツテ居
リマス、初メテ卒業スル者ニ對シテ、今度
例ヘバ年功加俸ガ其ノ者ニ更ニ加ハルマデ
ニハ五年間掛ル、其ノ五年間ニ外ノ者ト、新
制度ノ新シイ者トノ「バランス」ガ取レルヤ
ウニナレバト云フヤウナ積リデアリマス、
又五年間ヤレバ-サウ云フ者ガ大體六万
人ト云フ豫定デアリマスガ、一年間ニハ
丁度師範學校ノ卒業生全部ヲヤルコトニ
ナル譯デゴザイマス、今年ハ去年ノ卒業
生ヲ先ヅヤル、其ノ次ノ年ニハ其ノ前ノ
年ノ卒業生ヲヤル、其ノ間ニ今年ノ卒業生ハ
初任給ハ幾ラ、前年ノ卒業生ハ初任給ヨリ
モツト上ツテ居ルヤウニスル、其ノ上ツテ
居ル者ハ更ニ再〓育ヲ受ケル、三年前ノ人
ハソレヨリハモツト上ツテ居ル、上ツテ居
ル者ガ再〓育ヲ受ケテ其ノ上ニ更ニ增加シ
テ行クト云フコトデアリマスレバ、大體「バ
ランス」ハ取レルト思ヒマスガ、サウ云フ見
當デアリマス、是ハヤツテ見テ果シテドノ
邊マデ行キマスカ、ドウシテモ「バランス」ガ
取レナケレバ又別個ノ考へヲ持タナケレバナ
リマセヌ、唯「バランス」ガ取レナイカラ仕方
ガナイト言ツテウツチヤツテ置クベキ問題
デハナイ、是ハ十分ニ考ヘタイト思ツテ居
リマス
又中等〓員ノ問題ニ付キマシテハ、地方費
支辨デアルガ故ニ取扱ヒニクイ、是ハ事務
上ノ問題ナノデアリマシテ、中等〓員ノ問
題ニ付テモ根本的ナ問題トシテハ、先般モ
申上ゲマシタガ、此ノ十八年度中ニハ適當ナ
ル案ヲ具シテ改正ヲ試ミタイ、是ハ丁度靑
年學校ノ問題ヲ解決スルト同時ニ、中等學校
〓員ノ俸給ノ問題モ解決スルヤウナ計畫ヲ
シテ居ルノデアリマス、ソレハヤハリ中等
學校〓員ト云フモノノ資格ガドンナモノカ
ドウ云フモノヲ標準ニスルカト云フコトガ
決マラナイト事務的ニハ問題ニナラナイ
ト思ヒマス、高等師範學校ノ改善、或ハ假
リニ考ヘテ見マスト師範大學ノ設立ト云フ
ヤウナ問題ニナリマシテ、中等〓員ノ養成
計畫モ立チ其ノ中等〓員トシテ出テ來ル者
ハ如何ナル程度ノ者カト云フコトニナリマ
シタ場合ニハ、ソレヲ標準トシテ俸給令ト
云フヤウナモノガ實際的ニ、合理的ナ改革ヲ
見ルト思フノデアリマス、ソレマデノ間ニ
何カ施スベキ策ハナイカト云フコトヲ今考
ヘテ居ルノダト云フコトヲ此ノ間申上ゲタ
ノデアリマシテ、決シテ地方費ダカラ放任
シテ宜イト云フコトハ毛頭考ヘテ居リマセ
ヌ、唯文部省トシテハ、事務的ニ今手ガ出
セナイノデ困ツテ居ルケレドモ、併シ何カ
シナケレバナラヌト云フコトデ、關係官廳
トノ間ニ折衝シテ居ルヤウナ次第デゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=19
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020・松浦周太郎
○松浦(周)委員 中等學校ノ問題ニ對シマ
シテハ、一ツ特ニ善處ヲ要望致シマスガ、
十八年度中ト申シマスト、十九年度ニハ之
ヲ實行スルト云フ御意思デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=20
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021・橋田邦彦
○橋田國務大臣 左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=21
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022・松浦周太郎
○松浦(周)委員 次ハ國民學校及ビ中等學
校ノ〓科書ノ問題ニ付テ伺ヒマス、從來ノ
〓科書ガ私ハ惡イトハ申シマセヌガ、今日
ノ國家要請ト從來ノモノトハ、大分今日ハ
趣キガ變ツテ來タヤウニ思ヒマス、之ニ對
シマシテハ適當ナル改訂方法ヲ考究中デア
ルコトモ分ツテ居リマスガ、是等ノ改訂ガ
完了致シマシタ場合、或ハ改訂ヲ必要トシ
ナイ書籍、所謂〓科書ノ古本ヲ資源愛護ノ
意味ニ於テ、全國的ナ統一ヲ行ハレタラド
ウカ、サウ云フ機關ヲ御作リニナツタラド
ウカト思フノデアリマス、今日紙ノ資源、
或ハ印刷方面ニ於ケル各種ノ資源及ビ勞力
ト云フヤウナモノヲ考ヘマスト、從來自分
ノ兄ガ本ヲ買ツテ居リマシタナラバ弟ガソ
レヲ使フト云フコトハドノ家庭デモ行ハレ
テ居リマス、或ハ親戚ニ本ヲ分ケテヤルト
云フコトモ行ハレテ居リマスガ、其ノ數ハ
新シイ本ノドン〓〓出マスコトカラ見ルト
云フト、サウ大キナモノデハナイ、何處カニ
死藏サレテ居ルダラウト云フコトヲ私ハ考
ヘルノデアリマス、又兄ノモノヲ弟ニ使ハ
セル、或ハ親戚ニ使ハセルト云フコトニナ
リマスト-子供ガ本ニ親シムト云フコト
ハモウ自分ノ肉體同樣ニ親シンデ居ルノデ
アリマシテ、ソレニハ色々ナ病菌其ノ他ノ
媒介ヲスルヤウナコトニナルノデアリマス
カラ、之ヲ一應一ツノ統制機關ニ依ツテ全
部集メテ、ソレヲ消毒シ、或ハ表紙ノ傷ン
ダモノヲ直シ、或ハ惡イ色付キモノハ多少
直スヤウナ方法ヲ執リ、サウシテ再生シテ
全國ノ者ニ又配ル、所謂〓科書ノ古イモノ
ヲ集メテ、之ヲ再生シテ全國ノ兒童ニ使ハセ
