1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月十八日（木曜日）午後一時十分開議
出席委員左の如し
委員長 由谷義治君
理事 木下義介君 理事 西尾末廣君
理事 山口左右平君
池田正之輔君 小澤治君
片山一男君 駒井重次君
下出義雄君 長野高一君
南郷武夫君 古田喜三太君
山野平一君 吉田貞次郎君
出席政府委員左の如し
大藏次官 谷口恒二君
大藏省主税局長 松隈秀雄君
大藏省國民貯蓄局長 氏家武君
大藏書記官 子爵 戸田忠肅君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
國民貯蓄組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
納税施設法案（政府提出、貴族院送付）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=0
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001・由谷義治
○由谷委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス-
駒井重次君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=1
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002・駒井重次
○駒井委員 納稅施設法案ニ付テ御尋ネヲ
致シタイト思ヒマス、納稅施設法案ハ我ガ
國ノ稅務行政ノ上ニ於キマシテ一ツノ劃期
的ナ法律デアルト考へマス、此ノ點ニ思ヒ
ヲ致サレマシタ大藏當局ニ對シテハ大イニ敬
意ヲ表シタイト思ピマス、併シナガラ此ノ
法律ヲ第一條カラ讀ンデ見マスルト、大體
三十一箇條ノ此ノ納稅施設法案ノ中、命令
事項ニ讓リマシタ箇所ガ二十箇所近クゴザ
イマス、一般ニ租稅ニ關スル法規ハ難解デ
アツテ、一般國民納稅者ノ理解ガ足リナイ
ト云フ懸念ヲサレテ居リマス際、此ノ法律
案ガ斯クノ如ク命令事項ニ多數ノ箇所ヲ讓
ツテ居ルト云フコトハ如何カト思フノデア
リマス、大體此ノ法律ノ精神ハ大變結構デ
アリマスケレドモ、此ノ命令事項ノ規定ノ
仕方ニ依リマシテハ、或ハ實際ノ運用上如
何カト思ハレル箇所モゴザイマス、成ベク
命令事項ニ讓ラレナイデ、法律ノ上ニ明カ
ニセラレテハドウカト云フ風ニ考ヘル點ガ
ナイデハゴザイマセヌ、命令事項ノ要綱ヲ
ココニ拜見致シテ見マスト隨分此ノ中ニ
ハ、例ヘバ第七條ノ法人ノ納稅積立金デア
リマスガ、「命令ヲ以テ定ムル租稅」ト云フ
風ニ書イテアリマス、更ニソレガ「命令ノ
定ムル所ニ依リ」ト書イテアリマス、少ク
トモ此處ニ租稅ノ稅種位ハ法文ニ明カニセ
ラレル方ガ簡明率直デ、一般ノ理解ヲ深メ
ル所以デハナカラウカト考ヘテ居リマスガ、
此ノ點ニ關スル御意見ヲ一ツ伺ツテ見タイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=2
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003・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今駒井委員ノ御述ベニ
ナリマシタ點ハ洵ニ御尤モデアリマシテ、
吾々ト致シマシテモ、法律ヲ立案スルニ當
リマシテ、出來ルダケ法律ヲ見レバ規定ス
ル內容ガ分ルヤウニ致シタイト云フ心構ヘ
デ居ルノデゴザイマスガ、是ハ立法ノ技術
ト致シマシテ、法律ニ餘リ細カイ點マデ書
キマスト法文ガ非常ニ冗長複雜ニナツテ、
却テ分リニクイト云フ點モゴザイマスシ、
又命令ニ讓ツテ置キマス方ガ、固定化シナ
イデ、必要ニ應ジテ比較的容易ニ情勢ニ應
ジテ變へ得ルト云フヤウナ點モゴザイマス
ノデ、ドノ程度ヲ法律ニ規定シ、ドノ程度
ヲ命令ニ讓ルカト云フコトハ、大體立法ノ
技術トシテ其ノ境ヲ適當ニ定メテ居ル次第
デアリマスガ、納稅施設法案ニ於キマシテ
ハ割合ニ細カイ問題ガ取扱ハレテ居リマス
ル關係上、他ノ法律ヨリモ命令ニ讓ラレタ
點ガ多イト思フノデアリマス、只今御指摘
ニナリマシタ法案第七條關係ニ於キマシテ
「法人稅其ノ他命令ヲ以テ定ムル租稅」トゴ
ザイマスガ、是ハ法人稅ノ外ニハ、法人ノ
臨時利得稅、法人ノ營業稅ハ當然ナノデア
リマスルガ、法人ノ營業稅附加稅ヲ含メル
カ否カド云フコトニ付テ多少考慮ノ餘地モ
アリマシタシ、附加稅ノヤウナモノマデ法
律デ列記スルノハドウカト云フ考慮カラ致
シマシテ、結局命令ニ讓ルコトニナリマシ
タノデ、ソコデ代表的ナ法人稅ダケヲ出シ
テ其ノ他ハ命令ニ讓ツタヤウナ次第デアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=3
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004・駒井重次
○駒井委員 命令事項ニ付キマシテハ十分
一ウ御注意ヲ御願ヒシタイト思フノデアリ
マス、更ニ此ノ納稅施設法案ハ、先程モ申
シマシタ通リ、稅務行政ノ運用ニ付テ積極
的ニ指導セラレルト云フ點ニ非常ナ特異ナ
點ガアルノデアリマス、此ノ點ハ昨年ノ議
會ヲ通過致シマシタ稅務代理士法ト相竝ン
デ我ガ國ノ稅務行政上ノ二ツノ異色ノアル
法律ニナルデアラウト考ヘマス、併シナガ
ラ此ノ納稅施設法案ノ主眼ト致シテ居リマ
ス點ハ納稅ト云フコトデアリマス、稅務當
局カラ申サレルナラバ徵收方面ニノミ施設
ノ考慮ヲ致サレテ居ル、併シナガラ私ハ稅
務行政ノ賦課ノ方面カラ見テモ相當ノ施設
ヲスル必要ガアルノデハナイカト云フコト
ヲ考ヘル一人デアリマス、例ヘバ稅務官吏
ノ調査ヲ容易ナラシメル施設デアルトカ、
或ハ異議申請事件ノ解決ヲ容易ナラシムル
施設トカ云フ點マデ、積極的ニ施設ヲ考慮
セラレルコトガ稅務行政上必要デハナイカ
ト考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ關スル御
當局ノ御意見ヲ伺ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=4
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005・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘ノ納稅施設法案ハ國
民ガ租稅ヲ納メル場合ニ於テ其ノ租稅ノ納
付ヲ容易確實ナラシメル見地カラ提案セラ
レタ次第デアリマスガ、徵收ノ場面ニ於ケ
ル施設ダケデハ足リナイノデアツテ、其ノ
前提トナル賦課ニ付テモ、何等カ積極的ナ
施設ヲ講ジテ賦課ノ適實圓滿ヲ期スルヤウ
ニシナケレバ畫龍點晴ヲ缺クト云フヤウナ
點ニ付テノ御意見ハ洵ニ御尤モデアリマシ
テ、稅務當局ト致シマシテハ、出發點デア
ル所ノ課稅ノ適實公平ヲ期シマスルコトニ
付キマシテハ豫テ苦心ヲシ、努力モ拂ツテ
居ル次第デアリマスガ、未ダ具體的ニ法律
案ノ形デ提案スルマデニハ至ツテ居リマセ
又、今後ニ於キマシテ調査能力ヲ擴充スル
施策、ソレカラ資料ノ蒐集ノ完璧ヲ期スル
手段、或ハ決定ニ當ツテ商工會議所其ノ他
民意ヲ徵スル施設、又ハ決定ノ異議申立ノ
アツタ場合ニ於キマス其ノ再調査ノ促進ヲ
圖ル施設等ニ付キマシテ、法律ヲ以テ制度
ヲ定メタ方ガ宜シイト云フヤウナ結論ニナ
リマスレバ、サウ云フ點ニ付テハ、今後ノ
問題トシテ十分〓究シテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=5
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006・駒井重次
○駒井委員 只今ノ松隈主税局長ノ御答辯
ニ對シ、非常ニ滿足ニ存ジマス、兎モ角我
ガ國ノ稅務行政ノ劃期的向上進步ヲ圖ル爲
ニハ租稅全般ノ施設的ノ法規ガ必要デハナ
イカト考ヘテ居リマス、ドウゾ此ノ點ハ近
イ將來ニ納稅施設法ニアラズシテ、租稅施
設法ヲ一ツ御考慮ニナル必要ガアルノデハ
ナイカト存ジマス
更ニ此ノ機會ニ一寸御伺ヒシテ見タイト
思ヒマスコトハ、現行所得稅法ノ所得調査
委員ノ制度デアリマス、所得調査委員ノ制
度ハドウモ今日ノ稅務行政ノ運營ノ上ニ於
キマシテ、果シテ適切ナル制度デアルカド
