1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十八年二月二十七日(土曜日)午後一時八分開議
出席委員左の如し
委員長 木村正義君
理事 宇田耕一君 理事 卯尾田毅太郎君
理事 小高長三郎君 理事 松尾三藏君
理事 前田善治君
今井嘉幸君 井阪豐光君
大倉三郎君 加藤鐐五郎君
川上胤三君 川島正次郎君
九鬼紋七君 小坂武雄君
坂本宗太郎君 田中亮一君
森谷新一君 吉川大介君
瀧澤七郎君 土屋寛君
鶴惣市君 本多鋼治君
星島二郎君 菅野和太郎君
出席國務大臣左の如し
商工大臣 岸信介君
出席政府委員左の如し
商工省總務局長 神田暹君
商工省企業局長 豐田雅孝君
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本日の會議に上りたる議案左の如し
商工經濟會法案(政府提出、貴族院送付)
商工組合法案(政府提出、貴族院送付)
商工組合中央金庫法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111623X01019430227&spkNum=0
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001・木村正義
○木村委員長 是ヨリ開會致シマス、質疑
ハ終了致シマシタ、是ヨリ商工經濟會法案、
商工組合法案、商工組合中央金庫法中改正
法律案、此ノ三案ヲ一括議題トシテ討論ニ
付シマス、討論ハ通〓ニ依ツテ之ヲ許シマ
ス-小高長三郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111623X01019430227&spkNum=1
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002・小高長三郎
○小高委員 私ハ只今上程トナリマシタ商
工經濟會法案及ビ商工組合法案竝ニ商工組
合中央金庫法中改正法律案、此ノ三案ニ對
シ翼贊政治會ヲ代表シ、政府原案ニ贊成ノ
意ヲ表スルモノデアリマス、本三案ハ何レモ
戰時下國民ノ經濟生活上重大ナル關係ヲ有
スル點ニ鑑ミマシテ、委員各位ヨリ熱心ニ質
問ガ行ハレ、之ニ對シテ政府當局モ亦極メ
テ懇切ナル御答辯ガアツタノデアリマス、
併シナガラ戰時下經濟政策ノ運營ガ、國民
戰力增强ニ及ボス影響ハ極メテ甚大ナルモ
ノガアルノデアリマス、聊カ私ハ所見ヲ申述
ベマシテ、政府ガ本法實施ニ當リ、是非ト
モ御留意セラレタイ點ヲ明カニシテ置キタ
イト思フノデアリマス
其ノ第一ハ國民ノ經濟生活ト、盛リ上ル
戰場精神ノ關係デアリマス、東條總理大臣
ハ本議場及ビ各委員會ニ於キマシテ、國民
ノ盛リ上ル力ト、其ノ忠誠心ニ愬ヘ、此ノ
戰爭ヲ勝拔ク積リデアルト强調セラレ、非
常ナ感銘ヲ與ヘテ居リマス通リ、全ク全國
民ハ現内閣ノ諸政策ニ一言半句ノ不平モ言
ハ フト默々トシテ之ニ應ジ、自己ノ全力ヲ
擧ゲテ努力シテ居ルノデアリマス、卽チ國
家ガ最モ强ク要請シ、其ノ指導成果ガ直チ
ニ戰力ニ及ボストマデニ言ハレテ居リマス、
統制經濟ノ現狀ニ鑑ミマシテモ、國民ハ祖