ルト云ツタヤウナ集荷統制機關-集荷ト
云フ言葉ヲ使フコトガ適當カドウカ知リマ
セヌガ、兎ニ角サウ云フ機關ヲ作ツテ、資
源ノ愛護ヲスルコトニサレタラドウカ、但
シ是ハ改訂後デナケレバイカヌト思ヒマス、
此ノ點ニ對シマシテ何カ御〓究ガアリマシ
タナラバ、御洩ラシヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=22
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023・菊池豐三郎
○菊池(豐)政府委員 只今ノ御話、洵ニ
ツノ御見解ト拜承致シマス、文部省トシテモ
色々〓究モ致シテ居リマス、唯事變後〓科
書ノ紙質ガ甚ダ殘念デゴザイマスケレドモ、
非常ニ低下シテ惡クナツテ居リマス、殊
一方ニ於テハ物資愛護ト云フコトノ精神ガ
能ク滲透スルヤウニ〓育シツツハアリマス
ガ、子供ガ之ヲ使用致シマス場合ニ、ドウ
モ紙質等ノ關係カラ云フト、二箇年ノ使用
ガ非常ニ困難ノヤウニ見受ケラレマス、ソ
レト今一ツハ古本ヲ集メマスルト云フコト
三、全國的ニ之ヲヤリマスル場合ニハ
輸送力、ソレカラ又勞力等ノ關係デ、可ナリ
實施上色々考ヘナケレバナラヌ點モアラウカト
思ヒマス、ソレカラ之ヲ續ケテ使用致シマス
ル場合ニハ、或ハ消毒トカト云フヤウナコ
トモ考ヘナケレバナラヌト思ヒマス、消毒
致シマスルニシマシテモ、設備ノ關係、或
ハ藥品入手等モ困難ナ狀況ニアリマス、色
色ソレ等ノ點モ考ヘテ〓究致シテ居リマス
ガ、サウ云フ事情モアルト云フコトヲ一ツ
御諒承ヲ戴キタイト思ヒマス、尙ホ是ハ或
ハ範圍ヲ限定シテヤル必要モアルノデハナ
イカト思ハレマスガ、此ノ點ハ篤ト考究致
シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=23
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024・松岡俊三
○松岡委員長 船渡君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=24
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025・船渡佐輔
○船渡委員 簡單ニ唯一點ダケ御伺ヒシテ
置キタイト思ヒマス、意見ヤ議論ハ別ト致
シマシテ、直チニ要領ダケ申上ゲマスガ、
現在社會ノ進ミ方ハ非常ナ速度デアルコト
ハ中スマデモアリマセヌ、隨テ〓育ニ從事
致シマス國民學校ノ訓導ハ固ヨリ大學ノ〓
授、或ハ中等學校ノ〓諭等總テニ致シマシ
テモ、之ニ卽應スル進步ト申シマスカ、時
代卽應ノソレ〓〓ノ指導ヲ必要トスルコト
ハ申スマデモナイノデアリマス、然ルニ現
在ノ〓授或ハ〓諭、訓導等ハ多年ノ間歐米
ノ自由主義思想、或ハ英米依存ノ思想ニ依
ツテ訓練セラレテ居ル者バカリナノデアリ
マシテ現在ノ戰時下ニナリマシテモ直チニ
其ノ頭ガ時局卽應ノ頭、時局認識一本槍ニ
飛込ムコトハ非常ニ困難デアラウト思フノ
デアリマス
〔委員長退席、松浦委員長代理着席〕
此ノ例ハ私共地方ニ居リマシテ實際ノ問題
ヲ幾多見テ居ルノデアリマス、丁度商業ニ
從事致シテ居ル商業人ガ今尙ホ自由主義思
想ノ經濟機構ヲ忘レナイノミナラズ、今一
モ再ビ戰後ニハ自由主義ガ復活スルモノダ
ト云フ淡イ望ミヲ以テ、容易ニ此ノ自由主
義時代ノ利潤追求ノ觀念ヲ忘レナイト同ジ
ク、是等〓育ニ從事スル指導ノ地位ニアル
人々ノ頭ガ、容易ニ時代ニ卽應シナイモノ
ガアルコトハ免レナイコトダト存ジマス、
現ニ私昨年夏或ル地方デ相當ノ地位ニアル
人ノ講演ヲ聽イタ時ニモ、日本人ハ今少シ
ク國際人ニナラナケレバナラナイト云フ說
ヲ頻リニ主張シテ居ラレタノデアリマスガ、
是ハ國際的ノ知識ヲ吸收シナケレバナラナ
イト云フコトデハナクテ、英米ノ例ノ世界
觀國際主義、世界主義ヲ意味スル國際人
ヲ要求シテ居ル講演ダト解釋サレテ居ルノ
デアリマス、文部當局ニ於テ機構ヲ改メ、
設備ヲ整ヘラレテ、如何ニ現代卽應ノ〓育
ヲ施サント考ヘラレマシテモ、之ヲ運用致
シ又其ノ指導ノ地位ニアル是等ノ〓授或ハ
訓導等ガ今尙ホ舊來ノ考ヘヲ脫シ得ナイト
致シマスレバ、是ハ由々シキ大問題デアリ
マス、是等ノ人々ハ身分ニ相當ナ安定ヲ持
ツテ居リマスノデ、兎角安定ヲ持チマスト
勉强シナクナルノガ人間ノ弱點デアリマシ
テ、安住ノ地ヲ得テ、己レノ現在ヲ省ミテ
新シク進マウト云フ考ヘ方ガ極メテ少イ、
ノミナラズ、實際ニ多年ノ間ノ訓練ハ容易
ニ其ノ頭ヲ取去ルコトガ出來ナイノハ免レ
ナイコトト存ジマス、斯樣ナ人々ニ〓育ヲ
一任シテ置クコトハ非常ニ危險デアルト同
時ニ、是非之ヲ改メナケレバナラナイト思
ヒマスガ、文部當局ニ於テハ、〓ヘラルル
者ニ對スル設備或ハ機構ノ改革ハ色々承リ
マスガ、〓フル人ニ對スル是等ノ指導或ハ
是等ノ人ノ頭ノ改造ト云フコトニ對シテハ
如何ナル御計畫ガゴザイマスカ、現在又實
際ニドウ行ツテ居ラレマスカ、此ノ點ニ對