ウカト云フコトハ疑ハシク考ヘル、此ノ點
ニ對シテ將來改正ヲナサル御意見デモオア
リデハナイカト考ヘルノデアリマスガ、之
ヲ一ツ伺ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=6
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007・松隈秀雄
○松隈政府委員 現在ノ所得調査委員ノ制
度ハ、御承知ノ通リ一定ノ資格ノアリマス
ル納稅者ノ選擧ニ依リマシテ選出セラルル
者デアリマスガ、是ガ所得ノ調査ニ當リマ
シテ、果シテ十分ナル效果ヲ擧ゲテ居ルカ
ドウカト云フコトニ付キマシテハ世間ニ於
テモ議論ノアル所デアリマシテ、是ガ改正
案ニ付テハ大藏省ト致シマシテモ〓究中デ
ゴザイマス、選擧ニ依ル委員ヲ廢止シテ官
選ニシタノガ宜イト云フヤウナ意見モゴザ
イマスルシ、又選擧ニ依ル委員ト官選ニ依
ル委員トノ混合體ヲ以テ組織シタラ如何カ
ト云フヤウナ意見モゴザイマシテ、內部ニ
於テ〓究致シテ居リマスガ、今後ニ於キマ
スル直接稅ヲ改正致シマスル機會等ニ於キ
マシテハ、所得調査委員ノ制度ニ付テモ根
本的ナ檢討ガ遂ゲラレテ、何等カノ形デ改
正案ガ具體化シ得ルノデハナイカト考ヘテ
居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=7
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008・駒井重次
○駒井委員 所得調査委員ノ制度ノ現狀ヲ
見マスルト、實際ニ於テ果シテ稅務ニ關シ
テ十分ナル理解ト知識ノアル人ガ選バレテ
居ル譯デハゴザイマセヌ、唯自分ノ町內ノ
知ツタ人ノ所得ノ調査ニ付テ意見ヲ述ベル
ト云フ程度デアリマシテ、所得全般ノ問題
ニ付テ調査委員トシテノ意見ナリ、陳述ナ
リヲスルト云フコトハ不可能デアリマス、
今日ノ現狀カラ申シマスト、所得調査委員
ノ懇意ナ人或ハ知ツテ居ル人ニハ、其ノ所得
調査ニ當ツテ相當說明モシ、辯解モシテ吳
レマスケレドモ、一般ハ此ノ所得調査委員
トハ無關係デアリマス、斯ウ云フ制度ハ今
日ノ稅務行政ノ運營ノ上カラ申シマシテ、
ドウシテモ改正ノ必要ガアルト思フノデア
リマスガ、近イ將來直接稅ノ改正ノ際ニ十
分ノ御考慮ヲ煩シタイト存ジマス
納稅施設法案ノ內容ニ付テ少シ細カイコト
ヲ御伺ヒシテ見タイト思ヒマス、第一章ノ納
稅團體ニ付テハ特ニ御伺ヒスルヤウナコトハ
アリマセヌ、第二章ノ法人納稅積立金デアリ
マスガ、此ノ第七條ハ中々重要ナル條項デア
リマス、此ノ法人稅其ノ他ノ命令ヲ以テ定
ムル範圍ニ付テハ先程ノ御答辯デ了解シタ
ノデアリマスガ、此ノ納稅積立金ノ計算ハ、
是ハ法人自身ガスルノデアラウト思フノデ
アリマス、自己計算ニ依ル納稅積立金デアリ
マスガ、而モ此ノ第七條ハ强制規定デアリ
マス、サウスルト法人ガ勝手ニ計算ヲシテ、
k
其ノ額ニ對シテノミ强制サレル、サウスル
ト此ノ自己計算ハ誤謬ガアツタ場合ニハ一
體ドウナルデアラウカ、此ノ點ニ對スル處
置等ニ付テハ何カ御考慮ガアラレルデアリ
マセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=8
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009・松隈秀雄
○松隈政府委員 第七條ノ法人納稅積立金
ハ、只今御話ノヤウニ法人ガ決算ヲ致シマ
シタ場合ニ於キマシテ、自己決算ニ依ツテ
出テ參リマシタ所ノ利益ニ對シマシテ、稅
法ヲ自ラ適用致シマシテ算出致シマシタ稅
額ニ付キマシテ命令ノ定メマスル一定割合
ノ納稅積立金ヲ積立テ、之ヲ特別勘定ヲ置
ケバ宜シイト云フコトニナツタノデアリマ
ス、其ノ場合ニ於キマシテ自己計算ヲスル
ノデアルガ、自己計算ニ誤リガアツタナラバト
云フコトデアリマスルガ、善意ニ於テ誤リ
ガアツタト致シマスレバ、第七條ノ義務ハ
果シタコトデアリマスルノデ、其ノ點ハ別ニ
罰則ノ適用ヲスルト云フヤウナコトニハナ
ラナイト思フノデアリマス、現在ニ於キマ
シテモ堅實ナル經營ヲ致シマスル法人ハ、
決算ニ當リマシテ何等法律ノ强制ハナイノ
デアリマスルガ、納稅引當金ナル勘定ヲ置
キマシテ、一方ニ於テ經營ノ堅實ヲ期シマ
スルト共ニ、他方ニ於テ納稅ノ確實容易ヲ圖
ツテ居ルヤウナ次第デアリマスルノデ、其ノ
制度ヲ法律化致シタト致シマシテモ、現狀
トサウ云フ場合ニ於テハ多ク違ハナイ
ノデアリマスルカラ、大體ニ於テ適實ニ運用
サレテ參ルト思フノデアリマス、唯現在納
稅引當金ノヤウナモノヲ積マナイ會社デア
リマスルト、多少不慣レナ點モアリマスル
ケレドモ、會社デアリマスル以上、決算ハ
致シテ居ルノデアリマシテ、ソレカラ納稅
積立金ヲ少クスル爲ニ、決算ニ於テ故ラ利
益ヲ少ク出スト云フヤウナコトヲスル虞ハ
ナイカト云フ點デアリマスルガ、會社ノ決
算ト云フモノハ公表サレルモノデアリマシ
テ、一方ニ於テ單ニ納稅積立金ヲ少クシヨ
ウト云フヤウナ考ヘカラダケデ、決算上ノ
利益ヲ少クスルト云フヤウナコトニナレバ、
法人ノ信用問題ニモ關係シテ來ル、斯ウ云
フコトニナリマスルノデ、旁、此ノ規定ガ出來
タ爲ニ決算ヲ作爲シテ利益ヲ特ニ少クスル
ト云フヤウナ心配ハ先ヅナカラウト思フノ
デアリマス、併シ法人ノ數ガ相當多イノデ
アリマシテ、決算ガ十分ニ出來ナイヤウナ
法人モ、數多イ中ニハアルノデアリマスル
カラ、ソレハ今後此ノ法律ノ施行ノ曉ニ於
キマシテハ、出來ルダケ正確ニ決算ヲ致シマ
シテ、法律ニ規定シテ居リマスル法人納稅
積立金ト云フ勘定ガ置ケルヤウニ、指導ニ
付テハ十分留意シテ參リタイト思ツテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=9
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010・駒井重次
○駒井委員 此ノ法人納稅積立金ヲ積立テ
シメル理由ハ、會社ノ基礎ヲ堅實ナラシメル
ト共ニ、稅金ノ滯納ヲ防止シヨウト云フコト
ガ主タル目的デアルト思ヒマス、然ルニ今
日ノ此ノ法人ニ關シマス稅金ノ滯納ト云フ
モノハ、是ハ私ハ實情ヲ知ラナイノデアリ
マスケレドモ、恐ラクハ小法人、或ハ內容
ノ惡イ法人、サウ云フ法人ガ認定課稅ヲ受
ケマシテ、豫期セザル稅金ヲ賦課セラレル、
其ノ結果、滯納ト云フヤウナコトニナルノ
デハナイカト思フノデアリマス、サウシマ
スト、此ノ納稅積立金ガ自己決算ニ依ル數
字デアルト致シマスルトヽサウ云フ認定課
稅ヲ受ケマスル法人ト云フモノハ、殆ド納稅
積立金ヲ致シテ居リマセヌ、ソレデアリマ
スカラ法律ノ期待スルヤウナ-之ニ依ツテ
滯納ヲ防止スルト云フコトハ、或ハ其ノ目
的ヲ達シナイノデハナイカト考ヘラレマス、
此ノ點ニ關シテ一ツ御意見ヲ伺ツテ見タイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=10
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011・松隈秀雄
○松隈政府委員 法人ノ滯納狀況ヲ見テミ
マスルト、大法人ニ付キマシテモ、又小
法人ニ付キマシテモ、或ル程度ノ滯納ニアル
ノデアリマスガ、納稅引當金ノヤウナ勘定
ヲ持ツテ居リマスルモノト、サウ云フ引當金
ヲ持タナイ法人ト比ベテ見マスルト、其ノ
滯納割合ト云フモノガ、引當金ヲ持ツテ居
リマスルモノニ於テ非常ニ少ク、引當金ヲ
持ツテ居ラナイヤウナ會社ニ非常ニ多イノ
デアリマズ、ソコデ今後ノ施設ト致シマシ
テハ、法律ノ施制ヲ以チマシテ、最初ハ極
メテ低イ割合カラ出發致スノデアリマスル
ガ、五年後ニ於テハ、大體自己決算ニ依ル見
込租稅總額ニ相當致シマスルモノヲ積立サ
セルヤウニ致サセマシテ、ソレニ依ツテ會
社ノ經營ヲ堅實ニ致シマスルト共ニ、滯納
ノ防止ニ努メタイト思フノデアリマス、數
字ノコトヲ少シ申上ゲマスルト、公稱資
本金百万圓以上ノ會社ハ三千六百二十一ゴ
ザイマス、其ノ中、納稅準備ヲ持ツテ居リ
マスルモノハ六割六分程度デゴザイマ
ス、是ガ滯納致シマシタ割合ハ、調定
件數ニ對シテ一割四分程度デアリマス、公
稱資本金百万圓未滿二十万圓以上ノ會社九
千三百八十七ニ付テ見マスルト、納稅準備
ヲ持ツテ居リマスル法人ハ、其ノ中四割四
分程ニナツテ居リマス、其ノ場合ニ於テ調
定件數ニ對シマスル滯納件數ノ割合ハ、二
割一分程度デゴザイマス、公稱資本金二十