先傳來ノ營業ヲ擲チ、時局面ヘ眞裸デ飛込
ンデ居ルデハアリマセヌカ、農村ノ增產協
力ニ於テモ其ノ通リ、政府ノ計畫セラレタ
重點產物ニ對シテハ、一切ノ家庭事情ヲ振
切ツテ、集結シツツアルノデアリマス、此ノ
點カラ觀察致シマスル時ニ、最モ重大ナル
コトハ國策指導ト、戰時立法ノ運營デアル
コトヲ痛感セザルヲ得ナイノデアリマス、
ソレニ私ハ徒ラニ法ヲ以テ、國民ヲ窮屈ニ
シ、手モ足モ出ナイト云フヤウナ感ジニ陷
レズ、法ノ持ツ溫カイ親心ヲ十分國民生活
ニ滲透セシメルコトガ、何ヨリ必要デハナ
イカト思フノデアリマス、ソレニ付キマシ
テ過般賀屋大藏大臣ガ、酒ノ配給ニ關シ、
料理屋ナドヘ酒ヲ配給セズ、之ヲ專ラ重要
產業ニ從事スル方面へ向ケテハドウカト云
フ質問ニ答ヘテ、一時ノ慰安デアルカラ、
偶ニハ料理屋へ行ツテ一杯ヤルノモ惡クハ
ナイデハナイカト云フヤウナ意味ヲ御述ベ
ニナラレマシタコトハ、洵ニ親心ノアル所ヲ示
サレタモノトシテ非常ニ結構デアルト思フ
ノデアリマス、料理屋ト雖モ陛下ノ赤子ト
シテ、時局ノ重大性ヲ忘レテ居ル者ハ一人
モアリマセヌ、忠誠心ヲ持タナイ筈ハナイ
デハアリマセヌカ、營業ハサセテ置クガ、
物資ハヤラヌ、ト云フヤウナ運營ハ法ノ精神
デハアリマセヌ、此ノ例ニ依リマスト、料理
屋ヘ酒ヲヤラヌヤウニスルニハ、其ノ前ニ
料理屋營業者ノ行クベキ道ヲハツキリ與ヘ
テヤルコトガ必要デハアリマセヌカ、又料
理屋へ酒ヲ飮ミニ行ク者ヲ、時局認識ニ乏
シイト斷ズルナラバ、其ノ營業自體ヲ放任
シテ置クコトガ矛盾デハアリマセヌカ、サ
ウシタ矛盾ヲナクシテ一億一體トナツテ、
其ノ職域カラ奉公ノ誠ヲ盡セルヤウニ導キ、
且ツ運營スルナラバ國民ノ喜ビトナリ、ソ
レガ本當ノ盛リ上ル力ヲ喚ビ起ス源泉デア
ルト信ズルノデアリマス、此ノ意味ニ於キ
マシテ、三法案トモ國民經濟生活ニ缺クベカ
ラザル關係ヲ持ツノデアリマス、殊ニ統制
經濟ノ强化ト、其ノ運營ノ圓滑化ニ一段階
ヲ進メル上ニ、重大ナル使命ガ掛ケラレテ
居リマス點ニ鑑ミマシテ、私ハ特ニ本法案
運營ニ臨ム政府ノ親心ヲ望マセザルヲ得ナ
イノデアリマス、而シテ此ノ三案中、最モ
重要視サレテ居リマス商工經濟會法案ハ、
在來ノ商工會議所ヲ廢止シテ、新ラシク國
策經濟ノ協力團體タラシメルモノデアリマ
シテ、勢ヒ官憲支配ノ面ガ强化サレル性質
ヲ持ツテ居ルノデアリマス、而モ中央統轄
機關ノ設置ガ規定サレテ居ラズ、若シ必要
ナラバ任意ノ形式デ協議會ノ如キモノヲ組
織スレバ宜イトノ御意向ガ政府カラ示サレ
タノデアリマスガ、ソレデハ國策ノ一元的
指示ガ極メテ薄弱トナリ、其ノ結果ガ自然
地方的ニ勢力ノ分派ヲ生ズルニ至ルノデハ
ナイカト杞憂セラルルノデアリマス
申スマデモアリマセヌガ、在來ノ統制經
濟實行ニ於テ最モ困難ナ問題ヲ提供シテ居
ルモノハ、地方事情ノ特異性カラ來ル相剋
摩擦ノ樣相デアリマシテ、特ニ商組ト產組
ノ關係ヲ調整スル爲ニハ相當ノ努力ガ必要
デアリマス、此ノ法案ノ大眼目ハ其ノ傾向
ヲ飽クマデ排除シ、强力且ツ一元的ニ政府
ノ國策ヲ遂行セントスルニアリトスレバ
商工、農林兩省ノ所管的統一ガ急務デアラ
ウト考ヘマス、又一面地方事情ニ卽應シテ、