シテ明確ナル御答辯ヲ願ヒタイト存ズルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=25
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026・橋田邦彦
○橋田國務大臣 御話ノ思想的ナ問題、殊
ニ從來ノ自由主義的ナ立場ニ於テ〓育サレ
タモノガ、眞ニ日本的立場ヲ自覺スルコト
ノ非常ニ困難ナ點ヲ御指摘ニナリマシタノ
デアリマスガ、國民學校ノ〓員諸君等ハ實
ニ能ク國體的、又日本的ナ自覺ト把握ノ境
ニ到達シテ居ルト思フノデアリマス、其ノ
點ハ段々只今御話ニナリマシタ知識人ノ問
題デアリマシテ、所謂從來ノ知識人ト言ハ
レテ居ル人程其ノ點ニ困難ヲ感ジテ居ルモ
ノガ比較的ニ數ガ多イノデハナイカト思フ
ノデアリマス、洵ニ斯樣ナ人ガ上級ノ學校
ニ於テ〓育ニ携ツテ居ルト云フヤウナコト
ガマダ十分ニ徹底的ニ改メラレテ居ナイ點
ガアルトモ思フノデアリマスケレドモ、併
シ目下文部省ニ於キマシテハ、殊ニ全面的
ナ立場ト致シマシテハ、日本諸學ノ振興ト
云フコトヲ重大ナ意義アルモノト考ヘマシ
テ、數年前ヨリ日本諸學振興委員會ト云フ
モノヲ設ケマシテ、凡ユル學問ヲ日本的ノ
立場ニ於テ見直スト云フコトニ付テノ〓究
ヲヲサ〓〓怠リナク、又ソレニ付テノ公開
ノ講演等ヲ致シテ相當大イナル成績ヲ收メテ
居リマス、最近ニ此ノ日本諸學振興委員會
ニ於ケル講演、〓究發表等ヲ見マスルト云
フト、日本ノ凡ユル學問ヲ日本的ニ見直ス
ト云フ方針ガ非常ニハツキリシテ來タヤウ
ニ思ツテ居ルノデアリマス、是ハ一面知識
人ノ方ガ餘程變ツテ來タコトヲ示スモノダ
ト考ヘテ居ルノデアリマス、又實際問題ト
致シマシテハ高等專門學校、中等學校、
師範學校等ノ〓育ニ携ハル人ヲ適當ナ方策
方法ヲ講ジマシテ、集メマシテ絕エズ再〓
育再鍊成ト云フコトヲ致シマシテ、日本
的ニモノヲ見ル、日本的ニモノヲ把握シテ
行ク又ソレニ依ツテ學徒ヲ指導スルニハ
如何ナル態度ヲ執リ如何ナル方向ニ向クベ
キカト云フコトヲ致シテ居リマシテ、左樣
ナ人々ガ、無論少數デハゴザイマスケレド
モ、繰返シ〓〓行ヒマシテ、ソレ〓〓ノ
學校ニ歸リマシテ指導的ナ中心的ナ働キヲ
致シテ居リマスル中ニ、段々他ノ方面ヘモ
其ノ趣旨ガ徹底シテ行クト云フヤウナ事柄
モ實際上見ラレテ居ルノデアリマス、一四
ニ於キマシテ眞ニ思想的ノ立場ニ於テ甚ダ
思ハシクナイト云フヤウナ者ニ付キマシテ
ハ、旣ニ色々其ノ思想其ノモノヲ十分ニ調
査致シマシテ、不穩當デアルト云フモノニ
付キマシテハ、ドン〓〓適當ナ處置ヲ講ジツ
ツアルノデアリマス、併シナガラソレニ依
ツテ我々ノ思フ所ガ卽時徹底的ニ行ハレル
ヤウニ相成ツテ居ルト云フコトハ無論申上
ゲマセヌケレドモ餘程我々ノ望ムモノニ近
イ方向ヘモノガ進ンデ來テ、現實ノ動キト致
シマシテハ思ハシクナイ點ガ部分的ニハ現
ハレマセウケレドモ、全體トシテノ方向ハ
餘リ間違ツタ方向ニ向イテ居ナイコトハ確
信シテ居ルノデアリマス、併シナガラ、其
ノ僅カナ部分ノ影響ト云フモノガ、影響ト
致シマシテハ又至大ナルモノガアリ得ルノ
デアリマスルカラ、其ノヤウナモノヲ決シ
テ閑却シテ居ル譯デハゴザイマセヌノデ、
十分ニ注意ヲ致シマシテ、眞ノ日本的ナ立
場ニ於テ總テ物ヲ摑ミ、物ヲ觀、又行フト
云フ方向へ〓育ヲ進メテ行キタイト考ヘテ
居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=26
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027・船渡佐輔
○船渡委員 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=27
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028・松浦周太郎
○松浦委員長代理 遠山委員発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=28
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029・遠山暉男
○遠山委員 成ベク簡單ニ致ス爲ニ、理論ニ
亙ラズニ事柄ニ關シテ條件的ニ數點御伺ヒ
シテ置キマス、先ヅ一般ノ施設ニ付テデア
リマスガ、文部省ニ於テハ〓職員ノ人事ノ
嚴正適切ナル施設ヲ行フ爲ニ人事局-言
葉ハドウデモ宜シイノデスガ、サウ云フモ
ノヲ設ケ、又地方ニ於テ視學制度ヲ改廢ス
ル必要ガアルト思フガ、如何デアルト云フ
コトヲ伺ツテ見タイト思ヒマス、其ノ理由
トスル所ハ、學制ノ改革其ノ他ニ伴ヒマシ
テ、殊ニ師範學校ノ昇格等ニ於テ非常ニ〓
職員ノ人事ガ複雜多忙ヲ極メテ來ルダラウ
ト思ヒマス、然ルニ現在ノ文部省ノ施設ノ
督學的制度ニ依ツテノミ致シマシテハ、是
等ノ〓諭カラ助〓授ニ引拔イタリ、或ハ〓
授ニ拔イタリ、其ノ他學制改革ニ伴フ各方
面ノ人事ガ圓滿完全ニ行ハレルコトハ中々難
カシイノデハナイカト思フ、其ノ意味ニ於キ