万圓未滿ノ會社ハ九万一千四百六十六程ア
ルノデゴザイマシテ、是ハ約八八%位ノ多
キニ及ンデ居ルノデアリマスガ、サウ云フ
法人ニ於キマシテハ、納稅準備ノアリマス
ル法人ハ、割合ガ非常ニ低クテ一割五分餘デ
アリマス、其ノ場合ニ於キマシテ、調定件
數ニ對スル滯納件數ノ割合ハ三割一分程度
ニナツテ居ルノデアリマス、ソレデゴザイ
マスカラ只今御述ベニナリマシタヤウニ〓
論シテ申上ゲマスレバ、納稅準備ヲ持ツテ
居ル會社ハ大法人ニ多ク、小法人ニ少イ、
ソレカラ隨テ納稅準備ヲ持ツテ居ル會社ニ
於ケル滯納ガ少イノデアリマスカラ、大
法人ニ於ケル滯納ノ件數ノ割合ガ少ク、小
法人ノ滯納ノ件數ノ割合ノ多イト云フ點ハ
御話ニアツタ通リデアリマス、此ノ點ヲ今
後法律施行ノ曉ニ於テハ極力改善スルヤウ
ニ努力ヲシテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=11
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012・駒井重次
○駒井委員 只今ノ御說明デヤハリドウモ
認定課稅ヲ受ケルヤウナ法人ハ、滯納ガ多
イト云フコトハ事實デアラウト思ヒマス、
サウ考ヘテ見マスルト、此ノ認定課稅ヲ受
ケルヤウナ法人ト云フノハ、大體決算ニ於
テ餘リ利益ガ出テ居ラナイ、同時ニ法人ノ
納稅積立金ヲシテ居ラナイ、法律ノ期待ス
ルヤウナ納稅ノ積立金ハサセラレナイト云
フコトニナリハシナイカト思フノデアリマ
ス、是ハ何カ玆ニ一ツノ施策ヲ施シテ、或
ハ前期ノ稅金額デアルトカ、或ハ前々期、
前三箇年ノ稅額デアルトカ、何カヲ基準ト
シテ納稅積立金ヲ積立テシメルト云フ一ツ
ノ條件ヲ玆ニ作ラレルヤウナコトハドウカ
ト云フヤウナ感ジモシマス、又或ハ計理士
デアルトカ、稅務代理士ヲシテ其ノ決算ニ對
シテ證明ヲセシムルト云フヤウナ方法モ必
要ヂヤナイカト思フ、何カサウ云フ施策ガ
ナイト、一體此ノ法律ノ期待シテ居ルヤウ
ナ、滯納スルヤウナ會社ガ自己決算ニ於テ
法人納稅積立金ヲ果シテ積立テテ吳レルカ
ドウカト云フコトハ疑問デハナイカト思フ
ノデアリマス、モウ一度此ノ點ヲ御伺ヒ致
シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=12
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013・松隈秀雄
○松隈政府委員 小法人ニアリマシテハ、
會社ノ內部組織モ完備シテ居リマセヌ爲ニ、
其ノ事業年度ガ終ツテモ、決算ヲ致サナイ
デ放ツテ置クト云フヤウナモノノアリマス
ルコトハ御說ノ通リデアリマスルケレドモ、
公稱資本金二十万圓未滿ノ會社ト雖モ其ノ
大部分ガ必ズシモサウ云フヤウナ狀態ニア
ル譯デハアリマセヌデ、ヤハリ株主關係モ
ゴザイマスルカラ、一定時期ニハ決算ヲシ
テ居ルヤウデアリマス、隨ヒマシテ其ノ決
算ヲシタ場合ニ於キマシテハ、自己決算ニ
基ク法人納稅積立金ヲ積立テサセルト云フ
風ニ指導シテ參リタイト思フノデアリマス、
尤モ法人ト申シテモ、殆ド法人ノ實體ガナ
〃、名前ダケ法人トシテ居ルト云フヤウナ
モノデアリマシテ、決算ヲセズニ放ツテア
ルト云フモノニ付テハ、法人納稅積立金ヲ
積立テサセルト云フ指導ヨリモ、先ヅ決算
ヲ一定ノ時期ニスルト云フコトノ指導ヲサ
セル必要ガアルト思フノデアリマス、其ノ場
合ニ於キマシテ稅務當局ニ於キマシテモ指
導斡旋ヲ致シマスルガ、或ハ稅務代理士ノ
力ヲ借リルト云フコトモ一ツノ方法デアル
ト思フノデアリマス、又現在デハ全國主要
ノ都會ニ於キマシテハ、稅務相談所モ出來
テ居ルコトデアリマスルカラ、稅務相談所ニ
相談ヲシテ其ノ指導ヲ受ケテ、先ヅ決算ヲ
スル、決算ヲスルト云フコトニナレバ自然
法人納稅積立金ト云フモノハ計算ガ出ルノ
デアリマスルカラ、サウ云フ指導ヲシテ行
ク必要ガアルト思フノデアリマス、小法人
ノ場合ニ於キマシテ、一ツノ會計標準ノヤ
ウナモノヲ設ケマシテ、前年ノ稅金デアル
トカ、或ハ前三箇年ノ稅金ト云フヤウナモ
ノヲ標準トシテ積立テルト云フコトモ一ツ
ノ方法デハアリマスルケレドモ、前年ノ標
準ト云フヤウナコトニ依リマスルト、利益
ノ動ク時ニ於テハ相當ノ移動モアリマスル
シ、前三箇年ノ平均トスレバ其ノ點ノ弊害
ハ稍〓防ゲマスルケレドモ、是モ必ズシモ適
實ト言ヒ得マセヌカラ、大體只今提案シテ
居ルヤウナ方法ニ依リ、專ラ各法人ニ付キ
マシテ役所ニ於テモ亦相談所、稅務代理士、
サウ云フヤウナ稅務ノ相談ニ與ル公私ノ機
關ヲ通ジテ指導啓發ニ力ヲ致シテ行クノガ
一番宜イ方法デアラウト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=13
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014・駒井重次
○駒井委員 此ノ點ハ非常ニ疑問ダト思ツ
テ居リマスガ、一ツ實際ノ此ノ法律運營ノ上
ニ於キマシテ善處シテ戴キタイト思フノデ
アリマス
次ニ御伺ヒシテ見タイト思ヒマスノハ、從
來稅金引當金ヲ十割計上シテ居ツタト云フ
ヤウナ會社ニ於キマシテハ、今囘ノ納稅施
設法ガ實施セラレマスルト、大體初メノ事
業年度ニ於テハ稅額合計ノ三割程度ヲ積立
テシメル、斯ウ云フコトニナリマスト、從來
積立ヲシテ居ツタ會社ハ勿論稅金引當金ヲ
十割計上スルノデアラウト思ヒマスガ、サ
ウ云フ場合ニ此ノ三割ヲ超過シタ部分モヤ
ハリ是ニ謂フ法人納稅積立金トナル譯デア
リマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=14
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015・松隈秀雄
○松隈政府委員 納稅施設法案第七條ニ規
定シテ居リマスル納稅積立金ハ是ハ法律ノ規
定ニ基クモノデアリ、其ノ使用等ニ付テ制限
ガ特ニ嚴重ニナツテ居リマスルカラ、此ノ部分
ハ之ヲ特別勘定トシテ戴ク積リデアリマス、
其ノ以外ニ於キマシテ從來十割ノ納稅引當
金ヲ持ツテ居リマスルヤウナ會社デアリマ
スレバ、是ハ一種ノ任意積立金トシテ勘定
ヲ分ケテ積ンデ戴クヤウニシテ參リタイト
思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=15
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016・駒井重次
○駒井委員 其ノ點ハ能ク分リマシタ、次
ニ第九條ニ稅務署長ガ義務ノ免除ヲスルコ
トガ出來ルト云フ規定ガゴザイマズ、此ノ
義務ノ免除ヲナシ得ル場合ハ、納稅成績ガ
良好デアツテ將來滯納ノ虞ガナイト云フ場
合ニハ義務ノ免除ヲスルノダト云フコトニ
ナツテ居リマスガ、此ノ判斷ハ中々難カシ
イコトデアリマシテ、何カ基準ガナイト
唯單ニ將來滯納ノ虞ナシト云フヤウナ漠然
タル條件ヲ以テ免除スルト云フコトニナリ
マスト稅務署長ハ實際問題トシテ中々義務
ノ免除ヲシナイト云フコトニナリハシナイ
カト考ヘラレルノデアリマス、此ノ點ハ如
何樣ニ御考ヘデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=16
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017・松隈秀雄
○松隈政府委員 法案第九條ニ於キマシテ
稅務署長ガ納稅準備預金ヲ保有シマスル義
務ヲ免除スル標準ト致シマシテ「既往ノ納稅
成績良好ニシテ且ツ將來滯納ノ虞ナキトキ」
ト云フコトヲ命令案要綱ニ豫定シテ居リマ
スガ、御話ノ如ク是ハ抽象的ナ書キ方デア
リマシテ、是デハ稅務署長ノ専斷ニ陷ル
虞ガアルト云フコトデアリマスルノデ、具
體的ナ勅令案ノ起案ニ當リマシテハモウ少
シハツキリシタ標準ヲ置キタイト考ヘテ居
ルノデアリマス、只今持ツテ居リマスル腹
案ト致シマシテハ、直前三事業年度ニ於テ
租稅ヲ完納シタト云フモノニ付テハ、既往
事業年度ノ納稅成績良好ナルモノニ認定致
シタイト思ツテ居ルノデアリマス、將來滯
納ノ虞ナキトキト云フノハ、是ハ稅務署長
ト雖モ中々標準ヲ設ケテ設定スルコトハ困
難ナノデアリマスガ、大體ニ於キマシテ直
前三事業年度ニ滯納ガナクテサウシテ相
當ノ利益ガ擧ツテ居リマスレバ、サウ云フ
會社ハ將來モ滯納ノ虞ナイモノトシテ取扱