中央カラノ重壓ヲ避ケ、其ノ運營ノ圓滑化
ヲ圖ル點ニ新構想ヲ加へラレ、所謂盛リ上ル
協力精神ニ期待セントスルナラバ、中央機
關ノ强力ナル統率力ガ必要デアルト思フノ
デアリマス、政府ハ將來大東亞共榮圈ノ全
域ヲ對象トスル一大中樞機關ヲ設置スルト
ノ意圖ヲ明カニサレタノデアリマス、御聲
明ハ洵ニ結構ナコトデアルト思ヒマスト共
二、是ガ速カナル實現ニ關シテ、政府ハ極
力御努力セラレンコトヲ熱望スルモノデア
リマス
次ニ本法實施ト共ニ、在來ノ商工會議所
ガ廢止セラルルノデアリマスガ、其ノ機關
ニ携ハラレル人物ガ、再ビ新機構ニ登用セ
ラルル場合モアラウト考ヘマスノデ、其ノ
人物ノ銓衡ニ當ツテハ、十分新機關ノ本質
ヲ理解シ、積極的ニ其ノ機能ヲ範示スベキ
人物デアルコトヲ確カメ、苟クモ舊機構時代
ノ慣習ニ支配サレルヤウナコトノナイヤウ
ニ注意セラレルハ勿論、舊機關カラ新機關
ヘ移動スル組織分子ノ理念〓育ニモ十分〓
究ノ要ガアラウト信ズルモノデアリマス、
特ニ新舊組織ノ間ニ起リ易イ種々ナ問題ニ
對シテモ、同樣ノ趣旨カラ萬全ノ措置ガ必
要デアリマス、他ノ二案ニ於キマシテハ、
結局商工經濟會法案ト緊密ナル連繫ヲ保チ、
產業經濟ノ重要ナル役割ヲ果スモノデアリ
マシテ、大體ニ於テ以上ノ趣旨ニ包含サル
ルモノト思ハレマスノデ、改メテ申スマデモ
アリマセヌガ、此ノ兩案ニ對シテモ委員會
ノ質疑ヲ尊重セラレ、其ノ運營ニ當ツテ萬
遺憾ナキヲ期シテ戴キタイノデアリマス
之ヲ以テ私ハ右三案原案ニ贊成スル者デ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111623X01019430227&spkNum=2
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003・木村正義
○木村委員長 討論ハ終局致シマシタ、是
ヨリ採決ヲ致シマス、各案トモ原案ニ贊成
ノ諸君ハ起立願ヒマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111623X01019430227&spkNum=3
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004・木村正義
○木村委員長 起立總員、各案ハ何レモ原
案ノ通リ可決致シマシタ(拍手)
散會ニ當ツテ私ヨリ委員長トシテ御挨拶
申上ゲタイト思ヒマス、本委員會ハ二月ノ
十三日カラ本日マデ十囘連日委員各位竝ニ
政府當局、熱心ナル質疑應答ガ繰返サレマ
シテ、而モ圓滿裡ニ本日此ノ委員會ヲ終了
致シマスコトハ私ノ本懷トスル所デアリマ
ス、開會中私不慣レノ爲ニ皆サン方ニ御迷
惑ヲ掛ケタ點モ多々アツタコトト存ジマシ
テ、此ノ機會ニ於テ深ク御詫ビ申上ゲル次
第デアリマス
之ヲ以テ散會致シマス
午後一時二十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=008111623X01019430227&spkNum=4
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