マシテ人事局ノヤウナモノヲ置イテ、總テ
ノ〓職員ヲ全國ヲ數「ブロツク」ニ分ケテ之ヲ
監督指導スルヤウニ御計畫ヲ御立テニナツ
タラドウカ、又地方ノ視學制度ニ於キマシ
テハ、是亦極メテ不完全ナル制度ト私ハ思
フノデアリマスガ、現在ノ實情カラ考ヘテ
見マスト、少クトモ地方ノ視學ト云フモノ
ハ一人デ千人或ハ千數百人ノ人事ヲ分擔シ
テ居リマシテ、而モ其ノ地位ガ、視學ニナ
ルマデハ大〓國民學校ノ奏任校長トシテ在
職シテ居ルノガ、視學ニ拔擢ト云ヒマスカ、
何ト云ヒマスカ、事實上ハ拔擢デアリマセ
ウケレドモ、形式上ハ下ゲラレルノデアリ
マス、奏任〓員ヲ判任〓員ニ下ゲラレルコ
トノ承諾書ヲ出シ、月給ヲ減俸サレルコト
ノ承諾書ヲ出シテ、サウシテ初メテ地方ノ
視學ニ任命サレル例ガ澤山アルノデアリマ
ス、隨テ視學ニナル者ハ二流三流ノ校長ノ
仲間カラデナケレバ出ナイ、此ノ者ガ地方
ノ〓職員ヲ指導シ監督スルト云フコトニ於
キマシテハ、餘リ權威ノナイモノ過ギテ其
ノ效果ハ擧ラナイト思フ、隨テ中央ニ於キ
マシテ權威アル人事局ノヤウナモノガ出來
マシテ、〓職員ノ人事ヲ適正ニ行フト共ニ、
地方ノ視學制度ヲモツト强化シテ-ナニ
モ判任官ニ成リ下ラナクテモ宜イダラウト
思フ、視學ヲ高等官ニスル制度ヲ作ツテモ
一向差支ヘナイト思フ、斯ウシテ一視學ノ
地位ヲ向上セシメテ、〓職員ノ指導監督ニ
一段ノ權威アル施設ヲシタラドウカト云フ
コトヲ御伺ヒ申シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=29
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030・橋田邦彦
○橋田國務大臣 文部省ニ於キマシテ學校
〓職員ノ任命其ノ他ニ關スル監督或ハ把握
ト云フヤウナ事柄ヲ十分ニ致サナケレバナ
ラナイノデゴザイマスガ、併シ目下ノ機構
ニ於キマシテハソレガ甚ダ不十分デアルコ
トハ前々カラ遺憾ニ思ツテ居ルノデアリマ
シテ、何等カノ方法ヲ講ジテ只今御話ノア
リマシタヤウナ事柄ニ對シテ適正ナル方途
ヲ講ジナケレバナラヌトハ考ヘテ居リマス
ガ、從來ノ歷史的ナ發展或ハ他トノ關係其
ノ他ノ點ニ於キマシテ、マダ具體的ニ然ラ
バドウスルト云フ所マデノ案ハ出來テ居リ
マセヌケレドモ、併シ何カ知ラ從來ノ儘ニ
放任シテ置キマシテハ到底〓育ノ實際ハ擧
ラナイト云フコトハ考ヘテ居リマスノデ、
出來ルダケ近キ機會ニ於キマシテ、何等カ
ノ方法ニ於テ-或ハ地方「ブロツク」ト云フ
コトモ一ツノ考ヘ方デゴザイマスシ、又文部
省自體ノ中ニサウ云フ人事ヲ統率スル部局
ヲ設ケルト云フコトモ一ツノ方法デアリマ
セウ、色々方法ハ考ヘラレマセウガ、何カ
適當ナ方法ヲ考ヘマシテ、人事ノコトニ付
キマシテハ十分ニ考ヘタイト思ツテ居リマ
ス、又地方視學ノ問題モ、是ハ多年ノ問題
トシテマダ解決ヲ見テ居ナイ問題デアリマ
スガ今囘ノ學制改革、師範學校ノ昇格ト云
フヤウナ問題ニ伴レマシテ、其ノ點ハ適當
ナ方法ヲ以テ考ヘマセヌト從來ノ儘デアリ
マシテハ、愈〓視學制度ト云フモノガ無力ニ
ナルノデハナカラウカト云フコトヲ懸念シ
テ居リマスノデ十分ニ考慮致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=30
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031・遠山暉男
○遠山委員 次ニ是ハ私ノ考ヘガ突飛カモ
知レマセヌガ、文部省ニ於テ〓育用品ノ營
團ノヤウナモノヲ設置サレルコトガ必要デ
ハナイカト云フコトヲ伺ツテ見タイ、其ノ
理由ハ、學制改革、又ハ時局ノ進展等ニ伴
ヒマシテ、〓育資材ノ改變ヲ要シ、又補給
ヲ要スルコトガ非常ニ必要ニナツテ參リマ
ス、所ガ今マデ斯樣ナモノヲ製造シ販賣シ
テ居ツタ業者ト云フモノガ、多ク戰時產業
ノ方ニ轉向致シマシタ爲ニ、或ハ書物ニシ
テモ或ハ敬具ニシテモ其ノ他ノ學用品、兒
童學生等ノ使フ所ノ日用品ニ至ルマデ不足
ヲ來シテ參ツタノデアリマス、所ガ唯簡單
ニ申スト、ソレハ紙モ足リナイ、斯ウ申シ
マスガ、其ノ邊ノ本屋ヲ見マシテモ、ガラ
クタ本ガ一杯竝ンデ居ル、ナイコトハ確カ
ニナイデセウケレドモ、此ノ資材ノ配給等
ニ付テ商工省ノ專斷ニ任セテ居ツタノデハ
學用品等ニ付テハ後〓シニナルノデハナイ
カ、文部省ハ此ノ際〓育用品ノ營團ノヤウ
ナモノヲ組織シテ配給機構ヲ確立スルコト
ガ極メテ必要デハナイカ、斯ウ云フ感ジヲ
私ハ痛切ニ致シテ居ル、或ハ營團ト言ハナ
クテモ、何トカ學用品配給統制機構ヲ確立
シマシテ、サウシテ一定ノ計畫ヲ持ツタ時
局對應ノ〓育用品配給施設ヲ執ツテ戴キタ
イ之ニ付テノ御考ヘハ如何デアリマスカ伺
ツテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=31
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032・藤野惠
○藤野政府委員 只今〓育用品ノ配給統制