ツテ宜シカラウト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=17
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018・駒井重次
○駒井委員 只今ノ御說明デ非常ニハツキ
リシタノデアリマスガ、是非此ノ標準ハハ
ツキリシタ標準ヲ一ツ定メテ戴クト云フコ
トガ必要デアラウト思ヒマス、ドウモ餘リ
抽象的ナ條件ヲ御定メニナルト、實際運營
ノ上ニ於テ甚ダ面白クナイ結果ヲ生ジマス
次ニ第三章ノ納稅準備預金ニ村テ御伺ヒ
シタイト思フノデスガ、納稅準備預金ハ法
人個人何人デモスルコトガ出來ルノカト
云フコトヲ御伺ヒシテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=18
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019・松隈秀雄
○松隈政府委員 御話ノ通リ納稅準備預金
ハ法人、個人何レモガ之ヲナシ得ルコトニ
相成ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=19
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020・駒井重次
○駒井委員 此ノ納稅準備預金ノ第十條カ
ラ第十六條マデヲ見マスルト、是ノ讓渡ヲ
禁止シテ居ル、或ハ差押ガ出來ナイト云フヤ
ウナコトガアリマスガ、是程嚴重ニ此ノ納
稅準備預金ニ對シテ取締、監督ヲスル必要ガ
アルノデアラウカ、法人ニ付テハ第八條ノ
規定ニ依リマシテ、是ハ强制規定デアラウ
ト思フノデアリマス、併シ個人ノ場合ニ於
テハ是ハ任意規定デアリマシテ、法人ノ納
税準備預金ト同樣ノ嚴重ナル監督ヲ受ケル
コトハ實ハドウカト思フノデスガ、此ノ點
ヲ御伺ヒシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=20
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021・松隈秀雄
○松隈政府委員 納稅施設法案ニ於キマシ
テ納稅準備預金ナルモノヲ設ケマシタノハ、
此ノ預金ヲ致シテ置キマシテ、ソレニ依ツ
テ利益ノ多イ時、或ハ資金ニ餘裕ノアリマ
ス時ニ於キマシテ、納稅時ニ於ケル納稅資
金ノ準備ヲ致サセルト云フ所ニ狙ヒドコロ
ガアルノデアリマス、ソコデ納稅準備預
金ハシタケレドモ、自由ニ引出シ得ル、或
ハ他人ガ來テ之ヲ差押ヘルコトガ出來ルト
云フコトニナツタノデハ、納期前ニ自由ニ
引出シテシマツタリ或ハ納期前ニ他人ニ差
押ヘラレテシマフト云フコトニナレバ、ド
ウモ納稅ノ確保ニハナラナイト思フノデア
リマス、ソコデ納稅準備預金ニ付キマシテ
ハ原則トシテ其ノ引出シヲ租稅公課ノ納付
ニ充テル場合ニ限ルト云フコトニ致シマシ
タリ、或ハ特ニ命令ヲ以テ定ムル場合ノ外
之ヲ差押ヘルコトガ出來ナイト云フ規定ヲ
置クコトニ致シタノデアリマス、ソレナラ
バ窮屈ダカラ納稅準備預金ヲシナクナルデ
ハナイカ、斯ウ云フ懸念ガアルト思フノデ
アリマスガ、納稅ト云フモノハ國民ノ義務
デアリマシテ、今日デハ租稅負擔ガ相當重
クナツテ居ル、而モ納期ハ每月ニ分散シテ
居ル譯デハナクシテ、或ル程度固マツテ、
年ノ後ノ半分ニアルト云フヤウナ關係モア
リマスノデ、ドウシテモ平生カラ納稅準備
ヲシテ置クト云フ必要ガアルノデアリマス
カラ、其ノ必要ニ應ズルヤウナ制度ヲ設ケ
マシテ、其ノ必要ノ阻碍トナルヤウナ點ハ
抑ヘマスルト共ニ、一方此ノ制度ニ付キマ
シテハ分類所得稅ヲ免除スルト云フヤウナ
特典ヲ與ヘテ居リマスシ、又納稅準備預金
ヲ致シテ居リマスレバ、其ノ銀行ニ於テ納
稅者ニ代ツテ納稅切符ヲ受取ツテ、租稅ノ納
F
付手續ヲ濟マシテ吳レルト云フタヤウナ「サー
ビス」マデシテ吳レルト云フコト」ニシマ
シテ、旁〓此ノ預金ヲスル奬勵策モ一方ニ
於テ講ズルコトニシマシテ、以テ此ノ狙ヒ
ドコロデアル所ノ納稅ノ容易確實ヲ期スル
ヤウニシテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=21
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022・駒井重次
○駒井委員 納稅準備預金ノ性質ニ付テハ
大體了解致シマシタガ、第十四條ノ「納稅準
備預金ハ之ヲ讓渡スルコトヲ得ズ」、是ハ納
稅準備預金ヲ他ノ者ニ讓渡セシメテモ差支
ヘナイノデハナイカト云フヤウニモ考ヘマ
スガ、如何デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=22
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023・松隈秀雄
○松隈政府委員 此ノ點ハ只今モ申シマシ
タ通リ、納稅準備預金ヲ折角シタノデアル
ケレドモ他人ニ債權讓渡ヲシテシマフト
云フコトニナリマスレバ、結局納期ニ至ツ
テ其ノ準備預金ハ納稅ニ充テラレナイト云
フコトニナリマスノデ、此ノ規定ヲ置カナ
イト云フト納稅準備預金ノ目的ガ達セラレ
ナクナル、斯ウ云フ虞ガアルノデアリマス、
其ノ場合ニ於キマシテ納稅準備預金ノ讓渡
ヲ假ニ認メテモ、讓渡ヲ受ケタ方デ租稅ニ
納メルカラ宜イデハナイカ、斯ウ云フヤウ
ナ議論モ出ルカト思フノデアリマスガ、讓
渡ヲ受ケ得ルヤウナ人ハ詰リ資力ノアル人
デ、其ノ人ガ他人ノ納稅準備預金マデ讓渡
ヲ受ケテ稅ニ充テルト云フ必要ハナカラウ、
資力ノアル人ナラバ滯納ノ方ノ心配ハナイ
ノデ、ソレヲ讓渡シテシマフヤウナ狀況ニ
アルヤウナ人ガ結局滯納ノ心配ノアル人デ
アリマスルカラ、是ガ讓渡ヲ認メルト云フ
コトニスレバ法律ノ狙ヒドコロデアル納
稅ノ容易確實ト云フコトニ反シハシナイ
カ、斯樣ニ考ヘタ爲ニ此ノ規定ヲ置イタ次
第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=23
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024・駒井重次
○駒井委員 此ノ納稅準備預金ガ或ル場合
ニ於テハ任意規定デアリマシテ、或ハ期限、
額等ニ付テハ何等制限ガゴザイマセヌ、ソ
レデアリマスカラ向フ十箇年間ノ納稅準
備預金ヲシテモ差支ナイ、斯ウ云フコトニ
モナル譯デアリマスシ、又金額モ非常ニ大
キイ金額-實際ニ支拂フベキ稅金ニ數倍
スル金額ヲ納程準備預金トスルコトモ出來
ルコトニナリハシナイカト思フノデアリマ
スガ、例ヘバ其ノ金ガ今度必要ニナツタト
云フ場合ニ成ベク是モヤハリ納稅準備預金
トシテ他ノ人ニ依ツテ預金セラレルナラ
バ、是ハ其ノ金ノ讓渡位ハ認メテモ宜イヂ
ヤナイカト云フ風ニ實ハ考ヘテ居リマス、
次ニ第四章ノ租稅ノ貯蓄納付ニ付テ御伺ヒ
ヲ致シマス、十七條カラ以下ノ規定デアリ
マスガ、大體ドウ云フ層ヲ狙ツテ居ラレル
ノカ、大所得者デアルカ、小所得者デアル
カ、或ハドノ程度ノ階級ヲ目標トシテ居ラ
レルノカ、何カ御考ヘ、目標等ガゴザイマ
スナラバE一ツ伺ツテ見タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=24
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025・氏家清吉
○氏家政府委員 租稅ノ貯蓄納付ノ制度ノ
對象トナルモノハ、大體ニ於テ中流階級ガ
多カラウト思フノデアリマス、大所得者ニ
付キマシテハ、所得ノ中ノ半分又ハソレ以
上稅トシテ出サナケレバナラヌト云フヤウ
ナコトガ隨分アルノデアリマス、サウシマ
スト、納稅金ノ倍額或ハ三倍ノ貯蓄ヲスル
ト云フコトハ中々困難デアリマスシ、又之
ヲヤル爲ニハ外ノ貯蓄ヲ崩シテ來ナケレバ
出來ナイト云フヤウナコトニモナリマスノ
デ、貯蓄ノ振替リガ起ツテ貯蓄增强ト云フ
目的ヲ達スルコトガ出來ナイト云フヤウナ
コトニナルト思フノデアリマス、隨ヒマシ
テ事實上餘リサウ云フ方面ノ人ハ之ヲ利用
シナイダラウト思フノデアリマスルガ、併シ
相當旨味モアルノデアリマスルカラ、無理
ヲシテ此ノ制度ヲ利用シヨウト云フ人モナ
イトハ限ラナイト思ヒマス、一囘ノ貯蓄金
額ニ付テ制限ヲ置キタイト云フ風ニ考ヘテ
居ルノデアリマス、又此ノ對象ニナリマ
ス所ノ稅ハ綜合所得稅トカ或ハ個人ノ臨時
利得稅、サウ云フヤウナモノデアリマスル