等ニ付テ、地方ノ實情ノ上カラ文部省主管
ト申シマスカ、文部省ガ直接指導統制ヲ加
ヘ得ルヤウナ配給統制機關ヲ設クルコトガ
必要デハナイカト云フコトノ御意向ヲ承リ
マシタノデゴザイマスガ、仰セノ通リ〓育
用品ノ圓滑ナル配給ト云フコトハ〓育ノ效
果ヲ全ウ致シマス上カラ極メテ緊要ノコト
デゴザイマシテ、遠山委員モ御承知戴イテ
居リマス通リ、只今デハ實ハ理科工作用品
ノ配給生產ト、學生用ノ「ノート」ノ配給生
產、是等ガ漸ク出來テ居ルノデアリマス
御例示ノゴザイマシタ廣キ範圍ニ亙リマス
學用品〓具等ニ付テハ、實ハ丁度只今本省ニ
於キマシテ仰セノ通リノ趣旨カラ必要ヲ
認メマシテ、一面ニハ學校用具類ノ種類規格
等ノ審査ヲ〓究會ヲ作ツテ進メテ居リマス
ト同時ニ、是ガ生產配給ニ關シマシテ適當
ナル機關ヲ設ケタイト云フ意向ヲ以テ關係
方面トモ折角打合セヲ致シテ居ル次第デアリ
マス、成ベク貴意ニ副フヤウニ致シタイト
考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=32
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033・遠山暉男
○遠山委員 次ニ待遇改善ノ實際運用上ノ
缺點ト申シマセウカ、一段ト斯クアリタイ
ト云フ點ヲ二ツバカリ申上ゲタイト思ヒマ
ス、〓職員ノ待遇ガ漸次改善サレテ來テ居
ルコトハ洵ニ慶賀ニ堪ヘマセヌガ、更ニコ
ンナ點ハ-御當局トシテ考ヘタラ小サイ
コトカモ知レマセヌガ、受ケル方カラ見レバ
極メテ重大ニ考ヘテ居リマスノデ、此ノ點
ヲ二ツバカリ申上ゲテ置キタイ、其ノ一ト
シマシテハ、中等學校ノ〓職員ハ高等官三
等マデ待遇ヲ上ゲルコトガ出來ル、國民學
校ノ〓職員ハ四等マデ上ゲルコトガ出來ル
ト云フヤウニ、頭ノ上ニ制限ガアルノデア
リマス、一方ニ於テ實質的ニ俸給等ガ上ゲ
ラレマシテモ、一方精神的ノ待遇ノ方ニ於
キマシテ、上ノ方ノ制限デピタリト抑ヘラ
レテ居ル、然ラバ、東京アタリニモ事例ガ
アルヤウデアリマスガ、中等學校デ三十年
或ハ四十年〓職ニ就イテ居ツテモ、高等學
校ノ若イ〓授ノ待遇ニモ足リナイヤウナコ
トデ、頭ガ制限サレテ居ル場合ガアルガ、
非常ニ是ハ氣ノ毒ニ堪ヘナイ、斯ウ云フヤ
ウニ、下ノ方ハ兎モ角、上ノ方ノ限度ヲ決
メルコトハ、此ノ際御止メニナル方ガ宜イ
ノデハナイカト考ヘテ居ル
ソレカラ〓職員ノ厚生施設デアリマスガ、
之ヲ鐵道方面トカ警察方面ト云フヤウナモ
ノニ較ベタラ極メテ劣ツテ居ル、警察官ハ
警察病院、鐵道ハ鐵道病院ヲ持ツテ居ルガ、
〓職員ニ於テハ僅カニ〓職員共濟會ガアル
ニ過ギナイ、又其ノ規則ノ實際ノ運用ヲ見
テモ、實ニ非常識ナ點ガアルノデアリマシ
テ、其ノ一例ヲ申上ゲテ見ルト〓職員ノ
中デ、本人ガ病氣ニナツタ、是ハ補助金ガ
八割ダカ戴ケルノダカラ宜イト思ヒマスガ、
其ノ家族ノ方ニ至ツテハ、一囘ノ治療費ガ
十圓以上ノ時ニノミ補助ヲ戴ケル、所ガ一
囘ノ治療ト云フコトニナルト、醫者ニ百日
通ツテモ一日ニ一囘ノ支拂ガ十圓以上ノ治
療ヲ受ケタノデナケレバ此ノ補助ハ貰ヘナ
イノデスカラ、恐ラク負傷トカ大手術ノ時
デナイト貰ヘナイ、隨テ內々聞キ合セテ見
マスト、共濟會ノ金ハ可ナリ餘ツテ居リマ
シテ何處デモダブツイテ居ル、是ハ一面ニ
於テ、金ガ餘ルト云フノハ使ハセナイカラ餘
ルノデ、使フヤウニシタラ餘ラナイト思フ、
隨テ斯ウ云フ方面ノ金ヲ集メテ、或ハ他ノ
方面ニ於キマシテモ適當ナ財源ヲ得マシテ、
〓職員ガ病氣ニナツタ時ニハ安心シテ治療
ニ從ヘル、殊ニ結核患者等モ相當多イノデ
アリマスカラ、是等ヲ安心シテ殆ド無料デ
治療ガ受ケラレルヤウナ施設ヲシテ戴キタ
イ、其ノ他ニモアリマシタガ、前ノ方カラ
質問ガアリマシタノデ、以上ノ厚生施設ト、
待遇ニ關スル官等級ノ制限ヲ撤廢シテ貰ヒ
タイト云フコトニ付テ伺ツテ見タイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=33
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034・橋田邦彦
○橋田國務大臣 中等學校〓員及ビ國民學
校〓員ノ精神的ナ待遇ニ付キマシテハ、今
物質的ナ面ト併セ考ヘテ適當ナ方途ヲ講ジ
タイト考ヘテ居リマス、是ハ技術的ナ問題
ニ入ルト思ヒマスガ、只今御話ノ通リニ、
上ノ制限ヲ直グチョン切レルカ、或ハモツト
上ニナラセテ、更ニ其ノ上ニナラセルカト
云フ、色々ナコトガアリマスケレドモ、何
レニシテモ精神的待遇ハ是非實現シヨウト
今考究中デモアリマスシ、又出來ルコトダ
ト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=34
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035・菊池豐三郎
○菊池(豐)政府委員 只今御指摘ニ相成リ
マシタ共濟制度ノ運用ニ關スル點デアリマス、
是ハ或ハ御承知カト存ジマスガ、政府職員
ノ共濟制度ニ付テモ、色々ノ點ニ付キマシ