カラ、自然餘リ下層階級ノ人ニハ利用サレ
ル機會ガ少イノヂヤナイカ、唯分類所得稅
ニ付キマシテモ、斯ウ云フ制度ヲ認メルコ
トガ非常ニ面白イト思ツテ居リマスノデ、
勤先ナドカラ受取ル俸給、給料カラ差引カ
レル稅、アレニ付テ此ノ制度ヲ適用シテ行
クト云フコトニナリマスト、相當下ノ人モ
利用ガ出來ル、ソレニシマシテモ餘リ少イ
金額デアリマスルト、非常ニ手數ガ掛ルコト
ニナリマスカラ、最低ノ方モ亦制限ヲシテ
行ギタイト云フ風ニ考ヘテ居リマス、隨ヒ
マシテ非常ニ大キイ所得者、非常ニ小サイ所
得者、是ハ兩方拔ケルコトニナツテ、其ノ中
間ノ階級ノ人ガ主トシテ利用スルヤウニナ
ルデアラウ、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=25
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026・駒井重次
○駒井委員 大體租稅ノ貯蓄納付ト云フ此
ノ制度ハ大變思付キトシテハ面白イ思付キ
デアルト思フノデアリマスガ、實際ノ運用
ノ上ニ於テ死法トナル虞ナキカト云フコト
ガ最モ懸念スル點デアリマス、何トナレバ
此ノ貯蓄納付ノ相當窮屈ナル制限ヲ受ケマ
スト同時ニ、其ノ反面ニ於テハ恩典ト云フ
モノハ甚ダ少イノデアリマス、私ハ是ハ少
クトモ相續稅ノ免除ヲスルコトガ出來ルト
カ、或ハ何年カ後ニ之ヲ他人ニ讓渡スルコ
トガ出來ルト云フ位ナ特典ハ之ヲ與ヘナケ
レバ、中々大藏當局ノ考ヘテ居ラレルヤウ
ナ結果ヲ擧ゲラレナイノデハナイカト云フ
コトヲ懸念致シマス、此ノ點ニ關シテ一ツ
御意見ガアリマシタラ伺ヒタイト思ヒマス、
又只今金額ノ制限ヲ置クト云フ御話ガアリ
マシタガ、金額ハ大體ドレ位ノ制限ヲ御置
キニナル御考ヘデアリマスカ、是モ併セテ
御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=26
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027・氏家清吉
○氏家政府委員 此ノ制度ハ思付キハ宜イ
ガ死法トナル虞ハナイカト云フ御心配デア
リマスガ、是ハ實ハ實質的ノ利〓ト云フモ
ノヲ計算シテ見マスト、三分五厘程度ニハ
ナルノデアリマス、而モ斯ウ云フ仕組デア
リマスカラ、稅ト云フコトガ問題ニナラナ
イノデアリマス、十二年後ニ拂戾サレル、
二十年後ニ拂戾サレルト云フモノニ付キマ
シテ、三分五厘程度ノ、稅ノ課カラナイモ
ノト云フノハ是ハ相當ノ利益ニナルト思フ
ノデアリマス、又貯蓄ノ方面カラ考へテ見
マスト、給料ヲ受取ルナリ或ハ稅ヲ納メル
ナリ、サウ云フ機會ニ此ノ貯蓄ヲヤツテ行
クノデアリマスカラ、知ラズ識ラズト申シ
マスカ、割ニ稅金ヲ納メタ積リデ貯蓄スル
ト云フヤウナ、俗ニ言フサウ云フヤウナ考
ヘ方モココニ出來ルノデアリマスカラ、是
ハ普及ノ仕樣ニ依ツテハ相當利用者ガアル
ト思フノデアリマス、又年金ト云フヤウナ
働キモ是デサセルコトガ出來ルノデアリマ
ス、今每月ナリ或ハ納稅ノ都度ナリニ此ノ
貯蓄ヲシテ行キマスト、十二年後ナリ、二十
年後ナリニハ、又ソレガ其ノ通リニ戾ツテ
來ル、斯ウ云フコトニナルノデアリマスカ
ラ、割ノ良イ年金ノ制度ト云フモノノ働キ
モスル、ソレカラ又景氣ノ好イ工場アタリ
デ働イテ居ル人達、今割ニ澤山ノ收入ガア
ルト云フ方面ニ對シテ之ヲ宣傳スルト云フ
コトニナリマスレバ、將來ノ家產ヲ造成ス
ルト云フヤウナコトニモナリマスノデ、貯蓄
當局ト致シマシテハ之ヲ段々ト普及サシテ
行キタイ、又相當利用者ガアルヤウニナルト
云フ見込デゴザイマス、尙ホ金額ノ制限ハ
ドウ云フコトニナルカト云フ御話デゴザイ
マスガ、是ハ實ハ手數ナドトノ關係モアリ
マシテ、マダハツキリシタコトハ考ヘテ居
リマセヌデスガ、大體今ノ所デハ一囘ノ貯
蓄額ヲ最高ノ方デハ二、三万圓程度ノ所ニ
止メタイ、最低ノ所デハ五圓カ十圓位ノ所
マデ扱フヤウニシタイ、斯樣ニ考ヘテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=27
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028・駒井重次
○駒井委員 私ノ質問ハ是デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=28
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029・由谷義治
○由谷委員長 ソレデハ暫時休憩致シマス、
尙ホ本會議散會後再開致シマスカラ、ドウ
ゾ御參集願ヒマス
午後二時十一分休憩
午後三時二十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=29
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030・由谷義治
○由谷委員長 ソレデハ休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス-片山一男君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=30
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031・片山一男
○片山委員 大體ノコトハ駒井委員カラ御
質問ガアリマシタカラ、殆下盡キテ居ルノデ
アリマスガ、殘ツテ居ル極ク小サイ問題ニ
付キマシテ少シ御伺ヒ致シタイト思ヒマ
ス、納稅施設法案ノ第五條ニアリマス納稅
團體ニ補助金又ハ奬勵金ヲ交付スルト云フ
コト、是ハ至極結構ナコトト思ヒマスガ、
斯ウ云フ奬勵金、補助金ヲドウ云フ程度ニ、
ドウ云フ團體ニ御出シニナルノデアリマス
カ、其ノ範圍ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=31
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032・松隈秀雄
○松隈政府委員 法案第五條ニ於キマシテ、
補助金又ハ奬勵金ヲ交付スルト云フコト
ニナツテ居リマスガ、是ハ設立當初ノ補助
金ヲ出シタイト思ツテ居リマス、豫算トシ
マシテハ一組合當リ十五圓程度、外ニ團體員
一人當リトシテ少額ノ金額ヲ見積ツテアル
ヤウナ次第デアリマス、尙ホ此ノ補助金以
外ニ現在納稅組合ニ對シマシテハ、國ノ支
出シテ居リマス國稅徵收交付金又ハ府縣ヨ
リ市町村ニ交付シテ居リマスル府縣稅徵收
取扱費等ノ中カラ納稅組合ニ對シマシテ奬
勵金ノヤウナモノヲ出シテ居リマスガ、是
ハ從來通リ續ケルヤウニ指導シテ參リタイ
ト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=32
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033・片山一男
○片山委員 分リマシタ、次ニ先ニ御答ヘ
ガアリマシタケレドモ、第十七條ノ一番終
ヒニ「當該租稅ノ納付アリタルモノ」トアリ
マスガ、此ノ「納付アリタルモノ」ト云フ意
味ニ付テ、私少シ詳シク說明ヲ聽キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=33
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034・氏家清吉
○氏家政府委員 「法文ニ納付アリタルモノ
トス」ト書イテアリマスノハ、租稅ノ納付ニ
當リマシテ、租稅其ノモノノ納付ヲシナイ
デ、所定ノ戰時納稅貯蓄ヲ致シマスレバ、
ソレデ納稅ヲシタト同ジ法律上ノ效果ガ發
生シマシテ、納稅義務ハ履行ガアツタト同
ジコトニナル、斯ウ云フ意味デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=34
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035・片山一男
○片山委員 大體分リマシタ、更ニ私ハ此
ノ納稅施設法案ハ非常ニ結構ナコトダト思
ヒマスガ、此ノ中ニナイ所謂勞働貯金ト云
フヤウナモノヲ御考ヘニナツテ居リ、或ハ
御考ヘニナツタト云フヤウナコトハナイデ
アリマセウカ、勞働貯金ト私ガ申シマスノ
ハ、大體自由勞働者ノ貯金ヲ如何ニシテ吸