テ、先般ノ行政簡素化實施ニ伴ヒ官吏ノ待
遇改善ノ一環トシテ種々改善ノ諸點ヲ考究
セラレツツアルノデアリマス、是ト竝行シ
テ給付ノ範圍トカ其ノ他ノ運用方法等ニ付
テ種々改善セラレルヤウナ方向ニ今〓究セ
ラレツツアリマス、ソレト相關聯シテ〓職員
ノ共濟組合ニ付キマシテモ、政府職員ノ共
濟制度ノヤリ方ノ決定次第、ソレト相照應
シテ同ジ步調ヲ以テ考ヘタイト考ヘテ居リ
マス、只今御指摘ノヤウナ事柄ハ隨分考ヘ
得ベキ性質ノモノト存ジマス、一ツ十分〓究
シテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=35
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036・遠山暉男
○遠山委員 次ニ師範〓育上ニ付テ、今マ
デ同僚カラ伺ツテ居ラナイ二、三ノ點ニ付
テ伺ツテ見タイト思ヒマス、師範學校
ノ昇格ニ伴ヒマシテ色々機構ガ變ツテ
來ルト思ヒマスガ、師範學校ガ專門學
校ニナツタ後ニ於テ、師範學校ノ生徒ヲ
寄宿舍ノ中ニ全員收容スルコトガ必要デア
リマス、伺フ所ニ依リマスト高等學校ノ
學生ハ之ヲ全員寄宿舍ニ收容スル御考ヘデ
アルヤウデアリマスガ、私ハ〓育ニ携ハル
者ハドウシテモ寄宿舍ノヤウナ所デ所謂〓
育魂ノ鍊成ヲスルコトガ最モ必要デアルト
考ヘテ居リマス、隨テ高等學校ガ全員寄宿
舍ニ收容スルヤウナ施設ニナルナラバ、師
範專門學校モ當然全員ヲ收容シテ寄宿舍ニ
於テ鍊成スルコトガ必要デアルト思ヒマス、
所ガ仄カニ伺フ所ニ依ルト、其ノ設備ガ現
在ノ儘デハ足リナイノデハナイカ、文部省
ニ於テハ全員ヲ收容シテ鍊成スル御考ヘガ
アルカ、或ハサウ云フ場合ニ今ノ設備デ足
リルカドウカト云フコトヲ伺ツテ見タイ、
ソレカラ是ハソレガ惡イト云フノデハナイガ、
近頃師範學校ガ士官學校ノ豫備校ノヤウナ
傾向ヲ呈シテ來テ居ルノデアリマス、時局柄
師範ノ卒業生ガ軍隊ニ入リ、サウシテ忠良
ナル將士トシテ活動スルコトハ最モ好マシ
イコトデアルガ、此ノ軍隊ニ入ツタ者ガ實
際ニ戰地其ノ他軍隊ニ勤務シテ居リマシテ、
ドンナ考ヘヲ持ツテ居ルカト云フコトヲ伺
ツテ見ルト、多クハ軍ニ留マツテ將校ニナ
ルコトヲ希望シテ居ルト思ヒマス、除隊ノ
後ニ再ビ元ノ任地ニ歸ツテ〓職ヲヤルト云
フコトヲ餘リ望ンデ居ナイト思フノデアリマ
ス、ソレハ何處ニ原因ガアルカト申スト、
色々ナ點モアリマセウガ、兎ニ角今ノ若イ
者ガ軍隊ニ入ツテ將校ニナツテ再ビ國民學
校ノ〓師ニ歸ツテ來ルコトハ、軍隊ニ將校
トシテ留マル以上ハ餘リ好マナイノデハナ
イカト思フ、私ハ斯ウ云フコトガ實際ニ今
後續イテ行ハレルニ於キマシテハ、地方ニ
於ケル國民學校ノ男〓員ノ數ハ、如何ニ養
成シテモ減ツテ來ルノデハナイカ、〓育ト
云フコトハ一日モ忽セニスベカラザル所ノ
國家ノ最モ大切ナ仕事デアルノデアルカラ、
之ヲ何トカ〓職ニ再ビ歸ツテ來ル方法ヲ講
ズル必要ガアルノヂヤナイカ、殊ニ先般豫
算委員會等ニ於キマシテモ首相ガ言明サレ
テ居リマシタヤウニ、產業戰士ノ中ノ特殊
技能ヲ持ツタ者ハ其ノ產業戰線ニ歸シテ寄
越ス、旣ニ十万ヲ歸シタト云フコトヲ言明
サレテ居リマスガ、〓育者ノ中デ、殊
文理科大學ヲ卒業シタ人デ、私ノ知ツテ
居ル例ニ依リマシテモ、或ル所ノ郵便物配
給係ヲ言付ケラレマシテ、女事務員デモ
出來ルヤウナ仕事ヲ數學ヲ專攻シタ人ガ行ツ
テ一兵卒ト同ジヤウニ郵便物ノ配給ノ手
傳ヲシテ居ルト云フ實例カラ考ヘテ見マ
シテモ今理科〓師ガ極メテ少イ時ニ於
キマシテ、此ノ新シイ知識ヲ持ツテ、文
理科大學ヲ出タ間モナイ新人ノ〓師ガ〓育
界ニ歸ツテ來ルト云フコトハ非常ニ良イコ
トデ、之ヲ一郵便局ノ事務員ト同ジヤウナ
活動ヲサシテ居ツテモ、餘リ國家的ニ價値
ノナイコトデアルト思フ、產業戰士ノ有能
ナ技術者ハ召集ヲ解除シテ產業戰線ニ歸ス
ト云フコトヲ總理大臣モ先般言明サレタノ
デアリマスルカラ、〓育界ニ於テモ、私ハ
全部ノ職員トハ申シマセヌ、殊ニ理科トカ
數學トカ云フヤウナ方ハ目下如何ニモ其ノ
數ガ減ツテ居リマスカラ、學校經營ニ差迫
ツテ困ルヤウナ〓科目ヲ學修サレタ所ノ〓
師ハ、ヤハリ產業戰士ト同ジヤウニ特別ナ
扱ヒヲ受ケテ除隊ナリ何ナリノ形式デ學校
ニ歸還サスルト云フコトガ必要デハナイ
カ、斯ウ云フコトニ付テノ御當局ノ御意見
ヲ伺ツテ見タイト思フノデアリマス
以上師範〓育ニ付テ全員ヲ寄宿舍ニ收容
スルコトガ必要デアルカドウカト云フコト
ト、師範學校ガ現在士官學校ノ豫備校ノヤ
ウニナツテ居ルガ、之ニ付テ現ニ召集サレ
テ居ル所ノ〓職員ノ特殊ナル者ハ〓育界ニ
歸還サセル方法ハナイカト云フ二點デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=36
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037・橋田邦彦
○橋田國務大臣 新制ノ師範學校ニ於キマシ
テノ根本方針ト致シマシテハ全寄宿制
度ヲ執ツテ居ルノデアリマス、唯資材關係
ニ於キマシテ急速ニ足リナイモノヲ直グ卽刻
建テルト云フコトニ相至ラナイノデアリマ
スガ、併シ資材ガ確保出來ルヤウニナリ
マスレバ、モウ直チニ全寄宿制度ヲ實施シ
タイト云フ希望ノ下ニ、モウ既ニ關係方面
トモ諒解ヲ得テ居ルノデアリマスガ、是ハ
資材關係デ一寸延ビルコトト思ヒマス、併
シ是ハ御話ノ通リデアリマシテ、是非トモ
ヤラナケレバ〓育ノ實ガ擧ラナイ、又學校〓
員トシテ育成シタ者ガ應召サレマシテ戰地
ニ於テ働イテ居リマス、是ハ國家ノ御爲ニ
働クトシテ、別ニ異議ヲ申上ゲルノデハア
リマセヌケレドモ、ソレガ適當ニ利用サレ
テ居ナイト云フ點、全ク御話ノ通リデモア
リマスシ、現ニ其ノ養成ノ目的ニ反シテ他
ノ方ヘ利用サレテ居ルコトニモ一面カラ言
ヘバナル譯デアリマス、其ノ間適當ニ利用
シタイト云フ考ヘヲ持チマシテ、關係當局
ニ於キマシテ目下其ノ方途ヲ考究中デゴザ
イマス、何カ知ラン適當ナ方法ヲ講ジタイ
ト云フ考ヘデ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=37
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038・遠山暉男
○遠山委員 最後ニ靑年學校ニ付テ二、三
點伺ツテ見タイト思ヒマス、是ハ私ハ自分
デ經營シテ居リマス會社ノ靑年學校長ヲシ
テ居ル關係上、實際問題ノ細カナ點デスガ、
二、三ノ問題ニ付テ伺ツテ見タイト思ヒマス、
現在ノ商法ガ〓育ト云フコトヲ商行爲ノ中
ニ認メテ居リマセヌガ爲ニ、貸借對照表ヲ
作リ、或ハ稅務署ノ檢査ヲ受ケルト云フヤ
ウナ場合ニ、〓育ト云フ項目ガ何レモ邪魔
ニサレルノデアリマス、隨テ之ヲ厚生施設
トカ、營業科目ノ中ニ繰込ンデヤツテ居ル
ヤウナ始末デアル、此ノコトハ一體ドウ
云フ結果ヲ生ムカト申シマスト、會社ノ持
ツテ居ル私立靑年學校ノ〓育ト云フモノガ
獨立性ヲ有シナイト云フコトニナツテ來ル
ノデス、營業課長ノ承諾ヲ得ナケレバ出來
ヌトカ、厚生施設ノ方ノ責任者ノ承諾ヲ受
ケナケレバ出來ヌトカ云フヤウナ、多クハ
私立學校ノ獨立性ヲ持タヌ所ノ學校經營ニ
ナツテ居ル、隨テ此ノ學校〓育ト云フヤウ
ナ觀點カラ言ヒマスト、營業行爲ノ一部ノ
中ニ含マレテ居ルヤウナ、又厚生施設ノ一部
ノ中ニ含マレテ居ルヤウナ極メテ、變則ナ
モノデアリマシテ、〓權ト云フモノガ確立
シナイノデアリマス、隨テドウシテモ是ハ
何トカシテ獨立スルヤウニシナケレバナラ
又、私立學校ヲ經營シテ居ル會社カラ經費
ハ出サシタニシタ所ガ、〓育ト云ヲモノハ
ドウシテモ之ヲ獨立サセル所ノ經營デナク
テハイカヌ、隨テ茲ニ私立靑年學校ニ付テ
ハ、今ノヤリ方デナク、地方長官或ハ適當
ナル官廳ニ命ジマシテ、サウシテ適當ナル
指導監督ヲモツト嚴重ニシナケレバ、本當ノ
私立靑年學校ノ〓育ノ成果ト云フモノハ擧
ラナイト思ヒマス、又指導、監督ガ必要デア
ルト云フコトハ、會社ガ形式上ノ體面ヲ作ル
爲ニ非常ナ高イ俸給ヲ出シテ公立靑年學校
職員ノ引拔ヲヤル、併シソレハ營業部ノ方ヲ
通ズルトカ、或ハ厚生施設ヲ通ズル關係
上ドウシテモ其ノ職員ハ立派ナ公立學校
ノ職員デアツテ、ソレガ非常ニ高イ俸給デ
餘所ニ買ハレテ行クノデアルカラ、〓育方
面ニ活用スレバ相當ナ力ガ出シ得ラレルノ
デアリマスケレドモ、會社ノ機構ガ〓育ト
云フモノガ獨立シテ居ラヌ爲ニ、或ハ人事
課長ノ手傳ヲサセタリ、或ハ厚生部ノ手傳
ヲサセタリト云フコトニナリマシテ、〓育
人トシテノ生命ヲ滅却スル場合ガ多イノデ
アリマス、是等ノコトカラ考ヘテ見マスル
ト、一面ニ於テハ公立學校ノ職員ガ他ニ轉
出スル機會ヲ多クシテ精神ヲ動搖セシメル、
而シテ其ノ結果ハ本人ノ本然ノ〓育ノ生命
ニ生キテ行クコトガ出來ナクテ、却テ他ノ
方面ノ複雜多岐ナルコトニ使用サレル、斯
樣ナ狀態カラ考ヘテ見マシテモ、〓職員ノ
任命等ニ於キマシテモ、地方長官ニ於テ或
ハ認可許可制度ヲ採ツテ行ツタナラバ、斯
樣ナ不合理ナコトガナクテ濟ムヂヤナイカ、
サウシテ官立私立ノ職員ノ俸給等モ均衡ガ取
レテ、官立カラ私立ノ方ニ流レテ行クヤウナ
弊害モ救ヘルヂヤナイカ、私立靑年學校ノ
實情ニ鑑ミマシテ、靑年學校ノ獨立ヲ要望
シ、ソレカラ學校監督ヲ一層强化セシメル
必要ガアリハセヌカ、此ノ點ニ付テ所見ヲ
伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=38
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039・藤野惠
○藤野政府委員 只今遠山サンノ實際ニ卽
シテ御體驗ノ上カラ色々私立靑年學校ノ經
營ニ關スル問題ニ付テ懇ロナ御意見ヲ以テ
當局ノ所見ヲ質サレマシテ、洵ニ私共深ク
傾聽申上ゲタ次第デアリマス、第一點ノ私
立靑年學校ノ會計ト云フモノヲ獨立セシム
ルコトガ必要デアル、此ノ點ハ全ク御同樣
ニ考ヘテ居ルノデアリマス、私立學校ノ設
立ニ當リマシテ、設備若クハ經營經費等ハ
十分ニ調査致シマスルケレドモ、何分ニモ
現在ノ私立ノ靑年學校ニ於キマシテハ御承