收スルカト云フコトニ付テデアリマスガ、
今日町村ニ於ケル自由勞働者ハ個人々々ガ
自由ニ雇ウテ居リマシテ、其ノ間ニ於ケル
勞働賃金モ色々ナ關係カラ複雜ニナリ、或
ハ規定ノ勞働賃金以上ノモノヲ拂ツテ居ル
ト云フヤウナ工合デアリマス、勞働不足ノ
今日、此ノ自由勞働者ノ勞働劵ヲ町村長ニ
掌握サレテシマツテ、勞働者ヲ雇入レント
スル者ハ、町村長ノ所ニ行ツテ勞働劵ヲ買
求メルト云フヤウナ方法ヲ取リ、以テ勞働
ノ適正ナル配給ヲサセ、其ノ勞働劵ヲ以テ
勞働賃金ニ代ヘテ拂ハシメル、サウシダナ
ラバ勞働者ヲ求メントスル者ハ勞働劵ヲ豫
メ町村長ニ願ヒ出テ、是カラ自分ハ何月何
日ヨリ何日マデ凡ソドノ位ナ勞働力ガ必要
ナンダ、ダカラ農業勞働者ナラ農業勞働者
ハ一箇年或ハ半箇年ヲ單位トシテドノ位使
フ、ダカラドノ位ナ勞働切符ヲ發行シテ吳
V、ソシテ其ノ定メラレタ賃金ニ對スル勞
働切符ヲ先ヅ求メテ、サウシテソレヲ以テ
勞働者ヲ雇入レル、卽チ現金ヲ直接ニ拂ハ
シメナイト云フ制度ニ致シマシタナラバ、
勞働者ハ適當ニ勞働切符ヲ金ニ換ヘルベク、
町村ノ指定シタ所ノ場所ニ交換ニ行ク、其
ノ場合ニ其ノ料金ヲ適當ナ指示ニ依ツテ預
金セシムル、サウシタナラバ從來ドウ云フ
風ニ流レテ行クカ分ラナイヤウナ金ガ纒ツ
テ其處ニ受取ルコトガ出來ルノデアリマス
シ、隨テ適當ナ國家ノ方針ニ基ク預金ヲ吸
收スルコトガ出來ルノデハナイカ、斯ウ云
フコトヲ考ヘルノデアリマス、殊ニ斯ウ云
フ零細ナ預金デアリマスカラ、ソレヲ預金
セシムルニ付テハ其處ニ一ツノ望ミヲ持
タス、望ミヲ持タス上ニ於テハ、預金ヲ適當
ナ一定限度ヲ決メテ、ソレ以上預金ニ蓄積
ヲ進ンデ致シタ者ニ對シテハ、其處ニ累進
的ナ利子ヲ附ケテヤルトカ、何カ割增金ヲ
附ケルトカ、樂ミヲ以テ預ケサセルヤウナ
方法ヲ執ツタナラバ、是ハ相當ノ預金ガ出
來、尙ホ勞働力ヲ適正ニ配給シテ行クト云
フ上ニモ效果ガアリマスカラ、斯ウ云フヤ
ウナ勞働預金ト云フヤウナモノヲ御考ヘニ
ナツテ見タラ如何カト思ヒマスガ、如何ナ
モノデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=35
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036・氏家清吉
○氏家政府委員 現在又今後ノ貯蓄增强
上御話ノ自由勞働者ノ貯蓄ヲドウスルカ
ト云フコトハ、是ハ相當重要ナ問題デアル
ト考ヘルノデアリマス、所謂自由勞働者ノ
外ニ自由職業者ト申シマスカ、醫師、辯護士、
辨理士、作家ト云フヤウナ方面ニ付テモ同
ジヤウナ問題ガアルト思ヒマスシ、又農業
ヲヤツテ居ル人デアリマシテモ、都會地ニ
近イヤウナ場合ニ於テハ、野菜類ナドヲ作
リマシテ、都會ニ賣リニ出マスト中々良イ
收入ガアル、斯ウ云フ方面ノ購買力ノ吸收
モ從來閑却サレテ居ツタ嫌ヒガアリハシナ
イカ、是モ此ノ儘ニハ放任シテ置ケナイト
云フヤウナコトガ段々問題ニナツテ來ルノ
デアリマス、私共別ニ斯樣ナ方面ヲ閑却シ
テ居ツタト云フ譯デハナイノデアリマスケ
レドモ、實ハ此ノ方面ハ組織ガ出來テ居ナ
イ爲ニ捉マヘヤウガナイ、隨テ收入ガ多ク
ナツタカラ之ヲ貯蓄サセナケレバナラヌト
云フコトバカリデナク、勤人デアリマスト
職域ノ方デ相當ノ貯蓄ヲサセラレ、其ノ上
ニ地域ノ方デモ貯蓄ヲサセラレルガ、斯ウ
云フ方面ノ人ハ地域ノ貯蓄ハオ附合ヒデス
ルケレドモ、其ノ外ニハナイト云フコトノ
爲ニ均衡ヲ得ナイト云フコトモアルノデア
リマス、最近何トカシテ斯ウ云フ方面ノ人
ニモモツト貯蓄ヲ澤山シテ貰ヒタイト云フ
ノデ貯蓄組合ノ結成ヲ急ガシテ居ルノデア
リマシテ、段々出來ツツアリマスルケレド
モ、性質上中々旨ク運ンデ居ナイト云フ憾
ミハアルノデアリマス、御話ノ勞働切符ト
云フモノガ若シ出來ルモノナラバ、是ハ私
共貯蓄ヲ扱フ者トシマシテハ非常ニ都合ノ
好イモノデアルト思ヒマス、併シ是ハ勞務
行政ヲヤツテ居リマス方面ニ於テ斯ウ云フ
制度ヲ作ツテ吳レレバ、ソレニ乘ツテ色々
貯蓄ノ上ノ施策ガ出來ルト思ヒマスケレド
モ、貯蓄ノ必要ノミカラ勞働切符ト云フヤ
ウナモノヲ作ル譯ニモ參ラヌダラウト思フ
ノデアリマス、大變ニ結構ナ案トハ思ヒマ
スケレドモ、左樣ナ次第デ私共トシテハ其
ノ方面ト色々相談シテ見タ上デナイト、何
トモ申上ゲルコトガ出來ナイ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=36
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037・片山一男
○片山委員 御話ハ承リマシタ、此ノ點ハ
一ツ特ニ御〓究ヲ願ヒタイト思ヒマス、殊
ニ農村ニ於キマシテハ今日ノ實情カラ考ヘ
テ見マスト、農村ノ總テノ生產物ヲ賣上ゲ
タモノハ全部一應產業組合或ハ銀行ニ一應
預金ヲシテ、其ノ中カラ自分ノ必要ナダケ
ノモノヲ使ツテ居ル、斯ウ云フヤウナ情勢
ニナツテ居リマスノデ、隨テ農村ニ於ケル
信用組合ノ活動力ト云フモノハ村民ガ能ク
信用上ノ點ニ對シテハ得心致シテ居ルノデ
アリマスカラ、此ノ勞働切符ナドヲ信用組
合ニ扱ハセタナラバ、私ハサウ云フ階層ノ
預金ヲ吸收スル上ニ於テ相當預金ガ出來ル
ノデハナイカト考ヘテ居リマス
尙ホモウ一ツノ問題、是モ大藏省關係デ
ハナイト思ヒマスガ、一ツ貯金ヲサセマス
上カラ御考ヘヲ願ヒタイ問題ガアルノデア
リマス、ソレハ町村ニ於キマシテハ物資ノ
配給ガ大體二元ニナツテ居ル、一ツハ商工
省カラ來ル所ノ配給ト、一ツハ產業組合ノ
團體カラ來ル配給ト、此ノ二ツニ今ナツテ
居ルノデアリマスガ、其ノ中商業組合ノ方
カラ配給サレルモノハ、必要デナイ所ノモ
ノハ大體自由販賣ニナツテ居ル、所ガ產業
組合カラ流レテ參リマスル所ノモノハ必要
デアラウトナカラウト大體之ヲ分配シテシ
マフ、其ノ爲ニ必要以上ノモノヲ相當購買
シナケレバナラナイ、ソシテソレヲ腐ラセ
テ行クト云フヤウナコトニナツテ居ルノデ
アリマシテ、所謂必要デナイモノヲ購買シ
テ行カナケレバナラナイ、ソレヲ自由販賣
ニ任セタナラバサウ云フ所ニ金ガ流レズニ
貯金ニナツテ行クノデハナイカ、此ノ點ガ
今農村ノ一番困ツテ居ル點ダラウト思ヒマ
ス、是ハ能ク商工、農林當局ト御懇談下サ
ツテ、此ノ預金ラ吸收サレルコトガ一ツノ
目ノ付ケ所トシテ相當有效デハナイカト斯
ウ私ハ考ヘルモノデアリマス
ソレカラ今御話ガアリマシタ貯蓄組合デ
アリマス、貯蓄組合ヲ今日結成サセマシテ、
色々ナ會社々々デ拵ヘテ居リマセウ、又地
域的ニ組合ガ出來ルノデアリマスガ、サツ
キノ御話ノヤウニ勤先デ貯蓄ヲサセラレ、
更ニ自分ノ住居シテ居リマス所ノ地域的ナ
組合ト、二ツノ組合ガ玆ニアルノデアリマ
シテ、隨テ一人ノ人間ガ兩方ニ附合フト云
フ點ニ對シテ、私相當無理ガ將來行ハレテ
來ルノヂヤナイカト云フコトヲ非常ニ心配
スル者デゴザイマスガ、是ハ其ノ人ノ所得
ニモ依ルコトデアリ、又其ノ人ノ心掛ケニ
モ依ルコトデアリマセウガ、是等ヲ一ツド
チラカニ其ノ人間ノ意思ニ依ツテ纒メルト
云フヤウナコトハ出來得ナイノデアリマセ
ウカ、此點ヲ一ツ御伺ヒ致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=37
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038・氏家清吉
○氏家政府委員 最初ノ御話ノ產業組合關
係ノ物資ノ配給ハ不必要ニ拘ラズ配給サレ、
購買サセラレル、之ヲ商業組合系統ノ配給
ト同ジヤウニ自由販賣ニシタナラバ、農村
ノ貯蓄增强上ニ非常ニ效果ガアルデアラウ
ト云フ御話デゴザイマスガ、サウ云フ事情
ヲ實ハ私能ク存ジテ居リマセヌ、ドンナ都
合ニナツテ居リマスルカ、農林當局ノ方ニ
能ク聽イテ見マシタ上デ、果シテ御話ノヤ
ウデアルトシマスレバ、是ハ獨リ貯蓄ノ上
カラノミナラズ、物資其ノモノノ消費節約
ト云フ點カラ考ヘマシテモ、洵ニ勿體ナイ
話ダト思フノデアリマスカラ、改善シテ貰
ヘルモノナラバ直グニモヤツテ貫ヒタイト
考ヘル次第デゴザイマス、又組合間ノ重複
ノ問題デゴザイマス、是ハヨク何處デモ話
ノ出ル事柄デゴザイマスガ、大體ノ考ヘ方
ト致シマシテ、御承知ノヤウニ昭和十七年
度ニ於テ二百三十億、昭和十八年度ニ於テ
二百七十億ト云フヤウナ、アア云フ大キイ
金額ヲ貯蓄トシテ集メルコトハ、是ハ並々
ナラヌコトデアリマシテ、決シテ樂ヲシナ
ガラ集メ得ル金ヂヤナイト思フノデアリマ
ス、相當ノ苦痛ヲ國民ガ感ジルマデ生活ヲ
切下ゲルト云フヤウナコトニナラナケレバ、
中々集マラナイ金デアラウト思フノデアリ
マス、現在職域デモヤラサレ、又地域デモ
ヤラサレ、其ノ外ニ其ノ人ガ若シ在〓軍人
デアリマスト、在〓軍人ノ貯蓄組合ノ方ノ
貯蓄モシナケレバナラナイ、女デアリマス
ト大日本婦人會方ノ必勝貯蓄ノオ附合ヒモ
シナケレバナラナイ、子供ハ子供デ靑年學
校ナリ、或ハ國民學校ナリノ方面ノ貯蓄モ
シナケレバナラナイ、色々ナコトニナツテ
居ルノデアリマス、併シ大體ニ於テ其ノ總
テヲヤツテモ、本當ニモウアト餘地ガナイ
ト云フヤウナ人ハ割合ニ少イノデハナイカ
ト思フノデアリマス、サウ云フ程度ノモノ
ヲヤツテモ、尙ホ更ニ組合貯蓄以外ノ貯蓄
ヲ相當ヤツテ居ルノデアリマス、簡易保險
ニモ入ツテ居リマス、郵便年金ニモ入ツテ
居リマス、銀行ニモ預金ヲシテ居ルノデア
リマス、ト云フコトヲ申シマスノハ、ソレ
等ノ色々ノ組合ガアリマスケレドモ、ソレ
ヲ全部集メテ見マシテモ、組合貯蓄ノ金額
ト云フモノハ、全體ノ貯蓄ノサウ大キナ部
分ヲ占メルモノデハナイノデアリマス、昭
和十七年度ニ於ケル貯蓄目標額ハ全體トシ
テハ二百三十億デアリマスガ、組合貯蓄ノ
目標額ハ、全體ガ二十五億圓ニナツテ居ル
ノデアリマス、卽チ全體ノ貯蓄ノ一割チヨ
ツト位ノ所ガ貯蓄組合、其ノ組合貯蓄ガ色
色ナ組合ニ分レテ貯蓄サセラレテ居ル、斯
ウ云フヤウナコトニ相成ツテ居ルノデアリ
マス、勿論資力ノ低イ階級ニナリマスト、
自分自身ガナス貯蓄ノ中ノ相當ノ部分ヲ組
合貯蓄デ占メテシマフト云フコトニハナ
ルト思ヒマス、是ガ資力ノ多イモノ程、自
分ノスル貯蓄ノ中ニ占ムル組合貯蓄ノ割合
ト云フモノハ少クナツテ來ルト云フヤウナ
傾向ニアルト思ヒマス、何レニシマシテモ
組合貯蓄ダケデモウギリ〓〓一パイダト云
フヤウナ人ハ、割合ニ少イノデハナイカト
思フノデアリマス、殊ニ職域組合ノ貯蓄、
地域組合ノ貯蓄ハ所ニ依リマシテハ、相當
ノ程度マデ行ツテ居ル所モアリマスガ、其
ノ他ノ色々ノ貯蓄組合ノ貯蓄ト云フノハマ
ダ大シテ充實シテ居ラナイノデアリマス、
大體ト致シマシテサウ云フヤウナ次第デア
リマスカラ、三ツ四ツ位ノ組合ノ貯蓄ヲソ
レゾレヤツテ居テモ、サウ堪ヘエラレナイ
ト云フ程ノコトハナイト思フノデアリマス
ガ、唯御話ノヤウナコトガ具體的ニ絕對ニ
ナイトハ申上ゲ兼ネルノデアリマス、私モ
サウ云フ實例ヲ知ツテ居ルノデアリマスガ、
サウ云フ場合ニ於キマシテハ、地域組合ノ
貯蓄デ以テモウ手一パイダト云フヤウナ場
合ニハ、職域組合ノ方ニ申出マシテ、サウ
シテ適當ノ斟酌ヲ加へテ貰フ、或ハ又逆ニ
職域組合ノ方デ十分ナ貯蓄ヲシテ居ツテ、
本當ニモウ是レ以上ノ貯蓄ガ出來ナイト云
フヤウナ場合ニハ、地域組合ノ方ト連絡ヲ
取リマシテ、サウシテ適當ニ斟酌ヲ加ヘテ
貰フト云フヤウナコトハヤラセルヤウニ指
導致シテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=38
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039・片山一男
○片山委員 大體御說明デ能ク分リマシタ
ガ、次ニ御尋ネシテ見タイト思ヒマスノハ
小額債劵デアリマス、此ノ小額債劵ト云フ
モノハ、從來ハ或ハ自分ノ勤メ先デ買ハサ
レルトカ、或ハ町村ニ割當テタモノヲ又分
配ヲ受ケルトカ云フヤウナ工合デ、求メ得
ラレル程度ノモノハ皆進ンデ今日戰爭ノ爲
ニ持ツテ居ル次第デアリマスガ、此ノ債劵
ノ値段ト云フモノガドウモハツキリシテ居
ナイ、ソレデ此ノ債劵ヲドウシテモ手離サ
ナケレバナラヌト云フヤウナ場合ガ相當ア
ルノデアリマスルガ、サウ云フモノニ對ス
ル公定値段ト云フヤウナモノヲ御定メニナ
ルコトガ必要ナノデハナイカ、斯ウ私ハ考
ヘルノデアリマスガ、之ニ對スル何カ御心
組ガアリマセヌデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=39
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040・氏家清吉
○氏家政府委員 小額債劵、卽チ現在デハ
貯蓄債劵ト報國債劵デアリマスガ、之ヲ大
部分ハ隣保消化ト云フ形デ國民ニ消化シテ
貰ツテ居ルノデアリマスガ、買フ時ハ買ツ
テモ賣ル時ニ非常ニ困ル、是ガ國債ノ方デ
アリマスト、御承知ノヤウニ郵便局買上ノ
制度ト云フモノガアリマシテ、僅カバカリ
ノ手數料デ以テ買上ゲルコトニナツテ居リ
マシテ、價格ニ付テモ一定ノ決マリガアル
ノデアリマス、所ガ債劵ノ方ニ付テハサウ
云フ郵便局買上ト云フヤウナ制度モナイ、
隨テ手數料トカ價格ト云フモノニ付テモ決
マリガナイ、其ノ爲ニ色々ナコトヲ言觸ラ
シマシテ手放サセル、而モ手放サセル時ニ
隨分不當ナ値段デ買漁ルト云フヤウナ者ガ
アリマスコトハ御話ノ通リデアリマス、ソ
レデ今後益〓小額債劵ノ發行額モ增加シナケ
レバナラナイ場合デアリマスカラ、現情ノ
儘ニ放任シテ置ク譯ニハ行カナイト云フノ
デ、是ノ買上制度ヲ作ルト云フコトハ目下
着々ト其ノ準備ガ進ンデ居ルノデアリマス、
サウ云フコトニナリマスト手數料モ一定
スルコトデアリマスシ、又買上ノ價格モソ
レゾレ定メラレルコトト思フノデアリマス、
唯此ノ債劵ノ買上價格ト云フノハ、實ハ國
債ノ價格ノヤウニ單純ナモノデハナイノデ
アリマス、籤落チト共ニ値段ガ大分違ツテ
來ルト云フコトモアルノデアリマス、一 七
ノ標準ニ依ツテ之ヲ決メマシテ、サウシテ
愈〓ドウシテモ困ルト云フ場合ニハ、不當ナ
値段デ賣ラナクトモ適正ナ價格デ買上ゲテ
貰ヘルト云フ風ニ是非ヤツテ行カナケレバ
ナラヌノデ、目下準備ヲ進メテ居ルノデア
リマスガ、臨時資金調整法ノ改正案ガ目下
他ノ委員會デ審議中ナノデアリマスガ、其
ノ臨時資金調整法ノ改正案ノ中ニモ、ソレ
ニ關聯スル規定ガ入レテアルヤウナ次第デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=40
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041・片山一男
○片山委員 大體政府ニ於テ小額債劵ノ公
定値段ヲ決メ、尙ホ取扱手數料ヲ決メテ、
近クソレヲ實施サレル運ビニナリツツアル
ト云フコトハ、私共モ非常ニ結構ナコトト存
ジマス、尙ホソコニ一ツ、是モ必要ナコト
デハナイカト思ヒマスガ、實ハ公債ナンカ
ヲ買ヒ求メマシテモ、遞信省デ賣出シタモ
ノナラ遞信省デ保管ヲ許シテ吳レルノデス
ガ、遞信省以外デ賣出シタモノハ相當手數
料ヲ取ラナケレバ保管シナイ、斯ウ云フヤ
ウナ形ニナツテ居ルコトハイカヌノデハナ
イカト考ヘルノデアリマス、私ノ實際ノ體
驗談デアリマスガ、私ノ知ツタ男ガ公債ヲ
持ツ」テ居ツテモ利子ヲ取ルノガ不便ダ
シ、郵便局ニ預ケタイト云フノデ持ツテ行
ツタ所ガ、千圓ニ對シテ一圓八十錢ノ手數
料ガ要ルト云フヤウナ工合デ、面倒ダカラ
賣ツテシマツタ、サウ云フコトニナリマス
カラ、遞信省ガ預ルノデアレバドノ公債デ
アラウト、政府ガ發行シタ公債ハヤハリ無
手數料ナラ無手數料デ預ツテヤルト云フ制
度ニナツタ方ガ宜クハナイカ、換金シナク
テ宜イノニソンナコトガ相當行ハレテ居ル
ノデハナイカト思ハレマスカラサウ云フ點
ヲ特ニ今後御考ヘ置キヲ願ヒタイト思ヒマ
ス
ソレカラ又先程ノ小額債劵ノコトデアリ
マスガ、小額債劵ヲ相當數量持ツテ居ル者
ガ之ヲ大キイ債劵ニ替へタイト云フ希望モ
相當アルノデアリマスガ、斯ウ云フ點ニ對
シテモ政府ハ何カ便法ヲ以テ交換ガ自由ニ
出來ルヤウナ方法ハナイモノデアリマセウ
カ、何カソレニ對スル御考ヘハナイデセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=41
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042・氏家清吉
○氏家政府委員 實ハ只今ノヤウナ御話ハ
私初メテ耳ニ致シタノデアリマスガ、郵便
局ニ於キマシテハ郵便局賣出ト云フ「マ〓
ク」ノ付イテ居ル國債デアリマスレバ、之
ヲ何處デモ無料デ保管スルコトニナツテ居
ルノデアリマス、手數料ヲ取ツテ保管スル
コトハナイコトニナツテ居リマスガ、サウ
云フ所ガアルトシマスレバソレハ何カ郵便
局員ノ間違ヒデハナイカト思フノデアリマ
ス、唯非常ニ事務ガ輻湊シテ居リマシテ、
或ル郵便局デハ持ツテ來ラレテモオイソレ.