知ノヤウニ經營ハ大體ニ於テ事業主體其ノ
モノニナツテ居リマス關係上、御示シノヤウ
ナ結果ニ相成ルト考へルノデアリマス、此
ノ點ハ現在ノ會社デアルトカ其ノ他ニ關シ
マスル基本的ナ取扱上ノ問題ニモ觸レマスノ
デ、唯〓育行政ノ上カラ、是ハ全ク遠山サン
ト御同樣ニ考ヘテ居リマシテ、是非獨立ヲ
サセルヤウニ考ヘテ參リタイト云フ意味ヲ
以テ只今〓究ヲ致シテ居リマスシ、今後モ
十分〓究ヲ續ケテ行キタイト考ヘテ居リマ
ス
ソレカラ第二ノ御尋ネデゴザイマスガ、
公立ノ靑年學校カラ高給ヲ以テ私立ノ靑年
學校ニ〓員ガ屢〓引拔カレルヤウナ弊ガアル
ヤウニ思ハレル、此ノ點洵ニ事實左樣ナ點
ガ私共ナイトハ考ヘテ居リマセヌ、是ガ對策
トシテ御示唆ノアリマシタ地方長官ノ認可
ト云フコトデゴザイマスルガ、實ハ私立ノ
靑年學校ノ職員任用ニ關シマシテ、現在地
方長官ガ之ヲ認可スルト云フコトニ相成ツ
テ居ルノデアリマス、然ル所此ノ點ニ付キ
マシテモ御指摘ノヤウニ、尙ホ指導監督上
ノ十分ナル周到ノ注意ト云フモノガ或ハ缺
ケテ居ルノデハナイカト私思フノデアリマ
シテ、此ノ點更ニ今後運用ノ上ニ能ク注意
ヲ致シマシテ、苟クモ左樣ナコトノナイヤ
ウニ致シテ參リタイト思ヒマス、爾後假ニ
左樣ナ〓員ガ私立ノ靑年學校ニ聘セラレマ
シテモ、後ノ運用ニ付キマシテ十分指導監
督ヲ致シマスレバ、引用セラレマシタヤウ
ナ色々ナ〓育以外ノ雜用ニ是ガ利用セラレ
テ、〓育ノ根本ト云フモノカラ遠ザカリ、
又〓育的ナ信念、〓育的ナ立場ト云フモノ
ヲ失フヤウナコトハ起リ得ナイト存ジマス
カラ、是ハ運用上十分ニ考ヘテ參リタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=39
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040・伊吹元五郎
○伊吹委員 關聯シテ一寸······先程御質問
ノ中、資格ガ奏任ノ校長ガ判任ニ格下ゲシ
テ承知ノ上デ行クト云フコトニ付キマシテ、
巷間傳フルヤウニ何カ役得デモアルノデ、
サウ云フコトガ出來ルノデアリマセウカ、
ドウデアリマセウカ、此ノ點ヲ一ツ、ソレ
カラモウ一ツ御伺ヒシタイノハ〓職員ガ
應召シテ還ツテ參リマシテカラノ實況ハ如
何デアリマセウカ、國民皆兵制度ノ國柄ト
シテ、殊ニ現下ノ時局ニ鑑ミマシテ、アリ
ト凡ユルモノハ戰爭ヲ主眼トシテ米英ヲ擊
滅シ、聖戰ヲ完遂スベキ重大ナ今日、殊
我ガ國ノ國柄ハ國民皆兵ノ國柄デアリマシ
テ、斯ウ云フ點カラ歸還〓職員ノ實況ヲ承
リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=40
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041・菊池豐三郎
○菊池(豐)政府委員 學校長或ハ職員ガ其
ノ資格ノ格下ゲデ參ル、是ハ現在ノ制度ノ
資格ノ待遇關係上サウ云フ制度ニナツテ居
リマスルカラ、已ムヲ得ズソレニ依ツテ適用
セラレテ居ルヤウナ譯デアリマス、是ハ先
程モ御話ガアリマシタヤウニ、資格其ノモ
ノノ待遇ヲ考ヘナケレバイカヌト思ヒマス、
要スルニ之ヲ奏任待遇相當ノ程度ノ待遇ノ
向上ヲ圖ルト云フコトガ最モ必要ナコトデ
アラウト思ヒマス、サウ云フ方向ニ向ツテ
先程文部大臣カラモ御話ガゴザイマシタヤ
ウニ、是非待遇ノ改善ヲ斯カル機會ニ實現
スルヤウニ努力致シタイ、左樣ニ考ヘテ居
リマスサウシテサウ云フ格下ゲト云フヤウ
ナ妙ナ恰好ノ起ラナイヤウニ相互彼此融通
致シ巧妙ニ又心持好ク致シタイト考ヘテ居
リマスソレカラ歸還致シマシタ〓職員ノ事
柄デゴザイマスガ、是ハ〓職員ガ召サレテ、
サウシテ實地ノ鐵火ノ中ヲ潜ツテ參リマハ
タ其ノ得難キ體驗ヲ以テ、今度ハ之ヲ〓職
ノ實際ニ其ノ精神的ノ指導力ヲ發揮スルコ
トニナリマシテ、非常ニ〓育ノ指導ノ上ニ
於テモ良好ナ效果ヲ擧ゲツツアル、左樣ニ
感ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=41
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042・松浦周太郎
○松浦委員長代理 申込ノ質問者モ過半ヲ
終ツタノデアリマスルカラ、政府ニ對シマ
シテハ過般要求致シマシタ參考資料ノ提出
ヲ至急ニ御願シタイト思ヒマス、參考資料
ニ依ツテ更ニ又審議ノ步ヲ進メラレルコト
ト思ヒマスカラ、成タケ早イ機會ニ於テ此
ノ提出方ヲ御願ヒシタイト思ヒマス、委員
室ト速記ノ都合上、明日ハ休會ノ豫定デア
リマス、本日ハ此ノ程度ニ散會致シマシテ
次會ハ公報ヲ以テ其ノ日程ヲ通知致シマス、
今日ハ是ニテ散會致シマス
午後零時十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008110863X00419430204&spkNum=42
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