ト之ヲ受付ケナカツタト云フヤウナ例ハ聞
イテ居ルノデアリマスガ、無料保管ニ付テ
手數料ヲ取ルト云フコトハ實ハ私初耳ナノ
デアリマス、ソコデ御話ハ郵便局賣出以外
ニ付テモト云フヤウナコトデアリマスガ、
實ハ今日ハ郵便局賣出ト云フ「マーク」ノ
付イタ國債デモ、郵便局カラ賣出シテ居ル
ト云フモノハ殆ド問題ナラヌ程ノモノナノ
デアリマス、隣保消化ト云フ形ヲ取ツテ居
ルノデアリマスカラ、郵便局ハ取次ハ致シ
マスケレドモ、所謂郵便局ノ窓ロカラ賣出
スト云フモノハ極ク僅カニナツテ居ルノデ
アリマス、ソレデ郵便局賣出以外ト云フノ
ハ郵便局賣出ノ「マーク」ノ付イテ居ラ
ナイモノト云フ意味デアリマスレバ、又是
ハ別デゴザイマシテ、郵便局デ無料保管ヲ
スルノハ郵便局賣出ト云フ「マーク」ノ付イテ
居ルモノニ限ルノデアリマスカラ、其ノ
「マーク」ノナイモノデアリマスナラバ無料デ
ハ保管シテ吳レナイ、斯ウ云フコトニナツ
テ居ルノデアリマス、其ノ代リ其ノ국
ク」サヘ付イテ居ルモノナラバ、百貨店デ賣
出シタモノデアラウガ何處デ賣出シタモノ
デアラウガ、郵便局デハ無料デ保管シテ吳
レル、斯ウ云フコトニナツテ居リマス
ソレカラ債劵ニ付キマシテ大キイ額面ノ
モノト交換ヲ認メテハドウカト云フ御話デ
ゴザイマスガ、是ハ債劵ニ付テハ實行ガ中
中困難デハナイカト思フノデアリマス、抽
籤期ノ關係ナドモアリマシテ、交換スルト
云フコトニナルト、端金ノ關係ナドモ起リ
マシテ、ソコノ所ハ餘程難カシイト云フ風ニ
考ヘラレルノデアリマス、殊ニサウ云フ交
換ニ應ズル爲ニハ、普段カラ餘分ナ債券ヲ
用意シテ置カナケレバナラヌ、サウスルト
ソレノ番號ノ關係ナンカモアリマシテ、
是ハ餘程實行困難ナコトデハナイカ、但シ
國債ノ方ニ付テハサウ云フコトガ現在デモ
行ハレルヤウニナツテ居ルノデアリマスガ、
債劵ノ方ハ一寸實行困難デアラウト云フ見
透シデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=42
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043・片山一男
○片山委員 濟ミマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=43
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044・由谷義治
○由谷委員長 一寸委員長カラモ關聯シテ
承リタイノデスガ、今ノ片山君ノ御話ノ公
債ノ郵便局保管デスガ、無論郵便局賣出ノ
「マーク」ノ付イテ居ルモノハ無料デヤツテ
呉レテ居ルノハ御說明ヲ俟ツマデモナイガ、
實ハ郵便局賣出以外ノ公債ヲ郵便局ヤ銀行
ニ保管ヲ賴ムト、片山君ノ御話ノヤウニヽ
ヤハリ相當ノ手數料ヲ取ルノデス、利札ノ
取扱ガ面倒ダ、面倒デナイト云フヤウナ問
題ヨリモ、公債自體ガナクナル、燒ケル、
盜マレルト云フヤウナ保管ノ安全性ノ點カ
う、モウ少シ便宜ナ、詰リ所有者ニサウ餘
分ナ負擔ノ掛カラヌヤウナ方法ヲ要求スル
聲ガ强イノデアリマス、是ハ一ツ貯蓄運動
ト云フ大キナ國策ノ點カラ見テモ、無論人
手ノ關係トカ事務ノ關係トカ相當ナ困難ハ
アリマセウガ、大藏省デモ十分御考慮ノ必
要ガアラウト思ヒマス
モウ一ツハ、ヤハリ片山君ノ御話ニナリマ
シタ小額債劵ヲ相當持ツト、之ヲ百圓ノ國債
トカ、五百圓ノ國債ニ乘換ヘタイト云フ氣持
モ可ナリアルノデス、隨テ御說明ノヤウニ、事務
的ニハ、或ハ算盤的ニハ可ナリ厄介ニハナリマセ
ウガ、旣ニ小額債劵ノ公定價格ガ出來ル以上
ハ之ヲ巧ク組合ハセタ考ヘノ下ニ、纒ツ
タ百圓トカ五百圓トカ千圓トカ云ツタ國債
ニ乘換ヘル點ヲ考ヘルコトモ、今後ノ長期
戰ニ備ヘル貯蓄運動トシテ大事ナ點デハナ
イカト思ヒマス、是ハ今直チニ御卽答モ出
來兼ネルカモ知レマセヌガ、今後ノ施策ノ
一ツトシテ十分御考慮ヲ願ヒタイト思フノ
デアリマスガ、如何デセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=44
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045・氏家清吉
○氏家政府委員 御話ノ郵便局賣出ノ「マー
ク」ノ付イテ居ナイ國債ニ付テモ無料保
管ヲ考ヘタラドウカト云フ御話デゴザイマ
スガ、一體普通ノ人ガ持ツテ居ルノハ郵便
局賣出ノ「マーク」ノ付イタモノナノデアリ
マス、併シサウ云フモノデナイモノニ付イ
テモ無料保管ノ制度ヲ設ケルコトガ貯蓄增
强ノ上ニ必要ダト云フ御意見洵ニ御尤モダ
ト思ヒマス、色々ノ關係ガアリマスガ、
ツ〓究シテ見タイト思ヒマス
ソレカラ債券ヲ國債ニ換ヘルト云フ問題
デゴザイマスガ、是ハ實ハ債劵ノ方ニ付テ
ハ現在買上ノ制度ガナイノデアリマス、隨
テ何トカ國債ニデモ換へラレナイカ、セメ
テ國債ニ換ヘラレナイカト云フ所カラ、國
債ト換ヘテ吳レト云フ要望ガ隨分アルノデ
アリマスガ、是ガ正當ナ、適正ナ價格デ買
上ゲラレルト云フコトニナレバ、强イテ國
債ニ換ヘナケレバナラヌト云フコトデモナ
イト思フノデアリマスガ、又一面カラ考ヘ
マスト、債劵ヲ賣ル、賣ツタ其ノ金デ差當
リ使フ譯デモナイノデアリマスレバ、金ノ
代リニ國債ヲ渡セルト云フナラ、是亦非常
ニ結構ナコトダト思フノデアリマス、隨ヒ
マシテ國債ト債劵ノ交換、是ハ大イニ考ヘ
テ宜シイ問題デアルト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=45
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046・由谷義治
○由谷委員長 ソレデハ本日ハ此ノ程度デ
一ツ終了シマシテ、次會ハ明日午前十時カ
ラ開會致シマス、是ニテ散會致シマス
午後四時二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111043X00519430218&spkNum=46
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